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77回国会衆議院1976/05/07

公害対策並びに環境保全特別委員会 第8号

発言数
222
登壇者
16
会派数
5
開催日
1976/05/07

会議録

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の振動規制法、案を議題とし、審査を進めます。  本日は、参考人として中央公害対策審議会振動専門委員長亘理厚君、東北大学教授二村忠元君、日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長真鍋正一君、西宮市助役小田忠彦君、尼崎市公害部騒音課長桜井康雄君、全日本鍛造工業会専務理事伊藤太刀郎君、全国建設業協会技術委員会委員長斎藤義治君、大田区から公害をなくす会代表星川幸市君、以上八名の方々が御出席になっております。なお、西宮市長奥五一君については、急病のため本日、出席できなくなりましたので御了承願います。  この際、委員会を代表いたしまして、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、また遠路にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  本委員会は、先ごろ振動規制法案の審査に入ったところでありますが、本日は、参考人の皆様から貴重な御意見を承り、もって本法案審査に万全を期したいと存ずる次第でございます。つきましては、どうか忌弾のない御意見を述べていただきたく、お願い申し上げます。  なお、議事の整理上、御意見の開陳は、おのおの十五分間に要約してお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただくよう、お願いをいたします。  それでは、亘理参考人からお願いをいたします。亘理参考人。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 私、ただいま御紹介いただきました亘理厚でございます。現在、中央公害対策審議会委員でありますと同時に、同審議会の騒音振動部会振動専門委員会委員長を務めております。  振動規制法案につきましては、昭和四十八年に「振動公害に係る法規制を行うに当たつての基本的考え方について」答申を行いましたところでございますが、引き続き専門委員会におきまして、規制基準値等を中心に審議を進めてまいりました。  本日は、約二年間の長期にわたり三十回の慎重な審議の結果、取りまとめられました専門委員会報告をもとにして御説明申し上げます。  初めに、振動の評価単位について申し上げます。  まず、公害振動を把握するに当たっての物差しについてでありますが、鉛直振動補正加速度レベル、単位はデシベルでございますが、それによって把握することにいたしました。  これは、騒音の大きさを把握するのに使われております騒音レベル、単位はデシベル(A)と言っております。あるいはホンという言葉が日本だけでは使われております。その騒音レベルと同じような考え方、同じような考え方と申しますのは多少、物理的意味が違っているという意味で、ただ扱い方が非常に似ているという意味で同じような考え方と申し上げますが、その同じような考え方によって振動の大きさをあらわしたものであります。  この場合、振動の大きさの把握を加速度で行うことにしておりますが、人間の振動に対する感じ方は、振動の大きさと振動数とによって左右されまして、振動の大きさが同じでも振動数が異なると感じ方が違います。問題となります公害振動の場合は加速度が支配的でありますので、その加速度を振動の感じ方に合うように補正するため、実際の加速度と、そのときの振動数に対応した基準となる加速度との比の対数をとってあらわすことにしたものであります。この場合、公害振動につきましては鉛直振動に着目すれば必要にして十分であると判断いたしました。  次に、基準設定の基本的な考え方について申し上げます。  まず、昼間につきましては、振動による健康障害はもとより、日常生活にも支障を与えないこと、夜間につきましては睡眠妨害等の影響を生ぜしめないことを基本とすることとしました。そのため、家屋の振動特性、人体に対する生理的並びに心理的な影響、睡眠影響、物的被害についての調査研究及び住民の公害振動に対する反応調査等の諸結果について検討を行い、また、地方自治体における条例等を参考にいたしました。  まず、地表振動に対する室内振動の関係でございますが、それには振動を減衰するものから増幅するものまであります。わが国の平均的な家屋では一般にほぼ五デシベル程度、これは約二倍程度とお考えになって結構ですが、地表振動が室内において増幅されると仮定いたしました。この五デシベルの増幅というのは、大き目に見たものでありますが、それを各種実験値等から判明しました振動の人に対する影響についての結果を地表振動の値に換算する場合に考慮いたしました。  次に振動による人体の生理的影響は、九十デシベル、地表の値に換算して、おおむね八十五デシベル程度以上になると人体に対する生理的影響が生じます。また産業職場におきまして快適さが減退し始める限度が八十デシベル、地表の値にして、おおむね七十五デシベルでありますことなどから、公害振動の基準値は、少なくともこれ以下に設定するようにいたしました。  また、工場振動、道路交通振動、新幹線鉄道振動に対する住民反応調査の結果によりますと、振動を「よく感じる」という訴え率と「わずらわしい」とする訴え率とは、よく一致しております。そこで「よく感じる」という訴え率と鉛直振動補正加速度レベルの関係を見ますと、六十ないし六十五デシベルで三〇%、六十五ないし七十デシベルで四〇%の訴え率となっていますことから、住居地域における昼間の基準値としましては六十ないし六十五デシベルを基本として設定することとしました。  次に、夜間につきましては睡眠の確保を図ることが必要でありますが、振動の睡眠に対する影響についての研究報告によりますと、六十デシベル、地表の値に換算して五十五デシベルでは、ほとんど影響は見られません。それから六十五から六十九デシベル、地表の値にして六十ないし六十四デシベルぐらいから、浅い睡眠に対しては影響が見られますことから、夜間の基準値の上限としましては、地表換算値で六十五デシベル程度が妥当であると考えました。  また、振動を感じ始める閾値が六十デシベル、地表の値に換算して五十五デシベルでありますこと、それから気象庁の地震の震度階でゼロ、すなわち無感と言われているものの上限値が地表の値で五十五デシベルでありますことなどから、夜間の基準値の下限としましては、地表の値で五十五デシベル程度が妥当であると考えたのであります。さらに、住居内振動の認知限界に関する研究例などから、病院などの特に静穏を必要とする施設があるところの夜間の基準値としましては、五十デシベル程度になると問題がないというふうに考えたのであります。ちなみに、いわゆる常時微動というものは四十デシベル程度以下であるとされております。  振動による一般的家屋における物的被害としましては、地震のような短時間の、また一過性の場合に八十五ないし九十デシベル以上で生じますが、地震と比べて軽微な公害振動による物的被害の実態は、振動の発生形態、家屋の経過年数、家屋構造、地盤等いろいろな要因が複雑に関係して、現状では明確にされておりません。しかし、この種の被害と思われるものに関する住民反応調査によりますと、その因果関係は解明されていないとしましても、七十デシベルを超しますと、多くの場合、軽度の損傷に関して被害感が見られます。したがって、長期間にわたって発生する振動についての基準は、住民に物的被害感を与えないという観点からも、七十デシベル以下とすることにいたしました。  以上のような基本的な考え方に基づきまして基準値を設定することといたしましたが、その場合、地域並びに時間による区分を行うこととしました。すなわち、土地利用の状況を勘案して区域の区分を行い、国民の生活時間帯調査を参考として時間の区分を行ったのであります。  次は、工場振動の基準について申し上げます。  初めに、工場振動についてでございますが、まず夜間の基準値として、住居地域では、睡眠にほとんど影響を生じない五十五ないし六十デシベルとし、商工業地域では、六十五デシベルを超えると睡眠影響が見られますため、六十ないし六十五デシベルとしました。  次に、昼間の基準値は、夜間の基準値より、やや緩和しても生活環境には支障がないと考えられますこと、住居地域の住民の方が、その他の地域の住民より厳しい反応を示しますこと及び住民反応調査結果などを考慮しまして、住居地域につきましては六十から六十五デシベル、商工業地域では六十五ないし七十デシベルとしたものであります。  また、病院、学校等に近接する工場につきましては、より良好な生活環境を保全する観点から、一般の基準値から五デシベル減じた値とすることができることとしました。  規制の対象となります施設につきましては、調査の結果、振動源から五メートルのところで六十デシベル以上の振動を発生している施設に着目することとしたのでありますが、これらにつきましては、すでにつり基礎等の防振技術が確立されており、その効果が明らかとなっております。そのうち他の施設に比して防振対策の期間、費用がかかる鍛造機などにつきましては、猶予期間において特に配慮する必要があると考えております。  次に、建設作業振動の基準について、申し上げます。これは作業の特性が本来、衝撃力とか振動力を直接、利用するものでありますことから、工場振動と比べまして大きな振動を発生するものであります。しかし、工場振動等の半恒久的なものに比べまして期間が比較的短く、一過性かつ移動性のものであり、住民の生活環境に長期間にわたって影響を及ぼすものではありません。このため基準設定に当たりましては、周辺住民に生活環境の悪化を生じたり、生理的な影響を与えたりしないよう、さきに申し上げました快適さが減退し始める限度を考慮しまして、七十五デシベルを超える大きさのものでないこととしました。しかしながら、振動の大きさの基準が工場振動の場合よりも高いことから、原則として夜間や日曜、休日における作業の禁止、一日当たりの作業時間や同一場所における作業期間の制限等を行うことにより、生活環境の保全を図ることとしております。  規制の対象となる作業につきましては、調査の結果、振動源から五メートルのところで七十デシベル以上の振動を発生している作業に着目することとしたのでありますが、これらについての防振対策は、工場施設に比べまして必ずしも容易でありませんが、たとえばくい打ち作業の場合に、アースオーガー等の併用、作業方法の改善によって振動減少の効果が期待できます。こうした点を十分考慮しながら、基準を超えた場合に作業時間を短縮することができることとしたわけであります。  なお、ブルドーザー等につきましては十分、議論をいたしました結果、発生している振動が余り大きくないこと、苦情の発生率が小さいこと、移動性の作業であることなどを考えまして、対象として取り上げないことにいたしました。  次に、道路交通振動の限度値について申し上げます。  工場振動の基準値、住民反応調査結果等を考慮しまして、住居地域については夜間六十デシベル、昼間六十五デシベルとし、商工業地域については夜間六十五デシベル、昼間七十デシベルとしたものであります。  なお、病院、学校等の周辺の道路の限度値は、より良好な生活環境を保全する観点から、一般の限度値から五デシベル減じた値とすることができることとしました。  また、特定の既設の幹線道路につきましては、わが国社会経済に占める機能を考慮しまして、その区間の全部または一部の限度値を、必要により第一種区域の夜間の値に、第二種区域の夜間の値を適用することができることとしたものであります。  また、振動防止対策としましては、路面補修、舗装版の打ちかえ等の道路構造自体の補修、改善あるいは大型車両の速度制限や走行車線を内側へ変更する等の交通規制が有効であると考えております。  以上、申し上げました工場、建設作業、道路交通振動に係る基準値は、それぞれの敷地境界または用地境界で測定した値とすべきものと考えます。この場合、境界から遠ざかるにつれてほぼ逆自乗則に従う減衰によって、これらの値が低下します。たとえば、振動源と境界が五メートルある場合に、その境界の外、五メートル離れたところでは、境界の値から、ほぼ六デシベル低下するということも考えております。  次に、新幹線鉄道振動の対策指針について申し上げます。  新幹線鉄道振動につきましては、防振技術の開発について、幾多の技術的な難関がありますことのほかに、道路交通とは異なり、走行規制が困難であるという特殊性もあります。このため、法規制の対象とはしないで、騒音対策とともに総合的に対策として実施することとなっており、その指針を示すこととしたのであります。  指針値につきましては、工場及び道路交通振動の基準値、住民反応調査結果等を考慮の上、七十デシベル以下とし、七十デシベルを超える地域について緊急に振動源及び障害防止対策を講ずることとしたものであります。  なお、病院、学校等につきましては、より良好な生活環境を保全する観点から特段の配慮をし、可及的速やかに措置することとしました。  この指針値は既設及び工事中の新幹線について適用されるべきものとしました。新設の新幹線につきましては、確定的判断には至りませんでしたが、基本的には、住居地域については六十五デシベル、商工業地域については七十デシベル以下を目標とすべきものと考えております。  新幹線鉄道の防振対策としましては、構造形式の改良、高架構造物の増強、軌道構造の改良、振動遮断対策等が考えられますが、技術開発のおくれもあり、今後、早急に開発を推進すべきものと考えます。これと同時に、周辺家屋に対する移転、改築補強、振動絶縁等の措置を講ずべきものと考えます。  以上、申し上げました答申を行うに際して、私どもは政府に対して、振動防止の技術開発の一層の推進、土地利用の適正化、小規模事業者に対する配慮、公共性のある建設工事についての配慮等を提言しております。  以上で私の説明を終わりますが、種々、御批判の点もあろうかと思いますが、慎重審議の結果をおくみ取りいただきまして、国のレベルにおけるものとしては、諸外国にも例のない初めての法規制が実現することを期待しております。  以上で、私は終わります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 ありがとうございました。  次に、二村参考人にお願いをいたします。二村参考人。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 東北大学の二村でございます。  冒頭に委員長に、ちょっとお願いをさせていただきたいと思います。資料を持ってまいりましたので、これを配付してよろしゅうございますか。お願いいたします。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 どうぞ。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 事務局の方ひとつ、お願いいたします。お聞きいただく方には、これはいかがなんでございましょうか、ほかの先生方以外の方には。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 それは、やはり委員の諸君に配る程度だと思います。もし御希望があれば、また後で、お申し出を願うことにして、ひとつ参考人陳述は委員の諸君にお願いいたします。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 では、この白い資料を封筒の中に入れてございますが、これを参考に、お聞きいただきたいと思います。  このたび振動規制法案が提案されまして、私こういうことに研究に従事し、また技術者という立場で、このたび中公審の方から答申になりました規制値、指針値というようなことを主にしてお話しさせていただきたいと思います。  御存じのように、騒音につきましては環境基準値が、もうすでに出ておりますし、それから工場騒音、建設騒音、これは法規制を伴う規制値がございます。それから道路交通騒音につきましては、いわゆる要請基準というのがございます。それから新幹線につきましては最初、暫定指針が出まして、現在は環境基準が出ておる。このたびの中公審から答申になりました指針値は、その規制値それから要請基準それから暫定指針といったものに対応するものでございます。そういう意味で、いま亘理先生からもお話がありましたような規制値は、環境基準という意味でなしに、法規制を伴う規制値それから要請基準、暫定指針値という意味では、おおむね妥当な値ではないかと私は思っております。  ただ、やはり中をずっと拝見いたしますと幾分、問題点があるように思います。その問題点の一つ二つを申し上げますと、これは第一節のところに問題点1、2と書いてあることでございますけれども、まず第一に道路交通振動につきまして、第一種の夜間について第二種の夜間の値を使うことができる、具体的に言いますと六十であるべきところに六十五でよろしいというような、これは緩和措置といいますか、そういうことがございます。これは実は騒音の場合にも私この前、申し上げたかと思いますけれども、特に地方都市などにおきまして、早朝これは睡眠に大変、必要な時間でございます。あるいは深夜など、トラックなどがぶっ飛ばしまして睡眠を妨害するというケースが非常に多いわけです。特に静かなところに、そういうケースが非常に多いわけです。私も何回か経験しております。しかし、この問題は、これはトラックの運転手のモラルという問題も、もちろんあるのでございますけれども、たとえば運行規制、具体的に言いますとスピードを適当にしさえすれば、必ず、これは達成できることでございます。騒音につきましても振動につきましても同じことだと思います。そういう意味で私はどうも、この問題は緩和するのではなくて、そのような方向で規制をすれば、必ずできることですので、その規制というような方向にあってもいいんではないか、こんなぐあいに思う次第でございます。  次に問題点2といたしましては、専門委員会の段階で、これは、いま亘理先生からも、ちょっと触れられたのでございますけれども、七十デシベルという建設振動につきましてのものが削除になっているということで、実は私ちょうど、この期間に騒音の国際会議がありまして、一月ばかりアメリカに行っておりまして、この辺のいきさつを、ちょっと存じませんですが、これは疑問点としてだけ、ひとつ申し上げておきたいと思います。  次に、第二節におきまして、これは、かなり重要なことだと私は思うのでございますけれども、公害振動と騒音とのかかわり合いということでございます。  物理的には、この公害振動というものと騒音とは全く別なものである、これは事実でございますけれども、いろいろ社会反応量を求めましたり、あるいは住民反応量というようなことを出してみますと、一般に受けている印象というのは、これは完全に一緒に認識しているというのがほとんどでございます。騒音そのものの場合には単独に存在するのが大半でございます。しかし、振動がありますと、必ずと言ってもいいくらい騒音を伴って認識しているという結果が出ております。  このことは四ページに、そういう参考の資料として、NHKの私の教え子であります西宮君の論文などを挙げてございます。ちょっと、それを見ていただきますと、これは、いろいろ詳しいことがあるのですが、時間がありませんので詳しくは申し上げられませんが、たとえば、その真ん中の下の図面、第十一図でございますが、これに、横軸の四十デシベルというような、ほとんど人体に感じないような振動すらも、フェアリー・フェルトかなり感ずるというのが五〇%あるというような結果が出ております。こういうようなことは、振動そのものを普通の人でしたら、ほとんど感知できないのに、騒音というようなものは、これは振動が参りますとガラス戸とか戸障子などをがたがたさせるというようなことを必ず伴って振動があります。そういうことで認識しているのではないかという一つの証拠のようにも思います。  それから、その右にあります表でございますが、これは私たちがいろいろやりましたことですが、騒音ということの認識それから振動ということの認識、その振動の認識と、たとえば電話の聴取妨害だとか就眠妨害だとかいう関係の相関係数は非常に大きくなっております。そういうことも先ほど申し上げましたようなことの一つの証拠ではないかと思います。そういう意味で、なぜ、こういうことが重要なことかと申しますと、技術的な対策をする、あるいは行政指導などをなさります場合に、振動ということを単独に取り上げるのではなくて、騒音と兼ね合わせて取り上げませんと、ほとんど効果がないということが言えると思います。そういう意味で申し上げました。  次に、第三節に、いまのことと大変、関係あることでございますけれども、騒音のことがかなりポピュラーでございますので、騒音の問題と公害振動の問題との対比、比較を述べてございます。  第一に、やはり挙げたいと思いますのは、この前も、これは申し上げたかと思うのですが、ある程度の騒音というのは、人間はそういう中で育ってきたわけでございますので、ある意味では必要なものである。もちろん大きなものはいけませんけれども、ある程度の騒音、音響刺激というのは必要なものである、そう言えると思いますが、どうも公害振動については、われわれは歩行をする、歩くにも、乗り物に乗るにも必ず振動があります。しかしながら、睡眠をとる、デスクワークをするという通常の生活においては、感ずるような振動というのは、あってはいけないものだというのが原則ではないかと思います。そういう意味での、これが一つの大きな違いかと思います。  次に、二番目でございますが、音波、音の場合には、これは空気の疎密波でございまして縦波だけでございます。それから、そのエネルギーも大変、小さい。したがって、たとえば防音壁というようなものでの技術的対策は、そうむずかしいことではありません。ところが地面振動となりますと、縦波、横波、表面波というように非常に複雑でございます。なお、地盤構造の複雑さというようなことで伝搬形態が非常に複雑である、それからエネルギーも大きい。  それから、その三番目に書いてありますように、周波数が低いために波長も大変、長い。そういうことのために、騒音に対する防音壁に対応するような、いわゆる防振溝というようなもので伝搬対策をやりますと、これは数メートルもあるような相当、深い防振溝でないと役に立たない。どうも世の中に防振溝を非常に過信している向きもあるのですけれども、決して、そうではないんだということ、そういうことを申し上げるために、ここに書いておきました。  次に、四番目といたしまして、騒音の場合でございますと、家の中におりますと、これは必ずと言っていいほど外よりは音が小さいのでございます。騒音は小さくなります。それに対しまして振動の場合には、その反対に、むしろ家の中での方が地面振動より大きい場合が大半でございます。これが一つの対応かと思います。  次に、五番目といたしまして測定の問題でございますけれども、騒音計を使うこと、これは相当ポピュラーにもなっておりますし、そうむずかしい問題ではないのでございますが、振動の測定、ことに地面振動の測定というのは、一例を申しますと、そのピックアップの設置法などによりまして非常に値が違ってまいります。だから細心の注意を払わないと正確な測定ができない、こういうことも言えるかと思います。  次に、生理的、心理的な問題を6と7に書いてあるのでございますが、一つは騒音の場合でございますと、閾値これは感ずる限界でございますが、それと、生理的な影響が出てまいりますまでには、デシベルで言って相当な幅がございます。それに対して振動の場合には、その閾値から生理的影響があらわれるまで大きな幅がございません。具体的な数字はちょっと申し上げませんが、このことは、たとえば騒音の場合などは、よく五デシベルというものも一つの限度にして、いろいろの規定などをやっておるのですが、振動の場合に果たして、それでいいかどうかという問題に、このことはつながるのではないかと思います。  次に、なれということでございますけれども、騒音の場合にも大きな音、八十とか九十デシベルというような大きな音についてのなれということは余り考えられません。しかし、いま私がお話ししている程度の五十、六十という値に対しては、かなり、なれということが存在するようであります。しかし、どうも振動の場合には、なれということの存在はほとんど考えられない、こんなぐあいに思います。  以上、重立った対応を申し上げました。  次に、二ページに参りまして技術的なことについて簡単に触れたいと思います。これは五ページに参照がございますので、五ページの方をお開きいただきたいと思います。  先ほども申しましたように公害振動の伝搬経路というものは、その左上にございます。その二番目なのですが、振動源がありまして、地面を伝わり、家の基礎に行き、それから家屋に伝わり、それからそこの居住者に行くというのが、この経路なのですが、もう一つ、大型のディーゼルエンジンとかコンプレッサーというような、いわゆる超低周波音源、こういうものがありますと、そこから出ました空気圧、これはやはり超低周波音波でございますが、そういうものが空気中を伝わりまして家屋を振動させ、振動公害を起こすというケースがかなり、たくさんございます。今度の答申は、このことは具体的には扱っておりませんで、地面振動を扱っておるわけでございますが、そこで、地面振動の対策的なことを、そこに1、2、3と三つ並べてございます。もちろん振動源そのものの対策が、まず重要でございます。それから伝搬の対策、それから受振者側での対策、これで主になることは振動源対策ですので、その例と効果の一例を、その4の図面に挙げてあるわけでございます。ちょっと詳しいお話をいたしませんですけれども、これを見ましても防振効果というものは、かなりございます。ただ、実際問題としまして、いわゆる防振技術というのは、かなりむずかしい面がありまして、ただスプリングをちょっと使えばいいというような簡単なものではございません。このことは、また後で、ちょっと触れたいと思いますけれども、この技術ということに関しまして、五ページの右半分に書いてございますように、ここには、いろいろの振動源があります場合に一応、六十デシベルまで減衰する大体の距離が、いろいろの機械について挙げてございます。  ここで、ちょっと新幹線あるいは鉄道のことに触れたいと思います。それはハの項でございますが、大体、六十デシベルに減衰いたしますのに、いろいろの測定によりまして大体、四十メートルから八十メートルぐらいまでを要するというのが普通でございます。今度の暫定指針は、新幹線につきましては七十となっております。したがって、六十までが四十ないし八十メートルといたしますと、七十という値ですと大体、三十メートルぐらいで、おさまる値ではないか。これは、もちろん統計的な平均的な値でございます。そういう意味で、これは実は、この前、新幹線問題でも申しましたのですが、いわゆる新幹線なら新幹線の占有地域、まあ私は、少なくとも両側にプラス・マイナス二、三十メートルぐらいのところを踏まえて、それが新幹線通路であるという考えが必要ではなかろうかということを強く申し上げたように思いますが、その主なことは、この振動ということに起因しているわけでございます。なお、二、三十メートルありますと、日照というような問題も、まず解決できますでしょう。それから電波障害でも、非常にむずかしいとされております。いわゆる衝撃波電波障害なども、これでかなり助かってくると思います。そういう意味で、ここでは、ちょっと技術から外れましたのですが、改めてまた、そのことを、ここで申し上げさしていただいた次第でございます。  次に、五節といたしまして、これは先ほど亘理先生からも出ました単位の問題、機器の問題、測定法を簡単に申し上げたいと思います。  騒音計では、御存じのようにAスケールという、人の耳の感度に合わせての補正値、その補正値を逆にしたものが騒音計には組み込まれております。それと同じように振動というものは、四ヘルツなしい八ヘルツ、その辺に対しましては加速度で感じますし、それから八ヘルツ以上、九十、百あたりまでは速度に感じます。それから四ヘルツ以下の一ヘルツぐらいまでのところは、加速度をもう一遍、時間微分したもの、これを加加速度というのですが、加加速度と加速度との中間的なもの、まあ私、半加加速度などと書きましたのですが、そういうものに感じます。そういう意味で、その補正曲線の、ちょうど裏返しにしたものを組み込んである。これは実は日本音響学会などで、もう十年以前から、こういうことを取り上げまして、やっております。ISO、世界標準化機構ですが、そこでも大体こういう考え方。この測定器が間もなくJIS化されようとしております。そういうものを使うこと、これは私は、ある意味で大変、結構なことだし、また、それであってよろしい、こんなぐあいに思っております。  そこで測定のことですが、先ほども、ちょっと触れましたことで、右のノートというところに書いてありますように、ピックアップの設置法に十分な注意が必要ということと、もう一つ、あわせまして、そのような補正曲線を使う測定ばかりでなしに、平らな特性の曲線、それから、この答申では垂直振動のみを規定しておりますけれども、それでいいのでございますが、あわせて左右、前後の水平振動も測定しておくというのが、これは対策の上にも有効でございます。このことは、騒音計にA、B、Cとあります。あれをA、B、C三つで測定しておくことによって、大まかな周波数特性というものがわかるというようなことに対応ずるものでございます。  測定、評価というようなことについての問題点を一つ、その第五節の最後に書いてございます。これはやはり衝撃振動ということについては、まだ問題が、評価の点でも測定の点でも残っている。騒音と全く同じでございますが、このことは、これからの問題として考えなくてはいけないのではないかと思います。  次に、第六番目に超低周波音波による振動公害ということがありますが、これは先ほど触れましたので、ここではやめまして、次の三ページに参ります。  この点は振動に付随する騒音ということでございますが、第一の、振動する機械そのものからの騒音ということは、先ほど触れました。同時にもう一つ、振動について騒音とのかかわり合いで注意しなくてはいけないことは、振動が他の構造物に伝わりますと、そこから、かなり大きな音を出すということです。したがって、このことの教訓といいますのは、振動だけを対策するのではなくて、必ず、それに付随した騒音も対策をやらないと効果がない。これは技術という面においても行政という面においても、そうではないか。そこで、ここに書いておいた次第でございます。  最後に、八節といたしまして、これは先生方にぜひお考えいただきたい要望として書いてございます。  第一は、先ほども申しましたように防振対策技術という、極端に言いまして本当に日本で、このことがはっきりわかっている専門家は十人に満たないのではないか。これは私、研究者というような立場から申しまして、多くは、ただスプリングをやればいいとか防振溝をやればいいというようなことで、間違った対策をしているケースがかなり多いわけです。そういう意味で、ここに書いてあります「技術向上のための施策(調査、研究、教育・普及)」となってますが、普及ということの意味の中に、そういうことをぜひ、やっていただきたい、こういう意味でございます。  それからもう一つ。先ほど、ちょっと新幹線を例に挙げましたのですが、改めまして土地利用、土地規制というようなことについての考え方として、これは先ほどの繰り返しのようなことになるのでございますけれども、実は先般もアメリカで、そんなディスカッションをしてきたのですけれども、アメリカの面積は日本の土地の二十数倍、有効面積にしますと五十数倍だそうです。人口は二倍。そういうところと日本のこの狭さ、過密ということから、土地が非常に貴重品である。しかし、その貴重品ということもあるために、たとえば成田空港が開設といいますか始まりますと、すぐ買い占めが始まるというような投機の対象となる。こういうことではなくて、やはり土地というものは、われわれ国全体のためのものである、われわれのためのものであるというようなことで、ぜひ、そのことを占有地域の問題について考えていただきたい。そういう意味で、また新幹線の例ですけれども、もちろん国鉄の例のPPPという原則はございます。しかし、それに付随して政府それから地方自治体、利用者、また、その周辺の住民の方がいらっしゃいます。もちろん発生者の誠意、それから利用者の理解、それから、やはり周囲の方の協力といいますか、そういうものがないと、この問題はなかなか解決できないのじゃないか。ある意味では個人の土地に対する権益というものが縮小されるのも、またやむを得ないのではないか。これは私の前々からの持論でございますし、アメリカとかイギリス、フランス、ドイツあたりが、かなり、そういうことで実質的な規制をやっておるのを知っております。  少し時間が延びて恐縮でございますが、次に(3)、(4)、(5)といたしまして、これもぜひ、お考えいただきたい。これは騒音の場合も同じことでございますけれども、四番目、五番目にございます振動発生機械及び対策機械のラベリングということとサーティフィケーションということが、どうしても必要ではないか。それに付随して、振動を発生するような機械をつくるメーカー側の、その対策仕様書を同時に添付するということが大変、必要なことではないかと思います。ちょっと時間がございませんので詳しく申し上げませんが、やはり、こういうことをすることによって、それがメーカー側の技術向上にもつながるという面もございます。ぜひ、こういうことはお考えいただきたい、こんなぐあいに思います。  最後に、技術、評価等の進展とともに、ぜひいこれは見直しを願いたい。騒音も同じでございますが、どうも日本は法律ができますと、なかなか、それを変えてくださらないという点があるように思います。これはぜひ常に見直しが必要ではないかということ。それから、なるべく早い機会に環境基準の設定が必要ではないか、こんなぐあいに思います。  どうもありがとうございました。以上で終わります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 ありがとうございました。  次に、真鍋参考人にお願いをいたします。真鍋参考人。

真鍋正一日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長

○真鍋参考人 日本弁護士連合会公害対策委員会の副委員長の真鍋です。  私どもの日本弁護士連合会では、去る四月二十四日に振動規制法案及び中央公害対策審議会の答申に対する意見書を発表しました。すでに委員の先生方の手元にお届けしてあると思いますけれども、私は、この意見書の起案にかかわった者として、この意見書の立場から、今回の振動規制法案に対する意見を述べたいと思います。  私どもが、振動公害の規制につき政府当局において作業が具体的に進みつつあるという。ことを知ったのは、去る二月二十一日の新聞において中公審の専門委員会の中間報告が報道されたときであります。そして二十日付の中間報告を中心に早急に検討を加えるべく作業を進めたのでありますけれども、さきの意見書に至るまでの間に、すでに二十八日に中公審の答申がなされ、それを追っかけるような形で振動規制法案が提案されたというのを知ったわけであります。非常に急速な事態の進展を追いかけるのに、かなり私どもの方では手間取ったというわけであります。  この作業の中で、最も問題であると思われますのは、二月二十日付の専門委員会中間報告にありましたブルドーザー等の規制が脱落したということであると思います。このことの理由については、必ずしも私どもには明らかではございませんけれども、私どもが、さきに意見書を持ちまして環境庁に赴いた際に、お聞きしたところによりますと、新聞報道のとおりだということでありますし、そうだとすれば、それは先ほども、ちょっと申されましたけれども、苦情が比較的少ないということと、それから、むしろ、もっぱら事業者の保護というふうな観点ではないかというふうに考えざるを得なかったわけであります。いま一度、この問題は考え直されてしかるべきではないかと考えております。  さて、法案の各条項に関連して若干の意見を述べたいと思いますが、なお、さきの中公審の答申が法案各条の基準を定めるに当たりましての根拠となるものでありましょうし、その限りにおきまして法案の内容であると言えると思いますので、あわせて、これについての意見も述べたいと思います。  まず、法案の第四条なんですが、工場振動につきまして都道府県知事が定めるべき時間区分及び規制基準の範囲を定めております。この範囲は、少なくとも現行の都道府県条例を制約したり、その規制を引き下げるというようなものであってはならないというふうに考えるのであります。それは、公害対策基本法の制定以来、この振動公害に関しまして、同基本法の十条において振動の規制が約束されておったわけでありますけれども、そのまま放置されて、今日に至るまで非常に長い期間たったわけであります。その間に各地方自治体が、それぞれの住民の健康なり生活なりを保全するという観点から、いろんな努力をされまして、つくってこられたのが、この、それぞれの条例であるわけであります。これをいま全国一律の基準をもちまして引き下げるというようなことは、とうてい許されないのではないかというふうに考えます。公害につきまして地域の特性に応じて、それぞれの上乗せ規定を認めるというような特例でも認めない限り、この基準を、むしろ、この条例の基準に合わせるように考えるべきではないかと考えています。  基準の中身についてでありますけれども、簡単に申しますと、私どもは中公審答申の添付資料によって若干の検討をいたしましたが、これによりましても、私どもの考え方としては、答申の数値が少し高過ぎるのじゃないかと考えております。大体、十デシベルぐらい厳しくした方が適当じゃないか、非常に大ざっぱな表現でありますけれども、そういうふうに考えております。  それから時間区分につきましても、同じようなことが言えるのじゃないかと思います。騒音規制にならわず、夜と昼というふうに二区分制をとった。これは別に反対ではございませんけれども、この場合に午前五時それから六時、それからまた夜の方では十時という時間帯を昼間とすることができるようにしたのは賛成できません。昼間の時間帯というのは、私どもの社会常識から言えば、最も長くても午前七時から午後九時でなければならないと考えております。  次に、法案の九条、十二条の、改善についての勧告及び命令に関しての規定でありますけれども、ここでは、単に期間を定めて改善を勧告し、そしてさらに改善を命令するというのではなくて、この場合に、その間の一時停止をも勧告ないし命令し得るというふうにしなければならないのではないかと考えております。  それから、法案の十三条につきまして、これは改善勧告、改善命令に当たりまして、小規模事業者に対しては、その命令の内容についてまで事業活動に支障を来さないように配慮するべき旨を定めておるわけでありますけれども、振動公害の実情を考えますと、このような規定が置かれると、この法案が実にしり抜けになってしまうのじゃないか、そういうふうに思われるわけであります。公害規制のあり方から考えましても、この問題の処理に当たりましては、若干の猶予期間を配慮するとか、あるいは特に助成措置を講ずるというふうな形で、基準を厳重に遵守させるという方向に導く、置くとすれば、そういう方向性を持った規定を置くべきではないか。その意味で、この十三条の規定というのは改められなければならないのではないかと考えております。  次に、建設作業に関して申し上げますが、法案の第十五条に定める改善勧告、改善命令について、工場振動の場合よりも、さらに一時停止命令が必要であろうと考えております。一時停止命令という形ではなしに、ただ同じように勧告、命令ということのみによりまして、しかも、それを一定の期間を定めてするというふうなことは、非常に不適切ではないかと考えております。基準を定めるに当たって、建設作業の一過性あるいは一時性というものが強調されて、基準数値自体が高い数値で定められておるということと対照して、この問題は考えなければいけないのじゃないかというふうに考えております。もともと、それほど長い期間、予定していない建設作業について、これらの勧告なり命令なりというものを、二度にわたって期間を猶予するというようなことでは、その間に作業の完了を待ってしまうようなものではないか。数値の問題と含めまして、数値の問題が高いということはやむを得ないことかと思いますけれども、これとあわせて考えますと、二重に規制を緩和したというふうなことになるのではないか。その意味で、これは手直しされなければいけないのじゃないかと思います。  それから法案の十五条の第三項なんですが、ここには公共性のある施設等の建設作業について、その円滑な実施について特段の配慮をするべき旨を定めておるわけでありますが、このような規定については、私どもは明らかに間違っておるのじゃないかと考えます。  それは、まず公共性のある施設という概念が決して明確ではないということなのでありますけれども、鉄道、道路等々の建設から、さらには水道管の布設、送電線の設置といったものが考えられると同時に、この公共性ある施設という表現のみで考えますと、市役所の設置、病院の設置、さらには公会堂の建設といったようなものまで含まれるかどうか、必ずしも明らかではないことになるわけであります。私どもには、これに関連するようなこととしましては、災害復旧の場合を中心に、市民生活に必要な最小限の施設、すなわち上下水道、送電線、道路、鉄道等の、特に復旧、修理作業に限って特別扱いがなされるべきであると考えております。それらの新設ということになりますと、もはや事態は違ってくるのじゃないか、対象外と考えるべきではないかと考えるのであります。私どもの、このような考え方の範囲では、本条のような特別な規定は要らないのではないか。当然に、そうなるべきではないかと考えております。  私どもは、公共事業は公共事業なるがゆえに、さまざまの事前手続を通じて建設作業自体も慎重になされるべきだというふうな考え方を持っております。このようなアセスメント等の考え方について、特に公共事業については、いずれ立法化なり何なりの作業が進むのではないかと思いますけれども、そのような観点から考えましても、当然、本条は削除されるべきではないかと考えております。  さらに、建設作業の基準に関しまして、中公審答申のただし書きの定め方、つまり七十五デシベルを超える場合についての規定があるわけなんですけれども、この定め方についても、やはり問題があると思います。少なくとも上限値は別に定める必要があるのではないかと考えております。  さらに、法案によりますと以上の工場振動及び建設振動の二種につきましては、基準の違反に対して改善勧告がなされ、さらに改善命令がなされた上で、その命令違反に対して罰則を定めております。法案の二十五条は工場振動について、二十六条が建設作業振動について定めておるわけでありますけれども、この間の刑が違う。これは非常に不均衡ではないかというふうに考えております。  それからさらに、私どもは、さきに申しました一時停止命令を採用してはどうかということとあわせて、違反の事実に対しては直ちに処罰するという、いわゆる直罰規定が設けられるのが正しいのではないかと考えております。  それからもう一つ、罰則に関しましては罰金の額が、これでも配慮されておるのではないかとは思いますけれども、なお罰金の額が、改善のための投資に比べて非常に安くなり過ぎるのじゃないだろうかという点、これは罰則を設けること自体に対する、いろんなむずかしさを含んでおると思いますけれども、そのようなことでは余り実効性を期することができないのではないかと考えおります。これらの点についての配慮がされなければいけないのではないかと考えております。  次に、道路交通振動に係る要請の限度値につきましてなんですけれども、中公審の答申に見ます限り、少し高過ぎるというふうに考えます。これは特に振動の大きさの決定方法として、道路交通振動に関しましてはピーク値ではなくて累積度数曲線の一〇%値とするというふうになっておるわけなんでありますけれども、実際のピーク値は、この答申によると累積度数曲線の一〇%値では六十デシベル、第二種区域では六十五デシベルとなっておるのが、それぞれピーク値に直せば、ほぼ十デシベル程度高くなることになるのではないか。この数値で考えますと、家屋の増幅率等も加算して考えると、睡眠に対する影響というような点では非常に深刻なものがあるのではないか、非常に不都合な数値ではないかと考えております。  これは特に一〇%値を定められたということに関しまして、従来、振動の多くのデータは、中公審添付の資料においてもそうでありますけれども、多くのデータが、ほとんど累積度数曲線の五%値によっておる。その五%値によらないで一〇%直で規制する、限度値とするというふうにしたことは、どういうことなのか、その理由は必ずしも明らかではないと思うのでありますけれども、この一〇%値にしたということによりまして、同じ実体でありながら五%値で限度値を定めるよりも、さらに数値的に五デシベルぐらい低くなる。これは、いろいろな資料をごらんいただければいいのですが、同じものを限度値として定めるについて、数値の表面づらが五デシベル下がって表現される、そういうことと相まって非常に不明朗な感じを受けます。うがった考え方といいますか、しますと、答申の数値では、現状のままで夜間でもほぼ大型車が通行できるものであるように、私どもには見受けられました。このような考え方では、ただ事実を追認して正当化するための規制であるというふうな非難を受けても、やむを得ないことになるのではないかと思います。  なお、すでに問題であることはお気づきだと思いますけれども、特に道路交通振動につきましては、特定の既設幹線道路の区間の全部または一部について、必要により第一種区域の夜間の限度値を第二種区域の夜間の限度値並みにするという、ただし書きがございます。このような考え方は、それが当分の間というような暫定措置というわけでもないという点で、全く地域区分を無視した考え方だと考えます。このようなただし書きの挿入というのは、まさに振動規制法制というものが、何か道路交通ことに夜間の道路交通の確保ということに重きを置いたために破産しておるんじゃないかというふうにさえ考えます。このただし書きは、ぜひ改められなければいけないのではないかと思います。  次に、法案とは別に、中公審の答申には新幹線鉄道の振動に関する暫定基準が述べられておりました。これについて若干の意見を付加しますが、答申は、緊急措置の指針値として七十デシベルを示しております。この数値は工場振動における第二種区域の昼間値であり、それが、そのままといいますか、そうとも考えられるわけでありますけれども、新幹線振動につきましては地域区分も、また時間区分もないわけです。私どもは昨年、新幹線鉄道騒音についての環境基準が設定される際にも意見を述べたのでありますけれども、現在の新幹線の運行状況から見て、やはり夜間基準というものは必要であると考えております。したがいまして、その新幹線の指針値についても、夜間は別に考えられなければいけないのじゃないかと思うのです。その基準は、他の振動源についてと同じように、やはり睡眠の確保という観点でなされなければいけない。少なくとも午後九時以降、翌朝七時までの間は、睡眠に及ぼす影響をできるだけ軽減するというようにすべきであると考えます。このような観点から、暫定基準としては少なくとも昼間は六十五、夜間六十程度の数値が確保される必要があるのではないかと考えております。  なお、この新鮮線鉄道につきましては、指針達成のための方策として示されておりますのは、振動源対策それから障害防止対策なのでありますけれども、しかし、ここに挙げられておる中で、特に公害対策は振動源対策が第一義であるという観点から、その振動源対策の技術開発がおくれているとするのであれば、まず、さしあたっての対策としては、振動源対策の一環としての運行方法の検討がなされるべきではないかと考えております。答申には、この点が落ちているわけだと思いますけれども、安易に家屋の移転といったような障害防止対策に走るということは、被害者の追い出しにつながるわけで、いままでの公害企業が進んできた道を、もう一度、新幹線について繰り返すということになりかねないと思います。いま一度スピードダウンの問題について、まじめに考え直してみられるべきではないかと思っております。  最後に、公害対策基本法に規定はございませんけれども、振動につきましても適正な環境基準が定められるべきものだと考えております。  以上で、私の意見の大要を終わりますが、さきにも触れましたように、振動公害の規制は長らく放置されてきたものであります。さらに これを放置するということは許されないことだと考えます。本法案につきましては、いま申し上げた諸点を改められた上で、できるだけ早い機会に法律として制定されるようにお願いして、私の意見を終わります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 ありがとうございました。  次に、小田参考人にお願いをいたします。小田参考人。

小田忠彦西宮市助役

○小田参考人 私、ただいま御紹介にあずかりました西宮市助役の小田でございます。本日、振動規制法案の審議に際しまして、参考人として意見を述べる機会を与えられましたことを厚く感謝いたします。  日ごろ市民の声を直接、耳にしながら第一線で公害行政を担当する責任者といたしまして、西宮市における振動公害の現実と、これによりまして市民が受ける被害の状況を申し述べまして、振動規制法案について三つの点につき意見を率直に述べさせていただきたいと思います。  最初に、私の発言について御理解をいただきますために、西宮市について少し紹介をさせてもらいたいと思います。  西宮市は現在、人口約四十が人でありまして、大阪と神戸市のほぼ中間に位置しております。昔から東西交通の要衝といたしまして栄えてきた町でございますが、また一方、自然環境に恵まれまして、交通もきわめて便利でありますので、阪神都市圏のベッドタウンといたしまして発展してまいったわけでございまして、したがいまして、工場等に係ります公害が問題となったことは、わりあいに少ない点があります。したがいまして比較的恵まれた都市環境を維持してきたのであります。  しかし、昭和三十年代からの人口急増と市街化の進展、さらにモータリゼーションの進行は自然破壊及び交通公害の激化をもたらしております。  陸上交通の面について御説明いたしますと、西宮市では国道だけでも二号線、四十三号線、百七十一号線、百七十六号線がありまして、高速道路といたしましては名神高速道路、阪神高速道路神戸−西宮線、さらに昨年、開通いたしました中国縦貫自動車道がございます。そのほか国鉄東海道線、山陽新幹線、それに私鉄の阪神、阪急の鉄軌道が縦横に走っておるわけでございます。また、大阪国際空港に近い位置にあるために、空港に離発着いたします航空機は、そのほとんどが西宮市の上空をかすめて低い高度で音を立てながら通過いたしております。  このような交通網の集中と交通量の増大は、必然的に市民の生活環境を著しく阻害しているのでありまして、良好な生活環境を望む市民の声は年ごとに高まっており、それが住民運動の活発化という形であらわれてきております。  以上のような状況でありますので、西宮市における公害行政のあり方は一にも二にも交通公害対策に重点を置くべきであると考えているのであります。  前置きが長くなりましたが本題に入らせていただきます。  まず、工場等の振動規制でございますが、西宮市では兵庫県公害防止条例によりまして振動の規制を行っております。県条例では、規制区域は第一種から第四種まで四地域に区分されておりまして、それぞれの区域について昼間、朝夕、夜間の三つの時間帯ごとに基準値が定められております。規制の単位といたしましては振動速度が採用されておりますが、法案では補正加速度レベルが採用されておりますので、これから申し述べます測定の単位は、補正加速度レベルに補正した数値を申し上げたいと存じます。  県条例では、特に第一種、第二種の主として住居の用に供される区域では、規制基準値はゼロから六十五デシベルでありまして、特に夜間午後十時から翌日午前六時までの間はゼロデシベルでありまして、振動の大きさの決定は、上下動、水平動のピーク値のうち大きい方の値をとることになっております。このことは実質上、夜間における振動を伴う工場の操業を認めない結果となっておりまして、住民の睡眠を保証するのに効果を上げております。  一方振動規制法案では、基準値は第一種区域で五十五から六十デシベル、第二種区域で六十から六十五デシベルとなっております。このことは先ほどの参考人の方からもありましたが、法律ができることにより従前より振動規制が緩和されるというような結果となりますので問題があると言わざるを得ないと思います。市街地では、やはり夜間の時間帯は最も厳しい規制が必要であると考えます。  次に、道路交通振動について申し述べます。  先ほど申し上げました国道四十三号線について、もう少し詳しく御説明申し上げますと、この国道は全国一の公害道路であると言われておりますが、昭和三十八年十二月に供用が開始された十車線の超大型道路であります。その後、昭和四十五年には、その中央部に万博関連道路といたしまして、高架構造で四車線の阪神高速道路神戸−西宮線が併設されております。いわゆる二重構造となって二階建ての道路でありますが、西宮市の市街地の中央部を東西に貫通しておるのでありまして、その交通量は、四十三号線が一日八万台から十二万台、阪神高速道路神戸−西宮線が一日五万台から七万台でありまして、これらを合わせますと多い日には実に十九万台もの交通量となっておるのであります。  しかも大型混入率は最近の調査では三二%で、夜間に特に多い傾向があります。したがいまして、沿線住民が受けます被害の複雑多様さ、大きさが御推察願えると思うわけでございます。  このような現状は尼崎市、芦屋市でも同様でありまして、三市が常に協調しながら、それぞれ各方面に事態の改善について働きかけておりますが、三市合同の調査に基づき、騒音規制法第十七条の規定によって兵庫県公安委員会にも要請もいたしております。  その結果、兵庫県公安委員会では、昭和四十八年七月に自動車の速度を時速六十キロメートルから五十キロメートルへのスピード制限が、また昭和四十九年四月には、夜間午後十一時以降、翌朝午前六時までの間、二車線の通行制限の策がとられました。建設省は植樹帯の設置を、阪神高速道路公団は防音壁の設置を進められましたが、残念ながら、その効果につきましては決して満足できるものではありませんでした。  次に、昭和四十九年八月二十日ですが、当時の毛利環境庁長官にいろいろ御視察を願い、実情は十分認識をいただいておると思っておりますが、私も何回となく現場を検分し、住民の方々の声を聞き、何とか事態の改善を図る方法はないものかと日夜頭を痛めておるのであります。  西宮市では、振動に関する調査といたしましては、昭和四十九年度に兵庫県、尼崎市、芦屋市と合同で振動測定調査、沿線住民の健康調査とあわせてアンケート調査をいたしましたが、その結果によりますと、西宮の市役所の南の方に当たりますが、町名では本町、久保町であります。道路端で五十九から六十五デシベルとなっております。  一方、アンケート調査は道路の南北百メートル以内をA地区としまして、百メートルから二百メートル以内をB地区、こういうように区分いたしまして、対象者は二十歳から七十歳、三年以上の居住歴のある方を対象といたしまして、A、B地区とも百人ずつ計二百人を無作為で抽出いたしております。その結果を見ますと、振動をよく感じる、または非常に強く感じるとした者がA地区では六十五人、B地区では十九人となっております。  一方、四十三号線沿線の神戸、芦屋、西宮、尼崎四市の住民有志で道路裁判準備会という団体が結成されておりますが、この団体も沿線五十メートル以内の六百七十五世帯、二千四百七十九人を対象に自主調査を行っておりますが、その結果によりますと、睡眠への影響を受けていると回答した方が約六三%、そのうち振動を理由としたものが六〇%に達しております。  これらのことを考えまして、法案に対する意見を申し述べますと、まず、これまで道路交通振動につきましては何ら法的の措置が講じられておりませんでしたが、今回、要請の限度が定められるようでありまして、このことは問題解決への一歩前進であると評価すべきであると考えます。しかしながら、その限度値を見ますと、西宮市におきましては、道路交通振動を受ける地域は、ほとんど第二種区域の指定を受けると推定されますので、昼間で七十デシベル、夜間で六十五デシベルとなりまして、さきに説明いたしました国道四十三号線での調査結果より高い数値となっております。このことは、全国一の公害道路として認識されております国道四十三号線ですら改善のための要請は認められず、換言すれば、何ら対策をしなくとも法的には許されるのではないかと懸念されるのでありまして、きわめて不満と言わざるを得ないと存じます。  また、要請限度に達しない限り、路面舗装、維持または修繕を道路管理者に要請できないおそれもあり、四十三号線の例を申しますと、補修が十分でないため車線と車線の間は、馬の背のように路面が盛り上がっている状態であります。このため騒音振動被害を増幅しまして、交通事故の発生の要因ともなっている事実を考えますとき、要請の限度値をもっと低く定めていただきたいと切望する次第であります。  次に、この機会に新幹線振動について申し述べてみたいと存じます。  西宮市における山陽新幹線は高架部分、約一・六キロメートル、トンネル部分、約四・七キロメートルでありまして、合わせまして六・三キロメートルで沿線の大部分が第二種の住居専用地域になっております。西宮市といたしましては、新幹線の振動の実態を把握するため、開通以来、定期的に代表的な地点におきまして測定を実施いたしております。その結果によりますと五十から七十デシベル、側道付近より二十メートルの地点では五十一から六十三デシベルでありまして、またトンネル部分では最高七十三デシベルを記録いたしております。  一方、新幹線に対する公害の苦情といたしましては、開通後、沿線の各地域から寄せられましたが、それらは四十九年五月に住民組織から集約され、国鉄当局へ要望が提出されております。苦情の申し立て者は二百五十二名でありまして、そのうち振動関係では精神的不快感を訴えた者が百三十八名、家屋の被害を訴えた者が百十八名となっております。また、トンネル部分における振動苦情は三十件発生しておりまして、家屋内の振動は六十七から七十六デシベルを記録いたしております。  西宮市は、昭和四十一年五月十一日に山陽新幹線が認可申請されたときに、尼崎市、伊丹市とともに反対したのでありますが、その後、国鉄より騒音、振動に関する対策が示され、県知事のあっせんもありまして、昭和四十四年五月六日に国鉄山陽新幹線工事局長との間におきまして覚書を交換し、振動につきましては、側道の外側において振動速度〇・三ミリ・パーセカンド、つまり補正加速度レベルで六十デシベル程度を目標とするとの約束が取り交わされておりますが、実態は地区によって差はあっても、この数値を大幅に上回っているところが多いのであります。市及び沿線住民といたしましては、開通当初より当然、目標値が達成されるものとして建設を了としたものでありますが、これを全く裏切られたというような状態になっておりまして、開通後、四カ年を経た今日も何ら改善されておらないという状態でございます。  しかるに今回、示された指針値は七十デシベルとなっておりまして、西宮市が国鉄と約した値を著しく緩和したものではないか、こういうことでありますので、環境保全のための覚書の履行を期待する住民の願いを全く裏切るものでないかと思うわけであります。また、国鉄当局の従来よりの態度から見まして、このままでは振動対策についての努力は期待できないのではないかと懸念いたしております。  したがいまして、新幹線の振動につきましては、以上のような経過であることを御勘案いただきまして、単に環境庁の方の勧告による指針としてでなく、振動規制法による規制基準として定めていただきますとともに、その基準値は沿線住民に被害を及ぼさない数値、少なくとも六十デシベル以下というように、ひとつ、していただきますように要望いたしまして、本市の実情ということを説明しながら終わりたいと思います。  以上、どうもありがとうございました。(拍手)

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 ありがとうございました。  次に、桜井参考人にお願いいたします。桜井参考人。

桜井康雄尼崎市公害部騒音課長

○桜井参考人 私、ただいま御紹介にあずかりました尼崎市公害部騒音課長の桜井でございます。  行政の立場から今回の振動規制法案に対して意見を申し述べよということでございますので、二、三申し上げたいと存じます。  公害対策基本法に定められております典型七公害のうち規制が一番おくれておりました振動につきまして、このたび国会に法案が提出されたということにつきましては、長く立法化を望んでおりました自治体といたしましては、評価いたしたいと存じております。しかし、その内容について見てみますと、若干の疑問を抱かざるを得ないのであります。  まず第一に、このたびの法案の規制の対象が工場と特定建設に限られておりまして、道路交通振動については要請基準にとどまっております。また新幹線につきましては、防振技術の未開発を理由に、当面の措置を講ずる場合の指針という形で決まったことでございます。なぜ新幹線が規制基準等の規制枠から外されたのか。このことについては、中央公害対策審議会が答申をした直前の三月四日に、尼崎、西宮、伊丹の三市長の連名で、指針ではなくて規制基準にしてほしい、また、規制値については厳しくしてほしいという要請を行ったところでございます。今回、新幹線が規制基準の対象にならなかったのは、防振技術の未開発という面もあろうかと思いますが、その他に、いわゆる公共性に対する配慮があるのではないかと思われるのであります。  七〇年代は、従来の民間企業の生産活動に伴う公害から、公共事業による公害が主役となると言われておりまして、このことにつきましては、環境白書にも掲載されておるとおりでございます。当尼崎市においても、この傾向ははっきりいたしておりまして、現在、本市が抱えております大きな公害問題は、すべて公共事業に起因するものでございます。すなわち、山陽新幹線の騒音、振動の公害問題を初めといたしまして、国道四十三号線の上に建設中の阪神高速道路大阪−西宮線の建設の差しとめ事件につきましては、現在、大阪高裁で審理中でございます。また、四十三号線の自動車公害に対する訴訟も近く提訴される動きがございます。一方、昨年十一月、大阪高裁におきまして画期的な判決が示された大阪国際空港の航空機騒音訴訟の問題につきましても、現在、最高裁で係争中でございます。すべてこれ、公共性か、いわゆる生活環境優先かということを争点としているものでございます。  さて、なぜ、このような問題となったかという原因を考えてみますと、国が、まず建設を促進して、建設の支障のない範囲で技術的または財政的な対策を講じていこうとする考え方をとってきたためではないかと思うのであります。昨年の大阪国際空港の裁判の判決においても、公共性を考える場合、利益面だけではなくて損失面の配慮が不可欠である、被害に対して適切な措置をとらないで公共性を主張するには限度があって、利用制限により生ずる不便はやむを得ないとして、いわゆる公共性の優位性に歯どめをかけたということは、すでに御承知のとおりでございます。このような観点から、むしろ公共事業だから、いわゆる適用を除外するというのではなくて、やはり進んで対象としていくという姿勢が必要であろうかと思うわけでございます。  したがって まず第一点としたしましては 新幹線につきましても指針値ではなくて規制基準としていただきたいと思うわけでございます。ちなみに、騒音規制においても工場、建設工事、自動車騒音が対象となっております。また、航空機騒音についても、不十分ではございますけれども航空法であるとか、航空機騒音障害防止法というような形で規制されておりますが、鉄道騒音については全く規制がないわけでございます。  次に、今回の指針値についてでございますが、工場、自動車の基準が人体の影響を基本にして検討され、たとえば昼間の第一種区域の基準が六十から六十五デシベルに答申されているのに対しまして、新幹線の指針値は、物的被害の基準である七十デシベルの数値を採用しているのでございます。その考え方の基本が同じということであるなら、少なくとも工場等の基準と同じレベルであるべきではないかと考えます。  また、本市及び周辺市におきます振動の現状について見ますと、尼崎市における測定値は、いわゆる道路端で、おおむね鉛直方向の振動速度でございますが、〇・二から一・三ミリ・パーセック、平均で〇・四七ミリ・パーセックでございます。西宮におきましても〇・二から〇・七ミリパーセック、平均で〇・四五ミリ・パーセック。伊丹では〇・一八から〇・七三ミリ・パーセック、平均で〇・三三ミリ・パーセックであります。むろん一部の地点では一ミリを超えておるようなところもございますが、平均してこの程度でございます。これはデシベルに換算いたしますと、約六十一から六十七ぐらいに相当するのではないかと思われるわけでございます。また、振動の専門委員会報告の資料を見ましても、山陽新幹線で七十デシベル、これは約〇・九ミリ・パーセックに相当するということでございますが、それを超える例は少ないというふうに報告されております。となりますと、今回の指針値には、山陽新幹線沿線はほぼ満足しており、措置に該当する例は少ないのではないかということが予想されるわけでございます。したがいまして、結果的に見て、今回の指針値は東海道新幹線を対象として定められたものではないのかということが言えるのではないかと思います。  しかし、現実の問題といたしましては、尼崎、西宮、伊丹の各市においても、住民の苦情は騒音にも増して強いものがございます。振動が気になって眠れない、屋根がわらがずれる、家具、建て具のたてつけが狂う、壁にひびが入る等の訴えがあるわけでございます。伊丹市が昨年、行いましたアンケート調査においても、二十五メートル区域の人の約八七%、五十メートル区域の人の六九%が人体に振動を感ずるというふうな訴えをしております。うち、非常に感じる、かなり感じるという人は、二十五メートル区域で約七〇%、五十メートル区域では四〇%になっておるわけです。このことは、振動委員会報告に記されております。七十デシベルを超えると「建付が狂う等の軽度の損傷に関しては被害感がみられる。」という見解と異なるわけでございます。要するに因果関係の立証はむずかしいにしても、七十デシベル以下であっても連続的に毎日、振動を受けているというようなことになりますと、種々の影響が出てくるものであることを示しているものではないかと思うわけでございます。したがって、七十デシベル以上でないと対策の対象としないというのではなくて、よく実情を調査の上、基準値を引き下げていただきたいと思うわけでございます。もっとも、このたびの指針値は「環境保全上緊急を要する当面の措置」ということでございますので、今後この数値は当然、改正されるものと、われわれは理解しておるわけでございます。  次に、直接このたびの振動規制法案には関係はないわけでございますが、山陽新幹線の建設に当たりまして、地元代表者、市議会、市長との一連の回答書、覚書の中で国鉄が、開通後の公害対策について明記している数値がございます。すなわち昭和四十三年の三月三十日付幹工第六五六号の山陽新幹線対策三市議会連絡協議会あての回答書の中では「騒音については在来鉄道と同程度の75〜80ホンにとどめ、振動については高架橋両側に残る住宅内で人体に殆んど感ぜず又建物等に損傷を与えない程度にとどめます。」といたしております。さらに、昭和四十四年四月十八日付の幹工第七二九号の山陽新幹線尼崎地区乗り入れ反対期成同感に対する回答書の中でも「振動については、側道外側において振動速度〇・三mm/sec程度とすることを努力目標といたしております。」といたしております。しかし、開通後四年を経た現在、騒音は、防音壁の設置がなされたものの、いまだに八十ホンを超える地域がございます。また振動に至っては対策は皆無でございます。この点について、住民の意向を再三再四、国鉄当局に申し入れを行っておるわけでございますが、満足な回答が得られず、約束を守ろうとしない国鉄の態度に大きな不信を抱いておるわけでございます。  このような状況の中で、このたび約束値の約三倍に当たる七十デシベルという数値が示されると、国鉄は、これを盾にいたしまして、さらに約束値の実行をおくらせるということも十分、考えられるわけでございます。しかし、われわれといたしましては、このたびの指針値と文書による約束値とは、あくまで別のものであり、国鉄は早急に約束値を遵守すべきであるとの考え方をいたしておりますので、国鉄を監督する立場にある国におかれましても、実施方について強力に御指導願いたいと思うわけでございます。  それから、当面の対策として種々、検討がなされるというふうに思うわけでございますが、それらの措置がなされるまでの間、委員会報告にもございますように運行方法の検討、いわゆるスピードダウンでございますが、この点につきまして真剣に検討していただきたいと思うわけでございます。  次に、道路交通振動についてでございますが、法案の第十六条の「測定に基づく要請」の限度の項におきまして、第十九条の測定の結果、要請限度を超える場合には「道路交通振動の防止のための舗装、維持又は修繕の措置を執るべきことを要請」云々という形になってございますが、振動対策は騒音にも増しまして総合対策が必要ではないかと思うわけでございます。したがって、要請内容を舗装と修繕のみに限定するというのではなくて、いわゆる車線削減であるとか緩衝緑地帯の設置等、いわゆる総合的な騒音対策との絡みを含めました要請ができるような形にしていただきたいと思うわけでございます。また、騒音規制法の十七条二項では、いわゆる自治体の長が管理者等に対して意見を言えるようなことになっておりますが、今回の振動規制法案では、そういう規定はございません。何か制限をされたというような形にも受け取れると思いますので、その辺の御配慮もお願いしたいと思います。  それから、もう一点といたしましては、先ほど来、各先生方から意見が出ておりましたが、答申の中では、夜間の限度値のうち特定の既設幹線道路につきましては、わが国の社会経済に占める機能を考慮して、第一種区域の夜間の値に第二種区域の夜間の値を適用できるような緩和条項が入っていることは問題であると思うのでございます。さきにも述べましたように現在、特に問題になっているのは国道四十三号線のような主要幹線道路における大型車の通行に伴う夜間の騒音、振動でございます。しかるに、このような緩和規定が適用されますと、少しでも静かな環境をと望む沿道住民にとっては、まことに遺憾なことになるわけでございます。したがって、政令を定める場合に当たっては、この考え方をよく御検討願いたいと思うわけでございます。  それから、道路の値が八〇%値の上限という形で決められておりますが、やはり芳情が参りますのはピーク値でございます。したがって、そのような八〇%値を基準にしますと、その苦情という形には出てまいらないということにもなりますので、やはり上限値の設定というようなものもお願いしたいと思うわけでございます。  最後に、騒音、振動対策を実行するに当たりましては、事業者にとっても自治体にとっても大変な努力が必要でございます。国におかれましては十分な技術的、資金的な援助をお願いしたいと思うわけでございます。  簡単でございますが、私の意見は、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 ありがとうございました。  次に、伊藤参考人にお願いをいたします。伊藤参考人。

伊藤太刀郎全日本鍛造工業会専務理事

○伊藤参考人 私は、全日本鍛造工業会の専務理事を務めております。参考人の伊藤太刀郎でございます。  本日は、振動公害を取り巻く諸問題につきまして、工場事業者の立場の一例といたしまして鍛造業界の実情を御報告申し上げまして、本委員会の御参考に供したいと存じます。  私たち鍛造業界は、常日ごろ騒音並びに振動のため、住民の皆様方に大変、御迷惑をおかけしておるわけでございまして、この点、大変、申しわけないと存じておる次第でございます。何とか、これが対策を講じたいと以前から検討してまいったわけでございますが、難問が余りにも多うございまして、十分な対策を講ずることなく今日に至っておるような次第でございます。このたび振動規制法が制定せられる次第でございますが、この点に関しましては、われわれの立場から見ますと、振動防止の目標を与えていただいたというようなことでございまして、意義あることではないかというふうに存じております。しかし、現実にこの法規制に対応するということになりますと、問題が非常に多うございまして、われわれ鍛造業界単独で、これを解決するということは、なかなか大変なことでございます。つきましては、鍛造業界の現状と、それから、われわれ業界が現在、立てております対策ということを分けまして御説明申し上げ、最後に本法律に対します。われわれのお願いを申し上げたいと思います。  皆様方がすでに御存じだと思いますが、われわれ鍛造業と申しますのは、いわゆるかじ屋でございまして、数トンもある重量を持ちましたハンマーを上から下に落としまして、加熱いたしました金属を変形加工する産業でございます。そういうことでつくられたものが鍛造品と申しますが、主に自動車あるいは建設機械、産業機械、車両というようなところに用いていただいておるようなわけでございますが、いずれも非常に強靱な、そして耐久力を必要といたします保安部品外でございます。われわれといたしましては、わが国の機械工業の発展にとりまして欠かすことのできない重要な素形材工業であるというふうに自負している次第でございます。  さて、こういった鍛造品をつくっております会社は、企業でございますが、全国で約八百社ほどございます。この八百社でございますが、その中で九八・六%が、いわゆる中小企業でございます。さらに、その中の約四〇%という企業が、従業員が十名以下という零細企業者であるということでございます。したがいまして、零細企業、中小企業でございますので、大変、手狭な土地の中で仕事をしておるというようなことと、それから、もう一つは非常に採算の悪い、収益性の非常に低い業界であるということを、まず御報告申し上げておく次第でございます。  先ほど申し上げましたように製品の加工工程で、大きな機械を用いて打撃するわけでございますので、騒音と振動の公害を起こしておるわけでございますが、この公害問題は、当工業会といたしましても非常に苦慮し悩んでおる問題の一つでございます。このために、われわれ工業会といたしましては十年も前から公害対策委員会というものをつくりまして、いろいろと審議をし、さらに公害相談室というようなものも設けまして、鍛造業界の皆さん方の、いろいろの公害に対します便宜を計らっておるような次第でございますが、われわれ工業会と関連しております公益法人でございます財団法人鍛造技術研究所というところもございますが、ここも一緒になりまして、この問題に取り組んでおるような次第でございます。  しかしながら、この公害問題の解決でございますが、これは皆様方が御想像以上のむずかしい問題がございます。しかし、私たちといたしましては、これをどのようにして防ぐかという問題につきまして二つの方法を考えております。  第一の方法と申しますのは、振動を起こしますところのハンマー、それの根源でございますハンマーそれ自体に防振装置を加える、そうすることによりましてハンマーから生ずるところの振動を防止するという方法でございます。この防振装置というものの技術的な問題につきましては、先進諸国に比べまして、わが国が一番進んでいるのではないだろうかというふうに私は考えております。これも十数年も前から、われわれ鍛造業界と、それから防振基礎の専門メーカーとの間におきまして共同研究をいたしまして、十何年もかかりました成果ではなかろうかというふうに考えておりますが、ちょっと御披露いたしますと、これはハンマーの地下に、そうでございますね、八畳か十畳間ぐらいの大きなコンクリートのボックスをつくりまして、その中に装置をつけましてハンマーを宙づりにするというような装置でございます。したがいまして莫大な費用がかかるという問題と、それから既存のハンマーに、その装置を行う場合には相当長い間、仕事を休まなければならないという問題がございます。この機会損失ということにつきましても少なくない額であるということを御想像願いたいと思います。私どもの業界は、先ほど申し上げましたように中小企業者が多うございまして、過当競争あるいは昨今におきましては操業度の低下というようなことでございまして、経営的には大変、苦慮いたしておるような次第でございます。このような膨大な基礎をつくりまして、それのための償却あるいは金利というようなものも考えますと、中小企業者、特に零細企業にとりましては非常に重大な問題であるということを御報告申し上げる次第でございます。  次に、第二の解決方法でございますが、これは距離減衰を利用する方法でございます。要するに工場団地その他に移転をするというような問題あるいは十分な敷地を持つようなところに移るというような問題、工場移転を含めましての、そういう措置でございます。工場移転ということになりますと莫大な移転費用がかかるというようなことから、防振装置をやるよりも、さらに多額のお金がかかるというようなことでございます。  私たち鍛造業者は、最初こういうような公害問題には、実は余り出っくわさなかったわけでございます。昭和三十年の前半までは、公害という問題に余り直面しておらなかったわけでございますが、昭和三十年代の後半からは、都市が過密化いたしまして、工場の近所に次第に家が建てられ、いわゆる住工混在というような状態になりまして、先につくりました工場の権利と言っていいかどうか存じませんが、そういうものが失われておるというのが実情でございます。いつの間にか用途地域の変更がなされてしまったり、あるいは公害対策のために地方に工場を移転いたしましても、二、三年たちますと、また、そこで家が建ちまして、公害問題も起きて引っ越しをしなければならないというようなわけで、われわれとしましては永住の地を求めて非常に悩んでおるような次第でございます。したがいまして、この問題につきまして、これらの経過から将来に向かっての明確な土地利用の策定及び提示、それに基づきますところの工場団地の円滑な供給が、振動公害対策の円滑なる実施及び完全な対策の促進になるのではないかというふうに思われますので、線引き、その他の点につきましても何とぞ、ひとつ御配慮を願いたいと存ずる次第でございます。  以上、業界の実情並びに防振対策の問題点につきまして御説明を申し上げた次第でございます。  最後に、本法律の制定に当たりまして、お願いを三つほど申し上げたいと存じます。  まず第一の問題は、行政指針に関します問題でございます。私たちは、規制値が今後の社会環境や地方自治体の都合などによりまして安易に変更されることを非常に恐れております。どうかひとつ、こういうことのないようにお願いしたいと思います。振動防止には非常に多額な投資が必要でございますが、せっかく規制値に達した改善工場ができましても、地域指定の変更あるいは政令、条例などの変更をもちまして、投資がむだになるというようなことは非常に重大な問題でございますので、どうか、その点につきましては重複した投資を行うことのないように、長期的な観点に立ちまして明確なる行政指導をお願い申し上げる次第でございます。同時に、規制値に達しておる工場をつくりました場合でも、やはり近所から、いろいろの苦情をちょうだいすることがございます。したがいまして、われわれといたしましては、このような場合には、問題が起きないような何か公的な機関をおつくりいただきまして、調停ができるようなことができないものかしらというふうに考えております。その点につきまして、ぜひひとつ実現させていただきたいというふうに考えております。  第二のお願いは、このたびの第十三条あるいは第二十一条にも規定してございますけれども、非常に多額の投資が必要でございますので、この面につきまして行政府におかれましても、長期の低金利融資制度あるいは、いろいろの税制措置というようなことにつきまして格別の御配慮を賜るように、お願いを申し上げる次第でございます。  さらに、お願いを申し上げたいことは、小さなことで恐縮でございますが、既存の基礎を壊しまして新しく防振基礎をつくる場合に、壊す費用というものも、ばかにならないわけでございます。したがいまして、そういう費用につきましても、新しい設備をつくるときの費用と同じような目をもちまして、いろいろの金融措置なり税制の問題につきまして御配慮をお願いしたいということを、つけ加えて申し上げておきます。  第三番目の問題でございますが、これら、いろいろとお願いを申し上げましたことが、この法律が実施されますときに同じように、ひとつ、われわれも実施ができるように、お願いをしたい。法律ができまして、いろいろな面へ、われわれが改めて陳情とか、お願いをするとかいうようなことでなく、いま申し上げましたようなことは、法律と同時に、われわれができるというふうに御配慮賜りたいということを、お願いする次第でございます。大変、身勝手なお願いを申し上げまして恐縮に存ずる次第でございますが、鍛造業界の実情をよく御理解願いまして、御配慮をお願い申し上げたいと思います。  最後に恐縮でございますが、このような公の場におきまして、複雑にして、かつ困難な問題をたくさん抱えておる鍛造業界の実情につきましてお話をする機会をお与えいただいたことにつきまして、厚くお礼を申し上げまして、私の発言を終わります。ありがとうございました。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 ありがとうございました。  次に、斎藤参考人にお願いをいたします。斎藤参考人。

斎藤義治全国建設業協会技術委員会委員長

○斎藤参考人 私は、全国建設業協会技術委員会の委員長をしております斎藤義治でございます。振動規制法案に対します意見を申し上げたいと存じますが、私は、特定建設作業に関する規制のことにつきまして意見を申し上げたいと存じます。  まず第一に、建設工事と振動の関係でございますが、御承知のように、建設工事と振動の関係は建設機械によります施工の問題でございます。現在、建設工事の主力は建設機械によります施工でございまして、建設の機械化は、工事施工の合理化あるいは省力化の手段とか、労賃の高騰その他の、いろいろなことに伴いまして、日本におきまして非常に促進をされてきております。したがいまして、このような状況から、建設工事に伴いまして振動の問題が生じておるというのが現状ではないかというふうに思っておるわけでございます。  この振動を少なくするということにつきましては、より振動の少ない機械の開発をすること、あるいは施工法の改善を行うという努力が、根本的に非常に大事なことであると考えておりますが、この振動の影響を少なくすることにつきましては、先ほどから御専門の方のお話がございましたように、振動のエネルギーを吸収するとか、あるいは、その振動の伝わりを切断するとか、いろいろな方法がございますけれども、いずれにいたしましても建設工事というものは大地に直接、接して行う工事でございますので、技術的に、きわめてむずかしい問題でございます。また、この振動は通常、騒音とともに起こる現象でございまして、人体への影響は、いろいろ強弱の差があろうかと思いますが、両者一体となって感受されておるというのが建設現場における実情でございます。  第二には、それでは現在の建設工事の特性について若干、触れておきたいと思います。  建設工事は、これはもちろん永久的なものではございませんで、その場におきます一時的なものでございますので、工事が終われば、建設工事に伴う振動はなくなるわけでございます。  それから第二に、建設工事と申しましても非常に種類が多うございまして、工事の種類あるいは工事の施工の条件あるいは地盤の条件とか、その他いろいろな条件が非常にたくさんございまして、一概に、ある地点の状態がどうかということが直ちに次のところで同じようにというわけにはいかないような性質がございます。  それから第三番目には、機械化が非常に現在、普及しておることは、先ほど申し上げたとおりでございますが、建設機械を抜きにいたしましては、もう建設工事はほとんど考えられない。少なくとも個人的な小さな、人間でなければできないようなもの以外は、ほとんど機械をもって工事を行うというほど普及をしておりますし、また機械の種類も大変、多いというのが実情でございます。  それから第四番目には、建設工事は、やはり工事期間中いろいろと付近の方々に問題もございますので、工期は極力短かく行うということが一般に要請をされることでございます。  それから第五番目には、建設業者という、われわれの業界の業者の数も非常に多いわけでございまして、五十一年三月末等におきましては恐らく業者の数は三十八万を超えておると思いますし、そういうふうに業者の数が非常に多いと同時に、中小業者の方々の数も非常に多いわけでございますが、その方々も建設工事の実施におきましては、ほとんど機械化施工というのが主力になっておるというのが現在の実情でございます。  このような状況下におきまして、振動規制法案を御審議なさる段階でございますが、この振動規制法案につきまして、都市部あるいは住居家屋に接近した地区における工事では、従来からも建設業界におきまして振動のより少ない機械の使用や工法について努力を行ってまいったわけでございますが、他に、かわる適当な機械や工法がない場合、現在、実施しております工法で住民の方々と、いろいろ苦情が起こっておる場所があるのが現状でございますが、この場合、極力、住民の方々とお話し合いをしながら解決の努力を続けてまいっておるというのが現在の姿でございます。しかし、実際に苦情が起こっていることでもあり、現在の振動規制法案が制定されますことは、現在の技術レベルにおいては大変、厳しい一面があるというふうに私は受けとめておりますが、これも、やむを得ないことではないかと考えておるわけでございます。  なお、この規制を行う法案といたしまして、いままで、いろいろと現状を申し上げましたとおり、建設事業の特性等から考えまして、規制の範囲は、やはり最初は、できるだけやむを得ないものに限定をいたしまして、工事の施工について大きな混乱を避けることが、やはり必要なことではないかと存じますし、具体的な解決策をいろいろと積み上げてまいりまして、その間また一方、振動を少なくする建設機械の改良あるいは施工法の改善などに努力をいたしていくことが適当なことではないかと考えております。  このような考え方からまいりますと、本法案におきましては、大綱におきまして建設事業の特性等についての配慮が行われておるというふうに私は判断いたしております。特に、いろいろな条項において、公共性のある施設についての十五条であるとか、振動防止に対する国側の条文の二十一、二十二条等のことについては、私は非常に基本的な大事なことであるというふうに考えているわけでございます。  また、中央公害対策審議会から答申をされております規制基準値等につきましても、一面、現在の施工技術レベルから見ますと厳しい点もございますが、しかし、その点もいろいろ配慮されておりますので、私といたしましては妥当なものじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  ただ、この法案の実施につきまして、いろいろお願いを申し上げたい点が二、三ございますが、やはり、このような法案が実際に運用される運用面が非常に大事なことだというふうに考えるわけでございます。  その第一は、特定建設作業とか指定地域の決定等に当たりまして、これらのいろいろな諸事務の処理の可能な範囲を見定めて実施を行っていくことが必要ではないかというふうに考えております。  それから第二に、測定機器や測定方法が現在、一般に十分、普及をしておるというような実情ではございません。したがって、本法案が成立をいたしまして施行されるまでの準備期間中に、適切な指導を行うことが必要ではないかと考えております。  それから第三番目に、本法案は建設業界のみの努力で解決するという問題ではないのではないか。やはり建設工事といたしましては、ほとんど受注産業と申しますか、そういう性格から見まして、国あるいは地方公共団体とか、そのほか建設工事を発注される方々が、計画、設計、積算、そういう最初の段階におきまして、本法案の趣旨を体しまして具体的に、それを実施できるような内容を取りまとめて発注なさるということが、私は必要なことだというふうに考えるわけでございます。  以上、本法案の制定につきましては、建設工事の振動による、いろいろな苦情処理が効果的に解決をされ、建設工事が円滑に施工されるということを期待をいたしまして、私の意見を終わりたいと思います。ありがとうございました。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 ありがとうございました。  次に、星川参考人にお願いをいたします。星川参考人。

星川幸市大田区から公害をなくす会代表

○星川参考人 私は星川参考人でありますが、私は、変わった面から大田区の振動状況につきまして申し述べてみたいと思います。     〔委員長退席、島本委員長代理着席〕  私ごとになりますが、私は現在地に昭和二十六年から住んでおります。それで、その当時は車もなく、進駐軍のジープがたまに通る程度でした。それで私の周りには畑とか麦畑とかキャベツ畑がありました。

島本虎三日本社会党

○島本委員長代理 参考人に申し上げますが、もう少し声を大きく、ひとつ御発言願います。

星川幸市大田区から公害をなくす会代表

○星川参考人 それが昭和三十九年にオリンピック道路として舗装されまして、それで現在の環状七号線となったわけですが、当時は私も、現在のように、このような被害があるとは夢にも思っており映せんでした。現在は年々交通量もふえ、特に大型車による騒音と振動とで、気の休まる間もないほどの状態でございます。この先がどうなるかと、それが心配でたまりません。  私の家でも家内が朝、起きては頭が痛いとか吐き気を催したりして、いろいろと困っております。そのために、また二、三日寝込んだりして、私も大変、困っている次第です。それから学校の子供も、やはりうるさいので勉強ができなくて困っているような状態です。事実、私も、大型車が朝、一時半から四時ごろから、ごうごうとうなりを立てまして通るので、一度、目を覚ましたら、これは絶対に寝つくことができませんで困っております。それで家がいつも揺れまして、少しぐらいの地震では全然、気がつきません。家の被害も多く、ガラス戸が全然あかない点が何カ所もあります。六カ所ぐらいございまして、それで削っては、また、かたくなり、削っては、かたくなりしております。また一部では、戸を閉めたつもりが自動的に三十センチから四十センチぐらいあきまして、かぎを締めておきませんと雨が吹き込んだり、いろいろして困っております。そういうふうな状態で、一晩も家にお客が泊まったことはございません。また泊まっても眠れるような状態ではございません。  この被害は私たちだけではありませんで、例を申しますと、東馬込一の三十三の八、加藤潔さん六十九歳、奥さん六十六歳ですが、御夫婦とも心臓が悪く病院に通っております。御主人はまた、ぜんそく持ちで困っているような状態です。夜は八時から九時ごろにお休みになるそうですが、やはり眠りが浅く朝、三時半ごろには起きてしまうということで、それでは昼間はと申しますと、昼間はよけい眠れないと言っておられます。それでお客様が突然、見えまして、いろいろ話していたところが、途中で地震だというわけで起き上がって、そして、どういうわけだと聞いたところが、これは自動車だということで納得されたそうですが、そのお客は一晩泊まったが一睡もできなかったと申しておったそうです。     〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 また加藤さんのお宅は、車のはねた石でガラス戸が何回も割られるそうです。一度なんかは、石が飛びましてガラスを破り、柱に深い傷跡がいま現在、残っておりますが、そういう状態で、ガラスがたびたび割られるそうです。  それから南馬込一の十六の二、工藤之夫さん五十四歳、これは寝る前にお酒を飲んで寝られるそうですが、やはり眠りが浅く朝早く起きるそうです。  いろいろ列を申しますと切りがございませんが、山王二の四十二の五、窪田静夫さん、御主人は現在、入院中ですが、ここの振動も実にひどく、私も時たま伺いまして座っていますと、やはり、もくもく揺られます。薬局をやっておりますので、手不足のために息子さん家族が来てくれたそうですが、やはり夜、全然、眠れないので帰られたということですが、自宅に帰られてから寝不足のために身体のぐあいを悪くして何日か寝込んでしまったということです。それで悪いけれども、行きたいのだけれども行けないからということで、来てくれないのだそうです。  それから、これも変わった例ですが、山王二の四十二の六、登山堂さんというレコード屋さんですが、奥さんの話では、御不幸のときに泊まりに来ましたお客さんが、地震かと、たびたび起きて困ったそうですが、このお宅はレコード屋さんなのでレコードをかけていますと、針がぽんと飛びまして、それでレコードに傷がつきまして売り物にならない、こういうふうにおっしゃっておりました。  それから東馬込二丁目の十二の一番地ですが、滝本利雄さん、これは一階は何とか、がまんできるが二階は振動がひどく、子供さんたちは、こんな船みたいな家はいやだと、こういうふうにおっしゃっていたそうです。  それから東馬込二の十二の一、尾崎金義さん、これは運動具屋さんですが、やはりたなに置いてあります品物が、ずり落ちたりするので困ると申しておりました。  南馬込一の十四の三、これは全部、環七通りですが、村田秀男さん、これは振動と騒音がひどいので夜、寝るときに、まくら元にウイスキーを置きまして、そして目が覚めますと、また飲んで寝る、こういう形、そういうケースがたくさんございますので申し上げます。  それから、やはり南馬込一丁目十二の五、平林陽子さん、このお宅は沿道から十六メートル入っているところですが、部屋のふすまが全部がたがたになって外れるので、危ないから、とってあるということで、いま広くして何も倒れないようにしてあるような状態です。  山本清さん、これは南馬込一の十二の四ですが、御主人は昨年十二月より寝たきりで、二階は振動がひどく、本当は二階に寝たいのだとおっしゃっていますけれども、下の暗い部屋で寝ておりました。奥さんもお年寄りなので、看病と不眠とで、やはり両方、大変お疲れになっていたようです。  それから、これも沿道から二十四メートル入ったところですが、南馬込一の十二の六、清水賢一郎さんというお方ですが、この方のお宅も、お宅も古いのですけれども、道路と新幹線の振動被害を受けております。小さいお子さんが二人おりますが、部屋に寝かしても、振動に敏感になっているもので、すぐ起きてしまうと言っておりました。それで、つらいけど、おんぶして寝かせようというわけで年じゅう、おんぶしておるような状態です。  被害を訴える人はまだまだ、たくさんいます。お役所で、家が古いからなどとよく言われますが、道路より先に家があったのですから、そのようなお考えをされては困ります。こういうように皆さん、おっしゃっていました。また、古い家に住んでいても、私たちは被害のないようにしてほしいと思います。  杉並区の例を一つ申し上げます。高円寺地区には毎日、寝るときに睡眠薬を用いている方が、お年寄りの方ですが大分いらっしゃるそうです。この問題もひとつ、よろしくお願いします。  私は、きょう参考人として出席するため、南馬込、東馬込、山王地域の環七沿道の振動を「公害をなくす会」の人たちに測定していただきました。五月一日午後二時から五月二日の午前十時まで、連休中で車が少ないときでしたが、四十二デシベルから五十四デシベルとのことでした。この値は、一昨年の十二月五日の午後八時から六日の午前九時までの道路公害測定調査と、ほぼ同じであります。  以上のように、環七沿道に住む私たちは、日夜を問わず騒音、振動で悩まされています。これは工場でもそうですが、いろいろの騒音は夜は、わりあい、ないはずですが、われわれは日夜を問わず、年じゅう悩まされておるのでございます。せめて最低限度、夜間だけは何とか車が通らない方法はないものか、こういうふうに考えておるものでございます。私たちは、先生方が現地の被害実態を調査くださり、早急に対策を立てていただきたいと切にお願いするものであります。  いろいろございますが、車の量の問題もございますけれども、一応これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 ありがとうございました。  以上で、参考人からの意見聴取は終わりました。  参考人に対する質疑は午後から行うこととし、この際、午後一時まで休憩いたします。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後一時八分開議

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、本日の質疑時間につきましては、理事会での申し合わせに御協力をお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。深谷隆司君。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員 本日は、専門的な分野の方々の御出席をいただいて、貴重な御意見をお聞かせ願いまして本当にありがとうございました。振動規制法という、まことに、いわば未開の、初めて行う法律でございますので、私たちも含めて相当、勉強しなければ十分な正しい理解ができない、そういう状態でございますので、本日の意見は、まことに参考になりまして、われわれも、さらにこの問題についての研究を重ねてまいりたいと思います。そこで、そういうようなむずかしい問題でありますだけに、さまざまな疑問、問題等々があるようでございますので、率直にお尋ねをして、皆様の御意見を参考にさせていただきたいと思います。  亘理参考人に、まず御質問申し上げます。  今日、公害問題というのは、まさに世界的な問題であります。世界のいずれの国を問わず、公害は今日、重大な問題になっているわけでございます。各国とも、さまざまな立場から公害防止についての研究を行い、これを防ぐための法律等をつくっておるわけでございますが、人体にも影響があり、生活環境にも、はなはだしく影響のある、この振動という問題に関して、どういうわけだか今日まで、他の国で法律ができ上がったという形がない、このことは私は非常に不思議な気持ちがいたすわけでございます。  そこで亘理参考人にお尋ねしたいことは、この振動規制法の問題が、いま世界各国で、どのように論議をされているかという点、それから、どこの国では、これが法律化というような状態になるのは一体いつごろを予想されるのだ、こういうことですね。それから現実の問題として振動に対する、いわゆる各国の住民の反応といいましょうか、声といいましょうか、そういうものはどのくらい出ているものだか、そういうような問題について、御存じの範囲で教えていただきたいと思います。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  実はこの案をつくります場合にも、非常に各国の資料を探したのでございますが、まとまったものはございませんでした。ときどき断片的に文献に出てまいりますことを簡単に申し上げますと、一九六〇年代にドイツでは、振動を出してはいけないというような表現だけで、数字的なものは出ていません。  それから一九六一年にニューヨークで、何と訳しますか、用途地域条件というようなことで、これは振動数ごとに振幅を幾らという数字を決めております。そこで、その数字を拝見しますと、これは工場地域といいますか、商工業地域ということに適用されるものと思われますが、十ヘルツ以下、そこで万分の八インチという、いわゆる振動の大きさを決めております。これを仮にミリメートルに直しますと、振動のいわゆる振幅と申しますか、波の高さが〇・二ミリになります。これを八ヘルツの振動というような仮定をいたしますと、振動速度にしまして十ミリメートル毎秒つまり、いままで申し上げましたデシベルで申し上げますと九十デシベルという数字になっております。  それから最近と申しましても、あれですが、一九七二年にイギリスの雑誌に出ておりましたが、これは基準ではございません。ただグレート・ロンドンのカウンセル・サイエンティフィック・ブランチと言いますから、ロンドン市の科学局とでも申すのでしょうか、それがいわゆる指導基準的なものを出しております。これも非常に要点だけ申し上げますと、ロンドンの指導基準的なものは、いろいろな振動荷重に対する人間の反応及び建物への損傷というような表ができておりまして、その中身を簡単に申し上げますと、振動速度が零から〇・一五、デシベルに翻訳いたしますと零から五十五デシベル、これは人間によって感知されないと書いてあります。次に〇・一五から〇・三ミリメートル毎秒、これは五十五デシベルから六十デシベルに対応しますが、これが感知する閾値、こう言っております。それから次は二ミリメートル毎秒と申しますのは七十六デシベルになります。これは感ずる振動だ、 こうしてあります。それから二・五ミリメートル毎秒というのは約七十九デシベルぐらいに相当いたしますが、これの連続した振動があると、人々を煩わし、あるいは悩ませるということを書いてあります。一方、建物の方は古い建物とか、そのとおり訳しますとお墓のようなものが倒れるというような、要するに積んであるだけ、何も支えのないという意味、そういうようなものがあります。数字で、ちゃんと出ておりますのは一九七二年に出た英国のサイエンティフィックアドバイザーの年次報告、その中から拾ったものだけでございます。  私、感じますのは、日本との違いは、ヨーロッパその他は特に地盤が非常にかたい。ですから道路工事でも、ただ削って平らにしただけで使える、あるいは振動する機械も乗せただけで、もう心配ないという事情が一つあるかと思います。  それから、もう一つは、工場あるいは幹線道路というのが市街地に入っていない、それから用地が十分にとられておる、そのようなことがありますので、余り振動は問題になっていない。ただ交通騒音などは、かなり問題になっておりますが、交通騒音でも、いわゆる自動車専用道の騒音ということは問題にならずに、市街地の騒音だけが問題になっております。私も向こうの学者に高速道路はどうするのだということを聞きましたら、高速道路、そんなものは野っ原を走っているのだから問題がないというような答えが、すぐはね返ってくる、もちろん研究はやっておられますけれども。  そういうようなことで、きわめて不十分な用語でお答えいたしましたが、実はこの案をつくるときに、いわゆるお手本的なものがないために、私どもは非常に苦労したということを申し上げて、お答えになるかどうかわかりませんが、お答えといたします。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員 どうもありがとうございました。地盤がかたいとか面積が広いとか、さまざまな、いわゆる好条件があるために、振動規制法というのはつくらなくてもいいというような状況が各国にあったのかもしれませんが、しかし、地盤がかたいといっても、主たる都市においては当然その振動被害というものが出てきているであろうと思います。それからまた、これからさらに論議になるだろうと思います。そういう意味では、わが国で、このたび、できようとしている振動規制法というものは非常に画期的な、これから恐らく世界の国がこれを見習うであろう、そういう要素を持っているであろうと思いますので、各国の状況も含めて今後もひとつ引き続いて研究していただきたいと思います。  そのような大変、画期的な法律でもありますので、それだけに、よけい、さまざまな問題が提起されるのではないかと思います。現在まで、たとえば都道府県で、それぞれの条例をこしらえて基準値というものを設定しているわけでございますが、これは大変まちまちであります。私も調べてみましたけれども本当に上から下まで範囲がまちまちでございます。これ全体を網羅した形の法律を、このたび、つくろうとしているわけでありますから、当然その基準値の違いというものは出てくるであろうと思うのでありますが、一方の意見としては、たとえば大阪であるとか、そういうところはかなり厳しい条件をつけている。それから見ると、かえって、この法律は後退をするような意味をなすのではないか、こういうような意見もあるようでございますが、これらの点について、どのようにお考えか、お尋ねします。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  確かに、この案をつくるときに地方自治体で実施されております。いろいろな数字は十分、検討いたしました。また住民反応の調査結果その他いろいろなことと、それから、もう一つは人間を使ってのいろいろな実験、そういうようなことを調べまして、あのような数字に決めたわけでございますが、この場合に一言、機械の振動が家屋の方に伝わっていって、どうして、それが二倍になったり、あるいは三分の一になったりするかというようなことをお話ししておきたいと思います。  それから、もう一つは、先ほど二村参考人からお話ありましたように、振動をはかることは非常にむずかしいことでございまして、特に、振動の振動数をはかることは、わりあいに正確にまいりますが、振幅、大きさの絶対値をはかるということは非常にむずかしいことでございます。ですから一つの振動計、特定の振動計で、いろいろはかってみまして、大小は比較はできますが、本当の値は何かというのを出すのは非常にむずかしゅうございます。たとえば、いま問題にしております六十デシベルというような加速度の値は、重力の加速度の千分の一でございます。ただし、加速度の振動計を検定するのに一番、正確な検定方法というのは、重力の加速度そのものしかございませんので、あるいは、いろいろな既定の機器の加振機で振動を与えて検定することはできますが、その加振機をつくることも、また、それの正確な波形と振動数を持ったものをつくるということも非常にむずかしい問題です。そこで、振動測定の計測器というものが、非常に小さなものをはかって、それを電気回路その他で増幅して一応の値にしております。ですから、その増幅過程にも精度の問題が入ります。特に、補正加速度レベルという場合には、もう一つ複雑な加速度補正の回路が入ります。これは御承知と思いますが、先ほど二村先生もお話ありましたように、四ヘルツのところまで右下がりといいますか、振動数が上がると減ってまいりまして、それから八ヘルツまでの間は平たん、コンスタントの値であり、それから八ヘルツ以上は、今度は振動数が上がれば、それに比例して上がっていく、そういうカーブを逆にした補正作用でございます。したがって、特に折れる点あたりは正確に再現することが非常にむずかしゅうございます。現在、町に出ておりますいわゆる公害振動計、これは日本工業規格として、これから制定されるもののもとになる測定機と思いますが、精度と申しますか、許容誤差をプラスマイナス二デシベルにしております。ところがプラスマイナス二デシベルというのは非常に幅の広い許容誤差でございますので、この委員会といたしましては許容誤差を、せめてプラスマイナス一デシベルにしたい。そうしませんと五デシベルの違いというのが、はっきり出てこないということがございます。  振動測定が、そのようにむずかしいことを申し上げまして、次に、機械というものは、やはり何らかのバネ作用と、それからエネルギーを吸収する作用を持っておりますので、われわれで申しますと一つの振動のシステム、振動系と言っております。一方、家屋あるいは人間を含めて、やはり何らかのバネ作用及び減衰作用といいますか、エネルギー吸収作用がございますので、やはり一つの振動系になっております。そこで機械が振動しますと振動力を地面に伝えます。地面からは、先ほど二村先生のお話がありましたように、いろいろの波になりまして表面、あるいは地中に入ってまた表面に出てきて、家屋の基礎に振動を与えます。そして家屋の基礎が振動しますと、それに対して家屋あるいは中にいる人間が振動の特性を持っておりますので、振動いたします。そこで問題になりますのは、機械の振動力が地面に伝わりますが、そのとき、地面に伝わる力と機械の振動力との比を、われわれの方では力の伝達率、こう申しております。一方、地面の振動が家屋あるいは中の人間に伝わる、これは振動の大きさの比でございますが、これを変位の伝達率と言っております。これが非常に簡単な振動系と考えますと、力の伝達率も変位の伝達率も同じでございます。  ここで、ちょっと資料を配付してよろしゅうございますか。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 どうぞ。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 そこで、その伝わり方、伝達率と申しますのは、機械の振動数と、つまり地面の振動数が、建物のつくります一つの固有振動数と言っておりますが、それとの関係で、いろいろに変わります。いま、お手元に差し上げました図が、少し小さくて申しわけございませんが、縦軸が伝達率となっております。これは先ほど申し上げたものでございます。横軸が振動数比となっております。これは地面の振動数を建物の固有振動数で割ったものになっております。ですから振動数比が一というのは、地面の振動数と建物の固有振動数がイコールだということでございます。それから振動数比が〇・五というのは、地面の振動数が建物の振動数の半分、そういうようにおとりいただきたいと思います。なお、縦軸は比そのものをとっておりますが、それの対数をとって二十倍にすればデシベルに変わります。  ここで、いろいろなカーブが書いてございますが、パラメーターとしまして、減衰作用をパラメーターにしてあります。そこで、そのゼロというのは全然、減衰のないカーブでございますが、それについて申し上げますと、たとえば地面の振動が建物の固有振動数の〇・七倍というところと、一・二倍というところで、ちょうど伝達率は二となっております。二は、これは翻訳しますと六デシベルになります。たとえば建物の振動数が十ヘルツ、毎秒十回である、そういう建物に七ヘルツ毎秒七回の振動、そういう振動がきたとき、あるいは十二ヘルツ、毎秒十二回そういう振動がきたときには建物の振動は地面の振動の二倍になるということでございます。そして七ヘルツから十二ヘルツの間は、伝達率は二より大きなことになっております。いまは減衰のない場合をお話ししましたが、減衰がエネルギーを吸収する能力がだんだんふえていきますと、そのカーブがどんどん下がっております。そういうわけで、たとえば建物の減衰と、それから睡眠の場合には寝具の減衰、これはかなり大きな減衰ございますが、そういうものを勘案しますと、大抵の場合は伝達率が二にはならない。一をちょっと超える程度で、しかも、あと、その比で一・四、先ほどの例の固有値が十ヘルツのときでありますと十四ヘルツ以上になりますと、すべて一より減ります。  それからまた、お手元にお持ちと思いますが、説明書がございまして、報告の後の方に「工場、建設作業、道路交通、新幹線鉄道の振動に係る基準の根拠等について」というのがございます。この四十ページをごらんいただきますと、そこに実際に、はかりました床面の加速度と地表の加速度の比の図16という絵がございます。これをごらんになりますと、2という数字は二階、1という数字は一階という意味でございます。Hというのは水平振動であり、Vというのは鉛直振動でございます。そこで2Vというような点を見ていただきますと、平均的な線が折れ線で二倍のところになっておりますが、建物だけでも、一倍といいますか、あるいは、それ以下のところに点がかたまっている。これに寝具等を考えますと、もっと減衰するというようなことを考えております。そこで、最初の午前中も御説明申し上げましたときに、五デシベルという見積もりは多目であると申し上げた理由は、それでございます。  そのようなことを考えまして、私は、地方自治体の方がすでにお決めになった根拠及びおはかりになった計器というものが、どんなものであったか、むしろお伺いしたいとも考えておるわけでありまして、委員会としましては十分検討して、あのような数字で、まあ妥当であろうと考えたわけでございます。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員 懇切丁寧なお話で時間がちょっと、なくなって残念ですが、細かいことをお聞きしたいと思ったのですが省略いたしまして、大きいポイントだけ伺いたいと思います。  このような感覚公害というのは、いわゆる環境公害と比べて非常につかみにくい、いまお話があったとおりだと思うのでございますが、そこで住民からの、たとえば訴えだとか苦情が出てまいります場合に、どのくらいの住民の声があった場合に、その値を採用するかということは、非常に重要なポイントになってくるんではないだろうかと思います。環境基準の場合には、たしか三〇%だと思いますが、たとえば工場振動の上限値が七十デシベルですが、これに対して煩わしいと感ずる住民というのは五〇%になるはずなんです。そういうような状態を考えてみます場合に、一体、住民の訴えが何%起こったときの値を採用するかという、その判断、そのあたりを、ひとつ伺いたいと思います。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 私も、いま御指摘のように、約三〇%前後をとるべきだとは思います。ただ住民反応調査の、特に振動の場合には、先ほどからもお話ございましたが、騒音の苦情の場合には、騒音デシベルというもので、そのまま支配されることでございますが、振動に関しましては、まず騒音のうるささというのが初めに来まして、その次には、たとえば入居するときに振動があったというような経験がかなり影響をします。それから振動のレベルというのは、もちろん有意差はございますが、何といいますか、騒音のときの騒音レベルのような関係が余りございません。それから、そのために調査のデータも非常にばらつきが多うございます。そういう意味で、たとえば、この根拠の四十四ページに工場、新幹線、道路交通について、同じ「よく感じる」という三〇%についても違う数字が出ておりますが、これらは大体、同じ値というふうに委員会ではとっております。  そういう意味で、確かに七十デシベルというようなことは四〇%から五〇%のところになりますが、一方、この基準値をはかる場所が用地境界あるいは敷地の境界でございます。先ほど申し上げましたように距離が離れるに従って減衰してまいります。そのために、仮に振動する機械が境界から五メートルの中にあったとします。仮に、その五メートル外ではかりますと、逆自乗法則というのは距離の自乗に逆比例するということでございますが、ですから境界から外に五メートル離れたところでは、理論的には六デシベル、実際に、はかりますと、やはり三から六デシベルの間、地盤によって変わりますが、減ってきます。  それから先ほど、ちょっと申し忘れましたが、いろいろな減衰装置がありましても、建物の固有値、固有振動数と全然同じ、あるいは非常に近い振動が地面に来たときには、どうしても救いようがない、つまり建物の方で何か手当てをしなければ、それは減らないということを、ちょっと先ほど申し忘れましたが、そういうことでございまして、仮に地表の値が、境界から遠ざかってレベルとしてはどんどん下がりましても、もし、その振動が建物と合っておりますと、建物では、やはり大きな振動が出るということはございます。しかし、これは建物サイドで対策をする以外には方法がないというふうに考えております。お答えになったかどうかわかりませんが。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員 建設作業振動は七十五デシベルというふうなことになっておりまして、それを超えた場合の、 いわゆる上限は設けてないわけなんです。いわゆる青天井だと言われておりますが、これについて、どういうお考えをお持ちでしょうか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えいたします。  これも、この解説書の六十七ページに、ちょっと、いろいろな作業と補正加速度レベルとの関係が書いてございますが、機械から五メートルですと、八十四とか八十という、かなり大きな値が出ております。そこで七十五以上のものの上限も決めたらよかろうという意見は、委員会でもございました。ただ、どこに抑えるか、上限をどういうところに抑えるかということと、作業を、何といいますか、多少がまんはしても早く作業を終えた方がいいじゃないかという考え、その他から上限を決めなかった、そういうことでございます。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員 斎藤参考人に、関連いたしますので、いまの問題も伺いたいと思います。  何といっても、上限を決めた場合に業界に直接、影響があると思うのですが、もし仮に上限を決めようとする場合、斎藤参考人は業界の立場から、どのようにお考えになるか、お話し願いたい。

斎藤義治全国建設業協会技術委員会委員長

○斎藤参考人 お答えいたします。  建設機械の技術レベルの現状から見まして、実際に問題になっております。くい打ち機械というのが一番、振動の大きな値になるわけでございますが、現在の技術レベルから、ある値を決めて、もし、それを超えたときに使えないというようなことになりますと、建設工事というものは基礎の工事が一番、大事なことでございますし、くい打ち工法というのが一番ポピュラーな工法と申しますか、非常に大事な工法でもございますし、そういうものが、もし、その機械の点で使えないということになると、工事そのものに非常に支障が出るというふうに私は思うわけでございます。そういう点で、上限を決めるということについては、現在の技術レベルからは非常に私は無理ではないかというふうに判断いたすわけでございます。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員 斎藤参考人に引き続いてお尋ねしますが、恐らく、くい打ちの場合の振動は八十デシベル以上あるんではないかと思います。もうすでに、これは七十五デシベルを超えているわけなんですね。そこで、われわれが、これから住民の苦痛をできるだけ防ぐためには、法律で決める数値は、それも結構なんですが、実際には、その機械の改良という問題に相当、思いをいたしませんと、幾ら決めても、どうしようもないということになるわけなんです。たとえば、くい打ちの、そのものの機械でいくならば、これが将来、七十五デシベル以下に振動を抑えるような可能性があるのか、また技術的には、いま、どこまで進んでいるのか、そういうことについてお尋ねしたい。

斎藤義治全国建設業協会技術委員会委員長

○斎藤参考人 ただいまのお答えでございますが、くい打ち機械というものは、もちろん振動と申しますか、衝撃によって効果をあらわす機械、本質的にそういう機械でございますから、振動そのものを減らすということに関しましては、効果が非常に減殺される機能になるわけでございます。したがいまして、八十デシベルを超えるというような姿が、さらに改良されて減ったということは、その機械そのものの機能というものは非常に減殺されるというような関係になるわけでございます。ただ、できるだけ、そういうものを少なくする意味で、現在いろいろと工夫をいたしまして、アースオーガーで先に掘りまして、アースオーガーの方が、ずっと振動が少ないですから、それで、ある深さまで、くいを沈めまして、くいそのものは大地に接着しませんと意味がありませんので、最後の打ち込みというところだけ、そういう若干の振動が出るというようなことの、工法その他の工夫をいたしまして、実際に現在やっておるのが実情でございますが、技術レベルといたしまして、現在のくい打ち機械としての衝撃式の工法におきまして、それを下げるということは非常に困難じゃなかろうか、私はかように考えております。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員 斎藤参考人にお尋ねいたしますが、公共性のある建設工事、これについて先ほどもお話がございましたが、たとえば災害復旧といったような、そういうときだけに限って発動すべきだ、こういう御意見もあるようでございますが、どうお考えでしょうか。

斎藤義治全国建設業協会技術委員会委員長

○斎藤参考人 公共性の工事につきまして、災害だけというふうに非常に狭く取り扱うということにつきましては、私は実施面において大変、無理があるというふうに考えます。実際に公共的な、いろいろな工事そのものの現実に行われていく場合が非常に幅広くございますが、そういうものの実施に、はなはだしく大きな支障を来すのではないか、私はかように考えます。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員 伊藤参考人にお尋ねしたいと思いますが、皆さんのやっている工場に関する振動の規制というものは、現在までに、すでに都道府県で、まちまちではありますけれども条例で定められてきたと思います。したがって、そういう条件の中でやっておられて、まだ十分それに対応できるだけの改良がなされていないのが現状だろうと思いますが、現実に起こってくる苦情処理ですね。これらについては、いままで、どのような形で解決をしてきたのでしょうか。

伊藤太刀郎全日本鍛造工業会専務理事

○伊藤参考人 そのお答えは非常にむずかしゅうございまして、話し合いというようなことで大体、終わっておるようなわけでございますが、はっきりいたしました、たとえば調停機関とか、あるいは、それを決めてくださるようなところもございませんで、大体、話し合いのような形になっております。  それから、ついでに申し上げますが、この苦情の問題でございますが、たとえば一つの例をもって具体的に申し上げますと、田無のある工場でございますが、田無の市役所と、いろいろと打ち合わせをいたしまして、やります。その場合に、工場の方に苦情を持ち込まないで全部市役所の方に苦情を持ち込んでくるわけでございます。それでございますので、工場といたしましては田無の市役所の方と、いろいろと打ち合わせをしまして、それに対する対策を講ずる。そうしますと、それに対しまして今度は立川市にございます監督官庁の方から、それではいけませんというような別な意味の苦情が来る。それでございますので非常に困ってしまう。そこで、それでは移転せざるを得ないというようなことで、京浜島の方に移転しましょう。そうしますと、これは大体いつ、できるかと申しますと昭和五十年にできます。ああそうですか、それでは、もう少しだからというようなことで延ばしておるわけでございますが、依然として、まだ、その埋め立てができませんで、ただいまのところは五十三年ぐらいに延びる予定でございます。そうなりますと、いろいろ苦情がぐるぐる堂々めぐりをしてしまって、結局、市役所との間においても、はっきりした対策が講じられないで何とはなしに、うやむやのうちに終わってしまっておるというような状況でございます。  いま一例を申し上げましたが、そんなわけで、はっきりした決め手がなくて、大体、住民との間におきまする打ち合わせというようなことで解決しておるような状態でございます。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員 時間がございませんので、恐らく最後にお尋ねすることになると思います。  もう一回、伊藤参考人にお尋ねしたいのですが、どこまでおつかみになったか、それは私はわかりませんけれども、もし、わかれば教えていただきたいということですが、これから、この振動を抑えるための基準値というのができまして、それに対応して工場も改良を加えていかなければならぬと思うのですけれども、相当な費用がかかると思います。平均的な皆さんの企業、一企業で、この基準値にかなうような形で改良したとするならば、どのくらいの費用がかかるか、そういうものを、もし、おわかりいただければ、目安として知っておきたいと思いますので、お答え願いたい。  それから、もう一つ、日弁連の先生からお話がありました、住民の環境保全のためには勧告、命令で一時工場停止というような強い処置をとれといったような御意見もあるようでございますが、業界としては果たして、これらにどの程度、対応できるのか、そういうことを伺いたいと思います。

伊藤太刀郎全日本鍛造工業会専務理事

○伊藤参考人 お答えいたします。  最初は費用の問題でございますが、周囲の環境並びに地盤の関係がございまして、一概に申し上げることはできないと思います。またハンマーにもいろいろの種類がございますが、一応、常識的に考えまして一トンあるいは一トン半程度のハンマーの防振基礎をつくるということになりますと、大体、目の子で一台につきまして千五百万ぐらいではなかろうかと思います。それから先ほど午前中にも、ちょっとお話し申し上げましたが、既存のハンマーに対しまして、そういう防振装置をつくるということになりますと、現在の基礎を壊しましてやらなければならない。そういうことになりますと、壊す費用というものがばかになりませんで、大体ざっと見まして、新しくつくります防振基礎の三割から、ひどいときは半分ぐらいというものが、むだ金のような形で、さらに追加されるというようなことではなかろうか、かように思います。  それから、直ちに実施というようなことの場合、どうなるのかというお尋ねでございますが、大体ハンマーが三台とか五台とか七台とかあるようなところは、一つ一つやっていくというようなことも可能でございますけれども、小さなところに一台とか二台というようなところでございますというと、もうほとんど仕事をとめて、全部、工場を閉鎖するような形になるわけでございます。また期間といたしましても大体、三カ月ないし四カ月ぐらいは操業を中止しなければならないというようなことでございますので、この点につきましては、私といたしましても非常に困った問題だと考えております。もちろん、その企業だけの問題でございませんで、品物をお納めしておりますところのお客様筋との話し合いもやらなければなりませんし、その点につきましては、いろいろ地方自治体その他の皆様にもお願いを申し上げまして、きめの細かい御配慮をいただきながら何とかやっていかなければならないと考えております。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員 時間がありませんので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 深谷君の質問は終わりました。  次は、島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 まず、亘理参考人と二村参考人にお伺いしたい。  西宮の小田助役さんから、新幹線の問題に関して指針ではなくて規制基準にせい、沿線住民の被害は目に余るものがある、こういうような参考意見の開陳があったわけです。また、伊藤参考人の方からは、これは防止の目標を与えてもらったところに意義があるということで、目標ととらえているわけであります。それと同時に、また尼崎の公害部騒音課長の桜井参考人は、新幹線は指針値ではなくて規制基準の対象にしなければだめだ、これを強く要請いたしました。  それでお伺いいたしたいのでありますけれども、まず二村参考人、規制値、指針値については、工場振動、建設作業振動は規制値、道路交通振動は要請基準、新幹線鉄道振動は暫定指針、ともに環境基準値という意味でなく、規制値、要請基準、暫定指針値という意味において、おおむね妥当な数値である、こういうように言っているわけであります。そういたしますと、ここでは一体、基準値そのもののとらえ方が全部、違っておるわけでありますが、これも二村参考人と同時に亘理参考人に、この点は、この際ですから、きちっとしておいていただきたい、こう思って、お二方に御意見の開陳をお願いいたします。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 ただいまの御質問に対してお答えしたいと思います。  いま島本さんがおっしゃいました内容、そのとおりでございます。そのとおりと申しますのは、環境基準という意味でございますと、各項目によって違うのでございますが、大まかに言いまして十ないし五デシベル低い値を設定しないと目的に沿わないと思います。ただ環境基準というのは、私たちは行政目標値というぐあいの理解でございますけれども、その意味で規制という法的な処置を伴わない。ところが、先ほども私、技術のところで申しました、現在たとえば工場で使っております振動発生機械その他の防振対策というようなことを現実の問題としてつかまえますときに、私の先ほど申しました、この規制値よりも、なお十ないし五デシベル低いことを達成するということは、現在の段階では相当むずかしいのじゃないか。これは技術的な立場から言うわけなんでございますけれども、もちろんお金に際限をつけない、時間に際限をつけないということでしたら可能だと思います。そのような意味で、工場振動に対してのものは現在の段階では、やむを得ない一つの妥当な値ではないかという意味でございます。  それから建設振動につきましては、それ以上にむずかしい問題がある。たとえば低振動工法と申しますか、くいを打つにしましても、あらかじめ穴を掘っておいて最後のところだけで、やるという工法が、かなり開発されております。それから、ただ打ち込むのではなくてネジのように、ねじ込みながら最後に打ち込むというような工法とか、いろいろな工法が開発されております。しかし、最終的には、どうしても一発なり何発かの衝撃を加えないと基礎という目的を達しないわけです。その点のむずかしさはあります。ただ、このことも私、先ほどお金と時間と申し上げましたのですが、ソフトなもので同じ力を加える、それは要するに金づちでくぎをたたくというような衝撃を、金づちの鉄のかわりに少しやわらかいものを使う。時間をかければ同じことはできるはずでございます。しかし、そういうことが現在の段階の工事に沿うかどうか。それから、先ほど亘理先生からもお話のあった、なるべく時間を短くといったことには反する思想でございますけれども、実際問題としてのむずかしさということを考えますと、いまの段階では妥当ではないか。これは建設の問題でございます。  それから新幹線については先ほども、ちょっと触れました。これは一言で申し上げまして、東海道新幹線については非常にむずかしい問題があると思います。理想を言いますと、全部、基礎工事を岩盤まで持っていく。しかし現在のものをとめずに、そういうことをすることは、これはまず不可能ではないかという感じがするのであります。それから山陽につきましても、先ほど七十がほとんど達成されておるようなお話が、ちょっとございましたが、実際は、そうはいっていない、大半はということで、まだ、ずいぶん例外がございます。そういう意味で私、希望いたしますことは、むしろ新幹線につきましては、これからの工事に誤りないように、これは七十ということではなく、むしろ、それ以下の値にぜひ、しておいていただかないと、また将来、相当お金をかけるなり、あるいは悔いを残すことになるのではないか。ちょっと、よけいなことに触れましたが、妥当という意味は、そういう意味でございまして、決して理想値という意味での妥当ではございません。以上でございます。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  ただいま二村先生からお話しいただきましたと同じ意見でございますが、委員会といたしましては、あくまで環境基準ではなくて、いわゆる排出の基準である、そういう考えで決めたものでございまして、私どもとしましては、やはり技術の進歩とともに、適当な時期に見直すべきものだとも考えております。  防振技術のむずかしさということは、いま二村先生からもお話がありましたが、たとえ話でございますが、東海村に原子力発電所の一号をつくりますときに、御承知のように、あの原子炉の構造は、いわば、れんがをただ積んであるだけでございまして、何か地震があれば、すぐ崩れてしまうという心配が非常にございました。まず問題になりましたのは、原子炉の耐震設計でございましたが、そのときの設計に関係しておりまして、いろいろの防振あるいはエネルギー吸収方法を考えましたが、結論的には二十五メートル掘りまして、いわゆるロックという上に全部乗せてしまいまして、地震についてのトラブルは、その後まだ聞いておりませんというようなことで、徹底的に新幹線はやるとすれば、やはりロックまで掘るということまでしなければ、なかなか対策ができないのではないかと思います。しかし、その他は、先ほど申し上げましたように今後の技術の進歩によって見直していただくということを考えて、決めたことでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その辺、ちょっと私ひっかかるのでありますけれども、新幹線の場合、二村先生も、暫定指針であるというような点で、おおむね妥当な数字というお考えです。ただ新幹線の場合には、西宮の小田助役さんも、より強い、これはもう指針ではなく規制値にせいという強い要請が出されたわけですね。それから尼崎の公害部騒音課長さんも、この点については強く訴えておるわけですね。そういうようなところから見て、亘理参考人、新幹線の場合は技術的に難関がある、走行規制も困難である、したがって総合的対策が必要であるからという御判断であったようです。  走行規制が困難だというのは、どういうことでしょう。ほんの国鉄という一つの内部の通達によって新幹線は二百十キロか二十キロ、こういうのを決めているので、法律でも政令でもないわけです。先生の場合は、これをはっきり走行規制も困難だと断定されておるのですけれども、この点はいかがでしょうか。だから総合的な対策が必要なんだ、こう言っておられますが、これは走行規制の方が一番、簡単じゃございませんでしょうか。この点、亘理参考人にお伺いしたいと思います。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 まず新幹線の値を決めるときに一番、困りましたのは、まだ完全なデータが入っていなかったということでございます。国鉄の方に要求しまして、できる限りの資料を出していただきましたが、それが東海道並びに山陽新幹線全部を網羅するものではございません。そして、いろいろな防振技術対策というのも現在、研究中であるということを伺っております。そういう意味で、まだ暫定的に値を決める以外の方法がございませんでした。したがって、当然、速度制限といいますかスピードダウンということも出ましたが、これは委員会だけでは、とても決める筋合いのものでございませんので、委員会としましては、そういうようなスピードダウンを含めて運行方法も総合的に検討する適当な、しかるべき機関をつくっていただきたいということは、この説明書の中に書いてありますとおりでございます。委員会としまして困難だと申し上げたのは、そういうことでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 振動には鉛直振動と水平振動というのがございますが、今回の場合には鉛直振動だけに着目して規制をするようなんですが、その他の水平振動なんかは全然お考えはなかったのですか。二村参考人にも後から。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えいたします。  実は振動の感じ方につきまして午前中に簡単に触れましたが、これも定説がございません。人によりましては、加速度と振動数との関係を、いま、ここで根拠としたものと別なものを主張している方もおられます。ただ、委員会といたしましては一応ISO、国際標準機構の決めた、いわゆる職場振動といいますか、作業能率その他に影響するような振動のレベルを決めておりますので、それを採用いたしました。それには水平振動と鉛直振動、両方出ておりますが、いま問題になっております公害振動のような振動数の範囲でございますと、人間のいわゆる感知する値が、水平振動  の方が、ずっと鉛直振動より大きく出ております。ですから、鉛直振動の方を押さえておけば水平振動の方には触れなくてもよかろうという結論に委員会としては達したわけでございます。  ですから補足いたしますが、非常に遅い振動、毎秒一回というようなところになりますと、逆に今度は水平振動の方がよく感ずるということになるわけでございます。いまのは、公害振動でございますと毎秒、大体四、五回、つまり五ヘルツ前後から上でございますので、鉛直振動をとったということでございます。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 ただいまの亘理先生の説明で大体よろしいかと思いますが、この報告の三十一ページに図面がございます。水平振動それも前後方向、左右方向、それから、そのほかに垂直方向の振動があるわけですが、その辺の評価が、まだ、かなりあいまいな点がございます。しかし、私たち学会などでも報告をいろいろ伺います。それから、一応その辺をインターナショナルに取りまとめましたISOの結果などを拝見いたしましても、大体、数サイクルから上では鉛直振動と水平振動との人間に感知する差は、鉛直振動の方が十デシベルきつい、そういうのが大体の常識でございます。それから、一ヘルツというような非常に低い振動になりますと、むしろ水平に動く方をよく感知する。しかし、一ヘルツというようなのはごく特殊でございまして、たとえば新幹線の場合で言いますと、これは十数ヘルツから上がほとんどでございます。それから、機械振動の場合などでは、やはり数ヘルツぐらいから上がほとんどでございます。そういう意味で、一応、大きく、この委員会として鉛直振動だけをつかまえたというのは、いまの私たちの知識としては当たっておるのではないかと思います。ただ、その点を私、先ほどの説明でも申し上げましたとおりに、やはり水平振動、前後並びに左右も、これは測定器で測定できるわけでございますから、あわせて測定して併記しておくというのがよろしいのではないか、こういうことを先ほど申し上げたわけでございます。  以上でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そこで、これまた真鍋参考人と亘理参考人にお伺いすることになりますが、これは実際、苦情は少ないからだ、また発生しても大きくならない、移動性があるからだということで、ブルドーザーによる振動なんかは対象としないということに、先ほど亘理参考人から参考意見の開陳があったわけですが、これは真鍋参考人から正反対の意見の開陳があったわけであります。移動性があり、発生しても大きくならないという意見から、これは対象としないというが、逆に、これを対象としないのは事業者保護になるのじゃないかという真鍋参考人の御意見があるわけですが、この点きちっと、もう一回、二人の参考人から真情をお聞かせ願いたいと思います。

真鍋正一日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長

○真鍋参考人 私が先ほど申し上げたのは島本先生のおっしゃったような趣旨だと思いますけれども、ただ私が申し上げましたのは、ブルドーザー規制が脱落したという理由が実は明らかでない、われわれにとっては、よくわからないわけです。それに関する資料といいますのは、いま探したのですが、ちょっと手元に見当たりませんのですが、たしか二月二十七日付の新聞報道で中間報告からブルドーザー規制が脱落して後退したという記事が出ておるわけです。その記事に脱落した理由として、たしか三つないし四つ、新聞社によって少し書き方が違ったと思いますが、ありまして、その中に、いま御指摘の中小企業者が多いので困るのだという記事が、それが理由だというふうに報道されていたのがある、こういうことを申し上げたわけです。ただ、それだけかといいますと実はそうじゃありませんで、その記事が正確か不正確かは、ちょっと問題があるのかもしれませんけれども、私どもが、さっきの日弁連の意見書を環境庁にお持ちしましたときに、どうして後退したのかということにつきましては、新聞に出たとおりだというふうにおっしゃられたので、それで、そういう趣旨であるというふうに理解したわけです。  そうだとすれば、先ほど挙げておられた、ほかの二つないし三つの理由というのは、一つは、七十デシベルという基準を大部分が守れるということ。大部分が守れるということであれば、規制をするということが意味がないわけではなくて、ごく、わずかに違反する分を規制するという、非常に有益な意味があるわけですね、七十が適当だとして。  それから、移動して測定しにくいということは、やはり境界に一番近いところではかって、そういう被害が出ないように配慮してもらえればいいのではないか。これは、建設場所を移動して転々とするということであれば、およそ、その建設作業振動自体を規制する理由はないわけで、そういう趣旨ではないだろうと思うのです。そういうようなことで、ほかの理由は、いずれも余りもっともらしい理由というふうには考えられなかった。  そうすると実質上の理由は、新聞に最後に理由として挙げられておった小規模事業者に対する配慮ということで脱落したのじゃないかと理解したわけです。そうだとすれば、ということで、先ほど申し上げたように、守らせる方向での配慮というのが大事なんじゃないかというようなことになるのではないかと思うのです。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  ブルを落としました理由の一つは、七十デシベル以下が大部分であるという、この根拠は、東京都その他の調査結果から得たものでございます。  その次に、もう一つは、住民の苦情調査の結果がございますが、ブルドーザーの作業に対してアンケートをとりました。それを仮に一〇〇といたしますと、ブルドーザーの作業が苦情の原因となるというのが約一五%でございまして、苦情なしというのが八五%であった。これも東京都の調査でございます。そのようなことで、ブルドーザーに対する苦情は比較的少ないと申し上げたわけでございます。  それから、移動性のある作業という意味は、いつも用地境界ばかりで作業はしていないという意味でございます。  なお、中小企業がきわめて多い。たとえば、資本金一千万以下の会社が全業者の五七%というふうに聞いておりますが、その点も考慮はいたしております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 亘理参考人、そうすると零細中小企業なら幾ら振動を出してもいいという考えですか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 そんなことはございませんが、しかし建設作業振動七十五デシベル以上のものを押さえておりますので、七十デシベルに達しておりませんから、それを外したということが主な理由でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その達していないというのは、どうして、はかって達していないのですか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 それは東京都の詳しい調査報告がございますが、それによってブルドーザーの出す振動をはかって、それが七十デシベルを……。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると中小零細企業と関係ないでしょう。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 私も余り自分で、はかっておりませんから、わかりませんが、地盤によっては、やはり超す場合もあるかと思いまして……。

島本虎三日本社会党

○島本委員 まあいいです。しかし何かその辺少し、ひっかかりますね。  それと、先ほどの真鍋参考人からの御意見の中で、直罰規定を設けていないという点の指摘があったわけであります。計画変更勧告、改善勧告を経て、命令に従わない場合だけ罰則が科される。そしてまた、勧告命令には操業停止などが含まれていない。これでいいんですと考えられていると思うのですが、真鍋参考人の方は、これではだめだと言うのです。私どもも、どうも判定に困るのでありますが、それで、もう一回この点を、きちっと真鍋参考人と亘理参考人に御意見を承りたいのです。亘理参考人の方には、これでいいのだというような根拠。それと同時に真鍋参考人には、これでは足りないのだ、操業停止とか工場移転なんかも含んだらいいじゃないか、こういうような強い御意見だったと思うのですが、そのとおりですか。時間の関係で、そのとおりなら簡単でいいのです。

真鍋正一日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長

○真鍋参考人 できるだけ簡単に申し上げます。  直罰規定の問題は、ずっと前に四十何年でしたか公害罪法ができたときに、私どもが日弁連の意見書として挙げた中に、公害に対する刑罰的規定というのは、実質犯規定ではなくて直罰規定が適切ではないかという意見を申し上げております。なお、いろいろ問題はあると思いますけれども、ほかのとり方よりもいいのではないか。本法案における罰則規定につきましては、先ほど指摘しましたように二回、勧告と命令とがあって、それぞれに期間がついておる。その期間を経過した後に、それで守られれば大変、結構なんですが、守られなかったときに、やっと罰則の適用が可能になるわけです。しかし、その間、被害が続いておるという状態があるということ、それが大変、問題ではないか。これは実は先ほどの操業停止といいますか、私は一時停止というふうに申し上げたと思いますけれども、公害防止については操業をとめるという形で、どんな場合でも、やめることはできると思いますけれども、いま、ここで直ちに、それを申し上げるという趣旨ではございませんで、違反しておれば解決策を見出すまで一応、一たんとめる、そういうテンポラリーな、一時的な停止というものを、どこか命令の中で組み込めないだろうかということを申し上げたわけなんです。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  この件につきましては、当委員会に与えられた範囲の外でございますので、お答えしかねますが、委員会としましては、建設作業振動につきましては、くい打ち機等を使用する作業などについて七十五デシベルという線を出したということでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 わかりました。  それで、もう一つ、この点で私自身も聞きただしたいのでありますけれども、いわゆる公共性の問題です。建設作業の改善勧告、命令に当たっては、公共性のある施設などの建設工事については、工事の円滑な実施について特に配慮すべきである。そうすると、お考えの中心は、公共性のあるものなら全部、いかなる振動を出しても住民はがまんしなさい、こういうようなことに通ずるのではないか、こう思われるのでありますけれども、私の考えは間違いでしょうか、これは二村先生、亘理先生、真鍋先生に伺いたい。簡単にイエスかノーかでいいです。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 この点のお答えなんですが、私は、その方の専門でございません。それから直接に委員会に出席しておりませんですが、基本的には、公共といいましても、こういう問題については個人の場合と、そう区別があってはいけないのではないかというのが私の私見でございます。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  私も、公共性と申しましても、緊急事態その他の場合というのが主だと考えております。その場合には、それぞれのしかるべきところ、地方自治体その他、実施するところで適当にお決めいただくというふうにしたつもりでございます。

真鍋正一日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長

○真鍋参考人 公共性のあるものから、どうしても出てくる被害、それをどういうふうに調整するかというような問題になると思うのですけれども、公共性自体が反省されなければいけないということは一遍、別にしまして、一応、公共性があるということにした上でのやり方というのが、まさに、いろいろなところでなされているわけで、公共性があるからといってストレートに被害を出し続けるということが許されなくなっている情勢ではないかと思うのです。そのためにといいますか、このことは、ぼつぼつ、かなりの数の裁判例が積み重なってきておるわけです。非常に有名な広島地裁、高裁の衛生センターの判決等々から。ですから、公共性があるということを前提にして、それじゃ、この程度の被害は、どういう形で改善していくか。そこら辺まではやむを得ないということが、どうして言えるのかというふうなことを、地域住民に十分納得させる手続が必要であろうと思うのです。それについて、もちろん官庁側からの介入も必要でしょう。ですから、法案のような形で、円滑な実施というものを非常に強調した形での規定で、しかも、それによって免責するような形の規定というのは非常に不適切だと思う。  先ほどから両参考人もおっしゃられたように、もちろん緊急事態というのは、これは話は違うと思うのですけれども、それについてであれば、もちろん当然のこととして特段、規定を設けなくたって、あたりまえのことではないかというふうに考えておるわけです。

島本虎三日本社会党

○島本委員 わかりました。ありがとうございました。  次、真鍋参考人いつも御苦労さんですが、先ほど、第四条の工場振動に関連して、これは時間の区分それから区域の区分、こういうようなことだけであって、府県条例を制約してはならない、引き下げてはならない、こういう御意見の開陳がございまして、全国一律の基準で引き下げるな、上乗せの条例を認めよ、こういうような御意見の開陳であったように思うのですが、これは私の考えが、もし間違いでなければ、公害関係の法律は、すべて都道府県、市町村条例の地方自治体の上乗せ、横出しは全部、認めるという、当初、何らか、こういうようなことがあったように記憶しているのです。この問題は私自身は、規制してはならないし、国の方を決めても、それより上乗せ、横出しはやってもいいんだ、 これはやってないのかと、今度は政府側をきつく追及しなければならない根拠になりますので伺いますが、この点は、やはり、そうなりましょうかね。

真鍋正一日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長

○真鍋参考人 法律の解釈につきまして島本先生がおっしゃるのは、私どもも、そういうふうに考えておるわけなんですけれども、しかし、実際の行政レベルで、いろんな条例立法サイド等々について、おっしゃるような形でいくかどうかということは大変、疑問があるのじゃないか。少なくとも、こういう形での規定ができた場合、特に騒音規制法での何条でしたか、違った観点から規制するのを妨げないという規定がございましたと思いますけれども、そういうふうな規定との対比の上で、実際上、法律を超えた条例が有効であるか無効であるかという問題を別にして、こういう規定ができ、こういう基準がしかれれば、実際問題として条例の改定が行われる余地は非常にたくさんあるのじゃないか。その意味で、やはり、この基準なり規制なりというのは条例を無視した基準だというふうに言わざるを得ないと考えるのです。

島本虎三日本社会党

○島本委員 私も基本的にそれなんですけれども、この工場振動の規制基準については、これは市町村に上乗せの権限を当然、認められなければならないし、本法案の四条でしたかを例にとっての御意見がございましたから、当然これは認めないとだめなんで、少しでも、それを規制するようなことがあってはならない、こう思うのです。したがって、これをやったならば、それ以上、厳しい条例はつくっても差し支えないんだ、私はそう思っていますよ。これは先生が言ったのと違いますか、私の気持ちと。やはり上乗せすると障害になりますか。もし、なったら、そこを直さなければならないので、私は、これができても都道府県の条例が上乗せも横出しもできるんだ、こういうふうに考えるのですが、少し、それを制限するような何かございましたら、この際教えてください。

真鍋正一日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長

○真鍋参考人 先ほども申しましたが、私ども日弁連、私もそうですが、日弁連の委員会としては、先生がおっしゃっておるのと同じように法律は理解しております。ただ、そうはいっても問題があるし、こういう形でやるぐらいであれば、もっと規制の下限値の方を引き下げておくのが妥当じゃないか、こういう意見でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それで今度は斎藤参考人、先ほどの御意見の開陳の中で、法案には運用面が大事であるということに関連して、第一の要件に挙げておられました特定建設作業や、その指定地域には、可能範囲を見定めてやってくれ、こういうようなことがございましたが、では、もう可能でないところはやらせるなと、こういうお考えなんですか。これはどこでも、指定されてあって、ここは大事だから、その場所には当然それ以上のやつは出してはだめだ、こういうようなのが法の一つの規制。しかし皆さんの場合は、可能範囲を見定めて運用してもらいたい、こういうような御意見だったようで、この真意はどこにございますか。

斎藤義治全国建設業協会技術委員会委員長

○斎藤参考人 私が申しました真意と申しますか、実際に、この手続をとってまいりますのは、建設を担当する者がとるわけでございます。その場合に、実際に手続をとりまして、それからいろいろと工事の実施について勧告なり命令なりということが、その後に出てまいりますときに、大変それが工事の実施におくれてまいったり何かして支障を来すことが予想されることがないようにというような意味のことをよく検討して実施していただきたい、そういう趣旨でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 では、可能範囲を見定めてやってくれというのは、業者のできる範囲以上に、これは運用面で決めないでくれと、こういうような意味に私がとったのは間違いでしたか。

斎藤義治全国建設業協会技術委員会委員長

○斎藤参考人 そういう趣旨ではございません。

島本虎三日本社会党

○島本委員 同時に、これはもう一回、真鍋参考人と、また斎藤参考人に伺いますが、指定地域になる前また指定施設に指定される前に、特定施設を設置している者については、一般の施設については騒音規制法同様の三年間の猶予期間を置いて、それから鍛造機などの政令で定めるものについては、特に四年の猶予期間ということを聞かされておりまするけれども、これに対しては甘いでしょうか、それとも厳しいでしょうか。これは真鍋参考人と斎藤参考人。

斎藤義治全国建設業協会技術委員会委員長

○斎藤参考人 いま先生が御質問になりましたのは、建設振動の方としての猶予期間というふうにおっしゃったのでございましょうか。ちょっと、それがよくわかりません。

島本虎三日本社会党

○島本委員 指定地域になる前また指定施設に指定される前に、特定施設を設置している者については、一般の施設については騒音規制法同様の三年の猶予期間を置いている。それから鍛造機の場合は政令で定めるものについては四年間の猶予を置く。その場合、これはきついですか緩いですか。

斎藤義治全国建設業協会技術委員会委員長

○斎藤参考人 私の方の建設工事の方の関係で申しますと、実際に、こういうものは猶予期間があることが実施上、私は必要だと思います。三年がきついか、きつくないかということは実際に何とも申し上げられませんが、どれだけ、それがその三年間に改善されるだろうかということの結果によって判定されるんじゃないかというふうに思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大体わかりましたけれども、まだまだ、この内容等につきましても、われわれ自身が十分、資料によって検討しなければならない数々の点があるようです。その中でも最後に一つ、二村先生に伺いたいと思いますけれども、資料の第二節に「公害振動と騒音との相関」について説明がありました。これは音が強ければ必ず振動もあります。水平であろうと鉛直であろうと、あるわけです。ことに騒音の場合には振動も伴うのは基地公害の場合なんかが多いわけです。大砲の音や飛行機の通った後、ファントムなどは、このごろ物すごく振動さえ伴う。こういうふうにして見ると、振動と騒音との相関関係というのは、今後も技術的にもはっきり究明しなければ、両方、切り離してというわけにいかないことになるんじゃないか、こう思います。ほとんどの振動は騒音なしに出ている振動があるだろか、こうさえ私自身、先生の参考意見を伺って聞いたわけでありますが、むしろ、これとは別々に切り離すものじゃない、双方やはり騒音あれば振動もある、振動のあるようなものには騒音も伴うのじゃないか、こうも思いますけれども、この点はいかがですか。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 お答えいたします。  実は騒音の場合には、多くの場合、単独に存在するのが騒音には多いのでございます。ただし、いま、ちょっと島本先生がおっしゃいましたような飛行機の場合、先ほども少し説明いたしましたのですが、これは超低周波音波というのを出しております。これは新幹線の場合なども、あるいは一般には風圧と言われているのですが、これもやはり超低周波音波を出しております。そういうようなことで、いま先生が挙げましたようなことの中には、そうなんでございますが、多くの場合には騒音は、むしろ単独に存在する。それで、その原因は振動でございます。しかし、その振動と申しますのは、私の書き物には公害振動という言葉と普通の振動ということを区別しているのでございますけれども、たとえば新幹線の防音壁が振動して、それは振動するために音が出る、原因は振動でございますけれども、いま、ここで問題にしておりますのは、公害振動という立場の大体、百ヘルツから以下くらいのことを、ここでは挙げております。それが逆に今度は、そういう百ヘルツ以下の、いわゆる公害振動というものがありますと、そのほとんどが、大半が騒音を伴っておる、こういうことなのでございます。それで実はこの騒音規制法が一方にあり、しかし、それでは振動規制法というものが一方にありませんと、両方を行政的にも技術的にも対処するのがむずかしいだろう、そういうことで、このテーマといいますか、第二節に、そのことを強く言ったわけでございます。  ただ、ちょっと、くどいようですけれども、騒音はかなり公害現象として、これは単独に起こっている、その方が多いわけでございます。これは昨年、一昨年あたりの各地方自治体で上がっております公害苦情件数などを見ても、騒音と振動公害というのを、この苦情件数で見ますと、多分、一けた以上に違う値が上がっております。それで後者の少ない方には必ず騒音が伴っている、そう御理解いただきたい、かように思うわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 どうもありがとうございました。もう時間です。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 それでは、島本君の質問は終わりました。  次は、土井君。

土井たか子日本社会党

○土井委員 本日お忙しいところを御出席の参考人の皆様に、まず御礼を申し上げて質問に入りたいと存じますが、まず亘理参考人にお聞かせをいただきたいのですが、専門委員の中には国鉄の方もいらっしゃるようであります。また、騒音振動部会にも国鉄の方がいらっしゃるようでございます。ところが、きょう西宮や尼崎の方から出されました意見の中には、新幹線について地元と国鉄側との間で回答書あるいは覚書というふうなものがあって、具体的にどうしたいという意思表示を、国鉄側は、その文書によってなされているという事実が、ここに述べられているわけでありますが、かつて審議の場所で、そういうふうな意見が国鉄側から述べられたことはございませんか。いかがでございますか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  専門委員の中、及び部会に、国鉄の方が委員でおられるということはございます。ただ、いまのお話のようなことは専門委員会ではございませんでした。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると専門委員会の中では、そういうふうな御意見が国鉄側から全く出なかったわけでございますね。そうすると、亘理参考人とされては、新幹線周辺にそういう問題があったという事実は、きょう、この場所で初めて御存じになったことでございますか。いかがでございますか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 余り記憶、確かでありませんが、委員会外で、うわさの程度に聞いたことは私個人ではございますけれども、何といいますか、正式には伺っていないということでございます。委員会以外でも。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そこで亘理参考人にお伺いしたいのは、やはり、こういう規制値を決定するに当たって大事なのは、そこにお住まいの住民の方々の現状だと思うのですよ。どういう被害が現実に起こっていて、また、そういうふうな問題をめぐって当事者間で、どういうふうな取り扱い方が、いままでになされてきているかという事実に対しての確認というのは、私はまことに大事な問題だと思うのですが、そういう点の配慮が、いままでの審議会の席で、あるいは専門委員会の場所で、十分になされてきたというふうに委員長としてお考えになっていらっしゃるかどうか。その点、少し酷なようか知りませんけれども、ひとつお聞かせいただきたいと思います。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  委員会としましては、その被害その他については十分の資料をいただいたつもりでございますし、現地視察なども私はやっておりまして、これは、この委員会の委員長ではございませんで、別の委員会の委員長というときに西宮、尼崎の現地視察等もやっておりますので、一応、住民の方々の苦情に関しては、かなり情報をいただいたものとして取り扱いました。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ところが、きょう、ここの場所でも尼崎や西宮から御意見として出ましたとおりで、約束値というのが、すでに国鉄との間にあるわけですね。住民の方々からすれば、新幹線の振動などについては、その約束値というものを守っていただかなければならないということが目下、一番、生活の認識としてあるわけであります。だから、それから見ますと、今回の答申なり、あるいは法案というのは、かけ離れたところにある。一体、何のためのこれは答申であり、一体だれのための法案なんだろうというふうな率直な気持ちが住民の方々の中にあっても、私は不思議ではないと思うのですね。そういうことからいたしますと、先ほど尼崎からもおっしゃいましたし、西宮からもおっしゃいましたけれども、いまある国鉄との間での約束値というのは、約束値として国鉄には守っていただかなければならない。本来、今度の法案に先駆けて、この約束値が厳然として約束値として別にあるというふうに認識をいたしましてよろしいか。いかがでございますか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  私は約束値のことは存じませんのでございますが、ただ、新幹線のあの数字を決めましたのは、先ほど申し上げましたように多少、資料の不足するところが、つまり振動の状態についての調査資料でございますが、不足するところがございましたが、一応、新幹線沿線に沿うて、いわゆる等デシベル曲線といいますか、七十五デシベル線というようなものを引いて、その範囲をにらんで、当然、新しくあるべき姿の新幹線としましては用地境界あたりで六十五とか七十という数字があると思いますが、とりあえずの暫定としては七十という数字を決めたことで、七十以上のものがかなりありますので、それに対して何らかの措置を早急に打ちなさいという意味だけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると、それで早急に何らかの措置を講じなさいという意味だけだとおっしゃっただけの規制しか、今度は期待できないわけであって、やはり住民の方々からすると、こういうことで十分、措置を講じていただいているなんというのは、とても言えないということで、私は後々もっと強い要望が、その地域の住民の方から当然出てこようと思うのです。そういう点から、やはり専門委員会とされても、住民の方々の具体的な生活の中で抱えていらっしゃる事実に対しての認識というのを十二分に配慮の中に置いていただく必要があろうかと思うのですが、先ほど尼崎の方から、この新幹線問題についてお触れになった御意見を拝聴させていただきましたけれども、具体的に、いろいろ私も尼崎や西宮などで伺いますと、新幹線が開通した後、七十デシベルの周辺においても二十年間は大丈夫だろうと思われる住宅が十年ぐらいしか、もたない。それからさらには、建て増しをすることを考える場合には、二階は建て増しに適当ではない。いろいろ住宅条件が他の一般の住宅地とはまるで違うというふうなことが現実にあるようでありますが、そういう状況について、どういう御苦心を尼崎市は市当局として、いままでに重ねていらっしゃるか。また、具体的な事例として、いま私が申し上げたようなことが事実としてあるのかないのか、そういう点を少しお聞かせいただきたいと思います。尼崎の桜井参考人いかがですか。

桜井康雄尼崎市公害部騒音課長

○桜井参考人 お答えいたします。  午前中の説明の中でも申し上げましたとおり、山陽新幹線につきましては、われわれ測定器をもってはかりますと、ここに示されておるような数値は、なかなか出てこないわけでございます。ところが、被害の現実として地元の声を聞きますと、いま土井先生がおっしゃいましたように、いろいろな形での不満があるわけでございます。  それで、先ほど専門委員の方もおっしゃっておりましたが、いわゆるなれという問題が、その辺にあるのではないか。泣き寝入りと申しますか、仕方がないという気持ち。われわれが住民の家で話をしておりましても、やはり通ったときに振動がはっきりと窓とか建屋についてあるわけでございます。それらが長い間の蓄積によって、新しい家はともかくといたしまして、新幹線が開通いたしました当時すでに十年であるとか十五年であるとか、たっている古い家が、その後そういうような微振動と申しますか、〇・五ミリ前後でございますが、その辺の振動にさらされた場合、やはり問題がある。いわゆる建設時点においての補償というのは済んでいるようでございますが、それ以後の対策というものがなされておらない。そうすると、その周辺の人家にとっては、このままで新幹線が通っている間は救済できないという形で、しかも今回の七十デシベルというような高い値になると全く入ってこない、こういうようなことがある。それについて特に新幹線については、そういうことがあるのではないか、こういう認識を持っております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 先ほど二村参考人は非常に懇切丁寧に、今回われわれが審議をいたします振動規制の問題と騒音の対策の問題は相関関係にあるという御説明を賜ったわけなんですが、騒音との相関関係ということからいたしますと、騒音規制については、工場であるとか建設工事であるとか自動車騒音であるとか、それからさらには、不十分ではございますけれども航空機騒音については、それぞれ法上の規制というのが具体的に、もうあるわけなんですね。ところが、ここで先ほど来、問題にいたしました新幹線について、つまり鉄道騒音は、いまだ規制されていないという問題があるわけなんですが、これは二村参考人の、きょう、ここでおっしゃいました御意見からいたしましても、新幹線の振動規制ということをやっていく上から言うと、片手落ちもはなはだしいのではないか。十分なる振動規制ということを、これで万全を期してやることができるかどうかということになると、はなはだ心もとないのじゃないかという気がいたしますが、その辺の御意見を少し承りたいと思います。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 私、一言で申しますと、よく日本の環境庁が、この振動規制法ということをつかまえて、これを法制化するといいますか、なさったと思います。これは先ほど一番最初の質問でございましたでしょうか、ほかの国にあるかというような問題がある。これは私は考えてみますと、実は先月、私が参加しました騒音の国際会議、これはインターノイズと略称しておるのでございますが、昨年、仙台で開きました。ことしが第六回目になるのでございますけれども、実は振動の問題というのをその国際会議で取り上げたのは、昨年の仙台が初めてなんでございます。日本の、ある意味で特有な問題として提起されている問題でございます。しかし世界各国で、なかったわけではございません。その証拠が、ISOでも、もう十数年来、取り上げておる問題で、その中にやはり日本がシビアな状態にあるということですので、たとえば人体感覚というようなことも、日本での研究資料が、かなり基本的なISOの基準に組み込まれているようなことで、日本が大変、進んでおるといいますか、それだけシビアであったという、これが証明なんでございますけれども、そういう意味で、振動規制ということを世界に先駆けて今度、取り上げた、これは評価されていいと思います。ただし、そういう問題が日本に古くありながら現在まで、こういう形にならなかったというところに、技術的な問題、評価の問題とかということで、いろいろ問題があった。  そこで、騒音の方につきましては、これはかなり古く、また評価などもかなり、はっきりしておりますので、御存じのように環境基準、これは普通の環境基準それから自動車についても、できております。それから自動車の排出基準もできております。それから飛行機につきましても新幹線につきましても環境基準ができておる。それから規制の方は工場関係、それから要請基準もある。そういうことで、ずっと進んできているわけであります。今度できましたのは、たとえば今度の新幹線の七十というのは、騒音の場合で言いますと、数年前にできました暫定指針といいますか、これは八十デシベルでございます。それに相当するものが、ようやく今度ここで制定されたといいますか、そういう指針が与えられた、そういう対応がつくわけです。  ですから、当然そういう意味では一つの進歩だとは思うのですが、私、先ほど申しました環境基準を早くつくってほしいというのは、やはり騒音と対応する意味で、そういうものが実質的にできませんと、本当の機能化は無理だろう、これは先生のおっしゃるとおりでございます。しかし、いまの段階で、こういう形で振動について世界に先駆けて、できたということについては、評価してもらっていいのではないか。  ちょっと逆なお答えになりましたけれども、私は一応そんなぐあいに考えております。しかし、将来を踏まえては、やはりこれは規制であっていいのかは、これは問題はあると思います。これは、むしろ先生方に考えていただく問題だとは思うのでございますけれども、暫定指針だけでは済まない問題である、そんなぐあいに思っております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 もう一つ、現実の問題として非常に大きなのは、やはり道路交通の振動の問題だと思うのですが、道路交通振動についての測定値の決定方法というのに、これは現実の問題として、かなり問題があるように思います。きょうは特に国道四十三号線の周辺の問題や、あるいは名神高速道路の問題や百七十一号線や百七十六号線、国道二号線等々のことを取り上げて、西宮、尼崎からの御意見が出たわけでありますが、この八〇%レンジの上端値ということになりますと、実際の振動値はさらに大きくなるというふうに考えなければならないと思うのですね。それが特に国道周辺で、既設の幹線道路で特徴は何かということを言われると、私は特に夜間の大型車がのべつ幕なしに通るというのが一大特徴だと言わざるを得ないと思うのです。そういう点からいたしますと、第一種区域の夜間の値に第二種区域の夜間の値を適用できるような緩和条項というのが入っているというのは、まことに、もってのほかだという思いで一つは見るわけでありますが、いかがですか。西宮と尼崎から私はお声を聞きたいのですが。  これはやはりピーク値で考えていくべき問題じゃなかろうか、振動についても。恐らく振動についても、いろんな苦情が出るのは、いつも、ここにあるところの八〇%レンジの上端値というところで出るんじゃないんで、どかっとくる、あのピーク時の振動が一番強い衝撃を与えて、苦情のもとになっているんじゃなかろうかと思います。特に、その苦情は、やはり夜間の大型車に対して向けられているという部面が非常に多いと思うのですが、そういう実態なり、また、いままで、その実態に対して払われてきました、いろいろな御苦心なり、ございましたら、ひとつ西宮、尼崎からお聞かせをいただきたいと思います。いかがですか。

小田忠彦西宮市助役

○小田参考人 お答え申し上げます。  ただいま、おっしゃいました住民からの苦情と申しますのは、どういいますか、道路の通過の衝撃というピーク時が、やはり一番住民からの要望が強いわけです。そういう延べの時間帯の中でも特に夜間、私も二号線のそばに住んでおりまして、移転されず、まだおりますが、やはり朝方の二時から三時、四時、そういう時間に大きな車が通りますと、どうしても衝撃がありまして、その点をとらえて、やはり市の方に、いろいろ行政的な問題で申してこられます。  そういうようなことで、いろいろありますので、まず、これについては、四十三号線については大気汚染、振動、騒音、そういう三つの公害があるわけです。そういう点で、いろいろ調査もいたしまして西宮、尼崎、芦屋と、いわゆる二百人を、さきにも申しましたように無作為に抽出しまして、そういうものを各市の保健婦をもちまして調査いたしました。そういう点もありますし、いろいろ、そのほか振動に対する要請ということで国の方にも要請いたしておりますが、なかなか道路の改修とか、そういうものはできぬわけです。常にそういう公害をわれわれは聞き、市で、できるものといたしましても、ほとんどありませんで、すべて国という対策になりますが、そういう点で現実に細々、申しましても時間がかかりますが、そういうようなことで常々われわれが苦慮しているという点は多分にございますけれども、よろしく御配慮願いたいと思います。

桜井康雄尼崎市公害部騒音課長

○桜井参考人 ただいまの実情について、ちょっと触れてみたいと思うのですが、四十八年の測定で尼崎市で行いました測定結果でございますが、これは九〇%レンジでとっておりますので多少、八〇%レンジより高くなっていると思いますが、たとえば九〇%レンジの上限が〇・一八という数字があるわけですが、そのときのピーク値を見てみますと〇・九あるわけですね。したがいまして、そういうときに苦情が来るというふうに、われわれは認識を持っております。  これを、さらに八〇%レンジに下げますと、全体的に値が下がってしまう。ところが実際にはピーク時はもっと高い値が出ているんだという事実でございますが、こういうような中で夜間の大型の状況をちょっと御披露申し上げますと、五十年の八月二十六日から八月二十八日にかけまして、私どもの方で三昼夜ぶっ続けに測定をしてみたわけでございます。このときの四十三号線の八月二十八日の台数が九万五千四百九十台、それから八月二十七日でも九万一千七百七十三台、総数でございますが、時間当たりにしまして最大が七千三百十一台、それから最低でも四百九十四台、一時間当たりでございます。  このうちの大型混入率でございますが、三日間通じまして最高の時間帯は、四時から五時というのが五九%から六一%の大型車が混入しておる。それから一旦平均でとりますと、三日とも二七%でございます。それから最低、いわゆる総数に対する大型車が最低になる時間帯と申しますのは、午後五時から六時ないし六時から七時でございまして、八%から一〇%でございます。  これを見ていただいてもわかりますように、夜間の大型車の混入率が高い。もっとも絶対数が減りますので多くなるという点もございますが、昼夜の振動測定結果を見てみましても、そういうことを考慮いたしましても、ほとんど変わらないわけです。というのは、昼夜やはり大型車が走っておる、それによる振動が主ではないかということが推察できるということでございまして、われわれ、西宮市、芦屋市ともども、国に対して大型車の規制ということを、特に夜間の大型車の規制について何とかしていただきたいと、警察当局にも、いろいろと陳情を重ねておるということでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 先ほど来この問題を取り上げられて、何度か、ここでの御質問の中にも出たわけですが、今回の規制値、要請基準、暫定指針、いずれを見ましても法規制を伴う規制値という点に、やはり重点を置かれておると思うのですが、そういうふうな点から考えていきますと、いまのような規制のやり方で、果たして効果を上げ得るかどうかというのは、多分に問題にされてよい点だと思うのです。  すでに日弁連の方の意見書の中にも、この点は明確に出されておりますけれども、違反に対して直接、強制する措置がないわけですね。これは勧告、改善命令を経て罰則が具体的に、その上で考えられていくような体制になっておりますし、いずれも、これが知事の裁量にゆだねられるという点が、ひっかかりとして出てまいりますから、知事が、全国一律のこういう規制の仕方でよろしゅうございますというふうな場合には、これでスムーズにいくかもしれませんけれども、気骨のある知事が、現にあるところの、その特定の県の公害防止条例からすると、むしろ今度の法律を実行することによって規制緩和につながるというふうな場合は、多分に、この場合の勧告や改善命令などの中身も、ずいぶん違ったものになってくると思うわけです。  こういうふうな場合、ひとつ真鍋参考人にお伺いをしたいと思うのですけれども、現にあるところの公害防止条例などの中身の方が、いま問題にされつつあるところの法案に比べまして厳しい規制値を設けているというふうな場合、ここに言う勧告や改善命令というのは、この法案の命ずるところではなく、その特定の地方自治体の公害防止条例に基づいて、知事はやっていいことになるのか、どうであるか、この点いかがでございますか。

真鍋正一日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長

○真鍋参考人 条例の規制そのものについては、先ほども意見を申し上げたんですけれども、それに基づいて改善命令、勧告命令ということになると、やはりおっしゃるように条例にその種の規定がある場合には、条例に基づいてということになるんじゃないかと思うのです。私どもの考え方では、先ほどのように横乗せ、上乗せというのは適法じゃないかというふうに考えておりますので、当然その点もそうなるんじゃないかと思います。ただ、そういう勧告、改善命令についての条例の規定がなければどうなるかということは、ちょっと、むずかしいことになるんじゃないかと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 非常にむずかしい問題になってくると思うのですが、法律と条例をめぐる問題というのは、常に問題として取り上げられ、これは力関係で事が決していくような状況がいつも繰り返しあるわけですけれども、真鍋参考人とされては、そういう場合は、どのように考えていったらよいというふうにお考えになっていらっしゃいますか。

真鍋正一日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長

○真鍋参考人 まあ異論もあるかと思いますけれども、やはり条例を改正するのが手っ取り早いんじゃないかと思います。それよりも、先ほどから申しているように、この法律案に基づく基準を条例にも取り込む形で幅を広げて基準にしていただくか、あるいは上乗せ条例についての規定を明記していただくか、従来からの約束があるとかいうふうに島本先生おっしゃっていましたので、むずかしいのかもしれませんけれども、そういう方がよりベターじゃないか。そうでなければ、それこそ、やる気があるんであれば条例を改めて、できるようにするということで、やっていかれるのがいいんじゃないかと思うのですけれども。

土井たか子日本社会党

○土井委員 兵庫県の場合は、この工場振動なんかについて公害防止条例の例などを見ていきますと、第一種区域の夜間を中心に、ずいぶん今回の答申よりも厳しい規制が現に行われているという場合の一つになっておりますし、場合によりますと、この工場振動なんかについては許可制をとっているというふうな具体的な中身を持っているわけなんですが、きょう、ここに御出席の桜井参考人に、その辺、少し具体的に、御存じであればお伺いをしたいと思います。

桜井康雄尼崎市公害部騒音課長

○桜井参考人 私どもの尼崎市は兵庫県でございますので、兵庫県の公害防止条例というのがございます。その中の工場等に関します規制の中で許可制を採用しているわけでございます。たとえば振動について申しますと鍛造工場という例がございます。今回の法案の中身は一応、届け出制ということでございます。したがいまして、県条例を改正して、むしろ弱まった形にせざるを得ぬという形になるんではないかと予想しておるわけでございますが、住民から申しますと、ちょっと言い方が適当かどうかわかりませんが、既得権というような形で許可制ということを獲得しておるということになるわけでございます。そういうような形で、特に騒音、振動については地域の特殊性というものがあると思いますので、全国一律的な考え方ではなくて、それぞれ先発しておる地方自治体の考え方なりは尊重していただいて、それらの規制が生きるような形の法案にしていただきたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 この道路交通振動については要請基準ということで、あくまで要請という条件がついておりますから、こういう問題に対しても、厳しくこれを義務づけて強制していくというふうなことには、なかなか、ならないのかもしれません。しかし、せっかく指針が設けられた、その指針に従って事を動かしていくということを考えますと、現に知事は要請を別に義務づけられてもいないし、要請を受けた道路管理者や公安委員会も措置を義務づけられてはいないというふうなことになってきますと、どうもこれは、それじゃ具体的に指針を動かしていく場合に、どの辺に責任が、どの程度あるのかという問題も出てこようと思うのです。少し建設的に考えて方向を打ち出したら、指針についても、いまある法案よりも少しは実効性を促進することになりはしないかという案を、もし、きょう御出席の参考人の皆さまの中でお持ちでいらっしゃるならば、ぜひお聞かせいただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 どなたかお持ちの方ございましたら。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それでは亘理委員長いかがでございますか。やはり専門委員長として、いままで考えていらしたわけですから。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。その前に、ちょっと先ほどのお話の中でL10ということについて補足説明を。  あれは不規則振動といいますか、この資料で三十五ページに振動の波形が書いてございます。定常的な振動というのは、このようにわりあいに大きさのそろっているやつです。不規則というのは非常にでたらめなやつでございますが、こういうような振動の評価は、どうしても統計的な処理をしなければなりません。その場合に、日本ではL5とL95、L10とL90——L50は、もちろん平均値でございますが、使い方が全然逆なのと全部、混同しておりまして、この委員会としましては、たとえばL10が七十ということは、七十デジベルを超えるものが時間の比で一〇%であるという方をとっております。あるいはL5というのが七十という場合は、七十デシベルを超えるものが五%の時間比だということですが、従来、騒音などでは、それをL95つまり七十デシベル以下のものが九五%ある、そういうような使い方で、これも委員会としては困りまして、一応、世界的な傾向を見ましてしなりL10をとろう。それからまた、いろいろな理論的な計算や何かで換算式もございますので、そういう面からはL10をとった方がいいだろう。あるいはイギリスとかアメリカあたりでも大体L10とかL90というのを使ってあらわすという方向にあるというような文献もございますので、これは一応この委員会としましてはL10をとりまして、今後しかるべき学会等において、どういうものがいいかは決めていただきたいと思っております。  ただ、この説明書の中で(P)と書いて、それと五デシベル違うということを換算しておりますが、このL5(P)は、いま申し上げましたL5とは違いまして、不規則振動のピーク値ばかりを、たとえば百個とりまして統計処理をしたということです。ですから五デシベルくらいの違いで換算したわけで、もし実際の道路交通振動等をはかりましてL10とL5ですと、この中に図が一例ありますが、これはちょっと説明のための絵で、騒音の絵をそっくり持ってきております。L10とL5で大体二デシベルぐらいは違うということでございまして、まあ振動計の誤差その他を考えますと、そんなに違わない値である。しかもその変動の最大値をあらわすのにL10が適当だということのほかに、L10の方が安定した値が得られる、そういう利点もございまして、L10といたしたわけでございます。  それからもう一つは、兵庫県あたりで、振動ですが大変、厳しいゼロミリメートル毎秒、これは常時微動が四十デシベルもあるような場合に、常時微動まで規制なさるのかというようなお伺いを、むしろ、したいわけでございます。常時微動といいますのは、いろいろ、はかりまして大体いつも四十デシベル以下の値を持っております。ですからゼロミリメートルという規制というのは科学的にはちょっと、おかしな数字だろうと私は思います。まあそれを、もし厳しく抑えられるのであれば、五十デシベルとか、そんな数字が下限になるべきだろうと私は思っております。  なお、このようなことが出まして、もし道路交通振動で苦情がありましたら、たとえば道路に何か大きなうねりだとか段ができれば、これは、はかれば明瞭に出てまいりますから、すぐ、その道路管理者に対して改善をさせることができると私は考えております。  ですから、何といいますか、数字には御意見があるかもしれませんが、方法としては、やむを得ないのじゃないかというふうに思っております。  なお、先ほどからピーク値をとるべきであるというようなお話もございましたけれども、先ほども申し上げましたように不規則振動としての処理でありまして、そのためには、かなりの交通量がなければならないということが前提になっております。ですから、この本文をよくごらんになりますと「原則として」となっておりますので、夜分などのように、だんご運転でかたまってきて、大きなピークごとに間をおくような場合には、必ずしもL10の方式じゃなくて、ピークをおとりになるということもできるようにしてあります。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いまのは八〇%レンジの上端値の決め方について、L10とL5の御説明だったわけですが、先ほど来、私がお伺いしていたのは、道路交通振動について、これが要請基準だということでしょうか、知事は要請を義務づけられていない。道路管理者も公安委員会も措置を義務づけられていない。したがって、この要請基準を設けたというふうなことについて、それを守らせていく責任主体というものが、どうもはっきりしない。どうなんでしょう、この要請基準を具体的に、いまの法案より以上に何か効率よく実効性を上げていくというふうなことのためには、これよりも、もっとこうしたらいいじゃないかというふうな御意見を何かお持ちになっていらっしゃいませんかというふうな意味で、亘理参考人にお尋ねをしていたわけなんでございまして、その点はいかがでございますか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  委員会は諮問されたのが要請基準でございますが、もし私個人の考えだけを申し上げてよろしければ、私自身としては、いわゆる排出基準といいますか、そういう考え方でしかるべきだと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 まだ、いろいろ問題点はあろうかと思いますが、実は、きょう御出席になり具体的な御意見もここで聞かせていただいた裏づけになる資料を、西宮市助役の小田参考人、さらに尼崎市公害部騒音課長の桜井参考人に、ひとつ資料として当委員会にいただくことができれば幸いだと思います。それは、四十三号線の問題とか、それから新幹線についての問題とか、先ほど来、何かいろいろと現地での調査の結果を具体的な数値を挙げて御意見としてお述べになりました。その裏づけになる資料が、もし市の方でお手持ちとしてあれば、これから振動の法案について審議が進むわけでございますから、その中で活用する一つの資料として当委員会に御提出をいただくことができれば幸いだと思いますけれども、これは御承知いただけますか、どうですか。委員長、それは資料として、ここでお願いをしてよろしゅうございますか。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 西宮市、尼崎市で道路振動について調査をされた資料を、先ほど、その一部分を述べられたけれども、できましたら全資料を委員会にいただけないか、こういうことですね。いかがですか。

小田忠彦西宮市助役

○小田参考人 結構でございます。

桜井康雄尼崎市公害部騒音課長

○桜井参考人 いま、ここに持っておりませんから、帰りまして取りそろえまして御送付させていただきたいと思います。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 委員会あてにお送りくだされば結構です。あるいは、いまお持ちならば、お持ちのものを一部、置いていただけば、こちらで……。

桜井康雄尼崎市公害部騒音課長

○桜井参考人 帰りまして送ります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 それでは皆、帰りまして送りますということですから。

土井たか子日本社会党

○土井委員 私は、これで一応、質問を終えたいと思いますが、先ほどL10とL5についての御説明を亘理参考人からお伺いをいたしましたが、日弁連の方が意見書の中で、この点をやはり取り上げていらっしゃるわけですが、亘理参考人の出されてまいりました御説明と同趣旨のお考えでL10やL5については、いままで検討を進めていらっしゃいましたか、いかがでございますか。その点、一つだけお聞かせいただいて、終わりにします。

真鍋正一日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長

○真鍋参考人 L5、L10それぞれの考え方は変わらないと思うのですが、私、先ほど申しましたように、従来からの資料が防がほとんどであるのにかかわらず、ここでL10で規制したということについて大変、数字の魔術的な感じを受けて、それが意見書になっているわけです。もちろんL10でも、騒音についての中央値の評価よりは、やはり一応、前進したものだという受けとめ方、これは意見書の中に書いておりますけれども、そういうことでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 終わります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 土井君の質問は終わりました。  次は、米原昶君。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 亘理参考人にお伺いします。  鉄道の振動の問題ですが、新幹線を除く在来線の鉄道振動については、四十八年の「振動公害に係る法規制の基本的考え方等について」という諮問に対する中公審の答申の段階で、すでに対象外とされていたわけですが、武蔵野南線の例や地下鉄丸ノ内線の例でもわかるように、相当の被害が出ておりますが、これを外した経過、四十八年の答申で、なぜ外されたのか。また、その根拠について見解を伺いたいと思います。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  私が中央公害対策審議会委員に任命され、この振動専門委員長に任命されたのは四十八年より以後でございまして、その以前のいきさつは存じ上げておりません。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 わかりましたが、そうしますと、委員長は知られないかもしらぬけれども、いままでの経過として、どういうことだったか御存じありませんか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 存じません。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 もう一つ、この振動公害では物的な損害が非常に顕著なわけですが、この物的な損害の補償のあり方について、委員長としての見解があれば聞いておきたいと思います。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  ちょっとお答えにはならないと思いますが、補償という意味は、対策的に、たとえば家屋の振動倍率が非常に大きい場合に、その倍率を減らしてあげるというようなことは可能かと思います。ただ、先ほど、ちょっと申し上げましたが、それもどうしても困難な場合もございますが、その場合には、出す方の振動がわかっていれば、その振動数を変えるということも可能ですが、そちらの方には非常に難点があると思います。と申しますのは、建物みんな固有値が違っておりますので、したがって、その固有値を変えることが不可能であれば、場所を変えるというようなことはやむを得ないのじゃないかと思いますが。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 次に、道路の振動の問題ですが、振動と相関関係にある騒音について、道路周辺の騒音の改善の見通しが、実際には一向に現在できていない。五年以内とした環境基準達成もほとんど無理なわけですが、この道路周辺の振動の基準について、今回の提案されている法案ともあわせて、基準達成の見通しはどうなのか、見解を伺いたいと思います。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  私もよく存じませんが、道路交通騒音の場合には、たしか環境基準を満たしているのが十数%で、要請基準を満たしているのは七、八〇%というふうに伺っていますが、振動につきましては、きょう、ここにお示ししています要請基準というのは、何年ぐらいで満たされるかという見当は、金をいかにつぎ込むかという問題で決まりますので、振動防止というのは非常に費用がかかることでございますが、その見当がつきませんと、ちょっと想定はつきません。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 航空機の振動について、もう一つ、ちょっと聞いておきたいのです。  航空機の振動では、大阪空港周辺ではジェット機の通過時に百ガル以上、すなわち百デシベル前後の振動があると言われておりますが、これについて中公審では、どのような議論がされたのか。また、それについての委員長の見解を伺いたい。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  これは先ほど二村教授のお話がありましたが、いわゆる非常に極低周波の振動、インフラサウンドと言っておりますが、その振動問題は今回では取り上げておりません。ただ今後、早急に、その基準をつくるべきだという意見は委員会でございました。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 それでは星川参考人に伺いたいのです。  先ほどの説明の中で、深刻な被害状況だけは相当聞きました。しかし、道路の騒音、振動は、工場や建設などと違って夜中も続くし、そうした点で、いろいろ要求があると思うのです。先ほど被害状況を聞きましたけれども、具体的に、どのようなことを要求されているのか、はっきりしなかったので、その点を伺いたいと思います。

星川幸市大田区から公害をなくす会代表

○星川参考人 先ほどは大変、失礼いたしました。  環状七号線は、もう年じゅう夜昼なく同じような状態でございます。それで、車の方の総台数と大型車の台数が、時間帯によって違いますけれども、やはり夜中に多いということは確かに言えると思います。それで最低限度、眠るための時間を、ぜひ何とかおつくり願いたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 ではもう一つ。そういう地帯におられて実際の経験から、騒音については昭和四十六年に環境基準がつくられたわけですが、この五年間、騒音、振動について被害の状態はよくなっているのかどうか、そういう実感を伺いたい。

星川幸市大田区から公害をなくす会代表

○星川参考人 被害の実態でございますか。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 実態です。騒音基準が昭和四十六年につくられた、そうした中で、この五年間に、前と比べて少しでもよくなっているのか、むしろ悪くなっているのか、そういう点です。

星川幸市大田区から公害をなくす会代表

○星川参考人 これは非常に悪くなっております。ということは、前は大型車というものが余り大型化されてなかったものですが、最近ではトレーラー車と申しますのはコンテナを二つもつけて通ります。それが何台も交差しますので、まあ騒音と振動は伴わないようにおっしゃっている場合もあるけれども、まず最初に騒音ががあっと来て、それで振動が来ます。それが三十メートルぐらいのところから発生しまして、真ん中に行って、また三十メートルまで、それが余震でこうなっております。そういう状態でございます。  道路の点も、あの辺はもう、すぐ悪くなりまして、さっきも申しましたけれども、オリンピックのときに直したのが、中心部が二回も掘り起こされまして、そして簡易舗装という形で現在に至っておるわけでございます。それで、ある程度、固まってから直しますということは私も聞いておりましたけれども、いまだに、それは実行されておりません。その点、早急に何らかの方法で対策を講じていただきたいと思います。  以上でございます。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 次回に移しますから。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 米原和君の質問は終わりました。  次は、木下元二君。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 真鍋参考人に伺います。     〔委員長退席、田中(覚)委員長代理着席〕  公審の答申が出たわけでありますが、これによりますと、振動に関して定めた地方公共団体の条例に比べても、ずっと甘いということであります。この点は、はなはだ不当であると思うわけでありますが、日弁連の方から出ました意見書を見ましても、たとえば、こういうふうに述べております。「この答申に従えば、既に各地で行なわれている公害防止条例による規制が、後退するものと懸念される。」「神奈川をはじめ大阪、兵庫などにおいては、第一種区域の夜間を中心に答申よりも厳しい規制が現に行なわれている。」「この様な形で、地域的な規制を引き下げようとする如きは、公害対策を住民の健康と生活環境を保護するためのものと考える限り、到底許されない」というふうに述べておられますが、私も全く同感であります。たとえば工場振動の規制値について申しますと、答申では、第一種区域では夜間五十五ないし六十デシベルであります。しかし、これは多くの条例がとっている夜間の住居地域での規制値〇・一ミリ・パーセカンドを大きく上回っております。この点も意見書に指摘されております。そして、こういうふうに書かれております。「振動規制法が施行されて右基準値通りの値が政令で定められることになれば〇・一mm/secと定めている各条例は改悪後退を余儀なくされることになりかねず、この点において著しく不当である。」というふうに述べておりますが、私も「著しく不当である。」という結論は、そのとおりと思うのでありますが、ただ、この場合、一体、法制的にはどういうことになるのかということを説明願いたいと思うのです。つまり振動規制法による政令で定められた基準値と、それより厳しく定めた条例との関係は、どういうことになるのかという問題であります。  これは先ほども少し言われておったのでありますが、四条というのがあるわけでありますが、この四条によると都道府県知事は、環境庁長官が特定工場等において発生する振動について定めた基準の範囲内において規制基準を定める、こういう仕組みであります。それからまた、先ほども少し言われておりましたが、たとえば騒音規制法というのがありますが、騒音規制法は大体、振動規制法と同じような仕組みを全体的にとっておりますけれども、たとえば二十八条というのがありまして、これでは「地方公共団体が、指定地域内に設置される特定工場等において発生する騒音に関し、当該地域の自然的、社会的条件に応じて、この法律とは別の見地から、条例で必要な規制を定めることを妨げるものではない。」という規定であります。     〔田中(覚)委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、このような規定は今度の振動規制法にはないわけであります。これがないかわりに、かえって逆の規定があるわけであります。それは二十四条というのが置かれています。この二十四条というのは、特定工場等以外のもの、または特定建設作業以外のものについて発生する振動等に関して、条例で必要な規制を定めることを妨げるものではないという規定ですね。つまり、これは裏から規定しておるのでありますが、これは特定工場や特定建設作業から発生する振動などは、条例で必要な規制ができないという規定であります。  こういう規定をずっと考えてみますと、この振動規制法が新たにできますと、これはもう当然、より厳しい条例は改悪、後退を免れないのではないか。「改悪後退を余儀なくされることになりかねず」というのではなくて、当然、改悪されてしまう、後退してしまうということになるのではないかと思うのでありますが、この点について、ひとつ法制的にどういうことになるか伺いたいと思います。

真鍋正一日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長

○真鍋参考人 大変むずかしい問題で、私どもも、この問題について若干の議論をしました。それから、この問題につきまして従来、確定した裁判例が、たしか、まだ出てないように記憶しておるのであります。それにもかかわらず、各地の公害条例の制定過程で、いつもと言っていいぐらい、この問題が問題になり議論されてもいるようなんだと思います。ですから私どもは、そういうふうな理解ではなしに、この二十四条ないしは騒音規制法の、先ほど先生おっしゃられました二十七条の第二項に、この二十四条と同じような規定があるわけですけれども、こういう規定にかかわらず後退するのではないかという考え方をしなければならないとは必ずしも考えないわけなんですけれども、一つの考え方は、その場合に条例と法律の上位、下位の関係のみではなくて、先法、後法の関係がありまして、法律が制定された後で制定される条例についての制約はそうであっても、従前の条例が当然に改悪されなければならないということはないという考え方があると思うのです。私ども、みんなで議論したわけでありますけれども、必ずしも共通の、どういう法律上の根拠で、どういうふうにというふうな結論に至っていないわけですけれども、ただ、問題指摘として、少なくとも非常に危険なやり方であるし、条例の都道府県の従来の実績というものを踏みにじった考え方だという形で、意見書はまとめたわけであります。  法制的に、どんなふうに考えるかということについて、私ども最終的に詰めた考え方をしておりません。ただ、少なくとも現在、制定されている条例を改定しなければならないとは考えておりません。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 わかりました。  私は、新しく振動に関して法律をつくるというならば、まず何よりも市町村などの自治体が、それぞれの地域の状況や特性に応じて、そのもとで振動の規制基準を定める、そして、それが維持できるように自治体の規制権限を大幅に強化をすることが望ましいと思うのであります。仮に譲って本振動規制法のように規制値を政令で定めるといたしましても、少なくとも条例による規制の足を引っ張ることのないような仕組みを、はっきりと打ち立てるべきだと思うのです。  そのほかにも新法をつくる場合の内容的な問題としては、先ほどから触れられておりましたけれども、新幹線などの鉄道振動を新たに規制対象とするとか、あるいは航空機振動についても鉄道振動と同様に規制することを方向づけるとか、そういうふうな内容も織り込むべきではないかと思います。こういう点について日弁連は新しい法律をつくる場合の内容の問題として、どういうふうにお考えでしょうか。

真鍋正一日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長

○真鍋参考人 条例との関係については先生がおっしゃるとおりだと思います。当然そういったものを尊重して、足を引っ張るようなことはおかしいし、上乗せ規定ができるように規定するべきであろうし、それよりも、まず基準自体を、そういったものを取り込めるような形にしておくのが一番正しいのじゃないかと思います。  新幹線それから航空機でしたですか、おっしゃっておられるものについての振動、これも当然に規定するべきだと思いますが、先生の御質問の趣旨は、新幹線について緊急措置の指針という形でなくてという御趣旨でございますか。——その点は、その方がよりよいのじゃないかと私どもも思っております。ただ、いま御質問になりませんでした自動車の問題は、ちょっと問題がある。いろいろ道路の問題は問題がある。ただ私ども、この意見書をまとめる段階で、そういう意味に意見を集約したわけではありませんけれども、少し議論した中では、道路振動ないし道路公害といった場合に、対象となる道路が有料道路である場合と、そうでない一般道路である場合とは少し違うのじゃないか。有料道路については規制なり何なりは、もっと大胆にやられていいのじゃないかというふうに考えています。これは工場と同じような形で、場合によれば閉鎖するとかなんとかいうような形の扱い方はできるのじゃないか。一般道路は、もう少し検討しないと具体的には非常にむずかしい問題があるのではないかというぐあいに考えています。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 中公審の亘理参考人にお伺いします。  いまのに関連した問題ですが、神奈川、大阪、兵庫など多くの自治体では、第一種区域の夜間を中心に答申よりも厳しく規制が行われておるわけであります。答申は、かえって、この条例による規制を緩めることになるわけであります。一体そんなことでよいのでしょうか。この振動規制法案の提案理由の説明の中にもあったわけでありますが、振動公害についての苦情や被害の訴えというものも相当数に上っており、その改善を図るという趣旨で、この法案が新たに出されるわけです。「振動公害に対し、公害対策基本法の精神にのっとり生活環境を保全する観点から」この法律を提案する。苦情、被害の訴えの改善を図るんだ、そういう趣旨を大臣も述べられたわけでありますが、かえって逆に、現実を見ると、改善を図るのではなくて改悪になるのではないか。なぜ、そういう改悪になるような答申をされたのかということになってくるわけであります。この点、いかがですか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  私は、改悪したと思っておりません。ただ、専門委員会としましては、初めて振動の基準を決めるということで、いろいろ調べまして、委員会として、あるべき形の結論として、こういうことになりました。端的に申しますと、振動を知覚する一つの境の値が六十デシベル、〇・三ミリメートル毎秒、それから睡眠妨害の境目の値が〇・二ミリメートル毎秒、つまり五十七デシベル、その辺が一番、決めた根拠でございまして、地方自治体が〇・一ミリメートル毎秒とお決めになっていることも承知しておりますし、またゼロというのも承知しておりますが、あるべき姿として、やはり、ここで決めておりますように五十五デシベルあるいは六十デシベルが基本であると考えたわけでございまして、改悪であるとは、ちっとも思っておりません。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 要するに改悪ではない。ところが、いま、あなたが言われるように、振動の中身を科学的に検討して基準を決めたんだということはわかりますが、現実に多くの自治体では〇・一とか、あるいはゼロとか、そういうものを決めておるわけですね。そうすると法律で、それよりも悪いものがつくられるということになりますね。そのことはおわかりだと思うのです。そうすると結局、自治体が決めておるものの足を引っ張ることになる。一体、自治体が決めたものが有効なのか、あるいは無効になるのか、そういう議論はさておきまして、少なくとも国が、そういうふうに自治体が決めておるものよりも、もっと悪いものを決めるということになるわけでありますから、そういう点で私は、自治体の条例よりも一歩後退した、改悪ではないかということを言っておるわけです。  そうしますと中公審としては、あるいは、あなたのお考えで結構でありますが、条例による、より厳しい規制の効力までも失わしめるというふうな考えでもって、あの答申を決めたということではないんだ。中公審で一応、基準を決めた。それより、もっといい基準を自治体が決めておったら、それは結構なことだ、こういうお考えでございますか。あるいは国が決めたものに右へならえして自治体も、もっと後退すべきだというお考えですか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  地方自治体が従来お決めになっておることで、そのままお続けになっても構わないというものと、これはやはり、おやめになった方がいいというのと、両方ございます。先ほども、ちょっとお話ししましたが、ゼロというようなことは、むしろ、やめていただいた方がいいのじゃないかと私は思っております。それで、この委員会で決めました数字に対して、たとえば〇・一ミリというのが、どうしても必要な場合であれば、それは採用できるようになっていると私は思っておりますが。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 自治体が決めて、ぐあいが悪いというものはゼロの場合だけですか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 どの辺にお決めになるかわかりませんが、たとえば五十デシベル以下ということは、とても無理な数字ではないかと私は思います。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 そうすると、そういう問題提起をされたことは伺っておきますが、あなた方の方としては、この中公審の答申の線に一切、右へならえをしてもらいたいという趣旨ではないんだということ、これは、はっきり言えますね。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 少なくとも、すでにお決めになっているところで無理な数字でないところは別としまして、これからお決めになるような場合は、この方針に従っていただきたいという考えはございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 そういうふうに伺っておきます。  それから基準値の定め方についてでありますが、第一種区域は夜間で五十五デシベル以上、六十デシベル以下ということになっています。これはどういう理由から、この数値が出たのでしょう。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えいたします。  先ほど、ちょっと申し上げましたように、五十五デシベルないし六十デシベルと申しますのは、これは振動計の許容差その他を考えまして、むしろ五十五または六十というふうにお考えいただきたい。どちらかをおとりになっていただく。  五十五という数字は、先ほどの睡眠妨害の五十七デシベルとか〇・二ミリメートル毎秒というような数字から、五十五という数字が出まして、それから六十デシベルというのは、振動を感ずるか感じないかという境目の値というようなことで、六十デシベルというものが決まった。それで、どちらかをお選びいただくということになっております。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 第二種区域では夜間六十デシベルないし——またはですか、これは。または六十五デシベルということでありますが、この五デシベル上積みをされておるのはなぜでしょうか。睡眠に影響を及ぼさないようにする必要というのは、第一種区域と第二種区域によって違いがあるのでしょうか。少なくとも第二種区域というのは、商業、工業の区域も幾らかありましょうが、住居の用に供されている区域であります。そこで住民が毎日、眠っておるわけでありますから、少なくとも晩ぐらいは睡眠に悪影響を及ぼさない基準というものが与えられて当然ではないでしょうか。第一種区域と第二種区域をこういうように格差を置いた理由というものを説明いただきたいのです。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 これは住民反応調査その他で、第一種区域の方の方が反応が厳しいということが一つ考慮に入っています。  それから、どちらかを選んでいただくということは選択の自由がございますが、いわば、いまの御質問は極端な表現をしますと、第一種区域は五十五で第二種区域は六十という、その差はどうかということなんですが、やはり住居地域の性格から多少、変わっても差しつかえないだろうと考えたということでございます。     〔委員長退席、島本委員長代理着席〕

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 第一種区域の方が反応が厳しい、これは非常に問題だと思うのですよ。反応が厳しい、つまり住民がやかましく言う。住民がやかましく言わなければ緩やかにするんだという考えじゃないですか。これは第一種区域におる住民も第二極区域におる住民も同じ住民なんですよ。住民に差別を設けては困ります。これはもう結局、被害住民の立場を十分、考慮していない証拠であります。その点は、もう時間がありませんから結構であります。  道路交通振動の限度値の問題でありますが、これも規制方法も緩和されておりますし、その水準も緩やかなものになっています。幹線道路の沿線の住民は日夜、深刻な苦痛を受けております。この振動公害を大幅に改善するどころか、かえって、これを是認するような限度値になっておるのであります。特に問題は、この限度値の適用外の問題であります。「特定の既設幹線道路の区間の全部又は一部の限度値は必要により第1種区域の夜間の値に第2種区域の夜間の値を適用することができる。」ということになっておるわけですが、一本この「必要により」というのは、どのような必要なんですか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  これは前に、ちょっとお話ししたかと思いますが、一つは、境界で急激な速度変更を行わせることの問題と、それから周りに家のない、たんぼの中を走っているような道路というもの、そういうところでは、そこまで厳しくして、たとえば速度制限をするということは必ずしも必要あるまい、そういうことでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 どうもその趣旨は、よくわかりませんよ。そういうふうなところは区域そのものの決め方の問題ではございませんか。少なくとも第一種区域と第二種区域を決めて、それで「必要により」というようなことで、第一種区域のところを第二種区域と同じようにやるというようなことは、こういう区域制そのものをぶち壊すことになりませんか。一体なぜ区域を決めるんですか。そんなに必要によって幾らでも変えられるというんだったら、こういう区域をつくらなければいいんですよ。区域をつくったことの意味が否定されることになる。この点は日弁連の意見も出ておるわけでありますが、わかるように御説明いただきたいと思います。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 いま、ちょっとお話ししましたが、簡単に言いますと第一種区域というのは主に住居地域で、第二種区域というのは商工業地域でございましょうか。そこで第一種区域の中でも、住居が道路の近傍にないようなところは、必ずしも無理な制限をする必要がないという考えがございます。ですから、第一種区域の中でも、住居が両側に並んでおるようなところは六十デシベルということは保つ必要がありますが、両側にたとえば住居等がない、あるいは建物の種類で倉庫とか店舗とか、要するに夜の睡眠に使わないものが並んでいる、そういうような地域にまで、それを守らせなくてもよいだろう、そういう考えで、その条項をつけたわけでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 どうも幾ら聞きましても私はよく意味がわかりません。区域制を否定することになるわけであります。  時間がありませんので、次は、小田参考人と桜井参考人に聞きますが、振動規制法ができれば、自治体での規制が緩和をされる危険があるわけです。これに対して、先ほどから聞かれておわかりのように、中公審の参考人は、自治体でどうして、そんな緩和をされねばならないような規制をしておるのか、その理由を聞きたいというようなことを先ほど言われました。これは私は非常に問題だと思うのです。中公審の考えによると、自治体で、まるで不必要な厳しい規制をしておると言わぬばかりの、これは内容であります。自治体の規制というのは県条例でありますが、これは一体、尼崎市あるいは西宮市におきまして不必要に厳しい規制であるとお考えなんでしょうか。現在の規制がされておる中でも、住民の中から、いろいろと苦情が出ております。先ほども言われましたけれども、あの四十三号線沿線の状態、これは睡民妨害の影響が六三%出ておる。そのうち振動を理由とするものが六〇%というふうなことも言われました。あるいは新幹線の被害も、振動で眠れないとか屋根がわらが狂うとか、そういう苦情が非常に多い。しかも、これは七十デシベル以下で、そうした種々の悪影響が出ておるということも指摘されたのであります。  この点、西宮市や尼崎市の参考人に伺いますが、一体、現在の県条例による規制というものを、どのように考えておられますか。

小田忠彦西宮市助役

○小田参考人 お答え申し上げます。  兵庫県で決めております基準でありますが、これはやはり県の公害審議会というところで、それぞれ学識経験者並びに他のそういう方々の審議によりまして決められたものでありますので、やはり私は、さきに申し上げましたように、これ以下に法が規制されるということは、まことに好ましくない、さように考えております。

桜井康雄尼崎市公害部騒音課長

○桜井参考人 少なくとも兵庫県条例それから、われわれ市で考えておりますのは、人間の生活優先の精神にのっとりまして、すべての市民が健康でかつ快適な生活環境を保全する権利を有するんだ、こういう基本に立って決められておりますのが、県条例なり市条例の趣旨でございます。したがいまして、先ほど西宮市の助役さんも申しましたように、県条例で定められておりますゼロミリというのが適当かどうか、適当ではないという御発言も先ほどございましたが、この件につきまして、私の口から、これは適当かどうかというようなものではございませんが、少なくとも県の公害対策審議会という機関がございまして、そこで専門家が検討して適当であるというふうに決めた数字でございますので、われわれとしては、先ほどの趣旨にのっとったことであるというふうに理解しておりますので、地域の特殊性というような形での理解をしていただきたいと思うわけでございます。

木下元二日本共産党・革新共同

○木下委員 これで終わりますが、現在の条例による規制の基準というものは最小限度、緩めることはできない、こういうふうに承っておきます。

島本虎三日本社会党

○島本委員長代理 木下君の質疑は終わりました。  岡本富夫君。

岡本富夫公明党

○岡本委員 最初に西宮市の助役さんからお聞きしたいのですが、新幹線公害で非常に地元の方が困っておるわけですが、西宮市会でも、この問題が相当、問題になっておると思いますので、その実態について、もう少し詳しく陳述してもらいたいと思います。

小田忠彦西宮市助役

○小田参考人 お答え申し上げます。  新幹線の被害につきましてですが、概略さきに述べましたが、これにつきましては工事中にはもちろん、運行の開始後におきましても沿線各地から、いろいろ市の方に苦情が来ているわけです。市といたしましては、やはり苦情の申し立てがありますと、職員が参りまして実情を調査して国鉄の新幹線大阪事務局へ通報いたしております。そういうことで調査の上、善処を要請しておるわけでございます。  一方、市会におきましても、このことを重視いたしまして 当初から公害対策特別委員会というものを設けまして、いろいろ覚書の締結ということでも交渉させてまいりましたし、国鉄当局者の出席を求めまして、被害の防止対策ということで常に対策を練っております。それで被害の補償の促進などを求めるということを、常に議会といたしましてもいたしておりますし、いわゆる三市のこういう市会の連絡協議会もございます。そういうところで、いろいろ検討をいたしておるわけでございます。  なお、被害の調査のまとまったものといいますと、組織といたしましては、甲東地区というところは、ちょうど六甲トンネルに入る入り口ですが、その地区に甲東支部の社会福祉協議会のそういう対策組織がございまして、この部会で四十九年度の五月にアンケート調査いたしますと、その内容といたしましては騒音、振動、家屋の被害なおテレビ障害等でございますが、回答者の二百五十二名の方々から、いわゆる五百三十三件の申し立てがございます。このうち、やはり第一位といたしましては振動ということで、その苦情が百三十八件、家屋の被害が百十八件、合わせて、さきに言いました二百五十六件となって、全体の四八%を占めております。それからテレビの障害では百十七件、騒音に関するものといたしましては百一件、その他五十九件になっております。いろいろ振動に対する訴えがございますが、調べますと、やはり壁に亀裂が入っているもの、建具の不調、それからモルタルの脱落、そのほかベランダの沈下、門柱の傾斜というのが出てきております。  そういうことで当初の補償という後に、やはり、そういう問題が出てまいっておりますし、また苦情の中には、振動によります睡眠不足、精神の不安定などが出てまいっております。また、あわせて新幹線が中国、九州方面に延長されることによりまして、夜行列車が運行されないかという声も高いのでありまして、いまは、そういうことはございませんが、そういう不安も考えております。  このようなことにつきまして、いろいろ市といたしましても、国鉄の対策、補償の申し出をいたしておりますが、市といたしまして、いろいろ文書でも、その善処方を要請し、また住民側への正式回答につきましては、まだ国鉄からもらっておりませんが、いろいろ、その補償は調査されているようですが、明確なことはないわけです。なお国鉄の方といたしましては、市に入ってもらって、ひとつ解決という話があるのですが、これはやはり市が、そこまで介入すべき問題でもありませんので、やはり国鉄に強く要請いたしておるという状態でございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そこで、中公審の委員長の亘理参考人にお聞きしますが、あなたの方で、この答申を発表なさるときに、そういった現地の皆さん方の調査、いろいろ苦情問題、たとえば四十三号線あるいはまた環七、こういったところの現地調査をなさったのでしょうか。この点について、ひとつ。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 委員会では五十年の一月ですか、西宮近傍の新幹線について調査をいたしております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 先ほど、ちょっと問題になっておりましたが、そこで、あなた方がそこの調査に行きまして、兵庫県の県条例で決めた数値と申しますか、それでいま非常に問題があるのですね。  その前に新幹線の方を聞きますけれども、先ほど西宮の助役さんから新幹線の沿線の実情の話がありましたが、こういう状態はよくおわかりになった上で、この答申をおつくりになったのか、この点ひとつお聞きしたい。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  先ほども、どなたかの先生にお答えしたと思いますが、いろいろ調べまして、その上で新幹線の騒音に対する措置としての八十デシベルというのに、ちょうど相当するのを振動の七十デシベルと決めたということでございます。つまり当面すぐ措置すべきものとしては七十デシベルというものを決めたということでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そこで、中公審のあなたの方で調査なさったときに、この付近は七十デシベルになっておりましたか。それとも、どのぐらいの振動の大きさでしたか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  その調査の折には、新幹線のみならず工場振動の方も見たものですから、時間的な問題から現地測定をやっておりません。しかも、その高架の下で見て経験したというので、七十デシベルは超えているというふうに判断しております。新幹線高架の下でございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 次には、四十三号線の沿線の住民の健康調査、こういうことについて西宮市では詳しくお調べになっておると思うのですが、これをひとつ、ここで陳述してもらいたいと思います。

小田忠彦西宮市助役

○小田参考人 四十三号線の住民の健康調査の内容につきましてお答えいたします。  この四十三号線は大気汚染、振動、騒音というような公害が重なっておるわけでございまして、この調査は、兵庫県が主体となりまして、これに芦屋、西宮、尼崎が協力して実施したものでございます。  調査の内容について具体的に申し上げますと、調査対象者は国道四十三号線沿線に居住する成人で、芦屋、西宮、尼崎それぞれ二百人を無作為で抽出いたしております。  調査方法は、各市の保健婦が対象者を戸別訪問して、本人に面接聴取いたしまして住民健康調査票に記入する方法をとっておりますのと、臨床並びに理化学の検査に大別されております。なお、聴取調査の際には、日常生活の被害の状況、家屋の被害状況も、あわせて調査いたしております。  各市における調査対象者の選び方は、各市の四十三号線沿線より一地域を選びまして、道路の南北、両側二百メートルの幅をとっております。そのうちA地区につきましては、道路に接して百メートルの福、B地区は、それから百メートルというふうに区分いたしております。二十から七十歳までの年齢の男女を対象といたしまして、A、B両地区から、それぞれ百人を無作為に抽出して選びました。この場合、居住歴三年以上ということに限っております。  次に、臨床並びに理化学の検査の内容につきましては、まず対象者は、個人面接聴取法による調査実施者の中から、居住歴、年齢に応じましてグループに分けまして、A、B各地区より二十人ずつ各市それぞれ四十人を無作為で抽出いたしております。  検査の内容は、内科、耳鼻咽喉科の検診、それから語音聴取検査、胸部エックス線検査、それから肺機能、尿、血液、頭髪中鉛量等の測定でございまして、調査の期間は、個人の面接聴取法による調査は四十九年十月十一日から五十年一月三十一日までの間に、また臨床並びに理化学検査は昭和四十九年十二月十八日から五十年一月二十四日の間にいたしております。  調査の結果を申し上げますと、まず、個人面接聴取法による調査では、目とか耳、のどについて異常の訴えの多いのは、やはりA地区でありまして、たとえば目が赤くなるというのはA地区では一五・七%、B地区では八・七%。そのほか、のどが痛いという者はA地区では三九・三%、B地区では二〇%。かぜを引くとせきが続いて治らないというのはA地区では四八・七%、B地区では三二・二%。これは特に振動かと思いますが、いつも耳鳴りがするというのはA地区では一七%、B地区では一〇%となっております。  次に、動悸とか息苦しい、息切れというものもございますが、動悸が打つという者につきましてはA地区で二九%、B地区で一九%であります。  そのほか睡眠の状況等の訴えも多くて、騒音、振動で眠れないというのはA地区では三四%、B地区では六・三%。落ちつかないというのはA地区で三〇・三%、B地区で一一・三%となっております。それから、いろいろ災害発生の不安に駆られるという精神の不安定ですが、それにつきましてはA地区では二八・三%、B地区では六・七%になっておるわけです。  それから、日常の生活妨害という訴えがありますが、話し声が聞きにくいとか電話が聞きにくいというのはA地区では二九・三%、B地区では二%。テレビ、ラジオに雑音が入るというのはA地区では三九・七%、B地区では一三%。仕事とか勉強が手につかないというのはA地区で一九・三%、B地区で二%。こういうようになっております。  家屋の被害、特にこれは振動ですが、壁、ブロック、タイルにひびが入るというのはA地区では三四%、B地区では六・三%。家全体が、がたついておるというのはA地区で二九%、B地区で七・三%となっております。そういうことで百メートル以内の範囲では、特にそういう被害が大きくなっているわけです。  次に、臨床並びに理化学検査の結果について申し上げますと、内科検診、胸部エックス線検査につきましては、特に胸部のエックス線有所見率は、尼崎五例、西宮六例、芦屋三例、計十四例の一二%で、そのほか陳旧性肋膜炎三例、安定化した肺結核症状が六例、心肥大が三例、肺気腫が二例であります。  次に、肺機能の検査では、A、B両地区間に有意の差は認められなかったのですが、道路から五十メートル以内の居住者に、やはり異常の者が三例、見られております。  耳鼻咽喉につきましては、A地区ではB地区より多いという傾向が見られておりまして、いずれにしましても耳鼻咽喉に異常の訴えというものが多いということは一致いたしております。  語音聴取検査では、A地区ではB地区に比しまして自動車騒音の影響によりまして言葉の聞き取りが阻害されるということで、A地区住民は日常の会話、電話などに相当、不自由を感じるものと認められます。  尿、血液、頭髪中の鉛量測定の結果につきましては、尿中の鉛量、血液中の鉛量、頭髪中の鉛量は、いずれも絶対値は一般市民と大差はなかったようであります。  なお、この調査につきましては、対象者も少なく、また調査の項目も方法も、かなりの制約がありましたので、いろいろ医学的には未解明という分野が多くございますが、大気汚染の因子、騒音、振動などの公害現象と健康の影響の関係ということにつきまして、十分な疫学的な検査、検討などがなされたとは思っておりませんが、一応、先覚的な役割りは果たしたのではないか、かように評価いたしております。  今後やはりさらに、こういうふうな精密な調査の実施とデータの蓄積の上に立ちまして、適切な科学的判断を必要とすると思いますので、なお住民の不安解消に一層の努力を重ねていきたい、さように考えております。  そういうことでございますので、御必要でございましたら、この資料等につきましても送付させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

岡本富夫公明党

○岡本委員 中公審の亘理委員長にお聞きしますが、あなたが、この四十三号線の調査をなさったときに、振動が主であったと思いますけれども、どういうような被害状態が出ておったか、これを詳しく御存じですか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 詳しく存じておりません。四十三号線は参っておりません。

岡本富夫公明党

○岡本委員 どこを調査なさったのですか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 一つは鍛造機の工場と、それから新幹線の高架の下。鍛造機の工場と、それから本当に町工場的に鍛造機だけ持っておる工場、二、三種類、見ておりますが、工場振動の方。

岡本富夫公明党

○岡本委員 あなたの答申を見ますと、確かに建設振動と工場振動ですね、それ以外に高速の道路の交通振動の答申が出ているわけですね。私、これを見まして、そうやって調査もなさらず、現地の被害、こういうこともはっきりした調査もなさらずに、これが出たというのは不思議ですね。その点いかがですか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  私が申し上げましたのは、現地調査の御質問と思いまして、私自身が現地調査したときのことを申し上げたことで、委員会としましては、環境庁が非常に多くの調査をして、そのデータを整理して出した膨大な調査資料を持っておりまして、その結果から出した答えであります。つまり、私自身が見たという、現地に参ったというのは、その一回だけだということを申し上げておるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 私は、その姿を見まして、やはり机上の空論と言うたら悪いけれども、少なくともこれだけの答申を出されて、これが国の基準になっていくわけですからね。当委員会でも、あちらこちらやっぱり現地調査をするわけですがね。中公審というところは、そういうように現地調査というのをせずに、ただ環境庁から出てきたところの資料、そういうものだけで責任持った答申ができるものですかね。どうも私はこれが納得できない。そのために先ほど県条例で出ている、そういうものは、その地域はどういう状態なんだと聞いているのです。たとえば西宮市あたりは、ほとんど工場ないのですよね、ベッドタウンみたいなところですからね。だから先ほど、あなたがゼロデシベルに、えらい、こだわっておりましたけれども、今度これによって答申が出て、そうして環境庁で決めるということになりますと、この法律には上乗せ基準がないわけですね。結局、後退をするわけです。  後で、この点について真鍋参考人に、もう一度お聞きしますけれども、真鍋参考人は、この法律で、ちゃんと上乗せできるのだという確信を持ったようなお答えだった。かつて私が水質汚濁防止法を提唱いたしまして、大阪で、その条例で、あちこち駆けずり回ったわけですが、水質汚濁防止法ができた、そのために、うんと後退してしまって網の目から漏れた、そういうことによって各地方自治体は行政に非常に困った。ここに三重県の元知事もいますけれども、そういうことからも、ずいぶん陳情があったわけですよ。  したがいまして、真鍋さんに聞きますけれども、あなたは、この法律で上乗せはできるのだというようなお答えがあったように思うのですが、もう一度その点を、ひとつお聞きしておきます。

真鍋正一日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長

○真鍋参考人 先ほども申しましたように騒音規制法と同じような法構造で、いろいろ問題もあるし、ことに本法での二十四条でしたか、それから騒音規制法の二十七条等の規定もありますし、恐らく最終的には解釈がかなり争われるような可能性は多分に残っていると思うのです。しかし私どもは、騒音規制法それから、この振動規制法案だけではなくて、公害関連法規というのは、いわば被害者の保護という公害対策という方面から立てられた法律ということで、法律上、制限しているのは、この基準より緩い基準であってはならないというところに意味があるのじゃないかというふうに考えているわけであります。したがいまして、実際の工場側なり事業からの排出は、それよりも低くても構わないわけですね。よけい出ればいけないということで上の方が禁止されている。その点、警察法規等々と違った性格のものではないか。ただ騒音規制法と、この振動規制法が、ちょっと、むずかしい問題を少し含んでおると思いますのは、いまの基準は、先生がいま、おっしゃいました水質等と違いまして幅を持たせて、上と下とがあるというところに、ちょっと解釈上の突っかかりがあるのじゃないかと思うのです。五十五ないし六十というふうに書かれてなくて六十以下というふうにだけ書いてあれば全然、問題ないわけですね。その点、五十五以上というのがくっついておるだけに、よけい問題があるのだけれども、しかし私どもは、法律の性格から言うて、被害者の国民の健康を守るという観点からの法律であるので、そちらの方には厳しくても構わないというふうに解釈できるのじゃないかと思っております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 実は、次の委員会で今度は行政当局にいろいろ聞き、そして修正するところは、させていかなければいかぬわけですよ。ところが、あなたの方で、もう、これはこれで大丈夫なんだ、こういう解釈で大丈夫なんだ、こうなれば、これは修正しなくてもいいわけですけれども、そういう疑義のある法律では、これは裁判に持っていかなければならない。こんなことでは話にならない法律でありますから、はっきり、その点については地方自治体で上乗せができるというような明文が、やはり騒音防止のように必要だと私は思うのですよ。その点について、もう一度あなたからはっきり、ひとつ。

真鍋正一日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長

○真鍋参考人 先生がおっしゃるとおりだと思います。確かに疑義のある解釈でありますし、恐らく、これからも争われる、現に各地区の条例制定段階では議論されているように聞いております。ですから、はっきり、そういう趣旨の改正条文が入れられるならば非常にいいのじゃないか、ぜひ、そういうふうに実現していただきたいと思います。

岡本富夫公明党

○岡本委員 次は二村先生に伺います。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 その前に、先ほどお話しになったことで、私はお答えしたいことがあるのですが、よろしゅうございますか。

岡本富夫公明党

○岡本委員 それじゃ、ついでだから伺います。  ちょっと先ほど聞いておりまして、この答申によって法律ができたわけですけれども、委員長のお考えでは、この答申を出したけれども、まだ完全ではない、だから各地方自治体の条例で若干、上乗せしてもいいんだという含みはあるわけですか、その点だけ、ちょっとお答えしていただきたい。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  まず最初、それでは環境庁の調べたものだけでやったペーパープランではないかというふうにとれる御発言がございましたが、環境庁が集めましたのには、環境庁自身が調査した記録もございますし、そのほか土木学会の調査報告あるいは音響学会の調査報告とか、われわれとして手に入るあらゆる資料は集めて、少なくとも、この解説書に盛り込んであることは、それらを全部まとめたものでございます。  それから、その次の後の御質問でございますが、すでに実施されているところの条例でございますか、それが、これから外れているという場合に、先ほど申し上げましたが、そのゼロにこだわるわけではありません、ゼロというのはミリメートル毎秒で言っていますが、もしデシベルとするならマイナス無限大ということになりますが、その辺のところは、やはりお考え直していただきたいけれども、そのほかの点は、すでにお決めになっているのは、そのまま踏襲できるようにと私は思っておりました。  それから、なお地方自治体が決めていることよりも甘い、甘いというお話がございますが、仮に〇・一ミリ毎秒から一・五ミリ毎秒でしょうか、ここのお手元の解説書の二十七ページに各都道府県の規制基準値が出ておりますが、それのゼロを除きまして、〇・一ミリ毎秒から一・五ミリ毎秒というのは、ここでデシベルに換算しますと五十一デシベルから七十四デシベルになりますので、今回の基準というのは大体それと違っていないということでございます。個々の県によって違うということはございますが。

岡本富夫公明党

○岡本委員 時間が余りありませんから、あれですが、そこで二村先生に。これは中公審の答申ですが、騒音ですと大体、昼間、朝夕、夜間、こういうような基準になっておったと思うのですよ。振動は何で、そういうように朝夕が抜けておるのですか。しかも中を見ますと昼間とは午前五時から夜の十時、こういうような御答申になっておりますね。大体ぼくら寝坊か知りませんが、朝五時ごろというのは一番よく寝ているときですよ。まあ大体、七時まで寝ますからね。そうしますと一番よく睡眠をとらなければならぬときに、これを昼間としてしまっていると、ちょっと実態と違うのじゃないかと思うのですが、いかがですか。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  これは確かに騒音は朝と夕方というのが入っておりますが、まず振動の方では、ほぼ五デシベル程度の段をつけなければ差が出ませんので、そうしますと、その段の刻みが入れようがないということと、もう一つ、昼間というものの中には、何も十二時間とか十時間ということは委員会では考えておりませんので、ここにあります範囲の中で適当に、たとえば朝七時から夜の七時までを昼間とお決めになる、あるいはその選択は地方自治体にお任せするということでございます。ですから、いまもお話しのようなことであれば、たとえば極端な場合、午前七時から午後七時までを昼間とお決めになることもできるようになっているわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 二村先生、えらいお待たせしましたが、私の質問に対するお答えの中で、先ほどのお話をしていただいて結構ですが、そこで、私が実際に、この地域の住民の皆さんに、自分で近所におりますから当たってみまして、晴天のときと、それから雨天のときと曇天のときが微妙に振動が違うんですね。騒音も違いますけれどもね。この方は現在、大阪商大の先生ですが、確かに自分ではかると違うと言うんですね。こういった面について御研究なさったかどうか。  それから測定器ですね。この測定器がいいかげんですと——この先生は、西宮市が持っている測定器ではだめなんだ、尼崎市のもだめなんだ、もっといいものでないとだめなんだけれども、金がなくて買えないから仕方がないんだと言っていましたが、大阪大学のを持ってきますと全然、違うんですね。その点について先生の御所見がありましたら、お聞きしたい。

島本虎三日本社会党

○島本委員長代理 二村参考人。なお、二村参考人には、先ほどの木下委員からの質問に関して、自治体と中公審の最低の規制値の差について御意見があれば、一緒に答弁願います。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 実は、いまの最後に委員長がおっしゃいましたことなのでございますが、亘理先生が、この前のときに、ちょっと、おっしゃっていただいておりますので、ただ一言申しまして、先ほど亘理先生もおっしゃったんですが、この報告の方の二十七、二十八ページに、各地方自治体の最低値と最高値が出ております。この最低値、今度、答申になりましたのは五十五ないし六十ということで、答申の方には、また病院とか学校、これは例の環境基準のAA地区に相当するわけでございますが、それに対してはマイナス五ということを言っております。そうしますと、幅が五十ないし五十五、大きな方は七十ないし七十五ということになるわけです。それを、この地方自治体の最低値の方をずっと見てまいりますと、ゼロミリメートル・パーセカンドというのは別でございますけれども、あと〇・一という値でございます。これはまた実は、地方自治体のミリメートル・パーセカンドとお決めになった、この辺の理由が私も、ちょっと、すっきりしないのでございますけれども、振動速度で規定いたしますと、これは周波数によって非常に違ってまいります。周波数の関数でございますので。通常、数サイクルあるいは七、八サイクルを標準にして言うとしますと、〇・三ミリメートル・パーセカンドというのが六十デシベルに相当することになります。そういう意味で、〇・一ミリというのは三分の一でございますから、パワーにして九分の一、したがって大体、九デシベル、マイナスになります。そういう意味では大体、五十あるいは五十一デシベルというところに、それが相当する。それから、大きな方の一・二ないし一・五というのは、やはり七十四ないし七十五デシベルに相当する。そういう意味では、AA地区というのを今度の答申の中の値に入れますと、五十から七十五という幅は、そのまま、これに相当する、こういうことになります。  ただ、ゼロミリメートル・パーセカンドという表示が、これは私どうしてもわかりかねるのですが、これは先ほどは、ちょっとゼロデシベルと、どなたか、おっしゃっておられたのですが、そうではありません。これはマイナス無限大デシベルです。常時、地球上にある振動、われわれが地震計などで、いつも見ています振動というのは、大体、三十、四十というような値が普通でございます。だから、これは絶対にマイナス無限大デシベルという不可能な値を言っている。これは機械そのものについて言えば、機械を動かしてはいけません、そういうことを意味している、こういうことでございます。まあ、ちょっと、この辺わかりかねますけれども、幅は決して対応できないものではないということ。これはちょっと、くどく申し上げましたのですが。  そこで、あと天候また雨天というような問題でございますが、これは騒音の場合もそうでございます。しかし、振動の場合には、騒音以上にこういう問題が出てまいります。これは先ほど私、冒頭の説明で申しましたように、地盤構造の複雑さ、それから縦波、横波、それから表面波というような非常に複雑なもので、表面波は、これは正確に言いますとレイレイ波とラム波という二つのものから成ります。そういう意味で四つの波の総合した合成波が振動波でございます。そういう意味で非常に複雑になります。そのために雨天、少し地面がぬれておる、それから砂地であるか乾燥しておるかというようなことで、もう大変、違ってまいります。  それにもう一つ、後からありました測定器の問題でございますけれども、これは音響学会などが大変、苦労をいたしまして、ようやく一つのJIS化が可能なところまできたわけでございますが、その場合に、設置しますときに、かたいコンクリートの上に置くのか、あるいは土質の上に置くのか、あるいは粘土質の上に置くのかによって、これはすっかり値が違ってまいります。それで、多くの場合どういう注意を払うかといいますと、やはり適当な大きさの鉄板を、そこにうまく埋め込みまして、その上で振動をはかるというようなことをすると、大体そろった値が出る、そういう注意が測定上必要だ。それで、先ほどの尼崎でございますか、振動計がだめだというのも、これは、いま持っておるものを正確に検定すれば決してだめではなくて、校正をすれば、いいはずでございます。そういう意味で、私たちも長く、その音響学会で規定いたしましたものを使って、いろいろの数値なんかを出しております。  それから、先ほど亘理先生からお話がありましたように、これは環境庁が音響学会にも委託して、これは私たちも、その委員でやったのでございますが、ある意味では世界に誇るべき相当大きな調査及び研究結果ではないかと思っておるのでございますが、土木学会もやっております。相当の資料が、先ほどもちょっと申しましたように、外国よりも日本の方が非常にシビアだということで、そういう調査もかなり進んでいる。そういう資料の集成として、このたびの値が出た、私はそういうぐあいに解釈しておるわけでございます。  そういうことで非常に複雑で、測定は天候とか何かによって複雑なことがありますけれども、やはりそういうことの注意というのは必要で、これは音の場合もそうでございます。風がむちゃくちゃにひどいときに、はかりまして、防音壁がちっともきかないというようなことでは、やはりいけません。ある意味ではノーマライズされた状態、これは亜硫酸ガスの場合も法律で六メートルという風速を規定しておりますけれども、その六メートルという風を規定して亜硫酸ガスをはかるよりは、騒音の場合も振動の場合も、はるかに信憑性の高い値が得られると思います。  私は、いろいろなことを敷衍いたしましたけれども、お答えになりましたかどうか。……

岡本富夫公明党

○岡本委員 時間が参りましたから、最後に桜井さん、この法律をお読みになりましたか知りませんが、電気事業法、尼崎には特に火力発電所があるわけです。あるいはまたガス工作物に係る取り扱い、この電気事業法によるところの、あるいはまたガス事業法によるところの工作物が適用除外になっているわけですね。この点について地方自治体の方ではどういうふうに考えておるか、ひとつ、あなたの方から御返事いただきたい。

桜井康雄尼崎市公害部騒音課長

○桜井参考人 これは通例の場合、それぞれ監督官庁が違いますので、たとえば、電気工作物関係でございますと、電気事業虫の改正で通産省の方の対象になる。大気汚染防止法その他の法律が、そういう形になっておりますので、これはちょっと、ここではよくわかりませんが、恐らくそちらの方の対象に当然なってくるべきものではないかと考えます。これはむしろ環境庁の方に聞いていただきたいわけでございますが、当然われわれとしては電気事業法だけが適用除外になるというようなことはあっては困るし、また、ないものと思っております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 では、時間ですから終わります。

島本虎三日本社会党

○島本委員長代理 岡本君の質問は、これで終わりました。  次は、折小野良一君。

折小野良一民社党

○折小野委員 最初に、二村先生にお伺いいたします。  午前中の御説明で、振動と騒音の比較ということを、いろいろと教えていただきました。私ども普通騒音を考える場合に、距離が離れれば離れるほど少なくなっていく、それから、間を遮断すれば、それによって少なくなっていく、こういうふうなことに常識的に判断できますし、したがってまた常識的な対策というのが一応、考えられる。ところが、振動の場合につきましては、その比較で、性格からいいましても、いろいろ違った性格がある。たしか星川参考人のお話にもございましたが、二階になればなるほど振動はひどくなる。こういうような特殊な性格というものが振動にあるように承りました。こういうような点が、特に振動に対する対策がおくれた、そういうことの一つの大きな原因であろうと思うのですが、いずれにしても今後、振動に対して何らかの対策を講じていかなきゃならない、そうした場合に、こういう振動の性格からくる、対策上、特別に配慮しなけりゃならぬもの、そういう点につきましては、先生どういうふうにお考えになっておりますか、要点をひとつ教えていただきたいと思います。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 お答えいたします。  実は、いま御質問にありました内容どおりでございまして、騒音の場合には、実際に問題になりまず音の波長の範囲、音の高さの範囲と申しますか、私たちの周囲にある音、私たちの耳に聞こえる音というのは、ちょうど私たちの周囲の物体と同じくらいのディメンションなんです。たとえば私のいま、お話ししています。この基本波は大体、私の体ぐらい。それから、数千サイクルなんていいますと、一センチとか二センチというような波長になります。  ところが、地面の中を伝わります波というのは伝搬が速いわけです。ことに、ここで問題になっておりますのは数ヘルツという非常に低い周波数の波です。そのために、波長が十メートル、二十  メートルというような波が、ざらにあるわけです。  そうしますと、これはおわかりだと思いますが、光に板なら板、手なら手を当てると、光は直進いたしますから、すぐ影ができます。それで、さえぎることができるわけです。こういう、さえぎる壁あるいは防音壁というのがありました場合に、波長が小さければ影ができるわけです。  ところが、波長が大きいと、波が回折して、どんどん回ってしまう。したがって、土の中に防振溝というようなものをつくりますと、十メートルもあるような非常に大きな防振溝をつくってやらないと、非常に波長の長い土の中の波ですから、回っていってしまうわけでございますね。ですから、伝搬していく波を対策するというのは、そう楽でない。  しかし、やってみまして偶然にも、うまくいくような場合もございます。それはどういう場合かといいますと、縦波とか横波、中に入っていく波がなくて表面波だけ、地面の上だけ伝わっていく波があるような場合には、こういうように二メートルぐらいの溝をつくりますと、ぴたっと、とまることもある。しかし、これは非常に数の少ない場合でございまして、そういう意味での伝搬対策というのはむずかしい。  したがって、基礎になりますことは、やはり振動源そのものを対策するということ。それは三つに分けられると思います。もともとの振動が地面に、これは起振力と言うのですが、起振力が伝わらないようにするということ。それから今度は起振力で、基礎がある程度、振動させられましても、その基礎から——基礎というのは特につくった基礎なんですが、その基礎から地面に振動が伝わらない、これは二重になるわけですけれども、そういうようなこと。これも実は動的な基礎設計と言いまして、非常にむずかしい技術です。先ほども、ちょっと参考人の方が、大きな箱を置いてということを言われたのですが、それが、これに相当するわけでございます。だから、そういう意味で簡単にちょっと溝をつくったらいいとかということには余り信頼感を置かずに、やはり徹底的に、まず岩盤といいますか、基礎調査をして、振動の原因を探究して、どうやるのが一番いいかということをやって、それから対策措置を講ずるということが一番、必要なことではないかと思います。  これも先ほど、ちょっと申し上げましたが、そういう意味の技術的なむずかしさというのを、ぜひこれは、ただ、こういう法律で規制するだけではなくて、教育あるいは普及、そういうことが、どうも行政的にも、また、われわれ教育に携わる者にも非常に必要なことではないか。それが、こういう法律ができました場合、それを機能させるために一番、必要なことではないか、こんなぐあいに思うわけでございます。  お答えになりましたかどうか。

折小野良一民社党

○折小野委員 もう一つ、ちょっと教えていただきたいのですが、振動規制について、いろいろな数値が出てまいります。ところが振動の種類と申しますか、私たちが感ずる振動というのが、たとえば船に乗って、船が縦揺れする場合と横揺れする場合とでは体に対する影響が違ってくるというふうに、私たち経験的に感じておるわけです。そうしますと、実際この数値で出てくる数字の中には、いろいろなものが合成されておるというふうに考えられるのですが、それはやはり横揺れの方が大きいとか、あるいは縦揺れが大きいとかというようなことによって、その影響が違ってくるんじゃありませんか。そうしますと結局、対策も違ってくる、こういうふうに考えていいのですか。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 この報告の三十一ページに、人の体に感ずる、そのカーブが出ております。  一言で申しまして、非常に低い振動、これは一秒間に一回、二回というような、そういう振動でございますと、水平振動の方が垂直振動よりも人間の体によく感ずるのでございます。しかし、多くの場合、公害振動という周波数範囲でございますと、大ざっぱに言いまして大体、垂直振動の方が十デシベル感度がいいのでございます。人の体に感ずる場合。そういう意味で、今度の答申では垂直振動だけをつかまえております。ただ、このことは、やはり振動計は水平振動もはかれるようになっております。水平振動も左右と前後がございます。そういうのをあわせてはかっておくことが、いろいろな対策上の参考にもなりますし、必要なことかと思いますけれども、大まかにはこの垂直振動で押さえる。これはもうISOの方でも、そういう考え方をとっておりますし、それで大体はよろしい、そんな感じに思う次第でございます。

折小野良一民社党

○折小野委員 次は、小田参考人にお伺いをいたします。  西宮市におきましては現在、県の条例で振動の規制を行っておいでになる。そういうような状態の中におきまして、特に市の区域ということでございますと、行政的にも、特に助役さんでございますから、被害者の立場だけでなくて、いろいろな立場もあわせお考えになることがおありだと思います。たとえば鍛造工場がある。そうしますと、その鍛造工場の立場からいたしまして公害対策をいかにするか、そういうような面からの配慮もあわせ、お考えになった上で、現在、実施されております基準が達成されたということになりますと、ほぼ振動公害というものはなくなる、大体これで解決をする、こういうふうにお考えになっておられますか、どうですか。

小田忠彦西宮市助役

○小田参考人 お答えいたします。  本市におきまして現在、問題になるようなのは、わりに住宅地帯でありますので、鍛造工場そういうものはございませんので、特に金属の、自動車のボデーですか、そういうようなものを圧縮する工場が一つぐらいあるわけですが、それにつきましては、いろいろ県の基準によりまして規制はいたしておりますが、なかなかやはり、それは市としても行政措置として、しにくい点がございます。そういうことで勧告を再度いたしまして措置するという状態でございます。そうたくさん、そういう工場はございませんので、特に取り上げては、するものはございませんが、二件ということで、そういうことで、いろいろ話し合いの中で、現在の規制の中で措置をいたしております。

折小野良一民社党

○折小野委員 済みません、もう一つ。  現在の規制で、いろいろ努力しておいでになるわけですが、現在は、いろいろその規制をやってはおるが、まだ、なかなか現実には規制が守られないというような面もあって、それに伴う苦情とかなんとかいうものが、いろいろとあるんだろうと思います。もし、その規制値が完全に守られたとしますならば、 いまの苦情その他がなくなって、いわゆる振動公害というのは、もうないんだ、大体その辺でいいんだ、こういうふうにお考えでしょうか、どうでしょうか。

小田忠彦西宮市助役

○小田参考人 お答えいたします。  現在、工場振動と申しますか、特にございませんが、やはり限度と申しますか、それがなかなかむずかしいので、周辺の方々の感じの度合いと申しますか、神経的な方ですと、少しの音が立っても寝られないとかいうふうなことで、一例を挙げますと、隣に保育所がありましても寝られぬというような方もございますので、そういう点からいきますと、一律に限度のところまで達しても、それでよいかということは、やはり実際の面としては、むずかしいのでございます。

折小野良一民社党

○折小野委員 それじゃ次は、亘理参考人にお願いをいたしたいと思います。  先ほど亘理参考人の御答弁の中に、中公審の答申は、あるべき姿を出したんだというふうにおっしゃいました。あるべき姿という考え方、これはいろいろな立場もあろうと思いますが、現に被害を受けておる人たちの立場からいたしますと、それが全然なくなればいいということなんでしょう。しかし、少なくも健康上の被害がないということ、あるいは物件被害が、それによって起こらないということ、そういうようなことが考えられるわけですし、それにはある程度の受忍といいますか、こういうものも当然、考慮した上での、あるべき姿ということであろうと思っております。考え方といたしまして、このたび答申をお出しになった、その立場で、どういう基本的な考え方で、あるべき姿というものを出されたのか、その基本的なお考えを、ちょっと承りたいと思います。

亘理厚中央公害対策審議会振動専門委員長

○亘理参考人 お答えします。  基本的には健康な生活を確保する、あるいは睡眠を確保するというのが基本的な考えでございますが、一方、現在、手に入るいろいろな研究結果あるいは資料から、振動を感ずる境界の値と申しますのは、全然、騒音のない、振動だけを与えての影響というのは、実験室的には一、二ありますが、それでも振動台に乗せるという宣告をしてありますと、すでに誤差の中に入るわけでございますが、そういう意味で音のない振動のデータはございません。しかし集めた、いろいろな医学的な実験あるいはベッドの上に寝せておいて、また振動実験を与えるとか、しかも、なるべく音の影響をカットしてやる、そのようなことと、すでに従来、発表されています学術論文、そういうものをいろいろ調べてみまして、振動を感ずる一つの境目、あるいは睡眠の影響が出る境というのが、この辺であろうという、そういう意味で決めたのが、あるべき姿と申し上げたのはそういうことでございます。

折小野良一民社党

○折小野委員 それでは次に、桜井参考人にちょっとお伺いいたします。  実は私、おたくのその地域について存じておりません。ですから、そういうことがなかったら、そういうふうにおっしゃっていただいたらいいと思いますが、振動関係で、いろいろな公害被害が現に発生をしまして、そして、それによって補償その他、それが具体的にどういうような形で起こっておりますか。そういうような事件がございましたら、その実態をちょっと、お知らせをいただきたいと思います。

桜井康雄尼崎市公害部騒音課長

○桜井参考人 振動につきまして解決法というのは、技術的に非常にむずかしい問題でございますので、特に問題になっておりますのは、現在いわゆる特定建設の工事に伴います問題でございます。そういう場合は市の公共事業を初めといたしまして、初めから、何か屋根がわらがずれるとか、壁にひびが入った状態になったときには必ず補償するんだという前提のもとで、現在われわれ公共事業につきましても、そういう手続上の届け出の受け付けをする段階で、すでに指導しておりまして、現に市の方が下水建設工事等につきましては補償いたしております。それで、特定建設の工事の関係の会社においても、その辺のところは当然すべてのコストの中に入れて、補償費を用意しておるというのが現状でございます。ただ、新幹線等の補償につきましては、ちょうど開通前の工事によります被害につきましての補償は終わっておるというふうに聞いておりますが、現在いま、もめておりますのは、先ほどから申しておりますように、約束値を超えたときには、また実際にそういう被害が起こったときには、開通後においても補償するんだという約束がございますので、その点について、いま、もめておるということで、ケースといたしましては新幹線であるとか工事の被害でも、いわゆる工場振動につきましても、そういう補償という例は、これは表には出てまいりませんが、工場と住民同士の間で、そういう補償の金銭のやりとりがあったといううわさ等につきましては、しばしば聞いております。

折小野良一民社党

○折小野委員 市の方で、いろいろ工事をやられる場合にも、補償をするという約束でやっておいでになるということでございますが、市の方で、この場合に、これぐらいの補償をする、相手方の方は、それじゃ納得できない、こういうようなことで、いろいろな争いがあることがあります。     〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 それから民間の場合において、民間が工事をやる方で用意をしておるというふうにおっしゃったわけでございますが、その交渉がまとまるかどうかということについては、現実には、いろいろな紛争みたいなことがあろうかと思うのです。そうした場合に、それを市その他の公共的な機関が何らかの調整を行う、こういうようなことも必然的に出てこようかと思うのですが、現実に、そういうような問題については、どういうふうになっておりますか。

桜井康雄尼崎市公害部騒音課長

○桜井参考人 お答えいたします。  そういうようなケースが出ました場合に、尼崎市の場合、環境保全条例によりまして公害紛争等の調停委員会というのをつくっておりまして、むずかしい問題になりますと、そこへかけまして、いわゆる金銭的な解決、技術的な解決、和解の方法を講じておる。ただ市の公共事業による建設工事に伴います補償ということにつきましては、私ちょっと専門外でございますので、細かい基準は決めておると思いますが、それによって大きなトラブルが起こったというようなケースは、ちょっと聞いておりません。

折小野良一民社党

○折小野委員 次は、伊藤参考人にお伺いをいたします。  午前中のお話によりまして、鍛造関係の企業は約八百社ぐらいあるというお話でございました。公害規制がいろいろやかましくなってまいりますと、その対策というのは、特に中小企業が多いというお話でございまして、なかなか大変であろうというふうに考えるわけでございますが、特にこの鍛造工業会あたりで、こういう鍛造業と申しますか、そういう関係の方々の団地化と申しますか、そういう公害の影響の余りないところに一緒にまとまって移転をするとか、そういうようなお話し合いが工業会の中あたりで出ておるということはございませんですか。

伊藤太刀郎全日本鍛造工業会専務理事

○伊藤参考人 お答えいたします。  そのような工業団地と申しますか、誘致の問題でございますが、そういう問題はございます。ただ問題になりますのは、特に零細企業の方々が、そういう団地があるならば自分たちも進んで行きたいというようなことがあるわけでございますが、その場合に無条件で行くというわけでもございませんで、必ず工場の診断というのがなされるわけでございます。それで、工場診断の結果、あなたのような会社は、とてもじゃないけれども、支払い能力と申しますか、収益性の面からというようなことで敬遠されることがあるのではなかろうかということも予想されるわけでございます。そういう意味におきまして、そういう場合、各地方自治体の方々の格別の御配慮を、ひとつお願い申し上げたい、かように考えております。

折小野良一民社党

○折小野委員 次は、斎藤参考人にお伺いをいたします。  いろいろな工事が機械化してきておるということでございます。確かに、そのとおりであろうと思っております。その機械によって作業を行う、それによって振動公害を発生するといった場合に、それは機械そのものに振動を発生するような原因がある場合、それから機械の運用と申しますか、その使い方に振動を特に発生するような原因がある場合がある。いろいろな場合があろうと思います。そうした場合には、まず一つは、機械ができるだけ振動を多く起こさないで、その機械としての本来の機能を達成するように、これはまあメーカー側で十分、考えなければなりませんでしょうし、使われる側の皆さん方の意見が、そちらの方に十分、反映をして、そして少しでも公害の起こらないような機械の開発をやっていくということ、そしてまた機械の性格その他を十分、承知して、その使い方をうまくやって公害が発生しないように、こういうふうな配慮が必要であろうと思っておりますが、そういう公害を少なくするための機械の開発、それに対しまして、参考人の建設業業界、そういうところにおきましては、特に技術委員会ということでございますが、そういうメーカーとの連絡とか協調とか、そういうようなことは十分、行われておるのでございますか。

斎藤義治全国建設業協会技術委員会委員長

○斎藤参考人 お答えいたします。  先生いま、おっしゃったように、建設機械の中では、いわゆる打撃を目的にして機能を発揮するような機械と申しますのは、どうしてもそういう振動が必要な機種になるわけでございまして、こういうような工法の機械では、振動を少なくするということは機能的に非常にむずかしいことでございます。ただ、いろいろな意味で、たくさんの機械がございますので、そういういろいろな機械の振動、もちろん騒音も含めまして、そういうものが少なくなるようにということの研究は、メーカーその他、建設機械につきましては日本建設機械化協会というのもございますし、いろいろ建設省、通産省その他、関係のいろいろな方々が全部寄りまして、メーカー、利用者、そのほか実際の方々と一緒になりまして委員会をこしらえて、いろいろ研究もしたり施策を行ったりもいたしております。  ただ、いまここで問題になっております。この振動の問題だけにつきましては、その振動を目的とする機械というものについて、それを減らすということは、もう基本的な機械の本質が違うわけでございますから、別なアイデアで、また、その目的を果たすというような新しい開発が必要になるということで、大変むずかしいことでございます。そういう事情でございます。

折小野良一民社党

○折小野委員 それでは最後に、真鍋参考人にお伺いをいたします。  最初の御説明によりまして、今度、提案されております。この法案につきましては、いろいろと不備な点があるということをお挙げいただきました。私ども、現実にできるものが理想的なものであることを望んでおります。しかし現実には、なかなか一挙に、そこまでいかないということもあるわけなんでございます。したがいまして、この法案も何とかより理想的なものにして通したいという気持ちは、すべての者にあるわけなんでございます。しかし、必ずしも現実に、そのとおりにいくかどうか、そういう点はいろいろと問題がございます。  そこで、いまのこの法案が、この法案のまま通るということになりますならば、先ほど来いろいろな御意見の中で、まあ、それでも評価すべきではないかという御意見もあるわけでございます。このまま通っても振動公害対策としましては一歩前進であるというふうに評価をされますか、あるいは、これがこのまま通るのならば、振動公害対策としては、むしろマイナスだし、足を引っ張るようなことになるのだ、こういうふうに御判断になりますか、御意見をひとつ、お伺いいたしたいと思います。

真鍋正一日本弁護士連合会公害対策委員会副委員長

○真鍋参考人 大変むずかしい御質問なんですが、法案自体についての問題点と、それから実は法案にくっついてきておる答申についての問題点とあると思うのです。それで一つ一つ区別して、ここがいい、ここが悪いというのは、実は御質問の趣旨に沿わないわけだろうと思うのですが、これでいい、これでも一歩前進だという考え方も確かにあると思います。また、ない方がいいのだという考え方もあるかもしれませんけれども、しかし、いままで放置されてきたということを考えて、この問題についての審議を進めていただいて、どういうふうにするのがいいのかということは、これは実は先生方によく御判断いただきたい問題だというふうに考えております。

折小野良一民社党

○折小野委員 終わります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員長 以上で、参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。参考人各位には御多用のところ、長時間にわたり貴重な御意見をいただき、振動法案の審議に対して大きな寄与をいただきました。まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。(拍手)  次回は、来る十一日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十分散会

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