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77回国会衆議院1976/05/17

内閣委員会 第8号

発言数
386
登壇者
18
会派数
5
開催日
1976/05/17

会議録

木野晴夫自由民主党

○木野委員長代理 これより会議を開きます。  在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鬼木勝利君。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 宮澤大臣には大変お忙しいところをお繰り合わせいただきましたので、きょうは相当幅広く私はお尋ねしたいと思いますから、時間の許す限りひとつよろしくおつき合いを願いたい。  これは新聞紙上に相当報道されておりますが、さっきテレビでも報道いたしておりましたが、昨十六日に米上院情報活動特別調査委員会のチャーチ委員長から、「米軍による市民の不法監視の実態について」、こういうテーマで報告書を公表しております。この中で、特に日本の関係では、去る七三年から米海軍の秘密調査機関、NISが沖繩、岩国、横須賀の三都市で反戦市民団体を対象にスパイ行為や情報収集活動を行ったことが明らかにされております。  これについてお尋ねしたいのですが、情報活動とスパイ活動との区別と申しますか、これは大変困難だと思いますが、恐らく紙一重というところだろうと思いますが、わが国におけるところの反戦運動などの大衆運動に対して米軍がスパイ活動を行うということは、これは明らかにわが国の主権を侵害する、内政干渉というようなおそれがあるんじゃないか、私どもはさように考えるのであります。その点について外務大臣はどのようにお考えになるか。また、NISという米海軍の秘密調査機関があることを外務省は御存じであったのか。聞くところによると、外務省は知らなかった、こういうようなお話もあっておるかに承っておりますが、その辺のところについて、大臣の所信をお尋ねいたしてみたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 情報活動と秘密活動、スパイ活動とはどこで区別をするかというようなことは、確かに大変むずかしい御質問でございますし、はっきりした定義を与えることもなかなか困難ではないかと思いますが、はっきり申し上げられますことは、いわゆる不法な行為、不法な方法あるいは不当な方法によって情報を収集する、その結果個人または国の法益が害されるというようなことは何人によるといえども許されないということと、いわゆる主権行為と称するものをわが国において行うということも認められないことであろうと存じます。  そこで一般論として、大衆運動に影響を与えるということが不法であるかどうかということになりますけれども、これも抽象的に申しますと、たとえばある国が自分の国の政策あるいは考え方についてわが国において広報活動を行うということは、それが法令に許される方法でなされる限りは別に問題とするに当たらない。しかし、その目的は、広報活動によって何かの影響を与えようというに違いないと思います。ですからその場合、実はわが国はこういうことを信じておるとか、こういう考えでおりますということを言うのは、これは普通のいわゆるPR活動でございましょうから、それが法令に違反しない正当な範囲で行われていれば別に問題とするに当たりませんが、しかし、そのこと自身が、そういう活動をする以上は何か日本国民にそれをわかってもらいたいとか理解をしてもらいたいとかいう目的があるに違いありませんから、厳密に言いますと全く影響力を与えないつもりで広報活動をやるということは本来ないはずであって、したがって、広報活動そのものが非合法であるということには恐らくならないと思います。ただ、それが具体的なある種の大衆行動に直接の影響を与えるように何か方法を使うというようなことになりますと、これはまた一般的な広報活動とは違うではないかという議論が可能でございますから、具体的には態様によって判断をするということになろうと思います。  基本原則としては、わが国の法令に反しない方法で、しかも特定の個人あるいは国の法益を害しないという範囲の活動であれば別段これを問題とするに当たらないのではないか、これは抽象的な原則でございますけれども、そういうふうに考えます。  なお、NISでございますか、これにつきましては、政府委員の方からお答えをいたします。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 米軍の中にNISといいますか、ネイバル・インベスティゲーティブ・サービセズというふうな機関があるということは一応承知しておりまして、これは米軍軍人や軍属に関連する犯罪とか、まあ規律の問題を扱う機関としてあるものと承知しております。ただ、詳しいことはわれわれとしても把握いたしておりません。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 いまの大臣の御答弁は、一応理論的にはそれは広報活動で、大衆運動に影響を与えない、国益を損じない、当然そうだと思いますが、その点の判断が非常にむずかしいのじゃないかと思うのです。  これは新聞報道ですけれども、単なる情報収集だけではなく、集会場やアジトからの手紙類だとかあるいは反戦機関紙の購読者のリストだとかデモなどのスナップ写真などを盗み出してNIS本部に提出した。これは単なる広報活動でもなければ大衆運動をいささかも損じないということじゃなくして、明らかにスパイ活動だ、そのように私は理解するのです。ことに、いま外務省の局長のお話でNISというのがアメリカにあるということは承知しておった。ところが在日米海軍にNISという組織があることは知らない、こう外務省では発表した。それはどちらが本当ですか、その点は。私の前段の質問と後段の質問に対してひとつ御回答願いたい。あいまいなことを言われちゃ困るから。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 スパイ活動とは何かという定義は非常にむずかしいと思いますから、それに深入りをすることをいたしませんで、そこに反社会的なあるいは反道徳的なものがあるという言葉使いとして一応受け取らせていただいておきます。  そこで、たとえば大衆運動がある、その写真を撮る、あるいはその様子を記録をして報告をするというようなことは、それ自身としてそれが法令に許された方法で行われている限り、その間に反社会的あるいは反道徳的なものはないと思います。他方で、もし手紙類あるいは写真のスナップなどを盗み出すというようなことになりますと、これは明らかに法律に違反する行為でございますからもう問題の余地がないのでございまして、結局どのようなことが具体的に行われたかということによりまして、それが不法であり不当であるか、あるいは許された情報収集の範囲に入るかということになろうと思います。米上院情報活動特別委員会の報告というのが新聞で報道されただけでございますから、私どもとしてはこの報告書を至急取り寄せて事実関係を調べなければならないと思っております。  なお、NISというのは、一応そのようなものが在日米軍の中に存在しておるということは外務省としても承知しておりますが、その活動の態様については存じませんと先ほど政府委員が申し上げたと思いますが、そのとおりであろうと思います。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 じゃそういうNISという組織があることは外務省は承知しておった、こういうことですね。その内容その他の詳細については承知していなかった、こういうことですか、局長。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 新聞の報道その他で外務省がそれを知らないと言ったというふうな報道もあるようでございますが、新聞その他からの問い合わせに対してだれかそういうことを述べたかとも思いますが、われわれとしてはそういう組織があることは承知しておりまして、先ほど申し上げましたように、米軍人等の犯罪とかあるいは規律違反の問題なんかを扱っている機関であるということは一応聞いております。ただ、具体的なその活動は承知しておらないということを申し上げた次第でございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 それは少々うかつではないですか。そういう組織があるということは知っておった、それは何をやっているか全然わからない。それは私はうかつだと思うのですね。  それではいま大臣の御説明によって、そういう事実があるかないかということをきわめたい、もしそういう事実があるとすれば、私はこれは明らかに地位協定の違反だと思う。もし仮にそういう違反がないとするならば――いまの局長の説明によって、そういう組織のあることは知っている、しかし今度のこの件について違反がないということになれば、将来はそのまま放任して内容は知らない。そういうことでいいのですか、大臣。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 一般に在日米軍が、あるいはさらに申せば在日大使館でもそうでございますけれども、どのような組織を持っておるかということは、別に私どもは一々せんさくをいたしておりません。何となれば、それは向こうの主権行為に関することだからでありまして、問題なのは、どのような組織によるにせよわが国の法令に違反してもらっては困る、そういうことがわれわれにとって大切なことでありまして、どのような組織で事が動いておるかということは、別段私どもそれをせんさくしようとは思っておりません。このことは、どこの国の大使館あるいは公の機関の活動につきましても同様のことでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 それは内容をせんさくすることは行き過ぎかもしれない。しかし、そういう組織、団体が一体どういうことをしておるかということは、私はキャッチすべきであると思う。それに対して干渉したり、それに対してどうだこうだということは私はいけないと思いますけれども……。  では、まあ大臣の御答弁はそれとして、警察はこうした在日米軍の活動を知っておるのか全然知らないのか、その点ちょっと。

大高時男警察庁警備局外事課長

○大高説明員 御承知のように警察は、一般的にいかなる個人、団体でございましても、国内法に違反するものについては、これは必要な取り締まりをやる、あるいは捜査をするというのがたてまえでございますけれども、ただいま先生仰せになりました事案につきまして、法に触れるというようなものをわが方ではいままでのところ承知しておりません。ただ、こういう新聞記事が出ましたので、私どもの方でも、米国においてどういうような事実が指摘されておるかということを外務省を通じて知りたい、かように考えております。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 それでは、在日米軍によるこうした反戦団体についての今事件に対して、何かおたくの方ではその調査結果を聞いておりますか。

大高時男警察庁警備局外事課長

○大高説明員 現在までには何も聞いておりません。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 こういう事件が起きたことに対して何もまだ聞いていないのですか。

大高時男警察庁警備局外事課長

○大高説明員 新聞等でこれを承知いたしまして、外務省を通じてぜひその事実関係、アメリカ側でどういうようなことが言われておるか、それを検討いたしたい、かように考えておったわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 じゃ本事件に関してはいま調査中、こういうことですね。結果においてはまだ何もわからない、新聞等で報ぜられてあるだけだ、こう解釈していいのですね。

大高時男警察庁警備局外事課長

○大高説明員 そのような違法な事実があるかないか、これは全く現在のところわかりません。とりあえずいずれにせよ米側でどういうことが言われておるか、これを私どもの方としても知りたい。また、警察一般といたしましてこういうような情報を入手しておるかと申しますと、その点については何ら情報がない、こういうことでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 了解。その点についてはまだ何にも全貌が明らかになっておりませんので、ここで私がどうこう言っても一人相撲になるので、次の問題をお尋ねしたいと思います。  これもソ連のスパイ事件でございますが、ソ連のノーボスチ通信社の東京支局の特派員であるマチェーヒンというのですか、これを逮捕した。新聞ではいろいろ書いてあるようです。池袋のレストランを出るところを逮捕した。ほかに二名ほど何か水兵の方がおられて、その方はパスポートですか身分証明書を持っておったが、マチェーヒンという人は逃走しかかった、だからこれを逮捕した、こういうような新聞記事が載っておるわけです。そのときの経緯といいますか事情を外務省ももうすでによくおわかりになっておると思いますが、警察庁の方でもよろしいし、外務省の方でもいいが、そのときの模様を正確なところをひとつお尋ねしたいと思います。

大高時男警察庁警備局外事課長

○大高説明員 ただいま先生御質問の事件でございますけれども、五月十四日警視庁におきましては、ノーボスチ通信社の東京支局の特派員でございますアレクサンドル・エゴロビッチ・マチェーヒンを刑事特別法第六条の違反の未遂でございますけれども、これで逮捕をいたしております。  その概要を申し上げますと、大体次のようなものでございます。  マチェーヒン、この人物は、昨年の五月横浜で港まつりがございました際に、これを見物中のアメリカ空母ミッドウェーの乗組員でございますAという一等兵曹、これに接近をはかってきたわけでございます。その後何回も夫婦ぐるみで交際を続けてまいりまして、この間、たとえばA一等兵曹の子供の誕生日などに贈り物をするとかあるいは飲食を供与するという形でいろいろ関係を深めてまいりましたが、ごく最近になりましてA一等兵曹に対しまして、米海軍の軍事機密を持ってくれば一件につき千ドルを払う、こういうことを持ちかけまして、具体的にミッドウェー号の搭載機の電子装置でございますとかあるいはレーダー装置、こういったものの機密文書の、要求を行ったわけでございます。しかし、実際にそういう文書を入手する前に逮捕された、こういうことでございます。  警視庁におきまして、五月十二日夜、警察官が池袋におきまして、先ほど先生お話しのように、レストランから出てまいりました挙動不審の二人の外国人について職務質問を行ったわけでございますが、その際、一人は米軍の身分証明書を提示いたしまして、その身元が確認されたわけでございます。しかし、他の一人につきましてはパスポートの提示を拒んで逃げようといたしましたので、出管令の二十三条違反現行犯ということで逮捕したわけでございます。調べの結果、この男がマチェーヒン氏であるということがわかった。  マチェーヒン氏を取り調べたわけでございますけれども、ほぼ完全に黙秘でございます。しかし、一緒に任意同行しましたA一等兵曹につきましては、先ほど申し上げましたようなマチェーヒンとの交際のいきさつあるいは機密事項を要求されたこと等について話しましたので、五月の十四日改めて刑特法違反としてマチェーヒンを逮捕した、こういう状況でございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 そうしますと、これはそのときのレストランから出るときに、身分証明も持たなくて逃走しかかったというので、レストランから出るときに職務質問を行ったというのは、偶然職務質問をされたのか、先ほど御説明のように従来の行動に疑いが持たれておったのか、そして彼の行動をマークしておったのか、その点のところは全然わからなかったわけですね。何もなかったわけですね。それはあなた方は御存じだったかもしれぬが、逮捕した警官はどなたか知りませんけれども、そういう事情は全然知らなくてやられたのですね。

大高時男警察庁警備局外事課長

○大高説明員 当日この池袋地域で一般的に視察警戒に当たっておりました警察官が、その接触の態様あるいは会いました後の動き等が不審であるということで職務質問をやったわけでございます。したがって、後で本人がマチェーヒンであるということがわかったわけでございまして、あらかじめ承知をいたしておったわけではないということでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 そうすると、逮捕して後で調べられて、これは刑事特別法の六条及び七条に抵触するのだ、該当するということでありますが、その事実関係について本人の申し立てによってそういうことが明らかになったのか、その辺のところはどうなんですかね。そこのところもちょっと私、聞きたいと思うのです。

大高時男警察庁警備局外事課長

○大高説明員 現在なお捜査中の事件でございますので、余り詳細にわたって申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一名はパスポートを見せなかったということで出管令違反で検挙したわけでございますが、これはほとんど黙秘に近いという状況であります。したがいまして、片一方のアメリカの一等兵曹の方からいろいろ事情を聞いたというわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 全くお説のとおりですね。いま中途において詳細あなたの方からおっしゃるわけにはいかぬだろうと思います。それはよくわかります。  そこで、外務大臣にお尋ねしたいのですが、ソ連大使館の方からは、直ちにこれを釈放せよ、してもらいたい、そういうことは不法逮捕だと身柄釈放の要請があったが、警察当局が取り調べ中であることを理由にこれを断った、かようにあります。これはもうお聞きするまでもないと思いますけれだも、マチェーヒンというのですか、これは通信の特派員である、外交特権は持たない。そこでソ連側から、これは相愛にすぎないとおっしゃればそうですか、報復手段でもとられるおそれがあるのではないか。これはよほど慎重に取り扱わなければならないと思いますが、外務省としては、この点に関してどういう対応策をとられるのか、どのようにいまお考えであるのか。新聞に出ておりますように、警察当局が取り調べ中であることを理由にこれをパンと突き放した、それまででいいのか。どのようにお考えになっておるのか。その点をひとつ外務大臣にお尋ねしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 私は詳しい事案の内容を知っておるわけではございませんけれども、本人は外交官ではございませんから、わが国の法令に違反をしておればそのように逮捕されることはやむを得ないことであるし、さらに、その嫌疑の内容がどういうことであるかということは、ただいま捜査当局で調査をしておるわけでございますから、その間に釈放するわけにはまいらないということでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 そうしますと、これの処理方法としては外交的措置で決着をつけるか、あるいは刑事特別法の六条、七条の違反として、強制退去というようなことでこれを処理するおつもりであるのか。それはすべて事実が明らかになって対応策をとりたい、慎重にやりたい、こういうお考えであるのか。結論として大臣どのようにお考えであるのか。

橘正忠外務省欧亜局長

○橘政府委員 本件は、ただいま大臣からお話ありましたように、わが国内法令に基づいて関係当局で取り調べ中でございます。したがいまして、その結果を待つということが何より現在では先決であると考えております。ただいまその結果を待っておるという実情でございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 いずれにいたしましても、容疑者ですからね、現時点においては。そこで、マチェーヒンという特派員の容疑が事実であった場合、われわれは、アメリカのCIAそれから韓国のKCIAのわが国内での行動を非難するように、ソ連の国家保安委員会のわが国におけるところの違法行為について、ソ連政府に対して申し入れるべきではないか、こういうふうに私は思うのですが、その点の見解はどうですかね。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 まずCIAとかKCIAとかいうお話がございますけれども、これは何もわが国でわが国の法令を犯したというようなことを私ども具体的なケースについて知っておるわけではございません。今度の場合には、わが国の法令を犯したということで、その嫌疑のもとに捜査当局が調べておるわけでございますから、その捜査の結果、明らかに法令を犯したということになれば、それに従って処断をしなければならない。その場合、それがソ連という国家に帰属すべき行為であるかどうかということは、これは調査の内容等々によりませんと明確でないであろうと思います。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 何しろこれはまだ容疑者であって、いま調査中だということでございますので、決定的なことはちょっとお尋ねするのも、大臣としてもなかなか御答弁に困られるだろうと思うのですが、いずれにいたしましても、事実関係を慎重にやっていただくと同時に、速やかに解決してもらいたい。たとえ外交的措置であろうが、あるいは六条、七条によってそれを処理するにしても、いずれにしても速やかに解決してもらいたい、大臣並びに警察当局に要望しますが、その点はどうですか。御快諾願えますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 捜査については私ども捜査当局にお任せするということに尽きるわけでございますが、私どもとしては、この問題がなるべく速やかに、とともに客観的に、だれが見ても十分に納得のいく説明のつくような解決をしていただきたいと考えております。

大高時男警察庁警備局外事課長

○大高説明員 ただいま捜査を文字どおり始めたばかりの段階でございまして、警察の責務といたしましては、真相を究明するということで、すでに十五日勾留になっておりますけれども、先生お申し越しの趣旨を体しながら真相の究明に努めてまいりたい、かように考えております。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 何しろ、本件はまだ結果がわかりませんし、調査中だということでありますので、この場合はどうだ、あの場合はどうだといろいろなことをお尋ねしたいという腹案も私ありますけれども、この際それは御遠慮申し上げるということにいたしまして、最後の結論として、速やかに、しかも慎重にこれを処理していただくということを要望しておきます。  そこで、時間がありませんので、少し急ぎましてはなはだ恐縮でございますけれども、外務大臣にお尋ねをしたい。周恩来が亡くなられて、その後、日中間の政策、言いかえますならば対日政策に変化がある、華国鋒が新しく首相に就任されて対日政策に対して変更がある、事態が変わっておるというようなことがあるのかないのか、その点をまず一つ大臣にお尋ねいたします。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 この点は、中国側の公の説明によりますと、政変によって中国の外交政策あるいは経済政策に変化はない、何となれば、政策は毛沢東主席によって決定されているからである、そういう説明が私どもに対してもなされておりまして、私どもとしてはそれ以外の方法でこの問題を知り得るすべがございませんので、中国当局の説明をそのとおり受け取るしか判断の方法がない。そのとおりに受け取っております。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 華国鋒新政権も従来どおり対日政策においては変更はしない、日中友好条約の締結に対しては前向きの姿勢を示す、こういうようなふうに私どもは話を承っておりますが、そのとおりですか、大臣。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 先方ではそのように説明をしております。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 そうしますると、日中友好条約の締結については、これは先般も宮澤先生に私お尋ねしましたですな。三木総理は施政方針演説において、なるべく積極的に取り組んで速やかにこれを締結したいと。先生も私がお尋ねしたときには、数カ月のうちには何とか処理したい、新聞記者にもあなた、そのように発表された。アメリカにおいてもあなたはお話をなさっておる。ところが、現在わが国においてロッキード問題というようなああいう重大問題が起きております。そういう点も多少これは渋滞した原因になっておるかとも思いますけれども、それによって日中友好を阻害するようなことがあってはならないと私は思う。国民にあなた方は公約された以上は、外務大臣としては、また政府としては当然これは遂行すべきである。しかも中国においては前向きの姿勢を示しておる。それは大臣もいま肯定なさった。何が一体停滞しておるのか。三木総理も外務大臣も公約されたことがどうなっておるのか、その辺の事情を私はひとつ詳細に承りたいと思うんですよ。これはきょうの新聞で、読売ですが、「「日中条約」もなお停滞 政局流動で外相動けず」こういうことが書いてある。きょうの新聞です。ずっと前の新聞では、日中友好条約は交渉再開は無理だ、こういう新聞記事もある。これは一体どういうことになっておるのか、その辺のところを外務大臣からひとつお聞きしたいと思う。どうして停滞しておるのか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 わが国が日中平和友好条約を速やかに締結したいと考えておることには変わりがございませんし、また中国において、政変によってもそのような政策は変わらないという言明のあることも事実でございますから、いま現在の段階において両国ともそのような熱意を持っておるということは、これは疑いがないと思います。ただ、中国の場合、政変によって政策が変わるものではないということは、これはしばしば言明されておりますので、そうであろうと存じますが、このような政変がございます直前から直後までの間は、これはやはりそれに忙殺されるということは、体制の違う国でありましても同様であろうと私は思います。周恩来首相が亡くなりましたのが一月の初めでございますし、天安門事件がありましたのは四月の八日ごろでございましたから、かなり長い間この政変の、何と申しますか、周恩来氏逝去以後の変化というものは相当の期間実は続いたように思われますので、したがいまして、その間中国がこの問題に忙殺されたとしても、私は別段異とするに足りませんし、これは了解のできることだと思います。ただ、いまになりまして落ちつきを見せて、政変によってもそのような政策が変わるものではないという言明が最近なされるようになりまして、私としては、それを歓迎いたしておりまして、わが国としては別段――確かに国内にもいろいろな問題がございますけれども、別にそれによりましてこの条約交渉について妨げられるようなことは今日まで一切ございませんし、今後もあるべきことでないと思っております。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 いま大臣の御説明では、ただ従来と何ら変わりはない、速やかにやるつもりだというようなことばかりおっしゃっておりますが、あなたは、先ほども私が申し上げましたように、ニューヨークにおいて、喬冠華外相ですか、とお話し合いをなさっておる。そしてその後で記者会見もなさっておる。数週間ないし数カ月の間には何とかけりをつけたい、そういうことを自分が言ったことは確かに記憶しておるとあなたはおっしゃっておる。この本委員会においても私はその点を念を押した。ところが、わが国における政局の動揺によってこういう大事な国際間の問題を渋滞させるということは――総理はもちろんのこと、外交の最高責任者であるところの大臣として、過去においてそういうことを国民に公約していらっしゃる。だから私はあの場合に、数ヵ月以内にこれを解決したいというその根拠は一体どこから出ているんだ、あなたははっきりそういうような確信がありますかということまであなたに申し上げてある。ところが、じんぜん今日に至って何らそのめどは立たない。覇権問題につきましても、四項目あなたは示された。それじゃ一体どこに食い違いがあるのか、中国からどんな返事が来ておるかというようなことを私は細かくお尋ねしました。向こうは前向きに解決したいと思って待っております。それではこれはどうしても納得がいきませんが、外務大臣、その辺のところをもう少し……。  こうして今日渋滞しておる、日中友好条約はその後どうなっているかということを国民は皆知りたがっている、皆望んでいる、それに対して何らあなたはお答えになっていない。ようございますか、一体投げたボールはどこにあるのか全然わからない。だれがそのボールを受け取っておるのか、どこへ止まっておるのか。それじゃゲームもできぬじゃないですか。いかがですか、大臣、そこのところをもう少しはっきり国民におっしゃってもらいたいのですよ。ただ胸を張って総理が、日中友好条約は自分の手において速やかにやるんだ、責任者であるところの外務大臣は、数カ月のうちにはこれは解決するんだと大みえを切って、全然その行方はわからない。大臣、この点ひとつ

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 まさしく鬼木委員が言われましたように、いわゆる覇権問題についてのわが国の考え方は、昨年の臨時国会の節に公明党の参議院の矢追秀彦委員に、私が予算委員会でお答えいたしましたところによって明らかでございますし、その同じ答弁は私、今日まで何度も繰り返しておりますし、わが国の立場は、国内にいろいろなことがございましても、その点少しも変わっておりません。  そこで、それならば交渉はどこへ行ってしまったんだろうというお尋ねはごもっともではございますけれども、先ほど申し上げましたように、一つは、中国に大きな政変があって、かなり長い間それによって中国が忙殺されたであろうということは私なりに推察のできることでございますのと、もう一つは、昨年喬冠華外務大臣と私とニューヨークで話をいたしましたときに、この交渉については、過去半年余りかなりいろいろいわゆる雑音が入ってお互いに迷惑をしたことであるので、今後は両国の外交当局の間において極秘裏に行おうと約束をいたしました。今日までその約束は守られておるわけでありまして、私としてなおその約束を守ってまいりたいというふうに考えます。  ボールはどっちに行っておるのかとおっしゃいましても、これは両方の外交の責任者が、ひとつお互いに知恵を出し合って解決をしようではないか、二人でつくり上げようということを言っておるわけでございますから、どっちにボールが行くというようなことではなくて、両方で協力をしてお互いにいいと思う条約をつくろうではないかというのがこの交渉の精神であり、やり方であるわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 ボールの行方ははっきりしている、両国で互いに協力してやっている、こういう大臣のお言葉ですが、私は当然そうでなければならぬと思いますが、それでは覇権問題に対して、四項目を示されたことに対して、中国からはどういう返答が来ておるのか、また中国側はこの四項目に対してどういう不満の意を示しておられるのか。これもこの前あなたに申し上げたところ、その食い違いに関しては、はっきり言えないというようなことをおっしゃった。どういう示された結果の反応があったのか、そういうことは外交上はっきり申し上げにくいというようなこともおっしゃったのですが、そういうことはお話しできませんか、大臣。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたような交渉の性格でございますから、ただいまお尋ねに明確にお答えをするのは差し控えさせていただきたいと思いますが、少なくともかなり長い間にわたって中国側としては政変にいっとき忙殺されたということがあったのは事実であろうと思います。しかし、いま落ちつきを示して、従来と方針が変わらないということでございますので、徐々に明確になってくるのではないかと思っておりますけれども、それ以上細かにわたりまして私からただいま申し上げることは、どうも交渉の進行上適当でないのではないかと存じます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 そうしますと、中国からどういう反応があった、あるいはこういう点においていささか食い違いがあるとかというようなことは、前回も申し上げたようにその答弁は差し控えさせてもらいたいと。だったら、そういう点に対して、大臣はどのように努力されましたか。これは三木内閣に対して中国が非常な不信を持っているのじゃないですかと私はお尋ねしているのですよ。その辺のところはどうですか。向こうは前向きの姿勢でいつでも待っているという状態にある。その辺どうですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 交渉でございますから、すぐに意見が合うとは限りませんで、だから不信であろうというようなことにはなりませんので、十分信頼感があってお互いに交渉を続けようという約束をしているわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 決して三木内閣に対して不信を持っていない、自分はこう考えておるとおっしゃるならば、中国からはこの日中友好条約の件に対してどのように言ってきておりますか、日本を信頼しておるならば。日本が全然音さたないから向こうも音さたない、互いに両者沈黙を続けておる、こういうことでいいですか。そう解釈していいですか、これは大事なところだからね。そう答弁は差し控えさせてもらいたいもらいたいじゃ困る。われわれ国民はやはり知る権利がある。大臣、その点どうですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 そういうことではないと申し上げておるわけでありまして、先方も政変が済みまして、これについては熱意を持っておるということであり、われわれも終始そうでございますから、接触は続いておるというふうにお考えいただいて結構でございますが、どの点についてどういう議論をしておるのかということについては、しばらく申し上げることを差し控えたいと存ずるわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 総理にしてもあなたにしても、ただそういう意欲は持っておるのだ、総理も非常な決意を述べられた。しかし事実は、あなた方のお考えとうらはらに一向に前進しない。そうしますならば、外務大臣は日中平和友好条約を早期にと言っても、今日までこんなにじんぜん延々している。この条約を早期に締結したい、また締結する自信がおありであるかないか。この前のように数カ月なんというようなことをあなたはおっしゃるから、大臣を責めるわけじゃないけれども、私は申し上げておるので、いずれにしても早期に締結したい、また早期に締結をする自信があるということをおっしゃられますか。国民は聞いていますからね、そんないいかげん――いいかげんと言うと御無礼かもしれないけれども、通り一遍のことを言われたのでは困る。外交手腕の第一人者と言われている宮澤先生、それをひとつはっきりおっしゃってください。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 私が昨年の秋に数カ月ぐらいでできることを期待していると申しましたのは、実際に私がさように考えたからでございまして、事実そうなっても少しも不思議ではないというふうに私は当時考えておりました。もとより、そのときに政変があるという予測はいたしませんでしたので、これは計算外のことでございましたけれども、しかし、それもいまとなってみれば、だからといって基本政策が変わるわけではないということがございますから、それによって事柄ができなくなるというふうには私は考えておりませんで、ただ私としては、あの当時数カ月以内に妥結してもよろしいのではないかという考え方をいろいろな方法を通じて、矢追委員にお答えした等々の方法ではっきりさせたつもりでございますけれども、そこが交渉でございますから、先方としてはまだそれについていろいろの考えがあっても不思議ではないわけでございます。  そういう意味で、いまいつになったらということを一方的に申し上げられる性格のものでないことは、当然鬼木委員には御理解をいただけると思いますけれども、私としては、日本側が申しておることはきわめてリーズナブルなことではなかろうかと考えております。確かに、交渉が始まりましてから一年半になるわけでございます。私どもとしてはいかにもずいぶん長く時間がかかっておるという感じを私も鬼木委員と同じように持ちますけれども、中国側は多少時間をはかる尺度がやはり違っておりますので、大変に長くかかっておるというような感じも、多少お互いの間で感触としては異なるのかもしれません。しかし、いずれにいたしましても、早期にやろうじゃないかということは両方で言っておるわけでございますから、お互いがリーズナブルな立場であれば、この条約は早期にできるはずのものであるという私の考えに変わりはございません。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 あなたはいまおっしゃったように、早期締結ということに対しては自分の考えは変わらないということですね。それでは、早期締結するに当たって具体的にどういうやり方をやりたいのか。私は新聞記事その他によって判断するに、中国は恐らく日本の出方を待っておる、こういう状態ではないかと思う。ですから、この際わが国としましては日中友好条約を幾ばくかでもおくらせていけばいくほど国益を損するということは考えられませんか。関係ありませんか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 お互いに早期にやろうというのならば、相手方の出方を待っておるなんということでは、本当は早期にということにならないのだと思いますが、そこはやはり交渉でございますから、間合いのはかり方というのはこれはお互いにあることでございましょう。だから早期の熱意がないと言うわけにもいかない。これを大変延ばしてみたときにわが国の国益に何かいいことがあるか、私は別段ないように思います。お互いに言っていることがかなりはっきりしましたら、その辺で折り合いのつく立場はどの辺かということを話を詰めて条約をつくり上げてしまった方が、お互いのためにいいのではないかというふうに私は思います。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 いや、そうおっしゃいますけれども、中国の方としては何ら対日政策は変わっていない。周恩来首相が亡くなっても、華国鋒はそういうことは関係ない、わが方としては前向きの姿勢でやっていきたい、こう言っておることは、言いかえれば向こうは待っておるのではないか。だから、両国が互いに相提携して協力し合って、これはあなたもそうおっしゃったが、向こうも一日も早く速やかに締結ができるように、国民こぞって努力しよう、わが方も努力いたしておる、それは当然そうだと思う。互いにあうんの呼吸が合って、どちらからともなくやろうじゃないかという、砕琢同機というか、さあっとそこで呼吸が合うことで解決ができるのだと思っておりますが、向こうはその姿勢をとっている、こう言っているのです。向こうは土俵で立つ気になって構えている。そういう点において、ただ両方で協力し合って互いに呼吸が合うのを待っているとおっしゃいますけれども、向こうは待っているが、こちらは何にも動きがない。動きがあるならなぜ国民にそれを知らせないのか。そういうことをおっしゃっても、私どもはそう簡単に、ああそうですかと言って引き下がるわけにはいかない。あなたはその発表は差し控えさせてもらいたいとおっしゃるから、差し控えてもいいですが、何かそういう国民に知らせることのできないような点で行き違っておるというならば、向こうが待っておるなら、ここで局面を打開するために互いに締結ができるように何らか新しい提案を出すか、早く締結ができるような一つの新方法を考え出す。これは言葉が悪いかもしらぬが、あの手でいかぬならばこの手というような新しい提案を考えて、そして一日も早く速やかに進展するような、そういう方途は大臣の胸中にはありませんか。また、そういうことを研究されたことはありますか。ロッキード問題に振り回されて、国民に公約しておきながら、こういう大事なことはそのままですか。三木内閣の外交の最高責任者として特に宮澤先生は選ばれておる。その三木内閣は、日中友好条約を必ずおれの手によって早期に締結するのだということを、所信表明で大みえを切った。その期待を担って立ったのが宮澤外務大臣。ですから国民は、宮澤先生の卓越した外交手腕に対して大いに期待を寄せておる。あなたの双肩にかかっておる。御就任なさってどれだけになるのでしょうか。もう二年でしょう。二年以上になるのじゃないですか。大臣としてあなた何を残していきますか。頭脳明晰でピカ一だ。宮澤外務大臣、みんなあなたに期待しておる。それでは、大臣は一体何をするのですか、それをひとつ。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 できるだけ早くやりましょう、いつでも結構です、私の方の条件でならということならば、これは両方で幾らそれを言っておりましても、そこから先は話は進まなくて、ただ自分の方は誠意がある、誠意があるという言葉だけが残ることになるわけですから、それではぐあいが悪いわけで、あなたの方の考えはかくかくのようであるが、ここのところは自分はこう思うというふうに話の詰めが進んでいきませんと、交渉事でございますから最終的な結論が出ないわけであります。ただ、自分の方は早期に早期に、自分の条件でならとお互いに言っておるのでは、これはある意味では何も言っていないのと同じことになりますから、結局そこの詰め合いをしてまいらなければならないことになるわけでございます。こちらはロッキード事件というふうにしばしば仰せられますけれども、それで少しも事態が停滞しておるわけではございませんで、おっしゃいますようにもう少し話を詰めていかなければならない。いろいろ先方にも御事情があったことだから、しばらくの間見ておりましたけれども、従来の方針に変化なしという最近の新政権のお話でありますから、やはり少し詰め合いをしなければならない段階が近づきつつあるということは申し上げてもよろしいだろうと思います。どの点だと言われますと、先ほど申し上げましたようにこれはぜひ申し上げることを控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論をしている段階でないことは確かであろうと思います。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 おっしゃることはよくわかりますよ。これはひとり相撲じゃありません。相手のあることですから、一方交通じゃない。それは外交に対する素人である私でもよくわかっております。よくわかっておりますが、物には限度がある。食い違い行き違っておる点はどういう点だ。それを、向こうにもいい、こっちにもいいように何らかそこに妥協点を見出していく。だから私は、そういうひっかかっておる点があるならば、何か新しい一つの提案でもなさって、いかがでございますかというようなお考えを持っておられるのかと聞いているのです。これは慎重にやらなければならないことですが、あなたは外交のオーソリティーでしょうけれども、未来永劫にあなたが外務大臣をなさるかどうかわからぬでしょう。それはなさるかもしれない。近ごろはえらい波風が立っておるようですがね。内閣は総辞職すべきだ、三木政権は退陣すべきだ――私らが言っておるのじゃありませんよ。おたくの党内でそういうことを言っているのです。家庭騒動が起こっておるのです。だから宮澤外務大臣とても、閣僚が総辞職してもおれはせぬ、日中友好条約があるからおれはやめぬ、そういうわけにはいきませんよ。  では、宮澤外務大臣は二年間何をしたか。あれは見かけ倒しじゃなかったか。大変御無礼なことを申し上げますけれども、宮澤先生には多年、参議院時代から御懇意にしていただいておるから、「おぼしきこと言わぬは腹ふくるるわざ」と古語にもありますように、お心安いままに申し上げておるのであって、私の真意を取っていただきたい。決してあなたを誹謗しておるわけでも何でもない。国民が双手を挙げて、万雷の拍手を受けてあなたが外務大臣になられたから、期待が大きいだけにこれは皆失望しますよ。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そんなことないと言うなら、今度はあなたがなってくれよ。その点どうですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 見かけ倒しと、まことにどうもそういう感がありまして申しわけないと思いますけれども、それなら新しい提案をしなければならぬじゃないかと言われます前に、具体的にどこのところで考えが違っておるのかということを詰める必要があるという段階であろうと思います。それで意見の違いがわかりましたら、それならばこういうことかああいうことかという提案は、これは先ほど申しましたような精神でお互いに一緒になって考えてみるということではなかろうかと思うのであります。その段階はまだ少し後の段階でございますが、それより前にどういう理由でどこのところで意見が違っておるかということを詰めてみなければならないという段階にやがて来るというふうに私としては思っておるわけでして、そうなりますと、しかし、これを外部に申し上げますとこれは非常に交渉に支障を生ずる、お互いの立場というものにこだわりができますからこれは申し上げないでやらせていただきたいと思いますけれども、その上で、それならばお互いにどういう妥協の方法があるかということを考えなければならないということになろうかと思うわけでありまして、いまのところどのような理由でどういうところに考え方の違いがあるかということを実は詰めて議論をしなければならない、まだその議論を十分にやっていないというのが今日のありさまでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 いろいろ御事情はあると思いますが、少なくとも日中友好条約をおくらせればおくらせるほど決してわが国にはそれがいいことでないということは先ほど大臣もおっしゃった。  そこで、これもまさかそんなことはあるまいと思いますけれども、ちょっとお尋ねしたいのは、日中友好条約が一とんざを来しておる。大臣は決してとんざは来していない、渋滞もしていない、ただおくれているだけだというようなことを先ほどおっしゃったのですが、ソ連政府がこれに対して干渉的な態度を再三にわたって示しておる。さらに強い態度をもってこの件に対して大いに懸念を示しておる。そうしますと、日本政府としてはこれに気がねをしてますます日中友好条約の締結がおくれるのではないか、こういうことで矛先が鈍っているのじゃないかというようなこともちらっと私考えるのですが、そういうことは断じてありませんか、その点はっきりひとつ。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 そういうことはございません。一月にグロムイコ外務大臣が来ましていろいろそれに類するようなことを言っておられましたけれども、別にそれは私ども意に介することではない、誤解に基づいていろいろ御心配になる必要はありませんと言っておるわけでございます。ですから、そういうことはございません。  そこで、申し上げられますことは、私としてこの交渉を進めていく上で、でき上がりましたものがわが国の国民の支持を得られるものでなければならぬことはもとより申すまでもありませんが、次にわが国の外交全体の国益というものを増進するものでなければならぬ。これはどの国がどういうことを言った言わないということに関係なく、中国と友好を進めることはわれわれの最も希望するところでございますけれども、その結果他の国との友好が損なわれるというようなことは、これは総体においてわが国の外交全体の国益という面を常に考えておかなければならないことは申すまでもないことであります。日本政府がいやしくも中国政府に対して提案をするようなものは、日本国の憲法から言いましても、わが国の政府の外交政策から申しましても、その他の国に対して非友好的になるような、外交関係を損なうような、そのようなものをわれわれは提案するつもりはございません、したがって、御心配になる必要はないとグロムイコ外務大臣に私は申したわけでございますが、これはもうわが国の憲法から見ましても、従来推し進めてまいりました外交政策から申しましても当然のことでありまして、第三国が御心配になるようなことをわれわれがするはずはないわけであります。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 日中平和友好条約ということは、これは日中間の問題でありますから、第三国の牽制策とかあるいはこれに対する横やりなんというようなことには全然耳をかさない、その点は御安心願いたいという大臣のお言葉を全部そのまま私はお受け取りいたしまして、大臣を信頼いたします。     〔木野委員長代理退席、竹中委員長代理着席〕  そこで、速やかに早期にこれを締結するように努力をする、そして国民の期待に沿うという最後の御決意を大臣に承りたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 いろいろな諸般の事情から結果がなかなか表に出てまいりませんので、鬼木委員からいろいろ御批判もありおしかりもあることも私は強く理解をできるところだと考えておりますけれども、昨年以来今年にかけまして全く努力をしていないということではありませんで、諸般の事情からそれが表面に出てこないということでございます。したがいまして、ただいまお尋ねのように、われわれとしてはなるべく早く締結いたしますことが日本の国益になると考えておりますので、全力を尽くしまして早期妥結に努力を続けていく覚悟でございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 いまの大臣の御決意に対して、私は本問題に対しては最後の結論として大臣を信頼をいたしております。この件につきましては一応これでピリオドを打ちまして、次に去る一月に締結されました米国とスペインとの友好条約、この問題に、これは先般総理も外務大臣も何か答弁されたんですが、どうも私は納得がいかない。米国はスペインの領土内には核兵器あるいは関連部品を貯蔵しない、スペインの国土には置かない、こういう要項が明記されておるわけであります。そこで、衆議院の外務委員会ですかあるいは参議院の予算委員会ですかでもこれは取り上げられたと思いますが、国会答弁で、その場合に、これは新聞記事ですが、議事録もむろん同じことですが、これは総理が答弁しておりますな。日本においてはそういうことは関係ない。これは防衛庁も丸山局長も見えておるようですから後でお尋ねしたいのですが、これはむろん安保の改定は必要ない、こうおっしゃったようですが、私どもはそうじゃなくして、安保の改定ということよりも国民の疑惑をはっきりするためには交換公文でもはっきりここでひとつ取りつけておく必要があるんじゃないかというような考えも持っておりますが、それはそれとして、逐次これをひとつ条項を挙げてお尋ねしていきます。  いまだかつてこういうことはなかったんだ。これはもうしょっちゅう私どもが核持ち込みの問題に対しては事あるたびごとに皆さん方に、総理や時の外務大臣にお尋ねしたんですが、米国とわが国は互いに同盟国であるし、信頼感の上に立っているからそういう必要はないんだというようなことをたびたびおっしゃっておりますが、スペインにおいてはこれは非同盟国であるからというようなことを言っていますけれどもね。非同盟国でさえもそんな丁寧なことを言っているのであれば、同盟国ならばなおさら私ははっきりすべきだと思う。国民が一番疑惑を持っている。非核三原則ということは、日本の国是である、一番大事なことなんです。国是だ。その非核三原則の持ち込まないという点については、日本が懸念しておることに対してははっきり持ち込まない、禁止するということを、同盟国でないスペインにははっきり言って、一番関係の深い日本には、そうことは信頼感、信頼感、そういう点については私どもはどうしても納得がいかない。  一月に御締結されて、そういうスペインの国土内においては貯蔵しない、一切やらないということを明記した。一体いつ外務省はそういうことは御存じになったのですか。締結は一月にされておる。まずその点からひとつ。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 このスペインと米国との友好協力条約は、御案内のとおりことしの一月二十四日に署名されたわけでございますが、そのテキストはその後アメリカにおいても発表されまして、現在アメリカの上院で審議中と承知しております。われわれが現実にそれを知りましたのは、正確には記憶しておりませんが、二月ごろであったかと思います。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 一月に締結されて二月に知ったというのはえらい悠長ですな、こういう大事なことを。しかも日本は非核三原則を堅持しており、米国もこれを理解し、尊重すると言っている。したがって、いまさら日米安保条約を改定する必要はないでしょうが、内容をもう少し明確にすべきではないか。こういう国会の答弁では、これは国民が承知しませんです。じゃスペインはどうだ、こういうことになると私は思う。しかも日本は被爆国です。いままでわれわれはたびたびそういうことをお話し申し上げたけれども、信頼感、信頼感ということ一本やり。日本は唯一の被爆国です。それにもかかわらず、核持ち込みということに対しては、ただ信頼感ということの一語によってすべてをあいまいに今日までやってきておる。非核三原則ということは、先ほども申しましたように、これは絶対の厳重なる国是です。それに対して米国は、これに対してただ理解しておる、尊重しておる、これでは国民はどうしても一番国民が疑惑を持って、一番国民が恐れているところの問題の解決にはならない。その点はどういうふうに大臣はお考えになっておるのか、まずその点をひとつ大臣から……。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 アメリカとスペインとの関係が新しい段階に立ち至りまして、米西友好協力条約ができたわけでございます。一月二十四日でございますが、その友好協力条約の関連部分として施設に関する補足協定というものができまして、その中で、従来米国が使っておりました施設について、あるものはこれからも使う、またあるものは、原子力潜水艦のようなものについては何日から撤収を始めていつまでにそれを完了する、あるいはまた、ただいまお話しの原子兵器についてはこれを地上に今後保有することはしない等々、従来の施設の使用方法を改めることについて補足協定ができておるわけでございます。  ですから、たとえてみますと、わが国の場合沖繩返還になりましたときに、返還とともに当然わが国の法域に入りますから安保条約の適用を受けるということになるわけでございますが、それまでの問題について、たとえば核兵器について、それまでにどうであったかということは明確ではありませんが、返還の時点においてすべてそういうものはなくなっているということを両国間で確認をいたしました。といたしますと、本土についてはそれ以前から安保条約第六条の交換公文の適用があったわけでございますから、ここにないことは明らかであり、そして沖繩がわが国に返される時点において、過去のことははっきりしないけれども、少なくともきれいな状態で返される、その日から安保条約の適用がある、こういうことでございますので、ちょうどその時点のようなことが、ある意味でこの米西条約と言えるかもしれない。つまり、わが国の場合で申しますと、沖繩が返りました時点において、これはいわゆる核抜きというようなことを確認した上でわれわれは沖繩の返還を受け取ったわけです。その日から安保条約の第六条の適用があるわけでございますから、といたしますと、従来本土においてはなかったことが事前協議の規定によってはっきりしていますし、沖繩においてはきれいになって返った日から事前協議の適用がありますからこれもはっきりしておる、そういう状態にわが国はなっておると思います。  したがいまして、このようなわが国の非核三原則の考え方及び事前協議そのものは安保条約に基づいて結ばれました両国間の取り決めでございますから、これはある意味で協定と同じ性格を持つものであって、それをもって十分ではないか。ことに、その問題については、アイゼンハワー大統領以来歴代の大統領が、最近フォード大統領に至るまで何度も確認しておることでございますから、私どもとしては現状の制度をもって十分であると考えておるわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 従来アメリカがとってきた態度というものは、米国は核の存否を明らかにしないという基本政策があったわけなんですね。その基本政策を今度は全然覆している。そして核持ち込みは一切しないという明白な言質を与えておる。しかも、米国は外国政府とこのような条約を結んだということは初めてだ。いままではそうじゃなかった。では、それはどういう理由によるのか、外務大臣としては米国政府に対してその真意をただされたかどうか、いかなる回答がそれで来たのか、その辺の事情をひとつお尋ねしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 従来米国が一般的に核兵器の存否を明らかにしないということは、政策として持っておりますし、また、法律にもそのような規定が一応あるわけでございます。しかし、時としてその例外もあるわけであって、たとえばヨーロッパにおいては戦術核兵器が置いてあるということを言っておりますし、また、韓国においても昨年そういうことに言及したことがございます。恐らくアメリカとしては、核の抑止力をより有効ならしめるために、国益に沿うと考えたときには、あるいは国益を害しないと考えたときには、例外的にこれを言うことがある。恐らくスペインの場合にも、地上において蓄積をしないということは言っておりますけれども、その他のことについてはむしろ申しておらないというふうに私どもはこの条約を読んでおるわけでございます。したがって、そういう国益からくる判断がいろいろにあるのであろうと思います。  この条約ができましたときに、私どもはまさしくそのことを米国政府に照会をいたしておりまして、米国政府としては、時にそういうことはある、しかし一般的に核の存否を明らかにしないということは依然として米国の基本的な方針であるということを申しております。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 その点が、いまの御説明では従来の説明と何も変わらない。今度変わったんです。ようございますか。これまで核兵器の取り扱いについては、米国政府の基本方針は、核兵器の存在は明らかにしない、肯定もしない否定もしないということが抑止力を高めるものである。政府は、国会答弁においてもこれを盾にとって明確な回答を避けられた、これが今日までの経緯であります。ところが、今回のスペインと米国との取り決めによれば、その基本方針が変わったのです。その基本方針が変わった理由、根拠、いかなるいい効果があったのか。少なくとも、核兵器の有無について米政府が公式文書で明らかにしたのは、先ほどから申し上げますように、これが初めてなんです。それをわが方は文句なしにそのままこれを認める、それでは何の芸もない。それをもう少し厳重に、従来の基本方針が全然ここで変わった、しかも公式文書ではっきり明記している。いかなる国際間の情勢によって変わったのか、他国の政府との取り決めに対してそれでは今後こういうことも考えられるのか。これは特別の措置だ、ではどういうわけでスペインに対してだけ特別の措置をとるのか、そういうような点をもう少し掘り下げて、米国に対してどのようにあなた方は認識されておるのか。ただ信頼感、信頼感だというようなことでこれを看過していくことは、国民は納得しないと私は思う。いままでの米国の基本方針が不変なものであるならばこういうことはあるわけがない。特別な措置であろうがなかろうが、いままでの基本方針を変えたということは、だったらわが国においても――わが国においてだけは変えられないというその根拠、もう少し物事は筋道を立てて合理的に分析しなければ、ただアメリカの言うなりに、ああそうですかと引っ込んだのではこれは困る。そういう点においては、非常に頭脳明晰をもって鳴っている宮澤外務大臣、あなたはこれに対して不可解だとは思いませんか。私どもは、直ちに安保改定しろなんていうことを言っているんじゃない。安保条約は廃棄すべきだというのがわれわれの考え方。ですから、そうじゃなくして、交換公文の内容なんかをもっと明確に確定づけをすべきだ。それはまた後でゆっくりお話ししますが、まず当面、その問題について大臣どうですか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 最初に、鬼木委員の方から、アメリカの核兵器の存否を明らかにしないという政策が変わったという前提でお話をしていられるようでございますが、先ほど大臣からお話がございましたように、われわれは、この条約が締結されました時点でアメリカ側にも問い合わせまして、アメリカとしてはその基本政策は何ら変わっていないということを言っておるわけでございます。  しからば、なぜこういうふうな規定が行われることになったのだろうかということでございます。この点につきましては、アメリカとスペインとの間の二国間の条約でございまして、われわれとしてもその内容につきまして有権的に解釈する立場にはございません。ただ申し上げたいのは、アメリカとスペインとのこの友好協力条約というものは、安全保障関係の規定としては非常に特殊な条約であると私は思います。具体的に申し上げますと、その中で軍事面といいますか、安全保障面で書いておりますことは、一つは、両国の軍隊の間で協力計画を策定するということを書いてございます。第二には、アメリカによってスペインの領土の中にございます特定の軍事施設を利用することができるということが書いてございます。第三には、スペインが兵器等を含む軍事機材等を取得することについてアメリカは協力するというふうなことも書いてございます。ただそれだけでございまして、アメリカとスペインとの間でお互いに防衛し合うというふうな義務、いわゆる相互防衛義務は取り決めていないわけでございまして、そういう相互防衛義務がない条約において、アメリカがいわばスペインの中で軍事基地を保有するというふうな条約でございます。  そういう意味で、この条約自体が非常に特殊な条約である、そういうふうな背景もあって、こういう規定がいろいろな交渉の結果置かれたのではないかと推測しておる次第でございまして、われわれとしては、それはそれなりに理解できるように思いますので、アメリカの基本政策が変わったというふうには受け取っておらない次第でございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 これはますますおかしい。あなたは、いささか変わったとかあるいは基本方針は変わっていないとかおっしゃっていますけれども、いささかどころか、全然変わってしまっている。いままでは基本方針では、そういうことは肯定もしない、否定もしない。これが核抑止力を強めるゆえんだ。一切言わない。今度は全然変わって明記しておる。いささかどころか、これははっきりぱっと一変している。しかも日米間には相互防衛の条約がある。だから言わないのだ。スペインには両国間の相互防衛条約がないからこう言ったのだ。これは問題ですよ。これは大きな問題ですよ。日本は互いに相互防衛の義務があるから、だから核のことははっきり明記しないのだ。じゃ、一朝事ある場合には核を持ち込むのだ、こう解釈できるのじゃないですか、いまあなたの説明では。日本は安保条約の共同防衛があるから、だから核のことなんか、そんな明記したら大変だ、一朝事ある場合には核をどんどん持ち込むのだ。スペインはそうじゃないから、はっきり核のことを明記した。これは大変な問題ですよ。そんなことですか、局長。大臣、どうですか。これは大問題です。これはちょっと簡単にぼくは引き下がるわけにはいかぬ。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 日米間においてはいわゆる相互防衛義務ということになっておりませんで、アメリカがいわば日本を防衛する義務があるということになっておるわけでございます。しかし、日本はアメリカの核抑止力に依存している面があるわけでございます。そういう意味で、その核抑止力がちょっとスペインとは違うということを申し上げておるわけでございます。核抑止力というものを有効に働かせるための考慮もあって核の存否を明らかにしないというふうな政策があるわけでございますから、それはそれなりに理解をしなければいかぬということを申しておるわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 いや、それは安保条約においては、はっきり共同防衛ということはうたってないでしょう。アメリカが日本を防衛するのだ。しかし、その場合に、事前協議その他によって日本はこれに協力する。だから日本には一朝事ある場合には核を持ち込むのだというようにあなたの説明では解釈できる。解釈できますよ。だから核のことは明記しないのだ、スペインとは事情が違う、こういうことを、大臣、どうですか。あなた、国会でまた答弁してもらいますか。いまアメリカ局長ははっきりそう言った。どうですか、大臣。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 日本がアメリカの核抑止力に依存しておるということと、核の持ち込みを認めないという非核三原則の問題とは別の問題でございまして、わが国としては、日本の領土の中に核兵器が持ち込まれなくてもこのアメリカの核抑止力は十分働くと考えておる。考えておるからこそこの非核三原則を堅持しておるわけでございます。ただ、アメリカがそういう核抑止力を日本に有効に働かせようとしておるということは理解すべきであろうということを言っておるわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 いや、だけれども、いまあなたのおっしゃる説明によっては、何回言っても同じだけれども、スペインの事情と日本の事情は違う。それはむろん違うでしょう、国が異なっているから。スペインは共同防衛はないから心配しないように、決して核兵器は持ち込まないぞ。部分品でも何でも一切合財入れない。ところが、日本は同盟国であるから、スペインは非同盟国だ、だから核兵器の存在ということに対しては明記しない。ということは、裏を返せば、日本国土を防衛するためには、一朝事ある場合には核を持ち込むんだ、こう考えられるでしょう、あなたのおっしゃるのは。あなたのおっしゃったことをいま私は言っているのですよ。大臣どうですか。局長にばかり答弁させて、大臣……。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 いや、その裏を返せばとおっしゃるところが、先ほど局長が申し上げようとしていることと違うのだと思います。  すなわち、冒頭に申しましたように、アメリカは核兵器の抑止力を有効に発掘させるためには、場合によって、例外的に核があるということを言っている場合もございます。ヨーロッパや韓国において言っております。また、国益を害さないという場合には、ないとかあるとかいうことを言う場合も恐らくあるのであって、スペインの場合には地上においては置きませんということを言っても、核の抑止力というものは恐らく全世界的なものでございますから、損なうことはない、何かアメリカの国益として決してこれは悪くないという判断で言ったのであろう。しかしながら、そのことは世界のどこの領域においても通じることではなくて、やはり基本的には存否を言わないというのがアメリカの方針でございます。日本の周辺においてもそれはその基本原則が該当することになっておるのだと思いますと、こういうことを申し上げておるにすぎないのであって、そこからもう一つ裏を返せばとおっしゃいますことは、政府委員が御答弁申し上げていることの意味ではないのでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 それは、あなたは白面自賛で自分の方にばかり都合のいいような、話というものは相手があるのですからね。自分たちのことばかり言われても、私はそう取りませんよ。いまの答弁に対しては、後でまた速記録ではっきりしますが、これは問題ですよ。私は、これは問題にしますよ。  この核兵器の存在についても、肯定もしない、否定もしないというのがアメリカの基本方針でありながら、韓国には核を持ち込んでいる。シュレジンジャーですか、前国防長官ですか、これがはっきり言っている。そういうことになりますと今回またスペインの友好条約においても、今度は持ち込まないと明記しておる。アメリカという国は、自分のそのときそのときに都合のいいように、これは特例である、これは特別だ、これは初めてだ、そういう勝手なことをするのに、わが国は唯々諾々、ああさようでございますかと、そのように、富澤大臣どうですか、考えられるんじゃないですか。そんな勝手なことを、向こうの言いなりになって……。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 しかし、問題はアメリカの核兵器でございますから、それをどこに置くということを言わないあるいは言うということは、これは本来アメリカの主権的な行為であって、そのことは第三国の干渉を受けるべきものではないと私は思います。つまり、アメリカが自分の持っている核兵器の抑止力を有効ならしめるために、場所によってあるということを言った方がいいこともございましょうし、言わない方がいいと思うこともございましょうし、これは完全にアメリカの主権国としての意思の問題であると思います。  さらにつけ加えて申しますならば、なぜ韓国にあると言ったのか、あるいはなぜヨーロッパにあると言ったのかというお尋ねになると思いますが、恐らくアメリカの国益から考えて、韓国あるいはヨーロッパにおいては、いわゆる地上兵力と申しますか、在来兵器と申し上げた方が適当だと思います。在来兵器だけをもってしては十分に危険に対処できないかもしれないと考えられている地域でございましょうから、その場合には核もありますよと言っておくことが総合兵力としては抑止力になる、こういう判断ではないかと私は想像いたしますけれども、いずれにしても、そのような判断は、アメリカが自分の持っている核兵器の在不在について言うとか言わないとか、これはアメリカの問題であって、われわれが唯々諾々とするとかしないとかいう問題ではないと思います。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 いや、そういうことを私は聞いているのではない。それはあなたのおっしゃるとおり、アメリカのあれに対してわれわれは干渉すべきものじゃない。それはわかりますが、そういうことを私はお尋ねしているのじゃない。アメリカ対日本ですから、他国のことを、第三国のことをどうこう言うのは、それは主権を害することになるでしょう。しかし、少なくともわが国においてはこれは困る、絶対にそれを明記してくれ、スペインもやったじゃないか。ですから、先ほどからお話があっておりますように、第六条の、つまり事前協議に関するところの交換公文、それをはっきりさせるために新しい別個の交換公文をつくるべきではないか。ようございますか。新しく別個に、先ほどおっしゃっておる六条に関するところの交換公文、事前協議に関するところの交換公文を新しくつくるべきではないか。これは、第三国のことをわれわれはどうだこうだと干渉するのは、これはアメリカの勝手でしょう。しかし、少なくともわが国に関することに対してわれわれが米国に対して交渉することに何らはばかることはない。私はそんなことを言っているのではない。そういう例もあるから、アメリカは勝手なことをやっているんじゃないか、自国の都合によっていいかげんなことをやっているのじゃないか、だが日本においては少なくともそういうことは許されない、だから、はっきりここに別個の新しい交換公文でも結ぶべきではないか。私の言っていることは、絶対の筋論ですよ。だれが聞いたってあたりまえのことですよ。これはどうです。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 それがまさしく問題の中核であって、せんだってから問題になっておるところでありますが、わが国は交換公文によって事前協議制度を設けておるし、事前協議を受けたことはないのでありますし、それから非核三原則というのは、政府がしばしば言明をしておるのみならず、国会においても議決のあることでございますから、これで、このわが国の立場及び状況というものはきわめてはっきりしておって、それをさらに協定で改めて確認をするという必要はないというふうに政府は考えておるわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 ですから、私が言っておりますのは、スペインとは国内情勢は無論違うでしょう。違うでしょうが、アメリカの基本方針というものは不変だとおっしゃるけれども、決して不変ではない。いささか変わったとか全然変わってないなんといういいかげんな局長の答弁だけれども、そうじゃない。絶対これは変わっている。不変じゃない。明らかに変わっておるのです。でございますから、この際はっきりそういうことをアメリカ側に申し入れすべきだ。ところがアメリカは、これに対してどういう理由のもとに難色を示しておるのか。国民は全部これに対して疑惑を持っておる。全国民が非核三原則の持ち込まないという点について非常に疑惑を抱いておる。その全国民の疑惑を解くことが外交上一番大事なことじゃないかと思うのですね。ただ信頼感、信頼感というふうなことで――過去においてもそういう例は何ぼでもあるのです、米国でなくても。国際間において信頼感、信頼感なんて、そこに何らはっきりした明瞭な証拠がない。だから、アメリカにどういうことをあなた方はおっしゃったのか、また、アメリカはどういうことでそういうことを回答してきておるのか、どういうふうに難色を示しておるのか、そういういきさつがありましたか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 先ほどからのお答えで私は十分だと思いますけれども、もう少し詰めて申し上げますと、事前協議という制度そのものが、これは条約に基づくところの制度でございますから、これが守られないということであれば、鬼木委員の言われましたような新しい協定を結んだらどうだということについても、その協定についても同じ程度の疑問が寄せられるということになってしまうのであって、したがって、事前協議というものは条約上交換公文によって成立している。このことは両国を法律的にはっきり拘束するわけでございますから、しかもその事前協議というものはかつてなされたことがないということをもって、われわれは核兵器が置かれていないということが言えると申し上げております。そのほかにわれわれの非核三原則があることはもちろんでございますけれども。したがいまして、協定なり何なりを結ぶことによって、国民の疑惑が――疑惑があるとして、解消されるというのであれば、いまの事前協議の制度はそれを解消するに十分な条約上の、協定上の制度である。新しく協定を結ぶことによってそれに何かをつけ加え得るかと言えば、それは私はそういうことにはならないというふうに、これは少し理屈に走って申し上げるわけでございますけれども、詰めて申し上げればそういうことになってしまうかと思います。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 いまあなたのおっしゃるように、協定が履行されなかった場合にはそういうことは考えられる。しかし、協定が履行されなかったときにはもうすでに遅いじゃないですか。だから、そういうことのない時点において、これはそうさすべきである。国民は皆ひとしくその点を非常に疑惑を持って憂慮しているのです。気遣っておるわけなんです。だけれども、そういうことがあった場合にはすればいい、私はそういうことでは国民に対してこたえられないと思う。いまひとしく国民が不安と疑惑を持っておる点に対して、政府の責任において米国に対してこれを交渉すべきである、こう私は思いますが、どうですか大臣。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 つまり、理屈の筋道から申しますならば、この事前協議というのが何か日米間の簡単な口約束であって、それでは心配であると、したがって協定を結べとおっしゃるのでありますと、なるほどそれはそれなりに理解できますけれども、実は事前協議というものがただの口約束ではないので、条約に基づく両国を法律的に拘束するところの両国の協定によるところの制度でございますから、その重さというのは、鬼木委員の言われる新しい協定と同じだけの法律上の重さを持っておる、両国を拘束する重さを持っておる。そういう意味では、事前協議はただの口約束ではないのでありますから、それだけの重みを持つものとして考えていいのだ。鬼木委員の言われます協定というものと、そういう意味で同じ価値を持つものである、同じ拘束力を持つものであるというふうに考えますので、新しいものの必要はないというふうに考えるわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 いまあなたのおっしゃるように、これは決して口約束じゃない、それははっきり六条はうたってある。だがしかしながら、スペインに対しては核持ち込みに対するところの禁止をはっきりやっている。従来の基本方針を変えている。変えないとおっしゃるけれども、現実的に変えている。ところが、日本においてはそんな明記はないのだ。はっきりした明記はない。あなた、口約束じゃない、こうしてはっきり協定は結んでおるとおっしゃるけれども、何らそういう条項はない。はっきり明記してない。ですから、何遍も同じことを申し上げて恐縮ですけれども、スペインで可能であることならば、日米間で不可能ということはどういうわけだと言うのです。むしろ私は、スペインよりも強く出られると思う。非同盟国でさえやっているじゃないか。われわれのところは互いに相提携してやるのだから、国民の知りたがっておる一番疑惑な点をはっきり明記してくれと、互いにすっきりした気持ちでいくべきじゃないか。言いかえれば、他人にさえそんなに明確にやっておるのに、お互い日米間は友好国じゃないか、もっと丁寧にかゆいところに手の届くように、国民が知りたがっていることをはっきり書いてもらっていいじゃないか。逆ですよ。向こうは非同盟国だからこうして丁寧にやっている、こっちは同盟国だからそんなことは要らぬ、そこに私は大きくあなた方の見解と意見を異にする。私だけじゃない、皆そう言っている。だから、スペインでできることがわが国では不可能だということは一体どういうわけだ。わが国においてもそれは可能なはずだ。それによって国民の疑惑を解いて、そしてすっきりした気持ちで日米友好関係を結んでいく。私は、それの方がより有効である、効果は大きい、こう考えるのですがね。アメリカはあんなことばかり言っているけれども、スペインにはやっているけれども、何にもこっちにはやらぬじゃないか、その裏は、先ほど言ったように、これは何かあるぞと当然考えますよ。私の申し上げていることは、大臣はおわかりいただいておると思うが、私の言っている論理はおわかりですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 もう少し厳密にいまのお尋ねにお答えいたしますならば、そのことが不可能だということを政府は一度も申し上げたことはありません。私も申し上げておりませんで、そうではなくて、わが国には事前協議の制度が条約に基礎を置いてございますし、また非核三原則というものが、米国が、歴代の大統領が常にわが国の方針として承知をし、またそれを尊重すると言っておるのでありますから、これ以上何かのことをする必要はない、これをもって十分であるというふうに重ね重ねお答えをしているのであって、可能、不可能ということで申し上げておるのではございません。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 これは先ほどおっしゃったように、日米間においては信頼感があるんだ。だから信頼感によって、いつも政府はそういうことを説明しておられる。ところが、両国間に信頼感さえあれば、そういう根拠のない、つまり感情論といいますか、ただ感情論によって説明することのみで事足りるか。信頼関係を裏づけするところの、いま当面の核持ち込み禁止の日米間の取り決めということを行う必要があるのじゃないか。決して口約束じゃない、協定もある。これはそのとおり。だけれども、少なくとも核持ち込みに対することの一点に対しては、何も明記がない。スペインにおいてははっきりやっている。ただ単に信頼関係、信頼関係ということで事足りるという問題じゃないということを再々申し上げている。その点、どうですか。大臣、もう一度。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 信頼関係はきわめて大切でございますけれども、先ほども何度も繰り返しますように、だから事前協議というのは信頼関係に基づく口約束とかいうことであるわけではないので、これははっきり信頼関係だけでない、条約に基づく義務になってアメリカ側に課されておるわけでございますから、私は信頼関係は大事だと思いますけれども、信頼関係だけで事が処理されておるわけではない。いわば鬼木委員の言われますような、協定を結んだらどうだと言われます、それと同じようなことを事前協議という協定を結ぶことによってやっておるのでございます。こう申し上げておるわけです。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 私の言ったことと同じようなことであって、同じじゃない。その点が微妙なところだ。同じようなことであって、同じじゃない。その問題ですよ。同じようなことであって、同じじゃない、そのない点は信頼感による。政府はたびたび信頼感ということを言っていらっしゃる。いつも一本やり。私の持ち時間が非常に逼迫しましたから、この点についてはまた機会があったら、私が質問ができなかったら、だれか代理でも出して、これはもう少し質問を申し上げたいと思う。これは大きな問題です。共同防衛しているからどうだ、していないところはどうだなんて、とんでもない。一番われわれが疑惑を持っている点を、あなた方ははっきりいま言ったんです。  そこで、防衛庁の方から丸山局長さんがわざわざ見えておるから、ちょっとお尋ねしたいが、防衛庁首脳は二十三日、「米国の世界戦略からみれば、非同盟国であるスペインに対しては条約に明記する必要があっても、」この点がわれわれ見解が違う。「日米安保の信頼関係で結ばれた」、これもまた信頼関係ということを言う。「同盟国であるわが国に対してはその必要を認めまい」と、これはだれが言ったか彼が言ったかということは、公式に防衛庁の発表でもないし、それはわからぬが、私はそれは追及しようとは思わない。だが、先ほどから大臣や局長と私お話をしておることは、丸山局長じっとお聞きになっておったと思いますが、アメリカと日本の間において核持ち込みを禁止するというような交換公文でもつくった場合に、日本の防衛上何か支障を来すことがありますか、その点ひとつ。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 現在、御案内のように、日本への核の持ち込みという問題につきましては、安保条約の六条に、事前協議の対象になっておるということでございまして、わが国としては非核三原則というものを持っておる、したがってアメリカもこれを十分理解をするということでございますので、安保条約による核の抑止力というものは必ずしもわが国に核兵器の持ち込みをしなければできないというものではない。持ち込まなくとも十分それに対する対応策は講じ得るということを、昨年参りました前の国防長官シュレジンジャーも明言をいたしておるわけでございます。  ところで、この趣旨が交換公文に入るということでございますが、どういう形のものになるのか、これはそういうものができ上がってみなければわかりませんけれども、少なくとも現状をそのまま是認する、現状のままその、趣旨を交換公文に盛るということでございますならば、私どもは防衛の見地から見れば、アメリカの核抑止力についてはやはり同じであるし、それから持ち込みという問題についても現状の理解と同じであるということでございますと、防衛上何らの変化もないのではないかというふうに判断をいたすわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 そうしますと、核持ち込みは絶対まかりならぬということをやっても何ら防衛上に対しては支障はない、関係はない、こういうことですね、それじゃ、言いかえますならば、交換公文でも結ぶようなことになれば、防衛庁としては賛成だ、このように理解してようございますね。公式発表にあなたがされぬでも、あなた個人の見解でもいいわ。少なくとも核持ち込みということの禁止の条項をはっきり明記する、スペインと同じということは、防衛上何も支障はない、そのこと自体に対しては賛意を表する、こういうことに理解をしてようございますね。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 先ほど申し上げました趣旨は、現在の事前協議制度というものをそのまま交換公文――交換公文がどういう中身になるのか私どもよく推測がつきませんが、現在行われておりますこの制度の趣旨をそのまま交換公文という形で形式上の切りかえによって存続をするという前提でのお話ではないかと思うわけでございますが、これが形式の変化だけにとどまるのかどうか、この辺も私どもこれは直接所管でございませんのではっきりお答えを申し上げるというわけにはまいらないと思うわけでございます。いずれにいたしましても、現在の非核三原則を守るということによる日本の防衛構想を立てる面での問題点、これはかねがねから大臣、総理もおっしゃっておりますとおり、非核三原則と日米の安全保障条約というものは両立するという考え方をとっておるわけでございまして、これがどのような制度になるかということについては私はよくわかりませんが、少なくとも現状がそのまま維持されるということであるならば日本の防衛にとって大きな支障となることはないというふうに考えるわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 そうしますと、非核三原則というのは日本の国是ですから、これが現状のままそのまま履行されるならば防衛上何ら支障がない、こういうことですね。そうしますと、その裏づけとして、スペインと同様に、もしはっきりそこに明記するようなことがあった場合でも、防衛庁としては異論はないということに、これはあなたがそういうことをはっきり公言はできないと仰せになっているけれども、私どもはさように理解いたしますから、何にも防衛上支障がない、ようございますね。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 先ほども申し上げましたように、アメリカとスペインの条約のような形にすることが形式的にどういう問題を派生するかということについては、私どもいままでよく検討しておりませんし、またそういう所管庁でもございませんので、その点についてははっきりしたお答えを申し上げることは困難だと思いますが、先ほども申し上げましたように、非核三原則を堅持するというわが国の基本的な政策と日米安全保障条約というものは矛盾するものでなく、またこれによって日本の防衛の実を果たす面においては大きな支障を来すものでないというふうに考えておる、こういうことでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 それはもう先ほど私が言ったとおり。ですから、いまあなたのおっしゃるようにこれは外交上の問題ですから、それはあなた方が意見を申し述べられることは結構だと思う。だけれども、少なくともこうした断定的なことを、これは特に関係する必要はないとかあるいはこれを変更する必要はないとかいうような断定的なことを防衛庁の首脳部がおっしゃった。だったら、やはりいまあなたのおっしゃるように、ここにおいてもあなた方の意見を述べられていいわけなんだ。ここでは意見は申し述べられぬ、記者会見においてはどんな意見でも言うていい、それは逆であって、国会においてこそあなた方ははっきりおっしゃっていいことなんですよ。それは意見ですからね。ですから、少なくとも交換公文というようなことになると、あなたがさっきおっしゃったように、それに対してどうこうということはわれわれはちょっと差し控えなければならぬと、そのとおりだと思うのですよ。だけれども、少なくとも非核三原則ということが国是として絶対に遵守された時点においてはわが国の防衛上支障はない、そういう点で私は了承しますから、将来またこの問題がどのように解決されるか、その場合にはあなたのおっしゃったことを盾にとってどうだこうだということは私は申し上げませんから、一応あなたの御見解をお聞きしておきます。  それではその次にお尋ねしたいのですが、これもたびたび問題になっておりますので、ひとつ簡単にお尋ねしたいと思います。外務委員会等あたりでたびたび取り上げられておりますが、朝鮮民主主義人民共和国におけるところの日本人の人妻の問題に対して、外務省としては現在いかなる態度でこれに対処しようとなさっておるのか、まずその点を冒頭にお尋ねしたいと思うのです。  大臣の基本的なお考え方、あるいは元外務大臣である大平さんは国会で、十分検討すると答弁されております。宮澤先生もはっきりここに議事録に載っております。「日本政府の基本の方針といたしましては、国交はございませんでも、人の行き来があるということは一向に差し支えない。わが国の国益に害になるということでない限り、それは差し支えのないことであるというふうに基本的には考えておるわけでございます。」基本的にそのように考えていらっしゃるならば、その後どういう対策をとられてどういうふうになさっておるのか、全然今日自由往来というものができていない。往復切符でなくして片方切符で、その点について皆さん非常に困っておられる。里帰り実現署名運動だとか日本人妻の自由往来実現運動の会とかいろんな会があって、非常に悲願といいますか悲痛な叫びを上げてわれわれのところに訴えてきておられますから、その後大臣はどういうふうに能動的に積極的に対策をとっていらっしゃるか、ちょっとお尋ねしたいと思います。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 北鮮に行かれた、いま御質問ございました日本の婦人の方につきましては、いま御指摘がございましたような、行かれてから向こうで生活に非常に困っておられるとか、日本に帰りたいというような御希望があるというようなお話あるいは手紙がいろいろこちらにも参っているということは、私どもも承知しているわけでございます。  御承知のように、現在、北鮮との間ではこういう問題について話をする経路がございませんので、これも先生御承知だと思いますが、赤十字を通じて話をいろいろしているわけでございます。そういう本当に向こうに行かれて非常に困窮しておられるというような状況もございますので、そういう点につきましては、日本の赤十字を通じまして先方の赤十字に対していろいろ照会をしております。状況がわかれば、それをこちらに知らせてもらいたいという趣旨の希望を先方に伝えてあるわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 いや、それは、大体この問題の発端は、昭和三十四年ですか、政府の依頼によって在日朝鮮人の方々あるいは向こうの人妻の方、それが赤十字社と協力をして、そして日本人の人妻が、いまおっしゃるように非常に不幸な状態に陥っておるというようなことの全貌が明らかになった。それはいま官房長がおっしゃったとおり。向こうでお困りになっておる方もある。里帰りをしたいと悲痛な叫びを上げていらっしゃる。それに対する対策、、実績、具体的に今日どのようにやっていただいておるか。大臣もそれから大平大臣もおっしゃっておる。これはちょっと時間がないから、議事録をここへ持ってきていますから読み上げてもいいけれども、そういうことになっておるが、具体的に実態はどうなっているのか、現実はどうなっているのかということをお尋ねしているのですよ。ただ表面的なことだけをお尋ねしているんじゃない。官房長、どうですか。     〔竹中委員長代理退席、木野委員長代理着席〕

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 現在、そういう方は北鮮の管轄のもとにおられるわけでございます。先ほど申しましたように、日本の赤十字を通じまして北鮮の赤十字に対して、実情を調査して結果が判明したら知らせてもらいたいという希望を先方に伝えてあるわけでございますが、先方からこれに対して、こういう困窮した状況にある、あるいはこういう状態であるという返事が参っておらないのが現状でございます。もしも仮に、これは仮にでございますけれども、そういう事実関係が判明いたしますれば、それはそれに応じて政府としてはできる限りのことをするということになろうかと思いますが、そういう事実関係が赤十字を通じては明らかになってきていないというのが現状でございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 それでは余りに皆さんがかわいそうだと私は思う。一応宮澤大臣は基本方針をおっしゃったけれども、これは大平さんも検討するとおっしゃったけれども、検討した結果このようにやっている、また北鮮の赤十字社と連絡をとってこのようにやっているという実績が何にも上がっていない。ですから非常にかわいそうなんですよ。時間がないから私は一々読み上げるわけにはいかぬけれども、里帰り実現署名運動というような悲痛な叫びを上げて、「北朝鮮にいる日本人妻の消息を知って矢も盾もたまらない。里帰り実現に御協力ください。」こう言って叫んでいらっしゃる。これに対して具体的に、宮澤大臣がおっしゃったとおりに、このようにやっているということを私はお聞きしたいのです。大臣、どうでございますか。  ところが、こういう問題に対してわが国政府が十分に対応ができないという背景には、それは無論朝鮮民主主義人民共和国との間に国交がないということが障害になっておると思うのですよ。これは当然そうだと思う。だから松生丸事件の際でも、政府としての十分な、われわれが満足するような対応策は講ぜられなかった。しかし、朝鮮民主主義人民共和国という国はわが国にとってはやはり隣国であり、歴史的にも浅からぬ関係がある。漁業問題をとっても同国を無視することはできない関係にある。そこで政府は朝鮮民主主義人民共和国との平和友好関係をどのように前進させようというお考えがあるのか。この根本を直せば、私はこの問題だって簡単に解決すると思うのですよ。当面さしあたっては、当然こういう気の毒な方々を一日も早くその希望を入れてあげるようにしなければならぬけれども、と同時に根本の問題、朝鮮民主主義人民共和国と日本との関係をどのように友好的に早く前進させようか、そういう意欲を大臣は持っていらっしゃるのか。その点、大臣、明確にひとつ。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 いまの問題は、わが国としては最大限のことをいたしておるつもりでありまして、すなわち、そういう困窮者があるのならばこれは人道上の問題であるから、国交があるとかないとかいう政治上の問題でなく人道上の問題であるから、わが国としては温かく迎えたいということを赤十字を通じて、したがって実情を知りたいと言っておるわけでございますけれども、それに対して北鮮の赤十字がわれわれの欲するような返答をしてこない。それはそういう困窮者がないのでありますか、あるいは、あるけれども何かの事情で返答をすることが適当でないと考えておるのか、それははっきりいたしませんけれども、少なくともわれわれのそのような意思は先方に伝わっておるはずであります。したがいまして、このことは国交があるなしにかかわらず意思は伝わっておると考えられますから、国交がないがゆえの問題ではないであろうというふうに私はこれを思わざるを得ない。われわれとして、それだけ手を広げておるわけでありますから、それにもかかわらずそれらのことの通報がないというところで問題が行き詰まっておるので、そのことについては、私は日本政府に責任があるとは思いません。  次に、国交をどうするかということは、別の問題としてこれはまた一つ重大な問題でございますけれども、私どもとしては、いまのところ北鮮との間に人の行き来をする、あるいは文化的な交流をする、貿易もいたしております。そのようなことから両方の間の接触を広げていきたい。これは総理大臣が所信表明で申し上げたとおりでございます。それらのことはまだこれからもっともっとしていかなければなりませんけれども、いまの時点で北鮮という国を承認をするという考えは、わが国は持っておりません。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 いや、国交正常化を一日も早く結ぶ、それは無論別問題でしょう。私がきょう取り上げている問題とそれは当然別問題でしょうが、この問題でも、その根本が解決すればこういうことは自然に水の流れるように解決していくことだから、この際この機会を利用して、朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化の点については、別問題としていま私はあなたにお尋ねをしておる。これは単に人妻の問題だから、里帰りの問題だから国交正常化しろ、そんな単純なことを言っているんじゃないのです。ことに朝鮮民主主義人民共和国はわが国とは隣国でもあり、漁業問題その他の点においても特別の関係があるから、これに対しての国交正常化に対するあなたのお考えがあるかないか。私の言うことを誤解していただいては困るのです。そういうことをどういうふうにお考えになっておるのか。朝鮮民主主義人民共和国を承認している国ももうたくさんあるわけです、外務大臣、私が申し上げなくても御承知のとおり。昨年の国連総会を見ても、これはよくおわかりのことと思う。この朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化ということに対して外務大臣はどのようにお考えになっておるのか、あるいはどういう点が支障になっておるのか、何かひっかかりがあるのか。これは私の想像ですけれども、韓国が朝鮮民主主義人民共和国を認めなければわが国は動きにくいんだというようなお考えでもあるのですか。そういう点についてちょっとお伺いしたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 先ほどのお尋ねは、私は誤解を申し上げていないつもりでして、鬼木委員も二つのことは別の問題としてお尋ねになりましたし、私も別の問題としてお答えをいたしたつもりでありまして、混同いたしておらないつもりであります。  北鮮を承認する問題についてのお尋ねですが、いまおっしゃいましたことよりは、私はもう少し問題が深いところにあるのではないかというふうに思っております。すなわち、北鮮は朝鮮半島に二つの国があるということを認められないという立場のように存ずるわけで、そうだといたしますと問題は簡単ではないように思われます。私どもは将来は両者が平和裏に統一するということが、一九七二年の声明にもありますとおり望ましいことであると思っておるのでありますけれども、さりとて現在朝鮮半島には二つの国はないのである、一つの国しかない、それは自分の国であるという立場を国連の決議におけるように北鮮が固執をするようになりますと、問題の解決はきわめて困難であろうというふうに考えられるわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 それはそうでしょう。非常に困難でございましょうが、いずれにしましてもこれは人道上の問題ですから、大臣が基本方針を述べられたとおり、日本と朝鮮の関係は他の国とはちょっと違った関係にあるので、こうした不遇の人たちの帰国ということ、里帰りということに対しては特別の援助の手を差し伸べていただきたい。政治的にも道義的にも私は当然のことだと思うのですよ。先ほど大臣もおっしゃったように、現在北鮮におる日本人、戦後残留した人もいらっしゃるだろうと思うのですが、北鮮において非常に不遇な孤独の方もいらっしゃろうし、貧困の方もいらっしゃるし、切々として血を振りしぼって里帰りをしたいという希望を持っていらっしゃる方々に対しては、政治的にも人道的にも何らかの手を速やかに打つべきだ、そして実績を上げていただきたい。ただ理想論だけ、大臣の基本方針なんかを述べていただいただけでは皆さんは納得しないのです。  だから、これまた私の私見でございますけれども、現在の北朝鮮の国際的地位とかまた日朝関係の現状から見まして、両国間に何らかのそういう救済機関を設けて、それを窓口にして速やかにこういう気の毒な人たちを何とか救済する方法はないものか。外務委員会等において過去何回もこのことはお話しになっておりますが、大臣どうですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 これは日本政府に関する限り立場はきわめてはっきりしておりまして、先ほど申し上げるように、人道上の問題であるから温かく迎えたいと言っておるわけです。それに対して先方が、いや困窮者はいないという立場であるのか、あるいはいるけれども何かの事情でそういうことはできないというのか、よけいなお世話だというのか存じませんが、何も言ってきてくれない分には私どももそれ以上やりょうがない。恐らく鬼木委員の言われるように、私はそういう人がおられるのだろう、それはきわめて気の毒なことであるから、人道上の立場でわれわれは何かしたいと思いますからこそそう申しておりますけれども、どういう事情であるかそれに対して応答が北鮮当局からないという現状におきまして、私どもとしてはさてどうすべきか、日本政府としてすることはそれでは何であるかということにならざるを得ないのでありまして、私どもとしては、至らざるところは、この点についてはないように思うわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 まあそれはそうでしょう。こちらは大臣が温かい気持ちをもって何とかしたい、お救いしたいというお気持ちはおありだ、これは私もそのように受け取っておりますけれども、現実としては向こうが応じてくれないということで、なかなかその点がうまくいかない。そうだろうと思いますが、いま申し上げますように、何かそこに公平な、両国間の橋渡しをするような機関でも設けて、何らかの具体的な方途を考えていただく。これは私の私見でございますが、考えていただいたらどうか。高邁なる大臣に、何を鬼木はつまらぬことを言うかとお思いであるかもしれませんけれども、御参考に私の私見を申し上げたい。しかるべく、あなたのお気持ちがせっかく温かいお気持ちを持っていらっしゃるのだから、何かそれの実現ができるような方向に向かってお考え願いたい、かように存じます。  次に、最後になりましたが、在勤法の法案そのものについて少々お尋ねをしたいと思う。  戦争、紛争というような特別な事態が発生している地に所在する特定の在外公館に勤務する在外職員に支給する在勤基本手当の増額ですね。在勤基本手当の一五%を上積みするということになっておるようでございますが、一五%上積みするという積算基礎といいますか、根底は、どういうところで一五%ということになったのか、その点をちょっとお尋ねしたいと思う。これは法案そのものでございますので、別に大した問題はないと思いますけれども、超スピードでお尋ねしますので、簡明にひとつ。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 特別な事態が発生しております場合の生活条件の困難の度合いというものは、計数的に把握するということはなかなか困難であろうと存じます。しかし、一般職給与法の特殊勤務手当の率でありますとか、諸外国の外交官について適用されております例などを念頭に置きつつ、かつ、昨今これら同種の事態が発生しましたカンボジアあるいはベトナムの在勤者の体験を参考にいたしまして、そのような状況のもとにおける生活条件につき種々検討しました結果、加算額を一五%とすることが適当であろうという結論に達したものでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 これは十分皆さん方検討された結果ですね。一五%が妥当だということですね。在勤職員の皆さんも、ほぼそれに対して納得されておるわけですね。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 現在一応私どもとしましてはこれが妥当な率であるという結論を得たわけでございます。ただ、それで十分であるかというようないまの御質問かと思いますけれども、いま申しましたように、一応これで十分と考えておりますし、また、ここで予想しております特別事態というものは、時間的に考えますとそう非常に長く継続して続くということは余り想定できませんので、今回御提案申し上げております法改正によって一五%の増額を支給するということで措置してまいりたいと考えておるわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 そうしますと、この法律案が施行された時点においてこの法律の適用を受ける地域はどこどこでありますか。戦争等によって特別の事態が発生しておるところはいまどことどこですか。その点をひとつ承りたい。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 現在の時点におきましてこの法律を適用するとしますと、私どもは恐らくレバノンの事態がこれに相当するのではなかろうかと考えております。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 それではこれに関連してお尋ねしたいのですが、変事の際内地に帰るときの旅費ですね。そういう戦時事態に立ち至った場合に、こちらへ帰ってくる。これは命令によって帰る場合もありましょうし、自発的に危険を感じて帰ってくる場合もあるでしょうが、その場合の旅費はどうなっておりますか。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 こういう特別事態のもとにある地域から日本国に帰任する、あるいは第三国へ転勤するということが考え得ると思います。その場合の旅費は、旅費法に基づきます旅費が支給されることになります。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 それは帰国せよ、避難せよという命令の場合は、むろん旅費が出ると思いますが、これは危険だ、危ないといって自発的に帰国するとか避難したという場合に旅費が出るか出ないかということをちょっとお尋ねいたします。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 在外公館に勤務する職員の場合は、常に本省、本国政府からの命令によって動くわけでございます。したがいまして、事態が非常に緊急差し迫っている場合、当然本省としてもそういう事態は把握しているわけでございますから、現地公館に対しまして、身に差し迫った危険がある場合には現地の判断において避難すべしという訓令を出すというのが通常であろうと思います。したがいまして、そういう場合も全く自分の独自の判断で勝手に職を離れるという場合は考えられませんので、本省からの指示に基づいて避難する、第三国へ出るということになると思います。その場合には、旅費法に基づいて旅費を支給するということになるわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 わかりました。勝手に離れるということはできない、大体命令系統一本にしぼられておる、したがって旅費は必ず出る、このように承っておきましょう。  それでは、今度はそれに敷衍してお尋ねしたいのですが、海外から帰ってくる児童生徒数は全国で約三千人と言っておられますが、その帰国子女の受け入れ体制について、一つお尋ねをしたいと思うのです。  昨年五月に、海外勤務者子女の海外におけるところの教育の確保と帰国子女の受け入れ体制の整備等に関する諸施策立案のため基礎資料を整備するということを目的として、海外勤務者子女教育に関する総合的実態調査の中間報告をされておる。それはいただいた。ところが、この調査全体の総合的な結果がいつごろになるのか、その点をちょっとお尋ねしたいと思うのです。簡単でいいからお答え願いたい。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 いま御質問のありました問題は文部省の所管の事項であろうかと思いますが、私どもも非常に大きな関心を持っておりますので、外務省といたしましてもこの問題には若干関与してはいるわけでございます。その限りにおいてお答えをいたしますことをお許しいただきたいと思いますが、私ども了解しておりますところでは、中間報告におきましては、帰国します子女の受け入れ体制が現在は非常に不備であるから、このための特別の学校を設立することを含めて受け入れ体制を整備すべきであるという趣旨の意見、勧告が中間報告の中に含まれていると了解しております。この問題につきましては、具体的な方法につきましては今後の検討にゆだねられているというふうに了解いたしております。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 文部省の方でそれを取りまとめておるとおっしゃっておりますが、それはそうかもしれぬが、海外子女教育の問題ですから当然外務省と互いに提携し、合議の上でき上がるものだと私は解釈しておる。ですから、それがいつごろできるか、いつごろまとまるかというようなことはおわかりのはずだと思うのですが、それはおわかりにならなきゃそれでいいから、後でまた……。  次に、帰国児童生徒が現在の学校において、教科学習なんかも違っておると思いますし、教科内容も違うかもしれぬ、あるいは生活状態も違うかもしれぬ、そういう乙とにびしゃっと適応するように特別な指導を必要とする。その実態がわかっておられるかどうか。私がいろいろ調査してお聞きしたところによると、そういう帰国子女の特別教育研究協力校というようなものがある。しかしながら、東京都で海外より帰国した人の四〇%を収容しておる。神奈川県では一七%、残りが関西方面だ。事実そういうことで完全に行われておるのかどうか、そういう点について、これは文部省もそうでしょうけれども、海外から帰ってきた人のことですから、その実態はどういうふうになっておるのか。よく外務省としては把握していらっしゃるのかどうか。また、特別指導しているならば、特別指導の内容はどういうことになっておるのか。向こうから帰ってきた人はほとんど日本語ができないそうですね。それから生活様式も全然変わってくる。ですから、日常生活の指導並びに精神教育というような点についてはどういうふうに特別指導をするのか。いわゆる教育研究協力校というのがどういうカリキュラムのもとに海外から帰国した児童生徒に対して指導しておられるのか。それでどのように実績が上がっておるのか。もしそれがおわかりでなければ、何か資料にして出していただきたいと思うのですが、どうですか、官房長。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 詳細な資料、現在私、ここに手持ちで持ってきておりませんので、必要がございますれば、後日委員の方に御説明に上がるようにしたいと存じます。  私どもが承知しておりますのは、帰国子女の受け入れについては、一部の学校ではこれを受け入れて、そのために特別の学級を設けるというところまではいっていないと承知しておりますけれども、受け入れた子女の調整のために特別にいろいろと努力をしていただいている学校も幾つかあると聞いております。しかしながら、最近帰国子女の数が非常に多くふえるというのが現状でございますので、そういう非常に多数帰国される子女の受け入れについて、完全と申しますか総合的な受け入れの体制というものは整備されていないというのが実情でございます。そのためにこそ先ほど御質問のありました中間報告というものも出たと思います。このための苦労というのは、政府もいろいろ努力はしておりますけれども、現状においてはその苦労は大半が家庭的な負担になっている。すなわち、個人個人の家庭の負担と努力においてそういう調整が行われているというのが現状だろうと思います。この状況は今後改善していく必要があるということは政府としても十分に感じているわけでございます。  他方、海外においては、御承知のように日本人学校というものを必要に応じて逐次開設し、整備拡充していっているわけでございます。これらはまさしく帰ってきた後に学校に入るときの準備として、支障なく学校に入校できるようにという配慮からこういう教育を行っているわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 時間がありませんので、飛び飛びではなはだ何だけれども、私、これまたゆっくりお尋ねしたいと思うが、海外子女教育の実態について、これは私、一見して実態がわかるような海外子女教育白書というようなものを、ひとつ文部省とも協議の上つくってもらいたいと思う。実際、私どもが海外に行って調査しまして義務教育は無償だと言っておりますけれども、向こうでは義務教育に準じておるのであって、義務教育じゃない。そこで後援会費だとか授業料だとかいって大変たくさんの金を取っている。非常に負担が大きい。またお聞きすると、あれは自発的に持ってくるんだ、うまいことを言って、そして取り上げておる。だから義務教育じゃない、しかし内容は義務教育に準じておる。なるほど行ってみますと、やはりまねたようなことで義務教育に準じておる。施設でも経営でも教育方針、内容、すこぶるずさんだ。ですから、そういう点について、私は海外の子女教育の実態白書というようなものをつくってひとつ洗いざらい出してもらいたいと思う。そして、これは相当の検討を加えなければ――あるいは子女同伴の状況、その一覧もここへいただいたけれども、そういう断片的な資料はあるようです。おたくにも文部省にもあるようです。しかし、文部省に何か聞けば、これは外務省の方へひとつ当たってみてくれ、それから外務省の方に聞くと、文部省の方へ当たってくれと言う。文部省の方に行くと、いやこれは外務省に当たってくれと言う。てんでんばらばらだから、外務省と文部省とで海外子女教育の実態白書というようなものをつくっていただいて、その一覧によって一目瞭然でわかるように、そういう点、ひとつつくってもらいたいと思うのですが、どうですか、官房長。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 海外における日本人学校の教育がいわゆる義務教育であるかどうかという点につきましては、日本でございますれば当然日本の法令が施行されているわけでございますが、外国でございますから、日本の法令を施行して学校教育を施すというわけにはまいらない側面があります。したがいまして、日本の法令に言う義務教育であるかどうかという点についての障害、困難が、そういう点から法律的に出てくる点があるかと思います。しかしながら、内容的には、委員が御指摘になられましたように、日本の義務教育の実態に即した教育をできる限りするということで、教科書も全部こちらから送っておりますし、また、派遣される教員も文部省の推薦に基づいて教員の資格を持っている人に行っていただくということで、徐々にではございますけれども、海外における日本人の教育について、政府としてはできる限り遺憾のないように努力してまいるというのが現在の方針であるわけでございます。  ただいま御指摘のありました子女教育の実態につきましては、文部省あるいは外務省においてそれぞれいろいろ調査して結果を取りまとめた資料はございます。恐らく委員の方にもお届けしてあるかとは存じますけれども、なおこの点よく調査いたしまして、もし差し上げてないようなものがございますれば、できるだけ取りまとめてお届けするということにいたしたいと考えます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 私も教育に対しては相当関心を持っておる。過去において私は三十年の経験を持っておりまして、学校経営の校長の職歴も十年ばかりやりました。簡単に、皆さんの通り一遍の答弁ではまだ私は納得できない点が多いのですが、きょうは幸か不幸か、あなた方助かったよ、時間がないからね。あれば、これだけでも私は二時間、三時間やりたい。宮澤外務大臣は、外交政策においては第一人者、ベテランかもしれぬけれども、事教育に関しては赤ちゃんぐらいにしか思っていないんだから、だめだよ。この間、だれかそんなことを言ったですな。  そこで、海外の子女教育手当というのがついておるようですが、これは今回何も増額のあれは出ていない。それから、住宅手当というようなことに対しても何ら今度は触れていないようですが、こういう点は海外において皆さん満足していらっしゃいますか、官房長。――聞かなければならぬようじゃ、これはやはりはっきりしていないな。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 ただいま御質問がありました子女教育手当につきましては、現在はこの法律のもとにおきまして月額一万二千円をすなわち定額支給するというたてまえになっております。この額が適当であるかどうかということについては、本年再検討するという所存でございます。  それから、住宅手当の額につきましては、これは現行法のもとで、住宅手当というのは、その国の物価、家賃によって著しく変動しやすい性質のものでございますので、現地の状況に応じましてできる限り適応する額を支給するということで、政令でこれを定めるというたてまえになっております。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 それでは、もう時間がありませんので、最後にもう一つお尋ねしたいのですが、これは私は現地において親しく調査したのです。しかも、これは私がよく知っている若い大学出の先生で、私の地元の者でしたが、そういう先生方が非常に困っていらっしゃることは――これは大臣よくわかっていただきたいと思う。休職取り扱いにしているのがわずかに三県です。東京、京都、それから大分ですか、休職にしている。ところが、あとは全部、日本人学校の先生方の身分については、法的に何にも位置づけがない。これは一体どういうことか。しかも三カ月という期限が切ってある。こういうところに、海外教育をひとつ自分が命をかけて一生懸命やろうという意欲が生まれないのですね。たった東京と京都と大分の三県が休職、ですから、当然これは身分保障はあるはずです。恩給でも年金でも続くわけなんです。退職の場合でもそれにずっと加算される。他の四十四県というものは全部だめなんだ。無給なんだ。これは一体どういうことでこういうことになっておるのですかね。こういうやり方ははなはだよくないと思うのですね。そうすると、いや、これは各県の地方教育委員会のことなんだからわれわれどうともできませんなんというようなことを言いますけれども、それじゃ、そういう先生を向こうにやるというのは何の権限でやるのですか。外務省から外国出張として海外に派遣するというならば、外務省がそういう点ははっきりしなければいけない。官房長、あなたをしかって言っているのじゃないですよ、ぼくは大体こういうくせなんだからね。決してしかっているのじゃない、心は非常にやさしいんだから。おかしいと思いませんか。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 御承知のように、現在は在外の学校に派遣されます教職員につきましては、志望者を募集しまして選考した上で派遣するというたてまえをとっております。事実関係を申し上げますと、ほとんどがいわゆる都道府県から出てこられる志望者の中から派遣をしているというのが現状でございます。したがって、これらの先生方は大半が地方公務員であられますわけでございます。数字は私いまここに持ってきておりませんけれども、その大半は東京都及びこの近隣の府県から出ておられると伺っております。したがって、恐らく数の上におきましては休職扱いをされておられる先生方の数というのは相当数あるとは思います。しかしながら、いま御指摘になられました三県以外の府県におきまして休職扱いにしていないということでございますれば、帰国後の身分の不安と申しますか、身分関係が非常に不安定であるわけでございますから、できるならばそういうところから派遣される先生方も休職扱いを受けて行かれるということが御本人にとっては恐らく非常に望ましいことだろうと思います。これは現在は地方公務員でございますから、都道府県においてどういう措置を講ずるかという問題だろうと思いますけれども、御指摘の点につきましてはなおよく調査をいたしまして、私どもとしてはできる限り努力してまいりたいと思います。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 いま私、申し上げたとおり、地方公務員であり、地方各県の教育委員会においてこれをやる。だけれども、問題は外務省から派遣するのですからね。それで募集して希望者をこうやる、それで自分の身分も保障されない、年限は三カ月と切られておる、行けば住宅に困る。それは住宅は用意しておってすぐに入れるようにしております、こう言いますけれども、これは一般の人と違いまして学校の先生というのは生徒がたくさん習いにいきますからね。課外で習いに来るのですよ。私らも平教員の時代に、私は昔の中等学校ですから小学校なんかには経験ありませんが、大学なんかに行く人はもう連日教えてくださいと受験準備にやってくる。だから一部屋や二部屋じゃ困るのです、本当の話が。だから、派遣していただいた先生に対しては住宅はちゃんと提供しておりますなんてうまいことを言うけれども、狭くて困っておる。生徒が来たって教える場所がない。それもたくさん金出せばありましょうけれども、住宅手当がわずかだ。だから後顧の憂えなく、募集したならばそれは三年でも五年でも十年でも海外教育に熱意を持って一生懸命やりましょうという気持ちがなければ、腰かけで、そんなことはないかと思いますが、これは私の憶測ですけれども、三年間くらいならばちょっと海外を見てくるという意味で、じゃちょっと行ってこようかというような気持ちでは教育の実績は上がりません。本当に他国の事情に精通し、他国の国情、人情風俗すべてに精通して、そして日本人の子女教育にはこうすべきだという本当の教育を、生きた教育をやらなければ、教育というものは単なる知識を注入するだけではいけないのですよ。生徒の人間生活、生活指導をやってもらわなければいかない。そういう余裕はない。これは私は海外を視察しましてまざまざとその実態を見てきた。ですから、身分の保障もないようなそういうことで、とにかく募集して、希望者があったからこれをやっておけというようなことだから、海外の子女教育の実績は上がっていない。  それで最後の問題ですが、いま官房長は将来これは御指摘の点については必ず実現するように努力します、こう言っていますが、大臣どうです。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 御承知のように、在外の学校に派遣されます教職員の方は、海外子女教育財団がいろいろあっせんをして住宅手当その他の必要経費を送金しているわけでございます。しかしながら、外務省といたしましても、もちろんこれは外務省職員のみならず在外邦人全般の非常に大きな問題でもございますので、非常な大きな関心を持ってできる限り側面的に援助、協力しているというのが実情でございます。したがいまして、行かれます教職員の方が安心して在外で教育に従事されることができるような条件を私どもとしても改善、整備することに当然努力すべきであると考えておりますので、今後も問題、問題に応じまして私どもとしてできるだけのことはしてまいりたいと考えているわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 それで、私は資料はたっぷり持ってきて細かい点は一々お尋ねしたいと思っておりましたけれども、遺憾ながら時間がありませんのでこれでおきますが、先ほど申し上げました海外子女教育に対する実態の白書、これははっきり確約をしていただきたいが、できますかできませんですか、その点をひとつ。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 現在、私の立場においてお約束をこの場で申し上げるということはできないと思いますが、文部省ともよく相談いたしまして検討させていただきたいと存じます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 じゃ、それをはっきりひとつ検討していただいて、できないならばどういう点でできない、できるならばおよそいつごろまでにはこういうことをつくり上げますという点についてお答えを願いたいと思うのですよ。ようございますか。いや、ここでじゃなくして、また文部省と話し合った結果ですよ。お待ちしておりますからね。ようございますか。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 十分検討いたしまして、委員の方に御報告に上がりたいと思います。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 それでは、長いこと大臣もお退屈であったろうと思いますが、大変どうも御無礼ばかり申し上げましたが、これで私の質問を終わります。外務省の方々もお疲れであったろうと思いますが、これで失礼します。丸山局長もありがとうございました。  委員長、大変時間が延びまして申しわけありませんでした。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長代理 木下元二君。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 まず、法案に即した質問をいたします。  昨年十二月十日の外務人事審議会は、五項目にわたる勧告を出しておりますが、今回の改正案で措置しようとしておるのは、第一項の在勤基本手当の改定と、第二項の危険地に勤務する職員に対する諸措置のうちの特別加算制度の導入のみでありまして、その他の勧告事項については放置をいたしております。この勧告で検討を要請された事項及び法制化を求められた事項に対する外務省の考え方と、今後どのように措置をするかについての方針を明らかにしてもらいたいと思います。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 御質問がありましたように、昨年十二月十日、外務人事審議会は外務大臣に対して勧告を提出いたしております。その勧告におきまして、なかんずく措置をとるべきであるということを勧告しておりますのは、第一に、在勤基本手当を改善するため、毎年改定すべきこと、また、瘴癘地勤務職員に対し、一層の配慮を加えるべきこと。第二点が、在外職員が生命、身体及び財産等に対する著しい危険を冒して勤務する場合には、職員及び家族に対し援護、救済措置を講ずべきこと。第三点、子女教育手当の制度を拡充すべきこと。第四点、住居手当の制度を改善すべきこと。第五点、瘴癘地勤務職員に対する医療及び健康管理の施策を拡充すべきこと、というのが勧告の概要でございます。  この改正案におきましては、第一点の在勤基本手当の改善、それから第二点の危険を冒して勤務する場合についての手当の創設というものを手当ていたしております。  第三点の子女教育手当の制度を拡充すべきことにつきましては、海外におきます子女教育問題につきまして毎年できる限りこれを改善、整備していくという方向で予算上もいろいろ手当てをいたしておりますけれども、これはいつでも現状をもって満足すべき状態ではございませんので、今後もできる限り整備、改善していきたいというふうに考えているわけでございます。  それから第四点の住居手当の制度を改善すべきこと、これは先ほどもお答え申し上げましたけれども、各地におきます住居費はその国の経済情勢その他によって非常に変動が激しい性質のものでございますので、政令をもって、各地の状況を見ながら住居手当の額を制定してまいるというたてまえになっております。これは現行制度の運用によって、できる限り実情に適した住居手当を支給してまいりたいと考えております。  第五点の瘴癘地勤務職員に対する医療及び健康管理の施策を拡充すべきことにつきましては、現在は在外職員の医療制度は共済組合制度によってカバーされているわけでございますけれども、今後、この制度との関連において、できる限り前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。また、健康管理旅行制度というのがございますが、その適用対象公館は、先般成立いたしました五十一年度予算において現行の十五公館にさらに五公館追加するということにしたわけでございますが、今後も必要がございますればこの措置を講じてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 危険地に勤務する職員に対する特別加算制度について対象となる公館は、「外務大臣が指定する」、「指定に関し必要な事項は、外務省令で定める。」としておりますが、外務省令はもう成案を見ておりましょうか。そして、指定の基準としてどのような状況を考えておるわけでございますか。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 外務省令をもって定めると書いております点は、この法律が成立いたしましてから省令を制定するということになりますので、現在、検討中でございます。  それから、どういう地域がこの危険地域として指定されるかという御質問ですが、現在の状況のもとにおいて私どもが想定いたしておりますのは、レバノンでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 まだ基準としては考えられていないということですね。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 この法案の第九条の二にございますように、「戦争、事変、内乱等による特別事態が発生している地に所在する在外公館として外務大臣が指定するもの」ということになっております。  この外務大臣の認定がどのような基準によって行われるかということは、そのときそのときの状況に応じて検討せざるを得ないと思います。ただ、現実的、具体的に私どもが想定しておりますものは、在来でございますとカンボジアとかベトナムとか、一時そういう地域であったというふうには考えておりますけれども、現在はそういう状態ではございません。現在の状況のもとにおいてはレバノンがこれに該当するのではないか、したがって外務大臣としてレバノンを認定するということになるのではないかと考えております。その認定をいたします場合の一つの目途と申しますか、考え方の一つの項目というようなこととして申し上げられますのは、外務大臣が在留邦人ないしは館員家族の引き揚げ勧告を出すような事態ということではないかというふうに考えております。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 結構です。次の問題に移ります。  日本におけるCIAの活動についてであります。最近、日本におけるCIAの活動が問題になっておりますが、これらに関しまして幾つか質問をいたしたいと思います。  宮澤外務大臣は、さきの参議院予算委員会のわが党の上田耕一郎議員に対する答弁で、CIAの日本国内における組織としての活動は許しておらず、また組織的な活動をしているとは考えないと言われましたが、これは過去も現在も、組織的活動はしていないということですか、確認をしておきます。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 わが国が占領下にあった時代のことにつきましては確たることを申し上げることができません。主権を回復してからはさように考えています。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 米上院情報活動特別調査委員会が先月四月二十六日に、CIAに関する調査報告の第一部、「海外及び軍事情報活動」という報告書を発表いたしましたが、大臣はお読みになりましたか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 これは、報告書をアメリカから大使館を通じまして取り寄せようと思っておりまして、まだ読んでおりません。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 この報告書には、CIAの日本における組織的活動の二つの重要な事例が指摘をされております。その一つは、CIA保有の民間航空会社の航空機が、一九六〇年初めから七〇年代の初めにかけて、日本の立川米空軍基地から太平洋地域への軍事輸送やCIA向け空輸に当たっていたという指摘であります。この事実を外務省は知っていたのではありませんか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 この報告に書いてございますエア・アメリカ及びサザン・エア・トランスポートという会社が、米空軍輸送司令部いわゆるMACでございますが、との契約に基づきましてわが国において輸送業務に従事したということは承知しております。そしてこれらの航空会社の航空機は地位協定第五条の規定によってわが国の空港及び米軍施設、区域への出入が認められていた次第でございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 それがCIA保有の民間会社であったということはいかがですか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 これらの航空会社の所有関係についてはわれわれとしては十分把握しておりません。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 その点についてはこの問題で明らかになりまして調査をされましたですか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 このエア・アメリカ社及びサザン・エア・トランスポート社につきましては、われわれとしても一応過去の地位協定上の地位について調査をいたしております。  エア・アメリカ社につきましては、その前身でございますCAT社の時代に地位協定第十四条に規定しております特殊契約者に指定されまして、その後エア・アメリカという名称に会社名が変更になっております。そのCAT社につきましては、デラウェア州法によりまして設立された法人で、米空軍との契約に基づいて昭和二十五年以来わが国において在日米軍のための航空輸送業務を行っているという説明を受けております。  また、サザン・エア・トランスポート社につきましては、昭和二十四年にフロリダ州によって設立された法人でございまして、米空軍との契約によって米軍のための空輸業務を行うという説明を受けております。  ただ、いずれの場合におきましても、CIAとの関係云々ということについては説明を受けたことはございません。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 ですからその点を、CIAとのひもつき関係を調査されたかどうか、されていないとすればこれからその点については調査をされる予定であるのかどうか、これを聞いているのです。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 これはわれわれとしてはそういう説明を受けて許可したものでございまして、それ以上米軍とこの種の会社との契約関係に立ち入って調査することはいたしません。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 それらの会社の航空機が日本の立川基地に来ていたということが明らかになっているのですが、そしてそうした会社はCIA保有の会社である、こういうことも明らかになっているわけですね。そしてもしそれが事実だとすれば、これは非常に大きな問題であります。  これは私は二つの点できわめて重大であると思うのです。一つは、CIAが日本において組織的活動をやっていたことが事実だとすれば、これによって明らかになるわけであります。したがって、宮澤外務大臣の組織的活動はしていないという答弁がうそであるという点が明らかになるわけであります。もう一つは、地位協定上合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族以外に基地の使用を認められない、認められていないCIAの民間航空会社の航空機が立川基地を使用していたという点で地位協定違反の問題が起こってきます。  この二つの点で重大な問題だと思うわけでありますが、大臣はどうお考えでしょうか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 政府としましては、このエア・アメリカ及びサザン・エア・トランスポート社はあくまで安保条約及び地位協定に基づく活動を行っていたと理解しておるのでございまして、また、その地位協定の十四条の規定に基づく特殊契約者としての地位を持っておったわけでございます。したがって、いわゆるCIAの組織的活動というものではなかったと思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 あなた方の方でこれまでそういうふうに思われていたのはそれはよろしいけれども、アメリカの上院情報活動特別調査委員会がこの問題を調査をして、こうした立川基地に出入りをしていたこの民間航空会社は実はCIAが保有していたんだ、そういう問題を明らかにしておるわけでしょう。これは単なる情報やうわさではございません。この権威ある上院の情報活動特別調査委員会が調査をしてそういう結果を報告しておるのであります、公表しておるのであります。そういうことが明らかになっておるのに、いや、それはそういうことはありませんと言ってそれに対して調査をしようとしないのですか、外務省はそういう態度ですか、大臣から答弁をいただきたいと思います。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 この上院の情報活動特別委員会の報告書はあくまでこれは議会の報告書でございまして、アメリカ政府は、これに対しては正式には何らコメントいたしておりません。そういうわけでございまして、これが完全に権威のあるものであるかどうかということは、われわれとしては判断する材料を持っておりません。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 政府のものでない、議会のものだから権威がない、こう言うのですか。これはとんでもない失言ですよ。少なくともこういう特別委員会の調査結果が公表されておるわけでありますから、この点について、この委員会の調査結果の内容について詳しくこれを検討吟味することがまず必要であります。これはやっておりますか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 先ほどから申し上げましたように、私たちはこの報告がありましたことにかんがみまして、過去においてこの両社が地位協定上どういう地位にあったかということを調べたわけでございます。そして、先ほど申し上げたようなことが判明いたしておるわけでございます。また、そういう特殊契約者としての輸送をやっておる限りにおいて、われわれとしては何ら問題がないというふうに考えておる次第でございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 この米上院の情報活動特別委員会の報告書が明らかにいたしましたもう一つの重要な問題は、米陸軍が極東でLSDの対アジア人に対する生体実験をしたという部分であります。生体実験の対象としましては、米国籍でないアジア人八人で、麻薬密売もしくは外国情報活動員の疑いのある者を使ったということであります。ここでは極東がどこであるかは明らかにされておりませんが、読売新聞ワシントン支局が入手したというCIA秘密文書では、一九五〇年代初めからCIAが厚木基地に生体実験と見られるLSDを保管していたことが明記をされているというのであります。厚木基地がこのCIAの生体実験に関係のあった疑いがきわめて強いわけであります。  外務大臣、これについて事実かどうか調べる必要があると思いますが、その意思はありましょうか。そして、米軍に対して事実関係を明らかにするように要求すべきだと思うのでありますが、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 日本人に関係しているというようなことも言っておりませんから、私としては別に調べる意思はありません。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 どうもそういう態度では私は困ると思うのです。私がいまいろいろ申しましたように、このCIA秘密文書ではLSDが厚木基地に保管されていた、そういうことが明らかにされておるのであります。そういたしますと、これは日本人が対象にされたのではないかという疑惑も当然出てくるのであります。そういう疑惑が出てくる以上、これについて調査をしないというのは私はおかしいと思うのであります。いたしませんか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 厚木基地に保管されておったなんということを文書が言っているというのは、私どもは知らないので、するつもりはありません。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 ですから、その点についても調査をしてもらいたいと思うのです。そういう秘密文書があって、それにそうしたことが記載をされておる、こういうことでありますので、当然、そうしたことが一体あるのかないのか、事実関係を私は調査する必要があると思うのです。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 もし秘密文書というものが正式のものであって、私ども、それを見る機会がありましたら、それが事実であるかどうかは、その時点に立ってそれは考えてもいいことですが、私どもそういうものを見たことがない、調べるものがありません。     〔木野委員長代理退席、竹中一委員長代理着席〕

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 もう一点、CIAと密接な関係を持つ米海軍秘密調査機関、NISの日本での不法不当な活動について聞きたいのであります。  けさの新聞報道によりますと、米上院情報活動特別調査委員会は、今月十六日、「米軍による市民の不法監視の実態について」と題する報告書を公表いたしました。その中で、日本に関連して米海軍秘密調査機関、NISが、沖繩、岩国、横須賀の三都市で反戦市民団体を対象に、スパイ行為や窃盗行為まで働いていたという事実が暴露されたと伝えられております。たとえば、反戦組織に潜入したNISのスパイたちは、情報収集だけでなく、集会場やアジトから手紙類、機関紙読者リスト、デモなどのスナップ写真などを盗み出し、NIS本部に提出をするという窃盗まで働いていたというものであります。在日米軍が日本においてこのようなスパイ活動及び窃盗を働いていたということはきわめて重大な問題であります。直ちに調査をしなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 日本で窃盗を働いていたなんということを書いてあるなら、どこに書いてあるか、お教え願いたい。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 言っていることをよく聞いていただきたいと思うのであります。けさの新聞報道でこういう点が暴露されておるということを言っておるのであります。そうして、たとえばということで例示をしておるのであります。よく聞いていただきたいのです。この点について調査をされる考えがおありでしょうか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 公の文書にそういうことがあれば調査をいたします。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 そういたしますと、これはいまの状態では調査もされないということでございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 私どもそういうことが公の文書に書いてあると聞いていないのです。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 その公の文書と言われる意味はどういうものを言われておるのでしょうか。私がいま指摘をしました「米軍による市民の不法監視の実態について」と題する報告書、これを公表した。そして、その中でそうしたことが指摘をされておるということを私は指摘をしたのです。そういうことはないと言われるわけでございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 御質問をなさるのでしたら、その文書をごらんになってなすったらいかがでしょうか。私どもはそれを見てからお答えいたします。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 いや、そうすると、大臣はそれを見ていられるのですか、いないのですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 ワシントンの大使館から早急に取り寄せたいと思っていますけれども、いままで聞いているところでは、そういうことが書いてあるようには承知しておりません。私、見ておりませんから、見ましてからお答えいたしますが、御質問もひとつごらんになってしていただきたいと思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 大臣はそれを見ていないわけですね。私も実は見ておりません。けれどもこれは新聞で、そういう特別調査委員会がそうした報告書を公表した、そして報告書の中身が報道されておるわけであります。だから、少なくともそういった事実があるのかないのか、これはもちろん報告書の中身もよく検討をされ、その上でということになりましょうけれども、そう全く新聞報道がでたらめであるということは考えにくいと思うのですよ。ですから、その報告書の中身をもちろん検討した上で、こうした事実について調査をするお考えがあるかないか、こう聞いておるわけであります。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 私どもが報道等で承知している限りは、西ドイツにおいては、陸軍が文書をあけたり盗聴したりしたということであるが、日本においては、アメリカの海軍はそのようなことはしなかったというふうに書いてあるように承知しています。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 その問題は、その報告書の中身が問題になって、どうも大臣の伝聞と私の方が聞いておるのと食い違いがあるようでありますので、その点は報告書が出ました上で、中身について質問をしたいと思います。  それから、いま出ましたNISに関連した問題としてもう一点だけ聞いておきます。  これは防衛庁に聞きたいと思うのでありますが、海上幕僚監部に調査部があり、調査第一課、調査第二課があります。防衛庁組織令によりますと、七十四条一号というのがありますが、これに調査第一課の任務が書かれております。「防衛及び警備の実施に必要な国内資料及び国内情報の収集整理及び配付に関すること。」とうたわれておりますが、この情報収集のために、私服で部隊外で、いわゆる外回りの情報収集をやっておりますか。いかがですか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 海幕の調査一課につきましては、外回りの調査の必要がございますが、現在はやってないと思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 これまではやっていたということですか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 いままでもやっていなかったと思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 調査二課はどうですか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 調査二課についてもその必要性があるわけでございますけれども、現在も過去もやっていないと思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 これら海幕の調査部というのは米NISと連絡関係を持っておるのでしょうか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 海幕が連絡をしております相手方は在日米海軍の情報部、これは横須賀にございますが、それでございます。それから、あとは在日米大使館の大使館付の海軍武官、こういったところが連絡の相手でございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 そうすると、米NISとは関係がないということですか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 海幕は直接の連絡がないように承知をいたしております。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 そのことを聞きますのは、陸幕の方は、座間にある米陸軍情報部隊ときわめて密接な関係を持っていたことがわが党の上田質問によりまして参議院で明らかになりました。陸幕は関係を持っておるのに、海幕は関係を持っていないということですか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 どういう意味で御質問かよくわかりませんが、私ども必要のある向きとの連絡をやっておるわけでございまして、陸の場合には在日米陸軍のG2、いわゆる情報部でございますが、これと連絡をしておりますし、それから、いま御指摘のありましたように、在日米陸軍五〇〇部隊との連絡、それから米大使館の大使館付陸軍武官、これとの連絡をやっておるわけでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 陸幕の方がやっていて海幕の方がやっていないということは、どうも考えにくい点もあるわけであります。どうもこの点否定をされることには納得しがたい点があるわけでありますが、この点は改めて質問をいたすことにいたします。  次に、自衛隊陸幕第二部の海外での情報活動について聞きます。  ベトナム民主共和国人民軍機関紙「クアンドイ・ニャンザン」は最近、南ベトナムで南ベトナムかいらい軍が急速に崩壊し始めた一九七四年二月に、陸幕第二部副部長の梅野文則、現統幕二室長ですが、この梅野文則を団長とする二名の日本軍事情報団が南ベトナムのサイゴンその他を訪問、南ベトナムの軍事情勢、北ベトナム軍すなわちベトナム民主共和国人民軍とベトコン、南ベトナム解放民族戦線の部隊の活動状況についての説明会に参加したと報道いたしております。この事実がわかりましたのは、サイゴン解放の際、サイゴンのアメリカ駐在武官連絡事務所でしっかりした、鍵のかかった引き出しのある鉄製の金庫の中からトップシークレットの判を押した文書を押収した、その中に入っていたということであります。  そこで、まず防衛庁に伺いたいのでありますが、この「クアンドイ・ニャンザン」の報告は事実でしょうか。陸幕二部副部長梅野文則を団長とするこの代表団の構成及び南ベトナムでの行動について報告をしてもらいたいと思います。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 いろいろ細かい表現については違いがあるようでございます。梅野一佐、当時陸幕の二部の副部長でございますが、一佐梅野文則、それから二等陸佐、これは同じく陸幕の二部でございますが、五十君弘太郎、この二人が昭和四十九年の一月二十日から二月十五日までインドネシア、マレーシア、シンガポール、インド、ビルマ、タイ、カンボジア、南ベトナム、そして帰りに香港へ寄りまして帰ってきておるということでございます。二月九日から十二日までサイゴンにおりましたが、ちょうど九日、十日が土、日でございまして、十一日の月曜日に当時の南越の軍関係の統合参謀本部に参りまして情報部長、それから国防省に参りまして情報渉外室長、それから第三軍団の司令部の副団長、それから首都軍管区司令部の参謀長にそれぞれ表敬訪問をいたしました。もちろんこのときに第一線の状況等についていろいろ説明をしてくれておりますので、それは当方としてありがたく伺っておる、こういうことでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 その南ベトナムの軍事情勢についての説明会は、いま何回か言われましたが、どの分ということになるのでしょうか、またどのような情報収集をやったということでしょうか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 ただいま説明会ということをおっしゃいましたが、いま私が申し上げたのが正確でございまして、四人挙げましたが、ここへそれぞれ表敬訪問をいたしましてあいさつをし、その際に第一線の軍情についての説明があったのを伺っておるということでございます。その中身については、もう当時の関係者も記憶が薄れておりますので、細かい事情についてはよくわかりません。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 いまのは七四年でありますが、一九七五年にも陸幕二部から南ベトナムへ軍事情報調査団を派遣していると思いますが、その代表団の構成はどうなっておりますか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 南ベトナムへ軍事情報団を派遣しているという御指摘はちょっと事実に反しますので申し上げますと、東南アジアにおける軍事情勢の視察ということが任務でございます。  五十年の三月三十一日から四月十四日まででございまして、これは陸幕の二部の一等陸佐山田尚志が参りまして、南ベトナムには四月十日から十一日の二日間でございますが、十日には統合参謀本部の情報部長、翌十一日には国防省の官房長官を表敬訪問し、それぞれ軍事情勢についての話を聞いておる、こういうことでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 当時二部の見積班長である山田尚志一佐は、二部の中でどういう職責にあったのでしょうか。また団員であった人の階級と職責、何班に属していたかというような点も明らかにしていただきたいと思います。  それから、さきの梅野文則副部長と一緒に行った団員の五十君弘太郎二佐は何班に属しておるのか、ついでに伺っておきたいと思います。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 五十君弘太郎二佐は、当時二部の情報一班でございます。それから山田尚志一佐は二部の見積班長でございます。この山田一佐に途中同行しておりますのに當山慶三二佐がございますが、これは陸の第二部でございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 山田尚志一佐を団長とする軍事情報調査団の南ベトナムでの行動について、簡単で結構ですから説明いただきたいと思います。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 これは先ほど申し上げましたように四月十日と十一日の二日だけでありまして、十日は統合参謀本部の情報部長、それから十一日には国防省の官房長官、それぞれ表敬して会談をしておる。会談というよりは、軍事情勢についての説明を受けておるということでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 防衛庁はこれらの代表団がいずれも南ベトナムでそれぞれ表敬訪問をし、簡単なブリーフィングを受けたというのでありますが、私はこれはとんでもないことだと思うのです。当時、つまり一九七四年二月といえば、南ベトナム軍が急速に崩壊をし始め、戦闘がきわめて激化をしている真っただ中であります。また翌一九七五年は、さらに戦況は進展をしまして、南ベトナムかいらい軍が崩壊を一層早め、解放される寸前といった状況でありまして、戦闘が激しく行われている時期にこうした戦闘地域、しかも戦闘が激化している真っただ中に、軍事情勢調査を目的に出かけておるのであります。しかも、一方の側の説明を聴取をする。北ベトナム軍や解放民族戦線部隊の情報を聴取をするということは明らかに一方の側、つまり南ベトナムかいらい軍の側に立ってベトナム人民解放軍部隊の動静をつかもうとするスパイ活動であります。自衛隊はこの南ベトナムかいらい軍と友好関係を持っていたのでしょうか。かいらい軍を支持していたのでしょうか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 基本的に私どもの考え方と違うようでございますので、御説明をいたしたいと思います。  先ほども申し上げましたように、私どもいずれも南ベトナムだけを目標に代表団を派遣したのではございませんで、東南アジアの軍事情勢について視察をするための視察員を毎年出しておるわけでございます。これは先ほど挙げましたように、東南アジアの各国に参りましてそれぞれの各国の軍機関を表敬訪問いたしまして、そこで東南アジア情勢についての意見交換をするということで、そのうちの一環として南ベトナムのあれも出ておるわけでございます。もちろん、当時の情勢下でございますから、南越の関係を表敬訪問し、その話を聞くということは、これは何ら偏向を持った、御指摘されるようないわれのものではないというふうに私どもは考えておるわけでございます。東南アジアの地域における正しい軍事情勢を把握するためにはいろいろな意見を承っておくということ、それを土台にして情勢分析するということは、これは私どもの固有の仕事でございますので、全くあたりまえのことであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 ちょっと私が最後に聞いたことには答えていないのですが、南ベトナムかいらい軍と友好関係を持っていたかどうか。かいらい軍を自衛隊は支持していたのかどうか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 かいらい軍というのは南越軍のことを御指摘だと思いますが、少なくとも南越軍と敵対関係になかったということだけは確かでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 敵対関係になかったということは、直ちに支持をしていたということにはならないと思うのですが、そこのところをはっきりしてください。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 どこをどう支持するかということは、これは外交関係の一環として行うことでございまして、私ども日本政府の一翼、一部分であります防衛庁が単独に防衛庁の外交ポリシーを打ち出すということはあり得ないことであるというふうに考えます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 外務大臣に伺いたいのでありますが、いわゆるベトナム戦争に対して、日本政府は南ベトナムかいらい軍を支持しておりましたか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 日本政府としては、かつてアメリカ政府が南ベトナム政府の要請によってこの事態に介入したということについて、それはアメリカ政府の領土的野心であるとか、侵略の意図に基づくものであるというふうには考えておりませんでした。南ベトナム政府の要請によって行ったものというふうに考えておりました。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 ちょっと直接にはお答えになっていないのですが、日本政府も防衛庁も、南ベトナムかいらい軍を支持する立場は少なくとも公にはとれなかったと思うのです。これは当然だと思います。ところが、陸幕二部の軍事調査団は、紛争の一方の側、南ベトナムかいらい軍の立場に明確に立ってその軍事情勢説明会に出席をし、北ベトナム軍や解放民族戦線部隊の情報収集を行っていたということになるわけであります。それだけでなく、これらの説明会には当然米軍も参加していたと思うのでありますが、その点はいかがでしょうか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、情勢説明会というものはございませんでした。したがって、そういったところには出席をいたしておりません。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 名称はともかく、会談をした際に米側はいたかどうかと聞いているのです。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 その点については詳しくはわかりません。いずれにしろ、先ほど私が挙げましたように、当時の南越軍の軍機関に表敬に参って、それでいろいろ意見交換をしたというのが実態でございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 米軍が参加したかどうかはわからぬということですか。米軍、南ベトナムかいらい軍、そして自衛隊が席を同じくしていたと思われる、これは明らかだと思うのですよ。といいますのは、さきに指摘をしましたように、「クァンドイ・ニャンザン」が報道しているところでは、この梅野文則一佐を団長とする日本軍事情報団の記録は、在サイゴンのアメリカ駐在武官連絡事務所の金庫から押収されたものだというのですね。このように米軍、南ベトナムかいらい軍と一緒に軍事情報の収集をするということは、明らかに一方の側を支持し、その立場に立って北ベトナム軍や解放民族戦線部隊の情報を収集するということであって、まさにこれはスパイ活動ではないかと思うのです。そしてまた、これは内政干渉ではありませんか。こういうことは許されないと思うのでありますが、許されるのですか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 まず最初に、情勢説明会とおっしゃるのですか、そういうものはなかった、個々に表敬訪問をして話をしたということが実態でございます。  それから、アメリカのあれが立ち会ったかどうかということでございますけれども、これは、私ども報告を受けている中では立ち会ってないように聞いております。しかし、もうちょっと、当時の記憶ははっきりしておりませんから、詳しく記憶を呼び起こしてもらわなければならないと思いますが、いずれにしても、立ち会っている立ち会ってないというのは、私は事実関係があるなしについて申し上げているので、別に、立ち会っておる事実があって、それを避けて御答弁を申し上げておるわけではございません。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 アメリカと一緒に行動してはいない。しかし、夜は一緒に会食をしたというような事実はあるわけですか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 十一日の夜に米武官連絡事務所のマクマホンという大佐の家に招かれて夕食をともにしておるという乙とはございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 私が後から聞いた質問には余りお答えになっていないのですが、結構です。  私は外務大臣に伺いますが、ベトナム協定に対して、日本政府はそれを尊重する立場に立っていたと思いますが、いかがでしょうか。また、防衛庁は尊重する立場に立っていたのでしょうか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 ベトナム協定というのは何ですか。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 いわゆるベトナム協定でありまして、パリで結ばれた平和条約であります。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 パリ協定ですね。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 ええ。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 御承知のように、わが国はもとよりパリ協定の当事者ではございませんでしたけれども、パリ協定の線に沿ってベトナムの事態が解決されることを日本政府としては希望いたしておったと考えます。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 防衛庁の立場でございますれば、それは外務省がとられている立場の中で日本政府の一員としての立場に終始するわけでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 言葉は違っても協定を尊重するという態度であったと思われますが、そう伺ってもいいわけですね。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 日本政府としては、先ほど私が申し上げたような態度をとっていたと思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 この協定が結ばれましたのは一九七三年だったと思いますが、陸幕二部の二つの代表団が南ベトナムに行きましたのは、この協定後であります。ベトナム協定尊重という立場をとる、この尊重という表現はともかくとしまして、その協定がなされた趣旨の実現を期待されていたその政府なり防衛庁として、この協定後南ベトナムに、戦闘がきわめて激化し、緊張した状況にあるサイゴンやベンフォアに軍事調査団を派遣をする、私はこれは穏当ではないと思うのです。この点いかがでしょうか、外務大臣。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 どうも、どこが悪いのか私にわかりかねます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 防衛庁に聞きますが、自衛官、とりわけ陸幕二部の情報幹部が海外に出向いて情報収集活動ができるという法的根拠は何でしょうか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 情報収集につきましては、設置法にございます。設置法の五条の二十号でございます。「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと。」となっております。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 防衛庁組織令三十七条には、二部の任務としまして、「防衛及び警備の実施に必要な資料及び情報の収集整理及び配付に関すること。」というようにあります。つまり、日本の防衛及び警備の実施に必要な資料の収集ということでありますが、南ベトナムで情報収集することが、一体日本の安全のためなのでしょうか。自衛隊の情報幹部が海外で情報収集を行うことは一切構わないということなんですか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 これはちょっと先生らしくない御質問だと思いますが、わが国の安全は極東地域の情勢を抜きにしてはできない、また、極東地域の情勢はアジア地域の関連なしには考えられない、アジア地域はまた世界、グローバルな問題を前提にして考えなければならないということでございまして、特にアジア地域の帰趨はベトナム戦争の帰趨によって大きく左右されるということで、わが国の周辺の情勢判断を行う場合には当然おたくの政党でもおやりになっておったことではないかと思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 この諸法令によって、きちんと任務の枠づけというのがあるわけですよね。そして、日本の防衛あるいは安全のためということを言われるわけでありますが、これはやはり具体的に結びつきがないと、ただもう日本の安全や防衛ということをまるでにしきの御旗のように振りかざして何でもできるということになってしまうのですよ。だから、日本の防衛なり安全のために、一体この場合、はるかベトナムまで行って、ことにベトナムでは北と南に分かれて紛争をしておる、しかもこれはベトナム協定後の状況であります。そういう中へ行って、一方から他方の情報を収集してくる、こういうふうなことは一体、具体的にそこまで日本の防衛なり安全のためにせんならぬのかということになるわけですよ。そういう具体的なつながりというものがないでしょう、だから聞いているのですよ。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 先生は、ないとおっしゃいますが、私は大変あると思います。密接にあると思います。特に去年、ベトナムのサイゴン陥落以後、極東の情勢にはね返って大変緊張した状態になったことは先生も十分御承知のとおりだと思います。  いずれにいたしましても、どちらに行っても偏った情勢判断をするようであれば、これはまことに情報専門家の素人でございまして、いかなるところに参りましても、できるだけ実地に即した情報を入手する方法があれば、やはりそれを選ぶべきではないか。それをどう評価するかは、これはわれわれの立場であるべきであるというふうに考えるわけでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 防衛のためにあるいは日本の安全のために必要だという、その具体的な内容というものを明らかにされていないわけです。この場合に、ベトナムに行って情報収集をするということの具体的な結びつきというものは、これはあなた方は言えないと思うのですよ。それで、それを言えないで、いやこれはできるんだ、その論法でいきますと、これは世界の果て果てまでも、どこへでも日本の安全あるいは防衛ということを振りかざして行ける、こういうことになるのです。特にこれは、たとえば練習艦隊が海外へ行くとか、あるいはFX調査団が海外へ行くとか視察に行くとか、そういうことではないのですね。そういう一般的な問題ではないのですよ。だから聞いているのですよ。特にベトナムでそういう紛争が起こって、そして一方の側に加担するような形で情報を引き出す、こういうふうなことが一体できるのか、これはもう、まさに言えば他国の内政に干渉するという問題もあるわけなんです。そういう今回のこの海外での活動というものは問題を抱えておるわけであります。これは結局軍事活動の一環としての軍事情報の収集ということですね。しかも、紛争の真っただ中にある南ベトナムでの情報収集活動であります。これは憲法上から言うならば許されない、こう私は思うのですけれども、防衛庁は、私がいま申しましたけれども、そういう具体的な必要性なりつながりがなくても、安全や防衛という名目でどこへでも、どんな場合でも、どういう事情のもとにおいても行ける、こういう立場ですか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 具体的なつながり関係は、先ほど私、申し上げたとおり十分あるというふうに判断をしております。(木下委員「ないです」と呼ぶ)ないというのは先生のあれだと思います。それは立場が違いますので、お互いに見解の相違だと思います。  それから、大体海外のこういういわゆる軍事情勢という点につきましては、外務省の御配慮によりまして在外公館からいろいろ参ります情報の御連絡をいただいておるわけでございます。そのほかに一般公館でどんどん世界情勢についての情報が入ってまいります。しかしながら、専門家の目を通じて分析をするということも大事なことでございますし、現にベトナムにおいてはそういう戦争が続行中であったということで、そこへ参って公館の資料その他によっては得られないものを直接当方で聞いてくるということによってベトナム戦線の帰趨その他についての情勢判断の一助にするということも十分考え得たわけでございます。そういった意味において私どもやはり必要であると思われるところにはできるだけ派遣をして、視察を直の目でまた直に耳で現地の判断なりを聞かせるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 この梅野文則らの情報幹部は、南ベトナムばかりではなくカンボジア、タイにも行っておる。さらに香港にも行っておる。このそれぞれのところで、つまりカンボジア、タイ、香港では一体どこと接触をし、どういう行動をとったのかということを簡単で結構ですから聞いておきます。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 皆それぞれその国の軍の機関、国防省なりあるいは参謀本部というところに行っておるわけでございますが、ただいま御指摘のございましたカンボジアでございますが、カンボジアは統合参謀本部を表敬訪問し、話を聞いております。それから香港でございますが、香港はこれは総領事館で説明を受けております。以上でございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 こうしたタイやカンボジアでの軍事情報収集活動も、これは繰り返しませんが、南ベトナムのそれと同様に大きな問題だと私は思います。いわゆる紛争地域でこうしたスパイ活動が他国の内政に干渉をする重大な不当な行為であることは私は間違いないと思うのです。こうした日本の安全のためと言って合理化することのとうていできない情報収集活動は一体好ましいと思われますか。今後もこれは続けるつもりですか。

丸山昂防衛庁防衛局長

○丸山政府委員 わが国の国防の方針は、いわゆる専守防衛をたてまえとしておるわけでございます。かねがね防衛庁長官もおっしゃっておりますように、周辺情勢の分析についてはできるだけ早期に正確な情報を把握するということが、私どもの専守防衛の責任を全うするためには絶対不可欠のことであるというふうに考えておるわけでございまして、今後もこういった活動は予算が許すのでございましたら、できるだけ活発に行いたいというふうに考えておるわけでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 さきの参議院予算委員会でわが党の上田議員が、陸幕第二部情報一班に所属するという通称別班の秘密のスパイ活動の実態を明らかにいたしましたが、今度はこの陸幕二部が南ベトナムなど海外にまで出かけてスパイ活動をしておるということが明らかになったのであります。防衛庁は、これをあくまで正当な行為と強弁をいたしますが、私は国民の目は決して甘くないと思います。不法不当な自衛隊の秘密行動を厳しく批判するだろうことを指摘をしまして、次の問題に移りたいと思います。  昨年の十二月三十一日からことしの一月一日にかけて、愛知県刈谷市の米海軍依佐美送信所の鉄塔で宇都秀樹君という小学校二年生が感電死するという痛ましい事故の起こったことは御承知だと思います。その責任、補償問題、安全対策面を中心に伺いたいと思います。きょうは宇都秀樹君の祖父や関係者も傍聴をいたしておりますので、誠意をもって答弁いただきたいとお願いします。  まず施設庁に伺いますが、この事故について、これまでどのような調査を行い、事実関係を把握しておられますか。

安斉正邦防衛施設庁総務部長

○安斉政府委員 この事故が発生いたしましてから、初動といたしましては当然警察の当局がなさるわけでございます。警察の当局が調査に当たっておられまして、私どもの出先の名古屋の防衛施設局の係の者がその当局の調査の結果を聞き、あるいは現場に参りましてその調査内容についての認識を深めるという活動をいたしております。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 だから、もう少し中身の事実関係をどういうふうに把握しておるか、簡単で結構ですが、言ってください。

安斉正邦防衛施設庁総務部長

○安斉政府委員 御承知のように、依佐美の通信所というのはいわゆる送信所でございます。非常に大きな二百五十メートルの鉄塔が八基立っておりますが、その中の一つ、まあ第三番鉄塔と申し上げます。そこのところが現場でございます。この鉄塔の周りにはさくが二つございまして、一番外側のところには九十センチの高さのさく、これは一辺約三十メートルの四角いさくでございます。もちろん施錠がしてございますし、危険であるので立ち入ることができないように注意もしてあるわけでございます。それからその中に内さくがございます。二重の内側のさくでございますが、このさくはその鉄塔に一番近いところにあるわけでございますが、高さが一メートル八十センチとさらに忍び返しが二十センチついております。そしてこれはもちろん施錠がしてございますし、そのさくそのものにつきましては安全基準がございまして、この鉄塔から出ておりますところの電波、あるいはこの鉄塔のところには二万ボルトの電流が流れておるのでございますが、その電流に関連するところの安全基準というものがございまして、その安全基準に即したさくができておるわけでございます。(木下委員「簡単で結構です」と呼ぶ)  そして、事実関係といたしましては、ことしの一月一日の午前十時三十分に、この鉄塔の内さくの中で、この小学校二年生の坊やが亡くなっているということが発見されたわけでございます。そして調査の結果は感電死ということでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 警察庁も来ていると思いますが、この点について捜査を進めていられると思いますが、どのように事実関係を掌握しておるか、伺いたいと思います。

新田勇警察庁刑事局国際刑事課長

○新田説明員 申し上げます。  ただいまお答えがありましたと同じような結論に達しておるわけでございまして、もう少し申し上げれば、死亡の時刻は前日の十二月三十一日の午後であったのではないかということでございます。なお、捜査の進展ぶりでございますが、実況見分、死体の見分あるいは関係者からの記憶に基づく供述の録取といった時とともに証拠価値が失われてしまうような分野についての調査活動は一応終えたと思っております。  なお、本件は管理者責任あるいは過失責任という問題でございますので、考え方に大変最近動きもあるということで、判例あるいは同種の危険物に対する安全施設の基準といったようなものを検討いたし、そういう意味でいまもって調査中ということでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 依佐美送信所の送信機などの運用について電気興業株式会社、これが一応ここを占有しておるかっこうでありますが、これが米軍側と保守契約を結んでおるようでありますが、施設の管理運営の責任者はだれでありましょうか。

広田徳久防衛施設庁施設部連絡調整官

○広田説明員 施設、区域の提供業務に関しましては防衛施設庁が所管をしておりますが、その意味におきましては国と対米的には米側が施設、区域に対する管理を負うべきと解釈されます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 警察庁結構ですから。  去る一月の十三日に革新共同の田中美智子代議士が事故現場を調査しました。電気興業の鴨送信所長から事情聴取をしました際、同所長は、安全施設は一切米軍と相談しなければ独自につくれないと語っておりますが、こうした点からも実際上も管理責任は米軍側が負っておるというふうに思えるわけですが、そう解していいわけですね。

広田徳久防衛施設庁施設部連絡調整官

○広田説明員 地位協定の第三条に示されている管理権は米側にあると私どもは承知しております。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 この事故のような場合は、日米安保条約第六条に基づく地位協定第十八条第五項の適用が問題になると思うのです。この十八条五項というのは、もう御承知のように、公務中の米軍の行動であるとか米軍施設の設置管理の瑕疵、こうしたものを不法行為として取り扱う場合の規定であります。この適用が問題になると思うわけでありますが、いかがでしょうか。

安斉正邦防衛施設庁総務部長

○安斉政府委員 ただいま警察庁の方がお答えになったお答えの中にややそれに近いお答えがあったわけでございますが、ただいままだ調査の途中でございまして、この事故に関連しましてさくその他にいわゆる管理の瑕疵というものがあるかないかという問題がまだ調査中であるということでございますので、仮定の議論として、その調査の結果もし瑕疵があるということになりますれば、先生御指摘のとおり十八条の五項の問題になろうかと思いますが、ただいまのところその安全基準あるいはさくの瑕疵があったかなかったかという問題についての結論を調査中であるということでございますので、仮定の議論としては確かにそれが適用になるということだけ申し上げておきます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 結局、確認しておきたいと思いますが、この米海軍依佐美送信所の施設は日米地位協定第三条に基づく米軍の専用施設である。そしてこの施設の周辺で事故が起こった場合には、施設管理上の瑕疵によって生じた事故であるかどうかということが問題になる。そしてそのような施設管理上の瑕疵によって生じた事故だとすれば、これは当然地位協定第十八条第五項による処理をしなければならないことになる。すなわち、その処理というのは、この十八条五項の(a)によって、「請求は、日本国の自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令に従って、提起し、審査し、かつ、解決し、又は裁判する。」(b)によって、「日本国は、前記のいかなる請求をも解決することができるものとし、合意され、又は裁判により決定された額の支払を日本円で行なう。」あるいはまた(d)によって、日本国が支払いをした各請求はその明細などとともに合衆国の当局に通知しなければならない。(e)によって、この請求を満たすために要した費用は、両当事国が一定の割合で分担をする。こういう仕組みが決められておるわけでありますが、このようにして処理をされなければならない。これは争う余地のない問題と思うわけでありますが、いまお認めになったわけでありますが、これは確認できますね。

安斉正邦防衛施設庁総務部長

○安斉政府委員 ただいまのお話は仮定の議論でございますので、私の方は、先生がおっしゃった手続は正しいと思いますけれども、この事故そのものがいわゆる設置瑕疵に当たるのかどうか、たとえば先ほど申しましたようなさくが二重にあり、かつ、忍び返しのある一メートル八十のさくがしてあり、標示もしてあるというところに子供が入るということは、これは不可能ではないかもしれませんけれども、入ることそのものも非常に問題があろうというふうに考えられる点もございますし、先ほどの警察庁の方もまだ調査中であるというお答えでございましたので、その問題が解決いたしましてからの問題であろう、こういうふうに思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 子供の過失の問題はあるとしましても、だからといって施設管理上の瑕疵が否定されることにはならないと思うのです。問題は、確かに言われるように施設管理が万全であったかどうか、本件のような事故が起こるすきは全くなかったのかどうか、不備欠陥は全くなかったと言えるかどうかということだと思うのですね。  この状況は、もう御承知だと思いますが、住宅も近接したところにありますし、本件施設のそばを通学路が通っております。そして事故のあった三号塔から通学路までわずか数メートルというのに、問題の鉄塔を囲む鉄製ネットは子供でも入れるようなことになっておる、危険標示もきわめて不十分である、こういう状況があるわけですね。いたずら盛りの子供がすき間をくぐったりあるいは乗り越えて中に入り込み感電死をする危険というものは少なくない状況と言えたと思うのです。ことにこれは過去にも同種事故がこの周辺で起こっておるのです。道路沿いの五号塔で送信所の従業員が感電死したり、子供がはね飛ばされたり、あるいは七号塔でも感電して両足を切断した人がおります。だから問題は少なくともこの施設管理上の瑕疵によって生じた事故という疑いは私は濃いと思うのですね。施設管理上の瑕疵があると断定はいまの状態ではしにくいとあなた方がお考えになるのは無理からぬと思いますが、少なくともその疑いは強い。そうではございませんか。

安斉正邦防衛施設庁総務部長

○安斉政府委員 この事故につきましては、まだ調査が進んでおりますので断定的なことが申し上げられないのは残念でございますが、たとえば――たとえばでございます。新幹線なんかも全部同じようにさくがしてございますが、しかし、それは入ろうと思えば入り得る状態であろうと思います。あるいは、最近新聞にございますように、高速道路のところで子供さんが横切るというような問題がございます。これは絶対に入れないかといえば、入れる状態にあるのも確かでございます。しかし、それは、ある意味では施設の管理瑕疵になるのかという問題、あるいは入るということを入らないように周りが注意するとかあるいは施設の管理する方が十分な注意をするというようなことが行われているかどうかというようなことであって、絶対に人が入れないようにするというようなものではないのじゃないか、ある一定の安全の基準の中にあるならばそれで運用してしかるべきなのじゃないかという問題もございます。  そこで、先ほどまだ調査が進んでいる最中であるということなので、本日ここで結論に持っていくということにはならないと思いますが、もしそういうものが断定できることになるということならば先生のおっしゃったような手続に移るだろう、こういうふうには申し上げられます。     〔竹中委員長代理退席、木野委員長代理着席〕

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 地位協定十八条五項によって何か処理できないような理由というものはあるのかどうかということを実は私は心配して聞いているわけなんですよ。確かに事実関係についてははっきりしない点もありましょう。これは解明されなくてはならないと思います。あるいはまた、過失の大小といった問題もあるわけでございますから、これも事実関係を明らかにする必要があると思うのですね。これは私は必要だと思います。しかし、何かほかに十八条五項で処理できない理由というものがあるのじゃないかなと思って不安があったわけでありますが、いまあなたのお話を聞いて、私は安心をしておるのであります。  一つ伺いたいのは、四十四年八月六日に、名古屋防衛施設局長と利害関係者との間に合意計が交わされております。特にその四項というのがあるわけであります。非常に問題の条項でございます。一遍読んでみます。「合衆国政府は許可された使用の行使に基因あるいは随伴するやもしれない財産上のいかなる損害(テレビ受像障害を含む)人身傷害又は死亡に対しても、あるいは当該区域における合衆国政府の活動により発生する使用者およびその職員、代理者、使用人、雇用人もしくは、これらの者の招待あるいはこれらの者のうちいずれかの者の招待により当該区域に居合わせるやもしれない、その他の者の負傷又は死亡に対してもかかる財産損害負傷または死亡が在日合衆国軍隊の故意又は無関心の非行により惹起されたものでない限り地位協定第十八条の規定にもとづく責任は一切負わないものと了解する。」こういう条項であります。きわめて難解な表現でありまして、二回や三回読んでもちょっとその文言がわかりにくい条文であります。  私は、これは重大なことを決めておると思うのです。結局これは、アメリカが、財産損害や負傷または死亡が在日合衆国軍隊の故意または無関心の非行により惹起されたものでない限り、地位協定十八条に基づく責任は一切負わないものと了解する、こういうことですね。こういうことになっておるわけでありますが、この点は同違いないでしょう。解釈は結構ですから、いまのようなもの、あるかないか聞きます。

広田徳久防衛施設庁施設部連絡調整官

○広田説明員 いま先生がお読みになったのを急遽聞いたものですから、お読みになったとおりかどうかわかりませんが、昭和四十四年八月六日に、名古屋防衛施設局長、刈谷市長、依佐美無線補償組合長、日本電信電話公社東海電気通信局建築部長、愛知製鋼株式会社取締役社長、電気興業株式会社依佐美通信所長の間において合意群というものが取り交わされた文書があることは事実でございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 こういうふうな合意書を交わした当事者は、いま言われたように名古屋防衛施設局長と刈谷市長ら関係者であります。これらの者の単なる合意によって、地位協定上生ずる効力を一体排除できるというふうにお考えですか。条約としての法規範的効力を一部の者が勝手に排除できるという根拠はないと思うのですね。いかがですか。――どうです、答えられませんか。

広田徳久防衛施設庁施設部連絡調整官

○広田説明員 ただいまの合意再につき、あることは私どもは確認いたしておりますが、これは現地協定でございますので、これがどのように取り扱われておるかにつきまして、若干の調査の時日をいただきました上で御説明なり申し上げたいと思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 これが実務上どういうふうに取り扱われておるかということは、これは調べてもらいましょう。そうでなくて、私が聞いているのは、効力の問題として、そういうふうな地位協定というものがあるわけでしょう。それに相矛盾するようなものをその地域で取り決める、そんなことが一体できるのかと聞いているのですよ。そんな合意が一体有効なのか。幾ら頭をひねって考えましても、法的にそんなことはできないと思うのですよ。いかがです。

広田徳久防衛施設庁施設部連絡調整官

○広田説明員 それも含めまして、関係省とも協議なり、調べましてお答えしたいと思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 そうすると、その点はいま答弁できないと言うのですか。答弁できないのですか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 一般的に言えば、米軍の施設、区域である以上、地位協定の関係条項が適用されることは当然でございます。その意味で十八条が適用されるべきものと考えます。ただ、この場合は、私は詳しくは存じませんが、一種の共同使用となっておるわけでございまして、その限りにおいては米軍の管理権が逆に制限されておる。米軍の管理しておるところに日本の民間の業者その他が共同使用を申し込んで使わせてもらっておるという形になってくる。そこで、その限りにおいて現地の一つの取り決めが行われておる、そういうものであろうと思います。したがいまして、この点は事実関係、実際の管理形態を十分把握して、調べてからお答え申すべきものかと思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 その点は違うのです。共同使用と違うのです。これは電気興業というのが確かに機械を動かしておりますが、米軍がこの電気興業に委託をしてやらせているんですよ。これは、先ほども説明がありましたように、地位協定三条に基づく基地であって、そういう送信所でありますので、その運転を民間の企業に請負といいますか、委託をしている。その契約もあるようですが、そういうことでありまして、これは当然地位協定上の基地であります。米軍の施設の管理の瑕疵に基づく不法行為、損害については十八条五項にのっとって手続が進められる、これは当然のことなんですよ。それを名古屋の施設局長とか一部の市長とか利害関係者が何人か寄って、いやこれは適用しませんよという趣旨の条項が一体できるのか。これは、私はできるはずがないと思います。

広田徳久防衛施設庁施設部連絡調整官

○広田説明員 にわか勉強で先生に大変申しわけないのでございますが、これは米軍に提供している施設、区域の中におきまして建物等を建てる場合の、現地レベルにおける取り決めを文書にしたものというぐあいに思われるわけでございまして、これがどのように地位協定上解釈をされますか、こういったものについて若干の時日をいただきまして、即答できないことは大変申しわけないのでございますが、そういうものがあるということに対する事実は認めておりますので、調査の時間をいただきまして答えさせていただきたいと思うわけでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 これは建物を敷地の中に建てる場合もあるいはあるでしょう。そういうものも含まれておると思いますよ。しかし、それに限定していないのですよ。だから問題なんですよ。あなた方はそれに限定しておるから、対市民あるいは対国民との関係では当然十八条五項が適用されて、この合意書はそういうものを対象にしていないというふうに解釈をされますか。

安斉正邦防衛施設庁総務部長

○安斉政府委員 ただいまの御質問ですが、しばらく時間をいただいて、調査の上お答えするのが正確なお答えになろうかと思いますが、いま先生の御疑問の点は、恐らくこの取り決めがあるためにいわゆる地位協定十八条の五項がそのまま適用にならないんじゃないかというような疑いがあるというような点じゃないかと思いますけれども、その点は私、先ほど申し上げましたように、このケース、今度の事故に関しては、もし施設に瑕疵があるということになれば、十八条の五項が適用になるであろうと考えております。いまあります現地の取り決めの問題は、確かにここは非常に広いところでございまして、中に住宅を建てられる方等がございますが、そういう方の関連で出てきた取り決めだと思いますので、しばらく時間をいただいて正確なお答えができるようにちょっと勉強させていただく必要があろうかと思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 即答できないことは残念でありますが、実はこれは単なる合意書だけの問題ではないのです。日米合同委員会で同じように決定しておりませんか。日米合同委員会で、この合意書による合意事項が決定されておりませんか。

広田徳久防衛施設庁施設部連絡調整官

○広田説明員 それがあるかどうかも、実は調べてみたいと思っておるわけでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 そんなこと調べないとわかりませんか。私はきょう依佐美の問題を質問するということは前から言っておるのですが、合同委員会で決定があるのかないのか、そういうこともわからぬわけですか。困りますよ。  それでは私の方から言いますが、日米合同委員会の決定で、私が先ほど引用いたしました合意書の四項に当たる事項がそのまま合同委員会で決定されておる、そういうふうに私の調べではなっておるのですが、違うでしょうか。

広田徳久防衛施設庁施設部連絡調整官

○広田説明員 実は大変申しわけないのですが、昭和三十五年の六月十七日に合同委員会で承認をされましたこの施設、区域は大変広うございまして、しかも専用地区とイーズメント区域というふうに分けまして、従来農耕とか地区内の排水路とか水道とかいうものの使用についてはできるだけ認めようということから、そういったイーズメント区域というものを設定してございます。イーズメントといいますか、そういうぐあいに私たちは慣用的に使っておるわけでございますが、そういうぐあいに利用させるという趣旨で、専用地域以外は使わせるということになっておりますので、それを受けまして、先生いま具体的に御指摘になりました四十四年のそういった取り決めがあるのだろうと私は思うわけでございますが、そういう合同委員会関係のものまで本日は持ってまいりませんでしたものですから、即答しかねたということでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 この合同委員会が決定しておるのは、私の調べでは四十六年九月十一日です。この合意がありました約二年先でありますが、これも私がいま指摘をしましたように、この合意書の問題事項がそのまま合同委員会の決定の中身になっておるとすれば、これは大変なことだと思うのですよ。合同委員会というのは、もともと地位協定二十五条によって設けられたものでありますが、その地位協定によって設けられた合同委員会が、地位協定の効力をどんどん排除していけるというふうな仕組みになっておるのですか。これはとんでもないことですよ。しかも二十五条というのは、この協定の実施に関して協議するために合同委員会を設ける、こういう仕組みでしょう。そしてまた、特に二十五条では合同委員会の任務づけがあるわけです。「合同委員会は、特に、合衆国が相互協力及び安全保障条約の目的の遂行に当たって使用するため必要とされる日本国内の施設及び区域を決定する協議機関として、任務を行う。」合同委員会はこういうものでしょう。その合同委員会が、一体こういうことができるのでしょうか。十八条五項によって、米軍施設による事故について日本国が処理をする、日本国が処理をした上で日米で一定の分担をするということを詳しく定めておるのが十八条五項ですが、その適用を排除する、あるいは大幅に制限をする、そういう仕組みを合同委員会でつくれるのですか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎政府委員 合同委員会の性格につきましては、ただいま先生が仰せられたとおりでございます。したがいまして、一般論として申し上げれば、合同委員会が地位協定の他の規定から逸脱するような行為をすることはあり得ないことでございます。  ただ、この問題に関しましては非常に複雑のようでございまして、その施設、区域内の一部を米軍が特に日本の民間その他に使わせる、使わせるに当たっての一つの条件として一種の免責条項とか、そういうふうなものを置くということはあり得るわけでございます。しかし、それももちろんこの地位協定の枠内においてやるべきものだというふうに考えます。ただ、実態は非常に複雑でございますので、防衛施設庁の方でお調べいただいた上で正確な答弁を申し上げたいと思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 私は、いま合意書と合同委員会の決定の問題について形式的な、形の上での問題を提起いたしましたが、これは内容上の問題としてもまことに重大であります。十八条五項というのは、米軍の公務上の不法行為、施設管理の瑕疵をも含めて、その不法為について責任の所在と処理の手続を決めたものですね。ところが、合衆国軍隊の故意または無関心の非行により惹起されたものでない限り合衆国政府は十八条に基づく責任は一切負わない、こういうことになると一体どういうことになるのですか。故意の場合、それから無関心の非行――これは余りよく使われておりませんが、故意に匹敵するような重大な過失に当たる場合だと思われますが、そういう場合だけ責任を負うのだ、通常の過失の場合は一切責めを負いませんよということでしょう。なぜこういう重大なことを決めるのか。先ほど民間が使っているなんてことを言いましたけれども、これは民間に請け負わしているのでしょう。しかも、民間で働く人たちだけを対象にしたものじゃないでしょう。これは大変なことだと思うのですよ。  まあ余り時間がないようですので私は結論を急ぎますが、御承知のように、今日、不法行為に対する損害賠償制度というのは細かく整備をされております。被害国民の救済の仕組みは、まず確立をしておると言えると思うのですね。たとえば道路に瑕疵がある、その瑕疵によって事故が起こった場合には道路管理者が責任を負う。建物や工作物についてもそれぞれ責任の帰属が明らかであります。ところが、米軍の特定施設に限って一般の不法行為責任は追及されない。故意または無関心の非行の場合しか責任が追及できない、こういう合意があり、しかも日米合同委員会で決定されておる。こんなことがあってよいものでしょうか。まるでこれは治外法権のようだと私は思うのですよ。しかも、この地位協定では、十八条五項で責任の所在と手続が決められておるのに、これを排除して、こうした屈辱的な取り扱いがされる、余りにもひどいことだと私は思いますが、一体この点、大臣いかがでしょうか。

安斉正邦防衛施設庁総務部長

○安斉政府委員 先ほどの文書その他研究をしませんと正確なお答えができないわけでございますけれども、ここの場所の問題といたしますと、非常に広い区域であって、たとえば農耕する人がいる、それを許そうというときには、そこの施設、区域を排他的に米軍が専用するのでなくて、中に入ってお使いくださいという一種の共同使用を許すわけでございます。そういう場合には、入ってきている人もやはり責任を持つであろう、あるいは家を建てたいという場合に、その家の建て方についてもいろいろ管理の責任が出ようということから、完全な排他的でないときには、アメリカ側の管理責任というものをある程度譲るといいますか、そういう状態が生ずるであろうということから起こっている問題だと思います。しかし、いまの今度の事故に関してはそういうものと違うのであって、米軍の施設そのもの、そのさくなり何なりそのものに管理の瑕疵があったのかどうかという問題でありまして、いわゆるここの取り決めのように自分の住宅を建てている問題についてのアメリカの管理との関係というのと問題が違うのだろうと思います。その点をとりあえずお答えいたしまして、正確にはこれはもう少し調べないと私のお答えはできないということでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 もう私は時間がありませんので、一々かかわって議論しませんけれども、大体故意または無関心の非行以外の通常の不法行為の場合は、本件、宇都秀樹君の場合をも含めて日本国民は一体どのようにして救済されるのか、こういう問題があるわけです。救済の道が閉ざされるということですか。そんな不合理なことがどうして納得できますか。米軍の特定施設に限ってなぜ通常の不法行為責任が追及できないのか。これを認めることは、まさしく対米従属そのものではありませんか、そういうことを認めれば。こういう屈辱的な取り扱いは私は断じて許されないと思うのです。ひとつこれを改める手だてを講じる考えはあるかないか、大臣に伺いたいと思います。

安斉正邦防衛施設庁総務部長

○安斉政府委員 先ほどから私申し上げているように、この事故については、米軍の財産といいますか、米側のさくといいますか、そういうものに瑕疵があったかどうかという問題が一つの、あるは管理の仕方に瑕疵があったかどうかというのに問題があるわけで、その点は正確にはつかめてないのですが、それがはっきりしまして、もしあれば、十八条の五項に乗るであろうというふうに申し上げているわけです。しかし、いま現地の取り決めというものはそういうものを対象にしているのでなくて、広い区域の中を日本側のだれかが使う場合に、やはりそこの区域に入って使うわけですから、その場合にはある程度の管理の責任というものがあるでしょうというところから生じた取り決めであろうというふうに申し上げているわけです。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 それでは治外法権じゃないですか。そんなアメリカが使うところに一緒に入ってきて使う場合には、民法の不法行為の原則あるいはまた地位協定によって原則になっておるこの十八条五項、これがどうしてそういうふうに制限されるのですか。そんな規定はどこにもないし、そんな根拠は全くないと思うのです。それは米軍の支配権内に入って一緒にやる場合は不法行為責任が一部免除される、そういうことが一体できるのですか。それはとんでもないことですよ。  これはひとつ大臣に申しますが、合意書、この問題の私が指摘をしました合意書または合同委員会の決定を改めることについて私は本腰を入れてまじめに取り組んでもらいたいと思うのです。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 いまお尋ねと答弁をずっと聞いておりまして、非常に精細には私、合意書の中身わかりませんので申し上げかねますけれども、十分政府側でも準備した御答弁ができなかったことは明らかでございますから、よくこの内容を検討をいたしてもらうことにいたしたいと思います。その上で正確にお答えをさせていただきたいと思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 またついでにもう一つ申しておきますが、名古屋防衛施設局は刈谷市当局から出された昨年の、この事故の起こる前でありますが、昨年十一月二十七日付の質問状に対しまして――これは不法行為責任を否定するような、いま私が指摘をした問題についてであります。質問状を出しましたが、いまだに回答しておりません。これに対しましても誠意ある回答を私は要求をいたします。  最後でありますが、この宇都秀樹君のおじいさんの宇都正雄さんは、孫を失って悲しみに暮れておるのでありますが、毎日ここに来てこうして線香を上げながら、塔をにらんでおるのです。この塔がなければ孫も死ぬことはなかったんだと思うと、本当に腹が立って眠れぬのですよ。一番いいのはあの基地に立ち退いてもらうことです。地元の人間にとっては、害はあっても何の益もありませんと言っておる。この言葉を大臣は何と感じられますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 非常にお気の毒なことだと伺います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 大臣、聞くところによりますと、この御遺族の宇都昌信さんに対して、電気興業はお見舞いに行っておるようであります。米軍や防衛施設局はお見舞いにも行っておりません。革新共同田中議員よりも強く要求をしておるところでありますが、地位協定十八条五項に従って、日本国政府として御遺族に対して損害賠償の支払いができるように誠実に処理をされることを私よりも要求いたします。  そしてまた同時に、この秀樹君のような痛ましい犠牲者を二度と再び出さないように、施設の安全対策を早急に講ずべきだと思うのです。この点は、この事故が起こった後も、愛知県議会と刈谷市議会が十分な安全対策と補償を講じるようにとの申し入れを名古屋防衛施設局等にいたしております。ひとつそのために施設庁は強力に米軍側と交渉をするべきだと思いますが、最後に伺っておきます。

安斉正邦防衛施設庁総務部長

○安斉政府委員 この事故は大変に痛ましい事故でございまして、名古屋の防衛施設局におきましても、直ちにこの問題について米側にも話をし、また施設庁本庁においても米側に、こういうことの防止についての努力をするということについて申し入れをしております。  この問題は、先ほどから申し上げておりますように、まだ調査の終わっていない段階でございますので、私がここで正確に申し上げるわけにいきませんけれども、もし先ほど先生がおっしゃるような瑕疵という問題がはっきりしてくるならば、当然に十八条五項ということで処理をしていきたい、こういうふうに考えております。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 それでは、これで終わります。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長代理 和田貞夫君。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 まず、この法律案について簡単に質問したいと思うのです。  在勤手当、在勤基本手当とかあるいは住居手当とかあります。毎回改定されるわけですが、特に在勤基本手当というのが、大使から公使、特号、一号から十百万ということで号俸表をつくられて、それに外務職員の在勤基本手当を当てはめているわけですが、それがしかも学歴偏重というか、上級職の合格者あるいは中級職の合格者、あるいは新制大学の卒業者、新制短期大学の卒業者、高校卒業者、中学卒業者というように、学歴によって号別を格づけというか当てはめているわけです。そういうような形の在勤基本手当というのが果たしていいのかどうかという疑問を持つわけなんです。  在勤手当はいろいろ種類がありますけれども、在勤基本手当というのは、「在外職員が在外公館において勤務するのに必要な衣食等の経費に充当するために支給する。」ということになっているわけですが、在外職員の給与というのは別にあって、そして、在外公館に勤務して非常に面目を保つということで在勤基本手当を支給されているわけですね。それをあえて俸給と同じように学歴によって一号から十一号までずっと号によって支給するというような考え方がいいのかどうか。これはもうこの手当が創設されてからずっと踏襲しているわけですね。いまもなおこれで別表を改定されようとしておる。そういうような考え方でいいのかどうかということをまずお答え願いたい。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 御指摘のように、在勤基本手当は等級によりまして段階を設けて設定しているわけでございます。こういうふうな区分がございますのは、在外公館に勤務する在外職員がその地位や職責に応じて必要とします経費その他が異なってくるということが考慮に入っているわけでございますが、現在外務省におきましては、上級試験合格者とそれ以外の職員との処遇上の格差をできる限り少なくしていくというために、職員の登用の制度を設ける等の具体的な改善措置をとっておりますし、また、在勤基本手当の号の適用についても、関係省令の許す限り実際の運用面で格差の是正を図っているところでございます。今後ともこういう処遇の面における改善、格差の縮小については、できる限り努力してまいりたいと考えております。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 大学卒で、十八年以上で四号ということになっておるですね。ところが、上級試験の合格者では、十七年以上の在職者については二号というように、それだけ大きな差があるわけです。しかも、大使、公使、特号、一号から十一号までになっておるのですが、それぞれの地域の物価によってずっと基本手当の額が違っております。たとえば大使、公使と一番下級号の十一号と比較したら、大体四倍から五倍ぐらいになっておる。九号で比較いたしますと大体三倍ぐらい。五号、六号あたりになって大使、公使と比較すると大体二倍、こういう程度の金額になっているわけです。俸給というのはおのずからそれの学歴あるいは勤続年数によって格づけされているのですが、あえて単身で赴任する者に現地でそれだけ差をもって在勤基本手当を支給しなければいかぬのかどうかということを私は疑問に思うのですね。その点はある程度体面を損なわないようにということでありますから、大使、公使と同額を支給せいというところまで私はあえて言わないわけですが、せめて――余りにもかけ離れている号ですね。この法律ができたのは二十七、八年ですね。それからずっと踏襲しているわけです。まあその当時はいろいろと事情もあったことだと思いますが、ここらあたりで、ただ金額を改定するということだけでなく、せめて三段階あるいは多くても四段階ぐらいにもつと圧縮をして、そして在外公館に勤務する職員の手当というものを支給するようにすべきじゃないか。そこまで、金額の改定だけじゃなくて、そういうような改定の方法をなぜ考えられなかったか、また考えるような意思というものがないのかどうかということをお答え願いたい。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 先ほど和田委員が御指摘なさいましたように、在勤手当につきましては、在外公館の名称、位置法によりまして、「在外職員が在外公館において勤務するのに必要な衣食住等の経費に充当するために支給されるものとし、その額は、在外職員がその体面を維持し、且つ、その職務と責任に応じて能率を充分発揮することができるように在外公館の所在地における物価、為替相場及び生活水準を勘案して定めなければならない。」ということから、現在の額がいろいろな区分を設けて設定されているわけでございます。  御承知のように、本俸におきましては、たとえば大使と大学卒業直後の職員との間ではおおむね八対一の開きがございますけれども、在勤手当につきましては、先ほど御指摘がありましたように、おおむね一対三ないし四という開きがあるわけでございます。その開きの幅は、在勤手当については大分開きが狭められており、現在の段階においてはこの程度の区分は妥当ではなかろうかと考えているわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、処遇の改善ということについては私どももできる限り努力をしてまいるべきであると考え、現在までもいろいろ努力しておりますし、今後もできるだけの努力をしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 俸給は別にあるんですから、その俸給によって家族を含めて本人の生活費というのは保障しているわけです。勤務に対するところの手当なんだから、それは下級職員も大使、公使も、現地で御苦労なさって、同じ物価の中で、しかも国元を離れて生活しているわけですから、そう四倍も五倍もかけ離れた金額を支給するということよりも、やはりなごやかに生活もしてもらわなければいかぬというような立場に立つならば、もっと圧縮してそう変わらないように、今日の十一段階という形でなくして、せめて三段階か四段階ぐらいに縮小するというような方向で、今回はそういうような改定案が出ておらないわけなんですが、そういう方向で検討してもらいたい。もちろん形式上審議会が設けられて、その審議会が勧告するということになっておりますが、あなたの方がそういう考え方にならないと、ただ金額の改定ということだけで毎回されるわけですから、そういうような勧告をしてもらうような諮問をする、そしてそういうような勧告をしてもらうというようなことをひとつ検討してもらえないですか。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 私どもが在勤手当の改定を検討いたしますときには、一律にどのぐらいの改定が必要であるかということのみならず、区分の内容あるいはその区分に応じた基本手当の額が適切であるかどうかということも含めまして検討いたすわけでございますし、外務人事審議会において検討されるときにも、もちろんそういう問題意識も含めて検討しておられるものと了解しておりますが、御指摘のございました問題点につきましては、今後ともなおよく研究してまいりたいと思います。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 それから住居手当も同じことなんですね。住居手当も、これは五段階に分けておりますが、公使と比較いたしましたら大体二倍から三倍。住居手当ですから、住居費だとか交通費だとかいうのは、これは職に関係なく、身分に関係なく、大体同額というたてまえをとらにゃいかぬですよ。館長の場合は、公邸、官邸というのがあるわけですから、そこで在外で体面を損なわないようなこういうつき合いもしてもらいますが、そうではなくて、官邸、公邸に入っておらない者は、これは純然たる住居なんですから、同額というたてまえをとらにゃいかぬです。これが同じように二倍も三倍も差があるというようなこと、これもひとつあわせて、在外勤務の基本手当と同じような考え方に立ってもう少し圧縮する、できるならば同額の住居手当を支給する、こういう方向で検討してもらいたいと思うのですが、どうですか。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 住居手当につきましても、職員の地位ないしは職責に応じて違う区分が設けられているわけでございます。地位の高い職員でありますれば、交際範囲もその相手の地位も高くなってまいりますのは当然でございますので、そういう観点からいろいろな区分が設けられているわけでございますけれども、同時に、住居手当については、それが職員の基礎的な生活要素であるということから見まして、いまお話がありましたように、その格差は、一番最上位のものと最下位のものとの間では、おおむね二・五対一というふうに格差が縮められているわけでございます。この点につきましては、私どもは現在の区分はおおむね妥当なものではないかと考えておりますけれども、当然のことながら、住居手当についても、その地、その地の現状に合わせて適正な手当が支給されるべきであるという観点から、常時この検討は続けてまいりたいと考えております。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 これは大蔵の関係になりますけれども、旅費ですが、移転料、それから支度料、これもまた同じことが言えるのですね。移転料、支度料、これはもう下級職員ほど移転に対するところの費用あるいは支度料というのがやはり大変なことだと思うのですよ。これまでも等級によって違う。国内旅行の場合はまだしものことですが、外国へ赴任、帰国、そのための支度料あるいは移転料、これまでも差をつけるというのはどうですか。これはむしろ下級職員の方が支度料とか移転料というのはやはり窮屈な思いをされると思いますよ。それこそ赴任あるいは帰国に対して検討をすべき問題であると思いますし、しかもこの支度料の場合は、もう二十年ですか、大方二十年以上も改定していないでしょう。これは物価も上がっているし、下級職員が国外で勤務されるということは大変なことですから、これも差を縮めるということと同時に、これは直接この法律じゃありませんが、金額の改定というようなことも含めて考えられないですか。

吉居時哉大蔵省主計局給与課長

○吉居説明員 ただいま御指摘の支度料でございますけれども、支度料は先生も御承知のとおり、外国において職員がその地位や職責に応じてその体面やあるいは品位を維持するために必要な支度を調えるということでもってでき上がっている制度でございます。したがいまして、その性質上、同じく地位や職責に応じて定められております俸給とリンクして考えられることは、これはやむを得ないものじゃないか。また、それが支度料の性質からして一番適切ではないか、こう考えておるわけでございます。  ただ、支度料の上下の倍率でございますけれども、これは現在、たとえば一般行政職の一番上である指定職、それから一番下の七等級以下というところで見ますと、大体二・五倍という程度になっておりまして、これはおおむね妥当なところではないかというふうに考えております。  それから、もう一つ、旅費の移転料の話がございました。これは昨年旅費法の改正をお願い申し上げまして、御承認いただいたわけでございます。去年から新しいと申しますか、改正法が適用になったわけですけれども、去年改正いたします際に、先生のような御議論も十分踏まえまして、それまで八段階に分かれておりました移転料を、昨年は四段階に縮めた、こういうことにしているわけです。そしてその結果、現在ではその倍率がおおむね一・五倍という程度に格差が縮小しておる、こういう状況でございます。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 何から何まで体面のことを言われますけれども、これは俸給というのはあるんでしょう。そこで勤務をするという場合に、基準内賃金の場合であれば、これは俸給をもとにして、特殊勤務手当であるとかあるいは俸給調整額であるとかいうように俸給が基礎になりますけれども、勤務というのは――もちろん大使と下級職員とのつき合いも私は違うと思います。それはある程度わかりますけれども、支度料から移転料に至るまで、あるいは住居に至るまで差をつけるということは、やはりこれは現実の問題として、在外公館で現地において活躍願うのは下級職員ほど御苦労願っておるわけですから、そこまで何もかも俸給を基本に置いて差をつけるというような考え方は、私は好ましくないと思うのです。きょうはなんですから、そう結論を、すぐにどうせいこうせいということは私は言いませんけれども、私の考え方として、やはり在勤基本手当の問題、あるいは住居費の問題、赴任、帰国に対するところの移転料あるいは支度料、そういうものは下級職員ほど大変なんですよ。命令によって行かされるんですから、これはいやおうなしに行くんですから、下級職員ほど余裕がないわけなんですから、やはりそれだけのめんどうは見てやるというたてまえに立ってもらって、支度金の場合でも、下の下級職員ほど上積みをしてあげるというような改定をぜひともしてもらいたい、こういうように私は思うのです。ひとつそういうような方向でぜひとも検討課題にしてもらって改定してもらいたいという希望を私は持っておりますが、大臣、どうですか。

吉居時哉大蔵省主計局給与課長

○吉居説明員 ただいま御指摘のようなお考えのもとに、たとえば昨年も旅費法の改正を行いまして、ただいま申し上げましたように、移転料やあるいは宿泊料の改正等も行ったわけでございます。  なお、ただいま先生の御指摘にありました支度料につきましても、支度料の制度の趣旨にかんがみまして、今後とも研究していきたい、こういうふうに考えております。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 余りしつこく言わないで、ぜひともひとつそういうように御検討願いたいと思います。  それから、この機会にお尋ねしたいわけですが、国際人権規約が国連で採択されたのはいつですか。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 国際人権規約が国連総会で採択されましたのは、一九六六年と記憶いたしております。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 一九六六年、国連の第二十一回の総会で採択されているわけです。その際、賛成国が何カ国あって、反対国が何カ国あって、日本の場合はそれぞれどういう態度で臨んだか、お答え願いたいと思います。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 この国際人権規約は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約と政治的、市民的権利に関する国際規約と二つございますが、この両規約とも第二十一回総会で全会一致で採択されたものでございます。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 日本はどうしました。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 もちろん、その中に入っております。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 すでにそういうことで日本が十年前の第二十一回国連総会で賛成をして、全会一致でA規約、B規約、それに伴うところの議定書――議定書の場合は反対者が二カ国あっておるわけですが、採択されておる。そこで、今日まで日本はまだ批准をしておらないわけですが、現在までこの国際人権規約を批准をしたり、あるいは加盟して当事国になっておる国は何カ国ありますか。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、いわゆるA規約につきましては三十七カ国が批准いたしております。この規約はことしの一月三日に発効いたしております。  それからもう一つの政治的及び市民的権利に関する国際規約、いわゆるB規約につきましては、現在の批准国は三十五カ国であったかと思います。これは三月の終わりに発効いたしました。国名を御説明……。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 いえ、いいです。  国際人権規約よりも先に一九四八年十二月十日の第三回の国連総会であの有名な世界人権宣言が採択されておるのですが、この国際人権規約というのは世界人権宣言をより発展させるものであると見るべきだと思うのですが、外務省はどう考えておられますか。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 世界人権宣言は勧告的性質のものでございまして、いわゆる条約というようなものではございません。それを二つの国際人権規約でもってより具体的に規定したわけでございまして、この規約の方は国際条約というような性格のものでございますから、その見地からすれば、世界人権宣言から国際人権規約へということは、進歩と申しますか、より人権を国際的に保障する意味で保障の度合いが高まったということが言えるんではないかと思います。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 日本国憲法が第二次世界大戦において国民の大きな犠牲の上に立って新しく制定されて三十年、三十回目の憲法記念日がこの間終わったわけなんですが、そういう崇高な日本国憲法の精神、人類普遍の原理である基本的人権の保障をわが国の憲法は国家目的として明確にしておるわけです。そういう立場に立って、日本国が一日も早くこの国際人権規約を批准する、加盟国になって当事国としてこれに参加するというのは当然の姿であろうと思いますが、どうですか。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 おっしゃるとおりでございます。この二つの国際人権規約、政府といたしましても、これは全体としては、わが国としては当然その趣旨に賛成できるものであるという角度から、その批准につきましても実は従来から前向きに取り組んできたわけでございます。  ただ、御指摘のとおり、採択されましてからすでに十年たっております。日本の批准がおくれているということはおっしゃるとおりでございます。それはなぜかと申しますと、この二つの規約、かなり長文でございまして、いわゆるA規約は三十一カ条、それからB規約は五十三カ条ございます。その中身が実にいろいろの事項にわたっておりますので、関係いたします国内省庁もかなりの数にわたりますし、それぞれの国内法との整合性の問題がございますので、外務省といたしましては国内法令との関係を検討いたしまして関係各省と協議を続けてまいったわけでございますけれども、何分にも事項が多うございますので、各省との協議が長引いている次第でございます。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 A規約に問題があるのか、B規約に問題があるのですか、いままで検討してきた結果。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 どちらの規約にもそれぞれ若干国内法との関係で問題になる規定がございます。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 どちらの方が国内法との関係で先に批准できるような作業が進められますか。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 これは私、担当局長としての答弁になるかと思いますけれども、必ずしも関係各省庁で打ち合わせて詰めた御説明にはなりませんけれども、私の考えますところでは、経済的、社会的及び文化的権利に関する規約の方は、批准の時点では必ずしも関係国内法が規約の内容と全く一致しているという事態になっていなくてもよろしい、言いかえれば批准の時点では、今後徐々に規約の内容に合致するように国内法の改正を含めて諸般の措置をとっていく義務を負うことになりますので、これは比較的問題が少ないのではないか。ところが、いま一つの市民的及び政治的権利に関する規約は、立て方といたしまして、批准の時点で大体において国内法がこの規約の内容と合致しているように整備されていなければいけない。はっきりそうとは書いてございませんけれども、前者の方に比べてその度合いが強い。これはいずれも規約の第二条をごらんいただければ出ておりますけれども、その関係で、日本としてこの規約に取り組まなければいけないわけでございますけれども、まず経済的、社会的及び文化的権利に関する規約の方から取り組んでいく方が取り組みやすいのではないかと、こういうふうに考えております。  そのほか、市民的及び政治的権利に関する規約の中で、その実施段階におきまして報告の義務がございますけれども、これはそのもう一つの方にもございますけれども、B規約の方では報告の義務のほかに、国と国とが直接通信してお互いに人権問題について相手の人権違反の事項について国際の場で取り上げることができるような手続がございますし、それからいま一つ仲介の手続がございます。それからいま一つ、付属の選択議定書がございますけれども、その選択議定書によりますと、一定の手続あるいは条件が備わった場合には個人も国を相手取って人権専門家委員会に対して通信を行うことができるということになっております。  こういった手続面から言いまして、B規約の方が若干われわれとしてなじまないような手続がございますし、いろいろ問題が多いのではないか、その点ではA規約の方が日本政府として取り組みやすい立て方になっておるのではないか、かように考えるわけでございます。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 それで、そのA規約の方は国内法に早速手をつけなくてはならないという、そういう必要性が伴わないわけですね。したがって、そのA規約からでも批准をしていくという考え方になぜ立たないのですか。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 もちろん日本政府といたしまして、そのA規約を批准いたします場合にも、できる限り国内法がA規約の内容にも合致しているような形にしている方がよろしいことはもう当然のことでございます。でございますので、どこまでその準備ができるかということを関係各省と関係の国内法令を洗って検討してきた次第でございますけれども、いつまでもその検討を続けているのじゃなかなからちが明かないこともございますので、私が申し上げましたとおり、その第二条の書き方あるいは立て方に着目して、ある段階では、あるいは日本政府としても批准に踏み切ることが考えられるのではないかと、こういうふうな角度から私としては積極的に進めたいと思っております。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 B規約は言われるように国内法の関係があって各省庁の打ち合わせもせなければいかぬ、その点はわかりますが、A規約はさほどでもないということであれば、十年も前に国連で採択されて、しかも日本が賛成の意思表示をしておる、しかも反対国がどこにもなかった。これは日本国の憲法というのは、先ほども申し上げましたように非常に崇高な精神です。しかも、この基本的人権を擁護するという、こういう人類普遍の理念を追求しておる、まあわれわれ日本人としてこれは世界の人々に対して誇るべき憲法を持っておるわが国です。そのわが国こそ、むしろ他国に先駆けてこの人権規約の批准に参加していくということが必要じゃないですか。それが、やはりこの日本国が世界の国々に対して基本的人権というのを尊重するという、何よりも熱心に考えておる国なんだというように受け取られることになるわけですから、せめてそのA規約でも批准に踏み切るという作業は進められないですか。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 先ほども申し上げましたように、外務省といたしましては、関係各省庁に対しまして批准に向かって検討してもらうようにお願いしているわけでございます。  それで、A規約のたとえばどの条項がどういう問題を伴うのかということをちょっと例示的に申し上げさしていただきますと、たとえばA規約の第九条に社会保障に関する規定がございます。その書き方は、「この規約の当事国は、すべての者に対して社会保障」――それは「社会保険を含む社会保障についての権利を認めるものである。」と、その「すべての者」という書き方が、これは日本国民だけでいいのか、それとも外国人までそれに包含されているのかどうかということが一つの問題になるわけでございます。これは具体的に申しますと、たとえばわが国の国民健康保険制度あるいは国民年金制度等は御承知のとおり日本国民だけを対象にしておりますので、もしこの第九条で外国人にも国民健康保険制度あるいは国民年金制度の権益を保障しなければいけないということであれば、これは若干問題があるということを一つの例として御説明申し上げたわけでございますけれども、なるべく規約の内容に合致するような形で批准をいたすのがもちろん一番望ましいわけでございますので、そういったいろいろの角度からそれぞれの規定を検討しておりますために、不本意ながらかなりの時間がかかってまいった、こういうことなんでございます。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 いま御指摘になった社会保険、社会保障の面についても、たとえば国民健康保険制度がある、これは政府管掌じゃなくて自治体がやっています。現実には、やはり国民健康保険が日本国の国籍のある者を対象にしておるけれども、従来からの経過の中で、自治体で在日朝鮮人をこれに該当して加入を認めている、そういう自治体がふえてきているわけですね。あるいは社会保障の一環として公営住宅、公的住宅――公営住宅の場合は、これも日本国の国籍のある者ということで入居資格はありますよ。けれども、公営住宅はそうであっても、公団住宅の方はそういう規定はないわけです。だから、国内法を全部いらわなくても運用面でできている面があるわけですから、やはり先ほど申し上げたように、日本国がせっかく賛成をし、十年前に採択した、何人といえども反対するすべがないこの人権規約を、やはり日本人、日本国が先んじて批准していく。それはいま御説明がありましたように、国内法をいらわなくてはならぬという面があります。しかし、A規約についてはあなたの方も認められておるように、直ちに国内法を完全にいらわなくてはならないという面がないわけですから、またいま私が申し上げたように、そういう国内法であっても現実の姿として運用面で解決しているところもあるわけでありますから、A規約については最優先的に、きわめて短い期間に検討を終えて、この批准の手続をとっていくという考え方に立たないですか。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 私どもといたしましては、関係各省に対して引き続き検討を願い、できるだけ早くそれぞれの関係国内法令につきまして結論を出していただくということで、それぞれの規定につきまして何らかの結論を出していきたい、できるだけ早期にこの規約の批准に向かって進めたい、こういうふうに考えております。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 これはA規約もB規約も含めて検討されるのですか。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 いままでは実は両方ひっくるめていろいろ検討してきたのでございますけれども、両者をひっくるめた結論を出そうとすればかなりまだ時間がかかりますので、せめて取り組みやすい方から結論が出せないものかどうかという角度から、私といたしましては、まずA規約から何らかの結論を出せないかという見地で関係各省に御協力をお願いしてまいりたいと思っております。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 繰り返しますが、十年たっておるわけですからね。一歩譲って、A規約について大体いつごろを目途にされますか。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 具体的に何年の何月ごろということまではちょっと申し上げにくいのでございますけれども、とにかくできるだけ早くというふうに考えております。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 これは十年検討しておるのですからね。そうでしょう。いままで検討してこなかったのですか。検討してきたのでしょう。いままで十年間検討してきて、これから何年検討するのですか。A規約もB規約もということであれば、確かにいま言われるようなこともあるので、かなり時間もかかることだと思います。しかし、のんべんだらりと検討してもらったら困る。A規約については少なくとも次期国会なら次期国会に批准手続をとる、そういう考え方に立たぬですか。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 おっしゃるとおり十年の歳月というのは大変長い期間でございまして、いつまでもこういうことを続けていくということは好ましくないのではないかと思いますけれども、さりとて、じゃいつの第何国会に批准のための御承認をお願いするかということまで現時点ではっきり申し上げることはちょっと控えさしていただきたいと思います。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 それはいつかわからぬ、そういうことではこれは納得できません。私はA規約もB規約も含めて次の国会でというようなことを言うておるのじゃない。あなたも認められているように、A規約についてはいま直ちに国内法を完全にいらわないとできないということじゃないわけなんですからね。だからせめてそのA規約を次期国会という目標を立てて早急に検討を終える、次の国会で手続をするというくらいの答弁はあってしかるべきじゃないですか。あなたが無理であれば、大臣、どうですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 これは私ども基本的には和田委員の言われることが正論であるし、私どももそういうふうにしたいと考えていることは間違いないのでありますけれども、この規約にしましても、それからILOにはこういう未批准のものがたくさんございますが、わが国の場合、国内体制を整備するということについて恐らく有数のいわば良心的な国でありまして、いいかげんなことで批准をしたくないという気持ちが国内の各省庁の間に非常に強い。これはある意味でいわゆるシビルサービスの制度がきちんとしているということになるのであろうと思います。しかし、確かに先ほど言っていらっしゃいますように、A規約の方は努力目標の性格があって、あるものについては地方団体などではだんだんできてきているではないかとおっしゃることは、これは非常にいいところをつかまえていらっしゃるわけで、そういうふうに全体として方向がそっちの方へ行っておれば、努力目標として受諾しましても、ある期間までには達成するであろうということが自信が持てるわけですけれども、いつ達成できるかわからない努力目標であるということになると、やはり受諾するのにちゅうちょするというようなことがございますので、おっしゃるとおり、おまえたちなぜもっと努力をしないかということになってまいります。先ほど国民健康保険のことを申し上げておりましたが、国民年金についても、これを日本国民だけでなくやるということになれば、これはある意味で関係当局には大変なことになるので、全体その方に向かってある程度時間がいけばなるということが見えてまいりますと批准しやすいのでございますけれども、なかなかそこらが良心的に考えれば考えるほど憶病になるという要素はございます。私どもとしては、しかしおっしゃっていることは基本的に間違いでないし、私どももそう思いますから、各省庁説得しましてできるだけ速やかに批准をしていけるようにしたいと思います。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 次期国会というお約束はできませんか。これは会期が来週の月曜日で終わりですし、臨時国会がいつかということがわからぬので、一週間の後に臨時国会を開くかわからないので、そういうように一週間もないのに次の国会でということになるとえらいことだということですが、せめてどうですか、次の臨時国会が無理であれば、その次の通常国会には批准手続をとるというようなお約束はできませんか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 そこまで私どもが厚生省あるいは財政当局を説得できるかどうかということは、ちょっと正直を言って十分の自信がないのでございますけれども、しかし、せっかくの努力をいたすことはお約束をいたします。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 どこの何省が大体ぐすぐず言うておるのですか。これはほかのことじゃなくて、やはり基本的人権を、それぞれの当事国が批准をすれば、加盟国になれば尊重しようということですね。これは法務省に熱意がないのですかな。法務省どうですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 それは、たとえばA規約については保険でありますとかあるいは教育、すべての者ということでございますが、外国人についても初等教育を適用すべきか。それから教育基本法なんかには、憲法もそうですか、日本国民というふうに書かれてありますので、そういうある意味でかなり物事の考え方の転換をしなければならない関係省が幾つかあると思うのでございます。  それから、法務省と仰せでしたけれども、たとえばそれはB規約の方で、これはある意味でヒューマニズムを目指して書いてあるわけですけれども、ですから何と言いますか、われわれが人道主義に反することを禁止するというようなこと、一般的にはすぐそのことには異存はないだろうということになりますけれども、今度はそれを法律的に禁止するということになると、それは憲法に定められた思想とか表現の自由というものと本当に大丈夫か、好ましくない言動は禁止してもいいのではないかというあたりまではよろしいわけですけれども、何が好ましくないかということになりますと、これは意見の分かれるところで、憲法は相当そこを広く自由を保障しておりますから、大丈夫かというような問題、法務当局も心配するのも無理からぬということもございまして、細かく言いますといろいろあるようでございますが、ともかく経済規約の方はできるだけ早く説得を私どもしたいと思っております。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 日本国憲法で明示されていない保障も含んでおるわけです。しかし、日本国憲法の前文ではこういうように書いてありますね。「日本國民は、國家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」と、基本的人権を尊重するということを国家目的として世界に宣言しているわけです。そういう崇高な精神の憲法ができてから三十年目を迎えるわけですから、だから憲法ができて三十年目のことしにせめてA規約だけでも批准をして参加をしていく、こういう熱意が私はぜひともほしいわけです。  そういう面で私はお願いをしておるわけなんですが、大臣先ほど努力ということでありますが、努力をした結果できない面もこれは出てくる場合もあります。せめて次期臨時国会ということになると、私が申し上げましたように、この国会が終わって一週間後に臨時国会が開かれるということになるかもわからぬわけですから、そういう面でのお約束をするということは無理な面もあろうと思いますが、せめて次期通常国会までには検討を終えて、A規約からでも批准手続をとっていくという考え方に立っていただきたいと私は思うのですが、もう一度ひとつ大臣の熱意のほどを示してもらいたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 いわゆるA規約の方は、考え方としては決してそれは間違っているというようなことではないのでございましょうけれども、わが国の憲法あるいはそれに基づきました法令、いままでの施策というものが一般的に日本人というものを対象に考えてきておった。それをすべての者というふうに少なくとも努力目標としては広げるんだということになりますと、そのことは結構でないということではありませんけれども、いろいろな意味でかなり考え方の転換をしなければならない大きな仕事を引き受けることになるわけでございますから、それをすぐやれというのでありませんからいいようなものの、努力目標としてわが国がそっちに向かって動いていくということでありませんと、なかなか自信をもって踏み切れない。ですから、アメリカでもイギリスでもフランスでも中国でも批准をしていないというのは、きちんと考えていきますと、なかなかこれは、いいことだろうけれども、すぐにはいけないなあという要素をみんな感じておるのじゃないかと思います。まあしかし、それをあれこれ申し上げますとますますむずかしい話になってしまいますから、ともかく説得をしてできるところからでもやっていこうということで私ども努力したいと思います。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 次の国会ということは約束できないわけですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 現実的に考えますと、私ILOなんかでも幾つか経験がありまして、きちんと議論をしていけばしていくほど踏み切りがつかなくなるという要素がございますから、次の通常国会ということをお約束をするのは、現実的には、一生懸命いたしますけれども、なかなかお約束し切れぬという感じが正直に申しますといたします。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 次の国会で出すという約束はできなくても、次の通常国会に出す努力をする、批准手続をするという努力をするということは言えるでしょう。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 これはそこまでお話になりますと、私どもとしては、各関係の役所で一つ一つ聞いてみて、ともかくそういう気持ちがあるかということを確かめませんと、実はお答えができない立場になります。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 いや、だからそういう役所、各関係省庁に、閣議もあることですから、そういうことを手続をとってもらって、そうして臨時国会ということを言うてないのだから、次の通常国会に批准手続をとる努力をする、それも含めて努力するということぐらいは言えるでしょう。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 いや、これは関係省にすると大問題でございますから。まあまあしかし、余り私がそれを申し上げなくてももうおわかりでしょうから、とにかくできるだけの努力をいたします。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 大臣も御案内のとおりでありますが、それでは先進国が批准をし加盟をしておらないかというと、そうでもないわけですね。やはり東ドイツ、西ドイツ、いずれの国もこの批准をなさっておる。あるいはこの間訪日されてあなたも会っておられるオーストラリアも参加されておる。近くフィリピンも参加されるということであります。しかも先ほど申し上げましたように、ことしは憲法が制定されて三十年に当たるわけですからね。その年を契機に批准を積極的に進めていく、こういう熱意をぜひともひとつ持ってもらいたいというように思います。  なお、A規約について申し上げたわけでありますが、B規約につきましても、そうむやみやたらに検討、検討というようなことでは、これは次々に先進国も加盟をしていくということになって、日本にはせっかく崇高な精神を持っておるこの憲法があって、私たちは誇りとしておるわけです。そういう日本国が他の先進国におくれをとって参加をするというようなことじゃなくて、他の先進国にも先駆けて日本が積極的に参加をしていくんだ、こういう気持ちにぜひともなっていただいて御検討を、ただ役人言葉として検討という言葉で終わらないように、ぜひとも積極的に検討を進めて参加をしていく、批准手続をとっていく、こういう考え方に立っていただきたいということを最後に強く要請いたしまして、時間が参りましたので終わらせてもらいます。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長代理 受田新吉君。

受田新吉民社党

○受田委員 先回の質問に続きまして質問を続行いたします。  まず、経済外交について政府の所信をただしたいと思いますが、外務省の関係の特殊法人に国際協力事業団なるものがある。そこには、かつて外務省の事務次官をなさった法眼さんが総裁の任にいらっしゃる。この国際協力事業団、十五人の理事を擁して従来の技術協力、移住事業等を包含した強力な機構になっているのですが、発足以来のお仕事の上でこの点をどうしたらよいかという問題点がある程度出たと思います。     〔木野委員長代理退席、竹中委員長代理着席〕 それについてひとつお答えを願いたいのでございますが、それに先立ちまして、海外に対する経済協力についてポイントを確かめておきたいのでございます。  わが国の国際的経済協力の量は漸次拡大されつつあり、また質も改善をしておる、対象分野の多様化も図られておる、こういう点におきましては相当の進歩があったと思います。しかし、先進国ではGNPにおいては世界で最高の水準にまで到達した日本としては、なお政府開発援助あるいは政府直接借款の問題等においては先進諸国家におくれをとっておるという現実は御存じでございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 それは残念ながらそのとおりでございます。

受田新吉民社党

○受田委員 GNPに比較しての援助ということになるならば、福田外務大臣当時からもよく言っておられました。GNPに対して一%程度のところまで経済協力をしていきたいんだ、そういう目標はいまでもお持ちでございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 少しまとめて申し上げたいと思いますが、そこに一つ問題がありますことは、もう仰せのとおりでございます。そこで、本来わが国が敗戦以来今日までの間経済援助というふうに定義されるものの中で、どうしても政府援助でない部分が、これは相当大きくなってまいりました。それはある意味でわが国自身の経済発展と申しますか、貿易等々、開発等々に伴う結果として出てきた部分が、正直を申して相当多うございます。そしてこれは実額では、トータルでは、ある段階で一%を超えたこともあったわけでございます。ただ、一つはGNPの伸びが非常に大きいということが、また逆にそういう場合には作用するわけですが、それでもやはり一%を超えたことがございます。しかし、それがオイルショックでGNPの停滞で、いまずっと落ちております。ことにその中で政府援助ということになりますと、先ほど申し上げましたように、大きな部分がわが国自身の経済とか開発とかいうものに、ある意味で自動的に伴ったということもありまして、政府援助の比率というのがなかなか伸びない、実額はこれは着実に伸びておるわけですけれども、比率はなかなか伸びないということになっていました。  いま、いろいろな意味での目標を持っているかというお尋ねでございましたが、それは全体でGNPの一%ということ、そのうちで政府援助を〇・七ぐらいというのが本当の望ましい姿でありますけれども、わが国としてはそこまでなかなか一挙に行けませんから、年を追って比率を上げていきたいというようなことを、政府の、いま共通目標にいたしております。

受田新吉民社党

○受田委員 きょうはこの問題、時間が余りとれませんが、ポイントだけただしておきたいのです。  この円借款について特に指摘したい点があるのですが、南ベトナムに昨年の三月に九十億円の金額で円借款を供与しておる。その金利は二・七五%、三十年の期間をもって据え置きは十年、対象となるものは商品という協力をしておるわけです。ところが、この九十億円の円借款供与そのものが、現にその翌月の四月の末には南ベトナムは消えていったわけなんですが、九十億円の金の行方は一体どうなるのか、この金を供与した日本はだれに対して今後の責任を負わすようになるのか、お答えを願いたい。

菊地清明外務省経済協力局長

○菊地政府委員 仰せのとおり、昨年九十億円の円借款を提供しておりますが、その債権に関しましては、日本政府の考え方としまして、旧政府との間に締結した契約上の債権債務というものは、政府の変更によって消滅することはないというのが政府の立場でございまして、事実上の問題といたしまして、この先ほど先生の申されました九十億円の円借款とは別でございますが、その前に借款を提供しておりまして、その支払いの到達しているものに関しましては、去年一回、ことしになって一回、いわゆる催告をいたしております。  そういう意味におきまして日本政府といたしましては、これは旧南ベトナム政権を継承するであろう政府に対しまして債権として残っているという立場でございまして、実は先般有田外務審議官を団長といたしました使節団が、これは北ベトナムに参ったわけでございますが、この場合も南ベトナム政府に対してこういう問題のあることを話してある次第でございます。

受田新吉民社党

○受田委員 話してある次第でありますということでございますが、見通しはどうでございますか。

菊地清明外務省経済協力局長

○菊地政府委員 これは今後こういうものが問題として残っておるということをまず話の最初といたしまして申し上げたわけでございまして、向こうといたしましてはまだ正式の見解を申してきておりませんので、今後たとえば統一政府ができた場合には、この問題は当然外交チャンネルを通じて取り上げる問題となるわけであります。それにつきましていまからどうなるかということは、今後の交渉にまつと思います。

受田新吉民社党

○受田委員 昨年私、この委員会で南ベトナムと南の解放戦線の問題をお尋ね申し上げました。当時はなはだあいまいな答弁があって、いまでも御記憶のことでございますし、そして北の政権を承認している国がどれだけあるかというのにつきましても、政府の御答弁はうそを答弁されて後から是正された事実もあるわけです。それほど国際的な実態というものを、特にこうしたベトナムの南北のような状態のところに解放戦線などが介在していると、大変混乱しておられると思うのでございますが、昨年北承認国の数字を間違えられて答弁されたわけです。アメリカ局長であったと思います。その後で是正されたわけです。北の承認の方が非常に少ない計策にしておられたわけです。それでありますから、私このベトナムの見通しなどについては、少なくともその行方をはっきりして、南ベトナムの旧政府の継承者はだれになるのか、そして今後外交交渉は、その関係はどう追及していくのかというようなことは、やはり国際関係で明確にしなければいけない、あいまいもことしてはいけないわけです。私も南ベトナムを訪問して当時の政府の高官たちにも会いましたし、当時のグエン・バン・チュー大統領にも会っておりまして、あそこにチョウライ病院という脳外科の病院がある。カントーの農科大学に対する協力、例の戦争孤児の職業訓練所、国費で大変な援助をしておるわけです。チョウライ病院にも二十億円、孤児職業訓練所について二億、そういうものがいまどうなっておるのか。そしてせっかく日本の好意がこうした戦乱の後において無になっては残念です。日本が東南アジアの民族に与えた愛情がその後きちっとした形で継承されなければならない。それについて外務大臣、こうした南ベトナム旧政府が消えた段階において、日本が正式な外交ルートを通じて援助したその将来がどうなってくるかについて、大臣としてどういう態度で臨まれようとするか、御答弁を願いたいです。

菊地清明外務省経済協力局長

○菊地政府委員 いま御指摘のありましたチョウライ病院、確かに日本の援助で建設したものでございます。それから孤児職業訓練所、これも日本政府の援助によってできたものでございます。これは御承知のとおり、チョウライ病院の場合は無償援助で供与したものでありまして、相手国政府に返済の義務はないわけでございます。ただ現状がどうなっているかに関しましては、私たち深甚な関心を持っておったわけですが、一時、去年の五月初めの時点におきましては、兵士のバラックといいますか兵営になっていたという情報もございましたけれども、最近の情報によりますと、もとの病院に返りまして、病院としての施療を行っているということでございます。それから孤児訓練所の方も、若干人数は減ったようでございますけれども、ちょっと人数はただいま覚えておりませんが、そこに戦争孤児がおりまして職業訓練を受けておるという現状でございます。

受田新吉民社党

○受田委員 ちょっと話が別の方へ行きますが、私つい数日前にアフリカの新興諸国家の外交官たちと会ったわけです。本当に純粋な民間の外交へ協力したわけでございますが、タンザニア、ウガンダ、象牙海岸、これらの国々の外交官の御本人、その奥様、その友人、十数名が相会して、日本との友情を深める民間外交に参画しました。私が一人です。そのときにこれらの国々の外交官たちが、私がいま指摘した国は小さな国ですが、小さな国でも一応大きな国に負けない日本に対する思慕をし、友情をこいねがっておる。そのお話を聞いて私、非常に責任を感じたのですが、日本外交の拠点は、大国に力を入れ過ぎて、開発途上国、特に規模の小さい開発途上国に冷酷である感じがするのです。  たとえばウガンダという国、向こう様は日本へ専任の大使を派遣しておる。しかし、日本の側は先般もUNCTADの会議があったケニアから兼摂大使が行っているにすぎない。松永官房長、私このことをあなたに指摘してあります。向こう様が専任をよこせばこちらは専任をもってこたえる、小さな国だといってなめてはならぬ。りっぱな人格を持った一国である。しかも向こうは専任大使の派遣を要請しておる。ケニアを通じて日本の外交ルートをただすよりも、直接外交をしたいんだ。ケニアの出店、出張所のような国であってはならぬ。松永官房長もその直後において善処したいということでございました。  私は昨年この委員会でこの問題を一応取り上げたわけです。宮澤先生はにこにこしておられるが、簡単な問題じゃないのですよ、差別待遇です。しかも昨年私に対して資料をくださった。その私にくださった資料によると、先方からわが国に大使館を置いて、わが国が大使を、専任を置かないで兼摂している国が、南イエメン、ウガンダ、ギニア、ただしわが国は五十一年一月にギニアには実館の開設をいたします、これは開設しましたね。実行した。そうすると、南イエメンとウガンダが残っているわけだ。これは昨年の資料です。この処理はどうなさるのですか。笑っていらっしゃるけれども大臣、大変まじめに……。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 私は決して不謹慎で笑ったのではなくて、去年もずいぶんこのことはしかられましたので、まだウガンダが残っているではないかと言われると、ウガンダと南イエメンと残っておるわけです。私はどうもはなはだきまりの悪い思いなのでございまして、とにかくギニアの方はいたすことになりまして、それで去年から五十一年度の間に幾つかたくさんの国がとにかく何かの形で兼轄でもいいから大使館を置かなければならないという問題の方がいわば緊切になりまして、そんなけちけちしたことを言うことはないではないかと去年も受田委員からおしかりを受けたんですが、予算折衝で兼轄を幾つかとるということで、南イエメンとウガンダのことをことしとうとうよう片づけられないでしまっておるわけでございます。ですから、私としてもはなはだ汗顔のことで、またおしかりを受けたかという気持ちがございまして、とにかくまことにこれ、思うようにならないで申しわけないと思っておるわけでございます。

受田新吉民社党

○受田委員 思うようにならない原因はなんでございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 これは予算要求ごとに、兼轄を幾つつくるあるいは総領事館を幾つつくるというようなことにおのずから一つの、前年並みとか少し前年よりいいとかいう問題がございますのと、外務省の場合には実はもう一つ、おかげでいま定員を非常にふやしつつございまして、このことが予算折衝ではよその省に比べまして増加数が非常に多いものでございますから、一番予算折衝のむずかしい問題になって、いわばそれもこれもというわけにいろんな意味でなかなかいきにくいということになっておりまして、ことに今年のように予算が苦しいときにはどうもそうなるのでございますが、そういう意味ではなかなかいままでの増加テンポというものを思い切ってふやすということが実際折衝になってくるとむずかしいというようなことがまあ実情でございます。

受田新吉民社党

○受田委員 これは、銭の関係で大事な国との友情を粗末にするという大変不愉快なお考えです。専任の大使を置くことでどれだけ金がかかるか。その金額はいまの外交布陣から言うたら微々たる問題です。そして専任の大使を一人置いて専任の大使館職員を一人置いて、あとは兼任でいいわけです。そう大した予算じゃありませんよ。何十億とかかる予算じゃないのです。一億前後でゆっくりできる仕事です。一億円かからないかもしれない。初め大使館を設置するときは、家賃を払って、行くところで借りてもいいわけです。向こう様も便宜を図ってくれる。  こういうことで、これが金の問題でどうだというような話を聞くのは私は大変不愉快なのです。開発途上国に対する愛情というものを、日本は先進国として、兄貴分として持たなければいかぬ。特にいまの南イエメンとかウガンダとかいう国は日本に専任大使まで置いて、兄様の国だという友情を与えてくれておるのです。おお愛する弟よでもいいじゃないですか、手を握っていこうと。定員の問題などでもしややこしければ、この問題、向こうが専任を置いているが、こっちは専任を置けないというようなことであるのなら、それは総定員法の再考はわれわれからでも要求しますよ。幾らでもお手伝いをしてあげますよ。法務省でさえもこれが教訓になるのです。あしたやるのです。この方がよほど看板の上ではウエートが高いでしょう。その方はがまんしようと思えばできる。しかし国際関係は、向こうが専任の大使を置いているのです。それに対する礼儀としてもこちらは専任を置くべきですよ。弟という気持ちで、兄様という気持ちでわが国に思慕を寄せておる国じゃないですか。不況であって定員がとれない、金がない、大国にしては余りにも哀れ。  特に南ベトナムに九十億、崩れいく国に対して。一カ月後には崩れて、ないようになった。三月に供与して四月の末にはもう南ベトナムの大統領なんか逃げてしまった。後は大混乱。大統領が逃げるような国、そして金の延べ棒をみなポケットやら荷物へ入れて逃げておる。そういう国で本当に人民に行ったか行かぬかわからぬ。そういう指導者がごっそり銭をためて逃げておるかもしれぬ。そういう危ない政府へ金を出したのが、そのままその金が不幸な国民に行ったならわれわれはあきらめがつきますよ。指導者がそれをポケットに入れて持って逃げて、延べ棒にするか何にするかわからぬが、ちょうど日本から銭が来た、われわれはこれをといって、争ってそれをポケットに入れたかもしれないのです。(宮澤国務大臣「あれは出さなかった」と呼ぶ)その前のがある。前の援助があるでしょう。前の援助は彼らは大変な金を手に持って逃げておるのを知っておるでしょう。その中に日本の援助も行っておるかもしれませんよ。そうでしょう。行っておらぬと言えますか、大臣、言うてください。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 失礼しました、御発言中に。最後の、三月の交換公文をしましたのは実は出さずに済みました。前の分は、これはそのようなことはなかったとは申し上げられません。

受田新吉民社党

○受田委員 そういうことです。したがって、私はこういう問題については厳しくして、同時に友情を求めておる国にはやさしくしていくということで、この設置は、官房長、事務当局としてはむずかしいですか。この間あなたとお話をしましたね。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 これは委員も十分御承知のとおり、わが国といたしましては諸外国との外交を積極的に進めていくという観点から、必要に応じて在外公館につきましても漸次整備していくべきであるという基本的な考え方のもとに問題を検討しているわけでございます。先ほど大臣が仰せられましたような予算上の制約、定員上の問題だけでなく、そのほかにも実務上の必要性の度合いでありますとか、さらにその年度におきましてどういう在外公館の整備を図っていくかという計画全般との兼ね合いの問題もあるわけでございます。本年度につきましては四つの新しい大使館を設置する、さらに総領事館を二館、実館を設置するということが目下の急務であるということから、いま提案申し上げております法案でそういう大使館の兼館及び総領事館の実館の設置ということを図っているわけでございますが、今後ともそういう観点から、種々の制約がございますけれども、在外公館の設置を含めまして外交体制の整備強化に努めてまいりたいと考えております。

受田新吉民社党

○受田委員 そういうことに関連するわけですが、もう一つの問題は、発展途上国の経済社会を開発し、また民生の安定に資するということで日本のプラント輸出の伸長ということを常に政府は提唱しておるわけです。これは通産省、大蔵省共管になる問題でございますが、経済協力局長で御答弁できればひとつ答弁してもらいたい。  こうしたプラント輸出の信用供与の拡大という問題に対して、政府自身はその信用供与という問題につきましては商品輸出という問題から出ておらぬ。もっと幅を広げて、プラント輸出の全体の大きな問題として、技術とか建設とか運転とかいう全体、ソフトに対しての協力という問題へ進んでいくべきだと思うのです。つまり機材のハードの頭金の範囲という問題でなくて、もっと角度を変えて、現にそうした商品、機材だけに対する措置ということでは、実際は運転というものが十分できないのです。プロジェクト全体に対して輸出信用の対象を拡大すべきだという点については、局長さん、日本政府としては骨折っている。これは通産省との共管になるし、担当者が国際企業となると大蔵省というようなものの中へ入る。しかし最後は、これは外交の力で片づけるのが外務省の権威を高める意味でありますので、あえて質問をしたいのです。

菊地清明外務省経済協力局長

○菊地政府委員 仰せのとおり、輸出信用がつきます場合にはプラントの本体、機材そのものに対するものと、それに関連する役務に対する信用供与があるわけでございますが、現在までのところ、これは私の承知しているところでは役務に対する信用供与というものは比較的少なかった。最近で例外的に大きいものは、この前の香港の地下鉄の場合に、役務と言ってもこれは建設が役務なんですが、それに対して信用供与が行われた例がございます。ただ、プラントを輸出する場合に、プラントそのものと役務とが一体になって、しかも輸出され、それに信用をつけるということの必要性はそのとおりでございまして、ことに最近の大型プラントの契約の方式がターンキー方式と申しまして、完成までサプライヤーがめんどうを見るという方式になりますと、いやがおうでも役所の分まで含まれるということになります。外務省といたしましても、そういったプラント輸出というものは、実は機材の輸出のみならず、技術が移転するという意味で非常にすぐれた経済協力の方式であるというふうに考えておりますので、この点は御説に賛成でございます。

受田新吉民社党

○受田委員 そこで、外務大臣は経済大臣としての御経験もおありですが、大体こうした国際的な競争に日本が一方で勝たなければならない仕事に対しての行政官庁の監督というものが幾様にも分かれておる、多様化しておるのです。どこか一つで片づかないのです。通産省でありまた大蔵省であり、それからまた外務省、国際協力事業団がタッチすることもある。つまり経済協力、借款の供与、そして輸出信用に対するそういう手続というものはなかなかややこしい。これをもう少し簡素化できないか。そして、もっと能率を上げて、プロジェクト全体に対する勝利を得て、非常に有望なプロジェクトを取り逃さぬようにする。現に政府としても御存じのように、そういう手続上のややこしさが災いをして、大事な、有望なプロジェクトを取り逃がしている事例がたくさんあるのです。これは局長さんお聞きになっておると思います。そのときに政府はもっと簡素化して、力点をびしっと置いて、経済面に対する有力な管理がびしっと大所高所からすかっとした手を打てば、その有望なプロジェクトを獲得できた。日本外交のまずさが、ちょっと残念なところが多分にあるのです。  私、十数年前にこの委員会で、特に西ドイツの経済外交活動の優秀さを提案しまして、西ドイツの商務官なる者が、一般外交官以上の権能を持って現地で適切な指導を加えて、経済外交の勝利をしていることを指摘したことがございます。この点、日本は経済的にも大国であると同時に、各国に対してある程度の指導性も持っている。しかもそのためには、行政機関が小さな問題をほじくって、大事な、有望なプロジェクトが控えておるのを、役人の係長、課長補佐クラス、課長クラスのところでいじくり回しているうちに大魚を取り逃がすという問題がひそんでいる。いま局長からその点をすかっと言われたので、特にこの点を指摘しておきたい。  また最近、報道機関によると政府・与党、自民党の中に、これらに関連していま指摘がありました建設業の進出等に対して、危険負担を軽減するために輸出保険制度を拡充し、国が危険を再保険しようという動きがいまあるのですか。これは局長、お聞きになっておりますか。

菊地清明外務省経済協力局長

○菊地政府委員 承知しております。

受田新吉民社党

○受田委員 これらの問題はちゅうちょなく、われわれ野党ではございますが――一方では日本の経済発展に対して海外への企業進出、経済進出、そしてこれらの国々との信用の拡大、そしてもう一つ、いまの信用についても非常に力のない国に対しては第三国の保証というものを要求しておるのじゃないですか。その国の経済の力が弱いときは第三国、つまりおまえの国は弱いから強い国の力を借りなさいとなっておるのですか。

菊地清明外務省経済協力局長

○菊地政府委員 御指摘の事例は恐らくスーダンに対する日本の輸出信用の場合に、スーダンではなくて、もちろんスーダン政府が保証するのは当然でございますけれども、そのほかに第三国の保証といいますか、そういったものを要求した事例はあるようでございます。     〔竹中委員長代理退席、木野委員長代理着席〕

受田新吉民社党

○受田委員 これは大臣、あなたの所管でないように見えるんだが、しかし、外交によって最後の勝利を得るわけですから、外務大臣が一番最後の責任を持って、経済外交の勝利はおれがやるんだというお気持ちを持っていただかなくちゃならぬと思うのです。その点においてあなたの御所管というべき国際協力事業団というものは大事にされなければいかぬ。これはあなたが主管大臣、そして通産大臣、農林大臣が協議大臣になっておったと思います。したがって、あなたが監督をされる国際協力事業団などは、これは社会資本を充実するための事業などというものにつきましてもそれが行えるように、この事業団の力をもっとつけてあげる必要があると思うんです。十五人も理事を置いて、そしてそれぞれセクト主義でがんばっております。私もちょっと確認をしておることがあるんですが、たとえば国際協力事業団に農業開発協力部というのがありますね。それは発展途上国に対して開発協力をしに行く。そして行ったらそこで生産した物の半分はこっちへよこせ。というのは、ある農産物をつくったら、こっちが協力したんだからその半分をこっちへ戻せよ、こういうような指導をしておるんだね。つまり協力してあげるかわりに、できた物を半分よこせ。これで現地が反発している。これは現地の反発の実態を承りました。つまり、開発した物を日本に半分よこすという行き方です。そんなことでなくして、開発は無条件で開発してあげます。そしてその中から、友情から、今度は新しい輸入が来るというのでなければいけない。初めから条件をつけて、半分を取るために協力してやるというようなことじゃいかぬじゃないか。現に問題が起こっておるんです。こういうことは国際協力事業団にも十分注意してあげて、もうけ主義で、物取り主義で開発に行くのではなくて、本当に真心であなたの国を産業開発してあげますという指導をせよ。私、この実態を伺っておりますので、大臣、この問題などは無条件で開発してあげて、そして向こうから友情による新しい輸入体制、開発輸入、こういうことが一つ。  そういうこととあわせて、行政機構をもっと簡素化して、ややこしい手続をもっと大所高所から有能な公務員がすかっと処置ができるような行き方にならぬものか。機構改革というものも、こうした経済協力を有効に発動できるような機関が何かあるといいと思うんですが、私もその知恵を何かめぐらしてみたいと思います。外国に対する経済開発への協力に対する能率が上がらない問題を、どういうふうにして能率を上げるか。各省のばらばら経済開発協力機構というものが、何かもっと能率の上がるような形にならないものか。国際協力事業団の機能をどうしたらいいかということを含めて、外務省として御検討を願いたいと思います。よろしゅうございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 最後の方の問題から申し上げますと、経済協力の制度あるいは準政府機関の複雑なことについては、御指摘のようにずいぶん前からも問題がございまして、それでもこのごろ少しはよくなったというような感じは、身びいきかもしれませんが、しております。それは、昨年内閣に国際経済協力会議というものを閣僚の間で設けまして、それでこの大きな問題を処理するようになりましたので、ある意味でそこは一つ進歩をいたしました。それから、プロジェクトが非常に大きくなってまいりましたために、勢い、各省がかなり緊密に、一緒になってやりませんと動けなくなったという点もございまして、少しはよくなってまいったと思います。  それから、先ほどの農業の開発援助でありますが、これは農業産品であるだけに、マーケティングについて相手国に不安があって、それじゃ日本として半分の責任を負おうか、もちろんただでもらうわけではありませんで、買うわけでございますけれども、そういうことをやっておりますけれども、相手の意思に反してそういうことをやってはいかぬというのは仰せのとおりであると思います。  それから、国際協力事業団は幾つかのグループを一つにいたしましたせいもありまして、発足早々なおいろいろ合理化あるいは理事者の数等々についても考えなければならない問題があると思います。うまく動くようになりましたので、やはり少しそういうことを考えていかなければならないのではないかと思っております。

受田新吉民社党

○受田委員 皆さんがおそろいでございますから、できるだけ早く切り上げるようにして――それじゃお許しをいただきましたから、やります。  基本的な今度の外務省設置法に関連して、大使館の開設計画がこういうふうに具体化してきたわけです。一つ一つの国について、私も地図をもらい、そして一応の説明を伺っておるのですが、国民の側から見ると、今度の在外公館の改正、新しい兼摂大使館を置くにしても、この国はどういう国であるかがさっぱりわからない。ごく端的に、国民にわかりやすい説明をちょっとしてもらいたいのです。できれば地図があって、それを説明されると一番いいですが、それはないですから、口先だけでも結構です。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 まず大使館について申し上げますと、この法案によりましてカ-ボ・ヴェルデ、サントメ・プリンシペ、モザンビーク及びスリナムの四カ国に新しく大使館を、兼館でございますけれども設置するということになっております。  カーボ・ヴェルデ、サントメ・プリンシペ及びモザンビーク、これはいずれもアフリカでございますが、アフリカにおけるポルトガルの為政地域から昨年独立した新しい独立国でございます。また、スリナムは南米におけるオランダの施政地域からこれも同じく昨年独立した新しい独立国でございます。わが国といたしましては、多面化を深めつつありますわが国の外交、経済にとって、これら諸国と友好関係の増進を図っていくということは、対アフリカ、対南米外交の観点からも非常に必要であるということから、大使館を設置した  いと考えておるものでございます。

受田新吉民社党

○受田委員 これは皆兼摂大使館ですよね。これは一つの問題があるわけですが、やがて専任にするというふうな目標を持って当たるということにしなければならないし、もう一つ大使、昨年も承ったが、その後数がふえたかもしれませんが、認証官である大使と公使の数がいま幾らになったか、もう一度現時点で御答弁願いたい。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 認証官であります大使は定員で百三名、それから同じく認証官であります公使が四名、合計百七名でございます。

受田新吉民社党

○受田委員 日本全体の行政機構の上で認証官が何人おると外務省は調べておられるかです。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 私どもが了解しておりますところでは、認証官の総数は百六十八でございます。

受田新吉民社党

○受田委員 各省全部を含めて、国務大臣まで入れて、宮澤さんの国務大臣もその百六十八人の一人に入っているんだ。その中で外務省が百七人抱えておるわけです。外務省以外を見ると、認証官は六十一人しかおらぬ。これは外務省が認証官を独占していると言っても過言ではないわけです。大変な認証官獲得実績を挙げておられるわけでございまして、これに対して、その大使たるや、キャリア出身の大使がどれだけおられますか。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 定員の数につきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、現在実数で特命全権大使に任命されております認証官はちょうど百でございます。そのうちいわゆる上級試験出身以外の大使は四名でございます。

受田新吉民社党

○受田委員 九十六名はキャリア出身だ。そうすると、外務省で毎年大体何人ぐらい上級合格者がございますか。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 その年によって若干変わりますけれども、最近はおおむね二十五名前後でございます。

受田新吉民社党

○受田委員 二十五名前後のキャリア出身の大使が認証官の大半を握っておる、キャリア以外は四名しかおらぬ、そこに外務省の枯渇した外交が出てくるし、そうして経済外交、文化とかいうような特色を持った外交官の採用にとびらが閉ざされておる。外交官試験を今度改めるようになって、学歴制限の中から外国語の会話等を外すというようなことで、今度いささか人材が広く吸収できることを――これは松永さんが努力されたと思います。従来の官房長がやらなかったことをやられたと思うのです。私も、かつて歴代の官房長に、在勤俸及び加俸、俸の字がつくようなものを外務省が別に持っておるのはけしからぬと、十年以上にわたってこの委員会で毎年やっておった。ところが、俸の字をつけなければいかぬと固執しておったのが、四十四年に初めてこれを在外手当に変えたのです。十年以上当委員会で叫び続けてきて、そうして固執したのが誤りであったというので十年後に悟りが開かれたのです。外交官の試験でいささか前進した人材が吸収できるようになったけれども、毎年二十五人程度の外交官の、それが最終的には大半が認証官になるという世界は、これはもう大変な世界です。外交官にもっと――婦人外交官、そして経済外交官で優秀な人材がおる。報道人などにも、海外の特派員でたくさんおる。最近、一部そういう報道関係からも人材を簡抜されておるようではございますが、各省から外務省へ出向している書記官、公使、最高の公使までを、そういう人々もその国々の外交の実情に通じたら、もう通産省やその他の省から来た外交官もひとつ大使に任用する道を開く。そしてノンキャリアが遠い小さな国に初めてぼこっと、最後にほんにおこぼれ的な景物として三名か四名かを任用しているというこの外務省のキャリア独占の体制を、宮澤さん、ひとつ変えなければいかぬ。それは二十五名程度の、他の一般公務員の上級職をパスした皆さんと比較したら、ほんの一握りの人がこれに行っておる。そしてノンキャリアの中に刻苦精励した人がおる。ただ、卒業のときのちょこっとした試験だけで一生涯の勝負をつけるというのは問題です。上級職試験でちょこちょこっと勉強して点数を取った者だけが生涯認証官で大半を占めるというこの外務省の古い体制をこの際改めなければいかぬ。経済問題に詳しい外交官、ときには文化性を豊かに持った文学大使、後進性の国、開発途上国なりへ行って本当に力を上げるのはそういう人々です。  もう一つ、外国へ行ったときに銭がなくなった、現地の人が日本へ帰るときに銭をとられてなくなったというときに、国の援助で金を貸す法律がありますよ。外交官も銭をとられたときなどに、こっちに戻って後から払えるような法律がありますね。ああいうことでも、細かい事務はキャリア出身の大使は知らぬのです。それはもう事務局に任しておけというようないばった大使ばかり養成したらいかぬです。実務に精通した大使がおって、本当に細かい問題も心を配る、そういう大使が本当の大使になるのです。もうあとは部下にだけ任して、そうしていばる方のコースだけを進んでくるような、教養を身につけ、努力を怠る大使じゃいかぬです。本当に精励刻苦して、艱難なんじを玉にする大使でなければいかぬです。これはひとつ宮澤さん、一握りのキャリア出身の大使だけが優遇され、努力を怠り、上級試験に合格しただけで勝負をつける、勉強不足の、平和裏に傷なしに最後までいきたい、いい国の大使になりたい、そういう大使をやめさして、僻遠の地へ――不健康地対策の法律もあるが、不健康地へみずから進んで行こうというような、そういう優秀な大使を養成して、ひとつこの際外務省の人事刷新を根本的に図る。日本じゅうの認証官百六十八人の大半が外務省の一握りの外交官で占められるという基本体制をどう変えるかについて、明白なる所信を御表明願いたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 認証官が非常に外務省にたくさんおるということは、何もそれが非常に偉いという意味ではありませんで、申し上げるまでもなく、相手国に対して国を代表するということから認証ということになっておるんであって、その点は自分たちが非常に偉いんだというような別の意味での思い違いをしてはならないと思います。  それからキャリアとノンキャリアの問題ですが、確かにごくわずかの回数の試験で一生のコースを分けてしまうということは、私は余り合理性のあることではないと思いますので、これはやはり何とか時間をかけてでも改めていかなければならないことだと思っております。そのキャリアとノンキャリアの問題のほかに、あるいはそれと並行しまして、外から人をとって、やはり一種の閉鎖社会を直していくということが入り用であると思っておりまして、昨年も受田委員からいまのようなお話が非常に熱を込めてございました。昨年以来二十八人、ともかく外から採用いたしまして、今年度まだずいぶん月がございますから、これをうんとふやしていこう、そしてこうやって来てくれた人は一人ももとへ返るということではなく、外交官として育ってもらって、そして大使にもなってもらう、そういうふうにやってもらわなければならないと思います。  いま言われたことは、全くどれほど強く言われましても言い過ぎということはない、そのような一種の従来のやや閉鎖的な人事のやり方を改めなければならないと考えております。

受田新吉民社党

○受田委員 アメリカのインガソル大使、日本にもおったことがあるライシャワー大使、アメリカの大学の先生である。そういう人が相次いで来ておる。そして先般も、トロヤノフスキーというソ連から日本に来ておった大使が八年目にあっちに帰っちゃった。これは人によってはある程度長期に勤続させて、その国の実情にも通じさせるという必要もある。民間からも人材を簡抜する。二、三年で出世主義の大使の昇進というものを根本的に改めて、民間からの人材と、あわせてその国の実情に通じて安心して外交が任されるような布陣をしてもらいたいと要望をいたします。  それで最後でございます。もう時間どおりに、九時二分まで私の時間だそうで、大臣十五分から何かあるということですから私、協力しますが、もう一つ最後に、私、十三日に海外日系人大会に出てみました。海外に百七十万の日系人がいる。南北アメリカを中心に百七十万日系人が海外でよさを発揮しておるんです。日本人の頭脳の優秀さ、勤勉さ、それはもうあらゆる国々に超越する実績を挙げている。これらの国々の日系人に対する教育、医療それから事業資金、そういうものについて十分の配慮をしておると思いまするが、かつては移住局があった、それが中南米・移住局になった、今日は単に大臣官房の一角に領事移住があるというように機構が縮小されておるが、この日系人が海外で雄飛している実情にこたえるためにどうしたらいいか。  私の個人的な問題を申し上げるようですが、私の秘書二藤忠というのが今度大学の理工学部の建築科を出てブラジルへ技術進出で行くんです。五月二十二日に羽田を立つわけだが、この二藤という私の秘書をしてくれたのが、ブラジルでひとつ新しい分野に、建築の世界を開いていきたいと言っておるわけだ。こういう者がどんどん後に続くように、ひとつ外務省としても海外に行った人に資金的に教育的に精神的に医療的に希望を与え、母国日本を大事にしながら世界平和に貢献できるような、日系人ここにありという社会をつくるためにどういう配慮をされておるのか、一口でお答え願いたいのです。

松永信雄外務大臣官房長

○松永(信)政府委員 ただいま御指摘がありました問題点は、私どもとしても十分にいま認識をして意識をしていかなければならない点であろうと思います。ことに日系人対策ということから申しますと、外務省として果たしてどれほどの政策を確立しているかという問題点もあろうかと思いますので、今後十分に検討してまいりたいと考えております。

受田新吉民社党

○受田委員 この間の大会には総理大臣と外務大臣が出られて、あなたのかわりに塩崎政務次官が出られた。総理大臣のかわりに官房長官が出られた。あなたの代読されたんですよ。その中によると大変なものですよ。  ひとつ私、ここであえて申し上げるのですが、私いまここに昭和二十二年の六月二十三日提出、第一回国会の決議第一号、これをひとつ皆さんに御紹介しておきたいんです。これは当時尾崎行雄さんが提出者であった。私そのときに第一議員倶楽部という無所属クラブにおったので、尾崎さんがその無所属クラブの会長、十七人、その中でいま生き残って議員となっているのは前田正男君が一人おるだけです。  そのときに尾崎さんが出した「平和会議に関する決議案」は、この戦争の処理を勝者の国が敗者の国を処理するのであってはならない。それらを乗り越えて再び復讐心を起こさないようなためには、勝った国、負けた国なしで、被害が多かった国が被害の少なかった国から補償してもらう。「賠償は、公正に彼我の損害を計算し、その差額を弁償すること。」「戦勝国もし理数を無視して賠償を要求せば、我は道理と計数を以て、之に反対し、その取立に協力せざること。」「台湾、琉球、朝鮮、満洲等は、暫く之を国際連合の管理下に置き、他日民情安定するを待ち、人民投票に依て、その独立又は所属を決定すること。」「敗戦後の平和会議は、従来常に兵力の強弱と戦争の勝敗を根拠として進行したが、かくては到底第三の世界戦争を免れ得ざるべし。而して破壊殺傷の器具方法は、今後際限なく進歩すべきが故、文化國の人類は幾んど全滅するであろう。依て本院はこの災禍を予防せんがため、今回の平和会議に於ては、從來の慣例を根本的に革新し、強弱勝敗を基礎とせず、人類相当の理性を基礎として、終始せんことを切望し茲に之を決議す。」  こういう決議案です。これがあの敗戦の直後の国会で尾崎行雄先生の提案なんです。ところが、私、これをGSへお使いに行った一人でございますが、GHQはこいつをオーケーしてくれなかったことはおわかりで、せっかく出した決議案が第一号で審議未了になった歴史的な決議案です。  これを担当したときに、尾崎先生が、おれが出したこれが認められないような占領軍とはと嘆かれて、涙をぼろぼろ流しておられた、覚えています。と同時に、その直後に懇談会で、これは秘密の問題ではありませんし、先生の人格を傷つけないからあえて申し上げますが、おい諸君、残念なことだが、ぼくはいまここで仮定の問題として言うんだよ。この際、もうこうなれば日本は占領国であるアメリカの四十九番目の州になろうじゃないか。そうなればもうアメリカのどの国へ行ってもいいわけだから、米国国民として各州へ八千万がみんな分散する。そうすると、この優秀な民族、勤勉そして勇気、理性、親切、この民族のわれわれがアメリカの四十八州で必ずその地の指導者になって、アメリカ圏、雑多な複合民族の各州の人々に推し出されて、国会議員にもこの日系人がそれぞれ各州から出るであろう。三十年、五十年後には日系人の大統領が当選するであろう。そしてアメリカ全土に日系人がこの高い信頼に立ったときに、アメリカ合衆国を日本と改めようじゃないか。私は尾崎先生のあの真剣に、これは仮定の問題だよと断られましたけれども、この尾崎先生の卓見――現にアメリカ各州において国会議員が輩出しておる、ハワイのアリヨシ知事、アメリカでもカリフォルニアからも国会議員が誕生した。ハワイだけじゃない。南米ブラジルにはもう相次いで三人、四人の国会議員が出る、ウエキ大臣も出てきた、御存じのとおりです。こういう日系人が、海外で日系人のよさをどんどん発揮してもらって、平和で美しい親切な友情のあふれた全世界を建設する、この夢を外務大臣ひとつ育ててもらいたい。私の質問に対し御答弁を願って、私の質問を終わることにします。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 前段に、昭和二十二年の決議案を御引用になりましたが、この精神は、やはり最小限度には受け継がれまして、サンフランシスコ講和会議の平和条約の十四条になったわけでございますから、わが国としてはともかく、議論はございましょうけれども、わが国がこれから生きていくための最小限の役務による賠償というようなことでともかく処理をされました。それはしかし、当時のそういう決議案にありました精神が結局はこの講和会議に列席しました国々にある程度理解された結果ではなかったかと思います。  それから、敗戦より三十年たちましたが、確かにわれわれの先輩たち、あるいはわれわれとかつて血を分けた人たちが各国で活躍をするようになっています。私どもとしては、狭い意味でその人たちに日本の国益というものを代表してもらおうとは思いませんけれども、やはりわれわれと同じ民族から出た人たちとして、まず第一にその国のよき市民になってもらいたいと考えますし、またしかし、血はおのずから水よりも濃いので、われわれとしてもその人たちのためになることについては何かにつけて陰になってでも努力をいたしたいと思います。在外公館におきましても、そのような気持ちでその人たちに接するように従来心がけておるつもりでございますけれども、今後とも大切なこととして心がけたいと存じます。

受田新吉民社党

○受田委員 質問を終わります。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

木野晴夫自由民主党

○木野委員長代理 ただいま委員長の手元に、竹中修一君から本案に対する修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。竹中修一君。

竹中修一自由民主党

○竹中委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その趣旨を申し上げますと、原案のうち、在勤手当等に関する改正規定は、昭和五十一年四月一日から施行することとしているのでありますが、すでにその日が経過しておりますので、これを公布の日から施行し、在勤基本手当の基準額及び研修員手当に関する改正規定については、本年四月一日から適用することに改めようとするものであります。  よろしく御賛成をお願い申し上げます。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長代理 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――

木野晴夫自由民主党

○木野委員長代理 これより原案及び修正案を一括して討論に付すのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、竹中修一君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

木野晴夫自由民主党

○木野委員長代理 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

木野晴夫自由民主党

○木野委員長代理 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  ただいま修正議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木野晴夫自由民主党

○木野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長代理 次回は、明十八日火曜日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時七分散会

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