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77回国会衆議院1976/03/03

文教委員会 第2号

発言数
113
登壇者
5
会派数
3
開催日
1976/03/03

会議録

登坂重次郎自由民主党

○登坂委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木島喜兵衞君。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 この前の十三日の日は鹿児島問題だけにしぼっての御質問がございましたが、そのことについてはあなたの方も参議院でもって実態を調査するというお話がございました。きょうはそれを私は聞こうと思っておりません。ただ、それに絡んでお聞きしたいと思うのでありますけれども、教育委員会制度という制度は、言うならば、中央に対しては分権的であり、あるいは県で言うならば、知事部局に対しては独立制の二つの言うなれば四権分立的な存在である。そして基本法十条で言う、国民全体に対し直接責任を負うという立場から教育委員会がある、教育委員がある。したがって、教育委員は素人の方がその趣旨に合う。しかし、その関連から言うならば、教育長は専門職であることが好ましいと思いますが、いかがお考えですか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 教育委員会のメンバーと、それから教育長の性格でございますが、教育委員会は素人、いわゆるレーマンコントロールということですが、やはり同時にレーマンの中でも、教育に関心を持っていたり、専門制というところまではいかないと思いますが、やはり相当そうした問題に通じておられる方が、素人であっても、選ばれることが恐らく望ましいのではないかと思います、いろいろな素人がありますから。教育長は、これは教育行政についての専門的な仕事をするわけでございますから、教育行政上の専門家的性格を持っているのが望ましいと思います。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 私、鹿児島からと申したのでありますが、そのことの個々じゃないのでありますけれども、旧教育委員会法においては、教育長の資格は教育免許を必要とし、かつ教育長の免許もありました。それが、三十一年の公選制から任命制になってからそのことがなくなりました。しかし教育公務員特例法においては、教育公務員として教育長を規定しておる。しかし免許はない。なくていいことになっている。専門的な仕事をすることでありますから、免許があることが好ましい。しかし、いまそのことをさかのぼって、その法律を改正してよかったか悪かったかということは言いませんが、その立場にいま大臣も是認なさっておると思いますが、すると、法は改正されたけれどもその思想は生かされるべきであると思うのであります。しかしあの法改正後、教育長は、一つには文部省からの出向というのでありますか、天下りというのでありますか、これが多くなってきた。このことは一つには先ほど申しました教育委員会というものが中央に対しての分権的な立場であるという制度から考えれば好ましくないと私は考える。それからもう一つは、県で言うならば、県の知事部局からの教育長への流れがまた激しい。これは後で数字を聞いてもよろしいのでありますが、これは先ほど申しましたところの教育委員会というものの独立制からするならばこれも好ましくないと思いますが、いかがでございましょう。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 昭和二十四年にIFELというものができまして、教育行政者の計画的養成という問題があったわけであります。それは戦争後四年を経たときでありますが、私の見ますところでは、わが国の教育行政者の計画的養成というものはその後そう順調には進んできていないという事情が一つあるように思います。そういう状況の中で現在のような姿で教育行政者が知事部局から来たり——地方の教育行政です。それから中央から文部省に限らず参ります場合がございますが、これは私実は文部大臣になってから常に言ってきておりますのは、なるべく教育行政の専門家というものに移行していくことが望ましいという考えでございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 これはどなたでもいいんですが、いまたとえば都道府県の中で文部省から行っているのが何名、知事部局から教育長になっているのが何名、わかりますか。なければいいです。もしございましたら……。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 ちょっと古うございますが、五十年の二月の調査によりますと、都道府県、指定都市の教育長の前歴を調べましたところ、教職経験のある方が二十四人、四二・九%でございます。それから教育行政に経験ある方が十五人、二六・八%、教職、教育行政とも経験なし十七名で三〇・四%となっております。なお、文部省から県教育委員会教育長及び指定都市教育長として出ております者は現在三名でございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 それから知事部局からは。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 知事部局につきましては、ちょっと調査がございませんので、調べまして……。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 いずれにいたしましても、いま大臣おっしゃったように、好ましくありません。私は鹿児島のことはきょうは言いませんが、これは教育委員会という制度の思想を生かすならば、好ましくありません。したがって、これについては今後文部省からは出さないように、出ておる者はなるべく早く返す、そうして教育委員会には、知事部局との独立性という観点から、知事部局からの流れをとめるように、そういう御指導をなされる気持ちはありませんか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 これはいま初中局長から申し上げましたように、三段に分けて考えるべきものであると私は考えております。と言いますのは、いわゆる教育経験者から教育行政、いわゆる教育長の仕事につくような場合、これが第一の範疇でありますが、第二の範疇は、教育行政の経験がある者の中から地方の教育長になる。その第二の範疇がまた二種類に分けられると思いますが、中央において経験を持っている者が地方に行くという場合と、地方における教育行政経験者が地方における教育行政者として昇進する場合。それから第三の範疇は、教育行政経験もなく、さらに教育経験もないといういわゆる一般行政の人が教育長のような場につくことでございます。その第三は、パーセンテージから申しまして、私の記憶に間違いがなければ、およそ三〇%程度ということであろうかと思いますが、私の就任以来注意をしてまいりましたのは、第三の範疇のパーセンテージをなるべく減らしていくということでございます。  と言うことは、第一並びに第二の範疇、それで第二の範疇の中を二種類に分けました場合に、文部省、いわゆる中央教育行政の者が地方教育行政に携わるということも入ってまいりますが、これはある場合には望ましいこともある。なぜかと言いますと、中央教育行政だけに携わっておりますと、非常に地方の教育の実態から遠ざかって、いわば中央の机上プラン的になってくる。したがいまして、たとえば若い時期に地方教育行政の実態に触れる、そうして、まあ課長などをやるということが、事実日本の地方にあります公立学校の実態の勉強になるというような側面も含まれていると考えますので、今日までのところ私が初中局にこの問題について申してまいりましたのは、先ほどから申し上げた三つの範疇のうちの第三の範疇について、なるべく減少を図るべきではなかろうかというような角度から考えて意見を述べてきているわけでございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 中央の文部省の役人さんが地方教育の実態を知ることが勉強になる、好ましいからということによって、教育委員会の本来的な分権制というものとの比重においては問題になりません、理屈になりません。だから、そのような指導を——一つには中央からの、もう一つには知事部局からの、この御指導をなさいませんかと聞いているのであります。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 繰り返しになりますが、一般行政から突然教育行政の上の方に入ってくるというのは、私は余り望ましくないと思っております。でありますから、それについては繰り返し私も注意をいたしてきております。もちろん、中央における教育行政に携わっている者が大挙して方々日本の地方の教育行政に行くというようなことになってきますと、中央地方の別がなくなってきますし、そして地方教育行政というものの中央からの独立、分権、これを脅かすことに相なりますから、そういうことは厳に慎むべきことであるという点において、先生のおっしゃいますことに全く賛成であります。  ただ、私が先ほど申し上げたことの含蓄は、それはそうでありますけれども、しかし、一般に私が教育の問題について非常に考えさせられますことは、文部省におりましてもなかなか教育の実態に触れにくいということがございますから、そうした意味合いにおいては、若い時期にむしろ地方の実態に触れる、もちろんその場合にも当然、中央の押しつけ的なやり方で地方教育行政というものの分権制を乱すようなことがあってはいけないと思います。むしろ、分権制がどのようなものであるかということを勉強してくるということも必要なんではなかろうか、さような意味合いにおいて先ほどのことを申し上げたので、この分権制を弱めるような意味合いにおいて勉強するということでは、これは間違ったことである、こういうふうに思っております。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 まあ大変苦しいようですから、それはやめましょう。しかし、私の言っている意味は御理解いただいたと思います。  その鹿児島のことは、知事のあっせんによって一応収拾をしたようでありますが、しかし、これは私は、一つには中央から行った教育長の少し先走り、勇み足も否定はできないであろう、そして知事からのあっせんということは、知事部局からの独立性という教育委員会の仕事が、知事からのあっせんによって解決せねばならなかったということは、まあ解決というか、それはそれなりに私は喜ぶことでありますけれども、そのことは喜ぶことであっても、分権制という前提に立つ立場からすれば、鹿児島の場合、教育長というものが文部省から行っておる、そしてそのことの一つのトラブルが、独立性であるべきはずの、知事から独立的でなければならないのに、その知事のあっせんによったということは、それはそれなりによかったとしても、私は好ましいことではなかったと思っておるのです。教育委員会のあり方というものからして、私はこの問題は基本的な問題ではなかろうかと思う。解決したというか、一応おさまったことはおさまったでいいんですよ。私喜ぶんですよ。けれども、大臣はそのことについてどうお考えになるかの御所信をちょっと承りたいと思うのです。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 鹿児島のケースにつきましては、これは明日なりあるいは機会がありますときに御報告申し上げることになりますが、もちろんこの教育委員会の教育行政というものは知事部局から独立していることが望ましく、その他の政治家の活動からも独立していることが望ましい。したがいまして、これは中央の教育行政もなるべくはそうでございますが、原則として申しますと、知事部局に限らず一般に政治から独立した教育行政が行われるということがよいのだと考えております。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 そこで、どうなんですか、三月一日に主任制度は実施したいという大臣及び文部省の強い要請でありましたけれども、三月一日から委員会規則をつくるとかそういうことが前提になるわけでありますけれども、実際に主任制度というものを三月一日に出発させるということは任命というんでありますか、任命がなければ出発になりませんね、制度ができたと言っても。三月一日という、きょうは三日ですからおとといですか、具体的に主任というものが任命されて出発したのは何県なんですか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 三月一日までに制度のできたところは、十四県ございますが、具体的に主任の発令をしあるいは現在おります主任にこの制度によって発令されたものとみなした県は五県でございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 その五県のうちみなしたのは何県ですか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 みなしたのが四県でございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 すると、みなしたのは五県のうち四県であるから、実際にやったのは一県だけ。この現状を大臣はどこに原因があり、そしてずいぶんと議論のされあるいは世論が沸きもしたこの主任制度を三月一日実施ということは、規則の問題ではありません。具体的に発足するのは具体的に発令がされてからでありますから当然であります。しかしそれが一県である、具体的には、実質的には。この原因は一体どこにあり、そしてそうなったことに対する大臣の反省がおありでございますか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 この発足がおくれると申しますか、ただいま先生がおっしゃいました任命がおくれてきているというのにはおよそ四つぐらいの事情があるのではなかろうかというふうに考えております。  まず第一は、それぞれの教育委員会というのは、先ほどから先生御指摘のような分権的性格を持っている。したがいまして、これは文部省で決めた省令というものを即時実施していただくということは望ましいわけでございますが、同時に県段階においていろいろ実情を把握して仕事を進めていただかなければならない。そしてこの市町村の教育委員会と県の教育委員会との間に十分な調整が行われる必要がございますから、まずこれが第一の問題であろうかと思います。  第二は、本年度は昨年度に引き続きまして財政事情がよろしゅうございませんから、したがって条例との関連におきましてやはりそういう点についての配慮が働いているということもあろうかと思います。ただ実質的な問題といたしましては、本当はこの条例と教育委員会規則というものは切り離して進めていただいていいわけでございますが、しかしそこの関連というものがあるということもあるかと思います。関連を特に強くお考えになる場合があろうかと思います。  第三は、組合等において反対の意向もありますから、したがって教育委員会もなるべく理解を得て進めていきたいということがあろうかと思います。  第四番目には、教育指導、助言ないし連絡調整という考え方を文部省が出しておりますが、いまだに管理的なものではないかという理解を持たれている方々もございますために、十分に文部省が掲げましたところの主任の性格についての御理解をいただかないままに進んでいる。  およそそうした四つの面が含まれているのではないかと思っております。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 原因はわかりました。大臣のお考えの原因はわかりましたが、反省はございますか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 反省といたしましては、これはもちろん早く進めていただきたかったわけでありますから、それを早く進めていただく上で文部省の考え方というものを国会において御議論いただいたのは大変ありがたいことでありますけれども、そうした御議論の周知徹底というものがさらにあれば望ましかったというふうには考えております。しかし他方、私が考えますのに、同時に、こうしたものは、実施というものも大事でございますが、御理解を得ながら進めていくべきものであるというふうに考えておりますから、現段階においての進め方、そして各教育委員会のいろいろな御努力というものについて感謝をしている。そういう意味において教育委員会の方々がどうこうであるというような考え方よりも、むしろ大変な御苦労に感謝をしているという心境でございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 この原因の第一の教育委員会というものが元来分権的な性格ではある、同時に県と市町村との調整等もあるということは、もはやこの問題の起きたときからの前提であります。二番目の地方財政の今日の苦しみは、これはこの問題が起こってから起こった問題ではありません。それらはすでに織り込み済みでなければならないはずであります、三月一日実施するという強い指導をなさる限りにおいては。そして三番目の組合の反対は、これは前々からありました。四番目の指導職と言うけれども管理職ではないかという疑念がまだ残っておるとおっしゃったことは、このことはむしろこの問題の一番中心的な問題であったかもしれませんから、これらすべては実施に踏み切るというあなたが決意をなさったときにすでに前提として織り込まねばならなかったところのものであったと私は思う。それらの点を前提として進めておったにかかわらず、いま進められなかったこと、三月一日に実施したのは一県だけということは、それらの前提を織り込んでおることから出発しておるとするならば、そこに反省がなければならないと私は申し上げたつもりであります。でありますから、理解が不十分であった、しかし教育委員会等が努力しておるのは感謝しておるとおっしゃいますけれども、理解が不十分であったということは、あなたはなお今日においても理解しない方が悪い、おれは正しい、あれは完全なものである、理解をしない者が悪いという観点にお立ちになっていらっしゃるのでありましょうか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 先ほど四つの要因について申し上げましたが、四つの要因があるうちの一つずつ順次申し上げますと、各教育委員会の分権的性格を重んじるべきでありますが、実はこれは先生も御案内のように、教育委員会からの御要望もあらかじめあったわけでございます。したがいまして、主任手当を出すということについて別に文部省が全く一人で考えたというのでない事情があります。にもかかわらず始まりますと、教育委員会はいろいろ実務を運ばれる上で、要望を初めにされましたけれども、しかしながら必ずしも初めに思われたように進まないということも、私に理解できる点であります。  それから第二番目に、財政事情の点でございますが、これはまさにおっしゃいますように、あらかじめわかっていたことでございます。これは別に主任だけでなくて、他の三種類の給与改善も含めまして、本年度は第三次改善分を二年分に分けまして、そしてなるべく今日の財政状況に合わせながら教員の給与改善を図りたいという角度から進めてまいりましたものでありまして、あらかじめまた考えていたことでございます。  それから第三に、組合は前から反対していたとおっしゃいますが、そうではないというふうに私は認識いたしております。といいますのは、主任についての手当の要望というようなものがありましたのは、たとえば昨年の春、夏よりも前でございますが、別にそのころ組合に反対があったというのではないのでございまして、これは十月以降の決定であったのではなかろうかと思います。  それから、四番目が一番大事だとおっしゃいましたが、指導、助言だと言っているのは、わからない人がいけませんというふうに私が思っているかというと、私は別にわからない人がいけないと言っているのではなくて、指導、助言という角度で私どもは考えて進めておりますが、しかし、いまだにどうも管理なんではないかというふうに、御理解をいただかない向きがございますので、そうした方々に対しては、私どもが考えているところを御理解いただけるようにということがさらに徹底いたしますならば、大変望ましいのであるけれども、その点についてやはり管理なんではないかという御理解があるということが一つの問題になっているように思われると、かように申し上げたわけで、御理解なさらない方が別に悪く、私たちが主張しているのは常にりっぱであるというようなことを申しているわけではないのでございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 いずれにせよ、三月一日に実施をしたかったけれども、新しく実施したのは一県だけである。そのことは、いま前提条件を除けばやはり管理職ではないかということが教組の反対でもあり、かつあなたの三番目におっしゃる理由であり、四番目の理由である。ここが一番問題なんだろうと思う。だから、実施できなかったと言えると思うのです。したがって、このことについて理解がされれば実施ができるであろうという前提に立っていらっしゃるわけでありまして、ただあなたの場合は、理解がおくれておるんだという立場にお立ちだと思うのです。けれども、それではこのままの状態で時間がたったならば完全に国民的な合意が得られるかというと、私はそうは思わない。ことに、自主的に学校教育という、それは教師によってなされる。その教師によってなされる最大の教師集団が理解を示しておらない。それで果たして、制度はたとえ将来時間がたってできたところで、あなたのねらっていらっしゃる円満なる、あるいは調和のとれた学校運営というものができるかどうか。そういう問題も含めてあなたがいまもう少し考え直さなければならないというようなものがないのか。あるいはこの状態のままでなしに、何らかあなたのとるべき措置がある、あるいはないかとあなたはお考えにならないんだろうか。少なくとも、私は率直に申しますが、あなたが大臣になられたことは政争の場から静かな場というのに、ここのところ現場では政争が、そう大きいことがなかったのに、あなたが政争の場から静かな場として登場されたときにこのような大きな政争的なトラブルになったことを私は惜しむから、このままの状態でいいんだろうかという意味で反省がございますかとお聞きしたのであります。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 もちろん私は、その意味合いにおきましては常に反省をしていることでございます。常に反省をしていることでございますから、私の考えが十全であるということもありませんし、また私を御批判なさる方々の御意見にも耳を傾けるということでございますから、去る十二月におきましてもいろいろな御批判、御意見がありまして、そうしたものも勘案いたしまして、十二月の末の省令というものを考えたわけでございます。私自身としましては、この種の制度化というものが進行する過程におきましては当然静かな姿で進んでいくように十分に配慮いたすべきものであると考えております。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 ちょっと話を変えますけれども、三月一日実施ということは、普通ですと学校は四月一日からでありますから、四月一日からというのが本来常識ですね。それを三月一日に実施ということは私は常識的じゃないと思うのです、学校の運営から言えばですね。これは何によったのですか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 これはすでに先生御案内のとおりでございますが、別に主任だけの問題ではなくて、全般的な給与改善の事柄といたしまして、昭和五十年度の予算三月分を計上いたしておりました。そして、その給与改善の中に四種類を考え、主任がその中で一番大きい金額ということではなくて、これは恐らくは人事院が最終的にお示しになることではございますが、先生方全体の給与を上げていくということが主要なるものであって、それが三月に計上されている。そういうことから、御案内のとおり三月発足とこうなったわけでございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 元来主任制度という、あなたのおっしゃる調和のとれた学校運営ということと第三次の配分とは、必ずしもイコールのものではありません。おっしゃるとおり、第三次は主任手当だけではありませんから。逆に言えばその主任手当がなかったら第三次分はスムーズにいったかもしれません。見通すところ、人事院の勧告がいつになるかわかりませんけれども、それは給与法ができ——給与法になるかどうかわかりませんけれどもね。そして条例ができて、実施されるとするならば、もはやいまの時間で言うならば少なくとも給与の問題は六月県会以降になろうと見通せる。すると、主任手当だけでなしに、会計閉鎖期が来ますからせっかくのことしの三月の予算がとられた、その三月のあれは二十何億ありましたね。     〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕 これが不執行に終わるという運命を見通さざるを得ないと思うのです。三十七億でしたか、三十八億か。そういう問題を私は、主任制度の三月一日実施ということに固執したために、そこに本来の学校運営というものと主任手当というものを余り結びつけたためにそうなったんであろうけれども、しかし私はそのことはそのことでいい、それ以上言いません。ただ、さっきあなたは、なぜなら日教組がそう反対でなかった。あなたがおっしゃったのはきっとそうだと思うのです。昨年の三月七日に、あなたは人事院に「教員の給与改善について」という要望書をお出しになった。そのときに、なかったということをおっしゃいました。そういう意味でしょう。違いますか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 それもあり、それよりもむしろ私が先ほど申し上げたのは、夏の前に教育委員会からの要望がありました、七月何日ですか、そういう時点においても特に反対はなかったのでございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 そういうことを私たち知らなかったのです。私は、一つにはこの給与の第三次分の配分に絡んで、この手当の関係ではちょっと甘さがあり、あるいは矛盾もあったと思うのであります。この主任手当というものは、あなたがこの人事院に対する賃金の要望を出された、その中に「教務主任、児童生徒指導主任、学年主任等の職務を担当する教員に対しては、その職務と責任にふさわしい処遇を確保する必要があるので、当該主任等に関する規定の整備と相まって、給与上必要な措置を講ずること。」とおっしゃいました。このことが前提となって、言うなれば具体的に主任問題というものが出たのはここから出発すると言っていいとも思うのです。もちろん、それ以前に四十六年の中教審の答申等にありましたけれども、具体的に政治的な課題になったのは、このときに出発すると思うのであります。  したがって、今村さんはそのことを作業に入られ、日教組にあれしたところが、日教組から反発があり、そのときに大臣は、それは文部省の責任でやるんだとおっしゃったけれども、だんだんあなたの変化は、あれは今村私案であるというようなこともあったり、そして今村さんが日教組に当分見合わすと言ったら自民党から反撃があって、今村さんが更迭される事態になる。そういうことを含めて、たとえばあなたは「調和のとれた学校運営」というものをお出しにならなければならなかったのです。  そうすると、あなたが三月七日に出されたという、この主任という問題は、果たしてあなたが、たとえばいまお考えになって御理解をいただきたいと言っていらっしゃるところの調和のとれた指導職というか、そういうものの理念というものは全くなかったはずであります。あったというなら、私はうそになると思う。なかったと思う。ここにあなたの甘さがあったと私は思うのです。そのことが不用意に一このときの主任というものがあなたのおっしゃるような、たとえば「調和のとれた学校運営」でしたか、そういうあなたの思想というものが前提になってこれが出されておったならば、それは教組との話の間に十分な時間もあったでしょう。お出しになったのは三月七日ですから。今日までの間に約一年間の時間がある。そこに一つのあなたの甘さがあったし、このことに関する限りは、あなたの責任もあったと私は思う。同時にこの要望書の中には、たとえば「校長及び教頭の管理職手当については、学校の規模等を考慮してその改善を図ること。」その前には「学校教育法の一部改正により教頭職が法制化されたことに伴い教頭の処遇をその職務と責任にふさわしいものにし、」ともある。そういう一環のものでありますから、あなたのお書きになった中には、劈頭に、むしろ前文に、「学校は教育の場である。従来、いわゆる管理面できしむことが多く、明るくのびのびとした場であるべき学校が暗くなることが多かったことを反省し、」とされるならば、さらに管理職手当を増額するという思想がここにあるわけでしょう。管理の面にきしむことが多かった。その管理を強化したことには校長の管理職手当というものが歴史的には重要な位置をなしておるのです。そうでしょう。昭和三十一年に教育委員会の公選制が任命制に切りかえられる、その翌年昭和三十二年に校長が管理職になり、管理職では突かれる、そして昭和三十三年から勤評が始まる、昭和三十四年に学習指導要領が変わる、三十六年に学テが始まる、この一連の動きというものの中で考えれば、校長の管理職手当というものが、この辺から学校の運営の中に管理にきしむ面が多かったとあなたが書かれるところの原因があったはずであります。そのことを一方に置いて主任の性格というものをここには明らかにされず、そして校長の管理職手当を出せというのですから、そういうものが一方にあるわけでしょう。あるいは教頭が法制化されたから、第二次、第三次の配分の中でもって教頭職の法制化に伴うところの賃金を上げろという話でありますけれども、私はこれは誤りだと思う。なぜなら人確法は、それができるときには国会の満場一致の議決でもっていわゆる五段階賃金はとらないと言ったのです。しかし、教頭を法制化されたから上げるということは、その後に教頭の法律が通ったんでありますから、人事院の一般勧告ならばそれはまだわかるにしても、人確法の予算の中で、人確法の第二次、第三次の配分の中でもって教頭の法制化に伴う給与の措置をとるということは、これは誤りであります。国会の附帯決議に対するところの誤りであります。教頭の歴史を考えても。そういうように一方においては賃金の面から管理面を強化するとあり、それと並んで指導職であるとか中間管理職でないとかいうそういう思想もないままに主任の手当を出せというところに、私はあなたのいまお考えの主任問題は甘さもあったし、混乱もあったのではないかと先ほど申し上げたのですが、あなたの御見解を承ります。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 三月七日に人事院に要望いたしましたのは、それ以前に教員等待遇改善研究調査会というものがございまして、そこからの結論というものに基づいて三月七日の要望があるわけでございます。  そこで、そこに「規定の整備と相まって」という文章がございますが、その場合に、規定の整備と相まつということから、真の実態というものを明らかにして規定を整備をしなければならない。そこでいまの指導職と言いますか指導、助言という考え方が出てまいりましたのは、いま先生がお手元に持たれております文書にございますけれども、実態を調べてみますと、主任というのは管理というふうな仕事に当たっているのではなくて、むしろ指導、助言、連絡調整に当たっているということからそうなっているわけでございます。    〔三塚委員長代理退席、委員長着席〕  なおまた、教頭、校長につきましても、私の立書の中で申しておりますのは、従来これを管理の側面からとらえるという傾きが強かったけれども、実態に即してみますと校長先生あるいは教頭先生も事実上教育指導的なことをやっておられますから、したがいましてそういう角度というものを強める方向を考えていただきたいということを要望したいというのがございまして、事実その後要望も申し上げてきておりますが、そうした意味におきまして、三月七日の要望というのは、いま申し上げましたように調査会からのものでありまして、規定の整備はそれから後に始まるものとしてその文書に記されているわけでございます。  さて、規定を整備する過程においては調査も必要であり、また先生が御指摘のようにいろいろ地方分権というふうなものに基づいて教育委員会ないしはいろいろな教員の団体からの御要望というものも必要である、必要がありましたらばいまそのリストもここに持っておりますが、そうしたいろいろな要望、これがそれ以後に出ておりまして、それが私の後の考え方の下敷きになっているわけでございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 どうですか、教頭が法制化されたから人確法の予算でもってやってほしいということについて、あなたは矛盾を感じませんか。あるいはさっき言った国会の人確法に基づくところの附帯決議のいわゆる五段階賃金をとらないという……。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 教頭の法制化はこれは人確法の後でございますが、そこで法制化されますと、それに伴って処遇の改善の中に含まれてくるということは、私はおかしくはないのではないかというふうに思います。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 大臣、これは人確法に基づく第二次、第三次の給与改善に当たっての要望なんですよ。その人確法は五段階賃金をとらないということは、教頭を別の賃金にしないということです。そうでしょう。すると、教頭法がその後にできたらそれは人確法に基びく第二次、第三次の予算の使い方ではなしに、別個のものでありましょう。人確法の予算の中では五段階賃金をとらないというのが国会の決議なんです。にもかかわらず、その後に教頭法ができたからといって、法律ができたんだからそれではそれにふさわしい賃金を与えなければならぬとするならば、それは別個の話であって、人確法の二次、三次の話じゃないでしょう。それを一緒にしたところにあなたの誤りがあると言っているのです。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 五段階給与をとらないということは私も前から承っておりますが、五段階給与というのはたとえば上級教諭というふうなものを設ける、そういうことでありますが、五段階給与というふうな考え方をそこに含めて教頭のことを考えたのではないのでございます。事実現段階においてもこの主任の問題も五段階給与的なものとして考えているわけではない……。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 いま主任手当を五段階とまだ言っていないのですよ。五段階というのは、校長、教頭、上級教諭、教諭、でしょう。したがって教頭というのが入れば五段階になりますね。そうでしょう。しかしそれは人確法以外のことでもってなさるなら別個だと言うのです。その後に法律ができたんだから。法律ができたんだからそれは教頭のあれをやるということならば、それは私は一歩退いても——局長答えなさい、その方がいいな。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 お答えします。  教頭につきましては、教頭法の審議の以前におきましても、当時の文部大臣から、かねて教頭にも一等級の適用をしたい、こういう要望は人事院にしておったわけでございます。たまたま教頭法が成立いたしまして、教頭の法制化がなされたわけでありますので、そこで教頭一般についてこれを一等級とする、こういうことにいたしました結果として、校長については新たに特一等級を設ける、こういうことになったわけでありまして、そのこと自体は人確法における教員の処遇の改善、その一環として考えても適当である、こういう判断でこの第二次の改善の中身としたというふうに私は聞いております。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 そういう要望というのは人確法ができる前からあった。人確法の配分についての要望なんです。人確法はいわゆる五段階賃金をとらないという、すなわち教頭の賃金は別に定めないという意味です。なのに、その後に法律が通ったからといって、だから通ったということが、一歩退くなら、人確法の二次、三次分の配分でないならば、私は一歩退いて認めるにしても、この中で一緒に要望書を出すことは誤りである、国会の附帯決議に対する無視であると言っているのです。そのことを明確にお答えいただきたい。誤りなら誤りでいい、誤りなら誤りと言いなさい。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 ただいまも申し上げましたように、教頭法の成立によってかねて念願いたしておりました教頭の一等級格づけということが実現しまして、その結果として校長の特一等級の等級設置ということになったのでありまして、そのことは、あらかじめ校長、教頭、それから先ほど言いましたように上級教諭といいますか、それから教諭、助教という五段階を前提として人確法による給与改善をするものではないという、附帯決議とは抵触するものではないというふうに考えております。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 しからば、あなたおっしゃるとおり、それは教頭の給与は前から要望があったのは知っている。しかし人確法に基づくところの二次、三次に対する要望なんですよ。人確法はいわゆる五段階賃金をとらないと決めたんです。国会の決議なんです。その中に入れているから、国会の附帯決議に対する関係はどうなんだと言っているのです。明確に理解をして御答弁いただきたい。誤りなら誤りと言ったらいい。理屈になるか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 繰り返して申し上げますけれども、この教頭法の成立による一等級、特一等級の設定ということは五段階賃金とは関係ないというふうに考えておるわけであります。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 まあいいです。大臣、私はさっきこの要望書から主任問題が具体的に——文部省の内部的な行為、たとえばさっきあなたが制度と相まってというのは教員等待遇改善研究調査会の結論であるとおっしゃったけれども、それは内部的ですよ。そうしてこれは、教員の待遇改善研究調査会なんでありますから、教育がどうあるかということは全く無関係でないかもしれません、賃金には思想がありますから。だけれども、これは待遇を中心に考える調査会なんでありますから、もっと率直に言うならば、前から主任手当の要望があったのです。人事院は制度化しなければ賃金はっけられないという球が返ってきたのです。それに基づいて制度化と相まってと書かざるを得なかったのです。そのぐらいのことはこっちは知っています。だから、しょせんはこれはどうあれ内部的な行為です。具体的に政治問題としたのはこの要望書からでしょう、今次主任問題というのは。私はその要望書というものは矛盾に満ちていると言っているのです。「管理面できしむことが多く、」と言いながら管理職手当をさらに増額しろ、教頭は法律ができたから本来五段階賃金はつくらない、そういう中においての教頭はこの財源でやれ、そういう矛盾に富んでおる、ここから出発しているところに文部省の今日の一つの責任がある。三月一日に実施しようとしてもできなくなっているところの一つの原因があると私は言っておるのです。何かありますか。なければいいです。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 先生の御解釈はよくわかりました。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 大臣、それ以上おっしゃれないところに私はあなたのお気持ちをお察しいたします。しかし、このことでもってあなたととことん突き詰めてこの問題をと言うつもりはありません。  そこで先ほどからの問題に戻りますが、三月一日から実施すると言いながら一県しかできないというところに、あなたは理解が不十分であった、まだ徹底しないとおっしゃいました。あなたは、参議院でもって自民党の番犬ではないかと言われたら、あなたはまず第一に国民の声を聞き、その次に国会の声を聞き、第三番目に自民党の声を聞くとおっしゃいました。国会の声を聞いたとあなたはおっしゃるけれども、われわれは言ったつもりはほとんどないが、それは別として、国民の声を聞くとおっしゃるけれども、私は国民はこの問題はわからないと思うのです。なぜなら、日教組も日教組だ、日教組というのは待遇を改善することを目的とするところの団体なのに、銭をくれると言うのに要らぬと言う、そのたびにストライキもやるというのだから、これはわからない話だ。だが今日国家財政も大変に厳しい中でもって、要らぬというものを、現に制度は、実質的には主任というものが学校に置かれて運営されておるのに、この財政の厳しい中でもってストライキまでやって要らないというのに、それをまた無理やりに銭をやろうと言う。これも国民はわからぬ。そうじゃございませんか、大臣。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 わが国の国民は経済的に苦しい段階におきまして常に教育に思い切った投資をするということが国家的にもそうでございますし、また家庭においてもそういう努力を繰り返してまいった国でございます。しかし経済成長期のある時期に先生方の待遇がよくなかったということが社会の一般的な理解でございまして、そういう事実もありましたから先生方の待遇をよくしていこうということは国民も広く望んだものだと私は思います。そこで現段階において皆つらい生活をいたしております。しかしそうした段階でも、とにかく先生方の給与改善というものはやはり貫徹してほしいものだという気持ちはかなり広く国民の中にあるものかと思います。それで、その場合に、いや給与は要らないのだという立場を組合が出しました場合に、なかなかわかりにくいという事情はございましょう。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 大臣は、日教組が反対するというのは本当にわからず屋で、組合というのは待遇改善が最大の目的なのにストライキまでやって要らぬ、みんな金がほしいはずです、だのに要らぬという理由は、本当にわからず屋の道理のわからぬ不運のやからだとお考えですか。それとも、それほどにするところの日教組の反対をする理由に多少でもあなたは、たとえば言葉は悪いけれどもどろぼうにも三分の理なんて言いますが、そういうものの理解はおありになりますか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 私は教職員の組合を不運のやからということを考えたこともございませんし、いまでもいささかも考えておりません。また、わからず屋がそこに集まっているというふうにも考えておりません。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 じゃ反対する理由わかりますね、多少。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 ただ一つの問題といたしましては、いろいろ御発言もあるのでそういうものを承っておりますが、永井が指導、助言というふうに言っても、いずれ落ちつくところは管理職ではないかというような形の御発言も承っております。そういうふうに疑われる場合にはなるほど反対をしたいという気持ちにもなりますでしょうと思いますが、しかし私は、これは本当にわが国の教育の上で——そこで先ほど昭和二十四年のことを申し上げたわけですが、その時分に教育指導というものを考えなければいけないということがあったのですけれども、非常に長い期間それがとだえていたように思います。私自身もこの問題は昨年来ずっと考えてきておりますが、本当に教育指導というものを何とかして強めていかなければならない。これはただ四字の言葉でございますが、その内容というのは非常に多角的に考えなければいけませんし、詳細にわたるものと思っております。そういうものとして御理解をいただくならば、そして実はそういうことを言っているならそうではなくなるのではないかというお疑いがなければ、この問題についての御理解はいただけるのではなかろうか、かように考えておりまして、不運のやからとかわからず屋が日本の教育界におられるというようなことは考えておりません。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 いまおっしゃった管理職になるじゃないかということは後にまた御質問いたします。  国民がわからぬとさっき言ったのは、一方は日教組一方は文部省と言ったのです。  そこで、どうなでんすか。私も率直のところわからないのですが、現に主任を各学校では必要上校務分掌として置いておりますね。今度のあなたの省令の中にも二十二条の二を一項起こして「校務分掌の仕組みを整えるものとする。」とお書きになっていらっしゃいますが、現に各学校は校務分掌を円満にやっておりますね。なお、どう改善するかは今後の学校の内部組織の問題でしょうが、これも校務分掌です。  それじゃ具体的に職務内容はどうかといえば、実質的には私は同じだろうと思う。現にやっておるものと今度省令化するところのものと、職務内容において変わるところはないだろう。そして指導通達の中には従来の校務分掌の一翼を担う主任の選び方を変えるものではないというのでありますから、選出方法もまた実質的には同じ、現にあるものと制度化するものと、校務分掌であるということも、そしてその職務内容、その選び方も同じなら何で制度化してこんなに騒がなければならぬのだろうかと国民が思うのも不思議がないように思うのですが、どうお考えになりますか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 制度化をいたしますと、現状の中での目標もはっきりしてくるかと思います。  先般、大津で開かれました日教組の教研集会において、校務分掌で行う主任は大体指導、助言をやっているのですが、しかし部分的に主任が管理者顔をしてやっているようなところもあるという批判がございます。日教組もそういうことを御心配の向きがあるわけでありますから、これは明確にして、管理者顔をして仕事をするものではないというふうにはっきりさせていくということが望ましいと私は思っております。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 それはいまおっしゃったように、現在の主任でも管理者顔をするのがおるでしょう。しからば、このことを決めたからといって、それでは教務主任は管理者面をしないという保証があるだろうか。現に、校務分掌をやっている中で、なる者もあるかもしれない。このように省令化したって、職務分掌であることは同じことだし、職務内容も同じ、選び方も同じなら、その中でもってまた管理者顔をする者も、出てくるのは出てくるかもしれない。同じことです。どこが違うのか。職務分掌であり、職務内容も同じ。実際的にどうですか、違いますか。同じですよ。皆さんの方はそれを制度化しただけでしょう。選び方も同じ。そうすると、国民からすれば、一体何でこんなに大騒ぎしていまのこの時間、木島喜兵衞が忙しい文部大臣にこんな議論をやっているんだろうと思うかもしれません。どうなんです。これほどいろいろなことがあってもやらねばならないという納得のいく理由があるだろうか、お聞きしたいのです。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 私は主任のことだけ考えているわけではないのです。それは先生がお持ちになっている文書にもあるのですが、私が文部大臣になる前に、校長、教頭の制度が整備されました。当時の社会における議論あるいは国会における議論等も検討いたしますと、やはり校長、教頭の実際にやっておられるお仕事の中に、本当は管理者という言葉をどう定義するかというのは非常にむずかしい問題で、先生にも前にそういう御質問をいただきましたが、私が申しているような意味における管理というふうに定義いたしますと、それ以外に、非常に教育者のベテランとしての御活動がずいぶんあるわけで、実は、それも私はこの際ぜひ明らかにしていただきたいというふうに考えたのです。やはり、せっかくの教育界のベテランが学校の中心になっておられるわけでありますから、いろいろやっておられる教育的な工夫、指導上の工夫というものが明確にされて、そして教育者の間はもちろんのこと、父兄にも理解されるという方向が望ましいと考えました。そこでその一項が入っているわけです。  さて、そういうふうな全体の枠の中で、主任というものはいますでに校務分掌でおられるわけですけれども、これについて実はある程度議論がありました。それがいわゆる中間管理的であるというふうな議論もありました。そういう議論がありましたし、また先ほど私が引用いたしましたような実態も実は一部にあると言われています。そうすると、それはそうではなくて、やはり今後の方向といたしましては、私、教育指導というもの、非常に単純な言葉ですから中身はいろいろ誤解されるとまた困るのですけれども、そういうものを非常に強めていくということが、わが国の学校教育のために望ましいというふうに考えたわけでありまして、何もしない方がかえってよかったのではないかというふうには思わないのでございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 何もしないで、何かよさそうだというくらいのことにしか感じられないくらいなんですが、ただあなたはプラスをお考えになる。しかしマイナスもあるでしょう。主任をいままで校務分掌としてみんなでやっておった中で——今度は省令による主任と、省令から見れば非公認主任と言うのかな、現に置くところはそうせざるを得ないわけですよ。学校運営の実態から見ていろいろな主任を置いているのだから。省令主任と非公認主任とでも言うのかね。手当のつく主任と手当のつかない主任。あなた、たとえば正月に助け合いの教育というようなことをおっしゃった中にも、私はあなたはそうおっしゃらないと思いますけれども、しかしやはり主任をやると、手当のつく主任と手当のつかない主任とで、いままでは手当がつかないのだから校務分掌としてみんなが協力してやっていたけれども、今度は協力がなくなって不協和音が拡大する。おまえ金もらっているんだからおまえやれということになる。そういう協力体制の破壊というものもあるだろう。あるいは立身出世主義に行く教師はヒラメ教師になるかもしれない。組合が反対しておるから、上を向き組合を見、ハムレット教師が出るかもしれない。現にありますが、立身出世のために時に授業を自習させて管理職試験を受けるというような、あるいは、現在の主任でも時間数を減らしておりますけれども、これは、学校教育というものは子供と教師の触れ合いである限り、教育を軽視する、教育から逃避する教育者になるというような者も出てくるだろう。そういうことを挙げたら大変たくさんありますけれども、そういうマイナス要素もある。すると、私が言いたいことは、あなたがプラス面をおっしゃいましたけれども、そういうマイナス面もある。しかし現に主任はあって、その主任と校務分掌であることも同じことだし、職務内容も同じことだし、選び方も同じだったら、これほど教育界に問題を投げかけることを、いま三月一日というこの時間を——まあほとんどできなかったけれども、そういうことをきっと県や市町村の教育委員も悩んでおると思う。悩みがなかったら実施をしたでしょう。そういうことをせねばならないという理由がわからないのですが、どうなんですか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 あらゆるものは制度だけですべて解決すると思いません。ですから、ある種の制度からプラスが出てくる、あとはその側面だけを強調して、制度によってすべてが解決するというような議論をもし私がいたした印象を与えたとすれば、それは間違いでございます。マイナスも当然出てくる。問題は、その制度をどう運用していくかということころにかかってまいりますし、それからそれぞれの方々がその制度の利点をどう生かしていくかというところになるかと思います。時間が長くなりますから、細かいことは省きます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 たとえばさっきあなたがおっしゃいましたが、管理職でないかという心配があることは、これは実施をする教育委員会側にも教組にもあるということを、時点は違いましたけれども、おっしゃっていらっしゃいますね。おたくの方はこうおっしゃっていますね。この主任の任命は、校長の意見を聞いて教育委員会が任命してもよいし、教育委員会の承認を得て校長が命じてもいいし、校長が命じて教育委員会に報告してもいいということがありますね。しかし、これはいずれにせよ教育委員会規則でもってその方法を決めるという考え方だと思います。これは法的に言うならば、地教行法の二十三条の五によって、学校の組織運営は教育委員会の権限となっておりますし、それに基づいて三十三条の一項で教育委員会規則を教育委員会が定めるものとし、そして二十六条の二項で教育長の権限を校長に委任することもできるわけでありますから、校長が決めるにしても校長が任命するにしても委員会規則で決める。しかし、実際にいままでの選出の方法というものを、選び方を変えるものではないとするならば、たとえば校務分掌なんだから、学校の組織の、校内組織の問題なんだから、校長の任命にする。これは法的に言えば学校教育法二十八条の三項。——これはいいです、条文の細かいことは大臣、いいです。これはもちろん専門官がいますからね。この中の第三項、監督権に基づく職務命令でやっておったわけですから、とすれば、これからだんだん管理の方へ入っていくわけですが、管理的な意識は非常に薄らいでくると思うのです。教育委員会の規則で決める、どうあれそういうふうに決める、校長がやっても報告するということは、これは教育委員会の委任なんです、いま皆さんがお考えになっていらっしゃることは。そうじゃなしに学校の内部組織の問題なんだから、私はむしろ校内組織権というものが存在するのだろうと実は思っているのですが、この論争はきょうはいたしません。  とすれば、校長が二十八条の三項によって任命するとすれば、同じことでもずっと管理職という感じは薄らいでくるのじゃないか。これは私はそうだからいいというのじゃないですよ。私の言うのは、あなたがおっしゃるように、管理職でないかということが最大のネックだとすれば、問題点の一番中心だとすれば、そういうものに対する十分な配慮が必要でないかと思うのですが……。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 主任というものの性格につきましては大臣が御説明申し上げたとおりであり、それは制度化しようと変わらない、そのことはそのとおりなのであります。ただこれを学校教育法の施行規則に制度化したという意味は、学校教育法の三条、およそ学校の設置者は文部大臣の定める組織編制の基準に従って学校を設置しなければならない、この規定によりまして、主任というものを省令化されたものにつきましては、設置者である市町村教育委員会、県の教育委員会は学校に置かなければならない、特別の事情がある場合のほかは置かなければならない、こういう関係になります。したがいまして、それを置く置き方、職務内容等については地教行法の規定によって必要な教育委員会規則を定めるということになり、その命令の仕方については、第一義的に教育委員会がその命令権を持つけれども、実態に応じて校長にもそれを委任して校長が命令することもできるようにする、こういう体系になろうかと思います。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 余り法律論を細かくやるつもりはありませんよ。けれども、省令で現にある主事、たとえば生活指導主事とかありますけれども、これは委員会の中に全部ありますか。委員会規則にはないところがありますよ。あるのです。だから、それは実質的にはみんな校長の職務命令で二十八条でやっている。そうでないと、さっき言いますように学校の中に多くの主任がいるわけです、それが結果的には、教育委員会の承認であるか、報告であるか、あるいは任命であるかの主任と、そうでない主任、すなわちさっき言った手当のつく主任と手当のつかない主任というふうに差がつくでしょう。校務分掌の中にはずいぶん雑多な職務がありますね、文書を所管するとか会計とか葬式だとか、そういうものをみんな学校の中では統一的に一貫したものがいいでしょう。法的には、どっちだって、しょせんやろうとすればできる。できる場合に、調和のとれた学校運営というなら、おのおの学校には必要な職務分掌がある。その職務分掌の中でもって一つは委員会規則により、一方は校長でということは、ちっとも調和のとれた学校運営ではない。そういう意味では管理職という意識を弱めるためにもそういう配慮があってもいいのじゃないか。そういうことをしているところに問題があるのじゃないかという言い方をしているのです。これはさして中心的な問題ではありません。  さっき大臣が、管理職になるということに対する心配があるという懸念を持っている人たちがあるとおっしゃいました。私もそう思うのです。なぜなら、さっき言いましたように、教頭は、昭和三十一年の教育委員会の公選制から任命制になった翌年校長は管理職になり、管理職手当がつくられた。その年省令によって教頭ができました。そのときも、言うなれば校務分掌だという、内部組織だという通達が出ております、文部省の指導通達が。そして三十六年管理職手当がつきます。やがてこれが法制化され、管理職になった。そうならないという保証がないではないかと私も懸念をする。いま大臣が、それは省令の中に、「校務分掌の仕組みを整えるものとする。」と一項起こしたところで、これは省令であります。法律ではありません。かつて教頭のときに指導通達でもって学校の内部組織だと言った。けれどもやがて管理職になり、法制化された。それらは私の言葉で言うならば、教育委員会の公選制から任命制に切りかえられて以来ずっとさっき申し上げたことを、権力の教育に対する支配統制と私は見るんでありますが、そのことを私は議論いたしません。そういうことの懸念があるから教組は反対をしておる、そして教頭と同じようにならないという保証はない。そこにあるんだと私は思うのですが、どうでしょう。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 いま先生が御指摘のような御懸念があるんだと思います。ただ私も十分御理解をいただきたいのは、いま教員養成大学でわが国は実習が二週間、アメリカ合衆国が平均して十六週間、これは八倍でございます。そこで、かと言って恐らく教育実習のやり方をすぐに変えていくということがそう簡単にできるものではない。そうすると、新しく先生になられた方は、いわゆるオン ザ ジョブ トレーニングということになりましょうが、だんだん仕事の中で成長されていくという問題もあります。さらにもう一つ、イギリスの場合には、教職員組合が主任というものを強化して手当を要求して、そしてそれを獲得いたしました。それもやはり教育指導の強化という角度からでございます。他の国でそういうふうになっているから、だから日本もそういうふうに理解してほしいということを私は申しておるのではないのです。ただ私が申しておる議論は、そんなに変わった議論でもまたないということを御理解いただきたい。ただそういう状況だけれども、いままでのいろいろなことから疑わしい感じになるという方がおられることもわかりますが、全く、私申しておることは素直に、言葉の意味は心に思っているところを申しているわけでございますから、そういうものとして次第に理解していただければ、これは、この制度を本当に生かしていく上に望ましいんではないかと思っております。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 きっと、教務主任は、いわゆる三席と言われるような人たちが実際にはなるでしょう。学年主任もきっとその学年担当者の中では年功序列になるでしょう。なぜならひしめく四十代という問題もございます。そして教務主任はきっと教務主任になるところに異動するでしょう。いかに適任者を主任にする、そして固定しない、だが輪番制ではないというあたりもなかなかむずかしい問題のようです。たとえば十八学級以上とするなら、小学校では三学級です。その三学級の中の学年主任、長を選ぶとすれば、適任者で、固定せず、輪番制にしないというのは、一体具体的にはどうなんだ、しょせん年功序列になるんじゃないのか、そういう実態も含めながら教頭というものの生い立ちから管理職になったところの経過を考えれば、やはり私はそういう、あなたの代にはならないかもしれない、あるいは十年後であるかもしれないけれども、ならないという保証は一体ないではないかと思うのはあたりまえではないかという気がします。  あなたは先ほどから、管理面できしむことが多いとおっしゃいました。あなた、書いていらっしゃる。管理面がきしむことが多いそのことを反省し、元来、伸び伸びとしなければならない学校が暗くなっておるとすれば、管理面を下げることが先であって、指導面を強化することとは質が必ずしもイコールではありません。管理面がきしんで暗くなった。だから管理の方を下げるというならいいけれども、指導することによって管理の強化というものは下がるという保証はありません。そこにまず第一のあなたの発想の少し食い違いがありはしないかと感ずるのですが、いかがでございましょうか。なるたけ簡単にお願いします。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 まさに先生の御指摘のとおりでございますから、校長会、教頭会においても、別に管理を下げるというんじゃないですけれども、管理は管理でやっていただくけれども、教育指導の方の実際にやっていらっしゃる仕事を明確にしてそれを強めていただきたい、こう申しておるわけです。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 時間がありませんから……。あなたの「調和のとれた学校運営について」の中に、「教育委員会には管理主事と指導主事がおり、」とおっしゃいますが、管理主事は教育公務員ですか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 私の理解するところではそうでないと思います。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 地教行法の十九条では指導主事というものを非常に明確にうたい、その任務をうたっておるけれども、管理主事というのは事務職員であります。十九条の五によって「事務職員は、」「事務に従事する。」であります。その指導主事と管理主事があなたのこの文章でも並列的にお書きになっていらっしゃるように、法的に言うならば大変違いがある。管理主事というのが実は非常に強い権限を持っておる。なぜなら人事異動するから。しかしこれは事務職員でしかない。  たとえば、いま私は、管理にきしむことが多かったというならそれを下げたらどうかという中の具体的な一つの例を言っているのです。一つの例です。そういう努力というものをまずなさないでおるところに、だんだんと管理強化になってくるんじゃないかという一連の心配というものがそういうところに出てくるのでしょう。そういうことをやるかやらないかということを先にやらなければいかぬのです。そのことが先決だと思う。あるいは指導職にしたってそうです。教師の自発性、創造性というものを高めるという措置を講じておいて指導職とするということにしないとやはり疑義を持つでしょう。その点についてどうですか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 指導主事の問題、先生の御指摘のとおりでございまして、実はこの指導主事というものの機能の強化、これをどういうふうにやっていくか目下検討しているところです。(木島委員「管理を下げるために、そういう式の……」と呼ぶ)ですから、私はそこにあれしましたように、十二月の初めに書いたのとそれから終わりに書いたのとちょっと違うのです。それは主として先生の御質問に答えたために変わってきたのです。そうなんです。どうしてかと言いますと——それから多分山原先生にもそう言われたように記憶しております。つまり十二月の初めのときに、私は管理と指導を並列的に書いたところが、木島先生、山原先生から、やはりそれはよくないのじゃないか、将来の方向として、学校は何といったって教育なんだから、そこが最終的には一番上に上がっていくように考えていかなければいけないのじゃないか、そういう御批判をいただいて、大変ごもっともな御注意と考えましたので、省令を出しましたときの見解ではそのことを入れまして、そうして将来の目標としてはそういう方向に持っていくことが望ましいというふうに書きました。  ただ私は、こういう変化が起こってまいります過程におきまして、やはり漸次変わっていくのだと思います。と言いますのは、現在の状況というものをよく調査し、踏まえて進んでいかなければいけないわけだと思うのです。そういう観点から、すぐ何か管理の人を下げるというような言い方に私は直ちに賛成できない。むしろいまは調和をとるということを最初の眼目にしていくべきではなかろうかと考えております。これはやはり秩序というものが非常に必要ですから……。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 秩序が必要なことは認めます。指導が高いからといって、管理が強かったらやはり暗くなります。だからこれは、指導が高まれば管理がきしんで暗くならないという保証はないのです。だから管理をきしまないように管理中心主義から脱するためには、私は、そういうための手段として、たとえば、管理主事というのは事務職員でしかないじゃないか、そういう式の一つの例を言ったのでありますが、そういう式のことがなされないで、指導面だけ高めるということをあなたは言っていらっしゃるけれども、それではあなたの言う調和のとれた学校にならないと言っているのです。  いまあなたのおっしゃったところの、私や山原さんのことでもって入れたというのも、これも実は今度指導を強める場合に、指導を強化する場合に、あなたは確かに補足で校長や教頭も指導をやれとおっしゃった。だが、私はあのとき申し上げましたごとく、管理というのを、私は人的、物的と申しましたが、その管理は何のために必要であるかというならば、教育、すなわちあなたのおっしゃる指導でありましょう。だから二本の柱ではないと申し上げたのです。それが誤りだと言ったのです。逆にそれを、管理の方をそのままにしておいていくと、今度校長が、教頭が指導する、そして主任が指導する、指導の重層構造であって、教師の自発性、創造性というのはそれだけ制限されはしないかというおそれが出てくるでしょう。だからそういう問題がある。  これはまあ大した問題じゃありませんけれども、この省令の中に、この主任全部はみんな「校長の監督を受け」とありますが、この主任は校長の監督を受けるが、ほかの教員は監督を受けないでいいのですか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 これも山原先生に、十二月六日の文章のときにちょっと同じような個所がありまして、御疑問を呈していただいたところでございますが、ほかの先生も受けるのでございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 これは局長どうですか。「監督を受け」「監督を受け」とみんな書いてありますが、主任は監督を受けるがほかの者は監督を受けないでいいのですか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 学校教育法の二十八条の三項に「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」とございますから、全職員を監督するわけでございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 全職員が抱括的に監督される。主任は、教諭の併職というのですか、教諭を充てますね。だから、主任というのは、元来、二十八条の三項によって監督を受けている。ここでまたなぜ監督を受けるなんて書くのかという疑問は、法技術の問題ではなしに、こう問題になってくると、やはり教師の元来ある教育権というのでありましょうか、自発性、創造性というものに、校長、教頭が指導をさらに強めてくると考えるようになる。校長や教頭の、その監督を受ける、その指導における監督でしょう、この場合は。それを受ける主任。こういう関係が、教育委員会の公選制以来のずっとの関連からいって、教師あるいは世間が不安に思う一つの要素ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 先生の御見解はよくわかりましたが、余り不安になる必要がない問題だと思います。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 もう時間が来ましたが、この省令は学校教育法第三条によって、まあ八十八条はつけ足しみたいなものでしょうから、三条でしょうね。しかしこの三条というのは、学校設置基準をつくるというのが本来の趣旨であります。そして幼稚園、高等学校、高専、短大、大学の設置基準があります。義務教育の小中学校の設置基準はいまだありません。そして規則ではそれらのことの一部を掲げておりますけれども、規則の十六条では「この節に規定するもののほか、別にこれを定める。」とありますが、それがありません。それをつくらないで、本来の、一番大事な設置基準というものを義務教育の小中学校だけつくらないでおいて、そしてこういうところだけを進めるところに大変私たちは疑義を持ちます。不安を持ちます。私は、これはあなた方はなぜ設置基準をつくらぬかなんというのは答弁になりませんからもういいです。そういうところに皆不安があるのです。だからそれを、ないという方が誤りでしょう。局長何かありましたらどうぞ。時間がないから、なるべく簡単にしてください。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 義務教育の学校につきまして、まとまった設置基準というようなものはございませんけれども、いまの学校教育法施行規則において、職員等につきましては必要な規定がございますし、また、職員、教員の定数等につきましては別途法律がある等の措置がございますので、ある程度の措置はこれでやってまいれると思います。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 他の設置基準と同じですか。だったらなぜ規則の十六条に「この節に規定するもののほか、別にこれを定める。」と、別に定めるものがないでしょう。だったら十分ですか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 現在設置基準として定められておりますのは、高等学校設置基準、大学設置基準あるいは高等専門学校設置基準、幼稚園設置基準等ございますけれども、たとえばこの幼稚園設置基準に規定してあります程度のことは、いま申しましたように別途法律なり省令で規定されておりますので、それで足りるものと考えております。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 じゃあなぜ別に定めるということが必要なんです。要らないのですか。別に定めるというのは、不十分だから別に定めるなんでしょう。その問題はもういいです、法律論争をやっているのではないのだから。  ただ、私が言いたいことは、本来第三条によってそういう設置基準をつくらなければならない。それがつくってないにかかわらずこの省令が出たわけですね。ところが、さっきから申しましたように、実施もなかなかしておらない。だから、つくらないところに文部省はこれから強制をすることができるだろうか。文部省は指導、助言機関であります。だから、どこまでも理解を求めながら実施するという意味はわかりますけれども、強権を発動するごときことは、本来その三条によってできている、その三条のことを文部省自身が忠実にやっておらないのに、そういうこともあり得ないだろうと思うのです。  時間がありませんからあれしますが、もう一つ法律のことを言いますと、さっきからお聞きしておりますように、この三月一日から実施する主任制度は、あなたが三月七日に要望された人事院への要望書から出発する。したがってこの制度化は手当とは全く無関係ではありません。そこで地方自治法の二百二十二条の二項は「普通地方公共団体の長、委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関は、その権限に属する事務に関する規則その他の規程の制定又は改正があらたに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられることとなるまでの間は、これを制定し、又は改正してはならない。」とあります。あるいは地教行法三十三条の一項もそうでありますが、おたくの答弁は決まっております。この規則の制定と予算を伴うところの手当の条例は別個であるとお答えになるでしょう。けれども制度化の出発は手当からであります。私は、そういう経過をたどってきたものをそういう形式的な分離によって法の精神というものを曲げることが教育行政の中にあってはならない、なるたけないことが好ましいと思っております。しかしその意味ではまだ人事院勧告もない、こういう中で、つくらないというところの中には、先ほどあなたのおっしゃるように給与と絡めて考えるところも出てくる。このあたりを十分に理解をした上の指導というものが文部省に必要だろうと思います。もう時間がありませんから答弁要りません。  いま私は、国民やあるいはわれわれも含めた者が感じるこの制度化に伴う多くの疑問を申し上げました。しかし私の理解の範囲では、あなたの十分な御答弁がいただけなかったのでありますけれども、私の方が悪いのかもしれません。私が悪いごとく、都道府県やあるいは市町村の教育委員会が理解をしておらないから、あなたさっきおっしゃったように実施は今日一県しかやっておりません。しかもこれからなおいろんなトラブルが起きないという保証は全くありません。あなたはそのようなことを起こさないためにということでもって文部大臣になられました。あなたの意思にかかわりなくそのような問題が起こってきた。私は、この段階でもってあなたがみずから意を決して、あなたの存在意義というものを生かしながら何らかの措置をおとりになることが必要ではないのか。あなたが「調和のとれた学校運営について」とお書きになった。これは先ほどから繰り返して言いますけれども、人事院に対する給与改善の要望のときにはそういうものはなくて、問題になってきてからお書きになった。いわばいまお考えになっていらっしゃることは、あなたのこの制度に対する今日の合理化の文章であります。先に主任は進んだ。しかし世の中が騒然としてきた。それに対する鎮火のために、あなたの後における合理化であります。そして合理化はやがて、自分がそういうことを繰り返し繰り返ししているうちにみずから本気になってしまうという習性が人間にはあります。それだけにもう一回最初に返って、あなたの存在意義を自覚されて、みずから意を決して、この問題に対するところの解決への何らかの努力をなされねばならないのではないかと思うのでありますが、あなたの決意を承りたいと思います。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 いろいろ貴重な御注意をいただきまして、まことに心から感謝申し上げます。この学校教育の制度を変えることで、もちろんすべてが変わらない、したがいまして、運営あるいはいろいろ立場の異なる人の理解というものは大事であり、そういう意味合いにおきまして、私にいろいろな御注意をいただいたということは十分肝に銘じまして、この主任の制度を実現していくようにいたしたいと考えております。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 最後に、あなたはずいぶん前にあなたの著書の中でもって、学者が権力の中に入ったときに学者というものがどういう作用をするかということをお書きになったことがあります。記憶のいいあなたのことでございますから、私はそれを言いません。どうかそうならないために、あなたがお書きになったことが二十数年後にあなたがそうなったということのないように、この際この問題の解決のため、打開への最大の努力を、時には日教組との話し合いも含めて十分に御配慮いただきたいことを申しまして、そのことについての一言の御決意を承って、私の質問を終わります。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 本日の文教委員会がその一つでございますが、先生も日教組と深い御関係があり、その先生がいろいろ提示された御疑問に対し、私の見解を述べさせていただく機会がありましたことを感謝いたしております。今後この制度を進めていきますに当たりましても、なおいろいろの問題も生じることがあるかと思いますが、私は特にこの国会の場というのは重要な場であると思いますし、その他の場も含めまして十分に議論を進めながら、この制度というものについての今後の進め方を考えていきたい、かように考えております。

木島喜兵衞日本社会党

○木島委員 終わります。

登坂重次郎自由民主党

○登坂委員長 次に、山原健二郎君。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 私の質問は、本来栗田議員の質問に対する関連として考えておりましたが、ちょうどいま木島議員の方から主任制の問題についての質問がありましたので、時間的にも一時を限度としておりますから、私の方がかわりまして質問を申し上げ、栗田議員の主として高校新増設の問題に対する質問の時間はぜひ保証していただくように、初めに委員長にお願いしたいと思います。

登坂重次郎自由民主党

○登坂委員長 わかりました。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 この主任制の問題について大変暗い側面が出ておりまして、全くそういう思いがしているわけです。先ほど大臣、政務次官並びに初中局長に渡しました資料に基づいて質問をいたしたいと思います。  これは私が昨日入手したものであります。鹿児島県の教育委員会が県下の各学校長に対し、教職員組合の争議行為の際、その内容を詳しく教育委員会に報告することを求めた文書でございます。昨日私どもは県の教育委員会に塚田吉夫県教育次長を訪ねまして、この問題で質問をいたしましたところ、この文書は鹿児島県教育委員会が出した文書であるということをお認めになりました。そして、これは責任は山中鹿児島県教育長にあると言明をされたものであります。  この中身は、ごらんのとおり「ストライキにかかる事実報告書ナンバー一、二、三」の三部と、これにつけられました「事実報告書作成上の注意事項」の四つの文書になっております。これは地方教育委員会の職員を通じまして各学校長に配付されました。そしてこの調査書の提出先は、小中学校は地方教育委員会に、高等学校は直接県教育委員会に報告すべきものとなっているのであります。  ナンバー一を見ますと、職員団体(教職員組合)の組織の活動、組合役員の行動について報告をせよ、こうなっています。ナンバー二はスト当日の参加者の動向とこれに対する校長の措置、ナンバー三は職場放棄職員の勤務状況調書、こうなっております。  そしてこれを説明しております「事実報告書作成上の注意事項」を見ていただきたいのでございますけれども、まず第一番に、「作成にあたっては、慎重を期し秘密を厳守すること。」となっております。これは関連しまして2の10項に出ておりますように、残余は焼却せよと指示が書かれております。言うならば完全秘密文書として配付されたわけでございます。  次に、3の項目に入りますと、ここでは職員団体の活動と組合役員の調査の項でございますけれども、たとえば職員会(朝礼)、交渉、話し合い、などの中身についても報告することになっているわけであります。まさに文部大臣が言われております、学校の助け合い教育論を出されているわけです。職員会あるいは話し合いは学校教育において最も重要な部分を占めているわけですが、その中身も報告をせよとなっているわけであります。さらに、職員団体の会議等の内容についてはできるだけ詳しく記入し、特にオルグ者については正確に記入のことと書かれておるのであります。さらに、組合役員の行動は役員ごとにまとめて記載し、勤務時間外の行動についても記入すること、となっておりまして、組合活動の役員につきましては、日常の行動にまで調査をして報告するということが書かれているわけであります。これらを総合しますと、校長、教頭に対しまして組合活動に対し、あるいは職員会議、話し合いに対しましても、スパイ同然の調査活動を義務づけたものであると考えざるを得ません。報告させることを義務づけたいわば強要でありますが、これがなされているわけであります。  さらに2の8の項では校長、教頭は出勤しない場合についても記入、捺印をせよと書いているわけであります。現実にその場にいなくても記入、捺印をせよということを要求しているわけです。これは校長が配下を持たなければできないことであるわけです。  さらに、この氏名の報告につきましては階書で戸籍どおり一点、一画もおろそかにしないことと述べられておるわけであります。  このような通達が出ておるわけでありますが、この秘密通達について御承知でしょうか、最初に伺っておきたいのでございます。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 ただいま初めて拝見しました。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 鹿児島県の主任制問題につきましては、全国で最初に先駆けて準則を出し、そして全地教委がこの準則に基づきまして、文部省準則のAでありますところの校長の意見を聞いて教育委員会が任命をする、こういう主任制度をしいたところでございます。もっとも鹿児島県におきましてはこの発令行為については四月以降にするという中止が行われておるわけでありますけれども、このように主任制度省令化を真っ先に行った県におきましてこのような文書が出ておりますし、また私はあらかじめ皆さん方にお手渡ししたわけですし、また県教育委員会はこれを県教育委員会が出した文書だと認めているわけでございますが、この点について文部省は、いままでも鹿児島に対して調査をされるというお約束をたしか参議院においてもまた衆議院においてもされておるわけでございますから、どういう調査をされたのか、またその調査の中でこういう事実も発見することができなかったのか、このあたりを二つ目の問題として伺っておきたいのであります。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 鹿児島県の調査につきましては県の教育委員長、次長以下関係の方に来ていただきまして、衆参両院で先生方から御指摘のありました事項について詳細にその具体的内容のお話を承りまして、現在その結果を整理いたしておるところでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 私はいま資料をお見せしました。そして県教委もこれを出したということを認めておりますが、同時に私は幾つかの問題点を指摘したわけでございます。これについてどのようにお考えになるか、伺っておきたいのです。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 鹿児島県の教育委員会がまず争議行為の内容について市町村教育委員会に報告を求めるということは、これは地教行法のたてまえによりまして当然求める権限がございます。  ところで市町村の教育委員会は義務教育学校の先生の服務監督権者でありますから、その服務の実態を把握していなければならない。県の教育委員会は場合によりましては懲戒権を行使することもあるという関係にあるわけでありますから、このような報告を求めることはあり得ることと思います。  ところで、この書類につきまして慎重を期し秘密を厳守することというような注意がございますが、事は人事管理にかかわることでございますから、当然秘密を保持することを求めるのはあたりまえのことであろうかと思います。そういたしまして、ただいま御指摘のありました点について、たとえば勤務時間外の行動についても記載するというようなことは、現在の地公法のたてまえでいいますならば、およそこの勤務時間中に争議行為その他の怠業行為をしてはならない。と同時に、それらの行為を共謀したりあおりそそのかす行為も禁止されておるわけでありまして、そういうような点につきましては勤務時間の内外を問わず禁止されるものと考えますので、勤務時間外の行動についても当然調査することはあり得るでありましょうし、またそれらの結果について事実を確認する意味におきまして監督の地位にある者が記名、捺印するということを要求することもあり得ようか、こういうふうに考えるわけであります。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 文部省としてはこの秘密文書を全面的に認める回答ですね。これは文部大臣に伺っておきたいのです。いかがですか。いまの諸沢さんの答弁は全面的にこれを認めている。文部省はこういうものを全面的に認める立場をとられるのでしょうか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 諸沢初中局長がいま申し上げた点は原則的な点でございまして、そうと思いますが、この文書は私いま初めて見まして、そしてまだ詳細全部読み通したわけでございませんので、その点は留保させていただきたい。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 これは文部省として各県がこういうこともやってもいいんだという立場をとられているのですか、諸沢さん、各県ともこんな秘密文書を出して、これだっていいんだという立場なんですか。私は鹿児島県の教育長に会いました。これは文部省から出向でありませんが、文部省から出られておる山中さんという教育長です。一時間四十分私は話をしました。私の県には秘密はありませんと言ったのです。県の教育行政の中に秘密はありません、全部私は人々に公開してまいりました。ところがこれは完全に秘密を守れという文書になっているわけです。教育行政の中でこういう秘密が、しかも文部省として公然と認めるという発言は重大発言です。ここではっきりした返事を聞かなければならぬと思います。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 ただいまもお話し申し上げましたように、鹿児島県では、遺憾なことでありますが法律に禁止されておりますストライキを行う、そのストライキを行った者に対しまして厳正な態度で臨むということになりますれば、当然その実態を正確に把握いたさなければなりません。そこでこのような調査をしたものと思いますが、その扱いについて、これは人事のことでございますから秘扱いとするということも行政機関としては配慮すべきことであろうかと思うわけでありまして、そういう意味でただいま拝見しました限りにおきましてはこの措置はやむを得ない措置であろう、私はこういうふうに思うわけでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 これこそ文部省の本質ですよ。勤務外の行動についてまでなぜ報告をしなければならぬのですか。一例ですよ、職員が話し合いをしておる、なぜそれを報告しなければならぬのですか。職員団体の会議の内容をなぜ校長が報告しなければならぬのですか。これは明らかに労働組合法によりましても、労働組合法第七条一項、労働者に対して不利益な取り扱いをするという問題と関連をしてまいります。校長が調査することを県の教育委員会が命令しているわけです。まさに校長あるいは教頭に対して彼らの職務内容でないものを強制をしていく、これは明らかに刑法の百九十三条、これは公務員職権乱用の問題として「職権ヲ濫用シ人ヲシテ義務ナキ事ヲ行ハシメ」ること、これは二年以下の懲役または禁錮の刑に処せられるという刑法もあるわけです。しかも労働組合の成立したこの戦後の民主的な憲法、そういう立場から見ても、しかも学校教育、教育行政の中にこういう文言が出てきて、しかも完全秘密を守れというようなことが行われたら、これはまさに教育は暗黒ですよ。指導助言の立場に立つ県の教育委員会がここまで義務なき者に対して命令を出すことができるのか、それをできるという文部省の体質こそ重大な問題があるわけです。文部大臣の見解をこれはどうしても伺っておかなければなりません。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 先ほど申し上げましたように、ストライキについての報告を受けるということは当然と思いますが、この文書の詳細につきましては実はまだ一よく字が見えないのです、本当に。ですから、これは内容につきましては留保さしていただきます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 私も目がいい方ではないけれども、ちょっと問題点だけ先ほど読み上げたわけです。たとえば「作成にあたっては、慎重を期し秘密を厳守すること。」とか、あるいは「組合役員の行動は、役員ごとにまとめて記載し、勤務時間外の行動についても記載すること。」こういうことがあるわけですね。だから私は少し写りが薄いものですから問題点を指摘して質問をしているわけですが、私の指摘しておることを、これを書かれておるとおり言っているわけでございまして、これは教育行政の指導として適切であるかどうか、それぐらいの判断は私は文部大臣できると思います。いかがですか。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 まず「秘密」の個所について申しますと、この後の下の方はよくわからないのですが、ストライキが行われるということについて報告を求める。しかしこれは、その先生方一人一人を当然保護すべき立場にありますから、正確を期し、そして明確でなければいけませんから、その意味合いにおいてはこれは簡単に表に漏らさないようにするということはあると思います、この一番上の「秘密」の意味合いがそういうことであれば。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 そういう答弁がまさに戦後生まれました民主主義教育に対する文部省の態度の中に出ているわけですよ。たとえばここでも、校長、教頭は出勤をしていなくても記入しなければならぬ、こう書いてありますね。校長、教頭は出勤をしていなかった場合においても記入捺印をすると書いてあります。だれが書くのですか。管理職がほかにおるのですか。校長や教頭がいないのに、組合の会議の内容、組合役員の行動あるいは職員会議の内容をだれが記入するのですか。これが主任制ではないですか。だれが書くのですか、いまの学校教育の場でどうですか、だれが書くのですか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 校長、教頭が記名捺印するという趣旨は要するにそれらの事実についてあくまでも正確を期したいという教育委員会の判断でありましょうから、校長、教頭は当日何らかの事情でその場に居合わせないというようなことがありましても、当然いろいろと努力をして事実を確認するよう努めるべきであり、その結果を自分の知り得る限度で報告をする、そういうたてまえを示したものと思います。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 いろいろ努力をしてと言われるけれども、その日学校にいないのにどうやるのですか。校長、教頭がいないときですよ、記入捺印をせよ、これは命令ですよ。県の教育委員会、地方教育委員会が校長に対して指導助言の立場じゃなくして、まさに命令を県の教育委員会が出している。義務なきに行為を強要しているのですよ。これは刑法上の問題です。そんな義務があるのですか、校長は。話し合いの中身まで報告しなければならぬという義務があるのですか、あるいは組合役員の勤務外の仕事まで行動まで、家庭に帰った仕事までスパイのようにつけ回って報告する義務があるのですか。しかも、自分がいないのに職員会議であるいは職場会議で、組合の会議でどんな話し合いがなされたということをこれを記入せよと言えば、だれか情報係をつくって、それから集める以外に方法はないじゃないですか。そこまで県の教育委員会が校長に対して命令を出して強要することができるのですか。文部省はそういうふうにお考えになっているのですか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 校長、教頭がいないということでありますが、およそ校長は学校の校務を運営する責任者でありますから、自分が不在する場合にありましては、当然あらかじめそのかわりの者を指名し、おれがいない間はよくこういう点に気をつけてくれということをやっておるはずでございます。したがいまして、そのような事実の確認という場合には、当然それらの者からいろいろ情報を聞くということはあり得ることと思います。  また、勤務時間外の調査もするのかということでございますが、この様式に見ますると、分会の役員等につきましては勤務時間内外を問わず云々と書いてあるようでございますが、地公法の規定によりますれば、争議行為をすること自体及びそれらのあおり、そそのかし等の行為につきましても処罰の対象になるわけでありますから、そういう点につきましては、勤務時間の外でありましても必要な情報があればこれを提供するということはあり得るかと思うのでありまして、それらも含めまして校長の所属職員を監督するというその権限からいたしまして、当然それらを報告する、こういうことになろうかと思うわけであります。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 校長、教頭がいないときでは、じゃだれにそういう状況を調べておけなどと言うのですか。そういう管理職的な任務をする者が学校の中にいるのですか。いまそんな権限を委譲することはできるのですか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 学校の管理職は、おっしゃるように校長、教頭以外はないわけであります。しかしながら、現実の学校の運営におきまして、校長、教頭が全くいない、だれも当面の学校管理の責任を持つ人がいないということはあり得ないわけでありますから、管理職ではないけれども、しかし校長が必要最小限のものは後にだれか託すはずであろう、こういうふうに考えるわけであります。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 それは学校の運営について行う場合があるかもしれませんけれども、第一校長の職務の内容の中にないのですよ。校長の職務内容は何ですか。こういういわばスパイ的な、職員団体の中にまで入ってその話し合いの内容を聞く、そんな権限まで持っているのですか。日本の労働組合法はそんなになっていませんよ。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 学校教育法の規定によりますと、校長は所属職員を監督することになっておるわけであります。その監督の一態様と考えます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 文部大臣はこの問題について一言も触れませんけれども、ほとんど御発言なさっていないのですけれども、文部省のこれはまさに新しいファシズムですよ。まさに学校の中で何でもできるんだという思想があなた方の中にあるじゃないですか。いままで、戦後学校の……(「共産党は違法行為をしないのか」と呼ぶ者あり)違法行為の問題だけじゃないのですよ、この調査というのは。不規則発言だからこれ以上言わないけれども。  戦後はどうだったかと言うと、学校の運営については、「学校の経営において、校長や二、三の職員のひとり決めで事を運ばないこと、すべての職員がこれに参加して、自由に十分に意見を述べ協議した上で事を決めること、そして全職員がこの共同の決定に従い、おのおのが受け持つべき責任を進んで果たすこと、これが民主的なやり方である。」これは文部省が出した新教育指導方針です。これが変わってくるわけですよ。いま諸沢さんが代表して発言をしておるこの文部省の姿勢というのは、まさに文部省が出している特別権力関係、何でも権力でやれるんだ、この思想が貫いている。だから私はこれ言いたくなかったけれども、二、三の例を申し上げてみます。  これはこの間のNHKの国会討論会の中で出ましてしり切れトンボになっていますが、文部省の管理運営の問題点ですね。これは教育委員会月報の昭和三十九年四月号に出ておりますけれども、これは文部省地方課が出している。この中に、たとえば今村武俊君はこう書いていますよ。「学校の運動会が終わった。職員を慰労しなければいけない、というので、校長先生が、事務職員に酒一升買ってこいと言った。この場合、酒一升買ってこいというのは、職務命令であるかどうか。このごろは、アンケートをとっても正解が多く出るようになりました。笑いごとではない、これは明らかに、職務命令であります。学校運営上必要なことについて、上司が下僚に命令をする。これは、職務命令なのです。かりに、酒一升買ってきてくれと、くれと言ったにしても、同じく職務命令であります。「くれ」というのは、人間関係を円滑にするための必要な修飾の言葉であります。」こういう校長の言うことはすべて命令、それに従わなければ職務違反として処罰をすることができるという考え方ですね。「この場合、事務職員が、いやですと言って酒一升買ってこなければ、これは、上司の職務上の命令に服従しなかったという理由でもって、市町村の教育委員会は、都道府県の教育委員会に内申書を出して、懲戒処分にしてもらってもよろしい」、ここまでエスカレートするわけです。  もう一つ例を挙げましょう。これは現に文部省が使っている「教育行政の基礎知識と法律問題」。これは校長、教頭の試験の際に参考書として使われているわけでございますが、その中にもこれと似た言葉が出てくるわけです。こういう考え方がいま文部省の中にあるわけです。たとえばこれではこう言っています。「校長は、職務命令を発して教職員に校務を分業させ、教職員の職務遂行を監督する権限を有し、反面教職員はいやおうなしにそれに従う義務がある。」「このように、校長は日常の校務処理では優越的な立場でかなりいい気持ちで仕事を運んでよいのである。また、このような秩序が学校で確立していなければ校長として落第である。」  こういうすべて職務命令、しかも教職員はこれに対していやおうなしに従わなければならぬという思想が、いま文部省の中に貫かれている。これを全く改善をしようとしないで主任制度というものの省令化を図っていく。一方では勤務評定がある。こういう体制の中でこの主任制度というものが大変暗い役割りを果たしていく。せっかく文部大臣が助け合い教育といってお互いが援助し合っていくと言う。この言葉に私どもは反対しているのではありません。しかしそれと全く逆な形で文部行政が進行していく。鹿児島県の中にあらわれておるのがその強権主義です。命令によって職員組合の会議の中身を知らせ、あるいは行動も知らせ、あるいは話し合いの中身も知らせ、校長がいなければそれにかわる者をつくって、そして情報を提供せよ。まさにスパイ、暗黒の行政を教育の中に持ち込もうとする思想がこの中にあらわれている。  私はそのことを指摘し、日本の教育の本当の意味での援助し合うという前進のために大変憂慮いたしておるわけでございます。完全な秘密を守るべきであるというこのような通達が、少なくとも教育行政の指導、助言の立場からするならば正しいのかどうか、この点だけははっきりと最後に文部大臣の見解を伺っておきたいのであります。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 先ほども申し上げましたように、ストライキという違法行為があった、そのことに対する調査でございますから、そのようなことを調査し、それに対し適正な措置をとるための必要な資料を集めるということは、私は当然あってしかるべきことと考えております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 文部大臣、最後にお伺いします。  文部省は諸沢初中局長を代表としてこういう措置は正しいんだということをいま主張されています。しかし仮にストライキがあったとしても、ストライキの問題についてはこれはいろいろな見解のあるところです。憲法上の論理からいっても、これはこの前の国会でもずいぶんやりました。それからまた同時に裁判上でも幾つかの判例も出ているわけです。必ずしも政府が言っておるような判決だけではありません。このスト権の問題について私は言っておるのではありません。ストライキをやる、争議行為が行われる、それについて一定の調査が行われることもあるでしょう。しかしながら物には限度というものもあると思うのですよ。教育行政の指導の面からするならば、それは一定のおのずからの限度というものを守らなければ、まさに学校というものが警察組織みたいになったら大変なことです。これについてこれは私は全国の教育を指導助言する立場にある文部大臣として一定の限度といいますか、それだけの対応の仕方といいますか、それくらいは考えておかないと、全く非常識なことが行われることになりますとこれは大変なことになります。こういうやり方は、私は正しくないと思っております。それは学校の指導行政の中でやるべきことがあるわけですから、こういう秘密通達を出してやるということは、学校教育にとってこれはよい結果は生まない。現に校長先生方の中から、こんなことまでされるのは私はいやだという声も鹿児島県に出ているわけでございます。そういう意味で文部省の最高責任者といたしまして、このような問題について一定の考えと見解があられると思いますので、最後に伺っておきたいのであります。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 先ほどの「教育行政の基礎知識」は、私の理解するところでは絶版になっているはずでございます。  酒買ってこいというのは、不適当な上下関係であると思います。  また、ストライキは、あってはならないと思います。ストライキがある場合に、報告を求めるということがあってしかるべきと思いますが、しかし、その求め方につきましては、やはり目標は学校教育の中で校長、教員は一体となって仕事をするわけでございますから、そうした信頼関係というものを崩さないような配慮をしながら行っていくことは当然であると思います。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 終わります。

登坂重次郎自由民主党

○登坂委員長 次回は、来る五日開会することといたし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二分散会

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