商工委員会 第12号
- 発言数
- 333 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1976/05/18
会議録
○稻村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、訪問販売等に関する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹村幸雄君。
○竹村委員 昭和四十八年七月十三日、本委員会におきまして、マルチ商法が詐欺的商法であるその危険性に対して、実例を挙げながら指摘し、早急に適切な対策を講ずるよう、強く要請をいたしました。 〔委員長退席、渡部(恒)委員長代理着席〕 それに対して中曽根通産大臣は、話を聞いて驚いている、早急に対策を講じなければ大変なことになるような気がする、早急に措置したいと約束されて本日に至りました。しかしながら、本日まで適切な対策がなかったために、当時私が警告いたしましたとおり、多くの犠牲者、被害者が続出し、ついには高校生が自殺までするという悲惨な犠牲者を出し、大きな社会問題となりました。被害者が百万人以上あるいは二百万人とも言われておるこのような事態を引き起こしたことは、適切な対策を怠った政府、行政当局の重大な責任だと思いますが、どのように考えておられますか。さらに対策がおくれた理由についてお伺いをいたしたいと思います。
○天谷政府委員 いま先生が御指摘なさいましたように、マルチ商法は四十七年ごろからわが国で次第に行われるようになりまして、四十八年ごろから本部と販売員との紛争が頻発するというような情勢になってまいりました。国会からも幾たびも御注意を受けておった次第でございますが、いま御指摘になりましたように、立法がおくれますとそれだけ日を追って被害者が拡大いたしたわけでございまして、私たちとしましては、立法がおくれたことにつきましては深く反省をいたしております。ともかくようやく法案を提出するまでにこぎつけたわけでございますが、この遅延した理由につきましては言いわけがましくなりますので余り申し上げたくないのでございますけれども、御質問でございますから、一応お答え申し上げます。 まず第一番目に、マルチ商法を規制する場合に、このマルチ商法にはいわばいいマルチ商法と言うのもおかしいですが、普通のマルチ商法と、それから社会的に害悪を流す悪いマルチ商法というのがございます。このいいものと悪いものとを弁別いたしまして、悪いマルチ商法だけを規制の対象にしたいわけでございますけれども、マルチ商法の実態がきわめて複雑でございますために、この悪いマルチ商法を摘出してこれを法的に定義するということが非常に困難であったということが、第一の理由でございます。 それから第二番目に、こういうマルチ商法その他商取引につきましては、言うまでもなく商民法等一般法の規定があるわけでございまして、マルチ商法を規制しょうとします場合には、この一般法に対する例外規定をつくるということになるわけでございます。したがいまして、この一般法との調整をやらなければならないわけでございますが、調整に当たりましては、審議会に諮る等、慎重な手続が必要であったわけでございます。 それから、その次の理由といたしましては、独禁法との調整にかなり時間を費やしたということでございます。昭和四十八年ごろマルチ商法が社会問題としてクローズアップしてきましたときに、新しく法律をつくることも当然検討すべきであるけれども、そのとき現存しておった法律、すなわち独禁法によってこのマルチ商法の規制ができないであろうか、あるいはやるべきではないかという意見があったわけでございます。したがって、通産省の方でもそういう期待を抱いておったわけでございますが、昭和五十年に入りまして、公正取引委員会がマルチ商法について独禁法の運用による規制をお始めになったわけであります。したがいまして、この規制によって十分な効果が上がるかどうか、あるいは不十分であるとすればどの点が不十分であるかということを見定めた上でわれわれの立法の方針も決めたいというように考えましたので、この間の調整にも時間が要りまして、五十年の通常国会の法案の提出は見送ったというような経緯がございます。 以上のような理由によりまして提案がおくれたわけでございますが、努力が不足であったというふうに反省をいたしておる次第でございます。
○竹村委員 いま対策がおくれたということで遺憾の意を表されたわけでありますけれども、対策がおくれたことで非常に被害者がふえた現状にかんがみ、本法施行に対しましてはその運用について格段の努力を払っていただいて、再びこのような被害者が出ないように十分注意をしていただきたいというふうに思います。 続いて、現在まで代表的なマルチと言われているホリデイマジック社、エー・ピー・オー・ジャパン、ジェッカーチェーン、ベストラインについて、実態をどのように把握しておられるのか、また、その対策についてお聞かせ願いたいと思います。
○真砂説明員 お答え申し上げます。 いま先生から、ホリデイマジック、エー・ピー・オー・ジャパン社、ベストライン、それからジェッカー・フンチャイズ・チェーンの概要を説明しろということでございます。 まず、ホリデイマジックの方から申し上げますと、昭和四十八年の二月ぐらいから営業を開始しておりまして、資本金はそのときどきによって変更がございますが、現在七百五十万円程度でございまして、従業員につきましては約百名弱おるものと思います。主要な扱い商品につきましては、化粧品とか化粧用具、主として化粧品を中心にいたしておる次第でございます。このホリデイマジック社につきましては、公取の方からの勧告によりましてマルチ商法による販売はやめまして、現在、通常の状態で営業をいたしておるわけでございます。なお、ホリデイマジック社がこのマルチ商法をとっていた時代の既往の販売システムにつきましては、四段階に分けまして販売員を組織いたしていたわけでございます。 それから、その次のエー・ピー・オー・ジャパンでございますけれども、これは四十五年ごろに米国法人APOインターナショナルとの合弁で、外資五〇%で設立されたのでございますが、四十九年からは日本法人に切りかわっておりまして、資本金は千六百万ほどでございます。それから、現在は組織が事実上解体をいたしておりますが、従来の組織を若干変更いたしまして、地方組織で独立して残っておるものが多少ございます。扱い商品は自動車の公害防止器具、この辺を中心にいたしておりまして、現在、公正取引委員会の方でも審査中と聞いております。このエー・ピー・オー・ジャパン社の販売システムにつきましては、やはり四段階ぐらいに分かれてやっております。 それから、ベストライン社の概要でございますが、これは本社が香港にあるわけでございますけれども、四十八年十一月ぐらいから日本支店をつくりまして営業活動をやっておりまして、洗剤を扱っておるわけでございます。販売システムといたしましては、マネジャー、特約店と二段階でやっておるようでございます。 それからジェッカー・フランチャイズ・チェーンにつきましては、三十八年ぐらいから日本電信工業という会社があったのでございますが、これの英語名の頭文字をとりまして四十六年からジェ、カーというふうに改称をいたしまして、扱い商品は空気、清浄器と申しますか、それからまたイオン源水器、いわゆるアイデア商品を中心に扱っておるわけでございまして、資本金は五千五百万というように聞いております。この販売機構につきましてはやはり四段階のような形をとっておりましたが、現在、この辺の機構も若干改めておるようであります。 簡単でございますが、以上でございます。
○竹村委員 連鎖販売を行っている業者数はいま五百社とも言われておりますけれども、関係者の実態はどうなっているのか、その実態を把握しておられると思いますが、明らかにしていただきたいと思います。
○天谷政府委員 連鎖販売業という概念でございますけれども、これは今度の法案におきまして新しくつくられた概念でございます。それ以前にいわゆるマルチというものが言われておりまして、マルチの弊害が説かれており、その実態はどうであるかということもしばしば問われておるところでございますが、残念ながらわれわれの方ではこのマルチの実態を必ずしも十分に把握いたしておりません。 なぜ把握しておらないのかということでございますが、このマルチを分けますと、先ほども申し上げましたようにいいマルチと悪いマルチがございます。悪いマルチといいますのは、具体的に申し上げますと苦情が頻発するようなマルチでございまして、さらに具体的に申し上げますれば、先生がただいま御指摘になりましたようなホリデイマジック、エー・ピー、オー・ジャパンあるいはベストライン、ジェッカーチェーン、こういうようなものがその典型的な苦情頻発の悪いマルチかと存じます。こういう悪いマルチにつきましては、いま商政課長も申し上げましたように、一応実情を調査をし、把握も必ずしも十分とは申せませんが、ある程度実情は把握しております。十分でないと申しますのは、何しろ相手が世界じゅうの法律を研究しまして、その法網をくぐるということにはきわめて習熟しておる企業でございますので、なかなかわれわれとしてもその実態を完全に把握するというまでには至っておりませんが、ともかくある程度の実情は調べておるわけでございます。 これに対しまして、いいマルチと申しますか、ほとんどその弊害が社会的に表面化していないマルチにつきましては、われわれこれを取り調べる理由もございませんし、取り調べる権限も持っておりませんので、これはそのまま社会で平穏にそういうビジネスが行われているということかと存じます。 その中間に、灰色のマルチと申しますか、こういうものがたくさんあるわけでございます。非常に大きく数えれば二百とかあるいは五百というような数え方も可能かと思いますが、どれくらいこういうものがあるかにつきましては、必ずしも明瞭ではございません。われわれが都道府県あるいは経済企画庁、通産省等で調べた数字によりますと、都道府県等に苦情が出てきておるような若干の苦情でもすべて数え上げますと、五十ぐらいのマルチが一応問題を起こしたことがあるというふうに考えられておりますが、それ以上詳しい実情はわかっていないのでございます。
○竹村委員 いま、いいマルチと悪いマルチというふうに答弁をいただいたわけでありますけれども、昭和四十九年七月に、国民生活審議会の消費者保護部会では、消費者救済特別研究委員会を設けて見解を発表いたしておりますけれども、マルチ販売は消費者利益を必然的に害することになり、社会的に無価値であり、直ちに禁止すべきものというふうに規定をいたしておりますけれども、その点についてもう一度お答えをいただきたいと思いますし、さらに天谷審議官は委員会の答弁で、マルチ商法は人間の体にたとえるならば潰瘍ができたようなものであって、この潰瘍部分を取り除かなければならないが、潰瘍の部分と健康な組織部分との判別が非常にむずかしい、患部を切り除くのに、切り過ぎますと正常な組織に切り込んでしまうという問題があり、切り足りなければ潰瘍が残りまして再び害毒を流すということがございますと答弁されておりますが、先ほども御答弁のありましたように、実態を十分把握することができなくてどうして適切な措置をとることができようかというふうに思うわけであります。今度の法案では、実態把握の面で具体的にどのように改善されておるのか、改善されておる点についてお答え願いたいと思います。
○天谷政府委員 国民生活審議会におきまして、マルチ商法は消費者に対して害悪を流すというふうに断定しておられるわけでございますが、この場合のマルチ商法は、これは定義がついておりませんのでどの範囲のマルチ商法を言っておられるのかよくわかりませんけれども、想像するに、その場合に念頭にあったマルチは、ホリデイマジック、エー・ピー・オー・ジャパン等のような典型的なマルチ商法のことで、そういうものは禁止すべきであるというふうに言っておられるのだとわれわれは解釈をいたしております。 それから次に、今度の法案におきまして、マルチの実態を把握するためにどういうふうな手が打たれておるかという御質問でございますが、これにつきましては、まず十七条におきまして立入検査の権限が行政官庁に与えられておりますので、この権限を行使いたしまして、社会的に害悪を流すようなマルチがあらわれた場合には、まず実態をよく調査するということになろうかと存じます。 それからまた、十二条におきましては不公正な勧誘方法に関する規制がございますし、十三条におきましては営業停止命令等の行政権限がございますので、こういう権限を背景といたしまして行政指導を行う、あるいは実情を調査するということも可能になるかと存じます。 それからまた、今回の法案によりまして、社会的な規制の対象となるあしきマルチと申しますか、そういうものの概念が以前よりはるかに明確化いたしておりますし、それからまた、われわれはそういう法律のたてまえを一般国民に積極的にPRするつもりでおりますので、この法律が施行された後におきましては、一般国民からの情報の提供等もより広範かつ組織的に行われるようになるのではないかというふうに考えております。したがいまして、この法律が施行された後におきましては、実態の把握が以前よりもはるかに容易かつ確実になるものというふうに期待をいたしておるわけでございます。
○竹村委員 いま立入調査その他について御答弁をいただいたわけでありますけれども、これはどうしても後追い行政ということになろうかというふうに思うわけでありまして、マルチの被害者が出て問題になってくる、そこで初めてそうした活動がなされるというふうに思うわけでありまして、監視体制を完備するという立場から考えましたら、なぜ事前に届出の方式をとらなかったのかその点についてお伺いをいたしたいと思います。
○天谷政府委員 仰せのとおり、届け出制をとって実態をよく把握すべきであるという考え方につきまして、われわれもいろいろと検討をいたした次第でございます。しかし、これにつきましてはいろいろ困難なことがございますので断念するに至ったわけでございますが、困難な事情と申しますのは、届け出の義務を課する場合には、まず届け出義務者が法律上明確に要件が定められなければならないということが第一にございます。 ところが、先ほど来申し上げておりますように、このマルチ的商法をやっておる、あるいは連鎖販売取引をやっておる者の業態はきわめて多種多様でございまして、一体だれを届け出義務者にすべきかということは一見するほど容易なことではございません。たとえば一つの連鎖販売取引組織の中におきまして、統轄者のみを届け出義務者にすべきなのか、それともその連鎖販売業をやっておる者を届け出義務者にすべきなのか、問題のあるところでございます。仮に統轄者を届け出義務者にしましても、ダミーをつくる等々の方法によりましていろいろ脱法することが可能であります。もともとあしきマルチ業者といいますのは、法律が定められればこれをくぐろうとすることの専門家でございますから、届け出義務というようなものをかけましても、果たしてその義務どおりにいい情報が集まってくるかどうか、必ずしも自信のないところでございます。 他方、この法案の定義によりますところの連鎖販売業者の中には、いわゆるあしきマルチのみならず、サブフンチャイズ業者であるとか、あるいは特約店であるとか、代理店であるとか、いろいろなものが入ってくることになっておりますので、こういうものに対してまで広く届け出の義務を課するということも、これまた過大な負担をかけるということになるのではなかろうかというふうに恐れております。 それから、第三番目に行政事務能力の問題でございますが、仮に何百社という対象者が全部まじめに報告をしたといたしましても、これをトレースいたしまして、一体どれが悪性腫瘍になるのかということを事前に予知するということは、事務的にもきわめて大変な作業でございます。 それからまた、報告義務者がまじめに報告をしない、要するにうそをついたり事実を告げなかったりするような場合に、それを今度はトレースいたしまして、だれの報告が不正確であるか等々タチェックするということも、これまたきわめて大変な事務量を必要といたしまして、現行のスタッフで果たしてそういうことができるかどうかというような疑問もございまして、あれこれ考えあわせますと、届け出制というのは、それに要するところのコストとそれから上がってくるところの便益とが必ずしもバランスしないのではなかろうか、現在のように十二条、十三条、十七条のような規制を設ける、あるいはクーリングオフ等の規制を設けまして、やや大き目にとらえた連鎖販売取引業者のお行儀を規制するような、かなり厳しい規制のルールを決めまして、実質的にマルチの害悪を除去していくということで十分に社会的な目的は達成されるのではなかろうかというふうに考えまして、届け出制につきましては、ずいぶん考慮しましたけれども、取り入れるに至らなかった次第でございます。
○竹村委員 説明書や契約について省令がありますが、しかしながら、その省令が守られて契約ができておるのかどうかというのは、それではどうして調べるのですか。問題が起きて初めて調べるということになると思いますけれども……。
○真砂説明員 お答え申し上げます。 先ほど審議官が御説明いたしましたように、いわゆるマルチ商法という観念が非常に漠然としておるのが世上一般に言われているマルチでございますけれども、それを規制する場合、この法案は、一定の要件のもとにやや緩い大きな定義を設けまして、その網で現在のマルチ商法、特に悪いマルチ商法を中心に網をかぶせるわけでございますが、その場合に、現在の世上言われておりますマルチの形態が多種多様であるとともに、非常に流動的、変幻自在でございますので、そういうものを規制する場合には、あくまでも先ほど申しましたようなたてまえで臨みまして、そして個々の行為、勧誘でございますとか、それから契約に際しての書面交付義務でございますとか、そういうようないろいろな中心的な行為に着目をいたしまして、この行為を規制するということで臨んでおるわけでございまして、しかも、この法律の規制の態様というのは、マルチに入って現実に被害が生する以前の勧誘の段階、この辺にも大きな重点を置いて規制をしておりますので、決して後追いばかりというような形にはなっていないわけでございます。
○竹村委員 この法案立案の基本的な考え方についてお聞きしたいわけであります。 訪問販売、通信販売について一定の規制を、設け、消費者の保護を図ることは、むしろ遅過ぎたきらいがあるが、当然の措置であろうというふうに思います。問題は、先ほどからも質問いたしております連鎖販売でありますけれども、そもそも連鎖販売、マルチ商法というのは、御存じのように、論理的には必ず行き詰まる性質を持っておるわけでありまして、少数の利益を受ける者が大多数の犠牲の上に成り立つ商法であり、好ましからざるものであることは明らかでありますが、政府はどのような評価に立ってこの法案を立案したのか。先ほどからも申しておりますように、連鎖販売、マルチ商法は禁止の方向で措置すべきではなかろうかというふうに思うわけであります。 法案の中の定義にある内容におきましては、商品の再販売をする者を、特定利益、すなわち他の者が提供する取引料等を収受し得ることをもって誘引することは、少なくとも禁ずべきであろうというふうに思いますけれども、御答弁をいただいたいと思います。
○天谷政府委員 エー・ピー・オー・ジャパンであるとか、あるいはホリデイマジックとかいうような、社会的に大きな害悪を流したマルチにつきましては、だれしもこれを犯罪として禁止してしまうということは非常にわかりやすくて、われわれも実はそうしたいと考えたわけでございます。 ただ、問題は、われわれもその方向で一たん考えたわけでございますけれども、法律的に禁止する、犯罪として禁止して刑罰をかけるということになりますと、罪刑法定主義のたてまえからいきましても、処罰の対象をきわめて明確に法律で定めるという必要が当然出てまいります。これは法治国としてあたりまえの考え方であろうかと存じます。そういたしますと、きわめて明瞭にあしきマルチの定義ができなければならないわけでございますが、そういうふうに定義しようといたしますと、かける網がきわめて小さい網ということになってしまうわけでございます。 ところが、御承知のように、マルチの実体は変幻自在と申しますか、組織といたしましてきわめて不定型で、時間とともに形を変える組織でございますし、かつまた、先ほど来申し上げておりますように、各国の法的規制につきましては脱法に習熟しておる企業が多いわけでございます。したがいまして、小さい網をかけた場合には、なるほど網にかかった部分だけは犯罪として処罰できますけれども、多くの部分が網から逃げてしまう。先ほどの例で申し上げますならば、がんを半分しか摘出しなくて、残りのがんは全部転移してしまうというような危険性がございます。 したがいまして、われわれとしては、法的規制、法的禁止ということは、非常にかっこうがよくて気持ちがいい処置ではあるけれども、反面、デメリットがある。それはかえって有効な取り締まりができないということであると考えまして、こういう方向での規制というものはやめたわけでございます。そして、法的規制、法的禁止よりも、むしろ実質的禁止の方がより有効な方法である、こういうふうに考えまして、現在の法律案ができているわけでざごいます。 実質的禁止でございますと、犯罪として禁止するわけではなくて、マルチ商法の中で勧誘方法が不当であるような場合にこの行為を規制しよう、こういう考え方をとるわけでございます。したがいまして、今度はその対象となるマルチの範囲は犯罪として規制する場合よりはかなり広範囲になります。要するに、広い網を張ることが可能になるわけでございます。この広い網を張りますと、それの中にはあしきマルチ、いいマルチ、灰色のマルチ、みんな入ってくるということになるわけでございます。その入ってきたものの中で、勧誘方法が不公正である等のものを規制することによって、実質的にあしきマルチを禁止していこうというのが、今回の法規制の柱になっておるわけでございます。
○竹村委員 いま御答弁いただいて、連鎖販売の禁止など厳格な規制を行うとしたら、その対象が限定されて、脱法行為を誘発するという主張はわからぬでもないわけでありますけれども、しかし一方、法制の立て方を変えて、このような販売方式全部を禁止して、その中でその類似行為の不法性について独自の機関が判断をしていく、こういう逆な方法をとれば、厳格な規制は可能ではないかというふうに思うわけでありますけれども、その点について御答弁を願いたいと思います。
○天谷政府委員 いま仰せになりました独自の機関をして判定せしめるということになりますと、独自の機関とは何であるかというような問題が生じてくるかと存じます。常識的に考えられますのは、独自の機関というのは準司法的な機関というようなことになろうかと存じます。より具体的に言えば、いまの日本の政府機関の中におきまして、そういう準司法的機関に該当するものは公正引委員会ではなかろうかというふうな気がいたします。 ところが、公正取引委員会のマルチに対する対策につきましては、先ほど御説明申し上げたとおりでございまして、現在までのところは、まだ一、二件しか取り締まりは行われていないというような実情でございいます。いままでの結果から見る限りにおいて、準司法的機関が判断したからといって、取り締まりの量が急速にふえるというようなことには必ずしもならないのではないかというふうに思っております。
○竹村委員 それでは、時間の都合で先に参りたいと思いますが、この法案の対象範囲は訪問販売と通信販売と連鎖販売の三つになっておりますが、問題のある商法としてはほかにもたくさんあろうかというふうに思います。たとえばSF商法というのがありますが、通産省はなぜこのSF商法を対象としなかったのか。先ごろ消費者保護部会でもSF商法は禁止すべき商法であるというふうに提起をいたしておりますけれども、その点についてお答えを願いたいと思います。
○天谷政府委員 世間でSF商法と言われておりますのは、新製品普及会という企業でしようか、そういう団体がございまして、その新製品普及の頭文字をとってSF商法と言っておるようでございます。国民生活審議会の中間答申でございますか、報告にありましたSF商法、これは定義も何も書かれていない、ただSF商法というのは一般的に悪いものだという観念が世間に通用いたしておるわけでございますが、その観念に乗ってSF商法を禁止すべきであるというふうに言っておられるのではないかと存じます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、SF商法を悪として禁止するということになりますと、当然にSF商法とは何であるかという法的構成が必要になってまいろうかと存じます。ところが、SF商法なるものは、ホテルの一室等に購入者を催眠術にかけるようないろいろな仕掛けをつくりまして、そこで舌先三寸の力によって消費者に買わなくてもいいものを買わしめる、こういうような商法であろうかと存じます。こういう商法というのは、確かにその現場にでも臨めばよくわかるかと思うのですが、法的に一体それではどういうのがSF商法であるかということを客観的に規定することは非常にむずかしいと思います。 それからまた、現行法で考えますと、景表法第四条というのがございまして、これによって過大不当表示等につきましては現行法でも法的な規制ができることになっておるわけでございますから、その条文を活用すればよろしいではないか。それからまた、そのSF商法が余りにも行き過ぎて詐欺的な行為である場合には、これは刑法なりあるいは民法の規定があるわけでございますから、そういう一般法の規定によりまして消費者の保護を図ればよろしいのではなかろうか、こういうふうに考えまして、今回の法案の中には取り入れていないわけでございます。
○竹村委員 消費者保護の立場から、現行法の範囲で何とかやれるということでありますので、問題が拡大しないうちにひとつ的確に対処していただきたいというふうに思います。 また、この法案で問題になるのは、商品そのものではなくして、販売行為のあり方が問題であるわけでありまして、したがって、指定商品という方式を導入し、商品を限定することによって対象をしぼるのは、事の性質からおかしいのではないかと思うわけであります。むしろ行為、商法に注目をして、商法そのものに網をかけ、不都合なものを例外として、商品によってしぼるのは改めるべきではないかと思っておるところであります。そういう考え方を持っておりますけれども、指定商品制度を導入するということであれば、どのような基準で、どの程度の指定を行うつもりか、お聞かせをいただきたい。また、これまで問題となった商品はどのようなものがあったのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○天谷政府委員 われわれとしては、消費者保護のためには、いろいろいま先生が御指摘になりましたような規制もすべきかと考えたわけでございます。しかしながら、他方では、民間の取引に対する規制というのはできることならば過剰にならない方がいいことも、きわめて明瞭な原理かと存じます。 本法の目的は言うまでもなく消費者利益の保護ということでございますから、その線に沿って考えますならば、訪問販売、通信販売等がほとんど行われないような商品を何も規制する必要はないのではなかろうか。消費者の日常生活にきわめて関係の深い商品でございまして、現に訪問販売や通信販売が行われておる、訪問販売、通信販売に適当な商品と不適当な商品がございますが、適当な商品で消費者に関係の深いものについてその商法を取り締まるということをすれば、過剰規制にもならず、消費者の保護という目的も達成できるのではなかろうか、こういうふうに考えた次第でございます。一般的に網をかけまして例外だけ除いていくということになりますと、どうしても不必要に広範囲の規制をかけるという結果になることをわれわれとしては恐れまして、現在のような指定商品制で法律の目的は達成せられるのではないか、こういうふうに考えます。 なお、具体的な商品の指定方針につきましては、消費経済課長が御説明申し上げます。
○内田説明員 お答え申し上げます。本法におきまして指定商品として考えておりますのは、「主として日常生活の用に供される物品のうち、定型的な条件で販売するのに適する物品」というような法律の規定がございまして、こういったものの中から、現実の取引の実態、それから消費者の要望等を考慮いたしまして、できるだけ幅広く指定するつもりでございます。 一例を挙げますと、現在割賦販売法におきましても指定商品制がとられておりますけれども、割賦販売法でかなり多くの商品が指定商品となっております。ただ、この中に、たとえば農業用の機械であるとか、林業用の機械であるとか、そういった消費財以外のものも含まれておりますので、こういったものは除きまして、それ以外の大部分の割賦販売法の指定商品。それから、割賦販売法におきましては耐久性を有する商品が指定されておりますので、今回の訪問販売、通信販売につきましては、非耐久性の消耗品も広く指定する予定であります。たとえばいろいろな台所用品のようなもの、あるいは化粧品、あるいはガス漏れ警報器、消火器といったようないろいろ問題を起こしておりますものを、かなり幅広く指定する予定でございます。 以上であります。
○竹村委員 いま十分幅広く指定するという答弁を得たわけでありますけれども、指定につきましては、御答弁にありましたように法運用の障害にならないように十分幅広く指定をしていただきたいというふうに希望いたすところでございます。 それでは次に、第三条の訪問販売における氏名等の明示の規定でございますけれども、これは規定があってもどうしてもルーズになりやすいわけでありまして、違反した場合に罰則の適用等何らかの制裁を設けるべきではないかと思うのであります。産構審中間答申にも、この法律の「実効性を確保するため、罰則担保とすることが必要である。」というふうに指摘もいたしておるところでありまして、また、相手方すなわち訪問を受けた消費者の要請、たとえばもう帰ってほしいという要請に対して速やかに応ずるなどの義務規定も必要ではなかろうかというふうに考えております。その点について御答弁願います。
○天谷政府委員 産構審の答申にも、いま先生から御指摘のありました罰則担保とすべきではないかという御意見もございますので、その点につきましても検討をいたしたわけでありますが、やはり罰則を設けるということになりますと、法制当局あるいは法務省当局等といろいろな非常に慎重な検討が必要になるわけでございます。 本件の場合に、対象行為の構成要件の確定、違反事実の確認等が非常に困難でございまして、罰則担保とするには法的安定性及び実効性の両面におきまして問題があるというのが第一でございます。第二番目に、担保されるべき相手方の保護法益が必ずしも明確ではないというような法制上困難な問題がありましたために、罰則担保は見送った次第でございます。 しかしながら、この規定は販売業者が訪問販売を行う際の基本的なルールを規定したものでございまして、訪問販売が健全に行われるためには必要不可欠であると考えております。したがいまして、罰則担保とはいたしておりませんが、このような基本的な行為が販売姿勢として確立されるように関係業界に対して指導を徹底させていきたいと考えております。 それから、先生御指摘の他人の住居で退去を求められたのに退去しないというような問題、これはいわば刑事的な問題でございまして、現行刑法においても第百三十条におきまして刑罰の対象とされております。したがいまして、当事者間の民事取引関係についてのことを規定している本法律案におきましては、かかる場合についての規定を設けることは適切でないと考えまして、その規定は入れなかったわけでございます。
○竹村委員 現刑法に規制をしておるにもかかわらず、いまいろんな面で問題が起きておるわけでありまして、そうした点についてセールスマンの教育研修等につきましても特に十分配慮をしていただきたいというふうに思うわけであります。 次に、第六条の売買契約の解除は、商品を受箱し代金を支払ってしまった場合はどのような扱いになりますか。
○天谷政府委員 第六条のいわゆるクーリングオフの制度は、契約の申し込みをした場合には申し込みの撤回、それから契約を締結した場合にあってはその契約の解除を無条件に認める制度でございます。したがって、契約の両当事者が商品の引き渡し及び代金の支払いを完了する等契約に基づく双方の義務を完全に履行してしまえば、その時点で契約は完結してしまいますために、契約の解除ということは行えないというふうに考えております。 なお、こういう場合についても解約するようにすべきではないかという立法政策上の議論につきましては、われわれとしましては次のような問題点があるというふうに考えております。 すなわち、第一に、両当事者の履行が完結した後に、履行自体には何の瑕疵もない、にもかかわらずその契約の効力を覆すといったような制度を設けますことは、余りにも一般原則に対する大きな例外となり過ぎますために、法制上の問題がある。 第二番目に、悪質でない販売行為についても解約が行われるということになりまして、法的安定性を著しく害することになるのではないかというふうに恐れられるわけであります。 なお、この商品の品質が粗悪であるというような場合などにおきましては、これは債務の完全履行が行われていない、要するに債務不履行ということになりますから、この場合には、現行法上も債務不履行の場合には十分に責任が追及できるかと存ずる次第であります。 このように、履行完了後のクーリングオフを認めることにつきましては問題が多い。また、正当な原因があれば現行法上も責任追及を行うことができるかと存じますので、御指摘のような規定は設けなかった次第でございます。
○竹村委員 現在まで消費者センターなどに寄せられておる多くの苦情の中では、そう高くない品物、たとえば一万円以内ぐらいの商品で、余りしつこく言われるのでつい買って金を払ってしまった、その後で気がついてみたら必要でないのを押し売りされたというふうなケースが一番多く苦情として寄せられておる現状から見ましても、先ほどの説明は説明としてわかるわけでありますけれども、何らかの積極的な指導というものが図られる必要があろうというふうに思うわけであります。もう一度そうした点についての御答弁をいただきたいと思います。
○内田説明員 お答え申し上げます。 私どももいろいろ消費者からの苦情相談を受け付けておりまして、確かに先生御指摘のようなことが間々あることは事実でございます。その点は私ども重々承知いたしておりまして、業者の方にそういう売り方をしないようにということを常に指導もいたしておるわけでございます。 御指摘のような問題に対処いたしますために、現金販売の場合にもクーリングオフ制度を適用しろという御意見かと思うわけでございますけれども、これはやはり一般的な訪問販売で現金、即金で売られているもののむしろ大部分は、確かにそういうことではなくて、健全に売られているものが多いわけでございます。やはりそちらの一般的に健全に売られている訪問販売に対する影響ということも私ども十分考えなければいけないかと思っておりますので、先生御指摘の点は、十分その業者の側にも、また消費者の側にも注意されてお買いになるようにということを積極的にPRし、また啓発をしていくということで対処してまいりたいと考えております。
○竹村委員 第四条、第八条の訪問、通信販売の広告記載事項に、商品の品質や性能などの規定を明示すべきであろうというふうに思うわけであります。消費者には商品について正しい理解をさせて販売する必要がどうしてもあろうというふうに思いますので、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○天谷政府委員 商品の品質、性能と申しましても、これは商品によりまして著しく異なっておるわけでございます。したがいまして、あらゆる商品に共通するような広告事項を法的に決めるということは、これはまず不可能かと存じます。他方、たとえ省令ベースにいたしましても、個々の商品については一体どの程度の品質、性能を記載することが消費者にとって必要であるかということも、これまた技術的にきわめて判定が困難な問題かと存じます。そういたしますと、品質、性能のようなものにつきましては、広告のスペースということも考えなければいけませんので、よく薬の広告等にありますように、使用上の注意書きを読んでくださいというようなことは当然必要だろうと思いますけれども、効能を全部新聞なりテレビなりの広告に書けということになりますと、これは実行上きわめて問題も多いというふうに考えましたので、そういう規定は入れなかった次第でございます。
○竹村委員 第十一条の統括者の定義のうちで、四条件が示されておりますけれども、この条件の一部分が欠けている場合はどういう扱いになりますか。
○真砂説明員 お答え申し上げます。 法案におきまして統括者の定義規定といたしまして、連鎖販売業に係る商品に自己の商標を付すること、それからさらに、連鎖販売業に関する広告を自己の名で行うこと、三番目に、連鎖販売取引に関する約款を定めること、それから、連鎖販売業の経営に関し継続的に指導を行うこと等を例示的に書いてあるわけでございます。 連鎖販売業を有効に規定するためには、やはりその組織の中心となりまして企画、推進をする人に対しまして不当勧誘の禁止等々の義務を課する必要があるわけでございますが、連鎖販売業の形態には、先ほども申し上げましたとおり非常に多種多様なものが存在をいたしておりまして、こうした組織を統括する者の要件というものを定型的に決定をすることは非常に困難なことでございます。したがいまして、統括者というものは先ほど申し上げました例示された四つの条件を一応の判断基準としつつも、その組織体の実態に即して決定さるべきものであると考えます。この条件の一部が欠けたからといって統括者でないと言うのではなくして、むしろ実質的判断によって統括をしていると認められるときには統括者となるものと私どもも思っております。
○竹村委員 本当の中心人物が網の目を逃れるおそれがないように、十分配慮してやっていただきたいというふうに思います。 それから次に、第十二条の「重要な事項」はどのような内容で、だれがその内容を決めるのか、お答え願いたいと思います。
○真砂説明員 お答え申し上げます。 第十二条の「重要な事項」というのはどういう内容かという御質問でございます。「重要な事項」というのは、具体的には個々の事例に即して判断をすべき問題でございますが、総括的に申し上げますと、取引するための意思決定の要素になるような事項でございます。つまり、故意に事実を告げない行為につきまして問題となる重要な事項といたしましては、告げることが販売業者にとって不利益な事項、たとえば特定負担という規定が出てくるわけでございますが、特定負担に関する事項でございますとか、場合によっては商品の性能、品質に関する事項、これが該当することに相なります。 また、不実のことを告げる行為について問題となる重要な事項といたしましては、より広い意思決定に係る事項、たとえば商品の性能、品質、それから商品の販売条件、特定負担、特定利益、それから契約の解除等々に関する事項がこれに該当することになろうかと思います。 それからまた、そういうような内容につきましては、たとえば第十五条の第二項の各号に書いてありますような事項から推察をすることもできるわけでございまして、こういう例は他の法律にもいろいろございます。
○竹村委員 第十三条の「勧誘が適正を欠くものとして政令で定める基準」はどのような内容か、御答弁いただきたい。
○真砂説明員 お答え申し上げます。 第十三条の「勧誘が適正を欠くものとして政令で定める基準」、それはどういうような内容かという御質問でございますが、政令の内容につきましては現在検討を続けておる段階でございますが、たとえば私ども現時点では次のような事項を考えておるわけでございます。一つは、十二条にもございますが、重要な事項について故意に事実を告げなかったり、不実のことを言ったりすること、それから第二に、重要な事項につきまして誤解を生ぜしめることを告げること、それから、特定負担につきまして、その場で貸し付けを行ったり信用を供与するということによって契約の締結を誘引するというようなことを現在考えておるわけでございます。
○竹村委員 誤解を生ぜしめるという判断については非常にむずかしいのではないのですか、個人個人の差異があるということで。
○真砂説明員 この規定につきましては、ほかの法律も参考にいたしまして、類似の規定がございますので、それらを参考にして現在考えておるわけでございます。
○竹村委員 時間が参りましたので、あと一問質問させていただいて、残余の質問は留保して、終わりたいと思いますけれども、第十五条の書面の交付についてお伺いをいたしたいと思います。 第一項で、契約を締結するまでに連鎖販売業の概要を記載した書面を交付し、第二項では、契約を締結した場合に詳しい契約を書面で交付するということになっておりますけれども、なぜ二段階に分けてする必要があるのかというふうに思うわけであります。契約を締結するまでに、第二項各号に相当する十分な内容の書面を勧誘者に交付させるようにすべきではなかろうかというふうに思います。さらに概要には、その販売がこの法律の規定する連鎖販売であること、さらにこの販売は、その仕組み上の問題点、弱点などについて明記をさせるべきであろうというふうに思いますけれども、その点についてどのようにお考えですか。
○真砂説明員 お答え申し上げます。 御質問の趣旨は、第十五条の書面の交付について、一項と二項で二段構えで書類交付を義務づけているというような点が主な点ではないかと思います。この二段階に分けました理由でございますけれども、十五条の一項なり二項は、いずれも書面交付ということによりまして商業経験の乏しい個人の方々を保護しようという規定でございますが、この二つの書面につきましてはそれぞれ異なった目的を持っておるわけでございます。 第一項の書面、これは特定負担に関する契約の締結以前に交付をされるものでございますが、組織の実態でございますとか、契約した場合の負担の程度というものを明らかにすることによりまして、商業経験の乏しい個人が認識不足のままに契約の締結に走るということを防止しようとするものでございます。 これに対しまして第二項書面は、連鎖販売取引についての契約締結後、これは「遅滞なく」速やかなることを期待しておりまして、同時であることが最も望ましいわけでございますが、この契約内容を明確にすることによりまして、契約の重要な事項が文書化されることによりまして、逆に文書化されない場合相手方が不利益をこうむるということのないように防止するとともに、いわゆるクーリングオフの可能な期間内に十分契約の内容が再検討できるようにしようというようなものでございます。 それで、連鎖販売業の概要を記載した書面につきましては、契約を締結しようとする者に組織の実態等につき明確な認識を与えるような内容のものにしなければならないことは当然でございまして、この辺につきましては省令で十分配慮をいたしていきたい、かように存じます。
○竹村委員 いま連鎖販売の内容等については十分省令で決めるということでありますけれども、これは業者に勝手に任しておく、業者任せということでなしに、通産省の責任で内容をチェックしていかれるというお考えはないですか。
○真砂説明員 私どもといたしましては、省令でその記載事項を初め必要なことはすべてちゃんと厳格に決めるということによって運用をいたしてまいりたいと思っております。
○竹村委員 終わります。
○渡部(恒)委員長代理 佐野進君。
○佐野(進)委員 訪問販売等に関する法律案の審議が始まったわけでありますが、私どもは、この法律が一日も早く提案されるよう政府に対して強い要望を続けてまいりました立場に立ちまして、大変喜ぶものであります。しかし、この法律の内容を見ますと、今日惹起されつつある諸問題に対応するには余りにも微温的ではないか、いわゆる構造的規制をという立場から見るならば、至るところに骨抜き的な要素が多分にあるということに対しては、われわれはこの法案そのものに満足をするという立場で審議をするわけにはいかないと思うのであります。しかし、今日置かれている情勢の中で、関係当局があらゆる努力を続ける中でこの法律が提案されるに至ったその努力については、敬意を払うにやぶさかではないわけであります。 きょうは通産大臣が参議院の方に行って、来ておりません。したがって、通産大臣の本委員会への出席が午後になるということでございますから、この機会に私は通産大臣に対して、通産省の立場に立って本問題に対してどのように考えておられるかということについて具体的に質問してみたいと思うのでありますが、直接担当の天谷審議官もおられますので、まず原則的な意味における質問を一、二して、主として公正取引委員会並びに各省庁に対する質問をきょう午前中の質問の段階においてはいたし、通産大臣が参りましてから、さらにまた原則的な質問をしてみたいと思います。 そこで、天谷審議官に冒頭質問してみたいと思うのでありますが、この法律の内容が、いわゆる「訪問販売及び通信販売」「連鎖販売取引」ということになっておるわけであります。そして、当面最重要な問題といたしまして、連鎖販売取引、いわゆるマルチ商法と一言で言われる、これに対する規制がこの法律において十分行われ得るのであるかというところに問題点があろうかと思うわけであります。そして、それを行うについて、この法律の内容が国民にどのように正しく理解され、そして理解されたその内容をもとにして、国民がその権利を守ることができるような措置を行政としてどのように行うことができるか、そしてまた、その行うことができるかという形の中において、結果的にその犠牲になりつつある、あるいはなった人たちに対してどのようにこれを収拾するかということが、本法律の原則的な立場に立っての最大の課題ではないかと思います。これは大臣が当然答えるべき点でございますが、諸問題に対する質問をする冒頭、立案者としての天谷審議官に、この三点に対する原則的な見解をまず聞いておきたいと思います。
○天谷政府委員 マルチ商法を初め訪問販売あるいは通信販売、これらの商法を通じまして消費者の利益を保護するための基本は、やはり何と申しましても消費者がこういう商法の実体を熟知し、みずからを守る、賢い消費者になるということが基本的に必要なことであろうかと存じます。消費者が賢くならなければ、いかにこういう法律をつくりましても、屋上屋を重ねるような法制をつくりましても、有効な消費者保護は行われないものというふうに考えております。 したがいまして、消費者保護につきましては、通産省のみならず、政府全体といたしましても、総理府あるいは経済企画庁その他各省におきまして、いろいろの消費者教育の予算もとり、事業も行っておる次第でございます。たとえばこのマルチ商法について申し上げますならば、通産省におきましても、全国紙あるいは週刊誌等にしばしば広告を出しまして、マルチ商法の弊害あるいは落とし穴というようなものに対しまして消費者の注意を促しておるところでございますので、今後ともこういうPRの努力を通産省においても続けますし、それから、関係の政府各省におきましても一層PRの努力を重ねていきたいと考えております。 今回の法律によりまして、マルチ商法についてはあるべからざる姿、それから訪問販売、通信販売につきましてはあるべき姿、こういうものが一応法的に明確にされましたので、われわれとしましてもPRの根拠を得たことになりますから、こういう方向に沿いまして周知徹底を図りたい。そして、そういうPRが進んでいきますとこの法律の規制が生きてまいりまして、いま先生からいろいろ骨抜きの点等もあるという御指摘もございましたけれども、われわれとしましては、消費者の関心の向上、それから行政庁の努力等々によりまして、現行法の運用により相当の効果を上げるということが可能ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
○佐野(進)委員 犠牲者の救済の面については答弁が落ちておるようでありますが、これは質問を続ける中でひとつ明らかにしてもらいたいと思うわけでございます。 そこで、いま竹村委員の方から本法律の内容について逐条的にその疑問点をただしてまいりましたので、私は本法律の中における重点を連鎖販売取引にしぼりまして訪問販売あるいは通信販売が関連して出てまいりますけれども、主として連鎖販売取引の項にしぼりまして、具体的に公正取引委員会並びに通産その他の省庁に質問をしてみたいと思います。 今日、この問題が法制化されるということになりまして、その作業が進められる経過の中で、関係各方面においては非常に高い関心を示しておるわけであります。そういうような高い関心を示されている中においても、やはりこの連鎖販売取引に類する、あるいはより巧妙化した形の中でこの種の商法がいま国のすみずみにまで進められているという実態が、幾つか明らかにされておるわけであります。 私はその中で二つの点、ベストライン・プロダクツ・リミテッドに関係する問題、ジェッカー・フランチャイズ・チェーンに関係する問題、この二つの問題を具体的に取り上げて見解をただしてみたいと思うわけでございます。 いま私の手元に、小学校四年生になる女の子から被害者同盟の方へ出された手紙がある。私の手元にこのような形の中でたくさん来ておるわけでありますが、その中で、九つになる女の子が、何とかして自分たちの家庭を守ってもらいたい、こういう手紙を見ました。私はこの手紙を見て、このようないたいけな幼い子供がこの商法の犠牲になり、このように小さな胸を痛めておるというようなこと、これは単にこの子供一人だけの問題ではなく、これに類する多くの家庭の子供たち、あるいは未成年の人たちがそのためにどんな悲惨な状況に陥っているかということを、はだをもって感ずることができたわけであります。 多少長くなりますが、この審議に当たり冒頭に読んで、皆さん方関係当局としてもよくひとつ認識してもらいたいと思うわけであります。 私はずっと前お父さんがいた生活は、とても楽しかったです。いろいろのところへ、つくしをつみに行ったり、りょこうや海水よくへお父さんやお母さんと三人で行ったり、楽しい毎日でした。 でも、もうそんな生活はきえていました。 お父さんがベストラインの仕事をしてからは、四時三十分ごろから夜おそくまで一人でるすばんをしたり、とてもさびしい毎日で、日よう日もさいじつも、いつもお父さんはお仕事ばかりして、夜もおそく、やさしいお父さんはいなくなったみたいです。 私も、学校のおやすみの時せつめい会についていったことが何回もありました。大ぜいの人たちの前でせつめいするお父さんは、とてもりっぱにみえました。 お話の中みは、庸子たちのせいかつとはちがっていると思いました。なぜって、とても気らくにお仕事ができ、だれにでもお金がかんたんにもうかるお話をやっているのに、庸子の家のお金はどんどんへっていっているんですもの。 何かかってといっても、おかあさんは、今、お金がないのよ、といいます。 おとうさんは、今少しのしんぼうでこれからすごいよといっています。でも二年もたつのに、ぜんぜんもうからないし、お母さんも、そんする人が多すぎる、といってはんたいをはじめました。家の中は、前とちがってお父さんとお母さんのケンカでくらい気持ちになってしまいました。 あんまりお母さんが反対するので、お父さんは家を出てお仕事をやっています。そして、お母さんは、これから庸子やお母さんみたいなこまる人たちが大ぜい出ないようにと、それからごめいわくをかけた人たちのためにひがいしゃどうめいというのをてつだっています。 お父さんは、おじさんや会社のめいれいで、とってもとおい四国という所にいってしまったそうです。そして、おうちへは、いっせんもお金をおくってくれません。お電話をかけるところが私もお母さんもわかりません。 お母さんは、お父さんは今病気なのよ、早くよくなるといいね、といって夜おそくまでお仕事をしてがんばっているけど、足も悪いから心配です。私と二人になると、お母さんは、お話をしているときもなみだを流している時がおおいです。そんな時、私もなきたいけれどもがまんします。私もないたらお母さんがかわいそうだからです。そして二人でベストラインをはじめるまえのたのしかったお話をします。 こんなにまっている庸子の気持を知って、お父さんもうそのお話をするお仕事をやめてかえってきて、一生けんめいはたらいて三人でたのしいりょこうに行けたらと思います。 それに、ベストラインのせんざいで家ではごきぶりをころすのにつかっていたのに、お父さんはおふろやヒゲソリにつかっていたので、今もやっていたらと心配でたまりません。 お母さんも「お父さんとってもやせたよ。」と言って心配していました。やっぱり心の病気なのかと思います。 早くおうちにかえってもらって、お母さんや庸子で病気をなおしてあげたいと思います。 静岡県の山瀬庸子さんという九つの女の子の手紙であります。 これをお聞きになった関係者当局の皆さん方は、この事件の及ぼす影響の深刻性について、いささかなりとも心が動かされておると思うのであります。 私ども法律を立法する立場に立つ者といたしまして、冒頭天谷審議官に質問いたしましたけれども、立法の作業が遅くなった、そしてできた法律も十分でない、しかし、この法律を一日も早く成立することを願う多くの被害者の方たち、あるいはこれからこの法律によって救われるであろうと予想される多くの人たちのために、この法律の審議をできるだけ早く進めたい、こういう願いを込めて、これから具体的に質問をしてみたいと思います。 まず、これだけ新聞、テレビあるいはそれぞれ世論の中に盛り上がっておるにもかかわらず、そして幾つかの問題については公取がその手入れをし、これの被害を食いとめるために措置を講じておるにもかかわらず、なおそれが減らないということは、この企業がいかにうまみがあり、いかにぼろもうけができるかという、特定の人にとってはやめることのでき得ない魅力があるからだと思うのであります。 そして、行政の取り締まりが強くなればなるほど企業側は巧妙になって、何とかかんとか表現を変えてこの企業をつくり、存続させ、そしてだめになればまた新しい企業をつくる、こういうような形になっておると思うのであります。すなわち、ペストラインなどもそういうようなものの一つではないかと思うのであります。そして、いままで挙げられておりますホリディやあるいはエー・ピー・オーというようなものに対しては、あれは悪いのだ、しかしこのベストラインはいいのだ、ああいうようなものではないのだというような形の中で、悪かったものを事例に挙げ、この企業のやり方はそういう悪いものではないのだということの正当づけにむしろ使われている、こういうような形を私どもとしては見ることができるわけであります。 そして、やり方は、結局商品を売るということよりも、人狩り、いわゆる会員を募るというか、販売員を募るという形の中で特定の利益を上げていく、こういうような人狩り商法以外の何物でもないと私どもは認識をせざるを得ないと思うのであります。 そこで、まず第一に公正取引委員会にお伺いをいたします。 公正取引委員会は、このベストラインというものはいわゆるマルチ商法と認識をされておられるかどうか、この点について原則的なお答えをいたきだたいと思います。
○澤田政府委員 いわゆるマルチ商法に対するお考え、全く同感なのでございますが、御質問の点、具体的なことでございますし、従来の考え方もございますので、取引部長の方からお答え申すことをお許し願いたいと思います。
○後藤(英)政府委員 お答えいたします。 ベストライン社につきましては、被害者からの陳情等もございまして、私の方で呼びましていろいろ事情を聞いて、内容についてある程度の指導等もいたしておりますけれども、先生御指摘のようなベストラインの内容につきましては、私どもの方では、ただいまの法案で挙げられておりますマルチ商法という意味においてベストラインはそれに当たるのではないか、つまり、マルチ商法を行っている会社である、マルチ商法の定義はいろいろございますけれども、現在の法案で規定されておりますようなマルチ商法であろう、そのように考えております。
○佐野(進)委員 通産省はどう判断しておられますか。
○天谷政府委員 私どもの承知いたしておりますところでは、ベストライン社の販売組織の場合、組織への加盟または昇進に際しまして、商品購入義務という形で相当額の負担を課せられております。相当額、一番大きい場合には六十万円の商品購入義務を課せられているというふうに承知いたしております。その代価の一部が系列上位のものに配分されることになっておりますので、この法律案に言いますところの連鎖販売取引に該当する、したがって規制の対象になるというふうに考えております。
○佐野(進)委員 次に、公取にお尋ねいたします。具体的な問題でありまするから、もし必要がありましたら部長で結構でございます。昨年ホリデイマジックに下した独禁法違反審決はどのような結果になったのか、簡単でよろしゅうございますから、その結論だけをお示しいただきたい。
○野上政府委員 お答えいたします。 昨年の二月に審査を始めまして、それで勧告を六月にしておりまして、審決は六月十三日に、違反するという審決を出しております。 その内容は、ホリデイマジック社が販売員をピラミッド方式の四段階に分けまして、上に上ればその販売実績にかかわりなく報奨金的なものが非常に多額に入るという制度をとりまして、それをまた盛んに宣伝いたしまして販売員を勧誘した、これが不公正な取引方法の六に該当するということで審決をしております。
○佐野(進)委員 不公正取引の六に該当するということで審決が出たということであります。そういたしますると、その六に該当することは、いわゆる紹介料、上に行くに従って金を取る、こういうような形の中におけるところが違反になったといわれておるわけでございまするが、それぞれ上に行くに従って仕入れ金額が違う、商品をまとめればその額もリクルート料になるくらいですから、その差額リベートによる勧誘を、ベストラインはこのホリデイマジックと同じような形の中でやっていると思うわけであります。 そういたしますと、普通特約店は五十七万五千円を払い込み商品を購入するとなれる。そのうち一五%が差額ベースで自分の上の地位に行くことができる。特約店ではうまみがないから、上のマネジャーになろうとすると、このためには自分の後任として二人を連れてきて二十七万五千円の講習料を払うとなれる。こういうような形で、商品を売ることによって利益を得るよりも、人を紹介することによってその中からリベートをもらう、こういう形で人狩り商法が行われるようになってきていると思うのでありますが、ホリデイマジックに対する審決と絡み合わせて、このベストラインについて見ましても、具体的にその内容が、表現上は違うとしても、結果的に同じような形になろうと思うのであります。 〔渡部(恒)委員長代理退席、安田委員長代理着席〕 こうやって見てまいりますと、差額のリベートはオーバーライド方式であり、実質的には紹介料として使われるわけでありますが、先ほどの審決の内容とにらみ合わせて、この方式も独禁法違反になるのではないか、私としてはこう判断するわけですが、公取の見解を承りたいと思います。
○後藤(英)政府委員 ベストライン社のとっております方法は、ホリデイマジックのようなずばりリベート、紹介料というような方式ではございませんので、直ちにホリデイマジックと同じように正常な商慣習に照らして不当な利益と言えるかどうか、その点については問題でございます。 形の上では、商品の売買に伴いましてマージンとして得られる利益というのは、どの業界でも通常の取引にある問題でございますので、これは問題ではございませんけれども、このベストライン社におけるマージンというものは、実は卸売機能に対する対価というようなものではないのじゃないか、何ら卸売機能を果たしていないのにそれが与えられているというのが実態ではなかろうかというふうに見られておりまして、そのように見ますとこれもやはり紹介料と申しますか、リクルート料的なものではなかろうかという意味で、やはり独禁法の正常な商慣習に照らしての不当な利益に該当するのではなかろうかというふうに見られております。
○佐野(進)委員 そういたしますと、直接ではないけれども、商品という形に名をかりているけれども、同じように見られている、こういうぐあいにいま判断をされておるわけでございまするが、このベストラインの制度の中に恩給制度というのがあるわけですね。リクルート料だけではなくして、多くの人を紹介することで一定の成績が上がった場合においては恩給を出す。自分の子が孫、孫はひ孫、ひ孫はその次というぐあいに、それぞれをつくっていくことによって、彼らの出資金額の二%が永久にもらえるのだということを一つのキャッチフレーズにしている。実際上そのようなことになるのかならないのかということは大変疑問だと思うのであります。少なくともそういう形の中で多くの人たちを紹介していけば、一生安楽に、ただそのことだけで生活をしていくことができるのだということをキャッチフレーズにしておるわけでありますが、これはスリーピングコミッションであり、独禁法上の問題になると私は思うのでありますが、どうですか。
○後藤(英)政府委員 二%のコミッションがただ単に恩給として与えられるというのでありますれば、やはり正常な商慣習に照らした不当な利益ではなかろうかというふうに見られます。ただ、これが会社にかわって行うサービスの対価、たとえば会社にかわって特約店等のトレーニングをしたり、あるいは新しく販売店になる人たちにノーハウを教えるとかというようなことであれば、必ずしも違法とは申せませんけれども、単に恩給として与えられるというのでありますれば、これはやはり法律上問題があろうかと思います。
○佐野(進)委員 いま質問してみても、私の質問と公取の見解とが非常にかみ合うわけでありますけれども、それだけいわゆるベストラインという企業そのものがいま行いつつあることが、公取の制度に対して一つの挑戦である。公正取引という形の中におけるこの種不正なる行為を正さんとする立場に立つ取引委員会としては、この種事業を計画し実行するということについては相当悪知恵の働く人たちでなければできないというような点が、いまの答弁の中からうかがうことができるわけであります。 特にそういう面から見ますと、私は、いろいろなパンフレットやリーフレットその他を出しながら宣伝をしておるこのベストライン社の商法というものに対して、多くの疑問を感ぜざるを得ないわけであります。物を売るのだ、物を売るための事業者だ、こう言っていながら、実際上はその物を売ることよりも、物を押しつけられ、それを処理するという形の中で、これを紹介すれば多くの安定した報酬が得られるということで、余り知識のない善良な人たちを勧誘するという形の中でその人たちを被害者に変えていく、こういうような結果になろうと思うのであります。 そこで、次の質問は、このベストラインに入会する者は事業者だと言われて入るわけでありますが、結果的に会社との契約関係はなく、商品を購入することによってその特約店となり、マネジャーに任命されるというシステムになっている。そうすると、おまえさんはこのベストラインの中における一つの役割りを担うのですよ、こう言いながら、会社の社員ではない。事業者であるという形をとりながら、しかも特定の商店を持ちながら販売するのでなく、個人で単に自己の居住所というのですか、普通の家庭におって、ただ事業者として加入をして品物を送り届けられる。しかし、それではメリットが得られない。結局その品物を送り届けることによって、上に行けば行くほど多くの人たちを持ち、それによって利益を得ることができる、こういうシステムになっていると思うのです。 そうすると、これはあなたのさっきの説明にあったように何段階かあるわけですが、最末端の品物を送り届けられた人は事業者ではなく消費者である、いわゆる物を買った人の立場になる。それを売ることができなければ結局それを引き取らなければならない、そういう形の人だと判断して差し支えないように思うわけですが、この点はどうか、ひとつ見解を示していただきたい。
○後藤(英)政府委員 実情におきましては確かに先生のおっしゃるような実情かと思いますけれども、ただ、契約上ではやはり単独の販売業者というふうに明確に位置づけられておりますので、これを法律的に問題にいたします場合に消費者と考えるというのは、法律的に、厳格な法の適用、規制をやろうとする場合においては非常に問題が残るのではないか、そう思っております。
○佐野(進)委員 法律的に消費者として片づけることについては若干問題がある、実態はそのような形だ、こういう答弁でありますが、しかし、事業者というのは、特定の五段階なら五段階、四段段なら四段階あって、次から次へと品物がおりてきて最末端の事業者としてそれを販売する、これが事業者の形態ですけれども、実際上の問題としては、そういうような商品を販売することができ得ない家庭の実情にある人たち、たとえば家庭の主婦とかサラリーマン、あるいは未成年者、身体障害者、こういうような人たちを対象にして、事業者であると言って一定の割合における多量の物品をそこの家庭に送り込む。多量の物品をそこの家庭に送り込まれれば、そういう身体障害者であるとか、未成年者であるとか、一般的な家庭の主婦であるとかいう方々は、なかなか消化でき得ないという現状が出てくると思うのです。このような人たちがそのような現状にありながら、なおかつそれは下の人たちを連れてくればいいんだよという形でさらに意欲をわき立たせる、そしてさらに多くの犠牲者を生み出していく、これがベストナインのシステムだと思うのです。 そういうような物を送り込まれて困っている人たちに対して、さらに励みを持たせようということに対しては、一カ月に四人以上連れてくればダイヤモンドのバッジを贈りますよ、あるいはコンテストというようなことでハワイ旅行や台湾旅行へ連れていってやりますよ、こういうような形の中でその人たちを勧誘する。物を送り込まれて困っている人たちに、さらに人を連れてくればそういうような特典を与えますよという形でつなぎとめていく役割りを果たさせる。そういうことを身体障害者や一般の家庭の主婦や未成年者にやらせて、何名かを探して連れてくればダイヤモンドをやるとか、あるいは海外旅行に連れていくとかいうようなことは、不当表示あるいは景品表示法違反、こういうものになるのじゃないか、こう考えるわけですが、これはどうですか。
○後藤(英)政府委員 ベストラインの入会者に対しまして、同社の製品の販売についてダイヤモンドを与えたり、あるいはまた海外旅行に招待するような行為は、これを消費者と見るかあるいは事業者と見るかということにつきまして、法律的には消費者と見ることは困難であるということで事業者と見ましても、やはり事業者に対する景品類の提供について景表法上の規制がございますので、事業者制限告示とかあるいは懸賞制限告示によって規制されるようになります。先ほどの御指摘のような例につきまして、年間に提供されるそのダイヤモンドの額が十万円を超える額であればこれは違反ということになりますし、もしもコンテストとかいうような懸賞制限告示の問題となりますれば、最高で五万円までの一等賞しか与えられないという制限がございます。
○佐野(進)委員 公取に対しては質問が大変具体的になり過ぎてあるいは迷惑かもしれませんが、もうちょっと質問を続けさせてもらいたいと思うのです、これは原則的な問題ですから。いわゆるベストラインに対する措置をどう行うかということによって、今後この法律が施行された際、この種マルチ商法は絶滅することもでき得るのではないか、その絶滅することのでき得る問題点をとらえながらいま質問しているわけですから、そういう観点に立って答弁をいただきたいと思うわけです。 いま言ったように、一カ月に四人以上連れてくればこれこれこういう賞品を出しますよという勧誘をしております。しかし、同時にまた、先ほど来お話がありました何人かを連れてくる形の中においてリクルート料がそれぞれ支払われるというような形になっておるわけでありまするが、同じように一人を連れてくれば六十万円の売り上げと見て、六人を連れてくれば三百六十万円で結果的に十三万五千円、九人連れてくれば二十一万円、こういうようなことで、人を連れてくることによって最高は三百万円のボーナスを与えるというようなことをこのベストラインは言っておるわけであります。 昭和五十年の調査では、これらのボーナスをもらった人数は七百三十九人だと言っておるわけでありまするが、一方、会社側は全加入者は二万人と言っており、そのうち設立から五十年度までに入会した者は約一万五千人で、この七百三十九人という人の概数は結果的に一万五千人に対して四・九%にすぎないということになるわけであります。そして、一万五千人のうちの七百三十九人という特定の人に対してのみこのような多額なボーナスを出した。いわゆるボーナスを出すだけの役割りを果たさせた。こういうようなことは、全加入者一万五千人に対して非常に大きな差別が存在したということになるのじゃないかと思うのでありますが、公取としてはこの種ボーナスの出し方というものについてはどのような見解をお持ちになっているか、この際明らかにしていただきたいと思うのです。
○後藤(英)政府委員 独禁法の不公正な取引方法の一つといたしまして、不当な差別的取り扱いということを禁止しておりますけれども、非常に行き過ぎたボーナス提供、あるいはもっと一般的に申し上げますといわゆるリベート提供というのは、やはり問題であるということになっております。ただ、どういう程度に累進度が高くなった場合に違反であるかということは大変むずかしい判断を要するところでございまして、一般的にこのような程度を超えればという基準はいまのところはっきりしておりませんけれども、抽象的に申しますと、やはり現在、先生の御指摘のようなものもあるいはそういう問題を含んでいるのではなかろうかと思われます。
○佐野(進)委員 公取に対しては後でまた質問もありますけれども、一応締めくくり的に最後の質問をしてみたいと思うのです。 いま私はずっと質問を三十分近く公取に対して行ってまいりました。結果的に、ベストラインと称する企業がいま審議を行っているこの法律の規定に触れる要件をきわめて多く持ち、かつ多くの被害者を発生する条件にあるということが質疑の経過の中で明らかにされたと思うのであります。そこで、私は、このベストラインなるものがもし法律に触れるとするならば、これにまた別の方法をもって手を加える。さっきのホリデイとかその他の形の中において触れたので、このベストライン方式をとりつつあると言われるような形の中において処置をされる懸念を持つわけです。 特にこの種宣伝の内容がきわめて人の気持ちに食い入り、さらにこの文章だけでなく、話術等が催眠的手法をもって人の心の中に食い込んでいくというような形の中で犠牲者を続出していくということに対して、いま私どもとしては厳粛に反省をするとともに、そういう状態の起き得ないような措置を具体的に講じていかなければならぬと思うのです。それは公正取引委員会としてはこれからもやらなければならぬし、特にこの法律を審議する際に十分ひとつ認識していただきたいと思うわけであります。 特に勧誘される立場にある人たちの心に触れることは、この宣伝文の中で、世界的企業である、すばらしい商品で、洗剤は植物性、無公害である、さっき言ったとおりボーナスがもらえる、一生涯恩給がもらえる、簡単にお金がもうかる、そういうような形の中で宣伝がずっと行われてきているわけですね。それに乗っているわけです。 そういうような形の中で進んでいけば、常識ある人はそうでないのじゃないかという疑問点が出てくるわけですが、一種の催眠術にかかったとするとなかなか出てこないという形で、こういうような宣伝をそのままさせておくということは、そういう善良なる消費者に対して大変な迷惑になると思うのでありますが、裏づけのないこの種の宣伝に対して不当表示としての措置を講ずべきではないか、その措置を講ずる形の中で犠牲を未然に防ぐべきではないかと考えるわけですが、その見解をお伺いしたい。
○後藤(英)政府委員 ベストライン社の勧誘に当たって、あるいはまた商品の販売に当たっていろいろな宣伝をいたしておりまして、その中には事実の裏づけが果たしてどうかなと思われるようなものもございます。 これが一般消費者にその商品を買ってもらうためにする広告でございますれば、これは不当景品類及び不当表示防止法の不当表示ということで問題にできる筋でございます。たとえばその洗剤が非常に優秀である、品質が優良であるというようなことを一般消費者に宣伝したが、実は粗悪品であったとすれば、これは問題でございますけれども、ただ、特約店とかあるいは小売店となるようなディストリビューターを勧誘する際に、たとえば自分のところの企業は世界的な企業で、世界じゅうで商売を華々しくやっているのだというようなことを申しますれば、これは商売の取引をする人同士の間で、自分のところの信用を相手方に誤認をさせるというような問題になるわけであります。ここにまいりますと景表法の不当表示の問題の限界からやや外れるというようなところがございまして、その辺について法律的にきちんと違反として取り上げるかということにつきましては、やや法律的には疑問がある。 ただ、指導面といたしまして、好ましくないというようなことは十分言い得ると思うような点もございますので、そういうような点については十分行きすぎのないような形で指導の際には当たってまいりたいと思います。
○佐野(進)委員 それは先ほどの質問と関連をするわけですが、消費者であるのかあるいは事業者であるのかという判定、それから、後で厚生省に聞きますが、この品物が果たして消費者の利益に合致するものであるのかどうかということについても関連します。いずれにせよ、この種の問題については、公正取引委員会としては厳重なる立場に立って法律の解釈あるいは運用等に当たってもらいたいということを要望しておきたいと思います。 それでは次に、これに関連して大蔵省に二、三質問してみたいと思います。 このベストラインの本社は香港ですね。日本には支店開設ということで、外資法による許可制度の対象になりません。しかし、支店の場合でも届け出を出すようになっていると思いますが、届け出が出ているかどうか、その点をお伺いします。
○垂水説明員 ただいま御質問のありました中で、いわゆる非居住者の支店の設置というのは外資法による認許可の対象でないとおっしゃいましたのは、先生のおっしゃるとおりでございます。しかして、当該ベストラインの支店の設置につきましては、四十八年の十月に所定の支店設置報告が通産省と当方とに提出されております。
○佐野(進)委員 そういたしますと、その中に業務内容として化粧品販売の項が入っておりますか。
○垂水説明員 先ほど申し上げました設置報告によりますと、当該支店の事業内容は、洗剤及び洗浄剤を香港から輸入してまいりまして日本の販売業者に販売をするということになっておりまして、したがいまして、この支店の事業内容には御質問の化粧品の販売は含まれておりません。
○佐野(進)委員 そのとおり、入っていないと思いますね。しかし、ここに登記簿があるわけですが、その登記簿の中には化粧品が入っておるわけです。「目的」として「洗剤、洗じょう剤(粉石鹸等を含む)化粧品、化学品、医薬品その他すべての製品の製造輸入販売。」こういうようになっているわけですが、いまの大蔵省の説明によると入っていない。登記簿においては入っている。最初から化粧品も売るつもりであったわけです。その化粧品をその中に入れていない。この化粧品、特に化粧水によって皮膚の被害を訴える人が実際多いわけです。その届け出をしていないにもかかわらず、その品物を売っている。そして被害を受けている人からここにこんなに手紙が来ているわけですが、この化粧品を使ったために皮膚の被害を訴えている、これはベストラインという会社の性格を判断する上においても大変問題じゃないかと思うわけです。 ホリデイマジックの場合も、こういう問題についてはフリーパスでした。その結果は十万人という被害者が出たわけでありますが、外資チェックはそういう意味においても厳重にすべきではないかと思いますし、支店開設というような問題についても許認可の対象にならないというのは、どだいこういうような面から言ってもおかしいのではないか。もっと厳格なる処置をする中で国益、国民の健康を守るという役割りを果たすべきじゃないかと考えるわけですが、大蔵省の見解をこの際聞いておきたいと思います。
○垂水説明員 お答えいたします。 先ほど佐野先生から御指摘がありました登記簿謄本の中身につきましては、私もチェックをしてみまして、確かにかなり広範な事業内容が書いてあることを承知いたしました。しかし、一般には登記簿謄本に記載されている事業内容といいますのは、単に支店だけではなくて、この場合でございますと香港にある本店の行う事業内容を記載するというのが通常のようでございますし、それに対しまして私どもに提出されております支店の設置報告は、支店の行う業務という意味で報告を求めておるので、その間にやや整合しない面があるのではないかと思います。しかしながら、いずれにいたしましても、支店の設置は外為法体系では単に当事者からの届け出事項になっていることを御理解いただきたいと思います。 なおまた、ただいま佐野先生から、販売を行っている化粧品は人体に有害な面があるというようなお話もございましたけれども、それが悪質かどうかについては、私の感じを申し上げれば、直接外為法の問題というよりは、むしろ別途の国内の行政規制という観点から検討されてしかるべき問題ではないかと考えております。 なお、一般論として外資系企業に対するチェックを一段と強化してはどうかという御所見でございます。それにつきましては、先生に申し上げるのは大変恐縮でございますけれども、国際間の資本移動でございますとか、あるいは国際間の経済活動はでき得る限り自由にすることが、経済の発展なり国際協調という面から必要ではないかと存じます。そういう意味で、現在におきましては、外為法体系においては先ほど来の支店設置が届け出制になっておることはもとより、外資法体系での認許可の対象になっております子会社の設置につきましても、現在はどうなっておるかと申しますと、例外的な四業種、農林業、鉱業、石油業、皮革製造業の四業種を例外といたしまして、現在は自由に許可を与えることになっておるわけでございます。 そういう実情からいたしましても、肝要なことは、支店であれ子会社であれ、本邦内で事業活動をいたします場合には、当事者が日本の法令なり諸規制を十分尊重、遵守していただくということではないかと思っておるわけであります。したがって仮に国内企業であれ外資企業であれ、いまのような行政上の面からする諸規制から見て問題があるというような場合には、そういう面から当然是正が図られてしかるべきではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
○佐野(進)委員 大蔵省には検討してもらいたいということでありますから、そう考えて善処を要望しておきます。 次に、厚生省に質問をいたします。 いま大蔵省に質問いたしております化粧品の問題でありますが、このペストラインの化粧品あるいは洗剤は厚生省の許可を受けておるかどうか、その点、ひとつ質問してみます。
○山田説明員 お答え申し上げます。 化粧品につきましては、昭和五十年三月十七日付で薬事法の規定によります化粧品輸入販売業の許可を与えております。
○佐野(進)委員 そうすると——これがその化粧品ですね、これはいま言われた薬事法におけるところの許可をとっておる品物と判断してよろしゅうございますか。
○山田説明員 先生のいまお挙げになりました品物が具体的に許可を与えた品目であるかどうか、ちょっと確認できませんが、このベストライン・プロダクツ・リミテッドに対しましては、先ほどもお答え申し上げましたように、昨年の三月十七日付で化粧品輸入販売業の許可を与えておりますが、品目としては化粧水など七品目につきまして輸入の許可を与えております。
○佐野(進)委員 時間がありませんから、余り突っ込んでこの問題だけを質問するわけにいきませんが、そうすると、この品物を使うことによって皮膚障害を起こす、あるいはその他いろいろな苦情等が出ていることをあなたは御存じですか。
○山田説明員 私ども厚生省の関係各課に、この会社の化粧品を使用したことによる皮膚障害の報告は聞いておりません。
○佐野(進)委員 それでは、聞いていないというのでは仕方がございませんので、後でひとつ資料として差し上げますから、検討を願いたいと思います。 洗剤についても同様の許可を与えているということでございまするから、この洗剤についてはこの種カタログなり宣伝文等に、あるいは保証書等を出しまして、良質で一〇〇%保証できる、子供にも安全、無公害等、こういうようなことが書かれてあり、よく落ちない、はだが荒れる、このカタログと全く違う、そういういわゆる消費者の声というものは、この化粧品と同様、あなた方の方では耳に入っておりませんかどうか、その点、ひとつ見解を聞いておきたいと思います。
○宮沢説明員 お答え申し上げます。 洗浄剤につきましては、食品衛生法で昭和四十七年に一部改正がございまして、そのときに食品とか食器を洗いますいわゆる台所用の洗浄剤についてその内容を規制することができるようになりました。そこで、四十八年にその規格基準と使用基準というものを定めておりまして、特にただいま先生御指摘の手荒れ等の問題に対処するため、それが合成された界面活性剤である場合には使用する濃度は〇・一%以下とするように定めております。したがいまして、こういった規格基準とか使用基準を満たすものであれば、そういう洗浄剤を供給する者は法律上特に拘束はございません。概括的に許可品目として販売することができるようになっております。
○佐野(進)委員 課長、これを見たことはありますか。
○宮沢説明員 見たことはございません。
○佐野(進)委員 この種物品については、あなたの方で許可することになるのですね。
○宮沢説明員 先ほど申し上げましたように、要するに、食品とか食器を洗いますいわゆる台所用洗剤につきましては、厚生省でその基準を定めております。その基準に合格するものであれば、特に法律上個別の許可はございません。どなたが供給してもいいことになっております。
○佐野(進)委員 基準に該当するということはどこで判断するのか。 私の手元に、日本食品分析センターというところで、この分析を依頼した人に対して、ベストラインのこれに対して不適であるという総合的な判断を出したようなことが出ておりまして、これは厚生省告示第九十八号による百五十倍希釈の結果云々という、こういう分析表が出ているわけですが、これはまだ見ておりませんか。これに関連して、そういうような訴えはまだございませんか。
○宮沢説明員 お答え申し上げます。 そういった食品に関するいろいろの監視は、各都道府県に食品監視員というものがございまして、そちらの方でその監視業務はやっております。私どもは、ただいま先生の言われた分析センターの分析結果等については聞いておりません。
○佐野(進)委員 マルチ商法に基づくところの被害者がこの種物品を購入した形の中で、あるいは事業者と称する名のもとに押しつけられ、販売不可能の形の中でこれを多量に使用する、その使用した過程で、この手紙にも出されているような幾つかの発病状況が検出されておる。国民の健康を守る立場に立つ厚生省が、この種洗剤については、かねて国内石けん、洗剤の問題等につきましてもいろいろないわゆる催奇形性の問題等々たくさんの議論がある中で、外国から輸入された物品に対してその品質の調査もしないということは、少し職務的に怠慢ではないか、こういうぐあいに私は判断をするわけです。 しかし、いまここでその問題一つ一つについて具体的に質問をしておる時間的余裕もございませんので、質問は打ち切りますけれども、至急この種化粧品ないし洗剤については調査をしていただいて、その結果、その内容が不適当であるならばその内容を公表し、あるいはこれらについての回収をしてもらうことを強く要望しておきたいと思います。 次に、経済企画庁に質問いたします。 経済企画庁は昨年の六月、各省庁との相談による対マルチ対策十項目の中で、マルチ企業の扱う商品について早急に分析すると言っておりますが、いま私が申し上げましたとおり、個人によるところの分析結果の報告等を私どもは受けておりますが、政府がこの種手段に対して対策を立てたということは、私は遺憾ながらまだ聞いておらないわけでありますが、これに対してどのような措置を講ぜられたか、また、その結果として新たに欠陥品が出ているというような形がもしあったとするならば、どのような措置を講ぜられておるか。 こういうようなマルチ商法に使用される商品というものは、ここで見てもわかるように、大体何となく疑問を持たざるを得ないような、いかがわしいという言葉が適切であるかどうかわかりませんが、そういう感じを持つような品物が多いわけでありますけれども、この種物品について、経済企画庁としては、当然国民に対してその実態を明らかにする義務を持つ立場に立つ庁としてどのような措置を講ぜられているか、この際聞いておきたいと思います。
○藤井(直)政府委員 ただいま御指摘になりましたように、マルチ商法にかかわります商品につきましては、欠陥商品の販売というようなことに結びつくケースがかなりございます。それで、昨年六月のマルチレベル商法についての十省庁の総合対策についての申し合わせ事項がございますが、その中におきまして、商品の点検というのを重要な項目として取り上げているわけでございます。その申し合わせ等もございまして、その後厚生省におきましては、ホリデイマジック社の化粧品について検査をいたしまして、不良品につきましては廃棄処分をするというようなことをいたしております。また、ジェッカーチェーンの医療用具についても、しかるべき指導をするようにということで措置をしたように伺っております。さらに、通産省におきましてもエー・ピー・オー・ジャパンのベーパーインジェクター等についての検査もされたというふうに伺っておるわけでございます。 私どもといたしましては、この総合対策に述べておりますように、全部この商品についての検討をするということはなかなか数も多くて大変でございますが、やはり安全に非常に影響のあるもの、それから品質が不良で多くの人に迷惑を及ぼすというようなものに限りまして、重点的に商品の検査をしていくということが必要ではないかと考えておるわけでございます。ただいま御指摘がございましたような点もございますので、この十項目の申し合わせをさらに推進するというようなことで、関係省庁とよく話し合っていきたいと思っております。
○佐野(進)委員 経企庁は朝日新聞の家庭欄に「くらしの相談」というコーナーを設けておるというように聞いておるわけですが、このコーナーがあって、国民生活センターがときどき欠陥商品等について発表しておりますけれども、こういうようなところに、この種欠陥商品が明らかになった際に発表する気持ちがあるかどうかということが一つ。 それから、これからこれらのマルチ商法に対する規制が行われるということで、マルチ企業ではないのだという印象を受けるように、ベストラインはダイレクトセールスと言っており、あるいはジェッカーはフランチャイズ企業というふうに言っておるわけですが、こういうようなものが今後ますます出ることが考えられます。そういう点に対して、経済企画庁として国民に対するPRを積極的に行う必要があろうと思うのでありますが、見解を込めてその決意をひとつこの際明らかにしておいていただきたい。
○藤井(直)政府委員 マルチ商法につきましては、その商法の危険性等を十分一般の方々に知っていただくことが一番大事なことではないかと思っております。今回この法案が成立いたしますれば、この法案の内容、マルチ商法の危険性等につきまして、従来以上にその広報に努力をしてまいりたいと思っております。具体的には、政府部内におきまして行っておりますテレビ、ラジオ、さらには週刊誌、新聞等への広報、それから国民生活センターで独自にやっております消費者啓発事業、これもラジオ、テレビ、各種の刊行物等がございますけれども、そういうような手段を使いまして一層の周知の徹底方を図っていきたい、このように考えております。
○佐野(進)委員 通産省に対してこのベストラインについて質問がございますが、時間がございませんので、これは後の質問の時間に譲るとして保留をいたしておきまして、きょうおいでを願っている警察庁、法務省に対して、ジェッカー・フランチャイズの問題についてこの際質問をしてみたいと思います。 ジェッカー・フランチャイズの問題につきましては、すでにそれぞれ問題点として取り上げられ、各省庁それぞれの指導を行っておるようでございまするけれども、この中で警察庁と法務省にお伺いする前に、まず、具体的に公正取引委員会がどのような処置をとっているかということを一応質問しまして、それに対する答弁を伺ってから、警察庁と法務省に質問してみたいと思うわけであります。 昨年、独占禁止法違反容疑でホリデイマジック、引き続いてエー・ピー・オー・ジャパンを摘発したわけであります。その結果、この二つの企業はマルチをやめておるようでございますが、三大マルチと言われているうちの一つであるジェッカーにつきましては、これは巧妙というか何というか、公正取引委員会の指導を受けるという形の中でその摘発を免れているような状態でございまするけれども、このジェッカー・フランチャイズに対してどのような処置をしておるのか、この際、簡単にひとつ内容を説明していただきたい。
○後藤(英)政府委員 ジェッカーチェーンにつきましては、被害者からの申し出もたくさんございますし、また国会においてもお取り上げになりまして大きな問題になりました。そういうようないきさつもあって、この会社から私どもの方に、現在とっている販売方法が問題があろうと思われるので、これをフランチャイズ制に移行したい、そこで独禁法の問題となるような点を指導して教えてほしいというような申し出がございました。 ジェッカーチェーンの販売方法と申しますのは、これもホリデイマジックのようなずばりと独禁法の取り上げたような形ではございませんで、いろいろむずかしいと申しますか、巧妙な方法がとられておりますので、指導といたしましては非常に厳しい形で、独禁法上これはと思われるような点、たとえば指導料だとか、あるいは再販の維持じゃなかろうかとか、そのほかいろいろな拘束条件つきの問題点など、指導段階でございますので相当厳しい注文ができますから、いろいろ問題点を指摘いたしまして、会社側の方からはこれについて契約書を改めてつくってまいりまして、その契約書の内容におきますれば独禁法上直ちに問題にできるというような形にはなっておりませんので、会社側といたしましては、ことしの三月一日から加盟店の問で逐次この新しい契約にかえるということをやっております。 新契約の内容によりますと、加盟店の地位が大幅に変わるのでございます。したがって、それに伴って解約をしたいという希望者も当然出てくると予想されましたので、新契約に定められておりますところの契約解除規定、これは当事者の利益を相当保護するような規定になっております。この規定を現在の契約の解除を希望している者に対しても適用するというような形で、この契約更改についての指導をいたしております。
○佐野(進)委員 この内容については、時間がございませんから、後で午後の時間にさらに詳しく質問をしてみたいと思うのでありますが、警察庁か法務省に伺う前に、もう一つ公取にその見解を明らかにしていただきたいと思いますのは、ジェッカーはいま言われたような指導を受けるかたわら、この指導を受けているという形の中でその事業を進めている。言うなれば役所の公認という、指導を受けたという形で公認されたのだという形の中でその事業を進めている。結果的に公正取引委員会は利用されている、なめられている、こう言ってもいいのじゃないかと思われるような状態にあると思うわけでありますが、こういう状態に対して今後どう対応していくのかということをお伺いしたいことが一点。 それからもう一つは、こういうような状態に対して、被害者は刑事訴訟法に基づいて告訴をしておるわけです。したがって、その告訴に基づくところの一定の措置がいま行われようとしておるわけでありますけれども、こういう問題に対して公正取引委員会はどのように対応しておるのか、この点を明らかにしていただきたいと思うわけであります。
○後藤(英)政府委員 今回、ジェッカー社が従来の契約内容を改めて新しい契約にいたしたいというのは、これは先方からの申し出に基づいたものでございますので、もしもその内容が現在でもそのように行われておらないというようなことがあるといたしますれば、私どもの方といたしましても、指導した立場としてまことに遺憾であると思っております。この指導の際に、やはり将来被害者が出ないように、将来の被害者の未然の防止ということを考えていろいろ問題点を指摘して直させたわけでございますけれども、これは法律で規制するよりも、むしろ指導という立場をとりました方が疑わしいところは全部直させることができるというので、私どもの方としては、当然やるべき指導として厳重にやったつもりでございます。 〔安田委員長代理退席、委員長着席〕 また同時に、過去の被害者の救済にもこれは当然役立つということで指導したものでございまして、現在、三月一日から契約の更新に入っておりますけれども、前に被害をこうむったりなんかしてその契約をやめたいというような人たちの契約更改は、六十日以前に予告期限を置かなければならぬということになっておりますので、五月以降にそういう新しい契約が本当に行われているかどうかということについては厳重に見守っていきたいと思っておりますけれども、私どもの方としては、決してこれによって利用されたというふうには思っておりませんし、厳重に見守ってまいりたい、そう思っております。 それから、先ほど先生の御指摘のありましたのは、詐欺罪というような形でもって、役所がそういうことの事実について接したならば、これはむしろ役所が告発してはいかがというような御趣旨かと思いますけれども、詐欺罪の構成要件といいますのは法律的にも専門的な技術的な判断を要するものでございますので、これは警察なりあるいは司法当局の判断を当然待つべきものだと思いまして、私どもの方としては現在告発というような点は考えておりません。
○佐野(進)委員 それでは、警察庁と法務省に、大変長い時間お待たせして恐縮でしたが、最後にお伺いし、あと質問を留保して、午後の時間でさらにジェッカーの問題あるいは法律の基本的な問題等について質問を続けてみたいと思います。 そこで、警察庁と法務省にお伺いします。一括してお伺いしますから、一括してそれぞれお答えをいただきたい。 まず、警察庁に対してでありまするが、この連鎖販売取引、いわゆるマルチ商法は、社会的には有害であり禁止すべきであるという立場から、立法の精神を尊重して、再び被害者、犠牲者を出すことがないよう運用面で厳しくすべきだと思うわけでありますが、これについての考えを聞いておきたいことが一つ。 二つ目は、いままで被害者が各警察を訪ねても動けなかったわけですが、今後はこの法律によって各警察署において被害者の訴えを聞く窓口が必要になってくると思いますが、それはどうお考えになっておられるか。 さらにまた、現在マルチの被害者は大都市よりも周辺都市及び地方でふえておるわけでありまするが、警察庁はこの事態をよく考慮の上、全国の警察に、問題が起きたらすぐ対応できるよう、本法律の運用について積極的に措置を講じておくべきだと思いますが、その見解をお伺いしたいと思います。 もう一つは、これも警察庁でありまするが、警視庁内には特別防犯捜査隊を設置し、今後も悪徳商法を摘発していくそうですか、これは大変結構なことです。今後全国的にこれと同じような問題に対処していく必要があると思いまするが、この点、どう考えられるか。 また、いままで問題を起こした企業についても、ただいままで起こしたのだということだけでなく、積極的にこれらに対する今後の予防を講ずる意味においても対処さるべきだと思いまするが、その点について見解を聞いておきたいと思います。 法務省には、ジェッカーの告訴、被告人としては山口隆祥個人以下四名の調べがどうなっているか、この点について、もし時間がなければ後で書面等でも結構ですが、ひとつお答えをいただくと同時に、厳正なる調査を早急に行っていただきたい。 この質問をいたしまして、あとの質問は留保し、質問を終わりたいと思います。それぞれ簡単に答弁してください。
○柳館説明員 第一点は、この法律が制定された場合の私どもの考え方でございますけれども、この法律の趣旨に従いまして、本当に厳正に、かつ積極的に取り締まりを進めてまいりたい、こう考えております。 それから、第二番目の体制の問題でございますけれども、これは現在、警察署の末端に至るまで、大きな警察署は防犯課、小さなところは防犯係というものがございますので、この法律の趣旨あるいは取り締まりの重点等々につきまして徹底した指導をしてまいりたい、こう考えております。 また、特別防犯捜査隊というものが現在警視庁にできておりますけれども、これは防犯保安関係の犯罪全体に対する機動的な捜査を実施していくということから設置されたものでございます。これは当然今回のマルチ等も扱っていくということになってまいります。各都道府県にもこのくらいの規模のものは、人員等の関係もございますので、ここで直ちにお約束するというわけにはまいりませんけれども、先ほど申し上げましたようなことで体制を整えてまいりたい、こう考えております。 また、こういう不健全な企業等に対しまして、捜査というのはどうしても後追いになります。しかし、なりますけれども、それをできるだけ積極的に捜査に着手するということを通じて、実質的な被害が拡大されていくことを防止する、そのことに寄与してまいりたい、こう存じております。よろしくお願いいたしたいと思います。
○山口説明員 お答えいたします。 去る三月九日に東京地方検察庁で、五人の告訴人から、ジェッカー・フランチャイズチェーン株式会社代表取締役山口隆祥あての詐欺罪の告訴状を確かに受理いたしました。そこで、現在は、この事件につきましてはこの告訴状の内容をしさいに点検しまして、ジェッカー社に対する情報の収集に当たるなど、これからどういうふうな捜査方針で臨むかを検討中でございます。今後東京地検におきましては、迅速適切に捜査処理を行うべく鋭意努力するつもりでございます。 それからなお、今後警察からこの事件でいろいろ送致を受けました場合に備えまして、法務省としましても、今度新しく設けられます刑事罰則に即応できますような捜査体制を各検察庁にもとりたいと考えております。 以上でございます。
○佐野(進)委員 終わります。
○稻村委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時五十八分休憩 ————◇————— 午後二時十分開議
○稻村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。米原昶君。
○米原委員 訪問販売等に関する法律案について質問いたします。 まず最初に、四十九年十二月に出された産構審流通部会の「特殊販売の適正化について」の中間答申、その中の最初のところに、「近年、通信販売、訪問販売等の特殊販売が急速に拡大しつつある。」そして、その中から「種々のトラブルを惹起しておる」このように指摘されておりますが、この中の「近年」とはいつごろのことを指すのか、また、トラブルが盛んに起こり出したのはいつごろからなのか、そういう点を最初にお尋ねします。
○天谷政府委員 わが国におけるマルチ商法が次第に広がり始めましたのは、大体昭和四十七年ぐらいからでございます。アメリカにおきましてマルチの規制が厳しくなりましたことが一つの原因となりまして、そういう企業がアメリカではもうけの口が狭くなったものでございますから、アメリカから各国に流出するという現象が起きまして、四十七年ごろから日本で次第にはびこり始め、四十八年ごろから被害が目立ったというような状況でございます。
○米原委員 確かにそのころからこういった問題が起こり出してきております。そして、最近では被害者もますます増加しようとしておる。たとえば東京都の消費者センターの訪問販売についての調べでは、昭和四十九年には四百十六件の苦情、相談があり、それが五十年になると四八%ふえて六百十五件と激増しております。また、マルチ商法におけるトラブル、苦情などは、昭和四十九年四月から五十年九月までに四百四十三件あった。これは経企庁の調べであって、潜在的な被害者を含めると百万人とも二百万人とも言われております。私も、このような事態が頻繁に起こっていることに対し、大変憂慮しているわけでございます。 このようにたくさんの被害者が出てから、ようやく今回の法案を提出されたわけですが、少し遅過ぎるのではないか、こういうふうに感じますが、いかがでしょうか。 〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕
○天谷政府委員 取り締まりのための立法がおくれますと日に日に被害者がふえるということにつきましては、われわれも非常に心配をしておった点でございます。できるだけ早く立法するために努力をいたした次第でございますが、努力が十分でなかったために立法がおくれたことにつきましては、反省をいたしておるところでございます。 なぜ一体おくれたのかという理由でございますけれども、まあ言いわけがましくなりますので余り言いたくはないわけでございますが、一応事実を明らかにするために申し述べますと、おおむね三つぐらい事情がございます。 第一点は、マルチ商法そのものが非常に複雑でございまして、したがいまして、法的規制の対象をいかに法的に構成するかということに非常に手間取ったという点でございます。ともかく規制の対象を法的に明確に把握するということがなければ、法律をつくりましてもざる法になってしまいますので、そこをいかにうまくつかまえるかということに苦心を要したということでございます。 第二点といたしましては、マルチ規制ということを考えますと、これは民法、商法等の一般法に対する多くの例外規定をつくることになるわけでございます。こういう一般法に対する例外というのはきわめて慎重に考える必要がございますので、審議会等を開きまして、法律の専門家あるいは消費者その他いろいろな方の御意見等を伺う手続も必要でございました。 それから第三番目には、独禁法との調整に時間を要したという点でございます。昭和四十八年ごろこの問題が起こったときには、このマルチ商法を取り締まる法律としましては、独禁法がいわば唯一の法律だったわけでございます。もちろん刑法等はございますが、そういうものは別にいたしますと、独禁法が唯一の取り締まり法規であったわけでございます。したがいまして、独禁法でマルチの取り締まりがどの程度有効にできるのであろうか、独禁法とオーバーラップするような法制をつくることは無意味でございますので、その辺をよく見定める必要があったわけでございます。ところが、昭和五十年に公正取引委員会ではホリディマジック社に対する手入れを行われましたので、われわれとしましてはその行方をよく見守りながら、独禁法と調整しながら、独禁法で不足であれば新しい法制を考えるというような方針をとっておりましたために、昭和五十年度の通常国会には法案を提出するタイミングに至らなかった。 大体以上申し上げましたような理由によりまして、本法案の提出が遅くなった次第でございます。努力が足りなかった点もあろうかと思いますが、ひとつ御了承をお願いいたしたいと存じます。
○米原委員 いろいろむずかしい点があったことはわかるのですが、諸外国と比べましてもおくれているのじゃないか。さっきもアメリカの話がちょっとありました。諸外国ではいつごろから、どのような規制をやってきたか、そうした関連法の制定状況について簡単に教えていただきたい。
○真砂説明員 諸外国におけるマルチ商法の規制ぶりはどうかという御質問でございます。 米国におきましては、複数の州で州法の形で規制をいたしておりますが、現在のところ、連邦法で特別のマルチ商法規制法はまだできておりません。 それから、カナダでございますが、最近入った情報では連邦法ができた由でございますけれども、内容はまだ在東京カナダ大使館を通じて入手をしておりません。要求はしております。 イギリスでございますけれども、イギリスは七三年に公正取引法の中にピラミッド式販売機構に関する規定を挿入いたしまして、マルチ商法を規制しております。 それから、フランスではわりあい早うございまして、五三年と聞いておりますけれども、雪だるま式販売方法に関する規制の法律ができております。 それから、シンガポールでは七三年にマルチ販売禁止法といった規制法をつくっております。
○米原委員 いまちょっと伺っただけですが、それらの国では、少なくともわが国より早く消費者行政について機敏に対応したという印象を受けますし、それらの国でやっている以上、そういう点も早くつかんで研究すべきであったのじゃないか。わが国でも昨年、公取などが立入調査や勧告を発しておりますが、一向に被害者がなくならない。こんなに問題が大きくなってから、やっと今回の法提出であります。もっと機敏に対応すべきであったと思いますが、大臣、いかがに考えられますか。
○河本国務大臣 先ほど来政府委員が答弁をいたしましたように、少し法律の制定がおくれましたけれども、今般ようやく関係方面と意見がまとまりまして、審議をお願いしておるわけでございます。やはりこの法律を通していただきまして、そうして消費者の保護を徹底する、これをぜひ図りたい、かように考えております。
○米原委員 とにかく、現実にはこの法律の制定がおくれたために被害者がどんどんふえているわけです。施策のおくれによって被害者がたくさん出ている。結局、この人たちは、法的にも何ら守られずに泣き寝入りするだけになっているわけであります。いままで出たこれらの被害者に対して、何らかの救済措置を講ずべきだと思いますが、これに対して通産省はいかがお考えでしょう。
○天谷政府委員 先生の御指摘の問題につきましてはわれわれも重々承知いたしておるわけでございますが、ただ、法制の基本的なたてまえから申しまして、法律の効果を遡及させるということは困難でございますので、すでにこれまでに発生してしまいました被害の問題につきましては、一般法による処置、すなわち民法等による損害賠償の問題であるとか、あるいはもし刑法の詐欺罪等が適用されるものでありますならば、そういう法制による追及であるとか、そういう一般法の規定による救済ということでやっていくほかには道はないというふうに存じております。ひとつ新しい法律の制定によりまして、将来こういう被害が起こらないようにいろいろ措置を講じていきたいというふうに考えております。
○米原委員 現在の日本の社会、いわゆる資本主義社会と言われますが、商品売買が基礎になって流通が行われている社会でありますから、消費者は好むと好まざるとにかかわらず、生きていくためには商品を買わざるを得ないし、その場合、消費者は低廉で良質な商品を望むわけであります。一方、企業の方は、営利追求のために取引するのであって、必ずしも低廉良質な商品でなくとも、もうければよいわけであります。そのため、いかに商品を良質で安いなどと思わせ消費者に買わせるか、これが商売の世界ではないかと思うのです。そうしてその中の矛盾が企業と消費者の間のトラブルとして起こって、多くの場合、消費者がだまされて泣き寝入りするというのが世の常ではないかと思うのであります。そこで、消費者保護行政が必要となるわけですが、その場合、まず消費者がだまされないようにすることが肝心であり、万一だまされてもそれを救済するように保護をしなければならないわけであります。 経済企画庁は、このような消費者被害の救済についていろいろ研究を重ねておられるようですが、いま私が述べてきたようなことについてどのようにお考えか、また、現実に政府の施策のおくれによって生じた被害についてどうすべきだと考えておられますか、この点を聞きたいと思います。
○藤井(直)政府委員 お答え申し上げます。 現在の消費者保護行政の基本となりますのは、先ほどちょっと御指摘になりましたように、現在、大量生産、大量販売、大量消費というような構造になっておりますが、その間におきまして生産者と消費者との間のギャップがいろいろな面で非常に大きくなっているというところに消費者問題が出てくる根源があるというように考えまして、消費者保護の行政の方向もそういう点に重点を置いていろいろな施策を行っているわけでございます。 そこで、最初の問題といたしましては、消費者が被害を受けないようにという観点が一番重要でございますので、現在、消費者保護会議の場等を通じまして、安全の問題、品質の問題、それから規格の問題、表示の問題、それから販売方法の問題等についての規制をいろいろしているという状況でございまして、今回、その商法に関しましては、マルチ商法に対しての規制措置がとられるということになったわけでございます。 実際に今度被害者が出てまいりまして、その救済の問題ということになりますと、現実には相対の交渉、さらには国民生活センターとか消費生活センターのあっせん等による苦情処理等が主体になっておりますが、今後の問題といたしましては、現在、生活審議会の消費者保護部会におきまして被害者救済のあり方についていろいろ検討いたしております。昨年の四月に研究委員会の方で、消費者の被害の救済についての問題を取り上げまして、報告書が出ております。そういう報告書を中心にいたしまして、今回は保護部会の方でいろいろ検討するということになっておるわけでございます。 それから、マルチ商法につきましてこの法律施行前の被害はどうかというお話でございますが、今回の法律自体は予防的なものでございますので過去の被害には及ばないということは、ただいま通産省から御答弁があったとおりでございますが、私どもといたしましては、従来から地方の消費者生活センター等におきましてこの関係の苦情を受けておりまして、その過程で事業者との間で話し合いをして解決を見ている例もあるわけでございます。また、行政指導も公取、通産省等で行われておりますけれども、公取におきまして、一部契約の更改とか加盟料の返還とかいうようなことで解決を見ておる点もあるわけでございますので、そういう形でこれからも対処していきたい。 それから、今回の法律ができますれば、現在相対でやっておりますものとか、行政指導でやっておりますものとか、いろいろケースがあるわけですけれども、この法案に違反するような事実が過去自体においても出てまいりますれば、かなりそういう実際の交渉面で有利に働くのではないかと考えておる次第でございます。
○米原委員 それでは、法案の中身についてお聞きします。 この法案の目玉とも言われているクーリングオフに関して、まず、連鎖販売取引におけるトラブルは、これまでの実情で見て、契約締結後何日ぐらいたってから起こるのが通常であるか。私が聞いている限りでは一カ月、二カ月と長期間にわたってからと聞いておりますが、この点、どうでしょうか。また、七日間にしなければならないという根拠は何ですか、この点を聞きたいと思います。
○真砂説明員 お答え申し上げます。 私の方で五十年の二月に主要な都道府県の消費生活センター等に苦情相談を寄せられました方々に対しまして、実際にマルチ商法の組織に加盟された方々を対象に調査をいたしました。それによりますと、いま先生から御質問がございましたクーリングオフに関係をする調査事項でございますが、加盟後あなたはどのくらいたってから脱退したいと思いましたかという質問に対しまして、これが一番多いのでございますが、三五%が一週間以内にそのように感ぜられたという調査結果がございます。
○米原委員 私がこれまで聞いたところでは、被害者の多くが、一カ月以上たって初めて、だまされたとか、契約するのではなかったとかいうように後悔している、そういう実情を見ても、この法案の七日間というのは少し実情にそぐわないのではないか。 特にマルチ商法の場合、その勧誘の方法、説明会に特徴があって、たとえばここに被害者の手記がありますので少し読んでみますと、「照明や異常な程の拍手、映写に出て来た米元副大統領の演説、地球を汚染より救い、且つ、大もうけ出来る商法とのことで、病弱な子供のため、医療費さえ満足に支払う事の出来なかった私は、この説明会に心から感謝して、使命感に燃えてサインして帰宅し、主人に入会の旨を話すと、今どきそんな甘い話があるものか! 危いからヤメロ! 自分は乗らないぞと叱られましたが、説明会の雰囲気に酔いしれていた私は、主人や親の注意を無視して、無理矢理主人を説き伏せ、殆んどを借金して出資しました。」これはある若い奥さんの話であります。 このように、一たん加入した者はなかなかその興奮から目が覚めない。この人の場合でも、一カ月後になって初めて後悔するわけです。 このような実情から見て、通産省は七日間でどれほどの被害者をなくすることができると思っているのか。いま、統計上三五%が一番多い、それが一週間だという話ですが、この点、確かにそういう統計が出ているかもしれません。それ以上になってから、一週間後じゃなくて、もっとたってから気がついたというのも相当いるようですが、この点についてどうされるのか、率直な意見を述べていただきたいと思います。
○天谷政府委員 クーリングオフの期間が一体何日ぐらいが適切であるかということは、非常にむずかしい問題かと存じます。余り短くてはクーリングオフの役割りを果たしませんわけでございますし、他方、長ければ長いほどいいのかといいますと、これはマルチ商法なるものを基本的に禁止するという政策をこの法案ではとっておりませんので、一応合法的なものとして認めております以上は、その取引における法的安定性ということをどうしても考える必要があるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。 そこで、なぜ七日にしたのかということでございますけれども、この法律案が法律として施行されるということになりますと、不当、不適正な勧誘は禁止される。それから事業概要及び契約内容を明示する文書が加盟志願者に交付されるというような措置が講ぜられることになるわけでございます。したがいまして、契約の相手方は現在と異なりまして、自己の負担あるいは自己がどの程度の利益を上げ得るかどうか等につきまして、これまでよりははるかに正確な資料、情報を入手し得る状態に置かれることになりますので、七日間という日数は相当の適当な日数ではないだろうかというふうに考えた次第であります。 第二番目に、マルチの契約の中では、加盟するに当たりまして相当量の商品の購入を義務づける契約をさせるものがございますけれども、こういう契約につきましては、商品が自分のうちへどっさり運び込まれたときに初めて催眠から目覚めるというようなこともありますので、こういう契約につきましては、七日間の起算日を商品の一定量の引き渡しがあった日というふうに定めまして、実際に商品を見てから再検討する機会を与える措置を講ずることにいたしております。 また、外国の例を徴しますと、この外国の例もどこまで参考にすべきかどうかいろいろ問題のあるところでございますが、外国の例を徴しますと、イギリスにおきましてはマルチ商法のクーリングオフの期間を七日間というふうに定めておるわけであります。したがいまして、七日間がわれわれとしては相当の期間であるというふうに思っております。しかし、最初に申し上げましたように、これについては七日が絶対であるというような証明をすることはできるわけではございませんけれども、諸般の法的安定性とか、消費者の保護とか、諸外国の例とか、いろいろあわせ考えまして、七日程度が妥当ではないかと考えた次第でございます。 もちろん、七日にすればすべて問題が解決するかというと、決してそういうことはないと思いますが、七日で、消費者教育等も行われれば、相当の改善、救済が行われる、こういうふうに考えておる次第でございます。
○米原委員 この法律の十二条、十三条は、そのようなSF商法とか催眠商法を規制するための規定だとすれば、被害者を出さないためにもこの条項の運用を厳しくする必要があると思いますが、この点はどうでしょうか。
○天谷政府委員 マルチ商法が反社会的になる非常に有力な原因の一つが、その勧誘方法が不適当である、妥当性を欠いておるというところにあることは明瞭でございます。そこで、十二条におきましては、不適正な勧誘方法に対しては直罰をもって臨むということにいたしておるわけでございます。 こういうような罰則規定は、商品取引所法であるとか、証券取引所法であるとか、あるいは宅地建物取引業法であるとか等々に類似の規定がございますので、警察当局としてもこういう取り締まりには習熟しておられるところでございますから、警察当局がこの法律の目的に従いまして、十二条につき有効な運用をしていただくことをわれわれもしばしばお願い申し上げておる次第でございます。 ところが、警察による取り締まりだけではその消費者保護の目的なりあるいはその不公正な勧誘を取り締まるということが必ずしも十分ではございません。と申しますのは、マルチ企業の中には、少々の罰金を食らうならば、払って、また明くる日からその不適正なことを始めるというようなこともございますので、行政面からもマルチ商法を取り締まる必要があるということで、十三条におきましては行政罰を加えることができるような規定を設けたわけでございます。したがいまして、通産省その他関係各省におきましては、警察当局とよく協力いたしまして、それからまた独禁法を運用される公正取引委員会ともよく協力をいたしまして、あらゆる面からこのマルチの取り締まりに万遺漏なきを期したいと考えておる次第でございます。
○米原委員 次に質問を進めます。 悪徳商法被害者対策委員会の皆さんも望んでおられ、また産構審流通部会の中間答申にも指摘されているクーリングオフ後の措置についてであります。 産構審流通部会では、クーリングオフ後においても、一、「購入した物品を相当の価額以上で引取らせる」二、「物品の対価以外に支払った金銭につき、その相当割合を返還させる」等であります。たとえばイギリスでは九〇%以上、アメリカのマサチューセッツ州も九〇%以上の商品の買い戻しがやられているというように聞いておりますが、このような措置が今回の法案の中では生かされておりません。この点について、当然審議会の意見を尊重して加えるべきだと私は考えますが、どうでしょう。
○天谷政府委員 いま御指摘のございました産構審の答申につきましては、われわれもそれを実現する方向でいろいろ考えてみた次第でございますけれども、以下に申し上げるような理由によりまして、この法案に盛り込むには至らなかった次第でございます。 理由は、まず第一番目に、こういう規定を置きますと、契約を長期にわたり不確定な状態に置くことになりまして、法的安定性を著しく害するということが一つでございます。先ほど申し上げましたように、マルチそのものを基本的に犯罪として取り締まらない方針をこの法律はとっておりますので、そういう方針をとる以上は、法的安定性の問題はやはり慎重に考慮する必要があるということが言えるわけでございます。 第二番目に、連鎖販売取引におきましては、組織がきわめて多段階でございますために、契約から派生する効果が多数の当事者に及びまして、そのために引き取りあるいは返還請求権が行使された場合の影響がきわめて大きく、かつ複雑であるということになります。この権利義務関係が非常に錯雑をしておりますために、安易に返還請求権、引き取り請求権等の行使を認めますと、いわば暴走族の乱闘みたいにわけがわからなくなってしまいまして、法的に権利義務関係を解きほごすということがほとんど実行不可能ではないだろうかというふうに考えられる次第でございます。 第三番目に、こういう難点を軽減するために、一つの考え方として、引き取り、返還請求権の行使先を統括者に限定するということも考えられるわけでございますが、ところが統括者は自己の支配できない独立の営業主体である個々の連鎖販売業者の行為についても責任を負うということになりまして、これは契約自由あるいは過失責任等の現在の民事法の原則に対しまして余りにも大きな例外をつくることになりますので、妥当性を欠くというような法制当局の難点がございます。 以上のような理由によりまして、商品の引き取り等の規定は設けなかったわけでございますが、答申のその他の部分はすべて規定されております。特に不当な勧誘についての行政命令、これは十三条でございますが、それから十四条の広告規制、それから、大量の商品の購入義務を負わせる場合は、クーリングオフの起算日を一定量の商品引き渡しがあった日とするというような、答申よりもさらに一歩進んだような規制もいたしておるわけでございます。こういう措置によりまして不当な勧誘行為が排除され、契約者は事業の概要及び契約内容につきまして明確な認識を与えられ、さらに七日間の再検討期間を与えられるわけでございますので、詐欺的な悪徳連鎖販売業が残存していく余地はほとんどなくなるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
○米原委員 次に、訪問販売についてお聞きしますが、この中で言う「指定商品」については先ほどの質問の中で答弁がありましたが、訪問販売における現金取引の場合にはクーリングオフが設けられていないのはどういうわけでしょうか。そういった場合のトラブルは生じない、こういうふうに思われているのでしょうか。
○天谷政府委員 訪問販売におきましては、セールスマンの舌先三寸によりまして購入者の方の意思決定が冷静でないまま行われるというようなことがございますので、これに対しましてはクーリングオフというような権利を認めようという趣旨でその規定を設けておるわけでございます。しかし、クーリングオフの場合の基本的な考え方は、まだ契約が完結していないという場合のクーリングだろうと思うのでございますが、現金の授受が行われた場合には、契約が完全履行されておるということになるわけでございます。 もちろん完全履行じゃなくて不完全履行である、すなわち品物等に欠陥があるというようなことでございますれば、これは不完全履行に対する民法、商法等の救済規定がございますので、そちらで救済されるわけでございますが、完全履行されている、契約の履行に何らの瑕疵もない場合において、さらにそれにクーリングオフを認めるということになりますと、やはりこれは一般法に対する著しく大きな例外ということになり、法的安定性を害するということにもなりますので、完結してしまった行為につきましてまでクーリングオフを設けるのはどうかというような観点から設けなかった次第でございます。
○米原委員 その場合に、たとえば東京都の物価局のモニター調査を見ますと、強引に座り込んでなかなか帰りそうもないので買った、こういうのが一三・六%ございます。こういった人たちのためにも、現金払いのときも解除期間を設けるなりすべきだ、こういうふうに思いますが、どうでしょう。
○天谷政府委員 セールスマン等が玄関に入り込みまして、非常にしつこく押しつけ販売みたいなことをいたしましてなかなか退去しないというようなことは、われわれも経験する非常に不愉快な事実でございますが、この問題は刑法百三十条に該当する行為でございまして、こういう行為がもしありますれば、これを取り締まる直接の根拠は刑法百三十条である、こういうふうに考えております。 今度つくります法律は、そういうようなことではなくて、訪問販売あるいは通信販売等、一応正常な商取引をさらに適正にするための規制を設けようという趣旨でございますので、その住居に入って不退去というような問題については本法の対象ではないというふうに考えております。
○米原委員 次に、通信販売について聞きますが、ここの項目では非常に規定が少ない。しかもその少ない一つの広告表示を見ましても、商品の品質、性能など肝心なことが抜けておりますが、これは省令で定める用意があるのか、どうでしょうか。
○内田説明員 お答え申し上げます。 通信販売に関しましては、私どももいろいろ消費者からのトラブル、苦情なども聞いておるわけでございますけれども、一般的に申しまして、一つは、提供された情報が非常に不十分であるとか、誇大であるとか、そういう広告に関連する問題それからもう一つは、申し込みをしてもなかなか送ってこなかったり、物が着かなかったりということで、消費者が非常に不安定な立場に置かれるという面からくる消費者被害、大別いたしますと、この二つが大きな被害じゃないかということで、私ども今回の立案に際しましては、第八条の広告規制、それから第九条の前払い式の通信販売におきます販売業者の承諾の通知義務という二つを規定として設けた次第でございます。 それから、先生の御指摘のございました、広告規制の中に品質、性能等、大事なことが抜けているではないかというお話でございますが、確かにそういった品質、性能等が十分知らされていない場合に、消費者がその広告を見て購入の動機を持つわけでございますので、不十分な情報ということになるわけでございますけれども、今回、広告規制の中に法律に定めまして盛り込むことを決めました条項につきましては、これはどういう商品であってもはっきり広告に書くべきことが一般的に規定できる事項、つまり販売条件を中心にそこに記載させるということにいたしたわけでございまして、品質、性能につきましての情報は確かに非常に重要ではございますが、これは個々の商品によってどういったところまで品質、性能を書くかということが非常に違ってまいりますので、一律の規定を設けることは非常にむずかしいわけでございます。したがいまして、今回、検討事項ではございましたけれども、そういうふうに一律に規定できないということもございまして、この規定の中には盛り込んでおりません。 省令で定めるつもりかどうかという御質問でございますけれども、私ども現在いろいろ検討はしておるわけでございますが、省令で基準を定めます場合にも、商品にかかわらず一律に規定できるものは省令で細かく定めることができますが、商品によりまして千差万別ということになりますと、省令が大変複雑になりまして、一々商品ごとに定めなければならないという面もございますので、引き続き検討させていただきたいというふうに考えております。
○米原委員 最後に、大臣にお伺いします。 とにかく手おくれではあるけれども前進だと私たちも思っております。そこで、このような消費者保護施策がつくられても、消費者には余りこういう法律があるということも知られないというのがいままでの実情です。そういうふうになりますと、こういう新しい法律ができても、実際にはなきに等しいことになってしまう。特に家庭の主婦など、このような情報が得られにくいのが実情であります。ですから、これは徹底して消費者がよく心得ていないとこの法律が役に立たないので、普及に相当力を入れなければならない、私はこういうふうに考えるのです。そういう意味で、こういう施策が行われることを一般に普及する必要がある、その点についてどのように手だてを考えられておるかということを聞きたいのです。
○河本国務大臣 今度の法律の場合、消費者にこれを周知徹底させるということが一つの大きなキーポイントであろうかと思います。いま政府の方で考えております方法は幾つかございますが、たとえばパンフレットとかリーフレットというような文書の配布、あるいはラジオ、テレビによります啓蒙運動、新聞による広告、あらゆるものを動員いたしまして、約六カ月間、集中的にこれをPRする予定でございます。
○米原委員 以上で終わります。
○橋口委員長代理 松尾信人君。
○松尾委員 最初に、大臣に二、三の問題を質問いたしたいと思います。 この商品の売買に伴いまして、非常にトラブルが続発しておるわけであります。常にその被害者は消費者である、欠陥商品もしかり、また商品取引における不当な損害、また割賦販売でもいろいろの問題がございます。そして、政府も次々に対策を立てていくわけでありますけれども、常に後追いであって、おくれておる。結局は消費者を保護していこうという点に対して熱意がほとんどないのじゃないかと感じられるほど、いままでも対応がおくれておるわけであります。 この法案におきましても、そのような感を強く持つものであります。なぜいろいろの被害が起こってそれを承知したならば、その対策を早く立てぬのか、早急に消費者を保護する対策が立てられないで、延び延びになっておくれていっておる、この点についてどのように反省をしておられるのか、いままでも結構早かったのだ、このように思っておられるかどうか、そういう基本的なことをまず聞いておきたいと思うのです。これは審議官から最初に答えてそして次に大臣のお答えを伺いたいと思います。
○天谷政府委員 消費者保護のための立法がおくれますと、その間に被害者が日を追って増加をするということにつきましては、われわれも非常に心痛をいたしておったところでございます。御指摘のように、できればもっと早く法律をつくるべきであったというふうに考えておりますけれども、いろいろな事情がございまして、ようやくのことで法律案の提出にこぎつくことができたというような実情でございます。 いろいろな事情と申しますのは、大略三つほどあるわけでございます。 第一番目に、法律をつくる以上、その法律が規制に当たって有効な法律でなければならないというふうに考えております。有効な法律であるためには、基本的にまず規制対象が何であるかということの把握が必要でございます。マルチ商法と言われておりますけれども、言葉が先にあると申しますか、マルチ商法という言葉はしばしば使われるのでございますが、その明確な概念規定というのはないというような実情でございます。諸外国の法制もあるのでございますが、調べてみますとできが非常に粗雑でございまして、厳密な意味では余り参考になるような法律がないわけでございます。したがいまして、われわれとしましては、このマルチの非常に複雑な実態に合わせまして、これを有効に取り締まれるように、そのマルチの定義をどうやってするかということで非常に苦心をいたしたわけでございます。これが第一点でございます。 第二点といたしましては、マルチ商法を規制しようといたしますと、その場合には民法、商法等の一般法に対する例外を多数つくることが必要となり、したがいまして、この一般法とのすり合わせをどう行うかということが問題になるわけであります。このすり合わせのためには、役所が独断で行うというのも問題が多うございますので、各方面の専門家を集めた審議会をつくりまして、そこでいろいろ御審議をいただく。それからまた、法務当局、法制当局ともいろいろ意見のすり合わせを要したわけでございます。これが第二点であります。 それから第三番目には、独禁法との調整という問題がございます。昭和四十七、八年ごろからマルチ商法の弊害が目立ってきたわけでございますが、その当時、現存する取り締まり法規としては独禁法が唯一の法規であったわけでございます。したがいまして、その独禁法がどれくらい有効にこのマルチを取り締まれるのかどうかということが当時まだ明らかでございませんでした。われわれとしましては公正取引委員会当局の意見を求めておったわけでございますが、昭和五十年に至りまして、公正取引委員会当局がホリデイマジックの取り締まりに踏み切られたわけでございます。したがいまして、われわれはその成り行きを見守って、独禁法によって十分に対処できるならばわれわれの新規立法は必要がなくなりますし、また、独禁法では及ばないところがあるということであれば、その及ばないところをカバーできるような法律をつくらなければいけない、こういうふうに考えまして、独禁法の公正取引委員会当局により取り締まりの成り行きを見守っておった次第でございます。 こういういろいろな事情がございまして、法案の作成は御期待に沿えないと申しますか、おくれてしまったわけでございますが、しかし、でき上がった法律は、われわれとしましては諸外国に比べてはるかにりっぱな法律であるという自信を持っておりますので、今後この運用に万遺漏なきを期していきたいと思っております。
○河本国務大臣 いま政府委員が申し述べましたような理由で時間がかかったわけでありますが、しかしようやく関係方面との意見の調整もできまして、今般審議をお願いしておるわけでございますが、特に最近におきまして、訪問販売あるいは通信販売、マルチ商法と称せられる特殊販売、こういうものが非常に激増いたしまして、それに伴ってトラブルが多発しておる、こういう状態でございますので、ぜひとも一刻も早く成立をさしていただきまして消費者の保護を図りたい、かように存じておる次第でございます。
○松尾委員 いま政府委員の方からるると三点にわたって、非常にこの法案の作成がおくれたということについて説明があったわけであります。ある程度わかりますけれども、やはりいま述べられた三点につきましては、三年も四年もかかるような問題じゃなかろう、もう少し熱意をもって真剣に取り組むならば、早く消費者を保護することができたであろう、このようなことを私は非常に残念に思うものであります。過去の例からもそのようなことが一つ一つ指摘されていくわけであります。 端的に聞きますけれども、このマルチ商法は端的に言って消費者にどのような利益がありますか。
○天谷政府委員 マルチ商法の場合の消費者という言葉の意味でございますが、厳密に言いますと、消費者とは、マルチの最末端にありまして、もはや再販売をせず、自分で消費してしまう人が消費者でございます。この消費者は、マルチ販売によりましてそれほど大きな被害を受けておるという実態はないと思っております。なぜかといいますと、一番最終の消費者はただ商品を買うだけのことでございますから、彼らは特に多額の取引料とかそういう種類の金品を納めておるわけではございませんので、その商品が粗悪品であるとか、そういう場合には何がしかの被害を受けることになりますが、社会的にびっくりするほどの被害を受けるというわけではございません。 問題は、連鎖販売取引の途中にありまして、要するに再販売をする目的をもって上位の者から商品を購入し、これをまた下の方におろしておる、こういう人たちが一番問題なわけでございます。こういう人たちは取引料その他の名目をもって特定負担をする。この特定負担というのは十万あるいは数十万の単位になることがあるわけでございまして、こういう多額の金を納めて、そして特定利益を収受し得るであろうという期待のもとにそういう特定負担をいたしておるわけでございますけれども、現実にはこの特定負担を回収できるような特定利益が上がらないことが多々ございますので、そのために非常に多くの被害をこうむっておるというのが実情でございます。
○松尾委員 商売が商売で、法律の網をもぐってやっていこうということでありますので、末端の消費者と被害を受けている実態の階層というものとがずれたような、またある程度ダブっていますけれども、そういう実態でありますので、これはよくよく運営は気をつけてやらぬとむずかしい問題がある、このように私は認識をいたします。 次に聞きますが、訪問販売を受けたというこちら側の経験の問題でありますけれども、約九〇%の人々が訪問販売を受けておるわけですね。そういう経験がある。これは今後ともにふえていくのじゃなかろうかと思うのであります。この訪問販売における指定商品の問題で、この範囲の問題ですが、これは消費者という立場からながめてみれば、可能な限り実情に即して指定する必要があるだろう、他面、クーリングオフの除外商品というものは最小限にとどめていく必要があるのであろう、このように基本的に考えるわけでありますが、この指定商品の範囲及び除外商品の範囲は具体的にどのように考えておりますか。
○内田説明員 消費経済課長でございます。お答え申し上げます。 指定商品の範囲でございますが、本法におきましては、指定商品といたしましては、通常、日常生活の用に供する物品であって定型的な条件で販売するのに適したものということになっております。これはわれわれが普通使っております消費財一般が含まれるかと思うわけでございますけれども、できるだけ実際の訪問販売、通信、販売の取引の実態、それから消費者の要望等を聞きまして、幅広く指定してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。 たとえば現在、割賦販売法におきまして同様の指定商品制がとられておるわけでございますが、割賦販売法におきましてはかなり多くの消費物資が指定されております。ただ、割賦販売法は耐久性のある商品に限られておりますので、この訪問販売、通信販売におきましては、耐久性のない消耗品のたぐい、たとえば化粧品であるとか、洗剤、各種の雑貨類、あるいはよく問題になりますガス漏れ警報器といったような商品につきましても、これは割賦販売法の指定商品にはなっておりませんけれども、今回の訪問販売、通信販売に関する指定商品の指定の際には、当然に私どもは指定するつもりで考えておるわけでございます。 それからなお、クーリングオフの除外商品でございますが、これは第六条、クーリングオフの規定の中で、通常、取引がかなりの期間にわたって行われるというものにつきまして、特にその購入者の側に損害を及ぼすおそれがないものについては、クーリングオフの除外商品ということであらかじめ政令で指定をするということになっております。 これは実は現在の割賦販売法におきましても目様のクーリングオフの除外規定がございまして、現在、割賦販売法におきましては、政令によりまして自動車及び運搬車というものだけが指定されております。このうち、運搬車というのは日常消費生活の用に供するものというふうには考えられませんので、これは今回は当然指定商品の中に入ってまいりませんが、自動車につきましては割賦販売法のときと同様の状況にあるというふうに判断されますので、今回の政令の対象としても自動車は一応考えられるのではないかというふうに考えております。しかし、その他の商品につきましては、私ども現在のところ自動車と同様な状況にあるとは判断いたしておりませんので、特に指定するつもりは現在のところはございません。 そういうことで、クリーングオフの例外商品につきましては、先生のおっしゃるとおり最小限の指定ということで対処してまいりたいと考えております。
○松尾委員 訪問販売の問題でありますけれども、六条のクリーングオフは、売買契約を締結した場合に書面によってその契約の申し込みの撤回及び解除を行うことができる、こういうふうになっているわけですね。この場合に、販売業者から通産省令で定めた方法で告げられた日から四日間というわけでありますが、問題はこの告げ方にあろうと思うのです。購入者にクリーングオフができるということをどのような方法で告げるのか。たとえば契約書の中にクリーングオフができる旨を何か書くのかどうか、または別にはがき等でこのクリーングオフの制度を印刷して投函して相手に知らせるのか、また単に口頭でいいのか、いろいろあると思うのでありますけれども、いかがですか。
○内田説明員 書面により告げるということになっておりまして、これは現在割賦販売法の運用におきましても、クーリングオフができるという事実を告げさせる書面というのは、いわゆる契約書あるいはその契約の内容を記載した書面で、契約時の書面交付というのを義務づけております。同様に今回の訪問販売等に関する法律におきましても、第四条、第五条におきまして特に書面の交付を義務づけておるわけでございますが、その際、交付すべき書面の中にクーリングオフの条項につきましても、購入者の側にはっきりとわかるような一定以上の活字で、しかも目立つような方法で記載をさせるということで省令で定めてまいりたいというふうに考えております。現在の割賦販売法でも、同様の書面の中に特に赤枠で囲って、購入者の側が確実にその事実がわかるように処置しておるわけでございますが、今回につきましても、同様の方法で省令に定めてまいりたいというふうに考えております。
○松尾委員 この六条の売買契約のクーリングオフは、これは代金を支払った、品物を受け取ったという場合にはクーリングオフの対象にならないという説明でありますけれども、そういうことでは訪問販売による場合のクーリングオフ制度というものの効果は半減してしまうのではないか、こう思うわけであります。普通、訪問販売では書籍、消火器、避妊器具だとか、ガス漏れ警報器、化粧品等が多いわけでありますけれども、これらの商品は大体一回の訪問でぱちっと決まるわけです。そして、代金とか品物の決済が早目に完了される傾向が強い。 〔橋口委員長代理退席、渡部(恒)委員長代理着席〕 そして、使ってみていろいろの苦情が出てくる。そこにはセールスマンの口車に乗せられたとか、または多量に買い過ぎたとか、これはまずい点もありますけれども、また強引な販売だったとか、いろいろございます。そこで、東京都の消費者センターにおける一般の苦情は減ってきておりますけれども、訪問販売による苦情というものは四十九年に比べて五十年は約五割もふえておる。これはいろいろの点がありますけれども、契約段階の場合だけクーリングオフの対象になる、そして代金とか品物の取引が完了した場合には全然対象にならない、こういうことも大きな理由になっているわけであります。 それで、いろいろ理由があるようでありますけれども、クーリングオフというものは、実態をもう少し深く検討されて、そしてお考えになった方がいいのじゃないか。代金が決済されても、商品の授受が済んでおっても、そこに欠陥商品であったとかいろいろと消費者側に正当な理由があれば、それを認めていく方向で検討する考えはありませんか。
○内田説明員 お答え申し上げます。 訪問販売に関しましていろいろ消費者から苦情、トラブルが寄せられまして、特に訪問販売で粗悪品を買わされたが、後でそれがキャンセルできないというような苦情が非常に多く寄せられているということは事実でございます。私どもの方の相談窓口にも、始終そういうような話が寄せられているわけでございます。 ただ、私ども今回この法案の中でクーリングオフ制度を訪問販売一般に適用していくという場合に、クーリングオフというのは、考え方といたしまして、消費者が契約に入るまでみずから十分主体的な意見を持たずに売り手のペースに巻き込まれてしまう、それが後でよく考えてみると自分の意思が十分通っていなかったということに対する担保ということでクーリングオフの規定というのを考えておりまして、まず第一には、このクーリングオフの規定というのはやはり民事的な効果でございますので、両当事者が完全に契約を履行したということになりますと、それをもとへ戻すということは、現在の民事法のたてまえから言うと非常に困難であるということが一つ言えるわけでございます。 それから、一般に悪質な訪問販売は確かに非常に多いわけでございますけれども、健全に行われております訪問販売で、現金販売のものが非常に多いわけでございます。そういうものにもクーリングオフがすべて認められるということになりますと、せっかく健全に行われております訪問販売について法的安定が非常に乱されるという問題も考えなければならないと思っております。 それから、商品の内容が非常に粗悪であるというようなことで後でキャンセルというのは、これは当然のことながら販売業者の側が完全に債務を履行していないというふうに考えられますので、商品の内容に瑕疵があった場合には、当然にクーリングオフ規定がなくても契約不履行による損害賠償ということで現行法でも対処できるわけでございます。そういうことで、今回御提出申し上げております案の中には、現金販売の場合のクーリングオフというのは入れていないわけでございます。 ただ、それでは、ただいま申し上げましたように商品の内容が粗悪で、後でそれに対して追及していくという場合に、相手が往々にしてわからないではないかというような心配もあろうかと思います。そのための担保といたしましては、私どもは先ほどの第四条、第五条の書面の交付をきちっとやらせる。特に第五条におきまして、現金販売の場合でも家庭訪問販売の場合には領収書的な書面を必ず交付させる、しかもそれを罰則で担保いたしまして、虚偽の記載については罰則を適用していくということにいたしております。これによりまして、仮に粗悪品を売りつけた者がいれば、その交付された領収書的な書面によって追及することができる。もしそこに住所等を偽って相手がわからないということになれば、これは刑事罰の対象になるということでございますので、そちらの方で担保してまいりたいと考えておる次第でございます。
○松尾委員 このようなクーリングオフが行われた場合、その企業の損失というものをセールスマンに肩がわりさせる、しわ寄せする、こういうことが行われておる実情であります。それで、この法律の施行に当たりましても、セールスマンであるところの社員とか従業員の立場をやはり守ってやらなくてはいけないのではないか、こういうことを考えるわけでありますけれども、企業に対するそういう指導の面はどのように考えておりますか。
○内田説明員 現実に大変悪質な業者がおりまして、セールスマン等にそういうしわ寄せをするというような実例があることは、私どもも聞いております。この問題は、本法律案の目的でございます消費者保護とはまたもう一つ別個の問題ではございますが、確かにその企業で働く方、あるいはセールスマンというか、委託契約のような形で働かれる方にとっては非常に重要な問題でございます。もう一つ、そのうらはらの問題といたしまして、セールスマンの資質の問題、対消費者への販売のやり方が、セールスマンが往々にして非常に悪質な販売行為をやるということもございますので、セールスマンの教育並びにそのセールスマンに対して企業が不当にいろいろ責任をしわ寄せしないようにということは、これはむしろその企業の指導を通じまして十分行っていかなければいけないことと考えております。 いろいろ、たとえば割賦協会というような団体がございますし、それから訪問販売をもっぱら業としております各種の業種別の団体もございますので、そういう業界の団体を通じまして、それぞれ訪問販売の倫理綱領をつくらせるなり、あるいはセールスマンの教育を十分行わせるなり、またセールスマンとの契約関係をきっちりと行わせるというようなことで、十分指導してまいりたいというふうに考えております。
○松尾委員 結局、セールスマンの不安というものは、身分の不安定ですね。そして歩合等の制度がどうも明確でない。だから、とにかく売ればもらう金が多いのだというかっこうで売り込み競争がなされるという傾向が強い。ですから、セールスマンの身分だとか歩合制という問題も、給与体系というものを含めてきちっとながめて、そして企業の経営方針とかいうものも掌握しながら適切な指導をなさる必要があると思うのですけれども、この点が一つ。 それから、いまセールスマンの教育の問題が出ました。これは当然私も質問しようと思っておったわけでありますけれども、現状はどのようにセールスマンの資質の向上のために教育というものがいま行われておるのか、こういう点がだめであるからこのような方向で指導していきたいというような考えがあれば、あわせて説明してください。
○天谷政府委員 セールスマンとその雇用関係が必ずしも適切にいっておらなくて、いろいろ問題を起こしておるという御指摘でございますが、この問題につきましては、基本的には労働省の問題かと存じますので、労働省当局ともよく相談をし、指導をお願いしたいと存じます。わが方としましては、訪問販売をする業者のうちの少なからざる部分が業として通産省の所管に属するかと存じますので、そういう業種の企業につきましては、行政指導等によりまして、できるだけそのセールスマンに対して不当な圧力なり負担をかけるようなことのないように注意をしていきたい、こういうふうに思っております。 それから次に、セールスマンの資質の向上のための教育でどういうことをやっておるかという御質問でございますが、セールスマンと申しましても多種多様でございまして、ほとんどあらゆる企業がその販売のためにはセールスマンを用いておるというような実情でございます。ですから、セールスマンの資質を向上するための一般的教育というようなものはほとんど行われていないというのが実情かと存じます。 〔渡辺(恒)委員長代理退席、委員長着席〕 結局、個々の業界におきましてそれぞれ自主的な努力がなされておる。たとえば前の国会でお願いいたしましたところの商品取引所法改正案のときにも御説明をいたしましたように、商品取引員が使用しておるところのセールスマンのような場合には、仕事の性質上かなり厳しい教育が行われておる。あるいは証券会社の外交員、それから生命保険の外交員というような種類の場合も、それぞれ厳しい教育が行われておるかと存じます。通産省の所管の場合でも、自動車業界とかあるいはコンピューターのように特殊な経験を要するようなところでは、それぞれ非常に力を入れてセールスマン教育が行われているかと存じます。何となれば、セールスマンの良否がその商売の成功、不成功を決定する上で非常に大きな要因になっておるわけでございますから、競争に勝ち抜くためにもりっぱなセールスマンを養成するということが基本的に重要であろうかと存じます。 各業界におきまして業界共通の倫理綱領のようなものをつくりまして、それの周知徹底を図っておるというようなところもございます。そういうわけで、各業界、それぞれの企業、おのおの競争に勝ち抜くためもございまして教育にはそれぞれ努力を傾けているかと存じますが、他方、泡沫的な企業というのは一遍か二遍いいかげんな悪徳商法をして逃げてしまうというようなものもございますが、こういうふうなものについてはちょっと教育の及ばないところでございます。
○松尾委員 業界まかせであるという答弁になるわけでありますけれども、業界がおのおのやっておっても、実態というものはやはり掌握しておくというような政府の姿勢が必要であろうと思うのであります。 次に、通信販売の問題でございますけれども、このトラブルの大半というものはやはりいいかげんな広告に原因がある、このように指摘されておるわけであります。現在の通信販売業者の実態は、いまあなたの方でどの程度掌握していらっしゃいますか。
○内田説明員 実は通信販売と申しましても、この通信販売というのは大変多種多様に行われておるわけでございまして、もっぱら通信販売だけを行っている業者というものが必ずしもいるわけではございません。いろいろな販売業者が通信販売形態も行っているというような形でございますので、大企業から中小企業に至りますまで非常に多数にわたっているだろうと思われます。実は私どもこれにつきましては統計等の公式データがございませんので、正確な実態ははっきりとらえておりません。 ただ、各種の研究を総合して考えますと、まず昭和四十九年のデータでございますけれども、通信販売が全体の小売業の売り上げの中で〇・六%を占めるというようなデータも、これは民間の研究データでございますが出ております。私ども実際にはあらゆる通信販売を合計すればこれよりもっと大きいのではないかと考えておりますけれども、残念ながら統計データがございませんので、業者数、販売額等は正確なところは不明でございます。
○松尾委員 この法律案におきまして連鎖販売取引というように定義されておるところのマルチ商法、これは巷間二百とかまたは五百社もあるというふうに言われておりますけれども、この実態を現在あなたの方でどのように把握しておられますか。
○真砂説明員 先生の御質問は、マルチ商法を行っている企業数、その実態いかんということでございます。 私ども実は、まず第一に問題になりますのは、世上俗に言われておりますマルチ商法、これは法律概念的には整理をされていない観念でございまして、実はこの実態が一体どれだけあるか、またそのマルチ商法と言われる中身をどのようなものと解してマルチ商法と言われているのか、その人その人によって従来はいろいろ範囲が違うものでございますので、この法案の定義によるマルチ商法は両社かというふうな数字は、私ども現在のところないわけでございます。 ただ、四十九年以降現在までにマルチ商法を行っているものとして、国でございますとか都道府県でございますとか、そういう公共機関の方に苦情とか相談とかあったものをずっと調べてみますと、大体四十から五十企業というようなことになっておりまして、これは俗に言うマルチ商法を行っているものとして、先ほど申しました公共機関の方に苦情なり相談があった件数のうちから、その企業を拾ったものでございます。
○松尾委員 いろいろ小さなというか、もぐり専門であるのにまたさらにもぐり専門の小さいものがあって、それはわからぬ、こういうことなんでしょう。でありますが、マルチ商法に対する現行法の運用の実態、いろいろ法律も分かれておりましょう、それをどの法律、どういうものと、このように簡単におっしゃってください。それから、実質的な規制は現行法ではできないということを明確に答えてもらいたい。
○真砂説明員 お答え申し上げます。 御質問の趣旨は、現行法においていわゆるマルチ商法をどのように取り締まっており、またその取り締まりの実情、実態はどういうものかという御質問と思います。 まず第一に、非常に悪質なマルチ商法を現行法のどの法律でどのように取り締まっているかということでございますが、実はこのマルチ商法につきましては、先生も御案内のとおり独禁法による規制が行われております。適用例は現在までのところそれほど多くはございません。 ただ、このマルチ商法そのものをめぐりまして、これはマルチ商法自体の取り締まりと言えるかどうかは別といたしまして、非常に勧誘が不当、悪性、さらにこれが非常に進みますと場合によっては刑法の詐欺とかいうような問題になる場合もございましょうし、それから優良製品だと偽って、言っているところとその物の質との差が非常に大きいというような場合は、民法上のいろいろな問題が派生をしてこようかと思います。それはそれといたしまして、現行法の手段をもっていたしましては、法に基づく取り締まりのいままでの実績というのは、先生の御案内のとおり、それほど多くはございません。
○松尾委員 この十一条の「定義」における「統括者」、これはどのような者ですか。法人のみを指すのか、または個人も含むのか、こういう点はいかがですか。
○真砂説明員 先生の御質問は、法案の第十一条第二項に言うところの「統括者」ということで、この「統括者」は何を意味するかということでございますが、この法案の第二項にもございますように、その例示といたしまして、第一は「連鎖販売業に係る商品に自己の商標を付し」、第二に「連鎖販売業に関する広告を自己の名において行い」、第三に「連鎖販売取引に関する約款を定め」、第四に「連鎖販売業を行う者の経営に関し継続的に指導を行う等」ということで、この四つは一応の例示ということで挙げておるわけでございますが、私どもといたしましては、この例示に代表されますような一連の連鎖販売業というのを実質的に企画し、そして統括する者を「統括者」と言っておりまして、個人であろうと法人であろうと、その辺は問わないわけでございます。
○松尾委員 このマルチ商法の特徴と申しますか、これは身近な人から、口から口にと口コミによって勧誘されていく場合が多いわけであります。でありますから、身近な人から言われるものでありますから内容等は深く調べない、勧める人を信用して入る、こういう例が多いわけであります。言われるままにサインもしたというのも相当あるわけであります。それで、末端と申しますか、非常にクラスの低い会員かまたは加入者、そういうところでいろいろ不実を告げる。実際でないことを告げる。自分自体が内容を深く調べないで、勧誘者を信頼して入会しておるわけでありますから、なかなか自分もわからないうちに不実を告げる、そうして勧誘していく。いろいろな例があると思うのでありますけれども、だれを罰するかという場合、とらまえる場合に、どのような標準があるのですか。おまえが悪いのだという認定、それはいかがですか。
○真砂説明員 先生の御質問は、だれをとらまえるかということが中心であろうかと思います。 この法案の連鎖販売業、連鎖販売取引に対する取り締まりの一番のキーポイントは、実は「連鎖販売業」というところで、「物品の販売の事業であって」一定の取引利益を収受し得ることをもって誘引し、また「その者と特定負担をすることを条件とするその商品の販売に係る取引」というような観点からとらえておるわけでございますが、第一点、この法が保護する客体は何かということでございます。こういう連鎖販売業につきましても、たとえば勧誘に関する規定一つをとってみましても、相手方が「店舗その他これに類似する設備によらないで販売する個人に対して」する場合、言葉をかえますと無店舗個人、逆に申しますと、店舗を持っている人であるとか法人であるとか、いわゆる商業知識、商人的色彩を非常に濃厚に帯びておる方を相手にする場合には、この十二条なり十三条の勧誘に関する取り締まりの規定は働かない、逆にそういう無店舗個人を相手にするときに勧誘の規制が働いてくるというのが客体の面でございます。 そして第二に、今度はだれを取り締まりの的にするのか、表現は若干悪うございますが、それは十二条、それから十三条もそうでございますけれども、統括者または勧誘者というものを的にするわけでございまして、いわゆる連鎖販売取引において、俗的表現を使いますと一番頂点にあり、企画立案し、そして実質的にこれを統括する本部と申しますか、そういう一番上にいる人を対象に、たとえば十二条、十三条で勧誘に際してその規制の対象にするということでございます。
○松尾委員 大分時間が少なくなりましたので、お答えを簡略にしてもらいたいのでありますが、公取関係であります。 五十年六月五日にホリデイマジック社に公取の勧告がなされておる。その後同社の状況はどうかということ、それから、五十年七月三日にはエー・ピー・オー・ジャパン社に対して公取委が立入検査を行っておるが、その後の経過はどうか、これをひとつ簡略に答えてください。
○野上政府委員 お答えいたします。 ホリデイマジック社につきましては、その後の実態につきまして現在監査を行っておりますので、その結果を待ってお答えいたしたいと思います。 それから、エー・ピー・オー・ジャパンの件でございますが、これは昨年の七月三日に審査を始めまして、八月、約一月後にこちらの独禁法に違反する疑いのあるような条文を全部改めましたので、現在これを監視しております。
○松尾委員 このエー・ピー・オー・ジャパンでありますけれども、これは自動車の関連商品を取り扱っておったわけですよね。それで、その販売商品でありますけれども、その性能をお調べになったことがあるか、その調査の結果。それから、その商品が公害対策に役に立つ、このような話で販売されておるわけでありますけれども、この品物を取りつけたことによりまして排ガス規制の上でどのようなメリットがあったか、この点をお答え願いたい。
○熊谷(善)政府委員 エー・ピー・オー・ジャパン社の排ガス浄化装置でございますが、昨年の六月に学識経験者をもって構成いたします委員会を設置いたしまして、エー・ピー・オー・ジャパン社から出されておりました従来の浄化装置の改良型というものと、それから排ガス還流方式によります新しい装置の二つの機種につきまして委員会で検討いたしました。その結果、昨年の十月に結論が出ております。 一つは、従来型のものにつきましては、その結果は炭化水素につきましては若干の低減はございますが安定性がない。またその他のNOx等につきましても余り効果がないということで、運輸省の認定の基準には達してないという結論が出ました。それに基づきまして、会社側はその製品の販売は中止をするということを申し出ておりまして、以来販売いたしておりません。 それから、もう一点の新しい装置につきましては、これはNOxにつきましての低減でございますが、これはかなりの効果はございますが、ただ、実際に車につけるために市販をするということになりますと、安全上あるいは整備上の問題もございますので、運輸省の認定を受けるべく指導をいたしましたところ、ことし一月に申請をいたしまして、この三月に認定を受けました。しかしながら、まだ実際の市販にはその他いろいろ改良を加える点があるということで、現在なお研究を続けておりまして、まだ市販はされておりません。 以上でございます。
○松尾委員 これは不当表示にならぬかという問題でございます。公害対策上ほとんど役に立たないものをやっている。これは不当表示にならぬかという問題。次は、性能が悪いですね。排ガス規制と何ら関係のないようなものである。これは詐欺行為になるのじゃないか、こう思われるのでありますけれども、この二点はいかがですか。
○後藤(英)政府委員 エー・ピー・オー・ジャパンがそれを売り出す場合に、一般消費者に対してその性能について非常にいいのだというようなことで売っておりますとすれば、これは景品表示法の問題になるかと思いますけれども、ただ、勧誘に当たりまして、つまり販売組織の中に参加する人たちに対してそういうようなことを言っておったということでございますと、これは事業者に対する不当表示の問題として、あるいは景品表示法では問題にしがたいかと思っております。
○松尾委員 はっきりしませんでしたね。このマルチ商法に対する公取の今後の取り締まり方針と申しますか、エー・ピー・オーを摘発する、参加のあった組織が細分化して独立していく、それで何かまたもぐりながら、わからないようなことをやりながら実際の活動は活発化しておる、こういうことがわかっておるわけであります。ますますこのように巧妙化し、多様化していくマルチ商法の実態、これは現行独禁法の運用はどこまで期待ができるのかという問題が一つと、それから、公取としてはこのマルチ商法企業に対してどのような態度で臨むか。やはりたびたび手を入れて、そうしてお手数をかけて、本当にこれではもう困ったというぐらい彼らの実態にメスを入れていきませんと、簡単に調べてどうだこうだとかいう日にちだけ要しまして、いたずらに日にちだけ延びている。商売をやっておるとか、またほかの方法でやるとか、しょっちゅう公取はごまかされて逃げられるわけでありますから、ぱっとつかまえて、まいったと言わせなくちゃいかぬと思う。 これは本当に会員の方もメリットはありませんし、消費者の方もメリットがない。そのようなものがのさばっているのに対しては、公取も警察も通産省も一緒になって根こそぎ押さえ込んでしまうというぐらいにやりませんと、これはのさばるわけであります。やり方が非常に手ぬるい。ですから、マルチ商法というものに対する見通し、もうこれはだめなんだ、国民のために少しもプラスにならぬのだ、これをどうして防ぐかといえば、もう少し公取にたびたびお手数をかけさせる、どんどん摘発する、それが消費者の利益につながるし、悪い商法がはびこっていかない、こうなるのでありますけれども、公取の決意と、また通産省の決意をはっきりと示してもらわないと、このような改正案では不備な点がいっぱいある、納得できないと思いますので、これはきちんとしたお答えをお願いしたいと思うのであります。
○野上政府委員 お答えいたします。 エー・ピー・オー・ジャパンにつきましては、代理店と申しますか、販売会社の方にそういう違反の疑いがあると聞いておりますので、引き続き調査を行いたいと思います。それからまた、今後こういう問題の申告があれば、積極的に取り組んでいきたい、こう思っております。
○熊谷(善)政府委員 商品自体の性能、それからまた性能の効果、そういったものにつきまして私ども実態把握を今後とも続け、必要な指導をしてまいりたいと考えております。
○天谷政府委員 独禁法、それから景表法等は、こういうマルチ商法というようなものが世の中にあらわれる前にできた法律でございますので、このマルチ商法を取り締まるのに必ずしもぴったりでき上がってくるわけではないのでございます。それで公正取引委員会当局もいろいろ努力をされましてもなかなか及ばないところが出てくる。そういうわけで新しい法律をつくりまして御審議をお願いしておる次第でございます。 それで、マルチ商法のやはり最大の問題点は、第一番目に特定負担の額が非常に大きいという場合に大きな問題になるだろうと思います。特定負担の額が小さい場合には、それほど大きな反社会的な問題は生じまいというふうに思います。次が、不適当な勧誘方法によりまして特定利益に過大な期待を抱かせる。ですから、うんともうかるような過大期待を抱いて、そうして多額の金品を特定負担として出してしまうというところに大きな問題が生じてくる。 そこで、こういうような問題を起こす人たちはだれであろうかといいますと、大体が素人でございまして、店舗を持っておるような商売人はなかなかこういうことにはひっかからない。家庭の主婦とか学生とか、無店舗個人が大体こういうことに引きずり込まれて過大な期待を抱き、過大な特定負担をしてしまう、こういうことになるのがマルチ商法の一番ポイントであるというふうに思いますので、今回の法律におきましては、この特定負担、特定利益、それから無店舗個人、こういうようなところをつぼとして押さえ込んで、今後有効な取り締まりをやっていきたい。 もちろんこの取り締まりに当たりましては通産省だけでやれることではございませんで、いろいろ主務官庁もございますし、それから特に十二条関係の取り締まりについては警察の御努力をお願いしなければいけませんわけですし、また独禁法、それから景表法等の運用については公取のお力が必要なわけでございますし、関係各省庁が協力をして有効な適切な取り締まりをしていきたいと考えておる次第であります。
○稻村委員長 宮田早苗君。
○宮田委員 今国会に提案されました訪問販売等に関する法律案は、各種の特殊販売が多くの消費者に被害を与えており、また商道徳自体が社会的にも批判の対象となっていること等からも、一日も早く立法化しなければならない法律と思います。中でも、商品販売が従で会員護得が主ともいうべきマルチ商法は、消費者にとりまして百害あって一利なし、こう思います。 私が本委員会でこの問題を最初に取り上げましたのが、四十八年の七月でございます。そのときの政府答弁は、実態調査の結果を踏まえて、必要とあらば法規制をしたい、こういうことでございました。それから約三年、この間に数々の悲劇、中には悪徳商法で笑いのとまらぬ業者もあったのでございましょうが、とにかく社会的にも規制の必要ありとのコンセンサスが形成されたと理解をしていいと思うのであります。 以上のような観点から言いますと、私は、本法をむしろマルチ商法等不当勧誘防止法という法律にして、会員獲得商法を規制する方が筋が通るのではないかとすら思うのでございます。そういう前提に立ちまして質問をするわけでございますが、何しろ前の諸先生の質問がございましたので重複をすると思いますが、その際は簡単にお答えしていただいて結構でございます。 まず、マルチ商法から入りますが、先ほど申し上げましたように、本法の提案までに非常に時間がかかりすぎた。先週、私のところに電話で、洗剤等を扱っておるベストラインとかいう会社の組織に入りたい、三回講習を受けたが、次は契約で六十万円用意しなければならない、国会で法律が成立したらマルチはどうなるのか、こういう話が舞い込んできたわけであります。この会社を調べてみますと、規制の強化されたアメリカから逃げ出した、香港に本社を置く会社ということでございます。国内でも手広くやっておりますが、加盟金、契約金の返還争議が表ざたになっておりますように、やはり立法化を急ぐべきだったと思うわけでありますが、諸外国に比べて立法化がここまでおくれた理由についてまず御説明を願いたいと思います。
○天谷政府委員 立法化が御指摘のようにおくれたわけでございますが、おくれたことによって被害者の数がふえたであろうということにつきましては、深く反省をいたしておるところでございます。もっと短時間にできたのではないか。われわれもできるだけ早くこの法律案をつくりたかったわけでございますけれども、先ほども申し上げましたような三つぐらいの理由がありまして、法律案の提出がおくれたわけでございます。 理由の第一は、法的規制をする以上は明確に対象を把握する必要がある、この対象を法的に正確に表現する必要があるということでございますが、ところが御承知のようにマルチ商法組織なるものはナマコかキノコ雲みたいなぐあいになっておりまして、なかなおこれを把握することが困難でございます。下手な把握をしますと、かえって脱法行為を助長するというようなことに陥りますので、そこのところの法的技術に非常に苦心をいたした次第であります。 それから第二番目には、マルチの規制ということになりますと商法、民法等の例外法をつくるということになりますので、これは特に慎重にしなければならないことかと存じます。そのために審議会を開くとか、あるいは法務省、法制局等々とのすり合わせにかなり時間がかかったということでございます。 第三番目には、独禁法が現存する規制法としてあったわけてございますから、その独禁法でどこまででき、どこまでできないのか。二重規制になっては法的におかしいわけでありますから、二重規制を避けて、どこまでが二重規制にならずにやれるのかやれないのか、その辺を明らかにする必要がありまして今日に至った次第でございます。
○宮田委員 いま私が問題にしております会社は、もともとアメリカに持っていたわけでございますが、アメリカの規制がございますので、香港に会社を置いて日本に上陸をした。アメリカを逃げ出さざるを得なかったということは、アメリカが持っております規制の方法が非常に厳しいというふうにとられるわけでございますが、一体アメリカはどの程度の規制をしておるか、もしお調べになっておりましたらお知らせを願いたい。 もう一つ関連して御質問いたしますのは、他の国でこの種の規制というのは相当あるのじゃないかというふうに思っております。そういうところがございましたら、ひとつおっしゃっていただきたい。 また、アメリカにたまたまこういう会社が存在をしてこちらの方にかわってきたわけでありますけれども、アメリカ以外で規制をされて逃げ出さなければならぬという会社、それが日本に上陸をしておるようなところがございましたら、ひとつおっしゃっていただきたいと思います。
○真砂説明員 お答え申し上げます。 諸外国における立法例ということでございますが、まず最初に先生の方から御指摘のございました、米国におけるマルチ商法に関する規制はどうかということでございます。実は米国におきましては、連邦法によるマルチそのものの規制法というのはまだできておりません。ただ、複数の州において、たとえばカリフォニアでございますとかマサチューセッツでございますとか、幾多の州においていろんな形においてこのマルチ商法に対する規制の法律と申しますか、条例と申しますか、そういうものをつくっております。 それから、米国以外におけるマルチ商法そのものの規制でございますが、まず第一点はイギリスでございます。イギリスは七三年に公正取引法にピラミッド式販売機構を規制する章を追加いたしまして、マルチ商法そのものを規制いたしておるわけでございます。 フランスにおきましても、雪だるま式販売方法を禁止する法律というのがつくられております。 それからカナダにおきましては、連邦法が最近できたということは在東京大使館から聞いておりますが、その法律の内容それ自体は、送ってもらうように依頼をしておりますが、まだ到着はいたしておりません。 それからアジアにおきましては、シンガポールがマルチ販売禁止法といった法律をつくっております。 それから、三番目に先生の御指摘がございました、実はこういう外資系のマルチ商法の企業でございますけれども、こういうようなマルチの規制法ができますとその国から逃げ出してよその国に移っていくというのがいままでの姿でございます。
○宮田委員 公正取引委員会でお伺いいたしましたところ、私がいま申し上げましたベストライン社等に対して行政指導をしているということでございますが、主としてどういう指導をなさっておられるか、お聞きをいたします。
○後藤(英)政府委員 ベストライン社につきましては、被害者の方からの申告と申しますか、御相談がありましたので、それについて内容をいろいろ聞きまして問題点を検討したわけでございますけれども、これは独禁法ではその前にホリディマジックについて、独禁法違反、つまり不公正な取引方法を用いているということで排除命令を出したわけでございますが、このベストライン社のとっている組織と申しますのは、これはホリディマジックのような、ずばりリクルート料を取っているとかあるいは報奨金を取っているとか、つまり独禁法で取り上げることのできる正常な商慣習に照らしても不当な利益の供与だとずばり見られるような形をとっておりませんので、直ちに違反としてこれを立入検査等で調べるということはいたしませんで、実情を聞きながらその問題点を指摘したわけでございます。 そういたしますと、このベストライン社のとっておりますディストリビューター組織と申しますのは、これはマネジャー、特約店、小売店、こういう三つのランクの組織をとっておりますけれども、実際にはこの小売店というディストリビューターはございませんで、マネジャー、特約店という形で機構ができておりました。その際に問題だと思われましたのは、このマネジャーとなれば与えられるとされております利益の中に、加入に当たりましてその特約店がそのマネジャーから、小売価格にいたしまして六十万円ぐらい、その仕入れ価格に対して約四十二万円相当の商品を購入するとされていることから生じますマージン分一五%というものが、これはやはり事実上紹介料的なものじゃないか、つまりリクルート料と見るべきものではなかろうかというふうに問題としたことが一つ。 それからもう一つ。その配下の特約店がマネジャーに昇格いたします際に、その昇格いたしましたマネジャーの売上高の二%相当額が自分が所属しておったマネジャーに与えられる、つまり不労所得としてこれが与えられるというような形になっておりまして、これもやはりリクルート料的なものと見るべきではなかろうか。 ずばりホリディマジックのような形をとっておりませんけれども、これらの点はやはり正常な商慣習に照らして不当な利益でもって会員になるように勧誘しているおそれがあるということで問題にいたしまして、これらの点を、ベストライン社についてこういう点はやはり問題だというふうなことを指導したわけでございます。これは法律違反となりますといろいろむずかしい問題がございますけれども、指導ということでございますので、かなり厳しくその点を指導したわけでございます。ベストライン社は、その指導された点について自主的に直したいということをもって現在その直した内容を持ってきておりますので、それでいいかどうかというような点を監視しているというところでございます。
○宮田委員 指導はなるほど法律がないわけですから当然と思いますが、ところが、私のところに相談に来た人から聞いてみますと、二、三度うまい話を聞かせて、契約の段階まで来ますと、契約日の前日までに内金を入金させる方法が公然ととられておるそうです。商売は連絡して行われるわけでございますが、ちゃんとしたものができるまでの間に被害者予備軍というものがつくられておる、これが実態じゃないかと思いますけれども、そういう問題についてはどういうふうに思っておいでになりますか。
○後藤(英)政府委員 行政指導として、先方の申し出を中心にして、それに基づいてこちらの方としてはできるだけその問題点を厳しく判断しながらやっておったわけでございますので、具体的に公取の方から立入検査等をして調べたわけでございませんので、実際にどのようなことが行われておったかということについてのつかみはまだ十分ではございませんけれども、現在は一応契約面におけるそういう問題点を厳しく指導して直してまいって、それが実際にどのような形でもって守られていくかというようなことを今後見守っていきたい。そのためには、勧誘を受けた方なんかの、いま先生の御指摘のようなそういう問題がございますれば、どんどんそういう実情を教えていただければ、そういうところもあわせて指導の対象にしてまいりたい、そう思っております。
○宮田委員 この法律ができますと思い切って調査ができる、そうして不当なことをやめさせることができると思いますが、その点はどうですか。
○後藤(英)政府委員 独占禁止法では、先ほども申しましたように、正常な商慣習に照らして不当な利益を供与しているとかいうようなことが具体的にある程度はっきりいたしました場合には、立ち入りということができますけれども、おのずからやはりそこには、独禁法の運用でもってマルチ商法の弊害全部を除去するというようなことはむずかしかろうと思っております。特に問題になります、会員を募集する際にこういう仕組みになっているからこんなに簡単にもうかるのですよといったような過大な見込み利益を宣伝したり表示したりするようなこととか、あるいは集団催眠商法とかいうようなことなども、これがマルチ商法を栄えさせる非常に有力な手段になっておりますけれども、これらの点につきましては、独禁法では、あるいは景表法等を使いましても、むずかしい限界がございます。 そういう意味におきまして、今度この法案ができまして、クーリングオフ期間とか、それから十二条で不実の表示を刑罰の対象にするとか、そういうようなことができまして、消費者の不利益を未然に防ぐような法規制の体制ができ、独禁法の運用と相まちますれば、こういうマルチ商法の規制についてはやはり相当に役立つのではなかろうか、私どもの方もそういう面において非常にやりやすくなるというふうに考えております。
○宮田委員 第十六条でクーリングオフを七日間としておるわけでありますが、この商法は組織形態、システムが複雑でございまして、新規に加盟しようとする者がその現実の姿を知るためには七日間では短かすぎるのではないか、被害の例を見ましても、講習会あるいは。パーティーで催眠術にかけられているわけですから、延長するという考え方がないかどうか、その点をお聞きします。
○天谷政府委員 七日間が果たして最も適切な期間であるかどうか、これについてはいろいろな議論がありまして、一義的にこうだと決めることはなかなかむずかしいだろうと思っております。しかし、われわれとしましてはいろいろ考えた結果、七日間程度が最もバランスのとれた期間であるというふうに考えております。 バランスのとれたと申しますのは、この期間が短ければ短いほど、契約した人にとって思い直す期間が短くなるわけですから、不利に働くわけでございます。他方、長ければ長いほどいいかと言いますと、余り長くいたしますとこれは加盟者、マルチ取引関係者の利害関係が錯綜いたしまして、収拾がつかない状態になるだろうというふうに思われるわけであります。もともとマルチ商法を禁止してしまうという法律の立て方をとっておれば話は別でございますけれども、この法律のたてまえにおきましては、マルチを全面的に禁止するという考え方はとっておらなくて、一応その存在を認めておるわけであります。といたしますと、その法的安定性というものもある程度は考えてやらなければ法的に問題が多かろう、そういたしますと余り長く決めるわけにもいかない。イギリスの法制等を参考にいたしますと、七日ということになっております。 それから、訪問販売の場合は四日になっておるわけでございますが、法的にやや三百代言的理屈になり過ぎるかもしれませんが、訪問販売、通信販売の場合には消費者相手である、その場合に一般消費者が与えられるクーリングオフは四日である、ところがマルチの場合には純粋の消費者ではなくて、商法的には商人に当たる人に消費者の四日よりも長い七日を与えておるわけですから、これはかなりの期間を与えていることになるではないか、その辺のバランスも考える必要があるのではないか。 それからまた、私の方でやりました調査によりますと、どの程度の信憑性があるかわかりませんが、一応一週間ぐらいの間で三、四割の人が思い直しをやっているというようなデータもございます。それからさらに、ある数量以上の商品引き取りを義務としているような契約に関しましては、クーリングオフの起算点を商品搬入の日からというようなことにもしておるわけでございます。それから、この法律を施行いたしますと、その段階では契約者にいろいろな情報が与えられる仕組みになっておりますから、この法律施行以前の段階と比べますと判断の材料もずいぶんそろってきておる。 あれやこれや考えますと、七日程度でいいのではないかとわれわれは考えておる次第でございます。ただ、これが絶対で、これ以外にないというようなものでもありませんが、七日ぐらいが相当だという考え方でございます。
○宮田委員 法律によって契約内容を明確に、そしてクーリングオフ期間中は解約に応じよ、こうなりますと、期間を過ぎれば文句は言えなくなるのじゃないか。契約金や訪問販売の際の品物の返還がむずかしくなって、悪徳業者がマージン等を差し引くことを正当化することになる、こういうふうに思えるわけですが、この点、運用面でカバーできる方法がありますれば、ひとつ御説明願いたいと思います。
○天谷政府委員 申すまでもないことですが、このクーリングの規定は、契約者に対して特権を認めておるわけでございます。したがいまして、クーリングオフの期間が経過した後はどういうことになるかといえば、今度は従来どおりの一般法の適用になるというだけのことでございまして、したがいまして、クーリングオフの期間が消えてしまいますと、今度は逆に消費者が不利になって何も言えなくなるかというと、そういうことはございませんので、一般法上の権利はそのまま行使できるわけでございます。
○宮田委員 それでは、訪問販売、通信販売について質問をいたしますが、指定商品を政令で定めることになっておりますが、特に最近の通信販売の新聞広告あるいは折り込み広告を見ると、デパートやスーパーに陳列しております商品の大半と言っても過言でないくらい多いのが実態であると思います。消費者保護の立場から、指定商品の指定範囲を広くすることが必要かと思うのでありますが、この点はいかがでございますか。
○内田説明員 お答え申し上げます。 今回の法案におきまして、訪問販売、通信販売について指定商品制をとるということで、指定商品の要件といたしましては、日常生活の用に供する物品で、かつ定型的な条件で販売するのに適するものの中から指定するということになっておるわけでございますが、通常消費者が余り購入することのないような商品、それから特別の注文品、こういうものは余り定型的な条件で販売するということにはならないかと思いますけれども、そういったもの以外は、現在訪問販売、通信販売で行われております現実の商品を広く当たりまして、できるだけ遺漏のないように、幅広く指定していく方針でございます。この指定も、重要なものが指定漏れになるといったようなことのないように、取引の実態、消費者の要望等を広く聞きまして、できる限り広く指定してまいりたいというふうに考えております。
○宮田委員 最近の不況で、訪問販売によります販売合戦が激化をしております。セールスマンの強引な販売がそのために非常に目立っておるわけですが、第三条で販売業者の氏名等の明示義務を課しておりますが、方法については特に規定がないわけであります。化粧品業界等では、家庭の主婦が短期間の講習を受けて販売員になるケースが多いわけでございまして、雇用関係も明確さを欠く点がある、こういうふうに思います。販売員に対して、あるいは販売会社に対しまして、本規定の趣旨をいかに周知徹底をさせるか、この点についてお聞きをいたします。
○内田説明員 お答え申し上げます。 訪問販売は、先生御指摘のように、大企業も含めまして最近非常に多く利用しているようでございます。訪問販売を行っております企業と申しましても非常に多くの企業があるわけでございますけれども、たとえば化粧品あるいは衛生器具といったような特定の業界につきましては、訪問販売を専業としている業者がその専門の業界団体をつくっております。そのほか各種の業界団体の中で、やはり訪問販売につきましての部会のようなものをつくって、訪問販売の問題を検討しておる業界も多々ございます。こういったようなところを通じまして、この法律を十分生かしていくように、各企業がこの法律の趣旨に立ちながら、さらにこの法律以上に消費者保護のために大いにいろいろ適正な販売方法を進めていくということを指導してまいりたいというふうに考えております。
○宮田委員 訪問販売、通信販売、連鎖販売は大体どのくらいあるかということをさきの質問で答弁されたわけでございますが、なかなか掌握がしにくいということでございました。ところが、この法律ができますと、ある程度の掌握というものができるのじゃないかというふうに思うわけでございます。したがって、販売員のいわゆる雇用関係というものもおのずから明確になってくるのではないかと思うわけでございますが、まずその点、どうですか。
○天谷政府委員 この法律を施行いたしますれば、従前と比べてはるかに実態把握がやりやすくなるというふうには考えますけれども、ただ、たとえば商品取引所法であるとかあるいは証券取引法の場合におきましては、セールスマンの資格等きわめて厳格に定めておるわけでございます。そういう場合と比べますれば、実態の調査といいましても、はるかに薄い調査ということになろうかと存じます。あるいは雇用関係等につきましても、そういう場合にはきわめて厳密に定めてありますけれども、一般の訪問販売、通信販売等の場合におきまして、それほど厳密に定める法益というものもないのではなかろうか。したがいまして、われわれとしては、できるだけ実態は把握し、適正な商法が行われるように指導していきたいとは思っておりますけれども、しかし、届け出制とかそういうものをとっているわけではございませんので、すみからすみまでわかるというようなことにはならないと思います。
○宮田委員 最後に、要望をしておきますが、この種の法律ができましても、運用いかんによっては消費者保護になる、ならぬということになると思いますので、十分に運用を小まめにやっていただきたい。特に最後に私が申し上げました企業に対する指導、それから従業員、特に販売員に対する指導というのがこの種の関係については非常にむずかしいと思います。むずかしいから、結果として案外に問題を起こす数も多いわけでございますので、こういう関係について、特に消費者が困らないように、消費者保護になりますように、ひとつ特段の御留意をしていただきたい、このことを申し述べて、私の質問を終わります。
○稻村委員長 これより参考人からの意見聴取及び参考人に対する質疑を行います。 本日は、参考人として、日本消費者連盟代表委員竹内直一君、悪徳商法被害者対策委員会会長堺次夫君、東京大学法学部教授竹内昭夫君、以上三名の方々に御出席を願っておりますが、竹内昭夫参考人は、所用のため、午後五時すぎに出席の予定となっております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。 参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。 本委員会におきましては、目下、訪問販売等に関する法律案について審査を行っておりますが、参考人各位におかれましては、本法案についてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。 なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十分以内に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。 念のために申しますが、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。 まず、竹内直一参考人にお願いいたします。
○竹内(直)参考人 日本消費者連盟の竹内でございます。 訪問販売等に関する法律案につきまして、私は条件つき賛成という立場から意見を述べさせていただきます。 条件つき賛成と申します意味は、いままで野放しになっていたこれらの商取引によって、ずいぶん消費者は被害を受けたわけなんですけれども、第一に、これはもう前々から問題になっていたわけなんですが、法案が出るのが遅きに失したではないか。その間に被害がずいぶん広がってきている。この点についていまさらとやかく申してもせんないことなんですけれども、われわれ消費者の側からすれば、はなはだ遺憾に存ずる次第でございます。 そこで、この法案の内容について私たちが感じることは、まあ一歩前進であるという提案者側の御意見でありましょうけれど、私たちの立場からすればまだまだ不十分な点があるという意味において、その不十分な点をぜひ審議の過程で修正をしていただいて、私たちの権利が十分に保護されるような形で法案を成立させていただきたいということを希望したいわけなんです。 第一番目に、訪問販売についてでございますが、訪問販売について契約ができたときには一定の書面を渡せということになっているわけなんですけれども、私たちが問題にしたいことは、消費者がこの商品を買うか買わないかという判断をする段階で、従来えてしてこの訪問販売というのは、詐欺的に適当なことを言って消費者をだます、そして契約をするように仕向けていくという商法がとられているということです。 そこで、商品の中には真っ当な商品もありましょうけれども、インチキな商品も当然ございますし、それから不当な値段でこれは非常に便利な商品だと言って売りつけるというわけなんですけれども、いままでの被害の実態を見ておりますと、セールスマンが戸口へやってきていろいろ言います。当然売り込むためには言わなくてはいけないわけなんですけれども、その際に、言うなれば詐欺的な販売行為が多いということですね。それがなぜまかり通っているかと申しますと、口で言うことだから後で証拠が残らないということです。ですから、どういうことを言っても自由自在だと言わぬばかりにでたらめを平気で言います。 たとえば消火器の訪問販売につきましても、消防署からやってまいりました、そして、今回これを各戸に置くことを義務づけられましたと言って、消防署の人が着るのと同じような服装でやってまいると、もうみんなこれは買わなくてはいけないと思って買ってしまう。あるいは化粧品につきましても、ちょいと奥様、おはだを見さしてくださいと、何か万年筆のような変な機械を取り出して顔に当てて、あなたは物すごい荒れ性ですね、いまどういう化粧品をお使いですか、これこれですと言うと、そういうものを使っているからこういうことになるのです、ぜひこれをと言って、ワンセット数万円もするものを売りつける。そういうような詐欺的な商法がずいぶん多いわけですけれども、これに対する予防措置がこの法案ではなされていない。 第三条では、「訪問販売をしようとするときは、その相手方に対し、販売業者の氏名又は名称及び商品の種類を明らかにしなければならない。」とございます。明らかにするということは、これこれの商品を売りに参りましたと言えば、この第三条では済んでしまうということですね。しかも、さっき申しましたように、口頭で言えばよろしいということならば、幾らでたらめを言ったって証拠が残らない、罪にはならないというわけで、平気で言う。したがいまして、訪問販売についても、マルチ商法について規定があるように、不当勧誘を規制をするという条項をぜひ入れていただきたい。不当勧誘を禁止をして、その禁止に背いて不当勧誘をやった場合には罰則をかける、あるいは行政措置でその勧誘の停止とかあるいは取引の停止ができるようにする。マルチ商法と訪問販売とをこういうような点で区別をする理由はないと思います。 なるほどマルチ商法の方が被害が大きいし、悪質であるとは言えますけれども、しかし、仮に額は小さくても、訪問販売によって絶えず消費者は脅かされている。そういうことを根絶するためにも、厳しい予防的な措置がとられる必要があると思うのです。どうしてこの点が抜けているのか、私は理解に苦しむところでございます。ぜひこれは契約をする前の段階でこういうインチキが行われない手当てをしていただきたい。通産省のお話によれば、それは詐欺で取り締まればいいではないかという答えでしたけれども、詐欺の構成要件というのは非常に厳密でして、警察へ持っていってもこれは大概取り上げてくれないのです。めんどうだと言って取り上げてくれません。せっかくこの法律ができるのですから、ぜひ訪問販売について不当勧誘を禁止し、それを犯した場合に厳しい罰則をつける措置をしていただきたいというのが第一点です。 それから第二点は、第六条にこの法律の適用から外す商品についての規定がございますけれども、第六条では、相当の期間にわたって取引の交渉が行われる商品は政令で外すとなっております。この中に、割賦販売法で外されたと同じように自動車が想定されていると聞いておりますけれども、なぜ自動車を除外しなくてはいけないのか、これまた了解に苦しむところです。 通産省のお話では、なるほどかなりの時間をかけて取引条件その他について折衝が行われるから消費者はだまされることはないというお話なんですけれども、たとえば中古車を買う場合にそのようなことがあるでしょうかということですね。新車を買う場合は、色はこれこれだ、内部の装置はこれこれだ、それからローンについてこういう条件だ、いろいろ折衝が行われることは認めますけれども、たとえば中古車の場合にそういう念入りな折衝が行われるでしょうか。その点について、自動車だけを外すというのは不公平ではないかと思うのです。 それから第三点は、いわゆるクーリングオフの規定なんですけれども、これは四日になっております。この点は、割賦販売法のクーリングオフの期間が四日になっておるからそれに合わせたという通産省の御説明でありました。ですけれども、私は割賦販売法案がかかったときにも申したわけですが、最小限度せめて八日ぐらいはクーリングオフの期間を設けるべきではないかというように考えます。 それから次は、連鎖販売取引についてなんですけれども、これについてはかなり厳しい規定が設けられているので、余り申すことはございませんが、問題は具体的な運用で、これが法律が目指したとおりにできるのかどうかという点を危惧するものです。といいますのは、これは主務大臣がやるということになっております。通産省の所管については通産局がおやりになるのかと思いますけれども、たとえば被害者が全国的にまたがっている場合に、通産局の職員だけで果たしてこれができるのかどうか。たとえば都道府県知事に一部権限を移譲するとかいうような措置が講ぜられないものだろうかということを考えるわけです。大体、こういった取引関係の法律はすべて本省が所管をするというしきたりになっているようですけれども、そのことのためにこの法の運用が手薄になるということになっては困るという意味において、この点もぜひ考慮していただきたいと考えます。 あと、申し上げたいこともまだございますけれども、最後にもう一つ申し上げたいことは、セールスマンと会社との関係です。いままで、セールスマンが適当なことを言っても、会社としてはそういうようなことを言えという指導はしていませんと言って、損害賠償や何かを請求したときに逃げているケースがございました。この点については、セールスマンの言ったこと、やったことはすべて会社が責任を持ちますということを書面においてはっきりと明示をしておいていただきたい。これがありませんと消費者は泣き寝入りになってしまう。その点を最後につけ加えまして、陳述を終わらしていただきます。
○稻村委員長 次に、堺参考人にお願いいたします。
○堺参考人 私は、悪徳商法被害者対策委員会会長の堺と申します。 私は、いわゆるマルチ商法と呼ばれております。この法案の中では連鎖販売取引、この撲滅運動と、それから被害者の救済指導を三年間展開してきております。その立場から、私は第三章の連鎖販売取引の面についてのみここで意見を述べたいと思います。訪問販売、通信販売等につきましても、多少私どもの目から見ましても不満点はあるのでございますが、先ほど消費者運動の専門家でいらっしゃる竹内先生の方から御発言がございましたので、私は、マルチ商法を取り締まろうとする連鎖販売取引の項について発言いたします。 このマルチ商法が社会問題化してすでに三年経過しております。日本にわたってきて七、八年でございます。いまや被害者は百万人から二百万人と言われております。その実数、実態は、主務官庁である通商産業省でもあるいは公正取引委員会でも掌握し切っておりません。私どもでもつかんでおりません。これはマルチ商法の特異性によるわけですが、このマルチ商法が今回一応、いままで野放し状態にあった中で一つの網がかぶせられるということは、大変喜ばしいことだと思います。しかし、被害者の立場から見ますと、この法案の内容ではいささか不十分でございます。 それは、まずこの法案そのものが、昭和四十九年十二月の産業構造審議会の答申案を土台につくられたものというように解釈できますけれども、クーリングオフを過ぎた後についても契約解除ができるという規定をつけるべきだというように産構審の答申では書いてございましたが、今回この法案の中においてはそれが削除されております。 マルチ商法の被害者が目が覚めるまでに、相当時間を要します。一種の催眠状態の中で契約をする、その後も一向に覚めない、ひどいのでは一生涯覚めないという人も出てくるこの催眠状態、これは大変恐ろしいものでございます。ほとんどの方が、自分は絶対もうかる、損というものは絶対ないと思って入るわけです。それが、ちょっとおかしいのじゃなかろうかと思うまでに、私どものアンケートで統計をとってみますと、平均して三カ月かかっております。大体早い人で一カ月、長い人で、先ほど申しましたように一生覚めない人もいる。六カ月の人もございます。そうしますと、平均して三カ月、やはり三カ月間はクーリングオフを過ぎても契約解除ができるようにすべきである、このように考えます。 クーリングオフは、この法案の中では七日間でございますが、この七日間につきましても、昭和四十九年、一昨年でございますが、社会問題化しましたホリデイマジックは、実は七十二時間の、すなわち三日間でございますが、クーリングオフを設置していたのでございます。設置していたにかかわらず、ホリデイマジックでは約十万人の被害者が出ております。昨年問題化いたしまして公正取引委員会が摘発いたしましたエー・ピー・オー・ジャパン、これは四日間のクーリングオフを設定しております。しかし、これにもかかわらず、このエー・ピー・オー・ジャパンでは三十万人の被害者が出ているわけでございます。そうしますと、この三日、四日がたかだか一週間になったところで、余り大して差がないということになります。 そういうことで、このクーリングオフとクーリングオフ後の契約解除については、私どもは再三請願、陳情を繰り返しておりまして、やはり全体から見た場合、クーリングオフについては最低一カ月、クーリングオフ後の契約解除については一年間、出資額の九割ぐらいまでは会社側に対して払わせる、取り戻すことができるようにすべきであるというように私ども述べております。 それから、マルチ商法というものはいまだもって主務官庁でもその実数、実態をつかんでないということは、これは大変な行政の怠慢さを指摘されてしかるべきだと私は思います。いままた大変にマルチ商法の巧妙化が進んでおりまして、現在、マルチ商法の企業は、自分のところはマルチ商法であるということを述べておりません。ダイレクト・セールスだとか、あるいはフランチャイズ・ダイレクト・セールスだとか、あるいは完全なフランチャイズであるとか言って逃げております。今後これがますます巧妙化することはもう必至でありまして、そうしますと、せっかく主務大臣の立入調査権あるいは営業停止命令権を設定しても、これはまた後手後手に、社会問題化してから動くということになりかねないおそれがあるわけです。これはやはり主務官庁としても、最初の時点でマルチ商法の企業の実態といいますか、その書類あるいはカタログなり、そのような資料をとっておくべきじゃないか、そうしますと有事即応で動けることになります。 それが私ども大きく見まして言えることでございますが、むろんこの刑事罰の導入が入ったということは大変評価できます。刑の大小はともあれ、全国二十万の警察機構がこれによります監視、摘発体制が整うということは大変喜ばしいことでございまして、これは今後の運用次第にかかってくると考えております。 個々の条文につきましては、たとえば十二条につきまして、うそを言っちゃいかぬ、あるいは事実を隠してはいけないという条項に違反した場合刑事罰がかかるということになっておりますが、これらを一つとってみましても、たとえばマルチ商法というのは別にうそを言っているわけではないのです。うそを言ってないところもあるのです。しきりに、もし、仮定を使います。たとえば「もし私が一週間に二人の販売員をつくったとするでしょう、一年間は五十二週ありますね」この五十二週、これは正確な数字です。「夏休みと冬休み休んでいただきますと、一年間五十週残ります」これも正確な数字です。それで「一年間で百人になりますね」一週間に二人ずつできれば、むろん百人になります。「そのうち、一人がもし十万円売り上げがあったとするでしょう」ここに仮定が入ります。「そうすると、売り上げは一千万円になりますね」この数字は正確です。このようにマルチ商法では、入ろうとする人に誤解を生じせしめるような勧誘を使う。それがこの十二条では取り締まることができないように解釈できるのです。 そのような個別の条文につきましていろいろあるのでございますが、ともあれ、主務官庁なり、あるいは公正取引委員会なり、あるいは警察庁がこの法案をいかに運用していくかにかかってくると思います。いままたこの不況、インフレを背景に被害者が激増しております。被害者が、自分はマルチ商法にひっかかったんだという意識を持っていないまま泣き寝入りをしているのが現状でございます。 〔委員長退席、安田委員長代理着席〕 このことを主務官庁並びに警察庁あるいは関係官庁よくよく御留意の上、徹底的に取り締まっていただきたいと思っております。この施行は成立後半年以内ということになっておりますが、この半年間にまだまだ被害者が出ることが想像されます。半年と言わず、私はあすからでも実施してもらいたいと思っております。 以上でございます。
○安田委員長代理 以上で両参考人の意見の開陳は終わりました。 —————————————
○安田委員長代理 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。質疑の際は、まず参考人の氏名をお示し願います。佐野進君。
○佐野(進)委員 参考人には、お忙しいところ委員会に出席をしていただき、意見を開陳していただきまして、ありがとうございます。 私ども、訪問販売等に関する法律案につきましては、かねてこの必要性を認めまして、政府関係当局に対して、速やかに成案をもって提出するようにという要求を続けてまいりました。幸い今国会に提案され、審議をいたすことになりましたことを、私どもとしても大変喜んでおるわけであります。しかし、同時に、この法案が結果的に妥協の産物という形になり、参考人がお述べになりましたようにきわめて不十分な内容であるということに対して、私どもも同じように不満の気持ちを持って法案の審議に当たっておるわけであります。したがいまして、同じような立場に立ってなおこれから審議を続けるわけでございますので、実際にそれら諸問題を取り扱っておる立場に参考人の方々はお立ちになっておられる、こういうことで質問をしてみたいと思います。 まず第一に、竹内参考人にお尋ねをいたしたいと思うわけでありますが、竹内参考人は、不満である、その不満であることは不十分であるからだ、こういうように言われておるわけでございまして、その不十分の内容もそれぞれ具体的な例をお引きになってお話しになっておられます。私どもそれぞれの点については全く同感であります。特にこの法律全体を見まして不満だと感じますことは、訪問販売の面におきましては、第四条に「訪問販売における書面の交付」ということで一、二、三、四とそれぞれの条件が書かれておるわけでございますが、この中で、商品の性能または品質に関することが何ら明記されていない。品物はどうでも構わない、ただ価格であるとか、代金の支払いの時期及び方法であるとか、商品の引き渡しというようなことが明らかにされている程度では、購入する消費者においてはその内容を的確に判断することはできないのじゃないか、こういう点で、これだけは何としても明らかにする必要があるということを強硬に主張いたしておる立場に立つものでありますが、この点についてはお触れになっておられませんでしたので、参考人はどういうようにお考えになっておられるか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○竹内(直)参考人 私が先ほど申しました趣旨は、契約をする前の段階で商品の性能、品質といったものが十分に消費者に知らされる必要があるという意味で、これはもう買うと決めた段階で、性能や品質について、それは教えられないよりも教えられた方がよろしいのですが、買うか買わないか判断をする、そのときに一番重要なこういう事柄をぜひ事前に書面でもってはっきりと示すようにしてほしいという趣旨です。口で言うとでたらめをいっぱい申します。これでは誤った判断をするしかないわけで、契約をすると消費者が申し込んでからそういうものを知らせても、後の祭りじゃないか。 よくテレビでも何でも、電気製品でわれわれが苦情を申しますと、それは品物の中に入れてある説明書にすべて書いてあります、こう業者は言うのですけれども、品物を買って、家に着いて箱をあけてから見たって、後の祭りなんですね。だから、それは不必要だとは申しませんが、実は消費者にとって必要なのは、判断をする材料として事前にはっきりとした書面で示す必要があるということでございます。
○佐野(進)委員 次に、堺参考人にお尋ねをいたしたいと思います。 堺参考人は悪徳商法被害者対策委員会の会長という立場で意見の開陳をなされたわけでありますが、いわゆるマルチ商法ということがこの法律の主要なる柱でございまして、訪問販売あるいは通信販売等におけるところのいろいろな行き過ぎが消費者に対して被害を与えているということについて私どもも認識をいたしておりますが、それ以上に、マルチ商法の犠牲者になった方々の深刻な事態について、それぞれ報道を通じ、あるいはその他の機会を通じて知識を持っておるわけでございます。 いま参考人のお話では、幾つかのマルチ商法と認定せられる企業の存在についてはある程度確認できるけれども、多くの実態が不明なる企業の存在については関係方面等においてもそれぞれ全くと言っていいほど掌握されていない、こういう御意見であったわけです。このような社会的な問題になっているのにそういうことはないと私ども思うわけでありますが、しかし、参考人は悪徳商法被害者対策委員会会長としての立場でいまの意見を述べられておるわけですから間違いないと思うわけでございますけれども、いま少しくその実態等について内容をお述べいただいて参考にしたいと思いますので、お聞かせをいただきたいと思います。
○堺参考人 昨年、公正取引委員会がマルチ企業の大手であるホリデイマジック、 エー・ピー・オー・ジャパン、この二社を摘発しております。ところが、このマルチ商法の企業といいますものはお互いがお互いを非難しておりまして、業界というものは絶対組めないような体質になっております。いまマルチ商法の企業はたくさんございますけれども、先ほども申しましたように、いまある企業はすべて、マルチ商法ではない、ホリデイマジック、エー・ピー・オー・ジャパン、あれはむちゃくちゃに悪いのだと言ってこきおろすわけです。そうしますと、相対的に自分のところの企業の地位が上がるわけです。 そのような企業がたくさんございますが、組織の特異性から、マルチ商法は組織が大きくなりますと、増殖作用といいますか、自己分裂を起こします。たとえば昨年公正取引委員会が摘発したエー・ピー・オー・ジャパンから、いま三十ぐらいの組織が分かれて、いままた名前を変えて動いております。そのような名前を例を挙げてみますと、株式会社白光、これは大阪で自動車用品を売っております。あるいは小田原の日本ブラザー、横浜の太陽、東京都内にあるライフ、ウィン、セレクトあるいはアンソーとかミリオンエンタープライズとか、いかがわしい名前がずいぶんあるのでございますが、切りがございません。あとベストライン、ゴールデンケミカル、これらはいずれも都内に本社がございまして、外資系で洗剤とか化粧品を売っております。これらは本当に氷山の一角でございます。 なぜ、現在三百から五百もあると言われている企業数であるのに私どもに入ってこないかと言いますと、被害者として名のりの上がる率が全体の加入者総数の一%なんです。ということは、五千人で五十人です。五千人ぐらいの組織にならないと、被害者があらわれているということが私どもにもわからないわけです。ですから、百人、二百人あるいは一千人ぐらいの組織というのがそこらあたりにごろごろ転がっている、そういう現状でございます。
○佐野(進)委員 そうすると、いまの御意見を聞くと、私どもの周囲にはマルチ商法によって消費者をえじきにしようとする企業がごろごろしている、そういう印象になるわけであります、また、私どももそういう点については幾つかの実例があるということは知っておるわけでございますけれども、この法律ができれば、政府は当然その責任において実態を調査するということになろうと思うのであります。あなたのいまの御意見の中で、一%であるというお話がございました。いま被害者が全体的にどのくらいあるかということはわかりませんけれども、あなたの組織、あるいはあなたの組織でなくともよろしいのでありますが、直接的にこの商法による被害者として把握されている人数は一体どの程度あるか、おわかりになる範囲で結構ですからお聞かせをいただきたいと思います。
○堺参考人 マルチ商法の被害者は、その企業に入った人々の約九割がこの被害者になるわけでございますが、現在私どもの方に手紙、手記を寄せてきております被害者の数は一千八百名でございます。しかし、実際はこれは本当に氷山の一角、一%だとするならば九割以上、相当あるわけです。
○佐野(進)委員 その一千八百人で構成されている被害者が、その被害をなくするための具体的な運動をそれぞれおやりになっており、あるいはまた、そういうような立場に立った意見の開陳が行われておるようでございます。私の方にも被害の投書等もございますけれども、そういう中で、断じてこれは社会的に許すことができ得ないと考えられるような被害の実情があなたの組織の中にあるとするならば、どういうような点があるか、最も象徴的な件について二、三内容をお示しいただきたいと思います。
○堺参考人 被害者は、昭和四十八年当時は、自分でお店を持っている人とか、あるいはお金もある程度ある方がずいぶん入っていたのでございますが、近ごろでは、新聞なども余り読まない方、あるいはまた体の不自由な方が電話一本で仕事ができるのだ、おまえ簡単にお金がもうかるのだから入れというようなことで入らされたり、いわゆる母子家庭のお母さんに、家にいるだけでいい、簡単にもうかるからあなたもというように言われて入っているとか、俗に社会的に弱者と言われるような方々が現在入っていることは、ゆゆしき問題だと思っております。事業者の知識経験がない層の方が大半でございまして、家庭の主婦あるいはサラリーマン、それからまた学生、昨年は大阪で高校生が自殺をするという痛ましい事件も起こっております。 単にお金の被害だけで済まないのがこのマルチ商法でございまして、精神的に、あるいはまた社会的に被害をこうむる。一家離散があり、夫婦の離婚があり、あるいはまた借金に追われて自殺をする。大阪の高校生の場合も、たった六万六千円のお金で自殺をしているわけでございます。そのような問題は、やはり断じて許すことができないと私ども考えております。
○佐野(進)委員 この法律が成立することによって、その被害を具体的に食いとめるべき措置がそれぞれ図られていくと思うわけであります。これは午前中の審議の経過の中で、警察庁、あるいは法務省、あるいはその他の関係省庁の方々に対する質問等を通じて明らかにされつつあるわけでありまするが、やはり膨大なる企業数が存在しているということでございまするから、あらわれているのが氷山の一角であるとするならば、水面下にある実体というものは膨大なものであろうと思うわけであります。それがこの法律の網の目をくぐっていろいろな企業活動を行ってくる。そして、この法律に抵触しないで、すれすれのところでその所期の目的を達成しようとする。こういたしますると、被害者というものは絶えることなく続いていく。こういうことを、先ほどお話しになりました経過の中でわれわれも想像することができるわけであります。 あなたは参考人として、この被害者の会の会長として、この法律が成立した後において、法律というものは一つの網の目ですから幾ら厳しくしたって水は通るわけですが、そういう通っていく状態の中で現在の被害者が発生している状況の中において、これを食いとめるべき最もいい具体的な方法としてはどんな点があるとお考えになっておられるか、この法律の関連の中でお考えがあれば、ひとつお示しをいただきたいと思います。
○堺参考人 皆さんよくマルチ商法の被害者の方を見るに際して、もうけようと思って入ったのだから、欲深な罰だということをおっしゃるわけでございます。しかし、これは大変な誤りでございまして、いつの間にかだまされているといった形容が最も正しいのです。やはり人間ですから、欲もあれば、ささやかな夢もあります。その夢を巧みにくすぐって、マルチ企業は名を変え形を変えして巧妙に動いているわけです。 昨年政府が、マルチ商法が問題になりましたときに、消費者に対してPRをやるのだということで、週刊誌、テレビを通じて確かにやっていただいたのでございますけれども、現在まだ被害者が一向に減らない。逆にいま再燃をしておるという現象から見るならば、昨年の政府のPRは余り効果がなかったのではなかろうかと思います。今回のこの法律を見ましても、マルチ商法という名前は法文のどこにも入っておりません。「連鎖販売取引」ということになっております。現在、マルチ商法の企業はマルチ商法という名前を使ってないわけです。それから考えるならば、消費者へのPRが最も大事だと思われるわけですが、国民のだれしもがわかるようにこれをPRをしていただきたいと思います。それがまず第一番だと考えます。 無論、消費者の方も、甘い話が転がっておるはずもなく、そういうところはよく考えなければならないことでございますが、これは突き詰めて言えば、世の中が金が万能であるという風潮があるわけですから、そこまで厳しく消費者の側を責めていいものかどうかということは疑問でございます。 警察庁に望みたいことは、被害者がいままで被害に遭っても、その被害に遭ったことをどこに持っていっていいかわからなかった、そういうことがあります。今度はこの法案で刑事罰が入ったわけですから、全国の警察のすみずみまでこの法文をよく知る担当官、お巡りさんがふえてほしいと思います。それこそ、被害に遭った際に交番に駆け込んだら処置してもらえた、こうなることを私は最も望んでおります。
○佐野(進)委員 竹内参考人と堺参考人のお二人にお聞きしておきたいのでありますが、お二人共通して言われることは、この法律が不十分である、特に問題点として、この法律によっても、いま行われておる販売方法、訪問販売にしろ、あるいは通信販売にしろ、さらに特殊販売、連鎖販売方式、そういうマルチ商法等に対してなかなか食いとめることができないというような不満の意見の開陳があったわけであります。 そこで、不満であるけれども、その中で特にということでお二人とも共通してお話しになっておられるのが、クーリングオフの時間が短いということであります。竹内参考人は先ほど訪問販売の際においてお話がありましたが、連鎖販売取引の場合には原案では七日間となっております。堺参考人は最低一カ月なければだめだ、こういうようなお話でございますが、この七日間という形で法律が決定されたといたしますと、お二人の御見解とするとこの法律は全くその体をなさない、きわめて不十分なものになっていく、そういう印象が強いわけでありますが、それをカバーする何か特別の方法がないものか。クーリングオフの期間、訪問販売の場合における四日、連鎖販売取引における七日、これをカバーする具体的な方法は、期日の延長以外にないものかどうか、逐次お答えをいただきたいと思います。
○竹内(直)参考人 これは被害が起こってからの処置についての議論なんですけれども、繰り返し申しますが、せっかくこの法律ができるならば、被害が起こらないようにしていただきたいということなんです。契約をする前の段階で書面でもって勧誘をする、そういうことによって被害がかなり防止できるはずだと私は思うわけです。そして、不当勧誘については厳しい罰則を設ける。 それでもなお被害が発生した、あるいは発生しそうになるという場合のクーリングオフの措置なんですけれども、これはやはりそういう規定がありますよということを勧誘の段階で念入りにさせるということも一つの方法だろうと思うのです。そういうことはなるたけ言いたくないから言わないだろうと思うのです。そういう意味において、判断をする前に、文書で、こういう措置もありますよということをはっきりさせる。書面で出す場合には、その部分は大事な事柄だから赤い活字で書くとか、あるいは赤枠で囲むということが必要ではないか。その上でなお契約をしてしまった、あるいは申し込みをしてしまったという場合のカバーの措置といえば、日にちを延ばす以外に方法はないのではないかというように思います。
○堺参考人 私も竹内先生のおっしゃいますように、予防措置を講ずること、これが第一番だと考えます。たとえば高校生で大学へ行くために東京に出るとか、あるいは大都会へ出るとか、あるいは勤めに出るに際して田舎から出てくる、そのような方々が毎年ちょうどいまごろ、五月、六月ごろになりますとこのマルチ商法のえじきに大変かかりやすいわけです。そういうところから見ますと、たとえば高校の卒業式のときに、東京に行ったらこういうマルチ商法というものがあるんだというような、それこそたった十分でもいいからカリキュラムの中に入れて、そのような消費者に対する基本的な知識を教えていただきたいということをまず考えます。大学生に対しましても、大学に入った者はもう十八以上で、学校は何もタッチしないというのが基本だそうでございますが、やはりオリエンテーションなり入学式のときなどに、これこれこういうものがあるということをもっとやってもらえたらというように考えます。 それから、マルチ商法の連鎖販売取引の法案でございますけれども、先ほども申しましたが、この中で消費者に誤解を与えるような、あるいは暗示を与えるような言動、そういう勧誘方法を用いた場合に、これは罪であるというように規定すれば、これは相当にマルチ商法の害を抑えることができる、そう考えます。
○佐野(進)委員 われわれはこの法律の中で、結果的に消費者が被害者にならないように、また消費者を被害者にするような商法が行われないように、こういう点で審議をいたしておるわけでありまするが、これは竹内参考人にお尋ねをしてみたいと思うのであります。 法律の第四章「雑則」の中に入ってくるわけですが、第十八条の原案では、いわゆる一方的に送られた品物について「六月を経過する日までに、その商品の送付を受けた者がその申込みにつき承諾をせず、かつ、販売業者がその商品の引取りをしないときは、その送付した商品の返還を請求することができない。」こういうように書かれておるわけです。ただ、その場合に、括弧、ただし書きのの中で、引き取りの意思がない、送った者に対してそれを引き取ってくれという請求を発した場合においては、一カ月ということになっておるわけであります。これは月日の問題、数字の問題ですから、私どもどうかとも思うのでございますけれども、この種商法というものがこのような形の中で許されることがどだい間違っているのじゃないか。 だれも売ってもらいたいとか欲しいとか言わないのに、突然品物が送り込まれてくる。その送り込まれたものを六カ月間保存しなければならない義務が送り込まれた人に発生する。その場合、それが不服だ、困るというなら、その送り込んできた人に対して引き取ってくれという手紙を書いて切手を張ってポストに入れてという、そういうようなことをした場合においても、一カ月間保管する義務がある、こういう考え方はどだいおかしいのじゃないかと私ども審議をしながら思うのでございます。消費者の立場に立ってこういうような処置について、このような形で処理しなければならぬのか、もっと適切ないい方法があるのじゃないかという気がしますが、その御見解をひとつお示しをいただきたいと思います。
○竹内(直)参考人 これはレコードだとか本だとか、そういうことでよく学生生徒がひっかかるケースがございましたけれども、これについて法律的に民法上いろいろ問題があるようですけれども、そういうことは抜きにして、いまお話がありましたように、とにかく一方的に商品を押し込んできて、黙っていればそれで契約だということは、大体公序良俗に反する商法だという意味で無効だというように私どもは考えたいわけです。したがって、それについて一般の正規の取引であるかのような前提でこういう規定を設ける必要もないのではないかと思います。こういうような業者の方の取引の安全を保護するという観点から、余り業者の方の肩を持つような規定はつくらない方がいいのではないか、こういう商法が大体において公序良俗に反するという大前提で規定を設けた方がいいのではないか、私はそういうように思います。
○佐野(進)委員 私も竹内参考人と全く同様な見解に立っておるわけでございますけれども、しかし、この法律によりますと、この行為を行った人が権利があるという形になるわけです。私どものところにも、何の意思表示もしないのに書籍がどんどん送られてくるわけですね。来たらつい封を切ってしまって読む。何カ月かたったら、この法律によると六カ月以内に請求をされる。もう読んでしまったわけだから、結局代金を払わなければならぬ。そういうようなことがこの十八条によると認められる。これはどうもおかしいじゃないか。 しかし、逆に考えると、六カ月間たってもそれに手をつけなかった場合においては送った人がまる損なんだよ、こういうことになると、六カ月間たってまる損なら、送ってきた品物にもよるけれども、いいじゃないか、こういうような考えもあるわけで、私は前者の方に立つわけでありますけれども、そうすると、この法律の十八条においてそのように規定しないですむ方法があるのかないのか、あるいはないとするならば、この六カ月というのは余りに長過ぎるから期間を短縮するということによらざるを得ないのではないか、このように考えているわけでございますが、これはあとの問題と関連をいたしますので、この点についていま一度竹内参考人と堺参考人のお二人から見解をお聞かせいただきたいと思います。
○竹内(直)参考人 先ほどもちょっと申しましたけれども、こういう規定を設けることによって、こういうルールであれ式の販売をやればいいのだというように、逆にこういうことをやっている業者を保護することになりやしないかというように考えるわけですね。だから、さっきも申しましたけれども、こういうようなのは公序良俗に反するから無効だということで、そういう前提での規定をすればいいのではないか、少し乱暴な言い方かもしれませんけれども、こういうやり方は大体においてあってはいけないのだという考えに立つならば、そういう乱暴な規定を設けたっていいのではないかというように考えます。 大体これはいわゆる買い手危険持ち、全部一〇〇%買い手危険持ちではないけれども、やはりある程度買い手危険持ちということを認めた規定になっておりますので、消費者保護という観点からするなれば、こういった常識でないような商法をやった場合には、売り手が一〇〇%の危険持ちという売り手危険持ちの考えを貫く必要があるのじゃないか、そういうように考えます。
○堺参考人 マルチ商法では売買契約に基づかないで商品を送ってくるということはほとんどないわけでございますが、通信販売ではそれがあるようで、これは相手方が勝手に送ってくるのですから、私も、それはプレゼントとみなして構わない、送ってきた人に対してお金を払う義務はないと思います。そこまで本当にやはり強い姿勢で臨んでおかないと、法律というものはすべてつくればそれをもぐるのが出てきますから、どんどんと許容基準もできてしまいますし、やはり強い姿勢が必要だと考えます。
○佐野(進)委員 そこで、堺参考人にお尋ねしたいと思うのでありますが、マルチ商法ということと通信販売、訪問販売と三つの問題がこの一つの法案の中に示されておるのですが、マルチ商法と一言に出てきますと、通信販売、訪問販売の場合にも消費者が犠牲になるという印象、しかしその認識の度合いが非常に違うわけですね。品物を商取引として訪問して売る、通信行為をもって売る、そして代金を得るという前二者と、マルチ商法というものは品物をおとりに使ってその加盟している販売員から特別の仕組みによって金を吸い上げる、いわゆるリクルート料といいますか、その吸い上げたお金を、またそれぞれのところにプールするか回すという形の中において、新しい者を勧誘していく、こういうような形の中で犠牲者がネズミ算式にふえていくということになっていっておるわけです。したがって、この法案を審議する経過の中で私どもが一番心配し、これを根絶しなければならないといって重大な関心を持つのが、連鎖販売取引といいますか、マルチ商法と言われているその内容だと思うのであります。 したがって、この結果として犠牲者が商行為の中においては発生してくる。その犠牲者は、あなたから先ほど来お聞きしたように、泣き寝入りとなるか、あるいは自殺をするか、あるいはまたあなた方のようにその犠牲者の会として社会的公正を求める行為に立つか、いずれかの方法に変わっていくわけですね。成功したといわれる人たちはきわめて少ない。まさに氷山の一角と言ってもいいほどきわめて少ない数になるわけですね。そうすると、その被害者が存在することは隠れもない事実なんです。そして、あなた方の方に結集しているのは千八百名ときわめて少ない。そうすると残っている大多数の被害者に対してどういう救済の手を差し伸べるのか、もういままで発生したものはしようがないのだと言って放置するのか。 しかし、組織の中に入ってみずからの被害を救済しよう、みずからの行動によってみずからを助けようとする千八百名の人たちが、一体どういうような形の中で満足感を得ることができるのか、それらのことについて、法律として、法律の条文として全体を含めた形の中でどういうような救済措置を講じたらいいのか、救済措置が講ぜられるものなのかどうなのか、これは非常にこの審議の経過の中においては重要な問題点だと思うのですね。あなたはその点についてどうお考えになっておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
○堺参考人 この法案におきまして、クーリングオフを過ぎた後に気がついた場合、入った人が被害者となっていることに気がつき、それで契約解除を申し出ようと思います、その際に、この今回の法案ではこれは救われません。民法の一般規定に従えばいいじゃないかということを通産省は言うわけでございますが、やはり日本人としまして、一般大衆としまして、契約とか訴訟とかというものは大変縁遠いものでございまして、いざ民事訴訟ということになりますと、一千八百名のうちでも、現在訴訟を私どもの会の指導で起こしております者は四十名でございます。ということは、現在マルチ商法の被害に遭うと、その被害者が救われる道は、いまのところ話し合いかあるいは交渉ですね、交渉にしても団体交渉、あるいは訴訟しかないわけです。その訴訟も一人、二人ではらちが明かない。団体交渉、これしかない。 ですから、この法案では救い切れない。となりますと、その点、主務官庁あたりがそれこそ被害者がいると認定すれば、被害者を一堂に集め、あるいは同時に会社を呼んで、行政官庁が介入をして金を支払わせるというように、行政指導の面を強めてもらいたい。それ以外に恐らく救われようはない、そう考えます。
○佐野(進)委員 そういたしますと、非常に行政指導を強めてくれということでございますから、この法律案が成立した後に、通産省なり関係省庁がそれに対する対策を立ててもらうということにわれわれも附帯決議なりあるいは要望なりを出していくような形で処理してまいらなければならぬと思うのでございます。 まあ具体的に言いますと、その四十四名の方が訴訟を起こした、あるいは告訴をする。そういうような行為が四十四名しか起こし得ない。千八百名なら千八百名が全員起こすことができればそれにこしたことはないわけでありますが、起こすことができ得ない、四十四名しかその行為に立ち上がることができ得ないという直接的な条件はどうなのか。告訴する、あるいは訴訟を提起するということについて条件が不足なのか、あるいはすれすれの段階の中でそうなっているのか、あるいはそれを提起したとしてもその問題について効果を上げることがむずかしいと判断してそうしているのか、あるいは金銭上の問題なのか、それらの点について、最も困難な事例について何点かあれば、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○堺参考人 訴訟を起こそうと思いますと、やはり個人ではできませんので、弁護士さんを頼むということになります。そうすると、ここに訴訟費用というものがどうしてもかかってきます。被害者の方々は、そのほとんどが借金がらみでございます。これは実に異常なことでございますけれども、いままで私どものまとめたデータによりますと、大体被害者となっている方々のうち八〇%が借金をしている現状なんです。借金をしてそれでも入るという、そこに異常さがあるように思われるかもしれませんが、そこがまた逆に言うならばマルチ商法の巧妙なところです。その借金に追われている人々にとって、この上になおまだ訴訟費用を積むということはとうていできない相談なんです。 ですから、たとえばアメリカのようにクラスアクション、集団代表訴訟制度というものがもし日本にあるならば、たとえば一人の人が訴訟を代表して起こす、それに判決がおりる、そうするとそれは同じ条件下にある人々すべてに適用されるというような訴訟制度そのものが整わない限り、マルチ商法の被害者は救われないということになります。そういう現状でございます。
○佐野(進)委員 時間があと五分しかございませんので、意見の開陳をまだなされておらない竹内参考人に質問することはどうかと思うわけでございますが、時間の関係もございますので、一点だけ見解をお聞きしておきたいと思うわけでございますが、竹内参考人は東京大学の法学部教授として、この問題に対して大変深い関心を持ってこの法律に対応しておられるとお聞きして、参考人として御意見を聞こうではないかということできようおいで願っているわけでございます。 私どもこの法律を成立させるべく、内容的にきわめて不満足であるが、今日置かれている消費者の利益を守り悪徳商法を追放するという形の中でこの法律の審議を進めようということで、いま審議をいたしておるわけでございますが、参考人として、この法律の内容等に対して特にお気づきの点、いまの私の質疑を若干の時間お聞きになっておられたと思うわけてございますが、関連いたしまして、特に消費者の被害をなくするという見地に立った御見解があれば、お示しをいただきたいと思います。
○竹内(昭)参考人 後刻また私の意見そのものを申し上げる機会を与えていただけるのではないかと思いますけれども、私自身は、この法案について、お立場が違うにつれていろいろ御不満の点もあろうかと思いますが、万人が完全に意見の一致する法案などというものはある意味では期待する方が無理だということも言えるわけでございます。いろいろな意味で御不満をお持ちの方もあり得るかと思いますが、私自身消費者保護のために現在一番していただきたいことは何かと申しますと、これを早く通していただくことだと思います。これに御不満があるということで、それを練り直すということのためにまたこれが廃案になる、あるいは継続審議になるということになりますと、また一年これがおくれるということになります。その間被害者はどんどんふえる、マルチをやっている業者はそれによってほくそ笑むばかりでございまして、そういう事態を何とか防いでいただきたいということが一番申し上げたい点でございます。
○佐野(進)委員 最後に、堺参考人に一点お伺いをしたいと思うわけであります。 私は、けさほど、いわゆるマルチ商法と言われている、これは役所の人たちも認められたわけでありますが、ベストラインないしジェッカー・フランチャイズ・チェーンの問題について質問いたしました。参考人はこの両社に対して、その実態から見て、その存続は被害者の会として全く困る、こういうようにお考えになっているかどうかということが一点です。 それから、マルチ商法の現状については先ほど来いろいろお話がありましたが、いままでこの商法に対して政府がそれぞれやってまいりましたことに対して不満があるかどうか、ベストラインとジェッカーの問題は別といたしまして、その効果について、政府の対策に誠意を感ずることができるか、その点が第二点。 第三番目といたしましては、特にこの法律が成立した後、政府機関はいっぱいありますが、それぞれの省庁に対する具体的な要望事項がもしおありならば、簡潔で結構でございますから、これからの審議の参考にいたしたいと思いますので、その要望事項をひとつ述べていただきたい。 以上三点をお聞きして、私の質問を終わります。
○堺参考人 ベストラインにつきましては、現在当会に百二十名の被害者が集まっております。これも氷山の一角でございまして、会社側が一万八千ないし二万人入っていると言うところを見ますと、そのうち九〇%が被害者でございますから、午前中の審議でベストラインにつきましては独占禁止法違反であるという判断が出たのであるならば、速やかに摘発をすべきだと考えます。なまじっかジェッカーチェーンのように行政指導、行政指導という名前でいつまでたってもらちがあかないまま、まだまだ被害者がふえるということを大変恐れます。ベストラインにせよジェッカーにせよ、いずれ私ども許すことができない存在だと考えております。 次に、昨年の政府のマルチ対策についてでございますが、私はとにかくこの法案をまず通すことが先決だと思いますけれども、政府の対策は余りにも遅かったということができると思います。 具体的に言うならば、経済企画庁の昨年のPR、政府広報というのをやってくれたわけでございますが、読んでいる私たちにとってさっぱりわからないPRでございました。その一点を見てもそれが感じられます。 それから、昨年、ホリデイマジックの容疑が黒と定まったならば、公正取引委員会は日本に三百から五百あるというマルチ企業について一斉摘発を行うという示唆を独禁懇話会で発表されております。これをなぜやってもらえないかということを大変恨めしく思っております。やはり一番被害者をふやさない方法は、とにかくどんどんどんどん新聞紙上に載せて摘発していくことです。そうすれば、たとえその企業がマルチ商法という名前を使わなくても、人々はそれではっきりわかります。 それから、今後の具体的な対策でございますけれども、先ほどと重複いたしますが、主務官庁の通産省におきましては、毅然たる態度で厳しく臨んでもらいたい。特にこの法案におきまして細部が政省令にゆだねられておりますので、その政省令をきつくしてもらいたいということを考えます。 それから、公正取引委員会につきましては、昨年出されたマルチ商法のリクルート料は独占禁止法違反であるという立場を今後も持続して、もし同じような会社があるならば、これもどんどん摘発してもらいたい。 警察庁に対しましては、先ほどと同じでございまして、全国の末端の交番まで、それこそ稚内の、あるいは礼文島の、あるいは沖繩のすみずみの村のお巡りさんまでこの法案がわかるのだというくらいに勉強してもらいたいし、また対策を打ってもらいたいというようなことを考えます。 以上でございます。 —————————————
○安田委員長代理 竹内昭夫参考人には、御多用中のところ御出席いただき、まことにありがとうございました。 それでは、まず訪問販売等に関する法律案について御意見を十分以内に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。 竹内参考人、お願いいたします。
○竹内(昭)参考人 私は、いわゆる特殊販売に関する法規制のあり方につきまして、二つの審議会における審議に加わりましたので、その立場からこの法案について簡単に意見を述べたいと思います。 一つは、国民生活審議会の消費者救済特別研究委員会というものでございまして、四十九年七月に「消費者被害の現状と対策」という中間覚書を発表しておりますが、その中で特殊販売につきまして早急に予防的規制を行う必要があるというふうに述べ、その基本的方向として、「消費者利益を必然的に害することになる販売方法、すなわち、マルチレベル販売、SF商法などは社会的に無価値であり直ちに禁止すべきであり」、これに対して訪問販売、通信販売は、「一方では消費者の便にもなるが」他方では「悪質な行為も横行しやすい」から、「その適正化のための規制を進めるべきである。」ということを提言しております。 第二の委員会は、本法案の基礎になりました産業構造審議会流通部会における審議であります。その答申は四十九年十二月に出ておりますが、その中でも基本的な考え方として、マルチ商法につきましては「その活動を実質的に禁止するよう厳しい規制を行うべきである。」しかし、訪問販売、通信販売には社会的メリットもある。しかしトラブルも生じている。そこで、弊害防止立法をせよということを述べておるわけであります。 そして、この法案は、大筋としてこれら二つの審議会の提言または答申の方向に沿ってつくられておる。したがって、私は、この法案の成立を強く希望するものであります。 次に、やや具体的に申しますと、まず訪問販売につきましては、この法案は、第一に、三条において、セールスマンに対し訪問目的の明示を要求しております。第二に、四条において、販売業者は購入者に対し、申し込みの内容、条件を明らかにする書面の交付義務を課しております。第三に、五条において、契約が成立したときは契約内容を明らかにする書面の交付義務を課しております。第四に、六条において、四日間は契約を無条件で解除する権利を保障しております。第五に、クーリングオフ期間経過後も、購入者が契約を解除する場合について違約金の最高限度を法定しております。これらはいずれも産業構造審議会の答申の提言に沿うものであります。 次に、通信販売につきましては、第一に、八条におきまして、販売条件の広告に記載すべき事項を法定しております。第二に、九条において、通信販売の申し込みを受けた業者は直ちに商品を発送するか、それとも申し込みを承諾するか否かの通知をしなければならないということにしております。第三に、十八条では、いわゆるネガティブオプションつきの通信販売の申し込みの場合について規定しております。八条及び十八条は答申をほぼそのまま取り入れたものであります。九条は答申を若干変容したものではありますけれども、代金は送ったけれどもナシのつぶてだという状態を防ごうというねらいにおいては共通であります。 以上のように、通信販売、訪問販売に関する法案の規定は答申の線に沿ったものでありますが、法律の運用について一、二つけ加えますと、第一に、訪問販売も通信販売も、政令指定商品の販売ということで、指定商品制によってその適用範囲を画するという考え方をとっております。これは訪問販売、通信販売というものがいわばその態様においても事業の規模においても千差万別であるというところから、立法技術的にやむを得ないことであると私は考えておりますけれども、しかしながら、消費者保護の見地からすれば、指定すべき商品の範囲はできるだけ広くすることが望ましい。さらに、いままで指定されていなかったものについて消費者保護上問題が出てきたという場合には、直ちにこれを追加指定するという形でこの法律の運用がなされることを期待したいと思います。 第二に、表示事項及びその表示方法につきまして省令に任されているところが多いわけでございますが、これにつきましては割賦販売法の省令の例などもございますので、これを参考にして十分に実効性のあるディスクローズ、開示を強制するような省令をつくっていただきたいというふうに思います。 さらに、これは業界ベースの問題でありますけれども、一部業者の不心得な行動が訪問販売、通信販売全体の信用を失墜させるということになるわけでありますし、千差万別で、しかも無数の業者のすべての行動について通産省が全責任を負って監視するなどということは、人手の点だけから考えましても、これは期待してもとうてい実現できないのではないかというふうに考えます。したがって、業界全体として、行政による監督を受ける前に、むしろ自主的にその信用を向上するような努力をすべきが当然であります。それこそが、ある意味で言えば消費者の期待に沿うゆえんでもあり、そのような努力を業界に期待したいというふうに考えます。 次に、マルチにつきましては、第一に、十二条で、勧誘の際に重要事実を告げず、また不実のことを告げてはならないというふうに定めまして、これにつきましては直罰を用意しております。第二に、十三条は、不当勧誘が繰り返されるときは、主務大臣が停止命令を出すことによって、その違反に対しましてはやはり罰則を用意しております。第三に、十四条では、広告記載事項を法定し、第四に、十五条で、マルチに参加しようとする者に対して、どういう事業であるかを示す書面や、またどういう条件で参加するかを記載した書面を交付する義務を課しております。第五に、十六条では、マルチに加入する契約をした者に対しては、訪問販売の四日間よりも長い七日間のクーリングオフを認めております。いわば集団催眠状態の中で勧誘された者も、七日あれば目が覚めるだろうという考え方であります。 これらはほぼ答申の線に沿った、ものですが、ただ、答申では、クーリングオフ期間経過後も、マルチの参加者がもうやめたいと思ったときには、仕入れた商品を一定の割合以上の値段で買い戻す義務を課そうということにしていたわけでありまして、この点がこの法案では落ちております。イギリスの公正取引法やアメリカのマサチューセッツ州法などは、仕入れ値の九掛けで買い戻させるということにしておるわけでありまして、こういう規定がありますと、ともかくマルチの参加者にたくさんの商品を仕入れさせてしまえば、そこで勝負あったというようなことはなくなるわけでございますから、私はこういう規定があった方がよくはないかと思っております。 しかしながら、そのかわりと申しましてはあれですが、この法案では、十二条の重要事項の不告知、不実告知に対する罰則などについては、この答申より強くなっているわけであります。その意味で、十二条、十三条を活用してマルチに対処しようとするのがこの法案の基本的な考え方ではないかと考えております。したがって、答申が申しておりますような実質禁止という目的を達し得るかどうかということは、十二条、十三条の運用に大きくかかっているわけでありまして、その意味で私はこの条文の活用を大いに期待したい、このように考えるわけでございます。 これと関連しまして、一条の「目的」のところを見ますと、連鎖販売取引、つまりマルチ取引を公正にするということが書いてあります。訪問販売、通信販売につきましては、これを公正にするということはよくわかるのでありますけれども、公正なマルチ商法というものは一体あるのだろうか。それは安全な。ペスト、無害なコレラと言うに等しいものではないかと思われるわけであります。ある程度の規模に達しますと、もう参加者を募るということは不可能になるわけでございますから、わが社の商売はある程度発展していくとデッドロックに乗り上げてもはや発展しなくなります、そのときには非常に多くの人が泣くことになりますということを告げませんと、十二条にいう重要な事実を告げないということになるのではないかと私は考えるわけであります。そうだといたしますと、マルチを公正なものにして残すという考え方ではなしに、マルチに対して公正であることを求めればマルチは必ずなくなるはずだという考え方に立っているのが、この法律の考え方であります。そういう精神に従ってこの法律の運用をしていただきたいというふうに思うわけであります。 それから、マルチのような伝染性の強い取引は、一刻も早く手を打つべきであります。本来この法案は昨年国会に提出されるはずだと私は考えていたわけでありますけれども、それが諸般の事情でことしになりました。この法案も、先ほど申したように、いろいろ御意見があるかもしれませんが、これがことしまた成立しないということになりますと、喜ぶのは業者だけであります。したがって、私はともかくこの法案を早く通して、マルチの絶滅を期するということにしていただきたいと思うわけであります。 最後に、一言つけ加えさせていただきますと、マルチを規制する以上、当然規制しなければならないのはネズミ講であります。ネズミ講は、いわゆる送金ごっこを繰り返しておればお金がふえてくるというわけでありますから、もしこれが本当なら、政府が先頭に立ってやったらいいわけであります。その意味では、これは一〇〇%うそであります。それに比べればマルチというのは、他人を組織に引っ張り込むことによって得る利益だけではなしに、商品販売による利益もあるという意味で、まだましなある要素を持っております。まだましな要素を持っているからひっかかるという面もあるわけでありますが、このまだましなマルチに対してこういう規制をするというのならば、ネズミ講に対して規制をするのは当然のことでありまして、私は、ネズミ講を野放しにしておくごときことは、政府としても国会としても許されることではないのではないかというふうに考えるわけであります。われわれがこのマルチ販売について規制をしようとする場合に、ネズミ講について厳しい規制があれば非常に楽だったということを痛感しておるものでございますから、この点につきましてもしかるべき御処置をぜひお願いしたいというふうに考えております。
○安田委員長代理 以上で竹内昭夫参考人の意見の開陳は終わりました。 —————————————
○安田委員長代理 引き続き、参考人に対する質疑を続行いたします。神崎敏雄君。
○神崎委員 参考人の方には、非常にお忙しい中、御苦労さまでございまして、お礼を申し上げます。 初めに申しますことは、消費者とは、生きるために取引社会の一員とならざるを得ない、こういうものであります。しかし、企業は営利追求を至上命令として取引を行うのである、ここに両者の大きな違いがあるのであります。消費者は生きるために良質であって低廉な商品を得ようとするが、企業はその商品が良質低廉であるかどうかは問題でなく、どのようにすれば利益が得られるか、ここにあると思うのです。言いかえれば、どのようにすれば安上がりの商品をどれだけ高く売りつけるかであります。私は、ここに消費者保護行政の必要性があるのだと思うのでありますが、この点でまず竹内昭夫参考人からお伺いいたします。時間は二十分しかございませんので、一括して質問させていただきますので、どうかひとつよろしくお願いいたしたいと思います。 そこで、まず第一は、そのような企業のもうけ方、商法にもやっていいことと悪いことがあって、その悪い商法を規制することも消費者保護の一環となり得ると思うのであります。そういう意味で、いわゆるマルチ商法と言われるものは人間の弱みにつけ込んだ商法で、これは百害あって一利なし、こういうふうに言われております。これについて禁止すべきだという声もあるわけです。また、外国においては厳しく禁止されている国もあるように聞いておりますが、このような点について竹内さんはどういうふうにお考えになっているか、御意見をお伺いしたい。 第二点は、先ほども参考人みずからお話がございました産構審流通部会の中間答申では、クーリングオフの後の処置として、一つは商品の相当価額での買い戻し、いま一つは出資金の相当価額の返還等の措置をとるべきだと言われております。あなたはこの流通部会の委員としてこれらの措置をとるべきだと主張されたと思うのですが、いまでもこれが必要だとお考えでおられるかどうか。 第三点は、また国民生活審議会の委員もしておられますが、昨年審議会で消費者被害の救済について中間的な取りまとめをされているようであります。そこで、消費者保護または被害の救済についての御意見を伺いたいと思います。さらに、審議会で検討されている内容と、今後の方向はどのような方向でいかれようとしているのか、この点を簡単にひとつ三つに分けてお答えを願いたい、このように思います。よろしくお願いします。
○竹内(昭)参考人 マルチが百害あって一利なしということはそのとおりでございますし、それを禁止すべきだということもそのとおりでございます。私自身は、この法案はまさにそれを禁止するための法案だというふうに考えておるわけでございます。したがって、先ほども申しましたように、この第一条の「目的」のところの文言が少しわれわれの気持ちと離れているように思う。したがって、マルチに対して公正であることを求めることによって、日光消毒、つまりマルチという日陰のものを日光のもとに出してしまえばそれは消えてしまうはずだというのが、われわれの申しました実質禁止ということであり、この法案もまさにそういう線でできているのではないかと考えております。 したがって、この法案を施行しました結果、向こうの方がさらに知恵が上手で、これをさらにくぐって生き延びるということになりますと、この法案の中で用意されている薬が弱過ぎるということでございますから、その場合には直ちにまた新しい薬をつけ加えてそれに対処するということが必要だろうと思います。 おっしゃるように、その禁止というのは刑事罰でもって禁止するということだけではないわけでございまして、こういうようないろいろな方法を組み合わせてとにかく実際に行えないようにするということが、われわれの答申のねらいでございます。 二番目に、買い戻し、出資金相当額の返還ということでございます。これは私は、まさにそういう実質的に禁止する、行えなくなるようにするための一つの方法として有効ではないかということを主張しましたし、現在でもそのように考えております。しかしながら、それではこういうのがないとこの法案は全然意味を持たないかと言えば、それはそうではないだろう。十二条、十三条という規定が入っておりますし、そうして警察の方でも相当の決意を持ってこれに取り組もうとしておられるということであれば、これでもってともかく実質禁止の目的を達し得るというのならば、それに多くこだわることはないのではないか。 〔安田委員長代理退席、委員長着席〕 と申しますのは、そういう規定が仮にあったところで、過去の被害者をそれによって直ちに救済できるわけのものではないという点から、いずれにしても、これから先、被害者がふえないようにするためにはどうしたらいいかということでございますから、要するに実質禁止の目的を達するための一つの手段として位置づけている、それとしては有効であろうけれども、しかし、なかったら絶対いかぬかという点ではそのようには考えないということでございます。 それから、消費者被害の救済についての意見でございますが、この国民生活審議会では非常に多面的に消費者被害の問題にアプローチしております。実体法的には業者にどういう責任を負ってもらうべきか、それから、おっしゃいましたように、インチキ商売に対してどういう予防的な立法をすべきか、それから、不幸にして被害を受けた人がその被害を取り戻すためにどういう訴訟のやり方を考えるべきか、さらに行政ベースであれば、各地のセンター等がどのような活躍をすべきか、このような問題についてきわめて多面的な調査、かつ提言をしておるのであります。それはそれぞれの関係省庁において今後真剣に受けとめていただくべき問題だというふうに考えております。 希望いたしますことは、われわれの行いました作業について反対の意見ももちろんございましょうし、提言の中に批判をされるべき点ももちろんございましょうが、要するに、野ざらしのまま放置されるということは、われわれ自身が単にむだ働きであったということだけではなしに、わが国の消費者保護のために私ははなはだ残念なことだというふうに考えておるということを申し上げておきたいと思います。
○神崎委員 よくわかりました。どうもありがとうございました。 次に、堺参考人にお尋ねいたしますが、これも三点を一括してお尋ねいたします。 先ほど堺さんもおっしゃっていたのですが、実は私、大阪出身なんでございまして、たまたまあなたの方からさっきお話があったように、昨年大阪ではマルチ商法によって自殺するという痛ましい事件が起こっております。先ほどあなたは、六万六千円で自殺した、こういうふうにおっしゃっておりましたが、あなたの会の方へ訴えてこられた人たちにはいろいろな人たちがおられると私は思うのです。こういう人たちの中で、階層、年齢、性別では、被害の一番大きな人たちはどういう方々でしょうかというのがまず第一点。 第二点は、本法案で言う「特定負担」、出資金のことですが、これは政令で定めるということになっておりますけれども、そういった高校生などの若年層の人たちでも簡単に出資できる額を政令に定めなければならないと思うのか、実態的に見ましてどのくらいが適当と思われるのかという点であります。 第三は、マルチ商法によって起きますところのトラブルにはどのようなものがあるのか、その特徴的なものの二、三の実例を挙げて教えていただきたい。 以上、三点でございます。
○堺参考人 まず、マルチ商法の被害者の階層、年齢、性別でございますが、手っ取り早く年齢から申し上げたいと思います。 年齢は、下は十七歳から、上は何と八十一歳のおじいさんまでが被害に遭っております。その中でやはり一番多いのは、十八、十九の未成年層が一グループと、それから二十代後半から三十代前半の脱サラを志向するような方々、そしてまた、お子さんができ、ある程度家庭に余裕ができ、また逆に言えばお金がたくさんかかるようになってきたというような三十五歳あたりから四十歳前後の家庭の主婦、こういう方々が被害者として多いようでございます。 階層的に見るならば、このマルチ商法にかかる人々というのは、やはり余りお金がない方、これはマルチ商法といいますのはお金があり余っている方は絶対入らないわけでございます。お金がない層をお金でつるわけですから、お金のない層、社会的に弱者と言われるような存在の方々が多いようでございます。 それから、特定負担の額の設定でございますが、なるほど大阪の高校生の場合、たった六万六千円で自殺しているわけでございます。そしてまた、学生相手のネズミ講というものが現在またはやっております。これは毎年ちょうど春先になりますとはやってくるのですが、この額は二万八千円でございます。そうしますと、額だけでは決められないのじゃなかろうかと私ども思います。 それから、特定負担の名称につきましても、リクルート料、いわゆる紹介料という名目の金が、近ごろは商品の仕入れ差額リベート、たとえば私が商品を五十円で仕入れることができる、私の下は七十円である、そうしますとこの差額が二十円ございますが、この二十円の差額を、商品をたくさん買わせることによって額をつり上げるわけです。たとえば一万個買わせますとここに二十万円生まれます。その額は商品の差額のリベートだ、商品の売買によるリベートだというようなことで現在動いている企業が多いようです。これはオーバーライド方式と申しまして、アメリカのFTCあたりでは禁止しているのでございます。ですから、単に商品のほかにお金を出すのはそれが悪いのだというようなことではないみたいでございますので、この辺、やはり主務官庁で十二分な調査をしていただいてから政省令をつくってもらいたいというように考えます。 それから、トラブルの特徴でございますけれども、やはり何と申しましても金に絡むトラブルでございますので、このマルチ商法に入る場合、入る場合はまだ被害者ではないわけですが、入った後被害者となる、その際にほとんどの方が借金をして入ります。まるまる全額借金をして入った人もあります。田畑を売って、家まで売って突っ込んだ人もおります。それからお姉さんの結婚資金を借りてきたといいますか、半ば強制的に取ってきた弟というような例もあります。そうしますと、これは話どおりにうまくいかないわけですから、ここでお金の貸し借りに伴うトラブルが起こるわけです。これがまず一点。 それから、マルチ商法の場合、自分が一番信用している人から誘われるわけです。自分の友人、知人、あるいは親戚の人、あるいはまた職場の上司、それから職場の同僚などから誘われます。このような方々から誘われるために、それが実際には話が違っていた、あるいはこれがマルチ商法であるとわかったときには、その人間関係がこわれます。こういうような、お金の貸し借りに一つの問題がある例、それからまた信用関係の失墜というような例が大半でございます。 それからまた、商品につきましても、マルチ商法で扱う商品といいますものは、第三者が公平に見て大変すばらしい商品ということはあり得ないのです。すばらしい商品であるならば、別にマルチ商法を使わなくても売れるわけですから、やはり一般的に見てまがいもの、無価値商品、価値が不明なもの、こういうものが多いわけです。そういう商品を大量に抱え込まされる。全然役に立たない。それが家に山ほど積まれる。部屋が狭いのでわざわざ部屋代を出して倉庫がわりにしたというような被害者もいるぐらいです。この商品によるトラブル、こういう三つの例ぐらいが大きく考えられるようでございます。
○神崎委員 堺さん、えらいごめんどうですが、いまの中で、性別の問題で、男性の方は学生、脱サラは大体わかったのですが、女性の場合も学生あるいは家庭の主婦がおられると思うのですが、どちら側の方がたくさん被害者になっておられますか。
○堺参考人 被害に遭った場合、ほとんどの方が泣き寝入りをしてしまいます。やはり恥ずかしいという気持ちもありますし、それ以上に、たとえ被害を訴えたところで自分のお金が返ってくるものじゃないというあきらめがあります。そうしますと、やはり女性の方は大半があきらめてしまうわけです。ですから、私どもの会を組織しております性別を見ますならば男性が大半でございますが、家庭の主婦がいっぱい入っている。特に扱う商品が洗剤とか化粧品という企業が近ごろふえておりますので、主婦は、女性は相当いるはずなんです。しかし、余り名のりが上がっておりません。そういう状況です。
○神崎委員 最後に、消費者連盟の竹内さんにお願いいたしますが、これも二点を一括してお尋ねいたします。 訪問販売において、セールスマンが訪問先でなかなか帰らず、きわめて執拗に購入を迫ってくる、こういった場合、家庭の主婦など仕方なく買うといったことがよくあると聞いておりますが、こういったことをなくするためにはどうしたらいいのか。先ほどから堺さんも東京大学の竹内さんもきわめて厳しいこれに対する対応策、御意見を発表しておられますので、その方はよくわかりますが、何かひとつ合理的といいますか、合法的な、そういう場合にどうしたら一番いいとお考えになっておられるかということを端的に聞きたい。 もう一つは、通信販売について本法案では余り規定がないわけですが、どのような規制の方法が考えられるか、あなたの御意見はどういうふうにしたらいいとお考えなのか、この二点についてお伺いしたいと思います。
○竹内(直)参考人 第一点の訪問販売の被害から消費者をどうして守ったらいいかということですけれども、私たち消費者がお互いに戒め合っている事柄は、とにかく見知らぬ者がやってきてもドアを絶対にあけないということですね。ドアのかぎをあけない状態で話し合う。あければ絶対に、一歩入ってしまえばもうどかないです。だけれども、不幸にもドアをあけて中へ入り込まれた場合は、用向きを聞いて、そういうものは要りませんと言って、出てくださいと言う。それでも出ない場合は一一〇番する。これしか方法がないということを、これはわれわれ消費者仲間で戒め合っていますし、それからアメリカの政府は、消費者に対してパンフレットを配りまして、同じようなことを言っております。非常に原始的な方法であるかもしれないけれども、それしかないだろうと思うのです。 現に、これは外資系の百科事典のセールスマンですけれども、座敷へ上がって、床柱の前へ座って明け方の四時まで粘るというものすごいのがおりますから、座敷で上座へ座ってしまうともう断れないですね。それは会社もセールスマンに、絶対くつを脱いで上へ上がれということを指示しております。そういうような不法侵入を目的とした商法がまかり通っているのですから、こうなったらもうドアをあけないということが水際作戦として一番的確であるというように思います。 それから、第二番目の通信販売なんですけれども、よく子供の雑誌に、いいかげんな商品を載せて子供の夢をかき立てて通信販売させる、子供は最近かなり小遣いを持っておりますから、親に隠して黙ってお金を送ってだまされるということが多いです。しかも、その被害は親に告げられないですね。こういった形の被害はかなり多いと思うのです。ですから、これは広告に問題があると思いますね。だから、これはどういう法律で取り締まればいいか、景表法による取り締まりもやらなくてはいけないでしょうし、とにかく子供向けの雑誌でいいかげんな広告がなされておると、これはやはり厳重な取り締まりの対象にすべきではないかというように考えます。
○神崎委員 どうもありがとうございました。
○稻村委員長 松尾信人君。
○松尾委員 最初に、竹内教授にお伺いいたします。 マルチ商法は公正でない、マルチ商法に公正を望めばマルチは成り立たないのだというお説、まことにそのとおりだと思います。問題は、十二条、十三条の規定をそれで考えた。それで、規定はあるけれども、結局は運用が一番大事なところであろう、この御指摘があったわけでございます。 そこで、この運用ですけれども、これはどういうふうにしていくべきであるか。これは私の考えでありますが、問題を次々と摘発する、大なり小なりもう起こったものを早く触覚を働かせて握って、それをどんどんやっていく、これが法の運用に一番通じていくと思うのでありますけれども、先生の御意見はいかがでございますか。
○竹内(昭)参考人 全くお説のとおりだろうと思います。
○松尾委員 政府の方にも、私はその趣旨でけさほどもこの法案の審議で強くその点は要望いたしておきました。主管は今回は通産になりますけれども、公取も、それから関係の省庁も、それぞれ力いっぱいやる、これが一番大事であろう、このように思います。これも政府の方に、あわせてこの機会を通じて強く要請を重ねていきたいと私は思うのであります。 それから、堺参考人の方からは、この被害者を救済する機関が必要だ、そのためには政府が真ん中に立って、被害者と加害者の間に立って調停する必要があるのじゃないか、このような御意見が出まして、まことに私も調停機関が必要であろうと思うのでありますけれども、これは先生はどのようにお考えになるか、そしてどのようにそれは運用していったらいいのか、この点はいかがでございましょう。
○竹内(昭)参考人 消費者被害一般につきまして、問題を訴訟で解決しろというふうに申しましても、先ほど来お話がございましたように、訴訟についてはお金もかかる。なかなか弁護士の先生を見つけ出すことも困難だ。それから、裁判自身が時間がかかるということもございます。したがって、訴訟制度それ自体を合理化すると同時に、一種のバイパスとして調停のような制度を消費者被害一般について設けること、これは私どもも先ほど申しました国民生活審議会の中でも申しておりますし、将来も十分検討されてしかるべきもの、だというふうに考えております。 ただ、この今回の被害について通産省が直ちに行政指導によってお金を返させるというふうなことをするのが適当であるか、また、事実できるかということになりますと、私はその点は若干意見を異にしておるわけでございまして、去年の五月でしたか、物価問題特別委員会でこの問題が審議されましたときにも、マルチ商法の代表の方は、それは良心の問題ではなしに法律の問題である、法律には従う、したがって、文句があるのなら法律をつくってくれというふうに居直られたわけでございました。そういう立場からすると、法律のない段階で行った取引について通産省が乗り出したとして、素直に応ずるような人であろうかという疑問を持っておりますが、一般論としてはおっしゃるとおりだろうと思います。
○松尾委員 それから、もう一点でございますけれども、何としても消費者を守ってあげたい、被害を取り戻したい、こういう気持ちでありますが、諸外国では、製造物責任と申しますか、メーカーに対する責任と申しますか、こういう対策を法律的に実施、検討しておるということも聞いておるわけでありますが、こういう点で、今回のこの法案に欠除しております買い戻しの問題、クーリングオフ期間を経た、そしていろいろ問題を起こした、被害が起こったという商品に対する買い戻しの制度は本当に必要だと思うのであります。そこで、もう少し先生の御研究がございますれば、この製造物責任というものについてお話を承って、今後の日本政府の施策に早く実現していきたいというように思います。
○竹内(昭)参考人 製造物責任と申しますのは、普通、現在の民法、商法が規定しております責任は、小売店、売り主の責任でございます。物をつくったメーカーの責任というものははっきりしない。そこで、小売店を飛び越してメーカーの責任を追及できるようにしよう、あるいは小売店と同時にメーカーの責任も追及できるようにしようというのが製造物責任でございまして、これはお説のように各国でその立法化が進んでおり、また条約の起草も始まっております。わが国におきましても、私はこのような立法について検討する必要があるというふうに考えております。 ただ、ここでわれわれが答申しました買い戻しというのは、その製造物責任の問題としてではございません。と申しますのは、先ほど堺さんは、マルチでやる商品の中にはインチキな商品が多いというふうにおっしゃいました。事実そうであろうと私も思います。しかしながら、マルチがいけないのはインチキ商品を売るからではないのでありまして、たとえりっぱな商品を売ってもマルチはいけない。われわれが買い戻し条項ということを入れたのはなぜかと申しますと、それは商品を独立の商人として仕入れたのではなしに、いわば手数料で売ってかせぐセールスマンというものとして位置づけたい。手数料式で、売り上げに応じて歩合をもらうセールスマンなら、残ったものは返せるのがあたりまえのことでありますから、そういうことにすれば、先ほど堺さんのおっしゃったように、狭い部屋にしこたま洗剤を積んで泣いているというようなことはなくなるであろうというふうに考えたわけで、これまたマルチをやめさせる一つの手段ということでございます。
○松尾委員 それで、先生、これは少し問題が飛躍いたしますけれども、流通マージンの問題であります。工場原価がわかりますね。それから運賃だとか、手数料だとか、輸送料だとか、いろいろのものが加算されまして、卸、小売の段階に入っていくわけでありますけれども、いまこれが非常にめちゃくちゃと申しますか、原価五、六百円のワイシャツが大体三千円で売られているということなんです。これは実態ははっきりしておりまして、こういう流通段階がたとえ幾らあろうとも、それぞれの段階において追跡していけば、そこに適正のマージンというものがあるはすであろうと考えられるわけです。そうすると、流通段階における適正販売価格というものも理論的には押さえられるのじゃなかろうかと思うのですが、こういう問題にもう一回真剣に取り組んで、そうしてそういうところから、消費者が不当に総体的に困っているという問題をどのようにしていったらいいのか、これを先生からお聞かせ願いたい。私は前前から、何か機会があったら聞きたいと思っていたのです。
○竹内(昭)参考人 私は流通問題の専門家というよりは、一介の法律屋でございますから、非常にむずかしい問題だとは思いますけれども、私自身も、客観的に公正なマージンの限界というものがあるであろうというお話、これはそうだろうと思います。 ただ、問題は、客観的にあるはずの公正なマージンというものをだれがどうやって決めるのかということになりますと、これを行政ベースで決めるということになりますと戦時中の統制経済ということになってしまう。それが多くの弊害を生んだことはわれわれの記憶しているところでございます。 したがって、客観的にあるはずの公正なマージンに落ちつくような施策をとるにはどうしたらいいかということになりますと、私は、それは現在では、業者間の公正な競争を推進することによって経済的なむだが省かれ、したがって合理的なマージンの線に落ちつくということになるのが、現在の経済秩序についての法律の基本的な考え方ではないかというふうに考えているわけでございます。したがって、また、そういう公正な競争を阻害するような独占禁止法の審議ということも昨年来問題になっていることは、御承知のとおりであります。私はその方向でお考えいただくのが基本的には正しいのではないかというふうに考えております。
○松尾委員 これは竹内参考人にお伺いいたしますけれども、先ほどセールスマンと会社の関係で、セールスマンのすべての言動を会社が責任を持て、こういうことであります。これは、法案にはそういうことは全然盛れもしないかもしれないのですが、非常に大事な基本的な問題と思います。それで、何か問題が起こると、会社はセールスマンに責任転嫁しまして、逆にセールスマンをいじめているわけですね。会社が責任を持つどころではなくて、セールスマンに全部責任を転嫁しているというような面がございます。法案にそういうことは盛ってもありませんので、これは行政指導でセールスマンの言動に対する会社の責任というものがいけるかどうか、どういうお考えですか。
○竹内(直)参考人 この問題は、民法上では、業務に関しては使用者は責任を負うということになっておりまして、業務に関してという範囲を判例でもってだんだん広げて、使用主の責任を重くしていることは事実なんですけれども、しかし、いまのような訪問販売を業としているのは、これを最初から意識しております。セールスマンにこういうことを言えということを教育をして、そうして最後は、苦情を言ってきたら、自分の会社はそういう指導はしておりません、セールスマンが勝手に言ったことですから、当社は責任を負いませんという逃げ口上をやる。その道を封じる一つの方法として、先ほど来私が申しているように、業者の方が、セールスマンが商品の売り込みをやる段階でチラシを見せる、あるいは契約書の中に、この契約についてセールスマンが原因でもってトラブルが起こった場合の責任は一切当社が負いますということを契約条項でうたうことは自由なんですから、それをこの法律に基づいて、これは政令になるのか省令になるのか知りませんけれども、書面を交付する、その内容にそれをはっきりうたわせれば、目的を達するのではないかというように考えます。
○松尾委員 それでは、時間がありませんので、最後の質問になりますけれども、先ほど堺参考人が、マルチ商法がますます悪質化してくる、ところが資料がないから全然実態がつかめない、無理てある——私も午前中質問しましたけれども、マルチ商法をやっている企業がどのくらいあるかということは政府もわかりません。実態がわからなければ、なかなか究明も行われがたいし、漏れる部分が多いわけであります。この実態を掌握するためにはどういうことが一番決め手になるのか、お考えがありましたらお聞かせ願いたい。たとえば届け出制にするとか、届け出をしない商社はこのような商法をやることはできぬとかなんとかあるかもしれないと思うのですけれども、この点についてお聞かせ願いたいと思います。
○堺参考人 マルチ商法の企業はいまたくさんございますけれども、そのほとんどが地にもぐっているといいますか、潜在化しているわけでございまして、被害者の電話とか手紙が一番参っているのは当会であろうと思います。当会ではつかんでいないということは、それを取り締まる、それを知るためには届け出制をとったら一番いいのじゃないか、おっしゃるとおりでありまして、私どもの会といたしましても、マルチ商法という定義をもう少しはっきりさせて、それこそ許認可制にすればいい、これが本当は一番望むところでございます。それはなかなかむずかしいということならば、やはりここで主務大臣がマルチ商法をする企業から一定の書式の届け出をとる、公正取引委員会は、独占禁止法違反の要綱といいますか、これは今後も持続するということを言っておりますけれども、これもデータがなければやはり被害が起きてから動くことになりかねません。だから、少なくとも通産省、公正取引委員会、それから警察庁は、事前にデータを押さえておくべきであろうというように考えます。ですから、主務大臣への届け出義務規定、これは絶対必要であろうということは考えております。
○稻村委員長 宮田早苗君。
○宮田委員 時間の関係もございますので、お三人の参考人の方々に一問ずつ質問をいたします。 まず、竹内消費者連盟代表委員の御意見を承りたいと思いますが、訪問販売、マルチ商法の意見はお聞きいたしましたが、審議の参考のために、消費者連盟という立場から、通信販売についても、御意見がございましたらひとつお述べ願いたいと思います。
○竹内(直)参考人 御承知のように、アメリカあたりでは通信販売が非常に発達をしておりますが、なぜあのように発達しているかと言えば、これはやはり通信販売に対する消費者の信用が高い。それなりの企業としての対応を十分にしているから、消費者が通信販売を安心してやるという素地があるのだろうと思いますけれども、日本の場合は残念ながら目下のところ、そういうこと上りも、逆に消費者をだますという意図を持った通信販売がまだまだ多いという実態でありますし、これはやはり消費者を守る立場からするならば、一般の対面販売の何倍にも及ぶような細かい義務づけを企業側、売り手の側にさせる必要があるのじゃないか、一般的にそういうように申したいわけですけれども、そういうことによって通信販売に対する消費者の信用度を逐次高めていく、非常に気の長い話になるのかもしれませんけれども、それ以外にオーソドックスな方法はないのじゃないかというように思うわけです。 ですから、そんなことをするといま行われている通信販売が大半だめになるのじゃないかという御意見に対しては、結局通信販売を本来の形で伸ばしたいならば、回りくどくてもそういう手でやっていくしかないじゃないか、いま日本の通信販売というのは大半はいかがわしいのが多いのではないかというように考えております。
○宮田委員 堺参考人にお聞きいたしますが、被害者の対策に実際に取り組んでおられるということで、特に運用の問題については、その趣旨徹底について具体的な意見が述べられたわけでございます。そこで、堺参考人がいま掌握されております千数百人の方々は、お聞きいたしますとマルチ商法の被害者というふうに判断をいたしますが、通信販売、訪問販売についての被害者という方々はこの中においでにならないかどうか。 そうして、あなたがいま掌握されております千数百人の方々は、ほんの氷山の一角というふうにおっしゃっておりました。もちろんそうでございましょうが、やはり組織を広げていかなければならぬ。そこで、被害者が自発的にあなたの方に参加される場合等、あなたの方でどういうような方法でその被害者をあなたの方の組織に結集をされるような方法をとられておるか、この点、お聞きをいたします。
○堺参考人 まず、被害者の対策についてでございますが、先に、被害者を私どもどのような形で集めているかということについて答えたいと思います。 マルチ商法の被害者の場合、その組織が一点集中型の縦組織になっておりまして、会社側からの情報は末端にまで行き届くけれども、末端の被害者同士の横の連絡はとれないような仕組みになっております。ということは、被害者が自分だけでとどまっている例、あるいは自分の上の人、自分を誘った人も大体被害者になっている例が多いわけですが、二人、三人ぐらいしかつかめないというような状況が多いわけです。そうしますと、私どもも、まさかそのマルチ企業に行きまして名簿をよこせと言ってもくれるわけがございませんので、やはりもっぱらマスコミに訴える形をとり、マスコミを見た方々が自発的に参加してくるのを待つ以外にない現状でございます。 それから、この被害者の中には、訪問販売の被害者、通信販売の被害者は含まれておりません。私どもの存在基盤といいますか、存在理由といいますか、それは、従来の消費者運動で取り上げてもらえなかった方々、すなわち、マルチ商法の被害者のように、外から見ると商売をやろうと思って入ったいわゆる事業者とみなされる、しかし実際は前の形が主婦とか、サラリーマンとか、学生とか、あるいは未成年とかといったように、事業者の知識経験がなく、入っても三カ月ぐらいすればまた同じような立場に返る。いわゆる事業者として入っても実際は一般消費者なんだというような方々を取りまとめているわけでございます。
○宮田委員 竹内先生にお聞きをいたしますが、この法案を早く決めること、全く同感でございます。問題は、お三人とも強調されました運用の問題について、いままでも各委員からいろいろ質問がございましたが、やはり法をつくりましても消費者がこれをより徹底して知ることがまず一つ、もう一つは、取り締まる側がこの法律の解釈を十分にわきまえて指導することではないか、こう思っておりますが、その両方についてへ先生は幸いなことに審議会の委員という立場でもございますだけに、何かお考えがございましたら具体的に御意見をひとつおっしゃっていただければ幸いと思います。
○竹内(昭)参考人 大した知恵もございませんが、運用が大事だということは先ほども申しましたし、また、お説のとおりでございます。たとえばマルチにつきまして勧誘する場合に、「重要な事項につき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。」という十二条がございます。そこで、これの運用の仕方として、マルチというのはどんどんふえていけば最後には大ぜいが泣くという性質のものでございますから、したがって、あなたが泣くか、それともあなたのお友達が泣くか、さらにもっと多くの人が泣くか、どちらかになりますよということを最初に言わなければ十二条がひっかかるというぐらいのつもりでやれば、それでもなお飛びつくなどという人はあり得ないのではないか。したがって、いまはよくても、いまはよいとするとますます将来は大ぜいの人が泣きますよ、将来泣かせないと思えばいまあなたが泣くしかありませんということを告げる必要があるというぐらいのつもりで私は運用をしていただきたい。 それからもう一つは、これはPRでございまして、法律がいかにそういうふうにできましたところで、やはり欲に絡んでこれにひっかかるということを絶滅するのははなはだむずかしいのではないかということも感じます。したがって、そういう意味ではこれのPRが必要でありまして、各国民生活センター等を通ずるPRにおいても、それから各消費者団体を通ずるPRにおきましても、世の中にそんなにうまい話なんというものがあるはずがない。うまい話があったらそれは怪しいと思ってそれにはひっかからないようにというような、ごく初歩的な、プリミティブなことから周知徹底していくということが必要ではないかというふうに思っております。
○宮田委員 終わります。
○稻村委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。(拍手) —————————————
○稻村委員長 引き続き、政府に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹村幸雄君。
○竹村委員 午前中留保いたしておりました事項につきまして、若干質疑を続行したいと思います。 第十六条の解約についてでございますけれども、これは現在まで各委員からいろいろと質疑がありまして、答弁をいただいているわけでありますが、七日間のクーリングオフ期間はどう考えてもやはり短か過ぎる。改善すべき事項であろうというふうに思うわけであります。先ほどの参考人の話にもありましたが、エー・ピー・オー・ジャパンの場合、クーリングオフ期間が四日であったが、二十万人の被害者が出ました。さらにホリデイマジックの場合は七十二時間、三日のクーリングオフの期間がありましたけれども、十万人の被害が出たというふうに言われております。 ただ、本法の場合、発生主義をとっておりますので、三日と七日、四日と七日をストレートに比べて、わずか三日、四日の延長だというふうには言えないと思いますけれども、先ほどの話にもありましたように、洗脳されて催眠的な状態から覚めるのが平均三カ月である。あるいは最低でも一カ月かかるというふうな話がありました。常識的に考えてみましても、これはある程度の品物が着いてから一週間という説明でありますけれども、ある程度の品物が着いて、それから商業活動を始めるわけであります。素人が商品を販売するわけでありますから、最初はやはり兄弟とか、親戚とか、あるいは知人とか、近所とか、そうした近いところに商品を売り歩くということになろうかと思います。そうした場合、一般的に十日間ぐらい、あるいは半月ぐらいは商品がそこそこ売れるというふうに私の調べではなっております。それ以後、本当に商売をやっていくというときに、初めてこの商法が大変な商法であるというふうに気がつくわけであります。 しかも、産構審の答申にも、クーリングオフ一週間後の措置についても考えるように指摘されておりましたにもかかわらず、その項が削除されておる。こういうことを考えましても、このクーリングオフの期間を一週間でなしに、十五日とか二週間とか、あるいは一カ月とか、いずれの時期が最も正しいかということにつきましてはお考え願ったらいいわけでありますけれども、一週間というのは非常に短いというふうに考えますので、再度御答弁を願いたいと思います。
○天谷政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、クーリングオフの期間はどの程度がよろしいかというのは、きわめて議論の多いところかと存じます。消費者保護と申しますか、加盟者保護という見地からいたしますと、長ければ長いほどいい。さきの堺参考人は、一月というようなことを言っておられましたが、長ければ長いほどいいというようなことが言えるだろうと思います。しかし、他方、法的安定性あるいは民商法の一般的な原則とのバランスというようなことも考える必要があろうかと存じます。 われわれは、原案作成の過程におきまして、いろいろな方面と折衝をいたしました結果、その辺の均衡点といたしまして、七日程度がいろいろな意見の落ちつくところでございましたので、事務的に七日が正しいというふうに信じておるわけでございますが、この辺の考え方につきましては、いろいろな考え方が可能であろうかと存じます。
○竹村委員 大臣は、一週間のクーリングオフの期間についてどう思われますか。
○河本国務大臣 いま政府委員が答弁をいたしましたように、いろいろな意見はあったのですけれども、いろいろ議論をした結果、七日という原案が出てきたわけでございます。
○竹村委員 次に、第十二条、第十三条に違反した業者については、契約者の解約について特別の規定を設けて、全額返還をすべきであろうというふうに思いますけれども、その点についてはどうお考えですか。
○天谷政府委員 産構審の答申におきましても、クーリングオフ期間経過後におきましてその商品の九掛け程度で返還することを認めるべきであるという御意見をいただいておるわけでございます。 この規定につきまして、われわれいろいろ考えたわけでございますが、結局この法律案の中に入るに至らなかった理由は、この規定を置きますと、契約を長期にわたって効果不確定の状態に置くということになりまして、法的安定性を害するということ、それから第二番目に、連鎖販売取引におきましては組織がきわめて多段階でありますために、契約から派生する効果、すなわち俗に言えば取引料を収受いたしますと、これを関係者の問で山分けするわけでございますが、山分けするということは実はいろいろな人が芋づる的にこの関係者になっておるということを意味しておるわけでございますので、そういう場合におきましてこの商品の引き取りとか返還請求権を多数の人が自由に行使するということになりますと、この権利義務関係が混乱しまして解きほぐすことができないような状態に陥ってしまうのではないか、したがいまして、そういう請求権を認めるということは、一見、だれか一人にだけ認めればその人は救われるということになるであろうかと思いますが、多くの人にそういう請求権の自由な行使を認めることになりますと、これは大変な交通混乱状態になるであろう、だんご状になってしまいまして、これはどうにももつれが解けないことになるのではなかろうかということを心配したわけであります。 こういう難点を軽減するためには、統括者か何かから請求するということにすればいいではないかというような意見もございますけれども、統括者が関係しない、直接に契約当事者とならなかった、そういう取引につきましてまで統括者に責任を負わすということは、これは法律上問題があるというようなことがございまして、こういう難点がありましたために、法律案に入れることは見送ったわけでございます。しかしながら、先ほど竹内東大教授も言っておられましたように、そういうところのマイナスの方は十二条、十三条等の取り締まりを強化することによってカバーしていきたい、こういうふうに考えまして、現在のような規定になった次第でございます。 〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕
○竹村委員 第十八条の売買契約に基づかない商品の引き取りの場合、引き取りの費用は当然業者負担となるべきであると思うが、どうですか。また、六カ月経過し販売業者がその商品の引き取りをしないときはその送付した商品の返還を請求することができないとなっておりますけれども、消費者に商品の保存義務はないと思うし、また、いつ引き取りに来るかわからない精神的な負担、あるいはまた転宅等、いろいろな条件を考えたときに、六カ月は非常に長いというふうに思います。また、仮に間違いで送付してきたというふうなことであれば、二カ月もあれば十分であるというふうに思いますし、また一方、先ほどからるる述べられておりますように、一方的に商品を送付する商法は好ましくないということでありますので、この六カ月たったら商品の返還権がないというのは少し長過ぎるというふうに考えるわけですけれども、その点についてお考えを承りたい。
○天谷政府委員 非常にわかりやすい御議論でございまして、われわれの中でもそういう意見がいろいろあったのでございますけれども、法案成立の際には各方面と折衝する必要がございまして、その過程におきまして、たとえば遺失物法とのバランスであるとか、あるいはイギリスの立法例であるとか、そういうところから考えまして、六カ月という線が一応出たわけでございます。
○竹村委員 公正取引委員会にお伺いしたいわけでありますけれども、公正取引委員会は公正取引委員会の立場から今後も違反行為に対し十分な措置を講ずるべきであるというふうに考えますけれども、先ほどからいろいろと答弁をいただいておりますが、再度御答弁をいただきたいと思います。
○後藤(英)政府委員 マルチ商法につきましては、私どもの方といたしましては、マルチ商法によりまして販売等の会員として募集する際に、非常に過大な利益がたちまちにして入るとかいうことをもって勧誘しておるというようなことは、やはり独禁法の不公正な取引方法、つまり正常な商慣習に照らしまして不当な利益を与えるということでもって勧誘しているという点が問題になります。それが具体的にリクルート料とかいうような形で問題になりますので、こういう事態がございますれば、厳正に法を運用いたしまして、ホリデイマジックにやりましたような形でもって今後も厳しく取り締まってまいりたい。 ただ、マルチ商法につきましては、いろいろな巧妙な方法をとられますので、簡単にリクルート料とかあるいは報奨金とかいった不労所得的なものを与えるというような形をとらず、いかにも売買という形をとりながらそういう過大な利益を安易に得られるようなことをいたしますので、そういう問題につきましては指導を通じてでも厳正に指導して、被害者の発生することのないように運用してまいりたい、そう思っております。
○竹村委員 経済企画庁にお伺いしたいわけでありますけれども、経済企画庁は、この法律を、消費者保護の立場から、また再び被害者、犠牲者を出すことのないよう、国民に対して十分なPRが必要であるということは先ほどからも言われておりますし、マルチ商法を根絶していくその最も適切な方法というのは、やはり利口な消費者、そうしたことに理解ある国民大衆を多くつくっていくことが一番早道であるというふうにも言われておるわけでありますので、十分なPRが必要だと思います。そこで、どのような方法で全国に対して広く知らしめていこうというふうに考えておられるのか、お聞きをいたしたいわけであります。考え方といたしまして、直接の広報活動と同時に、たとえば地方自治体に委託するとか、あるいは関係する団体に委託をして十分PRをする考え方等がないか、あわせてお伺いをしたいと思います。
○藤井(直)政府委員 マルチ商法に対応していくためには、何と申しましてもその被害にかからないように、十分消費者に情報を提供する必要があると思います。そこで、昨年の六月にもマルチ商法に対して総合対策をつくったわけでございますけれども、その重要な柱としてPRの問題を取り上げておりまして、現在までいろいろ努力してきたわけでございます。 今回この法律が成立いたしますれば、先ほど通産省の答弁がありましたように、通産省とされても集中的にPRをするということでございますし、企画庁といたしましても、たとえば企画庁の特殊法人として国民生活センターというのがございますが、国民生活センターが行っております消費者啓発事業の中で、ラジオとか、テレビとか、センターが発行する各種の刊行物等におきまして、十分その内容等の紹介をしてまいりたいと思っております。 さらには、現在、地方消費者生活センターとのネットワークも組まれておりますので、そちらの方にも十分お話をいたしまして、消費者へのPRというものについて従来以上にやっていただきたいということを要望するつもりでございます。その場合、そのPRの内容等につきましてもできるだけわかりやすいものにして、周知徹底していくという方向をとってまいりたいと思っております。
○竹村委員 大蔵省においでいただいていると思いますので、お伺いしたいわけですけれども、このマルチ商法はアメリカ式ネズミ講商法とも言われ、また、商品をくっつけたネズミ講だとも言われておりますけれども、そのネズミ講そのものが再び活発化しておるわけでありまして、そのことをどのように把握しておられるか、また、そのことについてどう考えておられるか、お伺いしたいと思います。
○清水説明員 お尋ねのネズミ講につきましては、私どもの立場におきましても、出先の財務局あるいは財務部を通じます情報というような形で把握することができるわけでございますが、最近におきまして、たとえば沖繩においてその種の問題が起きたというようなことがあるわけでございます。この問題につきましては、かなり以前から、いろいろと検討しなければならないという問題意識は持っております。しかしながら、最近におきましてはそういう続発をしているというふうには見受けられませんけれども、むしろやり方が非常に巧妙なものになってきているのではなかろうか。それで、出資法という法律の関係で見ましても、直接出資法の規定に抵触するような形を避けるような工夫をしたものがどうも出てきているような気がいたします。 そういったものに対しまして、これは単に大蔵省の金融行政の立場からどういうふうに考えるかというような問題というよりは、むしろもう少し幅の広いと申しますか、あるいはある意味でより根本的な社会的な現象のような気がいたすわけでございまして、この点につきましては、他の関係官庁とやはりいろいろ御相談をしなければならない問題だろうと思っております。 沖繩の件につきましては、すでに新聞にも報じられてございますけれども、わりあい出資法の関係の疑いも濃かった、あるいは別の法律の違反の疑いが濃かった、という観点もあったかと思いますけれども、敏速な警察当局の御処置もあったように記憶しております。
○竹村委員 マルチ商法が不当であり、禁止されるべきだというのは、商品販売とネズミ講が同居しているのが問題になっているのであって、本法の成立によってネズミ講の部分を規制し、禁止していこうというのが、本法立法の精神であろうというふうに思います。通産省においてネズミ講を規制する対策が図られているのに、大蔵省においては、いまの答弁を聞いておりましても、余りそうした規制について熱意がないように感ぜられます。このことは行政の一貫性を欠くことになるし、大蔵省の方が大衆保護については何らの熱意もないし、考えておらないということになるわけであります。早急にネズミ講について立法措置を講ずるなり関係法律を整備するなりして取り締まる必要があるというふうに考えるわけですけれども、再度御答弁を願いたいと思います。
○清水説明員 大変恐縮なお答えを申し上げることになるかもしれませんが、問題が単なる金融という問題よりは、もう少し範囲の広い問題のような、あるいは一般的な社会的現象のような感じもあるように私どもには思えるわけでございます。そういう意味におきまして、これは関係各省と十分連絡をとらせていただきたい、さように思います。いずれにいたしましても、大衆が迷惑を受けるという問題に対して、これはもちろん十分熱意を持って研究しなければいけないという御指摘に対しましては、同感に存ずる次第でございます。
○竹村委員 産構審の中間答申によっても、ネズミ講のようにマルチ商法と同様の論理に立つ類似行為の規制についても早急な対策が望まれるということを強く指摘をいたしておりますし、先ほどの竹内参考人の話を聞きましても、マルチ商法の規制よりもネズミ講の規制をするということの方がより重大であるというふうな発言もあったわけでありますけれども、そうした発言、またそうした産構審の中間答申についてどう考えられますか。
○天谷政府委員 産構審の中間答申は、通産省の諮問でございますので、商品販売を伴っておるいわゆるマルチ商法に関する規制を中心とした答申になっておる次第でございます。しかしながら、マルチを取り締まって、他方、マルチとほぼ同じような社会的悪を引き起こす可能性を持っておるネズミについては放任されるということはアンバランスであるという見地から、あのような答申の文言が入ったのであろうというふうに推察をいたしております。
○清水説明員 御指摘の産構審の中間答申の趣旨につきましては、十分研究をさせていただきたいと思います。
○竹村委員 最後に、大臣に御質問申し上げたいわけでありますけれども、本法案の細部はすべて政令、省令で定められることになっておるわけでありまして、通産省は本法律の運営に当たってどういう基本姿勢で臨まれるのかお伺いをいたしたい。 また、この法律の施行は、先ほども話がありましたように、成立後六カ月以内となっておりますけれども、巧妙化したマルチ商法が再燃している現状にかんがみ、いますぐにでも施行させるくらいの配慮が必要であるというふうにも言われております。できる限り早期に施行すべきであると思いますけれども、決意についてお伺いをいたしたいと思います。
○河本国務大臣 まず、この法律を通していただきましたならば、私どもの考えておりますことは、消費者保護という法の精神を徹底したい、こういうことが第一でございます。 第二には、新しくつくった法律でございますので、関係方面、特に消費者に対して徹底的なPRをしたい。PRにつきましては、いろいろな方法を考えておりますが、十分な周知徹底を図りたいということが第二点でございます。 第三点といたしましては、関係する役所が非常に多いものですから、この関係方面と十分連絡をとって、運営について万遺漏ないようにしたい、こういうことを法の運営について考えておるわけでございます。 六カ月よりももっと早くやったらどうかというお話でございますが、その間には十分PRを徹底いたしまして、法の精神を普及させたい、かように考えておる次第でございます。
○竹村委員 終わります。
○武藤(嘉)委員長代理 佐野進君。
○佐野(進)委員 通産大臣に質問をいたします。 けさ、あなたが参議院の委員会に出られるということで、この訪問販売等に関する法律は初めての審議であるから、大臣の出席の上で審議したいとわれわれは思ったわけですけれども、会期末のことでもあり、参議院における審議のいままでの経過等もあって、われわれはあなたがいない中で審議をしたわけであります。しかし、この審議の内容等についてはいずれ担当官から聞いていただくことになろうと思うのでありまするけれども、私どもはこの訪問販売等に関する法律の内容の中における不十分な面について指摘をし、これを補強しながら実施してもらいたい、そういう願いを込めて質問をしてきたわけであります。 われわれは、この法律については、そういう意味で不十分であるけれども賛成していこう、賛成していくその上で幾らかでも不十分さを補強したい、こういう意味で修正案の提出をいたしながら審議に当たっておるわけです。いまここでそれらの点について質問を繰り返すということになりますると、時間も大変経過をいたしておりますので、省略をいたしまして、残された二、三の点について質問をしてまいりたいと思います。 私がけさ質問をいたしましたことは、具体的な問題といたしまして、いまマルチ商法、あるいは最も巧妙にマルチでないという形の中でその商法を行っておると言われておるベストラインの問題、これを中心にして質問したわけです。その結果、これが独禁法にも違反するし、新法にももちろん抵触する疑いが十分である、こういうような判断をいただいておるわけであります。 そういうような判断の中で、これから法律が成立した場合、それぞれ行政当局が対応していくわけでありまするが、一番問題なのは、先ほど来参考人の意見開陳の中にもありましたし、私どもの質問に対する答えもありましたが、結局被害者が当初それぞれの企業の勧誘にひっかかるといいまするか、入っていく、そういう最大の問題は、もちろん個人が欲があるとか、あるいは何か仕事を欲しいとかということがあるけれども、勧誘の仕方がきわめて巧妙だということなんですね。要すれば催眠術的に、いまテレビなんかでよくやっておるけれども、一、二、三と言ったら寝てしまう。どんなきれいな女性でも、醜い男性でも寝てしまうと言われるほど、まあテレビでやっておりますが、あんなことは本当なのか、われわれは疑うわけですが、結局これに類するような行為が、この加入者を募る経過の中で行われておると言っていいと思うのであります。 そういう形の中で加入していった人たちは、幾らわれわれが、あるいはこの成立した法律を基礎にして関係当局が、あるいはまた被害者の会が、声を大にして、それは違うぞ、こう言ってみても、一度魅入られたというか、説明の魔力に取りつかれた人は、そういうようなことについては、違うのだと言ってもなかなか理解できない。結果的に裸にされて初めて、あるいは一家離散して初めて、あるいはみずからがどうにもならない状態に陥って初めて、その事実に気がつく、こういうことになろうと思うのであります。 そういうような状況の場合、いわゆる事実誤認を平然として行わせるようなそういう行為に対して、この法律がどういうような役割りを果たすかということについては、きわめて不十分であろうと思うのであります。いろいろの面において説明があり、不十分さの中においてもいろいろあるけれども、一定の役割りを果たした、こう言われていながら、最大の障害は、そういうところに問題の本質がある、こう思うわけです。 こういうことについて、今回のこの法律で取り締まることができるのかどうか。あるいはそういう面についてPRをいたしますと言っても、そのPRの面についての効力よりもむしろ勧誘の効力の方が強い。催眠術には私はかからないのだと言いながらかかっていく人が非常に多いという現状の中において、そういう点については大変心配をされるわけであります。したがって、この点については何らかの法的な措置が当然とられなければならないと思うわけでありまするが、それをとる意思がおありになるかどうか。あるいはその意思があるとするならば、この法律が具体的には第十二条の中において処置をされてくると思うのでありまするけれども、そのいわゆる連鎖販売取引についての勧誘の項についてどのような措置がとられるような形になるのか、まず私が冒頭この法律を審議する経過の中で明らかにしてきたこういう点について、通産大臣がいなかったので、あなたはどうお考えになるかということと、この特定の勧誘事項、いわゆる事実誤認を与える勧誘を防ぐためにこの法律の中にどのような措置を考えられておるか、この点について質問をいたしたいと思います。
○河本国務大臣 本日午前中の御質疑につきましては、速記録等を十分読み、かつまた御質疑の内容等について係官から聴取いたしまして、御趣旨のあるところを掌握いたしてまいります。 なお、いまお尋ねの問題につきましては、先に政府委員から答弁をさせまして、私から後ほどお答え申し上げます。
○天谷政府委員 いまお尋ねの件は、マルチ商法を取り締まるに当たりまして基本的な問題である、こういうふうに考えております。 今回の法律案におきましては、マルチ取り締まりの根幹をなしておるものは第十二条及び第十三条でございます。このうち第十二条は、警察による取り締まりの根拠規定になるものでございます。これがどういうように運用されるかということにつきましては、類似の法律、すなわち宅地建物取引業法第四十七条、それから商品取引所法八十八条、証券取引法百二十五条、こういうような規定がございまして、これにつきましては運用の従来の実績があることでございましょうから、警察の方でこういう従来の経験、法解釈等の積み上げの上に十二条を運営されていくものというふうに考えております。 次に、十三条でございますが、十三条におきましては、「勧誘が適正を欠くものとして政令で定める基準に該当し、かつ、当該勧誘が引き続き行われるおそれがあると認めるときは」営業停止命令等の行政命令をかけることができる、こういうふうになっておるわけでございます。 それでは、その政令の内容とは一体何であるかということでございますが、まだ十分案が練れておりませんので、たとえばの程度でございますけれども、たとえば、一、重要事項につき、故意に事実を告げず、または不実のことを告げること、二、重要事項につき、誤解を生ぜしめることを告げること、三、特定負担につき、貸し付けその他信用を供与することにより契約の締結を誘引すること、こういうようなことを一応いまのところ案として考えておる次第でございます。このうちの第二番目の、重要事項につき、誤解を生ぜしめることを告げること、というようなことが、いまの御質問との関連において重要であろうかと存ずる次第であります。 先ほど竹内教授からも御指摘がございましたように、たとえばマルチ的あるいはネズミ講的な、利潤が無限に拡大していくということは、論理的にあり得べからざることでございます。しかるに、それがあり得るかのごとき印象を素人に植えつける、そしてそれによって多額の負担を引き出さす、このプロセスを見ますと、客観的にはあり得ないようなもうけがあたかもあり得るかのごとく印象づけることによって射幸心を過度に刺激する、そして誤認を生ぜしめるというような行為であろうかと存じますので、これは重要事項につき誤解を生ぜしめることであるというふうに解することが可能であろうかと存ずる次第でございます。 この勧誘関係のいろいろな文書等をチェックし、あるいは説明会場等におきましては多数の人間が集まるわけでございますから、どのような勧誘がなされたかについて証言をとる等のことも可能であろうかと存じますので、そういうことをよく調査いたしまして、重要事項につき誤解を生ぜしめるようなことを告げておったといたしますならば、第十三条を適用することによって取り締まることが可能であろうかと存じております。
○河本国務大臣 いま政府委員がるる説明したしおりでございまして、その方針に従って取り締まります。
○佐野(進)委員 大臣、この問題は非常に専門的ですから、あなたもあちらこちらと忙しいからなかなか研究をされておるひまもない思うのであります。しかし、通産当局としては、最も表に出ない、日の当たらないというか、そういう形の中において運用に当たらなければならない法律の一つであります。したがって、要するにスポンサーのいない法律、しかしこの商法によって犠牲を強いられている、いままさに受けようとしている何十万、何百万という多数の人たちがいまあるわけであります。したがって、この法律の持つ意味は私はきわめて重要であると認識しております。大臣も恐らくそうであろう。しかし、なかなか時間がないから、私がいま質問を申し上げているようなことについてはなかなかその内容を御理解がいただき得ない面もあろうと思うのでありますけれども、経済問題の中においてこの種被害者を出すということがあることは断じて許すべき状態ではないのでありますから、一応いまの答弁で了解いたしまするけれども、より積極的に対処してくださることを要望しておきたいと思います。 そこで、天谷審議官に続いて質問をいたしまするが、そうなりますると、いま、政令で決める、こうお話しになっております。私もそうあらねばならぬと思うのでありますが、それでは、政令のほか、いわゆる省令としていま少しく具体的に問題を掘り下げて検討し、これを防ぐ手段を講ずる、単にいまの十二条、十三条に関連した事項だけでなく、多くの条文の中における不備を政省令で補強する、これは当然の措置でございますが、特にこの面についてそのような措置を講ずるお気持ちがあるかどうか、この際明らかにしておいていただきたい。
○天谷政府委員 この法律を有効適切に運用してまいりますためには、マルチ関係だけとってみましても、十数本の政令、省令をつくる必要があるわけでございます。したがいまして、この政令、省令が適切にできておるかどうかということによりましてこの法律の切れ味が決まってくるということになろうかと存じますので、この内容につきましては全力を挙げて検討して、有効な法の運用ができるようにしたいと考えております。
○佐野(進)委員 そこで、私はこの法律をずっと審議してまいりまして感ずることは、結果的に利益を得たい、利益を得るためにはいろいろなことを考える、そのいろいろなことを考える考え方の一つとして、他人の迷惑ということについて考慮しない、みずからの利益を守るために他人が犠牲になること、その犠牲がより累積された形の中において深刻化すること、その深刻化する状態が存在することを知っていること、知っているけれどもそれらのことを全然考慮しないで利益を得ることにきゅうきゅうとしている人間の姿をこの法律の中に見ることができると思うのであります。 訪問販売という言葉、この言葉の持つ意味は、通産当局の説明、関係者の説明はきわめてきれいな表現の中で行われております。しかし、言葉をかえて言えば、われわれが最も忌み嫌う一つの状態として、いわゆる暴力団等によるところの押し売り、この形態もやはり訪問販売だと思うのであります。あるいはわれわれが最も忌み嫌う形の中において不愉快な現象を生む通信販売という名のもとに、たとえばという形の中で当局は、あるいはレコードとか、あるいは写真であるとか、書籍であるとかと言うけれども、それ以上にわれわれの人間の良心に対してきわめて悪い影響を与えるようなものも、通信販売という形の中において、本人の意識するしないにかかわらず送り込まれてくる。そのことによって家庭生活が、あるいは個人の生活が破壊される条件も存在するわけです。もう連鎖販売については、先ほど来申し上げたとおり、言わずもがなのことだと思うのであります。 したがって、そういうような形の中で私が望みたいことは、こういうようなことがこの法律によって今度はできなくなるということでなくて、少なくとも大きな網をかけるその網の目を小さくすればいいけれども、なかなか小さくなり切れない形の中において、ああこれならばこうすればこうなるんだと、より以上悪い知恵を働かせる、もうけるためには手段を選ばない人たちが発生することは当然予測されるわけであります。これはもう浜の真砂と何とやらで尽きることがないと言ってしまえばそれまでであります。しかし、その尽きることのない状態を法律ができ上がったという形の中において想定しながらその対策をとらざる限り、犠牲はもっと深刻化していく、そういうようなことが考えられるわけであります。 たとえばベストラインの問題、あるいはフランチャイズへ逃げる等の問題、けさほどから私が質問している問題等はその一つの具体的なあらわれであろうと思うのであります。この具体的なあらわれであるこれらをどう防ぎとめるかということが、この法律が成立した後における最大の課題の一つになっていくのではないか。したがって、大臣にこの点について、それらの状態、より巧妙に法の裏をかく、そういう商法に対して厳重なる態度をもって望むという決意をこの際明らかにしていただきたいし、審議官からは、それに対応する対策としていま政省令をつくるというお話がございましたけれども、そのお話の内容についてさらに一段と決意を込めてその見解を明らかにしていただきたいと思います。 最後に、時間も大分経過いたしましたので、まだまだ質問する事項がたくさんございますが、公正取引委員会に一緒にひとつ答弁をいただいて質問を終わりたいと思うわけでございます。 委員長はけさほどから出席をされまして、私どもの審議の内容についてよく御理解になったと思うのであります。まだ就任日浅くして、この種問題についてそれほど深い理解がおありになるとは私どもも判断いたしません。ただ、私が委員長にきょうぜひ出席をしてもらいたいと強い要望を理事会において出しましたのも、この種問題が、公正取引委員会におけるその独占禁止法の立場において、あるいは不公正なる取引方法という形の中において非常に大きなウエートを占めておる。このことは、朝の質問の大部分の時間を公正取引委員会に対する質問に充てたことをもってしても御理解いただけると思うのであります。先ほど来申し上げました、通産当局がこの問題について積極的に対応するとともに、具体的に指導されるのは公正取引委員会になる場合も相当多いと思うのであります。そういう場合において、本法律の運用に当たって、公正取引委員会としては重大な決意を持って対処していただきたい、こう考えるわけでありますが、あなたがきょう審議に参加されてわれわれの質問に答えていただいた経過の中で感ぜられたこと等を含めてその見解をお示しいただくことをもって、私の質問を終わりたいと思います。
○河本国務大臣 いまお述べになりました諸問題につきましては、厳正なる態度をもって処理に当たります。
○澤田政府委員 午前中からいろいろ大事な点で御質問をいただきまして、この問題の重要性を一段と痛感した次第でございます。 〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕 いままで独禁法がいわば一手に引き受けておったような感じでございますが、こういう法律ができまして枠をはめる、規制をするということは、大変時宜に適したことと感じております。と同時に、なお独禁法の分野において今後ともゆるがせにせず、厳重に見てまいらなければならない部面が多々あるやに存じておりますが、そういう点につきましては、この法律の運用と相まちまして厳正な態度を堅持してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○天谷政府委員 先生御指摘のとおり、脱法の問題はわれわれが一番心配をしておるところでございます。この脱法をどうして防ごうかということのために、この法律をつくるに当たりましてわれわれは二つの基本的な考え方の選択に迫られたわけでございます。一つの考え方は、小さいがしかし網目の細かい網をつくるという考え方でございます。それからもう一つの考え方は、大きくてしかし網目はやや粗い網をつくるという考え方でございます。この法案は後者の考え方をとっておる次第でございます。定義としてはかなり広い定義になっておるわけでございます。したがいまして、定義が広くなっておりますために、取り締まりの方では、たとえばこれを全面的に禁止するというような考え方はとらない、行為を規制するという考えに立っておるわけでございます。そうすることによりまして、やや大きな網にかかってくるものの中で行為が適正なもの、不適正なものをより分けまして、不適正なものをどしどし取り締まっていく。 マルチ業者等がいろいろ脱法を考えます場合には、法律が弾力的にこれに対処し得ることが必要でございまして、その要請にこたえるために、この法律におきましては政省令への委任がかなり大幅になっております。余り政省令に委任することは、一般的に言えば好ましくないことかと存じますが、マルチ商法のような弾力的な実態に対処するためには、そういうふうな方法もやむを得ないことではなかろうかと存ずる次第でございます。また、そういう政省令に委任する体系になっておりますために、実態に応じまして機動的に物事を処理していくことも可能であろうかと存じております。
○佐野(進)委員 終わります。
○稻村委員長 近江巳記夫君。
○近江委員 私が質問の最後であります。非常に遅くなっておりますし、皆さんもお疲れかと思います。私も簡潔に聞きますから、御答弁も簡潔にひとつお答えをいただきたい、このように思います。 まず初めに、訪問販売及び通信販売について若干お伺いしたいと思っておりますが、第三条の訪問販売におきます氏名等の明示規定につきまして、明示方法をどのようにお考えになっているか、また、この規定を設けることによりどういうような効果が期待できるか、また、全国数多くのセールスマンに対しましてどう徹底させ、どう責任を持たせるかということにつきましてお伺いしたいと思います。
○内田説明員 お答え申し上げます。 第三条におきまして、セールスマンが訪問販売を行いますときに、まず氏名、それから販売しようとする商品の名称等を明示しろということになっておりまして、これは第三条は特に書面ということを規定してございません。したがいまして、口頭でもよく、もちろん書面でもよろしいというふうに考えております。ただ、これの実効性という問題でございますけれども、やはりこの問題につきましては、およそ訪問販売を行います業者及びそのセールスマンとしてまず第一に心がけねばならない重要事項というふうに考えておりますので、これを各関連業界等に周知徹底させることによりまして、また強く指導してまいることによりまして、まず訪問販売の姿勢を基本的に正すという考え方でございます。その点につきましては、私ども最大限に指導強化を図ってまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。
○近江委員 それからさらに、この交付書の記載内容につきましては省令で定める事項となっておるわけですが、これはどういうようなことをお考えになっているか。また、書面の様式、用語、記載方法等についてどういうようになさるか、その辺の考え方につきましてお伺いしたいと思います。
○内田説明員 お答え申し上げます。 省令におきまして定める事項につきましては、法律に記載されております事項のほかに、当然のことながら、販売業者の住所等細目にわたりまして記載をさせたいというふうに考えております。また、これにつきましては、単に事項だけではなくて、その書き方と申しますか、活字の大きさ、あるいは特定の事項につきましては特に目立つような方法で書くというような、書き方の細目についても省令で規定していきたいというふうに考えております。
○近江委員 それから、クーリングオフ以降の契約の解助に伴う損害賠償につきましては、これは第七条関係になろうかと思いますが、具体的にどういうようになるのか、事例を挙げて簡単に説明してください。
○内田説明員 クーリングオフ期間が経過いたしました後の契約の解除という問題につきましては、販売業者の側の売りましたものに瑕疵があったりして契約の解除という場合には、これは当然に相手側の責任でございますので、本条で考えておりますのはそうではなくて、買い手の方がこれは何らかの理由で欲しくないから解約をしたいというような形、あるいは買い手の方が代金が支払えなくなったために解約をしたいというような場合が想定されるわけでございます。この場合におきまして往々にしてございますことは、法外な損害賠償を要求されるというようなことで、大変消費者が痛い目に遭わされるというような場合があるようでございまして、そうしたトラブルが私どもの方にも間々上がってきております。これに対処いたしますために、この損害賠償の額を合理的な一定の額に制限をしようというのがこの趣旨でございます。 したがいまして、これは、たとえば商品が返還された場合には一定の期間商品をとどめ置いたということで、一定の方法によりまして計算いたしました商品の合理的な使用料の額というようなものがその上限になりますし、商品を返還しない場合には、当然のことながらその商品の販売価格でございます。それから、契約に至ります前に契約解除ということになりました場合には、一定の合理的な計算方法によりまして、その契約の締結あるいは履行に至るまでに販売業者が負担している合理的なコスト、この合理的なコストというのは一般的なコストでございますので、特定のある購入者のところに出向いていくのが、たとえば遠いところで車賃が非常にかかったとか、あるいはセールスマンの日当がよけいかかったというようなことは当然考慮さるべきではないと考えております。一般的な、合理的なコストというものがその上限になる、そういった形で細かく規定してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。
○近江委員 通信販売についての広告、これは第八条ですが、この表示の違反につきましては不当表示防止法を適用することになるのか、マルチの広告表示違反は罰則がある、通信販売の広告表示違反には罰則がないわけですが、その理由についてお伺いしたいと思うのです。この辺、どうですか。
○天谷政府委員 本条を罰則を担保としていない理由の御質問でございますが、その理由は、第一に、実態上通常の一般広告と通信販売の広告を区別するということが非常に困難でございます。それから第二番目に、通信販売の広告でもその広告スペース等が千差万別でございまして、罰則担保で一律の表示義務を強制いたしますと、いろいろな混乱を起こすおそれが出てまいりまして、現実的ではないと考えたわけでございます。したがいまして、本条の規定はガイドライン的な性格を有するにとどまるわけでございます。たとえば送料に関する事項等が表示されていなければ、送料は販売価格に含まれるというような推定がなし得るといった効果が考えられます。また、本条に基づく適正な広告が広く行われるようになりますと、これらに従わない広告を行う販売業者は消費者の選択から排除されることになりまして、間接的に適正化が推進されるということになろうかと存じます。
○近江委員 この前払い式の通信販売につきましては、特に子供を相手にした悪質なものがあるように聞いておるわけですが、そういう事例がありましたらどういうように把握なさっているか。 それから、前払い式の通信販売の問題点としまして、商品が届かないとか、あるいは到着が著しくおくれたとか、予期していたものと異なったとか、商品が非常に粗悪品であった等が挙げられるわけですが、こういった問題につきまして、本法によってどのように解決されるわけですか。
○天谷政府委員 通信販売において取り扱われるところの商品はきわめて多種多様でございますため、われわれはその実態を必ずしも十分に把握しているわけではございません。われわれの知る限りにおきましては、子供を対象とする通信販売は子供向けの雑誌等を主な媒体としてかなり広く行われており、その取り扱い商品としては、切手、コイン、玩具、これはカメラ、ボールペン、ラジオ等々の玩具でございますが、そういう玩具等が多く見られるようでございます。商品の単価につきましては数百円程度のものが多いようでございますが、場合によると一万円を超えるものまでありまして、さまざまでございます。また、支払い条件としては一括前払いの方式が多いようでございます。 それから、次の御質問、すなわち前払い式通信販売において商品の到着が遅いとか、到着しないとか、いろいろな問題があるわけでございますが、この法律で一体どのように解決されるのかという点についてお答え申し上げます。前払い式通信販売において商品が到着しない場合には、言うまでもなく消費者は著しく不安定な立場に立たされることになります。このために、この法律におきましては広告の中に商品の引き渡し予定時期を明記させることになっております。第八条でございます。同時に、販売業者は代金の全部または一部を受領後、遅滞なく法律関係を確定し、商品の発送時期等を明記した通知をすべきことを、第九条において義務づけております。そういうことによりまして、商品到着の時期があらかじめ明らかになるように措置をいたしておるわけであります。 したがいまして、商品の引き渡し予定時期を過ぎてもなお商品が到着しない場合、上述の通知が届かない場合等におきましては、消費者は民商法の規定によって申し込みの取り消し、代金の返還請求等をすることができるようになっております。
○近江委員 先ほどお聞きしましたように、予期していたものと異なった商品あるいは粗悪品であった場合、これはどのようになるのですか。
○内田説明員 もし粗悪品あるいは初めに広告に明示されておりましたものと違う商品が送り届けられてきたという場合には、これは当然のことながら販売業者の方は正確に債務を履行しておらないことになるわけでございます。したがいまして、購入者、買い手の方はこれに対して損害賠償の請求ができる、これは一般原則に戻ってそういうことが可能になると考えております。
○近江委員 訪問販売の適用除外として、どういうような形態の訪問販売を考えておられるのですか。
○内田説明員 本法案の第十条におきまして、訪問販売につきましての適用除外の規定を設けております。 その第一項は、これは通常いろいろな法律にも設けられております他の法律で設立された団体等が行う訪問販売といったようなものでございまして、これは常識的なものでございますが、その第二項におきましては、割賦販売法とのダブりを防ぐという趣旨で、割賦販売法の適用を受けますものは訪問販売法からは外すということになっております。 次の第三項がこの法案に特有の規定でございまして、この訪問販売の規制を行いますのはまず消費者保護ということでございますけれども、消費者の方が見ず知らずのセールスマンに突然訪問を受けまして、余り買う気が起こらないうちに、売り手の側の一方的なイニシアチブの上で商談が進められてしまう、そういうことからくる消費者の被害を防止しようというのが趣旨でございますので、この規制が過度にかかることによりまして、日常生活で支障なく行われております訪問販売までやりにくくするというのは本法の趣旨ではないわけでございます。 そういう趣旨から、この第三項におきましては二つのケースを想定しておるわけでございまして、まず第一号におきまして買い手の側から販売業者の来訪を依頼して訪問販売に来てもらった場合、これは通常の場合、売り手と買い手との間に恒常的な取引関係がございまして顔見知りの業者に来てもらうということでございますので、そもそも本法の対象といたします消費者被害を引き起こす余地がないというふうに考えられるわけでございます。 それから第二号の方は、日常生活に支障なく定着している形態の訪問販売形態というのがいろいろございます。たとえば御用聞きのようなもの、あるいはこの法律で訪問販売は単に家庭訪問販売だけではなくて、路上販売も含めておりますけれども、たとえば夜店の屋台でいろいろ売るようなもの、こういったものにつきましては、日常生活に定着して行われております。売り手の方もかなり零細な企業が行っている訪問販売でございますので、こういうものは政令で定めることによりまして適用除外にしていこう、そういう考え方でございます。
○近江委員 次に、マルチについてお聞きしたいと思いますが、本法の成立によりましてマルチ商法の取り締まりが完全なものとなるかどうか、形を変えまして新たな問題を起こすようなものも本法におきまして規制が可能であるかどうか、これについて見通しをお伺いしたいと思います。
○天谷政府委員 マルチ商法をやっておる企業の中には、少なからず法網をくぐって不公正な利益を得ようというふうな意図のもとに行動しておるものが多いわけでございます。したがいまして、これの取り締まりということはなかなか困難でございますが、しかし、われわれは今回の立法によりまして相当程度の効果を上げることができるというふうに考えておるわけであります。 なぜかと申しますと、今回の法律は、まず法の規制の対象となる連鎖販売取引につきましてかなり広い定義を加えておるわけでございます。その定義の中におきまして、サブフランチャイズシステムであるとか、あるいは特約店であるとか、必ずしもいわゆる悪いマルチではないようなものも定義上は入ってまいりますけれども、ある程度広い規制にいたしませんと、細かい定義でございますと脱法してしまいますので、かなり広い定義にいたしまして、容易にその網の外に逃げ出せないような定義の仕方をいたしたわけでございます。 次に、そういう網の中に入ってくる対象の活動につきましては、第十二条、第十三条を中心とする警察当局の取り締まり及び行政当局の取り締まりの二つを併用するたてまえをとっております。これによりまして、悪いマルチの活動につきまして相当有効な規制を与えることができるのではなかろうかというふうに考えております。 なお、申し忘れましたが、取り締まり対象の確定の仕方におきまして、無店舗販売をする個人というふうなしぼりをかけております。有店舗の販売をするような者は、連鎖販売取引の中に巻き込まれましても、十分な知識と自己防衛能力を持っているというふうに考えられますので、これらにつきましては過剰規制とならないよう規制の対象から外しまして、無店舗の個人を主たる保護の対象として考えておるわけでございます。 以上の十二、十三条等の規定のほかに、クーリングオフの規定、あるいは広告の規制に関する規定等を入れ、さらにまた、この法第三章の施行に当たって、必要な限度におきまして報告聴収あるいは立入検査等の権限も主務官庁に付与いたしておりますので、これらの各規定を運用することによりまして、われわれはマルチに対しまして実質的に禁止に近いような効果を与えることができるというふうに考えております。
○近江委員 ちょっとここで一例を出したいと思いますが、こういうのを新宿とかそういうところでまいているのです。これはどういうものかと言いますと、ジャパンツーケークラブ、JTCというのですね。これに入りますと、最初に二万五千円プラス維持費として三千円、二万八千円払うわけです。そして一人が一枚三円のこのカードを千枚買わされるわけです。一人を勧誘しますと、勧誘した者に一万円、その親の親に五千円が返るわけです。これは何をしておるかと言いますと、この会員になった者は、家庭電化製品二〇%引きをします。事務機器二〇%引き以上、スチール家具三〇%引き以上、時計が二五%引き以上、カメラが一一%引き以上、こういうように品物を買うときは引きます。あるいは海外旅行に幾らで行ける。そうした値引きの特典があるというのです。商品が入ってない。サービスというか、割引の特典なんです。これは本法で取り締まりできますか。
○真砂説明員 お答え申し上げます。 いまお示しいただきましたやり方というのは、一つの卸売販売の契約の連続であるいわゆるマルチ商法には入らずに、どうも私、実態がまだよくわかりませんけれども、消費者に対する一つの販売方法でございまして、いわゆる私どもが考えておる連鎖販売取引の範疇には入らないような商法ではないかと思われます。
○近江委員 これは学生が非常にかかっているのです。田舎から東京へ来まして、東京の町を大分覚えた。うろうろし出す。親から小遺いをもらって、二万八千円ぐらい、下宿代とかいろいろ持って、ちょうどポケットにあるわということで入るわけです。これは商品は売ってないのです。要するに買う場合はそういう特典がある。これは非常にたくさんの数が入っているのですよ。そうすると、二万八千円払って、しかもこれは千枚三千円で買うわけでしょう。二万八千円のうち、先ほど言ったように勧誘すれば一万円入ってくるわけです。その親の親は五千円です。そうすると、その本部というのは一人入れたらまるっきり一万三千円入るわけです。こういうのが取り締まれるような法律をつくらぬとだめじゃないですか。幾らでも考えていきますよ。公正取引委員長、こういうのをどう取り締まりますか。
○澤田政府委員 ただいま初めて伺いましたので、直ちに何ともお答え申し上げる用意がないのでありますが、よく検討いたしてみたいと思います。
○近江委員 警察庁はどうしますか。
○柳館説明員 ただいまの御質問の件でございますけれども、法令の内容となる「特定負担」あるいは「特定利益」等々の意味がまだはっきりいたしておりませんので、そういう点がはっきりしてまいりましたら、その段階におきまして積極的な検討を加えていきたい、こう思っております。
○近江委員 値引きで物を買うのは、たとえば問屋なんかへ行けば電気製品でもこのぐらいだったら引いてくれますよ。そうでしょう。海外旅行だって、いろいろなツアーで行けば個人で行くのの何割引き、極端に言えば半額ぐらいのもあるらしいですね。幾らでもあるわけですよ、そういうのは。そういうことを一つのてこにして、二万八千円でどんどん入れていく。これはいますぐと言うても、政府の皆さん方はいい知恵もちょっと急には無理だと思いますけれども、これは警察を交えて十分ひとつよく検討してもらいたいですね。そうしないと、上京してきた田舎出の学生が皆入っているわけですよ。こういうようにいろいろなことを考えてくるわけですね。政府としては、法案を出しました、それで何とか取り締まれると思っておったらだめですよ。幾らでも新手新手が来ますよ。その新手に対抗してどうするかと、四六時中こういうことを考えてもらわないと、これは一例を出したわけですが、法律をいまお出しになって、それが成立しようとする段階において、この法律にはひっかからぬということを何ぼでもしますよ。これからまだまだ、全国的に広がるかわからぬですよ。十分ひとつこれは検討してください。いま結論が出せなければしようがないですから、きょうは時間も少ないわけですから問題提起をしておきます。 それから、公正取引委員会は、ホリデイマジック社を初めエー・ピー・オー・ジャパン社等マルチ企業に対しまして、独禁法十九条の一般指定第六項によりまして摘発をなさってきたわけですが、摘発した企業のその後の経過についてお伺いしたいと思います。
○後藤(英)政府委員 ホリデイマジック社につきましては、昨年の六月に勧告しまして審決いたしました。現在これは監査という手続でもってその後の実態を審査部の方で監査しておりまして、その実態につきましては承知いたしておりませんけれども、現在監査中でございます。 それから、エー・ピー・オー・ジャパンにつきましては、昨年の七月に立入検査をいたしましたが、その後八月と、さらに本年に入りまして、二回にわたって問題点と思われる点を直しまして、何か新しい組織をつくってやっているということで、その新しい組織が触れるかどうかということを現在審査部の方でもって監視しているというふうに聞いております。
○近江委員 先ほどの質問にちょっと戻りたいと思いますが、ネズミの問題につきましても質問が出たかと思いますが、このネズミの問題はどうするのですか。どこが責任を持ってやるのですか。柱は通産省であって、警察庁とか公取さんはもたれかかって今後取り締まっていく、こういうことですか。どこが主体になるのですか。
○天谷政府委員 純粋のネズミ講につきましては、どこの所管であるか、通産省が申し上げる立場にはないわけでございます。通産省といたしましては、マルチ商法なるものが・ネズミ講的な性格と、その上に商品販売事業が重なり合ったものであるというふうに理解をいたしております。この商品販売の事業の大部分は通産省の所管の事業でございますので、商品販売事業を所管する官庁としてマルチ商法を規制するということで、今回の法律案を提案した次第でございます。ところが、商品販売的な性格がどんどん薄くなりましてネズミ的な性格がふえていく、それから、先ほど御指摘がございましたように、もはや商品販売ではなくて、役務、ハワイに行くというような一種のサービスとネズミが結びついておる、あるいは商品の割引という、これも一種のサービスとネズミが結びついておる、こういうような場合には、通産省としてはこれを規制する設置法上の根拠を見出すことはむずかしいと思っております。したがいまして、この種の好ましからざる反社会的な行為につきましては、ネズミ講一般を、しかるべきところにおきましてどこが所管するか判断した上で、複数か単数かわかりませんが、そこが中心となってしかるべき規制立法をつくるということが望ましいと思っております。
○近江委員 大蔵省は、それじゃ今後柱になるのですか。どうなんですか、これは。
○清水説明員 はなはだ答弁しにくい御質問でございますので、私ども銀行局の立場から公式にお答えすることは非常に困難かと思います。したがいまして、大変恐縮な申し上げようになるかと思いますが、このいわゆるネズミという現象につきましてその実態というものをどういうふうにとらえるかということ、あるいはそれを社会秩序というような観点からどういうふうに考えるかというところに問題のポイントがあるような気はいたしますけれども、この席で先生の御質問にお答えする用意がございませんことを御了承いただきたいと思います。
○近江委員 結局どこの省も逃げ回っておる。それこそネゼミと一緒ですよ。逃げ回っているという感じですね。そんなことばかり言っておったらどうしますか、本当に。こんなことじゃだめですよ。きょうは、少なくとも閣僚の中の非常に力のある通産大臣も来られておるわけです。公正取引委員長も来られているのですね。この問題は小さい問題と違いますよ。これはひとつ関係大臣で早速相談して、どうするかということを今後早急に対策を立てるべきだと思うのです。大臣の決意をひとつお伺いしたいと思うのです。
○河本国務大臣 関係方面と至急に相談をいたします。
○近江委員 ひとつ早急に相談して、要するに役所はもっと国民の立場に立って、こういうのを抱え込んだら困るとか、そういう気持ちが働いたらだめですよ。困難なことを引き受けていくという前向きな気持ちで、各省それぞれが、わが省にさしてもらいたいという気持ちがなくてはだめですよ。先ほどからのお話を聞いていますと、全体で逃げ回っているという感じがしますね。いま、関係閣僚と相談してやるということをおっしゃっておりますから、できるだけ早くそれを詰めて対策をとってもらうようにしていただきたいということを申し上げておきます。 それから、エー・ピー・オー・ジャパン社は勧告以前にマルチ商法の形態を若干改めたということを聞いておるわけですが、このエー・ピー・オー・ジャパン社の傘下にありました日本ブラザー株式会社、これは本社が小田原であります。株式会社白光、本社は大阪であります。株式会社太陽、これは横浜市。ライフ、これは渋谷区。ウィン、世田谷区。これらは依然としてマルチ商法を継続しておるようであります。公正取引委員会といたしましては、これら傘下の企業は調査なさったのですか。
○後藤(英)政府委員 エー・ピー・オー・ジャパンにつきましては、現在審査部でもって審査中でございまして、その過程におきまして、先ほど申し上げましたような、組織を変える、と同時に分裂して幾つかの組織が下にできて、それがまたマルチ商法的な行動をとっているということで、これをどうするかということは、現在審査部の方でもって相談中というふうに聞いております。
○近江委員 これは公正取引委員会で厳重に調査をすべきであると思いますし、調査をやっていただきたいと思うのです。 それから、第十一条ににつきましての総括者は法人であるのか、あるいは法人の代表者を含むものであるのかどうか、これについてお伺いしたいと思います。
○真砂説明員 いま先生から御質問のございました総括者というのは、十一条の二項に定義規定が置いてございまして、連鎖販売業に係る商品に自己の商標を付する、また連鎖販売業に関する広告を自分の名で行う、また連鎖販売取引に関する約款を定める、また連鎖販売業を行う者の経営に関し継続的に指導を行う等、こういうような四つの事項を例示として挙げておりまして、その一連の連鎖販売業を実質的に統括する者を言うのだという意味でございまして、この四つの事項というのはあくまでも一つの例示でございまして、実質的にその組織の中心になり、その組織の企画を推進するという統括者という形でとらえておりまして、個人であろうと法人であろうと問いません。
○近江委員 昨年摘発されましたエー・ピー・オー・ジャパン社の場合、株式会社エー・ピー・オー・ジャパン社が所定のシステムをつくりまして、運営は入会した販売店の任意団体である協会がやっているわけですが、その場合、この協会は統括者であるのか、あるいは十二条におきます勧誘者であるのか、これはどうなんですか。
○真砂説明員 この十一条の連鎖販売業という定義においてとらえておりますのは、物品の販売の事業者であって、いわゆる連鎖販売取引を行う者というように定義をいたしておるわけでございますが、その連鎖販売取引というものの中身と申しますのは、要素を申し上げますと、取引料、この辺を中心にいたしまして特定利益というものの収受をし得ることをもって誘引するということが第一点でございます。そして第二点は、その者に特定負担をさせるという要素がございます。そういう二つの要素を前提にいたしまして行うところのその商品の販売に係る取引、こういうものを要素にいたしまして一連の連鎖販売取引といったものをとらえておるわけでございまして、それぞれの鎖と申しますか、そういうものが連鎖販売の一環になっておるわけでございます。 そして、その一連の連鎖販売取引というのは、統括者を異にする場合には、それぞれ独立の一連の連鎖販売取引を構成するわけでございまして、たとえばでございますが、初めにある大きな組織があって、その組織が何らかの事情で分裂をしまして、またそれぞれ分裂をいたしました組織の頂点にある者が実質的にその配下にある一連の連鎖販売取引を推進し、企画し、その中心になるということになりますと、それぞれの者が統括者というような構成に相なるわけでございます。
○近江委員 時間もありませんので、各省に来てもらっておりますので各省に順番に聞いていきたいと思います。 まず、経企庁にお伺いしますが、昨年からマルチ商法に関する政府広報をやっておられるわけですが、この効果を見てまいりますと、現在でも被害者が増大しておるわけでございまして、そういう点からいくとさしたる効果は上げていないと見なければいかぬと思うのです。今後本法案が成立した場合、この施行に当たりましては広く国民に知らせる必要があるのではないかと思うわけであります。特に、現在ではマルチ商法を行っておる企業はマルチ商法の名前を使っておらないわけですね。自分からマルチ商法であるなんと言う企業はないわけです。そういう点で特に注意をしなければならぬわけですが、この点についてよりよいアピールの方法、いかなる広報活動を考えておられるのかお伺いしたいと思うのです。たとえば白光というのはFDS、フランチャイズ・ダイレクト・セールス、こういうように、マルチなんということは言ってないわけですね。この点について経企庁はどういうアイデア、対策を考えていますか。
○藤井(直)政府委員 この法律によりましてマルチ商法の規制が行われます場合に、その実効を上げるためには、やはり消費者にマルチ商法の持っております危険性を十分知ってもらい、そしてまた、この法律の内容等を理解してもらうことが重要なポイントではないかと思います。そういう意味で、従来以上にマルチ商法についてのPRを積極的にやっていきたいと考えているわけでございますが、通産省におきましても十分積極的な活動をされるように伺っておりますし、企画庁といたしましては、国民生活に対する情報の提供を主たる役割りとしております国民生活センターの消費者啓発事業の中で、各種の手段によりましてその広報を行っていきたいと思っております。さらに、地方公共団体並びに地方消費生活センター等に対しましても協力をお願いしていきまして、万遺憾なきを期待したいと考えておる次第でございます。 また、PRの内容等につきましては、ただいま御指摘もありましたように非常に複雑な問題でございますので、十分工夫をしてPRの実を上げたいと考えているわけでございます。
○近江委員 あと二問で終わりますが、この法律が施行された場合、当然警察署等に訴えが増大するということは容易に想定できるわけでございますが、いままで見ておりますと、たらい回しにされているケースがたくさんあるわけです。そこで、敏速な措置を図らなければならぬわけですが、警察庁は窓口一本化で全部引き受けるのですか、これはどうなっておるのですか。
○柳館説明員 取り締まりの体制でございますけれども、これは全警察署に防犯課あるいは防犯係というものがございます。そこで一本で全体を処理してまいりたい、こう考えております。また、それに必要な指示その他についても徹底してやってまいりたいと考えております。
○近江委員 この種の商法は、最近大都会から地方に非常に拡大していっておる。こういう点で、ひとつ十分各地方県警等にも徹底をしていただいて、対策をとっていただきたいと思います。 それから、昨年の三月二十八日、本商工委員会で、私は青少年、特に学生がマルチ商法の犠牲になっていることを指摘したわけですが、そこで文部当局に対策を求めたわけです。しかしながら、効果が出ず、昨年の九月にはついに高校生が痛ましい自殺をするというような事件が起きているわけです。そういう点におきまして、文部省当局の責任は重大である、このように思うわけです。先ほど私が新たな手口を明らかにいたしましたが、そういうことも兼ね合わせ、こういう事態に対しまして、文部省としてはどう反省なさって、今後の対策をどのようになさろうとしているか、この点についてお伺いしたいと思います。
○倉地説明員 私ども昨年の四月十二日に、いわゆるマルチ商法による被害の防止について、各都道府県教育委員会、それから私学を担当します都道府県担当部局に通知を出しまして、そうした被害に高校生が遭わないよう指導しているところでございます。その後、各種の会議などにおきましても指導しておるわけでありますが、いま先生のお話しのような点もございますので、今後とも十分指導してまいりたいと思っておる次第でございます。 また、新しい手口の問題でございますが、これは先ほど各関係省庁の方からお話もございましたけれども、いろいろ問題もあるようでございますので、関係省庁と十分連絡をとりまして今後とも十分指導してまいりたい、そういうふうに考えております。
○近江委員 きょうはこうした非常に遅い時間でありますから、一応これで終わりますが、先ほど申し上げましたように、この法律が制定されたとしても、まだまだその取り締まりもできないような新たな手口をそれぞれ考えてくるわけでありますから、政府としては、関係閣僚十分相談していただいて、対処ができるように措置をとっていただきたい、この点を重ねて申し上げておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○稻村委員長 以上で本安に対する質疑は終了いたしました。 次回は、明十九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時十三分散会