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77回国会衆議院1976/05/14

外務委員会 第8号

発言数
186
登壇者
10
会派数
4
開催日
1976/05/14

会議録

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 これより会議を開きます。  国際通貨基金協定の第二次改正の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。  政府より提案理由の説明を聴取いたします。宮澤外務大臣。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 ただいま議題となりました国際通貨基金協定の第二次改正の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  一九七一年八月における米国の新経済政策の発表(いわゆるニクソン・ショック)以降、国際通貨制度は大きな変容を受け、さらに、一九七三年末の石油危機以来、インフレーション、国際収支問題、また、これに続く世界的不況というように世界経済は幾多の困難に直面してきました。国際通貨制度は、世界経済の安定的発展のための枠組みともいうべきものであり、新たな世界経済の状況に適合したものとしてこれを再建し、その安定的かつ効果的な運営を図る必要があります。  このような観点に立脚し、国際通貨基金の二十カ国委員会及び同暫定委員会等の場において、一九七二年以降三年余にわたり国際通貨基金協定の第二次改正について検討が行われてきましたが、本年一月ジャマイカの首都、キングストンで開催された暫定委員会においてその概要につき合意が成立いたしました。国際通貨基金協定の第二次改正案は、この合意を踏まえて基金の理事会が案文を起章し、その後基金の総務会によって承認されたものであります。  この改正の概要は次のとおりであります。  まず、為替取り決めにつきましては、各加盟国は自由にその為替相場制度を選択することができるが、加盟国は、基金と協調し、その監視に従うこととなります。また、世界経済が安定した後には、基金が平価制度への移行を決定することができることとなっております。  次に金の取り扱いにつきましては、国際通貨制度における金の役割りを漸次縮小させることとしております。  さらに、基金の一般資金の利用、基金の機構等につき所要の規定の整備を図っております。なお、この改正は、基金の第六次一般的検討に基づく増資の効力発生要件ともなっております。  この改正は、世界経済の安定的発展を実現するために必要であり、また、これは世界経済の動向によって影響されるところの大きいわが国経済の発展にも寄与することになります。さらに、この改正の効力発生によって基金の増資が可能となることは開発途上にある国の国際収支困難の克服にも資することになると考えられます。  よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 次に、日本国とハンガリー人民共和国との間の通商航海条約の締結について承認を求めるの件、経済協力開発機構金融支援基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件及び米州開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永末英一君。

永末英一民社党

○永末委員 一九七三年のオイルショック以来、いわゆる石油の代金がきわめて上昇いたしまして、産油国はオイルマネーと称するものを多額に入手することになりました。このオイルマネーというのは国際金融上どういう害悪を持っておると政府は判断しておられますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 御質問は、いわゆるオイルマネーの害悪と承りましたが、このオイルマネーは、一つは、その規模が急激に大きくなったという点でございます。一九七四年、石油の価格引き上げが本格的にあらわれた年でございますが、産油国の余剰資金、いわゆるオイルマネーは六百億ドルに上っておりますが、これだけの大きな金額が短期間に世界の一部に集まるということは、国際金融に対して非常に撹乱的な動きをもたらすということでございます。その次に、この六百億ドルがどう運用されるかということでございますが、当初におきましては短期的な資金といたしましてユーロダラー市場、あるいはその後米国市場に流れておりまして、これはまた、短期の資金でございますので、非常に流動的な、撹乱的な影響を国際金融に与えたという点ではないかと存じます。

永末英一民社党

○永末委員 オイルマネーにつきましてしばらく政府の見解をただしておきたいと思います。  第一に、産油国の収入はいまどうなっているか。急激にふえたと言いますけれども、石油の値上がり前と値上がり後と暦年どういう変化を示してきたかをお知らせを願いたい。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 石油の大幅な値上がり以前の一九七三年におきましては、産油国の輸出は大部分が石油であったわけでございますが、輸出が三百九十億ドルでございました。それが、石油の値上げが本格化いたしました七四年には、千二百億ドルと増加いたしております。もちろんこれに伴いまして輸入も若干ふえてはおるわけでございますが、輸入は、七三年の二百一億ドルから七四年の三百六十七億ドルという増加でございますので、その差額の貿易収支は、七三年の百八十九億ドルから七四年の八百三十三億ドルと大きく増加したわけでございます。もっとも、その後の一九七五年になりますと、産油国の輸出の方はそう大きな変化はございませんが、輸入の方がふえました関係上、貿易収支は七五年五百億ドルということで減少しております。

永末英一民社党

○永末委員 その産油国の収入の中で、いわゆる先進国と称せられるものから得た収入は幾らで、発展途上国から受けた収入は幾らだと見積もっておられますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 産油国の国際収支の対地域別のデータはございませんが、先ほど申し上げました産油国の黒字の大きな部分が先進国向けと存じます。これは石油の消費が大きいためそうなるわけでございますが、世界的に見ますと、石油危機の後、非産油開発途上国の赤字も大きくなっているわけでございまして、七四年におきましては、産油国の経常収支の黒字が六百四十億ドルでありますのに対応いたしまして、OECDの方は三百三十億ドルの赤、非産油開発途上国は百五十億ドルの赤、その他の地域は百六十億ドル程度の赤ということに相なっております。

永末英一民社党

○永末委員 このOECDの金融支援基金を開設するについて、オイルマネーの還流ということが最初問題になり、その結果こういう制度が設けられた。そういう観点からいたしますと、OECD等に加入しておるような国々とそうでない発展途上国とが、目的上仕分けられるわけでございまして、したがって、一体、オイルマネーというけれども、両方仕分けた場合にどの程度のシェアで収入を得ておるかを当然知っておらなければいかぬのじゃないですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 オイルダラーの運用先につきましては、地域別のデータがございます。それによりますと、一九七四年六百億ドルの産油国の余剰があったわけでございますが、一番大きな部分はユーロ市場に行っておりまして、額で二百二十五億ドル、シェアで三七・五%となっております。開発途上国に対しましては、七四年におきましても四十億ドル、シニアで六・五%、そのほか国際機関に三十五億ドル、シェアで六%行っておりまして、この国際機関に行きました分は開発途上国にまた再び大きく流れておるわけでございます。ただし、これはさっき申し上げましたように、七四年におきましては、オイルマネーは非常に流動的な短期資金としてこういう方面に行ったわけでございますが、七五年になりますと、ユーロ市場に行く分が非常に減りまして、開発途上国に行く分が六十五億ドル、シェアで一五%、国際機関に行く分が四十億ドル、シェアで九・五%と増加しております。

永末英一民社党

○永末委員 その流れてきたことの前に、一体どこからどこへ油を売りつけて収入を上げたかということを知っておきたいのですが、数字はないのですか。還流した後のことはまた後で聞きますよ。いま知りたいのは、どこからどこへ一体油を売りつけて収入を得たか。還流という話ですから、その辺の関係を明らかにしておきたいので、伺っておきます。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 産油国が原油を開発途上国に幾ら売ったかというデータは持ち合わせございませんが、石油消費並びに石油輸入の大きい日本、米国、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、カナダ等にその大部分が売られているわけでございます。これらの国につきましてはデータがございますが、開発途上国の分というのはデータを持ち合わせしておりません。

永末英一民社党

○永末委員 後で知らせてください。よろしいですね。  それから、わが日本に対してはどれだけ売りつけておることになっていますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 日本に対しましては、一九七三年六十億ドルでございましたのが、七四年には百八十九億ドルとなっております。

永末英一民社党

○永末委員 さて、そういう収入があるわけでございますけれども、産油国は同時にまたいろいろな物を輸入しておるわけでございますが、その輸入している商品について、兵器をどれぐらい輸入しておると見ておりますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 産油国がOECD諸国から買いました品物別では、工業製品とか飲食料とか、そういった分類はございますが、兵器というものは、正式のデータではございませんが、民間等のいろいろな試算によりますと、七五年に二十億ドル余り買ったというふうに言われております。

永末英一民社党

○永末委員 産油国と工業国との関連の上で、産油国が油の値段をつり上げて莫大な収入を得て以来、きわめて目立っていることは、産油国のそれぞれが兵器を輸入して、それぞれの軍備を拡大してきたことです。これは顕著な事実であって、政府はそれを御存じだと思うのですが、調べられないのですか、調べておられるけれども、数字はここへ持ってきておらないのですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 OPEC側の方からはデータございませんけれども、OECDその他でいろいろ試算している数字があるようでございますので、先ほど申し上げました二十億ドル程度になろうかと思いますが、もう一度当たってみたいと思います。

永末英一民社党

○永末委員 それでは産油国全体として輸入総額はいまの七三、七四、七五でどういう数字になっていますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 産油国全体といたしましての輸入金額は、一九七四年に三百六十七億ドル、一九七五年に六百十億ドルということになっております。

永末英一民社党

○永末委員 七三年には幾らであるか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 七三年は二百一億ドルでございます。

永末英一民社党

○永末委員 その中で、機械生産物と食糧、その他に分けた場合、そういうのは出ておりますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 先ほど申し上げましたのはIMFの統計でございますが、今度は、分類につきましてIMFの方はございませんでOECDの方の数字がございますが、実額はわかりませんが、シェアは、工業製品が七三年は八五・九%、七四年は八五・二%になっております。その次に大きなアイテムは飲食料、たばこでございますが、七三年が一〇・二%、七四年が一〇%、残りわずかでございますが、これはその他一般の原材料とか消費的なものでございます。

永末英一民社党

○永末委員 この産油国自体が発展途上国のようなものでございますから、いわゆる工業製品を輸入するのは当然でございましょうが、やはりその中で兵器が一体どういう部分を占めておるかというこれを日本政府としてもぜび知っておく必要があろうかと思います。  なぜかならば、油の問題を契機にしていろんな政治的紛争が起こるのでありますけれども、その政治的紛争が戦争状態になるということはきわめて世界の平和のために望ましくないことでございまして、その波及の仕方が一歩誤りますとえらいことになります。したがって、われわれが払っている油の代金が兵器に化けて、それぞれの産油国に行っておるというような流れがあるならば、これは相当考えねばならぬことだと思います。その兵器というものがどの程度入っておるかはぜひひとつ調査をして御報告を願いたい。  今度は工業国側で特に工業製品を輸出しておる国々の輸出統計はありますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 OECD全体としてOPEC向けに出しております工業製品の輸出の内訳、それから日本の分についてはございますが、ほかの国の内容についてデータは持ち合わせておりません。

永末英一民社党

○永末委員 ぜひそれも分類を出していただきたい。というのは、イギリスにしろフランスにしろ兵器を輸出している部分が相当あるはずでございます。ですからそれはやはり表にして当委員会に提出してください。委員長、いいですな。よろしいか。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 はい。

永末英一民社党

○永末委員 わが国は一体何を売っておるのですか。

本野盛幸外務省経済局長

○本野政府委員 お答え申し上げます。  OPEC諸国に対しましてわが国の主要輸出品は鉄鋼、自動車それからその他機械、化学製品、繊維製品等でございます。

永末英一民社党

○永末委員 こちら側からの輸出額は幾らですか。

本野盛幸外務省経済局長

○本野政府委員 一九七三年には輸出が二十七億一千九百万ドル、これはわが国の総輸出の七・四%ということになっております。それから七四年には五十四億三千二百万ドル、七五年には八十四億六百万ドルということになっております。この七五年の対OPEC輸出額はわが国の総輸出額の一五・一%になっておりまして、二年間で約倍増したという状況になっております。

永末英一民社党

○永末委員 先ほど七五年の日本に対するあちら側の輸出額がお答えがなかったのですが、ありますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 わが国が産油国から輸入しております金額は、昨年一九七五年が百九十一二億ドル、一九七四年が百九十九億ドル、一九七三年が六十九億ドルでございます。

永末英一民社党

○永末委員 わが国と産油国全体とを比較いたしました場合、それぞれの国別にもいろいろございましょうが、全体として見ますと赤字である。その赤字も六割、七割の赤字が続いておる。これは、埋める方法を何か考えておられますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 何と申しましても石油を一部の国から大量に輸入しておりますので、それと同額のものを日本から輸出するということは非常に困難と存じますが、日本といたしましては全世界、グローバルに貿易をバランスをとっていきたいということでやっておりまして、ほかの地域へ、それぞれ地域に応じた輸出を伸ばしておるわけでございます。もっとも産油国の方の日本側からの輸入も近年ふえてまいっておりますから、貿易収支の赤字もだんだん減ってはおります。

永末英一民社党

○永末委員 外務大臣、いまの問答を通じてお気づきになったと思いますが、OECD加盟のいわゆる機械工業国は兵器を売りつけて自分たちの赤字を始末している国があるのですね。わが国は兵器輸出はやらぬ、こういうことになっておるわけです。それはそれでわが国の方針なんですが、ところがこういうOECDの支援基金等を設立する場合には、わが国の国民総生産とか経済の力に応じて出資金の分担を持つわけですね。何かわれわれが高い油を売りつけられてやっておる、赤字は赤字だとして残っておる。いまグローバルなんというていのいいことを言われましたが、それらの国とのバランスははっきりした赤字である。その上全体のために分担もする。ところが同じような状態にある国では兵器輸出をやっておる。何かつり合いのとれぬ経済構造、貿易構造、すなわちOECD側とそれから産油国とを比べた場合に日本が特殊な地位を持っておる。この特殊性はなくする方がいいと思いますか、やむを得ないと思われますか、外務大臣。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 いま永末委員のお尋ねがあって、私もそれは拝聴しておりまして、改めて勉強いたしたようなことになりましたが、まあおっしゃっていらっしゃるようなことになっていると思います。わが国とOPECとの関係、七五年でも百億ドルくらいのわが国の入超になるわけでございます。油の値段がこうなりましたから、私は、この限りではやむを得ないであろう。そうしてわが国の輸出が五十四億から八十四億にふえている。輸出の内容については先ほど御説明いたしましたが、そういう意味でOPECの国がいわゆる一般的な工業化あるいは生活水準の向上というようなことに力を注げば注ぐほど、わが国からのそういう種類の輸出はふえていきまして、したがって、輸出入のバランスは少しずつ回復するという理屈でありましょうと思います。  OPECの国々が大きな収入源を兵器の購入に充てておる。先ほど二十億ドルという話がありましたが、これはきっと、兵器にはかなり長期の注文生産にかかっているものがございますから、仮に七五年の支払いは二十億ドルであっても、恐らく後へ支払いが延びていくものが相当あるだろうと思いますから、もっと私は膨大なものになっておるのではないかと思います。  わが国から言えば、このような大きな収入をもっと工業化あるいは生活水準の向上に充てまして、兵器の購入をもう少し少なくすることの方がいわば本当ではないかという気がしないわけではありませんけれども、やはりある意味では国の安全というのがこれらの国にとって第一のプライオリティーである。その上に幾らかプレステージの問題もあるのではないかと思うので、これはそう考える人たちの結局考え方の問題でございますから、それはそれとして聞いておかなければならぬかと思いますが、そういうことでは本当は国の安定ということは、われわれの哲学では本筋の考え方ではないので、やはり一般的な工業化の推進あるいは生活水準の向上ということにもう少し重点が置かれるのが本当ではないだろうか。これはいわば第三者的な批評に類するかもしれませんけれども、しかし、長期的にはそういうふうに動いていくべきものであります。したがって、わが国とのバランスはそういう意味では少しずつは回復していくであろうということまでは申し上げられそうな気がいたしますけれども、しかし、これだけの油の値段に見合うだけの輸出をわが国がOPECの国々にさしずめし得るかといいますと、百億ドルのアンバランスがあるわけでございますから、そう急にはできまい。しょせん、いつまでたっても埋まらないかもしれないので、そういう意味では、さっき大蔵省の政府委員が言われましたように、日本としてグローバルなバランスをとるということに、最後の結論はならざるを得ないかと思います。

永末英一民社党

○永末委員 いま外務大臣の御見解を承りましたが^これをもう少し詰めるために、イギリス、フランス等に対するバランスはどうなっておるか、数字はございますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 イギリスと日本との間におきましては……。

永末英一民社党

○永末委員 いや、違うのです。イギリスとOPEC、フランスとOPEC、それともう一つ聞かしていただきたいのはソ連とOPEC、どういう帳じりになっていますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 まずOPEC向けの輸出でございますが、フランスは一九七四年に二十七・五億ドル、全体の六・二五%を占めております。それから、イギリスは七四年にOPEC向け二十七・五億ドル、全体の七%のシェアでございます。ソ連につきましては、ちょっとデータを持ち合わせておりません。なお、OPECからのこれらの国の輸入についてもデータがございますので、後で御報告申し上げます。

永末英一民社党

○永末委員 私これを申し上げておるのは、これらの国々は、アメリカもございますけれども、相当な兵器をこれらの国々に輸出しているわけですね。外務大臣、われわれは平和の道を歩んでおるわけでございますけれども、一体わが国として兵器貿易というものをどう見るのかですね。わが国はいままで、あなたも通産大臣をやっておられましたが、兵器に関する輸出三原則というようなものを立ててやってきたのでありますけれども、兵器もいろいろございまして、直接に人を殺傷するものもあれば、それを誘導するような電子機器装置もございますし、あるいはそれらを運搬するようなもの、船その他陸上を走るもの、いろいろの種類があるわけですね。何を兵器というか。直接に爆発したりして人を殺傷するものを兵器というのか、それにまつわるものは一切兵器というのか。大体人間というのは、中山先生おりませんけれども、同類を殺戮するのは人間だけだという学説を信奉しておる人もおるようでありまして、そうなりますと、いままでわれわれは兵器というものをわかり切った概念のようにしてまいりました。しかし、いま申し上げましたように、外務大臣も言われましたように、百十億ドルというようなわれわれの赤字をグローバルに解決しよう、こう言いましても、原料である油は値段をぽかっとつり上げられておる。これば非常な努力をしなければなりませんね。ところが、ある国は兵器でもってきわめてイージーゴーイングに赤字をなくしているかもしれない、数字はまだ教えていただいておりませんが。われわれもそれならば全体的なオイルマネーに対する世界金融上の障害を除去するために各国と協力していくというならば、われわれだけが非常にへこんだ状態でおる必要はない。しかしそれには二つの解決方法がある。他国にも同じ苦しみを味わってもらうためには、兵器輸出をやるな、世界平和維持という観点からすれば、兵器を持っていない国へ送るものだから紛争が起こるのである、これはベトナム戦争でもイスラエル・アラブ戦争でも、自分たちの武器で戦ったのでなくて、持ち込まれた武器で戦った歴史的事実を見ても明らかである。もしわれわれが国際紛争を局限化しよう、縮小化しようというのなら、兵器輸出をやめろということを国際社会でもっと強く主張し得ないのかどうか。もしそれが主張し得ないとするならば、逆に、先ほど申し上げましたように、兵器とは何か、われわれがつくっているいろいろなものを兵器に転用するものがあるかもしれないけれども、われわれ自体はそうでない目的でもっていろいろなものをつくっておる。そういうものは輸出してならないということにはならないと私は思います。そういう点を統一的にお考えになっておるのかどうか。あるいは考えねばならぬとお考えか、考えなくてもいいとお考えか、その辺の御見解を承っておきたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 七五年に百億ドルのアンバランスがOPECの国々とありまして、しかしわが国としては七五年度の貿易収支は五十八億でしたかのともかく黒字になって、グローバルなバランスとしては黒字を生んだ、そこまではよろしいわけですけれども、しかし、OPECというものに百億ドルの赤字がありながら全体で五十八億ドルの黒字を出すということは、どこかの地域に、今度は逆にこっちの非常な輸出超過があることになっているはずであって、またそういう問題を生むわけでございますから、確かに一つのOPECに向かって百億ドルのアンバランスというのは、全体ではカバーできても、ほかに問題を生んでいるということになってくるわけでございます。ですから、永末委員の御指摘になるような問題は、私は確かに問題だと思います。  さてしかし、その兵器の輸出ということですが、わが国は御承知のように武器三原則というものがあり、その際どのようなものを武器というかということについては、先般統一見解を予算委員会を通じましてお示しをいたしてございます。で、それに当たるものは、やはりわが国としては輸出をしないというのが本当であるというふうに、いまだに私は考えております。  ただ、そのような哲学を持っているのは恐らくわが国だけと言ってもいいぐらい世界の中では少数であって、売る方、買う方、おのおの兵器というものについての哲学はわれわれとは全く異なります。そして、買う方は、恐らく国の安全とか——その国と言うときの考え方も実はいろいろだと思いますけれども、プレスティージとかいうことで買う。これが第一のプライオリティーだと考えているようでありますし、また、供給する方の側は、兵器産業というものがある意味でその国の経済体質の中にもうはっきり組み込まれておって、そこに罪悪感というものは伴っていないというのが現状だと私は思うのです。  むろん、経済政策的に言えば、兵器産業、兵器の生産とかあるいは兵器の購入とかいうものはいわゆる非生産的なものでありますから、本当はそういう姿では経済発展というものには余り寄与しないという問題があることは、永末委員もよく御承知のとおりですが、そう申してみても、いまの現状というものはわが国が言ったとてなかなか簡単に変わるものではない。少し遠いことを申せば、わが国のようないわゆる軍備らしい軍備を放棄したという国が歴史上繁栄していく、そういうパターンというものが示せれば、長い時間がたてばこれは一つのいい教訓になってくるかもしれないと思いますけれども、これは時間のかかることであるというようなことから考えますと、どうも残念ながらこのような兵器をめぐる取引というものは現実として考えざるを得ない。  そこで、わが国がそこへ入っていくかどうかということについては、やはりどうしても消極的に考えるべきである。たとえ何がしかの外貨の黒字がかせげるといたしましても、わが国は兵器の輸出をして金をかせぐほど落ちぶれてはいないといいますか、もう少し高い理想を持った国として今後も続けていくべきなのであろう。どこまでが兵器でどこからが兵器でないのかというようなことは、議論してできないことはありませんけれども、いやしくも、疑わしい限界まで近づいていくことも私としては消極的に考えるべきではないかと思います。

永末英一民社党

○永末委員 外務大臣のお考え方はよくわかりました。  このオイルマネーにつきましては産油国は負債の償還に充てておるというのですけれども、これだけ多くの収入を得ておりながら、どの程度を負債償還に充てているのでしょうか。数字はございますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 産油国は、一部インドネシアのような国を除きまして、そう大きな負債はそれまでなかったわけでございますが、統計的に資本の流入、援助という項目で見ますと、七三年には十三億ドルの流出、七四年には二百六十三億ドルの流出ということになっております。しかし、そのうち幾らが負債償還であるかということについては判然としておりません。恐らく、さっき申し上げましたような一部の国を除きましては、そう大きな額ではなかろうと存じております。

永末英一民社党

○永末委員 また、これらのオイルダラーを不動産や証券などに長期投資をしていると言われておりますけれども、その額はおわかりですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 オイルマネーの運用につきましては、市場別の数字はさっき申し上げましたようにございますが、運用形態別、すなわちどの部分が短期の預金で、どの部分が長期の株とかあるいは債券とされているかというデータはございません。

永末英一民社党

○永末委員 ときどき香港経由でわが国に長期資金が、オイルダラーが入り込んでくると伝えられたりする。もし本格的にオイルダラーが長期投資に入ってくるとすれば、その国にとっては重大問題であるし、わが国にとってもこれは問題である。いま金融が逼迫している状況ではございませんけれども、わが国自体が金がないのでございますから、ある意味でこういうものが入ってくる可能性はあるかもしれないと思います。その意味ではこの調査をしておく必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 運用形態別のデータにつきましては、アメリカとイギリスで、自分の国に幾ら、どういう形態で入ったという統計はございます。これは大口の国でございますので申し上げますと、一九七五年に米国には五十五億入っておりますが、そのうち短期の資金が八億ドル、中長期が四十七億ドル。それからイギリスは、七五年は二億ドル入っております。非常に少なくなっております。短期が六億ドル入りまして、中長期が四億ドル出ていっているというかっこうでございます。  いま申し上げましたのはアメリカとイギリスで、民間で調査した数字でございまして、初めに申し上げました全体の地域先別の数字とはちょっと端数が違っております。お答えをいたします。

永末英一民社党

○永末委員 日本にはまだ入っておりませんね。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 日本にオイルマネーが入りますときには、主としていわゆる二次還流が大きいわけでございます。石油危機の後、日本の銀行がユーロダラー市場等から百億ドル程度借金をふやしております。これはユーロダラー市場に、さっき申し上げましたようにたくさんのオイルマネーが入っておりますので、そこで一緒になりまして入ってきている分もあろうかと思いますが、ちょっと源泉をトレースするのはむずかしいと存じます。  また、債券、株式に対する投資も、先生御指摘のように、香港経由とかいろいろなところの経由で来ておりますが、その源泉の一部にオイルマネーがあろうかと存じます。産油国自身からはっきりとオイルマネーを入れたというのがわかりますのは、一昨年の夏、政府が力をかしまして、ヘルシュタット事件後の国際金融情勢の混乱期に十億ドルばかり導入した分がございます。

永末英一民社党

○永末委員 外務大臣は、このオイルマネーがわが国に投資されることを望みますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 これはお答えが非常にむずかしいのは、ユーロダラーの形でわが国が百億ドルぐらいの取り入れをしておるという事実があって、その中のあるものはいわゆるオイルマネーであろうということは、恐らくもう間違いなく推定できるわけですから、望まないと言えば、そのような取り入れは間違っておったかということになってしまうので、そうはなかなか申せませんから、短期でそのユーロマネーの取り入れをするというようなことは、わが国の金融機関あるいは国際収支の状況から判断して、必要なものは入れるということにならざるを得ませんし、それから直接にオイルマネーを取り入れるとすれば、それはやはり余り短期のものであっては困る、中長期のものでなければ撹乱要因になるというふうに考えますから、そういう意味では、抽象的に申し上げれば撹乱要因にならないような取り入れ方をするということは、むしろ積極的に考えてもいいのではないかと私は思います。

永末英一民社党

○永末委員 慎重に最後の語尾をまとめられましたので、それはそれなりに伺っておきます。  さて、このオイルマネーはいろいろな意味合いで還流させられていると言われておりますが、たとえばIMFの石油資金融資制度に出しておる。世銀債を買っておる。EC共同債を買っておる。多国間の還流については、日本政府としてはどの程度の金が還流されておると判断されておられますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 一昨年、IMFのオイルファシリティーというものができまして、産油国の余剰資金を調達いたしまして、これを赤字国に貸すという制度ができましたが、七四年には二十五、六億SDR、ドルにいたしますともう少しふえます。三十億ドル近くになろうかと思います。七五年には四十三億SDR程度調達しております。四十三億SDRでございます。ドルにいたしますと五十億ドル内外ということになります。七四年分につきましてはそのほとんどが産油国からの資金でございまして、七五年はその大半が産油国の資金ということでございます。このほかに世界銀行は世銀債を発行するということで、十数億ドル産油国の資金を吸収しております。

永末英一民社党

○永末委員 ECの共同債は買っていますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 ECが先般共同借り入れをいたしましたとき、その大部分はユーロ市場並びにドイツで調達いたしましたが、一部は産油国の資金を充て込んだというふうに聞いております。

永末英一民社党

○永末委員 二国間ではどういう状態になっておると判断をしておられるでしょう。わが国も先ほどユーロ市場からは百億ドルの取り入れをやったということでございますが、その辺の事情があればつまびらかにしていただきたい。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 二国間で主なケースといたしましては、日本が十億ドル借り入れましたころ、イギリスが産油国のある国からやはり多額の金を借りましたし、それからフランスも預金の形で多額の金を借りておりました。その後、フランスの分につきましては一部返してくれという話が出ておるようでございます。

永末英一民社党

○永末委員 外務大臣、わが国はこのごろ国債を出すことがまことに平年化しておるようでございますね。各地方自治体では外国債を求めるということを苦し紛れにやるのがだんだんふえつつある状況でございます。  さて、先ほど外務大臣のお話では、撹乱要因にならなければオイルダラーの導入について評価をしておられる御趣旨のお考えを私は聞いたと思うのでございまして、わが国は財政のこういう赤字の埋め方はいろいろ方法がございましょうが、もしこれがある期間で回復できるという経済的趨勢の見込みがつくならば、その間の外債という言葉は当らぬかもしれませんが、方法はいろいろあろうと思いますけれども、あなたはこういう資金を活用するというつもりはございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 これは非常に複雑な問題なので、本当は大蔵大臣がお答えになりませんといけない種類の問題ではないかと私思うのでございますが、つまり、たとえば地方、何々市なら何々市が市債を出すというときに、これは当然長期のものになるわけでございますが、この発行条件で産油国が買おうというのであれば、これは長期の投資になるわけでございますから、もしそういう条件が合いますのならば、恐らくそれ自身で悪いことはないのではないか。ただ、国債を買うというときに、満期の非常に近い、期近なものを買うというようなことがきっとあり得ることだと思うのですが、そうなりますと、それは実は利回りを見て短期の投資になってしまう。だからといって、私はそれ自身悪いとは思いませんけれども、しかしその辺の、どの程度までそれを認めるかというようなことは、内外の金融政策に非常に敏感に関係あると思いますので、私として申し上げられそうなことは、わが国の発行条件で長期の投資物件としてオイルダラーがそれを買うというのであれば、悪くはなさそうな気がいたしますけれども、それ以外のことになりますと、これはやはり大蔵大臣あるいは日銀総裁が総合的にお考えになって判断をせられるべき問題ではないかと思います。

永末英一民社党

○永末委員 私は、日本の国債発行というのは国民のふところだけを当てにしているようでは——この解決方法は二つしかない。結局インフレでごまかすか増税をやるかしか手はないのである。しかし大きく日本経済全体として見れば、この産油国に対してはわれわれの方が金を出しているわけですからね。その意味合いでは、バランスをとるとしますと、その赤字部分のあるものをこれらの国から、われわれが出した金でございますから、導入してバランスをとるということは、私は積極的に考えていいのではないかとすら思っているわけでございまして、あなたは現在大蔵大臣ではございませんけれども、国際的な問題でございますし、やはりただ単に金のバランスということだけではなくて、広くやはり日本の持っている貿易構造の中で考えていかねばならぬことが起こっておる。わが国の国債発行だって、やはり基本的には油の値上がりがもたらした原因が非常に多いと思わざるを得ない。だといたしますと、その部分についてやはり対応して崩していくという考え方を持ってもいいのではないかと思いますので、ひとつせっかく御研究を願いたい。御答弁をひとつ願います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 私なりにその問題には実はかなりの関心を持っておりますし、また研究をするに値する問題だと思っております。

永末英一民社党

○永末委員 さて、このオイルダラーが国際金融に関してきわめて悪い影響を及ぼしかねないのは、いわゆる余剰ドルと称せられるものがどう動くかというところにあるわけでございますが、いままで、産油国が自己の責任において輸入代金を払ったりあるいは負債を償還したり、投資をやったりしておる金額と、それからいろいろな約束に基づいていわば公的に直接に還流している部分と伺いましたが、最後に、出してしまってダブつかしている余剰ドルというのはどういうような経過になっておるか、政府の知っておられるところをひとつ御説明を願いたい。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 先ほども申し上げましたように、ユーロ市場に出ております分は最近減ってまいりまして、そのかわりに、米ソ以外の先進諸国とか開発途上国向けあるいはその他一般の民間への流出が多いのでございます。それはどういうふうな結末になっておるかと申しますと、結局は赤字国のファイナンスのギャップを埋めるということに回っておりまして、具体的には、さっき申し上げました日本の為替銀行の借金が百億ドルふえたというのがいい例でございます。そういう形で国際流動性の補強の方へ回っているということでございます。

永末英一民社党

○永末委員 金額にしてどれぐらいのものが動いておると判断しておられますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 オイルマネーが直接かあるいは途中一つのルートを置いて二次的に還流しておりますか、その辺の区別がなかなかむずかしいわけでございますが、先ほど申し上げました日本が十億ドル借り入れた部分、それから十億ドル、二十億ドル程度の規模でイギリス、フランスが借りた分、これは安定して固定しておるわけでございます。その他、長期債券等とした分は安定しておるわけでございますが、七五年だけを見ましても七十億ドルがユーロ市場に出ておりまして、これは流動的な資金としていまでも機会があれば動くということだと思いますし、米国に参りました六十二億ドルの金も短期証券の形をとっておるものが多いと思いますので、場合によっては金利差その他の要因で動くという可能性が多いのではなかろうかと思います。  それから、国際機関に行っている分は、さっき申し上げましたオイルファシリティーとかあるいは世銀債のようなものでございますので、これは期間が中期あるいは長期ということで固定しておるわけでございます。

永末英一民社党

○永末委員 総額については何か数字をお持ちですか、推定でございましょうが。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 まず一番固定的だと考えられます国際機関への運用は、七五年が四十億ドルでございます。七四年は三十五億ドルでございます。それから、同じく固定していると見られます開発途上国向けの運用でございますが、七五年が六十五億ドル、七四年が四十億ドルでございます。  それから、逆に一番固定していないと見られますユーロ市場の分は、七五年が七十億ドル、七四年が二百二十五億ドル、それからそれに近く流動的だと思われます米国向けの資金は、七五年が六十二億ドル、七四年が百十二億ドルということになっております。

永末英一民社党

○永末委員 よく余剰ドルと言われているものが五百億ドルを超えるとほんとこう言われるのですが、日本政府はそれほど多額ではないとお考えですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 産油国の余剰ドルは、先生おっしゃいますようにやはりその程度の規模だと思っております。統計的には、七四年に六百億ドル、七五年に四百二十億ドルと推定されております。これからはだんだんその規模は小さくなっていきまして、各方面の推定によりますと、一九八〇年ごろにはほぼ均衡——均衡といいますのは余剰ドルが新規に余り発生しないというところにいくのではないか。そのときまでの累積額、これもいろいろな見込みがございますが、七四年価格にいたしまして二千億ドルから三千億ドルというのが一般の見方のようでございます。

永末英一民社党

○永末委員 今回御提案されておりますこのOECD金融支援基金の協定でわれわれの国も出資をしていくわけでございますが、二百億SDRを出資します一つの目的は、当初これらの余剰ドルの吸収をやろう、こう伝えられておる。もっとも外務大臣の提案理由の説明にはそのことは一つも触れていない。これは交渉の結果そうなったのかもしれませんけれども、産油国を刺激しないというのですが、これをやって、もし余剰ドルを借り入れようとする者にこの資金で保証をして吸収をしよう、どれぐらい吸収できるという予測でこれがつくられているのでしょうか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 この金融支援基金の規模は二百億SDRでございますが、実際にはあらかじめ各国から拠出するのではございませんで、どこかの国が借りたいというときにその必要な金額を、方法はほかにもございますが、恐らくはユーロダラー市場等で調達するということになろうかと思います。そこで、まずそういう国が出るかどうか、どの程度の借金を申請するかということでございますが、この協定に書いてございますように、借入国はほかのすべての手段を尽くしてからここへ来い、すなわち民間から借りる努力をする、それからIMF等からも十分借りる、それでも困った場合にこの基金に借りに来いということでございますので、実際にこの基金に借り入れ申請がなされまして、それに応じてこの基金がユーロダラー市場等で資金を調達するという額はそれほど多額にはならないのではないかと思っております。

永末英一民社党

○永末委員 そうだといたしますと、当初この余剰ドルの吸収を考えねばならぬではないか、何とかしてこのオイルダラーの還流を世界的な規模でやろうじゃないかということで、キッシンジャーが二年前に演説をしてかかる種類の機構の提案をいたし、やっとまとまった一つがこれでございますけれども、あなたがいま言われたように余り吸収できないということになりますと相当程度性格が変わっている。もともと単にOECD加盟の国々の貿易収支のバランスをとるためにこういう機構が考えられたのではなくて、やはり当初はオイルマネーの還流を図ろうという目的に資するために考えられたのですが、非常に目的が変わってきておる。余り役に立たぬのだ、こういうことですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 この金融支援基金協定をつくりますいきさつで、確かにキッシンジャー長官がそれと似た構想をお出しになったのは事実でございますが、先日も申し上げましたように、今回まとまりましたのはそれとかなり違った、相互に助けようという仕組みになっておるわけでございます。  そこで、さっき実際の発動はそう多額ではなかろうと申し上げたのでございますが、この基金協定にもございますように、この性格の一つには、これがセーフティーネットの役を果たすということでございます。セーフティーネットといいますのは、軽わざ師が落ちたとき危ないというので下にネットを張っておるわけでございますが、実際には落ちない方がいいわけでございまして、最後のよりどころとしてそういうものがあるということになりますと民間の方も安心してOECD加盟国に金を貸せる、そういう形で民間市場を通ずるオイルマネーの還流が順調にいくわけでございまして、それでもどうしてもうまくいかないという場合に、最後のよりどころとしてこれが出るというふうな構想になっておるわけでございます。

永末英一民社党

○永末委員 当初考えられたものと非常に性格の変わったものになっているようでございますが、すべて世の中はそういうことが多いように思います。  先ほど申し上げました資料の提出を委員長にお願いをいたしまして、時間でございますので、質問を終わります。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 永末英一君の質疑は終わりました。  河上民雄君。

河上民雄日本社会党

○河上委員 先般時間が余りございませんでしたので途中でやめましたが、OECD金融支援協定につきましてなお若干伺いたいと思います。  この前の続きでございますけれども、キッシンジャー構想の中で述べられておるその規模と比べますと、今回提案せられております金融支援協定の規模は大分縮小されているわけですけれども、この経緯というものはどういうものであったのか、どこの国が主として規模を小さくした方がいいというふうに強く主張したのか、それを伺いたいと思います。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 当初キッシンジャー長官が言っておられましたのは、七五年に二百五十億ドルの相互に保証あるいは拠出をする基金をつくる、必要ならばそれを続けるということでございました。これはどういうふうな仕組みをつくるかによって実際に発動する金額が異なってまいりますので、必ずしも正確には申し上げられませんが、あるいは一年間に二百五十億ドルという規模になるのではないかというふうな見方もあったわけでございます。私どもは、いま民間の市場を通じましてかなりのオイルダラーが潤滑に動いておりますところへ、これだけ大きなものが国際機構的にできましてお金を持っていっちゃうということになりますと、日本の立場から言いましても、影響をかなり受けるのではないかという感じがいたしまして、民間の市場の円滑なる資金の動きを妨げないような規模にする必要があるということを日本その他の国が申しまして、二年間で二百億SDR、ドルにして二百三十億ドル前後になりますが、ということになったわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと、民間のオイルダラーの還流を妨げないようにということで、当初の提案は少し規模が大き過ぎるということから、規模を縮小したというふうに理解してよろしいわけでございますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 技術的な面もほかにはございますが、基本的にはいま先生のおっしゃったとおりでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それで、わが国の分担が二十三億SDRというふうに聞いておりますけれども、日本円にいたしますと、これは大体八千億円ぐらいでしょうか。これを二年間で保証する、負担するというのはどういうことか、その辺もまた後で説明していただきますけれども、ただ、額面だけ考えますと、昭和五十一年度の予算の中で、これに当たる項目は何であるか。社会保障費などと比べましても、ほぼそれに見合うぐらいの額でございますので、これは先般来の御説明ですと、いますぐ八千億円を予算から計上するということではないようでございますけれども、最終的にはそれを保証するということになっておりますが、そういう負担能力というものが十分にあるのかどうか、その点政府としてはどのように考えておられるのですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 日本のシェアは二十三・四億SDRでございますので、円で言いますとおおむね八千億円程度になるわけでございますが、これは先ほども申し上げましたように、この金額をあらかじめ出す、あるいは何か事があった場合に出さなくてはいけないというのではございませんで、借入国が借入申請をいたしまして、貸そうという決定が行われましたときに、恐らくはその基金がユーロダラー市場等でお金を調達いたしまして借入国に貸すわけでございます。借入国が期限が来ても返せないということが万一発生いたした場合に、各国はそのシェアに応じまして、したがって、もしある国が一億ドル借りておりましたら、その一億ドルの日本のシェア一一・七%分を基金に拠出して、そして基金が期限どおりにユーロ市場等に返すというような仕組みでございます。  さっきも申し上げましたように、すぐにどの程度の国が借りに来るかということになりますと、そう多額ではないと思いますし、それから借り入れをいたしますときも、これは最後の手段として参るわけでございまして、金が返せるようにこの基金としても注意をしておるということでございますので、八千億という枠でございますが、そのうちの幾らかが実際の歳出になってくるという可能性は非常に少ないものでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 ちょっと素人でよくわからぬのですが、もし仮に各国がシェアの満配、全部負担するというような事態が起きたら、この機構というのはそれでも円滑にやっていけるのですか、それとも、それはまあ大体、最大の枠であって、実際にはそれの何分の一かしかないからやっていけるというのですか。日本が八千億円出す場合は、よその国もそれぞれ満配出すということのように承りましたけれども、もし日本が八千億円出すような場合、この機構がそれでもちゃんとやっていけるということになるのでしょうか、それとも、それはもう地震で建物が震度何度に耐えられるというような仮の数字であって、実際そういう事態が起こったら大変なことになるというような御判断でしょうか、どうでしょうか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 全体が二百億SDRの規模でございまして、二年間にわたって貸し付けができるわけでございますから、ごく大ざっぱに常識的に分けますと、一年間が百億SDRぐらいになるわけでございます。しかも、これは国際収支の対策でございますので、OECD諸国が全部赤字になるということはあり得ないことでございまして、一部の国は赤字で、一部の国は黒字ということでございますから、まあ精いっぱい貸しましても、その百億SDRのうち半分が貸し手、半分が借り手ということになるわけでございます。ただし、それも非常に極端な場合を申し上げておるわけでございまして、実際にはごくわずかの国がそれほど多くない金額で借りに来るということでなかろうかと思います。ただ、これだけの二百億SDRという大きな金額を打ち出すことによりまして、いざという場合には最後の寄りどころはあるんだということを世間に示すことになりますので、民間の方でも安心して国際収支に困っている国に金が貸せるということになるわけでございます。  なお、さっきちょっと申し忘れましたけれども、万一の場合に日本がお金を出すことを求められましても、それは必ずしも予算から出す必要はないわけでございまして、日本が日本銀行とかあるいはユーロダラー市場とか、そういうところから資金を調達いたしまして、これに利子を取って貸し付けをするわけでございます。資金の運用という形で処理をするわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 じゃ、まあ非常に俗に言えば一種の生命保険みたいなもので、全部の人がそれだけ出すというわけでない、だから大丈夫というような御判断のような感じもいたしますけれども、そういうように理解してよろしいわけですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 おっしゃいますように、保険し合うということでございまして、そのとおりでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 日本から万一の場合は負担をしなければならないということでございますので、伺ったようなわけでございますが、先ほど来石油の問題がこの協定との関連で論議されておりましたけれども、その点をついでに少し承っておきたいと思うのであります。  OPECの総会がこの五月の末に開かれるというようなことでありますけれども、石油一バーレル当たり十一・五一ドルという現行の価格が本年六月三十日で期限切れとなるのでありますが、今後その原油価格の動向がどういうふうになると踏んでおられますか、また、五月二十七日から開かれるOPECの総会に関してどういうような見通しを政府は持っておられますか、伺いたいと思います。

本野盛幸外務省経済局長

○本野政府委員 ただいま御承知のように石油の需給事情というのはわりとダブついているわけでございますけれども、そういう客観的な需要面の方の要因からいって、OPEC諸国として価格を大幅に上げるということはきわめてむずかしい状況にはなっております。ただし、御承知のように、昨年もそういう世界の不況とかその需給事情がわりと緩やかな状況のもとにおいて若干の引き上げをやっております。ということは、かなり政治的な要因も引き上げの中に入ってきているというふうにやはり考えてみないと危ないということは言えると思うわけでございます。  そこで、もう一つの大きな要因は、先般来いろいろ御説明の中に、この石油危機の結果、確かに先進国は困ったわけでございますけれども、それよりも大きく、国際収支面の大きな影響というものは非産油国である途上国に及んだわけでございまして、そこら辺からする一種の不満というものはやはり途上国の方に投影されている。これがことしの二月来パリで行われております国際経済協力会議の場でも、やはり非産油途上国に対するいろいろの配慮というような面で、これは先進国の協力も求められておりますと同時に、産油国の方にもそういう無言の圧力というものはかいっておるわけでございまして、全般的にいまそういう要因を総合してまいりますと、今度のOPECの総会で大幅な引き上げはないんではないか。数字的にここであれするのは非常に危険なのであれでございますけれども、一応、一〇%を超えるような大幅なものはまずはないであろう。諸般の情報をいろいろあれしておりますけれども、もちろんなかなか確たる情報はございません。これは駆け引きの問題でございます。しかしあるにしても微増にとどまるであろう、それほど大きな影響を与えるような石油価格の高騰は一応予見されないというふうに御理解いただいていいんじゃないかというふうに存じます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いま政治的な動機で価格が決められるというようなお話でありましたが、逆に価格を下げるという場合もあり得るわけだと思うのでありまして、たとえば北海油田などに代表されるように、これから開発せられる先進諸国の油の価格が相当に高くつく、それを多少混乱させる意味から逆に安く決めるという場合もあり得ると思うのです。北海の油田などはOPECの石油価格のレベルがどの辺まで下がったら危機的なダメージを受けるのか、どの辺までならやっていけるというふうにいま考えられていますか。

本野盛幸外務省経済局長

○本野政府委員 正確にそのブレーキングポイントがどのくらいかということは私としてもちょっと申し上げにくいのでございますけれども、ただいま北海油田で大体コストはバーレル当たり七、ハドルぐらいでいく、ただし一九八〇年代には一億キロリットルぐらいで、これはイギリスも自給できると言っておるわけでありますけれども、そこまでに生産を高めますためにはかなりの追加投資が必要である。それから石油は、御承知のようにだんだん深いところを掘ってまいりますと、デリック、上に積み上げていく機材、これはやはり大型にならざるを得ない、それに投下する資本というものが非常にふえてくるということで、そういう意味で八〇年ぐらいにはやはりバーレル当たり十三ドルから十四ドルぐらいのコストになるであろうというふうに一般に言われておりますので、OPEC諸国がそれを阻害するために価格をどこら辺まで下げるかというところの判断は、私としてはちょっとできませんので、こういうようなところで御理解いただきたいと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それは、日本はいずれにせよ自分の国でつくっておりませんから、余り関心のないことかもしれませんけれども、世界情勢にとっては非常に重要なポイントじゃないかと思うので伺ったような次第でございます。  前回私はOECD金融支援協定につきましては主要な点は一応伺っておきましたので、きょうは残り、ハンガリーとの通商航海条約の批准に関連いたしまして東ヨーロッパと日本の関係について若干承りたいと思います。  本条約がハンガリー側から締結申し入れがあって今日まで約十年かかっているというふうに聞いておりますけれども、締結がおくれた理由として、ハンガリーがガットに加入していなかったということが挙げられておるのでありますけれども、それがそれほど絶対的な条件であったのか、また今回締結せられるようになりましたのは、いままで十年間阻害していた条件がことごとくなくなったというふうにお考えなのか、その点をまず第一に伺いたいと思います。

橘正忠外務省欧亜局長

○橘政府委員 先生御指摘のとおり、この条約につきましてハンガリー側から最初の申し入れがありましてから相当の年月がたっております。その間、御指摘のようにガット優先規定というものをわが方としてはぜひ盛り込むべきであるという点を主張いたしましたが、これに対して先方がこの点を認めなかったことが、この交渉が長引いた主たる原因でございます。しかし一九七三年にハンガリーがガットに加盟いたしましてこの問題が解消いたしました。したがいまして、その他若干の問題もございましたが、ほぼその段階におきまして基本的な問題も解決し、わが方の希望しておりましたような点につきましてもハンガリーとして異議のないという立場をとりましたので、七四年以降ようやく交渉がはかどりまして、昨年妥結の運びに至った次第でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 東ヨーロッパ諸国とわが国との通商航海条約はこれでほとんどできたというふうに理解してよいのか、その辺もちょっと念のため伺いたいと思いますけれども、いま未締結国として東ドイツが残されておりますけれども、この東ドイツと日本との通商航海条約の交渉が行われておるのか、あるいは先方からあるいは日本から何らかのアプローチがなされておるのかどうか、お伺いしたいと思います。

橘正忠外務省欧亜局長

○橘政府委員 東欧諸国におきましては現在通商航海条約が結ばれておりませんのは東独、それからなお外交関係のまだ再開されておりませんアルバニアでございますが、東独との関係におきましては御存じのとおり外交関係ができましてからまだ比較的日が浅い、その間東独との間では貿易取り決めを締結いたしました。したがいまして、ただいまのところそうした貿易取り決めに基づく両国間の貿易の発展ぶりなども両方で見守りまして、さらに今後どういう手を相互に打っていくかを検討を続けておる段階でございます。今後の措置についてはいろいろアイデアもあるようでございますが、当面は貿易関係についての発展ぶり、あるいはそれに伴う問題の処理ぶりというものを双方が注目しながら次の段階を考えておるという状況でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いまアルバニアのお話が出ましたけれども、アルバニアとの関係はいまどういうふうに政府としてはしようとしておられるのか、静観するということでございますか。

橘正忠外務省欧亜局長

○橘政府委員 アルバニアとの関係はただいま外交関係が再開されておらない状況でございますが、去る昭和四十八年にわが方からウィーンにあります在オーストリア大使を通じて、アルバニアの駐在大使に対して外交関係再開についての話し合いを始めるという接触を開始いたしました。その後、この問題について予備的な接触と話し合いが断続的に現在も続いておるという状況でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 最近アルバニアが中国との友好的な関係を除いて、非常に孤立しておる状態を何とか打破したいというような動きもあるやに聞いておりましたので、お伺いしたようなわけでございます。  少し東ヨーロッパから視野を変えましてアジアへ目を移しまして、北ベトナムとの関係はもう両国大使館がそれぞれ設置せられる、経済交流の促進が大いに期待される段階に来ておりますけれども、北ベトナムとの通商条約などというものはいま考えておられるのかおられないのか、またもしおられるとするならば具体的に何らかのアプローチをしておられるかどうか、伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 北ベトナムとの間には最近になりましてこちらも大使を派遣したという関係でございますが、いわゆる無償協力援助の第一年分昭和五十年度に当たる分でございますが、これについての取り決めができまして第二回分、残余の分についてこれから交渉を最終的にするというような状況でありまして、その間、先般各省からのミッションを派遣して今後の経済協力などについて話し合いをしたという程度でございます。したがって国交再開の雰囲気は悪くはないように思っておりますけれども、まだまだ通商航海条約というような話にはお互いの事情、ことに先方の事情があろうと思います。ややほど遠いと言うと言葉が過ぎるかもしれませんが、まだそういう段階ではございません。ことに、やがて南北が統一するというようなことにでもなりますと、南に対するわが国の債権という問題をどう考えるかというような幾つかむずかしい問題がございまして、まだ通商航海条約というような段階には立ち至っておりません。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと、いまのところいわゆる復興というか、賠償的な性格を持った無償供与の段階で、今後南北統一というような動き、あるいは社会主義建設の推進というか進展とかそういうような状況が先方側にあるので、そういうのがまだそこまでいっていない、東ドイツと日本との関係ほどまでいっていない、こういうような御判断というふうに承ってよろしいわけですか。  それで、なおそういうような状況が一つの時期を過ぎたら、他の国々と同様の通商条約的な恒久的なものを結びたい、こういうようにお考えでいらっしゃるわけでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 ハノイとの関係は、私どもこれからのインドシナ半島の問題を考えます上で、やはりハノイというのが一つの中心になる、目玉になるというふうに考えておるものでございますから、できるだけ関係を厚くしていきたいと考えております。それでございますから、やがてそういう日が来るということは好ましいことだと存じておりますけれども、それまでの間に解決しなければならない問題がまだかなりあるというのが現状でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それではハンガリーとの通商協定でございますので、ハンガリーの問題に戻って伺いたいのでありますけれども、最近の両国間の経済的な実績及び人的交流等の実情を承りたいということが一つ。それから、この今回の通商航海条約の内容を拝見いたしますと、ルーマニアやブルガリア、昭和四十五年に締結せられたものと比較いたしまして内国民待遇というものがうたわれておりますけれども、そういうものは実際にどういう意味を持っておるのか、最恵国待遇というのと比べましてどういうような意味を持っておるのか、またそういう必要性がどこにあったのかというふうなことにつきまして承りたいと思います。

橘正忠外務省欧亜局長

○橘政府委員 ハンガリーと日本との貿易関係は七四年までかなり順調に伸展いたしまして輸出入往復で約五千万ドル程度になりました。ただ昨年は輸出入とも不振でございまして、これが四千三百万ドル程度に落ち込みました。ただ、基本的には先方のわが方の産品、特に機械類等に対する需要が強いので、今後は発展する余地があると思いますが、ただ先方の輸出品の問題は、日本に何が売れるかという問題は今後に残された問題でございます。こうした条約ができることによって、人的にもあるいは経済的にも交流が促進される一つの機縁ができると考えております。  それからハンガリーとの間では、文化交流の取り決めとか貿易支払い取り決めというものが過去にございまして、両国間の要人の往来も相当の規模で従来行われております。たとえば、日本側から一九六七年に当時の三木外相、それから六九年には当時の大平通産大臣、それから七二年には河野参議院議長等がおいでになっておられますし、国会議員団もその間二回ハンガリーを訪問されております。それからハンガリー側の要人といたしましては、一九六九年にビ一ロー外国貿易大臣、それから七一年にホルライ外務次官、七三年にぺ−テル外務大臣、それから同じく七三年にビーロー外国貿易大臣がそれぞれ訪日されております。七四年にハンガリー側からはスルディ国内商業大臣、それから七五年にはアプロ国会議長、それからビーロー外国貿易大臣が訪日されております。なお、その間、化学工業代表団とか貿易調査団も訪日しております。  国民の間の往来といたしましては、統計で七五年がまだはっきりしておりませんが、ハンガリーを訪問した日本人の数は七四年に二千二百五十二名という数字になっておりまして、過去において非常に多かったのは、一九七二年の五千九百七十四名という邦人のハンガリー訪問の統計がございます。他方、ハンガリー国人が日本を訪問した数は、昨年四百七十名でございます。過去に三百ないし六百名程度が一年間にハンガリーから日本を訪問しているという統計になっております。  なお、最恵国と内国民待遇との問題につきましては条約局の方からお答えさせていただきます。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 内国民待遇の件につきましてお答え申し上げます。  内国民待遇の規定は、ルーマニア、ブルガリアと相違いたしまして、このハンガリーとの通商航海条約に入っておるわけでございますが、具体的に申しますと、一条二項で身体、財産の保護に関しての内国民待遇、それから二条四項で出訴権に関しまして内国民待遇、それから七条でございますが、商船の出入港及び船舶の積み取り権というものについての内国民待遇、これはいずれも最恵国待遇と併記されておりまして、内国民待遇及び最恵国待遇を与えられるという規定になっております。  具体的に内国民待遇を取りつけておく必要がどうであったかというお尋ねでございますが、そもそも通商航海条約の待遇規定におきましては、もともと内国民待遇及び最恵国待遇というものをこのような事項にわたりましては与え合うのが、古典的と申しますか、一番手厚い規定の仕方になっておりますが、間々国の事情によりまして最恵国待遇だけを規定いたしまして、内国民待遇の規定が合意できないということがあり得るわけでございまして、それは主として社会体制の違う国々との間におきましては、内国民待遇を規定しないで最恵国待遇にとどまっている例が従来までの多い例でございます。しかし、この場合、ハンガリーとの場合には内国民待遇も併記して、より手厚いと申しますか待遇をお互いに与え合うことを約束した。その意味におきましては、何と申しますか、きわめてノーマルな、正常な結び方であるということが言えると思うわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 私どもはこのハンガリーとの通商航海条約の締結に対して心から賛意を表しているものでございますので、いろいろ事務的なことをこの機会にお伺いをいたしたわけでございますが、外務大臣に申し上げたいと思うのでありますけれども、だんだん東ヨーロッパ諸国との関係、対共産圏との関係も、いまお話がありましたようにノーマルな外交関係になってきたということであります。そういう観点から見て、いわゆる対共産圏諸国に対する輸出規制としてのココムの規制ですね、これは冷戦時代の遺物となりつつある、もうすでになっていると思うのでありますけれども、これを統制解除、撤廃という方向へ進めていかれるお考えはないだろうか。特に東ヨーロッパ諸国、これはいわゆる昔のバルカン諸国というのとは必ずしも同一ではありませんけれども、昔からバルカン政治家と言うと余りいい意味でないように聞こえておるのですけれども、これからはひとつバルカン政治家というのはいい意味に将来転化していくんではないかと私は思うのでありまして、そういう意味におきまして、いわゆる東欧諸国との友好関係というものをさらに進めていただくとともに、その一つの具体的な事例として、ココムの統制品の輸出については、まあ緩和の方向にあることは事実でありますけれども、ココムリストというものはまだ残っておりますが、これについて大臣としてどういうようにお考えになりますか、御見解を承りまして私の質問を終わりたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 従来からわが国はココムの問題については比較的弾力的に考えるべきであるし、世界情勢の変化あるいは技術の進歩等々で、やはり時の経過とともに変わっていくべきものだという主張をずっとしてまいっておるわけでありまして、ことに世界情勢なりあるいは技術進歩というものが、やはりココムをそう窮屈に考えなければならないということではない方向に動いていることは、総合的に判断して間違いないことだというふうに思っております。最近のようにイギリスが中国にスペアエンジンを輸出したというようなことなどは、昔でございますとこれはなかなか考えられないような種類のことでございましたが、そういうことも現実に行われているということでございますから、考え方としてはなるべく弾力的に自由度を多く考えていくべきだと思っております。  そこで、しかしココム全体というものをやめてしまおうかということとして問題を取り上げますと、御承知のようにアメリカも選挙等の関係もございましょうけれども、デタントそのものについての議論があったり、いろんなことがあったりいたしておりますから、正面からそういうふうに取り上げるのがよろしいのか、あるいは実際上運用でそういう目的を達していくのがよろしいのか、その辺私は判断をしなければならない問題が若干残ると思いますけれども、事実問題として窮屈に考えなければならないという情勢はやはり非常に緩和されつつあるという判断でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 では私の質問を終わります。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 河上民雄君の質疑は終わりました。  渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 昨日に続きまして、多少残余の問題につきお伺いをさせていただきたいと存じます。  一つは、米州開発銀行を設立する協定についてでございますが、この協定は、中南米の開発途上諸国の経済的、社会的開発の促進に寄与する面のあることは好ましい点でありますが、米国の指導のもとにこれらの国々に対する経済的制裁のニュアンスを持つものであるとするならば、われわれとしてはきわめて警戒をしなければならぬ点を含んでいるのではないかと思うわけであります。問題のポイントはここにかかっていると思いますので、その辺十分な御見識を述べていただきたい、こう思っているわけであります。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 渡部先生のただいまの御質問は、アメリカが米州開発銀行の中において三四・五%を下らない投票権数を持っているということに関連してのことかと思いますけれども、実際は、この前も申し上げましたように、アメリカ以外のラ米の開発途上国の票が五三・五%以下に下がってはいけないということになっておりまして、いかにアメリカががんばっても、こういう開発途上国の賛成がなければ事が決まらないというのが実情でございます。  さらに、銀行の総裁以下の主要な幹部もアメリカ人ではなく、総裁もアメリカ人ではなくてラ米の途上国出身の人でありますし、また大きな問題については、役票権数だけではなくて、各国一名ずつ出しております総務から構成しておるこの銀行の最高の意思決定機関である総務会の頭数も考えなくてはいかぬということになっておりますので、アメリカが一人でがんばっても、ほかの国が賛成しなければ決まらないというのが実情でございます。したがって、この銀行については、いま先生がおっしゃいましたような御心配は実際はないということでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 また、この銀行の融資先を考えますときに、いわゆる米州機構に加わっていないこれらラ米諸国に対して、この銀行の持つ存在の意味合いはどうなっていくのか、これが一つの問題であろうかと思います。カナダもここの米州機構には加わっていないようでありますが、カナダのような大きな国は別として、たとえばキューバであるとかチリであるとか、先日の委員会質疑の途上述べられた数個の国々に対して、この銀行の持つ方向というのはどういうものであるか、運用はどのように行われるのか。これは実際に行ってみなければわからない点もあるとしても、この銀行が南米、北米諸国に対立、紛争の引き金を与えるものにならないか、そうした政治的配慮の点ではどうかというような点についてお伺いしたいと思います。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 この米州開発銀行は、米州機構に参加している国はどの国でも参加できるということになっておりますし、また、域内で米州機構に参加していない国でも、カナダとかバハマ、ガイアナ等参加できるということがはっきり決まっております。ただ、銀行の融資先は加盟国に限定されるわけです。というのは、この銀行の目的は加盟国の経済社会の開発に資するということでございますので、加盟国以外には融資は行うことができないわけでございます。したがって、いま先生が挙げられました国の中では、キューバはこの銀行に入っておりませんので、キューバに対しては融資は行われない。ただし、先生がおっしゃいましたチリはこの銀行の加盟国でございますので、チリに対しては融資は行われるということでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうしますと、開発途上国との経済協力を発展させるためにも、二国間援助方式でこれらラ米諸国とおつき合いをしていたわが国としては、多国間援助方式にこの銀行に参加することによって大きな一歩前進をすることになる、こういうふうに理解することができるのかどうか、その辺はいかがですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 まさに渡部先生がおっしゃるとおりでございます。従来、わが国はほかの地域におきましても、アジアにおいてはアジ銀、アフリカにおいてはアフリカ開発基金の加盟国になって、二国間援助とあわせてマルチの国際機関を通じての援助を行っておりますし、今度米州開発銀行に加わることによって、ラ米に対しても従来の二国間援助と相まって国際機関を通じての援助ができるということで、わが国と中南米諸国との関係強化に大いに資することができるということでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 わが党では、二国間援助から多国間援助方式への移行、ひもつき援助の排除、被援助国の経済秩序を破壊しないというような、援助に関する基礎的な原則というものをすでに当委員会においても開陳をいたしたわけでありますが、さらに原則的に言うならば、国際間の経済協力に関しては、自主独立、主権の相互尊重、内政不干渉、平等互恵の貿易金融政策並びに被援助国みずからの発意に基づく国内産業の発展等を十分配慮しつつ行うことを述べているわけであります。  私は、この銀行の設立及びその経緯等についての御質疑を承りまして、これから将来において、これらの原則に相違背しないような方向性というか、努力というものがわが国外交の上において今後とも必要ではないか、こう思っておるわけでありまして、その辺、将来のために御意見を求めておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 私どもも、いま渡部先生の言われましたように、相対の援助も必要であるけれども、なるべくなら、これはやはり多角的なことにしていくことが相手国の主権と申しますか内政と申しますか、そういうことに援助というものが直接に結ぶという心配をなくする意味でいい方向だと考えております。したがって、アジア開銀におきましても、アフリカにおきましても、私どもはそういうものに参加をしてまいりました。  米州について、せんだってから渡部委員の言っておられます御心配というのは、確かにこの沿革を見ますと、われわれとしても十分に考えておかなければならないことでございますけれども、先ほど御説明もいたしましたように、この仕組みそのものにおいて、いわゆるアメリカのドミネーションというものが事実上なかなかできにくいようになっておるということもございますし、またアメリカ自身がいわゆるラテンアメリカに対して、過去においてかなりいろいろな苦い経験をしたということもございまして、かってございましたような雰囲気、関係とはかなり変わりつつあるのではないかと思っております。それで、そのようなことを十分に頭に置きながらこの銀行にわれわれが参加することによって、いわゆる加盟各国の文字通りの独立、民生の向上というものが自由な立場で行われるようにわれわれも貢献をいたしたい、そういう心組みで参加をいたしたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 先日、国際経済協力会議の四委員会討議が行われ、また先ほど木村代表がUNCTADのナイロビ総会においてさまざまな御発言をしたように伺っているわけでありますが、この法案と絡んで、いまの世界の最大の課題の一つである南北の対話、協調、そして発展という問題につきまして少しお伺いしたいと思っているわけであります。  それは、私どもがいま明らかな心配を持っておりますのは、GNPの増加率をここしばらく考えてみましても、開発途上国のGNPの伸びは非常に遅々たるものであって、一方先進諸国の発展というもの、GNPの拡大は非常に大きいものがある。結局、南北格差というものはGNPで見る限りは非常に増大をいたしておる。しかも、その上、石油価格の高騰を初めとするエネルギー諸問題において非産油発展途上国に与えられた打撃というものは、先進国側及び産油国の双方からする圧力によって国内体制の崩壊を招く段階になりつつある。これまた非常に大きな問題ではないか。また、一次産品に対する品目ごとのケース・バイ・ケースの非常に大きな駆け引きというものも大変問題が多いのではないか、こう思っているわけでありまして、わが国としては、これら諸問題に対しての取り組みの定め方というのは非常に重大ではないか。むしろこの問題は、この条約案審議の途上で簡単に申し上げるような程度の問題ではなくて、よほど衆知を集めてわが国の態度、基礎的な方向を決めておく必要があるのではないかと私は思っているわけであります。そうしますと、これらの問題に対するわが国の取り組みというものはどういうものか、きょうの委員会の席上ではたくさんお伺いできないのはわかっておりますが、その辺をお聞かせいただき、かつ今回のUNCTADの会議におけるわが国の方向性というものはそれをどういうふうに延長、進展するものであろうとなさっているのか、そういったところを大綱的、また各論的にお示しをいただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 発展途上国といわゆる先進工業国とのGNPの格差というものについてお話がありまして、確かに一九五〇年代の初めから七〇年代の初めぐらいまでのほぼ二十年間をとってみますと、先進工業国と発展途上国とのGNPの格差はむしろかなり拡大をしておったということは、これは事実に徴しまして渡部委員の言われるとおりであろうと思います。しかも、その中間時点において、六〇年代の初めごろから発展途上国の今日UNCTADになりましたような動きが始まっておった。それに対してわれわれ先進工業国が、六〇年代の初めからほぼ十年間、大変に正直に申しまして真剣に対処したかどうかということになりますと、顧みましていろいろ悔やまれることも多いわけでございます。それは一部の人々は確かに問題をはっきり認識しておりましたけれども、国を挙げての問題の認識ということになかなか各国ともならない。先進国間にも歩調の乱れがあり、また発展途上国間にもそれがありまして、六〇年代ではこの問題を真剣に十分取り上げたとは残念ながら申し上げられないというのが私どもの反省であるわけでございます。  しかるところ、七〇年代になりましてから、幸いにして世界の平和が続いておるというようなこともあって、発展途上国の問題というのはもはや従来のように時期かせぎはできないという認識が少しずつ深まってまいっておりましたところへ、たまたま七三年のああいう出来事があったということがございまして、いまや発展途上国の問題というのは世界全体が、ことに先進国が自分たちの問題としてでも取り上げなければならないという認識が、五〇年代、六〇年代、七〇年の最初の二、三年とはかなり変わった認識になって高まっておるというふうに考えます。  そこで、やはり問題の中心は先ほどお話しの一次産品等々でございますから、これらに対してわれわれも具体的に対処をしなければならないというのがいまの段階であろうと思います。そのことはUNCTADの総会においても木村代表が述べ、また、国際経済協力会議などがああやって今年初めからずっと続けておられるゆえんでもあろうと思いますので、いよいよここに来まして、この問題はわれわれが正面から取り組まなければならないという認識になってまいったと思うのでございます。  それからもう一つ、その中でも非産油のいわゆる最貧国というものについてお話がありまして、確かにこれは発展途上国の一般的な問題と分けて考えなければならないような状況にあると思っておりまして、そのゆえに、木村代表も最貧国を特別に指摘をしまして、わが国として考えておりますことを述べたわけでございますが、いわゆる発展途上国全体の問題の中でもこの最貧国の問題というのは、特別の施策と、また特別に取り急いで対処をしなければならない問題であるというふうに考えております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 これらの諸問題の一つずつが重大な問題であるという点に関しては、いま大臣も私も、見解がほとんど同じポイントに到達していると存じます。わが国としてどこから力こぶを入れていくかということがその次に言われ、語られ、論じられなければならぬ問題であろうと思っているわけであります。こういう大まかな、また基本的な問題ですから、むしろ率直にお伺いしておいた方がいいだろうと思うのですが、そうすると、まさにどのポイントから取り組まなければならないか。私は、これはいまの世界の安全保障の問題とも絡むだろうし、世界的に経済機構の成り立ちというものを安定ならしめるということは、あらゆる施策の配慮に常に存在しなければならぬことだろうとも思いますがゆえにあえて伺うわけでありますが、日本の外交の基礎としてはどこに重点を置き、どういう方向でやろうとなさっているか、そこを今度はちょっと伺いたいと存じます。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 先ほどからお話しの最貧国の問題は、これは何としてもやはりそれとして早急に対処しなければならない問題だと考えます。しかしそれを別にしまして、一般的な発展途上国、南北問題との関連では、やはり一次産品というものが問題の中心にならなければならないのではないかと私は思います。と申しますのは、累積債務とかいろいろな問題がございますが、私ども一が発展途上国に対して本当に親切であろうと思えば、彼らが自分たちの意思で自立をしていくという方向に私どもが手をかすというのが本当は親切なる方法ではないかと思います。さりとて、それを自由経済の原理でやれと言っても、これはもう力が違うわけでございますから、それは無理を言うこと、できないことを言うことであって、したがって、あの人たちが自分たちの可能な一次産品の生産、供給、そしてそれに対してわれわれがその輸出所得の安定化のために、多少は自由経済の法則を外してもわれわれが受け入れる体制を一緒に考えていく、そういったことが長い目で見ましてもいいことであるし、発展途上国に自立の気持を持ってもらうためにも大事なことではないかというふうに考えております。それは問題別の重点でございますが、地域的には、私どもは日本の置かれております立場からしても、もとより東南アジアというものをできるならば厚く考えていきたいと思っておるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 非常に大事な問題を率直にお話しいただいて、私、この問題、もっともっと詰めていかなければならぬ問題だろうと思うのです。それで、この次にまたお伺いさせていただきたいと実は思っております。  ただ私、ここのところで、少し話がずれているように聞こえるかもしれませんけれども、この経済的発展の問題とあわせて人口問題も一つお考えいただいたらどうかと実は思っているわけであります。  途上国における最大の課題の一つが人口問題であることはもう言うまでもないことでありますし、また、先進国と称するわが国においても、人口問題に対する適切な配慮を欠いていることが、公害問題や輸入問題あるいは金融問題において、世界的な観点から見れば非常に大きな課題である。また、三十年ぐらいのレンジを置いて見るならば、人口問題に対する対応がかくもおくれていて、野放し状態でふえているということは問題である。ラ米諸国の人口発展が現在二・三%程度で、このまま放置しますと、約二十年ちょっとでいまの三億が六億になるというような事態を計算できるわけでありますが、そうしますと、本日討議したこの米州開発銀行そのものさえも、そういう人口圧から見ればけし飛んでしまうほどの巨大な圧力になるだろうと思うわけであります。したがって、みんなが触れたがらない、一国だけで取り組めるという問題でもないし、また人口を割り当てするなんてことも不可能でありますが、人口問題の、むしろ人口圧とでも言うべきこの巨大な現象を経済問題の背景として、わが国では特に先駆的にこの問題に悩んできた実績もあるわけですから、これら国際会議の席上でも、啓蒙、開発、宣伝に努めるだけでなく、世界的な合意が果たせるように御配慮いただきたいものだと思っておるわけでありますが、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 それはまさしく正しい御指摘でありまして、今後の発展途上国問題を考えます上で、実はその問題を外しては長期の計画すら立たぬというようなほど大事な問題であるということを私どもも思います。  ただ、渡部委員も御承知のとおり、国によりましてはこの問題を正面から取り上げることを非常に好まない国がまだまだかなりございます。動機はいろいろでございますけれども、それが自分たちの弱体化を図る先進国の一種の陰謀であるというような受け取り方とか、あるいは宗教とか風俗とかにも関係がある場合もございまして、すべての国がこの問題を認識して正面から取り組もうというような体制に必ずしもなっておりません。インドのような国は、はっきり政治としては認識をしておるのでございますけれども、これはまたこれで、ちょっと私どもから言って、あそこまでいくのもどうかなというような動きもあったりもいたしまして、かなり発展途上国側の受け取り方がまちまちでございますから、したがって、これは政府間あるいは国際的な正式な問題として考えるよりは、いわゆるファミリープランニングのような民間の運動が伸びていきまして、各国に自然にその同調者がふえるという動きの方をしばらくは重点にした方がいいのではないかなということを考えておるわけでございますけれども、しかしこの認識がはっきりいたしましたら、これはもうみんなで一緒に考えなければならない問題であることは確かであって、この問題を外しましては、将来の発展途上国あるいは南北問題というものは実際は計画が立てにくいというほど、私は重大な問題であると思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それでは、私の質問はこれにて終了いたします。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決いたします。  まず、日本国とハンガリー人民共和国との間の通商航海条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、経済協力開発機構金融支援基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、米州開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 異議なしと認めます。よって、さよう決しました。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 午後二時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ————◇—————     午後五時八分開議

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 私は、まず本協定の取り扱いにつきまして納得しかねる問題がございますので、お伺いをいたします。  すなわち、ただいま提出された議案は二つの協定、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定と、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の二本を一案件として提出しているわけであります。もちろん百も承知でこうした形式をとられたものと思いますが、どうしてこういう形になっているのかをお伺いします。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 お答え申し上げます。  この二つの協定は、日韓両国に隣接して存在しております広い一つの大陸だなに関しまして、日韓間の大陸だなに関する諸問題を一括して解決することを目的といたしまして日韓両国政府間で交渉を行いました。その結果、最終的に合意を見たものでございます。その意味におきまして、本件のこの問題は一体として日韓両国間で処理されたということができると思うものでございます。  実際の交渉におきましては、この大陸だなの北部の部分に関しましては、中間線というものによりまして、両国に帰属する大陸だなの境界を画定するということにつきまして、両政府間に立場の相違がございませんので、その形で中間線によって処理するということに合意を見たわけでございますが、この南部の部分につきましては、両国の主張する立場が対立いたしまして、結局実際的な見地から、境界画定に関します両国の法的立場を一切損なうことなく、この南部の両国の主張が何と申しますか、ダブっている地域を共同開発区域とするということで合意いたしたわけでございます。  このように、南の部分につきましてそれぞれ法的立場を損なわないようにするということでございましたので、両国の法的立場を損なうことのないようにするということで、共同開発ということを解決方法といたしましたために、形式上は北と南とで別個の、二つの協定の形で処理することが適当であるということで二本立てとなったものでございます。  しかし、いままで申し上げました事情を踏まえれば、形式上は二つの協定ではございますが、二つの協定によって日韓間に横たわります一つの大陸だなに関する問題を一括して、全体として処理するという考えでございますので、相互に密接な関連を有する二つ以上の条約を一括して国会に御提出申し上げたことも先例としてございますので、今回もこの協定をその立場から一括して国会に御提出した次第でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 ただいま条約局参事官は百も承知で言い逃れをされたのだろうと思いますけれども、二つの協定を一つの案件として提出するための要件として、ただいまの御説明が十分かどうかについては多分に疑問が残ると私は思うのです。  まず、相互に関連のある条約を一括案件としてではなく、個々に国会に提出した先例について、もはやすでにお調べになっており、かつて五十年の三月の二十七日議運理事会で御説明をなさった経緯があると承っておるのでありますが、関連がありながら二つあるいはそれ以上の条約を別案件として提出された、そういう例について御説明をいただきたいと存じます。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 昨年の議運委員会のことを渡部先生御言及なさったわけでございますが、二十七日であったかどうか、たしか三月の下旬であったと思いますが、私どもは議運の委員会での討議の資料といたしまして、国会の委員部に資料を差し出したことがございます。  ただいま先生の御質問にある相互に関連を有する条約を一括案件としてではなく、個々に国会に提出した例もあるわけでございまして、ただいま先生が御要望になりました、その例としてどんなものがあるかということなのでお答え申し上げますが、二国間の条約では、たとえば昭和二十九年第二十一国会に提出いたしました日本国とビルマ連邦との間の平和条約というものを出しておりますが、それと同時に別個の案件といたしまして日本国とビルマ連邦との間の賠償及び経済協力に関する協定というものを出したことがございます。それから、さらに昭和三十一年第二十五国会には、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言がございまして、そのほかに三つばかりそれぞれの独立の案件といたしまして出しております。貿易の発展及び最恵国待遇の相互許与に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の議定書、これも一本。北西太平洋の公海における漁業に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約、それから三番目に、海上において遭難した人の救助のための協力に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の協定、この四つ、それぞれ四本の案件として出しております。  さらに、もう一つ例を挙げますと、昭和三十三年第二十八回国会でございますが、日本国とインドネシア共和国との間の平和条約を出しましたときでございますが、同時に日本国とインドネシア共和国との間の賠償協定というものを出しております。  もう一つ例を挙げさしていただきますと、昭和三十五年第三十四回国会でございますが、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約というものを国会の御承認を得るために提出をいたしました際に、もう一つ別の承認案件といたしまして、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定、いわゆる地位協定でございますが、それを出しています。  以上は二国間条約でございます。  多数国間の条約は、余り長くなりますので、省略させていただきます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 これほどたくさんの先例があるにもかかわらず、本協定に関してはわざわざ一本にし、そうしてこれらのただいま御説明を賜った協定については、相互に関連を有しながらばらばらにした。この両者の差を説明することはむずかしかろうと私は思います。どういうようにこれを説明なさるのですか。これはいかにも先ほどいただいた御説明の内容とはほど遠い現実を示しているのではないかと思いますが……。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 ただいま相互に密接な関連を有する二つ以上の条約であって、一括しないで別途に御提出した先例というものを申し上げたわけでございますが、密接な関連を有しました二つ以上の条約を一括して国会に御提出した例もあるわけでございまして、若干の例を挙げさしていただきますと、たとえば日本国とビルマとの間の経済技術協力協定というものにつきまして、昭和三十八年第四十三回国会でございますが、それと同時に日本国とビルマ連邦との間の平和条約第五条1(a)IIIの規定に基づくビルマ連邦の要求に関する議定書の締結について国会の承認を求めております。これは一括いたしまして、日本国とビルマ連邦との間の経済及び技術協力に関する協定及び千九百五十四年十一月五日にラングーンで署名された日本国とビルマ連邦との間の平和条約第五条1(a)(III)の規定に基づくビルマ連邦の要求に関する議定書の締結について国会の承認を求めるの件と一括いたしているわけでございます。昭和三十八年、同じ国会でございますが、通商問題に関しまして、通商に関する一方日本国と他方オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の協定を改正する議定書及び一方日本国と他方オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の貿易関係に関する議定書の締結について国会の承認を求めるの件、二つの議定書を、別個のものではございますが「及び」ということで一つの案件として御提出申し上げている。それから昭和四十年でございますが、第五十回国会に、相手の国といたしまして大韓民国でございますが、日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について国会の承認を求めるの件といたしまして、この基本関係に関する条約等というものの内容は、六本の条約と申しますか協定がございまして、御承知のように基本関係条約と漁業に関する協定と、それから請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する協定、それから日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する協定、それから文化財及び文化協力に関する協定、さらに紛争の解決に関する交換公文、この六つのものが一括されて御承認案件の中になっているものでございます。  まだ例はあるわけでございますが、このようにそれぞれ内容的に密接な関連を有するないしは経緯的に一つの交渉と観念し得る両国間の解決につきまして、いろいろな形の複数の条約がございましても、それを一つの交渉の結果としてまとめ、それを一括して御承認を仰ぐということはあるわけでございまして、それをどのような場合にそれでは二つに分け、どのような場合に一つにするかという基準と申しますか、そのようなものは特に明確にあるわけではございません。したがいまして、それはその時々の政府の御承認を求める際の政策と申しますか、そういう問題であるというふうに私どもは考えているわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 大体お答えが出てきたようでありますが、内容が密接な多数案件か一つの交渉の結果として出てくる案件か、そうしたものについて一本化するというようなことを考えるんだとお話しになりましたけれども、本条約の場合にはこの北部の境界を決める条約と南部の共同開発をする条約とは本質的に意味合いが違うものであります。内容は大きく左右している。わが党においては北部問題については多少の質疑の後、これを承認する方向でありますが、南部についてはとうてい承服しがたい点が多数あるわけであります。このように審議をする政党に議論の差があるわけであります。また、あなた方は交渉されるときに、すでに述べられたようにこの南北については立場が相違したので二つの協定に形式上分けたと述べられました。ということは、内容的にもこれは二つの立場を要することを示しているものであります。それを一本化するということははなはだうなずけないのでありまして、とうてい認めがたい。何でこんな手抜きをなさったのか。条約局の所管でないならば他局が、他局の所管でないならば大臣がお答えくださいますように。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 手抜きというような御批評でございましたけれども、お言葉を返すようですが、私どもはそうは思っておりません。何か労を惜しんだとかあるいは事柄を上手に運ぼうとかいう意思があったわけではないわけでございます。  それは御説明を申し上げますが、日韓間で資源の開発等の問題がありまして、その間に紛争いわゆる懸案を生じましたので、これをどのように解決するかということがこれらの協定をめぐります交渉の経緯であったことは御承知のとおりでございます。本来ならば両方の大陸だなが重なり合う、主張が重なり合うという地域の問題でございますから、大陸だなの境界を両方の協議によって決めることが最も望ましい、これは常識的におわかりをいただける立場と思います。しかるところ、北部についてはまずお互いの主張に衝突がなくそれを決めることができた。しかるところ、南部については両方の主張が折り合いませんで、大陸だなというようなものの境界として定めることができないということが交渉の経緯ではっきりしてまいりましたから、それであるならば、当面開発の問題が懸案になっておるわけでございますから、大陸だな等々のそういうお互いの権利関係をコミットすることなく、懸案になっております開発の問題を共同開発という形で解決しようではないかということになりましたのが南部の問題でございます。すなわち、この二つの問題は、先ほど政府委員が申し上げましたように、事柄の内容においてもまた交渉の経緯においても、両方のことは別個の問題でありますけれども、密接に相互因果関係を持っておるということになったわけでございます。  そこで渡部委員の御質問は、本当は二つに分かれるわけでありまして、それならば一つの協定にしてしまえばこれは一つの解決案ではないかということにお立場としてはなろうかと思います。ところが北部の方は幸いにしてこれは恒久的な解決を見ることができた。したがいまして、北部に関する協定につきましては有効期限というものはございませんで、南部につきましてはそういうお互いの主張をコミットすることなく、共同開発という方式を定めましたから、これは御承知のように有効期間というものがございます。といったようなことから、両方のことを一つの協定に書くということにはおのずから無理がある、そこで二つの協定に書くことが穏当であろうということになったわけでございます。  ところが、その二つのものは先ほど申しましたように密接に因果関係を持っておりますので、私ども政府としては、これは両方を一括して国会に御審議を願って国会の御意思を伺いたい、こういうふうにいたしましたわけでありまして、恐らくこれは、事柄の性質、それから経緯及び南北の二つの協定が違った部分を幾つか含んでおるから、一つの協定には盛り込みがたいというようなもろもろのことを勘案いたしますと、私どもとしては最善を尽くして国会の御意思を伺っておるつもりでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 いや、まことにみごとな御説明をなさったのですが、その御説明そのままで二つの協定を一案件にする御説明には全くならないんじゃないかと私は逆に思うわけであります。ということは、北部の方については境界を決める条約になっております。南部の方については、明らかにこの協定の第二十八条で、共同開発区域に対する主権的権利の問題を決定したり、または大陸だなの境界画定に関する両国の立場を害するものとみなしてはならないというふうに明快に決めてある。だから境界を決めるものになっていない。これほど差があります。一方は期間がない、一方は五十年の期間が切られておる。そして両方の立場は、北部の方の問題については全く両国間においてはスムーズな合意が行われ、南の方については合意が行われていない。そして南の方については開発区域を決めるものであり、北の方については境界を決めるものであって、法定する内容が全く違うものである。全く違うものであるから一協定にすることにたえられなかったと御説明になっておられる。一協定にするにたえられないようなものをわざわざくっつけて一案件とするというのは、これまたわが国会の条約審議権に対する干渉ともなりかねまじき問題ではなかろうかと私は思うわけであります。したがって、この協定は二案件として分離提出されるのが当然のことではないか。もっと本質的なことについて後ほど申し上げますけれども、最低、二協定は別の形で議論されなければ話は混乱いたしますし、またこれは相前後して議論しなければならない連関性のあることも私は認めているものでありますので、その点全くばらばらなものだと主張するつもりはありませんけれども、少なくとも「及び」という字でくっつけて、一案件で採決すべき問題ではなかろう。もっと精緻な議論が当委員会で行われてしかるべきではないか。わが党の議運の理事の大久保直彦君が、これは二案件として再提出をせられよと前国会において政府に迫られたということも私は仄聞いたしているわけでありますが、それこそまさに一番納得できる議論ではなかったか。この案件の処理は、政府側のお立場を一番理解した言い方で言ったとしても、これは余り賢明な措置ではなかったのではないか。少なくとも今後こうしたやり方は、押し通すべきようなやり方でないということは言えるのではないかと私は思いますが、いかが判断されますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 渡部委員におかれては、事柄を正確に御理解願っているということがいまのお尋ねでも私どもにもわかるわけでございます。つまり、二つのものは一つの協定にするには異質なものを含んでおるということは、まず明確に御理解を願っておるわけでございますから、その点についての私ども議論をする必要はないように思います。  そうしますと、今度は提出の仕方ということになるわけでございますが、これはもう御承知のように、このごろ海洋法会議等で一括解決というようなことをときどき申し上げたりいたしますが、その一連の交渉でございますから、この両方のことがどうしてもいろいろな因果関係を持って議論をせられて、そして二つの要素が同時に整ったところで行政府間における交渉というものが完結をした、そういう経緯がございました。後からおっしゃれば、それはしかしおのおの違うことを一度に解決したのではないか、本来一つ一つ片づけて、おのおので事を整理して交渉すべきではなかったかという御批判は、それはあろうかと思います。今後の参考にしなければならないと思いますが、実際上、申し上げるまでもなく、交渉というのはいろいろな場合に諸般のものをとにかく一括してここで妥結をしようというようなことはしばしばございますわけで、実際この問題も、そういう雰囲気の中で一本の交渉として私ども妥結をしたものでございます。  したがいまして、国会の御審議のお立場というものは、これは行政府がどうあろうと独自の御見識をお持ちになられることは当然でございますけれども、私どもとしましては、これは一括した案件として御提出を申し上げて、御審議の対象にすることが適当である。少なくともそのような交渉の経緯であったということから、別々の協定を一括して御審議を仰ぎたい、かように考えておるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 いま大臣がおっしゃいましたように、政府がこの案件について提出するお立場にあって、議会が本委員会に提出する立場になかったということは自明のことでありますし、その提出の方法について私たちが云々する範囲は、本委員会の条約審議権あるいは協定審議権というもの、審議する権利が十分有効に生かされることを前提とした議論でなければならないと私は思っておるわけであります。したがって、一括して提出されようと分割して提出されようと、それはそちらの自由であった。ところが問題の本質は、行政府側のお立場から言えば一括案件として出すことが交渉の経緯からして当然の成り行きだったといま大臣は言われたわけでありますが、私はそれもそうだろうと思います。その点を理解した上で私ども審議をする立場から言いますと、これは全く違ったものである。したがって、それを一括して採否を求められるということについてはなはだ不満を持っておるわけであります。したがって、とうてい承服しかねる。特に、少なくとも行政府が立法府に対し本条約の承認を求めるために提出される際においては、立法府側の意思をそんたくする立場がなければならないと思うわけであります。ここでも先ほど条約局参事官が言われましたように、従来こうした条約を分離して提出されたということで例を挙げられましたのは、昭和二十九年、三十一年、三十三年、三十五年の例を引かれたわけであります。ところが一括してまとめてとおっしゃった例は、三十八年のものが四グループ、それから四十年のものが一グループ述べられたわけであります。つまりだんだんと不精になってこられまして、外務省は何かというとアンドでくっつけて、一案件にしてぽいと出す、そして余り吟味しないという悪癖をいまや生じつつあるという感じがいたすわけであります。不精になっている条約局に対しておきゅうをすえる必要がいまやあるのじゃないか、こう私は思っておるわけであります。したがって、これほど差のあるものを一案件にするということは、今度は審議するわれわれの方から言うと無理があるのじゃないか。これは大臣がお答えになる範囲を越えている問題になろうと思うわけでありまして、私はそろそろここで委員長に対して質疑をしなければならなくなるわけであります。  そこで、いきさつは委員長ずっと聞いていただきますとおわかりのとおりでありますが、これを委員長はどう理解をされておるか。まことにこれは不穏当な案件の提出の仕方であり、私は公明党を代表して、公明党がこの案件を審議するに当たってはなはだ迷惑をいたしておる。したがって、とうてい許容しがたい案件の提出の仕方であると主張いたすものでありまして、この辺委員長の御見識を承りたいと思うわけであります。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 お答えいたします。  だんだんの渡部一郎委員の質問に対する政府側からの答弁を承って、非常にむずかしい問題でもあり、両者の意見について十分私も理解することができました。そこでいかがでございましょう、渡部委員のそのお考えは次に開かれる理事会において詰めて、われわれの考えをひとつ統一したい、こういうふうに考えますので、御了承いただきたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 委員長がそういう御意見でございましたら、私はこの問題についてもうちょっと補足して委員長に申し上げておきたいと思いますし、また政府側にもこの際重大な反省を求めておきたいと思うわけであります。この次こうした案件の提出の仕方をすれば、まず当外務委員会においては通らなくなるでありましょう。これはもう今後十分肝に銘じていただきたいし、特に条約局は深く深く反省していただきたいと思っておるわけであります。  私は憲法七十三条第三号ただし書きに「事前に、時宜によっては事後に、國會の承認を經ることを必要とする。」とあります。条約の承認という問題につきまして次にちょっと議論を進めたいと存じますが、そのもう一つ前に、昭和四十年十月の日韓基本条約すなわち日本国と大韓民国との間の条約及び協定等に関する特別委員会におきまして、日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について承認を求める件につき論議が行われた際がございます。その際、すなわち本日ここに展開されたとほぼ同じ議論が行われたわけであります。そうしてこの案件につきましては、内閣総理大臣佐藤榮作氏より「与野党の国会の審議の問題だ、これは間違いがないのです。私ども政府が国会の審議権に干渉しようとは思わないということをさっき冒頭申しました。そのとおりなんです。」こう述べられました。それに対して辻原委員が、「そうすると、一つの総理の見解が出たのです。一つの総理の見解というのは、提出権は政府にある、締結権も政府にある、提出をするまでは政府の権限だけれども、出した以上はこれは国会の問題であります、国会の審議の問題でありますということは、これは、政府は一括付託したけれども、その取り扱いについてはあげて国会の審議の中にゆだねる、こういうことですね、総理。」と、念を押されておる。これらについて総理は同感の意を示されておるわけであります。  そして、そこで新しい先例につきまして審議がるる行われておりまして、その結果といたしまして、すなわち昭和四十年十月二十五日午後五時十三分開議せられた同委員会におきまして、約三時間にわたって行われました理事会の後、安藤委員長は次のように述べられたのであります。  ○安藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。   この際、理事会において協議をいたしました条約審査に関する問題につきましては、委員長から御報告申し上げます。   一、案件については可分もあり得るので、その取り扱いを別に具体的に検討する。  以上であります。こうなったわけであります。つまり案件については可分もあり得るということが国会の審議権の保障の議論の中からこの協定特別委員会理事会において当時意見がまとまり、法制局長官及び事務総長がここに出席してこれらの意見をまとめるのに活躍されたと承っております。  この見解は、その後私どもが聞いておるところによりますと、どうやら変更はないようでありますから、私は本案件についても可分もあり得る、その取り扱いは検討するという形で理事会で御検討いただきたいと思いますが、委員長いかがでございますか。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 わかりました。承知いたしました。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 ただ、この協定委員会の非常に不幸なことば、これらの非常に前進的な国会審議権の確立に関する議論が展開されたにもかかわらず、一回の強行採決で話が終わってしまって、この議論は展開しなかったいきさつがあるわけであります。国会の審議権の保障はそのときどきの議員あるいは委員の熱心な民主主義制度確立に対する熱意のもとに創設されるものでありまして、これらの努力が実ってこなければならない。したがって、外務省のペーパーに出てくるように妙な悪い先例だけを並べたてて、先例がだんだん悪化しつつあるのを平気な顔をしておいて、最近の先例はこうでありますというような言い方は私はとてもうなづけない。これは先例の用い方が誤っておると思うのであります。  そのような立場から、私は本案件の処理に関して、これは可分し採決するという方向で御審議を進めていただきたいと強く要請をいたすものであります。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 渡部委員にお答えいたしますが、重ねて承知をいたしました。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 非常に前進的な御見解を承りましたので、では続いてこの問題をもうちょっと詰めてまいりたいと存じます。  さて、本案件につきまして日米安保条約の審議の当初におきまして問題になったポイントがございます。これは憲法第七十三条によって規定されております条約の承認権についての問題であります。今回提出された文書は、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件というのが国会承認案件の本文であります。ところが、そう見てよいのかどうか。これは二つの協定がそれぞれ別個の協定の本文として国会の承認を求めておるのか、あるいはこの案文、先ほど表示されましたこの二つの協定の承認を求めるの件というものを通過すべき案文の対象とし、協定それ自体は単なる参考文案とするものであるか、ここについてのお立場を改めてお伺いしたいと思います。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 先生御指摘のように、過去におきましてこの問題について種々の議論がこの国会においてなされていることは私も承知いたしております。その全貌を私は承知いたしてはおりませんが、しかし一体何が承認の対象となるのだということにつきまして、承認を求めるの件で列挙してございます条約は参考の付属文書であって、承認の対象となるのは何と申しますか、締結について承認を求めるの件というもの、紙でございますということが国会におきまして政府側から説明がなされております。私どももそれについてはそのようなことではあろうと思うわけでございますが、しかしその議案は、実は具体的な条約の締結について御承認をいただくことになっているものでございまして、何だかわからないものについて、締結の承認を求めるの件だけについて国会の御承認を求めているのだということではまことに奇妙なことになるのではないかと思うのでございます。したがって、その具体的な条約の中身がわからないで承認するとかしないとかいうことはできないわけでございますから、その締結について国会の御承認を求めている条約の内容を同時に御提出してお示しをしているものであります。でございますので、この協定につきまして、それぞれこの日韓の北の協定及び南の協定につきましては、私どもといたしましては、その一つについて御承認を求めているというふうには考えていないのでございまして、その協定の一つ一つについての御承認を一括して求めているというふうに理解をいたしております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 ただいまのは非常にレトリック上にも問題があるんじゃないか。まことにこれはちょっとおもしろいことになったと私は思いますね。まず、いまあなたは伝統的な解釈を述べられました。すなわち、一々読み上げるのが非常にめんどうなので北部協定と南部協定と略称して申し上げますと、北部協定と南部協定の締結について承認を求めるの件がいま出されている文案ですね。そうすると、あなたはこれは条約そのものを本委員会にかけたのではなくて、承認を求めるの件をかけたのだといま述べられたわけであります。したがって、あなたは紙切れを一枚いまここにかけられたのであって、協定そのものについては単なる参考であるというお立場をおとりになったわけですね。そうしておいて、あなたはみずからそれはまことに珍妙なことでありますとお答えになりました。それは、与党の発言と野党の発言を一緒にしていま述べられたのでありまして、私はかかる答弁に対してはどうも評価の言葉を失うものでありまして、ちょっとお疲れになっているのではないかと思いますが、もしむずかしければこの次お答えいただいても一向に差し支えありませんが、どうですか。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 私の御説明が非常に混乱いたしておったことをおわびいたしますが、私が先ほど申し上げました承認を求めるの件については、そのような議論が行われたことがあるということは私も承知しておりますと申し上げるにとどめておきたいと思います。そして、今日の日韓北部協定と南部協定につきましては最後に申し上げましたように、それぞれの締結について承認を求めているものでございまして、しかしそれぞれの締結についての御承認を一括して求めているものだというふうに考えている次第でございます。そして、この件に関しましても昭和四十年でございましたか、たしかそのような政府側の立場というのが国会において述べられていたと承知いたしております。正確にはやはり先生御指摘になりました日韓関係条約の承認のときの国会における議論であったと承知いたしております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうしますと、いま一括してというふうに特に力を込めておっしゃったのは、先ほどからの大臣の御答弁に合わせようとしていま無理をされたわけでありまして、それはちょっと違うんじゃないかと思いますね。それは当時の協定委員会におきまして、高辻法制局長官でございますか、高辻政府委員が「条約につきましては、申し上げるまでもなく、条約を締結するのは内閣でございます。その締結について承認をするかしないかを御決定になるのが国会でございます。したがって、承認をするかしないかというものにつきましては、部分的に可分なものであれは——不可分のものもむろんございますが、不可分のものは、これは別でございます。当然言うまでもございませんが、可分なものなら、ある条約について承認、ある条約について——ちょうど、前の自治法上の問題を御引例になりましたが、それと同じように、これが可分である以上は承認、可分である以上は、また他のものを不承認ということは、理論上は可能であります。」こういうふうに明快に述べられております。いまあなたの方は、一括して御承認をいただきたいというのはあなたの希望でありまして、その希望をいま議論しているのではないのであります。それは一括して出された。一括して承認を期待しておるのはわかります。しかしそれを審議するのは当委員会の方でありまして、私どもに権限があるわけであります。したがってあなたはいま二つの案件を一括して承認すると言われましたけれども、一括してというのは、この案文の文案に書いてない。北部協定と南部協定の承認を求めるの件で、それが北側だけ通って南側が通らないとか、南側だけ通って北側が通らないことはあり得るわけであります。それはいままでの政府答弁によって補強せられているところであります。ですから、いまあなたがここへ出されたのは、北部協定と南部協定の締結について承認を求めるの件という紙切れであるとあなたは述べられているわけです。いいですか。ですから、あなたはその中の紙切れを通過させるためにいま努力をされようとされているのであって、それを当委員会が可分ともし認めるのであるならば、可分である内容について一括してぜひともなどということは、あなたの単なる希望的観測あるいは要望事項であるとしか私は受け取れないのですが、そうじゃないですか。そうでないと、ちょっといまのお話は混乱するんじゃないでしょうか。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 承認を求める件の紙切れだけについて承認を求めているのではないかという点でございますが、その点につきましては先ほど私がここで御訂正申し上げたように、そういう議論がなされたことがあるということにとどめておきたいと申し上げたのはそのことでございまして、これはやはり高辻法制局長官の議論でございますが、一つ一つの条約、協定について承認するしないということができないような形で出しておいて、そして国会を尊重するようなことを言ったって、これはだめじゃないですか。従来の政府の答弁は、一枚の紙、つまり承認を求めるの件が議案で、列挙してある条約、協定、交換公文は参考付属文書であるという見解には間違いないかという当時のこれは石橋社会党委員の第五十回、昭和四十年の御質問に対しまして、法制局長官は、「過去にも御指摘のようにこういうたぐいの議論がありまして、いま仰せのとおりに、私ではございませんが前任者が答えたことがございます。しかし、それは議案としてはぺらぺら一枚だということを仰せになりましたが、しかし、その議案は、実は具体的な条約の締結について御承認をいただくことになっております。したがって、その具体的な条約の中身がわからないで承認をするとかしないとかいうことはできないわけでございますから、その締結について国会の御承認を求めている条約の内容を添付といいますか、同時に御提出しておりますものでお示しをしておる、そういうものでございます。」というふうに高辻長官は答弁をいたしているわけでございますので、そのような議論が行われたということの例として私はここでいまお読み申し上げたわけでございます。  ただ、私が一括してと申しましたのは、先ほど表現に十分気をつけたつもりでございますが、それぞれの条約の締結について御承認を求めている。そのそれぞれの条約の締結についての承認を一緒に求めているということを申し上げたわけでございまして、二本の条約案件を一つの承認でもって一括して求めているという意味ではございません。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 大分正確になってきたようでありますが、この問題は非常にややこしい問題を含んでおります。といいますのは、承認を求めるの件についてが議題であって、協定それ自体が議題でないなどというのは、明らかに私はこの議論こそが今日の混乱を招いた最大の理由だろうと実は思っておるわけであります。というのは、一つの協定、一つの条約それ自体が承認の対象の案件として出されているならともかくとして、そうでなくて承認を求めるの件という、求めることそれ自体に対して議案として出してくるというのは非常に妙なことである。それは常識と背馳するものであると思うわけであります。したがって、この件については、国際法学者の間で広範な議論がすでに行われておりまして、国際法学会の泰斗である数々の人々がこれに対して幾多の議論をされていることは御承知のとおりであります。  私はこの際、安保問題以来このばかげた議論が続いているわけでありますから、これに決着をつけた方がいいんではないか、そう思っているわけでありまして、できるならば当委員会にいろいろな立場の方もおられますが、委員長におかれては適当な方々を選択され、特に私は申し上げたいのでありますが、ただいま問題になりました部分について、しかるべき国際法学者あるいは憲法学者等の適当な方々を人選され、参考人の事情聴取をぜひともお願いをしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 私も、前からこの重要な案件についての審査に当たっては、しかるべき参考人に来ていただいて、御意見を承る機会を持ちたいという個人的な希望もあります。せっかくの渡部委員の申し出もございましたので、その方法、人選等については理事会でお諮りして決めることとして、その御要望には十分おこたえをいたしたいと思いますので、今後とも理事会のその件についての審議については御協力をお願いしておきます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 よろしくお願いします。  それじゃその議論は、もういかにもつらそうですからこの辺でちょっと中断しておきまして、もうちょっと詰めるのは後ほどに、学者の方々の御意見も聞いた後にいたしましょう。その方がお互いに有益だと思いますし、時間も省けるんではなかろうかと思います。  条約局に伺いますが、条約局でもアジア局でも結構でありますが、本協定は、もう一回初めから言いますが、大陸だなの二つの協定のうち一つは大陸だなの境界画定のものであり、もう一つの協定は共同開発に関するものであって境界を画定しないものである、こういうふうに見てよろしゅうございますね。つまり境界については、南部協定については境界が画定されておらないと見てよろしいわけでございますね。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 その御了解で正しいものと思いますす。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうすると一方が境界を画定する条約で、一方が境界を画定しない条約で、それを一括するというのは非常に乱暴な感じがするわけでありますが、この議論はまたこの次ゆっくりいたしましょう。  それでこういうことを考えますと、二協定の提出の方法が考えれば考えるほど、二協定の提出をくっつけたということがわからない。先ほどから一生懸命御説明になっているようですが、説得性をきわめて欠いておる、御自分でもそうお思いなのではないか。何でそんなにがんばられたかという、この不思議な事情について打ち解けてお話しになるつもりはありませんか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 せっかく後日にと言ってくだすった話にまた私も戻りたくはないわけでございますから、結局、日韓間にこういう資源の開発をめぐって問題があって、どうしようかということになって、それじゃ大陸だなはぶつかり合うんだから、ひとつそれでもってきれいに分けたら話はつくだろうということでやってみて、北の方はうまく分けられたわけですが、南の方になってみたら両方の言うことが重なってしまってどうも分けられない。それならもうその主権の話は抜きにして、南については共同開発、お互いがとにかくこの当面の問題が片づけられるような処置をしましようじゃないか、こういうことになったわけでございますから、この話はずっと一貫した一つの話で、生まれてきたものが二つ異質のものが生まれてきた、まあざっくばらんにそういうことでございます。  でございますから、法律論はすっかり渡部委員はよくおわかりでございますし、理事会でもまた御検討なさるということでございますから、私として申し上げられるのは、その法律論と申しますよりは、政府のそういう交渉をして一括してまとめました立場から言いますと、この二つのことは非常に密接に関連あるものとしてどうぞ国会で御審議をいただきたい、こういう気持ちから一つにして一括して御審議をお願いしているので、手抜きとか怠けておったとかいうようなことではこれは本当にございませんので、その点だけはどうぞひとつおわかりいただいておきたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 じゃ、この件は後ほどに楽しみの議論にすることにしまして、手抜きや怠けじゃないというふうに大臣もおっしゃいましたから、そういうつもりで私ももう一回見直してみたいと思います。  ただ、当委員会に提出される条約は、続けて出してグルーピングして審議されている方法がとられていることは御承知のとおりであります。条約局参事官は、もう骨身にしみてわかっておられるはずでありますね。ですから、当委員会におきましても二つの租税条約はちゃんと一括して出されておりますし、OECDの金融基金協定と米州開銀に関する協定、二つのものはやはり一緒のグループとして本日も採決をされたところであります。こういうふうに当委員会の美しい慣行ができ上っている以上は、無理やり外務省の方で「及び」という字でつける必要はなかったんだろうと私はまだ思っているわけであります。その点は、この次またゆっくり議論をさせていただきたい存じます。  続いて申しますが、日本国憲法は、アメリカ憲法のように国会の条約修正権についての規定がありませんけれども、日本国憲法の解釈からは国会に条約修正権があってもいいんじゃないか、そういう解釈が広く存在していることについては御存じのとおりであります。国会にはイエスかノーかの選択しかない、あるいは条約については政府との間の話の余地はない、与野党、政府の非妥協的な対立にこれは追い込まれる可能性というのはきわめて高い。こうしたことが超党派外交を不可能にしている現状というものが存在するわけであります。憲法の規定に対する解釈は違われるとしても、恐らく外務大臣はこれらの状況について、アメリカやヨーロッパの国々がとられているさまざまな他の方法についていろいろ御見識もおありのことだろうと思います。私は、それらのある種のものはわが国の条約の審査の際において明らかに委員会に取り入れられてしかるべきものがあるんではないか。これは当委員会の研究課題であると同時に、外務省の研究課題になり得べきものがあるのではないかと思いますが、いかがでございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 これはどう申し上げましても、憲法の解釈という非常に重大な問題に関連をいたしますので、私からいまお答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それでは、非常に慎重なお立場をおとりになっているのもよくわかりますし、きょうは政府との立場が全く食い違ったままになっておりますので、私は議論をその次に持ち越したいと思っておるわけでありますが、ここのところで先ほどの理事会において委員長が御発議になった問題、すなわち海洋法会議の最近の結論というものが、当大陸棚協定の審議と非常に関係の濃い結論を招きつつあるのではないかという委員長の御発言がございましたが、海洋法会議に代表を出されている外務省として、当委員会の審議に関連する部分について、つまり、別言すれば、大陸棚協定承認云々の問題と海洋法会議における審議の方向が絡んでいる問題について、ただいま御説明いただくか、あるいは次の理事会で御説明をいただくか、何らかの措置が必要じゃないか、私はこう思っているわけでございます。もしいまの委員会で御答弁が可能であればそのままお話しいただきたいし、後に理事会において少し詳しい報告をしていただく必要も当然あると思いますから、そちらでも結構でありますが、委員長に御配慮をお願いしたいと思います。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 速記をしてください。  渡部委員に申し上げますが、渡部委員の申されたとおり、海洋法会議に出た者が帰ってまいっておりますから、その者からの事情聴取は理事会で行うこととして、概略のことは伊達参事官が十分承知しておると思いますので、伊達参事官から答弁をしてもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 はい。よろしゅうございます。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 簡単でございますが、概略を一口に御説明申し上げます。  今度の海洋法会議では、大陸だなにつきましては、一体どこからどこまでが大陸だなの制度によって規制される対象であるかという範囲が問題となりまして、基本的には海洋法会議の従来の会期で表明されている考え方ではございますけれども、それに沿っていろいろな主張がされたわけでございます。  それを要約いたしますれば、沿岸国の管轄権が及ぶ大陸だなの範囲を、深さとかあるいは海底の地形とかには関係なく、最大限二百海里までの海底なんだということで区切ってしまおうという考え方、これは距離を基準とする考え方でございますが、そういうものが一つございました。  それからまた、さらに、大陸だなの自然の延長の外側のふち、これを外線と称しておりますが、会議の用語ではコンチネンタルマージンという言葉でとらえている概念でございますけれども、その大陸だなの自然の延長の外線まで沿岸国の管轄権が及ぶんだという考え方、これは自然の延長論ということができるのでございますが、この二つに大別できるのではないかと思います。  さらには、二百海里以遠にまでもっと自然の延長がずっと続いている場合に、その境界を明確にするにはどうしたらよいかというようなことも問題になったわけでございますけれども、その間にありまして、わが国は、大陸だなの範囲は二百海里までであるという距離基準に基づきます主張を、これは従来からもいたしておりましたし、今度の会議でもしたわけでございます。  しかし、今度のニューヨーク会期におきます議論では、大陸だなの範囲を二百海里に限定することなく、二百海里のさらにその先まで大陸だなが存在する場合には、その外縁まで沿岸国が管轄権を有するんだという主張がますます勢いを増してきておりまして、新しい海洋法条約ではこの考え方が取り入れられることがかなり可能性があるんではないかというふうに危惧される次第でございます。  単一草案の原案と申しますか、前会期でできました単一草案でございますが、それは大陸だなの範囲は大陸だなの外縁、すなわちコンチネンタルマージンまでとしつつ、他方で、外縁が二百海里で終わる場合にはその範囲を二百海里までとするという、自然の延長論に立った規定が置かれていたわけでございますけれども、今度の会議の終末にできました単一草案の改訂版におきましても、その序文におきまして——第二委員会のアギラール委員長の案として出たわけでございますが、その第二委員会の単一草案の序文におきまして、アギラール委員長は、先ほど申し上げたその大陸だなの範囲が大陸だなの外縁までである、しかし、外縁が二百海里以内で終わってしまう場合には、その範囲をさらに二百海里までとするという、自然の延長論に立った規定でございますが、そういう大陸だなの考え方が相当な支持を得ておるということを述べておりまして、原案をそのままこの新しい改訂版でも維持しております。  それと同時に、さらに、今後の作業といたしましては、大陸だなのコンチネンタルマージンというものをどういうふうに定義するかに第二委員会の審議を向けていくべきであろうというようなことを言っておりまして、いろいろ申し上げましたけれども、一口に結論的に申し上げますと、いわゆる自然の延長論というものがかなりの程度までの国の賛同を得つつあるということが言えるのではないかということでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 委員長、ただいまの御報告は、当委員会の質疑とも関連する重大な内容を含んでおると私には思われます。したがって、文書にまとめた上、当委員会に資料として配付されるよう、私は資料要求をしたいと思いますが、しかるべきお計らいをお願いいたします。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 委員長から外務省にお願いいたしますが、渡部委員の言われたことは、私も全く同感であります。したがいまして、要点をわかりやすく、詳細に書いて、なるべく速やかにわれわれ理事の手元に入るようにお計らいをしていただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 承知いたしました。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それから、本日、委員会で質疑をし始めて痛感したのでありますが、該当地域の図面が統一されておらず、議論がはなはだしにくいわけであります。統一的な地図がお互いにありますと、たとえば第何番のポイントがどうであるとか、どこから何海里の地点に問題があるとか、議論がしやすいわけでありますが、該当地域の図面、かなり詳細にわたる図面、各種のデータを一括して積載されている図面が必要なように思います。それらを委員長の方で当局と御相談の上提供していただけないでしょうか。たとえば領海二百海里線というデータをいただいておりますが、非常に粗っぽい白地図にかいてある。それから、それとは全然別個に本協定のラインがかいてある。それと全然別個に過去における韓国の許可した石油開発地域のエリアの表がかいてある。そういうものを全部足し合わせなければ何が何だかわからない。一枚づつ別々の資料を散発的に与えられてありまして、非常に混乱を感じております。ひとつその辺、御配慮お願いできないでしょうか。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 渡部委員に申し上げます。何枚かのものを一つにまとめてということになると非常にむずかしいと思いますが、お話しの要点はよくわかりますので、私からも外務省の方に要求をいたしておきたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 次に、海洋法会議におけるさまざまな主張が述べられ、部分的にわれわれは了承いたしておるわけでありますが、いずれも正確でなく、困惑をいたしております。各国代表のさまざまな意見全部を網羅することは不可能としても、当委員会質疑に関与するような主要な議論をかなり網羅的に提出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 いまの問題も、伊達参事官のお話に関連するような代表的各国の意見については、わかりやすく文書にして御提出をいただくように私から手配をいたします。伊達参事官。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 先生の御要望で、各国の主張というものにつきましてできるだけ努力をいたしたいと思いますが、御了解いただきたいのは、実は海洋法会議の運営の仕方というものが、正式の会合を開いてそこで正式な発言をしているという会議ではございませんで、実は会期の大部分にわたりまして非公式なグループごとの会合というものが行われておるわけでございます。したがって、非公式なグループごとの会合で各国が申し述べたことを通じまして、私どもは、あああの国は大体あのような考えを持っているのであるなということを承知しているわけでございまして、それを、この国がこういう明確な主張をしているという形では、資料としてもなかなかできにくいものということを御了解いただきたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 北部協定の審議に関係して要求したいのでありますが、北部協定については、座標の三十五ですか、その先の方がちょん切れているわけでありまして、竹島の帰属問題をみごとに体をかわされている感じがいたすわけであります。したがって、竹島の帰属問題をわざわざぶち切った理由、並びに竹島の帰属問題に関する今日までの交渉の経緯、主要な論点、竹島の現況等について、次回にやはり資料として御提出を求めたいと思います。  私、特に指摘しておきますが、竹島に現在韓国側の人が上陸をいたしておりまして、そして定着を開始しているようであります。外務省はもう十分御存じのようでありますが、そういうものをそのままにして本協定を結ぶというのは、紛争の種を後ろへ後ろへと残しており、種をだんだん大きく育てて紛争の大木にするお気持ちなのであるか、非常に疑っておるわけであります。したがって、本委員会のこの大陸棚北部協定の審議に当たっては、当然北部境界画定なんですから、北部のもうちょっと北部のところが画定してない北部協定などというものはあり得ない、非常に珍妙な条約をいま結ぼうとしていると私には思えるわけであります。したがって、先ほど申しましたように、北部協定の座標三十五で打ち切った理由、それから北部境界線のそれから先に対するわが方の見解、竹島の帰属問題についてのさまざまの交渉の経緯、現況、今後の諸施策等を当委員会に、細かい質疑応答では時間がかかりますので、まず御提出をお願いしたい。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 渡部委員に申し上げますが、お申し出のように努力して、外務省の方に要求をいたします。渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それから本委員会の質疑に当たり、もう一つ難点があるわけでございます。本協定は明らかに韓国と日本との間のことをいろいろ議論をいたしておるわけでありますが、北朝鮮との関係、中国大陸との関係、あるいはソビエト連邦との関係は、この境界画定問題あるいは共同開発問題等について今後問題が発生せざるを得なかろうと思います。今協定の画定に関して、中国政府あるいは朝鮮民主主義人民共和国政府との間に、あるいはその他の政治的グループに対し、了解を求めあるいは丁寧な根回しが必要であったと思うわけであります。それらについては十分のことが行われたかどうか、これについてもあわせて資料として御提出を求めたいと思います。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 資料要求ですか、質問ですか。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 質問すると非常に長くかかりますから、この次のためにはやはり出していただいた方が万事早いのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 宮澤外務大臣。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 事実問題として、今回この国会で御審議をいただくことになりました際にも、中国側にそのような話を再度したりしておりますのですが、その詳細ということを文字どおり文書にいたしますこともいかがと存ぜられますので、そこらを御了解の上で、概略は御提出いたします。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それでは、委員長、さまざまな資料の提出に対し好意ある御配慮をいただきまして感謝をいたしております。本日の私の質疑は、これにて終わらしていただきたいと思います。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 次回は、来たる十八日火曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十八分散会

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