社会労働委員会 第6号
- 発言数
- 403 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1976/05/11
会議録
○熊谷委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の建設労働者の雇用の改善等に関する法律案及び川俣健二郎君外九名提出の建設労働法案の両案を議題とし、質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川俣健二郎君。
○川俣委員 昨年、いまでは一昨年ですか、ようやく雇用保険法というのが成立を見たわけですが、雇用保険法をめぐる論議がここ数年あらゆる分野で論議されてまいりました。昭和二十二年ですか、日本に初めて失業保険制度ができ上がったものを名実ともに改正する雇用保険法の審議をめぐって、いろいろと附帯決議あるいは各関係委員からの質問等がありまして、その結果、出かせぎ現場における、特に下請業というものからくる賃金不払い、単なる不況というのじゃなくて、下請制度という制度かスタイルか知らぬけれども、そういうものからくる賃金不払い、大臣と私とのやりとりもあったが、朝間に起きてみたら、出かせぎ現場の会社の方がいなくなっておった、もぬけのからだった。結局出かせぎを使うような下請の下請の下請は、倒産するといったって倒産の産の字がないんですよ。トラクター、トラック、フォークリフトその他一切上の方の会社から借りて、株式会社という看板をかけているのは、単なる法をくぐった労務提供のような状態、これが非常に多い。 そこで、どうしてこういう問題が起きるのだろうか、その論議をこの委員会でやった結果、労働省の方で、附帯決議論議のあれで、それじゃ一応立てかえ払い制度を提案しましょう、つくりましょう、それから出かせぎというのは、おおよそ建設業務に携わっているから建設労働関係法を出しましょう、労災関係はさらにシビアに強制業務ができるようにやりましょう、こういったことで一気にこの国会に提案されました。ところが、やはり労働災害、賃金不払い、それから、いま論議しようとする建設労働法も、すべて土建屋の下請ということからくる共通性があるような気がしてしようがないんですよ。 そこで、論議に入る前に、きのう労災法の一部改正が委員会を通りましたけれども、安直にこういうようなほとんど知識もない労務者をかき集めて仕事をするという工事がこのごろ余りにも多い。きょうあたり新聞で皆さんの目にとまったと思うのだが、九人が生き埋めということなんですね。これがきのうの発生です。ところが私、ざっと考えると、二、三カ月前でしたか、冬、正月明けでしたか、千葉のゴルフ場ががけ崩れで出かせぎを初めとして七人ばかり生き埋めになった。それから同じように先々月、同じ山形で幹線工事で六人がガス中毒で死んだ。そのことをこの前、基準局長からいろいろと聞いたのだが、コンプレッサーがばかになっているのを気がつかないで、空気を送るかわりに一酸化炭素を送っておったというのだから、これは死ぬ方があたりまえなんです。 こういうような状態がなぜ出てくるのだろうか。しかも前回六人死んで今回九人死んだが、大林組さんは優秀な会社かどうか知らぬけれども、労働省が表彰しておるようですが、こういう問題が続出し出してきたんですね。何か方法はないのだろうか。法案なんか何ぼつくったってどうにもならないような気がするので、ひとつ参考までに、きのう発生した山形の水利事業の爆発事故をちょっとどなたか報告していただけませんか。局長でもどなたでも結構です。
○長谷川国務大臣 いま川俣委員が御質問された山形県最上川水利事業における爆発事故、けさも安倍農林大臣から閣議の席上において御報告がありました。私なども、きのうから新聞、テレビをずっと見ているわけですが、これは東北農政局の直轄工事じゃないですか、発注者は東北農政局です、おっしゃるように大林組です、そして九名がとにかく遺体となってようやく収容ができたということで、私は、非常に残念なことだと思っております。 労働省からは、事故が起こってからという意味じゃありませんが、新聞報道によりましても、その四、五日前に監督署が行って事故を起こさないように指導しているというニュースも流れておりましたし、さらにまた事故が起こりましてからは、山形労働基準局、山形労働基準監督署より現場に急行させまして、本省からは冨田中央産業安全専門官を現地に派遣しまして、最上川水利事業労働災害対策本部を設置して、そこには東北労災病院から高圧治療タンクの準備などもして、労働省としては出てからということで、非常に悪うございますけれども、事前に一度警告もし、そして今日、そういう手配もしておる、こういうふうなことを私からまず御報告申し上げておきます。
○川俣委員 建設省は、これに関係がありますかね。
○中川説明員 建設省といたしましては、施工業者大林組の監督者といたしまして十分関係がございます。
○川俣委員 きょう農林省を呼んでおりませんでしたが、きょうの質問を続ける参考までに、こういうことを調べてもらいたいのです。この間、大田区の区役所で下水管の埋設工事を請け負った元請が、単体というか、一つの工事を十五万円、ところが下請、下請で第五次の下請までおりていったら一万三千円になったというのです。これは、ちょっと極端だと思うのだが、なぜこういうことがわかったかというと、これは真相ですが、賃金不払い事件が起きたのです。そこで、区役所ですから調べやすい。それで、区役所はどのくらいで仕事をさせたのだ、そうしたら元請が十五万円で仕事をさせた。ところが賃金不払いを受ける者は、一番の末端の出かせぎを使うものですから一万三千円になった、こういうことなんです。この件は、最後の締め切りで建設省もよく聞いてもらいたいのです。 そこで、参考までに聞きますと、この最上川の水利事業は八億四千六百四十万円、これが工事金額だというのです。ところが一番下の下請は、どのくらいの工事額で請け負ったのだろうか。これは建設省で調べていただけますか。それから、いまわかれば聞きたいのですが、大林組の元請から何ぼ下請の重層が重なっておったか。それから三つ目は、死亡した労務者の会社の籍を調べてみると、大林組と一番下の請負業者の名前の労務者は出ておるが、中間の請負業者の社員が一人もいない。これは、どういうわけだろうかと思うのだが、それをぜひ調べていただきたいと思うのです。 そこで、大臣に伺いますが、先ほど申し上げましたように、賃金不払い、労災、そうして出かせぎ関係の業務は、ほとんど建設業務に携わっておるので、名前は出かせぎ立法はおかしいのだが、そういうような法律を提案したらどうかということで強く要求しておったが、今回出てきた。 そこで、一昨年の雇用保険法をつくる際に、こういう確認がされておるわけです。一つの項目で「出かせぎ労働、建設労働等の不安定雇用の問題について、専門の検討機関において、労働者の雇用及び生活の安定、福祉の向上を図るための制度並びに施策の確立についての検討を行い、速やかにその具体化を図ること。」これを受けたのだと思います。それで、審議会に諮って建議を受けて法案となったと思うのです。 ところが御案内のように、この中身は出かせぎとか日雇いとか短期雇用者とかあるいは一人親方とか、そういった者がこの法律では対象になっていない気がするのです。どっちかといったら、定時に、常時に雇用されておる者の建設業務に携わっておる法律規制をうたおうとしておる。これなんです。ところが、これならいまの基準法でもやればできそうなんです。ただ、さっき言ったように、下請の下請の下請で、次の日になれば会社はもぬけのからだったという、こういうものをいかにして抑えようかという苦労のあれはわかるにしても、この今回の法案は、せっかく一番大事な建設労働関係法をつくるなら、やはり日雇い、出かせぎ、季節労務者、一人親方、こういった者がなぜ対象にならなかったのだろうか。これは恐らく作業の過程でいろいろと論議したと思うのです。論議したと思うのだが、さしあたってこの程度の法律にしようというのか、それともやはりわれわれが長年叫んできた、法律の保護を受けていない層の建設労働者の保障法をつくるべきだという考え方をあきらめたのか、将来に残したのか、その辺を少し聞かしてもらいたいのです。
○長谷川国務大臣 私は、国会というところで熱心な御審議があったものを、労働行政の中に一つ一つ取り入れて、コンセンサスを得ながらやっていく、この姿が今度の法案でもあり、あるいは未払い賃金の法案でもありと思っているわけであります。そういう意味からしますと、今度の労働者の建設雇用の問題の法律案につきましては、やはり季節労働者あるいは日雇い労働者につきましては、常用労働者と異なって非常に困難な問題がありますけれども、ただいま先生のおっしゃったようなことも含めて実はこの法律を出しているわけでありまして、御疑念の点につきましては、職安局長から詳細に御答弁をさせます。
○遠藤政府委員 ただいまお話しございましたように、出かせぎの問題が雇用保険法の審議の際に非常に重視されまして、この対策をという御要請があったわけでございます。いま御指摘ございましたように、建設業におきます労働の態様は、もちろん常用労働者、そういった人たちもたくさんおりますけれども、実際に建設業に、作業に従事しておる労働者の中では、出かせぎ労働者、いわゆる季節労働者、それから日雇い労働者が非常に大きなウエートを占めております。今回の建設業における雇用の改善に関する法律案の中でいろんな措置をとっておりますが、これは、むしろいま御指摘になりました季節、出かせぎ労働者あるいは日雇い労働者を対象にして、こういった人たちの雇用関係の明確化あるいは就労条件の確保、こういったこと、あるいはこういった人たちの製造業における一般の常用労働者に比較して劣っております福祉対策、こういった面を何とか改善し、向上さしていこうという趣旨でこの法律案を作成したわけでございまして、ただいま御指摘になりました、こういった日雇いあるいは出かせぎ労働者の点が軽視されている、あるいは漏れているということでは決してございません。ただ、内容的に必ずしも川俣先生従来御指摘になりましたような点が完全に盛られているかどうかということになりますと、これは、いろいろ問題があろうかと思います。ただいま大臣からお話しございましたように、季節、出かせぎの問題あるいは日雇いの問題、全国で三十数万という建設業者の人に使用されていますこういった特殊な労働形態の人たちの問題を完全に解決することはなかなかむずかしい問題でございます。私どもは、今回の新しい提案いたしております法律案によりましてその第一歩を踏み出して、これから逐次改善をしていきたい、かように考えているわけでございます。
○川俣委員 大分理解できます。 それじゃ、本来の救わなければならない最終目的というか、そういった日雇い労働、季節、出かせぎ、一人親方等については、今後も検討を続けていくという方向は確認していいんですね、どうですか。
○遠藤政府委員 御指摘のとおりでございまして、こういった季節、出かせぎ、日雇いの問題については、今後まだ解決されなければならない問題がたくさんございます。こういった点につきましては、関係審議会等々の御意見も聞きながら十分改善の検討を進めてまいりたいと思っております。
○川俣委員 そうしますと、意見交換がしやすくなるのですが、実は私の方で建設労働法——これは別に私らの方がモデルケースというわけじゃないが、第一段階として政府の方はまずこういう一歩を踏んだという意味はわかるのですが、そこで大臣、私の党の方で出した建設労働法ですね、目を通していただいたかお耳に入ったかわかりませんが、これに対して大臣はどういうように思われておるか、所見をひとつ簡単に披瀝していただきたいのです。 それから、なぜ建設労働法という名前で提案しなかったのだろうか。というのは、港湾労働法というきわめてわかりやすい法律がある。それに対する建設労働法だから、私らの方は建設労働法とずばり言いました。ところが目的は、双方ともそう違わない目的が書いてある。だとすれば、これは建設労働法でいいのではないか。それとも来年か再来年あたり、さっき申し上げた日雇いとかその他の人方を対象にする暁は、建設労働法という名前に変えて提案するという意思があるのか。うちの方の建設労働法は現状じゃ無理なのか。その辺もあわせて御所見があれば聞かしてもらいたい。
○長谷川国務大臣 きのう私は、あなたが提案理由を説明されるときに、ずっとあれを拝見いたしました。そして非常に革新的と申しますか、そういう面も拝見しましたが、一方また、出かせぎやらかれこれの問題は、実態の把握とか非常にむずかしい問題のあることは、あなたの御承知のとおりです。そうしますと、ときには現実と少し遊離して、すぐそこまで手が出ないという問題もあり得る、私はこう思うのです。そこで、どうしても私の方の法案で御審議をいただきながら、先ほど局長も答えましたように、これは一日にして成るものにあらず、これをたたき台として漸次改善していくところに、私は、建設労働者の雇用の安定なり福祉の向上があるのじゃなかろうか、こう思いますので、ぜひひとつ御推進のほどをお願い申し上げます。
○川俣委員 建設労働法にしなかった理由を……。
○遠藤政府委員 いま先生は、港湾労働法の例を挙げて、建設労働問題についても建設労働法になぜしないのか、こういう御指摘でございます。これは十年前、昭和三十九年に、実は私、責任者として港湾労働法の作成に当たったわけでございますが、その直後から、類似した労働形態にある建設労働問題について同じような立法措置をとるべきだという御意見が非常に各方面からあったことも承知いたしております。ただ、港湾労働法のような考え方で日雇い労働者のいわゆる登録制度、手帳制度をとることが、建設業における雇用の実態から見て果たして適切であるかどうか、妥当であるかどうか、果たしてそれだけの効果が期待できるのか、そういった点を考えますと、必ずしも港湾労働法に右へならえして同じような立法措置をとることが、私は適当でないと考えてまいりまして、今日まで港湾労働法のような形での建設業における労働問題の対策を考えなかったわけでございます。 むしろ問題は、建設業における雇用の明確化、労働条件の確保といったような観点からいたしますと、主として季節出かせぎ労働者に頼っております建設業における労働問題対策としては、雇用の面からアプローチすることが、いろいろむずかしい問題を含んだ建設業における労働問題のまず第一着手としては適当であろうか、こういうふうに考えております。 港湾労働法のような考え方で登録制度をとることにいたしましても、もし仮にこれをやるといたしますと、港湾労働法の場合は、全国六大港で一定の限定された業者に雇用される労働者で、労働者数もきわめて小範囲に限定されております。建設業の場合は、全国で三十数万と言われる、いわゆる大企業から本当の一人親方に至る零細企業まで含まれた建設業の実態の中で、これに雇用される種々雑多な労働態様を一律的にとらえるということは、物理的にもきわめて不可能に近い状態であろうかと思います。そういった実態を踏まえながら、逐次雇用の実態を解明し、改善をしていくということが、現実的に立法措置をとる場合には適切妥当であろう、こういう考え方で今回の法律案の提案をいたしたわけでございます。これで十分だと申し上げているわけではございませんで、今後こういった実態に即しながら一歩一歩改善の方向に向かって努力をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
○川俣委員 港湾労働法とこういったような労働関係法との違いについては、これから論議がやられるべきだと思います。私も論議を持っています。 ただ、時間が限られておりますから、ちょっと伺いたいのですが、建設労働法という名前にしようが改善法案にしようが、底意はどこにあるかといったら、やはりいまの基準法その他の法律じゃ規制できないものがある。それはなぜかというと、土建業という重層下請というものを労働面からチェックするためには、こういう法律をつくるしかないのだというそこの底意はお互いにあるのだと思います。私らにもあります。したがって、建設業法というのが向こうに一つの法律としてある。その建設業法に対する労働面からの法律規制をこの辺でやっておかなければならぬという面もあるのだと私は思うのだが、局長の方はどうですか。
○遠藤政府委員 この建設労働問題は、一昨年の雇用保険法の論議の際から御議論がございまして、この点につきましては、雇用審議会の建設専門委員会、それと私どもの中央職業安定審議会の建設労働部会におきまして、労使公益それぞれの側からいろいろ御意見を伺ってまいったわけでございます。その中で、いま御指摘のように、いわゆる建設労働問題について包括的な、現行の労働基準法によります建設労働問題に対するいろいろな監督規制措置、こういったものも含めた包括的な対策をとるべきではないかという御意見ももちろんございましたけれども、一方ではまた、こういったものは現行労働基準法なり安全衛生法なり、こういった面の監督指導を強化することによって十分であろう、むしろ問題は、まず、その出発点にある雇用関係を明らかにしていくことから始めるべきである、いま一挙にそういったもの全体を包括的にやることは、必ずしも私どもが所期いたしております目的を達成するためには適切ではない、こういう御意見も強くございました。そういった関係から、そういった問題は今後の問題として、現行法で監督規制面の不備な点は検討課題として今後十分検討していきたい、こういうことでとりあえずただいま御審議願っておりますような法律案を提出いたしたわけでございます。
○川俣委員 審議会の建議は満場一致で決まったことだと思うのだが、こういう項目があります。「労働者募集・労働者供給・中間搾取等について監督指導を強化するとともに、これらの問題について今後も検討を進めること。」こういうようにありますから、当然いま局長がおっしゃったようなことがあるべきなんです。ただ私らは、建設労働改善法案を出す以上は、もう少しいま私が言った建議の面を浮き彫りにして法律規制をしたってよかったのじゃないかなと思うのですが、なかなか一気に行けないものがあると局長が言われれば、そういう考え方もあるわけでしょう。というのは、建設省に十分か十五分続けざまに時間をかりたいのですが、一体、建設業法の目的というのは、発注者を保護する目的なのか、建設業者を守る目的なのか、建設労働者の使い方を規制する法律なのか。四つ目は公共性、いわゆるこの建物を建てる、この道路をつくることによって周囲の人々に利害関係が発生します。ビルを建てれば風が起きるという害がある。日当たりが悪くなるという害がある。しかし、あそこにスーパーが建つと便利だという利がある等々で、建設業法というのは一体どこに力点が置かれてできたものなのだろうか、どうでしょうか。
○中川説明員 先生御質問の点でございますが、建設業法はかなり多角的なねらいを持ってつくられております。 その考えの基本は、土木建築事業というものは、社会資本なり個人の不動産なり資産的なものになるわけでございますので、その施工が適正に行われることが担保されなければいけないというねらいがまず第一でございます。そのために、建設業の業者を許可するという許可制度を柱に置いておるわけでございます。また一方、そうは言いましても、従来建設業の施工は、建設業者がいろいろな職能に分かれておりまして、零細なものも従来かなりあるという意味から、その零細な建設業者もまた保護育成しなければいけない、こういう面がございます。 さらに、さっきの問題に戻りますが、建設業者と発注者の関係を適正に調整していかなければいけない。たとえば契約約款を適正にしなければいけない、そういう関係がございます。さらに建設業者が使います労働者についての配慮というか指導というか、そういう規定も置いておるわけでございまして、かなり多角的なねらいを持っておるわけでございます。
○川俣委員 そうなんですよ。その労働者の使い方まで建設業法というのは書いてある。建設業法というのは、体をあらわして、建設屋、土建屋のためだけの法律かと言ったら、決してそうではない。労働者の使用法まで書いてある。だけれども、これは建設労働法と言えるものではない。そこが安定局長、労働者そのものの使用規制なら、建設業法にもちゃんと書いてある。 そこで、建設省にもう一遍聞くのだが、許可基準が経営と営業と二つに分かれておるのだが、この「経営の許可を受けようとする建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者」こういう者しか許可してはいけない。ところが「建設大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者」こういうように書いてある。ところが、いまの日本の実態はどうなんでしょう。「ロ」の方が多いのだろうか、「イ」の方が多いのだろうか、それが一つと、それからもう一つは、今度は営業の方にいくと「イ許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し学校教育法による高等学校(旧中等学校令による実業学校を含む。)」これは田中土建は入るのかな。「を卒業した後五年以上又は同法による大学(旧大学令による大学を含む。)」等々書いてある。ところが、やはり「ハ」に「建設大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者」こう書いてある。これも経営、営業ともに日本の国の実態はどちらが多いのでしょうか。
○中川説明員 実は経緯がございまして、従来、建設業法は登録制度でございまして、現行のような許可制度になりましたのが四十七年でございます。それで、その緩和措置といたしまして、いま御指摘のような特別認定というような制度が働いたわけでございますが、そういうことは、まあ例外的な措置でございまして、原則どおりの運用が原則的には行われておるわけでございます。
○川俣委員 それは答弁になっていませんから、後で聞きたいのですがね。四十七年にできたものだから、いままでとっておった土建屋はそのまま承認していったのだろうと思うのだが、実際問題として、せっかくこの建設業法に許可基準が並べられておりますから、この並べられている中で私が聞きたいのは、こういうものの資格を持っている者でなければならないという法律規制が一つあって、二つ目は、建設大臣がその能力あるものと認定した者と逃げているわけですから、したがって、後段の方に対象になる建設業者が多いものなのか、その原因を後でひとつ聞かしてもらいたい。 そこで今回、課長聞いておるように、こういうような建設改善法案を出さなければならないというのは、余りにも土建業に不払いあり、労災あり、その他、基準法その他守られていない、行儀の悪い業者は建設業に一番多いのだということなんです、社会労働委員会でずっとやってきたのは。これには本当に困ったものなんだ。建設労働法というものは、本当は建設省と労働省が共管の法案にしたっていいんだと私は思うのです。だけれども、今回は、局長が言うように、まずさしあたり、こういったところで規制していこう、将来、私らの方が出した建設労働法になれば、これはかなり規制できる。 そこで、まず私は、最低限度、時間がなくても聞いておかなければならないのは下請制度なんです。一体、下請というのは、第何次まで下請があってもいいものなのか。さっき話をしたように、これは、うそじゃないと思う、大田区役所ですから。十五万円のものが第五次になったら一万三千円になっておった、こういうことなんです。賃金不払いだって——これは後で調べてもらえばあると思うのですけれども、賃金不払いだって、あって不払いじゃないのだ、ピンはね、ピンはねでよれよれになったものが、下請会社で末端の労働者を使うものだから、払えないから、中にはドロンした会社もある。行儀が悪くてドロンしたというスキャンダルもあるけれども、そうではなくて、実際問題、単価を調べてみると、われわれが不払いが起きたということを手にとって調べてみると、上の方から来る元金そのものがだんだんに減って足りなくなっているわけですよ。そこにあるわけだ。したがって、下請規制が現在は全然ないというのが社会常識なんだが、私はそうは思わない、これを読んで。どこかにある。課長はどう思いますか。
○中川説明員 先生御指摘のような実態が建設業界に多いということは、私ども非常に残念に、また恥ずかしく考えておるわけでございまして、総理府の雇用審議会その他の御審議に調子を合わせまして、私ども建設省といたしましても、そうした事態を少しでも減らしていく、そして優良な建設業者によって工事の施行が行なわれるというふうにぜひ持っていかなければいけないというふうにこの問題を受けとめておるわけでございます。 先生御指摘の下請の問題でございますが、建設業法には規定がございまして、一括下請は原則として禁止されております。ただし、発注者の書面による承諾を得たときはこの限りでないということになっております。それからまた請負契約でございますから、下請が何次にわたりましても、二次から三次あるいは三次から四次という場合でも、請負契約は書面によらなければいけないということに建設業法ではなっております。業法上なっておりますが、そこいら辺のフォローなり、また現在四十万の業者がおりますが、その業者の、そういう法律なり制度なりをきちっと守っておるかどうかという把握が現在必ずしも十分でございません。そこで、私どもといたしましては、その点を改善するような方向に持っていくということでいま考えておるわけでございますが、法律の制度といたしましては、そういうことになっておるわけでございます。
○川俣委員 改善方向を検討するということなんですが、社会労働委員会としては、労働面からこれを追っていくしかないのだ、個々も追っていきたいのだけれども。やはり建設委員会でも少し省の方から出して、そういったものの中間報告でもいいから出すべきだと思う。一括下請はできないと二十二条には書いてある。ただし書きがある。そのただし書きが運用なんです。現在の実態なんです。だから意味がない。さっき一番先に申し上げましたように、大林組は優良だろう。おたくの方では不良じゃないでしょう。あれは優良なんでしょう、表彰を受けているところを見ると。ところが大林が二回も三回も、六人死んだ、九人生き埋めにした、こうなれば、私らは、これはいいものなのかなと思うんですよ。これはどうなんですか。その面どうですか。優良かな。課長は、いま優良な業者を残すと言った。課長に大林を退治せいというのは無理かもしれぬ。しかし二回も三回も起こされると、これは優良とは言えないんだよ。一括下請を禁止しているというが、二回も三回も、死んだ者の中に大林、竹中の労務者が入ってないんだよ。下の方が入っているんだよ。そうなると、これは言いたくはないが、一括下請の形じゃないのだろうか。一人ぐらい労務者がいたっていいと思う、犠牲者の中に。九人の中に監督者が入っているんだからね。どうなんですか。
○中川説明員 実態については、調査いたしまして御報告申し上げますが、建設業は、それぞれ人のチームというか、そういうことで仕事が進められてまいりますので、御指摘のような不幸な事態では、やはり同じようなグループの方がそういう事故に遭われるという実態があろうかと推察されるわけでございますが、実態につきましては、よく調査いたしまして先生に御報告申し上げます。
○川俣委員 やはり苦しい、歯切れの悪い答弁になってしまうんだよ。実態がこうなんだから、九人死んだっていうのは現実なんだから。しかも大林が一人もいないんだから。 そこで、本論に戻りますが、大臣どうなんでしょうか。これは職安の問題だけじゃなくて、大臣に検討してもらいたいのは、雇用保険料でも、それから今度この建設労働法でも千分の一を将来取る方向ですね。それから労災保険料でも、全部労務者に付随した保険料だから、したがって労務者を直接抱えてない会社は納めない。ということは、簡単に言うと、大林や竹中や島藤等は労務者を直接抱えてないものだから、保険料を業者に負担させてこういう雇用改善をさせるという労働省の気持ちはわかるけれども、その業者から保険料を取るということは、基金として仰ぐことだからいいのじゃないかというあれがあるんだけれども、そういう大会社の人方は納めないことになっているんだよ、労務者がいないから。これは今度の建設労働法に基づく千分の一を雇用保険料の中で将来徴収していくという方向ですから、これだけを取り上げると問題なんです。 私の言うのは、雇用保険にしろ労災保険にしろ、その他いろいろと労働者プラス業者負担のものを取るときは、こういう元請というか大会社からも徴収できるということを考えると、直接労務者の頭数で取るのでじゃなくて、たとえば工事金額とか工事高、そういったもので保険料の徴収方法というのを見直すというか考える必要があるのじゃないかなと思うんだけれども、どうなんですか。これはこれという決め手がないと思うんだけれども、実態はそうなんですよ。とにかく上の方には保険料が入ってないんだから。なぜかというと、直接労務者を抱えてないから。どうですか。
○遠藤政府委員 いま川俣先生御提案の、いわゆる保険料の徴収の仕方の面で、末端の零細企業からでなくて元請の大企業から取れるような方法をという御趣旨だろうと思いますが、いま私どもの方で保険料関係でやっておりますのは、労災保険の保険料と雇用保険の保険料と二通りございますが、労災保険の場合は、いま御指摘になりましたように、工事請負金額に対して労務費率を掛けて、労務費率によって保険料を徴収する、まさに元請の事業主から徴収する形になっております。雇用保険の場合は、保険料が使用者の負担とそれから労働者の負担と両方に分かれておりまして、折半負担という形になっておりますために、そういった工事請負金額に対して労務費率を掛けてそこから徴収するという形、これは私、個人的見解としては、一つの望ましい行き方かと考えております。 数年前、労働保険の徴収一元化の措置をとりました際に、建設業のこういった実態からいたしまして、雇用保険と労災保険の保険料の徴収方法を一つにしていこう、こういうことでいろいろと関係の向きと折衝いたしましたけれども、実態が御承知のような実態なだけに、一挙にそこまで持っていくことはなかなかむずかしいということで、とりあえず従来の方式を踏襲いたしたわけでございます。いま御提案になりましたような考え方も、一つの方法として十分検討に値するのではないかと私どもは考えております。
○川俣委員 建議にもあるとおり、そのとおりだと思う。やはり一元化というのは、いま現在はかなり混乱すると思うが、これは大いに検討に値するわけです。 それから、保険料を納めたり分担金を納める方は、下請の方が納めて上の方は保険料を納めるのに入らない。それに福祉事業もやるわけですから、そこで、それを将来の検討課題にぜひ入れてもらいたいと思います。 それから、今回の法律で一番のメリットというか特典というか、結局雇い入れ通知書を発行するのですか、やはりこれをやらないといかぬと思いますね。ただし、速かに出すというのだけれども、これは速かといったっていろいろあるようですから、その辺はどのように行政指導をやるつもりなのかというのが一つ。 それから、だれにでも出させるか、こういうように反論すると「労働省令で定める数未満である場合は、この限りでない。」こうなっておる。そうすると、これは、また省令で逃げられるから、この辺で確認しておきたいのは、一体「労働省令で定める数未満」というのは、何人ぐらいを指しているものなのか。私があえてこういう質問をするというのは、実際労務者を使っておるのは、三十人、四十人、五十人あたりが多いんですよ。それが漏れるのではないかと思うのだ。「労働省令で定める数未満である場合は、」というのは、せっかくの「書類の備付け等」でうたおうとしている雇用管理責任者の氏名、雇い入れ期間、いわゆる建設労働者を使う、それはどのくらい使うのか、何日まで使うか。たとえば半年使うということであれば、半年使う雇用契約が自然とそこに実質的に生まれてくるわけだからね。そうすると、その半年間に、きょうは雨が降っているから寝ていろ、こう言われた場合には、社会党が言う悪天候手当。実際、悪天候手当は払われておるのです、そういう契約を結んだ場合は。だけれども、契約を結んでないと、全然日雇いの形ですから、雨が降ればそれっきり。失業保険の算定期間にも入らない、労働日数に入らないのだから。ところが契約を結ぶと、労務者から見ると例の六割を払ってもらえるのです。 したがってこの法律は、そういうものを非常にうまくとらえて求心的なものと思うのですが、ただし書きがどうも心配で、このただし書きのところにわれわれが一番心配しておる日雇い、一人親方、季節労務者等々が入っておるような気がするので、その辺どうなんでしょうかね。
○平賀説明員 雇い入れ通知書の問題でございますが、雇い入れ通知書、雇用に関する文書というのが法案の第七条にございますが、これは「速やかに」という言葉を、御指摘のように使ってございます。この点につきましては、雇用契約を締結した際に、その内容を明らかにするという性格のものでございますので、その雇用契約締結の時点でこういう文書の交付がなされることが一番望ましい、こういうふうに考えております。 なお、ただし書きにつきましては、それはその次の第八条に、特定の元方事業主に下請の雇用管理の状況を把握させる、そのときに、その規模を一定規模以上のものにするというただし書きがございますが、雇用に関する文書の交付は、小さな規模であっても、すべての場合にこういった文書の交付をするようにと、こういうことになっておるわけでございます。
○川俣委員 そういう考え方であれば、基本的な問題は以上で終わります。 時間ですが、せっかく一番メリットのところにきたので、もう一つ聞きたいのは、登録制までは港湾労働法のようにいかないという気持ちがわかるから、一歩下がったとしても、やっぱり手帳は出さした方がいいのではないですか。せっかくここまで考えるなら、手帳を出して、手帳に名前とか使用期間とか管理責任者とか、そのときに、時間がないから次の委員が質問すると思うが、例の退職金、建退金、これが入る。いわゆる印紙を張るわけです。だから、労務者に手帳を持たせていくという方向はどうなんですかね。ここが一番聞きたいところなんです。
○平賀説明員 現在、出かせぎ労働者の方々につきましては、その出かせぎに出るときに安定所から手帳を出して、その手帳に雇用契約の内容、あるいは従来行政指導でやっておりました雇い入れ通知書等の状況、あるいは健康診断をやった場合には、その経過等を記録するようになっております。今後、この法律案あるいはこの法律の制度ができましたときに、ただいまお答えしました雇用に関する文書その他が交付されました場合には、そういった手帳にそういう記録をとどめておく、そういう関連した措置をとることによりまして、従来の手帳制度の改善を図る一そういった措置をとってまいりたい、こう考えております。
○川俣委員 それじゃ一応各労務者に、できる限りというか方向としては、手帳を全部持たせるという方向でいいですね、少なくとも建設労務者には出かせぎ労務者のように。
○平賀説明員 出かせぎ労働者に対しましては、できるだけ手帳を持っていくように指導してまいりたい、こう思っております。
○川俣委員 出かせぎの季節労務者以外の土建業に携わる労務者に一応全部手帳を持たせる、こういう方向でいいな。
○平賀説明員 出かせぎ労働者以外の労働者につきまして手帳を持たせるということまでは、現在予定しておりませんけれども、しかしその場合にも、こういった雇用契約をはっきりするための文書の交付、その他で雇用の状況を明らかにするような措置はとってまいりたいと思います。
○川俣委員 終わります。
○熊谷委員長 次に、島本虎三君。
○島本委員 建設労働者の雇用の改善等に関する法律案、いよいよこれがかかったわけであります。しかし、この内容等を見まして、われわれとして幾多の疑問があります。と言うより、足りない点で不満を感じます。少なくとも基本的人格権を中心にしてりっぱな憲法がある。そのもとに国民の福祉充実、こういうようなものが行政の主目標になって唱えられている。行政もそういうような状態になっているのに、一つ取り残されている存在が、いまこの対象になっている建設労働者です。そういうようなことからして、劣悪な労働条件のもとで働いている労働者のこの状態を見る場合には、労働行政の立ちおくれだ、そう私ははっきり指摘せざるを得ないわけです。 それで、私の聞きたい主目的は、いまこの法案の中にある建設労働者の問題、それと今後の問題と思われる林業労働者の問題、この二つだけについて私は、主に聞いていきたいと思っているわけです。 まず、建設労働者の問題でありますけれども、これは一般労働者の福祉水準からはずいぶん立ちおくれているようであります。これは最たるものである。三百六十万有余の全建設労働者が恐らくどろまみれでしょう。命がけでしょう。そして危険を顧みずに働いているのに休みとて満足にない。じゃ老後の保障があるのかと言ったら、それさえもない。賃金不払いは頻々である、こういうような中であります。したがって、労働災害で年々二千人以上の建設労働者が死亡している、全産業の五〇%にも達している状況だ、こういうような点が労働省自身から報告されているわけです。そうすると、労働省自身は労働者の命を何と考えて行政指導しているのか。これは、もう恐るべき状態ではないか。もう週休二日というようなものを民間に取り入れてきているのは労働大臣なのだ。それも、もう着々として定着してきたというのも労働省の報告なんです。ところが日曜さえも、休まないで営々として働かされているのが建設労働者の実態だとすると、建設関係を含めた労働行政にはまことにふけざめが多い。凹凸が多い、このことはもう前提条件としてはっきり言わざるを得ないと思います。これをこのままにしておいたら、犯罪に類するようなことが結局放置されることになりはせぬか、こういうようなことをおそれます。 というのは、先般ようやく水俣のあのチッソ工場の元工場長と社長二人が起訴された。それも十万人の被害者が出ているのです。公害の問題ですが、これは三千五百人の人が認定を申請して、そのうち認定されたのが九百八十名。百六十名ほどがもう死んでしまっておる。二十年間この問題があるのに、ようやく今回七名を対象にして起訴に踏み切られたというような状態であります。それほど行政の方はおくれておるわけであります。 建設労働者の場合も、まさにそのとおりであります。こういうようなことからして、ようやく戦後三十年になって、国会の附帯決議、関係審議会の意見、こういうようなものを取り上げて、ようやく法案提出の段階になった。しかし、その内容はどうも取り組む姿勢としてはとろい、物足りない、形式的である。こういうようなのが、私の受けた印象でした。いまいろいろ質問を聞いていても、その範囲を一歩も出ないようであります。 それで私としては、以下二つの問題について、ちょっと前哨戦として聞いておきたいのです。 それは建設工事の場合、大体何段階にも分かれているいわゆる重層請負、こういうようなことを言われておるわけでありますが、しかし超高層ビル、こういうようなものの建築をやるのは大概大企業、大建設企業です。しかし大概やっておるのは、せいぜい設計と施工管理くらいのものが精いっぱい。あと全部危険な状態にさらされてやっているのは、下請の下請のまたその下請の人たち、そういうような状態でありますから、構造上の元方大手、これだけがごっそりもうけて、いつでも死ぬのは、下請の下請の孫請のその下の手配師によって集められてきておるような人が死んでいる。この矛盾をはっきりさせないとだめなんです。 こういうようなことでありますから、私どもとしては、下請労働者それと元方企業との間の法律的な雇用関係、これに対してきちっとメスを入れないとだめだと思っているのですが、大臣、それはこれに入っていますか。 それと同時に、元方で実質的な指揮をする、しかしながら下請の労働者が実際は仕事をする、そして事故があると、犠牲者は下請労働者ばっかりだ。こういうふうにして見る場合には、今度の場合にはそういうような関係をきちっとするのが、本法律案の最も重要な点でなかったかと思うのですが、その点もあいまいなんだ。もし行政上政令や何かで決めるとすれば、そういうような点もきちっとしておかないとだめなんじゃないか、こう思うわけです。こういう仕組み自体が、どうも私としては理解できないのでありますけれども、せめて元請にもっと、下請が使っている労働者の責任を持たせるようにすべきではないか。 それで一体、この法律案にはその責任のあり方等きちっとしておりますかどうか、まず、この点はっきりさしてから、次の方へ順次承りたいと思うのであります。
○遠藤政府委員 先ほどから御指摘がありましたように、この建設業の場合には、いわゆる二次、三次、重層下請というのが工事の施行の際の実態として行われております。そういうことから、いわゆる現実に現場で作業をしておる労働者の人たちの雇用関係が、必ずしも明確じゃないという問題が、従来から指摘されておったわけでございます。 いまお話しのように、こういった建設業に従事いたします労働者の雇用関係を明確にすること、これが今回提案いたしておりますこの法律のまず第一前提、最大の眼目になっておりますが、これをいま御指摘のように、いわゆる元方と現場の労働者との雇用関係を直接的に結びつけるということについては、これは大変問題がございます。現行法の中でも、たとえば労災保険あるいは災害防止の関係、こういった点で元方の責任を明らかにする法制はございます。雇用の関係につきましては、やはり直接雇用する者と雇用される者との間の雇用関係を明らかにする、これがやはり大切なことでございまして、下請関係請負契約に基づく労働者を、元請の方と雇用で結びつけるということにつきましては、逆にかえって雇用関係を不明確にするおそれすらある、こういうことで、この法律におきましては、こういった雇用関係を法的に明確にさせると同時に、いま御指摘になりました、いわゆる元方の雇用の面についての責任ということについても、これも当然指摘をいたしておりまして、下請業者が雇用しております労働者に対する雇用管理面についての指導援助、こういった点を元方の責任として明確にしておる、こういうことで、いま御指摘になりました重層下請関係にあります末端の現実の作業をしております労働者についての元方の雇用面についての責任もあわせてここで明らかにしていく、こういう措置をとっておるわけでございます。そういった点で、私どもは、従来から先生方の御指摘の趣旨に十分沿った措置をとってきたと考えておるわけでございます。
○島本委員 それなら一歩進めて行政指導の面で、今度は建設労働者の雇用の改善等に関するこの法律案の五条の雇用管理責任者の権限でありますが、これは、やはり手配師というものが現段階には存在するのでありますけれども、これは暴力事件を起こしたり、中間搾取をしたりする存在であります。法の網をくぐって、まことにうまく存在するやからのようであります。いまだに港湾労働者の中には、そういう手配師なるものの存在を拒否することができないような状態になっておるようです。そうすると、この暗い前近代的な労働関係、この上で元方、大手の企業、こういうようなものがあぐらをかいて知らぬ顔の半兵衛を決め込んでおる。こういうようなことをそのままにしておくことは、逆に奨励することにもなるわけでありますけれども、労働省のいわば労働者に対してやっている労働行政の一つの怠慢のあらわれが、手配師の存在を許すことになるんじゃないか、こういうように思うわけであります。これは断固として排除を図るべきだ、こう思っておりますが、もし行政指導の面でこれをやらなければ依然としてこの形骸を残すことにもなります。これは雇用管理責任者、こういうようなものの中に手配師は全然入り込めないような仕組み、また行政指導、こういうようなものを確立しておりますか。
○遠藤政府委員 この法律の先ほどから御指摘になりました大きな目的は、雇用関係を明確にするということ、それにはその前提として、建設業に従事しております労働者の相当大きな部分が、いわゆる季節出かせぎ労働者であります。こういう人たちが、先ほど問題になりました、山形の事故の対象になった労働者の方々の場合も、いわゆる安定所なり、あるいは公共団体なり、そういった正常な経路を経て就労されてなかった人たちがやはり中に含まれている。私どもは、こういった季節出かせぎ就労者の就労経路の正常化ということを、まず大前提に取り上げているわけでございます。と同時に、雇い入れ通知書、そういった文書によって雇用関係を明確にしていく、こういうことによりまして、この建設業における雇用の近代化を図っていきたい、こういうことで法制化を進めておるわけでございます。 したがいまして、過去に指摘されておりましたような、いわゆる手配師といったような、労働者の採用募集に関して第三者が介入することは、きわめて好ましいことではございませんので、これは労働基準法なり職業安定法なり、それぞれの法制のもとにおきまして、こういった点につきまして、十分規制を加え、違法なあるいは不当な、そういった募集あるいは第三者の介入につきましては、厳重に監督指導を進めていくつもりでございます。
○島本委員 ちょっと悪いけれども、いままで港湾労働法が施行されておりますが、依然として手配師がおる。しかしあの際にも、厳重にこれは監督し指導することになっていたはずじゃありませんか。そっちの方をやれないで今度建設労働者の方だけやれる、こういう妙手はどういう仕組みになっているんですか、この際解明を願いたいと思います。
○遠藤政府委員 昭和三十カ年に港湾労働法ができまして、それ以前の実態とそれ以後の実態は、私からここでるる御説明するまでもなく先生もう十分御承知だと思います。当時は、港湾労働に従事しておりました労働者の中の過半数、三分の二が日雇い労働者で、しかも、その日雇い労働者につきましては、いまお話のような、いわゆる手配師等のルートを通じて雇用される者が大半だったわけでございます。港湾労働法が成立したことによりまして、日雇い労働者の登録制度が実施され、そういった手配師的なものが逐次排除されまして、しかも港湾労働の近代化が進められたことによって、今日常用化が進められ、いわゆる港湾に従事する日雇い労働者が全国で三千名を切れるような状態になってきております。私どもは、こういった雇用についての第三者の介入というような実態は、この十年間にきわめて顕著にその効果を発揮してまいりまして、港湾労働の今日のような実態に至っている、かように考えております。 建設業の実態は、先ほど御説明いたしましたように、全国的に見まして数十万の業者に雇用されておる日雇い、出かせぎの実態から見まして、港湾労働以上に非常にむずかしい問題ではございますけれども、あえて私どもは、その実態にメスを入れるべく改善の方向に踏み切ったわけでございます。 先ほど冒頭に御指摘になりましたように、この法案についてはきわめて不十分だという御説でございますけれども、私どもとしましては、現実に最大の努力をしてここまで大胆に踏み切ってきたつもりでございます。私どもは、これを手がかり、足がかりにして、これから建設業における労働の実態を十分解明しながら改善の方向に努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○島本委員 さすがにあなたは、失対部長から労働教育の関係者として、また職安局長として経験が長いだけに、言葉だけは日本語になっているけれども、何ら内容がないじゃないですか。この建設労働法によれば、手配師は全然存在する余地がない。しかしながら同じような日雇い労働者の状態で、昭和三十九年来これまた港湾労働法が施行されておりますが、依然として手配師が横行している。行政の指導は行い、そういうのは介在させないということは、いつもここで言われているはずだ。しかしながら一方では、そうしながらも存在し、今度は新法ができたならば、この方面には介在しない、この一つの経路というか、行政努力をするから期待してくれではだめですよね。そういうようなのを、一つの機械的構造を解明してもらいたいというのです。そうでないと、ロッキード問題みたいにこれははっきりしないことになっちゃう。港湾労働法ではできなくてこれがどうしてできるのですか。行政努力だけですか。
○遠藤政府委員 建設業の労働問題は、私から御説明するまでもなく先生の方が非常にむずかしい問題だということはもう十分御承知だと思います。私どもは、この建設労働問題に手をつけるにつきましては、建設省におきましての建設業に対する行政指導、監督指導の面と私ども労働の面からの行政対策と、これが二人三脚、両々相一致するのでなければ、これは、なかなか改善の方向に向かうことはむずかしいと思っております。 したがいまして、一昨年来の建設労働問題についての各界からの御提案につきましても、先ほど申し上げましたように、雇用審議会あるいは中央職業安定審議会等におきまして、建設省と二人三脚で共同しながらこの改善対策を検討いたしてまいりまして、その結論として、この法案を提出したわけでございます。これは業界の近代化を建設省の側で進めていただくと同時に、私どもは、この季節出かせぎ労働者の就労経路の正常化をまず出発点として、いま御指摘になりましたような手配師、そういった第三者の不当な介入を排除をするような方策を逐次進めていって、先生の御要望に沿えるように行政を進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
○島本委員 依然としてわからない。わからないけれども、これだけやっているわけにもいきません。大臣わかりますか、あなた、いまの局長の答弁で。 じゃ試みに大臣、こういうような点はどうですか。大臣が私と一緒に苦労された問題で、六価クロムのあの被害者の問題も労働者でしたね。全部これは北海道の栗山から百三十五人の人が徳島県の阿南の徳島工場の方へ移されましたね。そして優良な設備のもとにやっていれば何でもないということだったけれども、あにはからんや、ほとんどの人が鼻中隔せん孔になっていましたね。そして、そういうような工場の中には、労働基準局長の優秀だという賞状が張られていましたね。行政というのはこういうものなんです。労働者が被害を受け、そしてもう死人まで出している。しかし監督局長の努力賞というのですか賞状が張られている。これほど矛盾した行政というのはありませんよ。だから、りっぱな行政をやると言いながらも、手配師は存在するということ、こういうようなことに対して、港湾労働法によれば手をつけられないということ、本法案によるとそれをなくするということ、このメカニズムがわからないと言うのだ。あなたはわかると言うのだから少し解明を願いたいと思います。
○長谷川国務大臣 まあローマは一日にして成らずでして、私は、今度の法律案を役所の中で作業してみまして、これはやらなければならぬと思ったことは、私もあなたと同じように出かせぎ地帯です。そして、いままで重層下請でいつの間にやら賃金が不払いであったり、そしてまた帰るときには何も持たずに帰ったというふうなことで、いつでも陳情を受けるわけです。そうすると、その上へ上へと探して幾らかでも賃金を補償させるという苦労をさせられている。皆さん御同様だと思うのです。 そういうことからしますと、今度の法律案でも、建設省の行政指導、近代的なことですからやってくれと言うのですが、とにかく経営者はみんな私のところへ反対に来ましたよ。反対に来たことから見てもこれはいい法律だ。しかも、ちゃんと就職の経路をはっきりし、あるいは先ほどから局長が答弁したように、一歩一歩経路をはっきりすれば、これは、いままでよりは前進する。 同時に、何といたしましても、労働省を一番事業者はこわがっているでしょう。労働基準局を一番こわがっているでしょう。それをやっているから、災害はあるが、あるといっても年々減っている。とにかく災害で死ぬ者がようやく三千人を切った。それでも山の中で連休に二十二人も死ぬ者がいる。ということを思いますと、ローマは一日にして成らず、そういうことでひとつお互いの御苦心、そしてまた、そういう中にこういう法律案を出していただいて、さらに、ここでやめたわけじゃありませんから、それをまたもっとよくするように、お互いにひとつ現状を見ながら努力してみようじゃありませんか。それ以外手はないですよ。そういう感じでこの際に皆さんにお願いしているわけであります。
○島本委員 労働省、労働大臣に反対陳情がよけいだからこれはいい法律だ、その意味においては賛成。しかしながら、そういうような法律案なんかで日の目を見ないようなのがたくさん山ほどあるじゃないですか。環境庁がやっている環境保全に関する公害対策なんか、全部反対している。住民運動は、こういうものだけはやれ、やれと言ってきている。これなんかは最たるものです。だから、これでもうやったということだったら、もう少しきちっと行政的な手続やそういうようなものをさしておいて、なおかつやったと言うに足るような法律であってほしいし、また、そうしなければならないと思う。 まずそれで、建設労働者のおくれている面にこの手配師の存在と私は言いましたが、それがなくなる、それを具体的に示してもらいますけれども、それから福祉の立ちおくれもあるでしょう。建設労働者の福祉、これは非常におくれていますよ。これは初めちょっと言ったように、本当に週休二日なんて言っている段階じゃない。有給休暇さえないでしょう。発注に波があるからだというようなのもその背景じゃないか、こうさえ思いますが、しかし公共事業でも予算が成立してからようやくかかる。そうすると、夏にかけて発注が行われる。雨が降ろうとやりが降ろうと工事は施行しなければならない。したがって日曜も休まないでやる、こういうことになってしまうのではないかと思います。その段階で労働者の人間性というものは、もうすでに無視されるような一つのレールが敷かれるわけであります。今度の場合には、そういうことに対してもきちっと規制の手を入れないとだめなんじゃないかと思うのですが、この点は考えてございましょうか。ことに言いたいのは冬季ですよ。冬季は建設業は休眠状態になる。積雪寒冷地帯、ことに北海道みたいなところは冬はやれない。そういうような状態では、夏のほんの短期の間に決戦をやるというような状態になってしまいます。したがって、もうこういうように工事量が波動的だということ、これが労働福祉の立ちおくれとイコールになって結びつくということじゃないかと思うのです。さらに重層下請を生んだ一つの大きな原因になっているのじゃないかと思うのです。したがって、建設工事の工事量の平準化に取り組むことが一つの大事なポイントというふうに思いますけれども、具体的な対策があるなら、この際はっきり示してもらいたいと思います。
○中川説明員 先生御指摘の点多々ございますが、工事の発注の平準化の問題につきましては、もし平準化が非常に可能ならば、いい結果が出るに違いないとは私も考えますけれども、気象の条件とかあるいは財政運営の条件、経済変動の条件とかいろいろ条件がございまして、なかなかむずかしい問題でございます。しかしながら、建設省の工事のうち大体二五%程度が単年度以外の二年度以上にまたがる工事となりまして、それが一つの安全弁をしておる。それから、そのほか単年度ということでございますが、できるだけその年の財政運営のポリシーに応じた水準の平準化が図られるように発注をコントロールするというようなことでいたしておるわけでございます。 また、そのほかの施策といたしまして、建設事業、これは土木、建築合わせまして受注量あるいは工事着工量というものが大体統計的に把握できますので、それに基づいた将来の労働需要なり資材需要なりの天気予報というようなものを世の中に出して、それを参考にしてもらうようにしたいということで、ただいま準備中でございます。 なお、それに基づきまして関係の省庁等にお集まりいただいて、連絡会議のようなものを持つようにいま準備いたしております。 なお、工期の適正な設定あるいは不必要な重層下請の排除につきましては、五十年度、昨年度の予算執行につきましての建設事務次官の通達でそれに触れておりますが、今年度についても同様に触れる予定でおりますことを申し上げます。
○島本委員 それは予算面だけですか。
○中川説明員 発注の平準化につきまして申し上げた点につきましては、これは公共投資の発注だけにとどまらず、わが国での土木建築工事、つまり民間工事も含んだものについて行う考えでございます。
○島本委員 局長、職安法施行規則四条四項で労務供給業が認められておりますけれども、いわゆる新法ができたにしろ、労務供給業が認められておる限りにおいては、重層下請というようなものがふえることはメカニズムによって明らかじゃないですか。同時に、下請規制はしなければならないと言いながらもできないのじゃないですか。これに対するはっきりした対策は、これに示されていますか。むしろこの重層下請を大いにやらせるような精神になっているのですか。
○遠藤政府委員 いまお話しの重層下請と労供との関係でございますが、職業安定法四十四条では、労働者供給事業は禁止されております。いかなる場合にも労働者供給事業は禁止されております。それで、それを受けまして四条四項では、こういうものは労働者供給事業ではないという枠がはめてあるわけでございます。したがいまして、職業安定法四十四条を受けた施行規則四条の各条項に該当する場合は、請負契約ということで、それは労働者供給事業でないから適法に認められるということでございます。したがいまして、過去において建設業その他いろいろな業態の中で労働者供給事業的なものがたくさんありましたけれども、この安定法の四十四条によりまして労働者供給事業が禁止され、施行規則の四条による規制が強化されることによりまして労働者供給事業はまずほとんどなくなった。間々ございますが、これは御指摘のありました都度、私どもは改善指導をいたしてまいっておりまして、こういった四条の各条項に該当するものが、請負契約という形でいわゆる下請が行われております。それで、その下請の内容が、もしこの四条の条項に抵触するものであれば、これは当然、労働者供給事業として禁止されることになります。したがいまして、そういった点の適法に行われる下請契約については、禁止する考え方はございませんが、かといって、先ほど来問題になっております建設業のいわゆる二次、三次重層下請の問題を合理的に、近代的な形に改善をしていくことは必要であろうと思います。これは建設省におきましても御指導いただくことだと思いますが、そういう形で違法な状態が起こらないように、私どもの方も建設省と協力しながら行政指導、監督を強めてまいりたい、かように考えております。
○島本委員 労働災害の防止ということ、これもこの新法の中で徹底的にやっていくのが一番大事だと思っているんです、余り多過ぎますから。したがって、それをやるためには建設労働者の労働組合というか、建設現場の特殊性を加味した対策、こういうものが一番必要でありますが、この際、やはり組合関係者の立ち入りを認めてやる必要があるのではないか。労働基準監督官の数が足りないということを先ほどおっしゃいましたけれども、全く足りないのでありますが、しかし工事現場はきら星のようにあるわけでしょう。だからといって、そのままにしておいた場合には、災害はだんだんふえることになりましょう。したがって、事情によく精通している労働組合の労災関係者、こういうような人の立ち入りを認めてやって、そういう点についていつでも手抜きのないように指導する、こういうようなことだって必要ではないかと思うのです。組合関係者の現場の立ち入り、これを認めてやるべきだと思いますが、どうですか。
○藤繩政府委員 建設業に災害が非常に多いということは、先ほど来御指摘のとおりでございまして、先般、昭和四十七年に御審議をいただきました労働安全衛生法におきましても、構内下請の規制でございますとか注文者に対する規制でありますとか、その他建設業を念頭に置きました諸般の規制をやっておるところでございます。しかし十分な災害防止の実効がなかなか上がらない。全般的には非常に改善されましたが、その中で建設業は必ずしも成績がよくないということで、ただいま先生から労働組合の防災担当者の現場立ち入りというようなことを考えてはどうか、こういう御提案があったわけでございます。 それで、これに関連いたしまして、実は現在すでに労災防止指導員制度というものがございまして、各産業を通じまして関係労使の方に御依嘱申し上げまして、現場に入っていろいろ指導、援助をいただいておるところでございます。 ただ問題は、建設業におきましては、そういったことに精通された、しかも労働組合の方でそういうことに明るい方が必ずしもたくさんいらっしゃるわけじゃございませんので、所期の成果が上がっておりません。 そこで実は、建設業におけるこういった問題を含めまして、災害防止につきましては、中央労働基準審議会の中で特に建設専門の委員会を設けまして、すでに八回ばかり審議をしていただいておりますが、その中の一つの項目として、今後十分御審議をちょうだいし、その結果によってまた推進をしたい、こういうふうに考えております。
○島本委員 そうだとすると、どうでしょうか、いわゆるこの安全衛生対策というもの、これが私の方では何かいつでも頭から離れない。ことに建設労働者、こういうような場合には一番多いからでありますけれども、この建設労働者、出かせぎなんかにはことに見られます。また山形にもまたきのう発生したようでありますが、まあ傾向を見ると、一つの事業主に継続して雇われておるというような形態ではないわけです。そして事業場ももう転々として、現場も転々とする、こういうような形態であります。したがって、事業主も責任を持って労働教育というか安全衛生関係の教育をするという段階に至っておらない。これが実態じゃないかと思うのです。 したがって、この実態にももちろん問題があるのでありますけれども、事業主が悪いからと言っても話になりませんので、この際、労働者の身を守るために必要な安全衛生教育ぐらいは、もう個々の事業主任せではなくて、社会化というか国が直接責任を持って実施するようにするのがあたりまえじゃないだろうか、こういうように思うのであります。業者任せにしたって、これは実効上がりません。相互に連絡をとってやりますというのは、いままで何回やっていても、連絡をとっても災害はなくならないし、こういうような教育は徹底しておらない。したがって、これは国がやるべきだ。これは、せっかくできたのですから、この際どうですか、見解を聞かしてください。
○藤繩政府委員 建設業の安全衛生については、特に教育をもっと徹底しなければならない、私どもも同感でございます。 ただ、業者任せではだめだという御指摘でございますが、何といいましても、労働者の安全衛生という問題は、まず第一には事業主の責任でございまして、安全衛生法においても、事業主が雇い入れ時等必要なときに安全衛生教育を行うことが義務づけられておるわけでございます。特に建設業では、何と申しましても、現場に即して、各工事現場で現実的な労働安全衛生教育というものが行われることが望ましいというふうに思うわけでございます。 しかし、ただいま先生がいろいろ言われました点も、まことにごもっともでありまして、特に出かせぎ労働者等では、非常に出入りが激しいわけでございまして、個々の業者の安全衛生教育では必ずしも徹底しないということも事実でございます。 そこで、先ほど申し上げました中央労働基準審議会に設けられております建設業の関係の専門委員会におきましては、いろいろな問題を審議していただいておりますが、特に安全衛生教育につきまして、たとえば安全衛生教育体系の確立でございますとかあるいは教育実施体制、特にいま御指摘のように、建設業全体の責任のもとで何らか教育ができないかというような問題、それから教育の種類の拡大の問題、教育内容の充実の問題あるいは再教育の問題、それから学校教育で安全衛生教育をやっていくというような方途が見出せないものかどうか、そんなようなことについて非常に熱心な御審議をいただいております。私どもは、その成果に期待をいたしております。御答申が得られましたら、またぜひ審議したいというふうに思っております。
○島本委員 そこをがっしりやらないとだめだと思うのであります。 ついでに、建設雇用改善計画の策定が第三条にあるようであります。いままで政府の方では、こういう計画の策定なんというのは、言葉だけであって、さっぱり実効が上がっておらない。今度のこの建設労働者の場合には、同じにやはり計画の策定、こういうようなのがあるようであります。労働大臣は、建設雇用改善計画なるものを策定する、こういうことになっておりますが、これは一般に政府のつくる計画というものは、いままでえてして余り実効がないものである。今度の場合は、まさに錦上花を添えるようなりっぱな計画でなければならないと思いますが、大臣、この点確たる自信がありますか。
○平賀説明員 最初に、計画の内容とその考え方について簡単に御説明申し上げます。 この計画は、関係行政機関と協議するとともに、中央職業安定審議会の御意見を伺って定めることになりますが、さしあたって、建設労働者の雇用の動向に関する事項として、労働力の需給の動向とかあるいは建設労働者の雇用状態等を明らかにすることといたしております。それから建設労働者の雇用の改善、能力の開発及び福祉の増進を図るために講ずべき措置の具体的方向を示す、こういったことになるわけでございますが、この計画を推進いたしますについて、この法律案の第四条に盛られておりますように、施策の円滑な実施のため労働大臣が必要に応じて事業主等に勧告または要請を行う等、関係者に積極的に働きかけて対策の実効を期するよう図っていくことでございます。
○島本委員 今度やはり大臣の勧告、勧告権を持つ大臣の立場というのは、これは重要でありますが、この第四条による勧告、これは十分成果を上げることができると考えておりますか、大臣。四条の勧告はどなたにどういう成果が上がりますか。
○長谷川国務大臣 労働大臣の勧告または要請は、建設雇用改善計画の円滑な実施のため必要と認められた場合にやります。事業主またはその団体等に対するもののほか、発注者に対しても改善勧告をします。それからまた、建設業者の監督指導の面においても、発注者、関係行政機関と連絡をとって、労働対策上必要なものはやる、一生懸命これはやります。たとえば先日も閣議で話をしますと、それはやってくれるんですね。私の方は、いまの景気浮揚の場合でも、早い話が、地方道などによけい人を使うように、あるいは出かせぎがなかなか出られない時代だから、あなたの方から非常に御注文のあった、やはり早期に工事を発注するように、そう思っておられるでしょうけれども、労働者を見ている立場から申し上げると、さらに強く役所の方も推進していただくということでございますので、この法律が通過した暁には、さらに労働者を守る立場から一層馬力をかけてやりたい、こう思っております。
○島本委員 せっかくこの勧告権があるとするならば、これは、どういうような場所にでも、発注者でも事業者でも、あるいは関係官庁にでも、これは行うべきではないか、こう思うのでございます。大臣の場合には、えてして法律に定められているとおりこれをやると言う。しかし労働権というようなもの、これを考えた場合には、これも上から下まで、各省のようにこうやるものではなく、横に、どこに存在する労働者に対しても、これは官公庁にあるからだめなんだ、これは別の方の指揮権を受けるからだめなんだ、これではだめなんです。一線に、横に全部、労働問題に関しては勧告できる、こういう体制でなければだめなんであります。 〔委員長退席、住委員長代理着席〕 したがって、私の場合は、どうもなんですけれども、環境公害の問題も横に全部見ている、労働の問題も横に全部見れる、そして省などと言わずに庁でもいいから、この勧告権それから意見書、これを総理にかわってどんどんやれる、こういうような体制で臨むのでなければ、自分の権限の中に閉じこもっていたら勧告も死んでしまいます。 この点で、せっかく勧告というのがございます。大臣にその権限があるのであります。本条によって明確になっているのです。附則じゃありません。ですから今度、これをどの場所でも生かして使うべきだ、こういうように思うわけでありますが、これを生かして使うか使わないか、書かれているとおりのことしか考えないと死んでしまいますから、ひとつもっと奮起してこの点を使うようにしてやってもらいたい、このことを要請しますが、いかがですか。
○長谷川国務大臣 日本の行政は縦割り行政が多うございますけれども、労働省の場合には、相手は勤労者でございますから、各役所に全部関係あります。そういう意味からしますと、私は、横の線で大いに推進することが——近代工業国家は何といたしましても完全雇用をねらっている、そういうことで私が就任以来、少しでしゃばるくらいに実はこういう問題でいままでも発言しておりましたが、激励されたように、こういう法律案があればなおさら一生懸命やりたい、こう思っております。
○島本委員 したがって、これが十分効果が上げられない場合は、大臣の勧告がとろいものであるということになりますから、十分その点考えて成果を上げるようにこれはやってもらいたい。 それと次には、技能訓練の助成措置の重点的な利用、こういうようなことで少し聞いてみたいと思います。 遠藤職安局長の言によりますと、九十日の出かせぎの就労の陳情に対して、北海道のようなところには神武この方、冬になったら雪が降るし、その間事業は余りない、したがって働きたかったら本州の方に出てくるのが適当であって、雪の降る中で雪の降らない仕事を求めるのはおかしい、こういうのが遠藤政夫職安局長の言であります。しかし、それもまことに当たらないのであります。やろうと思えば、つくろうと思えばある。今度の場合は、北海道では冬の間は工事は全然ストップしてしまいます。したがって、そういうようなところでは建設労働者は仕事につけない。労働省では通年雇用の奨励ということを口では言っておっても、それは実現できない、こういうようなことになります。夏と同じように労働者の仕事を確保する、これは、やはりなかなか至難じゃないかという節もございます。しかし本人の収入、こういうようなものも必要であるし、人間働くところに生きがいがありますから、そういうようなことを考える場合には、社会的にもやはりそういうような技能を生かさないことは損失だと思います。こういうような冬の期間、技能訓練を大いにやったらどうなのか、そして九十日にしてもらいたいというあの労働者の希望、こういうようなものに沿うようにして、その方面へ行政を向けたらどうなんだ、こういうように思うわけであります。その場合には、この技能向上のための助成措置、こういうようなものを重点的に、いまのようにして冬の間は全然仕事のない方に向けてやってみたらどうか、こういうようなことも考えられないわけではありませんけれども、今度せっかくこの新法が出るならば、補完手段としてそういうようなことも十分考えて利用させたらどうか、こう思いますが、どうですか。
○遠藤政府委員 建設労働者の技能の開発あるいは向上、こういった措置につきまして、今回の新しい法律案によります助成対象措置としていろいろ考えております。北海道のような積雪寒冷地帯、冬季間通年工事ができるようにといったような対策も逐次講じてまいっておりますが、御指摘のように、そう急になかなかうまくいくものではございません。したがって、その冬季間工事ができない、仕事ができない、そういう期間を利用してこういった技能向上のための訓練を実施する、こういったことも助成の対象として確かに十分考究に値すると考えております。こういった点を十分考慮しながら福祉対策あるいは技能開発向上対策の中身として取り入れてまいるように努力をしてみたい、かように考えております。
○島本委員 速記をとれないでしょう。あなたの場合、後の言葉が子音になって母音がないのです。
○遠藤政府委員 そういう御趣旨のような方向で私どもも進めてまいりたいと思っております。
○島本委員 では次に、これはどうですか。先ほど川俣委員の質問に対して、私も聞いておって、これははっきり確認した方がいい、こう思われる問題で、働く建設労働者の健康保険の点については、単なる一元化、簡素化、こういうようなことが考えられるということであったようでありますが、具体的にはどうしようとすることになりますか。健康保険です。
○遠藤政府委員 健康保険について私、先ほど何も申し上げた記憶はございませんが、厚生省の所管でございますので、ちょっと私から御答弁いたしかねます。
○島本委員 では建設労働者の健康保険については、どのようにして指導する予定ですか。
○平賀説明員 建設労働者の場合には、ほかの産業に比べて社会保険の加入等がおくれております。その場合でも、健康保険については各種の保険を合わせてかなり加入率は高いと思っておりますが、それにしても、その雇用状態の改善の中では最も高いランクの事柄として、健康保険初め各種社会保険の適用の促進を指導してまいりたい、こう考えております。
○島本委員 単なる適用ですか。一元化する、こういうような方向を指導しないのですか。
○遠藤政府委員 一元化と申しますのは、各種社会保険を全部一元化しろとおっしゃるわけでございましょうか、ちょっとお伺いいたします。
○島本委員 この建設労働者に対して、今度、いままでのように登録制、これはやらないと言っているようでありますが、手帳は持たせる。そうすると、病気になった場合の健康保険は、国民健康保険なんというのはまちまちだと思います。そういう方は一元化し、簡素化するという方向でやっていくのがその趣旨じゃないかと思うのでございますが、そういうような方面には別に意を用いておらないのですか。
○遠藤政府委員 健康保険につきましては、先ほど申し上げましたように、私どもの方の所管ではございませんのでお答えいたしかねますが、現状は、いわゆる政府管掌の健康保険、建設国保あるいは国民健康保険、こういったものでそれぞれ適用になっているかと思います。こういうものは最近の動向としては建設国保が非常に拡大されて、これの適用対象になる人が多いとは聞いておりますが、これを一本化するというような方向があるのかどうか、私どもからお答えいたしかねます。
○島本委員 それはなぜお答えしかねるのですか。
○遠藤政府委員 これは厚生省所管の問題でございますので、私どもからはお答えいたしかねます。
○島本委員 そうすると、この建設労働者の雇用の改善に関する法律案というのは、厚生省の関係のものは一切関係しない法律ですか。病気になったり、それからいろいろな災害関係のものだとか、または健康保険であるとか、こういうようなものは、他省のものは全然関係しないですか。
○遠藤政府委員 雇用の改善の中には、災害の防止とか教育の問題でございますとか、そういった問題は含まれておりますけれども、健康保険法の適用プロパーの問題としては触れるわけにはまいりませんので触れておりません。
○島本委員 簡素化、一元化さしておいた方が一番いいんじゃないかと考えられるのですが、そういう考えさえないのですか。
○遠藤政府委員 先ほど申し上げましたように、労災保険と雇用保険の一元化ということは、すでに数年前に実現いたしておりますが、その保険料の徴収方法なり、その細目についていろいろな問題が依然として残っております。そういった点につきまして、私どもは、今後検討課題として、先ほど御指摘になりましたような点を十分検討して改善を進めていきたいと思っておりますが、他の社会保険全体を一元化し簡素化する、これは御指摘のように望ましいことかもしれませんけれども、現実にはいろいろむずかしい技術的な問題あるいは法制上の問題等もございますので、いまここでにわかにそういった方向が適当であるかどうかということをお答えいたしかねると思います。
○島本委員 登録制は、これは実施しない意向ですか。
○遠藤政府委員 先ほど川俣委員の御質問にお答えいたしましたように、建設労働につきまして港湾労働と同じような形での登録制をとるつもりは考えておりません。
○島本委員 なぜ登録制をとらないのですか。これは、りっぱな制度じゃありませんか。登録して、登録された人に対して完璧の行政指導をする、いいじゃありませんか。建設労働者はいままで災害が一番多かった。そういうような人に対して今後はその手当てを十分してやる。そのために登録制度をとる。いいじゃありませんか。何のためにとれないのですか。制度が悪いからですか、それとも人がいないからですか。
○遠藤政府委員 登録制度とか、あるいは手帳制度とかそういった制度を実施いたします場合に、何を目的にどういった効果を上げるためにやるかということだろうと思います。港湾労働法の場合は、御承知のように港湾労働の実態から見て非常に限られた範囲で、対象も限定される。そういうものに対して登録制度が実施されたことによって、この十年間に登録制度をとった効果が現実にあらわれてきております。先ほどお答えいたしましたように、建設労働の場合は、全国四十万に近い建設業者と、その業者に使用される数百万の労働者、しかも、その労働者の実態が非常に区々でございまして、こういった人たちに対して、一体何を目的に登録制度、それによって何を担保しようとするのか、そういった点でいろいろ問題ございますし、仮に港湾労働と同じような登録制度をとっておりますといたしました場合に、これは物理的にも非常にむずかしい問題が含まれております。そして、それだけの技術的な困難を克服して登録制度をとったことによって、果たしてどれだけの効果が期待できるのか。むしろいま御指摘になりました、例としてお挙げになりました災害を防止するということであれば、災害対策を強化する、そのために必要な措置をとるということが効率的ではないか。私どもこの法律で予定いたしております雇用関係を明らかにする、就労経路を正常化する、就労条件を確保する、こういったことにつきましては、それぞれそれに必要な措置をとることで十分であろうかと思います。 冒頭に御指摘になりましたように、この法律がすべて一〇〇%完全なものだとは申し上げているわけではございませんで、一応私どもとしては一建設労働の実態を踏まえた上で必要なものから逐次手をつけていくということで、まず出発点としてこういう法案を用意いたしたわけでございまして、今後実態に即して十分改善の措置を逐次拡大し充実さしていきたい、かように考えておるわけでございます。
○島本委員 見解を全然異にしますから、この点だけは平行線。これはもうやめたのじゃありませんが、全然違いますから、いまの考えは……。 次に、林業労働者の問題で政府の姿勢をちょっと聞いておきたいと思うのであります。 建設労働者、それに対しての建設労働法、確かにできました。しかし同じような屋外の厳しい状態にさらされている人、いわば雇用の不安定な状態、そして厳しい作業状態、こういうような分野の中に働いている労働者、そして白ろう病という職業病に冒されている人たち、これを根本的にやはり改善する必要があろうと思います。 そこで、この建設労働法をやった後に当然、林業労働者、それらを対象にした根本的な振動機械の規制、振動工具に対する医学的な基準を設定してやったり、これを指導してやる、こういうような点も必要になるのじゃないかと思います。ポスト建設労働法、これも当然考えなければならない問題だと思います。この点に対しては、どのように考えていますか。
○遠藤政府委員 港湾労働法ができましたときに、建設労働法をやれというお話がございました。十年にしてようやくこういった、非常に御不満はあるようでございますが、建設業における雇用の改善についての立法措置をとったわけでございます。それ以上に林業につきましては、先生御承知のように、林業における労働の実態が雇用関係すら不明確で、雇用関係があるのかないのかわからぬ、ざっくばらんに言いまして、こういうのが林業労働の実態であろうかと思います。私どもといたしましては、こういった林業の立ちおくれ、林業における就労の実態というものを、今後、改善措置を十分行政指導を進めていきながら、林業における雇用関係というものを明確にしていく、こういうことから入っていくべきで、法律をつくったからいきなりよくなるというものではないと思います。実態が伴わない法律というものは、むしろ空文に帰するのじゃないか。先ほど計画をつくったって空っぽじゃないかとおっしゃったように、法律をつくったって、空文になってしまうような法律をつくっても意味がないと思います。私どもは、林業労働の実態を十分改善指導を加えていくことによって改善の措置を進めていく、こういうことがまず先決であろうかと思います。したがいまして、ポスト建設労働法で林業労働法をつくれという御提案については、賛成いたしかねると思います。
○島本委員 賛成いたしかねるのですか。それとも具体的な法として林業労働法、これを制定をして、民有林労働者の共同雇用制度、それから白ろう病になった人に対するいろいろな治療制度、こういうようなものを十分考えて、ポスト建設労働対策、これはやはり次に考えておかなければならない、こういうようなことになるじゃありませんか。これさえ、そんなもの考えないなんて、こんな職安局長がありますか。現実大きな問題としてなっているのに、そんなことじゃだめですよ。何で考えられないんですか、それだけのものを。もう一回、いまの答弁訂正しなさいよ。
○遠藤政府委員 林業につきましては、私ただいま申し上げましたように、雇用関係があるのかないのかわからないという実態が現状でございまして、私どもは、こういった雇用の改善についての条件整備を図っていく、そのために必要な施策を進めていくということが、まず先決であろうかと思います。白ろう病とか林業に伴ういろいろな災害問題がございます。これは当然、安全衛生法なり労働基準法等によりまして、こういった災害を防止し、なくし、あるいは災害にかかった罹災者の救済策あるいは補償、こういった点につきましては、現行法でも私どもは十分措置できるし、また必要な点は今後補っていかなければならぬ、このために新しい立法措置を講ずるという必要はないのではないか、むしろそれより先にやらなければならぬことがあるのではなかろうかということを申し上げているわけでございます。
○島本委員 しかし、そこをもう一歩考えないとだめだ。建設労働法ができて成果を上げたのなら、残っている部分に対してもそれを広げていく。こっちは関係ないのだ、こういうような考え方を初めから持つところに職安局長の悪いところがある。いま私としては、これを具体的に考えて、次のまないたに乗せるように検討してもらいたい、このことを強く要請しておきたいと思います。 それと同時に、登録制度の問題は、全然見解を異にしますから、その点に対しては、私は、あなたの答弁は納得しかねます。いまの林業労働者に対して、ポスト建設労働法対策、これも十分考えるべきだと思うのです。先ほど全然考える必要がないようなことを言っていた。あれは労働者に対する重大な侮辱ですよ。前言を取り消しなさい。
○遠藤政府委員 林業労働の問題につきましては、私、重ねて申し上げておりますように、林業労働の実態に即してその雇用関係を明らかにする方向で施策を進めていく、その上に立ってこういった立法措置が必要であるかどうかということはその後で考えるべきことで、いま立法措置が必要であるかどうかということについては、私は、必ずしもそうとは考えないということを申し上げたわけでございます。
○島本委員 終わります。
○住委員長代理 田中君。
○田中(美)委員 建設労働法について質問いたします。 まず、八条の元請事業主ですね、この事業主が管理責任者を、それぞれの下請の人たちに全部置かせて、自分のところにも雇用管理責任者を置かなければならないということになっているわけですけれども、これは、どこまでの範囲を言っているわけでしょうか。
○平賀説明員 第八条では、いわゆる元請、下請の関係において工事を行います場合に、一番最初の元請事業主が、あるいは複雑な下請関係で工事が行われることになるかもしれませんけれども、その一番下までのそれぞれの状態について、一定規模以上の場合には、そのそれぞれの関係請負人の雇用管理の状況を把握して、それに関します書類を備えておかなければいけない、こういうことでございます。
○田中(美)委員 私の質問に答えていません。時間がありませんので、実例でお話しします。それぞれ置いておかなければならないということは、ここに書いてあるわけですね、そのそれぞれというのは、どこまでがそれぞれかということを聞いているわけです。下請、下請、下請、全部こうなっているわけでしょう。一番最後はどこかということを聞いているわけです。ですから、それをもう一度繰り返していただきますと時間がもったいないので、こういう実例をちょっと聞きます。その方がおわかりになると思いますので。 たとえば名古屋でいま地下鉄工事をやっているわけです。これは三井建設がやっているわけですが、これの下請として三井道路にさせている。今度は穴掘ったりするのとは別に上の舗装するところだけを協和重機というところに下請をさせているわけです。そうすると、三井建設が元方事業主になると思うのですけれども、三井道路それから協和重機というのは、いまあなたがおっしゃったそれぞれの雇用管理責任者を置かなければならない。私、請求書というのをいただいているんですけれども、この協和重機ともう一つ下請請負関係にあるKという人がいるわけですが、この人が毎日人を、五人とか七人とか三人とかというのをこの協和重機に入れるわけなんですね。このKという人は事業主ですが、この人はそれぞれの中に入るのかどうかということです。
○平賀説明員 御指摘の例は、三井建設がその元請であり、その下請を三井道路がやっておって、その一部について協和重機という会社がその舗装をしており、それからKという人が、その協和重機との関係は明らかではありませんけれども、協和重機からある部分について下請契約を結んで、それでその労働者を雇用している。もし仮にそういう状態があるとしまして、しかもそのKという事業主、Kという業者が協和重機との間に下請契約を結んで関係請負人の中に入る、またしたがって、その関係請負人の中に入ってそこで人を雇うという事態がありましたならば、Kという業者についても雇用管理責任者を選任しなければいけませんし、またKという業者の状況について元請の三井建設が把握していなければならない、こういうことでございます。
○田中(美)委員 そうすると、いまおっしゃいました下請契約書を結んでと、こういうふうに言うわけですけれども、その下請という中身はどういうことなんですか。下請というのは、たとえば一つの範囲の中の仕事を完成するために、ここだけを請け負うということが仕事でしょう。そうすると、労働者供給だけの仕事というのは下請じゃないんじゃないですか。それはどうなんですか。
○平賀説明員 その下請の解釈は、長く言うと切りがありませんけれども、その工事を請け負うという形につきましては、それはるる申し上げませんけれども、建設業法に基づく請負関係ないし請負契約があるということでございます。
○田中(美)委員 そうすると、労働者供給だけでも下請契約をすれば、この人は事業主ということですか。
○平賀説明員 労働者供給をやるということになりますと、これは職業安定法に基づきまして労働者供給事業になるというその解釈の問題、要するに請負がはっきりしておれば、簡単に言いますと労働者供給事業にならないという施行規則に規定がございますが、労働者供給だけを目的とする事業、それが職業安定法に触れるような場合につきましては、それは所定の法律で、職業安定法によって措置をする、こういうことになると思います。
○田中(美)委員 この場合は一体どういうことなんですか。仕事の中身というのは労働者を供給しているだけなんです、このKという人は。ずっと表に出ているんですけれども、二月二十六日五人とか二月十一日に五人とか、毎日四人、五人、七人、三人、四人というふうに入れているわけですね。これを請負関係にあるというふうに協和重機が言えば、これは事業主になるわけですか。この事例で言ってほしいのです。
○平賀説明員 その事例といいましても、具体的にその協和重機とKという人の関係あるいはそのKという人とKという人の支配下にある労働者との関係、それをその実情によって調べまして、その実態に即してその関係がどうなるかということを判断しなければいかぬと思っております。
○田中(美)委員 そうしますと、この建設労働法では、新しくこの法律をつくる一番の目的というのは、そういう一番下の働く労働者ですね、この人たちの中に事故が起きたり、トラブルが起きたり、賃金の未払いが起きたり、健康破壊が起きたりすることから、これが一番大きな目的としてこういうものがつくられているというふうに言われているわけですね。その一番大事なところが非常に不明確だ。この法律で不明確ですね。いまお聞きして事例を出しても、はっきりした回答ができないですね。このK氏というのは、一体どういう——そうすると、明らかに法違反の業者ということになるわけですか。そうすると、これは職業安定法で取り締まるべきもので、違法のことをやっているのだということですか。
○平賀説明員 そのKの状態が職業安定法に規定します労務供給業になるかどうかというのは、それはその現実の状況を見てみないとわからない、こういうことでございますが、ただ、この法律の目的といいますか、末端の状況を含めて請負か雇用か明確でないものについて、それを区分して、雇用である場合には、その責任体制をはっきりするというのは、この法律案を提案する一つの目的でございますし、また一番上の元請の業者が末端の状況まではっきりその辺の区分をして雇用管理の状況を把握していないというのが、残念ながらいままでの実態でございましたので、そういった状況を元請の業者が責任を持って把握する、これが八条の規定を設けました趣旨でございます。
○田中(美)委員 その趣旨は、もうよくわかっています。趣旨は一々おっしゃらなくていいんですけれども、こういうときにどうやって労働者が救えるかというんです、この八条でこういう場合ですね。明らかに中身というのは、仕事は何にも請負ってないんですから、人間だけを送り込んでいるんですからね。これは普通の常識で言えば、請負とは私たちは考えられないわけですね。しかし、この協和重機が請負だと、こう言えば、請負になるのだという解釈ですか、それじゃそちらは。
○遠藤政府委員 いま具体的な事例をお挙げになりましたが、その三井建設の下請、孫請になる協和重機、そこで働いている労働者、それをいま御指摘になりましたKという何者かわかりませんけれども、Kが労働者を提供している。その提供されている、協和重機で働いている労働者とKとの間がどういう関係なのか、一体その労働者はだれと雇用関係を結んでいるのか、そういう点が間々不明確な場合がいままで多いわけです。 この法律の目的の最大の眼目は、そういった雇用関係を明らかにするということに一つの目的があります。したがって、いまお挙げになりました例が、一体その労働者がKという何者かわからぬ人物と雇用契約があるのか、あるいはそのKという人物が協和重機という会社のいわゆる職業安定法による募集人なのか、そこらあたりが私どもとしては承知いたしておりませんので、どういうことかお答えはいたしかねますけれども、問題は、そういったことが起こらないように、要するに現場で働いている労働者とそれが一体だれに雇われているのか、その雇用関係を法律的に明確にしようというところに、この法律の一つの眼目があるわけでございます。
○田中(美)委員 どういう関係かわからないからというのでなくて、こういう事例があるから、これをあなたは信頼しないにしても、いま仮定としてあなたの方では、これは調べてみなければうそかまことかわからない、こう言うならそれでも結構ですけれども、事実いま私が調べてきたことでは、この協和重機はKという人と請負関係だという形で、このKという人が労働者を雇って、そうして協和重機から金をもらってこれを労働者に払っている。これはその請求書なんです。ですから、協和重機が労働者にお金を払ったのじゃないわけですから、協和重機との雇用関係はないわけですね。これはKという人の請求書なんです、協和重機に対しての。そういう関係にあるということ。 これは私の言うことが、現実と正しくないかどうか知らないけれども、こういう事例がたくさんあるということは、もう百も承知だと思うんですね。さっき大臣がローマは一日にして成らずと言っていらっしゃるのは、こういうことがいっぱいあるということですね。ですから、こういう場合は、今度のこの八条でもって救えるのかということを聞いているんです。一般論で言っているわけです。わかりやすくするために事例を出して言っているんです。
○遠藤政府委員 具体的にお挙げになりました事例で、そのKという人が、いわゆる建設業法による建設業者であるのかないのか、そのKと協和重機の現場で働いている労働者との間に雇用契約が存在するのかどうか、と同時に、その協和重機とKとの間で請負契約があって、その請負契約の内容が職業安定法に抵触するのかどうか、そういった点を精査いたしませんと、いま御指摘になりました点について正確なお答えはできないと思いますけれども、問題は、そういった請負契約の内容が抵触するかしないかは別としまして、そのKに雇われておる、雇用契約を結んでおる労働者が、もしそれが正しいとすれば、適正なものであるとすれば、当然この八条なりこの法律の適用を受けるわけでございますから、それによって雇用関係が明らかにされるということになるだろうと思います。
○田中(美)委員 そうすると、人入れ稼業だけでも、この事業主になるわけですね。
○遠藤政府委員 その点、先ほどから再三申し上げておりますように、人入れ稼業であるのかどうか、それはその請負契約の内容が適法であるのかどうか、そういったことにかかわると思います。
○田中(美)委員 私は、いまこれは一つの例としてこういう場合と言っているのですから、協和重機のこれについてどうということを言ったのだったら、事実を一緒に調べてこなければ共通の場で話はできないわけでしょう。こういう場合はどうなるのか、こう聞いているわけですよ。これでも管理責任者を置かなければならないのかと聞いているのです。
○遠藤政府委員 もし完全な請負契約でなくて、それが職業安定法四十四条、施行規則四条に抵触するものであれば、それは請負業者ではございません。労働者供給事業になりますから、それは是正されなければならないと思います。
○田中(美)委員 そうすると職安局長、ちゃんとこれ是正できますか。
○遠藤政府委員 いまおっしゃった事例が抵触するものであるのかどうか、私にはわかりませんと申し上げているわけです。
○田中(美)委員 こういうことがいっぱいあるんですよ、現状は。せっかく労働法つくろうというのに、机上の空論でそんなものわからない、それが問題でこの法案が出ているんでしょう。あなた答えてください。
○平賀説明員 ただいま具体的な人の名前、会社の名前が出ておりまして、その事実関係がどうかというような御質問でございましたが、一般的に言いまして、こういうような関係、特に元請は三井建設という会社が出ておりましたが、かなり大きな事業所でございまして、その下の方に、実態を調べてみなければわからないような雇用か請負かあいまいである関係がある、また場合によっては、職業安定法に触れるような関係がある疑いがある、そういったような場合があるかもしれません、しかしその場合でも、その元請が下の方の状況まではっきり把握して、そういった法違反のない状態で雇用管理が行われるように、そういうことを指導し、しかも、それを援助するといいますか、そういうことが必要であると思います。この規定は、そういったいままで元請が下の方の状況まで把握していない、そういうことを、その下の方の業況までしっかり把握して適正な雇用管理が行われるように指導する責任といいますか、そういうことまで規定した、そういう意味では下の方の状況まで元請が正しくする、そういう効果があると、これを期待しているわけでございます。
○田中(美)委員 結局この法案では、中間の少し大きいところの下請というのは、ある程度のあれはあると思います。しかし一番問題の下というのは、これは結局いまの職安局長さん自体が、現状がもう野放しのようになっていると言われる。やみ手配師というのを御存じでしょう、大臣。こういうものがあふれているということは、もう天下に知られているわけです。名古屋でも笹島というところへ行きますと、だあっと私が知っている手配師がいます。そして、そういう人たちが連れていっているのを私は見ています。また山谷にしたって、そういうことをやっているわけでしょう。そういう人たちを、これでは救えないということです。それをはっきりさせ得ないということです。 それで、もう一つ聞きたいわけですけれども、六条に被用者という言葉がありますね、この被用者というのは一体何なんですか。
○平賀説明員 事業主との間に雇用関係のある雇用労働者、こういうふうに言いかえても結構でございます。
○田中(美)委員 必ずこれは雇用関係がなければだめなんですか。
○平賀説明員 そういうふうに解釈をしております。
○田中(美)委員 実際には何々建設という、こういうところに何か刺しゅうの入った上っ張りのようなものを着て、人が見たらそこの建設の人だと思うけれども、実際にはその人があっちこっちのところ、会社に人を入れているわけですね。組に入れているわけです。そういうのは、どこと一体雇用関係、たくさん雇用関係を持つことができるのですか、この被用者というのは。
○平賀説明員 ここで事業主がその被用者にというのは、その事業主がいまKさんという名前でおっしゃられたので、仮にKさんという人が事業主であるとすれば、そのKさんとの間に雇用関係がなければいけないということでございます。
○田中(美)委員 私がいま言っているのは、そんなことを言っているのじゃないのです。この被用者というのは、雇用関係がなければならないというのだったら、あっちこっちの雇用関係を持てるのかということです。三つも四つもの会社と雇用関係を持てば被用者になれるのかということです。いまあなたが言っておるのは、一つの会社の雇用関係で、これは協和重機と雇用関係があるという一つだけでいいのかということです。一つだけでなければ被用者でないのか。これは幾つも持つということかできるわけてすか。被用者——被用者という言葉が非常に現実と——現実はもう非常に複雑なことはよく御存じだと思うんですけれども、一体この人は被用者なのか被用者でないのかということは、現実に見てみると被用者の定義がわからなくなるわけです。ですから、被用者というのは、幾つもの会社と、大成建設と鹿島と間というふうに一人の人間がみんな雇用関係を持っていいのかということです。そういうことはあり得るのですか。
○平賀説明員 仮定の問題でございますが、これは、もしこの規定がそのままに、御指摘のケースのように適用があるとすれば、たとえば間、大成その他の会社がたくさんあって、これが被用者でございますと、一人の人について何通もの届けが出てくる、その状態でありましたら、その個々の関係をより厳重に調べる必要があると思います。と申しますのは、やはりそういう関係があると、そういうようなものが届けられたとしましたならば、その人は、むしろここに言っている事業主の被用者というよりも、やはりそういった募集について委託を受けてやる、そういう疑いが非常に濃くなる、こう考えます。
○田中(美)委員 そうすると、三つの会社の雇用関係を持つことはいけないということですね。
○平賀説明員 それは、その実態に即して判断しなければいけないのですが、そういう雇用関係があると言って、その三つの会社からそういう届けが出たという場合には、その関係というのは、雇用関係というよりも、むしろ委託とか委任とか、そういう関係に近くなるのではないか、むしろそういう募集だけを業としているような人ではないかという疑いが濃くなる、こう考えます。
○田中(美)委員 そうすると、濃くなると、その人は事業主ではないわけですか。疑いが濃くなるということは、事業主ではないわけですね。
○平賀説明員 そういう人であれば、それはいわゆる手配師の性格を帯びてくる、こういうふうに思います。
○田中(美)委員 そうすると、一つの会社との雇用関係でないと被用者でないということですね、結論的には。
○平賀説明員 それは直ちにそう結論を出すことは困難と思いますけれども、そうたくさんの関係があるとすれば、ましてそこで募集活動をやることだけが仕事のような人で、しかも多くの会社からそういう関係があるというような、仮にそういう届け出が出るとしますれば、それはむしろ募集だけをやっている、委託を受けて募集をやっているという疑いが濃くなるのではないか。また、そういう実態を判断するための資料といいますか、そういうような状況を把握するための措置としてこの規定を設けたわけでございます。
○田中(美)委員 規定を設けたとおっしゃるけれども、この規定でそれがあいまいだから私はいま聞いているのです。それで、あなたは届け出があった場合、こういうことでこの法律が運用され始めて、そして、いろいろなところと雇用関係を結んだという、その人の名前であっちこっちから出てきた場合には、それはおかしいというふうに、机上のことだけで物を言っているわけですね。現実にそういうことがいっぱいあるのに、どうやって新しい法律で救うのか、そこでトラブルが起きているが、それをどう救うのかということに対してお答えになっていない。 これ以上言っても、結局お答えできないということは、この法律でその最低のところが、大臣がおっしゃったように、ローマは一日では成らずで、これが今度は成らないということを、大臣みずからさっきおっしゃっていらしたというふうに思うのです。 もう一つ、ここでおかしいことは保険料なんですね。建設業というのは、事業主というのは全部で統計でやれば九十何%が非常に小さい事業主なんですね、下へ行けば行くほど小さくなるわけです。たとえばいま五人なりの人を雇ってやっている人も、一人でも雇っていれば、これは事業主です、おたくの言うように正式にきちんと契約を結んでやっていれば。そういう事業主にも保険料が千分の一上がってくるということは、この保険料というものを小さいところからばっさり取って、そして大成建設やそういう大きいところは、結局同じように千分の一だ、ここはどう考えるのですか。ここらはちょっと大臣に伺いたい。——大臣おわかりにならないのですか。
○遠藤政府委員 千分の一と申しますのは、一人のその労働者に払われた賃金に対する千分の一ですから、一人の場合は、その一人の賃金の千分の一、仮に大成建設が百人雇えば、百人に対する千分の一、同じ一、一ではないわけでございます。支払われた賃金総額に対する千分の一ということなんで、決して零細な企業からだけ取って、大企業からは少なく取るということではございません。
○田中(美)委員 結局遠藤さん、あなたは現実を御存じないのか、それとも私が知らないからだまかそうというふうな、そういう態度か知りませんけれども、現状を見てごらんなさいよ、九十何%が小さい業者なんでしょう。そこから一人一人千分の一というのを業者は上げるわけでしょう。だから、もっと大げさに言えば、大成建設とかそういう大きな企業というのは、ほとんど人がいないのに建築ができるということですよ。そうでしょう。人が一人もいないということはないですけれども、本当にわずかな人だけで実際にはいろんなダムができたり、道路ができたり、家ができたりするということですね。どうしてもこれは人間の手を使わなければできないことでしょう、この仕事は。その人間というものが、本当に機械以下に扱われている。そうして、その保険料というのは、九十何%という小さい事業主から取り上げていくという形になるわけです。ですから、大成建設など大きな企業というものは、その負担が割合からすると非常に少なくなるということです、現実は。ですから、机上の理論だけなんですね。これは逃げ口上で、御存じなんだと思うのですけれども、理論だけで、一人一人だから公平なんだ、こんなことを言えば、こういうことを野放しにしておけば、いまに大成建設の労働者は一人もいないでも結構仕事ができるということになりますよ。結局、事務関係とか特別の技術者しかいない。現場に働く労働者は、全然雇用しないでも仕事ができるということになると思うのです。そういう点で、この保険料の千分の一というのは、非常に不当で、大企業に非常に優先になっているというふうに思うんですけれども、どうお考えですか。
○遠藤政府委員 私は、先生が御存じではないからごまかそうと言っているのじゃ決してございませんで、この千分の一の保険料を企業から徴収することにつきまして、確かに支払われた賃金に対して千分の一を徴収する、したがって、現場で働いている人はみんな下請や孫請、そういった中小零細企業に使われている労働者が大部分だ、そういう実態は確かにあると思いますが、そこで、この千分の一の保険料として、費用の負担をどうするかということで、関係審議会でもいろいろ議論のあったところでございます。これが、いま御指摘のように、いわゆる中小零細企業の事業主の負担になるものであるならば、確かに問題があるかと思います。 そこでこれは、いわゆる工事費の積算基礎に確実に算入されるということが前提になっておるわけでございます。御承知だと思いますけれども、社会保険料というのは、工事費の積算基礎にちゃんと入っております。この千分の一の場合も、算入されることになっております。したがって、それが企業のいわゆる出血というような形の負担になることにはなっておりません。そういうことでございますから、大企業と中小企業の負担の不均衡という問題にはならないわけでございます。
○田中(美)委員 現実にはならないことないですよ、数がうんと下の方が多いんですからね。これは、もう言い出しても平行線ですけれどもね。この点は私、非常に認められないというふうに思うのです。こういうお金というものは、むしろ元方事業主の大きいところから、やはり工事に見合った納付金などを出してやるべきだというふうに思います。 それと、一言言わしていただければ、労働基準法とか職安法とか、それから労働安全衛生法とか、いまの既成の法律というものをきちっと施行する、机上ではなくて、現状に当てはめて使うということをやっていただきたいというふうに思います。 次の質問に移ります。これは大成建設の問題です。この大きな建設会社は、結局、実際の現場で働く人というのはどんどん少なくなって、それで社員や何かで実際には動かしているという、さっき私が言いましたように、現場の労働者がいなくても、仕事は大成建設が大きくやるというふうな中の裏に、非常に大きな男女差別があるということを私は発見したわけです。これを厳重に調べていただきたいというふうに思うのですけれども、ます最初に、大成建設は、このところずっと社員として婦人を一人も雇っていない。そして臨時従業員という名前をつけた、しかし臨時ではないんですね、ちゃんとした雇用です。そういう形で、この人たちを雇員、現業員という形で雇っているわけです。このところをどういうふうに労働基準局長はお考えになるか、大臣はお考えになるか、この点ちょっと……。 〔住委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
○藤繩政府委員 企業がどういう形で労働者を雇用するかということは、原則として自由でございまして、労働基準法に一定の規制がある以外には、それはそれぞれの企業の実態に応じて労使間で決められるべき性格のものであろうというふうに思います。 大成建設につきましては、昨日、先生からお話がありましたので、私ども現地から事情を聞きました限りにおきましては、大成建設名古屋支部においては、いまおっしゃるように、会社の身分形態が社員とそれから雇員、現業員と二つの形態がある。そして社員は本社採用であって、事務職と技術職がある。雇員、現業員は支社採用であって、オペレーター、機械工、現業員、これはまあ男子が多い。それから事務員、これはまあ女子がほとんどである。こういうような現実の職員構成になっておるという報告を受けております。
○田中(美)委員 私いま言いましたのは、新しく人を採用するときですよ。採用するときに、もう労働組合も入っていないわけですよ。その人が社員には絶対に入れない。女は社員に絶対入れない、男だけだということですね。これは、いまの婦人問題推進本部においても、この問題というのは、まず国家公務員から直していき、そしてこうした事業は指導するということを言っているわけですから、いまの局長のお答えというのは、非常におかしいと思うのです。労使でなんというようなことはおかしいと思うのです。雇うときに差をつけ、差別をしている。まずそれを言っているのです。雇ってからの差別のことは、後で話すわけですけれども、雇う前にもう差別をしている。このことを御指導していただきたいと思うのですけれども、できるでしょうか。
○藤繩政府委員 男女の差別の問題でございますけれども、御承知のように、労働基準法四条では、賃金について性別を理由にして差別をしてはならないという規定がございますけれども、それ以外には男女ということでの差別禁止ということは明文の規制はないわけでございます。ただ、いまおっしゃいましたように、一般的な社会通念といたしまして、特に最近の国際婦人年のいろいろな盛り上がりというようなこともございます。できるだけ男女がいわれなき差別がないようにやっていかなければならぬということは、またこれ当然なことだろうと思います。 いま採用のときのお話でございますが、先生御承知のように、採用されてからの賃金その他の条件、それから解雇というようなものは、これは労働条件でございますけれども、採用自体は、これはまあ企業の自由であるというのが、いままでの通説でございまして、そこまで行政指導で立ち入るというようなことは、いささかいかがかというふうに思うわけでございます。
○田中(美)委員 ではもう局長、結構ですから大臣にお聞きします。 これは国際婦人年で日本の政府はメキシコの会議に行きまして、賛成してきているわけですね。そういう中にはっきりと雇用の差別というのを言っているわけです。局長は、それを御存じないと思うのですけれども、大臣は閣僚でありますし、推進本部の本部長というのは三木さんになっておりますし、そして新しくこの推進本部というのができているわけですね。そこで、いま日本の行動計画をつくっているわけですね。最終的には秋にできるとしても、いま骨子や概略が出ているわけです。その中にはっきりと、雇用の差別というものを撤廃していくということが、同じ政府の中から出ているわけですね。それに対して閣僚の一人として——こういう実態は、これは大成建設だけでないんですね。まだほかのところもあるわけですけれども、特にこの大成建設ははっきりと、社員は女を一人も雇っていないのです。こういうことをどういうふうにお考えになりますか。
○長谷川国務大臣 一般論として、才能のある方がいろいろなところに進出してもらいたいということは、これは当然でございます。私などからしますと、あなたも具体的例をよくおっしゃるから、私の方からも申し上げますと、ことしの大学卒業生採用のときに企業と話をしまして、たとえば一昨年千三百名採ったものがことしは一人も採らない、おかしいじゃないかというふうな話などもしたことです。就職する自由もありますし、採用する自由もある。採用の自由のあるときに、全然とらないところに、おまえの会社は必ずとれと言うわけにもいきません。そういう者を企業なり会社が事業の発展のためにどう採用していくかというPRも必要だと思います。そういうことからしますと、一般論として、才能のある方がいろいろなところに平等に伸びるということは当然でございます。ただ企業内のことになりますと、いま基準局長が答えたように、私の方の法律上の問題として、入ってからのいろいろな差別の問題についてはやかましくも言える。一般論としては、才能のある方はいろいろなところに出てもらいたい。ただ企業に、おまえの方は雇員ではいかぬではないか、社員を必ずとれと言うことは、法律的規制も何もないということだけは御理解いただきたいと思います。
○田中(美)委員 法律に規制がなくても、いまの日本の政府が、現に婦人問題推進本部でこれを進めているわけですね。そうだったら、労働大臣として、これをやれ、この人を雇えとか、こうしなければいけないとかということは言えませんけれども、第一、受験さえもさせないわけですからね、こういうことは明らかに憲法違反ですよ。これは性に対する差別てすね。社員には絶対に——受けたけれども落ちたというのじゃないんですからね。受験もさせていないわけですので、そういう点で大成建設にまず指導をしていただきたいと思うのです。 なぜ大成建設のことを厳しく言うかといいますと、名古屋にあります大成建設の支所に原美代子さんという経理をやっている方があります。高校を出て十年もずっと経理をしてきています。その間に結婚もし、子供も生まれているわけです。こういう人が雇員でいるわけです。大成建設というのは、かつては、十年以上前ですが、雇員から社員になったりというようなこともあったわけですけれども、現在それも一切しない。そうして原さんが子供を産んで、そういう理由は向こうはつけておりませんが、実際には通勤不可能な現場に——現場の仕事と支所の仕事とは中身か違うわけですね。それを現場に配転をしたわけです。それで彼女は、建設会社というのは現場もあるわけですから、一、二年でまた戻ってくるならばというので、初めは会社に協力しようと思いまして、現場も見てくるというふうにしたわけですけれども、戻ってくるという保証がないということは、永遠にそっちへやってしまうということです。これは非常に多くの働く人たちの反感を買ったわけです。通勤不可能ですから、夫婦が別居しなければならないわけですね。夫婦が別居してもう二年も三年もそっち。それも二、三年で帰すという保証がないということですから、会社は非常に反感を買ったわけです。そうしましたら、今度は通勤可能なところの現場に移しているわけです。現場というのは仕事がなくなったら動くわけです。ですから、これをもとへ戻すという保証もないわけです。これは明らかに、婦人をきちっとした責任ある職場に置いていかないという大成建設の雇用からの差別の一環だというふうに私は見ているわけです。この点はどういうふうにお考えになるのしょうか。一級建築士として仕事を持っている人が、妊娠しますと、そのままその仕事ができなくなったりということがしばしば起こっているわけです。 いま、これは一つの例として挙げたわけですが、原さんというのは、結局、現在は現場に行かないということで拒否しているわけです。拒否しますと、いつものやり方で、机といすを一つ別にやるという形で干して何もさせない。意地悪の限りをする。こういうことが非常に激しく追及されましたら、机だけ仕方がないのでもとへ戻した。そして、いま何をやっているかというと、これはまだ一年足らずですけれども、そこに座らせただけで、経理の仕事、いままでの仕事は一切させない。そしていまは雑用だけ。毎日、彼女は行きますと、何かお仕事ありませんかと言いに行くわけです。そうすると、たまにあると雑用みたいな仕事を言いつける。彼女はいまそれをやっているわけです。これは明らかに子供を持った婦人や、そういう婦人を締め出していくという一つのやり方であると私は思うのです。なぜ経理の仕事から配転させたかということを、本人にも納得させていないわけです。こういう場合は、労働省としてはどのように御指導していただけるのでしょうか。
○藤繩政府委員 女子の労働者が非常に職場に進出してまいりまして、私どもの周りでも、いま先生がお挙げになったような結婚だとか妊娠だとか、あるいは御主人がいる、つまり家事労働という問題を担っていろいろな苦労をしながら職場生活との調整をやっておられることは事実でございます。ですから、多くの事例の中には、いろいろ困難な事態もあろうかと思います。 ただいま御指摘になりました問題につきましては、私どもの調べでは、この方は四十年四月一日に入社されまして、年齢二十九歳、既婚、子供一人ということでございます。五十年八月一日付で現場に転出命令が出た。本人は、その前日に苦情処理委員会に申し立てをしたということでございます。この苦情処理委員会というのは、労働協約によるものであって、組合二、会社二で構成して、すでに十五回もやっていますが、結論が出ないということで、組合も苦情処理委員会の結果を待っているということでございますから、これは労使関係で、しかも組合も入ってくれている委員会ということであれば、まずそこで円満な解決がなされることが望ましいと思いますし、それから人権問題あるいは労働基準法違反というようなことであれば、裁判所あるいは労働基準監督署に申告をするというようなことがあってしかるべきでありまして、そういうこともまだ行われていないというふうに聞いておりますが、私どもは、もし所定の申告があれば、それについてまた必要な措置をとりたいと思います。
○田中(美)委員 一年近くかかってこれが処理できないという状態で行き悩んでいるわけですので、労働省として実態をお調べになりまして——そして、それをどうせよと私は言っているわけではありません。実態をお調べになってください。労使で解決つかないで、その間本人は非常に精神的な苦痛、肉体的な苦痛を受けているわけですから、それを一日も早く取り除くということが緊急の問題です。一カ月や二カ月の問題ではありませんので、これの調査をしていただきたい、これを要求したいと思います。それでよろしいですか。どういう状態であるか調査して、そういう御指導をしていただきたいと思います。大臣、よろしいでしょうか。これで質問を終わります。
○藤繩政府委員 お申し出がございましたので、現地で一応調査してみたいと思います。
○田中(美)委員 よろしくお願いいたします。
○竹内(黎)委員長代理 次に、石母田達君。
○石母田委員 本会議まで二十分足らずの時間でございますので、答弁の方もきわめて簡単にしていただきたいと思います。 まず第一に、新聞やテレビで御承知のように、昨日、山形県におきまして、西部幹線トンネル工事現場でガス爆発事故が起きまして、九人の方々が死亡され、また重軽傷者も発生いたしました。ちょうど私どもが労災の補償法案を審議中でありました。また、この人たちは、当然、いま審議されている建設労働者の雇用改善の法律に該当される方であります。このことは、実態というものが、私どもの国会の審議に対する、法案の内容に対する、また政府の施策に対する厳しい批判である。その実態がどういうものであるかということは——毎回こういうことは繰り返すまいということを再三言われながら、こうしたものが依然と続いている。いまお聞きしましたところが、東北農政局の発注であります。工事業者の方は、元請が大林組であります。一次下請、二次下請、そして、こういう犠牲者の方々を直接雇った人は、いまだに労働省としてもつかみ得ないという状況だそうであります。私どもがあっちこっち視察をいたしましても、このように雇用関係がきわめて不明確な状態に置かれているというのが、建設労働者であると思います。 そうしたことで、私は、こういう事態に対して政府として、今後の安全対策あるいは遺族の完全補償も含めまして、万全の措置をとっていただきたいということをお願いしたいと思いますが、この点について大臣にまず答弁を願いたいと思います。
○長谷川国務大臣 非常に残念な事件でありまして、私もテレビ、新聞をよく見ておりました。もちろん罹災者の方々、非常にお気の毒でございますし、私の方の所管の問題については万全の対策をとっていきたい。 なお、私の方から、東北労済病院の方からも高圧ポンプですか、そういうものなども持っていって、いろいろ対策本部に本社の方からも人まで出して、こういうことが起こらないようにいまから先のことを考えていきたい、こう思っております。
○石母田委員 私どもの調べでは、下請は水安組というのが担当しているというふうに聞いております。しかし、その元請は大林組であります。この大林組が、ことしの三月、やはり栃木県の橋梁工事で出かせぎ者六人の死亡事故を出したというのに続いてのこうした悲惨な犠牲者を出しておるわけでございます。この元請業者が下請にやらして、下請が起こしたのだということじゃなくて、元請の責任をきちんとこうしたときに追及していく、そして、たとえ大林組というような大手の建設業者といえども、東北農政局、国と県が共同してやっている事業ですから、特に私は、行政指導あるいは相次いでこうした大事故を起こすような業者については徹底して、許される範囲内での制裁といいますか、発注の問題であるとか、そういうことを含めまして、厳しい指導が必要ではないかというふうに思いますけれども、この点についての大臣の決意をお願いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 おっしゃるように、ことし栃木県で起こった事件、あれも罹災者は全部東北の者であります。山形県です。そして、きのうあなたがおっしゃった日立製作所の水沢製作所、ああいうものもみんな東北であります。そういうことからいたしましても、雇用関係というものをきちっとすることが大事でございます。しかも今度の場合は、こういう事件が起こる前に、山形の基準局の方から行って、事故対策のために勧告をしている。その後で起こっている。それだけに私は憤りをよけい感じております。あなた以上の、負けない憤りを感じておりまして……(田中(美)委員「以上ということはないでしょう」と呼ぶ)これは企業の社会的責任が大きく追及されてぐる、こういうことを思っておるわけであります。
○石母田委員 後ろから発言ありましたけれども、それ以上のことはないと思いますけれども、この犠牲者の中には横浜の港南区の方も含まれておりまして、単にこうした地域的な身近にいる者というだけではなくて、私は、こういうことを毎回繰り返されているということに対して、いま言った政府の厳しい処置を望みたいと思います。 さて、もう一つの問題は、この建設産業の中でダンプ労働者と言われる人の問題であります。このダンプというのは、大型貨物車ということだそうでありますけれども、現在の私の調べでも、四十六万七千台、四十九年の六月末にあるということであります。そのうち青ナンバーで運送業者として登録されているものは一万七千九百八十台、一割足らずです。この数から申しますと、九割が白ナンバーのダンプ労働者である、こういうことであります。しかも建設業は、このダンプなしでは実際には作業できない作業であります。したがって、建設業の中でも、大体九割以上がこの白ナンバーのダンプを使っている、こういうふうに言われています。このダンプ労働者がいろいろ陳情、請願に来られている実情を聞きますと、一体これが労働者なのかどうか。労働者としての取り扱いは受けてないわけです、ダンプを持っているから。じゃ運送業者かというと、いま言ったように青ナンバーでない。この実態を見ますと、明らかに明確な雇用関係というよりも、実際上会社の指揮命令で、作業時間も決まっているし、あるいはまた、その中で運賃と称する賃金みたいなものがあるし、あるいは年末手当が出ているところもあるし、そういう実態のものが非常に多くて、それで会社がディーラーから車を買う、保証人に労働者をつける、そしてその会社が労働者に車を買う金を貸したという形で、毎月何十万と差っ引くわけですね。こういうことですから、払えない、払えないからまた仕事がなければ借金する、そうするから、借金が、ここにあるこの実態を見ますと、仕事がなければ、どんどん借金がふえるという仕組みになっているわけです。 私は、こういう実情を見て、これは大変なことだということで、労働省として、現にこの建設労働法の中で、建設労働者ということの範疇の中にこうした白ナンバーのダンプ労働者というものは一体どうされるのか、どう見ていくのかということについて、この際お聞きしておきたいというふうに思います。
○藤繩政府委員 ダンプの労働者というのは、いまいろいろお話がありましたように、いわゆる零細な事業者であり、それが労働者であるか事業主であるか、非常に限界的な存在であろうかというふうに思います。いまお話しのように、非常に借金を負うというような形になれば、やはりそれはそれなりに自分の責任において営業しているという判断もあろうかと思います。労働基準法では御承知のように、労働基準法の適用事業に使用されて、賃金を支払われる者が労働者であるということになっているわけですが、白ナンバーの場合には、車を自分で所有しておる、そして建設業者あるいは建材業者との間に請負契約あるいは運送委託契約というものがなされておりまして、使用従属関係に置かれることがなく営業する自営業者であるというような場合には、これは、やはり労働者と見るわけにはまいらないと思います。しかし実際は、車持ちの運転者でありましても、労働契約に基づき就業する者、すなわち実態的に使用従属関係が認められる者というような場合には、労働基準法上の労働者だ、こういうことになります。それはダンプ労働者に限らず、一般的にその限界は非常にむずかしいわけでございます。 いまもちょっとお話が出ましたが、たとえば業務の諾否の自由とか、時間的、場所的拘束の有無とか、あるいは指揮監督関係の状態とか、労務代替制の問題だとか、あるいは業務用機具の負担関係であるとか、報酬が労働自体の対償的性格を持っているがとか、いろんなメルクマールで私どもは個別に判断をしておるわけでございます。ダンプの場合にも、それぞれ実態に即して判断をしなければならないというふうに思っております。 法律的な判断は、そのようなものでございますが、こういう、いわゆる底辺労働者と言われる者の中には、家内労働者というようなものもございまして、そのために特別の立法もあるわけでございます。今後の非常に重要な課題の一つであろうというふうに思います。
○石母田委員 いまのおお答えにもありましたけれども、この建設労働法のと申しますか、雇用改善の今度の法律の精神と立場からいっても、こうした非常に実態が不明確で、未組織であって、労働者かどうかわからぬというような方々が実際には非常に多いわけですね、建設の中で。こういう人たちをできるだけ、就労実態を見て、そして現象面では、いろんな貸したとかなんとかという形はとっておりますけれども、よく調べると、やはり労働者であるという側面が非常に強い、こういう人たちが多いのですから、これをこの際、実態をできるだけ労働省の側からも捕捉するというか把握して、ぜひこういう人たちの雇用の改善と、雇用関係を明確にしていくという点での努力を、私はまず大臣にお願いしたいというふうに思います。
○長谷川国務大臣 白ナンバーのことは、まさにおっしゃる実情、私も多少理解しているわけであります。ちょうど林業関係で一人親方というものがありますが、こういうものに当てはまるのじゃなかろうかという感じさえ持っておりますので、いまから先、私の方でもおっしゃるように実情を調査しながら、何か安全の問題とかいろんな問題で推進し、援助するものがあるならば考えてまいりたい、こう思っております。
○石母田委員 たとえばこういう場合はどうなんでしょうか。これは、ある大手建設の実態なんですが、たとえば六時半に作業開始時間で起床しまして、八時から仕事になっているそうです。休憩時間は十二時から一時、また三時から三十分休憩。作業終了時間も、それぞれ季節によって違いますけれども、午後五時、午後六時というふうに決められております。作業の指示は、そこの会社の監督がその日の仕事の指示を行う、社長が指示命令を出すわけです。そして運賃という形ですけれども、一時間二千五百円で、八時間ですから二万円と、こういう労働時間に比例して払うのです。毎月二十五日が支払い日、支払いの形態は銀行振り込みというような形をとっておるそうです。仕事が切れた場合には、もちろん社長の指示でよそへ行って仕事をするというような状況で、こういう非常に労働者的な指揮命令を受けて、運賃という名前だけれども、実際から見ると賃金というようなものが払われている、こういうものはどういうふうになりますか。
○藤繩政府委員 大変むずかしい問題でございまして、先ほど法律的な割り切りの一つのメルクマールとしまして、いろいろなことを申し上げましたが、いまのお話の中でも時間的、場所的な拘束性はありそうなお話でございますし、あるいは事業主の指揮監督関係もありそうでございますけれども、しかし業務用の器具といいますか、そのトラック自身の負担関係ということになりますと、恐らく労働者といいますか、ダンプの運転手さんの負担になるのでございましょうし、それから報酬が時間給と見るべきものか、それとも請負に対する報酬か、その辺は多少まだ問題があろうかと思います。特に仕事が切れたときに、今度はよそへ行くというお話ですが、それが自分の自由意思で移動するというような場合になりますと、やはり非常に個人事業主的な色彩を持ってくると思います。いずれにしましても、大変むずかしい問題であろうかと思います。
○石母田委員 話を聞くと、ますますむずかしくなるけれども、所有関係というものは自分が欲しくてもらうのではない。そういうダンプをよこされて、資本家が買った、雇い主が買ったという形で、それの分の金を貸したという形で取っているわけですよね。全部払ったときに所有権がどうなるかという問題がまた出てきますけれども、いずれにしても、その前に言った、どこへか行くというのは、これは社長の指示で行くのだから、その条件は、要件は満たしていると思うのだけれども、いろいろそういう、脱法行為なのかどうか知らぬけれども、そのために労働者としては、ほとんど労働法の、基準法やその他の適用を受けていないということのために、非常に大きな犠牲をこうむっているという、こういう人たちですね。先ほど労働大臣も言っておりましたように、ぜひ実態を把握して善処をしていただきたい。特に今度のこうした法律ができる機会に、それを強めていただきたいと思います。 大成建設の下請仕事をする随原商店というのですが、これは名古屋にあるそうですか、ここで白ナンバーの運転手をしていた松村利典さんという方とお兄さんの昭男さんという方が、そこで働いていて、突然不況を理由に即日解雇されたということで、基準監督署の方にこれを持ち込んだということです。いろいろ検討した結果、ここの労基署では、これは労働者として即日解雇手当を出させるということでありました。ここでの判断を見ますと、署の見解では、指揮命令で働いているという判断で、労働者と認めて解雇手当十五万円、あるいは五ないし六カ月分の運賃四十八万八千五百円を即時支払わせたということで、これは解決している例であります。こうしたことで、この場合は白ナンバーのダンプ労働者の置かれている実態の方をよく見て、そして労働者としてこれを取り扱ったという例です。 このように各地方地方では、こうした問題が持ち込まれている例もあると思うのです。したがって、労働省としてもぜひ、このダンプ労働者の、先ほどから繰り返して申します販売業者でもない、労働者でもないのだという両方の側からの法的な無権利状態といいますか、そういう実態に置かれて、また就労、生活実態においても、きわめて困難な状況に置かれておりますダンプ労働者に対する何らかの法的な措置、あるいはまたそのダンプ労働者として、いわゆるきちんと見ていくような措置といいますか、そういう方向の指導をぜひ強めていただきたい、こういうことをお願いしたいと思います。この点についての御見解をお願いしたいと思います。
○藤繩政府委員 先ほども被用者という言葉の概念が問題になっておりましたが、従業員とかあるいは雇用労働者とか、いろいろな呼び方がありますけれども、労働基準法では労働者、そして労働契約という概念を使っておることは御承知のとおりでありまして、単なる雇用契約よりも幅広く、およそ実体的に使用従属関係があれば、やはりこれは労働基準法上の労働者ととらえて保護を与えていこうというのが労働基準法の考え方でございますから、できるだけそういった精神に即して、先ほど申し上げましたようなメルクマールに照らして判断をしていきたいと思いますが、しかし、そういう判断をいたしましても、なおやはり労働者と判断するのは無理だというようなものがたくさんあるわけでございます。 それにつきましては、先ほど家内労働者の例も申し上げましたが、たとえば労災の特別加入におきましても、労働者ではないが、労働実態が非常に近い、したがって、労災補償としては、これは対象にすべきだということで特別加入の制度も持っておる、現に個人タクシーとかダンプ規制法の適用のありますダンプ運転手は特別加入の対象になっていることは御承知のとおりであります。まあ、あらゆるそういう施策を総合的に進めまして、その保護を全くするというのが、私どもの務めではないかと思いますので、今後とも努力をさせていただきたいと思います。
○石母田委員 最後に大臣に、この問題につきまして、きょうの法案の精神と立場から、特にこの建設産業あるいはこの建設資材を運ぶというような人たちの中における、このような白ナンバーのダンプ労働者と言われる人の実態をよくつかんで、そして、こういう人たちが、労働者保護のいろいろな基準法とかその他の立法もございますので、こうした法的な措置の適用をできるだけ受けられるような状況でぜひ努力をしていただきたいという点での御見解をお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 先ほども申し上げましたように、われわれも地方でそういう白ナンバーの実態をよく見かけることもございます。まず、その先生のおっしゃっている問題の前に、安全の問題、これは私はぜひあの方々にお願いしたいし、また、いま局長が答弁したような姿勢で、先ほど私が一人親方の例を言いましたが、そういう面からも実態をよく調べてみたい、こう思っております。
○石母田委員 ですから、安全の面からも私はぜひいま言ったようなことを実施していただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
○竹内(黎)委員長代理 この際休憩し、本会議散会後直ちに再開することといたします。 午後零時五十八分休憩 ————◇————— 午後四時二十七分開議
○熊谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出の建設労働者の雇用の改善等に関する法律案及び川俣健二郎君外九名提出の建設労働法案を議題とし、質疑を続けます。大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 建設労働者の雇用の改善等に関する法律案の質疑に入るに当たりまして、問題多い建設業界の重層下請構造の典型的な事例を紹介しておきたいと思います。 大臣、これはよく聞いておっていただきたいのですが、すでに二月十七日から始まった新幹線建設工事労災訴訟のことでありますが、訴訟を起こしたのは新潟県の岩井という人でございます。四十七年十二月に上越新幹線大清水トンネルの掘削作業中に落石を受けて、右腕神経切断、頸部挫創の重傷を負った方であります。この元請は大成建設、下請は成豊建設、孫請は藤田土木、この三つを相手にとって損害賠償請求を起こしたというものでございます。 この訴訟は、新幹線工事の際に受けた労働災害について、被災労働者が元請及び下請の建設業者に損害賠償を請求したものでありますけれども、問題は、この背後には、建設業界の前近代的重層下請構造と、それによって生ずるところのタコ部屋的業務管理の実態を告発して、労災の責任を明らかにするという重要な意味を秘めていると考えるのであります。 この訴訟と軌を同じくいたしまして、労働省は建設労働者の雇用改善、賃金支払いの確保に関する二つの法律を今国会に提出し、きょうその審議に入ったわけでありますが、この事件の問題点は、一つは被災労働者に療養、障害補償が全くなされていなかったということであります。それから被告三社が労災保険への届け出を怠っていたということ、それから被災者が労働基準監督署に実情を訴えたところ、業者の方はこれを、刺したということで逆に非難したということであります。また被災者の賃金台帳には、同氏の入院中の賃金は、実際には支払われていなかったということでございますが、その入院中の賃金まで記入されていたということでございます。それから労働基準監督署も、二カ月間もこの事故を知らなかったということ、そして休業補償が出たのは五カ月もたってからということであります。まさに典型的な重層下請構造の持つ弊害の一例であると私は思うのであります。こうした事件が、建設業界には日常茶飯事であるということでありますが、まことに恐ろしい限りだと思います。この訴訟と機会を同じくいたしまして、きょうこのような審議に入るわけでございますが、私は、この法案の内容を見てまいりまして、果たしてこのような建設業界の不明朗な体質が、この法律によって改善されていくのだろうかという疑問を抱かずにはおれないのでありますが、いまの事件、そして重層下請構造の持つ弊害の実態、こういうものをごらんになって、今回の法案が果たしてどの程度までいけるのか、まず最初に大臣の所感をお伺いしておきたいと思います。
○長谷川国務大臣 大橋先生のお話をいまずっと聞いていまして、私とにかく一番おかしいと思ったのは、けがしたことを二カ月も知らないでおったということですね。これは、それだけのけがなら新聞にも出ますし、そういうことを思いまして、その他とにかく建設関係には、最近ぐんぐん仕事が伸びているせいもありますし、人手が足りなかったせいでいろいろな問題があるということは、これは、どなたでもわかっていることで、いわんや社会労働委員会のお互いは痛感していることで、おっしゃるような、こういうきっかけにやはりきれいにしていく必要がある。とにかく一番悪いことは、雇用関係がしっかりしないということ、出かせぎしたものでも一体だれが金を払わないのか、それを捕捉するのに困る。やはりそういう正常なルートと正常な雇用関係を確立させるところに最大の問題がある、それに付随しまして一つ一つまた片づけていく問題がある、私はこう思っております。
○大橋(敏)委員 戦後三十年、わが国の経済発展の基礎づくりの重要な役割りを果たしてきたのがこの建設業界である、こう言っても言い過ぎではないと私は思っておるほどです。しかしその裏には、劣悪な労働条件を強いられて、その犠牲となってきた多くの建設労働者があったことをわれわれは忘れてはならない。いわゆる前近代的な雇用慣行のもとに、雇用関係やあるいは労働条件の不明確などに基本的な問題があるわけでございますが、労災あるいは賃金不払い等の問題が多発いたしております。こういうことは、まさに労働者の生命と生活を脅かしてきた何物でもございません。 そこで、今回の法案をながめてみましたときに、まず第一に指摘をしておきたいことは、肝心の労働災害の防止、つまり建設労働者の安全と健康を確保するものに対しての措置がきわめて不明確であるということであります。建設業については、常々労災防止のための監督の強化、その特殊性を加味した防災体制の確立が指摘されてきたところでありますけれども、今回の法案は雇用の面に偏った内容である。最大の問題点である労災防止については何ら措置がなされていない、この点、具体的な方針を伺っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○長谷川国務大臣 建設業における労働災害防止につきましては、すでに労働安全衛生法において建設業の特殊性を考慮して必要な規制を行うほかに、労働福祉事業団等の融資、災害防止団体の補助を通じて種々援助を行っているところであります。ざらにこの法律でも、政府が能力開発事業または雇用福祉事業の一環として安全衛生面での必要な援助を行えるような措置を講じております。しかし段々お話のありますように、建設業における労働災害防止対策につきましては、それぞれ地方、地方でいろいろな施策を役所なども中心になり、協力をもらい、PRなどをしながらやっておりますけれども、検討すべき事項はたくさんありますので、目下労働基準審議会の中に建設専門委員会を設置して御検討をお願いしているところでありまして、その結果を待って、さらに所要の改善措置をひとつ講じてまいりたい、こう思っております。 いずれにいたしましても、安全帽をかぶるのだって、当初はやはり働く労働者もなかなかなじまなかったし、それを出す方もなじまなかった。しかし、やっている間に安全帽をかぶるいろいろなPRやらしていく必要がやはりある。だから最近、労働省としますと、とにかく三千人以下に、主に建設労働者ですけれども、災害で亡くなる人がそこまでダウンをした、さらにこれを一層進めなければいかぬ、こう思っております。
○大橋(敏)委員 建設業界においては、工事の大型化といいますかあるいは複雑化、それによって重大な事故が多発しているわけです。全産業の労働者の一割余りがこの建設業界で働いていると聞いていますけれども、いま死亡事故はかなりダウンしてきたというものの、まだ大変な数なんですね。ですから、この労災事故に対するいわゆる防災体制というものは、何よりも真剣に考えてもらいたいし、急いで対策を敷いていただきたい、こう思うわけでございます。中でも出かせぎ労働者、こういう方が就業先で労災事故で亡くなって、いわゆる白木の箱で帰るなんということは、本当にお気の毒と言いましょうか、言いようのないほどの悲しみを私は感ずるし、悲惨さを感ずるわけです。それだけに、この労災事故に対する対策というものは、もっともっと真剣にやっていただきたい。 そこでお尋ねをいたしますが、建設業界に働く労働者は、いま一体どのくらいおると見ておられるのか、また、その数の全産業に占める率といいますか、それはどうなっているのか、まず、そこまで聞いておきましょう。
○平賀説明員 建設業に働いております雇用労働者は、時期によって多少の違いがありますけれども、年間平均してほぼ三百六十万から三百七十万くらい、これが雇用労働者でございます。その数はおよそ全産業の一割に当たっております。
○大橋(敏)委員 建設業といいましても、安定した大企業あるいは不安定な企業、著しく不安定な企業とそれぞれあるわけでございますが、そうした安定した企業あるいは不安定、著しく不安定な企業にどのような属し方をしているかということは、大まかにでもつかんでいらっしゃいますか。
○平賀説明員 建設業の事業主といいますか、建設業者は建設大臣または都道府県知事に許可を受けている、こういった許可業者だけでも約三十万を超し、四十万にほぼ近い数になっております。事業所の規模というのは、必ずしもその時期によって一様ではございませんけれども、事業所統計などによりますと、いわゆる三百人以下といいますか、中小企業の範疇に入る事業所がほぼ九九%以上、こういうことになっております。
○大橋(敏)委員 大臣、いまお聞きになったとおりなんですが、建設業界にはA、B、C、D、Eというランクづけがされるんですね。特に公共事業等の指名業者になるかならぬかというときに、そういうことのランクからいろいろと仕事の配分がなされているようでございますが、いずれにいたしましても、建設労働者の安定というものは、その企業そのものの仕事が安定しない限りは、企業がふらふらしているとどうしても労働者も不安定になるわけですね。いまのお話のとおり、安定している大企業に所属している労働者というのは、もうごく一部なんですね。特にいま言ったA、B、C、D、EのDとかEクラス、これなどは本当に不安定の中の不安定でしょう。また指名にも入れない、入りたくても入れない業者もたくさんおるのですが、そこに所属している労働者は、それこそ著しい不安定感があると思うのです。だから仮に、このような法律を幾らつくってみても、肝心かなめの仕事がないという問題、あるいはそのA、B、C、D、E、先ほど言った建設業界の特有のいろいろな問題点が根本的に洗い直されない限りは、労働省の方で幾らこのような努力をなさっても、それは水のあわじゃないかと実は考えるわけでございますが、この点についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
○長谷川国務大臣 選挙区を持っていれば、みんな多少建設業界の模様はわかるわけでありまして、終戦後お百姓をしておって、ちょっと金回りのいい人、才覚のきく人がいつの間にやら建設業者というかっこうです。こういう人たちが、だから一級建築士なんかいるのか二級建築士がいるのかということと、やはりいまのような労働対策あるいは安全対策等々もよく教えていかなければならぬ面もありますし、もう一つは、やはり事業の安定ということが非常に大事なことだ。ですから、こういう不景気のときに一番私たちが心配していることは、暫定予算のときでも、いかにして地方に、小さいところに散らしてやるか、業界を助けることにもなりますけれども、その周辺にいる何人かを助けるというところに、何か事業を助ければ大企業べったりという意味じゃない、そうした雇用対策、しかし私は、いずれにしましても望みは捨てないですよ。とにかくいま景気が少しずつ上向きになりつつある、そしてまた、こういう社会的要請がだんだんわかってきて、雇用関係をよくしながらいくというところに日本の発展がある。でありますから、ここで御審議いただいたものを一つ一つ具体化し、そしてなお新しいものを追求していく姿勢というものが、日本全体の発展にもつながるし、また雇用の安定あるいは安全なり身分の安定にもつながる、こういうふうに望みを捨てないで推進してまいりたい、こう思っております。
○大橋(敏)委員 実際問題としまして、今回この法案が出た、これが通ったとしますよ、この法律制定によって実際問題としてこれら不安定な企業に所属している労働者に一体どのような思典が浴されていくのだろうか。たとえば雇用保険法の一部改正によって今度、建設業者には保険料が千分の一引き上げられるわけですね。その千分の一アップということは大体幾らくらいの金が集まってくるのかということですね。そして、そのお金が一体だれが掌握して、どのようにそれが再配分されていくのかというこの点はどうなんですか。
○遠藤政府委員 この建設業における雇用の改善に関する法律が実施されることになりますと、雇用保険法によります雇用改善事業の一環として建設業における雇用の改善のためのいろいろな施策を実施することになっております。そのほかに、いま御指摘になりました雇用保険料の千分の一を業者の負担として徴収いたしまして、雇用改善事業とあわせて、建設業におきます労働者の技能の開発向上とか、あるいは福祉対策とか、あるいは雇用関係の明確化のためのいろいろの措置、あるいは先ほど大臣からお話がありました災害防止のための、安全衛生のための、教育のための措置、こういったことに充当することにいたしております。千分の一を建設業界から徴収いたしますと、大体年額にして二十五、六億円になるかと思います。この金は雇用保険特別会計で取りまして、これをプールして雇用保険の雇用改善事業とあわせて実施することになるわけでございます。 主として業者を対象にしてこういった各種の事業を実施いたしますが、その効果は労働者に直接帰属することになるわけでございまして、そういうことでこれからこの法律によってそういった各種の事業を実施していきたい、かように考えております。
○大橋(敏)委員 建設労働者に対するいろいろ福祉的なものが、恩典としてそのお金で行くということですけれども、一般論からいくと、雇用保険法というのは決して建設業者だけを対象にしたわけじゃなくて、全産業を対象にしてやられたわけですね。そうして保険料を取って、先ほど言われた労働者の福祉行政、福祉事業等も雇用保険法でなされた。今回、建設業者だけ千分の一取ってそういうことをやるということになると、他産業との間にちょっと不均衡が起こるのじゃないかという感じがしてならぬですね。建設労働者に対しては、確かにいいことかもしれませんけれども、これをベターに考えた場合、何かよその産業に働いている人は、それでは技能研修はやらなくてもいいのか、あるいは労働者の福祉問題をやらなくてもいいのか、そういうことはないはずですね、これは同じことですから。にもかかわらず、建設業者だけは千分の一別に取られるというのは、何だか不公平な感じがしてならぬのです。その点はどうでしょう。
○遠藤政府委員 確かにそういう感じをお持ちになるだろうと思います。御承知のように、雇用保険法によりまして保険料の千分の三を原資にして雇用改善事業、能力開発事業、それから雇用福祉事業、いわゆる三事業を実施いたしております。これは建設業のみならず、各業種についてそれぞれの労働者の人たちのいろいろな事業をやっているわけでございます。今回のこの建設の雇用改善に関する法律によりますいろいろな事業対策、こういったものも、雇用改善事業の一部として実施されるわけでございますが、ただ一般に各いろいろな業種についてこの三事業の施策を実施いたしますよりも相当手厚く、いろいろな拡充された措置が行われることになっております。したがって、これをもし雇用保険法によります三事業の枠の中だけでやりますと、いま御指摘になりましたように、建設業に手厚くなり過ぎて、ほかの業種とのバランスがとれなくなる、みんなが一様に負担した保険料で建設業だけが特に手厚く盛られるという、その効果が享受できることになる、こういうことになりますので、したがって建設業から千分の一だけを別途徴収して、それと合わせて各種の事業をやっていく、こういうことにいたしたわけで、各業種間の均衡をとるためにこういう措置をとったわけでございます。
○大橋(敏)委員 わかるようなわからぬような感じですけれども、要するに建設業界というのは、他産業に比べると確かに特殊な技術を持っているし、そのための対策にはそれだけの経費がかかるのだ、そのための保険料アップなんだ、こういうふうに一応理解したわけですが、それでは、建設業界のいわゆる事業主から保険料を取られるわけですけれども、大、中、小、零細、こう分かれているわけですね。同じように、千分の一が徴収されるわけですが、先ほども質疑応答の中でその問題が出ていたように思いますが、私も、これは中小企業の方にはかなり負担になるのではないかと思う。率は同じであっても、実際に大企業の方は余裕のある、豊かな経済運営をやっておりますね。そして必要最小限度の従業員を抱えておるわけです。ところが中小企業あるいは零細企業の方になると、大企業からのお呼びに応じて動き始めるわけですから、いつでもある体制を整えておかなければならない。そういうことで、日ごろむだだと思われるような労働者までを抱えている。抱えておれば当然それは保険料を納めなければならぬということで、実質的にはやはり中小企業にはかなり負担増を感じさせることではないだろうか。ですから、恐らくこの建設労働者の雇用の改善法案の作業が始まったときに、特に中小企業関係の建設業者からかなりの反対の意見も出たのではないかと思うわけですね。それがどういうことか知りませんが、何とか納得なさったというのですから、何か特別の配慮がなされたのではないかと思うのですけれども、その点も含めて御答弁をお願いしたいと思います。
○遠藤政府委員 ただいまの問題は、中小企業、零細業者の過重負担といったような問題で、確かに御質問のありましたような点が、この法案作成の段階で、関係方面からいろいろと御意見のあったところでございます。 まず第一点は、こういった特別な事業をやるについては、当然費用が必要でございますから、その費用の負担をどうするか。これは先ほど申し上げましたように、雇用保険特別会計の中で、いわゆる雇用改善事業の一環としてやると同時に、業界の負担分を負担していただく、こういうことでございますが、それについては中小企業に負担過重になりやしないかという御意見が非常に強うございまして、もしそういうことであるならば、こういったいろいろな諸対策はぜひ必要なことではあるけれども、そういう負担の面から納得しがたい、こういう御意見がございました。 それからもう一つは、こういった施策をやるにつきまして、それが大企業に偏向になる、中小企業が恩典にあずからないのではないか、そういうことになれば、せっかくのこういった結構な施策が絵にかいたもちになってしまいやしないか、そういう御意見もございました。 そこで、私どもは、こういった施策を実施するにつきましては、雇用保険料の千分の一というものを業界負担といたしますにつきましては、先ほど申し上げましたように、支払われた賃金総額に対して千分の一の負担をしていただくということで、しかも、これは明確に工事費の積算の基礎に算入する、こういうことによって、中小零細企業のいわゆる出血負担にならないようにするということを明確にいたしたわけでございます。そうすれば、この費用は当然その効果が労働者に帰属するわけですから、大企業でもし労働者を雇ってないのだ、実際に労働者を雇って仕事をしてもらっているのは中小零細企業だということであれば、この法律による諸施策の効果は、ほとんど大部分が中小企業に働く労働者に帰属することになる。と同時にまた、こういった諸施策によりますいろいろな援助、助成の業務は、中小企業を重点にして施策を維持していくということも明確にいたしておるわけでございます。そういうことによりまして、いま御指摘になりましたような点は、運営の面でも今後十分配慮しながら、この施策を進めていくようにしたい、こういうふうに考えております。
○大橋(敏)委員 その点、特に強く要望しておきます。 それから、第五条の雇用管理責任者の設置というものは、今度の法案の重要な提案の一つと考えられるわけですけれども、私は、これはきわめて不十分な内容ではないか、こう見ているわけです。すなわち、先ほども申し上げましたように、実務的な管理責任であって、労災等の責任を負うものではないということですね。この第五条の雇用管理責任者の選任の定めというものは、あたかも雇用関係あるいは労働災害責任の明確化がうたわれているような錯覚に陥るわけでございますが、この雇用責任者はあくまでも実務面のみの責任であって、労災の責任を負うものではない、こう私は見ているわけでございますが、この点はいかがですか。
○遠藤政府委員 そもそもこういった建設業における雇用についての何らかの法的措置をとらなければならぬ、こういう前々からの御意見で、今回この法律の提案に踏み切った最大の理由の一つは、建設業の労働の実態がいわば前近代的ないろいろ大きなたくさんの問題を含んでいる、その根源の一つが、雇用関係が明確でない、日雇い労働者とか季節出かせぎ労働者を使っている、これが建設労働者の大きな部分をなしている、そういうものについて雇用関係が非常に不明確であるというところから、災害の多発だとか、あるいは賃金不払いの問題だとか、いろいろな問題が発生してきている。それを是正するためには、まず前提になります就労経路の正常化、雇用関係の明確化、こういったことを法的に適正な措置をとる必要があるということから、いま御指摘のありました第五条で雇用管理責任者という制度を設けたわけでございます。 これによりまして、雇用関係を明確にすると同時に、各種の就労条件の確保だとか、あるいはいま御指摘のありました労災その他社会保険の取り扱いの問題だとか、こういった点を十分責任を持って管理をしていただこう、こういう趣旨でございますので、この雇用管理責任者が直接ほかの労災保険上の責任をもとるとか、あるいは経営上の責任をとるとかいった性質のものでないことは、これは御指摘のとおりでございます。
○大橋(敏)委員 労災の責任はだれが一体とるのかということは、先ほどの事件にも見られるように、一番大きな問題であるわけです。雇用管理責任者、こう名前がついているので、そこまでの責任を負うのかと思えば、そうでないというところにちょっと疑問を抱いたわけです。 この雇用管理責任者というのは、事業主本人も兼ねてできるのかどうか。必ずほかに一名置かなければならぬのか、本人でもいいのかということをちょっとお尋ねしたいのです。
○平賀説明員 雇用管理責任者の制度は、建設業の特に下請などの末端における雇用関係がはっきりしないということで、規模が小さい事業所であっても選任をしていただかなければ意味がないという制度でございます。しかし御指摘のように、小さな規模の事業所では、新たに人を雇って、その人に雇用管理責任者としての仕事をしてもらうという事務的な能力、基盤がない場合もあると思いますが、目的は雇用管理を適正に行うということでございますので、事業主がその仕事をやるということになりますれば、事業主が雇用管理責任者になってもよい、こういう取り扱いをいたしたいというふうに考えております。
○大橋(敏)委員 要するに時と場合によっては、事業主本人が管理責任者になってもよろしいということになるわけですね。 そうなりますと、中小、特に小、零細企業の事業主の中には、失礼な言い方になるかもしれませんけれども、今回雇用管理責任者に与えられたいろいろな条件、事務的な能力といいますか、こういうものに欠けた方々がかなりいるのではないか、このように思うわけでございますが、そういう状況にある事業主の方は絶対に管理責任者にはなれない、兼務はできない、こういうことになるのかどうかということですね。いわゆる失格するかどうかという問題です。
○平賀説明員 小さい企業の場合であっても、その雇用管理あるいは労働関係の諸法規を遵守していただく義務があるわけでございます。しかし御指摘のように、小さい企業ほどなかなかそういう規定を守る基盤のないようなところもございます。しかし、この制度を通じて、小さい規模の事業所であっても、また、そういう事業の事業者であればこそ、雇用管理の問題について認識をしていただきたい、こういう考え方を持っております。しかし法律上、その雇用管理責任者というのを、ある資格を持たなければいけない、まあ大学を出なければいけないとか、そういうような考え方をとっておりません。その点は、やはり企業が自主的に選んでいただいて、その方々に、責任を持って企業を経営するとともに、雇用管理を適正にやっていくという考え方を持っていただく。またそのために、雇用促進事業団がやります事業の中に、雇用管理についての考え方あるいは規定その他についての研修をやる制度も設けております。また事業主団体その他が研修をやる場合に助成をするという制度も設けておりまして、できるだけそういう雇用管理を適正に行うという考え方が、建設業界の末端に至るまで浸透するように、こういう措置をとっておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 説明はよくわかるわけですが、いま言ったように、小さな事業主の方々は、もう自分の毎日の仕事に追われて大変な忙しさなんですね。雇用保険法ができたときに説明を聞きにいく暇すらもない。あるいは申請書を出せば、何とかその恩典に浴したにもかかわらず、その説明を聞けなかったし、要領がわからずにその恩恵に浴さなかったという者もかなりいたという話も聞いております。今回のこの雇用管理責任者制度は、一つの大きな前進だろうと私は思いますが、これが実際にどのように運用されていくかということは大きな仕事ですから、今後十分この点は配慮してもらいたいと思います。 次に、労働条件の明示の問題ですけれども、労働基準法第十五条に、使用者は労働契約の際労働者に賃金、労働時間、その他の労働条件を明示する義務を負うものである、このようにあるわけでございますが、あくまでも明示するということであって、文書化されたものではないわけですね。だから、口約束でもよいということになるわけでございますが、このところが実は労災責任を不明瞭にする一因があると思います。 そこで今回、ここのところが改正されまして、文書化されるのだろうとは思うのですけれども、問題は、この契約時の文書化が実行されるのかどうかという疑問を私、非常に抱くのでございますが、その点についてお尋ねをいたします。 なぜそう思うかというと、もし違反した場合、どのような罰則があるのかということですね。それから文書化しなくとも労働者が訴えない限りは、労働基準監督署ではその違反をほとんど押さえることができない、こういうことがあるから、私は、いかに文書化せよと言ってみても、実際問題としては、これは実行されぬのではないかという気がしてならぬのですが、どうですか。
○平賀説明員 建設業の場合には、昔から雇い入れの条件がはっきりしない、したがって、単に口約束でなく雇い入れた場合に、雇い入れ通知書という文書を出して労働条件を明確化するように行政指導上の措置をとってまいったわけでございます。しかし、それでもなかなか末端にまで浸透しないということがございましたので、こういった従来行政措置でやっていた制度を法文化する、制度化するということが関係審議会からも御意見として出されまして、今回この法案の第七条に「(雇用に関する文書の交付)」という条文を原案に入れさせていただいたわけでございますが、なお、この点に関しましては、後ほど御審議いただきます賃金の支払の確保等に関する法律案の中で、労働基準法の十五条を改正いたしまして、ここに賃金に関する文書の交付を労働基準法上の義務としていたします。また、その中で建設業につきましては、これにあわせて雇用に関する文書、従来雇い入れ通知書として行政指導でやっておりましたものを制度化する、この二つの措置によって従来の制度を制度化し、しかも、それについて罰則の適用を受けるということになります。また、その場合には、申告がなくても現場で監督官が行きましたときに監督いたしまして、この条件について違反していた場合には所要の措置をとる、こういうことになろうかと思います。
○大橋(敏)委員 罰金はないですか。
○平賀説明員 この十五条によります罰金の適用を受けることになると思います。その十五条によります文書の交付義務に違反をした場合には、所要の罰則を受けることになります。
○大橋(敏)委員 もし罰金を受ける場合は、これは五千円ですね。労働基準法百二十条ですかね。ですから私は、この程度の内容だったら文書化する人はほとんど出てこないような気がしてならぬわけです。これも運用上の重要な問題点でありますから、今後運営に当たっては、特にこの点を指導していってもらいたいということでございます。 それから第六条、労働者を募集した場合「公共職業安定所長に届け出なければならない。」こういうことになっているわけでございますが、自分の会社の従業員が直接募集しなければ届け出をしなくとも済むということになるのですかどうですか、この点ちょっとお尋ねしておきます。
○平賀説明員 労働者の募集の方法はいろいろございます。たとえば人に頼んで募集するという場合もあります。また新聞紙上に広告をして募集するというやり方もございます。それから事業主本人またはその雇用労働者、被用者が募集に従事するという場合があると思います。それぞれの募集の形態について所要の措置が職業安定法の中に定められております。 そこで、たとえば出かせぎ労働者を東京の業者が募集するという場合には、許可その他の要件が必要でございます。しかし東京の業者の方が通常通勤できる区域内から労働者を直接募集するときには、いままで自由にできたわけでございます。そこで、たとえば特定の地域で日雇い労働者について募集を行わせる、日雇い労働者についての募集を、いわゆる手配師などに行わせるということも間々見られたところでございますけれども、その点については、直接募集という規定の中でまぎらわしい形態のものもある、そういうことで、この場合には、事業主が被用者を使って募集する場合には、それを届け出るという新たな要件を課して、被用者以外の人に募集させるということは、それは手配師を使うということにほかならないわけでございますが、その点の区分を明確にして、いわゆる手配師の取り締まり等についての実効を期するようにするという意味でございます。
○大橋(敏)委員 もう時間もあとわずかになりましたので、私もはしょって質問いたしますが、第七条の文書交付義務規定でございますけれども、これは、あくまでも雇用の場合であって、たとえば一定の工区、職種、工程を一定の賃金で任せるような請負には当てはまらないと解されるわけでございますが、この点はどうでしょうか。
○平賀説明員 御指摘のように、本当の請負契約の場合にはこの規定は当てはまらない、雇用関係を結んだ場合に、その条件、雇用に関する諸事項についての文書を交付する、こういうことでございます。
○大橋(敏)委員 大臣、この辺は大きな問題点になっていると思うんですね。請負工事をこの規定から外したということは、一体だれのための法律になるのかということになるのじゃないかと思うのです。この辺、今後検討を大いにやらねばならぬ問題じゃないかと私は思うのですけれども、時間もないから、一番最後にまとめて答えてください。 それでは、次に移ります。 次に、労働者の職業訓練について、建設業を支えている者は、工事の設計をしている管理者だとか、あるいは大企業の職員でもなければ、労働者を集めて指揮をとっている親方でもなくて、あくまでも工事現場の第一線で働いている人々であるわけですね。たとえばクレーンを操作したり、あるいは地上何十メートルの高いところで鉄筋を組んだりする、こういう数多くの技能労働者であるわけでございますが、これは、いよいよその需要が高まってきたわけであります。この施工技術の開発、発展に即応する技能の要求は当然であるわけでございますが、これらの職業訓練は、労働者の技能の向上だけではなくて、労災防止の上からもきわめて重要であります。現在の全国の職業訓練校や事業主団体の訓練施設等において技能労働者の養成が進められていると考えますけれども、建設業の現状に即した訓練といたしまして不十分ではないかと私は思うのでございます。この点について、今後どのような方針で進められていくのか、お尋ねをいたします。
○中原政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、職業訓練はもちろん技能を向上させるためのものでございますが、それと同時に、安全の確保、災害防止という点からも非常に効果があるものと思われるわけでございます。現在、公共職業訓練及び事業内の職業訓練で行われておりまするもののうち、約半数近くは建設業関係の職種でございまして、従業員が一割ぐらいでございますが、職業訓練の場合には、半数近くを建設業関係ということで従来もやっておるわけでございまして、このカリキュラムその他の点につきましては、先生御指摘のような点も十分加味しまして、災害防止の見地から安全衛生面については十分配慮しておるところでございます。 特にこのたびのこの法律案におきましては、建設労働者の災害防止をさらに推進するために、安全衛生関係の技能講習、こういうものの受講を特に奨励するための助成事業等も考えております。そういうことで、この法律によるもの、その他従来のもの相まちまして、今後職業訓練を充実いたしまして、先生御指摘のように、災害防止の観点から十分職業訓練を役立てていきたい、こういうふうに考えております。
○大橋(敏)委員 最後に、大臣にお尋ねをいたします。 現在、技能検定制度があるわけでございますが、職業に関する資格との結びつきも十分ではないと思うわけです。また検定の結果が、職場における処遇に必ずしも反映されていないというのが現状ではないかと思うのです。技能検定の合格者には、給与面でもそれに対応する処遇を行うようにしていくべきではないか、労働者の技能に応じた処遇を行うべきではないかということ、業界はもちろんのこと、労働省あるいは建設省とも積極的にこの問題と取り組んでいかねばならぬと私は思うのでございますが、この点についての大臣の見解を承りたいということが一つ。 それから最後に、もう一つ言っておきますが、この法律案による新規事業の実施に当たっては、特に中小企業にメリットがあるように配慮していただきたい、及び建設労働の最大の問題である労働災害の防止のために早急にその対策を講ずること、この二つの点について大臣の見解を聞いて終わりたいと思います。
○長谷川国務大臣 技能を訓練することは、自分を災害から守ることでもありますし、また、それが給与の方に響いていくというふうに持っていくのが一番大事だと思います。この点に関しましては、最近、私の方からしますと、特に文部省の方と話をしたりしてそういう雰囲気をつくること。幸いに建設の関係では、技能検定を受けた人がほかの産業よりはよく見られていく習慣がついている。だから、この技能検定を職業訓練などをしてさらに一層——それが自分の体を災害から守ることになる。幾ら命綱があったって、その使い方を知らなければ何にもなりません。そういうことと、それから技能を持つことによって自分の収入がよくなる、こういうメリットをずっと、やはり対社会的に技術者というものが大事にされるような雰囲気をつくらなければならぬ、こういうふうに感じております。 それからもう一つは、何といってもこの法律がこうして御審議いただいてできておりますのは、先ほど先生のお話のように、建設関係の中小企業は前近代的で、一番でたらめが多いという話がありましたから、そこを重点にこの法律はやっていることでありまして、これは、もう大企業にやるのじゃなくして、中小企業を重点にこの法律は施行するということは御信頼いただきまして、気のついたことはひとつどんどん御進言のほどをお願い申し上げたい、こう思います。
○大橋(敏)委員 終わります。
○熊谷委員長 次は、和田耕作君。
○和田(耕)委員 この法律は、いろいろ読んでみますけれども、ちょっと意図するところと施行されたときの結果とが、何か意図する目的が達成できないようなことができるのじゃないかという感じがするのですけれども、中小の建設業を経営している人たちはこの法律にどういう感じを持っておりますか。
○中川説明員 私ども建設省といたしまして、労働省から早くから御相談がございまして、建設労働の問題を正面から受けとめていかないと建設業自身が近代化しないという考え方を持っておりまして、業界の意見をくみ上げながら折衝してまいったわけでございます。現状に対して非常に理想的過ぎる案の御提示が最初ございましたが、まあ漸進的な案に落ちついた形になっておりまして、私どももそう考えておりますし、業界自身もそういうふうに評価しているはずだし、特に中小建設業もそういうふうに御理解を願っておるはずだと私ども考えております。
○和田(耕)委員 率直に言って、歓迎しているのですか、あるいはそうでもないか、あるいは反対しているか、その三つのうち、どちらですか。
○遠藤政府委員 和田先生から御指摘のございました、主として中小建設業者がこれをどう受けとめているか。この法律がそもそも誕生するまでにつきましてはいろいろな紆余曲折がございました。そもそもは、中小建設業者を主体にしておりますいわゆる全建の労務委員会で、いま建設省当局から御答弁のございましたように、建設業における労働問題、労務問題を何とかしなければいかぬ、こういう業界自身の発案で労務改革案というものが提示されました。それを受けとめて、労働問題とは言いながら、建設業界自体の問題それから労働問題と、建設省と労働省が二人三脚で本当に連携しながら事を進めていくのでなければこの改革は成就できませんので、私どもは当初から業界の意見を吸い上げながら、建設省とよく相談をして成案を得るべく進めてきたわけでございます。そもそもは業界の発案によってこういう問題が提起されながら事が運ばれてきたわけでございますけれども、いまお話がありましたように、非常に理想的な案が初め提案されておったというようなことから、これは絵にかいたもちになるのじゃないか。と同時に、それに伴う費用の負担が中小企業に非常に過大な負担になるのじゃないか。それから、こういった施策の効果が、中小企業がないがしろにされて大企業に偏重というような形になるのじゃないか。いろいろとこういった疑念が提示されまして、そういったことから、この成案を得るまでの段階でもう何度も何度も推敲を重ねてきたわけでございます。私ども、建設省と一諸に、北は北海道から南は九州まで、こういった業界の会合に出席しながら業界の意見も聞き、建設省と意見の調整をしながら今日に至ったわけでございまして、いま御懸念になりますような点はほとんど一〇〇%解消した上で、建設業界におけるいわゆる中小企業を中心にした非近代的な、非常に不明確な雇用関係をまず俎上に上して、これを適確な制度に移していこう、こういうことからこの法律案を提案して、御審議いただいておるわけでございます。
○和田(耕)委員 中小企業の、特に建設業の現場というのは、昔から非常にわからない、迷路のような、労働者の人権が無視されておるというイメージはずっと広くあるわけですね。だから、この問題に対して光を当てて、労働者の労働条件その他を改善するという意図はよくわかるのですけれども、またそれはいいことですけれども、中小零細建築業に対して何か喜んでこれをやるというようなことがないと、これはなかなか実行できないような項目が幾つかあるのじゃないかという感じがするのですけれども、そういう配慮はありますか。
○遠藤政府委員 確かに、どんなにいいことであっても、一つの制度ができますとそれによっていろいろな精神的な負担、物的な負担、そういったものがかかることはこれはもう否み得ない事実でございます。そういったことから、確かに必要なことではあるけれども、いまこういうことをやられてもとても受けとめ切れないのじゃないかという懸念があったわけでございます。そういった点を十分そしゃくしながら、こうやって成案を得たわけでございます。 これからこの法律が成立いたしまして具体的に施策を進めていきます場合には、先ほど来申し上げておりますように、あくまで中小建設業者を重点に、中小企業で働く建設労働者に対していろいろな施策を進めていく、こういうことでございます。と同時に、現行でも、たとえば先ほどから御指摘になりました技能養成、職業訓練の面でも、労働者の能力開発向上に非常に貢献をしております。こういった面でもっと手厚い助成をしてほしいという意向は各方面から寄せられています。今回の措置によりまして、たとえばこの点でもいままで以上に範囲も拡大し、その施策の内容も充実さしていく方向をとっております。また、一つの例を挙げますと、たとえば飯場の宿舎だとかあるいは福祉施設の面でも、他の産業に比しても非常に劣っております。こういった点につきましても、中小企業を重点に福祉厚生面での施策を充実していく、こういう措置をとっておりますので、費用の負担はある程度はございますけれども、他の雇用保険によります雇用改善事業の一環として行われるものを合わせて、負担していただく費用以上のものが、中小企業を重点に施策として中小企業の労働者に均てんされるという趣旨を十分生かしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○和田(耕)委員 たとえば、零細企業が雇う若い労働者に無料で技能の訓練をするとか、あるいは中学校出であれば高等教育を夜学とか何かの形でさせてあげるとか、いろいろなことがあると思うのですね。そういうことをお考えになっておられるかどうかということなんです。
○遠藤政府委員 これは先般成立しました雇用保険の中の雇用改善事業、能力開発事業、福祉事業でもそういった面が若干盛られておりますが、今回の新しい法律によりまして、建設業の労働者のそういった面につきまして特に重点的に実施するということで、今後、具体的な施策につきましては関係者の意見を聞きながら施策を盛り込んでいきたい、こういうふうに考えております。
○和田(耕)委員 それともう一つ、相当長く高度経済成長という時代が続いたわけで、零細企業でも働き手を確保することに非常に苦労した時代が続いてきたわけですね。しかし、これからは時代が変わりまして、安定成長か、まあどんなものになるかわからぬが、とにかく人手が余りぎみになってくる。現にそういう状態になってきているわけですけれども、恐らくこの発想は、人手がたくさん要るものだから、中に媒介するおかしなのがいろいろ出てきて、労働条件がずっと上がらなければいかぬのにおかしな状態にあるということが前提になっての発案のようにも思うし、しかし逆に、仕事がなくて非常に困るような状態がある場合にもこういう考え方が出る余地もあるわけですけれども、発案するときにそのいずれの問題を考えておられたのか、もしそのお答えができればお答えしていただきたい。
○遠藤政府委員 私どもは、この建設業という事業は、言ってみれば日本経済の基幹産業でありまして、これは労働力不足の時代にも、あるいは労働力過剰の時代にも、いずれの時代におきましても、どういう事態になりましても、建設業における労働問題は非常に重要な問題である。これを他の産業に比較いたしますと、言ってみれば前近代な労働関係というのがまだあちこちに見られる。こういう状態を放置しておくわけにまいりません。ましてや、いま御指摘になりましたように、これから安定成長という経済路線を歩みます場合にも、必ずしも労働力過剰というわけでございません。確かに、現在の完全失業者の状態でごらんいただきますように、過去の高度成長時代に比較いたしますと失業者の数はふえている。これから労働力人口の高齢化に伴いまして、高年齢者の労働問題は非常に重要になってまいりますけれども、その反面、今後十年間を見ましても、いわゆる中堅の若年労働力というものは依然として不足状態が続くであろう。そうなりますとなおさら、こういった前近代的な労働関係がそのまま持続するということになりますと、日本の基幹産業である建設業の労働力確保という点についても非常に大きな障害を今後来す事態になりかねない。こういうことから考えますと、何としても建設業における雇用の改善ということが緊急の要務であると私どもは考えるわけでございます。 そういった観点からまず手始めに、建設業における雇用の改善ということに着手するにはどういうことから手をつけたらいいのかというのが、この法律案を提案いたします発想の原点になったわけでございまして、私どもは、いままでいろいろ問題になっておりましたこういった日雇い、出かせぎ労働者、こういったものを中心にいたしております建設業における雇用関係を明確化する、近代化することによって建設業に必要な労働力の確保を図っていく、こういうことでこの法律案を御審議いただきたいと思っておるわけでございます。
○和田(耕)委員 もう一つ、かなり大きな仕事がある場合は、大企業の下で直接に雇われる中企業、あるいはその下で働くもの、段階がいろいろあるわけですけれども、事業場ごとに管理責任者を選任するとあるのですけれども、これはいろいろな問題が考えられるのです。まず第一に、その親企業の下請の企業の労務関係に対しての監督とか責任とかいうものは、この法律では一つもないのですか。
○平賀説明員 この法律案の第八条に、幾つかの段階の下請関係があって事業が行われる場合の元方、親企業と言ってもいいかもしれませんが、その元方の事業主がその段階ごとの関係下請人の雇用関係、雇用管理の状況を把握して、それに関する記録をとどめておくとともに、適正な雇用管理が行われるよう指導援助を行う、こういう関係の規定を置いております。
○和田(耕)委員 この場合に実際に、たとえば下請の業者が十企業ある場合に、元請の管理者はどのようなシステムの指導をなさるのですか。
○平賀説明員 建設工事、特に大きな工事になりますと、下請人と言っても必ずしも常態的に常時そこに人を入れるというわけのものでもないと思いますけれども、しかし、それがためになかなか下請の末端の雇用管理の状況を親企業ないしは元方が把握するということがむずかしかった。それが一つは建設現場の雇用管理あるいは現場の下請企業の雇用管理がうまくいかない原因であったと思いますが、その点について、むずかしいことかもしれませんけれども、親企業がやはりこういう規定によって下請のそれぞれの段階ごとの雇用管理の状況を把握させる、そういうことによって親企業自体もその下までの雇用管理の状況を見通して指導する、こういう実質的な効果といいますか、これを期待したわけでございます。しかしながら、小さなといいますか、小さな企業がある一定の期日、たとえば一週間ぐらいしか、一人ぐらいしか人を派遣しないようなときにまでこういう手続を課するというのはなかなか大変でございます。それで、この場合には、一つの工事期間の中で相当程度以上労働者を派遣しているような企業、その現場で雇用管理が行われるのにふさわしいような事業についてはそれを把握するということにして、その実態に応じて親企業が、その元方が指導するように、こういう取り扱いにいたしたい、こう思っております。
○和田(耕)委員 雇用管理責任者を「選任」するという言葉が出ているのですけれども、これは任命するというのと同じ意味ですか、あるいは、選任、選ぶというのはどういうことを考えておられるのですか。
○平賀説明員 その法律的な性格はともかくとしまして、個々の事業場ごとに任命という行為、あるいは形式的な辞令をやるとか、そういう行為を伴うこともあるかもしれませんが、この場合には、その事業場で雇用管理責任者はだれかということを明らかにし、それを選定しておく、指名しておく、それでその雇用管理責任者が雇用管理に関する諸事項を管理する状態に置く、こういうことでございます。
○和田(耕)委員 たとえば十人の労働者がおれば、十人の中から一人を選び出すという意味じゃないですか。これはあるいは任命するという意味ですか。
○平賀説明員 十人というのはごく小さい規模の事業場だと思いますけれども、その場合に、その十人の中の一人がたとえば事務を専属に扱って、いろいろ諸手続を管理したり、あるいは採用とかあるいは社会保険の適用とか、そういう問題について取り扱う場合に、その一人の事務の人を選任する場合もあるいはあるかと思いますけれども、その場合に、ときには事業主自身がそういう問題を扱っているという場合がごく小さい規模の事業場の場合は多かろうと思います。その場合にはその事業主自身を選任するということも差し支えない、こういう考えでおります。
○和田(耕)委員 これは考え方によりますと非常に大事なことでございまして、たとえば十人なり十五人働いている職場の労働者の中からその人たちの信頼できる人を選ばして、その人を雇用管理責任者にするという考え方も十分成り立つ考え方だ。しかし、中小企業の場合、ちょっと考えてそういうことはできない。やはり任命する、責任者を置くということの方が実際的のようにも思うけれども、そこで法律的に「選任」という言葉を使っているものですから、この「選任」という言葉に何か意味があるのか。私が最初に言ったような意味を持たしたいと思っておるのかどうかということをお聞きしたのです。
○平賀説明員 繰り返すことになるかもしれませんが、任命という行為が特に必要であるわけではありません。その事業場の中でこの業務を行う者を明らかにしておく、こういう意味でございます。
○和田(耕)委員 そうですか。和田がこの職場の雇用管理責任者だということ、それには何らかの地位あるいはその他の報酬とか命令とか、そういうふうな義務的なものはない、職制上のものじゃないのですか。
○平賀説明員 建設業の業態あるいはその規模が必ずしも一様でありませんし、特に建設業の場合には非常に零細な企業が多いという実情もございますので、たとえば任免についての手続とかあるいは責任者の資格要件、そういったものを定めるということも考えられるわけでございますけれども、この場合にはやはり建設業、そういう業態の異なる、場合によってはごく零細な規模のものも含めて、建設業の事業場で雇用管理という考え方を普及し、しかもそういう手続をしっかりやるという体制をとるということが一番重要だと考えまして、そういう事細かな要件は決めないで選任をし、雇用管理を行うということを規定した、こういうことでございます。
○和田(耕)委員 聞かなければならぬことはたくさんあるのですけれども、あと二、三お伺いします。 最初に私申し上げたとおり、この法律案の要綱をずっと何回も読んでみまして、これはどうだろうかなという不安があるのですよ。つまり、中小企業、特に零細の建設業者になってみると、あいつと、人柄が頭に浮かんでくるのです。私の支持者にはそういう人がたくさんおるのです。これはそういう事務的なことをとてもいやがるし、そして、そんなことをするならというような人が大部分だと思うのです。こういう人たちに雇用管理責任者だとか、あるいはまたいろいろな報告の義務づけがありますね、こういうことをやらすわけで、当然これをやらないとわけのわからない暗黒な面のある状態を近代化することはできないわけです。しかし、やらすということは、中小零細建設業者の多い現状ではなかなかめんどうな問題がある。したがって、これをやるためには、何か喜んでこれをやるような反対給付——反対給付と言っていいかどうか、これはもともと建設業のことを考えての面もありますからそういう言葉が当たるかどうかわかりませんが、とにかく喜ばない人が大部分だという感じを私は受けるのです。いまの建設省の関係の人もちょっと、喜んでいるような喜んでいないような、わけのわからぬような印象のあれがあったのですけれども、率直に言ってこれは余り喜ばないと思うのです。したがって、喜んでやるようなことにしないと実効が上がってこない。特に、いわゆる安定成長なる状態が出て労働力が過剰になってくるという状態が出てくると、何か励みになるようなものがないとほとんど絵にかいたもちのような法律になってしまうおそれが十分だと思うのですね。そういう意味で、そういうことのできる幾つかの項目があると思いますけれども、なおひとつ具体的に何か励みになるような措置あるいは指導をお考えいただきたいと思うのです。そうしないと、せっかく頭をしぼってつくった法律が有名無実になったりなんかするとぐあい悪いものですから、その点について大臣からしかとした御答弁をいただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 和田さんもおわかりのとおり、中小企業建設関係は非常に前近代的だということはお互いに深憂しておるわけであります。いまの時代に人間を雇うということ、働いてもらう、これは大変な責任だということ、必ず月給は払わなければならない、その月給は家庭の生活の源泉ですから、そういうことからしますと、やはり明朗にしていく努力というものを事業主はやらなければならない。また、使われる者からしますと、使われる関係がはっきりしないと、どういうことになるか、毎日の賃金はもらっているけれどもどうなるかわからぬということではまずい。いずれにしましても、建設省関係のことでもありましたから非常に入念に連絡もとりつつ、そして、何さまいまのような前近代的な人々もいることでございますから、労働省といたしましても、余りすばらしい革新的法案でもまずうございましたから、各地を歩いて公聴会みたいなものをずっとやりまして、本当にある意味では頭を下げながら、こんないいことをしてくれるんだからと説明して歩いて、それこそまさに建設省と二人三脚。それと同時に、いまから先も業界が死んではまずうございます。雇用関係の正常化を言いながらも飯を食うもとがなくなったのではかないませんから、そういうことで業界の意見を聞きながら、先生の御心配される向きも十分配慮して、これの漸進的な制度の確立に向かってまいりたい、こう思っております。
○和田(耕)委員 終わります。
○熊谷委員長 これにて内閣提出の建設労働者の雇用の改善等に関する法律案についての質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○熊谷委員長 次に、賃金の支払の確保等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、これを許します。村山富市君。
○村山(富)委員 時間もだいぶ下がっておりますから、私もよけいなことはできるだけ言わずに省きますから答弁もひとつ簡潔に要領よくお願い申し上げます。 この法案の内容を検討してみますと、政令にゆだねられている事項が大変多いのです。そこで、そういう内容について若干ただしてみたいと思うのです。 まず最初にお尋ねしますが、最近の企業倒産、賃金未払いの現状、賃金未払いの解決状況等について御報告を願います。
○藤繩政府委員 最近の状況といたしましては、五十年四月から五十年九月までの状況が把握されております。これは労働基準監督機関によって掌握された不払いの状態でございますので、必ずしも通常の統計による網羅的のものではございませんが、それを前提にごらんをいただきたいと思いますけれども、その場合に、五十年四月以前から繰り越したものが約七十億、それからこの半年の間に賃金不払いとして把握されたものが九十七億、計百六十八億という賃金不払いがこの期間に把握されております。それに対しまして解決されたものが約七十三億でございまして、どうしても解決ができなかったものが約二十九億、その結果次の期に六十六億の賃金不払いを残しております。以上でございます。
○村山(富)委員 この法案で言う「未払賃金の立替払事業」の対象となる倒産の範囲について、これは政令で決まるわけでありますが、その倒産の範囲については裁判上の倒産と事実上の倒産と二つに分けてあります。裁判上の倒産については、たとえば破産の宣告を受けたとかあるいは特別清算の開始命令を受けた場合とか、それからさらに更生手続開始の決定、和議開始の決定、整理開始の命令を受けた場合、こういう場合があると思うのですが、そういう場合というふうに理解してよろしゅうございますか。
○藤繩政府委員 立てかえ払いの対象といたしましては、「破産の宣告を受け、その他政令で定める事由に該当することとなった場合」となっておりまして、具体的には今後の政省令の問題でございますので、中央労働基準審議会の意見をお聞きして決めるわけでございます。いま一応私どもの考えておりますことは、倒産といたしまして清算型のものと再建型のものを予定しております。 清算型のものとしては、破産法に基づきます破産の宣告、それから商法に基づきます特別清算開始の命令というのが法律上の手続でございます。しかし、それだけでは実際の中小企業の実態に沿えませんので、中小企業であって事業の再開の見込みがなく、賃金支払い能力がないことについての確認ができるものについてはこれを対象に加えたいというふうに考えております。以上が清算型の倒産でございます。 それから、倒産と言いましても再建できる性質のものにつきましては、たとえば商法によります整理開始の命令あるいは和議法に基づきます和議開始の決定、それから会社更生法に基づきます会社更生手続の決定、こういうものによりますものを対象にしたいと思っております。
○村山(富)委員 中小企業の場合は、裁判上の倒産状態というよりも事実上の倒産状態になることの方が多いと思うのです。これは最近の統計を見ましても、倒産件数のうち事実上の倒産は約九五%を占めておる、こういう状態であります。雇用保険法が成立をしたときの大臣の答弁や、あるいはこの雇用保険法に対する附帯決議の内容等からいたしましても、この法案提出のいきさつは明確だと思うのですね。特に、いま申し上げましたように、事実上の倒産になるような中小企業の賃金不払いの救済が重要視されなければならないというところに、この法案の一番大きなねらいがあるというふうに私は思うのです。したがって、事実上の倒産という確認の仕方について、いま申し上げましたような中小企業の労働者を救済する、こういう趣旨に基づいてできるだけ考慮する、配慮する、こういう考え方がありますか。
○藤繩政府委員 この立てかえ払いという制度が今日までなかなかできなかった理由の一つといたしまして、やはりいわゆる乱用をどうやって防止するかという非常にやっかいな問題がございます。最近できました外国の事例を見ましても、やはり法律上の手続をとった倒産に限られているというものもございます。わが国の場合にもやはりそうしないと非常に混乱するのではないかという議論がずいぶんございましたけれども、いま先生がおっしゃいましたように、わが国の実情から見て、またこれが制定されなければならぬという背景から見ましても、事実上の倒産を対象にしなければほとんど意味がないじゃないかということで、大変因難があるということはわかっておりますけれども、事実上の倒産をこの対象に加えようというふうに踏み切ったわけでございます。 そこで、その内容につきましては今後審議会の意見を聞いて決めていくわけでございますが、私どもは、政令案の中に盛り込むべき、たとえば企業が事実上の倒産の状態にあるというのは、企業の事業活動が停止して、将来当該事業を再開する見込みが全くなく、賃金の支払いが不能であるというようなものを言うことにして、結局それは法律上の手続をとれば破産になるようなケース、いわば事実上の破産というものをとらえようと思っております。具体的に労働基準監督機関がどういうふうに措置をするかということになりますと、これはやはりそれぞれ現場におきまして関係労使からの事情聴取を行う、あるいは事業場への立入調査を行って、事業活動の停止、賃金未払いの状況等の確認を行う、あるいはまた取引金融機関、業界等から事情を聴取する、こういうことによりまして、金融機関の取引停止処分の状況、事業主の信用状況、債権者集会の開催状況、差し押さえ強制執行の状況、公租公課の延滞納の状況、電気、ガス、水道、電話料金の延滞納の状況というもろもろの多方面の事案を十分調べまして、そこで総合的に判断をしていくというような慎重な手続をとりたいと思っております。
○村山(富)委員 実際問題として、事実上の倒産の範囲を確認するという基準はきわめてむずかしい要因があると思うのですね。賃金というものは本来、労働基準法二十四条でも絶対に払わなければならぬ義務規定があるわけですね。したがって、倒産もしておらないのに賃金を払わない、こういう事態があること自体がおかしいので、賃金が不払いになっているということは事実上の倒産状態にあるというふうに解釈されるのじゃないかと思うのです。そこらは非常に解釈のむずかしいところがありますし、確認上困難な問題点もあると思うのです。これは恐らく何らかの基準がつくられると思うのです。この基準をつくるということは、一つは、全国各県によって解釈が違うというようなことになっても困りますから、できるだけ平等な扱いをするということからも何らかの基準をつくる必要があると思うのですが、そういう考えがありますか。
○藤繩政府委員 一般的に、経営不振による賃金未払いまで倒産と言うわけには一概にいかないと思います。乱用防止という趣旨から見ましても、その辺は厳格に考えていかなければなりませんけれども、しかしながら、具体的な事案に当たっては、先ほど申し上げましたような詳細な基準に照らしてそれぞれ措置をしていきたいと思います。特にいま御指摘のように全国ばらばらに行われるというようなことでは適当ではございませんから、政令でああいうものを用意したいと思いますし、なお詳細な判断基準というものが必要になれば、場合によっては中央労働基準審議会あたりの御意見を十分伺いながら、一つのスタンダードというものを経験も積み重ねながらつくっていきたいというふうに思います。 〔委員長退席、住委員長代理着席〕
○村山(富)委員 いま答弁ありましたように、この基準をつくる場合等、仮に政令で決めるにしても、そういう内容については中央労働基準審議会の方に一応諮りますね。
○藤繩政府委員 今度の法案によりまして、この法律の所管は中央労働基準審議会所管になります。そういう意味で、重要な政省令の部分は当然御諮問申し上げたいと思っております。
○村山(富)委員 事実上の破産の確認について、仮に労働者側に一つの不服があったというようなことが起こり得ると思うのですね。仮に事実上の倒産というふうに確認されなかったという場合もありましょうし、確認された場合もありましょうし、労働者側からすればいろいろな不服が起こり得る可能性がありますね。そうした場合に、労働者の不服をどういうふうに扱っていくつもりですか。
○藤繩政府委員 この法律の七条にもございますように、未払い賃金の確認というものは労働者の請求によりまして監督署長によってなされるということになっております。当然その前提として、破産状態あるいは事実上の倒産というものが監督署長の判断になるわけでございまして、そういう行政官庁の確認行為は一種の行政上の処分でございますから、行政不服審査法の対象になると考えられますので、当面、私どもとしましては、もし関係者の不満があれば、監督署長の処分に不満という場合には、上級行政庁である都道府県労働基準局長に対して当該確認についての審査請求をするという道が開かれているものと考えております。
○村山(富)委員 賃金というのは言うまでもなく生活にかかわる大変重要なものですから、したがって、この種の問題の扱いについては迅速にやる必要があると思うのです。この法案の運用からしますと、監督署長の責任というものが非常に重くなるということは当然ですね。いろいろなところから意見も話も聞くだろうと思いますし、いまお話もありましたように、立入検査もやったりなんかするとは思いますけれども、しかし、実際に迅速に公平にやるというたてまえからすれば、やはり地方でも基準審議会に何らかの形で相談をするなり意見を聞くなり、何かするような方途を講じた方がより公平が図られるのではないかと思いますが、その点はどうですか。
○藤繩政府委員 私ども、常日ごろ、労働基準行政の運営につきましては、中央、地方の労働基準審議会の御意見を承りながら公正に運営をしておるところでございまして、この法案もいわばこの審議会の所管でもございますから、十分審議会の御意見を伺いながらやってまいりたいと思います。 ただ、いま御指摘の点はどういう意味か、たとえば個別の判断につきましてそれぞれ審議会の判断を仰いではどうかというもし御提案であるとすれば、それは結果的にかえって迅速性を欠くということにもなりかねませんので、これは必ずしも適当ではない。一般の運営については十分御意見を承ってまいりたいと思います。
○村山(富)委員 仮に、さっき申し上げましたように、事実上の倒産が確認されて、賃金の立てかえ払いがされるという場合も、されない場合も、労働者の立場からすれば、擬装倒産ではないかといったような意見があったりなんかしてもめることがあると思うのですよ。その場合に、その労働者の不服を処理するのは一般の行政の手段であるというお話ですから、それじゃやはり迅速性を欠く点があるのではないか。だからそういう場合なんか、基準審議会は三者構成ですから、したがってそこの委員を通じて労働者の意見を出させるというような方法もあるわけですから、運用については十分そういう配慮をする必要があるのではないかと私は思うのです。そういう点、もう一遍……。
○藤繩政府委員 一般的に行政運営のあり方について、特にこういう新制度のあり方について地方労働基準審議会の皆様方の御意見を承るということは私どもも賛成でありますし、そうやってまいりたいと思います。個別の認定にかかわらしめるという点はやはり問題があろうかと思います。
○村山(富)委員 次に、第七条に「事業主」という規定がありますね。その事業主の規定によりますと、「労働省令で定める期間以上の期間にわたって当該事業を行っていたものに限る。」ということになるわけですね、この条文の解釈からしますと。この期間は一年以上としているわけですけれども、これは一種の乱用を防止するという意味もあってこういう制限をしているんじゃないかと思うのです。しかし、実際に建設業や林業などという仕事は、仮に事業としては一年以上継続している、しかしその事業活動については一年継続するのではなくて、毎年毎年反復してやられるというような事業もあると思うのです。特に建設業や林業なんかについてはその点が多いと思うのです。そういう場合にこの法の適用はどういうふうになりますか。
○藤繩政府委員 この一定期間の要件というものを付しましたのはいまお述べになりましたとおりでございまして、何よりもこの制度の乱用を防止するために、やはりある程度の制限を付さなければならないというのが趣旨でございます。今後、これをどのくらいの期間に定めるかは、審議会にもお諮りして決めたいと思っておりますが、おおむね一年程度というふうに考えております。 御質問の建設業、林業に多く見られますところの有期性あるいは季節的な性格を持った事業でございますが、これを反復、継続して企業体としては一年以上存続をしているというものにつきましては、その実態に即しまして立てかえ払いの対象とするように私どもも検討してまいりたいというふうに思います。
○村山(富)委員 特にいま建設業関係についても質問しましたので、この際、確認をしておきたいと思うのですが、建設業における賃金不払いについては、建設業法並びに建設労働者の相互通報制度というのがありますね。元請企業の責任が明らかにされており、現実の賃金不払いは元請企業に一〇〇%立てかえ払いをさせている。これは建設業法によって勧告制度がありますね。そういう制度を背景にして、組合と元請会社と話をして、元請会社が賃金を一〇〇%保証するということになっている事例がたくさんあるわけです。ところが、この制度ができますと、これは後で触れますけれども、内容的に若干後退するわけですね、平均賃金の八〇%ということになるわけですから。いまの話からしますと、大体一〇〇%保証させているという事例もあるわけですから、後退するわけです。そこで確認したいことは、この法律が仮にできたといたしましても、いま申し上げました建設業法の勧告条項あるいは建設労働者の労働条件確保のための相互通報制度等を優先適用して、現状よりも後退させないというような扱いをすべきではないかと思いますが、その点は労働省も建設省も、双方御確認を願いたいと思うのです。
○藤繩政府委員 いまおっしゃいましたような意見を私どもも耳にするのでございますが、私どもとしてはまことに、どうしてそういう御意見が出るのかなというふうに思うわけでございまして、この法律を制定いたしましたのは、未払い賃金の立替払事業という待望のものをこれからやろうということで、従来いろいろやってまいりましたものに加えて、さらに賃金不払いに対する対策の完璧を期そうということでございまして、従来有効にやられてきました措置、いま御指摘のような建設業法四十一条に基づきます立てかえ払いの勧告制度、こういうものは私ども、建設省と協力しまして、出先の監督署あたりでもかなり活用してやってまいりました。こういうものを後退させるというような考えは全然ございません。むしろ、この機会にさらにあらゆる手段を活用しながら、御承知のようにこの法律では民事、刑事の規制も強化しております。そういうものを十分活用しながら強い監督指導をやりたい、こういうつもりでございます。
○中川説明員 御指摘の制度は、特定建設業者という制度が建設業法の一つの柱としてございます。これは簡単に申し上げれば、事業を下請に付することのできる資格を与えられた業者ということになるわけでございます。特定建設業者に関する規定はいろいろございますが、その中で、労働基準法等の労働法規を守るように下請を指導しなければいけないという義務が特定建設業者に課せられておるわけでございます。労働基準法二十四条の賃金の支払い義務につきましても規定に明記されておるわけでございます。そのような文脈の中に建設業法四十一条が位置しておるというふうに考えておるわけでございまして、先ほど来労働省から御説明のように、本制度に基づく制度はかなり限定された場合でございますので、御指摘のような点は従来と変わりなく運営していく考えでございます。
○村山(富)委員 現実に働いている出かせぎ労働者なんかにしますと、せっかくこういう制度が法律でできるわけですから、したがって、悪く言えば、自分たちも金を納めているわけですから、これに寄っかかって、これを活用しなければばからしいという気持ちになってこれを利用するということになるやもしれませんから、したがってそういう意味でお尋ねしたわけです。この点はひとつ間違いのないように、今後の行政指導も強化して、少なくとも現状から後退させない、こういう点はひとつ堅持をしてもらいたいと思うのです。 それから次、立てかえ払いの対象となる労働者は退職した者、法律ではこうしているわけですね。ところが、先ほどから申し上げておりますように、倒産の確認や解雇の有効性等について争いが起こるという場合もあり得るわけですね。当然起こると思います。そういう場合の係争中の労働者の賃金不払い等の扱いについてはどういうふうにお考えですか。
○藤繩政府委員 立替払事業の対象となる労働者を退職労働者に限りましたのは、事業主が破産等清算型の倒産に陥った場合には、当該企業の労働者はいずれも、清算型ですから全員退職をするわけでございます。それからまた、更生型の倒産に陥った場合には、これは再建の見込みがあるわけですからあえて対象にする必要がないという考え方もあるのでございますが、その中で退職をしていく方はそこから離れていってしまいますから、これはやはり対象にすべきだということで、退職労働者を対象にしたものでございます。 そこで、いまお尋ねの解雇の有効性について争っているという労働者につきましては、使用者の解雇の意思表示がなされているというのが事実でございますから、事実上退職労働者に準じて扱うということが適切であろうと思います。まあ雇用保険の例などもございますから、そういうような措置を工夫してみたい。解雇が撤回されてもとへ戻ればそれは返していただかなければなりませんけれども、そういう実情に合った措置を他の制度の例なども見ながら工夫をしてみたいというふうに思います。
○村山(富)委員 これは先ほど来質問していることと関連があるわけですが、実際問題としてはやはりこの立てかえ払いができるだけ活用されない方がいいわけですからね。そこで前提としては、労働債権、賃金債権等に対する支払い責任は一義的には使用者にあるということは当然な話ですね。先ほど建設業関係で申し上げましたけれども、下請企業ないし子会社が事実上親企業と一体化している場合、これは使用者概念の拡大をしていくという解釈もありますし、賃金支払いについて親企業の責任で問題の解決が図られていることが多いという事例もたくさんあるわけです。したがって、親企業と下請企業、子会社等の関係については、やはりできるだけ親企業に責任を持たせるということの方が有効性はあると思いますし、この基金を使わずに解決する問題もたくさんあるわけですから、したがって、そういう意味の行政指導はやはりこれからも強化していくべきではないか。たとえば、例が適当かどうかわかりませんけれども、中小企業や下請企業が親企業に五〇%以上依存しているといったようなものについては、親企業に対して、その下請企業や子会社等が使っている労働者の賃金の支払いについてはある程度責任を持つ、保証する、こういう行政指導はやはり今後も強化していくことが必要ではないかというように思いますが、その点はどうですか。
○藤繩政府委員 そういう御議論は、これを審議していただきました中央労働基準審議会の中でもずいぶん出て、私どもも真剣に検討をいたしたわけでございます。また、さっき御質問になりました建設業法なんかにも具体的にそういう事例があるわけでございます。しかしながら、親企業あるいは子会社、あるいは元請、下請と言いましても、実際問題としてどういうものを正確にいうのかというような法律論になりますと非常にむずかしい。たとえば他の企業の資本を保有しているとか、あるいは自己の役員または労働者を他の企業の役員として派遣するとか、あるいは他の企業と下請契約を締結するとか、いろいろな形での一般的な優越的な地位というぐらいのことになってしまいまして、確実に把握することが大変むずかしいというようなことがございます。 そこで、実は私ども、この法律にそういう制度を設けたらどうかということで取り組みましたけれども、結局それはできなかったわけでございます。それは、親会社、子会社の間の財産権の憲法上の問題でございますとか、あるいは子会社に対する経営の介入というような問題が果たして妥当であるかとか、あるいは下請代金等支払遅延防止法というようなものが一つあるではないかとか、いろいろな御議論がありまして、結局見送られたわけですけれども、しかし、趣旨は私どもそのとおりだと思うわけであります。また、従来も実際そういうことをやってまいりました。建設業法の例もありますが、他にも、監督署としては実際問題として親企業の地位にあるところに頼み込みまして、説得をしまして解決をしたという事例はたくさんございます。ですから、そういうことは今後もますますやってまいりたいと思います。また、制度化についても勉強を続けたいというふうに思います。
○村山(富)委員 これはもう詳しく申し上げなくても、大体いろいろな事例を通じておわかりになったと思いますが、やはり下請や子会社で働いている労働者からしますと、自分たちの生活が将来どうなっていくかというのはもう親会社がどうかということで左右されるわけです。そういうつながりがあるわけですから、したがって親企業が全体的な保証責任をとるというぐらいの心構えでやることが当然ではないかというふうに思います。そういう意味で、これは法律的に言えばいろいろ関係する法律があってむずかしい点があると思いますから、今後の行政指導の上で、従来より一層強化してもらいたいということを要望しておきたいと思うのです。 それから、立てかえ払いをする限度は、「未払賃金に係る債務のうち政令で定める範囲内のもの」こういうふうになっていますね。大体、聞くところによるとその範囲は三カ月分、八〇%、しかも五人以上の規模の毎勤統計による平均の賃金を設定するということですね。本年の場合は上限を三十一万二千円で抑えている、こういうようなお話を聞いているわけです。毎勤統計は一年前のものを恐らく基準にすると思いますね。その前年度から翌年度はどれぐらいベアがあるだろうかということも大体含んで恐らく出すんだろうと思うのです。しかし、それにしてもやはり安く抑えられる可能性が十分あるんではないかというように思います。そういう点については、いま私が申し上げましたようなことも含めて、どういう扱いをするつもりか、御答弁願いたいと思います。
○藤繩政府委員 この立てかえ払いの事業は、企業倒産によって賃金の支払いを受けられない労働者のいわば差し迫った生活を救済するというような必要性にかんがみまして、大変むずかしいものでありましたものを、いろいろな諸条件を克服いたしまして今回措置を講ずるというものでございます。したがいまして、未払い賃金の全額を立てかえ払いするということはなかなかむずかしい。やはり合理的な範囲で制限を設けることはやむを得ないと思います。本来の賃金不払いにつきましては、先ほど申し上げましたような民事、刑事の規制の強化とか保全措置とか、いろいろな手でやっていく。しかし、ぎりぎり立てかえをするというものについては一つの制限の範囲内で実現をしていきたい、こういう考え方でございます。 そこで、その限度につきましては、これから関係審議会の御意見も伺いながら決めていきますけれども、いまお述べになりましたようなことが一応予算措置として決まっておりますので、本年度につきましてはそういう考え方でいくと思いますが、今後、来年度以降につきまして、統計結果というようなものを見まして、できるだけ実態に即したあり方というものを選んでまいりたいというふうに思います。今後の研究にまちたいと思います。
○村山(富)委員 やはり給与というのはそのときそのときの生活を裏づけている保障になっているものですから、したがって、ダウンするということになりますと相当生活に影響があるわけですね。しかも、その八〇%ですから、相当ダウンをした保障しか得られないということになるわけです。本来、毎月毎月の賃金なり給与というものは個人の枠で決まっているわけです。したがって、一番いいのは個人がもらっている給与の八〇%が、仮に八〇%がいいとすれば、まあまあ何とか納得ができるのじゃないかと思うのですね。したがって、個人の給与に対して保障する、こういう考え方も将来の問題として検討してもらいたいと思うのですが、その点どうですか。
○藤繩政府委員 何せ最初の制度でございますから、いろいろ今後検討をしなければならぬ問題がたくさんあると思います。ただ、いま本人の給与の八〇%を保障すべきだというお話でございますが、これはこの制度でもそういう考え方に立っているわけでございます。ただ上限を平均のところで抑えざるを得ないという制限が一つあるということ、それから、八〇%ではないかという先ほど来のお話でございますが、これは私どもあえて上をけちるというような考え方ではございませんで、やはり本人の手取り賃金を保障する必要がある。そこで、税でございますとかあるいは各種社会保険料でございますとか、そういうものを考慮しますれば、非常に大ざっぱでございますけれども、一応八〇%というようなところで線を引けばおおむね手取り賃金は保障できるんじゃないかという考え方で引いたことでございます。
○村山(富)委員 これは一応立てかえ払いで賃金をもらえば退職金とみなされて、そして課税対象にしないということになっているわけですね。その点はいいと思いますが、ただ、仮に賃金を払わなかった場合には、各種の社会保険料は一応未納になるという可能性もあるわけですね。会社から賃金をもらうわけですから。わかりますか。
○藤繩政府委員 未納になります。
○村山(富)委員 その期間も被保険者としての資格やら権利というのは当然保障され、存続すべきものだと思いますが、その扱いはどうですか。
○藤繩政府委員 これは社会保険の制度の問題でございますので、それぞれ所管のところで正確には御答弁申し上げることだと思いますけれども、労働省所管の社会保険について申し上げれば、社会保険料を取り立てるということと給付を行うということはそれぞれ別になっておりますから、強制適用の対象である限りは、たとえ未納であっても労働者は権利を失うことはさらさらないわけでございます。特別加入の場合は別でございますが、一般的にはそういうふうになっておるわけでございます。
○村山(富)委員 これは厚生省の所管に関する問題を労働省が答弁するというのもおかしな話だけれども、こういう制度をつくる場合に当然起こる問題ですから、したがって、私は、厚生省とも十分連携をとって相談してやっていると思うのです。そこらのあれはどういうふうに理解していますか。
○藤繩政府委員 厚生省所管の社会保険の一々について私ども必ずしも詳しくございませんが、原則としては同じ考え方に立脚しているというふうに承知いたしております。
○村山(富)委員 そういうことになれば、厚生省も呼べばよかったです。しかし、私は少なくともそういう理解に立って、当然資格は存続する、権利は存続するというふうになるんじゃないかと思うのです。その点はひとつ労働省の方もそういう確認に立って、もし問題があればお話し合いを願いたいというふうに思います。 それから、立てかえ払い金額の限度内に毎月の賃金未払いについての分が仮におさまった場合、残額について退職金の分が入って立てかえ払いがされたものというふうに確認していいですか。
○藤繩政府委員 今度の立てかえ払いは定期給与を対象に考えておりますけれども、しかしながら、退職金もこれは一応生活の原資として緊急の部分があり得るという考え方から、退職前、退職金の定期給与三カ月分に見合うものはこれを立てかえ払いの対象にするという考え方でございます。したがいまして、いま先生がお述べになりましたようなことに相なるというふうに思います。
○村山(富)委員 これは問題の扱い方によっては、経営者の側の方からすれば大変助かる部面もあるわけですね。たとえば、賃金を払わないというので争議が起こると混乱するというようなことが、ある意味では未然に防げる分野もありますからね。しかし逆に言いますと、今度は労働組合の方からしますと、この制度があるために簡単に肩がわりされて、本来の労働運動が阻害される、こういう部面も出てくるのではないかということが若干心配されるわけですね。 私はここでひとつ確認しておきたいと思うのですけれども、立てかえ払い制度によってもらえる金額というのは毎月の賃金未払いに足りない額であるというのは当然ですね。しかも、一時金、退職金なんかは含まれておらぬわけですから、したがって、そういう意味における未払い労働債権というものは残っていくわけです。これはもうごく一部しか救済されぬわけですから残っていくわけです。したがって、こういう未払い労働債権の残額について支払い確保を要求する諸権利の行使等については、いささかもこの制度によって妨げられてはならないことは当然だと思うのですが、その点はよろしゅうございますか。
○藤繩政府委員 結論はそのとおりでございます。また、私ども労働基準監督機関といたしましても、立てかえ払いがあるからということで事業主が安易にこれに依存して、正当な理由がないのに支払わないというような場合は労働基準法違反を構成いたしますから、罰則も強化されましたし、それからまた遅延利息という制度も生まれました。そういうことで、先ほど来申し上げておりますようないろんな手だてで完全に最終的に労働者の賃金債権が確保されるような努力をしたい、その中の緊急の一手段として立てかえ払いがある、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
○村山(富)委員 いや、私が質問しておるのは、この立てかえ払い制度で仮に三カ月分の未払い賃金が払われたと仮定します。しかし、そのことによって全部解消するわけじゃないのですよ。これは賃金も残っていましょうし、それから一時金や退職金なんかも残るわけですからね。したがって、こういう残余の労働者の債権については要求する権利があるということは当然な話であって、これが済んだからもういいのではないかといったようなことで解消されたのではそれは困るから、そういう点の確認と、そういう意味における行政指導というものは十分やる必要があるのではないかというように思いますから、その点を聞いておるわけです。
○藤繩政府委員 その点は、先生のおっしゃるとおりでございます。
○村山(富)委員 私は、この法律全体を見て一番大きな問題は、やはり遡及の問題だと思うのですよ。経過措置の問題だと思うのです。これは相当以前からこういう事態は起こっていますし、現実に解雇されて、あるいは退職して賃金をもらえない人がたくさんあるというのは先ほど冒頭に報告しましたね。こういう切実にこの法案の成立を期待して待っている人もあると思うのですよ。そういう人が救済されぬということは一つの問題じゃないかと思うのです。これから解雇される者を対象に救済していきますというのでは余りに問題があり過ぎるのではないか。だから、当然これは遡及して適用されるように考慮する必要があるのではないかというように思いますが、その点はどうですか。
○藤繩政府委員 お気持ちは全く私どもも同じでございます。ただ、あえて言わせていただきますと、去年の当委員会におきます労働大臣の答弁におきましても、二年間でこれを実現するということでございましたけれども、私どもとしては単年度でこれを実現しようということに踏み切ったわけでございますし、附帯決議も中小企業の倒産と言っておりますものを、中小企業に限らずこれは適用しようというふうにして、私どもとしてはずいぶんがんばってまいったつもりでございます。したがいまして、できるだけ、不況によって賃金不払いを起こしておるこういう事態に対処する政策として活用したいと思いますけれども、ただ何分にもこういう保険的なシステムでございまして、そういうものによる新制度でございますから、倒産の時期の判定というようなものをさかのぼっていくということはなかなかむずかしいというふうに思うわけでございます。ただ、ある時期以降、この法律の施行が行われますと、倒産企業から解雇されたあるいは離職した労働者というものは、過去六カ月ということでございますから、かなりの程度さかのぼる。しかも、その労働者の未払い賃金は過去六カ月に起こった未払い賃金の三カ月分ということでございますから、かなり既往までさかのぼるということなのでございます。ですから、私どもとしてはお気持ちは全く同じで、昨日も別な独立の保険制度という基本的な理論の展開もございましたけれども、私どもとしては、完璧は期し得ないが拙速でという気持ちでこれをやったというわけでございます。
○村山(富)委員 この問題はきわめて重要な問題だと思いますし、この法案に関する限りは、ある意味からしますと、相当以前の問題を含んで救済していく、こういう配慮がないと、この法案の趣旨、意義というものは私は半減すると思うのですよ。だから、この問題に関しては私どもも重大な関心を持っていますし、今後の話し合いの中で十分取り計らいをしていきたいというふうに思っていますから、これ以上申し上げませんけれども、ひとつ十分検討していただくという課題にしてもらいたいと思うのです。 それから、これは大変むずかしい問題だと思いますが、賃金の先取特権の順位ですね。順位の引き上げについては商法や民法やいろいろな法律との兼ね合いもあります。したがって大変むずかしい問題だと思うのですけれども、何回も申し上げておりますが、賃金というのはやはり働いた労働の対価として、その賃金をもとに家族が生活しているわけですから、そういう意味からしますと一般の債権とは違った重要性を持っている。したがって、当然先取特権があってもいいのではないかというふうに私どもは思っていますけれども、いまの制度からしますと大変むずかしい問題があることも十分承知しております。しかし、この問題は今後も引き続いてそういう意味における検討は十分していただいて、そしてできるだけほかの債権に優先して賃金が確保されるというような制度になるように、今後も検討を続けてもらいたいというように思いますが、その点はどうですか。
○藤繩政府委員 この法律案では、賃金の支払いの確保対策を図るため、従前にも増して事業主に対する規制を強化するほか、企業倒産に伴う未払い賃金の立てかえ払い制度等を設けることとしたところでございますけれども、いまおっしゃいました賃金債権の弁済順位の引き上げということが重要な問題である、それから国会でもたびたび取り上げられた問題であるということは十分認識をいたしております。しかし、この問題は、先生もいまおっしゃいましたが、民事法制の根幹にも触れる大変むずかしい問題でございまして、専門家の中でもいろんな意見がございます。労働省といたしましてはかねてから専門の学者に依頼をいたしまして、研究もお願いしてまいりました。それからまた、労働基準法研究会でもこの点をかなり突っ込んで勉強していただいたこともございます。そして今度の中央労働基準審議会の答申のときにもその点が指摘をされております。そういうことで、私どもは今後もますます、法務省その他の関係各省とも連携をとりながら、さらに一層の検討を進めてまいりたいというふうに思います。
○村山(富)委員 最後に、この賃金不払い事業というのは労災保険の中の一福祉事業としてやられる、この問題については先ほど労災保険の審議の中でも各党から意見も出ました。やはりこの性格からすると、労災保険という事業とそぐわないのではないか、こういうような意見が出されましたね。私は、これは最後に労働大臣にお尋ねしたいと思うのですが、そういう意味も含めて、将来はこの賃金不払い事業というものはやはり独立させたような形で一時金や退職金やそういうすべての労働債権を保全をしていく、こういう内容のものに拡大、発展をさせていくべきではないかというふうに思うのです。したがって、いままで私も各点にわたって質問申し上げましたけれども、いろんな問題点があることは、これからやる仕事ですから当然あり得ると思いますね。したがって、これから実績を踏まえていく、その実績に立って、やはりもっと改善をする必要があるとか、あるいは当然これは労災保険から独立させて一つの事業としてやる必要があるとかいうことも問題になってくると思うのですね。したがって、そういう問題も含めて、大臣の抱負と決意を最後にお尋ねをして終わりたいと思うのです。
○長谷川国務大臣 この委員会で雇用保険法案御審議の間にこうした意見が出まして、労働省といたしますと、とにかく五十一年度に一部発足させて五十二年度全部という話もあり、あるいは参議院においての中小企業中心ということなどを、こういう経済の非常に不況なときですから、まさに緊急避難的にこれを全面的に五十一年度から実施しよう、ここまで持ってきた苦心のほどなり、皆さんの激励、これはひとつ御評価いただきたい、こう思うのであります。 いずれにいたしましても、この法律を御審議いただいて可決されても、これが活用されないのが一番いいわけです。しかしながら、やはりこうしたときですから、生活の源泉である賃金の問題にこれをやって、こういう具体的なものをつくったということを御理解いただきながら、しかし、いまから先の問題といたしますと、やはり未払い賃金立てかえ払いの事業のあり方につきましては、今後ともその実績にかんがみましてやっていかなければいかぬ。しかし、いまの時代に別に何か会をつくる、機構をつくる、何か組織をつくるというようなことになれば大変ですし、一番いいのは労災の中において、非常に簡素にすぐにもできる。賃金の支払いを受けないということは、本当は一つの災害だと思うのですよ。そういう意味での御理解の中にこれを進めていきますので、いまから先もいろいろな問題について検討を加えることにはいささかもちゅうちょいたさないでやっていくつもりでおります。
○村山(富)委員 もうそれはこだわりませんけれども、きのうからの議論の中でも、やはりしようがない点は確かにある。これは緊急避難としてやむを得ずここに依拠したというような意味の答弁もありましたから、私もそんなものだと思うのですよ。したがって、そういうような問題も含めて、大臣に、お話がありましたように今後十分検討して改善をしていくということを確認して、私の質問を終わりたいと思います。 ————◇—————
○住委員長代理 この際、労働関係の基本施策に関する件について質疑を許します。多賀谷君。
○多賀谷委員 三公社五現業等労働者の労働基本権について、政府は今後どのように対処をされるつもりであるか、まずお聞かせ願いたい。
○長谷川国務大臣 三公社五現業のスト権問題につきましては、昨年の十二月一日に政府の基本方針が明らかにされたところであります。この中で述べておりますように、できるだけ早急に結論をまとめることにしておりまして、このために、政府といたしましては去る一月二十日に新たに公共企業体等関係閣僚協議会の設置を閣議決定いたしまして、同日の関係閣僚協議会において、今後の検討方針として、専門的事項について意見を求めるために学識経験のある者の参集を求め、経営問題、当事者能力の問題及び関係法令の改正等について検討を進めることにしております。
○多賀谷委員 昭和二十三年に政令二百一号により公務員の争議権が禁止をされまして以来、実に二十八年も、関係労働者はもちろん、全労働者がその回復のためにいろいろ努力をし、そのことがまた全労働者の願望であったわけです。昭和三十三年、総評並びに機関車労働組合からILOに提訴をいたしましてからも、実に紆余曲折を経ました。その間、ドライヤー委員会の来日とかあるいはドライヤー報告とか、さらにILO八十七号批准、それに関連をする諸法令の改正、それに伴う公務員制度審議会の設置、そうしてその審議が八年かかってようやく答申を得た。そういう中で今日まで推移し、四十九年の春闘において組合と政府との間で了解事項ができて、五十年秋までに一応三公社五現業等についての労働基本権について結論を出すということになったことは御案内のとおりであります。 そうして三月に、成田・三木党首会談においても、スト、処分、ストという悪循環は断ち切りたい、こういう総理の言明があり、また労働大臣自身も本委員会におきまして、スト処分は今回限りにしたいというようにお話があったわけであります。ですから、率直に言いますと、労働者はかなり政府の前向きの姿勢を期待しておったと思うのです。しかも、その後において、三公社総裁の本院予算委員会における、条件つきではあるけれどもスト権を認めた方が望ましいという発言があった。 こういう中で、実は全く意外、青天のへきれきのような結論が出た。ことに閣僚協議会における専門懇の意見書というのは、私はどう考えても素直な議論でないという感じがするわけです。まず結論的に言うと、経営形態、経営形態と言っておるけれども、「民営ないし民営に準じた経営形態にはしないこととする場合には、従来どおり、その職員には争議権が認められないであろう。」こういうことも言っておるわけですよ。ですから、企業形態の変更が大前提であるということを言っている。そういう考え方をしておる人はきわめて少ないですよ。第一、ILOがしてないでしょう。ILOは、国有産業であるとか公共企業体であるとか地方公営企業ということで一律に争議権を禁止することはとらない、こう言っておる。ですから、そこには国民の福祉であるとかあるいは公共性であるとかというものが入るのであって、企業形態からの発想から争議権を禁止するという考え方は入っていない。これはずうっとドライヤー以来の一貫した思想の流れです。それからまた、各国の国有産業にいたしましても、企業形態であるから争議権を制限するとか禁止するというものはないのですよ。そうして、今度の専門懇の少数意見を見ても、企業形態が変えられない限りストライキ権を認められないということは、これは現実性がないということを言っているわけですよ。ところが常にあなたの方は、まず企業形態だということを政府は言うわけでしょう。どうも私はその発想の魂胆が別のところにあるのじゃないかと思うのです。国有産業の企業形態を論ずるというのは、別の意味からはあるいはあるかもしれません。別の意味からは果たしてこれが合理的であるかどうかというのはあるけれども、労働基本権に関連をして企業形態論を論ずるということは、私は、本来間違っているのじゃないか、こういうふうに思うのですが、まず大臣はどういうふうにお考えであるか。
○長谷川国務大臣 多賀谷さんの段々の議論はよく拝聴いたしましたが、政府といたしましては、先ほど申し上げたとおり、去る一月二十日の関係閣僚協議会で決定された方針に従って鋭意検討を進めてまいるつもりであります。
○多賀谷委員 企業形態を変えましても、仕事の内容は変わらないのですよ。新幹線は依然として新幹線でしょう。ですから、鉄道は鉄道であり、郵便は郵便なんですよ。それから電信電話は依然として、企業形態を変えてみても電信電話なんですよ。それから紙幣の印刷だってそうでしょう。貨幣をつくる造幣局だってそうでしょう。幾ら企業形態を変えても、仕事内容が同じなんですよ。ですから企業形態から労働基本権を論ずるということはあり得ない、かように思うのですよ。それに関連をして予算をどうするか、あるいは当事者能力をどうするかという問題もあるのですよ。それはあるのですよ。当然しなければならぬ問題だ。ところが、仕事の内容が変わらないのに、それを、公益の、福祉の問題に関連をしてやるというのは、どうもそれは企業形態論をすりかえておるんじゃないか、こういうふうに思うのですが、これはどういうふうにお考えですか。
○長谷川国務大臣 おっしゃることは私たちもよく理解できますが、そういうことを含めながら、先ほど申し上げたように鋭意検討をしていく、こういうことなんです。
○多賀谷委員 そういたしますと、専門懇の意見には必ずしもこだわらないというように理解してよろしいですね。
○長谷川国務大臣 関係閣僚協といたしましても、この専門懇の意見書について、十二月一日に閣議決定いたしまして、その基本方針の中におきましては、「公共企業体等関係閣僚協議会専門委員懇談会の意見書の趣旨を尊重し、その内容の具現化につき検討を行う。」こういうことでありまして、その中に先生の所見も入ってくるというふうに私は理解します。
○多賀谷委員 ただ、一部の意見にそういうのがありますけれども、私は、世界の国際的な基本権の付与の、あるいは制限の潮流にはそういう考え方はないと思うのですよ。どうも初めから企業形態論がぱあっと出て、そうして混乱をさしておるという感じが非常にするのですが、これはいま答弁がありましたから、次に進みたいと思います。 続いて、専門懇の意見書に、従来のILOのわが国に対する勧告とは趣旨の違うようなことが書いてあるんですね。これはドライヤーの勧告あるいは百三十三次の報告あるいは百三十九次の報告でもそうですけれども、あるいはジェンクス事務総長の労使協議による解決方法の示唆というのも一貫して流れておるのですが、要は、終始一貫して、労使関係の調和のとれた発展ということをILOでは言っているのです。それがためには処分についても弾力的な運用をしなさい、こう言っておるんです。ところが、この専門懇の意見書というのは、大体、そのことはけしからぬ、その場限りの妥協によるスト収拾をみずからの役割りと考えて、断固たる処置をとらなかった使用者及び政府当局の責任に今日の争議の頻発、その原因がある、こう決めつけておるわけですね。そして、かねがね労働省も政府も、わが国の労使関係のいわば非常にいい美風として、あなた方は一家意識ということを言っているのですね。ところが、この一家意識がよくない。実損回復措置の再検討など、一家意識から安易に流れたことがこういうことになったんだと言っているでしょう。どうもいままでのずっと基調、流れと、今度の専門懇の意見書というものとはまるっきり反対のようなわれわれは感じを受けるわけですがね。これで一体今後の労使関係はうまくいくんでしょうかね。どうもいままで長い間積み重ねてきた労使の慣行を何とか成育さそうということと、その意見書はまるっきり反対のことを言っておるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○長谷川国務大臣 意見書の趣旨を尊重するということを先ほど申し上げましたが、これは意見書は意見書として、先生は先生の御意見を申し述べられた、こう私は理解いたします。
○多賀谷委員 どうも国際的に通用をしない議論だし、いままで長い間、昭和三十三年以来ILOが日本の労使関係についていろいろ勧告をし、意見を述べ、示唆をしたということにまるっきり逆行するかのような、そのこと自体がけしからぬのだという考え方というのはいただけないと思うんですよ。ですからこの点はやはり政府としてははっきりした態度をとって——そんなことをして実際問題として片づくかと言うんですよ。こういうように思いますが、労働大臣、どうでしょうか。
○長谷川国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、一月二十日の関係閣僚協議会で決定された方針に従って今後鋭意いろんな意見を聞きながら検討していく、こういうことでございます。
○多賀谷委員 大臣は、三月二日の本委員会における枝村委員の質問に対して、こういう問題の処理を感情的に扱ってはいけない。自分は長い目で見る必要があると思うという、きわめて労働大臣らしい答弁をされておるのを速記録で見ることができたわけです。 そこで、国鉄当局に対して、昨年の十二月の二十八日に、五十一年度予算編成に当たって国鉄総裁に、政府並びに自民党は誓約書を書かしておるんですね。それは一つは、五十一年の一月中にスト権ストの処分を厳正に行え。その次には、五十一年の一月中にスト権ストに伴う損害の賠償を関係組合に請求せよ。それから、総裁は責任を持って労働組合に対し再建に協力するよう説得をする。そういうことを言って、そして国鉄総裁がその誓約書を持っていっているわけです。ちょっと政府も干渉し過ぎると私は思うんですよ。これは政府・自民党ということになっておるのです。それから一月の二十七日には中曽根幹事長は、運輸、郵政大臣を呼んで、スト参加者全員に戒告以上の処分をしろということを指示しておる。処分内容まで政党が、与党といえども関与するというのは本来間違っているのではないか。かねがねあなた方は言っておるでしょう。処分権は国鉄総裁にあるんだ、政府といえども関与すべきではないんだと言っておるわけですよ。それを与党の幹事長が処分内容まで指示するというのは越権行為じゃないかと私は思うんですね。これでは残念ながら労使関係の正常化は期し得られないのではないか。 〔住委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 いまの状態は、むしろ政府や与党の方が圧力をかけて混乱をさしておるという感じですよ。これは労働者がそう思っておるんですよ。全逓の場合の処分でもそうですけれども、解雇免職が九名でしょう。停職が百六十四、減給が千七百二十二、戒告が二万四千五百九十一、そうして訓告を含めて十六万九千四百六人の処分を出しておる。そうして国鉄では損害賠償二百二億円を請求している。どう考えましても、これはいままで築いてきた労使関係がここで全く逆転をして総崩れになったという感じです。 きょうも国鉄再建についていろいろ御議論がありました。私は、国鉄の今日の赤字あるいは窮迫した経営というものは、長い間の累績がこういうことになったと思うのです。それは、何をいっても満州事変以来、戦中戦後、昭和三十年くらいまでほとんど投資をしなかった。それは明治、大正の遺産を食いつぶしたわけですよ。そしてほとんど投資をしていない。要するに自動車時代に対して対応ができない。貨物はがた落ち。ですから、よその国がもうすでに第二次世界大戦中にやっておるコンテナなんかでも全部やってないわけでしょう。 そういう問題もあるのですが、この間テレビで高木国鉄総裁が労使関係の問題に触れて、とにかく戦後満州やあるいは朝鮮やその他からずいぶんかつての鉄道の職員が帰ってきた、それを全部引き受けた、そして六十万以上の職員を抱えるようになった、それがいま四十三万だ、毎たび合理化というとすぐ首切りの話をしなければならぬ、やはりこれでは暗い職場になりますよということを新総裁みずから言っておるわけです。何か話し合いをしてやろうと思えばすぐ首切りの話が出るということを言っていますが、私はやはりいまの国鉄というのは異常な状態であると思います。それは何もいまの労働者だけでなくて、あらゆる政策が今日全部集中している。 そういう中でも、国鉄の諸君はいま何とか再建しようという意欲を持っているわけですよ。そして、いろいろ非難もあったけれども、再建案というものを一応下部討議に落としておる。ですから、そういう状態のときに、労働大臣としては労働者に協力を求める方法としてどういうことを具体的に考えておられるか、お聞かせ願いたい。
○長谷川国務大臣 お話の中にあった問題の中に、法律によって禁止された違法争議行為というものが行われた場合に関係当局が懲戒処分等を行ったこと、これを御非難されているようですが、当然なことであり、やむを得ないことじゃなかろうかと思います。いずれにいたしましても、三公社五現業の労働基本権問題を解決するための前提は、昨年十二月一日の政府基本方針で述べられているように、関係組合も法を守るということを確認することだと考えております。 なお、国鉄の具体的な問題につきましては私も深憂している一人でありまして、再建の問題についても多少苦労しながら、いろいろな面において苦心をしているところです。
○多賀谷委員 ドライヤー勧告以来、公共の事業で全然ストライキを禁止してはいかないとは言わないけれども、本来ならば、職場の労働条件を改善するために、みずからの生活条件を改善するために、そういう団体行動はあり得るんだ、だから処分についても十分慎重にやりなさいと書いてあるのです。これは一貫しているのですよ。あなたのように、あるいは政府のように、形式的に、法律違反をしておるから、それはけしからぬ、そういうように書いてないのですよ。本来ならば争議権というものは許すべきなんだけれども、いろいろな公共事業の関係で制約をしておる、だからひとつ処分については十分配慮しなさいよと書いてあるのですよ。本来ならば、生活を守るときに争議権というものは許されていいんだけれども、公共事業の場合には制約することはあるが、しかし処分は十分考慮してやりなさいよ、報酬上永続的に不利益になるようなことはしてはいけませんよと言っているんですよ。それをあなた方は形式論の一番水際で、法律違反しているから処分するのはあたりまえだ。そんなことを聞いているんじゃないですよ。それは弾力的に運用をしなさいと言っているわけだ。
○長谷川国務大臣 まあ、処分については、各当局は従来から事案の内容に応じまして公正に行うように努めてきており、違反の程度の軽微なものについてはあえて懲戒処分を行わず、訓告等にとどめることも行われているところであります。
○多賀谷委員 後から少し言われましたが、私は、現実の処分としては非常に過酷だと思っているのです。ただ形式的に、法違反しておるから処分をしますよということだけでは、政府として労働問題の扱い方としては非常に不親切であり、適正でないと思うのです。ぼくらが質問するといつでも、きょうも総理が本会議で言っていましたが、法律があるのだからそれに違反した者は処分するのがあたりまえだ、こう言っております。そういうような状態でありませんよと何回だって勧告しておる。勧告のたびにそのことは書いてある。ひとつそれは十分配慮してもらいたいと思いますね。 そこで、だんだん時間もなくなってまいりましたけれども、先ほど最初の答弁に、今後公共企業体関係閣僚協議会を設けて、学識経験のある者の参集を求めてその意見を徴することにしておる、こういうお話でありましたが、私は、一体いつまでこの繰り返しをされるのかと思うのです。とにかく、佐藤喜一郎さんを会長とした、法律に基づく最も権威ある臨時行政調査会でも意見書が出ているのですよ。これが労働基本権にも触れているし、経営形態にも触れている。それから公制審も八年間かかったでしょう。それから専門懇も一年半かかった。結局結論がはっきりしないのは政府の態度がはっきりしないからです、率直に言うと。ですから、政府がこの方針で行きたい、あるいは方向性を示す、それによって各界の意見を聞いて作業したいと言うならできるのですよ。ところが、政府はさっぱりその方向性を示さぬわけですよ。ですから何回会合をしても意見が出ない。ばらばらの意見が出る。仕方がないから事務局で草案を出して、これはどうですかなんていうことになる。私は政府の責任で、もう大体わかっているのですから、ある方向性を出すということが一番早期に結論を出すゆえんじゃないかと思うのです。りっぱな学者先生を集めましても、大体政府は何を考えておるのだろうか、どうしてくれと言っているのだろうか、これがわからなければだれも答案は書けませんよ。それは本当に書けないですよ。だから、政府はある程度の方向性を示して、基本権についてはこういう方向で行きたいということを示せば、それは学者ですから答案を書きますよ。その方向を全然示さないで白紙で行っているところに、今日まで、昭和三十三年から数えましても十八年もかかっておるでしょう。そしてまた屋上屋を重ねて、結局労働組合は何と言っているかというと、これは引き延ばしだと言っている。それについてはどういうようにお考えですか。
○長谷川国務大臣 まあ、いろいろ御議論もあるでしょうけれども、私たちといたしますと、昨年の十二月一日に閣議決定した方針、とにかくできるだけ早急に結論をまとめて行政上の改革及び法案の国会提出を行う、こういうふうな方針でやります。
○多賀谷委員 そこで、何をいいましても一番苦労をしておるのは労働組合とそれから当局です。労働組合は公労法十七条という制約のもとで闘争をするわけですから、非常に苦労をしてきた。それから当局の方も、予算の制約はあるし、それから労働組合を抱えて、そして経営は悪いし、本当に私は苦悩を続けたと思いますよ、当局も。これは労使とも苦労をしておるわけですよ。ですから私は、労使が本当に自分の企業の再建をどうするかということと一諸に、労働基本権についてはどうしたら一番いいだろう。それは野放しに基本権が与えられるとは思わぬですよ。ある程度の制約はあるだろう。しかし基本的にどういうようにするかというこの点を十分やはり話し合う必要があるんじゃないか。これが私は大前提じゃないかと思いますが、大臣、どういうようにお考えですか。
○長谷川国務大臣 三公社五現業のスト権問題についてはすでにお答えしたとおりでありますけれども、政府が決定すべき問題であり、労使両当事者の間で、交渉で決定すべき性質のものではないと思います。三公社五現業の労使が、労使関係の正常化の問題について真剣に話し合うことは結構なことであると考えています。この問題は関連する事項も多い問題であるので、その際、財政再建問題、労働基本権問題等についても触れられることがあるかもしれないが、いずれにしても、真の労使関係の正常化のために労使が話し合いを進めることは政府として望ましいことだ、こういうふうに私は考えております。
○多賀谷委員 もちろんこれは法律事項でありますし、それは最終的には政府並びに国会が決めることです。しかし、やはり第一の前提は、労使がとにかく一番苦労しておるわけですから、その労使がどう考えてきたか、その労使の意見の近づきは何かということをやはり一番重要に考えてもらいたい。そこで結局、この苦悩の中から出された労使の意見というものを政府としてはひとつ十分尊重してもらいたいと思いますが、政府としてどういうようにお考えですか。
○長谷川国務大臣 政府が今後スト権問題の検討を進めるに当たっては、何回も申し上げますけれども、昨年十二月五日の本委員会において、総理も労働組合側の意見を十分に聞きたいと思っていると述べられているところでありますし、労使当事者の意見も十分聴取することは当然であると考えております。 ————◇—————
○竹内(黎)委員長代理 賃金の支払の確保等に関する法律案を議題とし、質疑を続けます。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 私は、主として社内預金、退職金について触れてみたいと思います。 まず最初の社内預金ですけれども、社内預金について、山陽特殊鋼の事件がありましてから、労働省はいわば管理貯金に対するある程度の規制の通達を出した。そして今度それを第三条の本文の中に入れてきたわけです。そこで、時間の関係もありますが、そのいわば保証、保全処置ですね、保全処置は具体的にどういうものとどういうものとどういうものがあって、従来は、現状はこれらのおのおのの処置はどのぐらいの率を示しておるのか、それをひとつお聞かせ願いたい。
○藤繩政府委員 社内預金の保全措置につきましては、いまお述べになりましたように、四十年の山陽特殊鋼の倒産を契機といたしまして、当時労働基準法施行規則を改正をいたしまして、労使協定において預金の保全の方法を定めるということを義務づけたわけであります。その預金の保全の方法の中身につきましては、これは通達で指導をしてまいりました。 その内容は、金融機関による保証あるいは質権の設定あるいは預金者を受益者とする信託契約のいずれかによる方法か、あるいはその三つの方法か、あるいは労働者の代表の参加する預金保全機関の設置ということでやってまいりました。それは大体五〇%についてそういう措置を講ずべきであるというのが行政指導の内容でございました。 今度の法律ではそれを全額にいたしまして、そしてその中身につきましても、金融機関による保証その他労働省令で定める内容による保全措置を講じなければならないということで、そのものを義務づけたわけでございます。したがいまして、省令の中身は、今度審議会の意見を聞いて決めるわけですが、現行のような保全措置を、それも全部全額について今度は法律上の義務として義務づけるということをいたしたいと思っているわけでございます。 なお、各種保全措置の実施状況でございますが、金融機関による保証が大体昭和五十年の統計で一三・二%、質権の設定が九・四%、預金者を受益者とする信託契約が一二・七%でございます。したがいまして、残り六四%は保全機関でございます。保全機関は労働者が参加しているわけでございますが、支払い準備金制度をつくっているものが三一・六%、特別会計制度をつくっているものが三〇・六%、それを併用しているものがごく一部でございます。大体そんな分布になっております。
○多賀谷委員 金融機関による保証方式ですね、質権設定方式あるいは信託契約の方式、これは大体債権が確保されると私は思います。問題はやはり労働者の参加する保全機関ですよ。日本の組合は全く企業に忠実な組合でして、驚くべく忠実な組合ですよ。ですから、米びつといいますと、いわば担保もないのですね。そういう状態でも、結局米びつが空になっておっても空になっておると言わないですね。やはりこういうときは企業を存続するということが第一ですからね。ですからこの保全機関による方式というのは非常に危ないんじゃないか。これは実際問題として破産したとき取れるのですか。現実問題としてこれは本当の担保になるのですか。
○藤繩政府委員 確かに前三者の方式は完璧なものでございまして、労働者の代表参加の方式はいわば次善の策だと思いますけれども、しかしながら、労働組合の代表が参加しておる制度でございますから、私どもはやはりそこに信頼を置くべきものだと思っております。過去の大きな事件につきましても、たとえば山陽特殊鋼の例でも、時間はかかりましたが結局支払われておりますし、今度起こりました興人につきましても実はこの保全機関でやっておりました。しかしながら、御承知のように非常に労使関係がよろしいことで、結局、管財人のもとにいまございますけれども、給与、それから社内預金も計画的に支払われている。やはりこういう形も一つの行き方ではなかろうかというふうに私は思うわけでございます。
○多賀谷委員 私は、保全機関を設けることが悪いと言っていませんよ。これは担保にならないということを言っておるのですよ。例を挙げましょう。ある企業が退職金を借りてきたわけです、よそから。これは政府機関から借りておる。借りるためには、退職金を支払ったという個人の署名がなければ貸さないのです。それを全部署名をとっちゃった。そして借りてきたその金は再建資金に使っちゃったのです。いいですか、自分の退職金をもらっていもせぬで、もろうたという判をつくぐらいの組合もあるのですよ。それを組合で決定して、みんなに判をつかせたわけです。金融機関に行きますと——合理化事業団ですよ、整備資金を貸したのは。石炭合理化事業団に行きますと、ちゃんともらいましたという判がいっておるのですよ、書類が。ところが全然もらっていないのですよ。やはりこれほど問題があるのです。ですから、私はそのことをいま言っておるわけじゃないのですが、この保全機関ということで、労働者の代表が参加しておるじゃないかということではどうも担保ができていないのじゃないか、こういうように思います。 それから、この社内預金というのは退職金が多いのですよ。どういうことかと言いますと、退職をする場合に退職金がないのですよ。通い通帳だけやるのですよ、通い通帳だけ。ことに私の場合は石炭に関係しましたから、財閥会社ですからみんな信用しておるわけです。そして退職金を全然もらっていないのです。通い通帳をもらっておるわけです。ですから膨大な社内預金が問題になった。それは三井鉱山を初めとして問題になった。そこで結局払えないという状態が起こって、いま社内預金は政府機関から肩がわりしてもらったのですよ、債務を。まあこれは石炭という特殊事情があった。ですから私は、この保全機関というので、ただ労働組合が参加しておるということだけでは担保にならないのじゃないか、これが一つ。 それからもう一つは、最近、要するに三月三十一日よりも後に短期に預金をした者です。これの救済ができないじゃないかということです。私は、その退職金が社内預金というのはおかしいじゃないか、こういうことなんですけれども、これは企業が、第二会社をつくったときにその退職金を払う。その退職金を、もとの企業に資金がありませんから管理貯金にしておるという場合が非常に多いのです。そういう場合がきわめて多いのですよ。そうすると、現在は当該企業にはいないけれども、管理貯金だけは前の退職金を管理貯金として預け入れているという、この例がきわめて多いのです。ですから、現在従業員でおる人だけの管理貯金じゃなくて、退職者の管理貯金が非常に多い。現実、大きいところを言いましても、たとえば新日鉄でも退職者は皆管理貯金に預けておるのですよ、利子が高いから。現実はそうですよ。そうすると会社としては社債を発行するよりも、九分の利子でも安いのですよ。ですから、退職者の預金は強制はしませんけれども、ほとんど管理貯金になっている。社内預金というものが、現在の従業員の社内預金ではないのです、ほとんど一番大きい額は。調べてごらんなさい。そういうところにやはり問題があるのです。幸いにして余りつまずきがなかった。あったのは石炭です。しかし、石炭は何か補てんをする方法をいたしましたので、十分ではありませんでしたけれども、いま問題がないとしても、非常な大きな問題だということが一つ。 時間もありませんからついでに言っておきますが、大正炭鉱という炭鉱があります。いまだに退職金が払われていないのです。一八%しかもらっていないのです。山がつぶれたのは昭和三十九年。こういう例があります。それからまた、私が実際扱った例で、千九百万円退職金があったけれども、もらった金が七十五万円というのがありました。二百人の従業員で。 ですから、社内預金並びに退職金の確保というものはどうするか。ことにいま、先ほどお話のあった賃金の未払いというのはほとんど少ないのですよ、現実問題としては。いま賃金を払わないで労働者が来ますか。賃金だけ、定期給与だけは払うのですよ、それはもう倒産する寸前まで。問題はほとんどが退職金なんですよ。ですからこの退職金の確保をどうしてするのか。というのは、三条から五条に来ますと、五条はなお義務じゃないでしょう。これは措置の努力義務ですね。「講ずるように努めなければならない。」と書いてある。ですから、一番やはり問題が起こるのは、ぼくは現実問題としては退職金じゃないか、こういうように思います。 それから、ついでですから言っておきますが、賃金未払いは現実に起こらないけれども、労働組合が労金から借りて、会社のかわりに賃金を払っておるのですよ。現実はそうなんです。それだけ労働組合は協力するわけですよ。会社は、ひとつ労金から金を借りてくれと言うのです、組合に。そこで組合は労金から金を借りて、そして賃金を払っている。要するに労金から労働組合が借りて、その金を会社に貸して、会社が払っておるわけです。ですから、労働者と会社との間には賃金未払い問題は起こっていないのですよ。問題は、会社が倒産しても、これは一般債権ですよ、担保も何もない。借りておるのは組合が借りておるのですから。こういうのは枚挙にいとまがないですよ。いま労金を調べてごらんなさい。こういうものを一体どういうふうに救済するのか。 まあ、悩みは尽きぬわけですけれども、現実がこういう状態であるということをひとつ御理解を願って、時間がありませんからこれで終わりたいと思いますが、後から法務省にちょっと一言だけ聞いておきたいと思います。
○藤繩政府委員 社内預金につきまして、こういう案では担保にならぬという御指摘でございます。いまいろいろ実例もお挙げになりましたが、特に石炭産業のああいう状態の中で起こりました社内預金、退職金の問題、御指摘ありましたが、元来、先生御承知のように、社内預金というものは労働基準法ではちっとも奨励されていないわけでありまして、いわゆる労働契約に付随して行われる強制預金というものは禁止をされておる。しかし一定の条件の中で、いわば消極的にこれは許される、こういう形をとっておるわけでございまして、そういう中で行われているということでございます。 そこで、さっきお話しの退職手当を社内預金にというお話、私どもも非常に首をかしげたくなるのでございまして、退職時はあるいは社内預金であったかもしれませんが、退職された後においては果たして適法な存在を主張し得るものかどうか。いわゆる出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律というものから照らしても、私は問題があるのではないかというふうに感じましたけれども、しかし、そういう法律問題はさておいて、実情はそういうことだというお話であろうというふうに思うわけでございます。 それから退職金の保全につきましても、私どもはもとよりこれは強制的な保全措置が講ぜられれば最もいいというふうに思いますけれども、またしかし一方においては、中小企業の現状等から見まして、これを今日の段階で強制的な規制ということになれば一種の過剰防衛にもなるというような御意見も審議会等でございまして、一応行政指導の枠内で社内預金に準じた保全措置というものを進めるべきではないかということで、今日このようにいたしたわけでございます。いずれにしましても、社内預金、退職金にはいろいろ問題がございますが、今度私どもとしてはこういったもので従来に増してその保護を進めたい、こういう気持ちで提案をいたしておる点を御了解いただきたいと思います。
○多賀谷委員 ですから私は、管理貯金は届け出制でなくて許可制にした方がいいと思うのですよ。届け出制でしょう。ですから、あれだけ問題があるのは一定の基準を設けて許可制にすべきだ。現実にこんなところでも管理貯金をやっておるのかなというところがありますよ。もし何か企業が悪くなったときに、これは本当に取れるのかなというところがありますよ。とにかく金庫は空っぽになっているのですからね。ですから、少なくとも社内預金の問題はむしろ厳格に扱う方が妥当ではないか、私はこういうように思います。 それから、退職金の問題は、退職時の期限を期して払うというようにして、根抵当か何かをやって確保してやる必要があるんじゃないか、こういうように思うのです。ただこういうことでは、実際問題としてとても確保できないんじゃないか、私はかように思います。ですからそういう方法もひとつ考えてもらいたい。 それから法務省、きょうは実は会社更生法との関係でいろいろお聞きしたがったのですけれども、時間がありませんから、先ほどからちょっとありました賃金債権の先取特権の順位の問題を総合的に検討してもらいたいと思いますが、そういう問題についていま研究を進めておられるでしょうか。
○千種説明員 いま研究しておるかという点でございますが、この点はいろいろ議論がございまして、その問題に限った検討はいまいたしておりません。と申しますのは、先取特権の順位という問題はいろいろ意味がございまして、先取特権の中での順位という問題と他の担保物件との優先順位という問題がございます。前者の場合はわりあいに議論しやすいのでございますが、後者の場合は抵当権、これは登記によりまして金額、内容がわかっております。こういう関係がございまして、登記のない先取特権を優先させるべきか否かということにつきましては、いろいろな反対議論がございます。そういう観点から申しますと、これを議論すると言いましてもかなりいろいろな問題があると考えております。
○多賀谷委員 問題はあるでしょうけれども、全体的な問題としてもう少し、賃金の確保について、あるいは労働者債権の確保について検討を進めてもらいたい。このことをお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○竹内(黎)委員長代理 次に、寺前巖君。
○寺前委員 繰り返しになるかと思いますが、要領よく聞きたいと思いますので、要領よくお答えをいただきたいというふうに思います。 〔竹内(黎)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕 第一番目、第七条で、せっかくの未払い賃金の立てかえ払いの制度が、倒産した事業であること、そこの退職した労働者であることが要件とされている。ところが現実は、擬装倒産であるとか、解雇、退職をめぐって紛争中であるという問題が幾多出てきます。また現実によく問題になっているのはこの分野における問題がかなり意味を持っています。そういうことを考えた場合に、この第七条で果たしていいのかどうか、私は率直に疑問に思いますので、その点についての解明をいただきたいと思います。
○藤繩政府委員 この制度は画期的な、いままで非常にむずかしいと言われておりましたものを、その困難を克服して創設いたしたものでございますが、その指摘されております困難の中には乱用ということが非常に言われるわけでございます。そこで私どもとしては、とりあえず緊急性の高い退職労働者に限りまして、いわゆる経営不振その他の事由による不払いというような場合には、これは立てかえ払いというようなことでなくて、規制を強化することによって措置をしたい、こういうことで退職者に限っておるわけでございます。 しかしながら、いま先生が御指摘になりましたような、解雇の有効性について争っている労働者というような場合でございますが、これは先ほどもお答えをいたしましたように、使用者の解雇の意思表示がなされているということがはっきりしております場合には、これは一応退職労働者というものに準じて、私どもとしては雇用保険その他の例に見習った実効ある措置を工夫してみたいというふうに思っているわけでございます。ただ、解雇が無効だということで復職されるというようなことになれば、これは立てかえ払い金は返していただくということになることは当然でございます。 それから、生産管理のような状態の場合でございますけれども、これも、生産は事業主の責任で行われるべきものでございますから、仮に労働者が生産管理をしておるという形がありましても、やはり倒産という、この法律で考えております概念に該当する場合には、これはやはり退職労働者としてこの措置の対象に加えていくということは当然でございます。
○寺前委員 第二の質問をやります。 重層の下請が多いのは建設業ですが、五十年の四月から九月の業種別賃金の不払いの実情を見ますと、総件数で六千八百九十八件あります。ところで、建設業はそのうち二千三百八十六件、三分の一余りを占めています。それだけに、この建設業分野におけるところの不払い問題というのは従来から大きな位置を占めています。建設業法によって元請事業主による立てかえ払い制度がそこから行われておったこともまた事実であります。今度のこの法律によって、本来元請事業主の責任で処理されてきたところの制度が肩がわりされてしまって後退するということにならないのかどうか、それを第一点に聞きたいと思います。 第二点に、夜逃げなどの姿の段階の場合に、形式にこだわらず立てかえ払いをするというようなことを考えておられるのかどうか。この二点について、建設業関係では従来から処理しておった経過もありますから、念のために聞きたいと思います。
○藤繩政府委員 建設業における賃金不払いにつきましては、先ほどもお答えしましたように、従来、労働基準監督機関といたしましては、通常の監督指導によりますほかに、いま御指摘の建設業法の立てかえ払い勧告制度の活用その他、通報制度とかいろいろなものを活用いたしまして解決を図ってまいりました。今般この法律によって立替払事業が実施されるというのは、いままでの諸般の施策にさらに上乗せをしまして、従来の手段では解決できなかったものを解決しようということでございまして、これができたからといって従来の諸般の政策が後退するというようなことは絶対に考えられない。むしろ民事的、刑事的に規制も強化しておりますこの際に、厳正な労働基準監督機関としての監督指導はさらに行ってまいりたいと思いますし、それから建設業法に基づく立てかえ払い勧告制度の運用等も、従来にも増して建設省とも連絡をとりながらこれを推進していきたいというふうに思うわけでございます。 それから、行方不明になったような零細な下請の建設業における不払いの問題、これはどうなるかということでございますが、これも従来から監督機関としては非常に苦労をして、元請に払わせるとか、あるいはその零細な事業主を追いかけてつかまえてこれを払わせるとか、いろんな努力をいたしてまいりました。こういうケースをどうするかということにつきましては、今後関係審議会にもお諮りをした上で方針を決めていきたいと思いますけれども、事業主が行方不明になった場合で、事業の今後の継続性の可否などから判断して、どうも事実上これは破産状態にある、そして事業主に支払い能力がないということが明らかであれば、これはやはり立てかえ払いの対象にすべきものであろうというふうに思うわけであります。
○寺前委員 第三の問題、限度額の問題です。この法律を受けた労働省令により、立てかえ払いの限度額については平均賃金の八〇%として、当面三十一万二千円となるとされております。これは毎勤統計の四十九年十月から五十年九月までの十二カ月の平均の、それに一〇%の賃上げを見込んで計算されているというふうに言われております。しかも、平均賃金は規模五人以上の決まって支給する給与ということになっております。 五十年十二月の毎勤統計を見ますと、五百人規模以上は十五万四百三十四円、五人から二十九人規模は十一万三千四百八十五円と、非常に大きな格差が規模の労働者によって生まれております。賃金の八〇%を立てかえるとすると、この三十一万二千円は全体の労働者の五〇%までの人の姿であって、残りの五〇%は事実上八〇%水準にいかないという事態が生まれます。 他の社会保障の制度の場合だったら最低生活の保障給という形で物を見ますけれども、賃金の立てかえ払いというのは少し性格が違うと思うのです。それは労働者が従来の賃金を確保するんだという立場の、生活の問題ですから、したがって、平均でもって位置づけるということではだめなんじゃないだろうか。もっと高い人には高いなりのものを支払うということをやるべきではないか。そういうふうに考えた場合に、まあこれは少し社会保険とは違うといっても、社会保険の上限を見ても今度の法改正の中で三十二万というのが毎月の上限として限度で、そこから保険料を取るというふうに位置づけているわけであって、個々の平均値で、十一万何ぼを平均として八割支給の云々という形にはなっていないというふうに考えてみると、これは立てかえ払いの限度額というのはもっと実態に合うように、高い水準まで支払うことができるようにすべきではないだろうか。限度額の引き上げというのが必要じゃないかというふうに思うのですが、その点はいかがなのでしょうか。
○水谷政府委員 先生御指摘のとおりになっておるわけでございまして、この制度をつくる際に、何分新しい制度でございますから、どの程度まで立てかえ払いをするかということについていろいろ検討をいたしたわけでございます。ただ、いろいろ問題の多い制度でもございますので、やはり最初はある程度の上限を設けるべきではないかというようなことで、その上限をどの辺に線を引くかということについてもいろいろ検討をいたしたわけでございます。まあいろんな議論がございまして、結局のところは、やはり十万円で切るとかあるいは十五万円とかいろいろございますけれども、そういうことよりも、将来のことを考えますとある程度将来に向かって一種の発展性があるといいますか、変動する理由づけのつけやすいといいますか、そんなようなことも考えまして、毎月勤労統計の一応平均値をとるということにいたしたわけでございます。 それから、そのとった月につきましては先ほど先生御指摘のとおりでございますが、政府の予算編成時期との関係もございまして、毎年年末に予算編成いたしますので、その直近の時期以前一年間の毎月勤労統計の数字をとって計算いたしたというものでございます。
○寺前委員 だから、この限度額をこれでいいんだろうか、実態の立てかえ払いから見たときに。それは低い人は従来の関連から見てこれで大体よろしいということになるかしらない。しかし、高いところの人だったら、それで生活をしておる人が立てかえ払いをしてもらうときにこの限度額で果たしていいのかどうか。私は、改めて限度額については速やかに検討するという措置をとるべきではないかと思うのですが、その点について改めて聞きたいというのが一つと、次にもう一つ言います。 第四番目の問題として、労働債権の優先順位を高めよという問題については各方面でも言われている内容であります。それを法制化して、しっかりと労働債権の確保を確立するようにする必要があるのではないか。この問題についてはどういう見解を持っておられるのか、この点もあわせて聞きたいと思います。
○藤繩政府委員 立てかえ払いの制度の限界の問題についての御指摘でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、今度のこの法律案は立てかえ払いが一つの柱ではございますが、しかし、賃金債権の確保という点では立てかえ払いだけではなくて、まずもって事業主の責任でございますから、労働基準法を改正いたしまして労働条件の明示も行いますし、それから罰則も強化して、二十四条違反は従来の五千円の罰則を十万円にいたしまして強くこれを規制していくということ、それからまた民事的な、六条にございますが、遅延利息の制度というようなものも創設いたしまして、そういうことでいろんな手段でこれを実現しようということでございます。 そこで、いままで非常にむずかしかったこの立てかえ払い、しかも保険システムによって実施していく立てかえ払いといたしましては、目いっぱいこの債権を全部見るということもなかなか実際問題としてできない。やはり一応の限度を設けるべきではないかというような考え方でこういう線を出したわけでございますけれども、何せ初めての制度でございます。今後これをいかに実際に適応したものにするかということは、これは検討を加えなければならないというふうに思います。また来年度以降予算編成もございます。これからの審議会の検討もございます。今回はとにかく発足の当初でございますから、これらについては全般的にいろんな角度から検討を加えてまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。 それから、労働債権の確保の問題でございますが、これはやはり従来からたびたび議論をされまして、立てかえ払いと並びまして非常に重要な懸案でございます。しかし、ただいまも法務省からお答えがございましたように、なかなか法理論的にも問題がある、学者の中にもいろいろ意見もあるということでございます。しかし、労働省といたしましてはこの問題は決して捨てることができない。やはり私どもとしては十分な研究を今後も進めていきたいというふうな考えを特っておりますので、今後の勉強にひとつ精を出していきたいというふうに思うわけでございます。
○寺前委員 第五番目に、この制度の財源ですが、労災保険に依存をしております。これは審議会でも問題になった点です。これは制度論の基本にかかわる問題ですから大臣にお答えをいただきたいと思うのですが、確かに、お金を出すのは資本家であるという点では、労災保険と同じところから、同じ人から金は出るかもしれません。だけれども、制度の基本においてはやはり違うものではないだろうか。これは各方面の意見の中では、きわめて制度論としては異例のことだというふうに言われている内容です。この問題について、制度発足はとりあえずこうしたとしても、将来検討するつもりなのかどうか、この点についてお聞きをしたいと思います。
○長谷川国務大臣 先ほどからほかの先生方からも御意見がありましたが、こういう緊急避難的に発足をした苦衷もお察しいただき、五十二年度に全部やるというものを五十一年度で手をつけたということ、そしてこういう機会であるからこの制度でやったのですが、この模様を見ながら、現下の雇用情勢を見ながら、しかもなおかつ未払い賃金立替払事業のあり方についても今後その実績を見つつ、かつ労災保険制度のたてまえとも関連して検討してまいりたいつもりであります。
○寺前委員 先ほど総評の人がお見えになりました。聞きますと、労働省の関係者との間にもいろいろお話をなさったようであります。幾つかの問題が出されておりましたので、私はきょう聞いた話の幾つかを聞いてみたいと思います。 その一つは、経過措置として五十年四月にさかのぼりてこの法律の執行を考えられないかという問題を提起しておられます。 二番目は、元請、親企業の連帯責任については、支払い勧告の明確化を入れるようにすべきではないか、これが二番目の御指摘です。 第三番目の御指摘は、退職金の保全措置として、最低限社内預金並み、そういう方向で保全措置を考えることはできないのか。 第四番目に、不服審査の申し立ての制度化について。 その他幾つかございましたけれども、私が気づきました四点について提起しておられる問題についてどのような見解をお持ちになるのか、お話を聞かしていただきたいと思います。
○藤繩政府委員 この制度をできるだけ早く、現在の不況の実態にもかんがみまして施行すべきだという御議論、これは私ども当然だと思うわけでございます。そこで、ただいまも、昨日来も制度の本質論が出ておりまして、労災保険でやるのはいかにもおかしいという御議論もあります。私どもよくわかりますけれども、しかしながら、筋を通してやるということになればなかなかまだいろいろな制度論があって、また先に行くということもございますから、やはり、きのうもお答えいたしましたように、むしろこの際は拙速を選ぶというような意味から、労災保険ということで割り切ったようなことでございます。そこで、私どももできるだけ早くこれは実施するという点については思いを同じくするものであります。ただ問題は、新しい、しかも保険システムによる制度でございますので、施行の日から以前にさかのぼってこの制度を運用するということは、これは私どもとしてはできない。できるだけ施行期日を考えるというようなことはやってみなければならぬと思いますけれども、遡及をするということはいかがかというふうに思うわけでございます。 それから、元請、下請、あるいは親会社、子会社の関係の場合の支払い勧告の問題でございますが、これも先ほど来御議論がありました。現に建設業法四十一条にはそういう制度もあることでございます。また私どももそれを活用してかねてからやってまいっているわけでございます。したがいまして、私どももこの制度をつくります場合に関係審議会等においても非常に議論をしたところでありますが、諸般の法律論、先ほどもお答えしましたようないろいろな問題点というものがありまして、今回は実現を見るに至らなかった。今後なお研究をしてみなければならぬ点であろうとは思いますけれども、建設業以外の領域にまでそれを及ぼすということは、現段階では適当ではないというふうに思っておるわけでございます。 それから、退職金保全の措置の義務化の問題でございますけれども、これも先ほどお話がございました。退職金を保全するという点にのみ着目をして論ずれば、それが望ましいということになるわけでございますけれども、しかしながら一方において、そういう制度を強制するということは、結局退職手当に充てるべき資金の保全を画一的に義務づけるということによって高額の資金を永続的に固定させることになりまして、企業における資金の流動性を損なうというような結果になり、経済活動にも支障を来すというようなことにもなりかねない。また、あるべき姿といたしましても、退職金につきましては、今後はむしろ中小企業退職金共済制度あるいは税制上の適格年金制度、そういうようなものに進むことが本命ではないかというような気がいたしておるわけでございまして、私どもとしては、現段階ではこの程度の措置にとどまらざるを得ないのではないかというふうに思っておるわけでございます。 不服審査の点につきましては、これも先ほど御議論がありました。特にこの大部分を占めると予定されます中小企業の事実上の倒産の認定につきまして、労働者から確認の申請があればこれは労働基準監督署長が諸般の事情を考慮して行うわけでございますが、これは一種の行政処分と考えられますので、それに不服があります場合には、行政不服審査法の体系による不服申し立ての制度が開かれておりますので、現段階ではその制度によるのが妥当かというふうに思うわけでございます。
○寺前委員 最後にお聞きをしたいと思います。これだけの新しい事業をやるに当たって、職員の体制は一体どうされるつもりなのか。
○藤繩政府委員 今度の制度、なかんずく立てかえ払いの制度はいわば全く新しい新制度でございます。したがいまして、これを運用するに当たりましてはいろいろな準備も要りますし、また実際に問題が出てきます場合に、これを適正に処理する必要があるわけですが、処理の体系といたしましては、私どもは、賃金不払いの確認につきましては労働基準監督署長が行う、しかしながら今度は立てかえ払いの額の決定、それから支給、そういうものにつきましては労働福祉事業団が金融機関等を使いましてこの処理をする、こういう体系を考えておりまして、労働福祉事業団には所要の増員も今回いたしたわけでございます。なお、労働基準監督署も、よくこの委員会でも御議論がありますように大変多忙をきわめております。今回地方で約百人ばかりの増員をしておりますけれども、しかし大変忙しい役所でございます。職員にも苦労をかけますけれども、しかし、事は非常に大切な不払いの問題でございますので、中央、地方を通じまして大いに努力をして、この新しい制度の円滑な施行に向かって進みたいというふうに思っておるわけでございます。
○寺前委員 せっかくの労働者の期待が、従来こういう法律がないときに、労働省自身の努力も、また労働者自身の努力もあって、一〇〇%かち取るということもかなりかち取れておったわけであります。ですから、この法律ができて立てかえ払いだということで、従来の水準が後退しないように積極的に、労働省も従来以上の力を発揮してもらうということを私は念のためにひとつ提起をしておきたいと思うのです。また、そのためには同時に職員の皆さん方が、監督署というところではいまでも人手がなくて、やらなければならないことがいっぱいこうあるのだ、そういう意味では、定数の問題について格段に検討するということがこういう分野の仕事をされるところについては重要ではないか。この二点を強く感じますので、大臣の所見を聞いて質問を終わりたいと思います。
○長谷川国務大臣 まあ、賃金は何といいましても勤労者の家庭の生活の原資でありますから、これは事業主が絶対責任を負うことがまず基本でございます。そしてまた、不幸な方々にこういう新しい制度を皆さんの御協賛を得て実行できた暁には、手の足りないところでありますけれども、勤労者の生活を守るために私たち労働省の者は一生懸命やらなければならぬ時代だと思っていますから、それは周知徹底させます。なおかつ、増員の問題等についても御同情ある御意見がありましたが、微力ではありますが懸命にそういうことについても努めてまいりたいと思っております。
○寺前委員 終わります。
○山下(徳)委員長代理 次に、岡本富夫君。
○岡本委員 私は、ただいま議題となっておりますところの法案について若干の質疑を行います。 最近の労働者の賃金不払い事件報告によると、七五年上半期中に監督機関の取り扱いの、約百六十八億円の賃金不払いのうち六三%が退職金で、定期給与はその半分である。この解決状況を総体的に見ますと、退職金の方が劣り、解決不能の額が八割は退職金である、こういうように出ておりますけれども、この退職金についても今度の不払いの中に確保はきちんとできるものかどうか、これをひとつもう一度念を押しておきたいと思います。
○長谷川国務大臣 賃金未払いのうち、退職手当の未払いにつきましては、その性格からして金額では大きな割合を占めておりますけれども、件数やら労働者数の割合はさほど大きなものではないと思っております。退職手当の保全措置について努力義務としましたのは、マクロ的に見れば少数の企業にしか生じない倒産に備えるために資金の確保を義務づけることは、資金の流動性に相当の影響力をもたらす結果、経済活動に支障を来すこと、また、中小企業退職金共済制度の支払いが確実に保障されている制度を利用することが本筋でありまして、保全措置はいわば第二義的なものであるという理由であります。 〔山下(徳)委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 退職手当については、当面の生活に必要と思われる定期給与の三カ月分については、定期給与とあわせて立てかえ払いの対象とするという考えであります。
○岡本委員 いまの御答弁を見ておりますと、そういうように定期給与と退職金、こういうものを別に考えるということは、労働基準法の賃金の不払い、その中に賃金とは退職金を含むというようにあるわけですが、そうするとこの賃金に差別ができているということになるわけですよね。したがって、私は、定期給与も退職金も同じ性格のものである、すなわち賃金の不払いということから見れば同じ性格のものである、だのに、いま大臣の答弁では、どうも退職金の方をおろそかにしているというように聞こえるわけですが、もう一度ひとつ。
○藤繩政府委員 賃金の労働基準法の概念といたしまして、いわゆる定期給与と退職金はひとしく賃金というふうに観念をいたします。たとえばその不払いであります労働基準法二十四条違反、二十三条違反というような場合には、これを同じように考えている、同じようにとらえているわけでございますが、しかし、それはいわばそれぞれの法律のとらえ方の問題でございまして、一般的に申しまして、定期給与と、それから臨時的なボーナスと、それから退職金と、それぞれ相当性格が違うということは、これは否めないところであろうと思うのでございます。何といいましても月々の給与というのが労働者にとっては一番緊急でありますから、これを中心に対策を立てなければならない。しかしながら、いま御指摘のとおり、それでは退職金は急場の必要という観点から見て何ら要らないものかというと、そんなことはございません。やはり最小限のものは非常に役に立つものでございますので、立てかえ払いの対象といたしましては、三ヵ月程度のものはこれを加えていく、こういうような割り切りをいたしたわけでございまして、この辺も関係審議会等でいろいろ御議論もありましたが、一応の結論としてかような線を出したわけでございます。
○岡本委員 そうしますと労働省としては、労働基準法のこの賃金の不払いということについて企業あるいはまた使用者側に示すときには、定期給与も退職金も同じ賃金だと、こういうようになっているわけですね。ところが、労働省が今度はこの立てかえ払いですか、これをやるときにはそういった差別をつける。どうも官尊民卑というように私は考えるわけですね。何かあなたの答弁を聞いていると、定期給与はもう絶対必要で、退職金は必要だけれどもまあ二次だと。 御承知のように、いま就職しようとしますとなかなか就職できないです。最近少し景気が上回ったというのは、これはほんの一部、実際に中小企業を見ますと、まだ少し整理しなければいかない、こういうときですから、これからどれくらい遊ばせねばならないかわからない。しかも、定期給与がありますればこれは何とかしてでも、不況で物価高というところで大変な生活ですけれども、その中で切り詰めながら一応の安心した生活ができるのですが、しかし今度はそこで退職金、要するに会社がつぶれたり何かしちゃって退職金が出ない、そうなるとこれは前途が不安ですね。私はこういう人にこそ本当の温かい、何と申しますか、安心した生活ができるような手を労働省としては打たなければならぬのではないか。したがって、退職金の保全措置についてもこれを義務化にする、こういうふうに、この法案をせっかくお出しいただいたのですからひとつこの際改正をしていただきたい。こういう用意、決意をひとつ。まあ今回はこれで、先ほどから与党の人からきょう上げてしまいたいと、こういう話ですからすぐというわけにはいかぬかもしれぬけれども、しかし次の機会にはこの状態を何とか改善していこうという、前向きの答弁をひとついただきたい。
○藤繩政府委員 退職金も労働基準法の扱いとしては賃金でございます。で、これがやはり非常に大切なものであることはもう申しあげるまでもございません。したがいまして、今度賃金不払いの罰則を五千円から十万円に引き上げまして、大変な規制強化を図ったわけでございますが、その場合に当然退職金もその対象になるわけでございます。しかしながら、立てかえ払いという新しい制度を、いろいろ御批判が出ましたような急場の保険システムの中で新しく実行に移そうというような場合に、やはり緊急やむを得ないところから次第に重点的にこれを取り上げるということもある程度やむを得ないことではなかろうかというふうに思うわけでございまして、そういう意味で定期給与をまず優先し、それから退職金といえども三カ月分相当のものはこれを立てかえ払いの対象にする、こういうふうにしたわけでございますし、それからまた保全措置につきましても、いろいろ関係審議会で御議論もありました。いま先生がおっしゃいましたような議論ももちろんありました。しかし、先ほど大臣からもお答えをいたしましたようなまたそれぞれの関係者からの意見もあるわけでございます。そこで今回はこういうことにいたしましたが、もとより今後私どももいろいろ研究を重ねまして、制度全体の改善については今後も努力を惜しまないということで進みたいと思います。
○岡本委員 緊急の措置だということでこれは了承しているのです。了承というよりも、できないけれども……。労働基準法には、定期給与もそれから退職金も同じ賃金ということでちゃんと法律で決められておるわけですからね。これを差別することはいけない。しかし、いま緊急のことでありますからまあ一応あれですが、では次の機会に、初めてやったわけですからこれをやってみて、そしてその退職金の保全措置も義務化していくという、そういう検討を前向きにしていくというひとつ約束をここでしておいていただきたい、こういうふうに私は思うのです。
○長谷川国務大臣 新制度はこうした経済不況のときに備えて発足させたわけでありますから、いろいろな問題について、この委員会で出た議論などを含めて研究してまいりたい、こう思っております。
○岡本委員 この制度をつくられるについては相当審議会でも意見が出たらしいし、労働省としても相当これは研究なさったと思うのです。したがって、この制度を実施して、そしてさらに退職金の保全措置についても義務化をするという、こういうことを前向きに検討するということをひとつ大臣にはっきりお約束をしていただきたい。研究してみますだけでは、研究してだめでしたではこれは話にならない。ちゃんと労働基準法に出ているわけですからね。そうでしょう。
○長谷川国務大臣 岡本さん、非常に御熱心なようでありますが、とにかく非常に御熱心に御議論されますが、先ほどからもこういう問題が全部出ておりますので、何さま新制度をつくりまして将来の問題にどういうものが出てくるか、いろいろな問題を含めて熱心に研究していきたい、こう思っております。
○岡本委員 何かこう変な話でごまかされたみたいになってしもうてね。大臣、慎重ですね。これは慎重審議ということになると、あしたもあさってもやらなければならぬようになりますよ。これは私は一つだけ、たくさん言わないのですからね。先ほどから何遍も言っておりますように、賃金の方は「保全措置を講じなければならない。」片一方の退職金の方は「努めなければならない。」この「努めなければならない。」というのも、「講ずるように努めなければならない。」という努力目標を、要するに保全措置を講ずるというように、次の機会には必ず前向きに検討して行うようにしますと、それぐらいあなたお答えしておいてもいいじゃないですか。時間がなくなってきますよ。
○長谷川国務大臣 それはバナナのたたき売りじゃあるまいし、すっとそう言うわけにもいきませんので、とにかく本当に研究いたします。
○岡本委員 本当に検討してもろうただけでは、これはちょっと……。まあとにかく、事務当局は、あなたの方はどうですか。これはそういうように前向きに検討するのはいかぬの。
○藤繩政府委員 大臣の述べられました御趣旨に沿って私ども努力をしたいと思います。ただ、大変慎重な答弁を繰り返しているじゃないかというおしかりでございますが、先ほどもお答えしましたように、審議会の中でもさんざんこれは議論がございまして、もとより先生御主張のような御議論もございます。しかしまた、対象が何せ非常に中小零細な企業に限られることでございますから、そういうところが多い事案でございますから、そういった方々からの慎重論もございました。いろいろな問題点がございます。そういうものを踏まえて今後なお研究を続けなければならない、こういう意味でございます。
○岡本委員 中小零細企業ですから特にそういったところにお勤めの皆さんは非常に不安ですよね。ですからこういった倒産したときに温かい手を講ずるというぐらいの、労災保険から出すわけですからね、義務化にしておくというぐらいにした方がこれは間違いない。どうもいろいろ慎重に検討して、慎重に検討して、こうおっしゃるけれども、これは慎重に検討した結果出されておると思うのですよ。いいかげんなあれじゃないと思うのですからね。そうすると、ではどこにぐあいの悪い隘路が出てきておるのか。逆に言いますとどこにぐあいが悪い点があるのか、これをひとつ。
○藤繩政府委員 立てかえ払いの対象にするということでは三カ月分を対象にするわけでございます。先生がいま御主張のところは、退職金の保全措置について義務化をする、訓示規定ではいけないという、第五条の問題を論じておられるというふうに思うわけでございます。これにつきましては、先ほど来お答えしておりますように、いろんな議論がございましたが、努力義務として規定をしました理由は、一つは、退職手当の支払いに充てるべき資金の確保を画一的に義務づけるということにしますと、企業全体から見れば、倒産という非常にごく一部に起こる危険のためにかなり高額の資金をすべての企業に永続的に固定させるということになりまして、こういう事案の起こる企業は非常に中小零細な、事業主も非常にひ弱なところでございます。そういうところにいわば過剰防衛を強いるというようなことになりまして、それだけの資金の流動性を損なう、経済活動に支障を来す、かえって不都合ではないか、こういう意見が一つございます。それから、本来の行き方といたしまして、中小企業退職金共済制度あるいは税制上認められております適格年金制度、そういうものによるところの退職金制度が設けられることが望ましい。企業を金縛りにしまして、そこでやっていくというやり方は第二義的なものではないか、こういうような議論もあったわけでございまして、それらのいろんな議論を踏まえまして一つの方向を打ち出すという意味で訓示規定にした、こういういきさつでございます。
○岡本委員 労働省の方でもこうして、中小企業退職金共済制度とか、こういうのはやはり推進しておるわけでしょう。なかなか進んでいませんわね。やはりちゃんと義務化しておけば、零細企業でもそこに勤めている人たちのことをちゃんと考えておかなければならぬというように、それにはこういう共済制度に入っておいたらいいのだというように、私は非常に意識的にもちゃんとしてくると思うのですよね、家内工業をやっている人は別としまして。したがって、私はそういった面からもやはりこれは次の機会に十分検討してそして法制化していくというようなことも考えていただきたい。こればかりやっておるとあれですから、まずこれを要請しておきます。 次に、これは五十年の三月二十六日、本委員会でわが党の大橋委員が、「その次に、倒産企業の未払い労働債権の立てかえ払い制度、これを確立していただきたい。」「これはその法律が制定された後に倒れたもののみを救済していくことになるのか、それとも現在インフレあるいは不況、物価高のために倒れていった企業のそうした方々までの救済に及ぶのか、この点についてお尋ねしたい」。それに対して長谷川さんという労働大臣ですね、いまいらっしゃるかどうか知りませんが、この方がお答えになっておるのは、「ただ民法の関係とかいろんな法律との調整あるいは整理などもいたさなければなりませんので、五十一年度から一部実施をする。その際に、先生のおっしゃったように、当然ならばそのときから法律は施行されるわけでございます。しかし、先生のおっしゃったのは、前のものも全部というふうなお話などもございますので、その辺が一体どういうふうになるかということもあわせ考えながら検討してまいりたい、」こういうお答えが出ておりますが、第七条の未払い賃金の立てかえ払い制度ができたわけですけれども、本年の十月一日以降に倒産した企業については適用されるが、それ以前については適用されないことになっておる。従来から、賃金不払いに対する救済制度を設けるように、こうして言ってきたわけですが、しかも深刻な不況で倒産する数多くの企業労働者を救済する必要があるが、五十一年の十月一日、その前の倒産した企業の退職者はどういうふうになるのか、これをひとつ明確にしておいていただきたい。
○藤繩政府委員 この制度はできるだけ早く施行したいと私ども思っておりますけれども、何せ新しい制度でございますので、これを実行に移すためにはたくさんの政省令あるいはいろいろな手続等を決めていかなければなりません。職員の教育もしていかなければなりません。ある程度の時間が必要でございます。そこで、成立をいたしますればできるだけ早くやってまいりますけれども、ある程度の期日の後に施行になる、こう思っておりますが、その施行前に倒産した企業に遡及して適用を及ぼすということにつきましては、これは事の性質上、新しい制度の誕生でございますから、これをさかのぼらせるということはできないというふうに私どもは思います。 ただ、たとえば十月一日なら十月一日に施行いたしますとしますと、それ以後に倒産した企業でございましても、その企業から解雇された、あるいはその企業を離職した労働者というのは倒産前六カ月の者を予定をいたしますから、場合によっては施行期日前の離職者に及ぶ。しかも、その離職者の立てかえ払いを受ける賃金は、さらに離職前六カ月の間の賃金について三カ月分を限度として立てかえ払いを受ける。こういうことでございますから、それぞれの労働者あるいはその未払い賃金というところに着目をいたしますれば、かなり施行日から逆にさかのぼってそういった適用が行われるということでございます。
○岡本委員 いま、この法律が今国会で成立するということを労働省も願っていらっしゃるし、われわれも努力しているわけですが、本年の十月一日ぐらいには大体施行されるのかどうか。努力をいたしておりますけれどもということですから、大体の目標をつけておるはずですね、これだけの法案を出してくるわけですから。どうですか、その点について。
○藤繩政府委員 先ほど申し上げましたようないろいろな準備がありますので、私どもとしては、事務的に考えますとその程度の余裕が欲しいというふうに考えておるところでございます。
○岡本委員 そうしますと、五十一年の十月一日に仮に施行された場合、それ以前に倒産した人たち、退職した人たちは全然遡及されない。五十一年十月一日に施行されて、その以後に倒れた人たち、失業者ですか、それは三カ月さかのぼって救済する、こういうことなんですか。そこのところをはっきりしてください。
○藤繩政府委員 倒産の場合、たとえば破産の宣告のような裁判手続きによります場合は、裁判所が破産の宣告をいたしますから期日はきわめて明確になるわけであります。それは破産の時点をさかのぼらせるということは事の性格上できないと思います。ただ、大部分を占めると予想されますところの中小企業の事実上の破産つまり基準監督署長が認定をするというこの破産、事実上の倒産、これにつきましては、その倒産の判断をいつの状況でやるかという問題がございます。それで、一応施行日以降の倒産ということで認定をされましても、先ほどお答えしましたように、今度は倒産の企業の労働者が問題になるわけです。その企業から離職しました労働者について未払い賃金があれば立てかえ払いをしようとするわけですから、その離職というのは、倒産の前から離職が起こるし、倒産の後も離職が起こるわけであります。その場合に、倒産の時点の前六カ月までさかのぼるということを考えておるわけでございます。 それから今度は、その離職した労働者の未払い賃金はいつまでの未払い賃金を立てかえ払いにするかということでございますが、これは離職前の六カ月の間の賃金、限度額は三カ月分ですけれども、起こった時点としては六カ月までさかのぼる。ですから、一番極端な例をとれば、未払い賃金そのものに着目すれば六カ月六カ月で一年近くさかのぼる、こういうことが考えられるわけでございます。そういうことで、できるだけ実情に合った処理をするということでございます。
○岡本委員 それでは次は、最近の企業倒産の状況、これを調査してみますと、これは東京商工リサーチですか、そこの表を見ますと、七四年において倒産企業中、負債一千万以上を抱えて倒産した企業だけでも十一万一千六百八十一件を超える。それ以外に不渡り一発で倒産する。零細企業はそうでありますが、非常に数が多くなっていると思うのです。裁判所の手続を経た破産宣告あるいはまた更生手続、あなたが先ほどおっしゃいましたそういうような裁判上の手続によってできたものは、これを見ますと、この十一万一千六百八十一件のうち五百七十九件にすぎない。しかもその数は負債総額一千万以上で倒産した企業の四・九%にすぎない。残りはすべて監督署長の確認によるわけですね。その監督署長の確認の数というのは膨大な数になっていくだろうと思うのですよ。そのときに、この倒産事実の確認が一番決め手になるわけですね。たとえば人が死んだときの死亡診断みたいなものでありますが、これは厳正にやらなければならない。しかし、現在の監督署の体制で果たして十分なのだろうか。労災認定を受けるにしましても相当長い間かかっておるんですね。長いのは一年も二年もかかっておる。ああでもない、こうでもない、行ってみたら机の引き出しにほうり込んであった、こういうような状態なんですね。果たしてその処理能力があるのかどうか。その処理能力がなければ、これはもうなかなか確認の処理ができない。こういうような体制をどういうふうになさるのか、これをひとつお聞きしたいと思います。
○藤繩政府委員 そういう事務手続が非常に大変だという問題もございますし、それから何よりも、実はこういう制度については乱用が伴いがちでございますから、乱用防止の見地からいっても法律上の手続による倒産に限るべきではないかという議論が非常にございました。現にフランスなどはそういうたてまえをとっているわけでございます。しかしながら、実際問題として、日本の場合、いま先生が強調されましたように、そういう倒産だけに限って制度をつくりましてもほとんど意味がない。九四、五%のものは事実上の倒産だということでございますから、私どもとしましては、大変困難であるということはわかっておりますけれども、しかしながら、やはりそういうものを行政官庁で認定をいたしましてこれを救っていくということがどうしても必要であろう。そのためには監督署長も大変苦労いたしますけれども、しかしながら、いろいろな人からの事情を聞くとか、立入検査をするとか、金融機関からの情報を得るとか、いろいろなことでこの事実の確認をしていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。 そこで、そうでなくとも労働基準監督署では人が足りない、忙しいじゃないか、一体やれるのかというお話でございます。私どももその点は大変危惧をいたしておりますが、今度の予算でも約百人の増員が実現をしたところでございますし、また、実務的にも監督署がやりますことはこの不払いの確認だけでございまして、あと立てかえ金の決定、支給、そういう事務は労働福祉事業団にやらせることにいたしております。その方にはしかるべき増員なり機構の増設も図っております。そういうことでいろいろ関係者で知恵をしぼり、努力をすることによって、この不況の中で一番必要とされているこの問題を乗り切っていきたいというふうに考えているわけでございます。
○岡本委員 大体、この賃金不払いになるのを認定したりするのが本職ではなくして、賃金不払いにならないように指導するのが、これが大体の労働省の役割りなんですね。しかし、こうした不況のためにこうなっているわけですが、そこで、破産手続の場合は申し立ててからこの破産宣告を受けるまで二カ月から三カ月、中には一年以上もかかっているのがありますね。七四年の例をとりますと平均六カ月です。こういうのは大体はっきりするわけですけれども、先ほどお話ししましたように、監督署長の確認、これは申請は大体労働者、退職者からするわけですね。退職者が、要するに労働者が申請をして、そして確認をして、それで給付されるという期間ですね、これは大体どのくらいの程度に、皆さん方はこれだけのたくさんのものを踏んでおるのか。実際上どの程度の期間を頭に描き、またはこうしたいというように考えておるのか、これをひとつお聞きしておきたい。
○藤繩政府委員 何せ新しい制度でございますので、実施してみないとわからないという面も多々あるわけでございますけれども、いま先生が御指摘になりました破産手続のような場合に、かなり時間がかかることは事実でございます。ただ、この立てかえ払いの請求につきましては、破産宣告がありまして、破産手続が済んでおるところで労働者から請求が出てきて、そしてその破産の事実を確認した上で処理をするわけでございますから、むしろそういう法律上の手続が進んでおります場合には、こちらの立てかえ払いの手続としては二週間ぐらいあれば、敏速にやればできるというふうに思います。 問題は、先ほどからおっしゃっています事実上の倒産の場合、監督署長がその倒産を確認しましてそれからやるという、これはやっぱりなかなか時間がかかると思いますけれども、私どもとしましては、監督署が所要の調査を行うのが一カ月ぐらい、それから労働者が手続をするとすれば、いまの法律上の手続の場合は二週間でございますから、それを加えますと、非常に敏速にやれば一月半ぐらいでやれる。また、できるだけ早くこういうものはやるべきだというふうに思って予想を立てておるところでございます。
○岡本委員 それは実際に当たらないと私もわからないわけですが、次に、そういった零細企業、中小企業が倒産した場合に、労働者がそれぞれその企業から散ってしまうわけですが、その人たちに、この制度があるんだ、あるいはまた申請をして立てかえ払いをすることができるんだというような通知と申しますか、そういうPRと申しますか、これはどういうようにしてなさるつもりにしておられますか。
○藤繩政府委員 行政のPRをあらゆる機会に徹底すべきことは当然でございますけれども、こういう新制度が発足しましたときは特にそのPRが大切でございますから、私どもとしてはあらゆる手段を通じまして、新聞報道等あるいは役所の機関紙あるいは監督署等における掲示板というようなこと、あるいは民間関係団体を通じてのPR、いろいろなことをやってまいりたいと思います。 ただ、いま先生がおっしゃったのは、そういう一般的なPRと同時に、具体的に倒産が起こって退職をするというような場合には、散ってしまう。その散った労働者に、こういうものがあるということが果たしてよくわかるだろうかという御懸念だろうと思いますけれども、私ども監督署が接触をしておる限りにおきましては、賃金の支払いについては事業主と継続して交渉を持つという例も多々ございますし、また、監督署に多数の申告が参っております。私どもはそういう機会に、今度はこういう制度ができたということを徹底をいたしまして、また関係者にもよく伝えてもらうようにというような努力もいたしまして、できるだけこの新しい制度がたくさんの方々に及ぶように努力をしてみたいというふうに思います。
○岡本委員 では最後に、この退職労働者の賃金に係る遅延利息について。この賃金は、労働者の毎日の生活がかかっており、本来なら絶対に遅延があってはならない性質のものでありますが、その遅延に対して高率の利息をつける、一四・六%ですか、こういうような労働省からのお話があったそうでありますけれども、これは遅延しないように労働基準法にのっとって監督強化をしていくのがあたりまえでありますが、この遅延利息は賃金だけであって、退職金は除外しておるというようになっておりますが、これはどういうわけなのか、お聞きしておきたい。
○藤繩政府委員 遅延利息は、今度この法律で新たに設けられました非常に画期的な制度だと私ども思っております。ただ、退職者の通常の賃金というものにこれを当てはめる、退職手当を除いた理由でございますけれども、賃金のうち定期給与というものは、毎月一回以上一定の期日を定めて支払わなければならないということが規定をされております。また、賞与は、その支払いの都度支払い期日が定められているというのが通例であるのに対して、退職手当は、その支払いが企業においてその労働者については一回限りということで、支払い期日が特定をされていないことも少なくないということが一つ。したがって、遅延という問題に若干問題があるということ。それから、退職手当の未払いというのは、その労働者にとっては老後の生活設計にかかわる問題で、非常に重要でございますけれども、その支払いが若干期日的におくれるというような問題は、定期給与やあるいはボーナスというようなものの遅滞に比べますとやや許される点があるんじゃないか。こういうようなことを考えまして、今度新たに非常にきつい制度を設けるわけで、下請代金支払遅延等防止法と同じような非常に高率な遅延利息を一般的に課する、こういう制度を創設する場合に当たりまして、やはり緊急度の高い定期給与等に対象をしぼったわけでございます。
○岡本委員 下請代金支払遅延防止法というのは、あなたはすばらしいように思っておるかもしれませんが、これは私たち、商工委員会でも相当論議しましたけれども、ずいぶんしり抜けなんですよ。この問題をここで論議しても仕方がないのですけれども。 そこで、下請関連企業等における倒産で不払いになったときには親企業の責任というものを強化をしておく。中小零細企業の倒産に対する連帯責任といいますか、あるいは代位弁済というものを立法化することもひとつ検討してもらいたいと思うのです。 次に、財源につきまして、労災特別会計からこの金を出すというのはもうひとつどうか。先ほどあなたの答弁を聞いておりましても、先ほどの委員に対してもそういうお話がありましたが、この次の機会にはこの面もひとつ検討していただく、この二つの検討を要求いたしまして終わりますが、これに対して答弁があったらひとつ言ってください。
○藤繩政府委員 親会社、子会社というような関係で代位弁済あるいは連帯責任というようなことも、この法律をつくるときに非常に議論がございました。 〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕 一般的にはそういうことがよく論ぜられますし、また現に建設業の不払い等については勧告制度もあるわけでございます。しかし、一般に親会社あるいは子会社、元請、下請というような場合にも、法律的に言うといろいろな問題があるということ、それからまた、親会社が余りすべてをやってしまうということは、子会社の経営への介入というような問題も引き起こしはしないか、また、下請についてはいまお話のありました下請代金支払遅延等防止法というような制度もあるじゃないか、いろいろな議論もありまして、これは将来の課題として残されております。したがいまして、将来にわたって私どもはなお研究を続けなければならないというふうに思うわけでございます。 それから、なぜ労災の資金をこれに充てるのかということは、実は昨日の労災保険法の審議以来たびたび論ぜられておるところでございますが、私どもとしては、理想を言えば独立の保険料を取り、独立の制度としてこれをやるべきだという点はそのとおりだと思います。しかし、こういう緊急の事態では、そういうことを言っておりましてはなかなか急場に間に合わないというようなところから、とりあえずこの労災保険の制度を活用したということで、外国におきましても既存の労災保険あるいは失業保険の制度を使いながら、この不払いをここ二、三年、フランス、ドイツ、オランダ、イギリスというようなところで始めたということでございまして、これで私どもとしても発足をしたい。これも、将来基本的な問題として考える時期は当然あろうと思っております。
○岡本委員 終わります。
○熊谷委員長 次は、和田耕作君。
○和田(耕)委員 この法律案は、昨年来労働四団体が相当強く要望した重要な項目を法律化したという意味で、非常にいい法律案だと思います。したがって、いろいろと細かく質問することも必要でないと思うのですけれども、一体このような事例は今年に入ってあちこちの事業所で起こっておるでしょうか、その事実を一遍お聞かせいただきたいと思います。
○藤繩政府委員 おっしゃるとおり、不況の深刻化に伴いまして非常に不払い額がふえております。最近の統計といたしましては、これはいわゆる網羅的な統計ではないのでございますけれども、労働基準監督署にいろいろ訴えられたり、あるいは監督の機会につかまえましたいわば業務上の数字でございますが、これで見ましても、昭和五十年四月から五十年九月までの半年間に起こりました不払い、これは、その前の期間から解決ができないで残ってきておるものが七十億、それからその期間に新規に把握したものが九十七億、合わせまして百六十八億という不払いを監督署は抱えました。その間に監督署は努力をいたしまして、七十三億をとにかく払わせております。しかし、どうしても払えないというものが二十九億残りました。それからなお次の期に問題を残しましたのが六十六億となっております。問題は、どうしても解決不能ということで処理せざるを得なかったこの二十九億に相当するようなもの、これを今回こういう措置で救っていきたいと考えております。
○和田(耕)委員 いまのように約三十億近い賃金の不払いという事実があるわけですね。そしてこの法律が通ればそういうふうな悲惨な状態はカバーされるというわけですけれども、わずか一年足らずのうちに三十億もの賃金が払われないままで残されておる、こういう問題は何とかカバーする方法はないのですか。
○藤繩政府委員 申し落としましたが、先ほどの数字は、今度のこの法案で予定しておりますような倒産に伴うというようなものだけではございませんで、およそ賃金不払い全体でございますから、中には労使のトラブルで、そんなはずじゃなかったというようなことで解雇しまして賃金はもらえないというような事案も含まれておる、それから経営不振等の事案も含まれておる、いろいろなものでございますから、倒産によるものはもう少ししぼられると思います。しかし、いま御指摘のように、賃金というものは本来事業主が払わなければならぬものであります。また、労働者にとっては唯一の生活の糧でございますから、不払いということは起こってはならぬわけでございます。基準法でも、これは刑罰として処罰をされる事案になっておるわけでございます。そこで今度の法案でも、立てかえ払いをやっておりますけれども、立てかえ払いだけじゃないのでございまして、この罰則も、従来わずかに五千円というような罰則でございましたものを、労働基準法を改正しまして十万円に引き上げておるわけです。あるいは遅延利息というような民事的な制裁も今度設けた。それから社内預金や退職金についてはいろいろな保全措置も講ずる。それから立てかえ払いもする。いろいろな方法で不払いというものを何とかなくしていこう、こういう構えでございます。
○和田(耕)委員 よく、会社の財産にしないで個人名義の財産にする、そして責任から免れようとする経営者がおりますね。こういう問題について、今後どういうふうな処置をお考えになっておられるか。
○藤繩政府委員 いま先生が御指摘の点は経営の問題でございますので、労働省の直接の問題ではないわけでございますが、ただ、賃金不払いが起こりましたときに、もとより基準法違反ということで追及をしていくわけでございますけれども、全く支払い能力がないというときには、これは処罰をするわけにもいかぬ。それからこういう立てかえ払いなどもしなければならない。いろいろなことが起こってくるわけでございますが、その全く支払い能力がないというときに、いま先生がおっしゃいましたように、金はあるのだけれどもそれは個人の金だというようなことが起こりがちでございます。ですから、私どもといたしましては、単に基準法の面だけで事案を追及するのではなくて、やはりそういう実際の中身にも入りまして、また実例も多々ございますが、監督官は非常に苦労いたしまして何とかそれをつかまえて払わしてきている、あるいは元請に立てかえ払いをさせてきているというのが実例でございます。今度こういう制度ができましたら、そういうものもあわせまして、なお一層不払いの撲滅に完璧を期したいというふうに思うわけでございます。
○和田(耕)委員 労災保険の資金で未払い賃金の立てかえをカバーしていくというお考えですけれども、きのうの質問でも私はそれは一応いいということを申し上げたのです。しかし、これはいろいろなあれで、やはり一緒にしない方がいい、別に法律をつくって資金を考えた方がいいという状態も考えられると思うのですが、どういうふうな状態をお考えになっておられるでしょう。
○藤繩政府委員 昨日来もこの御議論が出ておりまして、お答え申し上げておりますように、筋論といいますか、理想論を言えば、独立の保険料を取って、そして独立の機構でこれを運営するというのが一番いいかと思います。しかし問題は、保険料が非常にわずかでございまして、それだけの必要があるかということ、あるいは独立の機構をつくるというようなことがいまの時代にふさわしいのか、あるいは不況の際にそういった負担を新たに経営者に強いるということはいかがかというような問題、さらには、賃金不払いとか倒産の事案は失業や労災と違いまして、いろいろな議論の過程で、一体、他人が経営が下手でこういう不始末を起こしてしまったものをほかの経営者がどうしてしりぬぐいをしなければならないのかというような御議論もございました。いろいろなことがありまして、そういうことを根本的に検討しておるのではこの急場に間に合わないわけでございます。先ほど来、遡及適用とかいろいろなお話も出ておりますけれども、そういう基本的な理想論を追求して制度をつくろうとしますれば、この急場に間に合わない。そこで実際にフランス、ドイツ、オランダ等で始められましたものも既存の労災保険や失業保険の機構を使ってやっております。そういう例を参考にしまして、いろいろな問題がございますけれども、次善の措置としてとりあえずこれで発足し、転がしてみまして、将来あるべき姿というものはまた改めて検討してみなければならぬ問題ではなかろうかというふうに思います。
○和田(耕)委員 最初に申し上げたとおり、これは、私どもの支持者である労働組合の四団体が、昨年来の不景気あるいは雇用不安の状態を見て非常に強く要望した問題でございまして、非常にいい法律だと思います。ただ、こういうふうなものを施行する場合にもいろいろ条件があると思うのです。だから、これを逃れようと思えばいろいろなことも考えられるわけで、そういう問題について厳しく監視をしながらこの法の精神をしっかりと運営をしていただきたいと思います。大臣の御所感を拝聴いたしまして、終わりたいと思います。
○長谷川国務大臣 一昨年の雇用保険法を御審議いただきます間にもこの議論が出まして、また私の方でもその際に、こうした経済不況のときでありますから、かつてやらないことであったけれども、未払いの問題については五十一年度くらいに一部実施をし、五十二年度くらいに全部実施したいというふうな意見も申し上げたことがあります。参議院の社会労働委員会でも、中小企業を重点にやれというふうな熱烈な御意見などもありました。そうした問題の中に、昨年の予算の概算要求が八月でございますが、このときにまた四団体の諸君が見えられまして、また書記長諸君にも、私はこういう構想でどうだろうかということで内々相談をしたり意見を聞きながらやった。そして今日に至ったわけでございます。 問題は、経済を好況にさせて、こうした事態の生まれないことが一番願わしいことですが、今日、先ほど御質問ありますように、不況で、倒産もありますし未払いもあります。こうしたときに、緊急避難的なことで、機構その他においてはすぐに御満足いけないものがあるかもしれませんが、とにかくこれで発足してみよう、こういうことであります。一方また、これを逃げ口実にして経営者が賃金を払わないところには何と言ったって勤労者は来ないわけです。それをまた裏切るようなことに対しましては、一度倒産すれば大体社会的に復活できない、責任があるわけですから、そういうことで罰則も厳重にしながら企業家の責任を追及しつつ、万全の策を勤労者のためにとっていきたい、こう思っております。
○和田(耕)委員 では終わります。
○熊谷委員長 次に、枝村要作君。
○枝村委員 いままでの各委員の質問の中で最も重要な部分の一つであります、未払い賃金の立替払事業の施行日と遡及適用について明確な答弁がなされておりませんので、最後に労働大臣にその点についてお伺いしていきたいと思います。 未払い賃金の立替払事業については、倒産した企業の労働者の未払い賃金を救済するという制度の趣旨からいたしましても、法律案の成立後できるだけ速やかに実施すべきであると考えるのでありますが、いかがでございますか。
○長谷川国務大臣 御趣旨はよくわかりますし、早期実施が望ましいことは全くお説のとおりでありますが、この制度の実施に先立って政省令の制定あるいは業務方法書の整備、職員の研修など、準備事務等の必要がありますので、ある程度の期間が必要である、こう思っております。
○枝村委員 実施の準備に時間を要するなど、事務的な事情はよくわかるわけでありますが、倒産の実情、未払い賃金の実情から見て、勇断をふるって実施時期の繰り上げを図るべきだと思うのでありますが、重ねてお伺いいたしたいと思います。
○長谷川国務大臣 先ほどお答えしましたように、何分新制度の発足でありますから、準備のために相当の期間が要ることは御理解いただいていると思います。しかしながら、本委員会における各委員の御質問の中において、何とか早く 私の方は大体十月一日から実施のつもりでございましたが、各委員が非常に御熱心に、こういう不況のときに何とか早くやれというふうな御意見が多うございますので、何さま先ほど申し上げたように相当の準備期間が要るという構えでありましたけれども、せっかく御協力、御推進いただきます皆さん方のお気持ちに私も感激いたしまして、役所の方を少し督励いたしまして、七月一日から施行するように私の方から事務当局に命じますから、御理解いただきたい、こう思います。
○枝村委員 その点はよくわかりました。 それと、昨年来、深刻な不況が続いて、倒産、賃金不払いも急増しておりますが、このような状況にかんがみて、事実上の倒産については、不況の実態に即応し、昨年来の倒産事案についてもその実情に応じた取り扱いをすべきではないかと思うのでありますが、いかがですか。
○長谷川国務大臣 こうした制度の趣旨及び事実認定という非常に大事な実務的な面がございますので、昨年の事案につきまして見るということはちょっと私は困難であるというふうに考えておりますので、この辺はひとつ御理解いただきたい、こう思います。
○枝村委員 労働大臣や労働省当局の主張や意見は十分理解できないこともないのでありますが、不払い賃金の救済についての関係労働者の期待はこの点できわめて大きく持っておるのでありまして、今日の状況下でこの制度を発足させるに当たり、昨年の事案についてはまあ無理かもしれませんけれども、事実上の倒産の確認について弾力的な取り扱いをすることが強く望まれるのでありますが、どの程度の弾力的な取り扱いができるのかどうか、その点についてお伺いいたします。
○長谷川国務大臣 制度発足後において、特に事実上の倒産を労働基準監督署長が判定する場合に、できる限り既往の状態を念頭に置いて判断することが望ましいことは枝村さんおっしゃるとおりだと思います。昨年の状態までの把握は、過去のことでございますからなかなかむずかしいと思うのですが、事務的に可能な限度として、ことしに入ってからの実情は特に調査して、制度の趣旨を全うするよう適切な処理を考えてまいりたい、こう思っております。
○枝村委員 次に、退職手当の保全措置についてお伺いをしたいのでありますが、この問題については村山委員や先ほどの岡本委員らから質問がありまして、それに一応の答弁を見ておるのでありますが、もう一度確認の意味で伺ってみたいと思います。 退職手当は労働者の生活にとってきわめて重要なものでありますから、この支払いが確保されるよう、保全措置の実施について強い姿勢で臨むべきであるというように考えるのでありますが、労働大臣のそれに対する決意をお伺いいたしたいと思います。
○長谷川国務大臣 退職手当は、御指摘のとおりきわめて重要なものでございます。これまでもその支払いの確保に努めてきたところでありますけれども、今後は退職手当の保全措置の実施についても積極的な行政指導を行ってまいるつもりであります。
○枝村委員 以上で私の質問を終わります。
○熊谷委員長 これにて賃金の支払の確保等に関する法律案についての質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○熊谷委員長 この際、お諮りいたします。 川俣健二郎君外九名提出の建設労働法案について、提出者全員から撤回の請求がありました。 本案は、すでに本委員会の議題となっておりますので、これを撤回するには委員会の許可を要することになっております。 本案の撤回を許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○熊谷委員長 御異議なしと認め、撤回を許可することに決しました。 ————◇—————
○熊谷委員長 建設労働者の雇用の改善等に関する法律案を議題といたします。 本案についての質疑は終了しております。 これより本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○熊谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○熊谷委員長 この際、住栄作君、枝村要作君、大橋敏雄君及び和田耕作君から、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 その趣旨の説明を聴取いたします。住栄作君。
○住委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 建設労働者の雇用の改善等に関する法律案に対する附帯決議 政府は、次の事項について適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。 一 日雇労働者、季節、出稼労働者等の雇用の明確化と安定を図るための施策を充実強化するために、手帳制度の改善を含め、引き続き検討を行い、その具体化を図ること。 二 元方事業主の下請に対する雇用管理の改善の指導について実効を確保する方途を確立すること。 三 雇用促進事業団が実施する事業については、特に中小企業が十分活用できるよう配慮するとともに、その運用に当たっては関係者の意見を反映できるよう措置すること。 四 小規模事業所における社会保険及び退職金共済制度の加入を促進するとともに、今後とも手続の簡素化等その内容の充実に努めること。 五 不必要な重層下請制度の是正、労務供給のあり方等建設業の体質改善を積極的に進めること。 六 費用の負担について、建設業の特質から中小企業のみにかた寄ることのないよう元請負事業主を含めてその負担の公正を図ること。 以上であります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○熊谷委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○熊谷委員長 起立総員。よって、本案については住栄作君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川労働大臣。
○長谷川国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、努力する所存であります。 ————◇—————
○熊谷委員長 次に、賃金の支払の確保等に関する法律案を議題といたします。 本案についての質疑は終了しております。 これより本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○熊谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○熊谷委員長 この際、住栄作君、村山富市君、石母田達君、大橋敏雄君及び和田耕作君から、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 その趣旨の説明を聴取いたします。村山富市君。
○村山(富)委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 賃金の支払の確保等に関する法律案に対する附帯決議 政府は、次の事項に関し所要の措置を講ずべきである。 一 賃金債権を確保するため、監督に遺憾なきよう特段の努力をすること。 二 未払賃金の立替払事業の運用に当たっては、倒産企業労働者の救済制度の趣旨をそこなうことのないよう措置するとともに、今後、その実績に照らし、かつ、労災保険制度の建前とも関連して、立替払の対象とする未払債権の範囲、不服の救済、退職金の保全の強化等を含め制度及び事業のあり方について、更に検討すること。 三 賃金債権の弁済順位の引上げについて引き続き検討すること。 四 下請負人、子会社等の賃金の支払に係る元請負人、親会社等の責任のあり方について、更に十分検討すること。 五 建設事業における賃金支払の確保については、労働基準法、建設業法等を積極的に活用し、その実効を期すること。 六 立替払の適用に当たつては、今次不況による倒産企業労働者の救済のため特段の配慮をすること。 以上であります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○熊谷委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○熊谷委員長 起立総員。よって、本案については住栄作君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川労働大臣。
○長谷川国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に努力する所存であります。 —————————————
○熊谷委員長 なお、ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○熊谷委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 —————————————
○熊谷委員長 次回は、明十二日水曜日午前九時四十五分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後九時三分散会