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77回国会衆議院1976/03/02

社会労働委員会 第2号

発言数
189
登壇者
13
会派数
4
開催日
1976/03/02

会議録

熊谷義雄自由民主党

○熊谷委員長 これより会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。枝村要作君

枝村要作日本社会党

○枝村委員 前回の委員会で労働大臣が所信表明を行われましたので、これに対していまから若干の質問をしてみたいと思います。  大臣は、五つの事項について当面の重要課題とし、労働情勢に取り組むとの所信を述べられたのであります。その第一は、総合的な雇用対策の推進であります。それから第二は、労働災害対策と労働者保護対策の推進。第三は、経済社会の変化に即応する新しい労使関係の形成ということであります。第四は、勤労婦人を中心とする婦人の地位向上対策、勤労青少年福祉対策の推進。最後の第五に、労働外交の積極的な展開、こういうことであったと思います。  そこで、私は、この中の二、三の点についてお伺いしたいと思います。  まず、雇用安定、失業対策でありますが、雇用対策は、言うまでもなく政府全体の問題としてじっくり取り組まなければならぬし、また、政策としてきわめて重要な問題であります。そこでいままで第四次にわたる不況対策を講じられたのでありますが、その効果が果たしてどのようにあらわれているのかどうかという点になりますと、きわめて明確でないような気がいたします。私の感じとしては、効果が上がっていないような気がしてならぬのであります。それは、各地域からのそれに関係する人々の陳情や意見など聞いてみましてもそのような直観が受けられるのであります。大臣は、「雇用失業情勢は依然として厳しいものがある」ということを所信表明の中にもはっきり言われておりますが、一体これはどうなっているのか。端的に言いまして景気は上向いているのかどうか、こういう基本的な問題についてまず第一にお伺いいたしたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 先生も地方をお歩きになっておりますし、私なんかも地方にたまに参りますし、また人の話も聞きますが、大体において求人倍率が〇・五二だったのが先日〇・五八というふうに多少は上向いている。そして、業種によって違いがありますけれども、一般的傾向とすれば希望が持てる姿になりつつあります。ただ、その中において、第四次不況対策などは何か浸透は非常に遅いという感じを私は持ちます。これがもう少し推進されなければならぬのではないかと思いまして、関係閣僚会議などでは私の方からも、とにかくこの内閣が今度の予算で上げていることは景気浮揚と雇用の安定の二つ。その景気の浮揚の姿が一番見えるのは雇用安定、雇用が伸びたという姿が見えるのが一番わかりやすいから、そういう意味で関係実施官庁、こういうところで具体的にきめ細かくおやりいただくように推進をしているわけでして、そういう意味で私は希望というものは持てるのじゃないか、また持たせなければいけない。そして御審議が、委員会がなかなかむずかしい事態でもこういうふうにして委員会をお開きいただく姿の中に、五十一年度の予算の推進の中に、景気の浮揚の中に雇用の拡充というものを図ってまいりたい、こう思っております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 結論的に言えば、今日の状況では求人倍率が、去年は〇・五二であったのが〇・〇八上がったから希望が持てるという、こういうことなんですか。それともその他何か非常な確信があって、もう少し待ってくれ、少しは遅いけれども、いまから景気が上向いてくるのだから雇用の情勢は好転する、こういうふうにお考えになっておるのかどうかという根本の問題ですね。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 これは内閣全体としてもそうですが、世界的な大変な時代の中に、昨年度とにかくわずか日本だけが、ミクロとマクロの違いはございますけれども、二%以上の実質成長という姿と、そしてまた雇用関係でも、よその国と比べれば、厳しい中でも景気がいささかでも上向いている、こうした際で、しかも今年度は国債の問題等々もございますから、上向きをしていかなければならない。数字的な問題につきましては職業安定局長から御説明させます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 局長からの細かい数字を挙げてのやつは後から聞くとしまして、去年の臨時国会で、歳入欠陥三兆四千八百億円も公債その他建設公債などで補って、そうして景気浮揚のために力を入れると言われた。その当時、労働大臣を初めとして、それによって、次の見通しとしては近いうちに、雇用の問題についても失業の問題についても、去年の段階よりはよくなるであろうということをいろいろお話しされておったと思うのです。ところがならないのは、どうもおくれてということが理由になっておるようでありますけれども、どう見ても、そういう見通しが果たして正しくいろいろな問題として取り上げられて投入されて、なるのかならぬのかという点についてきわめて不安な感じを一般の勤労者は持っておるわけなんですね。それから、話に聞けば、よくならなければならぬのに、三月には百三十万にも失業者が増大するのではないかといううわさも流れておる。そうなると、数字的な若干の上向きの部分もあるかもしれませんけれども、全体としてどうもあなた方の見通しよりもますます悪くなっていくような傾向にある。そうして実際に、それに関連する労働者その他の人々の実感としても仕事は次第になくなっている。こういうようになってまいりますと、どうも政府や労働省の考えておることはきわめて甘いのではないか、こういうように指摘されても仕方がないのではないか、こういうふうに思っておる。  そこで、職安局長から説明を受けると思いますが、実際に去年から今日まで、あるいはいまからの見通しの問題でしょうけれども、上向いておる、景気は浮揚されつつあるとするならば、これは産業別でも何でもいいですけれども、どういう事業がどういうふうに上向いておるかという具体的に説明ができればしてもらいたいと思います。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤政府委員 ただいま大臣からお答えございましたように、昨年秋の九月の第四次景気対策の実施がいろいろなことからずれ込んできておりまして、当初の予想では十一月ごろからその景気対策の浸透によりまして景気が回復に向かい、雇用情勢の面でも若干好転する、こういう見通しを持っておりましたが、そういった関係でずれてまいりまして、それがようやく一月になってあらわれ始めたというのが、各方面いろいろなデータに出てまいっております。  たとえば、一つの基礎になります鉱工業生産をとってみますと、昨年の十二月にようやくプラスに転じましたのが、ことしの一月には七・九%のプラスになっております。これが雇用面にも反映いたしまして、昨年の十二月に初めて残業時間が、所定外労働時間数が対前年同月に比較してプラスに転じまして、一月にはすでに一三・九%伸びております。  端的に失業情勢を示します製造業の入職率と離職率との差を見ますと、たとえば昨年の一月、五十年の一月の時点では入職率が一・二に対しまして離職率が二・〇、その差が〇・八、結局離職率の方が高い。それだけ失業者が出ているということでございますが、これがことしの一月になりますと、入職率一・三、なお入職率はかなり低い水準ではありますけれども、それに対して離職率が一・四、その差がわずか〇・一まで縮まってきておる、こういう状態であります。したがいまして、製造業の雇用指数も、昨年の夏以来ずっとマイナスを続けておりましたが、ことしの一月にはわずか三・九にとどまってきておる、こういう状態が続いております。  したがいまして、それを現実に反映いたします安定所の求人求職の倍率を見てみますと、一昨年の十月から一を割って、去年の十二月までずっと下がりっ放しでありました求人倍率も、ことしの一月になりまして〇・五八といま大臣がお答えになりましたような数字で、昨年の大体六、七月の水準にまで戻してまいっております。私どもは、三月の時点では恐らく〇・六ぐらいまではいくのじゃないか、といたしますと、先ほど来御指摘になっておりますような景気の回復のずれが、去年の十一月、十二月に回復に向かう予定でおりましたのが、この一−三月にずれ込んだということで、一月−三月の見通しが大体そういった当初の予定の路線をたどっているのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。  したがいまして、いま御指摘のありました完全失業者が三月に百三十万になるだろうということを私どもも予想いたしておりますし、巷間そう言われて、これが非常に悪化するのじゃないかということでございますが、実はそうではございませんで、十二月に百五万の数字が出ておりますが、これは季節要因で、御承知のように出かせぎその他の関係がありまして、十二月に対しまして三月は、いままでの過去の数年間のデータを見ますと、大体三十万ぐらいふえる。それをそのまま延ばしますと百三十万をかなり超えるわけでございますが、私どもは、こういった一−三月の景気対策の浸透によりまして百三十万ないしはそれ以下でとどまるのじゃないか。ということは、いまより悪化しないということでございます。むしろいまよりは少しよくなるということで、百三十万くらいにはなるのじゃないか。できるだけそれをそれ以下に抑えられるような施策をこれからも重点的にとっていきたい。こういうことでございまして、鉱工業生産なり雇用面のデータなり、最近特に十二月、一月にかけまして明るい傾向が出始めておりますので、私どもはこの傾向を一層助長するように関係各省庁の施策を集中的に実施してもらいたい、こういうことで大臣から閣議でも御発言になり、各省庁にも呼びかけを行っているわけでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 いま二つの産業部門をおっしゃいましたが、そのほかのデータがありますか。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤政府委員 いま手元に持っておりませんが、十二月、一月の求人の状況を見てみますと、十二月になりまして初めて製造業の求人が対前年同月に比較いたしましてプラスに転じております。それが一月になりますとかなり大幅に上回っておりまして、製造業で二〇%を超える求人増になっております。その中で依然として停滞いたしておりますのは鉄鋼、それから工作機械、それから食料品関係、製造業の中ではこの三つの業種が依然としてまだ停滞をいたしておりますが、その他の業種につきましては、ほとんどと言っていいくらい各業種プラスに転じております。そういったことから見ましても、一番景気の中枢を占めております製造業関係でこういう明るいデータが出始めたということは、私どもが当初予定いたしておりましたのがずれ込んでおりますけれども、やはり景気回復の過程が着実に進行しておる、こういうふうに考えておるわけでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 そういう数字が出ておるのですから、これはそのとおりでありましょう。だからといっていまから本当に明るい見通しができて、雇用の安定が確保されるかということになると、これはいまきわめて困難なような気がします。三月でも求人倍率が〇・六になるということですからね。〇・以下ですから、これは少しはなることはなるけれども、全体の雇用安定とか失業対策にはなっていかぬのじゃないか。それで問題は、若干上向きはしておるけれども依然として停滞しておるという、この原因、障害というものは一体何かということです。労働大臣、お答えできますか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 非常に専門家じゃない、感じで申し上げることもお許しいただきたいと思います。  これは一つは、御理解いただけるかと思うのですが、日本は油でやってきておりましたが、従来五十億ドルぐらい払えばいいやつが百五十億ドルプラスになっておるわけです。この金は国内におりない、全部海外におりるわけです。これはいまの姿でずっととにかく油を買わなければいかぬでしょう。これがいろいろなところにフリクションを起こしておる。民間の場合ですとやはり、設備投資が足りなくなった。その中に構造改善をやる。いろいろなフリクションの中にこうした失業問題というものが出ている。従来のような高度経済成長なら、足りないものはどんどん田舎まで人を集めにいった。そういうものがいま薄くなってきた。そのしわ寄せが中高年齢層にいまのところいっているという形でございますから、私はやはりそのフリクションというものを早く全部で是正する姿というものがとられなければいかぬ。  そこで、いま局長からも答弁しましたように、最近残業時間が二年四カ月ぶりにふえたということなどで、そういうものに対応している姿が出ているし、あるいはまた政府、お互いのこうした討議の中から、民間の設備投資の率が少ないのですから、財政金融政策でやっている姿が功を奏しつつあり、それを推進していきながら五十一年度の末には有効求人倍率を一まで持っていきたい。こういう総合的なことを各省にとにかくお願いしながら、持っている力をフルに出す以外手はないという姿で推進していることを御理解いただきたい、こう思います。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 単にこれを日本の中の小手先だけ、と言っては悪いのですけれども、手当てをする。特に労働省の担当はむしろ後追いの政策ばかりでしてね。だから、全体として取り組むために日本政府が、もう何でもかんでも雇用、失業の問題に真剣に取り組むという姿勢があるかないかというところにもやはりわれわれは若干の疑問を持つわけです。労働大臣がいかに努力して、各省にこういうところに仕事をさして失業者を吸収せいと言っても、そのときはうんと言っておっても、政府全体がその気にならぬ限りはどうにもならない。きわめて重要な政策として自民党政府が取り上げるかどうか。それともう一つは、やはり単に内因だけでなしに外因もあるということをわれわれ常に指摘しているわけです。これは話が大きくなるから言いませんけれども、やはり一言言うなら、世界の資本主義、一般的な危機の中にあるのでありまして、それを解消するためには体制変革をせにゃならぬということに今日理屈はいくわけなんです。そういうこともあって、外因もあることをわれわれはよく知っております。知っておりますけれども、いま言いましたように国内の不況対策、雇用、失業の問題に取り組む政府の姿勢がなければならぬ、こういうふうに思います。  それで、労働大臣もいろいろ閣議を中心に要請をされておるようですけれども、それじゃ去年から失業者を吸収する公共事業、それに対する投資というものは一体どういう方面にいっているか。果たしてそれが行われておるのか。大臣の言いっ放しだけでなくて、各省どういうふうに受けとめてそれぞれの事業を拡大しておるのか、こういう点がどうもわれわれにはつかみにくいのです。その点、お答えできればひとつ教えていただきたいと思うのです。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 このごろあなたもごらんいただくでしょうけれども、労働省が総合経済官庁になったというふうにほかの役所から言われることもあるくらいに、とにかくいま雇用というものを考えないで政策はできない。ですから、他人の持ち場のようでございますが、発注する官庁に、先に公共職業安定所の方にそういう仕事を実際に連絡してもらいたいというふうなことやら、最近など私が申し上げたことは、やはり金だけ動くのじゃなくして、人間が動けるような仕事を建設省などはぜひやってもらいたいというふうに、ときにはちょっと出過きたような形にもとれますけれども、何と言ったって雇用安定が一番大事だからそういうところに向かっていくべきじゃないかということで、これは大蔵大臣であれ福田副総理であれ三木総理大臣であれ、とにかく雇用の安定、景気浮揚、この二つの旗印がありますから、それをこちらの方がお願いし、いまの時代はこうなりましたじゃだめだから、各責任者はこうしましたということをぜひひとつ知らしてくれ、私はこういう発想で推進をして、少しでも早く効果が上がるように、それがまた社会不安をもたらさないゆえんでもあるということでプッシュしておりますが、いまのところ力足りませんけれども、こうした先生方の御推進なり激励を受ければさらに一層馬力をかけてやる、こういうことでございます。御信頼のほどをひとつお願いして、激励をお願いします。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 そうしたいのでありますし、また労働大臣の努力も買われますけれども、昨年の暮れからもう三カ月になろうとしておるのですから、そろそろ各官庁があなたの要請にこたえてこういうことをしておるんだと言って回答をするなり、実際の実績としてそれを示されてもいいと思うのですが、それがされておらないような気がいたしますので、私は重ねてそういう注文をするわけなんです。これはこの前の臨時国会でも各委員からそれぞれ指摘されておったことなんですから、それを示されないとするならば、労働大臣が何ぼ心のうちで思っておっても、あんた自身がサボっておるんじゃないかと言われたって仕方がありません。そういう意味で言っているのです。ひとつがんばってください。  それから、大臣は「五十一年度においては、引き続き景気浮揚のための総合的対策を推進する」と言っておりますが、先ほど職安局長から努力するということですけれども、具体的にどうするというのですか。いままでのまつを引き継いでそういうことをハッパをかけていくというのか。それからまた、五十一年度予算の中で投資をいろいろやはりその方面に使うという部面もあります。しかし、それを本当に、一般に言われるように大企業だけを潤すような投資じゃなく、中小企業や地方公共企業体がそういう公共投資を使用し、そしてそれに労働者が吸収されていくとか、あるいはその他いろいろな方面で有効的な使い方をして、やはりあなたは監督官庁の長として、労働大臣として監視の目を光らせて強く要請していくのかどうか。その点の、具体的と言ってはおかしいのですけれども、総合的な対策があれば、また決意があれば、この際述べていただきたいと思っております。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 その件に関しましては、とにかく五十一年度の予算が早く上がることを期待しておりまして、その予算委員会をやりながらでも、各官庁は事業の個所づけ、こういうものは早く研究して、予算が通過でもしたとたんにそれが実施できるような早期着工、これをねらっているわけです。これは福田副総理を初め各大臣が腹を合わせて、実施官庁に対してそういう姿勢で仕事を進めております。労働省にいたしましても、五十一年度の予算の中に盛っている事業予算というものはそんな姿勢の中で検討もしてやっているわけでして、これだけは、上半期にやはり労働者がよけい働けるような姿でぜひやってみたい。これはぜひ実現することが一番いまの政府の大事な仕事じゃないかと思っておりますから、懸命の努力をしてみたい、こう思っております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 いままでは政府の決意やその他に対して私が要請したのですが、先ほど言いました、いま労働省の手がけておる問題は、結局雇用・失業対策というものは後追いの政策のようなものであるということなんです。それだけに、きわめてきめの細かい施策を行うべきだというふうに思います。そうして基本は、後追いであっても失業者を出さないようにどう措置するか、あるいは失業者が出た場合にはこれに対処してその生活権を脅かさないように万全の措置をとる、こういうことでなければならぬと思っておるのです。それはそのとおりやっておられるでしょう。  そこで去年、四野党共同提案である雇用及び失業対策緊急措置法案というものをそういう観点から、内容を見られて御承知のように、きめ細かく提起しておるわけであります。そうして昨年の十二月六日の本委員会でこれらの問題について私が質問をして、大臣が答弁して、一定の約束ですか、取り決めというものが確認されたわけなんです。そこで、今日までその約束に基づいて、あるいは確認に基づいてやられたことに対して、どういうふうになっておるのかという質問です。  そのとき私が提案したのは、一つには、失業給付の全国延長等の発動基準を緩和すべきである。たくさんの要求がありましたけれども、私の言ったのはそれです。そのほか村山君が一つ一つ具体的に提起しておりますが、その問題。それから雇用調整給付金制度の問題などについてもいろいろ検討したらどうか。これらも含めて、四野党の共同提案の中にありますが、法改正の部面もたくさんありますので、これらの実施についてもひとつ審議会で十分検討したらどうかという、こういう質問であります。この一つ、二つの問題については、中央職業安定審議会ですか、こういうところに諮問して検討をお願いするという答弁であります。それから、法関係その他基本の問題については、これはいまから雇用対策基本計画の見直し作業をするから、その中で問題の検討をしていこう、こういうふうに述べられました。それでこのたびの国会に対する所信表明で、その基本計画については五十一年度から発足したいというようなことも言っておられます。ですから、できればこの際、こういう問題は、もう二、三カ月たっておりますので、どうなっておるか、こういうことについてひとつ質問をしてみたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 野党四党の共同提案の法案につきましては、その内容をそのまま現行法体系の中に取り入れることにはなかなか問題があるということは申し上げたとおりでございます。しかし、御答弁申し上げましたように、現在の雇用保険制度の運用問題、さらにはまた雇用調整給付金の業種指定のあり方等につきましては、おっしゃるように中央職業安定審議会にすでに二回お諮りしておりますが、きょう三回目をやっているわけでありまして、その中には組合の皆さん方もいらっしゃいますし、そういう中できょうも三回目をやるわけでして、そういうふうに積極的に御検討をお願いしているということを御報告申し上げたい、こう思っております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 率直に言いまして、ことしの七六春闘は雇用安定などが大きく要求の中心課題として行われます。ですから、あなた方はその闘争の圧力によって屈することは断固反対と言われますけれども、そういう情勢、そうしていま日本全体がそういう危機にあるだけに、早く、時期に合わすとか合わせぬとかということは問題ではありませんが、なるべくわれわれの要求にこたえて早くその結論を出されるようにお願いいたしたいと思います。  それから、この国会に提案されました労働省関係の法案、こういう雇用の問題に対する関係法案があります。もちろん、これは私が言うまでもなく、これで今日の事態に即応して解決されるものでないというように思っておられるでしょうが、先ほど言いましたように、本当にこの状態を切り抜けるためには、抜本的な問題としてひとつやっていただくように重ねて申し上げておきたいと思います。労働大臣、その点いかがですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 この委員会でも去年以来いろいろな問題が出ました。たとえば中高年齢者の問題、身障者の問題、さらにはまた賃金不払いの問題あるいは労災の問題等々、これなどは何も主義の対決でも何でもございませんで、おっしゃるとおり日本の雇用者の問題でございますから、そうしたお話をいただきつつ、私どもでも研究して、成案を得たのを今度の国会に提案して御審議をお願いするということでございます。  それから、基本的には、やはり従来のような高度経済成長の一〇%伸びる時代じゃないだけに、今度は人間を中心とした雇用対策というものを考えなければいかぬ、こういうことで、いま私どもでも研究し、審議会の研究などもいまお願いしている。こういう大きな姿と、それを誠実にやるかっこうにおいて、私は、先生がおっしゃるように、何か非常に暗いような感じになっている者に希望といいますか、お互いでみんなでやっていくんだという中から自信というもの、こういうものをお与えすることがいいんじゃないかと、真剣にやることをさらにこの際お誓い申し上げるものであります。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 ではその次の質問に移りますが、所信表明の中で、新しい労使関係の形成が今日の情勢の中では不可欠である、こういうことを表明されております。そのためには、まず賃金問題に触れられております。それが労使関係の円満なる形成をつくるものとしての関連ではちょっと私、外れておるような気がするんですね。昨年はあなたは、昨年の春闘の賃上げを自粛するために、一昨年の夏ごろから先頭に立ってその論議を展開された。結局、全体の不況の問題もありまして、去年はみじめな賃上げに終わったのです。あなたはそれを見て、心の中では恐らくにたにたしておるだろうと私は指摘したのですけれども、思うとおりになった。それほどあなたはハッスルされた。ことしは一昨年から去年のようなことはない。きわめておとなしくなる。おとなしくなっているということは一体何を示すかというと、あなたが黙っておっても大体落ちつくところへ落ちつく、こういうふうに見通しされておると思うんですね。ところが、黙っておるならしまいまで黙っておればいいものを、この所信表明の中に、労使関係をよくしていく中の一つとして賃金問題についてやはり触れられておる。基本的に労使の双方の話し合いで進めていく、これはあたりまえのことで、あなたが言わないでもわかっている。ところがやはりこの中には、所信表明を見ると、あなたが一昨年から昨年にかけて行われた賃金抑制、まあ自粛論の片りんが見えるわけです。ちゃんと書いてある、読みませんけれども。その点はどうですか、まず最初に聞きます、あなたの今日の考え方。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 これは枝村さん、長いつき合いで、そう邪推されちゃかなわぬと私は思いますよ。ということは、私がハッスルしたとかしないということは、一昨年の夏という話がありましたが、とにかくいまのゼロ成長下になったときに、一〇%台の高度経済成長の時代とは、日本人全体が考え方をひとつここで思い直さなければならぬのじゃないかということを私は申し上げておった。いわんや賃金問題は、これは労使の問題でして、自治の問題ですから、その際の場合はひとつ国民連帯の国民的、経済的の立場でお考えになるべきだ、こう私は申し上げたことでありまして、私は、そういうふうな国民連帯の姿が、こうした経済危機のときにみんなが感じ取っているのじゃなかろうか、こういうふうに思いまして、今度の場合といえども、私は賃金問題については直接介入する意図はございません。それが政府としての大原則で、やはり労使の良識あるところの態度、交渉、自治能力、これを私たちは御信頼申し上げる以外にないということを改めて申し上げておきます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 あなたの所信表明の中に、「関係者が経済の現状に対する正しい認識のもとに、国民経済的視野に立って、良識ある態度でこの問題に対処されることを期待する」ものである。これは見れば、一見きわめてあたりまえのことのようでありますけれども、政府はここまでいわゆるくちばしを入れる。ここまでといって、非常に重要なように見えますけれども、そうでもないかもしれませんけれども、そのことがやはり、いまの経済情勢を一つのバックとして、いわゆる賃上げは一つもしないとかいう経団連やら大企業のそういう資本家に力を与えておるということになるわけです。中には関西経済連みたいに、ばか言うな、おれのところは自治的に労使双方で決めるというところもありますけれども、いつも政府の今日までの役割りはそういうことしかしていないと私どもは見ておる。そこに自民党政府の基本的な低賃金政策があるんだ、こういうふうにわれわれは演説するわけなんです。  しかし私は、賃金のあり方については基本的にやはりあなた方と違いますが、それは論争はいたしません。しかし、それとは別に、今日の不況を克服するためには、低賃金、賃金を一つも上げないということで果たして乗り切れるかどうかという経済側面の問題もやはりあるわけです。ですから、われわれはそういう面から主張いたしましてもやはり重要な問題であるから、景気をよくするためには、いろいろ企業としても苦しかろうけれども、この際全般の景気を回復するためにはむしろ賃上げをすべきだ。可能なところは、別に何とかかんとか政策的な問題でなくして、やはり賃上げを労使双方で決めて出すべきである。政府はその面からでも、賃金を上げることに、促進するための協力姿勢をむしろとるべきではないか、こういうふうに思っております。  物価の問題だって、横ばい状態にあるとあなたは言われました。それから政府の方針として、三月期末には一けた台でいこう、こういうふうに言っておるのですけれども、最近の情勢を見ると、特に東京都内の対前年比の物価指数は一〇%を超える。政府の希望したとおりにならぬ。しかもいまから国鉄運賃や通信料金、電話、電信ですか、こういうものが上がっていく。公共料金が上がっていけばさらに拍車をかける。また、赤字公債など発行されて、償還計画も何もなかったらそれは国民の税金からこれを収奪していくということになるのです。そうして国民生活はますます困ってくる。こういうものを救うためには賃上げも一つの方法として考えるべきじゃないかというように考えておるのです。  ですから、先ほど言いましたように、労働大臣は労働者の基本的権利を守ると同時に、生活権の確保のために仕事をするところでありますから、ある人々にひっついて自粛論なんか述べなくて、むしろ労働大臣は大胆に、いま私が言ったように賃金を上げるための協力要請をやるべきである、こういうふうに私はちょっと演説しておきたいと思うのです。やりませんか。やりなさい、それを。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 これはあなたが幾ら言ったって、それは私が労使の賃金問題に介入をするわけにはまいりません。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 問題は、先ほど一番最初に言いましたように、この項は「労使関係の形成」というところで賃上げの問題の自粛論を述べられておるのですから、ちょっと合わぬような気がするのです、本来はやはり労働基本権の確立の問題だと思います。ですから私はその問題にいまから入っていきたいと思います。  三公社五現業等の労働基本権の問題にもついでに触れられておるのでありますが、それが中心になると思います。「昨年十二月一日に閣議決定された政府の基本方針に基づき、健全な労使関係の確立を期するよう最善を尽くす所存である」こういうことがこの中ではっきりとうたわれておる。それは基本的にはどういう意味を持つものか、これをまず第一点、聞きたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 三公社五現業の労働基本権問題につきましては、十二月一日の政府声明にもありますように、経営のあり方も含めて広い見地から検討する必要がある問題でありまして、総理もそのことを述べているわけであります。憲法に保障されている労働基本権が尊重されるということは、これは言うまでもありません。しかし、同時にまた、公共の福祉との調和を図ることが必要である、これもまた御理解いただけると思うのです。私はそういう意味からしまして、関係閣僚の一人として、どうしたらそういうものの中から労使関係を確立することができるかということを真剣に考えてまいる所存でありますが、具体的には、関係閣僚協議会が決定されたところに従いまして、いまから先、三公社五現業の経営のあり方あるいは当事者能力、公労法その他関係法令の改正について学識経験者の意見を十分聞くこととして、その上で関係閣僚協議会において最終方針を決定したい、こういうのが内閣の意見でございますから、その線の中において努力をし、勉強してまいりたい、こう思っております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 どうも大づかみな回答であります。これはいつも労働大臣がそうおっしゃっておった言葉の繰り返しであると思います。まあ後から具体的に聞いていきますが……。  話はちょっと、変わりもせぬ、関連はいたしますが、国鉄総裁が辞任をいたし、それから副総裁その他関係の理事も辞意を表明しておる。その理由はいろいろあるでしょうけれども、藤井さんから言わせれば、いやになっちゃった、こうしてやめられていったわけであります。一体これはどういうことを意味するのか。あなたは、藤井総裁がやめた理由の中にはスト権の問題もありますし、関係ないとは言わせません。ですから、労働大臣としてどういう受けとめ方をしておるか。あなたが答弁を拒否されれば別ですけれども、あなたの考えはどういう受けとめ方か、あれば考えてください。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 私も藤井総裁がやめられたという新聞記事を見ましたから、木村運輸大臣にどうなんだと聞きました。そうしましたら、とにかく病気と疲れと、そういうことでどうしてもやめると言うのである、こういう一身上の都合だということですから、ほかの役所のことでもありますし、私、それ以上のことは申し上げられませんで今日に至っているわけであります。  いずれにしましても、何といっても、先生も国鉄の内部のことはお詳しいことでございますが、従来論ぜられている国鉄の再建の問題のときに、大幹部が二人も三人もやめるような話も聞いておりますから、これはもう再建の問題と関連してでも、いまから先、よい総裁なり、またそれを中心にして再建の方法が講ぜられるようにしなければ、あそこに働く諸君のためにも、国民経済上にも大変なことだというふうに、ほかの役所のことながらも注目、関心を持っているわけです。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 病気、疲れ、それはなぜなったかということになりましょうが、あなた、正直に言って、藤井さんが、いやになっちゃったというのは、やはり再建問題とスト権の問題で、おれの言うとおりにならなかった、できなかったということもあるというふうに率直にお認めになるでしょう。病気、疲れの中にもその一因としてあるということをお認めになりませんか。まあ、言わぬでもいいですけれども、思うでしょう。  そういう意味で、藤井総裁が就任するまでの国鉄というものは、もうきわめて労使関係が険悪であって激しい対立をする。特にマル生問題での国労の反撃、当局の攻撃、大変な騒動であったのですけれども、藤井さんが就任して以来、そういう関係が次第になくなってきたことは事実であります。国鉄当局の加賀谷常務理事もこの委員会で参考人としてお述べになりましたように、完全によくなったとは言わぬけれども、漸次よくなるということをやはり明らかにしております。  ですから、これは一体どういう理由があるかと言えば、労使双方がお互いの立場を理解しながら、考え方の根本にはやはり相違があるかもしれませんけれども、何とかしていかねばならぬ。その基調となる問題は、国鉄の再建問題とスト権は切り離さずにいこう、こういうところで似通った一致点が見出されたからそういう方向になってきた。その立場に立って藤井さんが、条件つきであってもスト権を今日付与するのが労使関係をよくする一つの大きな原因になるし、国鉄再建になるというふうにいろいろの方面で発言されたと私は思うのです。そういういままでにない総裁が、いやになってやめたというその原因は、先ほど言いましたように自分の思うとおりにならなかったということもありましょうが、そのほかに外部からの介入、それから干渉、弾圧とは言いませんけれども、圧力がかかる、そういうことは見逃してはならぬと思うのです。ですから、今度新しい総裁を選ぶにしても、なかなかなり手はないでしょう。最後には自民党のだれかになるかもしれませんけれども、きわめて政治的な何かがない限りは、純粋に国鉄再建や経済の問題、労使の関係を思ったときにはそれこそ、藤井総裁じゃありませんが、いやになっちゃってやりませんよ。そういう状態にあるということを労働大臣もやはりちゃんと知っておいてもらわなければならぬ。それが部内の不統一の問題から発展してなるのだったら、これは別ですよ。ロッキードの問題じゃありませんが、大庭さんがやめたのも、内か外かわかりませんけれども、大体外からの圧力によっておやめになったということであります。その点はやはり労働大臣も、これからスト権の問題、国鉄再建の問題を取り扱う場合に、十分心の中にとめて対処しなくちゃならぬ、このように思っております。  それからもう一つの問題は、先ほど言いましたように、再建問題、これは当局が当然考えて、そして政府と協力してやらなくてはなりません。ところがここに新たに、国鉄労働組合という組合が、独自の案ではありますけれども、きわめて具体的に再建案というのを提起したのであります。これはよほどの決意がないとそういうことはできぬのです。ですから、国労がそれを発表して以来、労働界の中でも賛否両論でいま沸き返ろうとしておるのです。当初の提案は若干、赤字線の廃止とか貨物なんかやめてしまえ、こういうニュアンスがありましたけれども、それは誤り伝えられたものでありますが、しかしそれを中心にきわめて活発に討議が展開されようとしておるのです。  今日まで労働運動は、あなたも御承知のように、複雑な変遷を通じて一定の方向で発展してきております。その中でとりわけやはり特徴的なものは、特に階級闘争を堅持するという、こういう組合の全体の方針ですね。組合の中にそれをうたう、うたわぬは別にして、労働組合の幹部が政党に所属しておったり、あるいはそれぞれイデオロギーを持っておりますから、いまの資本主義体制ではわれわれ労働者の解放はない、やはり社会主義体制になって労働者が主人公にならなくてはだめだ、こういう考え方を持つのは自由なんです。いわゆる総評系に結集する労働組合はそういう人たちが多数構成しているために、一つの指導の方向として階級闘争を堅持するということになっている。ですから、その場合には労使協調を排除したり、経営参加という問題についてもこれは余り好きたがらない傾向にあることは、そういう意味から私は当然だと思っております。  ところが今度は国労は、経営参加とかいうことではありませんけれども、みずからの力によって国鉄再建をしようという提起をしたのですからね。しかもその提起は、いま国労が経済要求だけで闘争しておっても国民は支持してくれない、本当に国民のための国鉄を再建するためにはどうしたらいいかという観点から提起をしておるのです。ですから、いろいろ問題はありましょうけれども、この問題が労働運動の全体の各企業組合にも及ぼしていく可能性もあるわけなんです。しかし、それによって階級闘争を放棄したり、労使協調になるというものではない。それを堅持しながら、いま言ったように、いかにして国民のための国鉄になるかという方向でいまから行くわけなんですから、その点についてはあなたも認識されておろうと思いますけれども、こういう国鉄労働組合の新たな再建提起の問題についてどういうふうに受けとめておるか。あなたが労使の健全なる発展を願うという観点から、この問題はどういうふうに受けとめておるかという点について質問をいたしておきたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 国鉄労働組合の長い経歴の中には、いろいろな問題のあったことは私も多少は存じ上げております。そして、国鉄再建ということが自分たちの職場の確保でもあり、また国民に奉仕する姿でもある、こういうことからしまして、私はこのたび国労組が再建案を出したのをいち早く拝見しました。従来ですと、事故などの問題についてもなかなかほかの組合との歩調などがとれない、事故調査会などで。そういうときがあったにかかわらず、こうした基本的な問題について、おっしゃるように多少ラフなところもあったでしょうが、しかしそういう姿勢を出し、文書に出して、一つのたたき台にしていく姿は私は大変な進歩だ、こう思っておるのです。と同時に、おっしゃるように新しい総裁なども生まれましょうから、そうした中において、やはり労使の協調の中に——あなたは労使協調は余りお好きじゃないとおっしゃるけれども、私はしそういう中では労使の協調で初めて国鉄の再建が生まれる、こう思いますので、そういう形において生まれることを期待し、そういうところにまた私たちがお手伝いするところがあるならばお手伝いしていこう、こう思っているものであります。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 あなたの言われる、健全な労使関係の確立を期するよう最善を尽すという、こういう考え方は、少なくとも昨年から闘われてまいりましたスト権付与の問題を中心としてのあなたの考え方の実現はできなかった、失敗して破綻したと私は思っております。そのとおりでしょう。ですから問題は、閣議の決定その他がありますから、それに基づいていまからどうするかということになると思います。その所信については先ほど若干お触れになりましたけれども、あれだけでは私はどうにもならない。具体的にこれこれの問題、どうするかという点について、あなたが明らかにできるんだったらやってもらいたい。しかも三木さんが昨年の四月にみずから、スト、処分、ストという悪循環を断ち切りたいと言われた。引き続いてあなたもこの委員会でそれを再三繰り返された。ところが今日の現状はそうでない。それだけに私は責任を痛感していただきたいと思います。  そこで、そのために参考の問題として取り上げたいことが一つあります。それは、十二月五日に三木総理大臣が社会労働委員会に出席して、そしていろいろな質疑が交わされてまいって、答弁をされました。私は、三木総理の答弁は聞きようによっては幾つかの点で前向きでもあるような気がしてならぬ。ところが、翌日の新聞やマスコミ、テレビでは一様に、依然として変わらない三木さんの姿勢であると言って、そういう評価は一つもしておりません。それはそうかもしれません。それは、内容について私どもよく検討しますと、ストそのものをきわめて猛烈に批判する前言、後言がむしろ浮かび上がって、中で言われた前向きの発言というものが全部消されていったというかっこうになっておるからだと私は思います。ですから、詳細に議事録を点検いたしてまいりますと、社会党の質問に対して三木さんはある程度の答えをしておる点があるわけなんですね。労働大臣は終始三木総理と一緒におられたのですから、そこでどういうふうにあなたは受けとめられたかという気持ちを発表できれば聞きたいのです。私はいまから、議事録を読むということじゃなく、説明をいたしますから。そうすることが、先ほど言いましたように、これからの労働基本権の問題について労働大臣を中心とする労働省の考え方、政府全体がどういうふうに対処すべきかということへの参考にもなればという意味でするわけなんです。  そこで、たくさんありましたけれども、その中の二、三点だけを申し上げたいと思います。田邊委員から、「今後このスト権を付与するという政府の結論を出すまでの間に当然のことながら労使の意見は十分聞く。特に労働者の意見を十分聞く機会を持つという、三木総理の言っている対話の姿勢を持ってもらいたい」こういう質問に対して三木総理大臣は、先ほど言いました、前段ではストライキの大批判を言っておりましたが、後半で、「私は、労使関係を力の対決で解決しようという論者ではないんですよ。これは話し合いで解決せなければならぬという論者でございますから、今後政府が検討を進めるに従って労働組合側の意見も十分に聞きたいと思っております。」こういうふうに答えておる。これに対して労働大臣はどういうふうに受けとめておるか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 これは総理大臣がお答えしたように、「今後政府が検討を進めるに従って労働組合側の意見も十分に聞きたいと思っております。」私もこれと同感でございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 それからその次に、田邊委員の、「専門懇の意見書には、労働基本権問題に限ってみてもかなり多様な意見が存在していますね。したがって政府は、これから労働基本権問題を検討するに際しては、これらのいろいろな意見というものを当然検討の対象にされると理解してよろしゅうございますか。」という質問に対して、三木総理大臣は、「この専門懇の一つの意見書は全体として検討さるべきことは当然のことであって、今後政府が結論を出すまでには各方面の意見も聞くことは言うまでもないことでございます。」そのほか、それに関連するいろいろな質問をしておりますのに対して同様な答えをしておりますが、この問題についてはどういうふうにお考えになりますか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 私も、これはこのとおり、総理の言うとおりでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 それから、これで終わりますが、田邊委員の質問、「このスト権問題、労働基本権問題の中で一番重要な要素というのは、これは何といっても公労法、その中の十七条、この廃止の問題ということであることは御案内のとおりでありまして、十七条廃止と一体の関係にある十八条の廃止も当然でありますけれども、そういった点で、この公労法について政府が全体的な検討を行って必要な改正を行う、こういう中にはこの公労法十七条廃止の問題が含まれておる、このように理解してよろしゅうございましょうね。」これに対して、三木内閣総理大臣は、「公労法十七条、これはやはり検討されなければならぬことは当然でございます。全般とにらみ合わせてこれは検討されなければならぬということでございます。」こういうふうに言われておりますが、この点についてはいかがでございましょう。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 昨年の十二月五日の三木総理大臣の答弁は、先生がいまお述べになったとおりであります。私も、公労法の検討に当たりましては当然全般とにらみ合わせて十七条は検討されることになる、こういうふうに考えております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 時間が余りありませんから簡単に進めていきますが、いま労働大臣はイエスという返事でございました。ですから、これをひとつ基本にしていまからいろいろな手だてがされていくと思いますが、私どもは期待をしております。  問題は、もう一つ確かめておかなければならぬのは、先ほど言いましたように、スト、処分の悪循環を断ち切りたいという意見なんですが、この願望をどういうふうに具体的に進めていくかという問題について、三木総理は去年の四月ごろには、先ほども言いましたように、本当にまじめにこういう悪循環を断ち切りたい。そのためにはやはり、国鉄労使あるいはその他のいろいろな意見が出ておるように、条件つきであってもスト権などというものは付与しなければならぬのじゃないか、こういうお考えであったと思うのですけれども、またそういう意味でなければそういう発言は出てこない。ところが、党内のいろいろな事情によって変わってこられる。この前の委員会あたりでは子供が言うようなことを言われている。ストをしなければ処分はない、悪循環は断ち切れる。これはあたりまえのことなんです。なぜストをしなければならなかったかという歴史的な背景とか、今日どういう条件になっておるから悪循環を断ち切るためにはどうしなければならぬかといって、みんなそういうふうに受けとめておる。ですから、四月の段階で言われた三木さん、これはいいこと言うなとみんなは一つの期待を持ったと思います。長谷川さんもその後同様であるように言われました。しかし、私は、三木総理大臣のようなそういう言いぐさは労働大臣はしないと思います。あなたは労働基本権を守るという立場にある担当の大臣ですからね。ですから、その悪循環を断ち切るためにはどうしたらいいかという具体的な問題については、先ほど言いましたように、三木さん自身でもああいう雰囲気の中であれだけのことは言えたというんですから、あなたは真剣になって、去年の委員会あたりでいろいろお述べになりましたそのことを進めていっていただきたいと思います。  そのためには、まず第一に私どもが考えられるのは、去年ああいう大失敗したのは、専門懇などという、何かしらん、わけのわかるものであるかないかわからぬものがあって、とりわけその構成に対してきわめて強い不満があります。ですから岩井君も途中で辞任をせざるを得ぬ。非常に一方的に偏った構成のやり方をしておるというところにそもそものつまずきがある。専門懇の意見書なんて、これは見たら、労働運動や労働基本権の問題に果たして理解のある人々のしわざかどうかと疑われる。あっても、これは感情で何くそという、そういう片りんすら見られる。一般的には治安対策の意見書だと言われるのも無理はないんですよ。そういう愚かさを再び犯さないためにも、いまからどうするか、こういう問題が出てきます。労働大臣は先ほど、閣僚協が中心になって今後の処置についていろいろ考えると言われました。その中には、前の専門懇とは違うかもしれませんけれども、いろいろ審議会なんかというものも持つのであるかどうか。その審議会とか専門懇はどういう構成でやろうとするのか。私どもは、少なくとも公制審の構成のように、労、使、中立、こういう三者構成があたりまえのたてまえじゃないかというふうに思っておりますが、そういう問題についてどういう取り組み方をするかぐらいの点は、あなた、ここで言われるならばおっしゃっていただいたら、こういうふうに思っております。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 長い目からいろいろ御心配、私は傾聴に値すると思っております。こういう問題を扱う場合に、非常に感情的にならないようにということを私はいつでも、だれにでもお願いしているものでありまして、このたび生まれる問題につきましては、やはり学識経験のある方にその意見を聞くということで、よき人選が行われる——私の方でするものじゃありませんか、よき人選が行われるように、側面的に、御相談があれば参加してまいりたい、こう思っております。何さま長い、いままで抱えて、いまから先もずっと続く問題でございますから、そうした場合にやはり感情的にならないでやってもらうような雰囲気というものをつくっていかなければならぬのじゃないか、こう思っております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 労働基本権や公労法なんかいじる場合には、これは労働省が担当ですよ。わけもわからぬ者にそれをいらわせる、あなた方は全然つんぼさじきでお呼びがないという、こういう状態、日本の政治にとってきわめて嘆かわしいことだと私は思っております。そういうでたらめなやり方を今度は許してはならぬという決意を持っていただきたいと思うのです。しっかりやってください。  それから、ついでに言っておきますが、専門懇の意見書の中に、政府関係特殊法人の労働組合のあり方、労使の関係のあり方に対してまた至らぬことを言っておったようであります、いま私、資料がないからわかりませんが。ところが政労協の関係については、七二年五月に、政府はこの委員会で特殊法人の給与問題について検討する旨の見解をやられたし、その後大蔵省、労働省が中心になってアンケートやヒヤリングを進めてきて、少なくとも去年の秋ごろには結論を出すというふうに約束されておったのです。ところが、その間の交渉の中で、公労協のスト権の問題もあるからそれまではということで大体話が出ておったのですが、いま言ったように専門懇の、これは労働組合法から外した方がいいんじゃないかという意見なんか出されてくるとそういう問題まで吹っ飛んでしまって、もはやそれに重要な関心を持たざるを得ない。労組法で労働基本権やストやら皆与えておられながら、それで保障されておりながら、現に政労協関係組合員に対して、これは外して、いわゆるスト権をないようにしようなんで思われるような意見というものは、よもや労働省、労働大臣が受け入れるはずはないと思うのですけれども、先ほどの給与問題に関する問題とあわせてちゃんとしていただきたいというのが私の希望です。ひとつ……。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 これは御心配なく、従来の線に沿ってやりますから。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 それで、先ほど言いましたように、賃金問題で、あなたはそうじゃないと言われますけれども、低い額で今度の春闘でも抑えようとしておることに対して労働者は非常に怒りを持っている。いろいろな理由がありますけれども、特にその中で、最近起きましたロッキードの賄賂事件について、ますます一方では賃金を抑えておってこんなことでは一体どうしたことかという、こういう問題と絡み合わしていまでも大衆行動が展開されておるのは御承知のとおりであります。  ですから、私、ロッキードの問題についてこの際触れておこうと思う。予算委員会でいまから十分やるでありましょうけれども、また労働大臣とロッキードは関係ないのでしょうけれども、一応わが党の立場であなたの所見をひとつ聞いておきたいと思う。  この事件は、言うまでもなく日本の政治、民主政治の根幹をなす問題でありますから、これはきわめて重大であることはあたりまえであります。ですから、何ものにも優先してこれを徹底的に究明し、解明しなくちゃならぬというのは、これは与野党含めて同じ考えだろうと私は思います。ただ、予算審議の問題がありますから、そこに絡み合わせて若干のいろいろ争いがあるでありましょうけれども、これは解明せぬでもいいと言う人は少なくとも国会議員の中にはいないと思います。それでいままで二次にわたる証人尋問がありまして、若干の解明はされましたけれども、真相は依然として不明であります。むしろますます疑惑は深まるばかりであるというようにわれわれも受け取るし、一般の国民の人たちもそう思っておると思います。ですから、いま町の至るところすみずみまで、お年寄りも、子供でもこの問題に関心を持っておりまして、与野党を問わず、議員に対しては、あなたはピーナツをもらったのじゃないか、食ったのじゃないかというような質問すら出るような状態になっておるのでありますから、これは政治不信の高まり、下手をすると大変な危機に直面するというふうに思っておるのでありますが、労働大臣は政府の高官であるし、閣僚でありますから、いままでの解明、究明あるいは討議されたことに対して、現時点でどういうお感じを持っておられるか、お伺いしたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 ロッキード事件は本当に忌まわしい不愉快な事件でございます。そして国会においても、昨晩でも深更十一時半まで喚問される。そしてこれがどんな人々の目にも入っていき、この及ぼす影響は政治不信、そしてまた世界の中における日本の不信、こういうものを巻き起こす危険性は十二分にある、私はこう存じておりまして、政府としますれば、御承知のように検察、警察、ある場合には国税庁ですか、そういうところの三者一体の対策本部ですか、推進本部ですか、捜査本部ですか、そういうものを設けて真相究明、そういうものに当たっておりますし、さらにはまたアメリカに対しては、民主国家において一番権威のある衆参両議院が決議をしてその真相究明をアメリカに申し入れをする。それに対して総理大臣が親書でフォード大統領に、これに答えてもらいたいということをつけ加えてやっております。そうしたことからしましても、私は、日本の政治不信をなくす意味において、真相究明は本当にやるべきだ、こう思っているものであります。  一方、私の方から言いますと、何さま、ここで御心配いただきますように雇用の問題あるいは予算の問題、景気の問題がありますから、ロッキード事件の真相究明は真相究明として、やはり国民が一律に日に三度飯を食う、この雇用の問題なり勤労の問題についての予算審議というものはひとつぜひお願い申し上げたい。そして国内の不安というもの、雇用の不安というもの、こういうものをなくしてもらいたいという考え方でおるわけでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 ぼくらが一番重要にしておるのは、政府高官に渡ったとかなんとかいいます。それももちろん重要な問題ですけれども、国際的に見て考えざるを得ないという問題もある。ロッキード社、あれは死の商人と呼んでおるのですよ。この死の商人が世界各国に賄賂の金をばらまく。それを日本も受け取っておる。しかもその中心が右翼の大物であるということになりますと、それでなくても日本は軍国主義が復活したのではないかという、世界の特に侵略された国とか日本と戦った国は大きな危惧を持っておる。これは私は国際信用の問題にもなると思います。それはさらに日本の問題であるし、われわれの雇用、失業の問題にも発展してくるのですから、この際やはりそれを晴らすためには、いまあなたが言われたように、決断をもって自民党三木内閣が、高官を含め真相を究明し、そして諸外国に対してはその事実を明らかにすることによって、わが日本はいまの平和憲法に徹しておるものだ——徹しておるかおらぬかわかりませんが、少なくともそういう決意をしないことにはどうにもならぬのではないか、こういうふうに思っておりますので、もう一度、そのためにあなたは一閣僚として最善の努力をするという決意の表明をいただいて、私も大分時間が来ましたから、この辺でやめたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 国内の問題もさることながら、世界の中において日本という国は注目されている国であります。こうした忌まわしい問題で不評を買うことは将来の民族のためにも許されることじゃございません。私はやはり、個人もそしてまた国も、品格というものを常に大事にしなければいかぬ。個人としても、家としても国としても、そういうもの、災いを転じて福となして品格を回復する、こういうものにしたい。そのためには懸命に推進してまいりたい、こう思っております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 じゃ終わります。

熊谷義雄自由民主党

○熊谷委員長 村山富市君。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 きょうは大臣の所信表明に対する質問ですから、できるだけこの所信表明に忠実に従いながら御質問を申し上げたいと思うのです。  その一つは、この所信表明の中の四ページの終りの方に、「なお、最低賃金制度につきましては、地域別最低賃金が昨年末をもって全都道府県に設定され、適用労働者数も三千三百万人に及ぶに至りましたので、今後はその内容の充実を期してまいる考えであります。」こういう言葉が述べられております。今後内容の充実を期してまいりたいと言われておるわけですけれども、具体的にはどういう内容を考えておられるのか。いま社会党を中心に四野党が全国一律最賃制の法案の提案をいたしておりますが、こういう問題に対する野党案に対する大臣の考え方も含めて、ここに述べられておる「内容の充実」という意味を御説明願いたいと思うのです。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 昨年末をもって本当に地域別最低賃金が全都道府県に設定されました。そういう意味では最低賃金の普及拡大目標が達成されたことでありまして、私の所信表明にあるように、今後はその内容の充実を図ることが課題であります。今年度におきましては、まず地域別最賃と産業別最低賃金を合わせて四百件近い改定を行いました。今後はこれを、一般賃金水準、物価の動向などを見ながら最低賃金の水準の改善を図る必要がありますので、今後は、最低賃金制のあり方についてはこの前お話のありましたこと、そういうことを含めましてただいま中央最低賃金審議会の御審議の動向もあわせて見合いながら、引き続き各地方の最低賃金審議会に諮問して一層の有効な充実を図ってまいりたい。全国一律最賃の問題は、この前審議会の方に御諮問申し上げ御勉強いただいておる、こういうことでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 いまある最低賃金法を見ますと、いま大臣からも答弁がございましたように「最低賃金の原則」として、「最低賃金は、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。」こういうふうになっておるわけですね。そこでお尋ねしたいのですけれども、地域別最低賃金の賃金と失対賃金とはどういう関係がありますか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 最低賃金は、いま御指摘になりましたような原則によって、現在では各地方最低賃金審議会の御審議を経て決定をされるものでございます。失対賃金につきましては、これまた御承知のように、緊急失対法の規定によりまして、労働大臣が、類似の労働者の賃金というようなものを考慮して、関係審議会のやはり意見を聞いて決めるということでございまして、たてまえがそれぞれ違うわけでございます。一言で言いますれば関係はございません。ただ、最低賃金は国の基本的な最低基準でございますので、法律によって適用除外がありません限りにおきましては、あらゆる事業についての最低額を画するものというふうに私ども考えておるものでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 失対賃金と地域別最低賃金とは法律的にもたてまえも全然違う、関係ない、こういうふうに言われますけれども、実際に決まっている額を見ますと、賃金を見ますと——ここに一番新しい資料がございますけれども、失業者就労事業就労者の賃金、これは五十年九月改定のものですがね。それから地域別最低賃金の一覧表は、これは五十一年二月十九日現在で、労働省からいただいたものである。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 これを失対賃金と比較してみますと奇妙に一致しているわけですよ。これはもうごくわずかしか違わないのです。たとえば宮城県の例を引きますと、地域別最低賃金が千八百円、失対賃金が千八百六十七円。六十七円、失対賃金の方が高いわけです。それから茨城県を見ますと、地域別最低賃金が千八百八十円、失対賃金が千八百七十七円。これは最低賃金の方が三円高いのですよ。それから栃木になりますと、同じく千八百七十七円、千八百七十七円で、同額です。群馬も同じです。それから千葉を見ますと、わずかに十六円、失対賃金の方が高いです。神奈川県は三円だけ失対賃金が高い。東京、新潟は失対賃金と最低賃金と同額、こうなっているわけですよ。これはどういうことからこういう結果が出てくるのですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 一言で申し上げますれば、それはたまたまそういう水準に収斂したということに相なろうかと思いますが、実は失対賃金と最低賃金との関係につきましてはさきの国会で非常に問題になりまして、失対賃金の額によって最低賃金が左右されているのではないかという意味の質問が予算委員会あるいはたしか当委員会でもあったかと思います。それにつきましては、私どもそういうことは絶対にないということをお答えをいたしておるわけでございますが、しかし、仮にもさようなことが国会の場で論議されるということ自体が、最低賃金のそれこそ名誉にかかわる問題ではないかと私は思っておりまして、最低賃金は言うまでもなく独自の立場から、先ほどお挙げになりましたような原則に基づいて、三者構成であります地賃の決定によって答申がなされる。それをいまだかつて行政官庁の方で左右したことはございません。そのとおり決定をいたしているわけでございます。そういう経過で、いままで失対賃金よりも高い最低賃金はありませんでしたが、いま御指摘になりましたように、最低賃金が去年からことしにかけまして失対賃金を上回るというようなものも出てまいったわけでありまして、私どもとしてはその原則は堅持してまいりたいというふうに思うわけでございます。ただ、三者構成のそれぞれの審議会におかれまして論議をされます場合に、最低賃金決定の原則は大変抽象的なものでございますから、やはりよるべき指標が大切でございます。そのためには、各地方地方で非常に苦労をされまして賃金の実態調査を行っておられます。その他、類似の労働者の賃金あるいはいろいろな情報というようなものを恐らく吟味をされるということは、これは当然あろうかと思います。そういう意味でいろいろな種類の賃金が関連を持ってくることは事実でございますけれども、原則はただいま私がお答えしたとおりで運営を行っております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 いまの説明だけでは私はちょっと納得できないのですけれども、たまたま同額になっている。これはたまたまじゃなくて、実際に双方が関連し合っているのではないか。だから私は、最低賃金法で言う「最低賃金の原則」、これを読みかえますと、「最低賃金は、労働者の生計費、類似の労働者」というのは、失対賃金を決める場合には地域別最低賃金、今度は最低賃金を決める場合には失対賃金、こういうふうに読みかえた方がもっとすっきりするのではないかと思われるぐらいにありますよ。私どもが、各県で持たれておりまする最低賃金審議会委員には労働者代表も入っていますから、いろいろ審議の内容を聞いてみますと、それは局長がどんなに答弁しようとも現実に失対賃金が大きなウエートを占めておる、影響力を持っておるということは否定できない事実ですよ。ですから、ある意味からしますと、失対賃金によって全国地域別最低賃金は抑えられる。同時に、失対賃金は地域別最低賃金が足を引っ張ってなかなか上がらない。こういう関係にあることはもう否定し得ない事実だと私は断定していいぐらいに、それはいろいろ各審議会の模様を聞いておりますよ。基準局長が心配して、事前に根回ししていろいろやっている話もあるし、それは聞いていますよ。そういうことはやはりもっとすっきりした方がいいのではないか。ですから、いまお話がありましたように、何らかのよるべき指標をつくるならその指標をこしらえて、誤解とするならばそういう誤解のないように、もっとすっきりした方がいいのではないかというふうに思います。  それからもう一つは、この最低賃金を見まして、仮に一カ月二十五日働くとして、最低の場合なんか見ますと月に四万円ぐらいにしかならぬでしょう。これは恐らく家族持ちもあるかもしれませんし、単身者もあるかもしれません。これで生活できると思いますか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 地域別の最低賃金の現状をちょっと御説明をいたしますと、最高は現在大阪府の日額二千六十四円でございまして、二十五日換算をいたしますと月額五万一千六百円に相なります。最低は青森、岩手の日額千六百五十円でございまして、同じく月額換算をいたしますと四万一千二百五十円でございます。中位数といたしましては平均日額千九百七十四円、月額換算四万九千三百五十円、こういうような数値になっておるわけでございます。  それで、こういうことで生活ができるかという御質問でございますが、もとより最低賃金でございますから、限界労働力の現状というものを反映するわけでございますから、非常に豊かな額が決まるというわけには相ならないわけでございますけれども、生活ができるかどうかという点につきましては、私どもは実は社会保障の生活保護の水準との関連も十分注意をして見ておるわけでございます。その点につきまして、一応その水準を上回っておるというようなことでございますし、それから生活ということになりますと、御承知のように、生活保護の場合は家族単位、世帯単位でこれを見る。労働者の場合はそれぞれ一人当たりでございますから、必ずしも一家の生計を支えている労働者に限らないわけでございます。そこで最低の賃金を決定するということになれば、非常に若年の労働者あるいは中高年の労働者というような者が類似の労働者として浮かんでまいりますので、勢いこういう額になるということかと思います。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 もうこれは議論になりますから申し上げませんけれども、さっき大臣は、一般賃金水準に近づけるように努力するとか物価の動向を勘案してなんという御説明がありましたね。ですから、最低賃金というのは、いま局長が答弁されましたように一人の労働者の賃金であるかもしれない。しかし、実態としてはその労働者の賃金でもって何人かの家族が生活しているということだってあり得るわけですから、したがって、一人の労働者の賃金だから安くてもいいんだ、こういう考え方でおることについては問題があるのではないかと思うのですね。この最低賃金というものは、これは労働の需給関係が、求人が多くて求職の方が少ないという場合には労働者の方が強くなる、逆の場合には今度は経営者の方が強くなる、ということになってまいりますと、相当大きな影響力を持つわけですよ。まして不況の中でどんどん倒産も出る、失業者も出るといったような傾向があるときには、せめてこの最低賃金制がやはり労働者の支えになる、こういう役割りを果たすわけですから、したがって、少なくとも、八時間働けば最低の生活は保障されるのだという程度の賃金にまでは引き上げるというぐらいのよるべき指標をつくるということでなければ、これは意味がないんじゃないかと思うのです。同時に、私どもは四野党でさっき申し上げました一律最低賃金制を出しておりますけれども、もういま地域によっての物価の格差やら生活の格差なんというものは余りないのではないか。せめて最低賃金ぐらいは全国一律でもいいのではないかというように私は思うわけですよ。ですから、そこらに対する考え方を含めて、この問題に対する答弁を大臣から聞いておきたいと思います。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 基本的な考え方は最初に大臣が申し上げたようなことでございますけれども、いま先生のお話は、地域格差というようなものもそろそろ無視して、全国一律がいいのではないかという御提案でございます。実は現在の最低賃金の運営は、昭和四十五年の中央最低賃金審議会の答申によって行われているわけでございまして、その答申の中では、御承知のように、「全国全産業一律制については、なお地域間、産業間等の賃金格差がかなり大きく存在しているという事実を確認せざるを得ず、現状では実効性を期待し得ない。」ということで、そういう考え方は一応否定をされてきたわけであります。ただ、いまお話にありましたように、労働四団体あるいは野党四党の法案提出というような事態もございましたので、最初に大臣が申し上げましたように、昨年の五月三十日に、この全国一律最低賃金制の問題を含めひとつ今後の最低賃金制のあり方について諮問を申し上げるということで、中賃にお諮りをしているわけでございまして、その際、野党四党による法案が国会に出されているということにも留意をするということもつけ加えて諮問をいたしたような次第でございます。  なお、中賃におきましてはその後非常に精力的に審議が行われておりまして、すでに総会が六回、それから小委員会が去年の暮れからすでに四回開かれておりまして、いろいろ、いまお挙げになりましたような問題も含めて活発な論議が行われているところでございます。私どもはその動向を十分にらみ合わせまして、いずれ御意見がいただける段階で、それに沿って行政運営を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 いま全国の平均賃金額を見ますと、日額にして大体四千八百八十三円、こう言われているわけですね。この平均が千九百何ぼですか。ですから、冒頭に大臣が答弁をされましたように一般の賃金水準に見合って最低賃金も決めなきゃならぬという考えであれば、これは余りにも低過ぎるということははっきり申し上げることができると思うのですよ。ですから、もうここでは議論しませんけれども、そういう実態を踏まえて最低賃金は引き上げるという方向で努力をする。これは失対賃金だってやはり低いです。ですから、両方がお互いに足を引っ張り合うというような作用が働くのではなくて、こっちも上げるしこっちも上げる、こういう考え方で今後一層の努力を期待してこの問題は終わろうと思うのです。  それからもう一つは、大臣の所信表明の六ページにこういうことが言われております。「職場における職業生活と家庭生活の調和に関する施策の充実を図るなど、労働環境の整備を進め、」こうあるわけです。この「職業生活と家庭生活の調和に関する施策の充実を図る」というのは、具体的にはどういうことなんですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 このことは、私の方の役所は、勤労婦人が職業生活と家庭生活の調和を図って、職業能力を有効に発揮して充実した職業生活を営めるよう、そういう意味から従来相談業務の充実を初めといたしまして、いろいろな施策を講じてきたことは御承知のとおりであります。特に、乳幼児を育てる勤労婦人の福祉増進のために、託児所、託児室、それから学童学習室などを持つ勤労婦人の家を建ててまいりまして、この運営の充実を図るとともに、企業内の保育施設の設置を促進するための融資制度を整備してきました。  また、勤労婦人福祉法に定められております育児休業につきましては、五十年度から育児休業奨励金支給制度、これをつくりましてこの普及に当たっておりますが、来年度はいわゆる特定職種育児休業法の施行に関連しまして、看護婦、保母などの特定職業について育児休業の利用を容易にするための助成措置を講じる方向で検討を行っております。いずれにしましても、勤労婦人の職業生活と家庭生活における当面の問題については、幅の広い調査研究を実施してまいりたい、こういうことで前向きの姿勢で取り組んでまいりたい、こう思っております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 保育所は厚生省の所管ですから関係ありませんけれども、最近私がいろいろ調査をした範囲では、保育所の申し込みというのは大変で、ちょっとおくれますとけられて入れない。それで困っている人がたくさんおるわけですね。ですから、そういう部面も厚生省あたりとも十分話をして、いま大臣が言われたような考え方があるのなら、もっと名実ともに充実されるような方向でやってもらいたいと思うのです。  特に、時間もございませんから、ここでは育児休業の問題について若干お尋ねしたいと思うのですが、いま民間の企業の場合に、大体育児休業の扱いというのは実態としてどうなっていますか。

森山眞弓労働省婦人少年局長

○森山(直)政府委員 昭和四十八年の私どもの調査によりますと、三十人以上の企業のうち四・三%の事業所に育児休業が普及しているということがわかっております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 四・三%……。

森山眞弓労働省婦人少年局長

○森山(直)政府委員 はい。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 この育児休業期間の扱いはどうなっていますか。

森山眞弓労働省婦人少年局長

○森山(直)政府委員 その事業所によりましていろいろでございますけれども、勤労婦人福祉法にはそのような措置をとりますように奨励をするという趣旨が書いてございますだけで、その具体的な取り決めにつきましては労使の話し合いということに任せられております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 三十人以上規模の事業場で四・三%ですね。これは微々たるものですね。さきの国会で、さっきお話のございました教員、看護婦、保母、それから保健婦の一部ですけれども、これを対象にした育児休業法ができましたね。これは四月一日から施行されるわけでありますが、この法律にも問題がありますね。なぜかといいますと、子供を生み、育てるというのは全部同じでしょう、女性は。何がゆえに特殊な人だけを特別の対象にしてこういう扱いをする必要があるのか。結構なことだから反対はしませんけれども、しかし、言うならば、いま男女の差別があると言って、国際婦人年で大変問題になっている。今度は女の中に、同性の中にまた差別がつく、こういうことを労働省は一体黙って見ておるのかということに大変義憤を感ずるのですが、どう思いますか。

森山眞弓労働省婦人少年局長

○森山(直)政府委員 御指摘の特定職種の育児休業法と申しますのは、先生おっしゃいますように、義務教育諸学校等の教育職員及び看護婦、保母等の職務に従事する者につきまして特別の措置を考えておるものでございますが、これらの職種は非常にほかの職業と違いまして特殊性がございまして、それらの者が職務を、継続的に勤務を促進するということがその業務の円滑な実施を確保するということでございまして、そのようなことが国家として、あるいは国民の生活あるいは福祉、教育等の面から非常に重要であるということで、特に各党共同の御提案で制定されたものというふうに理解いたしております。もちろん育児休業制度をもっと普及したいと考えております労働省といたしましても、この法律の御趣旨には賛成でございまして、プラスであると考えて、先ほど大臣が申し上げましたように、この法律の趣旨に沿いまして、公立の施設以外のものでも同様の措置が図られますように、その方向で検討を行っているところでございますが、いずれにいたしましても、労働省といたしましては全体として勤労婦人の間に育児休業制度がもっと普及いたしますように、おっしゃるとおり四・三%は非常にまだ微々たるものでございますので、事業主の理解を促進し、また労働者にもその趣旨を徹底いたしますように、啓発指導いたしたいというふうに考えております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 いまお話の中に、教員とか看護婦とか特殊な業務というものは継続的に勤務する必要があるし、非常に重要である。それじゃ一体ほかの職業で働かれる女性は重要でないのかということにもなるので、そういう理屈は私はやはりおかしいのじゃないかと思いますよ。これはもちろん私ども賛成して通した法案です。なぜかといいますと、また政府自体に全部の女性に対して育児休業法を適用するという構えがないから、これを突破口に全部普及していこうではないか、こういう考え方でやっているわけですから、ですから誤解されては困るのですけれども、私はこれだけを特別にしたのはけしからぬと言っているのじゃないのですよ。なぜ、さっき申しましたように、女性の中にまた差別するようなことをするか。むしろ労働省が率先をして全部の女性に適用されるような仕組みにしてもらいたい、すべきである。こういう考え方から積極的にこの問題に取り組む、何らかのやはり施策を講じていく、こういう態度がなぜとれなかったのかということに対して、むしろ私は労働省に対してきわめて不満であると思っておるのです。どうですか。

森山眞弓労働省婦人少年局長

○森山(直)政府委員 労働省といたしましては、昭和五十年度から、職種を問わず、産業を問わず、育児休業制度を導入いたします事業主に対しましては、わずかではございますが奨励金を給付するようにいたしているところでございまして、先生の御趣旨、ささやかではございますがスタートしたところでございますので、これが多少でも効果がございまして、今後普及が伸びていきますことを期待しているわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 それは私らも不満をぶっつけて、そしてもっと積極的な態度をとって、やはり四・三%なんていうのじゃなくて、もっと全部の女性がこういう恩典を受けて、そして母性が守られていく、女性の職場が守られていく、やはりこういうことを考えるべきではないかと思うのですよ。特に最近厚生省は——厚生省もこれはくるくる変わるからよくわからないのだけれども、最近また母乳がいいと、母乳を奨励しているわけです。少なくとも生後三カ月くらいは母乳を授乳することがいいと、こう言って奨励しているわけでしょう。ところが、私がずっとこう調べている範囲でも、ほとんど働いている女性はもうミルクをやっていますよ。こういう実態というものを考えた場合に、私はやはりこの育児休業というのは切実な願いではないかと思うのです。そういう婦人の気持ち、母親の気持ちというもの、しかも子供を健やかに育てる、りっぱな民族をつくっていくという観点からも、私はもっと労働省が積極的な取り組みをやっていいのではないかと思いますよ。大臣、どうですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 大体賛成です。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 それじゃその問題はそういう点を指摘して、真剣な取り組みをひとつ期待いたします。  それからもう一つは、これは労災病院でありますが、労災病院とか労災の指定病院なんかの場合には診療費が健康保険の額と違いますね。この診療費は一体どこでだれと協議をして決めるような仕組みになっているわけですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 労災の療養につきましては、御承知のように労災保険法の規定で療養給付を行う。つまり、実際の給付をいまおっしゃいますように指定病院等で行う。そういうことが困難な場合には、療養の給付にかえて療養の費用を支給するということで、あくまでも現物給付といいますか、病院で実際に施療を受けるということがたてまえでございます。その場合の療養の給付というのは、できるだけやはり労災の本質に即した手厚い医療が加えられなければなりません。そこで、われわれとしてはできるだけ労災病院、あるいは少なくとも十分な施設を持った指定病院というものを決めまして、そこで療養の給付が受けられるようにということを考えておりまして、労災保険法の施行規則の十一条にも、それぞれ各都道府県労働基準局長において指定をするということが出ておりまして、そこでその指定ということで、それぞれの病院なり診療所と契約というような形で療養の概要が決められるわけでございます。  そこで、問題は診療費でございますが、一般的には、御承知のように勤労者の医療の場合には健康保険という形で行われるわけでございまして、健康保険は一点単価、それら所定の点数ということで診療費が決まっておることは御承知のとおりでございます。しかしながら労災につきましては、患部汚染が非常に著しいとか、あるいはたとえば技術等の面で特殊性があるとか、いろいろな労災診療の特殊性というものを考えなければなりませんので、一般の健康保険の場合の単価に若干の上積みをし、また点数等もそれよりも多目のものを基礎といたしまして診療費を決めていくということが望ましいというふうに思っておりまして、従来から、全国斉一にこれを運ぶ必要もありまして、日本医師会等と相談をいたしまして一応の水準を定めまして、それによって、それぞれ各県の基準局長、それからそれぞれの指定病院というようなものと取り決めをして運用をしておるというのが実情でございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 そうすると、労災保険の場合の診療費は日本医師会と協議をして大体決めて、そしてその決めたことを基本にして基準局と指定病院で話をする、こういうことになるわけですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 そういうことでございます。その水準に従って実際に療養が行われた場合に療養給付の請求が出てまいりますが、それによって支払っておるというのが実情でございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 私が聞いておるのは、だれとどこでそういう協議をして決めるのかということを聞いたわけですから、だからもう一遍確認しますけれども、日本医師会と労働省と相談をして、そして基準を決めて、決めたものを今度下におろして、そして各県の基準局長がその基準に基づいて指定医療機関と決める、こうなるわけですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 いま先生がおっしゃったような手はずで行っております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 そうしますと、これは全国各県同じですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 できるだけ同じように行うということが望ましいわけでございますが、昭和三十六年にこういう慣行が確立されました。それまではそういった取り決めはございませんで、各都道府県まちまちで、医師会との相談等で慣行料金といいますか、そういう形で行われておりました。それがやはり余り不斉一であるということは好ましくないというようなことから、いま申し上げたような方式に切りかえてまいりましたけれども、その過程でなお一、二の府県で必ずしもそのとおりに行われないということがあったわけでございます。実は今般、ことしの一月からある程度の診療費の引き上げというようなものも実現しましたので、この機会に、やはりできるだけ斉一な方針のもとにこういったものが行われるということが望ましいというので、できるだけそういうふうに持っていきたいということでいま努力をいたしておるところでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 それじゃ後で、各県がどういう取り決めをして、単価はどうなっているかというものを資料で出してください。  それから、重ねてお尋ねしますが、この労災保険の場合の診療費は、たてまえとしては自由契約ですか、あるいはこの基準はやはり健保なら健保の診療報酬が何らかの基準になっておるというふうに判断されますか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 たてまえは、労災診療に必要な診療費はこれを支払うというのがたてまえでございます。ただ、先ほど来申し上げましたような沿革で、一応全国的に斉一な線が実行されておるということでございますので、できるだけそういった形で、それぞれの関係の向きの協力も得まして統一ある運用をしてまいりたいということでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 いま労災診療費の単価は幾らになっていますか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 一般医療機関が十二円、それから国公立のような非課税の医療機関は十一円五十銭でございます。御承知のように健保は単価が十円でございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 これはどっちがいいのか悪いのかという議論は別にして、さっき局長の説明を聞いていますと、労災にはやはり手厚い給付をしてもらう必要がある、それから特殊性を考慮した、こういうお話が若干ございました。そうしますと、さっきの話じゃないけれども、それなら一般の患者さんは手厚い給付は要らぬのかということになるので、私はどういう角度から考えても、健保の診療報酬の単価と労災保険の単価が違うというのはどうも余り納得できぬのですよ。理解できぬのですよ。ですから、これはここで説明を聞くと長くなりますが、何かここで説明できるような根拠があれば説明してもらいたいし、そうでなければまた資料か何かで出してもらいたいと思うのです。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 先ほどお答えしましたように、診療というものは一般診療も労災診療も、基本的な考え方において相違があるはずはないわけでございますけれども、労災の場合には患部の汚染が著しいとか、深層かつ広範囲にわたるものが多いとか、それから技術上の、御承知のように労災でございますから手術等のチャンスが多いわけでございますが、そういうようないろいろな労災診療の特殊性というものをやはり考える必要がある。それから課税上の調整というものも若干考えなければならない。御承知のように健保の方では非課税の問題がございますから、そういったいろいろなものを考慮して、従来から慣行的に一般の水準より若干高目なもので決めてきた、そういう沿革でございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 これは後の問題もありますからまた含めてお尋ねしますが、いま局長からお話がございました労災保険の診療費の単価の場合も、一般の医療機関が十二円、それから非課税病院が十一円五十銭、この五十銭の差がついている根拠は何ですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 まあ、いろいろな点を考慮してと申し上げましたが、労災医療の特殊性だけじゃなくて、課税上の問題がございまして、健保の場合には租税特別措置法によって大きな恩典が与えられているわけでございますけれども、労災その他こういった診療についてはそういう恩典がないわけでございますから、そこで若干のそういう課税上の相違というものを考慮しなければならない。ただ、国公立の場合にはまた税金のかけ方が別でございますから、そこの差異を考慮したもの、こういうふうに理解をいたしております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 そうしますとこの五十銭というのは、一般の診療所、病院の場合、医療機関の場合には課税される、それから国公立の場合には課税されない、その点を考慮して五十銭の差をつけた、こういう説明ですか。これは労災の診療費だけですよ、健保でなくて。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 国公立との間で課税上の相違がありますので、そういう差がついておるということでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 そうしますと、この租税特別措置法による優遇措置は一応のけて、いまの税法上のたてまえからすれば、利潤が上がったものに対して税金をかける。所得があったものに対して税金をかける。所得がなく利潤がなければ税金はかからぬわけですから、その病院、その診療機関に税金がかかるかどうかというのはわからぬでしょう。にもかかわらず患者に税金の五十銭を負担させるというのはどういうわけですか。どういう理由ですか。そういう理屈になるでしょう。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 先ほど申し上げましたように、非常に沿革的な理由でこういう一般診療費に比べて高い診療費ということが決められておりまして、その中では労災の特殊性とかあるいは課税上の調整とか、いろいろな面を含めてこういう結果になっておるわけでございますが、その際に、一般医療機関と非課税医療機関との間には若干の差をつけてもよろしいのではないかというふうなことで、従来からこういう差がつけられてきておるということでございます。いま御質問のような点について十分な検討というものを経たわけではない、いろいろな理由を勘案してこういう診療費を決めておる、かような次第でございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 私は誤解されると困るから申し上げておきますが、高いとか低いとか言っているのじゃないのですよ。やはり適正な診療費が払われることは当然であります。最近特にやかましくなっておりますから。ただ、こういう差をつけた根拠というものは、もっとやはり納得できるようなものでなければならぬと思うのですね。いままでの説明を聞いていますと、一般の医療の場合には税金がかかる、国公立の場合にはかからない、だから五十銭の差をつけました、こういう話でしたからね。ですから、もう一遍繰り返しますけれども、いまの税法上のたてまえから言えば、租税特別措置法なんかは別にして言えば、所得があり利得があればそれに対して税金がかかる。なければかからないわけですから、労災指定病院がすべて所得があって、利得があって税金がかかるとは限らないわけでしょう。かかるか、かからないか、わからないものに、前もって税金分といって保険料から払わせるというのはちょっとおかしいのではないか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 いま租税特別措置法の措置は別としてとおっしゃいましたが、そういう措置があるということも念頭に置いて、その他の条件もいろいろ検討してこういうことになったというのが実情でございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 租税特別措置法の恩典がある、ないというわけですね、その問題は。これは健康保険の診療報酬の単価と労災保険の単価の違いというのはそういうことだろうと、説明があったわけですよ。これも私はそのまま納得しませんよ。しかし、いま私が申し上げておるのは、健康保険の診療報酬の単価とは違って、労災保険の中で一般医療機関と国公立の医療機関と五十銭の差があるのはなぜかと聞いたら、それは税金です、こう言うから、税金なら、そういう差をつけるのはおかしいじゃないか。税金というものは本来そういうものに課税されるべきものであって、結果がわからないのに前もって保険料からこれは税金分ですと取るのは不当ではないか、こう言っているわけですから。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 必ずしも税金だけの理由ではないと思いますけれども、いま先生が御主張になった限りにおいては、筋としてはそのとおりかと思いますので、私どもも、非常に沿革のありましたことでございますこの辺のあり方につきましては、今後とも十分研究をしてみたいというふうに思います。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 ではひとつこれは十分検討してもらいたいと思うのです。  そこでお尋ねしますけれども、これは仮に日本医師会と基準を決めて、大体決めた基準がそのまま各県におりていくわけでしょうけれどもね。その場合に、各県の基準局長とその県なら県の医師会と協定をして、そしてやるということになりますか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 正式には各指定病院を指定する場合に契約ということでそういうふうになるわけですから、個別の病院と基準局長とが決めるということになります。ただ、実際問題として、非常に数も多うございますから、中央でそういう合意がなされてくれば、地元の医師会とも相談をして、県内でいろいろでこぼこやなんかが起こらぬように措置をするということは、これは地方の機関としては当然のことでございます。そういうことで従来からも行ってまいっております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 そうすると、指定病院にする場合に協定を結びますね。協定かなんかするんでしょう。だけれども毎年毎年改定される可能性があるわけでしょう。そうすると、改定をされる場合にはその指定病院に一々やはり意見を聞いたり相談したりするのですか。それはどうですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 料金改定等につきましてはもとよりそういうことになります。ただ、個別に行いますよりも県内の医師会等を通じて行うということが、事を迅速に運ぶに非常に便利であればそういう方法もとられるということでありまして、筋としてはいま先生のおっしゃったようなことでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 実際問題としては、私は必ずしもそうはなってないように承知しているのですけれどもね。たとえば、さっきから言いますように、労働省と日本医師会と話をして大体の基準を決める。その基準を下におろして、今度は受けた基準局長が県の医師会なら医師会と相談をして、それならこれでやりましょう、こう言って決めるということになっておると思うのですよ。そうして、ここにも千葉県の労働基準局長から各労災指定医療機関に出した通達がありますけれども、これを見ましても、「この改定につきましては、千葉県医師会の御了解を得ておりますので、申しそえます。」と書いてありますね。そして、実際には個々の医療機関、特に公的病院なんかに対する相談なんというものは全然ない。一般の病院ではそんなものないのです。だから私は聞きたいのですけれども、仮に自治体病院なら自治体病院、県立病院なら県立病院が条例で、労災保険の診療費は単価は十二円にします、こういうふうに決めた場合にどうなりますか。これは指定を取り消したり、あるいは条例の改定を要求したりなんかいたしますか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 先ほどもお答えしましたように、筋としてはそれぞれ個別の契約の上で明らかにする、その都度御相談するというのが筋でございますが、何と申しましても大変数が多いことでございますので、いま千葉県の例をお引きになりましたけれども、当該県の医師会等とも相談をして、そういうことで別に御異議がなければそれでやる、こういうことになるわけでございます。  ただ、いまこういう場合はどうだというふうにお挙げになりましたが、それじゃ健保並みで十円でというような、しかもそれが条例で決まるというようなことになりますれば、そういうものを左右する拘束力は私どもの方と医師会との協定というものにはないわけでございますが、ただ私どもは、指定をする場合に一応そういう中央で決めました基準に従っていただくということを前提にしておりますので、それはそういう事態が起こればやはりケース・バイ・ケースに御相談をしたい。私どもの方針を御納得いただけるような努力を十分すべきだというふうに思うわけであります。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 いや、そういうことでなくて、いまさっき説明があったように、単価は十二円になっていますね。それから国公立の場合は十一円五十銭。これはさっきから議論しましたように、やはり理由が納得できないわけですよ。これは薄弱ですよ。単なる慣行で来ているというだけの話であって、根拠はないわけです。まして税金を対象にするなんということはおかしいというようなことは、だれもが認めているのですよ。そこで、これは健康保険が単価十円だから十円にしようなんということを決める病院、自治体はありませんよ。せめて、一般の病院が十二円ならうちも十二円で扱わしてもらいたいというので、条例で十二円と決めた、こうした場合にどういう扱いをおたくはされますか、こう聞いているわけですよ。だから質問だけに答えてください。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 いまお出しになりました例は、先ほどは健保の十円の場合はどうかという御質問でございましたが、いまはむしろ十二円の場合が多いじゃないか、あり得るじゃないか、そういうときはどうかというお尋ねでございます。この点につきましては、先ほどもお答えをしましたように、従来一般につきましては十二円、国公立等の非課税医療機関については十一円五十銭でやってまいりました。ただ、先ほどのやりとりの中でも、この点については私どもも確かに課税上の理論ということから言えば問題もあるかと思いますので、少し検討さしていただきたいと申し上げました。その検討の中で、いま御提案の点もあわせて検討してみたいというふうに思うわけです。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 いや、その将来の問題は別として、現にもうこの協定でいま行われているわけですから。これはどう考えてもやはり不都合だ、おかしい。だから、私の病院では、仮に県立病院なら県立病院では同じように十二円の単価にしてもらいます、こう言って決めた場合に、それはどういうふうな扱いになりますか。指定病院を取り消しますか、どうされますか、こう聞いているわけですよ。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 少なくともいままではそういうことでやってまいりましたので、私どもとしては十一円五十銭でお願いできないかということをやはりお願いをすることになろうかと思います。しかしながら、その五十銭の問題につきましては今後検討してみますので、その中でなおそのいまの話し合いがつきません場合にはやはり考えたい。しかし現状では、従来からこういうことでまいっておりますので、なるたけその方針に従っていただくように私どもとしてもお願いをしたいということでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 その十二円、十一円五十銭の差がどうのこうのという問題についてはこれから検討を加えて、早急に是正をするということであればそういう問題は起こってこないわけですから、できるだけそういう問題が起こらないようにするためにも、早急に検討して、訂正するなら訂正する、改定するなら改定するということが必要ではないかと思うのです。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 できるだけその五十銭の点につきましては私ども十分研究いたしますが、いま直ちに改定できるかどうか、いろんな財政、予算の問題もございますので、私ども若干の時間をいただいて検討さしていただきたいと思います。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 しかも、この十項目にわたって今度は改定をされておるわけですけれども、この改定の内容を見ますと、どうしてもやはり、私が客観的に分析してみましても、民間病院というか一般医療機関の方が有利になっておるというふうに思われるのですよ。どういう点からそういうことになるかと申しますと、たとえば、これはどこでも同じでしょうから、ちょっと資料がありますが、入院時医学管理料というのがありますね。これは入院した患者に対する医師の管理料です。これは改定されていますよ。ところが、最近の医療費の動向というのは、むしろ看護婦等を含めた人件費が上がってきて、そして相当苦しくなってきておるというのが大きな原因なんですよ。ところがその看護婦さんなんかの看護料なんかの改定については全然外されておるわけですよ。これは一体どういうわけですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 先ほども申し上げましたように、基本はやはり健保を基本にいたしておりまして、いまお挙げになりましたような人件費というような問題になれば、これは健保の単価なり点数の問題ではなかろうかと思いますが、労災でそれと違った上積みを若干いたしておりますのは、あくまでも労災の特殊性という点に着目をするということでございますから、看護関係で非常に人件費がかさむ、そこが病院経営のウイークポイントになるというだけでは、私どもは理由にはならないのではないかというふうにいま感じたわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 健保に準ずるわけですか。そうすると、いま健保は中医協で改定の議論をやっているのですよ。結果はまだどうなるかはっきりわかりませんよ。それでは一体労災はこう改定したのはどういうわけですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 基本は健保でございまして、したがいまして、健保はいま御承知のように中医協でやっておりまして、どう改定されますか、この単価なり点数が上がるということは、私ども、全体の労災病院あるいは労災指定病院の経営上は大変望ましいことではないかというふうに思っておるわけでございます。ただ、この労災医療の特殊性についての加算という問題は、昭和三十六年に行われまして以来長らく懸案でございまして、つまり加算がまだ不十分だということで従来から関係者から非常に強い要望もございまして、約一年以上医師会等とも折衝してまいりてきたわけでございますが、この段階で従来の主張の一部も認めまして、労災医療の財政上この程度の加算も可能だという段階で踏み切ったというわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 労災保険の財政上も可能だと、余りつけ足した苦しい答弁をされなくていいですよ。もっと素直に答えてもらった方がいいと思うのです。さっきは健保を一つの基本にして、健保に準拠して改定をした、こう言われたわけですね。私もそうだと思うのですよ。そうしますと、健保の診療報酬については、さっきも言いましたようにいま中医協で審議中なんですよ。にもかかわらず労災だけ先に改定をされた。この改定の根拠は何なのかということを、これはもう説明はいいですから、資料で出してくださいよ。改定をしたその根拠。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 健保が基本だということは、健保が改定になれば当然われわれの方も改定になるわけでございます。それに対してさらに労災の特殊性ということでこういう加算をしておるということでありまして、これは労災のみならず、たとえば自賠等につきましてもあるいは公害関係につきましても従来からいろいろな要請がありまして、昨年来一部にそれぞれ実現をしたところであります。医療機関といたしましては、公害あるいは自賠等で相当のものを見てもらえるのに労災は不十分ではないかという声が非常に激しくございまして、労災もその特殊性を考えるべきだというようなことからかような措置をとっておるわけでございまして、健保の方が上がれば一般のレベルアップが行われることは当然でございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 何回も言いますけれども、健保はいま中医協で審議中で、改定がどうなるかわからないのです。この文書を見ますと、五十一年一月二十二日に出された文書で、「五十一年一月一日から診療について適用する。」こうなっているわけです。ですからごく最近改定をされたわけですよ。健保はまだ結論が出ていないのです。にもかかわらず労災がこういう改定をしたのは、準拠はするだろうけれども、健保とは一応切り離して改定がなされたと思われてもいいのではないか。そういうことを前提にすれば、今度改定をされた根拠を資料でもって提供していただきたいと思うのです。これはお願いしておきます。  それから、時間も参りましたので最後にお尋ねしますけれども、実際申し上げますと、先ほど局長も言いましたように、たとえば手厚い給付をしてもらうとか、あるいは特殊性を考慮したとかいう説明がございました。これは、一般病院と国公立病院を比較してどっちがいいかなどということは私は申し上げませんけれども、それぞれお医者さんは自分の信念で一生懸命やってくれていると思います。ただ、病院内部の仕組みから申し上げますと、たとえば看護婦にしてもあるいはエックス線技師にしても、そういう病院に働いている労働者の、資格があるかないかというその有資格の関係を見ますと、圧倒的に国公立病院の方が有資格者が多いわけです。それだけやはり違うのではないか。それだけ一般病院と違って国公立病院の方が負担も大きくなる。だから、ある意味からしますとそれだけサービスもよくなるかもしれぬし、行き届くかもしれないということも言えるのではないかと思うのです。そういう点を考慮すれば、さっきから言っております五十銭の差がつくなどということは全面的におかしいというふうに私ははっきり申し上げておきたいと思うのです。  そこで、これからの扱いとして、冒頭に聞きましたどこでだれと相談して決めるのかという話ですけれども、これは単に日本医師会と相談をして決めるというのではなくて、公的法人としての病院連盟やいろいろな組織があるし、そういう団体に加盟している病院も労災指定病院になっておるわけですから、そういうものともやはり同じように相談をして、そして協定をする、こういう配慮がなされて当然ではないかと思うのですけれども、それはどうですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 御指摘のような関係団体がほかにもありますならば、私どもとしてはできるだけ広く関係者の意見を聞いて決めるというのが筋だろうと思います。従来長らくそういう慣行でまいりましたけれども、いまの御発言の趣旨も十分考えまして、私ども、できるだけ広く、今後意見を聞いてまいりたいと思います。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 いろいろ申し上げたいこともありますけれども、時間が参りましたのでこれでやめたいと思いますが、ただ、さっきから何遍も言っていますように、医療機関というものはそれぞれ特殊性があります。ですから、医師会だけと相談をして決めればもう何でもいくのだというような判断ではなくて、労働省はもちろん各県の労働基準局も、こういうものを決める場合には、そういう団体があればそういう団体とも十分意を通じて、意見も聞いて相談して決める、こういう配慮が必要ではないかと思いますから、この点はひとつ実際に守っていただくようにお願いをいたしまして、終わります。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 この際、午後二時半まで休憩いたします。     午後一時十六分休憩      ————◇—————     午後二時三十分開議

熊谷義雄自由民主党

○熊谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。寺前巖君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 きょうは大臣の所信に対する質問でございますが、どんなりっぱな法律をつくったり、どんな予算を組んでも、その執行者が正しくその内容について公務員としての奉仕をしなかったときには、それは悪いものになってくる。いま国会で問題になっておるロッキードの問題にしても、なぜ予算委員会であれだけ問題になるのか。せっかく組んだ予算がだれかのふところに入ってしまっている、あるいは政治家の、あるいは企業の。こういうことになるとたまったものじゃないという国民の疑惑から、予算委員会であれだけ審議がされてくるというのは、ぼくは当然だと思うのです。  そこで私は、きょうは労働大臣や関係の方々に、現実に行われている諸問題をめぐって法をどのように理解し、そして国民の役に立つようにそれを執行しているかというそういう姿勢問題として二つの事象についてお聞きをしたい、こういうふうに思います。  一つは、民間の放送関係で発生している職安法四十四条違反という問題です。私のところに昨年訴えがありました。近畿放送という放送局ですが、そこで大阪東通という会社から派遣をされて放送局の中でみんなと一緒に働いている、どう考えてもみんなと一緒の仕事をして近畿放送局の指揮監督のもとにおるのに私は別扱いになっておる、もう不思議でかなわないという話が問題提起の発端でした。当局にも申し出をされたようですし、それからいろいろ団体交渉、組合をつくって行動を起こすということもおやりになりました。もうその問題が私の耳に入ってから一年以上になりました。ずいぶん長いことかかっているわけですが、よく聞いてみると、その大阪東通と近畿放送局との間に平均すると一人当たり年額二百四十万円で労働力を提供するという、これは平均の話ですが、お約束のようです。実際にもらっておられるところの労働者の賃金といえば、平均すると年百八十万円だ。その差一人当たり六十万円、そこに七人の人が派遣されているのですから、年間にすると四百二十万円という金額が、労働者を提供している大阪東通という会社に入っていることになるわけです。もちろん社会保険料その他の問題がそこから払われるから、ふところに労務を提供することを通じて入ったのは、それだけだとは言いませんけれども、ともかく指揮監督から機材から一切合切下請ではなくして、人間を派遣しただけでそういうものが、お金がふところに入っていく。こういうあっせん業というのは、許可なくしてはやれないはずのものであって、中間搾取もいいところだ。本当に悪質なことをやっている。ところがこういう会社が、これが解決しないままに依然として一年間も話題が提供されてからなっているということ自体が私は遺憾なことだと思うのです。  そこへもってきて今度は、こういう問題を出すと必ず、何も労働者は悪いことをしているわけじゃないのに、労務提供、ピンはねをしている業者がおり、それを受け入れた放送局の方が悪いはずだ、それで悪い方の人間は、はいわかりました、やめますさ、とこう言うだけで、そのしわ寄せは、悪いことを何もやっていない労働者の方にかかってくる。  たとえば近畿放送の場合だったら古い人でもう七年以上もお勤めです。新しい人でも二年余りです。そうしたら、京都で働いておられた人がやめますさということになって大阪へ戻れということだけの話になるじゃありませんか。七年も京都におったら、しかも事実上そこで働いておったら、本来言うならば、済まなんだと言って、そこを正規の雇用関係にしてこそ私は常識だろうと思う。悪いことをしたからそれではやめますさと言うて、それじゃお帰りください、もう契約やめますさと言うて、近畿放送と大阪東通の間のけりをつけたって、それは労働者に対するけりはつかないだろう。また大阪東通にしたって、そうですか、悪いことでございました、大阪へ戻ってきてくれと言うたって、労働者に対してなしたところのしわざのこの役割りは、これは消えることにならないと思う。本当に素直に言うならば、悪いことをした連中が済まなんだと言って、普通の正規のそこの近畿放送にそれじゃ働いてください、いままで働いてもらっておった継続として取り扱いさしてもらいますという立場に立ってあたりまえだろうと私は思うが、なかなかそういう立場の方向にならない。私は、ここで労働行政として労働大臣が、この常識が通るのか通らないのか、ここをしっかり確立してもらう必要がある、こういうふうに思う。  そこで、最初にお聞きしたいのは、近畿放送でそういう問題が起こっているけれども、ほかにはこのような問題が放送関係の中にはあるのかないのか、あるとすれば、どういうところでいま問題になっているのか、その事象を御説明いただきたい。これは大臣に要求しても無理だろうから、担当の局長さんからで結構です。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤政府委員 いまお話しございましたようなテレビ放送関係で、いわゆる請負契約という形でいろいろな仕事が分業化の一環として行われております。その請負契約という内容が、法的に認められる請負契約としての実体を備えているか、あるいはいま御指摘になりました近畿放送の事例のように、職業安定法四十四条に定められておりますいわゆる労働者供給事業の違反事案として指摘されるべきものであるか、そういった非常にむずかしい問題もございますが、そういった四十四条違反の疑いがあるものとして現在までに指摘をされたものといたしましては幾つか事例がございます。いまお挙げになりました近畿放送、大阪東通の事案のほかに朝日放送、山陰放送、青森放送といったような事例がございます。そのほかに有料職業紹介事業に関連する問題といたしまして山陽放送の事例がございます。こういった問題が過去において指摘されておりまして、四十四条違反である、あるいは違反の疑いが濃厚であるということで、私どもの出先の公共職業安定所におきまして是正方を指示いたしてお事案でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 そこで、そういう事案が起こってくると、必ず労働者の方に解雇という結果が出てくるという可能性は多分に含まれていると思うが、そういう事象が起こっているところはありませんか。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤政府委員 たしか昨年でございましたかと思いますが、朝日放送の事例がやはりこの委員会で取り上げられまして、朝日放送に阪神通信工業というところから、これはたしか電話交換手であったかと思いますが、派遣されておりまして、これが四十四条違反の疑いがあるということで是正の指示をいたしました。そこで、朝日放送と阪神通信工業の間でこの件について契約を解除するということになりまして、当該職員を阪神通信工業の方で引き取る、配置転換をするというようなことになったように記憶しておりますが、これを朝日放送の方で直用にしてほしいという労働者側からの申し出もありまして、できることならばそれは直用にしてほしいという指導もいたしておりますが、その結果、一部直用にされて、一部の人が阪神通信工業の方に引き取られたというふうに承知いたしております。  また、最近ありました青森放送の場合は、東洋建物管理という会社から技術職員が派遣されておりまして、四十四条違反ということで契約解除になりました。雇用関係のあります雇用主の方の東洋建物管理の方に職員が戻りまして配置がえということになりましたが、配置がえに応じないというようなことで、まだその点が未解決になっておる、こういう事例を承知いたしております。  私ども指導といたしましては、できるならばもとの職場で、従来の派遣しておった方の、請負契約の下請をしておりました事業主から、仕事をしておりました方の、いわゆる元請の方の事業主の方に直用にしてもらうような指導はいたしておりますけれども、これは強制できるわけではございませんで、あくまで行政指導としてそういう指導をいたしておるわけでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 いま幾つかの会社の名前が挙がりました。青森放送というところが出ています。近畿放送が出ました。山陰放送の名前が出ました。朝日放送の名前が出ました。私の知っているのでは、さらにサガテレビというのがあります。あるいは山陽放送があります。あるいはサンテレビというところの問題が起こっております。ずいぶん一連のところで起こっているわけですが、四十四条違反というのは、契約は——労務提供をする会社と受け入れる会社とこの二つがあるが、これは明らかにどっちも悪いことをしているはずです。行かされている労働者は悪いことをしていないはずです。それじゃ悪いことをやった契約の会社の方はどういう結末になっているのか。そっちの方は処分されているのかどうか。労働者の方はもとの職場で雇用してもらっていないという結果になっているのじゃないだろうか。私が、いま言うたどっちが犠牲を受けているのかということを、客観的に見てどういうふうになっているのかを御説明いただきたいと思う。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤政府委員 先ほど私が申し上げましたほかに、いま御指摘のサンテレビ、サガテレビ、福島中央テレビ、こういったものもございますが、こういった関係につきましては、四十四条違反の疑いもあるということで、労使の間でどういうふうに処理するのか、労使の間の交渉を見守りながら最終的に是正の指導をしていきたい、こういうことでやっておるわけでございます。  この問題は、非常にむずかしい問題ではありますが、一応雇用関係は下請の方の会社との雇用関係がある。それで、元請と下請の契約内容が四十四条違反であるということになれば、当然その契約を解除しなければならぬ。これが契約をあくまで解除しないで、その違反の疑いのある契約内容をそのまま続行するということになって、たちが悪いということになれば、もちろんこれを告発するとか罰則の適用をするということになりますが、是正されるならば、これは是正することが目的でございますので、あえていままで罰則を適用した例はそうたくさんはございません。私どもは、そういった法違反の事案自体を解消することが目的で、そういう指導をしているわけでございます。  その際に、指導の方針としては、できるだけ労働者の意向をくんで、その意向に沿った形で解決されることが望ましいということで指導をいたしておりますが、下請の会社との現実にある雇用関係を切って、それで元請の会社との雇用関係を新しく成立させるということを行政の手で強行するわけにはまいりません。これは労使間の問題であり、雇用関係のあります使用者と労働者との関係でございますので、いま申し上げましたような指導方針で、できるだけ円満に解決したいというように努力をしているわけでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 たとえば近畿放送局の問題で言いますと——基準局長おりますね。職安ではこういうふうに結論づけています。近畿放送と大阪東通との間で結ばれた一連のこうこうこういうものはよろしくない。「従って、この内容は職業安定法第四十四条に触れるものであり、改善されることを要請します。なお、改善に当って職を失う者が生じないよう関係者で話合われ、解決されることを要望します。」こういうことが昨年の十二月一日に出ている。改善されるように望むというけれども、いまだに改善されない。  それから基準局長の方には、今度は労働基準法第百四条に基づく申告というのがなされて、第六条違反はどうだ、要するに中間搾取の排除という問題について該当するじゃないか、あるいは労働基準法第二十四条違反じゃないか。「当該労働者七名の実質的労働関係は、労働基準法が定める労務め提供をした労働者本人に賃金の全額を帰属させるよう定めた使用者と労働者の関係であり、申告事案は同法第二十四条に違反する疑いがある。」とびしっと指摘しているわけですね。これをやられたのが十二月の十二日です。  確かに遠藤局長が言われるように、労働者に犠牲を受けさせてはならないという立場に立って、出先の職安や基準局がそういう指摘をぴしっとやって、そして是正の勧告をおやりになっているようですね。私は、このことは非常に大事なことだと思う。こういう立場をすべての第一線の人々にやっていただきたいと思うのだけれども、さて、だからと言っていまだに解決しない。これをどう解決させるかということになってくると、これでいかないというのだったらどうするつもりだということをまじめに考えなければいかぬのじゃないだろうか。  労働大臣、これはどうします。これではいかないというままでほっておくのか。一生懸命勧告はやっているが、さて、ここからどうします。私は、そこから考えなかったならば、新しい年度に当たって労働行政を前進させるということにはならないと思う。労働大臣の御見解をひとつお聞きしたいと思うのです。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤政府委員 いま近畿放送のお話がございましたが、私は、近畿放送の話の詳しい経緯は、実は先生の御指摘がございまして承知いたしておりますが、その前の朝日放送なり青森放送につきましては、私、直接当事者からいろいろと事情を聴取いたしまして、いまお話がございましたように、その違法な内容を含む契約については、当然是正されるべきであるということで、これは比較的早期に是正されております。  いまの近畿放送の件にいたしましても、昨年の二月の下旬に問題が提起されまして、西陣の安定所長から近畿放送、当該会社に対しまして是正の指示をし、改善の要請をいたしましたのが五月の初めでございますので、三月ぐらいで是正がされております。その間、いま御指摘になりました、そのことによって関係の労働者が職を失うことにならないように労使の間で話し合いをしてほしいということも加えて申し入れはしてございます。私どもは、できるならば労働者の意向に沿った形で解決されることが望ましいという趣旨のことを関係者に申し入れて善処方を要望いたしておりますが、先ほどから申し上げておりますように、一方の雇用関係を絶って、片方の新しく雇用関係を成立させるといったようなことを行政ベースで強行するわけにはまいりません。あくまでもそういった勧告をし、行政指導をするという以上に出るわけにはまいりません。  ただ、そこで契約が解除されることによって下請会社の方で雇用関係が切れるわけではございませんで、問題は、その当該労働者がその職場の配置転換をがえんじないという場合にこういった問題が起こるわけでございますので、そういった点につきまして下請の会社の労使関係で職場の配置転換が本人の希望に沿って行われることが望ましいし、あるいはできるならば先生の御指摘のように、元請の方の会社に新しく雇用関係が成立することも、これは労働者の希望であれば望ましいわけですが、できるだけそういった方向で今後とも指導はしてまいりたいと思います。  現に、いまお話しのように、こういった勧告を私どもの出先機関が行いました後、なお数カ月たって解決していない問題もございますけれども、一部の労働者はこういった方針に従ってすでに希望に沿った配置がえが行われている向きもございます。今後ともこういった問題につきましては、私ども十分に経緯を見守りながら行政指導を進めていきたいと思っております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 できるならばその職場に戻すように指導をしたい、これが基本だが、なかなか進まない。そこで、郵政省の人お見えですね。——民放労連という労働組合の連合会の調査によると、東京五局で社員が五千五百四十三人、臨時が六百五十一名、下請が二千三百十一名、関連企業八百四十一名という、こういう放送局で働いている人はどういう実態にあるかという身分問題を調査した資料がある。これを見ていくと、正規の雇用関係にある社員というのがざっと三分の二で、三分の一以上は身分保障というのが全然違う形になっている。そして先ほどから言うようなああいう労務提供事業というのが各局で生まれている。放送事業というのは、社会的には準公的な大きな役割りをする機関ですよ。さればこそ、あの日本民間放送連盟放送基準という中でも「基本的人権を尊重し、また法と社会秩序を尊重し、国民生活の安定に努める」ということを綱領の最初にうたっているのは、ぼくは当然だと思う。ところが、その事業体でこういう事態が次々に生まれている。公然たる労務提供事業、四十四条違反、労働基準法第六条やその他の問題にも該当する、こうやって監督官庁からばちっと批判を受けるという実態が放送関係に一連のように起こっている。  さて、これは認可事業なんだけれども、あなたたちは、働かしている人たちに対してこういう実態にあるということを知っておるのかどうか。また、そういう放送界に対してどういう指導をしてきたのか、私は、その点についてまず郵政省に聞きたいと思う。

田代功郵政省電波監理局放送部業務課長

○田代説明員 御承知のとおり、民放は私どもの電波法に基づいて免許を受けて放送を行っております。しかしながら、御指摘の職業安定法あるいは労働基準法につきましては、これは労働省の所管で、労働省においてわれわれの法律に基づく指導なり監督なりをお願いするのが筋であろうと存じておりますので、私どもいま御指摘の問題、詳細つまびらかにしておりません。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 電波法で、私の方は知らぬ——電波でいろんな社会的なりっぱなことを言わせなければならない。ところが、そこで働かされている人は社会的に批判を受ける働かせ方をやっている。明らかにそこには矛盾が存在しているわけですね。郵政省が知らぬと言えば、ますますもって労働省は、こういう社会的公器である放送の、この関係の分野における働く人々の権利を保障するために積極的な役割りをしなければいかぬ。らちが一向に進まない、それじゃ労働省としても新たな発展方法の追究を研究する必要があるのじゃないか。先ほどおっしゃったように、そこで働かさせたいけれども、強制的にやれぬ。それじゃどういうやり方でやりますか。私は、労働大臣にお聞きしたいと思うのです。結論的にそこを聞きたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 いま民放労連の何か数字を挙げられてのお話でございますが、私も、多少はマスコミのことを知っているつもりでございます。最近のように非常にマスコミが複雑化しておりますと、やはり直用でなくとも自分たちのグループでアイデアグループをつくって、そこで、どこかへ行ってアイデアを売るとか、いろんな複雑な構造の中から生まれている労働業態というのがたくさん出ているというふうな感じをいたすのです。ただ、私たちからしますと、先ほどから職業安定法四十四条違反のように、途中で人がえをして中間搾取をする、こういうふうなことは許されない。それぞれ才能ある者がグループをつくって、どこかと仕事をするというところにやはり民放なりこういうマスコミの発展があるので、業態の中で法治的に考えれば中間搾取はさせるわけにはいかぬというのが基本だ、それをまた不利益にならぬように私の方は見守っていく。そのためには、先ほどから局長が言うたように、権力じゃございませんから、これは話し合いなりで推進していくというところに基本があるのじゃなかろうかと、こう考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私は、民放でこれだけの事件がずっと発生しているんだから、これだけの事件が発生しているときに、いや悪いことをしてくださるなということをここで何ぼ言うとったってあかんじゃないか。積極的に、なくすために、労働省としてどう打って出るのだ、これが私は一つの課題としてあると思う。労働省として全面的に民放関係者の間に起こっている問題について調査をし、積極的に指導していく、どういうふうにやるのか、私は、はっきりさせなければいかぬと思う。どうですか。  それから、起こった問題について積極的に大臣自身が出ていって、おまえらはとんでもないことやっておったんだから改善せよ、受け入れてやってくれ、所管の監督署からはお願いがいっている、あれを積極的に生かすためにひとつ頼む、どうだと。また言ってあたりまえだ。どうです。私は、労働大臣みずからが、本当に労働者のそういう分野に対する権利を保障しようと、正しくない中間搾取をやるというやり方に対して憤りに燃えられるのだったら、積極的に打って出るという措置をやられるべきだと思うんだけれども、いかがなものでしょうか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 その覚悟は必要でございますが、その前に、これだけ有能な役所がございますから、役所の諸君にひとつしっかりやってもらうということが第一前提だと、こう思います。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤政府委員 先ほどお答えいたしましたように、こういった違反の事案につきましては、即刻是正の措置をとってきております。そう長く放置しているわけじゃございませんで、調査の結果、明確になったものについては是正させる、この是正措置がとられております。  問題は、その後の雇用関係に基づく職場の関係を一体どうするかということで、これは労働者本人の意向と関係者の意向とが必ずしも一致しないといったようなことで、なかなか早急な解決がむずかしい問題がたくさんございます。そこで、先ほど来申し上げておりますように、労働者の意向を十分尊重しながら、第一線の安定所長なりあるいは県の担当課長なりあるいは労働基準監督署の方、それぞれの立場でそういった円満な解決、労働者の意向に沿った解決が図られるように是正指導をいたしているわけでございます。  いま労働大臣みずからというお話でございますが、監督署長、安定所長それぞれ労働大臣の権限の委任を受けて労働大臣の代理として仕事をしているわけでございますので、私どもは、今後ともそういった強力な指導をしてまいりたいと思っております。  また、こういった民放関係にこんなにたくさん出ているじゃないか、全国調査をしたらどうだということでございますが、先ほど大臣からお話しございましたように、一般の企業においてもそうでございますが、特に放送、テレビ関係につきましては職務内容、業態が非常に複雑になってきておりまして、分業化が進んできている。いろいろな請負そういったケース、あるいはグループでいまお話しのような仕事をする、アイデアを売るというようなケースがございまして、これを私どもの手で一斉に全国調査をするということはなかなかむずかしい問題ではございますけれども、こういった事案がありますだけに、出先機関に対しましては、こういった民放関係について特に注意をするようにという指示をいたしておるわけでございます。今後ともこういった問題が起こらないように十分行政指導を強化していきたいと考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 次に、私のところに専売公社の鳥栖工場で働いておられる三栖久仁子さんという方の夫の方から手紙が来ているのです。読んで私びっくりしたのです。ちょっと読んでみます。   妻は日本専売公社鳥栖工場に勤務しておりま  すが、三年ほど前から自律神経失調症、背肩痛  症、頸肩腕症候群等々の病気で休職し治療を続  けておりますが、はかばかしくありません。し  かし、休職期間が切れ、収入がまったくなくな  ることから無理だとは承知のうえで本年一月五  日より出勤しました。そうしないと当然のこと  ですが私の収入だけでは生活できないし、妻の  治療もできなくなるからです。保険がきかない  ハリなどを打つ治療もあって月に二万円ぐらい  がそれだけにかかるような状態です。   長期病気欠勤者ということで仕事の内容は一  般の現場労働と区別され軽作業という配慮はさ  れておりますが、いつまで体がもつか心配され  ております。しかも、妻の就労を保障するため  心身の負担をかけないように、私の職場の理解  と協力で私の仕事を軽減し、(実質的には私が  「休職」状態)私が家事いっさいの面倒をみて  いるようなわけです。なお、家族は私、妻、長  男(四才)、次男(二才)の四人です。   したがって、こういう点からも現在のような状態を長期にわたって続けることは不可能なことなのです。なによりも妻の病気を完全になおすため、安心して治療に専念できるよう職業病に認定させてもらいたいと思います。 云々と書いてあって、   妻は昭和三十一年、中学を卒業と同時に十五才で専売鳥栖工場に入社し、今日まで約二十年間、現場での仕事を続けてきました。今回のように休職したのは初めてですが、すでに昭和三十七年(二十二才)と昭和四十一年(二十六才)の二回、同じような症状で病気欠勤し、入院治療をおこなっております。そのころから妻と類似した症状を訴える労働者もいたわけですが、たいした問題にならずにきていました。しかしここ数年、全国的にも頸肩腕症候群等の職業病が社会問題化してきたことや、鳥栖工場内でも多数の労働者がさまざまな「故障」を訴えるようになったことから、組合としても職業病として取りあげ、認定闘争にとりくむようになっています。そして昨年十一月、組合として集団検診に取り組み(資料同封)、少なくとも仕事を休み、専門医の治療を受ける必要があるとされた労働者が約五十名(現場労働者約四百五十名)も出て、大きな不安がまきおこっております。私の妻より重症とされた者が六名もおり、休職もせずに勤務を続けていると聞いて、妻の病気を知っているだけに、私も大変おどろいています。彼女たちは「死ぬような思いで勤務を続けている」とのことです。   こうした病気は、合理化が進むたびに多くなってきたということです。高速機械の導入による騒音、機械に追われる精神的な緊張の連続、単純作業、たばこの品質を保つための冷暖房、「粉煙」(粉塵のことですが、妻に「たばこの粉ならふんじんだろう。煙ではないんだから、正確に言えよ」と申しましたら、「工場の中は、たばこの粉でもうもうしているからこれは粉塵ではなく「粉煙」だと現場では言っている。正確に言わなければ」といわれふきだしてしまいました。笑えない話ですが……。さらに強烈なたばこの臭気。たばこをすう私も、このにおいに頭が痛くなるくらいです。   こういう工場で十年も二十年も勤めたら体がおかしくならない方がおかしいと思われます。たばこによる肺ガンが問題になっていますが、「粉塵」ひとつとってみても、全身の毛穴からどれだけのニコチンが体内に入り蓄積し、体に悪影響を与えていることか。   全専売労組の調査で「職業病的疾病」の者が全国で五百四十七名とされており、その実態は鳥栖工場の集団検診の結果にみられる通り、もっと深刻なものと思われます。こうした状況について公社は「その実状について把握するため調査方法について検討する」と答えているような段階です。一刻も早く実態をつかみ、職業病としての認定をおこない、これ以上の犠牲を出さないために労働条件の改善をおこない、労働者の生命と健康を無視した合理化をおこなわないことだと思います。 と言うて、以下まだずっとありますが、こういう手紙が来ておるのです。  そこで私、読んでおって大変なことが専売公社の中には広がっておるのだなということをつくづく思ったのです。あわせて組合のビラを読ましてもらうと、昨年の十月二十六日、十一月一日、十一月二日に久留米大学医学部環境衛生学教室の前田勝義という先生が専門医として検診をやっておられるようです。  私は、ここで当局の人にちょっと聞きたいのです。鳥栖工場で前田先生を中心にしてやられたということを知っておるのか、その結果はどういうことになっておるのか、報告していただきたいと思います。

後藤正日本専売公社管理調整本部職員部長

○後藤説明員 お答え申し上げます。  鳥栖工場におきまして、最近、頸肩腕症候群なり腰痛問題がありまして、組合の鳥栖支部の方で、久留米医大の前田先生を招きまして検診を受けた事実は承知いたしております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 その結果はどういう結果が出ていますか。

後藤正日本専売公社管理調整本部職員部長

○後藤説明員 結果の詳細は私どもまだ承知しておりませんが、一応その区分が、内容がまだ私どもにはよくわかっておりませんが、A、B、C1とかいう、比較的軽度と申しますか、そういう区分の者が八十八名、それからC2からD、Eというような区分が三十名程度というような検診結果であったということを承知しております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私のところに来た手紙の中から伺ってみますと、受診者が百十八名あって、いまの手紙にあったように六名も重症者が出ておる。私よりひどいですということをこの奥さんが言っておるという実情が書いてあるだけに、起こっておる事態というのはただごとではない。これは専売公社の担当者としては、起こっておる事態に対して、組合がやっておるということで責任を逃れるわけにはいかないと私は思うのです。自分のところの職員がどういうことになっておるかという問題です。したがって、鳥栖工場だけの特殊な姿なのかどうか。一つの工場で発生しておる問題というのは全国的に起こっておるだろう。それについてどういう実情にあるのか、そういうことを知っているのか、調査をしたことがあるのか、あるとするならば、その結果はどういうことになっておるのか、聞かしてもらいたいと思う。

後藤正日本専売公社管理調整本部職員部長

○後藤説明員 先生御指摘のように、私どもも、事業の発展のためには、そこに働く職員の健康管理は大変重要なことであるということは十分承知いたしております。したがいまして、先ほどの訴えの手紙の中にいろいろなことが指摘されておりますが、私どもも、工場の合理化等に当たりましては、そういった集じん装置だとか作業環境、騒音対策、いろいろなことにできるだけ現在の技術を駆使しながら対応をしてまいっておるつもりでございます。  それから、いまの頸肩腕症候群なり腰痛の問題ですが、いままでの労災ですと、比較的いわゆる災害性の労災が非常に多うございました。これはいわゆる業務上の起因性との結びつきが非常に明瞭でございますが、この非災害性、頸肩腕症候群なり腰痛問題というのは、業務、作業環境なり本人の病歴なりいろいろなものとの結びつきが、大変複雑な問題をそこに内包いたしております。私どもの職員は、最近、新陳代謝が比較的少のうございまして、老齢化が大変進んでまいっておりまして、最近の事象としまして、そういう頸肩腕症候群なりの訴えをする者が組合のアンケート調査等で大分出てまいりました。また、従来から組合も、この点全専売としましてもかなり力を入れております。昨年の秋の段階において一応調査をやろうということで、現在そういう病歴のある者、そういう訴えをした者につきまして全国的な調査を実施しておる段階でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私の手元に、組合か昨年春に報告を受けた数字だけの資料があります。これを見ると、全国の報告は来ていないけれども、名古屋地方区で百六十一、高崎で百九十七、東京で十八、福岡で四十四、関西で三十三、仙台で八十七、計五百四十五という数字が書いてあります。これはもう去年の春段階の話です。ですから、これは全面的なものではないにしても、かなりのものが広がっているという実情を否定することができない。もう長期にわたって問題になっていながら、当局として一体どんな管理の仕方をしているのだ。いま話を聞いておったら、組合の諸君は非常に積極的にやっていますが、しかし当局としての管理責任の立場からは一体どうなっているのかさっぱりわからないじゃありませんか。  そこで、私は次に聞きますけれども、頸肩腕症候群による業務災害補償の申請というのは一体何件出ているのですか、これだけの事態の中で。

後藤正日本専売公社管理調整本部職員部長

○後藤説明員 現在出ておりますのは、浜松工場の一件でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 これだけの事態が起こって申請が一件しかないという事実というのは、基準局長、異常だと思いませんか。私がびっくりしたのはそのことなんだ。訴えがこれだけたくさん起こっているということを見ておって、それに基づくところの災害補償の申請が一件。業務災害補償の方は一件あるのかゼロかどっちかでしょう、申請がないのだから。何件あるのですか、補償したのは。

後藤正日本専売公社管理調整本部職員部長

○後藤説明員 いままで非災害性の疾患で認定した事例はほとんどございません。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 申請が一件だから、それが認定されてなかったらゼロになります。きわめて明確。  そこで私、この災害補償の、いま言われた一件というのは、浜松工場の澄美子さんの問題だろうと思うのです。この松本澄美子さんのやつを読むと、四十四年四月から浜松の藤野という整形外科のお医者さんが診断書をつけています。四十四年の十月ですかにも、腰椎椎間板症とか四十四年の四月のやつは頸椎椎間板症、腰椎椎間板症と、こうつけてきているわけです。四十八年十月のやつは頸肩腕障害、疲労性背腰痛ですか、これは川崎医療生協大師病院渡部医師の診断書です。こういうふうに本人はお医者さんを求めて診断をして、四十四年の四月には工場に訴えを出している。四十八年六月には病気欠勤に入っている。四十八年七月に業務上疾病の申し立てをやっている。四十九年十月に工場長あてに申請をやっている。ところが、現在に至るまで業務上外の判定も出されないまま放置されて今日まで来ているという、この人の内容を読ましていただいたら姿になっているわけだ。たった一件の申請のやつでもこういう扱い方になっている。  そこで、聞きたいのですが、四十四年の四月の段階で訴えを出したときにはどういう対応をされたのか。四十八年の七月の申請のときにはどういう対応をされたのか、四十九年十月の申請のときにはどういう対応をされたのか、その対応の中身を聞かせてください、余り長いから。

後藤正日本専売公社管理調整本部職員部長

○後藤説明員 いま先生のお話で四十四年から業務上の認定申請があったというお話がございましたが、私が承知している限りにおいてはそういうことはございません。ただ、四十四年のたしか四月二十三日の、さっきの藤野整形外科医院の診断書でございますが、重量物の挙上運搬に耐えられない、それから同月の二十六日だったと思いますが、病気が少し軽快をしておるので軽作業に従事ということの診断書が出されました。その前約一月ほど松本澄美子さんは病気で休んでおられるわけでございますが、その軽快されて復職されましてから、やはり一番問題になりますのは選上刻みの運搬供給作業だろうと思いますが、そこのいわゆる供給部分につきましての改作とかあるいは組長が供給作業についての応援とかいうようなことをいたしまして、その四十四年直後続いておりますが、四十六年からは作業が若干変わっております。  それから、四十八年十月に実は組合を通じまして口頭で業務上認定の申請がございました。私ども工場の方といたしまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、私ども当局側にとりまして初めてのケースでございましたし、それから先ほど申し上げましたように、非災害性疾患の場合に、そこは大変判定がむずかしい、それで労働省のいろんな認定基準等を見ましても、やはり専門医によって詳細に把握された病症及び所見を十分尊重しろということが指摘されております。そこで、労使協議をいたしまして、専売の医療機関なりあるいは専売の指定する医療機関でひとつ診察を受けていただきたいということを、これは十一月に工場長名で本人あて通知をいたしておりますが、本人は承知をいたしておりません。  それからなお、その後四十九年の十月に同じように文書で今度は業務上の認定申請がございました。これに対して同様、公社の指定する医療機関で一度診察を受けてくださいませんかということを通知いたしておりますが、これも本人は承諾をいたしませんで、五十年の十一月一日になりまして、労基法によります八十五条の労働省に対する仲裁、審査の申し立てが行われて今日に至っております。  以上が経緯でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それで、昨年の十一月に松本さんから、労基法八十五条によって浜松監督署に、いままで専売公社が取り扱ってきたやり方は納得できないということで、初めて専売公社の問題が基準局に申告があったと思うのです。それで基準局としても、この問題についてどこに問題があるのかということを検討されて指導してこられたはずですね。ちょっとそれ聞かしてくれますか。これだけの事態が起こっておって申請は一件、なかなか解決しない、本人も納得しない、この事態の中で出された労働省の指導方向というのは非常に重大だと思うので、ひとつ聞かしてください。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤政府委員 この案件につきましては、いまお話がございましたように、昨年の十一月一日に労働基準法八十五条の規定に基づく審査、仲裁の申し立てがございました。これは通常の場合でございますと、災害補償についての使用者の判断につきましてこれを争うという形で出るわけでございますが、本件は、いまるるお話がありましたように、まだ公社がなかなか決定をしないというところにむしろ問題があるわけでございます。しかしながら、そういう不作為についても、私どもとしては、やはり審査、仲裁の対象になると考えておりますので、これを受理しました上で、さて、この実態をいろいろ伺いますと、いまお話がありましたようなことでございますので、私どもとしては、やはり労働省の方で取り上げまして、これが業務上だとか業務外だとかいう判定をしてしまえばそれまででございますから、そうではなしに、むしろ早く公社自身の判定をしていただきたいという気持ちでございまして、現地の署長からも工場長に対してその点を特にお願いしているわけでございまして、この公社の医療機関あるいは指定医療機関の診断いかんということでなくても認定の促進は図れないだろうかとか、あるいは十二月末までには何とか結果が出ないだろうかとか、あるいは無給休職ということも問題になっておるようですが、そういう事情については申請人に納得が得られるように説明をしてもらえないかというような諸点につきまして、事実上の要請といいますか、あっせんといいますか、そういうことを強力に行っているような次第でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 浜松の監督署を通して基準局の方で指導しておられる内容というのは、大きく言うと次の三点じゃないかと思うのです。  補償給付を請求する場合、様式が決められていない、これはぼくは初歩的な問題だと思うのですが、様式が決められていない。この中で本人に対して、公社の指定する医療機関を限定することは行き過ぎで、規定上問題とはならない、それはそうだと私は思います。公社の指定する医療機関に限定しなければ申請はできないのだ、労災の方はそんなことになっていませんね。医師の証明というようなものは別でしょう。  それから二番目、業務上で療養する場合に、公社の指定する医療機関のみ費用を払い公休扱いすることは基準法上問題があり、まずい、公社の指定する医療機関のみ費用を払うのだ、そして公休扱いする、こんなことも私は常識外だと思いますよ。  それから三番目、不服申し立ての手続の定めがない、苦情処理機関の規定上満場一致でなければ認められない、こういうことは一般基準と切り離してまずいというような内容を指導しておられると聞いている。  どの一つも労災の場合に行われるやり方と明らかに違うし、明らかに初歩的な形態すら準備されていない。これは私、専売公社として大きな責任があると思うのです。浜松の監督署で指導しておられるこの立場を専売公社として受け入れるのか受け入れないのか、この点をお聞きしたいと思います。

後藤正日本専売公社管理調整本部職員部長

○後藤説明員 先生がいま御指摘になりましたように、一つの問題としましては松本澄美子さんの取り扱いでございます。これにつきましては、現地の監督署長の方から私どもの工場長の方に、公社が主体的に本件をスムーズに解決するためにはまず公社の判断が重要だ、したがって、もう少しいろいろ知恵を出してまず公社が判定をしたらどうだということがございました。私どもも、従来の経緯にこだわりませんで、澄美子さんがいままでかかった病院が経七つございますが、その七つの病院の協力を求めまして、いままでのいわゆる病症についてのカルテなり所見なりあるいは写真提供を求めました。現在その中で五つの医院から御協力をいただいております。近くこれに本人の申し立て等を添えまして、専門医の意見を十分徴した上で公社としては判断をいたしたい、との件についてはこのように考えております。  それから、一般的ないま御指摘の問題でございますが、これは業務災害につきます労働協約を受けまして、専売公社のいまの補償規則なり細則が定められておるわけでございますが、確かに様式とか手続面につきましてしっかりしたものを細則で定めていないということについては、私ども反省をいたします。  この件につきましては、いま先生大きく三つほど指摘されたわけですが、いずれも従来から組合等もかなり問題にしておりましたし、特にこの春の段階の組合要求は、この問題についての改善ということを大変大きな要求に掲げております。私どもも、一つは、いまの手続面についての不備を是正していく問題と、もう一つは、公社の医療機関もしくは公社の指定した医療機関問題でございますけれども、これはいままではほとんどが災害性のもの、災害起因性が多うございましたので、最寄りの専門医院というところですぐ応急手当てを受けまして、それに対する指定を追認するというようなことで過ごしてまいって、さして問題もなかったわけでございますが、今度の実態調査の結果によりましては、私ども、その指定以外のところで診断を受けるとかあるいは治療を受けるということは、全然否定はしていないわけでございますが、非災害性の疾患によりましての業務上、外の認定につきましては、これはやはり補償制度の合理的な運用を図るために、私どもとしましては、公社の指定する医療機関——これは今春闘で組合との話し合いでかなり煮詰めていかなければならない問題でございますが、指定する医療機関での診断を受けていただきたいという考えは、そこは変わっておりません。  それから三番目の問題としまして、いわゆる苦情処理問題でございますが、これにつきましては、組合は、労使構成による調停委員会というものを別途設けたらどうかというような提案もございます。しかし私どもは、現在、苦情処理規定を持っております。ただ、その構成なり全員一致というところに一つの問題点が、こういう認定につきましてはあろうかと思います。したがいまして、こういう構成につきまして、病症によりますが、病症それぞれに応じて専門医あるいは本人の申し述べという制度というようなものを今後労使間で精力的に詰めていきまして改善を図ってまいりたい、このように考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 時間が来ましたのでこれでやめますが、余りにも異常な事態が発生していながら、公社としてどういう実態にあるかということの調査がされていない。あるいはまた、それに対する補償の申請の仕方の問題とか、いま言われたいろいろな諸問題についても、これはもう初歩的な形態が守られていない。特に医師選択の自由の問題については、受けてもらいたいという問題とは違う問題があると私は思う。基準法でも労働安全衛生法の場合でも、医師選択の自由というのが労働者の側にあるのだというように、これは基本的な問題として位置づけているわけですね。そうしてその医者の診断書を添えて出したものに対して、また当局として必要に応じて医師の証明をもらうという問題はあるにしても、基本的には医師選択の自由というのは労働者の側にあるのだ、この立場を放棄してもらっては困る問題だ。これはもう基本問題だと思う。そういう点においても十分整備されていないところに私は問題があると思うので、ひとつ労働大臣も、あれは専売公社の問題だということで済まさずに、日本の労働者のこういう労働災害に対する権利の問題について、正しくないものは積極的に指摘して前進するように御指導をいただきたいということを要望して発言を終わります。

熊谷義雄自由民主党

○熊谷委員長 次に、田中美智子君。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 まず大臣に時間がありませんので簡潔にお答え願いたいと思います。  希望退職というのはどういうのでしょうか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 不況下におきましては、企業の生産とか営業活動がだんだん停滞します。そうしますと、雇用調整をするのに、まず一番先に時間外労働でしょうね。(田中(美)委員「簡潔にお願いします。希望退職……」と呼ぶ)はい。だけれども、私の言うことも聞かなくちゃあ。求人の中止などが行われます。さらに事態が深刻化しますと、企業としてもやむを得ず希望退職の募集という雇用調整が行われるのが通例であります。このような希望退職者の募集によっての雇用調整、これが実施方法などにつきましては、通常労使で事前に協議が行われておりますが、労使の納得のいくまで十分ひとつ話し合って解決してもらいたい、こう思っております。  なお、その間に、労働省では労働基準法等に違反する場合には厳正な監督指導してまいる、こういうつもりです。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 私が聞いていることとちょっと違うように思うのですけれども、希望退職というのはどういうものかというふうに聞いているのです。それはいろいろ基準がついているわけですね。希望退職というのは、言葉どおりにとれば、皆さん、どなたかやめたい人は出てきてくださいというのが希望退職だというふうに常識的にだれでも考えることだと思うのです。それに対していろいろ、豊和工業株式会社だとか揖斐川電工だとか大隈鉄工所だとか日本板硝子だとか、そういうところが希望退職の募集要項というのを出しているわけですね。その中に、実際には中高年の人だとか有夫の女子だとか、それから適職がないとか、それから勤務状態が比較的低位にあるとか、そういうふうな理由をつけて、この人は応募せよ、こういうふうに言うわけですね。希望退職というのは、そういう関係なしに募るわけですからね。相手を決めるというのはおかしいんじゃないですか。そこをちょっと……。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 希望退職の定義の問題であるように思いますが、希望退職というのは、言葉のとおり言えば、いま先生がおっしゃるように、希望する者が退職願を出すということでございますけれども、しかし、これは普通の場合でも、結婚その他でやめたいというような自然退職は幾らでもあるわけでございます。しかし片方では、話がつかないで解雇をするということがあるわけで、これは基準法上、所定の手続が必要だ、こういうことになるわけです。  そこで問題は、その中間にあります希望退職でありまして、これはやはりこういう不況のときに、最初に大臣が申し上げましたような事情下で行われるわけでございますから、その場合には労使で十分話し合っていただきたいということでございまして、労働組合がありますれば、いろいろ幾つかの条件について、これは当然労使で相当話を煮詰めると思います。その結果、こういった条件、こういった条件に該当するような場合にはひとつ希望退職というような形で退職希望者を募集しようじゃないか、こういう労使の合意が得られた上で行われるものだというふうに思うわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 でも、実際に沖繩の——藤繩さんよく御存じですけれども、実際には本人の意思を尊重すると言っていながら、一日に三回も呼び出して、まだ気が変わらぬか、まだやめる気にならないか、これが希望退職ですね。それは長谷川さんもよく御存じですけれども、ここで何回もやった住友セメントにしても、それからマックスにしてもそうでしょう。希望退職と言っていながら、それに判こを押さなければ、じゃあおまえは便所掃除せよとか窓のところに座って、仕事は一切させるなというふうなことに発展してきているわけですよ、希望退職というのは現状では。だから、やはり基準というものをつけるということが間違っているのではないかと思うのですけれども、それはどう思われますか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 基準を一切つけない希望退職ということならば任意退職になってしまうと思います。したがいまして、いま申し上げましたように、やはり不況下では労使がよく話し合って一定の基準を設けるということはやむを得ないと思います。  ただ問題は、むしろ先生御指摘の点は、その基準そのものにあるのではなくて、基準の運用をめぐって労使の対応の仕方に問題がある。そこで、いまお挙げになりましたように、使用者がそれをてこに非常に理不尽な、何回も何回も説得するというような場合にどうか、こういう御質問だと思いますが、通常の場合は、労働組合も控えておることですから、そういう形でなくて、すんなり行われるということがもちろん望ましいというふうに思うわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 望ましいと言っても、何でもおたくは労働組合が組合がと言いますよ。組合が全部を——組合がないところだったらどうするか。組合のない職場だっていっぱいあるわけですよね。ですから、一人の人権が守られなければならないのですし、労働省というのは、設置法の中にちゃんと「労働者の福祉と職業の確保とを図り」ということが書いてあるわけでしょう。実際には、こういう基準をくっつけて、そして人権侵害にも及ぶようなことをいままでやってきているという、この希望退職というのは非常にくせ者だというふうに思うわけです。そこをきちっと非常識でないように——この間藤縄さんは、直接労働者か訴えたときに、もしそれが本当なら非常識であるから調べる、こういうふうに言われたので、それに非常に期待をかけておりますけれども、そういうことが行われないような行政指導がなされないから、私は、こういう基準をつけることがおかしいんじゃないかと言っているわけです。  それで、いま基準をつけることはいいと言いましたけれども、これは京都と四日市にある日本板硝子ですが、ここでは、有夫の女子というのがあるんですよ。夫がいたら希望退職の対象になる、この基準が正しいですか。もう一度ちょっとお聞きしたいのです。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 労働組合がない場合はどうするかという御意見がございましたが、先般先生からお話のありました、たとえば大隈鉄工所のごときは、りっぱな労働組合があるわけでございまして、労使間で十分団体交渉をやりまして、結果としてそういう退職基準ができるというのは、それは合理的であろうと思いますが、その場合に、著しく公序良俗に反するようなそういう基準は、たとえ協約の条項であってもこれは適当でないということがあろうかと思います。  いま具体的にお挙げになった点を、いまここでどうこうと言うわけにもまいりませんけれども、それは労使の良識にまつ、こういうことだろうと思います。  それで、最初大臣からもお答えしましたように、私どもとしては、労使の自治にゆだねるべき問題だと思いますけれども、しかし、基準法違反というようなことに関連するような問題があれば、これは私どもとしても十分注意をしていかなければならない。現に、先生からの申し出もあった事件につきましても、私ども、基準局からも事業主側の注意を喚起したこともあるわけでございます。そういう態度で今後とも処理をいたしたいと思います。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 大臣に伺いますけれども、それでは、有夫の女子というのを希望退職の基準にして公序良俗に反していないかどうか、その点ちょっと……。簡潔にお願いします。——大臣は御存じないですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 公序良俗という概念は、民法等にある一般的な良識というようなことでございますから、有夫の女子だけをねらうというようなことは、いささかいかがかとも思いますけれども、しかし、不況下においてどういう者から優先的に希望退職を募るかというような場合に、労使の間で恐らく相当激論があろうと思いますけれども、その結果、一つの妥協として線が出る場合に、いろいろな線の出し方があろうかと思います。現に、実際の雇用調整の過程でも、いわゆる中高年の女子労働というものにしわが寄るということは、いつもこの委員会等でも問題になるわけでございますから、それがやはり関係者の合理的な理解を超えるかどうかということが問題だろうと思います。ただ抽象的に、その問題がどうかというその判断を求められましても、一概には申し上げ切れないというふうに思います。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 藤縄さんの男女の物の考え方というのは、大体そこでわかりました。これは、いまの国際婦人年の中で、行動計画をつくられる中で、これは世界的にも、夫のある女というものが労働市場からはみ出していくということに対して、あなたがそういう考え方で労使の間で承知すればいいんだという考え方ならば、藤縄労働基準局長というのは、労働基準法しか知らない人であって、憲法十四条も知らなければ、労働基準法三条、四条の精神もわからなければ、民法九十条もおわかりにならないということをいまここでさらけ出したことだというふうに思うのです。(藤繩政府委員「委員長」と呼ぶ)私、まだ発言中です。  それで私としましては、いま法案を継続審議で出しております、雇用及び失業対策緊急措置法案というのをいま出しております。その中で、雇用調整委員会というものを中央、地方につくるようにというふうに書いておりますけれども、ぜひこれを私はつくっていただいて、妥当な線ですね、本当にそれは常識で考えて、憲法や民法や労働基準法や、そういう日本の法律その上にILOの百十九条でも、これは性や結婚の関係によってこういうものは基準にはならないということを言っているわけですから、そういうものをひっくるめて委員会で——これは大量の首切りですよ、希望退職という解雇ですよ。こういうものを調査するということを私は要求をしたいというふうに思うのです。現実に、いま実際に不況であるかどうかという、ことがはっきり労働者に示されないで、そうして不況という空気に便乗して自分の気に入らない人たちをやめさせていくということが出てきているわけです。  たとえば大隈の場合に、成績が比較的低いとか、業務に適性がない人にあなたは当てはまるのだ、こう言うんですね。そうして募集してから一日に四回も、毎朝呼び出してまだかまだかというふうに言っている。その人は現に十六年も勤めて、そして表彰状をもらい、現在指導員をしているんですね。それなのにこういう基準にぶつかるのだということを言っているわけです。だから、藤縄さんは非常識であるというふうに言われたわけでしょう。そういうことがもしあるならば非常識であると言われたわけでしょう。私に調査をすると言われましたね、それは本当ですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 最初に、私が女性の地位の問題について大変理解がないようなお話がございましたが、私は、抽象的な基準について意見を申し上げるのは適当でないと申し上げたので、むしろ労使が十分いろんな問題を踏まえてもなお議論をして一つの水準に達したならば、それはそれで尊重すべきではないか、こういう趣旨のことを申し上げたわけでございまして、実はけさほど来枝村先生からも、いろいろ賃金決定について政府の介入というような要請もございましたが、やはり労働関係者としては、労使自治というものを一番尊重いたしまして、その中にできるだけ介入しないという考え方を基本原則として私どもは尊重しなければならぬと思っております。  御参考までに申し上げますと、ILOの労働基準監督についての八十一号勧告というものの中にも「労働監督官の機能は、労働争議に関する手続きにおいて、調停者又は仲裁者として活動することを含んではならない。」とありまして、これは非常に大事な点だろうと思います。しかしながら、後でお挙げになりましたような点は、先生のお話もありまして、やはりいささか行き過ぎではないかと私どもも思いますし、基準法に触れるような問題があれば、これはまた出ていかなければならないというふうに思いまして、ああいうお話がありましてからも、私どもは、現地の局に早速に電話をいたしまして、事業主の方には注意を重ねて喚起した、こういうようなわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 いまここに持っております資料は、関東経営者協会から出しているのですけれども、希望退職者募集について、これに経営者としての留意点というのでこういうことが書いてある。「希望退職募集に入ると、企業にとって必要な従業員がやめ、不必要な従業員が居残る結果となる場合が多い。」だから、基準をつくれというようなことを、企業側は基準をつくって、これをばらまいているんですね。  それであなたは、いかにも中立のように、労使の紛争の中に入らないのだ、そこで話し合ってもらいたいのだ、こういうのですけれども、労働省には行政指導ということができるわけでしょう。事実、紛争といっても、こういう労使で決めていても、こういうことに対して本人の意思を尊重すると言いながら、一日に四回も、毎朝呼びということをやって、そうして実際には精神的圧力をかけてやめさせていくということは強制退職じゃないですか。こういうことがなされておるというならば、あなたたちは、こういうものに対しても、やはりちゃんと両方を行政指導をしていただきたいというふうに思うのです。それを、こういうものは放置しておいて、そうして何か問題があれば労使の紛争と、こう逃げるやり方をしないでほしいわけです。  それで、最後にお願いしたいことは、この間おっしゃいました大隈の調査というのはどうであったかということを後で御返事願いたいことと、それからいま出ております日本板硝子ですね、この中に中高年齢の人とか有夫の女子というのがあるわけですけれども、こういうことは行政指導できるのかできないのか。私はしていただきたいというふうに思うわけです。トラブルが起きないように、そういういやがらせをしてからいつも持っていくということではだめなので、次々いやがらせが起きていますから、起きない先にこれに対して行政指導して、本人の意思を尊重するようにという行政指導をしていただきたいと思うのです。組合は組合でもってやるというふうに思いますが、その点はやっていただきますでしょうか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 大隈鉄工所の問題につきましては、連絡をしておりますので、その後、現地でどう処理したか、調査をしましてまた御報告をしたいと思います。  板硝子の方の問題は、いま実は初めて伺いましたので、十分調査をさしていただきたいと思いますが、先ほど読み上げましたようなILOの勧告の精神に従って、やはり監督官というものは十分中立性を失わないようにしなければならないと思います。しかし、基準法の精神に触れるような場合には、これはまた、ちゅうちょすることなく必要な勧告指導は行いますから、その辺も実態をよく見た上で判断をさせていただきたいというふうに思います。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 確かにILOの勧告、それから百十九条だって勧告ですので、そういうのは自分の都合のいいところだけは使うけれども、都合の悪いところは使わないというふうな、そういうやり方でなくて、すべてそういうものを総合してきちっとした行政指導をしていただきたい。  何遍もあなたは、基準法に触れたら、こう言いますけれども、どろぼうになってからどろぼうだといって取り締まるのではなくて、そうでなくて、どろぼうになる前に、ならないようにするということが労働省の仕事だと私は思うのです。いままでそういうどろぼうになるようなことをたくさんしてきているし、大隈でも事実やっているわけですね。しかし、おたくから電話がかかってからとまったそうです、二十五日から。それだけの力は持っているわけですからね。呼び出しがとまったそうです。それですから、あなたの力というのはやはり会社には効いているわけなんです。だから、私は期待しているわけですよ。本当に話し合いで、話し合いのとおりに行われる、それなのに、それもいけないと言って介入することは、これは労使の間の介入ですけれども、その話し合いを守らないということは、やはり行政指導していただかなければならないと思うのです。  もうこれで質問を終りたいと思いますけれども、今度の予算の組み方が、やはり非常に巨大企業に偏っているということか——大隈鉄工所なとは巨大企業とは言えませんね、二千人の企業ですから、大きい企業ですけれども。こういうところがもし本当に不況になっているならば、私などは、高等学校の工業高校の先生たちから、教育予算が来ないので非常に古い機械を使っていると言われるのですが、そういうものの予算をつけてくれれば、結構大隈の労働者も、そういうところで物が買ってもらえれば景気は出てくるじゃないか、そうするとこんないやなことが起きなくて済むのじゃないかということを言っているわけです。ですから、そういう予算と非常につながっているわけです。住宅だって、庶民住宅を建てれば、ガラスだってずっと需要が出てくるわけですね。そういうことにもなってきている。それが結局、予算というものが巨大企業の方ばかり偏っている。そうしてその組まれた予算というものを、政府高官までがそれを食いつぶしているというような今度のロッキード事件が起きているわけです。これでは労働者だけがなぜこの不況の波による苦しみを受けなければならないのか。なぜ希望退職の、まさに指示解雇のようなやり方を労働者だけがかぶらなければならないのか。そうして悪い者だけが太って、いまなおしっぽを出さないで——たくさんしっぽは出してきていますけれども、体は出さないでぬくぬくとしているという、こんな社会というのは、本当にあなた方が本気でやろうと思うならば、そういうところをがっちりと労働者の犠牲というのを出さないようにがんばっていただきたいと思います。  最後に、長谷川さんの決意を聞いて質問を終わりたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 先生のいまの話は、まさにおっしゃるとおりでして、そういう意味からしましても、私は、今度の予算が早く通ることを願いつつ、景気を出すことが、いまのようなつまらぬ希望退職のようなことが生まれないのではなかろうか、こう思ってがんばります。

熊谷義雄自由民主党

○熊谷委員長 次に、大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 私も、労働大臣の所信表明に対しまして、若干質問をしたいと思います。  先般の所信表明、何度か読ませていただきました。おっしゃっていることは、非常にりっぱなことでもあるし、評価もできますけれども、今日の不況下において、果たしてこの程度でいいのだろうかという疑問も実は多くわいてきております。この中で「高度成長から安定成長への時代の大きな転換の流れの中にあって、最も重要なことは、経済社会の担い手である労働者の福祉の充実と向上に一段と力を注いでいくことであり、そのことは同時に、わが国経済社会の安定した発展の基盤となるものであると考えます。」このとおりだと思います。そしてまた、労働大臣は「私は、失業は人生最大の不幸であるとの信念に立って、」云々とありますね。しかし、このようにおっしゃっている言葉の裏に実は疑問を感じているのは、今度帝国興信所の調べが二月の五日に発表になっておりますけれども、それを見てまいりますと、一月の企業倒産は千七十八件、史上最高だということですね。しかも過去五カ月間も一千件台の企業倒産が続いている。昨年三月の完全失業者は百十二万人であった。十二月が百五万人。そしてことしも一−三月の平均は百二十五万から百三十万人である。このような見込みを発表いたしておりますし、労働大臣もそうだろうという見込みの上から物を考えてこられたようでございますけれども、実は二月の六日、総理府の統計局から発表になりました完全失業者の推計を見てみますと、五十年十二月は百五万人。失業情勢がこのまま推移していきますと、一月は百二十九万人、それから二月が百三十八万人、三月が百四十四万人、このように予想されたのが発表されておりました。  そこで、私が疑問に思うというのは、行き先の数値については、いずれも推計によらざるを得ないことでありまして、推計方法あるいは推計時期によってある程度差が生じることはやむを得ない、これはわかるわけですけれども、この労働大臣が予測なさっていた百三十万人と総理府統計局の示した百四十四万人の完全失業者の数は、余りにも違い過ぎるので、この二つの数字を私どもはどのように理解すればよいのだろうか、このようにまず疑問を抱くわけです。また、一月から三月期の季節的な動きから両者が整合されているとすれば、これは第四次景気対策の効果の浸透がおくれている、このように判断していいのかどうか、その辺もあわせて的確な御答弁をお願いしたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 こういう不況のときでございます。それだけにまた、本当に働く意思があってその能力がある人、こういう方々が失業することは、私は、人生最大の不幸ですし、国民経済の上にも大変に響くことでもある、こう思うのです。そういうことからしますと、この委員会あるいは国会でやっていることは、いかにして失業者を出さないか、そのための手当ても御一緒にしてきたわけであります。  そこで、一方においては、何といっても景気対策。物価も安定しましたから、景気対策ということで第四次不況対策などをやりましたが、これが多少やはり浸透がおくれているということは、地方を歩く方々、また私たちも、すぐわかるわけであります。しかしながら、そう言われながらも求人倍率が多少上がりつつある。あるいはまた二年四カ月ぶりに製造業の残業がふえてきたというふうなことからしますと、その曙光というか、大分上向きかけているというところに希望を持ちつつ、一方には今度の予算においてさらにこれを推進していきたい、こう思っております。  さらに先生のおっしゃるように季節調整がありますが、昨年の一月、失業者の数が百十二万でございました。いまのような模様ですと、私たちは厳しく見ながら百二十五万。いまの上向きのかげんでありながら百二十五万。それは昨年の百十二万から見ますと、いまの求人倍率が多少伸び、残業が伸びたということで、いまよりは悪くならない、伸びていく姿だ、こういうふうな期待を持ち、それに向かって進んでいく、こういうことでございまして、総理府の統計も私たちの考え方と同じような考え方の上に作業していると思いますけれども、その辺の技術的なことについては局長から答弁をさしてもらいたい、こう思っております。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤政府委員 数字のことでございますが、総理府統計局から十二月の完全失業者百五万という数字が発表になりました。その際、あわせて従来の過去数年間の傾向をことしの一−三月に合わせて伸ばしていきますと幾らになるか。これは単に数理統計上の推測をいたしますと、一月が百二十九万、三月が百四十四万、こういう数字が統計学上推測ができるわけでございます。そこで労働大臣がいろいろな機会に一−三月の平均百二十五万、三月百三十万ということをお話になっておられますが、これは私どもは、こういった統計学上の推測値からそれに政策努力をいたしまして、できるだけ失業者を出さないようにしていこう、そういうことからいたしますと、その政策努力が実れば百三十万でとまるだろう、こういうことで申し上げているわけでございまして、実態が食い違っているわけではございません。当然、十二月の百五万を昨年の例にそのまま伸ばしますと、百四十万を超えることは明らかでございます。私どもは、それをできるだけ引き下げていこう、また、それが可能であるということでこういう数字をいろいろな機会に申し上げているわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 実はこの失業統計資料の内容について多少疑問がありますが、これはもう少し後に譲りますけれども、最近の雇用不安というものは、もう不安というよりも危機と言った方が適当な言葉じゃないかというくらいに大変な状態になっておりますね。これまでは雇用調整というのは、大体臨時工だとかパートタイマーだとか季節労働者等で、これが企業の安全弁だとよく言われておって調整されてきたわけですけれども、最近は正社員にまで雇用調整が及んできている。こういうことを見てまいりますと、従来の考えのままでの対策はとてもではないぞ、このように考えるわけです。  実は労働省から「昭和五十年代の雇用政策 減速経済下における完全雇用をめざして」というのが五十年十二月に出版されておりますが、私も、これを何度か見てみましたけれども、その中にも「日本は景気の変動に対して雇用の安定度が高いといわれてきた。また生産調整に伴う雇用量の調整は主として残業時間の抑制だとか中途採用の削減・停止、休日の増加等で行ってきた。また基幹労働者の解雇は極力避けられてきたものだ。これが不況期といえども失業の増大は諸外国に比べて軽微とされている理由である。しかし、」ここからが問題ですね。「しかし、今後は国際競争力を維持する必要性などのために、企業が合理化や生産性の向上を重視せざるを得なくなり、雇用の高い安定を支えてきた終身雇用慣行が徐々に変容してくると考えられる。」こう言っております。  あなたの今回の所信表明の中に、先ほど言った、人生最大の不幸というのは失業にある、それを食いとめるためには「雇用調整給付金の積極的な活用をはじめ各種の就職促進措置を機動的に運用し、」云々とこうありますけれども、雇用保険法に基づく雇用調整給付金制度あるいは日本的雇用慣行の終身雇用制度のもとである程度の効果はあると評価できますけれども、不況が二年から三年目にと続いた、こうした長期化に伴って、果たしてその効果がどこまであらわれるか、私は、もう限界が来ている、このように思うのでございますが、この点についてはどうお考えですか、お尋ねいたします。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 一般論のようにお聞きいただいて結構だと思いますけれども、私は、やはり日本という国は、自分の国の風土に合った行き方をしていると思うんですよ、お互いが。ですから、よその国でしたら若年労働者からばたばた首を切ってレイオフをかけていくわけでしょう。アメリカの場合には二十歳までの者が何と失業者のうちの四分の一を占めている。日本の場合には終身雇用、年功序列、そしてまた、雇用調整給付金をかけたり、さらにはまた、生産が停滞していても、ここでお互いが両方でがまんし合っている、こういう姿だろうと思うのです。私は、すぐには終身雇用制度というものは崩れないと思うのです。経営者の中では、せんだって、日本は一国心中型である、こういう話さえ出ている。だから、OECDあたりの労働関係の方々は、わざわざ日本に、社会不安の起こらないことの方がその国全体としてメリットがあるというので、終身雇用制の研究に来ているわけであります。その中でお互いが、労使が協調しながら、とにかく資源のない国で、油がこんなに高くなって、その金を払いながら、従来の一〇%台の高度経済成長は願えないとしても、四%、少なくとも七%、五・六%、これを願ってとにかくやっていこう、それ以外にお互い飯は食えないのだという姿の中で、いまから先政策を立てて、その目標に向かっていかなければならない、その際に連帯意識が特に必要だ、そういう意味で今度の国会に、諸般の雇用政策について御審議をお願いしている、こういうことでございます。  業種が皆違いますから、現に残業がふえているところもあれば、パートタイマーをどんどん戻しているところもあります。去年一番先に雇用調整給付金を待望したものは電器と繊維だったでしょう。これは自分で自己改造しながら、繊維がパートタイマーから求人をやっている、電器が輸出しているというふうなことになりますと、やはり希望がないのじゃなくて、私たちは希望をつくらなければいかぬ、こういうところにお互いの覚悟が必要なのじゃないか、こう思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いま大臣が御説明なさった内容は、経済新聞の五十一年二月十六日の「これからの雇用と賃金」という問題の中で述べられているのですが、それを私は読んでまいりました。これがそうですね、「これからの雇用と賃金」。この中で大変な発言をなさっておりますが、きょうは時間の関係でまたに譲りますけれども、疑問点を二、三挙げまして、この解明を図りたいと思います。  まず第一に、労働大臣は、五十一年度の予算というものは景気浮揚と雇用の安定という二大スローガンを掲げている、これはよくわかるのですけれども、先ほどから申し上げました失業問題でございますが、わが国の失業情勢を判断する上で最も重要なことは、労働力調査の完全失業者が必ずしも失業の実態を示してないということであろうと私は思うのです。労働大臣は常々、近代工業国家の目標は完全雇用ということだと力説なさっているわけでございますけれども、わが国で完全雇用政策を論議する場合に、失業率が完全雇用の目安にならない、ここに問題があると思うのです。たとえばイギリスではビバリッジが失業率三%である、アメリカではハンセンが四から五%である、この程度を完全雇用の目安にしているわけでございます。ところが、わが国のいまの不況は戦後最大だと言われているわけでございますけれども、現在でも失業率という立場から見る限りにおいてまだ二%にすぎないわけですね。  私は、このような数字しか出てこないというのは失業統計の不備、わが国の完全雇用政策がこれをあいまいにしているのだ、このように考えるわけでございますが、この点についてどんなお考えを持っていらっしゃるか、お尋ねいたします。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤政府委員 世界的なこういう不況の中で、それによって起きてまいります失業の状態が、アメリカ、ヨーロッパ各国、日本、それぞれの土壌の違いといったようなことから、出てきました結果としての数字にかなり大きな開きがございます。いまアメリカで八%から九%前後しております。西ドイツで五%、イギリスでも五%を超えている。にもかかわらず日本では、これだけ深刻な不況下にあってなおかつ二%前後だということは、理論的に言えば、完全雇用が三%とかあるいは国によって四、五%ということを言われておりますが、日本の場合、結論から申しますと、私どもがこれから五十年代の雇用政策の中で考えております完全雇用の状態、これを失業率の数字で言いますと、大体一・四%から一・五%程度かと考えております。こういうことで、いまおっしゃいますように、労働力調査の結果として出てきた完全失業率が必ずしも失業の実態をあらわしてないのじゃないか、ということは、むしろ問題は外国との比較で、たとえばアメリカと日本との比較でアメリカの八・何%と日本の二%、あるいは西ドイツの五・四%と日本の二%、こういう比較の問題が一つあろうかと思いますが、その問題を別にしますならば、この失業統計として出てきました二%は、従来過去十年間の完全失業者としてあらわれております労働力調査の結果、この推移を時系列的に見ますと、確かにいまは大変深刻な状態だということが言えるわけでございますが、問題は、こういった労働力調査の結果出てきた失業率なり完全失業者数というものだけでこれからの経済運営の指標として適切であるかどうかという問題であろうかと思います。そういう点は、確かに現在の統計データだけでは必ずしも十分でないというようなことでございますし、また、ここ一年余にわたって新聞紙等で人口に膾お灸してきております有効求人倍率にしましても、これが現下の失業情勢、雇用情勢を的確にあらわす数字としては必ずしも十分でない。この数字もまたヨーロッパの西ドイツ、イギリス等のいわゆる失業者統計とパラレルに比較できる数字でもありません。そういった意味から、今後の経済運営の指標としての雇用失業統計データというものをどういうふうに求めたらいいかということは、現在いろいろ検討も進めておりますし、近く策定いたします雇用対策基本計画の中でも、こういったものを確立すべきであるということで、できるだけ早い機会に、こういったものの統計の整備をいたしてまいりたい、かように考えております。  ただ問題は、そこでアメリカの失業情勢と日本の失業情勢とどうやって比較するのか、これは先ほど冒頭に申し上げましたように、日本とアメリカの土壌の違い、雇用慣行の違いといったようなものがありまして、日本の失業者、現実に出ております失業者のほかに、アメリカであれば、あるいは西欧諸国であれば、不況に伴って余剰労働力がそのままレイオフされる、そういうものが日本では終身雇用制という慣行のもとでいわゆる基幹労働力については企業の負担で、企業の雇用労働者として抱え込まれている、こういうものがいわゆる過剰労働力、過剰雇用という形でいろいろと言われておりますが、私どもの推計では、昨年の十月の時点で大体五十万程度という推計をいたしております。これは日経連の数字では百三十万と言い、あるいは一部では二百万と言われておりますが、私どもは、まあ的確な数字としては五、六十万程度だと見ておりますが、こういったものが外国であれば失業者という形で排出される、それが日本の場合は雇用労働者として企業内に抱え込まれている、その違いがあります。と同時に、もう一つは、高度成長時代に労働力不足ということから駆り出されてきた、いわゆる私ども縁辺労働力という言葉を使っておりますが、家庭の主婦等で、家事が主であって働くことは従である、こういう人たちが、こういう不況になって適当な職場がなくなる、収入が必ずしも満足できなくなりますと非労働力化して家庭の主婦に戻ってしまう、こういう人たちがこの一年間に約五、六十万ございます。こういったものをいわゆる失業者という形で政策の対象として考えなければならないのかどうか、これはいろいろ異論のあるところかと思いますが、仮にこういうものを全部合わせると約二百万になるわけです。四%ということになります。大体ドイツなりイギリスあたりの失業率とほぼ近い線になる。そういうことでございますので、外国と日本との失業統計上の比較が必ずしも十分できないというような点からそういった誤解がございますけれども、現在の失業情勢を把握するという点からは、いまの労働力調査なりあるいは有効求人倍率といったようなデータで私どもは十分把握できるのじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 外国との比較の話はそれなりに理解できないでもないのですけれども、しかし、現在の日本のそうした統計資料だけで今後の低成長下における雇用対策の手が打てるかどうかとなると、私は非常に不安を感じます。と申しますのは、一般に失業と言えばわかり切ったことのように思われるわけでございますが、いざその数を調べよう、あるいは対策を立てようとなると、その定義はなかなかむずかしい、こう思うわけです。会社を首になった、あるいは商売がだめになった、収入がなくなった、職探しをしている、これはだれが見ても失業者とわかるわけですけれども、不満足ながらでも臨時的にあるいは一時的に仕事につきながら、希望する仕事を見つけようとしているのが普通の姿と言っていいんじゃないかと思うのです。しかも、そのやりくりの仕方というものは人によって違うし、また、ときによって違いますし、まちまちです。そういうことで失業という判定は非常にむずかしいと思います。  実は昭和三十四年に、大変古い話になりますけれども、首相の諮問機関である雇用審議会から、いわゆる完全雇用答申が出たということを私はある報道で見ましたけれども、その内容は、不完全就業者の問題に焦点が当てられていて、失業の概念とかあるいは問題性とかあるいは失業問題だけの対策とかについてはほとんど触れられていなかった、こう指摘されておりましたね。それからまた、それならば失業者らしいと考えられるものはすべて失業者としてしまえばよいじゃないかという見方もあるようでございますけれども、それでは対策の立てようがないだろう。職がなくて食うに困っている一家の主人の場合と、いい仕事があれば働いてみようと思っている程度の人々との場合には、これは当然区別をした方がよいのではないか。わが国ではどちらかと言えば、従来こうした失業の問題について余り深く掘り下げて論議されたことはなかった、このように指摘をしたある論文がありましたけれども、私は、それを読んでいきながら、確かにそうだなと思いました。わが国の失業動向を示す指標というものは、総理府統計の労働力調査、それからいわゆる失業保険関係の指標、それから職業安定業務統計による指標、大体こういうものがその判断の基準になっていると思うのですけれども、これがばらばらで、ただ単に統計で出てきても功を奏さない。やはりこれは統一的にどこかで有効的に判断の基準を見つけ出していくというふうに改めなければならぬだろうと思うのです。要するに統計資料の改善、整備が今後は特に重要であるということを認識してもらわなければいかぬということですね。政府としても失業の水準や構造について検討を深めるべきであると私は思うのでございますが、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 従来は高度経済成長で経済政策に雇用政策が引っぱっていかれたわけですね。これはもう地方でわかるとおり、去年、おととしあたりまでは、地方の中学卒業生で就職する者は金の卵のようにして二十万、三十万金くれてどんどん、だれでもかれでも持ってきた時代がある。しかし、こういう減速経済下、安定成長時代には、やはり人間中心に物を考えていくという意味で、先生がおっしゃるように、失業統計というものを雇用関係のことから見ていく必要があるのじゃないか。もう一つは、完全雇用、これはもう私の一つの意見でございますけれども、超完全雇用と言っても、だれでもかれでもが全部勤めている時代というものはないんですね。それは高度成長時代に一・二%、あれだけ人を集めた時代でも一・二%、五十数万の失業者が日本におったわけですよ、世の中がふんわかふんわかでとにかく浮かれていたという時代で。ところが最近、外国の例を見ますと、御参考までにあれしますと、西ドイツが、去年の四月に四・七%の失業率がことしの一月には五・九%になっている。イギリスが、去年の四月に四%がことしには六・一%というふうなことになっております。だから私は、やはりいまから先は、こういう社会不安をかれこれ警戒しながら人間中心の雇用計画というものを立てていくというふうな方向に向かって努力したい、こう思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 私がいまお尋ねしたのは、こうした統計資料をもう一回改善していく必要があるのではないか、これはおわかりでしょう。そうじゃないと本当の対策は立てられぬということをいま言っているわけです。  それから、有効求人倍率というものがあるわけですが、昨年の十一月にはこれが〇.五二倍となって大変落ち込んでしまったわけでございますけれども、この数字は平均的なものであって、特に中高年齢層になりますとまだ大変な状態に落ち込んでいるわけですね。特に四十五歳以上、一人の求人に対して三あるいは四人の求職者が殺到しているというのが、どこの職安の状況を見ましても共通した内容でございました。  ここに問題があるのは、約半数以上の企業がまだ五十五歳定年を実施しているわけです。こういうところから、私は、この定年延長の問題はきわめて重要な問題だ、こう考えていたときに、労働省が高齢者問題ほ重要性を強調して、この不況下において定年延長政策を推進していることについては、もう私も知っておりますし、それについては評価するんですけれども、去年の八月に労働省が提唱していた「不況を乗り切るための雇用対策」によりますと、「定年延長の障害となっている賃金原資の増加や人事の停滞等の問題点を解消するため、五五歳以降については」、その一つとして「労働能力、労働内容に応じた、横ばいないし低下するような賃金体系」を組まなければならぬだろう。二つには「延長後の期間を加算しない退職金制度」をしくべきであろう。三つ目には「ラインからスタッフへ移行する人事管理システム」、この三点を基本として定年延長の促進を図るとしているわけでございますが、考え方として私は理解できないわけではないのですけれども、実際問題としてこれはどうなんだろうかと非常に心配しているわけですが、この点についてのお考えを聞かしていただきたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 おっしゃるとおり五十五歳で定年でございます。しかも、いまのその諸君というのは、敗戦後の日本をしょってきて、まだ能力のある、ファイトのある方々です。だから、これを六十歳まで定年延長したい、そういうことで、奨励金なども今度出そう、そしてまた、一部企業では、それにだんだん近寄っている、だから、それを助長する意味で、ただいまおっしゃったように、賃金問題とかあるいはまた年金の問題とか横ばいの問題とか、そういうふうな考え方もある。しかし、これをやるのは労使で決めるわけですから、それを一つの参考意見として——現に五十七歳、五十八歳までやっているところもあるわけです、それのうちの一つか二つをとって。そういうことも参考にしながら、労使で話し合ってみる、一遍に六十歳まで進むわけにいきませんから。ことし雇用問題で組合の諸君とお会いしたときに、組合の内部においてそういうことを経営者とお話ししていただくことも一つのきっかけじゃありませんか、雇用に対して、自分の企業内の組合が積極的に動くということも、それを推進する意味ですからお願いいたしますということで、延長してもらう一つの方法として、いろいろな機会にアイデアを申し上げている。下がることが当然だとか下げた方がいいというふうな意味ではございません。しかし、いま再就職という場合には、必ず六割か七割の給与で、しかも、それを探すのが大変でございましょう。とするならば、現実的にこういう線でやるのも一つの方法じゃありませんかということで推進しているわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 先ほど申し上げましたように、考え方としては確かに大変参考になることではありますけれども、現在の高齢者は、実際若いときからとにかく低賃金で黙々と働き続けてきた人たちがほとんどなんですね。そういう方に、いまこうした不況が来たから、とにかく年功賃金を外してしまえというような印象を与えるような指導をされると大変な問題が起こってくる、こう思うわけです。  そこで、現実問題として、いまのような考え方をもうすでに労使の中に持っていかれているのかどうか、それに対する反響はどうかということについてどうでしょうか。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤政府委員 この問題は、ただいま大臣からお答えになりましたとおりでございますが、私どもは、現下の不況下での高齢者対策ということで申し上げているわけでは決してございません。むしろ現下のこういう不況の中で、人を一人でも減らしたいという企業に、なるべく減らさぬようにしてくれ、失業者にしないでくれ、それになおかつ加えて高齢者を抱えてくれ、こういう要請をしているわけでございますが、定年延長の問題は、現在の不況下の高年齢者対策もありますけれども、むしろこれから中長期にわたって労働力が高齢化する、そういった際の中高年齢者対策ということで私どもは政策として打ち出しているわけでございます。  先ほど大臣かやお答えになりましたように、日本の雇用慣行である終身雇用制という柱を、やはり今後ともどうしても確立していかなければならぬ。その場合に問題になりますのは、終身雇用制とうらはらになっております年功序列賃金体系の問題であります。この賃金体系の問題は、前々からいろいろと議論のあるところでありますけれども、今後こういった終身雇用制の柱を立てていく以上は、これを中心にして雇用政策を進めていかなければならぬ。それにはどうしても定年延長という問題が絡んでくる。戦前の日本国民の寿命が五十前後であった時代の五十五歳定年を、もうすでに七十何歳まで延びたこういう高齢化した時代に、五十五歳定年は不合理でもありますし、同時にまた、肉体的にも技術的にも技能の面からも、あるいは知識経験の面からも千分労働可能な人たちが、五十五歳定年で職場を追われるということはいかにも不合理であります。と同時に、労働力供給の面から言いましても、五十五歳以上の人たちが、労働力として日本経済を支えていく重要な部分を形成している、こういうことからも、定年延長をどうしても今後政策的に進めなければならぬ。  こういう観点から、それじゃこの定年延長を進める場合に一体問題はどこにあるのか、なぜいままで五十五歳定年というものが依然として行われているのか、こういうことになりますと、実際の労働能力なりその経験その他に照らして、年功序列賃金体系というものが非常に大きなネックになっておる、それから人事管理上の問題というようなこともあります。こういう問題の現実的に最も合理的妥当な解決策としては、いま大臣からお話がありましたような、定年延長に伴って賃金体系の能力に応じた能力給、職務給的な考え方を強く導入する必要がある、人事管理上の障壁を取り除く必要がある、こういうことを指導方針として申し上げておるわけでございます。  しかしながら、いま先生おっしゃるように、年をとって、せっかくいままで長年働いてきた人たちが、こういう不況になったら賃金を下げられるのか、こういうふうな誤解があるかと思いますけれども、現実にいままで五十五歳定年で他の系列会社に出向したり、あるいは退職をして中小企業に就職をしておる人たちの賃金を見ますと、二割ないし三割下がっております。下がってもなおかつ就職できない人がたくさんおる。それよりはむしろ定年を延長して、むしろ六十まで安心して働けるようにしてもらう、その際、能力に応じて若干賃金がダウンすることはやむを得ないのじゃないだろうか。と同時に、むしろ問題は、五十五歳くらいになりますと、お子さんたちはみんなそれぞれ学校を卒業して社会人として独立していく、そうしますと、家計の負担はそれだけ減ってくる。これは現実に統計的にはっきりそういうデータが出ております。とするならば、能力に応じた賃金の低下ということも、現実的にはやむを得ないのじゃないか。それが定年延長を進めるきっかけになるならば、むしろそういうことによって六十まで、長年の技能経験を生かして同じ職場で安心して働いてもらえる、そういう対策を強力に進めるべきじゃないかということから、むしろそういう私どもの指導方針を明確に打ち出したわけでございます。  これに対する関係者の反応でございますけれども、業界はもちろんでございますし、それによって定年延長が可能になる、それから労働組合側も、私が昨年民労協の全国大会に参りましてこの話をいたしましたけれども、これに対して反対だという声はございません。むしろ労働組合としては、内心はそう思っても、なかなか言いにくいことをよくはっきり言ってくれた、むしろこれが労使の間で定年延長の制度を何とか前に進める一つのきっかけになったというような受け取り方をしておられたようでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 この問題は、やはり親切丁寧にきめ細かい指導が肝心だと思います。時間の関係がありますのでもう一つだけお尋ねします。  雇用整調給付金制度の問題なんですけれども、これは現在対象業種は八十七業種だと記憶しております。業種によっては期限延長も行われてきたわけですが、二月には十七業種、三月末には五十四業種が適用期限が切れる、このように聞いているわけでございますけれども、期限延長の考えがあるかどうかということです。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤政府委員 これは昨年の六、七月の最盛期には三百業種、製造業の三分の一を超えるような適用範囲でございました。その後、一時休業の実態が次第に減少してまいりまして、ことしに入りまして八十数業種になっております。また、三月一日で新しく新規の適用もいたしておりますし、従来適用いたしました業種の中でなお生産が停滞しておる、雇用面で非常に厳しい情勢にあるというような業種につきましては延長、再延長の措置をとってまいっております。  と同時に、当初適用対象業種の中で中小企業が利用しにくいのじゃないかというようないろいろ懸念もございましたけれども、現実には事業所数の九五%が中小企業でございます。対象人員、それから支給された金額の面から言いましても、三分の二を超えるものが中小企業を対象に支給されておるというような実態でございまして、このことによって中小企業が主として救済されておるというような実態になっております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 この雇用整調給付金について要望があればどしどし出してほしい、労働省がこのように指導していらっしゃることは、私も知っているのですけれども、実際のところ、特に中小企業関係者は最近になって業績が傾いてきているところがかなりあるわけです。そういたしますと、前々から悪化していた人は雇用整調給付金の恩恵を受けてきたのですが、最近悪化してきた企業は、その制度の内容も知らないし、申請の方法も知らない。現実問題として大変そういう人があります。また、このことを知って監督官庁の方に申し入れに行きますと、書類や手続が非常にめんどうである。そういうことで、その手続をするために仕事もできなくなるので、ああめんどうくさい、どうでもいいやというような気持ちになって、せっかくのこのような恩典が享受できないという実態がございますので、この不況の厳しいときでもありますし、行政の対応を切にお願いしたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 従来もいろいろ周知徹底の機会は持ち、そしてまた、非常に希望もされ、そういう講習会などに集まる方々も多かったわけでございますが、なお、いま先生のおっしゃるような方々がおありとするならば、さらに周知徹底には努力してまいりたい、こう考えます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 最後に、これは今度の所信表明の中にもありますように、身体障害者に対するいわゆる雇用の改善が考えられているようでございますが、これは要望にとどめておきますので、法案作成の段階においてこの要望が十分盛り込まれるように強く要請しておきます。  その一つは、雇用率を当面二%に引き上げてほしい。雇用を義務化してください。特に悩性小児麻痺等の重度の人々も保障していただきたい。  それから雇用率未達成企業は公表する。そして雇用納付金の額を、いま三万円程度だということを聞いておりますけれども、これを常用労働者の平均賃金ぐらいまでに上げてほしい。そうでないと身体障害者を雇うよりも納付金を納めておけと言って雇わない企業が出てくるのではないかという懸念があるということですね。  それから雇用率以上の障害者を雇用している中小企業に対しては、雇用奨励金制度を充実し、また心身障害者雇用促進融資制度を確充していただきたい。  それから各種職業訓練所を早急に増設するとともに、職業科目をふやし、訓練期間を延ばして希望する障害者が入所できるように設備を改善してください。また、一般訓練校に入所している障害者にも訓練手当を支給していただきたい。現在十四県にこのような施設があるようでございますし、また、五十一年度予算案を見ますと、五校のミニ訓練校が考えられているようでございますけれども、この内容をもっと掘り下げて、具体的に皆様の要望にこたえられるようにしていただきたいということです。  それから新しい職種や労働器具の研究、開発等を国の責任で進めていっていただきたい。  また、最低賃金法を障害者にも適用していただきたい。いまのところ生活保護費以下というような低賃金で働いている人がたくさんおるようでございますから、これでは不安でございますということです。  また、緊急対策といたしましては、今春、障害児学校あるいは障害児学級卒業予定者で働くことを希望する者を早急に調査をして、実態、実情に即して仕事を保障していただきたい。職業のあっせんは雇用率未達成企業を重点としてください。それから国、地方自治体及び公共企業体等の職員として障害者を積極的に雇用していただきたい。  これは全国肢体障害者協議会準備会、肢体協という略称だそうでございますが、いまこういう会が発足いたしまして、こういう問題と取り組んでいらっしゃる方々からの真剣な要請がございますので、以上申し上げまして私の質問を終わりたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 御熱心な御主張でございますから、なかなかむずかしい問題もあろうかと思いますけれども、今後、身障関係の法律案を作成し、さらにはまた、審議会等々にいろいろお諮りして御希望に沿えるように努力したい、こう思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 終わります。      ————◇—————

熊谷義雄自由民主党

○熊谷委員長 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。労働大臣長谷川峻君。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 ただいま議題となりました労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  労働者災害補償保険法は、今日まで数次にわたり給付改善のための改正を重ねてまいりましたが、最近における労働災害の動向、年金受給者の累増等を背景として種々新しい観点から解決を図るべき問題が生じてきております。このような情勢にかんがみ、労働者災害補償保険審議会は、昨年十二月、全員一致の意見に基づき、年金給付の内容の充実、保険施設の整備拡充等を中心とする建議を労働大臣に提出されたのであります。  政府におきましては、この建議の趣旨を尊重し、法律改正を要する部分について改正案を作成し、これを労働者災害補償保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、了承する旨の答申をいただきました。また、船員保険につきましても、同様な改正案を社会保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、それぞれ了承をいただいたところであります。これらの経緯に基づいて労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案をここに提案いたした次第であります。  次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。  まず、労働者災害補償保険法関係の改正についてであります。  第一は、労災保険の目的を拡充し、業務災害及び通勤災害に対する保険給付とあわせて労働者の社会復帰の促進等を図るための労働福祉事業を行うことができることとしたことであります。  第二は、療養の開始後一年六カ月を経過しても治らない病状の重い長期療養者に対しては、従来の長期傷病補償給付にかえて引き続き療養補償給付を行うとともに、障害等級第一級から第三級までの障害補償年金の額に準ずる額の傷病補償年金を支給することとしたことであります。  第三は、年金給付の額のスライドについて、現在は賃金水準が二〇%以上変動することを要することとしておりますが、この賃金水準の変動幅を一〇%以上で足りることとしたことであります。  第四は、労災保険の年金と厚生年金保険等の年金とが併給される場合における労災保険の年金額の調整について、その方法を改善整備したことであります。  第五は、労災保険の適用を受ける労働者及びその遺族の福祉の増進を図るため、現行の保険施設にかえて労働福祉事業を行うこととし、現行の保険施設の内容を整備して引き継ぐとともに、新たに賃金の支払いの確保その他適正な労働条件の確保を図るために必要な事業を行うことができることとしたことであります。  第六は、わが国の事業から開発途上地域その他海外に派遣される者にも労災保険を適用するため、これを特別加入者の範囲に加えるとともに、中小事業主、一人親方等の特別加入者も通勤災害に関する保険給付を受けることができるようにしたことであります。  第七は、最近における労働災害の発生状況にかんがみ、事業場ごとの災害率に応じた保険料の調整の範囲を拡大したことであります。  第八は、昭和三十五年三月三十一日以前に打ち切り補償費の支給を受けた者についての年金額の減額等の措置を廃止することとしたことであります。  次に、船員保険法関係の改正について申し上げます。  この改正は、船員保険の職務上の事由による保険給付の内容及び保険料の調整幅について、労働者災害補償保険法の改正に準じた改正を行うほか、障害等級表につき改正を行うこととしたものであります。  以上のほか、最近における職業性疾病の発生状況にかんがみ、その基礎的研究の拡充等を図るため、労働衛生研究所を産業医学総合研究所に改めることなど関係法律について所要の整備を行うこととしております。  なお、労働者災害補償保険法関係の施行期日は、目的の改正、労働福祉事業の新設、昭和三十五年三月三十一日以前に打ち切り補償費の支給を受けた者についての年金額の減額等の措置を廃止することなどの措置につきましては公布の日から六月を超えない範囲内において政令で定める日、一般事業に係る保険料の調整幅の拡大につきましては昭和五十一年十二月三十一日、その他給付内容等に係る改正につきましては昭和五十二年四月一日とし、また、船員保険法関係の施行期日は、障害等級表の改正につきましては公布の日、保険料の調整幅の拡大につきましては昭和五十一年九月三十日、その他保険給付の内容に係る改正につきましては昭和五十二年四月一日としております。  以上、この法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げました。何とぞ、御審議の上速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)

熊谷義雄自由民主党

○熊谷委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  次回は、明後四日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十三分散会

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