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77回国会衆議院1976/06/11

大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号

発言数
155
登壇者
11
会派数
5
開催日
1976/06/11

会議録

山本幸雄自由民主党

○山本小委員長 これより金融及び証券に関する小委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  先船、再び本金融及び証券に関する小委員会の小委員長を仰せつかりました。何とぞよろしくお願い申し上げます。  金融及び証券に関する件について調査を進めます。  まず、先船の金融制度調査会における「「銀行の役割について」の意見の中間とりまとめ」それにつきまして、田辺銀行局長より説明を求めます。田辺銀行局長。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 金融制度調査会のこれまでの審議状況について簡単に、御説明いたしたいと思います。  金融制度調査会におきましては、昨年五月十四日、大蔵大臣から銀行制度及び銀行法令の改善について諮問を受けまして以来、一カ年余りにわたって審議が進められてきておりますけれども、去る四月二十日の第七回総会におきまして、「銀行の役割について」と題する委員の意見の中間取りまとめを行いましたので、その内容について御説明いたしたいと思います。  ただ、内容に入ります前に、これまでの審議状況を簡単に御説明いたしますと、まず、昨年の五月に諮問が行われました後、調査会では主として大蔵省事務当局におきまして提出いたしました資料を中心に、わが国の金融制度の沿革、現状など基礎的な事項について勉強をされたわけでございます。  その後、昨年の十月に、今後の審議の進め方を決めますとともに、審議を効率的に進める観点から調査会の中に小委員会を設置することといたしました。  審議の進め方としましては、まず、銀行制度の中核である普通銀行のあり方について全面的に見直すこととし、これとの関連において必要な範囲で、各種専門銀行のあり方等の問題についても検討を行うこととされたわけでございます。  そこでまず、普通銀行のあり方につきましては、お手元に資料をお配りしておきましたけれども、そこにありますような七項目を中心に検討することとしております。  その七項目と申しますのは、  (1)今後の我が国の経済構造及び金融構造について  (2)銀行の役割について  (3)銀行の資金配分機能のあり方について  (4)銀行経営上の諸原則について  (5)銀行の取引、サービス面における諸問題について  (6)銀行業務の範囲について  (7)銀行に対する監督について でございます。  その後、調査会は、昨年末までの間、第一のテーマであります「今後の我が国の経済構造及び金融構造について」審議をいたしました。  次に、銀行の役割りについてでございますが、調査会は、第二のテーマである「銀行の役割について」審議を行いまして、参考人からの意見聴取をも含めまして、六回にわたり小委員会を開催し、四月二十日の総会におきまして、委員の意見の中間取りまとめを行いましたが、その内容はお手元にお配りしてあるとおりでございます。  なお、今回の取りまとめは、現段階における中間的なものでございまして、今後の審議を行う過程におきまして、絶えず見直すこととされていることに御留意いただきたいと思います。  以下、中間取りまとめにつきまして概略御説明させていただきます。  中間取りまとめは、一、銀行の基本的機能、二、銀行の責務、三、銀行の機能発揮と市場原理という三つの部分から成っております。  まず、第一の項目では、銀行の基本的機能として、預金の受け入れ、資金の供給、資金の仲介、為替及び振替について述べております。これは、銀行制度を考える場合におきまして、まず銀行の基本的機能を明確に認識しておくことが必要であると考えられたからであります。  次に、第二の項目におきましては、「銀行の責務は、銀行の基本的機能を適切かつ十全に発揮し、国民経済の発展、充実に寄与することにあると考えられる。このような責務を果すため銀行に要請されることとしては、健全経営の確保、資金の効率的配分、経営の効率化とサービスの向上の三点が基本になると考えられる。この場合、銀行は、国民経済におけるその機能の重要性とその行動の及ぼす影響力の大きさにかんがみ、日常業務の運営にあたり、常に節度ある行動をもって国民の信頼にこたえるよう努めるべきであることはいうまでもない。」としております。  それでは、このような銀行の基本的機能が適切に発揮され、その責務が十分に遂行されるためにはどのようにしたらよいか。これを検討いたしましたのが第三の「銀行の機能発揮と市場原理」という部分でございます。  ここでは、そのために基本とすべきは、銀行経営の健全性を維持しつつ、できるだけ市場原理を活用していくことであるとしております。ここに健全性とは、いわゆるサウンドバンキングという言葉がございますが、内容的には、運用資産の安全性の確保、流動性の維持、資産、負債の期間対応、支払い準備の充実といったことでございまして、信用秩序の維持、預金者の保護という観点から金融機関が健全経営を確保すべきであるという考え方であります。そして、このような健全性を維持しつつ市場原理を活用していくべきであるとされておりますが、市場原理の活用の仕方といたしまして、銀行業における競争の重要な手段である金利機能の活用について述べられております。また、金利機能の活用の方法としては、当面、必要な規制を残しつつも、金利水準ができるだけ資金の需給に即応して変動するよう、金利弾力化の推進を図るべきであるとし、金利の自由化については将来の課題であるとしております。  そして、このような金利機能の活用によって、銀行経営の合理化、資金配分の効率化、景気の安定、金融政策の有効性の確保がもたらされるものと指摘しておりますが、他方で、市場原理の活用にも限界があるので、そのために、その限界に対応するための措置についても述べております。  以上、大変簡単でございましたが、金融制度調査会の審議状況と銀行の役割りについての中間取りまとめについて御説明さしていただきました。

山本幸雄自由民主党

○山本小委員長 以上で説明は終わりました。  なお、本日は参考人といたしまして、金融制度調査会会長佐々木直君が御出席になっております。  佐々木参考人には御多用中のところ、本小委員会に御出席を賜り、まことにありがとうございます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)小委員 いま銀行局長から金融制度調査会における銀行の役割りについての中間取りまとめの御説明がございました。この中間取りまとめの中におきましても、これを貫いている考え方というのは、銀行経営の健全性、あるいはそういうものを図りつつも競争原理の導入であるとか、あるいは市場原理の導入であるとか効率化の達成、これが貫かれておると思うのであります。そういうことは、言葉の上でだれしもそれに対してけしからぬというようなことを言い得る性格のものではない。言葉としては確かにそのとおりである、こう認めざるを得ないような性格の問題だと思うわけであります。特に、大衆の預金を預かって、これを最も効率的に、健全に、安全に運営をして、経済の発展に最も効率的に資金を配分をしていく、こういうような機能があるわけでありますから、おっしゃっていることに間違いがあるとは私どもも思わないわけであります。  しかし、市場原理と言い、競争と言い、こういうものを追求される場合に、今度の場合、普通銀行だけを対象にされたと思うわけでありますが、しかしこの普通銀行の中にも、資本金の面においてもあるいは預金量の面においても、いわゆる力において非常な格差がある。こういうものが一つのそういうもので律せられることになれば、これはいわゆる力の論理がまかり通るということになるわけであります。そういうような面から言いまして、競争と効率、市場原理の支配、こういうようなことが体質の弱い銀行にとってどれだけ耐えられるか。そして力の強いものが支配体制を確立していく、そういう方向は銀行間の内部における寡占支配、あるいは独占的な支配の確立に向かっていくのではないかということを私どもやはり恐れるわけであります。  さらに効率ということがよく出てまいりますが、資金の配分における効率性というようなことも言われる。しかし一行だけ、資金の適正配分という文字はありますが、本当に国民経済にとって最も望ましい、高度のレベルにおいて判断されなければならない、あるいはその最も基本的な面から日本の経済はどうあるべきなのか、いま何が必要なのかというような、非常に高度の政治判断を必要とするようなものに向かって正しく資金が流れる、こういうようなことが適正な配分という一つの面であろうと思うのです。その適正配分という面がややおろそかにされている感じがしないでもない。効率化、効率化ということは、たとえば金利の弾力化においてもやがて自由化を目指すというようなことになれば、力のあるところはどんどんそういうことをやってしまう。そして、力のある事業会社やあるいはそういう融資対象も力のあるものに偏っていってしまう、資金の流れが偏ってしまうということにもなりかねない。そういうような面についての配慮というものがどういうぐあいにこれから行われていくのか、この点まず佐々木参考人から、その辺の問題について金融制度調査会の基本的なお考えと、これからそういう資金の最適配分、そしてまたそれは、実物資源の非常に効率的な結果を見るというようなことに結びついていかなければならぬわけでありますが、それのイデアと言いますか、そういうものについて金融制度調査会としてはどうお考えなのか、まずこの点をお聞きいたしたいと思うのです。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 ただいま御指摘のありましたところは、確かに私どもも審議の過程におきまして非常に議論の種といたしたところでございます。競争原理の導入とか市場原理とかいったようなことは一応わかりはしますけれども、そればかり追求してよろしいものではないわけです。銀行、金融機関の健全性、それからいまの御指摘の資金配分の上での公共性、そういうものと効率あるいは競争、こういうものをどういうふうに共存させるかということにつきましては、現実の運営として非常にむずかしい点がございます。したがって、たとえば金利の自由化という問題が出ておりますけれども、これも長い目標としてのものでございまして、当面、われわれが審議の過程において、あらゆる金利を自由にしよう、すぐそういうことをやろうという意見は出ておりません。ただしかし、弾力化という言葉が示しますように、できるだけいろいろな事情の変化に即応した金利の変動というものが弾力的に可能のような環境をつくる必要があるということが当面の問題になっております。  それからまた、いま御指摘がございました資金配分の問題につきましても、国全体の政策を考えました個々の資金の配分の仕方、これをそういう具体的にコントロールしていくということは、現在の経済体制ではなかなか無理でございます。そういう意味で、結局国のそういういろいろな要請その他を常に頭に置いた金融機関の融資活動というものを要請し、それが実際にできるだけその方向に動かし得るような銀行法というものをつくっていく、こういう考え方の基本的な問題の検討をしたという、これにとどまっております。  まだこれからいろいろそういう具体的な問題については多くの問題を残しておりますし、ただいま局長から御指摘がありましたように、この中間取りまとめは一応いままでの議論を整理しておりますので、今後の具体的な審議に伴いまして、いろいろな点において手直しを加えて、あるいは充実していくということをやっていかなければならない、こう考えておる次第でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)小委員 続いて伺いますが、金利機能の活用というようなことが強調されておるわけでございますし、しかもそれは金利の自由化の方向というようなもので、これは市場原理、プライスメカニズムを最高度に利用しよう、こういう考えだと思うわけであります。いま日本の経済が高度経済成長時代を完全に終わった、これから、言うならば安定的な成長あるいは低成長、こういう時代を迎えている、こういうことになりますれば、大きいことはいいことだというような、あるいは資本主義の基本原理である競争概念、効率化概念あるいは市場原理、こういうようなものを一定の政策意図のもとにチェックをしながら、政策でそういういままでの高度成長の方向というものから安定成長へのかじの切りかえが行われた、こういう段階では、むしろそういう方向ではなくて、新しい配分が重視をされる、配分の公正という問題が重点的に経済目標にならざるを得ない事態を迎えているんだ、こういうようなことになりますれば、これは一つのイデアとして金融機関のあり方というものの中に効率化であったり市場原理の支配する社会というようなことがあっても、それはそれとして、いま当面の問題としては、金利の問題につきましても、自由化はかなり先のことである、当面は弾力化という段階である、しかもその弾力化をどこから手をつけるかというようなことでは、金利を頻繁に動かすというようなことである、こういうようなことも言われておるわけであります。そういう場合に、何を基準にしてそれではそういう金利を頻繁に動かしていくということで対応できるもの対応できないものをふるい分けしていくというような、われわれ、その辺のところになるとちょっとおっしゃっていることが現実に即してなかなかつかみにくい面が出てくるわけであります。したがって、私どもとしては、いま金利機能の活用で解決できない政策要求、こういうようなものを十分考えていかなければならぬというけれども、そのことがむしろ当面一番大事なことではないのかという、先ほど申し上げたような経済のかじの切りかえが行われなければならない現在の段階における金融のあり方というのも当面はむしろ政策優先ではないか、こういう気がするわけでありますが、その辺のところはどのように御判断になっておられますか。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 御指摘の点は非常にむずかしいところでございまして、確かに金利を弾力化したからといってそれで大事な金融政策の重点が、主な部分がそれによって実現できるというふうに簡単なものではないと思います。ことに日本の場合には金利の働きというものが海外に比べまして必ずしも有効度が高くないという点もございますので、金利政策に余りに頼っておっては政策の効果を上げることが困難な場合が多いかと思います。  ただしかし、いまの御指摘の点は非常にむずかしいところでございまして、それでは金融政策というものをどういう手段でやるのが一番効果的であるかという問題につきましては、いま実は金融制度調査会の審議の過程においてはまだそこまで入っておりません。恐らく金融政策の効果を上げますためには、金利政策を初め、その他いろいろな手段を複合して重ね合わせましてやっていくよりほかはないのではないか。特にこれからの、いま御指摘のありました低成長のもとにおいて、恐らくオーバーローンを直していかなければならないというような問題も入ってくると思いますけれども、そういう問題につきましては恐らくいろんな手段が並行されなければ実行できない。いままでの経験に徴しましても、これはなかなかむずかしい問題であろうかと考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)小委員 まだ具体的な検討はこれからだということでありますが、この資金配分の効率化のため必要な競争原理というものを発揮させなければならぬ、しかしそれが一方において競争原理と対比される健全性の維持、こういうようなものによってかなり資金の配分が今日ゆがめられている、こういう御認識が実態に即してあったのだと思うのであります。具体的にはどういうところから、そういう阻害があってはならないというようなことが言われているわけでありますが、資金の効率的配分に必要な競争原理というものが健全性の面から阻害をされている、こういう御認識を現状について持たれておった、こういうように思うのでありますが、たとえばどぎつい形でそういう現象が出ておったというようなことについて何か例を引いて御説明できるような問題がありますか。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 ただいま御質問がございましたような具体的な例はございませんで、むしろいままでの審議の過程においての議論は、基本論と申しますか、かくあるべきではないかという方向で議論されておりまして、特定あるいは具体的な問題の提出によって議論が進んだということではございませんでした。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)小委員 それで、この答申、中間取りまとめとはいうけれども中間答申みたいなものですが、これがさらに次々に発展をしていくと思うのでありますが、そういうことになりますと、いまの銀行業務分野といいますか、言葉は必ずしも正確じゃありませんけれども、それぞれ都市銀行なりあるいは中小企業金融機関なりあるいは興長銀なりあるいは信託なり、こういうような分野がありますが、そういう問題のかきね論というのが当然出てくる。都市銀行はどういう面、あるいは地銀の場合はどうだ、相銀あるいは信金等は中小企業分野だ、そういうようなことで、すでに相互銀行等について都銀転換への意向が非常に強い。相互銀行としての基本的ないわゆる相互掛金というようなものの比率がもう一%以下になっているというような状況、そしてしかも中小企業専門金融機関とはいえども貸し付けの対象機関というようなものについても、大企業の限度をどの辺からということにすると、四億ぐらいのところが現状の姿になっているということになりますれば、この面でももう都銀と相銀との関係というのが非常にあいまいになっているし、しかもそういう意味で、すでに弘前相互銀行と青和銀行ですか、相互銀行の方が大きくて、しかも小さい普通銀行、地方銀行と合併をするというような問題も起こっているわけですね。いろいろ世間でも相互銀行は一体どういう方向に進むべきかということで問題になっている。そういうような問題なんかで、かきねを取り払って銀行同質化といいますか等質化といいますか、そういうような方向に進むのか、あるいはいまのような分野というものをやはりきちっとしておく方向なのか、これからの方向というものはどういうことを描かれておりますか、会長にお伺いしたいのです。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 ただいまの問題は実は今後の審議の課題になっておりまして、ただいまのところは普通銀行というものはそもそもどういう役割りをしておりどういう責務を持っておるか、その普通銀行の資金配分はどうなるかといったような、金融機関の中で最も大部分を占めておる普通銀行業務を中心にいま議論をしておりますので、かきねの問題はその議論が一応見当がつきました上でその問題を取り上げることになると思います。したがって、いまここでどういう方向でその問題を取り上げるか、検討していくかという方向につきましてはまだ申し上げる段階に至っておりません。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)小委員 それから複利定期預金、これは中小金融機関では、コストアップになる、資金コストが高くなるということで最初から反対をしておられたが、力のある都市銀行では、これは預金者大衆のニーズにもこたえる、あるいは要請にもこたえるというような意味も含めて、預金を増加させても、やはり力のあるところですから若干のコストアップぐらいは消化できる、こういうことで非常に推進している。地銀も一緒にやっておったのですが、地銀は途中からこれをやめようということになってきた。これに対しては、一体銀行局としてはこれは都銀にだけでも認めるというような方向にいくのですか。それともこれはもう少し様子を見るというか、静観するというのか、その辺のところは一体どうなっていますか。これは銀行局長に。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 複利定期預金と言われるものについての構想といいますか、ある種の意見があることは存じております。でありますけれども、これは金融界から正式にこういうものがあった方がよろしいという、意見といいますか、そういう形で当局に面掛示されているわけではございませんので、銀行局としてこれを正式に検討するというような段階には至っておりません。いろんな問題があると思います。  そこで、ちょっとお尋ねの点だけお答えいたしますと、仮にそういったような預金を特定の銀行にだけ認める、他の金融機関には認めないというようなことは、行政の立場から考えまするとやはり許されないのではないか、こういう感じでおります。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)小委員 佐々木さんにもう一つだけ、中間取りまとめに関連してお伺いしたいのですが、郵便貯金と一般預金の金利決定方式について検討することが当面金利弾力化に当たって必要とされる、こういうことになっておるわけです。確かに郵便貯金は、言うならば市場原理というか、競争原理というようなものの介入の余地のない、政策当局の意思で、政令で決められる。政令で決めるときには、これはかつて法定事項でありましたけれども、金利を幾らにするかということは、いまでは政令化する前に郵政審議会にかけるというだけであって、そういうぐあいにして決まっていくわけですね。一般の金利は、金利の自由化への方向を目指しながら弾力化ということを図っていこう、こういう御意思である。この間の決定方式を、特に郵便貯金について限定をされたという、その本旨というか本当のねらいというか、そういうものは郵便貯金の金利決定もこうあるべきであるという何らかの気持ちを持っておられて出されたのか。そしてまたそういう表現をなさっておる真意とねらいは一体どこにあるのですか。どういうように郵便貯金の金利決定の方式もあるべきだ、こういう何らかの期するところがおありなのかどうか、この点をちょっとお聞きしたい。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 御承知のように郵便貯金、日本ではずいぶん大きな金額になっておりまして、その中の大口なものと申しますか、相当多額の預金をしている人たちのクラスでは、銀行預金とほとんど同じような性格を持った部面もずいぶんあると思うのです。きわめて零細な貯蓄性の預金の金利を総体の金利政策の中で全体と同じに考えていくべきかどうかということにつきましては、これはいろんな議論があると思いますし、そういうものは特別に考えるということも、私は考慮さるべき点があると思いますが、いま申し上げましたように、銀行預金的な部分も相当出てきておりますので、したがって総体としての金利政策を考えます場合に、ここのその部分だけは別だ、その部分だけはなかなか一般とは変わった動きをするということでは、金利政策の有効性が阻害されると思います。そういう意味で、いまの日本においてできるだけいまの市中の金融機関の金利の決め方と郵便貯金の金利の決め方との間に緊密な連絡性を持たせる。一方が動くのと他方が動くのは全く別な世界で考えられるとか扱われるということでなくて、この両方が一緒の考え方で検討される、そういう方向を何とか早く考えてほしい、というところが、いまの調査会での審議の段階でございます。したがって、まだこの問題について具体的に、こういう形でいっその問題を解決したらどうかということを取り上げるまでには至っておりません。ただ方向だけはそちらの方向に考えるべきではないか、こういうふうな、いまのところは段階でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)小委員 銀行局長、いまと同じ質問で、いつも預金金利政策を決定するときに、郵便貯金の金利の問題が大蔵大臣と郵政大臣との間にかなりエキサイトした場面を見せながらやられるわけですが、われわれの側から見れば、国民の零細な預金が郵便局を通じて預金をされ、それに一定の利率が付せられ、しかもそれが資金運用部という財政投融資の主たる原資になっている、こういうようなことで公共の用にかなりこれが低利で融資されて役立っている、しかも政策意図がまともに入った効果的な運営というものが、そういう意味で国民の生活と福祉にかなり密着した形において運営されるということでは、やはり郵便貯金には郵便貯金の理論に従ったそういう経済との関係という、いままでの運営に見られるような国民の生活、福祉等に密着した形でそれが資金運営がなされていく、そういう中で、やはり金利のあり方というものもそういう立場で独自に決定されていいんだ、こういう考えをわれわれ持つわけですね、特に生活と福祉金融への転換というようなことも考える場合に。その辺のところについて大蔵省としては、これは反論されるかもしれませんけれども、大蔵省は一体どういう態度で今後行くつもりでありますか。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 郵便貯金と銀行預金との性格論でございますけれども、銀行というものの大衆化といいますか、かなり歴史的な経緯から見まして現状を考えますと、これは国民貯蓄の調査等でも明らかでございますけれども、同じ大衆の世帯といいますか消費者といいますか、そういう人たちが預金をする場合に、銀行預金をしている者、郵便貯金をしている者、これはむしろ零細な預金でありましても銀行預金をしている世帯の方が、当然かもしれませんが多いわけでございまして、もちろん銀行預金の中には企業性の預金がございますけれども、国民の貯蓄預金が相当のウェートを占めている、国民貯蓄の分野から見ますと、郵便貯金の果たしている機能と銀行預金の性格というものは全く私は同じことになっている、こう感ずるのでございます。したがいまして、これはすでに全金融機関の預金のウエートで見まして二〇%弱のウエートを占めておるのが、単一の銀行といいますか金融機関としての郵便局で、強大な、一種のプライスメーカーになり得るような性格を持っていると私は思っております。したがって、幾たびか経験をしておるわけでございますけれども、郵便貯金が動かないで銀行預金だけを上げ下げする、動かすということは、きわめて現実には考えられない事態になっております。そういうわけで、これは手続が違っておりますけれども、郵便貯金を決定するに当たっての物の考え方とそれから銀行預金金利を決定するに当たっての物の考え方とは、やはり同じ視点で審議されなければならないと思っております。金融政策と景気政策とあるいは国民貯蓄に対する物の考え方と、あらゆる面からこれを検討して決定されるべきでありますけれども、その視点はできるだけ同じであるべきだ、こう考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)小委員 時間ももうないようですから、またその点は改めて大蔵委員会で論争してみたいと思いますが、いまの答弁には納得いたしません。  国債の個人消化の促進という面も含めて個人に対する国債担保の貸し付け、こういう問題が出ておりますが、その点についてどういう結論を得られたか、この点が一つ。  それから、個人消化の促進の意味を含めて中期国債、これは割引債方式ということで言われておったわけです。これは利回りの関係だと思うのですが、これをさらに個人消化の点から考えれば中期利付債、こういうようなことも大蔵省として考えられておるかどうか。かえってその方が個人消化にとってプラスになる面があるのではないか、なじみやすいのではないか、こういうような問題もあるわけですが、時間がありませんから簡潔にその二つの問題銀行局から。

原徹大蔵省理財局次長

○原説明員 第一点の国債担保の貸し付けでございますが、これは証券局の方でやっておる仕事でございますけれども、従来預かり証でなっておりますので、これを預かり証を担保として貸すという制度を近く発足させる、そういうふうに証券局の方から聞いております。  それから、いまの中期国債のお話でございますが、これは先生、国会でも御説明いたしておりますように、シ団の中に個人消化の検討会を設けて個人消化のあり方をただいま検討いたしております。  個人消化そのものにつきましては、去年の初めに百五十億程度であったものが最近は七百億というふうに売れておるということはございます。しかし、私どもは個人消化の重要性ということからさらにそれの検討を続けるということになっておりますが、いまこういうふうに売れておりますのは一体どうしてこんなに売れるのかというところの分析をいま始めております。そういうことを含めて個人消化対策を考えたい。  そこで、いまの利付債か割引債かというお話でございますが、その点を含めてまだ何にするかということまでいまのところ結論を得てないという段階でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)小委員 時間が少し過ぎたようですから、これで終わります。

山本幸雄自由民主党

○山本小委員長 村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 佐々木参考人には御苦労さまでございます。  今度の金融制度調査会の中間報告は競争原理を再確認したというふうにまとめられると思うのでございますが、いままでの金融の効率化政策というものは、いま預金者にはできるだけ高い金利を、それから貸出金利はできるだけ低くという立場から効率化論というものが進められてきたと私たちは受け取っているわけでございます。  その中からいろいろインフレ等の問題に関連をいたしまして、銀行の社会的任務は一体何かという見直し論等が始まりまして、四十九年の十一月でございましたか、大口融資の規制、系列融資に対する規制等をやって社会的不公正の是正というような立場でやられてきた経緯がございます。  その中から私たちはいまの金融制度の問題をとらえていく場合に幾つかの問題点があると思うのです。金利の弾力化というような表現がございますけれども、いまの金融政策の中で、この点について初めにお伺いしたいと思いますが、預金金利というのはこれは一つの独禁法違反になるかもしれないというような要素も持ちながら、協定みたいな、覚書のようなことで、あるいはそれを政令みたいなもので措置をしてみたりして、協定がなされて、それでこれは自由化されていないし、弾力化もされていないわけでございますが、現実の貸し出しの面から見てまいりますると、実質的にはもうそれぞれの各金融機関の自主性に基づきまして、自分の採算点等を考えながら、一つの、公定歩合が出てプライムレートが設定をされてまいりますると、一流の商業手形の割引等の場合には、プライムレートに近いもの、プライムレートの標準金利というようなもの、六・七五%程度で割引をするとか、あるいはそれに準ずるものとしては七%程度で貸し付けるとか、相手の資産内容やあるいは業績等を見まして、そうして自由に、それは取り扱いの大きさ等にもよって違うわけでございますが、そういうようにして考えていくならば、貸し出しはもうほとんど自由化されている、これは弾力化されておるという、弾力化よりももう自由化されている、私たちはそういうふうに実際の業務内容を見ておりまして考えるわけです。そういう認識の上に立って金利の弾力化という問題をとらえていくとするならば、預金金利の弾力化という問題にこれから制度調査会の方では手を入れられる考え方であるのか、あるいはそうではなくて預金金利も貸出金利も合わせた姿の中で弾力化という方向を考えていくのか。自由化というところまでは一挙に行くことはできないだろうということは、これはだれでも認めるわけでございますが、金利の弾力化なり、自由化の問題が金融制度調査会でどの程度まで論議が詰められているのか、この点をまず第一にお伺いをしたいと思うのです。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 ただいま御指摘がございましたように、銀行と預金者の関係と、銀行と貸出先との関係というものは、やっぱりいろいろな点で相違がございます。したがって、金利の弾力化と申しましても、そのあらわれ方が預金金利と貸出金利で違うということもそのとおりだと思います。ただ貸出金利の場合にも国の金融政策といたしまして金利総体を上げたり下げたりします場合に、できるだけそのラインに沿って貸出金利が速く動いていくということが金融政策の効果を上げる上に必要でございますので、そういう点においてはやはり貸出金利についてもできるだけの弾力化を加えていくということが必要かと思います。  預金金利の方は、お話がございましたように、戦前は銀行協会、手形交換所加盟銀行で相談をして決めておりました。それが戦後、独禁法のつくられましたときに、独禁法違反になるおそれがあるということになりまして、それで臨時金利調整法というものができたわけでございますから、そういう意味では確かに動かし方が、預金金利の方がいろいろ運びが手数がかかるようになって、そういう点も差のあるところだと思います。確かにいろいろな点において差別がございますが、調査会において考えましたのは、いま申し上げましたように、総体としての金融政策、金利政策への適合の問題として考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 臨時金利調整法に基づいて、政令等で預金金利を動かしていくということが独禁政策の上から見まして、法律をつくりさえすれば独禁法違反から免れるとはまた考えられない点もありますので、これらの問題については一つの政策論としてやられているのだと私たちは受け取っているわけですが、その問題は別といたしましても、現実にその面は固定されておる。しかしケース・バイ・ケースで貸出金利はもうほとんど自由化されておる、こういう認識は間違いでございましょうか。公定歩合に追随してプライムレートが動いていくとかいうものが迅速に適応する、そういうような制度は考えなくちゃいかぬのでしょうが、現在の追随率等を見てみましても、徐徐にそれに近づいていくという形がとられているようでございますけれども、現実には企業の実態によって、あるいは大口の貸し出しの場合等、担保物件が非常に優良である場合であるとか、そういうような場合にはきわめて優遇政策をとることが事実問題として行われておるし、またそういう面から見たら貸出金利はもう非常に弾力化され、自由化のところまで来ているんじゃないかと私は思うのですが、佐々木さんはそれについては、いやまだそこまでいっていないというふうにお考えになるのでしょうか。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 どうもこの自由化の程度をどの程度に判断するかということはむずかしいことだと思いますが、預金金利に比べれば貸出金利の方が弾力性をすでに相当持っておるということは事実だと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 そこで、金融機関に対する世論といいますか、これが非常にやかましくなりましたのは、いわゆる資金配分の問題で、従来は特定の銀行と特定の企業の癒着という問題が非常に指摘をされまして、四十九年末に実施をされました大口融資規制がございましたが、しかし実質的には自己資本の二〇%というようなことで、ことしの一月になりますと、特定の企業に対しましては特別の枠を設けたりして、実質的には形骸化してしまった。こういうような問題から、大口融資規制という問題がどうも最近は怪しくなってきつつあるという印象を国民は持っているわけですが、資金配分の適正化の面でそういうような大口規制等に対する政策というものは、制度調査会ではどの程度まで検討され、そしてどういうような方向をお出しになろうとしているのでしょうか。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 大口規制の問題にはまだ入っておりません。資金の配分の問題もいままだ途中のところでございまして、これからその問題を取り上げることになっております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 それでは次にお尋ねいたしますが、五十一年の三月末で、これは大蔵省の調査したものでございますが、預金総額が、保険やら証券まで入れまして二百十二兆三千六百二十四億、こういう数字が示されておるようでございます。  その中で個人と法人の割合というものが一体どうなっているのだろうというので、同じ時点の統計的な数値はないのかということを先ほど確認をしてみたのですが、これは五十年の九月末の日銀の統計調査しかないようでございます。しかしながら、個人と法人の比率というのはわりあいに一定した、六、四ぐらいの比率であるというふうに仮に想定をいたしましたときに、一体これからの制度論といたしまして、法人と個人預金の分離という問題を制度論の中ではどういうふうに論議をされておるのでしょうか。これはまだそこまで金融制度調査会の方では論議をされていないのかどうか、お伺いしたいと思います。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 いまの点はまだ全く論議をいたしておりません。後ほどの問題になると思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 そういたしますと、預金をしている大衆が都銀を中心にする金融機関等に対して非常に不満に思っているもう一つの問題として、どうもわれわれは預金をせよということで自分たちの消費生活のために預金をして、そして必要があるときには住宅等のローンを借りたいというようなことで預金をしているけれども、銀行というのは個人から金を吸い上げて産業活動、企業の活動にこれを流していくというようなことで、住宅に対する金融が十分行われていない。このころは大分大蔵省の指導で住宅に対する融資もふえつつあるようでございますが、その中で金利が非常に高い。しかし、銀行の金利の問題を考えてまいりますと、長期のプライムレートよりも低いぐらいの金利で住宅金融の金利は優遇をしているのだという反論もあるようでございますが、庶民大衆、預金をしている側の者のそういうような都市銀行等の住宅融資に対する要請、そうしてその中から生まれてくる不満、そういうような問題等について論議をされておるのでございましょうか。まだ住宅金融の問題等についてはそこまで論議がいっていないのでしょうか。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 先般、金融制度調査会の小委員会に各方面から参考人として来ていただきまして、いまの住宅ローンその他一般個人の銀行からの資金の借り入れ、その条件の問題などにつきまして、率直な意見を発表していただいております。したがって、いまの調査会の中では、御指摘の点は実情をできるだけ直接聞き、かつ今後の銀行法のつくり上げの場合に、そういう現実の問題を頭に置いて進められるように、調査会の方では具体的なそういう方法を講じております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 先ほどの問題にまた返りますが、金利の弾力化あるいは預金金利の自由化論というような問題の中から一つの金利のメカニズムというものを考えてまいりますると、大口預金の金利は高くなっても小口の預金の金利は低くなる。これはもう金利のメカニズムの上から言いまして当然の結論として出てくることになると思うのですが、金融機関の批判の中から、銀行はもうけ過ぎであるというようなことで、預金者に高金利を支払うようにせよ、そのためには預金金利の自由化でやれるのではないかというような意見があります。事実問題としては、金利のメカニズムを考えてまいりますと、預金金利の自由化なりあるいは弾力化なりというのは、大口預金の金利は高くなるけれども小口預金の預金金利というものは低くなる、そういうのが経営の立場から言えば当然出てくると思うのです。金利の弾力化政策というものを進める場合には、先ほども個人と法人の分離の問題でまだ論議をされていないというようなことでございましたが、競争原理を確認して、そういうような金利の弾力化政策を標榜しながらいくということは、これはやはり大衆が誤って幻想を抱いているようなことは、はっきりとメカニズムの中から、そういうような期待をすることはまことに当を得ていないという結論にならざるを得ないと思うのですが、弾力化政策という本当の意味はどういうことに持っていこうとしていらっしゃるのか、制度調査会ではどこまで掘り下げた論議がなされているのか、もし何であれば承りたいと思います。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 いまの点、大口預金の方が金利が高いという実例は、外国にはあるかと思いますけれども、日本ではそういう金利のつけ方はやっておりませんし、それから金融制度調査会の中で、金利の弾力化に絡んで、大口預金の方をより高い金利をつけるといったような、そういう考え方あるいはそういうことを示唆するような議論というのは全然出ておりません。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 では時間の関係がございますので、あと一問程度で参考人に対する質問は終わりたいと思います。  これは一体どこまで対象になり得るのかわかりませんが、最近土地の融資等をめぐりまして、国土庁の国土白書によりましても、統計的に数字として出しているのを拾い上げてみますと、四千五十一社が八万六千ヘクタールの土地を保有をしておる。その中から企業の土地の買い入れに投入したものが九兆八千億である。うち六兆一千億は借金で、金利が年間五千五百億円程度と推計ができるというようなことから、土地買い上げの問題で岩佐懇談会等が設けられまして、土地税制の改正をねらいあるいは線引きの修正をねらいあるいは国債を発行して企業が抱えてもてあましている土地を買い上げてくれというような動き等がございました。国債発行の方はもう全然話が飛んでしまっておると見ておるわけでありますけれども、土地に投資をしたということから、金融機関の担保物件が最近土地価格が上昇しないために非常に値下がりをして、それに対する増し積みをしなければどうにもならない。ところがそういう企業ほど倒産寸前に来ているというような状態の中で、そういう特定の企業に特別な融資をした金融機関は非常に危ないんだという話で、大蔵省も特別監査をやるというような話等が新聞等で出ておるわけでございます。そういう中から間違った一つの融資行動というものが過去にとられた。それは、銀行が金を貸してくれたから、借れ借れと言ったから自分たちは土地を買ったのだというようなことを言っている経営者もおるようでございます。まあ事実上は、企業がそういう土地によってぼろもうけをしようということで金融機関の金を借りていった。金融機関もまた過剰流動性をもてあましておったから金を貸してやったというような形の中から今日の問題が生まれてきたんだと思うのです。そういう社会的に見て不公正な競争原理の中から、そういうような値上がりによって大衆に大きな犠牲をしわ寄せをするような融資態度というようなものは当然望ましいことではないわけでございます。  私もちょっと調べてみたのですが、大手の私鉄十四社の借入金が一兆六千四百四十八億、年間売り上げが六千九百四十二億しかない。土地を調べてみると、一億九千五百十七万平方メートル、坪数に換算をいたしますと五千九百万坪もある。大阪市の面積と同じぐらいに匹敵をする。そういうような状態で土地に対する先行投資というのですか、どうにもならない、こういう状態が相当目に見えてきている。社会的には非難をされるような土地の値上がりにつながる土地融資政策というものは、大衆の側の理論に立てば当然避けるべきだ、私たちはそう考えるのでございます。そういうような融資態度等に対して、金融制度調査会としては社会的不公正を拡大するようなものはやめるべきであるとかな心とかいうような論議はないのかどうか。もし、そういうような土地に対する過剰融資等の規制をどうするのかという問題が取り上げられたものであるならば、御説明をいただきたいと思うのです。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 ただいま調査会では銀行の資金配分機能のあり方についてという題目に取り組んでおりまして、ただいまの御指摘のありました点はちょうどいま審議の最中でございます。この十五日に行います小委員会では、銀行のそういう融資担当の実務者に来てもらいまして、そういう点について実情をよく聞きたいという計画を立てておる、そういう状況でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 じゃ、時間が参りましたので……。

山本幸雄自由民主党

○山本小委員長 荒木宏君。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 参考人には大変御苦労さまでございます。  初めに一言お伺いしておきたいのですが、今度の中間報告は、できるところから大蔵省にやってほしいというふうな御趣旨でしょうか、それとも、最終報告が少し先になるので、とりあえず途中で経過報告した、こういうふうな御趣旨でしょうか。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 私どもがこの取りまとめをいたしました気持ちは、銀行の役割りということの勉強と申しますか、検討、これは今後銀行法の改正を検討いたしますときに、銀行というものは何かということについての足場をまずつくっておかないと議論がいろいろ曲がってしまうと申しますか、まとまらない、そういうようなことを考えまして、銀行の基本的な責務、そういうような問題を検討いたしたわけでございます。したがって、その検討というものは、いろいろな各方面の銀行というものについての判断に多少なりともお役に立つのではないかというふうに考えて発表をいたした次第でございます。したがって、最終答申に至るまでの中間答申と申しますか、この中にある程度具体的な銀行法改正についての示唆を入れるというふうな考え方までには至っておりません。したがって、その点が答申とはずいぶん性格が違うものになっておると思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 そういうことですと、今後の審議を進められる上でぜひいろいろ御検討も願いたいという基本的なことについて幾つかお尋ねをしたいと思うのです。  先ほどもちょっとお話が出ましたが、青和と弘前相銀の合併ということがありますが、先年の金融二法で効率化、また異種間の合併ということが打ち出されて、私ども聞いておりますところでは、地方銀行の中でもいろいろそういったことで合併を希望されておる向きもあるわけでありますが、この競争原理と合併推進といいますか、これは必ずしも背反するものじゃありませんし、また合併が進んだからといって競争が即短絡的に阻害されるというものでもなかろうと思うのです。しかし一面、合併してどんどん大きくなっていくということになりますと、少なくとも競争促進というよりも競争制約的な要素は出てくる面があると思うのですね。そこで、いま中間のまとめで競争原理ということを打ち出された。その中で、この金融機関の合併ということについては、競争原理促進ということのお考えの中でどういうふうに兼ね合いを考えていらっしゃるのか、基本的なお考えで結構ですから伺いたいと思います。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 率直に申し上げまして、金融制度調査会では合併問題はまだ議論をいたしておりません。したがって、競争の原理の問題は非常に基本的な、そういう競争ということがやはり自由主義経済のもとにおいては大事な要素であるという点を指摘するにとどまっておりまして、行政的といいましょうか、今後合併問題が出たときに、それが競争原理との関連においてその合併をどう判断するかというような問題につきましては、まだ議論をいたしておりません。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 当核の合併、特定合併をどうするかということは、これはまた個別の問題でしょうけれども、しかし原理、原則として全く無緑なものではなかろうと思うのですね。隣接するといいますか、場合によっては抵触することだって原理的にはあるのじゃないかと思うのですが、大蔵省の方では、この前の合併を受けて、今後、いま希望が出ているところがどの程度あるか、あるいは銀行局として、それに対して基本的な方針はどういうふうな考えをとっていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 弘前相互と青和銀行との合併につきましては、これは私どもの判断としては、あくまでも当事者がそれを非常に希望しているということが前提でございますが、やはり経営の安定化あるいは資金の効率化あるいはまた重複投資の回避というような相当のメリットがあると同時に、地元におきますところの競争金融機関との間の関係も、より全体としての資金の効率化に資するものである、こういう判断で前向きに考えてきたわけでございますが、競争と合併という問題は、これは確かに一概に言えない問題でございまして、銀行の中でも寡占というものは回避すべきであるというぐあいに考えます。適正な競争というものが相互に行われるというこの姿を続けてまいらなければいかぬし、もっとはっきりしていかなければいかぬ、こう考えておりますが、具体的にいま地方銀行、都市銀行というような銀行におきまして、合併の希望が出ていることはございません。全然聞いておりません。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 この競争原理をどういうふうに見ていくかというのは、国際金融の面でもいろいろ問題が出ていると思うのですが、こちらから出ていく、あるいは外から入ってくる、出ていく場合に、十分な手当て、手順もなくてつまずいたというような話も新聞報道にいろいろ出ておりますね。先輩のオイル・ショックのときには、いろいろヨーロッパで取り合いをしてジャパンレートというようなことも起こって問題になったことも公知の事実でありますけれども、こうした進出をしていく、あるいは対抗する、そういった中で出てくる矛盾、問題に対しては、金融機関の多国籍化ということで、いま国際的にも多国籍企業の規制という問題が世論化しつつある。御承知のとおりだと思うのですね。つまり、これは一定の規制をしていこう、余り勝手なことはさせぬということになっているのですが、それと競争原理ですね、これはどういうふうな兼ね合いで調査会ではお考えになっているのでしょうか。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 いまの国際金融との関係は、実はまだ触れておりませんで、恐らく、さっき銀行局長から説明がありました七項目のうちの第六番ぐらいになってくるのではないかと思うのですが、競争原理の問題は、実は健全性との関連を中心に考えて議論をいたしたものですから、競争というものの持ついろいろな面についての議論というのがまだそういう広さにおいては行われていないのがいまの調査会の現状でございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 必ずしもこれが総論、後が各論というのではないと思うのですけれども、いま参考人がおっしゃったように、一つその原理として打ち出すようになりますと、いろいろな関連領域、問題が出てきますね。国際化の問題でもしかり、あるいは寡占の問題でもしかり。ですから、一度はこういう中間の御報告があるわけですが、それらの後に出てくる問題との兼ね合いで打ち出された競争原理というものも、そういう意味で再検討といいますか、あるいは問題を尽くすといいますか、ということで審議をお進め願いたいというふうに思うのですが、これは希望として申し上げておきます。  そこで、次にお伺いしたいと思いますのは、「預金の受入」というのが初めの「機能」の中に出ておるのですが、これは平たく言ってそのとおりだと思うのです。しかし、私どもが聞いておりますところでは、受け入れば受け入れに違いないのですけれども、実情は受け入れといったなまやさしいものではなかろう。預金の増強と申しますか、あるいは預金の確保と申しますか、もっと一言で言えば預金の獲得といいますか、それは、たまたま特定の金融機関でだけそういった厳しい確保、獲得ということがやられているのではなくて、相当一般化しているのではないか。そういたしますと、ここで「機能」としてお書きになっている「受入」そのものに伴っていろいろな問題が起こってきはしないか。ですから、一口にいま競争原理と、こうおっしゃっておるのですけれども、いまの実態がもし獲得競争というようなことになっているとすれば、その上で競争原理が基本原則として打ち出されれば一体どういうことに相なるかというふうに考えておるのですけれども、この点はひとつ局長の方から、実情を御存じだと思いますから、簡単に一言。受け入れというようなものであるか、もっと生々しいものであるか、その辺のところはいかがでしょうかね。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 銀行にとりましては、いわば商いの量といいますか、これに重大な関心があることは当然だと思うのでございますが、おっしゃるとおり、じっとして預金を持ってこられる方をお待ちしているという態勢よりは、かなり積極的に預金を集めるという活動をされていると思います。その形が時といたしまして節度を超えるといいますか、そういう事例が見られること、非常に遺憾に存じておりますが、これは、いままでのわが国の経済の体質あるいは金融の姿というものが相当長期間にわたりまして資金の需要超過状態を踏んできた、その中で資金の需要にこたえるためにそういったできるだけ預金の量を獲得するということになってきたのだと思います。これからはそういうことが漸次正常化されることを期待しておるわけでございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 そう単純な消極的なことではないというお話です。  これは一つの例ですが、地方銀行で千葉興業銀行というのがあるのですが、五十一年四月八日といいますからつい最近ですね、業務部長の方から各部、店長あてに「創立二十五周年預金増強運動の展開について」という通達が出されていろいろなことをおっしゃっているのです。行員一人当たりの獲得目標三百万円、割り当てですね。しかも、単に個々の行員の方だけではなくて、行員、家族ペア作戦による定期獲得運動、つまり家族ぐるみでやれというお話。それも、これは何か点数をつけるようになっているらしいのですが、日常の営業活動上で獲得したものは点数に入れぬ。「行員・家族がペアになり親戚・知人・友人等から獲得したもの」これが今度の運動の勤評の対象なんだ、こういうこと。私は、これは、かなりというふうな程度に言っていいだろうか、相当なものじゃないかと思うのですね。  また、いま局長、期待すると、こうおっしゃっておるのですけれども、残念ながら局長の御期待に反して、つい最近もこういったことでずいぶんやられている。これは皆さんが喜んで、いやもうそのとおりだということで全員一致してやられるならまだしも、これに対してはずいぶんと職場の中でも異論がある。単に異論があるだけではなくて、当然仕事をよけいしなければいけません。時間がオーバーするでしょう。朝は早うから夜は遅くまで。朝は朝星、夜は夜星、こういうことになってくるわけですよ。それにもかかわらず、それに対する時間外手当が支払われない。労働基準監督署から注意がある。聞かぬ。今度は検察庁から、これはもう刑事事件として立件すると言われても、まだその早朝の早出の時間外が払われない。  きょうも関係者の皆さんがお見えになっているのだけれども、それがこういった一行だけでなくて、お近くの千葉銀行ですか、ここでも時間外の手当が払われない。これはどうも人道上も問題ではなかろうかということで、いろいろ指摘をされた方があるのです。これが二十名足らずですか、ほかに比べてずっと賃金が上がらぬわけです。格も上がらなければ賃金も上がらない。これはしかし人事の問題、査定の問題だから一律にはいかぬだろうということでいろいろ私も言うたのですが、いや、そうじゃない、銀行の方ではそんななまやさしいことではなくて、昭和四十七年といいますから、大体差別が非常にひどくなってきたころなんですが、このころすでに「管理者ニュース」というのがありまして、ここで、最近の当行内の左翼職員の動向についてということで、十分気をつけて目こぼしのないように把握せい、こういうことがずっと通達で出されている。つまり、その金融機関の方針のもとにそういったことがやられている。これは私は、とても、受け入れでござるというて澄ましておられるような事態ではないんではないか、こう思うのでございます。  それが高じていきますと、先月の末でしたか、福島の信用金庫で、局長御存じですね、五人全員死亡でしょう。夜中の十一時半ですか、二十二歳の女子行員二人を含めて、その中には最近お見合いをした人もある、あるいは結婚早々の人もある。つまり、金融機関というのは金を預かっていますけれども、同時に職員の命も預かっているのじゃないですか、残業を指示されて、やらなければその職場を追われるわけですから。だとしたら「預金の受入」と、こう美しいことでおっしゃっているのですが、調査会の皆さんもベテランの方がおそろいですし、いろいろ御勉強、御研さんもいただいていると私は思うのですが、こういった実態は十分に調査会の論議にも反映をしていただきたい。と同時に、いまは中間の御報告で、最終の御報告はまだかなり先になるというお話ですけれども、それまで大蔵省の方で手をこまねいて見ておられるということは、これは常識的に見て納得できぬのじゃないかと私は思う。ですから、まず局長の方から、今度は任務の場所がお変わりになるということを伺っておりますけれども、どうか引き継ぎなりでその点もきっちりしていただいて、いまの死亡事故についての実情の調査、これは何かずいぶん注意もいままで受けていたらしいですけれども、それを調査していただいて、あとの御遺族の処置についても、聴取の上、遺漏なきよう行政指導もしていただき、御報告もいただきたい。  それから、いま言いました獲得大運動ですか、これの実態についても調査をしていただいて、問題があればこれも御指導願うべきではないか。あるいは「管理者ニュース」こういったことでやっておるということも、千葉銀行でしたか、調査いただいて御報告もいただき、そうして、調査会で中間報告しておられるように「受入」だ、それが職場の中でも本当にそういった金融機関としての役割りが果たせるような形で答申の取りまとめをいただきたい、こう思いますので、局長の方から御答弁をいただいて、参考人の方からも御意見をひとつお聞かせいただきたいと思います。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 御指摘になりました福島信用金庫の職員の一これは直接的には運転のミスによる事故でございますけれども、十一時半ぐらいまで残業をしておったということがあるようでございます。この点につきましては、労働基準法の関係でもって当該の当局からの調べが進んでいるように聞いております。私どもも間接的にいろいろと聞いております。まあ、五月三十一日という月末で、伝票が非常にふくそうしておった、平生の四倍ぐらいあった、それから何か不都合と言いますか、どうしても伝票と現金等が合わない。これは銀行のミスが一つといえどもあってはいけないものですから、そういうことでやはり銀行の職員というのは相当つらい立場にもございます。あくまで、突合するまではそれを処理しなければあしたの営業ができないという問題、いろいろ問題があると思いますけれども、そういったことにつきましては、やはり正常な勤務条件と言いますか、特に過酷な条件になるようなことについては、適当に経営者の方でそれなりの処置をとるというぐあいに指導をしてまいりたいと思います。  一般的に預金獲得競争の行き過ぎと言いますか、この点につきましては、制度調査会におきましても銀行の競争というものが、ともすれば非価格的な競争という面につい走りがちであるというところについては議論があったわけでございまして、その意味からも、金利機能をより発揮させるという正当の競争ということを強調されていると思います。銀行局といたしましては、今後もいたずらなる業容の拡大、それによるところの預金者からうるさがられるような、あるいは何周年記念であるとか、そういった自己のあれにかこつけて強要をするというような行き過ぎがあってはならないということで、今後とも十分指導してまいりたいと思っております。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 制度調査会の方では、いまのような具体的な問題はちょっとまだ触れておりません。  それから、いま「預金の受入」という言葉についてお話がありましたが、ここのところは銀行の基本的な機能というような原理、原論をやっておりますので、こういう言葉が適当であるというふうに考えたわけです。  それからもう一つつけ加えますれば、競争原理の導入という問題を議論したときに、これ以上預金について競争を持ち込めという議論は一つもございませんでした。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 最後にもう一言伺っておきたいのですが、決して私も言葉にかかずらって申し上げているわけではありませんので、原理、原論を御論議いただきますときに、同時にやはり実態ということも、よく御存じのことですから、十分反映していただきたいという趣旨で申し上げております。  いまお話しの金利機能の点ですが、市場原理というようなことが出されまして、同時に、先ほどの局長のお話ですと、郵便貯金と銀行預金と同一の原理でというお話が出ておったように思うのですね。ただ、さっきもちょっとお話ありましたが、郵便貯金は郵便貯金法で目的、その仕組みが決まっておりますし、私どもも原理として言えば福祉原理とでもいうべきものじゃなかろうか。もちろん金融機能の側面は否定できぬわけですよね。その中に流れておる精神というか原理というか、たてまえは福利原理、福祉原理、さればこそ法律の目的にも、また金利の定めた条項の中こもそのことを明記しておるわけですね。これが、片や市場原理と質が違うのが同じになるということがちとうなずけぬわけです。もちろん関連あるわけですから、郵便貯金法の法律自体でも一般の預金金利についても配慮しなければならぬ、こうなっておるわけですね。先ほどの局長のお話ですと、郵便貯金並びにその利子のいま法律で定めた性格も変える、こういうことなんでしょうか。それはそのままで、違うものを一つにしたい、そうおっしゃったのか。何か水と油と言うと言い過ぎなんですが、異質のものを性格を変えないままで一つにするような妙案といいますか、そういう知恵はあるのだろうかと私は思うのですが、その点についてのお考えをひとつ聞かしていただきたいのと、それから同時に参考人にもう一言さっき実態のことを申し上げたのですが、監督ということが将来の議題として出ておるようなんですけれども、これはやはりそういった金融面での大蔵省の監督とあわせて、金融業務を遂行していく人的機能と言いますか、この点の監督も制度的に十分調査会でも御論議いただいて、実効があるように、そういう意味では職場の要請、職場のニーズにこたえるような方向もひとつ御論議いただきたい。  これは希望も含めて申し上げますので、もし御答弁ございましたらおっしゃっていただきまして結構ですが、それで質問を終わらせていただきます。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 郵便貯金と銀行預金との性格論でございますが、私は、銀行が預かっている一般大衆、国民大衆の貯蓄というものは、やはりその性格は同じであって、市場原理というもので金利が動かされるべきであるという原理と、その原理の運んでまいります一番基礎に、郵便貯金法で書いてありますような預金者の立場、利益、こういうものは銀行預金についても当然考えるべきである。つまり、郵便貯金法に書いてあることが特別に何か、福祉原理といいますか、特別なものではなくて、銀行預金についてもそれは頭の中で考える場合には当然考えるべき問題であって、結局、先般の預金金利引き下げの場合におきましてもそれは預金者の立場あるいは物価の状況、あるいは経済の動き、資金需給の状態というものを全体として考えて、そうして金利はどうあるべきかということを考えていかなければならない。それで、不況克服というような意味もありまして金利の引き下げに踏み切ったわけでございますけれども、それは当然預金者の立場も十分考慮しながらの結論でなければならない。これは同じことであると思っております。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 ただいまのお話し合い、よく私どもはわかっております。

山本幸雄自由民主党

○山本小委員長 広沢直樹君。

広沢直樹公明党

○広沢小委員 佐々木参考人には大変御苦労さんでございます。  時間の制約を受けているそうでございますから、聞きたいことはたくさんあるわけですけれども、議論している時間もございませんし、二、三の点について御意見を聞かしていただきたいと思います。  まず冒頭に銀行局長から諮問された経過についてずっとお話がございました。ちょうど、五十年の五月十四日に諮問されておりますから、約一カ年経過しておるわけであります。いまの制度の検討ということは、御承知のような経済の変動によるいろいろな背景がございまして、そこで銀行法の改正並びにそれに関連する諸制度、そういったものを見直していかなければならないということですが、端的にお伺いして、いまのところ七項目ここに挙げられているわけであります。それで、タイムスケジュールといいますか、経済が非常に急速に変動しておりますから、一日も早くこの答申をいただき、現在の経済に適応した体制にしていかなければならない、こういうことになるわけでありますが、そのスケジュールですね、大体いつごろにその最終的な結論をお出しになる目標を立てていま検討されておられるのか、その辺からひとつ聞かしていただきたいと思います。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 いままで発足しましてからちょうど一年たっておりまして、いまこの七つの項目のうちの第三番目をやっておるわけでございます。そういうことから考えますと、少なくともあと一年くらいは答申までにかかるのではないかというふうに考えております。

広沢直樹公明党

○広沢小委員 一応この七項目の検討が終わるのに大体一年、こういうことでございますか。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 大体七項目が終わるころには答申もまとまる、その間に少しは時間がかかると思いますけれども、この七つの項目の検討が済みましたら答申をまとめるのにはまたそう大きな長い時間をかける必要もないかと思います。

広沢直樹公明党

○広沢小委員 そこで、今度の中間まとめを見ておりますとやはり抽象的といいますか、総論的な報告になっているわけであります。現在必要なのは、数年前にもこういう金融制度調査会の意見というか、そういうものは出されておるわけでありますけれども、しかし今回の場合には特に制度の改正というところまで持っていかなければならない状況にあるわけでありますから、より具体的な指摘といいますか、そういうものが必要ではないかと思われるわけでありますが、今回のまとめの中には、先ほどからお話がありますように金利の決定を一本化しようとか、そういう具体的な問題も若干見えておりますけれども、あとは大体基本的なことあるいは抽象的というか総論的なことがあるわけであります。  そこで、その点を今後より具体的に答申なさる方向で検討されているのか、その方向づけをひとつ聞かしていただきたいと思います。より具体的な、法改正が前提でありますから、それについては相当細かく検討しなければならぬと思うのです。過去の答申を見てみましても大体総論といいますか、方向づけだけがなされているだけですから、もう少しより具体性を持った答申でなければいかぬと思うのですが、その考え方はいかがでしょう。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 先ほどから申し上げておりますように、この中間取りまとめというものを発表いたしました趣旨が、こういう原理、原則の勉強の結果を出したことになりましたものですから、あるいは皆様が金融制度調査会というものは銀行法改正のために具体的にいろいろもうすでに先を見通した勉強をしておって、それを途中で出したというふうにお考えになっておったところへ原理、原則論のものが出てきたという非常に食い違いがあるんではないかと思っております。その点、御指摘のように確かにもう原理、原則だけにほとんどとどまっておりまして、今後の具体的な答申案についての示唆、サゼスチョンというようなものはこの中には余り出ておらない、それはもう御指摘のとおりだと思います。私どもといたしましては、さっきの七つの柱の中で、第一は日本の今後の経済構造、金融構造というような議論もしておりますし、そういうようなわけですから、まだ基本的な調査会の委員の物の考え方、今後の具体的な物の考え方の基礎を勉強するという段階での結果の発表になっておるのが実情でございます。したがって、いま御質問がありましたように今後の答申の方向について何か具体的なものをいまの段階で何かないかというお尋ねでございますと、正直に申しましてまだそこまで至っておりません。

広沢直樹公明党

○広沢小委員 それで、わが国の金融問題で今日一番問題になるのは、基本的な問題としてやはり金融構造の問題である。この中間まとめの検討項目の一番にも挙げられておりますけれども、余りにも金融構造、間接金融と直接金融、この差が開き過ぎている、ゆがんでいるんじゃないか、特に自己資本比率が製造業等においては一五%程度というのですから、株式会社と言えるかどうかという議論まで出てきているわけでございます。そういうような金融、間接金融と言えば大体銀行ということですが、それが貸し手と借り手という関係から言えば貸し手市場になってしまっている、そのためにどうしても企業が銀行の支配下に属している形に置かれているわけですね。そういうようなところから企業の自主性というものも曲げられているといいますか、銀行いわゆる金融のあり方によって動かされるというかっこうになってきている。それだけじゃなくて、さきの四十七年にありました過剰流動性等の問題もやはり景気に対して相当な増幅といいますか、こういうものが出てくるのではないか、ある意味においては金融調整ですから当然だということも言えるかもしれませんが、それに加えてひずみもある、こういうことですね。したがって、これまでの高度経済成長政策の中ではそれは急速に経済が伸びるということで、自己資本比率を拡大しているまでにそれだけの余裕がなかったのかもわかりませんが、現実的には間接金融、それを賄ってきた。しかしそれがいま低成長経済に変わっているということから考えますと、当然いまの構造的ひずみ、ゆがみというものが一番の問題になるのではないか。それは証券問題がこれから後あるわけでありますけれども、その資本市場との関係がありますから、それとも重大な関係があるわけですけれども、この構造的な問題に具体的なメスを入れてその解決の方途というものが明示されないと、先ほどからいわゆる銀行の役割りだとか資金配分の機能だとかいうそれも全部それに関連している問題だと思うので、その基本的な問題についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 確かに日本のいまの企業の財務内容というのは、ある意味では非常に脆弱な形になっております。間接金融に余りに重点が置かれているという点、これは今後の方向として直していかなければならぬ、そういうことは御指摘のとおりだと思うのですけれども、ただ今度の銀行法の改正という中にそういう問題についての具体的な手をどういうふうに織り込めますか、今後の検討問題で、そういうものは政策運用との絡み合いの問題が多々あろうかと思います。しかし、御指摘の点は非常に大事な点で、金融制度調査会でもオーバーローン解消の問題として一遍取り上げたことがございますけれども、それは結局必ずしも十分な答申は出せなかったというような実情でございます。  それから一言さっき申し上げましたことを補足させていただきますが、さっきのスケジュールで少なくとも一年というふうに申し上げましたけれども、時間についてはもう少し弾力的に御理解いただきたいと思います。

広沢直樹公明党

○広沢小委員 いまの中間取りまとめで市場原理の導入ということを主張されておる、これはその意味では私は評価できると思うのですね。しかしそういう場合に中小金融機関、先ほどからお話がありましたようにいままで過保護下に置かれている、こう言われておりますが、相当大きな都市銀行的あるいはまたそれよりもっと小さな中小金融機関も、ピンからキリまでと言ったら語弊があるかもしりませんけれども、あるわけですね。そのままの形で来ているわけです。市場原理の導入ということは指摘はそのとおりだと思うのですけれども、しかしそのための、中小金融機関に対してはどういう対応策をとっていくか、こういったこともひとつ具体的に指摘をいただかぬと——確かに市場原理を導入していくあるいはある程度健全性を保ちながら競争を考えなきゃならぬということは、もう当然のことですし、いままでも指摘があったとおりなんですね。  それから、もう一つ伺っておきたいのは、銀行が過保護だ、こう言われているわけですけれども、中間のまとめの中には、安定的な収益を上げる必要がある、こういうふうに指摘しているわけであります。現在の状況で、銀行はもうけ過ぎじゃないかという見方もあるわけでありますが、現状それをどう踏まえていらっしゃるか。確かにちょっと過保護で、景気がよくても悪くても、一応銀行というのは一定の収益をいま上げていますね。赤字ではありません、とにかく上げている。それが一面ではもうけ過ぎだという批判があるわけですね。それに対して、確かにまとめの中の文章では、安定的な収益を健全性の方から上げる必要がある、こういう指摘なんですね。それが一般の預金者並びに一般の業界から見ると銀行というのは特に優遇されているなという批判があるわけですから、この点をどういうふうに御理解なさっていらっしゃるのか、ちょっと御意見を承らせていただきたいと思うのです。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 金融機関が長年不始末を出していないと申しますか、いまあります銀行法ができた昭和二年、あの金融恐慌でずいぶん銀行が倒れた、そういうようなことから、いまの銀行法には健全性についての意識が非常に強くなっております。またそれは大事なことだと思うのでありますけれども、確かに、それだからといって、金融機関だけが過保護の姿であるべきでないということは、調査会でも皆さん共通した認識でございます。したがって、競争原理の導入の一つの理由も、やはり金融機関相互間における競争というものが、顧客に対するサービスの増強その他を通じて収益にある程度の影響を与えるのは当然だという意識があるわけであります。御指摘の点は、今後の銀行のサービスの問題あるいは銀行経営上の原則の問題等において今後検討してまいりたいと思っております。

広沢直樹公明党

○広沢小委員 これは時間がありませんから議論ができませんけれども、私どもが調べているところによりますと、一般の製造業、企業と比べて、平均的増益率といいますか、これも金融機関は非常に高いし、現実的には、たとえば法人所得の番付では一位から四位まで、上位に相当の銀行が入っているというようないろいろなことから——銀行そのものを見ると、内容的には、こういう不況のときには確かに減益になったりとか多少の弾力はあるわけですけれども、相対的に、企業で見ますといま言うようなことが現実的にあるわけですから、それも一つの批判というか、そういう議論の的になっていると思うのです。  それから、もう一つは競争原理の問題ですけれども、「競争原理の発揮が規制によって阻害されているとすれば、具体的にこれを検討する必要がある。」ということで、できるだけ自由という形をとっていこう、金利も自由化という方向を目指しているわけですが、規制の緩和ということもいままでも考えられてきたし、考えているわけですね。しかしながら、今度の銀行法改正というのは、ある意味ではまた規制を強化しなきゃならぬという面もあるわけです。この中間まとめの指摘によりますと、いま言うようにできるだけ自由にしていこう、緩和していこうという方向なんですが、しかし過日問題になりましたような大口の規制の問題だとかあるいは拘束預金の問題についても、やはりこれは法制化をしていかなきゃいかぬのじゃないか、ということは、規制を強めなきゃならぬのじゃないかということなんです。その点についてどういうお考えでおられるのか。あと一、二分しか時間がありませんから、簡潔にお答えいただきたいのです。  それと「責務」の中でいろいろな基本的な問題が述べられておりますが、目減り問題というのは時代的背景をもとにして大変な問題になったわけですね。当時銀行の当局者もそれに対しては何とかこたえなきやならぬ、こういうふうに言っておったわけでありますけれども、「銀行の責務」の中を見るとそういう具体的な問題が出ておらないわけですね。そういった問題についても当然ある程度こたえていく義務があるのじゃないか、それは責務としてどう考えるのか、その点を伺って、もう時間いっぱいだろうと思いますので、終わりにしたいと思います。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 確かに、規制の問題は、当面の事態に対して規制がずいぶんいろいろありますので、その規制の見直しということが強く出ておりますけれども、もちろんいま行政指導の形で行われているものを法律の中に取り込んでいかなければならぬものもあるのじゃないかという意味で、規制を新しく加える面も当然考えられると思います。  それからもう一つ、目減りの問題につきましては、ここへ一つちょっと触れてございますけれども、理屈で言えば債務についての——預金は銀行の債務でございますが、債務について物価変動による影響を理論的にはカバーできない性質のものだ、しかしながら、預金者に対して金融機関ができるだけのサービスと申しますか、できるだけの利益を差し上げるように努力すべきだ、一応基本的にはこういうふうに考えております。

広沢直樹公明党

○広沢小委員 最後に一言意見だけ申し上げさせていただきます。  その目減りの問題も、やはり金利のメカニズムが自由化されているならまた議論があると思いますが、一応規制されているということになりますと、それに対する責務が銀行側にもあるだろうし、それはもちろん政府の方にもあるだろうと思うのですね。それは十分この責務の中では考えるべきものだと思いますので、今後十分御検討いただきたいと思います。  終わります。

山本幸雄自由民主党

○山本小委員長 竹本孫一君。

竹本孫一民社党

○竹本小委員 参考人、御苦労さまでございます。  どうもいつも佐々木さんに苦言を呈することが多くて恐縮なんですけれども、本当は大いにほめたたえたいと思うのだけれども中間報告を読んでみると余りそういうところがないのですね。そういう意味で要望事項を中心に申し上げます。  第一は、七つの検討項目を挙げられておるそのうちの一つの項目の、しかも中間報告であるということでございますから、これに余り大きな期待を持ったり、理論的にかれこれ言うのもどうかと思う点、確かにあります。しかし、全体のにおいというか香りというか、意欲というものは紙一枚の中にも出るものですね。そういう意味から言って、この中間報告を受けた私どもの率直な感じを申し上げますと、余りにアカデミックにできておる。ほめているようなことで言っているわけですが、アカデミックにできておる、あるいはアカデミックにでき過ぎておる。先ほど来いろいろ議論がありましたけれども、もう少し具体的に、銀行の役割り、定義みたいなことをやらなくても——これは大蔵省に責任があるのかないのかよくわからぬけれども、こういう問題の取り上げ方自体が非常に非能率的あるいは非現実的あるいはアカデミック、こういうことであって、問題の取り組みの姿勢というものを一遍会長さんに考え直してもらったらどうかと思うのですね。こういうような形で取り組んでいったら収拾がつかない。それは大学の講義をやるようなつもりでゆっくりやればいいかもしらぬけれども、そういうことではちょっと時代の要請あるいは庶民の要求にこたえがたいものではないかという点を心配するわけですね。そういう意味で、ぜひひとつ大蔵省にも、また調査会の方でも取り組み方自体をもう一遍検討してもらったらどうか、これは要望になりますけれども。  いろいろの意見も聞かれておるようでございますけれども、端的に申しますと、たとえば拘束預金のために倒れた、いわゆる拘束預金倒産だ、そういう人を呼んで、いまの金融のあり方についてどういう悩みを持ち、どういう訴えがあるかということを一遍聞いたらどうかと思うのですね。そうすれば問題はきわめて具体的になってくる。そうでなくして、銀行とはどういうところかというような大学の講義編から始まったのでは、ちょっと時代の要請に端的にこたえることができないのではないかという意味で、私は、まず、拘束預金倒産した人の悩みを聞いてみられるような具体的なこと、あるいは、調査会が活動を始められて一年間やっておられるわけですから、これに対して、私はよくわかりませんけれども、金融制度調査会ができた、これでわれわれの金融に対する悩みというものが大いに解決してもらえるのではないかという国民の期待が一体盛り上がっておるのかいないのかということもひとつ伺いたいのですね。たとえば、国民というものはわりに敏感に反応するものですから、調査会が一つの意欲を持って取り組むということになれば、投書も来るでしょうし、電話もかかるでしょう、そういうことが一体あるのかないのか。ただどこかの、それこそ密室じゃないかもしらぬけれども、場所において、三十何人集まって深刻な議論をされてみても、これが世間にさっぱりアピールしないというような形の中で取り上げられたのでは、やはり問題の解決が余り具体的にならぬじゃないか。そういう意味で、ちょっと庶民の悩みや要求から離れ過ぎた取り組みになっている、あるいはなり過ぎてはいないか。この点について、お考えはどうですか。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 いろいろの御指摘の点、わかりますが、ただ、いまさら先生に申し上げることではないと思うのですが、金融制度調査会というのは大蔵大臣の諮問機関で、その諮問に対して答えるという非常にパッシブな、受け身の性格を持っておると思います。もちろん、特別な問題について意見具申をするということは許されておりますけれども、いまの段階は、そういう金融基本法の改正についての意見を出せという諮問を受けておるわけでございますから、その基本的な問題からやっていくといういまのやり方は、やはり一つの筋は通っておると私は思います。  ただ、御指摘のように、世人の期待にすぐなかなかこたえていないというような点は、いま申し上げましたようなやり方から、どうしても当然の結果として出てきておる。そういう点はあるいは非常に御期待に背いておるかと思っておりますけれども……。

竹本孫一民社党

○竹本小委員 大蔵省の諮問の仕方は、文章に書けばああいう文章になるでしょうね。だから、調査会の受けとめ方として、あるいは調査会において議事を進めるその進め方の問題として、もうちょっと能率的というか、直接的な取り組みがあるのではないかと私は思いますので、ひとつそういう点も検討していただきたい。  それから第二の問題は、いま申しましたように、こういうように原理、原則、定義の方から始まっていくということになりますと、一体いつ結論が出るのかという問題があるわけですね。これは先ほどもちょっと議論があったかと思いましたけれども、私は、これでいけば二年、三年とかかると思うのですよ。一体それが時代の要請、庶民の要求にこたえる方法であるかどうかということをやはり調査会としてもお考えいただきたい。  もう一年たっているわけですがね。少なくともこれからまだもう一年かかる、あるいはそれ以上かかる。三木内閣なんてそのころはなくなっていますよ。そういうような意味で、政治的に見たって、これが本当にまだ三年もかかるようなことになれば、今度は社会党内閣ができているかもしれぬ。そういうような情勢の変化があるのに、前のやつをそのままやってくるということでは、これは答申が意味をなさぬ。  政治権力の方は別としましても、経済問題としても、たとえばいま五十年代前期の五カ年計画の問題がいろいろ言われておる。それからまた民間でも、佐々木さんよく御存じのように、計画的市場経済方式でいかなければ、ただ、いままでのような自由経済体制だけではどうにもならぬということについての反省なり意見が出ていますね。結局、そういうようにいままでの経済秩序をそのまま一〇〇%どうとかいうことの前提でなくて、むしろ指導原理そのものを変えていこうというまじめな意見、建設的な意見も具体的に出てきておる。そういうものももちろんにらみ合わせて考えていただくのだろうけれども、しかし、金融というものはそういう新しい五十年代の五カ年計画を支えていく社会的エネルギーを出すのですから、経済全体の、ここにも構造の問題が出ていますけれども、その原理や構造が変わるというのに間に合うように、またそれを推進するような形で出ていかなければいかぬ、こう思うのです。政治の内閣の問題は仮にかわっても、とにかく経済体制というものがそういう方向へ基本的に構造的に変わろうとしておるときに、それらの変わるときに支えていくのが金融の大きな役割りなんだけれども、変わってしまったころにこれが出てくることになってもいけない。そういう意味で政治的にも経済的にも、二年なり二年以上かかるということはもってのほかだと思いますが、いかがですか。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 おっしゃる点は非常によくわかりますけれども、ただ、大臣の諮問の言葉の中にもありますように、銀行法だけでなくて、銀行法を取り囲むいろいろな法律との関係も検討しなければなりませんので、どうしてもある程度時間をかけて広範な検討を行わなければならない。その点は御理解をいただきたいと思います。

竹本孫一民社党

○竹本小委員 理解はいたしますけれども、私はよく政府のやり方はツーレートだと言うけれども、ツーレートになっては意味がないのです。経済構造まで変わろうかといういまの急テンポな時代に、二年、三年かかってその後からこんなものが出てきたってどうにもならぬ。そういう意味で、もう一遍お考えを伺いたいのですが、二年と言わないでもう少し早くやるように、もう少しテンポを早められないかということはどうですか。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 どうもここで何カ月短くするとかいうような具体的な御返事はいたしかねますけれども、御趣旨は十分考えていきたい。

竹本孫一民社党

○竹本小委員 第三番目は、問題意識を余り初めから出さぬ方がいいというやり方も、確かに研究の場合、調査の場合にはありますが、今度の取り組みは、これを全部読んでみまして、感じとして、どうも問題意識というものが希薄である。少なくともあらわれたところが希薄過ぎる。だから第三者に発表してみても、だれが読んでも何の感激も受けない、感動も受けない、心配もない。これは全くさらりとしておって、あるいは極端に言えば、読んでも読まぬでも同じですね。そういう意味でもう少しアピールするものがなければいかぬと思うのです。その点をひとつ会長の立場において特に指導していただきたいと思うから申し上げるのですが、たとえば昭和二年の銀行法のときには、渡辺銀行が倒れたとかなんとかということで、銀行というのはそう簡単につぶれては信用秩序を混乱させるから困るのだという大きな問題意識があったから、それが現在の銀行法には非常によく出ておるのです。したがって、今度の銀行法改正というときには、昭和五十一年代にはどういう問題があって、国民もそれを要請したので、これが問題のポイントだというものがここにも出てきておって、それが今度の改正法の中に移し込まれていくということでないと困るのじゃないかと思うのです。そういう意味から言う、あれこれたくさん書いたり考えたりしてあるわけだけれども、どこがねらいで、いまの問題意識の中心、重点は何かということについて、どう考えてみても、あれこれ公平に分配して書いてあるけれども、われわれにぴんとこない。それは一つ非常に困るのではないかという意味で、私は、ゆうべだったか読んだ本にこういうことが書いてあるのです。  私は、法律にしても、それから経済政策にしても、あるいは経済学にしても、常に、こういう生きた経済の問題ですから、問題意識というものが非常に強くなければいかぬ、そういう点で申し上げるのですけれども、たとえばグラッドストーンが、ビクトリア時代の経済の非常な成果を踏まえて、一体これは何だったろうかということで演説したことがあるのです。彼が自由党内閣の大蔵大臣であったとき、こう言っているのです。「この、ひとを有頂天にさせる富と力との増加は、」途中省きまして、「まったく有産階級のみに限られている」。これが後でもめまして——クラッドストーンは自由党員ですから、その大蔵大臣がそういうことを言ったものですから、それを今度はマルクスの資本論に引用するのですね。ところが、マルクスの資本論の引用は間違っておるというので、ブレンタノというのが文句を言って、グラッドストーンはそんな演説はしていないということで論戦をやった。ところが、だんだん調べてみると、最後の結論は、やはりグラッドストーンは演説をした、そしてマルクスの引用は間違いでなかった、ただイギリスの速記録を、グラッドストーンが余り刺激が強過ぎるというので後で削ってしまったのですね。それで、速記録に載っていないというのでブレンタノが文句を言ったんだけれども、実は載っておったんだけれども消したんだというようなことがあるらしいのです。いずれにしても、グラッドストーンはそれだけの問題意識をちゃんと持っておった、自由党ながら。ビクトリア王朝のイギリスの経済の繁栄は有産階級に役に立っただけだということを彼は大きな問題として提起している。それで、マーシャルの経済学はそれを受けて出ているのですね。そして、イギリスの経済の発展というものが本当に貧乏人のために役に立たぬで、富裕階級、資産階級のため、有産階級のためにだけなった、こういうことで彼がそのことに問題意識を持って、そこで、マーシャルの経済学が出た。  マーシャルはそこでこういうことを言っているのですね。貧乏というものは人間進歩の敵だ、ビクトリア時代の空前絶後に達した資本の増加によって、その貧乏がなぜ絶滅することができないか、これが経済の根本問題だ、自分の経済学はここからだ、そう言って「貧乏は、人間の性格を堕落させ、その労働能率を低下させる、それはただに労働者階級の厚生を破壊するのみならず、生産能率を低下させることによって社会全体の厚生をも阻害し、人間進歩の敵となる」こういうことを言っているのだ。これは非常にいい問題意識だと思うのですね。だから、マーシャルの経済学というのはそういう立場から出ている。グラッドストーンの経済政策もそういう立場から来ているというように、それぞれの問題意識というものが、背後に貫くものがなければならぬと思うのだけれども、この中間報告あるいはこれから調査会が取り組んでいかれる場合の問題意識は何かということについて、私は、先ほど来言うように、どうもぴんとこない。  私自身は、銀行法の改正を論ずる場合に、銀行はもうけ過ぎてはいないか、銀行はいばり過ぎてはいないか、あるいは銀行は、高度成長ですが、走り過ぎてはいないか、また貸し過ぎてはいないか、大企業と癒着してはいないか、こういう五つの問題を問題点として私自身が持っておるのです。そういうようなことについてここでもいろいろ議論が出ましたけれども、どういう取り組みが行われるだろうかという期待させるものがここに何があるかということについて、どうもぴんとこないという意味で、そのねらいは何か。たとえば、ここにも書いてありますね、銀行のあり方を全部見直すと、こういうのです。見直すなら見直す立場とプリンシプルが要るわけだけれども、どういう立場からどういう見直しをするのかということについて、われわれがびんとくるような見直しの指導原理、見直しの理念というものがない。その辺についてひとつ伺いたい。  時間がないから、もう一つあわせて申し上げますが、その本当のねらい、見直しの根本の立場は何かということと、それからもう一つは、先ほど来いろいろ出ておる金利自由化も時間がないから触れませんが、競争原理あるいは市場原理というものについて一言だけ私申し上げておきたい。  これは言葉としては、市場原理も競争原理も金利自由化も皆非常に響きがいい。金利自由化についてはまた改めてゆっくり論議をしたいと思うのですが、私は、立場としての問題で競争原理の問題、一言だけ申し上げたい。それは、資本主義経済のこの発展の段階というものを考えた議論にならなければいかぬ、こういう意見なんです、私の結論は。だから、みんなの力が同じくらいで、フェアプレーでしっかり競争しなさい、そうすれば富の蓄積がたくさんできる、こういうときの市場経済原理というものは、一〇〇%それだけの意義があるとぼくは思うのですね。賛成ですよ。ところが、いまそういう時代でない。  そこで、たとえばこれはゾンバルトか何か言ったと思うのですけれども、競争には三つあると言うのですね。これはひとつ佐々木さんにぜひ考えてもらいたい。競争には三つある。一つは仕事の競争。品質だとかサービスの内容とかいうような仕事の競争。一つは独占の競争。いまの日本は、カルテル列島と言われたり寡占、独占と言われたりして、独占の競争ですよ。三つは広告の競争。本当の競争というのは仕事の競争なんです。ところが、現実は独占の競争であり広告の競争だ。そういうときに、競争原理復活、競争原理だ、競争原理だというようなことは、経済の発展の段階を忘れた、抜きにした議論だとぼくは思うのですね。だから、ここにもいろいろのこと書いてありますけれども、論旨が非常に明快にならぬというのはそこの食い違いがあると思うのです。たとえば金利自由化とこう言う。そういうことを言うべき段階かどうかということを考えないで言っているものだから、ちぐはぐが出る。先ほどから佐々木さんはいろいろ配慮して言われていますけれども、それは当然なんですよ。いまそういう競争原理一〇〇%の時代じゃないんだ。だから、それは長期の一つの課題であるとかあるいは将来の課題であるとか、あるいは弾力化をすると言っても、その弾力化にもいろいろの制約を残しつつと、こう言わなければならぬ。そう言わなければならぬというところに問題があるのですね。結局そういう意味で、段階が一〇〇%自由競争礼賛の時代ではなくなってしまっているんだから、そういうときに競争原理に返るなんというようなことは、将来の課題ではなくてそれは過去の課題なんだ。これからはそうではなくて、日本の経済も日本の金融も、どういうふうに計画性を持たせるかということの方がより大きな課題なんだ。大蔵省から言わせれば、国債の消化の問題もあるでしょう。先ほど出た預金部の資金の運用の問題もあるでしょう。いろいろの点を考えると、これからは自由競争原理に返っていくということに経済の大きな進歩的な意味やあるいは大きな役割りを期待すべきか、あるいはそれをコントロールする形の中において、もちろん大蔵省の通達行政をぼくはどんどんやれと言うのじゃないですよ。そういうやり方はもちろん改めなければならぬと思うけれども、指導原理から言えば、経済の段階がまるっきり変わって、いまは寡占、独占、広告の競争が盛んになって、それがために問題が多い、そういうときの取り組み方としての問題意識というものがここにないと思うが、どうでしょうか。  この二つだけ。それで終わりにします。

佐々木直金融制度調査会会長

○佐々木参考人 非常に基本的な問題についての御意見でございまして、いままでこの調査会で検討しております審議の過程においては、そこまでの、今後の経済体制の変化まで見通した、そういったような立場の検討というものはいたしておりません。  とにかく、重ねて申し上げますけれども、いまの中間取りまとめの性格が、私どもの企図していたのと皆様の御期待とがあるいは非常に食い違っておったという点に非常に問題があったように思います。御指摘の点は、今後の制度調査会の検討の上で十分参考にさせていただきたいと思います。

山本幸雄自由民主党

○山本小委員長 佐々木参考人に対する質疑はこれにて終了いたしました。  佐々木参考人には御多用のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。     —————————————

山本幸雄自由民主党

○山本小委員長 引き続き質疑の申し出がありますので、これを許します。広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)小委員 銀行局長にお伺いいたしたいのですが、ことしのつい最近でありますが、先ほどもお話が出ましたけれども、福島信用金庫国見支店におきまして、ここに「福島民報」という地方紙に出た記事がございますが、この国見支店の女子職員二名を含む五人の職員が深夜労働に従事して、これはもう明らかに労働基準法六十一条違反であることははっきりいたしているわけであります。先ほどもちょっと答弁がありましたけれども、伝票等の不突合というようなこともあったのでありましょう。そういうような、いずれにいたしましても労働基準法違反の超過勤務をさした。超過勤務だけではなしに、深夜労働禁止の労基法の条文にも違反をしているそういう仕事をさせた。そして、深夜に自宅に送っていこうと一緒に超勤をやっておった男子社員が運転をして、用水堀に落ちて十数時間後にやっとこ発見をされた、こういう状況が出たわけであります。  こういう痛ましい事故、男子三名、女子二名のしかも皆若い人たち、こういう人たちがこういう事故に遭われたということは、銀行に対する過保護の問題も一つはあるし、あるいはまたそういう職員に対する労働条件、労働時間、そういうものがいかに銀行関係、金融機関関係で守られてないかというような問題。特に労働基準法に対する遵法意識というものが実に希薄である。しかもそれがトップレベルになればなるほど希薄である、こういう問題を含んでいる、こういうように考えるわけであります。  しかも、時間がもうありませんので簡単に言いますけれども、郡山労働基準監督署からその前に、昨年の九月あたりに、実に懇切丁寧な指導、勧告等が出されているのです。女子職員に対するやり方はこうしなければならぬというようなところまで、実に微に入り細にわたる勧告までなされておる。そういうことがあった上で起きた事故であるという点で特に私どもはこの問題を見逃すわけにまいらない、非常に重大な問題を含んでいる、こう思うわけでありますが、この事件を銀行局として、大蔵省として知った際に、どういう感懐を持ち、どういう受けとめ方をしなければならないか、これに対する対処をどう適切にやらなければならぬか、そして将来このような痛ましい事件が発生しないようにこれに対してどういう対策を立てようと決意をされたのか、その点伺いたいと思います。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 御指摘の事件はまことに痛ましい事故でございまして、私どもも非常に残念に思ったわけでございますが、当金庫は、御指摘のように前にも労働基準監督署から注意を受けていたというようなこともございますので、やはり労働基準法——まあ労働時間、深夜勤務というようなことについてのいろいろな理由があるとは思います、いろいろな理由はありますけれども、やはりそういうことは基本的に守っていくという心構え、それが金融機関自身にどうしても必要ではないかと思っております。目下、いろいろな事情を調査しておりますけれども、この事件を契機にいたしまして、全国信用金庫協会におきまして、傘下の全国の信用金庫に対してそういうことについての経営者としての経営上の問題、注意を喚起して、これからそういう事故が二度と起こらないようにということを示達するということを考えておるところでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)小委員 その信用金庫協会の会長に対して、銀行局長からあるいはどなたからどういう趣旨のことを言われたのか、それは文書になっておる問題ですか、それとも口頭注意というような程度でございますか。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 これは私からでございませんが、担当の課がございますので、直ちに事故の状況を当核金庫から詳細に聞くようにいたして、そして同時に、信用金庫協会の方に連絡をいたしまして、これはまた信用金庫協会としましても、やはり自分の傘下の金融機関の問題でございますから、非常に重大に受けとめておるわけでございまして、特に文書でこちらから指示したというわけではございませんけれども、同じ考え方に基づいて処置をとろう、こういうことで、現在信用金庫協会の方ではいろいろと立案をしている、こう聞いております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)小委員 そういう程度で事が終わろうとは思わないのです。銀行関係、金融機関関係で滋賀銀行とか岩手銀行、東北銀行、大分銀行、羽後銀行、先ほども問題になりました千葉興業銀行、秋田銀行——千葉興業銀行なんかは何回も勧告されている。それから横浜銀行、もう地銀のトップクラスの銀行であります。あるいは駿河銀行、静岡銀行なんかもあったと思いますが、千葉銀行も……。こういうようにこれだけの一冊の本になるくらいに労働基準監督署からの勧告というものが労働基準法違反事実に対してずいぶんなされている。こういうところで、なるほど月末の決算あるいは決算の締めをするというような場合に非常に過酷な条件下であることを先ほど銀行局長も認められておりましたけれども、そういうことが確かにあるのですね。あるのをそのままにして——それはそういう不突合があった場合にはそういう状態になるという場合でも、その日にやらなければ本当にどうしようもないのか、あるいは翌日に回しても、そのことだけきちんとしておけばやりようはある、考えようによっては幾らでもやりようはある、そういうようなことがあるわけですね。  したがって、こういう事件がたまたま発生したということ、これは大変な事故だと思うのですよ。労働基準法違反をやりながら、たとえば女子労働については一日について二時間以上やってはいかぬという規定がある。一週間六時間以内である。あるいはそれを若干緩和するような形で二週間について十二時間というようなことが行われているけれども、それはやはり一日について二時間というようなものを守りながらそういう範囲の中におさめるということなんであって、あるいは休日労働の禁止だとか深夜業の禁止であるとか、こういう労基法の定めがある。これが、信用を一番大事にしている銀行、金融機関というものがこういう面ではまさにこういう法律違反を平気でやる。忙しいんだから仕方がないんだ、そういう決算を締めるためには、不突合があればそこまでやらなければいかぬのだ、そういうことだけで人命にかかわるような事故に連なるような深夜労働を女子にやる、あるいはいろいろな違反をやっていく。しかも労働基準法自体にも、特に女子労働に関するいろいろな規制について労基法の百十九条で罰則として六カ月以下の懲役あるいは五千円以下の罰金というような罰則規定もあるわけですね。こういうものに違反してやって、それを忙しい、やむを得ないんだという形で見逃していったら、あるいはまたこういう非惨な事故がとめどもなく起きる可能性すらはらんでいる。あるいはまた、単にこういう痛ましい交通事故というような問題ではなしに、いろいろな意味で、深夜帰っていく若い女子行員等に対するいろいろな犯罪なども起きる、その被害者になりかねない、こういうこともあろうと思うのです。したがって、ここでやはり一罰百戒的に——銀行のそういう労働関係の法令等に対する遵法意識がきわめて低いということは大体において傾向としてまず間違いないだろうと思うのですが、銀行法二十三条には御承知のように法令に違反するというような場合に、主務大臣は業務の停止あるいは取締役、監査役の改任を命ずる、あるいは営業の免許取り消しをすることができるということが書かれておりまして、この二十三条は信金法の八十九条によって準用されているわけでありますから、こういう規定をたまには——勧告を何回かされていながら、しかもその違反をあえてやってこういう痛ましい事故に発展したというようなものに対して、注意をして、そういうことを起こさぬでくれよと言う程度の処置で事が済むとは私は思わないわけであります。そういう点で、この銀行法二十三条を適用して何らかの形のきちっとした処分が行われる、これは、やはりそういう労基法違反を平然とやっているような金融機関に対する一罰百戒的な重みを持った処置として、一つの改善の方向に大きな転機をなす契機になるだろうと思うのです。そのくらいのことを何か考慮をしなければならないだろうと思うわけであります。  恐らく銀行局も、出先の財務部等に大体信金の監督というものはやらしているわけですから、本省から、銀行局から事態を重く見て直接調査員を派遣するというようなこともやられていない、そういうことだろうと思うのですが、そういうなまぬるいやり方では、このような違反事実を防ぐわけにはまいらぬ、このように思うのですが、そういう御決意がおありですか、どうですか。  きょうだけで銀行局長は国税庁長官になられるということでありますが、しかし銀行局長として決意をしたら、それは次の局長にきちっと申し送りをしていただいて、この問題がうやむやにされないようにしなければならぬと思うのですが、いかがでございますか。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 労働基準法違反の問題でございますので、これは当該関係当局が具体的に調査をいたしまして、そしてその法規に照らして処分がされるものと思っております。それを受けまして銀行行政の面からどのようなことをするか、たとえば銀行法二十三条を発動するかというようなことでございますけれども、二十三条というものは、御案内のように業務の停止あるいは免許の取り消しまで至るような、銀行業務の根幹に関する違反がある、こういうようなことに考えられます。そこまでは私はこの事件についていまは考えておりません。また、それがこの銀行法の適用として正しいかどうかについては非常に疑問を感じております。しかしながらその担当者、経営者、これについてどういう心構えがあるかということは厳しくただすべきであろうと思っております。別途の方法でもってその指導をしてまいりたい、こう考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)小委員 時間も過ぎておりますので簡単にしますが、業務の停止だとか免許の取り消しとか、私どももそういうところまでは言っていないのです。しかし、せめて取締役、監査役、こういう人たちはやはり責任があるだろうと思うのです。こういう人たちの改任を命ずるという程度のことぐらいまでは、あるいはさらに一歩進めて、一日でも業務停止を命じて謹慎をさせ、罪の重大さを認識させるというようなこともやはりこれは必要だろうと思いますが、長期にわたって、地域の人たちの金融機関ですから、その悪影響を与えるようなところまでは要求しておりませんけれども、そういう手だってあるわけですから、段階があるのですから、せめて担当役員の改任を命ずるなりあるいは短時日であってもそういう業務の停止を命ずるくらいのものをやらなければ、恐らく銀行法二十三条をほとんど適用したためしないだろうと思うのです。いろいろな不祥事故がずいぶん金融機関でも出ておりまするけれども、そういうものについてやはり断固たる行政監督当局としての大蔵省の態度というものはこの事件に関して私は必要だろうと思う。  これはいまここでそのようにやりますという返事をいただかなくてもいいですけれども、そういうことも含めて検討をしていただくように、これはもうきょう一日であなたの仕事も、銀行局長としての仕事が一応終わるようでありますから、後任の局長にきょうの質疑の問題をきちんと申し送りをしていただいて、いずれまた、大蔵委員会でさらに時間をかけてこの問題も扱いたいと思いますし、その前に、銀行局がとった、大蔵省がとった対策等も逐一報告をしていただきたい、こういうように考えます。その答弁を求めて私の質問を終わります。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 今後よく検討いたします。検討をするように後任に十分の引き継ぎをいたします。また、先生からの質問、御要望がございましたことも十分にお伝えします。

山本幸雄自由民主党

○山本小委員長 午後一時四十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時六分休憩      ————◇—————     午後一時四十一分開議

山本幸雄自由民主党

○山本小委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 大蔵省が銀行検査をやっておるわけでございますが、五月七日付の日本経済新聞の記事によりますと、銀行の不良貸し付けが急増している。都市銀行の場合一・四%、地銀が二・六%、五十年度分の集計ですが、不況前の一・五倍から四倍、そういう程度に急増をしておる。そういうことから大蔵省としては七月から検査を強化するというような記事がございますが、その事実関係を——まあ銀行検査の公表というものがいままでございませんし、世上言われておりますように、土地融資等をめぐりまして、あるいはまた景気がこういうような状態で不況下に入っておりますためにいろいろな問題が山積をする中から、そういうような過去に融資をしたものが焦げついておるというような問題等も予測ができるわけでございますが、その状態はどういうような状態にいまなっているのか、この点を明らかにしてもらいたいと思うわけでございます。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 検査の結果、銀行の貸し出し内容、資産が焦げつきといいますか、延滞が多くなっているということがわかっておるのは事実でございますが、その新聞記事に出ました数字、もちろん検査部や銀行局が発表したわけじゃございませんので、その数字につきましては、言及することをちょっと差し控えさせていただきたいと思いますけれども、これは、この最大の不況と申しますか、かなり長期間にわたる経済の低迷、御案内のとおり企業の収益が著しく悪くなっているという状態をやはり反映いたしておりまして、銀行の資産としては資産の固定化傾向が生じている、これは否めないところでございます。ただ、それは銀行経営にとって非常に心配な状態になっておるかと申しますれば、必ずしもそうではないのでございまして、今期の収益につきましては、経常収支そのものは若干低下しているのはやむを得ませんけれども、午前中にも御質問がございましたような比較的安定した状態にあることはあります。  ただ、銀行経営の基本は何と申しましても、健全性というものが公共的使命に対する重大なポイントでございますので、この点は今後とも十分注意をしていく必要があると思っておりますが、検査を強化するというぐあいに報道されておりますけれども、これは、従来からそのときどきの目的に応じまして特別検査というような方法でやったりしたことがございますが、現在の定例検査ということでまんべんなく対象金融機関を現在の検査員でもって検査しようといたしますと、やはり間隔がかなりあくわけでございます。かつ、定例検査といいますか、私どもなるべくその期間の伸縮を図っておるわけでございますけれども、巷間聞くところによりますと、もうそろそろ検査が来るころだという予測が行われておるというようなこともございますので、なるべくそういった定型的でない方法、ある検査に重点項目をしぼりまして、そうして短期間の間に、これはどうしてもやや浅く広くということになると思いますけれども、そういうことで機動的な検査方法というものを取り入れたらどうか、今年度からそういう計画をつくっておるわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 いま検査官というのは本省と出先と合わせてどれぐらいおるのですか。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 本省の検査官は約八十名でございますが、出先を合わせまして、恐らく同数ぐらいだと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 そこで、現地の金融機関等に私たちも寄ってみますと、大蔵省の銀行検査がありますということでばたばたしている。この前検査があったじゃないか、あれは日銀の検査でございます。まあ同じところに集中的に——それは問題がある金融機関であれば、日銀の方もあるいは大蔵省の検査も一カ月を経ずしてやるという手もあるでしょうが、限られた人数の中で浅く広くということでおやりになるということになるならば、もっとそこら辺は、大蔵省のサイドだけで考えるんじゃなくて、日銀は日銀なりのまた立場もありましょうが、健全な金融機関の状態を維持しているかどうかというようなことについて、実地調査やあるいは本検査とかいろいろ検査にも手段があるようでございますが、そういうようなのをうまくかみ合わせながら、効率的にやる方法というものはないのかということを私はいつも考えるのです。そこら辺はもう、これからやはりそういうような意味においては限られた人数で所期の効果を上げる方法はどうしたらいいのかということを、大蔵省自身としても検討されるべきではなかろうかと思っておるわけですが、どうですか。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 おっしゃるとおりでございまして、日本銀行考査局が、それは日銀としての営業上の目的が主でございますけれども、考査を行って、これは日銀と取引のある金融機関に限られますが、それで私どもとしましても、たとえば同じ日に両方が行くというようなことはおかしなことになりますので、なるべく連絡をとり合いまして、それが時期的にずれるような工夫はいたしております。それからなお、相互に情報を連絡し合うということはいたしておりますが、さらにもっと工夫の余地がありはしないかということは、十分検討したいと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 先ほど数字はこの際遠慮したいということでございますが、お尋ねをいたしたいのは、先ほど金融制度調査会の中でこれから検討したいというようなことを会長も言っておりましたが、そういうような段取りになっておりますという話でございました。というのは、私が一、二例を挙げまして取り上げました私鉄十四社の借入金の問題、あるいは商社の貸付金に対する中から土地の方に回した融資金の問題、こういうような問題については、個別の金融機関がどうだとかあるいは個別の企業がどうだという形ではなくて、全体的なものとして、たとえば国土庁の土地白書が出されましたね、そういうようなので一つの推計の数字が出ている。こういう中から一体どういうような産業群に貸したのかというのもトータルが出ているわけですね。  たとえば国土庁が四千五十一社について調べたものがございますが、不動産業者に対してはどの程度の土地を保有をしている、運輸通信はどの程度の土地を保有している、その土地を購入するために企業が投入した資金はこの程度であろう、およそ九兆八千億円程度の資金を投入している。うち借入金が六兆一千億である。一年間の企業の金融機関に支払う金利が五千五百億円と推計される、こういうふうに白書には出ておりますね。  そういう状態から見まして、いわゆる金融機関の社会的責任という立場から、私たちもこれを知る権利がある。だから、個別の企業が、個別の金融機関がどうだというような数字を局長の方から承ろうとは思いませんが、しかしどういうような状態であったかということを知りながら、どういうふうに金融機関はあるべきかということについては、国会の前にそういうようなトータル的なものとして、あるいは傾向的なものとしてお示しを願うことが、これは国民の代表として国会に出てきているわけですから、そういうようなものは一切お蔵入りにしておきますというようなことでは国政の審議はできない。私は、そういう意味において、やはりそういうような傾向のものをこういう小委員会で明らかにすることが、小委員会を発足さした目的にもかなうことだと思うのですが、その内容は明らかにできませんか。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 国土庁は土地調査の方からもととなる数値、保有の土地の面積等を出しまして、それからそれを金額に直すのはある推計を用い、そしてさらにその上に、借入金による調達というものは一般的な借入金比率みたいなもので大胆な推計方法を用いて出しておるわけでございますが、金融面から貸し出した金が土地の取得に向かったということは、悉皆調査をいたしましても、たとえば商社のごときものはその資金使途について具体的な把握がなかなかむずかしい面もございますので、およそその土地向けの融資というものがどうであったかということをある具体性を持った数値としてお示しすることは、ちょっとなかなかむずかしい、不可能に近いと思っております。しかし私どもは、いまございます業種別の統計を見ましても、一般不動産業向け貸し出しのほかに、あるいは建設業もありますれば、あるいは普通のメーカーに対する貸し出しであっても、それが実は土地の開発に向かっていたというものもございますけれども、不動産業向け貸し出しの推移を見ておりますと、やはり昭和四十七年の夏ごろから急激に増加をしておりまして、そのときの四十七年の第二・四半期、第三・四半期、これは四半期ごとの増加率が一八%から一九%近くというような増加率になっております。この当時、不動産融資に対する注意を促す通達を銀行局から出しておりますが、それから次第に増加率のベースが下がってまいりまして、四十九年になりましてこれが減少の状態になっております。  残高で申しますと、四十八年三月、つまり四十七年度末でございますが、このときの不動産業向け貸し出しは四兆三千五百五十七億でございまして、このときの総貸し出しに占める比率が六・九%、ちなみに四十七年の三月末、一年前は五・三%のウェートでございましたから、この間の上昇率は非常に高いのでございますが、この六・九%がピークになっておりまして、その後漸次比率が下がってまいっております。手元にあります資料では、五十年九月末現在で、総貸し出しに占める比率は六・三%というぐあいになっております。漸次下火になっていることは確かでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 やはり業態別にどのような貸し出しがなされたのか、これは大口がいまお話がありましたように、企業の中で一番土地を取得をいたしましたのは、これは営業形態にもよるわけですが、不動産業であることは間違いない。その次には運輸通信業があるわけです。それから次が建設業、その次が商社、それから紙パルプ関係から工業、農業系の企業という順序に並んでいるようでありますが、一番大きいのは何といったって不動産業関係、これが二万七千ヘクタール程度のなにがなされたであろうというふうに数字が出されているわけです。運輸通信関係が一万八千五百ヘクタール、それに建設が一万六千ヘクタールというのですから、そういうようなものに対して金融機関から融資がなされたことは間違いない。有価証券報告書等によりまして調べるという手があるわけでございますが、最近の雑誌等によります問題などを広げてまいりますと、まさに土地を、不動産投資をして、それの市街化調整区域を買いまして、市街化区域内の土地投資であれば換金ができるわけですが、調整区域の地帯を買ったためにさっぱり動きがとれぬというようなことで、土地が寝たままになってしまってつぶれた企業等も、興人に見られますように出てくるわけです。  転ばぬ先のつえということがありますように、そういうようなのに対する貸し付けが行われたという事実の上に立ちまして、銀行の不良貸し付けが急増——一般的な景気の沈滞に伴う不良貸し付けの問題もさることながら、そういうようないわゆる思惑で土地ブームに乗ってもうけてやろうという形の中で企業が借り入れる、そしてそれが焦げついてしまう、こういうような状態の中から金融機関に対する国民の批判の声が非常に強いわけですね。ですから、この際そういうような個別の企業、金融機関名を明らかにすることは適当でないと思いますが、やはり現実を正しくとらえるという立場から、金融制度調査会の方には適当な資料をお出しになるんでありましょうし、われわれ大蔵委員会にもこの小委員会あたりにはその資料を提供願う、そして社会的な批判に耐えられるような金融政策というものを確立をしなければならぬという立場からそういう資料を提供されてしかるべきだと私は思うのでございますが、そのことについてはいかがでございますか。小委員長の方で適当な取り計らいをいただきたいと思いますが、いかがですか。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 金融制度調査会には、先ほどもちょっと触れました業種別貸し出しの状況であるとか今後の審議の参考になるべき資料を提出しておりますので、それにつきましてこの当小委員会のまた御審議の参考になるようにという意味でお配りすることは検討したいと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 検討したいということでございますので、小委員長の方からそのことはそういうようにしてもらうように要請を願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。

山本幸雄自由民主党

○山本小委員長 銀行局長、いまの御答弁の検討ということじゃなくて、なるべく出していただく方向で考えてもらうということで……。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 なるべく出す方向で考えるようにいたします。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 といいますのは、やはり銀行の経営責任というものが、われわれが放漫貸し出しだ、インフレを促進するような土地融資というもの、これがなされたあげく大量の焦げつけ債権が発生をする、そういうようなのに対しても経営責任が株主総会あたりでは追及されない。総会屋がおりまして十分くらいの間に株主総会は済んでしまってしゃんしゃんのうちに終わる、こういうようなのが現実の日本の株式会社の実態である。そういうような意味から、金融機関というものはつぶれないんだ、取りつけ騒ぎもない、限界的な金融機関も成り立つように過保護の行政が行われているという実態をわれわれ自身が明確に見定めながら、この金融機関の制度の問題についてはどうあるべきかということを、国会の方は国会の立場で論議をしなければならぬと考えますので、私は申し上げたわけでございます。その点は十分におわかりになっていらっしゃる局長でございますので、先ほどの件については適切な措置を願いたいと思います。  そこで、もう一点だけ申し上げますが、これは四十九年の十一月でございましたか、大口融資規制が都銀の場合では広義の自己資本の二〇%の範囲内ということでございましたが、五十一年の一月でしたか、一時緩和の措置をたしかとったと思います。それば安宅産業と東京電力と日本鋼管向けに対しまして確かにそういうような措置をとったことを記憶をしておりますが、これはなぜそういうような一時的な緩和措置をとったものなのか、この点についてはどのように現在はなっておりますか。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 四十九年の暮れに大口融資規制の通達が発せられたわけでございまして、それに御案内のような自己資本に対する比率をめどに五年後までにそれに達するようにということで、その途中の比率については特別に具体的なものを決めていないわけでございますが、すでにオーバーしているものについてはなるべくそれをその基準内におさめるようにということで、貸し増しをするということについては非常にシビアに考えておったわけでございます。その当時の通達にも、もちろん経済は生き物でございますので、ただ単に線をかいたように硬直的に指導を進めますとえらい問題が起こる可能性があるという意味で、どうしてもそういうぐあいにならないものについてはその都度個別に届け出をしてくれ、こういうぐあいになっておりまして、いわばこれが一種の弾力条項と言われておりますけれども、その基本的な構えば現在も変わっていないわけでありまして、ことしの一月初めに大々的にこれが新聞記事に報道されましたのは、ある席上で事務次官がこの従来からの方針そのものを重ねて言明をしたからでございますが、それはやはり当面の不況の状態というものと、それから電力にしましても鉄鋼にいたしましても相当の設備投資の計画を持っておる、現在の経済状態ではその設備投資をなるべく促進させるような政策が必要であるということが一つと、また安宅産業の名前が出ましたけれども、経営が非常に苦況に陥っているというような企業に対しましては、やはりメインの銀行が十分なサポートをいたしませんといろいろ混乱を招きかねない、そういうことから、改めて従来の方針、法則といいますかを言明したわけでございまして、それは現在におきましても変わっておりませんけれども、そのときどきの資金の需要の状態を見まして個別に相談に応じておるというのが現状でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)小委員 時間がありませんからもうこのあたりでやめますが、安宅産業の場合には伊藤忠との合併の問題等もあるわけでございまして、安宅のメインバンクは協和銀行でございますが、五十年度の経常欠損が百五十億から百六十億円と言われておる。国内に約一千億円、国外に一千億円の不良債権を抱えているというようなことで、伊藤忠との合併の問題が上りましていろいろ問題が出ておるようでございます。しかし伊藤忠の場合でも、どうも販売用の不動産の保有面積等をいろいろな資料で調べてみますると、千五百九十万平米あたりの土地を持っておる。それだけではなくて子会社の方も相当な販売用の不動産保有面積を持っている。しかもそれはほとんど市街化調整区域にあって、市街化区域内の中にある直ちに転売ができるものでもない。そういうような土地買いに走った商社として非常に指摘をされてきた、そういうようなものとの合併の問題等々もありまして、問題になっている状態があるわけでございますが、そういうようなのに対して大口融資の基準枠を決めてその企業がつぶれないようにするために緊急的な措置をとられるということは、五年間でその達成を図るという考え方の中で仮に便宜的にとられるとしても、果たしてそういうような協調融資といいますか援助融資というような形のものでこれからも原則を曲げていくようなことが次から次に出ていくならば、それは事実問題として大口融資規制というものは形骸化していく、形が残るだけの規制にとどまるんじゃないか。そういうようなことがあるから行政通達だけに任せるというやり方は間違いである、これは立法化すべきだという意見を私たちは持っておるわけですが、そのことを前の銀行制度の改革の中では案として出したこともございます。しかし金融制度調査会でいま検討中でございますので、どういうようなものが出てくるのか、われわれとしては注目をしておきたい、このことだけを申し上げまして、時間の関係で、返事は要りませんが、これで終わりたいと思います。

山本幸雄自由民主党

○山本小委員長 佐藤観樹君。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 私は、きょうは証券行政だけについてお伺いをしたいと思うのです。  まず、五月十一日に証券取引審議会が「株主構成の変化と資本市場のあり方について」という答申を出されたわけであります。これをざっと読んでみて、非常に総論的と申しますか、果たしてこれがどこまで実現するだろうかという非常に危惧の念、あるいは従来言われてきたことの総まとめにすぎないのではないかというような感じがするわけです。この中の基調というのは、個人株主の減少を一体どうやって食いとめていくか。これはずいぶん前からもずっと言ってきたことでありますけれども、いま四十九年度で三三・五%、三分の一に個人株主が落ちてしまったわけでありますので、一体この減少傾向をどうやって食いとめて、本当に資本市場、流通市場の整備を行っていくかということになるわけでありますが、どうも、いま申しましたように、具体的に従来から言われてきたこと以上に出ていることがない。私も非常に印象的だったのは、税制だけについては、これはきわめて具体的に書いてあるわけでありますけれども、あとのことについては大体従来言われてきたことの総論にすぎないんじゃないか。確かに個人株主をふやす問題というのはあらゆる角度から総合的に推進していかなければならぬし、長期的に取り組む問題だということも「おわりに」というところに書かれているわけでありますけれども、証券局長としてこの答申を受け取って  一体どのような、あくまでこれは総合的だと言えばそれまででありますけれども、一体どこに力点を置いて今後ともこの個人株主をふやしていく対策というのを考えていらっしゃるのか、まずその点からお伺いをしたいわけです。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 最初に先生から御指摘がございましたけれども、この証取審の答申は約一年半にわたって慎重に審議されたわけでございますが、私どもといたしましては、まあ先生の御指摘は新味がないというお話ではございますけれども、初めからの取り組み方が、これは直ちに法律の改正とかそういうものを目的としたものではなくて、従来議論されていたような問題を総合的に洗い直してみる、そしていまの重要な問題点は何かということをもう一遍えぐり出してみて、そこから出発した議論で、中にはもうその議論の最中に実際に移していくものもあるだろうし、将来にわたって法律の改正——これは御承知のように証取法というのは商法等の関係もございますので、そういう他の法律との関係も勘案しながらいろいろと将来の問題を加えていきたい、こういうことで発足したわけでございますが、実際にやってみまして、先ほど先生御指摘のように個人株主の減少傾向という昭和二十五年以来の傾向をどうやって食いとめたらいいか、これは国民経済的にあるいは資本市場の発達の上においても基本的に大問題であるということの再認識はまさにこの証取審の答申によって行われたと言ってもいいんじゃないかと私は思います。  そこで、その個人株主づくりをおくればせながらいまからやっていくに当たりまして何を基本としたらいいかというような議論は、先生御指摘の税法だけではなくて、いろいろな角度からここに盛っております。ただそれを一言で言いますと、従来と違いまして、この問題を何回も取り上げながら、私どもが申し上げたい点は、発行会社に対する働きかけという点についてはいままで余り議論されておらなかった、むしろ発行会社の立場というかそういうものが、たとえば株主の法人寄りというような傾向をとってみますと、結局それが株の動きをとめているというか投資層を薄くしているというようなことがいわば問題になっている、これは発行者自体に問題があるのじゃないかという点を一つとらえている。それからもう一つは、いま先生御指摘の配当課税のあり方、これはどちらかというと税制の面から常に議論がされておるわけでございますけれども、資本市場の発達の上において株式配当課税というものをどういうふうに見ているかということをもう少し声を大きくし胸を張って主張すべきじゃないかという点が一つございます。それから機関投資家の問題がもう一つ言及されておりまして、これは個人の株主、投資家と同じように見て、従来とかく発達してなかった機関投資家をもう少し育てていくというか活用していくというか、そういう余地があるんじゃないか。最後に投資者保護というたてまえ、これを相当いろんな個所でつかまえております。これは私どもは画期的なことであろうというふうに考えておりますけれども、御指摘のように、いま直ちに何かするというようなものでございませんので、全体的に、いろいろな御批判はございますが、先生も認めていらっしゃいますように、かなりいい勉強をしたというふうな御批判もいただいておりますので、私どもはこれを踏まえまして、具体的な行政の面においていろんな問題点を生かしていきたいと考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 つまりこの答申をいろいろな形で完全に実施すればすばらしい証券市場ができてくると私は思うのです。問題はこの答申を絵にかいたもちにしないためにはどういうことをすべきか。これは従来大蔵委員会の中でもずいぶんやってきたけれども、社会的に批判が集中してそれによって幾らか改善をされたものがあるわけですね。時価発行のプレミアムの問題にしろ、大蔵委員会でやるとそれなりに幾らか規制はされてくるんだけれども、なかなかトータルで物が改善されていかないというのがこの今日までの証券行政だったと思うのですね。そういった意味で、この答申というもの、労作を絵にかいたもちにしないために、どうしていくかということになっていくと思うのです。  そこで具体的な問題に入りますけれども、いま社債の発行限度額がかなり迫ってきた会社があるわけですね。たとえば機械工業、自動車関係の会社、造船、電機工業、電子機械工業、こういったものは言うまでもなく商法の二百九十七条の枠の中でしか社債が発行できませんので、発行限度額がもう残り少なくなっている会社が幾らでもあるわけです。この問題からきょうは入っていきたいと思うのですけれども、これらの業界では商法の二百九十七条を改正して社債の発行限度を撤廃するあるいは引き上げるというような意見があるわけで、学者の先生方もいろいろな角度から、理由は違うにしろ商法の二百九十七条の社債の発行限度額、この項目をなくしてもいいのじゃないか、こういうような意見もあるわけであります。この商法の二百九十七条、つまり純資産ないしは資本金プラス法定準備金、この限度内でしか社債が発行できないというのは、これはまさに会社の財務経理を健全にしていく基本だと私は思うのですね。銀行からの借り入れは、銀行側の大口規制はありますけれども、借り入れの限度枠がないということも一方では大きなしり抜けになっているわけです。そのことはいまさておきましても、この商法二百九十七条というのはそういった意味で企業財務を考える場合に全く基本的な重要な項目だと思うわけでありますけれども、各業界からそのようないろいろな要望が出ているわけです。  この点について問題全般が大蔵省の問題あるいは証券局の問題、商法が絡んできますので必ずしも証券局の問題とばかり言えないわけでありますけれども、やはり社債の発行という問題になってきますと、証券局というのは非常に大きなウエートを持ってくると思うのです。いま申しました商法二百九十七条の社債の発行限度額の問題についてはどういう考えを持っていらっしゃるか、これをお聞かせを願いたいと思います。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 いまの先生の御指摘の問題は、いま当面しております一つの企業の資金調達の問題の中の一番重要な問題でございますので、お答えが長くなりますけれども、商法二百九十七条は御承知のように、「社債ハ資本及準備金ノ総額ヲ超エテ之ヲ募集スルコトヲ得ズ」という規定でございます。したがいまして、この規定がある限り、現実にいま御指摘のような社債の発行限度枠のもうぎりぎりにきておるというような企業におきましては増資をしなければ社債が出せないというような状況でございます。  しかしながら、この規定をよくいろいろなふうに持ち出されるわけでございますけれども、二百九十七条自身の規定はむしろ社債権者保護というたてまえでございまして、この規定によって社債権者は守られているというか、社債の乱発というかそういうものを防いでいるわけでございますから、これはこれなりに非常に意味がありまして、なおかつその規定を推し進めてまいりますと、やはり自己資本充足というか、企業の財務体質内容の充実といいますか、そういう点にも非常に役に立っておる規定でございます。  したがって、いま企業が社債を出せないからこの二百九十七条を直ちに撤廃する、もちろんそういう声もございますが、そういうことは一方において社債権者保護とかあるいは自己資本充足というような問題を片づけないでその法改正はできないであろう。その辺の問題点を実は法務省の法制審議会商法部会で現在議論をいたしております。当然私ども、大蔵省も参加いたしておるわけでございますが、その辺の審議を待たないとなかなか前へ進めない問題であるということでございます。ただ御承知のように、電気、ガスにつきましては先般の国会で、特殊な事業法がございますので、それをもとにいたしましてやはり発行限度を上げております。いま御指摘のような鉄鋼とか特殊な業態におきましてはかなり苦しい問題がございます。  それから、ひとつ観点をかえて申し上げますと、社債と一時借入金のどちらが企業にとってベターであるかといえば、それは他人資本といえども長期の借入金の方が、社債の方がベターでありますから、企業の財務体質内容からいけば、社債に依存していく、あるいは大口融資規制のあおりを受けた企業が社債に活路を見出すというようなことはあり得るし、それはそれなりに意味があるわけでございますけれども、それだからといって直ちに二百九十七条、これが邪魔になるからこれを撤廃せよということはなかなか問題が多いというふうに考えておりますが、いろいろ御意見がございまして、現在審議を重ねておる最中でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 いまの結論から言いますと、証券局としては商法二百九十七条の社債の発行限度額のこの基本にかかわる問題については、もちろん法制審でいろいろな論議がありましょうけれども、大蔵省の考えとしてはこの商法二百九十七条はいじる考えはない、こう結論づけてよろしゅうございますね。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 これはいままだそういう結論を申し上げる段階にはございません。と申しますのは、やはりあらゆる角度から、と申しますと、非常に逃げ腰でございますけれども、あらゆる角度から検討しておるところでございますので、そういうあらゆる角度からの検討というものはまだ終わっておりません。また今後の審議あるいは審議会の進提の中でいろいろな問題の提起があるかと思いますので、そういうものも含めて検討を続けていくということでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 何といったって、社債であろうと銀行からの借り入れであろうと、本来はこれは担保というか、その企業の資産の範囲内でやるというのがもう大原則であって、それを大きく外れた場合には、いざ企業が倒産その他になったときには大変な大混乱になるわけですね。特にいま社債の発行限度枠が来た企業なんというのは非常に規模の大きな会社ですから、そういった意味ではこの商法の二百九十七条というのは、企業財務からいって資本金プラス準備金の枠内あるいは純資産の枠内ということは、これは私は基本だと思うのですね。問題は、ちょっと岩瀬局長も触れられたように、日本の企業というのは資本金が平均一五%くらいですが、社債ないしは銀行からの借り入れに頼る率が非常に高い。アメリカが自己資本率が平均約五〇%くらいだと言われているわけでありますけれども、日本の企業が一五%だということはきわめて貧弱な体質の企業であるということになると思うのです。  それでは、社債枠を広げてくれという要望はあっても増資をさらにしやすくしてくれという要望がなぜ出てこないのか。これが私は基本的な問題だと思うのですね。なぜ日本の企業というのが基本的に増資ではなく社債あるいは銀行からの借り入れに頼らざるを得ないのか、この点についてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 自己資本の方が企業にとって究極的にはベターであることは間違いないところでございますが、調達の過程におきまして借入金は金利だけ、社債も利子だけということでございますけれども、増資の場合にはどうしても将来の配当余力といいますか、そういうものがないと増資に応じてもらえません。要するにだれも相手にしないというわけでございますから、相当増資余力を持っていなければならない。それを裸で税金まで計算いたしますと、企業の負担というのは増資の場合にきわめて高いわけでございます。したがって、その辺を比較いたしまして、どうしても安易な借り入れの方へ走ってしまうというのが普通の現状だったと思います。したがって、これは高度成長下におきましては借入金の金利がかさみましても、それを転嫁するだけの成長を遂げてきたわけでございます。ようやくその辺が頭をぶつけてきて初めてここに問題が生じたかのごとく見られますけれども、過去におきましてもやはりそういう負担を覚悟しながら企業家が自己資本の充実のために努力をしてきたという企業はたくさんあるわけです。今日ただいまそれが比較されますと競争力の非常な差になってきておるというようなことでございまして、これはなかなか一朝一夕にそう簡単に片づかない問題かと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 一朝一夕には片づかないといつまでも言っていますと、いつまでたってもなかなかこれはできない問題だと思うのです。いま局長から御説明があったように、たとえば私が企業をやる場合でも、これはいまのシステムでは当然なんですね。借金した方がとにかく増資するよりも明らかに制度的に楽なんですね。それは増資した場合には配当は損金算入になりません。ところが社債を発行して利子を払う、あるいは銀行借り入れの金利を払うという場合には損金になるわけですから。法人税をいろいろなものを入れて五〇%として見てみますと約倍の収益、たとえば四千万だとしますと、社債発行なり銀行借り入れの場合には二千万の収益で数字が合う、増資の場合には約倍の収益がないと、増資をした場合と社債の発行ないしは銀行借り入れをした場合と合わぬということですから、いまの制度からいけば、私が企業側の立場に立ったって、当然増資よりも社債発行なりあるいは銀行借り入れに頼るというのは、制度的にそうなっていると私は思うのです。  そこで、じゃそれをどういうふうに変えるかという問題ですけれども、これは企業財務の観念からいくとなかなかむずかしいかと思いますが、この中で安定成長時代に入った企業にとって考えてみた場合に、自己資本比率を上げるというのは日本の資本主義にとって非常に重要な課題であるし、これはひいては証券市場を育成していく道にもなるわけですし、そういったことから考えますと、やはり増資をふやす方向を考えていかなければいかぬ。恐らく皆さん方にはそんなことはと言われるかもしれませんが、いまとにかく銀行借り入れの利子あるいは社債を発行した場合の利払い、これはすべてが損金に算入になっているわけですね。これをいつまでも続けていたら、いま申し上げましたシステムからいって絶対増資には向かわぬと思うのです。それはいろいろな事情で増資に向かっていくところもありますけれども、増資に向かいにくい。そこで、もう社債の発行限度枠がなくなった、なおかつ増資はしないで借り入れなり残された社債を目いっぱい発行しようという場合には、その金利なり利払いについてはどのくらいまで入れないかというのはこれまた考え方次第ですけれども、ある一定の額は損金に算入させないというような、これはもう皆さん方から考えるととてもじゃないと言われるかもしれないが、やはり自己資本比率を上げて増資に向かわせるということから考えて、そのくらいのバランスをとる必要があるのじゃないか。いまのようにまるまる利払いは損金でございますといって損金に算入していたら、これはなかなか増資には向かなくなってくるわけです。増資がなければこれは社債の枠がふえてくるわけですから、このくらいのことを考える必要があるのじゃないか。  私冒頭に個人株主がなぜふえないかという問題を取り上げたわけですけれども、いま証券界の中で問題になっているのは、一つは利回りが非常に低い。いまや郵便貯金の利子よりも平均の利回りが低い。それから、その遠因としては背後にとにかく証券市場に出てくる株が少な過ぎるというのです。それはやはり増資にならずに社債ないしは銀行借り入れになっているということが背後にあるからだと思うので、社債になってくればある程度公社債市場が盛んになってくるということの一端はありますけれども、そういった意味で、どうしても増資をしないで残されたものはすべて社債あるいは銀行借り入れにしていくという場合には、その利払いについてはある一定の額を必ずしも損金に算入させない、こういうこともやはり考えていく必要があるのではないか、これが自己資本比率を上げていく政策としての誘導になってくるのじゃないか、こう思うのでありますけれども、その点はどのように考えられますでしょうか。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 大変重要な御提案でございまして、配当につきましては、法人の側から受ける場合の配当課税の大ざっぱな比較をいたしてみますと、一割の配当をしている企業の同じ資金の調達のコストを比べますと、仮に九分の金利がつくというような、長期プライムを九分といたしますとそれはもう利子負担分として九分だ。ところが一割配当につきまして、税率等を大ざっぱに見ましてやはり一九%ぐらい、とにかく一割ぐらいの差が出てきているというのが現実の状況でござますから、確かにその面で企業がなかなか増資に走らなかったという点は御指摘のとおりでございますが、同時にまた、配当を受ける方の株主にとりましてもいわゆる二重課税という問題がどうしてもあるわけでございます。したがいましてこの点は税の取り扱いの問題でございますので、これは証券局長の立場といたしましてはあらゆる角度からできるだけ増資がしやすいような、それから株主の投資への意欲がそういう点から損なわれないようなという主張は今後も続けていくつもりでございますけれども、何せ税制調査会の方の御議論というものは必ずしも私ども証取審の方の議論とぴたりという面ばかりではございません。したがいまして、今後は大蔵省の中でのそういう問題を問題意識として新たに加えながら——新たにと言うといまさらという感じでございますけれども、よく話し合っていきたいと考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 ちょっと問題をはぐらかされたようですけれども、確かに支払い配当の課税の問題、これも確かにあります。しかしいまのこれはもう大蔵委員会の中でもずいぶん論議をしたように、支払い配当、受け取る配当を益金に入れるか入れないかという問題は非常に長く論争されてきた問題ですし、これについてはいろいろな角度から、確かに純理論的に言うといろいろ問題はあろうかと思いますけれども、やはり企業が果たす社会的ないろいろな意味での役割りからいくと、必ずしもその部分に優遇策を与えるというのは非常に抵抗が強いわけですよね。むしろ借金したらその借金の部分だけは全く税金がかからずに全部損金になってしまう、そちらの方をやはりある程度の負担をかけてバランスをとっていくという必要があるのじゃないか。いま局長は増資の場合の優遇策の方を言われているのだが、私はそうじゃなくて、社債発行なりないしは銀行借り入れの場合の利払い、これを増資とバランスをとる意味において増資になるべく向けさせられるように、社債発行なりあるいは銀行借り入れの場合には全くその金利は全部損金算入ですよというのを改める方向を考えたらどうかと言うのだけれども、局長の方は増資の場合の優遇策の方を言われているわけなんですよ。  ぼくは増資の場合の税法上の優遇策はこれはなかなか実際にはむずかしいと思うのです、いままで長いこと大蔵委員会で論議してきたけれども。ですから、増資と社債発行ないしは銀行借り入れとのバランスをとるために、いま利回り——隣に銀行局長がいるからなかなかこれはむずかしい問題かもしれないが、やはり増資策に向かわせる意味において、一定の額、全部これは課税の対象にするということじゃなくて、一定の額は損金に算入を認めないで、なるべく増資に向かわせる。増資になれば、社債の発行限度額もふえてくるわけですから、そちらの方を考えたらどうかということなんです。その点については再度どうですか。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 大変お答えにくいし、私も実は税の専門家ではございませんので、税の理論から申しますと、あるいはとんでもないことを答弁するというようなことも考えられますので、ちょっと私ちゅうちょしておるんでございますが、たとえばいまの先生の御提案のような、仮に若干の割合を損金に算入いたすといたしましても、いまの、資金調達コストとの比較だけを見ましても、借入金だと長期プライムレート九・二%で済む。それが、増資だと一九・七%も要るんだというようになりますと、増資に向かわせるために借入金の方に少しペナルティーをかけたといたしましても、とてもそんなに過重な負担を借入金の方にやれるということは不可能だと思います。したがいまして、そこでその方から借り入れでなしに増資の方に追い込むということは恐らくそれはなかなかできないことではなかろうか。ただ、問題をはぐらかすようでございますが、そういう御提案を受けますほどに、やはり現状における資金調達のコストの違いというものがやはり明らかに借入金に有利だということで展開いたしておりますから、この問題がある限り、なかなか借入金から増資にいかぬということは御指摘のとおりでございます。したがって、角度は同じ角度でこれから税法を含めていわゆる増資魅力というかあるは個人投資家が企業のサイドだけでなしにそういう増資に魅力を感じるような、そういう方向での検討を進めていきたいというのが現在の私どもの立場でございます。直接のお答えになっておりませんけれども、お許しをいただきたいと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 次の問題に移ります。  それは転換社債に次いで、株式の多様化の目玉商品だと言われている優先株の問題であります。細かい点についてはいろいろとお伺いしますけれども、基本的にこの優先株、もちろんいろいろと条件があるわけですので、具体的にならないといい悪いとは言えないと言われるかもしれませんが、従来のいわゆるぼろ株的な優先株ではなくて、長期的にある程度の配当が維持できるというような優良企業について優先株を発行するということについてはどのようにお考えでございましょうか。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 私は、優先株そのものに対して反対とかいうことはございません。むしろそれはそれなりの意味があると思いますが、ただ優先株という言葉自身がこれは法律的な言葉ではございませんで、特殊株と申しますか、そういう普通株に対して特別の条件を持った株という形でとらえられておりますけれども、冒頭先生が御指摘になりましたように、個人株主の優遇というか個人株主尊重というたてまえからいきますと、あくまでも私どもとしての態度は、従来のいわゆる株主が余り失望するようなあるいはディスカレッジするようなものというのは、まずその点において警戒をしなければいかぬという頭がございます。  そこでこの優先株を取り上げてみますと、いま巷間言われておりますいろいろな優先株は、たとえば一つを取り上げてみますと、配当に対して優先権を持っている。しかし、その配当に対して優先権を持っておりますが、議決権がないとかあるいは議決権に制限があるとかというような劣後的なものもある。そういうものを複合されたものが登場しているわけです。ただ、それが一方だけとらえられまして優先株だという言葉のもとに、普通の株主が営々としてずっと普通株主であったところが、ある日突然に優先株が自分らの株式に優先して配当を受けるというような、そこだけ取り上げますと非常に脅威を感じるようなことがある。したがって私どもは優先株に対する考え方というのは、あくまでも既株主といいますか既存の株主を脅かさないような、たとえば配当がもうほとんどできないような会社が、優先株という名目のもとに一つの株式を募集する、場合によってはその優先株を出すことによって普通株主の方が無配になるとかあるいは減配されるというようなことがございますと、これはやはり冒頭申し上げましたいわゆる個人株主優遇尊重のたてまえから見て問題ではないかというふうに考えておりますので、そういった特殊株が出ることについては慎重にいろんな角度から検討した上で、これならよろしいというものにどうしてもしぼっていかざるを得ないというのが基本的な立場でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 いま局長が言われた中で、確かに私も既存の株主をどういうふうにして保護するか、この問題というのは非常に重要な課題だと思うんですね。下手をすればますます株式に対する幻滅感を株の保持者が持つということになってはこれは何にもならぬと思うんですね。ですからその点では非常に重要なことだと私も思います。  それで新聞の報道するところでは、日立造船が九月の末の払い込みで百二十億円の優先株を発行する。優先株というのは配当に対する優先権でありますけれども、そのような報道がなされているわけですけれども、このことについて大蔵省証券局として、いま局長も非常にいろいろな角度から慎重に検討するというふうに言われたわけでありますけれども、具体的に日立造船という銘柄について、すでにそういった角度から検討をされているわけですか。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 日立造船から申し出がございましたので、つぶさに検討をいたしました。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 ということは、結論的にはどういうことになっているのでしょうか。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 優先株につきましては許可とか認可とかいう問題はございません。したがいましてアンダーライターが諸般の問題を頭に入れまして、そしてこの株ならばいま先ほど申し上げました私のようなラインで出せるというふうに判断いたしたときに、内々に私どもに伺いを立ててくるという形でございますので、その辺では日立造船のいまの業務内容あるいは財務体質等からいきまして、いまの計画は妥当ではないかというふうに考えておりますが、これが実際に出されますまでの間には、もちろん私ども十分注目をいたしておるところでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 というと、それは法律的にはこれは確かに許可という性格のものではありませんけれども、日立造船に限って言えば行政指導という立場だと思うんですが、アンダーライターからの要請に対して許可をした。許可というと、これは正式法律用語になってしまいますので、何という言葉にしたらいいのかわかりませんが、認めたというふうに理解してよろしいですか。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 さように御理解いただいて結構だと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 その際に、これは新聞の報道するところですから果たして正確かどうかわかりませんが、久保田鉄工あるいは日本ユニバック、日立金属等からも、もちろん条件は個々細かくは違うにしても、同様の申し出があったけれども、いま言ったところについては大蔵省としては認めないというような報道がされているわけですが、その点についてはいかがでございますか。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 優先株は、先ほどから申し上げましたように、希望する側にかなりの差がございまして、それがいずれもどうも最近社債の発行限度がいっぱいに来ているというような企業でございますので、いま御指摘のようなところも恐らくそういう通常の社債等が出せない、通常の増資がなかなかできないという状況にある会社かと思いますけれども、そういう会社は具体的に私どもの方の大蔵省までは上がってきておりません。いまのところ、そういう会社の説明も聞いておらないわけでございます。ただ、優先株の希望というのが、何か苦し紛れに優先株を出していくという形は、先ほどの点でも何かにひっかかるわけでございまして、何かにひっかかるということば、どうも配当は来期はむずかしいのではないかとか、そういういろんな会社の中身は恐らく相当苦しいような状況、それが過去におきましてたびたび優先株が失敗しておる原因でもございますので、その辺はアンダーライターである証券会社がよく承知いたしておるわけでございまして、恐らく大蔵省にこういうものを持っていってもなかなか通るまいという判断は、証券会社の段階でしておるのではなかろうかと考えられます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 そこで、いま私冒頭にお伺いをしたように、もうほとんど株式市場で新規の株の発行がなかなかなされにくい。そして株数が非常に総体的に少なくなっているということでありますから、いわゆるほろ株的な、そういう優先配当権を持つ株ではなくて、本当に既存の株主を保護しながら、なおかつ配当に対しても優先権を持つ、そういったものは、私はこの際株式の多様化という面から言って一定の条件の中で推し進めるべきだと思うわけです。その際に、いろいろな条件がこの場合にはあるわけですので、その辺の条件についてどういうふうに考えていらっしゃるのか。  これは東京証券取引所の政策委員会で二月十七日に答申がなされているのですけれども、それによりますと、全部で八つぐらい優先株のあり方についてという提案がなされております。「優先配当額は、社債利回りに近い線で定める。」二番目に「無額面株とし、発行価格を一株一万円のような切りのよい価格とする。」三番目「所定の優先配当ができるだけ確保されるような累積的なものとする。」四番目に「所定配当を超える残余利益に対しては非参加的とする。」それから五番目に「普通株への転換権をつけることは、投資魅力増大策として有効である。」したがって転換権をなるべくつけた方がいいということですね。六番目に「償環条項をつける場合には随時償環方式で、かつ市場での買取消却が望ましい。」七番目に「一定の時期に一定の比率で普通株に転化することを定める期限条項は好ましくない。」八番目に「無議決権株とする。」この八つが東証の政策委員会としては、いわゆる期待される優先株像というのですか、として提案がなされているわけですけれども、これについてはどういうような見解をお持ちでしょうか。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 東証の研究会のテーマにも「証券発行の多様化について」という題でございまして、要するに証券市場の発達のために証券が多様化されていく、資金調達の多様化ということは、これは私どもも当然であろうと思います。東京証券取引所は、そういう面ではこういうケースがございますということを一応羅列したのでございますけれども、私どもはそういういろいろな角度で会社が優先だと考えておりますものを、基本にはそれがいわゆる既存の株主に対して影響を与えないようなものであるということであれば、その中の盛られているものを、それをあえてノーと言っているわけではございませんで、その資金調達の多様化の中のいわゆる色模様といたしましてはこういうものがあるということは承知いたしております。ただ取引所のとらえ方というのは、いわゆる研究会でございますから、そういう研究をした結果のいろいろな色分けをしてみただけでございます。  私どもは、やはり行政の立場におきまして見ました場合に、理想とされるものを直ちに現実にすぐ移すということもなかなかできかねるわけでございます。先ほど申し上げました資金調達の多様化はわかるけれども、その結果、別にまた失うものがあってはいかぬということの線では、行政の方がさらに突っ込んだ理解の仕方なり指導の仕方なりをしてしかるべきだと考えておりますので、これはこれとして私ども承知いたしておりますが、現実に出てまいります問題につきましては、一つ一つやはり当分は過去における優先株の歴史もございますので、よくとらえてみなければいかぬ。  話は長くなりますが、時価発行増資の際にも当初相当華々しく取り上げましたけれども、結局いろいろな、当委員会でもそうでございますけれども、御指摘集りましたようなことでプレミアム還元というような問題が後から入ってきたということを見ましても、やはり新しい制度というものはそれなりに魅力があると同時に、かなり問題はあるということでございますから、私どもはいま申し上げたようなあれですべてノーと言っているわけじゃございませんで、こういう多様化については結構であろうけれども、私申し上げましたような点につきましては、やはり行政の窓口からは見ていきたいというふうに考えます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 それは確かに行政の立場からいま私がお伺いしたような八つの型、スタイルのあり方は、抽象的に言うのはなかなかむずかしいと思うんです。ただ現実には、アンダーライターから申し出があった場合には何らかの形で判断を大蔵省証券局としてはしなければいかぬわけですね。その際に一つは、今後これは企業の財務の将来を確定することはなかなかむずかしいけれども、配当が一体どのくらい継続的に行われるだろうかというのも一つの目安になるだろうし、あるいは議決権が果たしてこれでいいかどうか、それから転換されなくていいのかどうなのかという、それは恐らくその企業財務の中身と実際に出されてくる優先株のいろいろな条件、この組み合わせで許可する——許可するというのは法律用語になっちゃうのでまずいんですが、発行を認めると  か認めないとかいう問題になってくると思うんですね。  したがって、その際に私は一つ注意をしておいていただきたいのは、これは局長も言われましたけれども、あくまでやはり既存の株主の保護なくして、私は証券の多様化というものもあり得ないだろうと思うわけです。したがって具体的なパターンとしては、先ほど八つぐらいの条件というか優先株のスタイルを挙げたわけですけれども、この既存株主の保護、長いこと持っていた人の方が損をして、きょう初めて買った人の方が得をするというのでは、これは長い目で見て株主を広げることにはならぬと思うのです。その点だけを十分注意をしていただきたいことを添えておきたいと思います。それはよろしゅうございますね。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 全く同感でございます。  ちょっと補足いたしますが、時価発行増資の場合に、いろいろ経験を経まして業界でやはり自主ルールというようなものがおのずからだんだんでき上がってまいりましたが、今度の優先株につきましても、恐らく今後業界における自主ルールというようなものがだんだんでき上がってくるというふうに私ども考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 最後に売買損失準備金の繰り入れ割り当てについて若干お伺いをしておきたいのでありますけれども、現行税法上は売買益の六〇%まで積む分につきましては無税です。しかしそれを超えた分については有税ということになっているわけですね。税法上はこれを六〇%を五〇%に下げるということですが、事実上行政指導では現在七〇%になっていると聞いているわけです。したがって、この一〇%、改正されて二〇%の分については有税で積むよう行政指導されているというふうに中小の証券会社からは聞いているわけでありますけれども、それはそういうことでよろしゅうございますか。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 御指摘のとおりでございまして、税法はかつては七〇%でございましたが、その後時限を経まして順次下げていくという方向で行っておりますので、いまその差額の分につきましては有税で積み立てておるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 そこでお伺いしておきたいのは、税法上は下げているということは、つまり、もちろん売買益といっても、株価が高いときにはある程度売買益が出てくるわけですけれども、万が一乱高下した場合には、この場合には大変な損失が出てくるということですから、高く積ましていくということはそれだけ社内に留保が多くなることですから、それ自体は悪いことだとは私は思わないわけです。ただし、税法も下げているということは、売買損失がある程度まで起こり得ないという——ぬかりのない主税局がやることですから、これは主税局ですから六〇%を五〇%に下げるということは、損失の予想がそれだけされないということだと思うのですね。もちろん証券局は税の立場と違って企業財務を見なければいけませんから、その意味では主税局の考える税法上の問題と、企業財務を、特に中小の証券会社の企業財務をよくしようという、留保金をなるべくふやしていこうという、そういった中小証券会社を指導する理念とは必ずしも私は一致しないと思います。しかし、これが余り無理に積ましていくということになりますと、中小の場合には、かなり額が大きくなりますと配当に回せるのにそれが回せなくなるということになりますと、これもやはり少し問題があるのではないかと思うのですね。そのあたりはどういう方針で、主税局というか、税法上は六〇%を五〇%に下げてきたが、証券局の行政指導として売買益の七〇%は積んでおきなさいという、七〇%という数字が維持されているということはこれはどういうことなんだろうかという疑問を持つのですが、その点はいかがでございますか。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 いまの税の面では、これは有税で積んでくれるのはちっとも構わないというか、そういう立場かと存じますけれども、実はこの売買損失準備金制度と申しますのは——証券会社の業務の中に、大ざっぱに言いますと、お客から頼まれてブローカー的の業務として売買するも一のと、自分が自己売買するというのと二つあるわけでございます。売買損失準備金というのは、この自己売買のところでいわゆる利益が出た場合にそれを七〇%を積め、こういうことでございますから、自己売買というのは、実は市場の取引を円滑にするために証券会社が買ったり売ったりするということで、もしそれを活発に、余りにも利己的にやられますと、これは証券会社自身が投機に走る。その方のもうけの方に狂奔するということになりますと、これは市場に対して非常な悪い影響を与えるわけで、またそういう売買でございましてもやはり価格変動がございますから、相当損失が出てくることもある。そのために準備金を積ましておるわけであります。ただ、いまの自己売買の方につきましては、それでもってもうけて配当をどんどんやっていこうということは、これは好ましくないことでございます。したがって、本来これは免許をいたしましたときに、ディーラー業務に対する免許につきましては、その免許は、業務の運営は公正な市場を維持し、かつ、有価証券の流通を円滑にするために必要な範囲を超えないようにするものとする、こういう付帯条件がついておりまして、先ほど申し上げましたように、自己売買については投機的に走ってはいかぬぞということになっております。したがって、そこに生じました利益というものを今度は準備金が減ったら配当に回そうというようにいたしますと、それは三割は配当に回せるわけでございますけれども、これ以上のものをいたしますということは、この証券業の免許事業としては必ずしも好ましくないといういわば第二義的な目的も入っておりますものですから、いまのような七〇%という積み立ての準備率を出しておりますけれども、税法の方も当初はそうでございましたが、最近の積み立てた金額等を勘案して、まあ経験値からある程度割り出している。この辺は経験値と言いましても、一たび何か起きましたときにはそう簡単にいかないものですから、有税ならばということで認められているわけでございますが、その辺は今後、進展を見てさらに七〇%が適当かどうかは考えていきたいと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)小委員 終わります。

山本幸雄自由民主党

○山本小委員長 荒木宏君。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 銀行局長、大分遅くなりましていろいろ御多忙と思うのですけれども、きょうが最後の委員会だと思いますので、もう一、二ごしんぼういただきたいと思うのです。  先ほど時間の関係で少しお尋ねできなかった点なんですが、競争原理を導入して資金の効率化を図っていく。平たく考えますと、市場原理で需要のおもむくところへ金が流れるということが出ますと、例のオイルショック、あるいはその前の土地に対する多額の融資、不動産関連融資ということが大きな問題になったという苦い経験があるわけですけれども、そういう点からもちろん市場原理、競争原理、即需給のおもむくに従って金が水の流れのごとくというふうに短絡的にはいかぬと思いますが、しかし、やはり社会的な要請に従った誘導は当然必要だし、またそのことがいま一面では強く要請されているというふうに考えているのです。  そこでそのことを前提にして、いま倒産関連融資ということでいろいろ民間の金融機関にも倒産関連の業者から融資要請があります。もちろんこれには政府金融、制度金融が補完的にいろいろな役割りを果たしておるわけです。しかし、実際のあり方としては個々のケースでは間々需要が満たされないことが多くて、私どもの方にもずいぶんといろいろな話が来ておるわけです。試みにある都市銀行の本年の第一・四半期の貸し出し計画、これは都銀の上位行ですけれども、これを見ますと、系列企業それから特定大企業に対する配分シェアが計画で四五%ですね。そこへその他大企業向けを入れますと両方で全体の六〇%近くなっている。そのほかの部分がいろいろありますから、それを除いて中小企業及び個人向けというのは一七%以下、六分の一以下というふうな計画が内部の資料として来ておるのです。もちろん都市銀行全体としてはいままでいろいろ数字の発表も、それから私たちもそれなりに聞かしていただいておるのですが、こうした個々の都銀の貸し出し計画の実態について、こういうふうな特に倒産関連なり、いま困っておるところへのシェアが非常に落ち込んでいるというようなことについて、どういうふうに見ていらっしゃるか、またどのような手当てをなさろうとしているか、これをお聞かせいただきたいと思うのです。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 中小企業向け貸し出しの点につきましては、これは金利機能なり市場原理のままやっておったのでは、やはり市場原理そのものの金融市場の特殊性という面もございましょうが、限界がある。したがって、その限界を埋めるといいますか、そのための措置としていろいろな政策的な考慮を要するということは、この前の金融制度調査会の中間取りまとめの中にもその旨がうたわれておるわけでございますが、現在の銀行、都市銀行、地方銀行を含めまして融資に対する配分と申しますか計画、こういうのをながめておりますと、これは一般論としては現在は資金の需要が緩慢でございます。一般的に需給が緩和されておりますので、どちらかといいますと中小、中堅といいますか、そういういまだ開拓していなかった新しい顧客といいますか、あるいはまた個人の住宅ローンというようなものにかなり銀行一般としてはシフトした形になっていると私は考えております。もちろん、銀行個別に見ますとその銀行の沿革なりあるいはまたその性格というものがおのずから違っておるものでございますから、たとえば中小企業向け貸し出しの比率につきましても非常にばらつきがございます。ですけれども、これは一律に行政でもって資金配分の率をどうしろということはやはり適しないのだと思います。それぞれの地域における得意先の構成あるいはその銀行の性格というものがございますから、これは全般的な経済情勢、金融情勢の変化の中でおのずから、一般的に言いますと、中堅、中小企業向けへの志向がかなり強いということは非常にいいことだと思っておりますけれども、しかし行政の立場からは補完する意味におきまして、御指摘にありましたような関連倒産を防ぐ、親企業なり取引先が倒産をしたような場合に不測の余波をこうむるということはできるだけ避けなければならないという意味で、行政指導といいますか要請をいろいろしておる。したがって銀行間におきましてもそういった特別のシステムをつくって対処しておる、こういう事態でございます。概括的に申しますと、いまの状態というものは非常に憂うべきではない、こう考えております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 また個別のケースは御相談もしたいと思っているのですが、もう一つは、サービスの向上ということが報告の中にありまして、それでぼくの方にも少し話があったのですが、制度融資の場合に利息の天引きということがある。これは制度融資をつくった自治体なりその主体が、利息の天引きというのじゃなくて後払いといいますか、そういうこともやろうということでやればその間の、天引きと後払いでは若干実際の利率が違ってきますから、そういう意味で、たとえば制度融資の場合に代理業務をやっている普通銀行がその利息の取り方について後払いになるようにいろいろ相談もし、行政の方の考え方も明らかにしてほしいという要求があるわけです。この点についてはどういうふうに考えておられますか。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 おっしゃいますのは恐らく地方公共団体が独自につくっております制度融資といいますか、それについての金融機関の金利の付し方の問題だと思います。具体的なことは私もよくわかりませんが、その制度融資の原資にするために預託を受けているわけでございましょうから、それはその条件につきましても当該行政団体との話がうまくつかない、そこのところは、お互いの制度の趣旨なりそれを受けての融資の方針なりの問題だと思いますので、いま直ちにはお答えしかねるわけでございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 政府の方でやっている住宅金融公庫の融資なりあるいは国民金融公庫の融資なり、これは大体利息は後払いということになっているのじゃないでしょうか。私どもの方で聞いていますのは、自治体そのものとしては特に先払いといいますか天引きということで言っているわけではない。ただ取り扱っている金融機関が、いろいろ便宜も図っているのだからこのぐらいのことはさしていただいたらどうでしょうかというお話になっているというふうに聞いているわけです。もちろん直接の制度主体なり取り扱いの中の話とは思いますけれども、そういった意味合いで、特に都市銀行などが扱う場合に、実際にそういった融資を受ける先の企業というものはずいぶんしんどい場合が多いわけですから、取り扱っておる普通銀行に対して大蔵省の方から、制度融資の方で制度主体の方から話があれば、後払いにしてもいいんじゃないかという声はかけられてしかるべしというふうにも言ってきておるわけです。余り私は関係ありませんというだけでは、少しそちら任せに過ぎるような感じもするのですが、どうですか。

田辺博通大蔵省銀行局長

○田辺説明員 貸出金利の問題は、先ほど来議論もありましたけれども、比較的規制を特別にやってない部類でございまして、政府関係金融機関の金利、これはまさにその金融機関自体われわれと相談をして金利を決めておるわけでございますからそのとおりに行われなければならないわけでございますが、いろんな事情があって当該地方公共団体と金融機関との間で、どういう条件でもって、ある低利融資を行うという場合、その低利融資をするにつきましては実質的に利子補給的ないろいろな手だてをしているはずだと思うのでございます。その手だてとの兼ね合いの問題でございますから、銀行局から何分何厘にしろとか前払い、後払いということを具体的に指示するわけにはいかないと思いますけれども、それは事情はよく調査してみる必要があろうかと思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 利息制限法のたてまえからいっても、実際に受領元本が制限超過かどうかというのが基準になっているわけですから、一律にこうせいああせいということはともかくとして、要求が出ているわけですから一遍実情を調べてもらって、要求に合うように、また自治体の方もそういった希望があるときには実現できるような取り計らいは希望しておきたいと思うのです。  それから、証券の問題ですが、先ほど来、答申を受けて、個人株主の減少、法人化現象というごとについていろいろ話があったのですが、どうしてこういうことになってきたかという理由はそれなりにいろいろ論議もありましたし、また各方面からの指摘もあるわけです。実情、実際がどうなっておるかということで、少しアンケート調査を見ますと、株式の保有目的といいますか、これは証券広報センターの調べですでに御案内と思いますけれども、値上がりが期待できるというので保有したというのが三四%、あるいは配当がもらえるといいますか、これが一八%になっています。三分の一ほどの人が値上がり期待ということで株式を保有している。それで、それの購入資金の出どころですが、これは他の株式を売却した資金で値上がりが期待できるというので株式を買った。今度は売った場合の流出先ですけれども、この場合は他の株式を購入したというのが四四%。ですから、いましきりに論議になっております個人株主、大衆投資家といいますか、これをずっと引き入れていく。結局、買った目的が値上がり期待というのが多いし、金の出どころはほかの株を売ってそれで充てたというのが多いし、それからまた、その売った金はどうしたかと言えば、また次の株式を買ったのが多い。それでこの十年あるいは二十年ずっと比率が下がってきて、三十何用ですけれども、ずっと下がってきている。すると、結局そういったことで株式市場に関与してきた個人の層の人が、その目的に沿わないからということでずっと離れていくのではないかということが一つ考えられるわけですね。もちろんほかの理由、あるいは安定工作であるとかあるいは大量に放出したのをどっと法人が引き受けたとか、いろいろなほかの原因はありましょうけれども、しかしふやしていくというふうに問題提起されておるところから見ますと、個人の関係ではいま言ったような事情がアンケート調査で出てきている。それが満たされないといいますか、やはりいろいろな行き違いがあって、そういったことが思わしくないというので十分積極的に関与もしないし、全体の中のシェアがむしろ減っていくということも一つ言えるのじゃないか。もちろん先年の答申がありましたときにもそういった直接の外交の接触面のことについてはそれなりに意見も出ておりますし、通達もあるわけですが、その点の実際がいまどうなっておるかということを少しお聞きしたいと思うのです。  たとえば最近のことですと、私聞きましたところでは、北炭の株価の動きに関して、当初買ったときにはそうじゃなかったのに爆発事故が起こったとか、あるいは無配でずっと来ておるというのは、これは実ははからざることであったとか、あるいは先般の、これは新聞報道でも出ておりましたが、帝石で油掘りに失敗したとか、そういったようなことでこれはいろいろな偶然的なことがあり、本来が投資といいますかあるいは投機といいますか、いろいろな要素を含んでおるわけですから、それなりのことはあろうと思うのです。しかしやはりいろいろな苦情が、電話にしろあるいは口頭にしろあるいは文書にしろずいぶんあると思うのです。先ほど言いましたようなこのアンケート調査による期待というかあるいは参入動機というか、それがいろいろなことでうまくいかなくてクレーム、苦情が来る。これは大蔵省に来るものもあると思うのです。あるいは財務局、財務部に来るのもあると思うのです。証券協会はさらには取引所、一番多いのは直接の証券企業だと思うのですが、このそれぞれの場所に来ているクレームの件数だとかあるいはそれの動き、傾向だとかそういったことについて少しお聞かせいただきたいと思います。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 株自身が持っておりますところの、これはいわゆるリスクキャピタルと言っておるわけでありますが、本来持つことによって利付債券等に比べましていろいろな問題があることが前提になっての多分御質問になっているわけでございますが、そういう株式の保有の仕方というものは、将来にわたって値上がりを期待するというようなことが裏切られたとかあるいは値下がりが非常に激しくなったからとかというようなことで離反していく株主もあれば、また新しく株式投資に魅力を感じてその市場に参加するというものもあるわけでございますから、その辺の点で、ただどういう理由が離反の一番大きな理由であるか、あるいはその個人株主がふえないところの原因が何かということは、私はいろいろな複合的なものが重なっておると思います。したがいまして、私ども、いま証取審で分析いたしております点も、そういう点も、どういう角度から見ても、大体こういう法人化現象とかというようなものが主体となったものではないかということから解きほぐしてきておるわけでございますが、その原因を何だときめつけるわけにはなかなかまいらぬと思います。  ただ、先生の御指摘のいわゆるどの種類の苦情がどういうふうに、どこにどのくらい来ているかというのを統計にとったことはございませんけれども、苦情を聞く機関というものは取引所の中にもございますし、私どものところには財務局あるいは財務部、大蔵省の本省に対しましてもかなり数多くいろいろな問い合わせなり苦情というものが来ております。これは一々その整理はいたしておりますけれども、統計的にどういうようなものであるかというような分類はいたしておりません。ただそれは大部分がやはりもうけ損なった、期待を非常に裏切られたというようなことを言ってこられるのが主でございまして、何かその原因等はなかなか複雑でございますから、それを一つ一つ統計に分類してみるというのは非常にむずかしいように考えます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 しかし、いま一番力を入れているのは、個人株主をふやすということですね。もちろんもうけもあれば損もあるわけですから、それは来る意見の中には玉もあれば石もあるでしょう。しかし、それをより分けるという作業も一つあると思いますけれども、まずどの程度の苦情がどこへ来ているかということはまとめがなくても、件数だとかあるいはどういう種類だとかという、これはひとっここへ出していただいて——余のことじゃない、あなた、一番肝心な、さあいらっしゃいと言っている先のことですからね。これは一遍ここへ資料も出していただいて、さらに国会としても検討を進めることが適当だと私は思うのです。局長の方は、いま資料はあるとおっしゃっているわけですから、分類以前の未整理でもいいですから、出していただくようにお願いしたいと思うのです。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 資料があると申し上げたのではございませんで、そういうものが私どもの手元にも参ってはおります。こういうことを申し上げているわけです。しかし、その資料を統計にとられて何かするということは余り意味がないように私は思うのです。その問題は何であるかということはもう見ればわかるわけでございますが、それは大ざっぱに言えば、非常に株に投資したけれども裏切られたというようなことで、要するに、もうけ損なった、だから大蔵省何とかしてくれというような、むしろおしりを大蔵省に持ってきて、何とかしてもらいたいというようなことで、これは、先ほどリスクキャピタルと申しましたけれども、株式本来が持っておりますところの、値が上がったり下がったりする相場というものを果たして理解しておられるかどうかと疑われるような方の投書であったり、あるいは苦情であったりということでございますので、それは私どもの方はやはり証券会社を指導いたしまして、そういうお客さんに株式の本来の性質をよく理解させるようにという指導をいたしておりますので、いま先生の御指摘のようなことで統計資料をつくれと言われましても、これは私どもの方はそういう資料はなかなかつくれないので、御勘弁をいただきたいということでございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 確かに、個々の場合を見ますと、理解が十分でなくて思惑外れで損したというのもあろうかと思うのですね。しかし、私は思うのですが、たとえた話ですよ、仮にそういうのがずっと重なっていって、そして百人なら百人見る、もう圧倒的多数が、理由は何であれ、経過はどうであれ、損した、うまくいかなかったという人がずっと続いているとしますと、これは個々の問題じゃなくて全体の問題になる可能性もあるんじゃないでしょうか。そういう市場であれば、個人を幾ら入れようとしたって、経験的に見たって、これはもうこりごりだということで、幾ら笛を吹いたって、あなた、ねらっておられる個人株主をふやすというようなことはできやしないということもあり得るんじゃないでしょうか、その見方によってはね。  それで、私は思うのですけれども、たとえば信用取引——いま三市場で買い残が七千四、五百億ですかね、その信用取引で、ある一定期間で、その関与した個人株主がトータルとして損をしたか得をしたかというようなことは、これはなかなかつかむのはむずかしいと思うのですよ。思うのですけれども、局長はどうごらんになっていますか、やはりお客は全体としてもうかっているというふうに見られますかね、全体として損をしているというふうに見ておられますか。これはもう丸い話で結構ですが、どうですか。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 それは大分むずかしい問題でございまして、売りと買いというのは、売りがもうかっているときは買いは損しているわけでございますから、極端に言えば半々でございましょう。しかし、もうかったからといって、報告は大蔵省の方には参りませんから、損したというのだけ集めてみてこれは大問題だと騒ぐのはいかがか。むしろそれよりも、株式というものはこういうものだということをよく承知した人が参加さるべきだということへの理解が足りないという点がございます。  これは私ども通達を出しましたけれども、証券会社の窓口での投資者本位の営業姿勢ということで、余り不当な関与をするなとかいうようなことでカバーしていく以外ないのです。ただあとは、資本主義経済下におけるいわゆる資金調達の多様化あるいは資産運用の多様化という点において、株式は当然にあってしかるべきだから、その株式に対して応ずる方はよく心して参加してください、また参加してくださる方が少なくても困るから、それを大いにふやしましょう、こういうことを申し上げているわけでございますから、どうも先生のおっしゃる資料はちょっとなかなかっくりかねますけれども、そういうことでございますので、御了解いただきたいと思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 むずかしい資料の話ばかりしているようであれなんですが、時間があれですので、十分な御質問ができないのですけれども、結局、こういうことなんです。  いま、売りもあれば買いもあって、損得半々と、こうおっしゃつたでしょう、局長。本当にそんなものなんだろうかということなんですよ。なるほどペーパープラン、ペーパーデスクでありますと、売りがあれば買いがあって、損と得がそこであるいは見合いということがあり得るかもしれません。しかし、実際にそういうクレームをよこす人たち、あるいはもうかったと言っておる人たちに直接接しておる証券会社の従業員の人たちがおりますね、この人たちは、信用取引全体として見ると、決して得してない、実際の仕事をやっておる過程の中で、得してないということを言っているのです。それは先ほど、よく理解がいってないための現象、結果なんだというお話がありましたけれども、その面も確かにあろうと思うのです。しかし、たてまえから言ったって、証券についての学習をしてから関与するというようなことは、いろいろ指導もし、おっしゃってはおりますけれども、何もそういうたてまえじゃないですからね。それはともかくとして、実際に関与している人たちが、信用取引で、全体としてトータルとすると、個人参入者は損しておるというふうに言っておるのは、とにかく新しい商品が出てくる、それから推奨銘柄というのが出てくる、まあ一律推奨はいかぬということで指導、答申もありましたけれども、次から次へとノルマといいますか、午前中もちょっと金融の部面で言ったのですけれども、それが出されて、そうしてじっくり、先ほどのアンケートで言いましたように、値上がり期待とかあるいは配当とかいうことの前に、とにかく次々回転させていかなければならぬ。ある大証券で一人の月単位の目標が国債が五千万円、それから投信が大体八百万円。これは取り組みの額ですね。それから割引債が三百万、その上に転換社債とか、株式では、これはコミッション収入で大体四、五百万というのですよ。それだけをやらなければならぬというものですから、勢い決まった時間内じゃなかなかできないという。そこで、これは野村ですけれども、野村の従業員組合のことしのニュースによりますと、残業が昨年十月は四十八時間、十一月は五十二時間、十二月は五十三時間とどんどんふえてきておる。しかも、これは実際よりも約二割ぐらい低いだろうと言われているのです。そのぐらいの残業をやって、平日はせめて八時には帰りたいというのが職場の大きな意見だというのですよ。したがって、体にもよくないから、ここで、労働科学研究所に頼んで、疲労度の調査というのをやっておりますが、ここでは帰るときに、眠気とだるさと注意、集中の困難さと局所的な身体違和感を訴えるのが四割以上ある。こういう中で今度は四大証券のもうけは大変多かったということが三月期決算で出て、ボーナスなんかもかなりの額出ているようですけれども、しかし、こういった商品販売ということで次次に大きな割当額が直接外交員にかぶせられて、そうしてそれが顧客の方にかぶっていきますね。その人たちが全体として決して得をしていないということになったら、これは一つは、局長おっしゃった教育の何のと言ったって、それはとても手が回るどころじゃありませんし、職員は困る。それから個人株主の方は、そういうことでは、次次押しつけられてなにするというのでは、なかなか入ってこないということがあり、その結果が、先ほどちょっとアンケート調査で、そういう値上がり期待で入ったけれども、その資金はといえば、売った金だし、それから売った金はどうしたかといえば、今度は次のやつを買うのだしという結果にもなっているんじゃないかと思うのです。  ですから、今度の答申でも、それから従来の論議でも、法人化現象をどうするかというふうに言われているのですが、この辺のところが、局長がおっしゃった売り買い半々で、それは個々の思惑外れの人の話だということで、一番大事な問題点をえぐり出す一つであるデータが来ているのに、それはもうこっちへ置いてしまわれているというようなことも言えるんじゃないかと思うのです。  そこで、私もう時間が来ましたから、一言でお伺いしたいのですけれども、こういった証券業の職員の人たちの実際のいまの状況ですね、ノルマの状況、それから労働時間の状況、それから疲労の状態、これをひとつ調査をしていただいて、指導をしていただきたい。それから、その中から出てきている、信用取引全体として損をしていますよ、こういう状態を続けておったのじゃ、これは逃げる一方ですよ、それは税制上の手当てとかあるいは転換の問題とかあるいは参加の問題とか、魅力のためには化粧回しにいろいろ苦労しておられるのはわかりますけれども、しかし、ここのところの意見とこの対策を、やはり証券局としても十分なお後任の局長にも引き継ぎをしていただきたいという点について答弁をお願いして、終わりたいと思います。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 先生のおっしゃるような非常に極端な場合のみをつかまえて資料を出せと言われましても、なかなかちょっとその資料はつくりかねると思いまするが、御了解いただきたいことは、証券会社の検査というのは私どもは十分やっております。もちろんそれは非公開でございますが。最近は、ただ点数を上げるというだけではいかぬ、そういうことをやっているといま御指摘のような問題がなきにしもあらずだから、むしろその後の需要というので、やはり不当勧誘をやって後で解約が出てきたり、そういうような件数が多いものは、むしろその方が大きなマイナスになるぞ、いわゆる営業の質的な面のとらえ方をいたしておりますから、これは私は先生の御指摘のようなものとは必ずしも一致しないわけでございます。私どもはその点はこれからも十分気をつけて指導いたしていきたいと思いますが、この指導に御期待いただくことにいたしまして、資料という形は御勘弁いただきたいと思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 資料と言っているんじゃないんですよ。事実について調査して、そして指導されたらどうか、こう言ったわけです、時間だとか疲労だとかあるいはいまの苦情がどんどん出ているというようなことについて。だから、ここでそのまとまった数字の資料という意味で言ったわけじゃないんですよ。

岩瀬義郎大蔵省証券局長

○岩瀬説明員 御報告することや申し上げることがあれば、そのときにまたいたします。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木小委員 それじゃ、まあおいておきましょう。

山本幸雄自由民主党

○山本小委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十三分散会

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