社会労働委員会 第9号
- 発言数
- 355 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1976/05/14
会議録
○熊谷委員長 これより会議を開きます。 健康保険法等の一部を改正する法律案及び予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山富市君。
○村山(富)委員 まず冒頭に、私は本会議の代表質問でも申し上げましたが、今回提案をされました健康保険法の改正案を見ますと、わずかに分娩費と埋葬料が引き上げられただけで、あと一部負担の大幅引き上げやあるいは高額医療費の自己負担分の制限枠の引き上げ、さらにまた保険料の引き上げ等々、全体的に見た場合に国民に対するメリットというのはほとんどないわけですね。したがって、従来からの考え方をしますと、むしろやはり福祉を看板にしている三木内閣としてはもう少し医療保障を国民に十分責任を持った形でやっていく、こういう態勢を示すべきであるのに、そういう方向は一向に見えずに、一方的に負担だけを押しつけてくる、こういう改正案が出されたと私は思うのです。私どもに言わせますと、これは改正案でなく改悪案だというふうに思いますが、こういう法案をこの国会に提案をしてまいりました厚生大臣の所信をまず冒頭に聞きたいと思うのです。
○田中国務大臣 本法案についての御評価はいろいろあるだろうと思いますし、また御自由でございます。私どもといたしましては、現在の健康保険制度、これを円滑に運営をしていくために、やはり経済的な社会的な変動を乗り越えてやっていくためにはある程度の措置をとらなければならぬということだろうと思います。これをさらに積極的に、こうしたお願いをしなくても健康保険制度が円滑に運営をできるというふうなことであれば別でございますが、やはりこの間において経済の状況も激しく変わっておるわけでございまして、したがって、同一の公的サービスであっても、それをめぐるコストが、社会基盤が変われば、やはりある程度のお願いはしなければならないということになるだろうと思います。 しかし、その次に出てくる御質問は、そういうことをせぬでもいいような仕組みというものを考えたらどうだろうか、こういうことがあろうと思いますが、それについてはまた御質疑があったときに御答弁申し上げます。
○村山(富)委員 こっちの質問を先に想定して答弁をするようなかっこうになっていますけれども、これは冗談じゃなくて、この今回の改正案に対する社会保障制度審議会の答申を見ましても、これはいまだかつてない厳しいものがついていますよ。これは皆さんも十分ごらんになっていると思いますけれども、こういう表現が使われているでしょう。これは抜本改革について、 これらについての政府の具体案はみられないし、さらに、これらの問題の検討に必要な資料も整えられておらず、また、既存の資料についても十分な分析がはかられているとは思えない。 この際一本審議会がこのことについて数次にわたって行った建議や答申において政府の決意を促してきた経緯が想起されなければならない。医療保険の財政は、単年度的に均衡がはかられなければならないものであるが、上記の面に対する政府の態度が明らかとならない限り、今回のごとき改正が関係者の納得を得ることは困難であろう。 こういう答申がなされているわけですね。これは国会でも数次にわたって議論をしてまいりましたことでありますし、私どもは、こういう改正案が出る前提として、当然政府のそういう保険制度の改革なりあるいは医療の供給体制の整備なり、こういうものに対する何らかの方針が打ち出されて、こういう整備をやっていきます。そのためにはこういうことが必要なんです、こういうかっこうで改正案が出てくるのならまだ話がわかりますけれども、そこらの点は何ら明らかにされないままにこういう改正案だけが出てきたということについてはきわめて不満なんです。審議会の答申もそういう点は指摘されておりますけれども、これは、私は率直に申し上げましていまだかつてない厳しい表現が使われていると思うのです。こういう答申を受けた厚生大臣の心境を聞きたいと思うのです。
○田中国務大臣 制度審の御答申はかなり手厳しいものがあったことは事実であります。また、そうした医療保険の基本的な問題についての考察あるいは実施というようなことも必要であるということは私どもは否定はいたしません。しかし、俗に言う抜本策というのをいろいろやれ、こう言うのですが、これについてはそれぞれ人によって考えるところが違います。また、この医療保険の問題についてはいろいろと歴史的経緯もあり、利害も鋭角的に対決をしておりますし、各当事者はなかなか既得権というものを譲るという気持ちもございません。したがいまして、よしそれが机上でできても、それを実施するためにはなかなかむずかしい問題があるということも、先生も、薄々じゃない、よほど御存じだろうと思いますが、いずれにいたしましても、こうした問題については検討を進めていきますが、一朝一夕にこれが実現するということは考えられない。しかし、現在の医療保険というものをこの際めちゃくちゃにしてしまうわけにもいかない。もう収支償わず、支払いもできなくなる、ひいては医療給付もできなくなるというようなことになっても困るので、したがって、四十八年改正の内容というものをおおむね維持存続していくためにこうした対応策をとらざるを得ないというのがこの法案を提出した基本的な骨子であります。しかし、それだけにはとどまりません。ちっぽけだと言えばそれまでですが、現金給付とかあるいは認定とかいったようなものについての改善も加えていることもまた改正点の一つです。
○村山(富)委員 私の先般の本会議における代表質問に対する総理の答弁なんかを聞いていましても、何を答弁しているのかさっぱりわからないのですよ。これは医療制度全般に対する、国民の命と健康の問題ですからね。そういうものに対する三木内閣の姿勢というものはあの総理の答弁でわかると思うのですよ。そんな気持ちで、そんな姿勢で、そんな考え方で国民医療というものを考えているのかというふうに言わざるを得ないと思うのです。確かに、抜本改革をやるとすればむずかしい問題がたくさんあることも承知しております。しかし、やはり抜本改革の方向に努力していく、軌道に乗せていく、こういう姿が見えてこなければならないのじゃないかと思うのですよ。私は以下数点にわたって、そういう内容に触れて具体的にこれから質問をしてまいりたいと思うのです。 まず第一に、医療供給体制に関する問題についてでありますが、昭和五十一年の四月に診療報酬の改定が行われましたが、この基礎となった物価、人件費が一体いつからいつまでの計算の上に立っておるのかということをまずお尋ねします。
○八木政府委員 先般、中医協に諮問いたしまして四月一日から診療報酬の改定が行われたわけでございますが、今回の診療報酬の改定におきましては、前回の四十九年の十月の実施後の問題でございますが、具体的には五十年一月以降本年の二月までの人件費、物件費等の動きを勘案いたしまして、それに即応する診療報酬の改定を行った次第でございます。
○村山(富)委員 そうしますと、三月以降の物価の上がりやら人件費の上がりやら、そういうものは全然計算の基礎になっていないわけですね。そうしますと、当然春闘で賃金は上がりますし、物価もそれにつれて上がっていくわけです。したがって、そういう人件費や物価の値上がりを想定した場合に、今度の診療報酬改定を基礎にしたのでは病院経営は赤字になるのではないかというふうに考えられますが、その見通しはどうですか。
○八木政府委員 いままでの診療報酬改定の方式のあり方等にも触れる問題でございますけれども、従来とも診療報酬の改定につきましては、前回の引き上げ時期以降におきます物価なりあるいは人件費の動きというものを勘案いたしましてその次の診療報酬の引き上げを考えるということでございますので、ある程度実績が出てきた上で、それを踏まえまして診療報酬の改定の問題を取り上げるということでございます。したがいまして、今回四月一日から診療報酬が引き上げになりましたので、いろいろ見方はあろうかと思いますけれども、当面の病院経営の面につきましては今回の診療報酬の引き上げによりましてカバーできるのではないかというふうに考えられるわけでございます。御指摘のように、今後の人件費なりあるいは物件費、物価等の上昇の問題もあろうかと思いますけれども、ただいまの段階におきましては、現在診療報酬改定が終わった直後でございます。もちろん歯科は別でございますけれども、医科については終わったわけでございまして、今後の問題につきましてはもちろん中医協で御審議いただくわけでございます。これからの人件費なり物価の動向というものを踏まえた上である時期に考えられるということでございますが、いまの段階では、現在診療報酬の改定が終わった直後であるということで御了解いただきたいと思う次第でございます。
○村山(富)委員 いまお話もございましたように、五十一年の四月に診療報酬の改定が行われた。その改定の基礎になっておるのは五十年の一月から五十一年の二月まででしょう。そうしますと、五十一年の三月以降のものは入ってないわけですから、したがって、その診療報酬の引き上げをした基礎計算と現実とは大分遊離しているわけですね。したがって、それは早晩診療報酬の改定が問題になってくるのではないかということが想定されますね。そういう見通しと同時に、そういうものを含めて保険財政の見通しというのはどういうふうに考えていますか。
○八木政府委員 私どもといたしましてはむしろ、中医協の開かれておらない時点におきまして五十一年度の予算に診療報酬の問題をいかに取り込むかということで、一番直近の五十一年二月という時点におきます前回の改正以降の人件費、物件費の動向等を見まして、それをベースにしました診療報酬の改定を行った次第でございます。したがいまして、確かに、先生から御指摘ございましたように、今後人件費なり物件費の伸び等も考えられるわけでございまして、この辺の問題につきましては中医協の方でもいずれ御議論になると思いますけれども、現段階におきましては終わった直後であるというようなことから、むしろ将来の変動の要素を考えまして、将来のある時期においてこの問題が御議論されることであろうというふうに現段階では申し上げる以外はないのではないかというふうに思う次第でございます。
○村山(富)委員 これは今後の問題ですから余り突っ込んだ議論はいたしませんけれども、しかし、いずれにしても健保財政が相当厳しい状況に置かれてくるということは当然想定できるわけですね。 そのことに関連して、病院経営なんかについての最近のいろいろな資料を見ましても、黒字が出て、黒字が出ないにしてもとんとんでやっているなんという病院は、特に公的医療機関においては比較的少ないのじゃないか。したがって、私は公的医療機関にしぼってこれから質問をしていきたいと思うのですが、いまの保険診療の体系の中で公的病院は実際に収支の採算がとれるような条件に置かれているかどうか。もし採算がとれずに赤字が出てくるとすれば、どの部分が原因で公的病院の赤字が出るというふうに判断されますか。
○八木政府委員 今回の診療報酬の引き上げの際にも、やはり医療機関の経営という問題を当然考えて議論しなければいけないわけでございますけれども、たまたま、医療経済実態調査というものが四十五年に実施されて以来、その後の実態がわかっておらないというようなことで、早急に医療経済実態調査を実施すべきではないかということで、医療経済実態調査の問題というものも一つのこれからの問題になろうと思いますが、現在その調査を開始したところでございます。 それから、今回の診療報酬の改定におきましては、そういうようなことで最近の実績というものが非常にわかりにくいわけでございますけれども、公的病院につきましては一部、日赤等の四十九年度のある程度の経営の実態というものがわかっておった次第でございまして、これらの数字も基礎にしまして今回の診療報酬の改定が議論されたわけでございますが、その際に一般的に言えますことは、四十九年度の実績から申しますと、日赤、済生会等の公的病院につきましては若干の医業利益というものが出ておる次第でございます。それから自治体病院等につきましてはかなりの赤字があるというようなことで、やはり病院の経営の実態、病院の内容によりまして若干の経営の差はあるというようなことが言えるのではないかと思います。したがいまして、黒字の病院もありますが、赤字の病院もあるというような実情でございます。
○村山(富)委員 それは黒字の病院もあれば赤字の病院もあるとは思いますが、総体的に見て赤字に転落している傾向の方が強いのではないと私は思いますよ。これは資料もありますけれども、そう思います。 そこで、これは厳密に分析してみまして、いまの診療報酬の体系の中で、あるいは制度の中で、公的病院が赤字になる要因がやはりあるのではないか。というのは、採算に合わないような医療をやっている部分があるのではないかと思うのです。そういう部分は一体どういうふうに厚生省としては認識しているか、把握しているかということについてお聞きしたいのです。
○石丸政府委員 ただいま先生の御指摘の、公的病院の赤字の原因でございますが、この赤字の原因にはいろいろな要素があるというふうに考えております。特に、その赤字の原因の中で、公的病院なるがゆえにある程度採算を無視して行わざるを得ない医療の部門があるわけでございまして、またその医療を実施するために採算を無視して資本投下を行わざるを得ない、かようなものもございます。それで、従来われわれ、公的病院の赤字の原因をいろいろ分析はしておるわけでございますが、特に公的病院としての公的使命を果たすため採算を無視して行っている医療といたしましては、たとえばがんの治療でございまして、非常に大きな装備を必要とするような投資を行っております。それから小児医療あるいは救急医療、それから循環器、難病あるいは老人性の疾患の治療、そういったものがあるわけでございまして、医務局の方といたしまして、こういった公的病院なるがゆえに赤字を覚悟で実施せざるを得ないような医療部門につきまし三赤字病院に対します助成を行っておるところでございます。
○村山(富)委員 いま医務局長から説明がありましたように、これは普通の私的医療機関と違って、公的医療機関の場合には、採算に合わないからこれは知りませんというわけにいかない部面がありますね。やはりその地域住民の要求にこたえなければいかぬ。したがって、採算を無視してしなければならぬこともある。同時に、やはり一般の民間の医療機関では持てないような高度な医療器具を整備する必要があるというので、高額な資本投下をする必要がある、こういういろいろな要因があると思いますね、現実に。さっき保険局長は黒字の病院もあるというふうに言われましたけれども、本当に地域住民の要求にこたえて医療に対するサービスをしていこう、こういう姿勢を示せば赤字になると思うんですよ。そういう赤字が出た場合の補てんというのは一体どこがめんどうを見るのですか。
○石丸政府委員 自治体病院につきましては、一応いままでのところ自治省の方でいろいろその助成等を実施いたしておるところでございます。そのほか日赤等四団体のいわゆる公的病院の赤字病院に対しましては、必ずしも十分とは申せませんが、医務局の方でいろいろ助成策を講じておるところでございます。
○村山(富)委員 自治体病院については自治省がめんどうを見る、日赤その他四団体については厚生省がめんどうを見る。これはたてまえはそうでしょうね。だけれども、実際にめんどうを見ていますか。それは自治省だってわずかに起債を見る程度であって、特別の補助はしていませんよ。厚生省で見ていると言うけれども、厚生省なんというものは、一般財源であって、何も医療機関に対する助成じゃないですからね。したがって私は、いま医務局長が説明されたほど責任あるめんどうは見ていないと思いますよ。そのために、昭和五十一年三月二十三日に中医協の答申が出ていますけれども、こういうふうに言われていますね。「公的病院の建設整備の費用、看護婦養成、へき地医療、救急医療等に関する特別な費用については、診療報酬でまかなうのは適当でないので国の責任において行うこと。」こういう答申が出ていますね。この答申は知っていますね。救急医療だけじゃないですよ。もう一遍読みますよ、よく聞きなさいよ、私語をしなくて。これは昭和五十一年三月二十三日の中医協の答申ですよ。「公的病院の建設整備の費用、看護婦養成、へき地医療、救急医療等に関する特別な費用については、診療報酬でまかなうのは適当でないので国の責任において行うこと。」これは、こういうものまですべて含んで診療報酬で賄えといったって無理じゃないかと思うのです。だからこういう部面は診療報酬と切り離して、やはり国が責任を持つべきである、こういう意味の答申ですね。この答申を受けた厚生省の受け取り方なり考え方というのはどうなんですか。
○石丸政府委員 ただいま先生の御指摘の中医協の答申でございますが、その答申のうち、看護婦養成の部門は、これはちょっと別にわれわれ考えておるところでございまして、これも一応、病院経営と申し上げましょうか、医療と切り離しまして、看護婦養成に要する費用は別途助成を行っておるところでございます。それで、他の、いわゆる公的病院なるがゆえに特別の診療を行うという、そういったものに対しましては、いわゆる四団体の公的病院のうち赤字を出している病院に対しまして、がん、それから救急、小児、こういった特殊の診療部門につきまして助成を行っておるところでございます。ただ、病院の赤字のうち、いろいろ問題があるわけでございまして、いまわれわれが実施いたしておりますのはいわゆるランニングコストの赤字の部門についての問題でございまして、病院設備投資に対します従来からの累積赤字、こういった部分につきましては現在のところまだわれわれめんどうを見ていないところでございまして、今後の問題としてそこは検討いたしたいと考えておるところでございます。
○村山(富)委員 ちょっと、がんと何ですか。
○石丸政府委員 がん、小児、救急。
○村山(富)委員 これはどういう内容の助成をしているのかというのはちょっとわかりませんけれどもね。仮に例をとりますと、これはいつかの委員会で問題にいたしましたけれども、いま救急医療に対して補助している、こういうお話がございましたね。確かに五十一年度、A、Bを含めて百五十九カ所ぐらいの指定病院に対して補助しているということはありますね。しかしこれは、自治体病院の告示病院が四百三十三病院ありますけれども、その中で三六・七%にすぎないわけですよ。これはいつかも議論しましたように、現実に救急医療に対応する施設を持っておって、そして実際に救急医療を受け持ってやっておるという実績を勘案して補助しているわけです。したがって、そういう施設の整備されておらないところに対しては全然補助がないということになるわけでしょう。私はいつかも言いましたように、そうではなくて、やはり十分救急医療に対応できるような施設を整備されるための補助をやらなければ、これはやったって採算に合わないのですから、一銭も金を出してくれないとやるところはないですよ。整備はできぬわけですからね。私は、そういう実態を踏まえてこの中医協の答申もあったのじゃないかと思うのですよ。したがって、今後そういう意味の、中医協の答申のあったような中身を含めた意味の助成というものを十分考える用意があるのかどうか。来年度予算あたりで積極的にやっていこうというような意思があるのかどうか。これはひとつ大臣に聞きたいと思うのです。
○田中国務大臣 公的医療機関なるがゆえのいわゆる特別な出費については、できる限りわれわれとしてはこれを見ていきたいというふうに思っているわけでございます。ことに救急などをめぐってのいまお話がございましたが、こうしたことは私は来年度予算編成の一つの眼目になるものというふうに思っております。いま具体的にどの点をどうするかということについては、しかと御答弁を申し上げる段階まで来ておりませんが、基本姿勢としてはそうした方向についてさらに努力をいたしたいというふうには思っております。
○村山(富)委員 これはもう中医協の答申を申し上げるまでもなく、実態を踏まえて判断をした場合に、端的に救急医療だけを取り上げてみましても、いまのA、Bだけに補助するという考え方は誤りではないか。むしろ、そうでなくて、救急医療に対する供給体制を整備していく、その整備の方にもっと重点を置いた補助を考えるべきじゃないか、こういう意見は当然あると思いますし、そうしなければ私はやはり救急医療に対する対応はできていかないのじゃないかと思うのですよ。そういう点を十分踏まえて今後一層の努力をしてもらいたいと思うのです。 次に、いま医療法の中で公的病院に対する病床規制がありますね。これから医療計画を立てていく上において、この病床規制が相当大きな障害になってくるのじゃないかということは想定されますね。これは何も医療機関を社会化しろとかなんとかいうのではなくても、本当の意味で地域医療計画を立てて地域医療の整備をやっていこうということになれば、どうしても自治体病院や公的病院が中心、中核になる。その中核になる公的病院に対して病床規制があってなかなか思うとおりにいかないということが全国的にもやはり問題になりつつありますね。そういう情勢を受けて私は参議院でも附帯決議がつけられたと思うのです。これは御存じのように、四十八年の健康保険の改正案が国会を通過する際に参議院では附帯決議がつけられておりますが、その附帯決議の中にこういうことが書いてありますね。「公的病院の病床規制の撤廃及び差額ベッドの規制については、すみやかにその対策を講ずるものとすること。」とありますね。これははっきり「撤廃」と書いてあるわけです。これは附帯決議ですから、与野党含めて全会一致で決まったものであります。それだけやはり病床規制に対する意見というものはもう大方一致しているのではないかというふうに思われるわけです。このベッド規制に対する参議院の附帯決議を受けて、あるいは全国的ないまの医療供給体制の整備と関連をして、どういう考え方を持っているか、聞きたいと思うのです。
○田中国務大臣 大体、公的医療機関の病床規制というのは、私は覚えがあるのですけれども、これは国会修正で、各党で、これをやれ。私はどうかと思って大分反対したのですが、とうとう押し切られてしまったといういきさつがございます。他の法案との取引でもって、これをやらなければ他の法案を通さない。やめてくれとぼくはずいぶん頼んだのですけれども、とうとうやられてしまったという思い出が実はございます。 そこで、公的病院の規制というのは、余り公的病院ばかりがベッド数をふやしていって、他の私的医療機関等を圧迫してはいかがだろうかというふうな配慮から出たものというふうに、当時、私この立法の趣旨を記憶しているわけでございますが、しかしこれは、お互いに選挙区を持っているわれわれとしては、これが一体妥当なものかどうかということについてはかなり問題があると思います。私の考えでは、基本的に、このベッド基準が一体地域の実情に適合しているのかどうかという問題もあります。また、地域によって大分違うようであります。つまり、若年労働力を出しているいわゆる過疎地とそうでないところとにもいろいろ違いがありますが、これを一律でやっておるようでございます。また、社会構造の変化、あるいはいわゆる医学、医術の変貌等々に対応して、このベッド基準というものについてはなおかなり検討を加えなければなるまい。しかし、全廃をするかどうかということについてはなおいろいろと検討しなければならぬという問題があるのではなかろうか、かように思って、まあ附帯決議には全廃しろと言いますが、これを実現するためにはまたいろいろと検討し、各方面の御意見も承らねばなるまい。しかし、基準を実態に合わせるように努力をすることはぜひやらなければならない、私はこういうふうに思います。
○村山(富)委員 これは議員立法でつくられたことも十分承知していますし、当時これをつくる背景というものも、私もそれなりに知っているつもりですが、いま大臣も答弁されましたように、どうかと思ったという意見がありましたけれども、当時からどうかと思うようなものであったわけです。それがだんだん固定化していって、現実に障害が生まれてきているわけです。これはやはり大きな障害になってきているということはだれも認めていると思うのです。したがって私は、単に基準をどうこうするというのではなくて、これから地域医療計画をどうつくっていくかという問題についてもいろいろな意見があると思いますよ、あると思うけれども、しかし一般の民間の開業医なんかでは対応し切れない高度の医療技術も必要としますし、そういうものを整備しなければならぬということになれば、どうしても自治体病院や公的病院はそれを受け持たざるを得ないわけですよ。したがって、いまのように各医療機関が競合しているというかっこうではなくて、それぞれ機能分化をして受け持ちを決めていくということも意見としてありますね。そういう場合だって、公的病院がベッド規制のために、やはり一つの足かせになって思うとおりに計画ができないという面だってあるわけですから、したがってこれは大きな障害になっているということはどなたも認められると思うのです。そういうものである。これは大臣はいろいろあると言われましたけれども、そのいろいろある中身は何なのか、どう考えておられるのか、ちょっと明らかにしてもらいたいと思います。
○田中国務大臣 いろいろあるというのは、社会的な構造の変化あるいは医学、医術の進歩等々でございまして、一律にやっているわけじゃございません。加算制度というものがありまして、いま先生のお挙げになったような特殊な診療部門についてとか、あるいは大学の関連病院といったようなものについては加算制度をとっておりますが、したがって、一般の私的医療機関でやれないようなものについては特別な配慮はしておりますけれども、なおこれらについてはいま少しく深い検討と努力をしなければならぬということだろうと私は思います。
○村山(富)委員 これは繰り返しませんけれども、少なくとも国会で全会一致で意思集約がなされているわけですから、しかも現実に、さっきから申し上げますが、いろいろな問題が出てきて障害になっておるというようなことも百も承知ですから、したがって、そういうものを受けて積極的にそういう方向に努力していくのは当然のことであるし、そういう姿勢を出してもらいたいと私は思うのです。この点は強く要望しておきます。 次に、よく問題になります差額ベッドの問題について若干聞きたいと思うのです。 これは差額ベッドを規制するための通知を出しましたね。何か二〇%ぐらいどうのこうのという基準を示して出しましたね。ところが、中医協で診療報酬の審議をする際に出されました厚生省からの資料を見ますと、実際に病院経営の中で現実に差額ベッドはこれだけぐらいある、その差額ベッドの収入も見込んで病院経営の調査をしているわけです。そしてその上に立って診療報酬が決められているわけです。したがって、病院経営者としては当然差額ベッドを使っていかなければ収支が合わなくなりますから、これは使っていくと思うのです。ですから、いま厚生省がやっているものは、一方では差額ベッド規制の通知を出し、一方では、診療報酬を決める際には現実の差額ベッドの収益というものを十分見込んで積算をしているということになれば、これは矛盾するのじゃないですか。その点、どうですか。
○八木政府委員 先生御指摘の差額ベッドの問題につきましては、四十九年三月に通知を出しましてその指導をやっておるわけでございますが、いろいろ社会的な問題にもなっておりますし、さらに今後ともこの指導の徹底を図りたいと思っております。 なお、御指摘の中医協の場におきます診療報酬のあり方の問題でありますけれども、今回の中医協におきます診療報酬の際には、医療経営の実態調査が行われましたのが四十五年の実績しかわからないというようなことから、最近の直近の状態というのはわからないわけでありまして、そういうような面から申しましても最近の医療の経済の実態を把握すべきではないかというようなことから、今回、四十五年以来行われておりませんでした医療経済実態調査を実施するというようなことで、現在調査実施の作業が進められているという段階でございます。 中医協の御議論の際にも、差額ベッドの問題等につきましてもいろいろ御議論があったわけでございます。病院の経営の安定を図るという意味からも、病院の診療報酬の引き上げをどうすべきかというような立場からいろいろ御議論があったわけでございまして、もちろん、病院の経営の安定ということで差額ベッドはできるだけ少ないことは望ましいわけで、そういうような点も総合的に勘案した上で中医協の御審議が行われたというようなことでございまして、具体的には室料等の診療報酬の問題であろうというふうに思われるわけでございます。そういうような室料差額の問題もあるわけでございますので、今回の診療報酬の改定におきましては従来の室料につきまして七十点から八十点というような引き上げが行われたということで、もちろん審議の過程でもこのベッドの問題ということにつきましては十分御論議いただいているというような状況でございます。
○村山(富)委員 私が質問しておりますのは、中医協で診療報酬の審議をする際に、病院経営の実態調査もやって、その資料も出しているわけでしょう。
○八木政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますように、病院経営の実態調査につきまして、医療経済実態調査が昭和四十五年のものしかないというような状況でございます。そういうような意味から、診療報酬のあるべき姿というものを議論する際にも直近の医療経済の実態調査というものが行われる必要があるじゃないかというようなことで大きな議論があったわけでございますけれども、たまた四十五年以来実施されておらなかったというような状況でございますので、私どもとしまして中医協の場におきまして提出できました公的な資料といたしましては、四十五年の実態調査の結果しかないというようなことでございます。しかし、そうは申しましても、最近の実態をどういうふうに反映するかというようなことから、たまた公的病院関係につきましては医務局の方でいろいろお調べになった資料があるわけでございますので、公的病院関係につきましてはそういうふうなことで経営の実態がわかる資料があったわけで、それらを補正するという意味で、四十五年の実態調査に対して最近の公的病院がこういうことであるというようなことを総合的に勘案して御議論していただいた。しかし、公的病院以外の私的病院の経営の実態というものにつきましては、現在公的なものは何もないというような状況であったわけでございます。
○村山(富)委員 そうすると、ここにある資料も公的病院の経営収支状況、これは四十九年度のものですね。恐らくこれは中医協に出された資料だと思うのです。この資料を見ましても、いま言われている室料の差額収入というものは実際に見込んでいるわけでしょう。そうしますと、さっきから言っていますように一方では規制の通知を出す。収支の見通しを立てたりあるいは診療報酬を決める基礎資料になるものについては、差額ベッドをこれだけ使っている、これだけ収入があるではないかということを見込んだ上で診療酬報を決めているわけですから、したがってこれは明らかに矛盾するのではないか。病院経営者にしてみれば、今度決められた診療報酬はこれだけの差額ベッドの収入があるぞということを前提にして決められた診療報酬だから、したがって差額ベッドをやはり使わしてもらわなければ困る、こうなるでしょう、当然。そこらは明らかに矛盾するのではないかというように言っているわけですよ。これはやはりこういうかっこうでは差額ベッドは解消しないのではないか。だから、当然しなければならぬことはする、そのかわりに規制することは規制するという構えがなければ、これはできないのですね。当然そうあるべきだと思うのですよ。そこらの点はどうなんですか。
○八木政府委員 診療報酬の改定の中で室料の問題をどういうふうに取り上げるかということは、先生御指摘のような一つの大きな問題点であろうというふうに思われるわけでございます。中医協の場におきましても差額ベッドの問題ということが議論になっておるわけでございまして、今回の診療報酬の改定におきましては九・一%という全体の枠の中で何に配分するかというのが一番大きな議論だったわけでございますけれども、いずれにいたしましてもこういうような問題点があるわけでございますので、差額ベッドの問題につきましてはできるけ解消の方に努力するようにというような中医協の御意見もあるわけでございますし、そういうような点も考慮の上、今回の診療報酬の引き上げにおきましては先ほど申し上げましたように室料につきましても引き上げられたわけでございますが、今後の診療報酬の改定の際に、この室料の問題ということも十分検討していただかなければいけない問題であるというふうに考えておる次第でございます。
○村山(富)委員 いま私が指摘しましたような問題が実際問題として確かにあるわけでしょう。ですから、これは私の注文ですけれども、やはりしなければならぬことはします、そのかわり守ることは守ってくださいというぐらいの姿勢でないと、なかなか差額徴収というものは解消しないのではないかというふうに思いますから、そういう構えで臨んでもらいたいということを強く要望しておきます。 次に、もう一つ問題になりますのは付添看護の廃止についてでありますが、基準看護の指定を受けた病院というものは本来付添は置かないことが原則ですね。いま現状として基準看護の指定を受けた病院はどのくらい付添がついておりますか、その実態がわかっておりますか。
○三浦説明員 現在基準看護の承認を受けております病院といたしましては約三三%ございます。ベッド数にいたしましては六一%でございます。
○村山(富)委員 やはり基準看護の指定病院でも、実際に相当付添がついているわけですね。これは大体一カ月にどのくらい付添がとられておりますか。
○八木政府委員 ただいま医療課長から申し上げましたのは、基準看護として指定している病院はどれだけあるという数字を申し上げたわけでございます。そうして、たてまえといたしましては基準看護病院につきましては付添看護を置かなくてやっていけるという病院でございます。したがいまして、私どもとしましては、基準看護の指定をしております病院につきましてはそれ以外の付添を置かないという指導をやっておるわけでございますので、基準看護病院はたてまえとして付添いを置かないということでございますから、そういうような実態という数字はわかっておりません。
○村山(富)委員 いまの答弁は基準病院の数を言ったわけですか。そうすると、基準看護の指定を受けた病院は付添は置く必要はない、置かないことが原則である。したがって、基準病院である指定病院は付添はないだろうというふうに見ているわけですか。
○八木政府委員 私どもとしましてはそのために基準看護病院につきましては診療報酬の面におきましても特別の手当をしているわけでございますから、置いてはいけないという指導をしているわけでございます。ただ現実問題といたしまして、家族等からどうしても付添を置きたいというようなお気持ちもあろうかと思いますので、付添が全くおらないということは現実問題としてはないと思いますけれども、私どものたてまえといたしましてはそういうような指導をしているわけでございます。必要な看護につきましては基準看護の中で十分やっていけるはずであるという考え方であるわけでございます。
○村山(富)委員 これは本会議でも私は質問しましたけれども、基準看護の指定を受けた病院は原則として付添は要りません、必要ないということになっているわけでしょう。厚生省は、そうなっておりますから全然そんなことはないと思いますというふうに答弁をするのか。それなら指導する必要はないわけでしょう。実態があるから指導が必要なんでしょう。その実態も、これだけ問題になっているときにつかんでないというのはどういうわけですか。付添がないと思っているのですか。基準病院の指定を受けた病院では付添は実在してないというふうにあなた方は認識しているのですか。どっちですか。
○三浦説明員 私ども、全国各地からいろいろの情報が入りまして、基準看護病院で付添をとっておるという話はしばしば聞くわけでございまして、そういう場合には個々の病院に対しまして、やはり基準看護病院では付添をとってはいかぬのだということを個々に指導しております。まるっきりないということでなく、そういうことがあった場合にはその都度指導しておるということでございます。
○村山(富)委員 これだけ基準看護病院の付添の問題が問題になっているのでしょう。それを厚生省が実態も調べてない、つかんでもないというのでは対策の立てようがないじゃないですか。私は調査でいろいろな資料を持っていますよ。たとえば国立病院だって付添がちゃんとおりますよ。これは厚生省としては認識不足もはなはだしいんじゃないか。むしろ現実に、基準看護病院は付添が要りませんと言いながら付添がついている。そして相当多額な負担をさせられておるという実態をつかんでいないというのはちょっとおかしいな。
○八木政府委員 ただいま医療課長から申し上げましたように、私ども、たてまえとしましては、そのために診療報酬におきましても基準看護の加算というものをやっておるわけでございまして、もし基準看護病院で正規の看護婦以外に付添を置くというふうなことになりますと、これは基準看護の指定の条件に違反するわけでございますから、そういうことがあってはならないというようなことで、むしろそういうようなケースが出てまいりました場合には個々に指導するということでございます。したがいまして、むしろそういうような指導の徹底を図るということ以外にはないのではないか。私どもはそういうような付添を置かないというところにつきまして指定をし、それから基準加算を行っておるというような状況であるわけでございます。ただ現実問題としまして先生御指摘のような声もあるわけでございまして、私ども、そういうようなケースが起きました場合には個々に十分指導したいというふうに考えております。さらに、最近の病院経営等の問題もございまして看護問題が非常に大きな問題になっておるわけでございますので、この問題の重要性にかんがみまして、今回の診療報酬におきましては民間の人件費の引き上げ率を上回りました総看護料の引き上げが行われるというようなこと、さらに基準看護加算につきましても傾斜的な配分を行うというような面で、看護問題につきましては特に重点的に配慮を行っているというような次第でございます。
○村山(富)委員 これは私は本会議でこういう表現を使ったのですよ。基準病院の指定を受けた病院が付添を必要とするというのは詐欺じゃないか。そして現実に医療協が調査をした国立病院の実態調査も含めて、国立病院で基準看護の指定を受けた病院がどの程度付添を置いているかという実態も調べていますよ。だから必要があれば資料を出しますから。そういうことではこれはもう付添がなくなるわけはない。その点はひとつこれから十分構えてやってもらいたいと思うのです。いいですか。 私は、なぜ付添が必要なのか、置かざるを得ないのかということについて具体的にちょっと聞きたいと思うのですが、この基準看護で看護婦の配置なんか見ますと、一類の場合は患者四人に対して看護婦一人でしょう、いま一仮に五十床の病棟では、計算しますと十二・五人の看護婦でよいことになるわけですね。五十人の患者に対して十二・五人の看護婦では、三交代勤務をするとどうしても付添をつけなければ実際にこれは見れないのですよ。私は、本当に付添をなくそうとすれば、ただ付添を置いてはいかぬぞと言って指導するだけではなくて、付添を置かなくても十分できるじゃないかという、要員の確保なり何かを考えてやらなければ本当の意味で付添をなくすことにならないと思うのです。そこらの点はどういうふうに把握していますか。
○八木政府委員 確かにそれぞれの病院の実態によりまして看護の内容というものも違う点はあろうかと思いますけれども、やはり看護体制、看護の面につきましての十分な配慮というものが必要ではないかというようなことから、ただいま先生から一類のお話がございましたが、四十九年の診療報酬の改定の際におきましては特二類というようなことで、二・五対一というような新たな基準看護につきましての加算というような分野に拡大されたわけでございます。今回の診療報酬の改定におきましても、さらにこの問題につきまして特三類というような議論もあったわけでございますけれども、現実問題といたしましては看護婦の人員等の問題もあるわけでございまして、そういうような面を考慮しまして、むしろ病院の中で病棟とかあるいは重症の患者の方について配慮が考えられるようにというようなことから、基準看護の加算につきまして傾斜的な配分が今回行われたというような次第でございます。中医協の場におきましてもこの問題が議論になっておるわけでございまして、今後の検討問題として、私どもも、特に看護婦の要員確保というような面もあろうかと思いますので、医務局とも十分相談いたしましてこの問題に取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○村山(富)委員 これは実際問題として、基準看護病院では付添がもういないはずですというような認識に立っておれば全然議論になりませんけれども、実際としてはいまの基準では付添を置かなければならぬようなことになっているわけですからね。したがって、そういうところに無理があるわけです。 私はこの際意見を申し上げておきますが、基準看護の基準は現行は特二類から三類まで五段階になっているわけですね。一類以下の基準ではやはりどうしても付添が必要であるというのは、どこの病院に行って聞いても全部実際にそう言うわけですからね。一類では無理ですと、こう言っているわけですから、したがってこの基準に無理がある。そこで付添を必要としないような基準というものを見直しをする必要があるのではないかというふうに思いますから、これは中医協の中でもそういうような議論があったのならなおさらのことですから、早急に是正して、そうして付添を置かなくても基準看護の指定を受けた病院はやれますよ、こういう前提条件をしっかりつくってやることが大事ではないかというふうに思いますから、その点はひとつ十分今後の検討課題として早急に見直しをして、対策を考えてもらいたいというふうに思います。 次に、これも私は何回かこの委員会で申し上げましたけれども、中医協が診療報酬の改定をするたびにいろいろ混乱をいたしますね。大臣も大変苦労されるわけです。ただ、中医協の医療代表の中に病院代表をなぜ入れないのかという意見をたびたび申し上げたわけですが、これは社会保険審議会及び社会保険医療協議会法第十五条の四項で「各関係団体」という表現がありますね。この各関係団体というのはどういう団体をいま考えておるのか、ちょっと聞きたいのです。
○八木政府委員 現在中医協の二号側の委員といたしましては、診療側の代表といたしまして日本医師会の推薦、それから日本歯科医師会の推薦、日本薬剤師会の推薦の委員の方を出していただいておるわけでございまして、私ども現在この三団体からの代表の方というふうに考えておる次第でございます。
○村山(富)委員 いや、この法律第十五条の四項で言う各関係団体というのはいま局長が挙げました団体を指しているわけですか。
○八木政府委員 私どもといたしましては、関係します団体ということで、「各関係団体の推薦によるものとする。」ということで、中医協の委員といたしましては「医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員」ということでございますので、医師、歯科医師、薬剤師を代表する委員ということで、その関係団体といたしましては、医師につきましては日本医師会、歯科医師につきましては日本歯科医師会、薬剤師につきましては日本薬剤師会というふうに考えておる次第でございます。
○村山(富)委員 そうすると、ここで言う関係団体とは日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、この三つの団体を指しているわけですね。そうですね。
○八木政府委員 私どもはそういうふうに理解して運用しておる次第でございます。
○村山(富)委員 そうすると、この各関係団体という中に厚生大臣が認可しておる病院団体等が入らない理由は何ですか。
○八木政府委員 私どもといたしましては、日本医師会におきましては病院関係の専門家の方々も当然おられるわけでございまして、日本医師会の中には病院関係の問題も当然入るというようなことから、病院の利益を代表するという意味で、当然日本医師会の推薦の委員の方を出していただけば十分であるというふうに考えておる次第でございます。
○村山(富)委員 そうするとその前提として、各関係団体という団体の中には厚生大臣が認可した病院団体は入っていないんですか。
○八木政府委員 医師及び薬剤師を代表する委員ということで医師会の推薦の方が入っておるわけでございますが、当然医師会につきましては、病院経営も関係しておるというようなことから病院の利益を代表するという立場でも入っておるというふうに考えております。
○村山(富)委員 その中医協の委員を選任する団体として、いまは、医師、歯科医師、薬剤師という委員を選任するわけですから、その選任する母体として日本医師会、日本歯科医師会、薬剤師会という団体から選任しております。こう言っているんでしょう。私が聞いていますのは、この社会保険審議会及び社会保険医療協議会法第十五条四項で言う各関係団体という中に、厚生大臣が認可している病院団体があるわけでしょう、そういう団体はこの中に入るんですか入らないんですかと聞いているわけですよ。これは大変な問題ですよ。
○八木政府委員 医療なり病院経営に関係する団体というのは、これはいろいろな意味で、あろうかと思います。日本医師会だけではないと思います。しかし、私どもといたしましては、医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員としましての関係団体としましては、日本医師会からの推薦の委員をいただけば十分であるというふうに判断しておる次第でございます。
○村山(富)委員 これは何遍話したってかみ合わぬけれどもね。この中医協の委員をどういう方法で選任をするかという方法については、これは後の問題にして、いま言う各関係団体という団体の中には、大臣が認可している病院団体なんかは入るんですか入らないんですか、指すんですか指さないんですかと聞いているんですよ。
○八木政府委員 現実問題といたしまして医療に関係する団体というのは非常にたくさんあろうかと思います。そういう意味で、医療に関係する団体という面で入るか入らないかということになりますと、それは入っているというふうに解釈していいと思いますけれども、現実問題といたしましては、日本医師会におきまして、医療問題につきましての医師を代表する委員としましての御意見を十分承れるというふうに判断いたしまして、日本医師会からの委員の推薦をお願いしているというような次第でございます。
○村山(富)委員 私が聞いているのは、中医協の委員を選任する方法とか、どの団体から推薦をしてもらうかとかいうことは一応別にして、この条文で言う各関係団体という団体は日本医師会、歯科医師会、薬剤師会だけを指すのであって、あとは入ってません、こういう解釈なのかどうなのかと聞いているわけです。
○八木政府委員 十五条の二号にございます「医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員」ということになりますと、医師を代表する団体ということになりますと日本医師会であるというふうに考えております。したがいまして関係団体には入らないというふうに考えております。
○村山(富)委員 それは、この法律はそういう解釈ですというふうに解釈していいんですね。
○八木政府委員 私どもは、十五条の二号の母体になります推薦団体としましてはそういうふうに従来とも解釈しておる次第でございます。
○村山(富)委員 昭和三十二年に健康保険法の改正がありましたね。そのときに、従来は医師、歯科医師、薬剤師自体が療養の給付を担当する責任を負ったものであるというふうになっていたわけですね。それが改正によって、療養を担当する責任はすべて病院、診療所、薬局と、機関が負うというふうに改正されたわけですね。「医師、歯科医師、薬剤師は、有機的に組織された機関の一構成分子として、診療または調剤に従事する者」というふうに改正後はなったわけでしょう。したがって、その改正前の意味というものは、ある意味ではこれは制度としては不要になっておるというふうに解釈していいですね。そうしますと、この法律の改正の趣旨から見てもやはり、機関の代表者が中医協の構成員となることは当然ではないかというふうに解釈されるのですが、その点どうですか。
○八木政府委員 ただいまの健康保険法上の医療機関につきましてそういうような御指摘だろうと思いますけれども、社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の十五条の二号に「医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員」と明文ではっきり書いてあるわけでございますので、この各関係団体につきましては先ほど申し上げたふうに解釈しておる次第でございます。
○村山(富)委員 三十二年の健康保険法の改正の趣旨、それから各関係団体という意味等々を踏まえた場合に、委員としては医師、歯科医師、薬剤師というのが選ばれるにしても、選ばれる母体は何も日本医師会だけでなくちゃならぬということはないわけですよ。むしろ、いま申し上げましたように、三十二年の改正やらあるいはいまの法の解釈からしますと、そういう団体からやはり医師が選ばれてくればいいのであって、何もその母体は日本医師会でなくちゃならぬという規定はどこにもないわけですからね。そうでしょう。その点はどうなのです。
○八木政府委員 先ほども申し上げましたように、日本医師会におきましては当然病院経営部分を担当している医師の方もおられるわけでございますので、病院の問題につきましては日本医師会推薦の委員の方で十分御意見が伺えるというふうに判断しておる次第でございます。
○村山(富)委員 これはそこまで言いますと、いま医師代表として入っている人は本当に病院を代表する者かどうかということまでせんさくをせにゃならぬことになりますね。いま中医協に医師を代表して入っておる委員の中で、あなたが言われるように病院も代表して入っている方はどなたですか。
○八木政府委員 現実に病院を経営しておられる中医協の方はお二人おられますけれども、現実に病院を経営しているとかしていないとかいうことではなしに、やはり日本医師会におきましては実際問題として病院を経営しておられる医師の方がたくさんおられるわけでございますので、そういうような御意見というものも踏まえまして、当然日本医師会の推薦の委員の方からはこの問題につきましての御意見というものが十分反映できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○村山(富)委員 そうすると、日本医師会、歯科医師会に病院経営者も会員として入っているから、必ずしも出ている委員は病院経営者の代表でなくてもいい、こういう解釈ですか。
○八木政府委員 私どもといたしましてはそういうふうに考えております。
○村山(富)委員 そうしますとやはりいろいろ問題が起こると私は思うのですよ。だから病院代表を加えろという意見が起こってくるわけでしょう。それはさっきあなたが説明されましたように、仮に診療報酬の改定をするにしても、病院経営の実態調査をやはりやらなければいかぬ、資料が必要だというので資料を出すようになったのでしょう。実際に病院経営をやってないという人でも、自分の関係する団体の中に病院経営者も入っておるから、したがってその病院経営者の意見はその委員を通じて十分反映できるだろうというふうに考えているところに実際に無理がある。私は、中医協が混乱をする要因はやはりそういうところにもあると思うのですよ。やはり機能はそれぞれ違うわけですから、その違った機能を持っている代表者の意見が素直に反映されるような構成にしていくことがやはり中医協を円滑に運営する一つの要因になると思うのですよ。いま局長が説明されたような形で、日本医師会という団体の中に病院経営者も会員に入っているのだから、医師会の代表なら病院経営者の意見も十分反映されるはずだ、こういう解釈は現実問題としてはやはり無理があるのではないか。そうでなければ病院連盟なんかが中医協に委員を入れてくれという猛烈な運動をするわけがないじゃないですか。私は、そういうかたくなな解釈ではなくて、実際に診療所の経営なりあるいは病院経営なり何かに当たっているそういう人たちが、その実践を踏まえて、経験を踏まえて、現実はこうなんだ、だからこうしてもらいたいといったような意見が反映するような委員会の構成にすることが必要ではないかと思うのですよ。 これはもう議論したってしようがない話ですから議論申し上げませんけれども、私の言っていることは無理がないと思いますよ。 〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕 厚生大臣もおられるけれども、それは大変むずかしいものだと思いますよ。私は現実も知っていますが、知っているけれども、中医協がたびたび混乱をする、その混乱をする要因の中にはそういう問題もあるのではないかと思います。ですから、中医協の中に本当の意味で病院経営者の代表を選任できるような道を開くべきであるという強い意見を私は持っていますから、この際、大臣の見解を聞きたいと思うのです。
○田中国務大臣 この問題についての歴史的経過というのは、村山先生よく知っていて御質問なさっているんじゃないかと思うわけであります。私も長い間社会労働委員をしておりましたので歴史の経過を踏まえておるわけですが、今日では、診療所、病院、すべてのものを含めてその立場を代表するものは日本医師会であり。また日本医師会推薦委員だということに定着をしているわけでございます。いろいろ御議論があることは私も知らぬわけではございません。しかし、今日そうでない方法でやる方がいいのかどうかということについてはいろいろな問題があると思います。日本医師会が病院の立場というものとは別だということは私はないのじゃないかと思いますので、現行の制度、やり方で行きたいというふうに思っているわけであります。また、いま中医協が紛糾する、紛糾するという話をしておりましたが、別な方法でやったらまた別な紛糾要因が出てくるんじゃないかというふうに私は思います。
○村山(富)委員 的外れなことを言いなさんなよ。それは中医協の紛糾する要因はいろいろ知っていますよ。十分知っていますよ。だけれども、やはり関係する団体の代表の意見が素直に中医協に反映されるような道を開いていくのは当然の話でしょう。そうでなければ病院関係者から病院代表を入れてくれという声が起こってくるはずはないですよ。起こってくるというのはやはりそういう背景と要因があるから起こってくるのでしょう。やはりこれは素直に検討してやらなければいかぬと思いますよ。ここでいま大臣はそのことについて答弁がしにくい立場のことも十分知っていますから、もう答弁は求めませんけれども、ひとつそういう方向で十分検討するような決意になってやってもらいたいということを要望しておきます。またこれはいずれ別の機会に議論をしてもいいのですけれども、申し上げます。これだけに時間をとってもなんですから次に移ります。 いままで医療供給体制の問題について、問題点のありそうなところを若干お話し申し上げてきたわけですが、次に、今度は保険制度の問題について若干聞きたいと思います。 いま、この保険制度の抜本改革をやれというのは、各保険制度の中に余りにも格差があり過ぎる、だからこの格差をやはり是正する方向に改正をすべきではないか、こういう意見が圧倒的に多いと思うのですね、抜本改革という意味の中では。したがって、仮に政管健保と国民健康保険と比較した場合に、現実にどういう面でどういう格差があるというふうに把握されていますか。
○八木政府委員 確かに、従来から制度の問題で言われておりますのは、給付の面、負担の面、それから各制度の財政力の差という面からいろいろな御議論がなされているのではないかというふうに思われるわけでございまして、医療保障の皆保険体制をいかに将来とも改善充実していくかという、一つの大きな課題であろうというふうに私どもも理解しておるわけでございます。 ただいま御指摘ございました政管と国保の格差の面で申しますと、給付の面におきまして、政管の場合には本人が十割給付である、家族が七割でございますが、それに対しまして国保の場合には一律七割給付であるという点が、給付の面の一番大きな問題であろうというふうに思う次第でございます。
○村山(富)委員 もう時間がありませんから、私の方から申し上げますから答えてください。これはここで答弁をいただかなくてもいいのですが、いまお話がありましたように給付が違いますね。それから保険料が違いますね。ですから、給付の割合と保険料を負担する率との格差がどういうふうになっているかというのを、後でまた資料でも結構ですから出してください。 それからもう一つは、先般私は、保険の通用範囲の問題で特に国立の大学病院なんかを問題にしたのですが、その後、国立大学病院で国保の取り扱いができるようになったのかならないのか、どういうふうに変わったかという点を、わかれば御報告願いたいと思います。
○八木政府委員 私ども、この問題につきまして、できるだけ国立の大学病院につきましても範囲を拡大してもらうようにというようなことから、特に全国取り扱いの問題等も含めまして、昨年の十一月に文部省の大学局長に申し入れをしたわけでございます。その後、文部省の方におきましても、この問題につきましてはできるだけ協力をいたしたいというようなことから、各大学、公私立の大学長にあてまして、全国的の取り扱いの問題について厚生省からも申し入れがあったのでできるだけ協力するようにという通知を出していただいたわけでございます。最近、そういうような通牒の影響もあろうかと思いますけれども、逐次そういうような病院もふえつつある傾向でございまして、できるだけそういう方向でお願いしたいというふうに思っております。 最近の具体的な例で申し上げますと、東北大学につきましては五十一年の一月から全国取り扱いにする。さらに東大におきましても五十一年の五月一日から関東六県にするように準備中でございましたが、とりあえず千葉、埼玉、茨城につきましてやるというようなことで、徐々に範囲拡大を考えておるわけでございます。さらに東京医科歯科大学につきましては五十一年の三月一日から全国取り扱い、それから千葉大学、岡山大学、九州地区の国立大学等につきましても、範囲の拡大につきまして御努力されているというふうに伺っておる次第でございます。
○村山(富)委員 これはもうここで答弁を求めませんから……。私はいろいろいまの健保と国保との間の格差がどういうぐあいになるかということについて考えてみたのですが、さっき申しましたように、給付割合と負担の割合、これが一つと、それからもう一つは、今度改正されますと健保の場合に埋葬料が三万円から五万円に上がる。分娩費が六万円から十万円になる。国保の場合にはどういうふうになっているかというその違いですね。それからもう一つは、健保の場合には障害手当がありますね。ところが国保の場合にはほとんどない。これはもちろん被用者保険と地域保険の違いがあると思いますけれども、これも比較をすればやはり格差があるわけですから、そういうものも含めて現状がどういうふうになっているか、どの程度の格差があるかということを、ひとつ後で資料として提出を願いたいと思うのです。 これは資料が出ればはっきりわかるわけでありますけれども、現実に格差があることは十分はっきりするわけですね。したがって、こういう格差を是正していくということがやはり本来の要求だと思うのですよ。これはまた皆保険の中では当然だと思うのです。負担の割合とそれから給付の公平化というのは当然の話ですからね。したがって、今後こういう格差については是正をする方向で決意を持っておるという大臣の決意を聞かしてもらいたいと思うのです。
○田中国務大臣 国保と健保の格差は、後で資料で出しますけれども、もうあることは間違いがないのですよ。問題はどこから出てきているか、これはやはり財政力ですな。そういうことがございます。その基底にはまた、国保の被保険者には使用主負担というものがない。それを国の方であれやこれやの名目で助成をしているが、なお追いつかないという宿命的な問題がございます。したがいまして、国保の財政の強化を図ることが私は問題を解決するために最も現実的であり、村山さんさっきから言っているように末梢的なところだけやっていたのではだめなんだ、こういうことをおっしゃるのですが、私もまさしくそう思うのであります。そういう意味で国保財政の強化を図っていく。それにはいろんなやり方があろう。いま私はここで言いませんが、私どもが検討しているそういったようなこともその一助になるのではないかというふうに思いますが、あれこれの角度から国保財政の強化を図りつつ格差の縮小というものに努力をしていきたいというふうに思います。
○村山(富)委員 これは、こういう格差が生まれてくる一番大きな要因と背景はそれぞれの団体が持っている財政力である。これはある意味では当然だと思うのです。 そこで、その財政問題について若干聞きたいと思うのですが、市町村国保の場合に、五十年から五十一年にかけて相当大幅な保険料の値上げを各町村がやっていると思いますね。これはもう現実に赤字になっていくわけですから、医療費が上がりますし、やらざるを得ないというので、聞くところによると平均三〇%ぐらい保険料を上げているのではないかというような話も聞いていますけれどもね。ところが、仮に三〇%上げてみても、これはいまの医療費の伸びから見ればやはり財政は苦しいのではないか。これは保険料を上げるといったって限界がありますからね。そう天井知らずに上げるわけにはいきませんからね。したがって限界がある。同時に、市町村国保の場合には一般会計から繰り入れするということも考えられるでしょう。しかし、いまの地方財政のこれだけやかましく言われている危機状態の中では、そう一般財源で見るということについても限界がある。そうしますと、市町村国保というものは依然としてやはり苦しい財政状況を維持しなければならぬということは当然考えられるわけです。そうしますと、その財政力では格差を是正するといったってなかなかできない。これはやはり国が考える以外にないのではないかというふうに私は思うのです。 そこで、いま市町村国保に対して定率補助をやっていますね。それに臨調を加えてやっていますね。これだけではやはり本当の意味で、市町村国保は安定した財政力を持って地域住民の要求に十分こたえるということにはなり得ないのではないかというふうに思いますから、そうした市町村国保の財政状況の見通し等に立って、今後もっと積極的にそうした面における国の財政措置を検討していくという考え方かどうか、お伺いしたいと思います。
○田中国務大臣 かねがね国保財政の強化のためにはいろいろと努力をしてまいりました。先生お挙げになったような助成もしているわけですが、なお不十分であるというお話もございます。今後ともこうした面について努力をいたします。 しかし、同時に、国保の本質的なあり方というものも考えてみなければ、ただ国が一般会計から補てんをするだけでは、私はそれだけでは問題は解決しないのではないか。そういう面と両面から考えなければならぬじゃないかと思います。
○村山(富)委員 それは運営上に是正する必要があれば当然是正をする必要がありましょうし、同時に、さっきの差額ベッドじゃありませんけれども、やはりすることはする、そのかわりやることはやってくれ、こういう姿勢でやる必要があると思います。そのためにはやはり前提として、国が責任を持つというその責任分野もしっかり果たしてもらうということが大事ですから、そういう意味でもう少し積極的な財政援助の措置を考えてもらいたいというふうに思います。 それから、国保には、市町村国保と国民健康保険組合があるわけですね。これはもう組合の場合にはなお一層財政は厳しい、苦しいということは当然考えられるわけです。その国民健康保険組合に対する助成の強化については、四十八年、四十九年と二回にわたって国会の決議もされておるわけです。こういう国会の決議や、いまの国民健康保険組合が持っておる財政の実情等を考えて、どういう方向でその財政力を強化するために措置をとられてきたか、これからとる考えであるかということを聞きたいと思います。
○八木政府委員 国保の組合につきまして、ただいま先生から御指摘ございましたように財政力のかなり苦しいところもあるわけでございますけれども、ただ、国保組合の中にはいろいろな態様がございまして、非常に財政力の厳しいところと、それからある程度安定しているというようなところもあるわけでございますので、かねてから定率の国庫補助の問題等いろいろな御議論があるわけでございますけれども、一律に取り扱うということはなかなかむずかしい問題ではないかというふうに考えておる次第でございます。しかし、現実に国保組合の中には苦しいところもあるわけでございますので、そういうところを中心にいたしまして、法定の二五%の国庫補助以外に、四十三年以来特別の財政助成措置というものを行っておる次第でございまして、特に昭和五十一年度におきましてはこれらの臨時的な財政援助のための補助金といたしまして、従来の百十億を百四十億に増加しているというようなことで、今後とも財政力の弱い国保組合を中心にいたしまして重点的な国庫補助の増額という面で努力を続けてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○村山(富)委員 これは私は当然、当座はやはり臨調あたりでカバーをし、調整をしていくということは必要だと思いますけれども、実際にその中身を見ますと、国保組合の場合には定率補助が二五ですね。それに臨調が入っていくというかっこうになるわけでしょう。そうすると、五十年度なんかを見ますと、仮に擬制適用を打ち切られた新設の国保組合なんかは、定率が二五%で、そしてもう臨調が四〇%ぐらいになっているというようなところもあるわけですね。そうしますと、どうかすると定率補助よりも臨時調整交付金の方が多くなるというふうな傾向にもなっていくのではないか。そうしますと、この臨時調整交付金が持っている機能、性格がもう逆になってくる、こういうことも考えられるわけです。したがって、この際やはりその制度を検討し直して、定率補助を若干上げて、そして臨調は臨調としての役割りを十分果たしてもらう、こういうものに変えていく必要があるのではないか。そういう意味からしますと、やはり制度のあり方について見直しをし、変えていく必要があるのではないかというように思いますが、どうですか、その点は。
○八木政府委員 ただいま先生からお話ございました点につきましては一つの問題点でございますし、今後研究すべき大きな問題であろうというふうに私どもも理解している次第でございます。ただ何分にも、確かに先生からお話ございましたように、新設組合につきましては五十年度で二五%に対しまして四〇%を超える——一六%ぐらいになっておりますから、そういうようなところもあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、個々の態様によりまして非常に財政力に相違がある。したがいまして、財政力のある程度いいところまで一定の定率補助ということになりますとそういうような問題も出てくるというようなことから、どういうふうに考えていくかということで一つの大きな問題であろうと思いますけれども、それらの問題も踏まえまして、これからの検討課題にさせていただきたいと思います。
○村山(富)委員 これは検討課題というだけではなくて、これは私は方法はあると思いますよ。臨調だけがぐっとふくらんでいって、そして定率補助がいつまでも据え置かれているというようなかっこうでは制度としてもおかしいですから、したがって、ある程度見直しをして是正をする必要があるのではないか。これは国保ですから、組合ですから、その組合の財政力が安定するということがやはり大事ですから、したがって、そういうことを念頭に置いて、前向きに制度の改正をやっていくというぐらいの気持ちで取り組んでもらいたいということを強く要望しておきます。 それから次に、薬剤費のことについてお尋ねをしたいと思うのです。 先般、五十一年度国保行政について全国国民健康保険主管課(部)長会議をやっていますけれども、この主管課(部)長会議で三浦医療課長さんがお話をしていますが、そのお話の中で、医療費はもう膨大に伸びていく、その膨大に伸びていく医療費の中でいろいろ原因は考えられる、考えられるけれども、医薬品の使用の増加がやはり大きいということを言われているわけですね。こういう表現を使っていますよ。「そこでその内訳をみると、特に問題となっているのはやはり投薬と注射である。というのは昭和四十年からしばらくの間、点数改定が六回にわたって行われているが、投薬と注射については全然ふれていない。いわゆる投薬・注射がそのまま増大していく。これがいま大きな問題になっている。この薬剤費の占める割合をみても十年前は三〇%くらいであったのが、昭和四十八年の社会医療調査では四四%、四十九年十一月では三五%になっている。ともかく薬剤費の伸びというのは非常にすざまじい。」こういう表現が使われているわけですね。したがって、医療費の中で薬剤費の占める比率が非常に高いということはもう否定し得ない事実だと思うのです。これも後で資料で結構ですから、四十七年、四十八年、四十九年、わかれば五十年まで推計して、医療費と薬剤費の比率を資料として出してもらいたいということを要望しておきます。 そこでお尋ねをいたしたいのは、これはいずれにしても後で資料を見ればわかりますけれども、四〇%前後にあることは間違いないと思うのです。四十九年度は若干下がっておりますけれども、しかし依然として高いことは間違いない。外国の場合を調べてみますと、大体一〇%から二〇%ぐらいではないか。外国に比較して日本が薬剤の比率がこんなに高いのは一体どこに原因があると思われますか。
○上村政府委員 いろいろな比較があるわけでございますけれども、私ども考えておりますのは、一つは、外国の薬剤費には病院の使用分が入っていないのじゃないか。それから医療費のとらえ方が日本と外国とでは必ずしも同じではない。たとえば病院建設費等も外国では医療費に入っておる場合があるというふうに聞いておるわけでございます。そういった分母、分子のとり方に問題点があるわけでございますが、さらに医療制度が違っております。諸外国の場合には医薬分業というのが完全に実施されている。実施されている国と実施されていない国では違いがある。もう一つは、医療の技術料をどう評価するかという問題もあると思うのでございます。日本の方は医療の技術料がどのぐらいに評価されているかということはいろいろ議論がある点でございますから、そういった全体の中で考えてみませんと、一概に日本の薬剤費の比率が高いというふうに決めつけるわけにもまいらないのではないかと思うわけでございます。
○村山(富)委員 わかったようなわからぬような答弁だけれども、要因はいろいろあると思いますよ。あると思いますけれども、この中でも指摘していますように、確かに薬剤費が多いというのは否定し得ない事実だと思うのですよ。なぜ薬剤費が多くなるのかということを私なりに調べてみました。現実に薬をもらっている患者さんに私が聞いた範囲では、もらった薬を全部飲んでいますという患者さんはいませんよ。半分ぐらい飲んで、もう痛みは感じないとか治ったなと思えば忘れますから、あとの半分は捨てるか置いたままというのが多いんですよ。だから相当むだに薬が使われているということは否定し得ない事実だと思うのです、私の調査では。 それなら、なぜ医療機関がそんなに患者に薬をやるのだろうかということを考えてみますと、これはもう仕組みは明らかですよ。これは本会議でも申し上げましたけれども、薬を患者にやればやるほどお医者さんには収入があるわけです。だから、人間の心理としてやっぱりやるでしょう。たくさん必要以上にやる場合もあるのじゃないか。現に患者は全部服用していない。 そこで、もう時間もあんまりありませんからよけいなことは申し上げませんが、突っ込んで聞きたいのは、薬価基準というのはどういう方法でいま決めていますか。
○八木政府委員 薬価につきましては中医協でもいろいろ御議論賜っておるわけでございますけれども、現在の市場価格というものをできるだけ反映させるというようなことから、毎年薬価調査を実施いたしまして、その調査の結果に基づきまして、九〇%のバルクラインを引きまして、その線におきましての薬価というものを薬価基準の中に決めるというようなやり方をやっている次第でございます。
○村山(富)委員 薬価基準は、実勢価格の調査を毎年やるのでしょう。これは四月を対象に五月に実施するというのが決まっているわけですね。その決まっていることに私は問題があると思うのです。そうしますと、これはもう薬価基準の実勢価格の調査があるということを知っていますから——それは違うのですか。
○上村政府委員 薬価調査の時期というのは、四月の薬価を五月に調査するということで、これは中医協で決められておるわけでございます。実際問題といたしまして医療機関に販売をしておるすべての卸業者を対象に調べるわけでございますから、しかもその日常の取引が行われる過程で調べるわけでございますから、どうしても事前に時期を決めない限り調査は不可能に近いのじゃないかというふうに思うわけでございます。
○村山(富)委員 この調査は、四月を対象に五月に実施するということは毎年決まっておる……。
○上村政府委員 いま私、毎年と申し上げましたが、ことしやっておりますのは四月の薬価を五月に調査しておるということでございます。
○村山(富)委員 そうすると、毎年やる時期は違うわけですね。
○上村政府委員 これまで何回もやってまいっておりますけれども、年によって必ずしも同じじゃございません。二月のときもございますし、四月のときもあります。
○村山(富)委員 そうすると、その実勢価格の調査は卸売業者の報告を求めるだけでしょう。それはどうなんですか。
○上村政府委員 販売業者にその調査表を配りまして、そこで書かせるわけでございます。一方、医療機関の方にも調査表を配りまして購入価格を書かせるということになるわけでございます。
○村山(富)委員 そうすると、五十年にやった調査で、卸売価格と病院の購入価格と、平均どれぐらい差があると思いますか。
○上村政府委員 五十年は、御案内のように薬価調査が実施できなかったわけでございます。
○村山(富)委員 四十九年はどうですか。
○上村政府委員 四十九年の薬価調査に基づきまして決めました薬価基準と現在の実勢価格が具体的にどれだけ違うかという点につきましては、いま調査いたしておりますものを見ませんと最終的には把握できないわけでございますが、一部の薬品につきましては、一般的な経済不況の影響もありましてかなり価格の乱れがあるということは聞いておるわけでございます。
○村山(富)委員 四十九年には調査しているわけでしょう。そうすると、病院が購入する価格と販売業者が病院に売る価格、これと薬価基準の差がどれぐらいあるかということは大体わかるでしょう。四十九年は調査したのでしょう。
○上村政府委員 四十九年の薬価調査をもとにしまして現在の薬価基準を決めておるわけでございますね。したがって、その四十九年の薬価調査のときにその前の薬価基準とどれだけ差があったかというお話になるわけでございますか。
○村山(富)委員 五十年の薬価基準を決める場合に四十九年の調査が資料になるわけでしょう。いずれにしても四十九年には実勢価格の調査をしたのでしょう。その調査の結果、薬価基準と各医療機関の購入する価格と、平均どの程度の差があるように見ていますかということです。
○八木政府委員 四十九年の調査の結果、実勢価格と購入価格の差があるということから薬価基準の引き下げを行ったわけでありますけれども、三・四%という数字でございます。なお、総医療費にいたしますと一・二%という数字でございます。
○村山(富)委員 ここに医薬品の見積書というのがあります。これはマル秘になっておりますから下の方は消してありますけれども、これを見ますと——これは恐らくほとんど業者は同じようなものじゃないかと思うのですよ。たとえば塩化リゾチームなんというのがありますけれども、薬価は二十四円ですよ。医療機関が購入する価格は二円六十銭ですよ。四倍じゃないですか。あるいはまたキモーゼというのがあります。これは薬価は四十円、購入価格は六円ですよ。エンピナースというものがある。薬価は五十九円、そしてこれは購入価格は二十六円ですから、それにしたってやはり半分ぐらいですね。これを見ますと大手メーカーの場合には大体半値ぐらいですわ。たとえばビオタミンなんていう薬は、三共の場合に、薬価が十円、納入単価は五円ですから半分です。ほとんど全部が半分以下ですよ。三倍、四倍というのが二、三ある、これを見ますと。こういうのは認めますか。
○上村政府委員 そういった一部の取引で薬価基準を相当下回ったものがあるということは私承知しておるわけでございます。ただ問題は、実際に行われます取引というのはいろいろな条件が入るわけであります。たとえば取引数量が多い、少ないとか、あるいは支払いが現金か手形かとか、あるいは包装が大きいとか小さいとか、いろいろなもので決まるわけであります。そうして、市場で行われるいろいろな取引をもとにして、その薬価基準というのは九〇%バルクライン価格で決めるわけでございますから、実際の市場の競争というのは、今度は決まりました九〇%バルクライン価格というのを最高限にしてその中でまた競争が行われる、こういうことでございますから、九〇%バルクライン価格システムというものをとり、そしてそれを薬価基準に定めておることから来る構造的な乖離ということはあり得るわけでございます。
○村山(富)委員 それは競争ですから、取引条件がいろいろあることも知っていますし、大量に買えば単価は安くなるかもしれぬ。これは当然想定できますよ。この表を見ますと、最低注文数というのは決まっているわけです。最低これだけの注文をとってくれればこれだけの単価で入れますという見積書なんです。こんなのを見ますと、これはやはりもうかるはずだなと思いますよ。しかも大量に買えばもっと単価は下がる。そうしますと、大量に購入をして単価を下げて、そして患者に大量にやれば、これはいまの制度の中ではもうかることになっているわけですから当然そうなるでしょう。 そういうところに一つ問題がある。これは現実に病院の薬局におる人が内部告発しておりますよ。こう書いてあります。「例えば、アリナミンF25ミリ(一錠十円九十銭)とあれば、ビンタール(一錠二円四十銭)というふうに、投薬の段階で格安の代用薬を与え、その代金は患者の直接負担金も医療保険金とも、処方せんに基づいて請求し、その差額をだまし取るという詐欺投薬を多年にわたって続けている」。これは薬局の人が自分の名前を書いて出しているわけです。こういう実態をそのままにしておいて、そして、後で申し上げますが、被保険者、患者に一部負担だけ課したって無理じゃないですか。 こういうところにやはりメスを入れて、そして、やはり正すべきは正すということをやらなければ、もう総医療費はふくらんでくるばかりですよ。私は、総医療費が何ぼふくれても、そのことによって国民の健康が守られているというんならいいですよ。しかし、やはりこういうむだがあるわけですから、こういう点を本気になって是正するような気持ちにならなければ意味がないじゃないですか。今度中医協で薬価基準の登載の方法が変わるんでしょう。どういうふうに変わるんですか。
○八木政府委員 先般の中医協で御論議いただきまして、できるだけ市場の実勢価格というものを薬価基準に直接反映させるというようなことから、従来は同一限定収載方式ということで、銘柄に関係なしに一定の九〇%のバルクで引いたところで薬価を決めておったわけでございますが、今回はできるだけ個々の商品によりましてそれが実勢価格を反映させるというようなことで、銘柄別の調査の結果を銘柄別の収載方式にするという方向に中医協でも御了承を得たわけでありまして、次回の薬価の改正の際にはそういう方向で、できるだけ実勢価格というものを薬価基準に反映するという方向に持っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○村山(富)委員 いま私が指摘しましたような点をある意味では是正する意味で、銘柄別に薬価基準に登載する、こうなるわけですね。 そうしますと、これはまた問題がありますのは、ここに私は薬を持ってきておりますけれども、これは末梢血管の拡張剤です。ちょっとこの薬を見せますから、これはどこの薬かということがわかりますか。だれか専門家、見てください。——これは専門家が見てもわからないのですよ。同じ薬ですよ、いま私が出しましたのは。これだけ種類があるわけですよ。武田薬品のは単価が十円です。それからイワキ製薬というのが単価が五円です。日本カプセル、これは単価が四円五十五銭、沢井製薬が単価が三円です。三円から十円までの違いがあるのですね。これはもらった患者はわからぬでしょう。幾ら銘柄別にしたってこれはわかりませんよ。だからごまかそうと思えば何ぼでもごまかせますよ。それはもちろん全部のお医者さんがそうだと思いませんよ。しかし、これは経営ですから、自然にそういう方向に流れていくというのはある程度やむを得ぬと思うのです。こういうものを何か是正するような方法は考えていますか、どうですか。
○上村政府委員 まず、処方せんだけでやります場合には、処方せんにその薬品の名称が書かれるわけでございます。処方せんが切られるから、銘柄の処方せんを切ればその患者にはその医薬品の名前がわかります。それから、医療機関で薬剤の投与を受けますときには、その容器には薬品の名前は制度上書かなくてもいいことになっておりますので、そこに一つ問題があるのじゃないか。それからもう一つは、医薬品に薬品名が書けるかどうかという話になるわけでございますが、一部の医薬品にはそういったしるしがついているものもございますけれども、外形的に見ますと非常にむずかしい。結局は、その投薬を受けた患者さんがどういう薬をもらってきたかということについては、なかなか決め手になるようなしるしというのはつけられないのじゃないかと思うわけです。投薬する医療機関を信用するほかないわけであります。
○村山(富)委員 これはもう医師や薬剤師を信頼する以外に実際のところはないわけでしょう。ところが、この新聞の投書にもありますように、えてしてそういうことが行われているというふうに考えられないこともないわけですね。そうでしょう。だから、一番安い、いま申しました三円の薬を買って、その薬を患者に与えて十円で請求するということだってできるわけです。それを防ぐために銘柄別にしたんだけれども、しかし実際に行われている現場ではそんなことはわからぬわけです。現に専門家が見たって区別がつかぬのですから、まして素人の患者には区別がつくわけないですよ。私は、こういう点はやはり何らか是正をする方向に——過ちが起こらない方がいいわけですから、過ちが起こらないようにやはり何らかの方法を考えるということは必要ではないかというふうに思いますから、その点はひとつ今後の検討課題として与えておきたいと思います。 そこで私は申し上げたいのですけれども、第一番に、保険といえども、本人が現金を払わぬだけで、金は払っているわけです。いま物の売り買いをするのに、何を買ったから何ぼ払ったんだということをわからずに金を払うのは病院ぐらいなものじゃないですか、薬ぐらいなものじゃないですか。薬を薬局でもらう場合に、袋の上に何日分、食前、食後とか書いてありますよ。しかし、この中に入っている薬は何なのかということは患者は全然知らないわけですよ、書いてありませんから。現金を払わぬからいいようなものだけれども、やはり保険に対しては払っているわけですからね。したがって、私は、この際患者に対して薬の中身がわかるようにしてやるべきじゃないか。患者が薬を飲む場合も、この薬はこういうことに効くんだからという気持ちがあって飲めば、心理的にも効果が上がると思います。それの方が親切だし、当然ではないかというように思いますけれども、それはできませんか。
○石丸政府委員 一般論でお答え申し上げたいと思いますが、医師が治療を行います場合に、これは投薬のみに限りませんが、その患者の求めがございましたら診療内容についての説明を行うことが適当であるというふうに考えておるところでございます。しかしながら、この医療の内容というのは非常に複雑でございまして、たとえばがんの治療を行う場合に患者に知らさないとか、あるいはノイローゼの患者等に暗示的な効果を期待しての投薬を行う、そういったいろいろなケースがあるわけでございまして、すべての患者にその内容を知らせることが必ずしも適当ではないというふうに考えておるところでございますが、一般的に申しますと、やはり治療内容を患者に親切に教えることが適当だと考えております。ただ、それを制度としてどうするかという問題でございますが、先ほど薬務局長から御答弁申し上げましたように、やはりこれは医師の一つのモラルと申しましょうか、そういった面からの効果を期待するということではなかろうかというふうに考えております。
○村山(富)委員 がんとかノイローゼとか、特殊なものについては特殊な扱いの方法を考えればいいのであって、第一、これはもう繰り返しませんけれども、金を払うのに、何のためにこれだけ払う必要があるのかということも全然わかりませんよ。しかも、飲んでいる薬をお医者さんに聞くというのは、よほどの人でなければ聞きませんよ。それはある意味では信頼している面もあるでしょう。ある面ではこんなことを聞いちゃ悪いんじゃないかと思って遠慮する者もあるでしょう。だから聞かずに薬をもらっていますよ。だから半分飲んで半分捨てるとかということも行われるわけですよ。しかも、最近はいろいろ薬害が起こっています。あのスモンの患者がキノホルムを飲んだから何とかというので、カルテをもらうためにどのくらい苦労していますか。せっかくモニタリングなんかつくって、そして薬害の調査もやっているんでしょう。その患者がもらう薬の袋の上なら上に、あるいは中でもいいのですけれども、この薬はこういう薬です、こういうことに効きますからこういうように使いなさい、こういうふうに書いておけば、そういうものだってすぐわかるでしょう。だからいろいろな意味で私は効果があると思うのです。それを、がんやらノイローゼやら、そういうものもありますからなんということでそのままにしてしまったのでは、私はやはりいかぬと思いますよ。だから、そういう特殊な点については特殊な扱いの方法を考えればいいのであって、当然それぐらいのことはすべきではないか。どういう角度から考えても、医者と患者の信頼関係、あるいは患者の薬を飲む心理的な影響、同時に副作用の影響等々考えた場合に、それくらいのことをした方が成果が上がるんではないか、いいんではないかというふうに思うのですが、どうですか。
○石丸政府委員 これは一つの制度の問題として考えるか、あるいは一つの実態として考えるかという問題があろうかと思うわけでございます。一つの制度の問題といたしましては、患者からの求めがあれば処方せんの交付ということも行われておるわけでございますが、現状におきましては処方せんの交付を求める患者さんもほとんどいないし、またその内容の説明を求める患者さんもいないというように考えるところでございます。しかし、今後の問題といたしまして、医師と患者の相互信頼というような面からも、ひとつその対策を考慮してまいりたいと考えております。
○村山(富)委員 患者の求めがあればと言うけれども、求める患者というのは少ないのですよ。やはり遠慮があったりしますから、言わないのが通常ですよ。そこで、ここですぐ答弁はできぬでしょうけれども、ひとつ前向きに検討してください。私がいま申し上げましたように、いろいろな角度から考えてみても、それはやはり当然のことではないかと私は思いますよ。医務局長、いいですか。答弁はいいから——私が言っていることができませんというのなら別だけれども。まあ、やるにはいろいろな障害があるかもしれませんよ。問題があることも私は知っています。考えられます。だけれども、ひとつ十分前向きに検討してみますというくらいの答弁をしなさいよ。
○石丸政府委員 これは医薬分業の問題とも絡んでまいる問題だと思います。いずれにいたしましても今後、処方せんの交付とかいろいろな方法があろうかと存じますが、ひとつ検討させていただきたいと存じます。
○村山(富)委員 これは大臣、どう思いますか。
○田中国務大臣 投薬の内容を患者に知らせた方がいいのだということ、これは実は先生、いろいろ問題がありまして、しかく簡単にいくかどうかということは相当慎重に考えてみなければならぬ。知っていいものだけ知らせればいいのだったら、知らせられないときにおかしいぞということに患者さんはなるわけでございまして、これは私どものような人間がここで机上で考えるだけではなしに、専門家の御意見もよく聞いてみたいというふうに思います。経済的側面というものだけでこの医療の世界は律し切れないということだろうと思います。要は、要するにお医者さんが技術以外に薬でもって所得が上がるということがあるとするならば、そういうことをやめるようにしなければならぬというところに理由があるのだろうと思いますから、そうしたような方向についてまず私どもは努力をやるべきじゃないかというふうに思います。しかし、この問題について、私がさっき言ったように専門家の御意見も聞くというのですから、決して先生のお話を無にするというわけではございません。こういうお話が村山富市先生からあったから、一体どうお考えになりましょうか、専門家としては、ということでいろいろ聞いてはみますが、私は、いろいろ問題があるのじゃないかというふうに思います。
○村山(富)委員 いや、聞いてはみますだなんという気休めな答弁ではだめですよ。そうでなくて、さっきから言っているように、薬剤費がこれだけ高まっている。第一、医師が薬を売ってもうけるということも間違いではないかということが一つあるでしょう。それからまた、むだに、必要以上に大量に薬が消費されている。ある意味では浪費されているという部面もあるでしょう。しかも、その薬の害やらいろいろな部面やらを考えた場合に、私はやはり何らかの方法を考えていかないと、このままでいいんだということにはならないと思いますからね。
○田中国務大臣 私がさっき答弁したように、お医者さんが薬でもって収入が上がるという仕組み、これをやめるのだ、なくするのだということが私は問題解決の最大の焦点だろうと思うのです。そのやり方はどれがいいのか、こういうことになるだろうと思います。薬価基準と実勢価格との乖離をどうするか。とにかくよけい出るというのも、むだによけい出ているわけじゃないので、結局医学上の問題もあろうと思いますが、先生が強いて言いたいところは結局、薬を大量に投与すれば何かいいことがあるから……。やはりそこなんですよ、先生。ですからそこのところを抑えるように今後努力しなければならぬ。この点については私は先生と意見が一致します。その手法、やり方についてはいろいろ検討させていただきたいと思います。
○村山(富)委員 ですから、そういういまの制度のあり方を変えていくということが一つと、それからもう一つは、患者と医師との関係等についても、やはり薬の投与については患者としての関係の中で検討を加えてみる必要があるんじゃないかという意味で私は申し上げたのです。そういう点も含めて今後十分ひとつ検討してもらいたいと思うのです。 最後に、もう時間もありませんから、一番大きな問題の一部負担の問題について触れておきたいと思うのですが、一部負担の問題については、これはもういろんな意味で話もあると思いますし、私どもはこの一部負担をいまの原案のまま承知することはできないという前提に立っていますから議論はいたしません。議論いたしませんけれども、ただここで明らかにしておいてもらいたいと思いますのは、この一部負担は一体どういう目的で取っておるのか。たとえば財政上の理由なのかあるいは受益者負担という考え方なのか、あるいはまた受診の抑制を図っていこうという考え方があって取っておるのか、どれなんですか。
○八木政府委員 一部負担のあり方、性格等につきましては従来からもいろんな見解が分かれておることでございまして、沿革的に見ましても、いろんな機能がどういう意味であるのだろうというようなことにつきましては議論が分かれておるところでございます。通常言われておりますのは、給付を受ける者と受けない者との負担の均衡を図るとか、あるいは乱受診の防止を図るとか、あるいは健康に対する自己責任の高揚とか、あるいは保険財政上の必要性というような、いろんな理由があろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、こういうような点を総合しました上で現在の一部負担というものがあるんではないかというふうに考えられるわけでございます。今後一部負担のあり方についてどういうふうに考えるべきかということは、ただいま申し上げましたようにいろいろな議論なり見解が分かれるところでございます。実は社会保険審議会でもこの問題を議論いただいたのでございます。この問題につきましては、積極的な立場からあるいは消極的な立場、いろんな御議論、それぞれのお立場、お考えによりましていろんな御意見があるところでございまして、この点につきましては今後の問題としましてさらに検討を進めてまいりたいということでございます。 したがいまして、私どもといたしましては、これだけ種々な御議論なり御意見がある問題でございますので、そういうような基本的にあるべき姿ということにつきましては今回は触れないで、従来ございました一部負担金というものにつきまして、その金額の面におきまして四十二年以来据え置きになっておりますので、その後の経済情勢の変動等に見合いまして、各種の経済指標あるいは医療費の伸びあるいは所得の伸び等を勘案いたしまして、この程度の額でございますれば国民の皆さんにも十分御理解、御納得いただけるんではないかというような考え方で、今回の改定額を改正法案で御審議をお願いしているような次第でございます。
○村山(富)委員 その一部負担の性格なりあるいは何のために取るのかという目的なり、そういうものはなかなかはっきり申し上げることができぬと思うのですね。なぜかといいますと、できた当座からいろいろ御議論はあったのですよ。あったけれども、一遍できてしまいますと、それはいま局長が説明されましたように、所得の伸びやらあるいは経済情勢の変動やらあるいはほかとの均衡やら、そういうものでだんだん上げていくだけの話であって、性格はだんだんぼけてきて、何のために取るのかというのがわからなくなってしまうのですよ。そういうものになっておるのではないかというふうに思いますから、したがって、その一部負担のあり方なんかについてもやはりもっとはっきりする必要があるんではないか。そうでないと、ただ他との均衡上、ほかのものが三倍上がりましたから今度はこれも三倍上げますというようなかっこうだけではなかなか納得し切らない、そういう点もありますから、そういう点はひとつ十分理論的に深めてもらいたいというように思います。それがまた保険制度を変えていく一つの根幹にもなるわけですから、したがってそういう点はひとつ積極的に取り組んで解明をしてもらいたいというふうに注文をつけておきます。 そこで、今回の引き上げを見ますと、これは恐らく、四十二年以降の医療費の伸び、これは大体三倍になっておる、それから国民の可処分所得が大体三倍になっておるというので、ほかとの均衡もあって三倍に上げたのではないかというふうに推定されます。これは時間がありませんから私の方から申し上げますけれども。そうしますと、入院料の一部負担を一カ月から六カ月に延ばしたという根拠は私にはちょっと理解ができぬのですよ、そういう計算からしますと。これはどういうところなんですか。
○八木政府委員 ただいま先生からもお話ございましたように、今回の一部負担金の金額の改定につきましては、各種の指標を基礎にしまして引き上げたわけでございます。そういうような面から申しまして、現在の入院時一部負担金一日六十円というのを二百円というふうに引き上げている次第でございますけれども、考え方といたしまして、この程度の額の引き上げでございますればある程度国民の皆さんにも御理解賜るのじゃないか。しかも、六カ月間という期間の延長につきましては、この間は傷病手当金の支給期間でもあるというようなことから、従来の考え方を根本的に変えたということではなしに、従来の質と同じような問題につきまして傷病手当金の支給期間等も勘案いたしまして、この程度の御負担というのはお考えいただけるのではないかというふうな意味で六カ月というのをお願い申しておるというような次第でございます。
○村山(富)委員 さっき冒頭に議論しました一部負担の根拠やら目的やら何かからしますと、この入院料の一部負担というのは私にはどうもわからぬのですよ。初診時に取るやつはある意味では私なりにわからぬことはないのです。だけれども、入院時の一部負担というのは何で取る必要があるのか、何で今度また一カ月から六カ月に延ばしたのか、本当にわからないのです。いまあなたの説明を聞きましても、それは傷病手当が支給されるというだけの理由なら、いままでだって支給されていたのですからね。今度上げた理由は一体何なのか、延ばした理由は何なのかということになれば、これはちょっと理由にならぬでしょう。ですからこれは相当無理があると思うのですよ。この一部負担については私どもは絶対に承服できませんから。できないという立場で聞いたわけでもないのだけれども、まだ私なりに問題点の解明ができぬものですから一応ここで聞いてみたわけです。この一部負担の引き上げについてもいろいろ問題があると思いますね。 総体的に申し上げまして、いままで申し上げましたいろいろな問題点、たくさんあります。問題は保険制度をどう抜本的に変えていくのか。不平等があれば平等にしていく、格差があれば格差を是正していく、そして国民が同じ負担と同じ給付を受けられるような条件を整備していくということが必要でしょうし、同時に、医療を供給する体制もいろいろ欠陥があるわけですから、薬の問題も含めていろいろな問題点があるわけですから、そういう点もやはりもっと本当に国民が安心して、国の責任であるいは自治体の保障で命と健康は守られておる、われわれはどこへ行っても安心だというような制度をつくり上げるためには思い切った抜本的な改正をする必要がある、改革に手をつける必要があるというふうに思いますから、そういう点も今後積極的に取り組んでいただくことを強く期待をして、私の質問を終わります。
○山下(徳)委員長代理 次に、寺前厳君。
○寺前委員 最初に、健康保険法の一部改正についての質問をいたします。 この間、本会議で、体系立って総理大臣を初め厚生大臣その他の方々の御回答をいただいております。詰めてもう少しやりたい点もありますが、時間の関係で、きょうは予防接種法についても質問をいたしますので、重点的にお答えをいただきたいと思います。なお、当委員会においては石母田委員なりあるいは田中委員の方から本格的論戦をやる予定をしておりますので、私は周辺の問題について触れてみたいというふうに思います。 いま村山委員に最後に局長さんから一部負担の問題の意見が出ておりましたので、その問題を引き続いて私もそれじゃと思って最初に聞いておきたいと思うのです。 今度の法改正で一番焦点になっている一つは、一部負担が余りにも大きいじゃないかという問題であります。初診時の一部負担二百円が六百円にされる、入院時の場合に一日六十円が二百円にされて、しかもいまは一カ月であるというものを六カ月問にわたってやる。金がなければ入院できない。せっかくふだんから高い保険料を払って、そして万一のときを考えておる人々に対して、保険あって医療は存在しないというような事態をこの面からもつくっていくことになるではないか、これが一番の批判の中心になっていると思うわけです。ところが、いまの局長さんの御答弁を聞いていると、これは御理解いただけるというお話がございました。 私は大臣にお聞きしたいと思うのです。果たして御理解をいただけるという性格なのかどうか、この一部負担が。なぜかというと、現に私どももこれについては撤回をしなさいということを本会議で言いましたが、他の党の諸君も同じ問題を提起しています。しかも自民党さん自身が、けさほど私たちに対して御提示がありました。その御提示を見ると、初診時一部負担は四百円にする、入院時一部負担は一日百二十円とし、これを支払うべき期間は現行どおり一月にとどめる。そうすると、私どもだけじゃなくして、すべての党がこれについて理解しないという態度が、中身に差はあっても出てきている。この時点に立って厚生大臣として、局長さんは御理解いただけると言われたけれども、どの党も理解できないということを具体的にもう表明をしてしまっている、それでも理解がいただけると思われるのかどうか、これが一つ。 それから、いま出されてきているこの修正です。自民党さんのこの修正によると、七月実施としての金額は初診時八十五億が四十三億円になる、入院時は二十六億円が五億円になってしまう。そうすると何ぼになるのですか、六十何億円ですか、という財政上の、財政計画に影響を持つわけですが、百五十億からの予備費があるからその程度のことは処理することができるとおっしゃるのか。それとも弾力条項、国会の法律の審議事項外にあるところの問題、そこへ持っていってそれじゃそのことの相談をしようということになるのか。一体、こういう修正をわれわれが出した場合には、厚生省としてそれじゃ予算の編成の面からいったらどういうふうに対応されるつもりなのか。私は、この法律がきわめて遺憾だと思うのは、弾力条項が保険料の料率アップについては存在しているために、全面的にこの保険の問題について国会で、法律面だけでやっている限りでは出てこない面があるから、ですからこれが相関関係になって、法律面でこれを削ったならば弾力条項で影響せざるを得ないんですということになってしまうのかどうか。それとも別途に国家の予算を組んででもやらなければならないというようにおっしゃるのか、私は厚生大臣に聞きたいと思うのです。 もう一度言います。それはすべての党が理解していないという事実、御理解いただけるという判断に局長さんは立っておられる、このことをどう思われるのか。第二点は、修正をやった場合には、これは収支バランス問題も関係する問題だけに、一体その場合には法律事項でない弾力条項その他のところで解決をされるというのか、予備費の中で解決されるというのか、どういうことになるのか、御見解を聞きたいと思います。
○田中国務大臣 本案が大変各党の間で御批判があり、のみがたいものであるという話はすでに私もよく聞いております。しかし、法律案を策定をし、予算を組んで出した保険局長としては、ぜひ御理解願いたいというふうに申したものというふうに私は理解をいたします。 修正の話、これは私は知りません。事実、与党でどういうことをなさったのか、どういうことですか、いま初めて実は私は承っておるわけでございまして、これについては私は本当に全然、そのようなことについていま初めてここで聞きます。のみならず、この修正の話というのは、大体国会のしきたりでは、委員会の速記のついたところで議論が出たということは、私、二十年以上の国会議員の生活で今回が初めてでございますが、いずれにいたしましてもそういう点については私どもは知っておりません。したがいまして、そうした修正がここで出てきたということについて、自由民主党も理解していないのではないかというのですが、私どもは与党にはこのことについて法案を提出する前には御了解を得て出しておるのですが、与党の方々も政治家ですから、諸般の情勢を見ていろいろお考えになっているのではなかろうかと推察をいたします。 〔山下(徳)委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 また、修正の内容について、私どもは関与をいたしておりませんから、したがってどういうことになるのか、そしてその話というものがどういうふうに落着するのか。私どもとしてはただいまのところは本案でお願いをいたしたいと申し上げているところでございますので、この修正内容がどういうことになるのか、修正があるのかないのかということでございますが、仮にあったとする場合どう対処するのかということについては、修正内容についての結論を私どもはまだ見ておりませんものですから、これに対してどう対応するかということについていまにわかに申し上げるわけにはいきません。弾力条項を使うのか使わないのかと言われても、内容がはっきりいたしませんから申し上げられない段階でございます。ただ、弾力条項というのはむやみに使うべきものじゃないということだけは私は考えております。
○寺前委員 弾力条項をむやみに……。
○田中国務大臣 ちょっと訂正します。むやみにと言ったのはちょっとぐあいが悪いので、安易にというふうに訂正をさせていただきます。
○寺前委員 安易でもいいです。しかし、これは赤字になった場合には弾力条項を発動するなりしてちゃんとしないことにはお金は借りられぬということが、一方ではちゃんと決まってますね。これはこの前の国会の法案審議のときに問題になった点ですから。そうすると、いずれにしたって何十億かの金を修正するという事態が生まれたら、その事態については何かのところをなぶらぬことには収支決算がうまくいかぬ。赤字をつくってでもいいということで乗り切れるのかどうか。どこかにしわ寄せを何らかの形で示さないことにはその組み立て方は成り立たないということになると思うのですが、局長さん、それはどういうことになるのでしょう。
○田中国務大臣 いずれにいたしましても、いまここでもって修正の内容が固まっていないのですから、これをどうするかということについては私ども申し上げられないわけであります。非常に軽易な場合には行政努力でやったこともございますし、あるいはまた諸般の情勢を見てこの程度ならいけるとか、いろいろなことが考えられるわけでございまして、それが大幅なときにはまた独特な対策も考えなければなるまい。そういうことでございますので、この修正をめぐってどういうふうにやるのか、修正案が定まる過程においてこれはわれわれが考えるべきことであろうと思います。いまのところ、私どもとしては修正ということについて与党の方の動きというものも余り知りませんものですから、明確なお答えは今日ただいまの段階ではひとつ御勘弁を願いたいということでございます。
○寺前委員 私は別にここでどう修正しようとか、そういうことを言っているわけじゃないのです。もしも院が修正した場合には予算上どういうことになるかなということで意見を聞いただけでありまして、こうだったらこうせいとかいうことで、ここで決まってもいないものを皆さんに言おうということは毛頭ございません。いまお話を聞いておったら、行政的にも措置できることが従来もあったようだというお話もございますので、行政上、そういう程度のことだったら処理できるのかなということもまた一つの参考意見として聞かせていただいて、国民の皆さん方が一番の問題にしておられるこの一部負担について、これは撤回するようにしなければ保険制度としては大きな問題だと思っているということを私は意見として申し上げて、次にいきたいと思います。 私、周辺の問題を主としていろいろ聞いてみたいと思うのです。 最近、山下頼充さんとおっしゃるNHKの職員の方の五つ子の赤ちゃんの問題がありました。昨日も大臣に、私どもの党の石母田、田中両議員からこういう問題についての配慮方の申し入れをやりましたが、テレビを見ておると、子供さんが鹿児島からいよいよ東京へお帰りになって、また病院に入られた。そして、未熟児の方々をどう育てていくかということが親御さんの責任でなされていくことになるわけですけれども、これは、家族の入院費の問題とかあるいは退院後の養育を保険でめんどうを見ていくということになったら大変なことだな、これはどんなふうにされるのだろうか、私は心配でかなわないのですよ。こういう問題について、それはしようがないのだ、ふだんからこういうふうなときにはこうなるように保険の制度もちゃんとあって措置しているんだということでおしまいなのか、こういう特殊な場合には社会的な責務として別個に考えなければならないのか、そこはどういうふうにお考えになっているのか、お聞きしたいと思うのです。
○石野政府委員 未熟児の問題につきましては、先生御案内のとおり、未熟児養育医療という制度がございまして、未熟児の段階を過ぎるまではここでごめんどうを見る、こういう形になっております。その後になりますといろいろ問題がございますけれども、こういう未熟児から出発した問題につきましては、たとえば心身障害の問題も全然ないわけじゃございませんので、そのおそれもありますから、そういう研究という形で助成的なものもある程度考えております。これは医療保険あるいはそのほかのものになりますとなかなかむずかしゅうございますけれども、ある範囲内では助成できる、こういうことでございます。
○寺前委員 後々育てるのは大変なことだと思いますので、大臣、特別にもう一度よく研究をしていただいて、何らかの手を打つ必要があると思うのですが、いかがでしょう。
○田中国務大臣 寺前さんが御心配になっていることを実は私も厚生行政の責任者として、生まれた途端にもう心配しておるわけでございまして、今日までどういう費用がかかり、どのようにしてこれを償ってきたかということも一応聞きました。問題はこれからが大変だというふうに私どもは思っているわけでございます。ただ、こういうケースというのはそうやたらにあるわけではございません。また制度においても予想をしておらなかったわけでございまして、制度がございません。したがって、こうした事象に対応してどういたすべきかということについて制度化したものがございませんが、実態が実態ですから何らかのことを考えなければなるまい。しかし、これにはまた所得保障的な一面があり得るだろうと思うのです。いままでは、言うなれば医療面の配慮というものをしていけばよかったのですが、今後は所得保障的な一面があるということになりますれば、これはやはり御本人というか御家族の方々の御意向もいろいろ尋ねてみなければなるまい。いずれにしてもそうしたことをやって、何らかの手当てをしたいものだというふうに思っておりますが、いまだ結論を得ておりません。御心配のほどは私も先生と同じように考えております。
○寺前委員 次にいきます。 人工腎臓による透析治療の進歩と普及によって、現在透析患者は全国的に見ても一万二千はおられると思うのですが、間違っておったら訂正していただきたいと思います。こうした結果、一週間に二、三回の透析によって患者の方々は命を長らえ、社会生活を送ることを可能にしてきました。ところが、一回の人工透析には六時間から八時間を要するということから、現に働いている患者さんは、昼間透析するということになったら職場を休まざるを得ない。これが、せっかくのいい措置ができてきていながらもまた別な面から困難を来させる要素になっている。そこで夜間透析を求める人々の声が強くなってきているというのが現実だと思うのです。 ところが、夜間透析をやるということになると、病院にとっては特別な人員配置をしなければならないということになってくる。また、医療収入が保険の分野で夜間のこういう措置に認められるような状況になっていない。そこで、私は別に、保険制度でこれを導入せよとかあるいはまたどうせいとかいう意見を言うわけではありませんが、現実にお役に立つようにするために、夜間透析を可能にする、そのための医療収入の面からの保障を何らかの形でしないことには現実に進まないという問題を含んでいるので、そこをどうされるつもりなのか。これは関係部局が違ってくるだけにどなたが御答弁になるのか知りませんが、御回答いただきたいと思います。
○石丸政府委員 人工透析の実態についてまずお答え申し上げたいと思います。 昭和五十年六月三十日現在の数字でございますが、わが国において人工透析を実施いたしております患者は一万一千六百五十八名、かような数字になっております。そのうち夜間透析を実施している患者は二千五十人、透析患者のうち一八%の患者さんが現実において夜間透析を受けている、かような実態になっておるわけでございます。 そこで、社会的に働きながらかような治療を受けるということで、この夜間透析を今後さらに普及していく必要があろうかと思うわけでございますが、そのためには、ただいま先生御指摘のように、医師あるいは看護婦等の医療関係者の確保という問題があるわけでございます。やはりそういったマンパワーの関係から、現時点におきまして夜間透析が制約を受けておることは事実でございます。そのほかに、先生御指摘のように医療費の面もあるわけでございますが、まずマンパワーの点での制約があるわけでございます。かような点につきまして、昭和四十七度から医師、看護婦等を対象にいたしましてこの人工透析の研修を実施いたしまして、現在約千三百名の研修を実施しておるところでございます。内訳は、医師が四百九十名、それから看護婦七百六十九名、かような数字になっておるところでございます。現在、人工透析の医療が医療機関の経営を圧迫しているか否かにつきましては、まだわれわれつまびらかな資料を持っていないところでございますが、やはりかような時間外におきます診療というようなことで、特に人件費等の問題では今後考慮していかなければならない問題ではないかと考えておるところでございます。
○寺前委員 今後考慮する。そうすると、それはもう保険で考慮するというのじゃなくして、別途に検討してそういう体制を保障することを考えましょうということで理解をしていいのですか。
○石丸政府委員 この保険診療費とも絡みがあるわけでございまして、第一義的にはやはりかような医療行為に対しましては保険診療費で賄うべきものではなかろうかと考えるわけでございますが、公的病院等といたしまして特殊な使命としてこの腎臓の人工透析法が必要であり、またそれが公的医療機関の経営を圧迫するというような事態があるとすれば、さらにそういった面からの公的病院への助成という面から検討をいたしたいと考えておるところでございます。
○寺前委員 公的病院についてはそうやって検討する。しかし、日本の医療というのは、開業医さんなり広範な人々によって、協力していただいて支えているというのが現実です。そこに対するところの施策を抜きにしてこのことを語ることはできないと思う。その点では、その分野の方々に対しては保険で夜間の体制に対して特別にめんどうを見なければ、これは現実化しないじゃありませんか。だから、保険で見ないのだったら、何らかの形で別途見ることを考慮しなければいかぬことになるじゃないか。そこはどうされるつもりなのか。
○八木政府委員 先生御指摘の人工透析の問題でございますけれども、一応現在の保険のたてまえでは、昼間、夜間のいずれでございましても診療報酬はその分は支払われるわけでございます。けれども現実に夜間に人工透析のケースが出てきたという場合にどうするかという問題でございます。患者の方が入院して、特にお医者さんの御判断でどうしても病室に収容し、かつ入院サービスをする必要があるという場合には、これは入院料の算定ということでできるわけでございますが、これは先生が言われております一般的なケースの場合ではないのではないかと思われるわけでございますので、それ以外の問題になってまいりますと、むしろ時間外加算の問題をどうするかということになろうかと思います。この問題は現在新たに出てきた問題でございますし、保険の中でどういうふうに取り扱うかという問題になりますと、時間外加算の取り扱いを考えるべきかどうかという問題になってくるわけでございます。この問題になりますと、学会なりあるいは中医協の場でいろいろ御論議を賜るということになろうかと思いますので、先生御指摘の問題につきまして、今後われわれの研究課題とさしていただきたいというふうに思います。
○寺前委員 では、次に移ります。 公費負担の医療として、小児慢性疾患についていろいろ対策が今日までとられてきました。ところが、小児の慢性疾患について十八歳までにその対象がずっとされてきておったわけですけれども、現実には、その子供たちは十八歳過ぎてからも引き続いて、この事態の解決はつくものではありません。そうすると、十八歳で区切ってしまうということではだめなんじゃないか。将来にわたって検討する必要があるのじゃないか。私も自分の子供がネフローゼにかかりました。高等学校の一年生のときでした。そのときにこの公費医療制度の持っている意味というものを、一緒に病院に入っておる子供たちを通じて親御さんの意見も聞いてつくづく感じたわけですが、同時に、血友病の人も私は見ました。ここでもやはり十八歳。これは前はもっと小さい年齢でしたが、十八歳ということだけではこれは現実的ではないのじゃないか。そこには私は延長問題というのをどうしても考えるべき性格だと思うのですが、一体どうなっているのでしょうか。
○石野政府委員 現在、小児慢性特定疾患につきましては九つの疾患群がございまして、それぞれについての対策をとっておるわけでございますが、その中でも特に十八歳までになかなか治らないという問題がございます。そこでいろいろ議論いたしまして、実は五十一年度予算におきましてはネフローゼとそれから心疾患、特有性がございますので、これについては二十歳まで延長を認めるという形にいたしたわけでございます。そのほかのものまで広げるかどうかにつきましては、これは非常にむずかしい問題がございまして、どれとどれとを区別するかということもございますし、それから難病対策全体との絡みもございます。そういう意味で今後研究さしていただきたいと思いますけれども、五十一年度におきましてはとりあえずそういう形をとった、こういうことでございます。
○寺前委員 地方の自治体においては独自に検討されていることでもありますので、地方自治体で考えてもらえるところだけが対策が打たれて、そうでないところは打たれないということでは困る。私は、この種の問題は国が音頭を取って全面化されることが必要だと思いますので、いま局長さんがおっしゃったように、検討するということで引き続いて全面化されるように期待をしたいと思います。 この際に私は、学校保健法によって学童の尿検査が行われるようになってきていることを非常に喜ぶものです。ところが、この尿検査が一年置きの検査となっているというのが現状です。腎疾患、糖尿など、早期発見のために尿検査というのは非常に意味があるけれども、一年置きにやっているという結果が生まれているのですが、厚生省としてこれは医学的に見てどういうことになるのでしょうか。一年置きでいいのでしょうか。
○佐分利政府委員 学校保健は文部省の所管でございますが、文部省は四十七年十二月の保健体育審議会の答申を受けまして、四十八年五月十七日、学校保健法の施行規則を改正いたしまして、腎臓疾患、心臓疾患を健康診断の中に入れたわけでございます。その施行規則によりますと毎年一回実施することを原則としておりますが、学校は全国にばらまかれておりまして、辺地、僻地等では実施能力が不十分なところがございます。したがって、そういうところは、六学年のうち二年、四年、六年についてはやらないでもいいということになっております。文部当局といたしましても、これはできるだけ実施体制を早く整えて、全学年毎年一回やるようにしたいと考えておりますし、また、御質問の医学的な立場から考えますとやはり年に一回やるべきであると考えております。
○寺前委員 文部省の人、おりますか。——私は地方へ行ってこの分野の人から厳しく言われるのです。医学的に考えて、二年に一遍というのはこれは何が根拠なんですかと言われて、私は素人だから、所管の委員会におりますがわかりませんと言わざるを得ない。いまも局長さん、そういう話だったのですが、文部省としてはどうするつもりですか。
○遠藤説明員 腎臓の疾患に関する検査あるいは心臓疾患に関する検査につきましてはいろいろな方から御意見がございまして、先ほど厚生省の方から御答弁いただきましたように、現在、審議会において審議をしていただき、四十九年度から検査項目に加えたわけでございますが、これを実施するに当たりまして、学校関係者あるいは医療関係者の方々あるいは検査機関の方々に実態を徴しましたところ、これを直ちに毎年度一斉に行うということについては技術的にもむずかしい面があるというようなことがございまして一当面一年置きということを義務づけておるわけでございますが、将来はこれを毎年度行うように、そのような体制が整うように促進はいたしたいというふうに考えております。
○寺前委員 それじゃ早くそういう体制をつくってお役に立つようにしてくださることを要望してこの件は終わります。 次に、国保の問題についてちょっと聞いてみたいと思うのです。 市町村で行っている国民健康保険事業は、医療費の増加によって毎年のように大幅な保険料の値上げをせざるを得なくなっておる。ところが、商工業者や農民、そういう人々がこの保険に入っているところから、保険財政としては非常に苦しい要素を持っています。 〔竹内(黎)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕 ところが、この分野で働いている人たちにとっては、たとえば零細なお商売をやっている人たちは病気になった途端に行き詰まってしまう。それは働いている普通の人だったら傷病手当をもらい、そして治療を並行してやることができるけれども、この分野の人たちはそういう制度的な保障がないために、体を治すことと生活とが一体になって、やり得ないという事態に陥らざるを得ない。ですから、この分野の人たちにとって、傷病手当金問題というのは私たちのように働いている人間にも保障してもらいたいというのは従来からの強い念願であったわけです。それを促進させるためには何と言っても国家がそのことに対する助成政策を打って出ないことには、今日の市町村が財政的にも大変な段階だけに、よけい一層こういう保障制度というのはできないと思うのです。ですから私はそういう意味で、傷病手当金制度を市町村が実際上執行できるように、そのための助成制度をこの際考えるべきだと思うけれども、この分野についてどうお考えになっておるのか、お聞きしたいと思うのです。
○八木政府委員 先生からお話がございました国保におきます傷病手当金の問題でございますが、現在これは任意給付でございますが、市町村の国保財政が先生御存じのように非常に窮迫している状況であるというようなことから見ましても、市町村で現在この傷病手当金制度を実施しているところは二カ所のみでございます。 そこで、ただいま先生の御指摘は、傷病手当金制度を保険者に義務づけるということはどうかというようなことではないかというふうに思うわけでございますけれども、現在の市町村の国保財政の実情から見ますと、療養給付費の関係につきましてまず財政が非常に苦しい、これをいかに健全化を図るかというのが焦眉の急でございまして、率直に申し上げまして、とうていそこまで手が回らないというのが実情ではないかというふうに思われるわけでございます。もし現在の市町村国保に傷病手当金制度を導入するということになりますと、そういうような財政問題もありますとともに、相当の保険料の負担という面も考えていかなければならないのではないかという面から申しましても、もちろん公的な国の財政援助のほかにそういう被保険者の負担の問題ということも出てくるわけでございます。 さらに、実際上の実務的な、技術的な問題といたしましても、国保の被保険者の場合には先生お話しのような被保険者の階層もあるわけでございますけれども、国保の被保険者の範囲というのは自営業者等も中心になっておりますし、被用者保険と比べまして、被保険者の構成なりあるいは就業形態なり、非常に構造が違い、複雑、多岐多様であるというような状態から見ましても、傷病手当金制度におきましては傷病によります所得の減少を何らかの形で保障するというのが傷病手当金の考え方でございますけれども、休んでいるという状態をどういうふうに把握するか、あるいは支給の対象の問題、支給金額のとらえ方、この辺等につきましても技術的に非常に困難な点が多々あるわけでございます。したがいまして、国保の現在の市町村の財政状況から見ましても、あるいは被保険者の負担の面から見ましても、あるいは実施の事務的、実務的な面から申しましても、率直に申しまして非常にむずかしい問題であるというふうにお答えせざるを得ないのではないかというふうに思う次第でございます。
○寺前委員 私は、これはやはり治療と生活と相関連する問題として非常に大きな位置を占めるだけに、たとえば市町村で積極的にそのことを検討し始めるということになったら、国家はそれに対する助成を考えるというようなことからでもこれは検討されることを要望したいと思うのです。 次に移ります。国保の問題との関連においては分娩費です。国庫補助三分の一としておられますが、その補助対象額はやっと五十一年から全国的に四万円の水準になるとされております。ところが健康保険法ではもうすでに四十八年から六万円になっており、今回の法改正では十万円にしようとしておられます。そうすると、労働者と農民と出産の費用がそんなに違うのか。やはりこういうものについては、ILO百二号条約の基準で示されているように分娩費用は全額給付すべきものなのだという立場からこれを考えてみた場合に、この健康保険法と国民健康保険との、この分娩費をめぐるところの差の解消のために特別な対策を組むべきだと思いますけれども、どういうふうにお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。
○八木政府委員 被用者保険の分娩費、国保の助産費の給付水準のあり方といたしましては、皆保険下でございますので、できるだけそういう方向に持っていくべきであるという点については、先生御指摘の方向というのが基本的な方向としてはあり得ると思う次第でございます。しかし、国保の財政状況、現在非常に苦しいわけでございまして、しかも国保の助産費につきましては、国としまして現在任意給付として実施されているわけでございますけれども、これが各市町村を通じましてできるだけ改善されるという方向が望ましいというようなことから、現在国庫補助の制度を設けているわけでございます。単価につきましては、お話ございましたように二万円から四万円に改善するという措置を五十年度においてとったわけでございますけれども、五十年度におきましてはまず、現在の二万円を四万円に全市町村を通じて広げていくという第一歩といたしまして四分の三の予算措置を講じたということでございます。そこで五十一年度におきましてはこの四分の三という範囲を、全保険者が足並みをそろえまして四万円にできるような措置をしたというのがまず第一段階でございまして、五十年度の四分の三を全国的に拡大したということでございます。 なお、今後の改善の問題につきましては、なかなか国保財政が苦しい状況であるわけでございまして、一挙に引き上げるということになりますとなかなか、保険者の財政状況等も考えなければいけないわけでございまして、しかも現在、国保の財政につきましては、他の医療保険にないような、非常に厳しい、きついというようなことから大幅の、臨時財政調整交付金を入れますとほとんど五割に近いような異例の国庫補助を行っておるわけでございますので、当面まず四万円にとどめるという段階でございまして、改善の問題につきましては今後の問題としまして取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○寺前委員 次に移ります。 国民健康保険組合の問題です。全国で二百八十組合ほどあると私は知っているわけですけれども、間違っておったら直してもらったらいいですが、たくさんな業種の組合にこれが分かれております。したがって、国保組合のそれぞれの財政能力というものが差があるわけですが、定率補助は二五%で、上積みしている臨時財政調整補助金の配分、五十年度の配分の実績と、世帯当たりの保険料額は一体どうなっているのか。建設業など新設組合と既設の一般業種の組合と医師、歯科医師の組合などに分類してどういうことになっているか、ちょっと聞かしていただけますか。
○八木政府委員 ただいまのは保険料の関係でございましょうか。——保険料につきましては、現在国保組合につきましては定率の二五%でございますけれども、先生お話しございましたように、個々の組合によりまして財政状況が違うというようなことから、特別の臨時財政補助金につきましては個々の組合の態様によって差を設けているわけでございますけれども、財政の弱いような建設関係の団体等に対しましては重点的に国庫補助が行われているわけでございます。 そこで、いまお話しございました一人当たりの、五十年度の予算の面で見まして保険料額について見ますと、新設組合につきましては二万二千三百七円、それから既設の組合につきましては二万四千八百四十六円、それから医師、薬剤師等につきましては三万五千六百二十七円というような数字になっております。
○寺前委員 臨時財政調整補助金と言うんですか、これの配分率ですね、新設全体として何%、既設全体として何%、医師全体として何%を占めるのか、それぞれが全体の中で。それが一つと、それから新設組合の保険料というのは大体何ぼぐらい払っておるのか、それぞれの組合の平均ですね。平均の保険料は、新設の場合だったら何ぼ、既設の場合だったら何ぼ、医師などの場合だったら何ぼ。わかりますか。
○八木政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、保険料の数字で申しますと、新設の平均が二万二千三百七円という数字でございます。 それから、国保組合に対します臨時財政補助金の医療費に対します割合につきましては、新設組合等につきましては財政状況が非常に悪いというようなことから重点的に考えているわけでございまして、定率の二五%の国庫補助のほかに、新設につきましては一六・四%、それから一般につきましては一一・五%というような臨時財政補助金が行われているというようなことでございます。
○寺前委員 医師なんかはどうなのですか。
○八木政府委員 医師会につきましては一・二%という数字でございます。
○寺前委員 臨時調整補助金というのは、六年ほど前になりますか、新設の組合が日雇健保の例の擬適の打ち切り後に設けられたものだと私は理解しているのですが、それが最近では百億を突破して百四十億という段階になってきたというふうに思うのです。そうすると、国庫補助が実質上こうやってついてくるのを見てくると、新設の組合の場合にはもう実質上四〇%からという形態になってきていると思うのですよ。これはもう歴年そうせざるを得ないことに客観的に運命としてなってきている。もう一時的な臨時という段階ではないのじゃないか。だから、本格的に、これらの新設組合に対しては市町村並みの四五%という水準にしてしまう、そういう法改正をきちつとやったらどうなんだろう。私はもうそこへ来ているのじゃないかというふうに思うのだけれども、これは大臣からお答えいただけますか、局長さんですか。
○八木政府委員 先ほど村山先生からの御質問にもお答えしたわけでございますけれども、確かに新設組合等の財政力の弱い組合に対しまして重点的に国庫補助を行ってきたというようなことから、本昭和五十一年度におきましては、全体の補助金につきまして百十億から百四十億ということで大幅な改善を図った次第でございまして、今後とも重点的に考えていかなければならない問題であるというふうには考えているわけでございますが、御指摘の問題につきまして一つの大きな問題点であろうというふうには思うわけでございます。ただ、国保組合の中にはいろいろな態様等があるわけでございまして、お話しございました新設の組合のように非常に財政力の弱いところもありますとともに、財政面では非常に安定しているというようなところもあるわけでございまして、定率の国庫補助の問題ということになりますと、それらの問題を踏まえましてどう取り扱っていくかというようなことがあるわけでございますので、一律にこの問題を解決するということはなかなかむずかしい問題ではないかというふうに思うわけでございますけれども、こういうように過去何年間にわたりまして、四十三年以来逐年この関係の助成というものが改善をしているわけでございますので、御指摘の問題につきまして制度的にどう考えるかというのは一つの方向としまして研究すべき問題であるというふうにも思われますので、財政力がいろいろ違うということもあわせ考えまして、今後の問題とさせていただきたいというふうに思う次第でございます。
○寺前委員 次に移りますが、傷病手当金の問題です。厚生年金などでは障害年金の廃疾認定を三年から一年半に短縮してきました。一方、休業給付の方は六カ月だ。そこで、その一年半と六カ月との間、これがあいているというところに一つのいまの問題点があると思うのです。ここのところを、年金の方で三年を一年半に縮めてきたのだから、保険の方で今度は一年半の方に延ばして穴埋めをして、全体としてつながらすということは考えられないものなのかということが一つ。 それから、結核などの場合には休業給付について一年半やってきている。 〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 そうしたら、せめて難病など長期療養の必要なものについては結核並みの扱いを緊急にでも手を打ったらどうなんだろうか。これは大臣指定でやれることだから、詰めて、そうして全体をならすことができるという体制に入るべきだと思うのだけれども、ここのところは一体どういうふうにお考えになっているのか、お聞きをしたいと思うのです。
○八木政府委員 傷病手当金の現在の六カ月をどういうふうに延長するか、特に年金の方が従来の廃疾認定期を三年から一年半に縮めたという際にそのギャップをどうするのかという問題、さらに、現在結核について認められております一年半というのを難病等について考えられないかという御質問でございますけれども、実はこの傷病手当金のあり方の問題につきましては、健康保険制度、医療保険制度の将来のあり方を研究する際にどういうふうに考えるべきかというようなことで、かねてから社会保険審議会におきましてもこの問題は議論されておったわけでございます。今回の改正の際にも、この問題は社会保険審議会でも取り上げられたところであるわけでございますけれども、今回の改正は四十八年以降の経済変動に即応します最小限度のスライド的な制度としましての対応策を中心にしたわけでございますので、傷病手当金のあり方等につきましては社会保険審議会におきましても今後の研究課題にされているというようなことであるわけでございます。いずれにいたしましても、かなり財政的な影響をもたらす問題でもありますし、そういうような財政問題等も考慮いたしまして、今後社会保険審議会でも御検討いただきたいというふうに思っておる次第でございます。
○寺前委員 その第二の問題で、難病とか長期のやつですね、これはもう結核と同じように大臣指定で執行するということを考えることはできないのか。これは結核と同じように扱っていいじゃないだろうか。緊急にこれは検討されたらどうなんだろうか。これはいかがなものでしょう。
○八木政府委員 傷病手当金の期間延長の問題は、先ほど来御答弁申し上げておりますように社会保険審議会でも基本的に研究している問題でございまして、先生お話しのように、現在結核だけが認められているのを緊急的に難病だけ、さしあたりの問題、緊急の問題として解決してはどうかという御提案もあるわけでございますけれども、やはり傷病手当金の期間の延長のあり方というのは一つの大きな問題であるわけでございますので、確かに先生お話しの問題もございましょうけれども、全体の問題との関連におきましてこの問題を今後研究していくべきではないかというふうに考える次第でございます。
○寺前委員 これはぼくは再度大臣に研究してもらいたいと思うのですね。結核の皆さん方は長期になるからといって一年半ということでずっと行われているし、私はいいことだと思うのです、そうやってつながっていることは。だから、難病の方々がそういう事態にあって、これは大臣の指定でやれますから、これは何にも増して緊急に——ほかの制度問題としての穴埋め問題は基本的に検討するということにしても、緊急措置としてもう一度検討してもらう必要があると思うのですが、どうでしょう。
○田中国務大臣 傷病手当金の期間延長、厚生年金との関係で両方からアプローチできないかとずいぶんいろいろ考えたのですが、やはり、平ったく言うと健康保険の方は銭がないものですから実際問題としてできなかった、こういうことであります。 いま、難病を結核と同じように一年六カ月にしたらどうだというのですが、一つのアイデアですが、これまたしさいに考えてみるとめんどうな問題があるわけですよ。どこからどこまでが難病かということについていろいろ議論のあるところでございまして、いまの難病対策だけでもいろいろ、広げるとか、多いとか少ないとか、あれよりこっちの方が上だとかいうような話もあるのですから、この傷手についてのメリットが出てくるとますます論議が紛糾するんじゃなかろうか。まあ、検討はいたしますけれども、そういう点がなかなかめんどうじゃなかろうかなと思って、いまのところ私どもとしては、そうしたことについて直ちに踏み切りますと言うことについては、ちょっとやっぱり胸の中に心配が去来するということでございます。
○寺前委員 まあひとつ御検討いただくということにして次へいきたいと思います。 この間私は国立病院や療養所の問題についてちょっと行ったときに聞かされた話なので、せっかくの機会ですからお聞きをしておきたいと思うのですが、賃金職員というのが非常にふえているんですね。賃金職員というのは一体何なんだろうかということで読んでみると、定員内職員と同様の勤務につく恒常的賃金職員、そういうふうに言うのですが、そういう方々の期末勤勉手当とか通勤手当とか住宅手当とか調整手当とか夜間勤務手当とか、普通の公務員だったら出るところの給与というものが、同じような形態で恒常的に任務につきながらその諸君たちは一体どういうことになるのだろうか。これはどうなっているのですか、ちょっと聞かしてくれますか。
○石丸政府委員 国立病院あるいは国立療養所で働いております賃金職員の給与の問題でございますが、ただいま先生おっしゃったようにいろいろな諸手当が正規職員と非常に異なっておるわけでございます。その改善等につきましては従前からもいろいろ努力はいたしておるところでございまして、五十一年度予算におきましても、賃金の方につきましては一般職員と同じように改善率約一〇%ということで要求申し上げてきておるところでございます。ただ、ただいま先生御指摘のように、賃金職員のいろいろな諸手当につきまして差が生じておるわけでございます。その職務内容につきましては、ただいま先生御指摘のように、特に国立医療機関に働いております職員は医療職の職員でございまして、特に看護婦等につきましては定員職員と職務内容はほとんど同じでございます。従来からこういった賃金職員の定員内への繰り込みということも努力をいたしておる一方、また予算の範囲内におきましてできる限りの処遇の改善を図っておるところでございます。今後も引き続きそういったいろいろな面での改善に努力してまいりたいと考えております。
○寺前委員 そこで、私もこれは不勉強で、聞かされた問題ですが、これが間違っておるのかどうか、ちょっとお聞きしたいのです。健康保険、厚生年金については、その事業主負担分が予算上計上されていないためにその多くが加入できないでいます。健康保険については、五人以上の事業所は強制加入という法律があるにもかかわらず、これにさえ違反しています、こういう問題提起を受けたのですけれども、これは事実ですか。改善しなければならない性格ですか。
○石丸政府委員 採用時から健康保険あるいは厚生年金保険が適用されるわけでございますが、その実際上の加入手続につきましては、採用等の際、本人の意思を確かめて処理いたしております。ただ、先生御指摘のように、予算的な措置につきましては、事業主負担分についてはできていないわけでございますが、予算操作等によりまして実行上はそういった加入の手続について努力をいたしておるところでございます。
○寺前委員 社会保険は事業主負担をもって、年金についても健保についてもちゃんとします、これはあたりまえのことなんだけれども、あたりまえのことがきちんとされていないという指摘を私は受けたので、そういうことはありませんだったらありませんでもよろしいし、あるんだったら改善してもらわなければいけないし、改善するんだったら改善するで結構です。そこははっきりしてもらわなければいけない。
○石丸政府委員 そういう事例につきましては、われわれの方ではないというふうに理解しておるところでございます。ただ、予算措置については、先生御指摘のように実施されていないわけでございますが、実行上本人の希望するものにつきましては、すべて事業主負担分を負担している、かような状況になっているというふうに理解いたしております。
○寺前委員 それじゃ、実行上は社会保険に入るようにきちんと措置をしております。そして事業主負担はちゃんとやっています、予算上あいまいさがあったら、そこは改善します、いいですね。そういうことはもうあたりまえだ、予算上あいまいだったら、きちんとするのはあたりまえだ、そういうことでいいですね。
○石丸政府委員 予算要求につきましては、毎年努力いたしておるところでございまして、実行上ただいま御説明申し上げましたように、本人の希望するものにつきましては、すべて措置をいたしておるのでございます。
○寺前委員 何か最後になるとよくわからぬのだけれども、ちゃんと社会保険に入る、そうすると、事業主として事業主負担は予算上も組んでおくのはあたりまえだ、組んでないのだったら、改善しなければだめだ、あたりまえのことだと思うのです。私の提起している問題に間違いがあるのだったら、間違いを指摘してもらったらいいのだし、そこがはっきりしていないのだったら、はっきりしますということでいいんだ。そこを簡単にはっきりしてください。
○石丸政府委員 はっきりするように予算的に努力をいたします。
○寺前委員 それで結構です。 それからもう時間が、予防接種法もやりたいのですが、なくなってきたわけですけれども、薬務局長さんお見えですから、これは薬務局長さんの話になるのじゃないかなと思ってあなたの顔を見たわけだけれども、例の薬の原価を中心にして決めるという問題です。これはあなたの方に関係はないのか、保険の方の関係ですか、どちらになるのか知りませんけれども、これは原価を中心にして新薬の値段の決定をするようにしなさい、それはできるはずだ。薬務局長さんは、この前、原価をちゃんと資料としてとっています、審査するときにとっていますというお話でした。そうしたら、とっている以上は、何ぼぐらいであって、それに利益金をこうこう考えてもこの程度でいけるはずだ、そういうふうにしていったら、イギリス並みに少なくとも薬剤費の占める位置を抑えることができる。いまのように実勢価格というようなことを言って、市場に出ておったものの値段を今度は調査をやるやり方でやっておったら、実勢価格を操作すれば、幾らでもこの薬価基準というのは変えられてしまうことになるのではないか。抜本的に薬価の決め方を改善する必要がある。 そこで、聞きたいのですが、原価を中心にして薬価基準を決めていくやり方というのはできないのか、できないとするならば、どこにできない原因があるのか、はっきりしてもらいたい。
○上村政府委員 まず、現在の薬価基準価格と申しますのは、社会保険の診療報酬を請求する上での医療機関の購入価格でございます。医療機関の購入価格というのは、市場において形成される価格ということになるわけでございますから、基本的には、やはりそういった市場価格で把握するのが一番いいのじゃないか。 それで、新規収載品の場合に、いま御指摘になりましたように、原価計算書をとっておるわけでございますけれども、新薬の価格は、すでに収載されました医薬品の中から同じような薬効の医薬品を選びまして、それとの比較で決めるというのを原則にし、それからその原価計算の方はその参考にする。たとえば小人症の薬のクレスコルモンなんというのは、比較する薬がございませんでしたので、出されました原価計算を見ながら決めるということにしたわけでございます。 原価計算が非常にむずかしいと申しますのは、まず、メーカーから原価計算というのは出てまいりますけれども、その原価計算をどう評価するかについて、技術的に非常にむずかしい点がある。具体的に申し上げますと、たとえば適正な利潤というのをどう見込むのかとか、あるいは製薬企業に必要不可欠な研究開発費、それをどう配分するのか、それから成功した開発もありますし、不成功な開発もあるわけでございます。それから適正な販売経費というものをどう見るのか、それから人件費なり材料費というものをどう見るのか、それから外資系企業なんかの場合の原価、これはバルクとして入ってくるわけでございますが、どう見るのかというふうな、技術的にむずかしい問題がある上に、御案内のように、医薬品企業というのは、一つの企業が非常にたくさんの品目の医薬品をつくっておるわけでございまして、その評価をする役所側で、これを一々こうあるべきだということを決めるということは不可能に近いし、むしろ現在の自由経済体制では、市場の競争によって形成される価格というものをもとにして決める方がより効率的であり、しかも価格が安く決まるのではないかというふうに思うわけでございます。
○寺前委員 これは後ほどまた薬価の問題については、私どもの党の他の議員からもう一度追及されますから、私は、もうやめておきますけれども、すでにイギリスを初め諸外国で、原価を中心にしてやっていかないことには、国家が法律で財政的にも保障するときに、莫大な金がそんなところに取られてはたまったものではないということで、原価中心の追求方式が存在して、なされていっているんですから、全面的に研究される必要があるという問題だけを提起して、この問題は終わります。 次に、予防接種法の一部改正並びに結核予防法の一部改正、これについての質問に入りたいと思います。 従来のこの予防接種によってどのような被害が起こっているのか、最初にお聞きしたいと思います。
○佐分利政府委員 現在の閣議了解に基づく予防接種被害者の救済制度に基づきまして申請されました予防接種による健康被害者の数は、約二千四百名でございます。そのうち、すでに認定の確定しております者が約千六百名でございますが、その内訳を申しますと、死亡なさって弔慰金を差し上げた方が四百九名、また一級、二級、三級といった後遺症を残しましたので、後遺症一時金を差し上げた方が三百名、また予防接種によって心身に異常を来して医療をお受けになって医療費の支給を行いました者が八百八十八名になっております。 なお、この申請者は、種痘につきましては明治四十二年の種痘法の実施以来の事故を対象にしておりますし、その他の予防接種については、昭和二十三年の予防接種法施行以後の事故を対象にいたしております。
○寺前委員 ここで出されている申請者約二千四百人以外には被害者はおらないのですか、おるのですか。どうでしょう。
○佐分利政府委員 厳密に申しますと、最近、医療費の支給を必要とするようになったけれども、申請が出ていないというような方々もございましょうし、また自分は予防接種による事故だとお考えになっておりますが、すでに昔のことでいろいろな証拠書類、証人等が得られないでいま探していらっしゃるというような方もあるかと思いますが、そういった方はそれほど多くはないと考えております。
○寺前委員 それほど多くないかどうかは知りませんけれども、現実に被害者が存在するであろうということは、申請中心になっていますから、私は、あるだろうというふうに見るのが適切だろう、そういうふうに考えたら、今回のこの法改正をどうPRするかという問題と、それから積極的に国が実態の調査に取り組むという問題が私は大切じゃないかというふうに思うのですが、いかがなものでしょう。
○佐分利政府委員 予防接種の制度、また近く御了解得られます新制度のPRにつきましては、報道機関の御協力も得、地方公共団体と国が相協力いたしまして、できる限りの努力をいたしたいと考えております。 また、第二の予防接種被害者の実態調査の問題でございますが、このような事故に対して、たとえば結核の実態調査だとかあるいは精神衛生の実態調査だとか、そういうふうなことをやることはなかなか困難であります。また、実際にやる場合にも、現在においては閣議了解のこういった救済制度があるから、被害者と思う方はどうぞ申請なさってくださいというような形で市町村だとか保健所が調査をするということになるのでございましょうが、そういった点につきましては、現在の救済制度による申請と余り変わらないわけでございます。ただ、私どもといたしましては、昨年、身体障害者の全国的な調査をやるということでございましたので、その機会に予防接種の被害者についても、また先ほど先生からお話がございました難病の患者についても、原爆の患者についても調査をいたしてみたいと考えたわけでございますが、これは一部地方公共団体の協力が得られませんで、十分に実施することができなかったわけでございます。
○寺前委員 こういうようなものをやる場合には、事前に大体全面的な調査に取り組んで、同時にこういうことをやっていくというのが私は常識だろうと思いますので、調査の問題については、改めて御検討いただきたいということを申し上げたいと思うのです。 それからその次に、今度のこの法改正によって、これは被害者に対してどういう性格を持ってくるのか、これは国として賠償をしようというのか、補償というのか、救済というのか、一体どういう性格を持っているのかということについてお聞きしたいと思うのです。
○佐分利政府委員 新制度の名称は、あくまでも救済制度でございます。そこで、その内容の性格でございますが、はっきり申し上げまして、損害賠償制度ではございません。また、いわゆる社会保障制度でもございません。このような国や地方公共団体の行政行為に基づく被害につきまして、特に生命とか身体の被害につきまして、しかも無過失の場合に救済をするというような制度は全く新しい制度でございます。そのような関係から、従来の判例も、定説もないわけで、諸説が紛々としておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、公的補償の精神に基づいた救済制度であると考えております。
○寺前委員 この間、新聞の夕刊に、今度の法律に基づいて実施される政令事項がずっと載っておりました。死者に対しては千百七十万円とかあるいは十八歳以上の後遺症については十三万九千円とか幾つかの数字がそこには出ておりました。これを見て被災者の方がすぐに電話をかけてこられたのは、話が違うではないかということでした。ですから、それまでにいろいろ言われておったのだろうと思うのです。新聞を見ると、当初千八百万円の話があったとか、いろいろ書かれています。問題は、そういう被災者の方々の感情です。その感情は、国の責任で国民に義務づけて罰金の制度まで持って、そしてなされたものに対して、精神的弁済はこの中には入っているのかどうか、少なくとも交通事故の自賠を見ても千五百万円が死者に払われているし、あるいは裁判によっては二千万から五千万という数字も出ているじゃないか。サリドマイドの場合は四千万も出ているじゃないか。だから少なくとも、そういう精神的弁済、慰謝料という性格のものがこの中には考えられるべきだと思うけれどもという、そういう内容の電話が多うございました。 さて、今度のこれには慰謝料という性格は入るんですか入らないんですか、どうなんでしょうか。
○佐分利政府委員 ただいまも申し上げましたように、この制度は損害賠償の制度ではございません。したがって、慰謝料は考えておりません。しかし公的補償的な精神に基づいた制度でございますので、約二割の慰謝的上積みをいたしております。
○寺前委員 慰謝的上積みと言うたら、どういうことになるのですか。精神的弁済は二割考えているということなんですね。やはり慰謝料なんですな。慰謝的弁済ってどういうことなんですか。やはり慰謝料なんでしょう、わかりやすく言ったら。そこのところはどうなんですか。全面的慰謝料ではないのだ、何ぼか慰謝料が入っているのだ、こういうことですか。そこはどうなんですか。
○佐分利政府委員 その点につきましては、これは見解の相違になってくるかと思います。また慰謝料が幾らであるべきかということにつきましても、定説がございませんで、判例等によってまちまちだという現状でございます。しかし私どもは、この二割の上積みは慰謝料とは考えておりません。やはり慰謝的上積みでございまして、国がそれだけの敬意を表したということであります。
○寺前委員 そうすると、十九条でお金を返しなさいというやつがありますね、あるいはこういうのをもらった場合にはしませんというやつがありますね。 そうすると、私ちょっと具体的に聞きたいのですが、大阪で三十二名の人がいま裁判をやっておる。慰謝料を要求しているのです、この裁判は。そうすると、裁判で決まって慰謝料を取りますでしょう、その場合には慰謝料を取っているんだから、したがってそれは、この国家の制度は慰謝料ではありませんので、返さなくてもよろしいということになるのか、どういうことに解釈はなるのですか。
○佐分利政府委員 事柄の性格が基本的に違うのでございますが、大阪の集団訴訟の場合には、国の不法行為責任に基づく損害賠償請求をしているわけでございます。 そこで、果たして国に不法行為があったかどうか、これは最高裁まで争われるかもしれません。そこで、これは全く仮定のことになってまいりますけれども、もし国が負けましたような場合に、損害賠償で支払われた、そういった場合には、その中から今度の新制度で予定しておりますもの、そういったものを差っ引いて返していただくということでございます。
○寺前委員 結論がどういうことになるか、それはわかりませんが、慰謝料が入っていないのに返してもらうということになると、これはまた筋の通らぬ話じゃないだろうか。差っ引いて返す、慰謝的分が二割あるから、その二割に該当する部分だけは返してもらいたい……。 私は、きわめて冷静に、ちょっと被災者の感情とは離れるかもしれませんが、算術計算的に言うならば、慰謝料が今度の制度の中にはありませんから、片一方は慰謝料を要求して勝ったとすれば、入っていないものだったら返す必要がないという制度論としての結論が出てくるんじゃないだろうか。私はよく理解できないので、これは引き続いてペンディングにしておきたいと思うのです。これは、まだ審議が続きますので、別の機会におたくの方もよく研究して、ひとつきちんとして臨んでいただきたい。私は、これはペンディングにしておきたいと思います。 次に、今度の一部改正あるいは施行令の一部改正する要綱なんかもお考えになっておるわけですが、その基礎になっている一つに答申というのがあるわけですね。この答申の中に、こういう被害者の方々に対して、社会保障の立場というのですか、施設への優先的入所とかあるいは補装具の提供というような救済問題が書かれておったと思うのです。今度こういう答申の内容については、どういうふうに生かしておられるのか、具体的措置をちょっと聞かしてほしいのです。
○佐分利政府委員 たとえば施設への優先的な入所という問題につきましては、国立の施設であれば厚生省ができるだけ努力をする、また地方公共団体の施設であれば地方公共団体の衛生当局、福祉当局が協力してできるだけの努力をするということであろうかと思いますが、そのほか、たとえば義肢だとか車いすだとか、そういったいわゆる福祉施設、福祉事業と言われるものがございます。それは改正法案の第十八条にございますが、その他必要な事項は政令で定めるということになっておりますので、政令で定めまして、現在ございます似たような制度、たとえば公害健康被害補償制度等々を勘案して御期待に沿えるようにしたいと考えております。
○寺前委員 次に移りますが、附則の二条で、従来からもあった義務的接種に対して、やらない場合には罰金に処すぞとか、罰則がありましたね。これは一度もやったことないのでしょう、この罰則というのは。また、やり得る話でもないと思う。何でこういうものが引き続いて残るのか、ぼくは一回これ教えてほしいと思うんですよ、どういうことなのか。
○佐分利政府委員 一般的に申しますと、ただいまお話がございましたとおりであろうかと思いますが、ただ先般、三月にラッサ熱が入ってまいりました。ラッサ熱はワクチンがないのでございますが、今後非常に警戒しておりますのが黄熱でございます。こういったものが、この新法と申しますか、改正法が可決成立され、施行される前に起こってくる可能性もございます。そうすると、黄熱は非常にこわい検疫伝染病でございますので、種痘と同じように緊急包囲、予防接種というようなことをやらなければならないと思いますが、その際もしも故意に非協力な方でもあれば罰則を発動するということは理論上あり得るわけでございます。
○寺前委員 まあ理屈で故意にやれというようなことは知りませんが、現実的には一度もこういうことに処せられることがないのは客観的事実だと思うのです。ですから、何でそういうものをあえて罰則まで残しておかなければならないのかということがよくわからないのです。 それから、附則の三条になりますか、今度の法律でやはり大きな位置を占めるのは、今後の問題対策がこれでいきますよということになるわけですが、しかし、この法律を必要としてきたのは、過去があったから今日が出てきたのだと思うのです。だから、過去の問題に対する対応策というものをきちんとするというのが、重要な法改正上のとるべき態度でなければならない。そういうことから言ったら、過去にお亡くなりになった方に対する措置の問題、これに対して新しい角度から準備された政令内容になってくるものとの関連性を見たら、過去の死者についてはもう終わりだということで取り扱いが終わってしまわれるのか、これは一体どういうことになりますか。一番被害を受けられて、今後こういうことになったら大変なので、その場合にはこうしますよということを問題にされたその過去ですよ、その過去の死者に対する対応はこれでいいのか、一体死者の方々に対して、あるいはその遺族に対してどう臨まれるのか、これでいいのか私は疑問なんです。過去の死者に対してはどうされるのですか。
○佐分利政府委員 このような国家補償的な制度は、制度制定以後に適用されるものでございまして、制度制定以前の死亡者に対しましては、立法上も、また行政慣例の上からもそのような先例がないわけでございます。しかしながら、やはりいろいろと問題がございますので、去る十一日の閣議におきまして、田中厚生大臣から、過去の死亡者に対しもさかのぼって予算措置で特例措置を講ずるという御要望があり、これに対して大蔵大臣から、それでは事務当局で前向きに検討させましょうということになって、そのような過去の方々にも何らかの措置を講ずる、その方法を今後早急に検討するという閣議了解ができたところでございます。
○寺前委員 考えておられることは、大体どういうふうな方向を考えておられるのか、ちょっと具体的に聞かしてほしいのと、それからもう一つは、後遺症の一時金の支給を受けておられるそういう方々、要するに過去の事象であって今日に生きておられる人たちが、この新しい法律に基づいてどう経過の措置が発展するのか、そこのところをちょっと具体的に聞きたいのです。話としては、障害年金の一部カットをするとか、いろいろな話が出ているでしょう。新聞にも書かれている。ですから私は、不利益にならないようにより発展させる立場に、長い間苦しまれた方々をしゃくし定規に取り扱うのじゃなくて、それこそ一から出発した角度で全面的に取り上げられてもいいんじゃないだろうかというような気持ちを持つのですが、そこのところの措置をちょっと具体的に聞かしてください。
○佐分利政府委員 過去の被害者の方々に対する特別措置につきましては、やはり現在の閣議了解の制度ができましたときのいきさつ、その後の経過、実績等がありまして、なかなかむずかしい問題でございます。しかも事故が起こった年次が、被害者によって非常にまちまちでございます。たとえば種痘によって起こった事故のうち十名の方は戦前の事故でございます。そのような非常にむずかしい問題がございますので、事務当局といたしましては、やはり伝染病予防調査会の御意見を聞いて方針を固めたいと考えております。 過去の犠牲者の場合に、すでに死んでしまった方と、いま障害を残して生き残っていらっしゃる方があるわけでございますが、この場合、過去の死亡者にどのようなさかのぼり補償をするかということは、現在、障害を残して生き残っていらっしゃる方にも影響を及ぼすわけでございます。つまり双方密接な関連があって、その関連を考えながら、ただいま御質問のあったようなことを解決していかなければならないわけでございます。これもなかなかむずかしい問題でございますが、伝染病予防調査会の御意見を聞いて、できるだけ被害者の家族の方、御本人の御期待に沿えるようにしてまいりたいと考えております。
○寺前委員 お約束の四十分になりましたので、ここで休憩させてもらって、そしてまた……。
○熊谷委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○熊谷委員長 速記を始めて。
○寺前委員 それでは……。 それで、話は全部伝染病予防調査会に任してしまって、意見を聞いてということで中身が出てこぬようでは、法律を審査せいと言われたって、何を考えているかわからぬということでは話にならぬので、中身はこういうことを考えて調査会に回しているのだということをちょっと聞かしてください。
○竹内(嘉)政府委員 お答えいたします。 問題点が二つあるわけでございますが、一つは、すでに亡くなられた方の問題につきましては、先ほど局長からお答え申し上げましたように、比較すると申しますか、対象となるべき給付が、この法律が通りましたときに、伝染病予防調査会の意見を聞いて正式に決定をされるという関係がございますので、かつは、先ほども申しましたように、この火曜日に閣議で大臣から御発言がございまして、大蔵当局と詰め始めたばかりというところでございますので、私どもとしては、気持ちの上では、古い被害のあった方々については、できる限りそういった過去の長い苦しい時期というものを勘案して、この法律による給付との均衡を図るようにしていきたいという基本的な気持ちを申し上げるというところに現在とどまらざるを得ないかと思います。 なおもう一点の、現在生きておられると申しますか、後遺症一時金を受けられて、現在障害を受けてきて、この法律が施行されましたときに、こちらの法律に移られる方々につきましては、原則としてこの法律の医療費なりあるいは医療手当、それから障害児養育年金につきましては、そのままこの給付を適用する、ただ過去に後遺症一時金といたしましてまとめて受け取っておられる者がございます。これを受け取られた時点が四十六、七年ごろと、それから昨年受け取られたというような場合とでバランスも考えなければなりませんので、私どもとしては、それらにつきましては、被害者が十八歳以後になって受けられる障害年金または不幸にして亡くなられたときの死亡一時金で若干の調整減額を行わざるを得ないかと思っております。この場合にも、仮に障害年金で調整をいたすにいたしましても、この障害年金は被害者の方の生活の、生計の中心にもなってこられるということも勘案いたしまして、できるだけ実態的な、生活に影響を及ぼさない範囲内で、若干長期間にわたるといたしましても、その辺の影響が生じないよう配慮しつつ減額調整と申しますか、これを適用してみたい、現在のところ、こういう方向で財政当局も準備を進めておるところでございますが、伝染病予防調査会にそういった基本線をお諮りして私どもの試案を御検討いただく、こういうつもりでございます。
○寺前委員 過去の方々が不利益にならないように、そして、むしろ長い間御迷惑をおかけしておったのですから、逆に、先ほどのお話ではないけれども、別な意味からのまた慰謝的要素を含めてこの問題についての対処をお願いして次に入りたいと思います。 今度の中でも、認定制度という問題が出されてきます。認定制度が出てくると、必ず問題になるのは、挙証責任の問題が問題になります。これは被爆者援護法の場合にも証明問題というのが、自分がしなければならない、それはもう過去の問題は無理だという問題、いろいろ出てきます。そこで、被爆者援護法の場合には、疑わしきものはすべて認定するという医療上の立場をおとりになって、そしてこの間もここで明らかにされました。この種痘禍その他の問題についても、従来閣議決定事項としてそういう態度をとっておられたやに私は聞くのですが、今度のしっかり法制化した段階において、この疑わしき場合は認定するという態度をとられるのかどうかを確かめたいと思うのです。
○佐分利政府委員 御要望のとおり、今後も疑わしきものは認定するという方針で臨みます。
○寺前委員 その次に、被害級数の問題です。 今度の政令事項の内容を見ていると、従来は三級まであったものが二級までになっているという分野があるのですが、これは一体どういうことなんだろうか。これは制度の違う級の問題なのかどうか、そこをひとつ御説明いただきたいということと、交通事故なり労災の場合には、十四級までの軽症が対象になっています。軽症の問題については、全然触れておらないように思うのだけれども、この軽症問題はどう取り扱われるのか、地方自治体では、たとえば神戸などでは、軽症問題を特別にめんどうを見られることをやっておられるけれども、軽症問題はどうお考えになっておられるのか、お聞きしたいと思うのです。
○佐分利政府委員 まず第一に、新しい制度の障害児養育年金の級数が一級、二級となっておりまして、従来の後遺症一時金の一級、二級、三級よりも少し厳しくなっているではないかという御質問でございますが、これは先生がただいまおっしゃいました制度が変わってくるということでございます。 具体的に申しますと、現在の一級、二級、三級は、この部分についても厚生年金の一級、二級、三級を使っているわけでございますけれども、特にこういった十八歳未満の連中は、乳幼児だとかあるいは児童生徒でございますので、大人の障害等級を適用するところにはいささか問題がございます。そこで、私どもといたしましては、特別児童扶養手当の障害等級、こういったものに準じて新しい障害等級を考えたいと思っているのでございまして、その際、現在の三級が新しい二級に入ってくる、また現在の二級の一部は新しい一級に入ってくる、そのようなことを考えているわけでございます。 次に、交通災害とか労災では十四級まで、軽いものまで一時金でお世話しているではないかという御指摘でございますが、そういった十級以降の障害というのは、すぐれて慰謝料的なものになってくるわけでございますので、損害賠償の制度であれば、そこまで考えるべきでございましょうが、私どものような公的補償的な制度といった場合には、そこまで考える必要はないと考えております。
○寺前委員 次に、対象の問題ですが、これは政令事項になるんですね。たとえば痘瘡は、生後三十六カ月から生後七十二カ月に至る期間を定期の予防接種の期間とするとか、そういうふうにちゃんと定期というのはどれかということを指定しておられますね。そうすると、たとえば痘瘡について、この期間中に一斉に接種をするということをやったとしましょう、ところが、そのやっている期間中に本人が病気になった、かぜを引いたとかいうことになると、接種をしたらぐあい悪いじゃないかという事態が生まれます。この期間を離れて行うということはあり得る、したがって、個々のお医者さんのところへ行って、私もやってください、こういう話が出てくる。そうすると、この期間中に——臨時の接種も同じですね。今度は都道府県で臨時の接種をやる。その臨時の接種期間中にやり得なかったということになると、これが救済の対象にならない。私の理解に間違いがあったら直してください。その期間を過ぎたら救済の対象にならない。そうすると、今度はお医者さんが、それじゃ来てもらったときに、私がやってもしも何か問題が起こったときに、期間中にやった人たちは全部救済の対象になったけれども、この子だけは救済の対象にならなくて、私の個人責任になるということになったら、そのお医者さん自身が、そんなものかなわぬなということになって、びびってしまうのではないか、そういう問題がここには出てくるのじゃないだろうか。したがって、一定の期間を限ってやるという救済の対象という問題については、これは再検討される性格があるのじゃないだろうか、その点はいかがなものでしょう。
○佐分利政府委員 まず、ただいま具体的にお話のございました痘瘡でございますが、従来は、法律では生後二カ月から十二カ月、運用上は四十五年の暮れから六カ月から二十四カ月といたしまして現在に至ったわけでございますが、新制度におきましては、痘瘡の定期は生後三十六カ月から七十二カ月というふうに非常に期間が長くなっております。そこで、その途中でいろいろ病気におかかりになりましても、こういった三歳から六歳の間どこかで受ける機会はあると思うわけでございます。 また、もう一つの医学的な理由でございますが、この定期の予防接種は、国民に一定の免疫水準を確保しておこうという制度でございますから、疾病その他でどうしても受けられないという方はお受けにならなくてもいいのじゃないかというのが最近の学説でございます。 そのような両面から、理論的には先生御指摘のような問題が起こってまいりますけれども、事実上はそのような問題は起こらないのではないかと思います。
○寺前委員 ぼくは起こらないとは思わぬと思いますよ。ぼくは、ポリオの前のときのことを覚えていますよ。ソークワクチンでやっておったのを、セービンワクチンが入って、セービンワクチンを急速にやった。親は期待をかけて準備した。都道府県も一生懸命やってくれた。そして、あのセービンワクチンの輸入によって、どれだけたくさんの子供が小児麻痺の恐ろしい勢いから救われるという事態が生まれたか。ところが健康上の問題があって、臨時に行われたこのワクチンに対するあれができないという事態が生まれた。やはり今後もそういう事態というのは常に考えられる事態だと思うのです。親御さんにしたら、ぜひともポリオのあれをしたいという要望を持っておると思うのです。ところがお医者さんの方は、いやもうそれはえらいことになりますよ、いまは期間が過ぎているのだから、私、これは今後ないことはない問題だろうと思うのです。だから、これは研究に値する問題だと私は思うのだけれども、どうもそんなことないとおっしゃるけれども、私は、それではちょっと納得できぬのです。これが一つ。 それから、接種の問題については、これだけいろいろ問題になってくると、お医者さん自身が、接種の問題はもう自分の医師としての不名誉の問題にまでいって、あのお医者さんにやってもらったおかげでこんなことになったということで、協力することを避けるという問題が生まれてこんやろうか、私は、それも心配するわけです。 だから、お医者さんに対する対応策についても、これはいまのままでいいのか、協力せいと言うだけでいいのか、この辺はどうお考えになっているのか、これは細かい話だから担当の人でいいですよ。どういうふうにお考えになっているのか、答えいただきたいと思うのです。
○佐分利政府委員 まず第一の、定められた期間外の接種が救済制度の対象にならない、お医者さんがやってくれなくなるのではないかという御質問でございますが、これは先ほど申しましたように、ポリオの場合には、期間は変わっておりませんけれども、これも三カ月から一年半の間適当な時期に年一回、夏場は避けてもらいたいということになっておりますので、その間に大体の方はお受けになれる、また不幸にしてお受けになれなかった方は、先ほどの集団免疫の理論からいって、どうしてもお受けになる必要はないのではないかという私どもの判断でございます。ただ、どうしても親御さんがポリオの予防接種を受けさせておきたいという場合でございますが、そういう場合は、たとえば東京都におきましても、幾つかの区には予防接種センターというのがつくってございまして、区医師会の全面的な協力を受けて、そういうふうな特殊なケースにも予防接種をすることにしております。地方にもそういった予防接種のセンターのあるところもあり、ないところはどこかの保健所その他の病院を指定して、そういう特殊なケースの予防接種をすることにしております。 ただ、救済制度の対象にならないという問題が残りますけれども、そういった個別接種の形の場合には、十分予診、問診あるいは管理等も行われますので、事故が起こることもほとんどあるまいと思うわけでございます。 第二の、このような体制では第一線の医師、開業医の方々の協力が得られないのではないかという御疑問でございますけれども、この点につきましては、すでに日本医師会とも話がついております。そのやり方といたしましては、法に定める予防接種に協力をしよう、予防接種を手伝おうという方には申し出てもらうわけでございますが、そういった方々は特別職の地方公務員に任命いたしまして、事故が起これば新しい制度で、無過失ならば救済いたしますし、きわめてまれな、これまでなかったケースでございますが、もし過失があったという場合には、国賠法で争われるわけでございますが、その場合も、国賠法一条二項によって重過失以外は免責されるわけでございます。もしも重過失があった場合には、その医師に対する国の求償額は、日本医師会の方で医療事故の損害補償制度が設けてございますので、そちらの方で払っていただくという話し合いになっております。
○寺前委員 それから、この認定制度が行われると、認定のあり方をめぐって、これは原爆の場合でもずいぶん問題になる点ですが、そこで、いま認定審査委員会という形で審査をやっておられるのですか、引き続いてここがおやりになるのか、伝染病予防調査会がおやりになるのか、そこはよく知りませんが、そういう認定問題をめぐって審査させるところに被害者の代表を参加させろということは、被爆者の問題の場合にも大きな問題になった要素なんですね。俗っぽい言葉で言うならば、国の責任を持っている加害者が被害者問題を対処するのはおかしいじゃないかという言い方がよくなされるわけですけれども、それは別として、被害者の代表の意見が映えるようにこういう調査会なり審査会なりに代表を入れてもらいたいという声についてはどうお考えになるのか。 さらに不服申し立ての制度をつくるよう答申にはあったように思うのですけれども、これについてはどういうふうにお取り上げになるのかお聞きをしたいと思います。
○佐分利政府委員 まず、伝染病予防調査会の一つの部門になるわけでございますが、予防接種事故審査会に被害者の代表を入れたらどうかという御提案でございますが、私どもは、今後とも被害者の代表をお入れする考えはございません。あの審査会は、加害者たる国がやっておるというような形ではございませんで、医学、法学、経済学その他、いろんな分野の学識経験者、中立的な方に御審査をいただいているわけでございますから、その御意見に従って国が判断をすればよろしいと考えております。 しかしながら、またやはり被害者の親の方々の御意見はよく承らなければなりませんので、従来からもやっておりますけれども、年に何回かお会いして、代表の方々の御意見をよく聞いて、そういったことを審査の制度にもできるだけ反映させるという努力をしてまいるつもりでございます。 それから、行政不服審査の制度でございますけれども、私どもといたしましては、このいわゆる事故審査会で二回審査をするというようなことを考えております。また不服の申し立ては、行政不服審査法に基づいて申請をしていただければいいと考えております。
○寺前委員 時間が迫ってまいりましたので、ちょっと飛ばしますが、この種の被災者というのは、長期にわたって医療対策が必要になってきます。そうすると、身障者手帳をもらう人ともらわぬ人の問題というのが出てくるわけなんですね。身障者手帳の方は、これは主として運動機能中心に判定がいろいろなされていきますが、この分野の人は運動機能と精神機能とが併合して出てくる、中には精神機能の方に主要な要素を持ってくるという形で、あらわれ方がちょっと違ってくると思うのです。一般身体障害者とは言えない別の要素を持ってきていると思うのです。 そこで、これらの被災者の中では、予防接種用の身障者手帳みたいなものをつくってもらわないと現実的ではないのではないかという問題が常に提起されるわけです。ですから、それについてどう考えられるのか。 それから、破傷風がこの中に考えられていないじゃないかという問題についてはどうお考えになるのか。 もう一つ、この答申のときにサーベ−ランス体制を云々ということが、これは第一回の答申のときにもあったと思うのですが、この点についてどうお考えになっているのか。 そして最後に、定期予防接種の中に種痘や百日せきやら、こうあるけれども、現実には種痘や百日せきはやらぬでもよろしいということがなされている。法律には書いておきながら現実はそうなっている。WHOの方向を見ても、大部分の国々はもうやらぬようになってきて、撲滅宣言をもうここ数年にして発表するであろうということが言われている段階になってきている。それにもかかわらず、これが依然として残っているということは一体どういうことなんだろうか。ひとつまとめてお答えをいただきたいと思います。
○佐分利政府委員 予防接種被害者に対する身障手帳の交付の問題でございますが、これは、かなりの方々が当然身障手帳を支給されて、身障福祉法に基づくいろいろな福祉の施策の恩恵にあずかるものと考えております。ただ御指摘のように、現在の障害等級は、労災等も含めまして外部障害、四肢の障害に重点が置かれておりました。しかしながら、内部障害、特に最近は精神神経の障害が注目されまして、それに関する改正法案、労災法の改正法案も国会に上程されているやに聞いております。そのようなことが各種制度の障害等級に全部及んでくるものと考えております。 また第二の、破傷風をなぜ入れなかったかという御質問でございますが、破傷風につきましては、国によって意見が分かれております。たとえばあの予防接種に対して厳しいヨーロッパでも、オランダは破傷風は法定接種にも勧奨接種にもしておりません。任意の接種にしかしておりません。したがってオランダの事故救済制度では破傷風を対象にしておりません。しかしながら、破傷風は最近では三種混合ワクチンあるいは二種混合ワクチンといった形で小さいときに打たれるのが普通でございますので、そういった形で事故が起こった場合には、当然救済制度の対象になるわけでございまして、これはオランダも日本も同じでございます。破傷風が対象にならない理由は、これが人から人へどんどん広がっていくというような伝染病ではないというところから起こっているわけでございまして、社会防衛のためには破傷風の予防接種は必要ではないのではないかという考え方でございます。 第三の、サーベ−ランスの体制はどうなっているかという御質問でございますが、これにつきましては、新年度予算も計上いたしまして、現在におきましては、風疹の問題等もございますので、そのような問題にも対応できるように、すべての伝染病に対応できるように、現在、各都道府県、政令市の衛生研究所、それに保健所、また大学の病院とか研究所、そういったところのネットワークを第一線の開業医の方々の御協力を得ながら固めているところでございます。 最後の御質問は、諸外国ではもう種痘をしなくなったのに、この改正案ではまだ種痘が残っているではないかという御指摘でございますけれども、確かにアメリカとイギリスにおいては、すでに昭和四十六年から種痘は任意の接種にしてしまいました。しかしながらヨーロッパの各国は、日本と同じように厳しいのでございまして、先般西ドイツが予防接種を改正いたしましたけれども、その場合も十二歳の定期の接種は残したわけでございます。日本の場合には、お手元の資料にございますように、三歳から四歳の間の定期の接種を残したわけでございます。この点につきましては、各国の医学界の学説にいろいろ相違があるためにそのようになったわけでございますが、アメリカ、イギリス以外はまだまだ後二年間は油断できないということで、定期の予防接種を、合理化を図りながら残しているところでございます。
○寺前委員 時間が迫りましたので、最後に大臣にお聞きをいたします。 被災者の側の要求に対して、すでにお亡くなりになった方の問題について、閣議で大臣みずからが問題を提起されて改善をしたいという態度をおとりになったようですが、先ほどからるる申し上げましたように、従来のこういう苦しんでこられた方々の不利益にならないようにするという問題とか、あるいは被害者の代表を審議の中に参加させてもらいたいとか、二度とこういうことにならないように救済の対象についても拡大をしてもらいたいとか、手帳の問題についても意見を先ほど申し上げたとおりであります。自分の子供を通じて幾多のこういう生々しい体験から被災者が提起している問題に対しては、十分に耳を傾けていただいて、そして、より改善のために努力をしてほしいと思うのですが、大臣の所見を聞いて終わりたいと思います。
○田中国務大臣 予防接種の事故、また予防接種のあり方についてかねがね問題がございます。私どもといたしましては、とりわけ予防接種事故の被害に遭った方々に対して、従来も閣議で措置をいたしておりましたが、これを法制化をいたしたいということは、とりもなおさず先生のおっしゃるように、いま少しく画然たる、また手厚い措置をいたしたいということから出発をいたしたものでございます。 さようなわけで、いま先生お挙げになったいろいろな事項について、すべてについてこれがイエスというわけではございませんが、精神としては、できる限りこうした気の毒な方々に対して手厚いことをしていきたいというふうに思っておりまして、立法の過程においてもそういうことを考えておりますが、今後これの施行の過程においても、そうした精神で相臨みたいというふうに思っております。
○寺前委員 終わります。
○熊谷委員長 この際、休憩いたします。 午後二時十五分休憩 ————◇————— 午後四時四十三分開議
○熊谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 健康保険法等の一部を改正する法律案及び予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を続けます。岡本富夫君。
○岡本委員 健康保険法の一部改正法律案は大橋委員の質疑に譲りまして、私は、予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案について若干お聞きします。 〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕 昭和五十年の二月八日、当委員会におきまして、私がこの予防接種の基本問題について質疑を行い、さらにこの予防接種事故の補償、これについて要求をいたしておきましたが、やっと今回提案をされたわけでありますけれども、そこで最初にお聞きしたいことは、今回の改正案は、暫定救済措置よりは少し前進したようでありますが、すなわち療養手当あるいは障害年金、葬祭料、これを新設しておりますけれども、まだまだ改善をしなければならない点が多いわけであります。 その一つとして、一番大切なことは、国の被害者に対するところの責任、この法案を見ますと、その責任を明らかにしていないように思われます。したがいまして、まず大臣から、この責任についてどういうようにお考えになっているか、お聞しておきたいと思うのです。
○佐分利政府委員 先生よく御存じのように、予防接種は社会防衛のために行われるものであり、しかもその際、どうしてもごくまれに事故が起こることは避け得ないものでありますけれども、やはりただいま申しました社会防衛のためにどうしてもやらなければならないという性格のものでございます。したがって、たとえ過失がないような事故につきましても、相互扶助とかあるいは社会的公正の理念に基づきまして、公的補償の精神も加味しながら救済措置を講じていくべきではないかと考える次第でございます。そこで、そのような考え方に立ちまして、従来閣議了解でやっておりました制度を法制化することにしたものでございます。
○岡本委員 そこで、一つの例をとりますと、痘瘡の場合、痘瘡ワクチンを使用するわけでありますけれども、これらワクチンの製造から市販に至るまで、その過程で国の方できちんとした検定をしておるのではないか、一般の薬品の場合とどこが違うのか、ひとつお聞きしておきたい。
○上村政府委員 ワクチンの製造でございますが、これは薬事法でまず医薬品の製造業の許可をとってもらうわけであります。それから製造品日ごとの承認ということが必要であるわけでございますが、ワクチンのように病原菌を弱毒化いたしましてつくられる医薬品につきましては、保健衛生上他の医薬品とは違う特別の取り扱い上の注意が必要でございます。このためにワクチンの製造につきましては、厳重なまず自家試験の実施等を行わせますほかに、品質それからその安全性の確保を図らせることにしておるわけでございます。そしてさらに薬事法の四十二条で、各ワクチンごとに必要な基準、これは生物学的製剤基準と申しておりますけれども、そういった基準を設け、その製法なり性状、品質それから貯法、そういったものをこの基準で厳しく決めまして、そして、それに基づきまして、さらに国立予防衛生研究所で国家検定試験を実施する、そして、この検定試験に合格したものについて検定合格証紙による封を施しまして販売する、こういうふうに他の医薬品に見られない厳しい規制をしておるという状況でございます。
○岡本委員 そうしますと、国家検定がなされて、そして国が保証をいたしておるわけでありますから、そこに事故がありますと、やはり国の責任ではないか、そういうように考えられるわけですが、この点についてひとつお聞きしておきたい。
○佐分利政府委員 確かに国家検定をいたしまして品質を保証してはおりますけれども、予防接種は適法に行われた行政行為でございまして、大部分の場合には国にも地方にも、また第一線の医師にも過失がないわけでございます。つまり無過失の事故に対する救済制度でございます。そういうふうなことで、ただいま先生がおっしゃったような厳しい意味の国の責任というものはないのではないかと思うわけでございまして、先ほども申しましたように、相互扶助とか社会的公平とか、そういった理念に立ちながら公的補償の精神を加味しながら救済制度を考えていけばいいのではないかと思います。
○岡本委員 私は、国が補償したものに対して、そこに事故があった場合は、やはり国がその賠償をする、これが大切であろうと思うのです。たとえば歩道なんかで大きな穴があいておった、そこへ落ち込んだ、こういうときには国家賠償をしているわけですね、その道路管理者の過失ということで。したがって、国が検定したということは、これは一般国民あるいはまた使用する皆さん全部、これなら安心だということで、国の責任があるから、国の責任によって検定されておるからこれは使えるというわけでありまして、したがって、ここに事故が起こった場合には、国家賠償というものはどうしても必要である、私はこういうように考えるわけです。ですから、救済なんというのは、結局責任回避をしておる、こういうように言わざるを得ないわけですが、これについてもう一遍ひとつ。
○佐分利政府委員 予防接種の無過失の事故に対しまして、国は一般的な道義的な責任はあろうかと思うのでございますけれども、過失がないわけでございますから、先生がただいまおっしゃいましたような損害賠償をするような責任はないと思うのでございます。また、そのような考え方は、私どもだけでなく、ほかの国においてもとっているところでございますし、代表的なアメリカ、イギリスでは何もしていないというような状況でございまして、私どもの考え方は、先ほど来申し上げましたように、そういった考え方で適当ではなかろうかと思っております。
○岡本委員 御承知のように、サリドマイド事件がありまして、これに国家賠償を行ったという経過があるように思われるわけです。その一つの判例を見ると、これは和解しておりますけれども、このときの口頭弁論をとってみましても、たとえば「被告国の責任」こういうところで「旧薬事法第二六条第三項により厚生大臣の行う薬の製造許可は、厚生大臣が、薬が人体に対して危険な効果、作用を持たないという意味における安全性の確認を十分つくして初めてなすべきものであり、安全性について少しでも疑問のある場合には許可は原則として許されない」同時に、今度は「結局、被告国は最高水準による安全性確認義務を尽さなかったものというべく、本件サリドマイドを製造販売した被告大日本らと共に重大な過失に基く責任を負うべきことは明白である。」こういうような弁論がありますけれども、こういう面から見ましても、国家検定という現在のシステムは、国立の予防衛生研究所できちんと調査をして、それで国家検定を行ったということは、私は、やはり最高の権威があろうと思うのです。 それで、事故が起こった場合、これは無過失といえども、そういう事故があった場合は、私は、やはり国家賠償責任というものは免れない、こういうふうに考えるのですが、この点についてどういうようにお考えですか。
○佐分利政府委員 予防接種のワクチンにつきましては、検定もいたしておりますし、全くワクチンそのものには問題がない、瑕疵がないわけでございます。つまり過失はないわけでございます。 また、予防接種の場合には、きわめてまれでございますけれども、不幸にして副反応が起こるということは、すでに四十年ぐらい前からわかっていることでございまして、そのようなことはわかっているけれども、社会防衛のために予防接種をしなければならないということで、世界各国が予防接種をしてきたものでございます。 そういう意味で、先生がおっしゃるような厳密な意味の、国の損害賠償責任といったものはないと考えております。
○岡本委員 どうもその点、何か非常に責任がない、責任がないと言うが、すでに公害法にしましても、無過失賠償責任というものが、水質あるいはまた大気汚染防止法、こういうものにはちゃんと出ているわけですね。この予防接種というのは、言うまでもなく病源微生物などの異物を体内に入れるのであるから、ワクチン製造業者あるいは保管者あるいは医師の過失の有無にかかわらず、何らかの抵抗を生ずるのは当然なんです。したがって、それに対して国が検定を行っておるわけでありますから、無過失責任であろうとも、これは、やはり国として第一義的な責任を負うべきである。同時にまた、後でそのワクチンの保管者あるいはまた医師の過失といったようなことがもしもあった場合は、まず国家賠償をしておいて、そして後、そういう過失を行った人に対して立証がされたときには国が求償する、こういうようにひとつしなければならないと私は思うのです。それでなければ責任が持てないというようなことでは、本当の意味の、予防接種によって国民の健康を守っていくという線から非常に逃げている。ですから、その点をもつと明確にしていただきたい、こういうように思うのですが、いかがですか。
○佐分利政府委員 先ほど来申しておりますように、無過失の事故につきましては、国は損害賠償の責任はないわけでございまして、正義、公平、社会的公正の理念に立って適切な救済措置を講ずればいいものと考えております。 ただ第二の御要望の、もしも過失があった場合には、これは当然国賠法によってその過失の有無が争われるわけでございまして、その際に過失が本当にあったということになれば、国家賠償が行われるということは当然でございます。ただ、そのような裁判にも時日がかかりますので、その間はこの新しい制度によって救済措置を講じておく、そして国賠法の決着がつけば、それから従来払ったこちらの制度の金額をお返し願うという仕組みになっております。
○岡本委員 サリドマイド裁判、そうしますと、これはやはり国に責任があったと認めるわけですか、どうですか。
○上村政府委員 このサリドマイドは、結局はサリドマイド被害者と厚生大臣、それから製薬業者の間において締結されました補償契約で出すことになったわけでございますが、補償金の性格自身は国家賠償法に基づきます賠償金であると考えておるわけでございます。
○岡本委員 サリドマイドの場合は、どういう面が国家賠償の責任を問われたのか、あるいはどの辺を認めたのか、これをひとつ。
○上村政府委員 具体的な不法行為の内容なり責任につきましては、これは裁判所の最終的な判断を得ておらないものでございますが、確認書で書いてございますように、当時における製造から回収に至ります一連の行政過程を現時点で振り返ってみると、全体として落ち度があるということを反省しまして、サリドマイド被害が生じたことについて行政官庁としての責任を認めた、こういうことによって払うことにしたものでございます。
○岡本委員 そうしますと、予防接種によって事故が起きた場合、予防接種しなければこういうことは起こらないということになりますと、国家検定が行われたもので予防接種して事故が起きた、こういう場合は、やはりその責任というものは同じように認めなければならない、これはどうですか。
○佐分利政府委員 先ほど来申しておりますように、サリドマイドの場合と予防接種の場合は、かなり性格が違うのでございまして、これはいろいろな理屈がございますけれども、やはり諸外国の制度を見ていただけば一番よくおわかりになるのじゃないかと思っております。イギリスやアメリカでは、何らの救済措置も講じておりませんし、またヨーロッパの代表的な西ドイツだとかフランスあたりも、これも決して損害賠償の制度ではないと思うのでございます。そういったところに、先ほど来申しておりますように、ごくごくまれに副反応が起こってまいりますけれども、それにも増して社会防衛のためにどうしても予防接種を実施しなければならないということから予防接種が行われてきたわけでございますから、サリドマイドの場合とはかなり性格が違うものと考えております。
○岡本委員 どうもなかなか国家賠償の責任を認めようとなさらないわけでありますが、サリドマイドで事故が起きたのと、それから予防接種によって起こった症状、これの差は相当ありますか、いかがですか。重症の方……。
○佐分利政府委員 まず大きな差は、予防接種事故では死亡者が大変多いという点でございます。その次に、死亡はなさらなかったけれども障害を残して生存していらっしゃるという方があるわけでございますが、その場合に、先ほども問題になりました一級障害、二級障害、三級障害というような認定がございますけれども、サリドマイドの事故の方は主としてフォコメリーという症候群でございまして、手があのような形であるという障害でございますが、予防接種による事故の場合には、一番多いのはワチチンによる脳症、脳炎でございますので、極端な表現をいたしますと、重い方は重症心身障害児のような症状を呈するわけでございます。つまり神経、精神障害が強くあらわれてくるわけでございます。
○岡本委員 薬務局長に、サリドマイド事件で国家賠償責任として被害者に補償した、それはどのくらい補償したか、あるいはまたその国家賠償に至った経緯、人数、額、こういうものをひとつ明らかにしてもらいたい。
○上村政府委員 サリドマイド被害児につきまして賠償いたしました被害者の数は、全部で二百五十三人でございます。その総額は八十四億四千五百万円、こういう状況でございます。
○岡本委員 AランクからEランクまであるでしょう、それをひとつ。
○上村政府委員 それぞれのランクごとに人数ということでございますね。——Aランクと判断されましたのが八十九人でございます。それからBランクが百三人、Cランクが二十四人、Dランクが三十三人、Eランクが四人でございます。 それで、Aランクの補償額が四千万円、それからBランクが三千三百万円、Cランクが二千八百万円、Dランクが千八百万円、Eランクが九百万円でございます。
○岡本委員 このAランクというのは、不幸にしてお亡くなりになった、死亡された方でしょう。いかがですか。死亡者に対してはどういうことですか。
○上村政府委員 これは全部身体に障害を残した子供たちでございます。死亡者はございません。
○岡本委員 身体に障害を残した方で、死亡者はいないということですね。
○上村政府委員 Aランク八十九人は全部生存者でございます。
○岡本委員 そうしますと、死亡者の方にはどうしていますか。
○上村政府委員 死亡者には補償いたしておりません。
○岡本委員 死亡者の方からは裁判は出ていないわけですね。——そうですか。そうしますと、今度の予防接種の死亡者に対して千百七十万円、こういうような金額を基準にしているわけですが、サリドマイドの場合は、重症者、これに対して四千万も出しているわけです。この額の差は、死亡者の方が安い、どうもこれはぼくは納得できないのです。サリドマイドで亡くなられたり、あるいはまた重症を負ってもう社会復帰できない、こういう重症な人、これは亡くなったのと一緒ですね、こういう方には四千万出している。予防接種には千百七十万しか出さない。ずいぶん額が低いが、この点はどういうわけで低いのですか。人の命に差があるのですか。
○佐分利政府委員 サリドマイドの場合には損害賠償でございますが、予防接種の方は損失補償でございますので、金額に差がございます。
○岡本委員 先ほど国家賠償ということをなかなか認めなかった。損失補償であろうと賠償であろうと、復帰できない方が四千万で、亡くなった人は千百七十万、その差が余りにもあり過ぎてどうも私は納得ができない。あなたなかなか認めようとなさらないが、国家検定を行ったワクチンによるところのものに対して事故があった場合に、死亡があった場合にもその責任をとらないということでは、これは非常に問題があると私は思うのです。この額について、いまここですぐというわけにもいかないでしょうけれども、次の機会にはいろいろ検討ができるかどうか、ひとつこれをお聞きしておきたい。
○上村政府委員 先ほど来国家検定の話が出ておるわけでございますが、ワクチン類については、国の責任で純良な品質を確保するという観点から検定をしておるわけでございますが、これは、あくまでも各ワクチンの製剤ごとに力価等の基準を定めておりまして、それに合格するかどうかということを決めて、合格するものに合格証紙というものをつけるわけでございます。したがいまして、国家検定をするということと、先ほどサリドマイドの例で挙げられました責任の問題とを比べて論じますと、仮に——そういうことはやらないつもりでございますし、やってはならないことでございますけれども、国家検定に故意または過失があって基準に合わないものを、検定の結果合格させてしまったというような場合には、そういった不良ワクチンによって被害があれば、あるいはサリドマイドに準じたような国の責任があるかもわかりませんけれども、一定の基準に合致するということで国家検定されたものについて、その予防接種がなされて、それによって生じたものにつきましては、先ほど来公衆衛生局長から申し上げているとおりじゃないかというふうに考えるわけでございます。それがサリドマイドの場合と予防接種の場合と違う一番大きなところであろうというふうに考えるわけでございます。
○佐分利政府委員 お子さんの死亡の場合の逸失利益というのは、いろいろ国際的にも論争のあるところでございまして、子供に果たして逸失利益というのがあるのであろうかという基本問題がございますが、そのような関係から先ほど来申しておりますように、アメリカやイギリスは何もやっておりませんし、たとえば最近できましたオランダの救済制度を見ましても、十五歳までは何もやらない、もしも年をとって十五歳以上におなりになれば年金を上げましょうというような国もあるわけであります。その点、子供の損失補償の計算にはいろいろな議論があって、むずかしい問題があるということでございます。 また、代表的な西ドイツの制度を見ましても、お亡くなりになった場合には金額が少ない、不利であるという制度になっておりますが、これは、やはり障害を残して生存していらっしゃる御本人の苦労、家族の苦労というのは大変であろうというような観点からそのようになっているのではないかと思います。 また、見かけ上サリドマイドはAランクが四千万、それに比べてこちらの制度は金額が少ないのではないかという御意見でございますが、後で御質問が出ようかと思いますけれども、生存者については十八歳未満までは障害児養育年金というのが出ますし、また十八歳以上におなりになれば障害年金というのが出るわけで、また不幸にして途中でお亡くなりになれば遺族一時金というのが出るわけでございまして、その総支払い額あるいは債権現価というものを計算いたしますと、これもなかなかむずかしい問題ではございますが、かなりの額になるわけでございます。
○岡本委員 亡くなられた方はもう片づいたんだから、後手間がかからぬから安くていいじゃないかというように聞こえるわけですよ。そういう意味で言ったのではないかもわかりませんが、子供だからそんなもの死んだって構わぬと言うとおかしいけれども、亡くなって手が省けたんだからいいじゃないかというような何か感じ方にとれるような御発言ですが、私は、子供でも大人でも人の命というのは同じだと思うんですよ。 どうもいまの発言を聞いておりますと、亡くなった方に対する賠償といいますか、あるいはまた、あなたの方から言えば救済だ、これを非常に軽々しく取り扱っていらっしゃるのじゃないかということを感ずるのですが、これに何か反論があったらひとつ言ってください。
○佐分利政府委員 そのように亡くなった方はもういいんだという意味で申し上げたわけではございませんで、やはり世界各国の考え方また現行の制度、それと障害を残して生存していらっしゃる方々、本人、御家族の御苦労、そういったものを申し上げたわけでございます。
○岡本委員 それで、この改正案が実行されるまでに死亡された被害者については、聞きますと、家族の方に何らかの措置を講ずべきだ、しかし、これは法律には書けないので何か政治的判断をするのだというようなお話があったそうですか、どういうようなお考えを持っておるのか、ひとつお聞きしておきたい。
○佐分利政府委員 これまでお亡くなりになった方々に対するさかのぼり補償の問題は、現在の閣議了解の制度ができますときのいろいろないきさつ、その後の経過、また現在の実績いろいろ複雑な問題がございます。また過去において死亡なさった方々の中にも五年前に亡くなった方、十五年前に亡くなった方、二十五年前に亡くなった方、いろいろな方があるわけでございます。そこで、事務当局といたしましては、この問題につきましても、やはり伝染病予防調査会の御意見を聞いて固めてまいりたいと考えております。
○岡本委員 そうすると、まだ厚生省としての案はできていないわけですか。
○佐分利政府委員 まだ事務当局の案は固まっておりません。
○岡本委員 これは、ひとつ早く固めてもらわなければいけませんね。 これは死亡された方ですが、今度は、予防接種の被害者ですでに閣議了解に基づく後遺症の一時金を受け取った方があるわけですね、こういうのはどうするのか、ただ、それだけ天引きしてあと補償するということにするのか、この点をお聞きしておきたい。
○佐分利政府委員 生存者に対しましては、新制度が制定されますと、たとえばいま医療を受けていらっしゃれば、医療費の補償のほかに原爆のような医療手当が贈られるわけでございます。また、すでに障害の程度がかなり固まっていらっしゃる方につきましては、一八歳未満であれば障害児養育年金が参ります。また年上の方、十八歳以上の方であれば、遺族年金がまいるわけでございます。ただその際、従来後遺症を残した方に後遺症一時金を差し上げておりますので、それとの調整を考えないと、今後事故の起こった方との間に不公平が起こるわけでございますけれども、この問題は、先ほど御質問のございました、これまでの死亡者に対するさかのぼり補償と密接な関係を持ってまいりまして、その考え方いかんが生存者についてもかなり大きな影響を及ぼすわけでございます。したがって、単純に申しますと、過去に差し上げました一時金を、たとえば十八歳未満の間は差っ引かないけれども、十八歳以上におなりになれば、一定の金額で差っ引いていくということが制度理論上は考えられるわけでございますけれども、これもそのように簡単にはまいりません。これは先ほどの、これまでの死亡者のさかのぼり補償と非常に密接な関係を持ってまいります。また現実に過去の障害者に対する一時金も、その障害の起こりました時期によって金額が違うわけでございます。五年前の障害と二十年前の障害と違うわけでございます。特に種痘の場合には二十年以前に、戦前に事故を起こしたという方々もかなりあるわけでございまして、なかなかむずかしい問題でございますので、この点もあわせて伝染病予防調査会の御意見を聞いて固めてまいりたいと考えております。
○岡本委員 大体、三木内閣のロッキード問題に対する態度によって今国会は空転したわけですが、その間ずいぶん時間があった。これをもう会期末になって、どさくさになってばばっと出してきておるわけですが、それまでに本当はもっときちっと固めた——四十五年の公害国会から、政令に委任するとか、このごろ出してくる法律は、全部固まった法律が出てこない、その点私は非常に残念に思うのです。 そこで、先ほどあなたは西ドイツ、西ドイツと言って大分お話がありましたが、この中で介護手当、福祉手当と読むのですが、これが一級で介護手当月額五千円、西ドイツの方を見ますと二万二千四百四十円から九万円。私、これは月額ではなくして日額かと思ったんですよ。大体看護婦さんあるいは介護人を雇いますと四千円か五千円はかかる。ところが月ですからね。これは雇うなということなんです。だから、これは非常に差があるんですね。あなたは先ほど西ドイツを非常に対象にされておりましたから申し上げるわけですが、これはどうも現実に合わない、こういうふうに考えるのですが、この点いかがですか。
○佐分利政府委員 今回の新しい制度では、介護手当は、たとえば公害健康被害補償法と同じように、単独で独立させておりません。すべて年金の中に含めております。したがって、十八歳未満の障害児養育年金の一級の場合、また十八歳以上の障害年金の一級の場合、すべて介護手当二万六千円を加算いたしております。 なお、西ドイツの場合は、額が大きいようでございますけれども、賃金水準が日本と西ドイツとでは倍以上違うわけでございますので、その辺を補正して考える必要があろうと思います。
○岡本委員 この表を見ますと、障害の程度が一級で介護を要する場合月額五千円と書いてある。これはあなた方からもらった資料なんですが、いまあなたが説明されたように、介護加算が二万六千円としましても、こんな金額ではとても介護の人を雇うわけにいかないわけですよ。ちょっと現実から遊離しているような制度になっておる。公害補償法のときも私たちずいぶんやかましく言ったわけですが、これは年々何とかふやしていく、スライドしていくということでありますけれども、この場合も、そういったスライドしていくという考えはあるわけですか。
○佐分利政府委員 従来の閣議了解制度におきましても、四十八年度から賃金水準に合わせてスライドしてまいりましたが、今後も賃金、物価等をにらみながら、必要があればスライドをしていく所存でございます。
○岡本委員 先ほどの資料は旧制度らしいからやめておきます。 そこで、時間が大分迫ってきましたが、薬務局長が来ておるのでちょっと念を押しておきたいことがあるのです。普通の薬局の場合、薬剤師がきちっとそこに常駐して、週休が二日制ということであるならば、薬剤師が不在のために本日は薬品販売は終わったというような表示をしないといけなくなっておるのです。各薬局に行きますと、そういうように言われておるのだということです。これは都道府県でそういうようになっておるらしい。 ところで今度、ロッキードに関する特別委員会ができて、関するだから、ここで多国籍企業などもひとつ審議しよう、あるいは証人喚問をしようということになっておるわけですが、この多国籍企業の中でロンソンという会社があるのです。これはダイエーとタイアップしておるらしいのですが、これが豊中市に第一号店、箕面市に第二号店をつくった。そして朝から晩まで、十一時ごろまで営業するというのです。その場合、薬局が一緒にやるわけですが、こういう事実を御存じですか。
○上村政府委員 薬事法上は、薬局は薬剤師に管理させなければならないわけでございます。いまお話しになりましたように、薬剤師が不在の場合には云々というのは、これは調剤とのからみで薬剤師の団体自身が自主的にそういうことをやっておられるのじゃないかというように考えるわけでございます。 それから、いま例に挙げられました豊中の話につきましては、私、存じません。
○岡本委員 おかしいね。これは予算委員会の分科会でやるつもりで前にあなたの方へ連絡してあったはずだよ。 そこで、そういうように朝から晩までやるということは、そこに勤める薬剤師さんは二交代になるわけです。この多国籍企業のロンソンという会社は、薬剤師さんは昼と夜と二交代になるわけですから、名義だけを二交代にできるようにして商売を行う。現実にそうらしいのです。これはやっている人から聞いたのです。こういうことで、あなたは初めてというような顔をしているから一遍よく調査をして、やはり普通の薬局と同じような取り締まり、あるいは制度にしてもらわなければならぬと思うのです。私は、将来ロッキードに関する特別委員会ができたときに、これは多国籍企業ですから、証人にも来てもらわなければいかぬとも思うくらいです。特に薬務局長から調査をしてください。——首を振らぬで一遍調査をやってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
○上村政府委員 医薬品の販売業というのは、一次的には都道府県知事の監督に属する仕事でございまして、そういった問題については、本省みずからが調べるのではなくて、地方自治体がこれについて指導をすることになるのではないかと考えるわけでございます。 それから、多国籍企業云々というお話がございましたけれども、いまお話しになっているのは、一般販売業としてのお話ではないかなと思うわけでございます。そして、その医薬品の販売業については、先ほど申し上げましたように、その管理に薬剤師が当たれば薬事法上はそれでよろしいということになっておりまして、例に挙げられました薬剤師の団体の自主的な規制と薬事法の規制というのは、若干次元が違う話ではないかと思います。
○岡本委員 そこで午前七時から午後の十一時まで営業を行うわけです。そして、あなたがおっしゃったように、そこには薬剤師がきちんといなければならぬ、そうすると、朝の七時から夜の十一時までそんな勤務できないですよ。だから二交代制になるはずだ。その二交代制になる人がはっきりと薬事法に基づいているのかどうか。 これは大阪のことでありますから、一遍あなたの方で調査をしてもらって、私は、もっとまだまだいろいろなことがありますが、時間がありませんのであれだから、一遍調査をしておいてもらいたいと思うのですが、いかがですか。首を振らぬと、調査ぐらいできるじゃないですか。 〔戸井田委員長代理退席、葉梨委員長代理着席〕
○上村政府委員 薬剤師がおらなければやれませんのは調剤でございます。それで、いま朝から夜遅くまでというお話でございますが、医薬品の販売業としての薬剤師の管理業務というのは、その医薬品の販売業者の店の構造、設備なり医薬品の管理でございますから、常時そこに張りついていなければならない性格のものでもないわけでございます。そういった一つの自治体の個別的なことにつきまして、一々厚生省の方で調査をしろと言われましても、はい直ちに調査いたしますとまでは申し上げかねます。
○岡本委員 薬事法に基づいてやっているかどうかということを調査する責任があるのが厚生省じゃありませんか。また、いま構造問題の話が出ましたが、時間がありませんから、それならば次の機会に、あなたがそうおっしゃるならば私もっと細かく一遍やります。そのときに薬事法違反でなかったのであればよろしいけれども、違反であればあなた責任とれますか。だから、この点は一遍あなたの方からも調査してください。これは聞くことによってわかるんですからね。大阪府の衛生部ですか、薬務課ですか、その点一遍調査をして御報告願いたい。要求しておきます。いかがですか。
○上村政府委員 医薬品の販売業につきましては、先ほどから申し上げておりますように、都道府県知事が監視、指導をやっておるわけでございます。しかし調べてみろというお話でございますから、大阪府を通じてその事情は聞いてみたいと思います。
○岡本委員 では、きょうはこのくらいにしておきます。後、瀬野委員に交代いたします。 —————————————
○葉梨委員長代理 次に、厚生関係の基本施策に関する件について質疑を許します。瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 サッカリンの規制緩和問題について、田中厚生大臣並びに関係局長等に質問いたします。 厚生省が昨年五月十四日に人工甘味料サッカリンの使用基準を、それまでの三倍、すなわち体重一キロ当たり一日三ミリグラムに緩和することを決定し、五十年七月二十五日にこの新基準を告示し、実施に移しましたが、このサッカリンについては催奇形性、発がん性の疑いが一向に晴れぬまま規制緩和に踏み切り、厚生省当局の食品行政のずさんさが浮き彫りにされ、ますます国民の疑惑を深めていることは御承知のとおりであります。 このサッカリンについては、世界各国の学術雑誌等に発表された関係論文でも約二百三十編あり、その中には突然変異に関するもの六編、胎児異常に関するもの五編、発がん補助十二編、アレルギー十一編など、安全性に疑問を投げかける数数のショッキングな事件が指摘されておるのでございます。にもかかわらず、食品衛生調査会においては通り一遍の資料で、十分な審議もなされず、安全性が確認されないままに緩和してしまったことに一国民として憤りを抱いているものであります。 この問題について、私が昨年五月十四日に田中厚生大臣に申し入れ、同五月二十二日に衆議院農林水産委員会で質疑を行い、さらに六月十六日には「サッカリンの規制緩和に関する質問主意書」を提出し、同二十四日にこの質問主意書に対する答弁書を受領したのであります。その答弁書の欺瞞性を再び私は七月二日、衆議院農林水産委員会で追及いたしたのでございます。これまで再三再四にわたり規制緩和の撤回を強く求めるとともに、政府の安全性を無視したずさんな行政を厳しく追及してきたところであります。 しかしながら、これまでの質問に対しての政府の答弁並びに答弁書を見る限り、私の質問にまともに答えていないばかりか、回答があっても、都合の悪い部分は削除してあり、さらにデータ等の内容の紹介も、多分に我田引水的であり、データの真意を伝えていない部分が大変多くあり、私の疑念は晴れるどころか、ますます疑惑を深めているのが率直な感想であります。 そこで本日は、昨年以来調査検討の結果、判明した疑惑と問題点について、時間の制約もございますので、数点につき重点的に政府当局の所信並びにその責任問題につき質問をして明らかにいたしたいと思います。なお、時間の関係上、本日は六月十六日に政府に提出した質問主意書及び六月二十四日にその回答をいただいた答弁書の内容を中心に、以下数点にわたり質問をいたします。 まず最初に、答弁書一の(1)のオの配付資料の概要について、一九七三年のクレースら(オランダ・リークス研究所)の実験報告では膀胱がんの症例が挙げられているのに答弁書においては「発がん性は認められない。」と記載されている。また実験報告の原文では「F6については、現在継続中であるが、十八カ月までのところでは膀胱ガンは認められない」となっているのに、答弁書には「マウスに六世代にわたつて二十か月以上投与したが発がん性は認められない。」と記載している。これは明らかに虚偽記載であると思うが、この点についてまず当局の答弁を求めるものであります。
○松浦(十)政府委員 内容の細かい事実の問題でございますので食品化学課長から答弁させます。
○宮沢説明員 お答え申し上げます。 ただいまの先生の御指摘の点でございますが、この実験の期間はFOについては二十カ月以上、F3については二十カ月以上、F6については十八カ月継続中、こういうことであるが、まとめて六世代にわたって二十カ月以上としたものであります。また本報告書には発がん性は認められないという記載がされております。
○瀬野委員 局長にもまた大臣等にも前もって申し上げておきますけれども、この質問の内容また答弁については、後日重要な問題を提起することになると思いますので、ひとつできるだけ局長、大臣等からお答えをいただくようにお願いしたい、かように思っております。 答弁書一(2)エの中で、同合同部会のまとめの原文では「4、しかしながら人工甘味料の必要性という観点もあり」云々、こういうふうにあるのに対して、答弁書「エ」、これは答弁書の五ページになっておりますが、「上記の各種実験結果に基づき、」云々と記載されておりますけれども、何ゆえにこの部分を故意に削除したのか、この点も明らかにしていただきたい。
○松浦(十)政府委員 ただいま先生のおっしゃられた問題でございますが、この質問主意書では、ADIを定めた根拠を科学的に明らかにしろ、こういう御質問の趣意でございましたので、そういう意味からこの科学的な根拠の部分についてここに記載してお答え申し上げた次第でございます。
○瀬野委員 さらにロスの実験報告、これは一九七二年の報告でありますが、これに関し結果一覧表には記載されているのに、ロスの実験報告の全文はないとして資料提出がなされなかったわけでありますが、それではどの資料をもって合同部会で審議したと言うのか、この点も明らかにしていただきたい。
○松浦(十)政府委員 ただいま先生のおっしゃられましたロスの資料というのが実際にその時点においてございませんでしたので、この配付資料の中にはなかったわけでございます。そういうことで答弁書の中にもその旨は記載してないわけでございます。 なお、ここで審議いたしました資料というのは、ここの答弁書に書いてございますところの九つの論文による資料でございます。
○瀬野委員 さらに結果一覧表中、NCIの実験報告(一九七二年)の結果欄には「発ガン性は認められない」と記載されているのに、三月十七日提出の実験報告の全文には——これは私が厚生省に要求した報告でございますが、その記載がないばかりか、実験者の氏名、所属の記載がなく、また数字の記載のある表のみで、実験目的、方法、結果等の文章が全くないが、これはどういうわけか明らかにしていただきたい。
○宮沢説明員 お答え申し上げます。 当時のものについても、いま先生が御質問されたように、原文のチャートだけがございまして、あと一切その他の細かな記載はございません。
○瀬野委員 答弁書一の(1)について、六月十六日に提出したサッカリンの規制緩和に関する質問主意書で、私は冒頭に、一、昭和四十八年十二月十八日の食品衛生調査会毒性・添加物合同部会で審議に使用した資料名とその概要について質問したが、これに対し六月二十四日の答弁書によると、九編の資料が明らかにされたが、事実は昭和四十八年十二月十八日における合同部会には十一編の資料が配付されており、明らかに(イ)ロス、すなわち国際砂糖研究財団でありますが、この実験報告、これは一九七二年の報告、これと(ロ)池田論文(国立衛生試験所)の実験報告が欠落しているわけであります。この欠落も私は故意に削っておる、こういうふうに見ておるわけでありますが、その欠落している理由について明らかにしていただきたい。
○松浦(十)政府委員 昭和四十八年十二月の調査会で配付した資料は十一編ではないか、こういうふうな御指摘でございますが、そのうちロスの資料につきましては、先ほど先生の御質問にお答え申し上げましたように、その論文がなかったわけでございまして、そういうことで配付していないわけでございます。 なお、ただいま先生がおっしゃいました池田論文というものでございますが、このとき池田先生から、先生のまだ実験途中であるそういった実験について話題が提供されましたけれども、それはまだ実験の途中であるというようなことで審議されなかったようでございます。そういうことで、ここでは九編を答弁書に記載いたしたわけでございます。
○瀬野委員 局長、ここでちょっとお伺いしておきますけれども、池田論文については現在すでに実験は終わったのですか。あなたは、そういうように当時は実験中であったとおっしゃるけれども、現在は終わっておりますか、どうですか。
○松浦(十)政府委員 実験は終わったか終わらないか、池田先生がおやりになっておることでございますが、現在まで確定といいますか、学会に報告されておりますのは、昭和五十年四月九日に学会に発表になっておる論文がございます。
○瀬野委員 ただいまの発言は一応承っておくことにいたします。これは後々に影響する関係もございますのでお伺いをしてまいります。 次に、以上私が指摘したとおり、答弁書及び政府の姿勢に納得しかねる点が数多く判明し、疑問が一層広がってくるわけでございますけれども、私は、本年三月十六日に再び現環境衛生局長松浦十四郎氏に対し、昭和四十八年十二月十八日の食品衛生調査会合同部会配付のサッカリン関係毒性試験結果一覧表に記載の十一片の実験報告の全文の提出を求めたのであります。その結果、三月十七日に受け取ったわけでありますが、その受け取った資料によりますと、この中においてもかなり虚偽の記載が、私、見受けられるわけでございまして、指摘せざるを得ません。 そのことについて、若干お尋ねをしてまいりますが、国立衛生試験所池田部長の実験報告に関して、まず一つは、結果一覧表記載の池田氏の実験報告に記載されているマウスの実験報告が、三月十七日にいただいた池田報告の全文にはその記載がないわけですけれども、これまた資料をもらうたびに変わってくるのですが、どうして削除したのか。すなわち、ラットはありましたけれどもマウスがないわけです。その点について明らかにしていただきたい。
○松浦(十)政府委員 先生御指摘のとおり、先ほど申しました池田先生の実験の薬理学会に発表されたものはラットのものでございます。しかしマウスについて池田先生がその後どのようにお進めになっているかは、まだ発表がございませんので、私ども存じておらないわけでございますので、そこで、そのマウスの実験結果をお届けしたわけでございます。
○瀬野委員 また同じ結果一覧表記載の結果欄の中で「皮下組織及び副腎に対照群よりも多くの腫瘍発生あるも、対照群にも認められることから特異性はないと考える」とあるが、三月十七日提出の池田報告にはその記載が、ここでまたないわけです。この点については、どうして記載が削除されたのか、これも明らかにしていただきたい。
○松浦(十)政府委員 先ほど申し上げましたように、この池田先生の実験は、薬理学会に発表いたしましたときに、先生の最終的ないろいろな観察を終えた上で御記載になっておられますので、やはり一番最終的にお書きになったものが先生の判断された実験結果、こういうふうに考えております。
○瀬野委員 答弁書二の(1)、昭和五十年四月二十三日からの食品衛生調査会の毒性・添加物合同部会における審議資料についての私の質問に対し、答弁書には「現行のサッカリンの一日摂取許容量は、サッカリンの発がん性問題の結論が得られるまでの間の暫定的なものとして定められたものであったが、国立衛生試験所で実施されてきた実験において、その後、サッカリンの発がん性を否定する結果が得られ、昭和五十年四月九日の日本薬理学会で発表された。このため、同月二十三日の食品衛生調査会毒性・添加物合同部会において、国立衛生試験所の実験資料を中心とし審議が行われた。」云々と記載していますが、さきに述べたごとく、国立衛生試験所毒性部長池田良雄氏の実験報告は、昭和四十八年十二月十八日の合同部会に配付されており、答弁書に言う国立衛生試験所の実験資料なるものと同一実験報告ではないか一かように私は判断しておりますけれども、この点についても明らかにしていただきたい。
○松浦(十)政府委員 先ほども申し上げましたが、四十八年十二月の合同部会におきまして、話題提供になっておりますところの池田先生の実験でございますが、その実験は実験がまだ終わっておらない段階でございまして、そこで、そういうようなことで話題にはなりましたけれども、いわゆる審議評価の対象にはならなかったわけでございますが、その後その実験がさらに引き続き行われまして、いろいろ病理学的な検査等々がその後になされまして、そして五十年の四月に薬理学会で発表になったわけでございますので、そういう意味合いにおきましては、同一の実験とは申しますが、結果は全くそれから進んだ結果ということで出たわけでございますので、いわゆる同一というものとは違う、こういうふうに考えています。
○瀬野委員 以上、具体的な問題等について答弁書に基づき欺瞞性の点、また削除されている点等を指摘してまいったわけですけれども、ここで田中厚生大臣に御質問をすることで通告をしておるのですけれども、委員長、厚生大臣はどういう状況ですか。——いままで論議したことを踏まえて厚生大臣にいろいろお尋ねするわけですが、前もって大臣にはいろいろと通告いたしてありますので、いま病室からこちらに向かっておられるそうですが、以下重要な問題でありますので、大臣の出席を待って数点お尋ねしたいと思っております。大臣がおいでにならなければ私また改めてこの点についてはお尋ねしなければならぬということになりますので、しばらく待っておっていかがなものでしょうか。
○葉梨委員長代理 間もなく大臣が参りますので、じゃ、しばらくお待ちください。 〔葉梨委員長代理退席、戸井田委員長代理着席〕
○瀬野委員 田中厚生大臣がもうやがて来るそうですから、いきなり質問してもまたあれだと思いますので、若干その前に質問をいたしておきます。 松浦局長にお尋ねしますけれども、先ほどからいろいろ答弁ございましたが、議事録によってまたいろいろ私、検討させてもらうという考えでございますけれども、先ほどの答弁をずっと整理してみますと、先ほどの池田論文にはマウスを削除してあるということで、私がどうしてか、こういう質問をしたのに対して、あなたはマウスについては云々という答弁がありましたけれども「食品衛生研究」三月号には、明らかにマウス実験も掲げてあるわけでございまして、あなたのおっしゃることと相違する、かように思うわけです。また、これについてはほかにもちゃんと証人がおるわけですが、その点、再度局長にお伺いしておきますけれども、どうですか、その点は。
○松浦(十)政府委員 先生がいまおっしゃいました結果一覧表のその時点の段階では、先ほども申し上げましたように、合同部会におきまして池田先生の実験が話になった、その話になった段階では、マウスの実験もラットの実験も先生おやりになっておりまして、そのことがそこで論議されたということは事実でございます。ただマウスについては、最終的な結果報告が行われていない、こういう意味合いでございます。
○瀬野委員 一応お聞きしておくことにしまして、大臣見えましたので、大臣にお答えをいただきたいと思います。 健康保険法の一部改正の審議が行われているときに、大臣がちょっとぐあいが悪くなられて、大臣は大変元気な方で日夜熱心に審議をしておられるから大分お疲れのようでございますので、私も大分心配しましたが、国民のために国民健康保険の審議ですから、ひとつがんばって答弁願いたい、こう思うわけです。きょうは大臣御出席ということで、私もあえて時間を割愛していただいて質問に立っているわけでございますので、重要な問題であり、今後にいろいろと及ぶ問題でございますので、ぜひとも大臣にお答えいただきたい、こういうふうに思っております。 それで私、昨年大臣に対してサッカリンの規制緩和について申し入れをしましたし、質問主意書を出しましたが、このことについては大臣は御承知でございますね。
○田中国務大臣 存じております。
○瀬野委員 そこで、いま大臣ちょっと休んでおられる間に、局長に私の質問主意書に対する答弁書について、いろいろ具体的な問題をるる質問してまいったわけでございますが、大臣に特にお尋ねしたいことは、いままでいろいろ指摘してきましたが、今回のサッカリンの質問主意書に対する答弁書には、相当食い違いがあり、欺瞞性があるわけです。これを一々詰める時間がないので、きょうははしょって質問をしてまいりましたけれども、このサッカリンの規制緩和に関する質問主意書に対する答弁書の回答を見ましたときに、虚偽事項が多い、答えるべき点を故意に削除しておる点がございまして、はなはだ遺憾に思うわけです。大臣は所管大臣として、このような姿勢では、これは国民の健康を預かる立場から大変憂慮すべき問題でございます。 そこで、こういったことは、いわゆる虚偽公文書作成の罪にもなる、こういうふうに私は思うわけでございますけれども、事実こういったことを検討しましたときに、今後またわれわれ国会議員が政府に対して質問主意書を出した場合に、三木総理の名前で答弁が来るわけですけれども、こういったたぐいのものは、もう国政調査権の上からも当然であり、さらにはこれは公開の席で質問するのと同じ意味を持つわけでございますが、信頼ならぬということになるわけで、まさに厚生省の信用を失墜する、そればかりか厚生省のいろんな欺瞞性についても、かなり指摘されている点もございますわけで、われわれも大変憂慮するわけです。私も、大事な問題がどうして起きたのかということで、後でいろいろ検討して実に憤慨にたえない状態でございました。そういったことで、今回のこの答弁書の中身の脱落、こういった問題等について、当然所管大臣として十分責任を感じてもらわなければいかぬ、また、これに対してあなたはどういうふうに責任を感じておられるのか、その点を明らかにしてもらいたい、かように私は思うわけです。
○田中国務大臣 いわゆる内閣の質問主意書に関する答弁書につきまして内容に不実の記載がある、もう少し具体的に言うと、何か資料の点が事実と違うのだというようなお話がございましたようでございます。 本件は、実は告発をいたしたという事情もございまして、私も当時から事案について心配をいたしております。一応事務当局には、そのうちその経緯あるいはその事実について聞いておりますが、私の聞いている限りにおきましては、故意に答弁書に資料の点等につきまして虚偽の記述をしたものではないというふうに聞いております。十一とか九つとかいう話を当時聞きましたですけれども、当時の実情というものを率直、正確に答弁書に盛り込んだものというふうに私は報告を受けております。 なお、この事案については、告発も出ていますから、恐らくその筋でもってまたその角度でいろいろとお調べになることだろうというふうに思っておりますが、厚生省としては、一応そのようなことであるというふうに思っておりますし、私もそういう報告を受けております。
○瀬野委員 私は、この三月十七日提出の実験報告全文の資料を踏まえまして三月十八日付で、いま田中厚生大臣に伺いましたように、さらに大臣に九項目にわたる資料の提出を再度求めたのであります。これは厚生省当局の方でいろいろと検討して回答しておるやに思っておりますが、その結果、三月十九日にお返事をいただきましたが、それによると、さきの三月十七日提出した実験報告全文は、四十八年十二月に配付したものに間違いない、こういうふうにはっきりと答えが出ておるわけです。 かつ、ここで一番問題となりますところのこの池田報告全文が、昭和五十年四月の食品衛生調査会毒性・添加物合同部会に配付した資料と同一であることが判明したわけです。これは厚生省当局から私、説明を求めて、あえて名前は申しませんけれども求めて、いろいろと資料をもらったのでわかったわけです。この辺もいろいろと食い違いが出てくるので、ここで一々やっておるいとまもございませんが、これは明らかに昭和四十八年十二月に配付されたマウス実験を含む池田報告を故意に隠蔽し、あたかも五十年四月の池田報告が四十八年十二月以降の実験で、これもラットのみでありますけれども、発がん性がないことがわかったかのように新たな実験資料と見せかけたことは重大な責任である、かように思うわけです。 この辺もどうも納得できないのですけれども、大臣は、さっきからの論議をお聞きになっていないので、この点も大臣にいままでの論議を聞いた上で御答弁いただきたかったわけですが、大臣おわかりであれば御答弁いただきたいし、今後のためにこの点について、大臣とっさになかなか理解ができないとなれば、局長から責任ある答弁を大臣にかわってお答えいただきたい、かように思います。
○松浦(十)政府委員 先ほども申し上げましたように、同一実験と申しましても、昭和四十八年十二月の段階におきましては、池田先生の実験はまだ中間段階でございまして、最終的な病理標本を顕微鏡で見て、そして、これが本当にどういう病変であるかというようなことをチェックしてない段階のものでございますので、これは、あくまでもそういった資料ではないということでございます。そういう意味合いで、これは実質中身としては同一論文ではない、こういうことでございます。 それからマウス、ラットの問題も、先ほど申し上げましたように、マウスにつきましては、その後、池田先生の方から何らの報告もございませんので、その後どのように進展しているか、結末がまだ出ていないのではないかと思いますけれども、そういうふうなことでないわけでございまして、故意になくしたというようなことでは毛頭ございません。
○瀬野委員 局長、それではいまのは同一資料でないとおっしゃるのですか。
○松浦(十)政府委員 そのとおりでございます。
○瀬野委員 あなたは同一資料でないと、こういうことになりますと、ある人の証言もあるわけですけれども、私は、この問題について仮に百歩譲ってみても、昭和五十年四月の資料が新たな実験資料であったとしても、これで規制緩和に踏み切るということを公示しておられるようでありますけれども、これでは池田氏の実験そのものがいまだ未完成、こういうふうなことになる。それでは未完成のその資料でもって、いいかげんな資料を審査会にかけて安全性の確証のないまま緩和に踏み切る、こういったことはもう許せない、こういうことになるが、それに対してはどういうふうなあなたは見解をお持ちであるか、お答えいただきたい。
○松浦(十)政府委員 同一でないということは、先ほど申し上げたとおりでございますが、ラットの実験につきましては、五十年の四月九日に完全な、ファイナルなリポートが池田先生から報告されておるわけでございますので、そういう意味合いにおきましては、このラットの実験というのは完成されておるわけでございます。
○瀬野委員 この辺、重要な問題なんですけれども、後日会議録を見た上で、またいろいろと質問を留保することにして、いずれにしても、質問あるいは答弁書または個々に伺ってもその都度、いろいろ二転、三転、四転して変わる内容になっております。こういったことについて、私は、まさに欺瞞性を深めるばかりで不満でありますけれども、これらは、また会議録を見た上でさらに政府の考えを聞くということにいたしたい、かように思います。 そこで、時間も制約がございますので、田中厚生大臣にお伺いするわけでございますが、以上いろいろ申し上げてまいりました、また論議してまいりましたように、虚偽公文書作成の罪にでも問われかねない政府当局のいろんなこういった姿勢に対して、私は、まさに欺かれたような気持ちで憤りを感ずるわけでございます。もう少し明快な答えが出ると思っておりましたのですけれども、その場限りの答弁に終始しておりまして、まことに残念でございます。 ここで、なぜにサッカリンの規制緩和に、厚生省が国民の疑惑を晴らさず、また納得いく資料も提示しないで執拗に今日まで来ているかというふうなことを、私は、次のように思っておりますし、また大臣にもぜひ、おわかりでしょうけれども、あえてお聞きいたしたいと思うのです。 昭和四十八年四月、厚生省は米国政府によるサッカリンは発がん性の疑いありとの発表を受けてサッカリンの全面禁止をしたことが問題の発端であります。 ところが、つけもの業界を中心に食品業界内にサッカリン禁止を撤回させようとする動きが強くなり、この圧力に押されて四十八年十二月、厚生省は、サッカリンについては決定的な結論を出し得ないまま、食品衛生法第六条で許されていない便宜的な理由、すなわち、人工甘味料の必要性という観点から暫定的な使用基準を設けて禁止を解除したのであります。 ところがつけもの業界は、そのとき定められた使用基準では不十分であり、営業上のメリットがないとして、さらに大幅緩和を実現するため、さまざまな策を弄し、巷間黒い霧のうわさまで乱れ飛んだわけでありますが、厚生省に圧力を加えた結果、同省は昭和五十年四月、すでに四十八年十二月、食品衛生調査会合同部会においてサッカリンが安全であると結論を出すことが困難であるという評価がなされたのであります。実験報告のうち、国立衛生試験所毒性部長池田良雄氏の報告を、あたかもその後新たに結果が出た実験報告であるかのように見せかけ、サッカリンの発がん性を否定する結果が得られたとして食品衛生調査会の審議資料として提出し、従来の使用基準の平均五倍という大幅緩和の答申を取りつけ、消費者団体等の猛反対を無視して、同年七月二十五日緩和の告示をしたものであります。そして、この不正行為をカムフラージュするため、使用基準緩和に当たって不利となる部分を隠蔽するため、これまで明らかにしたような虚偽行為につながっているのではないか、かように私は判断せざるを得ないのであります。 そこで、厚生大臣にお伺いしますけれども、サッカリンに関する毒性報告が多く、いまだ完全に安全性の立証されていない、また規制緩和の直接要因となった国立衛生試験所の実験データの扱いに疑惑がある以上、昨年の、すなわち、五十年五月十四日決定し、五十年七月二十五日告示したサッカリンの規制緩和は、私は、白紙撤回すべきでないか、かように大臣に申し上げたいのです。厚生大臣の御見解を承りたい。
○田中国務大臣 サッカリンの使用基準の改正につきましては、先生は先生なりの御解釈があっていまいろいろ申し述べました。私どもは、いろんな業界の人には——この問題について私自身はお目にかかったことはございません。しかし当時から食品衛生調査会でいろいろと御審議なさっておったわけでございまして、この内容について先生はいろいろ議論があるようですが、私どもは、この調査会の結論というものを踏まえましてこれに対処いたしたわけであります。私は、科学者ではございませんので、素人でございますから、科学的なことについてはいろいろと聞きまするけれども、十分に審議をされ、正しい結論が出ているものということでございますので、私はその措置をとりましたが、しかし私は、素人なりに実は慎重に構えまして、一体世界じゅうでサッカリンをこれ以上規制しているところがあるだろうかということ、これは素人でもわかるものですから、その辺まで私は資料を取り寄せて調べてみたところ、世界じゅうにそうした国はないということを聞きましたので、これは実は私なりの心証を得るための措置であったわけでございますが、そうした食品衛生調査会における審査の結果、あるいは私自身の調べによってそのようなことについて規制緩和をいたしたわけでございまして、ただいまのところ、特別の今後の事態が出てくれば別でございますが、これをただいまのところ変更することは考えておりません。
○瀬野委員 厚生行政の基本は国民の健康を守ることでございます。厚生大臣も十分御承知のように、いま私は科学者ではない、素人である、素人なりに一生懸命勉強していくということでございまして、まことに謙遜したお言葉と私は承りますけれども、どうかひとつ、この問題については重要な問題であるので、大臣としても十分部下の監督をし、また今後の推移を見ながら対処していただく、そして、またさらにさらに慎重に検討していただくということをお願いするわけです。 今日の健康保険の姿を見ると、保険あって医療なしというようなことが盛んに言われております。御存じのように国立がんセンターの統計なんかを見ますと、最近の傾向として十人子供が産まれると五、六人は何らかの形で虚弱児といいますか体が弱いということも言われますし、小児がんの発生率が異常に多くなっている。これに加えて奇形児、一つ目、手足の指の曲がったもの、肛門のない子、心臓奇形など、さまざまな異常的な後期死産がふえ続けておると言われております。また、この二十年間に十一倍というまことに戦慄するような奇怪な現象が発生しております。国民は総不安に襲われておるわけでございますが、御存じのように、サッカリンの問題もさることながら、また、あらゆる食品添加物が体内に入りましていろいろと発がんの原因になっているようなことも、まだ徹底的に究明されておりません。実に不安であります。疑わしきは用いずという点からも、十分国民の健康を——二代、三代目には日本列島は病人ばかりで、働く者がわずかという逆の立場になるのではないか、かように思います。 きょう健康保険の重要な審議をするときに、疲労であったのかもしれませんけれども、大臣まで少しぐあいが悪くなられましたけれども、だんだんわれわれの子孫が体が弱くなるということで心配をしております。病人列島日本になったのでは困るというわけで、しっかりひとつ厚生大臣にその辺の検討を慎重にやっていただきたい、かように思うわけです。 最後に、田中厚生大臣に一点お伺いして質問を終わることにしますが、国民の健康に直接関係する食品添加物の規制緩和に疑惑が持たれているのに、食品衛生調査会の審議内容が非公開というのは、私はかねがね納得できないわけです。今回もこういったことはなかなか欺瞞性が持たれるし疑いが深まる。そこで私は、この食品添加物の規制緩和の問題にちなんで、今回の食品衛生調査会のこの審議内容というものをどうかひとつ公開を原則としてもらう、こういうようにすべきだ。国民はそれを待っている。そういうふうにして明らかにし、国民が安心して生きられるようにするのが厚生省の国民の健康を守る立場から当然の責務である、かように思うわけですけれども、大臣、最後に見解を承りたい。
○田中国務大臣 食品衛生調査会の審議の内容については、かねがね御答弁申し上げているように、審議資料の公開については、原則として学界等において公表されたものを審議対象としておるところでございます。しかし食品衛生調査会の審議の内容を公開するかどうかといったようなことについては、今後委員の方々と十分相談をしてまいりたいというふうに思います。いろいろな議論があります。この種の審議会について、これを公開することのメリットとデメリットがあることは、もう先生国会議員ですから米審その他でよく御存じだろうと思います。そうしたことを踏まえて、われわれは今後相談することについてはやぶさかではございませんが、できるだけそうした資料が世間の人の目にとまって評価のできるようにはしておる所存でございます。
○瀬野委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。 ————◇—————
○戸井田委員長代理 次に、健康保険法等の一部を改正する法律案及び予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案の両案を議題として質疑を続けます。小宮武喜君。
○小宮委員 私は、健康保険法等の一部を改正する法律案に対して質問いたします。 政府管掌健康保険組合は四十八年の法改正の際、約三千億の累積赤字をたな上げして新たなスタートをしたわけでありますが、そのときの説明では、二年間で収支の均衡を図るということであったにもかかわらず、四十九年度、五十年度の赤字合計額は五百五十九億にも達していると言われております。この四十九年度、五十年度の赤字要因について、それぞれ説明を願いたいと思います。 〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
○山縣政府委員 先生お話ございましたように、四十八年の改正によりまして、財政の恒常的な安定を図るために措置を講じたところであります。昭和四十九年度におきましては、昭和四十九年二月の診療報酬の改定等に伴いまして、当初の予算編成時におきましても、約千億程度の収支不足が見込まれたところであります。このため同年度の予算におきましては、四十九年十月に保険料率の千分の四引き上げを予定いたしまして、翌昭和五十年度末までに収支の均衡を図ることとしたわけであります。しかしながら、昭和四十九年度におきましては、オイルショックを契機といたします狂乱物価と高率のベースアップがございました結果、保険料の増収を見た反面、医療費も再び引き上げられることとなったわけでございます。その結果、予算を大きく上回る変動がありまして、八百三十六億円程度の収支不足を生ずることが明らかになりましたため、同年十一月社会保険審議会の議を経て保険料率を千分の四引き上げ、五十年度末までに収支の均衡を図るということで、昭和五十年度予算におきましては、四十九年度におきます保険料率引き上げの満年度化及び行政努力等によりまして、五十年度末に約三百二十七億円の収支残をということで予算の見直しをやったところでございます。 しかしながら、その後の経済情勢の変動によりまして、標準報酬月額でございますが、定時決定で一五%と見ておりましたところ、結果といたしまして一二・四%ということになった反面、また収納率におきましても若干下がる見込みが生じておるところでございます。 一方、支出面におきましては、医療給付費の自然増でございますが、当初予算で考えましたより上回ったというようなことによりまして、五十年度単年度で百六十四億円の収支不足を生ずる見込みでございまして、先ほどお示しがございましたように、四十九年度以降の累計では五百三十二億円になるという見通しでございます。
○小宮委員 ただいまの説明によれば、これは四十九年度以降大幅な医療費の引き上げがあったわけですが、さらには戦後最大の不況によって失業者が多く出たということで被保険者が三十五万人も減少したために、保険料収入が当初見込みよりは六百三十七億も減少したと言われますけれども、大幅な医療費の引き上げをやったのは厚生省自身ですから、だれの責任でもないわけです。だから、他に責任を転嫁するということでなくて、当然そういうようなことは予測できたにもかかわらず、大幅な医療費の値上げをやったのは厚生省自身ですから、責任は厚生省にあるわけです。また戦後最大の不況によって失業者が三十五万人も出て、そのために保険料の収入が減ってきたという問題にしても、石油ショックは四十八年ですから、四十九年、五十年の場合、皆さん方が予算を組む場合にかなり甘く、不況に対する認識が非常に欠けておったというようなことを、私は指摘せざるを得ないのです。 先ほど話がありましたように、たとえば五十年度の賃上げの問題にしても、一五%予定に入れておったところが一二・四%で、それだけ保険料収入が下がったということについても、そういった一五%の保険料の伸び、いわゆる賃上げ率を一五%見ておったというその根拠についても問題が出てくるわけです。五十一年度においても、さらに五十年度と同様に今度は一二・四%の賃上げ率を見て、それで保険料収入を考えておるわけだから、そういうような意味では、皆さん方が言っておられることはどうも収支のつじつまを合わせるためのそういうような計数を使っておるような気がしてならぬ。やはりもっとシビアに考えて予算を組む場合やっていただかぬと、むしろシビアにやり過ぎるぐらいにやってちょうどいいわけです、ある程度収入が出てくるわけですから。そうしないと、いまのような予算の組み方をしておれば、これはまた五十一年度においても、果たして皆さん方が予定しておるとおりの保険料が入るかどうか、こういった問題も出てくるわけです。 だから、そういった意味で、今回の四十九年度、五十年度に赤字が大きく出たというのは、やはり厚生省の予算を組む場合の見込み違いだ見込み違いに原因がある、こういう指摘をせざるを得ないのですが、いかがでしょうか。
○山縣政府委員 政府管掌健康保険の予算の編成に際しましては、収入面、支出面おおむね過去三年の平均をとりまして、できるだけ直近の数値をとらえまして推計して予算を編成いたしておるところでございますが、何分最近の経済事情の変動あるいは医療費の自然増等、先生御指摘のように私どもの方で把握しかねました点もございまして、四十九年度、五十年度は、かような結果になる見込みではございますが、できるだけ正確な数字を用いまして今後とも編成に努力をいたしたいというふうに考えております。
○小宮委員 過去三カ年の平均を見込んでやるということですけれども、こういうような社会情勢の変化の中では、石油ショック以来、不況は戦後最大の不況が訪れてきた。そういう中で当然被保険者数も減ってくるし、それから標準報酬月額もこれは下がるわけですから、そういうような意味で、ただ、いままでの従来の慣習どおりに過去三カ年の平均をとってその予算を編成するというところに——発想をやはり変えていただかぬと、だから、そういった赤字が出てきた、赤字が出てきたから今度はこれだけまた引き上げるのだというようなことをやられたら、そういうような一つの今後の指標というものを明らかにしていただかぬと、ただ、いままでどおりの従来の慣習で三年の平均だというようなことだけではやはり問題の解決にならぬのじゃないか。むしろそういったことがこの政管健保の赤字を増大させる原因にもなった。予算の見込み違いということも出てくるわけですから、そういうような点については、やはり今後ともそういうような社会情勢の実態に応じて予算を編成する場合にはいろいろやっていただきたい、こういうふうに考えます。 それでは、特に五十一年度における政管健保の被保険者はどれぐらい見ておりますか。
○山縣政府委員 五十年度におきます被保険者の年度間平均でございますが、千三百五十三万九千人でございまして、五十一年度におきましては千四百万人程度というふうに思っております。
○小宮委員 五十一年度予算でも、保険料の伸びを、先ほど申し上げましたように、五十年度と同様に一二・四%を見込んで一兆四千七百億と踏んでいるわけですが、果たしてこの一二・四%の増収が確保できるかどうかという点についての見通しはどうですか。
○山縣政府委員 最近の経済事情の変動によりまして、五十一年度におきます標準報酬定時決定の伸びでございますが、どの程度見込むかという点につきましては、いろいろ苦慮したところでございますが、おおむね昨年と同程度の標準報酬定時決定におきます標準報酬の伸びが期待できるものと予定いたしまして、五十年度同様の数値を用いて積算しておるものでございます。 これにつきまして、いまの見込みではいかがかと申されるわけでございますが、春闘大企業等の一部の結論は出ておりますが、政府管掌健康保険、中小企業を対象にしておりますこと、それと基準外賃金、健康保険におきましては、時間外手当も標準報酬の中に組み入れておるところでございまして、こういう基準外賃金の伸び等も最近は伸びておるという点もあるわけでございますので、現段階におきまして一二・四%が期待できるかどうか厳しい面もございますが、やはりことしの十月あるいは十一月にならないとその結果は判明しないのではないかというふうに考えております。
○小宮委員 五十年度も一五%予定しておったのが一二・四%になった。それで、いま言われる五十一年度も五十年度と同様に一二・四%見込んでおるわけですけれども、しかしながら、景気が回復しつつあると言っても、確かに時間外労働時間は幾らかふえてもおります。しかしながら、ことしの賃上げの実態を見ても一けただ。そうかといって、また特に中小企業の方々が時間外が幾らかふえておるけれども、いま現在まだまだ不況のどん底ですから、だから、いまの不況がいつ回復するかということになれば、大体来年の初めごろではなかろうかという見方もあるし、ことしの暮れからという見方もありますけれども、私は、この一二・四%の保険料の伸びというのが確保されるかどうかということは疑問に思っておる。しかし、これはここで言っても、お互いに水かけ論になりますから、いま厚生省が考えておるようなことにいけば幸いですけれども、そうしなければ、これは保険料の伸びが下がったということで、また赤字の原因になってくるというようなこともあるので、私は、やはりどうもいまの厚生省の組み方は、数字のつじつまを合わせるための数字を使っておるような気もするし、われわれはもっとシビアに考えていただきたい、こういうふうに考えます。 それから、国民の総医療費は、昭和三十年度には二千七百億にすぎなかったのが、昭和四十年には一兆円を突破し、四十八年には三兆九千四百九十六億、四十九年には一挙に二兆円もアップして五兆三千億、五十年度には六兆四千億に達する見込みと言われておりまして、十年前に比べると約六倍に上がっております。このように医療費総額が急増するのは、これは原因としては医療費の単価が上がったのか、患者がふえたのか、病気の治療期間が長くなったのか、あるいは一回当たりの医療費がふえたかのいずれかだと思うのですが、その点、厚生省はこういうふうに医療費が急増したのは、どこに原因があると思いますか。
○八木政府委員 確かに先生が御指摘になりましたように、最近十年間におきましては、医療費というのは約六倍に急増しているわけでございます。 そこで、いま先生が要因といたしまして三つほど御指摘ございましたが、それぞれの要因というものがやはり大きく作用しているのではないかというふうに思われるわけでございます。 まず、診療報酬の点数の面で申しましても、三十九年以降賃金あるいは物価というものも大きく上昇しているわけでございまして、診療報酬におきましても、点数表の改定におきましては、当然人件費なりあるいは物価、物件費等の上昇というものを見込まなければならないわけでございまして、そういう面におきましても、診療報酬の点数の改正というのが何回か行われているというようなことによりまして、医療費の点数単価が上がっているというのが一つあるわけでございます。 それから、やはり過去十年間ということになってまいりますと、医療保険制度そのほか公費負担制度等を含めまして医療保障制度というものも、かってに比べますと画期的な改善、充実が行われたというような面から申しましても、患者の数も上昇しているというようなことも言えようかと思いますし、さらに医学の進歩等に伴いまして、あるいは疾病の構造等に伴いまして、医療関係の需要というものは当然ふえてくるということも考えられるわけでございまして、いろいろな要因はあろうと思いますけれども、それらの要因が相互に関連いたしまして、医療費というものは上昇してきているということが言えようかと思います。ただ、最近のように低成長下ではございますけれども、やはり国民の生活水準の向上ということにも見合いまして、さらに医学、薬学の進歩あるいは健康に対します国民の関心の高まりということを考えますと、やはり医療費は今後ともふえていくのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○小宮委員 私の見方は若干違うんですよ。いま言われたのも、やはり要因の一つではありますけれども、私は、ちょっと違った見方をしておるんですがね。医療費の単価、いわゆる診療報酬点数は、一昨年こそ二月と十月の二回にわたって三六・二%引き上げられたわけです。それまでは大体二年に一回、それも一〇%前後しか値上げされていないのです。だから、十年前と比較しても恐らくその倍にはなっていないはずです。また、昭和四十八年の一月から言われた老人医療費の無料化によって高年齢者の受診率が高くなったことは、これは事実ですが、その実施はわずか三年前ですから、それがこの十年間における国民総医療費の増高にそれほど大きな影響を与えているとは私は思いません。さらに患者一人当たりの受診件数、いわゆる受診率においてもややふえる傾向にありますけれども、それでも年平均五%程度だ。また診療期間を示す一件当たりの受診日数もすべての保険で短縮されつつあるのが現状なのです。すると、残るのは一人一日当たりの医療費なのです。それを見てみますと、十年前には外来診療で約二百円であったのが、現在では千七百十円、入院治療も一千四百円であったのが六千百九十円と、それぞれ五・七倍、四・四倍に上がっておるわけです。さらに、その内容を分析しますと、最近の外来診療の診療行為別一日当たり点数の年次推移を見ても、やはり投薬と注射の費用全体が総額の六六%を占めておるということを見た場合、これらの数字から見ても、総医療費増高の最大の原因は、やはり薬剤の使用量の増加にある、私はこう見ておるのです。その点、所見はいかがですか。
○八木政府委員 医療費の増加の原因はいろいろあろうかと思います。先生御指摘のような面もあろうかと思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、特に十年間というような御指摘がございましたわけでございまして、十年前を考えました場合に、医療保険体制と医療保障の体制というものも、今日と比較しましてやはり大きな点があるのじゃないかというふうにも考えられますし、さらに日本の人口の構成というものが逐次老齢化していくというような老齢人口比率の高まりというような問題もあろうと思いますし、特に申し上げたいと思いますのは、やはり医学、医術の進歩というものに伴いまして、やはり国民の健康なり医療を確保するというためには、よりよき医療を図っていかなければならないという面から申しましても、医療費というものは、世界各国共通の傾向であると思いますが、逐年上がっていくというのは一般的な傾向であろうというふうに思われるわけでございます。 ただいま先生から御指摘ございました、薬剤費の割合が相当高いのではないかという点でございますけれども、確かにおっしゃるような医療費の中に占めます薬剤費の比率というものもあるわけでございますけれども、最近の数字で申しますと、これはある意味では技術料との相対的な関係になるわけでございますが、四十八年の四六・四%が四十九年には三七・三%ということで、比率は減少しているわけでございます。ただ、絶対額から申しますと、これはやはり逐年ふえているというようなことでございますが、この面におきましては、やはり医学なり薬学の進歩というものも考えていかなければならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○小宮委員 いまの医療制度は、薬をよけいに飲まして注射をすればもうかるようになっておるのです。そこにやはり現物給付出来高払いの医療費の支払い方式に問題が出てくるわけです。いまぼくらでも、病院に行った場合に、まあ袋いっぱいもらう。いまのこういうような制度が、現物給付出来高払いの医療費の支払い方式になっておるから、どうしても薬をよけい飲ました方がお医者さんはもうかるわけです。だから結局、こういうふうな基本的な問題を解決せずして、ただ単なる一時的な財政措置だけで健康保険財政の赤字を克服しようとしても、これはもうとうていその目的を達成することはできない。だから、根本的にここにメスを入れなければ、本当にこの赤字財政というのは解消できないというふうに言ってもはばからないと私は思うのですが、どうですか、局長。
○八木政府委員 診療報酬の基本の体系に触れる問題につきまして、先生から御指摘があったわけでございます。確かに先生から御指摘のございましたようなことのありますことにつきましても、私ども承知している次第でございますけれども、現在の現物給付出来高払い方式というのは、何分にも過去この方式ということでなじんできた方式であるわけでございまして、この問題につきまして、いろいろな御意見があることは十分承知しておりますけれども、現在の体系というものを根本的に変えるということになりますと、やはりいろいろな問題もあろうかということでございますし、特に従来からもこの方式で来ているというような面も考えました場合に、なかなかむずかしい問題ではないかというふうに考えておる次第でございますが、私どもも十分研究していかなければならない問題であるというふうに理解しております。
○小宮委員 これは、もう厚生省は医師会あたりにいま非常に気を使って、厚生大臣も、中医協の場合も、あっちに走りこっちに走りして、なるたけ腹を立ててもらわぬようにいろいろ飛び回ったことも知っておるし、厚生省の姿勢そのものが、やはり日本医師会あたりに必要以上に、われわれから見ればごぎげんをとっておるということを見れば、いま言われたように、根本的な問題にメスを入れるということは非常にむずかしいとは理解します。しかしながら、そういうような赤字が出た、その赤字を全部やはり被保険者、国民にしわ寄せされたら困るわけです。 そこで私は、いまの政管健保というのは、いわゆるこれは大蔵省の担当の方になろうかと思いますが、厚生保険特別会計法で、二年間で収支の均衡を図ることが原則とされておるわけです。今回の改正案も、当然この原則の上に立って提案されていると思いますが、四十八年のこの健保法改正の折も、その原則を導入しながらも、先ほど質問しましたように、四十九年、五十年も連続赤字を出しておる。しかも今後、やはりいままでの高度経済成長時代とは違って低成長時代に突入しておるわけですから、いま言われたように、保険料の伸びも余り期待できない今日、二年間で収支の均衡を図るというこの特会法の原則を貫くことは非常に無理があるのじゃなかろうか。したがって、こういうような原則を守ろう、貫こうとすれば、どうしてもやはり国民にこの負担を多く強いることになるのは当然です。だから、この特会法を緩和して、二年間で均衡を図るということではなくて、二年以上の長期間のもとに均衡を図るというような立場でこの特会法の改正を行うべきだ、こういうように考えますけれども、これは大蔵省の所管でしょうが、大蔵省来ておらぬでしょうから、私のこの意見に対して厚生省としての所見はどうか。
○八木政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたのは、二年間で収支均衡を図るという四十八年の改正の考え方というのは今日的ではないのではないか、もっと長期的に考えるべきじゃないかというようなお話だろうと思うわけでございますけれども、四十八年の改正は、給付の面あるいは財政の面、両方を含めまして健康保険の健全な制度の維持発展を図るために、当時の国会で御審議いただきまして成立した法律であるわけでありまして、当時、健康保険制度の健全な発展を図るためにどうしたらいいかということからできたのが、四十八年度の制度であろうと思われるわけでございます。 ただ、今回の改正案でもお願いしておりますように、四十八年の改正時点と今日時点におきましては、その後かってないような大きな未曾有の経済変動が行われたというようなことでございますので、そういう面から申しますと、医療保険制度におきましても、一つの大きなショックを受けたということから、今回の改正におきましては、四十八年以降の大きな経済変動に対しましての医療保険制度が受けました影響に対しまして最小限度の手直しなり、あるいは見直しを行うというようなショック緩和対策、当面の対策これによりまして今後の医療保険制度の基礎固めを行いたいということでございますので、現時点におきましては、先生御指摘の問題もあろうかと思いますけれども、まず現制度を基礎にいたしまして、いかに基礎固めなり今後の方向を考えていくかということでございますので、現段階におきましては、この二年間の収支均衡ということによってやってまいりたいというような考え方でございます。
○小宮委員 今回の改正案によりますと、保険料の算定基準となる標準報酬月額の上下限を現行の二十万円から三十二万円に、下限を二万円から三万円にアップする。二は、一部負担金の初診料を現行の二百円から三倍の六百円に引き上げる。さらに入院時負担の一日六十円一カ月を、二百円六カ月に引き上げる。加えて保険料を〇・二%アップしてこれを千分の七十八にする。それに発足後間もない高額医療費の限度額を三万円から三万九千円に改悪するなどして九百八十四億の増収を見込んでおるようでありますが、それぞれの引き上げ率の根拠について簡単に説明してください。余り長くやられると、先の方の時間がなくなるから簡単に。
○八木政府委員 まず、一部負担の額の引き上げでございますが、一部負担の現在の初診時二百円入院時六十円の額につきましては、四十二年以来据え置きになっておるわけでございます。その後の経済情勢の変動を考えました場合に、医療費の面におきまして、あるいは所得の面におきまして、あるいは標準報酬の面におきまして、いずれも四十二年時点と今日時点におきましては三倍以上の伸びを示しておるということでございます。特に入院費等で申しますと、四倍程度になっておるというようなことでございますので、当時の社会情勢、経済情勢と今日を置きかえました場合に、それをスライド的に伸ばしたというのが基本的な考え方でございます。 次に、高額療養費の自己負担限度の引き上げでございますが、これも制度発足当初の被扶養者が入院した場合の一月当りの平均の自己負担額というものをめどにいたしまして、当時三万円という額が定められたわけでございますが、今日におきましては、一月当たりの平均自己負担額と申しますと五万円を超えているというような段階でございます。ただ、急激な負担増を一挙にもたらすということになりますと、国民の負担もふえるというようなことから、一挙に五万円に引き上げることではなしに、できるだけ負担の緩和を図りたいというようなことから三万九千円を考えておる次第でございます。 次に、標準報酬月額の上下限の考え方でございますが、標準報酬の上限につきましては、保険料負担の被保険者間の公平を図るというようなことから、賃金水準の変動に応じまして、できるだけ賃金の実態に見合いまして標準報酬の上限を考えていくのがあるべき方向であろうと思うわけでございまして、昭和四十八年の十月に上限が改定されました場合の上限該当者の政管の分布率は約三・五%でありましたのが、現在では九・五%にも達しているというようなことでございまして、法改正をしませんと一〇%にもなるというようなことから、分布率におきましても、できるだけ実態に合うようにいたしたいということから、これは厚生年金とも関連する問題でございますが、標準報酬の現実の賃金実態にもっていきたいということから上限の改定を考えておる次第でございます。
○小宮委員 上限の改正については、多くの所得がある人はそれなりの応分の負担をしてもらうという考え方は私も肯定しているわけです。しかしながら、二十万円から三十二万円に引き上げられることによって、それでは三十万円とか二十五万円の人たちが一カ月どれだけの負担増になるのか。また保険料率が千分の二引き上げられるわけですから、その意味において報酬月額二十五万円、三十二万円の人で一カ月にどれだけの負担増になるのか。 それからもう一つ、健康保険料の標準報酬の引き上げだけではなくて、今度厚生年金も引き上げが出てきておる。厚生年金の標準月額は上限が上げられたわけですからその健康保険の改正で二十五万、三十万の人が一カ月保険料率引き上げも含めて幾ら負担が多くなるのか、また厚生年金も含めて一月に幾ら負担が多くなるか、ひとつ計算して教えてください。
○山縣政府委員 最初に健康保険で、二十五万の報酬の者でございますが、上限の改定によりまして二千二百八十円の増でございます。同じく上限の改定によりまして、三十二万円の者につきましては四千五百六十円でございます。 次に、いまお示しのありました政府管掌健康保険において予定しております千分の二の料率改定でございますが、これによりまして二十五万円の者については月二百六十円でございます。同じく三十二万円の者については三百二十円、合わせて二十五万円の者が二千五百四十円、三十二万円の者が四千八百八十円でございます。もちろん二十万円以下の者につきましては、予定いたしております料率引き上げ分のみでございまして、二十万円までの者については二百円、かようになっております。 厚生年金につきましても、上限改定のものと料率改定と両方ございますが、それに健康保険を合わせますと、二十五万円の者につきまして七千百六十円、三十二万円のものにつきまして一万二千三百二十円の増でございます。
○小宮委員 私たちは、所得が多い人は多い人なりに負担してもらうという気持はあるし、また特に反対をするものではありませんけれども、毎月こういうような急激に負担増が出てくるということになれば、それぞれの人たちはやはり生活設計をしているわけだから、こういった一挙に負担増が本人にしわ寄せが出ないように、何らかの経過措置が考えられないかどうかという点について、いかがでしょうか。
○八木政府委員 保険財政の安定を図るという面から申しますと、保険料率の引き上げの問題があるわけでございますし、標準報酬の問題は、保険財政の安定という面よりは、むしろ負担の均衡を図るという面からでございます。 いずれにいたしましても、今回の医療保険におきましては、五十一年度におきまして、できるだけ国民の皆様方の御負担を最小限度にとどめたいというようなことから、本来でございますと、年度当初からというような問題もあるわけでございますけれども、保険料率の問題につきましては十月から、しかも料率の引き上げにつきまして、五十一年度末におきましては当然赤字ではあるわけでございますけれども、最小限度の幅にとどめるというような意味で、引き上げ幅も千分の二というようなことにしておる次第でございます。
○小宮委員 いろいろ意見はありますけれども、先に進みます。 今回のこの初診時の一部負担、入院時の一部負担、これらの問題は、われわれはもう撤回してもらいたいという気持ちを率直に申し上げておきます。しかしながら、ここで一部負担金の改定に当っても、社保審とか制度審からは、これを認めるかわりに現在の差額ベッドや付添看護料などの保険外負担について早急に解決の方途を明らかにすべきだということが指摘をされておるわけです。ところが、いま厚生省が提案しておる改正案の中にも、またそういった差額ベッドだとかあるいは付添看護料の問題は、その解決の方法を何ら明らかにしないままに、ただ安易にこれを国民の負担だけに求めようとしているこの政府の態度については、われわれはやはり納得できません。これについて、たとえば差額ベッドだとかあるいは付添看護料について何か対策を、社保審、制度審の指摘を受けて何か具体的解決の方途を考えておられるのかどうか、局長、どうですか。
○八木政府委員 御指摘ございました差額ベッドなりあるいは付添看護の問題等につきまして、こういうようなために必要な医療の機会が妨げられるということがあってはならないというようなことから、私どもは、室料差額の問題につきましては、四十九年に差額ベッドの割合、特別室の基準、差額徴収の要件等につきまして指導方針を明確にいたしまして、この基本線に従いまして指導を行っている次第でございますが、御指摘のような問題もあるわけでございまして、私どもとしましては、さらにこの指導の一層の徹底を期してまいりたいというふうに考えている次第でございます。 なお、付添看護の問題につきましても、今回の診療報酬の改定におきまして、看護の面におきまして特別の配慮を行うというようなことで、基準看護の問題につきましては、基準看護加算の傾斜配分なり重点的な措置をとったわけでございますし、さらに基準看護の体制のない保険医療機関におきます看護料の額につきましても、本年の五月から額の引き上げを行ったというような措置も講じたわけでございます。 ただ、先生御指摘のような問題もあるわけでございまして、今後この問題につきましては一層真剣に取り組んでいき、第一線等に対します指導もさらに徹底を期してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○小宮委員 もう時間が迫ってまいりますので、次に進みます。 次は、これは大臣に、本会議の質問でも私やったわけですが、いわゆる老人医療の問題です。いわゆる医療の無料化制度というのは、昭和四十七年度予算の目玉として昭和四十八年一月から実施されたものでありますが、この制度によって病院のベッドがいっぱいになったとか、急患があっても入院できないとか、あるいは病院は老人クラブ化しておるとかというようなことが言われる一方、財政的に国民健保などの保険財政が圧迫されておるというような理由から、五十一年度予算原案では老人医療の有料化が打ち出されていたわけです。しかしながら、これは三木総理の強い要請で五十一年度有料化は見送られましたけれども、五十二年度以降については改めて検討することになっておりますが、これは大臣、いまのこの老人福祉に逆行するような有料化という問題はぜひともやめてもらいたい。だから、その意味で、これはまあ大臣はいま検討しておるのでということで逃げるかもしれませんが、大臣は、私はもう非常に信頼しておる大臣ですから、いや私はこう思っております。無料化を有料化にはいたしませんということをここで一言はっきり言うてください。
○田中国務大臣 老人医療の無料化政策に伴っていろいろ社会に批判があったことは事実でございますが、しかし五十一年度予算編成をめぐって財政当局から突如ああいうものが出てまいりました。私は、ああいう角度からああいうものが出てくるというのはまことによろしくない、こういうふうに思いまして、三木総理とも相談をいたしましてやめていただきました。やめることについて全然約束はございません。五十二年度からやるから五十一年度は取りやめてくれなんという話は全然しておりませんで、この問題は一応白紙になっております。しかし問題が問題ですから、また再燃しないとも限らぬわけでございますので、御承知のとおり老人保健医療懇談会等でいろいろと考えて検討をしておるわけでございますが、私どもは、これをいまの段階で、完全に未来永劫、こんりんざいやりませんというようなことを申し上げることは、まだ検討の途中ですからいかがかと思いますが、私は、むしろそれよりも、老人医療が円滑に実施されるようなそうした医療制度というものをもう少し広範囲に考えていきたい。老人が一番かかっているのは結局国民健康保険なんですよ。ここへ大きくしわ寄せが来ているものですから、私がよく言うように、最も弱い保険集団である国保に老人というものを預けておいて多少の助成をしてみたところが、私は、問題が解消しないし、この辺から実は問題が出てきたわけでございますから、そうした面で広い視野でもってひとつこの問題と取り組んでいこうというふうに考えておるわけでありまして、あの当時の予算編成途中に突如として出てきたような、非常に幅の狭い、単なる財政的見解からの考察というものは、私どもはとらない所存でございます。
○小宮委員 やはり老人医療の無料化は、これは老人福祉の基本だと思うのです。それを、財政上の問題で有料化の方針を打ち出すべきではない。しかも、わずか二年ぐらいで無料化制度を、今度は逆に有料化にするというような、この時代に逆行するようなことはすべきじゃない。厚生省ももちろんこの有料化を簡単に打ち出すとは思いませんけれども、この有料化を打ち出すということ以外に、老人の福祉年金の問題だとか、あるいは老人の生きがい対策の問題だとか、こういうことを多角的にいろいろ審議をし、対策を立てるべきだ、こういうように考えます。意見として申し上げます。 それから次は、救急医療の問題ですが、これについても国会でもたびたび取り上げられておるわけですけれども、依然として全国各地でこの急患のたらい回し事故が発生して、最近は千葉県においては救急医療訴訟にまで発展しておることはもう御案内のとおりです。 そこで、厚生省は救急医療の確立を図るため、五十一年度予算で全国四カ所に救命救急センター設置のための予算を計上しておりますが、これぐらいではこの救急医療問題の解消なんて考えること自体が、これはもう私は感覚を疑いたくなるぐらいに全くお粗末だと思うのです。だから、これらの問題について、私は大臣にこれは特に要望しておきます。この救命救急センターにしても、四カ所というようなことではなくて思い切って、と言って全国にというわけにもいかぬでしょうけれども、もっとふやすように、五十一年度の予算の中でもふやすように努力をしてもらいたいと思うのです。 だから、そういう立場から将来的に計画をして、救急整備体制をどうするかということで、ただ行き当たりばったりではなくて、将来、何年か後に、日本全国にこういうふうな救命救急センターを設立しますというような年次計画を立ててやるべきだと思うのですが、これは大臣ひとつ特にお願いします。
○田中国務大臣 救急医療の円滑な実施、これは必ずしもうまくいってないということを私は率直に申し上げましょう。そして、たらい回し事故なんということを新聞に見ると、私、医療行政の責任者としてまことに申しわけないという気持ちがするものですから、これについては、何とかいたさなければなるまいということで、実は救命救急センターを何とかつくろうと思ったのです。四カ所と言っておしかりをこうむるのですが、これをつくるとき、容易なことではなかったわけでございます。いろいろと努力をした結果、新規はだめという今日ですが、新規政策としてやっと芽を出したわけでございますが、しかし、これだけでは問題は解決をいたさないということで、いま社会問題になっているわけであります。 しかし私は、救急医療というものを本格的に整備をしなければ世間に申しわけないということで、先般、厚生省だけで考えておったのではまずかろう——これは御承知のとおり、救急車の問題もありますし、いろいろ各方面に影響します。お医者さんの方の御協力も得なければならぬ、あるいは文部省の大学病院の御協力も得なければならぬということで、こうした関係者を集めまして、救急医療問題懇談会というものをつくりまして、いろいろといまやっておるわけであります。 私は、五十二年度予算編成をめぐりまして、これを一つの大きな力点、目玉といたしたいというふうに思っていますから、その一環で恐らく救命救急センターについての予算折衝も、従来のトーンと似たようなかっこうで折衝をいたしたいものであるというふうに考えております。
○小宮委員 次は、日雇健保についてお伺いします。 日雇健保の保険財政も非常に悪化してまいりまして、五十年度の収支見込みは、給付額五百五十億に対し保険料収入は二百三十億しかなく、国庫負担を入れても単年度で百三十億の赤字、累積赤字は二千四百九十六億に達するといわれておりますが、この日雇健保の赤字解消はどのように考えておられるのか、これは局長に……。
○八木政府委員 一昨年末の臨時国会で日雇健保法につきましての改正をお願いいたしまして、健康保険並みの改正をするという法律が実現したところでございますが、ただいま先生から御指摘ございましたように、日雇健康保険制度につきましては、相当厳しい財政状況にあるわけでございまして、累積の赤字につきましても、五十一年度の見込みにおきましては、二千八百億を超えるというような厳しい予想が立てられるわけでございます。したがいまして、この日雇健保制度のあり方というものにつきましても、今後基本的に考えていかなければならないのではないかというようなことから、つい先般、社会保険審議会の中におきましても、日雇労働者健康保険の小委員会というものをつくりまして、すでに二回の審議をお願いしているわけでございます。私どもも、日雇健康保険の問題につきまして、大きな問題であるというふうに理解しておりますし、社会保険審議会におきましても、この問題を取り上げたいということで、現在小委員会が設置されているというような状況でございますので、関係審議会の御意見等も承りながら今後引き続きこの問題に対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○小宮委員 次は、歯科の差額徴収の問題ですけれども、厚生省はこの中医協の答申を受けて、差額の対象は原則として材料費に限ることとし、技術料は保険で賄うという方針を打ち出して通達がされているわけです。ところが、この新通達に対して日本歯科医師会は絶対反対だということで、これを認めてはいないわけです。最悪の場合は一部には保険医の返上という事態にも発展しかねないような情勢だと私は考えておりますが、そうでなければ幸いです。だから、この問題について、そういうような懸念はないかどうかということと、これに対して大臣は、この新通達の線に沿って日本歯科医師会を説得する努力をしておるのか、また自信があるのかどうかということです。
○田中国務大臣 歯科差額問題についていろいろと御批判が出、いろいろ社会問題になってきたことは、私どもも大変心を痛めておったわけであります。このことについて、私の就任以前に、私の前任者である厚生大臣が中医協に対して歯科差額のあり方いかんという諮問をいたしておったわけであります。ところが、この間、中医協が私の就任直後から御案内のとおりの状況で実は空白になっております。この状態がやんで中医協の審議が再開をされるようになり、きわめて短時間に実はこの問題についていろいろ議論が出たわけであります。この議論の内容も途中で急にさま変わりをしたということについても、先生御存じだと思うのであります。そうして、いま言うとおり昭和四十二年通達これを廃止しろ、そして歯科の差額は材料費に限るという答申をいただきました。私は、この前後からこの問題の沿革をずいぶんと調べてみました。その結果、問題はやはり四十二年通達にあったということもわかりました。したがいまして、これをめぐりまして歯科差額問題をどうするかということについて目下いろいろと考究中であります。 歯科差額の問題の解決を図るのも厚生大臣の私の責任であります。しかし先生おっしゃるように、国民の歯科医療が円滑に行われるということを確保するのも私の仕事でございます。この二つのテーゼの中にあって、これをどう円滑にやるかということについていろいろと苦慮しているわけであります。 そういうわけで、何と言ってもやはり歯科の専門学術団体である日本歯科医師会の御理解を得なければならぬわけでございまして、こうした問題を控えてずいぶん精力的に最近実は日本歯科医師会と話し合いをしております。絶対反対といったことを言っておったこともございますが、最近ではいささか建設的な御意見も出るようになってまいりました。私どもも、こうした話し合いの中から解決の方途というものを見い出し得るものではなかろうかと考えておりますが、率直に言って、ここのところ二週間ばかり毎日朝から晩まで国会におるものですから、この問題についての話し合いも、また考究もできないでいてやきもきしているという状況でございまして、多少の時間的余裕を得たならば、この中医協の答申を踏まえながら合理的な解決、歯科医師会がのめるような解決というもので、しかも相当的確にこの歯科差額問題が解決をしていく方向をいま考究中でございまして、私どもとしては、歯科差額問題もこれを好転させ、解決に向かい、そして歯科医療界が混乱をしないというところをめぐっていろいろ苦労しているわけでございまして、いま少しくの間、時間をおかし願いたいと思います。
○小宮委員 最後に一つだけ。 長崎県の対馬にある国立病院の問題ですけれども、御承知のように対馬には六万の島民がおりますが、病院と言えば、この国立病院とちっぽけな公立病院が二つと、あとは三十ぐらいの診療所があるわけです。そういう状態でありますから、島民の国立病院に対する期待と信頼は非常に大なるものがあるわけです。そのために、対馬の国立病院は基幹病院として現在あるわけですけれども、残念ながら国立病院とは名ばかりで、お医者さんも内科と外科とようやく産婦人科とそろった。病棟そのものは、昭和二十年の十二月に旧陸軍の衛戌病院を引き継いだということで、もう三十年も経過しておる、そういうところで、そういう状況から、やはり対馬の総合病院としての役割りを果たすべく、島民全体も一丸となってこの問題に非常に真剣になっておるわけです、用地の確保にしても。 そういうような状況で、厚生省の方にも大分陳情もあっておるようですから、ひとつこれに対して、対馬の総合病院としての夢を実現させるために、厚生省として最大の協力と努力をお願いしたいと思いますが、所見を聞いて私の質問を終わります。
○石丸政府委員 国立対馬病院の整備の問題でございますが、ただいま先生おっしゃったように、この病院が島民の医療の上に非常に大きな貢献をなしていることは事実でございまして、また島民の生活に欠くべからざる施設でございまして、そういった意味におきまして、今後この国立対馬病院の整備については最大の努力を傾けてまいりたい。ただ、先生御指摘のようないろいろな整備を調えますためには、現在の土地が非常に狭隘でございまして、従来もそのために改築がおくれていたような実情でございまして、いままで建てかえに必要な土地の取得に非常に努力をしておったところでございますが、対馬の皆様方の御尽力によりまして、大体土地についての仮契約の段階までこぎつけたわけでございまして、この用地の確保を待ちまして、われわれといたしましても、島民の医療を十分確保できるようなりっぱな病院を建築いたしたいと考えておるところでございますので、よろしくお願いいたします。
○小宮委員 質問を終わります。
○熊谷委員長 次回は、来る十七日月曜日午前十時十五分理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時二十二分散会