科学技術振興対策特別委員会 第7号
- 発言数
- 200 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1976/05/19
会議録
○中村委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 原子力船「むつ」に関する問題調査のため、本日は、佐世保市長辻一三君、原子力船「むつ」問題を考える長崎県民会議代表鎌田定夫君、長崎県婦人団体連絡協議会会長小林ヒロ君、原子力船「むつ」活用国民運動推進協議会企画委員長佐藤経雄君、佐世保商工会議所専務理事志方清高君、長崎県漁業協同組合連合会会長住江正三君、原子力船「むつ」入港反対佐世保現地闘争本部長速見魁君及び長崎造船大学教授山川新二郎君、以上八名の方々に参考人として御出席を願っております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用のところ、本委員会に御出席くださいましてありがとうございます。 現在、政府は、原子力船「むつ」の修理を佐世保港において行うことを前提にして、長崎県及び佐世保市当局に協力要請を行っているのでありますが、本日は、原子力船「むつ」に関する問題について、現地の方々の率直な御意見をお伺いし、本問題調査の参考に資することを目的として、長崎県関係各界を代表して皆様方に御出席を願ったわけであります。どうかそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。 なお、参考人の御意見の開陳はお一人十分程度にお願いすることとし、後刻各委員から質疑の際十分お答えくださるようお願いいたします。 それでは、最初に辻参考人よりお願いをいたします。
○辻参考人 ただいま御紹介をいただいた佐世保市長の辻でございます。申し述べる前にお断りを申し上げますが、私はのどの病気で手術をして声帯を取っておりますので、このように声が十分に出ませんし、お聞き苦しいことと恐縮に存じますが、お許しを願います。 本日は、当科学技術対策振興委員会のお招きにあずかり、「むつ」問題に関し所信を申し述べる機会を得まして、まことに欣快に存じます。 資源のとぼしいわが国にとって、これから低成長時代を切り抜け、一億二千万人の国民の生活を安定成長せしめるためには、科学技術に依存しなければならないことは当然なことであります。しかも、石油危機以来、資源やエネルギーの制約など、わが国の産業構造はいまや急速に知識集約化に迫られており、科学技術振興に対する政治の果たす役割りはきわめて大なるものがあると存じます。とりわけ、脱石油の本命であり、代替エネルギーのエースとしての原子力平和利用こそは、人類の文化生活に必要な資源を維持し開発するための価値ある手段として、いまや政治、経済の体制を離れて世界のコンセンサスになっております。したがって、世界の先進国は、石油危機以来競って原子力の開発には全力を挙げて努力をいたしております。 自主、民主、公開の原則をうたった原子力基本法のもと、二十年の長きにわたってひたすら平和利用を目指し、研究開発されたわが国の原子力技術も、いまようやく実用化の段階を迎えるに至りました。しかるに、経済の成長に伴う公害の発生や自然環境の破壊に伴いまして、従来の産業技術に対する国民の不信感が高まる中で、原予力発電所の建設もまた、過度の核アレルギーと見られかねない住民運動によって大きく行き悩んでおります。また原子力船「むつ」は、洋上試験中放射線漏れを起こして政治問題化し、今日定係港に係船されたまま貴重な時間を空費しつつありますことは、原子力平和利用を願う上からまことに遺憾この上もないことであります。 産業技術は、社会に受け入れられて初めて実用化されるものであります。したがって、原子力の平和利用は、完成なくして実用化は困難であります。原子力は世紀のビッグサイエンスであり、発展途上の技術であります。したがって、必ずしも完全無欠とは言えませんが、今後、人類の英知とすぐれた技術によってこれを管理し、安全なものとし、社会福祉の向上や社会の発展に役立てる努力そのものである、かように私は考えております。 今日、わが国の原子力の成果に対し高い評価を与えるとともに、今後とも平和利用に徹し安全性を貫いてこそ、原爆被災国の悲惨な体験を前向きに解決する一つの有力な手だてであると私は信じて疑いません。 さて、船舶が大型化し高速化することは、世界の趨勢であります。重油を燃料とする在来船に比べて、原子力船が技術的にも経済的にも有利であることは、識者のひとしく認めるところであります。石油事情の悪化した現在、原子力船に対する期待はいよいよ高まりつつあります。世界の原子力船開発は、まず第一船を建造したアメリカ、ソ連、西ドイツなどの先進グループは、いまや一九八〇年代の後半に実用化を予想することを期待し、第二期の計画を進めつつあります。特に重要なことは、これらの国々は、第一船を建造することによって、その建造や運航の経験を通じて、経済性、安全性のデータを蓄積しつつあります。ドイツのオット・ハーン号などは、現在すでに四十海里近い航海をし、その間に原子力の改良に鋭意努力し、多大の成果を上げておると言われております。わが国も、来るべき原子力商船時代に備え、国民の夢と期待のもとに「むつ」は建造されました。しかし、残念ながら、放射線漏れでその開発が一時とんざしております。わが国は世界第一の海運国であり造船国であります。わが国の造船量は、建造能力において世界第一のみならず、すぐれた船舶をつくることにおいてもトップレベルにあります。今後、この世界の王座を守り通し、わが国の経済発展に貢献、寄与させるためには、積極的に技術開発に取り組み、他の世界の造船力に負けないような、すぐれた船舶をつくることのできる技術を身につけることが必要であります。そういった観点から「むつ」は、燃料対策、海運、造船施策の上からも一日も早く改修し、改善し、完成させて、その建造と運航の経験を積むはもとより、安全性と信頼性の技術を蓄積することこそ、国民に課せられた大きな課題であると思います。 わが佐世保市は、昭和三十九年以来、原子力艦艇二十二隻を迎え入れました。当初安全性の解明や確認にはきわめて苦慮いたしました。原子力は常識を超えた高度の専門知識を持つ内容を持っております。勉強もし検討もいたしましたが、技術の基礎のないわれわれには限界がございます。したがって、安全性は何をよりどころにするかといえば、わが国原子力の最高権威である原子力委員会の見解に期待する以外には手だてはございません。こういったことで今日大過なきを得ました。「むつ」問題についても、原子力工学の最高権威である方々が集まって構成されておるむつ放射線漏れ問題調査委員会や、むつ総点検・改修技術検討委員会、原子力船懇談会などの出されておる、「むつ」自体、そのような過ちはあったけれども全体として高い水準にあり、適当に修理すれば所期の目的は結構達し得る、こういった結論を全幅的に信頼するものであります。ただ残念なことは、わが国の原子力行政は、進展する社会の情勢に対応することができず、国民に信頼感を失ったことは、否み得ない事実であります。この根深い国民の不信感を払拭するには、政府は原子力行政に対する姿勢を正し、行政の責任を明確にすべきであると考えます。 去る一月十日、三木総理大臣から佐世保港の修理についての要請がございました。佐世保港は、わが国においても、修理する港としては最も適切な港であると私は信じております。しかし、賛否両論のある中に、今後私は、科学技術庁、日本原子力船開発事業団、科学者その他関係者の意見を十分に聞き、市民の各界、各層とも時間をかけて論議を尽くし、科学的事実の上に立脚し、冷静に合理的に判断をし、その選択に誤りなきを期したいと存ずる次第でございます。どうか御了承くださるようお願いいたします。 御清聴感謝いたします。(拍手)
○中村委員長 ありがとうございました。 次に、鎌田参考人にお願いいたします。
○鎌田参考人 本日は、私どものために意見陳述の機会を与えていただきましたことを、心から御礼申し上げます。 私は、長崎県の有権者の一割を占める長崎県下の被爆者と、婦人、科学者、宗教家、教師等の文化関係者と、長崎の証言の会や、長崎県自然を守る会、環境を守る会など、市民組織傘下およそ十数万の各界県民を結集する原子力船「むつ」問題を考える長崎県民会議を代表いたしまして、政府や各党の議員の皆様に率直に私どもの意見を申し述べたいと思います。 何よりもまず第一に私が証言したいことは、長崎県民の圧倒的部分が現在の政府、事業団の原子力行政と「むつ」開発に対して強い不信と批判を持っており、長崎県民は、国会で徹底的討論と圧倒的国民の合意がない限り、今後いかなる方法で地元への工作か続けられようとも、絶対に欠陥原子力船「むつ」の受け入れを拒否するだろうということであります。私どものほかに、漁民と労働者、一般市民の圧倒的部分が「むつ」受け入れに反対であることは、佐世保における政府、事業団の出先機関の安全宣伝がきわめて難航しているという地元紙の報道を見ても明らかであります。 私は、この私の証言を、次の二つの事実で裏づけたいと思います。一つは、昨年六月十八日、辻佐世保市長が「むつ」受け入れを前向きに検討する意向を表明して論議が沸騰したその以前の五月上旬に、長崎放送と広島放送が合同で調査しました被爆三十周年世論調査の結果であります。これに対する長崎県民の意識の動向はこうでございます。原子力の平和利用について、安全性や公害を心配する者七二%、神経質になるなと言う者一八%、平和利用は控えるべきだと言う者五二・七%、控えるべきでないとする者二八・五%という結果が出ています。しかも核兵器生産につながることを危惧する者が三七・五%で、心配ないとする者三二%を五・三%も上回っており、被爆者の場合の比率はさらに高くなっています。もちろん、その後の比率が一層上昇していることは予測するにかたくありません。 いま一つは、私たち「むつ」問題を考える長崎県民会議の事務局自体が、昨年秋発足当時十団体であったのが、その後二、三ヵ月で二十二団体に拡大し、しかも被爆者や婦人、科学者、一般市民などが、政治的立場の相違や従来の行きがかりを超えて大同団結し、漁民団体、労働団体との提携にも意欲を燃やし、少なくとも全有権者の半数近くが「むつ」受け入れ阻止に立ち上りつつあり、三月二十九日の長崎市議会では、ついに保守派の市民党を含めた絶対反対決議が採択され、まさに長崎県政史上かつてない事態が進行しつつあるという事実であります。 第二に、では、なぜ長崎県民は欠陥原子力船「むつ」を拒否するのかという点について、証言いたします。 言うまでもなく長崎は、広島とともに、人類最初の原爆投下により十万の県民が殺され、さらに十万の生存者がいまなお後遺症に苦しみ、不安な日々を送っています。またこれまでアメリカの原子力潜水艦ソードフィッシュ号による放射能汚染や分折化研の放射線データ捏造事件、さらには、第三水俣病事件や相次ぐ衝突、座礁事故、油流出事故などで、十万の漁民とその家族たちは絶えざる不安に脅かされております。また、かつて米軍の空襲によって市街の三分の二を焼かれ、一千名以上の死者を出した佐世保市民もまた、一日も早く戦争のくびきから解放されることを切実に願っております。そして、おかの上の市民と海の漁民とがともに手をとり合い、戦争と核公害につながる「むつ」の修理港、母港化を阻止しようという、佐世保の歴史始まって以来の事態さえ起こりつつあります。つまり、不況だから、不景気だから背に腹はかえられないということ、だから「むつ」もやむを得ないという考えでなくて、背と腹を一つにし、被爆都市長崎と軍港の佐世保の二つのこの悲劇的な運命を、一致団結することによって逆転していきたい。そして平和な、自然と調和した地元産業の発展を図っていきたい。これこそが切実な長崎県民の心底からの願いであります。 一昨年の暮れ、長崎では浅山健ちゃんという被爆三世が白血病で亡くなり、私の身近なところでも、ついこの間、紫斑病に倒れた被爆二世の少女が、絶望の余り友人と服毒自殺を図るという悲しい事故さえ起こりました。高校生の三分の一以上が被爆二世であるということを知りながら、彼らに平和と生命のとうとさを教え、広島、長崎の反原爆の声こそが、戦後三十年間地上における原子戦争の勃発を阻止してきたのだという、この事実を訴えて激励してやることさえできなかった教師としての非力を私は恥じております。そしてあえて皆様方に訴えたいと思います。 製造元の横浜や神戸、さらに青森からさえ拒絶された欠陥原子力船「むつ」を受け入れては、被爆者たちは、もう死ぬにも死ねない、あの非道な死を遂げた父、母やきょうだいだちにどうして顔を合わせられようかと強く訴えているのであります。もし原子力の平和利用が可能だとしたら、だれよりもまずこれらの被爆者こそ、そのあり方について発言し得る第一の資格者であります。また、来る日も来る日も美しい海を守り、海に生きることを誇りにしている漁民たちこそ、原子力船「むつ」を長崎県の港に受け入れるかいなか、第一に答え得る主権者ではないでしょうか。その被爆者と漁民、とりわけ青年と婦人たちが絶対反対を叫び、また、何よりも真理と真実への忠誠と国民と人類の幸福への貢献こそ知識人としての自分たちの生命だと信じている科学者や宗教家、文化人たちが、わが郷土と祖国への愛と信頼において重大な異議申し立てをしているのであります。少なくとも長崎では、政府、事業団の安全宣伝をそのまま信じている科学者は、一人もいないと断言できます。一体、政府や推進派の人々は、これらの県民や地元科学者たちの根本的批判を説得することができると信じておられるのでありましょうか。このような長崎県民の心を傷つける科学技術行政のあり方こそ、根本的に問い直されるべきだと信じます。 「むつ」の安全性や改修計画をめぐる私たちの批判点について十分に触れる余裕はありませんが、根本的な問題点を三点だけ指摘しておきます。 第一は、「むつ」改修計画か原子炉の遮蔽改修だけを考えており、十年前の安全審査の基準や基本設計そのものから根本的に検討し直すという厳しい科学的姿勢が全く欠如しているということであります。地上での同型の原子炉の事故が続発していることに目を覆い、一時的なばんそうこう張りで欠陥が是正できるはずがないという点であります。 第二に、「むつ」改修と出力航海試験が故意に切り離され、定係港も決まらないのに何が何でも佐世保での修理をやらせようという点です。基礎研究、設計、施工から出力航海試験、核燃料運搬、廃棄物の処理と、それらの全過程での監督と規制は、言うまでもなく本来一つのシステムのもとに一貫した緊密なプログラムに基づく作業を必要といたします。だが、現在の政府の説明では、大山報告の指摘など全く無視した結果になるのではないかと考えられます。 第三は、幾ら人事の入れかえや部分的改善をやったとは言え、やはり寄り合い世帯の原子力船事業団方式を継続し、放射線漏れ事故を引き起こした欠陥行政をそのまま継承しているという点であります。 政府、事業団が二月七日に「むつ」受け入れ要請をしてから、この百日間にやったことは一体何であったでしょうか。三月末で事業団法が期限切れになることを知りながら、国会での「むつ」問題討議を怠り、一方的に長崎県や佐世保に「むつ」を押しつけようというやり方ではなかったでしょうか。その証拠に、三月七日、十二名もの政府使節団か長崎に派遣されながら、県庁での説明会では被爆者や住民代表を締め出そうとし、やっと認められた会見にしてもわずか二十五分という制限つきであり、しかもそこでの私たちの質問へも、肝心な点には全くノーコメントなのであります。後で詳しい説明を送ると言いながら、なぜ被爆県長崎に「むつ」を持ってこなければならぬのか、母港さえ決められていないのに、なぜ修理だけでよいなどと言えるのかといった私たちの質問には、いまだに一片の回答もありません。それでいて一部の誘致派市民と結びついて、このようなカラー入りのパンフレット、こういうものを自治体やその他に配り、そして政府予算さえ確定していないのに、朝日、毎日、読売、長崎の各新聞にこのような大型広告を掲載しているわけであります。 その中に、こういう文章があります。「「むつ」のきわめて微量の放射線もれは」云々とありまして、「乗組員はもちろん海水や大気などの環境には何の影響もおよぼしませんでした。」という驚くべき安全宣伝をやっているのであります。一体、このような詐術的な宣伝で、政府や事業団は長崎県民をだますことができると考えておられるのでしょうか。真に住民の安全を願う良心的技術者ならば、このような誇大宣伝を心から恥じるはずだと信じます。わずか一・四%の出力試験だけで予想の千倍を超える放射線が漏れ、最近では第一次冷却水からセシウム137さえ検出されたと伝えられているのですから、事はきわめて重大だと考えます。 このような事業団のやり方、特に国民の血税を使い、社会の公器たる大新聞の広告欄を利用し、一部の賛成派市民と結びついて安全宣伝を進めるというやり方は、著しく社会的公正の原則に反するものであります。 政府、事業団の皆様は、この三月以来、長崎県議会と佐世保市議会では、「むつ」受け入れ反対の私たちの請願が継続審議中であり、また、長崎市議会では絶対反対を決議し全県民の深い共感を呼んでいることを、一体どのように考えておられるのでしょうか。事業団が期限切れになりながら、なおも長崎県に出先機関が居座り、かかる無責任な一方的安全宣伝が放置されていることを、全国民の代表である国会議員の諸先生は、どのように考えておられるのでしょうか。これこそ地方自治体と住民無視であり、議会制民主主義の軽視と言えないでしょうか。 対立と抗争を好まず、優しさと友愛の精神をこそその身上とする長崎県民にとっても、もうこれ以上はがまんができないというのが私たちの率直な声であります。 以上で私の陳情を終わらしていただきます。(拍手)
○中村委員長 ありがとうございました。 次に、小林参考人にお願いいたします。
○小林参考人 私は長崎県下の被爆者と長崎県地域婦人団体とを代表して立たせていただきました。 現在、原子力開発の安全性や国民的合意の確立されていない現状では、原子船「むつ」の佐世保市受け入れについては、いかなる名目といえども、修理港、母港を問わずこれに絶対反対いたします。これはまさに、被爆県、水産県たる長崎県民の心と意思をきわめて明確に表明するものでございます。 原子力の開発は、平和利用三原則に立つべきであって、そのためには、まず軍事利用への歯どめとなるべき非核三原則の立法化、被爆者援護法の制定、放射線障害の研究治療体制の完備こそ大前提であると思います。 「むつ」の放射能漏れ事故後一年半で、安全性については何ら科学的、技術的保証も行われず、周辺への汚染、人体への放射能汚染対策も行われず、何もやらないで、どこにも受け入れられないから長崎へとは、まことに長崎県民を愚民扱いをしております。受け入れるところがなければ、造船した責任上、石川島播磨造船になぜ持っていかないのでしょうか。また、修理の結果を見るためには、やはり生まれ故郷の三菱工業にも持っていくべきです。 長崎県は、原爆を受けて以来三十年、心身ともに病体であると言えます。昨年の被爆三十周年に市長主催の平和式典を行いました。被爆者代表山口仙二氏の平和への誓いの中で、突然「むつ」入港反対を力強く訴えました。一同は心打たれたのであります。すべての人の念願でもあり、この際の大衆の念願でもあることを確認いたしました。 第二に、男性で三十八歳の人がおります。この人は七歳のとき被爆、その後貧血がひどく、ひどいときには一週間に一度の割合で、長崎原研内科より輸血のため血液を持って飛んできていただくことになっております。本人も医者も、これはどうすることもできぬ普通輸血はだめの業病で、原研の協力で三十年以上これを続けて生きております。これは人の力でどうすることもできない状態です。被爆患者の救いのない状態をどうぞわかっていただきたいと思います。 長崎市内、現在、被爆患者数は八万三千二百八十九名を数えております。この被爆患者は毎年千名以上死亡しつつあるのでございます。 原爆病院入院患者の病名はがんが最も多く、一八%を計上いたしております。死亡者は一般市内の患者もがんが多く、六六%を計上しております。被爆二世が白血病で死亡しましたが、この人たちにも原爆後障害が次々に著しいものが出て、そしてついに死に至りました。被爆の結果につき、これというめどがつかないままに、一般長崎市民の運命はすべてこれに結びつき、死を急いでいるというような状態です。これは被爆死が、長崎市だけでなく、長崎県民の全体に結びつく状態です。原爆が市民の運命を死と結びつけた長崎市民が、原子力船を心より忌みきらう理由は、この大きな自分たちの運命を見詰めてきたために強いものがあろうと思います。達者であっても被爆者の私も、同じくがんと糖尿病がついて回っております。七十八歳にもなりますが、乳がんは二年前に切除、糖尿病は目下治療しながら私について回っております。私も強い被爆者なのでございます。 本日、論議の目標は、なぜ修理港を急いで決める必要があるのか。これは青森で試験を求められてはっきりと断わられた「むつ」が、なぜ佐世保に安全として受け入れられる要請がなされるのでございましょうか。私は大きな疑義を持っております。修繕港を求めても、遮蔽設備改修のほか何をやろうというのか。原子炉本体、蒸気発生器には欠陥はないとはっきり説明することができましょうか。「むつ」を佐世保に持っていくため、原子力船内は汚染されていないと立証する原子力船開発事業団の事前調査の結果、放射性物質が検出されているという、そのことが二、三日前の朝日新聞に出ております。これがそうなのでございます。社会全体に報道されたこのことだけでも、「むつ」は大丈夫だと言う人たちに、よくこういうことを気をつけて見てもらいたいと思います。 私たちはうそやごまかしは申しません。いまの修理港での制御棒駆動試験に放射能の危険はないのかと私たちは念を押して、冷却水が漏れ出るおそれはないかと一々説明し、衆人の納得を得るように、健全であるということの説明を求めるつもりでございましたが、その以前にこうして朝日新聞に堂々と、これが大きな欠陥を持っているということが報道されました。これはセシウム137という物質が検出されているという現在の状態でございます。 被爆県、水産県たる長崎県に、このような「むつ」を持ち込もうとするのに、どのような配慮をいままでしているのか。私どもは、ただそうでございますかと素直にそれに従うわけにはいきません。道理と真実は最後には勝利をいたします。被爆県民の心を傷つける威圧的な「むつ」押しつけは必ず破綻せざるを得ない、これを私どもは確信しております。被爆者と漁民、労働者、市民、科学者たちの揺ぎのない連帯と断固たる行動こそ、「むつ」問題解決への真の原動力であることを私は確信し、はっきりと申し上げて私の陳述を終わろうといたしております。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○中村委員長 ありがとうございました。 次に、佐藤参考人にお願いいたします。
○佐藤参考人 原子力船「むつ」活用国民運動推進協議会の仕事をやっておりまする佐藤経雄であります。 実は佐世保市の教育委員会が、このほど、佐世保におきますいろいろな市民運動に対して、市民の関心度がどの程度かという調査をいたしました。調査の中には、交通安全市民運動、また老人福祉市民運動ともろもろの市民運動がありますが、その中に原子力船「むつ」の市民運動も調査項目の一つに挙げておったのであります。調査の結果を聞きますと、男女ともに原子力船「むつ」に関する市民運動に一番関心が深い、こういうことが市の教育委員会の調査結果で明らかになったわけであります。それほど現在の佐世保市にとっては、「むつ」問題は世論の大きな高まりを見ておるわけであります。そういうときに、私どもこの国会に参考人としてお呼びいただきましたことは、まことにありがたいことであろうと考えます。 結論的に申し上げますと、私どもは、現在の「むつ」を速やかに改修して、一日も早く出力上昇試験を再開して、その実験データの中から、舶用炉に関する理論並びに技術、同時に経験、これを一日も早く蓄積してもらわないと、日本の原子力船は世界の列から相当なおくれを来すのではないか、このように憂えるものであります。そういうことから、私どもは、速やかに「むつ」の改修、そして実験再開、こういうことを願っておりまして、この立場からいたしますと、現在の佐世保市民の多くの人たちが政府の要請に対して協力するであろう、そのような確信を持っておる次第であります。 それから第二には、これはもう意見と申しますよりもお願いでございますけれども、最近の報道で、事業団法が三月三十一日で切れた、したがって事業団はもう死んでいるのだという御議論、いやそうでなくて生きているのだという御議論、私は立法府におきましては、当然法律的な論争というものがあってしかるべきと思いますけれども、私ども地方の住民にとりましては、法律論争よりも、実際に事業団が日本にとっていま必要なのか必要でないのか、「むつ」が実験船としての使命が終わったのか終わっていないのか、そういう具体的な問題で諸先生方の審議がその結果を明らかにしていただきたい、これが私ども地方住民の願いであります。 三番目には、これも意見というよりも要望、お願いということになりますけれども、先ごろ科学技術庁、運輸省からいろいろな資料を私ども佐世保市民はいただいたわけであります。もとより三木総理の修理港受け入れの正式要請があってからのことでありますけれども、その資料をつぶさに見ておりますと、十年、二十年後には必ず原子力商船時代が来るのだということが強調してあるわけであります。そうであるならば、私どもは、核燃料サイクルの問題はどういうふうに国として基本的にお考えになっておるのか、そういうことをお示しいただきたい。通産省から二兆四千億に上る核燃料サイクルの計画の新聞発表がございましたし、また日本と豪州の日豪議員連盟の方々の中にも、豪州に太平洋核燃料サイクルセンターをつくるというお話もあるやに新聞で拝見いたしておりますけれども、こういうことが一貫した国の原子力行政としてどのようになされておるのか、その辺をしっかり私ども国民に、特に佐世保市、長崎県民にお示しいただきたい、このように考えておるわけであります。私ども、賛成派、反対派を問わず、使用済み核燃料の再処理をどういうふうになさるのか、こういうことが共通的な関心事でありますので、核燃料サイクルの点については、なるべく早い機会に一貫された方針を聞かせていただきたいと思うのであります。 そのほか、原子力商船時代が来るというならば、日本に母港が一つでいいのか、あるいは複数あった方がいいのか、こういうことも地元民として大変関心のあるところであります。また同時に、原子力船を建造するときにおきまして、恐らく在来船よりも原子力船の建造の方が費用が倍以上かかろうかと存じますので、その価格差というものを国がどのように補償されるのか、そういうふうなことを原子力行政としてお示しいただくことが、今日の国民、特に私どもが、原子力行政に対するいままで持っておりました不信を払拭するものではなかろうか、このようにも考えるわけであります。 最後には、これも賛成反対両派を通じて思っておることでありますが、佐世保に「むつ」の修理港要請かあった時点におきまして、修理港と母港がワンセットでなければ本当の修理が完成したかどうかはわからないのではないか、こういう素朴な議論があったのであります。しかし、こういうことは、私どもが考える範囲の外で、大きな視野から御検討をいただいておるのであろうと推察はいたしますけれども、やはり私どもにとっては素朴な疑問の一つであります。 以上、いろいろ考えましたけれども、長期展望に立った場合には、母港の問題あるいは建造費の補給の問題あるいは母港が単数か複数かという問題、にわかな判断はお示しできないと思うのであります。 そこで私は、最後に、当初申し上げましたとおり、一日も早く「むつ」を改修されまして、そして出力上昇試験の再開をしていただいて、日本が外国に負けないように理論、技術、経験の蓄積をお願いしたい、こういうふうに思っておるわけであります。同時に、日本が外国より、ソ連に比べて十九年、アメリカに比べて十六年のおくれをとっておりますので、私は、この際事業団に、自主的な運営の幅と、同時にまた空白を早く埋めるためには、大幅な予算をお与えいただいて、世界の先進国に負けないような十二分な活動が一日も早くできることを念願してやまない次第であります。 私どもは、こういう賛成を申し上げるためには、むつ市にも参りましたし、また東海村にも参りましたし、私どものお隣の佐賀県の玄海町の玄海原発は数度にわたって見学いたしまして、原子力の安全性というものを素人ながら認識しておるわけであります。特に感銘を受けましたのは、あの「むつ」の原子炉を作成された三菱原子力工業の津田常務、主任の技師をされた藤永取締役が、長崎であの原爆の洗礼を受けた被災者であるということをお聞きしたことであります。両氏は、長崎で原爆を味わったからこそ、私はあの時点からこの原子力の平和利用ということに今日まで取り組んでまいりました、そういうお話を伺ったことは大変感銘深いものであったと、今日でも記憶いたしておる次第であります。 どうぞ速やかなる「むつ」の開発に、私どもの願いが達せられるようお願い申し上げまして、意見にかえさせていただきます。 大変ありがとうございました。(拍手)
○中村委員長 ありがとうございました。 次に、志方参考人にお願いいたします。
○志方参考人 私は、佐世保商工会議所の専務でございます。したがって、これから、皆様方のおっしゃることとは、大分違った考え方を申し述べさせていただきたいと思うわけでございます。 なぜ「むつ」修理受け入れに賛成するかということでございますが、その根本問題につきまして、ちょうど昨年、一年前でございます。長崎県は御承知のように造船の県でございます。造船不況対策推進協議会と申しますか、そういうものが長崎県内あるいは佐世保市内にできましたのが、ちょうど一年前、もっと後でございますか、この不況問題につきまして、私たちは何とかこの不況を切り抜けねばならぬのじゃないかというような考え方でございます。 歴史を申し上げますと大変失礼でございますが、佐世保は、終戦後、御承知のようにアメリカ軍の占領下になりまして、平和都市宣言もやったことがございます。しかし、朝鮮動乱が勃発いたしまして、米軍基地になったわけでございます。特需の町佐世保ということは、当時県北の中心といたしましても、佐世保は特需の町だというようなことを盛んに言われたわけでございますが、さらにもう一つは、県北一体に佐世保炭田がございました。昭和二十八年には百十七の炭鉱があったわけでございます。現在はそれが壊滅いたしております。 そういうことで、大島造船あるいは伊万里の名村造船、SSKと三菱の長崎造船所の四つ、それに有明の日立造船もございますが、一時は造船ゾーンとしての形成で、佐世保・長崎圏ははなはだチャンスに恵まれたような時期があったのでございます。 ところが、それが一年か二年後に、昨年のちょうどいまごろは、造船不況の波が押し寄せてくるということになった次第でございます。炭鉱が百十七もありましたときには、従業員が二万五千人からおったわけでございます。これは昭和二十八年ごろでございます。米軍の特需にいたしましても、昭和二十八、九年は約百億円の米軍の特需があったわけでございます。従業員が八千三百人、そういう時代でございましたが、御承知のように佐世保地区は、米軍の縮小がございますし、造船不況のダブルパンチを食っておる次第でございます。したがって、長崎と比較いたしましても、佐世保は非常な不況の今後が予想される次第でございます。現在米軍の特需が約五十億前後でございます。最近の駐留軍従業員が七百二十名でございます。 ところが、昨年の造船不況に伴いまして、下請関係が昨年の三月は三千六百人からおったのでございますが、本年の三月は約千人、二千六百名の減少でございます。SSKの本工はまだそれほど減少いたしておりませんが、これを長崎県といたしまして、造船不況にどういう影響があるだろうかという数字を、昨年統計課の方ではじいた数字が出てきておるのでございますが、とにかく現在までは、佐世保も長崎もでございますが、不況と申しましても、ほかの都市と比較いたしましてまだ何とかなっていっておる状態でございますが、来年度、再来年度になりますと、その不況の落ち込みは大変なことになるという予想でございます。その危機感の上に立って、何らかのことをせねばならぬのじゃないかというのが、工業・商業業者の間の考え方でございます。 SSKの発表いたしました予想は、五十年当初の計画を一〇〇といたしまして、五十二年度は操業予定が七三%でございます。ところが、所内下請は四一%、加工外注が四〇%に低下するという予想でございます。これは三菱の長崎造船所もほとんど同じような数字に予想されておるわけでございます。これを現実の問題といたしまして、佐世保の公共職業安定所の数字から申し上げてみたいと思いますが、求人倍率が一を割ったのは四十九年の十月でございます。その後ずっと低下いたしまして、今年度五十一年度になりましてからは、〇・四五%前後という求人倍率でございます。いかに今後が思いやられるかということでございます。 そういういろいろな数字から考えまして、佐世保を中心といたしまして、経済的に何らかのことをやらないと、今後は二十五万市民の人口減少につながるという不安が大変あるわけでございまして、そういう立場から、実は「むつ」の修理受け入れもあえて考えねばならぬのじゃないかというのが商工業者の考え方でございます。この問題につきまして、以上申し上げました。 その次は、原子力エネルギーにつきまして、どういう世界の動きだ、日本がどういうことであるかというようなことは、すでに諸先生方が私以上にお詳しいことだろうと思います。そういうことで、原潜の経験とか、そういう問題については、市長さんもお話がございましたから、つけ加える必要はないと思いますが、佐世保港の将来のことを考えますときに、私たちは、どうしても佐世保の現在の人口を幾らかでもふやすような方法をやらねばならぬのじゃないかというような考え方でございます。ただし、先ほど小林先生がおっしゃいましたように、長崎県は御承知のように被爆県でございます。さらに長崎県は水産業主体の県でございます。これは四十八年でございますけれども、水産業の比率が、産業別の長崎県の生産額から申しますと、八%でございます。鉱業が二・五%、建設業が二五%で、製造業が五五・八%でございます。これは昭和四十八年で少し古うございますけれども、そのうちの輸送部門というものが約三〇%を占めておるということでございます。佐世保市に限って申し上げますと、工業生産額が四十九年度で約千四百億円でございます。SSKが約八百億円でございます。関連の企業の総生産額を加えますと六割以上になるわけでございます。その六割以上の生産をしておりましたSSKが、二割ダウンするということになりました結果、どうなるかということでございます。 先ほどのSSKの計画から申し上げますと、七三%が操業予定でございますが、三割ダウンした場合に、長崎県で示しました産業連関表による直接の減少並びに間接の減少の数字が、実は出ておるわけでございますが、これは昨年の九月に県の統計課で試算したものでございます。三〇%ダウンした場合に長崎県にどういう影響を及ぼすであろうかということでございます。これは五十二年度にはすでにそういうところに落ちつくものと思われるのでございますが、第一次産業が二十一億円、第二次産業が千六十一億円、第三次産業が二百五十三億円の生産額の減少という数字が出たわけでございます。その第三次産業だけ見てみましても二百五十三億円でございます。二百五十三億円というのは、昭和四十九年度の長崎県の四つの百貨店の総売り上げが二百六十億円でございます。いかに長崎県の不況というものが深刻に今後落ち込みつつあるということを諸先生方にはよく理解していただきまして、われわれの何とかこの不況を食いとめたいという考え方を御理解願えれば大変ありがたいと思うわけでございます。 以上、「むつ」修理受け入れをきっかけといたしましたその考え方は、日本全体からいたしますと底をついたと言われておりますけれども、長崎県に限りましては今後なお深刻な不況が出てくるということ。そういたしますと、修理港受け入れが直接メリットにならぬではないかという反論もございますけれども、長崎県の経済の向上、生産額の向上につながる一つのきっかけになりはしないだろうかというのが私たちの考え方でございます。もちろん被爆県でもございますし、先ほども水産業関係が非常に長崎県は大きなウエートを占めておりますから、私がここでお願いいたしたいことは、原爆と核エネルギーの問題「むつ」の問題、それをはっきりとひとつ一般県民、市民に御説明願いたいと思うことでございます。私が勉強いたしました限りにおいては、その点ははっきり御説明願っておるわけでございますが、一般県民、市民につきましても、その宣伝がまだまだ行き届いていないというような感じが痛切にするわけでございます。したがって、政府御当局も、先生方も、ひとつこの原爆と核エネルギーというものをはっきり分けることを一般の県民、市民に納得のいくような御説明をしていただきたい。また県民、市民も、初めから話を聞く必要がないというようなムードがございますけれども、そういうことではなしに、本当にその限界をはっきり認識するような勉強もしていただきたい。 さらに、もう一つ申し上げたいのは、技術というものは、私から申し上げるほどもございませんが、一つ一つの積み重ねでございます。一年や二年で完成し得るものではございません。その間にいろいろな問題がありましょうけれども、それを一つ一つ征服していって初めて技術というものは完成することだろうと思います。これは宇宙問題にいたしましても、原子力問題にいたしましても同じことだろうと思いますから、一日も早くこの問題を政府の方で一般に徹底するようなPRのほどをお願いいたしたいと思う次第でございます。 大変つじつまの合わぬような話も申し上げたかもわかりませんが、よろしくどうぞ、商工業界、業界の考え方はそういう意味でございますから、おくみ取りの上、今後の施策に十分反映していただきますことを心からお願いいたしまして、私の証言にかえさせていただきたいと思います。 最後まで御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○中村委員長 ありがとうございました。 次に、住江参考人にお願いいたします。
○住江参考人 私は、長崎県漁業協同組合連合会会長の住江正三でございます。 このたび、本委員会の参考人として原子力船「むつ」問題について意見を申し述べる機会を与えていただき、県下百六十七漁業協同組合会員一同にかわり厚くお礼を申し上げます。 ただいままでの参考人の賛成の方々の御意見を聞きますと、佐世保市浮揚のための誘致だというように受け取られる御発言が多いようでございますが、私たち長崎県下五万の漁協組合員とその家族は、原子力船「むつ」の修理港、母港のいかんを問わず、受け入れに対し絶対反対の基本姿勢を堅持しております。すなわち、わが長崎県は、広大な海域に内湾と六百有余の島嶼から成る紆余曲折に富む全国一の海岸線三千八百二十五キロメートルを有し、暖流、冷水の複雑な水系のもとに、天与の好漁場環境と多種の豊富な水産資源に恵まれて、水産業は本県基幹産業の一つとして発達し、昭和四十九年、水揚げ量七十四万三千トン、金額一千七十一億円の生産を上げている、北海道に次ぐ全国有数の水産県であることをまず御理解いただきたいのであります。 元来、米と魚は私たち日本人の食生活の中心であって、変動著しい今日においても、動物性たん白食糧の過半を魚に依存しており、したがって漁民は、板子一枚下は地獄という過酷な海洋条件にもめげず、日本国民の健康と暮らしを守る重要な食糧産業の一翼を担う社会的使命を果たすため、毎日の過激な漁労に励んでおります。また、私たち沿岸漁民は、漁業によって生活を維持し、それが生きがいであり、子孫に伝える唯一の財産であると確信しており、きれいな海と魚を守ることが、全国民に対する漁民の大きな責務であると自認しております。 このような、日本国民の食生活と漁民の生活を守るという生活防衛の立場から、この生活目的を失わせるおそれのある「むつ」受け入れは、全国漁民の納得はもとより、国民的合意が得られない限り、絶対に阻止するというのが反対の基本的態度であります。したがって、過去、高度経済成長の名のもとに、稚魚産卵育成の沿岸漁場が埋め立てられ、廃棄物がたれ流され、いわゆる取り返しのつかない海洋汚染公害のしわ寄せを受け、ほとんどが補償低利融資、転職などで妥協させられ、結果は、漁場荒廃、資源枯渇という厳しいツケを回された経過を反省し、もはや経済的受益では前述の生活目的を達成することはできないという認識に立って、見返り条件と引きかえに本問題を解決すべきではないというのが漁民の基本的な考え方であります。 以下、私たち漁民の反対理由を具体的に申し述べたいと存じます。 原子力船「むつ」は、昭和四十九年九月、放射線漏れ事故を起こした欠陥船であり、同じ型の原子炉を持つ原子力発電でも、過去、数多くの事故例が明らかにされており、今後、修理や試験の段階でどのような事故が再び起こるかわからないという不安が解消されておりません。 昭和四十八年の第三水俣病事件で、魚価は大暴落し、魚は捨てられ、漁民も消費者も多大の損失をこうむりました。また、佐世保港に去来した原潜、空母、特に昭和四十三年五月にはソードフィッシュ号によると思われる放射能汚染により、地元漁民五組合で約三千五百万円にも上る直接被害を出しております。間接被害を加えますと恐らく数億に上ったであろうと予想されております。しかも五十日以上も沖にも出られず、土木土方として働いたという過去の苦い経験を持っており、もし「むつ」受け入れによってたとえ微量でも放射線漏れを起こしますと、その影響ははかり知れないものがあり、二度とあの悲劇は味わいたくありません。 次に、船舶の場合、固定した陸上施設と異なり、衝突、沈没、座礁など、大事故につながる海難事故が年々増加しており、つい先日も、本県有数の漁場で、約八千トンのゴールデンリーダー号が座礁、沈没いたしまして、六百トンに及ぶ重油が流れ、現在もなお漁民が漁をやめて防除に追われているという、全くやりきれない事故がありましたが、過去五カ年間の事故統計を見ましても約千四百六十件、しかも沿岸五マイル以内でございます。「むつ」に限ってこのような海難事故はない、安全だという保証は絶対ありません。 また、核燃料サイクルの中で、特に使用済み燃料の再加工、廃棄物処理などはまだ実験段階で、外国に依存しており、その安全性は確かめられないまま、無責任にも開発の方が先行しているのが実態であろうかと思います。 青森県下の沿岸漁民が実力をもって抵抗し、「むつ」の撤去を要求しているわけでございますが、全く同じ立場にある長崎県の私たち漁民がなぜ受け入れなければならないのかということであります。陸奥湾でホタテガイの養殖が盛んであるのと同じように、本県沿岸、特に佐世保を取り巻ぐ各五島、壱岐、県南地区におきましては、タイ、ハマチの養殖、釣り、はえなわ、網漁業、採貝、採草の多種にわたって漁業が営まれており、「むつ」に対する不安は、青森県漁民にまさるとも劣らない同じ条件にあることを御理解いただきたいのであります。しかも、長崎県漁民の反対の意思は全国漁連の総会でも決議され、昨年十二月九日の全国一万人の漁民大会における突破大会においても再確認され、全国五十万漁民の全面的支援を受けております。したがって「むつ」問題は、一長崎県、さらには佐世保港という局地的問題として処理されようとしている政府の態度には、基本的な誤りがあろうかと思います。 特に強調したいのは、漁民の素朴な疑問として、仮に政府が主張するように「むつ」が安全であるならば、漁民の常識として、なぜつくったところで修理ができないのか、わざわざ、全国有数の水産県であり、しかも世界でも類を見ない被爆県にあえて要請しなければならなかった理由がどこにあるのか、政府の真意が全く理解できないのであります。修理可能なドックがあり、放射能監視施設があるからという選択基準では、とても私たちは納得できないわけでございます。 青森県漁民の反対を押し切って強行出航のあげく、放射線漏れ事故を起こした当時の経過から見て、政府当局のかたくなな進め方や原子力船開発事業団の無責任な開発体制に対し、全国民が信頼感を失ったことは御承知のとおりであります。本県が撤去後の候補地として報道された以後も、対馬母港化の白紙還元、数度にわたる正式要請時期の変更に終始し、私たち漁民のたび重なる反対陳情あるいは抗議にもかかわらず、突如、政府代表として長官みずからが来県し、抜き打ち要請するなど、地域住民を全く無視した行動は、事故当時より一歩も改められていないと判断せざるを得ないのであります。したがって、行政に対する不信が解消されない限り、いかに政府当局が一方的に力説されても、安全性に対する疑問や、修理がずるずると母港化につながるという不安がつきまとうのは、当然であります。 以上、反対理由の一端を述べました。私たち漁民は、しょせん素人ですから、技術的、専門的問題は熟知いたしておりませんが、第一線で活躍する学者、専門家の間でも、権威ある諸先生が問題提起しているいきさつから考えまして、いたずらに修理港、母港を模索する以前の問題として、失墜した国民からの信頼を取り戻すため、伝えられるような一長崎県による安全性審議ではなく、もっと国政レベルでさらに徹底究明し、提言する専門学者の意見を率直に受け入れ、自主、民主、公開の基本原則を忠実に履行して基本から再出発し、全国漁民はもとより、大多数の国民が安全性を確認するよう国民的合意を得て初めて、「むつ」の方向づけが決まるものと確信する次第であります。 私たち漁協組織は、政治的立場やイデオロギーの相違から反対しているのではなく、漁民は生活維持のために毎日沖に出て、海洋法会議に見られる二百マイル経済水域時代を迎えて、ますます貴重となる魚を国民の食前にささげるというささやかな誇りを持って精一ぱい生きております。その漁民が漁まで休んで、節くれ立った手で反対署名し、ビラを配布し、プラカードを持って真剣に反対運動に家族ぐるみで取り組み、最後まで「むつ」受け入れを絶対阻止することを決意しております。 この悲痛な覚悟と素朴な願いに、何とぞ諸先生の温かい御理解を賜りますよう懇願申し上げ、参考人の意見といたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○中村委員長 ありがとうございました。 次に、速見参考人にお願いいたします。
○速見参考人 私は、長崎県下全労働者、原水爆禁止を訴える県民並びに市民を代表いたしまして、佐世保現地闘争本部長をいたしております速見でございますが、「むつ」の佐世保修理港絶対反対の立場から意見を申し上げたいと思います。 まず第一は、世界で唯一の原爆の洗礼を受けた県民であり、十数万のとうとい生命を絶たれ、なお本日原爆の後遺症に悩む数多い原爆被災者がいることを知っていただきたいというぐあいに考えます。 先ほどの意見の中にも、原爆と核エネルギーの問題についてもっと県民に知らしてほしいという発言がありましたけれども、しょせん、放射線被曝の危険性なり遺伝に及ぼす影響には、原爆であろうとも何ら変わりはないわけであります。現に数多い原子力発電所での被曝労働者がいることを私たちは知っています。同時に、人間に無害だという許容限度が存在すること自体、公衆に危険があるというぐあいに私は判断をいたします。 最近の事故の例をとって見ましても、原子力研究所における放射能を帯びた冷却水の漏水事故、あるいは十年間もの隠蔽をするという、このようなむちゃくちゃな原子力行政、原子力研究所のあり方に、実は憤りを感じておる一人でもございます。このような無神経ぶりな態度こそ改めていただきたい、私はこのように考えるわけであります。 また水産県の立場からは、先ほど住江会長からもお話がありました。私も同感であります。どうかその点を十二分にお考えいただきたい、このように考えます。 第二は、素朴な佐世保の市民の感情として、先ほどもお話がありましたけれども、安全ならば建造したところでなぜ修理ができないのか、この疑問は佐世保市民の全体か持っておるところであります。恐らく、本日賛成の立場からお話がありました賛成者の人、あるいは辻市長たりとも、このことについての意見の対立はないというぐあいに私は考えます。現に長崎県会で久保長崎県知事も、このことに限り、そのとおり筋については自分も認められる、このような答弁をいたしておるわけであります。「むつ」放射線漏れ問題調査委員会の指摘のとおり、実験段階で予測された事故であるだけに、発注者と受注者、この共同責任というものをやはり私は明確にしてほしいわけであります。少なくとも総合的性能保証をなすべきが道理ではないでしょうか。縁もゆかりもない佐世保に持ってこようとするこの意図は、他に目的があってのことではないかというぐあいに私は考えるわけであります。 ごく一部の賛成者の人たちが、原子力の平和利用あるいはエネルギー問題等について意見があるようであります。むしろ国策として考えるべきだというお話もございます。しかし、巨額の資金を投入をして「むつ」を建造し、そして五年もかかり巨額の費用を投じて「むつ」母港をつくったいきさつからいきまして、ほかに修理港を求めたり、あるいは新しい母港をつくるということは、これこそ国費の浪費ではないかというぐあいに私は考えるわけであります。同時に、佐世保で修理をする、佐世保のSSKで修理をやってもらうという要請でありますけれども、現に佐世保のSSKの中には、このような原子力の専門的な技術員は一人もおりません。最近プロジェクトチームをつくって研究をするという会社の発表があっておりますけれども、そのような状況の中でこの「むつ」の改修をやるということになれば、当然、原子炉をつくった三菱原子力工業から派遣をされる技術陣によって改修が行われる、このように考えるわけでありますけれども、そうなればなおさらのこと、経費というものは高くつくのではないかというぐあいに私は考えるわけであります。少なくとも政府と事業団、メーカーは、この際明らかにみずからの責任を果たしてほしい、このことを主張しておきたいというぐあいに考えるわけであります。 第三は、佐世保に修理港を求めた背景に大きな落とし穴があるのではないか、このような疑念を実は持っております。 その一つは、従来、政府の言動、あるいは過去の無理やりにアメリカの原子力潜水艦やエンタープライズを佐世保に入れた、原子力艦艇を入港させた実績。二つには、「むつ」が原子力潜水艦への転用可能な舶用炉を使用していること。三つには、平和利用といえども、技術的に見ていつでも軍事利用に転換できる可能性を持っておること。四つには、海上自衛隊の佐世保基地の機能が強化をされつつあること。こういう点から考えてみまして、将来日本の原子力潜水艦や艦艇の建造を意図しているのではないか、その建造と原子力潜水艦の基地を佐世保に求めようとしておるのではないか、このような政治的陰謀というのが隠されておるのではないかという疑念を数多くの佐世保市民が持っておることを、私はここで強調しておきたいというぐあいに考えるわけであります。 第四は、安全性の問題であります。率直に言って政府の説明を信頼できません。安全性についてもし信頼してほしいということを言われるとするならば、もう美辞麗句はやめて、現に稼働しておる原子力発電所の原子炉自体の事故、故障を完全になくしてこそ初めて立証できるものだというぐあいに考えるわけであります。安全だ安全だという傍ら、もうきょうでもあすでも事故が起こっておる。こんなことでは、私は安全だという政府の宣伝を真に受けるわけにはまいりません。 同時に、「むつ」は、遮蔽装置だけの問題ではなくて、未解決の部分が数多くある。すなわち、蒸気発生器の腐食や冷却水配管のひび割れや燃料棒の破損など、問題をとらえれば数多くあるということを専門家から私たちは聞いております。しかも「むつ」の原子炉は、欠陥炉と政府も認めざるを得なかった美浜一号炉と並行して三菱が建造したものでありまして、その美浜一号炉の原子炉がいまもって稼働できたい。この事実を私は冷静に見つめるべきである、このように考えるわけであります。たとえ遮蔽装置の一部の手直しや検査だけでは、危険の度合いというものを払拭いすることは不可能であるというぐあいに私たちは見ております。 この際、政府は原点に立ち返って、メンツを捨てて、不安と不信に満ちた「むつ」を、原子炉を装置したままの修理ではなくして、実際的に原子炉そのものを取り外し、陸上で実験をし、そして徹底した実験、研究を積み重ねることこそ必要ではないだろうか、このように考えます。したがいまして、私は結論的に言いまして、「むつ」の改修計画を根本的に練り直していただきたい、このことを強く主張しておきたいというぐあいに考えます。 第五には、安全の確認の方法に疑問がございます。「むつ」の開発を引き続き推進するため、適切な改修によって所期の目的を十分達成したいという政府側の説明でありますけれども、炉を動かさずして修理するから安全だという、修理のための安全性を強調しておるところに、私は矛盾があるというぐわいに考えるわけであります。問題は、原子炉を停止した状態での全系統機器の機能試験で、果たして安全確認が可能なのかどうか。専門家の人の話に聞きますと、一部は可能かもしれないけれども、現状の事故発生の例から見て万全の体制ではない、こう言われております。 第二は、改修、点検完了後の安全確認は実際原子炉を動かして性能テストをやってみて初めて、私は、遮蔽装置の健全性が確認できるのではないだろうか、このように考えるわけであります。政府が、今度の「むつ」の改修問題については、すべて原子炉自身の問題よりも遮蔽装置の問題が事故の原因だ、こう言っておる。そうであるとするならば、原子炉を動かさずして遮蔽装置だけを改修してみても、果たしてそれが完全に直ったかどうかということがわからない。そういうごまかしを今度の説明の資料の中にはなされておる。ここにも私たちは不信感を強く抱いておるところでございます。 第三番目には、減肉現象や腐食、ひび割れ等は一時的なテストでは判明できるものとは違うはずであります。これは一定期間、長期間のテストがなければ完全に安全とは言えないというぐあいに考えるわけでありまして、いろいろほかにもございますけれども、余りにも安全性と必要性を誇張しているところに、逆に私たちは疑問と矛盾を強く感じておるわけでございます。 第六番目には、母港との関係であります。政府が、新母港として佐世保を考えていない、このようなことを答えてみたり、候補の一つということを答えてみたり、まるで一貫性がございません。一体改修が終わる五十三年度までに母港が決定できる要素と確立性があるのでしょうか。 原子力安全局を私は訪ねていろいろお伺いをいたしました。新母港の決定の条件には、岸壁で二〇%、湾内で五〇%の出力上昇試験をやることが絶対条件である、こういう御説明がありました。もしも「むつ」のような形で洋上で出力上昇試験をやって、そこで事故が起こったならば、もはやもう戻るところがなくなる、したがって新母港では出力上昇試験は絶対欠かせないのだ、こういう説明を受けておるわけでございますけれども、このような重大な要素を含めて三年以内に果たして決定できるのでしょうか。むつ市の場合も五年間建設にかかっております。 次に、臨海実験すらあいまいのまま新母港を決めようとも、引き受けるところがあると判断できるのでしょうか。 次には、政府が自信と確信をもって新母港を決定し得るとするならば、佐世保市議会の全員協議会で政府代表の説明がありましたが、現在七つの候補地を抱えておる、持っておる、こう言われております。そうであるとするならば、安全だということを主張されるならば、むしろ私は、七つの候補地を公表し、正々堂々と、裏でこそこそするのではなくして、母港の選定についていち早く相談をすべきではないでしょうか。そんなことをせずして、修理だけを先にやらしてくれ、そして三年のうちに母港を決める、こんなことを言われても、母港の問題について私たちは政府の言い分を信頼することはできません。 すなわち、どこで修理しょうとも新母港の決定が先決でなくてはならないというぐあいに考えます。母港を決定をし、その後に修理完了後直ちに母港に回航できるという一貫性がない限り、私は詭弁を論じてみても母港への不安を解消することはできないと考えるわけであります。 最後に、「むつ」の存在について意見を申し上げておきます。 第一は、「むつ」の船主であります事業団の存在にも関係ございますけれども、昭和五十一年三月三十一日までにこの事業団は廃止するものとするとなっていた。ところが、この事業団法が期限切れとなった現在、なお政府は、これは持続できる、こんな法律解釈があるでしょうか。実際的に私たちは国民の一人として、このことについてはもっと明快な御説明をいただかなければ、このようなことについては納得できません。私たちはあくまでも、この事業団法は失効したという判断に立っておりまして、法的根拠を持たない架空の組織である原子力船開発事業団、あるいはこの事業団に籍を持つ原子力船「むつ」も幻の船と私たちは解釈をいたしております。 第二は、政府が仮にそのようなことをおっしゃっても、このことについて、余りにも自分勝手、自分たちの都合のよいような解釈にすぎないのではないかという不信を持っておるわけであります。 私は期限が切れた事業団法を認めることはできません。即刻事業団は解散をすべきだし、法的根拠をなくした幻の原子力船「むつ」そのものも認めるわけにはまいりません。したがって、これは廃船にし、十分な年月と資金を投入をし、新しい原点に立ち返った形の中で、この原子力船「むつ」の十分な基礎的研究、実験を積み上げてほしいというぐあいに考えるわけであります。 以上、私は、若干時間も経過いたしましたけれども、基本的な立場を申し上げました。何とぞ、先生方の十分なる御討議の上で、適切な御決定を賜りますように切にお願いを申し上げ、私の参考意見を終わらせていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
○中村委員長 ありがとうございました。 次に、山川参考人にお願いいたします。
○山川参考人 私は長崎造船大学の山川と申します。造船工学を専攻いたしておりまして、この「むつ」の問題にはかねてから相当関心を持っておりました。初めのうちは、早くこれがうまくいってくれればいいなという素朴な期待を持っておったものでございます。しかし、一昨年の九月に青森県でこの「むつ」が事故を起こしまして以来、一体どうしてこういうばかなことが起こったんだろうかという疑問を持つようになりました。 きょうここで与えられた時間が非常に短うございますので、細かいことにつきましては、後の質問の時間で私の知っていることについて述べさせていただくとしまして、一つだけ根本的な問題を指摘させていただきたいと思います。 政府がつくりました「むつ」放射線漏れ問題調査委員会の報告書、これは俗に大山報告と言われておりますけれども、この中に非常に多くの具体的な欠陥の指摘がございます。しかし、その中で一つだけ見落とされているもの、これがあるのではないか。これを読まれた方々、特に政府、事業団の方々がお読みになるときに見過ごしておられたのではないか。 これをちょっと読み上げます。「わが国の軽水炉研究は、その炉物理実験を原研のTCAで、技術は同じく原研のJPDRで、舶用炉は原子力第一船による船上試験で、舶用炉の遮蔽研究は原研のJRR−4でという構想で始まった」と書いてあります。しかし、その後に、「最初から、舶用炉については国産とする方針が打ち出された理由には、原研のJRR−3が国産に成功したことと、舶用炉は商用発電炉に比較して小型で、技術的に容易であるとする先入観があったこと、および原子力船懇談会が米国の舶用炉を検討して国産化可能と判断したことなどがあげられる」と述べられております。しかもこの後非常に重要なことがございます。「しかし、原理的には可能であっても工学上の問題は残る。そこで、陸上に同型炉をペアで建造すべしとする意見や、実験炉あるいは原型炉を経て、開発を段階的に進める計画も示されたが、いずれも、結果的には見送られた」となっております。 この指摘は、私たち造船学をやっております者にとりましては非常なショックでありました。造船所で船をつくりますときに、造船所は大体、船体をつくる造船家がすべての設計から引き渡しまで責任を持つ習慣がございます。エンジンは自社で作成する場合もありますけれども、他社においてつくられたものを購入することも間々あるわけであります。その場合に、舶用エンジンというものは船に載せる前に必ず陸上実験を行う、そしてとにかく動くというだけでなくて、長期連続運転を行います。なぜこのようにするかと申しますと、船に載せますと非常に場所が狭い。いろいろな試験研究をするのにも不十分である。したがって、スペースもとれ、人材も多く投入でき、時間的にも十分とれ、また、ふぐあいがあったならば、必ずそこで心ゆくまで手直しができる。このために、過酷な条件で働きます舶用のエンジンは、十分な陸上実験、試運転を経なければ、造船所としては採用しないのが鉄則でございます。これは明治以来日本がすばらしい造船技術を蓄積してきた伝統の中の一つであると思います。こういう大事な原則を、どういう理由か知りませんが、「見送られた」と書いてある。しかも、そのことによって起きた事故、これを手直しによって解決しようとしております。これでは、放射線の遮蔽の問題だけに限らず、そのほかから発生するかもしれない幾つかの事故については、全く予測も防止策も立たないわけであります。 私たちは、原子力船が、先ほど辻市長も言われましたように、将来にわたって本当に平和な、安全な船として発展することを望んでおります。しかるに、先ほど言われましたように、必要なり国策が先行して技術上の原則が無視される、このようなことで推進されるならば、これは国家の百年の計を誤るものではなかろうか。私たちは、もしいまの状態で「むつ」の問題の改修その他が進められるならば、これは長崎県のみではなく、全国どこでも「むつ」の修理は不可能になろうと思います。そしてこれは永久に漂流船になり、国費の浪費をする以外の何ものでもない、こう技術者の立場からも断定せざるを得ないのでございます。 特別委員会の各位におかれましては、この点に特に御留意いただきまして、全国民が「むつ」が安全であり、そして軍事利用につながらず、技術的にもりっぱなものになっていくという希望を持っておりますのにこたえていただきたい。かりそめにも、いままでのメンツやあるいは企業間のいろいろな思惑によって、これが左右されることのないよう技術者としては心からお願いするものでございます。 私は、昨年むつ港につながれております「むつ」を拝見してまいりました。非常にみごとに整備してございます。もう四年間もそのままになっている船であるので、相当疲れているだろう、汚れているだろうと思っておりましたが、ペンキは塗りたて、全く引き渡し直後のようでございます。船底にもカキがらがついて、船の補修上早くドックに入れなければかわいそうだなという気持ちも造船屋として持っておりましたが、伺いましたところ、過激派が爆弾を仕掛けるかもしれないというので、もぐりを入れておる、このようなお話でございました。なるほど船底には、カキがらは四年間というには非常に少なく、きれいに整備されておりました。ところが、原子炉の近辺も御案内いただきましたけれども、その途中の居住区その他におきまして、電線の修理あるいは排水管の修理、こういう工事に作業員が入っておりました。伺いますと、いやちょっと漏電しまして、あるいは手洗いの水が漏れました、こういうふうなささいな日常の修理でありましたけれども、こういう状態を考えますと、もう一流船であるべき「むつ」が、わずか四年の間で、居住区においても、そのような工事に何度も東京から技術者をお呼びしなければならない。最近では小さな修理は地元の業者にお願いしておるのです、こういうお話もございましたけれども、大切な機関の内部において事故が進行し、あるいは疲労が進行してないと、一体どうして申せましうか。 先ほどもお話にありました、セシウム137が一次冷却水の中に発見されたと申します。長崎においでになりました方は、一次冷却水は全く安全でございます。こういうふうに私たちに申されました。しかし、一次冷却水の中にセシウム137が出たということは、これは核燃料物質の中に発生した核反応後の物質が一次冷却水の中に出たと考えざるを得ない問題であります。普通の一次冷却水の中には、コバルト60、そういう性質のものが多いわけであります。したがいまして、これは炉心の中の核燃料棒の中から流出した、しかもこれは一年たって初めて顕在化する副次的な放射性物質であります。こういうことも踏まえられまして、根本的に「むつ」の問題について、設計をも含め再検討されることを、私は技術者の立場から心からお願いしたいと思います。 あと、緊急炉心冷却装置の問題とか、あるいは今後の改修に伴う船体の強度の問題とか、あるいは航行に伴う船舶の衝突、座礁その他の危険の問題とか、いろいろ技術的に私の知っておる限りのことを、委員の方々に後で申し上げさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
○中村委員長 ありがとうございました。 以上で各参考人の御意見の開陳は終わりました。 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時五十一分休憩 ————◇————— 午後一時三十九分開議
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。 なお、本日は多数の参考人をお招きしておりますので、質疑をされる委員は、その都度意見を求める参考人の氏名を指定して質疑されるようお願いいたします。 それでは宮崎茂一君。
○宮崎委員 きょうは、参考人の方々には遠いところからお出ましになって、本当に御苦労さんでございます。そしてまた、先ほど来貴重な御意見を聞かしていただきまして、ありがとうございます。私は、きょうは非常に参考人の方が多いものですから、全般的に共通した問題について御質問を申し上げたいと思うのでございます。 まず、非常に目につきますのは、辻参考人、佐藤参考人、いわゆる賛成の方の御意見の中にもございましたし、また反対の山川参考人、速見参考人の中にもございましたので、いわゆる原子力船が日本に必要かどうかという問題につきまして御質問をしたいと思うのでございます。 御承知のように日本は、非常に資源が乏しい、資源のない島国でございます。日本の経済成長が、このように世界第二、第三のところまで来ましたのは、資源をなるべく多く外国から輸入をして、それを加工して輸出する、こういうところに日本の経済力の大きな基盤があるわけです。したがいまして、島国でございますから、輸入いたしますにつきましても、どうしても船が必要だ、そういう関係から世界第二の船舶の保有国であります。第一位はたしかリベリアだと思いますが、そのような非常に大きな商船隊を持っておる。それからまた造船にいたしましても、世界第一の造船国でありますし、日本経済を非常に支えているわけであります。これは賛成の参考人の方々のお説もそうでございました。したがいまして、どうしても日本は、造船技術、あるいはまた海運という立場から申し上げますと、世界一流の国でなければならないと思うのであります。そしていままで日本がそういった面に非常に卓越してまいりましたのも、やはり造船技術のおかげでもございますし、また世界の自由貿易のおかげでもあるわけでございます。 いま商船隊の中に原子力船というのは、一般商船としては非常にわずかなシェアしかございません。しかしながら、軍事力と申しますか、原潜、そういったものの中にはどんどん取り入れられている。つまり軍事的にはもう原子力でなければならないというふうに、原子力潜水艦その他に切りかわりつつあるというのが世界の情勢であろうと私は思うのです。軍事技術といわゆる平和技術というものは、技術自体に共通する面はあるわけでございますけれども、飛行機がかつて軍事的目的でつくられまして、今日ああいうようなりっぱな平和利用に使われているということも考えますと、もう原子力船だけではなしに、原子力発電の時代におきましての平和利用に使われておるわけです。いまここにあるこの電灯も、東電でやっておりますけれども、原子力発電に、一割か二割かはわかりませんが、依存をしておるわけです。そういうことを考えますと、どうしても原子力船時代というのは来ないとは言えないだろう。いまは船価は経済的に引き合わないですけれども、これはだんだんとそういう技術の進歩によりまして来るのじゃないか。あるいはまた日本としては、来るということを予想して、実用化の問題は別にいたしましても、技術的にはどうしても、造船技術、あるいはまた原子力船の技術というものを開発する必要性はあるのじゃないかと私は思うのでございます。 もうそういったことに非常なおくれをとりまして、世界の商船隊の中で日本がほとんどそのシェアを失うということになりますと、日本の国際収支の問題から言いましても非常な損失になる。長い目で見て原子力船の必要性、もちろんこれは、これからだんだんと安全性の問題はございますけれども、安全性はもう大丈夫だということにいたしまして、原子力船自体の必要性の上から研究をしていく。先ほど事業団法の話もございましたが、十カ年間にわたって研究をしようというわけでございますから、私は国会におきましても、いま申し上げましたこういう基本的な姿勢に反対というふうには、寡聞にして余り聞いていないのでございますが、皆さん方の中で、そういう姿勢に対してもおれは反対だというようなお方がございましたら御発言を願いたい、もしなければ先に進みたい、こういうふうに思います。 それじゃ、先ほど私何か聞き漏らしたのですが、速見参考人はこの点はいかがでございますか、これはよろしゅうございますか。
○速見参考人 ただいま先生からお尋ねの原子力商船そのものについての必要性かどうかという御質問でございますけれども、必要性、必要でないという議論をする前に、意見としても申し上げましたように、どうしても基礎的な研究、実験というものを完全に積み重ねて、絶対に安全であるという保証がない限り、このことについての必要、必要でないという議論をすべきではないというぐあいに考えておるところです。 したがいまして、私たち専門的なことについては、経済性、あるいは原子力商船の建造そのものについての費用が、一般の商船と原子力商船との関係でどのような状況になるのかはよくわかりませんけれども、少なくとも基本的の立場として、現在の日本の、商船ばかりじゃなくして原子力発電を含めた原子力全般の技術上の問題として、数多くの欠陥を持っておる、少なくともそのこと自体を明快にしていただく、そのことがまず先決ではないだろうか、このように考えておりますし、外国の例から申しましても、原子力商船というのは、軍事利用の目的のために一応の実験を進め、それが完了した時点で、軍事的な原子力潜水艦、あるいは原子力空母、艦艇等に利用されておる、こういう実態から見ましても、現時点では、そのような原子力商船そのものの開発は、私は認められない、必要ではないのじゃないか、このように考えます。
○宮崎委員 もう一遍速見参考人にお伺いいたしますが、私が申し上げているのは、世界の趨勢を予測する場合に、いまの時点でというわけじゃありませんが、十年、二十年先そういったような必要性が出てくるのじゃないか。また日本としては、そういうことに対処していくような手を打っていかなければならないのじゃないか。私はそういう説でございますが、速見参考人はまず安全性だという話でございます。私は安全性は必要だと思っているのです。ですが、これまでに、安全性とか、あるいはまた科学技術の問題は一歩一歩積み重ねていかなければならないということですから、将来において開発する方向に進むべきかどうか、こういうことをお聞きしているわけで、いかがですか、安全性が確保されればいいということになりますか。
○速見参考人 一言で言いまして、核分裂型による原子力開発はできるだけなくした方がいい、このように考えておりますので、そういう意味からは、原子力商船そのものを、私がこの段階で開発をすると言うことについては、まだ時期尚早ではないか。将来にわたってという先生の御質問でございますけれども、将来の予測を前提にした考え方は、いま持ち合わせはしておりません。
○宮崎委員 それでは、ひとつ山川参考人にお伺いいたします。 少し遅刻されたようでございますが、私が申し上げているのは、将来日本としては、商船隊確保の上から、日本の経済を維持する上に、そしてまた造船というものが日本経済を維持する上の大きな柱ですが、世界的に原子力は、もうすでに軍事利用に、原潜とかそういうふうに利用されつつあるんだから、二十年先か三十年先かわかりませんが、原子力商船というものが世界の商船界の中に占めるウエートが非常に大きくなるんじゃないか。いずれにしても、日本はそういうことで研究をしていかなければならぬと私は思うのですが、造船学の立場から私の説に賛成かどうか。先ほどは、お話を伺っておりますと、そういう期待があるようなお話でございましたが、もう一遍確かめたいと思います。
○山川参考人 原子力船が現在軍用艦艇で必要になっておることは事実でございます。平和利用と申しますか、それの国際的な実例におきましては、商船として開発いたしましたアメリカ、西ドイツ、これではまだ実用にはならず、実験段階、研究段階ということでございます。ソ連で開発いたしましたレーニン号、アルクチカ号というのは特殊な目的でございまして、北極洋の中で船団の道を切り開いていくという砕氷船としての特殊な目的に利用されて、これは一定の効果を上げております。現在、経済的な立場から申しますと、原子力船はまだそろばんに合わない。しかし将来石油の価格が四倍を超えるときには、八万トンクラス、二十ノットを超えるような巨大高速船の場合には大体ペイするであろうということが国際予測に言われております。しかしながら、商船として国際的にあらゆる港を自由航行するという条件がございます。これにつきましては、安全性の問題が各地の方々の御了解を得るところになっておりませんので、ブラッセルにおきまして、原子力船の国際航行に関する取り決めというものの案ができておりますけれども、これは国連においてもまだ決定されず、批准する国は一国もないというのが現状でございます。したがって、将来いつごろ原子力船が実用化するかという問題に対しては、非常に暗いと申し上げるのが妥当ではないかと思います。 ただ、特殊な目的、たとえば、先ほど申しましたように砕氷船とか、あるいは海洋発電所とか研究所とか、あるいは深海におけるいろいろな海洋開発工学、こういった面に、十分な安全性が確保されることを前提としながら、研究を進めていくことは必要かと存じております。
○宮崎委員 ただいまお話しになりましたソ連のレーニン号でございますが、これは砕氷船で、原子炉を積みながらああいう非常に衝撃の多い仕事、氷とぶつかるような仕事ですが、それをりっぱにやってのけている。あるいはまた西独のオットー・ハーン号という船、これは鉱石運搬船としてハンブルク港に入港していますね。アメリカのサバンナは貨物商船としてありましたけれども、いまこれは現在は休んでおりますね。ですから、おっしゃるように、現在は特殊船というような形でいまやっと平和利用の方に向かってきた。それからしますと、日本の「むつ」は、つくったけれども放射線が漏れたというようなことで、こういった大国、ソ連、西独、アメリカ、こういったところにおくれていると私は思うのです。 先ほどどなたかから、十何年おくれているというような話がございましたけれども、おくれているからこそ、やはり研究する必要があるんじゃないかと思うのです。日本の粋を集めて、いまは原子力船開発事業団で研究させることになっておるわけですが、その点につきましてはどうですか。おくれているからこれから研究する。世界的にも、一流の造船国、あるいはまた海運国でありますからやはり研究していく。その中に安全の問題もあるでしょうけれども。その点についてはいかがですか。もう一遍ひとつ……。
○山川参考人 先ほども申しましたように、安全を大前提としなからいろいろな目的のために実用化できるように、基礎原理をまず第一番にして研究を進めていくことは必要かと存じます。しかしながら、必要と目的に直ちにかなうようなものがあたかもすぐできるような錯覚にとらわれるような、いわゆる早とちりということは厳に戒めなければならないと思います。むしろアメリカなり西ドイツなりが先進的な業績を示しておりますことは、われわれは本当にそれにふさわしい研究をすることが大事であって、時間的に若干のおくれが直ちに取り戻せるかのごとき考えをもし持つとすれば、これは大変な誤りを犯す。特に原子力技術と申しますものは、タービンをつくったりディーゼルをつくったりするような在来技術とは違いまして、非常に総合的なものでございます。しかも高度な配慮があり、また一定の工場とか作業地だけの事故が起こった場合の影響にとどまりませんで、社会的な被害を拡散するという大きな性質を持っておるという特徴に留意した研究がなければ、これは非常に困る問題になります。 この辺の世論を統一するためには、本当にあらゆる各界の学者、専門家の意見を十分に微されて、そして合理的なことは、政治的な意見にかかわらず大体賛成できるのは人間の頭の構造でございますから、その点では、技術的な点について本当に一人の納得しないようなことのないように話を進めていく、そういう自由な研究体制が必要であろうかと考えております。
○宮崎委員 この問題につきましては、いろいろと議論はあろうと思いますが、いまの両参考人の御意見を聞きましても、安全ということが確保されれば、これはやはり研究は進めるべきだというふうに理解をしたんですが、まだ何かございますれば、後でお話を承っても結構です。 次に進ましていただきますが、原子力船は原爆と同じと申しますか、長崎で原爆をこうむったから、原子力船に対するアレルギーと申しますか、そういった関係があるのだというような意味の御意見がございました。これは鎌田参考人、それから小林参考人、あるいは速見参考人かもわかりませんが、いかがですか、原爆というものと原子力の平和利用というのは、私どもは全然違うというふうに聞いているわけです。爆発するとかそういうことはない。「むつ」でこの前放射線が漏れた。あれは、私ども聞いている範囲では、胸の疾患とか腹とかレントゲンをとりますね、そういうような程度のものだというふうに聞いているんです。 原爆の恐怖ですか、非常に莫大な人が死んだわけですね。私も実は広島におりました。原爆のその日に。非常に多数の人が死んだ。しかし私は、これと原子力の平和利用とは違うのではないか。「むつ」から出た、あるいはまたいろんな原子力発電所で事故があったということが新聞に載りますね。事故という言葉が私はいいのかどうか、ちょっとわかりかねます。自動車事故と言えば人が死ぬ。交通事故で人が死ぬのが年間一万人ぐらいあるんじゃないかと思うのです。原爆あたりも何十万という人が死んだわけです。長崎の方々も本当に気の毒なことでございます。感情的には、同じ原子力から来るんじゃないか、これはわかるわけですが、現在の原子力発電にいたしましても、原子力船「むつ」にいたしましても、放射線が漏れたことがわかること自体が、私どもに非常に安全だという気持ちを与えてくれるのじゃないか、そういったような装置になっているということですから。あるいは、原子力船の「むつ」が爆発して長崎に落とされた爆弾みたいなことになるのだということは、私は全然認識が違うと思いますが、鎌田参考人あるいは小林参考人は、これに対しまして、どういうふうにお考えになるか。それでも原爆と同じような何か恐怖心みたいなのがまだあるとお考えになるかどうか。その辺ひとつ御答弁願いたいと思います。
○鎌田参考人 先ほどの平和利用の可能性の問題についても関連いたしますけれども、率直に申しまして、私が一緒にやっております被爆者市民の中には、もう核の平和利用も御免だという非常に強い意見もございます。これは否定できません。どんなことを言われようともう信用できないという非常に絶望的な意見がかなり強い。これは率直に申し上げておきます。しかし、これをただ単なる核アレルギーだと笑うわけにはいかないと思います。 と申しますのは、いま御質問のとおり、原爆との関連で申しますと、長崎になぜ原爆が投下されたかということを、私は長崎市の原爆復元調査員の一人として、いろいろな資料を読み、またアメリカの原爆投下作戦戦略爆撃調査団の報告書等を解読いたしておりますが、その中で、アメリカの国防という観点からの核開発であることが歴然としております。アメリカの原子力基本法が、基本的にはそういう核戦略に基づいて施行されていたという事実でございます。ところが日本の原子力基本法は、この原子力基本法が制定される前年、日本学術会議が原子力の平和利用に関して三原則を政府に勧告いたしております。これは、日本国民の被爆体験、さらに昭和二十九年のビキニの水爆事件による衝撃、科学者たちのこれに対する厳しい反省、こういうものに基づいておるわけでございます。したがって、日本の原子力基本法は、平和、自主、民主、公開の原則に立って、厳しく平和利用に限定して進めることをうたっております。私たちもこれを支持するものであります。 しかしながら、その後の二十年ほどの歴史を見てみますと、この基本的な原子力開発の原点がしばしば忘れられている、あるいは一貫してサボられているのではないかという疑惑を私たちも持っております。被爆者たちもまた持っておるわけであります。それは、アメリカの原子力産業あるいは原子力政策、こういうものにそのまま従属する形でエネルギー開発が進められてきた。理念的には原子力基本法がりっぱにうたい上げられていながら、現実にはそうでない。本当に国民に対して責任を問うような形で自主的に、民主的に進められているか、この点について非常に不信感を持っております。何遍も何遍も原子力潜水艦は安全だと言いながらソードフィッシュの放射能漏れ事件があり、その責任さえもまだ明確になっていない。あるいは日本分析化研のデータ捏造事件も起こっている。また「むつ」の問題でも、これに反対する者は科学の発展を理解しないものだという厳しい批判がありながら、なおそういう事故が起こるということで非常に絶望感を持っている人たちが、率直に言ってたくさんいることを申し上げたいと思います。しかし、私たち県民会議としては、科学者も含めておりますし、先ほど山川参考人が申しましたような、そういう観点で、もし平和利用の可能性があるならば、これは基礎的な研究をやはり持続すべきであるという点には変わりございません。 ただ、原爆と原子力船「むつ」が関係ない、別のことであるというふうに割り切ってしまうわけにはいかない点がございます。確かに原爆という兵器と原子力船商船というものは、その基本的な用途において本質的に違うことは明らかでございます。しかし、いずれにしても現在の加圧水型の原子炉が放射能を出す、だからこそ遮蔽もさまざまな工夫がなされている、あるいは放射能漏れの改修が企画されているわけであります。この放射能に対する人体への影響という点では、もしその放射能の遮蔽に失敗するならば、必ずこれは被曝すると言わざるを得ないと思います。たとえ少量の放射線といえども、これを浴びるならば必ず人体に一定の障害があるということは専門家たちが言っております。また、アメリカの原発工場の周辺における小児病のがんの発生率その他、専門科学者たちがいろいろ調査して国際的にも発表されていることであります。また最近の岩波から出ている「科学」という雑誌には、事故の発生率についてのきわめて恐るべき事態が、アメリカの学者たちの研究によって発表されております。 私は、専門家でありませんから、そういうことについて発言する資格はありませんけれども、しかし、そういう事実がはっきり国際的な学会でも確認されている。そして放射線医薬品を使う私たちの学者の仲間たちの常々言うことですけれども、必要でない、人工的な放射線はたとえ微量であっても絶対に浴びてはならないということが、実は放射線科学の原則であるということを言っております。これがある一定時間量的に持続するならば、非常に莫大な被曝量に達するという事実が述べられておりますし、またこの人体に対する影響に関しては、まだまだ未確定でございます。これについて、本当に大したことはないと断定できる科学者は一人もいないのではないかと思います。そういう意味で、まだ長崎の被爆者は、また広島の被爆者たちは、この原子力の開発に対して非常に重大な不安感を持っており、そして非常な関心を持って今後の研究を見守っているということを率直に申し上げたいと思います。 私は、この十年ほど、長崎で約千人ほどの被爆者たちの証言を、十数冊の記録集に編集し出版してまいりました。その被爆者たちの声を聞くときに、もう原子力の開発は結構だ、科学者も政治家も信用できない、そういう率直な声が非常に強い、このことを私は否定できない。やはりこの声をしっかり受けとめて、その上で期待にこたえ得る、厳しいテストと研究の上で開発が進められることを希望したいと思います。
○宮崎委員 同じような質問ですが、小林参考人、お答え願いたい。
○小林参考人 私は原理でもって原子力を説明するほどしっかりした基礎を持ちません。けれども、私はこの体で原爆を受けとめました。何がどうしたのかわからない、けれども私どもはあの原爆のときに昏倒し、そして私は命を失うほどの大きな打撃を受けました。これが原爆だと言われています。だからそれをそのままうのみにしております。しかも、そういうものは次々に世の中に出てきて、そして次々に私どもに大きな災害を残していく。その実情の中から原爆は本当に恐ろしいものだということを知っておるのです。いまも御本を持ってきておりますが、繰り返し繰り返しそういうものを読みながら、私はこれがこうだという断定をするよりも、私自身がそれを受け取って、そしてその原子力でもって私たちの世の中にどのようなことがあらわれるかということを、私はじっと気をつけて見ております。生きる自分の生活の中にプラスになる原子力よりも、私たちをマイナスにして不幸にする原子力の方が非常に力強い。これはもう私たちの経験から言うのでございますけれども、それでもって自分の港を生かし、自分の生活力の基礎にしようとお思いになる方もあるようでございますけれども、それと同時に、それによって起こる大きな災害というものを、やはり私は見逃すことができない。それは一つの都合のいい解釈の仕方であって、原子力というものはそんなに都合のいい形でのみあらわれるものではないと、私はそれをいつも否定しております。 今度、朝日新聞に載りました詩集も百七十六でございますか、あれが出てきましたというときに、そういうおそれはないということを説明し、そして原子力船というものを理解させようというような当局の企てをひっくり返すようなことが、もうすでに起きております。やはりそうだったと私は思っています。それはちょうど、みんな世の中の人たちは、何がどうだか知らないけれども原子力というものは恐ろしいものだ、これが私たちをどのような災害に追い込むかというような不安を持つ者にとって、これは大きな証左だと思っております。ですから私たちは、軽々しくその力を信じ、それによってわれわれが生きるというようなやり方は、実に災害を知らない人たちの本当の大きな夢だと私は思って、前途を危ぶむものでございます。はっきりした絵にかいて、いろいろなものから原子力はいかに働くかというようなことを証明すればよろしいのでございますけれども、しかし、アメリカでさえも、原子力を信じ、原子力による開発によって電気力を起こそうとし、それが大きな仕事になりつつあったのに、その以前は、政府の命令によって原子力開発の場所がどこでも自由に選ばれた。しかし、その原子力開発のための電源というものが、どのようにみんなに恐ろしい結果を及ぼすものかということが常識化している現在は、その電源開発のための場所を選ぶのに、いままでは政府の命令で決定されたのが、現在は、置かれた原子力のその場所から爆発して影響する範囲内の人民の承知の印形が押されなければ、その開発の場所は定められないというところまで、アメリカもすでに来ている。 結局、私のような、学理的に物を考えない人たちが、常識的にわが身を守るというようなことで、アメリカの状態がそこまで進んでいるというこの事実を見ますと、ただ、原爆によって本当に大きな電力、大きく昇華された都市の開発、そういうものを夢見ていることは、もはや日本にも長くは続かないものだと私は思っているのです。今度のこのお話し合いの中から、私たちももっとしっかりした考えを持たなければなりませんけれども、もう世界の人たちが、原子力による夢というものはそんなに深いものではないということも考えております。これは、はっきりと私たちが学理的に調査をし、それを説明することのできる日はそんなに遠くはないだろうと思っております。 以上でございます。
○中村委員長 関連の申し出があります。小宮山重四郎君。
○小宮山委員 いま小林参考人から、一次冷却水からセシウムが出たという話がございます。朝日新聞の報道だと思います。この辺を確かめておきたいと思っております。私、そういう記事があったことは知っておりますけれども、一次冷却水からセシウムが出るというような、それほど欠陥のある船であったのか。原子力局長、その点についてお答え願いたい。
○山野政府委員 結論を先に申し上げますと、ただいままでの事業団の調査結果では、一次冷却水と補給水との間に有意の差があるという程度においてセシウムが出たという事実はございません。これは従来とも事業団におきましては、全ペータ放射能濃度調査、測定というものを月に二回定期的に行っているわけでございますが、この全ペータ放射能濃度調査におきまして、過去に異常は認められておりませんけれども、さらにこれに念を入れまして、昨年の暮れに事業団におきまして核種分析というのをいたしたわけでございます。この第一回の核種分析、これは機器分析によったものでございますが、これにおいては何ら有意のものは認められておりません。第二回のものを本年二月に行ったのでございますが、このときの測定値の中に測定限界ぎりぎりの数値がございまして、さらにこのものにつきまして、日本分析センターにお願いしまして化学分析をいたした次第でございます。その結果も、先ほど申し上げましたように、補給いたします新しい水と、炉内にございます。次冷却水との間に、このセシウムにつきまして何ら有意の差はないという結論が出ております。先ほど御指摘のこの新聞の記事を拝見いたしましても、この記事に関連します解説でございますが、これによりまして「むつ」の原子炉に欠陥があると断定するのはむずかしいという解説も載っておりますので、その辺よくお読みいただければ御理解願えるかと考えます。
○小宮山委員 原子力局長、簡単に聞きますと、セシウムが出た、それは補給水、いわゆる冷却水を足していく水と差がない、ほとんど変わらないということですな。だから出てない。それからもう一つ自然の中にもそういうものが出るということですね。その点、確かめておきます。
○山野政府委員 まず第一点の御質問につきましては、御指摘のとおり、新しい補給水と一次冷却水との間に何ら差は認められていないということでございます。 それからセシウムが自然界にあるかないかということでございますが、セシウムというものは、明らかに核分裂による生成物であるという点は間違いないのでございますけれども、原爆実験等によります放射性の降下物等によりまして、現在すでに自然界にあるということも、これまた事実でございます。
○宮崎委員 ただいまお二方からお答えがございましたが、私聞いておりますと、やはり何か原爆と平和的な原子利用と関連があるようなお話もございましたが、私は大分違うのじゃないかと思うのです。平和利用で原子力発電所にいわゆる事故がいろいろあったと、こう言いますね。ああいったものと、「むつ」の事故がこの前あったと言うのですが、放射線が漏れたわけですが、それに伴いまして「むつ」の船員にも何にも被害はなかったようですし、原子力発電所も被害があったといっても、人が死んだということは聞かないのですが、その点を考えますと、私も実はそういった方面の技術者じゃないのですが、素人で考えましても、原爆というのと原子力の平和利用、いまの日本で非常に技術的なレベルは低いのかもしれませんけれども、原子力船の「むつ」の問題と発電所、これはうんと違う、別のものだというのは素人感覚が出てくるのですが、いかがですか、もう一遍お尋ねします。
○鎌田参考人 私が申し上げるまでもなく、ともかく核分裂によって放射能が出るということですね。その核分裂のエネルギーを利用して原子力発電が行われている。これは中学生あるいは高校生でも知っている原理でございます。こういう常識的な観点から言うならば、原爆もまた、核分裂で起こった、少なくともこの原理においては一致しております。また当然その結果、放射線が出てその影響を受けるということも事実であります。ただ問題は、原子力船「むつ」の場合は、あくまで人類殺傷の目的ではなくして、人類の幸せのために、生活を幸福にするために設計し使用するという点だと思います。したがって、そのための厳密な設計、施工、あるいは実験等が当然必要になってくるわけであります。その過程で浴びる放射能、出てくる放射能の人体に対する影響という点では、少なくとも放射能を受けるという点では、原爆の場合と同じであります。だからこそ、いま現在まだまだ、放射能が微量であっても、どういう影響を起こすかという点については、明らかになっておりませんけれども、たとえば小学生なんかのレントゲン撮影の問題なんかにしても、だんだん微量であっても危ないということが明らかになっております。私もしばしば病気をしまして、何遍も入院し何遍もレントゲンを撮ったのですが、だんだん最近はこわくなっておるわけですけれども、恐らく、こんなふうに医学が発達し、科学が発達してきますと、いままでの許容量というもの、基準というものもまた変えざるを得ないという事態があります。 私が言いたいのは、確かにまだ一人もそのために明白な死者はないかもしれません。しかし、長い目で見た場合に、これがどのような遺伝的な影響を及ぼすか、あるいは骨髄に付着してどういう影響を与えてくるか。これは日本の被爆者がどういう経験を持っていたかということを考えてみれば明らかだと思います。もちろん私は、これを誇大視して、いますぐに原爆のような災害が起きるというふうに考えるわけではありません。しかし、原子力船の原子炉が核の分裂から始まり、また蒸気を発生させ、そして電気を起こす、そういう過程で完全な防護措置、制御措置が講じられていないならば、やはりどういう爆発事故が起こるかわからない。いわゆる緊急冷却装置がアメリカで作動しなかったという例がありますが、日本でも、私は専門家でないのでわかりませんけれども、緊急冷却装置さえつけてないということが言われております。少なくとも複数のそういう装置がなければ安全審査を本当にパスできるのかという、素人的な考えでございますけれども、そういう点でも非常な不安があるわけでございます。やはり万全の処置をとっていないならば、いつ何どき臨界度を突破した場合にそういう爆発的な事故が起こらないという保障はないというふうに私たちは思っております。もちろんこれは素人的な考えですので、諸先生が詳しく直接の専門科学者たちの意見を徴していただきたいと思いますが、率直にそういう疑問を私たちはまだぬぐい去っていないということを申し上げたいと思います。
○宮崎委員 私の聞いている範囲では、非常にこれは違うんじゃないか。鎌田参考人は、医学的な治療のレントゲンの放射線を受けるのもちょっと不安だとおっしゃいますけれども、そこまで神経質にならなくてもいいんじゃないか、自然界の中にも放射線は出ているわけですから。その辺は意見を異にしますが、そういうことばかりなにしていましても進みませんから、先に進みます。 いま一つ、これは鎌田参考人だったと思いますが、平和利用を進めていって軍事利用に結びつけるのじゃなかろうかというふうなお話があったように思いますが、御存じのように、日本は憲法でも戦争は否定をしてきておりますし、非核三原則というのがございます。国会で私どももそういったような軍事利用は反対をいたしております。国会で平和利用に限るということはきつい監督をしているわけです。野党の方だけではなしに与党も挙げて、平和利用に限る、こう言っておるわけですが、こういった国会の考え方をどういうふうにお思いになりますか。しかしそれでもやはり軍事利用になるんじゃないか、こういうふうな御不安があるのかどうか。どうしてそういう議論が出てくるのかなと私も不思議に思ったものですから、ちょっとお尋ねしたい。
○鎌田参考人 率直に申しまして、やはり私たちは不安がございます。しかし、いま先生のおっしゃる点、つまり原子力基本法に立っての平和利用、平和のためにのみ核の研究を進める、これについては全く同感でございます。 なぜ不安であるかと申しますと、現在の舶用の原子炉が使われているのは大部分が原子力潜水艦であるということであります。そうしてまた、ソードフィッシュの事件でも明らかなように、これについては軍事秘密ということで、日本の政府あるいは技術陣もこれに立ち入って確かめるということはできないままに終わっております。聞くところによれば、原子力潜水艦の場合に、あるいはエンタープライズも同様かもしれませんけれども、ほとんど第一次冷却水等のたれ流しになっているのじゃないかという重大な疑惑があるわけでございます。先ほどの証言にもございましたように、現在の舶用原子炉が商船あるいは特殊船として使われているのはごく一部でございまして、きわめて限定された方向での開発だと思います。 軍事利用のことについては、さらに申しますと、正確な日づけは、一昨年だったか昨年だったか覚えておりませんけれども、たしか中曽根議員だったと思いますけれども、もしこの舶用炉が普遍的に使用されるようになったならば、現在の自衛艦等の原動力として、エンジンとしてこの原子力を使用することもあり得るということを明言していたと思います。これについての打ち消しというか、否定した発言を私たちは聞いておりません。また三木首相も、これに対して打ち消したということを聞いておらないわけでございます。実はそういうことが、被爆地でございますから、特別に敏感に私たちには響いてはっきり記憶しておるわけでありますけれども、むしろその点を議員の先生方にお伺いしたい。科学技術特別委員会の先生方ですので、少なくともその点については非常に厳しい態度をとっていらっしゃると信じたいわけでございますが、もしそうであるならば、核はつくらず持たず持ち込まずという非核三原則の立法化が、なぜ国会においてなされないのか。そういうことこそが、実は原子力船開発の前提でなくちゃならないのじゃないか。また、いわゆる核兵器の全面禁止の国際禁止協定を結ぶ、被爆者援護法を完全に実現する、あるいは一切の放射線障害の治療、後遺症の研究等について万全を期す、少なくとも国の費用でそういう機関を確立する、そういうことが行われたならば、まだ被爆者は納得すると思います。しかし、長崎の原爆病院でもそうですけれども、膨大な赤字で苦しんでおります。地方自治体もこれを抱えて非常に苦しんでおります。政府はこういうことにこそもっと力を注いでほしい、これが率直な被爆者の意見だと思います。
○宮崎委員 それでは、もう時間もないようですが、また現地の佐世保の問題に移りたいと思いますが、市長にお伺いいたします。 市長が総理から要請されましたのは、「むつ」を修理する場所がないからということで、いまの大湊ではこれはできないわけですね。ですから、佐世保ではどうか、佐世保でやってくれないかという話であったと聞いておるわけです。つまり、修理港ということで母港ではないということだと思いますが、そこいらはどうですか。はっきりどっちかということですね。
○辻参考人 三木総理大臣からの御要請は修理港だけでありまして、母港には何ら言及はされておりません。したがって私は、修理港受け入れという理解に立っております。
○宮崎委員 修理港というのは、私の聞いている範囲では、佐世保の港の一番奥にありますドックに船を入れて、先ほどお話もいろいろありましたが、塗装とか貝がら、そういうのを除いて、そして岸壁につけて、原子炉はとめたまま修繕をするんだというふうに聞いていますが、そういうような具体的な佐世保における修理の工程を大体御存じですかどうか、その点ひとつお願いします。
○辻参考人 「むつ」のあらましの修理の工程は承知はしておりますけれども、具体的にここをこの程度修理をする、ここを改善をする、そういった詳細なことはまだ承知をいたしておりません。
○宮崎委員 それでは反対の方、速見参考人にちょっとお伺いしますが、そういったような現地で想定される「むつ」の修理というのは、原子炉は動かさない状態にあるというふうに私は聞いているんです。そしてまた、修理中に発生いたしますところの冷却水ですが、そういったものも周囲にある放射能と大体同じ程度のものではないか、こういうふうに私は聞いておるのです。そういうことを考えますと、佐世保で修理するときに、非常に環境が汚染されるとか、安全性が非常に不安だというようなことがどうして出てくるのかなと思いますが、その辺はいかがでございますか。
○速見参考人 お答えいたします。 先ほど辻市長からもお話がありましたように、政府からの修理要請についての説明書というのがまず出ました。それはただ十四ページだけのものでありまして、それでは何も解明されない。したがって、このことについての補足説明資料がまた届きましたけれども、具体的に修理の内容、方法、工程、こういうものがまだ明らかにされていない。したがいまして、いまは具体的な問題をさらに提起をしまして、私もその問題についての意見を申し上げましたが、三十二項目にわたって長崎県から質問書をいま出しておる段階であります。したがいまして、この問題について具体的に、政府からの、あるいは事業団からの答弁が出てきませんとはっきり言えない点もございます。しかし、先ほど私が意見を申し上げましたように、実際的な問題として、その修理をする方法、内容、確認の事項というのが抽象的で何もわからない。こういう実態の中では、私たちは現在の政府の説明をそのまま理解をするということにはならない、このように考えておるところです。
○宮崎委員 それでは、まだ具体的な安全性とか作業内容とかいうものも了承されていないようでございますから、私はひとつ十分に安全性を政府の方とお話し合い願いたいということを希望いたしまして、この件は終わります。 次に同じく速見参考人にもう一点お尋ねしたいのですが、母港化の問題がございました。母港化阻止の現地闘争本部長ということでございますが、先ほど来、母港というような問題ではない、とりあえず修理をするのだ、そして母港というものはいまなかなか決めがたいから、そのうちに決めるのだ、こういう政府のお話でございますが、母港は阻止しても、修理港に対しても反対だという理由はどういうことでございますか。
○速見参考人 先ほど私意見を申し上げましたように、政府が要請をした理由に、当初は、原子力船「むつ」の安全確認、そして完成ということを言っておりました。最近になりまして、修理だけだから安全だ、こういうように言葉が変わってきておるということも、実は私は納得できない事情がございます。同時に、現在の遮蔽装置の補修といいますか、それを完全にするということ、それによって、ふたをとってやるということでございますけれども、これについての完全な解明もなされていない。あるいは説明によりますと、第一次冷却水を三分の一程度取り抜いて修理をする、こういうことも言われております。もちろん原子力研究所の方で実験をした上でと言われておりますけれども、東海村の原子炉そのものの欠陥というものもあるわけでありまして、そういうようなものから判断をして、修理をするための安全そのものについても疑問がある。こういうような点から私たちは修理港そのものにも反対をする。 同時に、佐世保に限らず、仮に政府が修理をするということをやるとするならば、むしろ母港を先に決めてから、修理をどこどこの港でどういう方法でやるからやってほしい、こういうようなことの手順を踏むのが妥当ではないか、こういうように考えて、修理港は即母港という関連についての不安の解消にはなっておりません。しかも私は、原子力安全局長にも三月の十二日に訪ねましてお尋ねいたしましたが、もしも三年以内に母港が決まらなければ、恐らく修理が終わってもそのまま係留せざるを得ないだろう、こういう御発言もありました。これこそ大変なことにつながるのではないだろうか、こういう気がして、私たちはこの修理そのものにも反対をいたしておるところであります。
○宮崎委員 もう時間もないようですが、いま一つ速見参考人にお伺いしたいのです。 あなたの方から出ておりますところのパンフレットの中で、エネルギー問題解決のためにはエネルギーの節約をすべきだ、これは当然だと思うのです。それと潮流発電とか太陽熱発電とか水力発電で解決していくべきだというふうなことが書いてありますが、原子力を全部やめて、こういったほかのエネルギーによるべきだという御意見なのか、どのくらいそういったものが可能か、そういうことは具体的にお考えをお持ちでしょうか。簡単にひとつ。
○速見参考人 基本的には核分裂型の原子力開発については否定をいたしたいと思います。しかし、太陽熱、地熱その他のエネルギー政策等についていまから研究をする、そういうような段階の中で、ある一定期間、そのつなぎとしてこの原子力の利用ということが行われるとするならば、この期間はできるだけ短い方がいい。できればない方がいいし、あってもごく短期間の利用にすべきである、このように考えておるところです。
○宮崎委員 いまの御説明ですと、まだはっきりした数量的なものをいつごろ、どうこうというようなことはないというふうに理解をしておきたいと思います。 それから次に進ましていただきますが、さっき佐藤参考人から原子力船事業団の予算をふやしたらどうかというような意見があったようでございますが、これはどういうことなのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○佐藤参考人 お答えいたします。 四十九年九月一日の〇・二ミリレムの放射線漏れ、これに対していろいろと批評されておりますが、その中で最も言われておりますことは、予算が少ないためにいわゆるモックアップ、模擬実験すらせずにそのまま、陸上実験をせずに船に搭載したためにあのような事故が起ったんだということが一般に言われております。また今回の総点検、また改修工事に当たりましても、事業団は果たして十分なる予算をもって事に当たろうとしておるのかどうか、そういうことがいろいろ巷間流布されておりますので、そのような心配がないように十分なる予算をもって、そしておくれました空白の期間を取り戻すためにも、十分な予算があった方がよろしい、そういうふうな考えで申し上げた次第であります。
○宮崎委員 もう時間もございませんので、最後にひとつ鎌田参考人にお尋ねいたしたいと思いますが、あなたが代表になっておられます原子力船「むつ」問題を考える長崎県民会議というパンフレットかございますね。この中に、費用の面で原子力か「石油よりも安くなるということは将来とも考えられない」というふうなことが書いてございます。これはどういうような具体的な根拠なのか、教えてもらいたい。私どもは、日本で建設されておりますところの原子力発電所の発電量は全体の四%以上にもなっているわけで、発電のコストは火力発電所を現在新規に建設し運用するよりも安いというふうに聞いているわけでございますが、その点はひとつ御存じですかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
○鎌田参考人 経済の専門家ではないので、詳しいことは申し上げられませんが、そのパンフレットに出ていることは、少なくとも現在の段階「むつ」の開発にいままで使われている費用というものを見た場合に、百数十億の金が使われてきた、また今後遮蔽等の実験をしていけばさらにかかるだろうということが予測されます。また西ドイツなどのように、数百人の研究者、技術陣等擁して本格的にかかるとすれば、さらにかかることは明らかであります。そしてその結果、非常に可及的速やかに一応一定の安全性を持った商船がつくられる、舶用炉が開発されたとしましても、実際にそういう原子力エンジンを装着した船というのは一体何%に当たるのかということを考えてみますと、詳しい正確な数でありません、予測にしかすぎませんけれども、ごく少数の何%か、それとも数%とか、いろいろな数字が出てくるわけでございますが、そのような数%の船がたとえばそれを装着したとしても、これは全体の船舶のいわゆる経済性ということは確保できないし、結局は希少価値であり、そのために必要な費用というのは莫大にかかるのではないか、少なくとも現在ではペイしない。ただ、先ほど山川参考人が申しましたように、将来、特定の船について特定の条件を満たした場合に、そういうことが可能だとしても、現在政府が、来るべき原子力商船時代がやってくるんだということで、非常に原子力商船時代を普遍的なものとしてうたっている、これとは相当質的に違うものではないかというふうに考えております。
○宮崎委員 原子力船のお話をされたようですが、私が伺ったのは原子力発電所ですね。油よりも安いとおっしゃるから、その点をお聞きしたので、もう時間もございませんから答弁は要りません。 最後に、原子力船として「むつ」が、四、五年前に野党の方々も一緒になって超党派で一応できているわけですね。そして放射能が漏れたというようなことになっているわけですが、これはやはり二百何十億かけてつくったやつですから、全体的に見ても、これは私どもわかりませんけれども、日本の技術も相当評価できると思うわけです。ですから、トップレベルの技術者にお願いして、何とか国のためになるよう有効に利用していかなければならぬと思うわけですが、この点については、佐世保の市長どういうふうにお考えになります。
○辻参考人 先生のお説に同感であります。
○宮崎委員 それでは、時間が参りましたので、質問を終わります。
○中村委員長 次に、石野久男君。
○石野委員 皆さんどうも御苦労さまです。 最初に辻市長さんにお尋ねいたしますが、市長さんは、長崎というところは被爆県でありますし、原爆、水爆に対する特殊な関係のあるところだという、そういう情勢の中で市政を担当していらっしゃる中で、今度の原子力船「むつ」を受け入れるに当たっては、先ほど来のお話でありますと、母港と修理港とのつながりは明確ではないといいますか、母港とのつながりはない、修理港だけであるからと、こういうようなことでお引き受けになられるような御所見でございました。 そこで私、参考意見の中でございました、いわゆる世界の造船界におくれをとらないようにという御希望と、それから原子力船「むつ」についてはまだいろいろな点で安全性が十分でないから、先ほど来他の参考人の方々もお話がありますように、受け入れにはなかなか賛成できないという市民の感情と、そういうものを両方抱え込みながらこの決定をなさったわけでございますので、いろいろと御判断があったと思います。私ども一番問題になるのは、造船技術なり原子力船の開発の問題と、そうした安全性の問題とをはかりにかけるという、その一番中心になられておる市長さんが判断をなさいましたときの一番決定的なものはどこだったのだろうかということを、もう一度この際聞かしていただければと思います。
○辻参考人 先刻の意見の開陳の中で申し上げましたように、安全性の解明、確認は、われわれ科学的知識の乏しい者には限界がございます。したがって、何を信頼するかということになれば、科学技術者、特にわが国の原子力の最高権威である方々の意見を十分にしんしゃくし、判断を求めなければならないと考えておるような次第でございます。したがって、修理については安全に施工ができる、こういう観点でもって検討をさせていただいておるような次第でございます。
○石野委員 修理に対する政府からの御説明はどういうふうになっておるか、私もはっきりわかりませんしなんですが、ただここに、運輸省と科学技術庁で出しました「原子力船「むつ」について」というようなパンフがございます。これはPR用のパンフだと思いますが、これについてもいろいろな見方があるのだと思いますけれども、ここに「しゃへい改修工事の概要」というのがございまして、これを見ますと、図にも掲示されておりますように、大分遮蔽の改修が行われておりますが、こういう事情については、市長さんは十分御承知なんでございますね。
○辻参考人 概略承知をいたしております。
○石野委員 実はこのパンフで出ております修理施工、いわゆる改修工事というのは、炉を動かさないから安全なんだということが前提になっているわけなんでございまして、原子力船「むつ」の放射線漏れはなぜ、どういうふうにして起きたかということの解明が、大山委員会だけの解明でもなかなか納得し得ないものが学者の間にもあるし、われわれにもまだ疑問があるわけでございます。ただ放射線漏れということだけでいたしましても、とにかく、こういう改修工事は炉と無関係な形で大丈夫、安全だというような運輸省あるいは科学技術庁の説明に、参考人の皆さんは御納得いけるのだろうかどうだろうかという点を先に聞いておきたいのです。これはどなたと申しません。皆さんの御意見を私ども承知したいものですから、御意見のある方全部言っていただいて結構でございます。
○鎌田参考人 先ほど最初の陳述のときに十分申し上げることができませんでしたけれども、私たち少なくとも一般市民として、専門家でない者から見ての素朴な疑問でございますけれども、安全性というものを主として遮蔽の改修に重点を置いて進められている、果たしてそれでいいのだろうかという点でございます。安全性ということを非常に矮小化して小さくとらえているのではないか。先ほどの放射能の問題もございましたけれども、長崎の被爆の体験からすれば、三十年かかってわかっていること、まだわからないことがたくさんございます。そういう意味で、環境放射能の影響、あるいは船員さんの被曝の可能性、こういうものをやはり長期的に見て予測しなければならないというふうに考えます。 先ほど言いましたけれども、岩波の「科学」の中で、アメリカの科学者たちは、そういう被曝の予測、事故の予測を数的にさまざまに計算しております。こういうことを一体政府や事業団の方はなされたのであろうか、むしろお伺いしたいと思います。もし事故の予測が幾らかでもあるならば、それを出して、その上でひとつ議論していただきたい。そういう予測も全くないのかどうか、されてないのじゃないかという疑念があるわけであります。 また、これも素人考えでございますけれども、モックアップ実験、実物大の模型をつくって現在遮蔽工事の実験が行われておりますけれども、この実験の結果もわかっておりません。私たちが聞いたところでは、この模型は実は十五分の一の模型であるということでございます。もし完璧にこの十五分の一の模型で実験をやったとしても、実物はその十五倍だとするならば、予測しない多くの問題ができるのじゃないかと思います。少なくとも現代科学は、特に自然科学者はいろいろな予測を立てて、法則的な計算の原則を出して、そして計算し実験しやっておるわけでございます。日本の原子力科学者たちは、あるいは原子力工学の専門家たちは、そういう点で自分の計算に対して、予測に対して完全な自信があると言えるのかどうか、これを逆にお伺いしたいと思います。 私は、素人考えですけれども、十五分の一のモックアップ実験でこれができるはずがないというふうに考えます。恐らく予測しがたいさまざまの問題が出てくるのではないかと考えております。ある専門科学者は、「むつ」はおばけ屋敷のようなものだと言っていると私は読みました。もしそういうことが科学者の常識としてあるならば、とてもこのような安全パンフレットを町内会に配ったりなんということはできないはずだと思うわけであります。 そういう意味で、私は現在の改修計画の一端について述べましたけれども、重大な不信を持っており、とても信じるわけにはいかない、長崎の地元の科学者は一人としてこれをそのまま受け取る者はいないだろう、そういうふうに私はあえて言いたいと思います。
○小林参考人 いまお尋ねのことでございますが、実は私も申し上げたかったのです。私は、原子力のそういう理論的解明ということよりも、やはり常識的に受け取りながら、被爆した立場からこれについては相当の勉強もさせていただいたつもりでございます。原子力を平和利用する、そしてその修繕であって母港とは考えていないといま市長さんがおっしゃいました。でも、修繕のためにどれだけの設備が要るのか、どういう拡大されたものが必要になってくるのか、具体的にそれをいたしますと、これはあるいは修繕も母港も一緒ではないかと思うのです。だから、修繕と言えばちょこちょこと済むので、母港は永代に責任を負わなければならないというような物の考え方は、当たらないことがあると私は思います。ですから、修繕をするなら、母港まで一緒に最初から引き受けてやるべきだと私は思うのです。 でも、そういうことは私は申しません。なぜなら、原子力の平和利用ということを先ほどから何度も皆さんがおっしゃいますけれども、まだ処理の問題では日本では何にもできないというような状態なのです。そういう日本が修繕をするとか母港をこしらえるとかいうような段階ではなくて、みんなの心の中に原子力というものをずしんと置いて、よしきた、これでやっていこうというような、どういうことがあるのか。恐らくだれもそういうことはないのじゃなかろうかと思うのです。余儀なくそういうことをおっしゃる。 ことに市長さんたちは、お立場上そういうこともおっしゃっていらしゃいますけれども、私が先ほど申しました放射性物質が検出されたというのは、むつの母港につながっている原子力船「むつ」の原子炉の第一次冷却水というものを調査してほしいというのは、これはその本部からでございまして、多分これは別に何にも変わったことはございませんという報告が来るものと予想して、その精査を依頼ざれたものだと思います。それがあにはからんや、セシウム137、コバルト60、マンガン54、こういうものが続々と検出されたというこの現実。これは、だれもわからないからこういうところに突き当たっているのであって、わからないながらも、やはり原子力というものを何とかしてこの国の力に利用したいと思う人たちもございましょうし、また、政府がそれだけ力を入れるならば、あるいはそれが力になるかもしれないと予想している人たちもありましょうし、私たちのように、原子力というものよりも、原爆のひどい目に遭って本当にやっと命を取りとめたような人間もおるのでございますから、その見方は非常に多様で多種だと思います。 こういうときに、私たちは何も皆さんを相手にけんかするつもりじゃございません。自分の体験から本当のことを申し上げて、よほど日本はこの際しっかりしなければ大きなけがをするというようなことを予想しておりますから、私は本当のことを申し上げるのでございます。原子力の平和利用といっても、安全ということは何一つ全然保障ができておりません。あの安全性がきちんと保障されていないところで、その中で原子力を認めるということはだれでもできないはずなんでございます。認めたいと思う人はあっても、認めることができるそういう証左が何一つないというこの時点において、日本の人たちは、もっと正直に本当に心をつないで、他日のために私たちは考えなければならぬのじゃないかと思います。 ですから、むつの市民が徹頭徹尾これを反撃し、そしてむつに置くことはできないといって、一日も許さないで追い出してしまったあの熱意、あれはやはり、われわれがうかつにこれに取り組むことはできないという、その真意がああいうふうな形になったのだと私は思っております。火に焼かれて死ぬべかりし私たちをこの会議に出さしていただいたことを、本当に心を込めて喜びながら、この原子力というものがわれわれ人類にどのような影響を与えるかということを正直に私は申し上げて、これは慎重に取り組まなければならない問題だということをもう一度申し上げるのでございます。 ありがとうございました。
○速見参考人 簡単に申し上げてみたいと思うのですが、第一は、遮蔽工事をやる場合の遮蔽物の材質なり、そういうものについていまだもって実験をする段階である、こういうぐあいに言われておりまして、この物自体についても、今度そのような遮蔽改修工事をやろうというその遮蔽物の構造、内容そのものについて、説明書では安全だと言われておりますけれども、いまこれが実際的に実験中である、こういうことが一つ言えます。 もう一つは、船舶に装置したままでございますから、上部の方は確かにいろいろな工事ができると思いますけれども、底部の方、底の部分については、実は一つ一つをれんがみたいな形で詰め込む。詰め込む場合に、実際的に果たしてそのような間隔からの放射線漏れというのがどうなのか、こういうようなものについても実験をやらなくちゃならぬ。こういうような状況から判断をして、実際的に船に装置したままの形での改修というのが完全にでき得るかどうかということについては、私たち非常に疑問を持っておるところです。
○佐藤参考人 今度の遮蔽の改修については、私ども素人には全くわかりません。そのやり方については、表現の上ではわかっておりますが、専門学者のようにはわかりません。したがいまして、考えられますことは、出力上昇試験が一・四%の時点で〇・二ミリレムの放射線漏れを起こした、その具体的事象に対する対応であろうかと思います。したがいまして、あの設計当時のように、アメリカのWH社から指摘されたようなストリーミング現象がわかるようなコンピューターが現在日本にあるかどうか、そういうこともつまびらかにいたしておりませんので、その辺のところは、現在東海村ですでに実験も始まっておるそうでございますし、なお原子力安全審査会で厳重なチェックをされますので、それを信頼する以外に手はないと思っております。 ただ、いま言い得ることは、私どもが日本の原子力工学者、科学者を信用できるかどうかということであります。その点につきまして、先般われわれよりも数等原子力開発について先輩であるソ連から日本に対して、原子力発電十基のプラント、四千億円の商談が持ち込まれているということを聞きまして、私は、日本の原子力工学、科学、そういうものに全幅の信頼を置いている次第であります。
○山川参考人 午前中、造船技術の基本原則を逸脱した形で行われたと申しましたが、今回の遮蔽改修計画ということにつきましても、非常に大きな逸脱があるのではないかという点を指摘したいと思います。なぜならば、「むつ」の放射線漏れ事故は、わずか出力一・四%、二十分間の測定に基づいた資料しかないわけでございます。しかもその当時船上には、十分な観測をし計測をする機械と人員、研究者、これが乗っておりません。その後、調査団が乗り込みまして調べましたときも、計測機器の不備、あるいは電源の安定状態が悪いその他で、とられました結果というものは非常に信頼性の少ないものであることは、そのときの調査団長自身が認められておられることでございます。そういう結果をもとにいたしまして改修計画を立てる場合に、その後開発された新しい計算コードをもちましていろいろやった結果があるそうでございますか、それに合わせるように、はっきり申しますと、実際のことで計画を立てているのではなくて、やはり推定に基づいて、都合がよかろう、この辺なら何とかなるだろうというふうなことで計画を立てておられるようでございます。したがいまして、今度の改修計画そのもの、これが完全に第一次事故である放射線漏れを防ぎ得る可能性すらも疑われるのは当然でございます。 そのほかに、今度の改修計画につきましては、機器の総点検を行うということが述べられてございますけれども、機器の総点検、一つ一つ機械を取り出して動くかどうかを調べるだけでなしに、システムとして総合的に動くかどうかの点検が必要なのが一番大事なところでございます。それは、午前中にも申しましたように、陸上において十分な計測、研究あるいは応急措置、こういったこともできる体制で行われることが望ましいのでありまして、いま佐世保の工場は、不況とはいいながら、各種の船があそこに修理あるいは建造に入っております。そういう安心できる船ならば修理に入ってよろしゅうございますけれども、特殊な船を日常作業をやっておる中に入れてやるということは、大変な混乱と間違いが起きるもとになろうと思います。したがいまして、今度の改修計画そのものは、原子炉をとめているから大丈夫だとおっしゃいまして、皆さんが安心なさるようにいろいろしておられますけれども、事実はこれと全く逆で、全く誤りを重ね、もっと深いどろ沼を露呈するのではないか。専門の関係から考えましても、この際大きく方針を転換されて、根本的な対策の方に転換されることを期待したいと思います。
○石野委員 漁連会長の住江さんにお尋ねしますが、参考人のお話によりますと、修理というのはずるずると母港化していくだろうという御心配を持たれておる、こういうことでございます。 いまお話の中にもあったと思いますが、各地の原子力施設と漁民との関係は、いつでも抗争が起きますと、最終的には補償という問題などで漁業権を放棄するというようなことの解決へずるずる入っていくわけですね。佐世保の場合は、湾内のことでもございますし、また他の地域とちょっと違ったところがございますが、過去の経緯もございますし、特殊な事情もある。そういう中で漁連の皆さんのこの問題の扱いですね。先ほど、全国の漁民の大会の中でも反対の意思決定はした、こういうお話は聞いたのでございますけれども、そうは言いましても、各地で漁業権の問題ではいろいろまちまちな扱いがされております。今回の場合、この修理港の問題は、政府は非常に熱意を持ってあそこを設定をし、市長さんのところまで来ておるし、知事さんのところにも来ているわけですが、漁連会長さんとして、そういう問題に対処いたしまして、決意のほどといいますか、そういうふうなところを、いろいろな情勢を含めてお話しいただければと思います。
○住江参考人 先ほど述べましたように、私たち長崎県漁民だけでなくて、全国の漁民は、この欠陥船「むつ」受け入れにつきましては、どこの方々も反対でございます。 ただいま、修理がずるずるで母港になるのではなかろうかというお話もございましたが、全くそのとおりになるのではないかという予想をいたしております。先ほどからも各参考人からいろいろお話がありましたように、まず修理だけにとどめるんだったら、なぜ、七つの予定地があるのにそこを決定して、修理だけだということで佐世保あるいは長崎県知事に対しても申し入れをしないのか。やはり修理が終われば、恐らくどこの港も母港としては断わるだろうと思います。したがいまして、修理を完了した後においてもそのまま佐世保に居座るという公算が非常に強いということで、反対の方々の御意向はそこら辺にあるのではなかろうか、かように考えております。 いろいろ修理の過程において、炉は抜かずに船体の修理だけだというようなお話もありますが、それだったら、やはり神戸の三菱工業に持っていって、まず炉を外しておいて、そして船体だけ——現在のところ、あれは船でないわけでございまして、検査も終了していないし、物体でございます。したがいまして、そうやって引っ張ってさておいて、佐世保で修理してもいいのじゃないか、かように考えておるわけでございますが、ただ炉は抜かない、そんな危険なものには一切手を触れないというようなことのみで、原子力船事業団にいたしましても、科学技術庁にいたしましても、われわれにはそれ以上のことは何ら説明ありません。 漁業権問題その他で御質問がございましたが、現在、原発が問題になっているわけでございますが、山陰地区におきましては、四県共同で各電力会社と事故防止対策のために協定を結んで、ちょっとでもおかしいことがあったら直ちにエンジンストップというような強硬な態度に出ております。いずれにいたしましても、原子力発電所もまだまだ問題があるようでございますので、国民あるいは県民、あるいは漁民が理解できないようなことは、政府みずからも慎重にやっていただきたいというのが実情でございます。 佐世保湾内に五漁協あるわけでござますが、全県下百六十七のうち五漁協のうち、相の浦漁協というのと黒島漁協というこの二つの漁業協同組合は、純然たる漁業を営んでおる漁家がほとんどでございまして、いろいろ問題はありましたけれども、われわれと一緒の行動で絶対阻止ということで動いております。湾内の佐世保市漁協、針尾漁協、佐世保市南部漁協、この三漁協がまだ去就を鮮明にいたしておりませんけれども、その中の純然たる漁民はわれわれと同調いたしているわけでございますが、ほとんどが佐世保港内は漁業権も消滅してしまっているわけでございまして、補償で生計を営んでいるという方々が、条件つきで修理港を誘致してもよろしいのじゃないかというところでございます。 まあ、いずれにいたしましても、純然たる漁民は真っ向から反対でございまして、命を張ってでもこれを阻止するという強い決意であることを、ひとつこの際諸先生方にお知らせしておきたいと思います。
○石野委員 佐藤さんと志方参考人にお尋ねいたしますが、佐藤参考人は、原子力問題については、東海を初め各地のところをずっと見てきて、原子力の安全性については認識をなさっておる。したがって、やはりもっと原子力の安全性について政府はPRすべきである、こういうような御趣旨のお話がございました。それからまた、志方参考人は、経済の側面から、佐世保が現在非常に苦境に陥っている中で、人口増加を期するという意味も含めて、こういう企業の誘致ということが非常に大事であるというようなお話でございます。 この原子力問題についていま一番問題になっているのは、何といってもエネルギーを確保するという側面を強調する方々と、その必要もあるけれどもより多くは安全性の確保を優先しなくちゃならぬという、こういうこととの意見の対立だったと思うのです。そこで、時間も余りございませんが、佐藤さんにひとつお尋ねしたいのは、実は原子力船「むつ」に積載しております舶用炉の加圧水型のやつは、やはり美浜の原子炉と同じなんでございまして、美浜の原子炉は現に蒸気発生器の事故で、非常に長い期間稼働ができないでおる。それで、この原子力船「むつ」の場合は、出力試験をしまして、稼働に入って、出力上昇に入ってほんのわずかの時間の間で、経験が非常に乏しいということも含めて、あなたの場合は、この炉に対する安全性というものについて確信を持つだけの自信がおありになるんだろうかどうだろうか、その点をひとつ御意見を聞かせていただきたい。 それから、志方参考人につきましては、経済性の問題は非常に大事だし、不況下でございますから、われわれも、できるだけ地方の産業を育成することは非常に大事ですが、原子力産業、それも一つの地域産業として大事ですけれども、漁労者もおれば、一般の市民の経済生活をしている方もたくさんおる。そういう中で安全の問題というのは、非常に全体の地域経済にとって大事であるというようなことも含めて、なおかつその必要性を強調される理由の問題、特に安全性についてどういうような御所見であるか、この点をひとつ聞かしていただきたい。
○佐藤参考人 美浜と「むつ」の原子炉について、私ども素人でございますけれども、美浜の場合はアメリカ直輸入である、したがって時期も早かったし、故障の原因はピンホールに由来するものが多かったように聞いております。また、蒸気発生器の細管の中にそういう現象が出た。出たけれども、輸入品であったからすぐに部品の取りかえができなかった、したがって大変美浜の一号機においては稼働率が低下した。約三二%と言われておりますが、そういう原因であったと思います。 しかし、「むつ」におきましては、四十七年にあの原子炉は塔載されまして比較的新しい。また、〇・二ミリレムの放射線漏れも、これはピンホールというような原因ではなくて、ストリーミングという現象を予知する計算コードを当時持たなかった、そういう面からの故障であったと思いますので、私は、原子力船「むつ」の原子炉につきましては、現在全幅の信頼を持っております。 以上であります。
○志方参考人 私のところは、地方の一経済団体にすぎないのでございます。したがって、先ほども申し上げましたように、この造船不況、将来が非常に深刻になってくるという段階で、「むつ」修理受け入れという問題を浮揚の一つのものとして取り上げたわけでございます。私のところには、佐世保地方中小企業団体協議会と佐世保市商工連合協議会という二つの下部組織がございますが、商工会議所といたしましては、まだ総会において決定するというのには早いのではないかというようなことを言う人もいらしゃいまして、知事、市長さんが受け入れということをお出しになってからでもわれわれはいいのじゃないか、お出しになった時点においてあえて反対するものではないけれども、というような空気が一つございます。 それから、先ほども私申し上げましたように、被爆県でもございますし、水産県でも長崎県はあるわけでございます。したがって、被爆県の県民の皆様、水産業の皆様方に、原子核の問題は原子爆弾ではないということをはっきり御説明していただくことは、政府ならびに科学技術庁の先生方の責任ではないかと私は痛感しておる次第でございます。原子力の「むつ」の問題と爆弾の問題がはっきりしてまいりましたら、私はその説明を納得してくださることが大部分だろうと思います。したがって、政府並びにパンフレットで出しておられるものを信用する以外に、現段階では私の方はないと考えておる次第でございます。
○石野委員 時間かございませんが、一言だけ。 いま佐藤さんから美浜の問題等についてのお話があったのですが、美浜の炉と原子力船「むつ」における炉との関係で、参考人の得ておるお話と私どもの理解がちょっと違う点がありますので、それだけちょっと申し上げておきたいと思うのですが、三菱原子力の藤永さんによりますと、「陸上の加圧水型原子炉が多くの点で改良されていたにもかかわらず、「むつ」の原子炉の炉心は初期の形式のままであったため、建造に先立って改造したい希望がいろいろとあり、その主な点は、一、燃料被覆管をステンレスからジルカロイ合金に変える、二、十字形制御棒をロッドクラスター型にする、三、熱核特性を当時の陸上炉に近づけるなどであった。」「これらの点が改良されていれば「むつ」の原子炉の性能は著しく向上し、原子炉容器も小型化されたのではないかと思われるが」云々とあって、「そういうわけで、「むつ」の原子炉は当時としても旧式炉だったことになる」、こういう見解を持っておる見方も一つあるのです。したがって、いま参考人からお話がありました、美浜のものは古いけれどもこれは自前のものであって、技術も進んでおるからということについては、違った意見もあるということだけをちょっと申し述べさせていただきたいと思っております。 どうもありがとうございました。
○中村委員長 次に、八木昇君。
○八木委員 後で参考人の方にお伺いします事柄と若干関連をいたしますので、最初に原子力局長に二、三点お伺いをいたしておきたいと思います。 先ほど速見参考人の発言の中にあったのですが、速見さんが直接科学技術庁の原子力安全局長からお聞きになったそうですけれども、母港においては岸壁で二〇%の上昇試験、湾内で五〇%の上昇試験をやる、こういうことだそうでございますが、まず岸壁で試験をやって、それから逐次、湾内、そして洋上、こういうことをやっていくということについては、かねて私どもも聞いておりましたけれども、いまの点、間違いございませんでしょうか。これが一点です。 それから、本年度の科学技術庁の予算では、十九億円が「むつ」の点検、遮蔽の改修準備といったことの費用として予算化されておりますが、一体今回の遮蔽改修、遮蔽の補強、それから部分的には炉の部分等についても改修等の仕事があり得るかもわかりませんが、一体経費はどれだけかかるのか。 それから、大湊の場合、母港建設に五年かかったと私は承知しておるのですが、どこが母港の場所になるかによって若干の違いがございましょうが、母港、定係港建設には、一体何年ぐらいかかるものか。 その三点をまず端的にお答えいただきたい。
○伊原政府委員 先ほどの速見参考人のお話の中に、二回ばかり私の話という引用をいただいたわけでございます。少し前でございますので正確に記憶しておりませんが、確かに岸壁で二〇%までの試験をいたしたいということは申したような記憶がございます。これは、二〇%出力までは原子力船を動かすに十分なだけの出力が得られないということでもございますし、二〇%までは、自力で動けないわけでございますから、岸壁で試験をし、その出力段階を越えましてから後、何段階か出力上昇をいたしますときは外へ出てやる、こういう趣旨を御説明申し上げたかと思います。 それからいま一つ、これは先生の御質問にはございませんでしたけれども、修理が終わっても母港が決まらなければ居座りではないか、こういうことについてのお話がございましたが、私の記憶では、その間には十分母港をお引き受けいただけると思うというお話をしたのでございますが、どうしても決まらなかったらどうなるかというお話でございましたので、そのときにはその場にいるということにならざるを得ない。仮定の議論としてはそうならざるを得ないということはお答え申したと思います。それはどういう状態かと申しますと、佐世保が母港になるということではございませんで、現在のむつ市における「むつ」の状態と同じような状態という意味で御説明申し上げたように記憶いたしております。
○山野政府委員 修理港におきまして修理に要する経費でございますが、御存じのとおりこの修理は、詳しくは安全性の総点検と遮蔽の改修でございますが、その工事内容につきましては、引き続き、私どもと運輸省とで設けましたむつ総点検・改修技術検討委員会におきまして、しさいに検討しながら進めるということでございまして、現在、見積もり金額というものはまだ出しておりませんので、金額を申し上げる段階ではないと思います。 それから、定係港の建設に所要の期間でございますが、前回青森県に建設いたしましたときには、四十三年から四十五年まで三年間を要しております。で、今後新しい定係港がどの地に建設されるか、その地形、環境等によって所要期間は変わるわけでございますが、総じて言えますことは、現在むつ市にございます地上施設というものを相当程度活用できると見込まれておりますので、全く新しく定係港をつくるほどの期間は要らないであろうということ。それから、いま一つ、係留施設のみということになりますれば、かなり短期間に建設し得るのではないかというふうに考えております。
○八木委員 科学技術庁とのやりとりは委員会の別の機会にやるのが本来と思いますから、多く申しませんが、ちょっとだけ再質問をいたします。 岸壁で二〇%程度の上昇試験をやった、次はいきなり大洋上に出るということにならないのは当然でございますから、波浪やその他が少ない湾内もしくは母港近くで、次の上昇テストをやるのだろうと思います。これについて五〇%という数字を明瞭に言っておられるのです。その点を聞いておるわけなんです。 それから、正確な今後の遮蔽工事のための費用はわからないにいたしましても、おおよそのところをいま述べられませんか。
○伊原政府委員 補足説明させていただきます。 二〇%を超えた場合の場所でございますが、これは船が原子力推進で動くという段階になりますので、岸壁ではやれない。したがって海上で実施するということでございます。その海上の条件といたしまして、どういう条件でなきゃいかぬということは特にないと思われます。したがいまして、どうしてもある条件の湾内でなければいけないとか、そういうことはございません。また、湾内でできるような条件のところがあれば、湾内でやっていかぬということもございませんが、海上で出力を出して原子力エネルギーで船が動くという段階がある、こういうことを申し上げたわけでございます。
○山野政府委員 遮蔽改修並びに総点検に所要の工費でございますが、五十一年度に予定いたしております。主としてソフトウエアを中心といたしました作業につきましては、先ほど先生が御指摘のとおり、事業団の所要予算といたしまして約二十億円を計上いたしておるのでございますが、それ以降の具体的な遮蔽改修並びに総点検の作業、特に修理港において行います作業となりますと、これは関係する機関等から見積もり等の取り寄せといったふうなことも必要でございますので、現在のところ、数字をまだ積み上げていないという段階でございます。
○八木委員 それでは速見参考人にお伺いをいたします。 御承知だと思いますけれども、長崎県当局におきましては、何かこの「むつ」問題についての技術検討のための審議会というようなものをつくられて、二十一項目の質問書というようなのを科学技術庁にお出しになっておるというふうに報道をされておるのですが、結局、先ほど速見さん言っておりましたように、それに対して、科学技術庁がいろいろな美辞麗句をもって回答したところで、ほとんど意味がないと思うのです。 そこで、今日まで、この「むつ」が計画をされ設計をされて、そうしてさらに、短時間ではございましたけれども、しかもわずかの上昇試験でございますけれども、上昇試験をやったわけで、今日までの一切の生の蓄積資料を全部出せ、こういう御意見がございましょうか。また、そうでなくては、長崎県が何か審議会みたような形だけをつくって審議をしたって、その審議された中身そのものか信用できないわけなんです。そういうふうに考えるのですか、先ほど来問題になっております各種分析、ずっと機関別の生の資料はもちろんのこと、放射能の濃度についてのいろいろな調査をした内容の具体的な、生のそのままずばりのもの一切を出せ、こういう御意見をお持ちでございましょうか。これが一つ。 それからもう一つの点は、速見さんが言われること、これを端的に言えば、結局、母港は岸壁で二〇%の上昇試験をやり、そうしてその母港の近くで、いずれにせよ五〇%の上昇試験をやる。結局、何のために上昇試験をやるかといえば、そこで故障が出ないか、そして出た場合それを分析し、そうしてこれにどう対応策をとるかということのためにやるわけですから、当然そこで故障や事故というものは予見されるわけです。そのことを考えると、いま日本の国内で、どこだって母港を引き受けるというところはあるはずがない。だから、盛んに修理港ということで言っておるけれども、結局それは修理港と母港は一体のものである、しかも修理港と言いながらもその裏には隠された意図がある、それはいわば佐世保を一種の原子力船のメッカみたようなものにしたいという意図が隠されておる、こういうふうに一貫して理解しておるということだろうと思うのですが、そのような理解が、佐世保市民はもちろん、長崎県民の一般の理解である、こういうふうに判断をしておられるか、その点をお伺いします。
○速見参考人 まず第一点の資料提出の問題でございますけれども、このことについては、長崎県知事にも強く要求をいたしまして、「むつ」を建造するときの設計の段階から、すべての実験段階における資料を含めて公開するのが必要ではないのか。そのことについては、やはり原子力基本法に基づく民主、自主、公開の原則に立って、いま伊方裁判で、一時企業秘密という問題でいろいろな資料提出を断っておる状況もあるようだけれども、そういうものはやはりこの際すべて明らかにして、そういう秘密的なものは除去して、明らかにそういう資料の提出を求めて判断を仰ぐのが妥当ではないか、こういうことについて政府に要求すべきであるという申し入れをいたしまして、知事もそのように理解をしておる、そのように政府に対しても申し入れをするということでありますから、いま先生がおっしゃられたように、私たちはこれを検討する上においては、ただ三十二項目の質問に対する答えだけではなく、全資料の公開を求めて今後私たちも十分検討をしたい、このように考えておるところです。 それから、母港との関係でありますけれども、これは佐世保が最有力になるという報道がありまして、直ちに私たちは政府に出向きまして、佐々木科学技術庁長官にお会いいたしました。そのとき、修理港と言っているけれども、母港という関係につながってくるのではないか、こういうことについて鋭く質問をいたしました。建設問題等を含めてお話をした際に、このような御発言がありました。今後は原子力船「むつ」については安全を大事にしたい、したがって安全であるという前提条件に置けば、新しく港をつくらなくとも既設の港でも活用できる、実はこういうような発言がありました。実は私どもはこの問題について非常にショックを覚えたわけであります。そうしますと、実際的に陸上における諸施設ということのみに限定をされてくる。やはり岸壁があり、そのような条件のあるところとなりますと、普通一般的な田舎の入り江というようなところにこの母港を持っていくという条件ではなくして、大体一般的に港湾施設が整っておるところに母港の設定というのが必然的になされてくるのではなかろうか、こういうような前提条件もありまして、佐世保の母港という問題が、結果的には修理港即母港という形につながっていくのではないか、これが第一点であります。 第二点は、先ほど申し上げましたように、佐世保市議会でも、七つの候補地を持っておる、こう明確におっしゃっておられるわけでありますから、そうであるとするならば、私は、この際七つの候補地を明確にして、そしてそれを積極的に進めてみて、その結果を見て、修理の問題については、具体的に修理港としての提起をすべきではないか。こうしなければ安心できない。これは、一部賛成者の方たちについては、そういうことは政府を信頼すればいいというおっしゃり方でありますけれども、佐世保市民の多くは、この問題に対する疑問はほとんどすべてであるというぐあいに考えていいと思います。これを否定をする条件というものは何物もないのではないだろうかという気がいたしております。 以上です。
○八木委員 よくわかりました。何か先ほど、むつの設備の一部を使うみたような御答弁が科学技術庁であったのですが、それは使わない約束になっているのじゃないですか。
○山野政府委員 むつ市において使うという趣旨ではございませんで、活用できるものは新定係港に移設をいたしまして活用するという趣旨でございます。
○八木委員 ところで、辻市長さんにお伺いをいたしたいと思うのですが、昨年五月、私は日本社会党の調査団ということで佐世保に参りまして市長さんにお会いしたわけですが、その際にも市長さんの発言が非常に大きく問題になっておりまして、だから調査に行ったわけなんですが、その後、議会においても市長さんが答弁で言っておられるのですが、ある時期、佐世保を原子力のメッカにするという趣旨のことを言っておられます。それは一体具体的にはどういう意味なのか。それでしかも、私どもか行ったときにも、私個人の見解と、それから市長の立場ではというのを、いつも使いわけをしてお話しになられます。そこで、辻さん個人、御自身としては、どういうお考えを持っておられるのか。メッカにすると言われた時期があるかと思うと、燃料棒を抜いて「むつ」が来るというならば受け入れてもいいのではないかと、そういう言い方をされた時期があり、修理だけならばと、こういうふうに言われる時期もある。一方においては、メッカにするという答弁等がなされる。でございますから、あなた御自身の真意をこの際ここでも明らかにしてほしい。 それでその前に、いま申し上げましたあなた自身がお使いになった言葉ですから、原子力のメッカというのは、具体的にどういうことですか。
○辻参考人 私は、原子力の修理港と母港と貿易港、いわば安全評価のできる港、常に原子力商船が出入りをして貿易を営む、こういった港と母港と修理港を区別をしております。母港というのは、先生も御承知のとおり、燃料を積みかえたり、廃棄物を処理したり、船員を養成したり、いわゆる原子力船の根拠地になる。メッカと申し上げるのは、貿易港、安全評価のできる港、あるいはまた原子力船を建造できる港、こういった考え方で表現をしておるような次第でございます。御了承願いたいと思います。
○八木委員 それで、後の方の点ですけれども、結局、母港と修理港というものは切り離して、あくまでも修理港だけ永久にということでのみ受け入れる考え、将来ともということですか。だとすれば、いまのメッカとおっしゃるのとも相当矛盾があるように感じますけれども……。
○辻参考人 修理だけであって、母港は考えておりません。
○八木委員 それでは、それぞれお三人の方にお伺いをいたしますか、一つは小林さんにお伺いをいたします。 まあ、そういうことは実際問題としては万々ないと思いますし、またそういうことがあっては断じてならないと私は思うのですけれども、小林さんにお伺いをいたしますが、もし政府があくまでも「むつ」を佐世保に持っていくということを強行するというような事態、そういったことでもあるとする、また、そういうような情勢がいよいよ察知されるというようなときですね。被爆者の皆さんの気持ちは、先ほどお話しになったとおりであると私も理解いたしますが、たとえば署名をとるなり何なりして、そうしてあくまでも皆様方の意見というものを主張される、そういう御決意があるかどうか、そういった決意のほどを伺いたいと思うのです。 それからまた、漁連の会長さんには、これは何月でございましたか、昨年であったと私も記憶しておりますが、漁船を四百隻ぐらいでございますか、動員をされまして、非常の事態に備えて、場合によっては実力阻止もあえて辞せずということで予行演習をおやりになったという報道を私承知しておるのでございますが、先ほど来のお話しのように、これは一長崎の漁業の問題じゃない、全国どこの漁民も同じだ、したがってこれは全国的問題としても自分たちはあくまでも阻止するという決意を表明されたのですが、さらに具体的手段としてどこまでの御決意であるか、その辺をお伺いいたしたいと思います。 それから、速見さんにつきましても、共闘会議としてのいわゆる具体的な運動の決意といいますか、そういった点を、よろしかったならば端的に表明していただきたい。
○小林参考人 大変大切な問題でございます。政府はあくまで国民の代表者でなければなりませんし、国民はまた、私ども一人一人の心を心として政府が動いてくれるものと確信しております。ですから、われわれの心がどうあろうと政府はこの線で行く、そういうことはよもやお出しになることはないだろうと思います。また私たちは、善意をもってわれわれの本当の心をどこまでもわかっていただくように努力いたすつもりでございますから、そのようなことがあっては日本の国もおしまいだと思います。だから私は信じております。私たちが言うても、木像が何を言うかとおっしゃればそれまでのことでございまして、そういうことをおっしゃる人たちをわれわれは評価することになりましょう。私たちは、自分の生命も、自分につながる子供たちの生命も、そしてまたお互い国民としてのつながりも、善意をもってそのあり方については努力していくつもりでございますし、その私たちの心はどこまでも、政府もまたわかっていただくべきものと信じております。 以上でございます。
○住江参考人 五月十五日までに反対決議いたしておりますのが、長崎県漁連関係初め九州、山口三連会長会、漁業協同組合連合会、信用漁業協同組合連合会、共済組合連合会というのがあるわけでございますが、この三連会長会並びに全漁連ということでございます。 市町村の反対請願採択状況は、八市七十町一村あるわけでございますが、現在、反対請願採択されておりますのが七市十九町一村、継続審議中が一市十四町でございます。 署名人員が八万二千七百六十四名、資金カンパが四百四十一万七千円ということでございまして、昨年十一月二十八日に、四百三十隻の漁船を動員いたしまして、封鎖予行演習ということで、陸海合わせまして約三千名を動員して封鎖演習をやったわけでございますが、これはわれわれ漁協系統団体の決意といたしまして、いよいよ「むつ」が修理のために強行入港するという場合には、一日約八百隻ぐらいを動員いたしまして、そして実力行使に入るという組織の決定を見ております。御承知のように、漁をやめてこれにかかるわけでございますので、その資金手当ても、昨日の総会において大体会員の了解をいただいております。この封鎖実行がなされないように、ひとつ格段の御協力をお願い申し上げたいと思います。
○八木委員 私どもの割り当て時間があと三分になってしまいましたから、一括最後の質問をしまして終わりたいのですが、いまの漁連の会長さんに重ねてもう一回御答弁いただきたいのですが、蛇足かもしれませんけれども、言うまでもなく、これは母港と修理港を切り離して、修理港だけだという場合も同様だと思うのですが、そのようにはっきり理解していいかということと、いま、七カ所母港の候補地を予定しておるということが言われておるのですが、その中に数カ所九州の地域もあるわけですね。恐らくただいまのような態度は、九州各県どこの漁港においても、いまの決議の状態からほぼ同様であろうと思うのですけれども、そのように理解しておってよろしいかということ、この後、速見さんからお答えいただきたい。 それから志方さんですけれども、結局、経済浮揚ということを考えているということをおっしゃるのですけれども、「むつ」の修理港、修理だけの受け入れをするというのですが、修理だけを受け入れることによって、佐世保市の不況対策というものに具体的にどういうメリットがあるというふうにお考えなのですか。たとえば、修理港を受け入れることによって、新幹線を引っ張ってくるのをもっと早めてもらいたいとかなんとか、あるいは、それと引きかえに今度は見返り給付みたいなことで、佐世保重工に海上自衛隊の軍艦あたりをつくる注文を少しふやしてもらいたいとかという、そういうメリットを考えておられるのか。それとも、これは修理港として当面受け入れるが、ほかに行くところがないから結局母港になるだろう、それもなし崩し的に受け入れる、そうして将来何か原子力船の製造についても、市長が言われるように、今度はそれが貿易の根拠地となる、そういうメッカにしたい、こういうメリットというのをお考えになっておるのか、その辺のお考えを端的にお述べいただきたい。 以上で質問を終わります。
○中村委員長 それぞれお答えをいただきますが、八木委員の持ち時間の関係がありますので、簡潔にお答えをいただきます。
○住江参考人 修理港といえども絶対反対でございます。むろん九州のどこか候補地に挙がっておるか知りませんけれども、先ほど申しましたように、三連会長会の決議において修理、母港とも反対だという決議がなされておりますので、恐らく受け入れるところはあるまいと思います。
○速見参考人 まず第一点でございますが、私たちは最後まで反対の立場を貫きながら、いま具体的には署名運動、そして市民の皆さん方の協力を求めるための活動を続けております。どうしても政府が強行する。先ほど小林参考人が言われたように、そのことはないとは信じておりますけれども、もしもあるとすれば、ただいま漁連の住江参考人の方からおっしゃったように、私たちも陸と海で具体的な阻止行動をとるようにいま準備を進めております。 最後に、少なくともこのことは、県議会なり市議会だけの決議ではなく、やはり将来にわたる大事な問題でありますから、県民投票なり市民投票なり、そういう具体的な県民、市民の個々の意見を徴して最終的決定の判断を下すべきである、こういう形でいま知事なり市長なりに強くそれを要求しておるところでございます。
○志方参考人 この段階で会議所の専務としてということになりますと、ちょっと困るのでございますけれども、先ほどのことは、新幹線の問題にいたしましても、佐世保重工に技術陣がたくさんいらっしゃるということ、これも決してマイナスにはならぬと思います。 それから、海上自衛隊、陸上自衛隊の増強の問題も、私はこれは佐世保の宿命と思っております。海軍で栄えた町でございますから、今後生きていくためには、やはり自衛隊の基地という問題が浮かんでくるのだろうと思っておるわけでございます。そういうことで御勘弁願いたいと思います。
○八木委員 終わります。
○中村委員長 次に、瀬崎博義君。
○瀬崎委員 遠方から参考人の皆さん御苦労さんでございます。 まず、話の順序といたしまして、先ほどまでに参考人の皆さんから出されております共通の御意見に対して、政府側の見解も求めておきたいと思うのです。時間が非常に限られておりますから、簡単明瞭にお願いしたいと思います。 まず第一は、わが国の原子力行政が国民の信頼を失ったことは事実である、こういう指摘は、反対の立場の御意見のみならず、辻市長さんなども大変強調しておられました。政府は信頼を失っておる、この指摘を率直に認めるのかどうか。 第二点は、「むつ」修理港の問題を長崎の局地問題と見てはいけない、何とか長崎だけで解決しようとしてもそれはだめだ、まさしくこれは国政レベルの根本問題なんだ、そういう姿勢でまず政府あるいは国会が責任を持って解決に当る、こういう御主張でありました。この指摘を政府として率直に受け入れる用意があるのかどうか。 それから第三点、青森、東京、神戸で拒否されたものを、被爆県である、また水産県でもある長崎県民の受け入れられるわけがない。これは私もかねて質問もいたしておりますが、要は、佐世保が修理港に適するという政府の理由は、やれクレーンがあるとか、いやドックがあるとか、いや適した熟練技術工かおるとか、モニタリングポストがあるとか、物理的条件ばかりしか挙げておりません。私たちはきょうの参考人の御意見も聞きながら思ったのであります。長崎県民の心、長崎の人々の心、これは果たして修理港の適、不適の条件にはならないのだろうか、こう思ったわけであります。今後この長崎の人々の考え方を優先させるのか、それともあくまで物理的条件を優先させていくのか、どちらなのか答弁を聞いておきたいと思います。 それから第四番目は、修理港問題と母港問題というものは、本来切り離しがたく結びついている問題である、これは一体として解決を図るべき問題なんだ、母港の問題のめどがつかないのに、よしんば修理ができてみても点検すらできないではないか、もっともな話であります。 あるいはまた、一週間前の本委員会で、政府がいわゆる七つの母港候補地について名前を挙げませんから、私の方で、共産党が調べたらこういう港の名が上がってきたんだが、これが一体政府の選定作業の中に入っているのかどうかと聞いたら、関係のないところもある、こういうふうな答弁をして、政府側からはついに名前を挙げておりません。これではとても地元の人は信用できないということになる。早い話が、すでに青森で「むつ」が事故を起こしてから二年たって、青森の人々に出ていくと約束しておきながら行き場所が決まってない、この事実が、今後三年たったら確実に母港が決まりますということが全くうそであることの証明だと思うのです。今後この修理港と母港の問題を改めて一体にして考えていく気があるのかないのか。 この四点について、簡潔な答弁をまず求めておきたいと思います。
○山野政府委員 まず第一点の原子力行政に対する御批判でございますが、大山委員会がしさいに検討されまして、その中に行政体制に対する御指摘というものがあるのも十分承知いたしておりますし、私どもこれを真剣に考えております。 そこで、今後大きな立場からは、先ほどの内閣に設置されました原子力行政懇談会の結論、これは現在のところまだ中間結論だけでございますが、いずれ最終答申も出ると思われますので、これを踏まえて、政府部内において、できるだけ信頼にこたえ得る体制を整えてまいりたいと考えておりますが、とりあえず、ただいまのところ、本年一月に原子力安全局を新設いたしまして、安全規制問題につきまして責任体制の明確化を図るというふうなことをすると同時に、必要な安全審査官等の増員等も行ったわけでございます。そういうふうなことを積み重ねながら、先ほど申し上げました有沢委員会の結論を踏まえた今後の大きな強化、改革といったふうなものに持ってまいりたいと考えておるのでございます。 それから第二点の、「むつ」は局地問題ではないという御指摘でございまして、これは私どもも全く同感でございまして、単に検討をお願い申し上げました長崎県並びに佐世保市だけの問題とは思っておりません。これは、広く原子力船あるいは原子力の平和利用というふうなものにつきまして、国民のコンセンサスをいただくのが、まず大前提であるということはよく承知いたしておりますので、その面でも今後せっかく努力してまいりたいと考えております。 それから第三点の修理港と母港の問題でございますが、これはかねて申し上げておりますとおり、今後いずれの地に新定係港をお願いするにいたしましても、一昨年に起こしました放射線漏れの対策等も何ら講じないままに新定係港をお願いするということでは、安全性等について御納得をいただけないであろうということで、まずこの欠陥の部分を直す、あわせてその際、安全性に非常に関係深い原子炉部分を中心といたしました安全性についての総点検をするということをまずいたしまして、その後でしかるべき地点にお願いをしようとしておるわけでございまして……(瀬崎委員「あくまで分離方式だね」と呼ぶ)はい。私どもは、現在とりあえず修理をお願いし、その後で定係港をお願いしたいというふうに考えております。(瀬崎委員「人の心を大事にするのか、物理的条件を優先させるのか」と呼ぶ) 今後、修理港の受け入れをお願いするに当たりまして、物理的な条件は、先ほどおっしゃいましたとおりでございますが、長崎県が被爆県であるということ、また再三言われておりますように水産県であるということも、私ども十分承知いたしておりますので、この点は、地元の方々の御意思というものは十分に尊重しながら、安全性の内容につきまして、十分に御納得をいただけるように説明を尽くしてまいりたいと考えております。
○瀬崎委員 ぜひ参考人の方々も、いまの政府答弁なども参考にしながらお答えをいただけたらと思います。 本日のこの参考人においでいただいての集中審議は、自主、民主、公開の三原則を決めております原子力基本法の精神にわれわれ国会議員としてはできるだけ忠実にということで、その民主を徹底するために御意見を承りたい、こう思って実現された次第であります。 ただ、どういう方に御出席をいただくかということを本委員会の理事会が論議いたしました際、こういう私としては意外な場面に出くわしたわけであります。たとえば漁連の住江会長さんの御出席については、名前は申しませんが、実は長崎のことに最も御理解の深いはずの——————————————————————実際長崎県民の御意見を普遍的に承ろうというとき、この漁連の会長さんを除外して果たして長崎県民の意見になるのかどうか、この点の疑問が一つあるのです。これにお答えいただきたいことと、それからもう一点は、漁連の反対の決意は非常に固いことを承りました。しかもこれがイデオロギー等によるものではないというお話もありましたし、私どももそういう立場から、ぜひ長崎漁民の御意見を拝聴したいと思ったんです。会長さんは保守系の方でもございますし、当然そういう御意見は与党・自民党の方に反映するはずだと思うのですが、先ほどの自民党の質問者の御意見を聞かれてもおわかりのように国政レベル、国会レベルに出てくれば、自民党の意見というのは、長崎に「むつ」の修理港を持っていけということで賛成一色になっているわけであります。これを受けて政府側も、事実上既成事実の積み重ね、こうなってまいります。どこでそういう漁民の強い反対決意がパイプが切れてしまって与党に反映していないのか、われわれには不思議でならないのでありますが、地元からごらんになりまして、 どこでそのパイプが詰まっているんだろう、どういう理由で詰まるんだろう、こういうことについて、ひとつ忌憚のない御意見をこの席でお伺いしたいと思うのです。お願いいたします。
○住江参考人 お答えいたします。 われわれはパイプが詰まっているとは思わぬわけでございますけれども、漁民の真意をまだ十分に理解していただいているのではないのではなかろうかということでございます。したがいまして、与野党の諸先生方こぞって、水産県長崎被爆県長崎には、修理のため、あるいは母港として絶対入港をさせないというお気持ちに変わっていただきたいと思います。
○瀬崎委員 恐縮です。重ねてお伺いしますけれども、本当に漁民の気持ちなり立場なりというものを理解すれば、当然長崎へ「むつ」を持ってくるというふうな考え方は捨てることになるだろう、そういうことでございますか。
○住江参考人 そのとおりでございます。
○瀬崎委員 政府にお伺いしますが、いまのように漁民が反対しているにかかわらず「むつ」を長崎に持ってこよう、こういうふうな政府の考え方は、漁民の心や立場を本当に理解してないからだ、本当に理解すれば持ってこれるはずがない、こういうお話なんですね。政府は何とか説得して理解を願いたいというのですが、これは私は恐らく不可能な話のようにいま聞きました。どうしても漁連が反対だと言われるとき、政府は強行しないとこの場で約束できますか。
○山野政府委員 まず、水産業者の方々の御心配と申しますのは、恐らく、「むつ」を回航し修理をしております段階で、周辺海域が放射能等によって汚染され、海産物等に影響が出るという点を一番心配しておられると思うのでございますが、私どもは、そういった心配はないというふうに考えておるわけでございまして、この辺は、まだまだ私ども現地におきます説明が不十分なところもあるかと存じますが、今後十分に説明を尽くして、そのあたりはよくよく御納得いただこうと思っております。
○瀬崎委員 ということは、御納得がいただけない以上は強行はしない、こういうことですね。
○山野政府委員 現地におきます最終の御判断と申しますのは、本件は、内閣総理大臣から長崎県知事並びに佐世保市長にお願い申し上げた件でございますので、現地におきます各種団体の意向等は、県知事並びに佐世保市長が総合的に判断されまして御返事をちょうだいできると考えております。
○瀬崎委員 それでは、幸い市長さんがいらっしゃいますから、後でいまの政府の回答に対する市長さんの御意見をいただきたいと思います。 小林参考人にお伺いしたいのですが、実はいまの漁連の会長さんと同じような理由で、さらに強い反対意見等もあって、残念なことに一たん小林参考人の御出席が理事会では拒否されております。——————————————————————おくれて申しわけなかったのですが、おいでいただけるようになりました。 ——————————————————————こういうことに対する小林参考人の御意見を聞いておきたいと思うのです。
○小林参考人 御親切にありがとうございます。 私がここに出席できましたということにつきまして、ある一部から、小林だけは出してはならないという強い運動があったというようなことをほのかに聞きまして、そういうような問題は私どもは関知せぬところでございまして、被爆者の代表として出るようにという御意見から、私は喜んで出席さしていただきました。どういう作業があったにしても、やはり私どもの立場を理解して代表として認めてくださる人たちに対して、善意を持ってしっかり働くというのが私の仕事でございまして、ちょうど出席します日は総会でございまして、婦人団体全員が集まりました席で、きょうこういうふうな御意見で私は出席いたします、行ってまいります、十分に皆さんのお気持ちをお伝えしますということを誓いまして、みんなから大変盛んな送別を受けて出てまいりました。たとえどのようなことがあろうとも、私にはそういうことよりも、やはりみんなの善意を伝えて御理解いただくのが、私の最も大切な仕事でございます。どういうさわりがございましょうとも、そういうものを認めてじくじとしているような私ではございません。しっかり皆様におわかりいただくことを考えまして、努力さしていただきました。ありがとうございます。
○中村委員長 質問者にちょっと御注意を申し上げますが、小林参考人は確かに参考人としての候補者に出ておったわけですが、員数の関係等々もあり、鎌田参考人が二十二団体の代表であるということで、それでよろしいのではないか、こういうことでありましたが、被爆者団体の要請等もあって追加をすることにいたしました。 そこで、理事会の話し合いは大体公開していないわけでありますから、理事会でいろいろと話し合いをいたしましたことは、この質問の場合はひとつ差し控えていただきたいということを要請をいたしておきます。
○瀬崎委員 これは私にも反論がありますよ。理事会でどういう話し合があったかを絶対に外部に漏らしてはいけないなどというようなことは、私聞いたことがないし、また、その中で、特に長崎県の御意見をいろいろ伺う上でどうしても必要な部分だけ、私が引用しているだけなんです。どなたがどう言ったからというようなことを、私は言っているのではない。ただし、いま私が言ったことは、私自身がメモをしておりますし、意見が出たということは確かなんです。だから、こういうことか率直に言って長崎県民の心を理解しないことになって、この原子力船問題の解決にもトラブルが起こる、そういう意味で私は、そういうふうな考え方が妥当かどうかということを参考人にお伺いしたまでなんです。何もそういうことについていろいろ制約されるいわれはないと思います。 続いて辻参考人にお伺いをいたしたいと思います。 かつて佐々木長官がこの委員会で、地元のありがたいおぼしめしがあったから「むつ」を佐世保にお願いしようと思っている、こう言われたことがあるわけであります。一般的には私どもも、辻市長さんの「むつ」誘致の考え方が出発点になって、このたびのこういう問題に発展していったというふうにも聞いておるわけであります。もし辻市長が来てもよろしいというふうなことを言われなかったら、「むつ」の佐世保行きの話は恐らく問題にならなかったのではないか、こういうふうに思うのですか、本当に市長さんが「むつ」誘致というものを発言され、それがやはりこういったいろんな問題を引き起こす動機になっていたんでしょうか。
○辻参考人 お答えをいたします。 結果論においてはそういうことになったかもわかりません。「むつ」の問題に対し私が表明いたしましたのは、軽い気持ちで個人の見解を申し述べたことから問題が発展をしたのであります。私は政府に対しいささかも誘致はした覚えはございません。マスコミの問いに答えて、市長は「むつ」問題をどのように考えておるか、こういうことに対し私の所見を申し述べたのを、これがマスコミに取り上げられて問題になったのであります。いささかも「むつ」の修理を誘致はしておりません。しかし、間接的に市長はどういう考えを持っておるのだろうか、こういう問いただしはございましたので、私の考えておる所見を申し述べたことはございます。しかし、直接に私が誘致をした、こういうことには当たらないと思います。結果論においては、私の表現がそのようになったので、佐々木長官も、佐世保市長は好意的である、こういうお考え方に立ったのかもわかりません。その点は私も十分理解をしておるつもりであります。
○中村委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○中村委員長 速記を始めて。 参考人、大変恐縮なんですが、四、五分間理事会を開きますので、しばらくお待ちをいただきたい。暫時休憩いたします。 午後四時二十三分休憩 ————◇————— 午後四時二十八分開議
○中村委員長 それでは再開いたします。 瀬崎委員の理事会における内容の発言につきましては、後刻理事会を開きまして、その内容を明らかにいたしたいと思います。 それでは続いて質疑を願います。瀬崎委員。
○瀬崎委員 どうも失礼をいたしました。 そういたしますと、辻市長さんの御意見によれば、好意的な態度を示したことはあるけれども、具体的に「むつ」誘致という行動をとったことはないのだ、こういうお話と理解してよろしゅうございますね。そうすれば、先ほど政府側の答弁によれば、漁民の方々の反対であるとか被爆者の方々の反対意見というものは、当然市とか県を通じて政府に反映するであろうから、そういう市長さんなりあるいは知事さんなりの御意見に基づいて政府側は対処したい、こういう結論であったように思うのです。市長さんは、ずいぶん漁民の方々の反対、被爆者の方々の反対は強いようでありますね、絶対的と言ってもいいようなお話でありますが、こういうものは、それなりに率直にお受けとめになって、御判断の材料にされますですか。
○辻参考人 率直に受け入れて判断したいと考えております。
○瀬崎委員 もう一つお願いしたいと思うのです。それは、かつて私も市長さんにお会いをさせていただきましたとき、「むつ」をどうするかとか、あるいは原子力船の開発の方針がいいとか悪いとか、あるいは安全性が確保されているのかどうかというふうな問題は、自治体として勉強はするけれども、本来は国政レベルで論議し決めるべき問題ではないか、その責任は国会でも十分果たしてほしい、もっと国会で審議を尽くしてもらいたい、こういう御意見があったように思うのです。そのお考えは現在でもお変わりになっていないでしょうか。
○辻参考人 現在もほとんど変わりありません。
○瀬崎委員 実はこの点で参考人の皆さんにもお聞きをいただきたいのでありますが、たとえば本日も、先ほど自民党の方の質問の最中に、木に竹を接いだような形と言ってはまた失礼になって怒られるかもしれませんが、私はそういうふうに受け取ったのですね。 一次冷却水の中にセシウムが検出された、この問題が取り上げられました。朝日新聞の記事の発端は、先週の水曜日の本委員会で私どもが質問した政府回答から来ているわけなんであります。というのは、長崎県民の方々がすでにお読みになっているこの政府パンフレットの中に、「定期的に一次冷却水中の放射性物質の測定か行われておりますが、その結果放射性物質の濃度は自然の水と変わりはありません。」とか、あるいは「燃料体のまわりを取り巻く一次冷却水の水質管理が厳しく行われるため、問題となるような被覆管の腐食が生じる恐れはありません。」というような表現かあります。そこで、当然燃料棒の被覆管に腐食が生じるおそれがないという判定をするくらいだから、この燃料棒の中に生成したであろう死の灰が一次冷却水に漏れていないかどうかを検出する核種分析はやっているのだろうな、こうお尋ねしたら原子力局長が、核種分析は確かにやっております。こういう答えであった。その特徴は一体何かと聞いたのですが、結局すぐには答えられなくて、後で答弁する。私の質問の最後に聞いたときにも、結局、後ほど資料を調べて報告する、こうなって委員会中には答弁がなかった。ところが、委員会の開会中に、聞くところによれば、早くも記者会見が開かれて、そこでは資料が提出された。その後私どものところにもその資料は提出されました。これなんですね。これがもとになって一次冷却水の中にセシウムが検出されておることは確実になったわけであります。すると今度は、そのセシウムの量が自然水の中に顕示される量と変わらぬから、これは問題ないんだ、こういうふうになってきているわけですね。 問題はこういうことだと思うのです。一次冷却水にセシウムが検出されたのは二月十六日の試料採取の分なんですね。これが実際に測定が行われたのは、二月二十三日から二月二十七日なんです。そのころには、すでにこのパンフレットの原稿はもう作成されつつあった。これにはこの核種分析の結果は全然入ってない、こういう科技庁の説明なんです。核種分析をやってセシウムが検出されて、どうも燃料棒に問題があるのではないかと専門的には疑いを抱かれなければならないときに、すでにこのパンフレットでは、燃料棒には絶対間違いありません、測定した結果大丈夫です、こういうことを書くのは大変非科学的で、これが長崎県民をだますことになりはしないか、こういうふうな実は国会での論議であったわけですね。 そこで、こういう問題はほかにもたくさんある。国会審議で結論の出ていない問題がたくさんあるので、この点について、政府が果たして検討した結果の報告を正式にしているのかどうかだけ答えてほしいのです。 まず、技術的な問題では、すでに御指摘されております。舶用炉を初めて試作するに当たって技術的に十分な検討したかどうかという点について、たとえば遮蔽効果実験について、「むつ」が事故を起こした直後、運輸省の謝敷という人は、最終的に実験をした、こう答弁をした。ところが大山委員会の報告では、十分な実験を行っていない、こういう指摘がある。それを受けてちょうど一年前になりますが、本委員会でどうなんだと追及をした結果は、生田前原子力局長が、結果的には不十分だった、こう言わざるを得ない、こう答え、では、その不十分な点についてどうするのだということについては、少なくともこの点について問題があったのではないかという観点から十分検討してみたい、こう答えています。さて、この検討結果は報告されているのかされていないのか。もともとこの重大な遮蔽問題を軽視しておったのではないかという点について山田原子力委員が、原船事業団が遮蔽の問題を重視しておった、こういうふうに強調しておるわけであります、事故直後は。ところが、大山委員会の報告で、遮蔽の専門家がいなかったという指摘が出ました。また四十四年には事業団に原子炉部がなくなっておる。四十七年には原子炉課もなくなって、およそ原子炉を専門的に扱う技術担当部課がないわけであります。こういうところからその軽視が指摘されている。この点についてちょうど一年前の本委員会で同じく生田氏が、遮蔽の専門家がいなかったということは事実だ、私から明確な答弁はいたしかねるけれども、原子力委員会と慎重に検討中であり、結論が出たら態度をはっきりさせたい。これは佐々木長官も同趣旨の答弁をしております。これは、遮蔽問題は当初から軽視しておったのか、軽視しておった結果としてああいうことが起こったのか、この点についての結論は一体出したのか、出していないのか。 さらには、問題になった中性子漏れ、ストリーミングについて、鉄製遮蔽リングの効果推定計算書がもし残っていたら、あるいは今回の漏れを起こさずに済んだのではないか、こういう指摘が大山報告にあります。この問題について、なぜこの鉄製遮蔽リングの効果推定計算書が残っていないのか、こういう点の質問に対して、なぜ残っていなかったのか、あるいは初めから計算しなかったのか不明であり、十分私どもで調査をしたい、こう答えております。ところが、これも石原三菱原子力工業社長が本委員会で答えたことでありますが、政府からは何も伺っておりません、こう答えていますね。これに対して政府側は、照会を出しまして、まだ返事をもらっておりませんという答弁で終わっております。一体この結果はどうなったのか。これは問題は数挙げれば切りがないのですね。 ウエスチングハウスのチェック・アンド・レビューの問題もそうですね。事故直後は一応ウエスチングハウスはオーケーの返事をよこした、こういうふうに政府側は答えた。ところが大山委員会で、チェック・アンド・レビューの結果をもう少しまじめに検討しておったら、中性子漏れは防げたのではないか、こう指摘しておる。この点について、一年前のやはり本委員会で政府側は、この点も究明したいということになって、回答がない。こういうふうな点について 内容をお聞きしておるのではないのです。政府側がきちんと報告をしたかどうか、この点だけをひとつ答えてほしいと思うのです。
○山野政府委員 まず第一点の、舶用炉についての遮蔽の実験が十分であったか不十分であったかという点でございますが、これは私どもも、十分に大山委員会そのほかのレポート等を初め各種の資料で検討しました結果、過去の舶用炉の遮蔽についての実験は不十分のものであったということは認めざるを得ないと思っております。その点につきましては、この過去の事実をよい教訓といたしまして、今後各種の基本設計等を進めるに当たりましては、十分な遮蔽実験をして進める必要があるというふうに考えております。 それから事業団の技術力につきましては、技術部長あるいは技術部の副長、そのほか課長級、課長補佐級数名の者につきまして交代をお願いしまして、経験豊かな技術能力の高い人に就任していただいております。また技術部につきましても、本年度におきまして、これを倍増して強化するという方向で考えております。(瀬崎委員「報告したのかしてないのかだけ答えてください」と呼ぶ) それから遮蔽計算書につきましては、これはその後の調査によりますと、計算しておったことは事実のようでございます。これは事業団を通じまして三菱原子力工業を調査したのでございますが、計算はしていた。ただ、大山報告に指摘されておりますように、そのときの計算書が三菱原子力にも事業団にも残っていないというのが事実でございまして、これがどうなったかというのを鋭意調査いたしましたが、不明でございます。この点私ども、事業団としても、また担当しました三菱原子力としましても、大いに反省すべきことであろうと考えております。 それからウエスチングハウス社のチェック・アンド・レビューにつきましても、これは先方のコメントが、全体の一般的な評価としまして、まずまずこれでよかろうという前置きがありました後に各種のリマークスがついておったわけでございますが、この一般的な評価だけで事が足れりとしまして、細かいコメント等に対して十分な配慮が足りなかったということも認めざるを得ないと考えております。
○瀬崎委員 国会でもそれなりにいろいろ専門家から御指摘いただいた点は、われわれ素人ながらも政府に追及をしてまいりました結果が、いまお聞き及びのとおり、なお不明であるとか、指摘されたとおり問題があるというふうなことになっております。そういうことを踏まえながら山川参考人にお伺いをしたいのであります。 昨年六月十八日の本委員会に、石川島播磨重工の永野副社長がお見えになりました。なぜ、本来のやり方、つまり船炉一体として注文を受けなかったのかという質問に対して、「われわれ石川島には、船炉一体、全部をやる能力はありません」、こういうふうに明確に答えられております。ずっと前の話じゃなしに去年の話しであります。私どもが常識で考えますのに、日本では超一流、あるいは世界でも一流と言ってもよいかもしれません石川島播磨が、みずからその能力なしと言ったものを、果たして日本でだれかがつくって成功するんだろうか。ましてや、実質その石川島播磨と三菱重工の連合部隊というか、混成部隊にすぎない事業団で、果たして成功する見込みというものが当初からあったのかどうか、こういう点について、ひとつ専門家の立場からの御見解を聞きたいと思うのです。
○山川参考人 確かに石川島播磨では、原子炉を最終的に自社製作することは困難であったろうと思います。しかし、国内でつくるということを名乗り出て、政府がそれを認めるというふうな状態があったときに、造船会社として原子炉をつくるという会社が、先ほど申しました従来の原則にのっとって、陸上試験をして資料を公開し、いろいろの目から点検しても大丈夫であるという作業を綿密に続けるならば受け入れる、このような条件で引き受けるのが当然であろうと考えております。
○瀬崎委員 普通よく、こういうふうに大きく仕事が分離される場合には、共同企業体とかジョイントベンチャーと言われますね。そういう形で明確に責仕をメーカー側に持たせるような措置を政府側はとるはずなんですが、この場合はそうもなっていない。まるまる分離で発注されて、完成した船についての統括的な責任は結局事業団が持ったことになりますね。こういうふうな方式は、研究開発という面から見て一体どうなのか。間違いなく船をつくらせるという面から見てどうなのか。そういう点、ひとつ先生の御意見を聞きたいと思うのです。
○山川参考人 この点では、先進的に原子力船を開発いたしましたアメリカにおいても、ソ連においても、西ドイツにおいても、初めてのことでありますから、設計から完成に至るまでの最終責任を持つ機関を確立いたしております。ドイツにおきましても、有名なGKSSにおきましては、専門の職員二百人以上、そして時限立法でなく恒久的な機関としてやっております。しかも、他の企業と共同研究するような場合も、はっきりとした合弁の組織をつくって、その中で進めております。私たちは、こういう技術的に未知のものをこれから開発するときには、十分に責任を持てる一貫した体系なしにはだめであろうというふうに考えております。
○瀬崎委員 鎌田参考人にお伺いをしたいのでありますが、先ほどから賛成の意見を述べていらっしゃる方の中に、長崎の非常に深刻な造船不況を訴えておられる方がおります。それはそれとして私どもも非常に深刻に受けとめましたし、国政としてもこういうものを放置できないというふうに考えるのでありますけれども、果たして「むつ」を誘致して解決の突破口になるものだろうかどうか、果たして「むつ」の修理港とこの不況からの脱出というのは結びつくものだろうか、こういう点、疑問を持ちます。普遍的に長崎県民は、今日置かれている造船不況と「むつ」との関係についてどのようにお考えになっておるのか、また、長崎における造船不況の正しい打開の道といいましょうか、もっと広く言えば長崎県の発展の道については、果たして「むつ」と関連づけて考えるのが正しいのか、これとはまた別の道を考えるのが正しいとお考えになるのか、その点を承りたいと思うのです。
○鎌田参考人 特に造船不況ということが強く言われまして、長崎市においても佐世保市においても、造船業者、関連業者あるいは中小企業者は非常に苦しい状況を迎えております。先ほどの志方参考人の御説明のとおりだと思います。しかし、「むつ」を持ってくることで佐世保市が潤い、また造船工業が発展するだろうかという点については、私たちは根本的な疑問を持っております。青森県においても、「むつ」では飯は食えないということが言われております。長崎県においても、私たちはそのようなことを、直接、たとえば佐世保のSSKの労働者たちからも聞いております。また、長崎市の関連の労働者あるいは業者たちからも聞いております。それで果たして造船業が根本的に発展するのだろうか。むしろ別の不安の点が強いようでございます。 専門家でありませんので詳しく申し上げられませんが、こういう不安でございます。つまり、よその国の原子力商船、あるいはレーニン号のような特殊船、こういうものは人里離れた地域を定係港にして運航しているというふうに聞いている。とても人口密集地なんかに入ってくる例はない。世界の常識でもそういうことはあり得ないことだ。しかも、先ほどもちょっと出ましたけれども、ブラッセル条約に基づくところの国際的な原子力船の運航についての合意さえまだ全然できていない。そういう状況のもとで、まだ安全性の確認されていない欠陥原子力船を持ってきた場合に、人口密集地においては一体どうなるだろうか。原発の場所においては、爆発が起こることを予想して、その地域の住民に対して指示を出した、そういう記事も私は見たことがございます。そういうことを考えると、もし本当にリスクが起こった場合に起こり得る被害の可能性というものを、政府が良心的にここで提示して佐世保市民や長崎市民にこれを問うたならば、佐世保市民は絶対これを受け入れることはしないだろう。ましてや「むつ」の開発で長崎あるいは佐世保か潤ってくるということはとても考えられない。苦しいけれども背に腹はかえられないということで、かつて軍国主義の道を歩み、悲しい軍港の使命、侵略基地としての十字架を背負ってきた長崎が、ここでもう一遍敗戦後のあの原点に立ち返って、背と腹を一つにした本当の生きた人間として、苦難ではあるけれども、平和で自然と調和した自主的な産業の発展の道を講ずべきではないか、そんなふうに考えております。 そのためにこそ、その危険料、迷惑料ということでなくして、本当の意味での地場産業の復興のために、政府が地元に対して、本当に汚れのない、本当に地元の労働者や中小企業者を繁栄させるような援助をくださることを心から切望してやみません。
○瀬崎委員 時間か来ておりますので、政府側にただすことはできませんが、いまのお話はよく聞いておいてほしいと思うのです。何か厄介者の「むつ」を長崎に押しつけるから、交換条件として少し金を回そうかというふうな考え方は間違いだ。今日、長崎の困っている状態を真に憂えるなら、それはそれとして、政府が長崎県の発展、佐世保市の発展のための手段を真剣に講ずべきである、こういうお話だったと思うのです。残念ながら、きょうは大臣、政務次官がいまおりませんから、これはやはり伝えて、この長崎の苦境脱出のために政府か努力するよう要望しておきたいと思います。 最後に、これは委員長に要望したいのです。 先ほどの参考人の御意見、非常にわれわれは勉強になったし、また非常に深刻な問題を抱えているということがよくわかるし、それなのに、政府がすでに約五十日間で二十人余の職員を出張させて、何とか修理港を実現しようとごり押ししているとわれわれは言いたくなるような条件がつくられて、放置できないと思うのです。そういう点では、何とか近い機会に本委員会も実際に長崎に出向いて、まあ、われわれの言葉で言うなら、現地調査をする必要もあるのではないかと思うのです。ぜひともひとつ御配慮をいただきたいと思うのです。委員長の発言を求めて、質問を終わりたいと思います。
○中村委員長 ただいまの御意見は理事会に諮りまして、対処してまいりたいと思います。 次に、近江巳記夫君。
○近江委員 きょうは参考人の皆さん方、非常に長時間まことに御苦労さまでございます。あと、私と民社党で終わりでございますので、もうしばらくがんばっていただきたいと思います。 先ほど、皆さん方をお招きするに当たりまして、お話があったわけでございますが、いままで国会におきまして、各委員会で参考人をお呼びいたしますが、このように八人の方をお呼びするということは、きわめてまれなことなんですね。大体は四、五人というところが多いのです。そういうことで、理事会等をしまして、非常に数が多い、時間のかげん、いろいろな話があったことは確かです。しかし、最終、全理事が喜んで八名の皆様方を参考人としてお招きをすると、このように一致をいたしておりますので、多少の誤解もあったことかと思いますが、決してそういうことはないと私思います。そういうことで、忌憚のない率直な御意見をお聞かせいただきたいと、このように思うわけでございます。 そこで、まず初めにお伺いしたいと思いますのは、鎌田さんの陳述の中に、政府から連絡の人たちが来て、そうした政府の態度を見ておりますと、一方的に押しつけようとした、反対派を避けた、肝心な点はノーコメントであったと、こうしたお話もあったわけでございます。これはきわめて大事な問題じゃないかと思いますので、もう少し具体的にその間の事情についてお伺いしたいと思うわけです。
○鎌田参考人 実は、三月二日、午後二時に長崎県庁において、小沢政務次官をキャップとする政府の使節団がおいでになりまして、説明を承りました。しかしこの説明会には、私たちは招かれておりませんでした。要請したわけですけれども、会場が狭いということで招かれなかったわけでございます。しかし、これを聞いた被爆者団体、特にお年寄りの被爆者たちが、会場にぜひとも入れてくれということで、衛視の方々と大分もみ合った末に数名入りました。私自身は、そういうことについては、自分の立場としてもどうかと思っておるものですけれども、しかし、やむにやまれない不安、それは後で聞きましたけれども、あの場においでになった政府の使節団の方はごらんになったと思います。本当によぼよぼのと言ったらなんですが、お年寄りの被爆者たちがつえをついて何人か参ったわけであります。たとえば御存じの方もあるかもしれませんが、原爆手帳友の会の西本副会長さん、あるいは原爆被災協の役員の非常な高齢の方々が、私たちに対して、もうこれではがまんできないということで何人かお入りになりました。私は外で傍聴したわけですけれども、そういう事実がございました。 それから、私たちは、小沢政務次官の非常に好意的なはからいで何名か、じゃ会見しようということを認めていただきました。これは非常にありがたかったと思いますけれども、ただ時間を非常に制限されまして、私たちは、ほかの労働組合の方々と一緒に、二十五分だけ会見を許されました。 ここで私たちは五項目の質問をいたしました。この五項目については、きょうもいろいろ明らかにされた点でございますけれども、たとえば自主、民主、公開に基づいていままで資料をすべて公開したかどうか、今後も公開する用意があるかということなどについては、いままでもそうしてきたし、今後もそうするという回答でございました。しかし、政府の説明書等は、長崎市や佐世保市の方には直接持っていかれても、直接陳情した私たちの手元には渡らないわけであります。つい先日、市の方にお願いして、やっと一部もらえるという状態でございます。 また、私たちが質問した中で、母港を決めないでどうして修理港だけでできるのか、あるいは出力上昇試験航海実験等をやらずに、それで本当に修理になるのかどうかという点での質問をいたしましたけれども、こういう点については完全にノーコメントであったわけでございます。つまり、私たちの質問した項目の何項目かについて非常に公式的な回答があっただけで、疑問点については何ら答えられなかった。 その後、小沢政務次官は、その点についてはいずれ詳しい回答を送るからというふうにおっしゃいました。期待しておりましたけれども、しかし、県や市に参りましたパンフレット、安全パンフレットみたいなものでございますけれども、こういうふうなものしか来ないで、いまだに納得のいくような説明が長崎県にも来ておりません。近いうちに来ると聞いておりますけれども、まだ私たち、問題を提起してお願いいたしました県民会議あるいはその他の反対団体に対しては、何らの回答もあっておりません。こういう点はぜひとも改めていただきたい。 そういうことをしないで、一方では安全パンフがまかれている。あるいはけさ発表しましたように、新聞広告等が公費を使ってどんどんなされている。私たちの運動はすべてカンパでやっております。会費や何かでは集められないわけです。ささやかなカンパを長崎の県民から集め、あるいは県外の有志からのカンパをいただいて細々とやっているわけでございます。これに対して政府は、まだ予算の確定していない段階から、どんどんカラー入りの宣伝パンフを発行して、町内会に配ったりされているわけでございます。これでは本当に社会的な公正の原則に反するのではないか。一体国会は何をしておるのだ。地方自治体に押しつける前に、あるいは個々に遊撃戦のように、隠密行動をとって個々の住民を説得する前に、まず何よりも根本的な点を国会で十分な審議を尽くしてほしいというのが、私たちの願いであります。 長崎県においては、専門家会議が設置されると聞いておりますが、私たちは先日これに対しても意見を述べました。やはりこの「むつ」の安全性の問題は、単に長崎県のレベルだけで解決できるものではない、全国民が当然これに対して基本的な合意を見るべきものだと考えます。そういう点で、長崎県だけに任せるのでなくして、ぜひこの国会の場で賢明なる諸先生方の討論の中で、全構成員が基本的な合意を得るということで、その上で長崎県に持ってくるなら持ってきていただきたいと思う次第であります。 どうぞよろしくお願いします。
○近江委員 同じことですが、小林ヒロさんの陳述の中で、道理と真実は最後に勝利をする、押しつけは必ず破綻をするだろうということをおっしゃったわけですが、押しつけというような姿勢、これは市民また県民の皆さんが納得しなくても政府が強行してくる将来のことをおっしゃっておられるのか、あるいはいままでの姿勢の中でそういうことをお感じになったのか、その点はいかがですか。具体的なことがあればお教えいただきたいと思います。
○小林参考人 私もやはり、押しつけではならぬ、そのことは国民の総意、県民の総意でなければならぬ、これを基盤にして私はいままで動いてまいりました。ですから、先ほど言われたとおり、私たちの運動は全部会員のカンパでございます。そしてそういう零細なものを集めながら、そのパンフレットなども、みずから街頭に立ちまして一人一人に呼びかけますと、長い私の婦人運動でございますから、約三十年に近い私の顔を見て、先生がそういうことをなさいますかと、大変同情をしていただいております。私は、同情よりも理解を持ってほしい、そしてこのことが野方図になったときにわれわれの子孫はどうなるか、そういうことを考えれば自分の身の労はいといません、どうぞあなたも同志の一人になって私たちと同じような運動を始めてくださいと、私は一人一人に説きます。ですから、今度私が上京いたしますときも、県婦連の役員は全部集まりまして私を非常に激励し、そしてその模様はお帰りになってからよく伺います、そういうので、私は自分のことでなく、みんなの代弁者としてここに立たせていただきました。 大変御理解のある皆様の御意見を伺いまして、いまだ世の中は真っ暗になっていない。腑に落ちないことだらけの世の中でございますけれども、一部の動きであって、やはり政治をなさる人たちは、われわれ国民の声をしっかりと把握して、そこの中から正しいものを見出そうとしていらっしゃるという確信を得ました。どうぞこの問題だけでなく、類似した問題が非常に多いいまの世の中に、みんなの納得のいくような政治を皆さんのお力でなさっていただきたいと、持に私はこの機会にお願いする次第でございます。ありがとうございました。
○近江委員 先ほど鎌田さんの方から、この政府使節団のそうした態度についての開陳があったわけであります。政府としては石渡さん行かれたですね、それからまた上部である局長、あなた方はどういう反省をしておりますか。
○山野政府委員 ただいま御指摘になりました、三月二日にわが方の小沢政務次官か県庁におきまして説明会をいたした際の問題でございますが、恐らく私どもの想像では、会場の都合等で、県の方で呼ばれる方々の整理をしたものと思われますけれども、関心のある方々全部が収容できなかったというのは非常に残念に思っております。それからまた、後ほど小沢次官が二十五分間の時間を割いて会見をしたということは、私どもといたしましては、できるだけあらゆる種類の方々、あらゆる階層の方々に十分にお話を聞いていただこうという趣旨でおりますので、そういう意味で、小沢政務次官も忙しい中を二十五分割いたものと思われますけれども、この時間も決して十分なものであると私どもも思っておりません。今後とも、御関心のある向きには、むしろ進んで私どもの方からお話を聞いていただくようにお願いしたいというつもりでございまして、私どもの方から避けたり、あるいはそうした態度をとるべきではないと思っておりますので、今後ますます、関心のある方々には、十分に説明を尽くしていきたいというふうに考えております。
○近江委員 そのときにいろんな疑問点等お聞きしたけれども、ノーコメントであった、いずれ詳しく回答するというようなことで、いまだに回答がない。こうしたこともやはり速やかにやるべきじゃないですか。 それから、先ほど速見さんからお話が出たわけですが、七つの候補地を考えているのだ、政府からこういう話があった、しかしそこはどこかと聞いても教えてくれないという。その候補地はどこですか。
○山野政府委員 新しい定係港につきましては、私ども部内におきましていろいろ検討もしておりますし、また一部の地域から陳情等があるのも事実でございます。しかしながら、現在の時点におきまして特定の候補地等の名称を挙げることは、いろいろな影響もございますので、この際差し控えさしていただきたいと存じます。
○近江委員 志方さんにお伺いしたいと思いますが、非常に三年来の不況、インフレ、こういう中で、いろいろな立場でその影響が出てきておるわけです。佐世保におきましても、特に最近造船業は非常に悪いわけです。そういう点で非常に厳しい状態に入っておると、いろいろな御説明がございました。これはできる限り政府としても、そうした地域に対してはいろいろな対策を打っていくべきである、このように私も思いますし、今後また政府に対して、各地の状況をよくつかんで対策をとらせるようにしていきたいと思っておりますが、修理港として受けた場合、経済的なメリットということを非常に強調されておったように私聞いたわけですが、経済的にどういう効果があるのか、具体的にお聞きしたいと思います。それが一つです。 それから、実際はそれ以上のものを期待されているのじゃないか。そうでなければ、これだけ漁業組合を初め各団体の多くの皆さん方が反対なさっているわけですね。それを押してまでこの受け入れをしたいとおっしゃっている意味は、何か政府から、具体的なメリット、こういうものを与えるとかこういうものを差し上げましょうというような話を聞いておられるわけですか。その点についてお伺いしたいと思います。
○志方参考人 お答えいたします。 初めの問題につきましては、先ほど私十分御説明申し上げたと思いますが、不況対策の問題がきっかけでございまして、「むつ」修理受け入れの問題は不況対策の一環として取り上げた次第でございます。したがって、「むつ」の修理受け入れによりましてメリットが相当あるものとは考えておりません。 それからその次の問題でございますが、しからばほかにいろいろな話が政府からあるのじゃないかということですが、われわれのところには、そういう話は全然ございません。ただ、私たちが努力せねばならぬということは、一つや二つのことではこの不況を切り抜けるということはできないことでございまして、長崎県といたしてみましても、中小企業事業転換対策専門委員会というものをつくりまして、実は県として造船下請関係を何らかのほかの方面の事業に転換させようじゃないかということも、いろいろ協議いたしておりますけれども、非常にむずかしい問題でございます。 以上で説明を終わらしていただきます。
○近江委員 佐藤さんにお伺いしたいと思いますが、あなたは、美浜であるとか玄海ですか、そうした各地の原発等を視察されまして安全性を信じたということをおっしゃっておるわけですね。これはどういう点で安全性を信じられたのですか。ひとつ心境をお伺いしたいと思います。
○佐藤参考人 技術屋ではございませんので、どの点をどこで信じたというわけじゃございません。特に印象に残りましたのは、東海村の動燃事業団に行きまして、そこの水質検査のシステム、それからいま実験中の使用済み核燃料の再処理の施設等を見まして、そのときの説明を聞きまして、外国、特にアメリカやソ連からも見学団が来て、日本の原子力開発の技術はここまで来ておるのかと、ある面においてはそういうふうな賛意を表しておられる、そういうことを承って確信を深めた程度であります。
○近江委員 辻市長にお伺いしたいと思いますが、市長さんは受け入れの条件として、「むつ」の修理、点検が安全であること、二つ目として原子力行政の責任体制の確立を挙げておられるわけですが、この条件については今後十分満たされる、このようにお考えですか。
○辻参考人 私は満たされると考えております。
○近江委員 この市長さんが示された条件というものを満たすということは、市長自身が判断されるわけですか。その点いかがです。
○辻参考人 知事、県会、市長、市会、この四者の考え方が一致すれば認められると思います。
○近江委員 条件が満たされない場合、白紙撤回ということはあり得るわけですか。
○辻参考人 当然のことであります。
○近江委員 今日、原子力行政というものは、「むつ」に象徴されておりますように、きわめて国民の不信というものは強いわけでありますが、市長さんは、この国民の不信というものにつきまして、どういう問題点から来ておるとお考えになっておられるわけですか。市長さんのお考えをお聞きしたいと思います。
○辻参考人 いろいろな意見があるかと思いますが、中で一番重要なことは、対話が足りなかった、地域住民のいわゆる参加を求めるような行動がなかった、これが私は大きな原因ではなかったかと思います。地域住民は、原子力なり原子炉、こういったものに対する内容や情報を求めております。これを政府が今後とも十分に勉強し、極力理解と協力を求めるならば、解決のめどはあると思います。いわば住民の意向を開発する中で参加させるやり方も一つの手立てではないかと考えております。
○近江委員 市長さんは、三木総理から要請を受けられた後、受けるかどうかはまだ白紙である、世論を見きわめて結論を出したいという趣旨の発言をされたわけですが、昨年の七月、読売新聞の佐世保市民を対象に行いました世論調査におきましては、政府の原子力行政に対して信頼できると答えたのは一五・七%、反対に信頼できないのは四七・六%に上っておるわけです。こういう点から見ましても、一般世論は政府に対しての不信感がきわめて強いように思うわけですが、市長さんは先ほど、住民との対話ということを非常におっしゃっておられたわけですが、この不信感を解消できると判断されておられるわけですか。どうですか。
○辻参考人 国家の利益のために、私は住民の理解を求め、政府も県も市も関係団体も全力を挙げて努力をすべきである、かように考えております。また可能であると考えております。
○近江委員 速見さんにお伺いしたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、「むつ」の問題というものは、まさしく今日の原子力行政のそうした問題をすべて象徴しておるように私は思うのですが、政府がとっております今日におきます原子力行政というものに対しまして、あなたはどういうようにごらんになっておりますか。時間の関係がありますので、簡潔にひとつ。
○速見参考人 お答えいたします。 先ほどからるる申し上げておりますように、私たちが疑問を投げかけておる問題について何一つ解明できない、このようなこと自体問題が一つあると思います。 もう一つは、公開という原則について、まだまだ企業秘密というものが内面に含まれていて、われわれが知らない部分が多分に秘密的に隠されておるのではないか、このような疑問は国民全体が持っておるものだと思っております。もっと政府が本当に原子力行政についての国民の合意、コンセンサスを得るとするならば、やはりこのような企業秘密というものをすべてなくして公開の原則に立ち返らなければ、国民の合意、コンセンサスは得られない、このようなことを常に考えておるところです。 第三点は、先ほども御質問があっておりましたように、押しつけ問題についても、現に長崎でもそうでありましたし、佐世保でもそのとおりであります。現在、事業団の佐世保連絡事務所がございますけれども、町内会の一つ一つに回っていく、あるいは賛成派の団体の会合に行って映画、フィルム等をやるとか、いろいろな形でのPRをやっておりますけれども、私はまだ質問をし疑問を投げかけておる問題について解明できない段階の中で安全性だけをPRするという、このような卑怯な態度そのものがますます市民の不信感を強くしておる、このように考えます。
○近江委員 同じ問題につきまして、山川参考人にお願いしたいと思います。
○山川参考人 原子力行政の問題でございますけれども、やはり国民が不信を持っておりますことは、特に長崎について申しますならば、原子力潜水艦の入港の問題のときに原子力委員会が、本来平和利用に限っての委員会であるにもかかわらず、軍事機関である原子力潜水艦の入港について審議し、そうしてなおそれについては、これをアメリカが安全であるということが事実であれば安全であるというふうなあなた任せの結論を出したということは、非常に大きな問題として考えられております。 また、今回の「むつ」あるいは各地の原子力発電所の問題につきましても、原子力委員会の構成メンバーがすべて高名な学者あるいは有名な方々でございまして、パートタイマーで構成されている。しかも書類審査であって、その現物ができた最終の問題についての責任は負わないというふうな体制であることは、大山委員会の報告にも出ております。このような状態で政府はこのまま放置しているということであれば、国民の原子力行政に関する、安全の問題一つ限りましても、信頼の根拠を失うわけでございます。 なお、原子力発電につきましては、アメリカの加圧水型発電炉の輸入が大勢を占めるようになりまして、これについて、三菱原子力工業その他がこのライセンスを持って国内生産を若干やる、向こうのをそのままこちらでつくって組み立てるということで、自主開発の能力が非常に弱いと技術的にも考えざるを得ないわけでございます。 そのほか、この原子力行政については、中小企業はほとんど参加できませず、特定の大企業がこれに関与しております。この間につきましては、やはり企業秘密というようなことで、まだなかなか自主、民主、公開の三原則というものがたな上げになっているんじゃないか。このことが事実をもってあちらこちらで出ておりますところに問題が多かろうと思います。 一例を申し上げますと、私、「むつ」の問題については、これは新しい船でおもしろいと思いましたので、原子力開発事業団に、教材にするので若干の図面その他を提供してもらえないかということをお願いしましたところ、メーカーのノーハウのこともございますのでいずれお諮りいたしまして、という返事がございましたけれども、その後ナシのつぶてでございます。私は、専門家として細かいことに立ち入ろうと思ってのことではございません。平凡な、学生に対して、どのような一般配置図であるか、横断面図であるかというようなことを知らせたいと思ったことについてもこのようであります。ところが、私が要請いたしましたその資料は、石川島播磨さんが非常に分厚いりっぱな第一船の完成を祝う記念出版をしておられます。そのことで私の希望は十分に達せられたわけでございますけれども、事業団を通じますと、これがノーハウという非常に重々しい壁にぶつかったことをここで御報告いたしておきます。 以上でございます。
○近江委員 もう一度山川先生にお願いしたいと思いますが、原子炉をとめたまま修理をする、このように言っているわけですが、これはまあ非常に住民の方々は率直な疑問を持っておられるわけですが、山川さんは、教授としてこの点はどのようにお考えでございますか。
○山川参考人 先ほども申し上げましたように、原子炉工学、そういったものの専門ではございませんが、一般の技術常識を持っている者といたしまして、修理をするということは、その修理の目的が達せられたかどうか確認が行われて初めて修理と言えると思います。したがいまして、修理作業をするというだけにすぎないわけであります。ですから、今回もし燃料棒を動かさないとかいろいろなことがございますけれども、上ぶたをあけることは確実でございます。上ぶたをあけるのにつきましても、それに特別な別のふたをするとか、そういうようなことを申されておりますけれども、これはやはり十分な試作段階における検討をできるような施設のもとで行うべきであって、一般の生産工場の作業場でこういったことが行われることについては、詳しい資料は見ておりませんけれども、常識的に見てやるべきではないというのが技術家の考えでございます。
○近江委員 住江さんにお伺いしたいと思います。 この佐世保市にあります一部の漁協が反対に加わってないということをちょっと聞いておるのですが、この点については、どのようにお考えになっておられるか。また、この種の問題につきましては、政府は絶えず漁業組合に対して、金を積む、金でいわゆる解決をしていこう、こういうことをよくやってこられたわけですが、今後政府は、そうした条件を非常にアップしてくるということも考えられるわけですが、この種の政府の態度についてどう思われるか。この二点についてお伺いしたいと思います。
○住江参考人 お答えいたします。 先ほども同じような質問があったわけでございますが、佐世保に五漁協があるわけでございますが、黒島漁協、相の浦漁協は絶対反対の立場をとっております。佐世保市漁協は、約二百六十名ぐらいのうちの百四十名近くがわれわれと同一歩調をとるという確約をいただいておりますが、いまだ総会を行われておりませんので、今度漁業協同組合の総会において結論が出るだろうと思います。なお、市南部あるいは針尾漁協におきましても、二十五日から月末にかけまして総会を行いまして、総会で反対、賛成の結論が出るようになろうかと思います。 一部伺うどころによりますと、某組合から市を通じて補償金問題が出ておるやに何ってはおりますけれども、確実な情報でございませんので、はっきりしたことは御答弁できません。 以上でございます。
○近江委員 志方さんにお伺いしたいと思います。 あなたは、核アレルギー的な考え方、日本民族の長い歴史とその風土から出てきた特異性ということを言われているわけですが、これはどういう意味でこういうことをおっしゃっているのですか。
○志方参考人 大変むずかしい考え方と思います。私自身、そういう面につきましては、何ら勉強をした専門家でも何でもないのでございますが、平和と戦争という問題について、京都大学の鯖田助教授の本をよく読んでみまして、なるほどなという感じがあったものでございます。核アレルギーについて、このままで日本はいいんだろうかという私は疑問があるわけでございます。防衛の問題につきましても、同じような疑問を持っておるわけでございます。しかもそれが、原子力船の問題防衛の問題が、佐世保という小さな田舎の町でございますが、二つとも問題となってくるところでございまして、先ほども申し上げましたように、アメリカ軍の基地になって米軍特需の町と言われたのが、いまや見る影もないような状態になりつつあるような状態でございます。そういう勉強の過程で、核アレルギーという問題を避けて通っていいんだろうかという大きな疑問があるわけでございます。エネルギー問題を避けて通れないならば、もう少しわれわれは根本的に考え直していいんではなかろうかという考え方でございます。 以上で、答弁になりましたかどうかわかりませんが、御了承願ます。
○近江委員 この問題は、いろいろ私自身も考えを持っておりますが、これは時間の問題もありますから、お聞きするだけにとめます。 時間も来ておりますので、小林さんに最後にもう一言お伺いしたいと思います。 非常に被爆という、そうした大変な体験をされたわけですが、今回の「むつ」の問題につきまして、非常に反対の運動もこのように起きておりますし、また、こうした賛成をなさる方もあるわけであります。賛否がこのように分かれて、いまいろいろな論議、動きがあるわけでございますが、こうした動きにつきましてどのように思われるか。また今後小林さんとしてはどういう気持ちで進まれるか。この点を簡潔に御答弁いただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○小林参考人 私は最初から最後まで同じ歩調をとってまいります。そして私どもの善意を当局の方でおくみ取りくださいまして理解していただきますように、しっかり努力をいたすつもりでございます。 また、私の考えだけでなく、私どもの会員は十二万おります。私たちと手をつないでおりますのは、ほかの三団体で合わせて二十万おります。その人たちと一緒の行動は非常な責任でございますから、私は、自分の感情や自分の物差しで動かないように、みんなと話し合いをしながら、最も妥当な方向に歩調を合わせていきたいと考えております。そのことは、この間総会をいたしましたときにもはっきり申し上げまして、非常に慎重によく皆さまのお考えを聞きながら、私たちは母として妻として、また年上としてみんなと同一歩調をとりましょうということを話し合って出てまいりました。私の覚悟は以上でございます。 みんなは、きょうの皆様の御模様を首を長くして待っていると思いますから、帰りましたら、私は毎月自分の新聞にそれを書きますから、それで御理解をいただいて、津々浦々の人たちにも、なるべくよき実りがございますようにと努力いたしますつもりでございます。 以上でございます。
○近江委員 終わります。
○中村委員長 次に、小宮武喜君。
○小宮委員 参考人には本当にきょうは御苦労さまでございました。私の持ち時間が三十五分間でございますから、質問する方も簡潔に質問しますので、答える方も簡潔にお願いしたいと思います。そしてまた、きょういまから質問する問題は、私の勉強のための質問でもありますので、あるいは失礼なことを申し上げるかもしれませんが、その点あしからず前もってお断りしておきます。 まず、ここに原子力船「むつ」問題を考える長崎県民会議の「長崎県民と「むつ」」という資料が出ております。したがって、これは鎌田参考人に質問しますけれども、二ページの上から四行目に「「むつ」放射能漏れ事故後一年半、「安全性」についての何らの科学的技術的な保障もまだ行われていない。」こういうような文句があるわけですが、私は「むつ」は放射線漏れだというように理解しておるわけですが、先生の専門的な立場から見て、放射能と放射線は同一意義にとられておるのか。それともこの資料が間違いなのか。その点いかがでしょうか。
○鎌田参考人 それは放射線漏れでございます。ミスプリントでございます。
○小宮委員 私がこのことをなぜ言うのかと申し上げますと、いろいろ長崎でビラあたりを見ておりますと、放射線と放射能がごっちゃに書かれておるビラが非常に多いのです。だから、そういった意味で放射線と放射能というものの区別を考えていただかぬと、ここに「放射能」と書いてありますから、それを念のために質問したわけです。 それでは、先ほども質問がありましたけれども、原子力船開発の必要性について、先ほど速見参考人と山川参考人が答えられておりますので、改めて鎌田参考人、小林参考人、住江参考人にお伺いします。
○鎌田参考人 原子力船の開発の可能性についてという質問でございますが、これは長期に見て私自身は否定はしておりません。と申しますのは、原子力基本法が成立した時点での日本国民の決意というものは、やはり被爆体験あるいは敗戦体験に基づいた貴重な経験でございます。したがって、もしこの原点に立って研究開発が進められるならば、われわれはもちろんこれに対して不信感を抱くものではありません。しかし、その後の二十年間の経過を見れば、やはり不信を持たざるを得ないということでございます。不信を持つということと絶対否定ということとは同じでありませんので、その点はいままで何遍も答えておりますので、御了解いただきたいと思います。
○小宮委員 原子力基本法ではもちろん平和利用に限るということになっておりますから、もちろんわれわれはそういった原子力基本法に基づいて取り組んでおるつもりです。いまの参考人の御答弁では、必ずしも原子力船「むつ」の開発については否定はされていないようですね。その点いかがですか。
○鎌田参考人 先ほど申しましたように、少なくとも、将来の原子力商船時代を見通して原子力商船の建設を図る、そこにもし当面の原子力船開発の主眼が置かれるとすれば、これはやはり世界の実情と違う。もし可能性があるとすれば、たとえば特殊船、特殊貨物運搬船とか、少なくとも佐世保等のような人口密集地でなくして、周囲の条件も厳しい条件のもとで、一定の安全性が確保されてそういうことが可能ならば、その可能性は否定はいたしません。しかし、現在の段階で進められている非常に安易な原子力商船を見通してのということについては、国際的な状況からいってもきわめて疑問があると言わざるを得ないと思います。
○小宮委員 原子力船も特殊船ならばいいけれども、原子力商船は原子力基本法に反するような方向に向かうという懸念があるということですか。
○鎌田参考人 そういうことではなくして、少なくとも現在進められているものに対しては非常な疑問があるということであります。つまり、本当に国会なり科学者、技術者を含めた全国民的な合意のもとで安全性が確保され、しかるべき研究の蓄積と技術的な蓄積が行われて開発が進められるということであれば、その可能性を否定するものではありません。しかし、いままでの原子力船計画の実態から見た場合に、これについては、少なくとも自主、民主、公開の原則が十分守られてない。したがって、原点に立ち返ってもう一遍根本的に研究開発体制をやり直すべきではないか、そのように考えております。
○小宮委員 時間がございませんからそれぐらいにしますけれども、いまの意見公述に対して、科学技術庁はどのように考えられておるのか。
○山野政府委員 ただいま大きな問題三点ばかりおっしゃったと思いますが、まず第一点の原子力船開発のタイミングでございますが、私どもの調査によりますと、アメリカ、フランス、イギリス、西独等、原子力開発につきましての開発先発国におきましての統一的な見解と申しますのは、ほぼ一九八〇年代後半には原子力船時代が到来するであろうという見通しでございまして、私ども全く同意見でございます。その実用化の時期から見ますと、現在進めております原子力船「むつ」の開発が時期尚早ということは言えないと考えております。先ほど来参考人の方々が言われておりますように、ソ連、アメリカ等におきましては、わが国よりもはるかに早い時点で第一船の開発をし、就航しておる事例から考えましても、御納得いただけると考えております。 それから第二点の将来の原子力船の用途というものでございますが、これがソ連における砕永船のごとき特殊な用途に限られるという点につきましても、私どもはそのようには考えておりませんで、高速になればなるほど原子力船のメリットは大きくなるものでございますので、将来におきまして、高速船あるいはコンテナ船は相当部分が原子力船になっていくのではないかと見通しております。 第三点の原子力船が出入りいたします港でございますが、人里離れた港にということは、私どもとしては非常に意外な感じがするのでございまして、皆様方御承知のとおり西独におきましては、オットー・ハーン号はハンブルグという非常に船の密集しておる港を常時定係港として使っておるわけでございまして、この事実からも御理解いただけるかと考えております。
○小宮委員 それでは鎌田参考人、もう一点だけ質問しておきます。 この県民会議の問五に「石油に代る新エネルギー資源としての原子力の開発は国民的課題であり当然だ」とする考え方は、はたして妥当でしょうか」という見出しで、中身にいきますと、「エネルギー危機を口実とするアメリカ依存の原子力産業育成は、石油危機以上に重大な危険と破局を招く恐れがあり、石炭再開発を含めた総合的な資源開発こそ必要である。」こう書いてあるのですが、私たちが考えますに、石油にしたって無限ではなく有限だ。アラブあたりの諸国においても、石油は二十五年から三十五年という見方もある。そういう中であの石油ショックという一つの問題が起きてきたことも事実。石炭の再開発にしても、国内的には埋蔵量が十億トン。私も石炭対策特別委員をしておりましたから大体知っておりますけれども、再開発するにしても、経済ベース、安全ベースを考えた場合にやはり十億トンだ。そうすると、いま二千万トン体制で掘っておるわけですが、それでも五十年間で石炭はなくなることになるわけですよ。そういう情勢の中で石油、石炭にかわるべきエネルギー源として何を考えられておるのか、鎌田参考人に質問します。
○鎌田参考人 経済の専門家ではありませんので、ごく常識的なレベルでの答えになりますけれども、まずエネルギー危機の問題、たとえば石油についても五十年先とか、ずいぶん前から言われていることであります。じゃ果たして、特にアメリカなんかでの対策その他を見まして、五十年先にそうなるかという論については、いろいろな説があることを言っておきたいと思います。 それからアメリカ依存ということでありますけれども、たとえば国内における資源の開発に対して十分手を尽くさないで、石油オンリーと申しますか、石油をほとんど中心にしてエネルギー対策をやってきた。この結果がオイルショック以来のああいう問題になっております。このような経済構造は、もしウランを材料にしたそういう原子力の開発ということになった場合にも、やはりウランの資源は限られておりますし、どうしても輸入ということになる。そういう点で、当然これはアメリカあるいは多国籍企業等に依存せざるを得ないことになると思います。現在の経済構造がそのまま持続してこれがウラン資源に依存するということになった場合に、ウラン資源もまた枯渇してきまして、従来のオイルショックのとき以上に破局か来るのではないかというふうに、ごく常識的にですけれども、私たちはそのように考えておる次第でございます。
○小宮委員 そうであれば、なるほどウランもなくなる、またウランの問題はいろいろな問題が出てくる。それから、いまのような石油の見方についても、五十年前から言われておる。しかし、いまでもまだ石油はあるじゃないか。ということは、二十五年とか三十年とか言われておっても、まだまだあるのじゃないかという一つの期待感というものがいまの言葉の中に出てきておるわけです。しかしながら、いま私が言うように、ウランもそうなる、石油もそうなる、あるいは石炭もそうなるというような問題を考える場合に、果たして鎌田参考人は、本当に日本の今後の石油、石炭にかわるべきエネルギー資源に何を考えておるのかということを意見として言うておきます。私はこの中を読ましてもらうと、私の質問したいことはいっぱいある。これだけで五時間ぐらいかかるでしょう。 これはちょっとおきまして、次に原子力船の開発の必要性について小林参考人と住江参考人に意見の供述を求めます。
○小林参考人 原子力船の開発は、いろいろの条件が満たされてみんなの不安がなくなったときに、原子力というものは私たちの世界に復活をするようになるでしょう。それまでは私どもは、あなた方がそれを切望なさるから私たちも仕方なしについていくという態度はとれないと思います。命がけですから。
○小宮委員 ここに「衆院特別委で意見述べる地元の八氏」ということで朝日新聞に皆さん方の意見が出ておるわけです。これを読みますと小林参考人は、「平和利用も含め、すべての核開発に反対であるという被爆者の叫びを強く訴える。現在では軍事に結び付かない平和利用はありえない。」こういうふうにすべて断定しているわけですね。その意味では、いまの答弁と、五月十六日の朝日新聞の地元八氏の意見を述べた内容とは、若干矛盾しますね。もういいです。
○住江参考人 国民と政府との理解の上に立った、安全性が完全無欠なる原子力開発だったら賛成にやぶさかでございません。
○小宮委員 われわれも、原子力船の安全性については、これまでも何回となく国会で取り上げてきておるわけです。特に、漁業関係者に与える影響の問題についても、二回ぐらい取り上げておるわけです。そういった中で科学技術庁が答弁しておるのは、原子力船「むつ」の修理中は原子炉は一切動かさない、燃料棒は引き抜かないというような措置をとるので、修理中は安全だと言われておるわけですが、それでは住江参考人、たとえ仮にむつからこちらの方に持ってくるにしても、これは普通の補助エンジンを使ってくるから、原子力エンジンは全然使わないのだという答弁をしている。そうすれば全然原子炉は関係はないわけです。それと同時に、修理中はこうするのだということを原子力局長、大臣は再三にわたって答弁しているわけですけれども、そうすれば、皆さん方か心配される問題はどの点にあるのか。もしそういった危険性があるとすれば、私たちも皆さんの立場に立って国会の中でこれをただしていくのは当然ですから、そういった意味で、大体どの点について皆さん方が心配されるところがあるのか、その点をひとつ勉強のために教えてください。
○住江参考人 「むつ」が欠陥船であるということは、諸先生方も十分御理解と思います。いろいろ学者の意見を見ましても、大体、原子力発電にしても、炉には緊急炉心冷却装置というのが必ずつかなければならない、そういうふうに学者の諸先生はこうやって書き物にしております。しかもこの緊急炉心冷却装置は複数でなければならない。ところがこの「むつ」には、これが一基だに座ってないというのが現在の「むつ」の実態のようでございます。こういうようなことを考えあわせますと、いまのままでは絶対「むつ」は安全でない。したがいまして、日本最高の学術会議がありますから、日本学術会議の諸先生方をひとつお呼びになっていただきまして、十分御意見をお聞きいただきしまして、国民もあるいは与党も野党も御了解になっていただければ、われわれも先生方のなすがままになってもよろしいと思います。
○小宮委員 原子力船「むつ」でいわゆる放射線が漏れたのは、船底から漏れたのじゃなくて、原子炉と遮蔽の壁から漏れたわけですから、その意味で本当に皆さん方が心配されるような問題があれば、これはわれわれがやります。しかし、いままでの答弁の中では、いわゆる原子炉はたかずに補助エンジンで来る、そして修理中も原子炉は動かさぬという、この問題に対してはわれわれがいろいろこの前もやっているわけです。しかし、そうした場合にどういうように皆さん方に影響があるのかということについて、非常に私も不勉強と言えば不勉強ですけれども、われわれが常識で見てどうだろうかということで、本当に安全性の確認ということをわれわれも取り上げておるわけですから、その意味で皆さん方にお聞きしておるわけですけれども、いまの答弁では、まだ私の疑問を解消してくれる答弁になっていないわけですが、その点もう一度。
○住江参考人 それだけ心配のない「むつ」でありましたならば、午前中申し述べましたように、むつで修理するか、あるいはつくったところの石川島播磨造船でやっていただいたら結構だと思います。
○小宮委員 その点はまた別問題として、ただ皆さん方が非常に心配される点がどの点であろうかということを私自身が非常に懸念するものですから、それでは原子力局長、いまの問題について再度、学術会議が何とかと言っておったけれども、そういうような点で、何か漁業者の方々に与える影響なり被害について、修理中、また修理に持ってくることによってどのような影響があるのか、もう一度御答弁を願いたい。
○山野政府委員 安全性を議論いたします場合に、二つのケースを分けて考えるべきではないかと考えております。まず一つは、いま御質問になっておられます修理港における修理作業が安全に遂行し得るかどうかという問題、第二は、修理を終了しました後でき上がった原子力船が安全に運航できるかどうかという問題、この二つに分けて考えるべきだと思うわけでございますが、ただいま私どもが地元によく御説明申し上げておりますのは、前者の修理が安全に遂行できると考えておりますという旨を御説明申し上げておるわけでございます。もちろんこの第二の点も、私どもは十分安全な船ができると確信いたしておりますが、これは将来安全審査なり検査によりまして初めて明らかにされる点でございまして、現在の時点で云々する問題ではないと考えております。 それから、むつ市で修理をするかしないかという点につきましては、むつ市には残念ながら、物理的に申しましても、修理をいたしますドックなりクレーンなりの設備といったふうなものがないわけでございますので、これは不可能な問題でございます。
○小宮委員 速見参考人にお尋ねしますけれども、速見参考人の意見を聞いておりますと母港が先決だというような印象を受けるわけですが、母港を決めれば、それでは佐世保でもいいということになるのか。その点やはり、修理港として決まらぬから母港も決まらぬであろう、決まらぬから母港を決める方か先じゃないかというようなことが、この問題に取り組むためには都合がいいというように考えられてのことか。母港が決まれば修理港はいい——いろんな問題は抜きにしてですよ、純然とこの問題だけを考えた場合に、そのようにお考えですか、どうですか。
○速見参考人 お答えいたします。 いま先生がおっしゃられるように、簡単に区別できる問題ではないというぐあいに私は考えておるわけです。まずこれは道理というものをもっと明快に考えていただかなければならないと思います。というのは、いままで何回となくこの「むつ」問題についての議論を通して、私たちが疑問を投げかけてみましても、政府そのもの、あるいは事業団そのものも、この「むつ」問題、「むつ」の母港の問題については明確にし得ない。そして先ほども私、具体的な事例を挙げてお話を申し上げましたような問題をも、解明ができておりません。そういう段階の中で、どこの港でやろうともという言葉で私は先ほど表現をいたしましたが、やはり国民の納得ができる修理、母港というものは、まず母港に限ってはその前提として先に決めて、そして修理が終わったならばここに持っていきますよということで、初めて母港と修理港との関係についてははっきりでき得るというぐあいに考えるわけです。 それから修理港の問題でございますけれども、これまた午前中に私申し上げましたように、いまも政府の局長の方からお話がありましたが、修理作業だけについては安全だ、こう言われます。しかし、修理が終わるということは、やはり安全確認がなされなければ本来の修理にはならない、ここのごまかしがあるから、私たちは非常に危険を感じておるわけであります。 それからもう一つは、この内容の問題にいたしましても、いままでの原子力発電所の事故等を考えてみましても、細管の腐食だとかひび割れだとかいろいろな問題がございます。そういうものを十二分に点検、確認をするという方法がとられなければ、本当の安全確認ということはあり得ない。ただ形だけ修理をしたということだけにとどめようとしておるところに、私は非常にこの問題についての疑問があるわけであります。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、三十二項目にわたって具体的な説明を求めてありますから、私は、この回答次第によってはさらに突っ込んだ議論をせざるを得ないだろう、このように考えておるところです。
○小宮委員 速見参考人は、やはり安全確認を先にすべきだ、こう言っておる。こちらの方、科学技術庁は、修理すれば安全になると言っておる。そうしますと、いまは原子力船自体がいわゆる放射線漏れで、言葉は欠陥船なら欠陥船でも結構ですが、そうすると、これを具体的に安全確認をしてから修理するならいいというのか。それとも修理をしてから後その安全確認を完全にやれというのか。その点ちょっと確認をしたいと思います。
○速見参考人 修理をやらなければ安全確認ができないのは道理だと思います。したがって、政府がいま説明資料として県に届けておる、そして私たちに届けております内容をつぶさに検討してみますと、出力上昇試験はやらないとか、あるいは性能テストについても何らの回答がなされておりません。ここで政府か本当に「むつ」を完全なものに仕上げたいという熱意があるとするならば、そんなごまかしじゃなくして、性能テストもやらしてほしい、出力上昇試験もやらしてほしいと、この際、本音をはっきりした上で私たちも選択すべきじゃないか。修理をするだけだったら炉をとめてやるから安全だというごまかしに、私たちは非常に憤りを感じております。
○小宮委員 少しわからぬようになりましたけれども、たとえば、いま速見参考人が言われるように、修理をする前に安全点検ということはあり得ない、したがって修理をして安全点検をやらざるを得ないじゃないか、それはもう当然なんです。それと同時に、たとえば性能テストあるいは出力上昇試験にしても、修理が終わらなければできないわけですね。そうしますと、いま言われておるような、たとえば、それでは佐世保にその修理港として持ってくるのに反対だという理論は、ただ、もう母港が決まらぬからだめだということにしぼられてくるわけですね。違いますか。
○速見参考人 先ほど同じような質問がありまして、それに対して私はお答えをしておりますから省略いたしておりますけれども、たとえば一つの例として、遮蔽装置の改修に当たっては原子炉のふたをとってやる、そして作業中にはかわる形のふたをやる、こういうような説明になっておりますけれども、一・四%といえども実質的には炉を燃やして運航しておるわけでありますから、そういうような形の中で、果たして作業員なり住民を含めて、そのような作業環境あるいは住民に対する影響度があるかないかという問題についての疑問点に対するお答えもなされていないわけであります。これは一つの例でありますけれども、先ほどそういうような事例を挙げて修理港にも反対だということを私は申し上げました。やはり問題は、本当に政府が原子力船「むつ」を完全に仕上げようとするならば、修理港から、母港は別問題として、出力上昇試験までは一貫した作業工程がなければ本当の安全確認はあり得ない、こういうことを考えての意見であります。
○小宮委員 それでは、速見参考人は原子力船開発の必要性については認めておるということですか。
○速見参考人 このことも先ほどお答えをいたしております。やはり安全というものが現時点の中では信頼性がないし、そういう危険性を多分に含んでおる、こういう現時点の中での原子力開発というものは当然やめるべきである、こういう考え方であります。ただし、将来ということを先ほども質問がありました。しかし、将来という問題については、今後の状況を見なければ現時点で将来の判断を下すわけにはいかない、このように考えます。
○小宮委員 速見参考人とやりとりしてもあれですけれども、現時点では安全性が確認されておらぬから反対だ、しかし、将来において安全性が確認されれば、これは物事を短絡して考えれば、反対しないということになるわけですね。それでは、ひとつ原子力局長、いまいろいろ意見が出ましたことに対して説明してください。
○山野政府委員 まず第一点で申されましたのは、母港を決めてからでないと修理港受け入れ問題等を検討するのは困難であるというお話でございますが、まず母港を決めて修理港を後から決めるというふうなやり方もあるとは思いますけれども、私どもの考えておりますのは、まず修理港を決めまして、一昨年放射線漏れを起こしました「むつ」につきまして所要の手当てを行いました後、できるだけの安全性を確認しました上で母港を決めていく方がよかろうというふうに判断して、その方向で進めておるものでございます。 それから、安全性につきましての御議論でございますが、まず安全とは何かという問題でございます。原子力船につきましては、作業者あるいは周辺公衆に放射線上の災害を与えないという点が安全性の焦点でございまして、それ以外の部分につきましては、一般の船舶の修理と変わらないわけでございます。そういう意味で、作業者並びに一般公衆には、修理作業中は災害を与えませんよという御説明をいま申し上げておるわけでございますが、その修理作業の進行に従いまして、各時点各時点、具体的に申し上げれば修理港で予定しております遮蔽改修等総点検の済みました時点で、それまでの作業についての成果を確認し、さらに、その後引き続き出力上昇試験を行いました段階で出力上昇試験の結果による判断を行うというふうに、過程を追うに従ってその時点時点で、将来でき上がるでありましょう修理された原子力船の安全性を確認していくというふうな方向で進めてまいりたいと考えておるわけでございまして、遮蔽改修等総点検が済めばそれですでに安全だ、出力上昇試験もする必要はないということを申し上げておるわけでもないのでございます。
○小宮委員 参考人からきょうは非常に貴重な意見を出していただきましたので、われわれもその貴重な意見をもとにして、さらに国会で、またあしたも一般質問がありますから、そこの中でもひとつ皆さん方の意見を取り上げていきたいと思います。 これで私の質問は終わります。
○中村委員長 先刻の瀬崎君の発言中、不適当な言辞があったやに思われますので、委員長において、後刻速記録を取り調べの上、不適当な個所があれば、適当に措置いたします。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申しあげます。 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のため大変参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。 次回は、明二十日木曜日、午前十時理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時九分散会