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77回国会衆議院1976/05/12

外務委員会 第7号

発言数
381
登壇者
22
会派数
5
開催日
1976/05/12

会議録

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 これより会議を開きます。  この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  去る十日、理事正森成二君の委員辞任により理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に津金佑近君を指名いたします。      ――――◇―――――

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 外務大臣に二、三の点につきましてお尋ねをしたいと思うのであります。  中国では先月の初めに天安門広場事件が起こりまして、鄧小平副首相が失脚して新しい首相に華国鋒氏が選ばれました。この事件の直後外務大臣は、この事件が日中平和友好条約の交渉を促進させるために当面よい材料ではない、こういう意味の発言をしておられるのであります。ところが、先月の二十七日でございますか、日本側から申し入れて北京駐在の小川大使が先方の外務大臣と会見をしておられるのでありますが、その会見の内容等、特に日中平和友好条約に関連してどのような話し合いがあったのでありますか、まずその点を伺っておきたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 喬冠華外務大臣から小川大使に対して、今回の政変について、われわれと体制の違う国が、政変があれば政策が変わると判断をしかねないのは理解のできるところであるけれども、実はわれわれの国では、終始毛主席のもとに外交政策も経済政策も行われているのであるから、総理大臣の交代があっても基本的な政策というものは変わらない、そういうふうに理解をしてほしい、日中平和友好条約を早期に締結したいという熱意についても同様である、このような説明がございました。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 しかし、外務大臣は先般、平和友好条約が締結されるためにはよい条件ではない、こういう見解を発表しておられる。しかし、向こうはそうではない、こういうようないまの御答弁でございますが、先般森永日銀総裁が参りまして谷副首相と会談されて、そのときにも先方側は、平和友好条約が結ばれるような段階に早急にいかないのはまことに残念であるが、気長に――気長といいますか、待つんだ、こういうような意向を森永日銀総裁にも話をした。これは新聞報道です。  そこで、さっきの外務大臣の答弁と従来からの、天安門事件後の外務大臣の見解とを総合しますと、どうも日本政府側に促進しようという熱意が足らぬのではないか、こういうように私は思うのですが、今後外務大臣はどういう構想で具体的に交渉を進めていこうとしておられるのでありますか。この点をもう一遍伺っていきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 私が先般申しましたことの意味は、昨年の暮れごろには、中国側でこの条約問題を相当真剣に検討しておられると考えるべき理由があったのでありますけれども、不幸にして周恩来首相の死期が迫り、また亡くなられ、その後あのような政変がございましたので、どこの国でもさようでございますけれども、国内において大きな変動がありますときには、対外問題というのは一時は処理のテンポが鈍る、これはどこの国でもそうでございますから、そういう意味で、このような政変があったことは、一時的にはそこに中国のエネルギーが集中されるわけでございますから、対外問題というのは多少処理がおくれるということはやむを得ない、これは理解のできるところであるというふうな意味で私は申し上げておったわけでございますが、その後、喬冠華外相あるいはただいまお話しの谷牧副首相等々が、いや、従来からの線は変わらないのであって、日本との条約交渉についてもそれは同じことだと言われるに至りましたのは、政変が一つの落ちつきを示して、落ちついた体制で再びそのような問題に取り組むようになるということを言われたものとしまして私は歓迎をいたしたいと思うのでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 天安門事件以後の中国の政治情勢というものは、いま外務大臣が答弁されましたように、日中関係にはさしたる大きな変化はない、こういう認識であろうと思うのでありますが、つい最近、イギリスの外務大臣のクロスランド氏が日本を訪問されまして、あなたとも懇談されておるのであります。このイギリスの外相が中国を訪問しまして、いろいろとあなたにお話があったと思うのでありますが、いま御答弁のように、日中関係、特に平和友好条約締結等については、一時的にはいろいろと影響はあったと思うが、しかし今後はないというふうな御意向のように思うのであります。そうしますると、さっきから答弁がないのでありますが、具体的にどういうやり方でこの平和友好条約の締結を進めていこうとしておられるのでありますか、重ねて御答弁願います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 具体的には、中国側が政変後事態が落ちつきを示しまして、恐らくそうなりますと、この問題についても再び中国側が検討を続けるということになろうと思うのであります。したがいまして、中国側においても十分検討されたと考えられる段階において、何らかの方法で両方の意思といいますか、中国側の見解も聞き、われわれの見解も申し、その中からどのような調整が可能であるかというような試みを何かの方法でいたさなければならない。われわれとしては十分早期締結の熱意を持っておりまして、この政変直前から、政変後における中国のそのようないわばお取り込みといいますか、そのような事態の間は少しわれわれとしては遠慮しておったということでございますから、事態が落ちついて、従来と変わらないのだというような言明が責任者からいろいろなされるという時期になりましたので、それではまたひとつお互いにこの問題の検討を始めようではないかということを何らかの方法でいたさなければならないというふうに思っているわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 改めてお尋ねいたしますが、平和友好条約の交渉が始まって非常な時間が経過しておるわけです。かねてからいろいろと質疑応答も行われておりますが、きょうまで延びてきておる原因がどこにあるか。現在中国側の態度等についてどういう認識をお持ちでございますか、なぜ延び延びになっておるかということについて重ねて御答弁を願っておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 重ねてという仰せでございますので、文字どおり過去に申し上げましたことを重ねて申し上げることになろうかと思いますが、条約全般のすべての議論をしたわけではございませんので、ここだけと申し上げることは必ずしも正確でないかもしれませんが、少なくとも従来論議の中心になりましたのはいわゆる覇権問題についてでございます。それでこの問題についての日本政府の考え方は、第一に、いわゆる覇権条項というものは特定の第三国あるいは第三国の集団に向けられる、それを頭に置くという物の考え方でないということ。  第二に、日本政府もいわゆる覇権的行動には当然反対である、これは共同声明にも出ておるとおりであるが、そのことは中国政府はもちろん反対である。しかし、これは日中両国政府がかねてそういうことについていわゆる共同謀議をするとか、あるいは共同の行動をとるということを意味するものではない。日本政府としても覇権主義に反対である。中国政府も覇権主義に反対でありますから、それで両者とも反対だという合意はできるわけでございますけれども、そのことはしかし、そのような事態が起こりましたときに日中両国で共同の謀議をするとか、あるいは共同の行動をとるという意味ではない。そのことは、われわれにはわれわれの国策がございますし、われわれの憲法がございますから、私は当然のことだと考える。  第三には、共同声明には、世界のこの地域、アジア地域における覇権主義に反対というようなことが述べられておりますけれども、ただいま申し上げましたことから申せば、当然世界のどの地域における覇権主義にも日本政府としては賛成ができない。地域を限るということの意味はむしろないのであって、普遍的に反対であるということを考えたい。  第四に、そのような物の考え方は、国際連合憲章の文章並びに精神に反しないのみならず、むしろ国連憲章の文章にも精神にも沿うものである、そういうものとしてわれわれは覇権反対というものを考える。  この四つを日本政府の考え方として中国側にお伝えをしてございまして、そのような考え方について理解が得られるならば、いわゆる覇権条項というものを条約文のどこに挿入するかということは、これは技術的な問題にすぎないというのが私どもの基本的な考え方でございます。  それに対しまして中国側は、私の申しておりますことはこれは間違いなく理解はしておられると思います。理解という意味は同意という意味ではございませんで、言っていることはわかった、それに対して中国側がどう対応されるかというのが、問題のいまの段階の中核であると私は思うのでございます。ただいま私が申し述べましたようなことは、日本政府の立場から申せば、恐らく国民のどなたもが納得していただけることであろうと考えておりますけれども、そんたくをいたしますと、中国側は覇権主義反対と言いますときに、特定の国を――国でありますか、国々でありますか、単数か複数かは問題がございますけれども、非常に深刻な問題として特定な国あるいは国々を考えておるということが、公の声明、スピーチ等でしばしばあらわれておりますから、そういう立場から申しますと、日本の立場はそうであっても、中国の立場もそうであるということに、われわれが考えておりますほどすらっと同調できるとは、あるいは考えておられないのかもしれない。向こうの立場になりますとそういうことも考えられることでございますから。その辺のところがやはり問題の一つの点ではないかと、私の想像でございますけれども、思っておるわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうしますと、日本の政府としては、日中平和友好条約を早急に締結し得るという、具体的なこれからの行動といいますか、どういうことをやっていくという、何もいまのところないということでございますか。先方の、日本側の立場を容認するといいますか、そういう段階が来るまでもうどうにもならぬ、こちらとしては何もできないのだ、こういうことでございますか。いかがでございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 仮にいまのような私の想像が――これは実は想像の域を出ませんのでございますから、まずそうであるのかどうかということを実はもう少し確かめる必要があるわけでございますね。そして日本の立場は、いま申し上げましたとおり、これはかなりわれわれなりにはっきりしておると思いますけれども、それに対応する中国の考え方がどうなのかということがもう一つはっきりいたす必要がございます。その上で両方の考え方が調整できるものかどうかということになってまいりますが、十分に考え方として調整されて、それを今度は条約の文章としてどのように表現するかということになってまいれば、これはもう交渉はかなり詰まった段階にいくわけであろうと思うのでございます。でございますから、われわれの立場として、いま堂森委員に私が申し上げましたようなことについて、中国側が具体的にどのような批判あるいはコメントを持つかということを、まず多少具体的に確かめる必要がございます。そうしてその上で、両方の立場が条約文という文章においてどのように調整し得るかということに進んでいきますと、話は進むわけでございます。  そのような接触を、やはり中国側が政変がもう落ちついたということを最近にはしばしば言われるわけでございますから、それならばそういう段階に進みたい。幸いにして外交チャンネルもございますから、そういう方に進んでいきたい。そろそろその時期ではないか。いままでその時期をちょっと計らっておったような感じでございますので、そのようなことをどういう方法でか考えなければならないと私としては思っております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうしますと、外務大臣の意向は、大体において、具体的にもっと接触を深めて、そして平和友好条約の締結に進むような段階に来ておるから、これからも事務的にも政治的にも折衝をさらに深めよう、こういう段階に来たという御認識でございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 私の方のおもんばかりから政変の時期を外しておったわけでございますから、先方が落ちつかれたということであれば、堂森委員の言われるように、ただいま申し上げましたようなことを時期を見ながら再開すべきが次の手順であるというふうに考えておるわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 次の手順はわかりますが、早い時期にそういうふうな具体的な折衝をまたやっていかれる、こういうことでございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 はい、余り遷延をすることには意味がないわけでございますので、もし向こうがそのように政変が落ちついたと言われるのであれば、早い方がよろしいと思っております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 いや、早い方がよろしいのは当然ですが、早くおやりになるという、何というのですか、腹をお決めになって、具体的に再び熱のこもったといいますか、早く締結しようという態度で、近いうちに早急にそういうふうな予定を持っておられるのでありますか、こういうお尋ねであります。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 基本的にはそのようにお考えくだすって結構でございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 どうも外務大臣あれですが、もっと具体的にといいますか、早くやるのだ、そして基本的にはそうだというような答弁でなしに、必ずやるのだ、そういう御決意でございますか。もう一遍、くどいようですが。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 私が何かこう一枚紙を置いて申し上げておりますのは、中国の当局者がやはりいろいろなことで非常に多忙でございます。これはいろいろな事情があるのだろうと思いますので、したがいまして、小川大使の喬冠華外務大臣との会見も、実はかなり長いこと、申し入れをいたしましてから実現に時間がかかったりしておりますから、その辺は私どもも、お互いの立場もよく考えながらしなければならぬという点が一つございまして、そのゆえに、こちらだけの都合でというわけにもいかないかもしれない。しかし、こちらの気持ちはどうかとおっしゃれば、先方がその御用意さえあればなるべく早い方がいいと私ども思っておりますことは、それに相違がないのでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうしますと、外務大臣が北京に行かれるのか、向こうが来られるのか、そういう話し合いも進めておられるのでございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 そのことをただいま進めておりません。と申しますのは、幸いにして外交チャンネルがございますので、ただいまのようなことの両方の意見の出し合い、それからの調整というようなことは、ある段階までは外交ルートでできるというふうに考えておりますので、またそれが本則であろうと思うのでございます。その結果、最後に決断を要するとか、あるいはもう最終的な妥結が多かれ少なかれやや儀式的なものであるとか、つまりある程度見通しをつけた上でございませんと、飛び込みましても飛び込まれましても結果がよくないということになれば、これはかえって不幸なことでございますので、したがいまして、そういうことを、私どもがまずまずこの辺でという見当がつくまでは外交チャンネルでやらしてみたいというふうに考えております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 外務大臣は、そうしますと、もう今日では外交チャンネル、たとえば北京駐在の小川大使等を通ずる、あるいはこちら側でも結構でありますが、もう早急に平和友好条約の締結に向かってさらにエネルギーをつぎ込もう、こういう段階が来ているというふうに御認識でございましょうか。そして必ずこれは成功するであろうという見込みをもう今日ではお持ちでございますか。早急にできるという見込みでございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 私としては早い方がいいと考えております。  その次に、これは大体できるという見通しかというふうなお尋ねであったわけでございますが、この問題は、私どもにとってもむずかしい問題でございますけれども、中国側にとりましても、先ほど私がそんたくをして申し上げましたように、やはり一つの決断を要する問題であろうと存ぜられますので、その結果をいまからどうも予知することは必ずしも適当でないのではないか。ただ、両者が誠意を尽くして、お互いの立場を全部お互いにわかり合うようなそういう交渉はぜひやはりしておかなければならぬ。その結果、早期締結がお互いのためになると考えておることだけは間違いございませんので、そういう熱意によって妥結を見れば、これはまことにこれ以上のことはないと考えております。とにかくやはり日本としては全力を尽くしたいと思っております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 時間がありませんから、次の問題に移りたいと思いますが、精力的に条約の締結に進んでもらいたいと思うのであります。  次は海洋法会議の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  今月の七日に、八週間にわたって開催されました海洋法会議が終わりまして、今回の会議について、わが国の政府としては、どのような成果があったという認識を持っておられるか、どのような評価をしておられますか、この点をまず承っておきたい、こう思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 詳細なことは御必要によりまして政府委員から申し上げますが、大づかみに申しますと、とにかく非常に長い会期の結果、従来の単一試案、単一草案というものが長い会議の結果ある程度改定をされまして、依然として非公式なものではございますけれども、各国の意見を入れつつある程度改定をされまして、それを次回の会議のたたき台にしようというのでございますから、何分にもそれに非常に長い時間をかけましたから、議論の分かれ目、あるいはいろいろな異論の出ます範囲、性質というようなものはほぼもうほとんど会議参加者には共通の問題としてわかってまいりました。したがって、問題のエリアがほぼ詰まってまいりました。しかも、これだけ長いことやって、もうこれでできるものならできるはずだし、できないものならもうできないというような一種の、みんな言うだけのことは言ったというに近い感じがぼつぼつ出てきたということが成果ではないかと思うのでございます。  したがいまして、次回の会議を八月二日からいたしますときには、かなりそういう、この辺で成るか成らぬか、いずれにしても見きわめをつけなければならぬときになったなというような感じで、次回の会議が始められるといったようなことを成果だと申し上げるべきではないかと思います。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 今回の会議では、先進国と発展途上国との間の対立ということがあった、そしてまた発展途上国の間でも、海を持った国と内陸国との間に対立がはなはだしかった、こういうふうに伝えられておりますが、この会議の内容について、事務当局でも結構ですが、答弁をしてもらいたいと思います。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先進国と発展途上国との関係、それから内陸国、地理的不利国の立場という御質問がございました。  概略申し上げまして、今度の会議において配付されましたところの交渉単一草案の改定版は、基本的に申し上げまして、伝統的な海洋制度の問題を扱った第二委員会の関係の問題は、先ほど来お話があります領海の問題だとか、国際海峡だとか、経済水域だとか、そういう関係は、大体前の原案が維持されておりまして、第一委員会で扱いました深海海底の開発の問題につきまして多少とも先進国寄りに改定版がなったということでございます。  それから第三委員会で海洋汚染の防止とか科学調査の問題を扱っておりますが、この関係の案文は、改定案は発展途上国の主張により近いものになった、大ざっぱに申し上げましてそういうことになるかと思います。  お話のありました内陸国等の立場につきましては、今度の会期で、内陸国が五十五、六カ国ですか、一つのグループを結成いたしまして、その立場を非常に主張したわけでございますが、最終的に配付されました改定案においては、内陸国の立場の問題は、もう少し論議をして、次会期で詰めるべきであろうということで、基本的にはあまり触れていないという委員長の説明がございました。  大体そういうことでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 次の会議が八月から開かれるわけでありますが、外務大臣は、次の会議には海洋法の条約草案ができ上がるであろうというような見通しも語っておられるのでありますが、政府はそのような認識でございますか。会議が非常に複雑な議論が出ておるのでありますが、その見通しはどうでございますか。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 とりあえず、私から事務的な感触を申し上げさせていただきます。  まず第一に、次の会期の議事のやり方、次の会期で今度の会期に出ました改定草案をどのようにして審議して、どのようにして最終的なところに持っていくかという点につきましては、実は会期末にいろいろと議論がありまして、結局のところ結論を得ませんで、次の会期までの間にアメラシンゲ議長が、会議で行われた各国の意見を勘案しながらみずからの案をつくって各国に配付するということで、それを見ましてから各国及びグループがそれぞれの態度を決めるという形でございまして、そういう意味におきまして見通しをつけるのが多少困難な感じがある。いずれにいたしましても、いまの案が基本的にはこの前の単一草案と同じく非公式のもの、その性格は変わっていないと思われますので、それを今度の会期での交渉を通じて正式なものにしていくというエクササイズが行われるというふうに考えております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうすると、政府は草案がまとまるという見通しでございますか。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 いずれにしろ、私どもといたしましては草案がまとまるように期待し、そのために大いに努力をいたしたいというふうに考えております。何分にも、先ほど申し上げましたようにいろいろな問題、広範な問題を扱っておるものでございますから、それぞれの問題について進展のぐあいがふぞろいな点がございます。この辺の多少おくれておる、たとえば深海海底の開発問題というようなのが、問題がどれだけ早くその初期に進展を見るかという点も、全体の見通しを立てる上に非常に影響があるかというふうに考えております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 それはあなた、会議に参加しておる日本の政府の代表がまとまるように努力するとか、期待するのはあたりまえでありまして、当然のことですが、条約の草案がまとまるという見通しですかどうですかとお尋ねしておるのですよ。そのように努力することは当然であります。どうなんですか、もう一遍御答弁願いたいと思います。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 先ほど来私の御答弁に多少の明確さを欠いておりますのは、ただいま申し上げましたように、今度の会期でどのようにして論議を進めるかという点の手続的な問題、たとえば投票に付してどんどん処理していくのかとか、それともコンセンサスを求めてそのための交渉を内々に進めるのかという手続的な面がいま申し上げましたようになお明確でない、議長がそれまでの間に案を配付するというようなことがございますので、いまの時点でこの次の会期でどこまで最終的にいくかという点を申せとおっしゃられる先生のお気持ちはわかるのでございますが、なおもう少し様子を見させていただきたいというのが、私ども事務当局の考え方でございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 大臣は草案ができる見通しだという発言をしておるのじゃございませんか。そういう見解じゃございませんか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 とにかく、八月からといえばもう幾らも時間がないわけでございますけれども、もう一遍会議をやろうということにまとまりましたのは、やはりこれを最後にという一種の雰囲気でありますから、それはよろしいのでございますけれども、まとめるときに実は発展途上国がかなり強硬に反対をしたわけでございます。八月なんかではとても自分たちの準備ができないとかあるいは実態がまとまっていないとか、それを説得してまあまあということになったという経緯がございますから、そこで八月の会期に、結局問題は発展途上国をどれだけ一つ一つ説得して回れるかということになるのだと私は思うのでございます。仮にそれが成功しませんで、八月から九月の半ばまでやりまして、それでどうもならぬということでございますと、もう一遍ということは、実態がそこで固まっておりません限り、ここまでやったものはもう何度やっても同じことになるのではないかというような雰囲気の会議になるであろう、私はそう思っておるわけでございます。ですから、実態としては、これでまとまらなければ、もう何度やってみてもまとまらぬものはまとまらぬというようなものになっていくんではないか、それで私はあのように申しておるわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 時間がありませんから、もう一つの問題についてお尋ねしておきたいと思うのですが、ただいまナイロビで第四回の国連貿易開発会議、UNCTADが開かれております。そしてわが国からは前外務大臣の木村俊夫氏が代表して出席されておるのでありまして、そして木村前外務大臣が演説もしておられる。新聞にも報道されております。この会議に臨んでおるわが国の基本的態度はどこにあるのでありますか、外務大臣からまず承っておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 基本的には、いわゆる南北問題というのは一九六〇年代の初めごろからあった問題でございますが、正直を申して、そのころには、いわゆる先進国側の間に何とか時間をかけて引き延ばしていこうというような気持ちがなかったとは申せないと私は思います。しかし、その後さらに、世界に大きな戦争がなく、平和が続いておりますことを背景にして、いわゆる発展途上国が自分たちのかねて強く希望しておるところを実現したいという希望はますます高まりますし、先進国側も、それはやはり理解をしなければならないことではないかという、気持ちにかなりの変化があったと私は思います、いまから十年余り前を回顧いたしますと。また、別の要因として石油問題というものも出てまいりまして、これが別の要因として全体の南側の主張というものに一つの力を与えたということも否定できません。で、わが国のような国は、軍備を持たないということは世界が平和でなければやっていけないという国でございますだけに、今後の世界の紛争の要因を除くというような観点からも、南北間の格差の解消というものは、やはりわが国は先に立ってでもしなければならない問題であるというふうに基本的には考えておるわけでございます。  もちろん、その次のことを申しますれば、かといって、それは相当の財政負担にもなります。わが国のいまの限られた経済状態から申せば、大きな財政負担をすぐにできるという状態でもない、あるいはまた、いわゆる一次産品等についてわが国自身の中に競合的な立場にある産品もないわけではないというふうに、申せば幾つかの困難はあるわけでございますけれども、しかし、基本的には前段に申しましたような認識で臨んでおるわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 コレア事務局長が演説で一次産品の総合計画をつくることを明らかにしております。新聞報道等を見ておりまして、私よく内容がわからぬのでありますが、この総合計画というのはどういうものでございますか、政府から御答弁を願いたいと思います。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 ただいまお尋ねの一次産品総合プログラムは、一昨年の第六回国連特別総会におきまして、当時就任したばかりのコレア事務局長、それからいわゆる七十七カ国グループの開発途上国が主張し出した構想でございまして、いままでの一次産品問題についてのどちらかといえば個々の品目ごとの個別的なアプローチにかわりまして、できるだけ多くの品目を一括して取り上げて、それの価格の安定でありますとか、あるいは先進国市場におけるアクセスの改善でありますとか、一次産品輸出を通ずる開発途上生産国の輸出所得の維持、増進といったようなことを念頭に置きまして、総合的にいろいろの施策を講じていくべきだ、ごく簡単に申しますればそういうことでございますが、この構想も、実は先進国と開発途上国の間でいろいろUNCTADその他の場で話し合っておりますうちに、UNCTAD事務局長の構想自体が、一昨年からことしの初め、現在にかけまして徐々に変わってきております。最初は非常に大ぶろしきを広げましたような構想で、たとえば価格を安定させるための緩衝在庫の財政的な支援のために、百八億ドルに上る膨大な共通基金を提案しておりましたけれども、現在その基金の額も三十億ドルと、大分縮小してきております。それから対象といたします品目につきましても、十八品目であったり十七品目になったり十品目になったり、いろいろ変わっております。これは、関係いたします輸出国であるところの開発途上国の利害関係がいろいろ交錯しておりますので、なかなかぴしっと特定の品目にねらいを集中することがむずかしいという事情もあるのではないかと思いますけれども、いずれにしても大きな特色は、価格安定のための一連の緩衝在庫の仕組みと、それを財政的に支えますための共通基金、それから買い手と売り手の間の長中期の契約、コミットメント、あるいは生産いたします一次産品の多様化に関するいろいろな施策、それから輸出所得の安定のための保証融資制度の改善といったような施策を包含しておるものでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 ただいまの国連局長の答弁を聞いておりましても、一次産品の総合計画というものも本当には固まった計画ということが言えないと思うのですが、間違いないですね。そうじゃないでしょうか。何か非常に内容の漠然としたもののように思うのですが、そうでないですか。私よく理解できないものですからお尋ねしておるのです。  それから、もう時間がありませんので一緒にお尋ねしますが、外務大臣は、キッシンジャー長官の資源銀行という提案に基本的には賛成だ、こういうふうな意思を表明しておられますが、その内容も固まっていないのではないでしょうか。私、その点も、内容の固まっていないものに基本的には賛成だという態度はいかがなものかというふうに思うのであります。  それからまた、キッシンジャー氏が、生産国、消費国の会議の今年中の開催を提案しておる。これに対して外務大臣はどういう見解を持っておられるのでありますか。  それからもう一つは、コレア事務局長が、途上国の債務が累積しておって、これが途上国の発展に大きな阻害を来すような大きな問題になっておる、これに対して債務の軽減を図るとか、たな上げをするとか、いろいろなことを提言しておるようでありますが、わが国としてはどういうふうな態度で臨んでいかれるのでありますか、この点についてまとめて御答弁が願えればと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 一次産品十品目ないし十八品目についての総合プログラムというものが必ずしも固まっていないのではないか、具体的になかなか理解できないように思うと堂森委員がおっしゃいますことは、私はごもっともな仰せだと実は思います。発展途上国側から申しますれば、これは常に、過去十数年の経緯からさようでございますし、また理解もできることですが、やはり発展途上国を糾合して、皆、力を合わせてという運動の中心になります立場の人々、コレアにしましてもペレス・ゲレロにしましても、あるいはプレビッシュにしてもそうでございましたが、やはり一つの大きな青写真で、これでいこうということにいたしませんと、なかなかあれだけ多数の、しかも利害関係の違う発展途上国を一つの力にまとめるということはむずかしかろう、実際私それは同情いたします。そういうことがございますから、やはり総合計画であるとか共通基金であるとかいう大きな、皆を全部まとめたような大構想、大きな青写真を打ち出すということは、その立場に立ちますと私は理解のできることだと思うのでございます。しかし、これを具体的にわれわれ受けて立つ側から申しますと、一つ一つの品目についてどのようにすれば可能であるのかというようなことをどうしても考えざるを得ませんので、そうしますと、十ないし十八の品目についてどうやればそういうことが一つ一つできるのだろうかというような議論に入っていかざるを得ない。私どもも堂森委員の言われましたように、中にはそういうことの可能な品目も幾つかはあろうと存じますけれども、全部についてそういうものが一どきに青写真として可能であって、そのために一どきに金を出すというようなことの実現可能性というものを、どうしても私ども議論せざるを得ないような立場になってまいる。そういうことが、いまのUNCTAD第四回会議の発展途上国側と先進国側との、何と申しましょうか、立場の違いということになるのでありまして、したがいまして、そういう意味で堂森委員の言われましたことは私どももやや似たような気持ちを持つわけでございます。かといって、全然同情しないという意味ではございませんので、これは誤解もしていただいていないと思いますけれども――。  それからキッシンジャーの構想は、そのようなわれわれの立場から、ある程度発展途上国の言っておることに理解を示しつつ、しかし具体的なアプローチはケース・バイ・ケースでやらなければできないというわれわれの主張もまた言いながら、しかし、いずれにしても一次産品の開発、生産増大ということは必要なことでもあるし、場合によってはその所得の安定ということも必要なことで、場合によって、品物によりましてはそこに緩衝在庫というような問題が出てくるかもしれないのでありますが、キッシンジャーはそこまでは実は申しておりませんで、これは意識的に、国内事情もあり、また多少戦術的な問題もあって言っていないのだと思いますけれども、ただ、この問題についてお互いに何かの方法で金をつくって、発展途上国の要望に対処していこうではないかというのが、ごく簡単に申せばキッシンジャーの言ったことであるというふうに私どもは考えておりますから、そういう方向には賛成であるというふうに木村代表も発言をしておるわけでございます。  それから累積債務の問題でございますが、これについても、いま申しましたようなアプローチの違いがやはり両者の側にございまして、発展途上国は、言ってみれば、毎年仮に援助を受けても、過去の債務の利子に食われてしまえば何も残らぬというようなことはこの際困るので、ある意味では過ぎ去ったものは一時たな上げをするとか、あるいはモラトリアムをするとかというような大きな構想として打ち出しているわけです。私どもは、発展途上国の中にもいろいろ段階がございますから、本当に最貧国とでも申すのでしょうか、一番困っている国々については、実際現在でも債務のリスケジュールと申すのでございますか、繰り延べをやっておるのでございますから、現にやっておる国も幾つかあるわけでございますから、そういうことを考えるにやぶさかではない。しかし全体の構想として、過去の済んだものは一遍全部たな上げをするとか、全部モラトリアムをするとかいうことはそのままには受けられないので、国によって現にやりつつあることであるから、そういうことで本当に困った国については具体的に御相談に応じましょう、そういうアプローチをしたいというのがわが国の考えでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 時間ですから終わります。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 堂森芳夫君の質疑は終わりました。  次に松本善明君。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 外務大臣に伺いたいと思いますが、三月十七日にアメリカの国務省の前韓国部長でありますドナルド・レイナード氏が、アメリカの下院の外交委員会の国際機関小委員会の聴聞会で、金大中氏の誘拐はKCIAによってなされたんだという証言をいたしました。この証言は方々で出ておりますが、外務大臣はこれをお読みになったことがありましょうか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 その部分はワシントン大使館から電報が参りましたので読んでおります。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 これは、七〇年の初期から七四年の末まで国務省で韓国部長をしていた人が、アメリカと韓国の両国内における韓国の諜報活動を綿密に調査をして証言していることであります。そしてこの中身は、外務大臣もお読みになったということでありますが、KCIAのいろいろの不法行為を暴露しておりますが、これを外務大臣はどういうふうに考えておられるか。事実無根と考えておられるのか。これは事実とすれば大変重大な日本の主権侵害が行われたということになるわけですが、重大なことでありますので、これをお読みになって外務大臣がどういうふうにお考えになったか伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 あれに述べられております中で、いま松本委員の言われました主権侵害の疑いがあると考えられます部分は金大中事件の部分でございます。したがいまして、この点は具体的な事実をレイナード氏が知っておるのであれば、われわれとしてもこれを知っておかなければならないわけでございますから、国務省にその点について事実関係を問い合わせたわけでございますけれども、国務省としては一々私人の言っていることにかかわり合うことはできないということでありました。そこでさらに進んで、実はレイナード氏自身に、あなたはああいうことを言われたけれども、それはどのような事実あるいは事実についての知識に基づくものであるかということを、大使館の者をして直接に照会させたわけでございますが、それに対してレイナード氏は、あそこで述べた以外に具体的な事実あるいは事実の知識を自分は持っておるわけではない。ただ、一般に金大中事件というのはそういうものというふうに考えるのが普通ではないのかとでも言うような表現でございましょうか、そういうことで言ったのであって、具体的な確たる証拠事実を自分が知って申したわけではないという答えでございましたので、それでございましたら、われわれがこれから新しい捜査をするというようなことに別段の参考にもなりませんので、その照会をもって終わっておるわけでございます。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 このレイナード氏が証言をいたしました下院の外交委員会の国際関係小委員会委員長のフレーザー下院議員、この人が上院の外交委員会の対外援助小委員会の公聴会に出たときには、金大中氏はやはりKCIAに誘拐されたということを断言しておられる。さらに四月二日には、ケネディ上院議員とフレーザー下院議員が、アメリカの韓国への軍事援助の再検討を求めるフォード大統領あてのアメリカの議員が百十九名署名した書簡を出す、その発表に当たっての共同声明で、やはり金大中氏はKCIAによって誘拐されたということの断言をしておられる、こういう事実なんです。レイナード氏の発言は単に聞き流すといいますか、重大視しないでいいという性質のものではないのではないか。その後のアメリカの政界の動きを見ましても、いまのような照会事実だけでこれは放置しておいていいものだというふうに外務大臣はお考えになっているのかどうか。私はこれはそういうものではないというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 確かに松本委員の言われますとおり重大なことであると思いましたので、具体的な事実を知っているかどうかを直接レイナード氏まで照会したわけでございます。確かにアメリカには、上院議員あるいは下院議員の中に、金大中氏事件をそのように見ておる人が相当おるように私も思うのでございますが、それは突き詰めていきますと、捜査に役立つような具体的な事実を知って言っておるのではないものでございますから、それでございましたら、当時わが国でもいろいろに報道されておったことと別に新しいものをつけ加えることにはなりませんので、確かにそういう言説は多うございますけれども、わが国の捜査当局が新しい事実として捜査を再開するに足るような具体的なものをわれわれとして得ることができない。関心は持っておるのでございますが、今日までのところそのような具体的な事実を示してくれる人がいないということでございます。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 外務大臣は、レイナード氏が秘密聴聞会で三月二十五日に証言をしていることは御存じですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 外務省といたしましては、三月二十五日にも下院の国際関係小委員会で秘密公聴会が開かれたことは承知しております。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 ここでレイナード氏が証言をしておるということは知らないのですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 これは秘密公聴会でございますので、内容については、遺憾ながら私どもは承知しておりません。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 単に一般の公開の公聴会だけではなくて、秘密聴聞会でも証言をしておるわけです。これはレイナード氏に個人的に聞いただけではあるいは外務大臣が先ほど答弁されたようなことにとどまったのかもしれませんけれども、私はもっと真剣にといいますか、もっと深く突っ込んで調査をする必要があると思うのです。  秘密聴聞会の内容につきましては、四月八日に日比谷公会堂で日韓市民大演説会というのが行われて、そこで、在日韓国人のやっております「民族時報」の主筆の鄭敬謨さんという人が演説をして、そこでは、もし事実とすれば大変重大なことが話されております。朴正煕大統領から大韓航空の趙重勲社長それから国際興業の社主の小佐野賢治氏を通じて田中前首相に三億円送られて、金大中事件についてうやむやの政治結着がなされたということであります。七三年八月八日に拉致事件が起こって、九月だということであります。そして、十月二十六日に金大中氏が軟禁状態から解かれたわけであります。この三億円の話は、三月二十五日のアメリカの、いま申しました下院外交委員会の国際関係小委員会の秘密聴聞会でレイナード氏が明らかにした、こういうふうに言われているわけです。同じような趣旨のことを、アメリカのコラムニストのジュリー・ムーンという人も、レイナード氏とのインタビューの記事の中で四月八日の週刊現代に書いております。こういうようなことからいたしますと、この秘密聴聞会の内容というものはもし事実とすれば大変重要なことではないかと思うのです。  さらにレイナード氏は、この秘密聴聞会では金在権公使がその犯人の一人であるということを述べたということも伝えられております。こういうようなことを考えますと、これはわが国の主権にかかわる重大な問題でありますので、この秘密聴聞会の議事録をアメリカ政府に対して要求するということをしてでもこの事態の内容を明らかにしなければ、わが国の主権侵害の事実がそのままになって、それに対して重大な疑惑が外国で宣誓した上で証言をされておるということであります。外務省としては当然にそういう外交努力をもっとしなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 いわゆる金大中氏事件については、わが国の捜査当局は少なくとも、かなりの疑問を持ったわけでございます。これはそうであって、したがって、問題は、そういうことではないかというようなことでは役に立ちませんので、具体的にそれを証するものがなければ話は先に進まない。ですから、レイナード氏がそういうことであったと言い、あるいはアメリカのケネディ、フレーザー等がそう思うと言ったところで、それ自身は何らわれわれ、捜査当局にとっては恐らくニュースではないのであって、それを具体的に何によって証するかということが問題であるわけでございましょうから、ただそういう話だけではどうも役に立たないということであると思うのでございます。秘密聴聞会でどういう話がありましたのか私ども存じませんが、ただそういう、こう思うといったようなことでございましたら、別段この事件の解明に役に立たぬと私は思うのでございます。  秘密聴聞会の内容をわれわれとして入手するために努めるかどうかということでございますけれども、外へ出さないのが秘密であろうと思いますので、私どもの外交努力にもそこには限界があろうと思います。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 一般的な話ではもちろん役に立たないものでありますけれども、しかし国務省の韓国部長、そしてKCIAの活動について綿密に調査をしていたということを証言の中でも言っている人のことであります。それをただ一般的な話だということで終わりにしてしまうということはできないと私は思うのです。これは秘密聴聞会のものをそのまますぐに発表するとかなんとかということでなくても、捜査上の努力をいろいろやって、外交努力をして、秘密を守るとか、あるいは日本政府がみずから捜査をするについての参考にするとか、そういうような方法があるはずだと思うのです。外務省としては、これについては限界があるということをいま申されましたけれども、何か努力をされたのですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 それでございますから、レイナード氏自身に直接聞くのが一番有効な方法であって、と申しますのは、レイナード氏はいま官吏ではございませんから、自分の知っていることは言い得る立場にあると私ども思いましたので、われわれに参考になることを、あなたがああ言った以上、具体的に話してほしいと言いましたけれども、自分には実はあれ以上に話すことはないと言っておりますから、どうもこれ以上にやりようがない。知っておれば恐らく話してくれ得る立場の人でございます。いま公務員でございませんから。しかし、何も新しいものは出なかった。これはわざわざ私どもの大使館の者が行きまして、直接に御本人から聞き出そうとした、そういう試みまでいたしましたけれども、具体的なものは出てこなかった。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 秘密聴聞会のことも聞かれたのですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 これは、この件についてレイナード氏の知っておられることを全部話してもらいたいということを言っておるわけでございますから、当然この件についての彼の具体的な知識を教えてもらいたいと言ったわけでございます。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 警察庁が来ておると思いますが、この件についての捜査の状況について報告をいただきたい。

大高時男警察庁警備局外事課長

○大高説明員 米国の上院におきますレイナード元朝鮮部長の証言につきましては、警察の方でも金大中事件について現在も捜査を続けておりますので、レイナード証言の裏に捜査に役立つ具体的な資料あるいは材料、証拠、そういったものがあるかどうかという点、大変に関心を持ったわけでございます。そういった意味から、先ほど外務大臣からお話がございましたように、私どもの方でも外務省の方にお願いいたしまして、同氏の発言について、何かわれわれの捜査に役立つ事実あるいは資料がないかということでお願いをいたしたわけでございますけれども、先ほどの御答弁のとおりで、結局公聴会の際に申されたもの以上につけ加えるものは別段何もない、こういう御答弁でございますので、私どもも関心は持っておりますけれども、これ以上新しい材料、捜査に役立つものがなければ、私どもとしては、これが直ちに捜査の参考になるというわけにはまいらぬと考えております。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 外務大臣にもう一つ伺っておきますが、先ほどレイナード氏本人に当たったということでありますが、外交ルートで秘密聴聞会の議事録を入手したい、取り寄せたいということの外交努力をする考えはありませんか。それはできないことですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 そういうつもりはありません。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 理由はどういうことでしょうか。それはわが国の主権の問題にかかわる重大なことであり、その内容についてはいろいろ外かちではありますけれども、かなり確かな筋からの報道だということで報道もされていることです。わが国の主権の問題として、その問題についてアメリカ側が断るならまた別ですけれども、それを要求するということは正当ではありませんか、適切な方法で。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 アメリカの議会制度は私はよく知っておるわけではありませんけれども、公にしないために秘密にしておるのであろうと思いますから、それをくれというようなことは、私は言うつもりはありません。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 しかし、ロッキード事件でもいろいろ資料の公開を求め、そして、それについての超党派の代表団も派遣をされるという状態になっておるわけです。一般的に秘密にされているものであっても、わが国の重大な利益にかかわるものであれば、これは外交努力によって明らかにされたいと申し入れることは一向に不当ではないと思うのです。もちろんアメリカ側がどういうことで対応するかは別でありますけれども、それについて日本側の方で、日本の外務省が何ら行動しない、初めから行動しないというのは、私は、この主権侵害問題についての日本政府の取り組む態度が大変弱いということの証明ではないかと思います。だから、それはもう当然にいまからでもなさなければならないことだと思うのです。もう一度、なぜおやりにならないのか、やってはならないことではないと私は思いますが、伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 ロッキード事件については、上院の小委員会において、少なくとも表向きになった部分にああいうことがございました。そこから、これはわが国の国益に非常に大きな関係があるとわれわれは判断をいたしまして、ああいう異例の手続をとったわけでございます。これはお互いにとってきわめて異例なことでありましたが、必要なことであったのでいたしました。しかし今回の場合、そのような国益に確かにこれが資するものであるかどうかという判断が私にはまだ生まれておりませんから、もしもしそういうことであればこれは別でございますよ、そこまでも排除するとは私は申しておりませんけれども、いまのところあのような異例なことをお互いが考えるというような問題ではないであろう。問題は重大でございます。問題は重大でありますけれども、そのいわゆる秘密聴聞会の記録というようなものがそれだけ役立つもので、しかもそれだけ国益を助けるという判断は私に生まれておりませんから、いまそういうことをするつもりはないと申し上げておるわけであります。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 それは大変遺憾な発言だと私は思いますが、日本で金大中氏が白昼公然と連れ去られた、日本の主権侵害だと、あの当時は大変な日本の国民の関心事でありました。いまでも金大中氏の自由回復の問題が重大になっておりますし、三木首相も今国会でも答弁をされておる。私は、この問題は、もしそういう疑いがあるということがありますならば、あらゆる努力をしても真相を解明しなければならないというのが政府のなすべきことではないかと思う。何もしないうちからこれは大したことではないということでやらないということでは、これは国民に対する義務を怠っているということ以外の何物でもないと思うのです。私は、やはりアメリカ政府に対して要求をさるべきである、いまからでも外務大臣考え直して、これをやるというふうに踏み切られるべきだと思うのです。改めてもう一度伺います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 金大中氏事件が重大だということは、これは先ほど申しましたとおり私もそう思っております。  しかし、そのいま仰せられておりますところの秘密聴聞会の記録というものと、金大中氏事件を解く捜査上のかぎとの関係がどれだけ相互因果関係があるかということについて、私はそれが相当大切なものだという心証を得ていないわけです。日韓市民大演説会とか、あるいは週刊何がしというような程度のことでは、私は、そういうものを要求する気持ちにはなれないということです。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 私は、これについては、この指紋もありまして、むしろわれわれとしてはそういう疑惑、KCIAがやったということについての疑惑は日本の中では非常に強いわけです。むしろそれの黒の方が強いです。そうであるからこそ、それを裏づけるものが出さえすれば、これは何でも明らかにしておく、それについて証言をされているものがあればあらゆる努力をしてとるというのが当然だと思うのです。それを初めからそのような努力をしないという理由が全くわからない。やればどういうことになるのですか、やればどういう障害が起こるのですか。その秘密聴聞会の議事録を欲しいということをアメリカ政府に要求したら一体何が起こるのですか。どういう事態が起こるかということなんです。御説明をいただきたい。ただ、やらないというわけではなくて、なぜやらない、やったらどういうことになるか。やったら日本のためにならないという御判断ならば、そのことをはっきりさせていただきたい。なぜなのか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 よその議会がこれは秘密であると決めたものを、それを下さいと言うには、それだけの理由がなければなりません。ただ関係があるかもしれないから下さいというようなことは、私は言うつもりはないと言っている。日本の国益に本当に重大なことがそこにありそうだというふうに思いましたら、非常の手段をもってでも私はとりますけれども、それだけの判断が私に生まれていないのです。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 私は、この問題についての外務大臣の取り組み方が大変不十分なんだと思います。あらゆる努力を払ってこの真相を解明すべきだ。日本の主権を守るということについての努力が足らないのだ。そういう点では外務大臣とは全く意見が違いますし、大変遺憾だと思いますけれども、さらにこの問題についてはいろいろ調査や研究をして追及をしていくということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 松本善明君の質疑は終わりました。  次に、永末英一君。

永末英一民社党

○永末委員 第三次海洋法会議、ニューヨーク会議が終わりまして、先ほど一般的な見通し等については外務大臣並びに外務省の見解を承ったのでありますが、日本政府としては、このニューヨーク会議に臨むに際し、どれとどれはまとめ上げたいという目的を立て、それに対する成果をどう判断しておられるか、お答え願いたい。     〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 第一委員会、第二委員会、第三委員会、それぞれの所管事項がございます上に、今度は、いわゆる紛争処理の問題が新たに出てまいりました。全体がパッケージビルになるということは、どうしてもそうあるべきでありましょうし、またそれ以外にまとまる方法はないと思いますから、そういう意味では、全体のパッケージができるようにということに私どもの最大の関心があったということになろうと思います。それで、いわゆる非公式単一草案というものが、議長のいわば個人的な努力によったものであるにはせよ、数週間の議論の末、改定草案にまで至ったということは、ともかく問題の性格及び範囲が関係国の間でかなりわかってきたというところまできたというのが今回の会議の成果であろうというふうに思います。

永末英一民社党

○永末委員 その全体、パッケージとしてまとまることを期待しておるというのですが、わが国はわが国として、それぞれの点において目的があったと思うんですね。たとえば全体という方に重点を置かれますと、カラカス会議において最初三海里なら三海里と考えておったけれども、全体が十二海里になってみたり、あるいは経済水域について、余り明確な観念、目的、主張点を持っていかなかったらそれが大勢になってきたりというような経緯があるわけですね。私が伺いたいのは全体というのはそれは仕上がったところは全体でありましょうが、たとえば、経済水域についてはいろいろな案があったわけである。日本政府の案というのは不幸にして聞いたことがない。一体どういう案を持って排他的経済水域の内容について主張したのか、そういうことをはっきり、そして、それはわが方の主張どおりまとまってきたのか、そういうことを伺いたいのですが、そういう何か全体をパッケージとしてというのではなくて、領海についてはこの委員会でも国際海峡についていろいろな質疑が行われておりますね。     〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、たとえば経済水域についてはこうだ、あるいは領海についてはどうだという何らかの、何点かの主張点がやはりあったと思いますが、それなしで全体のパッケージで臨まれたのですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 いま永末委員の言っておられるのは主として第二委員会に関係があることでございますけれども、この問題についてのわが国の立場は、つまり全体がパッケージとしてまとまることを前提にいたしまして、領海十二海里というものはわが国としてもしかるべきことであろう、及びその際いわゆる国際海峡とでも称すべきレジームが誕生することも、これもわが国として反対をすることではない。それから、経済水域が二百海里になるということも、いわゆる漁業問題等について既得権についての考慮が十分に払われるのであれば、これもわが国として反対をすべきことでないというような、どっちかと申せばそれらの要素が、どれかが単独にだけ成立するということでなく、いわゆる包括的に合意ができるならばわが国としても支持をする、こういう態度で従来からきておりまして、今回の終了いたしましたニューヨークの会議では草案の中で一番揺れの少なかったと申しますか、したがってまずまず一応のコンセンサスが生まれつつあると考えられますのは、この第二委員会に関するもののようでございますので、議論をすれば限りのないことで、ことに先ほどのように海に面しない国が自分たちの権利を主張するというようなこともあるわけでございますけれども、まあまあ大まかに言ってこれで全体がまとまるならば、第二委員会関係は一番まとまるに近い煮詰まり方をしてきたのではないかと思っています。

永末英一民社党

○永末委員 第二委員会が従来海洋の問題として各国が関心を持っている諸点を取り上げておりますから、当然いろいろの意見が交わされて煮詰まっていけばある一つの方向が出てくる、そういう問題点を含んでおると思います。しかし、先ほどの外務大臣のお話では、これからどうなるのかということについて、これらが次の会期やあるいはまたそれ以後まとまっていくことを待って日本政府が処置をしていくか、それともわが政府だけでまとまらないという判断をして処置をしなければならぬか、そういう態度を決する時期に近づいておるという旨のお考えが示されたと思うのですね。つまり、ニューヨーク会期を見て、次の会期でまとまっていくんだ。第二委員会で取り扱ったような事項はまとまっていくんだという前提で物を考えられるか、それともなかなかまとまらぬのだ、しかしたとえば領海の問題のごときは、この委員会でもニューヨーク会期の推移を見て判断したい。それは終わっちまったわけですね。終わってしまえばまた次の会期を見てやるのか、それとも判断をしてやるのか、政府としてはこの決心をしなければならないときに立ち至っておると私は思います。領海について、いまの推移を見通しながら、あなたはどうされますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 領海につきましては当委員会でも以前に申し上げたと思いますが、ニューヨーク会議、しかし場合によってはもう一つエクストラセッションというところまでは実は申し上げておったわけでございますから、ここぐらいまではまあまあということだと思うのでございます。なるべくまとめるつもりでございましたけれども、それは答弁にならぬと言って先ほども堂森委員がおっしゃっておりましたが、しかしやはりなるべくまとめるつもりでと申し上げるしかないので、それでまとまる機会とこういうお尋ねであれば、これはこれでまとまらなければ、もう海洋無秩序ということになる危険があるわけでございますから、これはやはりまとまると考えて私はやっていきたいと思います。

永末英一民社党

○永末委員 モア・ワン・エクストラ・セッションということでございますから、それはそれとして、そういう気持ちは伺っておきますが、この排他的経済水域につきましては相当な意見の分かれがございまして、この前の単一非公式草案も今回のやつもほとんど変わっていないようでございますけれども、その思想ははっきりしていない。わが国としましては、この排他的経済水域というのは公海だという法的性格を認定されて臨んでおられましたか。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 お答え申し上げます。  わが国といたしましては経済水域は公海であるという立場で会議に臨みました。この点につきましては発展途上国の側からは、むしろ領海の一応のステータスを持つべきである、領海に近い排他的な権限を少なくとも持つべきであるという主張がありまして、結局この点につきましてはなお次の会期に議論が持ち越されるであろうというふうに考えております。

永末英一民社党

○永末委員 領海もしくは国家水域論であるとかあるいはまた国家が管轄する水域であるとかあるいはパトリモニアル海のような観念、中間水域みたいな観念、それぞれとは日本の主張は違うわけですね、公海ですね、ちょっと確認しておきたい。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 わが国の立場は公海であるということでございます。

永末英一民社党

○永末委員 そうしますと公海でございますから、当然そこの通航は自由航行ということになりますね。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 そのとおりでございます。

永末英一民社党

○永末委員 たくさんの国々が、公海でない特殊の性格をこの排他的経済水域には認めようと主張しているわけでございまして、それらの国は、すでにその排他的経済水域における自国の権利を、利益を守るために監視体制をしきつつあるわけですね。しかしこれは非常な問題を起こすおそれがある。アメリカのごときも監視体制の強化を図っていると伝えられておりますが、わが国は公海だという以上は、この二百海里の経済水域がたとえまとまったといたしましても、監視体制をとるということは準備はされませんか。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 まず第一に、先ほど大臣からもお話がございますように、この海洋法なるものがいつ成立するかということでございまして、その海洋法の最も重要な問題の一つとして、いま先生が御指摘の経済水域の問題があるわけでございます。海洋法会議が成立いたしますと、わが国がこれに加盟するなりそれをそのとおりに行うということになりますと、わが国自身の経済水域を持つということになるわけでございます。その際に、いま先生が御指摘のその場合に経済水域と申せば、少なくともいまの状況から推察するに、たとえば海洋の汚染の防止の権限を沿岸国が持つという形になりますし、また漁業資源、鉱物資源についても沿岸国が権限を持つということになりますので、それらの権限の実施、エンフォースメントと申しますか、執行につきまして、当然に沿岸国としては監視の問題を考えなければいかぬわけでございます。ただいまのわが国の状況といたしましては、まずその経済水域を含めた海洋法会議の成立に全力を挙げておるということでございまして、成立いたしましてわが国自身が経済水域を持つ場合に、いま申し上げましたような事項についての監視の体制を整えなければいかぬということでございまして、具体的にどういうふうにするかという点につきましては、当然海上保安庁においてある程度の腹案をいろいろ練ってはおられるだろうと思いますが、いま申し上げましたように経済水域をわが国自身が持つという点につきましては、必ずしも直ちに出てくる問題というふうには考えておらない、それを含んだ海洋法の成立に全力を挙げておるという状況にあるわけでございます。

永末英一民社党

○永末委員 この非公式単一草案に出ております経済水域の扱い方と大陸だなの扱い方と比べますと、その中におきますいろいろな権利の設定の仕方、処置の仕方と、全く同質のように思うわけですが、しかしそれであるならば、経済水域を主にしてこれがつくられておるか、大陸だなを主にしてつくられておるかということを見てまいりますと、大陸だなの外縁が二百海里以内である場合には、当然事項として二百海里まで大陸だなを延長するんだ、延長して大陸だなとして認めるんだ、こういう取り決めになっておる。大陸だなの外縁が二百海里以遠に達する場合には、二百海里よりその以遠部分のいろいろなその海域における産物と申しますか、そういうものについてはシェアリングを行うんだ、この法理を見ますと、この海洋法会議は、領海外のある意味での経済的権利を沿岸国等に認めようとする場合には経済水域の考え方が中軸であって、そこへ大陸だなが乗っておる、このように見てよろしいか。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 先生御承知のように大陸だなの法概念というものは、実はこれは相当長くあるわけでございます。現在の状況でも大陸だなに関する条約がありまして、わが国は加盟しておりませんけれども、国際法的には確立した概念であるということでございます。ただ、その場合の大陸だなの境界についていろいろ意見があるということで、これを今度の海洋法会議でその一括した明確な概念をつくりたい、こういうことでございます。  他方、経済水域につきましては今度の海洋法会議で初めて取り上げられて、そしてその概念を明確化していこうということでございまして、従来の論議を見てみますと、経済水域の問題と大陸だなの問題とはそれぞれ別個に審議をしておりまして、それらの両方の関係が具体的にどうなるかという点についてはなお多少の明確化が必要かという感じをしております。  いずれにいたしましても、大陸だなにつきましては、わが国といたしましては海岸から一定の距離というところで切るべきである、要するに距離基準説と申しますか、一定のたとえば二百海里なら二百海里のところで大陸だなを切るべきであるという主張をわが国はしておりますけれども、遺憾ながらわが国の主張は必ずしも会議の多数を占めておりませんで、むしろどちらかといえばいわゆる自然の延長論と称する、先生のおっしゃられた、その大陸だなのマージンの一番外縁までその沿岸国が権限を持つべきだという意見が相当強くなされております。現実にいまどうなっているかという点につきましては、先生が先ほど話されたような形に単一草案及び今度の改定案もなっておりまして、簡単に申し上げれば大陸だなのマージンの外縁までである、コンチネンタルマージンの外縁までが大陸だなである、ただ二百海里に満たない場合には二百海里まで大陸だなと認める、それから二百海里を超えて外縁がある場合には、その超えた部分についてはそのレベニューシェアリングと申しますか、まさに先生のおっしゃられたような、その部分の開発から生じた利益を後進国その他に分配していく、シェアしていくという考え方でできております。この状況はこの前の非公式単一草案でも、それから今度の改定案でも変わっておりませんので、大体その方角で定着するのじゃないかというふうに考えております。

永末英一民社党

○永末委員 私の伺っているのは、大陸だなというのは前からやっておったことであって、それはそれなりに経過があり、条約等も結ばれたことがある、経済水域の話は新しい観念だ、しかしそれは当然大陸だなで処置をしていくのか経済水域で処置をしていくのかという、同じ海面、あるいは海中、海底のこともございましょうが、する場合に、いまわれわれの知っておるこの条約草案では、いわゆる二百海里以内は大陸だなであろうと経済水域であろうと同じ取り扱いを受けておる。こういたしますと、大陸だなの法理をたとえ自然延長論を認めたということにしてみたところで、それはたまたま出てくるのは二百海里以遠の大陸だなと称せられる部分のことが生きてくるだけである。としますと、外務大臣の言葉をかりるのではありませんが、全体のワンパッケージとして見れば、経済水域における権利というものが中軸になって担保されておるのだ、こう見られはしないかと私は思うのですが、それ以上にやはり大陸だなを積極的に主張する点があらわれておりますか、そこのところだけちょっと伺いたい。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 まさに御指摘の点が最終的にどういうふうに明確になるかという点について、なお状況を見なければならない事態があるものでございますから、必ずしも私のお答えが明確さを欠く面があるのを御容赦いただきたいのでございますが、少なくとも今度の改定版におきましては、経済水域は御承知のように二百海里以内の生物資源、非生物資源に対して沿岸国が管轄権を持つということでございますが、今度の改定版におきましては、海底及び地下に関する経済水域の沿岸国の持っておる権利は大陸だなの章、チャプターでございますか、大陸だなの方の条文に従って行使されるべきである、そういう規定がございます。したがいまして、上部水域については経済水域の規定が適用になり、その下部の権利をどういうふうに行使するかという点については大陸だなの方の条文によれということが書いてございます。この辺の意味するところをなおもう少し明確に詰めていきたいというふうに考えておるわけでございます。

永末英一民社党

○永末委員 外務大臣に最終的に伺いたいのですが、わが国は広い大陸だなを持っておるという観念にはなっておりません。だといたしますと、似たようなこれは、いわゆる領海外の権利設定の問題がこの種の国際会議で行われているとするならば、われわれは経済水域、いま条約局長の話をかりますと、大陸だなの条文を引用するのではなくて、こっち側にも同じことを書いておいてやれ、それでいい話だ、そういう方針でお臨みになるつもりはありませんか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 おっしゃっていることはよくわかっておるのですが、わが国までを含めて中国の大陸だなの上にあるという物の考え方が、多数説ではないけれどもやはりありまして、日韓大陸棚条約などではわれわれはそういう主張もして、中間線というようなものを考えたりしておるというようなこともございまして、なかなかその辺は微妙な点がございますが、永末委員の言われましたようなことがわれわれの主張にやはりどっちかといえばなっていくと思います。

永末英一民社党

○永末委員 終わります。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 永末英一君の質疑は終わりました。  午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時十七分開議

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 ただいまより休憩前に引き続いて会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 海洋法の関係の問題についてお伺いをしたいと存じます。  三月中旬から開かれておりました第三次国連海洋法会議第四会期は、去る五月八日に改定単一草案を発表して終了いたしました。最終案とは違いますけれども、改定単一草案に合意が行われたようでありますので、この問題についてお伺いをしたい、こう思います。  まず、今年度じゅうに政府は結論を出される、むしろ出したいというお気持ちであるかどうか、その辺の交渉の進捗状況について簡単に伺いたいと存じます。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 この点は午前中にもお尋ねがございまして御説明を申し上げたところでございますが、八月からさらにもう一度ニューヨークで会期を重ねることとなったわけでございます。雰囲気としては、もうここで実質上の合意を何とかしてつくりたいものだというふうに多くの国が考えておるわけでございます。ただ、御承知のように、比較的間近に再度会期を設けますことについては、発展途上国の中にかなり強い反対もあったという経緯もございます。したがいまして、この八月の会期においてどうやって発展途上国を個々に説得して、最終的に実質上の結論を得ることができるかというのが八月会期の主たる使命になるであろうと私は考えています。したがいまして、わが国は八月会期をもって実質上の結論を得たいと考えております。  このたびの済みました会期、相当長い会期でありましたが、においては、当初ございました非公式単一草案を各委員会が討議をしたことによって、さらにこれを議長の責任において改定をするということで、改定の草案が会期末に議長の手によってまとめられる。それをたたき台にいたしまして次の会期をいたすということでございますので、各国とも相当異論はございますけれども、どのような点が問題であって、どのような性格の問題があるかということについてはほぼすべて知り尽くした。したがいまして、残りました点の詰めをやっていくということが八月の会期の仕事になるというふうに考えておるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 三木総理は二月二日の衆議院予算委員会におきまして、今年じゅうに海洋法会議の結論が出ない場合は独自に領海十二海里を宣言する、こういうふうにおっしゃいましたけれども、領海十二海里宣言のタイムリミットを外務大臣もそういうふうにお考えになっておられるのか、その点をお伺いしたいと存じます。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 八月会期をもって実質上の結論を得たい、得るべきであると考えておりますので、したがいまして、三木総理の言われましたことは今日でもなおそのとおりにお考えをいただいて、いまのところとしてはよろしいのではないかと思っております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 最近、排他的な経済水域二百海里を宣言する国がアメリカを初め、漸次増加をいたしているわけでありますが、わが国においても経済水域二百海里設定について検討をされておられるかどうか。また、こうした世界的な傾向について、政府はそれにどういう立場をおとりになるおつもりであるか、お伺いしたいと存じます。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 お答え申し上げます。  先生よく御存じのとおり、いまの海洋法会議で扱っております主要な問題として二百海里の経済水域という問題があるわけでございます。したがいまして、わが方といたしましては、経済水域の問題がほかの主要問題と一括して解決が一日も早くつくべきであるということで努力をいたしているわけでございますが、経済水域の問題につきましては、三木総理また宮澤外務大臣からも御答弁がありましたように、経済水域を設けるべきであるという意見は、世界的に言って海洋法会議のいわば大勢を制したというふうに考えられているわけでございますので、わが方といたしましては、その経済海域に及ぼす沿岸国の管轄権ができるだけ合理的なものにとどまり、ことに遠洋漁業国としてわが国の漁業実績が確保される道ができる限り実現するというところに精力を使っているわけでございまして、そのようなもので内容的に容認し得るものであるということであって、かつ、ほかの主要案件と一括解決の道がつくということであれば、わが国としても経済水域の問題には前向きに賛成の態度で臨むということでございます。そういうことで、海洋法会議ができますれば、現実にわが国が経済水域をどういうふうにして設けるかという問題がその時点で出てくる、こういうことでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 最近、わが国の最南端において島嶼の隆起の発見がしばしば報じられているわけでありますが、その発見あるいは観察の状況が、最近に至りましてアメリカ側によって暗礁が発見されたというような事実もあり、わが国において経済海域二百海里と申しますと、小さな暗礁が非常に大きな政治効果というか、問題になる地点もあるかと存ずるわけであります。ですから、これらの島々の領域宣言あるいは領土としての確保、確認という問題に対してどういう手を打たれておるか。また、最近わが国の水域内において生じた暗礁に対してアメリカ側から通報のあったという問題は、わが国の領土の問題について影響があるかどうか、その辺をちょっとお伺いしたいと存じます。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 ただいま先生御指摘のわが国の南方において隆起があったという事実に関する問題、私実は心得ておりませんので、早速詳しいことを調べましてまた御報告に上がりたいと存じておりますが、海洋法会議の関係に関しましては、具体的な島が領海をその周りに持つことは当然でありますけれども、小さな島とか岩礁とかいうようなものが経済水域までを周りに持つかどうかという点については、海洋法会議での論議の一つの問題になっておりまして、明確な結論は必ずしもまだ得ていないというふうに心得ております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 硫黄島南方あるいは明神礁の周辺等においてはしょっちゅう隆起が起こったり沈んだりしておりますから、潜水艦みたいな島も確かにあるわけで、出たり引っ込んだりしているわけですからあれですが、将来のわが国の利権と密接に絡むということを考えますと、その地域の海上に巡視艇なり保安庁船なりを張りつけて、十分な観察あるいは確認というものを常時しておく必要があるのではないかと思うのです。いまの条約局長の御答弁はその点ではちょっと不十分だと私は思いますが、これに対して関係各省庁とも御相談の上、明確なお立場、対策をお立てになるように、大臣ひとつよろしくお願いしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 承知いたしました。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それから、この海洋法会議全般というものが一つの組み合わせのようなものですから、一つずつの命題だけで押すわけにはいかぬのはわかっておりますし、わが国の立場が経済水域二百海里で賛成かどうかというと、それのみでは論じられない分野のあるのは私もわかっておるわけですが、とかく御返事があいまいなので紛糾した問題を大きくしておりますのは、津軽海峡、対馬海峡、宗谷海峡等に対する外国船舶、軍艦等の通航に関する問題であります。これは明らかに非核三原則とも関連するわけでありますから、これをどうお考えになられているか。まず、わが国としてはこれを自由航行の路線で押していくのか、無害航行で押すのか。また、これは恐らくわが国の本来のあり方で言えば、無害航行という路線で非核三原則を堅持するという路線で主張なさらなければならないものだと思うわけでありますが、その点どうお考えであるか。  時間もありませんからついでに申し上げますが、領海内の通過というものは非核三原則に抵触するものであるというのがいままでのお立場であろうと私思うのですが、こういう国際海峡を領海でないというお立場で核搭載艦を通すというような論旨がいままでもしばしば散見されるわけであります。そうすると、わが国はこれらの国際海峡については領海がないという放棄宣言をなさるような、まことにつじつまの合わない論旨になってくるのではないか。私はその点ちょっと心配をいたしているわけでありまして、その点の筋道をどういうふうにお詰めになっておられるのか、お伺いしたいと存じます。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 まず第一点の国際海峡の問題につきましては、この委員会でもしばしば先生からの御意見もあり、また大臣の御答弁もあったわけでございますが、いわゆる国際海峡の通航制度をどうすべきかという点につきましては、資源の大半を海外に依存しておりますわが国といたしましては、海運の自由という点がわが総合的な国益に合致するゆえんでありまして、何とかしてそのような国際的に使用せられる海峡においては、船舶の自由な通航が確保せられるようにしたいというのが基本的な立場でございまして、そういう立場で、領海におけるよりは、より自由な通航制度が国際海峡においては確保さるべきであるということで会議には臨んでいるわけでございます。  ただいまの単一草案、または今度配付されました改定版におきましては、先生御承知のように、妨げられざる通過通航という考え方で条文ができておりまして、領海の場合におけるよりも自由な通航制度をつくるべきだという考え方で論議が行われているわけでございます。これが最終的にどうなるかという点は、なおしばらく様子を見なければいかぬ、こういうことになっております。  その場合の非核三原則との関係、第二点の問題でございますが、これも従来より総理大臣または宮澤大臣からの御答弁がございますように、わが国といたしましては、いまのような立場で国際海峡の問題を処理したいということで海洋法会議に臨んでいるわけでございますが、その結論が出てきた場合に、その結論に従って、そこで認められるところの国際通航制度に照らして、わが国の非核三原則の問題も討議せられるべき問題であろう。その場合に、総理大臣及び外務大臣がしばしば申しておられますように、わが国といたしましては、わが権限の及ぶ限りにおいて、非核三原則というものはあくまでも堅持していくのだ、こういうたてまえでいくということであろうと理解しております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 条約局長、悪いですけれども、それは御答弁にならぬですね。いまあなたはまるでメモを読み上げられるみたいにいままでのいきさつをかためて述べられただけの話であります。ということは、最後の観点から申しますならば、わが国の主権の及ぶ限り非核三原則を守るというなら、領海はわが国の主権の及ぶところであり、領海内においては非核三原則を堅持するという言い方をするのが当然であります。そうすれば、現在単一草案その他で予想されているような、自由航行という名のもとに核積載艦が国際海峡を通航するような事態は、わが国においては利用宣言をするのが当然の立場であると思いますが、どうですか。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 従来の答弁と変わっておらないという御指摘でございますが、実は国際的な状況そのものは、従来の海洋法会議そのものの状況は、基本的にはその点で従来とは変わってはいないわけでございます。  そこで問題は、先生の御趣旨はわかっておるつもりでございますが、いずれにしろ、いまの状況において、津軽海峡その他お挙げになりました海峡は公海でございまして、船舶が自由に通航している事態でございます。その事態からの後退は、いずれにしろ現在の状況からの後退はあるべきでないということも外務大臣しばしばお答えになっておられるわけでございますが、いずれにいたしましても海洋法会議では領海十二海里の問題と、それに伴って生ずる国際海峡の航行制度の問題、それから経済水域の問題、これらが一括パッケージとして論議せられているわけでございます。  考え方は、要するに一般の領海は十二海里までを認める。しかしながら、国際航行に使用せられている海峡においては別のレジームができるべきである。外務大臣もお答えになっておられるわけでありますが、領海十二海里が先にあって、何かそれをへこますとかなんとかということでなくて、領海十二海里の拡張の問題と、それから国際海峡において、国際海峡というものがいかなるレジーム、いかなる制度、いかなる地位を持った水域であるべきかという問題が一つのパッケージとして論議せられておるということでございますので、必ずしも十二海里にしたものをどこからへこますとかいうようなこととはちょっと違うのではなかろうかというふうに考えております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それはあなたは論旨をいますりかえられたわけですね。ということは、現在通っているものはそのまま通しておいて、領海がふえたといっても、前の領海と今度ふえる領海とは領海が違うという論旨であなたはお話しになっておられるわけでしょう。そうですね。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 いま私申し上げましたのは、言葉が足りなかったかもしれませんが、一般領海の十二海里にするという問題と、国際的に使用せられておる海峡をどうするかという問題が並列的に論議をせられておるということを申し上げたつもりでおります。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうすると、いままでの三海里のところには非核三原則を適用するが、国際海峡となる領海部分、つまり十二海里になることによってこの海峡についての部分は、いままでの三海里については非核三原則を適用するが、これについては適用しない、こういう意味ですね。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 適用しないということを申し上げたわけではございません。と申しますのは、まさに国際海峡のステータスをどうするかということが論議せられておるわけでございまして、その最終的な形がどうなるかということはまだ断定はできないわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 あなた、それは違うのですよ。わが国は非核三原則がある。領海にはわが国主権が及んでいる。したがって、領海が広がった場合には、わが国の原則に基づいて主張すべきだと私は言っている。あなたは、国際的にこうなったからわが国の方針はこう変えるべきだというやり方でいま議論を立てようとしておられる。それは違うじゃないかと私申し上げておるのです。だから、領海が広がるならわが国の主権の及ぶとおりに、当委員会でついこの間議論したばかりの、決議したての非核三原則を適用するのが当然でしょう、またそう主張するのがあたりまえでしょうと申し上げておるのです。違いますか。そうして、国際会議で変なことが決まったらわが国は利用宣言すべきではありませんかと申し上げておるのです。時間がありませんから、一応あなたの答弁を承って終わりにしますが、どうぞ。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 一般領海において非核三原則が適用されるのは当然のことだと存じております。(渡部(一)委員「三海里も十二海里もでしょう」と呼ぶ)三海里であろうと十二海里であろうと、一般の領海に非核三原則が適用さるべきは当然のことだと思います。問題は、いま国際海峡と称せられる水域においてどういう国際法的な制度をつくるかという点の論議が行われているわけでございます。  そこで、問題は、そのような地域と申しますか水域と申しますか、について沿岸国の権限がどの程度及ぶべきかということが論議の一つのポイントになっておるわけでございます。わが国の非核三原則はわが国の政策、これは最高の政策でございますから、わが国の権限の及び得るところにおいて適用さるべきは当然のことでございます。問題は、国際海峡と称するところにわが国の権限――わが国と申しますか、要するに、沿岸国の権限がどのように及ぶべきかという点が論議せられておるという意味で、それがまだ固まっていないという意味で私の申し上げましたことも、非核三原則が適用されるとかされないとかいう断言的なことを申し得ないということでございまして、その制度が固まったところに照らして、非核三原則の問題も最高の政策の問題として御論議が行わるべきことであろうということを申し上げたところでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 申しわけないのですが、時間がなくなりましたので、最後に一言だけ申し上げておきたい。  それは非核三原則というのがわが国最高の政策であるならば、それに基づいて外交を行い交渉を行うのが当然なんです。あなたは、外交交渉でどう煮詰まるかわからないから、その都合によってはわが国の最高の政策も変えなければならぬと言わんばかりのことを言われておる。それは逆であります。逆です。それは私は論理の逆転だと思うのです。  この話は時間がなくてきょう詰めることが不可能ですから、この次またじっくりやらしていただきます。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 渡部一郎君の質疑は終わりました。      ――――◇―――――

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 次に、日本国とハンガリー人民共和国との間の通商航海条約の締結について承認を求めるの件、経済協力開発機構金融支援基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件、米州開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。粕谷茂君。

粕谷茂自由民主党

○粕谷委員 OECD金融基金並びに米州開発銀行の協定について主に質問をいたしたいと思います。  そもそも世界の石油輸出総量のうち五六%を占めると言われるアラブ産油国の生産制限と石油価格の大幅引き上げが、世界の市場にたちまちのうちに深刻な石油危機の感覚をもたらしたわけですけれども、そこで、特にわが国の石油事情は御案内のとおりでありますが、九八%これは海外に依存しておるわけです。そのうち約八〇%が中近東から輸入しておるわけです。それだけにわが国にとって特に衝撃が大きかった、こう言えると思うのです。もともとこの中近東地域は、欧米の先進諸国に比べてわが国の外交は少しおくれをとっている、手薄であった、こんなことを言われているわけであります。そういう点ではきわめて弱い立場にある、こう思います。そこで、石油価格の大幅上昇がわが国の国際収支に非常なダメージを与えて、したがって、日本の経済に対して将来非常な不安をもたらした。  そこで、このごろの様子を見てみると、先進国の経済はようやく不況から脱出しつつある、そういう回復の傾向に歩んでいるということでありますが、わが国はこのような石油危機の時期を通じて非常に大きい教訓を得たと思うのですけれども、政府はこの教訓をどのように受けとめているか、ひとつこの機会にお聞かせをいただきたい、こう思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 石油危機から受けました教訓は、いまわかっておりますものだけでも、私はかなり広いものがあったと思います。  まず、われわれの生活態度と申しますか、人生観の面において、それまで特にわが国の経済は、いわばかなり消費主導型と申しますか、ごく単純に消費は美徳であるということを越えて、浪費もまた場合によってはそう差し支えのないものであるというような考え方が確かにあったと思います。また、好景気が続きましたので、いわゆる完全雇用が達成をされて、その結果、とにかく怠けておっても食いはぐれはないというような考え方が、ことに若い人の間にかなり広がりつつあったと思います。  石油危機がございました結果、われわれはいわゆる資源が有限であるというようなこと、あるいは仮にそうでなくても、天から与えられたものは大切に使わなければならないという教訓を、かなり手痛く感じるようになったとも思いますし、また、そこから不況が生じたこともございまして、怠けておっても食いはぐれはないというようなことについても、かなり反省の動機が与えられたものというふうに考えます。  これらのことは、これがいわゆるのど元過ぎれば熱さを忘れるということになってしまうのか、あるいはこの反省の機会にわれわれがこの教訓を将来とも忘れないで持っていけるのかということは、なお将来の問題であると思いますけれども、しかし、これはやはりわれわれにとって貴重な教訓であったことは間違いないと思うのでございます。  そういうことを初めといたしまして、たとえば外交面におきましては、先ほど粕谷委員の言われましたように、産油国とわれわれとの過去の友好の蓄積というものがいかにも少なかったということを感じさせられましたし、その他これから受けました教訓は非常に広範なものであったというふうに考えております。

粕谷茂自由民主党

○粕谷委員 大臣、これから質問する中でちょっと細部にわたる計数的な問題は、大蔵当局から答弁をいただいても結構ですから。  いま総論的なことだけちょっとお聞きしました。そこで、御承知のとおり一九七四年以降石油の価格の大幅値上げということが起きてきたわけです。それによって世界のいずれの国も経常収支は非常に大きな影響を受けてきたわけです。そこで先進国の黒字と発展途上国の赤字という状況が大きく変化を来してきた、こういうように思うのです。  世界の経常収支状況は、七二年から七三年ごろでは先進国の百二十億ドル、それから発展途上国の九十億ドル前後の赤字で示されてきたわけですけれども、しかし、七四年以降には、石油価格の急激な上昇によって、この時期を境として国際収支が激変してきたわけでありますが、その変化の状況がどうなっておるか。また、世界の主要先進国においてその影響するところは深刻だったと思うけれども、特にOECD諸国の国際収支状況はどうなっておるか、お尋ねをしたいと思います。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 一九七三年終わりに始まりました石油価格の急激かつ大幅な引き上げによりまして、先生御指摘のように、世界の国際収支には非常に大きな変化が起きたわけでございます。いま先生おっしゃいました教字は、公的移転収支を除いた教字だと思いますが、それを含めて申し上げますと、経常収支は、一九七三年におきましては、OECDが二十五億ドルの黒字を出しておりました。それに見合いまして、非産油開発途上国は二十五億ドルの赤字、それからいわゆるOPECの国が三十五億ドルの黒字でございましたが、共産圏その他を含めまして三十五億ドルの赤字ということで、世界の国際収支はほぼ均衡状態にあったわけでございます。  それが七四年になりますと、OPECの黒字がいま申し上げました三十五億ドルから六百四十億ドルと増加したわけでございます。六百四十億ドルと申しますと、当時の国際流動性すなわち世界の外貨準備の合計がたしか千八百億か千九百億ぐらいあったと思いますので、その三分の一程度は急激に一部の国に偏ったわけでございます。ある国の黒字は当然ほかの国の赤字になりまして、この六百四十億のOPECの黒字に対しまして、OECDの赤字は三百二十億ドル程度でございました。そのほかに、非産油開発途上国が百五十億の赤字、その他の国は百五十あるいは百六十億ドル程度の赤字という状況であったわけでございます。  これは一つの大きな変化でございますが、その中におきましても、OECDの諸国の中で小さな国、大きな国の経済情勢がまた違うわけでありまして、七五年になりますと、これだけの変化に対応いたしまして、また石油価格の引き上げ前からインフレが進んでおったわけでございますが、石油価格の引き上げによりまして物価の高騰がさらに加速されまして、先進諸国におきましては引き締め政策をとりまして、その結果、OECDの赤字は、七五年になりますと、先ほど申し上げました三百三十億の赤字から六十五億ドルの赤字と非常に減ったわけでございます。  他方、OPECの黒字も六百四十億から三百六十億に減っておりますが、これは一つには、OPECは、急にお金が入りますと、当初はユーロダラー市場等へ放出しておったわけでございますが、次第に国内の開発計画を進めるあるいは輸入をふやすということになりまして、黒字が減ったわけでございます。  ただ、申し上げたいことは、このOECDの全体としての改善の中にありまして、OECDの小さな国の赤字は依然として減っておりません。七四年に百二、三十億ドル程度の赤字だったわけでございますが、七五年におきましても同程度の赤字が予想されておりますし、それからまた、非産油開発途上国の赤字もほとんど同じ額で継続しておるというところに、世界的な問題が残っているのではないかと思っております。

粕谷茂自由民主党

○粕谷委員 いまのお答えで大体私も理解できるのですが、一部を除いてOECD諸国の国際収支は改善されていつつあるということは明らかになっておるようですけれども、かといって、石油価格の上昇のショックは全部吸収されたというようなことにはならないんじゃなかろうかという危惧を抱くわけです。それは、各国の景気回復の傾向が強まるにつれて、国際収支の赤字の問題が再び生じてくるような可能性があるのじゃなかろうかというようなことを、私は思うわけであります。  そこで、世界の景気回復と国際収支との関係を中心として、今後のわが国を含めたOECD諸国の国際収支の見通しについて、一応もう一回お尋ねをしたいのです。特に景気回復の傾向が強まるにつれて国際収支の赤字が再び生じるかどうかという点に力点を置いて、簡単にひとつ答えていただきたいのです。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 先ほど一九七五年までの話を申し上げたのでございますが、先生御指摘のように、七六年に入りまして先進国を中心に世界的な景気回復の方向に向かっているわけでございまして、景気が回復いたしますと先進諸国の輸入もふえてまいりまして、先ほど七五年のOECDの赤字が六十五億ドルと申し上げましたが、OECDの見通しによりますと、七六年にはこれは百八十億ドルにふえるということになっております。

粕谷茂自由民主党

○粕谷委員 恐らくいまの答弁のデータはOECD事務局の推計によるデータだ、こう思うのですが、ここでちょっとお尋ねしたいのですが、OPECに蓄積されたオイルマネー、これがいかに円滑に還流されるかということが世界経済に及ぼす影響は非常に大きいと私は思うのですが、私の方から申し上げます。ユーロ市場だとか英国だとかいうところが、だんだん引き揚げて少なくなってきておりますね。そういう背景はどこにあるのだろうか、ちょっとそれをお答えいただきたい。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 先ほども少し申し上げましたように、OPECに急に金がたまりましたとき、まず何に使うかという考えが決まりますまでは、短期の流動性資金といたしまして、ユーロダラー市場あるいは米国市場に放出しておったわけでございます。たとえば七四年にユーロ市場には二百二十五億ドル、全体の三七%が放出されておりました。それが七五年になりますとユーロ市場には七十億ドル、全体のシェアとして一七%、金額、パーセンテージにおいてともに減っております。これはやはり時間がたつに従いまして長期の運用にしよう、あるいは運用形態を多様化しよう、それからもう一つは、運用先をユーロ市場あるいは米国というところに限らず、より幅広く各方面に運用しよう、現に米英以外の先進国等にもふえておるわけでありまして、地域先を含めまして運用の多様化を図っているということじゃないかと思います。

粕谷茂自由民主党

○粕谷委員 そこで本基金は、このようなオイルマネーの還流についてどのような役割りをするのか、あらためて聞きたいと思います。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 この基金は、いろいろ資金調達の方法がございますが、私どもが考えております一つの大きな方法は、ユーロダラー市場と世界の金融市場に集まりました金を、各国がいわゆる保証――正確に言うと保証でございませんが、保証をして集めるという意味におきまして、オイルダラーがユーロダラー市場等に入りましたのをそこに持っていくという意味で、還流、リサイクリングに貢献するということになろうかと思います。

粕谷茂自由民主党

○粕谷委員 本基金を通ずるパイプだけを太くしていった場合に、政府間や民間を通じての還流を阻害するおそれがあるかどうか、これをひとつお聞かせいただきたい。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、私どもはオイルダラーの適切なる還流は、やはり民間市場を通じてやる、足りない分はあるいは産油国から直接取るということであろうかと思いまして、この基金が非常に大きくなり過ぎますと正常なる市場の機能をゆがめるおそれがなきにしもあらずという点を心配いたしまして、今度の協定作成にもそういう点が配慮されてあるわけでございます。

粕谷茂自由民主党

○粕谷委員 そこで、非産油発展途上国ですね、今日までこれらの国々は、一方において輸入する石油及び関連製品が急激な価格の上昇をし、他方においては先進国に売りつけようとする原材料が、先進国の国際収支の防衛のために、総需要抑制策というような形で輸出が減少せざるを得ないというような、二重の責め苦に遭っているわけです。  このデータに基づいてもわかるように、非産油関発途上国は依然としてマイナスが累積をされていっているわけですね。国際収支が非常にマイナスになってきているわけです。これらの非産油発展途上国に対して、去る一月のジャマイカにおけるIMF暫定委員会では種々検討を行われたようでございますけれども、どのような対策がとられることになったのか、これをひとつお聞きしたいと思います。そして本基金の発足は、同時に開発途上国のためにどのような役割りを果たすことができるのか、お聞かせをいただきたい、こう思います。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 ジャマイカでは種々の開発途上国向けの資金援助の方策が決定されたわけでございます。  まず第一に、IMFの一般資金の貸し出し枠を四五%拡充する、その結果、十五億ドルないし二十億ドル程度利用枠がふえるわけですが、そのうち開発途上国に半分くらい行くんじゃないかと予想されております。  それから二番目に、輸出変動補償融資制度、これにつきましても手直しが行われまして、大ざっぱな見込みでございますが、十億ドル程度開発途上国によって利用されるものと予想されております。三番目に緩衝在庫融資制度、これも利用を容易にするという手直しが行われております。そのほか大きな問題といたしまして、トランスファンドというものを設定しよう、これはIMFの持っております金を一部市場に売却いたしまして、その差益でトランスファンドをつくりまして、開発途上国のために甘い条件で貸し出しをしようということで、一年間に数億ドル程度の資金が供与されるのじゃないかと思われます。それからこのほかに、すでにとった措置といたしまして、IMFのオイルファシリティーがございまして、これが七四年に二十五億ドル、七五年分に四十三億ドル、これは産油国からお金を措りて、お金に困っている国に、これは先進国もいいわけでございますが、貸し出しをするということでございます。  それから二番目の御質問の、今度のOECDの金融支援基金が開発途上国にどういう役に立つかということでございますが、OECDは先進国が多うございまして、お互いに信用力がございまして、市場から金を調達できる。ところが、開発途上国はそういうことができませんので、OECDの国は市場で調達をするということで、OECDだけで今度の基金をつくったわけでございますが、結局ねらいとするところは、世界経済の発展ということにあるわけでございまして、先進諸国が国際収支の心配なく景気回復に向かう、それからまた、お互いに貿易制限とか為替切り下げ競争等をしないで経済を発展させていくということになれば、開発途上国にとって非常に大きな貢献あるいはメリットということになろうかと思います。

粕谷茂自由民主党

○粕谷委員 そこで外務大臣にちょっとお尋ねをいたしますが、目下ナイロビで行われているUNCTAD会議ですが、きょうの新聞報道によりますと、午前中にも一般国際情勢で大臣から御発言があったと思いますけれども、わが国の木村代表が、キッシンジャー構想と言われている資源銀行について、この報道が発言の内容全部を伝えているかどうかはわかりませんが、基本的には興味深い構想であり検討されることを期待する、こういうことで、一応支持する姿勢を明らかにしておるわけですね。同時にまた、MSAC、最貧国と言われる国々に対しての経済危機を救済する緊急措置として、商品援助構想を発表した、こういうことでございますが、大変積極的にいい施策を打ち出しておると私は思っておりますけれども、この機会に、政府の考え方としてこの代表の発言の裏打ちとしてどういうようなことを考えているのか、もしありましたら聞かせていただきたい、こう思っております。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 いまお尋ねの二点についてでございますが、キッシンジャー氏の国際資源銀行、IRBでございますか、これは粕谷委員も御承知のとおり、打ち出された姿は必ずしも全部が明確にはなっておらない構想でございますけれども、要するに、一次産品というものがこのたびのUNCTADの会議の中心の課題であり、しかも、発展途上国がこれについての総合プログラムあるいは共通基金というようなものを打ち出してきている。それについてわれわれは、やはりこの問題の重要性は認めるけれども、しかし十品目も十八品目ものものに一つの構想が盛れるわけではないし、またしたがって、非常に大きな共通基金というものがすぐに有効に使えるとも思えないということを考えつつ、しかし、問題の重要性は認識しておるのでありますから、正面からの衝突をすることはわれわれの本意ではない、そのようなことを踏んまえまして、一次産品の重要性を認識しつつ、しかも何がしかの金というものはひとつつくろうではないか、簡単に申しますと、キッシンジャーの構想というのはそういうことになろうかと思います。  しかし、それをさらにどういう範囲でその金を使うのか、あるいはどういう形で一次産品の安定を図るのかというようなことについては、戦術的な意味もあると思いますし、アメリカ国内の事情もあると思いますが、あるいは意識的にやや明確にされていない面があろうと思います。これはしかし、基本的なそういう考え方としては私どもとしても賛成できると考えますがゆえに、木村代表はキッシンジャー構想に基本的に賛成だということを申したわけでございます。  それからもう一つ、最貧国につきましての援助の問題でございますが、わが国としては、今度のUNCTADの第四回会議の中で、いわゆる発展途上国というものを一つにまとめて考えるということは現実的ではなくて、その中にいろいろな態様の国がある。ことに先ほどから粕谷委員の御指摘のように、石油危機以来一番苦しんでおりますのはそのMSACの国でございますので、そこへやはり何か特別な施策をすべきではないかというのが、わが国の今回の会議に対処する一つの特色のある態度でありまして、したがいまして、木村代表は各国――先進国、産油国に呼びかけつつ、MSACに向かって特別な商品援助等々をするための金をつくるべきではないか、そのためにはわが国も率先してこれを提唱し、参画する用意があるということを申しました。そういう発想でございます。

粕谷茂自由民主党

○粕谷委員 そこで話はまた石油問題に戻りますけれども、わが国はオイルショック以来経済活動が停滞をしているわけですけれども、そういったことによって国際収支の面の影響も少しは緩和されてきた、こう思います。しかし、やはりいつまでもエネルギーを放置してそして経済水準を維持するというようなことはできないだろう、私こう思うのです。そうすると日本ではすぐ、エネルギー政策ということになると、省エネルギー化の方向に経済構造を転換しよう、こういうことが重要なポイントとして叫ばれるのですが、この際、基本的なエネルギー政策について、どのような対策を目標としているか、それをひとつお聞かせいただきたい、こう思います。

豊永恵哉資源エネルギー庁長官官房国際資源課長

○豊永説明員 お答えいたします。  石油危機以後エネルギー政策の転換というのが要求されまして、いろいろ検討しておりましたが、現在のところ、一応昨年の末に総合エネルギー対策閣僚会議が今後の「総合エネルギー政策の基本方向」というのを決めております。その基本方向の骨子は、先生御指摘のように、これからの石油の需給状況を考えますと、まず供給の安定を今後どう図っていくか。それにはもちろん国産エネルギーの活用とかあるいは海外からのエネルギーの供給源を多様化するとか、供給面も必要でございますし、同時に需要面につきましては、御指摘のように省エネルギー政策、節約の政策が非常に大事であるということで、省エネルギー政策に重点を置いております。  省エネルギーの内容を簡単に申し上げますと、まず基本には、省エネルギー型の産業構造にどう転換していくか、また同時に産業で使いますエネルギーをどのようにむだなく有効に使うかということ。それから民生面におきましても、エネルギーのむだ遣いがないように、国民生活の質を落とすということではなく、国民生活の中におきましてもエネルギーを節約してもらうように、政府としてもいろいろ広報活動をしなければいかぬ。それからまた輸送部門などにおきましても、自動車その他、エネルギーをできるだけ有効に使えるようなタイプの自動車の開発とか、そういうことをこれから推進していこうと考えております。

粕谷茂自由民主党

○粕谷委員 最後に補足みたいにありましたから、私の意図するところは答えられたわけですけれども、どうも政府のとっている政策というのは消極的な政策、石油の原価が上がったから、これはまあいままで百使っていたところをなるたけ八十にしようじゃないかというようなことで埋めていこうというようなことがあるように私思うわけですね。先ほどあなたの言ったように、運送業種についても、リッター当たり五キロしか走らないものを十キロ走らせるというような原単位の改善をどうしていくか、こういうような積極政策をやはり先進国としての日本はやるべきじゃないか、こういうふうに私は思っているのです。ぜひそう  いう方向で開発に努力していただきたい、こう思います。これは要望ですからお答え要りません。  そこで、最後にちょっと大臣にお尋ねします。  国会もいよいよ会期末になってきておりますけれども、本委員会だけでも十件を超える条約審査案件があるわけです。本協定の審議が特に急がれるという理由をひとつお聞かせいただきたいと思います。  同時に、本基金の中で、基金の仕組みをちょっと見てみますると、日本が一一・七%の割り当て額があるわけです。この割り当て額の算出方法はどういうところから出てきたのか、これもひとつお聞かせをいただきたい、こう思います。この部分は大臣でなくともけっこうです。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 前段のお尋ねは、確かに後段のお尋ねに関係をしてまいるわけでございまして、この基金には、この案に定められておりますように、基金の発効の条件として、割り当て額シェアが九〇%を占める国が批准をした場合に発効するということになっておりまして、わが国のシェアが御指摘のように一一・七%でございますので、わが国が批准をいたしませんと、この基金が自動的に発効するという条件を満たさない、こういうことがございまして、基金の緊急性についてはもう粕谷委員が御存じでございますので、したがいまして、そういうことから御承認を速やかに得たいと考えております。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 二番目の点でございますが、わが国のシェアは一一・七%になっておりますが、今回、基金におきます各国のシェアは、基金の機能から考えまして、借りる方と貸す方と両方ございますので、どういう指標が適当かといろいろ考えたわけでございますが、GNPとそれから貿易量を使ったわけでございます。それもとり方を五〇、五〇にするか、六〇、四〇にするかいろいろ議論があったわけでございますが、結局五〇、五〇にいたしまして、その結果、日本の場合には一九七四年の数字でございますが、GNPは一三・四%、貿易額のシェアが九・九%、平均いたしますとちょうど一一・七%になるということで実は決まったわけでございます。

粕谷茂自由民主党

○粕谷委員 私の持ち時間は二時間十分までということですが、少しお許しをいただいて、米州開発銀行のことを一、二点御質問をしたいと思います。  この米州開発銀行が設立されてから十七年経過をしているわけですけれども、そこで、現在、中南米諸国の政治、経済情勢、これをどのように分折しているか、一般情勢として大臣からちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 中南米諸国の経済情勢をどう把握しておるかというお尋ねでございますが、従来から中南米諸国にはわが国からの移民あるいは日系人というものが数十万人おりますことはもう御案内のとおりでありまして、そういう意味で親近感があったのでございますけれども、ことに最近になりまして、これらの国の中には相当実は政治的にはいろいろ困難な問題を持っておる国も少なくございませんが、何分にも相当大きな領土に広大な資源も持っており、また農業の可能性も大きいというようなことから、わが国との間の経済交流関係が非常に大きくなりつつございます。わが国の資本進出あるいは二国間の貿易量等も非常に大きくなってまいりまして、いわば従来十分に開発されておりません地域でありましただけに、わが国としても、これらの国々とは友好の度を深めまして、お互いのいわゆる互恵の関係を結びたいというふうに考えておりますのが一般的な情勢でございます。

粕谷茂自由民主党

○粕谷委員 私ももうこれで質問を終わります。次がつかえているようですから。  域外の加盟国としては大出資国に日本はなるわけですけれども、しかし、私こんな心配をするわけなんです。  昭和五十一年度の経済見通しというのを政府から出しておりますが、これを見ましても、貿易収支は必ずしもそう好ましい状況ではない、こういうふうに思われるわけですね。そういう中で、どうも最初アメリカが考えた思惑どおりにいかなくなってきた。十七年経過した今日、日本にひとつ力をかしてほしいということとも受けとめられないことはないのじゃなかろうか。そうすると何だろう、日本はアメリカ追随外交をやっているのじゃないか、こういうそしりを受けないように、私は、ぜひこういう問題については国民的視野において納得のいくような説明というものがやはり必要だ、こんなことを実は考えておるわけなんです。これについて、簡単でけっこうですけれども、御説明があればありがたいと思います。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 お答え申し上げます。  今回の域外諸国のIDB加盟は、七二年の三月の協定改正によって決められたのですけれども、その動機は、IDBの資金源をもう少し充実するために、米州の関係国だけじゃなくて域外国からも加盟してもらって、そうして資金を充実しよう、そういう動機でございました。アメリカの肩がわりということではございません。現に今度域外国が加盟して、そして出資、拠出を行うわけでございますけれども、同時に域内国も増資をいたしまして、アメリカは、資本については十二億ドル、それから特別業務基金、これは緩和された条件で融資する基金でございますけれども、そこには六億ドルほどの拠出をすると予想されております。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 粕谷茂君の質疑は終わりました。  河上民雄君。

河上民雄日本社会党

○河上委員 経済協力開発機構金融支援基金設立に関する協定とハンガリーとの通商航海条約につきまして、私はお尋ねしたいのでございますけれども、すでに大分私の時間もなくなってきておりまして、私の方もあとの時間がつかえておりますので、きょうは十分御質問できるかどうかわからないのでありますが、その分につきましてはまた次回さらに意を尽くした質問をさしていただきたいと思っております。  まず、いわゆるOECDの金融支援協定につきましてお尋ねをいたしたいのでありますけれども、内容に入る前に私、これぜひ政府にお聞きしておきたいことが一つございます。  それは、昭和四十九年の十二月でありましたけれども、いわゆるあの石油ショックの渦中の中でIEAなるものの設立が論議されました。IEAというのは、当時政府の説明員の御答弁によりますると、OECDの一つの機関といたしまして国際エネルギー機関、IEAなるものが設立されるに至ったわけでございますと、こう言いながら、これは国会承認の対象にする必要がない、こういうふうにお答えになりましたし、事実そのような取り扱いをされた。今日これの御説明を承りますると、説明書によると、今回のいわゆる支援基金というこの制度は、OECDの一つの機構として設立されんとしておる。ところが今回は、どうしてもこれは国会承認が必要である、国会承認の対象にしておられるわけでございますけれども、この違いはどこから来るのか。それを国民の納得のいくように御説明をいただきたいのです。国会承認を求めるか求めないかの基準はどこにあるのか、非常に技術的な専門的な知識を要するような国際協定が最近の世界の情勢の中で必要になってきて、次々出てくるのでありますけれども、そういう中で国会承認を必要としないという断定のもとに、われわれは新聞などで、外電などで初めてそういうものがあると気づくものもあれば、ともかく早くやってくれというようなものもある、こういうことでは非常に困るわけでございますので、ひとつその点をまず最初にお伺いいたしたい。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 お答え申し上げます。  一般論といたしまして、どれが国会承認を要する条約であり、どれが国会承認を要しない外交案件の処理としてできるものであるかという点につきましては、もう従前から先生との間でもいろいろとこの委員会でも御議論が行われまして、その点は省かせていただくことといたしまして、それを踏まえた上で、この国際エネルギー計画に関する協定をなぜ国会の御承認を得ることなしに処理したか。それなのに今度の金融支援協定は国会の承認を得る。その相違はどういうところであるかというお尋ねであると思うのでございますが、実は国際エネルギー計画に関する協定というものは、もしこれを日本が締結するという事態であったならば、これは確かに私どもとしても国会の御承認を得て締結すべきものであったと思うのでございます。ところがこれは御承知のような経過をたどりまして、わが国はこのOECDの中に設置されました国際エネルギー機関のメンバーにはなりましたけれども、この国際エネルギー計画に関する協定というものは締結しないでおくということでもって、そういう特殊な承認をOECDの機関から、またこのエネルギー機関の理事会と申しますか、ガバニングボディからそういう承認をもらって、国際エネルギー計画に参与をするということになったわけでございまして、わが国はこの国際エネルギー計画に関する協定というのは締結していないわけでございます。  ところがこれに反しまして、この金融支援につきましては明らかに今度締結をしようということでございますので、国会の御承認を得るという次第でございまして、それが前回の処置とそれからこの金融支援協定との違いになっているわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 御説明はわかったようなわからぬようなことでございます。というのは前回におきましても、よその国は、たとえばノルウェーなどは国会の承認を求めておるわけでございます。前のIEAの場合でも。それには憲法上必要な国内的手続というものが明記せられておるわけでございます。  ところがいまのお話を承りますと、日本が日本のイニシアチブに基づいてそういうものを必要としないような保証を積極的にかち取られたから、もういいというふうに受け取れるんでありますけれども、日本政府はそういうような国会承認を必要としないような手続をうまくそのたびごとに考え出して、これはもう国会承認を求めなくていいんだ、こういうふうに断定すればそれでいいということになりかねないような御説明でございます。いま伊達さんの御説明によりますと何かそんなふうに聞こえるんですね、聞こえる耳の方が悪いのかどうか知りませんけれども。いまの説明では、向こうの機関と日本政府がうまく話し合いをこっそりすれば、もうその必要はないんだというふうにしか聞こえないんでありますが、じゃ、まずそういう努力をガバニングボディとやる必要はあるのかないのかという基準はどこにあるのかですね。いずれにせよ、いまの御説明では何かそういう非常にあいまいなというか、さらに一体その辺はどうなっておるのかという、疑問の焦点を明らかにしたというだけの説明のような気がいたしますけれども、いかがですか。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 私のお答えが、先ほど先生が申されたようなニュアンスでとられたとしますれば、私の言葉が足りないわけでございまして、何もめどといたしまして国会承認を何とかしようというようなことで考えたものではございません。ただ、それではそのめどは何かとおっしゃいますれば、それはやはり日本国としての一般的な政策から、この当時におきまして、対外的にOPEC対決というような姿勢というものをわが国としてはとりたくないという立場がございまして、その意味におきまして、このような話し合いがCECDの内部で行われておりましたときにも、わが国はその立場を貫いていったわけでございます。そしてそういうところからOECD加盟諸国におきましても、それならばいたし方ないということで、このような方法による参加というものをOECD諸国も認めるに至ったというのが実情でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いまのお話ですと、かなり政治的な判断というのが違いの分かれ目になっているような気がいたしますんですが、事は協定の取り扱いの問題ですから、もう少しフォーミュラがはっきりしていないと、今後こういうのは、いわばこういう種類の協定、承認を求める案件というのは毎国会ラッシュのような状態です。そういう意味からいいまして、実はわれわれ応接に苦しむほどでありますけれども、そういう中で案外大事なものが実はそういう形で国会承認を必要としないで先にできてしまう。国会としては、何となく事後承認みたいな形になるというような危険が逆に出てくるわけでございまして、そういう意味でこのほかいろいろ質問したいこともありますけれども、大臣にちょっとその辺の御見解をまず最初に承りたいのであります。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 実は、この問題の質疑応答に私が入りますのは余り適任ではないのでございますけれども、いわゆるわが国が国際エネルギープログラムに加わりましたときには、わが国はOECDのメンバーとして、OECD理事会の決定に基づいてこのプログラムに加わりました。したがって、IEAというアグリーメントのわが国は当事者にはならなかった。したがって私どもの解釈では、わが国のOECDに加盟いたしますときには、国会の御承認を得て加盟いたしておりまして、そしてこのプログラムに加わることが、わが国がOECDのメンバーとして持っておる権利義務の内側であるか、あるいはそれをはみ出すものであるかということをまず判断をしなければならなかったわけですが、私どもとしては、これはOECDのメンバーとしての国会から行政に与えられた権利並びに義務の範囲内であるという判断をいたしました。したがいまして、OECD理事会の決定にわれわれは拘束をされ、それに従ってプログラムに参画をした。  しかし他方で、さっき政府委員が申し上げましたように、アグリーメントというものに加盟する形で参加したのではない、こういう形をとりました。そのことは、つまりOECDの決定としてこのプログラムに参加をしたということは、行政に与えられました権限の範囲内であるということを意味するわけでございますから、その結果、新たに法律案あるいは条約案等の形で国会の御承認を得なければならないような新しい権利、義務――ことに新しい義務でございますが、それをわれわれは負担したものではない、こういうふうに考えておるわけでございます。  もう重ねて申し上げる必要はないと思いますが、つまり、行政府が与えられた権限の範囲内ですべて処理できるところのIEPというプログラムに入ったのである、こういうふうにわれわれは考えておりますので、国会の御承認を経ることは必要あるまいと考えたのであります。今回の場合には、別途法律案を提出いたしておりますことでもおわかりのように、政府は新たな義務をこの支援協定によって負うことになりますので、協定そのものの御承認を得たい、こういうふうに考えておるわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 この問題はこの程度にしておきたいと思いますが、先ほどIEAの問題の中でも政府委員から御説明がちょっとありましたけれども、いまわれわれが論議しておりますいろいろな協定の多くが、石油ショック以来の世界の経済情勢の中で起こっております問題に対処しようとする、そういう性格を持っていることは事実であろうと思います。そうしてその中で、この基金協定は当初キッシンジャー国務長官の提唱によって口火を切られた。その後いろいろ議論があって少しく手直しはされておりますけれども、そのようなものだと聞いておるわけであります。そういう意味から言いまして、国際エネルギー計画協定と並んで、いわゆる主要な石油消費国グループの団結を図ろうとしているものではないだろうか、消費国グループのこのような体制固めというものがOPEC、産油諸国を刺激するようなことにならないだろうか、そういう心配があるわけでございます。  特に、キッシンジャー国務長官が一九七四年十一月十四日、シカゴで演説をいたしておりますけれども、その翻訳を私はここに持ってまいりましたが、その中でキッシンジャー氏は、IEAは私たちの努力の最初の成果であるということを非常に高らかにうたっておるのであります。そして五つの行動分野というものを設定いたしまして、つまり今後の青写真をそこに彼は描いておりまして、その第三に、石油危機対策と国際金融体制の維持ということを取り上げ、一九七五年に二百五十億ドル、さらに必要ならば七六年に二百五十億ドルを再配分して、この共通の借款及び保証供与の機関の創設をしたい、こういうようなことを述べておるわけでございます。  今回の基金協定によりますと、全体の額は二百億ドルとなっておりまして、少なからざる手直しが行われていることは事実でありますけれども、この基金協定というものがキッシンジャー構想とどういう関係にあるか、また、先ほど言いましたような思惑というものがOPECを刺激することはないだろうか、そういう点につきまして、大臣のお考えを承りたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 沿革的に一九七三年末からのことを振り返ってみますと、確かに、こういう構想をキッシンジャーが出しました段階では、いわゆる先進国側、非産油国側がいろいろな意味での武装をしようという一つの構想として、少なくともそういうことがキッシンジャーの気持ちの中にございましたことは――私は、あのときのことを考えますと、河上委員の言われるような心理があったと思います。しかし、当時から、私どもとしては、そういうふうにOPEC側に映ることは決して石油問題全体を処理するために得策ではないということを、ことにわが国は対話ということも申して、主張しておったわけでございます。  その後ほぼ一年近くたちまして、一九七四年の末に十カ国蔵相代理会議がございました。そしてそのときには、OECDのバン・レネップ事務総長なんかの発想などもございまして、結局、確かに早く言い出したのはキッシンジャーであったし、そのときキッシンジャーの思っておった気持ちの中に、河上委員の言われたようなものがなかったと言えば私は正直でないと思いますが、そうではあったけれども、その段階になると、やはりこういうことはやっておいた方がいいし、また産油国を刺激するものでもなかろうということからこういうものが生まれてまいりました。  と申しますのは、産油国自身が、実は当初から何も先進国を金融的混乱に陥れるつもりではないということを言っておったわけですけれども、しかし、そのときどれだけ来るべき事態を産油国が予想しておったかはつまびらかではありませんが、事実は、実は石油ショックの結果、先進国側が非常に困ってきて、そうして世界経済の不振というものが参り、また輸入制限というような動きもありまして、結局そのことは、いまとなってみますと、産油国自身にも影響を及ぼしてきたということ、これは産油国自身がもうすでに気がつき始めております。したがいまして、いまとなりますと、やはりこういうことで先進国側が金融秩序の混乱を防ぐ、または輸入制限、世界貿易の縮小というようなことを防ぐという試みそのものは、決して産油国の利益に反するものではないし、産油国自身も、むしろそういうことで世界経済が順調に動いていくことが自分たちの利益でもあると現在では考えておるというふうに私は思いますので、当初のいっときの沿革には、河上委員の言われたようなものが一部あったことは事実であると思いますけれども、今日そのような反対のあることは、私ども聞いておりません。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 いま外務大臣が申し上げたとおりでございますが、私、協定作成に関係いたしましたので、事実関係をちょっと補足して申し上げたいと思います。  まず、いきさつでございますが、一昨年の十一月十四日、シカゴ大学でキッシンジャー長官が演説されましたので大変有名になったわけでございますが、実はその前の十月にOECDのバン・レネップ事務総長が各国に手紙を送りまして、同じような構想を、中身は少し違いますが、示しておるわけでございます。私どもは、どちらかと言えばそちらの方に傾いておったわけでございまして、ちょうどキッシンジャー長官がシカゴで演説いたしましたとき、私どもパリで会合をしておりましたが、すでにバン・レネップの手紙を検討して、その方向で作業が始まりつつあったわけでございます。  それより大事なことは、実態関係でございますが、キッシンジャー長官の演説には細かいことは載っておりませんが、米国がいろいろ会議の途中におきまして、ともすれば対決色と言われるおそれのあるような主張をしておったわけでございますが、私どもはことごとくそれを抑えまして、結果的にはごらんのとおり対決色は全くないと言ってもいいんじゃないかと思います。  その第一点は、名前をソリダリティーファンド、団結のための資金あるいは団結基金としようということをアメリカが非常に強く主張しておりましたが、それは、言葉だけの問題でありますが、非常に困ると言って最後まで反対して、OECDの金融支援基金協定という名前になったわけでございます。  それから規模は、さっき先生お触れになりましたけれども、キッシンジャー長官はあたかも一年間に二百五十億ドル使うような、これは必ずしもそうでないと思いますが、印象を与えるような表現をとっておられます。これはオイルダラーの還流に非常に大きな支障を与えますので、私どもは二年間で二百億SDR、しかも二年間ですから、一年百億ということになりますが、貸し手と借り手とございますから、半分に割れば五十億、しかも元本に対する利子の分を引けば、もっと小さな規模になりますので、その点でも当初のアメリカの考え方とは違う。  それからエネルギー政策とのリンク、これにつきましても、私どもは非常に困る。これは純粋に金融技術的なものにしようということで、ごらんのとおりエネルギー政策とのリンクは全く落ちておるわけでございます。ほかにもいろいろございますけれども、代表的なことを申し上げますと、以上のようなことでございます。

本野盛幸外務省経済局長

○本野政府委員 ただいま河上先生からIEAに対するOPECの反応の仕方といいますか評価の点についてお触れになりましたので、ちょっと私一つの事実を申し上げさせていただきたいと思うのです。  私もパリの国際経済協力会議に出てまいりまして帰ってきたわけでございますけれども、産油国の石油に対する考え方は、これは自分たちにとって唯一の財産ではないか、この財産を先進国の方は非常に浪費をしておる、そういうことは非常におかしいことじゃないか、そういう考え方がございまして、たとえばIEAというものがその活動を通じまして、石油の消費の節約とか新しいエネルギーを開拓するとか、そういうことは全体の国際協調の枠の中の活動としてかなり評価しておるわけでございます。実はCIECの、いまの国際経済協力会議のエネルギー委員会で、国際機関のオブザーバーにどういうところを呼び寄せるかという話がございましたときに、御承知のようにOPEC諸国の中で一番急進派でありますアルジェリアが、OPECと並びましてIEAの方からもオブザーバーを参加させたらいいだろうと、それを推薦したという経緯がございますので、そこら辺の感じ、何かの御参考までに申し上げたいと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いま産油国側の反応ということにつきまして、実態的な、最近の生々しい反応についての御報告がありましたが、基金として開発途上国のために果たす役割りは具体的に言うとどういうことになりますか。産油国側に対して、あるいは非産油発展途上国に対してどういうようなことが想定されておりますか。そのことをちょっと伺いたい。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 石油価格の急激かつ大幅な引き上げによりまして、一九七四年にはOPECの国に六百四十億ドルの黒字がたまったわけでございます。その黒字に見合う分は先進国あるいは非産油開発途上国等が赤字として負担することになるわけでございます。こういう国々に対しましては、市場でみずから資金を調達する力がございませんので、国際機関とか先進国の方から、あるいはその産油国が相対で資金を供与する必要があるわけでございますが、本日御審議いただいておりますOECDの基金の仕組みは、これは先進国が主でございまして、お互いの信用を使って市場から資金を調達しようということでございます。開発途上国はそういうことはできませんのでこの仕組みに入っていないわけでございますが、先進諸国は国際収支の困難を克服いたしますれば景気回復も容易にできますし、為替切り下げ競争とか貿易制限等をやらないで世界経済は順調に動きますので、開発途上国からの輸入もふえますし、また開発途上国に資金を供給する余力もふえるわけでございまして、私は開発途上国にとっても非常に大きなメリットになるのではないかと思っておるわけでございます。  それから産油国の問題でございますが、産油国も、貴重な石油を掘りましてこれをお金にかえても、そのお金が十分に運用されないということになりますと大問題になるわけでございまして、現に当初、石油危機直後は、産油国は主としてユーロダラー市場等へ資金を短期のかっこうで遊ばせておったわけでございますが、長期の有利、確実な運用を望む声が高まっておるわけでございます。OECDの基金ができまして、世界の国際金融が円滑に循環するということになりますれば、産油国の資金運用にとってもメリットがあるのではないかと思っております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 時間がだんだんずれてまいりまして、後の予定もございますので、これ以上余り延ばすことはできないので、まだ質問の半分もいっておりませんけれども、最後に、非常に技術的なことになるかもしれませんが、一つだけ伺ってきょうは終わり、次回にさらに質問をさせていただきたいと思います。  この協定を拝見いたしますと、発効後二年存続ということがうたってあるようでございますが、二年間に限った理由というのはどういうことでありますか。これは石油危機というものがその時点で解消する、石油危機に伴って起こった金融上の問題、困難というものは解消するという御判断なのでしょうか。この協定を審議していたころの見通しと、今日の見通しとの間に大分変化が出てきているのだろうか、そのことを伺いたいと思います。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 石油危機によりまして一挙にOPECに六百億ドルを超す大幅な黒字が生じるというのは、大変大きなできごとでございます。そのころの国際流動性の総量が千八百から千九百億ドルだったわけでございますから、こういうことが毎年いつまでも続くということはちょっと考えられないことでございまして、最初の一年、二年、三年ぐらいはお互いに貸し借りをするということでつじつまを合わせることができるにいたしましても、国際収支の構造的な不均衡がいつまでも残るということはないので、結局これは数年のうちには解決しなければいけない。現に各方面の試算によりましても、一九八〇年ぐらいになればOPECの黒字も全体としてほとんどゼロに近づくのではないか、もっと早い年に幾つかのOPECの国においては赤字が出るのではないかと言われておるわけでございます。こういうときに一時的、臨時的な措置として、とにかく六百億の大きな赤字が出ました直後に、お互いに助け合って世界経済をうまく持っていこうということでつくりましたものですから、二年間ということにしたわけでございます。もちろん、二年たちましてどうしても延長が必要だという世界情勢でございますと、延長する方法はございますけれども、そういうことはなるべく起きないという願望を含めまして二年ということにしたわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いま申しましたように、残念ですけれども、残りの質問はこの次にさせていただきます。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 河上民雄君の質疑は終わりました。  土井たか子君。

土井たか子日本社会党

○土井委員 私は、米州開発銀行の協定について質問をいたしますが、先ほど与党の側からも、一つの不安を持ちながら、この協定自身に対して政治的に疑義なしとしないという質問を展開されたようであります。非常に問題の大きい協定内容だと私は思います。それは、大きい問題を政治的に抱えているということももちろんでありますけれども、協定の中で定めておりますそれぞれの規定の中での取り扱い、それは機構であるとか、委員会の構成であるとか、あるいは融資をどのように具体的に決定していくかというふうな問題について考えていっても、なかなかこれは疑義なしとしない大きな問題をはらんでいる協定だと思うわけですが、以下少し順を追って質問を進めてまいります。  今回審議をされつつありますこの協定が、もし国会の承認を得ることになりまして締結するということになった場合、受諾書は米州機構の事務局に寄託することに十五条の条文を見るとなっているわけですが、米州機構と銀行とはどのような関係にあるのでしょうか。いかがです。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 お答えいたします。  この米州銀行ができ上がるに際しては、いまおっしゃった米州機構、OASの下部機構の経済社会理事会の決定に基づいて銀行が設立されたわけでございますけれども、しかし、でき上がりました銀行と、それから米州機構との間には法律的、政治的には何らの関係がないということでございます。     〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕

土井たか子日本社会党

○土井委員 何の関係もないわけですか。そうしますと、銀行の主たる事務所はワシントンにあるのでありますから、受託書などの寄託についても銀行の本店でよいのじゃないかというのが常識かと思いますが、いかがでございますか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 これは、銀行ができ上がりましたときにはもちろん本店がなかったわけでございます。そこで当時すでにありました米州機構の本部に寄託するということに決めて、その後そのまま変えられないでいまも続いておるということでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 先年のパリ会議でもそのことについての討議は全くなかったわけですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 そのような討議はなかったと聞いております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 事務的に少しこの辺おかしいなと、常識的に考えて思いたくなるような部面であります。現に銀行の支店というのはどことどことにございますか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 先ほど申し上げた本店がワシントンにあるほかに、域内の加盟国、すなわち途上国の加盟国、これはラ米寄りの諸国でございますけれども、そこに事務所がございます。さらにそのほかにパリに調達関係の事務所がございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それは事務所のことでありまして、支店について私はお尋ねをしているわけですが……。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 支店と称するものはございません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると、銀行の主たる事務所がワシントンにあると、銀行の本店というのはしたがってワシントンにあるというふうに考えていいわけですね。支店というのは一切ないという体裁になっているわけですね。いま銀行にはどのような委員会が設置されていますか。それからまた、その委員会が現にどのような活動をワシントンを中心に行っているのですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 現在、給与検討の委員会が常設的に設けられております。そのほか必要に応じ委員会が開かれる、つくられるということになっております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それは当協定の八条第三項のあたりで規定されている中身になるのだろうと思われますけれども、わが国の場合、通産省から出されております「経済協力の現状と問題点」の七五年版がございますが、これを見てまいりますと、米州開発銀行発足後の中南米諸国に対します円借款の供与額が約七百八十億円に達しているというふうに記載をされております。米州開発銀行に加盟しても、この中南米諸国に対しては、円借款の供与も含めて二国間の現にございます経済協力というものを促進していくということになるのかどうか、この点いかがなんですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 今度その米州開発銀行に加わることによって、日本は中南米諸国に対する援助をさらに増加する、強化することができるわけでございますけれども、同時に、これとほかに二国間でいままでも進められてきました資金協力等については今後とも充実さしていきたいというのが政府の考えでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 先ほども少しこの点についての質問があったようでありますが、国連の貿易開発会議の第四回の総会において、アメリカのキッシンジャー長官が資源銀行の設立構想というものを御承知のとおりに打ち出しているわけであります。このキッシンジャー提案というものを日本の外務省とされてはどのように評価され、また今後の見通しとしてどのような見通しを外務省としては立てていられるわけでありますか。いかがですか。

本野盛幸外務省経済局長

○本野政府委員 お答えいたします。  実は一次産品問題に関連いたしまして、開発途上国は主要な一次産品については緩衝在庫を設けまして、それによって価格を支持するという構想を掲げて、これを支えるための共通基金という構想を持っていることは御承知のとおりでございます。ただ、その点につきましては、必ずしもそういう形による緩衝在庫に対する介入が一次産品の価格支持に果たして有効なものであるかどうか、なお検討を要すべき点が非常にございまして、これにつきましてはアメリカ政府としてはいろいろほかの方法もあるのであろうというふうに考えているわけでございますけれども、その観点から、一次産品の供給というものを増大し安定的な基礎に置くためには、やはりこの一次産品の開発投資というものを促進しなければならぬ、そのためにそういう資源銀行というものを設け、開発投資を容易にするということは有意義であろうという考え方、それから、先ほどもちょっと答弁にございましたけれども、一次産品のそういう緩衝在庫に対しまして資金を供与する一つの手だてとして、IMF、世銀等の機関のいろいろの方式がございますけれども、それに追加的な措置として、そういう銀行からの拠出も考えてみたらどうかということで、アメリカ政府が出してまいりましたのは今回の銀行案でございます。これは基本的に私どもとしましては、やはり日本は一次産品資源の輸入国として安定的な供給を得るということは非常に重要なことでございますから、その構想の基本自体についてはこれは反対をすべき理由はない。ただ、アメリカがキッシンジャーの演説において出しました形というのはまだ余り具体的な説明も加えられていない。この点につきましては、ナイロビのUNCTADの会議を通じまして、より詳細にその態様とか考え方を詰めてみまして、それに基づいて考えを固めていきたい、そういうような意味で木村代表もこれは興味のある考え方である、なお詰めてみたいというふうに発言したと理解いたしております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 興味のある考え方であって、なお詰めてみたいと言われるわけでありますけれども、こういう資源銀行の設立に先立って、今日この審議をいたしておりますアメリカの今回の米州開銀の問題についても、一つ大変大きな問題があることは御承知のとおりです。それはアメリカの外貨事情というものをずっと調べてまいりますと、米州開銀設立当時二百三十億ドル近くあったのが、一九七一年度をずっと見てまいりますと、何と百二十億ドルそこそこになっておりますし、それからドルの平価変動が行われた時点では百五十億ドルを割っている、一九七三年の十月ですね。そういうふうな事情がアメリカ側についてはあることが事実であります。ところが、一方わが国の場合の外貨準備高というのを見てまいりますと、米州開銀の設立された五九年に十億ドル程度であったのが、現在は百五十億ドル近い保有量となってきているわけでありまして、設立後十七年もたって日本が米州開銀に加盟するというのはやはりこれは疑義なしとしない。アメリカの相対的な地盤沈下に伴ってわが国が肩がわり的な役割りを仰せつかって、それを果たすというふうな印象をぬぐい去るわけにはいかないわけであります。この点は先ほどもいささかの御答弁があったようでございますけれども、一体どのようにお考えでいらっしゃるわけですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 お答え申し上げます。  今度の域外加盟国の問題は一九七二年に協定の改正が行われましたときに決まったわけですけれども、その動機は、できるだけ多くの資金をこの開発銀行に持ってこようということでございまして、アメリカの出資金とか政府拠出金が減ったから、あるいは減るからその肩がわりを求めようということではなかったのでございます。現に、今度域外国が加盟するに当たって、域内加盟国も増資に応ずるということになっておりますけれども、アメリカも通常資本の面では十二億ドル、それからこれは緩和された条件で融資が行われますそのもとの特別業務基金に対しては、六億ドルの拠出を行うということが予想されておるわけでございます。  それから、銀行の性格でございますけれども、確かにアメリカが非常に大きな拠出国、最大の拠出国でございますけれども、しかしアメリカはIDB、米州開発銀行だけではなくて世銀等においても最大の拠出国でございますし、またアジ銀でも二番目の拠出国というわけで、これはアメリカが開発途上国の経済発展に大いに協力しようという自覚のあらわれかと思いますけれども、そういう事実はともかくとして、銀行の運営の面では、たとえば現在理事が九名おりますけれども、その九名のうち七名は域内の途上国の国の出身でございます。以上でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 その発展途上国から九人のうち七名が出ているというふうなお話が、いましばらくありかけていたわけですが、しかしこれは八条の四項に決めてあります投票からいたしますと、一体その資本のあり方がどうか。資本をどのように、それは融資の枠を決めて、どのような方向でどういうふうにこれが活用されていくかということを投票する投票権というのを片や見てみると、南北アメリカが投票権については全体の九二%を割ってはならないというかっこうになるのじゃないですか。ですからそういう点からいたしますとあとの八%だけで、いわばアメリカ側の独断専行というのがこれでチェックできるかどうかというのは、大変大きな問題だろうと私はにらんでいるわけであります。したがって、いま私が少し質問をさせていただいておりますアメリカ側の相対的な地盤沈下に伴って、肩がわり的な役目を日本が仰せつかったのではないというふうな意味で、意義が十分に発揮されるようにならんがためには、これは投票権のあり方というのも非常に大きなウエートを占めてくるのではないか。この投票権の九二%を向こうに回して、そしてこれに対して物の言い方というのは日本として十分にできるのかどうか、これは問題として大きなことだろうと思うんです。いかがなんです。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 いま九二%とおっしゃいましたけれども、協定の上ではアメリカが三四・五%、それから域内の途上国ですね、いわゆるラ米諸国が五三・五%の投票権は維持しなくちゃいけないということになっております。     〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕現にアメリカがもちろん三四・五%以上、それから域内途上国の投票権は五三・五%以上でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いまのは事実についての御説明だけでございます。私の質問しているのはそんなことじゃない。それで果たしてチェックできますかとお尋ねしているんですよ。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 一つ補足させていただきますが、わが国が米州開発銀行に加盟いたしますと、今度の規定によりまして域外国から二名の理事を出すということになっております。私どもといたしましては出資額も多うございますので、ぜひ理事を出しまして、いま先生のおっしゃいますように、できるだけ日本の意見をその内部においても実現させるように努力したいと思っております。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 先ほど申し上げたことにちょっと補足させていただきますけれども、九二%に対して八%で対抗するというような、そういうことは実際には起こってこないんじゃないかと思います。先ほど申し上げましたように、九二%のうち五三・五%は少なくとも域内途上国に確保されているわけですし、アメリカとそれらの国を合わせれば協定上はたしか九二%になりますけれども、それと域外国にいま留保されている八%というものとの対抗という、そういう局面はないかと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 この資本を融資する場合に、これはいまおっしゃったようなことはないかと思いますとおっしゃるのですが、現にいろんな事情を考えていくと、なかなか政治的に含みの多い事例を抱えることになると思うんです。たとえば御承知のとおり、最近アメリカにおける多国籍企業の海外における活動なんというのは全世界から注目を浴びているところでありまして、これはアメリカのみならず日本にとってもそう、日本の海外における多国籍企業の活動内容を見た場合に、必ずしも現地においては歓迎をされていない。むしろ批判の的になっているというふうな商行為あるいは企業活動というものが現に存在しているわけですね。だからそういうふうな点からしてまいりますと、特に当面はやはり大きな投票権を持っているようなアメリカでありますから、アメリカの外国における多国籍企業の活動というふうなものに対して、やはり現地の民生安定とか、現地における経済発展というふうな側面を保障しながら十分にチェックしていけるかどうかという問題も一つ出てこようかと私は思います。  もう一つ言いますと、これはいまこの条文に即応して見てまいりました場合には、八条の五項の(f)というところが引っかかりになると思いますが、「いずれの加盟国の政治問題にも干渉してはならず、」云々というところがある。この「いずれの加盟国の政治問題にも干渉してはならず、」という点から考えてまいりますと、最近のアメリカで上院においていろいろ問題にされつつあるCIAの活動問題がさしずめ引っかかってこようかと思うわけであります。特に南米におけるCIAの活動状況が具体的に名指しで出ているということが事例としてございましょう。特にチリなんかについては、具体的な活動がこうこうしかじかあったというようなことがもう資料としても出ているわけです。そういうことからいたしますと、「政治問題にも干渉してはならず、」ということを一体どの程度この予期どおりに果たしていくことができるかどうかということになると、心もとない問題があろうと私は思うのです。理事として二人送るから大丈夫だとおっしゃるけれども、一体理事としていかなる、日本の候補者というのはどこの省からお出になるのですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 日本が加盟いたしますると理事を出すことを早急に進めなくちゃいけませんが、いまの段階でどの省からだれを出すということはまだ申し上げるような段階ではございません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 だけれども、一応理事二名を送って大いにがんばりたいというような御趣旨の御答弁であったわけです。したがって、理事の選定なんというのは大きな問題になってこようと思うのですね。どういう立場で理事を送られるかというのは当面私たちとしては大変気にかかる、聞いておきたい問題です。省でいえば大体どの辺ですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 ほかの省ともまだ御相談してございませんので、正確には申し上げられませんが、従来似たようなケースといたしまして世界銀行、それからIMF、アジア開銀、アフリカ開銀に理事を送っているわけでございまして、そういうものを参考としながら決めればいかがかと思っております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 その前例に従って決めていくとどういうことになるのですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 世界銀行、IMFの場合には、元大蔵省におりました人がいま勤務しております。アジア開銀はやはり大蔵省にいた人が行っております。アフリカ開銀の場合には、これは常駐ではございませんので、本省におります渡辺審議官が理事をしておりまして、用事がある場合に向こうへ行くということになっております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 今回の場合は常駐ですか、どうですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 米州開銀の場合には常駐ということになりますので、主としてワシントンに勤務するということになろうかと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 先ほどは常駐の場合はお出しになったのは大体大蔵省関係ですね。常駐でないのでという前置きでおっしゃったのは、大蔵省関係じゃない。今回常駐ということになればやはり大蔵省関係ということになるのじゃないか。この審議に当たりましても、米州開発銀行への加盟についてというので大蔵省から参考資料も届けられる始末であります。恐らく理事二名とおっしゃっても、これは大蔵省から出されるというかっこうになるのじゃないか。  私は先ほど来言っております多国籍企業の問題であるとか、単にCIAの問題にとどまらず、海外において特に米州開発銀行のこの協定に日本も加盟をしてそして融資をしていく、こういう立場に立つということになりますと、やはり日本の外交姿勢なり、外交関係においてどういうふうな認識でこの問題に対して取り扱うのかということが非常に聞かれてくると思うのですね。国際間において問いただされるべき問題になってくると思うのですよ。外務省とされては、こういう問題に対しては直接出かけられるということにはならないのですか。いかがなんです。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 先ほどから理事の話が出ておるわけですけれども、実はその二名の理事というのは、今度域外国が八つ以上加盟するわけですけれども、その域外国があわせて二名の理事を出すということになっておるわけでございます。したがってそれは日本であるか、あるいはドイツであるか、それはまだ決まっておらないわけでございます。今度加盟する域外国の二つの国から一人ずつ、合計二名の理事が出るということになっておるわけでございます。要するに、どの国から出すということについてはまだ決まっておらないわけでございます。仮に日本がこの理事のポストを一つとるということになった場合には、それが仮に大蔵省の人が出ることになっても、いろいろな外交問題については、外務省がその理事にいろいろとブリーフもし協議をして、わが方の外交的な姿勢が十分反映されるように努力するということになるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 教科書的な御答弁なんですが、これは域外国において二名というふうに私たちも認識して文章を読んでおったのですが、日本から二名の理事を出すとえらい意気込みで、これはもうすでにそういうお話も決めてかかっていらっしゃるのかなと思って、私は先ほど来お伺いをしているわけなんです。まだこれは決まっておりませんでしょう、どういう割り振りになるかというのは。現に日本はまだ加盟していないのだから。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 域外国から二名出ます場合に、常識的にはECとECでないグループが考えられるわけでございますが、私どもといたしましては、円滑に日本から理事が出ますように、実は内々の話し合いはほかの国としておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そこで、加盟をしている、加盟をしていないという点から少し問いただしてみたい点があるのですが、キューバの加盟見込みというのはどのようになっておりますか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 キューバは、最初銀行を設立するという段階では交渉に参加しておったのですけれども、結局銀行に参加しませんでした。その後キューバが銀行に参加するという意思表示は行われておりませんので、現在キューバがどういうことを考えているかということについては、ちょっとわれわれもわかりません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 もしキューバから申請が出された場合、わが国としてはこれを歓迎する立場に立ちますか、いかがですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 その段階でもちろん慎重に検討しなくちゃいけないのだと思いますけれども、現在の情勢から考えますと、日本はキューバの参加を歓迎するという立場になろうかと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 域外国に対して、現在の十二カ国以外にも加盟を呼びかけたいきさつというのはいままでにございますか、いかがですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 その呼びかけは行われております。たとえばフランスとかそういう国に呼びかけが行われていると聞いております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 昨年の春に加盟交渉がパリであったわけですね。パリは、先ほどの御答弁にも出てまいりましたが、常設の事務所が置かれているわけですね。にもかかわらず、フランスはいまだに加盟をしていない、加盟に踏み切っていないというふうないきさつがあるはずでありますが、なぜですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 フランスは、どちらかというと二国間の援助を重視しておるという立場から、今度もすぐには域外国として加盟しないんだというふうに理解しております。しかし、かつてアジ銀についてもフランスは最初は加盟しなかったのですけれども後になって参加したという経緯はございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 わが国の場合にも、これは二国間の協定でやっていけるんじゃないかという考えを持つ人が多いだろうと思うのですが、今回この米州開発銀行の協定に加盟するという必要性は特にどの辺にあるのですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 先ほども申し上げましたように、開発銀行そのものとして資金をもう少し充実したいということで、域外国の加盟を求めておるわけです。それに対して日本がこたえるということは、わが方の中南米の経済、社会の開発に大いに協力しようという立場と一致するものでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 中南米問題というのは少し後で出すことにしまして、いまの二国間でいくという問題と関連をしまして、コメコン諸国が七三年四月に十億ルーブル、米ドルに直して十三億ドルの開発奨励基金を設立することを決定したというふうに一般に報道をされております。本年中に一億三千五百万ドル相当額の払い込みが予定されているという報道も出ております。この基金の概要について、いまお聞かせいただくことができれば少し説明を賜わりたいのですが、いかがですか。

橘正忠外務省欧亜局長

○橘政府委員 コメコン付属の特別投資基金というシステムがあることは存じておりますが、ただいまちょっと手元に詳細の資料を持ち合わせておりませんので、細目にわたっては後ほどお答えいたします。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると、これはペンディングにしておかなければならぬ問題になってくるかもしれません。そうしますと、あとお伺いしても、この点についてはまた別の機会にとか、後ほどということになるかもしれませんが、ソ連の開発途上国に対する経済協力の現状について少しお聞かせいただきたいのです。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 詳細の資料がなくて申しわけないのですけれども、いま手元にある資料によりますと、ソ連は一九七二年にネットディスバースで七億二千五百万ドル、それから一九七三年に、これもネットディスバースで七億二千五百万ドル、一九七四年には八億五千万ドルの援助を行ったというふうに理解しております。さらにその援助の内容、条件でございますが、グラントエレメントが七四年については四五であったというふうに聞いております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 これはいずれも開発途上国、七四年現在で四十七カ国と経済技術協力協定を結んでいるはずであります。二国間協定だと思います。中国の開発途上国に対する経済協力の現状についてさらにお聞かせをいただければ御答弁願います。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 これも詳細な資料がなくて申しわけないのですけれども、中国は、これもネットディスバースで七二年には三億五千万ドル、七三年には四億五千万ドル、七四年には五億ドル援助を行ったというふうに理解しております。さらにその援助の条件は、すなわちグラントエレメントは、七三年には九〇、それから七四年には八五であったというふうに理解しております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 中国の発展途上国に対する経済協力というふうな中身も、実は二国間協定に基づいて行われているわけであります。中国、ソビエトともにこれは二国間で、しかも中身は大変低利で行われているということが私は特徴だと思うのです。しかも返済する場合には産物で返済することを認めているというのは、借りる側から考えてみると、非常にありがたい条件もここに認めているということにならざるを得ない。今回の米州開発銀行の中身を見ますと、これは大蔵省から出されている資料に基づきますと、金利が八%であります。八%というのは高いとお考えになりませんか、いかがです。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 いまソ連や中国の条件が非常にいいというお話でしたけれども、ソ連の援助条件の内容、すなわちグラントエレメントは、いま申し上げたように四五ということでございまして、これは条件としては非常によくないということが言えるかと思います。  それからソ連、中国が二国間だけで二国間の援助をやって、多数国間の援助に加わってないということは、これは理由はわかりませんけれども、わが方としては二国間と合わせてマルチ、すなわち多国間の援助を行うということが開発途上国にとって望ましいことだと考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 私の質問をお聞きになっての御答弁だったんでしょうね。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 どうも失礼しました。  金利は、米州開発銀行の場合には、通常資本から行う融資と、それから特別業務基金から行う融資と二つございまして、その前者は確かに借入金等でやっておりますので、金利も相当高いということは事実でございます。しかし、ラ米の国の中にはかなり開発段階の進んだ国もありまして、そういうやや有利でない条件の融資でも、それを活用してやっておるという実情でございます。さらにラ米の国の中でも開発のおくれている国に対しては、低利の、すなわち非常に緩和された条件の融資が開発特別業務基金から出されて融資が行われておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 これは体裁が違うということをおっしゃるかもしれませんが、わが国の現に中南米諸国に対する融資に対しては金利はどれくらいだとお思いですか。それからもう一つ申し上げますと、東南アジア諸国に対しての融資の金利というのは一体どれくらいとお考えですか。それに比べて今回の八%は高いですか、低いですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 先生おっしゃいましたように、確かに八%という金利は決して有利な条件ではないわけです。したがって、われわれ、ODAという政府ベースの援助というときには、八%の援助というものはそれにカウントしていないわけです。しかし実際に世銀等においても、こういうコマーシャルベースに近いような金利の融資と、それからそれ以外の融資と二つに分けてやっておることは事実でございます。それから中南米に対するわが方の借款の平均の条件は三・五%、四%、大体四%前後で、この八%のいわゆるコマーシャルベースの金利よりはずっと低いものになっております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いま二国間で、日本が現に中南米諸国に対して融資をする場合、あるいは東南アジア諸国に対して融資をする場合というのは、これは金利が非常に低いわけですね。見てまいりますと、東南アジアの場合なんというのは三%、平均三・二から三ぐらいになるのじゃないか。それから中南米諸国に対しては、多いところで六%です。しかし六%というのはブラジル一国のみでありまして、あとは、低いところになりますと三・五%というふうな金利でこれは行っているわけですね。今回のこの米州開発銀行についての先ほど来の質問での御答弁では、二国間ではいままでやってきたことに対して、今回特に米州開発銀行に加盟をして、そして日本もやっていくという必要がどこにあるかということをお尋ねすれば、資本を充足させてそれに対して協力体制を組むというところにある、端的に言うとそういう御答弁の中身であります。しかし、本来、やはり本当の経済協力というふうな観点からしたら、利率をできる限り引き下げて、そして借りる側からしたら借りやすい状況にするということが非常に好ましい状況じゃないか、これは大事な問題じゃないかと私は思うのです。今度大蔵省からいただいている資料をずっと見ますと、わが国の出資予定額というのがここに載っているわけですが、今回三十五億円の現実に払い込みを要する部分の半額について、国債による払い込みが認められているというふうな記載がございます。つまり債券で半額を払い込むというかっこうになるだろうと思うのです。これがひいては先ほど御答弁の中にもございました、市中銀行から借りる場合の利子補給のために自然、利率も八%というかっこうで、こういう体裁をとるから高くなるのじゃないか。これは素人判断でも出てくる論理であるわけですが、そういう点からすると、これは支払いを現金で年賦で行ってもよいというのは、自然その論理の帰結として、こういうふうな方向でやったら利率をもう少し引き下げるということになっていくのじゃなかろうかと考えつくわけであります。こういう点については、どのようにお考えですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 これは私の方の専門ではないのですけれども、実は国債で払うということは利子の問題とは関係ないわけです。実際に銀行が増資しても、それが融資として実際に使われるまでの間には時間的なギャップもあるわけです。そこで国債のかっこうで払っておいて、いざ本当にキャッシュが要るというときにはそれを現金化する、そういうたてまえでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 しかし、いずれにしろ市中銀行から借金をするために利子補給の必要性が出て、事実上利率が高くなっているという事情があるんじゃないですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 これは国債で支払ってあっても、それが今度は銀行の側からすると、市場から金を借り入れてそれを融資に回すときの担保になるわけです。したがって、国債で支払うということは銀行にとって非常にプラスであって、金利の問題とは直接関係がないわけです。国債で支払ってあっても、いよいよ現金が必要だという場合にはそれはキャッシュにされるということですけれども、それは普通はないわけで、銀行はそういう国債を担保にして、市場から金を借りてそれを融資に回すというのが普通の業務かと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 したがって、担保にしてお金を借りて、それに対しての利子補給がさらに必要な場合に、これが自然に利率を高くしてプールしておくという必要が常にあるんじゃなかろうかと、先ほどからお尋ねをしているわけであります。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 それは市中からお金を借りた場合には、当然金利は相当高いわけです。したがって加盟国の出資金あるいは拠出金は安いわけですから、それを水増しして、状況をできるだけ緩和するということに銀行としては使うということになると思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いずれにしろ、やはり借りる側からしますと、利率の低い方がいいですよ。したがってこれは今回の米州開発銀行から借り入れるよりも、やはり二国間の融資の対象になるというふうなことの方が好ましいという向きが、現実問題として重々あろうと思うのです。だからそういう点からいたしますと、先ほど来、やはり資金を充足させて、こういう国際間の経済開発に協力をするということが必要だからとおっしゃっている点からいたしましても、融資を受ける側の当事国からすると、一体どちらが好ましいかということを無視して経済協力なんというものはあり得ないと思うのですよ。そういう点から考えても、二国間協定をすでに結んで、日本も今回問題になっている南米諸国ともいろいろ経済協力関係というのを現にやってきたんじゃないですか。そして最初にお尋ねしたとおりでありまして、この米州開銀に加盟しても、中南米諸国に対しては、現にある二国間の経済協力というものを促進していくつもりだという御答弁もあったわけですから、これは二国間の経済協力の中身をより充実させて、それで日本としては中南米諸国に対しての経済発展に寄与しながら、国際間の協力体制をより充実させていこうということも考えられていいのです。こういうことについてはどうお考えになりますか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 アジアにおいても地域開発銀行としてアジ銀があるわけです。そして日本はアジ銀を通じてのマルチの援助と二国間の援助と両方進めておるわけです。これをラ米にも同じように行おうというのが今度の域外国としての加盟の趣旨であるわけです。現に二国間の援助というのはもちろん非常に大事で、また受ける側からも大いに評価されるわけですけれども、時によっては二国間の援助よりも国際機関を通じての援助の方が受けやすいという、そういう事情もあるわけです。また、地域銀行その他はスタッフその他においてもなかなか優秀な人をそろえて、いろんなノーハウも持っておるという事情もございます。そこで現にラ米地域においては、開発銀行の融資に対する需要といいますか要求が非常に強いわけです。

土井たか子日本社会党

○土井委員 開発銀行に対しての要請が非常に強いとおっしゃる根拠というのを、そうすると私は大変に知りたくなってくるわけですが、中南米諸国から、開発銀行というものをぜひもっと促進してもらいたいというふうな要望が、具体的にどういう形でありますか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 域外国の加盟による資金の充実ということは、本来、米州開発銀行の加盟国、すなわちそれは大部分がラ米の開発途上国であるわけですけれども、そういう国から出てきたわけです。現に、毎年ラ米諸国に対する米州開発銀行の融資は二六%ぐらいの割合で伸びておるわけです。

土井たか子日本社会党

○土井委員 年々この米州開発銀行の融資枠が中南米に対して伸びているという事情が、必ずしも中南米諸国からの切なる要望があって伸びているかどうかというのは、もう一つ私は問題があろうかと思うのです。やはりアメリカ側からの中南米政策というものが裏にあってこの融資が動いているという側面を見逃すわけにいかない。だから、そういう点からいたしますと、今回、日本がこれに加盟をして、アメリカ追随外交でなしに、アメリカの言われるとおりに、お仕着せで何でもかんでも御用達というかっこうにならないで、日本の意のあるところをこの機構の中で生かしていくことができるかどうかということに対して、しかとした見通しがないことにはやはり心もとない次第だというので、最初にああいう質問をしたわけであります。  お聞かせいただいたところによると、これがまたはっきりわからない。理事として日本が送れるかどうかもよくわかりませんし、それから第一、投票権という権限の分野について考えても、日本が投票権ということについて果たしてどの程度、いま私が申し上げてきたようなことをはっきり確認しながら、そこの場所で具体的に声を上げることができるかということについても、これはやはり数字が示すとおりでありまして、心もとないと言わざるを得ないと思うのです。したがって、こういうことに対してチェックをきかせることができますかと言ったら、はい、できます。がんばりますとおっしゃるに違いないと思うんだけれども、幾らがんばったって、これは客観情勢から推してみると、日本として意のあるところを十分に反映できるとは言えないと私は思うのですよ。  そこにかてて加えて、いまから一つ問題を私は提起したいと思うのです。資源の乏しいわが国は、どうしても貿易立国というふうな政策を好むと好まざるとにかかわらず、国是にしなければならないという事情を背負っているわけであります。そのためには、いろいろ外国の事情を事実に即応して正確に知らなければなりません。外国に日本の実情というのをよく理解してもらうことのために、外国に対してもいろいろと日本の実情をありのままに報道するということがなければなりません。日本人は、これまで、英語やドイツ語やフランス語といった外国語については教育を受ける段階で進めてきております。したがって、それに対して消化はある程度しているとも言えるでしょう。しかし、これからいかにして日本語を外国人に教えていくかというふうなことは大きな問題になってくるだろうと思うのです。政府の、外国人に対する日本語教育について何か対策があれば、お教えいただきたいと思うのです。

内藤武外務省アメリカ局外務参事官

○内藤説明員 お答えいたします。  私は、現在、中南米の方を担当いたしておりますので、先生の御質問は、むしろ全世界的な面においての日本語教育についてのお話であったかと思いますけれども、とりあえず担当の中南米について申し上げますと、御承知のように、中南米には約八十万という日系の市民がおりますので、そういった人たちの子弟を通じて、すなわち二世、三世を通じて日本語教育を普及するためにいろいろ努力をするとともに、たとえばその他の二世あるいは三世のいない地域におきましても、日本語というものに対して外国人が非常に関心を持つ向きが次第にふえておりますので、そういった方面に対する対策といたしまして、日本語の教科書、初歩、中級であれ高級であれ、そういった教科書類を大使館などに配付いたしまして、無料提供して、日本語学習の便宜を供与しておるというのが全世界的な政策でございます。とりあえず……。

土井たか子日本社会党

○土井委員 日本人の移民が多い場所については、御承知のようなことだと思います。しかし、これはやはり世界的規模から言うと、まだまだ日本というのはこういう問題に対して認識を十分に持って対処しているとは言えない立場にいると私は思うのです。外国の図書館に行ってみて、日本紹介に関する書物というものは余りにも貧困であるということを常日ごろ私は聞いています。私自身もヨーロッパなんかへ行ってみて、その国にある国立図書館、日本で言うところの国会図書館に当たるようなところに出かけて、日本紹介のいろいろな書物に当たってみると、貧困のきわみというふうなことを言わなければならない場面にときどき遭遇するのですよ。日本の理解に対して認識不足や誤解を外国に与えるような結果となるのは、こういうふうなことも一つはあるのじゃなかろうか。この欠点に関して、文化事業や交流基金というようなことが基本において考えられるべき問題になってこようとも思うのですが、外務省としては、こういう文化事業、交流基金等々についてどういうふうに現に考えていらっしゃいますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 土井委員の言われますように、われわれは明治以降、外国の文化あるいは知識を吸収することには実に全力を傾けたわけでございますけれども、日本の持っておりますものを吸収してもらうといいますか、広めると申しますか、そういうことについてはまことに体制が整っていない。今日になりますと、幾らかそういう余裕はあるわけでございますけれども、整っていないというのは御指摘のとおりでございます。たとえば、日本語を教えるというお話がさっきございました。オーストラリアのように、日本語を第二語学としてやろうかというようなふうに考えておる国もあるわけですが、日本語を教えるメソッドというのが本当に十分には開発されていない、一つか二つぐらいしか開発されていないというような現状でありまして、そういうことは文部省におきましてもあるいはいろいろな財団等におきましても、大分研究はされつつあるわけでございます。文化事業部あるいは交流基金でございますけれども、まず半分は日本をよそに紹介するということを仕事として考えておるわけでして、そのやり方としましては、こちらから向こうに人を出すこともございますし、また各国からいわゆるナショナルリーダーというのでございますか、将来あると思う人材をわが国が招待をして、二週間なり三週間なりいてもらう、あるいは長期にいてもらうこともございます。そういうことであるとか、あるいは外国の大学に講座を寄付するとか、先ほど言われましたような図書類を寄付するとか、あるいは日本文化会館というのでございますか、そういったようなものを限られた国には設立をして、そこでいろいろな紹介をするとか、そういうことをかなりあれこれいたしております。いわゆる経済協力、技術協力という範囲でない範囲でやっておるわけでございますが、何分にもわが国がそういうことに着手をいたしまして年月が浅うございます。まだまだしなければならないことはたくさんあるように思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 御努力の中身についての一端をきょうお聞かせいただいているわけですが、主要国の外務省の文化交流予算額というのは一体どれぐらい計上しているというふうにお考えでいらっしゃいますか。これは主要国と申しましても漠然としておりますから、当然いま問題になっております米州開発銀行に引っかけて、アメリカとかイギリスとかあるいはイタリアとか、それからいまだに加盟をしておりませんがフランスとか、そういう国と比較しまして日本はどの程度だとお考えですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 いまの御質問ですけれども、実は外務省の文化交流予算といっても国によってちょっと内容が違うわけです。たとえば、いわゆる技術援助費に当たる予算を含んでいるようなこともありますし、あるいは広報予算とか、ときには自分の国の海外子弟教育の費用というものを含んでいるような場合もあって、こういう文化交流予算を比較するといっても、ちょっと内容が違ってくる場合もあるのですけれども、われわれの手元にある資料では次のような額が一応わかっております。アメリカの場合は二百七十四億、それからイギリスが百二十四億、フランスが三百九十八億、これは全部円で申し上げております。それからドイツが四百六十九億、イタリアが百十八億、それに比べて日本は二十六億、そういう状況でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 段違いなんですね。中身についてはいろいろと比較の基準が違うということもあるかもしれませんが、二けたと三けた、その二けたもずいぶん低額の二けたです。これは比較にならないと申し上げていいと思うのです。余りにも日本の場合にはこの文化交流関係に対しての予算が少額である、これは目立つところだと言わざるを得ぬと思うのです。これでは、外務省は本当に海外に日本の文化というものを紹介したり、日本に対する理解を深めるための努力を十分にしておりますとは言えないだろう。  実はきょうこういうふうなことを言うのも、経済援助とか経済開発に対しての協力体制を組むとか言われる場合に援助を受ける側、つまり融資を受ける国から日本の立場というものに十分に理解を持ってもらっていないと、やはり意に反して事が動くということにもなりかねませんし、それから、それが所期の日本の意のあるとおりに正確に活用されるということには必ずしもならないと私は思うのです。これは経済とかあるいは軍事とかいうふうな面とは別問題だけれども、文化という点については相関関係がみっちりあると思うのです。こういう問題を抜きにして、経済開発に対しての協力体制を組むとか経済援助をやるといったって、片手落ちもはなはだしいと思うのですが、この点はどのようにお考えでいらっしゃいますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 私は、土井委員がまさにそうおっしゃったので反論するつもりで申し上げるのではないのですが、いわゆる文化交流というものはそれ自体を目的にすべきものであって、そのほかの手段に奉仕することをなるべく考えない方がいいというふうに原則として考えております。したがって、外務省でやっておりますことも、なるべくこれはほかの目的を考えずに、こちらの文化を紹介するとか向こうの文化を持ってくるとか、そういうことで考えた方がいいと考えていまして、われわれは比較的東南アジアに重点を置いてやっております。日本文化会館というようなものを、ぼつぼつでありますけれども東南アジアの国々にその国の態様に合ったようにつくりましたり、あるいは学者をこちらから出しましたり、向こうの伝統的な文化、芸術にこちらに来てもらいましたり、そういうことをやっております。しかし、おっしゃいますように、役所のする仕事もさることながら、先進国の場合には役所以外のたとえばブリティッシュカウンシルであるとか、あるいはゲーテインスティチュートであるとか、あるいはアメリカで申しますといろいろな財団でございますとか、こういうようなところがやっておる部分が非常に大きゅうございまして、わが国の場合はその点でも実は非常に見劣りがしております。まだまだこの点では、ようやく日本がそういうことを考えられるようになりましたのが余り遠いことでないせいもございまして、いかにも蓄積も基盤も薄いというのが事実だと私は思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 もう時間が来たようでありますから、私の質問をきょうはこのくらいに終えたいと思うのですが、近年海外に長期滞在する日本人の数が激増しております。特に今回の米州開発銀行にもし日本が加盟するとなると、当面引っかかってくるのは、南米ブラジルなどには移民が多いことは御承知のとおりですね。ところがブラジルにおいて、わが国の企業に対していろいろな批判が最近特に新聞紙上をにぎわすような現象になってまいっております。こういうふうな事柄は決して好ましくないわけでありまして、何とかこういうことに対しても、現地で批判があることは十分に事情聴取をして、反省すべきことは反省し、手直しすべきことは手直しをしなければ、いかに開発銀行に日本が加盟をしましてブラジルに対しての経済協力体制を組もうといっても、かの地においてのそれに対しての認識なり、それに対しての感情というものは、わだかまりを持ったままではスムーズにいかないだろうと思うのです。こういう問題は、実は日本の外務省、ひいては在外公館の果たす役割りというのは非常に私は大きいと思うわけです。  近年私も外国を歩いてみまして、日本の大使館なり領事館なりは、中には役割りを十分に果たしていらっしゃるところもありますけれども、聞くところによると、そこにいる在留邦人がずいぶん親しみが持ちにくいという大使館や領事館というのがよくございます。ましてや旅行者にしてみたら近寄りがたいという感覚です。困っても余り相談に行けないような空気にあるというふうなことが言われる大使館や領事館があります。私はこれでは困ると思うのです。本当にどうかしていると思います。だからそういう点からすると、やはり現地において外務省というのは、もっとこういう状況に対しての真剣な対策ということで取り組んでいくということが大変大事だろうと思いますが、この点は大臣としてはどのように御認識になり、このことに対してどのようなお考えを持っていらっしゃるかをお聞かせいただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 実は、先年東南アジアにおきまして御記憶のようなことが起こりましたのが契機になりまして、ことに中南米におきましてはブラジルに非常に企業がラッシュしておるわけでございますから、あのときに商社が商社の行動基準というようなものもつくりましたが、特にブラジルにラッシュがひどいので私ども注意をいたしております。  実は昨年も福田副総理が中南米に行かれましたときに、特にその点を頭に置いてごらんを願うように、また改善すべきことがあればわれわれにも言っていただきたいということを申し上げておったようなわけでございます。今年になりましてブラジルの鉱業大臣が見えまして、実は私が真っ先に聞きましたこともそのことでありましたが、幸いにして自分の気のつくところでは余りそういうことはないというお話であったのでございますけれども、しかしこれはきわめてありやすい、きわめて起こりやすい出来事でございますから、私ども、出先にも十分そのことはいつまでも注意するように申しているつもりでございます。よく注意をいたします。

土井たか子日本社会党

○土井委員 あと具体的に一問おきかせいただいてきょうは私は終わりにしたいと思いますが、パラグアイ駐在の、これは新聞紙上にも報道されましたが、種谷清三大使が、任地であるパラグアイのストロエスネル大統領から、モンテ・カフェというコーヒー栽培法に関する功績ということで、非常に広大な八十四ヘクタールに及ぶコーヒー園の贈与を受けたという事実が伝えられた経緯がございますが、許可申請というのは、外務省に申請を提出されたかどうか、提出されれば許可をされたかどうか、その点はいかがなっておりますか。

内藤武外務省アメリカ局外務参事官

○内藤説明員 お答えいたします。  種谷大使は二月十三日に帰られましたが、その前に現地の方から、先生のいま申されました八十四ヘクタールにつきまして、先方から贈与を受けたということの報告とともに、それについての許可を願い出る通信が来ております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それに対して許可をされたわけでありますか。

内藤武外務省アメリカ局外務参事官

○内藤説明員 本件につきましては、まだ外務省におきまして検討中でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 許可をされる方針かどうかは現に検討中ということで、まだ決せられていない段階だというふうに認識をしていいわけでありますか。

内藤武外務省アメリカ局外務参事官

○内藤説明員 本件につきましてはまだ結論が出ておりません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 しかし、もうすでに種谷大使自身は現地において、この問題の八十四ヘクタールのコーヒー園の贈与は大統領から事実上受けられているわけでしょう。したがって、それを外務省の方では、これは二月段階の話ですね、申請が提出されてから後もうすでにかなりの日数がたっておりますが、このことに対する態度は保留のままで今日に来られておるというかっこうですか。

内藤武外務省アメリカ局外務参事官

○内藤説明員 申されましたように、現地において先方から地権書を渡されて、いまのモンテ・カフェというものの栽培についてパラグアイのために尽くしたということで、土地の地権書を渡され、それを一たん種谷大使は受理されて、その旨を本省に報告されてこられたというのが事実関係でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると、事実上は拒否されたというかっこうになっているわけですか。どうもその辺がはっきりしないのですが。

内藤武外務省アメリカ局外務参事官

○内藤説明員 これの法律関係について申しますと、この種の贈与を外国政府から受けることにつきましては内閣の許可を要するということになっておりますので、その関係で現在検討中でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 しかし、この授受をする会合にはもう種谷大使自身は出席をして、そしてこのコーヒー園に対して、土地取得を証明する何らかの書類に対しての授受というものがあったわけでありましょう。だから、その機会に出席をされているという事実がもうすでに現実の問題としてあるという認識の上に立つなら、その後に許可申請をされたという手続は、厳密に言うとこれは法違反にならざるを得ない行為だと思われますが、いかがですか。

内藤武外務省アメリカ局外務参事官

○内藤説明員 この種の場合について従来の慣行を申し上げますと、勲章の場合におきましてもほぼ同様な手続になっておりまして、通例、大使が任国を去るに際しましては、勲章を贈与され、それについて許可を得るということになっておりまして、今回の土地に関しましてもほぼ同様の手続で現在処理しつつあるということでございまして、ただ許可いかんということにつきましては、現在まだ検討中だということでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 大臣、御本人は現地の協同組合にこの土地を寄付したいというふうなことも新聞紙上では報道されたりしておりますし、公共の用途に充てたいとも考えているというふうなことも報道の中には出てきたりしていたわけですが、功労を認められたのに当然といった発言も片やにはあるようであります、この土地を贈られることを受けることは。しかし、この問題について大臣はどのような取り扱いをすることが適切といまお考えになっていらっしゃるか。こういう事例について具体的にこれを挙げるということは不適当であるかもしれませんけれども、ひとつそのお考えのほどをお聞かせいただきたいと思うのです。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 これは当初事実の骨組みが報道されまして、報道された限りでは間違ってはいなかったのでありますけれども、多少その環境のようなものがその後明らかになってまいりました。聞くところによりますと、種谷君という大使は、人間としては、自分の任国に非常に打ち込むといいますか、そういう性格がございまして、コーヒーの栽培について本当にこれは任国のためになるという気持ちから新しい改革をして貢献をしたということは、相手国政府に非常に認められておったらしいのでございます。それで日本に帰るということになりまして、これも例の少ないことではないかと思いますが、たしか外務大臣が主催して招宴を開いてくれて、その席で「実はあなたの功労に報いるために大統領の指示によってこの土地を差し上げることにした」そう言って、地権書をそういう招宴の席で渡された。本人は予期しなかったことのようでございます。そういう雰囲気でありましたし、それがその国のパラグアイの土地の広さの常識から言いまして、途方もないものでありますとまた考えようがあったのでありましょうけれども、そう途方もないとも思われないようなものであって、いかにもそういう席でいろいろあれこれ申し述べるということがそぐわなかったという環境があったようでございます。これは厳密に申して、それでも一理屈を言うべきだったということは言えないことはないと思いますけれども、何かそのような雰囲気でなくて、一種のお互いに非常に善意の雰囲気であったということがあったらしゅうございます。したがいまして、今回このことは、結局厳密に申しますと、官吏服務規律等々に照らしてどうするかということにならざるを得ない、法律的に考えますと、ならざるを得ないのでございますけれども、先方がそのような雰囲気と好意の中でやられたことでありますので、そのことが今度また別途に人の好意を無にしたというようなことになっては、またこれ、必ずしも一番上策とは申せませんので、その辺のことを実は考えつつ、これは外務省だけで決めていい問題でもなさそうでございますので、実は内閣にも検討をしてもらいつつございまして、筋道は筋道、しかしそれから生まれるいろいろないま申しましたようなことも考慮をしなければならないということで、近いうちに結論を出さなければならないと考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 よくその事情については詳しい御説明がございましたが、どのような対処の仕方をなさるかというのは、近いうちに何とかの結論をということで、本日のところはチョンになるようなかっこうでありますが、あとこの協定自身の中身について少しただしていかなければならない主要な点も残ります。  本日はもう時間ですから、私はこれで終わりますが、次回にその辺はひとつ持ち越しというかっこうに譲りたいと思います。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 土井たか子君の質疑は終わりました。  津金佑近君。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 質問に入る前に一つ要望しておきたいことがあります。それは午前中の松本議員の質問の際、外務大臣から例のレイナード問題に際して、日本の在米大使館がレイナード個人に会って話を聞いたという趣旨の答弁があったというふうに思いますが、この問題について在米大使館から外務省への報告書をぜひ資料として当委員会に提出をしていただきたいというふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。     〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 これは電報で報告が参っておりまして、私の記憶をいたしております限りでは、概要はけさほど松本委員に申し上げた、つまりいろいろ質問をいたしましたけれども、結局のところは特に具体的なことに基づいて申し上げているというわけではないというようなことでございまして、報告書というようなものがあるわけではございませんで、私がこうやって御答弁申し上げていることに尽きております。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 いまの趣旨の御答弁はわれわれも午前中聞いておって承知しておったわけですけれども、正式な報告書ではなかったが、出されているものではないにしても、その間の報告をやはり外務省としては当然大使館から正式に求められて、そしてこれを今後の審議の資料にしたいという希望を持っておりますが、そういうことはできませんか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 出先からはいろいろなことについて私のところへ報告をいたしてまいりますが、これはほとんどの場合電報によって報告をいたしてまいります。したがいまして、本件につきましてもそのようなことで報告が参っております。その内容は私が申し上げたことに尽きておりますので、これ以上これについて書面をもってつけ加えることはございません。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 では、この問題の取り扱いについては、いまの外務大臣のお答えはお答えとしてお伺いいたしますが、また理事会その他においてももう一度ぜひこれは検討していただきたい、こういうふうに考えております。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長代理 ただいまの津金君の資料要求に対しましては、大臣からお答えがありましたが、なお後刻理事会で協議をいたします。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 それでは私は金融支援基金の設立に関する協定の問題並びに米州開発銀行の設立に関する協定の問題について質問をいたしたいというふうに思います。  私どもこの協定についていろいろ検討をいたしたわけでありますが、いろいろな問題点を含んだ協定である、こういうふうに考えております。そこで、若干重複する点もありますが、逐次質問をしてまいりたい、このように考えるわけであります。  最初にこの金融支援基金に関する協定の問題についてでありますが、まず第一にOECDの中にこの金融支援基金を設置するその目的、理由、そういう点について一応御説明をいただきたい、かように考えるわけであります。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 お答え申し上げます。  OECDの金融支援基金協定をつくりました理由、目的でございますが、先般のいわゆる石油危機、石油価格の大幅な引き上げによりまして世界経済が混乱したわけでございますが、この混乱は先進国のみならず開発途上国全般に起きたわけでございます。そこで先進諸国といたしましては、自分たちの信用で相互に助け合えば何とかある程度この資金面の手当てができるのではないかということで、お互いに困ったときに助け合うという仕組みをつくったわけでございます。こういたしまして、先進国が国際収支の心配なく景気の回復、経済の発展ができますれば、当然のことながら開発途上国を含み世界全体が潤ってくる。また先進諸国はこういう仕組みによりましてお互いに助け合って、貿易制限とか為替切り下げ競争みたいなことを回避できれば、これまた世界経済全体の繁栄につながるということで、そういうねらいを持ってこの基金をつくったものでございます。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 いまの答弁にもありましたように、この構想はいわゆる石油ショック、これに原因しているということはきわめて明らかであります。そういう意味において先ほども若干質問があったわけでありますが、いわゆるキッシンジャーの石油戦略構想、これとの関連というものが非常に大きな問題になってくるというふうに思います。この点については、先ほど来の答弁の中で、日本側としていろいろ意見を述べ、アメリカ側の構想をいろいろ変えさしたというふうなお話もあったわけでありますが、われわれがその内容をいろいろ検討してみると、そういう点はあったにせよ、その基本的な方向さらに内容という点においてやはり深いかかわり合いを持っているというふうにどうしても思えるわけであります。そういう意味で、先ほどもちょっと論議がありましたが、いわゆる一九七四年十一月十四日のシカゴにおけるキッシンジャー演説、これがキッシンジャーの考え方、構想、これを非常に具体的に述べているわけでありますが、その内容に対する評価、こういったような問題も含めて、今度のこの基金構想とキッシンジャー構想との関連の問題について、基本的な問題でありますからもう一度これをぜひお伺いしておきたいというふうに考えます。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 キッシンジャー長官が一昨年の十一月十四日シカゴで演説されましたその内容で具体的な提案となっておりますのは、先生御存じと存じますが、一つはエネルギー節約計画の推進でございます。それから二番目が石油の新規供給と代替エネルギー資源の開発、三番目に金融協力があるわけでございます。この金融協力につきましては、七五年中にも二百五十億ドルの共通の借款、保証ファシリティーをつくるというふうなことで提案されております。さらに四番目には発展途上国への援助、五番目には産油国との対話というようなことを言っておるわけでございます。ところで、今回でき上がりましたOECDの金融支援基金協定は、実はこのキッシンジャー長官の演説の前に、十月にバン・レネップといいますOECDの事務総長が、これはコンフィデンシャルであったわけで、世間ではキッシンジャー演説のように有名にはならなかったわけでございますが、やはりOECDの諸国が助け合おうじゃないかという提案を各国にしておるわけでございます。いきさつがそういうことで、時間的にもバン・レネップ提案の方が早かったわけでございますが、実態面につきましては先ほども申し上げたと存じますが、アメリカの主張、ことに、ともすればいわゆる対決色ととられかねないような点が幾つかあったわけでございますが、これを完全に払拭しておるわけでございまして、なるほど一昨年の十一月十四日にキッシンジャー長官が、石油政策との関係でこういった金融協力のことを触れられたのでございますけれども、いまでき上がっております基金の協定というものは、私ども先進国の一員としても、またその開発途上国に対する立場といたしましても、世界経済のためにきわめて望ましい協定ができ上がったというふうに考えております。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 この問題は非常に基本的な問題でもありますので、外務大臣としてのお考えも一応承っておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 これは、先ほどたしか河上委員に申し上げておったところでございますけれども、確かにアメリカが、石油危機の問題が起こりまして、いわゆる対決の姿勢で処理しょうとしておった段階がございまして、初めて各国の首脳がワシントンに集まりましたのが七四年の二月十一日かその辺でございますけれども、そのころからわが国は、それではこの問題はやはり解決しないということをずっと言い続けてまいりました。  一つは、先ほど話の出ましたIEPにいたしましてもそうでございます。それから、現在パリでやっております国際経済協力会議などもそうでございますが、ともかくそういう形でこの問題を処理したのでは問題は積極的に処理できない、やはり産油国側といいますか、アラブ側といいますか、長年踏みつけに遭ったと考えている立場というものも理解をしなければならないというふうに私どもは考えてきた。いまのいわゆるセーフティネットというのは、確かにキッシンジャーの頭の中には、消費国側が団結しなければならない一つの方法として発想されたかもしれない。私は、そう考える理由が確かに若干あるように思いますけれども、OECDの事務総長が、はからずも前から同じようなことを考えておられるということもあり、結局いまとなりましては、少なくともいまとなりましては、先進国側が将棋倒しになってしまう、そうして世界経済が縮小するということは、産油国自身も決して好ましいところではないという認識がかなりはっきりしてまいりましたので、したがいまして、当初一部に、アメリカあたりに、いわゆる対決の思想につながるような発想が幾らかあったということは、私は沿革的にはうそではないと思いますけれども、実際は他の国々がそれを説得し、また事態の変遷とともにそういうものでないものとして誕生をした。また産油国側も、その後の事態の推移にかんがみて、これを自分たちに対決する一つの発想であるというふうには考えなくなっておるというのが現在の姿ではないかと思います。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 シカゴにおけるキッシンジャーの演説の中で、彼はこういう点を強調しておるわけです。それは、石油危機対策とあわせて、国際金融体制の維持という経済的な安全保障の強化が必要だという問題を強調しているわけでありますが、この考え方の具体化が、いま外務大臣も触れられましたいわゆる国際エネルギー機関、IEA、それから国際エネルギー計画、IEP、こういうものであり、同時に、今回ここでいま審議をしている金融支援基金の設立である、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 七四年、五年から現在に至りますまでの大きな流れを見ますと、私は、そのように御理解なさることは事実に即さないというふうにお言葉を返すようですが、思うわけでございます。     〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕 すなわち、アメリカ自身はかなり強い姿勢で事態に臨もう、またアメリカ自身はそれだけのものを持っておりますから、当初そう考えたのにも理由があるかもしれませんが、いや、しかし、そういうことではこの問題は解決しないという、結局、わが国初めフランスにいたしましてもそうでございますが、そのような国の主張の方が、どっちかと言えば大人の主張といいますか、問題をよりよく把握した主張だと思いますけれども、それが結局大勢を占めるに至りましていろいろな施策が実ってくる、そういうものとして過去三年間の経緯を振り返ってみて理解をしていただく方が事実に即しておるのではないかと私どもは考えております。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 そうしますと、やはりこのキッシンジャーのシカゴ演説の中で、またキッシンジャーは別なところでこういうことも述べているわけです。  すなわち、私たち自身、彼らを守るというような――彼らというのは産油国ですね、彼らを守るというような行動をいままで余りとってこなかった、産油国を仲間とせず、時には搾取をしてきたという意味のことも述べておるわけであります。私は、やはりいま外務大臣のお話を聞きますと、そういうものに対して、むしろ日本が大人の立場で、そういうものを是正させるための努力をいろいろしてきたのだというふうな趣旨のお話でありますが、今日までの日本の外交の大きな基本的な姿勢という点から見ると、産油国に対しては、政治的な立場という点についてはアメリカと日本は同一歩調を常にとってきたのではないか、そういう感を深くするわけでありますけれども、そういう点からこれからの、またこれまでのわが国の産油国に対する関係のあり方、そういうものをこの際根本的に再検討をしていく必要がある、そういういまは段階に来ているというふうに思うわけであります。いまの外務大臣のお話からいきますと、こういうキッシンジャーの演説そのものに対して、日本としてはきわめて批判的な見地を現在はとっている、こういうふうに理解してよろしいわけですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 現在と申しますよりは、先ほど申しました一九七四年の二月にさかのぼりましてそのことははっきり申せることでございますし、また、いわゆる二階堂官房長官の声明によりまして、わが国の立場を明らかにいたしましたときにさかのぼりましてもはっきりいたしておると思います。すなわち、当時わが国の立場はいろいろに見られた節がございまして、日本は自分の石油資源を持ってないので、いかにも圧力に屈したといいますか、エコノミックアニマルであるというような批判がありましたことも、お互いまだ記憶に残っているところでございますけれども、私どもの立場は、やはりこういう問題は、アラブあるいは石油の価格というものが従来いわゆる踏みつけにされてきたということは、これはやはり認めなければならないではないか、それは改めなければならないではないかというようなこと。それからまた、その後に及びまして、中東問題について、パレスチナ人の問題を抜いては考えられないというようなことを表明いたしましたこと等々、過去三年余りの経緯で――それが過去三年の経緯で決して今日に始まったことではない。当初アメリカが考えておったところとは、わが国がとろうとした道は違っていましたし、また当初アメリカが考えておったところをアメリカも考え直すに至ったというふうに考えるべきではないかと思います。  ただ、その中で、今日でも中東問題、パレスチナ人の問題については、わが国の立場とアメリカの立場は公には明らかに異なったままでございますけれども、決して今度の問題についてわが国がアメリカのリーダーシップのもとに動いてきたというわけでないことは、三年間の事実に徴してほぼ一般的に認められておることではないかと思います。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 いまの問題は、日本のこの問題に対する基本的な姿勢にかかわる重要な問題でもありますので、もう少し角度を変えて御質問をしてみたいというふうに思うわけでありますが、いまの大臣の御説明でいきますと、アメリカの姿勢の中にはそういう対決的な要素というものは確かにあったが、その後その姿勢を改めざるを得なくなるような方向に向かいつつある、こういうお話であったわけであります。しかし、少なくともこのキッシンジャーのシカゴ演説というものに示された態度というものは、やはりその後のアメリカの石油戦略の基本として貫かれているのではないか、いろいろな手直しがあったとしても、その戦略的な、基本的な姿勢というものは貫かれているのではないかという感を私は深くするわけであります。そういう点から見ますと、産油国との対話ということがいろいろ強調されておりますが、結局それは言葉の上だけの問題に終わってしまって、このキッシンジャー構想に基づくアメリカの石油戦略というものは、やはり産油国との対決を強めざるを得ない方向に進んでいっている、そしてそのために、むしろ消費国との団結の強化ということを強調している。それはキッシンジャー演説の中で、たとえばIEPは、外圧に対して弱い立場にとどまるのではなくて、みずからの将来を形成しようとする消費国の決意をあらわすものだということを産油国に知らさなければならぬのだ、こういうふうなこともこの中で強調されているわけであります。結局こういうふうな方向が貫かれるならば、これは産油国グループと消費国グループの友好というよりは、むしろ両者を対立させる、そういうふうな方向が強まっていく、これは避けられないというふうに考えるわけでありますが、そういう方向がいま大きく是正されてきているというふうに見るのはちょっと現実に合わない面が出てくるのではないだろうか。そういうふうにアメリカのいまの方向というものを見ないで、そういう方向がむしろ是正されてきているというふうに見るのは、必ずしも現実を正しく反映した見方ではない、こういうふうに私は思うわけであります。  そういう見地から見ると、結論的に言って、このシカゴ演説に代表される、いわゆるキッシンジャー構想といわれている路線には日本としては少なくともくみしない、これがこれからのこの問題に対する日本の基本的姿勢だ、こういうふうに受けとめてよろしいわけですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 日本の立場としてはそのようにお考えくださって結構だと思います。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 ところが、いま私たちが論議をしております金融支援基金の設立に関する協定、この中身をいろいろ検討してまいりますと、この基金の内容が、先ほど私も指摘しましたような、シカゴ演説に代表されるキッシンジャー構想を具体化するという方向で進められているというふうに見ざるを得ない幾つかの点が出てくるわけであります。それは、たとえば一条のこの基金の「目的」というふうな点を見ましても、その二項の「目的」の(a)項の(ii)、この中に「加盟国が、適当な国内経済政策及び国際経済政策(適切な国際収支政策並びにエネルギーの生産増加及び節約を促進するための協力的政策を含む。)」こういうふうな点が強調されておりますが、これはまさに現在のアメリカの石油政策の内容がここに具体化されている、そういうふうに考えざるを得ないわけであります。同時に、この基金は融資というものを条件にして、こうしたアメリカのキッシンジャー構想、石油戦略というものを加盟国に押しつけていく、そういうものに結果としてなっているのではないだろうか、このように見ざるを得ないわけであります。  さらにもう一つは、そういう意味でこの組織の運営という点においても、運営委員会に関する条項などを読んでみましても、たとえば加盟国の政策がこうした基金の目的に矛盾していないということを確認するということによってそうしたものが具体化されていく、こういう内容を持っておりますし、それから基金の目的の達成が貸し付けの条件になっている、こういうふうな形において、結局金融手段というものを通じてアメリカにこれらの加盟国を結集させて、そして産油国に対する対決姿勢というものをむしろ強めていく、そういうものに結果としてこの協定というものが役立つ役割りを客観的に果たさせているのではなかろうか、こういうふうな危惧を強くせざるを得ないわけでありますが、この辺の問題をどういうふうに考えておられるか御見解を承りたいと思います。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 お答え申し上げます。  この協定作成への段階におきまして、確かに米国の代表は、せっかくつくります基金でございますので、エネルギー政策とリンクさせてはどうかという主張をしたのでございますが、私どもはそれは反対であるということになりましてそれは落ちたわけでございます。いま御指摘の第一条第二項の目的の中に(a)がございまして、その二つ目に「エネルギーの生産増加及び節約を促進するための協力的政策を含む。」ということが括弧で書いてございますが、これは資金を貸しますときに、借りる国がだらしない経済運営をやっていまして、エネルギーを乱費するとか浪費するということですと、幾ら金を貸しても助けになりません。とにかく今度の基金は年間六百億ドルという膨大な石油赤字がもとになってこういうふうな基金をつくろうということになったわけでございますから、石油代金の支払いが非常に国際収支の中で大きなウエートを占めるわけでございます。そこを全くルーズにするわけにいかないじゃないかということでこれが入ったわけでございます。したがいまして、一律的にエネルギー政策とリンクするということでは毛頭ないわけでございます。  第二点で御指摘になりました融資をするときにその国の政策を見るということでございますが、これはほかの国際機関でもどこでもやっておるわけでございまして、貸す方の立場から言いますと、基金の債権を確保するために、やはりある程度その国の経済政策がしっかり運営されるということが必要なわけでございまして、日本の立場からいたしましても、日本はこの基金から借りることもできますが、またこの基金に対して貸す立場にもなるわけでございまして、日本の利益を考えましても、お金を借りた方が野方図な経済運営をされては困るということで、内政干渉というようなことではなく、一般的ないろいろな経済政策をきちっとやってくれというふうなことでございます。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 いま私がお伺いしたのは、貸し付けに関する第二項の条件の幾つかについて聞いたわけでありますが、いまの答弁の中でもすでに触れられておりますが、この第三項の借入国の経済政策の状況について常時検討するというふうな項目もこの中に規定をされておるわけであります。この条項は、たとえばその国の経済政策を運営委員会において常時検討するというふうな条件は、一般的に言って、その国の経済がちゃんとしているかどうか、金を貸して大丈夫かどうかというふうなことから、さらに一歩その枠を越えたものであって、やはりこういうものは余り例がないのではないかと私は考えるわけであります。こうしたことから、借入国の経済政策の状況それ自体を常時検討するということはむしろ内政干渉の疑いすら感じられるわけであって、この点はこの条約の一つの重要な問題点であり、さっき言ったキッシンジャー構想その他との関係において、結果的にそれを押しつけていく危険な役割りを演ずる一つの問題点だというふうに考えざるを得ないわけでありますが、その点はどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 この常時検討すると申しますのは、これは貸すときだけ検討するというだけではなくて、その後も様子を見るという意味でございます。これは世界銀行、IMF等がお金を貸しますときにも、この意味では常時検討しておるわけでございまして、ときどきコンサルテーションに来るとか、あるいはその国の情報をとって検討するというふうなことをやっておるわけでございまして、絶えず監視をするという意味ではございません。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 いまの問題は先ほどの問題とも若干関連しますが、いまの御答弁では、それは心配ない、そういう内部に干渉しようとする意図はないのだということでありますが、だれしも内部に干渉するという意図を持っているということを言ったり書いたりすることはないわけであって、結果としてそういうことにならないかということをわれわれは指摘しているわけですが、その点は、そういうことは絶対にあり得ないと断言できますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 いまの御指摘は大事な点でございまして、これはむしろ今後の運営いかんということかと思います。日本は大口のシェアを持っておりますので、この運営委員会でも大きな発言権を持つことになろうかと思いますので、その点は十分注意していきたいと思います。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 その運営の問題でありますが、この運営に当たっては、運営委員会というのが大きな役割りを果たすことになっておるわけであります。しかし、この運営委員会の内容といっても、実際は、先ほど土井議員から言われたように、これは中南米の問題でもありますが、この種のものの運営が事実上アメリカの独占的な運営、結局アメリカの意図というものを結果的にどれだけチェックできるかという問題が常に出てくる問題でありますが、この基金の運営委員会の構成その他を見ても、やはりアメリカが事実上その中心になって、そうして西ドイツあるいは日本、この三カ国を合わせただけでも、割り当て額が五二%を占める。そしてその決定に当たっての投票数もこの割り当て額に比例して決められる、こういうことになっておるわけであります。しかし、いまおっしゃったように、日本は確かに大きな比率を占めておる、したがって日本がそういうことをさせないために積極的にこれから努力していくのだということであって、それはお話は大変ごもっともでありますが、従来のこの種の運営その他を見た場合に、結局アメリカの意思に沿ってこれが運営され、日本がこれに結果的に協力をさせられていくような運営が実際に行われる危険性をわれわれは強く感ぜざるを得ないわけでありますが、その点はいかがでしょうか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 いまの御心配の点でございますが、私は従来の国際機関とはかなり違ってくるのではないかと思います。と申しますのは、米国のシェアは確かに最大でありまして二七・八%ございますが、いろいろ重要な事項の決定の基準といたしましては、全会一致の場合はもちろんございますが、そのときにはアメリカは拒否権は使いません。その他九〇%以上で決まる場合も多いわけでございます。これは日本が一一・七%のシェアを持っておりますので、私どもの主張で九〇%というものを方々に入れたわけでございます。それから三分の二以上の多数決というのも方々にございますが、米国は二七・八%でございまして、三分の一以上の拒否権を持つということはないわけでございますので、従来伝統的にアメリカが非常に強い発言力を持っておりました世界銀行等に比べますと、かなり違ったものになっていると思います。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 この協定の内容をいろいろ検討してみますると、日本がこれに加盟するというふうなことになりますと、日本はパーセントにして一一・七%、日本円にしますると約八千億円を基金へ出さなければならないということになるわけであります。御承知のように、国内的な経済情勢はここで多くを語る必要はないと思いますが、日本の経済情勢も非常に困難な局面を迎え、国民生活もいろいろな形で脅かされている、こういう現状にあることは皆さん御承知のとおりであります。こういう時期に、結局八千億の金が、この協定によりますと二年間で支払われるということになるわけです。しかし、これはまたこの運営の過程の中で、加盟国の請求次第では、さらに一度にこういうものを支払わなければならない可能性も出てくるのではないだろうか。こういうことが、今日の日本の経済の現状、国民生活の現状から見て果たして妥当かどうか。むしろ結果的に国民に対して新しい負担をもたらすようなことにならないのかという点をわれわれ強く懸念をせざるを得ないわけでありますが、こうした問題についてはどのように考えておられるか、御意見を承りたいと思います。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 この基金は、あらかじめ各国がお金を出して、それを借入国に貸すというものではございません。議論の過程では、一部の国から、各国で希望があれば外貨準備を出してもいいじゃないかという話もあったわけでございますが、そもそも石油危機で困っておりますときにお金を出すというのは、先生御指摘のように大変な負担になるわけでございまして、日本とかドイツ等の主張によりまして、どこかの国が借りるという場合には、原則としてはユーロダラー市場等からこの基金が借金をする、その借金をそのまま借り入れ国に貸す、仮に借り入れ国が返せなくなった場合に、初めて加盟国が応分の負担をするという仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、すぐにお金を出さなくちゃいけないということはないわけでございますし、それから借りた国が返せなくなるということも、なかなかそういうことはないし、またないように、先ほども御議論ございましたような、その国の政策がうまくいくように検討するということになっておるわけでございます。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 私どもは、いろいろいま御答弁がありましたが、先ほど来いろいろ指摘をしておりますように、アメリカが現在こうした産油国にとっている政策、それから、その後の事態の進展、そして日本とアメリカとの今日の関係、こういうものを総合的にいろいろ検討してみた場合、やはりこの構想というものは全体として産油国と消費国との対決というものをむしろ進める、産油国との対決の方向にアメリカを中心に結集させられる、そういういわゆるキッシンジャー構想というものを結果的には貫いていく、そういう内容を持っているというふうにどうしてもこれは見ざるを得ないわけであります。また、いま申しましたように、日本の今日の経済の現状、国民生活の現状から見て、果たしてこうした膨大な支出を伴うこういう協定がいま必要かどうかということについても十分慎重な検討が加えられるべきであるというふうなことから、やはりわれわれとしては、この協定の参加ということについてはむしろさらに慎重を期し、急ぐべきでないと、こういうふうに考えるわけでありますが、この点について外務大臣としての意見をお伺いしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 その点につきましては、先ほどから過去三年の経緯にかんがみると私はそう思いませんということを申し上げておるわけでございまして、私どもとしては、事実を素直に見てそう思うのでございますけれども、あるいは津金委員のごらんになる見方と私どもの見る見方がまた一緒でないかもしれません。しかし、それならば今日、産油国側がこのような協定を自分たちにとって非友好的なものであると考えておるかと申しますと、そのような節はないのでありまして、むしろ、こうやって世界経済が安定をして、秩序が壊れず、世界貿易が縮小しないことが自分たちの利益であると考えておるように思われますので、これは、この三年のうちにお互いにいろいろ実地に会って、それだけ考えも進んできたということだろうと私は思っておるわけでございまして、どうも産油国側の態度を見ましても、津金委員の言われますような考え方はしていないように私どもは見ております。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 この問題につきましては、どうも外務大臣の立場とわれわれの立場にはまだかなりの違いがあるように思いますが、時間の関係もありますので、この点については、私どもは、いま申し上げたような見地からこれへの加盟を急ぐべきでないし、むしろやめた方がいいのではないかということを率直に指摘をしておきたいというふうに思います。  それでは時間の点もありますので先に進めて、米州開発銀行の設立に関する協定の問題に進みたいというふうに思います。  まず最初に、この問題について、米州開発銀行の問題については、先ほど米州機構の問題とは関係ないというふうな答弁もあったわけでありますが、この開発銀行の性格と今日までの活動のあらましについて、概括的な説明をまずお伺いしたいと思います。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 お答え申し上げます。  いま津金先生おっしゃいましたように、米州開発銀行とそれから米州機構とは機構的、法律的にも関係がないものでございます。いままでの開発銀行の目的は、もちろん域内の加盟国諸国の社会、経済開発を進めるということでして、これはラ米のみならず各地域に、たとえばアジアの場合にはアジ銀、それからアフリカの場合にはアフリカ開発銀行というような地域的な開発銀行があるわけですけれども、米州開発銀行はその中にあって、最も古くて、しかも最も資金量の大きな地域開発銀行であります。いままでのところ一九七五年末の統計でございますけれども、融資総額の累計は八百八十九件、八十六億ドル以上に達しております。そして、先ほどちょっと申し上げましたけれども、最近五年間の融資額の年間平均伸び率は二六・五%という非常に高い率を示しております。またDACの統計によりますと、一九七四年の中南米地域に対する政府開発援助総額の一八%は米州開発銀行によって供与されておりまして、これはアメリカに次ぐ大口な援助供与国の立場にあるというふうに言えます。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 この米州開発銀行の協定の目的には  「地域内の開発途上にある加盟国の個別的な又は共同的な経済的及び社会的開発の促進に寄与することを目的とする。」ということが書かれておるわけで、そして古くからいま答弁があったような活動を進めてきたわけでありますが、たとえば、この過程においてチリのアジェンデ政権に対する態度、こういうものを見たときに、私はその目的と精神という点から見て大きな問題を指摘せざるを得ないというふうに考えるわけであります。  たとえば米州開発銀行は一九七二年、七三年、チリに対しては新規の融資というものを全然認めておりません。この問題に関して七二年四月のCIAPにおけるチリの経済情勢委員会でチリの代表は、チリのアジェンデ政権の発足後、世銀並びに米州開発銀行が新規の融資を要請してもこれを認めないということについて批判的発言をしておるわけでありますが、こうしたことはまず事実であったかどうか、事実であったとすれば私はかなり問題だというふうに考えるわけでありますが、こうしたことについてどうお考えになっているか、御意見を承りたい。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 いまおっしゃったチリのアジェンデ政権は、一九七〇年の十一月から一九七三年の九月まで政権にあったわけですけれども、それ以前の政権に対するのと特別異なった態度を米州開発銀行がとったというふうにはわれわれは聞いておりません。事実アジェンデ政権時代のチリに対しても、米州開発銀行は従来どおりの貸し出しを続けております。統計的には、七一年に三千五百万ドル、七二年に二千二百万ドル、七三年には二千百万ドルという額の貸し出しが行われております。特に一九七一年は、米州開発銀行のチリに対する年間貸出額としては最高を記録しております。それから、確かに七二年、七三年には新規の借款は供与されませんでしたけれども、七一年にはチリにおける大学の設備拡充プロジェクトに対して二件の新規の借款が供与されております。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 もう一度正確にお聞きしておきますが、アジェンデ政権ができてから、新規の融資の要請に対しては認められていないのではないですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 いま申し上げましたように、七一年は、すなわちアジェンデ政権が政権の座にあったときでございますけれども、この七一年に、チリにおける大学の設備拡充プロジェクトに対して二件の新規の借款が供与されております。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 それでは、七二年、七三年に対してこれが行われなかった理由はどこにあったのですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 七二、七三年に新規コミットの実績がないその理由は、一つには、アジェンデ政権が誕生しましたときに、米州開発銀行は前の政権によって出されていた二件の融資案件を検討中だったのですけれども、アジェンデ政権はその申請を取り下げました。それから今度は、七二年十二月までにアジェンデ政権によって三つのプロジェクトの融資申請が行われました。そのうち、これは石油化学のプロジェクトなんですけれども、これについては、アジェンデ政府がフィージビリティー調査を委託したコンサルト会社の報告書が七三年十月に提出されまして、その直後に石油事情の急変に伴って、現在チリにおいてフィージビリティーの再検討がさらに行われているという事情がございます。  それから、もう一つの天然ガスのプロジェクトについてはかなりの技術的データが必要でありますが、所要の審査を行うために必要なデータが現在ようやく整いつつあるという状況のようでございます。  それから、第三番目の水力発電プロジェクトについては、借款交渉の途中七三年八月にチリ政府から融資申請額の増額要請が出まして、したがって審査のやり直しを余儀なくされまして、結局これは七四年四月に融資が承諾されました。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 たとえば私たちの調査したところによれば、アジェンデ政権は米州開発銀行に対して、石油化学と灌漑プロジェクトの融資の申請を一九七一年から七二年にかけてしておったわけでありますが、これに対しては融資が行われず、結局これが認められたのは、チリの軍事クーデターが強行されて、そしてピノチェト軍事政権が成立した後において七千五百万ドルのプロジェクトとして認められた、こういうふうな経過もあるわけであります。また同時にその間の経過を裏づける問題としては、日本輸出入銀行が一九七五年七月に出した「海外投資研究所報」などを見ましても、チリについてはアジェンデ政権下で一九七二年度以降融資が事実上停止されておった。しかしピノチェト現政権においては、融資が再開されておるということもここにはっきり書かれておりまして、先ほどの答弁では、アジェンデ政権であったから、すなわちその政府の性格いかんによって融資その他についての差別的な態度というものはとってはないのだということを強調された。それは当然の態度であって、その国がどのような政府をつくるかはその国民が自主的に選ぶものであって、あなたのおっしゃったとおりだけれども、結果として行われていることを見ると、明らかにその点についての差別的な運営が行われておったというふうに事実の経過から判断せざるを得ないわけであります。その辺はもっとリアルに物事を見、そしてそういうことの危険性というものについてはもうちょっと突っ込んだ分析というものがなければならないのではないかというふうに感ずるわけでありますが、その点はいかがでしょうか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 いま先生、輸銀の方の資料に触れられましたけれども、この資料の内容は実は間違っているんだと思います。先ほど申し上げましたように、アジェンデ政権の最中も米州開発銀行は貸し付けを続けておりました。  それから、いま先生がおっしゃったプロジェクトは、確かにアジェンデ政権が倒れた後に承諾が行われましたけれども、それも先ほど申し上げましたように、途中において増額の申請がチリの方から出まして、そしてその審査をもう一度やり直すというようなことがありましたためにおくれて、そして承諾が七四年になったという事情がございます。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 しかし、いまの経過から見て言えることは、たとえば七二年の一月十九日に当時のニクソン大統領は、チリのアジェンデ政権を初め国内の外国企業の国有化政策等々を行った国々に対して、世銀その他、この開発銀行も含むと思いますが、国際金融機関の融資をストップすることを呼びかけておりますね。結局この呼びかけにこたえてこういう処置が行われたのではないかというふうにわれわれは感ぜざるを得ないという面があるわけですが、その点はいかがですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 いまのニクソン大統領の呼びかけですけれども、われわれの理解では、いま申し上げたように、米州開発銀行の貸し付けは続けて行われておりましたし、そういう呼びかけにもかかわらず米州開発銀行はその融資を続けていたというのが事実だろうと思います。これはもちろん御承知のとおり、開発銀行の協定の中に、銀行は加盟国に政治的な介入をしてはいけないし、またその政策は経済的な背景においてのみ決定されるべきだ、そういう規定もございますし、米州開発銀行はそういう規定に従って融資政策を続けていたというふうに考えます。さらにこの期間に、われわれの理解が正しければ、世銀、IDA等もチリに対する融資は続けていたというふうに聞いております。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 その点は、先ほどあなたの方でこの輸出入銀行の資料が間違っていた、こういうことになります。われわれこういうものを調べて言っているわけですから、この辺はひとつ正確に調査をし、資料その他の正確を期するようにぜひしていただきたいというふうに考えるわけです。  その点についてもう一言だけ伺っておきたいと思いますが、一九七六年の一月三十日に米上院の財政委員会でやはりキッシンジャーがここで演説をしております。そしてその中でいわゆる反米的な開発途上国、こういうものに対しては経済援助の中止もあり得るということを理解するように、米在外公大使館に指示したというふうに述べた、こういうことが伝えられておるわけであります。こういう点を見ると、先ほどのニクソン大統領の呼びかけといい、これは私たちの調査では一九七二年でありますが、いまのキッシンジャーの発言は一九七六年、きわめて最近の話でありますが、こういう姿勢がアメリカの場合一貫して流れているということをやはり事実として見ざるを得ないというふうに思うのです。そして、後でも若干お聞きいたしますが、そういうアメリカがこの開発銀行の中で決定的と言っていいような大きな役割りと力を保持しているというふうなことになってきますと、先ほどの土井議員の質問にもありましたけれども、私どもはこうした開発銀行の運営というものについて重大な疑義を持たざるを得ないわけでありますが、まずキッシンジャーのこうした発言に対して日本政府としてどういう対処をしていくつもりか、御意見を承りたいと思います。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 いまおっしゃいましたキッシンジャーの演説でございますけれども、これはアメリカの政策でございまして、これはアメリカのバイの政策に反映されるのではないかと思います。米州開発銀行はそういうアメリカのバイの立場とはまたおのずから違った立場で運営が進められているというのが実情でございます。確かにアメリカは最大の拠出国でございますけれども、米州開発銀行がアメリカの言いなりになっているというような性格の機関ではないということは間違いないと思います。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 外務大臣にお伺いしますが、先ほど産油国との関係の問題の際、アメリカ自身の考え方も、当初は対決的な要素というものがあったが、その後そういう考え方を漸次手直しせざるを得ないような状況に立ち至ってきているというお話がありました。もちろん、これは中南米の問題で直接産油国そのものの、イコールの問題ではありませんが、ことしの一月にキッシンジャーが、そういうものに対して経済援助の中止もあり得るという力の対決的政策を依然として堅持しているということであって、産油国に対しては大変理解を示す態度をとってきたが、中南米の諸国に対しては依然として力の政策を堅持している。こういうことになると、やはりアメリカの政策それ自体が、先ほど外務大臣が言われたように、そういう考えから変わらざるを得なかったというふうには、一概に言えないのじゃないだろうか。むしろそういう点では、アメリカの現在の政策に対する先ほどの外務大臣の見方というのは、ちょっと甘いんじゃないかという感をわれわれとしては持たざるを得ないわけでありますが、その辺の全体の情勢の中でのアメリカのこうした産油国及び発展途上国に対するあり方、政策の現状の問題についてどう認識されるのか。先ほどの御答弁とはやや矛盾する面を私どもは感ずるわけでありますが、その点についての御意見を承りたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 これは先ほど申し上げようかと思ったのですが、少し話がそれますので申し上げませんでしたが、わが国の場合とアメリカの場合と一般的に比べますと、わが国の場合の方が政策選択の方法は、どちらかというと比較的単純でございます。つまり、わが国は軍備というものを持っておりませんし、力でもってどうするということはやらない、またできない国でございますから、事を平和的に何とか話し合いで処理しようということにやはり物事を考える。それがわが国の決定のときのどうしても基本的な態度になるわけでございますけれども、アメリカの場合には、そこはやはりもっともっと複雑であるのが私は事実であると思います。つまり、世界平和を維持しなければならない一方のこれは超大国でございますから、しかも、少なくともソ連との関連において世界平和というものは力の均衡の上に維持されておる、弱い立場からの維持ではないということは公言をしておりますし、またそれは私は事実であろうと思います。そういう意味ではアメリカの国務長官が物を言いますときに――これは私の見解で、私は何も解説をする義理も何もないわけでございますけれども、考えて読まなければならないことは、一つの警告のような形で物を言うときがございます。それは威嚇と単純に考えるわけにはいきませんで、間違いが起こらないように未然に物を言うというようなことが時としてあるわけでございます。アラブの場合にもございまして、今朝も、アラブの油田を侵略するとかなんとかいう話を言ったのはけしからぬということのお尋ねがあったわけですけれども、これはアラブの中にもアメリカと実際にはいろいろな意味で近い国がございます。軍事援助にしましても、あるいは軍事顧問団を置いているとかいう国もあるわけでございますから、そういう意味で、あるときにはかなりきついことを言って、それによって一種の抑止的と申しますのでしょうか、そういう効果をねらう場合が事実問題としてございます。それはわれわれのような、力というものを信じないと言いますか、持たない立場から言いますと威嚇であるというふうにも感じられるわけでございますけれども、世界の現実においては、そのような一種の警告と申しますか、それによって事が悪化しない効果を持つことは、これはいいか悪いかは知りませんが、残念ながら現実にしばしばあることであります。私は、いまキッシンジャー云々とおっしゃいました演説のことをよく存じませんけれども、文字どおりそれを読んでいい場合と、その効果をいろいろに考えて言っている場合とあるということ、これも考えておかなければならないと思います。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 大分時間が経過いたしましたので少し結論を急ぎたいと思います。  この協定の組織と運営の問題をいろいろ研究してまいりますと、たとえばこの中で、第八条四項の(b)の(ii)ですね。ここで言う「最大の株式数を有する加盟国」、これはまあアメリカであることは明らかでありまして、そのアメリカの持つ投票数の割合というものは、加盟国の総投票数の三四・五%まで持つことができるということになっている。さらにまた、総務会、理事会の会議の成立条件その他をいろいろ読んでみましても、三分の二以上の投票権と絶対過半数の国の出席が必要である、こういうふうに書いてある。こういうことになってきますと、この組織と運営の中でアメリカの果たす役割りと比重というものが実質的には非常に大きなものになってくる。いわば、アメリカが出席しなければ総務会、理事会の成立それ自体が危ぶまれる、あるいはアメリカが銀行の貸出に反対したならば結局貸出そのものが非常に困難になる、こういう結果が現実的に起こり得るのではないか。言うならば、実質的には貸出に関してはやはり拒否権的な役割りをアメリカが発揮できるような、そういうことにならざるを得ないというふうに考える。  そこで、先ほどもこれをチェックする有効な手段があるのかという問題が盛んに出されたわけでありますけれども、われわれもその点については非常に大きな危惧を持つわけでありますが、この点はどういうふうに考えられるか。また、そうした一方的な運営が行なわれないような確実な保証というものが現実にあり得るのかどうか、この点の問題に関する考え方をお伺いしたいと思うのです。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 津金先生御指摘のとおり、米州開発銀行におけるアメリカの立場というものは非常に大きいものであるということは事実でございます。これは、アメリカが最大の出資拠出国であるということをも反映しているわけでございます。しかし同時に、これをもってアメリカが完全に米州開発銀行に対する拒否権を持っているというような、そういうふうに解釈すべきではなかろうと思います。  といいますのは、もちろん先生がおっしゃいましたように、事柄によっては投票権数の三分の二以上の賛成がなければ決められないというようなこともございますけれども、そうでないものもございます。それからさらに、投票権数だけの問題ではなくて、事柄によっては国の数を、投票数、賛成数が決められている。たとえば過半数の総務、すなわち各国の賛成がなくてはいけないとか、あるいは場合によっては三分の二、さらには四分の三というような、そういう事柄もあるわけです。したがって、アメリカのこの三四・五%という投票権数がもう絶対的な力を持っているとは必ずしも言えないというふうに考えます。他方、三四・五%までの投票権数をアメリカに持たすということは、逆に言うと、アメリカの開発銀行に対する出資、拠出をそれ以下にはしないという意味で、ラ米の開発途上国から見れば、アメリカの開発銀行に対する援助というものを確保する手段でもあるということさえ言えると思います。  さらに、同じ項の(b)の(i)に書いてありますように、域内の開発途上国の総投票権数は五三・五%を下がってはならないということがはっきり決められておりまして、いわば域内の開発途上国である加盟国がもしも一致して反対すれば何事もできないという、そういう体制にさえなっているということもありまして、アメリカの三四・五%云々ということが決定的な、拒否権的な存在であるというふうにはわれわれは考えておりません。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 それではもう時間もありませんから、これで終わりにしたいと思いますが、私どもの調査では、すでに日本輸出入銀行は米州開発銀行に今日まで一億五千二百万ドルの供与をしている。これまで日本の企業の中南米進出に、米州開発銀行の融資したプロジェクトをいままで利用してきたかどうか。それからまた、今後この種の問題についてはどういう見通しになるのかという点が一つ。  それから、日本がこの協定に加盟することになりますと、約一億三千万ドル、日本の円にして約三百九十億円を支払うようなことになると思うわけでありますが、先ほどの問題との関連において、果たしてこうしてまでわれわれがこれに加盟をしなければならない理由が一体どこにあるのかという問題を、改めてわれわれとしては検討せざるを得ないというふうに考えるわけであります。  私どもは、先ほど申しましたアメリカの中南米に対する政策、特に最近のキッシンジャーのああいった発言、そういうものを考えてみますと、先ほどからも論議されたように、今度の七二年の協定の改正によって日本、西ドイツその他がこれに加わるということは、結局、ある場合は肩がわりというふうなこともありますが、むしろアメリカと一緒になって中南米に対する新しい資本の進出あるいはそういう中南米に対する支配の強化、これを結果的に補完するような役割りを演じさせられる危険はないだろうか、こういう点を、先ほど申しましたいろいろな要因を分析した場合に非常にその危険性を痛感せざるを得ないわけであります。そのことが結果としては、ここに目的に書いてある発展途上国のそういう自主的な経済開発を促進するのではなくて、むしろそれを抑えるという役割りを果たす結果になるのではないかということを非常に憂えるわけであります。  そういう意味において、私どもは種々検討した結果、先ほどのOECDの金融支援基金の設立の問題と同様、この協定への参加ということについては、やはり同意するわけにはいかないという結論に達せざるを得ないわけでありますが、そうした点についての考え方を最後にもう一度ただしておきたい、こういうふうに考えるわけであります。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 まず第一の点、いままでのわが国とIDBとの関係でございますけれども、従来米州開発銀行は、非加盟国の場合には借款供与等の資金協力の額を限度として、IDBすなわち米州開発銀行の資本財源に係る調達適格性を認めてきております。そこでわが国は、いままで輸銀の借款等約一億七千万ドルの資金協力をしまして、そして現実にわが方は、いままで米州開発銀行関係の調達ではそれとほぼ同額の調達をしてきたというのが実情でございます。ただし、今後域外国が加盟するということになりますと、加盟国以外の国からの調達はできなくなるというふうに理解しております。  それから、お金のことでございますけれども、確かに一億三千万ドルということでございますけれども、実際にその全額を払うということではございません。実際にはその半分が出資金で、その残りの半分が特別業務基金にいくわけですけれども、特別業務基金の方は国債でございまして、現金で支払うわけではございません。それから出資金の方は、八三・五%は請求があったときに払うということだけでございまして、まあいわば文書、紙切れで証文を出しますよというだけのことでございまして、実際に払うのは一六・五%、しかもそのうちの半分は国債ということで、キャッシュで払う分はその出資金の一六・五%の半分だけであるというのが事実でございます。  それから最後の御質問ですが、アメリカと組んでドイツや日本がラ米の国を抑え込むんじゃないかということでございますけれども、もちろんそのような意図はございませんで、むしろ今度の域外加盟国の問題はできる限り広い地域から資金を集めて、そしてその開発銀行の資金を充実したいという域内国の願望から出てきた問題でございまして、そこで、日本とかアメリカとかイギリスがこれに応じて資金を出して、域外の加盟国になるということでございます。したがって、アメリカと組んで云々というようなことはもちろんありませんし、また実際域外加盟国の、今度加盟いたしましても、その投票権数は実際は四%前後でございまして、銀行の政策にそのようにアメリカと組んで云々というようなことはまた行えない状況でありますので、その点御了承いただきたいと思います。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 まあその辺の問題はもう少しいろいろ論議をして詰めたい点でありますが、もうかなり約束の時間をオーバーしておりますから、きょうの質問はこれで終わりたいと思います。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 津金佑近君の質疑は終わりました。  次は、渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それでは、まず経済協力開発機構金融支援基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件につきましてお伺いをさせていただきます。多少重複する点もございますので、その点は省いて申し上げたいと存じます。  国会の会期末を控えまして、きわめて限られた日程の中で本協定の審議促進が要請されているわけでありますが、どうしてそういうふうに急いでおられるのか、またこの協定が世界経済の仕組みに対してどういう意味を持っておるのか、その辺の御認識をお伺いしたいと存じます。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 先般の石油危機、それに続きます世界不況のもとで、世界じゅうの国々が大変な経済的な困難に直面しておるわけでございます。開発途上国に対しましては、先般ジャマイカでIMFの融資枠を拡大するとか、あるいはトラストファンドをつくって資金を低利な条件で供与するとか、いろいろと対策が講じられておりますが、一方先進諸国におきましては、できるだけ自力でその信用力を使いまして市場から資金を調達しようということで、この支援基金協定が構想され、そして今回でき上がったわけでございます。  いまの現状は、先生も御案内のように、たとえばイタリアのリラがフロートダウンするとか、イギリスのポンドがフロートダウンするとか、通貨情勢は必ずしも安定しておりません。それから、他方輸入制限らしきものが起きてくるとか、あるいは輸出助成措置をとろうとか、貿易面においても好ましくない風潮が出かかっているような状況でございます。したがいまして、いち早くこの基金を発足いたしまして、世界経済に安心感を与えるということが、今後の世界経済の順調な発展のためにきわめて望ましいことではないかと思っている次第でございます。  なお、ちょっと手続的なことをつけ加えさせていただきますと、この協定は九〇%以上の批准がございませんと自動的には発効いたしません。日本のシェアは一一・七%でございますので、日本の国会で御審議いただき、速やかに批准をすることが望まれておるわけでございますし、もう一つは、五月末までに参加いたしませんと原加盟国にならないということでございますが、日本がこの基金協定作成に非常に大きな役割りを果たしました立場からいいましても、ぜひ原加盟国になることが好ましいと思っておりますが、そういうふうな時間的な関係もあるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 大蔵省の国際金融局が本年一月に本基金のねらいとして配付された資料によれば、石油価格の大幅な値上げによって国際収支の困難に直面した国が貿易制限を行わないようお互いに助け合うことをねらいとする、もう一つは、世界不況の中で先進諸国が世界の景気回復のリードをとる必要があるとおっしゃっているわけですね。ただいまのお話とは大分筋の違うお話をなさっているわけですが、これはもう明らかに御説明の筋が別の方向を指しておりますが、その辺はどういう意味でございますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 ただいま御説明申し上げましたことは、先生のお読みになりました本基金のねらいをより詳細に申し上げたわけでございまして、全く同じことでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 世界的な不況が非常な勢いで進みつつあるという非常に大きな警告じみたお話で本基金の問題が説明されたようでありますが、世界不況の模様については大分お話が変わってきたようでございますし、石油価格の大幅な値上げによって貿易制限が行われている云々については、これまたその徴候は、必ずしも本金融支援基金の成立を心要としないような状況が生まれつつあるのではないかと私は思っているわけであります。ですからわざわざお伺いしているわけですが、どう思われているのですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 この金融支援基金は、一つの名前によりますと、セーフティーネットというふうに呼ばれておるわけでございます。この基金ができますとすぐにどこかの国が借りるということでもない。あるいは借りるかもしれませんが、借りないかもしれないわけでございます。つまり、ほかの手段を尽くしまして、どうしても資金に困ったときにこの基金から資金を供与するという意味におきまして、ラストリゾートであり、同時にセーフティーネットということでございます。こういったものは、先進諸国の間で、でき上がりますと非常な安心感を与えることになりまして、したがいまして、各国が国際収支の危機に直面して市場から資金調達をする場合にも、こういったものがあるから安心して貸せるのだということで市場が反応いたしますので、その意味におきまして、この基金は現在でも緊要性があると存じております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 戦後最大と言われました世界的な不況が、ようやく世界の主要先進国の景気が底入れないし回復基調を強めており、また貿易制限等の動向も目立ってまいりまして、国際収支改善の前途には幾分不安は残しているわけでありますが、この基金の貸付限度を二年間にしておりますのは、この一、二年の間に世界収支の不均衡が是正されていくという見通しが今度は逆の意味でできておるのかどうか。さっきからおっしゃっている話が、非常に妙な立場でお話しになっているように聞こえるものですからお伺いするのです。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 いろいろな角度からの御質問でございますので、なぜ二年間にしたかということの方を説明させていただきますと、先般の石油危機の影響といいますのは、国際収支面で非常に大きなものでございました。一九七四年にOPECの経常黒字が六百四十億ドルに達するという大きさでございまして、こういうことが毎年続くことはちょっと考えられないわけでございます。そうなりますと、世界経済はめちゃめちゃになってしまうわけでございます。当初の間はお金を貸したり借りたりするということでしのげるにしても、いずれは構造的に国際収支の不均衡が直らなければならない、直るべきであると考えておるわけでございます。現にいままでの各方面の試算によりましても、七四年の六百四十億ドルのOPECの黒字は、七五年には三百億ドル強になる。それから少しずつ減りまして、一九八〇年ぐらいになれば大体均衡点、あるいはマネージできる程度まで減るということでございますので、いまさしあたって必要なことは、この二年間ばかりの期間、大きな不均衡が残っておりますときに、この危機を乗り越えるための相互支援の仕組みが必要だということで二年としたけでございます。もちろん、世界経済の先を正確にいま読み取ることはできないわけでございまして、仮に万一、二年たちましても世界経済がよくならないという場合には、これを延長することも不可能ではございません。その場合には、また国会にお願いに参るわけでございますが、私どもは願望を含めて、二年間でこういう措置が要らなくなるということを望んでおるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 その二年間で枠を切らざるを得ないという問題点の中に、すでにアメリカが提唱されたこうした考え方から始まるものだろうと思うわけでありますが、この基金に対する考え方それ自体というものが、いわゆる国際協調を各国の経済政策に強制するものであり、あるいはそれに対する協調を要請するものである。ある意味では、その国家群に同一の歩調をとらせるように強いる力がこの協定にあるものだと私は思うわけです。そうしますと、この協定の問題というものが、協定審議の後の項目にも出てまいりますけれども、つまりアメリカの言う消費国の結束をはみ出す行動をとる国々、例で挙げれば、しょっちゅうそういう行動をとるとアメリカ側がときどき述べるのはフランスなどでありますでしょうが、そうした場合に、協定の目的に掲げられているエネルギー政策について協力するという観点から、その国の経済政策あるいは行動に対する歯どめの役をする、そういう意味合いをこの協定は持っているんではないか。であるからこそ、二年以上というのはとてももたない協定なのではないか、私はこう率直に思っておるわけですが、どうですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 まず第一点は、アメリカの提案からできて、消費国が団結する仕組みではないかということでございます。先ほども申し上げたのでございますが、一昨年の十一月十四日キッシンジャー長官がシカゴで演説されましたが、その中でこの金融支援基金協定と似たようなことを言っておられます。ところが、その前の十月にOECDのバン・レネップ事務総長がやはり似たような案を各国に送ってまいったわけでございます。そちらの方はコンフィデンシャルで送られてまいりましたので、余り世間には知られなかったわけでございますが、私どもが作業をいたしますきっかけとしては、むしろそっちの方に偏ってやったわけでございます。これはいきさつだけの問題でございますが、実態の方は、この協定でごらんになりますように、幾つかの点で協定作成においてアメリカが主張した点と違ったことになっておるわけであります。  これは第二点に移るわけでございますが、エネルギー政策と同一規律で各国を縛るというふうなことでございますが、それにつきましては、まずエネルギー政策とのリンクをアメリカは当初主張しておりましたが、それは私どもの反対で除去したわけでございます。  それから、各国の政策を協調的な同一のものにしようということでございますが、これもお金を借りる場合には、これは貸す方の立場もございますので、債権を確保するという意味におきまして、その国の経済政策がうまくいっているかなという点を検討はいたしますが、それ以上の内政干渉はいたしません。通常、IMFとか世銀がやっております程度においてその国の政策を検討するわけでございます。したがいまして、内政干渉的なこともございませんし、この点も、当初米国の代表は各国の政策面の協調を非常に主張したわけでございますが、金を借りないときに、何もそういうものに従う必要はないということで、これにつきましても、金を借りた場合にのみそういうふうな緩やかな規制に服するということになっておるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 どうもお話の筋が違うような気がいたして仕方がないのですが、この協定の本文を拝見いたしますと、第一条の第二項目的の(a)の(ii)「加盟国が、適当な国内経済政策及び国際経済政策(適当な国際収支政策並びにエネルギーの生産増加及び節約を促進するための協力的政策を含む。)をとることを奨励し及び助けること。」こうなっております。ということは、エネルギー政策に対する干渉がましいことは除去したとあなたは公然と言われたけれども、現実にこと基金の目的としてこれがばんと加えられている。そして、しかも貸し付けの項で見ますと、第五条貸付けの第三項の(e)「借入国は、借り入れた資金を基金の目的に従って使用することを約束する。運営委員会は、借入国の経済政策及び(c)にいう条件の実施状況を常時検討する。」こうも明確にうたわれておりますね。そうすると、いまの御説明とはちょっと違うんじゃないか。それは私はとてもうなずけないわけであります。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 第一条第二項(a)の(ii)に「加盟国が、適当な国内経済政策及び国際経済政策」その中に括弧をしていま御指摘の「(適切な国際収支政策並びにエネルギーの生産増加及び節約を促進するための協力的政策を含む。)をとること」ということになっておりますが、これはいきさつを申し上げますと、アメリカが当初エネルギー政策とのリンクをしよう、目的においてもリンクをいたしますが、貸し出しについてもリンクをしようということを言ったわけでございますが、それは不適当であるということで、さっき申し上げましたように除去したわけでございます。しかしながら、今回の基金の構想自身が、大きな石油危機の後、石油の大幅値上がりによってもたらされます国際収支の赤字対策として、金融的措置としてできたものでございますから、石油の節約とかあるいは代替エネルギーの生産の促進ということも何もいたしませんで、ガソリンをじゃんじゃん乱費するとか、どんどんむだ遣いするということですと、その国の赤字もどんどんふえますので、とてもこの基金から安心して金を貸せないということで、結局健全な政策をとるというところに一応リマインドする意味におきまして、このエネルギーについて言触れたわけでございまして、これは何も今度のOECDの基金だけでございませんで、IMFが金を貸します場合においても石油の輸入にどのくらい金を使っているか、どのくらい赤字がふえているかというふうなことを検討するわけでございまして、それと同じような意味におきまして国際収支対策の一環として見るということでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 私は納得しておりませんよ。それは第五条貸付けの項の別のところで、第三項貸付けの額及び条件の中で、(c)の(ii)「基金の目的を達成すること。」と明確に書いてありますね。だからあなたは、アメリカはエネルギー政策とリンクしようというふうに力強く言った。その程度を下げたことは譲って認めていいかもしれません。しかしながら、わが国の経済政策をこの協定においてバーターして、そしてこういう協定を結んだということは、もう避けられない、ある意味のわが国の経済政策に対する大きな一つの枠、条件というものを背負って帰ってこられている。その部分を非常にお隠しになっているのが私は奇怪な感じがするわけです。  それはなぜかというと、本協定の承認に関する提案理由の御説明の中で、それはまず一行も書かれてない。私の手に持っております。皆さんがタイプにお打ちになったこれの中にも、そういう慎重な配慮をされて、わが国外交には、わが国の内政には何も響いてなくて、いいことずくめですばらしい、ほいほいという感じがここに書かれている。それは協定というものはそういうものはあり得ないのであって、さまざまな権利とともに義務を賦課されることは当然なんですけれども、こうもお隠しになるのは深い深い意味がおありなのではないか。しかもこれほど、ほかの協定にはちょっとない、借り入れ国の経済政策を常時検討する運営委員会などというものが存在するところへ入るわけですから、これはわが国としては久しぶりに見る、それこそわが国の運命を大きく方向づけるものになるだろうと私は思うわけです。むしろそういうふうにお隠しになるよりも、これで賦課される条件はこの程度で、わが国経済政策にもたらす危険性はこの程度であるということを、この二年間にわたってこういう危険性があるということを率直にお話しになったらいかがかと私は思って伺っているわけです。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 この点につきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、エネルギー政策との自動的な結びつき、それから各国のエネルギー政策に対する制約は絶対にのむことはできないということで、これは議事録を一々つくっているわけではございませんけれども、十分確認して、エネルギー危機から出発したものでございまして、どこにもエネルギーという言葉が一言もないのはさびしいではないかというふうなことでこの括弧書きの中に入れたわけでございます。     〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕 五条に書いておりますのは、借金をする国がやはりさっき申し上げましたようにだらしない経済政策をやって金を貸してくれというのでは、日本は貸す立場になる可能性の方が多いように思いますが、貸す側にとってもこれはたまったものではございませんので、借りる方はきちっと経済政策をしてくれということでございますが、その場合にも、その国のエネルギー政策に対して干渉するとか自動的にエネルギーの消費量とこの融資を結びつけるといったようなことは毛頭ないわけでございます。これは私自身この協定の作成に参加いたしましたので、はっきり申し上げることができると思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 あなたはいまこの問題に対して議事録をちゃんとつくってないけれども、いろいろ確かめて詳しく確認してあるなんて公然とおっしゃいましたけれども、そんなことを外務省の役人が言ったらあなたはもう首ですよ。打ち合わせたことが議事録に一行もないなんて、本気ですか。それは外国に行って相談していろいろ確かめたんだけれども議事録に書いてありませんよなんて、帰ってきて全部うまくいっていますよなんて報告をするとは、まさか賢明な大蔵省の局長さんがそんなばかな交渉をするはずはないと私は信じたいです。あなたに聞きませんよ。外務省の経済局長、そういう交渉をすることはあり得るでしょうか。議事録に何も書いてない、だけれどもいろいろ打ち合わせてきて大丈夫ですよなんてことが、そんな変な交渉があり得るか。

本野盛幸外務省経済局長

○本野政府委員 まことに申しわけございませんが、実はただいまパリでやっております国際経済協力会議、これは交渉というわけじゃございませんけれども、いろいろやりとりがございます。そういうやりとりについては必ずしも議事録を設けない。むしろ非常にフリーな話し合いをしまして、そこで後で何らかの形でまとめていくということで、必ずしもあらゆる交渉を克明なる議事録をとっているということはないというふうに承知しております。申しわけございませんが、そういうことでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 では、公式議事録はそれはできてないのかもしれません。しかしその間の交渉をノートしたものはあるはずですし、手放しで交渉するなんてことはあり得ないし、本庁に対する報告もできないようなことはあり得ないだろうと私は思うのです。そうすると、一体いまのお話で出てきた話というのはちょっと異常じゃないでしょうか。公式の言葉でなくてお話しになったのはわかりますけれども、たとえばいま国際金融局長はこれで全部協定ができたんだけれども、エネルギーという文字が入ってないのはかえってさびしいから入れたんだなんておっしゃっている。さびしいとかさびしくないとかで協定というのはつくるものじゃないだろうと私は思うのです。さびしいからここのところにちょこちょこと字を入れたなんてものじゃないでしょう。しかも、だらしない経済政策をとった国があると困るから、そういうのはたしなめるために、ひとつこういう取り締まり規定をつくったんだというような言い方をなさった。だらしない経済政策をするかどうかはその国の勝手なんですよ。それにがたがた文句を言うことこそ、それを内政干渉というわけですね。あなたさっき内政干渉するものじゃないと言われたけれども、違う。まさにあなたの言う表現のとおり、この基金の目的に書いてあるとおり、これは内政干渉条約なんだ。その点を私は心配しているから言っている。しかもあなたはこれは借り入れする国の方が問題なんで、私の方はむしろ貸す方に回るだろうから内政干渉していいんだと言わんばかりのことを言われた。いつからわが国は内政干渉原則に立つ国になられたのか、さてどうも奇怪で納得がいきかねるので、その辺きれいにお答え願えませんか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 エネルギー政策及びその他の国内政策に対する内政干渉はしないわけでございまして、ほかの国際機関がやっておりますような、IMFのたとえばコンサルテーションとか、そういったことは絶えずやりまして、この債権確保をするということは、これは大事な点でございますので、それをやるわけでございます。ただ実際にどういうように運営するかというのは、今後運営委員会ができてその場でやるわけでございますが、日本は運営委員会におきましても大きなシェアを持っておりますので、先生のおっしゃいますような点をよく注意してやっていきたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 ここのところで、もしコンサルテーションのたぐいであるならば「借入国の経済政策及び(c)にいう条件の実施状況を常時検討する。」というのは、これは内政干渉そのものであると私は理解する。それが内政干渉のたぐいに及ばないというのだったら、ほかの書きようと言葉があるんじゃないですか。これは一体何を示しておるのですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 実は今回の基金協定は日本語が正文になっておりますので「常時検討する」ということで御審議いただいておるわけでございます。その作業をいたしましたときの、その気持ちとしてつくりました英文の方の正文では、キープ・アンド・レビューということになっておりまして、日本語で常時検討するといいますと、何か年がら年じゅう監視するようなことで、先生御指摘のような意味が出るかもしれませんが、その趣旨としているところはそういうことではございませんで、世銀が貸し付けをするとかあるいはアジア開銀が貸し付けをするというときにも、その国の経済情勢を調べたり、経済政策がどうなっているかというような検討をするわけでございまして、そういうふうな意味合いで規定をしたわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 日本語が正文になっているというのに英文を引いて説明したってそれはだめですよ。だから私は日本文で申し上げているんじゃないですか。それに、いいですか、もう一回基金の目的のところに戻りますよ。「適切な国際収支政並びにエネルギーの生産増加及び節約を促進するための協力的政策」とは一体何なんですか。こういうことを事前に諸外国との協定の中で約束するということは、わが国の内政に対する重大な制限あるいは重大な干渉、そうしたものが行なわれる可能性を示しておる。政策について協定で縛ったというのは、こんなものは前代未聞じゃないですか、これからやろうとする政策について。何が適切なんですか。「適切な国際収支政策並びにエネルギーの生産増加」、この「適切な国際収支政策」というのは全く不明ですよ。こんないいかげんな話は、これはもう協定文に書くべからざる内容じゃないですか。何が何だかわからない。こんなおかしな協定がありますか、本当に。何を約束されたんだか説明してもらいたい。説明するんじゃなかったら、委員会を停止して理事会を招集していただきたい。本委員会は質疑続行することは不可能ですよ、こんな問題。質疑の材料がないんだもの。何が適切だかわからないんだもの。だからここに関する議事録あるいはノートされたものをここに提出していただきたい。委員長、しかるべき御配慮をお願いしたいのですが。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 この何が適切であるかという具体的な判断は、たとえば借入国が申請したような場合に運営委員会で判断することになるわけでございますが、ここに書いてございます「適切な国際収支政策」というのは、たとえば日本の場合におきましては、その当時、そしてまたいまやっておりますような政策でございますし、それからエネルギーにつきましても、先ほど通産省から御説明ございましたような節約は政府としても努めているわけでございまして、そういったもので特に新しい負担は加わることはないというふうに解釈しております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それはあなたのいまの解釈であって、そのときの交渉の途上に出てきた言葉のようには受け取れない。したがって私はその部分について、この基金の目的の(a)の項に関し、文書において明快な御説明が本委員会に提出されるように望みます。こんなのじゃだめだよ。審議にならないよ。わからない。委員長、何とかしてください。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 いま申し上げましたのは、ただいまの解釈だけではなくて、条約策定作業を通じて、皆さんが考えたいわばコンセンサスでございます。そこで、一々議事録は、これは作業部会でございましたのでとってはいなかったわけでございますが、その締めくくりといたしまして、作業部会の議長の報告書というのがございますが、その中でも同じように「適切な国際収支政策及びエネルギーの生産増加と節約を促進するための協力的政策を含む適当な経済政策及び国際経済政策をとること」というふうな表現になっておりまして、これがさらに何であるかということは、さっき申し上げましたように具体的な借り入れ申請が起きたときに、この立法の趣旨を踏まえて解釈するということになると思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 この協定に対するただいまの御説明はまことに不可解で不明朗であります。いまのは抽象的で説明にならない。大体、いまのわが国の経済政策が、ここにある大体適当なものでございますなどということは、これはもうこんな答弁は漫画ですよ。委員長、しかるべき御配慮をお願いして、これは私、この質問を留保しますよ、この部分に関して。質疑を終わりませんよ。このまま廃案になりますよ、そうすると。私は好意的に警告しているんじゃないですか。だから、ちゃんと解釈を紙に書いて出せと言っているんですよ。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕     〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 速記を始めてください。  ただいまの問題については後刻理事会で協議をいたすことにいたします。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 委員長の御配慮に感謝いたしまして、本協定の内容というものが余りにも抽象的かつあいまいな個所がほかにもたくさんあるものですから、たとえば、ついでに申し上げますが、これはどうしてこんなことになったのかという不思議さを感じながら、形の上でまず申し上げますが、この協定の一ページ目でありますが、冒頭を拝見いたしますと、「アイスランド共和国、アイルランド、アメリカ合衆国」というふうに国名が記載されております。この協定は日本文が正文でありますから申し上げるのですが、この付表の一番後ろを拝見しますと、前に出てきていた国名と後ろに出てきた国名と全く違うんですね。見ますと、前の方は「アイスランド共和国」、後ろは「アイスランド」でしょう。前の方は「イタリア共和国、」、後ろの方は「イタリア」でしょう。じゃ、こういうものめちゃくちゃに書いたのかというと、アメリカの方は両方とも「アメリカ合衆国」でしょう。かくも色とりどり、市松模様のごとき国名が並ぶというのは、これはどういうわけなんですか。前も国名が余りひどいから条約局に私は御注意を申し上げたことがある。そうしたら今後は条約の国名についてはうまくいたしますというお話だった。きょうのこれはひど過ぎるじゃないですか。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 お答え申し上げます。  前文の冒頭に出ております国名の並べ方といいますものは、これは各国それぞれがそれぞれの自国語によって各国語の正文をつくっているようでございましたので、わが国も日本語の正文はアイウエオ順ということで日本文を作成したわけでございます。ところが付表になりますと……。「渡部(一)委員「順番じゃないですよ」と呼ぶ)国名でございますか。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 あなた、私が言ったのは順番を言ってるんじゃないんですよ。順番じゃなくて、国の称号が違うじゃないですか。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 これは後の方は一つの表として、何と申しますか原文と申しますか、それに「アイスランド」と書いてあるので、こればかりは各国ともこの点「アイスランド」だけで、別に修飾語をつけておらないわけでございます。この「アイスランド共和国」というふうに冒頭つけましたのは、これは私どもが先生の御注意をいただきまして、国名として検討した場合にどういうことになるかというときに、国名の統一表をつくりまして、それに従いまして「アイスランド共和国」というふうに正式の名称、つまり外務省で、何と申しますか、公定の国名を使っている。リストの方は別の、何と申しますか、各国がそれぞれ従っておるところのリスト、そのリストを訳したものであるということでございます。(渡部(一)委員「そんな答弁納得できません。ごまかしだよ。そんな答弁して謝らないのだったら、審議やめようじゃないですか。何言っているんだ」と呼ぶ)

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 速記を始めて。  伊達条約局参事官。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 先生の御指摘の国名の点につきましては、今後とも十分注意してまいりたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 今後とも十分注意してというのはお話になりませんよ。いま注意してないからこんな変なのができたんじゃないですか。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 今後は十分注意して条文を作成したいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 私は、この協定のように、今後国際的なさまざまな背景を考慮しつつ取り決めなければならない協定が、比較的ずさんな神経で行われることに耐えがたいので申し上げたわけであります。一つは外交案文の形式として、一つはその中身の抽象的表現について申し上げたわけであります。お話しの中身は、後ほど理事会において御配慮もあるようでありますから、この協定に対する御質問は中断させていただきまして、後ほどの理事会のお話し合いの後また取り上げさしていただきたいと存じます。  それでは、次に米州開発銀行を設立する協定について質疑をいたしたいと存じます。  本協定は、米州機構の構成国によって加盟されている米州開発銀行を取り扱うものであり、したがって、米州機構はどのような経過によって設立され、どのような機関を持ち、また今後どのような活動をしていくかという点について解明しなければならぬと存じます。  もう一点は、変貌する世界の中において、ラテンアメリカ諸国がどのような地位にあり、アメリカとの関係あるいは日本国との関係について解明されなければならないと思うわけであります。したがって、まず米州機構そのものについて二、三御質問をしたいと存じます。  まず、当機構の設立の経緯、加盟国、キューバあるいはチリとの関係、あるいはカナダとの関係等についてお伺いしたいと存じます。

内藤武外務省アメリカ局外務参事官

○内藤説明員 お答えいたします。  まず第一の点につきましては、本協定は一九四八年に設立されまして、現在の加盟国は二十五カ国でございます。それからキューバは、いっときカストロ政権のもとにおきましてキューバとアメリカ並びにその他中南米諸国との関係がやや緊迫化した時点におきまして、キューバに対する一種の中南米機構からの締め出しというような事態が起こりましたために、現在は米州機構に復帰しておりません。  それからカナダに関しましては、カナダはむしろ米州機構によってとられる政策に拘束されないということを希望する立場のようでございまして、カナダは現在米州機構に加盟しておりません。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうすると、ラテンアメリカは地理的なエリアであと加盟しない国はほかにありませんか。それはどういう理由であるか伺いたいと思います。

内藤武外務省アメリカ局外務参事官

○内藤説明員 カナダは米州内において先ほど申し上げたような理由でありますけれども、そのほかの地域といたしましては、米州内でのバハマ、旧英領から独立いたしましたけれども、まだ加盟するには至っておりません。  それからガイアナにつきましても、米州内の国ではございますけれども、まだ加盟するに至っておりません。  それからほかにスリナムも、最近に独立いたしましたけれども、これもまだ加盟するに至ってない、そういう事情でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 この米州機構の活動目的と原則について承りたいと思うのです。  活動目的の一番目に、米州大陸の平和と安全の強化を挙げ、また原則の中に集団安全保障という機構がありますが、これは米州機構は、安全保障上の問題についてはどういう活動をしているグループでありますか。

内藤武外務省アメリカ局外務参事官

○内藤説明員 米州機構は中南米地域、米州内におけるところの域内諸国に対する武力による攻撃の場合、そういった侵略に対しては共同の行動をとって防衛に当たるということになっておりますけれども、実際の手続に関しましては特別条約にこれを任しておりまして、それは全米相互援助条約というものが存在しておりまして、それによって規制されているという事情でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうすると、この全米相互援助条約というのが米州機構の実質的な軍事条約であり、本日の米州開発銀行というものが経済条約である、こういうような形で理解してよろしいのですか。

内藤武外務省アメリカ局外務参事官

○内藤説明員 先ほどからの答弁にありますように、米州開発銀行というものは必ずしも米州機構と法律的に合致しないという点がございますし、他方、いまの全米相互条約というものは米州機構によってつくられておるということで、その面において米州機構の金融面を担当することが米州開発銀行であり、他の共同防衛に関して全米相互援助条約という、そういう二つの柱という形には必ずしもなっておりません。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 この米州機構の活動を支える財源あるいは米州機構の方向性を決める機関はどういうふうになっているのでありますか。

内藤武外務省アメリカ局外務参事官

○内藤説明員 米州機構の主要な機関といたしまして、毎年一回定期的に開催される総会であるとかあるいは外務大臣協議会というようなそういうようないろいろな機関がございまして、その機関の中において米州機構の活動についての財政的負担というものを決め、そういったことによって米州機構の活動が行われているということでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 米州機構の事務局は、米州機構の中央常設機関としてワシントンにあり、五年間の事務総長を擁しておるようでありますが、この米州諸国のいかなる形の協力活動も米国の強いリーダーシップのもとに行われており、これまでも米国の政府の方針あるいは意図というものに比較的追随することが多かったものと思われるわけでありますが、現在その両国間の関係というものをどういうふうに判断しておられるか、その辺のところをお伺いしたいと存じます。

内藤武外務省アメリカ局外務参事官

○内藤説明員 米国と中南米諸国とは従来発生的に非常に特別な関係にありまして、先生のおっしゃいましたような事態もあったわけでございますが、その後、中南米諸国のナショナリズムが次第に高揚するにつれまして、中南米諸国がいよいよ自覚を高めるにつれて、必ずしも米国がとるところの政策あるいは米州機構を通じての政策などにそのまま順応するという事態にはなっておりませんで、むしろ中南米諸国は、最近におきましてできましたラテンアメリカ経済機構というような米国抜きのそういう機構をもつくるというようなことで、必ずしも従来の関係が存続しているわけではございません。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 この協定の中で特に私たちが異常な、他の協定と違う感じのする何カ所かあるわけでありますが、たとえば一般規則第七項の(b)の規定というものは、アメリカ政府の拒否権というものを実質的に認めたものではないかというような感じがするわけでありますが、その辺をどういうふうに評価されておられますか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 渡部先生おっしゃいますように、確かにアメリカは三四・五%を下らない投票権数を持つということになっておりますけれども、それは必ずしも米州開発銀行の中においてアメリカが拒否権を持つというようには解せられないと思います。と申しますのは、先ほど申し上げましたように事柄によりましては過半数、単純多数によって決められることもございますし、また同時に投票権数だけではなくて、各国が一名ずつ出しております総務の過半数によってあるいは三分の二の多数によって、場合によっては四分の三の多数によって決められなければならない事柄もあるわけです。すなわち投票権数だけではなくて、総務の過半数の、あるいは過半数以上の賛成がなければ決められないという事柄も幾つかあるわけです。そういうことを考えますと、アメリカの三四・五%以上の投票権率というものが開発銀行の中において拒否権になっているというふうには考えられないと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 この(b)の(i)、(ii)、(iii)の投票権数を加えますと、合計九二%となるわけであります。したがって、域外国の投票権数を八%で抑えることを意味するわけでありますが、どうしてこのような特定表決要件が必要なのであるか、なぜアメリカは三分の一以上の投票権数確保にこだわっておるのか、その辺についてはどういうふうに考えておられるか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 まずアメリカの三四・五%の投票権率でございますけれども、これは米州開発銀行ができました当初から原加盟国の間の合意によって決められたことでございまして、アメリカがこだわっているというよりも原加盟国の合意に基づくということでございます。  それから、今度の域外加盟国の投票権率が八%に抑えられているという点は、これは域内国の自主性と申しますか、主体性を保持するという観点から決められたことでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 いまの御説明は御説明にならないのじゃないかなと思いますね。私は米国政府の意図をどう判断されているかを承ったわけなんですが、あなたは結果から逆さにお答えになりましたので明快でない。域外国であるわが国は加盟交渉中にこうした問題についてどういう意思表示をされたか、また、日本のような域外国はこのように域外国の投票権数を特定の部類で抑えられていることについて異論、反論、注文等はなかったのか、そういったことをお伺いしたいと思います。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 域外国の投票権率が八%に抑えられているという点については、確かにこれは先ほど申し上げましたように、域内国の自主性、主体性を維持するという点から域外国としても十分理解できる点だろうと思います。現に今度域外国が加盟いたしましても、出資金の関係から八%までの投票権数は持たないで実際には三・八%、約四%にとどまるのが実情でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 同じく一般規則の第七項でありますが、この第七項の冒頭をそのまま読んでみますといかにも非常に大きな制限がつけられている。「次の事項の承認には、域外加盟国の総務の総数の三分の二以上の多数であって域外加盟国の総投票権数の四分の三以上を代表するものの合意を必要とする。」となっておりますね。これはいまの御説明でいけば、恐らく域内国の立場を尊重するための規定であるというふうにおっしゃるのだろうとは思いますけれども、それにしても、今度はアメリカの巨大な投票権数、三分の一を占める、三四・五%に至る投票権数を一方では見ている。一方では域外国は口を出すなというふうになっておりますが、この点をどう評価されておるのですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 いま渡部先生が御指摘になりました第七項の(a)は、先生がおっしゃった御趣旨とは全く反対でございまして、むしろ域外国は確かに八%に抑えられておりまして、実際には四%ぐらいに今度はとどまるわけでございますけれども、そういう域外国にとって非常に関係のある事柄については、域外国の総務の総数の三分の二以上の多数であって域外加盟国の総投票権数の四分の三以上を代表するものが賛成しなければ合意が成立しないというふうにして、むしろ域外国の立場を非常に尊重している、そういう規定でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 この協定に対してちょっと別の資料でありますが、「米、ラテン・アメリカ関係に関するリノウィッツ委員会報告」というのを「国際情勢資料」三百五十八番でここに所持しているわけでありますが、さまざまなラテンアメリカ関係に関する新しい米国政府の政策の枠組みを提案いたしております。私が非常におもしろいと思いますのは、四つの原則、そして三十三項目に上る提言をいたしているわけであります。これはアメリカ自身の中からこうした提言が出ているという点で私は注目すべきだと思うのですが、この中でIDBに関する提言が十三と十四に挙げられております。すなわち提言の十三では、「米国は、他国による拠金増加を促進するために米国の投票シェアを1/3以下に減少するか、あるいは特別運営基金に関する2/3の多数決条項を削除するよう米州開発銀行憲章の修正を提言すべきである。しかし、右提言は、IDBに対する米国の拠出金レベルを引下げない方法で達成されなければならない。」、提言の十四「米国は、米州開発銀行及びその他国際開発機構における米国の行動が、当該国際機構の一般的目的に合致し、米国の狭い政治的あるいは経済的利益に奉仕するものでないことを、確保することが必要である。」と述べております。  すなわち、ここにある考え方は、先ほど言葉をそらしておられますが、アメリカ側が自分の投票シェアをみずから三分の一に減少するとか、あるいは三分の二多数決条項を削除するとかいうことをみずから提案しょうという動きさえある中にありまして、わが国の姿勢はどうだったのかということを私は問題にいたしているわけであります。この協定の審議に当たってどういうお立場で協議をなさっておられたのか。アメリカの言うなりにこの協定をまるのみにして帰ってこられたのか。今後、この提言にあるような部分は、確かに米州諸国の大きな関心の的であろうかと思いますし、新たなるアメリカ側の良識的な改善の方向であろうかと思うわけでありますが、そういう問題についてはわが国政府はどういうふうに評価されているのか、その辺を承りたいと思います。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 いまの御質問でございますけれども、アメリカの内部で、今後米州開発銀行の中においてどういうふうにしたらいいかといういろいろな考え方があることは、それはそれとして評価できると思いますけれども、現実には、いまわれわれの手元にあるのは、御承知のとおりのアメリカが三四・五%以上の投票権数を持っということになっておる協定でございます。これは、別にアメリカが主張しているということよりも、アメリカを含むいままでの加盟国が合意をして、そういうふうに決めておるのだということで、われわれもそれを前提にしてそれを受け入れておるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうするとあなたがいまおっしゃっているのは、わが方は何もそれについて意見やコメントを言う必要はない、向こうが勝手にやったのだ、こちらはそれを見守っているだけだ、俗な言葉で言いますとこういうことになりますか。それは少しまた行き過ぎの御表現のような気がするのですけれどもね。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○大鷹説明員 もちろん域外国としては、加盟する前に交渉を行いまして、その交渉の場ではいろんなことが言えたわけでございますけれども、われわれとしましては、アメリカが三四・五%以上の投票権数を維持するということは、同時に三四・五%以上の出資をするということにつながっておりますので、これは三分の一ということでアメリカの出資分として適当だ、それを前提にして考えていいというそういう立場から、これについて特に文句を言うというようなことはいたしませんでした。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 大臣にお伺いいたします。この米州開銀に対するわが国の姿勢というものをどういうふうに評価されておるか、今後この関係をわが国政府としてはどういう方向で発展させるおつもりであるか、基本的なことを最後にお伺いしたいと思うのです。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 現在、すでにわが国の輸出入銀行とこの米州開発銀行相互の間にかなりの、一億数千万ドルの取引の実績が現実にあっておったわけでございますので、したがって、今回域外国としてこれに入るということは、従来のそのような関係から考えましても比較的自然な成り行きであったと考えておるわけでございます。  わが国としては、この貸し付けあるいは金融取引の対象になる国々とは、当然に相対の二国間のいろいろな関係を持っておりまして、それはお互いの国益のために伸ばしていきたいと考えておりますけれども、また、このような国際機構に入ることによって、おのずから加盟国とわが国との関係も深まるであろうと考えますから、この地域と相対で、いわゆるバイラテラルの関係を深めますとともに、このような共同の機構の中に入っていきまして、お互いの親善関係、友好関係を深めるために、わが国としてもできるだけの協力をいたしたいという、そのような気持ちでこの条約に加入いたしたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それでは、日本国とハンガリー人民共和国との間の通商航海条約の問題につき、二、三お尋ねをいたしたいと存じます。  この通商航海条約については、社会主義圏諸国との通商航海条約でありますが、これと類似の協定が社会主義圏諸国と結ばれた前例があるかどうか、またそれについて差異するところがあるかどうか。それは、あるとすればどういうポイントであるか、本協定との比較において述べていただきたいと思います。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 お答え申し上げます。  わが国は社会主義国、主として東ヨーロッパの諸国と、従前ほとんどの国と結んでおりまして、実を申しますと、アルバニアを除きましてハンガリーが東欧の社会主義国との間では通商航海条約として一番最後になっているわけでございます。従前のものといたしましては、比較的最近にできましたものがルーマニア、ブルガリアとの通商航海条約でございますので、それとの比較において御説明いたしますと、基本的にはこのルーマニア、ブルガリアと同じでございますが、たとえば第一条二項におきまして、身体、財産の保護、保障ということを書いてございますが、これにつきまして、内国民待遇及び最恵国待遇ということを決めてございます。ルーマニア、ブルガリアの場合には最恵国待遇だけにとどまっていたので、内国民待遇をここに規定したというのは一つの新たな事項でございます。  その他、内国民待遇を決めましたものといたしましては、二条の四項に出訴権の事項がございます。それから七条に、商船の出入港の際の待遇、それから同じく七条に、積み取り権の事項がございますが、それにつきましても最恵国待遇及び内国民待遇ということで、内国民を獲得、相互に与えているという点が相違点の一つでございます。  それから、ルーマニア、ブルガリアになかったのでございますが、第一条の三項でございますけれども、拘禁された場合の領事官の面会、通信ということを新たに規定いたしまして、お互いにそれぞれ相手国にある自国民の保護というものに関する規定を一項設けたという点が、ルーマニア、ブルガリアと異なっているということが言えると思います。  それから第九条でございますが、第九条には仲裁判断の規定を設けてございます。これはルーマニア、ブルガリアにはなかったものでございますが、商事関係の仲裁というものは、このような商事関係の紛争の仲裁ということの規定に関しまして新たな規定を設けた。新たなと申しますのは、従来ブルガリア、ルーマニアになかったものを設けたということでございまして、実は国際的な条約といたしましては、一九五八年のいわゆるニューヨーク条約、外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約というようなものがございまして、大体ここに書いてあるようなことはその条約で決まっていることでございまして、ハンガリーもわが国もこの一般的なニューヨーク条約の加盟国でございますけれども、さらにこれを二国間で改めて規定したということでございます。  主としてただいま申し上げたところが、従来結んでおりました、特に新しい形におけるルーマニア、ブルガリアとの通商航海条約よりもさらに一歩出た新しい通商航海条約でございます。  なお、先ほどアルバニアを除きましてと申し上げましたが、東ドイツ共和国とはまだ通商航海条約が締結してございませんので、訂正させていただきます。  以上でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 本協定はその意味でルーマニア、ブルガリア等の協定より前進をした形であるというふうに私も理解をいたしているものでありますが、それらの国々との協定について、すでに結ばれた協定について先方の諸国から、より完備された協定として直したいというような意思表示があった場合、わが国としては改定交渉に応ずるおつもりがございますか。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 従来結んでおる社会主義国から、この新しくできましたハンガリーとの通商航海条約を模範として、それに欠けているものを補いたいという申し出が現在のところは参っておりませんが、先生の御質問のように仮定の問題といたしましてそういう申し出があれば、その際に、これは進歩でございますので――進歩と申しますか、より詳細により懇切な内容を持ったものでございますので、その点はわれわれとしても検討にやぶさかでないということでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 この条約に関係して交換公文が取り交わされておりますが、この交換公文の持つ意図について御説明をいただきたい。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 通常、このような混合委員会を設置するというのは協定の中に入れるのが普通でございますが、これは相手もある話でございまして、相手は協定の中に入れるよりも、むしろ混合委員会の設置ということについては交換公文で行いたいということを申しましたので、混合委員会を設置するということの合意文書を交換公文という形で結んだものでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 では以上で本日の私の質疑とさせていただきます。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 速記を始めてください。  この際、藤岡国際金融局長から発言を求められております。これを許します。藤岡国際金融局長。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○藤岡政府委員 先ほどの渡部先生の御質問に関連してでございますが、本協定第一条第二項に規定する適当な経済政策を奨励するということにつきましては、石油危機以後の経済状況にかんがみ、利己的な近隣窮乏化政策をとってはいけないということでございますが、それに加えて、各国に対し、内政干渉するものではないということが交渉の過程で了解されていたのでございます。  渡部先生は、用語があいまいであるという問題を指摘されました。今後このような御指摘の点を十分留意しつつ、この種の国際金融問題についての会議に臨み、誤りなきを期したいと思います。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員長 次回は、明後十四日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十六分散会

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