商工委員会 第8号
- 発言数
- 195 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1976/05/07
会議録
○稻村委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、中小企業に関する件、資源エネルギーに関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田哲児君。
○岡田(哲)委員 所信の中にありました技術集約産業、この中で航空機産業、電算機産業と言われるものが二つ挙げられているわけでありますが、きょうお伺いしたいのは、特に航空機を中心として質問をしたいと考えているわけであります。 航空機問題は、現在、ロッキード汚職で、国民の間では、自民党の金権汚職の体質とともに、日米安保体制、また産業、政界、軍部、こういう複合体やら多国籍企業等に触れながら、国産か、輸入かまでの議論というものがいま水面下で行われているように思うのでございます。しかし、きょうは大臣もお見えになりませんし、この場所で議論をしようとは決して考えておりません。ただ、通産の事務当局がこれらについてどのように考えているか、よく本音とたてまえというのがあるわけでありますが、私は、たてまえというよりも本音をぜひ聞かしていただきたい、こういうことでお伺いをするわけであります。 最初にお伺いをいたしたいと思いますのは、技術集約産業、知識集約産業と言われる中で、航空機産業と電算機産業を振興の中心と考えられているわけでありますが、これはこの二つ、航空機と電算機というものが直接、間接に関連をしているのかどうか、当面の開発と将来の結合というようなものがあって考えられているのかどうか、この辺についてお伺いをしておきたいわけであります。
○熊谷(善)政府委員 お答え申し上げます。 機械情報産業の中で、とりわけ技術先端産業としまして航空機産業、それから電算機産業の育成を図っておりますことは御指摘のとおりでございます。航空機産業と電算機産業の将来の関連づけということにつきまして、先生御指摘のような直接の関連はございませんが、しかしながら、最近の機械産業におきますいわばエレクトロニクス化と申しますか、電子化の動きは相当進展がございまして、たとえば工作機械一つを取り上げましても、電子制御装置つきの工作機械が非常に多くなってまいっております。同様のことは、たとえば航空機を取り上げましても、航空機に内蔵いたしております電子部品装置その他のウエートが年々高まってまいっておることは事実でございます。 しかしながら、電算機産業の方を見ますと、これは単なる機械産業という分野のみならず、いわゆる社会全般にわたっての電算機の利用という面がございます。そういうきわめて広い広がりがございまして、将来の需要等も考えますと、私どもは、高度な技術性という問題と、それから第二には、その広がりにおきまして電算機産業は非常に広い広がりを持っておるということと、航空機産業もまた、関連部品等を含めますと機械工業全体に対する広がりが非常に大きい、そういう波及効果の点におきまして、現在両方ともなお規模は小そうございますが、将来の産業として育成してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○岡田(哲)委員 この航空機と電算機の育成強化、これを今度うたわれているわけでありますが、これは政府の基本政策と見ていいのか、通産省の基本政策と見ていいのか、この辺をお伺いしたいと思います。
○熊谷(善)政府委員 通産省の基本政策と考えております。今日までわれわれの政策に対しまして、たとえば財政当局等々にも理解をいただいて、これは政府全体といたしまして予算化その他助成措置が講じられてきておるというのが現状でございます。
○岡田(哲)委員 といいますのは、政府自体で推進計画がずっとあるのでなしに、通産省自身がこれから強力に育成強化を進めていきたい、こういう意味での通産省独自の基本政策というふうに見るわけですか。
○熊谷(善)政府委員 たとえば閣議とかその他の形で、たとえば航空機につきまして五カ年計画であるとか等々の何らかの具体的な計画が決まったという形ではございません。ただ、航空機産業につきましても電算機産業につきましても、一つは予算措置の問題、また一つは、たとえば航空機産業に対する重大な事態があった場合、たとえばYS11機の取り扱いの問題というような事態がありました場合には、閣議了解その他の措置をとることがございますが、私どもが機械情報産業の育成策の中で、とりわけいま挙がっておりますこの二業種につきましては、技術先端産業としての育成を大いに今後図っていきたいというふうに考えておりますのは、通産省の産業政策の中でこれの重点化を考えてきているというのが現状でございます。
○岡田(哲)委員 通産省がこういう方向で進みたいという、そういう願望を込めてこれから努力をされるというふうに受け取るわけでありますが、この二つの産業を振興の中心に据えた、通産省の基本政策にこの二つの産業を据えたということでありますが、この戦略目標といいますか、通産省が描いております目的といいますか、そういうものは、どういう展望に基づいてこの二つを中心に据えられたのか、その辺をお伺いしておきます。
○熊谷(善)政府委員 先生御指摘のように、この二つの業種というのは機械情報産業の中でとりわけ技術先端産業でございます。たとえば電算機を取り上げてみますと、その極微細加工という問題、技術的に見まして大変な高度なものがございます。 〔委員長退席、前田(治)委員長代理着席〕 御承知のように、今年度から次世代の電算機を目指しまして超LSIの研究開発に取り組むわけでございますが、これは世界的にもまだ実現を見ていない、いわば未踏の分野への挑戦でございまして、非常に高い技術が要請されておるわけでございます。先ほど申しましたように、この技術は将来の電算機需要の拡大という量的な問題以外に、これからの産業の神経、あるいは頭脳、あるいは技術的な面におきましても非常に高度な加工というものを目指しておりますので、この分野につきまして日本が独自の地歩を確保するということは、私ども産業政策に携わっておる者としましてはぜひとも達成をいたしたいというものでございます。 それから、第二の航空機につきましては、御承知のように、現在の航空機の輸出入を見てみますと大変な逆超になっておるわけでございまして、日本の航空機産業というのは各国と比較いたしますと明らかに劣位な状況にあるということを言わざるを得ない状況と思います。 これはいわば量的な見方でございますが、質の問題としましては、先ほど申しましたように、航空機をつくります場合には大変な安全性と品質に対する厳しい要求がございます。同時にまた、たとえば軽量化とかいろいろな要請がございまして、これは機械産業のいろんな分野でこの技術の波及が期待をされておる分野でございまして、現在わずかに年産額が、昨年の例で申し上げますと二千三百億円という修理を含めた生産額にしか過ぎません。農業機械が六千億ということと比較いたしますと、非常にまだ規模は小そうございます。 私どもは、いまのままで航空機産業がとどまっていいとは毛頭考えない。日本の機械産業が今後ますます貿易の中でも中核を占め、また、産業の中でもウエートを高めていくことが要請されておるといたしますれば、この航空機産業というものは、技術先端産業として一日も早く少なくとも欧米並みにキャッチアップするということが必要な産業である、かように考えておるわけでございます。
○岡田(哲)委員 波及効果が非常に大きい、こういうことについては同感でございます。 そこで、今度YXの関係についてお伺いをしたいわけでありますが、その第一は、この開発は日本、アメリカ、イタリアの三国で共同開発をする、こういうことになっているようでありますが、この共同開発計画というのはヨーロッパ諸国では非常に活発に行われているように聞いているわけでありますが、私は、この共同開発というやり方について、非常にむずかしいのではないか、こういう感じを実は強くしているわけであります。特にアメリカでは独自開発を守っているように見受けているわけでありますし、さらに、これは兵器に限って言えるのかもしれませんが、重要な技術を日本に供与しない、こういう方向にあるというふうにうかがえるわけでありますが、こういうようなことを考えていきますと、この共同開発をなぜするのか、この共同開発の中で果たしてうまくいくのか、その目的は一体何だろうか、メリットは一体何か、こういうような点について、この際明確にしておいていただきたいと思うのであります。
○熊谷(善)政府委員 御指摘のように、共同開発のむずかしさはそれなりにございますが、いわゆる小型機につきましては、日本におきましても、またヨーロッパ諸国におきましても、いわば独自で開発をし、それぞれ輸出もしているわけでございますが、いわゆる中、大型機になりますと大変な開発費が必要になってくるわけでございます。 民間航空機の場合に、たとえばボーイング社は世界の民間航空機の五〇%、それからダグラス社が三〇%、このアメリカの二社で世界の八割を持っているわけでございます。したがいまして、ヨーロッパ等におきましても、中、大型機になりますとこれはやはり共同開発以外にやれない、こういう考え方で、もうすでにいわゆるエアバスと言われておりますA300B、これにつきましては、ヨーロッパでの共同開発が進んで、飛んでおるわけでございますが、一九七〇年代に入りましてからの世界の中、大型機というものはほとんど共同開発でございまして、単独という形はございません。アメリカだけが御指摘のように単独でやっておるわけでございまして、その開発に対するリスク等を考えますとどうしても単独ではやり切れない、やはり各国が参加をして、そうすることによって費用の分担をすると同時にマーケットの確保を行う、こういう両面から共同開発というものが要請されてまいっておるわけでございます。 今度の三国共同のYX開発計画の方針につきましては、四十九年の航空機工業審議会におきまして了承をいただきまして、現在、共同事業に入るべく交渉を続けておるところでございますが、日本がこの開発計画に応分の分担をいたしまして、そのメリットといたしましては、やはり何と申しましても先端技術の習得、同時にマーケットに対するいろいろな経験をここで得ることができるということ、もちろん生産という形におきましては、関連産業への波及効果等々もございまして、わが国としては、今回のYXの共同開発計画は航空機産業政策の中での最重点のテーマといたしまして取り組んできておるわけでございます。
○岡田(哲)委員 いま聞いておりますと、わが国にはメリットはあるわけでありますが、たとえばアメリカがその技術を日本に供与する、そういう中でアメリカのメリットというのはどこにあるのですか。
○熊谷(善)政府委員 アメリカのメリットは、ここでつくりました飛行機に対して、第一は開発費の負担が、各国の参加によりましてアメリカの独自の分担の分が少なくなるというメリットがございます。それから第二には、各国が開発に参加することによりまして、各国のエアラインの協力が得られやすいというメリットもあろうと思います。 各国の共同開発いたしましたものにつきましては、各国もそれを使うというふうに当然努力をいたすと思いますし、そういう意味におきましてはマーケットに対する安定度が高まる、それによりましてこの新しい飛行機を開発するという決断ができるわけでございまして、これがコマーシャルベースで成り立つためには、いま言ったような条件が整いませんとなかなか結論が出せない、それが共同開発によってその条件が満たされることによって離陸をする、こういうメリットがあろうかと思います。
○岡田(哲)委員 どうもやはりアメリカが、特にこれは軍事的になるかもしれませんが、非常に重要だと考える技術というものが、果たしてこういう共同開発の中で供与されるものでしょうか、その辺の疑問は全然ないのですか。
○熊谷(善)政府委員 その辺はこれから三国共同の開発を詳細に詰めていきます段階で明らかになる問題であろうと思いますが、日本がたとえばこのYXの生産にどういった分野を分担をするのかという問題がございます。現在予定されておりますのはこの三カ国でございますが、それぞれが得意な分野を分担をし、全体の効率が上げられる、こういうことになるわけでございまして、技術のどの部分はどこでということにつきましてのそれぞれの分野がおのずから決められてくるかと思います。 ただ、その過程におきましては、このYX、二百人から二百四十人規模の飛行機は日本としても初めての経験でございますので、これにつきましては、アメリカが主として持っておりますいろいろな高度の技術につきましては、できるだけこれを吸収するように私どもは期待をいたしておりまして、詳細は今後のこの開発計画を進めていく過程におきまして明らかになってくる問題であろうかと考えております。
○岡田(哲)委員 やはりいまのお話を聞いておりましても、今後に期待をしているだけで、果たして確実にそういうことができるかどうかという点についてはどうも疑問のような気がいたします。 そこで、この三国の共同開発でいまだに出資比率が決まっていないという、この原因は一体どこにあるのだろうか。やはりいま言ったようにむずかしい点があっておくれているのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、この比率と、それから一体いつごろ、どのような形でこれがまとまるのか、その辺の見通し、情勢、それから当然この比率が決まったりあるいはいろいろ相談がなされると思うのでありますが、その場合の権利といいますか義務といいますか、お互いの分担、受け持ち、条件、そういうようなものが一体どのような関連があってこれから進んでくるのだろうかという点、そこら辺をひとつお伺いしておきたいのであります。
○熊谷(善)政府委員 私どもがこの共同開発に取り組みます心構えといたしまして、航空機工業審議会におきましても、相当の比率をもって、これがナショナルプロジェクトとしての実体を備えたものでなければいけない、また、日本側の自主性というものが反映されるものでなければならない、また、事業の成功の見込みが相当確度が高いものでなければならない、こういった御指摘を受けているわけでございまして、私どもその線に沿って現在交渉中でございます。 確かに比率は現在まだ決まっておりません。現状は、アメリカのボーイング社とイタリアのアリタリア社の間におきまして、アリタリア社が二〇%の比率ですでに共同事業に参加をいたしておるわけでございますが、ボーイング社といたしましては、アリタリア社の二〇%を含めまして、他のヨーロッパ諸国の加入も考えて、現在ヨーロッパ側とも接触をいたしておる状況でございますが、そういう意味におきまして、全体の比率につきましてはなお流動的な面がございます。 それからもう一つは、日本側の事情といたしましては、たとえば航空機工業審議会におきましては、三〇%程度の比率を持つべきだ、こういう考え方が出ておりますが、この辺につきましては、日本側の作業の分担分野、それからその仕事量、技術的な能力、こういった問題、また、それが全体の効率性という観点から見た場合にどうかという細かい詰めが現在行われておりまして、この三〇%という比率は低まる可能性もあろうかとは思いますが、ただ、私どもとしましては、やはり相当な比率を持ったものでなければ日本側のナショナルプロジェクトとしての実体をなさないおそれもございますので、この比率問題につきましては、いま言った検討の上で相当高い比率のものは確保してまいりたいというふうに考えております。 ボーイング社との交渉の現状を申し上げますと、昨年の十二月に共同事業に対する大筋の合意に達しまして、今年に入りましてからは三月に一回、それから四月に一回、五月にも恐らくもう一度交渉が持たれると思いますが、先方との間のさらに細かい詰めの交渉が続いておりまして、昨年の暮れの予定では、この四月ごろに細部の交渉をまとめるというのが一応の予定でございましたが、現在、ややおくれておるかと思います。私どもとしましては、遅くとも夏ごろまでには共同事業に入り得る状況まで持っていきたいというふうに心組みをいたしております。 なお、関連して申し上げますと、いわゆる試作を開始いたしますゴーアヘッドの時期につきましては、従来から世界の旅客需要の推移を見て決めるということで、流動的でございました。今日も変わりませんが、およそのめどとしましては、明年の後半以降というのがその時期になるのではなかろうかというふうに現在考えております。この辺は、これからの旅客需要その他の推移等から見まして、開発開始の最大のポイントでもございますので、なお慎重に検討してまいりたいと考えております。
○岡田(哲)委員 見通し、情勢を含めてお伺いしたわけでありますが、イタリアとアメリカとの間は合意ができている、わが国とアメリカとの間にまだ話がつかない、夏ごろまでにというお話ですが、アメリカとわが国との一番大きな対立点と言いますか、いま意見が対立してまとまらないところのあれはどこにあるのですか。
○熊谷(善)政府委員 私どもが交渉しております基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりでございまして、その線で現在交渉をいたしておるわけでございまして、まだ交渉途中のわけでございますので、詳細については実はお答えをお許しいただきたいと考えておるわけでございます。先ほど来出ております。たとえば比率の問題であるとか、あるいは組織の問題であるとか、いろいろございますが、詳細は、まだその時期でもございませんので、ひとつお許しをいただきたいというふうに考えております。
○岡田(哲)委員 三月十日に、コンピューター産業と航空機業界がそれぞれ国産化計画を共同で進めるために研究組合の創立総会が開かれたというように報道されているわけでありますが、これは航空機用ジェットエンジン技術研究組合という名前でありまして、高性能ファンエンジン開発計画に効率よく参画すること、業界を挙げて開発体制ができることになり、今後の運営次第では世界的なエンジンの商業化も期待しているようだ。この内容を見ますと、一九八〇年代における需要が五十人から百二十人乗りの旅客エンジンとして約二千基とされ、日本以外には開発に着手する計画を持っている国がない、この開発に成功すればわが国初のジェットエンジン輸出につながるとして、こういうような報道がされているわけであります。 いまこのYXの計画も言われているが、五十人から百二十人ぐらい、そういう旅客で一九八〇年代に相当需要が出てくるだろうという見通しのもとにこの共同開発計画が進められているわけでありますが、このジェットエンジンとYXとは直接あるいは間接に関連があるのですか、どうですか。
○熊谷(善)政府委員 YXは二百人から二百四十人乗りの旅客規模のものでございまして、現在のYX計画におきましては、いま御指摘のエンジンの研究組合がねらっております推力七トンのエンジンというものにつきましては、これを使用する計画は現在YX計画に織り込んでおりません。ただ、この研究組合におきますエンジンの研究は、技術の面におきましては一般的な技術といたしまして他への波及効果はかなりあるものと私どもは考えております。
○岡田(哲)委員 このYX開発が行われた場合には当然国内でも使うわけでありますが、共同開発ですから、当然大量な輸出をしよう、こういうことに発展をしていくだろうと思うのであります。こういういままで言われました波及効果については非常に大きなものがある、そういうものを期待していることは十分わかるわけでございますが、いま申し上げたこのジェットエンジンそのものについてはYX計画とは全然別個のものだ、こういうことで理解をしていいのですか。
○熊谷(善)政府委員 御指摘のとおり、一応別個のものでございます。
○岡田(哲)委員 この計画はたしか四十一年から始まって、ことしから第二次計画に入るというふうに伺っているわけでございます。そうすると、いままで通産省がずっと考えてきた筋からは、いま確認をいたしましたようにこれは別個のものだ、こういうことでよろしゅうございますか。
○熊谷(善)政府委員 ただいま御指摘のジェットエンジンは、昭和四十六年から五十年までの計画を第一期といたしまして、これは推力五トンのエンジンでございます。五十一年度から五十五年度までにかけまして、推力六・五トンのものに研究開発を一歩進めるということになったわけでございまして、これはこういったエンジン技術の開発でございまして、直接にはYX計画とは関係がございません。
○岡田(哲)委員 こういうことで、YXに大いに力を入れて輸出も期待をしながら発展をさしていこう、こういうごとになりますし、いまのジェットエンジンの開発も進んできている。航空機産業とすれば、これからどんどん発展をさしていこうということになると思うのでありますが、その場合、YX以外で小型、中型、大型、これはすべて航空機の発展に力を入れていくことになるだろうと思うのでありますが、今後のこのYXの開発に伴う、そういう小型、中型、大型まで含めて、あるいは日本航空全体の見通しを通産省としてはどういうような期待感を持って考えられておるのか、お伺いしておきたいわけです。
○熊谷(善)政府委員 日本の航空機産業は、従来は防衛依存度が非常に高いわけでございまして、昨年、五十年度におきましても八七%ということでございます。年々遠いますが、大体八〇%台になっておるわけでございまして、そういった状況のもとでは、航空機産業の将来を考えますときに、私どもは何としてもやはり民間需要の拡大、民間機の生産という面に重点を置いてまいりたい。それが第一にはそこで申しておりますYXの計画でございまして、これはいわゆる中、大型というところになろうかと思いますが、小型につきましては、従来から、たとえばMU2であるとかあるいはFA200といったコマーシャルなビジネス機がすでにつくられて、輸出も行われておる現状でございまして、この小型機の分野につきましては、今後とも民間の自主開発という形において進んでいくということを私どもは考えております。 中、大型機につきましては、各国もそうでございますが、政府の相当の助成を行わなければ将来の発展は期しがたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、昭和三十四年に開発に着手しましたYS11機につきましては、四十九年の二月に百八十機をもちまして生産を中止した以後、その後継機につきまして私どもはこのYXにかけていろんな政府助成を行ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。かなり先の話まで入れますと、たとえば垂直離着陸機という、STOL機の開発といった問題も将来の課題としては出てまいろうかと思います。 また、いま私どもがYX機で考えております二百人から二百四十人規模ではなしに、もう少しYS11との中間の、たとえば百人から百三十人乗りという比較的短距離の航空機の開発という問題は、これはヨーロッパにおいてかなり開発案があるわけでございまして、こういったものは将来取り上げないのかどうかという問題もあろうかと思います。現在、直ちにYXと並んで、こういうものを具体的なプロジェクトとして取り上げることは考えておりませんが、将来の問題としましては、そういったものも含めて私どもは取り組んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○岡田(哲)委員 いまお話がありましたように、これは当然将来的にはそういうふうに拡大発展をさしていく筋をたどるというふうに思うのでありますが、いま申し上げたように国産機で、しかもその輸出が拡大をしていく、そういうことに考えますと、当然各国が競争で、それぞれの国が航空機産業の発展のために売り込み競争をする。今度のロッキードでも出ますように、相当激しい競争相手といいますか、売り込み競争というものが起こってくるであろう、こういうふうにまず考えなければならぬわけでありますが、そういうふうに見ますと、一体当面の、あるいはYXが飛び立つ時分の情勢の中で、その競争相手になると思われる世界の国々といいますか、各メーカーといいますか、こういうものはいま通産省はだれが相手で、これは敵という言葉がどうかわかりませんが、競争相手はどこだというように考えられておりますか。
○熊谷(善)政府委員 YX計画につきましては、恐らくライバルという形で考えられ得るのはダグラス一社であろうかと思います。ダグラスはDC10の改造によりまして、やや小型化しましたやはり二百人乗り前後の機種の開発を計画いたしているやに聞いておりますので、その辺がこのYX計画の競合機というふうになろうかと思います。 なお、こういった中、大型機につきましては、今後各国とも先ほど申しましたようにリスク分散等々の事情がございまして、共同開発の方向というのはこれからの基本的な趨勢であると考えておりますので、将来ともどの会社が常にライバルであるということは一概には言いかねる、各国が共同してつくっていく形がこれからの姿になろうかというふうに思っておるわけでございます。
○岡田(哲)委員 いまのお話だと、今後相当情勢はそのときそのとき変わってきて、それに対処しなければならぬというふうに考えるわけでありますが、この機会にお伺いしておきたいと思いますのは、これらの各国の大手航空機メーカーの需要の割合で、民需と軍需に分けますとどんなような割合になっているのか。また、このメーカーの開発費に対して、先ほどからも政府助成がなければこれはできない産業なんだというふうに言われておりますが、一体その政府助成、援助というものがどのようになっているのか、その出資の比率というようなもの、これを教えておいていただきたいと思います。
○熊谷(善)政府委員 まず、諸外国の代表的な航空機メーカーの民需と軍需の割合についてでございますが、これは公表された資料等ではなかなか確認しかねる点がございますので、私どもなりの調査で現在承知している範囲で申し上げますと、アメリカのボーイング社の軍需に対する依存度というのは大体四〇%前後ではなかろうか、それからダグラス社は五〇%前後であろう、それからロッキード社は九〇%を超える依存度であろう、あと、たとえばセスナとかビーチクラフト、それからオランダのフォッカー等々は一割前後の依存ではないか、主として民需がベースになっておるということでございますが、そういう状況だろうかと思います。なお、イギリスのBACにつきましては、ちょっと情報がございませんので、確認がいたしかねております。 なお、この民間輸送機開発に対します各国政府の助成のぐあいでございますが、たとえばフランスとイギリスで開発をいたしましたコンコルド、これは約九千億円の開発費がかかっておるわけでございますが、これに対しまして両政府の助成はその開発費の一〇〇%助成でございます。それから、先ほどもちょっと触れましたヨーロッパのエアバスと言われておりますA300B、これは二千五百億円の開発費でございますが、これは主としてフランスと西ドイツが主力をなしまして、あとスペイン、イギリス、オランダが参加をいたしましたものでございますが、フランスにつきましては、全体の約四八%の分担比率を持っておりますが、これに対します政府補助は一〇〇%でございます。それから西ドイツは、同じく四八%シェア分担をしておりますが、これに対します政府援助は九〇%でございます。その他中東等ございますが、おおむね少なくとも八〇から九〇、多くの場合は一〇〇%補助というのが各国の助成の実態でございます。
○岡田(哲)委員 いまお話にありましたように、大体八〇%から九〇%、一〇〇%という国も相当あるようでございまして、こういう産業は、確かに一つの国内の全産業に対する波及効果というものは非常に大きいことはよくわかるのですが、独自で成り立たない、政府援助でしか成り立たない産業である、こういうふうに思うのです。その辺については、これは世界もそのとおりだからわが国も当然そうあってしかるべし、こういうふうにお考えですか。
○熊谷(善)政府委員 先ほども触れましたが、私どもがYX共同開発に取り組みまして、ボーイング社との共同開発をいまやっております非常に大きなポイントは、この開発計画が新しい機種の開発という技術的な効果が一つ、それからもう一つは、先ほど申しましたように、世界の民間航空機の五〇%のシェアを持っておりますこのボーイング社の技術的な経験、それから販売の経験等から見まして、その開発したものの事業としての成功性の確度が高い、こういう点にも着目をいたしまして選定をしてやっておるわけでございまして、将来長きにわたって常に政府の助成がなければ産業として成り立たないということを私どもは現在考えているわけでございませんで、やはり事業として成り立つ、そういった航空事業に育て上げたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○岡田(哲)委員 考えておられることは一応聞くわけでありますが、先ほども話がありましたように、まさに民需と軍需の割合を、アメリカのダグラス社で見ますと五〇%、それからロッキードでは九二%というように、軍需が占めているわけであります。 それで、当然いまのような気持ちで、さらに民間事業にもあるのだというわが国の考え方で進めていくわけでありますが、五十年の十二月、日本航空宇宙工業会名で政府に要望書が出されました。「年来の懸案であるYXの国際共同開発及びPXLの国産開発計画が共に実現せず技術を進歩させる計画の空白がこのまま続く場合には、漸く国際的水準に近づいたわが業界は、先づ技術開発力の点において再び米欧先進諸国に大きく立遅れ、ついにはわが国の航空機工業が自立する可能性を永久に失ってしまう」こういうことで要望書が出されてきているわけでありますが、川崎航空機とロッキード・エアクラフトとの関係は、米空軍のジェットエンジンのオーバーホール、T33Aの生産以来密接な関係にあったが、F104の生産はその七〇%が三菱重工の生産するところとなった。その関係はこれ以後も変わらず、昨年の春、三菱と川崎との間でPXLの開発の推進の要望が出され、その際、PXLのシェアの四〇%を三菱が受けるという密約ができていると言われているわけであります。 民間機をつくるのも、戦闘機をつくるのも、軍用機をつくるのも、航空機産業ではそのつくることについては当然変わらない、こういう発想にあるわけでありまして、どうもいままでの航空機産業界の中に、PXLの自主開発以外には当面着手可能なプロジェクトは見当たらない。しかも、PXLの自主開発が、YX開発に関連して自主技術の基盤を飛躍的に高めることは事実である、こういう発想だと私ども受け取っているわけであります。 そこで、このYXの関連を通じてPXLの自主開発と直接あるいは間接に関連があるかどうか、こういうことに疑問を持つわけでありますが、通産当局は一体どういうふうにこの点お考えですか。 〔前田(治)委員長代理退席、委員長着席〕
○熊谷(善)政府委員 飛行機につきまして、新しい機種について取り組むことになりました場合には、それが技術水準の維持、さらに向上に役立つことはもとよりでございまして、YX計画あるいはPXL計画というものが具体的に実施される段階になりますれば、その前後は別といたしまして、相互に関連は、技術面におきましてのお互いの影響はあろうかと考えております。ただ、先ほど来申し上げておりますように、私ども、YX計画につきましては現在鋭意共同事業開始のための努力をいたしておるわけでございますが、PXLにつきましては、これは国防上あるいはまた技術的な観点その他今後一定の手続を経た上で、政府として決められた段階でこれが具体化される問題でもございますので、いまこの問題につきまして直ちに——このPXL問題についての技術効果というのはまだ具体化していないということは事実でございますので、その選定された段階以降の問題として、YX計画の関連は具体的には判断できるのじゃないかというふうに思っております。
○岡田(哲)委員 私は、冒頭に申し上げておいたように、きょうは議論しようとも思いませんし、それからPXLの問題に深く突っ込んでとやかく言おうとは思いません。さらに、政府の基本政策か通産省の基本政策かというふうにお伺いをいたしておって、いまここで私があなたに事務当局としてお伺いをしておるのは、このYXの開発を進めていくと、当然PXLの開発も相関連させなければ日本の航空機産業が成り立たない、これは民間も軍用機も一緒だという業界の発想と、通産事務当局の考え方は一緒じゃないのか、こういうことを実はお伺いをしているのです。 〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕
○熊谷(善)政府委員 航空機産業は、先ほど申しましたように、私ども余りにも軍需依存型のパターンを民需へ切りかえていくということで、YXを最重点にいたしておるわけでございます。しかし、反面、日本の防衛産業あるいは防衛基盤の強化という観点から、防衛需要に対応できる産業でなければならないというふうに考えておるわけでございまして、PXLの今後の具体化の際には、技術的その他の点を考えまして、十分国産できるものにつきましては国産で遂行されるということを期待はいたしておるわけでございまして、そういった両面の任務を産業としてはやはり持っておるだろうと思います。 〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕 民需の方の中心であるYX、それから軍需関係では今後出てくる一番新しいものとしましてはPXLの計画しかございませんので、このPXLの計画というものも、その技術的な面につきましては相互に裨益し得る、そういった効果は持っておると思いますが、それぞれ需要の分野も違いますので、YX計画とPXL計画との直接の関連といったようなものはございませんが、結果として、この両方のものが具体的に着手される、国産で行われるというようなことになった場合には、お互いの技術開発状況が相互に裨益し合うであろうということは期待できると思います。
○岡田(哲)委員 局長、私がいま言っているのは、民需だ、軍需だ、あるいはPXLがどうのこうのということを言っているのではなしに、航空機産業が発展をして、事業体としていくためには、YXを開発していくと当然PXLも出てくるであろう、しかも、航空機産業界の気持ちというのは、民間機であろうと軍用機であろうと、これはつくる方は変わりない、こういう発想でありますし、また、その上を進んでいくのは私は当然がと思う。 もっと極端に言いますと、防衛庁などは、米国の技術水準が高いから、当面割り安だから輸入だとかいう議論があります。私はそういう議論をしているのじゃなしに、通産当局が、航空機産業を技術集約型の中心に据えて今後育成強化をしていくという立場に立つとするならば、YXであろうとPXLであろうと、あるいはその他の大型、中型すべて含めながら、航空機産業全体を高めていこう、こういうふうに考えるだろうと思うのでありますが、どうですか。
○熊谷(善)政府委員 お答えいたします。 航空機産業を考えます場合に、いま先生御指摘のような民需と軍需、これは産業という面で見ればどちらでもいいというお話もございましたけれども、私ども、民需につきましては、たとえばYX計画は、現在世界を飛んでおります民間輸送機のリタイアと申しますか、退役していく計画を見ておりますと、一九八〇年代前後ごろから非常に大きな代替需要が出てまいる、それを目標にいたしましてYX計画を組んでおるわけでございます。つまり、民間の需要というのは今後相当なスピードで拡大していくであろうということを期待いたしておるわけでございます。そういう意味で、産業の重点はそういった方に向けるべきであろうというのが第一点。 それから第二点は、他方、軍需を考えました場合に、一方におきまして防衛費のGNP一%議論がございますように、おのずから財政面その他での制約も出てまいりますし、また、加えまして、いわゆる軍用の戦闘機等につきましては、輸出面におきましての武器輸出に関する政府統一見解もございまして、こういったものについては当然制約もございます。したがいまして、政策のウエートといたしましてはおのずからそこに濃淡が出てまいるかと私どもは思うわけでございます。 ただ、航空機産業の任務を考えました場合には、産業の発展ということと同時に、やはり防衛需要にも対応できる産業として力を持っておるということが防衛基盤の強化にも役立つわけでございまして、そういった需要には当然対応すべきであるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、先生の先ほど来御指摘の点につきましては、ただいま私が申し上げましたような一つの考え方で今後対応してまいりたいというふうに考えております。
○岡田(哲)委員 私は総理大臣に質問しているのじゃないのです。通産の、しかも事務当局者に、一体どういうふうに考えているのか——防衛上の問題やら、国産かあるいは輸入かという点は政府が決める話でしょうから、それはいいのです。そのことについていまとやかく言っているのでなしに、通産当局がこれから航空機産業をどんどん育成強化をしていこう、当面はYXだ、しかし、今後YXが成功した暁には大型、中型、さらには小型、全体を含めながら産業界を振興していこう、こういうふうにお考えになっているだろう、それはいいですね。その中で通産の民需の占めるウエートをできるだけ大きくとろうという気持ちは、私はわかるわけでありますが、いま業界自身の考え方は、先ほど言ったように、民間機であろうと軍用機であろうとそれは航空機に変わりない、こういう発想がもうきちっと定着しているのですね。そういう言うならば産業界の要請の上に通産省がこれから航空機産業の開発、発展を考えたときに、私は当然そういう主張になるだろう、こういうふうに思うのだが、あなたの考え方はどうですかというお伺いをしているのです。
○熊谷(善)政府委員 昨年の暮れに出された航空宇宙工業会の要望は、新しい機種の開発というものがない場合に、技術の面での空白が起きる、先生の先ほど御指摘になりましたような、技術面の中断と申しますか、空白を懸念しておるわけでございまして、そうなりますと、たとえば技術者の維持といったようなことにも問題が出てまいるということに対する懸念が中心であろうと考えております。 先ほど来るる申しておりますように、私ども、航空機産業につきましては、技術先端産業としていろいろな面で育成強化を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、当面はYX、今後の問題としましては、あるいは防衛需要につきましてはPXLというものに対する期待は当然ございます。しかし、将来の需要のパターンなり見込みはそれぞれ違うわけでございまして、これらを総合的に、最も効率よく、政策を機に応じて展開していくということが必要であろうというふうに私どもは考えておるわけでございます。 民需も軍需も航空機には変わりはない、それ自体はそうでございますが、ただ、それぞれに対する国の政策というものが、やはりおのずから種類が違ってまいるわけでございまして、民間が言っておりますのは、私どもの受け取り方としましては、技術的な空白を恐れておるということに重点があったというふうに私どもは理解しておるということを付言させていただきたいと思います。
○岡田(哲)委員 これで終わりますが、どうもいままでずっとお伺いをいたしましても、当然この航空機産業に力を入れますと、政府が莫大な資金を投入し援助するか、民需だけでなくて大幅な軍需を拡大していかなければ立ち行かなくなる方向、しかもそれが軍需輸出、軍用機の輸出につながっていく。業界はそういうことを考えながらいま着々と水の下で動いている、こういう感じを実は持っているわけです。これはまあ議論ではありません。当然そういう産業界の上に立つ——これは政府じゃないですよ、通産当局がそういう産業の上に手を組みながらこれから進めていくのではないか、こういう疑念を持つわけでございまして、世界のいろいろな国々の様子を見ましても、これから大きくこれは議論が出てくるところだというふうに考えます。 政務次官がお見えでございますので、一言それらについて答えを出していただいて、終わりたいと思います。
○綿貫政府委員 いろいろと先ほどから岡田先生の御意見も伺いましたが、航空機の問題は民需と軍需両方あるわけでございますけれども、たとえば大型のジャンボー機購入しましても三百億ということでございまして、まあ独算制というわけじゃありませんが、各先進国の様子を見ましても大体航空機の輸出入は黒字ということになっておるわけですが、わが国が取り残されて赤字というようなこと、しかし、軍需面におきましては武器輸出に関する三原則あるいは政府の統一見解というものもありますし、その線に沿ってきちっとやるつもりでございますから、なるべく民需を中心にした、航空機の貿易政策の上でも黒字になるような方向にひとつ努力をしたい、こういうことでございます。御了承願います。
○岡田(哲)委員 エネルギー庁長官、わざわざおいでをいただきましたが、これで時間が来ましたので、まことに恐縮でございますが、終わりたいと思います。ありがとうございました。
○稻村委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとしこの際、暫時休憩いたします。 午前十一時四十六分休憩 ————◇————— 午後零時五十二分開議
○稻村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。中村重光君。
○中村(重)委員 齋藤中小企業庁長官にお尋ねをしますが、分野調整の問題について、河本通産大臣は、三十日の参議院予算委員会で中小企業と大企業の分野調整の問題に触れて、分野調整は必要である、しかし、当面行政指導でやるつもりで、立法化すべきではないといった答弁をしておるようでございますが、中小企業庁としての考え方はいかがですか。
○齋藤(太)政府委員 分野調整の問題につきましては、立法ということになりますと、その立法の内容にもよるわけでございますけれども、内容によりましては非常にデメリットと申しますか、弊害を伴う場合も考えられますので、私どもとしましては、行政指導によります調整というものをさらに強力かつ機敏にいたしてまいりたい、こういうふうに考えておりまして、そのために五十一年度予算におきましてそういった行政指導体制の強化のための各種の新しい措置もお願いをいたしておる次第でございまして、こういった指導体制の強化をもちまして対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○中村(重)委員 通産大臣は、分野調整が必要であるということはお認めになっている。いまあなたも、内容によるのだということを言われた。したがって、内容によってはいいということになる。だから、通産大臣が分野調整は必要であるということを答弁した、その真意はどういうことなのかということですね。その必要であるということを言われたということは、中小企業庁と分野調整の問題について十分話し合いがされている。これは相当前から十分検討が加えられた。検討した結果、必要であるということをお感じになっておられる。いまあなたも内容によるのだということは、こういう内容ならばよろしいのだというような一つの考え方というものだってあるのではないかと思いますから、それらの点についての考え方をお示しいただきたい。
○齋藤(太)政府委員 大企業の進出に伴います中小企業との紛争は、従来から幾つかケースがあったわけでございますけれども、今後安定成長に向かうといたしますと、そういった紛争はさらに数がふえるのではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。そういった事態に対処いたしまして、特に大企業がその資本力をもちまして急激にあるいは大規模に、従来中小企業が営々としてやっておりました分野に進出をしてくるというような事態の場合に、大企業の進出に伴いまして中小企業側に、たとえば倒産等に追い込まれるとか、非常に窮迫した事態に中小企業の相当部分が陥る、そういうようなことが予想されるような大企業の進出のケースにつきましては、これは放置してよいというものではないと私どもも考えております。 したがいまして、そういったケースにつきましては所要の調整を行いまして、中小企業と大企業とが共存共栄できると申しますか、そういった形が実現できるような調整を行う必要があろうと考えるわけでございまして、そういう意味合いで通産大臣は、分野調整はケースによっては必要である、こういうことを発言されたものと考える次第でございます。 ただ、分野調整の必要性は認めるといたしましても、その手段といたしましてどういったやり方をとるべきかということにつきましては、いろいろの考え方があろうかと存ずるわけでございます。法律としては現在すでに中小企業団体法という法律がございまして、その中に特殊契約という制度もございます。この制度をバックにしながら中小企業者自身も話し合いを望むというような空気もございますので、私どもは、まず当事者の話し合いを進め、その話し合いが難航いたします場合に行政庁が所要の調整をする、こういう形が現実に即した一番効果的なやり方ではなかろうかと考えておるわけでございます。 どういう立法ならいいかという御質問でございますけれども、私どもは、立法措置によりますと、これは内容にもよりますが、たとえばある業種を中小企業業種として選定をいたしまして、その業種への大企業の進出は一切禁止をする、こういう形になりますと、その業種につきましては少なくとも大企業との間においては全く競争がなくなるわけでございまして、そういった形はやや行き過ぎではないか、場合によりましては憲法で保障しております職業選択の自由にも触れる懸念があるのではないか、こういう気がいたすわけでございます。 一歩下がりまして、大企業の進出に際しまして、禁止ではありませんけれども影響のあるなしを審査をして、悪影響がある場合にはそれを抑制ないし計画を縮小してもらう、悪影響がない場合には認める、こういうふうなやや緩やかな案もあろうかと考えられます。ただ、こういう場合にも、これは運用の問題になりますけれども、えてして力点の置き方によりましては、中小企業保護ということに非常に力点が置かれますと、場合によっては過保護的な運用になりまして、中小企業自体の近代化意欲、競争意欲をそぐようなことになる場合も考えられるわけでございまして、そういう意味合いで、立法の内容並びにその運用のいかんによりまして、場合によってはいろいろ悪影響が出る場合も考えられるわけでございます。 〔委員長退席、前田(治)委員長代理着席〕 そこら辺がいろいろと複雑な問題を含んでおりますので、私どもとしては、非常に千差万別のケースがございますから、それぞれのケースに即しました機敏な運用ができるという意味におきまして、行政指導ベースでケース・バイ・ケースに、そのケースの事態に即したやり方で調整を行うというやり方が一番実害をなくして効果を上げるいい方法ではないか、かように実は考えているわけでございます。
○中村(重)委員 中小企業の事業分野を確保しなければならないということが委員会等で真剣に議論をされたのは、最近のことではないわけですね。私の方でも、現に私が提案者になって、中小企業者の事業分野の確保に関する法律案を提案をしているわけです。私どもももう十五、六年、あるいはもっと前になると思うのですけれども、そのことを強く主張し、また、党独自の法律案を提案をしてきたということなんです。したがって、あなたの方では十分関心を持っておられたはずなんだ。 大企業が中小企業の分野に進出をして中小企業を倒産に追い込むという事態はよろしくないことなんだ、その考え方があったのであるならば、いまお答えになったような行政指導、いわゆる大企業のモラルといったようなことに訴えて、そしてそのような中小企業の分野に大企業が無秩序に進出をして中小企業を倒産に追い込む、経営を大変苦しい状態に追い込むといったようなことがないように指導さるべきであった。にもかかわらず、なぜにいままでそれをなさらなかったのか。いまあなたは一つの考え方をお示しになったのだけれども、果たしていまお答えになったようなことを実効あらしめるようなことができるのであろうか。 いま例にお挙げになりました団体法の特殊契約の問題にいたしましても、これをどの程度活用されたのであろうか、また、小売商業調整法という法律は、これも十七、八年前に制定をしたと私は記憶をいたしておりますが、この小売商業調整法という法律がどの程度活用されているのであろうか、そして実効が上がっておるのだろうか、それらの点に対して、ひとつ実例を挙げてお示しをいただきたいと思う。
○齋藤(太)政府委員 ただいま、私どもとしましては行政指導によりまして解決を図っていく方が現実に即しておるのじゃないかと考えておるというふうにお答え申し上げたわけでございますが、たとえば最近起こりました幾つかの事例でございますけれども、そのほとんどのものにつきまして行政指導ベースでおおむね解決を見ておるように私ども考えておるわけでございます。 たとえば一番最近まで問題がございました理化医ガラスでございますけれども、これにつきましては、昨年の暮れに通産省の調整によりまして、大企業側の方は自動機械を導入する以前の生産の一割減のところまで生産を落とす。中小企業側は今後二年間に工業組合をつくりますとか、あるいは新しい電気炉の開発研究をするとか、そういった技術の改善を進める、こういうようなことで話がついたわけでございます。 それから、豆腐につきましては三社ございましたが、ヤクルトの方は御承知のように昨年の秋に豆腐の製造から撤退をするということを表明をされました。あと森永乳業がまだ生産を続けておりますが、この森永の方も農林省の調整指導待ちということで、中小企業側と話がつくまでは設備の増設はしないということを了解をしておりまして、むしろ森永の方が中小企業側との話し合いを望んでおるという状況でございます。ただ、この豆腐につきましては、中小企業側がいま法律の立法運動に非常に熱心でございまして、話し合いの場に出てこられない、こういう状況がございまして、まだ話が進んでおりません。 そのほか、軽印刷につきましては、Qプリントという大日本印刷の子会社の問題でございましたが、実験店舗二店だけ自分の直営店を出すことにして、あとはすべて中小企業者をフランチャイジーという形で、Qプリントが技術を提供いたしまして中小企業者が店を出す、こういうことで話がついておるわけでございます。 クリーニングのケースも、大企業側が厚木市に工場をつくりましたけれども、その代理店と申しますか、注文を受けます取次店はすべて中小企業の従来のクリーニング店を通す、こういうことで話がついておるわけでございます。 こういうふうに、これまでに問題が起こりました大きなケースにつきましてはほぼ行政指導で解決がついておりまして、私ども行政指導ベースで、大体こういう形でやっていけるのじゃないか、もしこういった行政指導によりますやり方がどうしても実効を上げ得ないということが明らかになりましたならば、その時点でやはり立法問題というものを考えなければならぬかと存じますけれども、これまでの経験並びに実績からいたしますと、いま当分この行政指導ベースで対処してまいりたい、こういうふうに実は考えておる次第でございます。
○中村(重)委員 二、三の例をお挙げになったのだけれども、大企業が中小企業の分野に進出をしているという事例をひとつお挙げになっていただきたい。
○齋藤(太)政府委員 私どもの方に調整をしてもらいたいというようなことで話がございまして現在未解決のものといたしましては、一つは本州ニューパックと申しまして、本州製紙の子会社が新潟県に段ボールの原紙並びに紙器の工場を建設をしたいということにつきまして、地元の段ボール、紙器メーカーが、中小企業者が反対をいたしまして、現在調整待ちというかっこうになっております。県が中に入りまして調整をいたしておりますが、まだ解決を見ておりません。ただ、この件は、この本州ニューパック側が工場建設にまだかかっておりませんので、現実には被害は生じていないわけでございます。 そのほかには、ただいまのところ、私どもの方に調整をしてもらいたいという形で公式に話のあったケースはございません。話を新聞その他で承知したりしておりますのは幾つかございますけれども、具体的にいま調整をしてほしいという話が参っておりますのは、その本州ニューパックの件でございます。
○中村(重)委員 これほど大きな政治課題になっている問題だから、あなたの方に問題を持ち込んだのを私はお尋ねしたのではなくて、少なくとも事業分野の調整というようなこと、中小企業の事業分野を確保しなければならぬということは、これは中小企業団体は言うまでもなく、国会におきましても大きな政治課題として政府にその分野を確保する必要を強く求めてきているわけで、当然あなたの方としては調査をしておられるはずだから、調査をした結果どういうことになっているのかということについてお示しをいただきたい、こういうことなんです。
○齋藤(太)政府委員 今回の中小企業白書に発表いたしておりますが、昨年十一月に分野調整に関しましての中小企業の意識調査をいたしたわけでございますが、有効回答数が二千三百ほどございましたが、過去に大企業の進出があったと答えておりますのが、製造業の場合には一七%、それから卸売業で一九%、小売業では三〇%、サービス業で一五%、こういった数字になっております。 それから、進出があったというケースにつきまして、紛争があった——この紛争と申しますのは、苦情を中小企業側が持ち込んだといった程度以上のものでございますけれども、これが、大企業の進出があったとする回答が一八%でございまして、その一八%の中で紛争があったというのは二七%になっております。したがって、全体の約五%ぐらいが紛争があったということになっておるわけでございます。
○中村(重)委員 長官、いまのパーセンテージをお挙げになるということもいいのだけれども、そうでなくて、具体的に何という大企業がどういうことをやっているか、調査をしておられるでしょうから、それを十ばかり挙げてみてください。
○齋藤(太)政府委員 そのほかの最近の事例といたしましては、一つはもやしの事例がございます。 昨年の一月にユニチカの子会社が栃木県でもやしの製造を始めまして、中小企業者から反対運動がございましたので、農林省が行政指導されました結果、ユニチカの子会社も中小企業者の組合に加入をするということ、栃木県の工場以外の工場ではもう増設はしないというふうなことで、大企業側が組合と協調していくということで中小企業側も了解をいたしまして、同時に、このもやしの近代化を図りますために、中小企業近代化促進法の指定業種に昨年九月に指定をいたした次第でございます。 そのほか、たとえば家具等につきまして、日本楽器が高級家具の分野に進出をしたということで、一部には反対の動きもありますけれども、家具業界全体としてこれを抑制してほしいというような動きにまではなっておりません。ただ、一部の大企業が、家具の販売の仕方につきまして、中小企業者が見本市みたいなものを開いておりますときに、その横で自分だけの販売の市を開いてそっちに客を持っていこうとした、そういったトラブルはございましたが、これは販売方法をめぐる紛争でございまして、大企業側に注意をした次第でございます。 まあそういった事例でございます。
○中村(重)委員 長官もずいぶん遠慮してお出しになるのだけれども、あなたは中小企業庁長官として、中小企業を守るという立場にお立ちになるだろうと思う。しかし、総合的に事を判断されるということを私は否定するものではないのですね。しかし、総合商社等がたとえばクリーニングの分野に進出をする、最近はヤクルトもクリーニングを始めましたね。余りにも総合商社のやり方として、あるいは大企業のやり方として、目に余るじゃないか。だから、そのようなことは当然積極的に中小企業庁も乗り出して、厚生省その他とも連絡をしながら、それを規制していくというようなことが必要ではないのか。ただあなたの方に問題が持ち込まれてきたのを、中小企業庁みずから、あるいは通産局に指示して、できるだけ話し合いがつくようにといったような消極的な取り組みをされるということについては、中小企業庁のあり方としては不十分だという感じがしてならないのです。 先ほど来、いろいろ行政指導でもって問題を解決した事例をお挙げになった。だから、行政指導して、そういう大企業の進出によって中小企業を困らせておるということについて、それをできるだけ抑えていくということをおやりにならなければならないということをお考えになって、そしてそういう行為にも出ていらっしゃるのだから、内容にもよりましょうが、中小企業の事業分野を確保していくということに一歩踏み出される必要があるのではないか。 先ほどあなたは、中小企業の近代化というものを阻害をするというようなこともあるだろうとおっしゃった。私は一〇〇%それがないということは申しません。だがしかし、四百数十万というような事業所を持つ中小企業は、非常に生存競争というのがものすごい。中小企業者同士の間に激烈な競争をやっているわけです。だからして、近代化というものは、何も大企業との見合いの中において近代化を図っていくというのではなくて、中小企業自体が存立をしていく上について近代化をやらなければならないということは、これは中小企業自体が考えているし、あなたの方もそうした立場から指導していらっしゃるわけなんだから、近代化を阻害するのだというようなことで立法化をちゅうちょされるということについては、私は問題があるというように思います。やはり積極的に中小企業の事業分野を確保するということに取り組んでもらいたい。 私どもも議員立法としてぜひこれを、あなたの方の腰が大変重いものだから、われわれとしてはできるだけ五党共同でもって話し合いをやって、事業分野の確保を立法化するということで取り組んでまいりたい、このように考えているわけですから、あなたの方は反対に回るのではなくて、進んで飛び込んできて、あなたの方の意見も聞きますから、ぜひひとつ、低成長時代の中小企業の果たす役割りというのは大変大きいわけですから、十分中小企業に経営の活発化を促すというようなことで取り組んでもらいたいということを強く要請をしておきたいと思います。 さらに、大企業の問題だけではなくて、私は、農協等の小型百貨店と申しましょうか、あるいはスーパーと申しますか、購買事業というものが余りにも目に余るような感じがしてならないのです。だからして、これに対してもあなたの方としては、まあ農協の員外利用というようなものは法によって保障されておるわけだから、頭からこれを否定するということにはまいらないでしょうけれども、やはり中小企業は非常にこのために苦しんでおる。なかんずく農協等のそうした販売事業というものによって影響を受けている者はきわめて弱い零細企業であるわけです。だからして、零細企業を守っていくという立場から、これに対しては何らかの措置を講ずる必要があるのではなかろうかという感じがいたしますが、その点に対しての考え方をひとつお聞かせをいただきたいと思う。
○齋藤(太)政府委員 ただいまの分野調整の件でございますけれども、私は大企業側にもいろいろ反省をしてもらいたい点があることは全く先生と同じでございまして、中小企業が営々として働い ておりました分野に大企業が出てくるというからには、それなりの国民経済的に見た意味がなければいけないのじゃないかと考えるわけでございます。たとえば、新しい技術を開発しまして、そのために非常に安く製品がつくれるようになったとか、あるいは非常にいい品質の物が供給できるようになったとかいったような、国民経済的に見て意味があるというようなことでなければ、ただ経営の多角化、不況対策というような意味で中小企業分野に殴り込みをかけるというような安易な形での進出というものは絶対に慎んでいただきたい、かように考えております。 また、仮に国民経済的に見て意味があるということで進出をされる場合でございましても、その進出に当たりましては、十分事前に関係の既存の中小企業業界、あるいは地元の経済団体、あるいは地元の官公庁、関係省庁、こういった関係機関と協議をしていただきまして、共存共栄と申しますか、従来からやっておった中小企業の方に悪影響のない範囲で進出を図る、場合によってはその中小企業側に新しい技術を教えていただく。そして中小企業もその技術を採用して、そのための設備の近代化等は私ども幾らでも応援をするつもりであります。そういう姿勢が大企業側に望まれるわけでございまして、幸い先般経団連でそういった趣旨のガイドラインが設けられました。これが大企業側に守られますかどうか、大企業側の問題でございますが、経団連にも私、まかり出まして、ぜひこのガイドラインを会員に徹底をしていただいて、全社がこれを守っていただきたい、こういう御要望を申し上げたわけでございます。と同時に、私どもも、いま申しましたような精神でこの調整を図ってまいりたい、かように考えております。 立法化となりますと、たとえば中小企業業種というものが選定できるかどうか、非常に経済が流動的でございまして、かつて大企業が主としてつくっておったものを現在は全部中小企業がつくっておるというような業種もございますし、逆に、技術の開発とか、あるいは輸送の変化、あるいは消費者の意識の変化というようなことによりまして、かつて中小企業がつくっておったものが現在は大企業が中心になっておる、こういう業種もございまして、日々刻々経済が動いておるわけでございますので、これを非常に固定的に中小企業業種というものを選び出すことのむずかしさがございます。 それと、中小企業業種というものは数え方によりましては大変な数になるわけでございまして、これらの多数の業種が指定されるということは、やりようによりましては大変硬直的な経済になる懸念もございます。ある程度やはり大企業側の進出に伴う刺激があった方が、いわゆる技術革新あるいは近代化という面でのプラスもあるわけでございまして、そこら辺を中小企業にダメージを与えないで競争を確保して技術を進歩させるということにはどういう形がいいかというのがこの問題の考え方であろうか、こう考える次第でございます。さらに私どもも勉強を進めたいというふうに考えております。 それから、農協の員外利用の問題でございますが、御承知のように、農協につきましては現在その二割までの員外利用を農協法によって認められておるわけでございます。これは日ごろ農協を利用しておられます一般消費者の利便とかいうようなことを考えて認められた制度でございます。不況になりますと、農協の員外利用についてもなるべくこれを縮小してもらいたい、できればしばらくやめてもらいたいというような中小企業の希望があることは、私どもも十分承知はいたしておりますけれども、この法律に基づいて許されました範囲での員外利用というものを抑制をするということにつきましては、農林省とも協議をしてみたのですけれども、なかなかむずかしい点がございまして、現状では、法律から逸脱したものの取り締まりは別といたしまして、現行法で許された範囲での利用については、これの制限というのはむずかしい状況にあることを御了解いただきたいと存じます。
○中村(重)委員 先ほどの分野調整の問題についてあなたがまたお触れになりましたから私は申し上げますが、やはり刺激というものが中小企業に対して与えられるのだということ、そのことも私は否定するものではないのです。だからといって大企業の進出というようなことに何らかの歯どめをしなければ、日本の大企業というものはモラルがないですよ。ヨーロッパなんかに行ってみましても、そういう日本のような無数の中小企業関係の法律はないですね。ですけれども、日本のように大企業が中小企業の分野を侵すような状態はないです。モラルがあるのです、ヨーロッパの国々の大企業というのは。だから、人を見て法を説けということもあるのだけれども、そのようにモラルのない大企業に対しては、私は規制をしていく以外に問題の解決はないんだと言うのです。 あなたは幾つかの問題を挙げて、こういうこともやった、ああいうことも言ったというようなことをお挙げになったのだけれども、いかにあなたが、中小企業庁が、中小企業を守っていくという、中小企業の事業を活発にしていこうとする熱意に欠けておるかということを明らかに裏づけるものといたしましては、小売商業調整法の活用というものは全くなされていないじゃないか。京都にただ一回だけこの小売商業調整法の適用をやって調整をしたという事例があるだけ。十七、八年に及ぶこの法律が死んでおるというこの事実。先ほどお挙げになりましたような団体法の特殊契約の問題、ただいま私が申し上げました小売商業調整法、こういう法律があるんだ、だから、どんどんこういった法律を活用して、そしてみずからも近代化を図っていく、活発な事業活動をやると同時に、大企業の不当な進出に対しては遠慮なくこれを活用して、みずからの分野を守っていくようにしなさい、こういう指導をおやりになるならば、私はこれらの法律というものはもっと活発に動くだろうと思う。端的に申し上げて、中小企業庁の熱意不足だということを指摘しなければならないということを申し上げておきたいと思います。 いまの農協の購買事業の問題にいたしましても、あなたはそういった答弁でいいのだろうか。法律で二〇%の員外利用を認められている、そのことを私は否定いたしません。だがしかし、その二〇%というのはだれがどういう方法で確認をするのですか。決算によらなければわからないではありませんか。それでよろしいのかということをあなたは真剣にお考えになったことがありますか。二〇%ではなくて五〇%になっているかもしれない。それはわからないのです。だからして、税金を納めて苦しい経営をやっている零細企業というものを守っていくためには、二〇%の員外利用を認められているのだからこれはどうにもならないんだというのではなくて、農林省とももっと積極的に話し合いをやって、やはりいずれも両立し得るような体制をつくり上げていく必要があるのだということを私は申し上げておるのです。 長崎県の大村市で、中小企業者と農協が話し合いをいたしました。やはり農協が町の中小零細企業が販売をしている商品を売るということは適当ではないということで、農業関係の資材等の販売だけにとどめて、町の中小零細企業が販売しているような物品販売というものを取りやめるといったようなことをやりました。私は、農林省と中小企業庁が十分話し合いをおやりになって、ただいま挙げましたような例にならって積極的に乗り出していくならば、この問題に対する深刻な状態というものは解消されるというように考えるのです。あなたからもこの点に対してもう一度お答えをいただきますが、農林省から永井農業協同組合課長さんも御出席でございますから、これでいいのか、今後どのように対応していこうとお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思う。
○永井説明員 農協法の規定の関係、それからその運用の実態につきましては先ほど中小企業庁の方から御答弁があり、また、先生から御指摘のあったような問題点を踏まえながら、私どもといたしましては、年度問の員外利用の——その日その日で員外利用の割合を云々するということはなかなか技術的に困難であるということで、法的なものといたしましては年度間を通算せざるを得ないということで法の運用としては行っておるところでございますけれども、現在農協が各種の購買事業を行う中におきまして、購買店舗等が多くなってくる過程におきまして、各地において中小企業の方々といろいろな問題を起こしておるというケースとしては、いろいろなケースを聞くわけでございます。 したがいまして、これは一つには法的な問題もございますが、また他方、やはりその地域の実情、農協の正組合員、準組合員の分布の状況と、一般のサラリーマンの方々、商店の方々の分布の状況、あるいは農村から都市化への進展の歴史的な経緯とか、あるいはまた、中には農協の幹部と中小企業者の人間関係と申しますか、そういうようなものも、いろいろな要素が絡み合った実態というものがあり、また、現実のそういう紛争の中にはいろいろな要素があるように私ども拝察しておるケースがよくあるわけでございます。 したがいまして、一方におきましては、私ども常例検査等を通じまして、先ほど来お話しの法的な運用については守るようにやっていきたいと同時に、そういうような紛争につきましては、先ほど先生の御指摘になりましたケース、実は私どもまだ詳細了知しておりませんが、各地におきましてやはり中小企業者と農協とが話し合って、事実上そういうような紛争が起きないように調整をしておるというようなケースはよくあるわけでございますし、また、私ども、県に具体的な単協の指導監督は委任しておりますが、県庁が間に入りましてその間の調整を行うというようなこともやらせておるわけでございます。しかしながら、今後とも問題が起こるようでございましたら、なお積極的に間に入って調整していくように指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 中小零細企業の不況対策といった点からしまして、員外利用を当分自粛させるといったような指導はできないかどうか、その点、いかがですか。
○永井説明員 これは理屈を申し上げますと、先生御案内のように、農家、農業者の自主的な共同組織として協同組合活動というのがございまして、それの運用の円滑化ということから員外利用というのを法的に認めておるということでございますので、中小企業の方々のためにする員外利用の自粛という側面からの指導というのはなかなか困難かと思いますけれども、農協活動というのは、本来的にはむしろ中小企業と農協とが対立するものではなくて、いわば同一レベルにあるところの零細農民の共同購入というものの変形でございますので、中小企業の方々の分野を侵したり、あるいはまた、その方々の経営を圧迫しつつ自分の経営を拡大していくというのは、農協の本来のねらうところではございませんので、そういうような趣旨におきまして、問題を起こさない、むしろ先ほど来お話のございます大企業の進出に対して対抗していくという組織であることにつきましては、同質の面があるわけでございますので、そういう意味から、農協のそういう事業運営というものが外部との摩擦を生じないようにやっていくということにつきましては、指導をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 私は、いまあなたの考え方に対して異論はありません。だがしかし、実際問題として、法的に二〇%の員外利用が認められているということなんだけれども、私が先ほど申し上げたように、これは決算でなければわからないのですよ。だから、その方法としてはそれじゃどうするのかということを、真剣にお考えになる必要はありませんか。 この点は、中小企業庁長官もお答えにならなければいけませんよ。二〇%、わからないでしょう。決算によって五〇%だった、二〇%だった、六〇%だったという答えが出てくるわけだから、何らかの方法でそうした行き過ぎがないようにしていかなければならない。それから、私が申し上げましたように、いま永井さんがお答えになったように、両者ともに零細なものなんだから、両者がともに共存できなければならないわけですね。だからして、先ほど申し上げたように、長崎県の大村市の農協が中小零細企業との間に話し合いをやって問題が解決をした。やはり中小零細企業に大きな影響を与えるという行為をやるべきではないという解決を自主的にやっている事例もあるわけだから、そういうことを参考にして積極的に乗り出していく必要がある、私はそう思うのです。その点に対してそれぞれお答えをいただきたい。
○永井説明員 員外利用の規定の解釈と運用につきましては、私どもといたしましては、検査等の指摘の関係上、一定の基準を設けてやっておるわけでございますが、それはやはり年度間ということを基準としております。これは、たとえばたまたま検査当日が員外利用の二〇%を超えているか超えていないか、非常に極端なケースを挙げて恐縮でございますが、あるいはまた、五月ごろに検査をした場合におきまして、四月、五月でもって超えている、だから違法だというふうなきめつけ方というのは、法的な問題としてきめつけることはなかなか困難かと思います。 しかしながら、少なくともそういうのを終了した年度においては判定できると同時に、また、購買事業の運用等を実態的に見てみますと、そこでもって商品を購入される客層と申しますか、お買いになる方々の範囲、あるいは正組合員であるか、準組合員であるか、員外であるかという地位は、変動幅というものは長期間に見れば比較的少ないのではないかというふうに考えられますので、いろいろ問題の生ずる場合におきましても、やはりこれは過去の年度の傾向を見て判断すれば余り誤りはないのではないだろうか。 むしろ、そこで中小企業との問題が起きますのは、その二割を超えるとか超えないとかいうこともございますが、同時に、どちらかと申しますと、地域内の農家の組合員の方々を超えた者を対象とする、たとえば極端な場合に比較的長距離を走っておる列車の中に広告を出すとか、あるいは組合の事業活動範囲を超えたところまで新聞の折り込み広告を出すとか、そういうような販売態度というものがまた摩擦を起こす原因にもなっておるのではないかというふうに考えられますので、法的な運営は先ほど申し上げたようなことで私ども行わざるを得ないと思いますけれども、それとあわせ行います指導におきましては、現実の問題は相当程度解決できるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○齋藤(太)政府委員 長崎県の大村で、農協と中小商業者との話し合いで農協の方が自粛をされるということになりましたケースは、大変参考になるケースかと存じます。至急に実情を調べまして、これがほかへもお勧めできるような内容でございますれば、これをほかにもお勧めするように私どもも努力してみたいと考えます。また、農林省にもさらにこの件につきましてはひとつよく協議をしてみたいというふうに考えております。
○中村(重)委員 本来、農協は組合員の福利という点からこうした購買事業をおやりになるわけだ。だから、余りはでにやることは私は邪道だと思うのです。いま永井さんがお答えになったが、広告の事例をお挙げになった。チラシなんかを全域にわたって配布するといったようなやり方等を行っているのですよ。私はこれは行き過ぎだと思う。 それから、二〇%が年間を通じてというお話があったのだけれども、これは年間を通じてといっても、たとえば半年なら半年で一応計算をやってみた、それが五〇%、六〇%であった、あとはもう売らないということにはどうしてもならない。やはり買いに来たら売るということになる。だから、積極的に、永井さんがお答えになりましたような趣旨は私はそのとおりだと思っているわけだから、それを逸脱をしないようにできるだけひとつお互いに立ち行くようにやってもらわなければならぬと思います。特にこれは町村にこういう問題があるわけですから、都会は大して問題じゃないのですよ。しかも、ほとんど町村は農村地域でしょう。それで農協が余り活発にやりますと、それはもう零細企業というものは本当に立ち行かない、深刻な打撃を受けるのです。だから、実際に即した指導をやって、両者が協調していくように積極的にこの問題には取り組んでいくということにしてもらいたい、こう思います。時間の関係がありますから、またいずれお尋ねをすることにいたします。 天谷審議官にお尋ねをいたしますが、大規模小売店舗の運営の問題なんです。百貨店とスーパーを同一土俵に上げるといったようなことから、従来の百貨店法の許可制を届け出制ということにしたわけですが、中小企業がこれをもとの許可制に戻してもらいたい、それから大都市三千平米、地方都市千五百平米、これを地方都市は千平米なら千平米と、こういうことにひとつもっと下げるようにしてもらいたいというような要望であるとか、それから三千平米、千五百平米以下のものに対しても、その地域の実情によって、当委員会における附帯決議の趣旨に沿って、打撃を零細企業、中小企業に与えないようにしてもらいたいといったようなもろもろの陳情を私どもは受けるわけです。だから、あなたの方にも中小企業庁の方にも、そうした陳情活動というものが活発に行われておるのだと思うのでありますが、その点に対してのお考え方はいかがですか。
○天谷政府委員 まず第一番目の、現在の届け出制と、それから昔ありましたような許可制とどちらがいいかという問題について申し上げます。 旧百貨店法から今度の大規模店舗法にかわりましたときに許可制が届け出制になったわけでございますが、同時に、目的の中に消費者利益の保護という新しい項目が一つ加わっておるわけでございます。旧百貨店法におきましてはこの消費者利益の保護という点がございませんでしたために、許可制を運用する場合におきましても考え方がかなり割り切りやすかったと思うのでございますが、現在のような法制になりますと、消費者利益と、それから周辺中小小売商業の適正な事業機会の確保ということと、それから小売業の正常な発達、この三つをいかにして調和させるか、均衡を図るかということはきわめてむずかしい問題で、中央集権的に許可制をしくということはその運用がなかなかむずかしいのではなかろうかというふうに考えられる次第でございます。 現行法は届け出制とは申しますものの、その中で変更命令等がかけられるようになっておりますので、実質的にはかなり強い、届け出と申しましても許可制的な色彩を持った届け出制であるというふうに考えられるわけで、まだ法施行後二年しかたっておりませんので、もう少しこの運用を通じていろいろな問題点を解決していきたいというふうに考えております。 それから、第二番目の千五百ないし三千平米という基準でございますけれども、これの理論的根拠は何であるかと言われますと、これはちょっと説明に窮する次第でございます。しかしながら、昭和十二年の百貨店法以来、この千五百平方メートル、三千平方メートルという数字はずっと用いられております。戦後この昭和十二年の百貨店法は一たん廃止されたわけでございますが、昭和三十一年、再び新しい百貨店法が出てきた、その際にもこの千五百、三千というものが引き継がれており、そしてまた、現在の大規模店舗法にもこの千五百ないし三千という数字が引き継がれておりますので、昭和十二年以来の長い歴史がございますから、とにかくその理論的な理屈づけはむずかしゅうございますけれども、長いこと世の中にあったものはそれが一応世の中の習慣としてなじんでおるのではないかというふうに考えられる次第でございます。 それから、三番目の千五百ないし三千平米以下の面積の小さい店舗の進出問題については、これは衆議院の附帯決議がございますので、その線に沿いまして、問題が起こった場合にはわれわれとしてでき得る限りの行政指導によりましてできるだけ問題を円満に解決していきたい、こういうふうに考えております。
○中村(重)委員 許可制を事前届け出制という形にしたわけですから、だから実質的に許可制と届け出制というものは余り変わらないということだとすれば、私は、たとえば休日とか閉店時間ということに対する通産省のあなたの方の取り組みにきわめてあいまいな点があるような気がしてならないのですよ、具体的な事実から。そういうあいまいなことがないようにするためには、やはり余り幅があり過ぎては困る。だから、消費者利益を保護するという点を逸脱をしないのであるならば、その大前提が生かされるならば、むしろもとの許可制に戻していくということだっていいのじゃないかという感じがいたしますが、あなたの方としては、その点はずばりお答えになるとすればどういうことなんですか。
○天谷政府委員 先ほど申し上げましたとおり、特に商調協におけるところの学識経験者、それから中小小売商、大規模店舗、消費者、こういう間の民主的な調整によりまして問題を円満に解決していくという現行方式をなお続けていきたいというふうに考えております。
○中村(重)委員 この商調協のことだと思うのだけれども、商調協は民主的な運営がなされているというふうには私は思わない。力関係ということになっている。 たとえば休日、それから閉店時間の問題。法律には月四日休日ということになっていますね。それから閉店時間は六時ということになっている。ところが、それは基準であるけれども、届け出によって、月四日というのを三日にすることだってできる、閉店時間というものは六時を七時にすることだっていいのだということになる。しかし、商調協に対してやはり一つのめどを示さなければならぬ、こういうことで、年間三十日、それから閉店時間七時ということで、あなたの方では全国の商調協に対してめどをお示しになっている。ところが、それはめどなんだから、必ずしもそれによる必要はないのだと言って、これは商調協の自主性にお任せになっているので、商調協によってばらばらになっている。年二十日というところもある、あるいは二十四日というところもある、閉店時間が七時もあれば、八時もある、九時もあるといったような状態になってきているのですね。 形式的には全会一致という形になっているのです、中小企業者も消費者も参加をしている商調協なんだから。ところが、地域になってまいりますと、どうしても力の強い者の発言権というものが強くなる。中小企業の発言は非常に弱い。押しつけられたという形で、もうやむを得ずそれ以上抵抗ができなくなって同意をするという形が多く行われているような感じがしてなりません、私が調べた範囲においては。だから、いまあなたがお答えになったように、民主的にこれが行われているということにはならないのではないか。 それから、あなたの方も、法律ではただいま私が申し上げましたようなことになっているが、また一つのめどをお示しになった。しかし、それはあくまでめどなんだから、勝手にしなさい、適当におやりなさい、そういうことでは法律をも軽視することになるし、少なくともあなたの方のめどといったようなものが何であったのか、きわめて不見識なことになっているように私は思います。そういうあいまいなことであってはならないと私は考える。 それから、商調協の問題にいたしましても、当該行政区域の中小企業だけが入るような姿というものは改めなければならぬと考える。たとえば、私が具体的な例で申し上げると、長崎市なら長崎市で、長崎市の端の方に大型スーパーが進出をした、隣は町である、行政区域が違う、したがって、そこの行政区域が違っている町の中小企業はその商調協に加わることができない、影響は非常に強く受ける、これが実態なんだから、それならばそのように商調協というものは同一市あるいは町といったようなことだけではなくて、もっと影響のある地域の中小企業を参加させる、そうして本当に民主的に行っていくということでなければならないというように考える。 高いところの地位におる通産省は、下部の実情というものに対して疎いように私は思っておる。だから、もう少し実態を御調査になって、実情に即するような行政指導をおやりにならなければ、弱い者はあくまでも抑えつけられて、そうして深刻な打撃を受けるという結果になってくる。そのことは、私は消費者の利益を守るのではなくて阻害することにもつながっていくような感じがしてなりません。ただいま私が指摘をいたしましたようなことについて、一つの問題提起もいたしましたから、それに対するお答えも含めてひとつお考え方をお示しいただきたい。
○天谷政府委員 いま、商圏のとらえ方の問題、それから四日、六時の基準の問題、それから商調協の運営の問題等々、広範な問題点を御指摘いただいたわけでございます。われわれもこれらの問題点が非常にむずかしい問題を含んでおるということは重々承知いたしております。しかしながら、これを許可制に変えることによって一挙に問題が解決するような性質のものではないと考えておるのございます。民主主義はなかなか手間暇のかかる、非常に運営のむずかしい制度であるというふうに考えておりますが、運営がむずかしい、うまくいかないからといって、この民主的な方法を官僚統制に切りかえてしまうということは、方向として必ずしも正しい方向ではないのではなかろうかと思うわけでございます。 したがいまして、現在の商調協的民主主義のやり方におきまして、中小小売商の利益、消費者の利益、大規模店舗の利益、それから全体としての小売商業の近代化、効率化、こういうようなことがいかにして行われるかということにつきまして、先生御指摘のとおり、いろいろな問題点を勉強しながら、試行錯誤を繰り返しながら進んでいきたい、こういうふうに考えております。
○中村(重)委員 私は、その商調協という制度をおやめになった方がよろしいとは言わないのですよ。ただ、形式だけが民主的であってはならない、実態が民主的でなければならぬということを指摘したわけです。力関係によって、弱い中小企業は参加をしておっても不承不承にそれに従っていかなければならないという形は、決して民主的であると私は考えない。同時に、行政区域だけ——長崎市の例を挙げたのですが、あるスーパーが進出をするのは長崎市である、しかし、それはきわめて隣の町に近いところに進出をしていくということになってくると、影響を受けるのは違った行政区域の中小企業が影響を受けるわけだから、だからして、それらの地域の中小企業者も商調協に参加をさせて、そうして話し合いをやっていくというような実情に即する行き方が必要ではないのかという、運営の問題に対する問題提起をしたわけですから、それらの点に対する考え方をひとつお示しいただきたい、こう言ったのです。
○天谷政府委員 スーパー等が進出いたします場合に、問題なのはその商圏の範囲でございます。その商圏の範囲と商工会議所の管轄区域とがぴったり一致すれば非常にぐあいがいいわけですが、通常はそういうことはございません。先生が御指摘になったような問題点が起こってくるわけでございます。したがいまして、この問題の解決方法といたしましては必ずしも万全ではございませんけれども、われわれとしましては、一応商圏と推定される隣接の商工会議所もその意見を申し述べることができるように指導をいたして、そういう問題を解決しようと努力をいたしております。
○中村(重)委員 町には商工会議所がありませんからね、商工会はありますけれども。ですから、いまのあなたのお答えは商工会という意味だろうと思ってそのように理解をいたしますから、違うなら違うと後でお答えをいただけばよろしいです。お答えがなければ、そのとおりだと私は理解をいたします。時間がありません。したがって、もう少し詰めてみたいと思いますから、改めてまた適当な機会にお尋ねをいたします。 農林省からお越しいただいておりますから、地方卸売市場の対策ですが、いわゆる第三セクターといわれる地方卸売市場に対する国の助成、この点に対してどうお考えになるか、それから、地方公共団体が出資をしていない卸売市場に対しては特利融資の条件があるのですけれども、これが厳し過ぎるように思うので、これを緩和するようにしたらどうか、それから、要件緩和として新設または全面的な改築ということになっているのですけれども、全面的という程度はどのような程度なのかという点、時間の関係でまとめてお尋ねいたします。 それから、都道府県知事の確認のない小規模市場には融資をしないということになっているのですが、これが市町村長の確認で認めるという便法というのか、そういうことはできないのかどうかということ、それから、零細な蔬菜生産農家等に対する出荷や販売対策の確立がないように思うのですが、この点に対してどのようにお考えになっていらっしゃるのかということ、まずこれに対する考え方をお示しいただきたいと思います。
○岡田説明員 お答え申し上げます。 何点かの御質問がございましたようにお伺いいたしましたが、まず第一に、いわゆる第三セクターという地方公共団体が組織する公社、公団あるいはこれに類するような法人が地方市場をつくります場合に、これに対する助成がどうなっているかというお話でございますが、現在までのところ、おっしゃいました第三セクターは助成の対象となっておりませんが、本年度の予算の執行上の問題といたしまして、補助要綱その他、財政当局ともこの実現の方向で御相談を申し上げてまいりたい、そういうふうに思っております。 第二点でございますが、先生御承知のとおり、地方市場に対する援助、一般的に申し上げます援助といたしましては、公設のものにはただいま申し上げましたような助成、補助がございますが、そのほかのものにつきましては、農林漁業金融公庫の中の卸売市場近代化資金ということで融資制度がございます。この助成制度につきましては、いま先生から融資条件その他が厳し過ぎるというお話がございましたが、これは私ども機会のありますごとに、緩和といいますか、条件の拡充に努めてまいったわけでございますが、今後とも拡充に努めてまいりたいと思っております。 本年度につきましては、と申しますか、昨年の十二月以降、貸付利率を従来の七・〇%から六・五%と——申しおくれましたが、貸付利率が二種類ございまして、床面積が一定規模以上を占めるもの等、一定要件を示す市場につきましては、従来から七・〇%の貸付利率でございました。これを六・五%に引き下げをいたしました。一方、その他のものにつきましては八・〇%でございましたのを七・七五%に、若干ではございますが、ほかのものとの絡みもございまして、貸付条件を引き下げたりいたしておりますが、今後とも貸付条件その他の充実と申しますか、緩和と申しますか、その方向で関係方面と御相談を申し上げてまいりたいと思っております。 それから、貸し付けの条件につきまして、全面的な改築ということがどの程度かというお話かと私、承りましたけれども、これはおおむね六割を超えるようなものでなければならないのではないかというような考え方で、六割をめどとして運用してまいりたいと考えております。 それから、大変恐縮でございますが、最後におっしゃった点について、私、ちょっと御質問の趣旨を聞き漏らしまして、まことに恐縮でございますが……。
○中村(重)委員 時間がありませんから、いずれ改めてまたお尋ねすることにいたします。 それから、小売センターの問題について大蔵省と農林省の考え方を聞かしていただきますが、このマル食資金は個人の一件当たり千八百万円ということになっているのだけれども、組合に対する融資も個人と同じになっている。これはマル還資金の場合には、組合融資というものは個人の融資より数倍の融資額になっているのだけれども、この点、組合に対する融資の限度額を引き上げる必要があるのではないかという点が一点であります。 それから、無担保、無保証のマル経資金というのを別枠で認めていく必要があるのではないかという点であります。この点はどうお考えになるか。 それから、マル食資金の貸付対象の業者を、たとえばもやし製造小売とかうどん等といったことなんですが、その他、これを拡大をしていく必要があるのではないか、まず、この三点に対してそれぞれお答えをいただきたい。
○岡崎説明員 まず最初に、マル食資金の組合に対する貸し付けのお話でございますけれども、これは基本的な考え方といたしまして、国民公庫の貸し付けの中で特別の貸し付け、これはマル食資金も含めてでございますが、そういったものについてどの程度傾斜してウエートをつけていくのが適当かどうかということと、一般の国民公庫の貸し付けとのバランスをどう考えるかということに帰着すると思うのでございますけれども、一般の貸し付けにつきましては一人当たりの貸付金額が一千万円ということになっておるのに対しまして、マル食資金を利用していただける方につきましては、個人個人につきまして千八百万円ということで、かなりのウエートを置いた置き方をしております。さらに、その対象の方が組合をおつくりになる場合には、出資金につきましても三百万円ないし五百万円ということを別枠でお貸しするようなシステムにもしております。 さらに、ただいま先生御指摘のように、組合につきましても、その組合が一個人として借りれると同じような形で千八百万借りれるということで、一般の貸し付けと比べましてかなりの程度傾斜をかけております。おっしゃるように、組合プロパーとして事業をし、あるいは施設をつくるという場合にはもっと所要額が大さくなるという点もうなずけないわけではございませんけれども、その場合には、一つの手といたしまして、構成員一人一人に借りていただいて、それを組合の資金に振り向けるということも実際問題として考え得ると思いますので、そういうような形も活用していただきまして、限られた資金を広くたくさんの方に利用していただくという一つのねらいと、特定の部門に傾斜をかけるという政策目的とのバランスを現状程度でとらしていただいておるというのが実態でございますので、この点はひとつ御理解いただきたいと思います。 なお、組合につきましては、国民公庫ではそれ以上は貸せませんけれども、商工中金という利用の可能性もございまして、全く資金ルートがないというわけでもございませんので、その辺もお含みいただきたいと思います。 それから、マル食のお話が出ましたが、業種をもっと拡大したらどうかという点につきましては、そのときどき農林省等ともよくお打ち合わせをして実態把握に努め、協議をいたしておるところでございまして、その点につきましては、今後とも農林省と十分連絡を保っていきたい、こういうふうに考えております。 それから、マル経資金と同じような形のものをマル食につきましても設けたらどうかという御指摘でございますけれども、この点につきましては、マル経資金自体を御利用いただければ御満足いただけるのではないかというふうに考えておりまして、その点につきましては、現時点では考えておりません。 以上でございます。
○中村(重)委員 一般の場合は、中小企業プロパーの場合はおっしゃるとおりですね、金額は。ところが、マル環資金の場合は千八百万円なんだから、したがってマル環とマル食というものは同じ性格のものなので、千八百万円というのは当然なんだ。だから、組合に個人と同じだと言うことは適当じゃないですね。お互い個人個人が借りて共同で市場でもつくるようなことをしなさい、こういう意味だと思ったのだけれども、そういう方法もあるけれども、組合自体で事業を興すということだってあるわけですよ、近代化を図っていくという点から。マル環資金にその制度があるわけだから、当然これはマル食の場合も同じ扱いをする必要があるという点です。それから、マル経資金というのは無担保、無保証の融資なんだから、これに対しては環衛業者の場合だってあるわけだから、マル食資金の融資対象の業者に対しても無担保、無保証のマル経資金というものを融資していく必要があると私は思いますがね。考えていないというのはちょっと冷たいことになりませんか、いかがですか。 〔前田(治)委員長代理退席、渡部(恒)委員長代理着席〕
○岡崎説明員 環衛公庫の貸し付けの制度とのバランスということにつきましては、それぞれの組合の実態等も踏まえまして、さらに検討をさせていただきます。 それから、マル環資金にもマル経資金と同じようなものがあるわけじゃないかという御指摘でございますけれども、環衛公庫の場合は一つの独立の公庫といたしまして、設備資金に限りましてそれ相応の目的を持ってつくられておりますものですから、それと同列に国民公庫の中にあるマル食資金を考えるということはいささか無理かとも思いますけれども、御指摘もございましたことでございますので、引き続き勉強はさせていただきたい、かように存じます。
○中村(重)委員 勉強するということですから、勉強してもらいたいと思うのです。国民金融公庫を通じてマル環の場合も貸し付けをしているわけだから、そして環衛業者に対しては、ただいま申し上げたように、無担保、無保証のマル経資金というのを別に国民金融公庫の窓口で融資をしているわけだ。マル食資金も国民金融公庫の窓口を通じて融資をすることに変わりはないわけだから、大体両者性格は同じなので、マル環資金の制度ができたからマル食資金の制度を考えたわけだから、この点は右へならえをしていくということが適当であろうというように私は思います。 同時に、マル環資金は、御承知のとおり、たとえばクリーニングは五千万円、それから浴場、これは性格的な関係もありますけれども、今度四千万円まで引き上げられるとかいろいろあるわけなんで、マル食資金は一律だから、この点も再検討をされる必要があるであろうということを申し上げておきたいと思います。 最後に、増田長官がおいでですから、電気料金の値上げの二段階方式ということについて、まだ固まったわけではないでしょうが、簡単にお答えをいただきたいのです。 二年間でやる、こういうことなんですけれども、たとえば三五%の値上げをしよう、こういう申請があった。ところが、二段階ということになってくるとコストは高くなってくるわけだから、したがって、二年目に引き上げる料金というものが非常に高くなっていくということになるのではないかというように思いますが、この点に対する考え方をお示しいただきたいと思います。
○増田政府委員 電力料金の値上げにつきましては、現在四社の申請を受けまして査定中でございます。それで、これにつきましては原価主義で査定を行っておるわけでございまして、これを認可いたしますときに二段階でやるか、一段階でやるかということが現在いろいろ問題になっております。ただ、私どもといたしましては、原価主義で原則として一段階でやるべきだというふうに考えておりますが、非常に値上がり率が大きいものにどうしても査定せざるを得ないというときに、何らかの工夫が要る。そこに二段階というものをやったらどうかということが出ておるわけでございます。 ただいま中村先生のおっしゃられますように、もしこれを二段階でやりますと二段階目が非常に高くなるということで、これも非常に問題があると思います。そういうことで、査定の結果が出ましてからこの問題については検討していきたいということで、現在は一段階の考えのもとに厳正な査定中でございます。
○中村(重)委員 原価主義ということで、どうかすると公共事業というために過保護な点があるわけです。原価主義だからというので、これを引き上げるために二段階方式をとっていくというようなことで、実質的にはむしろ値上げの率が高かったというような形になるということは極力避けなければならない。公共事業のために、非常に安穏な経営形態ということを申し上げていいほど保護されているわけです。だから、できるだけ公共料金を抑制をしていくということ、そして一つの考え方を編み出されて、それが結果的には消費者の負担が大きくなるというようなやり方でないようにやってもらわなければならぬ、こう思います。もう一度お答えをいただきたい。
○増田政府委員 電力料金は国民生活にもまた各産業にも非常に大きな影響を及ぼすものでございますので、これの値上げにつきましては、物価、それから需要者に対する影響その他を入れて、いまの原価主義につきましては厳正なる査定をいたしたい、こういうふうに考えます。
○渡部(恒)委員長代理 神崎敏雄君。
○神崎委員 私は、今日の経済情勢のもとできわめて重大な問題になっております電力料金値上げ問題について質問をいたしますが、きょうは大臣不在のため、肝心なことはひとつ政務次官の方で責任を持って大臣にかわって御答弁をしていただきたい、このように思います。 そこで、四月上旬、北海道電力、東北電力、九州電力、北陸電力の四社が値上げ申請を行いました。その値上げ理由として幾つかの点を挙げておりますが、四社とも、前回、四十九年の値上げ以後も経営状態は悪化したと言っております。通産省に提出した申請書の中で、たとえば北海道電力は「前回の料金改定後も、当社の収支は、悪化の一途をたどっております」と言っております。東北電力は「当社の収支は次第に悪化してまいりました」と書いております。また九州電力も、四十九年六月の料金値上げ後も「収支は著しく悪化いたしました」と述べております。北陸電力も「当社の収支は、再び破綻に瀕するに至りました」と言っております。 そこで、次官にお伺いしますが、通産省に対する正式の申請書に明記されたこの点、すなわち、四十九年の料金値上げ後も収支は悪化したというのは、通産省の認識と一致しておることでしょうか、こういうことなんですが、まずこの問題についてお答えを願いたいと思います。
○増田政府委員 ただいま先生の挙げられました四社の申請が、この四月に出ております。この四社につきましては、二年前の四十九年六月に電力料金の改定をいたしております。 その後の各期の決算でございますが、これにつきましては、数字上では若干利益金が上がっているとか、あるいは販売の収入がふえているというのがありますが、内容的に見ますと、たとえば修繕費の支出その他を見ますと、相当苦しい状況にだんだんなってきておるという点が出てきておるわけでございます。 ただ、今回の申請は、五十一年度及び五十二年度におきます収支状況が、非常に支出と収入が償わない、そういうことに基づいての料金改定の申請でございます。
○神崎委員 非常に奇異な答弁で、数字上は利益は上がっているけれども内容的には苦しい、こういうことなんですが、こういう問題については、数字以外のことで、赤字とか黒字とかというような形で通産当局へ出すとは思いませんが、基礎になるものはやはり数字であって、数字的には利益を上げているけれども内容的には苦しいというのは一体どういうことなのか、ちょっと理解に苦しむのですが、一々そのことについていかにあるかということは、後で立証していきたいと思うのです。 そこで、この四電力会社の内部留保額の推移はどうなっていますか。四十九年三月末の前回値上げ直前を基準にして五十年九月末を見た場合、内部留保はどうなっていますか。数字でやってもらわぬとぐあいが悪いですよ。
○増田政府委員 ちょっと一期だけいま計算しておりますので申し上げますと、四十八年の下期におきます内部留保の計算でございますが、内部留保につきましてはいろいろな計算方法がございますが、私が申し上げますのは、法定準備金と渇水準備金、それから海外投資損失準備金、原子力発電工事償却準備引当金、公害防止準備引当金、それから退職給与引当金、この合計で申し上げたいと思うのですが、これにつきましては、九電力で合計いたしますと、四十八年度の下期が七千百億円でございます。それで、四十九年度の上期はいまちょっと計算しておりますが、四十九年度の下期は七千七百十一億円でございます。それから五十年度の上期は七千八百九十六億円、先ほど申し上げました内部留保金に貸し倒れ準備金と賞与引当金を合計した数字でございます。
○神崎委員 私が要求して通産当局から提出された内部留保額は、役員賞与引当金、貸し倒れ引当金、その他剰余金が含まれておりません。したがって、私の計算より少し低い額ですが、その点はいまは問わないことにいたしますが、通産省提出の資料で見ましても、前回値上げ直前の四十九年三月末から昨年の九月末までの間に内部留保はふえていることが明らかであります。北海道電力は三十一億、東北電力は百六億、北陸電力は六十四億、九州電力は三十二億、四社合計で二百三十四億円の積み増しをされているわけです。内部留保がふえているということだけで、経営収支が何の問題もなく良好であるという決定的な証明とは言えないことは、これは私も承知しております。しかし、内部蓄積をふやすことができる状態にあるということは、その経営状態が破綻に直面するほどの危機的な状況にあるとは言えない、こう言ってよいと思うのですが、この点、どうでしょうか。
○増田政府委員 内部留保につきまして、先生の御指摘のように若干の積み増しというのがございますが、これは四十九年度の上期から五十年度の上期までの期間におきましては若干の積み増しというのが入っておりますが、五十年度の下期 つまりことしの三月の決算というものについてどういう形になるか、現在決算の集計中でございます。 ただ、先ほども申し上げましたように、電力料金の引き上げという申請は、今後の、つまり五十一年度、五十二年度におきます総原価が増額する、それに対しまして現在の電力料金では収入が償わない、こういう点でございます。そういうことで、問題は今後の五十一年度、五十二年度における総原価がどうなるかという問題でございます。
○神崎委員 いや、私の聞いているのは、あくまでも数字上、通産当局へ出している四社の合計額、内部留保の額を挙げて言うているので、こういう状態では破綻に直面するほどの危機的な状況にあるとは言えない。 あなたの方でおっしゃらなかったから、こちらで言おうと思っていなかったのだけれども、たとえば四社の内部留保、北海道は、四十九年三月末に三百十五億四千三百万円、五十年九月末に三百四十七億二千万円、増加額三十一億七千七百万円、東北の場合、四十九年三月末に七百二十三億三千百万円、五十年九月末は八百二十九億五千七百万円、百六億二千六百万円の増、北陸は、四十九年三月末に二百九十二億八千二百万円、五十年九月末は三百五十六億九千六百万円、増加額六十四億一千四百万円、九州は、四十九年三月末に七百五億二千七百万円、五十年九月末は七百三十七億五千三百万円、増加額が三十二億二千六百万円、この四社だけで二百三十四億四千三百万円の増、こういうことである。これだけのものが出ていて、先ほど言うたような破綻の状態にあるというようなことは言われないというために数字を挙げているのだということであります。
○増田政府委員 ただいまおっしゃられました数字はそのとおりでございますが、これにつきましては、この内容の内訳でごらんいただきますと、増額は、これは退職給与引当金というものを増額しておりまして、ほかの積立金は、むしろ減りぎみということになっております。それで、御存じのように、退職給与引当金につきましては、給与の増加に伴いまして引当金の限度額も上がってくるわけでございまして、いまおっしゃられました積立金、つまり内部留保金の増額は退職給与引当金の増額によって出てきておるわけでございます。 〔渡部(恒)委員長代理退席、安田委員長代理着席〕
○神崎委員 聞いている性格をよく理解してもらって答えていただきたいのです。内部留保額について、いかにあっても退職引当金だからそうじゃないとかああじゃないとか言って、電力会社の社長みたいな答弁をするのじゃなしに、私の言うているのは、前年度から見てこれだけ内部留保額というものは上がっている、上がっていることは経営自体が破綻に瀕しているようなものではないということを数字で立証しているのであって、その中で退職引当金がこれだけあるとか、何々がこれだけあるとか、こういうことを聞いているのじゃないのです。何か電力会社の社長みたいになって弁明に努めて、そして先ほど一番冒頭に期せずしてあなたがおっしゃったように、数字ではいろいろ利益は出ておりますけれども中身は苦しいのです、スタートからそういう立場に立っているから、一貫してそういうことになるので、そうなってくると、これからの質問に対しては全部すれ違います。私の言うているのはそういうところじゃないのだから、その点、明らかにしてもらいたいと思うのです。 そこで、一昨年の九社一斉値上げ以後、配当率をもとに戻したというところはあっても、その後さらに減配したところはありません。そこで、通産省産業政策局の資料で売上高利益率を見るとどうなりますか。四十八年下期を基準にすると、その後さらに悪化していると言えますか。内部留保の積み増ししている点とあわせて、産業政策局の見解をお聞きしたいと思うのです。
○天谷政府委員 産業政策局の方では、電力会社の経理を特別に調べているわけではございませんが、「わが国企業の経営分析」という調査を毎年継続的にやっております。この調査では、九電力会社の収支動向、売上高利益率等を有価証券報告書に基づきまして調べ、発表をいたしております。この「わが国企業の経営分析」によりますと、九電力会社合計の経常利益は、四十九年度上期が六百四十七億円、四十九年度下期が八百六十一億円、五十年度上期が千百三十三億円と推移いたしております。指数としては、ちょっといま計算しておりません。それから、売上高経常利益率の推移でございますが、四十九年度上期が三・七六%、四十九年度下期が四・四二%、五十年度上期が五・四五%と推移いたしております。
○神崎委員 四十八年度と四十九年度の上期と下期を申しますと、いまあなたの方で言われた「わが国企業の経営分析」、これから見ても、電力の場合は、四十八年度の上期は五・九八%、電力以外の全業種は三・六五%、下期は、電力は四。六五%、全業種は二・九一%、四十九年度の上期は、電力は三・七六%、全業種は二・三一%、四十九年度の下期、電力は四・四二%で全業種は一・三九%、これは、いまそちらから挙げられた「わが国企業の経営分析」の電力会社の売上高利益率、この利益率のパーセンテージが全業種と電力との中で対比したらいかに高いものであるかということが立証されておるということであります。 そこで、大蔵省にお聞きしますが、大蔵省の法人企業統計調査と通産省の経営分析は同じ方法ではありませんが、それを前提としつつも、大蔵省の見方で、電力会社の経営状況は、四十九年の一斉値上げ以後さらに悪化したのか、改善に向かっているのか、どういうふうに判断されておられますか。
○今永説明員 お答えいたします。 法人企業統計は、御承知のとおり、四半期ごとに各会社の仮決算をしていただきまして、その集計でございます。電気業という業種に属します法人数が約四十社ございますが、その合計で申しまして、四十九年四−六月期の売上高営業利益率がマイナス二・八%、これが料金改定の七−九月には二一・四%に上昇いたしました。その後、十−十二月には一二・一%、五十年の一−三月には一三・九%、四−六月に一六・七%、七−九月に一二・一%、十−十二月には一四・五%というように推移いたしております。
○神崎委員 そこで、四十九年の一斉値上げ以後、これは改善に向かっておるのか、破綻をするような方向へ行っているのか、全産業と対比した上で、大蔵省はどう見ておられるかということを聞いたのです。そのパーセンテージは、あなたが言われたのと合っています。しかし、全産業と対比して値上げ以後この道はどういう方向へたどっておるのかということです。
○今永説明員 お答えいたします。 全産業の売上高営業利益率を、四十九年十−十二月期以降の数字しか手元にございませんのでそれで申し上げますが、四十九年十−十二月期が三・三、五十年一−三月期が三・二、四−六月期が三・六、七−九月期が三・二、十−十二月期が三・三ということでございまして、確かに先生御指摘のとおり、全産業の売上高営業利益率に比較いたしますと、電気業の売上高営業利益率は総体的に高い水準にあることは明らかでございます。ただ、売上高利益率という一つの経営指標を用います場合、たとえば卸、小売業のような業種と、製造業、公益事業といったような業種の間では、当然売上高の利益率の違いがあるのが従来からの傾向でございまして、電気業の売上高利益率が卸、小売業のようなものを含めました全産業の売上高利益率に比較いたしまして高いというだけでもって、直ちに電気業の経営が苦しくないということが言えるかどうかは疑わしいと思います。 そこで、電気業の過去の売上高利益率の推移がどのような水準にあったかということが問題ではなかろうかと思うのでございます。たとえば昭和四十二年ごろからずっと時系列で私、手元に持っておるのでございますが、もしお時間が差し支えなければずっと申し上げてもよろしゅうございますが、電気業の昭和四十二年ごろから四十八年ごろまでの営業利益率はおおむね二〇%程度の水準で推移いたしておりますので、それに比較いたしますと、最近の電気業の利益率はかなり低下しているということは明らかであろうと思います。
○神崎委員 聞いていることの答弁になっとらぬです。大蔵省の四半期別法人企業統計調査、あなたが挙げられているもののパーセンテージは全部合っていますよ。私の聞いているのは、最近電気事業が破綻の方向に行っている、これはもう必至だ、こういうようなことを盛んにPRしているという角度から、売り上げ、小売利益率などを見て、これに対して意見を言っているのです。たとえば五十年一月から三月までの間は一三・九、四月から六月が一六・七、あなたの言われるとおり、七月から九月になって一二・一。ところが、十月−十二月になったら一四・五と、二%も上がっているわけですよ。ところが、全産業の方はそうじゃない。電力だけがこう上がっていっている。この上がっている中で破綻しているというようなことを言われているから、数字的に立証している、こういうことなんです。だから、改善の方向かどうかということは数字が示しているのであって、常識論や感覚的な一般論じゃないということを言っておるのです。 したがって、電力会社みずからの正式の決算書でも、内部留保は積み増しされている。通産省と大蔵省の経営動向調査でも、四十九年度の値上げ以降は経営収支が改善に向かったことが明白に数字の上から示されている、昨年の九月決算まではそのことが明らかであるにもかかわらず、前回値上げ以降も悪化の一途をたどったというのは、これは虚偽の申請をしたということになるのではないか、私はこういうふうに思うのです。数字的にどんどん上がっているものが、破綻の方向だとか、まさにもうだめだということを言っているのは、その申請そのものに数字的な裏づけがないじゃないか、こういう立場から聞いているのです。これは通産省の責任ある答弁を求めます。
○増田政府委員 数字はいま先生のお挙げになったとおりでございまして、実際の売上高利益率というものは、五十年の上期まで若干上がりぎみというところが出てきております。ただ、電力事業の経営内容というものを分析いたしますと、決してこの数字のようによくなっているわけではない。 では、なぜこういうように売上高利益率その他、相当利益が上がるような形になっているかということにつきまして御説明いたしますと、電力会社は社債の枠の制限のために相当増資を行わなければならないということから、いろいろな経費を削減いたしまして、たとえば修繕費につきまして相当な削減をして、そこから利益を生み出すというふうな実情がございます。そういうことで、私が先ほど、経営の実態は必ずしもよくなってないということを御説明申し上げたわけでございます。
○神崎委員 そういうことになるとまた反論したくなるのですが、時間が制約されておりますので、聞き流しておきます。またの機会に反論します。 「電力新報」という雑誌の五月号で、北海道電力社長は、五十年下期は上期に続いて実質赤字はさらに拡大したと言っております。また東北電力社長は、当社の収支は次第に悪化し、あらゆる対策を尽くしてもきわめて厳しい決算となることは避けられない見通しだ、こう言っております。このような発言を見ますと、五十一年三月期決算の内容が詳しく国民の前に明らかにされるべきであると考えざるを得ません。値上げ申請した四社は、こぞって五十年下期、五十年十月から五十一年三月の間の加速度的な収支悪化を強調しているのであります。 同じく「電力新報」の五月号で、経済企画庁の喜多村物価局長も、五十年上期は悪くはなかったが下期が非常に悪化していると言われ、五十一年度上期はとにかく赤字になるという判断のようだけれども、その実態は五十年度下期の決算を十分に見た上で判断すべきだと発言しているのです。収支悪化の一途をたどったなどという虚偽の申請書をそのまま受理している通産当局の姿勢は、国民の目から見ましてとうてい納得できないものであります。これは私鉄運賃値上げの場合のように、値上げ許可直後に発表された決算は黒字であったという事例もあります。通産省が電力会社の側に立って弁解すれば弁解されるほど、国民の疑惑を深めるということになるのです。 そこで、五十年下期決算の詳細の公表についてどういうふうな御答弁をされるか、答弁を求めます。
○増田政府委員 五十年度下期、つまりことしの三月をもって締め切りました決算は、現在集計中でございますので、これは近く発表になるわけでございます。
○神崎委員 それを発表されたら、そのことが信用されますか。
○増田政府委員 電力事業につきましては、私どもの方は厳重なる監査をいたしております。そういうことで、現在電力料金の申請もありますので、各種の電力事業の経理内容につきましては、現在特別監査を実施しております。そういうことで、今度発表されます三月の決算が私どもの調べたものと比較してどうであるかということは、今後判断すべき内容だと思いますが、ただ、電力会社の経理内容につきましては厳正なる立場で、先ほど先生の言われましたように、私どもは電力会社の立場に立つわけではございません。料金申請に対しまして、やはり消費者の立場、物価の問題というものを踏まえまして厳正な査定をする、こういう立場でございます。
○神崎委員 あなたの答弁に一貫して矛盾があるのです。数字を挙げると、数字はそうであるけれども内容は違うのだ、数字的には利益はあるけれども、内容はそうではなしに非常に苦しいので、特に修繕費等については非常に始末してそれを利益にしているからだ、そういうことを最前から二回も繰り返しておっしゃっているのです。修繕費を始末して利益にやっておったら、修繕費の支出というものは小さく出ているはずなんです。それを小さく出して利益の方に回しておったら、利益の方は上がるのはあたりまえなんだ。その利益を上げることによって株主に対する配当のパーセンテージも査定されると思うのです。あくまでも数字そのものが基本であるのに、数字を挙げると、数字はそうであるけれども内容は違うんだ、そして内容を出すと、今度は、数字が出てきた上で検討するんだ、そうしたら、あなたは何を根拠にいまおっしゃっているようなことの物差しをお持ちになるのですか。
○増田政府委員 私から御説明申し上げましたのは、数字の合計はそうであるけれども、その内容をしさいに調べるとこういう問題がありますという事実を指摘しただけでございまして、決して値上げについて電力業界を応援するとか後ろ押しするという立場ではございません。先ほど申し上げましたように、通産省といたしましては、電力の値上げ申請につきましては厳しい立場に立ってこれを査定する立場でございます。
○神崎委員 私はますます疑義を持つのですよ。では、その数字というものは事実と違うのか。たとえばいま三十何%上げてくれというパーセンテージというものは事実と違うのか。何を根拠に、これでは経営が悪化してやっていけないから、三十何%とか、あるいは二十何%とか上げてくれという申請が来るのに、その数字を見て、実際とは違うからもっとよけい上げなさいとか、もっと下げなさいとか、そういうことになれば、その数字自体は架空のものになる。あなたの方は、電力会社から来るその申請書なるものを、その数字そのものを全部よけて、実際何を基準に調べるのですか。 申請書が上がってきて、前年度、今年度の収支バランスがちゃんと出て、それで実際検討して、社会情勢、物価背景等を見て、これはきわめて上積みのものである、あるいは非常に信憑性の高いものである、現実的なものである、合理的なものである、こういうようなことから判断した上で許可とか認可とかいう立場に立たれるのが私は当局のあり方だと思うのです。ところが、数字は持ってきても、その数字そのものには信憑性がないという立場から、数字はそうですけれども内容はもっと悪いのです、じゃ、悪い方を出したら、それでは事実は違うんだ、こういう形になってくれは——あなたは、私は電力会社の立場ではありませんと言うのは当然ですよ、ここで改めて言うこと自体がおかしい。通産省が電力会社の立場に立ってもらっては国民は困る。何を基準に値上げの認許可を与えるかということです。 ところが、そういう数字をずっと挙げてきた場合に、いま雑誌の五月号まで引例して、経済企画庁の方の談話まで引例して挙げているわけです。そうすると、その数字は真実でないということになれば、一体何を根拠に判定するのかということになるでしょう。全くこれは国民を納得さすことのできない、きわめて反国民的な立場であり、姿勢だ、こういうふうに申しておきたい。 〔安田委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、先ほどから明らかにしたように、値上げ申請した四社の中でも、東北電力は内部留保の積み増しも百六億円で、最も多いわけであります。その東北電力は、経営状態が改善されつつあるまさにその時期昨年の秋から冬にかけて料金値上げを画策し、世論操作のためにラジオ番組を作成していたのです。 私が入手した東北電力の内部資料「ラジオ番組企画」には、次のように書かれている。これは次官、あなたに意見を聞きます。「番組のねらい」と書いて、その次に、「わが国が当面しているさまざまな問題をとりあげ、根底にある日本人の公共概念の欠如や権利と義務のアンバランスに反省を求める。こうして、とかく風潮にゆがめられがちなものの見方、判断について正しい時代認識、将来の道標を指し示す啓蒙番組とする。この番組を定着化させることにより、料金改定のスムーズな展開をはかるための土壌をつくるようにしたい。」こういうように明記されている。 ここには、東北電力の企業姿勢が明白にあらわれておるのであります。日本人は公共概念が欠けており、物の見方、考え方がゆがんでいるのだ、こう断定し、あからさまに国民全体を侮べつして、反省を求めるのだ、こういうふうに、実に傲慢で独善的な東北電力の国民への姿勢が示されておるのであります。そうして、料金値上げをスムーズに行うための世論操作番組を作成するのだと、番組のねらいをあからさまに明記しておるのであります。 公益事業としての電力会社のこのような企業姿勢について、通産省はどうお考えになっておるのか、まず政務次官の意見を聞き、当局の見解もあわせて聞かしていただきたい。
○綿貫政府委員 私的な内容の文書で、初めてそういうことを聞きましたが、電力の節約を呼びかけたり、あるいは安全の問題とかそういう問題でPRしておるのだ、私はこう思っておりましたけれども、そういう社内的な意図と表に出てきたものとがどういう違いがあるのか、一緒なのか、よく調査してみなければわからぬと思います。それは一遍実情を調査した上で見解を申し述べさせていただかないと、いま一方的に聞いて私が答弁して、間違うと困りますので、一遍調査をさしていただきます。
○神崎委員 当局から聞く前に、次官、これは何だったら見てもらったらいいのですが、もしこのことが調査されて事実であった場合、これはどういうことかという意見を聞かしてください。 ちょっとこれを次官に見せてください。
○綿貫政府委員 私は、基本的には、公益性のある事業ではありますけれども、電力会社も私企業だ、こういうふうに思っております。だから、ラジオその他でPRをするということそのものは、私は決して悪いことじゃない、こういうふうに思っております。ただ、そういう、いろいろと神崎さんが推察されるような、電力料金を上げるために、その土壌をつくるためにいまからやるのだということが真意なのかどうか、その辺はもう一遍確かめてみなければならぬと思っております。もっといろいろな多角的な意味でやっているのじゃないかと思いますし、その辺を聞きまして、その上で、もしも——まあ言うてみれば悪意か善意かということになるのでしょうが、神崎さんにすれば悪意だと言われるし、こちらにすれば善意なのか悪意なのか、そこら辺の真意を一遍よく確かめてみたい、こう思っております。
○神崎委員 悪意とか善意とかということじゃなしに、これは内部資料ですが、日本人の公共概念の欠如だとか権利と義務のアンバランスに反省を求める、そういうようなこと、しかもそういうことを啓蒙番組としてやっていること、これは、発表の自由ですから何を言ってもいいというようなことも一側面にはありましよう。しかし、私は発表されることについてとやかくいま言っているのじゃないのです。そういう形でやられている姿勢についてどうお考えになるかという次官の見解を聞いたのです。だから、調べぬでももうそこにありますから、それを見られた上での感想というか、御意見があれば聞かせていただけたら結構だと思います。
○綿貫政府委員 いまコピーをもらいまして、いますぐこれがどうだと——まあ仮定の問題になるものですから、電力会社にこういうものが本当にあるか、どういう意味なのか、もう一遍よく聞いた上で、両方の意見を聞いてからひとつ意見を述べさせていただく、こういうことにさせていただきたいと思います。
○増田政府委員 私の方も、番組の内容その他聞きまして、不適当なことがあれば、これは直すようにいたします。
○神崎委員 不適当なところがあれば直す、もうあたりまえのことで、不適当なことがあるのにほっておいたらだめなんで、そういうことであれば、私の言っていることが全部何か架空のことを言っているようになるのですよ。こういう場所でそういうことを公開しているのだから、推測でもなければ、事実そこに示しているのですから、そういう常軌を逸したことについての批判をしているのです。 そこで、これに関連して郵政省に伺いますが、電力会社が料金改定の土壌づくり、つまり世論操作のための番組を企画するということは、放送法のたてまえから言ってどうなんですか、放送法違反ということにはなりませんか。
○田代説明員 放送法は、免許を受けた放送事業者を律する法律でございます。したがいまして、放送法の四十四条の三項には、放送番組を編集するに当たって放送事業業者が守るべき準則を定めてございます。放送事業者のところに持ち込まれる番組にはいろいろなものがあろうかと思いますが、放送事業者がこの放送法の規定、あるいは放送事業者がみずから定めました番組基準等に照らしまして、放送するかしないか、あるいは内容の適不適を放送事業者が自主的に判断すべきものだと考えております。
○神崎委員 さらにこの点について詳しく申し上げますと、東北電力が青森放送それから岩手放送、秋田放送、東北放送、山形放送、ラジオ福島、新潟放送の七局に向けて、十分間の帯番組、毎週五回、約六十五回の番組を作成した。 しかも、その計画の内容を見ますと、一月の第三週は「日本人はこれでよいのか」をテーマにして、「日本人の〃公共〃概念の欠如、権利と義務のアンバランスを指摘し反省を求める。」という内容です。二月の第一週では「資源・エネルギーのゆくえ」というテーマで、「石油危機以後の脱石油指向のなかで、〃公共に優先する私益〃〃地域エゴ〃〃消費者エゴ〃が長期的展望にたったエネルギー政策の推進をはばんでいることに警鐘をならし、日本人の進むべき道を示唆する。」こういう内容になっている。 二月の第二週でのテーマは「日本女性の意識構造」で、その内容は「台所の経済感覚で国家の財政や政策を批判する女性、理論に優先する感情でものごとを判断する女性に対して、視野の広い目で物事を判断する必要性を説く。」ということになっている。さらに三月の第五週の場合は、テーマが「日本はどこへゆく」、内容は「現在の日本の無責任風潮を鋭く批判し、権利に相応する義務の必要性を説く。その中で公共料金についても望ましいあり方を指摘し、受益者負担の原則をうちだす。」こういうようになっている。そうして、それぞれ出演者を指定して、対談形式でやっているというものです。 東北電力という企業が、こうして番組のテーマ、内容、出演者まで決めておる。この計画は、すべてが計画どおりに実行されたわけではありませんが、十週のうち七週は、ほぼ計画どおりに放送されております。東北電力に直接問い合わせましたが、東北電力の側で企画して、放送局と相談したと言っておるのです。 そこで、放送法四十四条三項の四には「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と明確に定められております。この場合、東北電力の企画内容は、まさに意見が対立している問題を扱っておる。すなわち、料金改定そのものが対立しておる。ところが、料金改定がスムーズにいくことをねらいとした番組であるということであります。そういうことのために有限な電波を使ってよいのかどうか、重ねて当局の見解を聞きたい。
○田代説明員 ただいま御指摘のありました番組、私ども内容を承知しておりませんし、その番組が放送されるまでの過程には、恐らくスポンサーと放送局との間でいろいろな打ち合わせ、内容の相談などあったことは十分にうかがわれます。しかしながら、放送番組は、最終的には放送事業者の責任において、放送するかしないか、その内容を決めるべきものでありますので、放送事業者がみずからの考査機構あるいは内部的な判断その他によりまして、先ほど申し上げましたような放送法の規定あるいは番組基準に照らして放送しておるものと思います。 なお、放送法を運用し解釈します私どもが、個個の放送番組の内容について意見が対立しているか否か、あるいはその取り扱いが適当であったかどうかということについて意見を申し上げますことは、この放送法の三条にございます番組編集の自由との関連もございますので、意見を申し述べることは適当でないと思います。
○神崎委員 利益の問題になると私企業である。それから需要と供給の問題になると公益性の問題が出てくる。そして、こういういまのようないわゆる独占企業の独占価格、これがいわゆる通産当局の許可を受けなければならない範疇のものである。こういうような観点から、持っている公共的料金体系の性格、これはそこらの八百屋さんで売っているキャベツがきのうときょうで値段が違う、そこの店主が仕入れ価格と利益を考えて、きのうは百四十円だったけれども、きょうは十円高く仕入れたから百五十円にしておこう、こういうような性格とは同一にすべきものじゃないと思うのですね。そういう性格のある企業が、こういうような形で、これからの日本はどうなるかとか、そういうことに論陣を張るような女性はどうだとかこうだとかいうようなことを、しかも長期にわたって計画的に、言うならば何か電力値上げに対していろいろ意見を持つ者は非国民か、まさに公益性を破壊する思想の持ち主のごとく一方的にきめつけている独善性、こういうものが放送という、電波というものをもって各家庭に入り込んでくる、こういうあり方というものが、先ほども私の方からも指摘したし、法律にもございます。放送法四十四条三項の四にやはりかかわり合いがある、こういうふうに思うのです。 だから、この問題を挙げたということをひとつよく頭に置いておいてもらって、そうして実際問題を調査した上でそれについて対処する、こういうことを言われたのですが、いま少なくとも私が読み上げたもの、これも向こうの内部資料ですが、各番組のテーマなんですね、こういういま読み上げたものを聞いておって、これはちょっと行き過ぎておるなあと思いませんか。あたりまえだ、こういうことをやっておったら当然だというように思いますか。これはもう一遍、次官と当局とに聞きたい。
○増田政府委員 いま先生の御指摘の番組は、これはゲストを呼んで、そのテーマごとにフリートーキングというのですか、いろいろ議論をするということで、私、いまこのゲストの一覧表を見ましたのですが、たとえば慶応の加藤寛先生、東京工業大学の矢島鈞次先生、それから日本経済研究センターの金森久雄氏、こういう人たちを呼びまして、そして草柳文恵さんとの間で、時事問題あるいはそのテーマごとの話をする、こういうことになっておりまして、いま先生のおっしゃられるような内容になっているのかどうか、私どももよく事実を確かめておきたいと思います。
○神崎委員 あなた、ゲストの名前まで知っておったら、その日何があり、何をやられたかわかりませんと言わぬで——ちゃんと書いておるんだよ。その方だけ言わないでおいて、ゲストの名前だけ挙げているのですが、私はこのこと自体がどうだと言うんじゃないのですよ。このことを問題にしているんじゃないのです。一方的にこういう形に電波等を通じて、電力料金を値上げすることが当然であって、これについて批判したりいろいろ意見を言うことすら間違いだというような、ある意味では洗脳教育的なことをやるのが電力会社のあり方なのか、それを所管されている当局に意見を聞いているだけであって、放送したことがいけないとか、こういうことはやめろとか言うのじゃない。こういうやり方は少し逸脱しているのと違うのかという意見を出しているのです。 あなたは、こういう人だ、加藤寛さんだ、だれだといまおっしゃったのですが、これはそこにはちゃんと書いてあるのですね、左側には。だから、そういう形から東北電力がやっている一つの実例を挙げて示している。そこで、こういう形で指摘したことが、調べてみてからしかわからないということですか、いままで言うていることは。私の言うていることは、調べてみなんだら答弁できぬような性質のものですか。それとも、おまえは勝手に言うとるから信用ならぬから、一遍会社と打ち合わせして聞いた上で答弁すると言うのですか。こういうことの現実がある、これについてあなたはどう考えるか、こう聞いているのです。 こういう事実があるのだ、これはどう考えているのか。それをあなたは、事実があるかどうか調べる、こう言うているのですよ。調べなくてもそこにあるのだ。あなたもそのゲストの名前まで言うているんだよ。そうしたら認めているわけだ。それ以上何を調べるか、そういうことになるのですが、そういうような状態があることについて、これは少し行き過ぎだと思ったら、行き過ぎだと言うたらいいのです。もしこのことが事実だったら、こういうことは少し行き過ぎだから考えなさいと東北電力に言うべきだということを言っているのだ。御指摘のとおりでありましたら、そう言いますと言えばいいのであって、何かあなたの言うていることは、事実かどうか調べた上で答弁するというような失礼な答弁はないですよ。どうですか。
○増田政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、行き過ぎ、不適当な事実があれば、私どもの方でこれは指導するようにいたします。 ただ、先ほど申し上げましたのは、決して先生に失礼なことを申し上げるつもりはございませんでしたですが、こういうゲストを呼んで、そして時事問題をやるという番組につきまして、これはその内容、意図その他、この放送されたものがどういうようになっておるのか、やはり事実を十分調べるという必要があるということを申し上げたまででございます。
○神崎委員 誤解をせぬようにしていただきたいので一言言うておきますが、放送したりそういう宣伝をしたりすることについてとやかく言うているのじゃないのです。さきにも言うたように、まず、「日本人はこれでよいのか」「日本人の“公共”概念の欠如、権利と義務のアンバランスを指摘し反省を求める。」こういう内容やら、「資源・エネルギーのゆくえ」というテーマの場合は「石油危機以後の脱石油指向のなかで、 “公共に優先する私益” “地域エゴ” “消費者エゴ”が長期的展望にたったエネルギー政策の推進をはばんでいることに警鐘をならし、日本人の進むべき道を示唆する。」二月の第二週では、テーマは「日本女性の意識構造」で、その内容は「台所の経済感覚で国家の財政や政策を批判する女性、理論に優先する感情でものごとを判断する女性に対して、視野の広い目で物事を判断する必要性を説く。」こういう立場で電力会社がやっていることについて、どういうことかということを聞いているのだ。
○綿貫政府委員 神崎さんを信用しないというのじゃないのですが、ここに先ほどもメモもいただきましたし、それからいま急にいろいろなものをいただいたのですが、公平を期するためにも、相手の意図と、それからどういう内容であったかということをもう一遍よく調べて、それでいまの御意見と突き合わせてお答えを申し上げたい、こういうことでございますから、慎重にやりたいということですから、その辺をひとつ御理解いただきたいと思います。
○神崎委員 何ぼ言うても、それでは理解できませんよ。調べなくとも、言うておるのだ。あなたの言うことを信用せぬわけではございませんなら、信用してくれたらいいじゃないか。そうでしょう。信用せぬことはないのに、結局は調べてからでないと答弁せぬと言うなら、私はこの質問を保留しますよ。じゃ、これを保留して、来週火曜日の法案のときに、一般質問にまた入りますよ。 委員長、どうなんですか。これは大事な問題ですからね。やはりそういう形で言われると、今後質問の角度を変えなければならない。
○綿貫政府委員 はっきり申し上げまして、私は、やはりけんか両成敗というのもありますし、相手もどういう気持ちなのかは一遍よく聞いてみないことには、いまこれを見せられて、悪いじゃないか、こう言われて、おまえは悪者だといきなりきめつけるのもどうか、こう思いますので、真意を——悪ければ悪いで、それはもちろん、私は悪いものをいいということを言いたいために言うておるのじゃないので、ひとつその辺は御理解をいただきたい、こういうことでございますから、いま神崎さんの資料を見てすぐ、こうだと、それはひとつ……。
○神崎委員 おかしいじゃないですか。私が出しておらぬ資料でそっちから答弁したじゃないか。加藤寛さんや矢島鈞次さんやとか言って、ゲストの名前までそっちが挙げたことは、そっちが持っていることじゃないか。私は、この人たちがこんなことをやったということを、何もいま一つも批判してないのだ。電力料金を値上げするために電力会社が国民に対してやっているこのような行為について批判しているのです。それについて当局はどういう意見を持っているかと言っているのだ。国民をばかにしている。もう一回答弁してくれ。
○稻村委員長 神崎委員に申し上げますが、いろいろ意見を聞いておりますと、政務次官の答弁も、中身はそんなに悪いというわけじゃありませんから、ただ権利義務という問題だけにかかっていると思います。そういう意味で、後でよく中身を調べてからお答えをするということですから、ひとつ御了承を賜りたいと思います。神崎委員の言っていることが決してうそだというのじゃなく、中身についてまだわからないのだということですから、そういうことで御了承を賜りたいと思います。
○神崎委員 これは放送法との関連で言っているのです。たとえばかぜ引きの薬のコマーシャルをやりますね、これはかぜ引きに効きますから買いなさいというコマーシャルはやらないでしょう。ごほんと言うたら何やらとか、何やら言うたらこれだとかいうことを言う。これはかぜには効きますということを言ったら放送法にかかわるのでしょう。そういうことが最前挙げた法律の項目なのです。それにもかかわらず、この電気の場合は、電気料金を上げるがために、それを批判することすらいけないような一方的に洗脳的な放送を、このような形で、一回や二回でなしに長期にわたって計画的にやる、そういうことをやること自体が、もはや破綻に瀕しておるような電気事業としておかしいじゃないか。それだけの宣伝費を持っておるのだから、そういうことを言っているのです。そういう観点から見ても、これは少し行き過ぎだ、しかも、放送法にもかかわり合いがある、こういう立場で指摘しているのです。それに対しての意見を聞いているのです。 もしもそのとおりであればこれは少し考えなければならないと言うならいいのに、調べてから調べてからと言うが、調べる手間を省くために現物を出しているわけです。しかし、それでもまだ信用しないかと言えば、いや、あなたの言っていることを信用しないわけじゃないのだと言うが、信用しているのだったら、それをひとつ材料にして電力会社に注意をいたしますとなぜ言えないのだ。
○増田政府委員 先生を信用しないわけでは決してございません。ただ、番組につきましても、先生がお挙げになりましたのと、これは私、いま受け取ったのですが、実際に放送になりましたのと、若干違うと思うのです。ですから、先生が先ほどおっしゃったのは今後の予定であって、その後調整されて実際に放送されたものは違うのじゃないかと思います。決して先生を信用しないわけではございませんが、やはりこのゲストの立場もあると思いますので、こういう問題について十分調べまして、それから、先ほど私が申し上げましたように、不適正な点がありましたら責任を持ってこれに対して指導するようにいたします。
○神崎委員 後の質問者に迷惑ですからもうやめますが、このことが事実であれば注意するということですけれども、どんな注意をするのですか。放送法に基づいて注意するのか、値上げ前にこういう放送をやることはけしからぬということでその中身を注意するのか、何を注意するのですか。
○増田政府委員 基本的な考え方といたしましては、電力会社が自分のところの料金についていろいろ説明をするということは必要だと思います。ただ、この番組につきましては、これは料金の説明ではございません。いわゆる時事問題をとらえて、ゲストとの間の対話になっております。ただ、その対話が、先ほど先生がおっしゃられましたように、電気料金の値上げに反対する人を反対しないように洗脳する、こういう意図で行われるということであれば、これは注意しなければならないと私は思っています。そういう意味で、番組の持っていき方、時事問題を取り上げるに当たってもむしろテーマの選び方その他について十分注意をするようにということで、私どもの方は放送法の権限その他はないのでございますが、公益性の強い電力会社に対しまして今後の行動について注意を与えるというのは、監督官庁として当然すべきことであると思いますので、そういうことで注意をいたしますということを申し上げた次第でございます。
○稻村委員長 近江巳記夫君。
○近江委員 きょうは参議院の総括質問ということで大臣が皆御出席じゃないわけでございますが、それぞれ各省の責任者、局長クラスがお見えになっておりますので、順次お伺いしたいと思います。 まず初めに、公取の熊田事務局長にお伺いしたいと思いますが、御承知のように、四月二十七日に独禁法が閣議決定されたわけであります。しかし、政府はまだ正式に提出をいたしておりません。前回、五党修正案が衆議院を通過したわけでございますが、参議院におきまして自民党の反対のためにつぶれたわけでございます。今回、その五党修正案が大幅に骨抜きをされまして閣議決定されたということになっておるわけであります。御承知のように、営業の一部譲渡あるいはカルテルの影響の排除につきましても削除されておりますし、あるいは審査、審判機能の分離、新証拠提出要件の緩和等、入っておらなかったものをまた入れておる。こういうような非常に骨抜きの中身を政府はいま出そうとしておるわけであります。今国会も非常に会期末期に近づいておるわけでございますが、あなたは高橋公取委員長のときからも忠実に局長としてがんばってこられましたし、局長としてこういう骨抜きの案につきましてどういう感想をお持ちであるか、まずお伺いしたいと思います。
○熊田政府委員 ただいまの独禁法改正案につきましての公正取引委員会の考え方でございますが、たびたび本国会におきまして澤田新委員長も見解を述べておられますが、まず第一に私どもとして考えております基本的な考え方といたしまして、七十五国会におきまして与野党共同修正がなされまして衆議院を通過した、あの案が基本となるべきであるということでございます。その案に比較してみますと、四月二十七日に閣議決定されました今回の政府の改正案は、ただいま御指摘がございましたように、いろいろな点で変わった点が出てきております。私どもといたしまして、特に独占的状態に対します排除措置、これが今回の案では落ちております。この点はまことに残念であるというふうに考えております。しかしながら、全体といたしましては、やはり現在の独禁法よりも強化の方向にございますので、私どもといたしましては、この案でも現在よりは進歩であると申しますか、ベターであると申しますか、そういうような点から、この案が速やかに御審議され、可決されることを希望、期待をしておるわけでございます。 独占的状態に対する排除措置が落ちましたほかに、カルテルの場合におきます影響の排除という文言が落ちております。しかしながら、これは現行法におきましてもすでに審決例といたしましても影響の排除に属する点が出てきておるのでございまして、私どもといたしましては、この文言が落ちたからと言って非常に後退であるというふうには考えておりません。もちろんこの文言があった方が解釈上も疑義がございませんし、ベターであるとは考えておりますが、これが落ちたからといって非常に支障を来すというふうには考えておらないのでございます。 それから、前回の案にさらに新しく加わりましたものとして、審査、審判の分離と申しますか、明確化と申しますか、そういう点がございますが、これにつきましても一部には批判もあるようでございますけれども、これらの点は現在の公取の規則に定められておること、あるいは運用によって実施をいたしておりますこと、そういうようなことばかりでございまして、裁判との関係におきまして若干狭められておると見られる点もございますけれども、私どもといたしましては、これが支障を来す点であるというふうには考えないのでございます。
○近江委員 若干進歩がある、これは課徴金の問題であるとか株式制限の問題を指しておっしゃっておる、このように思うのですが、たとえば審査、審判機能の分離あるいは新証拠提出権の緩和、こういうことは現在も規則、運用等でやっておられるわけですね。やっておられることを、なぜこういうことを入れなければならないか、あるいはまた、新証拠提出権の緩和、これは公正取引委員会としては何のプラスがあるのですか、企業側にとってはプラスがあっても。そういうようなことで、公正取引委員会の改組論を初め、何とか権限を狭めよう、いわゆるその包囲の勢力といいますか、そういうものが公正取引委員会を取り囲んでおるように私は思うわけですね。こういう点におきまして、これは私は非常にまずい中身を持っておる、こう判断しておるわけです。 また、与党におきましては依然として公正取引委員会違憲論、こういうことが話題になっておりまして、この問題については党の憲法調査会で引き続き審議するということを聞いておるわけですが、こういう基本的な問題は私は重大な問題であろうかと思うのです。局長としては、こういう違憲論というものについてはどういうお考えを持っておられるのですか。
○熊田政府委員 この違憲論でございますが、一部に確かに違憲論を唱えておられる方があるわけでございますけれども、公正取引委員会及び政府といたしましては、たびたびこれについての考え方をこの国会におきましても従来発表をいたしております。公正取引委員会は、特にことしの一月二十七日に、いろいろ学者あるいは法制局長官のこの公取違憲論に対します考え方というものを取りまとめまして、事務局といたしまして考え方を発表したわけでございまして、私どもといたしまして憲法に触れることはあり得ないというふうに考えておるわけでございます。 この違憲論の根拠は、憲法六十五条あるいは六十六条、七十二条というような条項との関連におきまして、公取が独禁法二十八条によりまして職権行使の独立性を有しておること、この点に問題があるというふうにされておるわけでございますけれども、公取ばかりでございませんで、この職権行使の独立性を認めております法制というのは他にもございますし、また、独立性を認めるべき合理的な理由があるというふうに考えるのでございます。それは三つばかり根拠はございますが、独禁法の運用には高度の政治的な中立性が求められるということ、それから公取は準司法的な権能を持つ機関であるということ、三番目には独禁法の運用には高度の専門的な知識を要するということ、こういうような見地から、独立性を認めるべき合理的な理由があるというふうに私どもは考えておるのでございます。 しかも、公正取引委員会は組織上内閣に属しまして、人事、予算、内部組織等の点で内閣の指揮、監督を受けておりまして、こういう点から申しまして、決して公正取引委員会が憲法に違反する存在であるというふうには考えられないと考えております。
○近江委員 しかし、依然としてそういうことが言われておりますし、先ほど申し上げたように、今後引き続き憲法調査会の方で審議するというようなことも言われているわけです。ですから、それはひとつ与党の皆さん方にも、公取委員会としてもそうしたことをよく徹底をされて、この職権行使の独立性ということについては厳然としてひとつ自立の精神を持って進んでいただきたい、このことを特に要望いたしておきます。 それから、卸売物価等もじりじりと続騰いたしておるわけですが、原因としましてはいろいろあるわけですけれども、その中で通産省が減産指導というものをやっているわけですね。いわゆる不況カルテルとして正式に認められるなら別として、その前段といいますか、そういうことを指導してやらしておる、こういうことが非常に卸売物価にも影響してきておる。この減産指導というあり方について、公取委員会としてはどういう見解をお持ちですか。
○熊田政府委員 通産省がやっておられます行政指導による減産につきましては、私どもは従来から、法律上特別の定めがある場合を除きまして、政府が個別の会社の減産指導をやるということはカルテルを誘発しやすい、業界のカルテルにつながるおそれがあるという点から、独禁政策上好ましくないというふうに考えまして、そのことは関係官庁にも申し上げておるわけであります。それで、仮に行政庁の減産指導が行われまして、その結果カルテが存在することになる、業界においてカルテルが行われるということになる場合には、私どもは独禁法上厳正にこれを取り締まらなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○近江委員 公正取引委員会としては好ましくない、関係当局に申し入れをしておる、こういうことであっても、通産省は平然としてこういうことを繰り返してやっておる。現在のこの通産行政のあり方について、政務次官はどういう反省をしておられるか、そのことついてお伺いしたいと思います。
○天谷政府委員 申すまでもなく、企業が生産を増大させたり、あるいは減少させたりすることは企業の自由でございます。これに対しまして、通産省がこれを増産させたり、あるいは減産させたり強制する権限がないことは、申すまでもないことでございます。 ただ、通産省としましては、通産省設置法上の権限に基づきまして、市場の需給状況等をよく判断いたしまして、将来の需要見通し等を発表することによりまして間接的に企業の行動に影響を与えるというようなことはあり得ることであり、また、通産省設置法の権限の中で当然のことである、こういうふうに考えております。ただ、それが原因となって独禁法に違反するようなカルテルが行われるというようなことはないとわれわれは信じておりますが、もしそういうことがあれば、公取委員会の方で独禁法に従って処断をされるということは当然のことであろうと存じます。
○近江委員 公取委員会としても、そのことは関係当局に申し入れをしておると先ほどおっしゃったわけですが、要するに、後、現実にカルテルが行われておるとかいろいろなことをやはり各業界に踏み込んで調査をしていく、こういう後を追っかけるという姿勢が私は必要だと思うのです。ただ言ってあるからということになってきますと、こういうことが国民生活に重大な影響を及ぼすわけでございますから、今後さらに公正取引委員会としてはその監視の目を光らせてよく調査、監督をやっていただきたいと思うのです。また、通産当局初め関係当局は、好ましくないと公正取引委員会から言われておるわけでございますから、今後十分ひとつ姿勢を改めて通産行政というものを運営していく必要があるのではないか、このように思うわけです。その点、ひとつ反省をしていただきたい。 それで、今後経企庁長官もこの減産指導はなくしていくようにするということもおっしゃっておるわけですが、通産省としてはいまどういう姿勢でおられるか。特に今年度政府見通しの消費者物価、卸売物価指数、いろいろなことを達成していこうということになってきますと、こういうことが非常に大きな原因になっておるわけでございますから、通産省の考え方を政務次官からお伺いしたいと思います。
○綿貫政府委員 自由主義経済の中で、いまおっしゃったような物価も安定させる、雇用も安定させる、いろいろの問題を達成するためにいろいろなことが考えられております。いまおっしゃったように、カルテルあるいはトラスト、コンツェルン、資本主義経済の欠点を是正するためにいろいろな問題が昔から言われておるわけでありますが、ただいまの減産指導とか行政指導という面を通じまして、なるべく物価が上がらないように、それから品不足にならないように、その辺の調整をとりながらやるというところに非常にむずかしいところがありますが、非常に重要な政策だと思いますので、さらに一層慎重にやりたい、こういうふうに考えております。
○近江委員 物価の高騰であるとか品不足ということが減産指導によって起きるわけですよ。だから、こういう国民生活に影響を与えるわけでありますし、この点は公正取引委員会からも好ましくないと言われておるわけでありますから、この場で終わらせずに、通産省と公取委員会はよく話し合って、今後そういうことがないように十分ひとつ協議をして、姿勢を改めていただきたい、このことを特に要望しておきます。 それから、通商政策局長が外国の人と会われるということで退席をおっしゃっておりますので、一点だけお伺いしたいと思うわけでございます。 それは特殊鋼の輸入規制問題ですが、もう時間もありませんからはしょってお伺いしたいと思いますが、二国間協定を結ばれるということになったということを聞いておるわけですが、大体いつごろになるかということであります。 それから、協定とガット十九条との関係、これを簡潔に答えていただいて、報復措置の権利について日本側の意向というものはどういうものであるか、まずその点をお伺いしたいと思います。
○橋本(利)政府委員 特殊鋼に関する日米の協議は、ガット十九条の規定に基づきまして、この四月の十四、十五日に第一回協議を、引き続きまして四月の三十日から五月五日の早朝にかけまして第二回の協議を、いずれも東京で開催をいたしたわけでございます。これらの協議を通じましてかなり実質的な進展があったというふうに私たちといたしましては理解いたしておりますが、御承知のように、アメリカといたしましてはECあるいはスウェーデンとの協議を残しておりますので、それらの国との協議の成り行きを見た上で最終的な結論を出したいということにわれわれとしては予定いたしておるわけでございまして、大体五月の下旬ごろに第三回の会合を開けばどうだろうか、かように考えております。 それから、二つ目の御質問でございますが、私たちの立場といたしましては、いわゆるガット十九条の枠内ということは、十九条の規定に従ってでないと協議に応じないという姿勢をとっておりますし、アメリカ側といたしましてもその立場を理解し、彼らも同様の方向で考えております。そういったことからいたしまして、御指摘の対抗措置あるいは代償要求等の権利については、十九条の規定に従って持ち得るというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
○近江委員 アメリカの七四年の通商法の制定以来、特殊鋼のほかに、同法の被害救済条項の発動の申請、あるいはまたはその可能性がある製品があるとするならば、どういうものがあるか。 それからさらに、大統領選を控えまして、ダンピング調査であるとか、輸入規制等、アメリカの保護貿易が非常に懸念されるわけでありますが、他の製品に波及しないよう米側に強く念を押しておく必要があろうかと思うのです。この二点についてお伺いしたいと思います。
○橋本(利)政府委員 昨年の一月から、いわゆる新しい七四年通商法が適用されましてからエスケープクローズの申請をいたしておるものが十二件ございます。その中では、ただいま問題になっております特殊鋼を代表的なものといたすわけでございますが、そのほかに、履物だとか金属洋食器、あるいは工業用のファスナーあるいは陶磁器、こういったようなものがございます。 それから、アンチダンピング法に基づきますダンピングの提訴をいたしておりますものは十三件ございましくその代表的なものは、先日財務省から発表になりました自動車を含めてでございますが、そのほかに機械工具、合成ゴム等がございます。
○近江委員 それはただこういう件数があるという説明だけであって、大事なことは、今後非常に他の製品への波及というものが懸念されるわけですから、この点をアメリカに対してどういうふうに強く要請していくかということなんですね。これは通商政策局長だけの責任じゃない、それは外務省も皆かんでおるわけでございますが、その切については、政府当局としてはどう対処していくのですか。
○橋本(利)政府委員 御指摘の点、まさに重要なポイントでございまして、われわれ特殊鋼について協議を開始するに当たりましても、極力他の見目に波及しないようにということを強く申し入れております。 アメリカ側といたしましても、この特殊鋼につきましてはきわめて例外的な特殊のものであって、アメリカの輸入政策の変更と申しますか、保護貿易政策へ転換するものでないということをるる述べておりますし、われわれといたしましても、こういう世界的不況の時期であればあるほど輸入制限を回避すべきであるという立場を強く相手方に申し入れておる、口頭あるいは物によっては文書で反省を促しておるという状況でございます。
○近江委員 要するに、一つのきちっとしたお互いの了解なり結果を出すということは並み大抵のことではないわけですね。言っておるからそれでいくというものではないわけです。そういう点において、局長のところが焦点に当たっておるわけでございますから、十分ひとつ米側ともよく協議されて、その点の心配のないように努力していただきたいと思います。 局長はそういう会議があるのでしたらやむを得ませんから、局長だけ退場せられて結構です。 それから、電力料金の問題でございますが、前回におきましても私はこの問題について質問をしたわけでございます。その後、通産省としましては値上げの方法として二段階に分けてこれを実施するというような、そういうニュアンスが伝えられておるわけでございますが、この辺の真意につきましてお伺いしたいと思います。
○増田政府委員 電力料金の値上げにつきましては、四月に北海道電力以下四社の申請を受け付けておりまして、現在、これにつきまして、その申請内容について現下の実態につきまして厳正に審査中でございます。この審査をいま行っておりますので、そういう段階で、今後の料金認可に当たって一段階であるか二段階であるかということについては、現在何ら結論は出ておりません。一部の新聞に、通産省においても二段階を考えているというようなことが出ておりましたが、私どもの方の考え方としては、現在は申請内容の査定を厳正に行って、その結果が出て、これをどういうように対処するか決めていきたい、こういうふうに考えております。
○近江委員 通産省としましては、二年原価、一段値上げと——われわれはこの値上げについては徹底反対しておるわけです。だから、前回にも指摘しましたように、経理の公開もなされておらないし、内部留保は多いし、また、関連会社に対する投資であるとか、非常にそういう問題点が多々あるということを指摘しておるわけでございまして、そういう中で、通産省としては厳正にこの中身について検討しておるという御答弁がずっと続いておるわけですが、基本方針としては、値上げをやむを得ないという基本方針に立っておられるということを聞いておるわけです。その場合、いわゆる二年原価の一段値上げを考えておった、しかし、今後査定していく上におきまして二年原価、二段階値上げ案というものも考えざるを得ないという方向になってきておるということもちらほら聞くわけでございますが、それはどうなんですか、あくまでも一段値上げということですか。
○増田政府委員 申請の審査に当たりましては、原価を調べまして、今後の電力の安定供給を図る上に必要な原価というものは何かということを調べておるわけでございまして、私どもの方は、作業としては二段値上げの作業は現在のところはいたしておりません。
○近江委員 こうした公共料金引き上げの場合はいつもこれは問題になるのですが、通産省は責任を持って検討しておると言われる。事実なさっておると思うのでありますけれども、国民は納得して理解できぬわけですよね。だから、いつも申し上げておりますが、やはり経理の公開ということは、これは普通の一般会社と違うわけですよ、公益事業なんですから、当然これはやらせるように政府としては考えていくべきではないのですかね。それからさらに、関連で観光ホテルを経営してみたり、関連傍系会社に手を伸ばして投資をしておる、こういうことが全部国民の料金にはね返ってきているわけですよ。こういうことは国民としては納得できませんよ。そういう中で値上げが行われてきておる。国民の理解と協力を求めると言うならば、それにふさわしい姿勢をとらせるように政府としては指導すべきじゃないのですか。その問題についてはどのようにお考えですか。
○増田政府委員 電力事業と申しますのは、これは地域独占企業でございます。そういう意味で、販売いたします電力料金の価格を改定する場合は、すべて政府の認可事項にかかっておるわけでございます。また、電力料金が国民生活あるいは各産業にとりましては非常に重要な影響を及ぼすものでございます。そういうことで、電力料金のあり方ということにつきましては、私どもも物価の問題、消費者あるいは各産業に及ぼす影響というものを十分考えながらこれを査定していきたいというふうに考えております。 〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕 そういう意味で、もしこの査定が終わりましたときに電力の値上げを認可せざるを得ないという場合には、国民一般の理解を得られるように十分な説明をいたすというふうに努力していきたいと考えております。
○近江委員 十分な理解を得られるようなという場合も、非常に電力会社側に立った説明に終始しているわけですよ。値上げのたびに若干の説明はしていますけれども、じゃ、たとえばこれだけの傍系会社を持っていて、これだけの投資をしていますとか、そんなことまで説明しますか。その中身は全然明らかにしないじゃないですか。その会社の姿勢につきまして、本当に九電力の首脳にも一度よくお話しになって、経営姿勢を改めない限り、むやみやたらにこれだけの大幅な値上げを平気で出してくるということでは、国民は許しませんよ。もっと姿勢を改めていただきたいと思うのです。どちらにしても来週から電力、ガス等のいわゆる社債法案も出ますから、そのときに細かな資料で私も質問をしたいと思っていますが、いまの段階では国民は納得することはできません。政府当局としてもひとつ十分その点は頭に入れて、厳しい審査を国民にかわってやっていただいて、また、その会社経営の姿勢についてひとつ経営首脳陣と突っ込んだ話し合いをやっていただきたい、このことを要望しておきます。 それでは、きょうは経企庁も来られているわけですが、こういう大幅な電力引き上げ、まだ幾らになるかは決まっておりませんけれども、しかし、想定されるところはかなり大幅ですよ。引き続いてガスも値上がりしようとしておるのです。さらに国会に提出されております国鉄を初め、電信電話、郵便、公共料金、一連の引き上げを考えていきますと、政府が予定されているこの消費者物価指数、卸売物価指数がこれ以内におさまりますか、どう判断なさっていますか、この点をひとつ経企庁の局長にお伺いします。
○喜多村政府委員 本年度のわれわれの消費者物価指数の目標は、年度中上昇率で八%前後と予定しておりますけれども、ただいま先生のお話のように、この中に公共料金が影響するところが相当あると思います。予算関連の部分につきましてもすでに一%弱のものを食ってしまうわけでございますので、あと一%強ぐらいのところで物を考えていかなければならぬとすれば、電力でありますとかガス等が出てまいりますれば、これは幅についてもあるいは時期についても相当慎重な検討を必要と考えます。しかし、私どもは、現在の卸売物価指数の動向でありますとか消費者物価指数の動向につきましては、基調的には安定しているという見解を持っておりまして、したがって、年度が始まったばかりでございますので、年度終わりの話を申し上げるにはまだ早過ぎるわけでございますけれども、今後慎重な物価及び景気というものの両面からの対応がなされるならば、十分にその目標はおさまっていくのではないかというように考えております。
○近江委員 非常に抽象的な御答弁をなさったわけでございますが、いわゆる公共料金がこのようにぼんぼん引き上がってきますと、それでなくても各企業は、収支を何とか転換させたいということで、製品値上げを一斉にもくろんでいるわけでしょう。政府みずからがそういうような自分たちの公共料金だけは引き上げておいて、また公益事業、電力であるとかガスにはどんどん認めていく、そして一般の民間企業だけ、君ら協力してくれ、こういうことで従いますか。そういうような姿勢の中で政府がこういう見通しを立てたって、これはできませんよ。 しかも、マネーサプライの状況を見ましても、非常に高い伸び率を示してきていますね。インフレを強めてきますよ。過剰流動性の心配はないというようなことも以前に日銀の担当者が言っておられたように私は思うのでございますが、今日のこういう伸び率を見ていますと、四十七年、四十八年のあの当時に近づいてきていますよ。今年度の春闘にしても一けたですよ。物価はこれだけ上がってくる。実質賃金なんて目減りですよ。これは本当に政府が一丸となって、公共料金の引き上げの問題を初め、企業にも協力を求めていく、そういう真剣な皆さん方の姿勢がないと、国民生活は守れませんよ。 局長、いまのところではわからないというような言い方をなさっていますが、遅くなったらどういう手を打つのですか。いま手を打たなければだめじゃないですか。先を見抜き、危険性を見抜いて、そして先手を打っていく、これが行政じゃないですか。後追いの、結果を見てからまた手を打ちます、そんなことで政府の目標が達成できますか。したがいまして、今回の電力料金引き上げ、また引き続いて行われるガス等につきまして、あなたはその引き上げについてはどういう考えを持っているのですか。通産省が査定したそのまま認めるのですか。
○喜多村政府委員 電力料金につきましては、先ほど増田長官の方からお話がございましたように、通産省で現在厳正な査定が行われている最中でございます。私どもの方にはそれが終わりました段階で御協議ということになりますけれども、私どもの方でも、ただいまいろんな勉強はいたしております。したがって、通産省の御協議をそのまま私どもが受けるというような形でスタンスをとっているつもりは毛頭ございませんで、いろいろ御注文をいまの段階から申し上げているようなことでございます。 電力料金につきまして二段階を申し述べましたのは経済企画庁でございますけれども、三〇%以上というような大きな申請が出されましたことにつきましては、私どもは、現在の景気の関連、物価の関連から、やや高いのではないかという感想を持っておりまして、これが厳正なる査定の結果どうなるかわかりませんけれども、その段階で物価に対するショックでありますとか、あるいは景気回復へのショックが余りに大きいということに相なりますれば、これはその段階において相当政策的な手を打っていただくような要請もしなければならない、こういうように思っております。
○近江委員 その政策的な手というのは恐らく二段階値上げのことじゃないかと私は思うのですが、二段階値上げになったら実質上はさらに引き上げになるのですよ。そういう引き上げをして国民生活をさらに圧迫するようなことは大いに考えてもらわなければならぬわけです。その点、ひとつ十分配慮をしていただきたいと思うのです。 それから、先ほども私、触れましたが、新価格体系移行の名目でほとんどの企業は製品価格を上げて転嫁していこう、こういう動きがあるのですが、これは前にも福田長官にも、あなたの方からも全企業に対して強い要請をするべきであるということを私は提言をしたわけですが、その後、経企庁としては動いておられますか。
○喜多村政府委員 新価格体系論につきましてはるる申し上げるつもりはございませんが、その名をかりて値上げをするということにつきましては、私たちは同意しかねます。したがいまして、私どもは個々の企業に対して申し上げる筋ではございませんので、あらゆる機会を通じてそれぞれの関係省庁に対しても申し上げておりますし、また、いろいろな関係審議会等々においても意見を申し述べております。また、大臣、私どもの方へ見えます業界団体の方々に対しては、その旨を一々伝えております。
○近江委員 伝えておるということだけじゃなくして、何回も申し上げておりますが、結果を出せるようにひとつ真剣な取り組みをやっていただきたいと思います。 それから、先ほども熊田局長にも通産省のそういう減産指導のあり方につきましてお聞きしたわけですが、公正取引委員会としては好ましくないということで申し入れもしているというお話でございましたが、こういう通産省の行政指導というものにつきまして、物価を預かられる経企庁としてはどういう見方をなさり、どういう見解を持っておられるか、それをお伺いしたいと思います。
○喜多村政府委員 最近の卸売物価指数の比較的高いテンポに関連してのお尋ねかと存じますが、確かに最近の卸売物価指数の上昇テンポは速くございまして、その要因となりますところは幾つかございますけれども、海外要因のほかに、先ほどからお話の出ております生産調整の影響もあるかと思います。したがいまして、この生産調整自体につきましては、いろいろな事情があるにいたしましたにせよ、そのことによって物価を急激に押し上げてくるという影響をもたらします場合には、私ども非常に困るわけでございますので、できる限り早い時期に、この減産というか、調整という指導を解消していただきますことを希望しておりますし、きのうの物特で私どもの方の大臣からもその見解を申し述べた次第でございます。 あと、もしこういった減産指導そのものについてどうかということで申し上げますならば、そもそも価格というのは自由経済のもとにおきまして需給によって決まるべきものでございます。したがって、よほどの緊急事態でありますとか異常事態でありませんと、行政自体がそれに介入するということは私は本来的な姿ではないと思います。したがって、現在の段階では、コストと価格の関係が非常に逆転しております中での事情でございますので、幾つかの理由はあるかと思いますけれども、それにしてもこの事態に、価格の中に行政指導という名において行われますことはできるだけ避けていただきたいというのが、私どもの姿勢でございます。 〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕
○近江委員 公正取引委員会も経企庁も、それぞれ両局長が好ましくないということをおっしゃっているわけです。そういう好ましくないことを通産省がやっていく。ほぼ景気が何とか上向きかけた、こういう時点になって、一つの結果が出てきた段階で今後やめてもらわなければいかぬ、そういうことで、通産省もやめるというような方向に出てきているわけですが、それでは遅過ぎるわけです。こういうことをやりかけたときに、両局長がおっしゃったように、強い勧告をして通産省にもやはり言っていく必要がある、このように思うわけであります。 そういうことで、いずれにしても好ましくないことを通産省はやっておるわけですね。いま灰色という言葉が非常に流行しているわけでございますが、灰色の行政といいますか、好ましくないと言われるようなことは余りやらないように、ひとつ今後十分注意をしていただきたい、このように思うわけであります。政務次官よろしいですか。
○綿貫政府委員 灰色の行政というのは、どういう意味かわかりません。余り適切な言葉じゃないと思いますが、通産省は、先ほど申し上げましたように、いろいろの角度から物を考えておりまして、特に物価物価と言われますが、日本は輸出国家でありまして、国際価格ということも考えていかなければならぬのでありまして、そういう点も考えて、同じ役所の中でもそういういろいろな問題がありますから、一般家庭の電気料金もさることながら、やはりそれが国際価格にはね返って日本貿易振興が思わしくなくなればこれは大変なことでありますから、そういうことも考えて、いろいろと慎重にやるということでございます。
○近江委員 いまのは余り答弁になっておらないように思うのですね。いずれにしても両局長が好ましくないと言っているわけですから、今後その点はひとつ十分配慮といいますか、やらないように、姿勢を十分気をつけていただきたい、これは特に要望いたしておきます。 それから、石油問題についてちょっとお伺いしたいと思いますが、昨年の十二月から、石油製品のうち、ガソリン、ナフサ、C重油に対しまして標準額を設定なさったわけであります。いわゆる政府介入によります価格の引き上げが図られたわけでございますが、その標準額の浸透状況はどうなっておりますか。
○増田政府委員 昨年の十二月一日に、石油業法に基づきまして、石油製品のうちのガソリン、ナフサ及びC重油につきまして標準額を定め、これの告示を行ったわけでございますが、ただいまお尋ねの進行状況につきましては、ナフサ以外は三月末でほぼ達成し、ガソリンにつきましては三月現在では若干上回っているという状況でございます。ただ、ナフサにつきましては、昨年の十月に比べまして標準価格が三千七百円の引き上げになっておったわけでございますが、三月末では五割以下の達成率であったわけです。ただ、四月に入りまして石油化学業界と石油業界との間の一応の話ができまして、ナフサにつきましてもほぼ達成するという状況になっております。 したがいまして、昨年十二月一日に標準額を定めました三品目につきましては、四月現在ではほぼ達成しておるということが言えると思います。
○近江委員 ほぼ達成されたというような御報告でございましたが、そうしますと、大体今月の中旬ごろにこの措置を廃止されるというニュースをちょっと聞いておるわけですが、考え方につきましてちょっとお伺いしたいと思います。
○増田政府委員 標準額を設定いたしました趣旨が、原油高にかかわらずその製品が上がらないということで、このために石油産業が非常な危機に達しておったということから、緊急やむを得ない措置として標準額を定めたわけでございます。そういう経緯でございますので、標準額をほぼ達成いたしました現在の段階では、これを廃止すべきものと考えておりまして、近く廃止の手続をとりまして、標準額につきましては廃止するということで持っていくということになっております。
○近江委員 この標準額に伴って、言うなら石油の新価格体系への移行が行われたわけですが、卸売物価にどの程度の影響を与えてきたか、これが一つです。 それから、電力、ガス、鉄鋼等、すでに値上げをこのように申請してきておりますし、表明もしておるわけでございまして、そうなってきますと、この石油化学製品もまた値上げをしてくるのじゃないか、こういう心配があるわけでございますが、それらの見通しにつきまして長官からお伺いしたいと思います。
○増田政府委員 標準額達成によりまして物価にいかなる影響を及ぼすかということにつきまして、ちょっと手元に資料がございませんので、後ほどまたお答えをいたします。
○近江委員 それから第二点目は、いま申し上げたように、電力、ガス、鉄鋼の一連の引き上げに伴って、石油化学製品も値上げの動きがあるかのように聞いておるわけですが、これはどのように把握されておりますか。
○天谷政府委員 石油化学、それから鉄鋼等につきましては、現在、価格がコストを割っておる企業あるいは品目がかなりありますので、企業が値上げを希望しておることは承知いたしております。しかし、値上げがどの程度、いつ行われるかは市場が決めることでございまして、われわれはそれを予測する立場にはございませんので、それがどのぐらい物価に影響するかということは、ここで申し上げることは困難でございます。
○近江委員 しかし、その引き上げを図ろうとする背景というものは、いま御説明があったように、国民生活に与える影響はまた非常に大きなものがあるわけですね。ですから、そういうことを常に把握なさって、そしてできる限りの国民生活防衛の対策を打ってもらわなければ、企業のサイドに立っておれば、幾らでも値上げを言ってくるわけですから、そんなことをやっていけば本当にめちゃくちゃになりますよ。ですから、常に皆さん方の根底に置くのは国民生活であります。国民サイドであります。その上に立って指導していかないと、企業のサイドに立って物事を考えていけば、それは全く甘い判断になってくるわけですから、その点はしっかりと皆さん方に認識をしていただきたい、この点を特に申し上げておきます。 私に与えられておる時間も大分迫ってきましたので、きょうは中小企業庁長官も来てもらっておりますから、中小企業の問題についてお伺いしたいと思います。 まず、下請企業の問題についてお伺いしたいと思いますが、こういう不況の中でございますから、特にしわ寄せをされているわけでございます。そういうわけで、親企業の不当な下請取引に対しまして、中小企業庁、また公正取引委員会の調査及び行政指導の最近の状況につきまして御報告をいただきたいと思います。
○齋藤(太)政府委員 不況が長引いておりますので、親企業の下請に対します代金の支払い等につきまして、支払いの時期の遅延あるいは手形サイトの長期化、現金比率の低下といったような悪化傾向が見られます。したがいまして、私どもは公正取引委員会と分担をいたしまして、こういった状況を改善いたしますために、親事業者につきまして調査をいたしまして、その調査結果に基づいて各種の指導、改善措置を指示いたしておるわけでございます。 最近の状況を申し上げますと、昭和五十年度、昨年の四月から十二月までの調査件数、中小企業庁が通産局等を使いまして実施いたしました件数が二万二千九百六件でございます。なお、年度末までに約二万八千件強の調査を実施いたす予定にいたしております。昨年が約二万二千件でございましたので、ことしはそれよりも六千件以上対象をふやしております。 昨年の四月−十二月の二万三千件余の調査の結果、違反の容疑がございましたのが約三千件でございます。この三千件の中で一番大きな割合を占めておりますのは、契約の書面を未交付というものでございます。これにつきましては、直ちに改善方を指示いたしております。 特に支払いの時期の遅延でございますとか、あるいは非常に長期の手形を交付しておる、こういうふうな疑いのあるものにつきましては、事業所に立入検査をいたしております。その立入検査の件数は九百十三件でございます。それによりまして改善をそれぞれ指示いたしておりますが、特に悪質なものにつきましては、公正取引委員会に措置請求をいたしております。その措置請求をいたしました件数は、同じく四月−十二月の間で十四件でございます。
○熊田政府委員 公正取引委員会は、中小企業庁と連絡をとりながら、下請法の厳正な運用に努めております。 ただいま中小企業庁長官からもお話がございましたが、昭和五十年度におきます下請代金の支払い状況というのは、概して悪化の傾向をたどりまして、最近におきましてまた若干改善されておるようでございますが、五十年度におきます下請法の公正取引委員会の運用状況について申し上げますと、書面調査をいたしました件数が一万六千八百六十八件、これは前年度、四十九年度に比べまして三千十五件の増加でございます。その内訳を申し上げますと、親事業者に対するものが一万二千七件、これは前年度に比べまして千九百六十二件の増加でございます。それから、下請事業者に対します調査が四千八百六十一件、これは前年度に比べまして千五十三件の増加になっております。 〔委員長退席、安田委員長代理着席〕 この書面調査に基づきまして、下請法によります立入検査の対象になりました件数が千五十七件でございまして、前年度より三百八件の増加にたっております。それで、この検査対象になりましたもののうち、公正取引委員会の調査によりまして検査対象になったのが千二十八件、それから、中小企業庁長官から措置請求がございましたものが十八件、下請事業者から申し出のありましたのが十件、その他一件、こういう内訳になっております。 これらの調査を通じまして措置いたしました件数でございますが、勧告をいたしましたものが六件、行政指導によりまして改善をさせましたものが六百八十六件、その他不問になりましたものも含めまして九百六十一件の措置をいたしておりまして、これは前年度に比べまして百十九件の増加でございます。
○近江委員 それぞれ運用については努力なさっておると思うわけでございますが、とにかくこうした不況、インフレという波の中でこの数年続いているわけですから、うんと公正取引委員会も中小企業庁も力を入れて、今後はさらに運用の強化をしていただきたいと思いますし、また、わが党としましては、下請代金支払遅延防止法の法改正の強化、こういうことも考えておるわけでございます。政府としても、今後法改正を含めて運用の強化等に全力を挙げていただきたいと思うのです。この法改正についてはお考えになっていますかどうですか、時間がありませんから簡潔にお答えください。
○齋藤(太)政府委員 現行下請代金支払遅延防止法につきましては、その内容について常時検討は加えておりますが、いろいろ改正の御意見も中小企業業界等からもございますけれども、それぞれにつきましてまた別の難点等もございまして、当面は現行法の厳正な運用と適切な指導によって対処してまいりたい、かように考えております。
○近江委員 もう時間がございませんから、あと一問だけお伺いしたいと思いますが、官公需の問題につきましては私も何回も予算委員会等でも質問しまして、政府としては五〇%を目標に努力をする、こういうことで毎年度努力なさっておることは認めるわけですが、五〇%にはほど遠い現況でございますし、これをさらに促進をして、五〇%に一日も早く近づけるように努力をしていただきたい、このように思うわけであります。 それから、中小建設業につきましては、工事の分割発注、共同請負制度等が昨年の後半からとられたということを聞いておるわけでございますが、さらにまた、地方建設局の工事事務所等が発注契約をする公共事業の契約限度額を引き上げるということを聞いておるわけでございますが、建設業以外についても、こういう官公需の分割発注を今後促進していく必要があるのじゃないか、このように思うわけです。これについてはどういう見解をお持ちであるか、これが一つであります。 それから、官公需につきまして、事業協同組合等を活用するために官公需適格組合として中小企業庁が認定しておられるわけでございますが、全国約五万の事業協同組合のうち、適格組合はわずか百十ぐらいしかないのですね。ですから、この適格組合が少ない理由は何であるか、今後そういうような適格組合をさらにふやしていく必要があるのじゃないか、育成していく必要があるのじゃないか、このように思うのですが、その政府の考え方、以上お伺いしまして、もう時間ですから、質問を終わりたいと思います。
○齋藤(太)政府委員 地方支分部局の契約発注限度の引き上げにつきましては、各省庁で年々見直しをいただいておりまして、漸次引き上げが行われております。建設業以外につきましての支分部局での契約限度の引き上げにつきましても、同じような考え方で努力をしてまいりたいと考えております。 なお、特に物品の調達につきまして、中小企業向けに調達が非常に高い比率で出し得ると思えるようなものにつきましては、官公需特定品目という品目に指定をいたしまして、その発注計画を中小企業団体にあらかじめ流すようにいたしておりますが、昨年度、五十年度からは事務用品の関係を特定品目に追加をいたした次第でございます。このような改善をさらに加えてまいりたいと考えております。 それから、官公需につきまして、中小企業の協同組合等を適格組合ということで証明をいたしまして、特に優先して発注をするというようなことを各省庁にお願いをしておりますが、御指摘のように、ただいまのところまだ百十六組合が昨年末の適格組合としての証明をした組合でございまして、今年一−三月にさらに十六の組合を証明をいたしましたので、都合百三十二の組合が現在指定をされております。数万の組合の中から少ないじゃないか、こういう御意見でございますが、私どももなるべくこれをふやしてまいりたいというふうに考えておりますけれども、同時に、たとえば建設業等でございますと、一遍官公需を受けまして建設工事を行います場合に、それが規格に合わないような工事を行いますとやり直しのきかない問題でございますので、やはり適格組合として証明をしますにはそれ相当の審査をいたしまして、それに適合する条件のもののみを適格の証明を出しております関係で、いまのところまだ適格の組合が数が多くございませんが、さらに組合の方にもいろいろそういった条件に合うように努力をしていただきまして、この適格組合がふえるように私どもも指導の面で努力してまいりたいと考えております。
○近江委員 終わります。
○安田委員長代理 左藤恵君。
○左藤委員 時間がございませんので、当面の問題につきまして数点お伺いさしていただきますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。 大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律は、百貨店法の改正という形で昭和四十八年に公布されましたが、その後の実情を見てみますと、小売市場業界は、相次ぐ大資本の大型店の進出、あるいは法に抵触しない店舗で大型に準ずるもの、コンビニエンスストアといった形の、大資本の小売店と申しますか、そういった形のものが進出してまいりまして、営業などに大きな影響を受けて、小売市場は閉鎖し、出店者は廃業するというような事態も生じてきておるのでございますが、地域社会におきまして長年零細な小売店を経営して家族生活を維持してきた者にとりまして、一つの大きな脅威になっておる。と同時に、やはり地域の消費者の台所というような、そういう安定供給の責任も十分果たせなくなってきておるという面があるわけなんですが、この法律が成立いたしましたときの本院におきます附帯決議の趣旨というのもあわせて考えてみまして、この問題についていままた再検討するときが来ているのじゃないかというように私は考えるのです。 これは通産省の審議官にお伺いいたしたいと思いますが、そういった点から見まして、通産省が当面何かこの問題について改正を考えておられるか。幾つかの点が要望として出ております。たとえば現行の事前届け出制から許可制に改めたらどうかとか、あるいは商調協の構成、運営に当ってこういうものを抜本的に改正して、審議に当たっての基準を明らかにしてほしいとか、あるいはまた、この法律の三条の店舗基準面積の千五百平米以上という規定を削除してもらいたい。もう一つ、大規模店の閉店時刻とか休日日数は単なる届け出基準ではなくて遵守事項とすべきじゃないかといった点が要望されておるわけなんですが、こういった点についての通産省のお考えをお伺いしたいと思います。
○天谷政府委員 大規模店舗法の運用につきまして、いま御指摘になりましたような非常に多くの問題があるということはわれわれも承知しており、それの解決のために心痛をいたしておるところでございます。大規模店舗の問題は、大規模店舗が進出することによって適度の競争が行われれば、消費者の利益にもつながり、それから小売業の効率化にもつながるわけでございますが、しかし、競争が過度にわたりますと、今度は周辺の中小商業者の事業活動の適正な確保が行われなくなる。消費者とそれから中小商業者の利益の確保と、小売業の効率化、合理化というこの三つの課題をいかにしてうまく調和させていくかという非常にむずかしい問題にいま当面しておるわけでございます。 この問題の解決のために一体どうすればいいのかということでございますが、これは古くして新しい問題でございます。すでに昭和十二年におきまして百貨店法が成立しており、これは戦後一たん廃止されましたが、昭和三十一年、再び百貨店法ができておる。そしてまた、この百貨店法だけでは新しいスーパーの進出にうまく対処することができなくなりまして、大規模店舗法というような法律ができるというわけで、いろいろ、長い歴史、紆余曲折を経てきているわけですが、いままでのところ、これに対しまして非常にうまい手というものは発見されていないような状況でございます。 大規模店舗法の時代には許可制でやってまいったわけでございますが、消費者の利益も入れて考えるということになりますと、稚内から那覇に至るまでの各地において非常に千差万別のケースがあり、その地域地域によりまして千差万別の利害関係があるわけでございますが、それを消費者と大規模店舗と中小小売商、この三者の利害をぱっと割り切るような基準をわれわれは持っておりませんし、仮に役所に許可権限が与えられたといたしましても、それをどのようにして行使したらいいかということに非常に困惑する次第でございます。 戦時中の経験からいたしましても、明確な許可基準がなしに官庁に対して強大な許可権限を与えるということはいろいろ弊害を起こしておるという苦い記憶がございますので、われわれは明確な許可基準がないまま許可権限を役所に与えるということにつきましてはかなり慎重に考えるべきではないかという考え方をとっております。したがいまして、現行法の届け出制、この届け出制と申しましても単なる届け出制ではなくて、後で変更命令、改善命令等を伴うような届け出制であり、しかもそのベースには、地域地域の問題はその地域における商調協によって利害の調整を図ろうという考え方、そういう考え方に従って現行法をできるだけ実情に即したように問題点は改善しながら運用していきたいと思っている次第でございます。 時間もありませんので簡単に申し上げますが、商調協の問題につきましては、これもその運用にいろいろ問題があることは承知いたしております。何しろ千くらいの商調協が各地にあるわけでございますから、これが全部問題なく運営されるというようなことはなかなか期待できないわけで、いろいろと問題があり、しかも利害が対立しておりますので、あちらを立てればこちらが立たずというような状況でございますが、これも試行錯誤を通じて何とか改善をしていきたいと思っております。 基準につきましては、先ほど申し上げましたとおり、基準があればわれわれとしても非常にありがたいのでございますけれども、何か数学の公式のようにぱっと割り切れるような基準というのは、どうしてもいまのところ……(左藤委員「簡潔な答弁にしてください」と呼ぶ)まだ考えてもできないというような状況であります。 それから、千五百、三千平米の問題につきましては、昭和十二年から続いておる数字でございまして、これを変えるというのはなかなかむずかしいわけでございます。 それから、閉店と休日の問題でございますが、これにつきましても各地でいろいろな事情がございますので、各地の状況に従って商調協で調整していくということが望ましいのではないかと存じます。
○左藤委員 いまいろいろお話がございましたが、そういった法的な改正という問題についても検討していただきたいと思いますけれども、特に商調協の問題につきまして、小売業者というのが非常に弱い立場にあるという点から考えても、通産省でひとつこの商調協の構成、運営について一つの指導というものを積極的にやっていただきたいということを要望いたしておきたいと思います。 それから次に、中小企業分野調整法という問題が、最近中小企業者から強い要望がございます。最近、巨大商社の支配とかあるいは資本出資の企業が従来中小企業プロパーの業種にまで進出してきまして、そしてその資本力によって大きなシェアを占有してしまう、こういったことは消費者にとっても独占的な価格を強いられるおそれもなしとしないし、かえって画一的な商品しか購入できなくなるということにもなりかねないということで、最近そういったことが問題になっております。たとえばめがねとかレンズといった業種について考えてみましても、従来は中小企業の製品が圧倒的であったわけですが、最近は輸入品、そしてそのほかに大企業製品あるいはその系列社の製品というものの占有率が六割を超えるに至ってきております。 こういった事情から、中小企業の中にはこの分野調整法の制定を強く希望してきておるということだと思いますが、従来とも通産省が行っておられる行政指導というものは私はそれなりに一つの評価が与えられていいのじゃないかと思いますが、現在わが党もこういった問題について法案を提出するべくいろいろ検討をしておる段階だということでございますので、現在の通産省の考え方というものについて中小企業庁長官から御説明いただきたいと思います。 今回提案されております中小企業事業転換対策臨時措置法は、事業が全く行き詰まってしまった中小企業に対する方策であって、そこまでいく段階で何か食いとめる方途というものをわれわれは考えておく必要があるのじゃないか、そういう意味で、ひとつ通産省のこの分野調整法に対する考え方というものをお示しいただきたい、このように思います。
○齋藤(太)政府委員 安定成長の時代にこれから入りますと、従来以上に大企業の進出に伴います中小企業とのトラブルはふえるかと存じます。こういった大企業の進出の問題につきましては、それが中小企業に著しい悪影響を及ぼすというおそれがあります場合には、私どもは断固として所要の調整を行いまして中小企業に悪影響がないようにいたしたいというふうに基本的には考えております。ただ、そのやり方といたしましては、現在ございます中小企業団体法をバックといたしまして、従来からやっております行政指導をさらに強化するという形で進めてまいりたい、基本的にはそういうふうに考えております。 それで、行政指導の強化対策といたしまして、まず、そういったトラブルの実情をなるべく早期に把握するために、今度、商工会議所あるいは商工会、あるいは県の中央会、こういったところに調査員を委嘱をすることにいたしました。また、どこに相談に行けばいいか窓口がはっきりしない、こういう声もございますので、全国の通産局にそういった問題の専門の調整官というものを置くことにいたしたわけでございます。それから、地方的な問題の調停の機関といたしまして、府県の調停審議会をまだ置いていない府県がございますので、全国の都道府県に置いていただくように現在お願いをいたしております。 新たな立法をするかどうかという点につきましては、これは立法の内容のいかんにもよろうかと存じますが、現在各野党から御提案になっておりますような、中小企業の業種を指定をいたしまして、その業種への大企業の進出を禁止をするというような案につきましては、むしろ弊害の方が多いのじゃないかという気がいたしております。 その理由といたしましては、まず中小企業業種というものを固定することが現実の流動する経済になかなか合わないのじゃないかということが一つと、その中小企業業種というものを何万とあります業種の中から拾い出すことが現実問題としてきわめて困難である、それから、そういう指定方式をとりますと、次々にそういう業種が指定をされて、大変な数になって、経済が硬直化するようなことにならないだろうかということ、それから、そういった形での保護はややもしますと過保護になり過ぎて、近代化意欲を中小企業自体に失わせるとか、あるいは技術革新におくれをとるとか、輸入品との競争におくれをとるおそれはないか、あるいは消費者利益の確保という点でいかがか、こういった各種の問題も付随しておりますので、この立法問題につきましてはさらに慎重に検討をいたしたい、かようにただいまのところ考えておる次第でございます。
○左藤委員 いまのいろいろなお考えの中で、それぞれにそういった問題点はあろうかと思います。われわれもこの問題については十分検討をして対処しなければならないと考えております。通産省においても引き続きそういった行政指導を的確にやっていただくと同時に、法案の点についても御検討いただきたいと思います。 なお、あと幾つか貿易の関係についてお伺いさしていただきたいと思います。 日本標準産業分類におきます貿易業者の位置づけは、「従事員が百名以下の貿易商は、その主たる扱商品の分類による卸売業とする」このように規定されております。したがって、業種分類に基づきまして施行される政府の施策、たとえば長期不況対策としての雇用調整法の適用についての業種指定とか、また中小企業事業転換対策臨時措置法案についてもこういった問題が出てくるわけでありますが、そうした場合に中小貿易商社は法の谷間に置かれておるわけでありまして、こういった問題について、何か二年後に改正が予定されておる産業分類の改正に貿易商社の位置づけを明確にすることができないかという要望があるわけでありますが、これについての通産省のお考えをお伺いしたいと思います。
○岸田政府委員 御指摘のような要望を私どもも貿易業界から承っております。標準産業分類は、行政管理庁が取りまとめを行い、通産省では調査統計部の方で管轄をいたしておりますので、調査統計部にも、こういう問題があるのだがひとつ知恵をかしてくれないかということで相談をいたしました。ところが、問題がなかなか簡単ではございませんで、統計の継続性等、技術的な問題がいろいろあるということを申しております。したがいまして、私どもは、いまお話の中にございましたように、約二年ばかりかけて全体的な見直しをするという計画もあることを承知いたしておりますので、しばらく問題を預けていただきまして、引き続き検討をさせていただきたいと思っておるところでございます。 ただ、貿易業界の要望は、産業分類で特恵をされないと各種の中小企業対策で不利な扱いを受けるのではないかという点を懸念しておられるように感じておりますが、ただ、私どもが調べた感じでは、やはりそれぞれの中小企業対策は、そのよって来る必要性に応じまして対象を決めるという考え方になっておりますので、たとえば雇用対策法、雇用調整法の適用におきましても、必ずしも標準産業分類によらない道も開け得るようになっておるかと承知いたしております。 こういったことで、いま御指摘の中小企業対策の適用という問題につきましては、問題ごとに私どもができるだけ中小企業のためになるような形で問題を解決していきたい、かように考えておる次第でございます。
○左藤委員 そういった点について根本的な標準産業分類の貿易業者の位置づけというものを検討していただくと同時に、法の適用についてもそういった細かい配慮を特にお願いをいたしておきたいと思います。 次に、中小の貿易業者のための輸出金融制度といたしまして、昭和四十七年の十月に貿易手形金融制度を廃止して、準商業手形制度というものを唯一の制度として採用されて今日に至っておるわけであります。この運用につきましていろいろ聞いて調べてみますと、一昨年来の金融引き締めのために、この制度によります資金の借り入れがどうも円滑でないのじゃないか。多種多様の零細商品を扱っております中小貿易業者にとりましては、何か日銀の審査基準が非常に厳しい、そしてそれに厳密に適合するということが困難なために利用者が減少しているという実情であるように聞いております。業者はそこでやむを得ず高い利息を払って、いわゆる黒貿とか、短期借り入れとか、そういった方法で資金を賄っているのが現状だということでありますので、せっかくこういった制度があるわけでありますから、これが有効に利用できるように、たとえば審査基準というものを緩和するとかといった配慮ができないか。外為銀行を通じて申請される借入申し込みを日銀がそのままストレートで認めるという、いろいろそういった要望もありますが、そこまではむずかしいといたしましても、何か審査基準についていまの制度を検討する余地がないか、この辺についての御意見を伺いたいと思います。
○岸田政府委員 いまお話のございました準商業手形制度の問題につきましては、いま利用状況及び運用の実態について鋭意調査をいたしておるところでございます。御指摘のように、この制度は中小貿易業者の便宜を図るためにできた制度でございますから、運用の実態がもし審査基準に著しくシビアに過ぎるということで、中小企業が利用しにくかったり、あるいは金融が非常に引き締められた時期にせっかくの恩典が受けられないというような状況になっては、制度本来の趣旨にもとることになるかと思いますので、いま申し上げました調査を大体まとめた段階で日銀当局とも一遍相談をしてみたい、かように思っておるところでございます。
○左藤委員 最近、金融状況が必ずしも円滑でないという実態もありますし、さらにまた、わが国が今後そうした輸出を振興していく以外に発展していく道がないわけでありますので、そういった意味においての配慮というものをお願いいたしておきたいと思います。 時間もありませんが、もう一点だけお伺いをいたしたいと思います。 わが国の軽工業製品の輸出というものは、近年発展途上国の市場進出によりまして、衰退の一途をたどっているというふうに見てもいいのじゃないかと思います。特に本年の一月一日から実施されましたアメリカの特恵関税によって、わが国の競争力はさらに低下して、対米輸出を主体といたしております関西の地場産業は致命的な打撃を受けているように思います。現在のアメリカの市場で、日本製品と発展途上国産品との価格差というものが一〇%ぐらいまでは競争に耐え得るのじゃないかというようなことも一部で言われております。 そういった点から見まして、現在ジュネーブで準備交渉が進められておりますガットの多角貿易交渉、いわゆる新国際ラウンドでありますが、これが一九七七年度中に完結する予定だ、このようにも聞いておりますが、こういったものを促進して、先進諸国の関税率を、特にアメリカの現行一〇%以上の関税のものは一〇%以下になるように引き下げるということについて努力をしてほしい、このように思います。 そういったことで、アメリカで現行税率一〇%以上で、日本からの輸出、向こうからは輸入ですね、それのシェアが大きい、たとえばめがねとか、サングラス、釣り具、あるいはクリスマスの装飾品とか、おもちゃとか、こういった軽工業製品についてそういった配慮ができないかどうか。ただ、発展途上国に対しますいろいろな貿易上の特恵的な待遇というものにつきましても、いままたUNCTADの中で論議されておる、そういった時期でもあるわけでありますけれども、こういうことだけを主体としております地場産業にとりましても大きな一つの死活がかかっている問題だ、このようにも思いますので、そういった点についての見通しを可能な限りにおいてひとつ御説明をいただきたい、このように思います。
○岸田政府委員 お示しのございました関税率の引き下げの問題は、現在ガットのいわゆる新国際ラウンドにおいて重要な交渉事項の一つになっておりますことは御指摘のとおりでございます。わが国としましても、この関税率の引き下げというのは貿易拡大の一つの有力な手段であるという考え方から、国際ラウンドには積極的に参加をいたしております。御承知のとおり、この国際ラウンドは、ランブイエ宣言でも一九七七年中に交渉を完了するということになっておりますので、この問題は一方では発展途上国の問題につながってまいりますが、同時に御指摘のような問題も頭に置きながら十分な対処をいたしたい、かように考えております。
○左藤委員 いま申しましたような形で、貿易業界にとりまして非常に大きな問題でありますので、そういう外交交渉の問題でありまして相手のあることでありますから、非常にむずかしい点はあろうと思いますが、ひとつ十分外務省とも連絡をとっていただいてこの問題について対処していただきたいということを御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
○安田委員長代理 次回は、来る十一日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時一分散会