ロッキード問題に関する調査特別委員会 第27号
- 発言数
- 216 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1976/09/01
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 ロッキード問題に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。まず、稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 法務大臣、七日会の代表の西村英一さんが何か地検の検事正を訪ねられたときの経過、これは簡単でいいのですけれども、それと、そのときに四人の方の名前が恐らく七日会の方から出たのだろうと思うのです。よくわかりませんが。それで、検事正の方でその四人の方を近く呼ぶつもりだというふうな回答というか、返事をしたわけですか。その経過だけちょっと簡単に。
○安原説明員 先週の木曜日でございましたか、あの報道がございました午後に、西村英一代議士が高瀬検事正を訪問されたことは事実でございます。 それから、その際、今後の取り調べの予定などということは一切申しておりません。
○稲葉(誠)委員 いずれにしても、あそこまで言われていることですから、名前の出ている四人の方については、近くかどうかは別として、当然呼ばれるというか、呼ぶつもりだろう。それでないと国民の疑惑も解けませんから、これは当然のことだ、こういうふうに思うのですけれども、これについて検事正は記者会見で、まだ事情聴取はしていないけれども、近く呼ぶつもりだというふうなことを言われたのじゃないですか。記者会見か懇談会か知らぬけれども、そういう意味のことを。
○安原説明員 検事正が申されたのは、現に橋本元運輸大臣とか、それから佐藤元運輸政務次官の三十ユニットの関係で逮捕、取り調べ中でございますが、それを含めて、三十ユニット、九十ユニット、それから全日空ルートと、なおいろいろ未解明な部分がございますので、その関係で必要とあれば必要な人を調べるつもりであるということを申されたわけでございまして、特定の人を名指して申されたわけでは全然ございません。
○稲葉(誠)委員 そうすると、三十ユニットの点についてはまだ未解明な部分がある、こういうことで、その未解明な部分については今後究明をしていくのだ、こういうことでございますか。
○安原説明員 御指摘のとおりでございます。
○稲葉(誠)委員 そのときに、名前の言われた四人の方が出てこないというふうには断言できない、これは常識ですね、こういうふうにお聞きせざるを得ないのですけれども、それでよろしいでしょうか。
○安原説明員 微妙なお尋ねでございますが、いずれにしても関係者すべて、何人といえども取り調べるという趣旨でございます。
○稲葉(誠)委員 微妙なお尋ねだったって、どういう点が微妙なの、それは。
○安原説明員 つまり、特定の人を調べる予定かどうかということをお尋ねと私は理解したからでございます。
○稲葉(誠)委員 大臣、二十九日の夜、新潟県の神林村、そこの小学校かどこかであなた、いろいろお話をされているわけですけれども、私はお話しされるのは本当に結構なことだと思うのです。言論の自由というのは最大限日本の憲法で保障されているのですし、あなたは模範的な言論の自由をあれされている方ですから、私は本当に結構だと思うのですけれども、私の方からお聞きするとかえって誤解を招きますので、あなたの方から、このときに要点としてどういうふうなお話をされたのでしょうか、その点を率直にお話し願えればと、こう思うのです。
○稻葉国務大臣 率直にお話し申し上げましょう。 私のロッキード事件に関する対応の仕方は常に一貫してまいりました。厳正公平に、不遍不党に、白は白、黒は黒、善は善、悪は悪、こういうふうにやらなければ国会及び政治に対する国民の信頼は回復できない。いまや政治に対する国民の信頼は地に落ちておる。政治家として責任を感ずる。こういう気持ちでしょっちゅう演説しているのです。しかも、そうして常に選挙のことを考えますわな、各政党とも。ことに自民党の中にはああいう事件が起きましたからね。これは反三木であろうと親三木であろうと、党員全部がやはり白は白、黒は黒、こうやらなければ、そういうふうに検察当局がやりおおせなければ、多くの人が皆灰色になっちゃうじゃないですか。そういう状態で選挙をやっては困るじゃないかというあれもあるわけです。私の気持ちは。ですから、反三木の人でもそうだし、親三木の人でもみんなそういうことは当然でないかと思うが、中にはちょっと側隠の情でやったらいいとか、それから政治的配慮だとか、そういうふうに言われるとみんな灰色になって、党員が迷惑するから、きちんとやるんだ、こういう自分の心持ちを率直にああいう形でお話をいたしました。 それから、第三の山は、なかなかこれは険しい、しかし、これについてもあらゆる方策を講じて事態の究明にいま努力中である、こういうことを申したわけですな。
○稲葉(誠)委員 それは全体の中の、非常に圧縮してあなた言われたわけでしょう。演説だから長いわけで、ぼくは演説のことをかれこれ言うつもりはないのですよ。演説は多少誇張が入りますから、これはある程度やむを得ない、こう思うのです。 そこで、口が滑ったのか本当のことを言ったのかわかりませんけれども、何か十七日の田中さんの保釈以後、ロッキード隠しというか、そういうふうな運動が強まってきたという意味のことを、そういうふうにとられるようなことをおっしゃったのでしょうか。巻き返しにいったわけか。
○稻葉国務大臣 私の感じを申したのです。どうも隠しみたいな、周囲を取り巻く、この辺の空気がそういうふうに感じられるということを申しただけです。
○稲葉(誠)委員 いや、空気が感じられると言っても、どういう事情からそういう空気が感じられるようになったのでしょうかね。
○稻葉国務大臣 それまではみんな徹底究明、徹底究明と言ってきたのです。ところが、もう少しやりようもあるのじゃないかというような声が聞こえてきたり、ちょっと空気が変わってきたように私は感ずるから、そのまま申したのです。
○稲葉(誠)委員 率直にお答え願って、ぼくも非常にありがたく思うのです。 それから、その中で、第三のルートについて、何か刎頸の友というのはぼくはよくわからないのです。刎頸の友というのは、だれのことを言ったのかよくわからないのですが、何かそんな話をあなたの方からおっしゃったわけですか。それはどういうことでしょうか。
○稻葉国務大臣 刎頸の友であろうが何であろうが、縛るべき者は縛らなければ真相は究明できないというのは、やじの中で中曾根はどうしたと、こう言うから、そんなものは刎頸の友であろうと何であろうと縛らなければしようがないじゃないかと、こういうやり返しをしたのです。それと何らかの刎頸の友と結びつけちゃったのだ。
○稲葉(誠)委員 いや、その刎頸の友はどうなったのですか。刎頸の友は、いままでまだ全然事情聴取もしていないの。あるいはそういうことについては——いや、こっちへの質問だから、あなたの質問じゃないから大丈夫。(稻葉国務大臣「私の刎頸の友と言ったのと別な刎頸の友だから」と呼ぶ)いや、それは別かどうかは別だけれども——話がごちゃごちゃになっちゃったな。 ぼくの聞いているのは、いま事務的に聞いているのですよ。いわゆる世間で言う刎頸の友、これはだれを指しているかわかると思うのですが、これについての事情聴取がいままで行われているのですかどうかということですよ。こっちに聞くわけですから……。
○安原説明員 ただいま特定の人の名前なしに刎頸の友とおっしゃいましたので、どなたであるか、まず伺いたいと思います。
○稲葉(誠)委員 なかなか逆襲してきましたな。 いや、大臣は児玉プラスXということで、Xについては小佐野賢治だろうとぼくがいつか聞いたら、あなたはよく御存じですねという答えが返ってきたから、小佐野賢治さんのことをあなたがお答えになったのだというふうに思ったものですから、そこでぼくはいまあなたの方に聞いたわけですね。そういう経過ですよ。大臣からでもいいですが、先に……。
○安原説明員 小佐野賢治氏について検察当局が取り調べをしたという報告は受けておりません。
○稲葉(誠)委員 それは率直な話、個人の名誉の問題ですから、私もいまの段階でちょっとこれ以上聞くのは無理かと思いますけれども、しかし、コーチャン回想記その他でいろいろ名前が出てくるわけですね。だから、それについては関心を持っているということは言えるわけですか。
○安原説明員 正式な証人尋問、嘱託尋問の中身については申し上げるわけにはまいりませんが、たびたび申し上げておりますように、朝日新聞にいわゆる「回想」と称してコーチャン氏の会談録が記載され、その中に小佐野賢治氏の名前が出ていることは承知いたしておりますし、有力な新聞の記事というものは有力な情報源として当然捜査当局は関心を持っておるはずでございます。
○稲葉(誠)委員 大臣、何かあなたの言われたことで、間違っているかわかりませんけれども、国会開会中だったら田中さんは逮捕できなかったんじゃないかという意味のことを、言葉ははっきりしませんけれども、そういう意味のことを言われたんでしょうか。それに近いことか何か。
○稻葉国務大臣 それに関連したことを申しましたね。当日はなかなか口が滑らかにいきまして、相当弁舌さわやかだったと自分でも思っているわけですが、それはこういうことなんです。国会開会中でありますと、いまの自民党の様子を見ていますと、許諾請求にすんなり応じたろうか応じないだろうか心配だったんだ、心配なんだと、こういう感じを申しましたな。
○稲葉(誠)委員 別のことを聞きます。 そうすると、田中さんがもらった五億円の金については、これは刑事局長の方がいいと思いますが、たとえばこれを何に使ったかということによって、犯罪の情状について非常に変わってくるわけでしょう。何に使ったかということが当然究明されてなければ、犯罪の情状に重大に関係してくる、こういうわけですがね。これはもうあたりまえの話だ。
○安原説明員 田中前総理のことではなしに、一般に贈賄を受けて収賄をしたとされる金がどう使われたかは、犯罪の情状にも、金の趣旨にも、いろいろ関係してまいります。
○稲葉(誠)委員 それから、その五億円の金は外為法違反でもあるわけですから、その金を田中さんからもらった人が非居住者からの金であるということを認識していれば、外為法違反になるわけでしまう。
○安原説明員 理屈はそのとおりでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、田中さんからもらったという人を調べないでおいて、この五億円の金の使途その他については捜査が終わったということは言えないんじゃないですか。
○安原説明員 可能な限りで調べることは調べるべきであると思います。
○稲葉(誠)委員 いやいや、可能な限り調べるべきことは調べるということじゃなくて、当然起訴までに調べておらなければならないことだと、こういうふうに思うのですよ。 ぼくは問題は二つあると思うのです。収賄の場合の事後処分ですから、収賄の場合の事後処分は、これは犯罪にならないからいいのだけれども、外為の場合はそういう認識があれば犯罪になるわけです。そうすると、その金が何に使われたか、もらったという人がそういう認識があったかどうかということを当然調べなければならないわけですね。それをしないで、五億円の金の使途についてはもう打ち切ったと、こういうふうに言われるようにとれるものですから、これはおかしいではないかということを私は聞いているのです。それはそういうふうになるのじゃないでしょうか。
○安原説明員 捜査の中身について詳しく申し上げるわけにはまいりませんけれども、少なくともあの田中前総理を公判請求した日の記者会見におきまして、検察当局は、現在までのところ金の使途についても調べたが、犯罪の容疑は発見していないと、こう言っておりまして、それが終局宣言であるかどうか、少なくともあの段階においては犯罪の容疑はないと、こう言っておるわけでございまして、犯罪の容疑を持ちながら捜査を放棄しておるということではございません。
○稲葉(誠)委員 いまのあなたのお答えを聞きますと、五億円の金をもらったという人も当然調べられているはずだ、調べられて犯罪の容疑がないということがわかったので、終局宣言に近い答えをしたというふうにとれるのですよ。そういうふうにお聞きしてよろしいでしょうか。
○安原説明員 要するに、検察当局が発表した限りにおいて私は申し上げておるわけでありまして、それ以上のことは現に承知しておりませんし、そのことにつきまして検察当局が捜査に支障がないという判断のもとにその程度のことを申したのでありまして、終結宣言であるかどうかもわかりません。
○稲葉(誠)委員 この五億円の使途については、いま言ったように、一般論としてお答えになったけれども、重要な関心というか、犯罪が成立する場合もあるし、それから情状として関連してくる場合もある、これはあたりまえの話ですが、その調べられた中にいわゆる国会議員が入っているとか入っていないとかいう話もあるのですけれども、これはどういうことなんでしょうか。私は断定しませんけれども、そういう話も伝えられておるから聞くわけですが。
○安原説明員 そういうことは承知しておりません。 なお、外為法違反というのは、主観的な要件としては、それが外国から、非居住者からの支払いであるということを認識しておるということが犯罪成立の要件であることもひとつ念のために御理解いただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 それから、あの起訴状を見ますと、請託を受けた日時が、何か特定していなくて「ころ」ということになっているようですね。あれはどういうわけですか、それが一つ。 それから、コーチャンが贈賄者に入っていますね、共謀で。これはどういう共謀関係なの。一緒に集まって共謀したというのか、順次共謀したというのか、どういう関係なんですか、それが第二点。 それからもう、一つ、今後の調べの中で、その贈賄者のコーチャンとの共謀関係、コーチャンの上院における証言なり公表されたもの、あるいは今後のロスの地裁でのあれなんか出てきますと、贈賄者がふえる可能性というものが当然考えられてくるんじゃないでしょうか。共謀正犯か何か知らぬけれども。 この三つの点についてお答え願えればと思います。
○安原説明員 「ころ」と書いたこと、あるいは共謀の内容がどうであるかということ、それからのことに関しましては、これから公判廷において自然に明らかに検察官がしていく用意のある事柄でございますので、ただいまの段階で申し上げるわけにはいきません。 なお、共犯者がふえるかどうかということは将来のことでございまして、私はこの段階で想像することもできないくらいでございまして、お答えいたしかねます。
○稲葉(誠)委員 時間が来たのでやめますけれども、大臣、最後にこのロッキード事件の捜査について、今後の大体の見通し、残っているものの見通しと、それからあなたに対して何かいろんな圧迫があるとかなんとかと言う人もあるのですね。圧迫というように主観的にあなたが感じているのかわかりませんけれども、そういうふうなものがあってもはねのけて、どんな人が出てきても徹底的にやるというふうなことについて、最後にあなたのお考えをもう一遍確かめて終わりにしたいと思います。
○稻葉国務大臣 人によって区別をしたり、そういうことは私心があってやることですから、私心をなくしなければいかぬという本当に真剣な気持ちでございますから、またそういうことでなければ黒白を明らかにして、そうして多くの人は白なんだという証明になりませんからね。党のためにも、この国会のためにもよくない。そういうことの職責を持っているのが法務大臣だと心得ておるつもりでございます。
○田中委員長 三浦久君。
○三浦委員 法務大臣にお尋ねします。 いま同僚の議員からお尋ねがありました八月二十九日の演説の内容なんですけれども、これは国民にとっては非常に関心のある問題だと思うのですよね。というのは、田中保釈後に自民党の内外でロッキード隠しの動きが顕著になった、こういう報道がなされているのですね、稻葉法務大臣の発言として。そうすると、どういうようなロッキード隠しの動きがあったのかということ、いまそういう空気みたいなものを感ぜられたというのですけれども、そういう漠然としたものではなくて、もっと具体的なものがあったからこういう発言がなされたのではないかというふうに国民は感じているだろうと思うし、その点は国民がどうしても知りたいところだと思いますので、もう少し具体的にお話しいただきたい、こう思います。
○稻葉国務大臣 ロッキード事件の捜査に対し、厳正公平に、私心なく、自由潤達にやってくれたまえ、ほかに言うことはないということで法務大臣は一貫してずっと来ました、稻葉修は。ところが、だんだん捜査が進むにつれて、いきなり大物のところへいかなくても、何かやりようが普通と違うとか、何か政治的意図で検察庁が動いているような、功名心に駆られて動いているようなことを言われるもんですから、私、憤慨にたえないのです。 それと、先ほども言いましたように、選挙に臨む自民党の態度としては、やはり全部灰色のままで選挙に臨むよりは、白黒をはっきりして、そうして多くの人は白なんだと思いますから、それははっきりした方が政治のためにもいいよ。ところが、まあ薄灰色でもいいから余り徹底的にいじらぬ方がいいというような考えの人もあるように見受けるもんですから、それは違うのじゃないか。その辺の見解の相違でございますな、私とは。私は政治家としてそういうことも感じますし、それから法務大臣として厳正公平にやるべき立場としては、あくまで徹底究明というのが正しいのだ、黒白、善悪、理非曲直を明らかにすることが政治に対する国民の信頼回復に一番の近道だ、これ以外にないというふうに信じ切っているもんですから、そう言わざるを得ないのです。
○三浦委員 同じ演説の中で、これからはどんな妨害や圧力があっても、もう命がけでやるんだ、こういう発言もされていますね。大変りっぱな発言だと思うのですけれども、いままでに法務大臣に対してそういう妨害とか圧力とかいうものが具体的にありましたでしょうか。あったら、ぜひひとつ教えてください。
○稻葉国務大臣 あってもと申したのであって、いままであったとかなかったとか、そんなことは申し上げる限りではありませんし、それから、少し演説ですから——命がけでというようなことは言わずもがなです。そんなことは心にしまっておくべきものだと反省しております。
○三浦委員 そうすると、そのときどんな妨害とか圧力というものを予想されたのでしょうか、具体的に。何か予想されましたでしょうか。どうでしょう。
○稻葉国務大臣 もう急に身辺の警護が厳重になったり、渋谷の私の家なんか、あっちの路地、こっちの路地で向こうを向いて警戒などしていますし、気味が悪くなるなあ。——それは本心でありません。気味が悪いなどと、そんなことはありませんけれども、もともとそんなことは覚悟の上でやるべきことなんですからいいですけれども、どこに行くのにも、飯食いに行くのにもパトカーがもう一つ後ろについてくるというのには困るんだなあ。なるべくああいうことにならぬように、平平たんたんと一般的捜査の責任者として生活したいもんだ、そういう意味です。
○三浦委員 少し答弁をはぐらかされたような感じがいたしますけれども。 続けてお尋ねしますが、同じ演説会場で、いまもちょっと御発言がありましたけれども、中曾根はどうするんだ、こういうやじが飛んだ。それに対して、中曾根であろうとだれであろうと、容疑がはっきりすれば逮捕するぞ、こういうようなことをお答えになっておるようですね。それはそのとおりでしょうか。
○稻葉国務大臣 人によって区別はしないという意味のことをそういう表現で、中曾根はどうしたというやじがありましたから、具体的にそういう言葉があったから、中曽根康弘であろうと、そこに応援に来ておった小林国司であろうと、法務大臣稻葉修であろうと、犯罪の容疑があれば検察庁が逮捕請求してくるでしょう、それに対して不許可なんてことできるもんじゃありませんよ、こういうことを言うたわけです。間違っていますか。
○三浦委員 質問は私の方がいたしますけれども、いまでも同じ考えだろうと思うのですよ。現在、中曽根康弘氏に対してトライスター導入問題について疑惑がないというふうにお考えでしょうかね。たとえば朝日新聞の村上特派員が送ってきた「コーチャン回想」ですね。これなんかでも、四十七年十月五日にロッキード社に大変不利な状況になってきた、そのときに児玉が中曾根氏に長い電話をかけた。そしてその結果、次の日には、ぱっとまた前に戻ってロッキード社に有利になり、そしてトライスターの導入に道が開けた、こういうことをかなり具体的に、詳細に、リアルに述べているのですね。いままでのコーチャン証言の信憑性というようなものとあわせて考える場合に、これは事実関係としては、かなり信用できるのではないかというふうに思うのです。とすれば中曾根氏が、このトラスター導入問題について、かなり大きな役割りを果たしたというふうにわれわれ感じているのですがね。法務大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
○稻葉国務大臣 中曾根幹事長であろうと三浦さんであろうと稻葉修であろうと、検察庁が動き出すまでは、私の口から、どうも怪しいとか疑わしいとか、そういうことを口にすべきものじゃないんじゃないですか、法務大臣は。私はそうだと思いますね。
○三浦委員 中曾根氏は、この朝日新聞の「コーチャン回想」の問題について告訴等の刑事的な手続を踏んだことがありますか、どうでしょうか。朝日新聞社を告訴する等の手続をとったことがありますか。
○稻葉国務大臣 存じませんです。
○三浦委員 安原刑事局長にお尋ねしますが、いまの質問ですが、地検に対して、この問題で名誉棄損等で中曾根氏が朝日新聞を告訴したというようなことはございますか。
○安原説明員 そういう報告は受けておりません。
○三浦委員 これは、われわれの知るところによれば、告訴していないですね。これだけ大きな問題になれば、これは中曾根氏自身は否定しているわけですから、当然みずから身の潔白を証明するという意味からいっても告訴するのが普通なんだけれども、していないですね。そういうことからも、ますます疑惑というものは深まるばかりだというふうにわれわれ思っておるのですよ。中曾根氏をトライスター導入の問題について検察庁が取り調べをしたのかどうか、その点ちょっとお尋ねしたいと思うのです。
○安原説明員 先ほどもお答えいたしましたように、朝日新聞の「コーチャン回想」というものについては捜査当局が重大な関心を持っているはずでございますが、それ以上、検察庁がどういうように、この問題について、この回想記について対処しようとしたか、また、しているかということは申し上げるわけにはまいりません。
○三浦委員 これだけ具体的な疑問が提示されている人物について何ら事情聴取もしなければ捜査もしていないということであれば、これは中曾根幹事長がいわゆる幹事長という要職にあるので、人によって差別的な捜査をしているんじゃないか、そういう疑いを国民は持つだろうと思うのですね。ですから、私は、一刻も早く事情聴取を開始すべきだということを申し述べたいわけです。 次に、トライスターの導入をめぐっても、いま言ったような児玉、中曾根氏の関係については非常に大きな疑惑があるわけですけれども、まだ、そのほかにも、児玉、中曾根の関係ですね、この黒い関係を疑わせるような事実関係というものがあるわけです。法務大臣は、児玉氏と中曾根氏との関係については、ある時期までは認めておられたのですね。ところが四十三年以降は切れたのだ、こういうような答弁をされています。後から、金銭的な関係がなくなったんだという意味だ、こういうふうに答弁されているわけなんですけれども、金銭的な関係についても非常に大きな疑惑が提示された。それはアブダビ石油の輸入の問題なんです。 これは八月六日の朝日新聞の一面トップで報道された問題であります。これは「中曾根氏に新たな疑惑」「石油権益に絡む」「五千万円受け取る?」でクエスチョンマークになっていますけれども、こういう大見出しで報道された問題であります。この問題は、簡単に言えば、昭和四十八年の二月十日にジラインはアブダビ石油を一バーレル当たり二ドル三十八セントで購入した。これは当時の値段から見ると大変高い値段だ。それで通産省としてはいろいろな行政指導をした。しかし、その行政指導が、その後ぼっと変更になりまして、そして念書と交換に輸入を容認する、そういう態度に出たわけですね。その行政指導との絡みで五千万円の授受があったのではないか、そういう疑いが出されているわけですね。その間には当然、児玉、水谷らが介在をしている、こういう報道であります。これは朝日新聞という日本でも一流の新聞が、一面トップで現職の幹事長を名指しで、金をもらったんじゃないか、こういう報道をしているわけですから、これはやはりかなり信憑性のある報道ではないかとわれわれは思っているわけです。 〔委員長退席、大橋(武)委員長代理着席〕 当然、そういう金の授受または行政指導に絡む疑惑、こういうものがないのであるとすれば、これだけ大きな名誉棄損を受けていれば、この問題についても中曾根氏は告訴をして、そして疑惑を晴らすのが当然だと思うのですけれども、そういう告訴の手続を地検等にした事実がありますでしょうか。
○安原説明員 そういう報告は受けておりません。
○三浦委員 これも大変不思議だと思うのですね。なぜ中曾根氏が告訴をしていないのか、われわれ大変大きな疑惑を持つわけです。 通産省にちょっとお尋ねしますが、ジラインが二月の十日にアブダビ政府からDD原油を、一バーレル二ドル二十一セントの実勢価格のところを二ドル三十八セントで買った、こういう事実はありますか。
○橋本説明員 ジラインとADNOCとの間に、さような契約があったと承知しております。
○三浦委員 これに対して通産省は具体的に、どのような行政指導をしたのか、御答弁いただきたいと思います。
○橋本説明員 ジラインによるアブダビ原油の引き取りの契約につきましては、ただいまも御指摘がありましたように、その輸入価格が当時として割り高であったということ、いま一つは国内の精製企業との結びつきと申しますか、売り先がはっきりしておらない、かような点が当時問題でございましたので、ジラインに対しまして割り高な価格の是正について再交渉すること、国内の精製企業の需要を取りつけてくること、その二点を中心といたしまして、改善を求めたわけでございます。
○三浦委員 その日時をおっしゃってください。
○橋本説明員 大体、四十八年の一月下旬ごろと記憶いたしております。
○三浦委員 もう少し具体的に行政指導の内容を説明してくれませんか。たとえば念書の問題等もあるのでしょう。
○橋本説明員 若干、行政指導の内容について敷衍いたします。 先ほど申し上げました価格の再交渉につきましては不調に終わったわけでございます。その後、二月十日にADNOCとの間に契約が締結されましたので、われわれといたしましては、当時このような契約が円滑に履行されない場合には、相手国に対してはもとより、国際信用にもかかわるということからいたしまして、受け入れ体制の整備を図る、それを前提として輸入体制を秩序立てていこう、かように考えたわけでございます。 輸入体制の問題につきましては、関係者間でいろいろと話し合ったわけでございますが、当時の原油についての買い手市場がだんだん売り手市場に変わってまいったということ。それから、いわゆる石油危機が発生いたしまして、日本に対する原油の供給が著しく減少した。わが国の立場としては、当時できるだけ多くの原油を確保しなければいけないという立場にあったということ。それから石油危機後も、いわゆる二国間取引の量が非常にふえてまいりまして、さようなところから、当初、取引体制を確立しなければならないといったような客観的情勢が全く変わってしまったということでございます。 それから、ただいま御質問のございました念書につきましては、企業の秘密に関することでございますので、発表は差し控えさせていただきたいと思いますが、四十八年の二月二十七日付で提出されております。これは今後とも十分事前に連絡をとって輸入秩序を乱さないようにする、新しい輸入機構ができれば、その輸入機構を活用していく、大体かような内容を持った念書でございます。
○三浦委員 当初、通産省は値段の問題について再交渉しろ、こういう行政指導をしたわけですね。交渉の結果まとまらなかったので、やむを得ず国際信用等の問題を考えて念書を入れさせて、そして輸入を容認した、こういう関係になっているのでしょう、どうですか。
○橋本説明員 輸入を容認すると申しますか、具体的に国内の精製企業でアブダビ原油の引き取りをする者が出てまいったということでございます。
○三浦委員 いやいや、それは許可も何にも要らないわけだけれども、しかし、行政指導としては一応、容認したということじゃありませんか。 昭和五十一年八月十日の商工委員会のエネルギー・鉱物資源問題小委員会での米原議員に対するあなたの答弁ですね。これによると、あなたの方としては、まあいろいろ再交渉の行政指導をした、ジラインは再交渉を行った、しかし、結果として不調に終わった、それで国際問題等を考えて、そして買うようにしたんだ、こういう答弁をされているのですね。これは間違いないでしょう。
○橋本説明員 そのとおりでございます。
○三浦委員 そうすると、非常におかしい問題が出てくるわけですね。われわれがジラインの幹部にずっと当たって聞いた。直接会って聞きました。すると、再交渉なんかできるわけがないと言うのですよ。それで再交渉はやっていないと言うのです。これははっきり言われています。入札をして、自分が値段を決めて契約したものについて、再交渉なんかできるわけはないと言うのです。それこそ国際問題だと言うのですね。あなたの方はジラインが再交渉したなんというふうに答弁しておるけれども、では具体的に、どういう交渉をしたとおっしゃるのですか。当のジラインは何もそんなことしてないと言っていますよ。そんなものはできるわけがないと言っています。どうでしょうか。
○橋本説明員 直接ジラインに当たって確認したわけではございませんが、当時の事情を調べた結果、再交渉したものと私たちの方は考えておるわけでございます。
○三浦委員 あなたは考えたって、してないものはしてないのですよ。あなたたち、口から出まかせの答弁をしていると私は思いますね。われわれは直接ジラインの幹部に会って聞いているんだから、それも、きのうも直接会って、ちゃんと確かめておるわけだ。再交渉はしてないということははっきりしているのです。そうしますと、再交渉しろと言った時点でも、それは一つの大きな国際問題ですよ。それにもかかわらず、その後、交渉してどうも不調に終わったので、国際問題を考えて輸入を認めるようにしたんだなんというのは全くうそだと思うのですね。やはりここは、まあ再交渉の行政指導をしたけれども、その後、全く別な要因、別の力、そういうものが働いて、そしてこの石油の輸入を容認する、取引体制の整備を図ったというのが私は現実じゃないかと思うのです。 そして念書をあなたの方でおとりになっていますけれども、この念書は全く実現されていないですね。われわれがジラインの幹部に会ったときに、ジラインの幹部は何と言っているかというと、この念書というのは全然法的な拘束力のないものであります。では何でそんなものを出したんだと聞きましたら、いや、通産省の顔を立てるためです。こう言っておるのです。ジラインはこの念書を全く最初から守る意思がなかったということを告白していますよ。事実そのとおり、この念書で約束されている輸入機構の確立というような問題は何も行われていませんね。 〔大橋(武)委員長代理退席、委員長着席〕 そうすると私は、どうしても児玉から中曾根氏に働きかけがあり、中曾根氏から通産事務当局に指示があって、そしてこの輸入を認めたのではないかという疑いが非常に強いわけです。通産大臣からこのアブダビ石油の輸入の問題について指示があったと思いますが、どういう指示がありましたか。
○橋本説明員 当時の中曾根大臣からの指示は、原油取引における今後の二国間取引の重要性と原油需給のタイト化傾向を踏まえて、この問題を検討するように、いわゆる一般的な指示があったと聞いております。
○三浦委員 そういう一般的な指示は、こういう具体的な事実を踏まえて行われているわけですから、そうであれば、中曾根通産大臣の方から、これを買うべきである、そういう指示があったというふうに受け取ってもいいわけですか。買うべきであるという、そういう指示があったというふうに、あなたたちはおとりになったというように考えていいのですか。
○橋本説明員 あくまで、その二国間取引の重要性と申しますか、本件は日本における二国間取引の初めてのケースであったわけでございますので、そういった二国間取引の重要性なり、それから、だんだん原油の需給事情がタイトになってくるといったようなことを踏まえて検討しろということであって、それから直ちに買うべしという指示には私はならないと思います。
○三浦委員 しかし、それは詭弁じゃないですか。事例がたくさんあって、それについて一般的な指示が出たというのじゃなくて、問題は初めての問題で、そして具体的に、このジラインのアブダビ石油の輸入という問題が出ている。そのときに、そういう方針を出せば、具体的な事件についての解決の指示にもなっているじゃありませんか。現実に、この朝日新聞を見ますと、中曾根氏は、金はもらっていない、金はもらっていないが「私は通産相として「石油はだんだん値上がりする」との認識を持ち、買った方がいいと事務当局に指示した。」こういうふうに述べているのですよ。これから石油は値上がりするので買った方がいいと事務当局に指示した、こう言っていますが、こういう事実はありませんでしたか。
○橋本説明員 いまお読みになったような記事については、私たちとしては確認はいたしておりません。当時の関係者から承知いたしましたとこででは、一般的指示はありたというふうに理解しております。
○三浦委員 まあ一般的指示でもいいですけれども、一般的指示でも、それは具体的指示と全く同じだということですよ。この朝日新聞によりますと、松永というジラインの社長は、原油輸入の件では厳しい通産省の行政指導に泣かされた、こう言っているわけです。そういう事情から見ると、やはり、そういう厳しい事情、そういう局面を打開するために児玉を介して中曾根氏に働きかけ、その間に五千万円の授受があったのではないかというのが朝日の報道であるわけですね。われわれが独自に調査したところでも、ジ社と中曾根氏を結びつけたパイプ役の役目を果たしたのは児玉の友人の東京スポーツの取締役の曽根啓介氏であります。同氏が児玉、水谷氏を紹介し、児玉から中曾根氏に話を持ちかけたというふうに、われわれの調査の結果、明らかになっているわけですけれども、捜査当局にお尋ねしますが、これらの一連の事実、疑惑について捜査をしているのかどうか御答弁いただきたいと思います。
○安原説明員 先ほど来、御指摘の八月六日付の朝日新聞の記事は承知いたしておりまするが、この件について捜査当局から捜査に関して何らの報告も受けておりません。
○三浦委員 報告を受けていないということは、捜査をしていないということでしょうかね。捜査をしていれば、当然、報告があるということなんでしょうか。どうなんでしょうか。
○安原説明員 文字どおり報告を受けていないという、字義どおり御理解いただきたいと思います。
○三浦委員 これも、われわれジラインの幹部に直接会って聞いた話ですけれども、もうすでに、この事件に関して現在の松永社長、それから現在の土岐監査役、当時の専務ですね、それから当時の土屋社長、この人が地検に呼ばれて事情聴取を受けました、そういうふうに言っている。安原さん、うなずいているから、報告を受けて知っているのじゃないですか。こういう事実があるのですが、いかがですか。
○安原説明員 うなずいたのは三浦委員のおっしゃることの理解をする意味でうなずいただけでございまして、事実について認めたわけではございません。文字どおり承知いたしておりません。
○三浦委員 しかし、私が知っていて刑事局長が知らないというのはおかしな話なんですな。六月二十九日にジラインに強制捜査をやりましたね、これは水谷の脱税の問題ですけれども。そのときに、たくさんアブダビ石油関係の書類も押収していっているのじゃありませんか、どうですか。
○安原説明員 ある特定の事件について、どういうものを証拠として押さえたか、申し上げるわけにまいりませんので、ひとつよろしく御理解をいただきたいと思います。
○三浦委員 しかし、あなた、これは新聞に出ていますよ、六月二十九日の捜索については。それから、いわゆる輸入機構をつくるということで、その輸入機構をつくるための幹事会社ができたわけですけれども、その幹事会社である丸善石油、そういうところの幹部も地検に呼ばれて、この事件では事情聴取を受けているとわれわれ聞いておるのですよ。それはどうですか、そういう事実はありませんか。
○安原説明員 冒頭申し上げましたように、何ら報告を受けておりません。
○三浦委員 私どもの調査によりますと、この土岐専務というのが、ことしの七月の末ごろ地検に呼ばれて、これらの事実関係については全部自供している。そういうことがジ社の関係者の間でみんな了解されておる、知っておる。そういう事実があるわけですよ。もう自供しているということです。ですから、刑事局長あたりは、この事件、詳しく知っておるはずなんですがね。そういう事実があったのじゃないですか。
○安原説明員 たびたび申し上げておりますように、うそは申しておりません。報告は受けておりません。 なお、いま三浦委員の御指摘のように、自供しているということが、犯罪の容疑を抱くのが合理的であるということであれば、何人であるとを問わず検察当局は区別をするものではございません。
○三浦委員 法務大臣、お尋ねしますけれども、これはかなり具体的な疑惑なんですよ。一流紙が一面トップで出して、告訴もされないというほどの信憑性があるし、われわれもずっと調べてみましたら、これはかなり疑惑がありますね。トライスター関係での橋本運輸大臣の疑惑に匹敵するくらいの大きな疑惑を、われわれは感じ取っているわけなんです。それで、捜査をしているかどうかを含めまして、地検から報告を求めて、そして、この委員会に御報告をいただきたいと私は思うのですけれども、法務大臣、いかがですか。
○稻葉国務大臣 それはどういうものですかね。法務大臣が特にそのことだけを取り上げて、特例的に報告せよというのは、少し政治的介入になるおそれも感じますな。
○三浦委員 いままでも法務委員会なんかで、この事件、捜査しているかと言えば、していると言いますね。それからまた、ロッキード事件、捜査しているか、いま捜査しています。金の流れについては全面的に解明をいたしたいと思いますとか、そういうことは言っておるわけでしょう。そうであれば、このアブダビ石油の利権に絡む問題についても、アブダビ石油事件と言っていいでしょう、ジライン事件と言ってもいいでしょう。事件の名前はどうでもいいけれども、この問題については捜査をいたしますとか、そのぐらいのことは言えるはずじゃありませんか。特定の個人を調べたかどうかということを聞いているわけじゃありませんから。それはどうなんですか。
○稻葉国務大臣 どういう事件にかかわらず、犯罪の容疑濃厚ということになれば捜査するのは当然ですな。
○三浦委員 だから、これだけ疑いが濃いわけだから、ぜひ捜査をすべきだし、その結果についても、捜査上支障のない限りは、この委員会に御報告願いたいということを私は申し述べているわけなんです。 それじゃ、その問題はこのくらいにして次に移ります。 この前、小佐野氏が病気だということで出頭しなかったわけなんです。七月の二十日ころから病状が悪化して寝たきりだ、こういうような診断書がつけられてきたわけですけれども、われわれの調査によると、七月の二十日から七月の二十四日までは国際興業に出社しているのですね。それからまた順天堂の北村和夫教授等のお話を聞きましても、絶対に国会に出られない、そういうような状況かどうかというのは疑わしいというような発言もされているわけですよ。ですから私たちは、この小佐野氏の不出頭というのは、正当な理由がなく出頭しなかったといういわゆる議院証言法第七条に該当するのではないかというふうに思うのですけれども、この点について捜査当局としては議院証言法違反の疑いで捜査をしておられますか。どうでしょうか。
○安原説明員 そのことも聞いておりません。
○三浦委員 私は、不出頭の正当性の有無の問題について検察当局がやはり独自に捜査を開始する、そういう必要性のある問題だと思いますので、そのことを強く要望しておきたいと思います。 それから法務大臣にお尋ねします。八月の十日に福永一臣という代議士がプリンスホテルで記者会見して、百万円もらった、こういうことを認めましたね。これは渡辺副社長からもらった。で、そのときに、三月ごろに渡辺から電話があって、全日空の献金リストが押収されたので承知しておいてほしい、こういう電話があったというのです。この記者会見の事実は知っておられますか。
○稻葉国務大臣 知っておらなかったのですけれども、あなたがそこで八月十日の新聞に出たということですから、そうなんでしょう。
○三浦委員 そうすると、ここで福永氏が言っておられる全日空の献金リスト、これは存在しておるのですか。
○安原説明員 私は現に承知しておりませんが、いずれにいたしましても、そういう証拠物の存否をこういうところで申し上げるわけにはまいらないことをひとつよろしく御理解いただきたいと思います。
○三浦委員 そうすると、存在しているとも言えないし、存在していないと否定することも言えない、こういうわけですね。
○安原説明員 承知していない以上は理論的にそうなります。
○三浦委員 いままで捜査当局は、ロ社からの金の流れについては全面的に解明するんだというふうにたびたび答弁されています。いわゆる全日空ルートの金の流れというものはいまもう全面的に解明されたんでしょうか。その職務権限であるとか趣旨であるとかそういうことは別として、だれに金が行ったというような点については、この全日空ルートについては全面的に解明されたのかどうか、お聞きしたいと思います。
○安原説明員 全日空ルートについては目下調査中でございまして、遠からず結論が出るものと思っております。
○三浦委員 捜査当局ではこの全日空から資金をもらった人間の資金受領者一覧表、こういうものをつくっておるという報道がなされているのですけれども、そういう資金受領責一覧表というものが存在しているのかどうか。これは証拠じゃありませんから、答弁できるだろうと思うのです。
○安原説明員 そういうものがあるということは現実に聞いておりませんけれども、多数の人間がそういうものを受け取っておれば、捜査当局としては整理の必要上リストをつくることもあり得るだろうと思います。
○三浦委員 法務大臣、法務大臣は八月の二十七日に参議院のロッキード問題調査特別委員会、ここで捜査の中間報告について国会から求められれば報告をすることになろうというふうに述べられているわけです。これは国政調査権には協力するという姿勢を法務大臣としてあらわされたものだというふうに思うのですけれども、この前の話ですから、現在もこの考え方には変更がないわけでしょうね。
○稻葉国務大臣 政府は、政府全体としても議長裁定上の義務を負うわけですから、当然責任の衝にある法務大臣も義務を負うという意味で、その点については変わりありませんな。
○三浦委員 法務大臣にもう一問いたしますけれども、そうしましたら、その中間報告のときに、全日空の献金リストであるとか、またいま存在しているであろうと思われる全日空の資金受領者一覧表ですね、これも国会の求めがあれば国会に提出する意思がおありですか。
○稻葉国務大臣 何でもかんでも国会の要求があれば協力するとは書いてないのです。議長裁定には。刑事訴訟法の立法の趣旨をも踏まえて最善の協力をする、こうなっているのですから、どういうものを要求されるかに従って、刑事訴訟法上差し支えない範囲内においては最善の協力をいたしますな。
○三浦委員 この前の私の質問で安原刑事局長は、三十万、五十万、百万円ですね、この事件では比較的少額と思われる資金を受領した政治家、これらの人々についても理論的には職務に関して収受すれば収賄罪が成立するのだ、こういうことを述べられたわけですね。しかし、その後の報道をずっと見ておりましても、捜査当局の方針として百万円以下は不問に付する、そういう方針でやっておるのだというようなことが言われているわけですね。これがもし事実であるとすれば大変問題のある捜査方針だと思うんですね。それで百万円以下とか五十万円以下とか三十万円以下とか、そういうような区切りをつけまして線を引いて、それ以下はもう捜査の対象にしないのだ、また捜査の対象にしてもそれ以下は不問に付するのだとか、そういうような方針というものが現実におありなのかどうか、お尋ねしたいのです。
○安原説明員 そういう方針などは、いまだかつて聞いたことがございません。
○三浦委員 そうすると、金銭を収受したと言われている人々がたくさんおるわけですけれども、その金銭を収受していながらまだ逮捕もされていないという人がたくさんおるわけですね。そういう人たちは、結局職務権限がなかったか、さもなければ、職務権限はあったけれども、請託の立証ができないので三年間の時効にひっかかってしまったというようなことで強制捜査の対象になっていない、こういうふうに考えていいのですか。どうでしょう。
○安原説明員 具体的な事件の捜査が進行中の事柄につきまして申し上げるわけにはまいりません。 なお、念のために申し上げておきますが、三浦委員はもう先刻御案内のとおり、捜査は任意捜査が原則でございます。したがいまして、犯罪の容疑があれば逮捕しなければならないという関係にはございません。
○三浦委員 法務大臣にお尋ねしますが、三十万とか五十万とか適当なところで線を引いて、そしてそれ以上はやるけれどもそれ以下はやらぬ、そういうような捜査方針がもし現実にあったとすれば、これはいまの国民感情に合わないと思うのですね。そういうような捜査方針をとらずに厳正中立、公平にやるというお考えを持っていらっしゃるのかどうか、お尋ねします。
○稻葉国務大臣 そういう御質問は、御質問自体がどうかしているのじゃないでしょうか。
○三浦委員 ちゃんと答えてくださいよ。ただ質問者を非難する、それで答弁終わりというのは、ちょっとそれも非常識な答弁ではないでしょうかね、どうでしょうか。
○稻葉国務大臣 ふんまんやる方ないから、申し上げました。
○三浦委員 しかし、私が申し上げているのも、何も全く根拠がなくて口から出まかせを言っているわけじゃないのですよ。そういう報道が現実になされているでしょう。各紙みんなそう流していますよ。そういう捜査方針がとられているとすれば大問題です。ですから、そういうことのないように捜査をするかどうか、そういう御決意をお伺いしたいと言っているわけですから、ちゃんと素直に答弁されたらいかがですか。
○稻葉国務大臣 そういう新聞記事を信用なさるか検察庁を信用なさるかはあなたの御自由でございますけれども、私は検察庁を信用しているということを御答弁申し上げたわけです。
○三浦委員 終わります。
○田中委員長 それでは鈴切康雄君。
○鈴切委員 中曾根氏の疑惑については、朝日新聞に「コーチャン回想」ということで、四十七年十月五日、コーチャン氏の目の前で児玉氏から中曾根氏に電話をし工作をしてもらった結果、陰謀を覆すため努力をしてくれたと言っていますし、また読売新聞の報道によれば、コーチャン証人の尋問で中曾根氏の実名を挙げて事件との関係を追及したことが、米司法当局から情報だということで明らかになっております。また死亡した福田太郎氏も、中曾根氏と児玉氏との間の問題として重大な証言をしているというふうに言っております。それでコーチャン証人はこの尋問で、中曾根氏が児玉を通じて全日空へのトライスター工作に関与したということになっておりまますが、ここで捜査当局としましては、こういうふうな報道については重大な関心を示している、こういう御発言があったわけでございますけれども、それでは一般論としてお聞きします。 有力紙に具体的な事実関係についてその経緯、意図等きわめて克明に報道された場合、捜査当局は当然重大な関心を持つと思われますが、この場合の重大な関心を持つとは、単に意識の問題でなく、何らかの捜査行動を伴うものと考えられるが、その点についてはどうなんでしょうか。
○安原説明員 一般論といたしまして、有力な情報があった場合にどのように対処するかは捜査当局の判断でございまして、ある場合におきましては内偵を進めるときもあり、ある場合においては他の情報の集まることを待つ場合もあるということで千差万別でございますが、あくまでも関心を持ったものについては誠実にその処理について考えるはずでございます。
○鈴切委員 捜査行動について、いわゆる具体的な手順についてはいまちょっとお話ありましたけれども、そのとき事情を聞くということはございませんか。
○安原説明員 全く任意の段階で、いわゆる容疑ではなくて参考人として事情を聞くというような方法をとることもあります。
○鈴切委員 これだけ中曾根氏に対する疑惑というものが高まっているわけでありまして、捜査当局も関心を示しているわけであります。それで児玉ルートの解明がなかなか思うように進まないから、中曾根氏に対してもやはり進んでいないのじゃないかというふうに言われているわけですが、その点はどうでしょうか。
○安原説明員 しばしば御説明申し上げておりますように、いわゆる児玉ルートにつきましては、何よりも本人の病気ということ、あるいは有力な側近の方であられた福田太郎氏の死亡と、捜査の進展を妨げる避くべからざる障害があるわけでございます。しかしながら、懸命の努力の一環といたしまして、秘書の太刀川氏を外為法違反で児玉との共謀の疑いのもとに取り調べ等全力を尽くしているわけでございますが、それ以上にいま御指摘のような具体的な捜査の内容については、いまこの段階で申し上げる立場にはございません。
○鈴切委員 安原刑事局長は、中曾根氏の話については直接捜査当局から聞いていないというような御答弁をされたことがあります。これは全日空ルートと丸紅ルートからはいわゆる中曾根氏の直接の疑惑は出てこなかったという意味なんでしょうか。児玉氏の解明の中にやはり中曾根氏の問題は重大な関心があるというふうにお考えになっておるのでしょうか。その点についてはどうでしょうか。
○安原説明員 鈴切委員の御指摘のルートをそう分けてじゃなくて、全般的にそういう報告は受けていないということでございます。
○鈴切委員 児玉についてすでに四十回ぐらい臨床尋問をしておられるというふうに聞いておりますけれども、いまだに具体的な問題が出てこないというのは、やはり捜査の進展が余り進んでいないのじゃないか、非常に難航しておる、このように思われるのですが、その点についてはどういうふうになっておりますか。 それとまた、臨床尋問について捜査当局といたしましては大体何回正式におやりになったか、その点についてお伺いします。
○安原説明員 児玉ルートの取り調べが順調に進んでいないことはたびたび申し上げているとおりでございます。 それから取り調べの回数は、いま御指摘のように四十回にわたったと聞いております。それから取り調べの時間は大体三十分から一時間ぐらい。新聞に六時間などとありますが、全くの誤報であります。
○鈴切委員 児玉の解明というのはいま急務でありますけれども、児玉の病状ですが、幾らか好転をしているというような話を聞いておるのですが、その点についてはいかがでしょうか。
○安原説明員 病名は御案内と思いますが、脳血栓後遺症だそうでございます。そして病勢が好転しているかといいますと、好転はしていない、しかし悪くもなっていないという、つまりその一つの状態が継続しておるというふうに私ども聞いております。
○鈴切委員 そうしますと、やはり進んでいないということから考えますと、本人に臨床尋問をしなければならない問題があるとするならば、これからもやはり捜査の過程から言うならば、臨床尋問をお続けになるつもりでございましょうか。
○安原説明員 今後の捜査のやり方については申し上げかねます。
○鈴切委員 ロッキード事件が問題になってからもう二百数十日になるわけでありますけれども、今月の下旬にロッキード事件解明のための捜査本部を、丸紅、全日空ルートの解明を機に捜査の重点を児玉解明に向かって専従班を設け、児玉事件の全容解明に当たるというふうに言われておりますけれども、その点についてはどうでしょうか。
○安原説明員 具体的な捜査体制については正式に報告は受けておりません。 なお、もう御案内のとおり、児玉ルートを除いて究明が一応終わったとなれば、当然重点がそちらに向くことは理の当然だと思います。
○鈴切委員 現在、クラッター、エリオット氏に対する尋問はどのような状況になっておりますか。それから見通しについてなんですが、今月の八日ごろに行われるのではないのだろうかというような報道がなされておりますが、免責等の関係であるいはおくれるというようなことも伝えられておりますが、その点についてはいかがでしょうか。
○安原説明員 九月八日に両名に対する証人尋問が開始されるということの報告は受けておりますが、問題は、米国法上の免責を与えるかどうかということが米国政府の判断にかかっておりまして、いまだに結論が出ていないようでございます。 問題はやはり、日本のこういう事件の捜査のためにそういう免責を与えることがアメリカ法にいうところの公の利益に、パブリックインタレストという言葉のようでございますが、合致するかどうかという判断に米国政府の苦心の存するところがあるように聞いておりますが、いまのところ、私どもそれについて悲観的な見通しは持っておりませんで、いい結果が得られることを期待しておる状態でございます。
○鈴切委員 三十日にロサンゼルスの連邦地裁は、もうすでにロッキードの前副会長のコーチャン氏の尋問を再開したというふうに言っておりますが、これはやはり、先日の朝日新聞のコーチャンの回想録が捜査当局がつかんでいる内容と違うために、もう一度必要になったというふうな判断のもとに行われたと理解してよろしいでしょうか。
○安原説明員 朝日新聞の記事が直接の契機とは聞いておりません。 なお、取り決めに基づきまして、先方から資料をいただく交換として、こちらの捜査状況について向こうに資料を提供するということをやっておりますので、そういうものを見た結果、従来の尋問だけでは不十分なところがあるという米国司法省当局の判断に基づいて、再尋問の要請がなされたものと聞いておる次第でございます。
○鈴切委員 そうしますと、今度再開されたことは、日本の検察側の嘱託によるというのでなくして、むしろそれ自体はアメリカの連邦地裁の判断によるのでしょうか。それとも、両者話し合いをした結果、それは必要であるということの合意に達したから、嘱託尋問再開ということになったのでしょうか。
○安原説明員 嘱託をいたしました以上は、米国の政府、現実には司法省の担当検事とそれからコミッショナーといいますか、担当の裁判官との判断でございますが、当然日本側から立ち会いを認められている堀田、東条両検事の意見も聞かれておると思いますけれども、最終的には米国司法省の担当検事が判断をしてチャントリー判事等にお願いをした、その結果入れられたということだろうと思います。
○鈴切委員 尋問項目については、七十項目ぐらいに及ぶというふうに言われておりますけれども、食い違いに対してただすことはもちろんであるにしても、検察側がその後の調査でさらに尋問をしてもらいたい部分も含めて行われていると判断してよろしゅうございますか。それとも、特に児玉ルートについてはその必要があるということで、それにつけ加えられているというふうに判断していいでしょうか。
○安原説明員 この尋問はいわば捜査、公判前の証拠収集手続としての尋問でございますので、どういう事項にわたるかということは申し上げるわけにはまいりませんが、いずれにいたしましても、一度終わったものについて不足分があるということで開始されたということから、御推量いただきたいと思います。
○鈴切委員 嘱託尋問による証拠が再尋問に頼らなければならないというふうになっていることは、それを今日まである程度よりどころにしてこられた検察側にしてみるならば、私は果たして公判維持ができるかという問題もあろうかと思いますが、その点については御確信は……。
○安原説明員 尋問の結果得られた証言の証拠価値と申しますか、捜査、公判の維持において占める位置といいますか、位置づけといいますか、価置、評価ということについては申し上げるわけにはまいりませんが、少なくとも、今日まで検察官が公訴提起をいたしました部分につきましては、それとはかかわりなく、それとはというのは補充尋問とはかかわりなく、公訴の維持ができるという確信のもとに、公訴の提起をした次第でございます。
○鈴切委員 法務大臣、法務大臣は新潟に行かれますと非常に話題を提供されます。この間も私ここでちょっとただしたことがありますけれども、今度のたしか二十九日の夜、郷里の新潟県でお話しになったわけでありますが、その中で、具体的な内容に入りますけれども、政治的配慮をしろとか、惻隠の情を持った方がよいという人が法務大臣になればふたをしてしまうなどとも言っておられるようでありますけれども、内閣改造も言われている今日、そういうことは、田中前首相に近い人が法務大臣になるのは適当でないという、そういうようなお考えでしょうか。
○稻葉国務大臣 演説の内容ですが、新聞を見て私も驚いているのですがね。このごろ反三木は灰色隠しだ、こんなことはおくびにも言っていませんがね。みんなそういうふうで、この全体のところの一つだけ取り上げたり、それからこっちのこととこっちのことと結びつけたり、そういうようにされるのは非常に困るんですよね。それを土台にして質問をされても答えようがないのですね。 私は、政局のいかんにかかわらず、検察当局というものは冷静で、真相究明に非常に熱心で、いやしくも政治的配慮などというものはなかるべきものだし、それから政治的介入も断じて受けつけるべきものでもないし、また私などが政治的介入をしたこともなしだ、そういうことを強調しているにすぎないのでありますね。 それから惻隠の情というのは、人間として惻隠の情は仁の端なりと言うから、これは人間の道徳としていいことですわな。しかし、本当の意味の大乗的惻隠の情というのは、やはり白は白、黒は黒、そして大ぜいの人はこうやって正しいのですということを示すのが本当の意味での惻隠の情じゃないんでしょうかな。
○鈴切委員 このところ政局はあわただしい動きにあるわけでありますけれども、三大福——三大福というと三木と大平と福田でありますけれども、三大福の話し合いの中に、それなりに党の刷新並びに内閣の人事の入れかえ云々という問題も出ているようでございますけれども、内閣の改造、大幅人事刷新ということになりますと、法務大臣のポストをかえられるということ、これはやはり捜査当局に与える影響が大きいと私は思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○稻葉国務大臣 大きくも小さくもありません。そんなことは関係ございません。
○鈴切委員 それじゃ、お聞きしましょう。法務大臣は、内閣改造があるにしても、できるならロッキード解明のためにも法務大臣のポストは真空地帯にしておいてもらいたいという個人的なお考えはありましょうか。
○稻葉国務大臣 真空はいけませんな。埋めなければいけません。
○鈴切委員 真空という意味は、要するに手をつけないという意味です。ですから、留任という意味の方がいいでしょう。そういう意味において、あなたも真相究明をやる、こうおっしゃっているわけなんですから、そういうことで簡単に、いや法務大臣はかわっちゃっていいのです。こういうわけにはいかないでしょうと申し上げるのですが、そういう点はいかがでしょうか。
○稻葉国務大臣 そういう質問にはお答えできません。
○鈴切委員 そういうことについてお答えできないということは、あなたはこのロッキード事件の真相究明に対しての情熱をお失いになったのですか。
○稻葉国務大臣 またそういうこともお答えできませんな。情熱はあります。情熱はあるけれども、政党内閣ですから、総理大臣の人事権ですから、そんなことについて、おれは留任したいのだとかやめたいのだとか、そんなことをおれに言えったって、無理じゃないですか。
○鈴切委員 真相究明の情熱があるならば、あなたが法務大臣のポストをおやめになるということは、もうあなたの情熱はそこに反映をするということはできないじゃないですか。
○稻葉国務大臣 真相究明をやるのは検察庁でございまして、法務大臣がやるのじゃございません。私はいまの職域のうちで、ほかの役所には悪いけれども、検察庁ほどしっかりきちんとやっている役所はないというふうに思っております。日本一だと私は思っているのですから、私がやめようが何しようが、何も真相究明に差しつかえがあるなんということは言えませんな。
○鈴切委員 講演の中で、一山の丸紅、二山の全日空ルートを越えて、あとは児玉ルート、そして小佐野ルートであるとあなたは言われて、さらに、きちんと刎頸の友を縛ったから安心ですと国民に言えるようにしなければならないとあなたは当時の講演の中で言っております。ですから、やはり言っている内容について、言葉については責任を持たなければならぬと思いますから、それについて、ただ演説だから何でも構わぬといったって、やはり法務大臣であれば、あなたが個人的な動きをしようとも必ず法務大臣という肩書きがつくわけですからね。こういうことを言っておるわけでありますけれども、こういう発言から見ますと、やはり小佐野氏の強制捜査は必至と見られておりますけれども、そうとってよろしいでしょうか。そうでないとすると、どういう根拠でこのような発言をされたのでしょうか。
○稻葉国務大臣 だから、それはさっき言ったように、別なことと結びつけられてそういうふうになっているのですよ。どんな人であろうと、それから社会的身分がどんなであったにせよ、そんなことでぐらぐらするような検察庁ではないということの強調の意味で、中曾根はどうしたなんと言うから、刎頸の友であろうと何であろうと犯罪の容疑があれば捜査をする。私に犯罪の容疑があれば、私に逮捕を請求するでしょう。そのときに、おれは困る、そんなことは言いませんよ、こう言っている。
○鈴切委員 全日空、丸紅ルート、それで児玉ルートということは私どもよく聞いておるわけでありますけれども、法務大臣は児玉ルート、小佐野ルートということをちょっと言われたわけですね。そう言いますと、やはり児玉ルートの中に小佐野が組み込まれているのか、それとも別に小佐野ルートというものがあるのか。あなたが言われた発言の中に、ちょっと気になるところがあるわけですが、その点はどうなんでしょうか。
○稻葉国務大臣 公開されたコーチャン証言だとかそういう関係を見ますと、茶飲み友達だと、こう言うのですから、茶飲み友達だということは深い仲だというんですね。茶飲み友達というのは相当深い仲のことを言うのだそうでございます。私は、茶飲み友達というのはそんな親友ではないと思ったら、親友以上の関係なんだ、こういうふうに解釈する人もありまして、なるほどそう言えばそうなのか、そうすると児玉・Xルートというのはそういうことになるのじゃないかな、こういうことなんです。
○鈴切委員 非常に親友以上の親友ということなんですが、そうすると、児玉ルートの中にやはり小佐野ルートは組み込まれているんだということでいいんでしょうかね。それとも、すでに紹介はされたものの、別にロッキード社から小佐野ルートの方に入り込んでいっている問題もあるというふうにとる、その点はどうでしょう。
○稻葉国務大臣 私は捜査当局から何も具体的に報告を受けてそれを演説しているんじゃないんですね。私のは、ただ児玉ルートというのは非常に広範囲にわたるという意味で私の感じを申し上げたのであって、まだ児玉ルートはこれからですからね。いまちょっと感じを早く言い過ぎたかなという気もしないではないわけです。そういうふうに御理解を願いたいと思います。どうか御理解を願いたいと思いますね、これは。
○鈴切委員 捜査当局、安原刑事局長ですか、ちょっとお聞きしますけれども、小佐野の国会における証言の中に幾つかの食い違いがある、こうおっしゃいましたね。そうしますと、児玉ルートについて解明をするためには、小佐野氏に対して議院証言法に基づく偽証罪として国会の動きに御期待をされておりましょうか。
○安原説明員 児玉ルートの解明のためにどういうことが必要であるかというようなことは、捜査の方針、内容にかかわりますので、申し上げるわけにはまいりません。
○鈴切委員 灰色高官の公表の問題についてお聞きしますけれども、あなたが言われた講演の中に、おかしいのは十人か二十人、もっといるかもしれない、まあそんなものだろうというような発言をしておられますが、どのような根拠でそのようにおっしゃったんでしょうか。
○稻葉国務大臣 それは根拠ゼロですね。まあ自民党も大ぜいいる、国会はもっとたくさんいますな。自民党について言っても、たくさんいる中の一握りなんでしょうという意味で申し上げているので、ちょっと言葉が不適当であるというふうに私、思います。ごく少数の人間のためにみんな灰色にされて選挙をやるんじゃ、たまらぬなという意味です。
○鈴切委員 法務大臣、余り不適当な演説は今後やはり慎まれたらいいんじゃないだろうか。そりゃ、言論の自由という問題もありますけれども、こうやって物議を醸しながら、国会であなたにお聞きしますと、全部それに対して、それは不適当であったとかいうことになりますが、やはり慎重ということは、法務大臣であるならば、一番時の人でもありますので、その点についてはそうされた方がいいんじゃないかと私、思いますが、いかかでしょうか。
○稻葉国務大臣 御説まことにごもっともでございます。
○鈴切委員 さきに法務大臣は、捜査の中間段階において灰色高官の公表はあり得るということを発言されておりますが、それに間違いございませんか。
○稻葉国務大臣 これまでも再三申し上げているんですが、いわゆる灰色高官とは何を指すのか、必ずしも明らかじゃありませんね。刑事責任を追及されないが、政治的道義的責任がある場合と一口に言いましても、種々の態様が考えられます。ですから、まずいわゆる灰色高官の定義を明らかにする必要があると考えます。この点については、国会が主役でございますから、国会において意思を明確にされることを望んでおります。 次に、このようにしていわゆる灰色高官の定義が明確にされた場合においても、捜査結果に基づきこれを公表することの可否は、刑事訴訟法四十七条の規定を含む刑事訴訟法全体の精神をも踏まえて慎重に検討すべき事柄であり、この場合忘れてならないことは、捜査、裁判に支障を及ぼすおそれがないかどうかということと、個人の名誉を不当に棄損しないかどうかということに留意する必要があります。 いずれにせよ、ロッキード事件の捜査はまだ鋭意続行中であり、現在の段階において具体的な場合を想定して公表の基準、方法などを論ずること自体、なお今後行われる捜査において関係人の協力を得られなくなる等、捜査活動に悪影響を及ぼすことが懸念されますので、公表問題について具体的な場合を分けて論ずることは、今日この段階ではいまだ時期尚早であり、適当でないと考える次第でございます。
○鈴切委員 法務大臣の御答弁は、政治的道義的という言葉から大分後退をしたような話になっておりますけれども、わが党は、さきに灰色高官の定義または公表の方法についての見解を明らかにしております。最終的には、国会の議院証言法に基づく請求によって、刑事訴訟法第四十七条ただし書きの活用による訴訟に関する書類を公表して、一切残らず国会が国民の前に明らかにすべきであると私どもは考えております。ところが、児玉ルートの解明がおくれ、この解明を待って灰色高官名を明らかにするのでは、総選挙を前にして国民の正しい民意を反映することはできないわけであります。 そこで、場合によっては、捜査終了を待たずとも灰色高官の公表をしなければならないと考えますけれども、稻葉法務大臣はどのようにお考えでしょうか。
○稻葉国務大臣 非常に専門的技術的なことになりますから、正確に間違えないように刑事局長に答弁させますが、お許し願いたいと思います。
○安原説明員 捜査の結果を公にするという場合におきましては、刑事訴訟法の四十七条で、公益上その他の必要があるという公益性の比較との問題で一部解除することができるという規定になっておりますが、刑事訴訟法が原則として公開を禁ずる趣旨が、捜査なり裁判に影響があるかどうかということが一つの問題でございまして、裁判に影響するとか捜査に影響するという場合には、たとえ公益上の必要があっても、比較考量の問題として拒否することもできるということであるはずでございます。 そういう観点からいたしますると、そういう判断の最もしやすいのは、捜査全体を終わったとき判断することが一番その支障の有無を判断しやすいし、具体的で、かつ明確にできるわけでございますので、捜査が終わった段階でそのような国政調査上の御要求があり、それに対処することが、捜査当局としては最も望ましいのではないかというふうに一般的には考えられるわけでございますが、いずれにいたしましても、国政調査上そういうものについての資料の提供の協力を求める時期をいつにするかはあくまでも国会、立法府御当局の御判断でございますので、これ以上申し上げるのは適当ではないと思いまするけれども、ただ、捜査の途中でそういう御要求があった場合におきましては、その後における捜査に対する支障の有無とか公判に対する影響の有無というようなことについてより支障の多い場合があり得るのではないかというふうに思っております。 ただ、どういう範囲で資料の提供を求められるかは、先ほど大臣が申されましたように、立法府御当局の御判断でございますので、いま直ちに具体的なことを申し上げるわけにはいかないのじゃないかというふうに思っております。
○鈴切委員 確かに灰色高官問題に対する定義とか、そういうものは国会がやはり決めなくちゃならない問題であるにしても、灰色高官の公表なくして国会を解散すれば、これはもうロッキード隠しだというふうに国民からとられることは当然だというふうに思います。ですから、そういうことから考えますと、解散の前にやはり灰色高官名というものはある程度明らかになるというふうに判断をしてよろしゅうございましょうか、法務大臣。
○稻葉国務大臣 一般論として、黒白、灰色というのも、そちらの定義が決まってから、それに含めて全貌が明らかになった方がやはり国民の判断を受けやすいですね。国民も困るでしょうな、選挙をする投票する方も、それは正しい判断の基準がないというんじゃ困るんでしょう。私はそういうふうに思いますな、一般論として。
○鈴切委員 以上で質疑を終わります。
○田中委員長 河村勝君。
○河村委員 いま法務大臣は、捜査の途中、それからいまの段階において灰色高官の公表の基準その他を論ずることは時期尚早という、そういう紙に書いたものをお読み上げになりましたね。しかし、それは大分古いものでしょう。大分古いものをお読みになったはずであって、現実にいま児玉ルートの究明は、これは検察庁で精一ぱい努力をしておられるかもしれないけれども、しかし、かなり延びる。それで、すぐには逮捕者等が出る状態にはない、国会議員にですね。したがって、全日空ルート、丸紅ルートについては一応強制捜査は終わったということは確認をされておられる。そうであれば——強制捜査を終わったということは確認しておられるはずです。いままでの質疑応答の中で。丸紅ルートについては、はっきり終わったと言いました。それから全日空ルートについては、ほぼ終了ですか、という言い方をされておる。一方、政治日程はだんだんと詰まってきている。捜査当局はもちろん政治日程にとらわれずに捜査をやるべきものではあるけれども、しかし、この段階になれば、それはある程度の考慮が払われるべきは当然だと思います。であれば、いまこの段階に来て、児玉ルートは除いて、丸紅ルート、全日空ルート、この部分についての灰色高官の公表ということは、これはむしろ当然やるべき時期に来ている、われわれはそう考えていますが、あなたはそうお考えになっておりませんか。
○稻葉国務大臣 いわゆる灰色高官の公表問題は、主役は国会であることは私は前から申し上げているとおりですね。主役がそう言っておられるのに、こっちが協力しないなんということはできないわけです。その段階に応じて、段階に応じてですよ。したがって、そちらでお決めになって、この範囲はどうだ、こういうことになれば、刑事訴訟法の立法の趣旨をも踏まえて、それに外れない限りにおいては最善の協力をすることは当然じゃないでしょうか。
○河村委員 そこで、先般のこの委員会でお尋ねをして、途中で委員長の発言でさえぎられてしまって十分真意をお伺いすることができなかった点をお尋ねをいたしますが、法務大臣は当初私の質問に対して、灰色高官の定義をつくるに当たっては、それは国会が主体であるけれども、法務当局としても、この委員会あるいは理事会に法務当局としての意見を述べる、そういう協力はするという返事をされて、その後それはもう一切お断りだ、もうやらないんだというふうに答弁を変更されましたね。その変更した真意はどういうわけですか。
○稻葉国務大臣 国会の国政調査権に基づくいわゆる灰色高官の公表問題の主役はそちらでございますから、そちらで定義なんかを決めてください。それから範囲とか方法とかこういうことになりますと、こちらにも文句——文句と言ってはあれだけれども、意見がございます。それは議長裁定に基づく刑事訴訟法の立法の趣旨も踏まえて、法務省は法規を解釈する当面の責任者でございますから、そういう意味で、いろいろなことをおっしゃってきたときに、わき役として、それはその範囲では広過ぎますとか言うことがあるかもしれない。そういう意味では協力になるんじゃないでしょうか、こう申し上げているのです。ですから、全く変更したんではないんですな。前の言っていることを全く変更したんではないけれども、多少その点について慎重な考慮を要するな、こういうふうにいま思っています。
○河村委員 いや、全く変更されたんですけれども、その後また、少しそれではぐあいが悪いと思って、多少妥協された節がございますが、灰色高官の定義と範囲とどう違うのですか。定義については国会でお決めになることだが、範囲については文句を言うときもある。しかし、範囲というのは定義の中に含まれるでしょう、そうじゃないんですか。
○安原説明員 法務大臣のおっしゃいましたのは、こういうことだろうと思います。政治的道義的責任が国会議員についてあるかどうかということを決める、そのいわゆる刑法で言えば構成要件をお決めになるのは立法府御当局ではないかということ、定義は立法府の責任においてやっていただきたい、行政府がくちばしを入れる筋のものではないということ、特に検察当局が判断する事柄ではないということを申されまして、続いて、それが決まった場合に、刑事訴訟法の精神を踏んまえて協力できる範囲というものは、国会御当局が政治的道義的責任ありと言われて、判断される資料としてそれに見合うものを出せと言われた場合に、その協力できる範囲というものは、国会御当局の提供せよとされた範囲と一致する場合もあり、一致しない場合もあるのじゃないか、それは刑事訴訟法四十七条から来るのだということを申されておるんだろうと思います。
○河村委員 しかし、それはよくわからないのであって、仮に定義として直接、間接にロッキード会社から金を収受した、しかし職務権限がないために不起訴になったものという定義が決まった場合ですね。そうすると、じゃあ、こういうものを公表せよという国会の要求があった、その場合に検察庁が判断の余地があるということはどういうことですか。そうすると、職務権限がなくて不起訴になった者でも、金高が五十万円なら灰色だが二十万円ならそいつは発表すべきでないというような、そういうけじめを検察当局としては判断をして、場合によっては拒否をする余地があると、こういうことになるのですか。
○安原説明員 具体的な例を挙げて申されましたのですが……
○河村委員 いま抽象論ですよ。
○安原説明員 いや、それは別にいたしましても、政治的道義的責任の構成要件について具体的に申されましたので、それはいま捜査中の段階で、まだその点に踏み込んで申し上げるわけにはまいりませんが、政治的道義的責任の定義規定は決まりましても、その名前を出せというだけなら応じられる場合もある。しかしながら、どういう資料でそういうものを判断したのかとおっしゃいました場合に、公判係属中の立証する事項と絡み合う証拠関係の場合に、検察当局ではそういう該当者としてこう判断するけれども、具体的な根拠を出せと言われると、その資料そのものを出すことはできませんという場合もあるというような意味でございます。
○河村委員 そうすると、定義が確定をした場合には、それに該当する人物の名前を公表することは、これは当然であるが、しかしその人物に伴う事実関係の中では公表できない部分もあるかもしれない、こういうことですか。
○安原説明員 その氏名を公表すること自体も、いわば刑事訴訟法に言う公判前における訴訟書類の内容の一部をなすわけでございますので、氏名を申し上げること自体も刑事訴訟法の精神にかんがみて判断しなければならないわけでございまして、その意味において氏名を言うことは何ら捜査、裁判には影響はない、しかしその認定の資料を出すことに差し支えがあるという場合もありましょうし、もう一つは、定義規定をお決めになりました場合に、そのようなことまで公にすることは人権とかそういう意味において支障があるんじゃないかという検察当局の判断もあり得る。そういう意味において、定義規定の範囲自体に刑事訴訟法からかんがみて異論のない場合であっても、資料の提供について捜査、裁判に影響があるということで一応拒否するということもあるのではないか。同時に、今度は定義規定そのものにつきましても、その範囲が余りに広過ぎて、いわゆる人権とかそういうことに影響し過ぎるんじゃないかというような定義規定の場合には、刑事訴訟法のたてまえから、そのような人の氏名を申し上げるわけにはいかないということもあり得るのではないか。これからお決めになることでございますので、きわめて抽象論でございますが、申し上げた次第でございます。
○河村委員 いまの刑事局長の答弁と先ほどの稻葉さんの答弁とは違うんですね。先ほど稻葉さんは、定義については国会でお決めになることです、範囲や方法等についてはそれは困るといって断る場合もあり得る、そう言ったわけですね。ところが、いまの刑事局長は、定義そのものについても、国会が決めても検察庁において異議を言う場合があり得る、そういった返事ですね。そういうことなんですか。
○稻葉国務大臣 いわゆる灰色高官、灰色高官と言いますけれども、その政治的道義的責任は残る。刑事責任は追及できなかったけれども、政治的道義的責任が残ると判断されるのは、主役たる国会なんです。その国会の国政調査権の発動に基づく定義は定義として、お決めになるべきものでしょう。そうしてその定義に基づいて、どの程度協力する範囲があるか、協力する方法はどういうものかということについては、こちらにも意見がある場合があるでしょう、こういうことでございますね。私はそう思いますな。
○河村委員 検察庁に拒否権があるという根拠ですね。それは刑事訴訟法四十七条ただし書きを適用する。この場合は公益上相当であるかないかというところが決め手になる、そこまではよろしいですね。そうですね。
○稻葉国務大臣 そのとおりですね。
○河村委員 この場合、公益というのは、法務大臣、どういうものが公益だとお考えになりますか。
○稻葉国務大臣 それはその具体的な場合によらぬと、こっちが公益が多くて、こっちの利益は犠牲にしても構わぬという判断は、それは具体的な場合に遭遇しないと、抽象的には申し上げられませんのですよ。
○河村委員 具体的な問題に即応しなければ判断できないという、そこに非常に大きな問題があるのです。抽象論で議論している場合には、国政調査権は絶対で、それで議院証言法一条を適用して云々ということも可能でありますが、しかし、現実に捜査の資料を持っているのは検察当局ですね。ですから、極端なことを言えば、こういう定義に該当するものを出せと言っても、そういうものは、出しませんではなくて、ありませんと言われても、検察当局を検察する機関があるわけではないですからね。ですから、これはなかなか現実問題としては困難です。だから、考え方の食い違いがありますと、いざという段階でもって目的を達成しない場合がある。だから私は、前回の委員長の発言で、私の質問をいいかげんにその辺でやめておけというような趣旨の発言があったけれども、私はやはりここのところの考え方をはっきりさせないといけないと思います。それで聞いているわけなんです。
○稻葉国務大臣 大変重要なことをお聞きになっておるわけですね。私も重要だと思っているのです。 それで先生、何か万事資料の提出を拒否して話にならないような結果を予想されて大変御心配のようですが、どうでしょう、そう御心配になることはないと私は思いますね。協力するというのが義務なんですから、そして両々相まって全貌の解明をしようというのですから、お互いに仲間なんですから、敵じゃないのだから。ですから、良識の線に沿ってうまくいくようにみんなお互いに努力しなければいかぬ、私はこういう考えでございます。
○河村委員 余り用心深く答弁をされるからこっちが心配するので、一応いまの段階ではあなたの答弁を信頼をしてやっていきたいと思います。 そこで問題は、時期的なことなんです。先ほど全日空ルートについては遠からず捜査が終わるであろうという答弁がございましたが、児玉ルートを除いて解明をしなければならないものは三つですね。一つは田中氏に渡った五億円の行き先。それからその次が三十ユニット、これは大体解明できているわけですね。それであとが九十ユニットの行き先。この三つが丸紅並びに全日空ルートのロッキードから渡った金のすべてですね。それはそう理解してよろしゅうございますね。——それと、あと直接に全日空に渡った一億六千万円、その四つですね。それはそれで理解してよろしいですね。
○安原説明員 御指摘のとおりでございます。 なお、私はそういうつもりで申し上げたわけではありませんが、国会のお決めになる政治的道義的責任の構成要件について検察当局は異議を申し立てるなどというつもりは全然ございません。ただ、それについて協力を求められた場合に、刑事訴訟法から見て、協力が全面的にできるかどうかということの保証はいたしかねるということを申し上げたわけであります。
○河村委員 そうしますと、これは政治日程に絡むので法務大臣にお答え願いたいのですが、われわれも今後の政治日程を非常に心配しているのです。全日空ルートを解明しなければならぬということと、同時に緊急な経済関係の法案を上げなければならない時期が迫ってきておる。いずれにしても臨時国会は早晩開かなければならぬ。いま自民党の中のごたごたのためにそれがなおざりになっているのは非常に遺憾だと私は思っておる。しかし、臨時国会を開いたらまずこのロッキード事件の解明、と言っても児玉ルートの方はかなり長期を要するでしょうからそれは一応おいて、この全日空ルートとそれから丸紅ルートのいわゆる灰色高官名の公表並びにそれに伴う事実関係を明らかにして道義的責任を解明するという役割りが残っておって、これは臨時国会を開いたらすぐやらなければならないのですね。それで、審議拒否をするとかなんとかいうようなことではなくて、たとえばこれをまずやらないことには現実問題として実質的に経済問題に入るわけにいかないのですね。そういう事情に全体の政治情勢がある。それから国民の判断もそうであると私は思う。であれば、臨時国会が十日に開かれるのか、七日に開かれるのかわかりませんが、その時期にこの灰色高官名を公表するための基準、範囲は、これはお互いの協力によってできるでしょう。しかし、それを実行するための、即応する態勢ですね、その捜査の資料、事実関係を明らかにするための資料、こういうものができていなければならない。一体それが現実にいまあるであろうかということを非常に心配をしております。その点、先ほどは抽象的に、早晩あるいは近いうちに全日空ルートも終結するであろうというお話であったが、大体そういう政治日程に合わせて解明ができる態勢にあるかどうか、その判断をお尋ねをいたしたい。
○稻葉国務大臣 ちょっと後の方は正確を期する意味において刑事局長ですが、国会の状態をそういうふうに決めつけられるのは困るのですよ。ロッキード問題をまずやる、それがある程度、児玉ルートは別として、いわゆる灰色高官の公表問題とか、そういうものをこのロッキード委員会でやっている間はほかの委員会はストップでは困るのですよ。そういう意味では私はあなたと見解が違う。この委員会はまずこれでしょう、これはやらなければいかぬでしょうが、やはり逓信委員会だとか運輸委員会だとか大蔵委員会がその間ストップなんということは、それは困るのです。臨時国会の意味をなさない。そういう意味ではちょっと見解が違いますけれども、その後の方については、あらゆる最善の御協力を申し上げるという抽象的な答えをして、資料については刑事局長から答弁させます。
○安原説明員 河村委員のおっしゃる資料とはどういうことかよくわかりませんが、特にこの国政調査に御協力するための資料などというものをいまからつくっておるわけでもなく、また、そういうものは捜査の結果できる資料でございまするから、捜査が終わっておれば常にできておるわけでございますので、提供をすることにそんなに、決断すれば、出すこと自体はそんなに時間がかかることでも何でもございません。 ただ、いつそういうことを審議するのが適当かどうかというようなことは、全く立法府の御判断でございまして、検察当局はそういうこととは一切かかわりなく迅速適確な捜査を進めるだけでございます。 なお、全日空ルート、丸紅ルートの究明はいつ終わるかとおっしゃいましても、ちょっと私、実は申し上げるわけにはまいりませんけれども、推測としてそう遠くはない。ということは、九月に入ってそう遠からずというふうに私は思っております。
○河村委員 いまの最後のところは、九月早々にということですか、遠からずということは。
○安原説明員 これも私の感触でございまするから、そう言葉を一字一句正確に申し上げること自体が私の資格、能力を超えるわけでございますが、九月に入ってそう遠からずと、こういうことで御理解をいただきます。
○河村委員 結構です。
○田中委員長 法務大臣、刑事局長に、大事なことだから、委員会はこれで終わるのですけれども、ちょっと一口確かめておきたい。 灰色高官の定義は、これは議長裁定にうとうてあることであるからあたりまえのことで、国会が決める。決めて、このとおりの定義に該当する人物を出せということを国会が法務当局を通じて捜査当局に要求をしたときには、ややこしいことを言わないで、また言うてもおらぬのですが、刑事訴訟法の立法趣旨にのっとって極力忠実に協力をして提出をいたします。こういうことでいいのでしょう。
○稻葉国務大臣 全くそのとおりでございます。
○田中委員長 刑事局長、どうですか。そのとおりですね。—— それでは、散会をいたします。 午後零時四十一分散会