予算委員会 第5号
- 発言数
- 544 件
- 登壇者
- 35 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/11/04
会議録
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 補正予算三案審査のため、本日、日本銀行総裁森永貞一郎君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 昭和五十年度一般会計補正予算 昭和五十年度特別会計補正予算 昭和五十年度政府関係機関補正予算 以上三案を一括して議題といたします。 これより質疑を行います。三木忠雄君。
○三木忠雄君 私は、公明党を代表して、総理を初め各閣僚に、外交、防衛、財政、金融並びに政治姿勢等について質問をいたします。どうか答弁はわかりやすく明快にひとつお願いしたいと思います。 まず、最初に総理に伺いますが、昨日の新聞等にも報道されておりますが、この首脳会議には総理はことのほか意欲を燃やしているような姿であります。しかし、この首脳会議が、当初予定しておったフランス大統領の提案のように、通貨問題が主力であった。それが、各国のいろんな思惑が入り乱れて、いろいろ焦点が拡大されてきたようなきらいがある首脳会議ではないかと思うんです。こういう問題について、わずか三日間の日程でこの首脳会議を開く。果たしてどのような意義を持ってこの首脳会議に総理は臨もうとしておるのか、まず、その点について伺いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 戦後、日本の国際的地位というものは、重要な国際会議に日本は外すことのできない国になったということであります。だから、今回の首脳会議も、日本は最初からぜひ出席してもらいたいという要請を受けておった。したがって、日本とすれば、それだけのやはり国際的責任を果たさなければならぬということであります。また、世界に対しても貢献をしなければならぬ、こういう日本は今日国際的にも責任を負うておるわけであります。しかも、今度の会議で議題に取り上げられる景気の回復、あるいは通貨、貿易、エネルギー、東西関係、南北問題、こういう問題のどの一つをとらえても、これは国際的協力を得なければ解決のできない問題ばかりである。しかも、その問題は、いずれも日本にとっても皆緊急な問題ばかりであります。したがって、国会中という、日本としては非常に都合としてはよくないのですけれども、よその国の首脳も日本の事情というものはいろいろ考えてくれたようでありますが、しかし、ほかの首脳部の全部の都合がいまの時期が一番いいということに一致して、国会の御承認を得て出席をしなければならぬということになったわけであります。 それはここで論じられる問題、たとえばこの国会の一番焦点である景気の回復にしましても、日本だけでこの景気の回復というものはこれは解決できないですから、日本のような貿易に依存度の高い国では、やはり世界の景気が回復して貿易が拡大されるということが景気そのものの問題の本質に触れておるわけですから、そういう意味において、この国会の中心題目である不況克服という問題にも重大な関連をこの会議は持っておる。だから、意欲を燃やしておるという三木君のお話でありましたが、これは三木内閣の問題として私はとらえてないんですよ。この会議に臨む日本の態度というものは今後日本の国際的評価に影響をする、そういうふうに考えておりますから、したがって、各方面の意見も聴取し、また政府においても十分な検討を加えて、日本のためにこの国際的責任を果たしていきたいと考えております。まあ問題としていろいろ日本が特に重視したいという問題点はたくさんございますが、これはまだ検討中であって、この席上で申し上げる段階には達してないということでございます。
○三木忠雄君 国際的評価につながる会議だと総理は認識をしている。しかし、この間の国連総会における木村代表の演説が非常に不評を買った問題があるわけです。こういう問題を考えますと、やはり国内での事前調整あるいはまた政策形成が本当に行われているかどうかということが私は非常に大きな問題ではないかと思うんです。そういう点で、この会議に臨む——まあ事務当局はいろいろやっていると思います。しかし、総理は何をもってこの国際会議で提唱しようとしているのか、その基本的な態度についてお伺いしたい。
○国務大臣(三木武夫君) 具体的な提案というものはまだいろいろ検討を加えておるわけでございますが、私が重視するのは、一つにはやはりデモクラシーの擁護発展という問題がある。これだけの自由世界における責任を背負う最高の責任者が寄って、デモクラシーの危機が叫ばれておるときに、やっぱりこれにこたえるものがなくてはならぬ。また、世界的なこの景気回復というものに対して国際的な協力がなければならぬ。もう一つはエネルギーの問題、これは各国に比べて日本は深刻である。このエネルギーの問題というものはどのように相当長期展望に立って解決していくかという、国際協力というものが考えられなければならぬ。また、南北問題と言われておる先進工業国諸国と発展途上国の格差は拡大するばかりである。これをこのままにしておいて世界の平和安定というものはなかなか達成することは困難である。だから、世界的な景気回復のためにも、また国際関係の安定のためにも、南北問題というものに対する、この問題解決のために国際協力というものが考えられなければならぬ。こういう点が、この会議の中で私たち日本の立場から考えたら非常に重要な点であるというふうに私は問題をとらえておるものでございます。
○三木忠雄君 もう一歩具体的に、アメリカと協力し合って経済貿易宣言を提案するとか、あるいはまた総理の独自の構想か、日本で主体的にこの南北問題を中心とした問題、あるいはエネルギー問題で具体的な提案をしていこうという総理の腹があるようですけれども、その点については。
○国務大臣(三木武夫君) できるだけ日本の立場に立って日本の具体的な提案をしてまいりたいと思いますが、いま御承知のように、各方面の意見も聴取し、政府部内でも検討して、野党の党首まで、まあそれが御都合がよければお話を聞きたいんだということを私は希望しておることは三木君御承知のとおりでございます。広く国民の意見を徴して、そういう上に立って、これは三木内閣の問題でないですから、日本の国際的評価に影響するんだと私はとらえておるんですから、そういうことで十分な検討を加えて、でき得べくんば日本の具体的提案を行いたいと考えておる次第でございます。
○三木忠雄君 だから、その具体的な内容を、たとえば発展途上国の輸出所得安定基金をつくるというようなことが一部言われているわけです。こういう問題になってきますと、やはり財政事情の問題が非常に大きな問題になってくると思うんですね。こういう財政逼迫している中においてこういうものが、総理の総論的な提案だけで果たしてこれが日本の国民に受け入れられるかどうか、あるいはこの首脳会議で、ただふろしきを広げるだけの会議に終わるんじゃないか、こういう懸念があるんですけれども、この点については。
○国務大臣(三木武夫君) 一遍に、三日間では……。こういう短期間であって、この会議で何か具体的な協定のようなものができる会議ではない。しかし、少なくとも今日の自由世界において責任を背負わなければならぬ国々ですから、その国々が寄って、こういう問題が世界にある、こういう問題に対してどう取り組むかということを自由に話して、継続的に協力し合うという合意に達して、いろいろまた専門の機関に移して研究さそうという場合もあろうし、そういうことは大変に私は歴史的な意義のあることだと考えておる。 日本の提案については、いま三木君から所得補償方式のようなものが新聞に出ておると言いますが、まだいろいろ憶測の段階であって、日本がこういう提案をするんだということが固まったところまでは今日いってないわけでございまして、ここではこういうことをするんだということを申し上げれば一番いいんですけれども、まだそこまでにいってないというのが正直な今日の状態でございます。
○三木忠雄君 そうしますと、この首脳会議は六カ国の首脳が集まって、今後継続的にこういう当面する課題を話し合おうという、まあ三木内閣の対話と協調という、こういう姿勢に乗った首脳会議と、こう理解してよろしいですか。総理は具体的には日本としては提案するところまではいかない、こういうふうに解釈してよろしいですか。
○国務大臣(三木武夫君) それはもう対話と協調という私の政治姿勢は世界的な政治姿勢である、それはやはりこの首脳会議においてもそういうことがあらわれておるわけでございますから、そういうことで、これは基調を流れるものは対話と協調の精神である、この六カ国の首脳会議は。ただ、具体的な提案は行わぬのだというのではないんですよ。具体的な提案を行おうとしていま検討を加えておると申し上げておるんですから、行わぬということではない。しかし、あるいは合意に達したような問題で方向が打ち出されるものもありましょうけれども、やはり一遍にいま私が挙げたような問題を皆解決するということは無理ですけれども、しかし、いままでないんですからね、戦後初めてである。六大国の最高責任者が寄って、それでこの問題というものを皆が協力して取り組んで解決しようじゃないかということは、そんなにお祭りの会議のように評価することは誤りである。やっぱり日本の場合は、もう非常に国際依存度の高い国ですからね、通常国家として。これ、どうしたってもう国際協力というものを外して日本の将来はありませんよ。したがって、日本も責任を果たすばかりでなしに、やはり世界に貢献するということでなけりゃならぬ。 そのためには具体的な提案が要る。まあ財政事情の苦しいときでありますから、あんまりむやみな、日本の財政の負担にたえぬようなことは、それはもう約束はできませんが、どこの国だって財政事情というものは皆苦しい中ですからね。その苦しい中においても低開発国の諸国——自分たち先進国だけがうまくやったらいいんだということでは世界は成り立たないですから。その苦しい中にあってもできるだけ、今日十億ぐらいの人が明日の生活におびえておるんですから、これに心が痛まないというのでは一つのこれからの世界全体の平和と安定というものは望み得ない。これはやはり日本も、苦しい中に日本のでき得る限りの協力はするという態度でなければ、日本だけがうまくやっている、よその国のことは日本も苦しいからあんまり考え及びませんということではこれからはいけないんだということについては、国民の皆さんの理解を得なければならぬと私は思います。
○三木忠雄君 国際的な対話と協調じゃなしに、日本の国での対話と協調がうまくいかないから、海外でそれをごまかそうとしても無理だと私は思う。 まあこの問題はさておきまして、あと外交、防衛、特に防衛問題に移りたいと思いますが、特にきょうの新聞等でも報道されたとおり、シュレジンジャーの解任がいま話題になっておるわけでありますが、この問題に関連して総理並びに防衛庁長官、日本の防衛政策との問題においてどう理解をされますか、この点について伺いたい。
○国務大臣(坂田道太君) 私は、大臣就任以来、防衛を考える会というものをつくりまして、広く国民の方々の御意見を参考にして日本の防衛について私なりに考えてまいりましたが、その結果、日本の防衛には三つの柱があるというふうに考えております。その前提といたしまして、私は国民の理解と支持と協力という……
○三木忠雄君 その問題と違う。シュレジンジャーの解任の問題について。
○国務大臣(坂田道太君) シュレジンジャーの解任の問題につきましては、昨日連絡を受けたわけでございます。しかしながら、その背景がどういう理由かというようなことについては、まだ公電が入っておりません。この九時半にフォード大統領が会見をしておるということで、いずれはっきりすると思います。 私はシュレジンジャー国防長官と八月の二十九日にお会いをいたしまして、年一回責任者同士が話し合いをするということ、そしてまた、日米安保協議委員会の枠内におきまして新しい機関を設けて日米防衛協力について話し合う場を設けるということ、この二つの点につきまして合意を得ました。このことは公のことでございますから、今後変わらないというふうに私は思っております。個人的にはいま、シュレジンジャー長官とお会いしたばかりでございまして、本当に残念には思います。
○三木忠雄君 外務省は何か感触を持っていらっしゃいますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどフォード大統領の演説が始まりまして、間もなくこの委員会が始まったわけでございますが、けさ報道されておりましたような人事と、あと一、二新しい人事があったようでございます。特にこれについて私ども論評をするということは、十分な材料も持っておりませんし、いまのところ差し控えたいと思います。
○三木忠雄君 坂田長官が先ほどしゃべられた文句は、これから質問する問題ですから、ひとつ原稿を読まないでください。 特に、防衛庁長官が就任されてから、防衛政策というか、防衛を考える会とか、何か非常に国民に理解を図るためのいろんな方法を講じられているようでありますけれども、特に三つの点、必要最小限度の自衛力、また日米安保体制、そして国民の抵抗意思、この三要素というものが必要であるというふうなことを防衛庁長官が絶えずPRをしているわけです。この中にあって、いま現在の国際情勢の中にあって、日本の国が必要最小限度の自衛力を現在持っていると認識をされておりますか、あるいは持っていないと認識をされているか、どちらですか。
○国務大臣(坂田道太君) これまで四次防衛整備計画をやってまいりましたが、御案内のとおりに、オイルショック等の結果、正面装備におきまして、たとえば陸におきまして戦車九三%、それから海の方は艦艇が七七%、航空機の方におきましては一〇〇%、これも五十一年度の要求がまるまる概算要求が認められた上でそういうことでございまして、十分とは申しかねるわけでございます。
○三木忠雄君 そうしますと、この必要最小限度の自衛力というのは、四次防が達成されて初めて必要最小限度の自衛力が完備したと、こういうふうに理解してよろしいですか。
○国務大臣(坂田道太君) 四次防が達成されましてもまだ不十分だというふうに思っております。なぜならば、これまでの四次防をやりましたのも、どちらかと申しますと正面装備に重点が置かれておりまして、後方補給、そういう面について欠けるところがあるというふうに思います。やはり今後は、量よりも質という面におきまして、もう少し努力をいたさなければならないというふうに考えております。
○三木忠雄君 そうしますと、必要最小限度の自衛力というのは相当なものになってくるわけですね。四次防が達成されてもまだ完成していない。こうしますと、五次防、六次防にいくかどうか、この新しい防衛構想でありますけれども、基盤防衛力との関係といいますか、この点についてはどう考えているんですか。
○国務大臣(坂田道太君) 従来の防衛構想あるいは防衛の整備計画というものは、所要防衛力と申しますか、日本を包みますあらゆる脅威あるいは軍事力、それに対応いたしまして、日米安保条約のもとにおいてどういう脅威が顕在化するかということをいろいろ考えまして計画をされたものでございます。しかしながら、いま御指摘のとおりに、このままでまいりますると、どうもこの日本の財政状態、そうして私が防衛の三原則の第二番目に申しております。他国に脅威を与えない、そしてまた内政を著しく圧迫しないという、過小でもなく過大でもないという防衛力ということから考えますと、なかなか目標がはっきりしないんじゃないかという声が国民の間にもございます。あるいは歯どめがないんじゃないだろうかというような心配もございます。したがいまして、私どもといたしましては、こういう考え方に対しまして、あるべき姿はそうであるけれども、まず基盤的な防衛力、平和時における防衛力というものを充実することが、いざ緊張になった、あるいは有事になったというときには、その平和時における基盤防衛力というものを基礎にして、それにある程度増強していくならば、その緊張の場合にもあるいは有事においてもたえられるのではなかろうか、その平和時におけるところの基盤防衛力というものを整備の目標とするという考えを実は今度打ち出したわけでございます。 これはあくまでも政治的な決断であり判断であるわけでございまして、純軍事的な合理性から言うならば、常に即応体制をとりたい、あるいは周囲の軍事力に対応するところの即応体制を整備すべきだという考え方があるのは当然だと私は思うのでございますが、しかし、いま申しました世界の国際情勢というのはデタントの方向にある、この基調は変わっておらないという一つの制約、それからいま一つは経済財政事情の制約、そういうことを考えますと、平和時におけるところの基盤防衛力というものをわれわれの当面整備すべき目標として設定した方が非常に御納得がいくのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○三木忠雄君 そうしますと、平和時の防衛力、これイコール基盤防衛力と、このように解釈してよろしいわけですね。そしてそれが四次防完成後。さらに坂田・シュレジンジャー会談によって日本の補強しなければならない問題点がいろいろ指摘をされた。その指摘をされたその分を完成した後が必要最小限度の自衛力と、このように理解してよろしいんですか。
○国務大臣(坂田道太君) シュレジンジャーと私との会談におきまして、日米防衛協力について話し合いをしたわけでございますが、私からシュレジンジャーに対しまして、日本には憲法の制約というものがある、しかも他国を侵略するというようなことは考えておらない、あるいはまた力によって外交問題を処理しようというふうには考えていないのがわが国の憲法である、そういう制約のもとにおいて、あるべき自衛力というものをわれわれは努力をしたいんだと。こういう考え方に対して彼は、何といいますか、同意をというか、理解を示したということでございます。もちろんその際、四次防の整備状況について私から説明を率直にいたしました。そのことについても彼は理解を示したということでございまして、特に正面と後方のやはりバランスの点について私は欠くるところがあるということも申しまして、この点についても彼は理解を示したということであります。シュレジンジャーから言われたから私がそうしたのではなくて、私が言ったことに対してシュレジンジャーが同意をした、理解を示したと、こういうふうにお考えをいただきたいのであります。 私が考えております日米協力の一番前提となりますのは、わが国の国民の一人一人の生存と自由を守るために、日本の国の独立と安全を守るためには、抵抗する意思、そしてまたその能力、そしてまた安保条約、この三つが一組であって、一つを欠いても日本の独立と安全とはあり得ないと、こういうことを申しまして、これに向こうが理解を示したと、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。
○三木忠雄君 そうしますと、もうこれから歯どめがないと言えば語弊かもしれませんけれども、自衛力がどこまで拡大されるのかという国民の不安、これは私はあると思うんです。端的に言いまして、最小限の自衛力というのは何なのかということをもう少し明快に言ってください。
○国務大臣(坂田道太君) これは明快に言えない、まあ量的に言えないのが本当だと思うんです。これは昭和三十二年の国防の基本方針というのがございまして、国力、国情に応じて整備をする。その場合において、やはり日本は憲法の制約がある。あるいはまた民生というものを考えていかなきゃいかぬ。それから、これからの防衛というものは単に軍事力のみではないんだ、外交、経済あるいは民生あるいは福祉、そういったようなものを考えて防衛を考えていかなきゃならないんだ、国防を考えていかなきゃならないんだと、こういう基本的な考え方がわが国の防衛政策だと私は理解をいたしておるわけでございまして、ただ、これは脅威、顕在化するかもしれない脅威というものは、日本周辺をめぐるところの他国の軍事力、そういったもの、あるいは国際情勢、それによって影響されるわけでございますから、ここに量的にこれだというふうには言えない。 しかし、無限にこれが歯どめなく増強されるということは他国に脅威を与えることにもなりますし、また、一面においては内政面において著しく民生を圧迫するようになりますから、それではいけないんだと、こういうことで、しかも、いままでの日米安保条約において抑止力の効いておるもとにおいて起こり得べき脅威の状況あるいは侵略その他の可能性ということを考えると、いまのデタントの基調から言うならば、そういうことは余り起こり得ないであろう。こういうことを考えますると、それに対して対応する防衛力といたしまして、所要防衛力にいたしましてもおのずと限度はある。しかし、それでもいまの日本の財政経済の状況から、一挙にこれを即応体制までつくり上げるということは非常に困難であるから、そこで、ここで実現可能な、当面やり得べき基盤防衛力、平和時における防衛力というものをつくろう、設定しようというのが、今度、長官の第二次指示においてその構想を明らかにしたゆえんでございます。来年の八月ごろまでかかりまして、いろいろの御意見等を承りながら、特に国会における御意見等も承りながら、私はりっぱな基盤防衛力の構想を固めたいというふうに考えておる次第でございます。
○三木忠雄君 二番目の安保条約と防衛構想の問題は後で新構想のところでちょっと詰めたいと思いますが、長官の言っている三番目の国民の抵抗意思、こういう問題について、今日の国民の大多数が抵抗意思を持っていると認識をされておりますか。
○国務大臣(坂田道太君) いま三番目とおっしゃいましたけれども、実は私は第一番目に考えておるわけでございます。国民の理解と支持と協力なくしては、どんなにいい装備を持ち、あるいは自衛隊のみが士気が旺盛でも、これは国は守れない、そう私は思っております、防衛力とはなり得ないというふうに思っております。したがいまして、第一番目が、自分の国は自分の手によって守るんだという国を守る気概というものがなけりゃならない、つまり抵抗意思がなければならないというふうに思っております。 確かに今日、戦後の自由社会の世の中において、なかなか確たるそういう抵抗意思がコンセンサスを得られておるというふうには思いません。しかし、わが日本民族というものは、決してそういう、まあナショナリズムと申しますか、そういうものを持っていないかと言ったら、私は持っておると思っております。眠っておると思っております。しかし、われわれの努力次第では、この眠っておるものを起こすことができるだろうというふうに期待を持っておる次第でございます。
○三木忠雄君 その長官の一番大事だと言われる国民の抵抗意思ですね、眠っている。これ、どうやって覚ますのですか。
○国務大臣(坂田道太君) そのために、国会で、国民の一人一人の生存と自由にかかわる安全保障の問題について大いに議論をしていただくということだと私は考えます。
○三木忠雄君 もう少し、長官が具体的にどのようなものを望もうとしておるのか、長官としてのいろいろな考え方があると思うんです、抵抗意思のあるべき姿というものが。描いている防衛庁長官の構想をお聞かせ願いたいと思うんです。
○国務大臣(坂田道太君) これは明確といえば明確でございますが、漠然としていれば漠然ということになるかと思うのでございますが、私はやはり自由な人間というもの、これは他人の意思の押しつけというものはいやだと思うんです。あるいは力によったり、あるいは金によったりすることによってその人の考え方を変えさせようなどということについては、はっきりした意思を持っておると思います。それが私は本当の人間だと思うんです。 同様に、国におきましても、一国は一国の国是というものがございます。わが国においては憲法がございます。そういういわゆる憲法あるいは国のあり方、そういうことに対して、軍事力をもってこれに意思を押しつけようとしたときに、私はその国を構成しております国民の一人一人が、それには応じられないんだ、その意思の押しつけは抵抗してでもこれを排除するんだ、屈しないんだと。あえて勝つとは申しませんが、負けないのだ、屈しないのだと、こういうのが私は抵抗意思だと思います。こういう考え方というものは、日本民族というものは根本的には私は持っておるというふうに思うのでございます。そのために、やはりお互いの自由、それから生存、この二つに関する安全保障の問題について国会で大いに論議をされる。たとえば主張、主義、イデオロギーは違いましても、国民の一人一人の自由あるいは生存というものにかかわる国防問題について大いに国会で議論をしていただくということが、私は一番大事なことだと思います。 私どもといたしましては、そのために防衛を考える会もつくりました。また報告もいただきました。貴重な意見も承りました。あるいは国防会議におきましても、総理大臣、外務大臣、通産大臣、大蔵大臣、経済企画庁長官、防衛庁長官で構成されておりますこの国防会議におきまして実質審議が行われて、いま申します国民一人一人の生存と自由にかかわる問題について、あらゆる角度から論議をされるべきだと私は考えております。それからまた、われわれの広報活動等におきましても、私たちの考えておる防衛について正確に、私たちがこう考えておるんだということが末端にわかるようにしなければならないというふうに思って、いろいろ施策を進めておるというわけでございます。 特に防衛問題につきまして、安全保障の問題について、従来国防白書がございませんでした。四十五年に一回中曽根長官のときに出たっきりであります。経済白書、厚生白書、いろいろ出ております。国防、安全保障の問題についてそのような白書がないということは私はいけないことであって、やはりこれをつくって、毎年出して、そしてこれは国内の国民一人一人にわかっていただくと同時に、周辺諸地域におけるところの国々に対して、日本という国は憲法のもとにおいて平和国家である、他国を侵略するというような考え方はないんだ、かつての軍国主義時代に返るようなことは絶対にいたしません、こういうようなことを毎年出すということが、どんなに日本というものに対する信頼関係を得るかと私は考える次第でございまして、そういうような施策を進めていくことによって、いま先生が御指摘になりましたような、いわゆる国を守る気概というものをだんだん醸成さしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○三木忠雄君 私は、文部大臣から防衛庁長官に移られて、教育に非常に力を入れているという点はわかるんです。具体的に、そのようないま考えていらっしゃるような意思を国民に植えつけるために、政府として具体的にどういうようにしようとしているのか、その点について。
○国務大臣(坂田道太君) これは時間のかかることでございますし、そして努力を要することでございますし、いま申しましたように、政府といたしましては国防会議を充実する、あるいは国防白書を毎年出す、あるいはまた、ポスト四次防についての考え方を、国民の方々の御意見を聞きながら、そしてこれを吸収しながら固めていく、こういうことを積み重ねるということが一つであると思います。 それからもう一つは、今度のポスト四次防につきまして、災害復旧——大震災、そういったことが起こった場合、やはりこれは人の安全にかかわる問題、生命財産にかかわることでございます。平時といえども、これに対して警察あるいは消防等においてどうしても救い得ないところの部面について、私たちの自衛隊が任務を尽くすということは一つの大事な点ではなかろうかというふうに思いますし、そういうことをやることによって、はだ身で、自衛隊のおかげで災害の後救われたという実感を国民が持つということが、やはり自衛隊に対する信頼感あるいは防衛というものに対する認識というものを私は深くするだろうと思います。近くは、八丈島におきまして自衛隊、二百名出動いたしましたけれども、現地からは非常な感謝の気持ちを伝えてまいっておりますし、行きました隊員も、それによって自分たちがやったことが本当に喜ばれておるんだ、ためになっておるんだと、こういう実感を持って帰っておるわけでございまして、そういう日常活動と申しますか、平時の自衛隊のあり方というものが、やはり国民の防衛に対する意識というものを変えていくのではなかろうかというふうに私は考えておる次第でございます。
○三木忠雄君 この問題の最後に。 防衛意識の高揚ということを現在の教育の中に取り入れていくべきだと防衛庁長官は考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(坂田道太君) 私は二十六万の、上は幕僚長から曹士に至るまで、やはり現在の憲法意識と申しますか、そういうものを定着させたい。平和国家なんだ、そしてやはり憲法の制約のもとに、いわゆるシビリアンコントロールのもとに運営されるということが自衛隊の新しい行き方なんだと。天皇主権のもとにおける軍隊と、それから主権在民下におけるいわゆる自衛隊というものは違うんだということをはっきりさせたいというふうに考えております。
○矢追秀彦君 関連。 先ほど来、防衛庁長官は、国民の抵抗意思についての問題でお話を伺っておりますと、いまは眠っておる、覚まさなくちゃいけないと。私は、普通の個人の人間として考えた場合、そういった抵抗意思は眠っておるのが普通だと思うんです。これが起きるような状況になることが非常に問題でありまして、私は、いま一番最初にそれを挙げたいと言われましたけれども、ちょっとその辺は納得できかねるわけです。私は、眠っているままにしておくべきだ、そのために最大の外交努力やそのほかの努力をすべきであって、何か話を聞いておりますと、国を守るのだという気持ちをとにかく起こすことばっかり考えておられる。それが防衛の第一義であるとなるならば、私は非常に問題ではないかと、こう思いますので、重ねてその点。私は眠らすべく努力をすることが防衛の最大の第一義ではないかと。これは総理にお伺いをしたいのですが。
○国務大臣(坂田道太君) 私は、眠っているものが一たん有事の際も眠ったままでおるということはいけないのであって、平和時においては眠っていてもいい、しかしながら、有事に際してはその眠ったものが起き上がってくる、こういうふうな潜在的な意識は、やはり培養しておかなければいけないのだ。それは何もわれわれがそういうふうに意識的にやるということじゃなくて、自衛官みずからが、そういうふうな努力によってあるいは先ほど申しました憲法意識を徹底いたしまするならば、おのずから培われていくものであるというふうに私は考えておる次第でございます。
○三木忠雄君 総理に。これは総括して、抵抗の意思の問題を総理はどう考えておるのか、ちょっと私も非常にこれは大きな問題点があると思うのです。
○国務大臣(三木武夫君) いまは非常に平和というものを皆満喫しておるわけですが、防衛意識、防衛意識と皆言わないんですよ。しかし日本人は、私はこの美しい日本の国土を侵そうとするものがあったならば、一億の国民そろって抵抗すると私は信じております。いまこういう時代ですから、眠ったというか、潜在的に皆心の底にあるわけですね。それは口に出して言わないけれども、国民の腹の底には、これは侵すものがあれば最後まで抵抗するという意識を日本国民は持っておると私は信じております。したがって、そんなに私は悲観的ではないのです。いまこそこれは平和時ですから皆何ですけれども、それは日本というものの安全が脅やかされるというときに、この一億の国民が黙って侵略を認めるわけがない。これはもう徹底的に抵抗する意思を国民は持っている、私はそういうふうに信じておるわけです。いまこういうときですから、皆がやっぱりそういうことを口に出しては言わぬけれども、皆日本人の心の底にはあるに違いない、私にもある、そういうふうに考えておるわけです。
○三木忠雄君 どうもこの答弁、ちぐはぐでね。私、別な機会にこの問題は論じたいと思います、これだけに時間を割いておくわけにいきませんので。 防衛問題の最後に、長官が指示した新しい基盤防衛力です。これはいままでの所要防衛力とどこが具体的に違うのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、基盤防衛力の中で、たとえば情報関係、そういった面については即応体制一〇〇%を充実しなければならない。それから警戒監視、緊急発進等の防空でございますが、この点につきましても、かなり高い——所要防衛力に対して数字であらわせられないかもしれませんけれども、御理解を賜るために申し上げますと、まあ九〇%ぐらいの体制を持つべきじゃないだろうか。その他の問題につきましては基盤的な防衛力に置いておいて、そして緊張になったらそれから高められる可能性を残しておく、こういうことでございまして、あらゆる脅威のあらゆるやり方に対して即応するような体制を、いま現に持っておかなければならないというのが所要防衛力の構想であると思いますけれども、それは有事なりあるいは緊張時におけるあるべき姿ではあるといたしましても、平和時の防衛力といたしましては、いま申しますような二、三の点については一〇〇%、あるいは一〇〇%に近い即応体制を持つような体制にあってもいいが、その他の部面においては基盤的な防衛力でいいのではないだろうかという考え方でございます。特に、その場合には、いままでの四次防までまいりました行き方といたしましては、正面装備ということに重点が置かれて、その背後にありますところの補給とか、あるいは基地とか、あるいは支援体制とか、そういった部面がなかった。そういう部面はやはりバランスのとれたものであって、小ぢんまりとしているけれども、反撃力のあるものなんだと。で、小規模の侵略、これに対しては十分この平時における防衛力で対応ができる、こういうような体制を固めておく必要があるのではなかろうかというふうに思います。 細かい点につきましては今後、いま作業を命じたばかりでございまして、来年の三月ごろまでに一応の整備計画が出てまいると思います。その後、国防会議に諮りまして、また広い視野から御検討を願うということ。そしてまた、それを受けましてわれわれの方で再検討いたし、そしてまた正式には八月、あるいは最終的には十二月の予算編成までには仕上げたいという考えでございます。この長官指示をいたしました私の考え方について、近く総理にお願いをいたしまして、国防会議にもお諮りをいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○三木忠雄君 私は防衛庁長官の考え方、ちょっと逆じゃないかと思うんですね。こういう防衛の基本構想、次期防の構想は、やはり国防会議の活発な意見、討議があって、それから防衛庁長官が具体的に指示をするという、こういう形をとるのが本来のシビリアンコントロールの姿じゃないかと思うんです。それが逆に防衛庁長官から、自衛隊の方で構想を練って、それを承認するための国防会議と、こういうふうな形になってしまっているんじゃないかと思うんです。これはどうも就任当初から国防会議の活発化を絶えず主張しておった防衛庁長官にしては珍しいことじゃないかと私は思うんです。やはりシビリアンコントロール、これを強化することが最も大事な問題じゃないか。外交、防衛、経済、あらゆる問題から検討しなければならない問題を、どうもシュレジンジャーとの間に防衛分担を決めたり、具体的な問題をどんどん煮詰めた上で国防会議で承認という形をとろうとしている防衛庁長官の姿勢が、シビリアンコントロールのこの姿勢を骨抜きにしてしまったんじゃないか、こういうふうに考えるんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(坂田道太君) この点につきましては、先生の御指摘は一つの御見識だと私は思うんです。ですけれども、私といたしましては、まず、防衛庁それ自身としての考えが全然まだないままで国防会議でお話をしましても、実は実質審議にならないんじゃないかというふうに思うわけでございまして、一応の素案といたしましては、防衛庁では、やはり政治的な状況、たとえば国際情勢あるいは経済的情勢も防衛庁としてはこういうふうに考えておる案でございますがということでお諮りをいたしまして、そして、そこでこの材料があり、防衛庁は一応こう考えているというところで国防会議で実質審議を行っていただいて、もう一遍私たちのところで再検討いたしまして、よりよきものを固めていきたいという構想なんです。まあ最初から国防会議でやるということも、これは私は一つの行き方だとは本当に思うんです。しかしながら、実際上のいま現在の日本のこのやり方を考えてみますると、何もないままでやっても話がまとまっていかない、進んでいかないのじゃないかという気がいたしますので、この点は非常に実際的な現在の日本の実情から私はこういう決断をいたしたわけでございます。しかし、先生のおっしゃいましたのは一つの御見識だというふうに私は理解をいたします。
○三木忠雄君 そうしますと、具体的に、国防会議を近々やってその構想を土台にするか、あるいは各閣僚の国防会議のメンバーの構想を受け入れて新しい構想をつくっていく考えなのか、これはどちらですか。
○国務大臣(坂田道太君) 総理にはもうすでにお願いをしておるわけでございますが、近く国防会議を開いていただきまして、われわれの言うならば考え方、それから材料を提供いたします。そうすると、お集まりいただきました各閣僚が、その防衛庁の案をお持ち帰りいただきまして、そして御検討いただいて、そしてまたその次に開かれる国防会議懇談会等で検討する、そして実質審議をいたす、そして、それを踏まえた上で私どもの最終案を固めていこうというふうに考えておる次第でございます。
○三木忠雄君 それでは防衛問題の最後に。 新防衛構想が日米安保体制に依存するという形が非常に増大してきていると思うんです。いままで、日米安保体制が補完的な役割りをしていると、こう主張しておったのが、やはり相当増大しておる。こうなりますと、基地問題ですけれども、米軍の基地縮小問題なんかは要求が非常に弱くなってくるのじゃないか。日米安保体制を強くしていくならば、やはりこの基地縮小問題なんかはなかなか要求できないのじゃないかと、こういうふうな私考え方を持つのです。長官も持っていらっしゃるんじゃないか。それが工業倶楽部で、四次防以後の基地の安定的使用ということで、防衛費の枠外、枠内に限らず思い切った予算を要求していくという、こういう形をとっている。基地縮小計画と今後の新防衛計画、基盤防衛力との関係はどういうふうに理解して言っているのか。
○国務大臣(坂田道太君) 私の防衛の三原則というのは、いわゆる抵抗する意思が第一、第二番目が必要最小限度の防衛力、三番目が大規模の侵略あるいは核の攻撃に対しては自衛隊のみでは応じ切れませんので、アメリカに依存をする、したがって安保条約というものは不可欠である。しかも、この三つが一つを欠いても日本の独立と安全、国民の一人一人の自由と生存というものは守り得ないという私の実は防衛の考え方でございまして、安保条約というものは不可欠なものであるという認識に立っている。しかも、これは昭和三十二年の国防会議の基本方針でも、やはり日米安保条約というものは不可欠なものだという認識でずっと一貫してきておるわけでございます。 ただ私は、日米安保条約というものが不可欠であるのに、しかも基地の問題については協議機関がある、あるいはまた話し合いも行われておる。しかし、有事の際における防衛協力の問題について話し合う場がない、あるいはそういうことについての最高責任者同士の合意もないままにユニフォームだけで研究等が行われるということは、これはシビリアンコントロールのたてまえからいっても、日本にとってもいいことではない。アメリカにとってもそうであるだろう。したがって、やはりここはきちんとすべきなんだというのが私の考え方でございまして、日米安保条約というものが日本の安全にとって不可欠なことであるならば、この関係というものを名実ともにりっぱなものに仕上げていくというのがシュレジンジャーと私との考え方でございます。こういうわけで御理解を賜りたいと思います。 それから、米軍がアジア地域から撤退をする、あるいは日本からも不必要な兵あるいは軍事施設は撤去していくという基本方針は、これは変わっておりませんし、そしてまたその縮小の計画はどんどん進めてまいりたいというふうに考えております。しかし、私は日米安保条約というものが日本の独立と安全に不可欠なものであるが、しかし日本といたしましては、やはり基地を提供する、施設を提供する義務を負っておるわけでございまして、いざというときにはアメリカに依存するけれども、しかしそのかわりとして、代償としては日本の基地の使用というものを提供しておる、それがわれわれの義務であります。その義務を果たすためには、その基地が平時において安定的に使用されるということでなければ、アメリカ側としてのメリットは何にもないわけでございます。われわれは義務の遂行からいってこれをちゃんと果たすべきであると思うんです。こういうことをやるということ、努力をしていくということが、日米間における防衛協力の面におけるクレジビリティを高めることにもなりますし、さらに経済その他外交、すべての面における日米関係を私は緊密にしていくことになるんだと。 さて、今度はわれわれの基地としますと、自衛隊の基地にしましても米軍の基地にいたしましても、いろいろ住民の方々に大変御迷惑をかけております。騒音に対しましても、全然基地のない市町村の住民と比べまするとはなはだしい迷惑をかけておるわけでございますが、いままでやってまいりましたところの周辺対策も、この乏しい財政の中からできるだけのことはいたしましたけれども、私はこれは十分ではないと思っておるんです。もう少しこの点については、政府全体としてこの基地周辺の住民に対しての施策を総合的にやるべきである。その点については今後重点を置いてまいりたいというのがやはりポスト四次防の私の考え方の柱になっておるわけでございまして、この点をひとつ御了解を賜りたいと思います。
○三木忠雄君 それでは次に、政治姿勢の問題で、特に公害問題を中心にして総理に伺いたいと思うんですけれども、この問題はいずれも総理が環境庁長官の時代からの約束の問題です。これは全部不履行に終わったという問題で具体的に私は指摘をしたいと思うんですけれども、その前に、最近の新聞の調査によりますと、三木内閣の支持率が二三%になったと、こういうんですね。これに対して総理、どういう感想を持っていらっしゃいますか。
○国務大臣(三木武夫君) 新聞のことでございますが、私は全力を傾けてこの難局に立ち向かっていきたいという決意をますます固めておる次第でございます。
○三木忠雄君 ますます固めている割りには支持率がずいぶん落ちている。やはり三木内閣ができて一年間、まあ有言不実行というそしりを免れない問題点が数多くあると思うんです。私は特に、総理が四十八年環境庁長官の時代に、環境行政として大きく約束された二つの問題があると思うんです。 一つは、陸の方では自動車の排気ガス規制の問題、これはずいぶん後退をしてしまった。骨抜きになってしまった。もう一つは、あの水俣湾あるいは有明湾、瀬戸内海、あの水銀汚染で、漁民が苦しめられた、国民が苦しめられたこの水銀汚染の問題というものがやはり一番大きな問題になってきている。二つとも、陸も海も国民の命、暮らしに一番大きな影響を与えるこの公害行政が余りにもずさんになっているという点を私は具体的に指摘をしたいと思うんです。 まず、その前に、衆議院でも自動車の排気ガスの問題に触れられておりましたので、私この問題を省きたいと思いますけれども、排ガス規制の問題が、すでに新聞の報道等によりますと、三菱自動車や本田の方ではもう規制値を突破しているわけですね、五十三年規制ですら。そういうところがあるにもかかわらずこの排ガス規制をおくらしてしまった、骨抜きにしてしまったという、この責任というものは総理はどういうふうに考えていらっしゃるか。
○国務大臣(三木武夫君) 最初三木君は、この内閣は有言不実行だというようなお話がございましたが、これは私は承服しがたい。この内閣だけ仕事をしておる内閣は私はないと思うのです。いままでこの短期間の間に、公約した、たとえば物価の鎮静ということも、この政府の目標というものは達成をしてきておるのですね、いままで。大変なことですよ。だれも政府がそういう公約をしたときに信じなかったですね、そういうことはできるものじゃないと、あのインフレのさ中に。今年の三月が来たら一五%以下に物価を抑えるということは信じなかった、そのときは。これをやはり目標を達成して、次の一けた台に向かって努力をしておるわけですね。また選挙、政治粛正のために公職選挙法、政治資金規正法、これだけの改正をしたことはないんですよ、戦後。これがもしその改正した精神というものがそのまま実施されたならば、日本の選挙は面目を一新するでしょうね。政治資金についても、いままでよりもずっと政治資金というものは明朗な形になる。そういうことで、これは画期的なことですよ。いま、この不況を克服して景気を回復するためにこうやって補正予算を本格的に組んで御審議を願っておるわけですから、公約というものは、独禁法だけが次の通常国会にということになりましたけれども、まあ言ったことをこれだけ誠実に履行しておる内閣は私はないと信じておる。 また、いま公害対策のことでございますが、ひとつこの排気ガスについても、三木君お考えになりましても、日本だけ厳しい排気ガスの規制をやっておる国はないんですよ、これは。もう世界で一番厳しい排気ガスの規制を行っておる。また、窒素酸化物などに対する規制というものは、アメリカはほとんど無期延期の形になったんですからね。これを日本は中間値を設けて、そうして実際にこの研究開発というものが進まない——まあ、ところによったらできておるところもありますけれども、全体として進まないので、そういうことであの実施は延期したけれども、これはやらぬというのじゃないんですからね。これだけの厳しい排気ガス規制を世界で行っておる国はありませんよ、日本ですよ。 また、水銀汚染についても、約束を実行してないと言われますけれども、たとえば私が約束したこの水俣湾におけるヘドロの処理、これは昨年の三月でしたか、熊本県と運輸省あるいは水俣市などとの三者の協定ができて、運輸省が熊本県の委嘱を受けてこれをやるということで、いまいろんな実施の計画について話を進めておるわけですからね。それからまた水俣病の研究開発センター、本年の予算に計上してあるのです、敷地を。そういうことで、この水銀のまたたとえば苛性ソーダの製法の転換についても厳しいことですよ。むろんクローズドシステムにこの一年たたぬうちに全部かえたんですからね。そうして今度は全面的転換について少し期間を延ばすようなことに、少し時間を延ばすということに——時間を延ばすのじゃないんですね、いま調べてみるとまだ現在の段階で三、四〇%が転換してないので、これを促進して、政府が約束した目標までにするために、この期間を延ばさないでそれを実施しようとしてやっておるわけですね。 こういうことで本当に、内閣というものはいろいろ約束して、必ずしも実行されてない場合が多い。この内閣だけ言ったことを誠実に、多少時間のずれはありますよ、誠実に実行しようとしておる内閣はない。これは国民に誤解を与えますからね、その点については御理解を願いたいと思うのでございます。
○三木忠雄君 総理ね、三木内閣でやったことの部分を拡大して言っている。やってないのが多いんだ。具体的に私は指摘しますけれども、その一点で、排ガス規制でまじめにやったメーカーと、それがトヨタのように駆け込み生産で大利益を得ているのがあるんですよ。規制を守らない方が駆け込み生産してうんと利益を得ているんです。報道されているんです。不公平じゃないですか。総理は不公平を是正すると言って看板にした内閣ですよ。やらないところの方が駆け込み生産をして大利益を得る。まじめに一生懸命研究開発をしたメーカーが損をしなきゃならない。こんなやり方が果たして三木内閣の姿勢ですか。こういう問題が私は大きな問題ではないかと思うのです。こういう点に対する指摘はどうしますか。
○国務大臣(小沢辰男君) 先ほど総理が御答弁されましたように、排ガス規制につきましては、中公審で慎重の上にも慎重に審議をされた答申どおり私どもやっているわけでございます。駆け込み生産につきましては、この前も御指摘がございましたので、通産大臣から生産計画の変更を指示いたしまして、早速是正をやらしておるわけでございます。いずれにいたしましても、五十年規制は十一月まででございますから、十二月からは一切できないわけでございますので、新しい排ガスの適合車が出ることになっております。私どもとしては、一定の猶予期間を置きましたのは、こめ前から御審議いただきましたようないろいろな技術開発の状況によって猶予期間を置きましたが、猶予期間を過ぎますと、絶対にそういうことを許さないで、新しい適合車の販売、生産に移っていくわけでございますので、私どもとして、しかも五十三年達成の目標を得まして、総理の指示によって検討会まで開きまして、夏休み返上で十分各社の技術開発の状況を常にチェックをしている体制までつくって真剣に取り組んでいるわけでございますから、この点はぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○三木忠雄君 私は、前回の予算委員会でもこの問題を特に注意をしたはずなんです。必ず駆け込み生産がある。猶予期間がある間は必ずこれは駆け込み生産がある。まじめに開発したメーカーと、そしてそれを手を抜いて駆け込み生産をねらっているメーカーが必ず出てくるということを私は指摘をしたんですよ。それが守られてないんです。そこに行政当局の指導のやさしさというか、やはり企業寄りの姿勢というものが環境行政の中に出てきていると言うのです。これを私は指摘をしているわけなんです。素直にお認めになりますか。
○国務大臣(小沢辰男君) 御指摘もありましたので、通産大臣が十分企業を指導をいたしまして、私どもとしては、今年に入りましてもう二回も通産省で生産計画をとりまして、具体的に各社別に指示をし、指導をいたしておりますから、この点は御指摘の点を十分行政上の配慮として通産省において努力をいたしていただいておったと、かように私どもは認識をいたしております。
○三木忠雄君 認識をしておったというだけで済む問題じゃないのですよ。公害がまき散らされて、結局国民が苦しまなきゃならないという問題、通産大臣、この問題はどうですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 確かに、御指摘のように一部の企業で駆け込み生産的な動きがございましたので、先般企業の代表を呼びまして生産計画の修正を命じまして、生産計画が修正をされております。
○三木忠雄君 だからね、修正されたらそれで済むという安易な考え方でいつも行政当局はいる。これでは何にもならない。その問題、これは排ガス問題ははっきりお認めになったと思うのです。 もう一つは、やはり苛性ソーダの問題です。海に水銀をまき散らしたこの水銀汚染の被害の実態については、環境庁、どういうふうに認識をされておりますか。
○国務大臣(小沢辰男君) 水銀汚染の実態につきましては、昭和四十八年度に全国の総点検をいたしました。その結果、若干の水域につきまして問題がございました。そこで昨年、規制を一層厳しくいたしまして、各企業からの水銀の排出は大体私いまのところはないと考えております。ただ、過去にありました水銀の排出等によって、底質が、七水域ばかり現在まだヘドロ対策を実行しなければいけない水域が残っております。これにつきましては調査を継続中でございまして、その調査の結果で、対策事業を計画をしてまいりたい、そういうように考えております。いずれにいたしましても、現在各企業からの水銀の排出というものは、規制値を厳しくしたことによって大体私は心配はない。ただ、事故等の場合がございますので、したがって、現在クローズドシステムをやっておりましても、やはり水銀の人体に及ぼす弊害から考えまして、苛性ソーダ業界については転換をお願いをして今日まで至っているわけでございます。
○三木忠雄君 四十八年十一月十日ですか、総理が環境庁長官のときに、座長でこの水銀汚染対策会議をつくった。五十年、ことしの九月までに——この水銀汚染の恐ろしさというか、漁民のこの苦しみというものを何としても守らなければならないと、総理が熊本まど行って涙を浮かべてやっているのを私知っていますよ。こういう実態が、果たして五十年九月に守られるかということを私たちは非常に監視をしておったのです。私たちも実態を調査をしました。ところが、この三分の二の転換というものが現実にこの九月には守られなかったのですね。総理は絶えず、ソーダ業界から何回陳情があっても強い姿勢で三分の二は必ずやるんだということを環境庁長官時代に言ってきた問題なんです。これが守られなかったということに対して、総理はどうお考えになっていますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 確かにいまお話しのように、製法の転換は若干おくれております。この九月に三分の二を完了することを目標にしたわけでございますが、現在そこまでいっておりません。現在の情勢は、来年の三月に六〇%を達成する。ただし、五十三年の三月に一〇〇%を達成するという目標は変えておりません。予定どおり実行するつもりでございます。
○三木忠雄君 まあ達成されなかったというこの問題に、やはり企業寄りの姿勢というか、当時の四十八年に各省庁、十二省庁集まってこの対策会議を開いたときの真剣さというものが、行政上骨抜きにされておったというのが私は実情だと思うのです。具体的に通産省で企業が三分の二、五十年九月までに転換するという計画をチェックされましたか。
○国務大臣(河本敏夫君) 各企業ごとに具体的にチェックいたしております。
○三木忠雄君 具体的にそのチェックした資料を出してもらいたい。説明してもらいたい。
○国務大臣(河本敏夫君) その資料はございますけれども、これは各企業に対して行政指導をしたわけでございまして、その一々具体的な内容につきまして通産省からいまここで発表するのはいかがかと思いますので、この点はひとつ検討させていただきたいと思います。
○三木忠雄君 私はこれが一つの問題だと思うのですよ。初めから、提出された計画はできない計画なんですよ。五十年九月に三分の二にできない当初からの計画なんだよ。その計画書を出せと言ったって出せないのです。出せないわけは何かというと、三分の二やるという決意が最初からなかったのですよ、行政当局に。そこが私は行政姿勢の問題点だと言うのですよ。やる気がないと言うのですよ。出せませんか。もう一度。
○国務大臣(河本敏夫君) やる気がないというふうに言われますけれども、その点は決してそういうことはないのです。若干、先ほど申し上げましたようにおくれましたけれども、これは地元との公害協定がおくれましたり、この不景気のために資金手配が十分にいかなかったと、こういうことのために若干はおくれております。しかし、先ほど申し上げますように、九月に六五%達成するという目標が、来年の三月に六〇%と、こういうことでどんどん仕事は進んでおるわけです。そうして最終の目標であります一〇〇%達成は五十三年の三月と、こういうことでございますので、若干おくれたということはありますけれども、決してなおざりにしておると、そういうことはございません。
○三木忠雄君 委員長、こういう資料、出せなかったら私、公明党の資料を提供します。初めから三分の二ができない計画資料です。私たち公明党で調査した資料が、政府にないわけないじゃないですか。なかったら公明党へ取りにいらっしゃいよ。こういう初めからできない計画を、私は実態を持っているんですよ、全部調べましたよ、具体的に。これは漁民を救わなきゃならない、公害で苦しむ国民を救わなきゃならないという命がけの調査です、わが党は。それを余りにも皆さん方がいいかげんにやっている。こういう資料が出せないというのはおかしいじゃないですか。理事会で検討してもらいたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 決していいかげんにやっておるんじゃございませんで、繰り返して恐縮でございますけれども、この九月の目標が六五%という目標、それが若干おくれまして、来年の三月が六〇%ということになりましたけれども、先ほど来申し上げますように、この経済界の激変と、それと地元との公害協定がなかなか思うように進まない、そういうことが重なりまして若干はおくれた、こういう事実はございますけれども、政府といたしましても一生懸命に取り組んでおる。この点はお認めいただきたいと思います。
○三木忠雄君 私は答弁にならぬと思うのです。これはね、資料を出せない。やはり初めからの計画がずさんなんですよ。後から理由をつけているんです、いまの通産大臣の答弁は。これじゃ意見はすれ違いますよ。同じ土俵で質問しなきゃならない。自分の方は資料をしまっているわけだ。私たちの資料では初めから、当初の四十八年十一月からできない計画なんですよ、私たちの調査では。そこの食い違いがあるんです。それを合わさなけりゃお互いに意見はかみ合いませんよ。私たちは何もかも秘密文書でやろうやろうという考え方を持っていない。同じように調査した結果をデータを合わせて、その結果どうなっているかということを指摘したいわけです。 委員長、この問題については資料提出、いかがですか。
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。
○三木忠雄君 議事進行に私協力する立場から、ストップしてどうこうするつもりは毛頭持っていません。すなおに資料を出していただければ私は審議を進められるわけです。 これは一遍にわからないので、総理にこの資料、実態を……。
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。
○国務大臣(三木武夫君) 初めからやる気がなかったということは、それは真意と違います。あれは大変なことで、何月でしたか、そのやった年の暮れまでに全部の工場をクローズドシステムにするということは厳しい指示ですよ。全部工場をクローズドシステムにしたんですからね、暮れまでに。今度は苛性ソーダの製法を全面的に転換するということは大問題です。それに対しては隔膜法とかいろいろ研究開発というものも、まだ研究開発の途上にあるんですね。そういう点で、いろいろ工場側に対しても、これは企業の採算にも大きく影響するわけですからね、できるだけいい製法によりたいということでいろいろ検討をしなけりゃならぬ面も確かにあったと思うんです。それで途中でおくれておるんですが、政府は五十三年の三月までに全面転換を完了するという方針は変えないんです。目標というものはもう変えないんですから、それまでにそのときに開発された一番のよい製法で転換をせなきゃならぬので、目標は変えないんですから、その途中は、いま三木君の御指摘になっておる多少の何%何%のずれがあったことは、ない方が好ましいけれども、あったということで初めから政府には誠意がないということは私は事実と違う。政府はもう目標は変えないんですから、五十三年の三月までには全面的転換をする、この方針は堅持するんですから、政府がやはり誠意を持って、この水銀の問題というものが与える地域住民に対する健康被害の重大さというものに関心を持ってこういうことに取り組んでおるということは理解をしてもらいたいと思います。
○三木忠雄君 五十三年三月までにやる、これは私はいまから疑っても、どうこう論議したくないんです。当初からできないのはわかっているんですから。ところが、こういう計画を実際持たなかった企業すらあるんですね。しかし、まじめにやってきた企業もあるんです。私は全部企業が悪いと言っているわけじゃないんですよ。まじめに自己資金を使って一生懸命努力をしてきた企業もあるんです。そういう計画を全然持たなくて、後でこれはやりますけれども、開銀融資をしっかり受けながらまだ計画をやらないところがあるんですよ。こういう不公平をどうするかということが問題なんです。それをチェックしなかった通産行政がどこに問題があるかということを、私は指摘をしているわけなんです。全然やる気がなかったと私は認めませんよ。そういう不公平をなくしようという三木内閣なんでしょう。まじめにやったところが、ばかをみなけりゃならないようなそういう行政でいいかどうか。そこに私は不思議なものを感ずる。 特に四十八年、四十九年にわたって、まあ政治献金の問題は出したくないけれども、いままでソーダ業界が政治献金したことはなかったのが、四十八年、四十九年にわたって政治献金が出されているじゃないですか。私は、こういうところに政治の姿勢がゆがめられている。行政の姿勢がゆがめられている。それは何か。一番苦しむのはやはり国民じゃありませんか。漁民が一番苦しむんじゃないか。魚をとってきたものが売れない。みんな悩んでいるこの姿というものを、行政当局はもっと真剣になって考えなきゃならないということを私は主張したいわけです。その点について、総理。
○国務大臣(三木武夫君) 通産省に対しても、今後そういうソーダ業界に対しての監督を強化して、そういう製法転換の監督を強化して、できるだけ計画が実行されるように努力をいたします。 ただ、政治献金というものは、私は自民党の総裁として言っておきたいのは、自民党は政治献金によって政治を動かされることは絶対にない。そういうことは絶対ない。これは自民党という政党が、こんなに長期に政権を担当しておる政党が、政治献金によって政治の方向を何かこうゆがめるというようなことは絶対にないということを私は明らかにしておきます。
○三木忠雄君 政治献金の問題は、後で金利引き下げの問題と銀行との関係で具体的にまた指摘をしたいと思っていますけれども、その前に、やはりこういうふうな実態がわからなかったという問題について、まあ通産省は企業寄りと言われても仕方がない。しかし、環境行政ですね、環境庁はこの実態を全然知らなくて、いま達成できなくなってあわてて独自の調査を開始したという、これも不思議な姿じゃありませんか。環境庁長官どうですか、この責任は。
○国務大臣(小沢辰男君) 先生御承知のように、先ほど来、転換がおくれておって水銀による公害のために住民が苦しんでいるというお説でございますが、先ほども私が申し上げましたように、水銀による電解ソーダの工場は……
○三木忠雄君 ほかのことはいいんだ。時間が長くなるから。
○国務大臣(小沢辰男君) いや、その点は明確にしておきませんといけませんから申し上げますが、クローズドシステムを完全に実行させましたので、したがって、ソーダ業界から排出によって水銀をたれ流しにしているような実態は全くなくなったわけでございます。しかし、もし取り扱いの不注意なりあるいは事故等によって水銀が、もしそういうような事態が起こりますといけませんから、全面転換をやらしているわけでございます。それを五十三年までの目標でどうしてもその目標は達成するというので、この転換についての指導は通産大臣が直接当たっておられるわけでございます。したがって、転換がおくれたために水銀による公害がどんどんふえて、国民に水銀による健康被害をもたらすということはないことだけはこれはひとつ御承知おき願いたいのであります。 先ほど通産大臣が公害防止協定等のおくれによりと言われました。これは御承知のように、石綿転換をやりますと、当然百万キロリットルの石油をよけいたかなければならぬわけでございます。そういたしますと、むしろ大気汚染の問題がそこで出てくるわけでございます。したがって、その地域においては、防止計画というものを全体の中で、その百万キロの濃縮のために使う油、燃料というものが大気汚染にどの程度影響があるかということについての真剣な討議をやらなければならぬわけでございます。一方、石綿による健康被害というのもアメリカにおいては例があるわけでございますから、その面のいろいろな対策も講じていかなければいかぬわけでございます。 そう考えてまいりますと、私どもはどうしてもこの石綿による転換でなくて、いま旭化成等で開発をいたしておりますような新しい方法による、イオン交換樹脂による転換を考えていただく方がより環境行政としては適切だというので、その面の推進を一層お願いをいたしておるわけでございます。 お話しの、業界そのものがどういうような転換の状況にあるかという点については、私どもとして、いま独自にやはり環境庁の立場から調査をしなきゃいけないというので鋭意取り組んでおります。近くそれもはっきりいたす所存でございます。
○三木忠雄君 いま急いで調査するのではなしに、やはり環境行政としてこういう実態がわかってなけりゃならないというところに問題があるんです。それは環境庁長官、認めるでしょう。したがって、環境庁が実際に調査した問題については、やはり私は不公平をなくさなきゃいけないと思うんですよ。まじめにやった企業とやらない企業といいかげんにしちゃいけないと思うんです。それが本当だと思うんですよ。その点をはっきり調査した結果、公表しますか。
○国務大臣(小沢辰男君) 国の方針によってまじめに、非常な金のかかるのに苦しい中でやった企業と、やらない企業というものは、これは確かにはっきりせなければいけないと考えます。
○三木忠雄君 もう一つこの問題で不思議なことは、資金の面から見た問題が行われているわけです。これは通産と大蔵になると思いますけれども、この不況対策で、公害防止資金として一次、二次、三次、四次、これはこの問題とは関係ありませんけれども、融資をされているわけです。実際に公害融資が開発銀行あるいは北海道東北開発公庫から融資をされている。財投の金です。郵便貯金積み立て等の金で実際にこの資金が融資されているわけです。この隔膜法に転換するときに五百八億、一年にですね。もう約一千億以上の融資が行われていると思うんです。この資金面から見た場合に、どういうふうに具体的に融資が行われたのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 財政資金が今度の製法転換の必要資金に対しまして融資される場合には、各企業ごとの計画を厳重にチェックをいたしまして、その上で融資をする、こういう手続になっております。
○三木忠雄君 計画をチェックをされて、通産省は推薦をされてやっているわりには計画書のないところに融資が行われているという事実もありますね。この点はいかがですか。
○政府委員(矢野俊比古君) ヒヤリングをいたしますときに十分計画をチェックいたしますので、計画のないところに融資をするというやり方はしておりません。
○三木忠雄君 そうしますと、融資を受けていながら転換計画のない企業が、私は二社ないし三社あると思うのです。この点についてはどう認識されておりますか。
○政府委員(矢野俊比古君) 私どもの把握している状況ではそういう実態はないと考えています。疑惑のあるような点がございますれば、事実を十分調査して、そういうことのないような責任を持った処置をいたしたいと思います。
○三木忠雄君 疑惑があったら調査をするという、こういう状態ですよ。疑惑があるから、私は非常にこれは不思議だと思っているんです。五百八億を全部に融資をしたはずなんです。ちょうど開発銀行、北海道東北開発公庫、四十八年、四十九年にわたって約六百億の融資が行われているわけです。この製法転換の各工場には融資が全部行われたんじゃないかと思うのですけれども、この実態はいかがですか。
○政府委員(矢野俊比古君) 私どもは計画をいたしまして、政策融資として開銀推薦という形で個別に行っております。その範囲においては実体があるものという前提でやっておりますが、現実的な融資は開発銀行自身が融資機能として十分審査をし、いろいろな金額あるいは融資方法というものを定めておられますので、私どもの方に現在の進行状況の中でははっきりした把握はございません。ただ、四十八年と四十九年の実績としては、私どもの推薦した数字と開銀が融資されました実績はちょうど適合しております。
○三木忠雄君 その実績が同じであるということが問題なんですね。全部に融資が行われておるのです。私はこの企業を特別に憎んで言っているわけじゃないのだけれども、おたくが資料を一向に出さないものだから言わざるを得ないのですよ。資料を出してくれれば私は言いたくない。この会社を特別に。私が言っているのは余りインチキの資料をつくっていると思われるといやですから、具体的に私は皆さんの方から資料を出していただければこれは済む問題なんだけれども、なかなか資料を出そうとしない。 やはり旭硝子にしても、東京電気化学、融資を受けていながら何の計画書もないのですよ、私たちの調べた調査では。ただ融資は行われているけれども、計画は全然行われていない、こういう実態があるということです。したがって、私はこういう問題が、融資は行われるけれども、それはどこへ金が回ったのか、金は色がついていないわけです。やはり公害防止融資としていろいろやっているけれども、そういう企業が全然計画もない。そうして具体的にどうなっていったかわからない、金に色がついているわけじゃないのですから、四十八年、四十九年、公害融資という名目で受けながら、勘ぐりたくないけれども、不動産の方に回したのかどこに回したのかわからないけれども、こういうふうな実態をもう少し私たちに資料として提供したらどうかね。余りにもこういうものが包まれてしまって具体的にわからないような姿になっているところにやはり行政の指導の問題があるんじゃないかと思うのです。この点について。
○政府委員(矢野俊比古君) 個別の融資実態につきましては、私ども開発銀行の融資でございますので、私どもからデータを云々ということができません。
○三木忠雄君 大蔵省、これは具体的に資料を出していただけますか、大蔵大臣。やはり具体的に資料を出さないと、私はここでこの問題はとめておきたいと思いますけれども、こういうふうに不公正な融資はないと思うのです。計画は理由をつければいろいろな理由はあると思うのですね、後からつける理由ですから。しかし、まじめな企業とそうしていいかげんな企業との差が、それが融資も絡んでくる、いろいろな実態になってくるとなると余りにも不公平じゃないか。どこかで指摘をしなければ、やはりこういう財投の金が、大蔵大臣だって来年から財投の運用困るわけでしょう、こういう実態があるということを私は指摘をしておきたい。この資料は提出していただけますか。
○政府委員(田辺博通君) 開発銀行が融資を行うに際しましては、通産省の推薦に基づきまして、その推薦されたものに対して金融上の判断をいたしまして、そして融資をするわけでございまして、いまの御質問には、特定の会社が実際にそういう計画がないにもかかわらず融資を受けているというような御指摘でございましたけれども、私どもは開銀の業務の実態から申しまして、資金について全然審査を行わないで融資するということは考えられません。したがいまして、もし何らかの疑惑があるようでございましたら、具体的な案件につきましては早急に調査をいたしたいと思います。
○三木忠雄君 したがって、四十八年、四十九年に具体的に融資をした実態、そうしてその計画はどうなったかということを突き詰めた資料を私に提出を願いたいと思います。これはできますね。
○政府委員(田辺博通君) ただいま御答弁申し上げましたように、具体的な融資に際しましては、その融資の対象となる事業の計画がなくて融資をするはずはないと思いますので、もし仮に何か疑問があるような案件がございますれば、それを個別に調査をいたしたいと思います。
○三木忠雄君 私は、こういうことで長く質問しようと思わない。しかし、五百八億を全部工場に出したのですよ。出したけれども、これは計画書のない工場が何カ所かあるんです。そこを私は具体的につかんでいるのです。だから、どういうふうにこの開発銀行の公害の融資が行われているかという実態を、どの企業にどれだけ出したか、秘密で出せなかったら理事会でいいですよ、そういうものを私に見せてもらいたい。納得できないんですよ、私たちはこういうことで。そういう資料を明確に私に説明してくれれば納得できるのですよ。やってないんだから、融資はしているけれども、企業は転換できてないんですよ。だから言っているのですよ。どうですか。
○政府委員(田辺博通君) 全部その計画がないのか、あるいはその計画がないとおっしゃっているのがどういうものなのかわかりませんのですが、私どもとしては、改めまして全部調査をいたしてみましょう。そして、もし仮にそういうものがあればそれは是正をしなければいけないと思いますが、具体的な資料といたしましては、その具体的な企業名とかいうようなことは相手先の関係もございますので避けたいと思いますけれども、何らかの方法を講じていたしたいと思います。
○三木忠雄君 まあ私この問題、それ以上詰めたいとは思いません。しかし、余りにも開発銀行あるいは輸出入銀行、何十億の融資の問題がべールに包まれているという実態、これは先般までもいろいろ予算委員会で審議をされてきた。こういう実態が余りにも明確にされないでわれわれ予算審議をやらなければならないということ、こういう問題がやはり非常に大きな問題点ではないかと思うのです。これは今後、私たちいろいろ論議を進めていきたいと思いますけれども、こういうソーダ製法の転換に対して自己資金三〇%、開銀七〇%という、こういう体制であったにもかかわらず、私たちの調査では自己資金は四・五%程度しか使われないで、ほとんど開銀融資が九六%も占めているという実態ですね。やはり計画がずさんであったのか、あるいは開銀から幾らでも借りられるのか。中小企業や零細企業はなかなか借りられない。しかし、こういう大手の企業は政府の推薦によって具体的に七割のところが九割も、あるいはもう一〇〇%も借りられるという、そういう実態というものはやはり改めなければならないのではないか。こういう点を大蔵大臣、どう考えられますか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございます。政府機関の融資でございまして、一段と厳正でなければならぬと思います。したがいまして、事態につきましては調査をいたしまして、適切な方法で御報告申し上げたいと思います。
○三木忠雄君 それではもう一つ、ソーダ業界の深刻な問題として通産大臣、認識をされていると思うのです。このダウケミカル社の申請の問題を通産省としてどういうふうに処理をしていこうと考えていらっしゃるのか。この点について、特に資本の自由化の問題と国内産業の保護という問題、これは非常にソーダ業界にとっても重要な問題だと思うのです。こういう点についてどのように認識をし、処理をされようとされているか。
○国務大臣(河本敏夫君) ソーダ業界は、いまお話しのように、資本の自由化が実現をしております。そこへ今回ダウから御案内のような膨大な計画が出たわけでございます。仮に資本の自由化が実現をいたしておりましても、わが国の産業に致命的な影響があるという計画の場合には、その影響するところを十分調査をいたしまして結論を出さなければならぬと思っておりますし、特に先ほど来お話しのような、ソーダ業界はいま製法の全面的な転換をやっておる最中でございます。その資金の負担も数千億という非常に膨大な額になっておりますし、そういうやさきに世界的な最大の企業であるダウが大規模な進出をしてくるということでございますので、その点は十分に調査をいたしまして、それから結論を出したい、こういうふうに考えております。
○三木忠雄君 もう少し具体的に、やはりソーダ業界も非常に心配している問題だと思うのです。通産大臣として、国際的には自由化の問題でいろいろ批判があると思うのです。またもう一点は国内の産業の保護という問題点、これを考えますと、やはり明確な態度は示さなければならないのじゃないか、いつまでもこれはずっとほうっておくわけにいかない問題じゃないかと思うのです。国際信用上の問題にも絡んでくると思うのです。この点についてもう少し具体的に答弁願いたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) いずれは結論を出さなければならぬ問題でございますが、しかし何分にも、先ほど来申し上げますように、わが国のソーダ業界に致命的は影響のある大問題でございますので、資本の自由化はしておりましても、業界全体の及ぼす影響がいかなるものであるか、しかも、それが製法転換の真っただ中で行われるわけでございますので、そこらあたりのことを十分検討するのには若干の時間がかかるわけでございまして、いまその検討を続けておるところでございます。
○三木忠雄君 私は、この問題でソーダ業界が混乱に陥らないように、今後育成をしっかりやってもらいたいと思うのです。 こういう問題と絡めて、やはり低成長下において国際競争力に勝っていくためには、いろいろ日本の産業構造改善をやっていかなければならない問題点が数多くあるのじゃないかと思うんです。特に機械産業等についてはいろいろ問題点があると思うのです。こういう点については、産業構造の改善の問題について通産省としてどういうふうに取り組んでいこうとしているのか。
○国務大臣(河本敏夫君) 特に一昨年の石油危機以来、産業構造の転換という問題はわが国の産業界の最大の課題になっております。これからの産業構造の転換の方向は省エネルギー、省資源、当然こういう方向にいくと思うわけでございますが、そのためにいまお話しの技術集約型と申しますか、知識集約型と申しますか、そういう産業構造の方へ転換をしていくわけでございますが、これにはやはり相当な時間がかかると思います。現在の重化学工業に軽工業から転換をいたしました場合でも、二十年という転換の時間がかかっておりますししますので、やはり相当な時間をかけてやっていきませんといろいろなトラブルが発生すると思いますが、しかし、いずれにいたしましても、最大の課題として取り組んでいきたいと考えております。
○三木忠雄君 この問題の最後として公害融資の問題、特に景気対策として第一次から第四次までの不況対策として公害防止事業あるいは安全対策の促進のために相当な融資が行われているわけです。果たしてこの問題が具体的に景気刺激につながるかどうかという問題、私が先ほど指摘したように、公害融資は行われたけれども、それは具体的な設備の方に回ってないというような実例も何点かあるわけです。こういう点から考えますと、一次から四次まで公害防止融資としていろいろ融資はされているけれども、果たしてこれが景気刺激に対してどれだけの効果を持つか、具体的にはどのような景気刺激に役立っているかということについて、関係大臣から伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘の公害融資でございますが、開発銀行、北東公庫、公害防止事業団等で行っておるわけでございますが、四十九年度追加分も含めまして、四十九年度分は全部消化済みでございます。五十年度分でございますが、開銀が追加分を含めまして千七百二十三億ございますが、そのうち千四百四十七億が上半期において契約済みでございます。公害防止事業団におきましては追加分も含めまして千二百六十五億でございますが、上半期でそのうち四百七十一億が契約済みでございます。私どもの見込みでは、融資枠の消化は完全に行われるものと思っております。 これがどのように景気対策として効用を発揮するかという問題でございますが、三木先生も御案内のように、こういった融資が行われて、それが景気対策として具体的に成果を上げてまいるまでには相当時間の経過を見なければならぬわけでございますので、いつごろどういう姿において成果が期待できるかということは的確にお約束申し上げることはできないのでございますけれども、契約が順調に行われ、消化が順調に行われるものと見込んでおりますので、所期の成果はこの分でまいりますと期待できるのではないかと考えております。
○三木忠雄君 これは経企庁長官、こういう不況対策で公害融資とか中小企業金融公庫等の融資が積極的に行われている。しかし、通産大臣にも関係あると思いますけれども、これだけではまだ不況対策が十分じゃないということで、年末融資等も相当強力にやるというような話が行われております。こういう点については、現在のこの公害融資等を含めた中小企業金融公庫等の融資、これだけではまだ十分ではないと、このように理解してよろしいですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 公害融資の方は、年初の予算に比べまして相当増加されております。ほぼ千八百億円でありました総額が、約千二百億追加されております。現在の時点では十分だと考えております。中小企業関係等におきましても現在十分だと思っておりますが、なお、もし不足のものが出てまいりますと、それに対しては適切な対策をとりたいと思います。
○三木忠雄君 最後に経企庁長官、こういう一次から四次、具体的に融資が行われているわけです。だけど、一向に景気が刺激されているとか、あるいは仕事の問題等も、特に中小あるいは零細企業等にはまだまだ日本の経済がどうなるだろうか。午後からもこの問題を論議したいと思っておりますけれども、具体的にこの四次の不況対策、景気刺激はどのような立場になって考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 第一次−第三次の不況対策は、いろいろやっておりますが、主として中小企業対策、それから全体としての景気浮揚に重点を置いたわけです。中小企業は、一つは金融の問題があるわけでありますが、これは私は実績といたしましてかなり改善されてきたんじゃないか。まあ、アンケート調査なんかやっております。ことしの正月ころかなり窮屈だと、こういう回答が多いわけでありますが、最近の調査、九月ごろの調査になりますと、ずいぶんこれは順調になってきたというふうな回答をするものがかなり多くなってきておるわけであります。それから中小企業に対しましては、金融のほか、受注の機会を増大をさせるということに重きを置いたわけでありますが、これが昨年、一昨年ごろは全体の受注の中で二七、八、九%、その辺を動いておったのでありますが、第二次不況対策のとき目標といたしまして三〇%、これをすでに超えまして新しい目標である三二・九%に近接をしておる、こういうような状態で、その辺もかなり私は改善を見た、こういうふうに考えております。 しかし、中小企業の中で特に、金融よりはむしろ仕事です。非常に受注機会が少ない少ないという苦情を聞いておるのでありますが、これはいろいろ対策を講じました。しかし、何せ輸出の落ち込みというものが非常に深刻に響いております。それから、それにも関連しますけれども、設備投資が意外に不振な状態でありまして、そういう間におきまして、まあ景気を支え、とにかく上半期において微弱でありまするけれどもプラス成長だというゆえんのものは、一つは消費が、落ち込んではおりまするけれども一五%程度の増加を示しておるということと、財政金融政策の結果、財政に関連する財貨サービスの需要がかなり堅実であった、こういう状態が大きく作用していると、こういうふうに見ておるのです。第四次不況対策におきましては主として財政に重点を置いたわけです。そして、これで二兆円程度の需要換起をしよう、こういうことでございますが、これの効果が年度中には六割方、一兆八千億円ぐらいは予想できる、こういうふうに考えております。それから、これに並行いたしまして金利の引き下げ、そういうようなことも行われる。これも環境改善に大いに力があるであろう。そういうことを総合いたしまして、下期はかなりの改善を見まして、上半期に比べて実質で三・一%ぐらいの成長、また、年率換算にいたしますとこれが六・二%ぐらいにはなるだろう、こういうふうに見ておりまして、ぜひそれを達成をいたしたい、かように考えております。
○委員長(大谷藤之助君) 午後零時五十五分まで休憩いたします。 午前十一時五十八分休憩 —————・————— 午後一時三分開会
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き、三木君の質疑を行います。三木忠雄君。
○三木忠雄君 それでは財政、金融、経済問題を中心に伺いたいと思うんです。 まず、一番いま国民が不安に思っているのは、いつごろ経済が安定するかという問題だと思うんです。特に高度経済成長に二度と返らない、こういう総理の言明あるいは経企庁長官のお話、低成長下になってだれがやはり一番しわ寄せを受けるか、こういう問題を考えますと、高度経済成長の時代にもやはり中小企業、零細企業あるいは一般国民がしわ寄せを受けている。低成長下になってどういうふうな実態に移行していくのだろうかということがいま国民が一番不安に思っている問題ではないかと思うんです。こういう問題で具体的に、やはり低成長に移行していく過程において具体的にどういう形でしわ寄せされ、あるいはどういうところが改善され、そして日本経済はどういうふうにして安定をしていくのかということを具体的に私は伺ってみたいと思うんです。 特に、この低成長下の財政あるいは金融また国際収支のあり方というものはどういうふうに考えているのか、この点についてまず大蔵大臣から伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 御存じのごとく、低成長になってまいりますと税収が思うに任せないわけでございますので、したがって、これまでのような自然増収を期待できないばかりか、減収、ことしいま経験いたしておりますように減収になりかねないわけでございます。それから歳出面におきまして景気対策その他、ごらんのように新たな歳出の需要さえ起こっておるような状況でございますので、財政の運営は大変厳しいものになるということでございます。したがって、歳入歳出面両面にわたりまして厳しい再検討を加えまして、新たな均衝を回復するにつきましてはよほどの工夫が要ると思うのでございます。そしてそのことは、財政を通じましてインフレを招来しないようにしなければならぬわけでございますので、そしてそれが同時にあなたが言われるように、国際収支の逆調を招くようなことのないようにしなければならぬわけでございますので、内外あらゆる制約の中で財政の運営をやってまいらなけりゃならぬという大変むずかしい局面に逢着するわけでございます。一口にお答え申し上げるわけにはまいりませんけれども、きわめて厳しい選択を強いられるというように考えております。
○三木忠雄君 いまの厳しい選択ですね、具体的に、たとえば財政再建のために歳出あるいは歳入構造の改革を考えなければならない重大な段階じゃないかと思うんですね。この点については大蔵大臣、具体的にどういう歳入あるいは歳出構造の改革というものを考えているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 歳出面におきましては、歳入が制約をこうむっているにかかわりませず、人件費を初めといたしまして、これをカットしてまいるということが非常に困難な状況でございます。当然増の経費がこのまままいりますと、来年でも一兆八千億にも上ろうといたしておるような状況でございますので、新たな歳出需要を遠慮していただくということがまず一番大きな課題になろうと思うのであります。それから、いままでやっておりましたことをもう一度見直しまして、不急不要ばかりでなく、必要なものでございましても、プライオリティーの低いものにつきましてはこれを節減してまいるという努力が要請されると思うのであります。それから人員の、定員の管理でございますとか、機構の簡素化でございますとか、そういった点につきましてより一層厳しい規制をやってまいらなければならぬことも当然のことと思っておるのでございます。 歳入面におきましては、増税をお願いすると申しましても、いま増税がお願いできるような経済の状況でございません。しかし、最小限度の歳出の需要はどうしても満たさなければならぬわけでございまして、いろいろ検討はいたしておりますけれども、結局新たな財源を相当お願いしなければならぬような事態は明らかでございます。しかし、それにいたしましても漫然公債に依存するとか、あるいは増税に依存するとかいうようなことは慎まなければならぬわけでございますので、既存の税制の中でぎりぎり徹底的に見直しまして、増収の道がどこまで確保できるかということをもう一度見直してみるということがまず当面の課題になろうと思いまして、そういうことをやり遂げて、現行税制の中で不公正と目されるものは一応は整理されたじゃないかという前提の上に立って、初めて増税とか、あるいは公債とかいうことについての国民の理解を求める手だてを講じていくべきじゃないかと考えております。
○三木忠雄君 私は歳出構造の問題も後で行政改革の問題で一部お聞きしたいと思っておりますけれども、端的に言って来年度の予算、何か報道によりますと二十四兆か二十五兆、公債発行七兆円と、こういうふうな話ももうすでに出ているわけです。何だか公債発行してその場を何か切り抜ければいいんじゃないかと、そして歳入歳出の洗い直しをしないというような態度で来年度予算も組もうとしているような、安易なこういう計画ではないかということを私考えるんですけれども、当面の財政運用の問題、あるいはまた日本の将来にとっての財政再建への中期的な見通しというか、こういうものをかみ合わせながらやはりしっかりさせていかなければならないのじゃないかと思うんです。この点について大蔵大臣、当面の来年度の予算についても歳入歳出を全面的に洗い直していくという立場でこの来年度予算を組まれるかどうかです。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、全面的に歳入歳出両面にわたりまして洗い直さなければなりませんし、その洗い直した上の基盤に立って来年度の予算の編成にかからなきゃならぬものと思います。
○三木忠雄君 そうしますと、特に、五十年度の財投ともからんでまいりますけれども、この景気の落ち込みを是正するために、財政を中心とした景気浮揚策がいまとられているわけです。今回のこの政策で果たして景気回復がどういう軌道に乗っていくかという、その見通しですね。これについて経企庁長官にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほども申し上げたのですが、下半期には大体実質において六%程度の年率成長が実現される、そういうふうに思っておるわけです。その成長を実現させる起爆力といいますか、エネルギーは、これはもう財政にあるわけです。それの状態が一体来年度においてどういうふうになっておるか。いま非常に経済が困難な原因というのは、これは設備投資の落ち込みと、それから輸出の非常な落ち込みと、こういうことにあるわけでございます。その落ち込みがどういうふうに来年是正されるだろうかというところが問題点なんですがね。設備投資は、私は来年のことでまだ詰めてはおりませんけれども、やや改善はされるだろうとは思いまするけれども、そうそう改善ということはまだ多くを期待することはできない。輸出はどうかと言いますと、これは十五日からパリの首脳会談がある。そういうようなことで各国の足並みもそろいまして、それでひとつ景気対策をやろうというようなことになるということになりますと、まあ若干の期待は持てると思うんですが、これもそう多くを期待するということにもいくまいだろうと思うんです。 そうすると、やはり来年あたりの段階におきましては、この財政の任務、この下半期に担当いたしました任務、そういうものがどの程度の規模になりますか、どの程度の重量感を持たなきゃならぬか、これはまだ詰めてはおりませんけれども、やはりこの財政というものが影響をされる大きな力にならざるを得ない傾向にあるだろうと、いまのところはそういうふうな達観をしているのですが、これから年末までの景気の動き、そういうものを見まして経済の見通しも立てる、予算の編成もする、そういうことになりましょうが、非常に大きく見ますと、そんなような感じがしてならないのであります。
○三木忠雄君 まあ達観しているけれども、そのとおりいけるかどうかは非常に私問題だと思うんですね。特に今回のこの不況の性格ですね、いままでのような日本経済の経験した循環的な不況とはちょっと私は異なっているんじゃないかと思うんです。こういう不況の性格について政府はどのように判断をしているのか、この点について。
○国務大臣(福田赳夫君) わが国の景気は、これは回復過程に入っておるということは申し上げたとおりであります。世界じゅうがとにかく寄り合ってお互いに検討しているんですが、プラス成長になるのはわが日本だけなんです、ことしは。まあわが国は微弱ではありますけれども、とにかくプラス成長だという上半期の実績でもありまするし、下半期はそれがさらに高進をする、こういう状態でございますが、そういう状態は三月ごろから出てきておるんです。三月から生産がずっと上がってきておる、また出荷も上がる、稼働率も上がってくる、こういう状態でありますが、ところが、そういう上昇過程にあるにかかわらず、産業またその他の企業ですね、非常に不況感をかこっており、実際非常に苦しい状態である。 それがまた財政面にも反映いたしまして税の落ち込みということにもなっておるんですが、その原因はどこにあるかと、こう言いますと、そういうなだらかではあるが上昇過程にある、つまりマクロ的に見ると日本経済は前進向上いたしておるというにかかわらず、個々の企業の負担が非常に重いんです。つまり、望ましいというか、適正な操業度というものがあるわけです。その適正な操業度からうんと落ち込んだ操業率でいま企業は動いておる。それが改善されつつはあるのでありまするけれども、その適正、望ましい操業度になお達しないかなりの設備、人員の遊びがある。そこで人件費の負担ですね、それから金利の負担、これが企業の経理を圧迫する。そこで個々に見ますると、非常に企業は苦しい状態にある。これが私は今日のわが日本経済が不況であるというものの実態であると、そういうとらえ方をしております。
○三木忠雄君 そこで、先ほど申されましたように、設備投資の落ち込みがどう来年度改善されるかというこの問題ですね。これとあわせて、やはり高度経済成長時代の過剰設備ですね、これは低成長になったときに具体的にどう調整していくかという問題が私は大きな問題じゃないかと思うんです。この問題を具体的に、まあ九〇%から九五%と、こういうふうに副総理は見ているわけですけれども、高度経済成長時代につくった過剰設備を、低成長になったときに具体的にこの設備投資をどういうように考えていくのか、この具体的な方策を伺いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ基本的な考え方は、いま設備が遊んでおる、その設備の遊んでおる状態は、これはどうも、いわゆるデフレギャップと言いまするけれども、計数的に的確につかむそういう材料がないんです。ないんですけれども、生産業稼働率指数というものがありまして、傾向はこれで判断できる。この三月にそれが底でありまして、これは七七%というところだったんです。この七七%というものが本当の実体的な稼働率を示すかというと、そうじゃない。大体学者、専門家の検討するところによりますと、さらにそれに〇・九%を掛けなければならぬだろう、こういうふうに言われるんですが、そういう意味の稼働率指数、これが七七。これがだんだんだんだん生産の増強とともに改善をされてまいりまして、八月がいまわかっておりますが、八月の時点で八三まで来ているんです。実際の稼働率はそれにさらに〇・九を掛けなければなりませんが、八三まで来ている。そしていま補正予算をお願いする。で、第四次不況対策をとる。その結果、大体来年の三月末の時点ではこれが九〇%に近いところまでいくと、こういう見通しを立てておるわけであります。 九〇%までいきますけれども、実際の稼働率はまだ〇・九%掛けるんですかち、したがって八一%、こういう状態だと。適正な稼動率というものはなかなか判定はむずかしいんですが、大体、専門家の見るところでは、稼動率指数にいたしまして九五、それから財界なんかはもっと欲が深いというか、高いものを希望いたしまして一〇〇だと、こう言いますが、この稼働率指数というのが、経済が過熱ぎみであった昭和四十五年を基本といたしておりますので、一〇〇までいくとちょっと過熱ぎみになりはしないか。大体九五という程度までいけばまあまあという、会社経営が順調にいく段階じゃないか、そういうふうに言われておりますが、それが来年の三月末でとにかく九〇%をちょっと割る、九〇%に近づく、そういう段階でありますので、なお本当の望ましい稼働率まで達しないんです。私はさらに一年ぐらいはかかるだろうと、こういうふうに思いますが、とにかく最終需要を喚起いたしまして、稼働率を望ましい水準まで持っていく、それの努力をするということが私は今後の経済運営の基本にならなければならないと、こういうふうに考えておるんです。 もとより、そういう時間の経過がずっとあって古くなる設備なんかも出てきますから、そういうものはこれはまた近代化しなきゃならぬ、こういう問題もあります。あるいは客観情勢が石油ショック後非常に変わってまいりまして、いろんな産業が体質の、構造の改善をしなけりゃならぬ、そういう問題にも迫られておりますが、基本は、何といたしましても最終需要を起こして適正な稼働率水準を早く実現をする、そういうところにあると、こういうふうに考えております。
○三木忠雄君 そうしますと、設備投資、稼働率から計算しますと、あと一年後、ざっくばらんに言って一年後に大体稼働率九〇%、いままでの高度経済成長時代の一・〇〇%には返らないにしても、九〇%ぐらいに落ちつくと、そういうふうに理解をしてよろしいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 大体、来年度いっぱいぐらいにそんな水準に持っていくことが妥当であると、そういうふうに考えております。
○三木忠雄君 そうしますと、通産大臣に伺いたいんですけれども、産業構造の改善、先ほどもちょっとお伺いしたんですけれども、低成長になっていろいろ産業の構造改善をやらなきゃならない。特に低成長に移っていきますと、やはり中小企業や零細企業に大きな影響が出てくるのではないかと思うんです。こういう問題について具体的に、低成長に移行していく過程において中小企業や零細企業に対する対策をどういうように考えていくかということについて具体的に伺いたいと思うんです。
○国務大臣(河本敏夫君) これまでの高度成長から安定成長に移っていく過程におきまして、やはり中小企業も相当産業構造の転換があると思います。これまでは国際競争力を強めるという一点に集中しまして、中小企業対策を強化策を講じたわけでございますが、これからはやはり生活に関連した仕事等が相当ふえてくると思います。そこで、そういう方面への産業構造の転換を図っていきます場合には、資金も相当要るわけです。転換資金が相当要りますので、必要な転換資金につきましては十分供給しなければならぬ、こういう考え方のもとにいろいろ対策を立てております。
○三木忠雄君 もう少し具体的に。生活関連の方向に動いていく、確かに高度経済成長から低成長、特に福祉経済の方向に動いていくと私は理解するわけです。そうしますと、生活関連事業というものが非常に重要視されてくる。それの移行に伴って中小企業、特にまた雰細企業等がやはり日本の経済の動きに非常に振り回されて具体的な手だてができない、非常におくれてくる、こういう問題があるわけですね。一番乗りおくれるのが中小企業や零細企業。こういう問題に対する政府のしっかりした中小企業対策、あるいは零細企業対策というものが明確に打ち出されていかなければならないのではないかと思うんです。これは五十年代以降の大きな私は問題ではないかと思うんです。そういう点がやはり通産省としての姿勢がどうも企業寄りの姿勢で、中小企業や零細企業に対する考え方が余りにも弱いのじゃないかと、こういうふうに考えるわけです。この点についてのもう一つ具体的な対策案を欲しいと思うんです。
○国務大臣(河本敏夫君) 前国会におきましても、このために中小企業近代化促進法の一部を改正をしていただきまして、大分仕事がやりやすくなってまいりました。しかし、なおそれでは不十分でございますので、次の通常国会には、この転換のために総合的な立法が必要ではないかと、こういうことでいま準備をいたしておるところでございます。 それから零細企業につきましてお話がございましたが、日本の場合は零細企業が非常に多いものですから、これに対しましては十分な対策が必要だと思います。資金面ではこの零細企業に対しまして、零細企業といいますか、小規模企業に対しまして無担保、無保証、この融資枠を非常に増額をいたしまして、ほぼ昨年の倍額、二千四百億円、こういう数字がことし出ることになっておりますが、来年義以降も引き続きまして、この分野は大いに拡大をしていきたい、こういう対策をとっております。 それから同時に、中小企業のうち特に零細企業は、業種の転換等を図る場合にもやはり相談をするものが必要である。こういう考え方に立ちまして、いま経営指導員が全国で約七千名おりますけれども、これにいまいろいろ相談をさせる。さらに、この経営指導員の質の向上を図りますために、中小企業大学をつくりまして、そこで再教育をしていく、こういう方法も講じております。中小企業対策に対しては十分な配慮が必要である、こういう考え方のもとに総合的に進めておるわけでございます。
○三木忠雄君 もう一点ここで伺っておきたいのですがね。やはり私たち公明党が大企業と中小企業の分野調整法案を提案しております。やはりこういう不況時代あるいはまた低成長に移行していく、こういう形になりますと、たとえば印刷業界にしても、クリーニング業界にしても、大手の企業の資金によって中小、零細まで圧迫をしてくるという問題が非常に多いと思うのです。これはすでに通産省でも実態調査を始められていると思いますけれども、やはりそこの分野調整、お互いに——私は何も大企業の全部か悪いと言っているわけじゃない。やはり中小企業、大企業の分野を明確にして、お互いに成り立っていくような姿をつくり上げていかなければならないんじゃないかと思うのです。それが資金と、あとで銀行等の関連もあります、小会社の問題等も私は分析したいと思っておりますけれども、余りにも資金とあるいは企業の機構によって中小企業、零細企業を圧迫するという、こういうふうな方向に進みがちではないか。これをどう調整していくか、分野調整法案等の問題を総合的に通産大臣として考えていくおつもりがあるかどうか。
○国務大臣(河本敏夫君) この分野調整という問題は、私は中小企業政策の上におきましても非常に大きな課題だと思います。これを法律で規制をするか、行政指導でやっていくかということに議論の分かれ道があるわけでございますが、通産省の考え方は、法律でこれを規制いたしますと立法技術の上で非常にむずかしい問題が出てくるわけです。それから、一定の企業分野には中小企業以外絶対出てきちゃいかぬという法律ができますと、やはりその上にあぐらをかきまして、結局技術の進歩がおくれやせぬだろうか、こういう心配も出てくるわけです。そうしますと、結局消費者に対して迷惑をかける、こういうことになりますので、技術の進歩という面から考えましても若干問題があるのではなかろうか。こういうふうに考えまして、行政指導でできるならばそれに越したことはない、こういう考え方でただいまは進めておるわけでございます。 いま御指摘がございましたように、クリーニングとか印刷とか、そういう分野で確かにトラブルがございました。しかし、幸いにこれまでも行政指導で大体解決いたしておりますし、それからなお豆腐であるとか、もやしであるとか、そういう分野でも大企業の進出ということがあったんですけれども、これもやはり行政指導で大体解決をいたしました。でありますから、行政指導で解決できるということであれば、法律で分野調整するよりもベターではなかろうかと、こういうことでいま考えをまとめておるところでございます。
○三木忠雄君 この分野調整の問題はまた別な委員会でいろいろ議論をしたいと思っていますが、いずれにしても低成長に移行していく過程において、中小企業や零細企業にしわ寄せが余りにも過酷に行われないように、そのための十分な行政指導なりあるいは各省での対策は講じてもらいたいと思うんです。 それで、もう一つ関連しまして労働大臣に伺いたいと思うんですが、やはり低成長路線になりますと、雇用の問題がやはり大きな課題になってくると思うんです。したがって、この雇用政策というものは非常に重要な一つの柱になってくるのではないか。いままで労働省が基準監督とかそちらの方に主力があった。雇用政策をどう具体的に反映していくかということが大きな課題ではないかと思うんですが、この点についての労働大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) 高度経済成長時代は、おっしゃるように労働者の安全の問題が大事でございました。こういう安定成長になりまして、いま求職者一人当たりにつきまして求人数は〇・五倍。三月以降生産活動は明るくなりましたが、まだまだ滞留しているわけでありまして、今回の総合的な景気対策によって前途に明るいものを期待しているものであります。一方また、何と言いましても中高年齢者の方々の離職者が滞留している。そういうことからしますというと、いまから先は、御審議いただきました雇用保険法あるいは職業転換給付金、こういうものを積極的に活用いたしまして、私は労働者の生活の安定と再就職に努めてまいりたい。なお、従来と違いまして安定成長下におきましては、雇用対策基本計画を見直さなきゃならぬ、こういう感じ方でいまその作業を進捗しておりますが、いずれにいたしましても、御心配いただきました勤労者並びにその家族の生活のかかる問題ですから、誠意を持って熱心に具体策を実行してまいりたいと、こう思っております。
○三木忠雄君 具体的な問題は今後だと思いますけれども、こういう安定成長、低成長になって、景気の変動によって絶えず働く労働者が苦しまなきゃならないという、失業者がいま百万人あると、こういう問題をもう少し具体的に国の施策として、安定して働ける、あるいはそういう雇用不安をなくするというそういう労働政策というものが私は必要じゃないかと思うんです。この点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) 近代国家はやっぱり完全雇用政策というものが基本でございますから、おっしゃるように、日本は働く諸君によってこれだけの国が保たれていくということですから、そういうことを具体的におっしゃるとおりやってまいりたいと、こう思っております。
○三木忠雄君 じゃ、もう一つ、大蔵大臣ですね、やはり低成長で福祉対策が非常に問題になってくると思います。資金の調達等の問題で非常に苦しい状況下に確かにあると思うんですね。こういう福祉政策、これを具体的にこの財政硬直化した中においてどういうふうに進めていくか、この点について、これは厚生大臣にも関係ありますけれども、厚生大臣並びに資金面における大蔵大臣の見解を伺っておきたいと思うんです。
○国務大臣(田中正巳君) 社会保障政策の今後のあり方でございますが、確かに安定成長下に入りますると、その財源について従来のような安易な方法ではこれが調達ができない。したがいまして、下手をいたしますると福祉の向上の停滞が生ずるということであろうと思います。そこで、前々から政府で申し上げておるとおり、一つは政策の厳しい選択というものを、プライオリティーを考えまして、本当にプライオリティーの高いものについてこれを優先させていくという方法が一つ求められると思うのであります。いま一つは、費用負担をどのようにして求めていくかということだろうと思います。大体わが国においては、西欧の社会保障先進国と比べますると、税負担では三分の二、そして社会保険料では実に三分の一ということでございますので、こうしたような状況を踏まえて、今後財源の合理的な調達について各方面の理解を得つつやらなければならないということだろうと思います。 こうしたことで、いろいろと今後は非常に苦労の多いところだろうと思いますが、やはり国民は福祉の向上を求めておりますし、経済の動向のいかんにかかわらず人口は老齢化するということを考えるときに、今後国民各層の理解のもとに福祉の向上に相当の工夫と努力が必要であることは申すまでもないところだろうと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 福祉政策は、できることならば景気の消長、景気とか不景気というのにかかわりなく、財政が楽とか窮屈だとかいうことにかかわりなく、堅持してまいりたい基本的な政策だと思うわけでございます。できるだけ尊重してまいりたいと考えております。ことしの予算におきましても御案内のように社会保障関係の予算は最高の伸び率を示したわけでございますが、財政が空前の窮乏期に入ったわけでございますけれども、既定の計画はそのまま実行いたすことにいたしておりますのも、そういう趣旨に出たものでございます。しかし、今後日本の人口構成がだんだん老齢化してまいるということになってまいりますと、社会保障制度がこのままでありましても、財政負担は大変増高してまいるという傾向にあると思いますので、いま厚生大臣が言われましたように、費用負担の面でいろいろの工夫をあわせて考えながら、給付の水準は何としても維持してまいるように努めなければならないのではないかと考えております。
○三木忠雄君 厚生大臣、費用の問題で何か高福祉高負担みたいな、何かこう保険料の値上げとかいろいろなことを主力に考えているような私考えを持つのですけれどもね。やはり経済の動向に関係なく基本政策を推進するという、こういう立場に立ったら、低成長になったからといって福祉にそれがしわ寄せてくるというそういう弱い態度では、やはり、いままでの財政構造を是正してより充実した福祉政策を実現していかなければならないのではないかということを私は強く主張したいんです。その点についてもう一度厚生大臣から。
○国務大臣(田中正巳君) 厚生省としては、福祉政策の向上は、これを願ってやまないところであります。しかし、いずれにいたしましても何らかの形で財源を求めなければこれはやっていけないことであります。したがいまして、どの道から財源を求めるか、向上の道を求めながら財源の調達を求めるということになると、いろいろ工夫が要るということだろうと思います。スウェーデンの経済学者のミュルダールの言葉に、もし国民が高い福祉と低い負担が同居できると思ったならば、それはインフレにつながる、インフレはやまないという言葉をわれわれはかみしめて考えなければならないと思っております。
○三木忠雄君 結論的にはスウェーデンに持ってきて、やりたいという厚生大臣の考えかもしれませんけれどもね。私この問題で議論すれば一時間も二時間もしたいんですけれども、この問題ばかりやっているわけにいかない。いずれにしても、こういう低成長下になっても福祉政策をさらに推進していく方向に大蔵大臣、厚生大臣はしっかり考えていただきたいと思うんです。いつも苦しめられるのはこういう弱者、力の弱い人たちがいつも苦しまなければならないということ現状を、日本の政治を担当するわれわれが真剣になって考えていかなければならない問題ではないかと思うのです。 次に日銀総裁に伺いたいのですけれども、景気の見通し、今日まで日銀がいろいろ景気判断をしてきたわけでありますけれども、ことしの春から今日まで、わが国の景気動向を日銀はどう判断してきたのか、これについて、まず順を迫って説明願いたいと思うんです。
○参考人(森永貞一郎君) お答えいたします。 この春ごろの経済情勢の判断といたしましては、当時、生産、出荷等は微増を取り戻し、また在庫も微減の状態になりましたし、また、懸念されておりました雇用情勢も一時小康を得つつあるような情勢でございましたので、いわゆる景気の底入れは二−三月を底にして済んだのではないか、その後はきわめて緩やかではあるが景気が回復の傾向に転ずるのではないか、もとよりきわめて緩やかな上昇でございまして、かつてのようなV字型の上昇は望まれない状態でございましたが、まあかすかながらも上昇の軌道に乗れるのではないか、ことにことしの下半期以後になりますれば回復の傾向がやや顕著になるのではないかというような判断をいたしておりましたのは事実でございます。しかし、その後の経済情勢の推移を見ておりますと、もう最終需要の回復がなかなか予期しておりましたとおりにまいりませず、設備投資はもとよりでございますが、輸出が国際経済の低迷の影響をもろに受けまして大変減少をするというような状態がやってまいりました。さらにはまた、個人消費につきましては、消費者物価が落ちついてくれば堅実な消費の伸びが期待できるのではないかと思っておりましたが、依然として一進一退、非常に慎重な消費態度が続いておるわけでございまして、どうも最終需要の伸びがはかばかしくない。それに加うるに、雇用情勢もまた七−八月ごろから少し悪くなってまいりまして、経営者の景況感は大変深刻な状態がその後も続いておる。それには企業の収益が大変悪化したということも非常に大きく手伝っておるかと思います。 なぜ収益が悪化したかということにつきましては、この席でもいろいろ質疑応答が繰り返されたことでもございますので、私からは繰り返し申し上げませんが、というような情勢でございまして、当初考えておりましたよりも景気の回復がおくれてきておる、そういう情勢に着目いたしまして、私どもといたしましても、政策のウエートを、物価の安定はもとより大切でございますが、その大枠を崩さない範囲内で景気の着実なる回復に逐次移していく必要があるのではないかという判断をしたわけでございまして、その結果が、第一次から第四次までに至る公定歩合の引き下げないしは窓口規制の弾力化等の施策にあらわれておるわけでございます。他方、物価の方は、ここにもしばしば問題になりましたように、幸いにして鎮静化の傾向が持続いたしておるのでございまして、その傾向をさらに定着化させることを忘れてはなりませんが、その大枠の中で逐次景気の回復に配慮していかなければならない、そういうような経済情勢の推移に相なっておるかと存ずる次第でございます。
○三木忠雄君 ここで日銀総裁として、この三月、あるいは二月−三月に景気は底を打ったと、こういうように景気判断をしておったわけです。あるいはまた五月−六月に、緩やかであるが景気が回復しているという、それが七月になって景気回復説を修正した。確かに二月−三月の景気判断というものを日銀は誤ったわけですね。その点どうですか。
○参考人(森永貞一郎君) 春ごろの景気判断でも、景気のV字型の急激な回復はとうていあり得ないものと、かすかな回復にすぎないというふうに考えておったわけでございますが、その当時考えておりましたよりも、また実際は、現実はさらに回復の勢いが微弱なものになっているということは事実でございます。私どもといたしましても、世界経済の影響のもとにおける輸出の動向、あるいは個人消費の動向等に関しまして、この春ごろの情勢ではやや判断が甘かったのではないかという御批判は甘受しなければならないと思っております。
○三木忠雄君 確かに、いまの景気判断の誤り、これがやはり大きく二次、三次の不況対策の発動時期とかあるいは内容等に幾分の影響を与えたということは私は事実だと思うのですね。そういう問題が公定歩合の引き下げあるいは金融緩和の問題に大きな影響を及ぼしたと思うのですけれども、この点についての責任はどう感じていらっしゃいますか。
○参考人(森永貞一郎君) よく言われておりますように、経済は生き物でございまして、私どもといたしましては、そのときどきの経済情勢を的確に判断し、それに最もふさわしい適切な対策を講ずるということで推移いたしておるわけでございます。大きな方向としては決して誤っているとは存じません。ある場合には慎重過ぎるというような御批判もございましたし、私どももその批判を甘受しておるわけでございますが、他面、物価鎮静化等の望ましい経済情勢を導入することにおきましては、それなりに効果があったものではないかと存じております。
○三木忠雄君 しかし、この八月以降の日銀の態度というのは余りにも急転直下の変化の姿を示したというのが私は実情じゃないかと思うのです。これは特に政府の国債政策の地ならし対策じゃないかと、こういうふうに言われておるわけですね。預金金利の引き下げであるとか、公定歩合の引き下げであるとか、窓口規制の緩和、こういう問題を考えますと、やはり赤字国債消化のための露払いをやっているのじゃないかと、こういうふうにも一部で言われておるわけです。私は日銀の立場を踏まえた答弁を願いたいと思うのです。
○参考人(森永貞一郎君) 先ほども申し上げましたように、物価鎮静化の傾向が定着しつつある。それだからこそ不況対策の方に一層配慮することができるようになったわけでございまして、私は、本当の意味の不況対策というものはやはりインフレの克服なくしてはあり得ないのではないかと、その意味でことしの前半にはそういう面にウエートを置いた対策に終始したわけでございますが、幸いにして物価鎮静化の傾向が定着しつつあると見受けられるに至りましたので、景気対策の方にシフトすることができるようになったのだと。それによって私どもといたしましては景気の着実なる回復を期待をしておる次第でございまして、その意味で三次から四次の公定歩合の引き下げも実行いたしたわけでございます。ただいま、国債が巨額に発行される、それの露払いではないかという仰せでございましたが、公債の消化につきましては、もちろん私どもといたしまして金融機関の協力を求め、万全を期さなければならぬのはもちろんでございますし、また、その反面、必要なる産業資金の供給にも事欠かないように努力しなければならないわけでございまして、その面から今後の金融市場の調節が私どもの大変重要な任務になっていくわけでございますが、これはあくまでも金融市場全体としての調節ということでございまして、国債の消化のための露払いというような感じで施策をいたしておるわけではございませんので、御了承いただきたいと思います。
○三木忠雄君 最後に、預金金利の一%引き下げという問題、きょうから実施されているわけです。こういう問題から絡み合わしますと、第五次の公定歩合の引き下げまで絡んだ上の預金金利一%、こういう考え方に立っているんですか。第五次公定歩合の引き下げというものを意図されているのかどうか、この点について。
○参考人(森永貞一郎君) 一次から三次までの公定歩合の引き下げの際には、預金金利を据え置きましたことは御承知のとおりでございます。その結果どういうことになっておったかと申しますと、一年物の定期預金の金利が七・七五%、それから金融機関の短期の標準貸し出し金利、プライムレートも七・七五と、全くさやのない状態まで短期金利は下がっていたわけでございます。そこで、さらに金利の引き下げを実行いたしますためには、公定歩合だけでなく預貯金金利の引き下げも必要であると判断したのでございますが、その理由の第一は、もし預貯金金利を据え置いたまま公定歩合を下げますと、それに伴って短期の標準金利が下がる、そうしますと、一年物定期預金との間に明らかに逆ざらになるわけでございまして、逆ざやになった場合にどういうことが起こるかと申しますと、かつてそういうこともございましたが、金融機関はこの逆ざやを補てんしようということで、いわゆる貸し出し競争に走り、四十六、七年に見られるような過剰流動性というような状態が出現したわけでございまして、私どもといたしましては、金利体系上やはりこれ以上の公定歩合の引き下げには預貯金金利の引き下げが必要であると判断したわけでございます。 それからもう一つは、公定歩合を下げましても、実際企業に貸し出される実効金利が下がらなければ公定歩合の引き下げはノミナルに終わるわけでございまして、実効金利の引き下げを極力促進しなければなりません。それには金融機関の据え置き状態から考えまして限界があるわけでございまして、これ以上貸し出し金利の引き下げを促進するためには預貯金金利の引き下げが必要であると判断したわけでございます。 今回は、公定歩合、プライムレート並びに預貯金金利、いずれも一%の引き下げということでございますが、その枠の中でさらに第五次の公定歩合の引き下げを考えておるかどうかというお尋ねでございますが、私といたしましては、現在全然考えておりません。目下は、これらの措置に伴う実際の市中貸し出し金利の低下を極力促進し、その成果を、効果を見守っていくべき段階であるというふうに考えております。
○三木忠雄君 総裁、結構です。 それでは、金利引き下げ問題で一、二伺いたいと思うんですけれども、大蔵大臣、公定歩合の引き下げに連動させて預金金利をきょうから引き下げているわけですね。本当にこれを一%下げなければ銀行はやっていけないのかどうかということですね。まあ、いま日銀総裁から一部答弁がありましたけれども、この点についての詳細な検討が行われたのかどうか、預金金利を下げなければならない理由というものを、もう少し国民にわかるように説明していただきたいと思うんです。わが党の正木議員からも郵便貯金の引き下げの問題では衆議院で論戦しました。余りにもこのしわ寄せは国民が一番受けるのではないかという印象を受けるわけです。これを明確に国民にわかるような説明を願いたいと思うんです。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど日銀の総裁からもお話がありましたように、過去三回の公定歩合の引き下げの場合、預金金利に手を染めていなかったわけでございます。今度引き下げをお願いいたしたわけでございますが、これ、引き下げと申しますけれども、石油危機の発生前の状況、たとえば銀行預金で申しますと、一年定期預金で、石油危機発生前は六分であったわけでございます。今度一%引き下げいたしましても六分七厘五毛なんでございまして、石油危機発生とともに総需要抑制策の一環として政策的に金利を上げてまいったわけでございますが、それを一部もとに復元しようという性質のものでございまして、もともと安いものをさらに引き下げていくというようなものではないということ、これは重々御理解をいただきたいところでございます。 それから、今度政府がようやく景気政策をとり得る状況になりまして、金利の引き下げにつきましても思い切った措置を要請されておったわけでございますが、預金金利に手をつけないままでは、もうすでに先ほど申しましたように逆ざや現象が起こってまいるということでございまして、そこで、この際といたしましては一部復元を認めていただきまして、少なくとも一%程度以内においての引き下げということは御理解をいただける筋合いのものではなかろうかと考えたわけでございます。 それから、銀行はしかし一般に大変もうけておるじゃないかということの御批判でございますけれども、それから現にそういう認識が一般にございますけれども、最近金融機関の収益状況というのは非常に急激に悪化しておるわけでございます。四十九年の下期の状況を見ましても、各金融機関別に、たとえば都市銀行は前年同期に比べまして〇・三%の低下を来しておりまするし、地方銀行、相互銀行、信金、皆おしなべて急激な総資金、利ざやの低下を来しておるわけでございます。かたがた、私どもといたしましては、ただいま御相談申し上げておる程度のことはお願いいたしましても決して無理な相談ではなかろう、御理解いただけるのではないかと存じて実行をお願いいたしておる次第でございます。
○三木忠雄君 なかなかこれも、そういう意見では私たちも納得できない問題ですね。具体的に、銀行の収益が悪化しているといっても、この三月の決算期を見ましても、ほとんど二十位までの上位を占めているのは銀行ですよ。やはり不況のときは銀行だって等しからざるべき実態というのはまずいと思うんですね。銀行だけがもうかっている。いわゆる一%下げによって、たとえば長期金利の下げ幅についても、あるいは貸し倒れ引当金の問題についても、あるいは全銀協の加盟銀行の任意積立金が総額二兆五千七百億あるというのです。こういうふうな問題を取り崩しても、やはり一%の金利引き下げという問題は考えなきゃならない問題だと私は思うんですよ。貸し倒れ引当金の問題もいろいろ論議をされました。一点、この長期金利の下げ幅にしても、自民党の内部ですら〇・五はまずいと言っているわけでしょう。こういう点について、やはり大蔵大臣として、自民党の政調会長の松野さんからいろいろ、貯金金利を一%引き下げる、企業に対する長期貸し出し金利〇・五%では余りにも逆ざやになって銀行を優遇し過ぎるということで批判が出て、大蔵大臣は再約束したわけでしょう。しかし、やはりあすからは〇・五じゃないですか。あるいはまた、一般国民が借りたい住宅ローンの問題、当初は〇・四八ぐらいであったのが〇・三六に下がろうと、こうしているわけですね。やはり銀行に対する大蔵省の姿勢というものが非常に弱いのじゃないか。やはり国民だけにしわ寄せをし、銀行は逆ざやになって利益を得ているという、こういう点が私は考えられるのではないかと思うのです。この点についての考え方は、大蔵大臣、いかがですか。
○政府委員(田辺博通君) 五十年三月末の収益が他の産業に比べましてまあ良好ではないかと、これがために銀行はもうけ過ぎておるのではないかというような声が聞かれますが、私どもは、銀行経営の基礎と申しますのは、非常に低い利ざやであっても安定した収益がある、つまりもうけ過ぎでもないし、ましてや損もしないというような安定した収益状態でもって、やはり内部留保の改善充実を続けていくことが銀行行政の基本であると思っております。もちろん、過当な利益を得ることは認められないのでございますけれども。そういう意味合いで、他の企業が非常な不況の状況のときに減収、減益となってまいる、もちろんその前には相当の増収、増益があった、言うなれば上下の運動が激しいわけでございますけれども、銀行の場合にはそういうことのないように、なるべく安定した状態で進めてまいりたいと、こう考えております。 また、先ほども大臣から説明がありましたけれども、この五十年九月期に終わる期、それからさらに来年の三月に終わる期には、この三月期の収益状況からはさらに減益になるということが見込まれております。 これに関連しまして、長期の金利の下げ幅が少ないではないかという御質問でございますが、御承知のとおり、長期の金利と申しますのは、これと競合いたしまする公社債の発行状況、市場の実勢、これに影響を受けます。それからコスト面からも、金融債の発行条件、またこれは市場の状況に影響を受けるわけでございまして、私どもとしては、今回の預金金利引き下げの趣旨というものは企業に対する貸出金利一般の引き下げにあるというところから、いろいろと銀行側にも要請をしてまいったわけでございますけれども、長期の金利の方は、預金金利を引き下げる以前のこの八月にすでに〇・二%の引き下げをしております。今回は、恐らく今明日中にもそれが決まると思いますけれども、〇・五%程度ではないかと思いますが、しかし、合わせて〇・七%になるわけでございます。これは別に、統制をしている、規制をしているというものではございません。いま申しましたような市場の実勢に応じて、長期の金利の状況というものは必ずしも短期の金利に直ちに追従するものではございませんので、まあこの辺が一つの落ちつきどころかと、こう考えております。もちろん、今後の金融の状況によりましては公社債市場の状況もいかになりますか。コールレートが相当下がってまいる、明春ごろになりますと金融が緩慢になるというような状態になりますと、また長期金利はこれは市場の状況に応じて動くことになるわけでございまして、その辺は御了解をお願いしたいと思います。
○三木忠雄君 一つ一つ詰めれば私もいろいろ問題点を指摘することができるわけですけれども、まあ時間が限られておりますので……。 この〇・五%の問題についても、あるいは住宅ローンの問題にしましても、どうも銀行に対する姿勢が私は弱いと思うのです。まあ銀行法の改正等、後でお聞きしますけれども、その陰に、私は、総理、勘ぐりたくないけれども、やはり九月に銀行協会からの政治献金を再開したというような問題がやはり納得できないですよね。だから、こういう点について、金権政治を打破すると言った三木総理はどう考えるか。国民の金利を引き下げ、あるいはこういういろいろな問題点がある中において、銀行協会のこの政治献金再開という問題に対する総理の考え方をまず伺っておきたい。
○国務大臣(三木武夫君) 政党の政治活動には相当多額な資金を要する。これは自民党ばかりではありません。ここにおる各党とも全部同じであります。そこで、この自民党の場合は、われわれが信奉しておる自由民主主義、これにまあ共鳴をして自民党に応援したいという、こういう資金は受け付けておるわけですね。だから、法規に照らしてそういう抵触しない資金は、君の献金はいかぬ、君の献金はいいと、こういう区別をしないで、まあ受け付けておるわけですが、しかし、私は非常に厳正な態度を持したいと思うことは、その献金によって政治が動かされたり、あるいはまた曇りのあるような献金というものは絶対にこれを受け付けない。だから、その献金によって政治が曲げられるということは三木内閣のもとに絶対にないことを私は言っておきたい。これは絶対にない。そういうことをすれば、これはもう民主政治というものは成り立たない。ただしかし、巨額な資金を企業から受けるというよりかは、もう少し政治資金のすそ野というものを私は広くしたい。自民党も三年後には経常費については企業献金を受けないと、三年後ね。こういう党議の決定をしておるわけです。そういうことを、そういう政党の経理というものを確立したいと思って——三木君御承知のように、私は日曜は休みないんですよ。自民党の政経文化パーティーに出席をして、自民党の考え方も述べたり、まあ対話の場であると同時に、政治資金というものをああいう形で自民党に寄付してもらおうということで、これも政治資金のすそ野を広くしたいという私の願いが、みずから先頭に立ってそういう会も各地にいたしておるゆえんであることを御理解願いたいのでございます。
○三木忠雄君 どうも質問をはぐらかしている。銀行協会から政治献金を受けることに対してどう思うかということです。こういう預金金利とか貸出金利がいろいろ問題になって、国民が一番不思議がっている問題ですよ。なぜ九月から銀行協会だけ再開したか。まあ政治資金規正法が新しくなる、それまでに駈け込みをやろうと……。後でこの自民党の五十億も伺いたいと思いますけれども、なぜ銀行協会の政治献金を九月に開始したかということです。
○国務大臣(三木武夫君) 私がいまここで強調しておるように、三木内閣が政治献金によって政治を動かされることは絶対にないと。これはもう私はかたく約束をしておくわけです。そうなってくると、自民党はやはり政治活動に資金が要るわけですね、いまの仕組みでは。だから、自民党の一つのこの主義、綱領に賛成して、大いに自民党を応援してあげようという、こういう企業に対して、現在の段階では、君の方はよろしい、君の方はいかぬと、こういうふうに私は区別しないんですよ。やはり企業の自発的な意思に任しておる。しかし、そのことによって政治を曲げられることは絶対にないと、こういうことでございますから、そのことが、三木君のように、何か銀行の利害と政治資金が結びついておるということは絶対にない。さようなことをすれば、もう自民党という政党はこれはやっていけるわけがない。政治献金で政治を曲げるというようなことは、それはもう政権を担当する政党が断じてあってはならぬことである。これはもう私は強調しておきます。
○三木忠雄君 しかし、その問題については、政治献金と政治の姿勢の問題については、前国会でも具体的な例を挙げてわが党で質問した。そのとおりになっているわけですよ、裏を返してみればね。それにも増して、きのうきょうの新聞で、「自民の借金百億円 財界が半額肩代わり」、これは総裁、何だか、三木内閣は金権政治を打破すると言って登場したわけですよ。それが、もう一年もたたないうちに、やはり再びもとの木庵に返っているという、何ら歴代自民党総裁と変わらないじゃないかと。これは国民がはっきり認めますよ、これじゃ。自由意思で財界が出すと言うけれども、自由意思でなしに、財界にお願いに行っているじゃないですか。ここが一つの問題じゃないか。国民は不安に思いますよ。金権政治を打破する三木内閣、清新なイメージといった三木内閣は、そうではなくて、やはり何ら変わらないような三木内閣じゃないか。政治資金規正法が来年から通るから、いま駆け込みでも何でも集めろという、こういう姿勢がやはり現在の自民党の中にあるんじゃないか。あるいは解散を意識して金を集めてるんですか。この点についてのやはり総理の登場したイメージと一年たったイメージは大きく後退しているということがはっきりうかがえるんじゃないかと思うんです。この点について。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、もう日本の民主政治の一番の危険は、金権政治というものが日本の政界の中で、これがやっぱり民主政治を壊す大きな原因で、金銭にまつわる不信というものは政党が持ってはいけぬというのが私の考え方。ただしかし、自民党の場合、自民党が借金を持っておるのは事実です、この借金は。自民党だからといってこの借金を棒引きするわけにはいかない。これは支払わなければならない。だから、自民党が借金を持っていることは気の毒だと。金利の支払いでも大変ですからね。それをひとつ自民党を助けてやろうと。自民党がその借金を背負うて苦しんでいるということは世間も知っているわけですからね。これをやっぱり助けて荷を軽くしてやろうという、そういう人たち、この好意というものを私は受けようと思うんですよ、これは。これは借金というものはどうにもならぬわけですから。金利だって自民党だから安いというわけじゃございませんからね。そういうことが政党のこれからの活動、これをやはり非常にいろいろな点で制約するでしょうし、私も、私がつくった借金ではございませんけれども、自民党を受け継ぐ者としてこの借金の責任は果たさにゃいかぬ。だから、気の毒なといって借金の返済に協力してくれる人はその協力は受けざるを得ない。ただしかし、そのことによって政治を曲げられることは断じてない。これだけは申し上げておきます。
○三木忠雄君 政治の姿勢は曲げられないといっても、やはりもらった者は弱いですよ。だから都市銀行だって、各都市銀行の実態を調べると、全部都市銀行は十億八千八百万ですか、あるいは九億、都市銀行から借りているわけですね。こういうものの肩がわり、あるいは銀行に対してそういう借金というものが総裁・総理としてやはり銀行行政に大きく影響しているということを私は指摘せざるを得ないのですよ。だから、しわ寄せはだれが受けるかといえば、やはり預金金利一%引き下げる、あるいは住宅金融公庫で長期で借りたいという国民の願い。〇・四八まで下げるというものが〇・三六に終わらなければならないという、やはりそういう姿勢が銀行に対して厳しく言えないんですよ。だから、こういうものは金権政治を打破すると言った三木さんなんだから、しっかり私はこういうものに対する節度ある態度を持って臨むべきではないかと思うのです。この点がやはり何ら変わらないじゃないか。国民はやはりがっかりしますよ、三木内閣に対して。これをもう少し駆け込みだ、やれ何だと言われないような毅然たる態度を自民党の党内でとるべきじゃないか。国民にこういうふうな不信感を抱かせるということ自体が、やはり日本の政治に対する国民の不信につながってくる大きな問題ではないかと思うのです。これに対する総理の責任をはっきり伺っておく。
○国務大臣(三木武夫君) そういうことで自民党の党議で政治献金というものを、何か三木君にそういう疑いを持たすようなことがあることは——疑いって、事実はありませんけれどもね、そういう政治を曲げることはないが、そういう疑惑を持たすことはいけないというので、まあ党として厳しい政治資金の集め方にこれから改革を加えていこうということでございます。したがって、もうごらんになっても、財界というのは三木内閣に対してべったりではありませんよ。ずいぶん批判もあるんですよ、三木内閣のやることに。そういうことで、政治というものが何か政治献金によって動かされるということになれば、もう日本の民主政治はもたないですね。しかしながら、政党の活動には莫大な資金が要ることは事実ですからね。そういうことで自由民主党の信奉する一つの主義、綱領に共感を覚えて、みずから応援をしようという人の資金は受けなければいけない。しかし、そのことが私の内閣の政治姿勢を曲げるということは断じてない。献金をもらったからそれに対して私は報いなきゃならぬという考えはないんですからね。そういうふうなことをしておれば民主政治はもてないんですから、ありませんよ。私に対しても財界は厳しいんですよ、私に対する見る目は。そんなに三木内閣、財界がだれもかれも結構だ、結構だと言ってないことは三木君も御承知でしょう。政治資金を財界からもらっても政治の姿勢は別である。それを混淆しては日本の政治をやっていけない。これは私の強い信念であることを強調しておきたいのでございます。
○矢追秀彦君 関連。 いまの問題に関連して重ねてお伺いしておきますが、総理は、昨年総理になられたときに、献金は個人が理想だと言われましたね。さっきからのお話を聞いていますと、自由民主党を助けようとするなら、何でもいいからとにかくもらうんだと、こういうふうな話で、個人に限るというその総理の理想は、もうどこかへ飛んじゃったんですか。私は飛んだと見ているんです。だから銀行協会からも再開をする。いまのお話を聞いていると、とにかく借金で困っているから何とか助けてくれと、そういうところからは幾らでもいただきますと、これじゃ最初の総理の本当にクリーン三木の理想なんていうものは全然ないんじゃないですか。だから、国民はそれがわかっているから、二三%という支持率に落ち込んでしまったわけでしょう。その点、個人献金の問題ですね、企業献金をやめて個人献金するのが理想だという、その理想はどこへいったのか。もしまだ総理の心の片すみにあるなら、じゃいつからやるのか、その点をお答え願いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) だから、私はこれ、自民党もよく党議の決定に踏み切ったと思いますよ。三年後には党の経常費は企業献金を受けない、こういう党議の決定をやったんですからね、自民党は。それはいますぐと言ったら混乱が起こりますよ。だから、やはりある年限を、政治資金規正法でも三年後に見直すことになっているでしょう。そうでなけりゃ、やはりいますぐにこういう一つのそういうふうな社会的な慣習というものが生まれてないときに、あんまり現実を無視して理想に走ることはやっぱり動かなくなりますからね。そういうことで、自民党はやっぱり一つのみずから厳しく規制をするような党議決定をしたんですからね。だから私は理想というのは捨てたんじゃないんです。私は幾ら理想を追っても、あんまり現実を無視して理想を追うということは現実のやはり政治家としてすることではない。だから理想というものはもう捨てないで、これをいつまでも堅持しながら、できるだけ早くその理想に近づけたいという努力が私の努力でございます。ただしかし、来年の一月一日からは政治資金規正法という法律が実施されますから、一段とやはり政治資金に対しては法律的規制が厳しくなることは矢追君御承知のとおりでございます。
○三木忠雄君 まあ、政治献金と銀行の姿勢という問題も、いろいろ四十八年、四十九年商社の問題、それからやはり銀行の社会的責任という問題がやはり私は明確にされていかなければならないと思うんです。中小企業の金融の問題、これは時間がないのでできません。あるいは銀行の周辺業務ですね。あるいは子会社の問題、余りにもひどい実態になっているということ、時間があれば具体的に指摘をしたいと思ったんですけれども、あまりにも子会社に有利な方法で金を貸し、そしてそれがバー、クラブまで広がっているという実態ですね。あまりにも周辺業務、子会社が野方図にされてしまっている。そして中小企業や零細企業に全部しわ寄せがされているという実態、こういう問題を考えますと、やはり銀行の社会的責任という問題は明確にしなきゃいけないんじゃないかと思うのです。そういう意味を含めて、あるいは中小企業の金融の問題が、せめて一定の割合ぐらい中小企業に融資が明確にできるような政令なり何なりをつくるべきではないかと思うのですね。そういう問題を含めた銀行法の改正について大蔵大臣はどういう見解を持っていらっしゃるか、その点についてお伺いしたい。
○国務大臣(大平正芳君) 御承知のように、現行銀行法は昭和の初期の立法でございます。その後、内外の状況が大変変化を見ておりますにかかわりませず、この法律がそのままの状態に置いてありますこと自体が一つ不思議でございます。現実には行政面で事態に対する対応をやってまいったわけでございますけれども、各方面からこの改正についての御要望もございますし、現実の必要もございまするので、去る五月金融制度調査会にこの改正につきましての諮問をいたしたわけでございます。で、私といたしましては、これは大変基本的な大きな改正でございまするので、調査会におきまして十分時間をかけて根本的な問題の洗い直しをやっていただいて、実のある御答申をいただきたいものと思っておりまして、今日までのところ五回総会を開いていただいておるわけでございます。いま御指摘のような点につきまして鋭意調査会中心に御論議をいただいて、銀行の時代的、社会的な責任、役割りというものをどういう形で明徴、明確なものにしてまいるか御検討をいただいておるところでございますし、審議の促進につきましては今後十分努力をしてまいりたいと思っております。
○三木忠雄君 これは大蔵大臣、大体いつごろまでにこの結論を出して銀行法の改正に踏み切ろうと、こう考えていらっしゃるのですか。
○国務大臣(大平正芳君) 私は拙速的にやろうと思っていないわけでございまして、十分時間をかけなけりゃならぬと思っておりますので、次の通常国会に御審議をお願いするというようなつもりはございません。もう少し時間をかけにゃいかぬのじゃないかと考えております。
○三木忠雄君 まあ、これはなかなかいろんな抵抗があってやれないという、いろんなうわさを私は聞いておりますけれども、余りにもひどい子会社、周辺業務、こういう問題もどうか大蔵省の厳しい行政指導をすべきではないかと思うのです。 もう時間が参りましたので、最後に総理に行財政の硬直化の問題について。やはりこの行政改革というのは総理の強いリーダーシップがなかったらできないと思うのです。私は具体的に……。ことし二十億の補助金をつけた新しい建設団体なんかをつくっている。これ、いろいろ裏を調べてみると、次の選挙対策ですよ。こういうふうな認可法人をどんどんつくってそして補助金をばらまいている。こういうふうな実態が果たしてこの財政硬直化の中を打開しようとする三木内閣の姿勢であるかどうかということは非常に問題なんです。私は昨年の予算委員会でも指摘をしまして、各公益法人あるいは特殊法人が余りにも居眠り団体が多い。それは何に使われるかと言えば、結局は最終的に選挙のときにそれを利用されるという実態、こういう問題。三木内閣になって果たしてこの行政改革を明確にやっていくという自信がおありなのか、あらゆる抵抗があってもそれをやり切っていくという自信があるのかどうか、この点を最後に伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 財政の現状からしても、行政の全般的再検討というものは、もうこれ、絶対避けて通るわけにはいかない。人事、機構、あるいは特殊法人の問題も、これはやはり再検討されなければならぬ。そういう点で、行政改革というものについては行管長官に対しても私は強く言っている。そうでなければ、これだけのやっぱり財政硬直化を言われているときに、政府の方は何にもやらないで、そうして民間に協力を望むということは私はできない。やはりこの際、全般にわたって見直しをしなければならぬ時期であるという責任を感じております。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして三木忠雄君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 内藤功君。
○内藤功君 私は、共産党を代表しまして、国民の生活の問題、政治姿勢の問題、安保、外交、防衛の問題につきまして、三木内閣の所見をただしたいと存じます。 まず、政府は石油業界の赤字などを口実として最近ナフサ、C重油の値上げを指導し、さらに灯油やLPガスなどの値上げを計画していると言われております。しかし、これから冬の寒い時期でもあり、少なくとも家庭用の灯油、LPガスを初め、学校、病院、福祉施設で使う石油は昨年並みの水準に据え置くことが、現在のインフレ、不況下で国民生活を守る上で重要な事柄であると考えておりますが、この点どうお考えになりますか。十月の二十九日に、通産大臣は、日本共産党のこの点の申し入れについて、灯油については特に配慮をする旨の答えをされておりますが、この点、通産大臣並びに総理の御見解をお聞きしたい。
○国務大臣(河本敏夫君) いま御案内のように石油業界は大幅な逆ざやになっておりまして、年間数千億円の赤字が続いております。そういうことから、このまま放置いたしますと企業の経営が成り立たない、ひいては石油の安定供給がむずかしくなると、こういう考え方に立ちまして、これをどうするかという問題について懸命に取り組んでいるわけでございますが、そういう中におきましても、いまお話の灯油等国民生活に関係のあるものは、これはもう当然できるだけ安く据え置くと、こういう方向でやらなければならぬと思います。ただしかし、安く据え置く努力はいたさなければなりませんが、これを不当に安く据え置きますと、灯油は軽油とか、あるいはまたA重油とか、同じような性格でございますので、性質を持っておりますので、その方へ流れて行ってしまうと、こういうこと等もありますので、やはりA重油、軽油等とある程度のバランスをとりながらやっていきませんとなかなかその数量を確保することがむずかしくなると、こういうこと等もありますので、総合的に考えながらやっていくつもりでございます。
○国務大臣(三木武夫君) 灯油はやはり家庭用として千二百万キロリットルぐらい使っておる、非常に国民生活に影響するものですから、いま通産大臣が申しましたごとく、軽油とか、A重油などとのバランスをとりながら、灯油だけが急騰するようなことはできるだけ抑えていきたいと考えております。また、石油製品の値上げ問題については石油審議会等においても十分検討をしてもらいたいと考えております。
○内藤功君 いま国民の暮らしの中で灯油がどういうふうな値段で、どういう心配を持っているかをよく御存じないと思うんですね。灯油は、昨年の四月から本年八月まで、原油価格の一五%の値上がりの中で二倍以上上がっておる実情であります。寒冷地、特に北海道からいろいろな陳情が参りますが、灯油代が年に十万円かかるというところがあるんであります。それがまた値上げされるなら生活上大打撃であります。昨年並みに据え置くということを政府はこの際はっきり言明すべきだと私は思うんです。いま企業の内情だけを申されましたけれども、国民生活の実態に照らして、昨年並みに据え置くということを言明されるお気持ちはないか、通産相にお伺いしたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 灯油は、一昨年の石油危機が起こりました後も、国民生活に非常に大きな関係がございますので、安く据え置くように指導しておりました。長らく非常に安いところに据え置かれておったわけでございますが、昨年の冬は大体六百円程度でございました。現在はほぼ一割ないし一割五分上がって六百六十円ないし七百円と、こういうふうに考えております。 先ほども申し上げましたように、これを余り安くしますと、軽油とA重油とほぼ同じ品種でございますので、その方にどんどん流れていってしまう。で、家庭用の灯油の数量を確保することができない、こういうことを考慮いたしまして、そういう品種とバランスをとりながら一定数量を確保していく、こういうことを心がけておるわけでございます。
○内藤功君 ほかの品種とのバランスということについて、私の手元に某大手石油会社の「販売損益分析表」というのがあります。この資料によりますと、たとえばC重油は一キロリッター当たり四千数百円の赤字が出ております。逆に、大衆の使うガソリンですね、このガソリンについては一キロリッター当たり一万数千円の利益を上げているんですね。それから灯油の場合はきわめてわずかな赤字にしかすぎない。しかし、重油が製品のほぼ半分を占めるために全体として赤字になっている。これがある大手石油会社の数字であります。私は、こういうふうなほかの品種との関係、つまり大企業に主に使われる重油には非常に安く、国民の日常使う灯油あるいはガソリンというものの値段は非常にこれは高くなっている。この体系を直すことが非常に大事である。私はこう思うんですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) いま、大体お話しになりましたような傾向が出ておると思います。世界的に見ましても、日本のC重油、それからナフサ、この二つの品種は現在価格が不当に安いと、こういうふうに私どもも考えております。 そこで、現在考えておりますことは、とりあえずこの二品種につきましてある程度の値上げが実現すれば、現在の石油業界の拘えております赤字の大半は解消できるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
○内藤功君 さっきからの御答弁を聞いておりますと、赤字だ赤字だと、こういう相も変わらぬ御答弁なんですが、いま国民は、石油業界が赤字だというけれども、これまで一度もその内容について明らかにしたことがない、本当に赤字ならその経理内容を公開して、特に原価を公開してそして納得さしてほしい、これはテレビでも言っておるし、それからラジオの番組でも言っておるし、国民の非常に大きな声になっておるのであります。もし、この原価公開をあくまで拒むとすれば、これは政府は石油大会社と一体なんだということになると思いますけれども、政府は、この原油の輸入価格、石油製品の原価、さらに価格政策というものを国民の前に公表して、民主的にこの価格を決めていくというお考えはお持ちでないのか、この点を伺いたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 石油業界の赤字はそれぞれ各企業が決算を公表しておりますので、それを見れば大体見当がつくわけでございます。ただしかし、公表されました決算どおりの赤字が出ておるかと言いますと、実際はもっと大幅な赤字が出ておるんです。ただしかし、企業が余り大幅な赤字を表面に出してしまいますと、あとの資金調達に非常に困ると、こういうこと等もありまして、資産を処分いたしまして、その資産の処分によりましてこの表面に出てくる赤字をある程度カバーしておる、こういうことでございますから、表面発表されておる赤字がそのままの赤字かと言いますと、それ以上の大幅な赤字になっておりますが、大体の傾向は発表された営業報告書等をごらんになればおわかりいただけると思います。
○内藤功君 それだから国民が納得できないんですね。だれが企業の公表されたその数字でもって納得すると思いますか。私はやはりこの機会にこの問題はしっかり政府が考えて、原価の公表ということに踏み切られること、特に国権の最高機関である国会の調査に、これに応ずるように政府が指導することが必要だと思うんです。 この点について、私は最後に、いま政府はメジャー——国際石油資本の値上げ通告をやむを得ない前提として、この値上げの指導行政を行っていますが、日本経済と国民生活がいま危機にあるときに、産油国の値上げをそのまま転嫁するような不当な原油輸入契約書というものを公表させて改めさせるとか、あるいは値上げを抑えるためにこのメジャーと真剣に交渉するとか、こういう働きかけが求められていると思うのであります。特に西ドイツ政府は、先般このメジャーの子会社に対して、不当な値上げに対する引き下げ命令を出した前例もあるのであります。この点について政府の態度は余りにも無策と思いますが、御所見を伺いたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 今回、OPECでは九月の下旬に原油価格の一〇%値上げということを決めました。しかし、政府の方といたしましては、各石油企業に対しまして、できるだけ安く、値上げ幅を小さくするように全力を挙げて交渉するようにと、こういうことで指導をいたしております。幸いにいたしまして、先般決まりました一〇%の値上げというものは、油の品種ごとの詳細が決まっておりません。それからまた支払い方法等についても条件がついておりませんので、支払い方法を有利にしたり、あるいはまた油の品種ごとの差異等を活用いたしまして有利な交渉をいたしますと、一〇%以下に下がることも可能になりますので、大体全体といたしましては七、八%ぐらいな値上げにとどまるようにいろいろ指導しておるところでございます。
○内藤功君 そうすると、このメジャーに対する価格の交渉その他契約書の公開ということをなさるお気持ちがあるのかないのか、この点をもう一遍、その点だけ伺いたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 個々の企業の取引の内容等について公表することは、特に国際的な取引であるだけいろいろ支障があろうかと思います。まあ公表するよりも、むしろ先ほど申し上げました交渉を通じて有利にその条件を更改をしていく、こういうことが大事であろうということで指導をしておるわけでございまして、その契約内容を詳細公表することは、企業の機密にも属しますのでむずかしいのではないかと思います。
○内藤功君 結局いままでの答弁で、国民に対しては企業の内情、つまりなぜ赤字であり、なぜ国民に値上げの負担をさせなければならぬかということについての納得いく説明は得られませんでした。私は、この点についてはさらに別途追及をしたいと思います。 そこで、次の問題ですが、郵政大臣にお伺いをしたい。 きょうは十一月の四日であります。例年ですと、十一月の五日から年賀はがきというものが発売をされる、そして十二月の十五日というものが一応期限。この間に印刷屋さんというのは大変な一年間の書き入れどきであります、特に軽印刷業者は。ところが、ことしは圧倒的に印刷業者の中で多数を占める印刷業者の方々が、一体どうしていいかわからない、もうこの状況では見切り発車をしてほしいという声が、非常に切実に出てきております。いまこの発売日の問題について郵政省はどういうふうに考えているのか、この点をまず総括的にお伺いしたい。
○国務大臣(村上勇君) 政府委員にお答えいたさせます。
○内藤功君 いや大臣、これは基本的な問題ですから、大臣、あなた基本的な答弁をしてくださいます。細かいことを政府委員がやるのはいいけれども、基本的な問題はあなたの考えを。
○国務大臣(村上勇君) 一日も早く発売したいと、かように思っております。
○政府委員(廣瀬弘君) お年玉年賀はがきにつきましては、ただいま十一月五日に発行しないということだけを定めております。今後の発売日の決定につきましては、諸情勢を勘案しながら慎重に決定してまいりたいと考えております。
○内藤功君 これは全くもう無責任な答弁だと思うんですね。近畿名刺印刷協同組合というのがあって、二百の業者がこれに参加していますが、この組織で近畿一帯で八千業者、約四億枚にのぼるだろうと言われている。大体十一月の五日から十二月の十五日の間までが、一年の中で一番この印刷の書き入れどきであります。ところが、この国会の情勢ということを理由にして、しりもこの国会の情勢というのは、これは一番初めにボタンをかけ違えたと言われている、こういう情勢であります。もともと、すべきでない値上げ法案を出してきた、ここに一番大きな問題があるわけなんですね。こういう問題がある。そうしてこれを印刷業者の方に転嫁をさせようとしておる。私は、この十一月五日というやはり発売日というものにおいていままでの価格で発売をして、そうしてこの印刷業者のいま苦しんでおる状況、こういったものを考えるならばこれはまず見切り発車をすべきだと、こういうふうに思うんですが、いま政府は、あくまでいつになるかこれはわからないという態度でこれをずうっと押し通されようとするのか、この点を伺いたい。
○政府委員(廣瀬弘君) ただいま郵便法改正につきましては審議中でございます。私どもは、郵便はがきにつきましては二十円に改定するということでお願いしておるわけでございますので、ただいまのところ十円で発売するという意思はございません。
○内藤功君 そうすると、十二月の二十四日までにもし郵便法の改正案というのが通らない場合には、これは一体どういうふうなお考えですか。
○政府委員(廣瀬弘君) 私どもは、できるだけ早く郵便法が成立することを期待しておるわけでございます。
○内藤功君 いまの質問は、もし十二月の二十四日までにこれが通らなければどうするのか、この問題です。
○政府委員(廣瀬弘君) 仮定の御質問でございますけれども、私ども手続の面から見ますと、その時点で十円で発売することは困難かと思います。
○内藤功君 これは、この年賀はがきというものは、十一月の五日に発売をして十二月の二十四日までと、これはもう例年ずっとやってきたわけですね。こういうものについて値上げの法案の成立を待つと、ただこれだけでじんぜん無策でもって過ごしている。私は非常にこれは無責任な態度である。特にこの多くの印刷業者の方々、さらに郵便局に勤めている人も、一体これがどうなるのか、大変年末には大きな労働強化がやってくるのじゃないかということで、非常に心配をしているという状況であります。私はこの問題について最後に、ぜひ十円でいままでのとおり年賀はがきは本年度は発売する、そういうことにしてこの事態を解決すべきだということを特に強調して、次の質問に入りたいと思う。 そこで、次に大蔵大臣に伺いたいのは、大蔵大臣は財政演説の中で、今後の財政難に備えて税制の見直しをすると言われた。最近の新聞報道によりますと、付加価値税の採用を五十二年度から実施をすることに大蔵省の首脳の考え方は固まってきているという報道もありますけれども、大蔵大臣のこの点についての御見解、御所見を伺いたい。
○国務大臣(大平正芳君) 税制の改正に当たりましては、政府としては、政府並びに党の税制調査会と御相談いたしまして成案を得ることになっておることは、御案内のとおりでございます。ただいままで税制調査会に御相談申し上げましたのは、現行の租説特別措置全般について見直しをお願いするということが一つでございます。それから、わが国の租税負担率をどう考えるかということがその二つでございまして、まだ新しい税目の新設というような、税目を立ててまいるというようなことにつきましての相談は、全然まだいたしていないのが実情でございます。新聞にどういう報道があったか知りませんけれども、そういう報道に責任を持つわけにはまいりません。
○内藤功君 そうすると、付加価値税の採用については、当面これを五十二年度から採用するという考え方は大蔵省としてはないと、こういうふうに承っていいんですか。
○国務大臣(大平正芳君) いま申し上げましたようなことを、いま税制調査会等と御相談中でございまして、新税の問題についてはまだ触れていないということでございまして、新税を考えるというようなことになりますと、いま申しましたようなことが検討されないと御相談に乗っていただくわけには私はまいらぬと思っておるわけでございますので、その前提における作業をまずやるということは当面の私どもの任務と心得ております。
○内藤功君 大蔵省の政府委員の方で結構ですが、いま諸外国における付加価値制度、付加価値税の仕組みについて大蔵省当局として研究しておられると思いますけれども、いわゆる全段階税額控除方式というものをとった場合に、どのような仕組みでこの税率なり、あるいは税の納付方法が進められていくのか、これを御説明願いたいと思います。
○政府委員(大倉眞隆君) 内藤委員よく御承知だと思いますけれども、いわゆるEC型の付加価値税と申しますのは、現在EC諸国のほかにもヨーロッパで採用されておりまして、私ども承知している限りでは、十二カ国がこれを採用しておると思います。私ども当然の職務といたしまして、かねてから外国税制の調査の一環として、私どもの職員を派遣いたしましたり、民間団体に調査を委託いたしまして、かなりの研究は進めてきております。しかし、ただいまの御質問の、いま具体的にどういう税率構造なりどういう納付方法を考えているかという御質問であるといたしますれば、まだそこまで具体的な検討に入っておりませんので、これは将来の問題として考えてみたいと思います。
○内藤功君 そうすると、具体的に考えていないということは、昭和五十二年度に付加価値税を実施をする方向に固まったということはないと、あくまで五十二年度から実施というような考え方は持っていないということでよろしいのか、もう一遍大臣にお伺いしたい。
○政府委員(大倉眞隆君) 先ほど大臣からお答えいたしましたとおり、現在、私どもが税制調査会にお願いいたしておりますのは、いわゆる租税特別措置の全面的な見直しをしていただきたい、これについてこの次の通常国会に間に合うように結論をいただきたいということを申しております。 その次に、これも先ほど大臣がお答えいたしましたが、この十二月を目途にいたしまして、今後の中期経済計画の中で日本の租税負担率というのはどの程度が適当であろうか、いまよりもある程度上がらざるを得ないのかどうか、上がらざるを得ないとした場合に何%ポイント程度を妥当と考えるかということを御審議願うことにいたしておりまして、その結論を待ちまして、もし負担率が上がらざるを得ないとすれば、それをどのような税目に求めるかということを御審議願うことを予定いたしておりますので、そのとき以降の問題として、御質問にもございましたような新しい税目も検討の対象に入ってくるかもしれませんが、いまの段階で、何年度から導入するとかしないとか、それについての結論を申し上げることはできません。
○内藤功君 審議会などで検討をすると、こういう態度であることがいまの答弁で明らかになった。この点については、すでに御承知のとおり、東京都を初めとする三百七十四の地方自治体の議会におきまして、付加価値税反対の決議がされております。また、ここでの決議をした地方自治体の住民数は、約全国国民の八割にも及んでおります。一昨年には衆参両院で、付加価値税反対の反対請願が請願として採択をされておる。この付加価値税の仕組みは、大蔵省からいただいたこの資料によると、結局、一番最後には消費者、特に所得税を納める能力もない消費者のところに負担が来て、そしてメーカーや卸業者は物価をつり上げることができる。そしてこの物価のつり上げ、さらに消費者をいじめる、小売業者が記帳で泣く、こういうような非常な悪税でありますので、私はこういうような付加価値税についての検討、さらにこれを五十二年度はもとより、その後でも実施をするということについては強く反対する、こういうことはやるべきではないと思うんでありますが、今後ともこういう付加価値税は取り入れるべきじゃないと私は思うんですが、大臣、この点についてはいかがお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) あなたが御反対であるということはわかりました。それで政府としては、いま申しましたように、ただいままだ具体的な検討に入っていませんので、検討に入るといたしましても後のことになると考えておりまして、いまの段階でこれをやるのやらぬのというような問題に言及する用意はありません。
○内藤功君 次に、総理並びに労働大臣に、ストライキ権の問題についてお伺いをしたいと思うんです。 まず、今日、このストライキ権の問題が人権の問題であるが憲法で決められた基本的人権の問題としてこれは検討をされなきゃいけないと、この点は総理大臣、いかがお考えになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) 憲法には基本的人権、いわゆる争議権というものもその一つでありますが、ほかにもたくさんやっぱり人権というものがあるということですね。そればかりではないと思います。
○内藤功君 このストライキ権は憲法の二十八条の基本的人権であって、特に働く人たちの生活を守るための権利で、非常に大事な権利であります。私はいまここで総理にお伺いしたいことは、田中内閣時代に、政府と春闘共闘委員会、労働組合の代表との間で、昭和五十年の秋までにこのストライキ問題の結論を出す、こういう合意がありますが、これはあくまで三木内閣として尊重されるおつもりかどうか、これは間違いないと思いますが、確認をしておきたい。
○国務大臣(三木武夫君) 私も労働組合との話し合いの中に、それはまあ口頭だったと思いますが、とにかく五十年の秋ごろまでに結論を出すよう努力するというような約束があったと聞いておりますので、前内閣の方針を踏襲して、できる限り約束を守りたいと努力をしておる次第でございます。
○内藤功君 いまのお話で、私は総理の意思ははっきりしたと思いますが、最近、ある新聞の伝えるところによりますと、自民党の中で昭和四十九年四月十三日の政府と春闘共闘委員会との間の口頭合意事項、五十年秋までに結論を出すと言っているのはこれは約束ではないと、ただそういうことを言ったことをここに書いただけであるということをある新聞によって報道されておりますが、こういうことはないでしょうね。これはあくまで口頭合意事項、約束であるということを考えておられるでしょうね。
○国務大臣(長谷川峻君) 内藤君御存じのとおり、いまこの問題につきましては閣僚協議会の中の専門懇でいろいろ精力的に議論が積み重ねられているところであります。それだけに、いろいろな方面からいろいろな議論が出てくる、その一つとしてそういう話も出たということを承知しております。
○内藤功君 いまの労働大臣の答弁ははっきりしませんが、そうすると、労働大臣としても、政府と春闘共闘委員会の間の四十九年四月十三日の口頭合意事項、この中で五十年の秋までにスト権問題について結論を出すということはこれは約束としてはっきり認める、こういうことですね。
○国務大臣(三木武夫君) いま私ここに、手元に文書を持っておりますが、「二年を目途とし、昭和五〇年秋頃までに結論を出すよう努力すると述べた。」と、これは口頭ですから、口頭の合意事項の中にそういうことが書かれてございます。
○内藤功君 そうすると、それは約束であるということでよろしいですね。
○国務大臣(三木武夫君) それを五十年の秋ごろまでに結論を出すように努力したいと、こういう前内閣の方針は私は受け継ぎたいと思っていま努力をいたしておる次第でございます。
○内藤功君 いま五十年の秋であります。そうして自民党の中を見てみますと、いろいろなこれは話が出てきている。二段階に分けるであるとか、あるいは国民懇談会を開いてからやるべきだとか、秋にこだわるべきではないとか、いろいろな意見が出てきております。こういう中で総理は、あの独禁法の改正案で大きく勇気をふるわれたように思いますけれども、ああいうように党内をまとめて、そうして労働者の人権であるストライキ権、これを三公社五現業についてまず実現するために努力をすると、いつごろまでにどういう努力をしてまとめられるか、その御決意を伺いたい。
○国務大臣(三木武夫君) この問題は大問題でありますから、自民党に限らず、各政党においていろいろな議論が出ることは当然でありまして、その議論を私は歓迎をするものであります。政府としては、しかし秋ごろまでに結論を出したい、出すように努力したいと、こういう前内閣の方針を踏襲してやろうとして、そうして内藤君がごらんになってもわかりますように、専門委員の懇談会で、これは頻繁に懇談会を開いてそして意見を徴しておるわけであります。こういう意見が出ますれば、それを踏まえて、今度は閣僚協議会にかけて、そして政府内閣でありますから自民党の意見も徴しながら、政府はこの結論を出したいと努力をしておることは、もうごらんになってもわかるとおりでございます。
○内藤功君 これは労働大臣でも政府委員でも結構ですが、公務員あるいは国鉄など、こういう現業の労働者について、日本のように全面的に一律にストライキを禁止している国がヨーロッパ諸国でどんな国がありますか、あるいはありませんか。この点を調べておられるところがあったら述べていただきたい。
○国務大臣(長谷川峻君) なお足りないところは政府委員から答弁させますけれども、諸外国における国鉄、郵便事業等の職員のストライキ権の取り扱いにつきましては、それぞれの国には伝統と経営形態あるいは労使関係の実情を反映して、国によって皆違うようでありまして、わが国と同様に国鉄、郵便事業等の職員のストライキを禁止している国は、アメリカの郵便事業、西ドイツもこれに近いと聞いております。ストライキ権を認めた上で、ストライキによる事業の停滞が国民の日常生活、国民経済に及ぼす影響を最小限度にとどめるために特別の措置を講じている国は、英国、フランスであると聞いております。
○内藤功君 もう政府委員は結構です。 いまの答弁で明らかなように、日本のように国鉄、郵便、それからたばこの専売公社、印刷から林野からアルコール専売というところに至るまでストライキを全面的に禁止している国は、日本だけです。そして、このストライキ権を禁止したのは、昭和二十三年の七月のマッカーサー元帥の書簡ですね。マッカーサー元帥の書簡を受けた内閣は、一体どういう内閣であったか。その内閣は、それを受けて、どういう法令の措置をしたか、この点を一言労働大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(長谷川峻君) マッカーサー書簡を受けました後で、公労法が争議行為を禁止している理由については、公労法制定の際の提案理由にはっきりしていると思います。それは……
○内藤功君 ちょっと、そういう質問じゃないです。マッカーサー書簡を受けた内閣はどういう内閣で、どういう措置をその内閣は……。
○国務大臣(長谷川峻君) 吉田内閣で、公労法を国会に提出したわけです。
○内藤功君 それは違いますよ。そういう認識だから、スト権の出発点が狂うのです。このマッカーサー書簡を受けた内閣は芦田内閣です。
○国務大臣(長谷川峻君) 失礼しました。芦田内閣です。
○内藤功君 そして、この芦田内閣はどういう措置をとりましたか。
○政府委員(青木勇之助君) お答え申し上げます。 マッカーサー書簡を受けまして、政令二百一号をまず制定いたしました。その年の暮れに、それに基づきまして国家公務員法の改正並びに公労法の制定ということで、国鉄、専売につきまして公労法の適用を規定した、こういう経緯に相なっております。
○内藤功君 このマッカーサー書簡を受けて政令二百一号をつくるまで、わずか何日間ですか、これ。知っていますか。調べてありますか。
○政府委員(青木勇之助君) お答え申し上げます。 マッカーサー書簡は昭和二十三年七月二十二日でございました。それを受けまして、政令二百一号は二十三年七月三十一日に制定に相なっております。
○内藤功君 いまの答弁でわかるように、マッカーサーの書簡を受けて、たった九日間で世界に例を見ない労働者のストライキ権を広範に奪う政令を、国会にかけないでつくったんですね。これがもとなんであります。私は、ですから三木総理に申し上げたいのは非常に簡単なことなんです。憲法の上に占領軍のあったときにできたそのスト権剥奪の法制を、憲法のある状況のもとに戻せばいい、そういう問題であります。ですから政府が、この問題についていろんな口実があると思うけれども、いろんな妨害の動きがあると思うけれども、これはもう世界の大勢なんですよ。ですから、ぜひこれは早急に、前内閣の約束を踏襲されるというんですから、ストライキ権の回復の処置、公労法の十七条、十八条を削除すると、それだけ書けばいいんですから、それで法律はできるんですから。これを実行されるように要求いたします。
○国務大臣(三木武夫君) 前内閣は、その内容についての約束はいたしておらないわけでございます。内藤君の御指摘のように、争議権という一つの大きな労働基本権でありますが、政府はまた国民生活を守るという大きな責任も持っている。そういう角度からも十分に、この問題は国民生活全体に大きな影響を与えますから、慎重に検討をして政府の考え方を出さなければならぬと考えております。
○内藤功君 いまの点でもう一つだけ。総理のいま言われた国民生活を考えるということは、ストライキ権の禁止をなお続けるということですか、それともストライキ権は認めるが、その行使について労働組合側の良識というものを期待するという意味ですか、どうなんです。
○国務大臣(三木武夫君) 内容については、先ほども申し上げましたごとく、まだ懇談会でもいろいろ御議論を願っておるわけで、それを受け取って閣僚協議会でやるわけですから、この段階で私は内容に触れることはできない。しかし、総理大臣の責任として、国民生活を守るということは重大な責任であると考えておるということでございます。
○内藤功君 もう一点。国民生活の面ばかり言われますが、勤労者のストライキ権、団結権というものを尊重するという観点は全然ないんですか。
○国務大臣(三木武夫君) この近代の民主政治のもとで団結権あるいは争議権、そういうものは全然ないなどという感覚で今日の政治はできない。しかし、いろんな基本的人権がありますが、政府はやはり国民生活を守るという大きな責任を持っておりますから、これは冷静慎重にこの問題は検討いたそうとしておる私の心構えだけを申し上げたので、内容に向かって、ストライキ権をどうするんだということにこの段階で私は触れておるのではないわけでございます。
○内藤功君 非常に消極的な答弁で、非常に不満でありますが、先へ進ませていただきます。 次は、いわゆる信濃川河川敷の問題です。 これは昨年の田中金脈問題で大きく問題になり一先刻は衆議院の予算委員会においてわが党の増本議員が、この事件の疑惑のかなめになっている堤防建設をめぐる重要文書が紛失したり、公文書が改ざんされているという疑惑について追及しました。私は、これはアメリカのウオーターゲート事件での、ニクソン前大統領が盗聴用の録音テープの一部を切除して議会に提出しようとした、あの事件にも匹敵する重大な問題だと思うのです。私は、総理自身も疑惑が残っているという趣旨の答弁をしておりますが、これらの疑惑を徹底的に解明するために政府としてどのような努力をしようというのか、この点をまず伺いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 内藤君御承知のように、衆議院の予算委員会でこの問題が、行政管理庁と建設省との意見が何か明確を欠くような点もありましたので、小委員会で検討をする、その検討が終了するまでは信濃川の河川敷の処分は行わないと、こういうふうな衆議院の予算委員会で話し合いがあることは御承知のとおりでございます。したがって、これは明確になると思いますが、無論それまでの間処分はしないということでございます。国民に疑惑を持たれないような処置を私はいたしたいということをしばしば国会においても述べておりますので、そのようにいたしたいと考えております。
○上田耕一郎君 関連。 三十日のこの予算委員会で宮之原委員の質問に対して、首相並びに建設相は、この信濃川河川敷問題は公共の用地として利用するようにしたい、で、室町産業が余りに暴利をむさぼらないように原価プラス金利、それから土地の造成費程度で公共用地として長岡市に使わせるような方向にしたい、これが国民に納得のいく措置であるという答弁をされました。これは一見、室町産業があの七十五万平方メートルの土地で百億とか二百億とか言われる暴利を多少あきらめる、公共用地の方がまだいいんじゃないかというように思われる点もあるかもしれないんですけれども、実はここに非常に大きな大問題があるわけです。 と言うのは、室町産業から長岡市に渡す、公共用地にさせるということは、室町産業にこの所有権が移り得る、室町産業に権利があるということを前提にしているからであります。実は信濃川河川敷の大問題がここにあるわけで、と言うのは、田中前首相と室町産業が三百人の農民をだましてあの土地を手に入れる形になったというところに大問題がある。だから、室町産業の権利を認めて、公共用地にすれば国民が納得するという言い方は、室町産業の実は事実上の詐欺行為を認めてこの処分をするという、非常な大問題がここにあるわけであります。ですから、この室町産業の不当行為、田中前首相の不当行為を合法的に認めたのでは、この信濃川河川敷にからまる金脈問題の追及を全くうやむやにすることになります。 だからこそ、この九月の二十六日には、大井正則、長谷川昭一という二人の農民が、地元の越山会の人々や田中派のいろんな圧力で村八分にされるような中を、新潟地裁の長岡支部に、土地を戻すという民事訴訟を勇気をふるってやったわけです。所有権移転の仮登記の抹消請求、土地引き渡し義務の不存在の確認という民事訴訟を提起した。さらに九月二十九日には民主団体の代表十二名が、田中角榮氏、さらに室町産業の最初の社長の佐藤昭、現社長の入内島金一、それから片岡甚松、庭山康徳など五人の人々に対して、詐欺未遂で最高検察庁に刑事告発までしているわけであります。こういう点で、この経過を見ますと、果たして室町産業に所有権——これはまた完全に発効しておりませんけれども、あると認めるのかどうか、三百名の農民に本当の権利があるのかどうかということがこの問題の一番中心的な問題なのであります。 そういう点で、私は三木首相並びに仮谷建設大臣に、あなた方は室町産業にこの土地の所有権があると考えているのかどうか。第二に、この二つの裁判、民事訴訟と刑事告発、二つありますけれども、この中身を一体御存じなのかどうか、訴状をお読みになっているのかどうか、この二つの点について、まず御質問したいと思います。
○国務大臣(仮谷忠男君) お答えいたしますが、河川法上の廃川敷処分は、処分後の土地利用とは無関係に行われるのがたてまえです。これは先生御承知のとおりであります。だから、処分しない土地の問題をわれわれがいまここで私どもが行政上とやかく言うこと自体が、これは国の処分でありますから、その土地の処分後の土地をとやかく言うこと自体は、これは行政処置の限界ではないのでありまして、ただ、率直に申し上げますと、本件はいろいろと国民から疑惑が持たれたという、議会のいろいろ質疑応答もありましたので、国民の納得するように処分したいという総理の御意見を、その方針に沿って私どもは行政指導を行ってきたのであります。そのことに対して長岡市長から、処分後の土地利用でありますが、処分後の土地利用は長岡市の発展と市民の利益を優先し、その計画決定は市長に一任する、こういう室町産業との合意があったということであります。そして、私どもが市長から聞いたことによりますと、このことはほとんど全市民的な同意も得られておると思われておるのでありまして、処分後にそういうことが実現するようにわれわれは協力することにやぶさかでないと、こういう考え方を実は持っておるわけでありまして、これはあくまでも処分後の問題でありますことを御理解を願っておきたいと思います。
○上田耕一郎君 いまの答弁は、これは全く仮谷さんね、あなた、うそをつかれている。あなたはいまこの処分問題については、長岡の市長からそういういうふうにやりたいというふうに言われたので、本来廃川敷処分問題とそのあとの土地利用は関係ないけれども、国民がいろいろ疑惑も持っているし、長岡市長も言うからそういうふうにしたといまおっしゃいましたね。しかし、これはあなた、全くうそですよ。 ここに私は読売新聞の九月二十三日付の新聞を持ってきておりますけれども、これを見ますと、九月の二十二日の午後に仮谷建設相、小沢環境庁長官と高橋建設事務次官が建設省で会って、「焦点となっている同河川敷の廃川敷処分について、今後の扱い方を協議した。」と、こう書かれている。ここでは大体小沢長官が、この「売買契約は、法律上の問題はない。廃川敷処分も河川管理上、急いで行うのがスジだ」と「同処分を早期に実施するよう要望した。」と。「これに対し、仮谷建設相は、手続き上、法的に問題点のないことは認めながらも『そう簡単にいくとは思えない。世論の厳しさからみても、首相は了承しない』」かもしれぬ。それで、「『跡地利用にメドがつけば、責任をもって三木首相を説得する』と約束」したと。で、「〃納得のいく処置〃として、跡地を長岡市の公共施設に利用させる方針を説明、来月にも小林市長を呼んで、すでに依頼してある跡地利用計画の構想を聞くことにしたいと述べた。」と、こう書いてある。全く反対じゃないですか。あなたは長岡市長からこう言われたのでこうしたと言うが、そうじゃないんだ。このお二人ですね、小沢環境庁長官と仮谷建設大臣と、それから高橋建設事務次官が、九月二十二日の午後ですよ。ここで私は非常に重視したいのは……
○委員長(大谷藤之助君) 簡単に願います。
○上田耕一郎君 はい、急いでやりますけれども。 この公共用地を提供するということを決めたのは、九月二十六日の民事訴訟が行われた日に、田中前首相と、それから長岡の小林市長と入内島金一氏と三人が、裁判があるからこそあわてて決めたんですよ。この二十六日のしかし四日前の二十二日に、あなたと小沢さんがこういう画策をしている。そうすると、元凶はあなたと小沢さんじゃありませんか。これは私は非常に大問題だと思うんだ。大体この問題は、もう私は詳しく述べませんけれども、これだけ疑惑が国会の中でも問題になっている。大きな問題です。それを国会で明らかにするということを田中さんは言いながら、また三木首相も明らかにするようなことを言いながら、全然明らかにならない。明らかにならないからこそ、三百人の農民が被害を受けたままになって、二人の農民が裁判を提起したんです。その裁判をそらして何とかこの一件をうやむやにするために、三木内閣の二人の閣僚がこういう画策をやっている。公共用地という言い方にして……
○委員長(大谷藤之助君) 簡単に願います。
○上田耕一郎君 この問題の解明をうやむやにしようということでしているわけです。小沢環境庁長官いらっしゃいますか。環境庁長官というのは国民の生活環境を守るためであって、田中前首相が復活する政治環境をつくるのがあなたの任務じゃないんです。何のためにやっているんですか。仮谷建設大臣、また小沢さん、みんな有名なように田中派ですよ。大体田中さんが首相になってから代々の建設大臣はみんな田中派の人が、亀岡さん初めなっている。前の建設大臣だ。そこの建設省の中で、小沢さんとお二人で、この問題をいいかげんにする画策をこういうふうにやられている。おまけに……
○委員長(大谷藤之助君) 簡単に願います。
○上田耕一郎君 内藤委員が言ったように……
○委員長(大谷藤之助君) 簡単に願います。
○上田耕一郎君 建設省の文書まで紛失されている。こういう事態について、私は、仮谷さんと小沢さんにこの国会の前で、あなた方は何をやったのか、明確に、うそをつかないで、いいかげんな答弁でなしに明確に答えていただきたい。このことを私は要求したい。この問題の解決は、結局三百人の農民に戻すこと、ここにあるんですよ。こうすることが、権利を持っているのは農民なんです。
○委員長(大谷藤之助君) 関連はそれまでに願います。
○上田耕一郎君 そういう解決をするまではっきりやる必要がある。お二人の明確な答弁を、あいまいでない、いいかげんでない答弁を私は強く要求するものであります。
○国務大臣(仮谷忠男君) 明確で、あいまいでない答弁をいたします。 小沢環境庁長官と次官との、この問題に対する取り扱いを相談したことは事実であります。しかし、私どもが総理の前国会における答弁の方針を踏襲をして、その直後から私は小林市長と絶えず連絡をとりながら、この問題の処置についてあなたの意見も聞かしてもらいたいし、あなたの市の議会も、それから市民の方々の意見もできるだけ多く聞かしてもらいたいということを、それ以前に、二十二日の小沢さんや何かと話した以前、ずうっと以前からこの問題を、絶えず連絡をとりながら、何とか国民の納得する処置をつけたいと思って私は努力を続けておったのであります。たまたまその中間において小沢さんや次官ともこういう問題についてどう処置をしようかというふうに協議をすることは、これは決して私は不都合はないと思っております。 私は、なるほど田中派と言われておるかもしれませんけれども、私は三木総理に任命をされた三木内閣の建設大臣であります。そういうふうな考え方で見てもらうのはひとつお許しを願いたいと思うのでありますが、いずれにしましても、そういうふうな交渉を何回か続けてきた結果、小林市長からただいま申し上げたようなこういう報告が直接あったわけでありまして、決してうそではございません。このことについてはどうぞ小林市長にゆっくりお聞きをいただきたいと思います。しかも、小林市長は六月二十九日に長岡市の議会の本会議にこの問題を報告しておる。そして十月七日には町内会長を集めて三百三十人の中でこの問題を報告し、質疑応答のあった結果、市長のやることはいいから全面的に推進するようにという、そういうこともあったということを市長から報告があっています。 なおもう一つ、農民の二人から訴訟があったということを聞いておりますが、この点についても長岡市長はこういうことを言っております、小林市長は。当該用地に関し、室町産業と旧地主との間に交わされた契約については一切関知しないし、またすべきものでないと考える。この確認、合意は旧地主二人が室町産業を相手として九月二十六日、新潟地方裁判所長岡支部に提訴したことは全くかかわりないことであり、今後とも長岡市は一切介入しない。こういう信念のもとに私どもにいろいろ要請をされておるということを御理解をいただかなくてはならぬと思うのであります。 それからまた、先ほど内藤さんからの御質疑があったように、書類の紛失の問題について、あたかもそれが証拠隠滅とかあるいは公文書偽造とかいったようなことでいろいろ疑われておるようでありますが、私どもは十分に現地調査もし、あるいは関係者の事情も聞いた結果、全くそういうことはないということを確信をいたしておるのでありまして、もしそういう疑いを持たれておるということになれば、この解明に努めることは関係者の名誉のためにも私は当然のことであると思っておるのであります。しかも、この問題は衆議院の予算の小委員会におきましても引き続き議論をされておるのでありますから、十分に議論をし検討をしていただくならば、私は必ず信じて、理解していただけるものと確信をいたしております。 以上お答えをいたします。
○国務大臣(小沢辰男君) 私が建設省へその日付に参りましたのは、私の所管の南アスーパー林道問題で、いままでできておりますものを、また峠だけをとにかくつくれという要望がございます。これがもしできても、あるいはまた現在中止を命じ、あるいは将来やらないにしても、すでにでき上がった林道を建設省が一般道路としてこれをいかに考え、いかに引き継ぐかということについて建設事務次官のところで話をしておったわけでございます。ところが、そのときに仮谷建設大臣がおいでになりましたから、談たまたまいまの信濃川問題になりましたので、私が新潟県でございますし、新潟県の状況はよく知っておりますから、その問題についてどういういきさつでどうだといういろいろな話がありましたので、その点についての私が現地の模様を申し上げただけでございます。 この処理につきましては、いま建設大臣が申し上げたとおりでございます。長岡市長も私も何回も会いました。そういうような意味で、いま建設大臣が申し上げましたように、納得する解決ということで建設大臣が非常に苦労をされておるわけでございます。
○内藤功君 総理、どうですか。総理の答弁求められています。
○上田耕一郎君 答弁漏れ、答弁漏れ。 所有権ね、室町産業に所有権が移っている、当然の権利があるとあなた方は思っているのかどうか、仮谷建設大臣。 それから首相、室町産業に所有権があるのかどうか。それを聞いていますから、それを答えてください。答弁漏れだ。
○委員長(大谷藤之助君) 内藤君、質疑を継続願います。
○内藤功君 総理に聞いていますよ。
○国務大臣(仮谷忠男君) 個人が民法上の土地の取引しておることは、私どもとは全く関係のないことだと思っております。
○内藤功君 総理、どうですか。総理の答弁。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、建設大臣が最終的にこういう処置をしたいという報告を受けて、私が国民の納得のいくようなものであるかどうかということを判断をいたしますので、いま建設省でいろいろ直接長岡市長とも話をしたりして結論を持ってきた場合に、私の判断を加えたいと考えております。
○内藤功君 いまの問題は、まず建設大臣に上田議員の聞いた質問の答弁漏れが一つあると思うんですね。これは大臣が小沢長官などと協議されたときに、裁判がもう起きていたわけでしょう。裁判が起きていたか、あるいはもう起きていることを知っている状況でしょう。その答えがないです。
○国務大臣(仮谷忠男君) そのことを全く知りません。これは決してうそ偽りを申す必要はないし、全く知りませんでした。
○内藤功君 これはもうはっきりしているわけですね。訴訟を起こすということは、この数日前から新潟の新聞でずうっと報道されている。東京の新聞でも伝えられている。そういう中でいま裁判が起きようとする土地、それからその土地は政治家の関係している会社が被告とされ訴えられる、こういうような局面にあった場合に、政治家というのは、裁判が起きたから土地をよそに回してしまう、よそに提供してしまう、これが本当の政治家のあり方かどうか。まず、この点どう考えていらっしゃるか、建設相にお聞きしたい。
○国務大臣(仮谷忠男君) 政治家のあり方は、あなたはあなた、私は私であり方は十分考えておるつもりであります。この点は率直に申し上げておきます。 ただ、いまの問題は全く私ども知りませんでした。これははっきり申し上げます。ただ、お二人が訴訟を起こしたということは後で知ったわけですが、今度、率直に言えばそのまだ前に、話し合いのまだ前に、百八十一人だと思いますが、旧土地所有者です、農民です、その方からぜひひとつこれは地元の発展のために、農民の利益を優先するためにぜひ早く開放してくださいと、そういう署名入りの私どもに要請書が出ておったことは事実であります。そういうこともかれこれあったということは、長岡市民の人々が、農民の皆さん方の大勢がどういうお気持ちでおられるかということは、私どもは一応想像ができる問題であったということも御理解していただくために申し上げておきたいと思います。
○委員長(大谷藤之助君) 関連ですか。簡単に願います。
○岩間正男君 関連。 いまの室町産業の土地所有権があるかないかということですが、これは今度の問題で国会論議としては非常に重大な問題だと思うんです。所有権のないものを譲渡するとかどうとかすることを所轄省がやるなんということは、これは全く違法なことになるわけですよ。したがって、これに対して明確な答弁が願いたい。この問題をあいまいにして、これを過ごすことはできないんです。国会の論議ですよ、いやしくも。これに対して、これは仮谷建設相、小沢環境庁長官、三木総理に対して質問があったはずです。この見解が明確にされないで行われることはまずいと思う。したがって、私は議事進行の立場からいっても、いまの問題について三者が明確な答弁をする、これは国民が見守っている問題ですから、国民に対してもはっきりあなたたちのこの見解を明らかにするということは、当委員会の権威においても重大だと思う。したがって、このことを要求します。
○国務大臣(仮谷忠男君) 御質問の要旨が私はどうも明確によう把握しないんですが、河川敷というものは廃川処分を行って初めてもとの所有者に返るわけであります。もとの所有者、農民であれば農民に返るわけであります。そのもとの所有者の農民が室町産業と取引したとかしないとか、所有権が移ったとか移らないとかいうことは、私どもの行政上の関知しないところであります。これははっきりしておきたいと思います。
○委員長(大谷藤之助君) ただいまの答弁ではっきりしたと思いますから、内藤君に質疑をお願いします。
○内藤功君 納得できぬです、それは。
○委員長(大谷藤之助君) じゃ簡単に。
○岩間正男君 いまのような答弁で、その見解なしならば、これを譲るとかそういうことはできないでしょうが。何ですか、いま。この見解なしにこれはできますか、そんなことは。はっきり答弁しなさい。
○委員長(大谷藤之助君) ただいまの答弁で明確だと思いますが、理事が重ねて要求いたしておりますから、重ねて建設大臣。
○国務大臣(仮谷忠男君) 河川敷、国が管理しておるのでありますから、解除しない限りはこれは所有権は国であります。長岡市長の言っておるのは、廃川処分後の処理を言っておるわけでありまして、これはひとつはっきり区別して御理解をいただきたいと思います。
○内藤功君 一番基本は、室町産業の所有権が、九月の末に裁判を起こされて、これから法廷で法の裁きを受けようというときにこの協議が行われた、話し合いが行われた。ここに大きな問題があるのですね。これが疑惑のもとなんです。裁判を起こされた政治家、あるいは政治家の関係する会社、あるいはその政治家の近親者、あえていえばですね。あるいは同じ派閥の人、そうしてその政治家からいろいろ相談を受けている政治家は、どうしたってこういう場合に、まず法の裁きを静かに受けて、それからその財産の処分、財産の処理というものに手をつけるのが国民の疑惑を解く一番大きな道ではないか。これがあなたにわからないのか。政治家の道は、あなたの道もあるだろう、おれの道もある、そういう問題じゃないと思うんです。どうですか。
○国務大臣(仮谷忠男君) 百何十分の一名か二名かだと私どもは思っております。それは土地所有者が私どもにそういう署名捺印で要請書を寄こしておりますから、そのうちの一人ないし二人であります。しかも、その一人、二人で何か訴訟を起こしたとすれば、それは民事の法廷でその問題は裁きを受ければいいと思うのでありまして、それはそれとして、私どもはやはりあれだけの土地を市民のために優先して利用するという市長のそういう考え方があれば、私どもは——処分後のことですよ。処分後のそういうことがあれば、協力することにやぶさかでない。しかも、そのことは恐らく市民も国民も県民も納得してくれることであろうと私どもは考えておるわけであります。
○内藤功君 いまの点、総理、どうですか、総理は。総理の答弁。いまあったように政治家のあり方ですよ、これは。ひとつあなたの見解を聞いておきたいんです。
○委員長(大谷藤之助君) 発言は立って……。
○国務大臣(三木武夫君) 私がいま言っておるのは、廃川処分後に一体どういうふうにするかということに対して建設省で結論が出た場合に、私に相談があったら、私が国民の疑惑を残さないような判断を加えたいと申しておるわけでございます。処分前の問題ではない。処分後の問題でございます。
○内藤功君 この問題は、裁判という、この権利の有無、室町産業に権利があるのか、農民にあるのかと、この点がはっきりしない間にこの処分をしてはならぬ、これが当然の政治家の常識であろう、道であろうということを私どもが何回も口を酸っぱくして申したのに対して、明確な答弁がない。非常に私は遺憾であります。こういうことが疑惑のもとになる。私どもはこの点はさらに徹底的に今後も究明していきたいと、こう思います。この点についての質問を私は留保しておきたいと思います。 先に進みたいと思うんです。これは三木首相に特にお聞きしておきたい。 私は、ことし戦争が終わって三十年であります。広島、長崎に原爆が落とされて三十年になります。日本の国民は、もう再び戦争を起こさないことを誓って原水爆禁止を訴えてきた。三木総理にまずお伺いしたいのは、戦争に対する態度、三十年前のあの戦争に対する態度は内閣の政治の基本姿勢にかかわる問題だと思うんです。三木総理はあの満州事変から始まるいわゆる十五年戦争と言われる戦争を、いま侵略戦争というふうに考えているかどうか。ポツダム宣言にははっきり侵略戦争とうたわれ、これをわが国は受諾したわけであります。この点をまずお伺いしたい。
○国務大臣(三木武夫君) 先般の戦争というものは、中国に対してもその他に対しても、大変なやっぱり日本は迷惑を与えたわけでありますから、これらに対しては深く反省をして、その反省の上に立って新しい日本というものが出発をしたものだと考えております。再びあの戦争のようなことを繰り返してはならぬ、この誓いが私は今日私の立っておる立場であると申し上げておきます。
○内藤功君 そうすると、原点として、太平洋戦争、十五年間にわたった戦争をこれは侵略戦争と考えて深く反省をしている、こういうふうに伺っていいですね。
○国務大臣(三木武夫君) この戦争をどういうふうに呼ぶかということは、これは歴史の判断に任せたい。しかし、私がいま総理大臣として考えることは、もう二度と再びこういう戦争のようなこういう悲惨な事態を繰り返したくはない、もう日本はあらゆる努力を傾けて平和な日本としての道を歩みたい、この強い決意が私の総理大臣としての出発点である。戦争をどう呼ぶかということは歴史にゆだねたいと思うのでございます。
○内藤功君 前首相の田中角榮氏は、太平洋戦争を侵略戦争と考えるかどうかは後世歴史家が判断することで自分には判断できる立場にないと、さらに、四十五カ国を相手に戦争したのは日本の教育のしからしめるところだという演説をして有名になったんですね。そうすると、いまの三木さんの御答弁は前の田中首相と同じ答弁であると、こういうふうに伺っていいですか。
○国務大臣(三木武夫君) 人間が違うのですから、考え方は皆一緒ではないわけであります。私は、もう二度とああいう日本の諸外国に与えた被害というものは、これはもう深く反省をしなきゃならぬ。その反省の上に立てばこそ、日本は今後どういうことがあっても平和国家に徹しなければならぬというのが私の政治の原点であります。
○内藤功君 それに関連してもう一つあなたの政治姿勢をしっかり確かめておきたい。これはわが国は、日本で広島、長崎、初めての原爆の被害を受けた国であります。いまなお被爆二世、三世など含めて約数十万の人たちの健康がむしばまれて、生活を不安に陥れています。そしてこの原水爆禁止の声がいま世界に広がっている。いまあなた方はこの原水爆の禁止、これはもう全面的に禁止をする、被爆国の日本の政府はその先頭に立って闘うべきだ、こういう決意を持っておられるかどうか、この点をまず伺いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 先般の第二次世界大戦で最も悲惨な立場に立たれたのは、広島と長崎の人たちだと私は思います。ほかにもありますが、最も原爆の被害者というものが悲惨な立場に置かれている。これはもう胸を痛める事柄でございます。したがって、日本はこういう体験に徴して核武装はしない、日本はやろうとすればその能力を持っておるにかかわらず核武装はしないという、こういう決意を国民が固めておるわけでございますから、原水爆というようなものを世界からなくするということは、これはもう日本の、日本人としてこれは世界をそういうところへ持っていくためにわれわれは今後とも長い努力を続けていかなきゃならぬ。しかし、すぐに一遍にそこへ持っていくことは現実の政治としてそこまでいきませんから、まず核軍縮、こういうようなところから出発をすることが現実的な運ばせ方としては適当だと思いますが、終局は原水爆を世界からなくせよと、これは日本の悲願であることには私はだれも異存がないと思います。
○内藤功君 もう一点伺いたいのは、第二次世界大戦におけるアメリカの広島、長崎に対する原爆投下を、これを国際法上も違反だという東京地裁の判決も出ております。この点は許すことのできないものだというふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(三木武夫君) 国際法上はともかくとして、これはその前に、だれが考えても原爆の投下ということは最も遺憾なことであることは、もうだれの常識にも明らかでございます。
○内藤功君 いまの遺憾だということは、許すことのできないという意味で言われたと私は理解します。もし間違っておったら、そうではないというのでしたら答えてください。そういうことですね、許すことができないということですね。
○国務大臣(三木武夫君) それは私はやはり原爆が投下されたことはまことに遺憾なことである。しかし、いまそういう戦争中のいろいろな出来事を乗り越えて、そして日米の間の協力関係を築きたいという、そういう時点に日米関係は立っておるわけですから、これをまことに遺憾なことであるというので、この時点で許すことはできないんだと、こういうふうに——共産党の内藤君、こういうふうな考え方で言われておるか知りませんけれども、最も遺憾なことであったということで私の気持ちは表現されておると御理解を願いたいのでございます。
○内藤功君 なぜはっきりおっしゃれないのか、非常に疑問に思います。 そこで、もう一つしっかりとお答え願いたい点は、いわゆるベトナム戦争終了後にアメリカのフォード大統領、さらについ最近やめられたシュレジンジャー長官、こういった人たちが、核の使用についての自分たちの選択の自由があるんだと。前国防長官のシュレジンジャー氏に至っては核の先制使用ということを公言し、そうして世界からいろいろな批判を受けております。この点についての政府の明確な今日時点のお考えを伺いた い。
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的にシュレジンジャー国防長官がそういうことを言われたようでございますが、これは核の抑止力というものの効力を発揮させるための発言であるというふうに政府は考えております。
○内藤功君 総理はどう考えられますか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、核というものが抑止力である、核は。現実に核が使われて、核戦争というものが世界的に起これば人類はもう共滅の運命にある。そこにやっぱり核というものの一つの大きな戦略的価値は抑止力にある。したがって、現実に核戦争が地域的にも世界的にも起こるということは私はあり得べからざることだという考えでございます。
○内藤功君 防衛庁長官にちょっと同じ点で伺いたい。
○国務大臣(坂田道太君) 私も抑止力だと考えております。
○内藤功君 三木内閣は非常にはっきりと言われました。そうすると、被爆国の政府として、フォードなりシュレンジャー、特に現職のフォード大統領に対して、被爆国の政府の代表として、こういうような発言について抗議をしたり、あるいはその真意を確かめられたり、日本国民としてはこういうような核使用は世界のいかなる国に対しても反対である、また、抑止力とはいえ、核を使用するというような発言を慎んでほしいということをいままで一度も言ってないと思うんですが、これはどういうわけです。
○国務大臣(三木武夫君) これは内藤君も御承知のように、日本が非核三原則を持っている。このことは、これは世界に知れわたって、佐藤さんはこれでノーベル賞をもらったくらいです。だから、いまさら私が人に会うたびにこういうことを言わなくても、やっぱりこれだけ世界的な評価を受けておるわけですから、いまさら一々私が会う人ごとに言う必要はないと私は考えております。
○内藤功君 これは先般来日したラロック提督も言っているように、核抑止力というものは、これがもし一たん均衡が破れた場合には大変な事態になるということを言っているんですね。私はやはり被爆国である日本の政府の閣僚としてはなはだこれは情けない。それこそ、これこそ遺憾な発言だと思うんです。こういう姿勢だから、これから私が質問するように、日米安保条約の運用の問題についても非常に国民に疑惑を抱かせることになっているということを私はここで指摘をしておきたいと思う。 そこで伺いたいのは、ベトナム戦争以後、日本に駐留しておる在日米軍の任務というものは、いままでの対インドシナ戦争用から対朝鮮作戦の方向に、訓練なり装備なり、こういったものが変わっていると思いますが、この点はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国に米軍が駐留しておりますのは、御承知のように日米安保条約に述べられました目的に従って駐留をいたしておるわけでございます。この目的を有効に達成する範囲内で常にいろいろな準備をいたしておるというふうには思いますけれども、特にベトナム戦争以後それが変わったというふうには私ども考えておりません。
○内藤功君 沖繩で最近、米軍の上陸用舟艇母艦あるいは強襲揚陸艦、こういった艦船の入港が非常に頻繁であります。海兵隊の訓練も、従前のジャングル戦の訓練というものはほとんどいまやっておりません。山岳、平地戦の訓練、さらに装備をずっと続けております。この点について、こういう事実を外務大臣なり防衛庁長官は確認しておられるかどうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的な事実がお入り用であれば、もし政府委員が確認しておればお答えをいたしますが、いろいろな態様に対して常に備えるということは、日本におります米軍としては当然考えておることで、それが何を目的にしているというようなことではなかろうと思います。
○内藤功君 防衛庁長官はどうです。
○国務大臣(坂田道太君) 具体的に何をやっておるかは知りませんけれども、あらゆる場合に備えましていろいろの訓練をやるということは当然なことだと思います。
○内藤功君 具体的に私どもが、たとえば第三海兵師団、これはもう実際に個人所持の小火器類から師団装備に至るあらゆる武器類を、ジャングル戦用から山岳、平原戦用の重装備に切りかえておる。それから輸送トラックも山岳、砂漠でも自由に使用できるという大型カーに切りかえている。こういうことがこの沖繩の現地から、私どもは実際調べた人から報告を受けて聞いているし、私も二月に沖繩を視察してつぶさにこれをいろいろ見てまいりました。 そこで、私が伺いたいのは、アメリカの海兵隊の第三海兵師団、これは大体どのくらいの兵力を持っており、そうして火砲などはどういうもの、戦車はどういう装備をしているか、この点を政府委員で結構ですが、お答え願いたい。
○政府委員(丸山昂君) 第三海兵師団でございますが、航空隊の関係も含めまして、沖繩には約一万八千名でございます。大部分が第三海兵師団だと思います。それから装備でございますが、一〇六ミリの無反動砲、八一ミリの迫撃砲、同じく六〇ミリの迫撃砲、それからM48戦車、二〇三ミリの自走りゅう弾砲、一五五ミリ、これはりゅう弾砲、それから一〇五ミリのりゅう弾砲といったところでございます。
○内藤功君 この第三海兵師団には歩兵の部隊がありますが、その中に偵察大隊というのが何個大隊あり、どのくらいの人員か、この点を伺いたい。
○政府委員(丸山昂君) 第三偵察大隊、瑞慶覧にございます。人数はちょっと私の手元ではわかりませんが、M41二十七両が装備でございます。
○内藤功君 任務は何ですか。局長、任務。
○政府委員(丸山昂君) 任務はこの名称のとおりでございます。
○内藤功君 その第三海兵師団が現在、来年の初頭に朝鮮半島での大規模な演習を用意しているということを知っていますか。
○政府委員(丸山昂君) 私ども承知しておりません。
○内藤功君 それは非常に重大な演習がいま用意をされているのですが、防衛庁が知らない間にやってるとすれば、これは大変な問題だと私は思うのです。この演習は来年の一月下旬から朝鮮における冬季の、冬の山岳戦の演習をいま準備をして、現在もうその準備に入っているという、そういう状況であるというわれわれは情報を得ておりますが、この点御存じかどうか、さらにもう一遍お伺いしたい。(発言する者あり)
○委員長(大谷藤之助君) 静粛に願います。
○政府委員(丸山昂君) 私ども承知をいたしておりません。
○内藤功君 この演習は、いま質問しました第三海兵師団の第三偵察大隊が、来年の、一九七六年の一月下旬から二月の上旬にかけて、海路沖繩から朝鮮半島の東海岸にある浦項に上陸する、これはゴールデンドラゴンだとかフォーカスレチナだとかいう昔の何度かあった米韓合同大演習と同じ場所です。そこに上陸をして、そこで山岳戦演習を行うということです。外務省はこれ、知りませんか。
○政府委員(山崎敏夫君) 存じておりません。
○内藤功君 外務省も防衛庁も知らないということなので、私どもの調べたところを申し上げたいと思う。 これは朝鮮の東海岸の浦項に第三偵察大隊がキャンプ、つまりここに基地をつくって、冬季、冬におけるいろんな訓練、近代兵器を使い、さらにパラシュート降下あるいは野外訓練、こういったものを含めた山岳戦での訓練を行う、こういう内容であります。そしてその準備をすでにことしの十一月から始めている、こういう演習であります。日本政府が知らないというのは重大です。こういう演習の資料を私ども日本共産党は持っております。私どもはまずこれをここに提示したいと思う。
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。
○内藤功君 いま防衛庁長官に英文のものをお渡ししましたが、これはいまのアメリカ海兵隊第三海兵師団の第三偵察大隊の指揮官から、コマンディングオフィサーから第三海兵師団の司令官、コマンディングゼネラルにあてた、いまこういうように演習の準備は進んでいるという報告書であります。この中に、朝鮮における冬季訓練というのがあって、そして一九七六年冬、朝鮮浦項において訓練を実施する。いま師団幕僚の間で準備的な討論が行われておる。そしてこの内容は、九十日間準備をする。準備的な講義と訓練、前進部隊の塔乗及び移動の準備、そして朝鮮へ移動をする日が、Eデー、そしてDデーに朝鮮に移動する。Tデーに訓練を開始する。 訓練の中身がまた大変であります。寒冷季生存、寒い中で生きる。特殊装備の迷彩、隠蔽使用、それから野外移動、氷結温度下での破砕の実施、寒季パラシュート訓練、こういう訓練を四十日。一月末か二月初めに向こうへ着くわけですから、約四十日、冬の間ずっとぶっ通しの訓練を行うという、こういう報告書であります。 私は、こういうような演習は、いま朝鮮半島で緊張がますます高められる原因になるのじゃないか。私はこういう演習について、いまこの防衛庁の方にお渡しした資料について、あなたがたはこういう演習がいま在日米軍で行われている、在沖繩米軍で行われている、この点をいま朝鮮半島の緊張を高めるものだと、こういうふうにはお考えにならないものか。さらに、こういう演習は在日米軍が、さっき私が質問をして皆さん方はあいまいに答えたけれども、まさに朝鮮半島の戦闘を用意した具体的な準備段階にいま入っているというふうに思われないか、この点を伺いたい。
○政府委員(山崎敏夫君) 資料を拝見いたしました。米軍は、御承知のとおり、日本の安全に寄与し、また極東における平和と安全に寄与するために駐留しておるわけでございまして、その意味において、この極東地域における事態に備えてあらゆる種類の訓練をすることは当然のことであります。その意味で、これもその訓練の一環であると了解いたします。
○政府委員(丸山昂君) ただいまアメリカ局長が御答弁申し上げたとおりでございます。
○内藤功君 さっきから、おれは軍隊にいったことがあるのだ、よく知っているという元気のいい発言があります。こういう経験のある人、あるいは少しでも軍事学というもの、軍事問題に関心のある人ならわかるように、演習というのは部隊を移動させるためにしょっちゅう使われる名目なんです、これは。古来多いです、これは関東軍特別演習を初めとして。それから真珠湾へ攻撃する機動部隊も、演習という名目で一部集められたという、戦史に残っておる。これは一々例を挙げるまでもない。私は、こういうような演習というものが、いま朝鮮半島で平和を望むとか言っておりますが、実際に日本を基地として行われているというところに非常に重大な問題があると思うのです。私はさらに、このような演習というものは、これはいわゆる北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国にとってはやはり大変な威嚇であります。 私は聞きたいのでありますが、丸山防衛局長、この第三海兵師団の持っている一五五ミリりゅう弾砲というものは核・非核両用だと、私は沖繩に行ってつぶさに聞いてきたのだけれども、この点はそうですね。一五五ミリと、もう一つの二〇三ミリです。
○政府委員(丸山昂君) 戦術核につきましては、御案内のように一五五ミリ、それから二〇三ミリ、こういったものについて核・非核両用の砲弾があるというふうにいわれております。現実に現在沖繩で持っておりますりゅう弾砲それ自体が、いまの核・非核両用の目的に合致するように装備されておるのかどうかという点については私どもはっきり承知をしておりません。したがいまして、いま先生のおっしゃいましたように沖繩の第三海兵師団、この装備について両用のものであるかということについての私の方からのはっきりした御説明は申し上げられないと思います。
○内藤功君 これは米軍はどこでも演習をする自由があるから、何とも、危ないとも危なくないとも考えない、こういう態度ですね、政府の態度というのは。私は非常に遺憾だと思うんだ。こういう、三木総理の言葉を借りて言えば、すぐ日本から三十キロ離れている朝鮮半島での戦争に備えて、アメリカの軍隊、海兵隊がこういう演習に出かけていく、こういう重要な資料です、これは。政府として、こういう演習は一体何のためにいまこの時点でやるのか、国際緊張をかえって高めることにならないかという点について、そういう立場からこの演習について早速米軍側に問い合わせて、この演習の規模、それから——これは九牛の一毛なんです。まだほかにも、きょうは出しませんが資料がある。この第三大隊だけじゃないんです。大きな演習の一つの、九牛の一毛なんです。天網恢々疎にして漏らさず、ここに出てきたんです。ここで総理、ぜひこれは米側に問い合わせをして、この演習の規模、日本を基地にこういう危険な演習はいまの時点でやってもらっちゃ困るということをあなたは言うべきじゃないですか。
○国務大臣(三木武夫君) 軍隊、いろいろな演習もやるでしょうが、私は内藤君が何かこう朝鮮の戦争を、アメリカにしても、挑発しておるような、こういう立場で質問されているのじゃないかと思うんですが、先般八月に私がアメリカへ行ってフォード大統領と話したのは、どうしてこの朝鮮半島の平和と安定を維持するか、武力衝突のようなことをどうして避けるかということがもう話の中心だったのです。アメリカもやっぱり朝鮮半島における平和と安定を望み、日本もそうでしょう、これは。そういうものを、そういう戦争が起こってみたなら日本というのはどういう影響を受けるかということは、もうだれの目にも明らかです。だから日米とも、どうしてこの朝鮮半島におけるそういう不幸な事態を避けるかということが会談のすべてである。こういうことを考えても、ことさらに朝鮮戦争というものを、朝鮮半島における武力衝突をあおるようなことをアメリカが考えるわけは私はないと。もう話の全部がそうですからね。どうして戦争を防ぐかということです、そういう不幸な事態を。そういうことですから、いろんな演習を軍隊ですからいたしましょうけれども、アメリカが望んでおることは、やっぱり朝鮮半島の平和と安定である、このことを私は疑いたくない。私との会談の中で大統領はそれに終始したという態度から見て、私はさように信じておるものでございます。日本もまたそうであります。
○内藤功君 外務大臣、いまの点の答弁を求めております。
○委員長(大谷藤之助君) 関連して外務大臣の答えを。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま総理がお答えになったとおりです。
○内藤功君 米側への問い合わせの問題、答えていません、いま二人とも。いまの質問にあなたは答えていない。時間をあんまりむだに使わせないでください。米側に問い合わせて、この演習の規模を問い合わすべきではないか。これは宮澤外務大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまお話によりますと、浦項において演習が行われるということでございますが、それは恐らく米韓条約との関連であろうと存じます。わが国の関知するところでございません。問い合わせるつもりはありません。
○内藤功君 いまの答弁はきわめて重大です。米韓条約に基づく行動だ、ここまではいいでしょう。しかし、それはわが国の関知するところじゃない——。しかし、わが国に駐留する、沖繩県に駐留する在日米軍が出動する、これがどうして関係ないのですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国の地におきましていろいろな準備が行われる、これが安保条約に定められております権利義務の範囲内であれば、別段政府は一つ一つ問いただす必要はないと考えております。
○内藤功君 私はいま、この問題に入ろうと思うのですが、さっき言われた、これほど私どもが要求しておる、米側に早速この報告書に基づいて、いまお渡しした書類に基づいて、こういう演習の有無、その規模、そういったものを——これは日本国民にも影響しますよ。この出動地点では最近訓練が非常に激しくなってきている。兵員の往来が激しくなってきている。沖繩県民の立場に立って調査をするということが言えないのかどうか、もう一遍伺いたい。 で、これは私は、議事進行の問題ですが、委員長において、理事会においてこういう調査を回答を求める、こういう手続をとられるように、これもあわせて要求をしたいと思うのです。 まずその前に宮津さんにもう一遍伺いたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府の立場は、先ほど申し上げましたように、安保条約においてわが国の施設・区域に米軍が駐留しておる、いろいろな事態に備えていろいろな演習をし、準備をするのは、むしろ当然なことでございますから安保条約に定められている範囲内であれば、一々それを問いただす必要はないというふうに考えておるわけでございます。
○岩間正男君 関連。 先ほどの三木総理大臣の答弁によれば、このような答弁の趣旨とは反するような非常に危険な訓練が実際は行われている。したがって、この問題は、当然これは外務省がアメリカにただして、これは今後の日本の防衛問題でいま大きく論議されている中で重大な関連を持つ問題ですから、当然これは理事会でも取り上げ、さらにまた外務省はこの質問者の要望にこたえるべきであると思います。ぜひそのような処置をとられること。これは外務大臣どうですか、もう一遍これについて。実に重大ですよ。たとえば一五五ミリの原子砲、二〇三ミリの原子砲……
○委員長(大谷藤之助君) 簡単に願います。
○岩間正男君 そういうものを携帯した実にこれは大変な演習なんです。演習といっても、実際は作戦とも言えるべきものです。こういう問題について明確にすることは、当然これは国民に対する義務でしょう。したがって、アメリカにこのような事実があるのか、有無の問題、さらに、これに対する政府の態度を明確にすべきだと思うのです。このことを要求したいと思いますが、これに対して、これは外務大臣の答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御質問あるいは関連質問を伺いましても、それが安保条約に定められた権利と義務の範囲内であるというふうに考えられますので、政府としては問い合わせるつもりはございません。
○委員長(大谷藤之助君) 内藤君に申します。 先ほど、この問題は理事会において重ねて検討をという要請がございましたが、再三の外務大臣の答弁によって明確だと存じますので、委員長としては、ただいまの段階ではその必要はないと考えております。
○内藤功君 それは納得できませんね。ぜひ理事会で取り上げて、その文書の存在を明らかにしてください。これは納得できませんがね、委員長。それは調べてください、ああいう文書で出ているのですから、実際に調べてください。理事会にちゃんと諮って、そうしてこういうものを政府から出させるようにしてください。
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。 ただいま各党の理事の御意見を総合しまして、先ほど委員長が申しましたとおり、理事会においてこの問題は再検討する余地はない。外務大臣の明確な答弁でございますから、質問を続行願いたいと思います。
○内藤功君 私は、これについては非常に不満であります。こういう重大な演習について予算委員長がやはり理事会に諮って、そうして政府を通して米当局に対して調査をする、これは最低限のことじゃありませんか。委員長の再考を求めたい。
○委員長(大谷藤之助君) ただいま委員長が申し上げたとおりでございます。
○内藤功君 ほかの問題がありますから、それではこの点について、私はさらに後で、別の機会に徹底的にこれは追及したいと思います。 そこで、いま出ましたように、この核・非核両用装備の火砲を備えた部隊が朝鮮半島へ演習に出かけていく、こういう非常に重大な時期であります。日本の自衛隊については、これは坂田防衛庁長官などが盛んに専守防衛ということを言って、これがあたかも日本の国を防御するだけの部隊のように一貫して見せかけてきた。私はこの問題は、きょう一つだけこの点についてお聞きしたいと思う。 まず防衛庁にお伺いしますが、幹部学校の指揮幕僚課程とはどういうものですか。
○政府委員(伊藤圭一君) お答えいたします。 幹部学校、陸海空の幹部学校がございまして、指揮官の幕僚教育をしている課程でございます。
○内藤功君 いまの答弁は不十分で、上級部隊の指揮官及び上級幕僚を教育する、そういう課程ですね。そのくらいしっかり答えろ。
○政府委員(伊藤圭一君) 幹部学校というところは上級幹部の教育をやるところでございまして、そこにおきまして指揮官、幕僚の教育をやっております。
○内藤功君 陸上と航空について伺いますが、陸と空の幹部学校の指揮幕僚課程というのは、そこに研究する学生は階級でどのぐらいであるか。陸と空の課程のカリキュラムの日数ですね、何日間あるいは何週間、これを陸と空だけ述べてください。
○政府委員(伊藤圭一君) 陸の幹部学校の指揮幕僚課程は二年でございます。 航空自衛隊の幹部学校の課程が、私の記憶しておりますのでは一年二カ月だと思います。
○内藤功君 四十七週じゃないですか。
○政府委員(伊藤圭一君) 航空自衛隊の方でございますね。
○内藤功君 はい。
○政府委員(伊藤圭一君) 四十七週だと思います。
○内藤功君 じゃ、そういうふうに直すね。
○政府委員(伊藤圭一君) はい。
○内藤功君 昭和四十三年五月に陸と空の幹部学校の指揮幕僚課程、これが合同研究会をやった事実がありますか。合同研究会、図上演習。
○政府委員(伊藤圭一君) 四十三年の五月に図上研究をやったということは、私ただいま存じておりません。
○内藤功君 調べなさい。
○政府委員(伊藤圭一君) はい。四十三年の資料をいま持ってきておりませんので、ただいますぐ問い合わせたいと思います。
○内藤功君 じゃ、それまで待ちましょう。
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。
○内藤功君 もう一点、その中身に入る前に伊藤さんに聞きますがね、指揮幕僚課程、空陸、略称何と言っておりますか。
○政府委員(伊藤圭一君) CGSと申しております。
○内藤功君 それは陸が。空はCGS……。
○政府委員(伊藤圭一君) 空もCGSと言っております。
○内藤功君 空はCSCでしょう。
○政府委員(伊藤圭一君) CSCは、それはもう一つ下の階級でございます。
○内藤功君 そうですか。
○政府委員(伊藤圭一君) これは一尉クラスでございます。
○内藤功君 指揮幕僚課程ですか。
○政府委員(伊藤圭一君) いや、指揮幕僚課程の前の一般課程とか言っておりますが、その下のようでございます。
○内藤功君 この昭和四十三年五月に行われた図上演習の資料、いま手元にないというので、私は持っている資料をまず配りたいと思います。
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。
○内藤功君 これは昭和四十三年五月に行われた陸と空の幹部学校の図上研究であります。この図上研究は日本列島と同様の地形がある。私はここにこの地図に、この想定に沿うようにわかりやすく書いてきました。——見えますか。皆さんによく見ていただきます。 これは日本列島と同様の地形がある。そうして、後ろの方には失礼ですが、百三十五度線、ここに一つ線が引いてある。これは大体兵庫県の明石を通る線。もう一つは百三十九度線、これは新潟、高崎それから三島をつなぐ線であります。そうして、この百三十五度から西を緑地帯、そして真ん中を白、そうして百三十九度から下を対象勢力、つまり防衛庁の言う敵ですね、対象勢力。こういうふうに区分けをして、そうして対象勢力からこの非武装地帯に攻撃があった。それに対して自衛隊が陸空から、緑から白に進入する、そうして敵を、対象勢力を撃退するという、そういう図上演習であります。いかがですか、こういう図上演習やったことは。まずその点。
○政府委員(伊藤圭一君) その研究が現実に四十三年の五月に行われたかどうか、それは私も知りませんでしたが、研究としてそういうことをやっていることはあり得ると思います。
○内藤功君 問題は、この研究の中で、明白に専守防御ということが航空自衛隊の場合には成り立たないんだと。専守防御ということは成り立たない。味方の航空兵力の七割で敵の基地を攻撃したときに航空優勢をかちとることができた、しかし、味方が全部防御に回ったときには敵の三割も撃墜できなかったと。これが結論として、その参加をした某三等空佐の報告文書に載っておるわけです。口では専守防御だ、守り一方だと言っておきながら、現実にそういう専守防御を公然と否定する図上演習が行われている。図上演習の結論にせよ重要だと思いますが、この点防衛庁長官どうお考えになりますか。
○国務大臣(坂田道太君) いかに憲法制約下で専守防衛というものがむずかしいかということについて研究をすることはいささかもおかしいことではないので、むしろ、そういうことをやらなきゃいけないのじゃないかというふうに思います。しかしながら、憲法の制約あるいはいろいろの諸法規がございますから、その範囲内にどうやって日本の安全と独立を守るかということの研究をいろんな角度からやるということは当然なことじゃないでしょうか。
○内藤功君 専守防御を公然と否定をしている。専守防御は軍事力として成り立たないということも、これも当然である、そういうことを幹部学校の記事というところに書くことも当然である、こうお考えになるわけですか。
○国務大臣(坂田道太君) 純軍事的な側面から見ればそういう結果になるということを、ユニフォームの人たちが研究することは当然じゃないでしょうか。それに対してどういう政治的判断があり、あるいは憲法の制約そのとおりにおいてシビリアンコントロールを受けるかということだと私は思うんです。
○内藤功君 部隊の幹部あるいは将来指揮官になるべき人の教育訓練というのは、これは単なる興味本位でやっているものじゃないですね。これは将来の部隊の運用、部隊の動かし方の中の大きな基準になる、そういう教育をやっている。軍隊というのはそういうものです。教育がすなわちこれは演習になり、それが実戦のときに使われるものなんですね。ですから私どもは重視する。こういうものについて、しからば専守防御は成り立たないという立場からどんな研究でもしていいと、防衛庁長官がそうおっしゃるんであれば、はっきりここで述べてもらいたい。これは重大な問題です。
○国務大臣(坂田道太君) わが国が憲法の制約を受けていることは当然であります。しかも専守防衛に徹しなきゃならぬことも当然なことであります。その中において純軍事的に見た場合において、普通一般世の中に、世界において行われておる軍事力と日本の自衛隊のおのずとの制約、その接点がどこにあるかということがわからなければ、専守防衛というものの戦術や戦略というものはできないのじゃないでしょうか。そういうようなことを研究することが、むしろシビリアンコントロールをする上においても、あるいはユニホームの人がその限界を知る上においても必要なことであるというふうに私は思います。
○内藤功君 そうしますと、防衛庁長官は、専守防御の枠を外れたいろんな攻撃あるいは攻撃の戦略、戦術、こういったものを防衛庁が各自衛隊に研究させるのは、これは全く自由であり、これを奨励する、こういうわけですね。
○国務大臣(坂田道太君) 全く自由だとは言っておらないんです。専守防衛の立場からどういうふうにして日本の自衛隊の行動を律するかという場合においては、そのようないろんな材料を客観的に知るということは非常に大切なことだと私は思うんです。そう思われないですか。そうでしょう。私は、国際的なやはり軍事力というものと、それから日本のきわめて特異な憲法というもの、これはなかなか諸外国でもわからないと思うんです。あるいは旧軍隊のいろいろのことになじんできた人たちからいうと、わかりにくいと思うんです。しかしながら、日本においては憲法というものがちゃんとある。この制約のもとにおいて専守防衛というものを戦術、戦略の上においてどうやるか、陸においてはどうだ、空においてはどうだ、海においてはどうだ、その辺の限界を知らずしてはこの専守防衛に徹することはできないんじゃないですか。これくらいはおわかりになっていただけるものだと私は思うんですが。
○内藤功君 これは総理に聞きたいと思うんですね。総理、いまの答弁と同じ見解ですか。つまり、こういう自衛隊の制服が、専守防御じゃもう勝てない、七割を攻撃に使って敵の基地を攻撃したとき初めて航空優勢が守れた、全力を防御に回したらこっちは制空権をとれなかった、こういう研究を自由にやらしていいと、あなたもそうお考えなんですか。私は専守防御がどのくらいいまの政府に守れるかをここで確かめるために聞いているんです。
○国務大臣(三木武夫君) 私も聞いておって、防衛庁長官の言うことはよくわかるんです。
○内藤功君 私は、もう一つ重大なのは、防衛庁長官、こういうような百三十五度、百三十九度、こういうふうにきちんと直線で線が引かれる。そうしてこっちは赤だ、こっちは緑だ、こういう事態が日本列島の事態だと思いますか。日本列島で起きる事態だと思いますか。
○国務大臣(坂田道太君) これは作戦の研究でいろいろのことを想定してみるということが日本の独立と安全を守るゆえんじゃないでしょうか。起こり得べきあらゆる場合を考えていくということがやはり必要だと私は思うんです。国民のために、日本国の独立と安全のために、国を守るためにいろいろなことを想定してみる、考えられないようなことも考えてみる、そういう態度が必要だと私は思うんです。
○内藤功君 私も防衛庁のいろんな図上研究を研究しています、私なりに。そして質問しているんです。これは数年間私が研究してきた宿題としてきょう質問しているんですよ。あなたよりぼくはやっていますよ、はっきり言って。(「そんなことない」と呼ぶ者あり)いや、そんなことあるよ。それでですね、いろんな図上演習の私は写真も見た、それから図面も見た。しかし、こういうふうに日本の国土の上を直線で経度、緯度で引っ張っている演習は、これは非常に珍しい演習であります。 しかも、この距離ですよ。この百三十五度線から百三十九度線まで、これが三百六十キロ。百三十五度から百三十九度まで三百六十キロ。これはちょうど北朝鮮の三十八度線から鴨緑江に至る線の平均距離と同じです。それから百三十五度線からこの緑の下関のところまで、これはちょうど南朝鮮、韓国の海岸の平均線と同じです。こういうものをわれわれは考えているときに、これは日本の同様の地形でやったけれども、これは明らかに——あり得ないことだとさっき言われたけれども、あり得ないことも想定して、この朝鮮半島というものを想定してこういう訓練をやっていると、私どもはこういう疑惑を持たざるを得ないのです。私は、こういう意味で、この研究の二つの重要性、専守防衛の問題、それからこの地形の問題ですね、こういう研究について、十分、あなた方が専守防衛だとか言っておられるけれども、実際にやっておる制服組の訓練について間違いのないような監督をすべきだと思うのですよ。
○国務大臣(坂田道太君) かつて戦争前においては大陸に行った。そしていろいろ戦闘をやった。そしてまたそういうような、何といいますか、戦略、戦術をやっておったのですね。しかし、専守防衛に徹するわが国の防衛ということを考えると、そういうことじゃないんですね、日本の中において行われる、直接侵略が行われた場合において。そうすると、日本列島の地形に習熟したいろいろの作戦計画というものを立ててみる必要があるんです。それは、ベトナム戦争だったって、どこの戦争だったって、やっぱり参考にする必要があるんじゃないですか。そう思わないですか。
○内藤功君 思わないです。そういう説明じゃ納得できないです。
○国務大臣(坂田道太君) しかも、日本は非常に都市集中が行われておる。こういうようなところでどうやるか。あるいは山岳——平板な原野においての戦闘じゃなくて、そうして山岳地帯においてやる。これはやらなきゃうそですよ、むしろ。そういう日本列島の地理上の制約なり何なりを踏まえた上で、戦術、戦略をやって訓練をして、そして初めて日本の独立というものが保ち得ると私は思うんですよ。それなくして日本の独立と安全はあり得ないでしょう。共産党の方も中立自衛ということをおっしゃっておるでしょう。そうだとすると、そういうことをお考えになっているんじゃないですか。
○内藤功君 あなた方と根本的に違うよ。根本的に違うよ。
○国務大臣(坂田道太君) いや、どこが違うかを教えていただきたいです。私たちは、中立自衛というならば……
○内藤功君 根本的に違うですよ。
○国務大臣(坂田道太君) だから、どこが違うか教えていただきたいです。
○内藤功君 それは、あんたと私が逆のところへ座らなければ答えられないですよ、それは。冗談言うなよ。
○委員長(大谷藤之助君) 発言は立って願います。
○内藤功君 私に対する質問は、あなたがこっちへ来て、私がそっちへ行かなきゃ答えられません、これは、私が聞いているのだから。いいですか。 私がまずここで伺いたいのは……
○委員長(大谷藤之助君) 静粛に願います。
○内藤功君 こういういま私は二つの事実を出しましたが、私は、このベトナム戦争終了以後ですね、国会の論議の中で、きょう時間がなくて詰められないけれども、アメリカ軍が日本の本土から朝鮮半島に出動するという場合に、一体この事前協議を要する場合はどういう場合かというものを考えてみた。非常に少ないんですね。まれなんです。日本で戦闘作戦命令を受けて朝鮮半島に出る場合だけ、その場合だけですね、この事前協議を要するのは。この点は三木総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 安保条約六条に基づく交換公文による事前協議の場合だけ、つまり、直接の戦闘行動にわが国の基地、施設が用いられる場合であります。
○内藤功君 ちょっと最後が聞けないのですが、済みませんが外務大臣、もう一回。
○委員長(大谷藤之助君) 最後の方がちょっとわかりにくいのですが……。
○国務大臣(宮澤喜一君) 直接の戦闘行動と申しますか、そういうことにわが国の施設区域が使われる場合には、事前協議の対象になるわけでございます。
○内藤功君 そうすると、具体的な例で一つだけ端的に聞きますが、例として適切かどうかは別として、三十八度線で現実に戦闘行動が、防衛庁の言葉で言うドンパチが起きている。その場所から四十キロぐらい離れた、たとえばソウルというところにアメリカ軍の兵隊、戦車、武器、弾薬というものを空輸する。これは事前協議の対象になりますか、なりませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いつぞやも申し上げたと思いますが、現在のアメリカの国防省あるいは政府の最高方針として、仮にそのような仮定の場合に、わが国の基地を直接に戦闘に関係するような形で使うということは考えていないということを言っておりますので、ただいまのような具体的な事例というものは恐らく起こらないでありましょうし、また、それを議論することは私は誤解を生ずるだけであると思います。そのようなことはアメリカは考えていないように思います。
○内藤功君 これは問題になりません。国の政治家というのは、特に総理、外務、防衛庁長官、こういった職にある方は、起こるのが好ましくないかどうかじゃなくて、起きたらどうするか、われわれ一億の命をどうしてくれるんですか、そういう場合はどうかという問題です。いまの例の場合、私はいままでの見解だと事前協議の対象にはならぬと思うんです。これはどうです。
○国務大臣(宮澤喜一君) まさにそのようなことが起こることをわれわれとしては常に考えておかなければならないのでありますから、そういうようなふうに日本の基地が使用されるということはアメリカは考えていないということを、私どもは話をして聞いておるわけであります。
○内藤功君 そういうことをアメリカは考えていない、それはどういう根拠に基づいておっしゃるんですか、あなたの独断ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 米国の軍の最高責任者である国防長官と私との話であります。
○内藤功君 それでは、こういう場合どうです。朝鮮半島に有事の場合ですね、ここで現実に戦火が発生をした場合に、日本から兵員、武器を朝鮮半島に補給輸送をする、これは事前協議の対象になりますか。大きく聞きましょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの場合と同じお尋ねだと思いますから、同じお答えになります。
○内藤功君 そうすると、米韓条約に基づいて、日本の基地にいるアメリカの軍隊が補給物資輸送のために朝鮮半島に出かける場合、どうです。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお尋ねは、戦時とか紛争とかということに関係がございませんから、わが国におります米軍が米韓条約に基づきまして韓国に移動をするという場合には、それは安保条約の権利義務から離れまして、米韓条約のもとに定められた権利義務に米軍が服するということであります。
○内藤功君 そうすると、その場合はもう米韓条約サイドの問題であると。つまり、米軍は韓国に対するいわば集団自衛権に基づいて、それが日本におる部隊であっても朝鮮半島に出動する、こういうことなんですね、こういう理解なんですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) いまは出動というふうに言っておられませんので、移動と申し上げた方が正当であろうと思いますけれども、わが国におりますところの米軍が、今度は米韓条約に基づいて韓国に移動することは、私はあり得ることだと思います。その場合には、それは日米安保条約の適用の範囲を離れるわけでございまして、先方における米韓の条約の適用を受けるものになる。いずれにしても、わが国の安保条約には無関係な状態になるわけでございます。
○内藤功君 そうすると、その移動した部隊が朝鮮半島における戦場に、移動後さらに戦場に出動する、朝鮮半島の中での戦場に出動する、この場合でももうすでに事前協議云々の問題じゃない米軍のこれは行動として、あるいは集団的自衛権として自由だと、こういう解釈ですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 韓国におります米国の行動についての規制は米韓条約でございまして、安保条約ではございません。
○委員長(大谷藤之助君) 時間になりました。
○内藤功君 私は、日本におる米軍が米韓条約上の義務を履行するために日本から朝鮮半島に出動する、こういう場合どうかという質問なんです。韓国にいる米軍じゃないんですよ。
○国務大臣(宮澤喜一君) 出動といいますと戦時を予想されるようでございますから、先ほどのお尋ねでしたら私は移動というのがいいと思います。つまり配置転換でございます。その場合には安保条約の権利義務を離れるということでございます。
○委員長(大谷藤之助君) 時間になりました。
○内藤功君 最後に一問。 遺憾ながら宮澤外務大臣のいまの答弁は、在日米軍が、日本にいるアメリカ軍が朝鮮半島に出動する、こういう事態を極力ないものであるように、日本からの出動がないものであるかのように、しかも、それを米国防長官がそう言ったから——その国防長官だってきのうやめたじゃないですか。こういうことで、米国防長官の言葉だけを根拠にそういうことはあり得ないというような答弁をして、問題の本質点をはぐらかすという態度は私は本当に遺憾だと思うんですね。私は、残念ながら委員長からのいまの時間だという指示、ほかの議員の方の質問時間もありますから、これでやめざるを得ませんけれども、非常にいまの答弁は不満であるということを申し上げたいと思うんです。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして内藤功君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 野口忠夫君。
○野口忠夫君 私は、地方財政を主として御質問申し上げたいと思います。 まず、総理にちょっと時間をいただいて、十月の十五日に、三木内閣初めての全国知事会議というものを招集いたしまして、地方財政危機の深刻な中でこの会議に期待するものは多かったと思いますが、この知事会議に総理は御出席になられてごあいさつのあったことを新聞で拝見いたしましたけれども、ここでの総理のごあいさつの骨格をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 私が申しましたのは、近時、知事選挙が激しくなりますから、したがって、知事選挙後においても何か対決の表現あるいはまた風潮というものがあらわれてきておるのです。しかし、考えてみると、国の利益、地方の利益という別々のものがあるとは私は思わないんですよ。だから、選挙後においては、やはりねらう目標は一緒ですからね、国も地方も。だから、お互いに国と地方公共団体が有機的に協力し合うということがいいと私は思う、そういう点で今後国と地方自治体とが本当に有効な協力関係を持っていきたいんだという、私の日ごろ考えておる考え方を知事会議に私は述べたわけでございます。
○野口忠夫君 総理のいまの発言で、この会議の中で、国と地方とは仲よくやっていきたいというようなことを中心としてごあいさつをなさったというお話でございましたけれども、新聞報道によりますと、その首相の意図とは全く反しまして、地方財政をめぐる国と地方との対立、自治体側の国に対する不信感というものを大きく浮き彫りするようなことにこの会議は終わってしまったと。これは非常に私は重大なことだと思うんですけれども、総理はどのような見解をお持ちになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、あの知事会議をそういう野口君の言うようにとってないんですよ。地方の事情も苦しいことはよくわかるんですね。国としても財政がこういう苦しい時代でありますから、お互いに政府はやれるだけのことはしたと、これ以上は自治省と知事との間でいろいろ今後話し合っていこうではないかということでですね、新聞にちょっと野口君の言われるようなことが出ておりましたけれども、全体の空気だとは私は受け取ってないんですよ、この会議は。そういうことでございます。
○野口忠夫君 三木内閣は総論があって各論がないということでありますが、新聞で拝見しますと、総理は国と地方との間に対立の考えを持つような思考はこれを避けたいと、こういうようなことを発言なさっております。まさにこれは総論だと私は思んです。そのとおり望ましいことだと思います。しかし、そのような総理の考えの中で、現在ある国と地方との関係は、財源の面で言いますと国は七を持っておって地方は三、仕事の割合で言いますと逆に地方は七で中央は三。財源的に国が七持っておって仕事を七させるという、この間には明らかに国の下請化したような地方自治体ということの中での不満が残されていくのではなかろうかと思んです。 〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕 何か今日の国と地方との協力を求めるという態度の中には、こうした問題を踏まえた具体的な提案が総理からなされなけりゃならぬじゃないかと思うんですが、その辺についてはいかがお考えになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) 野口君もここでお聞きになっておると思いますが、総論あって各論ないというんじゃないんですよ。総論もあり、各論もあるのが三木内閣だということをしばしば言っておるわけですから、野口君もお聞き願ったと思う。大いに各論をやっておるわけですね。 そして中央と自治体の——私は、今後自治体の持っておる役割りというものは非常にやっぱりますます大きくなると思いますね、地域住民と密着しておりますから。しかし、国の行政というものはばらばらではいかぬですね。県によっていろいろ負担能力が違いますからますます不公平は拡大するですから、やはり全国的なバランスというものをとらなければならぬというところに政府の役割りはあるわけですからね。だから、そういう意味においてもう全部地方に任してしまってやるというわけにはいかない。全国的なある水準は維持しようとするならば、地方交付税のような制度というものがやっぱりあるわけですからね。そういうことで、財政の面においても、もうみんな財源を地方に渡してというわけにはいきませんから、できるだけ今後は地方財政というものを充実していき、あるいは権限もできるだけ地方に移譲するような方向だと思いますね。それはもう全部というわけにはいかぬですよ、国はある一定の水準を維持せなけりゃなりませんから。 そういうことで、野口君お考えになりましても、この国の財政が非常に困窮しておる中で、あるいは地方税にしてもあるいはまた地方交付税にしましても、その落ち込みも政府は精いっぱいのことはやったんですよ。皆知事は知っているですよ、これは。ただ、財政計画以上の事業、これはやはり高度経済成長の時代に自然増収がありましたから、そういうものを抱えたところは実際苦しいだろうと思いますよ。しかし、地方財政というものが動いていくように政府は精いっぱいのことをしたんですよ。国だって、これだけの大きな赤字財政を抱えてやっておるときに、精いっぱいのことはやった。しかし、地方財政の苦しさということは身にしみるほどわかっておる。国の財政もそうですから、それはお互いに国の立場も考えて、できるだけやはり地方行政の運営についても、いままでの惰性でない考え方にいこうではないかということは、心ある知事にはよくわかってもらえたと私は思っております。
○野口忠夫君 総理の御答弁は、私の言うた問題と合わないんですがね。国と地方とが相協力してやっていくその関係の中で、従来までの関係はまさに財源は国が七、地方が三、仕事は地方が七で国は三というような、国の財源のもとで仕事だけを与えられてきたような、そういう国と地方との協力の関係の中で、今日、地方財政の危機の中に地方自治体が押し込まれているのではなかろうか。そういうものを、総理の考える国と地方とが協力する関係というものの土台の中で総理みずからが考えているのかどうかということをお尋ねしたわけでありますが、一生懸命御努力なさっているという立場は、いまの全国の知事会議や地方自治体の中で持っている問題とは遠い考え方になっているのではなかろうか、こういうように考えざるを得ないわけであります。 今日、非常に国と地方との見直しという考え方、国と地方との財源、事務の配分の問題、これは全国地方自治の六団体からも総理のところに要望が行っていると思うし、総理の直接の諮問機関である地方制度調査会も何度かこの問題を総理には提示していると思うんですけれども、この問題について総理はどのようなお考えでいらっしゃいますか、お伺いいたします。
○国務大臣(三木武夫君) 知事から直接いろんなお話を承る機会もありますし、地方制度調査会などでこの問題について答申も出ておるわけですから、そういう線に沿うて、この際、国と地方との仕事の分野が重複しておるものもありますし、そういう点で、自治省を中心として、地方制度調査会の答申などを踏まえて、いま野口さんの言われるようなことを検討を加えておるさなかでございます。
○野口忠夫君 今日、国と地方との関係の見直し論というのが出ているんですけれども、この問題の提示されたのは、全く今日ではないわけなんであります。 昭和二十四年に、シャウプ勧告の勧告の精神を体しまして、法律によって地方行政調査委員会議というものが設置されて、これが戦後における地方自治体のあり方について国会に政府を通じて勧告をしているものがあるわけであります。これは総理にはぜひ読んでおいていただきたいと思うて申し上げておきましたが、その勧告の内容について、どのような御所見を持っておられるかお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。 実は、その内容は一応読んでおりまするが、紙にしてこれだけの部数のものでありまして、これを一々申し上げておると大変だと思うのでありますが、このうちで、特にこういう点についてはどう考えるかという御質問をいただければありがたいと思うんです。あなたもお持ちでしょう、これは。これだけあるんですよ。これ、十枚前後ありますから。
○野口忠夫君 大臣も知らないんだから困っちゃうな。
○国務大臣(福田一君) いや、知らないんじゃない。あなたが一々読めとおっしゃるから。
○野口忠夫君 これは地方制度調査会でしょう。私の言うたのは地方行政調査委員会議の方ですよ。これは昭和二十五年に勧告されたものです。
○国務大臣(福田一君) そして、それから順次こういうものを一つずつを取り上げて、いま調査会でやっているんです。
○野口忠夫君 私はきょうは総理、自治大臣に、今日の地方自治体がこの深刻な危機の中で何を求めているかということについてお話し合いをしたいというように思っておったわけです。今日われわれの考えなければならない原点は、昭和二十五年の地方行政調査委員会議が政府を通じて国会に勧告をした。戦後における地方自治体のあり方の基本はこの勧告の中にあるわけであります。その勧告を受けて、国会並びに政府はこの実現に向かってずうっと進んでこなければならなかった原点があるわけです。このことについて、実はきょうはこの本は読んできていただきたい、こうお願い申し上げた。
○国務大臣(福田一君) ただいま野口さんがお示しになった本を読んできてということは、私は御連絡を受けておりません。
○野口忠夫君 それじゃ質問になりませんな。これを自治大臣が読んでない、わかりませんなんということだったら、これは話にならぬですよ。
○国務大臣(福田一君) その本では総論的に大体の方向を示してあります。そして、それを受けて地方制度調査会でもって具体的な問題についていろいろと答申をいたしまして、その答申の内容のうちで、できるだけ実現するものは実現してきておるというのが今日の自治省の態度であります。その総論自体は何もそれほど——一つの基本線を言うておられる。地方自治と中央との関係その他についての基本線の問題を書かれておるわけでございまして、そして、その中で今度は具体的にこう一々ずっとこの地方制度調査会で調べまして——全部は調べておらないが、そのうちで重要なものは一応ここへ調べてあります。そうして、その調べに基づいて地方制度調査会でもって答申をいたしております。その答申に基づいて、可能な限りにおいて自治省としてはその実現をやっておるというのが現在の状況であることは、野口先生の方が御承知だと私は存じておるわけであります。
○野口忠夫君 これ、ここで話し合いをしているというと時間ばかりむだになっちゃうのですがね。いまのようなお話では私は受け取れないんです。これが基本になって、これからだんだん具体化してきたんだというような物の言い方をなさっておる限りは、私はわからないんです。
○理事(柳田桃太郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(柳田桃太郎君) 速記を始めて。
○国務大臣(福田一君) 地方行政調査委員会議のこの本の内容、目次はもうあなた御存じだと思いますけれども、勧告では「行政事務再配分に関する勧告」、昭和二十五年の十二月の二十二日に出しております。それから「行政事務再配分に関する第二次勧告」、これは昭和二十六年九月二十二日に出ております。それからもう一つ、「国庫補助金制度等の改正に関する勧告」、昭和二十五年十月十四日に出ております。以上、占領行政中においてこの種の勧告が出ておるのでありますが、そこで、その勧告を受けて、行政事務の再配分に関する勧告について、教育行政、民生行政、衛生行政、労働行政、農業行政、林野行政、こういうふうなことについて勧告をいたしておるわけであります。そこで、これは必ずしも全部自治省関係ではございません。教育もあれば、民生もあり、衛生もあれば、労働、林野行政、農業行政等々がございます。これらの教育、民生、衛生、労働、農業、林野、いずれも国と地方との関係があることでございまして、その点をここに勧告をいたしておるのでございます。その勧告の説明要旨を書いてあるのがこの内容でございます。 でありますからして、あなたのおっしゃる意味が、どの点をどういうようにしておるか、「行政事務再配分に関する勧告」ということについてはどうしておるかということでございますれば、その後われわれとしては、自治省としては、地方制度調査会においてこれらの問題について審議をし、そうして、その審議の内容に基づいて、またわれわれにこのようなことをするべきであるという答申が出ております。その答申を受けて、われわれとしてはできるだけその答申の趣旨に沿って実現をしておるというのが趣旨でございまして、これは、私も実はこれを読んでこいとおっしゃったことは受けておりませんけれども、この本の内容はほとんど、教育行政一民生行政、衛生行政、労働行政、林野行政、農業行政、このうちで最初の分はもうほとんど——ここから各論になっておる。これだけが地方制度調査会が考えてやらなければならない問題で、あとは全部、教育行政はどうするか、それからいま申し上げた民生の行政、衛生の行政、労働の行政、農業の行政、林野の行政、こういうものについてどういうふうに処置していったらいいかということについての一応の勧告がこの中に入っておるというのは、あなたお読みになっておれば御存じのはずだと思うのであります。
○野口忠夫君 どうも自治大臣、そういう読み方でこれを見られておったのでは、とても話にならないと思うんですがね。これは三次の勧告がありますね、国会に対する勧告があった。「行政事務再配分に関する勧告」が二回、あるいは「国庫補助金制度等の改正に関する勧告」、三つの勧告がなされて、これで一応その当時終わっているわけですね。その中の「行政事務再配分に関する勧告」の中の「総論」というのがあるんです。そして「行政事務再配分の基本方針」、「国と地方公共団体との関係」、「行政事務再配分の実施上の問題」、そして「各論」ということになっているわけですね。戦後における地方自治体のあり方の基本はこの勧告の線に沿うて行われてきているんだと思うんです。それに大臣は、これをだんだん発展させるという意味でいまおっしゃっているとすれば、そのお話は私は間違いだと思うんですよ。このことによって戦後における地方自治体は進むことを勧告されているわけだ。そして、今日の地方制度調査会というものを屋上屋を重ねるようになぜつくるかということについて、当時国会の中で、この議事堂の中でわれわれの先輩は真剣になってこのことを論議したんです。そして、この序文にもありますが、やがて参考になるであろうと思うて私はこれを残すと言うて、日本の憲法の民主的な基盤としての地方自治体の育成を、本当に民主的に成長さしていきたいという先輩の皆さんの努力が、この基本的な態度を示してこの本一冊に残しておるわけであります。これに対して自治大臣の答弁は、全くそれとは切り離された形で、今日、いわばそういう総論、各論を抜きに、単に各論の中の教育の問題、あるいは行政の問題としてのみとらえられる。こういう姿勢であられては、私はこれは総理にひとつ知ってほしかったのであります。総理の先ほどからのお話も、私は、今日の地方自治体が求めている本当の国に対する要求というものに触れない御意見が多かったわけであります。この問題の処理は総理がその任務であり、総理が当然受け持たなければならぬ任務ではなかろうか、こういう考えの中で総理にもこれを読んでほしいと申し上げましたし、これをそちらにも読んでもらうことをお願いして、きょうはこれについての基本的な地方自治体のあり方、国と地方自治体の関係ということについて、歴史的にもう規定されていることについて私はやっぱり確認したかったわけであります。そして、今日再び国と地方自治体の関係ということをわれわれが耳にするということの意味を問いただしたかったんです。すでに戦後の自治体はあるべき姿を示されて進んできた。同じようなことが再びいま言われているわけであります。 〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕 私はこのことについて、国と地方自治体の見直しの問題について、配分の問題について、すでに原点は与えられているんだということを実は確認していただきたいと思っておったんですけれども、先ほどからのお話では全然そういう勧告の趣旨、今日の地方自治体の基本的な原点というようなことについて、全くどうもはっきりとしたことのお示しがないし、一顧だにもされていないような印象を受けざるを得ないわけです。だから、先ほどのような総理の、国は一生懸命交付税をやったのじゃないか、国は一生懸命地方税の減収を補てんしたんじゃないか——問題はそのことではないんですね。国が七、地方が三、この国と地方との関係の中でこの原点は失われているんではないかということを私は問いただしたかったんです。しかし、私が問いただそうとしても、それをお聞きになる皆さんの頭の中に全然これがないとなると、これはとても話にならぬということになるわけですがね、いかがでしょうか。
○国務大臣(福田一君) 私は実はこの本について、いまあなたのおっしゃった意味のことについて、読んできてもらいたいという連絡を受けておらなかったことは事実でありますが、しかし、この委員会におきまして——そういう勧告も出ておりますが、すでに地方自治と国との関係というものは、占領行政時代からずっといまの機構で大体定まっておったわけであります。それを今後どう処理していくかということであって、われわれは自治をもっと進めていかなければならないということについて何も反対をしておるわけではない、むしろそれは進めなければいけないという考えをわれわれは持っております。恐らく野口さんもそういうお考えだろうと思う。われわれは決してそれを否定して物事を言っておるわけではございません。 そこで、それをやるにはどういうふうにしてやるかということが今日のやはり原点だろうと思うんです。いままでにそういうことがしばしば議論をされ、そういう話がいろいろ出ておるではないか、それをなぜいままでやっておらないかということでございますれば、一応われわれとしては調査会の勧告等を受けて、これが実現に努力をいたしておりますということを先ほど申し上げたのでありまして、いまあなたが要請されておることは、要するに国と地方との関係をどう見て今後どういうふうにしていくか、地方自治をもっと充実し、あるいは住民の意思を政治に反映させることを考えなければいけないではないか、こういう御趣旨でおろうと私たちは理解をいたしておるのでございまして、それについて反対をいたしておることは何もございません。しかし、やはり物事というものは、現実の姿を踏まえてそれをどう処置していくかということが、これが政治の原点になるわけでございますからして、政治のやり方でありますからして、そこでいまは、いまあなたがおっしゃったように、国が税制から言えば七割、地方が三割取っておると。そうして、そのうちで国は四割をまた地方に戻しておるということになるから、実際の金を使っておる七割というものは地方自治体が使っておるんではないか。そういうやり方よりは、いまそういう意見がいろいろございますが、むしろこの七取っておるもののうちで、税制の問題で言えば、これをもっともっと地方自治体に与えるようにしてはどうかという意見も出ております。しかし、そういうことにしても、それを税源を与える以上は、仕事を、どういうものを地方自治体が今度はやるようにするかという具体的な問題が決まらないうちに税源だけの移譲はできません。だから、行政と財政という問題は相関しておりますから、それをお互いによく調査をして、そして具体化していくということでなければならないと思うのであります。それを、二十六年ごろにもうすでにこういう勧告が出ておるのに、いままで怠っておったではないか、こういうことでございますれば、確かにその勧告どおり行われておるとは言えません。しかしながら、今日のようなこの非常に不景気といいまするか、経済の運営が困難になったような状況におきましては、まあこれを契機として自治問題を見直すべきであるという御意見が各方面にあることも私は承知をいたしております。そういう意味で、われわれとしてもそういう考え方で問題に対処していくべきであるということは、これは私も賛成でございます。 もう少しつけ加えさしていただきますならば、しかし、それは賛成であるけれども、それではいまここですぐに来年からそういうことができるか、こういうことになると、そう簡単に、行政の事務を地方に移譲するという問題が国と地方との関係でできない面がある。たとえば、この国の交付金などというもの、あるいは国の補助金とか、そういうようなものを整理統合したらいいじゃないか、そして、それはもう地方に渡して、いままでは一億円ずつ十億円渡しておったものなら、もう十億円を地方に渡して、そうしてその十億円を地方でもって十分に地方の実情に合ったように使うようにすることがいいではないか、こういう御意見もございます。それはもうあなたの方がよくおわかりだと思う。しかし、それをするには、その事務をどう移すかという問題から入っていかなければ、税源だけ、税だけをやった場合は、今度は国の方がもう仕事ができないということになるわけであります。そこで、そういう問題を検討して研究をしていかなければならないということでございますればお説のとおりだと思っておるのでありまして、私は、あなたのお考えになっているのが地方自治をもっと拡充すべきであるというお考えであるといたしますならば、私はそれにはもちろん賛成をいたしておる一人であります。しかし、それをどう実現するかということは、これは相当行政の事務との関連において十分研究しなければいけません。 いままでも行政事務を地方に移譲するという話はしばしばあったわけです。しかし、それを提案いたしますというと、まあこんなことを言ってはいかがかと思いますが、役所間のセクショナリズムの問題があり、あるいは一つの補助事業なら補助事業についても関連しておる。まあそんなことを言っては、お互い同士、議員同士のことでありますからいろいろの批判もあるかもしれませんが、県会議員でもあるいは市会議員でもそれを支持している者と、そんなことはまたこちらにした方がいいじゃないかということと、反対意見が両方あります。こういうことを一々、一つ一つを処理をしていって、これだけの分は今度はじゃ地方に移譲しようではないかと。その分についてはじゃ税源をどうしたらいいか。言うならば、いままでのような徴税のやり方はいままでどおりとしても、これは直接に交付税をもっとふやして、そして交付税をその分だけはよけいにする比率で考えるか、どういう形にするか知りませんが、何かそういうことを考えたらいいじゃないか。これは研究課題であると私は思っておるのでございます。 だからこれからも、先ほど総理もお答えになりましたが、地方と中央というものはもうこれは一体であるべきものであります。そして問題は、いかによい政治をし、そして地方のいわゆる住民が満足するようなやり方をするかというその基本線を踏まえて、そうして個々の問題から入り、あるいはここいらで思い切って——私がいま考えているのは、少なくともいまの段階において、このように国が歳入不足をいたしておりますときに、これは急に税源の移譲するというようなことをやったら、来年度の予算編成その他において非常に困難を来すだろうと思っております。しかし、このようなことを契機にしてもう一遍自治問題を見直すべきだという御意見には賛成でありますから、実は私自身も自治省の局課長に、ひとつ自治問題について根本的に検討をして、できれば五十二年、五十二年度くらいを目途にして何らかの措置を考えてはどうかと、具体的な措置を考えてみよう。また、それが五十二年では一年しか余裕ございませんから、五十一年の間にその調査をして、それが無理ならば五十三年、五十三年までには何とかそういうものをひとつ考えるべきである。それで検討をしなさいということを実は私から命じてあるわけでございます。 恐らく私は、あなたとそういう意味で決して意見が違っておらない。方針としてはいま示されたようなその委員会の答申もございます。そういうことを踏まえながら、いままでずっと行政が続いてきておったわけですね、事実は。それを何も無視しておるというか、そんなものがあってもどうでもいいというのじゃなくて、それも踏まえながらやってきているが、現実はいまのような制度になっておるということも、これはあなたは肯定していただけるだろうと思うんです。現実のこの姿をどうこれから直していくかということがわれわれの課題であると、そう思っておるわけでありまして、そういう意味で、あなたと御一緒にこれから大いに勉強さしてもらいたいと思っておるわけであります。
○野口忠夫君 自治大臣の長いお話を聞きましたが、これは答申ではございませんで勧告でございます。その点はお間違えなくひとつお考えいただきたい。 よそのことを触れることができなくなりますから進みますが、私も言えば、今日の地方財政の危機というようなものが国と地方とのあり方の中でこういう問題になっているんだということを考える者は、今日の自治体の皆さん方ではなかろうか。その中で、今度の全国知事会議の中で、新聞報道によれば、まことに国と地方の間には対立の関係があり、不信感があると、こういう表現で新聞に書かれている。総理は、それは一部はあったかもしれぬけれども、この日の知事会議の中での各知事の発言あるいはそれに対する政府の答弁、その中に本当の意味で地方自治体のあしたの姿をつくるというこの勧告の原点に返った考え方というものは恐らくなかったから、あんな不満が新聞の中に載っているのではなかろうか。三木総理は国と地方は協力してやっていきたいということを願いながら、現実にはそういうものになっている基本に、私は国と地方のあり方を改めて考えなければならぬ根本的な原因が存在しているのではなかろうか。これ勧告でございますので、一度お目を通されまして、その勧告の趣旨を今日の現実の政治の中に具体的に表現されるような御努力をひとつお願いしたいと思うんです。 次の問題、これは地方自治法の附則八条の問題でございますが、総理も耳にたこのようになっているだろうと思うんですが、また、わが党の和田静夫議員が、毎回のこの会議の中で総理に要請をいたしまして、国費職員身分移管の問題について、昭和二十二年法制定以来「当分の間」が今日まで続いたこの実態を、ひとつ整理してほしいというそういう願いを込めて、前国会の予算委員会でも総理の答弁をもらっております。この前の国会の地方行政委員会での特別決議の中にも、昭和五十一年の三月三十一日までにこのことを実現するようにと全党の決議の中に載っているわけでありますが、新聞で拝見いたしますと、この問題に対して三木総理が一応の具体的な御出発をなすったような新聞を拝見したんですけれども、総理の口から、この問題についての御見解をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 最初に野口君、地方行政のことを非常に提起された、私もやっぱりその点は同じでございまして、やはり日本が地方自治体というもののあり方を考え直さなきゃならぬ時期にきておる、こう私も考えて、施政方針演説でも地方自治体の問題を私取り上げたでしょう。ああいうことは珍しいことです。問題意識として、やはりこの問題は一つの大きな問題である、また、日本の民主主義の育成の根幹にも触れておると考えたからでございます。 それから地方事務官の問題は、もう野口君はよく御存じのとおり、これは非常に複雑な問題ですが、いつまでもこれは放てきすることはできませんので、私は三十日の閣議でしたか、先般の閣議で、これはもういつまでも放置することはできないから、次の通常国会でやっぱりこの問題の改正のための手続ができるように、各省間の調整を急いでもらいたいという発言を私からしたのです。そういうことで今後努力をいたしたいと考えております。
○野口忠夫君 新聞にはこのように出ているんです。「三木首相は三十一日の閣議で、地方事務官制度を廃止するため、次の国会で地方自治法など関係法を改正するよう、福田自治相など関係閣僚に指示した。」と、このとおりで結構でございますか。
○国務大臣(三木武夫君) そのとおりでございます。
○野口忠夫君 自治大臣にもお伺いしたいんですが。
○委員長(大谷藤之助君) ちょっといま、もう一遍そのことについて……。
○国務大臣(三木武夫君) 正確に言いますと、いま閣議の模様を聞いておるものから——次の通常国会に法案の提出ができることを目途として調整をしてくれと、こういうことが正確な表現でございます。
○野口忠夫君 目途としてということでございますけれども、目途ということは、必ずしもあり得ない、そういうことでございますか。これはこの前の仮谷発言ではございませんけれども、議会の議決、満場一致、五十一年三月三十一日までという日限を切ってあるわけです。目途としてということについて総理のお考えを聞きたいんですが。
○国務大臣(福田一君) ただいま野口さんの地方事務官問題でありますが、委員会におきまして附帯決議がございまして、そうして私もそれについてお答えをしたことがありますが、目途として努力をいたしますということは申し上げておるわけであります。で、附帯決議というものの趣旨からいたしまして、これはもう必ずそうするということとも限らない。努力せいという意味の附帯決議もある。それから、必ずそれをしなさいという附帯決議もあると思います。だけど、この地方事務官問題というのは出てからもう十数年、もっとになるかもしれませんが、最初から問題になっている。そして今日までできておらないのにはいろいろの事情があるわけであります。しかし、そういう事情はあっても、この問題は解決をしなければならないというので、そこでいまは関係省の政務次官が集まりまして、何とかこれを解決しようと言うて、二、三回会合をいたしておるというのがいまの段階でございます、進行状態を申し上げれば。じゃ内容はどうなったかと。まだ話がついたということではございませんよ、いまそういうふうに政府としてはちゃんと努力をいたしておるという意味で申し上げたわけでございますから、この点はひとつ御理解を賜りたい。総理の言われるような意味でございます。 それから、このときでありますから、ちょっとさっきの問題で一言つけ加えさしていただきたいんですが、この間の知事会議では、確かにそういうように非常に不満を言われた方もあります。しかし、われわれの言っておることをよく理解されて、実際にこの会議が済んだ後には、私はその散会まで議長をしておりましたからおりましたけれども、まあ七、八割の人は拍手をしていただいた。これは、全部が全部反対だったというふうに新聞が書かれたとすれば、私はそれは、そういう意見があることもありますから、本来それはもう全部が賛成すべきはずではないかと、それを二割でも三割の者が気持ちが違っておるということであれば非常にそういう意見が出たと書くのは、これは私は新聞としてはそう書かれたから悪いということではありませんが、あの場の空気は、政府の考え方はもう全然間違っておると、われわれと対立関係だというような意味では私はなかったと思っております。もしそうだとすればあれだけ拍手が出るはずがない。でありますから、ひとつその点は誤解のないようにお願いをいたしたい。やはりこれは、地方が非常に困っておる、それからまた中央も非常に困っておる、どうしたらいいかと、しかし、何とかしてわれわれのめんどうを見てもらいたいという空気があることは事実であるけれども、中央がそれだけ困っておるのに、われわれの言い分だけを全部すぐ通せと言っても、これはむずかしいなあという気持ちは確かに会議の席上にあらわれておったということだけは御理解をしていただきたいと思います。
○野口忠夫君 いま自治大臣から、附帯決議というものは努力をも求めていると。あれは地方行政委員会の場合、あれは附帯決議でございませんで、地方行政委員会の独立決議であったわけであります。その中で日にちを切ったということは、努力を意味するわけではないわけであります。立法府としては、その日を限ってこれはやってほしいというのがその決定の趣旨でありますので、いろいろな御事情あるようなお話でございますけれども、二十二年からいままでの「当分」でございまして、何度か改めようとしながら改めることのできなかったこの問題を、やはり私はその決議の精神を尊重して、ひとつ次期国会にはぜひ実現をしたいということで、ひとつ御返事をいただきたいと思うのですが。
○国務大臣(三木武夫君) ここに、やはりその当時の、野口君がいま持ち出されます決議がございますが、やっぱり附帯決議なんですね。「地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」ということで、これにも日にちは切ってありますが、「目途」という言葉が使ってあるわけであります。まあ、これはなかなかむずかしい問題ですから、多少の、何でしょうか、ゆとりを持った決議にしたんでしょうが、私も、目途ということをいま私が発言したことに入れましたのは、何もやらぬために目途ということを言ったんじゃないですよ。事実そう言ったから言ったことで、これは大変にむずかしい問題でありますから、だから、やはりこのものはそういうことを、目途ということを入れて、それはやらぬという意味でなしに、やろうという私は意図からそういうことを申しておるので、この目途というのはやらぬというために言ったのではない。この問題は何とか因難でも解決したい、こう願っておるわけでございますが、しかし、これだけ複雑な問題であることは、いままでの答弁、私は各内閣の答弁を見てみまして、皆やっぱりこうやりたいやりたいと言って延びているのですから、それだけ複雑な問題でございますから、私もやろうという考え方のもとに、それを目途として努力をするよう各省の調整を求めたものでございます。
○野口忠夫君 長い聞こうなってきた問題なんで、最終的にはやはり総理が決断するということ以外にはないと私も考えます。結果的にはお互いがこう重箱の中に入ったようなかっこうになっておるわけですから、最高責任者である総理がこれに対しての決断を最後に下すというその決意をひとつお持ち願えれば……。ですから、目途なんて言わないで、ひとつ答弁していただけば大変結構なんですけれども、三月三十一日までのわれわれの決議というものを尊重されて、その精神の中でひとつ御努力を願いたいし、実現をぜひ期していただきたいと、お願い申し上げます。 地方財政の運営問題について御質問申し上げたいと思うんですが、地方交付税が国税三税の落ち込みの中で一兆一千億の落ち込みがあった。これは大した問題だと私は思います。この一兆一千億の交付金は借り受けによって消化されたんですけれども、交付金としてこれは支給されている、交付金としてこれは支給されるもの、こういう考えで結構なんですね、これは。
○国務大臣(福田一君) すでに野口さんも御案内のように、交付税というのは国税三税の三二%を支給するということが、これが決まっておるわけであります。その意味で、その三二%は交付税でありますが、ところが、年度当初の地方財政計画で予定しておりましたこの税収が非常に減りまして、そうして減ったために、いま御指摘になったように一兆一千億円余の赤字が、交付税が減ったということになります、中央から渡すのは。そこで減った分をここでどうするかということでありまして、そういう場合に、交付税が、その収入が減ったときに国がどう措置するかということは、これは行政の範囲に属するものと私たちは考えておるのでありまして、その行政の範囲において、われわれは、地方財政に非常な負担をかけないようにしなければいけないという点から大蔵省とも折衝をいたしまして、もうあなたが御案内のように、一兆一千億円を特別会計へ借り入れるという、今回は措置をとったわけであります。四十年のときには四百数十億円でございましたから、国がこれは支出を、特別な方途を講じたわけでありますけれども、今回は一兆一千億円というような多額でございまして、国も赤字でもってどうにもならないという段階であり、そのために赤字公債も出すということになっておるんでありますから、この分は一応われわれは借り受けるという形を、国の財政を考えるととらざるを得ないであろうという意味で借り受けるということにいたした。 しかし、借り受けるということになれば、その金は赤字公債でもって国が取った金を交付税特別会計に入れるのでありますから、そうすると、利子のついた金を国が今度は交付税特別会計に入れるということになります。そうすると、その利子はどうするかという問題がまず第一点に出てまいりましたけれども、その利子は、この際はひとつぜひ国の方で持ってもらいたいということでそういう措置をとったわけでありまして、しかもその返還の、返す場合においては、五十一年、五十二年は景気の回復がそう急速ではないだろう。そういうときに、借りたからといってすぐ返せといっては大変だから、二年間は据え置きにする。そこで五十三年から八カ年で返すので、もうそういう計画もできておりますが、しかし、その年年の経済情勢によってどうしてもそれが返せないというような場合においては、大蔵省と交渉をして返還を繰り延べるなり、あるいはそのときに国に余裕の財源ができたならば、これは地方の方に移譲してもらうなり何なり、そういう相談をするということでこの問題の処理をいたしたということを御理解を願いたいと思うのであります。
○野口忠夫君 大部前の方までお話をなすって、先手を打たれておるわけですが、交付税交付金の不足額としてお借りになって、地方自治体に渡すときには交付金として渡るんでしょう。交付金の不足額として渡っておるわけですね、これは。そういうわけですね。
○政府委員(石見隆三君) お答え申し上げます。 今回借り入れを予定いたしております一兆一千五億円の借入金は、交付税として地方団体に交付することに相なるわけでございます。
○野口忠夫君 交付税交付金としてね。
○政府委員(石見隆三君) そうでございます。
○野口忠夫君 これは地方交付税法の六条の三の2によれば、極端な、交付税交付金の総額と基準財政需要額の差額とが極端に差が出た場合には、これは税率を上げてやれという趣旨になっているわけだと思いますがね。借り入れたお金を交付税として交付しているという実態ならば、それに見合った交付税税率の引き上げという、法にかなった方法をとった方が私はよかったのではないかと思うのですが、なぜこれ、そうしなかったのですか。
○政府委員(石見隆三君) お答え申し上げます。 いまお示しにございましたように、地方交付税法第六条の三第二項におきましては、「毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が引き続き第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なる」ときという二つの条件を設けておるわけでございます。すなわち、毎年度の交付税の額が引き続き足らないことであるということと、もう一点は、その額が著しく異なるというときには、次の二つの方法としまして、まず一つは、地方行政にかかる制度の改正をやるか、あるいはまた第六条一項に定める率の変更を行うという二つの方法を定めておるわけでございます。したがいまして、この六条の三の二項の解釈といたしまして、本年度につきましては、そのような事態には当たっていないのではないかというふうに私ども考えておる次第でございます。
○野口忠夫君 四十年度不況のときはどうだったんですか、これは。
○政府委員(石見隆三君) 四十年度の補正でもって地方財政にとられました措置は、三点あるわけでございます。すなわち、一点は、地方交付税の落ち込みに対しまして、地方交付税の減額を取りやめるということによって四百八十二億の措置をいたしております。二番目は、給与改定財源の不足に充てますために、交付税特別会計が資金運用部資金から三百億のお金を借りております。三番目は、地方税の減収を補てんいたしますために三百八十五億円の地方債の増発をするという、三点によって四十年度の補正措置をとっておるわけでございます。
○野口忠夫君 四十一年度は。
○政府委員(石見隆三君) 四十一年度は、当初におきましては地方交付税率の引き上げを行いまして五百八十六億円の措置をいたしております。二番目は、臨時地方特例交付金といたしまして四百十四億円を交付をいたしております。それから公共事業の消化促進と一般財源の不足に対しまする措置といたしまして、特別の事業債を千二百億増発をするという措置をとっております−その他、固定資産税等の合理化で百十九億円の措置をいたしたわけでございます。なお、五番目といたしまして、節約枠を当初百五十億円かけております。
○野口忠夫君 四十一年の交付税率の引き上げは、「引き続き」並びに「著しく」という二つの該当項目に合っているんですか、これは。
○政府委員(石見隆三君) 四十一年度にとりました措置は、先生お示しの条項に該当するということによって措置したものではないと理解いたしておりまして、地方財政全体として、財源全般としての措置として地方交付税率の引き上げが行われたというふうに理解いたしております。
○野口忠夫君 大臣、いまのでいいですか。
○国務大臣(福田一君) ただいまあなたのおっしゃったのは、地方交付税法の第六条の三の第二項で、普通交付税の総額が財源不足額の合算額と引き続き著しく異なることとなった場合と、「引き続き」、「著しく」という言葉が入っております。そこで、「引き続き」というのは二年以上、また「著しく」という場合に該当するかどうかという問題が出てまいりますが、今回の場合においては、やはり、引き続き二年以上という、三年までということでないので、この条文を適用して先ほど申し上げたような措置をとったわけであります。
○野口忠夫君 私のお尋ねしたのは、今度の場合は引き続き著しくないから——「著しく」の方はなるんだろうけれども、「引き続き」でない。四十一年に三二%に上がっているわけですね。そのときの率の引き上げは、同じく引き続き著しくあったから率が上がったのかどうかということをお尋ねしたんです。
○政府委員(石見隆三君) お答え申し上げます。 四十一年度の措置につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、地方財政全般をながめまして、財源不足枠等につきましていま申し上げましたような措置をとったものでございます。
○国務大臣(福田一君) 私は、その四十一年の場合は、やはり地方財政をできるだけ充実して、税源をできるだけ地方自治体に与えるようにしようという意味で率の改定を行ったというわけだと思うので、あなたのおっしゃたのは、四百八十六億の予算をどうしたかということでありますか。
○野口忠夫君 四十一年は三二%に上げたんです。
○国務大臣(福田一君) そうです。
○野口忠夫君 それを今回は上げないわけです。ですから、今回上げない理由は何かと言ったら、著しく引き続きでないから上げられない。四十一年はそれでは著しく引き続きであったのかと、こうお尋ねしたら、それは全体の総枠の中でと言うのだから、これは「著しく」ですね。「引き続き」ではないわけですね。
○国務大臣(福田一君) それは私は解釈の問題があると思うんですね。できるだけ地方財政を充実して、そして自治の拡充をしなければいけないということは、もう長い間の懸案になってきたわけです。そして交付税率は非常に少ないからこの際何とかしてもらいたいという意見がずっと続いておりまして、それではこの機会にひとつ、そういう法律にはあっても、法律は赤字が続いたときに、二年以上続いたときにやりなさいということは書いてあるけれども、赤字がないときに交付税率を上げてはいけないとは書いてないわけですね。要するに地方の自治体の財源を拡充するというそういう大きな目的で、そこで二九・五を三二に上げたわけでありますから、そういう大目的があるからでありまして、そのときはいま言った「引き続き」ということを適用したわけではございません。法律でその地方へそういう交付税を税率をどうするかということで、赤字が二年以上続いていればこれは必ず上げなければいけないですね。しかし、そうでなくても、たとえば今後におきましても地方へある程度の行政事務を移したというような場合においては、私はそれに見合った交付税率の引き上げをするのも一つの考え方ではないかと思います。だから、それはちょっと法律の適用の問題から言えば、われわれとしてはどうしても上げなければいけないという場合は二年以上も赤字が続いた場合ということであり、それから政治的に見てこの際ひとつ赤字は続かないでも上げるということが、この地方交付税法の本旨に反するものだとは思っておらないのです。できるだけやはり与えてやるというのが、いま委員から仰せになったような意味が含まれておるわけであります。
○政府委員(吉瀬維哉君) 野口委員の御質問のとおり、四十年、四十一年、この段階で地方財政措置をやりましたときに交付税率が上がっていることは事実でございます。ただし、五十年の状況がその当時の状況と非常に違うのは、いわゆる地方財政上の法律的な定義は別にいたしまして、地方も大幅な借入金財政に落ち込んだわけでございますが、国といたしましても二六・三%という大幅な借入金財政に移った、こういう段階で、先ほど自治大臣が御発言になりましたとおり、五十年、五十一年の財政の経緯を見きわめまして、五十二年の段階でどういうことになるか、国も地方もともに大きな赤字財政に転落したわけでございますから、やはりこの二年間の推移を見てさらに判断をするということになるかと思います。
○野口忠夫君 ことしはとにかく税率を上げない。その理由は、引き続き著しくないから。で、四十一年には全体として政治的にお金が足りなかったから、それで上げたと。こういう解釈が二つになるわけですが、これは今日の段階は、四十一年から今年までもう十年たっているわけですね。この十年の間、率の引き上げは一向行われない中で、率の引き上げの要求というのはまことに大きく強く長い間続いてきたと私は思うんです。そういう声にこたえて、全般をながめて上げることができるとすれば、今回上げられないわけではなかったんですね、これは。
○政府委員(吉瀬維哉君) 先ほど自治大臣が御答弁申し上げましたとおり、本年度の地方財政対策、実は大幅な地方の歳入、交付税の落ち込みに対しまして、実質的に交付税の額が団体に渡るときに減らないように、むしろ少しふやすという形で処理したわけでございます。そういう面におきまして、当面の財政措置は十分とっている。野口委員の御質問はそれと違いまして、四十一年にとれたものが今度はどうしてとれないかと、こういうことかと思いますが、これは先ほど申し上げましたとおり、国は二六・三%のいわゆる借金財政になった。地方の方は補正後で一一・三%の地方債依存度でございます。別に、この一一・三と二六・三で、地方の方が楽だというようなことを私申し上げているのじゃなくて、やはりこれは地方財政の趣旨に即しまして、この二年間の推移をよく見きわめて、先ほど御質問ございましたけれども、国、地方の行政事務の分担とか、地方財政全般を通ずるいろんな問題を考え合わせて、五十二年度のころ判断すべきではなかろうかと、こういうことでございます。
○国務大臣(福田一君) ただいま主計局長が御答弁をしたとおりでありまして、この点についてはいろいろ自治省と大蔵省とでは折衝をいたしたわけです。長い間折衝をいたしました。それはあなたも恐らく聞いておいでになるだろうと思う。なかなか決着がつかなかったのでありますけれども、一応補てんはするということと、利子の負担は免除するということと、それから二年後に返すときも、そのときの財政状況によっては十分地方財政に悪影響を与えないようにしようと、こういうことでありましたから、われわれとしてはこれを認めたということでございます。
○野口忠夫君 どうもわからないです、いまのお話では。今回の率の引き上げができなかった理由ということが、四十一年度の前例の中で見た場合、どうしても解釈がつきません。これはひとつ預っておくほかないですな。後でこれは……。 まあ財政法上から、地方公付税法の六条の三の2から言えば当然これは率の引き上げによって行わるべきものだろうと法的には解釈される。しかし大蔵省の方が、国が非常に窮屈だ、そのためにそれは来年度に延ばしたのだと、こういうような、国の都合で法が曲げられたという解釈きり私には残っておりません、いま手を挙げたってだめです。それきり残ってないです。これはもう大蔵省が法を曲げて国の事情に従わせたということですからね。
○政府委員(吉瀬維哉君) 先ほど自治省の政府委員から御答弁申し上げましたとおり、野口委員十分御承知のとおり、地方交付税法の第六条の三には、引き続き著しくギャップが生じている、こういうときには地方行政に係る制度の改正、「地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」こうなっているわけです。五十年度、五十一年度、これから国及び地方の財政がどう推移するか、これは相当大きな問題でございまして、そういう点を見きわめまして、制度とか財政とか全般の見直しを行っていこうというのが先ほどの自治大臣の御答弁の趣旨かと思っております。
○野口忠夫君 これは預っておきます。どうも解釈がつかないです。 それで、先ほど交付金として、交付税としてこれは地方に配付しておるというのですから、この交付金の元利は、当然交付金を出すべき国が責任を持つのが当然であろうと思うのですが、何か大蔵省と自治省との間の覚書では、必要に応じてそのときに検討するみたいな話でございますが、非常に自治省また弱腰で、三分の一まではどうだなんていうようなことをおっしゃったようなことも聞いておるわけですが、やっぱりこれ、たてまえから言えば交付税交付金の補充として地方に渡したのだから、これが将来地方の負担において返されなければならぬというようなことは、これはどうもたてまえ上おかしく思うんです。私は、この交付税交付金の借り受け分は全額、元利とも国が責任を持つような方向で検討されるべきものではないかと思うんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(福田一君) 野口さんがおっしゃったように、交付税で出したのならば国が当然持っていいではないかというお話でございますが、いまこのような非常に財政的に苦しいとき、それから将来の自治問題をどういうふうに見直していくかというような問題もございますからして、そういうことも含めて一応先ほど申し上げたようなことにいたしましたけれども、しかし返還が、その時分に地方財政が非常に苦しくて、五十三年度から六十年度までの八年間にちゃんともう金額も決まっておりますが、それが非常に返すことが困難であるという場合においてはそれは十分考える、こういうことでありますから、まあそれならば、いま非常に困っておるときで、赤字公債まで出してやるのならば、二年間の余裕もありますから、そのときまでに考えればいいじゃないかという一つは自治省としては考えがあるのと、もう一つは、五十三年くらいのときには何かもう抜本的な、自治体としての今後自治と中央との行政の見直しをひとつしてみたいという考え方もあり、あわせてそういうことが解決されることが望ましいのではないかという考え方も私は持っておったわけであります。そこでそういうことであれば、国もそれほど困っておるならば、何も来年すぐ返せというならわれわれ絶対認めません。再来年すぐ返せというなら、それは絶対困ります。しかし二年を据え置いて、そうして三年後に一応こういう返還計画をつくっておく、しかし、そのときになっても非常に地方の方が困るなら考えます、国の方で考えると、こういうことでありますから、私としてはやむを得ないと思って認めたわけであります。
○野口忠夫君 私の申し上げたことを大蔵大臣はどうお考えになりますか。つまり、交付金として出したものは国が責任を持って支給すべき金の補てんだから、当然その元利は国が責任を負うべきであるという私の見解です。大蔵大臣どうですか。——大蔵大臣。
○国務大臣(福田一君) 後で答弁してもらいます。 それはあなたも御案内のように、国税三税の三二%は交付税として渡す、こういうことになっておるわけですね。そうですね。そこで三二%では一兆一千億円の金が足りなくなったということでありますね。その場合に、国にゆとりが、ある程度の力があれば一兆一千億円をどういう捻出をするか、捻出方法があれば交付税として直接、もう後でいざこざがないように措置すればそれも一つの考え方だと思います。しかし、自治省と大蔵省といろいろ折衝した結果、大体この点については国もいま非常に困っておって、そうして節約等々もやるような時代であり、地方も高度成長からいまや低成長の時代に入ってきておるんだから、ある程度はやはり節約その他考えてもらわなければならないということもありますね。そういうことも含めて、やはりこの際はこういうような措置をするのが妥当であろうということでわれわれとしては大蔵省と決定をしたと、これが私の自治省としての考え方であります。
○国務大臣(大平正芳君) 自治大臣と御相談いたしまして、いまお話がありましたようなラインで処理しようということで合意いたしたわけです。
○野口忠夫君 やっぱりあれですね、私の言った交付金というものを交付税としてこれは渡すものなんだと、これは自治相の答弁があったんです、さっき。で、交付税として受け取っている地方自治体は、これは交付される交付金の足りない分ですから、これは当然国で責任を持つべきものだと解釈するようになるんじゃなかろうか。このことについて大蔵大臣はどう思うかとお尋ねしたんですがね。
○政府委員(吉瀬維哉君) 従来の地方と国との関係で、地方財政が非常に困窮に陥って国が相対的に豊かであったとか、あるいは逆であった場合とかいろいろあるわけでございます。交付税の交付金は、いつもそういうような場合に、両者の間の財政事情の地位が変化したときには年度間調整としていろいろ作用したことはございます。今回は資金運用部資金から一兆一千億ほど借りたわけでございますが、これも年度間調整で、先ほど自治大臣が御答弁になったとおり、特に苦しいと認められる二年間は据え置き、しかもその後の八年間を、むしろ後の方に重く返して地方の負担を軽減しよう、それからさらに御承知のとおり、超過負担の解消も百九億ほどやるとか、それから特例交付金を二百二十億渡すとかいうような措置を講じまして、実質的に地方財政が困窮に陥らないような措置をとったわけでございます。 いま野口委員の御指摘は、交付税交付金だから、これは必ず元利償還は国かと、こういうような御質問でございますが、私どもといたしましては、今回大蔵省証券を大量に発行して、とにかく特例公債発行下の財政でございますが、実は利子負担そのものも二百二億に及ぶ、相当大きな金でございましたが、利子負担につきましては、国としてはこの際負担しよう、ただ元本の償還につきましては、先ほど申し上げましたとおり二年据え置き、八年償還の措置をもって地方財政の負担の緩和を図ったと、こういう趣旨でございます。
○野口忠夫君 法律の解釈上、地方に交付税として渡されたものが地方でこれを負担して国に最後に返すんだというようなことは、交付税交付金の性格から言うて、いわば基準財政需要額と収入額との差額を全国的な調整資金として配分していくんだと、そういう中での地方交付税というものの性格から言えば、当然それは地方が負担すべきものではなくて、国がこれを責任を持つべきものだと私としては解釈せざるを得ないわけでありますが、御答弁がないわけで……。(「原則だけきちんと」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(福田一君) 私は原則と言いますか、いまあなたが仰せになったことで、原則というものは、国税三税の三二%を渡さないときにはこれはもう大変な責任問題が起きます。ところが、それは渡したけれども、なおかついま足りないときにどう処置をするかというのであって、そのときに交付税特別会計を経ないで国が出すというわけには、そういう方法はないと思うんです。そうすると、やはり一遍は交付税特別会計へ入れて、そうしてこれを地方に渡すという便法を講じないというと処置ができないと思うんです。そこで、一応交付税特別会計に入れれば、交付税特別会計というのは国から金をもらってそれを地方へ分ける処置をするところでありますから、そこでそういう措置を今回はとらざるを得なかったということで御理解を願う以外に方法はないと思うのであります。 したがって、そういうわけでありますから、理論から言えば交付税特別会計から出た金ならばこれはもう交付税ではないかと、こういうのも一つの正しい理論でございます。しかし、一方においては三二%を渡すという、国としてはそういう決めがあるのであります。ところが、それが著しく二年も三年も続いた場合には税率を変えなければいけないということがあるが、今度はその場合に相当しない、当たらないから、どう処理したらいいかということで、一応交付税特別会計へ入れて、そして措置をするというやり方をとったわけであります。でありますから、いまあなたのおっしゃった意味で特別会計から出たものなら交付税じゃないか、その交付税ならば国が当然めんどうを見るべきだと、こういうのも私は一つの筋論になると思いますけれども、別の筋論から言えば、三二%渡せば国としてはそれで全部済んどるじゃないかと。そうしたら、地方財政はどうにも動きがとれなくなってしまいます。そんなばかなことは私は政治的にはできないと思う。何らかの形でやっぱりそれは埋め合わしてやらなければならないということは、これはわれわれ当然考えるべき筋合いだと思うのであります。その渡す方法としては、やはり一応国から借りた形で交付税特別会計で受け入れて、そして交付税として渡すというのが一番筋の通った方法であるから、そういう便宜の方法をこの場合とっておるのだということを御理解をしていただきたいと思います。
○野口忠夫君 大臣のお話は少しもわかりません。三二%だから、現に少なくなったものの三二%でいいだろうということは、国会に対して出している地方財政計画の中における三二%の額ですね、これに対する一体責任はどうかということは非常に大きな問題になろうと思います。地方財政計画に盛ったから今度もそういうことが一生懸命考えられると思うんですが、次年度の地方交付税の問題についてはこの規模の問題がやっぱり大きな心配になっているんじゃなかろうかと思います。ですから、いまのお話で言うと、三二%だけ渡せばいいんだということにはとうていならない。渡さなければならないものである。だとすれば、もらった方は交付金としてもらっている。それを地方が負担するということはどう考えても理屈に合わないという解釈を私はいたしますが、幾らやっていてもこれはあれなようですから、そこは私としてはそうはっきり申し上げておきたいと思います。 次に移りますが、先ほど自治大臣がいろいろお話をなされる中に、この国庫補助負担金制度というのは、全国に温かい手をずっとばらまいてやる政策であって、均等化してやれるものであって、まことに望ましいみたいなことのお話があったんですが、私はこの国庫補助負担制度というものは、今日の地方自治体のあり方について非常に問題ではなかろうかというふうに考えます。私も地方行政委員会にいたわけですけれども、地方行政委員会で自治体の問題を考えるときに、自治省の心配は余りすることないですものね。心配しなくちゃならぬのは農林省の問題だし、建設省の問題だし、大体この国庫補助金によって地方歳入の約二六%、五兆五千三百六十七億の金が地方歳入に入っていくわけです。これは二分の一か三分の一かの補助ですから、当然地方交付税の裏負担とか、あるいはそれに今度は超過負担の問題もありますから、結果的には単独事業までもこれに食われていくというような方向で、地方自治体は国の補助事業の中で全く下請化していく、こういう状態をつくるこのあり方の中に、補助事業についての見直しという問題は当然起こってこなければならぬのではなかろうか、こういう考え方をするわけですけれども、大臣はどうですか。
○国務大臣(福田一君) 補助金の見直しについては賛成でございます。
○野口忠夫君 これが非常に超過負担を生んでひどくなっているわけですが、私たちは超過負担の解消の問題は実額精算方式でやるのが一番よいのではないか。そのためには超過負担解消の委員会等をつくって、そうして民主的にやった方がいいと、こういう主張をしてきたわけですが、この国庫補助負担事業を行っている役所の中に超過負担がいままでなかったというところがあるわけです。これは建設省の補助事業でありますが、これは全く超過負担がない。聞きましたところが実額精算方式でやっているというんですね。すばらしいことだと思って敬意を表したわけですが、いかがですか、大臣、建設省。
○国務大臣(仮谷忠男君) そういう方法でやっております。
○政府委員(高橋弘篤君) 御質問は、一般の土木事業のことについて御質問だろうと存じますけれども、これにつきましては……
○野口忠夫君 補助事業。
○政府委員(高橋弘篤君) 一般土木事業の中の補助事業でございますけれども、これにつきましては、実際に計画をしまして、できるものを何キロなら何キロということで、それについて工事の基本計画を立てまして、それについて補助率は幾らというふうな形をとっておる次第でございまして、そういう意味で……
○野口忠夫君 実額精算方式ですね。
○政府委員(高橋弘篤君) 精算とこれは言っていいかどうかわかりませんですけれども、超過負担というものは出ていないということでございます。
○野口忠夫君 大分超過負担でこれは悩んでいるわけですけれども、他の役所の方は基準精算方式ですが、この基準の定め方が全く役所の随意に決めるようなかっこうになっておって、現場においては物すごい超過負担を持ってきている。建設省のような実額負担方式というようなことをなぜ考えることができないのか。この辺のところで、一番補助を出して地方に世話になっているところ、厚生省、これは筆頭だ、次は文部省、どうなんです。
○国務大臣(田中正巳君) 厚生省は確かに補助対象事業が多いわけでありますが、近年超過負担を解消いたすべく、補助単価についても、補助対象につきましても、あるいは措置内容等につきましても、それぞれ鋭意今日改善を加えておりまして、三省協議によって超過負担が明らかになったものについては、明年これをやるべきものもいま御審議中の補正予算に一部計上しているほどであります。事柄の性質上、いわゆる実額精算方式というものについては、わが省の仕事の一部はどうもこれを直ちに実施することには困難があるものが多いというふうに認識をいたしております。
○政府委員(清水成之君) 文部省の点でございますが、御指摘のとおり、従来、超過負担があったのは確かでございます。ただし、昨年度の四十九年度補正予算並びに五十年度の当初予算を通じまして、三省の調査の結果を踏まえまして単価改定をいたしまして、超過負担はないものと現在では考えております。今後とも努力をいたしたいと存じます。
○国務大臣(福田一君) ただいま御指摘になった超過負担の問題でございますけれども、超過負担というのを考える場合には、補助の対象をどれだけにするか、また、その対象に対する金額を、どういう質のものをつくらせるかということで、その平均、これでこういうものでつくらせるということで、それでやってなおかつ足りないという場合がいわゆる地方の超過負担と、こういうことになっておるわけであります。そこで、その量あるいは質について順次これを是正していかなければならないということについては、私はごもっともな御意見でありますが、いままでに、一応これだけの量を上げます、そうしてその場合には実費はこれくらいと認めますというのが相当の幅がありましたので、そこでわれわれが強く関係各省に要請をいたしまして、超過負担の解消を図ったことはあなたも御承知のとおりでございます。 今度の予算におきましても、百十億円だけは今度は運営費——施設費の面ではかなり超過負担がございましたのを大分是正しましたから、運営費の面でまた相当ありますから、その分は来年度本当は解消すべきものでありますけれども、御要望が強いし、自治体の財政が非常に苦しいときでございますから、百十億円だけ運営費の面においても超過負担の解消をしたというのが今回の措置でございます。しかし、これで全部が終わったと私は申し上げるわけにはいかないと思う。そこで、あなたが当初指摘されたとおり、やはり六団体がいま超過負担解消の特別委員会をつくっておりますから、われわれもそこと連絡をいたしまして、そうして順次この問題の解決に当たってまいりたいと、こういう考えでございます。
○野口忠夫君 物価は必ず上がるのでありますから、だから実額精算方式でやるのが一番いい、それについてなぜできないのかということをお尋ねしたわけです。御返事はそれだけいただければよかったんですが、いまのところでは余り賛成でないようですけれども、一般的に受ける地方自治体の印象から言えば、まことに間がぬるい、それも二年も三年もかかってやっている。一体この超過負担がなぜ起こってくるかということになると、この前も申し上げましたが、どうもわれわれの決めた二分の一という法律案に対して違法性があるんじゃないかと、こういうことを言ったわけでありますけれども、どうも物価の上がる過程の中では間に合わないこともあろうと思うんですが、だから、実額精算方式というのをとれば簡単に終わると思うんですけれども、余り御賛成がなかったようであります。 時間もなくなりましたので、これは自治大臣の方にお聞きいたしますが、地方開発公社というのがございますね。これは地方自治体とはどんな関係になっているんですか。
○国務大臣(福田一君) 地方自治体と連絡をとり、依頼を受けて、土地その他の取得ですね、そういうことについて公共的な立場から土地の先買いをしたり、あるいは事業をする……。
○野口忠夫君 地方自治体とはどういう関係になっているのか。
○国務大臣(福田一君) 地方自治体の監督下にあるわけでございます。
○野口忠夫君 いろいろ種類が多いと思うんですがね。大臣のいま言われたのは、土地開発公社のことじゃないですか。そうではなくて、これはいっぱいあるんですかね。これはみんな地方自治体の監督下にある。地方開発公社は地方自治体の監督下にある……。
○政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり、ただいま大臣の御答弁申し上げました土地開発公社につきましては、法律に基づきまして自治大臣の監督のもとにあるわけでございます。また、県の実際に開発公社として成立いたしておりますものには民法法人その他もあるわけでございまして、それはそれぞれの法律に基づきまして県知事その他の監督下にある、かように存じます。
○野口忠夫君 大体地方自治体の出資二五%あたり、これは地方自治体の関係が生まれるようになっておりますけれども、これの仕事をやる事業資金というのはどういうふうにして出てくるんですか。
○政府委員(山本悟君) 開発公社関係の資金でございますが、主といたしまして民間資金を借りまして、これによりましてそれぞれ取得をする、こういうのが原則でございます。
○野口忠夫君 その開発公社が借りる金については、地方自治体は関係はないんですな。
○政府委員(山本悟君) いろいろなやり方があろうとも存じますが、地方団体が保証をするというような場合が多かろうと存じます。
○野口忠夫君 これの役職はどうなっていますか、地方開発公社の役職は。
○政府委員(山本悟君) 役職は、それぞれの設立団体の公務員が充当されております場合もございますし、純粋の、公務員から離れた人がなっているというような場合も、それぞれの団体の事情によりましていろいろ違った場合があろうと存じます。
○野口忠夫君 地方開発公社の運営を見ますと、事業資金は借りてくる、やる仕事は土地の先行取得というようなことで、地方自治体と関係するものになっていくわけですね。その間に地方自治体がこの事業に対して何ら関係することのできないような状態の中にあるように思われるわけです。仕事は地方自治体と関係しながら、開発公社それ自体は、独自の自分たちの事業形態で運営をしている、金はどんどん借りて仕事をやる、こういうような、いわば地方公共団体が出資をしているというんだけれども、どうもこの開発公社のやり方が危険なように思われるわけです。それで大分最近、土地の先行取得をやっていたものが、これがあんまり再取得ができなくなってしまった。そのために金利で苦しむ、人件費で苦しむ、こういうようなことでまことに困っているものがふえてきている、こういうんですけれども、これは野方図に金を借りて土地を買った、何か高度経済成長のあのころの流れみたいなものが地方開発公社の中に残っているような気がしてならないわけですし、現に大分売れないで土地を持って苦しんでいるものもあるやに聞きますが、これについてひとつどんな状態か、自治省がおわかりでございましょうか。
○政府委員(山本悟君) 御指摘のとおりに、開発公社関係でいろいろ土地取得等をいたしていきます場合に、一つには、地方公共団体の委託を受けまして公有地の先行取得をやる、こういう場合がございます。この場合には、それぞれのその事業によりまして、先行取得をした場合のもとの値段にその後の金利を足しましたものを公共事業の単価等にしてもらう、こういう話になっているわけでございまして、長い目で見れば総体としては赤字になることはない、こういうことが原則でございます。ただし、もう一つの事業といたしまして、たとえば独自の事業、工業団地あるいは住宅用団地というようなものをいたす場合があるわけでございまして、こういうような場合には、地価の鎮静化というようなところからいたしましてなかなか思うように売れない、こういう事例も間々だんだんと見受けられるような時代になってきつつあるということは一つの心配でございまして、御指摘のように、そういう問題のものにつきましての事業の進め方というものは慎重にしなければならないと、かように存じております。
○野口忠夫君 最近の開発公社の現状は、そういう点に追われてどうにもいかない。ここで出てくる赤字、この赤字は結果的にはだれが責任を持つんですか、これは。地方開発公社の責任は。売れないで残っておって……。
○政府委員(山本悟君) 先ほど申し上げましたように、公有地の先行取得というような場合には、それぞれの事業計画に従いましての、府県なり市なりの委託公共団体の委託に基づきますところの買収でございますから、これは長期的に見れば片がつくということに相なろうと思います。もう一つの方のプロパーの問題になりますと、やはりその設立団体、あるいはそれにつきましての債務保証というようなことをした団体というのが当然にその責任の一端は持ってくると、かような事態にならざるを得ないと存じます。
○野口忠夫君 大分これは有名な滋賀県という問題があるわけでございますが、現在裁判中のようでございますけれども、何かもう開発公社をめぐって五遍くらい回すのだそうですね。最後にきたものは十五倍くらいの値段で土地を公社が引き受ける。最後に引き受けるとわかるものですから皆買って、それが知事さんがそこの理事長である、あるいは副知事がそこの理事長である、こういうような状態が開発公社をめぐってあるわけですね。これは非常に注意せねばならないと私は思います。 そこで次に、岩手県の花巻市に、いまジェット機を飛ばせるための空港の拡張工事が行われておるわけでございますが、まことに地域住民の皆さんからの猛反対がありまして、非常な社会的な混乱をいま起こしているようであります。これをずっと見ていきますと、県がやっておるわけだ、第二種空港で県のものでございますけれども、知事さんが、このジェット機を飛ばすための二千メートルの拡張工事、この拡張工事のために土地を取得している金が開発公社から出ておるわけであります。これは県会の議決も何にもありませんので、非常に不明朗な関係で何となく、筋から言えば正しいのかもしれませんが、知事さんがそこから金を出してやっているという中で、住民の反対があるわけですね。その反対の陰でそういうことになっている。県会の方でも知らないというようなことになって、非常にいま問題になっているわけであります。これは後ほどまたお調べ願いたいと思うんですけれども、非常な住民のエキサイトした状態の中でいまあるわけでありまして、十分ひとつそういう点での自治省も注意をしていただきたいと思うわけであります。 なお、非常な住民の反対運動の中で県民紙があるわけでありますが、この県民紙の社説を読んでみますと、四年前の仕事なんだそうであります。当時は非常なブームで、岩手県の花巻に大したジェット飛行場ができるというような、ネオンの輝く夢を描いたわけだろうと思いますけれども、非常に現在の段階では地方財政の状況も変わっている。県の財政もなかなか苦しくて、四十億近い赤字が出るのではなかろう、エレベーターの電気もとめた、電気も節約している、お茶も出さない、そんなことまでやっている地方自治体の非常な財政危機の中で、約百六十億、これは県が出す金が七億、国が二十二億、一般の起債が残りと、こういうような状態の中で、県民紙の社説の中でも、余りこれについては早急にすべきではないのではないかと。もちろん地域住民の皆さんの中には——いま新幹線が通ったものですから、新幹線が通ったために飛行機で行くというのと大体時間が同じぐらいになるらしいんですね。いまさら何でこの財政危機の中でこういう飛行場を建てなくちゃならぬかという一般的な世論の中で、実は運輸省がこの間公聴会を強行したわけであります。これは傍聴人が一人もない公聴会だったそうでございますが、何でもいいからやればいいんだみたいなかっこうでおやりになったような話を聞きましたが、公聴会が終わるといよいよこれ、認可ということですね。現実には岩手の花巻の場合はそういう点で非常な問題が起こっている際でございますから、ひとつ十分御検討いただいて、この問題の処理をお願いしたいというふうに思うわけですが、運輸大臣の御答弁を願いたい。
○国務大臣(木村睦男君) 花巻の空港は、御承知のように県が設置者でございます。昨年の九月に申請がございまして——十月でございましたか、一年たっておるわけでございます。その間、いまお話のように地域住民の一部でも反対がございました。まあ航空法からいきますと、申請がありますというと、公聴会を開いて最終的に検討をし処分をしなければなりませんが、そういういろんな動きがありましたので、しばらく様子を見ておったわけでございます。もともと県からの申請であり、設置者が県でございますから。しかし、一年たちました今日におきましても、県の意思としてはそうやりたいという意思が変わっていないということでございましたので、いつまでもほうっておくわけにもいきませんので、法の規定に従って先般公聴会を実施したと、こういうことでございますので、公聴会の結果等を十分検討いたしまして最終的な処分をやるという段取りになっておるわけでございますが、地域住民の反対その他のことも十分聞いておりますが、県が苦しい財政の中から選択をしてぜひやりたいということでございますので、この意思は変わっておりませんので、それも考えながら最終的な措置をしなければならないと、かように思っておる次第でございます。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして野口忠夫君の質疑は終了いたしました。(拍手) 次回は、明日午後零時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十八分散会