法務委員会 第2号
- 発言数
- 80 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1976/03/02
会議録
○大竹委員長 これより会議を開きます。 法務行政、検察行政、国内治安及び人権擁護に関する件並びに裁判所の司法行政に関する件について調査を進めます。 この際、法務行政等の当面する諸問題について、稻葉法務大臣から説明を聴取いたします。稻葉法務大臣。
○稻葉国務大臣 委員各位には、平素から法務行政の適切な運営につき、格別の御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。 この機会に法務行政に関する所信の一端を申し述べ、委員各位の深い御理解と格別の御協力を賜りたいと存じます。 改めて申し上げるまでもなく、法務行政の使命とするところは、法秩序の維持と国民の権利の保全にあると考えております。ことに、内外の諸情勢が変動を続け、困難な諸問題が山積しているこの時期に際し、国家社会の平和と国民生活の安定を図るためには、その基盤とも言うべき法秩序が揺るぎなく維持され、国民の権利がよく保全されていることがきわめて肝要と存ずるのであります。 私は、法務大臣就任以来、常にこのことを念頭に置き、所管行政各般の諸問題に取り組んでまいりましたが、今後とも職責を全うするため、全力を傾注して、国民が期待する法務行政の推進に努めてまいりたいと存じます。 以下、私が考えております重点施策について申し述べます。 まず、第一は、法秩序の維持についてであります。 最近の犯罪情勢を見ますと、統計面から見る限り平穏に推移しているものの、わが国の社会経済生活の諸情勢を反映して、犯罪の態様は一層複雑多様化、悪質化しているものと認められ、特に公害事犯、各種経済関係事犯等国民の生活に密接に関連する事犯の発生が注目される上、暴力団相互の抗争に伴う殺傷事犯の多発、公務員による汚職事犯の続発は、厳に留意を要するものと考えております。また、いわゆる過激集団は悪質な爆弾事件や内ゲバ事件を繰り返し、さらには、過般のクアラルンプール事件において見られるように、海外において在外公館占拠、ハイジャック等重大事犯を敢行するなど、ますますゲリラ的、テロ的様相を深めており、楽観を許さないものがあります。 このような諸情勢に対処するため、私といたしましては、検察の体制を整備充実して、適正妥当な検察権の行使に遺憾なきを期し、もって法秩序の維持に努めてまいる所存であります。 なお、刑法の全面改正につきましては、目下、事務当局において政府案作成作業を進めているところでありますが、刑法は最も重要な基本法の一つでありますので、その改正につきましては、広く国民各階層の意見をも参酌しつつ、真に時代の要請に適応した新しい刑法典の実現に努力したいと考えております。 第二は、犯罪者及び少年非行者に対する矯正及び更生保護行政の充実についてであります。 犯罪者及び非行少年の改善更生につきましては、刑務所、少年院等における施設内処遇と実社会における社会内処遇を充実強化するとともに、これら相互間の連携を緊密にし、その効果を高めてまいる所存であります。 そのためには、まず施設内処遇につきまして、最近における処遇困難な被収容者の増加傾向にかんがみ、より一層の創意と工夫を加えつつ、被収容者個々の特性に応じた分類処遇を講じ、さらに、被収容者の生活環境の改善及び社会復帰に役立つ職業訓練、教科活動等の各種教育活動の充実を推進するとともに、他方、社会内処遇につきましても、保護司等の民間篤志家との共同体制のもとに、一層の保護観察機能の充実、向上に努め、これら犯罪者等の円滑な社会復帰を図るとともに、犯罪のない明るい社会を建設するために、格段の考慮を払ってまいりたいと存じます。 第三は、民事行政事務等の充実についてであります。 民事行政事務、とりわけ登記事務につきましては、依然として高い水準の事務量を保っており、かねてから職員の増員を初め、組織機構の合理化及び事務処理の能率化などの措置を講じて、適正迅速な事務処理に尽力してまいったところでありますが、今後ともなお一層事務処理体制の充実強化を図り、国民の権利保全と行政サービスに万全を期してまいりたいと存じます。 なお、婚姻生活における両性の実質的平等の確立を図る見地から、離婚復氏の制度、婚姻事件に関する訴えの裁判管轄及び嫡出子の出生届の制度を改善するとともに、プライバシー保護の見地から、戸籍の公開制限等、戸籍制度上の若干の問題点の改正を目的とする関係法律の改正案を準備して御詮議を賜りたいと存じます。 次に、一人権擁護につきましては、昭和四十八年度から全国的に発足いたしました人権モデル地区をさらに推進するとともに、人権擁護委員制度の一層の充実を図って、人権擁護思想の啓発活動を行い、広く人権を尊重する精神の高揚と普及を図ってまいる考えであります。 第四に、出入国管理行政の充実についてであります。 最近における出入国の状況を見ますと、国際交流の拡大に伴って、外国人の入出国、わが国民の出帰国はともに引き続き増加の傾向にあり、その結果、出入国管理及び外国人の在留管理に関する業務はいよいよ複雑、困難の度を加えるとともに、業務量の増加を見ております。このため外国人入国者の大部分を占める短期旅行者の入国手続の簡素化等、外国人の入出国及び在留管理行政の分野において合理化や改善を図るべき点が少なくないのであります。したがって、現行の外国人管理法制につき、従来の経緯その他諸般の情勢を勘案しつつ、根本的かつ総合的な再検討を進め、今日の諸情勢に対応できる出入国管理行政の確立に努めてまいりたいと考えております。 また、近隣諸国とわが国との経済格差等を背景として不法入国及び不法残留事案が多発しており、この面におきましても、対策に遺漏なきを期すよう努力を傾注してまいる次第であります。 第五に、訟務行政の充実についてであります。 官房訟務部において処理している国の利害に関係ある争訟事件は、近年、社会情勢の変化に伴い、急激な増加を示すとともに、その内容もとみに複雑、困難の度を加えておりますので、このような情勢に対処し、訟務行政の円滑な運営を図るため、官房訟務部の機構を改め訟務局を設置し、この種事件の適正円滑な処理を図ることにいたしたいと存じております。 最後に、法務省施設の整備改善についてであります。 現在、法務省が所管しております施設は、他省庁に比べて最もその数が多く、かつ、その延べ面積も全官庁の庁舎面積の約三分の一を占めております。したがって、そのすべてを早急に整備改善することは困難な実情にありますが、職員の執務環境を改善し、事務能率の向上を図るためにも、老朽、狭隘度のはなはだしい施設や地方公共団体等から移転要請を受けている施設を重点的に取り上げ、整備改善に努めてまいる所存であります。 以上、法務行政の当面の重点施策について所信の一端を申し述べましたが、その他の諸施策につきましても、委員各位の御協力と御支援を得まして、その解決に努力する所存でありますので、どうかよろしくお願い申し上げます。 いま世間の耳目を集めている例のロッキード問題につきましては、厳正、公平、中正に、冷静、沈着、単純明快にこれに対処する所存でありますので、この点については、特に法務委員各位の御協力を最後にお願い申し上げまして、所信の表明を終わります。(拍手)
○大竹委員長 次に、中山法務政務次官から発言の申し出がありますので、これを許します。中山政務次官。
○中山政府委員 このたび法務政務次官を拝命いたしました中山利生でございます。 法務行政は、私にとりまして経験の乏しい分野でございますが、稻葉法務大臣のもと、国民の期待する法務行政の推進に努めてまいりたいと存じております。 何とぞ、よろしく御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。(拍手) ————◇—————
○大竹委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。稻葉法務大臣。
○稲葉国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、裁判所における事件の適正迅速な処理を図る等のため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下、簡単にその要点を申し上げます。 第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件及び行政事件の適正迅速な処理を図るため、判事補の員数を七人増加しようとするものであります。 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件及び行政事件、家庭裁判所における家事調停事件及び簡易裁判所における民事調停事件及び道路交通法違反事件の適正迅速な処理を図る等のため、裁判所事務官について、司法行政事務の簡素化、能率化に伴う四十八人の減員を差し引いてなお十三人その員数を増加しようとするものであります。 以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。 次に、刑事訴訟法の一部を改正する法律案について、提案の理由を御説明いたします。 刑事事件において無罪の判決を受けた者は、現在でも、刑事補償法により、未決の拘禁または刑の執行による損害について補償を受けることができますし、さらに、検察官の故意または過失により不法に公訴を提起された場合には、国家賠償法に基づき、これによって生じた損害の賠償を国に請求することができることとなっておりますが、これらの制度だけでは無罪の判決を受けた者の救済方法として必ずしも十分ではないと考えられるのであります。 すなわち、罪を犯したとして公訴を提起された者は、公判廷への出頭を義務づけられるだけでなく、効果的な防御活動を行うためには弁護人を選任してその補佐を受ける必要が生じますが、そのためには相当多額の費用を要するのでありまして、被告人に対し無罪の判決が言い渡され、結果的には不当な公訴の提起を受けたことが確定した場合には、その者が応訴を余儀なくされたことによって生じた財産上の損害を国で補償することとするのが、公平の精神に合致するものと思量されるのであります。 なお、現行刑事訴訟法におきましても、検察官のみが上訴した事件において、上訴が棄却され、または取り下げられた場合には、その事件の被告人であった者に対し、上訴審において生じた費用の補償をすることとされておりますが、検察官による上訴が結果的に不当であった場合と、公訴の提起そのものが結果的に不当であった場合とを区別する十分な根拠がないだけでなく、公訴の提起が不当であった場合に被告人のこうむる財産上の損害は、検察官の上訴が不当であった場合よりも大きいのが通常でありまして、上訴費用の補償を認めながら無罪の場合に費用の補償を認めないのは、法制度としての均衡を欠くものとも言えるのであります。 以上のような事情を考慮いたしまして、無罪の確定判決を受けた者に対し、公訴の提起から裁判の確定に至るまでに要した防御のための費用を補償することとする趣旨で、この法律案を提出することとした次第であります。 この法律案の骨子は、次のとおりであります。 第一点は、国が費用を補償する場合の要件についてであります。無罪の判決が確定したときは、国は、当該事件の被告人であった者に対し、その裁判に要した費用を補償するものとし、例外として、被告人であった者の責めに帰すべき事由によって生じた費用あるいは被告人であった者が、捜査または審判を誤らせる目的で虚偽の自白等をしたため公訴を提起された場合の費用については、補償をしないことができることとしたのであります。 第二点は、補償すべき費用の範囲についてであります。被告人であった者またはその弁護人であった者が公判期日等に出頭するに要した旅費、日当及び宿泊料並びに弁護人であった者に対する報酬に限って補償することとし、その額については刑事訴訟費用に関する法律の規定を準用するが、公判期日等に出頭した弁護人が二人以上あった場合には、裁判所は、事件の性質、審理の状況等を考慮して、弁護人であった者の旅費、日当及び宿泊料を一部の弁護人に係るものに限ることができることとしております。 第三点は、補償の手続等についてであります。補償は、被告人であった者の請求により、無罪の判決をした裁判所が決定で行い、その請求は、無罪の判決が確定した後六カ月以内にこれをしなければならないこととし、さらに、補償に関する手続、他の法律による損害賠償との関係、補償を受ける権利の譲渡または差し押さえ及び相続人に対する補償については、この法律に特別の定めがある場合のほか、刑事補償法の例によることとしております。 第四点は、以上の費用補償の制度の新設に伴う関連改正であります。現行の上訴費用の補償及び上訴に関する訴訟費用の負担について所要の改正をすることとしております。 以上が刑事訴訟法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○大竹委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 刑事訴訟法の一部を改正する法律案の質疑は後日に譲ることといたします。 なお、昭和五十一年度法務省関係予算及び昭和五十一年度裁判所関係予算の説明聴取につきましては、関係資料をお手元に配付してありますので、これをもって御了承を願います。 —————————————
○大竹委員長 お諮りいたします。 本日、最高裁判所田宮総務局長、矢口人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大竹委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○大竹委員長 次に、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中君。
○田中(覚)委員 私は、ただいま提案説明のございました裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、若干の御質問を申し上げたいと思います。 実は、私は、長い間県政に携わりておりまして、その間法務関係のお仕事とは、たとえば県庁の職員が汚職事件に問われるとか、あるいはまた逆に人権擁護だとか、あるいは保護観察だとか、そういう面で、県政の方から予算的にも協力をするといったような関係で、若干のかかわりはございましたけれども、県政と本来的なかかわりを持たなかったために、法務行政につきましては、全くの門外漢であり、素人でございます。それだけに長い間、外から法務関係の出先機関のあり方等を、ほかの国の出先の行政機関等と比べて、いろいろ見ておりまして、その間に感ずることが多々ございました。たまたま昨年四国へ法務委員会の委員として初めて視察をする機会を得まして、これまで持っておった認識を改めなければならないというような問題もございました。たとえば法務関係の出先機関の建物だとかあるいは施設だとか、こういうものが戦後ある時期には非常に貧弱な状態で、ほかの機関に比べて遜色を免れなかったのが、最近、法務御当局の大変な御努力で、計画的に整備が進んで著しく改善を見ておるというような点につきましては、認識を新たにいたしたのでありますが、しかし、なお全般として、予算面で他の事業官庁に比べてまだ弱い面が残っているんじゃないかというような感じも実は深くいたしたのであります。ただいま提案されておりまする裁判所職員の定員も、そういった問題の一環として私の目には実は映っておるのでありますが、若干のそういう所感を含めまして、二、三の点につきまして大臣の御所見を承りたいと思います。 今回の御提案の内容は、ただいま大臣の提案理由の御説明にもございましたように、第一点が、裁判官の定員の増加でありまして、判事補の員数を七名増加をする。第二点は、裁判官以外の職員の定員の増加でありまして、これにつきましては、行政事務の簡素化、能率化に伴う減員を差し引いて十三名の員数を増加しよう、こういう内容になっております。 まず最初に、裁判官の員数の増加でございますが、最近十年ぐらいの間の裁判官の定数の増加の趨勢を見てみますと、結果的には、今回の七名は四十九年、五十年に比べればわずかにふえておりますけれども、しかし四十四年、五年、六年あたりのかなり著しく定数の増加を図った時期に比べると、大変定数の増加が不十分なように拝見をするのであります。先ほど法務大臣の所信の表明の中にも述べられておりましたように、最近の法務関係の情勢というものは、まことに憂慮すべきいろいろの面を露呈いたしておりまして、私どもも実際地方におってこれまで痛感をいたしておりますことは、たとえば、国民の行政に対する不信というようなもののはけ口が裁判に求められるというようなケースがだんだんとふえてきておる。そのほか、戦後の世相の変化に伴いまして、これが調停事件だとかあるいは裁判等に持ち込まれる、そういう件数がだんだんにふえて、要するに、最後にすべてこの司法の分野にしわ寄せがされてくるといったような問題がかなり激増しているというふうに実は見ておるわけであります。そういう点から申しますと、裁判官の定数の確保ということは、国民のそのような緊切な要請にこたえるためには不可欠の問題ではなかろうか、かように考えるのであります。 そういう点におきまして、一体この七名の増加で本年度対処できるのか、法務大臣のこれに対する基本的なお考え方をひとまず最初に承りたいと思います。
○稻葉国務大臣 大変むずかしい御質問でございますが、基本的な法務大臣の姿勢をお問いになっているわけですけれども、御指摘のとおり、行政に対する不信と、もう一つはやはり民主政治の発達といいますか、権利思想の目覚めといいますか、そういうことから最後の救済を司法の判断に求める、つまり訴訟に持っていく。これは乱訴の弊などと言うて非難すべき問題ではないと私は思うのですよ。これはやはり法治国であります以上、法の支配に従う。従わない不当な状態——行政の状態もその中に入りますけれども、そういうことに対する不満を司法によって解決してもらおうということは、法治主義の機構として当然であり、正しい、妥当なことだと存じます。 したがって、これに対処するために、明確な正しい権利義務関係の確立をするということは、法秩序の維持、国民の権利擁護のたてまえから、当然に法務行政としてもこれに協力をしなければいかぬ。司法裁判所の独立権限がきわめて適正妥当に行われて、権利のあるものは権利がある、ないものはない、それから処罰すべきものはし、処罰すべからざるものはそれを明確にする。やはりこういう最後の国民の権利のとりでというものは司法裁判所にあるわけでありますから、その司法裁判所が、人数が足りないとかあるいは施設が悪いとか、そんなことではまことに困るわけでございまして、そういう裁判の内容が適正、正確に行われるための十分な人員、十分な施設、設備、そういうものにつきましては、予算をつくる内閣の中におる法務大臣としてこれに熱意を持って御協力を申し上げるのは当然でございまして、昭和五十一年度の予算につきましても、そういう基本的な態度から一生懸命にやりましたのでございますが、私としては、これで十分という気持ちはありません。今後の努力にまちたいと存ずる次第であります。
○田中(覚)委員 当初の法務省の必要定員というのは、一体どの程度であったのでございますか。
○稻葉国務大臣 数字のことでございますから、事務当局に説明させます。
○田宮最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 昭和五十一年度の当初の要求の裁判官は、合計で四十五名でございます。内訳は、判事補三十三名、簡易裁判所判事十二名でございます。結果的には判事補七名の増員ということでございます。
○田中(覚)委員 要求の数字に対比いたしますと、新しく増加せられた定員ははなはだ僅少であるわけでありますが、これでやれるという確信がおありになるのか。 またさらに、この七名の増員につきまして、地方裁判所における特殊損害賠償事件の処理に三名、同じく地方裁判所における行政事件の処理に四名の増加、こういうことになっておりますが、この必要性の実情を少し詳細にお答えをいただきたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 当初の要求の四十五名でございますが、それぞれこの種の事項について必要であるということで要求したわけでございます。 たとえば調停事件でございますが、調停事件につきましては、昭和四十九年の十月から調停法の改正によりまして、事件がかなり伸びるのではないかということで、そのために簡易裁判所の判事十名の増員の要求をいたしました。それから特殊損害賠償事件でございますが、これにつきましても、事件増ということを考えまして、判事補十二名の増員を要求いたしました。それから、昨年の十一月に法律が成立いたしまして、本年の中ごろにはその実施が予定されておりますところの船舶の所有者等の責任の制限に関する法律というのがございまして、こうした新しい法律ができましたので、これに伴いましてこの種の事件の係属が予想されますので、そのために判事補十五名の増員の要求をいたしました。それからさらに、交通事件でございますが、道路交通法違反事件が非常に多くなっておりますので、そのための必要人員として簡易裁判所判事二名、さらに行政事件が最近かなり長期化しておりますので、その事件の処理に要する人員として判事補六名、このようにして合計で四十五名の要求をしたのでございますが、この中で、調停事件につきましては、これが大体予算要求をする時期が八月でございますので、その後の事件の推移等を見ますと、必ずしも調停事件が十分には伸びていないというような関係もございまして、そのような関係で、この部分につきましては、特に今回は増員を見送ったということでございます。 それから船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の関係でございますが、この関係も財政当局と種々折衝の過程におきまして、実際に事件がどの程度係属するかということの予測がつきませんので、この点につきますところの人員の手当てというものにつきましては、本年この法律が実施された以後においてどの程度事件が係属するかという実績を踏まえた上で、来年以後においてその点は検討しようということになりましたので、この点の増員も今回は見送ったということでございます。 結果的には、特殊損害賠償事件の処理のために判事補三名、それから行政事件の処理のために判事補四名の増員ということになったわけでございます。これはもちろん、それぞれ当初要求に対して今回の増員が下回っておりますが、これは御承知のように、裁判官の場合には一定の資格を要するものでございますので、予算定員を幾らふやしてもそれが充員されないということでございますと、実勢力として十分働くことができないわけでございますので、この点も当初要求いたしました段階では、この程度であるならば判事補が十分充足されるであろうということで要求したのでございますが、その後の経過によりまして、判事補の充足見込みというものを加味いたしまして、最終的には、いま申しましたように判事補七名の増員ということにとどまったわけでございます。
○田中(覚)委員 私ども、いままでよく地方におりまして聞きますことは、どうも裁判に時間がかかり過ぎるという批判がずいぶんあることを聞いておったのでありますが、いま法務省の方からいただきました資料を見ますと、高裁、地裁、簡裁等を通じまして、民事の場合でも、大体二年以内で平均審理期間が済んでおりますが、われわれがよく巷間耳にするところでは、民事なんかでは三年も四年もかかるのはざらにある、長いのは七年も八年もかかるというふうに実は聞いておるのですが、平均審理期間の推移、現状というのは、こういうことで間違いはないんでしょうか。どうもわれわれが実際に聞いているところとはちょっと合わないのですけれども……。
○田宮最高裁判所長官代理者 現在の審理期間は、その表にあるとおりでございます。 民事事件でございますと、これも全国平均でございますが、地方裁判所におきましては、約六割の事件が一年以内に処理されているという状況でございますので、平均が約一年半ということでございますと、半面で六ヵ月とか三ヵ月とか、場合によっては一ヵ月で処理されるという事件もございますし、半面非常に長期にわたって三年、五年とかかる事件もあるということでございます。実情は先ほども申しましたように、約六割の事件が一年以内に処理されているということで、数字の上では特におくれてはいないというふうに考えておりますが、しかし戦前に比較しますと、民事は約一月ぐらいで処理されているという状況でございますので、手続等の差を考えましても、やはりかなりおくれている面はあるのではないかというふうに考えております。 一般的に、非常に訴訟がおくれるという印象を与えておりますのは、公害事件とか、行政事件、それから刑事事件でございますと学生事件とか公安事件といったようなものが非常におくれますし、また一般の社会の耳目を引くような、新聞その他で報道されるような事件がとかくいろいろな原因で長期化いたしますので、一般的に裁判が非常に長期化しているのではないかという印象を与えているのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
○田中(覚)委員 一般的には、先ほど申し上げましたように、最後の救済を裁判に持ち込む、持ち込まなければならないといったような、そういう国民感情が相当強くなっているというふうに理解をしておるわけでありますが、しかし、このいただいた資料を拝見いたしますと、四十七年から四十九年にかけての各級裁判所の民事、刑事の新受件数といいますか発生件数、これは傾向的に見ると、漸減の傾向を示しておりますね。これは一体どういうふうに解釈をしたらいいのでしょうか。
○田宮最高裁判所長官代理者 お答えする前に、先ほどの説明につきましてちょっと訂正させていただきたいと思います。 戦前の民事は、民事第一審は約五ヵ月でございます。 それから訴訟事件が順次減少の傾向にあるのはその表のとおりでございますが、最近におきましては、民事事件はほぼ横ばいと言っていいのではないかというふうに思います。一方、刑事事件が多少減っておりますが、しかし急激に減っているという状況もございません。これについていろいろな原因があるのではないかと思いますけれども、特に私どもの方といたしまして、こういうために事件が非常におくれているのだという的確な理由というのは、現在のところ特に気がついた点はございません。
○田中(覚)委員 最近の経済不況というようなことが、こういう発生件数に関係ございますか。あるいはまた逆に、裁判にかけてもとにかく時間が長くかかるから、まああきらめてしまえというような、そういう傾向はないのでしょうか。
○田宮最高裁判所長官代理者 これは全く想像にすぎませんが、大体、物価が急激に上昇するというような時期には、民事事件がそれに対応して減っているというのが過去の数字的な統計から見られるのでございますけれども、それが事件が減ったことの特に唯一の理由といったようには、現在的確には把握してございません。
○田中(覚)委員 少し角度を変えまして、先ほどお話がございましたが、せっかく定員をふやしても、実際に充足ができなければ空定員に終わってしまうわけでございますが、この資料を拝見いたしますと、高裁、地裁、家裁、簡裁を通じまして五十年十二月一日現在で判事が八十六名、判事補が六名、簡裁判事が二十二名、計百十四名の欠員がございます。こういう欠員が発生をし、しかも過去数年のうちでこの欠員が一番多くなっているというふうに出ておりますが、こういう欠員が出ておる理由は一体何に基づくものか、またこういう欠員を充足する具体的な方法、手段あるいは計画というものをお持ちかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 御指摘のように、資料によりましても判事八十六、判事補六、簡易裁判所判事二十二という欠員がございます。こうした欠員の生ずる理由でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、これら裁判官になるためには、一定の資格を要するわけでございます。したがいまして、年度の途中におきまして、たとえば定年退職それから依願免、場合によっては死亡といったようなことで裁判官に欠員を生じましても、その場で直ちにこれを充員できないという状況にございます。もちろん一定の資格がございますれば、たとえば弁護士さんからとか検察官からということで欠員を充足するということも可能でございますし、現にそういうようなことで欠員を補充するということもやっておりますが、何分その数はきわめて少なく限られておりますので、結果的には十二月末現在になりますと、このような欠員を生ずるのでございます。今後さらに三月までということになりますと、若干この欠員の数もふえようかと思います。ところで、この欠員でございますが、たとえば判事の場合でございますと、ことしの四月になりますと、判事補を十年やった者が判事になりますので、それによって充足するという関係になります。もちろん判事補を十年やって、判事補から判事になるという者の数との関連もありますが、本年度の四月におきましては、なお若干それによっても判事の欠員が残るのではないかという状況でございます。 それからまた判事補でございますが、いま申しましたように、十年たちますと判事に抜けていきますので、ことしの三月、四月になりますと、この判事補の欠員というのがさらにふえるわけでございます。ふえまして、大体見込みとしては約八十名ぐらい欠員を生ずるのではなかろうかというふうに見ておりますが、その分につきましては、本年の四月に司法研修所から司法修習生が卒業いたしまして、司法修習生の中から判事補に任官する方がありますので、その新たに任官する判事補によってこれを充足することができる、そういうことでございます。 また簡易裁判所の判事でございますが、これもなお三月ごろまでの間に若干欠員がふえると思いますが、その分につきましては、例年ございますが、裁判官が六十五で定年退官になった後、簡易裁判所判事は七十歳まで勤務できますので、そうした定年になったところの裁判官または検察官、それから若干ではございますが、弁護士さんから志望がございますので、そういう方々によってこれを十分埋めることができるわけでございます。なお足りない場合には、裁判所法に規定がございますが、選考任用の簡易裁判所判事というのがございます。多年法律事務に従事したというような人の中から、試験をやりまして選考して充足するということで、簡易裁判所判事の欠員の充足も可能でございます。 以上のように、いずれも年度の初めにおきましては、このように充員が可能でございますが、年度の途中におきましていろいろやめていく方等がございますと、その都度また補充できないということで、昭和五十一年の十二月末にはまた同じくらいの欠員を生ずる、このようなことを繰り返しているというのが実情でございます。
○田中(覚)委員 年度当初に充足いたしましても、年度末にやめられる方が相当出るということは、結局原因は待遇の問題でしょうか、それともそのほかの事情が何か考えられるのか。また、これに対してどういう対処策を今後講じていこうというお考えであるのか、そういった点についてお伺いをしてみたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 判事の場合の欠員の生ずる一番の大きな原因は、定年で退官される方というのがかなり多うございます。途中で依願免でやめられる方は、これはたとえば弁護士になられるとか、それから公証人になられるといったようなことでやめていかれるわけでございます。 判事補の場合でございますが、これも十年間判事補をやるわけでございますが、その間にも若干、みずからの希望でやめられる方もございますが、このやめられる方の理由につきましては、いろいろあると思いますけれども、たとえば自分の父親が弁護士で亡くなられたので、その事務所の跡を継がなければいけないというようなこと、それから裁判官の場合には、ある程度の転任というものもございますが、家庭の事情等でどうしても転任できないといったようなことでやめられるというような方がございまして、特にそれ以外に、裁判官の待遇が極端に悪いといったような面からやめられるという方は余り聞いておりません。
○田中(覚)委員 そういう定年でおやめになったり、あるいは個人的な事情でおやめになるのはよくわかるわけでありますが、私がお伺いしたいと思ったのは、何か構造的な原因あるいは制度的な欠陥というようなものはその間にないのかどうか、もしあれば、それに対する対策をやはり早急にお立ていただくことが必要ではないか、こういう観点から実はお尋ねをしておるわけでございます。いかがでしょう。
○田宮最高裁判所長官代理者 制度的な面として考えられますのは、戦前には予備判事という制度がございまして、本判事の中で欠員を生じた場合には、予備判事で直ちにそれを補充するということに制度的になっておりましたので、戦前の場合でございますと、判事の実勢力というものは一年を通じて変わらない状況であったわけでございます。戦後におきましては、予備判事という制度がございませんので、結局年度の途中で欠員を生じた場合でも、翌年の四月にならなければその実勢力を回復することはできない、こういった点が一つ考えられるのではないかというふうに思っております。
○田中(覚)委員 いろいろお伺いしたいことがあるのですが、時間の制約もございますので、次に、裁判官以外の裁判所職員の定数の増加について二、三伺ってみたいと思います。 これも最近十年間の定数増加の趨勢を見てみますと、裁判官の場合と同じように、ことしの十三名の増加というのは、ここ数年では最低でございまして、ことに四十四、五年ごろ百名以上も定数増加を図った時期などに比べますと、著しく少ない定数増加に終わっておりますが、これも先ほど裁判官について申し上げたと同じような背景を考えてみますと、こういったことで一体対処できるのかどうか、この点についての所信を伺いたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 本年の増員は、御指摘のように裁判所事務官十三名でございます。実は増員全体といたしましては六十一名でございますが、他方、政府の人員削減というそうした方針もございますので、それに協力するという意味で四十八名の減となりましたので、結果的に純増十三名ということになったのでございます。 この裁判所事務官は、そのようなことで、もし減がないということでありますと六十一名増でございまして、この六十一名の増員は、裁判関係にその分を全部増員するということでございまして、減員の方は、簡易裁判所におけるところの司法行政事務の簡素化、能率化によってその人員を減じようということでございますので、実質的には、裁判所部門におきましてかなり人員をふやすということになりますので、これによって裁判事務が支障を来すことはないというふうに考えております。
○田中(覚)委員 私は、この法務関係の仕事というのは、定数とか人件費というのは普通の他の行政官庁における場合とは若干意義が違いまして、定数の確保あるいは人件費の確保というものそれ自体が国民に対するサービスであり、いわば法務関係の事業費そのものだというふうに理解をすべきじゃないかと思うわけでありますが、それにもかかわらず、裁判官以外の職員につきましては、行政事務の簡素化、能率化といったような一般的な国家公務員の行政整理の枠の中で処理をされていくという考え方はいかがなものでございましょうか、その点を伺いたいことが一つ。 それから、このいただきました資料を見まして、増員に必要ないろいろの事項が挙げてございまして、結局六十一名必要なんだけれども、合理化、能率化で四十八名減らすから差し引き十三名でいいんだ、算術的にはよくわかるわけでありますけれども、そういった処理の仕方で一体考え方がいいのかどうか、そういう点をちょっと疑問に感じますので、この点についての御説明を伺いたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、増員関係の六十一名というのは、すべて裁判所におけるところの裁判事務処理の関係で増員をしようということでございます。他面減員をいたしますところの四十八名というのは、簡易裁判所におけるところの司法行政事務担当者を減らそうということでございます。簡易裁判所は全国で五百以上ございますので、四十八名をその中から減員をするということによって、特に簡易裁判所におけるところの司法行政事務の円滑を欠くということはなかろうということと、それからまた政府の人員削減の方針というものにつきまして、もちろん裁判所でございますので、その方針に従う必要はございませんけれども、しかし司法行政の関係でございますと、特に他の省庁の行政事務と異なった面もございませんので、これに協力いたすということで、簡易裁判所におけるところの人員を減らすということでございます。
○田中(覚)委員 裁判官以外の職員の定員と現在員の比較をしてございますが、事務官につきましては、現在三百八名の過員になっております。これはどういうことでこういう過員が生じ、どの定数でこれを賄っておられるのか、この点はいかがでございましょうか。
○田宮最高裁判所長官代理者 この表にもございますが、事務官に過員があるのと反対に、書記官にはかなりの欠員があるわけでございます。書記官でございますが、これも裁判官と同じように一定の資格を要するものでございますので、年度初めには充足されて、その後、年度の途中でやめたりいたしますと、その間欠員を生じ、それが十二月末ではこのような欠員となるわけでございます。 この欠員はどのようにして充足されるかと申しますと、書記官になるためには、二つの方法がございまして、裁判所書記官研修所というところで研修をいたしまして、それを終了いたした者が書記官になるわけでございます。他方また書記官の昇任試験というのがございまして、これも事務官の中で試験に受かった者が書記官になるわけでございます。 このような関係で、現在事務官の過員がこれだけございますが、これはいずれも書記官研修所に入所している者、もしくは書記官の昇任試験を受け、また受けようとしている者というように考えられるわけでございまして、これらの過員は、ことしの四月になりますとそれぞれ書記官になりますので、それによって書記官が充足されるということで、書記官となるまでの間の事務官ということでございますので、いわばこの分は書記官の卵で、実質的には書記官と言っていいのではないかというふうに考えております。したがいまして、この過員も四月になりますと解消され、反面また書記官の欠員というものも四月になりますと解消される、こういう関係になっておるのでございます。
○田中(覚)委員 そういたしますと、この事務官の過員というのは、結局書記官の欠員の定数を借りているというわけですね。そういうふうに理解していいわけですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 結果的には、そういうことであろうと思います。
○田中(覚)委員 そういたしますと、その他の職員というのは、これはどういうのでございますか。二百八十二名欠員になっております。これは相当の欠員だと思いますけれども、どういう種類の人で、どういう事情でこういう多数の欠員ができておるのですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 「その他」の中には、裁判所特有の職種といたしまして廷吏がございます。タイピスト、それから数は少のうございますが教官、それから速記官、そのほかに、庁務員、運転手といったような、いわゆる行(二)の職員がございます。 これらの欠員でございますが、これは全国に多数の庁がございまして、組織からいいましても全国で約千百四十ぐらいの組織がございますので、どこかの庁でだれかがやめるということになりますと、その時期いかんによっては、全国的にかなりの数の欠員を生ずるということでございますので、したがいまして、欠員の生じた時期、それを補充するときの時期的なずれによって、刻々にこの欠員数は変わるわけではございますが、何分にも裁判所は約二万人前後の職員を抱えておりますので、こういったタイピスト、それから行(二)職員といったような職種について、常時、ある程度の欠員を持っているということも、これはほかの省庁と変わらない現象ではなかろうかというふうに思います。
○田中(覚)委員 せっかく苦労して定数を確保されましても、一方において欠員等が相当あって充足できないという情勢では効果を発揮しないわけでございますので、今後こういった欠員の発生の理由、またそれに対する対応策といったものは、裁判官及び裁判官以外の職員を通じてひとつ格段の御努力をいただくことを強く希望いたしたいと思います。 最後に、先ほども申し上げましたけれども、法務関係の職員、裁判官等は、その必要な定数を確保すること自体が事業そのものと考えるべきでありまして、一般の行政官庁とはその点において若干異なるところがあるわけであります。そういう意味で、今後ひとつ予算定数の確保等につきましては、格段の御努力をお願いをいたしますとともに、われわれもひとつまた、これにでき得る限りの協力をすることを申し上げまして、時間が参りましたので、私の質問は終わらしていただきます。
○大竹委員長 稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 法案に入る前に、法務省の中に司法法制調査部というのがあるわけですね。ぼくらはよくわからないものですから、それはどういう組織でどういうことをやるのか、ちょっと説明をしていただきたいというふうに思うわけです。
○賀集政府委員 法務大臣官房の中に司法法制調査部という部が置かれております。司法法制調査部は課が二つございます。一つは、司法法制課、もう一つが調査統計課でございます。 司法法制課というのは、本日お願いいたしております裁判所職員定員法その他の裁判所関係の立案、それから法令の整備、判例の整備、主として法規を中心とする仕事、それから法制審議会に関する仕事、そういうことをやっております。 もう一つの調査統計課といいますのは、これまた二つに分かれまして、一つは法務図書館の運営、もう一つが法務統計、これは検察の統計もございましょうが、矯正の統計、入国管理の統計、不動産登記の統計、そういう法務に関する統計の関係を扱っております。 組織は以上のとおりでございます。
○稲葉(誠)委員 裁判官の増員というのは、今度はもちろん判事補ですね。判事補の場合は十年やるわけですが、素人によくわからないのは、三年たつとかわるのですか。そこら辺のところは、何かよくわからないのですよ。 それから、甲乙丙というのかな。何かぐるぐる回って歩く、山の筋じゃないけれども、回って歩くらしいのですが、十年間に三回回ることになっているんですか。そこら辺のところがよくわからないのですよね。 それから、判事補の場合は、いわゆる転所の自由、これは一体あるのかないのか、よくわからないのですがね。そこら辺のところをちょっと御説明願いたいのです。
○矢口最高裁判所長官代理者 判事補も憲法に言われる裁判官でございまして、転官、転所についての保障は、判事と全く同様にあるわけでございます。したがいまして、意に反する転官、あるいは意に反する転所ということはないわけでございます。これは厳格に守られております。 ただ、そういたしますと、一度ある場所に任官いたしまして、任期が十年でございますので、十年の間全然動かないということになる可能性も出てまいります。終戦直後、人員が非常に不足しており、軌道に乗らなかったというような状況のときには、かなり長い間一カ所にとどまっておるという方があったわけでございますが、だんだん世の中が秩序を取り戻してまいりました昭和二十七、八年ということになってまいりますと、大都会への希望者というのが非常に多くなってまいりまして、大都会の方は、一たん入られた方は転官、転所の保障があるということを事由にして、全然異動を希望されない。一方、地方におられる方、地方でもまだ本庁におられる方はいいのですが、支部等におられる方は生活条件等非常に恵まれていないにもかかわらず、大都会があかないために、大都会を希望しながらそちらに行けないというような状況が出てまいりました。 そこで、裁判官、特に判事補の方の異動について、どのような扱いをすべきかということが慎重に検討されまして、その結果出てまいりましたのが、いまお尋ねの三年ごとぐらいに異動してはどうであろうかということの考え方でございます。これを実施いたしましたのが、いまも申し上げました大体昭和二十七、八年でございますが、そのときは、全国の裁判官、判事補の方、それから所長、長官等の御意見も十分伺いまして、申し合わせ的なものとして、全部の方が希望する大都会の勤務といったようなことを可能にするために、現在大都会におる人は、仲間のために道をあけようではないか。また、そういうことで、大都会に入られた方も、一定年限が来れば次の方と交代するという意味において転勤をしようではないかということになったわけでございます。これが大体三年ごとに行われます判事補の原則的な異動というものでございます。 そこで、ではどういうふうな形で三年ごとに異動するか。十年間でございますから、三回異動があるわけでございますが、おおよそのめどといたしまして、全国の裁判所を、非常に大きいところ、それから中くらいのところ、それから支部のような小さいところ、こういうふうに分けまして三回異動いたしますので、大体一回ずつそれを経験するような方向で全体の異動を行おうではないかということになり、今日それがかなり定着いたしまして、皆さん、全体のために東京等に勤務されておる方は、次に比較的へんぴなところに異動していただくということでスムーズに行われておるわけでございますが、いまも申し上げましたように、原則的には御本人たちの承諾を得てやっておる、これが現状でございます。
○稲葉(誠)委員 いままで拒否した例というのはあるのですか。三年ごとにかわるというのを、それを困るからというので拒否した例は、判事補の場合ありますか。
○矢口最高裁判所長官代理者 一般的な問題としては、いま申し上げたようなわけでございますが、やはり各人個々の非常な事由、事情がおありになるわけでございまして、家族が現在病気で動けないとか、あるいは御本人の特殊の事情があるとかいうようなことがございますので、いま細かい数字はつまびらかにいたしませんが、毎年一、二件は、動いていただけないかということで申しましても、ちょっと動けないというようなお断りがあるということが大体通例でございます。
○稲葉(誠)委員 それから判事補に対して、あれは何と言うんですか、調整じゃないのですが、初任手当ですか、あれが行われておるわけですが、これはもちろん根拠はあるでしょうが、具体的にはどういうふうに行われておるわけですか。下の方からどのくらいまでですか、行われておるのは。
○矢口最高裁判所長官代理者 初任給調整手当というふうに呼ばれておりますが、判事補に任官いたしまして、大体五年間ぐらい調整手当がついておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 それは正式に調整手当という名前で呼ばれているかと思うんですが、書記官の調整手当とは性質が違うわけでしょう。性質というか内容が違うわけですね。これは余り聞くとあれだから聞きませんけれども、それよりもむしろ判事補の方の給与はもっと上げた方がいいんじゃないですか。何か各地の弁護士会の初めての弁護士の給与が平均十五万ぐらいだというので、それに合わせてつくったというのですが、いまは十五万じゃとても、弁護士の初めの人はもっと上がっているんじゃないですか。そこはどういうふうになっていますか。
○矢口最高裁判所長官代理者 この初任給調整手当、一般職の上級甲の職員にも一部ございますが、むしろお医者さんの場合をお考えいただくとよくおわかりいただけると思います。お医者さんを確保するということが非常に困難であるという見地から、相当高い金額で相当長期間にわたる初任給調整手当というものがお医者さんについております。それと同じ考え方で、裁判官、検察官を確保するということでこの初任給調整手当が設けられたわけでございますが、本来申しますれば、あるいはそういったものをひっくるめた裁判官の報酬と検察官の俸給というものを決めるべきであったのかもしれません。 ただ御承知のように、経済事情が必ずしも安定いたしておりませんので、年々ベースアップ勧告等が行われるというようなこともございますので、現在のところ、初任給調整手当の金額は、ここ二、三年そのままといたしまして、本俸の改定ということで賄ってきておる。これはいずれ裁判官の報酬体系といったようなものを策定することができますれば、そういったものも十分根本から考え直されるものであろうと考えております。ただ、この報酬体系というのは非常に困難でございますので、現在のところ、いまのような状況で推移しておるということでございます。
○稲葉(誠)委員 いま修習生は全部で何人ぐらいいて、大体二回試験はいつあるのですか。もう済んだのですか。あるいはこれからかどうかちょっと忘れましたが、これはどの程度の志望の割合になっていますか。 これは最高裁の方の管轄ですか。そうですね、司法修習生の方は。これはどうして最高裁の方の管轄になっているのか。何か聞くと、司法試験の方は法務省の管轄になっているのでしょう。そこで話し合って二つに分けたのだという話もあるのですがね。どうなんでしょうか、それは。権限争いをやって二つに分けたのだという話もあるんだけれども……。
○賀集政府委員 いま御指摘のとおり、司法試験に関することは法務省、それから司法研修に関することは最高裁の管轄で、沿革については詳しいこと存じ上げておりません。 それから現在員ですけれども、御承知のように司法研修所は裁判所の管轄ですから、裁判所からお答えいただけると思いますが、検事志望者は、本年の四月でございますか司法修習を終える者は、七十五名検事志望でございます。
○矢口最高裁判所長官代理者 最初の、修習生が何名くらいおるかというお尋ねでございますが、ことしの四月に修習を終了いたします者が約五百五十名でございます。それから来年の四月に修習を終了いたします者が約五百名でございます。それから本年度、この四月に判事補になりたいということで希望いたしております者は延べで八十六名ということに相なっております。二、三の辞退者があるやに聞いておりますが、正確にはまだいたしておりません。
○稲葉(誠)委員 これを見ると、判事の志望者は大体毎年この程度ですね。大体同じようなものかな。多少多いてすか。——まあ普通ですね。検事の志望者がやけに多いですね。普通は五十人ぐらいじゃないのですか。
○賀集政府委員 ただいま御指摘のとおり、検事の志望者は平均六十名前後というところで、ことしは少しふえたというところでございます。
○稲葉(誠)委員 その判事補の志望者になるためには、希望者の中で、これはどうなんですか、なかなか全員が判事補になれないというのですね。何か一つの基準があるのかな。そこら辺のところはどういうふうになっているのですか。基準と言うとおかしいのですが、判事補になりたい人を判事補にするということの試験か何かやるわけでしょう。二回試験とは別にまた最高裁の内部でやるわけですね。そのあれはどういうふうになっているのですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 修習生の二年間の過程というのは、結局は法曹になるための過程でございますので、私どもその二年間に出てまいりましたあらゆる面からの評価というものがすなわち裁判官になる場合の適格につながるもの、このように考えております。したがいまして、裁判官希望者につきましては、それが修習を無事に終了しており、いわゆる二回試験に合格しておる者でありますれば、一般的には適格を有する者、このように考えております。 ただ、法曹三者の中で、前にも申し上げたことがあろうかと思いますが、当事者の言い分を聞いて、国家意思としての判断を下すというものである裁判官といたしましては、やはりある程度の優秀な成績の者であるということを不可欠の要請と考えております。そういった点を勘案させていただいて、いわば全人格的な評価によって裁判官の採否を決めていただいておるわけでございますが、そのもととなりますものは、いまも申し上げました二年間の修習の実績と、そして修習の最後に行われます二回試験、そういったものが最もウエートを占めた資料として採用されておる。特に採用に当たって別途の試験をするというようなことはいたしておりません。
○稲葉(誠)委員 裁判官と検察官とを比べると、検察官の場合はわりあいに実力主義だ。検事の場合は実力が非常にわかりいいわけですよ。ところが裁判官の場合は、なかなか、実力という言葉は悪いけれども、何というか、わかりにくいわけです。一番わかるのは、控訴されたときに、一審の判決がどうだったかとか、審理の状態がどうだったかということを高裁で見られればわかる。だから裁判官は控訴されるのをいやがって非常に和解を勧める——というわけじゃありませんけれども、とにかく和解を一生懸命勧められる人が多いのです。 それはそれとして、裁判官の場合は、二回試験が最後まで物を言うんだという説が非常に強いんですね。もう二回試験で悪かったらおしまいだ。二回試験で一番でないと最高裁へ入れないとかなんとか、そういう伝説があって、とにかく東京へ入ってくるためには二回試験の成績がよくなければだめなんだ、こういうようなことを盛んに言われるのですね。そんなに二回試験の成績というものが、裁判官の場合に最後まで物を言うと言うとちょっと語弊がありますが、ウエートを置かれるのですか。検事の場合は、そんなにウエートを置かれてないというんですがね。
○矢口最高裁判所長官代理者 いまも申し上げましたように、裁判官の採用のファクターの中で一番大きなウエートを占めますものは、何といいましても、修習中の二年間の実績と、最後に行われますいわゆる二回試験でございます。この二回試験だけをとりたてて尊重するというようなことはいたしておりません。むしろ修習中の二年間の平常点と申しますか、そういったものも、全く同じウェートでもって二回試験の成績と同じに考えられておるわけでございますが、そういったことによって出てまいりますいわば成績といったようなものは、これをかなり重視しておることは事実でございます。これは二年間の修習というものが、判事補になりますための職業的な教育であるということを考えてまいりますと、私は当然のことではなかろうかというふうに考えております。 しかし、と申しましても、やはりそれは二年間のものでございまして、その後における判事補の十年間というようなものの中で成長していく割合というものは非常に大きなウエートを占めておる。これも当然のことでございますし、また判事補の期間を過ぎまして判事になりましても、成長がとまるものではございませんで、さらにその後の十年、またその後の十年というふうに人間はそれなりに成長いたしていくものでございますので、強いて申し上げますれば、当初のそういった成績といったようなものが何らかの形で影響力を持ち得るとすれば、それは最初の数年にすぎないわけでございまして、それから後は、稲葉委員が正当に御指摘になりましたように、やはり本人の実力と、その後における本人の成長というようなものにかかっておる。決して一度つきました修習時代の二年間の実績というものが最後まで不動のものとして物を言う、そういうものではない、そういう扱いをいたしております。
○稲葉(誠)委員 それはそうなんですが、そうすると、判事補十年間で成長していく割合というか度合いということなんですが、そこなんですよ、問題は。それは一体裁判官の場合、どうしてわかるかということなんですよ。検事の場合は、ぼくはわかると思うのです。これは上命下従だし、一々決裁を得に行ったりなんかするし、捜査の内容なんかいろいろわかるからわかりますし、これは行政上の問題だからわかると思いますが、裁判官の場合、独立しているわけですから、独立している裁判官がどうやって成長していくのか、実力をつけていくのかということがわかるかということです。それを余りやってくると、今度は司法権の独立に影響力を持ってくるのじゃないですか。あの裁判官は違憲判決ばかりしているからというわけで、それで控訴へ行けば破棄されてしまうというので、これはどうも成長してないということで、変なふうに成長しているということで、どうも成績がよくないということになってしまう可能性もあるし、余り違憲判決を出すと、何というか余り芳しくないというか、よく道交法ですか、ひき逃げなんかをやったときでも、何でも憲法との関係で申告の義務はないんだということで無罪判決を出すと言いますね。場所はどこだか知っていますけれども、言わないけれども、そういう方なんかもおられるし、そういう人なんかはやはり成長してないということなんですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 結論がどういう結論を出したかというようなことで判断されるものではないことは、十分おわかりいただいておるだろうと思います。違憲判決を出したから、その数が多いから、少ないからといったようなことが問題になるわけのものでは決してございません。 ただ、検察官の場合にはその人の能力がわかるが、裁判官の場合は独立しておるからわからないのではなかろうかというお尋ねについては、必ずしも、私どもはそのようには思わないわけでございまして、稲葉委員、これは法曹として事件等をおやりいただいておりますが、どの裁判官がどの程度の実力があるかというようなことは、当事者としてもある程度おわかりになっておるというように拝察いたしておりますので、この点はこれぐらいで御勘弁をいただければと思います。
○稲葉(誠)委員 それはそうですけれども、弁護士から見るとよくわかるのです、裁判官の実力というのは。また、裁判官から見ると弁護士の実力というのはよくわかるのです。それはそうなんです。だから、結局検事の方はわりあいにわかりいいわけですよ。捜査の過程、いろいろなことやなんかあるし、わかってもいいと思うのです。 そうすると、裁判官も結局、結果だけじゃないということになってくると、審理の過程までを、恐らくこの裁判官が成長していっているかどうかということの判断の材料にされるということになってくると、これは裁判官の自由というか、良心というか、独立というものに関係というか、関与してくるのじゃないかという気が非常にするのですよ。 私が聞いているのでは、結局あの裁判官がいま言ったように、どの程度の力を持っているかというようなこと、俗に言えば成績といいますか、それは高裁で一番見られるわけでしょう。高裁で見たときに、一審の裁判官がどういうふうな訴訟指揮をやっているかとか、どういう審理をやっているとか、事実関係の認定がどうだとか、いろいろあると思うのですが、結局高裁が牛耳っているということになってくると、高裁の裁判官会議でやって、そこで決まってくるんだというふうに見ている。そして実際事務的なことをやるのは高裁の事務局長だ。これは規定の上では、普通の事務官がやることになっているのでしょうけれども、実際は判事がやっているわけです。そういうふうな形で、実質的には高裁が握っているのだというようなことも聞いているのです。だから、裁判官によっては非常に控訴されるのをいやがる人がいるわけですよ。そこら辺のところはどうなんですか、実情は。
○矢口最高裁判所長官代理者 上訴審からごらんになりますと、非常によくわかるということが一般的に言われております。私は、記録等をつぶさにごらんになり、審理の過程等をつぶさにごらんになる上訴審が、ある程度のそういったことについての考え方をお持ちになるということは当然可能であろうと思いますが、ただ、いまお尋ねの、高裁がすべてを持っておるというのは、少しいかがであろうかという感じがいたします。と申しますのは、控訴される事件等は、全体の事件から見ると非常に少ないわけでございまして、そうでない事件の方がむしろ数がずっと多いわけでございますから、必ずしもその場合だけではわからないということに相なろうかと思います。 ただ、同僚でございましても、同じ部を構成いたしましても合議をやりますと、その人の実力といったようなものは十分にすぐわかるわけでございます。そういったことがどの程度、的確に反映され、しかもそのことが裁判の独立というものを害さないようにできるかというのは非常にむずかしい問題でございまして、余り細かなことを言っては、かえって御本人の自由なはつらつとした創意というものが失われていく、これは御指摘のとおりでございます。そういうことのないようには十分戒慎をしてきておるつもりでございますが、裁判所は長い伝統がございまして、そういった点についてできるだけ本人の自由さ、独立というものを害さないように、しかもある程度的確な、客観的な判定ができるように、その辺のところを十分に皆さんが戒慎しておられる。現在のところ、総体的に見まして、それはそれなりにうまくいっているのではなかろうかというふうに私は考えております。
○稲葉(誠)委員 部の構成の中で合議をやって、そうするとその実力がよくわかる、それはそうかもわかりませんけれども、いまでも一番下の人から合議の場合、意見を言うようにちゃんとなっているのですか。率直な話、部の統率者がいますね、裁判長があるわけだけれども、その人の意見にほとんど実際問題としてはあれだしということに、よくわかりませんけれども、なるらしいのです。そうすると、合議の中で——言葉じりをとらえているようで申しわけないのですが、部の合議の中でその人のあれがわかるということになってくると、その人の成績なんかは部の統率者が所長か何かに報告するのですか。そこのところはどういうふうになっているのか。 それから、所長というのは一体何をするのかぼくもよくわからないのですが、所長が判事の考課表か何かをつくって最高裁に報告するのですか。どうもそうらしくもあるらしいんだけれども、ちょっとよくわからないのです。
○矢口最高裁判所長官代理者 部の中で意見を述べるときにだれが述べるかということは、昔も今も同様でございまして、年齢の若い順に述べる。ただし主任が別にある場合には主任が述べ、それから若い人が述べる、こういうことでございます。部の中の合議で自由に意見を述べ合い、はつらつとした討論が交わされるということは裁判所の非常にいい伝統でございまして、今日といえども——それは物によっては、議論するまてもなく意見が合うというものもございますけれども、甲論乙駁、相当長期にわたって結論が出ない、しかしとことんまで議を尽くすというのは今日でも行われておるところでございます。部の事務を総括する裁判官というのが大体裁判長であり、昔のいわゆる部長というものでございますが、そういった点、地裁等では若い判事補の方、中くらいの職権特例の方、あるいは判事になりたての方というのが陪席でおられ、年齢的にも先輩、後輩の関係等にありますれば、当然先輩が後輩を指導するということになるわけでございます。 また、個々の方をどういったポストにつけるのが一番いいか、この方は単独の事件をやっていただいた方がいいか、あるいはその特別の学殖、経験を生かして特別部の裁判官として勤務していただいた方がいいか、あるいは地裁で勤務していただいた方がいいか、家裁で勤務していただいた方がいいか、あるいは高裁に行っていただいた方がいいかといったようなことは、これは大体総括が所長に意見があれば意見を述べられ、また所長がそういうものを取りまとめて私どもの方に御連絡をいただく、そういったことで裁判官の配置というものを決めていく、これは組織というものがございます以上、適材を適所に用いるという必要もございますので、当然のこととして行われておる、こういうことでございます。
○稲葉(誠)委員 だから所長が最高裁に対して裁判官の——どういう言葉で言ったらいいかわかりませんが、いわゆる考課表みたいなものを何か報告することになっているのですか。義務づけられているかどうかは別として、実際にはやっておられるわけですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 御承知のように、毎年春の時期に定期の異動を行っておりますが、そういった異動を行います材料として、地方裁判所から高等裁判所へ、また高等裁判所が管内を取りまとめて最高裁判所へそれぞれ異動等に関する原案というものが上申されてまいります。そういう形でもって、この人をどうしてここへ持っていくかということにはそれなりの理由があり得るはずであり、またなければいけないものでございます。そういう形でもって意見が上申されてくる、こういうことでございます。
○稲葉(誠)委員 なかなか含みのある答弁ですが、まあ聞いておきます。私が知っているのは、最高裁と高裁、それから所長、この三つのものの中でどれが一番ウエートがあるかは別として、裁判官がいわゆる自主性があるとかないとかいうのはわかるんだということを聞くわけですね。 それから、所長はいま記録を見ていますか。何か、確定記録を見る所長もいますね。それから、確定記録でなくて、上訴記録なんかはもちろん見ないと思うのですけれども、何か所長が、確定記録の場合だけですか、見て判こを押すところが前にありましたが、いまはもうなくなったのでしょうか。
○田宮最高裁判所長官代理者 戦前には既済記録の査閲というのがございましたけれども、戦後それがなくなりまして、現在、既済記録について所長が見るということはやっておりません。それからまた、係属中の事件について所長が見るということもやっておりません。ただ、上訴記録につきましては、これを所長が見ているという庁はかなりあるようでございます。これはもちろん所長といたしまして、司法行政事務一般の総括者でございますので、いろいろ現状を把握して資料を収集し、たとえば裁判官の配置とか裁判官の事務分配等について、裁判官会議で最終的には決めるわけでございますけれども、それの資料、それからそれの企画、立案といったような関係で、資料収集ということで上訴記録を見ているということだろうと思います。
○稲葉(誠)委員 そこら辺もなかなかむずかしいところですね。微妙なところですね。所長が上訴記録を見て資料にするというのは、人事異動の資料にするのでしょう。結局、それで成績をそこで査定するということじゃないのでしょうか、俗な言葉で言えば。裁判官の独立との関係で、そういう行き方がいいんですかね。ちょっとぼくは疑問に思うのですが、これはまた後の研究課題にしましようね。 前は何か、見ますと、確かに上に紙が張ってあったわけですね。所長の判こを押すようなところがあるのですね。そういうのをいまはどうしているのか。既済記録でもそういうようにやっておったのがありましたが、既済記録はやめて、そうすると控訴記録だけそういうふうにやっているのですかね。これはちょっと問題があるように思いますが、まあ、それはそれとしましょう。 それから、裁判官会議というのは、これはいまどういうふうにやっているのですか。たとえば東京と大阪の場合は非常に違うわけですね。裁判官会議というので全員裁判官が集まってやるというのは、いまでは大阪だけですか。広島もそうかな、ちょっと忘れましたが。東京とかその他は全部常置委員会でやっているわけでしょう。じかも、その常置委員会には簡裁判事は全然入っていない、こういうことですね。そうすると、裁判官会議というものを全員でやっているところは、いまでもありますか。
○田宮最高裁判所長官代理者 全国どこの庁におきましても、全員が集まって裁判官会議を開くということは、これは回数はそれぞれまちまちでございますけれども、まあ年に最低二回ぐらいは全員が集まってやっておるのでございます。 ただ、裁判官会議が開かれていないんじゃないかという御指摘は、恐らくその間にあって大抵のことは常置委員会で処理されているという庁があるのではないかという御質問だと思います。その点は、御指摘のように、常置委員会で大抵のことを処理しているという庁がかなりに上っております。それで、裁判官会議ですべて権限を持ってやっておるというところは、現在大阪だけでございます。
○稲葉(誠)委員 大阪は、最高裁の指令だか何だか知りませんけれども、それに反対をして全員で裁判官会議をやっていますが、これはどういう理由からですか。まあ理由というと大体わかりますけれどもね。
○田宮最高裁判所長官代理者 裁判官会議をどのようにして運営していくかということは、すべて当該裁判所の裁判官でお決めになることでございます。したがいまして、裁判官会議は年に二、三回開いて、中間的な、司法行政の細かいことは常置委員会がやるということも当該裁判所で決めておるわけであります。 それで、大阪が現在やっておるやり方というものも、これは決して最高裁の方から指示したりしたことではございませんで、大阪の裁判所で決めてそのようにやっている、こういうことでございます。
○稲葉(誠)委員 いや、逆に最高裁が指示したことに大阪は反発して、裁判官の自由というか、独立を守るんだということでやっておるというふうに私は聞いているわけですよね。もう一カ所、広島かどこかにあったような気がしますが、それは最高裁からの勧告か何かあったのかもしれませんが、やめてしまった、最高裁の言うとおりになったというふうなことを聞いているのですがね。常置委員会制度でやれというふうなことを最高裁で指示か何かしたんじゃないのですか、指示かルールか何か知りませんけれども。
○田宮最高裁判所長官代理者 そういうことは一切ございません。それで常置委員会につきましては、それぞれの裁判所で常置委員会規程といったようなものをつくって、その運用をすべてやっておるわけでございまして、特に最高裁の方で、そうした常置委員会規程のモデルみたいなものをつくって、全国に指示したということは一切ございません。
○稲葉(誠)委員 今度は、簡裁判事と地裁の事務局長との待遇の問題でちょっと聞くのですが、地裁の事務局長の方がいろいろなものがつくので、同年齢層とか大体同じ層では、そちらの方がいいから地裁の事務局長から簡裁の判事になるのはいやだというのですかね、そういうふうなあれがあるということを聞くのですが、それは実際にはどういうふうになっておるのでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 いわゆる簡易裁判所判事になられる方につきましての、一般職の職員からなられた場合の給与の決定につきましては、現在、現給保障方式といいますか、そういったものをとっております。したがいまして、その時期における俸給よりも下がることのないような配慮をいたしておる、こういうことでございますので、原則としては、いまお尋ねのようなことはないと思っております。
○稲葉(誠)委員 じゃ、きょうはこのくらいにして、この次は書記官や事務官のことを聞きたいというふうに思います。特に書記官、事務官、それから廷吏の人たちが盛んに私どものところへはがきをいっぱいくれるのですよね。それは、廷吏の職務内容がはっきりしてないということ。ぼくはそんなことはないと思うのですがね。それから昇給、昇格の問題、それから例の八%調整の問題ですね。こういうふうな問題で盛んにはがきが来ているものですから、その問題も含めてこの次にお聞きしたいというふうに私は思います。 きょうはこれで終わります。
○大竹委員長 次回は、明三日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 正午散会