大蔵委員会 第8号
- 発言数
- 277 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1976/05/06
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 きょうは参議院の方が予算に対する公聴会でございますので、大臣も久方ぶりで大蔵委員会にゆっくり来ていただきましたので、十分慎重に審議を始めたいと思うのであります。 まず本題に入る前にロッキード事件について、最近大平大蔵大臣のコメントが載りましたので、若干だけ御質問させていただきたいと思います。 それは三日付のニューズウイークの国際版に、恐らく蔵相が記者会見をなさったのだと思うのですけれども、今度の事件は長期的な観点から見れば一時的な事件であってほしい——ほしいということでありますから、それは確かにそうだと思うのでありますけれども、われわれが今度のロッキード事件を見る限り、これは単に偶発的に起こった問題ではなくて、戦後三十年のほとんどを自民党が政権の座にいた、このことから来るところの、結局政権が交代しないからどのようなことをやっても次の政権にチェックされない。こういうことはわれわれにも一端の責任はあるかと思いますけれども、こういったことから起こってくる、今流の言葉で言いますと構造的な汚職事件だ、こういうふうに私たち思うわけです。これは大平さんとこの前もここでやりとりをしましたように、過去数々の疑獄事件があった、あるいは総裁選挙に非常にお金がかかる、こういうようなことに根差しているのじゃないか、こういう認識に立っているのでありますけれども、ニューズウイークの記事を見る限りは、どうもそういう認識は大平さんはないように私たちには受け取られるわけですね。この点についてはどういうふうにお感じになっているのか、またニューズウイークの記事というのは必ずしも大蔵大臣の真意を伝えていないのか、その点はいかがでございますか。
○大平国務大臣 ロッキード事件はいませっかく司直の手で法律的には解明されておることでございますし、国会等で政治的な問題として論議が集中しておるところでございます。したがって、この事件は政治的にも法律的にもこれからまさに解明されようといたしておるわけでございまして、まだ全貌が明らかになっていないというのがまず第一の前提でございます。 それから、私も政治家の一人といたしましてこの問題には相当の関心を持っておるわけでございまして、いろいろな方々の御意見を聞いておるわけでございますが、この問題につきましては、佐藤さんおっしゃるように、これはまさに構造的な汚職問題であるという規定の仕方をしておる人も確かにございます。しかし、そうではなくて、これは一過性の問題ではないかというように見ておる方も比較的多うございます。まだ全貌が解明されておりませんし、自分の見解を断定的に決める段階には立ち至っていない。ただ、私は、希望といたしましては、この問題は一過性のものであってほしいという願望を持っておるということをニューズウイークの記者に語ったわけでございます。
○佐藤(観)委員 きょうはロッキード事件の真相解明の場でもないので、これ以上このことについてはお伺いしませんが、ただ私たちの見るところ、これは単に偶発的にこのことだけ起こったという認識ではどうも足りないのではないかという気がするものですから、若干指摘をさせていただいたわけであります。 もう一点だけ、これをお伺いしておきますが、やはりニューズウイークの記事を見ますと、児玉譽士夫の政界に与える影響力あるいは自由党の創設に当たって資金を援助したということが現在の自民党まで影響している、こういうふうにどうも世間が過大評価し過ぎているのではないかというような発言が大蔵大臣からなされたやに報道されているわけですけれども、この点についてはいかがでございますか。児玉譽士夫がそれほど影響力がない——それほどというのはいろいろ評価があり、問題がありますけれども、こういうような発言の背景になった大臣としての根拠というのは一体どういうところにあるのですか。
○大平国務大臣 私は以前、自由党に所属いたしておりました代議士でございまして、保守合同後自由民主党に所属いたしておるわけでございます。長い間政府でおりますし、また長く党の仕事にも関係いたしておったものでございまして、私の承知しておる限りにおきましては、ニューズウイークの記者に語ったような感想を私は持っておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 それでは本論の財特法に入らせていただきたいと思うのです。 まず、ちょっと事務当局にお伺いをしますけれども、建設国債三兆五千二百五十億、このうち四月に発行された額が五千六十億、それから五月、六月はすでにシンジケート団とネゴシエーションがされていると思うのですが、五月、六月については幾らずつ発行する予定になっていますか。
○松川政府委員 現在シ団とは五月をどうするかということを内々話をいたしておる段階でございます。と申しますのは、五月に現実の発行をいたしますのは月末に近くなりますが、それまでに予算が有効に成立するのではないか、そういうことを考えまして、また他方、現実の金融情勢を考えますと、五月には相当多額のものを出さなければいけない。しかるに、現在の段階でこのことを議題として正式に話を進めるにはまだ環境が整っておりませんので、内々の話を進めておる段階でございます。そこで五月にどうなるかということでございますが、相当大量の国債を発行させていただきたい、このように考えております。
○佐藤(観)委員 私がなぜそのことを聞いたかといいますと、四月十三日に大平大蔵大臣が記者会見をして、理論的には九月までに成立すればいいのだというような発言があって、しかし九月に必ず成立するという見通しがないから、今度の国会でぜひともこれは通過をさせていかなければならぬ、こういう会見を行ったように言われておるわけであります。これは両面あって、九月まででもいいのだという話と、もう一つは、しかし成立の確信が持てないからどうしても今国会でというふうに聞いているわけであります。 ところが、私たちが見るところ、三兆五千二百五十億建設国債があるわけですから、四月に五千六十億とすると、まだ三兆百九十億残っておるわけですね。これが五月が、いま松川局長ははっきり言われませんが、たとえば一兆円としますと、あとざっと二兆残っている。これを平均しますと、市中消化は赤字国債を入れて六兆二千億。というのは、一兆円を資金運用部資金で引き受けますから、市中消化は約六兆円。こういうことで割っていきますと、平均五千億ちょっとずつ発行していけばいい。それから大蔵省証券が今度二兆六千億予算総則で認められている。そのことも含めますと、理論的には九月でも——成立していればの話ですね。成立するということになれば、大平大蔵大臣が言われたように、これは九月でも十分つないでいける。資金繰りだけの話をすればこういうことになるわけですね。 そこで、これは私たちが自民党の方々とちょうど理事会をやっていたところにそういった新聞記事が飛び込んできたのでありますが、四月十三日の段階で大平大蔵大臣がそのような発言をなされたということは、一体どういうことが真意だったのか、この点はいかがでございますか。
○大平国務大臣 特例公債は歳入の大宗でございますので、予算の一環でございます。たてまえ論としても制度論としても予算と一体であることは間違いございませんし、とりわけ今度の特例債は五十一年度の特例債でございますから、まさに間然するところなく五十一年度予算と不離一体のものであるということでございますので、五十一年度予算の成立と同時に成立しておるということが制度的にもたてまえとしても当然の道行きであると考えるわけでございます。 ところが、世上、これはぎりぎりいつ成立すればいいのだとか、金繰りはどうなるのだとかいうような議論がございます。正直に申しまして、金繰りという問題は大蔵省が鋭意やっておることでございますので、金繰り上こういう工夫をすればこれこれのことはできない相談ではないということは、うそを言うわけにまいりません。こういうことをやろうとすればできないことではない。しかし私は、それがあたりまえのことであるとは考えていないわけでございまして、もともと、予算の成立と同時にこの法案が成立しておるということで、財政運営というものはきちんと計画的にやってまいることが国民に対する責任を果たすゆえんでございますけれども、金繰り上ぎりぎりのところはどうだということを聞かれればそういうことになるわけでございます。 ところが、仮にそういたしましても、そのときまでに、それでは特例法案をそのまま国会に眠らせておいて成立させるという保証はどこにあるんだと言えば、どこにもないわけです。そういう権威はどこにもないわけでございますから、財務当局といたしましては、何としてもこの国会で仕上げていただかなければ困るんだというところにアクセントがあるわけでございますので、その点を特に強調いたしたのが、あなたの御指摘の四月十三日の会見であったわけでございます。
○佐藤(観)委員 そこで、あなたの四月十三日の会見の真意というのは、国会の中ではっきりとしたわけでありますけれども、その十三日の記者会見がいろいろな憶測を呼んで、これは五月に解散があって、五月の解散が終わった後やるんだ、財政特例法はもう一回その後の臨時国会で審議するんだ、大蔵大臣は五月解散説というものを確信しているんじゃないかというような話やら、あるいは蔵相はこれが通らなかったら辞職をするんだという話までいろいろ伝わってきちゃっているわけですね。いまの段階で、この財政特例法が通らない場合には、財政の運営の責任者として辞職をするというぐらいの決意までおありなんですか。
○大平国務大臣 私が辞職するとかしないとかいう問題よりも、財政の運営ができないわけでございますので、そういうことを放置されるようなわが国の国会ではないと私は確信しております。
○佐藤(観)委員 財政の運営ができないんじゃなくて、それは大臣も理論的には認められているように、残りの建設国債、それから大蔵省証券、もちろんこれは原則的には三月三十一日戻すものでありますから、出納閉鎖期間以内に戻すものでありますから、これは一時的な借金ですけれども、財政の運営のことだけを言えば、九月あるいは八月に財特法が成立をしていれば、運営という面だけで言えばいけるんじゃないですか。
○大平国務大臣 そのときに財政特例法案が成立するという保証は、それじゃ一体だれがしてくれるんでしょうか。そういうことはどなたもできるはずがないと思うのでございます。今国会で与野党の御協力でやっていただく以外に、私はどうも、解散の問題でございますとか、臨時国会でございますとか、そういう幻想を語る余裕なんかいまの政局にないと思います。
○佐藤(観)委員 わかりましだ。 それでは、次の問題に移りますけれども、五十年度の税収見通しについてお伺いをしておいて、五十一年度の経済状況に移っていきたいと思うんですが、五十年度の三月末の税収実績、もちろん一般会計でありますけれども、どんなものであったか。特に新聞に報じられているところでは、土地譲渡所得税の伸びが予想以上に大きかったということが報じられているわけですが、一体その土地譲渡所得税というのは、補正予算で組み込んだ枠が幾らで、それよりも幾らぐらい伸びたのか、その点について若干説明してください。
○大倉政府委員 三月分の一般会計税収は一兆五千二百七十億強でございまして、累計いたしますと十三兆三百五十億ということに相なります。これは、補正後予算額の十三兆四千六百十億に比べますと九六・八%という進捗率になるわけでございます。この中の三月分といたしまして税収で非常に好調でございましたのは、ただいま御指摘のございました申告所得税でございます。申告所得税の中では、土地の譲渡が五十一年の一月一日から制度が変わりますために、いわゆる駆け込み譲渡というものが私どもが予想いたしました以上に非常に大きかったようでございます。ごくラフに申し上げますと、補正のときには大体四十九年度の実績と同額程度というふうに推計いたしておりましたものが、補正の見込みに比べまして約八割方税収でふえておる。二千四、五百億になりはしないかと思います。まだ正確にはわかりません。
○佐藤(観)委員 それと、今後を見通すのに非常に重要なのは法人税関係なんですけれども、法人税全体をとってみますと二八%の減少というふうに聞いているのです。ただし、六カ月決算法人の大法人の申告税額を見ますと、前期の何と三倍近くになっているというようなことが報道されているのですが、そのあたりはどうですか。
○大倉政府委員 三月分の法人税収は一千四百八十億でございまして、前年の同じ期に比べますと、税収ベースでは七一・九%ということになります。その中に、いわゆる六カ月決算大法人で前期に比べまして非常に収入が大きかった企業が一、二ございます。ただこれは、その法人の前期と申しますのが、商法改正の関係で、中間決算で前年同額で税を納めておられた期だものですから、ちょっと特殊なケースでございまして、法人税収全体が非常に伸びがよくなったということではございません。
○佐藤(観)委員 そこで、従来のパターンは必ずしも今度の五十一年度の先行きを見通すのに使えないとは思いますけれども、この法人税、特に大法人の申告税額が進捗率から言ってもそう悪くない。小さいものは非常に悪いけれども、大きいものについてはかなり業績がよかった。この辺は五十一年度の見通しを立てる場合にかなり参考になるのではないか。つまり、大企業の法人については三月末の税収の実績から判断すると必ずしもそう言われるほど悪くないのじゃないか。こういう見通しができるのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
○大倉政府委員 法人税収全体といたしましては、先ほど私が申し上げましたように、税収ベースで大体七割ぐらいのところを動いているわけでございます。申告税額ではもう少し高い率にはなります。それから、六カ月決算大法人で三月税収になります一月決算の分につきましては、先ほど申し上げたかなり特殊な事情があるという点がございます。大法人、中小法人全体合わせまして、私どもが昨年の九月に補正予算で見込みましたペースとほぼ同じ、締めてみますとそれよりも若干はよくなるかもしれません。しかし、決して楽観を許さないというのが今までの動きと申し上げて間違いでないと思います。
○佐藤(観)委員 それで、トータルをしてみまして、補正に対しまして歳入増は、まだこれは全部締めておりませんから丸い数字で結構ですけれども、ざっとどのくらいになるのですか。
○大倉政府委員 まさしくおっしゃいましたように制度改正がございましたので、四月分まで五十年度税収になりますから、なお場合によりましては千億近くのぶれがあり得るわけでございますが、現状でごく大ざっぱに推計いたしますと、五十年度といたしましては、補正予算に対しまして恐らく三千億程度増収になるのではなかろうか。三千億の中身は、圧倒的に申告所得税であり、土地の駆け込み譲渡である。申告所得税以外の税目では、いろいろ出入りはございますけれども、大体補正で見たくらいの感じとお受け取りいただいていいのではないかと思います。
○佐藤(観)委員 それと、予算で言いますと歳出の不用額と税外の収入増が加わってきますね。これは税外だから大倉さんのところじゃないんだな。歳出不用だけはちょっと締めてみないとわからぬと思うのでありますが、どのくらいと見通しているのですか。
○高橋(元)政府委員 税外それから歳出の不用、これは五月の下旬までいきませんと正確な数字が把握できません。非常に粗い見込みということでお許しをいただきますならば、現時点で五十年度の税外の増と歳出の不用と合わせますと二千億ぐらいになるのではないかというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 そうしますと、対補正に対する歳入増というのは、税増収が、丸い数字の話ですが、ざっと三千億、それから歳出不用、税外収入の増、これはざっと二千億、補正に対して合わせて五千億円の増加だということになりますね。それからこれに伴って当然出ていかなければならぬのが地方交付税交付金と道路整備関係の費用が出ていくと思うのですが、これはこの数字から判断して合計してどのくらいになるのですか。
○高橋(元)政府委員 税目ごとの内容が明らかでございませんが、ざっとした感じで一千億のオーダーだと思います。
○佐藤(観)委員 そうしますと、最終的には、これは丸い数字の話でありますけれども、四千億の剰余金が出てくる、こういうことになりますか。
○松川政府委員 結論的に申し上げますと、私ども歳入歳出のしりを見ながら調整しようということで約二千億円の国債をまだ発行しないで本日に至っております。そこで五十年度の年度末近くになり、そしてまた最近の情勢を見ますと、この保留しておりました二千億円の国債は出さなくて済むのではないかという感じを持っております。したがいまして、ただいま先生が御計算なさいました差し引き四千億、この計算のもとには国債が全部出るという前提でなされておりますので、歳入面で公債収入が約二千億減りますからその分だけ剰余金は減ってまいるという計算になろうかと思います。
○佐藤(観)委員 今度の特例法でも剰余金の扱いについては、五月末に国庫出納を締めたときに剰余金の全額は国債整理基金特会に入れる、全額これは入れるのですね。
○高橋(元)政府委員 御案内のように、財政法の六条で、剰余金から、たとえば交付税の清算分であるとか揮発油税の特定財源の清算分であるとか、そういったものを差し引きました残りの、いわゆる財政法六条の純剰余金というものの二分の一を下らない金額は国債整理の財源に充てるという法定の規定がございますけれども、前国会で大臣からたびたび申し上げましたように、特例債の償還を終わるまでは全額を国債整理財源に充てるということにいたしております。したがいまして、ただいままだ概数ではよく正確に把握できませんが、財政法六条の純剰余金が五十年度について発生いたしますならばそれは全額国債整理財源に充てるということになると思います。
○佐藤(観)委員 ちょっと私の誤解かもしれないのですが、先ほど言ったように歳入増としては五千億、丸い数字の話ですよ。それからそれに伴うところの歳出増が一千億、そうするとその差が四千億になってきますね。その点ちょっとわからないのですがね。それで、いま丸い数字で二千億、五十年度の特例債を発行してないということになるわけですね。そうするとその四千億と二千億の差はどうなるのですか。
○高橋(元)政府委員 税収の増が約三千億、税外及び不用で二千億、合計五千億でございますが、ただし公債の出納整理期間分といいますか、五十年度特例法の第三条に基づきます発行予定分二千億を落としますので、したがって歳入の増加全体としては三千億ということでございます。
○佐藤(観)委員 わかりました。 で、確認をしておきますけれども、今度の剰余金も当然前年度同様、特例公債の償還まではその全額を国債の減債基金に入れる、これはそういうことになると思うのですね。それで、この問題は五月の末にある程度しりを締めてみないと確定した数字になりませんので、一応いまの段階で、五十一年度の景気の見通しとそれに伴うところの税収の見通しについてお伺いしておきたいと思うのです。 景気の見通しにつきましては、四月の九日に経済企画庁の月例経済報告が出ましたし、それから四月の十二日に日銀の支店長会議での森永日銀総裁の発言、それから四月の二十七日に大蔵省の全国財務局長会議で経済情勢報告がされているわけでありますけれども、いずれの報告を見ましても、景気は上向いてきた、もっと正確に言うならば、月例経済報告の言葉では、不況を脱出する兆しを強めているというふうに述べているわけでありますけれども、これはまず大平大蔵大臣と経済企画庁にお伺いしておきたいのですが、いまの認識というのは、この調子で景気は回復していくのだ、その場合に、その回復していくというときの回復というのは一体どの程度のものを考えているのか、いわゆる政府が基礎としております主要経済指標が予定どおり達成されたというのが景気が回復していった、つまり名目一三%の経済成長、実質五六%の経済成長が達成される軌道に乗った、これが景気が回復をしたという表現をしていいということになるのか、その絶対的な見通しについてお二方からお伺いをしたいと思います。
○青木(慎)政府委員 景気の回復の兆しが見えているということは、ただいま先生が御指摘のとおり、大体政府の見通しのとおり五%から六%の実質成長、名目で一三%の成長になるということでございまして、まだ四月一カ月しかたっておりませんので判断は早いと思いますが、いまの調子でいけばそれくらいの成長はするであろうというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 財政経済運営の責任者としての大蔵大臣もそのような認識に立っているというふうに理解しておいてよろしいですか。
○大平国務大臣 いま各種の経済指標がおかげさまで大変順調な足取りで回復の徴候を見せておることは御指摘のとおりでございます。そしてこの分でいけば、いま局長が御報告申し上げましたように、政府がもくろんでおりまする成長の見込みが達成されるのではないかというようにいま見ておるということでございますが、もとより輸出が持続性を持って発展するかどうか、消費も堅調を持続できるかどうか、設備投資が回復の兆しを見せておりますけれども、これが本格化するかどうか、・物価がまたことしどのような推移をたどるかどうかというようなことは確かに問題点は若干あるわけでございまして、財政経済の運営に当たりましていろいろ警戒すべき点はなきにしもあらずでございますけれども、マクロ的に見ましていまの経済の推移は私どもに希望をもたらす状況にあるということだけは言えそうに存ずるのでございます。ただし、いま青木君も申し上げましたように、新年度が始まりまして一カ月そこそこでございますので、いましばらくこの新年度の経済財政政策の展開を見させていただきいと思います。
○佐藤(観)委員 そこで若干私は企画庁なり日銀なり、日銀は若干慎重派でありますけれども、企画庁なりその他の現状のとらえ方に、果たして新聞がああ書き立てるほど本当に景気がよくなっているだろうかという疑問を呈するわけであります。それは要因としては四つあって、一つは輸出の先行きの問題です。それから二番目に個人消費の伸び、これがそんなにいくかどうか。特に春闘と絡んで、いくかどうかという問題。それから設備投資、そして卸売物価の動向、この辺を少し慎重に考えてみないと、どうもいまの場合には、紙面で見る限りは景気が回復軌道に乗った乗ったということばかり出て、どうも楽観ムードがあり過ぎはしないかという危惧があるわけであります。 そこでひとつお伺いしていきたいのですが、まず現在の景気の動向を支えているのが輸出の好調だ、このことは実態としては私も認めるわけであります。ただしこれがいつまで続くだろうかということになりますと、非常に不安要因が多過ぎるんじゃないかという気がするのであります。その点についてまず大ざっぱに言ってどうでございますか。
○青木(慎)政府委員 確かに御指摘のとおり輸出というのは非常に変化をいたしますので問題はあろうかと存じますが、現在世界の経済動向で言いますと、アメリカ、西独、日本というところが景気をだんだん回復しておりまして、上昇過程にあることが明らかになっております。それからその他の西欧諸国のうちフランスあたりが大体底入れをしておるという徴候が見えております。イギリス、イタリアもいろいろ政治的不安等もございますけれども、現状で判断する限りだんだん上向いてくるであろうということが一般的に言われております。先行き非常に問題はございますけれども、現在の世界の大方の人の判断は、五十一年度に関する限りある程度世界貿易というのは伸びていくであろうというのが一般的な見方でございまして、こういうことから考えますと、輸出につきましては一応先行き、少なくとも五十一年度は相当の伸びを示すであろうということが言われているところでございます。
○佐藤(観)委員 もう少し細かに見てみますと、たとえば自動車や家庭電器製品、これは主にアメリカ向けでありますけれども、この好調というのも必ずしもアメリカ国内の消費じゃなくて、在庫の積み増しではないかという点、これがまず第一点。 それからいま青木局長からも言われたように、かなり輸出ラッシュということになっているものですから、たとえばアメリカの特殊鋼の問題のように、輸入制限あるいはダンピング規制の問題、こういったような摩擦と申しますか、こういったものが出てきている。これはもう数々そのほかのものについて挙げていったら切りがないほどいろいろな摩擦がいま起こりつつあるわけでありますけれども、こういったものが続くとだんだんと保護貿易色が、特にアメリカはいま大統領選挙を控えているということもあって、保護貿易色を非常に強めかねない、こういった情勢が二番目。 それから、細かに見てみますと出血輸出とかダンピング、こういった業界もあるということですね。 それから四番目に、確かに現在好調だけれども、政府のはじいた主要経済指標によりましても、輸出の占める割合というのはどうはじいてみても一一%くらいの率しか占めてない。したがって、これがどれだけ伸びたといっても、GNPに占める割合が一五だ一六だとなるほど大きくなる可能性というのはない。したがって、いまほかに景気の牽引力がないから、確かに輸出はよく見えているけれども、これが最終的に日本の景気を上向きにして、ある程度の主要経済指標で目標としたような経済指標を達成することが果たしてできるかどうかという問題ですね。 それから、アメリカの設備投資というのは必ずしも盛り上がっているものじゃないものですから、鉄鋼とか機械などの生産財関係の輸出、こういったものについては不安がある。 それから六番目に、現在短期的に見る限り確かに輸出が好調であるために、四月末で百四十九億ドル、日本の外貨保有がふえ、しかも二月に引き続き四月も七億五千万ドルという大変な増加になってきております。七億五千万ドルというと、昭和四十六年、四十七年当時の月々の増加額に匹敵するぐらいの急ピッチのふえ方でありますから、やがては、輸出が好調だ好調だといっても、ひいてはこれが円高相場になり、あるいは円相場の水準をある程度変えなければいかぬというような論議がまた再燃される可能性というのはかなりあるんじゃないか。 事ほどさようにこういうような要因を考えてみますと、必ずしも輸出の先行きというのが全く不安がないか。通産大臣が言っておりますように、ことし七百二十三億ドルほど達成できるんじゃないかという、たしか主要経済指標は六百十二、三億ドルになっていたんじゃないかと思いますけれども、そんな、七百二十三億ドルですかも果たして達成できるかということになると、かなり輸出についても不安があるんじゃないかというふうに私は見るわけでありますけれども、その点についてはいかがでございますか。
○青木(慎)政府委員 ただいま御指摘のような問題点が輸出にあることは確かでございます。 一つは、一番最初に御指摘になりましたように、在庫の積み増しではないかということでございますが、在庫の積み増しのために家電なり自動車なりの輸出が伸びていることは事実でございますが、非常に向こうの消費需要が強いことでございますので、若干の在庫積み増しが終わった後衰えてくることも想像されますが、一方アメリカなりドイツ、日本、その他先進諸国の景気が回復してまいりますと、そこに対する輸出が発展途上国の方に及んでまいりまして、それがまた日本の輸出を伸ばしていくというような複雑な関係もございますので、必ずしもそれだけを悲観的に考える必要はないかと思います。 それから輸入制限問題につきましては私ども非常に憂慮しているところでございまして、これはなるべく先進国の間でそういうことを起こさないようにということをわれわれも努めておりますし、昨年ランブイエの主要国会議で各国首相が議論されたときも同じような問題がございましたように、極力そういうことがないように今後外交努力を続けていく必要があろうかと思います。 それからアメリカの設備投資が余り伸びてないんじゃないかということでございますが、いま伸びておりますのは家電、自動車のような消費財が多いわけでございますが、伸びないと申しましても、だんだん設備投資というのは伸びてくるでございましょうし、それから鉄鋼その他の原材料の世界的な在庫がだんだん減ってまいっておりますので、これも必ずしも今後明るくないというようなことでもないかと思います。 それから一方、日本の物価も落ちついてまいりましたために、明るい材料といたしましては、プラント輸出のたぐいの引き合いが非常にふえておりまして、実績もだんだん伸びておりますので、商談が成立した後、今後その関係の出荷もふえてくるという見通しもございます。 それこれあわせて考えますと、輸出についていろいろ悲観的な要素と楽観的な要素と両方ございますので、大体私どもの想定しているぐらいのところまでは行くんじゃないかというふうに現在判断しております。 それから、外貨がたまり過ぎて円高になって、その影響で輸出が衰えるんではないかという考え方もございますが、一方若干円高になりますと、今度は日本の輸入いたします食糧なり原材料なりの価格が下がってまいりますので、これもただそれだけの影響ということではございませんので、いろいろ総合判断いたしてみますと、私どもが当初予想しました輸出程度は、いまのところ判断すれば出てくるんではないか。これをはるかに上回るという意見もございますが、この辺はまだ私ども確信は持っていないという段階でございます。
○佐藤(観)委員 特に大臣にお伺いしておきたいのは、最後の点の円の交換比率と申しますかの問題であります。特に輸出が好調になって、ことし四月も七億五千万ドルの外貨保有の積み増しだということになってきて、これは二月もそのくらいの七億ドル台ということになってきますと、またまた、これは円が強い方がいいか、弱い方がいいかという論議はいろいろとありますけれども、いずれにしろ円相場、現在一ドル三百円程度でいっているものがまた大幅に大きな外圧を受けるんではないか。円がどのくらいの高さがいいか、安さがいいかということは、これは非常にむずかしい問題でありますけれども、その点について大蔵省として、いまの外貨保有に対する問題については何らか問題意識はお持ちなんでしょうか。
○大平国務大臣 問題意識を持っておるかどうかということでございますが、その点につきましては、結論として現在の国際収支の基礎収支の傾向を長期的にわれわれが判断した場合、大きな不安を感じていないわけでございますので、いまの為替政策を特に変えなければならぬとは考えておりません。
○佐藤(観)委員 この問題が本題ではありませんので、これ以上このことについては触れません。 その次に設備投資の動向でありますけれども、月例経済報告によれば下げどまりの気配、こういう表現がされているわけでありますけれども、一番最近された日本興業銀行の設備投資動向調査なんかを見ますと、名目で六・三%の増、実質一・三%の増という発表が四月になされているわけであります。政府の主要経済指標では、設備投資の成長率を七%増と見込んでいるわけですね。果たしてこういったようなことから考えて、設備投資について政府の目標どおりにいくような情勢なのかどうなのか、その辺の認識は、判断はいかがでございますか。
○青木(慎)政府委員 設備投資につきましては、最近いろんな機関がアンケート調査を発表しておりますが、ただいま御指摘のもその一つでございます。ただ前の時点に比べまして、大体各種のアンケート調査が上方修正しておりますので、私どもは少なくとも名目七%、実質で申しますと二%強くらいの設備投資というものは期待できると考えております。 その指標でございますが、最近の月例の判断の基礎になりました指標は、先行指標でございます機械受注でございますが、これが昨年の十一月までマイナスが多かったわけでございますが、十二月ごろから徐々にプラスに転じておりまして、前年度に対するマイナスの率も減ってきております。こういうところから下げどまりという判断をいたしたわけでございまして、これは二・四半期くらいおくれて実際の設備投資に及んでまいりますので、現在のところ、私どもの見通しくらいの設備投資は期待できるというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 次に個人消費の問題でありますけれども、これがGNPに約六割弱占めるということで、非常にその動向が重要なわけでありますけれども、月例経済報告を見る限りは、二月の全国百貨店販売額が前年同月比で一五・七%の大幅増で、一月の増加率八・五%をはるかに上回っている、こういうことで個人消費もかなり上向いてきたと見ているわけですね。 ところが、これは新聞の記事でありますけれども、三越の岡田社長に言わせますと、この伸びたというのは冬物のバーゲンが非常によく売れたんだということ、それからことしの二月というのはうるう年だったので五回日曜日があった、こういうようなことであって、必ずしも本質的に個人消費が盛り上がったというふうに見るのは、どうも売っている側の消費者と直接つながっている人々から見ると、自信が持てないということが指摘をされているわけであります。 特に今度の春闘が、これはどういう数字を使ったらいいのかわかりませんが、やはり八・八という数字を使うのが一番適当だと思いますけれども、八・八に押さえ込まれた、こういったようなことになってきますと、どうしてもこれは節約型の消費が今後も続いていく。しかも減税はなかったわけでありますから、そういった意味から考えますと、個人消費というものが景気の下支えをすることはある程度あるけれども、個人消費自体がこれから伸びて景気を押し上げていく、こういう要因にはなり得ないんじゃないか、こういうふうに見ざるを得ないと思うのでありますけれども、この春闘との関連を考えて大蔵大臣ないしは経済企画庁はどういうふうに見ていらっしゃいますか。
○青木(慎)政府委員 ことしの春闘がどれくらいの相場に落ちつきますかは、まだ若干時間がかかりますので、私どもとして明確なことを申し上げるわけにいかないのですが、私どもの個人消費をはじきました基礎を申し上げますと、雇用者所得を名目でございますが一二・八%増というふうに見ております。雇用が一%ふえますので、一人当たりの雇用者所得は一一・八%というふうに想定したわけでございます。 この一人当たりの雇用者所得と春闘との関係でございますが、一人当たりの雇用者所得には賃金以外のものも入っておりますが大部分が賃金でございまして、その賃金の中でボーナスと時間外給与が入ったものが一人当たりの雇用者所得になるわけでございます。春闘はそれを除きました所定内給与の計算でございます。したがいまして、五十一年度のように私どもが景気の回復を想定いたしますと、通常時間外あるいはボーナスというのは伸び率が高いというふうに考えますので、いわゆる春闘の基礎になります所定内給与というものは一一・八より相当下回るものというふうに想定しておるわけでございます。したがいまして、そういう景気の回復に伴う雇用の増、ボーナスの増、時間外の増という要素を考えますと、私どもの想定しました一二・八という雇用者所得はそれほど高く想定したものとは思っておりませんので、ぴたり当たるかどうかは別にしまして、おおむねこの辺の見当にいくんではないかというふうに考えております。 それと個人消費との関係でございますが、個人消費は私どもはこれが景気を促進するというふうに考えておるわけではございませんので、ほぼGNPの伸びと同じくらいの伸びということでございまして、景気をそのまま下へ引っ張る要素でもなければ上へ上げる要素でもない、大体中立的な需要項目として五十一年度は想定しておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 逆のことを言いますと、預貯金の伸びがこの一月から三月非常に多かった。これはもう数字を挙げるまでもないと思うのでありますけれども、とにかく最高の伸びがなされたというようなことを考える。それから主要経済指標で個人消費支出の伸びを一三・七%ということで想定をしていることから考えても、いま雇用が一%ふえるとしても、一人当たりが二・八%の増というのは、春闘のいま言った相場、それからいま国民的な貯金に大半が回ってしまうという先行き不安、こういったことからいくと、とてもこの主要経済指標の目標どおり個人消費が九十六兆一千五百億と、こういうような数字が達成できるというふうには、私はどう見てもそう思えないわけでありますけれども、その点いかがですか。
○青木(慎)政府委員 ただいま先生の御指摘のところは消費性向と申しますか、貯蓄性向と申しますか、可処分所得のうち消費に幾ら回るかという問題かと思いますが、現在日本の消費性向と申しますのは非常に低いわけでございまして、オイルショック以来やはり二ポイントぐらい下がっております。この消費性向が下がっている理由、いろいろございますけれども、一般に言われておりますのは、一つは経済の先行きに対する不安が一つと、それから物価が非常に上がっておりますのに対する抵抗と申しますか、そういう方面から来る影響ということが考えられております。私どもは、五十一年度やや景気が上向いてまいりまして、なおかつ物価が安定してくるというふうに考えておりますので、これはむしろ上がる要素があるのではないかというふうに想定しております。 いずれにしましても、計算としましては、〇・数%というごくわずかの増を見ておりますけれども、それほど過大に評価しているとは考えておらないわけでございます。
○佐藤(観)委員 数々の指標は大方大体経済企画庁がつくられるのですから、それはそうそう違うというふうには言えるわけはないわけで、ただ私はいろいろな意味から疑問を呈しているわけです。 そこで、大臣に一問だけこのことについてお伺いしておきたいのは、御存じのように春闘がまだ仲裁裁定が出ているわけではありませんので、どの数字を使うのが一番適当かどうかわかりませんけれども、八・八に若干、〇・何ポイントプラスをするというぐらいのことになるのではないかと思いますけれども、こういうことで、しかも減税なしでありますから、伸びた分の約半分は所得税と地方税に取られると見なければいかぬ、こういったようなことを考えますと、個人消費の伸びというのが果たして本当に達成できるかどうか、まさに政治的な立場からいって、どういうふうにごらんになっておりますか。
○大平国務大臣 由来、経済学というのは沈うつの科学と言われております。つまり、インフレは避けなければならない、雇用は確保しなければならぬというこの二つのことを同時に達成した経済学はなかったわけで、その中間においていろんな工夫を人知の及ぶ限りやっておるのがいまの姿でございます。 今日の個人消費の問題にいたしましても、個人消費を拡大する、そのために減税もやるべしという議論も確かに一面において成り立つわけでございますけれども、それは、景気政策の上から申しましてもそれによらなくて達成する道があればないわけでもない、あるいは財政政策の上からはいまそういうことは許されないのではないかという立場を私どもとっておるということは、たびたび佐藤さんにも御説明申し上げたとおりでございます。 そこで、いま企画庁からお話がありましたように、ともかく個人消費に大きな期待を寄せてないけれども、政府がいまもくろんでいるぐらいのところは確保できるのではないかというようなことを、いま政府は考えておるということなんでございます。しかし、あなたのおっしゃるように、もしそれがある程度達成できないということになった場合におきましても、一面におきましてそのことが雇用の増大あるいは労働時間の拡大につながる、あるいは設備投資の拡大につながるということを通じて景気の回復をもたらすことになるわけでございますので、全体といたしまして、私は、五十一年度の経済のバランスを考える場合におきまして、多少そこに出し入れがございましても、全体として政府がいま見ておるところはどうにか達成できるのではないか、また達成できるように私ども政策をあんばいしていかなければならぬのじゃないかと考えております。
○佐藤(観)委員 そうしますと、いまの御答弁からはっきり聞き取れなかったのでありますけれども、今度の春闘相場というものは、経済成長五・六なら五・六を達成する面においても、あるいは経済全体のバランスを、雇用をふやすとかそういったバランスから考えてもまあまあ適当な数字ではないかというふうに判断なさっているということですか。
○大平国務大臣 春闘の相場についての評価というのは、これは労使が決めることでございまして、政府の立場でコメントすることは不謹慎でございますから、私はそういうことはいたしたくないわけでございます。 ただ、経済的な問題といたしまして、これが個人消費との関連におきまして佐藤さんがおっしゃるように若干マイナスのファクターになる部分がありとすれば、それはほかのファクターによって補われる経済的な理由づけができないこともなかろうということを申し上げておるにすぎないわけでございます。
○佐藤(観)委員 もう一つだけ触れておきますと、今後の物価の動向の問題なんですけれども、消費者物価も二月に対前年同月比で九・八%増ということですけれども、大臣の政治感覚というか庶民感覚と申しますか、確かに福田さんは予定どおり一けたで達成できたんだ、達成できたんだと言っているけれども、まだまだこれが預貯金の金利をはるかに上回っているという現状ですね。これについてはどういうふうにお考えになっていますか。
○大平国務大臣 オイルショックを初めといたしまして、相当大きなショックを日本経済が内外にわたって受けたわけでございまして、長い不況でございましたし、彫りの深い衝撃であったわけでございまして、一時は大変な狂乱状態も招いたわけでございます。それからいま立ち直りのプロセスにあるわけでございまして、そういう背景において問題を考えてみますと、確かにいまの状態というのは、それだけを考えてみますと、決して満足すべきものでないことは御指摘のとおりでございますけれども、そういう大きなショックの中からの立ち直りの過程といたしましては評価していい経過をたどっておるのではないかと思うのでございます。しかも、先進諸国の中でも五十年は唯一の成長を記録した国であり得たし、こんな資源に恵まれない国が、ともかく経済に破綻を来すことなくこの危機をその他の先進国に先駆けて突破しつつあるわけでございますから、そういうような点から考えますと、いまのできばえは、それ自体絶対的に満足すべきものとは思いませんけれども、そういう背景から判断いたしますと、野党の皆さんからも評価していただいて決して過当ではないと私は考えます。
○佐藤(観)委員 だから、私が特に申し上げたのは、預貯金の金利との比較なんです。貯金をしていてもどんどん目減りをしていく。一時のように一六%の消費者物価ということではないけれども、評価はどうあれ短期的に二けたを割ったことは事実です。事実だけれども、いまだに預貯金の金利よりも高い消費者物価指数だ。これは貯金をしていても、一緒になれば何とか維持はできるけれども、それ以上に目減りをしていってしまうという情勢ですね。恐らく大平さんの頭の中には、これからの経済運営を考えていくと八・八という数字にしたって、いま郵便貯金にしても銀行預金にしてもこれ以下でありますから、八・八という政府の目標が達成できたとしてもなおかつ預金は目減りをしていくということになるわけですね。このことについてはどうお考えになりますか。全体のマクロの話は大平さんの言われることでわかりました。わかりましたというのは理解しましたという意味であって、そのとおりでありますと評価するわけではないのです。しかし、政府の目標どおり八八%になってもなおかつ預貯金の金利よりも消費者物価指数が高いということ、これはもう一度、昨年もさんざん論議をしたような何か別建ての預金、こういったものをもう一回考えていかなければならぬではないかということも私は考えるのですけれども、預貯金の金利と比較しての問題はいかがですか。
○大平国務大臣 私は佐藤さんとちょっとその点見解を異にするのです。預金の金利と物価を一緒にいたすべきでないと思うのです。そのことを言われますと、物価が上がらぬときに金利をつけるということはおかしくなってまいるわけでございます。そういうことではなくて、金利というのは資金の需給関係から出てくるわけのものでございますから、金利と物価というのは全然別な話なんでございます。 ただ常識的に申しまして、あなたが言われるように、物価が預貯金の利子、金利の水準よりも高いというようなことは物価水準としては好ましくないという立論は、私は確かに成り立つと思うのでございます。したがって、その点はそれより低目にあってよろしいと思うのでございますが、それに対しては一つ条件があるのです。何となれば、先ほども経済学の課題として申し上げましたように、たとえば雇用の維持、拡大、あるいは平たく申しまして行財政の水準をどう維持していくかということでございまして、物価を下げるということだけでございますならば、そのことを追求するのでございましたらあるいは可能かもしれません、物価を下げることは、政府の手でやれということでございますならば。ただ、物価を下げるということは、雇用も維持しながら、いろいろな諸政策を円滑に実施しながら、しかも物価を下げなければ意味がないわけでございまして、こういう大きなショックから脱出の過程にあるわけでございまして、しかもいろいろな政府に対する要請にもこたえながら物価を下げていくということでございますので、そういうことを充足しながらあなたのおっしゃるように預貯金金利よりも低目に物価を抑えるようにできるだけ早くもっていけ、またもっていくように努力しなければならぬじゃないかということにつきましては、私は全幅的に佐藤さんの所論に賛成でございます。ただ原理的に物価と金利を混同されることについては、いささか私は同感いたしかねます。
○佐藤(観)委員 私は物価水準と金利とを混同しているわけではなくて、大臣が前段言われましたように経済学的に金利というのは需給バランスで決まるわけですから、それは確かに別のもの、物価は物価で別の需給関係で決まるわけですから、これはまた別のものである、そのことはわかるわけであります。しかしいま庶民、国民が貯金をしていく大半というのは、やはり老後に備えていくという蓄えであるわけですね。その意味においては、確かに用語としては物価と金利というものは必ずしも同一視される経済用語じゃないけれども、現実には国民が預金をしていくというのは将来に備えてである。将来家を建てる場合もあるし、病気もあるし、子供たちの学校の問題もある。ところがその備えが物価上昇で減っていってしまう。蓄えても蓄えてもそれが目減りしてしまう、維持さえできないということについては、これはやはり政治が考える分野だと思う。経済用語として大臣の言われることは私もわかりますよ。わかりますが、政治の分野としてはこれを維持なりしていくことは最低の義務じゃないだろうか、大臣の言われる条件もわかりますが、と思うわけであります。 そこで私は、これはきょうの本題ではありませんので横道にそれたようでありますので、これ以上申し上げませんけれども、やはり別の預貯金というもの、つまり全く少額の、行政的に事務的に名寄せをどうするこうするという非常にむずかしい問題があることは私もわかっておりますが、このあたりで預金目減り対策というものをもう一度考える必要があるのではないかということだけ申し上げておきたいと思うのです。 もう一つ、先行きの経済動向で問題なのは卸売物価の動向の問題です。これはもう決して楽観を許さない。二月が前月比〇・七%上昇、三月の前句比が〇・二%上昇、中旬が〇・一%上昇、このままいきますと年率に直すと七、八%の卸売物価の上昇になるのじゃないかというふうな計算になっていくわけであります。この主たる原因は通産省の現在の減産指導にあるのじゃないかということが日銀の総裁あるいは福田副総理もかなり指摘をしているわけでありますが、この点について経済企画庁としてはどういうふうに判断なさっておりますか。
○青木(慎)政府委員 確かに現在の卸売物価の上昇率は御指摘のとおりやや高目でございまして一このままずっと一年いきますと、非常に高いことになることは御指摘のとおりでございます。ただ私どもはこれがこのままずっといくとは考えておりませんので、ある段階で落ちついてくるものと考えておりますが、それにしましても現在操業率が非常に低いわけでございますから、ある段階までいきますと、もう少し落ちついた姿に移っていくものと考えております。 それから減産指導のことでございますが、減産指導につきましては、これだけ需要がついてまいりますときには、必要に応じだんだん外していくのがたて愛でございまして、私どももそういうことを要望いたしたいと思いますし、通産省も大体その方向でだんだん減産指導を外していくという方向で、行政指導の動きがそうなっているように考えております。
○佐藤(観)委員 景気問題そのものがきょうの課題ではありませんので、一応いま申しましたように、私は四つの点について若干疑問を差しはさみながら財政当局の認識をお伺いしたわけでありますけれども、こういうように大臣のお考えでは経済成長としては大体実質五・六%達成できるのではないかというふうに——ある意味ではそう言うのは当然かもしれませんが、そういうふうに認識なさっていると理解をして、先に進んでよろしいですね。
○大平国務大臣 結構でございます。
○佐藤(観)委員 そこでそれを踏まえて、ことしはそういったようなことで、政府が決めた主要経済指標を目指してほぼ進んでいるという前提に立って話を進めていきたいのでありますが、それは予算委員会に二月六日出された中期財政展望の問題です。 まずお伺いしておきたいのは、この中期財政展望、正確に言いますと五十五年度までの財政収支試算というのは、一月二十三日に閣議了解された「昭和五〇年代前期経済計画概案」をもとにして経済成長率、公共投資の規模、振替支出の比率、租税負担率、こういったものを一定の条件のもとで考えて、昭和五十四年ないしは五十五年に赤字国債をゼロにするためにはどのような財政収支にしたらばいいか、こういうようなものを試算したものだ、したがって、閣議了解された「昭和五〇年代前期経済計画概案」というものを下敷きに敷いて試算されたものだ、こういうふうに理解してよろしいですね。
○大平国務大臣 仰せのとおりです。
○佐藤(観)委員 そこで問題になってくるのは、この試算の性格なんでありますけれども、条件の中で、公共投資と振替支出が、閣議了解された「五〇年代前期経済計画概案」と若干数字が違うのでありますが、そのことはおきまして、その閣議了解された「昭和五〇年代前期経済計画概案」、これでは公債政策についてどういうことが述べられておりますか。
○高橋(元)政府委員 ただいま御指摘の「昭和五〇年代前期経済計画概案」の中に「公債政策」という項目がございまして、「公債政策の活用にあたっては、建設公債原則を基本とする。過渡期においては特例的措置をとらざるを得ないが、できるだけ早く特例公債に依存しない財政に復帰するものとする。また、発行条件の弾力化、消化層の拡大を図るとともに、公社債市場の整備をすすめ、市中消化原則を堅持する。さらに、長期的観点からの公債管理政策の確立を図る。」こういうことが書いてあります。
○佐藤(観)委員 そこで、それに基づいて、つまり、あくまで公債政策の原則というのは建設公債である。公債政策の活用に当たっては、建設公債原則を基本とする。しかし、過渡期においては特例的措置として、なるべく早い機会に特例公債に依存しない財政に復帰するものとするということを受けて、昨年の野党側の問題点の指摘もあって、この中期財政展望というものが出てきたのだ、こういうふうに理解してよろしいですね。
○大平国務大臣 そういう御理解で結構と思います。
○佐藤(観)委員 それで、中期財政展望、つまり五十五年度までの財政収支試算、これはあくまで試算でありますけれども、試算というのは、五十四年ないしは五十五年に赤字国債をゼロにするということで試算をされているということは、先ほど言った「昭和五〇年代前期経済計画概案」に沿って、特例公債に依存しない財政に復帰する時期の目標をこの試算によって明示をしたのだ、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
○高橋(元)政府委員 財政収支試算には御承知のとおり二つのケースがございます。 〔委員長退席、森(美)委員長代理着席〕 一つは、概案の中の諸指標を手がかりにして、五十五年度の経済、中央地方を通ずる財政というものの姿が書かれておりますので、それに向かって一般会計を一定のルールで算出をいたしまして、五十五年に向かっておおむね均等にその数値が推移すると考えたものがケースIでございます。ケースIIと申しますものは、五十四年に特例債の発行をゼロにするために税収を五十四年度以前について増加のスピードを早くした場合、この二つの場合を試算してあるわけでございます。 いずれのケースが実際に望ましいケースかということになりますと、特例債をできるだけ早くなくしていくべきであるということからすればケースIIの方が望ましいわけでございますが、実際にどちらのケースに落ちつくのか、どちらをその基準としてやっていくのかは、今後の景気の動向を考えながら財政運営の適切を期していきたい。そのための手がかりとして二つのケースを出しておるということでございます。
○佐藤(観)委員 その中身についてはまた後で細かにお伺いしますが、私のお伺いしたいのは、いま言ったように、閣議了解された「昭和五〇年代前期経済計画概案」あくまでこれを下敷きにして、数字もほぼこれを使い、そして中期財政展望というのを試算をしてみる。その試算をしてみる場合に、五十四年か五十五年に特例公債をゼロにしようということで試算をしたわけですね。すると、五十四年か五十五年で特例公債をゼロにしようとして試算をしたということは、ある程度、五十四年なり五十五年には特例公債に依存しない財政に復帰をするという展望を持ってしたのかどうなのかということなんです。中身についてはまたお伺いします。
○高橋(元)政府委員 いまお話のございました一月二十三日に閣議了解されました概案、それの五十五年の姿というものがおおむね示されておりますが、その五十五年の姿を一般会計に翻訳をいたしますと、五十五年度には特例公債に依存しなくても済むという財政状態があらわされておるわけでございます。将来を見通しますときに、いかなる経済のフレームワークに基づいてやるかということは非常にむずかしい問題でございますが、ただ、一月二十三日の概案の数字をもとに推定をいたしますと、特例公債がないという財政の状態になっておる、そういうことに御理解をいただきたいと思います。
○佐藤(観)委員 前回の大蔵委員会でも、五十五年をゼロにした場合に、あとの五十二年、五十三年、五十四年は、変な言い方をすれば均等分割されて、下から積み上げた数字ではなくて、五十二年、五十三年、五十四年については、五十五年を特例国債ゼロにするという想定のもとで、簡単に言えば均等分割した数字であるという説明があったのです。それはそれで私は方法論としては了解するわけですね。 私はその中に入る前にお伺いしておきたいのは、ここで中期財政展望として五十四年ないし五十五年には特例公債に依存をしないという試算がされているわけですけれども、これは閣議了解された概案を下敷きにして、その数字も使っている限りは、中期財政展望というのは、大平大蔵大臣としては五十四年ないし五十五年には特例国債依存率ゼロだということが政治的な責任として発生をしたというふうに考えるが、そういうふうに了解をしていいか、こういうことなんです。
○大平国務大臣 そういうことを政治的な目標として追求すべきであると私は考えております。
○佐藤(観)委員 それだけはっきりしたお話がございましたので、少しその細部に移らしていただきたいと思うのですけれども、今度出されました特例公債の第一条の趣旨というところを読むと、いわゆる特例法というものが特例ではなくてかなり通例法になりつつあるんではないか、その認識もかなり変えていかなければならぬじゃないかというふうに考えざるを得ない点があるわけであります。 一月の十九日に出されました財政制度審議会の五十一年度の赤字公債発行についての意見というのがありますけれども、ここに発行の目的を書くべきであるとして、その中に「特例公債発行のための法案について」とあって「(1) 五十一年度の特例公債の発行は、五十年度の落込みの回復を期待できない五十一年度の租税収入の動向等にかんがみ、適正な財政の水準を維持し、国民生活と国民経済の安定に資するためにこれを行うものであり、その旨を法律上明らかにすることが望ましい。」こういうふうに意見が出されておりまして、その「適正な財政の水準を維持し、」以下がこの五十一年度の特例公債の第一条の趣旨のところにそのまま入っているわけですね。そのまま入っている。 こういうことになりますと、今度の趣旨を読む限りは、歳入不足を補うための赤字国債の発行というのは正当化される、いままでのはあくまで財政法第四条が原則であって、全く特例であるということであったわけでありますけれども、この趣旨にはっきりとこう書かれたというのは、異例中の異例という措置じゃなくて、赤字国債は税収が上がらない場合にはいつでもやむを得ないんだ、こういうふうに理解させるようなこの第一条の趣旨になってると思うのであります。これは財政法の根本に触れる非常に重要な問題だと思うのでありますけれども、その点は一体どういうふうにお考えになってるのですか。
○高橋(元)政府委員 ただいまのお話のございました財政制度審議会の報告、一月十九日でございますが、その冒頭で、この公債発行の特例措置についてなぜ報告をするかということが書いてございます。 それは「五十一年度の経済は、五十年度の多額の租税収入の落込みの回復を期待できる情勢にはないものと考えられ、また、大幅な歳出の削減や一般的増税を行うことも適切な時期ではないと考えられる。」そこで「五十一年度の財政は、歳入、歳出等の見直しを行い財政の建直しの地盤を固めつつも、適正な財政の水準を維持し、国民生活並びに国民経済の安定をはかっていくためには、特例公債の発行に依存せざるを得ない状況にあるものと考えられる。」公債発行はあくまで財政法四条の建設公債の原則というものが定められているところでありますけれども、こういった五十一年度の経済及び財政の状況を考えると「この基本原則の特例として、五十一年度において特例公債発行の授権を求める立法を行うことは、当面の財政運営のため必要にしてやむを得ざる措置であると考える。」それがただいま佐藤委員からお示しのありました財政制度審議会報告の出てまいったゆえんであります。 そのことを受けまして、五十一年度の公債の発行の特例に関する法律の一条では「五十一年度の租税収入の動向等にかんがみ、同年度の財政運営に必要な財源を確保し、もって国民生活と国民経済の安定に資するため、」特例に関する措置を五十一年度について決めるという趣旨になっております。したがいまして、財政法の四条のただし書きにあります建設公債の原則というものをあくまで原則として置きまして、五十一年度の当面の財政の運営のために歳出を維持し、それから歳入を補うためにやむを得ず発行する特例中の特例の法律であるという性格を備えておるというふうに私どもは理解をいたしておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 五十年度のときには、この趣旨というのはなかったわけですね。ここで財政制度審議会の答申を受けて、この趣旨が第一条に入ってきたということ。それから、一応このことは高橋次長の答弁で確認をしておきたいわけでありますけれども、とにかくあくまでこれは特例法なんであって、あたかも財政制度審議会の答申のように、税収の落ち込みがあればこれはもうやむを得ないんだ、いつでも当然なんだというふうに受け取られるようなことについては、あくまで財政法第四条の建設国債が基本であるという点だけは踏まえていかなければいかぬと思うのです。 もう一つ、この財政制度審議会の報告の中に、これは私もちょっと触れた問題なので触れなければいかぬと思うのですが、公債の書きかえの問題であります。この報告によれば、公債の書きかえは、つまり特例公債の場合には、特例公債の場合といえども、償還の計画というか、行政上借りかえをするかしないかは国債整理基金特別会計法の第五条によって政府に授権をされているんだ、したがって改めてこれは書く必要はないんだ、政府もそれをみずから縛る必要がないんだというふうに述べられているわけであります。しかし私は、この借りかえを行わない、特例公債については十年で全額償還をするということは非常に重要なことであると考えておりますので、その意味で前国会のときに質問をし、今度の法律案に入っているわけであります。 ところがこの報告の解釈としては、国債整理基金特別会計法の第五条に「政府ハ国債ノ整理又ハ償還ノ為必要ナル額ヲ限度トシ起債スルコトヲ得」ということが入っているから、特例公債といえども、すでにその借りかえをするかしないかは政府に授権されているんだという解釈になっているわけですが、このことは私はどうも理解ができないわけであります。現在はそれは入っているからいいわけでありますけれども、私はこの解釈、財政制度審議会の解釈というのはおかしいので、国債整理基金特別会計法ができたのは明治三十九年であります。このときには、いわゆる赤字国債というのは認められているわけですね。それが戦後財政法四条自体も書きかえが行われて、建設国債が認められるようになったわけでありますけれども、そのことからするならば、この財政法四条を基本としている限り、この国債整理基金特別会計法も、あくまで財政法が主であって、その受け入れ機関としての国債整理基金でありますから、当然この国債整理基金特別会計法の第五条というのは、財政法四条が期待をしている建設国債のことまでしかこのことは考えていないんだ。あくまで特例公債については、そのときそのときによるところの審議と申しますか、政府の約束と申しますか、それによるんだと、こう理解をすべきだと私は思うのですね。これはだれに答えていただいたらいいのか。高橋さんになるのかと思いますけれども、そういう理解なんじゃないですか。あくまでこの財政法四条で建設国債は認められた、それを受けて国債整理基金特別会計法で借りかえもできるということになっているわけですけれども、特例法という財政法四条にない国債が出された場合には、この国債整理基金特別会計は必ずしもそのことを予見をしていないわけでありますから、それは財政制度審議会の言うように、すべてが政府に、借りかえをするかしないかは政府にまかされているんだという解釈は、私は法律上からいってもおかしい解釈ではないかというふうに考えるのですが、いかがでございますか。
○高橋(元)政府委員 国債整理基金特別会計の所管になっております国債と申しますのは、財政法四条の国債だけではございませんで、戦前国債も入っておれば、交付公債も入っておれば、借入金も入っておるわけでございます。先生、特例公債というものは四条公債と別個の償還上の処理をしていくべきであるという御指摘でございますが、そのことにつきましては前国会以来、またこの国会におきましても大蔵大臣そのほかからその方針について申し上げておるわけでございますが、この審議会の意見として三つ書いてございます。 一つは、いまおっしゃいましたように、国債整理基金特別会計法の五条によって借りかえを認めているのは、公債管理政策の機動的運営の必要から大幅に政府に、そのときそのときの金融情勢、財政状況等を勘案して、借りかえによるか現金償還によるかを決めていきなさいということを授権してありますということでございます。しかしながら特例公債について政府が借りかえをしないという方針を法律をもって明らかにするということであれば、その趣旨は、今後、できるだけ速やかに特例公債依存の財政を克服するとともに、特例公債の満期時にその全額を現金償還することによって将来の財政運営の健全性を確保するという政府の決意を示すことにあると考える。これは財政制度審議会自体がそういうことを言っておるわけでございます。私どもが財政制度審議会に意見を求めました趣旨も、まさにこのいま申し上げたパラグラフによってお願いをしたわけでございますが、その政府の決意を示すという考え方はわかる。そこで、それを法定する必然性はないけれども、つまり国債整理基金特別会計法というのが広く国の債務についての一般的な処理を決めた法律でございまして、その中の五条が借りかえについて政府に、金融情勢、財政の状況等を勘案して広範な授権を行っておるわけでございます。したがって、そういうことを考えますと、法定する必然性はありませんけれども、立法政策の問題として財政の節度を示すという観点で今度のお願いをいたしております法律の五条のような規定で法定をするのであれば、その意義はもちろんありますということを言っておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 高橋さんの言われる後半の部分、私も理解をするわけです。しかし問題は、その原則となっている——確かに国債整理基金特別会計法にいうところの国債というのは、財政法四条の建設国債だけでなく戦前国債もある。しかしそのときにはその範疇というのはあくまで、最大にあるのは財政法四条の建設国債でありあるいは戦前国債であり、つまり特例債というのはこの時点においては国債整理基金特別会計法では予見をしていないわけですよ。予見をしていないから別個の特例法案という法案を出すわけでありますから、国債整理基金特別会計法というのがあくまで特例債も含めて処理ができるんだという考えというのはおかしいんではないか。この財政制度審議会の報告というのはあくまで——これも公債管理政策の機動的運営上の必要から国債整理基金特別会計法第五条の規定によって特例債も、借りかえをするかしないかということも含めて政府に授権をされているんだ、それは政府の管理政策の問題なんだ、こういう言い方になっているところに私は疑問を感じているわけです。後の方の立法政策その他のことはわかります。しかしあくまで国債整理基金特別会計法で言っている国債というのは建設国債まで、特例国債というのはこの国債整理基金特別会計法が予見をしていない国債であるというふうに理解すべきだというふうに私は思うのですよ。 これは法律論議になりますし、とにかく、ことし政府の態度なりあるいは今度の法律案の中にも入ってきておりますので、時間がかかりますからこれ以上しませんが、どうもこの財政制度審議会の報告を見てみますと、国債整理基金特別会計法と特例法との関係については、私はいささか疑問を持ったのでお伺いをしておいたわけであります。このことをやっていますと時間がまたかかりますので、重要な先に進みたいと思うのであります。 それで大臣にもう一つだけお伺いしておきたいのは、いま申しましたように、中期財政展望によりましても、特例公債がなくなるのは五十四年ないしは五十五年ということになるわけですね。昨年の冬に五十年度の特例公債を審議したときに、大臣の御答弁では、まあ五十三年ぐらいまでには何とか特例公債を発行しなくて済むようにしたい、こういう御発言があったわけでありますが、五十年から特例公債を発行して、五十年、五十一年、五十二年、五十三年、まあ私は五十五年というのがいいところだと思うのです。五十四年ではどうやっても無理だと思うですね、いまのようなやり方をしていたら。そうなってきますと、まるまる六年間特例公債が出されるということになりますと、これはもう特例でも何でもない、六年間は通例公債になってしまうというふうに私は思うのでありますけれども、大臣から御答弁をいただきたいのは、これは異例中の異例の措置であって、あくまで財政法四条の原則を放棄したものではないのだということだけ、ひとつ御発言をいただきたいと思うのです。
○大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、財政法の改正というのではなくて、別個の法律で一年度限りの特例法として御審議をいただいておるゆえんもそこにあるわけでございまして、ただ今日の事態が深刻でございまして、単年度でもって処理がつかないので、いまの展望といたしまして五十年代前半にわたりまして若干かかりそうだという展望は持っておりますけれども、五十二年度以降漸減してまいりまして、前半には完全に脱却いたしたいと考えております。
○佐藤(観)委員 この試算を読みますと、振替支出つまり社会保障関係費の伸び率が五十二年、五十三年が一六%、一六・一%、五十四年、五十五年が一二・七%、一二・八%、こういうことにしてあるわけですね。ところが過去、昭和四十八年の予算では、社会保障関係費が二八・八%の伸び、四十九年が三六・七%の伸び、五十年が三五・八%というような伸びを示しているわけですね。ところが今度の試算によりますと、一六%だ一二%だと、過去四十八年以来の社会保障関係費の伸びの半分ないしは三分の一というふうにきわめて抑制されているわけであります。こういうふうになったのは一体どういう理由で、しかもこれは社会福祉の充実あるいは福祉社会の実現という従来の路線からいきますと大きく逆行する路線だと思わざるを得ないわけでありますけれども、これはこういう試算によって、国民的なコンセンサスで、もう財政からいって社会保障関係費の伸びは無理なんですというようなコンセンサスを得ようとしているのかどうなのか、その辺のことについてお伺いをしておきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 先ほども申し上げましたように、この試算の振替支出というものは概案の振替支出というものを下敷きにして算出をしておるわけであります。そこで概案の振替支出の考え方でございますが、御案内のとおり五十年度において国民所得比八・五%程度の振替所得を計画の目標年次である五十五年においてはおおむね一〇%に高めていく、一〇%弱に高めていくということを予定するということになっております。それに従いまして、毎年の平均の振替支出の伸びというのは一七%というのが概案で出ておるわけでございます。五十一年度すでに予算で定まっております振替支出というものをもとにいたしまして、五十五年度に概案で示されております振替所得というものを一般会計の振替支出ベースに直したものに連結をしていくわけでございますが、その場合に、概案の成長率の考え方が前半はやや高く、後半はやや低く、こうなっております。そこで、前半の二カ年間を一五%、後半の二カ年間を一二%というふうに考えて、そこで大体、振替支出の性質から、所得に大まかにスライドして推移していくであろうということで年率で出しますと、いまお示しになりましたように、前半が一六・一%、後半の五十四、五十五年が一二・八%、こういう数字が出てまいるということで、すべて振替支出と申しますか、社会保障の充実につきましてのこの試算の考え方は、一月二十三日に閣議了解になりました概案の振替所得の考え方と同じ考え方に立っておるということでございます。
○佐藤(観)委員 高橋さんのそこまでの説明はわかります。 それで、確かに政府の閣議了解された概案では、振替支出を平均伸び率一七%にしておるわけですから、それよりもさらに一ポイントぐらい今度の試算では低くなっている。 〔森(美)委員長代理退席、委員長着席〕 そのことも問題なんですけれども、私が申し上げましたように、四十八年、四十九年、五十年の振替支出、社会保障関係費の伸びからいくと、半分ないしは三分の一しかないわけですね。これが、一つは従来から言ってきた福祉充実、福祉社会の実現という路線からいくと大きく後退ないしは逆行するではないか。それは逆に、財政がこういうことだから、振替支出はこれぐらいまでしかできませんとけつから持っていって、抑えた成長率を考えてこうしたのか。そういうことになると、財政が許さぬから今後は社会保障費の伸びというのはもう従来のような伸びはできないのだという国民的なコンセンサスを求めるためのある程度の数字なのか、その点をお伺いしたいわけです。
○高橋(元)政府委員 概案の中では、社会保障につきましてこのように述べられておるわけでございます。人口の急速な老齢化等社会構造の変化に対応して国民生活の基礎を固めるために、年金制度の充実、保健医療供給体制の整備等を進める。また、各制度を通じて社会的公正の確保と制度の効率化を図る見地から見直しを行う。これによって、適正で合理的な給付と負担のあり方について、国民的合意を得るように努める。これらを具体化するため、社会保障長期計画を早急に策定する。そこで、先ほど申し上げましたように、国民所得に対する振替所得の比率を五十年の八・五から一〇%弱に高める、こう書いてあるわけでございます。 そのような振替支出と申しますか、社会保障についての現実の一般会計の試算の伸びが低いではないかという御指摘でございますが、これは年金部門と申しますか、そういった保険料によって賄われてまいります部分、一般会計の歳出ではなくて保険料によって賄われてまいりますような、社会保険負担によって賄われますような部門の伸びの方が相対的に計画期間中に高いということを反映して、したがいまして振替所得年平均一七%に対して一般会計は一六%の伸びにとどまっておるということでございますが、かつて四十九年、五十年、四十八年というような非常に賃金の伸びが高かったという時期が今後想定されておりませんので、したがって、内容的には充実した社会保障というものがその中に盛り込まれておるというふうに私どもは承知しております。その内容はこれから策定に取りかかられますところの社会保障長期計画に譲られておるわけでございますが、概案の考え方は先ほど申し上げたようなことでございますし、一般会計に翻訳した場合に振替支出の伸びが国民所得ベースよりも低いということにつきましては、社会保険負担によって賄われる部門が逐次充実をしてまいるということによって十分御説明がつくものというふうに考えます。
○佐藤(観)委員 要するに、国民の負担が大分大きくなるから、それと総合してある程度社会保障はさらに充実できるのだ、こういうことになるわけですね。つまり、もちろん社会保険ですから一部は企業が負担するものもあるわけですけれども、その国民の払う負担率、それと政府の払う負担率、これとが合わさって、テンポは従来ほど早くはないけれども、ある程度充実をしていく、こういうことになるわけですね。
○高橋(元)政府委員 社会保障が充実してまいるということでございますが、国民所得比でよく議論されておるわけでございますけれども、西欧諸国に比べて日本の社会保障の国民所得比が低いことがよく問題になりますが、これは老齢人口が非常に少ないとか年金が成熟していないということの反面でございますから、制度自体の持っております給付水準としては西欧先進国と日本の制度とは遜色がないということは、昨年の財政制度審議会の報告等でも明らかにされておるところで、私どもはさように承知しておるわけでございます。今後人口の老齢化が進む、それから年金制度の成熟が進むという段階に向けて現在の制度が動いていきますならば、それは社会保障の西欧先進国水準というものに数字的にも近づいてまいるというものだというふうに考えます。四十年代の後半に社会保障費が一般会計で非常に伸びてまいりましたのは、一つは賃金、物価の名目の上昇というものが激しかったということ、もう一つはそういった制度水準の引き上げというものが行われたということでございますが、今後は達成された制度水準というものが内容が安定的についてまいるという形で、社会保障の充実という結果をもたらすことができるというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 これは今後の社会保障のあるべき姿とも関連してきますので、これだけ詰めても大分時間がかかりますからこの辺でやめておきますけれども、いずれにしろ、国民負担の方もかなり大きくなっていくということは否めないのではないかと思うのですね。 それともう一つは税収の問題です。今度の試算によりますと、税収の租税弾性値は一・六ないしは一・七六ぐらいがはじかれているわけですね。ところが、四十五年から四十九年の平均の弾性値が一・三九ということになっているわけですが、今度の試算ではじかれている一・六を超えた租税弾性値ということは過去にあるわけですか。
○大倉政府委員 過去十年さかのぼってみますと、一・六を超えたという年は四十八年だけでございます。四十七対四十八は一・八四という経験をいたしております。
○佐藤(観)委員 そのときはどういう情勢だったのですか。
○大倉政府委員 四十七対四十八は、たとえばGNPは前年度比で二二%伸びたというような非常な好況の年でございます。
○佐藤(観)委員 したがって、この前提に立って見るならば、とてもこの試算に出ているような一・六、ましてや一・七六というような租税弾性値が実現できるという可能性は、いまの税制においてはない。いまの税制においては、あるいはこの試算が予定をしている経済成長下においては無理である、こういうことになりますね。
○大倉政府委員 弾性値は年ごとに非常に上下にぶれますので、ある年がどうなるかということは、これはやってみないとわかりません。わかりませんが、いまの租税のシステムで、五年という期間を通じて、しかも年平均で一・六という弾性値の税収を期待するということは、私は無理だと思います。
○佐藤(観)委員 そこで、あくまで五十四年ないし五十五年に特例公債、赤字国債をなくするという前提に立つならば、当然ここで増税を考えなければいかぬわけでありますけれども、大臣のこの前の委員会での御発言のように、付加価値税についてはまだその段階ではないという御発言がありました。それから、恐らく租税特別措置法については、皆さん方としては、十分洗い直しをしたから、細かい数字のものはあるにしても、これ以上租税特別措置によって大きな増収があるということにはならぬというふうになると思うんですね。そうなってくると、一体どういうところに税源を求めていくのか、これは非常に大変な事態だと思うのですけれども、その点については、かなり早急に税制調査会等にもこれは諮らなければいかぬ事態だと思うのですけれども、その点についてはどのように考えていらっしゃいますか。
○大倉政府委員 たしか、前回の当委員会で竹本委員の御質問にお答えした記憶がございますが、やはり、この中期財政収支見通しをよりどころにいたします以上、五十五年度までのある時点で、どこかの税目で増収措置は考えざるを得ないというところに追い込まれておると私は考えます。ただ、それがどの時期であるべきかということは、これは経済情勢の推移と絡んで考えざるを得ない。つまり、俗に申せば、経済が増税ということに耐え得る体力に戻ってくる時期ということで考えざるを得ないと思います。 それから、税目の問題につきましては、たびたび御質問を受けております付加価値税の問題につきまして、たとえば大蔵省がその導入を決めておるというようなことはないわけでございまして、当委員会でも予算委員会でもお答えを続けておりますように、やはり所得課税、資産課税、消費課税のすべてにつきましてもう一度全部洗い直しをして、今後どの部門でどういう負担を求めることができるか、それは別に一つのものに特定するのではなくて、場合によっては組み合わせるとかいろいろなことを考えてやっていくよりしようがないではないか。ただ、その時期がいつであるかということは、これは繰り返しになりますが、五十二年度がそういう時期になるかどうかというのは、五十二年度の経済の情勢がもう少しはっきりしてきてから決断すべき問題であろう、そう考えておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 ただ、五十二年度になりますと——私は七、八年ここで税制の論議をやっているけれども、余り大蔵省がドラスチックにやった例はないわけですから、租税弾性値一・六、これは現税制ではかなり無理な数字だと思うのですね。そうなってきますと、かなり国民的コンセンサスを得た増税でないとできない。私は、増税そのものには反対ではありませんが、一体どこに税をかけていくかということが問題だと思うのです。 そこで、いま大倉局長が言われたように、抽象的な資産課税もあります。何の課税もあります。しかし、どれにするか、また時期はいつかというような情勢ではないのじゃないか。この試算を見ますと、事態はもう少し深刻、しかも五十五年度までに全く特例公債ゼロというのは、私はそれをやっても、大蔵省の従来のやり方から見たらむずかしいと見ているわけですよ。そういうふうに言いますと、やはりもう五十二年度から——五十二年度と限定していいと私は思うのです。五十二年度は、五十一年度がどういう経済情勢になるか、どうなっていくかわからないからということじゃなくて、かなり大きな税目を考えなければいかぬ事態だと思うのですね。その意味において、税制調査会の方にこのことについては早急に、あなた方は税調の答申がないと答申がないとと言いますから、この問題についてはこの試算を踏まえて早急に審議をすべきである、私はこういうふうに考えますが、その点についてはいかがでございますか。
○大倉政府委員 佐藤委員よく御承知のとおり、例年税制調査会は通常国会が終わりましたところで、まず国会での御審議の内容をいろいろ御披露するというところから始まっております。ことしも大体そういう日程を考えておりますが、まさしくおっしゃいますように、中期財政収支見通しから見ます限りにおいては、いつの時期かに新たな負担を国民に求めることについて十分な御審議をいただかざるを得ない状況だと私は考えておりますので、ことしの夏以降、かなり精力的な御審議をお願いすることになろうと思います。
○佐藤(観)委員 私の方も、法人税法、所得税法あるいは有価証券取引税法あるいは土地増価税法等々いろいろ具体的な案があるから、よく検討してみてもらいたいと思うのです。 それで、時間の切りもありますので、もう一問だけ関連していることについてお伺いしておきますが、それは国債の償還計画の問題なんです。 皆さん方の方から出された試算でも、六十年になりますと五兆九千八百七十六億二千二百万円を返済しなければいかぬ数字が出てくるわけですね。これはもうはっきり、いまから十分確定した数字が出てくるわけですね。六十年度が五兆九千八百七十六億二千二百万円ということになってきますね。それで、一体これはどうやって償還するのか、そのころの予算規模というのは一体どのくらいになるのだろうかということを一度計算されたことがありますか。
○高橋(元)政府委員 公債の償還につきましては、もう前国会以来たびたび申し上げておりますように、四十二年度にできました国債の償還制度と減債制度というものを基本にしてまいる、それに特例債の償還を終えるまでは剰余金の繰り入れを全額にいたします。そういう形で公債政策の節度を保ってまいりますということでございます。それで現在でもそのとおりというふうに考えております。 六十年当時の予算規模がどのくらいになるかということは、先ほど来お話のありました五十五年の試算、これは閣議了解になりましたマクロの経済と一緒に出てまいりましたところの財政のフレームワークというものを踏まえてやっておるわけでございますが、五十五年から先、さらにいまから六年先から十年先まで経済がどう動くかということがわかりませんと、算術の問題は別といたしまして、ちょっと具体的な一般会計の規模というものははじき出すわけにはまいらないと思いますが、五十五年がたしか四十三兆ぐらいの一般会計規模になっておると思いますので、それよりはかなり大きな数字になるであろうということは言えると思います。
○佐藤(観)委員 十年先と言うけれども、そう遠いことじゃないのじゃないか。十年先になると、私は四十四ですし、大平さんは七十五ぐらいですか、もう自民党の長老になっているか何になっているかわかりませんが、まだ四十四だと、恐らく私は国会におると思うのですね。そのときに皆さん方をもう一度思い浮かべたいと思うのですが、私、きのう予算規模をはじいてみたのです。 一三%ずつの伸び、一〇%ずつの伸びで予算規模をはじいてみましたら、たとえば昭和六十年の場合に予算規模が約七十三兆円、これは皆さん方の五十五年まではじいたあれよりも若干低めになっておりますが、五十一年度二十四兆三千億を基礎にして一三%ずつ伸びたとしたら——一三%は私はちょっと高いのじゃないかなという気がするのですけれども、一三%ずつ伸びたとしますと、昭和六十年度に予算規模が約七十三兆円になってます。それで償還しなければいかぬ国債が、建設国債の借りかえ債も、それから特例公債も含めまして六十年には五兆九千八百億ということになるわけですね。約六兆円。そうすると、この一三%という大変伸びの大きい予算規模からいいましても約八・二%というものは、予算を組んでも八・二%はもう直ちに国債の償還に充てなければいかぬということになるわけですね。 一二%じゃちょっと私は予算の規模の拡大が大き過ぎるなと思いまして一〇%ではじいてみたのです。一〇%ではじいてみますと、昭和六十年には予算規模が五十七兆三千億円、これも恐らく若干低目だと思います。五十七兆三千億円、それに国債償還の額の五兆九千八百億を割ってみますと、予算を五十七兆組んでも一割、一〇・四%というものはもう国債償還だけに充てなければいかぬということになってくるわけですね。皆さん方恐らくそのときには大蔵省にいらっしゃらないだろうからいいかもしれないけれども、恐らくわれわれが政権とったときには、大平さんがこんなのを組んでいったけれども、いや予算を組んでも一割も償還に充てなければいかぬということになりますと、これは現実の問題として心配になってきたのです。 六十一年をとってみますとさらに大きくなるわけです。六十一年度に一三%の予算規模の伸びとしますと予算が八十二兆五千億くらいになります。そして国債の償還が七兆七千四百億ですから、一三%という高い伸び率の予算規模にしましても九・三八%、約九・四%というものは、八十二兆の予算を組んでも九・四%は国債の償還にまるまる充てなければいかぬ。まだそのほか利払いもありますわね。元利の償還に充てなければいかぬ。六十一年に予算規模を一〇%の伸びとした場合は、予算規模が六十一年には六十三兆円になります。そのときに返済しなければいかぬ国債は七兆七千四百億ですから、何と一二・八%、予算を六十三兆円も組んでもそのまま返さなければいかぬということに、これは現実になるわけですね。そのときの財政硬直化といったらどうしようもないんじゃないかという、私はそら恐ろしくなってきたわけなんですが、恐らく皆さん方もはじかれたと思いますけれども、余りにもびっくりしちゃってなかなか公式には表へ出せないと思いますけれども、一体この財政硬直化の問題をどうしていくのか。 それからそのときの財源の問題は、ただでさえ現在でも財政が硬直化しておりますから、一体どうやっていくんだろうかということになりますと、正直言って、われわれも政権をとるということになると、これも踏まえて考えていかなければいけませんので、少し長期的な話で恐縮でありますけれども、やはりいま特例公債を発行される皆さん方としてはここまで考えておいてもらわぬと私はいかぬと思うのです。どういうふうにこの財政硬直化の問題あるいはこの償還財源の問題は考えられているのですか、これは次の世代の問題だから私は関係ないと置き去りにされては、私は困ると思うのですが、その点について大臣いかがでございますか。
○大平国務大臣 まず、財政の将来につきまして深い憂いを持って問題を提起されました佐藤さんに感謝と敬意を表します。 第二の問題といたしまして財政硬直化問題、これは古くして新しい問題でございます。私どもの財政運営の基本は、一口に申しますと財政硬直化をいかにして避けるか、財政に弾力性をいかにしてもたらすか、財政体質をいかに改善するかということに尽きると思うのでありまして、世上いわゆる福祉予算あるいは社会保障予算というようなものについての論議は華やかでございますけれども、これとてもやはり財政体質の改善、財政硬直化の回避というような観点からの論議もまた一面お忘れいただかないようにお願いしたいものと思うのであります。 しかしながら、公債は、発行いたしました以上、義務費といたしまして何をおいても払わなければならぬものでございます。したがって、いま仰せになりましたような公債費、いかに巨額でございましても、政府の名誉におきましてこれは償還しなければならぬものでございまして、財政運営の道標といたしまして、これを円滑に償還できる、そしてほかの財政計画の遂行に支障ないようにしなければならぬのがわれわれの責任であろうと思うのでありまして、私はそのことはできない相談ではない、われわれが全力を尽くして対応いたしますならばこれはできない相談ではないと考えておりますので、佐藤さんの属する政党におかれましても全幅の御支援をお願いいたしたいと思います。
○佐藤(観)委員 十年先のことでとはいうものの、やはりこれを発行したときに考えていかなければならぬ問題だと思いますので、現大蔵大臣としては現在のような答弁しかなかなかできにくいと思いますが、時間も参りましたので、あとは午後に譲らしていただきたいと思います。
○田中委員長 本会議散会後再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時四十七分休憩 ————◇————— 午後三時二十九分開議
○山下(元)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 委員長の指名によりまして、委員長がお見えになりますまで、私が委員長の職務を行います。 この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案について参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、その日時及び人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下(元)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○山下(元)委員長代理 昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 午前に引き続きまして、午後は国債の流通問題についてお伺いをしていきたいと思います。 まず、現在の流通制度からいきますと、一年たつと銀行が持っているのは日銀がほぼ買いオペをするということになっているわけでありますけれども、四十九年度の国債の発行のうち、金融機関が持っている国債を一体どのくらい日銀が買いオペをしたことになっておりますか。
○松川政府委員 御質問の、発行年度別に幾らオペの対象になったかということはちょっと手元に資料がございませんが、日銀が買いオペレーションをいたしましたのが四十九年度は総額一兆七千六百億円でございまして、これには政府保証債が含まれております。その中で国債だけを取り出してみますと、一兆五千八百六十三億円でございます。それから、五十年度の数字も出ておりますので申し上げさせていただきたいと思いますが、五十年度は総額五千九百九十億円、そのうち国債は五千九百八十二億円でございます。
○佐藤(観)委員 五十年度のやつはまだ一年たっていないものがずいぶんありますので、四十九年に限っていきたいと思うのですが、四十九年の日銀が引き受けた国債一兆五千八百六十三億円は、四十九年度銀行が引き受けた国債総額のどのくらいの率になりますか。 〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
○松川政府委員 ただいまの答弁の冒頭で申し上げましたように、四十九年度発行された国債が幾らオペレーションの対象になったかという数字はただいま手元にございませんので、ただいま申し上げました数字は、四十九年度、五十年度それぞれを通じてオペレーションの対象になった国債の総額でございます。その大部分は相当古いものであろうと思います。
○佐藤(観)委員 都市銀行に限ると、都市銀行が引き受けた四十九年度の国債引き受け額というのは六千九百二十五億円ということでいいですね。
○松川政府委員 都市銀行ということでございますと六千九百二十五億円、仰せのとおりでございます。したがいまして、これには長期信用銀行であるとかその他の金融機関は含んでおりません。
○佐藤(観)委員 ちょっと時間がかかりますから、それじゃ感じとしてお伺いしますが、四十九年度金融機関が引き受けた国債のうち、買いオペの対象にならなかったものというのはありますか。
○松川政府委員 引き受けたもののうちどれだけが買いオペの対象にならなかったかという数字は、ちょっと手元の資料では把握が困難でございますが、四十九年度末市中の金融機関が持っております国債が一兆九千五十二億円ございましたので、これから御推察いただければと思います。
○佐藤(観)委員 そうしますと四十九年度に限って言えば、約四千億程度は金融機関が持っていたもので日銀の買いオペの対象にならなかった、こういうふうになりますね。
○松川政府委員 先ほど申し上げましたのは都市銀行だけの数字でございまして、ただいま申し上げました年度末に保有しておった一兆九千億余りの金額は、これは市中の金融機関全部でございます。その点、ちょっといま数字を突き合わして補足して御答弁させていただきたいと思います。 市中金融機関全体につきまして、ただいま四十九年度末の保有額を申し上げましたが、この数字が四十八年度末と比べてどう変わったかということを御参考に申し上げますと、先ほど申し上げましたように一兆五千六百十三億円のオペレーションがございましたが、新規債の引き受けが一兆五千九百四十四億、借りかえ債の引き受けが二百三十二億、それから逆に償還になりましたのが二百六十億、その他売買の差額等がございまして、このような数字になっておる次第でございます。
○佐藤(観)委員 ちょっと聞いていくうちにますます数字がわからなくなってきたんですが、要するに四十八年度までに発行されているもので証券会社以外の金融機関が引き受けたものというのは、額がまだ四十八年ですから小さいので、全部これは買いオペの対象になっているわけでしょう。四十八年から行きます。そのまま残っていますか。
○松川政府委員 四十八年度末に持っておりましたのが一兆七千七百三十四億円でございまして、これは四十九年度末現在をとれば、おっしゃるように買いオペの適格性は持っておる、しかしその額が全部買いオペとして日銀に買われたものではない、こういう経過に相なります。
○佐藤(観)委員 皆さん方のいままでの説明ですと、日銀が引き受ける場合には、もちろん金融の緩慢の状態によるわけですけれども、成長通貨の範囲内で日銀が引き受けるんだということを言っていらしたですね。そうすると、四十八年の金融機関が引き受けた国債も適格要件があるのはわかりますが、どれだけ日銀が買いオペの対象として実際にオペレーションしたかということについては数字はありませんか。
○松川政府委員 四十九年度に日銀のオペとして一兆五千六百十三億円、これを買いオペとして日銀が買ったわけでございます。ただし、これは市中の金融機関全体が持っておりましたものでございます。
○佐藤(観)委員 そうしますと四十八年度発行のやつですね、いわゆる予算の会計上四十八年度に発行したもので、市中の金融機関が持っていたもので買いオペの対象にならなかった四十八年度債というのはあるのですか。
○松川政府委員 四十八年度に発行されましたものでまだ市中金融機関に残っておりますものが千八十一億円ございます。
○佐藤(観)委員 四十九年はどうなりますか。
○松川政府委員 四十九年度に発行されました国債は現在市中金融機関に一兆二千二十一億円残っております。
○佐藤(観)委員 この中で買いオペの対象になる適格債はどのくらいですか。
○松川政府委員 現在の時点ではこれはすべて一年を経過いたしましたので、買いオペの適格性をしております。
○佐藤(観)委員 そうしますと、これは金融情勢、成長通貨に見合って買いオペの当然対象になる、それは成長通貨の量の問題だということになりますね。
○松川政府委員 五十一年度中に日銀がオペレーションを行います場合にこの中から買いオペをすることができます。それはまたオペレーションをどういう形でするかという判断がもう一つ日銀にございますが、国債に関して言えばただいま先生御指摘のとおりに、どれだけのものをオペレーションするかという量の問題になってまいります。
○佐藤(観)委員 そこで私がお伺いをしたいのは、四十九年に発行したものが合計二兆二千億。そのうちいまの金融情勢からいって一兆二千二十一億円というのは私は若干多いような気もするのです。もう少し買いオペの対象になっているんじゃないかと思うのですけれども、いずれにしろ二兆円台の、もちろん資金運用部資金の引き当てがありますから、シンジケート団だけでいきますと一兆七千七百二十四億、そのうちのなお四十九年度発行債で市中の金融機関に残っているものが一兆二千二十一億円あるということになるわけですね。 そうしますと、今度先に話を進めますが、五十年発行のものでシンジケート団が引き受けた四兆五千百億円を考えてみますと、これはかなり市中の金融機関に残る。国債のオペの対象になるのは成長通貨の量からいっても恐らく一年間で一兆二千から一兆四千ぐらいじゃないか。先を見てもそのくらいではないかということを考えますと、かなりこれは五十年度債も、もちろん経済の発展と絡んでいきますけれども、市中の金融機関に残るというふうに見なければならぬと思うのですが、そういう認識でよろしゅうございますか。
○松川政府委員 御指摘のとおりでございます。
○佐藤(観)委員 そこで午前中の論議とも絡んでいくのでありますけれども、これから五十五年に特例債をゼロといたしましても、いまの話を丸くして平均して五兆円近い国債を建設国債であろうと特例国債であろうと発行していかなければいかぬ、こういうことになってきますと、今後は、日銀が引き受けることがいい悪いの話は別にしても、市中の金融機関にかなりの額滞留をするというのですか、残る。それはかなり大きな額が日銀引き受けにならないで、つまり成長通貨以外なものだから、市中の金融機関が持っていなければならぬ金が恐らく二十兆ぐらいになるのじゃないか、丸くして話をしてそのくらいの滞留が市中の金融機関に残るのではないかという計算が出てくるのですが、そのあたりはいかがでしょう。
○松川政府委員 計量的な面は私どもも少し検討してみないと軽々にお答えはできませんけれども、傾向といたしまして金融機関が保有する国債というのはだんだんふえる傾向にあるということは、ここしばらくの間は否めない事実であろうと思います。
○佐藤(観)委員 私誤解されちゃ困るのは、だから全部日銀が引き受ければいいというのではなくて、問題はやはりそこで国債の流通性を持たないと、これは金融政策上非常にいびつなものになってくるということを考えるものですから、そこで少しお伺いしたわけですが、銀行局長としてはこの点についてはどういうふうにごらんになっておりますか。
○田辺政府委員 先ほどから先生の御指摘のとおり、金融機関の保有する国債の残高、ひいてはその資金運用総量に占める国債の比率というものがかなりふえてこざるを得ない、こういうかっこうになります。ただこれは、将来の預金、資金量の伸びというものをどういうぐあいに見たらいいかというのが非常にむずかしい問題でございますので、具体的に計量してはじくのは大変むずかしいのでございますが、傾向としてはそういうことは否めない。 そこで問題になりますのは、大別して二つかと思いますが、一つは、それによって民間への資金供給というものがスムーズに行くであろうかどうであろうかということ、それからもう一つは、マネーサプライと申しますか、金融機関の資金量全体がふえるということはいわばマネーサプライがふえるということになりますが、それが適当な規模の中で行っていけることであるかどうか、これが大きな問題ではないかと思います。先生の御指摘の公社債市場といいますか国債市場というものがあって、そこに金融機関が消化しました国債も流動化する余地を与える、こういうことは、そういう意味ではマネーサプライの将来のふえ方についてかなりの影響のある問題である。私どもは、現在のこの市場のあり方と消化構造のあり方というものについては、やはりもう少し国債の流通市場を広くして、そして金融機関以外への消化も行われていくような工夫をしなければならない、こう考えております。
○佐藤(観)委員 いまお話があったように、とにかく動かない資金が、これはいろいろなはじき方があると思うのですけれども、都市銀行だけとってみますと、五十三年の三月末ぐらいで八%ぐらいまでになるのじゃないかとはじいている人もいるわけです。これは局長言われるように、預金量の伸びがどのぐらいになるかということでパーセンテージはおのずから変わっていきますけれども、いずれにしろかなり無視できないシェアを総資金量、預金の中に有価証券、特に国債の率が占めてくるということにはなると思うのです。それによるところのいろいろないびつ、たとえばそれは民間への資金供給に対するいびつ、あるいは他の債券を持っておりますから、国債が非常に動きにくいとなると他の債券をなるべく動かそうというところから来るところの他の債券に対する影響、等々を考えますとこれはやはり、いままでは国債管理政策というのは余り日本ではなかったわけですけれども、これだけ巨額になってきますと国債管理政策というのが大きなウエートを金融政策の中で持ってくるのじゃないかと思うのです。 そこで基本的にお伺いをしたいのは、ことしも七兆余の国債を発行することにしているわけでありますけれども、一体国債というものを他の事業債なり金融債なり、こういったものと同じように流動性をつけていくという基本的な考え方があるのかどうなのか。これはだれにお伺いするのか、理財局長なのか証券局長なのか主計局次長なのかわかりませんが、やはり場としては証券局長になるのじゃないかと思うのですが、運用自体は高橋さんになるのか、松川さんになるのか、いずれにしろ国債がこれだけ大量になってくることになると市場性、流動性の問題を早急に考えなければ金融政策の上において非常にいびつなものになってくると思うのですね。その点について、基本的にはどのようにお考えになっていらっしゃるのですか。
○松川政府委員 私ども発行者の立場でも、公社債市場が整備されていくことが好ましいという基本的な姿勢を持っております。 公社債市場そのものにつきましては、証券局長の方から御説明させていただきたいと思います。
○岩瀬政府委員 御指摘のように、国債がこれだけ大量に発行されてまいりますと、もはや市場性を無視した発行ということは私どもはもう考えられないと思っております。ただ、市場性でございますけれども、これはやはり金融環境とかいろいろ条件がございますので、急激にいろいろな対応の仕方というのはなかなかむずかしいかと思いますけれども、昨年から大量発行に備えまして国債の市場性を確保するためにいろいろな工夫をいたしております。これからもそういう工夫を続けていきたいと考えております。
○佐藤(観)委員 昨年、五十年の補正予算で出た特例債、これから大きく環境は変わったと私は思うのですね。それ以後一体いま、局長はいろいろな工夫をされたと言いましたけれども、どういう工夫を具体的にしてきたのですか。
○岩瀬政府委員 取引所の取引される国債の取引の仕組み等を変えましたり、あるいは十二月に長期債その他長期金利をいじりましたときに、国債の従来の金利をほかの債券の金利に比べましてかなり引き下げの幅を少なくいたしまして調整いたしまして、事業債、AA格債と国債との開きが金利で約一%ぐらい近くあったわけでございますが、これが現在では〇・六ぐらいまで縮まっております。比較いたしまして国債はかなり魅力あるものになっているということが言えるかと思います。 それから、国債の流通の段階における流通金融と申しますか、そういうものを従来の枠を二倍くらいにふやしまして、いまのそういう大量発行に備えたわけでございます。今後いろいろ問題の調整は必要かと思いますけれども、昨年の四月ごろ受け付け平均個人消化が約百五十億ぐらいでございました。現在は約五百億にまで、三倍以上になっておりますが、私どもはそういう条件改定による工夫とか売買仕法の工夫とか、さらに国債に対する国民の認識等が加わってかなり伸びてきておると思いますので、私どもはその流動性はやはり経済環境に応じて今後的確な措置を臨機応変にやっていくということで、基本的には国債の金利というものが実勢の金利に合ったようにアジャストしていくべきだ、それで初めて国債が金融商品としての体をなすのではないかというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 そこでお伺いをしておきたいのですが、最終的には証券市場において事業債なり金融債のように全く、全くと言うとまた語弊があるかもしれませんが、原則的にはフリーマーケットに国債もしていくのだ、こういう最終目標を持たれているのですか。
○岩瀬政府委員 国債は、発行者側の立場から申しますれば、やはり財政負担とかいろいろな制約がございます。ただその国債の持っておる魅力というのは、三百万円の別枠非課税というような魅力もございますから、必ずしも公社債全体、事業債とかそういうものと同じにしようということには急激にはならぬと思いますけれども、終局的には私どもはやはり国債も同じ金融商品の中で競合していくべきものであろうと思います。 ただその仕組み等は、やはり国債については特別のことを考えていかなければいかぬ。たとえば先ほど御指摘になりました金融機関が持っております国債を急速に市中に放出するということになりますと価格が非常に乱高下いたしますので、そういう点に対しての調節というものはやはり必要であろう。それを何でやるかと言えば、オペレーションだとか、あるいは買い入れ消却だとか、あるいは発行条件の改定だとか、いろいろな仕組みの総合的な判断が必要であろうかと思いますが、急速に市場性を持たして何でもかんでもフリーにしろというような形は、ちょっと私どもは国債の投資家にとってみても危険であると思います。
○佐藤(観)委員 私が言っているのは急速にしろということではなくて、どのくらいの時間をかけてやるべきかということはまだ論議がありますけれども、最終的にはそれは国債の魅力ということで、事業債のAA格の、われわれの聞いたところ、利回りで〇・五%ぐらいなら低くてもまあまあ対抗して売れるという。証券の専門家の御意見ですと、〇・五%ぐらい下回っていても、国債という格の高い証券であるから売れるということでありますから、その意味では急速にそれをやれば大変混乱が起こるわけで、いまそういうことを言っているのではなくて、最終的には発行条件も考えながら、究極的にはフリーマーケットというのが原則だ、それをしないと、やはり個人消化といってもこれは無理になってくると思うのですね。 そこでもう少しお伺いしていきたいのですが、現在取引所を通して売買されている国債がどれくらいあって、その利回りはどれくらいになっていますか。
○岩瀬政府委員 取引所の取引と店頭取引に分けて申し上げますと、五十年、これは暦年でございますが、取引された総額が千三十五億、それに対しまして店頭取引が九百四十二億、取引所取引が九十三億でございます。これは月平均でございます。総額を申し上げますと——資料をいま月平均だけ持ってまいりましたので……
○佐藤(観)委員 そうしますと、これは公社債市場では一体どのくらいの率か、あるいは取引所を通すやつについては全商い高のどのくらいの率を占めているのですか。
○岩瀬政府委員 大変失礼をいたしました。いま申し上げました月平均の千三十五億、これが大体月平均の売買高でございます。
○松川政府委員 五十年中の国債がいま千三十五億円という説明がございましたが、これに対応いたしまして、あらゆる公社債全部の額の合計は約四兆三千七百億でございます。したがって五十年中この債券の商いの中に占める国債の比率は約二・四%程度というふうに了解いたしております。
○佐藤(観)委員 いま、たとえばわれわれが個人として国債を買う。いろいろ金の必要があって、買ったその証券会社に売ってくれということで戻したいというときに、証券会社は受け取りますか。
○岩瀬政府委員 証券会社で売りましたものは、買いました人の希望によって売り戻したいというときには、もちろん証券会社が応じてくれるわけでございます。
○佐藤(観)委員 それは最近行政指導が変わったから買い戻してくれるのですか。それとも前からそうですか。
○岩瀬政府委員 いま先生の御指摘の点、国債を証券会社に保管してもらって免税の措置をいたしますと、たとえばA証券会社から買いますと、A証券会社に債券は預けまして、本人は預かり証を持っているというふうな状況でございます。それは免税手続上どうしてもそういう必要があるわけです。そういう個人が別の証券会社へ売りましても、それはどこでお買いになりましたか、その預かってもらった証券会社へおいでください、こういうようなことはいたします。しかし一般的には、それはどこでも買える、どこでも売れるという形になっておると私は承知しております。
○佐藤(観)委員 証券局長が承知しております程度では困るのです。確かに、A証券会社から私が国債を買う。金の必要があって国債をA証券会社を通して売る。その場合に、少し前までは、現実の場合には証券会社の手数料その他のことがあって、自分のところでもなかなか買わなかったのですよ。最近はどうも、自分のところで引き受けたものについてはまあ引き受けるという話も聞いているのですが、私はいま現実にまだ売り戻しをしていないので確かめていませんが、そういう話なんですね。 では、現実に場に出てくる国債、これはいま東京証券取引所なら東京証券取引所に、証券会社が売れなくて持っている国債というのを売ることは、行政指導上どうなっていますか。
○岩瀬政府委員 お尋ねの国債が、証券会社が自分で買いました国債でございますれば、それは証券会社の相互の間において流通しておるわけでございますから、お互いに売り買いができるわけでございます。それからまたそれを顧客にはめ込むこともできるわけでございまして、特に何か制限や規制はいたしておりません。
○佐藤(観)委員 たとえば三月に発行したものが売れない場合があるわけですね。この場合、証券会社が手持ちを持っている。それが店頭で売れればいいけれども、証券会社が売れなかったものあるいは個人から戻ってきたものについて、それを場に戻してもう一度商いをするということはいま許されていますか、許されていませんか。
○岩瀬政府委員 特に制限をいたしておりません。
○佐藤(観)委員 そうしますと、証券局長の御認識では、三月発行分がたとえば一億円分売れ残った、その場合に、うまく店頭で売れればいいけれども、売れなかったものについてもう一回東京証券取引所を通して、公社債市場を通してそのAという証券会社が流すことができるという判断ですか。
○岩瀬政府委員 可能でございます。
○佐藤(観)委員 それは全額可能ですか。そういう形で売れ残ったものについてあるいは他から回ってきたものについて全額場に戻すというか、場に出して商いすることができますか。
○岩瀬政府委員 いま証券会社は国債の手持ちを大分持っております。これは場合によっては、それを日証金の融資の対象にしてみたり、あるいはそれを場に出してみたり、そのまま証券会社が保有しているというような状況でございまして、現在その証券会社の手持ちというのは、みんなの証券会社がかなり持っているわけでございます。ただそれは、顧客との関係で商売ができれば、いつでも売れるという状況にいたしておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 それと、生命保険、損保、こういったものも自由に場に出すことができますか。
○岩瀬政府委員 生命保険会社が持っております国債は、証券会社を通じて場へ売りに出すということは間々ございます。
○佐藤(観)委員 なぜ私がこういうことを聞くかといいますと、一つは、証券会社については、売れ残ったから手持ちになっている、あるいは個人から戻ってきた、そして証券会社が持っている、これを全額場に出すことはできないというふうに私は聞いているわけです。では、どのくらい出すという何か決めがあるのかというと、どうもそういうわけでもない。証券会社は腰だめで、売れ残ったあるいは個人から戻ってきたものについては、どのくらいの率になるのか知りませんが、その一部しか取引所に出すことができないというふうに聞いているわけです。だから、いまの場合にはきわめてわずかな国債しか取引所に上がってこないのだ、こういうふうに聞いているのですが、その辺は私の認識の方が違っているのでしょうね。
○岩瀬政府委員 先生のおっしゃる場に出すというところが取引所に上場するということでございますれば、大量の売りが片一方にあって大量の買いがない場合、取引所の価格が非常に暴落するということは国債の投資家にとってみれば大変不安定なことになりますから、大口のものを店頭で処理するということはございます。したがって店頭の処理ということと小口を場に出すというのとは——片一方は取引所で標準的な価格が決められる、あとは店頭の売買という形では、同じように売りに出されますけれども、その場所が店頭であるか取引所であるかということの違いでありまして、実際の売買に差があるわけではございません。それは国債の取引所における価格の安定化という点においてむしろ寄与しているというふうに考えていただきたいと思います。
○佐藤(観)委員 ただ、先行き考えた場合、基本的には、取引所を通して大量の売りがあったら大量の買いがあって相対になるというのがいわゆるオープンマーケットのシステムですね。その意味から言いますと、本来いま決められている国債の、東京証券取引所なら東京証券取引所における価格というのは、先ほどの例で言うと二・四%ですか、公社債市場の中の二・四%しか占めない非常にわずかな量の国債が出回っていて一つの値つけがされている。国債の発行額で言ったらもっとわずかになると思うのです。ですから、そこが問題じゃないかと私は思うのです。したがって、もちろん店頭売りのものもありますけれども、基本的には証券取引所を通して売買される、商いされる、それによってすぐ価格の乱高下があるではないかという心配ですが、それは直ちに、急激に入れれば乱高下もあるかもしれませんが、しかしわが国における公社債市場というのはかなり育ってきたわけですし、事業債だって金融債だって現実にはある程度の値つけがされて安定しているわけですから、そういった面からいくと、取引所の方にも、証券会社に戻ってきたものあるいは証券会社で売れ残ったものについても場に、場というとまた誤解を招くかもしれませんが、取引所に出せるということが、つまり、その意味で量を拡大していくということが必要なんじゃないかと思うのですけれども、その点はいかがでございますか。
○岩瀬政府委員 市場の理想的な姿というのは、やはり売り買いというものが自由に出てきて、そこで売りが多いときには値が下がるという状況が理想かと思います。株式の場合には全額市場上場というのを原則としておりますが、国債を含めまして債券は、従来から取引所に出しますのは一部で、あとは大体店頭ということになっております。債券につきましては、むしろ値つけ的な色彩が強うございまして、余り乱高下するというようなことよりも、むしろ安定的な顧客層というものに対してそれを導いていくというか、各国でも同じようなやり方をやっておるわけでございます。したがいまして、一時に大量のものが出る、それは本来ならばそこで値が下がるべきでございますけれども、そういうことはむしろどちらかといえば避けておる、そういう慣習と申しますか、株式以外の債券の特色がそこにあるのじゃないかというように考えております。
○佐藤(観)委員 それが、国債の場合には非常に不自然な形で取引所価格が形成されている。不自然な形というのは、余りにも量が少ないものですから、実勢に合わない価格がつけられているのじゃないか。いま若干いいものですから、ある程度実勢に合ってきたということは言えますけれども、原則的に、取引所の価格が非常にわずかな量しか出回らぬから、逆に円滑な需給関係ができない。証券局長の立場から言って、じゃあ徐々にといっても一体どうなるかというのは、非常に価格というのは微妙なものですから、慎重になるのはわかるのです。わかるのですが、最終的にはオープンマーケット、フリーマーケットということを考えていくときには、いま一体何がそういったオープンマーケットを阻んでいるかというと、一つには商いされる、取引所を通っていく国債が余りにも少な過ぎるのではないか、これが非常に実勢と合わない取引所価格になっていないか。いわばいま局長が言われたことのうらはらで、まさに値つけをするためだけの取引所になってしまって、全く形式的なものになっている。ですからその意味で、国債の価格が、証券市場に行っても非常に実勢と乖離している。いまは短期的には金融が緩和しているものですから幾らかよくなっていますけれども、そういうことがあるのじゃないかと思うのです。 ぼくは、乱高下の問題は、日銀をある程度使いようがあるのではないかと思うのです。というのは、これはもう少し後で質問しようと思ったのですが、日銀が持っている各種の、四五%もすでにいままで発行したものの中で引き受けているわけですから、この中には期間がいろいろ違う多種多様の国債があるわけですから、その値段を見ながら、ときには放出していく、ときには日銀がオペをしていくというようなやり方も、法律上の話は別として、制度上から言って、日銀がそこに入って、期間のさまざまな債券、国債をそこに注入をしていくというやり方だってできるのじゃないかというふうに思うのです。それによって、ある程度の乱高下なり価格の大幅な変動というものは防ぐことができるのじゃないかと私は考えるのですが、そういう一方法はいかがでありますか。そうすぐに、あしたやれと言うのではないのですけれども、そういう方法もあるのじゃないかというふうに思うのです。
○岩瀬政府委員 先生の御指摘の点、私も非常によくわかります。将来そういう自由なと申しますか、価格変動あるいは価格のメカニズムというものが市場の中で生かされていくような状況というものは望ましいかと思います。現在私どもそれを、従来の国債からだんだん大量発行下における国債、魅力ある国債、市場性のある国債というふうに考えていく場合の、いまの取引所の取り扱いにつきましても、昨年の暮れに少し売買仕法を変えたのも、だんだんそういうものに近づけていこうという考え方にのっとっているわけでございます。 ただ、国債の個人消化というのは、いわばほかの債券にない、いわゆる金融機関引き受けと個人消化というような形でございまして、いまの国債に対しましての信頼度とかあるいは安定度とか、そういうものを考えますと、やはりいまは何と言っても価格の安定ということも政策の一つでございますので、なかなかむずかしい。将来の志向の姿としてはそうでございますけれども、それに近づけていきたいとは思いますが、これは徐々にいろいろな工夫が要るのではないかというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 そこで、国債の現在の利回り、これは店頭もありますし取引所価格もありますね。それから他の債券の流通利回り、これは現在ではどのような率になっていますか。
○岩瀬政府委員 国債から申し上げますと、の応募者利回りは八・二二、流通利回りが八・五六でございます。乖離がマイナス〇・三四になっております。これは価格で申し上げますと、応募者の九十八円七十五銭に対しまして、流通価格が九十七円〇五銭でございます。 それから、代表的なところで事業債を申し上げますと、事業債は応募者が八・八九四、流通利回りが八・八三八でございます。乖離は逆乖離でございまして、〇・〇五六でございます。 それから地方債を申し上げます。地方債は応募者利回りが八・六三九、流通利回りが八・八九四、乖離はマイナス〇・二五五でございます。 これは四月の十五日の数字でございます。先ほどちょっと申し上げましたけれども、これは昨年の十一月、十二月に長期金利を改定いたしました際の前の姿で申し上げますと、長期プライムレートは九・七〇、それから事業債のAA格債が九・三九三であったわけでございますが、これをいま申し上げました数字の八・八九四に改定されたわけでございまして、改定幅は、下げ幅がマイナス〇・四九九、約〇・五でございます。国債の場合は八・三二〇が八・二二七に下がりまして、マイナス〇・〇九三ということで、ここで約〇・四%の調整をいたしております。
○佐藤(観)委員 この数字を見る限り、国債の実勢価格あるいは応募者利回りというのはある程度他の債券と接近してきた、あるいはつり合いがとれるようになってきた、かなり現在の数字というのは実勢に合ってきたのじゃないかというふうに見られると思うのですけれども、それはそういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○岩瀬政府委員 大体お説のとおりでございます。金融環境その他いろいろ好条件もございますけれども、いまのところは国債の非課税措置等を考慮に入れますと、かなり国債は有利な商品だというふうに考えられて、最近の売れ行きは伸びておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 そこで私は、ある程度マーケットを広げていく環境というのは少しできつつあるのではないかというふうに感ずるわけなんですね。 そこで発行条件と関連をしてくることで、中期国債の問題と関連してくるのですが、これは松川さんのところの問題かもしれないのですが、予算決定する前に五年もので割引国債の話が出ていたわけでありますけれども、これがどうも長銀なり興銀なりの抵抗があったやに聞いておるわけです。事実上実現をしなかったわけでありますけれども、本当に国民に貯蓄のかわりとして個人消化ができるというようなことを考えますと、十年ものというのは、その辺考えようでいろいろありましょうけれども、十年もの一種類の国債というのが果たしていかがなるものか。専門家に言わせると、十年ものでいまのような条件に加えて、条件にもよりますが、五年ものが出ると、逆に十年ものが売れなくなりますと言う人もあれば、逆に二種類になれば、日産とトヨタがあるようなもので、自動車を使う人が多くなるというようなこともあって、これは実は非常にむずかしい問題ですけれども、いずれにしろ、これだけ物価変動があると、十年というのはどうもわれわれの側としても抵抗があるわけですね。そういったことからいって、やはり今後もいわゆる中期国債、割引債にするにしろ利付債にするにしろ、これは考えていかなければいかぬことじゃないか。一体どういう経緯で五年ものの割引債というものが実現をしなかったのか、この辺から少しお聞かせを願いたいと思うのです。
○松川政府委員 中期債という考えを私どもが持つに至りましたもともとの背景といたしましては、この国債の発行に当たってはぜひ個人消化を大きくしていきたい、個人消化の割合を大きくすることによってこれが持つおそれのあるインフレ的効果をなるべく薄くしていきたい、こういう考え方がもとで、どのようにすれば国債の個人消化が広げられるだろうかということを検討したのがそもそもの発端でございます。そして、これは国債の償還計画とも関連いたしますので、できるだけ五十一年度の予算を編成するまでに一応の結論が出ないかということで、中でいろいろ検討いたしまして、そしてこれに間に合うように対外的に私どもの考えをぶつけたわけでございます。 ただ、そこに至る経緯は、御案内のとおり昨年度の補正予算に関連いたしました国会、そしてまた、急激に補正予算と関連して起こってまいりました国債の大量発行というような、国会におけるいろいろの御審議も片一方でございましたし、また、私ども役所におきましては、五十一年度予算を編成するための財政投融資計画の編成、こういったものに相当時間をそがれておりまして、いまにして思えば、率直なところ若干準備不足のままシ団に考え方をぶつけたきらいがあったのではなかろうか、このような反省を持っております。 そこで、一方ではシ団と最終的な話し合いを終えますときにも、今後個人消化の伸長というのは非常に大事なことであるから一緒になって検討しようではないかということで、五十一年度予算の中に中期債を織り込むことは断念いたしましたが、これから先も中期債は一切やらぬのだ、そういう意味の断念ではございません。一月、二月、三月、そしてまた四月と、シ団と大蔵省と一緒になっていろいろな検討をいたしております。現に三月には私どもの担当の者を外国に派遣いたしまして、外国において国債の条件の多様化がどういうふうになっておるか、そして国債の個人消化にどのような努力を払っておるかということも検討いたさせました。これをもとにして、現在シ団の担当レベルの者と共同研究をいたしております。 その間、御案内のとおり、去年の十二月には三百億の個人消化であったものが最近では月間五百億になる。こうなりますと、ここで私ども、一体急激にこの個人消化が伸びてきた理由は何だろうかということで、この辺の分析もあわせて行っております。そこで、私どもがだんだんわかってまいりましたことは、国債について特別非課税枠の三百万円がある、このことが存外知られておらなかった。そして、この制度を利用することによって国債の個人消化が相当伸びていくということがわかりました。四月も相当の個人消化がございましたし、五月もさらにふえていくのではないかと思っております。 このような状態でございますれば、現在のような金融環境が続き、そして個人消化が着実にふえていく段階においては、早急にまた別種のものを新たに導入することが賢明なのかどうか、ただいま御指摘がございましたように、二種類ある方が一体国債の消化が伸びるのか、それとも二種類あるからかえって混乱するのか、特に日本の場合におきましては、たびたび繰り返しておりますが、郵便貯金の定額貯金の制度がございますから、五年というようなことであればそっちの方を利用したいという方が多いかもしれない。こういうことを考えますと、現在のような環境のもとで早急に結論を出すのはいかがかということで、この次に問題を提起しますときには、ことしの一月のようなことがなく、各方面の御賛同が得られるように、十分検討を経た上で具体的な案を出したいということで内々準備を進めておるというのが現在の段階でございます。
○佐藤(観)委員 最近の個人消化がふえているのは、一つには、確かにかなり政府が国債というものを宣伝をしている、これは一つあると思うのです。それから証券会社のシェアが七%を切るというようなことになったものですから、かなり銀行団との問題があり、その意味でのがんばりがかなりあったということもあるんじゃないかと私は聞いているのですけれども、しかしこれが、本当に個人消化がじゃさらにもう一回り大きくなっていくかということについては双方とも余り自信がない話ではないかと思うのです。 そこで、やはりこれだけ物価変動のときに、私個人からいくと、十年といっても、どうにもこれは長い気がするわけです。その辺からいくと、やはり五年の利付債かあるいは割引債というのは考えていかなければならぬだろう。ただし、その際に、利付債の場合には、金融債がいま五年ものありますけれども、これが余り売れないという状況がありますから、どうしても志向としては、結果は経済学的には一緒なんだけれども、ただ税制の面で違います。一二%の利子税でいいという、利子税、まあ正確に言うと利子じゃないから、何と言うのでしたか、その辺は違いますけれども、やはり選好としては、五年ものなら五年ものの割引債ということになってくるんじゃないだろうかと私は考えているのですが、いま松川さんからそういうようなことでニュートラル的な現状については話がありましたので、これ以上このことを詰めてもいかぬのでこの件についてはやめます。 いずれにしろ、個人消化というのがかなり進んだ段階でいけば、やはり国債というものに対するインフレ要因を非常にわれわれも考え、気にしているわけですから、これがたとえば三割、四割が個人消化だと、全く国民が貯金のかわりに持っているのだと、しかも絶対に戦前の国債のようにああいうことがありませんということになれば、かなりやはり国債に対する認識というのは、われわれの側でもそう抵抗なく受け入れられる素地はできてくると思うのです。ただ、いまのように一年たつと日銀に行ってしまって、結局はマネーサプライをふやすことになる傾向というのが起こり得るということになってくると、これはやはり先々のことを考えて警戒をわれわれとしてはしなければいかぬ。やはり問題は市中消化、個人消化がどこまで進み得る環境ができるかということにあると思うのですね。 それで、もう一つお伺いをしておきたいのですが、大蔵省の考え方の中に、国債減債基金を使って、いま三千億ぐらいたまっておりますか、これを使って、証券会社の持っている国債をある程度償還したらどうだと、それによって新規債をなるべく受け入れられやすいような情勢をつくったらどうかという話があるやに聞いているのでありますけれども、私は、それはそれなりに一つの手段だと思うのですね。ただ、国債減債基金が三千億くらいで果たして効果があるのか。いま証券会社が引き受けている額からいって、五十年度が三千五十七億ですか、このくらいの額ですから、そういった意味では減債基金をそのように使うということは効果があるかと思うのですけれども、この論議というのは一体大蔵省の中ではどのくらい進んでいるのですか。
○松川政府委員 御指摘のとおり国債整理基金の金額がだんだん大きくなってまいりますので、これをいかに有効に活用するか、国債整理基金の本来の目的以外に重ねて二重の役割りを果たすごとができれば、これは非常に結構なことでございまして、特に国債の値段が下がるというような場合に、安い値段で買ってこれを消却することができれば、公社債市場の健全な運営にも役立ちますし、かつまた国債を消却する国民の負担が少なくて済むという面がございます。その意味で私どもも、ある段階が来、そしてまた金融的な条件がそれを必要とするような場合が来た場合には、国債整理基金を活用して、あるいは買い入れ消却、あるいは買い入れして保有すると、いろいろな形でこの運用を考えていかなければならないと思っております。 ただ、一つお断りしておきたいのは、このことは外国にも例があるのでございますが、国がそうやって国債を買いに出ますと、これはその限りでは資金の民間に対する供給になります。そこで、先ほども御議論がございました中央銀行が行いますオペレーションに対しまして、この財政当局が行うその種の取引がどちらかというと逆効果をもたらす場合がある。たとえば国債の値段が下がる場合を想定いたしますと、景気がいいときでございます。どちらかと言えば金を引き揚げなければいけない。こういうときに国が国債を買うということで、さらに現金を民間サイドに放出するということは、金融政策の一元的運営の面からも問題がございますので、これはその面から、ある種の制約がある。したがって、この発動にも、いろいろと日本銀行、そしてまた大蔵省の銀行局、その辺ともよく連絡をとりながらやっていきたいということで、現在どういう場合にどうしたらいいか、いろいろな思想統一を内々検討しておるというのが実情でございます。
○佐藤(観)委員 それから、大蔵省証券の発行限度額について少しお伺いしておきたいのですが、いままでは大蔵省証券、額としてはネグリジブルだったと思うのですけれども、今度二兆六千億ということになりますと、予算規模と比較をしてかなり大きなウエートを占めてくるので、やはりこの問題ははっきりしていかなければいかぬのじやないかと思うのです。今度の五十一年予算の総則において大蔵省証券の発行限度額が二兆六千億になった、したということはどういう理由によるかということと、その根拠というのはどういうことから二兆六千億という数字になったのか、この点についてまず説明していただきたいのですが。
○松川政府委員 御案内のとおり大蔵省証券は一時的の金繰りのために発行するものでございます。したがいまして、この発行は後に残高を残すようなものであってはいけないという制約が一つございます。しかしながら他方、こういう制度を財政法でも認め、そして国庫の金繰りが円滑にいくようにということで制度が設けられておりますので、私ども国庫の出納を担当いたしております者といたしましては、ある程度のアローアンスを見ながらやっていかなければいけない。この両面の制約を頭に置きながら五十一年度の毎月毎月の金の出入りを頭へ置いてまいりますと、これは国庫の場合、慣例といたしまして十二月は一番資金不足になる月でございますが、ことしの場合には二兆二千億程度になるのではないかという推算がなされますので、これに若干のアローアンスを置きまして二兆六千億ということでお願いいたしておる次第でございます。
○佐藤(観)委員 それじゃ四十八年から五十一年まで、一般会計の規模と蔵券の発行限度額、これはどういう関係になっていますか。
○松川政府委員 ただいま御指摘は四十八年度からでございますので、まず先にそれを申し上げますと、四十八年度は、一般会計の予算規模十四兆二千八百四十一億円に対しまして、発行限度額は七千億円でございました。四十九年度は、十七兆九百九十四億円の一般会計予算規模に対しまして、八千億円でございました。五十年度は、一般会計の予算規模二十兆八千三百七十一億円に対しまして、二兆二千億でございます。そしてまた、ただいま御審議をお願いいたしております五十一年度分は、御案内のとおり二十四兆二千九百六十億円に対して、二兆六千億円であるということでございます。この比率を申し上げますと四十八年度から順次、四・九%、四・七%、一〇・六%、一〇・七%でございます。ただ、もう一つ付言させていただきますならば、この四十八年度の数字は、この前からずっと通して見てまいりまして、この比率が一番低くなった年でございます。 ただいまの比率を四十一年度から申し上げますと、四十一年度は一般会計予算規模に対する発行限度額の比率が一一・六%でございまして、四十二年度は一〇・一%、以下八・六、七・四、六・三、六・四、五・二、このような数字になってきております。したがいまして、一般会計の予算規模全体との関連におきましても、特に景気の状況もあわせて考えまするならば、ただいまお願いしております限度額は大体この程度のことを見込んでおかなければ私どもとしては心配が残るという程度の金額でなかろうかと思います。
○佐藤(観)委員 五十年度の補正を含めて二兆二千億の蔵券発行限度額になっているわけですけれども、これは実際に一番ピークである十二月には最高幾らまで発行したのですか。
○松川政府委員 昨年の十二月はいろいろなことがございまして、ピークが十二月の末ではございませんで、十二月下旬の中ごろに参りました。そのときの発行額は一兆三千百四十億円でございます。
○佐藤(観)委員 十二月のピーク時に、ざっと一兆四千億の発行が最高だった、それにアローアンスを入れて二兆二千億に結果的にはなったわけですね。だれもなかなかアローアンスはわかりませんから、結果的にはこうなったことになりますね。いや結果論としてはそういうことになるでしょう。
○松川政府委員 当初考えておりました十二月のピークの数字はもう少し大きかったのでございます。ただ、いろいろな事情がございまして、そのピーク時を少し削るような努力も別途いたしましたので、結果といたしましては、ただいま先生御指摘のとおり一兆三千億円余りになったということでございます。
○佐藤(観)委員 なぜ私がこのことを申し上げるかといいますと、確かに四十一年当時には一〇%台の蔵券発行の限度額があったわけですけれども、これは余り大幅に引き上げますと、われわれ、たとえば今年度の予算総則の二兆六千億を四兆円だと言われても、ああそうですかというようなもので、余り財政当局に裁量権があって広がり過ぎますと、やはり借金財政に——それは当然年度末には返さなければならぬが、やはり放漫になりがちになっていくと思うのです。この蔵券は全部日銀引け受けということになりますから、それだけ財政資金が市場に流れていくわけですから、その意味においては、財政法のたてまえから言って、やはりここで何らかの歯どめというものが必要なんじゃないかということで、あえて質問をしているわけです。これは法律上文章に書いて、蔵券の発行限度額はこうだと、つまり、予算総則に書くということは書けるけれども、じゃあ一体数字の根拠をどういうふうに法律上書くかということはなかなかむずかしいと思うのですけれども、その点についてはいかがでございますか。
○松川政府委員 ただいまの御指摘についてでございますが、一番重要なそして有効な歯どめは、この大蔵省証券は一時的な借入金であるからその年度内に償還しなければいけない、この歯どめがきつくかんでおることでございます。この歯どめがございます限り、財政当局が乱に流れるのではないかという御心配は必要がないんではなかろうか。私どもその法律のもとで現に財政を運営してまいっております。そしてまたこの計量的なはかり方、たとえば財政規模のどのくらいがいいとかいろいろな形で法律に書けるかということでございますが、これはやはり経済が生き物であり、財政も生き物でございますから、そのときそのときの経済、財政の状況を見ながら、予算総則にその限度額を設けて御審議を仰ぐという現在の形が私は一番弾力的であり、そして実態にかない、かつまたその乱用が防がれておる道ではなかろうかと考えております。
○佐藤(観)委員 最後に大臣にお伺いしておきたいのですけれども、毎年——毎年といっても去年の暮れでありますけれども、財政特例法の審議が非常に難航するものだから、大蔵省の中には、予算総則の中に予算の執行に当たっては歳入関連の法案が成立するのを待って執行するという一文を入れたらどうか。これは話ですよ。実際あるかどうか知りませんけれども、そういうこととか、財政特例法を二年とか三年分まとめてひとつできないかというような意見があるやに聞いているわけです。これは財政法のたてまえから言ってもきわめて容認すべからざる考え方だと思うのですが、そういうことは全くないと断言できますか。
○大平国務大臣 そういうふらちな意見は全然ございませんし、私どもかつて聞いたこともございません。
○佐藤(観)委員 終わります。
○田中委員長 山中吾郎君。
○山中(吾)委員 私は本会議で大臣に質疑をいたしましたが、聞きっぱなしの事項もありますし、また聞き漏れの事項もありますから、そういうことを頭に置いてもう少し吟味をして納得いたしたいと思うので、お聞きしたいと思うのです。 まず第一に、財政法は戦後わが国の財政基本法であり、財政憲法と言ってもいいと思うのですが、この財政憲法である財政法とこの特例法との間に非常な矛盾があります。当然矛盾があるわけでありますが、その矛盾を明確にしておくべきであると思うので、この点について、戦後のわが国の財政の基本原則とこの特例法との関係ですね、恐らく大臣も矛盾を感じながら提案されていると思うのでありますが、率直にその辺の御所見を聞いておきたいと思うのです。
○大平国務大臣 矛盾と申しますよりは財政法に認められていない事柄、特例法の発行というのはそういうことでございます。ただ財政法は、財政法自体に特例的な立法を絶対許さないという精神ではなかろうと存じまするし、過去におきましても、何回か特例立法が本院を通過して成立いたしておる経緯もございます。私ども特例公債を発行せざるを得ない厳しい状況にございますので、いやおうなくそういう道を選択する以外に方法がなかったわけでございます。
○山中(吾)委員 その辺若干ニュアンスが違うと思うのですが、財政法の四条には、例外として建設国債を認めるということですから、それ以外のいわゆる特例公債は禁止国債である、財政法においては禁止されておるのだというまず明確な認識の上に立って、その後でどうしても予想せざる財源不足が出たので、財政法上禁止をされておる一年ごとの国債であるけれども、そういう予想せざる非常事態の上に立って特別の立法措置を要求しているという認識ではないのですか。
○大平国務大臣 言い回しが適切でなかったかもしれませんけれども、仰せのとおりです。
○山中(吾)委員 その辺をはっきりしておかないと、特例公債を出そうと思ったら出せるのだという感覚でいけば、私は財政法そのものが完全に空洞化すると思うのでお聞きしておるのであります。 特にそういう疑問を持っておるのは、午前中佐藤委員からも若干疑問を投げかけたようでありますけれども、この第一条に、「同年度の財政運営に必要な財源を確保し、もって国民生活と国民経済の安定に資するため、」という、私から言えば積極的な政策目的が入っちゃった。財源が足らないからやむを得ず出すという昨年の思想と違って、積極的な政策目的を持ってこの国債を発行するという思想が出ておるので、昨年の特例公債に対する政府の思想と半年後の現在の思想が変わっておるのじゃないかと私は受け取らざるを得ないのです。非常に重大なことなので、まずこれを明確にしていただかなければならない。 もう一度申し上げますと、いわゆる財政法第四条で禁止をされておるこの特例公債については、やむを得ざる財政欠陥、消極的な財政目的で出さざるを得ないから出すんだという思想だと私はいままで昨年の説明の中にも聞いてきたわけでありますが、今度のこの法案の第一条の目的で明らかにされておることは、積極的に政策目的のためにこういう禁止国債も出せるんだという思想に変えてしまっている、そう受け取らざるを得ないのですが、いかがでしょう。
○高橋(元)政府委員 御指摘の、ただいま御審議をお願いしております特例公債法の一条、「国民生活と国民経済の安定に資するため、」という字が入っておりますが、これは五十年度の特例公債法の際には、五十年度補正予算において見込まれる租税及び専売益金の減少を補うためという形で表示されておったわけでございます。それは、五十年度の際は当初予算ではもちろん特例債を予定しておりませんで、年度途中で歳入欠陥が明らかになってまいった。歳入欠陥が明らかになってまいったのに即応して歳出をカットするということが五十年度の下期の経済情勢からそれはとてもできない、財政運営からもできない、そういう事情がありまして、五十年度の特例債をお願いいたしました。したがって、五十年度の補正予算に関連して、五十年度に関連する単一年度の特例法としてお願いしたわけでございます。 その思想は、先ほど大臣からもお話がございましたが、五十一年度においても五十一年度の歳出予算、これを賄うために必要な歳入が租税または税外収入を通じては上がってまいらない。たとえて申しますならば三兆七千五百億という特例公債収入を予算に計上しておるわけでございますが、これがなかった場合には前年度の予算規模を下回るわけでございます。前年度の補正後の予算規模をも下回るという形でございます。それだけ大きな歳出のカットということはできない。しかしながら一方で、増税をするとか税外収入その他の普通歳入を上げてまいるということも現在の経済情勢からできない。したがって、五十一年度でいま御審議をお願いしております予算の歳出を着実に実行すること、そのために必要な財源として五十一年度限り特例公債の収入金を予算で定めた金額で上げさしていただくという授権をいただくことが、すなわち国民経済と国民生活の五十一年度に関する安定に資することになるという趣旨で、法律の第一条という条文を起こしたわけでございます。このことは、ことしになりまして財政制度審議会の特例公債の発行に関する意見というものの中にもそういう趣旨規定を置くべきであるという御意見をいただいて、私ども立案したわけでございます。
○山中(吾)委員 御説明なかなか理解しがたいわけですが、もう一度別な角度で吟味をしたいと思うのです。この第一条にそのことがなければ私は疑問ないのです。「第一条この法律は、昭和五十一年度の租税収入の動向等にかんがみ、同年度の財政運営に必要な財源を確保し、」あとこういう政策目的が入らなくて、「同年度の公債の発行の特例に関する措置」というのでしたら、純粋の財政的欠陥でやむを得ず出すんだ。しかしこれが政策目的が入ってしまったから、思想が変わったということを法文で明らかにしたように感ずるのです。 いわゆる公債政策に基づいて財政の調整を図るという、そのための公債は建設公債として、これは明らかに財政法にも例外として認めておるが、それ以外はとにかく財政的にやむを得ないからということ以外には出せない。こういう目的を明らかにすればこれはいつでも出せる、いわゆる公債政策の対象として禁止された公債発行を皆さんが認める思想に変わったのではないかと受け取らざるを得ないので、私にとってはこれは重大な変革だと思うので、これではちょっと認めがたい。この政策をとってしまえば私はまだいいです。それで、いまの局長の説明は私にはわからない、説得力が少しもないのですが、もう一度説明してください。
○高橋(元)政府委員 繰り返すようでございますが、五十一年度の租税収入の動向、これに照らし合わせますと、五十一年度の財政運営に必要な財源を税収またはその他の税外収入といったような普通歳入をもって上げてくることはできない。しかしながら、普通歳入をもって賄える範囲に一般会計の歳出を制限したならば、それは国民生活と国民経済の安定に資するゆえんではない。そこで五十一年度の財政運営についての必要な最小限度の歳入として財政法四条ただし書きのもう一つ例外になります特例公債の発行をお願いをするということを第一条の「趣旨」という条文の中に書いたわけでございます。これは五十年度、昨年度の補正の際にお願いをいたしました公債の発行の特例に関する法律で申しますと、五十年度補正予算において見込まれる租税及び専売納付金の減少を補うためというその事柄にまさに当たるわけでございますが、「国民生活と国民経済の安定に資するため、」と申しますのは、五十一年度の財政運営にかかる特殊な事情を第一条でうたっておるということでございます。
○山中(吾)委員 大蔵当局はこの財政法に関する厳しい感覚がだんだんと鈍感になってきたから、こういう法案の最初の一条に政策目的を掲げるようになったのじゃないか。 それじゃ、ちょっと別な角度で大平大蔵大臣の気持ちを聞きたいのですが、七十六回の大平大蔵大臣の財政演説ですね。その中にこういう思想が明らかに出されておるわけです。「今回の補正予算により、昭和五十年度の公債発行額は総額五兆四千八百億円となり、公債依存度は二六・三%に達します。従来の高度成長期におけるような多額の税の自然増収を期待し得ないこと等を考慮いたしますと、今後の財政運営はきわめて厳しいものになることが予想されます。もし、やすきについて財源の調達を公債の多額な増発に依存するようなことになれば、著しい公債の累増を招き、財政の健全性は失われることになります。申すまでもなく、財政の健全性を堅持することは国民生活の向上と経済の安定的成長の基盤でありまするから、特例公債に依存しない堅実な財政にできるだけ早く復帰するよう、あらゆる努力を傾注する所存であります。」これは本会議でお読みになったとおりであります。 この思想は、特例公債発行そのものが国民生活の向上と経済の安定的成長の基盤を揺るがすものであるからやむなく発行するのであるが、速やかに復帰するように努力するという思想を明らかにされておる。したがって、国民生活の向上、経済の安定成長、今度の文章と同じような表現ですが、この特例公債発行そのものがそれを揺るがすものであるからやむを得ず出すという思想で財政演説をされておるわけですね。今度は特例公債発行そのものが国民生活向上と経済安定政策に資するためという、これは演説じゃなくて、法文の第一条の目的にされておる。半年の間に完全に特例公債に対する政治的思想が変わってしまっているんじゃないか。 もう一度申し上げますよ。昨年の特例公債発行の場合には、発行そのものが国民生活の向上と経済の安定成長の基盤を揺るがすものだから、やむを得ないんだ、何とかすぐ取り戻すんだという思想で言われておるのです。今度の場合は、特例公債発行は「国民生活と国民経済の安定に資するため、」と書かれておる。私は大変な思想の変革で、国会がそのままこの法案を認めていけば、いつでもいわゆる政策目的で特例公債は出せるんだという思想を認めることになるんではないか、それを心配をしてお聞きしているのです。
○大平国務大臣 五十年度の補正予算の場合におきましては、つまり五十年度予算というものがありまして、それが執行の途中におきまして歳入が予定どおり確保されないという重大な事態に逢着いたしました。そこで特例債の発行ということに踏み切らざるを得なかったわけでございます。国民生活の安定、経済の安定目的は五十年度予算自体が担っておったものでございますので、特例債の発行の法律の中で特にそれをうたう必要を感じなかったわけでございますが、ことしの場合におきましては、この五十一年度予算と不離一体のものとしてこの特例債を重要な歳入法案として提案いたしたわけでございまして、当初から歳入欠陥を明らかに見積もられておるわけでございまして、いま山中さんおっしゃるように、当初からそういう歳入欠陥を補うものとしてこれを発行を許してもらいたいという趣旨であればまだしも、そこに経済の安定、国民生活の安定というような政策目的を入れると、性格の変更になるじゃないかという御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、逆にそういうことをわざわざ政策目的を書いておいた方が、特例債を出すことを、言いかえれば歳入欠陥があれば当然出してもいいじゃないかというイージーな気持ちに流れることになりやすいので、これはこれ自体が経済の安定、国民生活の安定上やむを得なく出すものであるという目的を、予算と不離一体の関係において明らかにしておくことが正直な行き方ではないかということで、五十年度と違った表現にいたしたわけでございます。
○山中(吾)委員 そういうお考えになることが、何か勘違いしているんじゃないかと思うのですが、その政策目的のためにはそれなら建設国債を出せばいいのでね、今度の場合も昨年と同じように、どうしても税の増収その他を前のような経済高度成長は期待できないのだから、財源欠陥でやむを得ないから出すという趣旨の第一条ならば私は安心をするのですよ。どうもその辺が便宜主義のものだと思うので。この言葉がなければ少しもひっかからないのです。第一条も私にとっては。そこで、どこか財政法に対する感覚が、大蔵省自体が鈍ってきたんじゃないか。それがそういうことになっていると思うので、この法文そのものをどうしても私は認めるという感じにならない。 ちょっと角度を変えてもう一度、これは大事なことで将来のこともあるのでお聞きしたいと思うのですが、そうすると建設国債とそれから特例国債の違いは、どこに違いのめどをつけているのか。建設国債と特例国債の違いは、あと何が残っておるのでしょう。
○高橋(元)政府委員 建設国債つまり財政法四条ただし書きの規定によりまして発行する国債、それを財源とします歳出の使途は公共事業費、出資、貸付金ということに限定されております。しかしながら、特例公債に関する法律をもってお願いいたします特例公債法の歳入は、それ以外の一般の歳出に充てる。これは財政法の大原則からしますとまことにやむを得ざる例外でございまして、私どもといたしましては財政法の定めておりますところの建設公債の原則、市中消化の原則というものをこういう経済の情勢でございませんならば堅持してまいりたいということでございますし、できるだけ早く特例公債に依存する財政から脱却をしてまいりたい。これは昨年の臨時国会以来、大臣もしばしばここでお答え申し上げておるわけでございます。私どもとしても、その考え方を持ち続けておるわけでございます。
○山中(吾)委員 財政法の建設国債の趣旨は、投下資本が回収できるいわゆる資産を対象として建設国債だけは例外として発行できるという趣旨がもともとそうであったと思うのですが、すでに公団、公社、公庫ができておるから、そういう回収のできる資産に対する国債というようなものはもう現実にないので、現在においてもそういう意味において、赤字国債という点においては建設国債もいわゆるこの特例公債もけじめはない、全く同じ赤字国債である。回収というのができる、いわゆる公共事業ではないのですから、行政的な手段としての資産で回収できるようなものは公団、公社、公庫にみな移しちゃった、だから赤字公債については変わりはない。そうすると何が残るんだと考えてみたときに、建設公債というのはやはり公債政策の対象として公共事業を多くする、少なくする、そうして国民生活の安定、ことしは不況の回復のために資産として公共事業をとにかく財源がなくても計上する、こう政策目的として建設公債を考えてきた。残り、どうしても財源が足らなくてしようがないという、そんな積極的な政策目的でなくて、純粋にいわゆる財政目的のためにやむを得ず特例公債を今年度——昨年だけと思ったが、ことしも足らないから出すんだというなら、私も頭に入るのですよ。公債政策の対象として建設国債を考える、その他は財政目的の例外中の例外の公債しかないんだ。これまで政策目的として出せるようにお書きになっているから、もう建設国債その他の特例国債も全然けじめがつかなくなってしまった、どこに区別したらいいんだということをお聞きしている。どうですか、大臣、私の疑問としていることをおわかりになりますか。これは大変重大なことだと思うのでもう少し明確にしておいていただかないと、何回でも繰り返すことになると思うのでお聞きしたいと思うのです。
○高橋(元)政府委員 財政法四条ただし書きの規定で発行いたします国債、これは国が貸付金をやり、出資をやり、その資産を財政の中に回収してくるということであるために元来認められておったという趣旨でないと私どもは理解しておるわけでございます。つまり財政法四条ただし書きによりまして公共事業費、出資、貸付金の財源に充てられるということは、それによって建設的な行政投資を含めた公的な投資が行われるその財源を構成する、そういった公的な投資の結果というものが国民経済、国民生活全体を潤して、回り回って経済全体の活力となって戻ってくる、そういうことが直接的に把握されるから、したがって公債というものは普通歳入をもって賄い得ない財政の赤字に対応するものでありますけれども、そこまでは通常の財政の運営の基準として財政法上書かれておるわけでございます。しかしながら、特例公債はそうではない、山中先生もおっしゃいましたようにそれだけの公債にとどめておったのでは国民経済全体の活力を維持するに必要な行財政水準というものを保てない、そこで五十一年度の歳入歳出の状況を見渡しまして、国民生活と国民経済の安定に資するために必要な行財政水準を維持するため、財政法四条のただし書きのそのまた例外として特例公債を発行する、こういうことでございます。
○山中(吾)委員 これは数字で答えたり質問したりするんじゃないものだから、思想の問題ですからね、繰り返して時間がかかるだけだと思いますが、ひとつ静かに考えておいていただきたいと思うのです。 不況対策、景気の回復その他国民生活の安定、向上、国民経済の成長、安定その他政策目的のためには建設国債というもの、建設という言葉を使わなくてもいい、例外として私は財政法上認めて、そして財政調整、経済の調整を図るために、私は必要に応じて逐次公債発行は政府も出し、国会も認めるべきものだと思うのです。しかし、そうならばどうしても財源欠陥で急激な経済の変革、今度のような石油ショックその他の関係で純粋に税収の見込みが少ない、この向こう三カ年はどうしても税収が見込み立たぬというふうな場合の補充のための国債というならばそういう政策目的を掲げたものにしてはならない、こういうふうに思うので、どこかに間違いが起こりつつあるのではないかと思うので申し上げたのであります。 それでは話を進めていきますが、そうしますと建設国債と特例国債の歯どめはどこにもなくなってしまっている、政策目的さえ明確ならば幾らでも国債の額が出せるのだということになり、この法律自身にもその限度額はいわゆる予算の範囲内で議決さえすればいいのだ、だから建設国債と特例国債の違いが、全然こう壁が取り払われて、その歯どめも国会の議決さえ得ればいいのだということになってしまった。後われわれが何に信頼してこの歯どめを考えればいいのか、どうも考えてみると何もない。結局、私は大平大蔵大臣の日本の財政に対する責任感、大平大蔵大臣の人格だけが歯どめになってしまった、大平大蔵大臣の日本の財政に対する責任感、おやめになっても何にしても将来に対してこの国債発行の歯どめは別に法的に制度的に皆なくなってしまったから、その人柄自身に信頼、それが歯どめになってしまったという感じがしてならない。ほかに何もないじゃないですか。どうですか、大平大蔵大臣、私はだからあなたの責任感をお聞きして、それが歯どめだと思って話を進めるしかないので、お聞きしたいと思います。
○大平国務大臣 冒頭に御指摘がございましたようにこの特例債は財政法上認められていない財政手段でございます。歳入確保の手段でございまして、例外中の例外であるということ、これがいわば最大の歯どめでございまして、それあるがゆえにこういう例外手段に手軽に訴えることは政府としても慎まなければなりませんし、国会におかれても慎重に対処されることでございますので、それがまず第一の制約であろうと思います。しかし、これはもとより法律と申しますよりは政治的な制約であろうと思います。 第二の問題は、したがって予算の編成に当たりましてもあるいは予算の御審議に当たりましても、この特例債によるという歳入は極力圧縮していかなければならぬ、これまた当然の道行きであろうと思うのでございまして、一つの歳入の手段であるから、普通の手段であるから制約はないのであるということではなくて、非常な厳しい制約のもとで編成され、審議される性質のものであろうと私は思うのでございます。 第三に、たびたび政府が予算を提出いたしまして御審議をいただいておる過程におきまして申し上げておることでございますけれども、いち早くこれからどのようにこの特例債から脱却するようにいたすかということが財政運営の基本的な目的である、財政運営上これが一番大事なことであると考えておりますということを政府は国会内外に訴えてきておりますことから推しましても、このことがいかにいろいろな制約のもとで選択した歳入手段であるかということに対する意識を表明したものと思うのでございます。 さらに第四に、特例債に対する償還の問題、償還財源をどうするかという問題につきまして、政府は普通の償還財源の調達方法以外に、剰余金全部を国債整理基金特会に繰り入れるとか、あるいは毎年予算に定める金額を償還財源に特に繰り入れるとかいうような措置を講じることにいたしておるゆえんのものも、そういう問題意識を常に持っているからでございます。財政当局に対する御信頼をいただき、御鞭撻いただくことも大変ありがたいことでございますけれども、私どもとしてはそういうものとしてこの問題を受けとめて真剣に対処してまいるつもりでございます。
○山中(吾)委員 大蔵大臣の人柄、責任感を唯一の歯どめとしていまお聞きしたのを一応質問を続けていきたい、ほかに歯どめがなさそうでありますから。 私は、一言さらに加えれば、政策目的のために国債をこれだけ発行しなければならぬならば、建設国債をもっと出せばよい。七兆円全部建設国債で住宅あるいは地方環境施設、地方道、政策目的を言うならもっと枠を多くして建設国債でやるべきであると思っているのです。しかし、そうすることは一方に刺激予算になり、過熱になるという可能性があるので、政策目的、いわゆる国民生活の安定と国民経済の安定を考えるときは公共事業はこのぐらいにとどめるべきものだというので、建設国債を三兆円程度に抑えて、残りはもう財政的な目的しか考えるわけにいかないから、この特例公債をお出しになった。したがって、この目的を入れるということは矛盾であり、これを入れるのなら全部七兆円建設国債を出すべきだと私は思っておるわけですから、その点ひとつさらに理性的に財政法のたてまえに立って吟味をしていただきたいと思うのであります。 そこで、大臣のお話というものを信頼をして、それなら大蔵大臣のこの特例公債を出す心構えとか責任感というものがどこにあらわれておるか、それをお聞きしていきたいと思うのです。 私、お聞きしたいその責任感はどこに探し求めるのがいいかということを考えたときに、第一は、五十一年度の予算編成にこの特例国債の発行額を最小限にとどめる努力がされて、どこにあらわれておるかということ。 第二に、いまちょっとお触れになった償還計画に速やかに均衡財政に復元する苦心がどこに出ておるかということ。 第三に、この国債の市中消化、その消化にいろいろ苦心をして、インフレ防止をするためにどういう対応をとっておられるか。 第四に、将来さらに二度と、例外中の例外はあるかもしれぬが、しょっちゅう出るような特例公債の発行の状況を起こさないために、私は本会議で、西独の例にならう経済安定法などの制定があるかということをちょっとお聞きしましたが、これは予防対策ですね。こういうことが、将来出さぬために、税収の自然増収がある場合にはいわゆる基金の設定をするとか、再び特例公債を発行する必要のない、政策的に予防対策を準備されているかどうか。 大体四つの点でお聞きして初めて、この特例公債発行の歯どめというものがあるかないかが、それによってわれわれ国会議員は心証を得るしかないのだ。そうすると、政府及び大蔵大臣の具体的な苦心の跡が、この法案の提案の裏づけに実証されておるかどうかということを中心に置いてこの法案を吟味するしかないのだ、こういうふうに私は思ってきたわけなんです。 そこで第一の、五十一年度の予算編成について特例公債発行するについての御苦心がどれだけ払われたかということを、ちょっと予算を通じて一べつをしてみたところ、そんなに苦心をされておられないのではないかと思うので、その辺ひとつお聞きいたしたい。具体例を一、二ずつ出してお聞きいたします。 これは本会議のときも私、お聞きいたしました。公共事業の中で、どうも大型プロジェクトが非常に多い。中国四国の連絡橋あるいは新幹線、大企業の要望にこたえた点が非常に多いのではないか。まだ田中さんの日本列島改造論が生きておるのではないかという錯覚さえ起こす巨大なプロジェクトが多い。これは、こういう特例公債を出すような状況にあるならば、住宅とかあるいは地方の上下水道とかあるいは環境施設とかあるいは地方道とか、生活に直接関連した公共事業、こういうものにうんと出すべきではないか。必要なら、政策目標を掲げるくらいなら、特例公債を出さないで、いわゆる建設公債の枠を七兆にしても、全部それでやった方がいいとさえ私は思うのでありますが、どうも、公共事業の場合にそういう大企業を救う事業が重点に行われておる。 なぜ私、申し上げますかというと、こういう大事業に着手すれば、途中でもう中止はできない。七年、八年ですね。橋をかける、途中から中止はできないと思うのです。しかし、住宅とか地方道とかそういうものは、ことし、来年、再来年の経済の状況その他によっていわゆる緩急自在に、少し延ばすとか、公共事業の進捗の仕方を一時中止するとかいうことはできる。しかしこの大事業は、一たん着手したらできないじゃないですか。 こういう特例公債を出す段階で、しかもあと三年、四年出さざるを得ない試算をお出しになっておる大蔵省でありますから、歳出面において同じ公共事業を計上するならば、景気の回復によってその進捗を緩急調整できるものにする配慮があれば、ああ、ずいぶん御苦心されておるなということも私は受け取れるのですが、それがないように思うのです。中国と四国の連絡橋は、大平さんが四国の出身ですから、これはちょっと、申し上げると痛いのではないかと思いますが、一般論で。そういう配慮が少な過ぎると思うのですが、いかがですか。
○大平国務大臣 特例債に頼らざるを得ないとしても、最小限度の金額に努めるように努力した跡が見られないじゃないかという御指摘でございますが、まず、ことしの予算の規模でございますが、一四%程度にいたしたことは御案内のとおりでございますが、大体ことしの経済を考えた場合に、財政に対する期待が大変大きいわけでございますので、一般のGNPの平均の伸び率より若干高目のところに財政を持ってきてもらいたいという要望が切でございます。財政が置かれた立場を考えてみますと、この要望にはこたえなければならぬという制約がございまして、そういう要請にこたえながら、当面のいろんな多彩な要求をその中に吸収して編成されたのがことしの予算であると御承知を願いたいと思うのでございます。午前中も佐藤さんのお答えに申し上げましたように、公債を減らすだけが主でございますならば、いろいろやりようもあったと思うのでございますけれども、財政また別の目的に奉仕しなければならぬ立場にあるわけでございますので、そういう立場に対しても御理解をいただきたいと思います。 その場合に、大型プロジェクトがちょっとぎらつくじゃないか、住宅とか水道、地方道路などにむしろ重点を置くべきであってという御意見でございまして、それなりに私も山中さんのおっしゃることは理解できるわけでございます。また事実、住宅であれ下水道であれ、上下水道それから地方道、それぞれそれなりの配慮はいたしてあるつもりでございます。 ただ、大型プロジェクトが大変かんにさわっておられるようでございますけれども、これは新しく大型プロジェクトを発足させようというのじゃないんでございます。これはすでにもう政府として決まって、法律をもって公団もつくり、すでに予算も御承認を得て決まっておったものを、オイルショックの後の経済調整の必要上ストップをかけておったわけでございます。それを全部フルに復活するというのでなくて、許される範囲において復活をしよう、世論の納得が得られる方法、程度、タイミングにおいて考えろという、ごくハンブルな考え方でやっておるわけでございますので、もし新しく大型プロジェクトに着手するというのでありましたならばおしかりをいただいても抗弁の仕方がないと思うのでございますけれども、そうではないということ、そして、この新幹線にいたしましても、また架橋問題にいたしましても、それなりに必要性があるわけでございまするので、その点はいろいろな御批判もあろうかと思いますけれども、政府の苦心、配慮いたしたところにつきましてもそれなりの御理解を賜りたいと思います。
○山中(吾)委員 批判はきっちりしておかないといけないと思うので問題を出しておいたわけであります。 今度は歳入面にしましても、特別措置については非常に徹底して再検討したと言いますけれども、これについても税集中質問いろいろあったと思いますが、これにも私は批判があります。しかし、やはりこの機会にもう一度印象をお互いに深めておかなければならぬのは、医師優遇税制の問題だと思うのです。 この五十一年度の税制について税制調査会の答申の中でずいぶん厳しく政府に対しておきゅうをすえておるように思います。文章の一部を読んでみますと、具体的な改善案まで提案をして勧告していたにもかかわらず、その実施を見送ったことは「まことに遺憾である。」という表現が一つある。それからさらに、この「答申程度の改善を」——これは収入千五百万から五千万と区別をして非常に合理的な——私らは不徹底と思うほどの案が出ておるのですが、この「答申程度の改善を実施に移すことなくしては、」税の改正に対する「政府の姿勢について、納税者の納得を得ることはできない」とまできめつけられておる。これは何回か出てきて、しかも五十一年度の税制の答申に出ておるにもかかわらずこれがやれない。そして一方に特例法を出しておるということでは、政府の責任感というのが口先ばかりだと見られてもやむを得ないし、いつかは増税しなければならぬということが午前中の質疑答弁の中にも出ておるのですが、こういうことがやれない前に増税をして国民が合意するはずはない。ここにも特例法案の提案の裏づけとしての政府の心構えが鈍いのではないか。これも私は一言やはり聞いておかないといけないと思うので、もう一度大蔵大臣の、心の中ではいろいろと悩みがあると思いますが、御心境を聞いておきたいと思うのです。
○大倉政府委員 税制調査会の答申並びに五十年にもう一度重ねての答申は、ただいま山中委員がおっしゃいましたとおりでございまして、私どもとしても何らかの出口を見つけたいということで鋭意努力を続けてまいっておりますが、主税局長だけの立場で申しますれば、まことに遺憾なことにいまだに具体的な案をお出しするところまで参っておりません。ただ本件は、非常に複雑な背景を持っておりますことも、これ御承知のとおりでございまして、先日閣議決定をいただきましたように、やっと医療関係者が同じ場に入ってきてもう一度根元から議論をしようというところまで参りました。これは私どもとしましては一歩前進と考えておりますけれども、やはりこれにつきましても非常な御批判があることも重々承知いたしております。もう少し時間をいただきました上で、何とか御納得のいただける結論を得たいものと心から期待をいたしております。
○山中(吾)委員 一昨年でしたが、大蔵委員会でこの問題を私取り上げて、必要なら武見会長も呼んで堂々と税制の原則を訴えて実行すべきだ、日本の国民の最高のインテリ層である医師会がわからないはずはないとまで主張して、与党の諸君も、坊委員が関連質問で賛成だということまで言って決議をするところまで委員長も考え、いつの間にかどこかへ行ってしまった。私はそんなことで国民にさらに増税をお願いするようなことはできない。恥ずかしくてできない。私などはそういうことで選挙が不利、有利なんというようなことを考えてやる気はありませんから、政府もひとつ腹を決めてやってもらいたいと思うのです。 それからもう一つ、今度の予算の要点は、この不況を何とか回復したいというところから、財源欠陥であっても予算はこれ以上縮小できないということで二十四兆円の予算になったと思うのであり、それも苦心をされた、大平大蔵大臣の言うとおりそのまま受け取るのでありますが、しかし景気回復の手段とすれば、公共事業の拡大と減税との両面を考えるのが常識であると私は思うのであります。公共事業を拡大をして仕事を与えて、そして一応収益の関係から倒産を防いだりすることはできると思いますが、最終需要の増加を考えなければ、結局売り上げその他の関係から企業は価格を上げざるを得ないので、いわゆるスタグフレーションをそのまま延長するということになるのではないか。そうしますと、やはり今度の二十四兆円の予算のあり方の中に、不況下の物価高というふうなものを余り心配をしないで、企業本位の不況回復の予算ということに重点が入ってしまっているんじゃないか。 〔委員長退席、森(美)委員長代理着席〕 やはり、最終需要の増加を考えた面と公共事業の拡大と二つ予算の面に入れるべきではないかと思うのですが、これはアメリカと日本の事情が違うのだというようなことを答弁になっておられますが、どうもこれについては私は理解しがたい。これはどうでしょう、これも特例法を出す、責任をあらわす予算編成の問題として政府の心境を聞いておきたいと思います。
○大平国務大臣 財政政策の立場から申しますと、特例法をお願いしなければならぬような状況でございますし、また減税を鋭意やってまいりました日本でございますので、こういう状況でしばらく減税を御遠慮いたしたいということも御理解いただけるのではないかという立場でございます。 さらに、私がつけ加えさせていただきますならば、日本の場合、いまの状態は決して正常な状態でないと思いますのは、個人の家計はどうやらやっておりますけれども、中央、地方を通じまして財政は大変困窮いたしておるという状態は決して健全ではないわけでございまして、個人もりっぱにやっていけるが、しかし財政もまたバランスのとれた状態で中央、地方もあるというような状態が確保された上で減税が議論されるということであって初めて実のある議論ができるのではないかというような感じが実はするわけでございます。財政の立場から言いますと、そういうような感じがいたしますことを率直に申し上げて御理解を得たいと思うのでございます。 ただ、景気政策の立場からは確かに山中さんおっしゃるように減税でいくべきである、そして個人消費を拡大し、それを通じて景気不況打開の糸口をつかむべきではないかという御議論、これは経済界にもございますし、学界にもございまするし、また国会にもございますことを私もよく承知いたしておりますが、政府のとった立場は景気政策の立場から申しますと、ことしはむしろ公共投資の拡大というようなことでやる方がより適切でないか、直接的でないか、効果的でないかという判断で、公共投資を選択したということでございます。 また、さらにこれにつけ加えて申し上げることが許されるならば、消費性向が上向いてまいるということのためには、単に減税によってそれが期待できるというよりは、むしろやはり経済自体が安定して展望が明らかになってくるということこそが、この消費性向が向上してくることを招来するゆえんでないかというようなことで、いま減税をすることによって果たして消費性向が向上することになるかというと、必ずしも期待どおりいけないのではないかというようなこともございまして、ことしの予算におきましては、公共投資の方にアクセントを置こうということにいたしたわけでございます。
○山中(吾)委員 たびたびそういうお考えを答弁の中で聞いておるわけでありますが、やってみなければわからぬですから、公共投資の方も仕事の場所を若干多くして、しかし、最終需要が伸びないために購買力に対応することができないから、いわゆる価格を引き上げるということで終わりになり、何回か公共事業を拡大して同じことを繰り返していく、やはり最終需要を拡大しない限りは解決はないということだけは明らかなんでありますから、これは来年度に向かって少なくとも景気対策ならば、一方に企業側の公共事業、他方消費者側の購買力増進の手を、両方考えない限りは片手落ちであり、そのために一兆円の公債を多く発行しなければならぬなら、私はそれの方がもっと意味があると思うので、これは見解の相違でありますから、一応問題として提起しておきたいと思うのであります。 次に、第二の赤字公債発行の歯どめのあかしとして、私は政府の償還計画についてどれだけ責任感があるかお聞きしておきたいのであります。これも本会議で聞きっ放しにしておきましたが、いわゆる償還計画表ですね。この償還計画表の三つの項目はほとんど全部意味がないものばかりで、おざなりの償還計画であり、償還計画に値しないと私は思うのでありますが、その第一の毎年度国債整理基金に繰り入れる前年度当初の国債総額の百分の一・六、これは書きかえを許す六十年を前提としたいままでの国債償還のいわゆる算出基礎に基づいたものであり、書きかえを許さない十年の特例公債の償還計画に値しない。こういうものを出して、これだけ財政の硬直化、赤字財政の問題として論議になっておる償還計画によく出せるものかという感じがする。これをひとつもう少しアマチュアである私にわかるように説明してもらいたい。 それから繰り入れ財源については、赤字公債を出しておるときに、一方に繰り入れ財源などはできるはずがない。そのとき私は本会議で、不器用な大平さんがそんなことはできるはずがないと言ったのは、私は非難したのではなくて、大平さんのように余り器用に物事のできない人はりっぱだと思うので私は言ったのでありますが、全部これはもうただ書いただけだ、無責任きわまる償還計画だとしか私は受けとれないのですが、納得できるように説明してください。
○大平国務大臣 定率繰り入れ百分の一・六は、御指摘のように、建設公債を頭に置いて考えられた制度であると私も思います。したがって、これを特例債に持ち出すというようなことは、一見奇怪に受け取られる向きがございましても抗弁の余地はないと思います。けれども、減債制度というものは、財政制度といたしまして非常に大事な制度でございまして、特例債というようなものを頭に置いて基本的な制度は考えるべきでないと思うのでございます。減債制度は、制度として確立したものをわが国は持っておってしかるべきじゃないかと思いますし、また財源の繰り入れにいたしましても、この際剰余金は全部繰り入れるというようなことを特に考えておりまするけれども、その二分の一の繰り入れ制度というようなものも、普通の減債制度といたしましては一応常識的な制度であろうと思うのでございます。特例債の発行にたまたま逢着しておるがゆえをもちまして、こういう基本的な制度を改めてかかるということは適切でない、お言葉でございますけれども、私はそのように思います。 ただ、最後に、毎年度の予算をもって繰り入れる金額というところが特例債の償還財源として一番大事だと私は考えておるわけでございます。今度のわれわれが発行いたそうとする十年債は、十年たてば一括償還しなければならぬわけでございますので、それは借りかえを伴わずに償還するということを政府は決意いたしておるわけでございまして、それはどうしても予算によってこの整理基金特別会計へ財源を繰り入れてまいりまして償還財源をつくり上げていく、蓄積してまいる、それよりほかに道がないことは申すまでもないことでございまして、特例債から脱却することができた日から、その蓄積を私どもは鋭意進めてまいらなければならぬと思うのでございます。まず始めなければならぬことは、特例債の発行を漸減してまいるということ、そしてそれがなくなった日から私どもはこの償還財源の蓄積に邁進しなければならぬわけでございまして、それに必要にして十分な財源はちゃんと償還期日までには用意してかからなければなりませんし、何事にも優先してその財源は用意するという覚悟で財政運営に当たるつもりでございます。
○山中(吾)委員 一応、現実的でないということをお認めになっているものですから、さらにかれこれ申し上げませんが、償還については、ほとんどだれも、約束どおり四年続く特例公債を十年以内書きかえなしに、具体的には五十五年度から五十六年、その辺から始まるわけでありましょうが、できないんじゃないか、言わず語らずみんなそう思っていると思うので、その辺をもっと吟味して、実際にうそにならないようにあらゆる準備をしてもらいたいと思うのであります。 この機会に、そういうことに関連して、本会議でお聞きして聞きっ放しなのでお聞きしておきたいと思うのでありますが、国債依存度、これをどう見るかという私の質疑に対して、大平大蔵大臣は、そのときの経済事情、財政事情によって決まらない、決めるべきものでないという答弁がありました。しかし、それだけ単純にそうかという問題ではないと私は思うのです。現実に四十三年度の予算編成以来、財政制度審議会においては、五%を努力目標としてやれという勧告が出ておるのであります。一応日本の戦後の財政のあり方の中に、国債依存度、予算総額に対するシェアを五%程度にとどめるということが、いわゆる財政制度審議会の勧告方針の中にも出ておるので、政治的にもやはりこれは検討に値する物の考え方ではないかと私は思うのです。 ことしの建設公債のように、もうすき間がない、公共事業費の大部分を建設国債で賄っておるというのでは、いわゆる公債政策は行えないのであって、建設公債の発行の趣旨は、当初から建設公債の発行の限度内において常にすき間をつくっておいて、それを伸縮することにより財政を弾力的に運営する思想、ここから来たと思うのです。公債の発行は、公債政策として位置づけて、いわゆる公債発行の対象となる公共事業費の満杯にしないで、一定の枠を定めておいて、それを伸縮することによって、その年度ごとの経済情勢、財政状況に応じて操作をする、そこに意味がある、そういうことでずっと四十年代進んできたと思うのです。その思想の中の、いわゆる総予算の国債依存度を五%にしておくとか一〇%にしておくという思想は合理的であり、それがなければ伸縮できないのですから、大平さんが単純に、私の質疑に対してそんなものでないとお答えになったことについては、私は異議があるのです。そんな単純にお答え願っていい問題ではないし、現実に日本の戦後の、四十三年以来の財政制度審議会の思想も、これを受けた大蔵省の思想も、すき間を適当に置いて伸縮自在に公債政策を行うことができるという思想から、めどとして依存度を何%に決めるという思想を肯定してきたのではないか、それを簡単に否定されるのはおかしいと私は思うのですが、いかがですか。
○高橋(元)政府委員 お示しのように、四十二年の十二月二十五日、財政制度審議会から、公債依存度はここ数年の間に五%以下に引き下げることを目標とすべきであるという建議をいただいたわけでございます。これに従って、四十一年度に当初予算の一六・九%という公債依存度を計上しておりましたものが、四十六年度の当初予算では四・五%まで下がってまいりました。しかし、四十六年に御承知のドルショックがありまして、現実には補正を組んで公債の増発をいたしましたために一二・六%に上がって、それから公債依存度は昨年の補正後の二六・三、今年の二九・九というところに来ておるわけでございます。 四十二年の公債依存度に関する財政制度審議会の報告は、四十一年、二年、そのころの公債依存度が十数%に上っておった、そういう情勢を早く解決して、先生がおっしゃいますように、公債対象経費にすき間をつくって弾力的に財政運営をやっていくべきだ、そういう御指摘だったかと思います。まさにそのように事柄が推移してきたわけでございますが、現在では、公債対象経費にすき間があるんではなくて、むしろ逆に公債対象経費が足りなくなりまして、その分が特例公債という形になっておるわけでございますから、まず私どもとしては、特例公債からできるだけ速やかに脱却をするということを基本と考えなければならぬと思います。その上で公債対象経費の範囲内に公債の発行額がおさまる、いわゆる建設公債原則に戻った段階で、財政支出の世代間の負担をどうしたらいいか。つまり公共投資のような将来にわたる資産をつくる場合に、ただいま現在の納税者の負担でやるのがいいのか、将来の納税者の負担を頭に置いて建設公債という形をとった方がいいのか、そういう判断基準もあると思います。それから、そのときそのときの需要管理政策としての公債の発行額の伸縮ということもあると思います。その二つの要請を絡み合わせて、公債依存度の適正な水準というものを考えていくべきではないかというふうに考えております。
○山中(吾)委員 こういう質問を申し上げたのも、いわゆる五十五年以降特例公債の発行が解消されて建設国債だけが残る時代がずっと続くだろう、そして四十三年以来の公債政策というものが財政の一つの常識として残っていくんであろうと私は思うので、そのときに、満杯になってもいいんだ、そのときだけという思想でなくて、やはりすき間を一定置いて、そして調整をする機能を予算編成の中にいつも考えていくという思想が、この間、大平さんは、そんなことを考えていないんだという答弁ですから、それではおかしい、それではちょっと私も認めるわけにいかぬと思うので、確認をしておきたいと思って申し上げたのです。それはどうですか。私の質疑に対してもう一度お聞きしておかないと、本会議の答弁では簡単に、そんなめどは何もないんだ。そうすると、公債政策を放棄したことになるのでして、公債を発行しているということは、主体的に調整をする一つの手段として、いわゆる税の収入で、財源欠陥がなくても、いままでのように一方に減税をしながら一〇%程度の公債を発行しておったわけです。それは、財政的立場で主体的に調整をする余裕を残すために。この依存度のめどというものは適当でない、捨てるんだといえば、一方に減税をしながら公債発行するなんていう論理は財政上出てこないでしょう。そういうことを明確にしておきたいと思うのでお聞きしたいと思うのです。
○大平国務大臣 私の記憶によりますと、本会議におけるあなたとのやりとりにおきまして私の受けとめ方は、財政の国債の依存率という一つの考え方としてお尋ねがありまして、それに対して理論的な問題としてごく簡潔な言葉で自分の感じを申し述べたように記憶があるわけでございますが、いま現実に日本のただいまの財政で、四十二年以来の経緯を踏まえて、今日の公債政策がどうあるべきかという問題としてのお尋ねでございますならば、まさに御指摘のとおりに私も思います。
○山中(吾)委員 お聞きしたいことがたくさんございます。しかし、もう持ち時間が切れそうでありますから、もう一つぜひお聞きしたいことがあるのです。 それは、国債ばかりでなくて、公共債、地方債その他を全部含んで、日本の財政のあり方を考えなければならぬと思うのでありますが、国債だけでなくて地方債を含んで五十一年の総額は幾らになりますか。
○松川政府委員 五十一年度におきましては、国債が七兆二千七百五十億円、政府保証債が七千六百億円、政府関係機関縁故債が一兆四千七百億円、地方債が四兆八千十億円、合計いたしまして十四兆三千六十億円という公共債が予定されております。ただし、このうち運用部で引き受けるものがございますので、市中に消化をお願いする分は十一兆八千億円余でございます。
○山中(吾)委員 一方に民間の預貯金。毎年度ごとの預貯金の増額総額はわかりますか。
○松川政府委員 一昨日日銀から発表になりました数字でございますが、昭和五十年度中の貯蓄実績の速報でございますけれども、これが合計いたしまして三十三兆七百四十二億円、そのうち預貯金の形をとりましたものが二十六兆一千七百九十五億円、保険の形をとりましたものが三兆四千七百十九億円、証券の形をとりましたものが三兆四千二百二十八億円でございます。
○山中(吾)委員 国債の発行が国民の貯蓄の枠内で発行しない限りインフレになるということは明らかでありますのでお聞きしたのでありますが、毎年十数兆円のいわゆる公共債が発行される、一方に国民の預貯金がいまそれ以上にあるわけですね。そういう範囲内で、市中消化を徹底していけば、一応他のいろいろの方法をあわせていけば、インフレは、公債発行の時点だけ考えていけばそう心配はない、こういうことは言えますね。
○松川政府委員 おっしゃるとおりで、それが一番望ましい姿だと思っております。
○山中(吾)委員 最後にもう一つお聞きしておきたいのですが、こういう特例公債を発行するについて、同じようなことを繰り返すべきでなくて、少なくともこれはもう今度限りにすべきだという立場に立てば、二度とこういう特例法を出すようなことのないように予防対策は政府としては立てるべきである。そのときに、いわゆる経済安定法というふうなものを参考にして、好況で税の自然増収がふえたときに調整基金の中に繰り入れるとかいう、全部減税でなくて、不況の場合における特例公債を発行しないためのいまのような基金、あるいは最近試算を出したような一年ごとでなくて数年の財政計画を立てるとか、そういう根拠法をつくるべきである。そうでないと、同じことを繰り返すと思うのですが、そういう考え方、準備をされておりますか。
○高橋(元)政府委員 単年度の財政バランスだけでは財政運営がうまくいかない、そこで多年度間のバランスを図っていくべきである、そのためには財政の運営に計画的な要素を取り入れていく、また、年度間にわたるような新しい制度の導入を図ったらどうか、こういう御指摘でございます。もちろんそれは十分検討に値する御意見でございましょうし、今後の財政運営に当たってはそういう点を念頭に置いて研究を進めてまいらなければならないというふうに思っておりますが、現在の単年度主義でできておりますところの財政制度との関連、それから計画的な運営になりました場合の財政のフレキシビリティーの確保、その他現在の諸計画との関係、そういった基本的に考えなければならない問題が数々あると思います。ことし財政制度審議会からいただきました御意見の中にも財政法の改正ということもそろそろ考えてみたらどうか、こういう御指摘がございました。私どもとしても財政制度審議会、その他を通じまして勉強をしてまいる所存でございます。
○山中(吾)委員 最後にもう一つお聞きしておきたいと思うのですが、先ほど国債の依存度のことをお聞きしましたけれども、別な角度で予算に計上されておる、いわゆる公債費、利払い費を含んで、これが一般会計歳出に占める割合というものも重要なめどにすべきだと思うのでありますが、五十五年度には大体国債の発行額の七割くらいが一方公債費になっている、これは大体間違いないでしょうね。国債発行額の七割が一方に歳出の公債費に充てざるを得ない、そうですか。
○高橋(元)政府委員 大体七割弱でございます。
○山中(吾)委員 それでいいのですか、ということを質問したいのでありますが、五十一年度の予算を見ると一兆六千六百四十七億円、ほかの歳出と比較すると、生活保護費が六千三百三十二億円だからその二倍くらいが償還、利子支払いその他で計上せざるを得ない、社会福祉の七千八百七十八億円からいっても二倍である。これが大体五〇%程度の場合です。五十五年は七〇%くらいが歳出の方の公債費に計上。これではほとんど国債発行の意味がないんじゃないか。たった三〇%だけが国民生活に関連する歳出にしか当たらない、こういうのは私は財政ではないと思うのです。これを考えるときに、公債発行のめどを国債依存度五%、一〇%にするということがどうもぴったりしないならば、せめて歳出の公債費が公債発行総額に占める割合を少なくとも五〇%に抑える、公債発行総額の五割は国民生活のために使える程度のいわゆる国債発行でなければ意味がないと思うが、これはどうですか。
○高橋(元)政府委員 御提出をいたしましたその財政収支試算でございますが、それによりますと、ケースIと申しますか、五十五年度に特例債がなくなるケースでは五十五年度の公債費は一般会計の約一〇%、それからケースII、五十四年に特例債がなくなりますケースでは九・七%というふうに計算されております。これはそのほとんどが利払い費でございますが、こういった一般会計規模の一割になんなんとする、または一割に乗っかっているような国債費が財政の弾力性を著しく阻害するということは仰せのとおりでございます。外国の例を見ますと、一〇%を超えるような国債費の割合を持っている国、たとえばアメリカがそうかと思いますが、そういう国もございますけれども、いずれにしても弾力的な要因というものをふやしていくべきでございましょうし、租税の多くを国債の利子の支払いに充てるということが財政として適当だと思いませんので、私どもは将来の財政運営につきましては国債をできるだけ、少なくとも特例債からできるだけ早く脱却をする、先ほど大臣からもお話のございました建設公債の規模につきましても適切な水準を維持していく、要は歳出、歳入両方の規模に配慮を払ってそういった非弾力的な要因を極力圧縮していきたいというふうに考えております。
○山中(吾)委員 私の問題にするのは、いわゆる試算のケースIの方ですが、五十五年の公債金収入が六兆五千二百億、歳出の方の国債費が四兆四千二百億。したがって、公債の発行による収入が六兆五千二百億に対して利子支払いその他を含んだ国債費が四兆四千二百億で、七〇%は意味がない。累積国債が多いからですよ。こういう状況ならば公債発行の意味がないくらいになるから、徹底して償還計画を立てていかなければ意味がないじゃないかということを強調したいわけであります。 しかも、さらに私が疑問に思うのは、この国債費の支払い先はいわゆる大企業である金融機関であり、高額所得者、大量に国債を購入しておるものは。われわれ庶民の税金、資金で、今度は累積した——六十年は大体百兆円くらいになるのじゃないかと思うのですが、利子支払いその他も大資本にまた払っていく。二重に所得分配の不公平を積み重ねていくものだ。こういう公債発行というものは、一方にインフレの原因になりながら、他方に大企業に有利な金の使い方もできるし、今度は償還をする、利子払いをする場合には、庶民に払うのではなくて、市中銀行その他そういう人に払っていく。分配の公平からいったら二重、三重に不公平の原因をつくるものであるというふうに分析されるので、私は、公債発行については厳しく政府においても考えていかなければならない問題であり、われわれが考えておるような問題でないということを一通り調査してみてつくづく感ずるわけであります。そういうことを思うので、おざなりに出されては困るし、出しさえすれば多数決で簡単にいくんだと思われるようなことではとんでもない、少し苦しんでもらわなければ困るということを痛切に感ずるのであります。 そういうことを考えながら、大平大蔵大臣も今度はスッポンのように食いついてもというような言葉をどっかで言ったとみえて新聞に載っておりますけれども、そう簡単に通ってはならぬ法案だと私は思うのであります。財政的にやむを得ないという一方の要求があるにしても、国会で簡単に通るようなそういう性格の法案ではないのだと強調しておきたいと思うのであります。 以上、終わります。
○森(美)委員長代理 武藤山治君。
○武藤(山)委員 きょうは通告の順序は横路代議士になっていたのでありますが、突然きょうは北海道の方でどうしても上京できぬというので、ピンチヒッターで私が質問することになりました。準備不用意でありまして、きょうは大平大蔵大臣と少し大臣に答えていただける程度の政治論を展開してみたい、かように考えております。 すでに予算委員会でも論議され、また午前中佐藤委員や山中先生からいまお話がありまして、この財政法に反する特別の法律をつくって、多数の政治力で、条文さえ整えば財政法の精神なんか踏みにじってもいいんだという考え方にどうしても私たちはそう簡単に耳を傾けるわけにいかないのであります。私たちは、日本の財政法というのは、世界先進国家と比較しても非常にりっぱな、国民の立場を考えた、また過去の戦争という苦々しい経験を踏まえた、他国と比較しても遜色のないりっぱな財政運営の基本を定めた財政法を持っておると、実は誇りにいたしてもいいと思っていたのであります。しかし最近、この両三年の傾向というのはこの財政法を全く踏みにじる、建設国債もどんどん枠を広げ、公共事業費の範囲を広げれば額はかなり大きくできる、目いっぱいやった、なおかつ赤字公債を膨大な額を出さざるを得ない、全く財政法はあってなきに等しい状態ではないかと憂えるのであります。こういう事態に対して大臣は本気でどのような反省をされ、みずからを責めているのか、まず大臣の心境を一回冒頭にお聞かせいただきたいと思います。
○大平国務大臣 財政法が禁止しておることと申すよりは、財政法が予定していないことでございまして、いまの事態は確かに異常な事態であると思うのでございます。しかし現実にわが国がそういう厳しい状況のもとに置かれたわけでございまして、そういう中で中央、地方を通じまして行財政の水準を何とか維持しながら経済の回復を図り、その経済の回復を通じて財政の正常化をもたらすということが今日われわれの課題であろうと思うのでありまして、一刻も早くこの事態から脱却を図ることこそが私ども財政運営の根本的な道標でございまして、そのことのために全力を傾けておるわけでございます。いささかもこの事態で偸安をむさぼるというようなことがあってはならないわけでございますので、その点につきましては十分戒めてかかっておりますので、私どもの立場、私どもの決意に対しましては十分の御理解を持って御指導を願いたいと思います。
○武藤(山)委員 こういう事態になった原因は何か。その原因について現実にどう対応しつつあるか。そして近き未来にどういう結論に達するのか。過去、現在、未来を通じて、赤字公債を発行せざるを得なくなった日本財政というものの展望を持たなければならぬと私は思います。そういう立場から、なぜこうなったのか、なぜ七兆円も国債を発行せざるを得ないのか、得なくなったのか、それをひとつわかりやすく国民の前に明らかにしてください。
○大平国務大臣 一昨々年の秋、いわゆるオイルショックを初め世界の資源危機が表面化いたしまして、世界経済全体が大きな動揺を経験いたしましたことは御案内のとおりでございまして、一、二カ月の間に重要な資源がその値段が一挙に四倍にもなるというような、空前でしかも絶後とも言っていいような事態が起きたわけでございます。したがって、わが国のように多くの重要な資源を海外に仰いでおる国といたしまして、わが国の経済がそのままの状態で立つはずがないわけでございまして、わが国の経済が壊滅に瀕した状態になったことは御案内のとおりであります。したがって国庫が期待いたしておりました歳入、中央、地方が期待いたしておりました歳入というものは、期待どおり入ってこなくなったわけでございます。しからば財政運営の方針といたしまして、入るをはかって出るを制すればいいわけでございますから、歳出を大いに削減いたしましてこの事態に対応することも確かに一つの方法であったと思いますけれども、そういたしますならば混乱いたしました経済がさらに落ち込んでしまうおそれがあるわけでございますので、私どもは一方において非常な歳入の欠陥を来たしながら、一方において歳出をむやみに削減することは許されないという絶体絶命の立場に立たされたわけでございます。したがって四十九年、五十年、五十一年のわが国の中央、地方を通じての財政は、行財政水準は維持しながら、不足の歳入を残念ながら公債に多く依存しなければならないというような状況で推移せざるを得なかったわけでございます。 しかしながら、幸いにいたしまして、経済は国民の努力等によりまして漸次回復の徴候を強めてまいりまして、歳入につきましてもようやく政府が予想いたしておりました水準を確保できる状況にまで立ち至っておるわけでございまして、ここ両三年努力して正常化に努めてまいりますならば、経済も正常になり財政も正常になりまして、この不正常な状態からの脱却は不可能でないと考えておるわけでございまして、そのために全力投球しなければならぬと考えておるわけでございます。 〔森(美)委員長代理退席、委員長着席〕
○武藤(山)委員 オイルショックに最大の原因を求めて、世界各国がおしなべてそういう苦境に立ったのだと。反省がないですね。何か他人任せで、原因は日本にあるのではない石油にあるのだ、世界じゅうがみんなそうなんだ、こういう認識というのがうかがい知れたのでありますが、私は、仮にオイルショックに一つの大きな原因があったにしても、それぞれの国の対応の仕方によって、その深さなり度合いなりそういうものは違ってくると思うのですね。日本のいま国債発行の状況を見ると、国際的に比較してみても日本は最高ですね。予算、国民総生産あるいは財政規模、そういうものと比較した数字を大蔵省からいただいたのでありますが、国債依存率を見ても、ここ五年間の予算、財政規模に対する国債依存率というのは日本は最高ですよ。アメリカが一九七六年改定見積もりで二〇・三、西ドイツが本年は二三・一、日本は七五年が概数ですが二六・三、七六年、いわゆる昭和五十一年度は二九・九、まさに世界で財政規模に対する国債依存率は日本が最高でございますね。これは大蔵省が示した調査の結果ですから、この数字には間違いないですね。率においては世界一であることは大臣お認めになりますね。
○大平国務大臣 この数字はそのとおりでございます。
○武藤(山)委員 そういう日本の財政の組み方が特に安易に流れて、何かもっと苦心が、工夫が、努力が足りない、そういう点が私は思われてならないのであります。 特に、大平さん大蔵大臣になって間もなく、一昨年、四十九年だと記憶しておりますが、四十九年の九月の初めに、私は新大蔵大臣と初めて大蔵委員会で質疑応答を行いました。そのときに、私の感じでは世界は大不況になるだろう、大変な心配がやってきた、いま政府はここで思い切って政策の転換をし工夫をしないと、来年度は大変なことになるのじゃなかろうか、そういう警告的発言を私は行っております。議事録があります。そのときに大平大臣は、いや武藤さんが心配するようなことはない、世界の協調によって、先進国家の協調によって解決できる、そういう答弁をいただいたのであります。もうすでに二年前のオイルショックの翌年の九月二日の大蔵委員会だと記憶しております。そのときに、私は、大臣の国際経済の見通し、ちょっと甘いのではないか、したがって、総需要抑制一本やりのいまのあり方はこの辺で少々手直しをしないと来年度大変なことになる。理財局長は当時銀行局長だったと思いますね。そうじゃなかったかな。そうじゃない。それはちょっと記憶違いでしたな。そのときの銀行局長はフレームワークは外さないが、大蔵省としては総需要抑制、金融引き締め一本調子のものについては少々検討する時期のような気もいたします。そう答えたのでありますが、さっぱりどうも物価問題の福田さんの発言の方が勢いがよくて、とうとうなすすべを知らず大蔵省としてのきちっとした態度が出せなかった。とうとう年が明けて昭和五十年になって、また五十年になっても二月、三月ごろまでそういう深刻な認識に大蔵省は欠けた。私の見る目ですよ。後でそんなことはないと反論して結構ですから、私、いま過去を振り返って少し。二月の段階ですでに大蔵委員会ではかなりいろいろ心配が出て、議論をいたしております。そういうようなときに、どうも大蔵省の政策手段というのが後手後手で適切な経済動向に対応した処置がとれなかった。それが今日のような一層深刻な赤字を生み出すような原因にもなっている、私はそう見ているのですが、そういう見方は全く偏見だろうか、幾らかは当たっているんだろうか、大臣の認識はいかがですか。
○大平国務大臣 よその国に比べて努力が足らぬではないかという御指摘でございますが、御理解いただきたいのは、よその国と日本の立場、資源事情が全然違うということでございまして、アメリカのように資源をみずからたくさん持っている国とそうでない日本、日本は持たざることが、しかも非常に有利であったわけでございますが、今度は持たざることが大変不利に転換いたしました。非常に好調から逆調に極端に逆転いたしました国柄でございますから、アメリカとは根本的に違う。ヨーロッパの国々も石炭その他で資源の持ち方は日本と違うわけでございまして、したがって日本のような今度衝撃を深く受けた国はなかったわけでございますので、その点につきましては日本の置かれた立場というものに対して分析をいたしますならば、日本の政府の立場も御理解がいくのではいかと思います。 それから第二の国内の問題でございます。政府のやったことにつきまして、とりわけ大蔵省の対応力というものについて不満足あるいは時期を失した点がなかったかということでございますが、それは一々私も記憶をいたしておりませんけれども、しさいに見れば武藤さんの御指摘のようなことも多々あったかと思います。私どもも精一ぱいやっておるつもりでございますけれども、いろんな、いまから振り返ってみますと、タイムリーに打つべき手がおくれたりいたしたことは確かにあったのではないかということは常々反省いたしておる次第でございます。
○武藤(山)委員 常々反省をいたした言葉を聞いたのはいまが初めてで、予算委員会の最中やいままでの本会議の答弁などを聞いたら、もう全く政府は責任を感じてない答弁で終始していた。いよいよもう予算も自然成立をする、もう少々本音を言っても痛くはない、財特法だけだからこの際はという感じをいまの答弁で受けてなりません。 いずれにいたしましても、大蔵大臣の心境は、できちゃったことはしようがない、金がないんだからしようがない、見積もった歳出だけは実行いたしたい、もうそういう気持ちで一ぱいだろうということはよくわかります。わかるけれども、われわれは年度内に法律を改正しなくてやれるものはこういうものがありますよ、来年度の税制改正にはこういうものを手直しすべきですよ。ずいぶん野党は具体的なものを掲げて政府に反省を迫ったんですよ。ところがそれはさっぱり功を奏していない。これはもたもたしていると五十二年度予算にもそういうはっきりした努力の跡が見えるようにはならないような気がいたしますね。私はそういう点、まだまだもう少し真剣に大蔵省取り組むべき問題がたくさんあると思うんですよ。 長期計画の問題も、私はあなたが大蔵大臣になった直後の委員会で、歳出を減らしていくためには、長期計画が何本もある、十本もあるような五カ年計画、十カ年計画、七カ年計画というような、いろんな道路や港湾やさまざまの長期計画というものを全部洗い直さなければ、歳出を縮めることは不可能です。これを政府として早急に取り組んでもらわぬことには、大蔵省としては金の捻出ができなくなるんじゃないか、そういうことも注文をしてきたわけであります。しかしどうも新聞報道などを見ると、そういう長期計画の変更もそうはかばかしく進んでない。これは政府全体としての問題でありますが、どうも怠慢ですね。それとも圧力団体の圧力が強くて、歳出の方のそういう長期の展望を新たにここでし直すということがなかなかできない、民主主義の欠陥なんだ、政党政治の欠陥なんだと割り切ってしまうべき問題なのか、政府の努力によって改善できるという問題がまだまだたくさんあると判断をすべきなのか。私はそういう問題もまだたくさん残っているような気がいたすのでありますが、大臣いかがでございますか。
○大平国務大臣 私ども精一ぱいやっておりまして、落ち度がないと言えないことは先ほど申したとおりでございますけれども、しかし経済もおかげさまで漸次回復の徴候を見せてまいったわけでございます。これは、諸外国と比較いたしましても、回復の状況必ずしも見劣りはしていないと思うのでございます。それから、物価もほぼ予定されたフレームの中で処理がついておるようでございますし、国際収支も大きな狂いなくバランスが維持できておるわけでございます。 したがって、確かに、一々せんさくをいたしますれば、政府の対応につきましていろいろな注文がつけられてもいたし方ないと思いますけれども、全体といたしまして、私は政府の対応が間違っておったとは言えないと存じておるわけでございます。 で、これからの問題は、物価をどのように制御してまいりますか、あるいはせっかくおさまりかけておる状態にある金利をどのように誘導してまいりますか、せっかく回復の徴候を見せてまいりました経済をどのように軌道に乗せてまいりますか、そういったことが確かにこれからの課題でございますが、そういうことに対しましてわれわれが周到に対処してまいりますならば、政府がいま予想いたしておりまする展望に大きな狂いなく五十一年度の経済は運営が可能でなかろうか。したがって、財政もまた正常化への歩武を進めることができるのではないかというように見ておるわけでございます。 しかし、いろいろ厳しい御批判がある点につきましてはどしどし御指摘いただいて、正すべきことは正していかなければならぬことは当然と心得ております。
○武藤(山)委員 大臣、いませっかく物価の問題の方に話がそれていきましたが、私、いま物価の問題を論争しようとしているわけじゃありませんけれども、出ましたからちょっと触れておきたいのでありますが、たとえば日銀月報を見ると、一九七〇年を一〇〇とした指数で世界各国の物価動向が明らかになっていますね。これを見ると、この六年間で世界で一番物価が上がった国はイギリス、ことしの一月で二〇二・三、二番目がイタリアの一八一・一、日本は一八〇・四ですね。この一月の水準を見るとイタリアとほぼしてんごてんですよ。世界三番目に消費者物価の高くなった国です。この五、六年間。それから、卸売物価を見ても、日本の総平均は一六一・六ですから、これも決して低い方じゃありません。だから、物価問題も、現在の一〇%ぐらいに抑えても物価水準というのは高いのでありますから、ただ狂乱物価の二五だ、二三だというのと比較すると一〇%は低いように感じますけれども、預金金利と比較した場合にははるかに高いのでありますから、これはもう物価問題が解決したなどとはお世辞にも言えない数字なのであります。 まあ、その話はいずれといたしましても、この国債発行をこれから四、五年続けなければならぬと言う。しかも、膨大な金額である。そのツケが将来回ってきて、国民に負担が転嫁される。容易ならざる事態である。これを本気で解決するには、具体的に大きな柱はどんなものがあるんだ。この赤字財政を克服する方法の大きな柱は何と何と何があるのか。大蔵省が考えている柱をまず明らかにしてください。
○高橋(元)政府委員 申し上げるまでもなく、特例公債への依存の体制から脱却してまいるということのためには、まず第一に、歳出を極力圧縮をしていくということだと思います。たとえば、本年度の予算編成の際にも、補助金について相当な圧縮を行いました。それから、一般の旅費、庁費というような行政コストに当たる経費、これにつきましても極力、恐らく実質で同額というぐらいの程度に抑え込んでおるわけでございます。定員、機構についても極端に圧縮を図っておる。そのほかに各種の事業につきましても、できるだけ新規の事業というものを抑制的に考えて、真にやむを得ないもの、官民の負担区分というものを考えて国で行わなければできないものというものに限定してやっていくということが歳出面の柱だと思います。 歳入の方につきましては、まず、財政収支試算でも、それからいわゆる経済計画の概案でもありますように、特例公債に過渡的に依存することはやむを得ないとしても、将来建設公債原則に戻るとしますと、現在よりも租税負担率において計画期間中に三ポイント上がるということを言っておられるように、歳入の確保ということも租税を通じて、また税以外の料金価格についても図っていかなければならないであろう。それが基本的には特例公債から脱却する王道であろうというふうに私どもは考えております。
○武藤(山)委員 いま大蔵省から、この赤字財政を克服する大きな柱としては二つだ、一つは歳出を切り詰めることだ、一つは歳入をいかに確保するか、ふやすか、あるいはもちろん歳入の中には税以外にいろいろ手数料とか日銀の納付金とか専売公社とかあるでしょうが、いずれにしても税の増収を図る、歳出を減らす、この二つだ、こういう説明がありましたが、しかし、大蔵省の答弁をずっと聞いていると、この二つの柱で今日の事態を克服しようとしている形跡はどうもうかがえない。大蔵大臣の先ほどの答弁は、景気がよくなってきた、経済がよくなってきた、五十一年度はまあまあ見通しのようにいきそうだ、いわゆる景気の方にだけ大変なウエートが置かれている。私は、こういうことを言っていいかどうかわからぬけれども、税金をだれからうんと取るかは別として、いずれにしても増税と、歳出を徹底的に切り詰める方法と、第三番目の道はインフレ政策だと思います。インフレーションによって名目所得を、名目利益を拡大して税収がふえてくる。どうも大平さんの先ほどの答弁を聞いていると、税でうんと取るように税構造をいじるよりも、もう高物価政策で、電気料金の値上げも認める、私鉄運賃の値上げも認める、ガスも上がる、政府みずからが、運賃もどんどん上げる、電話料も上げる、そういう形でもう商業ベースの採算性に合わぬものはやむを得ないのだ、みんな値上げはしようがないんだという思想ですね。これはやはり高物価政策、やがてインフレーションに発展をしていく構想じゃありませんか。だから、どうも大平さんの財政は、具体的な細かい税や歳出を削ることや、そういう面に精力を注ぐよりも、もっと大ざっぱな、景気を上昇させて——その景気を上昇させるというのは、現代資本主義のメカニズムではもうインフレーション政策に転ずる以外に、残念ながら道がないのですね。この三つの道が、私はいま想定されるような気がするわけであります。 大平大蔵大臣、いま主計局次長が答弁したのでありますが、そんな道はもう、口では言わぬが、腹の中で全く考えていないと言い切れるでしょうか。
○大平国務大臣 私の説を武藤さんがそう創作されちゃ困るのです。私が申し上げておるのは、経済の回復、不況からの脱出、そういうことを申し上げておるのでありまして、非常に好景気をあおって物価が上がる、そういうことには一向お構いなく、インフレの高進というようなことに対して無神経でいこうなんという下心を持ってやっておったのでは、これはとても大蔵大臣務まりませんね。私は、そういうことではいけないと思うのでございます。なるほど、電気料金の問題でございますとか、いま国会で御審議をいただいておりまする鉄道運賃にいたしましても電話料金にいたしましても、値上げの問題がございます。ございますけれども、これは政府がいま物価政策として天下に公約をいたしておるフレームの中でちゃんと取り仕切っていく用意を持って御提案申し上げておるわけなんでございまして、去年もいろいろ問題になりましたいろいろな公共料金の値上げにいたしましても、ちゃんと公約いたしました一けたの中で処理するということをいたしておるわけでございます。経済は生き物でございまするし、公共料金といえども経済の原則を無視してやれるわけにもまいりませんので、そういうことは十分配慮しながら非常に抑えに抑えてやってまいることでございます。世界の中で、わが国が不利な交易条件のもとで貿易を伸ばして、そして何とか生存していかなければいかぬわけでございますので、インフレをやっていける国でないことはあなたもよく御承知のとおりでございます。 ゆうべの十時に、英国の蔵相から私あてにメッセージが届きまして、英国政府もきのうの朝、労働組合代表との間で、七六年八月から一カ年にわたる政府のインフレ対策の一環として賃金交渉に合意した、これによる賃上は四・五%となり、七七年末までにインフレ率をさらに半減しようという政府の方針に沿うものである、この限度は厳格に適用される、今回の賃上げ率は西独の五・五%より低く、他の先進国よりさらに低いというような意味で、先ほど御指摘の英国も再建にいま非常に熱心に鋭意努力されておるようでございまして、日本がインフレについて鈍感であってはとてもこの国際場裏で生存できるはずがないわけでございますので、私どももっと真剣に経済の運営、財政の運営に当らなければならぬことは当然の責任と考えておりますことを十々御理解をいただきたいと思います。
○武藤(山)委員 なぜ私が財政再建の一つの柱としてインフレ政策を掲げたかというのは、税の構造を変革する努力も、歳出構造を本当に見直そうという努力も、われわれからながめているとどうも足りない。そのために、そういう安易なインフレへの道を期待しているのではなかろうかという邪推をしておる。そういう点から私は発言をしたのであります。もし、インフレの道を選んではならぬというのだったら、もっともっと歳出構造の転換、税構造の変革、思い切って国民の前にわかるような姿勢を展開しなければ、どうして十年後にこの国債をなせるのかという疑問を解消できませんよ。大臣、さっきから、いま発行する赤字国債は十年間でもう書きかえをしないで返すんだと言っても、言葉としては言っても、これは大平さんを信ずるか信じないかという、先ほど山中先生のおっしゃった大臣を信ずるかどうかということしか歯どめがないのだ。国民はそれを理解できません。赤字をこんなに出した会社は、普通だったら社長は辞職ですよ。株主総会で首です。それで借金だ、いや、それは経済の変動のせいなんで、社長の責任じゃないんだと言ったって、民間企業じゃ承知しませんよ。これは社長も首、それから課長、部長クラス、そこに座っている部長クラスも減俸か、これはもう大変なことになって、この状態では大倉さん、とても次官なんて行けないよ。だからやはりこういう点をもうちょっと、この二つの構造面に徹底的にメスを入れてくださいよ。私たちにもわかるような、そういう努力の跡を示してください。野党がこぞって財特法に反対するゆえんも、私はそういうものも一つあると思いますよ。皆さんの努力が、苦悩の色がありありとわれわれにわかるようなことが示されてくれば、これは少々、なるほどこれだけ努力したんだなということになるけれども、この一年半の努力はまだまだ足りない。だから少々おきゅうをすえよう、国家財政をこんな安易な方向にゆだねておくことは許せぬ、大きなおきゅうをすえようということが、いま野党が財特法に対して反対をしておる一つの大きな理由じゃありませんか。 特に、河野参議院議長までがそういう野党の考え方に対してかなり理解を示しているんじゃありませんか。新聞報道がうそだというなら別ですが、大臣もお読みになったと思いますが、五月一日のメーデーの日の読売新聞に、こんなに大きく「財特法、今国会はムリ 河野議長」こんなにでかい見出しですから、国民はほとんど見ますよね。河野さんは今国会は無理と言っているんですよ。しかも、その中を読んでみると、一つは「財政法特例法案は今国会中に成立の見込みはない」二は「原則的に会期の延長には反対である——との意向を明らかにした。」これは自民党幹部クラス有志でつくっている無名会の会合に出席して、終盤国会の見通しを述べた。読売新聞がうそだというなら別ですけれども、これだけ大きく出ているのですから、火のないところに煙は立たないでしょう。河野さんがそういうことを言っている。 それから四月二十三日のやはり読売新聞を読むと、「財特法は7月の線 政府筋表明」と書いてある。この政府筋とはだれかをちょっと聞きたいのでありますが、それを読んでみると、「政府筋は二十二日朝、財政法特例法案の取り扱いについて「今国会で成立しなければ、七月に臨時国会を開いて成立させることになるだろう」と述べた。」「去る六日の三木首相、福田副総理、大平蔵相の三者会談でもこの点が確認されているが、政府筋から、いわば次善の策として七月臨時国会での成立という見通しが出されたのは初めてである。」こう書いてある。 そうすると、財特法はそう無理して今国会でしゃにむに多数で通すべき法律ではないのだ、こういう感じを、これを見たらみなそう思いますよ。河野議長がこういうことを言ったということがまずぱっと出て、この記事を読んで大平さん、これは五月一日ですからまだ幾日もたっていないですが、どんな感じを受けましたか。河野さんに何かすぐ連絡をとりましたか。
○大平国務大臣 財特法はいま衆議院の本委員会で御審議をいただいておるわけでございまして、私がいま本委員会におきましてどのように御審議をいただいて、どのように私どもがそれに応じて審議を促進していただくか、そればかりを私いま考えておるわけでございまして、参議院のこととか、臨時国会のこととか、そういうことを考える余裕は全然ございません。
○武藤(山)委員 しかし大蔵大臣として、参議院の議長が今国会は無理だと言ったというようなことをもし新聞に報道されるようなことがあったとするなら、担当の大臣としてはすぐ河野議長のところへ電話ぐらいしてしかるべきじゃないでしょうか。何にも連絡しないのですか。この新聞を見っ放しで、ただ大蔵委員会だけ、衆議院だけわしは一生懸命やればいいんだという感じですか。
○大平国務大臣 参議院議長が無名会においてどのように意見を表明されたかというようなことは、直ちに後刻伺いました。伺いましたけれども、本席でそういうことを申し上げるというような場面ではございませんから御遠慮いたしたいと思いますけれども、私はいま、財特法につきましては、この委員会におきまして、まず武藤さんを初め各委員の皆さんの御理解を得ることに全力投球をしなければならぬと心得ております。
○武藤(山)委員 しかし河野議長は、与野党の差が非常に少ない参議院において、新聞で事前にああいう気持ちを発表しているとすれば、参議院はまあそう急いでやることもなかろう、衆議院の野党は少々ピッチを上げ過ぎるぞ、夜まで一生懸命大平さんに協力するようなことでということになりますよ。もう一回こういうことは参議院議長が本気で考えているのかどうかをきちっと確認して、衆議院の皆さんにも報告してくださいよ。そんなことはないのならない、そういうことがあるのならあるで、それによって私たちは、山田理事とも佐藤理事とも野党の理事と、大体ひとつこの程度でこうやっていこうじゃないかということの話し合いもできるのですから。みんなそれぞれ忙しい予定も夜はあるんでしょうから、ぜひひとつその点はこの審議中に確認してください。 それから税収の問題について、これからの一つの克服策の柱として税収を考える。先ほどの答弁の中で大倉さんは、付加価値税は目下大蔵省は検討していない、しかし、大蔵省が何かもう案を持っているようなことを言われるけれども、そういうことはないというようなことを言ったんですか。——じゃ、まずそれからはっきりしましょう。付加価値税についての大蔵省の現在の認識あるいは取り組み方、それから大倉主税局長の正式な見解、この三点。
○大倉政府委員 先ほど私が佐藤委員にお答えいたしましたのは、新聞などで、いかにも付加価値税導入ということを大蔵省が決めたかのように出ておりますけれども、そういうことはございません、所得課税、資産課税、消費課税それぞれにつきまして、この際根元からもう一遍見直して、どこで負担を求めるべきか、それは一つのものではなくて組み合わせかもしれませんということを申し上げたわけでございまして、その場合の消費課税には、個別消費税の見直しと同時に一般消費税の研究も当然に含まれるべきものというふうに私は考えております。
○武藤(山)委員 決めていることはないということは、決めていないということですか。
○大倉政府委員 導入するということを大蔵省が既定方針として決めたかのような報道がございましたので、それは事実とは反するということを……(武藤(山)委員「じゃ決めていない」と呼ぶ)はい、導入するということを決めたということはございません。しかし、付加価値税を含めまして、一般消費税というものがどういうものがあり得るか、日本について導入する場合にいかなる問題点があるかということは、私ども当然の職務でございますから、主税局の中では勉強を続けてきております。しかし、税制調査会ではまだ具体的な御審議は願っておりません。それが現段階でございます。
○武藤(山)委員 そうすると、一般消費税という考え方の中に付加価値税を含めて研究をしている、こう理解していいですね。
○大倉政府委員 主税局といたしましては、当然の職務といたしまして、付加価値税を含む一般消費税につきまして勉強は続けております。
○武藤(山)委員 主税局長、現在の物品税、これも七千億円くらいの税収になっておりますかな、もっと低いですかな、かなりの税収になっておりますね。物品税六千九百五十億ですか、かなりの税収ですね。この物品税がやはり消費物資に課税されている。付加価値税をもし導入する際には、この物品税との競合、物品税を廃止して付加価値税をやった場合の不公正、貴金属類やそういうようなもの、そういう個別商品に課税している物品税と付加価値税との関係というのは、諸外国の例ではどうなっておりますか。
○大倉政府委員 簡単に申し上げますと、三つタイプがあると思います。一つは、そういう個別的なものを一切残さない。しかも、できるだけ単一の税率で一般消費税を考える。もう一つのタイプは、一般消費税の中に複数税率を考える。ある程度高い税率で課税するものとそうでないものを考える。さらに最後のタイプとしましては、若干の品目につきましては個別に別の名前で負担を求める。付加価値税といわば併存させるというタイプがございます。そのいずれをとるかはなお研究の余地のある問題だと思います。
○武藤(山)委員 勉強中のことですから、なかなかむずかしいのでしょうが、付加価値税を日本で導入をすると仮定した場合に、何%くらいの場合はどのくらいの税収になる、何%の場合はどのくらいになる、そういう試算、これの数字はどうなりますか。
○大倉政府委員 付加価値税を、仮定の問題としてという御質問でございますので仮定の問題としてお答えいたしますが、前段階税額控除を導入いたしまして、最終消費について一律の負担を求めるだけであるというタイプで考えます場合には、基本的な課税標準になりますのは個人消費でございますから、たとえば全く免税品目がない、あるいは軽減税率がないという——それは全く現実的ではございませんが、そういう形で考えれば、個人消費総額に特定の税率を掛ければ一つの根元が出てまいるということに相なります。したがって、個人消費を仮に八十兆円という推定をする、あるいはもっと先になって考えるから百兆円だというなら百兆円、その一割なら十兆円、一%なら一兆円ということに相なりますが、しかし、現実の問題としましては、必ず相当幅の広い免税品目が出てまいりましょうし、また零細小売企業は納税者から除外するということが当然に考えられましょうから、個人消費掛ける税率マイナスアルファ、しかもそのアルファは相当大きいというふうに考えておくべきものだろうと思います。
○武藤(山)委員 三木総理大臣は、付加価値税は導入しない、そういうことを予算委員会で答えているようであります。私も付加価値税は実現しないと信じております。大平大蔵大臣の現在の心境はいかがですか、来年度からの付加価値税について。
○大平国務大臣 税制の問題でございますけれども、当然非常に政治問題でもあります。野党第一党の社会党さんを初め各野党の御協力、各方面の協力を得てやるのであれば——そういう政治状況ができないと、これはなかなかやりにくい問題ではないでしょうか。
○武藤(山)委員 やりにくい問題ではないでしょうかということは、主体的にもっと積極的に大臣としての意思を発表した場合、どうなりますか。でしょうじゃなくて、できないと思うと、いや五十二年度からあるいは努力次第でできると思うと、決意を聞かせてください。
○大平国務大臣 政党初め各方面の理解、協力の度合いにこれはよりますね。
○武藤(山)委員 主税局長、私はこの付加価値税創設には反対論者でありますが、日本のように物品税がかなり多品目にわたって課税されている、その場合には物品税をより合理的なものにあるいは落ちのないように品目を洗い直すとか、物品税の方である程度まだ見るべきものをきちっと見る。とにかく逆進性の非常に高いもので、すべての消費者、低所得者にまで課税が悪平等に及ぶような、そういう付加価値税の制度であっては絶対われわれは承知ができない。そういう意味で、まだ勉強中だそうでありますから、五十二年度には大蔵省もよもややるとは言い出さないとは思いますけれども、野党の中に大変強いそういう意向があることを、主税局長ぜひ頭にしかと入れておいていただきたいのであります。 次に、もう一つ、赤字財政克服の一つの方策として、大蔵省はこの五月二日、金持ち優遇の批判の強い利子配当課税を抜本的に是正するため、個人番号制の導入の検討を六月中にも税制調査会に諮問する方針を明らかにした。本当に諮問いたしますか、大蔵大臣。
○大倉政府委員 連休中は非常に華やかないろいろな報道がございましたが、先ほど申し上げましたように、私ども何らかの租税負担の増加をお願いしなくてはならぬ。しかもわりあい早い時期であるのかもしれないというふうに私は個人的には考えておりますが、それをいかなる時期にいかなる税目でということは、まだまだこれから相当時間をかけて御議論を願わなくてはならぬことでございます。 ただ利子配当につきましては、たびたび当委員会でも御質問がございまして、総合課税の方向に一歩でも近づくようにということで、たびたび御批判をいただいておりますから、私ども内部での勉強はいたしております。しかし、税制調査会に御審議を願いますときにはある程度具体的な腹を固めているというのが普通でございます。全く白紙で、さあどういたしましょうかということばかりでもございませんので、その意味では六月に税調にいきなり飛び出してくるというタイミングにはとうていならないのではないかと思います。
○武藤(山)委員 大平さんの親分であった池田勇人先生は大蔵省出身の大蔵大臣、総理大臣で、私たち野党が当時大蔵委員会で質問をした際に、配当の分離課税は私が総理である限り絶対に実施しないと、池田さんは野党に約束しました。その約束をきちっと最後まで守ったのですね。池田さんの偉さは、そういう不公平を拡大するようなことについては極力歯どめをかけて、総理大臣みずからがんばった。そのうちに池田さんがやめて、今度大蔵大臣がかわって、がむしゃらにいまの制度ができてしまった。だから、同じ系列を引く大平さんのときに、池田さんが最後まで守り通したその制度に対して、一回不公正を完全に断ち切る、そういう決意が欲しいと私は思うのであります。いまは亡き池田さんをしのんで、この池田さんの英断に対して現在の大蔵大臣はどのような感想をお持ちですか。
○大平国務大臣 去年の国会で、選択分離課税の強化とあわせて五年間の余裕をちょうだいいたしておるわけでございまして、その間にこの問題にまつわるいろいろな検討を大蔵省は進めなければならぬと存じておるわけでございます。大きな問題でございますし、十分の用意をもってかからなければいかぬことでございますので、鋭意検討声進めて、一歩でも二歩でも前進する方向に持っていきたいと思っております。
○武藤(山)委員 銀行局長、別名預貯金あるいは架名預貯金、これは大ざっぱに見てどのくらいあるものですか、いま大蔵省が握っておる数字は。
○田辺政府委員 人の名前をかたっているとか、あるいは架空のものであるのかどうかがわからないわけでございますので、大ざっぱにと申されましても、どのくらいあるかちょっと見当がつきかねます。
○武藤(山)委員 日本の預貯金総額は、いま二百二十兆ぐらいですか。大ざっぱな感じで、そのうちの一〇%ぐらいはそういうものがあるだろうか、もっと少ないだろうか。銀行局長ならいろいろな情報を聞いているでしょう。どのくらいあるか、検査官からもいろいろ聞いているでしょう。
○田辺政府委員 一〇%以下なのか、あるいは五%ぐらいなのか、ちょっと見当がつきかねます。
○武藤(山)委員 あなたはまじめだから、本当だと思って信用して……。 そこで、仮に個人番号制にして脱税が一切できないようにする。その際に、現在ある架空や偽名の人たちはどうしたら本当に吐き出すだろうか、どうしたら本当に申告するだろうかということがこの問題を処理するポイントだと私は思うのですよ。それには何か一時のメリットを与えるようなことを考えてやらないとなかなか出てこない。これは脱税した金だから、うっかり名前を出すと税務署にぱくられてしまうので出せない、さあどうしようかということで悩む。そこで、一定の期間、正直に全部、自己名義にしたものについては、何月何日から何日までの間にその手続をしてきちっと申告したものは脱税としての追及をしないとか、あるいはしても、何百万以下または何千万以下の場合にはごく軽く、この程度でよろしいとか、幾つかの案を大蔵省の主税局に集まっている頭のいい連中はもう考えていると思うのです。どうすればこういうものを引き出させることができるか。全国の金融機関にある無記名、匿名、偽名のものを全部一回きれいに吐き出させるための具体的な方法として、たとえばどんなことが考えられるだろうか。いま大蔵省の方で考えている、こんなことがあるなあということを二つ、三つ並べてみてください。私がいま言ったようなことも一つの案だと思うのです。
○大倉政府委員 たしか先日、当委員会で村山委員にお答えしたかと思いますが、先ほど申し上げましたように、利子配当につきまして一歩でも総合課税に近づく具体的な方法はないかということで部内で研究を続けておりますが、具体的にどういうことを考えているかということがうかつに外に漏れることは、またそれなりに非常な混乱を来すこともございますので、その点だけはぜひ差し控えさせていただきたいと言って、私としては御了解を得たつもりでございます。ただ、いま武藤委員のおっしゃいました一種の徳政と申しますか、そういう物の考え方というのはかねてから御指摘はあったという記憶を持っております。そのことのよしあしは十分よく考えてみないといけません。技術的には、新しい制度を入れましたときの経過措置の問題としてずいぶんいろいろな考え方はあり得ると思います。
○武藤(山)委員 七時半から別の予定が一つありますので、あと十分しかなくなってしまったのですが、最後に一問お尋ねしておきたいと思います。 先ほどの質疑の中にもありましたように、ことしの公債の発行というのは大変な金額になります。地方債、政府保証債を含めますと十四兆、大変な金額であります。もちろん一年間の貯金の伸びが三十三兆円あるというのでありますから、三十三兆の貯金の増加のうち、半分を国並びに地方公共団体が一時借りるわけですね。もちろん一時借りてもやがてはそれは歳出で支払いますから、そのタイムラグがちょっとあるということが金融を逼迫させる一つの時期だと思うのでありまますが、それにしても、先ほど大平さんがおっしゃるように、景気がよくなってきて産業活動が活発になってきた、資金需要は以前よりはずっと旺盛になってくる、そういう情勢の中でこの十四兆の公債発行というものが金融をかなり逼迫させる、偏在をさせる、そういう要素になるような気がいたすのでありますが、そういう点の見通しについてはどうですか。これは銀行局長ですね。
○田辺政府委員 長い先のことはなかなか御答弁できかねますけれども、少なくともここ当面のところを考えますと、民間の資金需要というものはそう盛り上がりを見せておりません。むしろ自己資金といいますか自己金融力がこれは過渡的な要素だと思いますけれども次第についてきているものですから、外部資金に依存するという勢いはかなり減殺されてきております。したがいまして、たとえば今年度の国債の発行というものは、これは時期の問題がおっしゃるとおりございますが、金融の繁閑に応じて適時適切な国債の発行が行われまするならば、民間の資金需要を不適当に圧迫するというようなことには相ならないのではないかと思っております。
○武藤(山)委員 いまはならないけれども、しかしやがて今年度中にかなりそういう様相が時期によっては出るのではないか。特に五月は一兆二千億円も国債発行をしようというのでしょう。さらに五月は地方債がありますからね。さらにそれに地方債がぶつかってくる。したがって、かなり資金需要はある、一兆七千五百億ぐらい散超だ、だから一兆二千億円ぐらいの国債発行は心配ないというのが大蔵省の見解のようだと新聞には出ておりますが、しかし、さらに地方銀行、相互銀行、それに地方債がありますからね。したがって、五月の公債の量というのは大変なものになりますね、もし一兆二千億がその手段に割り当てられるとすれば。いずれにしても最近マネーサプライがふえてきた。これも一つ大いに注目をしなければならぬと思うのでありますが、日銀月報を見ると、マネーサプライが最高に達したのは四十七年十一月、前年同月比で二八・五%、最低が四十九年九月の一〇・六%。最近の傾向を見ると、一月が一五%、二月が一五・三%、三月が一五・七%というようにマネーサプライがふえつつあるわけであります。大蔵省の指導としては、銀行局長、このマネーサプライが前年同月比どの程度までぐらいが好ましい姿だろう。これは日銀の政策でありますから銀行局長の守備範囲ではないと言えばそれまででありますが、しかし、マネーサプライの激増というものが一定の水準以上に達したときにはやはり物価に影響を与える。アメリカではすでにもうマネーサプライにかなり気を使って引き締めに転ずるという報道がなされてきております。日本の政府として大蔵省の銀行局はどの程度の水準を一応日本銀行に期待しているのか。いま一五・七%に達したけれども、どの程度まではまあ心配ない、まあまあとこう考えているのか、その辺の金融政策の一つのポイントとして局長の見解を聞かせてください。
○田辺政府委員 大変むずかしい御質問でございまして、先生も十分御存じのとおり、マネーサプライというものの伸び率と物価ないしは経済活動というものにそう常に一定した関係があるわけではございませんので、余りマネーサプライの数値だけといいますか重視してそれにかかずらった金融、経済の政策をやっているとまた間違いを起こす可能性もございます。結局いろんな経済、金融関係の諸指標の中の一つの指標としてやはり頭にとめておく、こういう性格のものであろうと思いますが、具体的に何%というものが望ましいかというのは一義的にはお答えできかねます。しかしながら、現在の経済の諸指標というものとにらみ合わせて考えまするならば、この三月に一五・七%の前年同期比の伸び率になったというこの数値は、特に警戒を要するとか心配をしなければならぬというほどでは全然ないと思っております。ただ、かつてわれわれが経験いたしました先生御指摘のような二五%を超えてマネーサプライが増加するというようなのは、どうもやっぱり異常な事態ではないかと思います。
○武藤(山)委員 銀行局長、しかし、GNPの伸びをどのくらいに名目成長を見るか、それと全くかけ離れたマネーサプライになっていくということは、やはり通貨の総量と生産の水準というものは常に好ましい水準に相対関係を置かなければならぬわけでしょう。でありますから、経済見通しが名目成長の何ぼと見た場合にはやはりマネーサプライの水準というものもややこの程度が好ましいのだくらいの一つの指標は銀行局長としては持つべきじゃないのでしょうか。あなたの見解としてどうなんでしょうか。そんなものは全く構わないで、結果だけただ追って、二五%にならなければいいやというような大ざっぱなものじゃないのでしょう、一国の銀行局長ともなれば。
○田辺政府委員 おっしゃるとおり名目成長率との関係が一つの考え方になるわけでございます。いわゆるマーシャルのkというような数値が一定であるとするならば、あるいは一定であるべきだとするならば、そこに一つの関係が出てくるわけでございますが、どうも経済の発展というものと関係があるのだと思われますけれども、マーシャルのkというのが趨勢的な動きを見ておりまするとだんだんに高くなっているような状況でございます。それをトレンドを追って過去の趨勢値をそのまま延ばしてそのマーシャルのkを掛けたところで大体マネーサプライをはかってみたらどうかという意見もあるかと思いますが、非常に危険でございまして、まあ短期的にはまた相当の振れがございますので、軽々にはこれは判断をしてはいけないことだと思います。長期的には先生のおっしゃるような大まかな腹構えといいますかそういうものはなければならない、こう思っております。
○武藤(山)委員 時間でございますからこれでやめます。 最後に、大蔵大臣に注文をつけておきますが、大蔵大臣は去年の二月十二日、本大蔵委員会において、私の質問に答えて、すなわち、私が国債発行とインフレの関係のあなたの感じ方を説明してくれ、国債発行が多くなればインフレを助長するという質問に対して、大蔵大臣は、「端的に申しまして、インフレの要因になると思います。」と、こう答えているわけであります。インフレの要因になる場合の様態がいろいろあるわけでありますから、どういう場合にインフレになり、どういう場合にインフレになる要素が少ないということをきょうは論じようと思っていたのでありますが、前段だけで終わってしまいまして、その問題に触れることができませんでした。いずれにしても、大臣も国債発行が巨額に達するとインフレになる危険があるということを十分認識しているようでありますから、もう国債発行は日本の財政規模においては多過ぎるほどべらぼうに大きくなるわけでありますから、これがインフレ要因にならないように大蔵大臣としてどういう政策運営をやるか、その点をひとつ最後に聞かしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。 答弁が不十分ならば、最後の上がるまでの間に留保してまた後で一、二時間質問させていただきたいと思います。
○大平国務大臣 まず、国債の発行額というものをできるだけ低目に抑えなければならぬわけでございますが、すでに七兆二千七百億ということで今度は御審議をいただいておるわけでございます。そのうち三兆七千五百億は特例債に仰ぐことにいたしておりますが、五十二年以降これを漸減してまいりまして、五十年代前半には完全に特例債から脱却すべく財政運営の知謀をしぼりましてそれを達成しなければならぬと考えておるわけでございます。そうすることによりまして、財政の面からインフレを招来するということは何としても防がなければならないのが、われわれの厳粛な責任であると考えております。
○田中委員長 次回は、明七日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時三十三分散会