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77回国会衆議院1976/05/19

農林水産委員会 第12号

発言数
285
登壇者
31
会派数
5
開催日
1976/05/19

会議録

湊徹郎自由民主党

○湊委員長 これより会議を開きます。  農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡清一君。

片岡清一自由民主党

○片岡委員 大臣がまだおいでになりませんようですから、実は政務次官にお伺いしたいと思っておったのですが、御都合でおいでにならないようですから、第一の問題、米の需給についての大臣の所信表明の中にある問題について、若干最初に御質問申したいと思うのであります。  その第一は、この大臣の所信表明の中で、「米につきましては、現在の稲作転換対策は、昭和五十年度をもって終了いたしますが、米の需給事情は、なお過剰基調にあり、」云々とありまして、その中で「五十一年度から向こう三カ年間、水田総合利用対策を実施し、米については、その消費の拡大に努めつつ、需要に応じた計画的な生産を進めるとともに、」云々とありますが、これは一体、具体的にどういうことを考えておられるのか、具体的に若干の説明をしていただきたいと思います。

澤邊守農林省農蚕園芸局長

○澤邊政府委員 四十六年から生産調整対策を本格的に実施して、五十年度をもって五カ年計画を一応終わるわけでございますが、米の需給を見通してみますと、基調といたしましてはなお過剰であるというふうに考えざるを得ないわけでございます。  五十一米穀年度の需給見通しをいたしてみますと、単年度約九十万トン程度過剰になるというような見通しもできますので、引き続き米の生産の計画的な育成を図っていく必要がある。なお、水田の稲作への転作対策によりまして、他の増産を必要といたします農産物の生産はかなりふえてまいってはおりますけれども、なお十分定着したというところまでは至っておりません。したがいまして、そのような米その他の農産物食糧全体を中心といたしました需給の動向に合わせた生産の再編成をし、必要な農産物をさらに生産をふやしていく、しかも生産力の非常に高い水田を利用しながら、米だけに偏ることなく、他の必要な農産物の生産をふやしていく、かような考え方で、飼料作物とか、大豆とか野菜等を中心といたしまして転作を進めたいというふうに考えておるわけでございます。  水田総合利用対策というふうに内容も一部手直しをいたしまして、三カ年計画で実施をしたいというふうに考えておるわけでございまして、対象作物につきましても、第一次の五カ年計画に比べますれば、主要な食糧農産物を中心といたしまして、一部地域的な農産物、あるいはまた一部非食用農産物も取り上げますけれども、主としては野菜あるいは大豆とか飼料作物といったような食糧農産物に重点を置いてやるということと、それからまた転作の奨励金につきましても、最近の実態に応じましてある程度の手直しをし、引き上げを行っております。  これらの水田総合利用対策の一環といたしまして、これまでどおり米の買い入れ限度を定めていく、あるいはまた開田を抑制していくというようなことは引き続き実施しながら、これが稲作の転換を進めていくためにも必要でございますので、それらのことと合わせた対策を三年間で実施をいたしまして需給の均衡を図り、他の農産物が定着するように最大の努力をしていきたい、こういうような内容になっておるわけでございます。

片岡清一自由民主党

○片岡委員 ただいまの御説明の意味はよくわかるのですが、要するに米が過剰基調である、こういうことに対して米づくりの抑制方策をとりながら必要な他の作物の生産を進めていきたい、こういうことだと存じます。  ただ、ここで私は局長に考えていただきたいのは、どうして米が余るのか、この点、先ほどのお話で、ことしもまた九十万トンの余剰米が出る、こういうことであります。ただ、余剰米ということになると、農民の方々は、何か大変要らぬことをしておる、よけいなことをさせられておる、自分のやっていることに対して使命感を感じない、一つのうつろな、空虚な感じを持つようになるわけですが、それでは私は、やはり今後の農村対策、農民の意欲をかき立てていくというためには大変何かおもしろくない結果になることを恐れるわけでございます。ことに私の富山県は米の単作地帯でありますので、米というものに対して非常な執着を持っておるわけです。この執着がいかにも何か時勢に反する気持ちをかき立てる、こういうことは私は農民の魂を非常にうつろにする悪い結果を生むと思うのでありまして、この点は、よほどそのやり方について考えていただかなければならぬと思います。前に米の生産抑制のために休耕田などという非常に悪い制度を打ち立てられ、これが数年にして反省せられる結果になったのですが、やはりこういうばかげた、余りおもしろくない政策を再び繰り返すことのないように、いまの積極的な転作対策等について力を入れていくことは私は大変大事なことだと思うのですが、ただ、米というものが何千年来の昔から非常につくりやすいものであるということ、そしてその技術においても祖先伝来の方法で大変進んでおる、また最近は米づくりが機械その他を使うことについて大変手間がかからなくなった、こういうようなところからどうしても米づくりに走りやすい、そういう気持ちのあることだけは、農林省は何としてもこれを原則的なものとして理解をする、こういう態度でいってもらわないと、米をつくることが、罪悪とはいかないまでも何か国の政策に反するのだというようなことになっては、農をもってもととなす祖先伝来の農民の魂を非常に傷つけるものだ、こういうふうに思うのでございます。そういう意味で、いろいろな問題をあちこちで起こしておるようですが、私は農林省の立場としてはそれもやむを得ないことがあるとは思いますが、そういう農民の基本的な魂というものに対して農林省がまず十分な理解を持っていただくということが大変大事であると思います。こういうことに対して長官はどういうふうに考えておられるか。

澤邊守農林省農蚕園芸局長

○澤邊政府委員 お説のとおり、米は長年わが国農業の基幹的な作物でございますし、また、消費面におきましても主要食糧の最たるものである、これは申すまでもないことでございます。また、御指摘ございましたように、農業経営の面におきましても一番依存率が高い、これは最近の機械化の促進等によりまして一番つくりやすいという面もございますし、作柄自体も他の作物に比べて非常に安定している、また収益性も高いということで、引き続き米をつくりたいという御希望が強いということは十分承知しております。  しかしながら、先ほど申し上げましたような需給全体の最近の推移からいたしますと、米について過剰基調である、反面、総合的な食糧の自給率を高めますためには、先ほど申しましたような他の食糧農産物の増産を図っていく必要があるということでございますので、奨励措置等も強化しながら、単なる奨励金だけではなくして、基盤整備その他の生産対策もあわせて、転換しやすく、しかもそれが定着しやすいような施策を総合的に講ずることによりまして、農家が不利にならないような形での転作を定着させていくということに努力をしてまいりたいと思うわけでございます。もちろん地域的に稲作地帯とそれほどでない地帯がございますが、これは過去五年間やってまいりまして、稲作の転換面積というものの実績は、各地域の適地適産的な要素もかなりな程度反映してやってきた実績がございますので、その実績を尊重しながら、具体的に申し上げれば、東北とかあるいは先生の北陸地域というようなところは稲作の転作率というのは比較的低くなっておりまして、他の地域は比較的大きいというようなことで、これまでの実績も十分勘案しながらやることにいたしております。現在個々の農家までおりる段階でございます。第一線の関係者には非常に苦労してやっていただいておりますが、食糧政策の基本の大筋について農民の方々の御理解を得ながら、米作と比べて著しく不利にならぬというようなことを目標にしながら、転作の推進に努めてまいりたい、かように思っております。

片岡清一自由民主党

○片岡委員 わが富山県におきましては、やはり昔は大分裏作として麦をつくっておったのですが、最近は付近にいろいろ工場等ができて農外収入を容易に得られるというような立場から、麦の裏作というのは非常に困難になってきた事情がございます。しかしこれは何としても少しずつでも裏作をやってもらうようにしなければならぬと思うのであります。ところが事実この麦の裏作をいたしますと、普通ですと十アール当たり八俵ぐらいとれるわれわれの方のたんぼの事情が、これは六俵ぐらいになってしまう、四分の一ぐらいどうしても減収になるということでございます。こうなりますと、農林省で考えておられる十アール当たり五千円の小麦の裏作奨励金というものは余り意味がないわけでございます。これは二俵も違いますと、五千円ぐらいもらったってしようがないということになります。ことに私の方では手近に農外収入を容易に得られるような工場がかなりたくさんあります。こういう点で裏作定着が非常にむずかしいという事情のあることをやはり農林省でも十分考えていただいて、何かこれにふさわしいような対策をさらに考えていただかないと、成功しないのじゃないか。富山で必ずしも裏作は必要ないということなら別ですが……。  そこで、特にまたそれについて考慮を願いたいことは、その裏作収入に対しまして、米と同様の課税をされるという現実でございます。このことを、ひとつ政策を立てる上において、私はもう少し細かい配慮をしていただきたい。この裏作収入なんというのは、農外収入を犠牲にしてつくるということでありますから、いわば副業的な軽い意味でやっておるわけです。そういうものでありますから、これについての課税なんかについても、やはり相当考慮をしていただいた方がいいんじゃないか、またいただくべきである、こういうふうに私は考えるのであります。ことに通産省は各種の工業を振興さす意味で、その工業振興のためにいわゆる租税の特別措置というものをいままで大変広範にやってきておる。これが野党の皆さん方から大企業、大資本べったりの政策であるといっていつも批判を受けるのでございますが、私は農業のような弱い産業、非常に付加価値の少ない、そしてまた天候、自然任せにやっておる農業というものは、やはりそういう収益の上がる工業生産品と大分違うと思うのであります。そういう意味で、私はこの租税の特別措置というものは農業についてかなり広く考えてもらわなければならぬのではないか、こういうふうに思うのでありますが、これについて局長はどういうふうにお考えになっておるか。これはやはり農業というものに温かい愛情を持って政策を立てていただきたい。通産省は自分の産業、工業、商業を興すために、先ほど申しましたように、かなりいろいろの手を尽くしてやっておる。ところがどうも農林省は農業を振興するという立場から何か農民を十分大事にしない、むしろさっき言いましたように、米の生産を抑制するとか、そういうきつい態度が先に出て、いかにも農民に対して自分の大事な政策の相手であるというようなことに対する愛情が通産省に比べて非常に欠けておるのではないかという気がいたすのであります。たとえば、経営譲渡を受けた者が工場に行って働きます。そうすると、その工場の収入、農外収入についてもやはり総合課税をせられて、それで高い累進課税を当てはめられる、こういうようなこと、これは当然と言えば当然かもしれませんけれども、そういうことに対する農林省の温かい何か思いやりがあって租税特別措置というものが講ぜられるということが私は大事じゃないか。それがやはり農林省の農業政策を農民に納得さす非常に温かい思いやりではないかと思うのであります。たとえばまた、預金の利子でありますとかあるいは株の配当利子でありますとかというものは、これは非常に把握しにくいということから、総合課税になっておらぬ、分離課税になっておる、こういうようなことを考えますと、これは農林省としては特別措置というものがかなり税金のたてまえから言ってむずかしいかもしれませんが、そういう面でやはり農林省が一生懸命努力しておるんだ、そういう努力をやはり見せていただくことが農民に対する非常に大きな愛情じゃないかというふうに思うのですが、これに対する考え方をひとつお伺いしたいと思います。

澤邊守農林省農蚕園芸局長

○澤邊政府委員 麦の生産振興につきましては、かつて四百万トン近い国内生産がありましたが、最近四十数万トンというように激減をしておりますので、総合食糧自給率の向上という観点から、六十年見通しにおきましても増産を進めるということにいたしておるわけでございますが、具体的には四十九年度から農林省におきまして生産を奨励するために一俵当たり二千円の奨励金を出すということのほか、五十一年度予算から、御指摘ございましたように水田裏作麦につきまして反当五千円の奨励金を別途出すということにしたわけでございます。麦の生産振興を図ります場合に、やはり裏作の利用率が非常に落ちておりますので、これに麦作を復活させるということに特に重点を置いてやりたいということでそのような措置をとっておるわけでございますが、御指摘のございましたように、裏作に麦をつくりますと表作の米が減収をするということも場所により、場合によってはあり得ると思います。四分の一減るというのは大きい方かと思いますけれども、一俵減るとか——しかし、やりようによりましては全く減らないところもございます。したがって、特別の対策がなければ減収のおそれがあるということは言えると思います。麦作奨励金五千円出しましたのは、減収補償という意味ではございませんけれども、減収の起こらないような各種の対策を講ずるために必要だという点を考慮いたしまして、反当五千円という措置を講じておるわけでございます。これをさらに引き上げてはどうかというような御意見も一部ございますけれども、これは今年度からやることにいたしております。その実績等を見ながらさらに検討は続けていきたいというふうに思います。  それから税制の問題につきまして、農業関係の税制一般についていろいろ御質問ございましたけれども、私、直接税制全体を担当いたしておりませんので、ただいまのお尋ねのございました麦に関連いたします奨励金について稲作の転作奨励金と同じように特例措置を講じたらどうか、こういうような御意見が非常に多いものですから、その点について関連してお答えを申し上げたいと思いますが、これにつきましては、毎年議員立法におきまして一年ずつ稲作の転作奨励金につきましては一時所得扱いにするとかいうような特別措置を講じておるわけでございますが、これを毎年政府提案にいたしておりませんのは、一時所得扱いにするのが現在の税法上いろいろ問題があるというような税務当局の見解がございまして、政府提案という形ではなしに、ただ、非常に強い御要望もございまして、議員提案という形で毎年一年ずつ延長しておるわけでございますが、ただいま申し上げましたような麦関係の一俵二千円なりあるいはことしから新しく出すことにいたしております反当五千円の奨励金についても同様の特例措置を講ずべきだ、こういう御意見が先般の特例措置法案の審議の際にも大蔵委員会におきまして附帯決議として、麦作の奨励金という具体的なことはございませんが、それを念頭に置いてそのような御趣旨の附帯決議をいただいておりますので、これは稲作転作奨励金の場合は異例な措置といたしまして、いわば補償的な性格を持っておりますが、麦作の奨励金につきましては、この二つともこれは生産を誘導するといいますか、あるいは価格の一部というような性格も考えようによっては持っておるというような面からいたしますと、なかなか同一に扱いにくいという点が税制の面からはあるようでございますが、附帯決議をいただいておることでございますので、農林省といたしましても今後の問題として慎重に検討をしてまいりたいというふうに思っております。

片岡清一自由民主党

○片岡委員 まだそれらについても大臣がお見えになればお伺いしたいのですが、時間がありませんから次の問題に移りたいと思います。  わが国が非常に資源の貧弱な国であることは言うまでもないのでございますが、この面から言いましても食糧自給というものが非常に大事なことである。したがって、この自給度を高めるということは、これは日本の安全保障の立場からも非常に重要なことだということを農林大臣も指摘しておられるのでありますが、これはこの間の世界経済研究協会という会で「世界の食糧情勢と日本」という演説をされた安倍農林大臣のお話の中に、食糧問題は基本的には国の安全保障の問題である、こういうふうにとらえておられるのでございますが、これはまさに私もそのとおりだと思うのでございます。そういう点から言うて、何としても食糧の自給度を高めるということは大変重要なことであり、農林省としてもそれを重要な目標として自給度を高めることについて最善の努力をしておられるのでございます。  ところが、このために一番大事な問題は、なぜこのようにわが国の食糧自給率が低いのであるかということを考えてみる必要があると思うのであります。かつて十年前は一般総合自給率が八一%であったものが、最近は七一%に下がる。あるいはまた、十年前の穀物だけの自給率はいまや四〇%に落ちておる。こういうふうになっておるのは、これは国防上からも私は大変重要なことだと思うのですが、この自給率がなぜこういうふうにピンチに追い込まれてきたか、こういうことになりますと、それは経済の高度成長によって国民所得が増大した、そのことによって国民の食糧生活が非常に欧米化した。そしてたん白質の摂取量などが十五年前に比べて三倍以上に最近上がっておる。一人一日の昭和三十五年度の五・六グラムが四十九年度では十七グラムというふうに増大しておる。これは非常に大きな変わりようでございます。そういう点から言いましても、そしてまた、十五年前の一人一日当たりのカロリーが二千二百八十七・五カロリーであったものが四十九年には二千五百一カロリーになった、一〇%以上伸びておるということでございます。  私は、こういうことから言いまして、何としてもこの結果から、主食の米がパンに、小麦に変わってきた、そういうことで米の使用量が大変減りまして、これは言うまでもないことですが、昭和三十五年には百十四・九キロであったものが今日は九十・一キロというふうで十キロ以上も低下しておる。このために小麦を、よけいなものを買い入れなければならぬ、こういうことでございます。このために財政上の負担は毎年一千億円以上、この差額を埋めるために、逆ざやを埋めるために国費がむだに使われているといいますか、よけいな国費を使わなければならぬということになっておるわけでございます。  そこで、私が言いたいのは、何としてもひとつここで国民の食生活の改善ということを本気でやらなければならぬ、こういうふうに思うのでございます。  それで、総理府が国政モニターに対してやったところの最近のアンケート調査によりますと、食糧問題に対して非常に関心が高く、これは大体関心の有無については九四%が日本の食糧問題に関心を持っておる。そうしてその食糧問題の関心のうち、そのアンケートの答えが、強い不安を持っておるというのが三三%、漠然とした何となく不安を持っておるというのが八二%。これは米が十分あるにかかわらずそういう食糧に対する不安がある、こういうところに非常に問題があると存ずるのでございます。その理由としてはいろいろございますが、結局外国の食糧事情に対して、日本に果たして安定供給が得られるかどうか、そういう問題についての不安感がやはり一番基礎になっておるようでございます。  そこで、このアンケートでさらに日本人の食生活の水準を尋ねてみて、その中ではかなりの水準に達しておるというのが六五%、非常にすぐれた段階に達しておるというのが一一%で、合わせて七六%になるわけでございます。そういうことで日本人の食生活は相当向上したことは大変ありがたいのでございますが、このために米が余って、そうして外国から輸入しなければならぬ食糧のために食生活が非常に不安に脅かされておる、こういうことでございます。この点については、日本の食糧対策として将来十分考えていかなければならぬ問題である、私はこういうふうに思うのでございます。  さらに続けてこのアンケートが食生活の将来についてとったものによりますと、小麦などの生産、輸入など供給を確保することを基本とすべきだというのが二三%であり、自給できる米食を見直して需要をふやすよう工夫すべきだ、米の需要をふやすべきだというのが七〇%である、こういうことでございますから、食生活を見直して、そうしてこの米の、日本の国内で十分な自給が得られるように工夫していくべきだ、こういうことが非常に高い賛成率を得ておるということは、これは非常に注目すべきことだと存ずるのでございます。  いま農林大臣がおいでになりましたが、農林大臣にお願いいたしたいのは、結局私は、米が余って、それで余っておるにかかわらず食糧事情を国民が非常に不安に感じておる。これは総理府が四月八日にまとめた国政モニターに対するアンケートから出ておるのですが、米が余っておるにかかわらず非常に不安であるというふうに国民の大部分が感じておるということは、やはり日本の国内でとれる穀物でないものによって日本の食生活が組み立てられておる、そういうところに問題があると思うのでございます。そのモニターの意見によりますと、大体、相当負担が増加をしても、この自給率の向上を推進すべきだということ、相当国費の支出や食糧の価格など国民の負担増になっても自給率の向上を推進していかなければいかぬ、モニターの意見として八〇%以上がそういう強い意見を持っておるのでございます。  そこで農林省は、この四月八日に、国民の食生活安定需給のための目標のために関係団体に呼びかけて米の消費拡大推進連絡協議会というものをおつくりになったのでございますが、これを見ますと、このときに寄ってきた人たちは、農業関係の人が多くて、そうして私は、一般的に厚生省関係、たとえば栄養の問題でありますとか栄養食をどうしてつくるかというようなことについての研究をしておる人たち、そういう者の参加がまだ十分でなかったというふうに思うのでございます。これについて私は、もう少し食生活の改善ということを大仕掛けにやっていただきたい、またその必要があるんじゃないか、こういうふうに思うのでありまして、この点ひとつ大臣のお考えをお聞きいたしたいのでございます。  ついでに申し上げますが、私は、この食生活が十分米を中心にしたものに改善されないというところに、たとえば米を食べると太るとか、胃がんになるとか、血圧が高くなるとかというような、大変妙な一つの神話があるわけです。これを打破してもらわないと、パンを食べると頭がよくなるのだという神話を打破していただかないとだめだと思うのです。だから、米の需要を増すための運動の中には、これは何としても厚生省が加わって、その面の啓蒙を大々的にやらないと、これはなかなか成功しない、こういうふうに思うのですが、大臣の御所見を承りたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 お答えいたします。  私は、農林大臣になりまして以来、米の消費拡大というのを政策の重要な一環として進めてまいったわけでございます。これは、ただ米が余っておるからということだけではなくて、米というものがやはりわが国の歴史あるいは風俗、あるいは国民の文化、生活、生理、そういう面から見て、主食としての地位を保ち続けてきたわけでありますし、今後ともこれは保っていくものである、これが最も日本人に適した主食であるということでございます。  ところが、最近の米の消費の実態を見ますと、昭和三十七、八年ごろまでは、国民一人当たりの米の消費量は一年間で百十七、八キロでありましたが、最近では九十キロ以下に減っておる。これは国民の食生活が非常に多様化をいたしまして、一面においては西欧化したとも言えるわけじゃないかと思うのですが、そういう多様な国民の食生活に対するところの嗜好というものがそういう形になったということはわかるわけでございます。しかし、反面、そうした多様化した食生活というものに対する反省というものも徐々に生まれてきておるわけでございます。いまお話がございましたが、米を食べればがんになるとか若死にをするというふうな、全く私は暴論に等しいものであると思いますが、そうしたような宣伝も相当効いたのじゃないかと思うわけでございまして、そういうふうなことから、米の消費量というものが減ってきた。しかし、最近におきましては米の見直し論というものも出ておるわけでありまして、これは単に米が余っておるからということじゃなくて、いまお話がありましたような米の栄養価値といったようなものから、やはり米を見直す、そして米を食べることが、国民の栄養の問題から見ても、また文化の問題から見ましても、あるいはまた歴史的に見ても、これは当然のことであるというようないわゆる米の見直し論が出てまいりまして、アンケート等を見ましても米を食べよう、食べたいという意見がずいぶん出てまいりました。これはたとえば学校給食等における学童の調査等をしてみましてもそういう結果ははっきり出ておるわけでございます。  そうした中にあって、国際的にはいままであり余っていた世界の食糧というものが昭和四十七年を契機として逼迫基調に転じてまいりまして、今後ともますます逼迫をしていく可能性というものは、一時的には小康を見ても世界全体の食糧という面を見ますと、人口の増加あるいは生活水準の向上という面を判断すると、今後やはり食糧というものは相当逼迫基調にあるというふうに判断せざるを得ないわけでございます。そういう中でわが国は高度成長を非常に謳歌して食生活も多様になったが、反面食糧については世界最大の輸入国ということになっておるわけでございます。  そうした中で、米だけは少なくとも国内においては自給できるわけであります。むしろ過剰基調とも言えるわけでございます。そうしたことを考えると、米の持つ日本人に適した適性というものと同時に、現在の世界の食糧事情そしてまた国内における食糧問題というものを判断しても、これは当然米の見直し論の中でこれからやはり食生活の中において米をもっと定着させ、これを伸ばしていくということは当然であって、これを国民が理解して国民的な理解の中でこれを推進していかなければならない、こういうふうに考えたわけでございまして、文部省とも連絡をとりまして、学校給食におきましても本格的に米飯給食というものを五十一年度からスタートさせたわけでございます。おかげでこれは大変評判もいいわけでございます。同時にまた、農林省といたしましても米の消費拡大のための予算を獲得いたしまして、いまお話しのような予算を活用いたしまして対策協議会を持ち、そして国民に対して米を食べようという積極的なPRを続けておるわけでございます。  私は、こうした一つの世界あるいは国内における食糧事情の変化における農政上の問題、それからまた同時に、いまお話がありましたように米の持っておる日本人に適した適性という問題、栄養価値、そういう面から見て今後われわれが努力をすれば米の消費拡大はさらに推進できる。そうなれば現在、米対策においてわれわれは非常に苦労をいたしておるわけでございまして、たとえば生産調整であるとか開田抑制とかいろいろとやらざるを得ないわけでございますが、そうした問題にも将来に対する一つの明るさというものを取り戻されるわけでございます。ですから、結論的にはそういう意味におきましても私は今後とも米の消費拡大というものに対しては積極的な姿勢で取り組んでいきたい、こういう決意をいたしております。

片岡清一自由民主党

○片岡委員 もう時間がなくなりましたので、最後に大臣にお伺いいたしたいのでございます。  農林大臣の所信表明の中に、「中核的担い手の育成」ということが挙げられております。「国内農業の自給力を高めるためには、意欲的に農業に取り組み、農業生産の担い手となろうとする者を育成確保することが不可欠である」と述べられておるのでございます。これは確かに大変大事なことで、これは攻めの安倍農政の一番大事な点だと思うのです。  それで、この問題に関連いたしまして、いささか古い話でありますけれども、太平洋戦争時代のことについてちょっと農林大臣に御考慮願いたい点があるので、そのことについて御質問をしたいと思います。  戦時下の食糧増産対策の一環といたしまして、現在の中国の東北地方、当時の満州でございますが、報国農場を設置いたしまして、これに内地の農村青年男女をもって組織した報国農兵隊を派遣いたしました。これは毎年四月から十月までの七カ月間で、開墾とか農耕、収穫、家畜の飼養管理に当たらせる、こういうことになっておるわけでありますが、昭和十八年の八月十七日でありますけれども、当時の東条内閣が閣議決定をいたしまして、農家の後継者育成を図る目的を兼ねて、後継者の長男であるところの人たちで編成された報国農兵隊を毎年四月一日から十一月までの七カ月間、当時の満州の報国農場へ派遣をいたしておるのでございます。その数は農場数が五十、隊員数が六千人近く行っておるわけでございます。二十九府県から出ておるわけでございますが、これらの人たちが最後の昭和二十年度、これは戦争の終結の年でございますが、そのときに富山県からもかなりたくさんの人たちが行っておるわけでございます。そして出ていきましたが、結局八月に終戦になってソ連軍が来るということであの満州が戦場に化した。そしてその中において四分五裂をして、もうどうにもならない状況になって散り散りばらばらで帰ってきた。そして中には傷つき病気になって荒野でさまよいながら力尽きて倒れたという人たちもおるわけでございます。そういうことで死亡者が後から判明したものによりますと九百五十五名、未帰還者が六百五十名、内地に幸い帰還した人が四千名近く、こういうことでございます。  そういうことになっておりまして、それらの人たちに対しては何らの補償がされておらぬのであります。当時日本の国の農事振興会で持っておったところの費用で、国費の一部で、軍からの被服などの払い下げを帰ってきた人たちや遺家族に差し上げたり、その予算の残りを差し上げたりして、これに対する慰霊の措置をとったのであります。ところがそれが昭和二十年のいわゆる新円の封鎖、凍結によりましてそれもできなくなって、ほとんどこれらの人たちに何ら報いてないという状況が続いておるようでございます。  これは富山県では非常に若い十四、五歳の青年、それで当時次男、三男はみんな少年航空隊であるとか戦車隊であるとかいうふうに出ていった。ところが長男やあるいはその人たちは後継者として家に残っておった。それでこの人たちもやはり自分たちも国のために働かなければならぬということでほとんど召集と同じような形で最後の二十年に出ていっておるわけです。そして富山県では八十名出ていった中で二十四名亡くなられて帰っておりません。そしてそれらの人たちがさっき申しましたように何らの報いられることもなしにおるわけですが、富山県として碑を建てて毎年集って農兵隊の人たちが慰霊祭をやるというようなことをやっておるのですが、それも十分な予算がございませんし、当時中隊長、大隊長であった方が現在残っておられる、そして親たちがまだ生存しておられる人もたくさんおられます。そして自分の若い十四、五歳から十七、八歳の子供が出ていった、それに対して非常にやるせない思いをして、しかも犬死にになっておる、国家的に何らやられていない。戦傷病者戦没者遺族等援護法というのがございますが、これは満州の青少年義勇軍、これは適用があるのですが、この農兵隊には適用がないわけでございます。そういうことで、この人たちは何ら報いられることなしに国の犠牲になっておられる。大臣は中核農民をつくらなければいかぬということを言っておられる。その精神的なものを昔の人に通わせていただく。そのことによって、やはり現代の中核農民に対しても温かい思いやりが通ずるものだと思うのです。その意味で、ぜひ何らかの方法をこの人たちに与えてあげていただきたいということをいずれ陳情に上がりたいと思うのでございます。関係の方々も来ておられます。  十分意を尽くさないではなはだ残念ですが、もう時間が参りましたので、これについて私は賞勲局においても何か考えていただきたいと思う。あるいはまた、厚生省の援護的な立場からも、援護法の適用ができるかできないか、そういうような点についても一括して御答弁を願えればありがたい、こう思っておる次第であります。いずれ陳情に上がって、事情を細かに陳情申し上げたいと思っておる次第ですが、どうぞ……。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 第二次大戦中、旧満州地方に、食糧増産のために勤労奉仕隊員として報国農場に派遣をされた前途有為の青少年の方々が、開拓のため非常な御苦労をされるとともに、終戦を迎えて死亡あるいは行方不明になられた方々も相当数に上っておりまして、これらの方々に対しては御冥福を祈るとともに、遺族の皆様にも深く哀悼の意を表したいと存じます。これらの方々に対しまして、現行の援護法、栄典制度でこれを顕彰することは、なかなか困難な面もあるわけでございますけれども、しかし、これらの方々の御労苦、功業に対しては、国としても何らか報いる適切な方法があれば報いなければならない。したがって、今後、関係方面とも協議をいたしまして、検討をすることといたしたいと存じます。

片岡清一自由民主党

○片岡委員 終わりますけれども、私は、賞勲局あたりから何かやっていただけないという場合には、せめて農林大臣から木杯ぐらい、亡くなられた方の御遺族なりあるいは現在おられる方にも、御苦労さまでしたと言ってやっていただくことが、農民の魂を揺り動かして、積極農政を進められる、攻めの農政を進められる上に非常に大事なことだと私は思うのです。ぜひひとつお願いいたしたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 関係方面とも連絡をいたしまして、いまの御趣旨の点は十分体して検討いたしたいと思います。

片岡清一自由民主党

○片岡委員 それでは、終わります。

湊徹郎自由民主党

○湊委員長 加藤絃一君。

加藤紘一自由民主党

○加藤(紘)委員 時間が七分ほどしかございませんので、簡単に御質問させていただきたいと思います。  私が質問申し上げたいのは、農林省に対し、最近の農業協同組合のあり方、そして特にその中の各種選挙のあり方について、どう思われるかということでございます。  最近、農協選挙というものが、公職選挙法の適用がないものですから、かなりの自由な、そしてある意味では余り望ましくない形の選挙が行われておるということが、各地で言われておるように思います。これは私は非常に重要な点だと思います。  なぜかと申しますと、第一は、最近、農協組合員の農協組織離れということが起こっております。そしてそれを改革しようと思って、若い有為な意欲のある人が理事選挙等に立候補してやってみようと思っても、かなり資金がかかる選挙体制になっておるものですから、有為な人材が、新しい血が入ってこない。そういう意味で、農協組織自体の問題ということも大きな理由であります。  それからもう一つは、最近、農村が各種合併、町村合併等によりまして、いわゆるポストというものが少なくなってきておる。村の中におけるポストが少なくなってきておる。そういう状況のもとで、いわゆる農協の理事または組合長というのは、ある意味では町村会議員または町村の首長の一歩手前だというような、政治的な部落の有力者というような受けとめられ方もしておりまして、一つのポストへの一里塚として多くの権力争いの場になっておるということも否定できないと思います。そのために、端的に言いまして、多くの金品が乱れ飛んでいるような、そういう選挙も少なくないように思うのですけれども、これにある種の規制を加えなければならぬのじゃないかという感じがいたしておるわけであります。  きょうは時間が少ないのでなんですけれども、とりあえず、その選挙の現状について、農林省がどの程度の御認識を持たれているのか、お伺いしたいと思います。

吉岡裕農林省農林経済局長

○吉岡(裕)政府委員 農協の役員選挙につきましては、農林省としましては模範選挙規程といったようなものを示しまして、これを下部に対して指導するというようなことをいたしますほか、都道府県知事が法令に基づきまして、農協の選挙が適切に行われるようにあるいは経営全体が適切に行われるようにという指導をいたしておるわけでございます。  いま先生お話しのような選挙が、具体的にどの程度どのように行われておるかというような点につきまして、私どもといたしましては、万々そのようなことはないのではないかというふうに思っておりますが、あるいは先生御指摘のようなことが一部には行われているのかもしれない。私どもは、事柄の性格もございまして、具体的な事実については掌握ができておるわけではございません。

加藤紘一自由民主党

○加藤(紘)委員 恐らく、公職選挙法が適用されておれば、その違反とか警察に対する告訴とかでそういう事件が行政ベースにも乗ってくると思うのですが、それがない段階では、いまのように余り実態がわからないというのもわからなくもないような気がいたしますが、今後、もうちょっとしっかりと実態を見ていただく努力をしていただきたいと思いますが、簡単にその辺を、そのおつもりがあるか、お答えいただきたいと思います。

吉岡裕農林省農林経済局長

○吉岡(裕)政府委員 先生御承知のように、公職選挙法につきましては、国会議員その他の公職について適用があるということでございまして、考え方としては、私法人である農協の役員選挙に公職選挙法を現在でも適用されておりませんし、この問題については取り扱いが公的な機関とは違った取り扱いになるのではないかというふうに考えております。ただ、今後、このような役員選挙についての実態がどうかということについては、都道府県等から具体的な問題については十分承知をするようにいたしたいと思いますが、ただ、先ほども申し上げましたように、事柄の性格として、それを客観的に私どもが掌握をするということは非常に困難な問題ではなかろうかというふうに思うわけでございます。

加藤紘一自由民主党

○加藤(紘)委員 農協法の中に選挙権の規定もございます。ですから、私的な法人でありますけれども、一応法律に規定されている。それから模範定款の中にいわゆる投票の秘密等の規定があるわけですから、そこまで考えますと、将来、選挙の腐敗防止のための金品の授受の禁止等を法律に織り込める可能性があるのではないかと思いますが、その見解をお伺いします。

吉岡裕農林省農林経済局長

○吉岡(裕)政府委員 ただいま御指摘のとおり、農協法に選挙についての事項が決めてございまして、定款の定めるところによって選挙をするということ、それから一人一票であるということ、無記名投票によるということ、その他手続的なことが決めてあるわけでございます。そういうことでございますが、これはやはり農協というものが基本的に自主的な組織であるということからまいりまして、その農協法の精神を生かすという点につきましては、私は先ほど申し上げたようなことではないかというふうに思うわけでございますが、今後この農協の選挙が公正に行われるということが非常に望ましいことでございますので、いろいろな角度から私どもとしては慎重に検討したいと考えます。

加藤紘一自由民主党

○加藤(紘)委員 最後に大臣に一言お伺いいたしますが、大臣も山口県でございますので、農村地帯の中で選挙をやられている国会議員のお一人だろうと思います。それで私たち何ぼいろいろな公職選挙法の適用のある議員等の選挙の公正化に努力いたしましても、その基盤たる農協理事の選挙等が各種の非公職選挙法的な行動が行われますと、いわゆる選挙の近代化というものがなかなか進まない。本当に金権の問題とかを論じていくと、ある意味ではこの辺までも論じなければいかぬというふうに私は思います。また農協のこれからの曲がり角、近代化、そして農民離れを直していくためにも、ぜひこの問題は真剣な注意、関心を集められてしかるべき問題ではないかというふうに感じますが、大臣の御印象、感じ方をお伺い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 私も、いまの加藤さんの御意見と全く同じ考えでございまして、現在の農協の役員の選挙のあり方は相当問題がある。そしてこれは、選挙の公明さを求める今日の民主主義のもとにおいて、いろいろと今後とも検討しなければならぬ問題である。ただ、農協組織というのが自主的組織であるだけに、なかなかこれ、選挙法等をこれに施行するということについては困難な問題があるわけでございますが、農林省としてもそういう点は十分現状を調査し把握して、行政指導の面においてもできるだけ選挙の公明さを期して、そうしたいろいろな世間の批判というものに対してこたえていかなければならない、こういうふうに感ずるわけでございます。

加藤紘一自由民主党

○加藤(紘)委員 ありがとうございました。  質問を終わります。

湊徹郎自由民主党

○湊委員長 次に、野坂浩賢君。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 それでは、私に与えられた時間は非常に限られておりますので、簡単に要点だけを質問をいたします。したがって、明快にして前向きな御答弁をまず最初にお願いをしておきたいと思うのであります。  まず、林野庁長官にお尋ねをいたします。  本年は私たちの鳥取県では豪雪はありませんでした。しかし、昨年、一昨年と相次いで豪雪被害に見舞われまして、倒木起こしあるいは再造林、こういうことを進めてまいりました。しかし、この倒木なり造林の補助対象というものが、〇・一ヘクタール以上というふうに措置をしてあるわけでありますが、各山村地域を歩いていろいろと農家の皆さんや林業家の皆さんと話し合ってまいりますと、大きな山持ちの皆さんは国の補助を受けて利益を得ることができた、しかし、のこを持ってわずかな賃金で働き、そして山を得た人、一反歩以下の諸君たちは、何にも恩典がない。言うなれば、林政に対する考え方として、政府は、大きな山持ちに対しては協力をするが、零細な林業家については見捨てる、こういう批判が非常に強いということをひしひしと感じたわけであります。したがって、これに対する対策を考えなければならないと思うのであります。  〇・一というと一反でありますから、そのぐらいの山、それ以下はやむを得ぬではないかという考え方もあるかと思うのでありますけれども、しかし、多くこれ以下のものがある。しかも、零細林業家でありますから、山を越えて八畝を持っておる、あるいはこちらに七畝を持っておる、あるいはこちらに六畝だというようなことになりますために、その適用を受けることができない、こういう現実がございます。したがって、ある程度離れたところ、個人でできなければ、たとえば野坂とかあるいは湊とかあるいは松形とか、そういう零細なところを集めて一反歩以上になればそれでいい、こういうような措置をとり得るかどうか。あるいは個人でももっと〇・一ヘクタール以下までそういう国の恩典が受けられるような措置を考えられるかどうか、考えてもらいたいという切実な声がありますので、それについての御見解を承っておきたいと思います。

松形祐堯林野庁長官

○松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、このような倒木起こし等を必要とするような激甚災害等が起こりました場合に、御承知のような〇・一ヘクタール、つまり一反歩以上ということで私ども補助対象にいたしておるところでございますが、五十年の災害といいますのは、鳥取地方を中心といたしまして大激甚災でございまして、私ども、三千七百五十ヘクタールに対しまして、県費を含んでおりますけれども、補助金二億六千七百万円ということで復旧をいたしたわけでございますが、いまの〇・一ヘクタール以下にするというのは、きわめて零細補助金というようなことからなかなかむずかしいのでございますけれども、ただいまお話ございましたように、それ以下の方々でも、数人が共同して〇・一ヘクタール以上になれば、これは補助対象にしようというようなことで、私どもでは対処してまいりたいと思っておるわけでございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 結構です。  構造改善局長なり農林経済局長にあわせて伺います。降ひょう被害の問題についてであります。  昨年私たちのところは五月三十一日に降ひょうがございまして、約七十五億円にわたる被害がありました。その際に天災融資法の激甚地指定を受け、あるいは自作農維持資金の借り入れを行い、併用して実施をしていただきました。そしてようやく再建に取りかかってまいったのでありますが、またことしの五月上旬に降ひょうがございまして、非常な被害を受けております。しかし、金額は六億数千万円にとどまっておりますために、これからどうすべきかということをいま悩み続けております。昨年の、たとえばナシの被害の場合は、ほとんど鳥取県全部が降ひょうの被害を受けたわけでありますが、本年は三町から四町にわたるきわめて狭い面積、地域であります。したがって、去年ナシを販売をする場合に格外品でも相当高く売れました。ほとんどナシが少なかったために、そういうものも高く売れたわけでありますが、今度は狭い地域でございますし、その格外品の売れ行きが非常に心配されております。ほとんどできないのではなかろうか。反収大体五十五万円程度ありますが、十五万から十八万円程度になるのではないか、こういうふうな状況であります。しかも昨年のナシの場合は袋をかけた後に被害があったわけでありますが、今回は袋をかける前でございまして、そういう地域はほとんどやられておる、こういうのが今日の現況であります。したがって、そのやられたところ、被害を受けた地域に対しては、これは同一天候、同一気象状態で降ひょうがあった場合には、全体的に見て天災融資法は適用できるわけでありますが、今日どのような状況下であろうか、調査の実態と今後の動向をお尋ねしたい。  それから自作農維持資金につきましては、災害資金の場合は限度額が百万円です。いままで昨年も借りておりますから、またことしはほとんど借りられないという状態でございまして、農家の皆さんは非常に困っておる、苦しんでおる、先の見通しは暗いということで嘆いておるわけでありますが、政府としてこれの援助措置を考えてもらわなければならぬと思うのであります。いわゆる百万円を超えた貸付金、そういうものについて配慮すべきであるというふうに思うのでありますが、この点。  第三番目には、昨年も天災融資法なりあるいは自作農維持資金を借りておるわけでありますが、そういう被害を受けておるわけでありますから、それの償還の延期を個人個人農林漁業金融公庫がやるというようなかっこうになりましょうけれども、できるだけ一括して、個人に余り負担のかからないような措置で延期をしてもらわなければならぬと思うのであります。  第四番目は、去年もそうでありましたが、私たちも現実に見ておるのでありますが、たとえばこういう維持資金を借りる場合には農業委員会等で手続していただきます。しかし、非常に件数が多いわけでありますから個人で書かなければならなくなる。したがって、自分で計算をしておりますと、三十万や四十万であります、書くことになれておりませんために、この降ひょう被害によってこれだけしか借りられないならば大して意味がないから、私は借りることからおりるという農家の皆さんもあったやに承知をしております。そういう意味で、手続の簡素化を大胆にこういう災害被害の場合については措置をすべきだ、こういうふうに思うのであります。  そういうふうな四点を申し上げたわけでありますが、それぞれ御答弁をいただいて、善処していただきますようにお願いしたいと思うのであります。

杉山克己農林大臣官房審議官

○杉山政府委員 災害関係全体取りまとめておりますので、私の方から総括してお答え申し上げます。  初めに被害の状況でございますが、本年五月に入りましてから各地で降ひょう被害が見られております。現在まで降ひょうに見舞われた地域は、東北地方の南部、関東、東山、東海、それから中国地方の一部。被害を受けましたのは、主として果樹、工芸農作物、野菜、そういったところでございます。  鳥取県では五月六日県の西部地帯に降ひょうがありまして、日本ナシ、たばこ、これらに被害が見られております。被害の詳細につきましては私どもの統計情報部において目下調査中でございます。現在まで県が取りまとめた被害報告によりますれば、五月十八日現在で、日本ナシが九百二ヘクタール、五億九千万円、たばこが百八十八ヘクタール、四千二百万円、合計六億三千四百万円ということになっております。  この取りまとめでございますが、降ひょう被害は、御承知のように、一つの地域に相次いで発生するということもございまして、全体が大体落ちつきましたところで取りまとめるということにいたしております。例年、措置をとる場合は、天災融資法の発動でありますとかその他の措置は七月に入ってからとられるというような状況になっております。  なお、措置につきましては、被害の状況、それから資金需要の実態を踏まえまして、天災資金でありますとかあるいは自作農維持資金、こういったものの融通について検討してまいりたいと思います。  それから継続被害を受けたところに対しては償還猶予等の措置を講ずべきではないかというお話でございますが、これにつきましては、現在の制度でも中間据え置きの設定等の貸し付け条件の変更はできるということになっております。状況に応じてこれは適宜処置してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 いまこういう被害があるわけでありますから、農業災害の補償、たとえば果樹の保険、共済、これについてはこの前も、前渡金といいますか、そういうものを出したわけでありますが、今回もそのような措置はとっていただけると思っておりますが、そうですか。

吉岡裕農林省農林経済局長

○吉岡(裕)政府委員 お話のように、果樹共済におきましては、収穫期に損害がわかってから支払うというのがたてまえでございますが、ひょう害などで非常にはなはだしい損害を受けて農家経営に支障があるというような場合には、早期の損害評価を行いまして、共済金の仮渡しということで対応いたしてきておることは御承知のとおりでございます。  そこで、私どもとしましても、今回の被害について、被害の概況が判明次第、ひとつ従来のやり方を参考といたしまして適切な措置をとりたいというふうに考えます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 いま審議官からお答えをいただいたわけでありますが、償還延期の件、自作農維持資金、天災融資法の発動については集約中であるわけでありますから、できるだけ相当期間を見てこの適用ができ得るように御配慮いただくようにお願いをしておきます。  それでは、今度は安倍農林大臣にお尋ねをします。  いろいろと農政との関連がありますので、まずお尋ねをしますが、安倍農林大臣は攻めの農政で有名であります。いまの三木内閣の農林大臣として攻めの農政を推進をしている。しかし、なかなか思うようにいかぬ、不満があるということもあろうかと思います。  そこで、十八日の新聞に出ておりますように、十七日の夜にあなたは国土庁長官の金丸さんとお会いになって、現在の三木体制のもとでは総選挙なり党の近代化はできぬ、総選挙は勝てぬというような立場で、三木退陣要求をお互いに確認をした、こういうふうに新聞は報じております。したがって、これはまあ自民党の立場でそういうこともやられたわけでありましょうが、農林大臣でありますから、あるいは国土庁長官でありますから、いままで閣僚では珍しい出来事であります。したがって、思い切ってそういうふうに確認をされたのは、攻めの農政と言われる安倍農林大臣は現三木内閣に対していろいろな不満があろう、そういうふうな点を、なぜこういうぐあいになったのか、そうして今後どのようにしてこれを進め、そしてまた農政問題についても問題点があるとすれば、この際に明確にしてもらいたい、せっかく新聞に出ておることでありますから。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 私のことがいろいろと新聞で報道されておるわけでございますが、あの会合は別に政治的な意味があったわけではないわけでありまして、後で私も記者会見をいたしましたが、別に他意のある会合ではなくて、雑談に終始した会合でありましたから、新聞に報道されたようないかめしいものでもありませんし、そういう内容でもないということをここでお答えをいたしておきます。  私も三木内閣の閣僚でございますから、三木内閣にある間はこれに協力をしていくということは閣僚としての当然の責任であると考えておるわけでございます。  農政につきましては、農林大臣としてその職にある限りは全力投球をして、国民の期待にこたえていかなければならないと考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 じゃ、新聞はうそですか。こういう話は全然出なかったわけですか。雑談でありますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 あくまで私的な会合でございますし、雑談であったわけでありまして、別に意見が一致したとかそういうふうな内容ではありません。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 そういう問題については、あなた方のことでありますから、深追いをいたしませんが、それでは、こういうことに関係もあろうかと思って質問をしたわけでありますが、新経済計画における農政の位置づけの点についてお尋ねをしたいと思うのであります。  五月の十二日の経済審議会の答申に基づきまして、政府は十八日、昭和五十年代の前期経済計画を閣議決定したと承知をしております。いわゆる新経済計画といわれるものでありますが、これは成長中心の量的拡大指向の経済政策から生活中心への質的充実へ転換する、こういうことが中心的な課題になっておるように承知をしております。私は、この計画全体の問題について触れるつもりは全然ございませんが、農業と政策との関連についてやはり聞いておかなければならぬと思います。  その一点は、この新経済計画の中で農林漁業政策特に農業政策はどのように位置づけておるか、非常に不明確ではないか、こういうふうに思うのでありますが、基本的な位置づけについて農林大臣の見解を聞きたい。  第二番目は、この新経済計画と五十年五月に農政審議会の答申を得て閣議決定した「農産物の需要と生産の長期見通し」との関連についてお尋ねをしたい。  この見通しの方は、五十年五月の場合は、昭和六十年を目標として需要に応じた計画的な生産を図るために農政を転換する、こういうふうになっております。この新経済計画は五十五年までだ、いわば中期目標だということになっておるのでありますが、これとこの「農産物の需要と生産の長期見通し」との関連と整合、この辺について承っておきたい、こういうふうに思うのであります。  まず、この点をお尋ねします。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 さきに閣議決定をされました新経済計画におきましては、成長中心から生活中心へと、そういう基本的な考え方でありますが、この経済運営は、これまでのような非常に豊富で安い食糧の輸入を前提とすることができなくなるという認識のもとにおきまして、わが国経済は長期にわたりまして適正な経済成長を確保するための体制の整備を行っていかなければならない、そのためにはいろいろと、多面的には国際協調もしながら、農産物につきましてはあるいは備蓄の確保、輸入の安定化を図るとともに、国内の農業につきましては生産体制の整備を通じまして自給力を向上させなければならない、こういうふうになっておるわけでありますが、計画の内容の具体的な点につきましては、この計画の冒頭にも述べられておりますように市場経済を基調とする体制のもとでの経済計画という性格にもかんがみまして、全分野にわたって詳細に規定をし、厳格にその実施を強制するものではないわけでございますが、     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 農業につきましては、食糧の安定確保のための施策の総合的実施として、自給力の向上、食糧輸入の安定化、備蓄の推進等が具体的な政策体系として取り上げられておるわけでございます。  この農業の方向づけは、農林省がさきに発表いたしました「総合食糧政策の展開」に織り込まれておる考え方と軌を一にいたしておると考えておりまして、私は、農林省の考え方、長期的な政策の方向が適正にこの計画の中に反映をされておる、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 この新経済計画を読ませていただきますと非常に抽象的でありまして、安倍農林大臣はよくわかっておると思うのでありますが、われわれにはよく理解ができないところがたくさんあります。たとえば自給力の向上あるいは輸入の安定確保とかあるいは市場の影響と経済性の問題とか言われておりますが、大体自給率というものは昭和五十五年にはこれでいくと幾らになるわけですか。農林省は適合しておるとおっしゃいますが、六十年の目標と五十五年の目標をやはり中期目標として具体化をする必要があるのじゃないか、そういうふうに思うのでありますが、いつそういうものは数字をもって示されますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 自給率につきましては、私たちは「農産物の需要と生産の長期見通し」におきましても、昭和六十年の食糧総合自給率を七五%に持っていこうということで策定をいたして、これを大前提といたしまして総合食糧政策を進めていくわけでございますが、この昭和六十年目標というのはいわばガイドラインということでありまして、これを中期にブレークダウンをしてそれぞれ指標を出していく、目標をはっきり設定していくということについては考えておるわけではないわけでございます。しかし、麦だとかあるいは酪農等につきましては、そういう面では個々の農産物ごとにはそういう目標を持ってやっておるわけです。しかし、新経済計画は六十年でなくて五年計画になっておるわけでございますから、そういう面もこれから配慮もいたしまして、個々の農産物についてはそういう中期目標も掲げておるわけでございますから、そういう点ともあわせて、必要な農産物等につきましては一つの中期指標といったようなこともこれから検討するべきものは検討してまいりたい、こういうふうに考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 せっかく閣議で決定をされたわけでありますから、やはりその裏づけになるような資料は国民の前に明らかにするというのが私は当然だろうと思うのです。特にこの「長期見通し」との関係で酪農やその他をやるとおっしゃいますが、牛なんかは減るような傾向すら出ておるわけですから、そういう安定の確保とか需給のバランスとか、そういうようなかっこうが出ていないではないですか。だから、五十五年度の中期目標というものを明らかにして六十年度の展望とあわせながら資料を出してもらいたい、こういうふうに思いますので、早急に検討してわれわれに数字で示してもらいたい、こういうことをお願いしておきますが、どうでしょう。

杉山克己農林大臣官房審議官

○杉山政府委員 国にはいろんな基本的な計画がございますが、御指摘のように計画年次は必ずしも一致いたしておりません。特に新経済計画のように五十五年までの見通しが出ておるものについて、農林省のものもそれに合わせて中間的な目標を設定すべきではないかという御趣旨のようでございますが、私ども、六十年見通しはまさに六十年の見通しを立てたものでございまして、途中の個々の年次ごとの区分をその都度フォローするという形にはなっておりません。しかしながら、御趣旨のことはごもっともでございますし、私ども個別の農産物について需給見通しを立て、それぞれの各年度ごとの予算の折衝をするというようなことに当たりましては、そういうものを前提にして議論を進めるということにいたしております。五十五年だけのものをいまここで直ちにつくるということではございませんが、個々の農産物ごとにそれぞれ必要な六十年までのカーブを描いてみるということは、十分努力して今後とも精細なものをつくってまいりたいというふうには考えております。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 いま審議官が申し上げましたように、すでに個々の農産物についても中期目標を立てておるものもあるわけでございますが、政府全体のそうした新経済計画でございますから、そういう政府全体の計画との整合性という関係もありますから、われわれとしても、いま審議官が申し上げましたように、必要に応じて個々の農産物等についてこれからの指標といったものをつくることにつきましては、十分検討しなければならぬと考えます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 必要に応じてつくるというようにお話しでございますが、私は原則的につくっていただきたいと思っております。六十年の展望で、途中でいろいろなじぐざぐがあっても六十年にできればいいじゃないかということではなしに、やはりカーブを描きながら進めていかなければ、攻めの農政にはならぬだろうと思います。やけくそ農政ということになるのではなかろうかと思います。したがって、たとえば攻めの農政と言われる安倍農林大臣の指導によって、私たちも基盤整備事業をやはりやっていかなければならぬということで、たくさんやりました。また、わが県等でも補助政策もとっていただいて進めておるわけですが、頭を出すと大体一〇%程度しかつかない。もっと期待しておったものですから、裏作利用で酪農農家に貸してやる、六月三十日までの契約で一反当たり六千円で貸してやった、いまさら——この間内示があった、ということになってまいりますと、田植えができなくなってくる。こういう事態が相次いで起こっておるというのが現況ではないか、こういうふうに思うのであります。  そういうことで、財特法の関係等もありますが、公共事業の千五百億という予備金もある、これをいつ使うかということでありますけれども、こういうものの取り崩しはいつを考えておるのか、あるいは農林の方にはどの程度考えておるのか、また、いよいよぎりぎりのときは債務負担行為等によって施越しをやらざるを得ぬではないか、こういうふうにさえ思うのでありますが、それらについて、施越しをする場合に利子補給等も農林大臣としては考えてもらえぬだろうか、こういうふうに思うのであります。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 まあ基盤整備は積極的に進めていかなければならぬわけでございまして、五十一年度予算はすでに配分がほぼ終わっておるわけでございますが、この予算につきましても二十数%公共事業費は伸びておるわけでございます。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 しかし、政府全体としてこれからの景気の情勢等にも対応して、成立した予算の中に千五百億の公共事業費の予備費があるわけでございますから、政府全体としてこれをいつ出すかということは、これからの問題として検討されなければならぬわけでございますが、これがもし出されるということになれば、きわめて常識的な判断とすれば、大体公共事業費の中の二割が農林公共ですから、千五百億とすると三百億見当というふうなところが農林関係に回ってくる、いままでの常識からすればそういうことになるわけでございます。しかし、そういう一つの鉄則があるわけではございませんで、農林関係としての基盤整備を進めるためには、そういう際にはさらに基盤整備関係の予算、予備費の獲得には力を尽くさなければならぬと考えております。  それから、施越しにつきましては、構造改善局長から答弁をいたさせますが、これはなかなか困難である、こういうことであります。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 一遍にそんなことは言わぬで、十分検討をしてほしいと思うのです。農家の皆さんは、いまから植えれば二、三俵ぐらいになるのじゃなかろうか、こういうことになろうと思っております。  それも答弁をいただきますが、さらに、いまの経済計画でありますが、「経済的安全の確保と長期発展基盤の培養」というところがありますね。これにおいて、食糧の安定確保のための施策の総合的実施を図るとして、自給力の向上、飼料作物、大豆等の安定輸入等とともに、食糧消費、食生活のあり方を取り上げております。その内容は、わが国の風土と国民の嗜好に合った食生活のあり方について検討し、米食の奨励を図るとしておりますが、この具体的な政策ですね。米食の奨励を図る、こういうふうにありますが、この具体的な内容、それについて、まず風土と嗜好により、日本人のためにはまず米だ、こういうふうに書いてありますね。それについての考え方、どういうふうにやられますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 施越しにつきましては、これは先ほども答弁いたしましたように、これまでもそういう例がないわけでございまして、要望等につきましてはわかるわけでございますが、残念ながらできないと答弁申し上げるほかないわけでございます。  それから、米の消費拡大につきましては、これは現在の国際的な食糧の事情あるいは国内的な、日本が世界で一番輸入が多いといったような面等から考えまして、農政上の面からも、自給しておるところの米を主食として今後消費拡大を図っていかなければならない、こういうふうに考えるわけでございますし、同時に、これはそうした農政上だけの問題ではなくて、国民の嗜好の問題もあります、あるいはまた風土の関係もありますし、これは最も日本民族に適した主食であるという考え方で、積極的な施策を進めておるわけでありまして、今年度は米飯給食につきましても文部省とも相談をいたしまして、いよいよ本格的に給食を取り上げることになりまして、これはわりあい評判がいいように承っておるわけでございますが、さらにこれを進めていく、同時にまた、これは農林省が中心ということではないのですが、世話役になりまして、生産者団体あるいは消費者団体等の、米を見直そう、そして米の消費拡大をやっていこうという協議会が生まれておりますので、この協議会を中心にいたしまして、積極的に国民に消費拡大を訴えておるわけでございます。この運動はそう右から左に効果が出るものではないわけでございますが、しっかり腰を据えて、長期的な構えで米の消費拡大に取り組んでまいりたいと考えておるわけであります。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 もっと聞かなければならぬのですけれども、私に時間がありませんので、申し上げることだけ申し上げておきます。  いま大臣から御答弁をいただいたように、米飯の学校給食、そういうもの、あるいは米の新規加工開発、あるいは国民の食生活の政策誘導というようなことであろうと思うのです。そういうことと麦の輸入というものは相関関係を持ってくるわけですが、麦の輸入というのは、たとえば米飯給食をやるから二十万トンふえるだろう、そうすれば相対的に麦は二十万トン輸入を減ずる、こういうことが常識になるわけですけれども、輸入の場合は、たとえば麦の三年間の平均でそれをやっていくということになりますと、そういうかみ合いをなかなかしないというかっこうで、一つがなかなか進まないという欠点を持つのではないか、こういうふうに思うのです。だから、これとこれとの相関関係を——これだけはこうだということになれば、それこそ年次目標を立てながら進んでいくということでなければならぬのではなかろうかと私は思っておるのですが、そういうふうに考えてはどうかと思いますが、どうでしょう。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 まあ、米の消費拡大と麦の消費がそれぞれに結び合わされるというふうにも、食生活全体の中で考えられないわけでございますが、しかし、関係がないとは言えないわけでございます。  私たちは、やはり、麦につきましては、対米価比といいますか、米との価格差が非常に大きくなっておるわけでございまして、外国から政府が麦を買って、そしてそれを政府が売り渡しをしておる、その価格差がトン当たり一万七、八千円現在でもあるということになっておりますが、これは非常な逆ざやで、むしろ外国の農産物に補助金を出しているというふうな非難すらあるわけでございまして、そういう逆ざや関係は農政の立場からももう解消していかなきゃならぬわけでございますが、そうした解消、麦と米との相対的な価格関係というものを是正していくということは、一面においては米の消費の拡大といったものにも影響は出てまいる、こういうふうに考えるわけでございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 私はあと五分しかありませんので、次に進みます。いまのには問題がありますが、後にいたします。  国土利用計画もきのう決定をされましたね。昭和六十年に十二万ヘクタール農用地を造成するということになっております。で、生産性の高いところには工場が入ってきて、これが少なくなって、新たにまた山の方を開発するというかっこうになっておるようでありますが、農林大臣としては、生産性の高い平たん部での減少傾向というものに歯どめをかけることが必要ではないか、その辺の配慮はどのようにお考えになっておるかということが一つ。これについては、国土庁からもおいでだと思いますので、御答弁をいただきたいと思います。  それから、あわせて、企業の買い占めをした土地、これはどの程度あるのか。国会議員の中で、自民党の方でありますが、この企業の買い占めをした土地を政府が買い入れるべきだというような動きさえあって、遺憾に思っておるのでありますが、もうけようとして買い占めて、いま下がったから政府に買ってもらうというような魂胆であろうと思うのでありますが、そういう企業買い占めの土地についての政府の考え方、農林大臣の考え方、あるいは国土庁の考え方をお示しをいただきたい。  それから、水利用税という問題をこの間、ここにおる竹内君が取り上げておるわけです。新聞に出ておりましたが……。建設委員会では、この水利用税の問題をたたき台として検討したいというような発言をたしか建設大臣がしておったと思うのですが、現在河川水の八〇%も九〇%も、約六百七十億トンぐらいは農業用水に使われておると思うのです。一トンが一円だというような話まであるやに聞いておるわけでありますが、これに対して農林大臣はどう考えておるか。農業を守る立場で、この水利用税の問題についてはどういうふうな見解を持っておるかということを聞いておきたいと思うのであります。

松本作衛国土庁土地局次長

○松本説明員 ただいま、国土利用計画の決定に伴いまして、今後の農地の確保等について国土行政上どう考えておるのかというふうな御質問でございますが、御案内のように、国土利用計画におきましては、農用地を六百十一万ヘクタール六十年度で確保するということで、十二万ヘクタールを増加させるという意欲的な考え方に立っておるわけでございますが、これはとりもなおさず、農林省が決定いたしました生産目標の線をそのまま貫いていこうという考え方でございます。  したがいまして、このような方向に基づきまして土地の利用を考えていきます場合には、従来から土地利用基本計画というような県段階ごとの計画を国土庁が指導してつくらせておりますが、この計画の中で、農用地の確保をできるだけ考えていくという方向を守っていくようにする必要があるというふうに考えております。  また、企業の土地買い占め、これに対して国土庁はどう考えておるかという点でございますが、企業の利益を擁護するような国の買い上げということは国土庁長官もいたさないということをはっきり言っておりますので、そういう考え方はとっておりません。ただ、企業の持っておる土地の中には、農用地として利用できるような土地というものもございます。こういうふうな土地について利用の促進を図っていくということが必要ではないかというふうに思っておるわけでございます。それで、国土利用計画法の中で遊休地の活用の制度がございますので、こういうふうな制度も生かしながら今後国土の有効利用を図っていくという観点から、この企業の土地等についても対処する必要があるのではないかというふうに思っております。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 今回決定をされました全国土地利用計画につきましては、農地につきましては、いま次長からお話がありましたように、農林省の長期目標と同じでございまして、農林省としても、農地を確保するために、これから農用地の造成であるとかあるいは優良農用地の確保等につきまして全力を尽くしてまいらなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、企業の買い占めた農地、これにつきましては、いまなかなかその実態というものが把握されない面もあるわけでございますが、しかし、その農地の活用について、ただ企業の利益になるというような立場からこれを考えるということではなく、農地を活用するというふうな見地に立ちまして、農地合理化法人等もございますから、そういう面も活用して、そうした農用地等につきましては企業の立場ということを離れて、われわれとしては農地の活用という面では考えていかなければならぬのではないかと考えるわけでございます。  なお、河川の水利用税の構想につきましては、農林省といたしましては正式な話としては聞いていないわけでございますが、内々、事務的に建設省に真意をただしたところ、目下発電用水の流水占用料の見直しを初めとして、河川水利用に負担を課することについて、事務的な研究を開始した段階と聞いております。しかし、農林省といたしましては、土地と並ぶところの農業生産の基礎資源である水につきましては、特に重大な関心を持っておりまして、本構想にも注意を払っておりまして、農業用水に課税するこのような構想は、農業用水の利用に重大な影響を及ぼすおそれがあるので、適当ではないと考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 質疑の時間が終了したという通告がございましたので、これで質問を終わるわけでありますが、通産省からもおいでをいただいておりますので……。  きょうの新聞にも発表されておりますように、それぞれの電力会社が二二%から三一%程度引き上げる、そして通産省はこれを一括許可をする、当時物価上昇というものを考えて二段方式というものが言われておりましたが、それもやめるようだ、こういう状況であります。したがって、物価上昇につながるこれらの問題について、特に農林省としては、農業用電力がこれから拡大されるわけでありますから、特に上げ幅については、通産省と十分接触をしていただいて、その上げ幅がほかの措置よりも少ないように——現在でもほかのものと合わせると少ない、だから上げ幅は同じだということではなくて、農業に重大な影響があるとして、農林大臣等は十分関心を払って、農業電力の引き上げ幅というものを思い切って下げていく、こういうように通産省と話し合ってもらいたいということを要求をしておきたいと思うのであります。  以上で、私の質問を終わります。

山崎平八郎自由民主党

○山崎(平)委員長代理 次に、井上泉君。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 まず最初に水産問題についてお尋ねをしたいと思うわけですが、日本の漁民の最大関心事であります幾つかの問題の中で、まず第一番に十二海里の問題はどうなっておるのか、そしていつごろ領海十二海里の宣言がなされるのか、その点をまず農林大臣から承りたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 わが国の領海十二海里設定の問題につきましては、かねてから政府部内で協議をいたしまして、十二海里を設定をするということについては方針を確認をいたしております。そしてこの設定については、法律でこれを行うということも合意をいたしておるわけでございますが、これをいつ行うかということにつきましては、実は今回行われましたニューヨークの海洋法会議の結果を見てまいったわけでございます。十二海里を行うにしても、やはり国際的合意を得てこれを行うということが適当であるというふうに考えまして、この合意が熟することを見守ってまいったわけでございますが、残念ながら、今回の海洋法会議においては結論が出されなかったわけでございます。  しかし、この問題については、経済水域二百海里の問題等々も含めて非常に緊迫した問題であるということで、八月からさらにニューヨークで引き続いて海洋法会議が持たれることになっております。私は、この八月からの海洋法会議は、何としても海洋法問題について結論を出すという方向に進むのではないかというふうに判断するわけでございます。と申しますのは、アメリカなどがもう専管水域を来年の三月一日から行うということを決定いたしております。そういうふうな状況にありますから、この八月からの海洋法会議が一つの方向を打ち出すものであるというふうに期待し、われわれもそういう方向で努力いたしたいと思うわけでございます。  したがって、今回の領海十二海里設定につきましては、もうわずかな時期でございますし、そうして幸いにして日本の沿岸を騒がせましたいわゆるソ連の漁船団もいま日本の沿岸から去っておるという状況にあるわけでございますので、この八月の海洋法会議というものを見守って決定をいたしてまいらなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それで、十二海里の設定の問題は八月の海洋法会議の決定を待って行う、こういうことに理解をしておいていいわけですね。  そこで、ソ連との関係ですけれども、先般の日ソ漁業協定交渉の過程の中で、日本が十二海里の宣言をした場合に、この十二海里の中にソ連の漁業も入らすというようなことが話題になったという新聞報道を見たわけですが、そういうことはないですか。

内村良英水産庁長官

○内村政府委員 先般の日ソ交渉におきましてそのような話は出ておりません。ただ、ソ連が申しましたのは、日本がソ連側に対しまして、領海の外におきましても日本側として底引き禁止規則を国内措置でやっておる海域について、日本の底引きをやらせないのだからソ連もやめてくれということを言いまして、ソ連側はそれをかなり尊重するような操業をやっております。したがいまして、オホーツク海においてソ連が国内規則として定めておるものは日本も尊重してくれないかということで、トロール漁業についての規制を申しましたけれども、わが方はそれを拒否しましてそうなっておりませんけれども、交渉の過程におきましていわばそういった形の相互主義の話が出たことはございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それで、日ソのことしの漁業協定にも亀長代表もずいぶん苦労なさったということが報道されたわけですが、ことしの日ソ漁業協定の締結の条件から見、そしてまた交渉の過程から見て、来年度あるいは再来年度、つまり今後における日ソ間における北洋の漁業協定というものは本年度のような状態でいけるものか、あるいは本年度よりよくなるのか、あるいは本年度より低下するのか、その辺についての水産庁当局としての見通しを、本年度の協定を踏まえて説明してもらいたいと思います。

内村良英水産庁長官

○内村政府委員 先生御案内のように、領海十二海里、経済水域二百海里という問題が海洋法会議で論ぜられまして、海洋法会議の動き等を見ますと、それがだんだん世界の大勢になりつつあるという情勢になっているわけでございますが、今般の日ソ交渉の際には、ソ連側は二百海里経済水域というようなことは全然言わなかったわけでございます。あくまで公海における漁業の規制、それも資源問題を中心として論議をしたわけでございまして、まあソ連政府の考え方の背後にはあるいは二百海里というふうなことを念頭に置きながらのいろいろな提案であったと思われない面もないわけではございませんが、会議の席では二百海里経済水域というようなことは全然口にしなかったわけでございます。  そこで、先生も御案内のように、今日ソ連は日本と並んで大きな遠洋漁業国でございます。したがいまして、ソ連側としても二百海里の経済水域の設定にはかなり慎重な態度をとるのではないか。すなわち、海洋法会議で結論が出まして、一つの国際法の原則として経済水域二百海里ということが決まれば、もちろんソ連側もそれに従っていろいろな施策を進めるとは思いますけれども、アメリカのように海洋法会議の結論が出る前に一方的な措置をとるというようなことはないのではないか。したがいまして、ことしの八月以降の情勢がどうなるかわかりませんけれども、来年の日ソ交渉も大体従来と同じようなベースで行われるのではないか。ただ、その場合におきまして、資源の状況というものが論議の基礎になるわけでございまして、魚種によりましては資源状況が必ずしも楽観できないという魚種もございますので、そういったものにつきましては明年さらに規制が強化されるということも全然ないということは申し上げるわけにはまいりませんけれども、いずれにいたしましても、来年の交渉が二百海里の経済水域を前提にした交渉になるということはまずないのではないかというふうに考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 いつでも、日ソの漁業協定の締結を待ちわびる漁船団の風景、様子というものが報道されるわけですが、そこで何かもっとソ連との間において、土壇場まで追い詰められたというか、追い込んだというのか、本当に詰まり切った段階で交渉が取り結ばねばならないというようなことにならないような、何か日ソの漁業交渉についての活路はないものだろうか。何かそういうふうな点での活路はないものだろうか、こういうふうに私は考えるわけですが、     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 過去の日ソ漁業交渉、特に最近におけるソ連の漁業に対する態度等から見て、何かそういう追い詰められた形で漁業交渉するのではなしに、もっといわば安心をした状態の中に、そしてまた、操業の準備を十分整えておっても、そこに一つも漁船員、漁業者としての不安のないような交渉の結果が得られるような、何かそういう安定した日ソの漁業交渉というものは行われないものであろうかどうか、その点についての御見解をお聞きしておきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○内村政府委員 先生御指摘の点は、ごもっともな点でございまして、私ども水産行政を担当しているものといたしましても、非常にそこに悩みがあるわけでございます。と申しますのは、ことしのニシンの場合のようにすでに出漁の準備をしている、ところが日ソ交渉という国際交渉の結果減船せざるを得ないということになりますと、業界の受ける打撃も大きうございますし、われわれとしても非常に困るという問題があるわけでございます。そこで、この問題につきましては、かねがね日本側はソ連側に対しまして二年間の協定をやりたい、すなわち翌年の見通しがつくようなことで操業のいろいろな問題を決めなければならぬということで、二年間の交渉をしたいということを申し入れているわけでございますが、今日までソ連側がそれを受け入れないという状況でございます。  なぜそうなっているかと申しますと、先ほども申しましたように、日ソ交渉というものは、資源状態を基礎にいたしまして公海における漁業の規制を日ソ両国が話し合うというたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、資源状態を調べるということになりますと、極力最近のデータに基づいて論議をしなければならないというようなことがございますので、どうしても今日までのような形の交渉になってしまっているわけでございますけれども、私どもといたしましては、なるべく長期の取り決めができるように今後においても努力しなければならないというふうに考えておりまして、その線に沿って努力をしたいというふうに考えているところでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 質問がちょっと後へ戻るわけですけれども、ソ連の漁業というものが農業の失敗を漁業によって取り戻すということで、世界の海にソ連の漁船団が大変な進出をしておるということはよく報道されるところでありますが、いま大臣のお話しによると、最近においては、ソ連の漁船団が日本の近海に出てきて操業するというようないままでのような操業の状態はなくなっておる、こういう話であって、私はまことにそれは結構なことだと思うわけですが、そこで、この十二海里の問題については、八月の海洋法会議の結果を待ってこの設定を決める。ところが、その海洋法会議の結果がどうあろうとも決めると言うのか、海洋法会議で十二海里の設定あるいは日本が二百海里の設定をする必要がないような状態というものも期待をされる面があるのか。どういう場合にこの海洋法会議において——その方の結果がどうあろうとももう八月、九月の段階において十二海里の設定をするというのであるのかどうか、その点をもう一回大臣から承りたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 領海十二海里の設定につきましてはすでに方針は確定をいたしておるわけでございます。それをいつの時期にやるかということで、その時期についてはせっかく海洋法会議が開かれておるから、この海洋法会議の国際的合意を待ってやった方がいいという判断で今日まで待ってきておるわけでございますし、さらに八月まで延びたわけでございますが、この八月において何とか海洋法会議の給論が出ることをわれわれとしても期待をいたしておるわけでございます。しかし、これはもうわが国として方針は決まっておるわけでございますし、水産の立場からいきますと、いつまでも待つというわけにもいかないわけでございます。政府全体としては調整すべき問題もありましょうが、水産の立場からすればいつまでも待つというわけにはまいらぬわけでございまして、そういう立場から、私たちはこの八月に海洋法会議の結論が出ることを期待をするわけでございますが、この八月においても結論が出ないということになりますれば、これは私は世界の海洋の秩序というものは相当混乱をする可能性があると思うわけです。そうしたことを避けなければならぬわけですが、八月に結論が出ないからそれではまた次の次までというふうにいつまでもいつまでもというわけにもまいらぬのじゃないだろうか。われわれとしては、水産の立場からは、せっかく政府として決定をしているのですから早くやりたい。しかし、海洋法会議の結論が出ることがベターでございますから、とにかく八月を非常に期待をし、注目をいたしておるというわけでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 この七十七国会に提案された水産関係の法律にいたしましても、いわば審議というものはろくろくしなかったけれども、結果的には、これは全委員が賛成をし、そして成立を見たわけでありますし、というのは、それだけ水産業というものに対する国民の期待というものがかかっておるわけですから、少しでも水産業の振興になりそして日本の漁業政策というものが前進することを期待をしての国民の意思のあらわれだと思うわけです。その中で、私は、この領海十二海里の問題は、関係漁民にとりましてもこれは切実な問題だと思うわけでありますので、この海洋法会議によって国際的な合意が得られるようにせっかくの努力をなされた上において、その結果がどうあろうとも、やはり日本として、漁業者の立場からしても十二海里の設定をすべきだということを申し上げておきたいと思うわけです。  次に、それとは別に関係はないわけですけれども、いわゆる朝鮮民主主義人民共和国との間に昨年松生丸の事件が起こって、その不幸な出来事というものも民間の漁業協定すらないという状態の中で起こった出来事であることには間違いないわけで、その点からも今度、社会党を中心にした民間漁業者の代表が朝鮮民主主義人民共和国を訪問し、民間漁業協定を取り結ぶためのいわば瀬踏み的な話し合いをするような準備を進めておるわけですが、政府としては、いわゆる北朝鮮との漁業関係をどういうふうにして秩序を守り、そして双方の漁民の間にトラブルのないようなことをしていかねばならぬかというお考えを持っておると思うわけです。しかし、いま国と国との関係がないので、まず民間の漁業協定を推進をすることによってその問題の解決に踏み出さねばならぬと思うわけですが、こういう交渉に対して政府としてはどういう見解を持っておられるのか、迷惑千万と考えておるのか、これは結構なことだと考えておるのか、その点ひとつ大臣の見解を承りたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 北朝鮮と漁業交渉を行うことにつきましては、安全操業の確保と人道上の見地から、これを積極的に促進すべきであるとの意見もあるわけでございますが、政府といたしましては、本問題は単に安全操業の見地のみならず、いろいろの側面から検討する必要があるので慎重に取り組みたいというふうに考えております。  なお、民間漁業団体が北朝鮮との間に民間漁業協定の締結を含めて何らかの話し合いを行うことを希望するならば、政府としてはもちろんこれを妨げるような考えはないわけでございますが、民間漁業団体において組織的にこれに取り組んでいこうという状況には今日はないというふうに私は聞いております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それは、そういう民間漁業協定を取り結ぶような動きがない——そういう動きがあるということは、あなたは認めていないわけですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 民間漁業団体において、これは水産庁等でもいろいろ接触をいたしておるわけでございますが、現在の段階では、漁業団体としても、これにはいろいろと問題が波及する点もあるようでございますから、慎重に取り扱っておるようでございまして、したがって、今日、民間漁業団体で北朝鮮との間の漁業協定に取り組んでいこうという積極的な考えといいますか、姿勢はないように私は聞いております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そういうことはないですよ。北朝鮮との間に民間漁業協定を結ぼうとして、結ばねばならないということで、近く訪朝団を派遣することになっておるわけですが、水産庁の長官も、そういう動きがあることは御存じないですか。

内村良英水産庁長官

○内村政府委員 先生御案内のように、松生丸事件が起こりました直後におきまして、西日本のフグの業者の団体あるいは全漁連等もそれに多少関連をいたしまして、民間協定を進めようという空気があったことは事実でございます。その後、民間の話でございますから、必ずしも私はつまびらかにはしておりませんけれども、多少北鮮側に接触をしてみた結果、向こう側も乗り気ではないというようなところから、そういった意欲がずっと衰えまして、最近聞いているところでは、民間団体として組織的にこれをやろうという気はいまのところ全然ないというような状況になっているような聞いております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そういう動きがないと承知をしておるということでありますが、それでは、俗に言う北朝鮮とのそういう民間レベルにおける接触あるいは取り決め、そういうふうなことをする必要はいまのところないと、こう大臣はお考えになっておるのか。  そしてまた、将来にわたっても、国と国との国交が成立しない段階においては、民間におけるそういう協定等については好ましくないと考えておるのか。これはやはり国務大臣としての農林大臣の国際的な問題に対する政治姿勢だと私は思うわけなので、承っておきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 政府としては北朝鮮との間に国交はないわけでございますから、政府間の取り決めということはもちろんできないわけでございます。したがって、民間と北朝鮮という取り決め、できるとすればそういう形しかないわけでございますが、そうした民間と北朝鮮との間の取り決めが進むということにつきましては、政府としてはこれを妨げるというふうな考えはもちろんないわけでございますが、しかし、いま水産庁長官も申し上げましたような現在の時点では、民間の漁業団体のいろいろの意見等を聞いてみても、積極的に取り組んでいこうという姿勢は見られないということで、現在われわれとしてはこの事態を見守っておるという段階でございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そこで次に、中部太平洋地域におけるまき網漁業の試験操業について、近海のカツオの一本釣り業者が、毎年試験操業をやめてくれ、こういう要請を繰り返してやってきておるわけです。ところが、ことしもまた、試験操業ということに名をかりて大量のまき網漁船が一本釣りの豊富な漁場に出る、出漁する、こういうようなことを聞くわけですが、これはいつまで試験操業という形でまき網漁業をやらすのかどうか、その点ひとつ水産庁長官、御答弁願いたいと思います。

内村良英水産庁長官

○内村政府委員 北部太平洋海区に回遊してまいりますカツオ・マグロ類の来遊状況、来遊経路等に関する情報を事前につかむために、このような試験操業をやっているわけでございます。と申しますのは、北部太平洋におけるカツオ・マグロ漁業のまき網による操業というのは非常に投機的な面もございまして、十分来遊状況等を把握して操業にかかりませんと非常に大きな経済的な損失が出るというようなきわめて危険度の高い漁業でございますので、来遊状況を十分把握しなければならないというところから、たしか昭和三十九年だったと思いますけれども、それ以来試験操業を行っているわけでございます。操業の規模は、大体十二カ統程度のまき網をやっているわけでございますが、このまき網が中部太平洋に出漁している他の漁業者の方々、特にカツオ・マグロ業界から強い反対があるということは私どもも承知しております。  そこでことしは、実は漁期が四月二十日から五月三十一日まででございますので、その試験操業の漁期になっておりますし、今月末で終わるわけでございますが、来年以降につきましては、いろいろなトラブルが起こることは望ましくないので、北部まき網の業界と、カツオ・マグロ業界と事前に話し合いを行わせまして、十分な意見調整をやってもらう。その意見を聞きまして、水産庁として今後この種の試験操業の実施をどうするか、規模をどうするかということについて検討したいということで、来年以降につきましては、この試験操業についての調整措置をとらなければならないのじゃないかというふうに考えておりますが、ことしはすでにもう漁期が始まっておりまして、今月いっぱいで終わるわけでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それでは、来年の時期に入る前には、そういうふうな話し合いのもとで入るということについての水産庁長官の答弁を了承するわけですが、私は、こういったまき網試験操業をやって、だれが利益を受けてだれが損をするのか、そして、このまき網の漁船団はどれだけの収量を上げておるのか、そういう点についても質問したいと思っておりましたけれども、もう時間がないので、いま水産庁長官のお言葉に期待をして、来年度の実態を見守っていきたいと思います。  そこで、もう二点。時間がないので、はしょって質問しますが、ことし林業関係についての法案も通り、全国の林業者は非常に喜んでおるような状態ですが、その中で私は、この林業労働者のいわゆる振動病に対する対策あるいはこれからの予防というようなことで、医療対策についてもまだもっと検討してもらわねばならないところもたくさんあるわけですが、林業労働者の医療対策の中で、多発しておる現在の白ろう病患者に対する治療施設は非常に不十分だと思うわけです。それについて、民間の医療団体等を通じていろいろ努力を重ねておることに対して、林野庁としてはそれに協力する考えがあるのかどうか。その点が一点。  それからもう一つは、そういう医療対策とは別な問題ではありますけれども、よく松枯れ、いわゆるマツクイムシの防除で空中から薬剤を散布することによっていろいろな被害が出ておるわけで、その点については農薬の大量使用というものが日本の農地の土壌というものを非常に汚染をしておるということは、農林省当局も認め、土壌に活力を与えるような方法に努力をなされるということを聞いておるわけですが、私はこの松枯れ病の対策を空中散布でやることにはやはり問題があろうと思うわけです。昭和四十九年に高知県で松枯れ病に対する空中散布をやった。その散布をやったところが付近の杉、ヒノキが枯れて、それに対して約一千万円くらいの、防除に要した経費は三百万足らずであったけれども、後でそれの補償に一千万円余り要ったという実態もあるわけで、マツクイムシを退治するだけで、空中散布をすることによって受ける薬害というものは、高知県のその例を見ても明らかなとおり、それがなお人間やその他の作物に対しても大きな被害を与えると思うし、そういう点から林野庁は空中散布を唯一の対策のように考えてこれに固執をされておるわけですが、そういうふうな考え方というものはいま検討し直すべき時期ではないか、そう思うわけなので、林野庁長官の御見解を以上二つの問題についてお尋ねしたいと思います。

松形祐堯林野庁長官

○松形政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点の振動障害の関係でございますが、御指摘のございましたように、全国的に大変大きな問題になっておりまして、国有林といたしましては、温泉療法あるいは病院のベッドを約二百六十ほど確保いたしておりますし、あるいは国有林自体でそのような病院に対しての併設病棟等をつくるとかいうようなことでやっておるわけでございますが、民間の場合は必ずしもそれが十分でないという現実がございます。したがって、主として労働省関係の問題になるわけでございますけれども、民間における認定者の治療につきましては、各地の労災病院等の活用というようなこと等を関係省庁に私どもは要請いたしておるわけでございます。  なお、民間のそのような病院の施設というようなものの整備につきましても当然労働省に要請を申し上げますけれども、私どもできる範囲のものは私どもでも協力を申し上げるというようなことは、ある部分については考えておるような次第でございます。  次に、マツクイムシの防除でございますが、現在、私ども空中散布ということによってマツクイムシの防除が非常に進行してきたという、これは現実でございます。使っております薬はスミチオンということでございますが、この残留性がいろいろ問題になっておるのじゃないかと思うのでありますが、土壌残留性等につきましては、私ども国立の林業試験場等でいろいろな調査をしておるわけでございまして、ほとんど検出されてないわけでございます。ただ、高知県で起きましたヒノキが一部枯れた、散布地の一部分が枯れたというような実態がございまして、これにつきましても、現在林業試験場等で試験地を設けてこれの対策あるいは実態調査というようなものを含めまして検討いたしておりますけれども、少なくともあのような貴重な資産を保護するためには、どうしても現在の空中散布というものを拡充いたしましてマツクイムシを防除するしか実は方法がないというふうに私どもは理解いたしておるわけでございますが、その薬の量あるいは散布の仕方、いろいろなことがございますので、地元の方々の十分な御理解、私どもも説明の努力をいたしましてそれらの御理解をいただいた上でこれを施行してまいりたい、こういうことで私どもは対処してまいるつもりでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 その空中散布につきましては、なおまた別の機会に私どもの調査した内容等をもとに長官と折衝いたしたいと思います。  次に、農業の構造改善の進む中で、果樹というものを非常に奨励してきた。果樹を奨励してきたところが、結果においてはミカンが大暴落をしてたくさんの借入金を抱えてその返済にも困るような、返済の見通し等全く立たないようなミカン農家というものが、これはたくさんあろうと思うわけです。そのことで先般高知県における三つの農園のことを一つの例として農林省当局にこうした場合にどうするのか、つまり年々せっかく政府が指導し、県が指導して樹園地を造成してやった、そうしてミカンがとれ出したけれども、そのミカンをとって販売をしてもこの支払いの金額というものは全然出てこないような、そういう経営の生産の実態だから、そういう実態に対してどうするのかということを農林当局に、これを審議するに当たってその実態の調査をお願いをしたわけですが、農林当局としては、これはそれぞれの資金関係等もありましょうし、あるいは農蚕園芸局の方でも果樹園を指導しておるという関係もあろうと思うわけですが、農蚕園芸局としてはこういうふうないわゆる採算割れのするような果樹園芸地というものを借金というものをどうしたらよいのか、その辺によい方法があればお示しを願いたいと思うし、よい方法がないとするならば、それではいつまでも耕作するごとに借金を雪だるまのように太めでいくような経営に農家はしがみついておれというのか、その点の見解を承りたいと思います。  あわせて経済局の方でもこういう資金の処理についてはどういうふうな考え方を持っておるのか、このことをお伺いして私の質問を終わりたいと思います。

澤邊守農林省農蚕園芸局長

○澤邊政府委員 果樹の中でも特に温州ミカンは最近供給過剰の傾向にございまして、価格も低迷をいたしております。四十七年ほどの暴落ではございませんけれども、五十年産、この三月まで出荷されたわけでございますが、につきましても、価格は予想よりは低かったというような状況になっておりますので、これは私どもで果樹農業振興法に基づきまして植栽目標というものを決めまして、余り過大な植栽をしないようにということでいろいろ指導しているわけでございますが、最近反収が非常にふえてきたということもございまして、あるいはまたそのような指導を始める前の植栽のものが結実の時期に来たというようなこともありまして、過剰基調ということになっておるわけでございます。  したがって、私の方といたしましては、温州ミカンから他の果樹あるいは他の作物に改植をするあるいは転換をするというようなことを促進するための緊急対策をやっておるわけでございまして、これは改植に必要な経費に対する補助と改植等に伴いまして収入が減ることに対します融資、それに対する利子補給というような方法で温州ミカンから他の晩柑類等へのあるいは他の果樹、あるいは他の果樹以外の作物への転換を計画的に進めておるわけでございます。  御指摘がございましたミカン農家の一部について借金といいますか、負債が過大になりまして返せないというような事態も一部にはあることは聞いております。例としてお挙げになりました高知県の例は、これはいずれも開拓パイロット事業として四十年代の初めころに開園されたミカン園でございますが、これは植栽直後に台風があったとかあるいはその後たとえば御説明しましたような価格がさえないというようなことから経営不振に陥ったということでございます。この理由につきましては、私ども実は県からまだ詳細な報告をとっておりませんし、現地について調べたわけではございませんので、すべて把握しておるわけではございませんけれども、協業経営、有限会社という形での一種の協業経営をやっておるわけでございますが、このやり方についても若干問題があるように推定をいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、県といたしましては、関係者で協議をいたしまして再建計画をつくらせまして、各種の制度金融あるいは一般のプロパー資金等借りておりますものの、償還延期だとか利子の軽減をするための利子補給とかいうような対策を県で講じておるとともに、先ほども申しました過剰基調というようなことでございますので、引き続きミカン経営を続けていくというばかりでもいかないところもあるということで、先ほど申しました国の施策にのっとった改植等の促進緊急対策事業というものを適用いたしまして、有利な他の作物へ転換をしていくということ、あるいは引き続きやるところにつきましては、優良品種を導入するとかあるいは施設の整備を図ることによって経営の改善を図っていくというようなことをやっておりますので、農林省といたしましても改植等に対します事業の実施につきましては極力応援をしてまいりたいというように思います。

吉岡裕農林省農林経済局長

○吉岡(裕)政府委員 農林漁業金融公庫等の制度資金につきましては、それぞれの農家の困窮の実情に応じまして償還条件の緩和といったようなことで金融面の対応をしていくということでかねがね金融機関の方でも対処しておるわけでございますが、先ほどお話のございました高知県のミカン経営法人の経営再建について、たとえばこれについて関係者の間に協議が調いましてこの経営の再建の方途が明らかになるということになりますれば、再建に必要な償還条件の緩和措置につきまして農林省といたしましては関係金融機関に対しできるだけ配慮するように諸般の指導をしてまいりたいというふうに考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 終わります。

湊徹郎自由民主党

○湊委員長 この際、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議

湊徹郎自由民主党

○湊委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、請願取り下げの件についてお諮りいたします。  本委員会に付託されております請願中、第四八七四号、道頓堀場外馬券売場の設置反対に関する請願について、五月十七日付をもって紹介議員小沢貞孝君から、また、第四八七六号、道頓堀場外馬券売場の設置反対に関する請願外一件について、五月十八日付をもって紹介議員玉置一徳君から、それぞれ取り下げ願が提出されております。両請願の取り下げを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

湊徹郎自由民主党

○湊委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。

湊徹郎自由民主党

○湊委員長 引き続き、農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 昨日に引き続いて、甘味作物の中の特にビートの問題について質問を続けてまいりたいと思います。  昨日はてん菜の今日置かれている状態を考える中で、政策的にも非常に不備な面が幾つかあるということを指摘しながら、所管の食品流通局長の考えを聞かせていただいたり、あるいはまた生産振興にかかわる部局の責任者の御答弁をいただいたのであります。昨日の今村局長答弁の中で、特に畑作関係の振興はビートを含めて、これは私の方の所管じゃないので、私の方は砂糖の問題をどうするかということなんだからという趣旨の答弁があったのでありますが、私はそういう御答弁についてはどうも承服いたしかねる。そこが今日のビートのこういう状態あるいは甘味作物全体に非常に大きな影響を及ぼしているんだというふうに私は考えざるを得ません。きわめて遺憾な御答弁と受けとめているわけです。  そもそも今日、私は一つの提言の中でも触れているのですけれども、農林省の縦割り行政というのがいい方に発揮されればそれは威力を持つのでしょうけれども、悪い方に向いていきますとこれは責任のなすり合いみたいなことになっちゃうのですね。ですから、だれが悪いかれが悪いとか、それはおれの責任でないとかいったようなことではなくて、本当に官民挙げて北海道の寒地作物のビートを守るという姿勢がなかったらいかぬ。ですから、私は農林省だけの責任だなどとはこれから先も決して言いません。私が冊子にまとめて提言をいたしました内容も、耕作農民を含めて考えるべき時期に来ているということを指摘しながら、それに必要なごく一部分の提案をいたしているわけです。特に、昨日もお話の中にありましたが、北海道の畑作あるいは牧草、畜産、水田も含めて、相対的にそのシェアがここ数年の間に大きく変わってきた、ここは非常にさらりと触れておりますけれども、これは私にとっても非常に重要な問題を含んでいるというふうに受けとめます。たとえば牧草畑がなぜそういうふうにふえていったか。その反面、平板的に流れていって立体的な点にきわめて手薄になったということについての指摘は全くそのとおりだ。私はこれは同感であります。  そもそも、北海道の畜産を支えている牧草は、平均して反収五トンや六トンじゃどうにもならぬ。アメリカだって、ルーサンを主体にしてつくっている西海岸の反収を見ますと、ロサンゼルス近郊ではヘクタール当たり百トンぐらいの牧草をとっているというふうになっています。EC諸国でも平均六トン以上とっておる。ところが、日本の場合は、北海道を含めて平均で四トン足らずであります。三・八九トンというのが一昨年の統計に出ている数字であります。それは、考えてみますと、牧草が山の上から下がってきてだんだん平地に拡大をしていったということを裏づけているので、結局遊牧方式で、開発したけれども改良せず、反収の落ちていくのをそのままにして、今度は反収のふえるところに目を向けてどんどん平地に下がってきた、それがビートを食い、ほかの作物を食い込んできたということになっておるのは御指摘のとおりで、その点については私は全く同感であります。さすれば一体これをどうすればいいのかという問題が出てくるのですが、きょうは所管の畜産局長がおられないから、この議論はこれ以上はやりませんけれども、その点はむしろ行政を横割りにして、農林省は最大の知恵をしぼって、この点をどうするのかということをまず第一に考えてもらいたいと思います。  それから、牧草問題は私なりの一つの考え方があります。つまり畑作のローテーションと同じように牧草にもローテーションをしくべきだ。五年たって六年目には更新せよ。更新の中にビートを一枚加えていけば、昨日お話にあったように、北海道の畑作の中に組み込み得る輪作のビート面積というのは確かに四万ないしうんとがんばっても五万ヘクタールで頭打ちでしょう。そうすると、政府がお考えになっている七万七千ヘクタールや二八%の砂糖の自給率はこれはもうとてもおぼつかぬことははっきりしています。だからそこに大きく目を開いていかない限り、北海道のビートを発展的に生産を振興させるということはできないということはもう答えがはっきりしているわけですね。ですからこんなに問題点が幾つかしぼられてきて、はっきりしているのですから、私はおれの責任でないとか、おれのなわ張りでないとかなんて言ってないで、ひとつ砂糖の自給をどうするという観点に立ったら、砂糖については最高の権威者でなければならない今村局長なんですから、そういう後退した御発言では私は納得しかねる。きょう改めてもう一度所管局長としての決意のほどを伺って、まずそれから議論を始めたいと思います。

今村宣夫農林省食品流通局長

○今村(宣)政府委員 北海道におきますてん菜は、北海道畑作の基幹的な作物でございますから、これの生産対策、価格対策その他諸般の対策を拡充強化をしていくことは必要なことは当然のことでございます。その場合、私は北海道のビートなりあるいは麦なりあるいはバレイショなりというふうに個々の品目をとらえての価格政策、その他の対策を講ずるということではなかなか問題の解決にはならないのではないかというふうに考えられるわけでございます。それは、やはり北海道の畑作の輪作という問題をどのように考えていくかということが基本的な問題ではなかろうかと思っておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、一つは北海道のある畑作の農家の所得問題というものをどういうふうに考えていくかというのが非常に基本的な価格問題として取り組むべき時期に来ておるのではないか。それから、同時にまた、相対価格の問題もございます。それぞれの価格に奨励金をつけて、そして畑作面積の中で競争するという、そういう形ではやはりいけないので、相対的な価格問題をどのように考えていくかという問題もございます。そういう基本的な問題につきましては、官房の方で価格の小委員会を部内でも設けてもらいまして、そういう検討をしていただいておるわけであります。それから、同時に、農蚕園芸局の方におきましては、輪作問題の研究をいたしておるわけでございます。私の方といたしましては、御指摘のような諸般の砂糖をめぐります問題を踏まえまして、砂糖全体の研究会を発足をいたしたいと思って現在鋭意検討いたしておるところでございます。そのような意味におきまして、先生御提言の問題も十分含めまして、今後真剣に検討してまいりたいと思っておるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 ただいま農林官房内に設置されます価格問題研究会というもののあり方についてのお話がございました。あり方といいますか、そこの役割りについてお触れになっておるわけですが、昨年からこれが一部実行に移された。特に五十年畑作物価格を秋にしぼって決められた。このいま問題にしているビートあるいはバレイショ、それからでん粉の価格あるいは大豆、砂糖の価格、なるほど確かに一本にして同じ時期に決めました。また、上げ率も九・三%と全部これを一本化しました。ところが、大事なわれわれが要求している家族労賃の不均衡というものは是正されないばかりか、一層その格差が広まるという結果になりました。つまり、私ども農民は、畑作物の価格といいますか、農畜産物の価格を均衡あるものにしてくれという要求はしましたけれども、それは低く抑えるところで一本化せよと要求した覚えもないし、また、時期を同じくすることをもってすべてだというふうに要求した覚えもありません。一番大事なのは、作物間の均衡ということにいま局長お触れになったが、ここの点なんですね。これが是正されなかったら、輪作体系もとれないばかりか、米退治政策を幾らやったって、結果的にはもとのもくあみにちょっと手を緩めれば戻ってしまうという結果になる。ここのところを私は心配するから、畑作あるいは農業経営全体とでも言いましょうか、というものをもう一回根本から洗い直すということが必要だ、私どもがそう言いますと、米は高過ぎるから低いところに均衡させるという発想にすぐ曲がってしまうのですね。そうではないのです。そういうやり方では私は本当に今後のいわゆる農業政策を進めていく上における問題点の解決にはならぬと思うのです。  きのう私はこのことも指摘をいたしました。家族労働報酬というものは、いまさら申し上げるまでもありませんけれども、私どもにとってはこれは月給取りのサラリーであります。これで生活をし、子供を教育し、生活の向上を図り、将来のプランを立てていく大事ないわゆる月給なんであります。ここのところを値切られちゃったら、農民はどうやって生活すればいいのかということになる。しかも作物を選択せよと言われたって、いまのような状態の中で選択の範囲というものはきわめて狭められてしまいます。つまり気持ちでは輪作は大事だ、そして農業政策から言うても食糧政策から言うてもこんなに集中して、これだけにいわゆる作物が集中してしまっては悪いということだって農民はよく知っている。ところができない。できないというのは問題はそこにあるということで、もうこれは私は答えが明確に出ていると思うのです。そこのところをかぶり振ってそうでしょうと詰めれば、それだけではございませんと恐らくお答えになるでしょう。私は、極言かもしれないけれども、今日の農業政策の最もポイントになる部分は価格政策にあると断定いたします。いかがでしょうか。

今村宣夫農林省食品流通局長

○今村(宣)政府委員 五十年のてん菜の価格につきましては、先生のおっしゃいますようにパリティ価格を基準にして最低生産者価格を一万二千百四十円と決めたわけでございますが、その際、パリティ価格の算定方式を改善すると同時に、四十九年産の糖価が高うございましたときに生産者が取得をしました手取り価格水準を確保するという観点から、企業負担による奨励金を加えて農家手取り額一万六千円ということにいたしたわけでございます。ビートの生産の振興のためには価格が非常に重要なことであるということは、私も十分認識をいたしておるつもりでございますが、同時に、反収がことしのように三・八トンと去年のような状態ではなかなか思ったようにいかないわけでございますので、やはり一定の反収を上げながら、しかも価格面についても十分配慮するということが必要であろうと考えております。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 反収の問題については確かに昨年、一昨年と主産地の十勝を中心にして結果は非常に惨たんたる状態でありました。したがって、この点も非常に大きくことしの減反に響いているということは、これはおっしゃるとおりだと私も思います。しかし、少なくとも価格というものがどの作物をつくっても均衡するといういわゆる家族労働報酬を中心にして設定されているということでない限り、反収によって左右されるというものではない。それは春先には、ことしは五トン取るぞ、六トン取るぞといういわゆる目標を定めて鋭意それを実現しようと農民は努力するのであります。三トン取るより五トン取った方が、同じ一反歩当たりに投下する労働からいったって、いわゆるコストの上から見たってその方がいいに決まっていることは、もうだれが指摘する必要もないことであります。しかし、私は昨日指摘をしましたが、四十九年度のてん菜、バレイショ、小麦、大豆の四作物のいわゆる一日当たりの家族労働報酬を比較してみましたら、いまさら言うまでもありませんが、一番高い小麦一万一千六百四十一円に対して、てん菜は二割、二千百六十一円にしかなっていないのですね。いまお話のあった奨励金の三千八百六十円を入れてもなおかつ大変な開きになっている。もちろんビートは最低であります。これはもういまさら私が言うまでもなくて、春早く雪を掘り割ってから始まるという点では、野菜とビートは北海道においても一番早く作業に入らなければならない作物です。秋みぞれが降り、雪が降り積もるころになって収穫をしなければならないというほど、一年間の作業日程が非常に長い。と同時に、一本一本の目方がものすごく重いですから、みんな体を壊すほどビートに体力を費やさなければならぬという作物であります。そういう特性を持っているのにもかかわらず、一時間当たり働いて得る労働賃金がどの作物よりも安いといったら、何ぼお題目を並べ、輪作が大事だからビートをつくれと言ったって、実際にその作業に当たっている農民にしてみれば、いいことはわかっていたってつくり切れないという結果になるのですね。だから私は、断定して、価格政策を確立すること以外に今日のこの非常事態を迎えたビートを蘇生させることはできないと言っているのはその点にあるのです。  しかも、昨年は政令の改正を行って、まきつけ前にビートの価格は決めてくれという現場の農民の声を全く無視して、一方的に十月三十一日とこれを延ばしました。私は、延ばす理由等、農民のコンセンサスを得るなら抵抗してまで反対をしないと、当時の森前食品流通局長にそう申し上げた経過がございます。皆さんがコンセンサスの中でその方がいいとおっしゃるのであれば、私はそれは反対はいたしません。しかし、諸般の状態から考えて、ビートをつくるという現状の中では、やはり春先にことしの耕作の条件を含めてお決めになることが、ビートが今日のような状態になってしまった現況から考えるならば非常に大事な措置でありますから、ことし政令改正して延ばすということについては見合わすべきだというのが私の主張でありました。  それも、前段申し上げた価格政策に含まれる大変大事な家族労働報酬というものは、ことしはわれわれは一時間当たり一体幾らもらえるのかという、そこのところがはっきりしないと、ビートに対して勇気を持って、自信を持って耕作することができないという事情が現地の方にずっとあったからです。そのことを察知していたから、私は当面の問題として反対をいたしました。永久不変にその考え方で押し通すということを申し上げたつもりはないのです。  だから、ことしもこういう状態になって、きのう指摘したとおり、四万八千ヘクタールと昨年でも赤信号であったビートが、ことしは四万一千ヘクタールになってしまった、ゆゆしき一大事だ、非常事態宣言をしたと言ったら、それは一部の農民の宣言でしょうときのう局長が言ったけれども、そうじゃないのですよ。糖業も含めて北海道の大事な特産がいま危機にさらされている。四万ヘクタールで反収が昨年並みのような状態だったら、ことしは九工場のうち何工場か閉鎖せざるを得ないという危機状態に追い込まれるのです。地場産業で、特に農産物の加工工場として煙を吐き続けてきたこの工場が閉鎖されるということは、その地域にとって社会問題であります。  いま農林省所管の出先の機関で一人か二人しかいない機関を閉鎖統合するのでさえも、これは社会問題として地域では大変な騒ぎになるのであります。工場が閉鎖してしまうということになったら、これは一大事ではありませんか。だから私は非常事態であり危機であるということを言ったのであります。何も私は事大主義で物を言っておりません。四万一千ヘクタールというのは、いまから十年前、ビートがやっと少し緒につきかけたころの耕作面積なんです。十年前に逆戻りしてしまったのであります。これだけはっきりしておって、なお政策の不手際でないと言うのなら、一体どこに原因があるとおっしゃりたいのか、私はそこを聞きたいのです。官房長もおいでだから官房長の御意見も聞かせてもらって結構だと思うのですが、いかがですか——。局長がお答えくだすって結構です。

今村宣夫農林省食品流通局長

○今村(宣)政府委員 一つは価格の決定の時期でございますが、予示価格的にといいますか、予示価格として作付前に価格を予示するというのは、ECなんかもそういうふうにやっておりますが、そういうふうにやるとすれば、ビートだけではなくて、全体的な作物についてそういうことを考える必要があるのではないか。それから、御指摘のようにそのベースには相対価格の問題も当然ベースとしてございます。そういう点をあわせまして、私はやはり総合的なそういう北海道の畑作の価格問題ということを検討をしていく必要があると思っておる次第でございます。  それから、ビートは確かに労働時間を要する作物でございますし、また肥料その他は他の作物に比べましてたくさんやらなければいけないということで、コストのかかる要素を持つ作物であることは確かでございます。たとえばバレイショの時間当たり労賃と比べてみましても、それは相当な差があることは事実でございます。したがいまして、価格を決めますときに、その間の事情をどういうふうに考えていくかということは一つの重大な問題点であると思っておるわけでございます。  それから同時に、奨励金三千八百六十円を上乗せをいたしておりまして、そしてこれはビートにつきましては会社が支払う、会社が支払えなければ国が責任を持つという形に相なっておるわけでございます。そういう意味におきまして、一万六千円というのは、実は相当高い竹馬に乗っておるような状態でございまして、いまのような、まず会社が負担し、会社が負担できないときは国が負担するというふうな形での処理はいつまでもやっておれない問題であろうかと思います。この竹馬からおりるといたしますと、南と北で竹馬からおりますのに大体八十億ないし百億の金を要するわけでございますから、これらの問題を含めまして、五十一年産のてん菜のときには価格について十分検討をいたす必要があると思って鋭意勉強をいたしておるところでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 時間の関係があって次に進まなければなりませんが、私はいま国内産糖、つまりビートの加工企業の実態についても若干触れました。同時に、この国内産糖を圧迫している一つの原因の中に、いわゆる輸入粗糖によりますクリーニング業界の混乱状態が一つあると思うのです。つまり私は今日のこの状態を一言で言い尽くすなら、商社独占による業界支配が進んでいるというふうに見るのが妥当だと思う。砂糖は自由化されて以来、一つのいわゆる方向をたどってきた、その経過を振り返ってみますと、一朝にしてこれは解決できないという内容を多分に含んでいるということについてはよくわかるのですけれども、しかし察するところ、どうやら日本の商社の悪玉代表というのが砂糖にもまたずらり顔を並べて今日の砂糖を支配しているということが明らかです。しかも零細精糖業者を圧迫して、陰惨な手段をもってこの業界の独占を図ろうとしているという意図は最近になっていよいよ顕著であります。そもそも日本にはいつのころからか豪州糖を中心にしたグループと、もう一つの、通称ナタールと言っておりますが、ナタール糖グループとに分かれて、この抗争はまさに目を覆うべき状態にあると言われております。この点は、私も局長としばしば議論をいたしました中でも所管の局長としての苦悩のほどを知らされているから、非常に努力をされていないとは私は申してはおりませんし、考えてはおりません。しかし、どうも困ったもんだということでほっておいていいのかと言うには余りにも問題が大き過ぎると思うのです。これをきちっとしなかったら日本の砂糖、つまり食糧の大事な一環を占めるこの砂糖政策は確立しないとさえ私は思うのです。いま悪玉商社六社ということを言いましたけれども、どうもいつも顔を出している問題の丸紅を初めとして伊藤忠、日商岩井、三井物産、三菱商事、トーメン、こういう六社が今日の砂糖の全体を握って、銀行を動かしてほしいままに、いわゆる悪の限りを尽くしている。これをこのままほっておいたら行政もへったくれもないではないかという批判があります。しかも内部に入れば、いまの豪州糖グループとナタール糖グループの葛藤がある。不況カルテルを組むことさえ問題があるという状態であります。この実態をどのようにしようとお考えになっておるのか。これはなかなか根深いから一言で説明しにくいところもあるんでしょうけれども、いかがですか。

今村宣夫農林省食品流通局長

○今村(宣)政府委員 私は、糖業の政策目標について三点あると思っております。  一つは、糖価の安定でございます。これは輸入糖を精製しております精糖業の立場だけではなくて、国内産糖の立場からも必要なことでございます。と言いますのは、糖価が一円下がりますと、いまの国の財政の持ち出しが大体五億円というかっこうに相なるわけであります。仮に糖価がキロ二百五十五、六円いたしておりますれば、現在の将励金を含めた価格を会社が支払えるという形でございますから、糖価の一定水準での安定ということは、これは国内糖にとりましても精糖業者にとりましても、ぜひ必要なことであろうと思います。  第二は、秩序ある輸入と申しておりますが、安い砂糖だからといって競争してたくさん入れて在庫をいっぱい抱えて、そして糖価を圧迫するというふうな形があってはいけませんので、秩序を持って輸入をしてくるということが第二点でございます。  第三点は、糖業界の構造の改善であろうと思います。現在の糖業界の構造は必ずしも強固なものではございません。したがいまして、そこの合理化といいますか、内部の組織化といいますか、そういう点につきましても十分配慮をして、糖業の構造の改善を図っていくという必要があろうと思います。  現在の糖安の制度は、御存知のとおり、上限価格を超えました場合には金を払い、下限価格より下がりましたときは課徴金を取るというふうな、それだけの仕組みとして仕組まれておるわけでございます。それは長い間の外貨割り当ての弊害その他もございましたでしょうが、そういうふうな形で精製糖業には制度として現在の糖安法が仕組まれておるわけでございます。したがいまして、いま私が申し上げましたような三点につきましては、現在の制度のもとにおいては課徴金を取るという、そういう制度として仕組まれてしかおりません。  そこで、今後の方向を考えます場合に、一つは、精製糖の方はそういう組織であっても国内糖がそういうふうな糖価の変動による影響を何とか受けないように、そこをどのようにうまく制度的にさらに確固たるものにできるかどうかという、そういう方向が一つあると思います。  それから第二の方向としましては、やはり輸入糖も含めて需給の調整といいますか、これは独禁法との関係もありましてなかなかむずかしゅうございますが、それを全体に取り組んだような需給価格の安定ということがどの程度仕組めるかという、私は方向としてはその二点であろうかと思います。  もう一つ考えますと、現在の糖安法の制度、目標価格でありますとかその他上下限価格の制度の設定そのものにも問題があるかもしれません。そういう点も検討いたさなければいけませんが、制度的に考えますときには大きな方向はその二点ではないか、そういうことも含めまして、今後研究会で十分検討してまいりたいと思っておる次第でございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 いま積極的にやろうというお考えを、一部方法を含めてお示しになられたから、私は私なりに後ほどそれに付随しての提案をいたしたいと思います。  私の質問に対しては率直にお答えになっていないのでありますが、重ねて申し上げますと、この業界の混乱というのはまさにこれは目に余る。同時にまたその疲弊もその極に達していると言わざるを得ません。原糖自由化以来十年余りたったのでありますが、これほど独占が海外市場を確保するために激烈な輸入競争をやって、国内の市場拡大のために血道を上げてきた。何のことはない、結果的には設備投資競争に広がってしまいました。需給もへったくれもない。不均衡による極端な市況の低迷をみずから招くという結果にもなった。しかも先ほど指摘をしたように、糖業に対する商社独占、無節操なまでの資金の投下や株式買収あるいは役員を強力に送り込む、こういったような名実ともに精製糖企業を支配しようという形に今日発展してきた。言いかえれば精製糖企業は商社独占の意のままに動く出先機関、こんなかっこうになってしまった。しかもいままでは、いま局長がその対策としてお述べになっていた点に触れるのですが、砂糖価格を自在に操るという形になってきた。いよいよどうにもならなくなれば投げ売りをやるという、まさに独占禁止法にも触れるような中身を含みながら、今日の砂糖の業界支配をたくらんできたわけです。  私はこれだけ申し上げれば、もう今日の状態に対して、こうした独占商社のやり方に対していささかも手を緩めるようなことがあってはならないし、徹底的にこの際業界粛正をやるべきだという強い考えを持っている一人でありますけれども、これにはなかなか歴史があって、なかなか一朝にして私の言ったようなことにまいらぬということもわかるのですけれども、思い切った措置が今日必要だと思っているのです。言いかえれば、自由主義経済における最も悪い側面が表面化してきたとさえ言えるのですね。  そこでいまお述べになっている中でも、対策としての具体的なお考えが示されましたけれども、私も一つその点に触れてさらに重ねてお尋ねをしたいと思うのですけれども、需給調整という問題は、これは非常に大事なことだ。この点についてはすでに四十一年の十月ですか、業界の関係七団体が集まって自主的に需給調整を行うという機関を、文字どおり需給協議会という名前で設置をした。半期ごとに需要予測を行って適正な供給量をみずから策定して、これによるガイドポストをきめてやろうといたしましたけれども、残念ながら前段私が申し上げてきたような今日の砂糖業界の状態の中で、特に豪州糖グループ、ナタール糖グループの激しい葛藤、こういうものが内部にあって、そのいわゆる決めたことが実行に移されないばかりか、拘束力がないものですから、こんなものは有名無実になってしまった。そこで私どもはきのうもちょっと触れましたが、私ども社会党は、公明、民社両党との公同提案によって、参議院に砂糖三法の改正案を提案いたしました中に、この砂糖需給協議会の設置を法律の中で位置づけせよという一項を持ち出したのは、いま申し上げた理由によるからであります。今日ほどきちっとした機関による需給調整が必要なときはないと思うのです。いま需給の問題について局長もお触れになりましたが、これを法制化して、需給協議会としてきちっと位置づけすべきだという私の提案に対しての局長のお考えを聞かしてください。

今村宣夫農林省食品流通局長

○今村(宣)政府委員 いまの糖安法の制度は、先ほど申しましたようにPの世界だけがございまして、Q、数量の世界が全然ないわけでございます。それは制度としてそういうふうに仕組まれておるわけでございますが、そこで、四十八年の九月までは砂糖の需給協議会というものを開いて砂糖の需給見通しがいろいろガイドラインとして討議されてきたのでございますが、必ずしもガイドラインに即した供給が行われたとは言いがたい。同時に物価のつり上げを目指すものではないかという批判を非常に浴びましたので、現在そのようなガイドラインを設けてはおりません。最近の砂糖をめぐります内外の諸事情にかんがみまして、業界からの需給協議会を開いてもらいたいという要請もございますし、制度として政府としましても秩序ある輸入、糖価の安定というふうな見地から、そういうふうなガイドライン設定を十分考慮する必要があると考えておりますが、これの実効を期するためにはどうしても、精糖業界及び消費者間の協調というものが確保されることがベースに相なるわけでございますので、その見地からなお検討をいたしたいと思っております。  これを法律上に規定するかどうかという問題でございますが、私は、法律制度を検討いたしますときに、そういう需給全体の問題として考えますときには、そういう需給協議会を設けて需給を検討するということも制度の仕組みとしましては十分考えられるところであろうと思いますが、問題は需給協議で協議をして決めたから、その決めたことが拘束力をどのように持ち得るものかということになりますと、これは独占禁止法との関係がございますので、その協議会の法律的な設置と、その協議して決めましたものの効果の確保という点につきましては、十分検討してみなければいけない問題があるというふうに思っておるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 次に、第二の点でありますが、先ほどもちょっと触れました製糖設備の調整というものが第二点目としては必要だと思います。つまり、過剰設備になっているということ。ところがこれは国内産糖製造事業については、これは規制があるのですけれども、精製糖については野放しだ。だから、どんどんどんどん設備を拡張してさっき言ったような状態をこういう業界に生んできた。だから、何らかの規制が要ると思います。これは法律を直せばできるわけですから、ひとつこの提案に対しても積極的に御検討願いたいと思いますが、いかがですか。

今村宣夫農林省食品流通局長

○今村(宣)政府委員 確かに御指摘のように精製糖の設備の新増設の規制ということは現在のような状況では必要だと私は思いますが、これは法制上の問題としまして、営業の自由にかかわる問題でございますので、この精製糖業を仮に認可制にするとか許可制にするとか承認制にするとかいうことになりますと、法制上の問題が非常にあると思います。国内産糖はああいう形で国内産糖の認可制をしたのですが、あのときにも実は法制局で相当な議論があったわけでございます。そこへいきますと、精製糖業の設備規制という問題につきましては、営業の自由という観点から法律的にそれが可能であるかどうかという点について、十分検討をする必要があるというふうに思っておりますが、法律制度上はなかなかむずかしい問題であろうと認識をいたしておるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 時間が余りありませんから、最後にまとめて提案をいたしますが、大蔵省もお見えですか。——それではこれは所管の今村局長に聞く以外にないのですが、考え方をひとつ聞かしてもらいたいと思うんですが、私は税制度の見直しもこれはやるべきだと思うんです。二、三年前に砂糖が大暴騰いたしたときにも、私は大蔵省の関税局長ですか、来ていただいて考え方を聞いたんでありますけれども、砂糖消費税なんかは世界一高いというのが日本の砂糖の消費税の実態なんですから、これはひとつ大幅減税をして、ただにせいとは言いませんけれども、大幅減税をして、逆に国内産糖保護の強化というたてまえからいって、関税をもっとふやしていくべきだと思うんです。それが、一つはさっきの需給調整協議会と連動してそういう機能が発揮されれば、精製糖業界の状態というものを正しくしていく上で相当作用すると思うんです。  それから、これは余り大き過ぎてちょっと答えにくいということになるかもしれませんけれども、独禁法という問題を先ほど言われました。私どもは独禁法の改正、これはこの委員会だけの問題ではございませんけれども、独禁法の改正によってその厳格な運用がなされるということも、今日の砂糖業界を整理していくという上では大事な点だと思います。  以上についてのお考えをお述べいただきたいと思います。

今村宣夫農林省食品流通局長

○今村(宣)政府委員 関税、消費税の振りかえという措置は、国内産糖保護のために非常に有力な措置であることは御指摘のとおりであります。しかし関税は六十三円という相当高い水準にもうすでにあるのでございまして、現在、新国際ラウンドが開催されておるような時期でありますし、また砂糖が熱帯産品としまして、発展途上国の非常に関心の強い品目でもあり、また最近UNTAD等の国際舞台におきましても、輸出所得の確保等ということが大きく問題として取り上げられておるような時期でもございますので、これ以上、関税、消費税の振りかえをやることは、非常に有力なる手段ではございますが、国際的な問題も十分考慮に入れて考えなければいけない問題であろうかと思っております。そういう意味合いにおきまして、砂糖税制のあり方の改善を考えることについては国際的摩擦を十分予測し、国際的な観点に戻って物を考えていかなければならないのではないかというふうに思っておる次第でございます。  それからなお、お尋ねの独占禁止法の運用等の問題につきましては、私の方としましても今後十分勉強をしてまいりたいと考えておる次第でございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 それでは砂糖の問題はこれで打ち切りまして、公正取引委員会からおいでいただいたんですね。申しわけありませんが、時間がなくなっちゃったのでまたの機会にさしていただくので、引き取っていただいて結構です。どうもありがとうございました。  大臣がお見えですが、大臣も余り長く時間が取れないようですし、私の時間ももう大分制限をされておりますから、端的にひとつお答えをいただきたいと思うんですが、これから話題にいたしますのは合板業界の問題であります。きょうは二つだけお尋ねしたいと思うんです。  その一つは、不況カルテルの問題であります。もう一つは構造改善の問題であります。これはわが党の同僚議員からもすでに三月に質問がなされています。また参議院におきましては、これまたわが党の同僚議員からかなり長時間にわたって質疑がなされており、政府の考え方というものがある程度示されております。つまり、第三次不況カルテル、これは時間が切れたのであります。しかし、こうやって永続的に不況カルテルを発動してまいったのでありますけれども、現実にはなかなか政府が考えているような方向でこれが機能しない、こういう状態にいまあって、非常に深刻な状態に置かれています。同時に、この三次にわたる不況カルテルの中でも、残念なことに必ずしも足並みがそろっていないというような実態が幾つか出ている。それどころか、何を感違いしたのか、そこで働く労働者の方に逆にしわ寄せが行っている。労働時間の延長だとかあるいは法に触れるような実態が逆に出てくるというようなことでございますから、この不況カルテルというのは、なかなか思うようにはいかない今日の全体的な、これは何も木材業界だけの不況ではないから、そういう点については幾つかの問題点を含んでいるんだということはわかるわけですけれども、次にこの不況カルテルについてはどういうふうにしようとお考えになっているのか、ここをひとつお聞きしたいと思うのです。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 後で林野庁長官からも詳しくお答えをいたさせますが、この合板業界が非常に不況で悩んでおる。これは私たちも頭を痛めておるわけでございます。何としても景気が不況で住宅その他が非常に落ち込んでしまったというところに大きな原因があるわけでございますが、ようやく景気も立ち直りの気勢を見せ始めたわけでございますので、われわれとしても合板業界が不況カルテルをさらに行わないでも十分安定していくような方向に進むことをこいねがっておるわけです。しかし、現実の問題としては非常に困っておる。それで業界からはしばしば不況カルテルを延長してほしいという強い要請が来るわけでございます。しかし、いまお話がございましたように、なかなか業界内の足並みがそろわないというふうなことがあって、実は林野庁でもいろいろと検討しておる段階であろうと思いますが、なかなかそこに問題もあるようであります。まあ、公取にももちろん問題があるわけでございます。そういう中でこれからの合板業界はどうしたらいいのか。やはり何としてもこういうとき業界は足並みをそろえて一致結束しなければ、足並みを乱してしまったらお互いに足を引っ張って結局業界全体が首をつるようなことになるわけですから、業界の団結といいますか、足並みをそろえることを私は強く要請してきておるわけでございます。なかなかそれがうまくいっておらないということでありますけれども、これらの問題についてはいませっかく研究をいたしておる段階でございまして、私としても何とか方向を見出さなければならないというふうに考えております。

松形祐堯林野庁長官

○松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣からお答えいただきましたように、第三次、三回まで行ってまいりましたけれども、非常に不況が長く続いているということ等もございますし、また、ただいま御指摘がございましたように当初の目的どおりに全部が一致いたしましての生産調整ということになっていないという部分がございます。一部の地域でございますけれども、全員の賛同を得られてないという面がございまして、必ずしも予想どおりの市況の回復というようなものにはなっていないわけでございます。したがって、現在そのようなまた第四次のカルテルの申請というようなことで申し込みがございますけれども、私どもこのような過去における実態にかんがみまして、認可の要件としての不況自体が必ずしも解消されているとは思っておりませんけれども、業界のそういう一致団結ということの可能性というものも検討しなくてはなりませんし、また今後の合板の需要の状態あるいは価格の見通しとかそういうこと等につきましても、協議機関でございます公取あるいは通産省とも一緒になりまして現在検討をしているということでございます。  なお、労働問題等があるわけでございまして、これにつきましては私ども事前に十分に理解を深めるということの指導をいたしておりまして、また二月にはわざわざ全企業に対しまして林野庁から通達を出しまして、事前の理解が十分深められて実行されるようにというような指導を私どもいたしているわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 ただいま検討中であるという御説明でありますけれども、すでに日合連では理事会で決定して申請を出すという態勢にいま入っているわけですね。これは十分、いままでのお話の中でも出ておりますように、慎重に検討しなければならぬことではありましょうけれども、この際私は幾つかの問題点を指摘しておきたいと思うのです。  いま労働問題について触れました。そもそも不況カルテル、これは生産制限カルテルでありますし、当然市況の回復にねらいを置いて需給のバランスをとっていくとか、そのことによって経営が安定する、これは即そこで働く労働者の労働の維持と安定を図るということにつながっていくわけですから、この点は非常に見逃すことができない大事な点なんであります。ところがさっき私が触れましたように、どうも認識が十分ないのかそれとも林野庁の業界に対する指導が悪いのか、目に余る法律違反が行われている。こういう事例は枚挙にいとまがないくらいあるのであります。私もその例の幾つかを承知しているのですけれども、どうも悪質きわまる。勤務時間を逆に延長していく。七時間を八時間にする。残業割り増し率というのは三〇%を二五%に切りかえてしまったなんという例もあります。また、深夜勤務手当を五〇%従来つけていたものを三〇%に引き下げる。二直を三直にする。こういったような状態が各所に出ている。確かに経営が苦しいから抜けがけもやりたい、何とか自転車操業式に、カルテルはあるけれどもおれのところは乗り切りたい、生き残っていきたい、そういう気持ちが出てくることはこれはやむを得ないのかもしれませんけれども、しかしそれを放置しておいたのでは、何回不況カルテルを発動したってこれはだめなんですね。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 ですから、この際むしろ逆に週休二日制を実施するといったようなことを含めて考えてみる必要があるのではないか。そうして中小企業団体組織法で責任が明確にされております第二十六条、第二十七条——これは条文を言うたっておれは知らぬよと言う人もいる、これじゃだめなんでして、この法律にはこう書いてあるということをきちっと認識させなければいけないと私は思うんですね。ですから、仮に不況カルテルを発動するということになれば、法二十六条、二十七条の条文を明記してこれを責任条項として守らせる、それがなかったら認可しないというぐらいの姿勢でなかったら、私はそこで働いている者はたまったものじゃないと思うんです。しかも、労働組合との事前協議は守れという指導もされたようでありますけれども、これも一向に守られてないところがある。ぜひひとつ整理をしてもらいたいと思います。お考えはいかがでしょうか。

松形祐堯林野庁長官

○松形政府委員 ただいまそういう労働条件に関しまして守られてないじゃないか、いろんな実態があるという御指摘でございますが、私ども自体も適宜その工場のチェックをいたしておりまして、いろいろ第三者機関等も使って現在カルテルの実施状況についてのチェックをいたしておるわけでございます。  御提案のございました週休二日というようなことも話題に上ったこともございます。しかし、このような企業が大変不況下で呻吟しているときの週休二日制というのは、言うべくしてなかなかむずかしいというのが実態であろうかと思います。  さらにまた先ほど御指摘の法律の精神といいますか、これは努力目標の規定をいたしている二カ条でございますが、これを受けましてこれを条件とするということは、法律の性格上なかなかむずかしいと思いますけれども、御指摘のような精神というものは各経営者が十分認識すべきことでございますので、今後も私どもはこの精神にのっとった指導を徹底さしてまいりたいと思うわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 次に、構造改善の問題でお尋ねをいたします。  これまた日合連が、最近設備の過剰という問題の中からこれをスクラップしていくという方針を打ち出されているようであります。私は前段でまず大臣にお尋ねしたいのですけれども、通常三〇%過剰というようなことがいま言われています。この三〇%過剰という認識で大分業界の受けとめ方と政府自体の見方とに開きがあるように私は思うのですが、業界は三〇%をスクラップすると言う。つまりその背景は、三〇%設備が過剰であるという認識の上に立っているわけですね。政府も同じような考えに立っているのですか。

松形祐堯林野庁長官

○松形政府委員 お答え申し上げます。  生産量が最も増加いたしましたのが御承知の昭和四十八年でございますが、そのとき生産量といたしましては約二十一億五千万平米という生産をいたしておるわけでございます。その後ずっと需要の減少によりまして、五十年の生産量が約十五億四千万平方、こういうことになっております。したがって、大体三〇%ぐらいの減になっているわけでございますが、業界の考え方としては、今後さらに大幅な需要増加が期待できないというようなこと等から見まして、現在の設備が三〇%ほど過剰であるというような判断をしているものだと思うわけでございます。  ただ、現在はそのような生産状況でございますけれども、果たして将来の日本の住宅の需要のあり方あるいは数量、そういうもの等から見て、いまのこの三〇%の生産の減というものが直ちに設備の過剰に結びつくのかどうか。やはり将来の需給というものを見てからの過剰の程度ということを検討すべきだろうと私どもは考えているわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 政府は官報で三月三十一日、農林大臣名をもって合板企業の近代化計画を出しましたが、いま長官からお話のあったその製品の供給量というのは二十二億平方メートル、これは昭和四十八年の最大ピークのときの状態に戻していくという方針であります。私はいまのお話ではどうもはっきりとはわからないのです。つまり、そのときの住宅建設というのは百六十五万ないし百七十万、こう見込まれるという中でのいわゆる差し引き勘定で三〇%過剰だ、そういう見方もしているのかもしれませんが、確かにこの不況の中で百六十万から百三十万程度に住宅建設は落ち込みました。当然のことながら需給のバランスが崩れる状態になったわけです。しかしことしは大体百七十万戸程度の住宅建設が見込まれるというふうになっていますから、それが確実に実行されれば三〇%の過剰部分は解消できるというふうに、単純算術計算ではそうなるのですが、そういうふうにいま見通していますか。

松形祐堯林野庁長官

○松形政府委員 お答え申し上げます。  この計画をいたしました折の当年度の住宅の見込みを、私どもは大体百四十五万戸程度と思っておりまして、いまお示しのような建設省の五カ年計画の初年度でございますが、百六十万戸とかそういう数字になりましたらもっと稼働率は上がるであろう、私どもはこういうふうに思っているわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 ただいま衆議院の商工委員会では、中小企業転換法が議論されております。つまりこれが通るということを前提にして日合連はスクラップ方式を打ち出しているのだ、こう思うのです。政府はこれを積極的に受けとめるというお考えでしょうか。つまり施設廃棄事業というようなものが今後転換法の中でどのように取り上げられていくかというのはこれからの問題なんでしょうけれども、かなりそういうところにねらいを置いた法律でありますから、こういう点についてもこの業界の実態を踏まえて恐らくこの転換法の中で取り上げていくということにならざるを得ないのだと思うのですが、これはいかがなんですか。

松形祐堯林野庁長官

○松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま転換法についての御審議が進められているというふうに聞いているわけでございますが、私ども合板も指定業種になるのかどうかということが問題だと思うのですが、業種指定の要件に照らしまして、同法の施行の時点における合板事業の活動の状況、そういうことを十分分析してみないとこれが指定業種になるのかどうかという判断はなかなかむずかしいものと私ども考えておるわけでございます。  なお、その場合共同施設の廃棄事業等がその裏にあるのじゃないかというお話だと思うのでございますが、御承知のように中小企業振興事業団法によります共同施設の廃棄事業というのが行われておるわけでございますが、これは商工組合などが、その組合員から廃棄にかかる施設を買い上げるというような内容の事業でございまして、この事業を実施するかどうかというのは組合の自主的な判断に任されておるわけでございまして、いま御指摘の転換法におきましては個々の事業者が転換計画を定めるということになっておりますので、その計画において共同施設廃棄事業そのものを定めることはできないであろうと私どもは思っているわけでございます。  ただ、転換法案によります個々の事業者の転換事業の実施に際しましては、冒頭申し上げましたような商工組合等の共同施設廃棄事業というようなものも並行した形で検討されるべきものだと思っているわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 大臣、日合連が、先ほど私は自主的に積み立てをしてスクラップ方式を今後とっていくんだ、こういう方針を理事会において決定をした、政府としてはこれに対する意見なり考え方なりがありますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 日合連がやっております構造改善の事業に対しては、これを見守りながら対処してまいりたいというのが現在の政府の方針でございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 もう時間がなくなってしまったものですからこれ以上議論ができないのですけれども、見守りながらというのはきわめて微妙な、含みのある発言ですね。と言うと、三〇%は構造的な過剰なのか、それとも住宅政策等進めながらやっていけば解消できる、そういう内容のものなのかという点についての議論が大きくかかわってくるのです。だから前段で、私は三〇%の問題を何回もお聞きしたのはそういうことなんですね。時間がなくなってしまったから、次の人に御迷惑をかけてしまいますからこれでやめますけれども、私は、これは慎重にというよりも、むしろもっとほかに方策がある、これにはいろいろなついて回るリスクがありますから、これは慎重の上にも慎重を期すという方向でいかなければならない、そういう意味でおっしゃったのなら理解しますけれども、ちょっと微妙な、含みがあるようにぼくはニュアンスとして受けとめました。以上で私の質問を終わりますが、いま私の申し上げたことに対しての大臣の考え方、これは聞かしておいていただかなければなりません。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 十分慎重に対処してまいりたいと思います。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 終わります。

山崎平八郎自由民主党

○山崎(平)委員長代理 次に、津川武一君。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 このたび山形県の朝日町でトンネル爆発事故が起きましたので、そのことについて、地元山形県の共産党と協議し、調査した結果に基づいて若干の質問をしてみたいと思います。  昨年十一月二十九日、千葉県のゴルフ場建設現場で、土砂崩れのために、秋田県や青森県の出かせぎ者を含めた七人が、ことし二月二十日には、栃木県那珂川架橋工事で山形県朝日町などからの出かせぎ者六人が、さらに今度の五月十日には、山形県朝日町のトンネル爆発事故で、山形県の農民を含めた九人がそれぞれ事故のために亡くなっております。私たちは、こうした犠牲者になった方たちに心からの弔意を表すると同時に、同じ事故を繰り返したくないために若干の質問をしてみたいと思っております。  このあってはならない事故が、昨年の十一月、ことしの二月、五月と、三カ月に一回の割合で繰り返されております。工事を担当しておる建設土建資本には、災害防止、人命尊重という概念が欠けているのではないでしょうかという疑念が出てまいりました。政府の指導、監督にも問題があるのではないかと思われます。  ドルショック、オイルショック、不況、高物価の中で、ゴルフ場建設、トンネル掘りなどの単純労働、それを提供する労働者が余ってきたので、資本が労働者の安全だとか命に対する配慮をどこかへやり始めたのではないでしょうか、こんな心配が持たれます。特に大林組でございます。ことしの二月に栃木県で六人死なしておきながら、今度の五月の十日、あの朝日町で同じ事故を起こしております。栃木県での事故に対して、批判だとか検討だとか、対策があったのでございましょうか、こう思われるのであります。また、朝日町の農民は、ここから、二月に栃木県まで出かせぎに行って災害死に遭っております。今度のトンネル工事で同じ朝日町の方たちが災害死を繰り返しているのでございます。農業外収入に頼らなければならない農民を災害死が追いかけていると言ってもいいのではないでしょうか。しかも朝日町と栃木県での工事は公共事業であり、国の予算を使っているのでございます。これが私の前置きの前段でございますが、こうしたことに対して政府はどう考えているのか、まず安倍農林大臣に伺います。  次に、大林組が繰り返し災害死を起こしておる。これに対して労働省はどんな点検、どんな指導をしたのでございましょうか、この二点をまず伺います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 事故が起こりまして、それによって犠牲者が出るということにつきましては、まことに遺憾にたえない次第でございまして、犠牲者の方々の御冥福を心から祈るわけでございますが、今後はこうした事故が起きないように、安全性確保等につきましては下部機関等にもよく徹底をいたしまして、今後とも最大の努力をしていかなければならない問題であると考えます。

野原石松労働省労働基準局安全衛生部安全課長

○野原説明員 大林組が今回二つの大きな事故に関連をしているわけでございますが、まず、大瀬橋の例の潜函工事の事故につきましては、労働省としては直ちに科学調査団を設けまして原因の究明を行い、その結果に基づきまして司法処理という最も厳しい処理に付しております。その調査結果に基づきまして、私どもさっそく全国の安全衛生あるいは監督関係をやっております課長会議の席上具体的な監督、指導のやり方について指導をして、一層監督、指導の充実強化を図ってきたわけでありますが、たまたま今回また山形県においてこれまた大林組の元請に係る工事において大きな事故が発生し、遺憾にたえないところでございますが、今回の事故につきましてはまだ原因調査の段階でございますが、先般大林の副社長を本省に呼びまして厳重に警告を発したわけでございます。なお、今後の調査の結果を踏まえましてさらにしかるべき措置をとりたいと考えております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 事故を起こした工事そのものについて質問してみますが、今度の爆発事故があった面部幹線トンネル工事は、全長九千百四十メートル、完成すれば農業用水路のトンネルとしてはまさに全国一の長さ、また昨年夏完成した中央高速自動車道の日本一長い恵那トンネルの八千四百八十九メートルを上回っております。長大トンネルで、事業に当たっては東北農政局でもトンネル掘りの専門家を最上川農業水利事業所に配置しております。それでありながら今回の大事故が起きたのでございますが、事業所の関係者は第二工区、事件が起きた工区です、爆発事故が発生することは考えてもみなかったと、予想外の事故に当惑しているが、着工前に実施した地質調査の際はガスの発生に注意せよとされておりますが、こうなると、起こるべくして起きた事件じゃないかと思いますが、特に農林省としては日本で一番大きな規模の工事をやる、一番大きな力を注いでいるはずの場所での事故なのでございますが、いま私が指摘したことは事実でございましょうか、違っていたら御指摘願います。

岡安誠農林省構造改善局長

○岡安政府委員 今回不幸にして事故が起きました工事は、先生御承知のとおり、昭和四十七年度に着工いたしました国風の最上川中流農業水利事業でございまして、その事業の中で最上川から大体毎秒約八立方メートルの水を導水するために延長九千百三十メートルにわたってコンクリート巻き立てのトンネル工事が含まれているわけでございます。この西部幹線トンネルの工事につきましては、ここが地質上特殊な構造を持っているところを縦断をしてこのトンネル工事は施工するため確かにガスの発生が予想されたわけでございます。そこで現地の事業所、それから労働基準監督署、それから警察署、施工業者、四者で災害対策協議会というのを設けまして、安全確保に努めながら工事の実施を行うよう指導してきたところございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 問題のある地質で、農林省の一番大きな仕事で、関係者で協議しておりながら起きたというから、私は事が重大だと思う次第でございます。  そこで、起きた事故の発生状況についてお伺いいたしますが、私から先に指摘しますので、この点、間違っておったら直していただきたいと思いますが、当日、五月十日午前七時、十名が入坑し、午前八時二十分ごろ発破をかけた。九時五十二分ごろ坑内で突然爆発が起こって九名が亡くなった。その日、午後から五十五名による救護隊が編成され、酸素ボンベを装着し救出作業に当たって、午後の十時十分までに全員が遺体となって搬出された、こういう状態でございましょうか、消防庁でも労働省でも農林省でも、どちらでも結構です。

野原石松労働省労働基準局安全衛生部安全課長

○野原説明員 私どもの方の調査結果によりますと、先生がただいま申されましたとおりの状況でございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 そこで、この工事を設計施工するときどんな状態であったかということでございます。この工事は先ほど局長も話されたような特殊な土壌のところで、朝日町で四つの工区がございまして、第一工区が佐藤工業、第三工区が間組、第四工区が前田建設で請け負っております。前田建設では二基の固定式ガス検知器を鉱内に備えつけ、ガス発生の危険の少ない第一工区でも今月十七日に備えつけるはずになっておりました。それが、ガス発生の危険の多い問題の大林組が引き受けた第二工区では、先月、四月十七日、東北農政局から固定式のガス検知器の設置の指示があった。さらに先月二十六日、山形労働基準署の立ち会い検査の際の指導でもこのことを指摘しておる。固定式のガス検知器を設置しなければならぬ、こういうことになっておりますが、これは事実でございましょうか。

岡安誠農林省構造改善局長

○岡安政府委員 そのとおりでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 こうしてガスが発生する心配のあるということ、このことは設計のとき、施工のとき、わかっていたのでございましょうか。

岡安誠農林省構造改善局長

○岡安政府委員 これは先ほどお答えしたと思いますけれども、このところは地質学上褶曲構造といいますか、そういうことになっておりますので、すでに若干工事にも着手しておりますけれども、ガスの発生が予想されたことは事実でございます。そこで慎重にやってまいったわけでございますが、実は今回のように突然、恐らくは大量のガスが一時に発生をするということはなかなか予想されなかったのではなかろうかと思います。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 新聞の報じるところや私たちの山形県の党が調べてみますと、設計のところのトンネルの内空標準断面図、ここには水とガスが出ているということがきわめて明確に書いてあります。そこで、設計、施工に当たってこのガス対策がどんなふうにやられておったのでございましょうか。

岡安誠農林省構造改善局長

○岡安政府委員 先生御指摘のように設計書にそういうような記載があるのでございますが、これはやはり先ほども申し上げましたとおり、ガスが発生しやすい、発生するおそれがあるというような地質構造でございますので、予測としましてそういうことを表示したわけでございます。そこで当然ガスの発生が予想されますので、その安全を確保するために、先ほども申し上げましたように、事業の実施に当たっては十分準備をするようにということで安全対策のための協議会も設けますし、それ以外におきましても工事の施工に当たりましてのガス対策としての注意事項も示しまして、事故の発生を未然に防止するように指導したつもりでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 そこで、この工事の施工計画書でガス対策がどうなっているか、安全管理計画書でガス対策がどうなっておるか、トンネル内の点検記録書でガス対策がどうなっておりますか、このことをいま答えられたら答えていただきたい。答えられなかったら後日手に入れて資料としてここに提出していただきたい。

岡安誠農林省構造改善局長

○岡安政府委員 現在ちょっと用意がございませんので、後日御説明申し上げたいと思っております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 そこで、この事故は後日そういうもので説明してくれると言うから、それでよろしいと思いますが、実際上にこの点でガスが発生してくるとなれば、それに対する対応策が講ぜられていなければなりませんが、まず第一に事故が起きたときの指導体制を伺ってみます。だれが、どんな責任者が、どんなかっこうでどう処置しておったかということを答えていただきます。これには事業所の責任者だとかガスの経験者だとか大林組の主任者だとか、そういう体制が、事故が起きたときにすでに予想されることなので、私は何でも対応できるような人的配置がそこに必要じゃなかったかと思うのでございますが、この点はいかがでございます。

岡安誠農林省構造改善局長

○岡安政府委員 まずこの工事の農林省側の監督の責任者でございますけれども、農林省の最上川中流農業水利事業所の山辺支所の支所長、これを主任監督員に任命をいたしまして監督を行ってきたところでございます。  それからそれ以外にどういうような事故防止のための措置がなされていたかという御質問についてお答えいたしますが、先ほども申し上げましたとおり、まず第一は、この工事は特殊な地質構造の地層を縦断して施工するためにガスの発生等が予想されましたので、農林省の現場事業所は四十八年十二月に災害防止対策協議会を設けております。それからその協議会は災害を未然に防止するために、事業所と施工業者で組織いたしまして、山形の労働基準監督署と山形県の寒河江警察署を顧問に加えまして、その顧問の方たちとともに少なくとも二カ月に一度安全パトロールを実施してきたところでございます。  それから、ことしの四月十七日になりまして、問題の第二工区におきまして〇・一五%のガスの濃度を検知いたしましたので、その際監督員は直ちにガス測定要領を含みますメタンガス対策を施工業者に指示をいたしますと同時に、安全作業の実施を指示をしたというところでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 警察、農林省、大林組が協議したことはよかったと思いますが、この協議に現地の消防署が加わっておったでしょうか。というのは、救出のときに主部隊の一つが消防署なんです。前の栃木県における大林組の事故のときも、消防署との協議ができていなくて、強く指摘されている事項なんですが、この点はどうなっていましたか。

岡安誠農林省構造改善局長

○岡安政府委員 いまの協議会には消防署は加わっていなかったと聞いております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 この点は消防庁も確認できますか。

持永堯民消防庁予防救急課長

○持永説明員 そのとおりでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 ガスが出る心配がある。そういう協議会を開いておる。とすれば、この安全対策、事故予防対策として現地の消防署は何らかしているでございましょうか。  たとえば、私たちの病院は精神病院です。ここでは私たちが事故防止の責任者になって、人員表をつくって、必要な防災の設備をして、訓練をします。この場合も、労働者に防災上の注意をし、訓練をし、いざ事故が起きたときに逃げ出す施設、使用法を教えておく、そしてその訓練をしていなければ責任が済まないと思いますが、これは消防庁がなさる仕事か、労働省がなさる仕事か、どちらでもいいですから答えていただいて、その体制があったかなかったか教えていただきます。

野原石松労働省労働基準局安全衛生部安全課長

○野原説明員 このようなガス爆発を未然に防止するために、労働安全衛生法に基づきまして、こういった可燃性ガスの出るおそれのあるトンネル工事につきましては、ガスの測定者を指名いたしまして、毎日あるいは異常を認めた場合にはその都度ガス濃度を測定する。そして、それが危険な、爆発限界というのがあるわけですが、その下限界の三〇%、今回の場合ですと一・五%の濃度になりますが、それに達したならば直ちに現場から関係者を退避させると同時に、点火源となるおそれのある設備は一切使用を停止する、そして通風換気を行うといったようなことが定められておるわけでありますが、これの完全実施を図るためにしかるべき体制の整備を求めるとともに、そういった退避等についての訓練あるいはガス検知器の適正な使用等について関係事業者を指導監督しておったわけでございます。たまたまその体制の中で、携帯式のガス検知器でガス検知をやると、ちょっとガスの出方から見て不十分な面がありましたので、先ほど先生御指摘のようにこれについては常時そこに機械を置いて、異常な濃度になったらすぐ警報が出るような設備をするようにということで、改善方を求めておったやさき今回のような事故の発生を見まして、大変遺憾に存じます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 言われたとおりに実施されておればあるいは事故が起きなかったかもわかりません。  そこで、消防署が指導してくれまして本当にありがたいと私も思っております。ちゃんと記録をとどめております。いま労働省が言われたような記録がとどめられておりますか、どうか。おりましたら、その記録をこの委員会に出していただきたいのです。

倉橋義定労働省労働基準局監督課長

○倉橋説明員 本件に関しまして、事故発生後、救急作業が終わりまして早速作業停止をかけております。なお、私ども安全衛生教育の実施状況が確実に行われているかどうかにつきましての詳細につきましては、現在司法捜査中でございますので、まだ確たる事実関係は判明いたしておりませんが、前回までの監督の結果から申しますと、先ほど安全課長が言いましたように、メタンガスの爆発危険防止について、ガス探知器の取り扱いについて教育したいという事実があったことはございます。また下請事業者に対しまして安全協議会を通じて防止指導を行っていたという事実はございますが、それに対して記録があるかどうか、実際に行われたかどうかにつきましては現在捜査の段階で明白になっておりません。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 記録があったかどうか、後でこの委員会に出していただくように委員長からもひとつお取り計らいをお願いします。

倉橋義定労働省労働基準局監督課長

○倉橋説明員 現在捜査の段階に入っております。したがいまして、全体の捜査結果を見まして、その資料につきまして提出できるかどうかを判断いたしたいと思います。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 事故の発生した現場の状況ですが、聞くところによると、事業所の山辺支所長もいなかった。こういうことをやる専任技術者が米沢の大学の工学部でガスを一升びんに詰めておって、そこにいなかった。大林組の現場責任者もそのときにはいなかった、こう聞いておりますが、そのとおりでございましょうか。

岡安誠農林省構造改善局長

○岡安政府委員 私どもの承知いたしておりますのは、支所長は事務所におったのでもちろん現場にはいなかったのでございますけれども、事務所にはいたと聞いております。それ以外の点につきましてはどうも私ども詳細承知いたしておりません。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 そこで、事故発生後の処理状況でございます。私たち農林省からいただいた資料によりますと、「午前十時五分頃、事故発生の通知を受けた農林省最上川中流農業水利事業所山辺支所支所長は、直ちに係員と現地に急行した。」つまり現地にいなかった。「事故発生後直ちに関係機関に協力要請を行い、消防署、近傍で作業中の建設業者等が救援活動に協力したが、坑口附近のガス濃度が五パーセントと高く、換気装置も破損し、二次災害を起すおそれがあり、坑内入坑は困難であった。」「午前十一時頃から応急換気装置の取付け作業を開始し、午後一時五十分頃作業員一名を救出したが、救出作業が難行し、事故当時坑内で作業に従事していた九名全員を救出したのは午後十時十分頃であった。」、このとおりでございましょうか。

岡安誠農林省構造改善局長

○岡安政府委員 おおむねそのとおりでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 そこで、事故が起きたのは午前九時五十二分、最後の仏さんの収容が終わったのは午後十時十分、約半日かかっております。どうしてこんなにおくれたのでございましょうか。早ければ生きたままで救出できたはずです。十二時間もかかってしまうと中に生きておったとうとい生命も失われてしまいます。どうしてこんなに長い時間かかったのか、これをひとつ明らかにしていただきたい。栃木の災害のときも私は現場に駆けつけております。この場合も救出の作業にうんと時間がかかっております。事故を起こしたのは仕方ないが、そのときせめて生命があるうちに救い出すための施策は何をおいても行われなければならなかったと思うのですが、この点はいかがでございます。

岡安誠農林省構造改善局長

○岡安政府委員 いろいろ事情はあったかと思いますけれども、私どもの承知いたしております救出がおくれました最大の原因は、ガスの噴出といいますか、これが非常に強く大量に出まして、換気装置を作用させましてもなかなか濃度が下がらなかった、そこでなかなか中に入れないということが、やはり救出がおくれた最大の原因ではなかったかというふうに考えております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 いま私が指摘したことでもわかるとおり、換気装置が破壊しておった。ガスマスクで入ってみたが二十分よりもたなかった。そこで遺体がある坑内に届けるための送風管、これを前田建設から借りてきておりますが、問題の事故の起きたところは二百十メートル、送風管が百五十メートルと百八十メートル。マスクは二十分より役に立たなかった。換気装置は破壊しておった。送風管が問題の生きてあえいでおる労働者のところに届かなかった。こういう実情。こうでありませんでしたか。いまになってみると、せめて二百五十メートルなり三百メートルの送風管があるならば、そこで私たちは労働者の命を二日なり三日救えたのではないか、こんなふうに考えられますが、私のいま指摘した事実、もし適当な装置があったならば生きたんじゃなかったかなと思う点、この点はいかがでございます。農林省でも労働省でもどちらでも結構でございます。

岡安誠農林省構造改善局長

○岡安政府委員 まだ事故発生後遺体の収容ができたということでございまして、それ以上の調査が進んでおりませんので、いろいろ先生御指摘のようなところ、もしこうであったならばもっと事故を防ぎ得たのではなかろうかというような御指摘、そうかもしれませんけれども、必ずしもはっきりいたしません。と申しますのは、一つは爆発事故によりまして御指摘のとおり送風施設が破壊されてしまいましたので、破壊されないような形の送風施設ができたのかどうかという問題もございます。それからガスの濃度がなかなか下がらないので入り得なかったということもございますので、これらにつきましてはさらに関係機関とも協力いたしまして原因究明を急ぎまして、その上に立った安全対策を今後心がけたいと思っております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 自分のことを言うわけではありませんが、私は戦時中不幸にしてガス兵でかなり濃度の濃いところに入っていって仕事をしてきました。したがって、今度のは証拠が警察に持っていかれているでしょう。まだ現場が入れない状況にあるので、いま私が申したようにこうすれば救出できたんじゃなかったかという立場から問題の究明をしてほしいのです。どうしてもしようがなかったというのじゃ今度の九人亡くなったことは何にもならないのです。だから、最初に言っているとおり、何かあったならばこれは生きたんじゃなかったか、この事件を生かそうとすれば、どんなことが必要であったかという形から検討して、対策を決めて、私たちのところに報告していただきたい。これは後で、私も解散になればまたこの国会に帰ってきたいと思っておりますが、帰ってくればまた全力を挙げてもう一回その返事によってやってみます。  そこで農林大臣、この亡くなった人に対する国としての態度、国としての気持ち、被害を受けて亡くなった人たちの遺族に対するお見舞い、補償、これはかなり大事な事項にもなってきますし、不幸にして犠牲になった人たちを救う道としてはこれしかないと思いますが、この点で政府の方針を聞かしていただきます。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 現在依然として事故現場は坑内ガス濃度が高くて危険な状態が続いているため、現場検証が行われてないという段階でございまして、その原因は不明でありますが、被害者の救済、補償等につきましては、元請業者であります大林組が責任を持って最善の措置を行うよう指導してまいりたいと考えております。  なお、農林省といたしましても今回の事故発生についてはその重大性を痛感しているところでありまして、今後の善後措置につきましては関係機関とも十分協議の上、万全を期してまいりたいと考えます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 今度の事故で間組、前田建設、佐藤建設、全部工事をストップしております。これは御承知のとおり、この朝日町は栃木県に出かせぎに行って六人死んだ地域なんです。とすれば、ここで働く農民の人たちには農外収入というものが保証されなければなりません。なかなか思うとおりいま仕事がないので、一たん四つの事業所に雇用関係を結んだ人たちの収入が保証されなければならないと思います。労働省と政府で工事をとめたことはわかります。しかしそのために収入が減るようなことを雇用されておる労働者にやってはいけないと思いますが、この点はいかがでございます。

倉橋義定労働省労働基準局監督課長

○倉橋説明員 今回の事故によりまして、行政命令で大林組の工区につきましては作業停止命令をかけております。また、ほかの工区につきましても業者が自主的に作業をストップ。したがいまして、個々の労働者につきまして当該掘さく作業という形の仕事はございませんが、現在のところ各工区とも関係労働者の方につきましてはそれ以外の仕事をやっていただいておりまして、休業という事実は生じておりません。したがいまして、各事業者におきまして所定の賃金が払われておるわけでございます。今後におきましてもこのような場合につきまして、労働者の収入がないということがないように、特に事故が発生した大林関係の労働者の方につきましては、使用者として当然これらの損失につきまして考えるように行政指導を強くやってまいるつもりでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 そこで被害者には十分なお見舞いと温かい配慮と補償をするように政府に要求すると同時に、この教訓を決してむだにしないように要請して、もう一つ出かせぎの問題の次の問題に移ります。  それは賃金不払いです。こうした不幸な災害を頂点として出かせぎ者は粗末な不衛生な宿舎、飯場に寝起きし、娯楽もない中で、夫婦別れ別れ、親子別れ別れで生活しております。これは大変な生活ですが、ここへかてて加えて賃金不払いという大変な問題が積み重なってきております。せっかくお金をかせぎに来ておりながら、空手で泣きべそで東北線を帰っていく、奥羽線を帰っていく出かせぎ者の幾人かを私は知っております。心から何か怒りと同情にたえないものがございます。そこで、出かせぎ者の賃金不払いは起こしてはいけない、とれすばその第一前提として、どのくらい不払いになっているか、これの把握が第一と思いますが、この点はどうなっております。農林省でも労働省でも結構でございます。

倉橋義定労働省労働基準局監督課長

○倉橋説明員 先生いま御指摘のございました、出かせぎ労働者の方々が働いた場合に、賃金を受けられないケースがどのくらいあるかという御指摘でございますが、出かせぎ労働者の方についてのみの賃金不払いの現状につきましては、労働省としては把握しておりませんが、多くの場合建設業に働くケースが多いし、また不払い事案につきましては、建設業に働いたときに不払いとなることが多いわけでございまして、私ども建設業につきまして把握した数字といたしましては、昨年の四月から九月の労働基準監督機関が把握した、いろいろ取り扱った賃金不払い、建設業について見てまいりますと、件数といたしまして六千八百九十八件でございます。対象労働者といたしまして、約五万五千、金額で九十八億ということになっております。——失礼いたしました、いまのは建設ではございませんで、全産業でございます。このうちにおいて、建設につきましては二千三百八十六件、全体の三四・六%になるわけでございます。対象労働者で九千九百、一七・九%、金額で九億四千万円、全体の中の九・六%というのが建設業の不払いで占めているということでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 いま一般的に賃金不払い、これはだれが受けてもいけません。だれが受けても全力を挙げて阻止しなければなりませんが、せっかく農林大臣もおいでになっていての質疑なので、農林省が握っておる出かせぎ者の賃金不払い、これは握ってなければならぬと思うのですが、握っていますかどうか。握っていなければ、やはり握らなければならぬと思うのです。そのために予算もあるし部もあるし局もあるし、課まであるわけです。これはいかがでございます。

岡安誠農林省構造改善局長

○岡安政府委員 私どもも、農業者の出かせぎ関係につきましては関心もございますし、いろいろ対策も講じているところでございますけれども、いまお話しの賃金の不払いとかそういう点につきましては、やはり専門の省庁もあることでございますので、もちろん私どもも関心がございますので、御連絡は受け、私どもで対処できることは対処したいと思いますけれども、一義的にはやはり専門の官署で処理していただくようにお願いをしておる次第でございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 私は行政の担当する側でないのですが、いいですか。ここに新聞記事がございますよ。東北の三県、毎年一月末に出かせぎ者の事故調査をやっています。だから労働省でも農林省でも、その気になるとつかまえることができます。この報告は届いていると思いますがね。ことしの一月末現在で賃金不払いは、青森県で十三件、九十五人、二千六十二万円、秋田県で四十六件、四百四十六人、不払い金額四千四百三十八万円。出かせぎ者が一番多い東北三県全部合わせると、この一月末で調べたのは約百件、六百八十九人、八千百七十二万円に上っています。県庁に聞いてみると、農業者であるのか床屋さんであるのかもよくわかるのです。死亡者もあるわけなんです。これを労働省も農林省も知らないと言うから、ぼくは摩訶不思議でしようがないのですが、この点、一度集めて各県から報告をとっていただいて、正確な施策を出していただきたいと思うのです。私も国会議員になってから六年半、本当に賃金不払いを受けた、何とかしてくれと言って私の議員会館に持ち込まれている件数、金額にして約一億円です。これはその都度労働省に連絡したり、青森県の東京事務所の人たちに連絡したり、きのうは山形県の出かせぎ者の賃金不払い幾件かあったり、労働省と一緒に相談しています。そういう形で解決しておるものが六割から七割になりますが、まだ依然として解決していないものがたくさんございます。特に、不況になったいま、労働者のこの点での農外収入を確保することはきわめて必要だと思います。  そこで農林大臣に、農林大臣としてまた国務大臣として、この出かせぎ者の賃金不払いをこのまま黙って見ているわけにいかないので、政府の施策、方針、気持ち、農林大臣の覚悟、そんなものあったらひとつ聞かしてもらいます。

倉橋義定労働省労働基準局監督課長

○倉橋説明員 働いた方が賃金をもらえないで離職するということは一番あってはならないことでございまして、労働行政といたしましては、この賃金不払いに対する対策につきましては、従来から強力に進めてきているわけでございます。監督機関におきましても、不払い事案が申告がありますと、優先いたしまして個別的解決を事業主に迫りまして、また場合によりましては、元請事業主に迫りまして、その履行の確保を図ってきているわけでございます。したがいまして、相当多くのものが監督機関の手によりまして解決をしているわけでございますが、今後ともより一層その面を強化してまいりたいと思っております。  また、国といたしましては、先生御承知のように、建設業法におきまして、下請事業主が不払いを起こした場合に建設大臣及び都道府県知事が元請に勧告をする制度がございます。これの活用によりまして、元請に立てかえ払いをさせているというケースもあるわけでございます。そういう制度のほかに、どうしても支払いを受けることができないというようなケースがございますが、こういうような悪質なものに対しましては、私どもといたしましては厳正なる司法処理をもって臨んでおります。  さらに、今国会におきまして、労働省におきまして、賃金の支払いを確保するために、賃金の支払いの確保等に関する法律案というのを提出いたしまして、各党の御賛同を得まして本日の参議院で可決成立するという運びになっているわけでございますが、この中におきましても、賃金がもらえないまま退職した労働者につきまして、その不払い賃金につきましては非常に高率な遅延利息を課するというようなことによって、民事的な側面で事業主に履行強制を迫るというようなこと、さらには不払い事案につきましては罰金を高めまして、これらに対しての刑事的な制裁も科して、それによる履行強制を求めるというような措置のほかに、破産等によりまして賃金が究極的にもらえないような労働者につきましては、国が立てかえて払うという制度を今回新設することにいたしたわけでございます。  こういうような施策と相まちまして、いろいろな行政面を通じまして労働者の賃金の不払いがないような最善の努力をしてまいりたいと思います。  なお、出かせぎ労働者の方々につきましては、特にわれわれ行政といたしましても、事業主の就労地域から離れて郷里に帰っているというような特別の事情もございますので、これにつきましては、現地局、受け入れ局との連携を密にいたしまして、より一層その履行が確保できるよう十分な配慮をしているわけでございますが、今後ともこの点につきまして十分各局の連携をとりながら、出かせぎ労働者の賃金不払いの解消に努めてまいりたいと思っております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 時間があと一分しかないのでこれで終わりますが、農林大臣、きょう成立する賃金の支払の確保等に関する法律、これは本当に出かせぎ者の賃金不払いをなくするに、また取り立てるにいい法律だと思うので、農林省としても省内全部に教えていただいて、全面発動させていただきたいと思います。  これで終わりますが、最後に一つ労働省に、これは調査要求ですが、下請の下請の下請となってくると元請の賃金がカットされてくるので、どのぐらいの下請なら容認できるのか。下請の段階の多いほど賃金不払いが起きるし、低賃金なので、下請の下請の下請における賃金体系を、どのぐらい元請でとって、どのぐらい最初の賃金が減らされているか、一度検討して私に報告して教えていただきたい。このことを要求して、質問時間が過ぎましたので終わります。

山崎平八郎自由民主党

○山崎(平)委員長代理 次に、瀬野栄次郎君。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 昭和五十一年産米価、農業白書、財団法人日本動物愛護協会、小豆の異常暴騰対策並びに国有林の林地崩壊問題等について、農林大臣及び関係省庁に質問をいたします。  米審の日程について農林大臣にお伺いいたします。国会の会期延長、ロッキード事件の捜査、政府高官名の発表、解散総選挙絡みで予想しにくいとの声もありますが、また一面、総選挙前になれば生産者米価の大幅値上げをせざるを得ないということで、ことしはできるだけ早く決めたいとの意向であるやに聞いております。また昨日、本日の動き等を見ますと、かなり総選挙の時期が早くなるのではないかという予想もされるというようなことから、ことしの米審はまさにどうなるかということで、われわれも大変憂慮をいたしておりますが、農林大臣は農家が大変重視しているこの米価審議会の開催について、日程はどういうようにお考えであるかお答えをいただきたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 本年度の生産者米価、消費者米価に対しましては、国民の関心も高まっておりますし、いろいろな御意見も出始めておりますが、米審をいつ開くか、あるいは生産者米価、消費者米価をどういうふうに決めるかといったような具体的な問題、スケジュール等については、農林省としてはまだ一切決めておりません。これからの問題であると考えております。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 家族労働費の評価で、労働者の毎月の勤労統計調査の五月分等、これは従来からの例を見ますと四十九年以降となっておりますけれども、今年はどうなるか、この辺も私たち重大関心を持っているわけですが、こういった勤労統計調査の結果等、家族労働費の評価を考えてみますと、昨年の算定方式を採用すれば六月米価決定は無理ではないかと見るのが常識でございます。そうなると、七月上旬ということに落ちつかざるを得ない。ところが、政局がかなり混迷してきているという点から、大臣はこの一年で一番重要である米価決定に当たって、まだ検討していないとか、考えていないということではもう重大な問題であると思うのですが、その点、おおむねの見通しも全然立てていないのか、再度お伺いします。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 これは毎年のことでございますから、いずれにしたって、農林省にとってはどうしてもやらなければならない大仕事でございますが、現在のところは何ら具体的に考えていないというところが本当のところでございます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 昨年は、四月ごろから大蔵省が生産者米価と消費者米価の同時諮問をキャンペーンしておりましたし、与党の一部でも一発回答方式を提案しておったわけであります。しかし、ことしはいまのところそのような動き、PRがないわけでございますが、同時諮問について昨年以上にことしは実現の可能性が強まっていると考えられ、大いに憂慮いたしております。というのは、五十一年度予算は総合予算主義で、補正を組まないことを前提にしているから、したがって生産者米価引き上げ分の財政負担をそのまま消費者米価に転嫁、さらに末端逆ざやを解消するため消費者米価を値上げしたい意向ではないかと思うからであります。たとえ補正予算を組むことになったとしても、農林省では食管会計の赤字をこれ以上ふやしたくないという考え方で、このようなことは大臣も記者会見で過去に述べておられるようでありますが、赤字公債を出している現状から見て、来年度予算も厳しいと予想されるだけに、どのような諮問をする考えであるか。昨年には御存じのように時期を分けたところの連動諮問をされましたが、その辺のことについては全然検討しておられぬのか、どのように構想を練っておられるか、その点を明らかにしていただきたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 ことしも報道等ではもう何%、何%というふうなのが出ておりますけれども、これは農林省としては全く関知せざるところでございます。具体的にまだ検討を全く始めていないというところでございますから、関知していない。  また、同時諮問についてのいろいろなお話もございました。同時諮問をするから、生産者米価と消費者米価が、総合予算主義のもとで補正予算を組まないという形で決まるのだというふうなお話でもございましたが、理屈としては、同時諮問をしたからといってそういう形になるわけではなくて、生産者米価は生産者米価、消費者米価は消費者米価、これは食管法のたてまえで当然決まるべき筋合いのものだと考えておるわけでございます。  ただ、基本的な考えとしては、現在の生産者米価と消費者米価の間には大幅な逆ざやがあるわけでございます。この逆ざやがあるということは、財政の問題もありますが、農政の立場から、この逆ざやについては段階的に解消していきたいという基本的な方針はわれわれとしては持っておるわけでございます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 五十一年度生産者米価の見通しについてお伺いしますけれども、これまでも財政事情、米の需給関係、春闘相場などをにらみながら米価を決めてきた政府側は、ことしの春闘相場が平均八・八%程度、八・三から八・四%台とも言われておりますが、そういう賃上げになると見られることから、生産者米価を九%前後に抑え込みたい、特に大蔵省などでは、昨今の財政危機を前面に押し出し、七千四百億円を超えている食管の赤字幅をできるだけ縮小するため、生産者米価を一けたに抑え込む一方、政府売り渡し価格、すなわち消費者米価の上げ幅を生産者米価の三割増し以上にしたい、こういうような考えのこともささやかれて、われわれはいろいろ内部討議をしておるところでございますけれども、これらの問題について農林大臣はどういうふうな見解をお持ちであるか、これもあわせてお伺いをしたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 御案内のように、生産者米価につきましては、食管法によりまして、生産費その他の物価、経済事情を参酌してこれを決める、消費者米価につきましては、家計の安定を旨として物価その他の経済事情を参酌をして決めるということになっておりまして、その間には米価審議会の審議を経て答申も求めなければならぬわけでございます。そして、その算定方式というのは生産費所得補償方式になっておるわけでございます。そこで、いま春闘のベースと米の価格というものがストレートに関係があるようなお話でもあったわけでございますが、確かに生産費の中に労賃というものが含まれるわけでございますから、そういう意味でも関連はありますけれども、米価の中の一部でございますから、春闘のパーセンテージがそのまま米価に反映されるというふうなことではないわけでございます。  なお、生産費の調査はまだやはり六月いっぱいはかかるのじゃないか、例年そういうことになっておるわけでございます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 もう一点、米審のあり方について。このことについては毎年問題を投げかけておることでございますけれども、私は、ことしもこの米審の構成について特に大臣に御見解を承っておきたいのであります。  現在二十五人の委員のうち、生産者代表はわずか四人というまさに形骸化されたものになっております。これは従来から指摘されておるところでございますが、米審を権威あるものとするためにも、この際こういった構成の矛盾を是正して妥当なものにするためにも、対等で論陣を張れるような構成にすべきだと、こういうように私は思っております。これが農業者のいわゆる主管農林大臣として十分検討すべき責任ある立場にある大臣としてもお考えいただきたい問題である、かように思うのですが、例年のこととは言いながら、ことしもこういった問題が必ず論議されるわけですけれども、農民の味方である大臣はどう対処されるか、これについて大臣の所信を改めて承っておきたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 私は、米価審議会は今日までも、また今日でもそうでございますが、権威のある存在としてその役割りをりっぱに果たしておると考えておるわけでございます。  なお、その構成につきましては、非常に重要な国民の主食であるところの米価を決定するわけでございますから、国民経済的な立場に立って、生産者の代表、消費者の代表も含めた学識経験者でもって、これは公正に、適正に構成されておりまして、そしてその答申というものあるいはまたその間の議論というものは、まことに権威あるなおかつ公正な、適正な判断が出され、答申がなされておる、今日もなされておると、そういうふうに私は考えておるわけでございます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 時間の制限がございますので、次に農業白書について若干触れる予定でしたけれども割愛し次回に回し、次に、財団法人日本動物愛護協会問題について農林大臣初め当局の見解を求めたいと思います。  財団法人日本動物愛護協会については、その不正内容等、私は愛護協会ではなくて日本動物虐待協会であるということをあえて申し上げて、昭和五十年十一月五日、当委員会で厳しく追及したわけです。その結果、二十年間も放置された監査を、農林省もその怠慢と非を認めて、五十年十二月四日と五日の二日にわたって監査が二十年ぶりに行われた。その結果を五十一年二月十八日に私受理をしたわけでございますが、その監査結果たるやほんの一部でありまして、全体を知ることができませんでした。そこで、その監査に基づいて農林省は綿密な監査をされたわけでありますので、いまから四、五十問について逐次簡潔にお尋ねしてまいりますので、ひとつ回答いただきたい、かように思います。  まず一般論として、公益法人というものは認可されたその設立の目的のためのみに存在するものであると、こういうように思うが、その点どうですか局長。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 公益法人の事業といたしましては、その設立目的に逸脱するような行為というものはもちろん許容さるべきものではないということであります。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 その公益法人が行っている事業がその目的を逸脱しているならば、その事業をやめるべきではないか、かように私は思うのですが、その点どうですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 公益法人が主務大臣の認可された目的以外、目的に背馳するような事業を仮に行っておれば、それを直す、それを指導して矯正するというのは当然行政庁の任務であると思います。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 その認可について、いまのように間違っておった場合は直す、矯正すると、こう言っておりますけれども、実際には認可取り消しもあり得るか、その点どうですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 直ちに認可取り消しという事態で対処すべきであるかどうか、いろいろこれは個別のケースによって判断すべきものと思いますが、われわれとしてはやはり一般的に強い行政指導で直すべきものは直して、それがどうしても直せないという事態に改めて判断するということであろうと思います。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 大場局長は、財団法人日本動物愛護協会規定集のその中の「寄附行為」、これをお持ちいただくように言っておきましたが、持ってきておられますね。その中の第二章「目的及び事業」の第三条、これは簡単ですから、ちょっと読んでみてください。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 財団法人日本動物愛護協会の寄附行為でございますが、その中は第三条で当協会の目的が書いてあります。それを読み上げますが、「第三条 この会は、動物愛護の趣旨を広く社会一般に徹底し、一切の動物虐待を防止するのみならず進んで動物の福祉を増進する方法、特に病獣」これは病のけだものでありますが、「病獣の手当等の知識を普及し、動物愛護を通じて人類愛を体得することを目的とする。」ということになっております。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 この規定はいまもそのまま生きておりますね。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 これは変更されておりません。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 その第三条に対してお尋ねしますけれども、動愛の寄附行為の目的の中に病院を設けることが含まれておりますかどうですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 第三条そのものには直接病院を設けるという規定はございませんが、当協会の事業といたしまして第四条がございますが、第四条の中に「動物治療のために病院及び収容所を設立してこれを維持経営し」ということがございますので、そういう事業は寄附行為に記載してございます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 寄附行為の中の「病獣の手当等の知識を普及し」という目的は、論理必然的に病院を設置することを意味するかどうかということについても、局長の見解を聞いておきます。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 「病獣の手当等の知識を普及し」という目的と、それから病院そのものを経営維持するということと必然的なつながりがあるかと、こういうお尋ねでございますが、私どもはそれは必ずしも必然的にはつながりはない。ただそれは、病獣の手当等の知識の普及ということにつきましては、いろいろの手段方法があるわけで、あるいは対応があるわけでありますが、その中の一つとして、病院の維持経営ということは正当に認められるべき対応の一つであるというふうに理解しております。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 この第三条の中でなぜ「手当等の知識を普及し」と書いてあるのか。動物を治療しと明確に書いておりませんが、あなたは第四条で病院等の云々と、こうおっしゃいましたけれども、第三条の目的の中にはそういうことばは書いてございませんね。その点はどういうように農林省は理解しておられますか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 もちろんこの協会は一般の営利行為を行うということではございませんで、財団法人でございますから、それぞれいろいろな仕事をやるにいたしましても公益的な観点から仕事を行うということになるのは当然でございますが、単なる病院の維持経営にいたしましても、それが単に営利目的ということだけではなくて、収益を上げるということだけではなくて、同時に「病獣の手当等の知識を普及し、」というような公益的な目的というものとつながっていることが必要であろうというふうに理解しております。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 局長、念のためにさらにお伺いしておきますが、あなたがおっしゃった第四条二項「動物治療のために病院及び収容所を設立してこれを維持経営し、特別の事情ある者のために無料診料を行い、必要の場合苦痛を与えることなく動物を処理するための設備をなすこと。」、こういうふうに書いてありますが、特別の事情ということは、たとえば生活保護者だとかあるいは生活に大変苦しいとか病気で犬、ネコを養うことができないとか、いろいろな状態があるわけですけれども、これはあくまでもそういう場合に限り無料診療を行い、必要の場合苦痛を与えることなく動物を処理するための設備、こういうことじゃないかと思うのですけれども、その点明確にもう一回第四条二項について見解を述べてください。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 第四条の病院の維持経営についての考え方でございますが、「動物治療のために病院及び収容所を設立してこれを維持経営し、特別の事情ある者のために無料診療を行い、」以下云々とあるわけでありますが、これに対して私どもの考え方といたしましては、無料ということに一つの力点を置いてのお尋ねがございましたので申し上げますが、同協会が一般に対価を徴して動物の診療行為を行うということは、これはまさに動物の治療のための病院を設立してこれを維持経営するということに該当するものでありまして、これは正当な業務であるというふうに思っております。  それから無料診察につきましては、対価を徴収して診療行為を行うのが原則でございますが、その例外として特別の事情のある場合に限って行われるというのが同寄付行為の趣旨でありまして、無料診察がこの動物病院の原則であって、それが一種の鉄則であるというぐあいに理解する必要はないというふうに思っているわけであります。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 一応お聞きしておきまして、これは一般の方でまた聞きます。  日本の行政は一貫していなければならないことは当然ですが、農林省だけが公益法人につき独自の扱いをしてはならない、こういうふうに思いますが、それはそのとおりですね。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 行政はどこの役所でも同じような方針で貫かれていなければならないことは御指摘のとおりであります。公益法人につきましても農林省だけがほかの役所と特に変わった取り扱いをするということは当を得ないと思います。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 他の省の例で、公益法人がその公益法人の認可のみを根拠として病院を経営しているという例がありますか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 突然のお尋ねでありますので、ほかの省の所管の公益法人で病院を経営している例があるかということにつきましては、私ちょっと知識を持ち合わせておりません。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 さらにお尋ねしますが、医療法が適用されない動物の場合にあっても、医療法と同様の組織すなわち病院をチェックするだけの組織が農林省にないときは病院事業を許可すべきではないのではないか、かように私は思うのですけれども、この点についてはどういうふうにお考えですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 病院そのものの維持経営につきましていわゆる民法に基づきまして公益法人の許可を与えているわけですが、いわゆる診療行為等につきましてあるいはそれに従事する者の資格等につきましては別途獣医師の資格試験とかあるいは薬事法とかそういった別の規制法がございますので、そういった規制法に基づきましてあるいは獣医師法等の試験を正式に通った者がそういった家畜等の診療行為をやるということが合法的に行われておりますれば、それはそれなりに私どもは許容していいというふうに思っているわけであります。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 一応お聞きしておきまして、さらに局長、医療法人は課税法人であり当然課税されるわけですね、これは法人税法第五条でそういうふうになっております。すなわち病院は収益するのだから本来課税されることは当然であります。農林省が動愛を非課税法人として監督していなかったならば、病院事業は納税義務があるわけだから、申告関係はどうなっているかということをお尋ねしたいわけです。  すなわち、農林省は動愛を非課税法人として扱っておるわけです。二十年間も税金を取っていない。ところが実際にはこういう診療事業をやっていた、病院事業をやっていたわけでありますから、当然課税申告はせねばならぬということになると思う。現在してないと思うのですけれども、その点は監査の結果どういうふうに明らかになりましたか、お答えいただきたい。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 公益法人でありましても、収益事業を行いましてそれによって収益が発生したという場合には、それぞれ法人税法等の課税法規の手続に従って課税を受けるということは当然でございまして、公益法人だからといって本件の場合課税の適用除外になっているということはございません。具体的な税金を取りますのは徴税官庁での問題でございますので、いま詳しい具体的なことは私ども存じておりません。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 いずれ会議録を見てまたいろいろとさらに御質問を留保し、追及することにいたしますが、通告しておりました四十七総第三百五十四号、昭和四十七年五月二十三日、農林事務次官からの通達で「農林大臣の所管に属する公益法人の取扱方針について」、手元にお持ちだと思いますが、この「公益法人の取扱方針について」が次官通達で各大臣官房、または関係長官、各都道府県知事に通達されております。  その中の六十七ページの「2」の「事業について」というところをお開きいただきたい。この事業の中で「(1)」と「(2)」とございますが、全部詰むと時間がかかりますので、「(1)」は公益法人の本来の事業、「(2)」は設立目的を達成するため付随的に収益を目的とする事業というふうにありますが、この動愛はどちらに該当しますか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 公益法人の指導の方針といたしましては、ただいま先生御指摘になりましたように、事務次官通達として設立の認可の審査基準というものをつくっているわけであります。それにつきましては、付随的に収益を行うという場合におきましては、本来の事業に比べて規模が過大でないとか、公益法人としての社会的信用を傷つけるような内容の事業でない、それから本来の事業に支障を及ぼすおそれのないこと、こういったことが書かれております。そういった趣旨からいたしまして、御指摘の動物愛護協会は動物愛護思想の普及等に関する各種事業に合わせまして動物の有料診察事業を行っているわけでありますが、いま申し上げました基準に照らしてみると、特に内容自体については問題はないというふうに思っておるわけであります。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 問題はないと言うが、そういうふうな監査の結果ではわれわれは承服できないわけですけれども、それを詰めておる時間もないですが、病院を持つことが主目的であるとするならば公益法人の資格を失うというふうに私は思うのです。これは重大な問題だと思うのです。この点は十分検討してもらわなければいかぬが、皆さん方の公益法人の基本方針、取扱方針がこういうふうに出されているわけです。その中にこういうふうにはっきり書いてあるわけです。それに動愛は病院経営をいたしておりますけれども、これは公益法人としてその資格を失うのじゃないか。と申しますのも動物愛護協会の全体の事業に比べて病院事業の比率を見てみますと次のようになっております。  これは御存じのように、あなたたちが昨年の十二月四日、五日監査した結果を、私の手元にその調書の一部としていただいた資料によって検討したわけでございますが、その農林省の監査結果によると、四十八年度の収入は、動愛全体の事業に比べて病院事業の比率というのが、収入が八二・三%、支出が七五・三%になっております。四十九年はどうかというと、これは収入が八七%、支出が七一・三%、すべて二分の一以上に多くオーバーをしております。それで、いまのこの取扱方針の「(2)」の一番下に書いてあります「ア」を見ますと、「本来の事業に比べて、その規模が過大でないこと。」こういうふうにあなたたちは次官通達を出しておられますけれども、こういうパーセントになっております。これはあなたたちの監査した結果ですよ。本来の事業に比べて過大——われわれは大変な過大であると思うのですけれども、あなたたちはどういうふうにお考えであるか。「(2)」の「ア」に違反しているのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、局長どういうふうにお考えであるか、お答えいただきたい。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 先ほどお尋ねがありました件は、この病院の経営維持は財団法人の本来業務であるのかあるいは付随的な業務であるのか、こういったお尋ねが主体でありまして、それにつきましての私の答弁を漏らしましたので、補足さしていただきます。  私どもの考え方といたしましては、病院の維持経営というのは付随的なものであるというふうには必ずしも理解する必要はないだろう。本来的な業務の一つとして位置づけていいのではないかというふうに思っているわけであります。  それから、ただいま病院の維持経営の規模につきまして、他の本来的業務との関係で診療収入が多過ぎるんじゃないか、それは不当ではないだろうかというような趣旨のお尋ねがあったわけでありますが、規模につきましては、四十九年度で申し上げますと、御指摘のように、診療収入が協会収入の約五六%を占めておる、過半を占めておるという事実は確かに御指摘のとおりであります。しかし、これが五六%を占めておるからと言って直ちに不当であるかどうか、収益事業が過大過ぎるというような議論には必ずしもならない、当該収益事業の性質とかあるいは収入の使途とかそういったものを総合的に判断すべきものであるというふうに私どもは理解しておるわけであります。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 農林大臣にも後で聞きますからよくやりとりを聞いておいてもらいたいのですが、これが過大でなければ何を過大と言いますか。だから、私は一年だけではいろいろ反論すると思ったので、四十八、四十九年のパーセントを言ったわけです。数字も全部ありますけれども、時間の関係でいとまがないので申し上げません。  それでは逆に聞きますけれども、どのくらいならば過大というふうに言われるのですか。時間がないから急いで答えてください。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 私が御説明しましたように、いま過大であるかどうかという主な議論は、これは事務次官通達にも書いてありますのは、たとえば本来業務に比べて付随的な業務としての収益的業務、そういったものが本来業務に比べて過大であるかどうか、こういったことが主な議論でありますが、私ども病院の維持経営が必ずしもこのケースの場合には付随的な業務として理解する必要はない。本来的業務として位置づけていいんじゃないか。ただ、その本来的業務の中にいろいろ収益を伴うもの、あるいは収益を伴わないで単なる支出だけを行うようなものというようなものがありますから、片方の方の収入が多く片方の方の収入が少ないということ、これは機械的に判断することはできない。どの程度で適当であるかどうかということは、これはやはり個々の協会の事業なり実態に即して判断すべきものであるというふうに思います。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 一応聞きおくとして、そこで、いまのこの取扱方針の中で「(2)」の「イ」と「ウ」について一括してお尋ねしますけれども、「(2)」の「イ」は公益法人としての社会的信用を傷つけるような内容の事業でないこと。」こういうふうに書いてありますけれども、このことについては昨年十一月五日に私が当委員会で指摘しましたように、動愛は過去に、バキュームによる殺処分は、医学的見地からは別にして、様相が異常であり、日本の国情から問題があり、公益法人として社会的信用を傷つけるというようなことで、いわゆる密殺についてのいろいろな指摘をたくさん例を挙げてやったことは御存じのとおりです。そういった意味からいくと、まさに愛護協会の精神に反するやり方をしている。これも「(2)」の「イ」に違反しているということは明らかである。  また、「(2)」の「ウ」「本来の事業に支障を及ぼすおそれのないこと。」これも前に述べましたように、数字から見ますと、明らかに収益を追っておることは事実です。これは付属的事業というからには、「ウ」にも違反しているということになるわけですが、この二点について——私は一括申し上げましたけれども、「(2)」の「ア」「イ」「ウ」三点全部が違反している、不適正である、こういうように私は思うのですけれども、その点局長どうですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 公益法人としての社会的信用を傷つけてはいないだろうか、こういったところが御論点の一つでございますが、挙げられました収容動物の殺処分の方法につきましては、これは私ども監査をいたしたわけでありますが、小さな家畜、大概の家畜につきましては薬剤の注射によって麻酔死で殺している。これはたとえば麻酔薬につきましても英国の協会から寄付を仰いでいるということでございますし、それから大型の犬等につきましては、注射のための保定が困難でございますので、原則として減圧装置で処分している。この減圧装置は、私どもの調査では、アメリカの人権協会が開発したというような装置でございまして、たしか三十六年であったかと思いますが、アメリカの当該人権協会から当協会に寄付したということでございます。  なお、この減圧装置で殺処分をするという方法は、日本だけではございません。アメリカあるいはオーストラリア等の諸外国におきましても採用されているわけでありまして、これは残酷であって社会的信用を傷つける、動物愛護の名に反するというぐあいに直ちに結論を下すことはいかがかと思っているわけであります。  それから「ウ」の方で「本来の事業に支障を及ぼすおそれのない」ということでございますが、病院の維持経営ということ自身、これは先ほど私るる申し上げますように、本来的業務として理解していいのであろうということでありますから、「ウ」はこの際には関係のないことであろうというふうに思っているわけであります。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 収益事業を行い得るにしても、その方法が公益事業の遂行に支障が生ずるものであってはならぬということから、規模等を見ましても、許可された枠を長年越えていた、これは二年ばかりじゃなくてずっと越えている。また啓蒙活動は形ばかりであった実態を見ましても、動愛の実情というのは監査の結果明らかにわかったと思うのです。長年農林省はずっと動愛を見てきておられるので、いま急にこれが間違っているとか不適正であるということは言えないという立場もあるかもしれぬけれども、私は間違いは間違いであると思うのです。これは幾ら言ってもかみ合わないかもしれぬけれども、私はこういったことでは許されない、そういったことで動愛の理事長、専務理事は責任上更迭されなければならぬ、更迭すべきである、こういうように私は思っているんですけれども、農林省はどういうようにお考えですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 当協会は、この病院の維持経営と、それから動物収容事業のほかに、動物愛護関係の事業等を行っているわけであります。それについての努力が薄いのではないか。たとえば動物愛護週間での関連行事といたしまして、当協会はいろいろのPR運動、社会啓蒙運動というものをやっているわけでありますが、その仕方が動物の診療事業あるいは動物の収容事業に比べてウエートは少ないのではないか、こういう御指摘は、それはやはり私ども考えていかなければならない問題の一つであろうと思います。単に病院の経営とか動物収容事業だけにウエートを置かないで、同時に動物の愛護、そういったものの普及につきましてはやはりもっと力を当協会に注いでもらわなければいけない、そっちの方に力を注ぐべきだというふうに私どもは指導していきたいと思います。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 寄付行為の八条、これはどういうふうな規定ですか、簡潔にお答えください。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 八条でございますが、「この会の資産のうち現金は、郵便貯金若しくは理事会の議決を経て定めた銀行に対する預金とし又は、国債証券を買入れて保管する。」ということでございます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 もし理事長が動愛の現金を動愛の口座に入れないで、自分の個人名義の口座に入れたらどうなりますか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 もしそういうような事実がありますれば、これが動愛の資産の現金でありました場合には、自分の口座に入れた場合にはこれは八条違反ということで重大な問題だというふうに考えます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 自分の口座に入れた場合には八条違反で重大な問題である。監査をされたのですから十分わかっていると思うのですが、土地を売却した手付金がどういう扱いをされたか、知っていますか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 お尋ねの手付金は、神奈川県の厚木の土地、移転予定地でありますが、その土地のことであろうと思いますけれども、それは預金等の口座に預けているわけでございます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 われわれがいろいろ調査したところによりますと、理事長個人の口座に入れられているというふうに疑いが持たれているわけです。  増山事務局長はこれまで経済的な犯罪行為を行ったり、内部で何かの疑義を生じ事務局長更迭の動き等があったことがあるかどうか、その点について明らかにしてください。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 そのようなことは聞いておりません。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 そこで、仮に理事長が個人の口座に入れられたということが明確になれば、どういう処置をとられますか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 確認をいたしますが、もしそのようなことがあれば、実態に即しまして適宜適当な措置をとろうと思います。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 そういうことになれば業務上横領になる、こう私は判断しておりますが、その点はさらによく検討して報告を願いたいと思うのです。  私がいろいろ調査しているのによりますと、理事長は四十九年、基本財産を処分したときの手付金三億円を三井銀行の個人口座に一時入れた。それがまずいとわかると、これまで富士銀行にあった動愛の口座を三井銀行に移し、加藤の口座、いわゆる理事長の口座にあった三億円を動愛口座に移した。明らかに業務上横領ではないか、こういうふうに内部告発されております。  また、理事長は、自分名義にした理由を事務局長増山仁太郎が信用できないので三井に入れた、こういうふうに言っておられることを仄聞しておりますけれども、この点を十分監査していなければ、再度監査して調査してもらいたい。いろいろ疑問があれば再度監査をするということでございましたから、ぜひやってもらいたい。  また、この三井並びに富士銀行等の預金の管理については監査の上で資料を要求したい、かように思うわけです。  それで私は、そのように事務局長増山仁太郎氏が信用できないかというと、いまはいろいろ問題があって最近は信用できないことも言われておりますけれども、先ほど答弁がございましたように、当時はこの人が経済的犯罪行為を行ったり、内部で何かの疑惑が生じて事務局長更迭の動き等があったことはないということでありますので、私はそんなに信用ない人じゃないと思うのです。それをなぜあえて個人の名義に入れてそういうふうにしたか、その点を明らかにしていただきたい。そういう点からも私は理事長の更迭は問題である、こういうふうに訴えるわけでございます。時間がありませんのでその点は詰めませんけれども、そういったことについてぜひ検討し、さらに監査をして報告願いたいと思うのです。どうでしょうか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 事実関係でございますから、よく調べて御報告いたします。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 次に、この動愛の維持会員の問題でお尋ねしますけれども、動愛がこのように虐殺、会計の不明朗、収益に突っ走ったりしたことは、結局民主的な運営がなされていなかったためであると私は思うわけです。そういったことから自己監査の不十分を物語っているのではないか、かように思うのですが、その点はどういうふうに認識しておられますか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 自己監査の必要につきましては、これは御指摘のとおりでございますが、自己監査は当協会としては実施しているというふうに私ども聞いております。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 動愛は御存じのようにすでに十数億で土地を売って、いま収益があります。一部土地代に使ったといっても、数億円の貯金があるわけです。その利子と、さらには私は動愛は動愛本来の目的であるところの動物愛護の啓蒙をやる、こういう意味で会員をふやしていくことが最も大事である、かように思うわけです。そういった意味で動愛の会員がふえることは目的がますます遂行される、よいことだと思うが、どうですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 動物愛護思想の普及という意味からいたしまして、当協会の会員が増加してそれがいろいろな思想の普及の媒体になっていくということにつきましては、私ども望ましいと思っております。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 そこで寄付行為第三十三条によれば、動愛の趣旨に参同ずる者は維持会員になれる、次に同三十三条により理事会の承認を受ける手順となる。もし動愛の理事会がこれを拒んだり引き延ばしたりしたときは農林省はどうするか。農林省はすぐ理事会を開かせて承認さすべきだと思うのですが、その点についてお答えいただきたい。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 公益法人でもありますし、この会の目的からいたしまして動物愛護の趣旨を広く社会一般に徹底するということがこの目的でありますから、これは閉鎖的にすべきものではないと思います。維持会員となることの希望がありましたならば、やはりこれは喜んで迎え入れることが協会の本来的な業務の運営ではないかと思うわけであります。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 そこで会計規程十四条に掲げてある帳簿、こういったものに対して維持会員がいつでも閲覧できる、すなわちこれは公益法人ですから、できる状態でいいのではないかと思うが、この点はどうですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 財務的なことにつきましては、先ほどお答えしましたように、内部監査がありまして、監事がこの会の業務、会計を監査して報告するというような形に、これはどこの公益法人につきましても、あるいはその他の法人につきましてもなっているわけでございますから、そういった内部監査の手続によってそういったものの適正な運営を確保するのが妥当であろう。しかし維持会員等からいろいろ説明を求められた場合には、それはやましいところがないわけでありますから、親切に説明してあげることは当然あってしかるべきであろうと思うわけでございます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 いま要求があれば親切に説明してやることは結構だということですが、当然そうだと思うのです。なぜならば、公益法人であるし企業秘密はないはずでありますから、理事や監事がいるからといって維持会員の閲覧を禁止する理由はないと私は思うのです。株式会社は公認会計士がいて監査役が見る。また一定以上の株を持っている人は帳簿を見られるわけです。一定とは、株数の十分の一となっております。なぜ十分の一に限っているかというと、企業秘密のためであります。十分の一あれば、会社と運命をともにするという、商法二百九十二条の六の精神からそういうことは言えるわけでございますが、この動愛については企業秘密もない公益法人でありますから、私はその要請があれば維持会員の閲覧に供することは当然だと思う。再度お答えいただきたい。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 個々の伝票とかそういった末端の書類に至るまで閲覧すべきかどうか、そこについては問題があろうかと思いますけれども、経理等の内容についていろいろ説明を求められれば、親切に説明するということはあってしかるべきだと思います。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 農林大臣、以上いろいろ論議してまいりました。時間の制約があるので一つずつ詰めることは大変むずかしいのではしょって質問してまいりましたが、会議録を見た上でいろいろとさらに質問を留保することにいたしますけれども、いま申し上げたような経過で明らかなように、動愛の病院事業はもはや公益性を失ってきており、過密獣医師の中にあっては一層その公益性は完全になくなったと言えるように私は思うのであります。このことは設立者の病院事業による公益性を求めた趣旨に反しており、いわんや開業獣医師を著しく圧迫しておることは昨年の当委員会での私の質問によって明らかになったところであります。したがって開業獣医師はこのように弊害が多い病院事業を取りはずすことによって、動愛と相提携し、日本の将来の愛護運動を推し進めようと主張しておるのであるから、いわゆる開業医師も全部この動愛の会員になって会費を納めて普及活動に参加する、そして、もしそうした診療行為をする必要があれば開業獣医師が受けて立つ、また百歩譲って、もし動愛がどうしてもそうした犬、ネコのペット等を見ていきたいというならば、一人ぐらいの獣医師がいて専門的な立場から示唆を与えいろいろ指示をするという程度ならば、私は当然これは認められるべきものだ、こう思うわけです。そういったことで、農林省は、愛護運動の将来を考え、適切なる指導を行うべきであると私は思うわけです。農林省があくまでも動愛との癒着を続ければ、私は解決するまで徹底的にこれを追及してまいります。もちろんこの問題の解決に当たっては最後まで見守ってまいりますが、日本の全獣医師もまた生涯この問題に対しては徹底的に闘うと決意を述べておることも事実であります。こういったこの動愛のあり方、本来の目的に帰れということに対して、この問題の重要性にかんがみて病院の撤廃まで闘うという、いま大変な社会問題になっておりますけれども、いろいろ論議を聞かれて大臣はどういうふうにこれに対して見解をお持ちになるのか、これに対する答弁を求めるものであります。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 いまいろいろと御質問を承ったわけでございますが、いまの最後の質問の中で農林省と動物愛護協会が癒着をしているような話でございますが、そういうことは絶対にありません。それから農林省の公益法人、これは動物愛護協会は公益法人でございますが、これに対する指導方針といたしましては、公益法人というものが積極的に不特定多数の利益の実現を目的とするものであるため、適正な運営が行われるよう省令等を制定し、届け出、報告の励行、立ち入り検査の実施等指導監督を厳にしているところでございまして、今後とも指導監督に遺憾のないように万全を期してまいりたいと存じます。  なお、動物愛護協会と開業獣医師との間にいろいろとトラブルがある、対立があるということは、まことに残念なことでございます。この対立関係につきましては、農林省としても指導をいたしまして、そしてこの対立関係が話し合いで解決していくように努力をしていきたいと考えております。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 本件については十分ひとつ農林大臣としても監督指導を行って、解決の一日も早いことをさらにお願いをいたしておきます。  時間がございませんので、最後にひとつ局長に言っておきますけれども、監督の結果の中に、仲介者としてエイシアン社の問題があります。動愛の基本財産売却にも、また代替地の収得に当たっても、エイシアン・エコノミック・アンド・テクニカル・サービス・カンパニーが仲介業者として五千三百万のあっせん手数料を得ているが、このエイシアン社は宅地建物取引業者として登録されている事実があるかどうかということを最後にお答えいただくと同時に、私は資料提出要求をいたしておきますので、後ほど会議録を見て十分お答えいただきたい。前回、五十年十一月五日の農林水産委員会で質問したおり、動愛の監査資料の提出を求め、本年二月十八日に受理したが、その内容は大変ずさんであり、かつまた、先ほど指摘しましたように農林省の怠慢さがあらわれております。これは、農林省と動愛との癒着を物語っていると言っても過言ではありません。大臣はそんなことはないとおっしゃるけれども、これは衆人の認めるところであります。  そこで、ここで改めて次の資料の提出を要求いたします。一つ、施療カルテの四十八年度全部と、里親の名簿四十八年度全部、これは二つ目です。三つ目が、エイシアン・エコノミック・カンパニー社に対する手数料の明細、さらに本日の質問で追及したところの先ほど申し上げました三井銀行における理事長と動愛の口座の資料の提出を四十八年、四十九年度二年分をお願いしたい。さらに五番目に、資産変動の謄本資料をお願いしたい、このことは委員長にも特にお願いしておきます。  なお、通告しておる問題で、最後にぜひひとつ関係者が答えてもらいたいことをお願いしますが、国有林の地すべり問題についてですけれども、島根県の鹿足郡の日原町上横道地区内の国有林が、昨年七月十三日から十四日の集中豪雨により崩壊し、さらに昨年八月十七日、十八日の台風五号、同十一月二十九日の湧水、本年四月三十日の集中豪雨等により林地の崩壊はさらに拡大し、四万立方メートル以上の土石流が横道部落、二十九世帯、九十名の上流三・五キロの地点まで流下しております。この濁り谷災害について、雨期を目前に控え横道部落の人たちは深く不安におののいております。  わが党は、去る五月十日と五月十六日の二回にわたり現地調査をいたしましたが、急峻な谷間は土石流で埋まり、川の両岸の林地もまさに崩壊の一歩手前であり、崩壊の発生地点の林地にしても大きな地割れが拡大しつつありまして、その危険性は想像以上である。そこでこのことについて私八項目の質問事項を申し上げておきましたが、緊急を要する問題でございますので、各省庁に来ていただいておりますから、簡潔で結構でございますので、その対策の要点だけを述べていただいて、時間も参りましたので私の質問を終わりたい、かように思います。  その前に、さっきの大場局長に資料要求その他についての問題を申し上げましたが、委員長、そのようにお取り計らいいただきたいと思いますが、よろしいですか。

山崎平八郎自由民主党

○山崎(平)委員長代理 資料の点、承知しました。

松形祐堯林野庁長官

○松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの地すべり地でございますけれども、確かに異常な降雨量とあるいは地質が非常に崩壊しやすいというようなことが原因でございまして、国有林としてはそこで伐採等は行っていないのでございます。御承知のような三万立方程度が崩壊しているという実態であります。それに対しまして、昨年、ヘリコプターまで私ども用意いたしまして、工事中であったわけでございますが、さらにまた崩壊が参りまして、せっかくの土木工事の資材からその堰堤も埋まってしまったというような現実がございますけれども、その下流の方で、二千メートルぐらい下流でございますが、堰堤のかさ上げを五十年度に行いました。また、五十年度並びに五十一年度の両年に及びましてさらに一基の堰堤を計画いたしておりまして、現在施工中でございますが、六月いっぱいぐらいにはこれを完成したいと思っておるわけでございます。さらにまた、崩壊地の危険地域にあります立木を早く除去したらどうだというお話がございますが、早急に伐採除去することを検討してまいりたいと思います。また雨量計の設置につきましても適当な場所に設置するよう努力してまいりたいと思っておるわけであります。

中村二郎建設省河川局砂防部砂防課長

○中村説明員 お答えいたします。  建設省といたしましては、砂防事業といたしまして治山で施工されておりますダムの下流約七百五十メートルの地点に高さ十一メートル、長さ七十二メートルの貯砂ダムを計画し、五月末より着工いたします。さらに既設砂防ダム、これが上流に一基ございますが、これの埋まっておる土砂を除去いたしまして貯砂容量を増すという点につきましても五月末に着工いたしたいと考えております。それから横道部落から約五百メートル上流の地点でございますが、護岸が傷んでおります。それから中州がありまして河積が狭められておりますので、これも五月末に着工いたしたいと考えております。  以上でございます。

岡安誠農林省構造改善局長

○岡安政府委員 この崩壊によりまして土砂が河川に流出しまして、下流地域の水田約六・三ヘクタールの灌漑用水に支障が生じているものでありますが、現在県でその対策を検討中でございます。

国川建二厚生省環境衛生局水道環境部水道整備課長

○国川説明員 濁り谷の下流の方に町営の佐鐙簡易水道というものがございます。その水源の水質が若干濁ったというお話がございまして、直ちに応急的に他の水系から水を取水しておりますが、五十一年度に本格的な改良工事を行うという予定になっております。

永井浤輔消防庁防災課長

○永井説明員 消防庁といたしましては、毎年雨期を前にいたしまして災害対策の万全を期するよう、各都道府県及び市町村に対しまして周知徹底を図っております。

近岡武男国土庁地方振興局総務課過疎対策室長

○近岡説明員 集団移転でございますが、国土庁におきましては、防災集団移転法に基づきまして集団移転促進事業を進めておりますので、本事案につきましては、地元の実情、さらには住民の意向等を十分に調査の上、検討を進めてまいります。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 以上で質問を終わります。

山崎平八郎自由民主党

○山崎(平)委員長代理 では、続きまして稲富稜人君。

稲富稜人民社党

○稲富委員 私は、競馬関係につきまして若干お尋ねいたしたいと思いますが、本日は余り時間もありませんので、中央競馬会を中心として基本的な問題についてお尋ねいたしたいと思います。  まず、今日までのわが国の競馬の経過と現状等を申し上げまして、これに対する大臣の所信を承りたい、かように考えるわけでございます。  これはすでに御承知でもあると思うのでございますが、わが国の競馬は、文久元年に横浜において洋式競馬が開催されて以来、本年で百十五年になるわけでございます。この間、競馬を取り巻く環境は幾多の紆余曲折、変遷を経たのでありますが、戦後においては、昭和二十三年に新競馬法が施行されまして、政府みずからが競馬を施行しておりました。ところが、国が競馬を施行することは不自然であるということから、昭和二十九年に日本中央競馬会法を制定し、特殊法人日本中央競馬会が設立され、国営競馬をそのまま受け継ぎ、ようやく今日の大衆競馬としての法体系が整備されたものであるということはすでに大臣も御承知のとおりであると思うのでございます。  この間、わが国の競馬は、日本経済の復興と歩みをともにして、特に昭和四十年代の高度経済成長以降、急激な進展を見せまして、今日においては健全な大衆娯楽としての地位を確保するとともに、国及び地方財政に大きく寄与していることはもうすでに御承知のとおりであると思うのであります。  しかしながら、今日の中央競馬の運営の基準となっておりますところは、昭和三十六年七月の公営競技調査会の答申に基づいて改正された競馬法であります。この競馬法の改正以降すでに十数年を経過しておりますが、その後競馬人口の著しい増大と、飛躍的に増大している勝馬投票券の発売実績にもかかわらず、これら実態に即応していない競馬関係法律によって中央競馬が運営されていることは、果してこれでいいのであるか、かように私たち思うわけであります。  すなわち、今日中央競馬は、年間約千五百万人の競馬場内の入場人員を数え、九千億円を上回る勝馬投票券を発売するに至っております。この実績は、高度経済成長下における国民所得の増大や余暇利用についての意識の変化等に伴い、国民の健全な娯楽として定着していることを示すものと考えられます。また、昨年の東京高裁の競馬に対する見解の中でも、国民の少なくとも二〇%以上が顕在的競馬愛好者で、すでに国民の間に競馬が健全な娯楽として定着しつつあることが認められているのであります。  このように競馬に対し国民の関心が高まっているのでありますが、今日の競馬の実態は、急増している競馬人口を受け入れる施設の不備等により、競馬開催体制が十分整備されていないといった問題、また、競馬社会内部においても旧態依然とした閉鎖的慣行による競馬が続けられていること、さらには、最近においては競馬に関連した公害問題が発生する等、競馬をめぐる各種の問題が指摘されているのであります。  かかる実情にもかかわらず、政府の競馬に対する態度はどうであるかと申し上げますと、依然として確固としたものがなく、前に申し述べたところの競馬の施行体制にわたる批判にこたえようとしていないばかりか、毎年計上される膨大な競馬益金というもののみを単に享受するにすぎないように思われるのであります。この点、政府の競馬に対する基本的な考え方をまず明確に答弁していただきたい。  さらに、競馬制度全般の見直しを含めて、今日の、ただいま申しましたような実態に即応した競馬関係法律の改正に着手しなければならないと思いますが、これに対する政府の意思はいかがであるか、この点をまず冒頭大臣の考え方を承っておきたいと思うのでございます。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 私は、農林大臣になるまでは競馬というものに対してそれほど大きな関心はなかったわけでございますが、農林大臣になりましてから、農林省の行政の中で競馬というものがなかなか大事なものである、しかし、同時にまたいろいろと問題もあるという感じを率直に持っております。  競馬は基本的にはやはり馬の改良、増殖、その他畜産の振興に寄与する、国民に健全娯楽を提出する、国、地方公共団体の財政収入に寄与することを目的としておるものであるというふうに理解をいたしておりまして、いまはもう競馬が国民の健全な娯楽として国民の中に定着しつつあるというふうに基本的な認識を持っておるわけでございます。同時にまた、これがやはりギャンブルとして過熱していろいろと問題を起こすということについては、これは避けなければならないというふうにも考えておるわけでございますから、その施行の一層の健全化を図っていくためには、今後とも努力をしてまいらなければならぬ、こういうふうに考えるわけでございます。  また、競馬法の改正の問題についての考え方でございますが、国民各層に相当広く浸透してまいりましたし、入場人員、それから売上金等はずいぶん増大をしてきております。また競馬ファンの増加に伴うところの競馬場及び場外馬券発売所等は相当混雑がひどくなってきておる、こういうこともありますし、運営の問題もあるわけですが、これをめぐる情勢には相当な変化が見られるわけでありまして、これはいままで相当変化が起こってきておるわけでございますから、農林省としてもこうした競馬の健全な運営を図るために、昭和四十六年から競馬懇談会というものを設けて検討を行ってまいった、また主催者におきましても個別的、具体的な問題についての検討をしてきたところでございます。  この競馬法の改正につきましては、利害関係者が相当多岐にわたっておること、あるいはまた改正の方向についても意見が多様であること、改正の社会的影響が大であること等、各般の問題があるわけでございますが、競馬の健全な発展を図るため、さきに述べた検討の成果も踏まえながら方向としてはやはり改正の方向ということで今後慎重に検討してまいらなければならぬと考えております。

稲富稜人民社党

○稲富委員 それで、ただいま大臣も言われましたように、実際に合ったような競馬法の改正に前向きに進んでいかなければならないというようなお考えのようであります。私もそれは当然である、そういう点から二、三の問題を提起して、将来競馬法改正に向かっての問題点になるような問題について若干お尋ねを申し上げると同時に、私の意見ももちろん申し述べたい、かように考えるわけであります。  先刻も申し上げましたように、公営競技調査会の答申の問題についてまずお尋ねしたいと思いますが、政府が競馬ファンの要請にこたえる施策の充実に着手していないのは、どうも何か競馬というものに対しては臭い物にふたといったような消極的な姿勢に今日あったことは、これは言をまたないところであります。この点政府は、競馬の改善に対する要請に対しては事あるごとに昭和三十六年の、ただいま申しました公営競技調査会の答申というものを常に盾として拒み続けてまいってきておるという現状であると思います。この公営競技調査会の答申は昭和三十六年、すなわちわが国経済が高度成長する前に行われたものであり、その趣旨は、公営競技の現状維持論であります。  しかしながら、その後の実態は、中央競馬だけを見ても、昭和三十六年と昭和五十年を比較すれば、入場者では二百六十八万人から一千四百九十万人と五・五倍に上がっております。また売り上げ高では三百七十三億円から九千八十九億円と二十四倍に、またこれに伴う国庫納付金額では三十七億円から九百八億円へと二十四倍に大きく増大しておるという現状であるのであります。このように昭和三十六年当時と今日とでは競馬等への参加人口と同時に国民のギャンブルに対する意識も大きく変遷しているのが実情であります。政府がいつまでも本答申をあくまでも固執して、かつこれを隠れみのにしていることが今日の競馬をめぐる各種の矛盾の根底となっているということを指摘されても、これはいたし方ないだろうと思います。また私もそう感ずるのであります。そこで、政府は現在この答申に対してどのような評価を与えているのか、また今後これに固執するのかどうか、この点をひとつ明確にまずこの機会に答弁していただきたい。はなはだ時間がありませんので、簡略にひとつ要点だけを御答弁願いたいと思います。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 公営競技調査会の答申は、公営競技の射幸性という観点に着目いたしまして、その弊害をできるだけ除去するという方策を考慮した答申でございますから、競馬もいろいろ競輪だとかあるいはオートだとかそういったものと違う特殊性は持っておるわけでありますが、やはり馬券を売るという点につきましては同じでありますから、やはりこれを尊重すべきものと考え、従来から尊重してきておるわけであります。また事実そういった答申に沿った手直しもしているわけであります。しかし、ただいま先生が詳しく御指摘になりましたように、競馬内容の情勢も当時とかなり変わってきている、ファン自身の対応も非常に成長をして落ちつきも出てきておるということでございますから、われわれの考え方といたしましては、答申はもちろん尊重はいたしますけれども、そういった情勢の変化ということも同時に踏まえなければならない、そういった認識に立ちまして具体的な問題につきましては答申は尊重しながらも、やはり情勢はかなり変わってきているということも同時にあわせ考えて弾力的に対処していきたいと思っておるわけであります。

稲富稜人民社党

○稲富委員 次にお尋ねしたいと思いますことは、さらに政府は昭和四十六年以降農林省内に競馬懇談会を設置されております。昭和四十八年にはその中間報告を、またその後各種の個別の問題についてはそれぞれ報告を受けておられると聞いておりますが、現在に至るもこれを具現化する方策が一つも講じられてはおりません。本当に心ある関係者の間から政府の態度に強い不満の声が聞かれるのであります。私もまた本当に政府がこういうことに対して熱意があるかどうか、これさえも疑わざるを得ないのであります。この点に対して政府はいかなる目的で競馬懇談会を設置したのか、また、その懇談会の結論をどのように生かそうと考えておられるのか、その基本的姿勢について伺いたいと思うのでございます。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 御指摘の競馬懇談会は四十六年に農林大臣の私的諮問機関として設置いたしまして、五十年の初めまで足かけ五年にわたりまして、かなり回数を開いて結論を得たわけであります。報告をいただいておるわけであります。私どもといたしましては、この競馬懇談会によりまして制度改善の方向というものは示していただいたと思っておるわけでございます。後それを具体的にどうやって具体化していくかということでございますが、法律改正に至らないものにつきましては逐次実施しているものもあるわけであります。あるわけでありますが、今後さらに制度を具体化するということになりますと、いろいろ詰めなければならない関係もあるわけであります。方向は出ておりますが、やはり人によりましては、同じような問題につきましても甲論乙駁あるというようなものはありますし、かなりそこは議論を詰めてやっていかなければならない、いまわれわれ答申をもらったわけでありますから、それを具体化するというための努力をしていきたいと思っておるわけであります。

稲富稜人民社党

○稲富委員 そういう問題に対して、どうも政府は余りにも競馬問題に対する熱意がないと思うのです。本当に現在の実情を知っていらっしゃるならば、やはりその答申等に向かって何とか積極的にこれに取り組むという姿勢がなさ過ぎるのではないか。後ほどいろいろ申し上げますけれども、その点われわれはこの際十分ひとつ認識を改めてもらいたい、こういうように考えます。  そこで、そういう具体的な問題として、私はさらに次の問題をお尋ねしたいと思いますが、競馬の開催についてであります。中央競馬においては十二カ所の競馬場において年三回以内の競馬を行うことができる、こういうことになっております。ところが、現在は横浜競馬、宮崎競馬の競馬場は全く使用されておりません。かつ、その他のローカル競馬においても月三回は行われず、これを東京、中山、阪神、京都等の大競馬場が肩がわりしているというのが現状であります。このような変則開催が行われている事情については私もこれを理解するにやぶさかではございません。しかしながら、競馬法第三条の規定によれば、「天災地変その他やむを得ない事由に因り、一競馬場において年三回開催することができないときは、その開催することのできない回数の中央競馬は、他の競馬場において開催することができる。」こういうことになっております。この条文に照らしますと、現在の変則開催をやられておりますのが果たして「天災地変その他やむを得ない事由」に該当するかどうかというのははなはだこれは疑わしいのであります。競馬というものは法律に基づいて施行される以上は、実情に合うような法体系の整備を図る必要があると思うのでございます。御承知のごとく法律では三回以内と決められておりますが、今日東京は六回、中山は五回、京都五回、阪神では五回、中京四回、福島三回、小倉三回、札幌二回、新潟二回、函館一回、横浜、宮崎は全然行われていない、こういうようなことになっておるのであります。  次に、競馬の開催日数についてでありますが、これを中央競馬について見ますると、昭和二十九年に中央競馬会法が制定されて以来、オリンピック特別競馬等の特例を除き年間二百八十八日以内に現在されております。しかしながら、競馬入場者等については、昭和二十九年当時百六十九万人であったのが、昭和五十年は千四百九十万人と約八・八二倍に増大しております。いまや競馬場は飽和状態となっております。さらに、当時と現在とは、さきに述べたように競馬に対する国民の認識も変わっております。また、これが週休二日制が実施されつつある今日においては、余暇を競馬で過ごしたいといったような願望も一層高まっているのであります。  こういうような点、政府は、昭和三十六年の公営競技調査会の答申であります開催日数は現規定より増加しない、こういうことを盾に開催日数を抑制しているようでありますが、これらの点につきましても要請にこたえると同時に、実情に当てはまるように早急に法律改正を行うべきものである、かように考えるわけでございますが、これに対してはいかなる考えを持たれておるか、伺いたい。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 二点お尋ねがあったわけであります。  まず最初の、中央競馬の開催は法律で競馬場ごとに年三回と決められている、しかし天災地変その他やむを得ない事情によって年三回開催することができないときはほかの競馬場が開催する、こういったことになっているわけでありまして、御指摘のとおり年三回開催していない競馬場は、五十一年度の例で見ますと、札幌、函館、新潟、横浜、宮崎、こういったところであります。これらの競馬場で年三回開催していない理由は、横浜競馬場につきましては釈迦に説法で先生よく御存じでございますが、返還された敷地が狭小であり、なかなか競馬ができるような状態ではない。それから宮崎の競馬場につきましては、戦後中央競馬の開催はございませんで、スタンド等の諸施設も荒廃している、こういった事態であります。あるいはその他の函館とか札幌、新潟等につきましては、御承知のとおり積雪寒冷地域でありますから、競馬を開催できる期間が短いといった事情もございますし、ほかの中央競馬場とか地方競馬場との日程の調整、これは御存じのとおりなかなかむずかしい問題がありまして、そういう事情があるわけであります。いずれも法律解釈といたしましては、天災地変ではございませんが、その他やむを得ない事由によるものというように理解しているわけであります。  考え方といたしまして、開催回数を競馬場ごとに規定をするということも一つの方向ではないだろうかと思うわけでございますが、これも御存じのように、たとえば地域の気象状況だとかあるいは他の競馬場だとか地方競馬場、それから競輪、オートとか、そういった他の公営競技との日程調整の問題等がございますので、法律で競馬場ごとにこの競馬場は何回、この競馬場は何回というふうに固定すること自身少し検討を要する問題かとも思う点がありますので、この点につきましてはもう少し検討さしていただきたいと思うわけでございます。  御指摘の横浜と宮崎につきましては、先生のおっしゃるとおり、事情はまさにそのとおりでございます。ただ宮崎につきましては、地元の開催要望もございますので、そういった要望も同時にあわせてよく考えていきたいと思っておるわけでございます。

稲富稜人民社党

○稲富委員 私の申し上げますのは、こういうような一つの限定した方法をとらないで、一カ所で三回であるとかそういうことをしないで、もっと融通のきくように、日数も回数も、法の改正をやる場合には幅広く考えておかなければいけないのじゃないか。これを窮屈な法で決めているから、いわゆる天災地変とかそういうようなことにこじつけて無理な開催をやらなくちゃいけない。みんなは知らないから黙っているのですよ。しかし実際戦後何十年にもなってこういうようなことをやっていること自体に現在の法体系というものを無視したと言えば無視した形になっているわけなんで、なぜこういうことになるかというと、これは後ほどもまた申し上げますけれども、農林省自体がいかにも競馬法をいじりたくない、こういうような考え方があり過ぎるのじゃないか。こういうことに対しては、将来競馬法を改正なさるに当たっては、日数については実情に適したように、融通のきくような競馬法改正を考える必要があるのじゃないか、こういう点から私は申し上げているわけでございます。この点もひとつ十分考えられたいと思いますが、どうでございますか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 御指摘のとおりいろいろ開催日数だとかあるいは開催回数その他につきまして法の段階で固定してしまうということが果たしていいかどうか、これは先生御指摘のとおり検討を要する問題だと思います。むしろ弾力的に実情に即して運営した方がいいのではないか、こういう御議論はやはり傾聴に値する御議論だと思いますので、検討さしていただきたいと思うわけであります。

稲富稜人民社党

○稲富委員 次に、国庫納付金の問題についてお尋ねしたいと思います。  国庫納付金等に係る問題についてお尋ねしたいと思いますが、現行の中央競馬会法第二十七条によると、競馬会は発売金額の一〇%及び剰余金の二分の一を国庫に納付しなければならないということになっております。そこでまず、第一納付金の問題についてでありますが、昭和二十九年の中央競馬会法の制定当時、実は私もその方の改正の中心になったのでございますが、初めの原案は確かに国庫納付金というものは二五%を控除する中から八%程度だった、かように考えております。ところが国会の説明では一〇%の案で提案されました。この率については、さらにこれを大幅に引き上げらるべしとの強い意見がそのときありました。いろんな意見の中には、二五%を開催者と国とが一二・五%ずつに折半したらどうかという意見もありました。しかしながら、そのときに政府の意見を聞きましたら、一四%あればどうやらこうやら競馬の開催ができますということでありましたので、そのときにはたしか国庫納付金は一一%で、競馬開催者が一四%取得する、こういうように修正されたように私は記憶しております。しかしながら、この一一%は昭和三十一年の地方税法の改正により一〇%に引き下げられて今日に至っておるということであります。ここに問題があります。  そこで、私がお伺いしたいのは、法律制定当時ただいま申しましたように非常に議論を呼びました問題を、競馬法自体の改正によらずして地方税法の附則によって変更したことが果たして妥当であったかどうかという点についてであります。法制局もおいでになっているだろうと思いますが、この中央競馬会法制定に当たって国庫納付金は非常に議論になって一一%になったものを、一〇%にするならば、なぜ競馬法の改正をやって一〇%にしなかったか、こういうことが法制上許されるものであるかどうか、ここにも私は疑問を持つのであります。これはどういうようなことでこんなになったのであるか。私はこれに対して法制局の意見も聞くと同時に、その当時の経緯等をこの際承りたい、かように考えるわけであります。

別府正夫内閣法制局第四部長

○別府政府委員 お答えいたします。  ただいま稲富委員から御質問のございました昭和二十九年の中央競馬会法制定当時のいきさつは、稲富委員おっしゃいましたとおりでございます。  なお、三十一年に改正をいたしました際には、これも御指摘のとおり地方税法の一部改正の附則で改正をいたしております。その点がおかしいのではないかという御質問と承りましたが、若干細かくなりますが、まず二十九年にさかのぼって考えますと、いまもお話がございましたように、政府原案は国庫納付金については一〇%、百分の十ということになっておりまして、地方税法等の附則改正は全然いたしておりませんでした。ところが議員修正、社会党の中村委員その他の修正発議で修正になりました経緯を調べたところでは、一方で、地方税法の三百四十八条二項というところでございますが、御存じのとおりの固定資産税の免税をするということを考えると同時に、中央競馬会からの国庫納付金の原案百分の十を百分の十一にするということで修正案が議決されたというふうに私の方で調べたところではなっておるわけです。これは二十年前のことでございますから若干推測が入りますが、われわれが考えたところでは、結局、中央競馬は、御存じのとおりに国と地方公共団体と中央競馬会、その三者が絡んでいるということだとすれば、地方税法の減免をすることによって地方公共団体の収入は減るけれども、中央競馬会の支出はその分だけ今度は減る。その支出が減った分を国のいわば財政収入のような形で国庫納付金で吸い上げるという三者の財政にからむ修正と考えられるというふうに推測したわけでございますが、その二年後に、三十一年にこれはまた地方税法の一部改正で固定資産税の減免が廃止されるということになった。これは一般的に固定資産税の減免を整理しようという趣旨での中央競馬会のいわゆる非課税法人から課税法人への変更ということが行われたというふうにわれわれ承っておりますが、そういうことになりますと、先ほど申し上げました三者の財政の関係が変更されるということになる。とすれば、地方税法の一部改正の附則で、一方で固定資産税を新たに三十一年から徴収されることになる中央競馬会の支出がふえるわけでございますから、国庫納付金の一一%を一〇%に減らすというようなことを考えることも実質的なつながりがあるということで、合理的な理由がないわけではないというふうに考えられたものというふうにわれわれは理解しておるわけです。  なお、あわせて申し上げますと、いま申し上げたような三者の財政につながりのある問題だといたしますと、稲富委員おっしゃいましたように中央競馬会法の改正を別の法律で出すというようなことをいたしました際に、何らかの原因で、地方税法の一部改正は通過成立するけれども中央競馬会法の一部改正が通過成立しないような事態があったときに、いま御説明いたしましたような財政関係のつながりの一部が破綻するというようなことになるのが不適当であるというような配慮もあわせて行われたのではないだろうかというふうに考えております。  やや細かい点を申し上げましたけれども、もともと二十数年前、相当古いことでございますので、私の方も早急に調査した結果いまのような御説明をいたしたわけでございますが、なお調査する必要がございましたら、調査した上後ほどお答え申し上げたいというふうに考えております。

稲富稜人民社党

○稲富委員 財政上の問題は、結果は同じことだということになるかもしらぬけれども、やはり中央競馬会法の内容を変更する場合は中央競馬会法を改正するというのが妥当であって、その中央競馬会法の改正はやらないで、地方税法の改正によって中央競馬会法の修正をやることができるかどうか、これは法制的に妥当であるかどうかということを私はお聞きしておるわけなんです。

別府正夫内閣法制局第四部長

○別府政府委員 お答えいたします。  私のお答えの仕方が、やや説明の細かい点に入りまして不適当だったかとは思いますが、法律改正でございますので、いわゆる日本中央競馬会法の一部を改正する法律という形式でやるか、地方税法の一部改正の附則で、日本中央競馬会法の一部改正ということを附則の条文でやるかという点については、形式的には余り問題がないかと思います。ただ、稲富委員御指摘のように中央競馬会の相当重要な事項であるとすれば、地方税法の一部改正の附則という形式をとらずに、日本中央競馬会法の一部を改正する法律という別の法律を出してやった方がよろしくはないかという御指摘であれば、そういうことは言えないことはございませんが、先ほど御説明しましたように、実質的なつながりのあるものを一つの法律あるいは一部は附則で改正するというやり方が非常に多く行われているという点も考え合わせれば、それが不適当だということまでは言えないだろうということを申し上げたわけでございます。

稲富稜人民社党

○稲富委員 私はこういうことをなぜくどくど申し上げるかといいますと、政府は今日までこの中央競馬会法でもあるいは競馬法でも、競馬法を改正するということはいかにもはれものにさわるような考え方を持って、なるたけ触れようとしない、こういうようなことがある。少なくとも国が競馬をやる以上は胸を張って競馬をやって、悪いところは堂々とこれを改正し修正する、こういうような方法で臨むべきだ、私はかように考えます。  ところが、これに触れたくないから、いま言うように、しかも競馬法の改正のときに非常に問題になったこの問題を、競馬法の改正には当たらずして、地方税法の改正によって競馬法の改正までやるというこういうようなことになるということは、これは競馬法を所管している農林省のずるさというのか、ここに怠慢があると言われても差し支えないと私は思う。競馬会法の内容を改正するのならば、農林省が進んで競馬会法の改正をやって、堂々と一一%を一〇%に直す、あるいは地方税法の改正と並行してこれをやる、こういう態度をとるべきであった、私はかように考える。なぜこれをやらなかったか。私は農林省にお聞きしたいと思うのは、いま言うように、何か競馬法の改正をやるということは、はれものにさわるようになるたけいまは触れたくない、ここに原因があるから、そのことを特に農林省の考え方も承りたい、こう考えるわけです。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 その当時のことでありますから、もう一回調べてみますが、農林省自身はれものにさわるように競馬会法というものを考えて真っ正面からそれに手をつけるということを避ける。そのために地方税法の改正法の附則で競馬会法を改正するというこそくな手段をとったんじゃないか、こういう御指摘でございますが、必ずしもそういうふうに私は理解はしておらないわけでございます。先ほど法制局の方から御説明ありましたように、財政問題で脈絡が続いているわけでありますから、やはり競馬会法の改正と地方税法の改正というものは表裏一体で一挙動で解決しなければならない問題でありますから、そういう法手続をとったんだろうというふうに理解するわけであります。決して逃げたというふうには理解したくないわけであります。

稲富稜人民社党

○稲富委員 じゃ、この問題については、また別なこれに似たような問題がありますから、後ほどまたひとつ別な問題でお尋ねしたいと思います。  次に、第二国庫納付金の算定拠点となる剰余金についての考え方、このことについてお尋ねしたいと思います。  第二国庫納付金が計上されたのは昭和三十四年からでありますが、その後年々増大して昭和五十年には二百二十二億円の巨額に達しているのであります。そこで、現在の剰余金に対する考え方、すなわち、競馬会が施設の増設、新設等に使用したいわゆる設備投資額が剰余金の中に含まれていることが果たして妥当であるかどうかという問題でございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  すなわち、私たちは、その剰余金というものは——競馬会が必要なる施設というものは当然やるべきであって、その競馬の発展のために、執行するために必要なそういう施設はやって、それは当然経費として見るべきものである。しかも、その後に剰余金ができたならば剰余金の処分をすべきであるけれども、その設備投資なんかやったものまでも、すなわちこれを剰余金としてみなす、ここに私は非常に問題があると思いますが、これに対して農林省はどういう考えを持っていらっしゃるか承りたい。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 中央競馬会の経理のやり方は、一般の会社経営と類似している点がございますので、企業会計原則に従いまして経理しているわけであります。  そういう意味で施設整備費というものの中で、たとえば簡易な塗装だとか馬場の改修というものは、当然これはコストで落として処理できるわけでありますが、スタンド等の建物あるいは土地等につきましては資産として残るので、これはコストとして処理することはできない。やはり一つの形の変わったものとして剰余金の中にそれが残るということになるわけであります。そういう意味で、国の予算、収入、支出ということを単純に並べてその差額を求める、そういうやり方とは、企業会計原則に従っております関係上若干異なっているわけであります。  しかし、考えてみますと、土地以外の固定資産につきましては、これは耐用年数というのが先生御承知のとおりでございまして、年々一定額を減価償却しているわけでございますから、長期的にはこういった資産の取得費というものもコストの中には入っているというふうに観念できるわけであります、単年度だけではなしにロングランに見ますれば。  それから、それが施設整備に要する経費の圧迫要因になっているのではないか、こういうお尋ねでございますが、私どもの考え方といたしましては、そういった第二国庫納付金の額がどうであるかどうかということは別問題として、やはり要るべきものは要るんだということで、やはり剰余金の額とは一応無関係に年々必要額というものをわれわれは計上して、各競馬場のスタンドの増改築だとか、トータリゼーターシステムの導入だとか、先生御存じのとおりいろいろなことをやっているつもりであります。かなりの経費は導入しているつもりでありますが、その必要額は今後とも十分に確保していきたい、そういう努力はしていきたいと思うわけであります。

稲富稜人民社党

○稲富委員 どうも大蔵省に遠慮のあるような答弁のようでございますが、遠慮することは要らないので、これははっきり言っていいと思うのです。私は、競馬会が必要な設備をする、設備をしたのは、これは財産になったからと言って、その同額を益金として第二納付金として大蔵省へ納めなければいけない、こういうことになりますと、結局五億円の設備をすれば十億円要るということになってくるわけなのです。これは十分な設備ができないということになってくるので、やはりこういうようなものは、競馬をやるために必要な施設というものは当然やって、私は、これは必要経費として当然見るべきものだ。そうしてその必要な分は当然施設をやって、その後に剰余金が出たならば、その剰余金を全額国庫に納入されようと、あるいは半額されようと、そういうことは私は別でございますが、その設備をしたものを剰余金と見るということは、大蔵省としても余り虫がよ過ぎるのではなかろうかと私は思うのです。これは本当の競馬の施設に対して、十分であるならばともかくも、それがために、先刻言いましたように競馬人口がふえてくる、競馬の設備等はだんだんよくしていかなければいけない。いろいろな要請があると私は思う。それがためにやれないという問題も起こってくると思うのだから、この点はよほど農林省としても考えてもらわなければいけないし、大蔵省も来られておるなら、大蔵省としても考えてもらわなければいけない、私はかように考えます。当然競馬執行のために必要なる設備というものはやらなければいけない。その設備資金という、設備する費用というものは必要経費としてこれは当然認むべきものである、かように私は考えます。これに対してどういうお考えを持っておられるか承りたい。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 御指摘のとおりスタンド等の設備改修費につきましては、これはファンサービスという意味からいたしまして、われわれ優先的に確保すべき費目であると思っているわけであります。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、決して従来われわれの努力が足りなかったというふうには思っておりません。かなりの額を計上しておるわけでございます。ただ、経理が会計原則という形をとっております関係上、その金が流動化しているか、あるいは固定化しているかという形態の変更はいろいろあるわけでございますが、しかし、企業会計原則をとる以上、やはりそれは剰余金という形で計上するということがルールになっておりますので、そういうルールに従っているというだけであります。もちろんわれわれといたしましては、国庫剰余金の発生額がどうあろうかということとは関係なしに、やはり必要なものは必要なものとしてそれは確保するということで貫いていきたいと思うわけであります。

稲富稜人民社党

○稲富委員 大蔵省、お見えになっておりますか。——大蔵省がお見えになっておりましたら大蔵省にお聞きしたいと思いますが、ただいま申しましたように、競馬の情勢というものがだんだん変わってまいります。そうすると、競馬に対してはやはり不都合のないような、あるいはファンのサービスであるとかあるいは馬主のための設備であるとかいろいろな設備が要ってくる。こういうような当然必要な施設、こういうものは必要でございますから、この点は十分認めてやって、そうして剰余の出たものは、これは前の計画からずいぶん剰余金は上がってくるのですから、そうした上でその剰余金のそういうものは必要経費としてみなしてやる、こういうようなこと、これをひとつ、執行に当たっている農林省あたりとも十分打ち合わせの上で、そういう方向で第二納付金の考え方をひとつ改めてもらいたい、そうすることが妥当である、私はかように考えますが、大蔵省はどうお考えになっておるか、承りたいと思います。

松原淳文大蔵省理財局管理課長

○松原説明員 お答えいたします。  大蔵省といたしましては、現在のところ、現行の取り扱いで特に問題はない、かように考えておりますが、なお農林省とも協議いたしたい、かように考えております。

稲富稜人民社党

○稲富委員 次にお尋ねしたいことは、さらにこの点にも関係がある問題でございますが、競馬法第十条に基づく端数切り捨て額及び第十一条に基づく時効取得額の帰属問題、その使用方法についてお尋ねしたいと思います。  昭和五十年で見ますと、端数切り捨て額が四十六億円、時効取得額が十億円と、両方で五十六億円が計上されております。結果的にはこれが競馬会の剰余金となり、その半額が国庫に納付されているのが実情であります。しかしながら、これらの金はそのいずれもが競馬会及び国にとってはいわば不労所得であります。本来ならばこれは競馬ファンに返るべき金なんです。しかもこの競馬法第十条によりますと、第十条に「払戻金を交付する場合において、前二条の規定によって算出した金額に一円未満の端数があるときは、その端数は、これを切り捨てる。」「2 前項の端数切捨によって生じた金額は、日本中央競馬会の収入とする。」ということにはっきり明示してあるのでございます。しかるにもかかわらず、半額はやはり大蔵省に国庫納付金として納まっておる。これは後からの利益の結果か知りませんけれども、こうなっておるわけなんです。これは本来から言うならば、国が取るべきものではなくして、端数はファンにある、競馬ファンに還元すべきものなんです。  さらにまた、第十一条には——払戻金を取りに来ないのがある、この金がさっき言ったように十億円あります。「一年間これを行わないときは、時効によって消滅する。」ということになっております。その消滅したこの払戻金、取りに来なかったものはだれが取得するということは、法律にうたってないのですよ。黙って競馬会が取っている。ネコババしているということを言っても仕方がないと私は思うのです。これは法律改正するならば、やはり前条に「日本中央競馬会の収入とする。」と書いてありますように、時効のこの問題も、どこの収入にするかということが法においては明らかにする必要があると私は思いますが、この点いかがでございますか、承りたい。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 端数切り捨て金収入と、それからファンが当たり馬券を払い戻しに来ないという場合に、一年たったら時効になってしまうわけでありますが、その金の帰属は、これは中央競馬会の中に入るわけであります。これは当然、法の目的といたしましては、そういたしました趣旨は、払い戻し事務の能率化を図るといったことであろうというふうに私どもは、端数切り捨ての問題でございますが、思っておるわけであります。これは競馬だけに限らず他種の競技も同様であるわけであります。  それから、一年たったら時効になるということにつきましても、これは競馬会の収入に入れているわけでありますが、こういったものにつきましては、その本来の趣旨からいって、何らかの形でファンサービスに還元するのが妥当であろうと私は思います。ただそのとき、直に、それを特別会計みたいな形で、たとえばファンドとしてとっておいて、そしてそこから直接出す形がいいのか、あるいはそれはそれとして競馬会の一般の勘定の中に入れて、別途必要なものは必要なものとして先ほど申し上げましたように確保するような方へ出すという方がいいか、そこはいろいろ議論が分かれると思いますが、いずれにいたしましても、何らかの形で最終的にはファンに還元するよう努力するというのが本来的な趣旨ではないかと思うわけであります。  それから法律の解釈のお尋ねでございますが、法の五条で勝馬投票券の代価は当然に競馬会の収入になる、こう書いてあるわけであります。そして法の十条で御指摘の端数切り捨てということがありまして、その端数切り捨てにつきましては、その切り捨てた額を競馬会に帰属せしめるという法十条の二項の特別の規定があるわけでございます。  一方、御指摘の点は、時効に係る払戻金につきましては、法十一条で払い戻しを請求する債権がそもそも一年たったらなくなるということだけ書いてあって、「競馬会の収入とする。」という、端数切り捨てと類似したような規定はないではないか、こういうお尋ねであるわけでありますが、先ほど冒頭に申し上げましたように、第五条で勝馬投票券の代価は当然に競馬会の収入になると書いてあるわけであります。勝馬投票券の代価は一たん当然競馬会の収入になるということが一大前提になっている。そこで時効にかかわる払戻金につきましては、払い戻しを請求する債券がそもそも消滅する。それから競馬会の方も、一たん自分に帰属したものが、今度は払い戻しをする債務が発生しているわけですけれども、時効にかかった場合には債務が消滅してしまうということであります。債務の消滅ということで、その当然の結果として競馬会に帰属する、そういうふうにわれわれは理解しているわけであります。そういう意味でことさら法第五条の関係と法第十一条とあわせ読みますれば、端数切り捨ての場合には当然に競馬会の帰属ということにはならないわけであります。ただ、端数切り捨てということは計算上の便宜のために書いてあるわけでありますから、端数を切り捨てたものは競馬会に帰属するというふうな規定の補足が必要じゃないかと思うわけでありますが、時効による債権債務の消滅の場合にはそういった規定は必要ないのではないかというふうにその前後関係で理解するわけであります。

稲富稜人民社党

○稲富委員 この時効のものは、考え方によってはこれは拾得物なんですよ。拾得物を取得する場合には、拾得物の届けをして、そして拾得物届を出して一年間取りに来なかった場合には拾得物の届けをした者が自分のものとして取得できるということになるわけなんで、こういう点も実はあいまいになっている。これは本当を言うならば、ファンサービスのために返すべきなんです。ファンサービスのために返す方法がないとするならば、主催者が取得している二五%控除しているものを二〇%にして、払戻金を現在の七五%を八〇%にする、こういうようなことにしても、競馬会の収入には私はそう影響はないと思うのです。これはほかのこういうような行為をやっている競輪等とも関係があるかもわかりませんが、法の改正においてはこういう問題も十分ひとつ検討の中に入れて改正を考えてもらいたいということ。これは本来から言うならば競馬ファンに還元すべきものである、こういう点を念頭に置きながら法の改正に進むべきが当然である、こういうことを申し上げたいと思うのであります。  次に、中央競馬会法の第三十六条に基づく国庫納付金の使途についてであります。法律によれば、国庫納付金は畜産業の振興と社会福祉事業の振興に充当することとなっております。これはわれわれがその法律をつくったのでございますが、初めは、昭和二十九年に法律をつくったときは畜産振興ということだけになっておりましたけれども、社会福祉の振興に充当するということを後で修正して入れたわけなんです。これは私は当然だと思うのでございますが、今回スポーツ振興にこれを支出するという問題が起こってまいっております。私はスポーツ振興にこの金を使うということに対して異論はございません。  ところが、最近、競馬会から馬主会を通じて二億円がスポーツ振興のために支出されようとしておるということを承るのでございます。私はそのスポーツ振興に二億円出すことに対して不服があるのではございませんけれども、なぜスポーツ振興にも出せるという競馬会法の改正をやってからこれをやらないのであるかということでございます。これを法の改正をやらないで、ただ競馬会から馬主会に出す、こういう変則的な金の出し方をするということは、すなわち、政府が競馬法に対してはれものにさわるような考え方を持っておるからこういう変則的なことをやるのだというふうに言わざるを得ないと私は思うのです。スポーツ振興に出してもいいから、なぜ堂々と競馬会法の改正をやってこれをお出しにならないのか。ごまかしと言ったら失礼になるかもわかりませんが、なぜそういう変則的なことをおやりになるのか、この点を承りたいと思うのでございます。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 御指摘のように、現在の国庫納付金の四分の三は畜産振興のための費用、四分の一は民間の行う社会福祉事業に充当するということは法定されているわけであります。  いま御指摘になりましたスポーツ振興の問題は、実は競馬会の五十一年度予算編成の過程におきまして、従来は、馬主の方へ交付される競走馬管理諸費というものがありますから、その中に馬主協会賞というものを予算計上していたのでありますけれども、それにつきまして中央競馬会の方に増額要求があったわけでありますが、それを中央競馬会でいろいろ審議しました結果、やむを得ない、妥当であろうという判断で私どものところに予算の認可申請があったわけであります。私どもといたしましては、ほかの賞金も増額されておりますし、他の予算も増額されている関係上、この馬主協会賞も増額することについては不当ではないであろう、こう判断して認可したわけであります。馬主の方といたしましては、この馬主協会賞として協会に交付されます賞金の中から一定の金をスポーツ振興のために充当したいというふうに希望している、そういうことを聞いているわけであります。経緯はそういうようなことであります。  それから、競馬から出た益金というか国庫納付金を一体どれに使うのかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、現在は、中央競馬につきましては畜産振興費、社会福祉事業というふうに限定されておりますが、それをどこまで広げるかということにつきましては、どこまでが限界で、どこまでが外であるということになりますと、これはかなり議論が分かれるところでございまして、なかなかむずかしい問題があろうかと思います。これにつきましてはちょっと軽率に判断はできません。だからこそ現在も限定的にされておるということもあると思うので、これはよく検討させていただきたいと思うわけであります。

稲富稜人民社党

○稲富委員 いまのスポーツ振興の二億円の問題は、局長は非常に苦しい答弁をなさって、さわりのないようなことをおっしゃっておりますが、私はその内容をよく知っておりますから、もうこれ以上追及しません。私が言うのは、そういう問題に対しても大手を振って金を出せるような、すっきりした競馬法の改正をやるべきではないかということであります。  次に、今度は競馬法の本論の問題について申し上げたいと思いますが、中央競馬会法第一条において「この法律は、競馬の健全な発展を図って馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため、」云々というふうになっております。この目的につきましては、中央競馬会法の制定当時より大きな問題として取り上げられてきたところでありますが、それは特に馬の改良増殖にいかなるかかわり合いを持つかといった点であります。  元来、わが国の競馬は、さきにも述べましたように、軍馬及び農耕馬の改良増殖に大きな役割りを果たしてきたことは否定できません。しかしながら、最近の実態は、軍馬は全くなく、また農耕馬も数えるほどしかないのが実態であります。法律制定当初と今日とは、そういう点においても大きな時代の変遷を来しているのであります。この競馬の目的につきましては、もちろん畜産の振興が図られていることは結構なことだと思いますが、同時に、近年におきましては、競馬を健全なスポーツないしは娯楽として育成することも大きな目的の一つではないかと思うのであります。この点、現行法規は、その目的を初めとして現状の上から競馬は一体だれのためにあるのかといった根本問題を再検討して、目的の改正を含めて、そしてただいま冒頭大臣も言われましたが、競馬法及び中央競馬会法の改正に着手する、こういうことが最もふさわしいことであるという考えを私は持っております。この点からも競馬法の改正が必要であるということを考えますので、これに対してひとつ承りたいと思うのであります。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 競馬の目的とは何ぞやということについては、かなり議論が昔からあったわけでございまして、先ほど大臣からもお答えをいたしたわけであります。ただ、法律につきまして競馬の目的を明記するということが必要かどうかということにつきましては、たとえば競輪とか競艇とか他種の競技につきましては書いております。しかし、それは法律の性格によるわけでありまして、競馬法が産業振興法ではなくて、いわば競馬のやり方についての規律、ルールを決めている、そういう事業規制法でございますので、競馬がすでに社会に定着しているというようなこと、それから競馬の目的につきましてはかなりコンセンサスもでき上がってきているということからすれば、直ちに法の目的としてそれを明定するということが必要であるかどうかということは、いろいろ議論があるところだと思います。しかし、それだけで法律を改正するということではございません。制度改正を検討する場合の一つの重要な項目として検討していきたいと思うわけでございます。

稲富稜人民社党

○稲富委員 場外馬券発売所の問題についてお尋ねしたいと思います。  現行競馬法の改正すべき点につきましては先刻からいろいろ申し上げたのでございますが、さらに今後検討する問題に場外発売所の問題があります。現在中央競馬の場外発売所の数は十五カ所ありますが、そのうち一カ所は休止中であります。昭和三十二年以降増加しておりません。一方、場外発売所の利用者は年々増大しております。昭和三十六年と昭和五十年とを比較すると、総発売上高では百四十五億円から四千八百二十億円へと三十三倍に増大しておるのであります。中央競馬の年間の売り上げのおおむね二分の一を占めておると言っても過言ではございません。このため、最近の場外馬券発売所は非常に混雑しておるばかりでなく、その周辺においては公害問題までも発生しているというような状態であります。  さらに、ここで指摘しなければならないことは、場外馬券発売所が容易に利用できないため、最近のみ屋行為というものが全国的に横行していることであります。特にのみ行為による馬券発売額というものが、中央競馬会の正規の馬券発売額と同額程度であるとも言われております。しかも、その大部分が暴力団の資金源になっておるとさえも言われておるのでありまして、これが社会問題にまで発展しておるのであります。こういうような実情に対しましても今日に至るまで政府はあるいは競馬会も何らの対策を講じていないのであります。それで場外馬券発売所というものを今日のようなあの狭いところではなくして、郊外でもいいからもっと明るい場外馬券発売所をたくさんおつくりになる。そうすることがのみ行為を少なくすることであり、あるいは競馬場の混雑をなくすることである。今日競馬がありますとマイカーその他によって非常に競馬場が混雑いたします。この緩和策にもなると思うのでございますから、この場外馬券発売所に対しましても、明るい場外馬券発売所、しかも競馬場と直接のテレビの備えつけでもするというような、こういう場外馬券を余り制限をなくして、希望のある土地にはつくる、こういうような方向に進むことが好ましいと私は思いますが、これに対する考え方を承りたいと思うのであります。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 場外馬券発売所の混雑ぶりにつきましては御指摘のとおりでございますが、われわれこれに対処する対策といたしましては、時間的余裕が少ないファンを対象といたしまして人口密度の高い地域に既存の場外馬券の売り場、発売用の設備を増設する、あるいは場合によっては新設するというようなこともあり得ると思うわけでありますが、そういった形での対応が一つと、それから、いま先生が御指摘になりましたように、そういった都市の中心ではなくて、むしろ郊外に広大な敷地を利用して、むしろファンがそこである程度の時間滞留しながら、テレビあるいはパノラマ等のそういった設備を利用できるなら活用して滞留しながら競馬を楽しむ、そういった形での場外馬券発売所のあり方というものは十分あり得ると思うわけであります。いろいろそういった御意見をなさる方もいらっしゃいますし、私どもそれは有用な御意見として検討の一つにさせていただきたいと思うわけであります。

稲富稜人民社党

○稲富委員 じゃ最後に伺います。  中央競馬会に対しましてはいろいろまだお尋ねしたいことがありますけれども、時間がありませんので要点だけを申し上げたのございますから、その点においてひとつ善処してもらいたい。  最後についでに地方競馬の問題について、これは一口で申し上げておきます。  まず、地方競馬の開催地の問題でございます。これは希望のあるところにはもっとやっぱり地方競馬の開催地をふやしてもいいではないか。それからさらに、地方競馬の開催日の制限というものが非常にやかましく言われておりますから、この地方競馬の開催日をもっと多くするということも当然考えるべきじゃないかということ、さらに、現在の地方競馬の状態というものは、地方競馬全国協会というのがありますけれども、地方競馬全国協会は地方競馬に対する統制力を一つも持ちません。それがために地方競馬はいろいろ問題を起こすことが多いことは御承知のとおりであります。これに対しては、やはり法的に地方競馬全国協会というものがもっと地方競馬に対する統率力を持てるような、こういうような法の改正をやらなければ、地方競馬全国協会がもう地方競馬の方からなめられてしまって、逆に地方競馬全国協会が地方競馬の開催地の言うことを聞かなければいけない、こういうような情けないような状態になっておりますので、この点も考えて地方競馬全国協会がもっと統率力を持つような方法と、さらに日数を多くすること、開催地というものも、希望があれば、弊害がなかったならばもっとふやしてもいいではないか、こういう点でひとつ考えなくてはいけないと思いますが、これに対して御意見を承って私の質問を終わりたいと思います。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 地方競馬の開催の現在の規模は年間三百八十四回ということになっております。これにつきましては、三十六年当時の長沼答申というようなこともありますし、そういったことも考えなければなりませんが、私ども必ずしも三百八十四回というものを絶対固執すべき枠だというふうには考えておりません。実情に応じてある程度弾力的に対処していいと思うわけであります。ただ、回数をふやす場合に、地方競馬の主催者側の体制の問題、非常にいろいろ問題を起こしていることも事実でございますから、公正に施行ができるという体制の問題もあわせて考える必要がある。いろいろ御希望がありますが、そういったところにつきましてはできるだけ御希望を聞きながら対処していきたいと思うわけであります。  それから地方競馬全国協会の指導力の問題につきましては、これは単に交付金を吸い上げて配るというだけの業務ではもちろんございません。いろいろ競馬施行者、市町村と市町村との間での交流の問題、必ずしも円滑に馬の交流等がいかないというケースもあり得るわけでありますから、それは一例でございますが、そういったことにつきましての調整につきましては、せっかく地方競馬全国協会という特殊法人があるわけでありますから、その指導力を発揮するよう私どもも指導いたしたいというふうに思うわけであります。

稲富稜人民社党

○稲富委員 これで終わりますが、競馬を開催される農林省が——やはり競馬というものはギャンブルに違いございません、ギャンブルでございましょうけれども、ギャンブルにも健全なギャンブルと不健全なギャンブルとがある。私は、競馬というのは最も健全なるギャンブルだと思う。だから、われわれは競馬は健全なるギャンブルであって、そして国民の娯楽的な一つのスポーツである、こういう考え方を持ちながら、ひとつ胸を張って競馬を開催する、そのかわり公正なる競馬をやる、そして競馬ファンが満足するような競馬をやるんだ、こういう指導でやる。それがためには堂々とおやりになって私はいいと思うのです。ところが、いままでの農林省の考え方というのは、私はしばしば述べましたように、競馬をやっていることは自分たちが悪いことをやっているような考え方です。こういうような考え方では、私は本当の競馬の前進はできないと思うのです。もっと自信を持って、そしてもっと大きく胸を張って競馬の開催をやってもらいたい、こういうことを特に希望申し上げまして、私の質問を終ることにいたします。

湊徹郎自由民主党

○湊委員長 次に島田安夫君。

島田安夫自由民主党

○島田(安)委員 大変時間が遅れまして、大臣には気の毒ですけれども、重要な問題ですのではっきりした答弁を求めたいと思います。  なお、冒頭にちょっと委員長にお断わりしておきたいのですけれども、一つは、今回の私の質問でございますけれども、琵琶湖の総合開発事業に伴うアユの問題等につきましては、訴訟の相手は私ではありません。北海道から鹿児島県まで全国八百余の琵琶湖の稚アユの放流事業をやっている河川組合が、きのうも申し上げておいたのですけれども、概数は大体三十数万人、加えてまた、これらの河川に入漁している一般の遊漁者、これが約一千万人、これらの方々が、これでは日本の河川からアユがなくなるではないか、こういうことで問題を提起されておるわけでございまして、私はこの訴訟の筆頭者でも何でもありませんので、その辺は誤解のないようにお願いしたいことが一つ。  いま一つ、私が申し上げたかったのは、かつてお隣の国でシカを馬と間違えて一国の興亡に関するような大きなことがありました。自来、シカを馬と間違えることを通常ばかというように呼んだりいたしておりますので、シカを馬と間違えてはだめじゃないか、こういう表現をしたかったわけでありますけれども、勢い余ってああいうようなことに呼んでしまったわけですけれども、これをひとつ御理解をいただきたいと思います。  さて、大臣に御質問いたしますが、承知のように、この事業の施行による琵琶湖の被害といいますか、これを考えてみますと、まず水質汚濁による公害の問題が一つにはあります。いま一つには、きのうからしばしば指摘しておりますように、琵琶湖のアユ種苗というのは唯一の資源であって、現行の制度におきましても、水産資源保護法という法律で、これは大変な資源だから、これだけは将来ともに守っていかなければならない。また、アユそのものを考えていきますと、この日本列島に人類が住まいをしたいわゆる有史以来といいますか、それ以来、われわれ日本人の生活になじんできた種属であります。したがって、清流に銀鱗が踊るといいますか、アユが生息する姿は日本人の郷愁ではないのか、一つの心のふるさとではないのか。また、私どもといたしましては、全国の河川がどんどん汚濁されていく、何とかこの水の汚濁を防ぐためには、アユが生息できるような自然環境を保持したい、こうしたことで、長い間闘ってきたといいますか、公害についても厳しくこれを指摘したところであります。  したがって、今日、公害の問題が私どもの生活をだんだん圧迫をする、加えてまた、圧迫のみならず人命問題にも絡んでくる、こういう社会情勢等考えていきますと、まさに内水面漁業者の果たしてきた役割りというものは、こうした意味においても、国家的にも高く評価されてしかるべきだというふうに私は理解をしながら、さて今後、この唯一の種苗をどうやってわれわれは保持していくのか、こういう原点に立ってきのう以来質問をいたしたわけでありますけれども、私は現在、公団のやっていることはきわめて遺憾でありまして、そこで、直接水資源開発公団の指揮監督をされておらない農林大臣ではありますけれども、アユ資源というものを何とかしなければならないということにつきましては、大臣の所管事項でもありますので、以下二、三の問題についてお尋ねをいたします。  そこで今度、この琵琶湖の総合開発、これに伴いまして、大変琵琶湖そのものに被害を与える、また地域住民あるいは関係者に迷惑を与える、そうしたことで、水資源の利用ということもさることながら、何とかできるだけこの被害を最小限に食いとめて、総合的な開発をやろうというのが、この事業のねらいであると同時に、新しく琵琶湖の総合開発特別措置法という法律をつくって、この被害を何とか少なく食いとめようというのが、私はこの法律のねらいであるというふうに理解するわけであります。  そこで、この法律の内容を詳しく検討していきますと、まず第七条に次のようなことが書かれております。読んでみます。第七条「総合開発事業を実施する者は、」この場合、公団であります。国であります。「当該事業の実施によって土地に関する権利、漁業権その他の権利に関し損失を受けたため生活の基礎を失うこととなる者」云々、これについては事情の許す限り、当該者に対する再建の措置等をやらなければならないという規制があります。そのことは、きのうからしばしば申し上げておりますように、「漁業権その他の権利」——私は昭和三年以来約五十年間、琵琶湖のアユ資源というものは、全国の各河川に内水面漁連が中心になって、これを配付しておった資源であり、また、五十年という実績は「漁業権その他の権利」、この「その他の権利」に当然既得権として該当するものと理解をするわけでありますが、この理解は私のみならず、大方の関係者はそのように思っておるであろうことを信じておりますけれども、これについて大臣はどのように理解をされるのか、イエスかノーで結構です、お答え願いたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 この法律は、国土庁所管の法律でございますけれども、法律としてはその条文どおりこれを解釈をしていかなければならぬのは当然であると考えます。

島田安夫自由民主党

○島田(安)委員 大臣の現在の見解というのは、私は正しい解釈だというふうに私も理解をいたしております。  そこで、この法律の決定に伴って両院ともに次のような附帯意見をつけました。読んでみます。「琵琶湖の水資源開発事業により生ずる湖水位の低下に伴う被害影響の特異性にかんがみ、生活基盤を失う者に対する生活再建、予測しがたい事後の被害に対する補償等について万全の措置を講ずること。」参議院の附帯意見も大同小異であります。  私は、きのうからしばしば申し上げておりますように、アユは四〇ないし五〇%減産になる。これは公団自身そのようにいろいろな資料等調査した結果決定をいたしました、こう答弁をいたしております。したがって、これに対する補償金も支払われた。しかしながら、いま申しますように、この附帯意見、元来国は附帯意見というものに対して、私は、かりそめにも院の本会議でこういうことをやりなさい、この法律を施行するためには、この附帯意見を尊重しながらやらないことには法律の完全を期せませんという意味でつけるべきだと思いますけれども、えてしてないがしろにされておりますけれども、しかしながら、こうした重大な問題につきましては、これをただ通り一遍のものと考え、ややもすればそう解釈できるような取り扱いは間違いだと思います。  そこで、いま申し上げました附帯意見、被害者に対しては補償しなさい、こういう趣旨の附帯意見について大臣はどのように理解をされるのか、お答えをいただきたいと思います。

有賀虎之進国土庁長官官房審議官

○有賀説明員 ただいま先生のおっしゃられました附帯決議の趣旨でございますけれども、もちろん私ども十分この附帯決議の趣旨を体してやっていかなければならない、こういうように考えておりますけれども、当時の附帯決議の状況を聞いてみましても、これは一応琵琶湖または琵琶湖の周辺のものについてを対象にしているというふうなぐあいに私も聞いておるような事情でございまして、先生のおっしゃられる内水面漁業といいますか、それは全国のものを対象にしているようには聞いていない事情にありますけれども、なお先生のおっしゃられましたこと、よく調べてみたいと思っております。  それから、ちょっとつけ加えさせていただきますけれども、先ほど法律の七条の「その他の権利」ということについてでございますが、これもたとえば補償基準等に書かれておりますようないわゆる権利性のあるそういったものについて言っていることでございまして、漁業権とか土地の権利というものを例示してあるわけでございまして、そういう権利のあるもの、そういうように私どもは解釈しております。

島田安夫自由民主党

○島田(安)委員 国土庁のもうちょっとあなたよりか次元の高い方でありますと、もっと突っ込んだお尋ねをしたいと思いますけれども、私は法律の解釈を誤っていると思う。すべての場合に言えますことは、四十年、五十年、たとえば農地法等で法律ではっきり規制されております事項でも、道路、生活権に関すること等は、十年たてばこれが慣行としてりっぱに生かされていく。農地法にいたしましても、三年間だれかに貸しておればそこで小作権というものは定着できる。日本の法律は、すべて慣行というものは一つの法律と同等な取り扱いをほとんどの分野においてなされております。  特にこの機会に申し上げたいのは、アユというのは琵琶湖で採捕しましても何にもなりません。これは価値は零であります。これを蓄養して、さらにこれを太らせて河川まで持ってきて放流をして初めてそこに価値が生まれる。したがって、放流、採捕というのは一貫した事業でありますから、価値もそこに生まれ、そうした被害については当然考えられるべきだというのが私の持論であると同時に、ただいまの答弁、はなはだ遺憾であります。  なぜならば、この法律案を審議するに当たって、もう数条にわたってアユの問題が出ておる。たとえば漁業の損害問題では、琵琶湖のアユ種苗問題というような点では全国の需要の約七〇%以上琵琶湖で供給しておる、これに大きな影響が出てまいるというようなことになりますと、たちまち全国に波及して大問題になる、こういう問題を含めて、具体的に損害補償の問題については資源開発公団が中心になって対処いたします。当時の水産庁の次長がこう答えておる。議案を審議する過程の中で、この法律を前提としてはっきりこのような答弁が議事録に残っておるのに、アユの問題等でなしに、その他の物件を指すとかというようなことは勉強不足もはなはだしい。よって国土庁に対しては、さらにはっきりとこの問題の解釈についてただしたいと思います。  それから附帯意見につきましても、われわれはいまの国土庁の答弁にありましたような見解を持っておらない。これだけははっきりしておきたいと思います。  なお、当時の赤城国務大臣は次のように答えております。「被害について十分な補償措置を講ずる。それとともに、その影響を最小限にとどめるために、種苗の生産とか放流等の水産資源維持対策事業を実施する、」こういう答弁もなされております。これは主管大臣の答弁であります。こういう答弁があるにもかかわらず、国土庁の若い何という課長か私は知りませんけれども、無礼千万、勉強しなさい。  そこで、きのうも申し上げたのですけれども、これは特に大臣にお尋ねしておきたいのですけれども、いやしくも国、あるいはまた、地方公共団体等でも一緒であります。公共事業は、広く国民のためにあるいは地域住民のために、利益を供給するというのが公共事業というふうに呼ばれているようであります。そこで、そういう公共事業を実施するに当たって、そこに二次的にその事業の進捗によって被害を受ける者がある。これについては原則として国あるいは公共団体等でもこの被害の補償をするというのは明治改元以来、日本の憲法ができましてからずっと引き続いて行われていることであります。最近はそれのみか、たとえば道路をつける、一年、二年、三年先に地殻の変動等が起こる、あるいは気象条件の変化等で雨が降る、地滑りが起きた、道路の下を通っておって人畜に被害ができた、あるいは物件に被害が起きた、これらの取り扱いについても、裁判になりましても国がいつも敗訴をしておる。これは当然道路の管理義務のある者は事前に予知をしてこれらに対応しなければならない、こういう判決の要旨であります。  この事業が推進されることによって、当然全国の八百余の河川に大変な被害を与える。当初からわかっておる。わかっておるから、この事業を推進するに当たって特別措置法までつくって、この特別措置法の審議に当たっても、そういう被害者に対しては十分な措置をしなさいこういうことを実施させるためにこの特別措置法という法律までできた。そこでこのような場合、当然公共事業を行う者がその被害についてはそれを補償する。あるいはまた、アユですから、われわれは何もただ金をくれというようなことを一回も言っておりません、アユがなくなれば大変だから、アユを何とか四〇%なり五〇%なり減産するものを補給できるような対策を考えなさい、大変なことではないですか。農林大臣は私どもの所管庁の長であります。内水面漁業が危殆に瀕しておる、状況によっては死滅してしまう、こういう重大な要素を含んだこの問題でありますから、大臣とされても、そういう被害が出るものであれば何とかしなければならないというふうに正直にお考えになっていると思いますけれども、いかがですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 私は、アユに対するいまの島田委員の考え方は私は全く同じであります。法律によって保護されておる魚類でありますし、今後ともこのアユの資源は確保していかなければならぬ。これは水産庁、政府の責任であると考えるわけでございます。したがって、この資源が枯渇していくことに対しては、われわれとしても重大な責任を持って枯渇しないように全力を尽くしていかなければならぬというふうに考えるわけでありますが、琵琶湖のアユの種苗に依存している他の地域の漁業補償、これはいまさっき言われました第二次補償ということになると思います。これは法律的にもいろいろとむずかしい問題があると思いますが、琵琶湖総合開発事業の実施に当たりましては、琵琶湖総合開発特別措置法に基づいて対策が検討されることになっておりますから、関係各省も十分協議の上対処してまいりたいと考えておるわけです。  また、農林省としては、琵琶湖総合開発事業の中で水産業の振興を図る立場から、第二次構造改善事業を初めとして漁港の整備事業等を実施することといたしておるわけでございますが、いずれにいたしましてもアユの稚魚の確保につきましては、われわれとしては万全の対策を講じてまいりたいと考えております。

島田安夫自由民主党

○島田(安)委員 きょうは後で予定もあるようですし、余りくどくど申し上げても御迷惑だと思いますが、最後にこの際農林大臣に特にお願いといいますか、強く要望しておきたいと思うのですけれども、被害が出ることは確実である、これは是認されると思います。そこで被害が出れば本当に三十数万人の全国漁業組合員が困る。と同時に、レクリエーションといいますか遊漁者が一千万人ある。最近の社会生活の中において、きれいな水にアユがいる、これをたとえ三尾でも五尾でもと、せっかくの休暇の憩いをそうしたものに求めていく、これはまさに健全な、将来の日本民族の発展とともに理想とする一つの姿ではないかと思うわけですが、それだけにこの問題は重大であります。したがって所管省の大臣とされましては、関係各省庁、国土庁であるとか建設省とかあるいは水資源開発公団——遺憾にして水資源開発公団というのは役人さんの上がりばかりが十二人おって適当に運営されておるようであります。私はきのうも指摘しましたけれども、マスコミ等でこれではいかぬじゃないかという批判、国民の反発もあります。それはさておくといたしましても、こうした関係機関等に、この問題については一歩誤ると大変なことになるから十分心して対処しなさい、これぐらいの要望は願えるものと思うわけでありますが、これにつきまして大臣の所見を伺いまして質問を終わります。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 この問題は重要な問題でございますから、関係各省よく相談をして、これに間違いのない方向で対処していかなければならないと思うわけでありますし、私たちとしても、被害が出ないように、いろいろと人工河川その他の工事等も計画しておるわけでありますから、稚魚の確保につきましては万全の対策をとってまいりたいと思います。

島田安夫自由民主党

○島田(安)委員 終わります。

湊徹郎自由民主党

○湊委員長 次回は、明二十日木曜日午前十時理事会、午前十一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十五分散会

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