外務委員会 第9号
- 発言数
- 159 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1976/05/18
会議録
○鯨岡委員長 これより会議を開きます。 国際通貨基金協定の第二次改正の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
○河上委員 IMF協定の改正につきまして質問をいたしたいと思います。 これはいわゆるSDR創設のときに、本委員会におきましても実に四日にわたって非常に鋭い慎重な質疑が行われました。そういう経緯がございますだけに、今回の改正協定につきましても、私は、会期末ではありますけれども、日本の将来、世界の経済の将来というものを考えますときに、これは各党ともそれぞれの立場があろうと思いますが、真剣に討議すべき議題であるというふうに思っておるわけでございます。 まず、今回の改正の経緯につきましては、先般若干の御説明がありましたけれども、ブレトン・ウッズ体制は一九七一年八月の、われわれには非常に印象が残っておりますニクソン・ショックによって崩壊した、こういうふうに言われておりますけれども、私は、あの当時の記憶を振り返りますと、実はその前から一部の学者や専門家の間では、そういうときが必ず来るのだ、こういうことを言っておったように思うのであります。そういう警告にもかかわらず、いわゆるニクソン・ショックという形で迎えざるを得なかった日本政府、特に大蔵省あるいは外務省の専門家の責任というものは非常に大きかったのじゃないかと私は思うのでありますが、その後におきましても一ドル三百六十円というものに固執し、さらにスミソニアン合意によって一ドル三百八円に切り上げを余儀なくされてからも、日本は固定相場制というものをずっと固執してきたような気がいたします。その点につきましては率直なことを言いまして、国会におきましても、あるいは各政党においても、昭和四十七年の総選挙の直後に大きなドルの切り上げですか、あるいはそういうようなものが行われるにもかかわらず、あの総選挙では各党とも選挙のイシューとしてほとんど取り上げられなかった。二カ月後に来る問題についてさえ、当時選挙ではほとんど取り上げられなかったという苦い経験、反省すべき一つの経験を持っておるのでありますが、特に政府におきましては、そういうような弾力性を欠く政策態度というものが国際金融情勢への対応を妨げておったのではないかというふうに私は考えておるのであります。 こういうような経緯を経まして今回IMF改正案が合意されたのでありますけれども、この改正案で、今後変化するであろう国際金融情勢にこれでもう十分対応できるというふうに考えておられるのかどうか、政務次官にお伺いいたしたいと思います。
○塩崎政府委員 ただいま河上委員御指摘のように、ニクソン・ショックに対するわが日本の対応について、いま考えてみますと、いろいろ反省すべき点があったことも事実でございます。しかし、わが国は何といたしましても国際金融の協定と申しますか、IMF体制に忠実であった、そうしてやはり円の切り上げを避けたかった、こんなような理由から固定相場に固執したことも事実でございます。しかし、世界の大勢に対しましては、御指摘のように、私どももこれに適応しなければならぬことも事実でございまして、現在のフロート制、これをいま実行しているわけでございますが、今度の改正は、確かに御指摘のように、これが絶対唯一のものと思いません。まだ国際経済情勢さらにまた国際金融情勢が完全に安定してないことも事実でございます。しかし、ブレトン・ウッズ協定の金にリンクしておりましたあの固定的な制度よりはより弾力的である。したがって、この弾力的な制度をさらに詳細にいろいろの安全弁をつけまして金融体制を進めていこうという国際協力機構は何といたしましても必要だと私は思うのでございます。そういった意味で世界経済がさらにまた安定し、金融情勢がさらに堅実になりますまでは、どうしてもこのようなIMF協定でやっていくことが世界経済の発展のために適当であろう、完全なものではないと思いまするけれども、いわゆる管理されましたフロート制、このような制度でしばらく国際的にすべての国が協力しながら通貨の安定を維持していくことが適当ではないか、こんなふうに考えております。
○河上委員 政府の当局者は、為替相場制度についてどういうのが一番よいと考えておられるのか。アメリカはフロート制をいま主張しております。もちろん、これもアメリカが貿易事情などが余りよくないということがあるのでありまして、彼らは、また黒字が続くようであればまた意見が変わるかもしれませんが、アメリカは一応フロート制を、フランスは固定平価制を主張していたのであります。このフロートがいいか固定平価制がいいか、この問題は非常にむずかしいことでありますけれども、政府はそれぞれのメリット、デメリットをどう考えているか、また、わが国としては、この国際金融の場において、為替相場制度についてどういうような主張を今日までとってきたのか。
○塩崎政府委員 御指摘のように固定相場制度、フロート制度、いずれも長短がございますので、これは詳しく政府委員から説明させていただきたいと思いますが、現在の状況ではアメリカ、フランス、いろいろ意見の対立はございましたけれども、フロート制度でやむを得まい、安定するには、もちろん将来の見通しを立てます上には固定相場が適当かとも言えますけれども、現状におきましてはフロート制度でやむを得ないと考えざるを得ない、こんなふうに考えております。
○旦政府委員 ただいま御質問のございました固定平価制度及びフロート制度のメリット、デメリットという御質問につきましてでございますが、まず固定平価制度につきましては何分にも、たとえば日本の場合で申しますと、一ドル幾らということではっきり決まっておるわけでございますので、貿易に従事いたします方あるいは資本の取引に従事される方々にとりましては、その取引の目安が非常に安定的でございまして、はっきりいたしておる。したがいまして経済の全体の運営をする場合におきましても、これは政府も含めてでございますけれども目安が立てやすい、つまり計画的にできやすいというメリットがございます。また同時に、この為替相場を固定相場を維持するというためには経済政策につきまして厳しいディシプリンが要求されるということがございます。そういう点でそれがメリットであろうと思うわけでございます。しかし一方、国の経済情勢たとえばインフレ率でありますとかあるいは金利等あるいは商品の国際競争力等のバランスが、外界とのバランスが急速に崩れました場合にはこのレートが維持し得なくなって、ある日突然レートを変更せざるを得ないという非常なショックを受けやすいというデメリットがあるかと思います。 一方、フロートにつきましては、現在のような経済情勢が非常に流動的であるという時代におきましては、また一方短資の流入も自由化されておりましていろいろなところに金が回ってくるという情勢におきましては、それに応じたレートが、日々順応したレートが生み出されるという点で、これがメリットであろうと思います。しかし他方、為替相場の維持が固定相場制度ほどリジッドでございませんので、ともすればレートの引き下げ競争に陥りやすいというようなこと、それから経済のディシプリンを維持することがさほど厳密に行われがたいうらみもあるというデメリットがあろうかと思います。
○河上委員 わが国は事務当局としてはどういうふうな主張をしてきたのか。
○旦政府委員 わが国といたしましては、当面の世界経済情勢が非常に流動的でございますので、このしばらくの間だけをとりまして見ますれば、現在のフロート制度を維持していく以外にはないのではないかという考えでございます。
○河上委員 いまの一応の考え方を伺うと、現在はフロート制もやむを得ない、しかしやはり固定平価制が一番いいんではないかというようなニュアンスというか響きがあるような気がいたしますけれども、そういうように理解してよろしいのでしょうか。
○旦政府委員 固定制度がいいのかフロート制度がいいのかといいますことは、単に机上で考えるだけでは足りないわけでございまして、あくまで世界経済の現状との関連においてこれを判断すべきではないかというように考える次第でございます。したがいまして、私といたしましても絶対に固定制度がいいんだ、絶対にフロート制度がいいんだということではなくて、そのときどきの情勢に応じて判断してまいるべきものと考えております。
○河上委員 そういたしますと、いわゆるニクソン・ショックが起こるまではいわゆるブレトン・ウッズ体制というものに対して半ば信仰的にこれを守ってきた、また極端な場合は一ドル三百六十円というものあるいは一ドル三百八円というものを、これはまるで真理のように守ってきたはずであります。だからこそニクソン・ショックというようなことになってきていると思うのですが、ニクソン・ショックの後もその信仰はなかなか消えなかったわけですけれども、それはやはり間違いであったというふうにいま反省をされておるわけでございますか。もっと国際金融情勢の流動化する姿に相応じていくことがやはり一番正しいのであって、かつての態度は間違っていたというふうにここではっきりと考えられますか。
○塩崎政府委員 私は間違っていたとは思いません。やはりそのときの情勢によって国際通貨の問題も考えるべきであるといういま旦政府委員の答弁が正しいと思うのでございます。しかし、何といっても通貨が国際的にも安定していることが大変輸出、貿易の観点から適当であることは言うまでもございません。したがって、ニクソン・ショックまで私どもがあの戦後二十四年でございましたが、三百六十円という実力があったかどうかわかりませんけれども、あの為替相場が決められましてから昭和四十六年まで、やはり三百六十円を維持してきたことは経済の成長、発展に大きな貢献があった、こう思っておるわけでございます。しかし、ニクソン・ショックは御承知のようにドル体制の危機の問題から起こってきた状況でございますので、それに対応するのにどういった方法がいいか、いろいろ方法があったと思うのでございますが、確かに二週間近く固定相場を維持したところに問題があったかもしれませんけれども、これまでの経過から見て私はそう間違ったとは思っておらないわけでございます。しかし、その後あるいは今後これをどのように対応していきますかは、いまフロート制度を維持しております日本でございますし、今度のIMF協定によってさらにこの問題を日本経済の発展、国際金融の健全化のためにひとつ大いに活用していきたい、こんなふうに考えております。
○河上委員 私が指摘をしたいのは、この為替相場制についての固定的な考え方というものが、善意から出たかあるいは思惑があったかは別として、いわゆる過剰流動性を生む一つのきっかけにもなり、それが今日の悪性インフレの一つの端緒にもなった、もちろんこれは石油ショックというものが後から来たことは事実でありますけれども、ヨーロッパその他の諸国がこれを受けとめる受けとめ方と比較いたしますと、日本の場合はこれをもろに受けたような感じでございます。その過程、日本全体としてうまくやったようでありますけれども、しかし大衆に対するはかり知れない被害を与えることにもなったわけでして、私はいわゆるこの為替相場制の問題というのは非常に専門家の半ば秘伝に類するような知識であるという面は否定できないのですけれども、しかしそれが及ぼす、その処置が適切か誤るかによりまして結果するところは大衆に及ぶという意味において、あれが果たして本当に正しかったのかどうかということをもっと真剣に考えていただくことが、今後誤らない政策を打ち出すことができる出発点じゃないか、こう思っておりまして、あのときはあれでよかったのだ、いまは時代が違ったからこうする、こういう御答弁では私ははなはだ不満でございます。
○塩崎政府委員 ニクソン・ショック後二週間近く固定相場を維持していった、世界のうちで日本だけであった、世界じゅう驚いたことも事実でございますし、いまおっしゃったように、円の平価を維持したために政府がこうむった損失、これもあることはたびたび大蔵委員会その他で指摘されたところでございますし、私どもは十分反省しなければならぬ点もあったかと思うのでございます。しかし、それはいま申しましたように、これまでの経緯、一ドル三百六十円という円の価値を維持してきた、そして維持したい、輸出を依然として継続してやっていきたい、切り上げは避けたい、こんなふうなことも念願してきたわけでございまして、それはそれとしてお許しをいただけるのではないかと私は考えているわけでございます。 しかし、その次の二百八十六円に下がりますときには、円の二次の切り上げのときには、そのような経験も十分反省されて、フロート制度のもとで適切に措置された、私はこんなふうに考えているわけでございます。
○河上委員 専門家である政府委員に伺いますけれども、一ドル三百八円に切り上げを余儀なくされる前に、経済学者などから、むしろ日本が積極的に円の切り上げに踏み切った方がいいのじゃないか、向こうから押しつけられるよりも、そうした方が国民に与える被害が少ないのじゃないかという議論が、建白書がずいぶん出された。しかし、政府はそれに耳をかさなかった。結果的には、他動的に外圧によってそれを余儀なくされたという経緯があるわけですけれども、そういうことについて金融政策の当局者として、あの場合はどうすればよかったと、いまになってどういう反省を持っておられますか。
○旦政府委員 あの当時学者の先生方からいろいろな意見が出され、また、その他の方々からもいろいろな御意見のあったことはおっしゃるとおりでございます。それにもかかわらず、政府があのような措置をとりましたことにつきまして、大蔵当局としてどう考えておるのかという御質問であろうかと思いますが、ただいま政務次官が申し上げましたように、一ドル三百六十円というレートは昭和二十四年から非常に長い間続いてきたわけでございまして、その間大蔵当局といたしましては、通貨価値の安定、確保、維持ということが非常に強い政策的な要請として行われてきたわけでございます。また、それなりに日本経済に与えますいい効果もあったわけでございます。しかし、非常に長い間のそういう経験からいたしまして、新たな事態に対処する場合に、顧みて反省すべきところがあるのかないのかということにつきましては、私どもといたしましても、十分各界の御意見を承って今後の反省の材料といたしたい、かように考えている次第でございます。
○河上委員 これはなかなかむずかしい問題で、実験をもう一度やり直すということはできないことでございますから、ああいう一つの代案が出されておる。それに対して結果が悪かった場合は、代案の価値というものをもう一度もっと真剣に検討するべきではないか、私はそう思うのでございまして、あのときはもうこれ以外なかったのだ、いや今度は世の中が変わったからこうだというようなことでは、今回のIMF協定の改正に対して政府がどういう信念を持って対応しているのか、これはかなり現実的な問題であると同時にかなり哲学的な問題でもあるわけでして、そういう点、大勢に順応すればよしということでは、今後とも私はいささか不安なしとしないわけでございます。そういう意味でいろいろ伺ったわけです。 今回の改正案を私も拝見いたしました。大体これは膨大なもので、われわれが検討するにはまず提出が遅かった。大変不満に思っているわけですが、しかもこれは一条一句かなり専門的な知識を要することでございまして、にもかかわらずいろいろの時間的な関係も考えて当委員会においていま審議に入っているわけでありますから、その点内容的な面ももう少しいろいろ伺いたいと思うのであります。 今回のIMF改正、第一次の改正はSDRの導入ということであったと思うのですが、今回の第二次改正はフロート制の認知と、固定相場制へ返りたいという願望もあるわけですけれども、しかしフロート制を私生児ではなくて認知をしたということが第一点であろうと思うのです。 それから第二は、金の役割りを減少させるということが一つうたわれているようであります。 第三には増資の払い込み、それによってIMFの資金貸し出しの力というものを高めるということであろうかと思います。 それからIMFの評議会というものが今度できるというようなことでありますけれども、これらについてそれぞれ御説明をいただきたいと思うのであります。 まず今回のIMF改正において、国際通貨面における金の役割りを低下させる方向が打ち出されているわけですが、具体的にはどういう形でそれがあらわれるのか、将来はどういうふうになるのか、その点をちょっと御説明いただきたいと思います。
○旦政府委員 ただいま先生の御指摘にもございましたIMFの協定改正の骨子でございますが、そのうち一つの大きな点が金の役割りを漸次縮小していくということでございます。 それにつきましてどういうような改正を行おうとしておるかという御質問でございますが、第一には金の法定価格を廃止する、それから通貨当局間の取引の制限をこれに伴いまして廃止するというのが第一点でございます。 それから第二点といたしまして各国通貨、それからIMF取引等の価値の標準の基準を金からSDRに改めるというのが第二でございます。 それから第三点といたしましては、増資払い込み等、IMFとの取引におきまして、従来は金の義務的な使用が規定されておりましたけれども、それを廃止することにいたしたのでございます。 それから第四点は、IMFの保有金のうち、すでに処分の合意されているもの、たとえば六分の一につきましては各国に返還する。あとの六分の一は市場で売りまして、その原資を後進国援助等に用いるという構想でございますが、残りの六分の四のものにつきましても、その処分につきましては、八五%の多数で、売却するなり返還するなりの方途を将来考えていこうということを決めておるのでございます。
○河上委員 金の役割りを下げるというのはどういう思想に基づいてでありますか。
○旦政府委員 金の役割りにつきましては、昔から大変いろいろな議論があるところでございますけれども、このIMFの場におきましてこの問題を長らくいろいろ議論してまいりました。もちろん金をたくさん保有している国にとりましては、その国益として金の役割りを下げるということにはかなり抵抗があったであろうと思います。しかし一方、金の産出量というのはごく限られておりますし、他方金の産業用の需要というものは年々増加しておる。したがいまして、貨幣用に充てられるべき金の部分というのはきわめて限られておる。しかもその金の産出は世界的に非常に偏在しておるというようないろいろな技術的な面もございまして、金を持ってない側にとりましては、金をいつまでも昔のように価値の判断基準とすることについては非常に不公平ではないかという議論があるわけでございます。それから、他方、金のような一つのよりどころを外してしまうならば、通貨の管理をする手だてが失われるんではないか、つまり通貨の管理が非常にルーズに流れるんではないかというような批判もあるところでございます。そういうようないろいろな議論を重ねましたあげくに、IMFの全体の総意といたしましては、やはり金の役割りは将来軽減していくべきであるという結論に達した次第でございます。
○河上委員 今回のあれですと、金の公定価格を外すということでありますが、それは、一オンス三十五SDRというものをやめるというそういうことでございますか。
○旦政府委員 そのとおりでございます。
○河上委員 先般も米州開銀の設立がここで論議されましたが、このIMFが一オンス三十五SDRというものを外すということが他の国際金融機関の仕組みその他根拠に影響を与えるということはないんですか。それともこれは、IMFというのはもう全くそういうものとは関係なしに行われるのか。たとえば、たしかアフリカ開発基金などのいわゆる出資の割合などの中に、やはり一オンス何々ということが明記されておるのでありますけれども、そういうようなところへ全部波及していくのか、これは全く別なのか。IMFは協定でこういうように改正されたら、他は全部それへ右へならえするのか。それとも一つ一つまた改正を要するものなのか。またそういう改正を要するような波及力を今度の改正が持っておるのか、そういう点はどういうようにお考えですか。
○旦政府委員 ただいま御指摘ございましたアフリカ開発基金におきましては、御指摘のとおり出資の場合の基準といたしまして、金にリンクした計算単位というものを用いております。しかしこれは、そのアフリカ開発基金自体が決めましたことでございますので、IMFの方で金の公定価格を今日廃止をいたしましても、直ちにはそれに影響するということではございません。これはアフリカ開発基金の方で今後それをどうするかということをお決めになる問題であろうかと思います。したがいまして、同様に、今回のIMFの金の公定価格の廃止ということが、直ちにすべての国際機関の関係の規定に当然に影響するというものではございません。ただ御指摘のように、アフリカ開発基金のメンバーの中にも、このように金とリンクした出資の計算単位というものはおかしいのではないかという議論も理事会等では行われているやに聞いておりますので、また、今日のような体制におきましては、金の公定価格を廃止するということは世界の何分にも合意を得ていることでございますので、将来の方向といたしましては、次第にそのような方向に移っていくのではなかろうか、かように考えております。
○河上委員 そういたしますと、将来またアフリカ開銀あるいは開発基金あるいはアジア開銀その他、そういう普遍的な国際金融機関あるいは地域的な国際金融機関にそういう風潮といいますか、そういうものが広がっていくという御判断だといたしますと、これはまた当外務委員会にそれぞれ改正案が出てくる、こういうことになる可能性は十分あるわけですね。
○旦政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○河上委員 自動的にこれにならって金の公定価格が廃止されるような機関はございますか。
○旦政府委員 ただいま私どもが承知しておりますところでは、そういうことはないのではないかと思います。
○河上委員 今回のIMFでは所有しております金の処分が問題になっていると思うのでありますけれども、これはどういうふうに使われるのでしょうか。開発途上国にドルにかえて資金として援助に充てるというような説もありますけれども、そういうような使い方をするのか、どういうような形で処理されるのか、どうでありますか。
○旦政府委員 昨年の八月末の暫定委員会におきまして、IMF保有金のうちの六分の一に相当する金、つまり二千五百万オンスでございますが、これを開発途上国の利益のために売却いたします。それからまた、もう一つの六分の一を、同じく昨年の八月末現在のIMF加盟国に対しましておのおのの国のIMF割り当て額に応じまして、現在の公定価格、つまり一オンス三十五SDRで売り戻すということが合意されたわけでございます。この合意の具体的な実施方法につきましては、ことしの一月の暫定委員会におきます討議を経まして、去る五月にIMFの理事会で決定を見たわけでございます。
○河上委員 ちょっとよくわかりませんけれども、そういうふうに金をIMFがドルにかえる、またそれぞれクォータに比例してそれぞれの国に返すというようなことのいわゆる経済的な効果というものがどういうものであるのかどうか。要するに金の役割りを下げるという考え方は非常によくわかるのでありますけれども、それがどういう効果を生むのか、またどういうことをねらってそういうことを必要としているのか、ちょっと協定文を読んだだけではよくわからないのです。一方では金で出資をすることも許されているようなんですね。南ア連邦のように金産出国は金で出資することが許されている。一方で吐き出しながら、また一方では金がどんどん入ってくる、こういうようなことにつきまして、いささか一貫していない面もありますし、一体どういうふうな影響があるのか、またどういうねらいでこれをやるのか、伺いたいと思います。
○旦政府委員 御指摘のように、この改正後におきましても金で出資の支払いをしてはいかぬということにはなっておりません。それができることになっておりますけれども、しかし、いままでございましたように、ある部分、二五%の分につきましては金で出資をしなければならぬという規定がなくなったわけでございます。その部分につきましては全く自国通貨で払い込むことが認められるわけでございます。したがいまして、大部分の国は金で出資をすることをやめるであろうと思います。しかし、きわめて例外的な場合に、ある国は金で一部を出資したいということを言うかもしれません。しかし、今度の改正案によりますと、そのような場合には八五%の多数決でこれを認めなければできないということになっておりまして、きわめて制限的な方向になっておるのでございます。 それから、御指摘のIMFの金を六分の一市場で売り払いまして、その差益につきましてこれを後進国援助に充てるということにつきまして多少さらに御説明申し上げますと、その差益のうち約三割程度、これは後進国の全体のシェアでございますが、そのシェアの分につきましては、それに応じまして各後進国に戻されるという効果がございます。したがいまして、後進国といたしましては、それだけ流動性が高まるということになる利益がございます。 残りのものにつきましては、トラストファンドというものを新たに今回設けまして、そのファンドといたしまして、特に石油ショックで国際収支が困難になりました国に対しまして、きわめて緩やかな条件で長期の貸し出しをするということに使うということになっておるのでございます。
○河上委員 いまお話の中に、改正をするには二五%以上の反対があってはできないというような説明があったような気がいたしますけれども、そうでございますね。
○旦政府委員 八五%の賛成を要するということでございます。したがいまして、一五%を超える反対がございますとそれを認められないことになるわけでございまして、二五%と申しましたのは、従来の規定におきまして金で払い込む分ということが二五%であったということでございます。
○河上委員 そういたしますと、八五%ですから一五%の拒否権というものは認められているというふうに解釈してもいいわけですね。 そうしますと、各国の割り当て比率などを見ますと、いまアメリカはどのくらいになっているのか、いま私が手元に持っております表によると、日本は一九六八年十一月現在で三・四%、アメリカは実に二四・三%になっています。そういたしますと、アメリカは一国だけでいわば拒否権を持っているというふうに理解せざるを得ないのでありますが、そのとおりでございますね。
○旦政府委員 おっしゃいますように、今度の増資後のアメリカの投票権で見ますと、従来よりも若干落ちるわけでございますが、しかし二〇%を若干割った投票権をなおアメリカは維持すると思います。したがいまして、おっしゃるとおりアメリカが賛成いたしませんと成立しないことになるわけでございます。 同様に、たとえばEC諸国の投票権を全部総合してみますと一五%以上になりますので、EC全体が一つの意思を決めればこれも拒否権を持ち得るということでございます。 日本は、増資後の姿で申しますと、投票権としては四・五%でございますので、日本だけでは拒否権は持ち得ないということでございます。
○河上委員 アメリカはいまのところ、いわゆる貿易収支の状態、外貨準備、その他から考えまして、恐らくフロート制を望んでおりますから、固定平価制ということになりましたらいわば拒否権を発動するという可能性は非常に大きいと考えるのですが、いかがでございますか。
○旦政府委員 法律上は、確かに一五%を超える投票権を持っておりますので拒否権があるわけでございます。ただその際に、実際にアメリカが拒否権を発動するかどうかということは全く別の問題であろうと思います。
○河上委員 いや、可能性があるかどうかという見通しについて伺ったのであります。
○旦政府委員 今回の改正案をつくります際に、アメリカを含めました各国で各種の討議が行われたわけでございますが、その結果といたしまして、将来国際経済情勢が安定いたしました暁には、固定平価制度もとり得るという合意に立ったのでございまして、その辺当然アメリカもこれを了承していたものと考えるわけでございます。また、この改正が実現いたしましても、ある国が、おれのところは固定平価制をとらないという選択もできるようになっておるわけでございまして、そこのところは従来の制度よりははるかに弾力的になっておるわけでございます。 したがいまして、その事態に立ち至りました場合には、当然アメリカも、今度の改正案を合意に達しました経緯またそのときの世界経済情勢全般を勘案した上で判断するものと思うわけでございまして、いまそれがどうなるであろうかということは私の判断を超える問題でございますけれども、しかし最近の各国の態度は非常に弾力的に物事を処していこうという方向に向かっておるのではないか、かように考えております。
○河上委員 わかりました。それはキッシンジャーにでも聞かないとわからぬことでしょうけれども……。 それでは、わが国は今後外貨準備の中で金の役割りをどのように位置づけていこうとしているのか。また、金を今後ふやしていこうとしておるのか、それともこういう金の役割りを減らしていくという精神にのっとって政策を展開するつもりか、その辺を伺いたい。
○旦政府委員 従来わが国は、金の役割りを減らしていくという方向で終始主張をし続けてきたのでございます。したがいまして、今回の改正案におきましても、わが国の主張が十分取り入れられたものと考えておるわけでございます。いろいろな御意見の方がございまして、従来日本が金をふやさなかったのは過ちではなかったかという御批判もたびたび聞いておるところでございますが、日本の従来の政策といたしましては、金を外貨準備に加えるという余裕は事実上ございませんでした。日本の方策といたしましては、外貨を取得いたしました際には、これをなるべく有利に運用いたしまして、日本の国力の培養に寄与させるという方向で努めてきたわけでございまして、今後の日本の態度といたしましても、金の役割りを漸次軽減していく、減らしていくという方向で進むものと考えております。また、現在の時点におきまして金を直ちに政府といたしまして買わなければいかぬという事態にはなっておらないと思う次第でございます。
○河上委員 それでは、今後国際通貨制度においてSDRの役割りが重要になってくると思うのでありますが、このSDRというのはどういうふうにつくり出され、またどのように各国に配分せられておるのか、またわが国においてSDRというものは一体どのくらいの、外貨準備と言っていいのかどうか知りませんが、その中でどのくらいの額になり、またパーセンテージを占めておるのか、伺いたいと思います。
○旦政府委員 SDRは、先生御案内のとおり、一九六九年のIMF協定改正によりまして導入されたものでございますが、その翌年の七〇年から実際の配分が三回にわたって行われたのでございます。 その配分額は、これは世界全体でございますが、七〇年は約三十四億SDR、七一年が約二十九億五千万SDR、それから七二年が約二十九億五千万SDR、合計九十三億SDRが配分されたわけでございます。その後は、国際流動性が十分であるという認識のもとに、SDRの配分は行われておりませんけれども、将来また必要に応じましてはこれがさらに加わるということになっておるわけでございます。 なお、わが国に対しますSDRの配分でございますが、同じく七〇年には一億二千百八十万SDR、七一年には一億二千八百四十万SDR、七二年には一億二千七百二十万SDR、合計三億七千七百四十万SDRとなっております。現在のところ、世界全体で見まして金外貨準備のうちに占めますSDRの割合は約四・五%程度でございまして、さほど大きいものとはなっておらないのでございます。
○河上委員 いまのお話ですと、国際流動性二千億ドル余りのうち、IMFの百億ドルくらいのSDRが準備資産として十分に役割りを果たし得るのか、いまのお話ですと、今後さらにこれはふえるという状況ではないというようなことでございますが、一体SDRの役割りというのはどういうことであるのか、またその四・五%で十分やっていけるものなのか、そういう点はどうでございますか。
○旦政府委員 SDRはそもそもの発足の経緯からいたしましても、世界の流動性が不足しておるということで、これが円滑な世界経済の運営に支障をもたらすという趣旨で流動性の補完といたしまして発足したものでございます。したがいまして、現在のように国際流動性がほぼ満たされておるという時代におきましては、これを特段にふやす必要はないわけでございます。しかし、将来これが必要になりました際は順次ふやしていくことも十分考えられるところでございますが、現在のところといたしましては、先ほど申し上げましたように、そのウエートは低いのでございますが、これを無理にSDRをふやすということは、かえって世界経済に混乱を起こすものではないか、かように考えております。
○河上委員 このIMFでSDRを創出する改正案を出した、改正を行ったときは、要するに、国際流動性の不足ということが主たる理由であった。国会の質疑応答などを振り返って見ましても、そういうことになっているわけですけれども、今日不足がなくなった、十分である、当時反対論としては、不足どころかむしろ過剰なんではないかというような議論もあったわけですが、いまのお話ですと、SDRというものを設けたけれども、それほどの緊急性はなくなったというような御説明でありますが、そうなりますと、IMFの第一次の改正協定の趣旨というものが一体那辺にあったか、非常に疑わしくなる、あるいは見通しを誤ったというような見方もできるんじゃないかと思うのでありますが、そういう点はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○旦政府委員 IMFにおきまして、SDRの創設を議論いたしましたときには、その前数年間にわたります国際流動性の現状につきまして分析を行ったのでございます。そのSDRの創設が決定されましたのが六九年でございますけれども、その前数年間の国際流動性の伸び率がわかっておりますが、それを見ますと、たとえば六五年には世界全体といたしまして、国際流動性の伸び率は二・九%、それから六六年には二・二%、六七年には二・三%、六八年には四・二%、六九年には〇・九%ということで伸び率といたしましては非常に低かったわけでございます。したがいまして、流動性の不足が論ぜられまして、これをふやさないことには世界経済の発展が非常に抑えられるという議論であったのでございます。 したがいまして、そのような結果からあのようなSDRが創設されたのでございますが、その後最近に至りまして、世界全体の流動性がきわめて大幅に増加しておるというのが実態でございまして、たとえば七三年を見ますと一五・五%、七四年を見ますと二〇・一%というように非常に大幅にふえております。したがいまして、一部には過剰流動性の御意見もございますように、現在のところは流動性に不足はないということでございます。しかし、七五年の流動性の増加を見てみますと、これがわずかに三・二%、非常に大幅に落ち込んでおるわけでございまして、こういうような状態が続きますれば、あるいは将来さらにSDRを増加するという必要が生じてくるかもしれないわけでございます。
○河上委員 IMFのいまの改正あるいは前回の改正の中で、このSDRというのが非常に重要な意味を持っておるように喧伝されておるわけですけれども、いまの御説明ですと、あくまでこれは補助手段であるというような御意見であるばかりでなく、この補助手段としても緊急性は余りない、むしろ減少しているというようなお話でありますと、これはどういうふうに理解してよいのか。日本の大蔵当局として、いわゆる管理通貨というものについてのお考えはどういうふうなものであるのか、私はその点を伺いたいと思うのであります。
○旦政府委員 確かに先生御指摘のように、現在のところのSDRのシェアというのは非常に低いわけでございます。これはもちろんSDRが創設間もないということもございましょうが、必要に応じた分がそれだけにとどまったというだけでございまして、その意味ではSDRは余り大きなシェアを占めてないというのはおっしゃるとおりでございます。また、その後の数年間の動きを見ますと、流動性は十分であったということもおっしゃるとおりでございますが、しかし国際金融制度全体を論じます場合には、物事を中期あるいは長期的に考える必要もあるわけでございまして、そういう意味では将来何どき国際流動性の不足がまたこないとも限らない。そのときの手だては十分尽くしておく必要があるということが私どもの考えでございます。 それから、第二点の管理通貨制度についてどう考えるかということでございますが、これにつきましては、これまたいろいろな歴史的な議論があるところでございますけれども、よく管理された通貨量というものは尊重さるべきものであるというふうに私どもは考えておるものでございます。
○河上委員 どうも全体に日本の大蔵当局は、一方では何か一つの信念を持って当たっておられるようなんですけれども、他方では、要するに周囲の情勢を見て、どううまくくっついていくかということをいつも頭に置いておられるようでして、その辺はなはだ首尾一貫しないような感じを受けるのです。これはいいか悪いかは別といたしまして、石橋湛山氏が昭和六年に「金本位離脱と国際通貨制度の将来」というような論文を書いておりまして、その中で「ケーンズ氏は其著書の中に、若し此マネージド・カレンシー、即ち管理通貨と云うものを旨く運用し得ない、と云う意味の言を述べて居りますが、是は私は名言だと思う。」、こういうふうに述べておりますが、このようなケインズや石橋氏の考え方が今日もなお適用できるものかどうか、またいろいろ批判があろうかと思いますけれども、少なくとも今回のIMF改定の中でうたわれております内容を考えますときに、この発言というのはきわめて重要であると思うのであります。こういうケインズ氏や石橋氏の考え方から見た場合、金とかあるいは金とリンクしたドルとか、あるいはアメリカという特定国の政策に左右されるドルに依存する現行のブレトン・ウッズ国際通貨体制よりも、SDRというような国際的な協議によって流動性を管理するという思想が主流を占める、主流になっていくということがそういう考え方から言えば進歩であると言えるのではないかと思うのであります。政府はこの点どういうようにお考えになりますか。今回のIMF協定改正案に賛成をされる、そういう立場に立っておられるわけでありますけれども、広い意味で、細かい点はいろいろ戦前のことでありますから今日の事態に適用できるかどうかは疑問でありますけれども、大きな意味で考えた場合に、いま言ったような管理通貨という考え方から見て、金から離れていくという考え方を進歩と見るのか、またこれはむしろ非常に困ったことで、ただやむを得ず認めるというふうにお考えなのか、その点はいかがですか。
○塩崎政府委員 ケインズあるいは石橋湛山先生の言葉は名言だと思うのでございます。金という特定の商品にリンクした通貨制度あるいは米国ドルという一国の通貨にリンクした世界通貨の制度、こういったことは確かにいろいろの面において弊害があることも事実でございまして、そういった意味でSDRを中心とした管理通貨的な制度が世界の中で採用されればこれは大きな進歩だ、こんなふうに私は考えるわけでございます。ただ世界の現状で、まだ一国が主権を持って完全に世界国家ができてないような状況でございます。 さらにまた、SDRという制度は本当にまだ歴史が浅い制度でございますので、これをどのように進歩させていくかは世界各国の態度、特に通貨当局の政策いかんによろうかと思うのでございますが、方向といたしましてはこのSDRといったような考え方をやはり促進していくような考え方を世界全体がとっていく、それにまた日本も協力していくということが望ましいと私どもは考えております。
○河上委員 少し横道にそれますけれども、現在のブレトン・ウッズ協定のできました一九四四年の会議において、ホワイト案とケインズ案というものが対立して、結果的にはホワイト案の方が骨格を占めるようになるわけでありますけれども、ケインズ案というものについて、今日のこの改正から見ましてその考え方がどのように評価し得るか、そのようなことについてあるいはやや昔のことにさかのぼり過ぎますけれども、今回の改正案の動向というものが非常に重要な意味を持っているだけに伺っておきたいと思っております。
○旦政府委員 ブレトン・ウッズ体制の議論をいたします際に、おっしゃいますようにケインズ案、ホワイト案というものがあったのは先生御指摘のとおりでございます。このケインズ案におきましては国際清算同盟案といいますか、国際清算同盟というものをつくるということを考えておったのでございますが、これはすでに戦争中の四三年にこの案が出されておったのでございますが、それは戦後の世界におきまして多角的な世界貿易を促進するために常設の決済機構を設立しよう、貿易の拡大に重点を置きますために、為替相場の変更については比較的柔軟な態度をとるということにしておりまして、この清算同盟からオーバードラフトの形で一種の信用創造を認めることを主張しておったのは御承知のとおりでございます。この詳しいことは省略させていただきますけれども、要するにその考えといたしましては、一国の受け取り超過が直ちに他国の国際収支に圧迫を及ぼして、世界貿易が縮小するようなことを避けようというのがねらいであったと理解しておるところでございます。 したがいまして、このようなケインズの考え方と今回のIMFの協定改正の下に流れる考え方を比較してみますと、今回の改正案が考えております国際通貨制度はかなり弾力的なものであり、ケインズが考えたと同じように世界貿易の発展を祈念するために弾力的な為替相場を考えておった、そして国際収支のポジションの動向によりましては、適宜為替相場が調整されるべきであるという考えをケインズは持っておりましたが、それと一脈通ずる思想が流れているのではないか、かように理解いたしております。
○河上委員 そういたしますと、私が御質問申し上げたように今回のIMF改正というものは、一九四四年のケインズの考え方の思想的な系譜の上に立っているというか、つながっているというふうに理解していいわけでございますね。
○旦政府委員 つぶさに点検をいたしてみますと相通ずるものがあるということは認めざるを得ないのではないかと思うわけでございますが、ケインズの考え方、これに明らかに乗ってそうなったということではないかもしれません。しかしその弾力的な考え方につきましては相通ずるものがあるということでございます。
○河上委員 今回のあれで見ますと金の役割りを減らすということでございますが、フランスはいままで金選好の非常に強い国だということで、したがって固定相場制もまたかたく固執をしておる、こういうようなことでございまして、そのことがアメリカとフランスの最大の争点の一つになっておったと思うのであります。フランスの大統領がアメリカをいま訪れたりいたしておりますけれども、今回のIMF協定の改正案というのは、こうした米仏論争に一つの区切りをつけたというふうに理解してよろしいものでしょうか。その辺のことを伺いたいと思います。
○旦政府委員 御指摘のようにフランスは従来金に対する選好が非常に強い、また固定相場制に復帰すべきであるという主張を長らく持ち続けておったのでございます。他面アメリカは、これと反対に変動相場を今後も続けていくべきであるという筋の主張を続けておったわけでございまして、この両大国が国際金融の制度の将来の姿につきまして意見の一致を見ることが長らくできなかったわけでございます。日本を含めますその他の主要国は、この両意見の中間的な意見を持ち続けてきたと思うのでございますが、この中間的な、日本初めドイツ、イギリス等の諸国が、米仏のこの神学論争とまで言われました理論的な対立もそろそろやめにして、早く新しい展望に立った国際金融制度の将来を描き出すべきではないかということを両国に勧めまして、あのような合意ができたわけでございます。
○河上委員 なお少しく将来のIMFのあり方などについてこれから伺いたいものでございますけれども、時間もかなり経過しましたので、きょうはこれでやめにさしていただいて、また後日続けさしていただきたいと思います。
○鯨岡委員長 午後一時五十分より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時二十一分休憩 ————◇————— 午後二時十二分開議
○鯨岡委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。 質疑を続行いたします。荒木宏君。
○荒木委員 初めに少しお尋ねをしたいのですが、今回のIMFの出資の増額、これ以外にも国際金融機関にいろいろ出資増額の話もあるようでございます。それで初めに新年度にいろいろ話の出ておりますIMF、あるいは世銀、第二世銀その他いろいろありますが、大体どういう機関からどの程度の出資の増額の話が出ておるか、そういった概況についてあらましをお聞かせいただきたいと思います。
○旦政府委員 まずIMFでございますが、このIMFの増資は先般の総務会で決められたものでございまして、わが国の増資は従来の十二億SDRから十六億五千九百万SDRへ増資するということになっております。 なお、IDB等につきましてただいま資料を整えましてお答えいたしたいと思います。
○荒木委員 詳しい数字はまた後ほど調べていただくとして、大体丸いところで、どういったところからトータルどのぐらいの話が来ておりますか。
○旦政府委員 ただいま資料を整えておりますので、後ほど答弁させていただきます。
○荒木委員 金額の正確な数字自体を論議の対象にしておるんじゃありませんので、大きなところで政治的な質疑ということですので、そういうふうに御理解いただきたいのですけれども、それじゃ国際金融関係への増資、それがいかほどになりますか。それも含めて、何といいましょうか経済協力といいますか、これが本年度も予算が通過をいたしまして計上されておるわけですけれども、どういうところにどの程度の規模でどこに力を入れていくか、こういったことが従来から論議をされてきたわけです。政府当局の方では、いま国際金融機関への協力を大体予算対比あるいはGNP対比でどのくらいのところがまあまあだろうというふうに考えていらっしゃるか、量的な比率のめどの点をまずお伺いしたいと思います。
○旦政府委員 先ほど御質問ございましたIMFといたしましては、今回の全体の増資の割合は三三・六%でございます。なおただいま御質問ございましたのは、それら国際機関を含めまして政府援助が全体のどのぐらいのところをめどとしておるのかという御質問かと思いますけれども、これはそのときどきの財政事情にもよりますので、たとえばGNPに対します一%というような目標も考えられるわけでございますが、そのときどきの財政事情の許す範囲内におきましてできるだけふやしてまいりたいという考えであろうと思います。
○荒木委員 いままで政府が外へ出て、約束になるのでしょうか決意表明になるのでしょうか、このぐらいでいきたいといったことがありますね。国際金融関係への出資、余り限定した範囲ではないでしょうけれども、経済協力はこのぐらいでいきたいというそれは一番新しいところではどのぐらいになっていますか。GNPの〇・七だとかあるいは一%以上とか、いろいろなことを言いましたけれども、オフィシャルにはいまどういうことになっているのですか。
○旦政府委員 経済協力に関します目標といたしまして、援助の量、総額といたしましては、日本は昨年の五月のOECD閣僚理事会におきまして、GNPの一%を一九七五年までに達成すべく努力をするということを言っております。またODAにつきましてはGNPの〇・七%を目標にすることは前回のUNCTADで発言いたしておりますが、その達成時期につきましては留保いたしております。
○荒木委員 これは何といいますか、外交対策だけじゃなくていろいろな面が絡んできますからここだけで論議するのはいかがかと思うのですけれども、ただ従来のように自然増収が幾らでも期待できるといったようなときとは経済がずいぶんさま変わりになっている、これは政府の皆さんもみずからおっしゃっているところであり、また一回限りじゃなくて、これは継続的なことですから、にわかに手のひら返したような話はなかなかしにくいものですけれども、しかし単年度七兆円を超える借金をしなければならない。せんだっての他の委員会の論議では五年後は約五十兆円、十年後には実に九十兆円を超える借金の累積が一つの試算として見込まれる、そういったときには、いま一、二の例で政府委員から御答弁ありましたけれども、そういった比率についても国内的、内部的にはやはり再検討もし、重点もしっかり定め、それからまたそれの効果といいますか跡づけも点検もし、しっかりした国民の納得のいくような形で国際金融機関への出資、広くは経済協力出資といいますか、されるべきではないかと思うのですが、そういった意味での再検討の必要性といいますか、それは政務次官にお尋ねをしたいと思うのです。
○塩崎政府委員 御指摘のように経済協力ももちろん国民経済さらにまた国の財政に依存することは当然でございまして、したがいまして、今後の財政が大変むずかしい局面を迎えることが予想されます際には再検討の対象になることは当然でございます。しかしながら、発展途上国に対しますところの経済協力という問題は私どもが国際社会に組み込まれて、また国際社会の中に生きていく上において大変重要な政策の方向でございますので、できる限り努力いたしまして、これまで言明いたしましたところの経済協力の何と申しますか、目標、これらにつきましては達成するように極力努力してまいるのが当然のことだ、こんなふうに考えております。
○荒木委員 大臣もおいででございませんので、いまの政務次官の御答弁を伺っておくことにしたいと思いますが、あわせて、国内ではたとえば行政経費の、一割削減だとかあるいはかなり思い切ったカットがされており、かつ公共料金の引上げその他さまざまな国民負担が急増しておる時期でもありまして、海の外のこととはいえ、こうした国際金融機関の出資された後のアフターケアといいますか、結果がどうなっておるかということは国民としても大いに監視の目を光らせなければならないところだと思うのです。そういった意味で、私は当委員会は不案内でございますので余りよく存じませんけれども、こうした国際金融機関から拠出されておる資金の使途あるいはその内容、結果ですね、こういったことも国会の方に報告方をひとつ格段の御尽力を要請をしたいと思います。資源関係につきましては、まあまあ新聞報道などもありまして、せっかく金をつぎ込んでやったけれども、実はむだ金になったというのも最近そう珍しくない報道がありますので、そういったことについても政務次官からひとつお約束をいただいておきたいと思うのです。
○塩崎政府委員 確かに国際金融機関といえども私どもの国民の税金から出ているわけでございます。国民の財産というべきものでございますから、その財産がどのように運用されてどのような効果を生んでいるか、当然私どもが注目すべきであろうかと思いますので、このような点につきましては極力資料を取りまして、国会でも説明できる範囲において説明を申し上げたい、こういうふうに思う次第でございます。
○荒木委員 そこで、この協定の改正内容について少しお尋ねをしたいと思うのですが、まず第一に為替制度の問題でありますけれども、今度フロートが公認をされたということで大きな改正点の一つに挙げられておりますが、これがフリーハンドのフロートではなくて、いろいろな訳語がありますけれども、安定的為替相場といいますかあるいは管理されたフロートというのでしょうか、さらにはまたガイドラインというようなことも指摘されておるところもありますが、そうした何といいますかフロートをそれぞれの国が採用する、その上にIMFが監視、指導していく、こういうふうな条項になっておるように聞いておるのですが、これは具体的にはどういう形で指導、監視されるということになっておるのか、内容を少し御説明いただきたいと思います。
○旦政府委員 為替相場に関しますIMFの監視はどういうようなかっこうで行われるのかという御質問であろうかと思うわけでございます。御承知のように為替相場は一国の経済の競争力の表現でございますので、したがいまして、悪くいたしますと為替の切り下げ競争ということになりがちなものでございます。そういうことになりますれば為替相場が相当混乱するということでございまして、ひいては国際経済にも好ましくない影響を与えるということでございます。したがいまして、各国の為替相場政策に関しまして国際的な場、つまりIMFを通じましてお互いに監視し合うというのが今回の改正の趣旨であろうと思うのでございます。そういうようなIMFの場を通じまして国際的な協調を図っていくというのが今度の仕方であろうと思うわけでございます。
○荒木委員 お互いに目を光らせて何といいますか協調を破っていくものに対して監視をしていく、こういうふうな御答弁のように伺ったのですが、その場合に切り下げ競争という言葉も出ておりましたのですけれども、各国それぞれとっております為替相場政策というのは違うわけですね。それぞれの経済実態が違い、それぞれの経済目標が違い、経過が違い、将来が違う、目指すところが必ずしも同じではないということになりますと、お互いに目を光らせておるとはいうものの、その間に共通の目安といいますかあるいは為替政策についての、これははっきり数字で出てくるわけですから、それについての共通の土俵というか物差しがなければ、水かけ論といいますか言葉の投げ合いというか、あるいは政策的な政治的な力関係によって左右されるというか、なかなか目の光らせ方や効果も問題ではなかろうかという指摘もあると思うのです。そういった点でIMFの監視体制が働く上でどのようなところが目安になっているか。これは概念的なものもありましょうしあるいは数量的なものもあると思うのです。この方はいかがでしょうか。
○旦政府委員 今回のIMFの協定改正案の中におきまして、そのような介入の仕方あるいは為替相場の運営につきましての政策を立案するということになっております。その具体的な立案につきましては今後の問題であろうかと思うわけでございますが、その前に、現行の協定のもとにおきましても、フロートがかなり、三年余りの長きにわたっておりますためにいろいろ問題が生じるということで、一昨年の六月にIMFの理事会におきまして、フロートの一応のガイドラインというものを設けております。たとえば日々あるいは週ごとに非常に乱高下するというような短期間の乱高下につきましては、介入でもってこれを防止すべきではないかというようなガイドラインを設けておるのでございます。
○荒木委員 この三年余りのフロートの間にそれなりの対応がなされたということは私も承知しておりますけれども、ブレトン・ウッズからずっと続いてきましたこれが、今度は新聞表現を借りますと、キングストン体制というんですか、かなりさま変わりになる。つまり、従来やってきたことを国際協定の形にして、それをある程度固定化するといいますか、公認するといいますか、そういう意味では質的に変わるわけですから、そのときに、それぞれ切り下げ競争防止にこれからひとつ寄り寄り相談するんだというお話ですが、国内でこれを承認をするということになりますと、つまり国民がこれでよろしいと言うからには、政府としてこういうところを目安にして臨むんだというところを聞かしていただかないと、それはお任せいただいてこれから先のことでございますと言うのでは、必ずしも十分得心がいかないわけでありまして、従来のそういう国際的な経過の実態といいますか、そういうことを踏まえた上にも立って政府がどういうふうな目安をそこで主張しようとされておるのか。この承認を求めるに当たっての政府の心組みをひとつ目安の面でお聞かせ願いたい。
○旦政府委員 介入につきましては、相場のいたずらなる乱高下は防止するということがまず第一であろうかと思います。と申しますのは、為替相場そのものは、理論的に申しますと一国の通貨の力が国際金融市場におきましてどれだけの強さを持っているかという相対的なものでございますから、為替相場自体はその国の経済力の反射であるわけでございます。しかしながら、基本的にはそうでございますけれども、時々の情勢によりまして、あるいは政情不安でありますとか、あるいは何らかの事件でありますとか、あるいはうわさでありますとか、そういうような事象によりまして投機的な動きもこれに加わってくるわけでございます。基礎的には国力の表現でありますので、そのような投機的な動きはいずれはおさまってくるものでありますけれども、短期的にはそれがかなり大きな為替相場の変動をもたらすということもあるわけでございまして、そういう好ましくない不規則な変動については断固としてこれを抑えるような方向でいかなければならぬということは、これは先般の、昨年末のランブイエその他の会議におきましても各国の間で一致を見ておるところでございます。そういうことを軸といたしまして今後の政策を考えていくべきではないか、かように考えるわけでございます。
○荒木委員 それは私も承知しておるんです。ただ、いまお話しのように、各国の代表が寄る、余り急にかき回すのは困りますよと、大体一致するでしょう。しかし具体的な、さて当面の、まあアクシデントが起こったということになりますと、それはそれ、対応策が必ずしも一致をしない。御承知のようにニクソン・ショック以来、いや、もうその以前から、まあ六〇年代の終わりごろからしばしば国際通貨不安が言われて、その都度国際通貨秩序の上でさまざまな撹乱現象が起こってきた。現にいまヨーロッパの方でも、見方によってはいろいろ言えますけれども、必ずしも、泰然自若として明水鏡のごとくという状態では決してないですわね。だからそのときに、言葉で乱高下だとか、余りこうなってとおっしゃるのだけれども、じゃ腹づもりは一体どのくらいなんだ。一つは当面の、まあいわば、道を走っていて、センターラインをどのくらい越えたらいかぬというような、そういうふうなところの幅でどう思っていらっしゃるか。経済実態を反映するものだというのは、これは一種の常識でありましょう。だがしかし、いまもう固定制を外しちゃうわけですからね。だからそういうことになったら、結局はそのときそのときの、いたぶりはぐあい悪いけれども、長い目で見てうんと——つまり静かなる大きな変化というものは今度の協定ではやむを得ぬのだ。前の固定のように、きちっと一応の、一階から二階へ上がるみたいなはっきりした区別があるわけじゃないわけですから、その辺のところで、当面の、大体車線の幅をどのぐらい見ているんだ、センターラインをオーバーした場合にどのぐらいが交通違反になるのだ。それから長期に、道を走ってどのぐらいのところのカーブまでは行こうとしているのだ。この辺を聞かしていただかないと国民としてはちょっと腑に落ちかねる面もあろうと思う。これは技術的な点もありますがね。ですから、次長さんの方からお答えいただいて、政務次官の方からひとつ政治的な観点も含めて御答弁を願いたいと思うのです。
○旦政府委員 今般のIMF協定改正案におきましては、将来固定平価制度に戻る場合のことも想定して規定を設けておりますが、その将来戻った場合につきましては、平価を定めました上下四・五%というレールが敷かれておるわけでございます。ただ、現状におきましては変動相場制度でございますので、そこのところは、先生おっしゃいますように一応の目安からどのぐらいの幅でいくのかということについては、明示の定めがございません。ただ、現状におきまして、欧州諸国が、ECの諸国がトンネルの中のスネークと申しますか、全体といたしましては対ドルでフロートいたしておりますけれども、お互いの通貨同士の幅というものは一応定めておりまして、これは二・二五%でございます。ただ、日本につきましてはそういう定めはもちろんございません。それでランブイエのときあるいは一月のジャマイカのときなどにおきますおおむねの合意といたしましては、やはり経済の実態が為替相場の基本でありますので、主要各国はその国内政策を国際協調の観点から規律あるものとして運営することが第一である。そして、それでもなお為替相場の乱高下がありますときには、先ほど申し上げましたようにお互いに協力をして、必要に応じましては情報の交換もして、そのいたずらなる乱高下を防止しよう。そのことによりまして、単なる乱高下——もともとなくてもよかったような乱高下は防止し、同時に、むだな外貨の準備の使用というものを防ごうというようなことが、おおむね合意されておるところでございます。
○塩崎政府委員 政治的な観点から答えろという御命令でございますが、人命に影響いたします道路、確かに、数字によって明確に計算いたしまして、この程度の幅ならよろしいということも可能であろうと私は思います。しかし、その道路でも、御承知のように周囲の環境によっていろいろ変化があるわけでございます。ましてや、まだ未進歩の経済学の社会で、数字で明瞭にできない場合が相当多いかと私は思いますし、心の中にはある程度のセンターラインを引っ張っておりましても、なかなかそれが数字にあらわせない。また、あらわすことが適当でない場合が多いかと思います。旦次長が繰り返しましたが、御承知のようにいま経済は繁栄しておりますし、為替相場がなぜこのようになったのか、これはいろいろの原因がある。そういった場合に一律の数字でこれを表現することはむずかしい。やはり経済は生き物でございますので、たとえばその生き物の体温がなぜこうなっておるのか、病気がどこにあるのか、これは病気でないのかもしれない、いろいろと原因を探求して、その場その場において適切なる手段を講ずる。しかし、おのずから常識によって決まってくる場合もありますけれども、よほど理由がわからない場合もある。こんなことが私はいまの御質問に対するお答えではないかというふうに考えております。
○荒木委員 いま次官がおっしゃった点は、私もよくわかる一面があるわけです。全体として生き物でありますし、場合によっては相手さんもあることですから、そうそう世間に大きな声で言うということが適当でない場合もありましょう。 ただ、先ほど次長も言われたのですけれども、たとえば将来固定制に復帰するなんて言いますが、これは現実的な可能性というのはありますか。私が指摘するまでもなく、拒否権の問題も各論者ともに指摘をしておるところです。ですから、国際関係とは言い条、いかに大きな声を出してみたところで、ある一定の投票権を持っている国が首を横に振ればもう絶対にだめだというふうになっておるシステムで、それを国会答弁で持ち出して、可能性もありますと言う、それは字面の上では確かにありますよ。また、ECの話も出ましたけれども、仲間をつくってお互いに率を決めておるようなところは別です。日本はその共同フロートの中には入っていないわけですから。ですから、現実的に可能性のほとんどないような例だとか、あるいはその中に入っていないような話を持ち出して、そしていまお尋ねしておる問題についての答弁にされるというふうなあり方は、私は問題だと思います。方法はいろいろありましょう。理事会の場だとかあるいはいろいろな適当な場があります。 私はからずも思い出すのですが、もう三年ぐらい前になりますか、フロートが始まって大騒ぎして、当時の国金局長はどなたでしたか、林さんでしたか、もう一時間置きに電話を入れて、大変でございますというようなことを大蔵委員会でおっしゃっていました。そうなっていよいよ火がつき出してどうのこうのと言うよりも、そういった国際協定ががらり変わろうとするときに、先の目安についての腹づもりも、しかるべき形でしかるべき場所で国民の代表にもよく相談をし意見も聞く。もちろん行政権は政府にあるわけですから、立法府とは違いますけれども、そういうふうなところを、いまお聞きしておる目安問題にも触れて、内容、それから手続というか、これは要望、指摘をしておきたいということにいたしまして、次にいきたいと思います。政務次官、何かおっしゃることありますか。
○塩崎政府委員 動く経済をどのように見通し、どのように方向づけるかという問題だと思いますが、いまおっしゃったような点は慎重に、その場その場の経済情勢に応じて研究し、おっしゃったように国会において報告すべき点がございますればまた報告をいたして、いろいろと常識的な線を求める、こんなことは当然やるべきだ、こういうふうに考えております。
○荒木委員 さて、フロートに関しまして、私、次にお伺いしたいのは、いま世界じゅうにあふれておるというか、言い方はいろいろありますけれども、過剰ドルの問題が指摘をされておるのですけれども、昨年の夏でしたか、連邦準備銀行の月報によりますと、短期の対外債務が千二百三十八億ドル。その数量を過剰ドルというふうに一概に言うのかどうか、いろいろな見方があると思いますが、今度の新しい改正協定では、この多額のアメリカの対外短期債務の処理についてはどのような影響、効果を及ぼすことになるのでしょうか。
○旦政府委員 ただいま御指摘がございましたように、現在の仕組みにおきましては基軸通貨国、これは現状におきましてはアメリカでございますけれども、その国際収支の赤字がなければ国際流動性が不足する。一方、国際収支の赤字が続きますと基軸通貨、つまりドルの信認が揺らぎまして、同時に過剰流動性の問題が生ずるという事態になっておるわけでございます。それがブレトン・ウッズ体制の最大の欠陥の一つであったわけでございます。こういう欠陥を是正するためにSDRというものが創設されたことは御承知のとおりでございまして、このSDRの役割りを強化してまいる、そして基軸通貨国を含めて通貨の安定の基礎をなす経済の安定を図る義務と、そのための国際協力及びIMFの監視を強化するというのが今回の改正でございます。この目的の実現のためには時日がかなりかかると思いますけれども、そういう方向に一歩踏み出すのが今回の改正のねらいであるということが言えようかと思います。
○荒木委員 非常にかいつまんだ形で答弁を伺ったのですが、見方によれば、こういう三十年来の大きな改正といいますか曲がり角というのは——いま次長は、金の部分交換性を持ったドルが基軸通貨ということでは流動性が不足すると、一口に言い切られたのですが、結果はなるほどそうであったでしょう。しかし、果たしてそれをそう一口で言っていいものだろうかどうだろうか。これはある意味ではちょっと後ろ向きの論議ですので、余り時間をとりたくないのですけれども、この改正の承認にもかかわるし、また今後の為替政策にも大いに関係しますから、政府のお考えを伺っておきたいのです。 私は思うのですが、何でもかんでも使いほうだいに使って、これも要る、あれも要る、これもつくれ、あれも出せと言う。それはまき散らせば流動性が足らぬのはあたりまえです。だって、何もバランスを考えずにやるわけですからね。だとすれば、いままでの流動性不足の中で、しかく成長に要する国際通貨の供給ということで本当に必要なものばかりだったのだろうか。これは政府の方はどうお考えになっておるか。たとえばアメリカのベトナム戦費の支出もありましょう。あるいはアメリカの国内における通貨政策、流動性問題もありましょう。そういった面で、とにかく流動性が足らなかったということでおっしゃっているのですけれども、政治的に見てどうだったのだろうか。これは技術論議よりも政務次官の方から、もうちょっと高い見地からおっしゃっていただいた方が論議としては前向きになると私は思うのですが、いかがですか。
○旦政府委員 政務次官が御答弁になります前に若干述べさせていただきますと、おっしゃいますように、ベトナム戦争のころには、アメリカの国際収支の赤字という形で国際流動性が海外に多量に流れ出したことは事実でございます。それが、たとえば昨年におきましては、アメリカの経常収支は百十億ドルの黒字になりました。ことしはどうなりますかわかりませんが、恐らく若干の黒字になろうと思います。こういうような黒字になりますということは、アメリカの経済が健全なレールに乗って戻ってきたということでございまして、それがまたひいては今日のドルの強い立場に反映しているわけでございます。したがいまして、このようなことで、流動性が過去に非常に過剰とも言われた時代があったのは確かでございますけれども、今日の状態でありますと、そろそろ流動性が引き締まってくる徴候があらわれてきているのではないか、かように考えておるわけでございます。
○塩崎政府委員 荒木委員の御指摘のように、成長通貨を含めての世界の通貨のあり方の問題は大変大事な問題でございます。いま旦次長も申しましたように、アメリカのドルのかつての偏在と申しますか流出が過剰流動性の問題を生んだり、国際的な為替相場の不安の原因になったりいたした時代があったわけでございます。そのようなことを直すことがまさしく今度のIMF協定の大きなねらいであろうかと私は思いますので、そういった観点からSDR、まだまだ不十分な世界通貨ではございますけれども、これらの育成を含めていまの問題に取り組まなければならない、こんなふうに考えるのでございます。
○荒木委員 ドルが持ち直してきたというお話なんですが、確かに数字の上ではそういう形、指標が出ておるのですけれども、しかし、それではアメリカがそんなに行儀よくなっただろうか、私はそう思うのですよ。つまり、ほかが大分へたったでしょう、石油ショックで。これは相対的なあれですから、ほかがしんどくなればバランスは持ち直すことは当然だと思うのです。しかし、ドルの貨幣価値自体を見てみますと、一九六〇年を仮に一〇〇とすれば、昨年で物価が一・八七倍になっているので、貨幣価値は一・八七分の一に下落しているわけですね。ですから、そういう点から言いますと、なるほどいまは、一ころのひどいときに比べると小康状態を保っているというふうにかなり多くの人から言われているわけですけれども、それでは、アメリカのインフレ政策なりあるいは過剰流動性に対する政策なり、三年、五年、あるいは十年と見て、おっしゃるように、大丈夫ですと言い切れる保証があるか。今度の協定でそれは大分よくなったのですとおっしゃるけれども、やはりがんとして権限を持っています。ですから、そういう意味で、いま持ち直しているし、この協定でよくなるでしょうということは私はにわかには首肯しがたい。これは国民の気持ちも同じだと思うのです。だから、それほどおっしゃるなら、いま短期対外債務で千二百三十八億ドルもある、それから国内の貨幣価値をずっと見てみれば、それだけ下落の一途をたどってきている。これは資本主義経済ではある程度循環しますから、構造的な危機とは別に周期を描くわけですから、山もあり谷もあるでしょうけれども、アメリカの政府がインフレを収束する、ますます貨幣価値が堅固なものになっていく、今度の協定でよくなっていくとおっしゃったんだけれども、インフレにならないという点、歯どめがどこにあるかという点、これをひとつ指摘していただきたいと思うのです。
○塩崎政府委員 どの政府でも、好んでインフレ政策をとっている国はないと思います。しかし、何といたしましても世界通貨の象徴でございましたドルでございますから、安定が望ましいことは申すまでもございませんし、ニクソン・ショック後、アメリカも大変節度ある財政あるいは節度ある物価政策、そういった方向に走っておることが今日のドルの強化をもたらしたものであり、日本政府としても当然歓迎すべきである、こんなふうに考えるものでございます。
○荒木委員 大変アメリカの肩を持った——肩を持ったと言ってはちょっとあれですけれども御発言があったのですが、これは単に国際金融的な面だけではありませんから、私はそういう政府当局の御見解だということを伺うにとどめておきます。しかし、いま指摘しました点は、これは国内における政府のインフレ防止政策の成り行きとあわせて、国際的に見て一番影響の大きいアメリカ当局の通貨政策、ひいては国内にも大きな影響を持つわけで、国民としてはその点に重大な関心もあるし、決して次官言われたようなそれほど手放しの見方はしていないということを指摘しておきたいと思うのです。 関連しまして、日本はいま取引もほとんどがドル建てでありますし、円建ても少しふえてきましたけれども品目が限られておりますし、西ドイツのようになかなかわが通貨で取引せいというところまではいっていないわけですし、ことにいわゆる準備資産といわれるものの中身は、金がほとんどなくて大体よその、主としてアメリカの金ですから、そういう点で今度の協定のもう一つの問題、金の取り扱いといいますか、金廃貨といわれておりますけれども、ここに触れてお尋ねをしたいと思うのです。 政府はかねて、昨年もたびたび会議がありましたし、暮れにはランブイエであり、本年初頭にはジャマイカであり、いろいろなところへ顔を出しておられるわけですが、金の問題についてはどういう主張をしてこられたのでしょうか。新聞報道などでは金廃貨の方向とかいろいろな報道記事がありますけれども、政府として金の問題について国際会議でどういう主張をしてこられたか、これを初めに聞かしていただきたいと思う。
○旦政府委員 金の問題につきましては、御承知のとおり、わが国は金外貨準備の中に占めます金のウエートというのは非常に少ないわけでございまして、この点につきましては、わが国はその他の開発途上国と同じように金を持たざる国でございます。したがいまして、わが国の主張もおのずからその線に沿った結論にならざるを得ないというのが現状でございまして、日本は従来種々の国際会議におきまして、金の役割りは漸次低下していくべきである、直ちに廃貨ということはなかなかむずかしい問題であろうかと思いますが、漸次金の役割りは下げていくべきである、そしてSDRを盛り立てていくべきであるという主張を繰り返してきた次第でございます。
○荒木委員 どだい余り持っていないのですから、これは大切ですというようなことはなかなか言いにくいとは思うのですが、ただ、今度の協定ではそれはどうなったのですか。政府が言ってきた役割り低下という方向での改正案になっているのですか。その点の評価はいかがですか。
○旦政府委員 従来政府が主張してまいった線に沿った改正であると信じております。と申しますのは、従来のIMFの出資の場合には各国の割当額の二五%は金で出資するわけでございますが、今回は金で出資するのを廃止いたしたわけでございまして、これに伴いまして金の公定価格もこれを廃止する、また、中央銀行の金の取引につきましても従来の制限を解除する、そして、価値の基準といたしまして従来金でありましたものをSDRにかえるという改正をしておる次第でございます。
○荒木委員 そういうことになりますと、IMFが持っておる金、一億五千万ポンドと言われますが、その六分の一処分するわけでしょう、一定の期間に。これはどこでもかしこでも、とにかく金になればいい、売ればいい、こういうことになるわけですか。この処分をする金について、それの価値の維持というか、その点はどういうふうになっておるのですか。
○旦政府委員 現在IMFが持っております金のうち、まず六分の一につきましては、自由マーケットにおきまして四年間に分散いたしましてこれを処分するということにいたしております。この処分いたしますもののうち、それが時価で処分されるわけでございますから、現在公定価格で評価されておりますものの差額が出るわけでございますが、その差益につきましては、IMFの出資の割り当て額に応じました後進国分、これが約三十数%になろうかと思いますが、その分につきましては発展途上国の政府に戻すことにいたしまして、残りの六十数%のものにつきましては、新たにこの五月にできました信託基金の中に繰り入れる。そうしてこの信託基金は、これを一定の条件に基づきまして、発展途上国の国際収支の助けに用いることにいたしておるわけでございます。 もう一つの六分の一のものにつきましては、加盟国のそれぞれのシェアに基づきまして加盟国の政府に返還する、レスティチューションと言っておりますが、返還するということを現在決定いたしておる次第でございます。 残りの六分の四につきましては、将来の問題でございますが、今般お願いいたしておりますIMF協定改正の案文によりますれば、将来この方針を決定いたして、順次これを処分していく方向で進むのではないかと思っております。
○荒木委員 ちょっと私の質問が舌足らずでして、いま伺ったことは大体ヒヤリングで聞いておりますので、そうじゃなくて、処分するとなりますと、これは市場価格だから当然上下がありますね、一遍に売りに出せば値が下がるのは世の常ですから。伝えられるところでは、フランスなどはどうしても買い支えというか、そういう動きもあるだろう。だから国際決済銀行が買い方の中へ入るという報道もありますがね。だとすると、やはり余り下がると困るわけでしょう。だから、これはやはり差額を確保しなければいかぬという問題もある。三億ドルですか、大体値踏みできますね。だとしたら、金の価値というものを下支えというのですか、これは抜きにはできぬでしょう。幾ら中心をSDRにいたしますと言ってみたところで、一面商品としてのなには当然あるわけですから。だから、下支えという方向が出ておるというふうなこと、それからさらにさかのぼれば、おととしの春でしたか、ECの蔵相会議で、金の売買、中央銀行間の取引ということも認めるし、それから同じ年でしたか、イタリアが金を担保に入れて西ドイツから二十億ドルか金を借りましたね。だから、担保価値だとかそれから取引上の価値というものを、役割りを低下していくということを言ってみたところで、現にあるわけだから、また現に大きな役割りを果たしているんだから、値打ちはやはり支えていくという方向は出てくるんじゃないですか。
○旦政府委員 先ほど申し上げました六分の一の金につきましては、四年間でこれを処分することにいたしておりますが、そのうち、初めの二年間につきましては決まりができておりまして、毎回六週間に一遍の割りで均等の数量を売りに出すということにしておるわけでございます。 この趣旨は、相当多額の金でございまして、最近このような量の金が継続的に市場に出るということは見られなかったわけでございまして、したがいまして、金市場に対する不測の混乱を起こさせないためにこのような、計画的に均等の数量ずつこれを処分するということで計画しておるわけでございます。 で、単に不測の、不要の混乱を起こさないというためのものでございまして、金の価格はそのときどきの時価に全くゆだねられるべきものであるという考え方とは矛盾しないわけでございます。したがいまして、その考え方の奥には、金の価格が下がるのを防ぐというような気持ちはないわけでございまして、金の価格はそのときどきのマーケットの状況に応じた価格であることが望ましい。したがって、特にこれを下支えするというような考えはないのでございます。
○荒木委員 そんなきれいごとおっしゃったって、おととしでしたか、いつだったか、アメリカとフランスの大統領同士話し合って、それで再評価もしよう——値が高い方がいいに決まっています。だから幾らそのときそのときの相場にと言ってみたって、相場が高ければいいと思っているところは支える気持ちがあるというのも、私は自然だと思うのですね。ですから、そういう金の役割りということについて、協定であらわれておるところの御説明を伺ったのですが、われわれはそういう説明だけでは、そうですかと言うわけにはいかぬということは指摘をしておきたいと思うのです。 SDRの問題も、これは御意見も先ほどちょっと触れて出ましたから、改めてお聞きするのもあれかと思うのですが、結局各国のバスケット方式で、加重平均で出すわけだから、みんなが貨幣価値が下がっていけば、どっちみちSDRの値打ちだって減価していくわけですね。アメリカが貨幣価値が下落したことはさっきちょっと触れましたけれども、イギリスも西ドイツもフランスも大体なべて、この十五年ほど見ますと、二倍以上にインフレで貨幣価値が下がっているわけです。そういう意味で、私どもは、今度の協定はいまのインフレ政策に歯どめをかけることにならないばかりか、むしろそれを協定のような形で追認をしていくといいますか、そういう危険が非常に強いということを、これはこの場でも申し上げておきたいと思うのです。 内容についてはいろいろありますけれども、時間か大分たちましたので——それじゃ、もう少しお尋ねしますが、手続問題それから構成の問題も少し出ておるようなんですけれども、ことしの二月のマニラの会議でしたか、途上国の皆さんが集まられていろんな要望が出たようですけれども、その中で、これは私、新聞報道で見ただけですけれども、クウェートの代表の方や南米のある国の代表の方などが、いまのIMFは大体アメリカが大いにいばっている。機構上も、金をたくさん出しているわけだから、ある意味ではそういう面が出るのかもしれませんが、もっと途上国の意向や社会主義国の意向も含めて、世界で百数十ある国のうちで実質的にはもう何ぼか一握りの国が権限を持って決めるようなシステムではなくて、そういった意向がもっと反映されるような機構やシステムや手続にすべきではないか、こういう発言があったような報道を見かけたのです。国連でも、いまそれぞれ一国一票でやっていますけれども、金融関係だからそれと同列にはいかぬ面はあると思いますけれども、こういった点については、政府の方としてはどういうお考えでしょうか。これはシステムの技術的な面よりも、政治的に見てどうお考えになるか。これはひとつ、大臣のかわりに政務次官からお答えになっていただきたい。
○旦政府委員 政務次官がお答えいたします前に、事務的なことでございますが、お答えいたしたいと思います。 おっしゃいますように、IMFは金融機関でございますので、各国がその国力に応じました出資をしておるわけでございます。したがいまして、その出資に基づきまして、出資の多いものにつきましては投票権も多いということになっておるのは御案内のとおりでございます。ただ、基礎票といたしまして、各国に、一国につきまして出資額にかかわらず二百五十票というものをベースにいたしまして、それに割り当て額に応じました票を、投票権を積んでいくという方式になっております。したがいまして、出資の多い国は投票権も多いという姿になっておるのはおっしゃるとおりでございます。ただ、今般の増資の割り当てに際しましては、発展途上国のうち産油国につきましては、そのシェアが従来は五%程度でございましたのを、その倍にいたしまして一〇%にいたしました。その分だけどこかがへこまなければいかぬわけでございますが、その分は先進国が減らしたわけでございまして、非産油発展途上国につきましてのシェアは従来どおり確保したわけでございます。したがいまして、発展途上国全体といたしましては今般ふえまして、それに応じまして先進国のシェアは下がったというのが実態でございます。 〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕
○塩崎政府委員 ただいま旦次長からの御説明でおわかりのとおり、現状はおっしゃるように出資額に応じた面、あるいは固定的な一定の投票権の制度、こういった制度ででき上がっているわけでございますが、おっしゃるように、何といたしましても世界の発展を願うIMF体制でございます。それは単に先進国あるいはアメリカの繁栄だけを願っているものでございません。したがいまして、そういった意味で途上国のできる限りの利益を反映するような手続、これも当然考えなければならないと思うわけでございます。その方向がどのように世界の金融秩序を維持させるかどうか、ただいま産油国のシェアが増したことからおわかりのとおり、何といたしましても世界の金融秩序が適正に維持されること、そしてそれがまた貿易の発展に即することが必要でございますので、そういった観点と調和を図りながら、発展途上国の利益が反映されるような方向で努力すべきものだと考えます。
○荒木委員 現状はそういうことだろうと思います。ただ、私が言いましたのは、しかしもっと工夫はないのかということなんですよ。たとえば、会社でもあれでしょう。累積投票制度というようなことを考えて少数株主権を保護する、いわゆる工夫していますね、株式でも、これは別の面ですけれども、優先制度というようなものをつくっている。国内の制度と国際的な機構とは同列にはいきません。いきませんけれども、ある一つの国だけがその裏返しにした拒否権みたいなものを持っている。それをそのままうのみにして、そうでございますか、国会で御承認をというようなこういうセンス、その辺のところに私はもう少し——いまは力及ばず、こうなっておりますが、ひとつ修正案なり対案なり、百何十ある国のうちで一つの国だけが、おれがいかぬといったら通さぬのだというようなことをうのみにしてきて、これ以上しようがありません、ひとつ途上国も金を出してもらうようにしましたから、ちょっと発言権もふえているはずですというのでは、余り工夫が見えないのではないか、こういった点から言っているのです。なかなかいろんな国際関係になると折衝の面もありましょうし、こう思ったからすぐそうというわけにはいかぬと思いますが、はっきり言えば、いまのこの非民主的なやり方については、先ほども御紹介しましたように、いろいろな国際会議ですでに各国代表から声も出ておるところでございますので、そういう声を踏まえて、政府としてもこの民主化のために、さらにこの機会に努力もし、知恵もしぼり、そうして国民にも相談をする、こういう心づもりがあるかどうかということ、もう一遍ちょっと聞かしてください。
○塩崎政府委員 御意見はもう十分承りましたので、そのような方向ができる限り尊重されますように、総会等で各国の動向を見ながら主張することも考えてみたいと思います。
○荒木委員 時間もあれでございますので、最後に一言ちょっと直接の関係はないのですけれども、いまのこれとは全然別のことであれなんですけれども、一言だけ伺っておきます。 特使がアメリカに行っておられますね。きょうは大臣お見えじゃございませんが、多少の日数にもなるわけですけれども、御報告や連絡も入っておると思うのですけれども、行かれてどういう所期の目的、成果を挙げていらっしゃるか。これは最終的には帰られていずれまた何がありましょうし、聞かしてもいただけると思うのですけれども、ちょっといまのところで外務省として聞いておられるところを御報告いただきたいと思います。
○塩崎政府委員 外務省にまだ正式の公電等がございません。きのう私がテレビで見ましたところ、ハビブ次官補に会っていろいろと協議をして、できる限りこの問題について明らかにするということが言われて、アメリカの新聞記者の方々、日本の新聞記者もおられましたが、新聞記者会見をされた姿を見たところでございまして、まだ正式にアメリカの大使館から私どものところに特使の状況について報告はないように思います。
○荒木委員 これで終わりますが、帰ってきて、ちょっと舌足らずだからもう一遍行ってこいというようなそんなみっともないことできませんね。やっぱりしょっちゅう連絡して、そうして報告を聞いて、これは足らぬ、国民の要望や国会の要望は——これは政府のお使いですから別ですけれども、そういう点を踏まえてやるということで、これはきちっとやってもらわなければ困るのじゃないですか。政務次官がテレビを見ておっしゃっているというのじゃ、これは、あなたあってないがみたいなものですよ、ちょっと言葉が過ぎて御無礼かもしれませんが。それはもっと連絡をとってする、これはひとつ約束してください。
○塩崎政府委員 外務省はもう全面的に御協力を申し上げる立場にございますので、特使の方々に現地においていろいろと御連絡また御協力を申し上げることは当然でございます。
○羽田野委員長代理 荒木宏君の質疑は終わりました。 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 ジャマイカ会議までにおける国際通貨制度に対するさまざまないきさつがあったと存じますが、まず為替相場制度につきましてどういういきさつがあり、わが方はどういう主張をし、将来どういう方向を目指しておるのか、その辺からまずお伺いしたいと思います。
○旦政府委員 御案内のとおり、一九七一年の八月にいわゆる世上でニクソン・ショックと言われておりますが、ニクソン大統領が米ドルと金との交換性を停止する発表をいたしたわけでございまして、これを契機といたしまして、戦後長く続いてまいりましたブレトン・ウッズ体制は崩壊したわけでございます。したがいまして、固定相場制度は、主要通貨はフロートに移行せざるを得なかったのでございます。その後、その年の冬、主要国の新しい為替レートの調整が行われたわけでございますが、七三年の初頭から国際金融上の困難が生じまして、再びフロートに移行しまして現在に至っておるわけでございます。したがいまして、この間三年余りの間、すでにフロートが続いておるわけでございます。その間、七三年の秋には、御承知の石油価格の大幅な引き上げがございまして、これがまた加えて通貨情勢を激変させたわけでございまして、安定的な固定相場制度へ復帰することは非常に困難になったのでございます。 このような事態に対処しますために、従来の金ドル本位制にかわります新しい国際通貨制度を確立する必要が生じまして、先生ただいまおっしゃいましたようなIMFの二十カ国委員会、あるいはIMFの暫定委員会というようなものを中心にその作業を鋭意進めてまいったわけでございますが、その結果、本年の一月のジャマイカの暫定委員会におきまして、通貨制度の基本となりますIMF協定の改正につきまして根本的な合意を見るに至ったのでございます。これが細目につきましては、さらにIMFの理事会におきまして三月の末に合意を得、それが各国の総務投票にかけられまして合意を得ましたのが四月三十日でございまして、かなりおくれたわけでございますが、それに基づきまして、今回のIMFの協定改正案を御審議いただく段階に至ったわけでございます。 なお、その間わが国がどういうようなことを主張したのかということにつきましてでございますが、まず第一に、為替制度につきましては、御案内のように固定相場制に復帰すべきであるという意見と、当面変動相場制でいくべきであるというような二つの意見の厳しい対立がございましたわけでございますが、いつまでもこのような議論を続けておりましてもなかなか結論に達し得ない、それよりも当面のこの深刻な困難な事態を解決するためには、ある程度の妥協を図る必要があるのではないかということを、わが国を初め英、独等の国々は主張いたしまして、アメリカとフランスとの間の合意に至ることができたわけでございます。 第二点といたしましては、金及びSDRの問題でございますが、御案内のような金ドル本位制に基づきましたブレトン・ウッズ体制が崩壊したことに伴いまして、新しい何かの基準を求める必要がある。それには先刻つくられましたSDRを守り立てていく、そして金の公定価格を廃止する、あるいはIMFとの関係を遮断していくという方向で事を進める必要があるということで、金の役割りを漸次低下さしていく方向で進むべきであるということをわが国は主張してまいったわけでございまして、この点につきましてもおおむねわが国の意見の線に沿った結論ができたものと考えております。
○渡部(一)委員 このたびの協議によって過去四年半に及ぶ通貨交渉に一応の決着をつけ、この暫定委員会で南北を含む各国が合意するに至った理由というのは、さまざまな形で言われておりますが、どういうふうにいま評価しておられるか、それを伺いたいと思います。
○旦政府委員 その点につきましては、この数年来の世界経済の混乱は、戦後の歴史を見ましてもわれわれの経験を超えたものでございました。かてて加えて、七三年末におきましては、先ほど申し述べましたような石油価格の四倍値上げというような非常にショッキングな事件も起こったわけでございまして、その後の世界経済は、かつて経験しなかったような深刻でかつ長期間にわたる混乱でございまして、従来のような不況と異なりまして、これから脱出することに非常な困難を感じたわけでございます。幸いにしまして、先進諸国の努力もありまして、若干の国々におきましてはすでに景気回復の兆しが見えてきたところでありますが、なおかなりの国々におきましては景気回復の糸口がいまだにつかめない状態である。したがいまして、これに伴って発展途上国におきましても、それの巻き添えということで大変な苦労をしておるのが現状でございます。したがいまして、多少の意見の相違はございましても、何とかこの際新しい国際金融制度を確立してこれを守り立てていかなければ、世界経済全体の命運は危ういのではないかという合意がおのずからあったものと思われるのでございます。このような合意に基づきまして、今回の協定改正の案がようやく結論に達し得た、かように考えております。
○渡部(一)委員 そうすると、いまの御意見を伺っておりますと、今回の合議というものは、とにもかくにも新しい通貨体制への合意を取りつけることができたという形で、かなり高い評価を与えておられるというふうに聞こえるわけなんですが、わが方のこれまでの私どもが受け取っている感覚から言いますならば、昨年の十一月ランブイエで六カ国首脳会議のお話し合いが行われた際、三木総理を初めとするわが国政府は、この問題についてほとんど関知することなく、ランブイエ精神などという高く美しく中身のないことを述べ立て、そしてその陰において米仏両国において熱烈な財政当局の打ち合わせが行われ、日本政府が口をあいて乾杯しているすきに今回の基本的構造がつくられたというふうに承っているわけでありますが、要するに、米仏両国が作文したものを日本政府は後から行って賛成というので起立しただけの協定なんじゃないのか、わが国政府は一体何を主張したのだ、何も主張してないのじゃないか、世界の大勢に合わせて首を振っただけではないか、わが国通貨当局には通貨政策に対する基本的な観念、理念というのが不足しているのじゃないかというきわめて厳しい意見もあるわけでありますね。それを私が言うだけではどうかと思いますから、日本政府の態度は厳たるものがあったということをひとつここで御開陳をいただきたい。
○旦政府委員 先ほど申し上げましたように、米仏両国の間におきましては、為替相場制度あるいは金の問題につきまして、かなり根本的な意見の対立が、しかもかなり長い期間あったことは事実でございます。世上にはこれが神学論争とまで言われたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような最近数年間の深刻な世界経済情勢を顧みますときに、このような神学論争を繰り返しておりましても何ら得るところがないのではないか、早くある程度のところで歩み寄って結論に到達すべきではないかという意見が強かったわけでございます。もちろん日本もその意見でございまして、そのほかドイツ、イギリス等も同様の意見でありまして、神学論争は早くやめにして、ある程度現状認識の上に立った弾力的な制度をつくるべきではないかということをわれわれが米仏両国に申し入れをいたしまして、そして早く合意に達するようにということをわれわれが慫慂したのでございます。 〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕 その結果、米仏両国が歩み寄りまして、今日のような合意が達成されたわけでございまして、先生が言われましたような世の中で言われておりますこととは逆でございまして、われわれがようやくまとめたのだ、ここまでくるのは大変でございましたけれども、ようやくそこにきたのだ、そして、結論から申しますと、先ほどから繰り返しておりますように、わが国政府が繰り返し繰り返し主張してきた線におおむね沿ったものであるということを御報告いたしたいと思います。
○渡部(一)委員 ちょっといまのは少し言い過ぎではなかろうかという感じが私はしているわけでありますが、例の田中内閣当時、膨大な過剰流動性が日本に衝撃を与えたとき、わが国政府はそれに対してほとんど無防備で、固定相場を堅持することによって日本に膨大な過剰流動性をもたらし、土地価格を暴騰させ、住宅政策を崩壊させ、そして日本を金権汚職構造のただ中へたたき込んだ事実がある。そのときは、それの引き金を引いた重大な責任を財政当局は感じなければいかぬだろうと思うのですね。そういうことがあったからこそ、今回のようにがんばってまとめたのだという議論にはなり得ないし、またその問題は担当部局が違うという言い方をなさるかもしれないが、私は財政当局、大蔵当局としては、それは余りにも他国に責任をなすりつけ、世界の情勢におんぶしただけの迎合型姿勢であったと思うわけですね。その考え方といまの御答弁とが非常によく似ているように思うのですね。要するに、アメリカとフランスが神学的論争をやめるようにひたすら陳情したというのは、私は非常に正しいと思うのです。陳情しただろうとも思いますし、あらゆる情報はそれを示しておる。しかしながら、わが国はかくありたいということは余りしていないし、わが国経済に対する影響性については、非常に血防備であったということは言えるんではないかと思いますね。その辺私は、かくのごとく住宅価格は高騰し、日本における過剰流動性の深い傷跡がまだ残っている現在、問題としては、後ろにいつも引っ込んでいる外務省、大蔵省が、実はその元凶であったんじゃないかと思うわけですね。その辺の深い反省を込めたお話を承りたい、こう思っておるわけであります。政務次官でも結構ですし、政務次官は外務、大蔵両当局に御関係のある方ですから、ひとつ真率なる御見解を承りたい、こう思うのです。
○旦政府委員 政務次官がお答えいたします前に、事務的なことにつきまして御報告いたしたいと思います。 私が先ほど申し上げましたのは、日本も今回の結論に達するのに努力をしてまいったということが言いたかったのでございまして、過去におきまして経済政策あるいは国際金融政策の面におきまして、われわれがいささかも過ちを犯したことがなかったということを申し上げているわけではございません。過ちは過ちとして認め、将来のわれわれの指針としていくという姿勢でまいりたい。そこのところは率直に過去の経験を大事にしてまいりたいというふうに念願しておるものでございます。
○塩崎政府委員 私は、旦次長と大蔵省の主税局で一緒におりましたので、彼が自画自賛が大変下手な男であるということを知っているわけでございまして、その旦君があのような自画自賛をしたわけでございますから、私も信じてまいりたいと思うわけでございます。 しかし渡部委員のおっしゃったように、ニクソン・ショックに対する対応の仕方、フロートに至るまでの例の固定相場に対しますところの執着、これらの問題さらにまた過剰流動性の発生を十分意識しないで金融を緩和していったあの財政政策あるいは金融政策、これらの問題についても十分私も反省してしかるべきものが多分にあった。当時は、円の切り上げをいかに避けるかということの方がより大きな命題になっていたがために、そのような方向をとられた。しかしそれが往々にして行き過ぎというところに気がつかなかったという点に問題があろうかと思いますが、円の切り上げの防止という点に目を奪われておって一つ行き過ぎがあったという点も考えてみなければならぬ点でございますが、これらの点につきましては十分に貴重な経験として今後利用していかなければいかぬと思うわけでございます。 そういった観点から見ますと、今度の協定はただいま旦次長が申されましたように、これらの事情を十分考え、そして日本の外交政策全般につきまして順応型と言われますけれども、金からの離脱というような方向に歩んでいきつつあるようなことを考えてみますと、これは必ずしも米仏の神学論争だけに引っ張られたという結果でもないような気がいたすわけでございまして、いずれにいたしましても日本経済の成長発展の見地から大いに私どもは金融問題につきましても主張すべきだ、こんなふうに考えているのでございます。
○渡部(一)委員 あれほど大きなエラーをする財政当局であるという観点から、私は玄人のやることに素人らしく疑いを持っていた方がよかろうといま思って、こちらはこちらで反省をしておるわけであります。確かに円の切り上げを避けるためにあのような仕事が行われ、そしてそれが日本経済に大ショック、それこそ覆えるほどのショックをもたらしたということについては、当然ニクソン・ショックであるとかオイル・ショックであるとかいう急変する国際情勢、ちょっと想像もできかねるような国際情勢の波の中にあって、わが国の経済政策特に財政当局のさまざまな対応というものはもっとスピーディーであっていいのではないか、こう思っているわけであります。したがって、わが国の財政当局の考えよりも現実の変化というものはより厳しく、かつ大幅に起こることを、私たちは本協定の審議に当たってもう一回再確認しておく必要があるのではないか、こう思っているわけであります。 そこでもう少しお伺いするわけでありますが、七五年にIMFの出資金については五年目の再検討の時期に当たり、一月の暫定委員会で総出資額を三百九十億SDRとすることで大筋の合意が得られたと伺っているわけでありますが、わが国としてこれらのIMFの増資をどう評価しているか、わが国の出資がふえることをどう評価しているか。またもっと基本的に言うならば、SDRというものを増大させていくということが世界的な好況、不況に非常に大きな影響をこれから与えていくだろうと思うんですが、いまわが国はその問題に対する基礎的な議論を抜きにして、何かなしくずしにそのSDR制の中に巻き込まれていくわけですね。巻き込まれていくというか、そういう考え方、やり方というものの中に組み込まれていくわけでありますから、その辺の特質をどう評価されているか、この際ちょっと伺っておきたいと思うのです。
○旦政府委員 第一点のIMFの増資をどう評価するか、それからまた、日本の増資をどう評価するかという点でございますけれども、IMFの今回の増資は全体で三三・六%という非常に大きな増資でございます。この増資の結果どういうことが起こるかと申し上げますと、IMFが信用を供与するその力がそれだけふえるということでございます。 なおそのほか現行の融資制度につきまして、その上限の引き上げなど細かな点いろいろの努力が積み重ねられておりますので、その力もございますけれども、将来長い観点から見ますと、今回の三割を超す増資というものはIMFの信用供与力を非常に高めた。そしてそれは現在石油ショック後の大きな国際収支困難に陥っております諸国、もちろん先進国も含みますけれども、とりわけ発展途上国におきましては、その信用供与を受けることによって経済の再建が図り得るという非常に大きなメリットがあるものと考えておる次第でございます。 それから日本の増資についてどう考えるかという御指摘でございますが、この点につきましては日本の最近の経済力の向上に伴いまして、先進諸国の中におきましては日本の割り当ての伸び率が一番高いわけでございます。これは日本の国力の発展を反映するものでございまして、ともに喜びにたえない次第でございますけれども、それだけ日本の国際金融の世界における責任が大きくなったということでございます。したがいまして日本といたしましては、従来の経験を積み重ねた上で、国際金融の政策におきまして日本の寄与をさらに一段と進めるべく覚悟を固めるべきではないか。 それから日本の国益との関連から申しますと、この日本の増資がふえたということは、IMFから信用供与を受ける力がふえたということでございます。幸いにして日本の現在の国力は、IMFから融資を受けなければならないという状態ではございません。ございませんが、万が一将来何かあった場合には、これはいわば第二線の外貨準備として日本の経済を支えてくれる柱でございますので、その意味でも日本経済の基盤が強く支え得ることになるというメリットがある次第でございます。 それから次に、先生が御指摘のSDRについてどう考えるかということでございます。この点につきましては、最近は七〇年、七一年、七二年と三年にわたりましてSDRの配分が行われたわけでございますが、その後は流動性が十分であるという認識のもとにここ数年間はSDRの新しい配分は行われておりません。しかしながら、今回の協定改正におきましては、SDRの量的な増加は最近ございませんけれども、SDRを価値の中心とするという今度の改正がございまして、将来におきまして長い目で見ますれば、金にとってかわってSDRの地位が徐々に高まってくるということが考えられると思う次第でございます。
○渡部(一)委員 IMFの出資金はその二五%を金で払い込み、残り七五%を自国通貨で払い込むことになっておりますが、今回のIMF協定改正で二五%をSDRで、または自国通貨で払い込むことになっておりますけれども、その理由というのはどういうことにあったのか、その辺をお伺いしたいと思うのです。
○旦政府委員 御指摘のとおり、現行のIMF協定におきましては、割り当て額の二五%を金で払い込まなければならないということになっております。このことは金を持たない国あるいは少ない国にとりましてはIMFの増資は非常な負担であるということでございます。まして現在のように公定価格と市場価格との格差が大きい場合においてはとりわけそういうことでございます。 今回の協定改正におきましては、先生御指摘のとおり、二五%のいわゆるゴールドトランシュというものが廃止されまして、これはSDRまたは自国通貨で支払ってよろしいということになったわけでございます。したがいまして、今後は割り当て額全体を自国通貨で払えばよろしいということになったことでございまして、これはいわば金の役割りの低下、SDRの役割りの増加という基本的な政策の転換を示す大きな事件であると思う次第でございます。これによりまして後進国を初め先進国も同様でございますけれども、IMFの増資にこたえることが従来よりも容易になった、そして同時に同じような効果を信用供与という形でその受益をすることができるようになったという非常に大きな意味があると理解しております。
○渡部(一)委員 ちょっと言い回しがおかしいなと私は思いますのは、金の市場価格というのがもう百三十ドルとか百四十ドル段階でございましょう。そうすると、公定価格で四十二ドルでございますか、そういう金額のものを払い込むということは実質的にもうナンセンスの域に達しておる。そうすればこういう規定が出てくるのは当然である。政策の厳かな変更なんかあったんじゃなくて、金相場が上がり過ぎたためのやむなき処置である、こう言った方が非常に素直に聞こえるのですけれども、あなた外務委員会なので少しずつはで目にはで目に、大蔵省がさもこうやっているぞというふうにお話しになっているように聞こえて仕方がないですね。そのくらいは私でも知っておるということをちょっと申し上げておきまして、余り言うつもりはありませんが……。 もう一つ申し上げておきたいのは、ここのところで藤岡眞佐夫さんとおっしゃるのは、これは国際金融局長ですね、御自身がお書きになったものの中にあるわけでありますが、ヨーロッパの立場、つまりニクソン・ショックでブレトン・ウッズ体制の二つの柱であった固定相場制と交換性が崩れた後の作業についての立場を述べておられまして、「ヨーロッパの立場は、交換性について、より厳しい仕組みを設け、いわゆるドルのたれ流しからくる国際収支の無節度、および流動性増大の及ぼすインフレの排除に主眼点があった。」こういうふうに書かれております。私はそれはわが国の立場とも似た立場であろうかと思うわけですね。ところが、そのねらいがうまく果たせられたのかどうか、非常にヨーロッパ側から見ても問題ですし、わが国はわが国なりの問題性をはらんでいるのではないかと思います。 ですから、特に一つ言うと、チューリヒの小鬼たちと言われる数百億ドルの預金を持っていて、何かと国際通貨に売り浴びせを行って、さきにリラを暴落せしめ、今度はポンドを売り崩し、そして今度はまたフランをねらいというような膨大な流動資金がヨーロッパでうろうろしておるわけですね。そういうものを売り浴びせられたときに、イタリア政府も敗北し、イギリス政府もまた敗北を喫し、そしてフランス政府も大きな蹉跌を演じなければならなかったのが、今回の体制というものが不十分なことを示す厳たる証拠ではないかと私は思っておるわけですね。 私が先ほどの過剰流動性に対するわが国政府の対応というのが非常にまずかった、それを反省しておるかとわざわざ申し上げた理由はそこにある。今後はその数百億ドルの資金、チューリヒの小鬼たちと言われる人たちはいまもう大鬼たちに成長しておる、そこへもってきて、油代金による膨大なプラスアルファがある、それらの資金が日本市場において投機に投じられてきた場合に、円の売買に投入されてきた場合に、わが国はどういう対応でそれをやるか、もうとてもじゃないけれども対応のできない事態というのを迎えるのではないかと私は思っておるわけなんです。それに対応できるのですかと率直に伺いたい、将来のために。いまのやり方では恐らく古い古い大蔵省の体質からいえば、ここの投機には対抗できなくなって、たちまちひどい目に遭うのではなかろうかと思っております。どういう歯どめがあるのか、本協定においてはその辺は全く無防備に放置されたままになっていたということは、幾ら何でもこの協定の交渉はいま次長がおっしゃったような甘いものではなかったのではないかと私は思うわけであります。私はいまゆっくりお話ししましたから、まだ御相談することがあったらゆっくりやってください。これは将来にかかわる重大問題ですよ、この発言は長く記録されるでしょうから、ちゃんと御相談なさって、どうぞ。
○旦政府委員 わが国に対します投機的資金の流入の問題であろうと思いますけれども、先生御指摘のとおり、わが国の経済が世界経済の中に占めますウエートが高まるにつれまして、そのような大量の投機的資金がわが国に流入するということは十分考え得ることでございます。この問題はかなり為替管理が緩和されて自由化の方向に進んでおりますわが国におきましては、避けて通れない一つの大きな問題であることは御指摘のとおりでございます。しかし同時に、この問題はわが国だけの力で防ぐこともなかなかむずかしい問題でございまして、将来わが国の経済政策の運営を適確にいたしまして、わが国の経済の力が強く維持されるという基本的な線を守ると同時に、国際的な協力の観点から諸国の協力を得、またIMFの仕組みの中におきまして国際的な協力を得て、この問題を克服していくほかにはないのではなかろうか、その意味で今回の改正によりましてIMFの各国経済に対します監視といいますか協議といいますか、その仕組みが確立されたことは望ましいことであったと思います。
○渡部(一)委員 そういう御答弁が出るから私はだめだなと申し上げておるわけですよ。いまあなたがいみじくもおっしゃいましたように、そういうような短期、長期にわたる投機資金が大量にわが国を襲撃したときに、わが国は協議を申し出て、助けてくれと叫ぶしか方法はない、国内的にも国際的にも取り決めがない。したがって、このIMFの規定というのは、相当な圧力をもって今交渉に臨んだアメリカにとっては私はこれは確かにある意味の安泰を招いたものであろうと思います。だけれども、フランスを中心とするEC諸国、また日本の財政当局にとっては、そのような投機を抑え込むだけの交渉ではなかった。少なくともそういうことを議題に盛り込むことは成功しなかった。そして、アメリカ側からするフランスの主張は、神学論争などという主張に片棒をかついで、アメリカの国務省の方を振り返っておひげのちりを払うことによって、逆にフランスを孤立させることによって、わが国の財政金融制度の基礎に重大な傷を残したまま本協定を結ぼうとしているのではないかと私が議論を立てたとしても、決して非難さるべき論理ではあり得ない。そうでしょう。だから私はだめだな、この交渉は大抜けに抜けているのではないかと申し上げておるのです。肝心なところが抜けて脱落しておるのです。あなたは神学論争を停止させた、それこそ日本外交の輝ける功績を誇っておるけれども、論争が終わることが成果なのではない、わが国を安泰にし、世界秩序を均衡ならしめるところにわが国の財政問題の交渉というものがあったのではないか。だからあなたに申し上げておるのです。 だんだん私の立場がわかっていただけると思うけれども、だから先ほど私はあなたの発言は長く記録されるでしょうから慎重にと言いましたけれども、正確な答弁ですね。いまの日本財務当局のこうした交渉に対する態度を非常に正確に述べられた。一点の間違いもないと私は評価しているそれは一点の間違いもなく間違いだと言うべきだ。一点の間違いもなくこれは無能であることを示しておる。だってそういうふうになったら手がつかないのだから。そうでしょう。だから、私はこの協定だからだめだと言うのではなくて、私の立場は、じゃ次の交渉がすぐ要るじゃないか、そういうものに対する取り決めが要るじゃ一ないか、何か本当のランブイエ級の、今度はわが国主導型の働きかけが要るじゃないか、そういうのはもちろん政治のリーダーシップ、いまみたいなぐらぐらしていない政権によって指導されるところの強烈な交渉が要るのじゃないかと思うのですけれども、政権がふらふらしているのは別にしても、何といっても財政当局の御勉強とそれに対する明確な対案づくりが基礎になければならないのじゃないかと私は思っているのです。これは素人の意見です。だから素人にわかるように返事してください。
○旦政府委員 ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、日本の国際的な地位が高まるにつれまして、先生先ほど御指摘のような投機的な資金の対象に日本がなるという可能性はますます強まってくるだろうと思います。また資本の自由化、為替管理の自由化が進むにつれましてそのチャンスはまた一層深まると思います。したがいまして、先生のただいま御指摘になりましたような点につきましてはわれわれとしても謙虚にこの際反省し、将来このような国際的な協議はさらに限りなく続けられてまいると思うわけでございますが、そのときの指針にさしていただきたい、かように考える次第でございます。
○渡部(一)委員 現実問題として、日本の通貨情勢のもう一つ前にヨーロッパの通貨情勢がこの二、三カ月来非常に混乱をいたしておるわけでございますね。ヨーロッパだと笑っているわけにはいかない。この前でこりておりますので、私もはらはらして見ているのですが、フランス・フランのフロートダウンなんということが大いにささやかれておる。ポンドやリラ、こうしたものが一段と相場を下げておる、グラフの上ではぐいぐい下がっておる。こういう切り下げ競争さえ予想されるような状況が生まれておる。そこにいずれの国々も政権の強烈な不安定というのが絡んでおる。同じような状況で、このような欧州通貨の動揺は結局はわが国通貨に対してはもろな衝撃となって伝わってくるだろうと私は思うのです。そうすると、このIMF体制でこれらヨーロッパ通貨の不安定要因を何とかしのぐことができるのかどうか。それをわが国として横で対岸の火災視することはできないのであって、アメリカを飛び越して、日本はむしろ非常な警戒心を持ってこれを見なければいけないだろうと思うのですけれども、どういう観測、どういう対応策を持たれているのか。その辺、まさに伺わなければならぬ問題だろうと思うのです。ひとつその辺の御見解を聞かしていただきたいと思うのです。
○旦政府委員 ことしの初め以来、先生の御指摘のありましたようにイタリアのリラ、イギリスのポンド及びフランスのフランの対独のレートはかなり大幅な下落を示しております。すなわちイタリアのリラにつきましては約二四%、英ポンドにつきましては約一一%、フランス・フランにつきましては五%の下落となっておるのでございます。 この原因といたしましては、これらの国々におきます高い物価上昇率、それから国際収支の赤字といった経済力の弱さが挙げられるわけでございますが、その上に、イタリアにおきましては政情不安に起因いたしますイタリアの居住者によります資本の海外逃避という要因も無視でき得ないのでございます。 他方、ことしの年初来のほかの通貨の動きを見てみますと、米ドル、ドイツ・マルク、日本円等につきましては基本的に安定しておりまして、今回の通貨不安は、その意味では欧州内の弱い通貨を中心とする、いわば局地的な通貨不安であろうと見られておるのでございます。ただイタリア・リラあるいは英ポンド等の動きにつきましては、今後とも注意深く見守っていく必要がございますけれども、この四月の初め以来、欧州通貨情勢全般といたしましてはやや落ちつきを取り戻しつつございまして、現在のポンド、リラの動きからいたしますと、さらに通貨の切り下げ競争が惹起されることはまずないのではないかという感じがいたします。 ただ、何分にもこの通貨情勢と申しますのは非常に予測しがたい要素でございますので、おっしゃいますように対岸の火災視することなく、主要国の一員である日本といたしましてはその成り行きを十分注視しつつ、国際的な場で協力し得ることがあるならば、これを検討するにやぶさかではございませんし、また新しくお願いしておりますIMFの協定改正によりましてIMFの機構が強化されることによって、これらの国々の国際収支上の困難が一日も早く脱却されることを願いたいと思っておる次第でございます。
○渡部(一)委員 まあOECD全体のことを日本政府から見ればそういうのを希望しお願いするしかないだろうと思うのですけれども、わが国の不況脱出が意外に足取りが速くなってまいりますと、わが国においては輸入が非常にふえてくるという状況になろうかと思いますね。そうすると、これは政府の方からいただいたものですが、OECDの経常収支の見通しのリストを見ただけでも、七四年度マイナス四十七億ドル、七五年度マイナス五億ドル、そして七六年度マイナス四十五億ドル、このようなリストを先日財政当局からちょうだいをいたしたわけであります。 また、こうしたやり方を見ますと、わが国は実質GNPの成長率が増大する方向で不況脱出を図っておられますけれども、そうした見通しを見ますと、わが国の対応策というものはそう単純ではない。GNPの増大というやり方だけでなくて、何らかの財政的措置が必要なのではないか。つまり輸出輸入のある意味のバランスというものを均衡させることがなければならぬのじゃないか。そういう形の政策ともこの通貨政策が呼応する必要があるのじゃないかと思っておるわけですね。その辺どうも私は現状の認識において、また対応策のとり方において非常に不安がある。非常に危なっかしいやり方でわが国はやっているのじゃないかと思われる節がある。したがって、私はOECDの石油危機以降の経常収支構造に対するOECD事務局推計というのも拝見させていただきましたけれども、七四年でマイナス百六十二億ドル、七五年見込みでマイナス百億ドル、それから七六年見通しでマイナス七十七・五億ドルというような巨額なマイナスを背負いながら、OECD当局というものがやっていかなければならないということを示しておりますね。 そうすると、わが国ではいままで通貨については通貨だけ、貿易については貿易だけ、国際収支については国際収支だけ、一つだけの数字をみんなばらばらに読み取って、それでともかく議論だけはするというようなやり方でなくて、いまや日本の財政、金融、通産、その他関係部局が打って一丸となってこれに強烈な対応をしなければいけないのではないか。中には国民の生き方とか、国民の生きがいとか、節約とか、あるいは使い過ぎとか使い過ぎでないとか、そういった基礎的な問題に至るまで考慮する一大プロジェクトが必要なのではないか。そうしないと、福祉はやたらと一方的に取ればよい、多ければよい、輸出はただふえればよい、輸入ははでならよい、金は使えればよい、こんな矛盾した政策、人間の欲望というものを、国民のあらゆる面に対する恣意的欲望というものをそのままに放置した財政政策なんというのは存在し得ない。ところが、まるっきり程度の低い選挙演説のように、言うだけ言う、ばらまきをすべてに約束する、そして財政当局がむずかしい言葉でそれをびほう策としてごまかす、そしてときどき大ショックが見舞うという構造しかなくなってくるわけですね。このリストを見たって、私は胸騒ぎがするようなリストでしかあり得ない。わが国は一体どっちの方向へ行こうとしておるのだ、私はもう少し堅実なかつ日本国民全体に対する力強い方向性というものが当局において示されるべきである、こう思うわけであります。これは財政当局に伺うというよりも、政府の基本姿勢について私ははなはだ不満でありますのでお伺いするわけでありますが、これをひとつ最後の締めの段階といたしまして政務次官に核心的な御意見を開陳していただきたいと思います。
○塩崎政府委員 ただいま経済政策運営の全般につきまして渡部委員から御指摘がございましたが、私はそのとおりだと思います。確かに御指摘のように通貨は通貨だけ、あるいは国際収支は国際収支だけの観点、貿易は貿易だけの観点で見る傾向があっては本当に日本経済の安定した成長は求められないわけでございます。一説によれば、一時は国際収支の天井が大変高くなったけれども、石油ショック以後は国際収支がまた大きなネックになってくるというふうに言われているわけでございます。 いまOECDの国際収支の状況のお話がございましたが、日本でもたしか四十八年度は百億ドルの赤字であり、四十九年度が六十六億ドルの赤字であった、こういうふうに私の記憶でございますがあるわけでございます。四十九年の九月ごろからやっと経常収支だけが合いそうでございますけれども、それはおっしゃったように多分に輸入の低いこと、これによって支えられた国際収支の赤字であったとしますれば、今後また景気がよくなりますにつれて輸入がふえてくる、そうするとまた国際収支の天井の問題を心配しなければならないことになるわけでございまして、そういった観点から本当に財政、経済全般について安定した成長を求めるためにはいまおっしゃったような観点、総合的な運営を図らなければならぬと思うのでございます。 旦次長、提案しました以上若干自画自賛のIMF体制の説明がございましたが、先ほど申し上げましたように自画自賛は余りしない人ですから間違いのないぐらいのことでございましょうが、私はIMF体制が本当に万能薬と思いません。やはりまだ世界のいまの現状では一国が努力しなければ金融面においても困難を来すわけでございますから、ヨーロッパのいまの通貨状況などを十分に考慮して、もちろんIMFに協力を願わなければならぬのでございますけれども、私は日本だけの力でヨーロッパのように、国柄から見まして、距離から見まして、そういったふうにはなると思いませんけれども、独自の手段をもって通貨の混乱を来すようなことがあればいろいろと立法措置をお願いする、こんなことも考えてみなければいかぬと思うわけでございます。おっしゃるように低調な選挙演説みたいな財政政策は厳に戒めるべき時期だ、こんなふうに考えております。
○鯨岡委員長 渡部一郎君の質疑は終わりました。 永末英一君。
○永末委員 国際通貨体制が一九四五年のブレトン・ウッズ体制から約四分の一世紀続きましたが、一九七一年十二月、いわゆるスミソニアンの合意が見られましてから新しい体制ができたと言われました。しかし、これは十四カ月で崩れてしまいました。今度ジャマイカのキングストンで相談があったものが第二次の国際通貨基金協定の改正案として出ておるのでございますけれども、この中で日本政府は、過渡的なものと続きそうなものと分けて、どれが一体過渡的であって、どれが続きそうだとお考えですか。
○旦政府委員 今般のIMF協定改正の大きな柱は二つございます。第一が為替相場制度についての改正でございます。為替相場制度につきましては、現在御承知のとおり変動相場制になっておりますけれども、この協定改正後三十日以内に加盟各国はその国の為替相場制度をどういうものにするかということを決めることになっております。それはきわめて弾力的なものでございまして、現在と同じようなフロート制度、あるいは現在ECがやっておりますような共同フロート制度、あるいは平価制度をとるという選択が許されておるわけでございます。なお、世界経済が安定しました暁には八五%の多数決で全体としまして平価制度に戻ることもできるというようなきわめて弾力的な規定になっております。 先生お尋ねの、どれが恒久的なものであり、どれが過渡的なものであるかということにつきましては、なかなかむずかしい基本的な御質問でございますけれども、この為替相場制度につきましては、あるいは将来平価制度に戻るとかあるいは一つの制度に戻る、変動相場制になるというようなことがあり得るかもしれません。しかしながら、同時にこのようなきわめて弾力的な制度改正でございますので、そのまま将来続くかもしれないというようなことで、この第一点につきましては御質問に必ずこうであるということを申し上げるのはきわめてむずかしい立場にございます。 それから、第二点のIMF協定の改正は金の問題でございまして、これと関連しましてSDRの問題があるわけでございます。金の問題につきましては、今般明らかに金の価値、金の役割りを低下させていくのだという姿をはっきり打ち出した改正になっております。裏を返しますと、それにかわるものといたしましてSDRの役割りを増大させていくということであろうかと思います。この点につきましても先生の御質問に立ち返りますれば、この点については暫定的なものではなくて、恒久的なものになっていくのではなかろうかという感じがいたすわけでございます。
○永末委員 世の中のことすべて、長い時間から考えれば短い時間で、恒久的と思うものが過渡的になるものでありましょうが、その中で一つ、いまSDRの話が出ましたのでこれをちょっと伺っておきたいのでありますが、六九年の改正のときにSDRが純金〇・八八八六七一グラムであると決められ、今回また付表のBでそれが決められております。これは一体どういう意味であるのか。SDRというのは共通表示の名称みたいなものでありますが、それがこれだけの純金の量の価値を言いあらわすものである、こうされております。金が自由化されてまいりますと、金の価格は、金の価値でございますが、これが変動いたします。そういたしますと、SDRは表示でございますけれども、SDRによって意味せられている価値は金の価格の変動とともに変動する、こういうものがSDRであるように理解できますが、それでよろしいか。
○旦政府委員 SDRにつきましては、国際収支上の必要が生じたような場合には、いつでもこれを使用しまして交換可能通貨を取得できるという権利でございまして、一種の対外準備資産でございます。 これにつきましては、七〇年から三年間にわたりまして加盟国に割り当てがあったわけでございますが、ただいまお尋ねの件は、このSDRの価値はどういうふうになっているのかということであろうと思うわけでございます。このSDRにつきましては、当初はドルにリンクされておったわけでございまして、その際は、ドルはまた金に一応結びつけられておったわけでございます。したがいまして、SDRの価値は金、ドルに結びつけられておったわけでございますけれども、その後、ドルが切り下げになるというような事態に直面いたしまして、七四年からIMFはSDRの価値を米ドルと結びつけておりました評価方法を改めまして、SDRの価値が一つの通貨の動きに大きく左右されることのないように、十六カ国の通貨とリンクさせて今日に至っておるのでございます。
○永末委員 そうしますと、付表Bの3のところに出ております「〇・八八八六七一グラムの純金は、一特別引出権に等しいものとする。」という規定は、金の値打ちとともに変わっていくということなんですか。いま十六カ国の通貨とリンクさせておると言われましたけれども、それはそれぞれ変動為替相場制でございますから、時々刻々に変わるものである。何のためにこれは書いてあるのでしょうか。
○旦政府委員 今回の改正におきましては、価値の基準を金からSDRに移すということでございます。したがいまして、過去におきます義務を果たす場合にはその経過規定が必要になるわけでございまして、そのときの規定が、おっしゃいます付表Bの3に書いてある規定でございます。これで換算いたしましてその評価をするということでございまして、これは経過規定でございます。
○永末委員 ジャマイカで決まったときには、そのときの金の値打ちからいたしますと、一SDRの値打ちは、ドル表示であれば一・一七五九ドルである、こう言われておったようでございますが、これはそのときの話であって、その後はドルが為替相場で変動していけば、そのときのSDRの値打ちは、ドルとのリンクにおきましてはそのドルの値打ち、その他の十五カ国のそれぞれの国がSDRを使う場合にはその通貨の値打ちを持つ、こういうことですね。
○旦政府委員 そのとおりでございます。毎日IMFではその日その日のSDRの価値を発表しております。
○永末委員 その十六カ国を教えてください。
○旦政府委員 この十六カ国は、アメリカ、西独、イギリス、フランス、日本、カナダ、イタリア、オランダ、ベルギー、スウェーデン、オーストラリア、デンマーク、ノルウェー、スペイン、オーストリア、南ア連邦でございます。この選ばれました基準は、それぞれの国の貿易量が世界貿易の一%以上の国を取り上げたものでございます。
○永末委員 その十六カ国につきましては、SDRとリンクしておりますから、いわゆる昔のブレトン・ウッズ体制時代における交換性の問題は問題がないように思いますが、その他の通貨につきましては、交換性の問題はどのように把握していくのでございましょうか。
○旦政府委員 大部分の通貨はSDRで評価され得ると思いますけれども、若干の小さな通貨につきましては、SDRに結びつけられていない場合には、従来の経緯から見まして、ドルなりポンドなりあるいはフランス・フランというものに結びつけられているものがあるかと思います。そういう場合には、間接的にはSDRで表現できるのであろうと思いますが、一時的にはそういうような大きな通貨に結びついているということが言えるであろうと思います。 〔委員長退席、水野委員長代理着席〕
○永末委員 先ほど、このSDRは対外準備資産としての意味を持ってきておる、こういうお話がございましたが、現在主たる国々におけるSDRの保有状況はどうなっていますか。
○旦政府委員 世界全体で見ますと、SDRの金外貨準備に占めます割合は約四・五%ということになっております。わが国の場合には三・四%になっております。
○永末委員 そうしますと、各国は、準備資産としての値打ちをSDRにはまだ余り多く認めていない現状である、こういうことでしょう。
○旦政府委員 金外貨準備を計算いたします際には、金、外貨、IMFポジション、それからこのSDRというものが要素としては加わっておるわけでございます。先生御指摘になりましたのは、四・五%ということでは非常にウエートが少ないではないかという御指摘であろうと思いますが、その点は全くおっしゃるとおりでございます。ただ、外貨準備の一部であるということは事実でございます。
○永末委員 先ほど、恒久的なものとしては金の地位にSDRが変わりつつある、こういうお話がございましたので、特にそうであるならば、準備資産としてもSDRがそういう傾向にあるかと思いましたもので伺ったわけでありますが、じゃ、金はいまどういう地位にありますか、準備資産としてのシェアは。
○旦政府委員 いま御質問の金の国際流動性、つまり各国の金外貨準備の合計額に占める構成比でございますけれども、一九七五年におきましては、全体の総準備のうち金は一八・三%でございます。これに見合う数字がSDRの場合には、先ほど申し上げました四・五%でございます。したがいまして、いまの段階では、まだ金に比べましてもSDRは微々たるものであるということが言えようかと思います。
○永末委員 このSDRが共通表示単位であるようでございますが、今回の改正協定の付表Cの1のところで「その他の共通表示単位」という言葉が出ておりますが、「その他の共通表示単位」というのはどういうものが考えられているんでしょうか。
○旦政府委員 御指摘の付表Cの平価の1でございますが、ここに「特別引出権又は基金が定めるその他の共通表示単位により、加盟国が平価を設定することができる旨を通告する。」という規定がございます。これは現在のところは何もはっきりいたしておりません。将来あるいは何かほかのそういうものが出るかもしれないということで、念のためにこういう規定を設けてあるのでございまして、現在のところはこのSDRでございます。
○永末委員 このくだりは「金又は通貨であってはならない。」こういうぐあいに書いてございまして、一つの制限がある。そして、数年前から使われている共通表示単位はSDRである。ところが、先ほどSDRは恒久化しつつあるという御判断でございましたが、その他の共通表示単位を考えているというのは、SDRの将来についてきわめて不安定な見込みを持っているのではないかと疑わせる文字ですね。あなたはどうお考えになりますか。
○旦政府委員 現在のところこのSDRだけでございますが、このSDRの名前をまた別の名前にしたらどうかという意見が現在でもございまして、特別引出権というような名前はどうもわかりにくい、もう少し象徴的な名前にしたらどうかというような御意見もあるやに聞いておる次第でございます。
○永末委員 共通表示単位と申しますけれども、これは各国の通貨からいたしますと、管理通貨みたいになったもののようなことでございまして、それが実質的な価値の内容を持っているもののように思われません。 さてしかし、問題は、金の位置をいままでの実体的なものからつまり商品としての位置を与えてくる、こうなりましても、先ほどの御説明のように、準備資産としては金はなお有力な地位を占めている。それが一方、商品としても動いてくる。金は金なりに相場が立っている。こうなりますと、その金がある意味では非常に強い担保力を持っている。そうすると、片一方管理通貨まがいのSDRという一つの対外的な準備資産めいた役割りを果たすものをセットしている。しかし、その価値というものは、実は申し合わせの価値ですね、十六カ国の為替相場で決まるのだから。そのほかに強力なる実体的価値を持って金がある。その分だけインフレになるのと違いますか。
○旦政府委員 金、それから外貨準備、それにプラスSDRというものをつけ加えますと、それがインフレの要因になるのではないかという御指摘かと存じますけれども、先ほど申し上げましたように、過去三回にわたりましてSDRを配分いたしました際には、その当時の利用し得る資料をもとにいたしまして、世界全体の国際流動性はどのくらい不足するであろうかという予測を立てまして、それのもとで金がどれだけそれを償うであろうか、それからまた、ドルがどれだけふえるであろうという見通しを立てまして、その差額といたしましてSDRの額を決めて、それを各国に配分したわけでございます。したがいまして、その国際流動性の全体の見通しを立てた上でSDRの配分額を決めますならば、御懸念のようなインフレをもたらすということはないのではないか。問題は、その国際流動性の必要額を算定するその額が間違っておったとか、そういうことになりますればそういうおそれもございましょうし、あるいは、SDRといいますのは、何分にも人為的に創出するものでございますので、安易に流れまして、これを不必要に多額に出すというようなことになりますれば、御懸念のような事態も起こり得るかと思います。
○永末委員 もともとブレトン・ウッズ体制が崩れましたのは、金の公定価格を決めて、そうしてその当時における一番強い通貨であったドルとのリンク、交換性を保証しておった、この二つの筋があったと思うのですね。ところが、世界の貿易量というのはどんどん多くなって、金の公定価格に表示し得る国際流動性と申しますか、そういうものとのバランスが非常に変わってしまった。言うならば、金だけで国際通貨の最後的保証を求めることは不可能になった。それほど国際流動性が増加をした。ここに原因があったと思うのですね。 そこで、いまあなたのおっしゃったように、なるほど予測をして、全体の国際流動性はこれだからその足らぬ分をSDRでということをやれればよろしいが、世界には御承知のように、資金の需要を非常に求めている途上国もたくさんあるわけである。それらに対する手当てもしなければならぬということがあり、それからもう一つ、きょうは触れなかったのでありますが、強い外貨、ドルというようなものもなおなお強い対外的な支払い能力のあるものとして動いていることは事実であるということになりますと、その動きに幻惑されるといいますか、人為的に創作されるものでございますから、SDRが非常に多くの分量を、たとえばIMFに拠出を求められて割当が行われるとか、あるいはまた実体がそぐわないのに、それぞれの国がSDRの支出を求めるとかということにして、これがインフレになり得る要因があるのではないか。金は金でこれは別途どんどん動いておりますからね。だから、あなたもそのことの可能性があるということを御承認なすったんだが、それを食いとめる方法は何か考えられておるのですか。
○旦政府委員 SDRの配分は、一九七〇年、それから七一年、七二年の三カ年配分をいたしまして、その後は停止をいたしております。と申しますのは、その後ドルがかなり出てまいりましたので、国際流動性は十分であるという認識のもとに現在は停止いたしております。したがいまして、現在に関します限りは、SDRがことしふえるとかというようなことはあり得ないわけでございます。しかしながら、先生の御指摘のような、このSDRの問題はインフレとの関連のおそれが十分ございますので、そこで、今度の新しい十八条の規定では、「特別引出権の配分及び消却」という条項がございまして、その第一項の(a)に「基金の目的の達成を促進し並びに世界における経済の停滞及びデフレーション並びに過剰需要及びインフレーションを回避するような方法で、その必要に応ずるように努めなければならない。」という規定がございまして、IMF当局といたしましてもその点のおそれを十分認識しておるところでございますので、将来、万一SDRの追加をいたしますようなときには、この条項によりまして十分監視してまいる必要があろうかと思います。
○永末委員 わが国は、国際経済に入りまして以来、きわめて金保有の少ないことを特色とした在外資産の保有構造ですね。したがって、金の役割りが終わって新しい制度ができてくることは基本的には歓迎すべきことだとも思いますけれども、しかしそのことの運用が一つ間違われますと、国際的なインフレの中にわれわれもたたき込まれる。ひとつ慎重に運用されることを希望いたしまして、質問を終わります。
○水野委員長代理 暫時休憩いたします。 午後四時三十一分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕