大蔵委員打合会 第1号
- 発言数
- 45 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/12/19
会議録
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員打合会を開会いたします。 本日は委員会において昭和五十年度の公債の発行の特例に関する法律案について参考人の方々から御意見を承る予定でありましたが、都合により委員打合会として御意見を聴取することになりましたので、御了承を願います。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 参考人の方々には、御多忙のところ本法案の審査のため御出席をいただきまして、ありがとうございます。これからの会議の進め方につきましては、お一人およそ十分ないし十五分程度御意見をお述べいただきまして、その後委員の方々からの質問にお答えいただくという方法で進めてまいりたいと思いますので、各位の御協力をお願いいたします。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。 それでは、ただいまから参考人の御意見をいただきます。板倉参考人。
○参考人(板倉譲治君) 全国銀行協会連合会の板倉でございます。 本日は、国債の発行問題につきまして私どもの考え方を申し述べる機会を与えていただきまして、まことに光栄に存じます。 わが国の財政は、御案内のとおり、きわめて厳しい局面に立ち至っております。その直接の原因は、申し述べるまでもございませんが、経済活動の停滞、企業の極端な業績不振、個人所得の伸び悩みといったようなことを反映いたしまして、大幅な税の自然減収が生じたということによるものでございます。歳入の減少に対しましては、歳出の削減を行うとか、歳入の増額を図るとか、あるいは国債の発行によりましてこれを補てんするとかという三つの手段があるわけでありますが、景気の停滞がはなはだしく、財政金融面からの強力な景気対策が必要とされておりますような今日の情勢のもとでは、大幅な歳出のカットですとかあるいは税による歳入の確保などはなかなか困難であります関係から、今般総額三兆四千八百億円に上ります国債の増発が予定されることになったものと承っておりますが、これはまことにやむを得ざるものと判断いたしております。私どもといたしましても、わが国の経済財政の実情にかんがみまして、政策運営に対しできる限りの御協力を申し上げるという見地から、この増発国債をお引き受けしてまいることにいたす所存でございます。しかし、今後大量の国債が発行されてまいりますと、民間金融市場などに与える影響はなかなか無視できないものがございまして、各方面にわたって問題点を慎重に検討すべきであると思いますので、この機会に国民経済的な観点から留意しなければならないことにつきまして二、三私見を申し述べさせていただきたいと存じます。 まず、国債発行とインフレーションとの関係でございます。国債の発行がインフレーションを引き起こすか否かということは、国債発行によります財政支出の増加及びその波及効果としてのマネーサプライの増加に伴います総需要の増大が総供給を上回るか否かということにかかっていると存ずるのでございます。御案内のとおり、現在のわが国経済は巨額の需要ギャップを抱えておりまして、企業の操業率も低水準にとどまっておりますので、現在予定されております国債の増発によります総需要の増大が需給を逼迫させてインフレーションを引き起こすというような心配はないものと考えております。しかし、今後幸いに景気が回復過程に入っていったような場合にももし国債の大量発行が続くようなことになりますと、当然インフレーションの心配が出てまいりますので、そういう際には節度のある財政政策の運営が何より肝要になると存じます。また、国債の発行が過剰にマネーサプライを増加させないためには、正常な金利体系の維持が必要であると存じます。かつて昭和四十六年、四十七年に総額約六兆円の外為会計の散超が起こりまして、これがマネーサプライの急増をもたらしましたことは、当時の金利体系が変則的な状態にありまして預貸金金利が逆転していたということのために起こったものと考えております。 次に、国債の増発が金融市場に与える影響について申し上げますと、まず国債が発行されました場合、確かにその時点では民間金融市場に同額の資金不足が生ずるのでありますが、しかし、その資金はいずれ財政支出として市中へ支払われるのでありますから、発行から支払いまでのタイムラグを除きますと、国債の発行は金融市場にとりましては中立的でありまして、金融機関全体の資金量という面では別段問題は生じないのであります。しかし、これを金融機関の業態別に見ますと、一部金融機関の資金ポジションの悪化、すなわち金融機関相互間の資金偏在の激化という問題の発生が予想されるのであります。実は、私どもが最も心配しておりますのはこの点でございます。と申しますのは、銀行が国債を引き受けました場合、国債の引き受けに見合った資金がそれぞれの金融機関に預金として必ず流入してまいるという保証はないわけでございます。したがいまして、国債引受額に見合うだけの預金が獲得できないということになりますと、銀行といたしましては、資金ポジションの悪化に伴います外部負債金利の重圧を極力防ぐために、他の資産運用を抑制せざるを得なくなるというようなことも考えられるわけでございます。したがいまして、今後大量に発行される国債を円滑に市中消化するためには、資金偏在をできる限り少なくするような対策でありますとか、あるいは金融機関相互間の資金の過不足がコール市場、手形割引市場を通じて過重な金利負担を伴うようなことがなくスムーズに調節されるような金融面の配慮が必要であると存じます。 第三に、国債発行によって企業金融に支障が生じないかと、こういういわゆるクラウディングアウトの問題について申し上げてみたいと思います。国債の大量発行によりましてクラウディングアウトが起こるのではないかということが懸念されておるのでありますが、当面企業の貸し出しはそれほど大きな影響を受けないと考えております。と申しますのは、最近、個人の預貯金は高い伸び率を示しておりまして、個人家計部門は相当の貯蓄超過になっております。また、法人企業部門は、設備投資、在庫投資ともに停滞が著しいのに加えまして、さらに収益の悪化を反映して内部留保は減少しておりますけれども、その反面、過去の高い設備投資の関係で償却資産が増加しておりますので、資本減耗引当金が高水準にありますため、総体として企業の資金不足は今後縮小の方向をたどるものと思います。したがいまして、政府公共部門の大きな資金需要がありましても、これが民間部門の資金需要と統合して民間資金需要をクラウディングアウトするおそれはまずないと思います。 以上申し上げましたように、国債発行に際して留意すべき点といたしましては、一応インフレーションとの関係、それから資金偏在の激化、クラウディングアウトの問題などが考えられるのでございますが、しかし、私ども民間金融機関といたしましては、現下の不況乗り切りのためには、住宅ローン、中小企業金融、地方公共団体への融資などを初めといたしまして、一般産業界の資金需要に対しましても十分にこたえていくのが当然のわれわれの使命であると考えております。したがいまして、私どもといたしましては、同時にこのような融資がスムーズに実行できるような政策的な配慮も当局に要望をいたしております。 さて、以上申し上げましたように、今年度の国債発行につきましてはまことに必要やむを得ないものと考えておりますが、同時に私どもは国債の最大の引受機関といたしまして国民経済的立場及び銀行経営の立場から国債の大量発行に関しましてかねて要望を関係方面に提出いたしておりますので、この席をかりまして簡単にその要旨を申し上げます。 まず第一は、国債発行の歯どめの問題でございます。国債の発行額は基本的には経済の安定成長と健全な財政の維持を目標として考えるべきものでありまして、できるだけ発行規模の膨張を抑制することが当然望ましいわけであります。また、国債の発行は財政法第四条に規定する建設国債にできるだけ限定すべきでありまして、いわゆる特例国債の発行はここ一、二年の応急的な措置にとどめるべきであると考えております。今般発行が予定されております特例国債の償還につきましては建設国債とは別途に処理されるように伺っておりますが、ぜひともそのようにお願いいたしたいと存じます。また、当然のことながら今後とも市中消化のたてまえを堅持して国債の発行額をできるだけ抑制していただきたいと思います。 第二に、国債の発行条件を適正な水準に維持していただきたいということであります。このことは、国債の保有者に過重な負担を与えないということばかりではなく、発行の歯どめという面からも重要であります。先般の発行条件の改定に当たりましてはかなりの御配慮が加えられておりますが、引き続き国債の市場需給の実勢を尊重した魅力ある国債にしていただきたいと存ずるのであります。 第三に、今後国債が大量に発行されますと、金融機関の保有する国債の額が累増するものと予想されますので、今後金融機関が国債を現実に支払い準備資産として役立たせ、活用することができますように、国債に流動性を付与することがぜひとも必要であり、そのためには国債の流通市場の整備が喫緊の課題であると考えます。 最後に、今後の財政のあり方について少しく申し上げたいと存じます。わが国経済は、今後長期的に見ましてもこれまでのような高い成長を続けることは困難でありまして、税の自然増収には多くを期待できませんので、今後とも国債の発行に依存せざるを得ないのではないかということが言われております。しかし、来年度以降幸いに景気が順調な回復軌道に乗り需給ギャップが縮小してきた場合にも、なお硬直化した財政の惰性に流れて大量の国債が安易に発行されるようなことがありますと、たちまち一部に局部的な需給逼迫が起こり、全面的なデマンドプルインフレーション再燃の契機をつくる懸念がございます。したがいまして、今後財政支出の内容につきましてはさらに十分吟味検討することはもちろん、国民の受益と負担の関係についても見直しを図りまして、国債の発行額を今後の景気の動向、需給の状況等をにらみながら適正な規模にとどめる努力が最も肝要であると存じます。 いずれにいたしましても、国債の大量発行はその影響するところがきわめて大きいのでありますが、国債の発行や流通を円滑に実施するために最も必要なことは、市場の実勢に即応した発行条件の決定や流通市場の整備など、金利機能の活用であると思います。この点、当局の十分なる配慮をお願いいたしたいと存じます。もちろん、私ども民間金融機関といたしましては、当面の国の財政危機を乗り切り、景気の着実な回復を図りますために最大限の御協力を申し上げますことが当然の任務であると考えまして、今後とも国債の引き受けには最大限の努力をいたしてまいりたいと存じます。 以上で終わります。ありがとうございました。
○委員長(桧垣徳太郎君) どうもありがとうございました。 次に、氏家参考人にお願いいたします。
○参考人(氏家栄一君) 全国地方銀行協会の副会長をしております氏家でございます。 きょうは、いつも地方銀行六十三行の会員がいろいろお世話になっております諸先生の前で特例法の国債発行の問題につきまして私どもの考えを申し上げる機会をいただきまして、まことにありがたい次第に存じております。 この法律の国民経済的な意義、あるいはその他条件の問題、歯どめの問題そういった国民経済大局の中におけるこの法律の問題は、ただいま全国銀行協会長の三井銀行社長からお話がありましたことにつきまして私どもほとんど同じ意見を持っておりますので、再びそれを申し上げることを避けまして、われわれ地方銀行としての問題を皆様に御披瀝申し上げましてお耳を汚したいと思う次第であります。 この問題の本題に触れます前に、わが国経済における地方経済の現状を申し上げますと、毎月毎月地方銀行におきましては六十三行の頭取が集まりまして月例会というものをやっておりまして、一昨日も全員集まりまして昨今の地方における最近の経済の動向を意見交換を申し上げた次第でございます。それによりますと、地方の経済は依然として最終需要が低迷しておりまして、景気の回復は足取りが重く、底ばいの圏内を脱し切れない状態のまま一進一退を繰り返しているというのが各地方の頭取からの報告でございまして、一部農村部やあるいはほんの一部の地区では若干の明るさも見られますけれども、大部分はやはり一般景況の伸展が思わしくなく、メーカーは減産体制をとり、企業の収益も悪化し、しかも見通しが依然としてどうなるものやら立たないという点において各地で心配が続けられているという状況の報告がございました。しかし、全体としてわれわれ地方銀行が力を合わせまして、この年末につきましては、どうやらこういう不安の中でも、平穏と申しましては少し申し過ぎかもしれませんが、とにかく波乱もなく越年でき得るような見通しを持っている次第でございます。 しかも、物価は、皆様御承知のとおり、最近ようやく落ちついてまいりましたので、地方銀行の窓口において察せられる一般の人々の空気というものは、もっぱら早くこの不況を脱却して経済活動をもとどおり活気のあるものにしていただきたいというのが深刻な願いでありまして、そのために私ども地方銀行に対してもそれぞれの大きな期待を寄せられているというのが実情でございます。 ところが、一方、ただいま前の参考人からもお言葉がありましたように、わが国の財政は、国も地方公共団体も、不況の深刻化に伴う税収入の不足などから大幅な歳入欠陥で約三兆五千億円の国債の追加発行が予定されねばならないような状況であることはわれわれもよく存じておりまして、これに伴いまして今回特例法案の審議がされているということを十分存じております。この特例法案による国債の発行も、結局は、景気の回復と国民生活の安定を期待する現況にかんがみまして、まことにやむを得ないものとわれわれは存じております。私ども地方銀行といたしましても、この政府の最終的な目的をかみしめながら、この政策はやむを得ない、十分に御理解申し上げて国債のお引き受けに努力をせねばならない。御協力を申し上げねばならないと存じている次第でございます。 ところで、私どもの地方銀行は、地域地域の中枢的な金融機関といたしまして、国債のほかに膨大な地方債の引き受けという問題が横たわっているのでございます。これがわれわれの否み切れない役割りになっておりまして、御承知のように、地方公共団体も、国と同様に多額の歳入不足を生じまして、それを補てんするために大量の地方債が各県においてあるいは各市においてあるいは各村においてまで追加発行が予定されておりまして、その引き受けの要請は私ども地方銀行には大きな肩の重荷になっているわけでございます。私どもは、国債の問題と地方債の問題とは、重要度において、あるいはそのファンクションにおいて、不可分一体のものと考えておるわけでございます。ことにわれわれ地方銀行は長年にわたりまして地方公共団体のお台所を預かっておりまして、切っても切れない縁がありますので、この地方債の追加発行につきましても基本的にはでき得る限りの協力をしていかねばならない立場にあるわけでございます。 しかしながら、国債しかり、地方債しかりという中におきまして、私どものやはり重要な使命の最たるものは、地方地方における中小企業への資金供給あるいは住宅ローンの供与など、そういった金融機関としての基本的な使命に配慮を尽くしていかねばならないという立場がありますので、いろいろ苦慮はしておりますけれども、この多額の国債及び地方債の引き受けを時代の要請として十分考慮に入れながら地域金融の円滑化を期することがわれわれの最大の責務であり、また最大の問題であると覚悟をしている次第でございます。 つい先日の毎月行っております地方銀行協会の月例会におきまして、先ほど申し上げましたように、各地の地方地方の景況の意見交換がございまして、いろいろな意見がございましたが、年末の企業の各地における資金需要は、最近の不況を反映しましてか、前向きの資金需要は余り出ておりませんで、依然として後ろ向き資金需要が続いておりますけれども、資金の量はわれわれが予想しておったほどには大きくなく、また各企業がお金よりもむしろ仕事がほしいというような気分もありまして、できるだけ借り入れも抑えて年を越したいという気分がございまして、例年に比べますと概して資金需要については落ちついた模様を示しているようでございます。 私ども地方銀行におきましても、各方面の資金の需要につきましては適切にこれを満たしていくことが大事な務めであり、それに現在努力を払っている次第でございますが、これにつきましては、大蔵省あるいは日本銀行当局の御指導御配慮、まあ例を申し上げますと、最近の預金準備率の引き下げ、あるいは十二月の上旬におきます日本銀行のオペレーション等によりまして、全体的には、さしあたりの年末金融は、先ほど申し上げましたようにそれほど激しい需要がないのをバックにしまして、現在それほど心配なく過ごせるのではないかと推察いたしております。したがいまして、仮にこの法律が通ることになりまして多額の国債が出ることになりましても、地方銀行としては、各方面への信用供与に対応することと同時に、国債の引き受けについても御協力できるものと存じておる次第でございます。しかしながら、国債、地方債の大量発行は、中小企業にはやはり何といっても借り入れの締め出しという懸念を与えておりますように聞いておりますので、その心配がないというように各地でキャンペーンをせねばならないという意味におきまして、先日の頭取の集まりました月例会におきまして口頭の申し合わせをいたしまして、地方銀行は年末の中小企業金融には万全を期そうではないかという申し合わせさえ行っておる次第でございます。このような態度で現在基本姿勢をつくり、年末の金融に臨んでいる次第であります。もちろん、このことは、各地のあるいは各銀行のそれぞれの立場において若干のばらつきはあると思いますけれども、われわれの基本態勢はそういう意味でこの年末を迎えたいと思っている次第であります。 以上がこの国債発行の問題につきます年末の問題でございますけれども、ついでに、年末だけでなしに当面の問題として諸先生方に少しく長い目で見ていただきたいと思いますのは、こういった地方銀行のいろいろな使命につきまして、あるいは一般の中小企業の融資の問題、それから不況下において健全な企業でありながら不況のために難局に陥っているような企業に対する緊急融資の問題、それから公害防止ローンの問題、それから地方公共団体に対する福祉関係の融資の問題、あるいは住宅ローンの問題、そういった問題につきましては、あえて年末だけでなくて、ここ当面問題がむずかしい間はお互いに地域の点を考えまして助け合いの精神できめ細かく配慮していきたいと思っている次第でございます。最近非常に時局の局面が変化が激しくて、われわれも対応するのにかなり難渋をしておりますけれども、ただ、地方における金融機関の立場は、地方の信用の最終的な主柱と考えておりまして、その意味におきまして常に銀行としても地方銀行の足腰を強くして、経費の節減を図り、資産の充実を図っていくつもりでございますので、この点につきましてもよろしく御指導いただきたいと存ずる次第であります。 以上が私ども地方銀行の者がこの国債の問題についてあるいは国債の問題に関連しまして考えておりますことでございますが、最後に一言だけ諸先生にお耳を汚さしていただきたいのは、国債の発行につきましても、決してそれをお引き受けするのは中小企業と両立させる意味において楽ではございませんし、また地方債も同時に消化していかねばならないのでございますが、この地方債の問題につきまして、われわれは、いままでもずいぶん約三兆円に及ぶ地方債を地方銀行が保有しておりますけれども、今後もふえることはあっても減ることはないような状態でありまして、地方債の中には一部公募地方債ももちろんございますが、大部分は縁故地方債と称しまして各地各地で公募でない、まあ銀行と公共団体の話し合いで縁故地方債というものが出ております。この縁故地方債が現在のところいろいろな問題を含んでおりまして、ときどきは資金運用部がこれを買い上げてくれる措置も一、二度行われましたけれども、日本銀行のオペレーションの対象にもなりませんし、日本銀行から地方銀行が借り入れするときの担保にもなっておりませんし、また地方銀行がコールローンをとるときの担保にも取り扱われておりませんので、この地方縁故債というのは、額は大変な額になって今後もふえる割りにはきわめて定着的な資産、動きのとれないような資産になっておりまして、地方銀行の資産としては非常に重荷になっておるわけでございます。しかも、これにつきましては、国債の方がまあこういう多額の国債が出ない時代であれば縁故地方債の少々はわれわれは喜んでお引き受けするにはやぶさかでありませんけれども、国債も多くなる、縁故地方債はそのようになかなかいろいろな面で日本銀行のオペレーションの対象にもならない、担保にもならないというような不利な立場にあるものですから、地方銀行の資産の健全性としては非常に問題を含んでおりますので、この問題は、この財政特例法とは直接関係はございませんけれども、間接には重要な問題であると存じますので、最後に諸先生のお耳を汚しまして今後しかるべく御指導御支援をいただくようにお願い申し上げまして、私の意見を終わらしていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○委員長(桧垣徳太郎君) どうもありがとうございました。 続いて、村田参考人にお願いいたします。
○参考人(村田宗忠君) 公社債引受協会の村田でございます。 本日は陳述の機会をお与えいただきましてまことに光栄に存じ上げますとともに、委員の皆様方におかれまして平素は何かと証券市場に御関心をお持ちいただきまして、また御配慮を賜りまして、この機会に厚く御礼申し上げる次第でございます。 本日は、昭和五十年度の公債の発行の特例に関する法律案につきまして意見を述べよとのことでございますので、証券界を代表いたしましていささか所見を述べさしていただきたいと、また御参考に供したいと存ずる次第でございます。 さて、現下の厳しい経済情勢にかんがみまして、五十年度予算の円滑な執行を図りますためにも特例国債を発行する旨承っております。私ども証券界といたしましても、特例国債の発行は、わが国の財政、経済の現状から見まして、まことにやむを得ないものと存ずる次第でございまして、全力を挙げまして特例国債の消化に御協力を申し上げまして、当面する難局の打開のためにいささかでもお役に立ちたいと、このように考えている次第でございます。 時間もございませんことでございますから、以下、まず私どもが担当しておりますところの国債の個人消化という側面にしぼりまして二、三の点を申し上げさせていただきまして、委員の諸先生方の御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。 その第一点は、国債の市中消化、とりわけ銀行外消化、いわゆる個人消化というものが今後いよいよ重要になってまいりますということでございます。 そのために、第二点といたしまして、基本的には国といえどもひとしく公社債市場における発行者の一員であるという原点に立ち返りまして、国債の発行条件を市場の需給実勢を反映しましたそうした適正なものとすることがぜひとも必要であろうと、このように存じます。 さらに、第三点といたしましては、国債の個人消化を一層円滑に促進いたしますために、その魅力づくりにつきましても新しい角度から思い切った方策が要請されること、以上三点でございます。 まず、第一の点についてでございますが、昭和四十一年、わが国が本格的に国債を抱いた経済に移行して以来十年、私どもは私どもなりに国債の個人消化の拡大に懸命の努力を重ねてまいりました。その結果、今までの国債の個人消化を中心といたします証券界の取扱額は、合計で一兆二千二十七億円、市中公募額の一〇・七%を占めるに至っております。さらに、市中における残高について見ますと、三割というものが証券会社の取り扱いによるものとなっておる次第でございます。しかし、今日になって改めてその歴史を振り返ってみますと、つい一両年前までの経済運営は、高度成長が相当量の成長通貨の供給を必要としておりました反面、財政の国債依存度を比較的低位に抑えるというふうな経済運営を可能にしていたという比較的恵まれた環境下にございましたことから、国債の個人消化も、マクロで見る限りは必ずしも当初に想定されたほどの大きな意味を持ったわけではなかったと言えようかと思うのでございます。 ところが、現在われわれが当面いたします国債発行は、高度成長あるいは歳入の自然増という二つの与件が全く異なってしまったそうした中での大量発行でございます。インフレを抑制し、健全な経済運営を維持していくための市中消化の原則中でも個人を中心といたします銀行外の消化の重要性は、これまでとは比較にならないくらいその重要性を増しておると、このように存じております。したがいまして、長中期的に見ましての個人消化対策にはいまから本格的に取り組む必要があろうかと存じておるのでございます。 そうしまして、そのためには、いま第二点として申し上げました国債についての市場実勢を反映した発行条件の設定を行うということが何よりも重要と相なってまいります。その意味では、先般の一連の金利改定の中におきまして、国債の発行条件引き下げが最も小幅にとどめられたということは、現時点での各種の制約のもとでは一歩前進であると評価いたしておるものでございますけれども、この道はなお段階的に二歩、三歩の前進が望まれるものであるということは申すまでもないことと存じます。私どもは、四十六年六月、経団連の資本対策委員会におきまして、いわゆる弾力化宣言というものを行いました。以来、事業債の発行条件は市場実勢に応じまして弾力的に上下させるという慣行をどうやらつくり上げてまいっております。こうした方向を損なうことなく、国といえども市場における発行者の一員だという原点に立ち返りまして、市場実勢を尊重した発行条件の設定を行うという慣行を徐々につくり上げていくことが必要であると、このように考えております。 国債の魅力向上は、いま申し上げましたとおり、発行条件の適正化ということがその中心となるものと考えますが、さらにそれに加えまして第三として申し上げましたところの国債を国民の金融資産として定着させるため、国民の財産形成の対象として定着させるための方策が必要になってまいろうかと存ずる次第でございます。国債につきましては、これまでも皆様方の御配慮によりまして別枠非課税という制度が取り入れられまして、また行政当局の御援助をいただきまして一円単位の完全複利運用というものをねらいとしました累積投資制度を創設いたしますなど、限られた範囲ではございますが優遇策が講ぜられまして、また、われわれはわれわれなりの工夫もしてまいっておる次第でございます。事実、別枠非課税制度は、今日口座数で七十万口座、四千九十六億円、また、累積投資は、四十六万口座、千八百四十一億円に達しておりまして、国債消化の底辺づくりと申しますか、底辺を大きく広げることに相当役に立ってまいっておると、このように思っております。ことに、国債累積投資につきましては、当面さらにそれを倍増計画と申しますか、思い切ってふやしていく、こういう努力をしてまいる所存でそれを検討しておる次第でございます。しかし、今後の大量増発、またそれに伴います個人消化の意義の増大を考えました場合には、もっと抜本的な何らかの方策、ないしはこれまでとは全く別の角度から国民各層のニードに合致した魅力のある商品を提供する方策が前向きに取り上げられてしかるべきものと考えておる次第でございます。 ところで、私は先ほど国債の市中消化、なかんずくいわゆる個人消化というものの重要性につきまして申し上げましたのでございますが、私どもが対象にしておりますこの消化層は今後着実に伸長する素地はございますものの、その性質上、これは一朝にしてなるというものではございません。時日をかけて積み上げて育成してこそ実を結んでまいるものと存じておる次第でございます。委員の諸先生方におかれましても、十分にこの点の御了解をいただきまして、国債の商品性向上につきましての新たな工夫につきましてぜひとも御理解を賜わりたいと存ずる次第でございます。 次に、国債の大量発行が公社債市場に与えます影響につきまして一、二付言をさしていただきたいと存じます。 その第一は、先ほど全銀協の会長さんも触れられましたように、国債を初めとする公共債の大量増発によりまして、市中におきます滞留残高が増加いたし、流動化の要請が高まってくることでございます。その意味におきまして私どもは流通市場の整備というものを急がなければならないと、このように考えております。 次に、国債を初めといたします公共債の大量発行に関連いたしまして、これと民間債との競合の調整、いわゆるクラウディングアウト現象の防止ということも重要な問題であろうかと存じます。万一公共債の大量発行によりまして民間債が圧迫を受けるというふうな現象が起こるといたしますならば、それは公共債発行の意義の景気対策としての側面、この意義を減殺してしまうということに相なりますので、この点に関する当局の十分な配慮が行われてきたところではございますけれども、今後なお引き続きまして一層の御配慮を期待いたしたいと、このように存じておる次第でございます。 以上、種々申し述べましたが、委員の諸先生方におかれましては、どうぞ私どもの意のあるところを十分御理解賜わりまして、公社債市場の健全な発展、国債の個人消化の推進のために格段の御高配を賜わりますように、切にお願い申し上げる次第でございます。 簡単ではございますが、これで私の陳述を終わらせていただきたいと存じます。 ありがとうございました。
○委員長(桧垣徳太郎君) どうもありがとうございました。 続いて、岩波参考人にお願いいたします。
○参考人(岩波一寛君) 私は中央大学の岩波でございます。 以下、特例法に関する私の考えを申し述べさせていただきたいと思います。 私は一般論として公債発行ないし赤字公債発行を否定するという古典的な健全財政論者ではないつもりでございます。しかし、現行財政法第四条を、単に過去の歴史的教訓という意味だけではなくて、いわゆる近代経済学でいう経済合理性というものを必ずしも十分尊重することなく財政運営を続けてきたこの体質のもとでは、なお厳しく守る必要があるのではないかというふうに考えております。また、今回の特例措置のような場合にも当然それに関連して発生する措置ないし事後措置について、これはたとえば償還計画というようなものでございますけれども、これを明らかにし、議会の同意を得るということが最低限度必要な条件だというふうに考えております。ところが、残念ながら今回の赤字公債の発行に関しては以上の二つの基準を十分充足するようなことになっていないという意味において賛成することができないわけでございますので、以下それに関連して重要だと思われる若干の点について意見を申し述べたと思います。 私は、さしあたって重要な点として四つぐらいの点を考えておるわけでございます。 第一は、償還計画及びそれに伴う財政制度や財政政策の大きな変化が予想されるわけでございますけれども、これについて十分明らかになっていないという問題であります。 第二点は、大量に公債が発行されていきますと、財政の立場からはどうしてもいわゆる人為的な低金利政策を堅持しなければいけないという条件が強まっていく。しかし、逆に金融の側からは、先ほど来お話のありましたように、できるだけ金融の正常化を求めると、こういう要求が出てまいります。この二つはなかなか現実には調和しがたい。そのためにさまざまな問題がそこから出てくるのではないかと、これが第二点であります。 第三点は、やはり公債を発行した場合にそれが物価を著しく刺激するという問題を避けて通るわけにいかないのではないかと、こう考えます。そして、最後に、たとえインフレの懸念があり、あるいは財政運営に大きな支障が出てくる、そういうふうな問題があるとしても、現在直面している深刻な不況を克服するためには景気対策が再優先されなければならないのではないかという考え方がございますけれども、これについても問題があるのではないかと、こう考えておるわけです。しかし、この点は時間の制約もございますので、第一点と第三点を中心にもう少し詳しく意見を述べてみたいと、こう考えております。 まず、最初の問題でございますけれども、今回の国会の審議の過程で、赤字公債の償還計画、あるいは公債発行に関連して必然的に必要になってくる重要な財政諸措置について、政府は必ずしもこれをまだ明らかにしておらないというふうに聞いております。私は、この点は、単なる行財政に関する技術的な問題ではなくて、やはり財政運営、財政制度の根源にかかわる重要な問題に触れているのではないかと考えて大変重視しておるわけです。資料の制約等がありまして私どもにはとうてい厳密な計算などでき得るはずもございませんけれども、現在明らかにされている点だけをふまえて、たとえば昭和五十一年度、五十二年度の一般会計における公債負担が一体どのくらいになるかということを推計してみたわけでございます。ここでは詳しい計算過程など省略せざるを得ませんけれども、結論を申し上げますと、昭和五十一年度ではおよそ一兆九千億円ぐらいの負担になるのではないか、五十二年度では実に二兆六千億ぐらいの負担にもふくらむのではないかというふうな結果が出てくるわけでございます。今年度の補正後の予算における生活保護費の総額を見ますと、これが五千三百七十億円でありまして、社会福祉費は六千四百十六億円であります。これらの費目と比較いたしますと、この公債負担なるものが予算上いかに大きな金額であり、したがって、今後の福祉重視の政策転換という観点に立って大きな障害が出てくるということははっきりとしておるのではないか。しかも、この計算には財政資金繰りの悪化に伴って急増している大蔵証券や外為証券の利子・割引料の増大というようなことは一切考慮されておらないわけです。にもかかわらず、昭和五十二年度には公債費だけで今年度より一兆数千億円近く膨張してしまうということになります。したがって、一般会計全体で考えてみますと、おそらく数兆円の歳出増を引き起こし、それだけの歳入増を必要とするということになるだろうと思います。公債依存度だけではなくて、打ち続く三〇%近い異常な公債依存の財政運営をできるだけ早期に脱出ないし清算しようとするならば、公債費の膨張と公債依存によって増大した諸経費と、それから公債を削減する分を税の増収で埋めていかなければならないことになります。もしそうだとすれば、どうしても早期にドラスチックな税制改革を行い、税負担率を大幅に引き上げるということが当然必要になってくるだろうと思います。こうした大量公債の発行には重要な財政事後措置を引き起こすわけです。 さらに、特別会計や政府関係機関、あるいはとりわけ先ほども指摘のありました地方財政において、現在同様な借金依存の財政運営と負担の累積が続いております。公債負担の重圧と住民への負担の転嫁もまた進展しつつあると思います。特例法に基づく赤字公債の発行というのは、いわばこうした一連の公債政策の転換の締めくくりの意味を持っておりますし、全体と切り離して考えられるべきものではないのではないかと思われ、それだけに政府の責任ある具体的な対策ないしは政策展望というものを抜きにしてその可否を判断できる問題ではないというふうに私は考えておるわけです。私が最低の許容のための必要条件を満たしていないのではないかというふうに申し上げたのは、いわばこの点でございます。 次に取り上げてみたい点は、公債の大量発行がインフレを刺激する効果を多分に持つのではないかというふうに考えている点でございます。これについては、先ほども御紹介がありましたが、支配的な見解としては、公債発行がたとえマネーサプライを増加し、有効需要を増大するということになっても、現在十五兆円とか二十兆円と言われるような大変なデフレギャップが存在する状況のもとでは、それが物価上昇に吸収されることはないというふうに考えるべきであろうという主張であります。しかし、私は、この主張はやや抽象論ないし一般論に過ぎるのではないかというふうに危惧しております。経済法則という観点から見れば、これだけのデフレギャップが存在する状況のもとでは、物価は下落あるいは上昇しないというのが通常ではないでしょうか。また仮にコストプッシュ要因が働き、あるいは寡占ないしは独占的価格機構が働くということを考えるといたしましても、その場合にそれを実現できるのはやはり最低限度需要を必要とするのであります。こういう点で戦前の不況と戦後の不況の物価の動きの大きな違いを見ていきますと、結局これはいわゆるケインズ政策ともいうべき大規模な財政金融政策によるいわゆる有効需要政策によって価格の下支え機能が働いているためだというふうに考えるべきではないでしょうか。そう考えますと、本来経済法則に基づいて下がるべき物価が下がらないでおるということは、それだけいわば外からいわゆるインフレ要因が作用しているという一形態であるというふうに考えなければならないだろうというふうに思うわけです。また、石油危機、狂乱物価を経験した私どもは、最近の卸売物価の動きを鎮静に入ったというふうに見がちなんですけれども、ドルショック以前の状態と比較するならば、むしろやはりかなり上昇傾向にあるというふうに考えなければならないと思います。この不況下の一カ年の卸売物価の動きをたとえば日銀統計で追跡してみますと、大企業性製品——こういう区分になっているわけですけれども、大企業性製品はかなりの上昇を続けております。そうして中小企業性製品の下落傾向を上回っているために、全体としての卸売物価はじりじりと上昇しているのであります。特に注目すべきは、今年七月を契機にしてこの両卸売物価は上昇に転じ始めているわけです。 ところで、多くのエコノミストは、石油価格の上昇に伴うコストアップ分というのはまだ完全に価格に転嫁し切れていないというふうに言います。また、産業界、企業サイドからも価格転嫁の要求は強いというふうに言えるだろうと思います。また、政府も、それをいわば容認した形で新価格体系を支持しているわけです。そうだといたしますと、これらの諸条件を勘案しますと、ここで大量の公債発行が行われ、通貨が増発し、需要が刺激されるということになりますと、それはやはりさしあたって大企業生産物の卸売物価を刺激する、それが産業全体にかかわる基礎資材であるということから、当然中小企業の卸売物価ないしは消費者物価に波及するというふうに見るのはむしろ当然ではないかというふうに私どもは考えておるわけです。 このように、公債発行には大きな問題点を含み、かつまた、十分に解明されていないというところがあるわけであって、これらの点が解明さななければ少なくとも最終的な判断を下せないのではないかというのが私の考え方でございます。 どうもありがとうございました。
○委員長(桧垣徳太郎君) どうもありがとうございました。 続いて、池田参考人にお願いいたします。
○参考人(池田浩太郎君) 成城大学の池田でございます。 参考人の方々の御意見がすでにかなり出尽くした最後でございますので若干復習のような形になるかと思いますが、お許し願いたいと思います。それから私もう一つお断りしておきたいのは、近代経済学というものにそう明るわけでもないし、それほど信奉しているわけでもないということでございます。 私が昭和五十年度の国債の発行の特例に関する法律案に賛成いたします理由というものをこれから述べさせていただきたいと思います。 御存じのように、昭和五十年度の歳入欠陥の原因は、先ほども申されましたように、主な原因は、一言で言えば経済界の不振が予想以上に深刻であった点、それが税収の減に反映しておる。補正予算によりますと、租税及印紙収入それから専売納付金でおよそ四兆円の減収を見込んでおります。これは当初の収入予想が十七兆八千億でございますので、二二%の減になっております。これだけの巨額の歳入欠陥を緊急に処置しなければいけないということが国家財政上の重要な問題になってきたのであります。 当然のことですが、歳入が足りないという場合考えられることは、支出の面では経費の切り詰め、収入の面では収入の増加策ということでございます。 しかし、すでに決まっている経費を節減するということ、それからあるいは予備費の減額というようなことは、確かに最初に考えられる手段でございます。しかし、政府がしなければならない仕事を完遂するということを考慮に入れましたならば、この切り詰めには当然限界がある、非常に狭い限界があるというふうに考えざるを得ないと思います。しかも、人事院勧告に伴う公務員の給与の改善の実施とか、あるいは公共事業費の追加というものは、やはり公務員に士気の向上をしてもらって一層の行政能率を上げてもらいたい、それからまた経済界の不振の原因である総需要の不足というものを財政手段によって少なくとも一部は解消させてもらいたいということから考えますと、今日政府がしなければならない当然の事項をしている。当然ここでは経費の増加の方が予想され、あるいは望まれていると考えられます。したがって、公共事業費の追加四千二百億円というものがあるいは多いのか少ないのかという、まあむしろ少ないかもしれないというような意見さえ出るのではないかと思います。ただ、所得税、法人税、酒税のいわゆる国税三税というものが非常に税収不足になりましたものですから、地方交付税交付金というものは当然それに伴って一兆一千億円もの支出減ということになりましたものですから、全体としては減額修正という補正予算ができ上がってきたわけでございます。 増収問題でありますが、増収問題というのは実はわれわれの方では財源の選択の問題ということになると思うのです。財政の領域ではいろいろの公共収入の増加策というのが歴史的に幾つかありますが、いまやはり現在問題なのは増税ないしは起債ということでございます。増税につきましては、先ほど来の主張がございますが、経済界の不振が歳入欠陥の主な原因になっているというような場合に、少なくとも不用意な増税というものは経済不振を一層深める可能性を持つのではないか。したがって、少なくとも、まあ何年と言ったらいいんですか、中期的というか、数年というぐらいの展望を持った上で徐々に租税負担率を上げていってもいいと、そのくらいはいいのじゃないかというふうに私は考えます。もちろん、この場合、慎重に租税の種類、方法というものを考慮した上でなさるべきものであると思いますが、本年度のように巨額の歳入欠陥をすぐに充足しなければいけない対応策としては、増税は不適当あるいは少なくとも不十分だということは言えると思うのです、今年度についてはですね。ですから、今年度の歳入欠陥については起債による以外の充足方法はないというふうに考えざるを得ないわけです。ところで、本年度については赤字国債の発行を含む起債がやむを得ないとこれは考えざるを得ないわけなんですが、しかし、発行される以上、できる限り日本の社会経済に悪い影響を与えないようにする、それからもし可能なればいい影響を及ぼすような諸措置というものを考えていただきたい、考えなければいけないと思います。 実は、公債発行というのは、われわれの——財政学を私はやっておるのですが、一番わかりづらい問題でございまして、多くの側面から検討しなければならない問題だということが一番むずかしい問題でございます。私は、国庫的な側面、それから経済的な側面、それから金融的な側面、さらに政治的な側面という四つの面から検討する。その四つの面から検討しますと、必ずしも同じ答えが出てこないということが非常に困るわけなんですが、それをお許し願ってこれから意見を述べさせていただきたいと思います。 まず、国庫的な側面の問題でございますが、国庫的見地からいたしますと、公債の累積、したがって公債費の増大ということが当然問題になると思います。御承知のとおり、昭和四十九年度末の国債残高は十兆五千億円ですか、それから五十年度の当初予算では国債費として一兆一千億円ばかり計上されております。それがこの五十年度、現在ですね、もし通りますれば、五兆四千八百億円というものが起債されることになるわけです。それで、しかも新聞上などの情報によりますと、来年度が七兆二千億円、もちろん来々年度もあるいは五十年度——今年度を上回るくらいの額が起債されるという可能性はございます。そうなりますと、一両年のうちに、非常に近いうちに、すぐ、国債の残高が二十兆円を超す、これはもう目に見えているところでございますし、一般会計の総歳出の中で国債費の占める割合というのが一〇%を超すというようなこともやはり時間の問題のような気がいたします。そうしますと、実質的に考えてみますと、一方では、起債するとそのかなりの部分すでに発行された公債の元利払いのためにしているというようなかっこうを持つようになるかもしれません。他方、国債費がふえていくということは、やはり財政政策の弾力的な実施というものを困難にさせるのじゃないでしょうか、そういう可能性を持つと思います。それから国債依存度、国債依存率の問題も無視できないと思うのです。補正後の五十年度予算の国債依存度は、一応二六・三%というふうに計算されております。これも、大ざっぱに言いますと、ヨーロッパとアメリカの水準をどうも現在上回っていると思います。来年度の国債依存率も恐らく三〇%前後あるいはそれを超す可能性もあると言われております。国債依存率が高くなりますと、やはり堅実な財政運営への努力というものを弱める傾向を持つおそれがあると考えられます。しかも、あるいは一両年後の国債依存率というものを考えてみますと、ちょうど昭和七年の高橋財政において日本銀行引き受けによって公債の発行を行いましたのですが、そのときに始まって戦時中に至るまで続きました依存率の数値に近づきつつあります。これはもちろん戦費特別会計というようなものは抜きにしてもそうでございます。ですから、そうしますと、国債というものはやはりこわいものだと、あるいは拒絶感というようなものをまた国民の間にもう一度呼び起こすという心配があるかもしれません。ですから、やはり国庫的見地から考えますと、まあできる限り財政法四条が規定しているような生産公債の範囲で起債するような多面的な努力をあわせ行っていかなければいけないのじゃないかというふうに考えております。当然、このためには、先ほども申しましたのですが、余り一、二年という短さでない、もうちょっと長い展望を持って、まあ一般的なスローガンである高福祉高負担というようなスローガンだけに頼るのじゃなくて、やはりいろいろな経費も洗い直していただく、それから先ほどちょっと申し上げました増税というものも考えていただく、それから福祉のサービスを含む公共サービスについてもその性格を再検討していただく、そしてそれに基づいてできる限りの範囲で受益者負担の原則というものを徹底化していただきたいという気がいたします。 それから第二番目の経済的な問題でございますが、これはもちろん一番重要あるいは当面の問題かとも思いますが、二番目に述べさしていただきます。今日の経済不振というのは、原因はいろいろ考えられますが、少なくとも形の上では膨大な需要不足という形であらわれております。ですから、政府の側においては、一方では公共事業費などの支出をふやす。あるいは他方では適切な減税というようなものによって個人の消費の維持とか、あるいは住宅建築の需要を維持するとか場合によれば拡張する。さらに企業の生産設備の稼働率を上げる。それからまあでき得れば新しい投資の刺激も呼び起こせればいいと。それが望まれておりますが、ただ、その金額をどの程度に決めれば最もいいかというふうに言われますと、私は実はよくわからない問題でございますが、この際でございますので、やはり財政規模の増大というものを余り強く抑えることはもちろん不可能でありますし、そればかりでなく、やはり望ましくもない。ですから、したがって、これの財源としては、少なくとも両三年ぐらいはかなりの額を公債に頼らざるを得ないのじゃないかというふうに思われます。先ほど来問題になっておりますが、目下は経済政策の目標というものが物価の安定下での景気回復というものが重要な目標でありますので、膨大な需要不足のもとでは起債の増加に伴うインフレ懸念というのはいますぐには問題にはならない。もちろん、第二次的には少なくとも考えなければならない問題だとは思いますが。したがって、それを忘れてよいものではございません。ですから、大幅な公債増発というのは、今日ではまあやむを得ない、あるいは来年、来々年ぐらいまではいたし方ないとしても、やはりなるべく早くその規模を縮小できるような少なくとも中期的な展望とそれから方策というものを政府の方でお考えいただきたいというふうに思います。 それから金融的な問題というのが第三番目にあると思います。それはもういまお三人の方々がおっしゃいました。実は金融問題というのはわれわれよくわからない問題でございますので抽象論でお許し願いたいと思うのですが、財政法の第五条が国債の市中公募原則をうたっておるわけで、そこで、大量の国債、それから先ほどのお話のとおり地方債も含めればますます大量の債券が出回るわけで、その市中消化の可能性というものが確かに問題になると思うわけですが、一面では租税収入が非常に減った。しかし、経費はそのままということでございますので、国庫収支が若干その分だけ散超になる。そして、まあそれだけにとどめておきますが、もちろんそういうことがあったにしても国債の市中消化というものは非常に容易だというわけにはいかないとは思うのですが、今年度に関しては恐らく従来どおりの方法を強化することによって何とか間に合うような気がいたします。すなわち、市中金融機関が公債を引き受けて、それを担保での日本銀行からの借り入れ、それから一年後に日銀に買ってもらうというようなことをもっと円滑にあるいは強化するというようなことでできるのじゃないかと思います。しかし、一般的に考えますと、市中金融機関においては競合する企業への融資とか株式、社債の購入などと金融的な諸条件を比較考量して公債を引き受けるというのが自然の姿じゃないかと考えられますので、やはり国債に対して利回りその他の発行条件を改善してもらって、国債購入への魅力づくりをする必要というのは残されているのじゃないかと考えられます。膨大な国債が両三年続くと見込まれる今日では、やはり日本銀行が無限に買いオペレーションをしていいのかどうかというようなことも問題ではないかと思います。これは金融機関それから個人の国債購入にも言えることですが、やはりこれらの国債の保有割合というものを高めていただく、まあざっと言いますと欧米並みに近い高め方をする、それができるような方策を考えていただくといいのではないかというふうに思われます。もちろんそれと同時に、金融環境を整備していただく。公債市場を整備して公債の流通が非常に円滑化になれば、国債というものを金融上の厄介者にする必要がなくなる、いましているかどうかは別として。それからオープンマーケットオペレーションというようなものも比較的使いやすくなって、金融政策の有力な手段ともなし、災いを転じて福となす可能性もないとは言えないと思います。 それから最後に、国債発行の政治的な問題でございますが、いわゆる国債発行の政治的歯どめの問題というのは私はいままでの方々とあるいはちょっと意見が違うかもしれませんが、要するに、歯どめの問題というのは、政治的なあるいは政治以外のいろいろな見地から恣意的な国債発行がなされるおそれがある場合、それに何らかの意味での経済的合理性というものの枠をはめるということを意味するのじゃないかと思います。ですから、今回の特例法による起債というものは当然やむを得ない措置でございます。しかし、財政法第四条を改正して赤字国債の発行を原則的に認めるとか、あるいは特例法が毎年続きますと、実質的には四条が無力化するというような方向になる。これはごく一両年は不可避であるとはいえ、やはり原則的には望ましいことではないのじゃないかと思います。しかも、財政法第五条も政治的歯どめの意味を持つもので、やはり守るべきものではないかと思います。というのは、これらの条項というのは、内閣の予算編成権といいますか、あるいは内閣がりっぱな予算をつくらなければならない責任というものに対して、あるいは実際的には大蔵当局が責任ある予算編成をするという場合に、比較的早い段階からいろいろな利害による圧力の可能性がある。これは歯どめがなくなれば経費増加の要求というものが比較的容易にできるというようなことから、そういう可能性がある、そういうおそれかある。それを少なくするためには役立つのではないかと思います。ですから、予算の大綱、大筋を正しい方向に導くためにも、節度ある起債の範囲、方法を示すものとして財政法第四条、五条は生かしておいてその上で予算を編成すべく努力をしなければいけないと思います。 いま四つの面から考えてみましたのですが、結論がいろいろ食い違う可能性もございます。特に経済的な側面からの問題点を、要するに膨大な総需要の不足を補うということが目下の至上命令だというふうにもし考えますと、財政をむしろ大々的に利用すべきだということになって、意識的なあるいは積極的な公債政策をこそ望ましいと言うかもしれません。しかし、経済界の不振の打破というものをすべて財政にばかり負わせていいでしょうか。これは財政の制度というものは歴史的な社会的な制度としてでき上がっているものでありまして、そう都合よく財政に担わせるにはちょっと荷が重過ぎるわけであります。ですから、これはあらゆる側面から景気回復ないし経済回復の努力というものは続けられるべきである。財政について言えば、やはり若干の長期的ないし中期的な展望に立った上で、どういうふうに制度を変えていいかよくわかりませんが、財政制度の変更をじっくり行いつつ、初めてその重荷をいまより少しよけい負うことができるかもしれません。しかし、財政における国庫的な観点というものは今日特に重要でもありますが、今後もやはり重要視しなければならない観点でございますし、その他金融的観点、政治上の観点も重要性を持つということでございますので、まあ結論は非常にあいまいな感じになりますが、そういう要素、四つの側面を適当に考慮して、そのときに合った政策措置を講ずるべきであり、これが国債発行に課せられた任務だというふうに考えます。 私は今回の財政特例法による赤字国債の発行を是と考えますが、それは以上のような内容でございます。 どうもありがとうございました。
○委員長(桧垣徳太郎君) どうもありがとうございました。 これより質疑に入ります。委員の皆さんにお願いをいたしますが、時間の制約がございますので、御質問はなるべく簡略にお願いをし、かつまた、参考人の方々にはまことに恐縮でございますが、できる限り簡明なお答えをちょうだいいたしますれば幸いでございます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○青木一男君 岩波参考人に一点だけお伺いします。 この問題は、五十年度予算編成当時予期できなかった不況が深刻になったと、このままでは巨額の歳入欠陥が起きて政府の支払いもできなくなると、その善後対策としてこの法律案が提案されたということは言うまでもありません。それで、他の参考人の皆さんの御意見は、これはやむを得ないと、そのことはいい悪いは別としてやむを得ない、この際はこれ以外の方法はないだろうという結論のようでございます。そして、そのやむを得なかった理由を池田参考人がある程度説明されたので、その点も私ども了解いたしました。それで、岩波参考人は、この際五十年度予算がもう四分の三も過ぎた今日、いろいろ対策を考えたって間に合わないとお認めかどうか。あるいは赤字公債を出さなくともこういう方法があるじゃないかと、あるいは全体が公債を出さずに済まなくても一部減らす方法はあるじゃないかと、こういうお考えでありましょうか。要するに、この法律案はやむを得ないとお認めなのか、それとも他にかわるべきこういう方法があると、こういうお考えなのか、その一点だけをお伺いしたいと思います。
○参考人(岩波一寛君) 青木先生の御質問にお答えしたいと思います。 大変むずかしい問題ですので、必ずしも的確な回答ができるかどうかわかりませんけれども、私は、この特例法に基づく赤字公債の発行をやむを得ないというふうに判断するためには余りにもまだ不確定な要因が多過ぎるというそういう点を一つ指摘したわけでございます。それは、具体的に言えば、たとえば償還計画等、この特例法に基づいて今後の財政運営に重大な影響を与える問題が当然伴うわけですけれども、その点について十分明らかにされていない限り、必ずしも可否を判断することはできないのではないかという点が一つ。それからもちろんそれはただ単にそういう消極的な意味だけで問題ありというのではなくて、やはりもう少し別な方法でこの景気対策を考えることができるし、また必要ではないかというふうに考えておるわけで、それが御質問に言ういわゆる代案ということになるのかもしれません。そこで、その点について基本的な考え方だけを申し上げておきますと、現在この財政危機を引き起こし大量の公債を発行せざるを得なくなった背景には、御指摘のように、予想できなかったような深刻な不況があるということは私はそのとおりだと思います。ただし、その不況をどのようにとらえていくか、何に起因するか、そしてそのとらえ方によって今後の対策というものもかなり変わってくるのではないかと思うわけです。私は、複雑な条件がからんで出てきた不況ですけれども、基本的には戦後ずっととってきた高度成長政策というものの行き過ぎから出てきた問題だというふうに考えておるわけです。そして、そう考えますと、高度成長政策の行き過ぎの中でやはり財政の運営が相当積極的な役割りを負うてきたのではないか。したがって、現在の税制度を中心にした財政制度や財政運営にはそういう高度成長段階に適応したようなそういう点が残っておるわけで、それを改めていくという展望に立たない限り本当の意味の不況政策にならないのじゃないか。もちろんそれを私は一遍にここでやれというような無理なことを言っているのではなくて、そういう認識に基づいて、先ほど池田先生からも御指摘がありましたように、少なくとも的確な中期財政計画等を作成して、そしてこういうふうにやっていくんだということが示されたならば、私はおのずから現在の不況対策に対する考え方も当然出てくるのではないかと、こういうふうに考えておるわけです。果たして適切なお答えになっているかどうかわかりませんけれども、私の意見でございます。
○辻一彦君 板倉参考人と岩波参考人に一、二点お伺いします。時間が遅れて私も責任をいろいろ感じておりますので、簡潔に御質問したいと思います。 板倉さんは、国債が増発されても、通貨が出回っても、需給の大きなギャップがあるから余りインフレの心配はないと、こういうような御所見をお述べになったと思いますが、そこで、全銀協の翼下の金融機関でどの程度その保有国債を日銀に買い取りをこれから要請していく考えなのか。これは日銀の買いオペを通してどんどん通貨が増発されるとなれば、やはり一年のタイムラグ、遅れを通して通貨増発、インフレの懸念が大変あると思うのですが、そこいらをどうお考えになっているかということが一つ。 もう二つお伺いしたいのは、非常に九月から倒産がふえております。九月は中小企業で一千を超え、十月は千二百、十一月は千三百と倒産が大変ふえておりますが、この倒産の陰には金融機関の銀行の選別融資と申しますか、そういうものがあったのじゃないか。この点はどうお考えになっているか。 それから先日日経新聞をずっと見ますと、預金の拘束についての実態調査が発表されております。私は大企業の場合もそれはそれなりに問題はあると思いますが、中小企業はこの預金拘束によって死活問題になっている。そこで、「歩積・両建預金の自粛の徹底について」という通達がずっと出されておりますが、全銀協ではこれをどう受けとめられ、どういうような対策を具体的におとりになっておるか。この三点をお伺いしたいと思います。 それから岩波先生に二点だけお伺いします。 それは中期の財政計画、まあ五年程度のですね、これを早く政府も予算編成時ぐらいには出さないといかぬのじゃないかと、そういう計画がないというところに大変問題があると思うのですが、早く出すべきでなかろうかと思いますが、これについての御所見を簡単にお伺いしたい。 それから税制で新しい税負担の必要があるのじゃないかと言われておりますが、どういうことをお考えになっておるのか、その税負担をどういうところで確保していくとお考えになっておるのか、これも簡潔で結構でありますから、以上お伺いいたします。
○参考人(板倉譲治君) 最初に、今後全銀協関係で日銀買いオペをどの程度要請していくのかという御質問でございますが、日銀の買いオペにつきましては、これは日本銀行自体の御判断でやっておりまして、私どもといたしましてこの買いオペをどれだけやっていただきたいというようなことを日本銀行さんに要望いたしたことは過去にもございませんのです。今後とも日本銀行さんが買いオペをおやりになりますのは、日本銀行券が増加してまいりますと、それだけ市中の資金が日本銀行に吸い上げられますので、その吸い上げられた資金を補てんするために日本銀行としては日銀貸し出しを行うか、あるいは手形の買いオペを行うか、あるいは国債の買いオペを行う、こういうことによりまして資金を市中に供給してくださっているわけでございますが、その一つの手段がこの国債の買いオペでございますので、これは日本銀行さんの御判断で今後ともその範囲内で日本銀行券がふえたことによる市場の資金不足を補うという範囲内で今後ともお続けになると思います。ただ、今後は、従来と違いまして、日本銀行券の増勢が鈍ってきておりますので、従来のような大量の国債の買いオペは行われないのではなかろうかというふうに考えておりますが、それはやむを得ないものと受けとめております。以上が第一の御質問のお答えでございます。 それから次に、倒産が大変ふえております。私どもといたしましても、これは非常に憂慮いたしておるところでございますが、選別融資によって倒産したのではなかろうかというような御質問かと思いますのでございますが、私どもといたしましては健全な企業が金融面で調達がつかないために倒産するというようなことは絶対に避けるように努力いたしておりまして、大企業から中堅企業、中小企業に至るまで約三分の一か四分の一ぐらいは非常に苦しい状況にございまして、赤字になっているという先もあるわけでございますが、それだけ多数の先が困っておりますけれども、健全な経営をやっておりますところには従来も融資を続けてきておりますし、今後とも融資を続けて、そういう先が倒産するということは絶対ないように努力いたしてまいりましたし、またまいるつもりでおるわけでございます。 それから最後に、日本経済新聞に拘束預金というような記事が出ました。それに伴いまして今度は中小企業関係で歩積み・両建てがなおあるのではないかと、それに対してどういう対策を講じているかという御質問でございますが、日本経済新聞に出ました百一社でございますか、あの大企業につきましては、私どもあの記事を見まして非常に驚いたわけでございまして、恐らく拘束という意味を私どもの考えておりますのと非常に違った意味であるいは解釈しているのかなあというふうに思ったわけでございますが、いずれにいたしましても、あの大企業につきましては恐らく銀行が拘束いたしておりまして、拘束通知を差し上げて金利措置をいたしております。正式の拘束預金は恐らく一%以下であろうと思います。あの日経新聞の拘束というのはどういう意味なのか、あるいは下積み預金ということでございますか、私どもによく意味がわかりませんので、私どもとしてもただ意外に思っておるだけでございます。 それからこの中小企業に対する歩積み・両建て預金についてどういう対策を講じてきたかという御質問でございますが、この歩積み・両建ての問題は私どもの一番頭を痛めてきておる問題でございます。従来から銀行自体といたしましても自粛基準を設けましていろいろな自粛措置を講じてまいりました。その関係で非常に改善されてきているものと私どもも考えておるわけでございます。ただ、改善はされてきておりますけれども、いまだにそういった御批判をいただくようなことでございまして、その点まことに残念に思っておるわけでございますが、最近特にまだ改善の実が上がっていないではないかと言われております点は、拘束をしておらない非拘束の預金につきまして実質上拘束しているのではないかと、こういうような御非難があることでございます。それで、こういう点が一番むずかしい問題でございますが、私どもとしてこういう誤解が絶対起こらないようにということを考えまして、今般拘束預金につきましては銀行として貸し金先に対して拘束通知を明確に差し上げるということ、それからその拘束預金に対しましては金利引き下げ措置を確実に講ずるということをいたしております。この拘束通知につきましても非常に厳密にいたしておるつもりでございまして、郵便局の通知の受け付けまでチェックいたしまして、完全にこれを全貸し金先について出しているかどうかということをチェックいたしております。そういうことのほかに、最近、この点につきましての誤解を解消いたしたいと思いまして、店頭に掲示を出すことにいたしました。恐らく一月中には現実に実行に移されると思うわけでございますが、この掲示と申しますのは、銀行が拘束の通知をしておらない非拘束の預金につきましては全く預金の条件に従ってお払い出しが自由でありますということ、したがいまして、この点について御不審の点あるいは誤解の点がございましたら、その支店の担当者ではなくて責任者の方に申し出ていただきたいと。もしそれでぐあいが悪ければ、銀行の本店にそういった苦情を処理するサービス室というのがございますので、そちらの方にぜひお申し出いただきたいと。それでなおぐあいが悪い場合には、銀行協会にもそういったよろず相談所というようなものがございましてその点の御相談に応じておりますので、そういった第三者の銀行協会というところに申し出ていただきたい。そういうことで、もう拘束通知を差し上げてない非拘束の預金については絶対事実上の拘束が起こらないというような措置をじてまいるつもりでおります。 大体以上でございます。
○参考人(岩波一寛君) 私に対する二点の御質問についてお答えを申し上げます。 最初は、中期財政計画というようなものをどのように考えるかという点であります。先ほど私がその問題を取り上げましたのは、実は、現在問題になっている公債発行、これはかなりはっきりした形で出ているのは、本年度及び来年度の赤字公債発行を含む公債発行でございますけれども、この点を考える場合にどうしても来年ないしは再来年度の財政運営に及ぼす影響というものを考えざるを得なくなってくる。それを見通さなければ、やはり現時点での政策に対する判断を下すことができないようなそういう条件を持っておるわけでございます。したがって、そういう観点から、単年度ごとに決定されていく財政政策についても、やはり一定の合理的な長期計画で運営される。長期計画が国民に示され、その長期計画に基づいて年度の財政計画が組まれるということがある意味では大変合理的だと考えておるわけです。しかし、問題は、現行制度の単年度主義とどのように調和させることができるのかということを考えますと、決して問題がないわけではないだろうと思うのです。ただ、私は、本当の意味で政府が責任を持った経済計画が示され、そしてそれが十分に論議の対象になる、そしてその上でその計画に基づいて年度ごとに責任ある政府が財政計画を編成し、それを十分審議できるということであるならば、やはり長期財政計画というのはこれから積極的に検討すべき課題ではないかというふうに考えております。 それから今後、あるいはまあ現在でもそうなんでしょうけれども、国民のためにさまざまな仕事を政府がしていかなければいけない場合に、当然税の一定の引き上げを必要とする。その場合に、現行税制について何か改革を考えておるか、考えておるとすればどういう考え方があるのかという御質問だと思いますけれども、私は、この点非常に判断に迷うのは、現在の税制度が国民にどのような税負担を課しているかというようなことを、客観的に厳正に追跡しようとしても不可能な状況にあるわけです。それだけの資料を私どもに提供されておりません。これは大変残念なことだと思うわけです。したがって、その制度的制約が取り払われなければ、必ずしも実証に基づいた的確な政策提言を出せないわけですけれども、しかし、少なくとも一応現行制度についてわれわれが推測できる、あるいは最近東京都などで発表されました例の財源研究会の実証分析などによりますと、やはり現行の税制度にはかなりの不公正課税が出てきておるということは明らかなようであります。したがって、税制度というのはこれは不公正な税制を容認することはできないわけで、この点をまず改める。そして、それが一年度できないことになれば、それこそきちっとした長期計画に基づいてそれをやっていくということが一番大事ではないか。とりわけ具体的に指摘するならば、問題として十分検討しなければならない点は、現行の主として法人税にかかわる租税減免の特別措置、それから個人所得税についてはシャウプ勧告の勧告にもかかわらず実現していないキャピタルゲインの非課税の措置、それから財産税の分離課税の措置というようなそういうさまざまな点については十分資料を明らかにして検討され、その辺から改革が着手さるべきではないかというふうに考えております。
○鈴木一弘君 私は村田参考人に伺いたいのですけれども、先ほどからのお話で国債を安定した有利ないわゆる資産とさせなければならない、つまり流動性を増大させるという、そういうお話でございますが、確かにそうだと思いますけれどもまあ貨幣に近いようなものでございますので、やはり物価が上昇すれば相対的に価値が下がっていきますですね。そういう点で戦争中の発行された国債について国民はものすごくつらい思いをしているわけです。そうなると、それをどこかで補うことを考えなければいけない。そういうような相対的に価値が下落するのを排除することを考えなければならないわけですが、その点について何かお考えがございますかどうか、これは岩波参考人にも伺いたいと思います。 それからいま一つ、これは村田参考人にぜひ伺いたいのは、証券あるいはほかの債券との関係でありますけれども、先ほども利子を上げるという議論がございました。利子が上がりますというと、ほかの債券の価値が下落するということになるわけであります。そうすると、投資を抑えるということになりかねない。逆に今度は下がれば下がったでほかの債券や証券の価値が上がるわけでございますから、そういう点では今度は投資を刺激するということになる。この辺のめどというのは非常にむずかしいのだろうと思いますけれども、その点の関係をどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、証券とあるいはほかの債券との関係、その辺を伺いたいと思います。
○参考人(村田宗忠君) ただいまの鈴木先生の御質問は大変むずかしい御質問でございまして、御趣意はインフレ現下に対応する考え方はどうかという御趣旨だろうと思いますのですが、これは国債だけでなしに有価証券あるいは金融資産すべてに通じる問題であろうと存じますのですけれども、まあ有価証券としての国債という面でとらえてまいりますと、これに対する一般的措置としてはなかなか私どもの考え及ぶところではないのでございますけれども、ただ、そういうふうな事態になってまいりますればこれは金利の面に反映してまいるはずでございまして、条件がかなり高騰してまいる、こういうふうな結果を招来するかと思います。したがいまして、発行されます国債なり有価証券というものがそのときどきの実勢というものを絶えず反映していくという状態にございますならば、もし流通市場が非常に円滑に流通するということを前提といたしますならば、その点はある程度救えてまいるのではないかと、このように存じております。
○参考人(岩波一寛君) 鈴木先生の御質問にお答えいたします。 インフレーションが持続的に進行していく場合に、国債に限らず、金融資産を保有いたしますと、当然目減りの問題が出てくるわけです。それに対して、たとえば国債については長期債についてはどのような金利を考えたらいいのかという、こういう御質問かと思います。私は、現在のように発行された長期国債がいわゆるシンジケート団に割り当てられるという形で市中消化され、そしてそれが日銀のオペレーションによって吸い上げられていくと、こうこういう状況のもとではいわゆる長期国債に対する目減り問題というのはそれほど問題になるのではないのじゃないかというふうに考えております。市場の実勢に沿ってそして公債が発行されるという場合には、その問題よりも、むしろ流動性の問題を考えたらいいだろうと思います。ただ、それにしても一定の個人消化が行われておるわけです。そういう点については、私は預貯金等と同じようにやはり低額所得層に対しては一定の物価上昇に伴うスライド的な目減り補償というものを当然考えるべきだというふうに考えます。それは、国債だけに限定せずに、金融資産について同じように考えるべき問題ではないかというふうに思っております。
○近藤忠孝君 氏家参考人に一点、それから岩波参考人に三点お伺いしたいと思います。 岩波参考人がことし八月十二日の「エコノミスト」に論文を出しておりますが、その最後の方で、「国債依存が更に強化されるなら、財政制度審議会や三菱銀行が推計するように、五年後の五五年度には国債残高が四〇兆円ないし五〇兆円という時代が出現してしまう。」「驚くべき財政状態となる。」と、こういう指摘がございますが、実際には、今年度の歳入欠陥を基礎に計算しますと、五十五年には国債残高が七〇兆円、財政規模は四十二兆円、国債発行額は約十四兆円という事態になるわけです。こういう事態になった場合に、四十から五十兆円でも驚くべき状況ですけれども、こういう事態になったら一体どんな状況になるのか、日本経済に与える影響等々、もし御意見があればお述べいただきたいと思います。 それから第二点は償還計画の点でありますが、国債整理基金特別会計法第二条で一六%毎年償還すると、こういうことになっています。ただ、わが国ではいままで赤字公債は予定しておりませんから、これはあくまで建設公債だと思います。建設公債の場合には六十年償還一・六というのはわかるのですが、今回の場合そういう裏づけのない十年償還ですね。となりますと、この特別会計法第二条に基づくのはできないのじゃないか。十年償還に相当する計画があってしかるべきだ。この点についての御意見を伺いたいと思います。 それから第三点は、先ほど時間の関係で言われませんでしたが、指摘された第四点の不況克服のために不可欠という点について異論があるということでありましたけれども、簡単でけっこうですがお述べいただきたいと思います。 それから氏家参考人につきましては、地方債がふえることはあっても減ることはないと、こういうことを言われたわけでありますが、先ほど私が示したような財政審議会などが五十五年について一応の推算をしておりますけれども、地方銀行といたしましてもこういった計算をされておるかどうかですね、五年後どういう状況になるか、地方債が、この点についてもしありましたならばお述べいただきたいと思います。
○参考人(岩波一寛君) 私に三点の御質問がございましたので、順次お答えしていきたいと思います。 ある最近の推計に基づきますと、五十五年度には現在の公債発行を継続する限り累積残高七十兆円に達するというような事態が予測されておる、こういう実態にもしなるとすると財政的にはどういうことになるだろうかということでございますけれども、私は、もしそのとおりの事態が進展していくようなことでありますと、これはもうよほどインフレが進行するか、そうでなければよほど世界に類例のないような増税が進められるかということでなければどうにも解決しようがないという状況に立ち至ってしまうのじゃないかと思う。むしろ、そういう極端な条件に立ち至るかどうかということが問題ではなくて、六十兆円になるか五十兆円になるかは、それはわかりませんけれども、少なくとも私が先ほど申し上げたのは、五十年度、五十一年度のすべてに決まっている公債発行を続けたとしても五十二年度には、公債費だけでも二兆円近い負担が増加してしまうということになるわけでありまして、これはよほどの財政制度の再編成ないしは財政政策の転換をしなければならないという問題になるのではないか、その点をもっと深刻に受けとめるべきだという考え方を持っているわけです。 それから第二点でございますけれども、御指摘のように度首残高に対する一・六%の特別会計の繰り入れというのは、これは建設公債が社会資本六十年の耐用年数に合わせて償還されるということでありますので、当然赤字公債が十年償還を考えるとすればこの措置では償還をすることができなくなってしまうわけで、そこで、一つの措置としては、政府からも説明されたように、決算剰余金を全額繰り入れていくというような措置が考えられるわけですけれども、しかし、これは赤字公債を発行しながら決算剰余金を出して繰り入れるというのは、全くおかしな財政処理でありますので、これに期待することは無理だと思いますし、また、現実にもそれだけを保証する状況にないのではないか。そうしますと、私はやはり予算の繰り入れとして赤字公債分は十分の一を毎年公債整理基金特別会計に繰り込むというそういう措置を新たに制度化しなければならないというふうに考えておるわけで、先ほど推計いたしました公債の負担の金額も、実はそういう制度を当然とるというたてまえで計算したものでございます。 それから私が説明を省略いたしました赤字公債を含む大量の公債発行がさまざまな問題点を持つとしてもなお現在の深刻な不況を解決するというだめにはやむを得ないではないかという判断を持つことにはやはり抵抗があり問題があるというふうに考えましたのは、一つは、私も指摘し、それから池田先生もやや違った観点から指摘したわけですけれども、財政にこの深刻な不況克服の責務を全部持たせるということはどだい不可能だと、これはもう国庫、財政運営の観点から見て不可能であるというふうに考えておるわけです。もちろん、財政は、景気対策として積極的な措置を講じていかなければなりませんけれども、私はその場合には自力をもってこの不況を乗り越えることのできない国民ないしは中小零細企業に対して対策を講ずるという観点から、たとえば公共事業ないしは福祉政策を中心にした積極的な景気対策に効果がある政策を打ち出していくべきだと思うのです。しかしながら、やはり最も重要な景気克服策というのは、国民の消費水準を高めていくという施策が検討されなければならないだろうと思います。そのためには所得減税措置というようなことも当然一つの考え方ですけれども、私はむしろ賃金水準を上げていくという形で長期展望に立った経済の底上げをすべきであろうと思います。もし仮に現在のような形で財政政策を通じて景気対策を打ち出すとすれば、私はそれなりに景気が浮揚するという局面が出てくると思います。しかし、それは直ちにその後また行き詰まりが生じてしまい、非常に小刻みな景気変動を繰り返しながらむしろ長期的に見れば経済が停滞をしてしまうというふうな形になるのではないかということを大変恐れておるわけです。
○参考人(氏家栄一君) 先ほど近藤先生から地方債が今後ふえることはあっても減ることはあるまいという私の先ほどの発言について御質問がございましたが、これは先ほど申しましたように、昭和五十五年に——いま岩波先生のおっしゃった年度とかみ合いますかどうか知りませんが、五十五年度のことをはっきり数字的に算定して申し上げてはおりません。また、現に五十五年度に幾らぐらいの地方債になるかということはなかなか予見がむずかしいものですから算定いたしておりませんが、われわれが常日ごろ各府県の県債、都債、そういうものをお預かりしての実感から申し上げたことであります。現に、最近、これはもう近藤先生もおわかりのように、各地で、福祉関係、あるいは土地その他の先行取得関係、あるいは一般の福祉以外の行政施設の整備の問題、そういう問題でお金は常に要るような状態でありまして、しかも各都道府県あるいは市の市債なんかも期限が七年から十年、十年から十五年ものが最近は出ておる状態でありますので、その辺から推定しますと、今後は、まあ二十年、三十年後に突然的な変異があればこれはまた別でございますが、現在の七年、十年、それから十五年ものも出ているような状態においては、ここ当分は減ることはまずなくてふえることが多かろうというわれわれの取り扱っている実感から申し上げたことでございます。この辺御了解いただきたいと思います。
○栗林卓司君 各参考人の方に一、二点お伺いしたいと思います。 公債発行で一番問題になりますのが財政資金と民間資金の競合の問題であろうかと思うのです。 最初に板倉参考人にお伺いをしたいのですが、現在の政府の不況政策あるいはそれ以降の経済政策というものを見ておりますと、どうも個人消費、個人需要に対しては低く評価しているようでございますし、逆に公共事業を中心にした財政に対して高い期待感があるような感じがするのです。こうなりますと、恐らく公債依存度というのは、いまの赤字公債を抱えた異常値は別として高まっていくのではあるまいか。そのときに、よく言われるクラウディングアウトの危険があるかないか、ここのところを最初にお伺いするわけですけれども、先ほど参考人の御意見では、資本減耗引当金が非常に高い水準になっているから当座は大丈夫であるというお話でございましたけれども、別な見方をすると、現在帳簿価格というのは狂乱物価以前の水準でございますから、再調達価格の見合いで見ると、償却不足が大変目立ってきた。加えて公害政策投資もあるわけですから、資本投下係数も落ちてきたということを含めていくと、実体経済が活気を取り房したときには資金需要というのはやはり相当の水準になっていくのではあるまいか。それと、先ほどの政府に対する構えをからめて考えてまいりますと、クラウディングアウトの危険というのはやはりあると見なければいけないし、問題は、まず最初にお伺いしたいのは、来年後半と見てどういう展望であろうかということなんです。大蔵の理財局に聞きますと、現在想定されている公債発行高を考えると、月にならして五千億円程度であるから消化はできるのではあるまいかということなんですが、消化ができるから安心ではなくて、それほど実体経済が冷え込んだまま続いてはかえって困るのです。ある意味では来年後半にクラウディングアウトの心配をしなければいけないようにならなければいけないのだろうと思いますけれども、それとこれと合わせて、後半の金融事情の見通しをまずお伺いしたいと思います。 それから二点目にお伺いしたいのは、昨今の資金循環を見ておりますと、財政資金と民間資金の資金不足の状況が近年大きく変わってまいりました。公的部門の資金不足が民間部門の資金不足を上回るようになった。これが安定成長に行くいわば基本的なパターンであるという思い詰め方を政府はしているようにも思うわけでありますが、これがこのまま続くとして、いまの金融制度というのはそういう資金循環を前提にはしていないと思うのです。そこで、先ほど来の質問とあわせて今後の公債依存度が高まっていく中で現行の金融制度を大きく改変しなくて済むものであるか。たとえば、公債発行の歯どめについて市場実勢に合わせるという御主張もございましたけれども、財政支出というのは合わせようが合わせまいが一遍決めたら出していかなければいけない。大量に出しますと、値下がりをするから応募者利回りが上がってくる。したがって、事業債を圧迫する。じゃどうなんだと言っても、実勢に合わしたからといってこれは変わらぬわけです。昨今の資金循環を見ながら、では金融債で長期資金を調達しながら今日の長信銀のような形を今後とも本当に必要としているのだろうかという議論まで一つの例を取り上げると行ってしまうのではないか。これは仮に個人消費の割合を高めたといっても、どだい話の性格はちっとも変わってこない。そこで、公債依存度が高まる中で金融制度というのは好むと好まざるとにかかわらず抜本改革に迫られているのではないかという感じが私はするのですが、この点についての参考人の御所見を承りたいと思うのです。 三点目は、先ほども大変強調されておられました機関別に見た資金偏在のことであります。これは大変冷たい言い方をするようですが、こうくくってしまっても間違いないかどうかということでお伺いするわけですが、現在国債というのは日銀のオペレーションを対象に成っているわけでありますから、現在都市銀行を中心にして預金量のシェアに対して引き受けの割合が高いわけですから、いわばその見合い勘定は公債がオペレーションの対象であるということでいわば消されている面がずいぶんあるのではないだろうか。そのほかに、そうは言いながらという問題がどういうものであるのか、教えていただきたいと思います。 次に、地方債の問題でありますけれども、これもオペレーションの対象にならない、あるいは日銀貸し出しの担保にならないという御趣旨はよくわかるのですが、もともと余り頼りのあるような縁故債というのはそういう種類のものだと思うのです。日銀に言わせますと、銀行券発行の相手勘定として債券項目が何であっても構わぬわけですから、オペレーションするだけの量が市中に公債としてあれば、地方債が対象になろうとなるまいと痛くもかゆくもないわけです。いわんや縁故債まで日銀貸し出しの担保にするかというと、別途の問題が出てくる。そこで、恐らくは公募債の割合をふやしてくれというのが基本的な解決になるのではなかろうかと思いますが、その点の見通しの問題と、それから村田参考人にお伺いしたいのは、個人消化ということを力説されたわけですが、そこの中に地方債の公募ということも含めてお考えになっているのかどうか。それを含めて考えた場合に、今日の証券市場の力量に果たして合うのか合わないのか、この点を承りたいと思います。 最後に池田参考人にお尋ねをしたいのは、地方債の悩みというのも、まあ国債も地方債も似たような話ですから、そこで言うと、これは財政の問題として国と地方の財源配分を通じながら過度の地方債を出さなくても済むような財政設計をすることが実は原点なんではあるまいか。公債管理という点からいっても、しわは国は寄せておけということをしながら今日縁故債のしわが地方銀行に寄っている実態というものを改善していくべきではないかという気もするわけですが、この点についての御所見を承りたいと思います。
○参考人(板倉譲治君) 私に対します御質問はあるいは三点かと思いますが、一番最初の、来年の後半の経済を見通してクラウディングアウトがなお起こらないで済むかどうかという御質問かと存じます。来年の後半にもし資金需要が出てきた場合には起こるのではなかろうかというような御懸念かと思うわけでございますが、このクラウディングアウトという問題これは非常にむずかしい問題でございまして、私にも明確なお答えができかねる点もあるのでございますが、本質的に申しますと、国債なり地方債なりが発行されましたときにそれだけの資金が吸い上げられる。ところが、それは財政支出として全部戻ってくるわけでございますから、全体としての民間金融市場の資金はそれによって不足を来すということはないわけでございます。したがいまして、ほかの民間の資金需要に対して圧迫が加わるということはマクロ的にはないということが言えるわけでございまして、これは民間の資金需要が多くても少なくてもそういうことはないということが言えるわけでございます。ただ、問題になりますのは、この民間に戻ってまいります資金が金融機関ごとに国債を余計持ったから、地方債を余計持ったから、そこへその割合で余計戻るということではない。したがいまして、金融機関ごとの資金偏在が起こります。そうしますと、全体ではバランスがとれるわけでございますから、ある種の金融機関は資金が余る、ある種の金融機関は国債を受け持ったために資金が足りなくなると、こういう資金偏在が起こるわけです。ところが、この資金偏在は、余った金融機関から足りない金融機関がコール市場、手形割引市場を通じて調達するということで調達されますので、資金の量の面で全体が不足ということにはならないのでございますけれども、その場合の外部からの調達資金、他の金融機関からの調達資金のコストが現在のところはなお非常に高いというところで、たとえば貸し出しをやるとかあるいはほかの事業債を持つという場合にむしろ逆ざやになりまして、その面での採算的な重圧から貸し出しがしにくくなるとか、事業債が持ちにくくなるとかいうようなことが起こり得るということかと思います。その場合に、貸出面あるいは事業債面での民間の資金需要が少なければその危険も少ないわけでございますが、もし来年あたり景気がよくなりましてその面の資金需要も出てきたというようなときにどうなのかという御質問でございますが、その点につきましていまから予想は非常にむずかしいのでございますが、資金偏在が非常に大きくなりましてそういうような面での支障が起こってまいりますと、やはり外部負債の金利というものも大分下がってきておりますし、今後とも下がってくるだろうと思います。したがいまして、その面の採算的にやれなくなるというようなことがないような金融的な政策上の配慮も加えられてくるのではなかろうかというふうに期待をいたしております。したがいまして、まあ全体の量は不足がないわけでございますから、銀行が多少の採算にもかかわらずやはり必要な資金は出さなければならぬという状態でございますれば、その使命感の上で従来も出してまいりましたし、今後も出してまいるつもりでおるわけでございます。 次に、公的部門の資金需要が増大して民間部門の資金需要が減ってくると、そうすると現在の資金循環が変わってくるのではなかろうか、したがって、金融制度上も何か変えなければいけないではなかろうかという御質問であったかと存じます。これもまた非常にお答えしにくい問題でございますが、私は現在のままでも金利機能を活用するような方向に進んでいけばそう矛盾が起こらないでやっていけるのではないかというふうに思います。と申しますのは、民間部門の資金需要は、先ほども申しましたように、今後はわりあい低調になってくるはずでございます。そのかわりに公共部門の方の資金需要がふえてくる。ちょうど入れかわるということになるわけでございます。したがいまして、銀行の運用資産として国債がふえてくる、民間事業債があるいは減るか、まあこれは減らないかもしれませんですけれども、貸し出しの方が恐らく従来のように大きな伸びを示さないというようなことでその穴が埋められてくるのではなかろうかと思います。その場合に、国債の条件が依然として、市場実勢から非常にかけ離れた状態で進みますと、銀行といたしまして採算的に大きな圧迫を受けるというような面で支障が起こるかと思いますが、その場合に今後とも市場の機能を活用した考え方で国債の発行条件につきまして他の運用資産との利回りの格差について徐々に修正が行われてまいりますと、その点につきましても問題が少なくなるのではないかというふうに期待をいたしておりまして、別に金融制度上の変革といったような問題にはならなくて済むのではないかというふうに思っております。 それから最後の、資金偏在ということを言ったけれども、それは日本銀行がオペで買い上げるからその資金偏在は緩和されるのではなかろうかという御質問でございますが、確かに日本銀行が従来相当量の国債のオペをやってきております関係で、従来国債が発行されたもののうち現在残っておりますものはどのくらいになりますか、まあ三割かそこらではなかろうかと思っておりますが、その意味では国債を持つことによって資金繰りが圧迫されたのが緩和をされてきているということは確かでございます。おっしゃるとおりだと存じます。ただ、日本銀行の国債の買いオペでございますが、これは従来は日本銀行券の増勢が非常に高うございましたので、一五%、一八%、二〇%というような非常に前年同月比高い増率を示してまいりましたので、それによる民間資金の吸い上げを補いますために相当大量の国債買いオペが行われたわけでございますが、現在の日銀券の増発率と申しますのは、一一%、一二%というような非常に低いところに来ておりまして、今後とも低成長が続きますとこれがそう高くはならないのではなかろうか。そういたしますと、勢い国債の買いオペも減ってくるではないか。最近のところ、現実に日本銀行さんの資金供給政策といたしましては国債の買いオペよりも手形の買いオペが主体になっておられまして国債の買い入れは非常に減っておりますので、そういう面で今後は必ずしもこの資金偏在の縮小に役立つほどの買い上げはしていただけないのではなかろうかというふうに心配はいたしております。 以上でございます、
○参考人(氏家栄一君) ただいま栗林先生から御質問のありましたのは、先ほど私が地方債の問題に触れましたので、地方債、ことに縁故債は日銀の担保にもならない、あるいはオペレーンョンの対象にもならない、まあそう言うが、これもやむを得ないのではないかという御発言のように承ったのですが、それでよろしゅうございましょうか。実は、この問題につきましては、先ほど近藤先生からもお話しがありまして、地方債がふえて困っておりますが、これは確かにちょっと考えますと、名前が国債と地方債、これは国債と地方債を全く同じ格につけるということもわれわれ無理だと思っております。しかし、地方債といいましても、各府県、これはやっぱり国が決めた行政区画の、そして裏づけとしては課税権を持っている一つの公共団体が出している債券でありますから、まあ国債ほど大丈夫じゃないかもしれませんけれども、地方債がそれでずっと格落ちになるということはわれわれは考えておりませんのでございます。ただ、地方債の中に公募債と縁故債がございますが、公募債は比較的少額でございまして、縁故債が大部分で、われわれはそれを消化する責めを受けているわけでございますが、この縁故債という名前そのものも悪いので、これは縁故債という名前をやめて、非公募債と言っていただいた方がいいのかもしれません。まあしかし、それは名前は別としましても、それなら公募債はどうかといいますと、公募債の方は地方債であっても日銀の担保になりオペレーションの買い上げにもなり得る資格を持っております。同じ県が出した債券で、公募ならばそういう条件がつき、縁故債ならばまあ冷や飯を食うと、これはやっぱりわれわれとしてはどうも承知できない。ぜひ公募債であろうが非公募債であろうが同じ立場に置いていただきたいというのがわれわれの悲願であります。それで、県の信用と国の信用は、まあこれも国の方が大きいことはわかりますけれども、たとえて今度逆に言いますと、いろいろな会社が社債を出しておりますが、社債を出してAとかBとかいって格づけをしておりますが、たとえばこの間千何百億の負債を背負って倒産に至った興人なんかよりも地方債は悪い条件で出ている。それでおって、いい方の条件の興人が倒れるという現象さえもある。もう少し地方債を皆さん優遇していただいていいのではないかという感じを持っているわけであります。 さて、それではそんなことを言うのならば縁故債をやめちゃって全部公募債にしてもらって、各府県の府県債もみんな公募債にしたらどうかという御疑問をお持ちになるかもしれませんが、これはなかなかそうはまいらない。公募債には公募債になるだけの一つの条件がありまして、まあ自治省あたりでは比較的幹部の方は公募債にしてあげましょうとわれわれにはおっしゃるけれども、実際県が自治省にお願いに行くと、いやこういう条件があってなかなかそれは公募債とはならないといって事務的にはいろいろ問題があるわけで、それでありますから、結局また非公募債に戻ってくるという行き違いがあるわけでございます。それで、結局、何とかしてわれわれも縁故債という名前でも非公募債でも結構ですから地方の公共団体が出した債券は日本銀行でももう少し優遇してもらいたいと何遍もお願いしてはおりますが、なかなかこれはむずかしい。それじゃそんなにしつこく言うのならば、いますぐ各地方銀行では日本銀行に担保に入れてお金でも借りるつもりかと聞かれると、そうではないのです。ただ、問題は、先ほど近藤先生にもお答えしましたように、毎年毎年県の縁故債——非公募債がふえる情勢にありますので、銀行の資産の中に占める比率がずんずんふえていっている。それが日本銀行の担保にもならないというのでは、銀行の資産の健全性からどうもわれわれは納得いかないと、まあこういう問題の絡んでおりますので、そうおっしゃらないでぜひ縁故債のバックアップをしていただきたいのが私のお願いでございます。 以上でございます。
○参考人(村田宗忠君) ただいま、地方公募債の個人消化の方は、国債の個人消化と言うけれども、そのようにいくかというお尋ねでございます。これは一つは、国債のシンジケーションの組み方とそれから地方債のシンジケーションの組み方と違っておりまして、国債の場合には、われわれ証券市場といたしまして担当いたしますのは、金融機関あるいは機関投資家を除きました純粋の個人にテリトリーが限られておりまして、そういう意味での個人消化ということに相なります。地方債の方になりますと、この公募は単に個人だけでございませんで、金融機関あるいは機関投資家、そういうふうに組み方が変わっております。若干その点差異があるかと思いますのですが、しかし、地方公募債の消化というものにつきましては非常に難渋いたしておることは事実でございます。なかなかむずかしい問題が多々ございますので、まあ私ども、先ほど氏家さんからもいろいろお話しございましたけれども、地方債の発行制度というものがこれが長年ずうっと旧態依然と申しますか、語弊があるかもしれませんけれども、余りその間に変化がこれまでございませんで、また、条件の決定その他にいたしましても比較的弾力性が乏しい。むしろ国債の方が最近におきましては実勢に合わしていこうというふうなものが反映いたしておるかに思いますのですが、地方債の方はちょっとそうなっておりませんで、この辺はこれからの一つの大きな課題であろうかと、このように存じております。
○参考人(池田浩太郎君) 栗林先生の御質問の趣旨、私実は余りよく勉強していないところでございますので十分お答えになるかどうかわかりませんが、一応まあ国と地方との行政の配分の問題、それからして財源の配分ということになると思うのですが、国の委託事務、それから本来的な地方の行政事務というのが分かれると思います。その性格に従ってまず国の方で財源の配分をひとつ考えていただきたい。それから地方の場合には、一つは地方住民に直接の利益になるような工事——建設工事その他ございます、それなど地方債による場合が多いと思いますし、それから地方住民の直接福祉厚生にかかわる行政が非常に多いというようなことでございますので、今日のような景気の変動に従って大幅に交付金が変わるような形のもののほかに、やはり少し安定した財源を地方に回すことができたらよりよいのじゃないかというふうに考えられます。余り細かいことはよくわかりませんので、この程度で勘弁さしていただきたいと思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。
○大塚喬君 初めは銀行協会の会長にお尋ねをいたしますが、最近の週刊朝日に、板倉参考人の、政治献金は社会的な務めであり、これがために何ら有利にしてもらおうなどということは一言も言ったことはありませんと、こういうような趣旨の記事が載っておりますね。それで、銀行という公共性の強い組織機関で政治献金ということは国民に多大な疑惑の目を向けさせておるわけです。先ごろあの「一円預金運動」などというのの起こったのも、そもそもやっぱりそういうことに対する国民の無言の抵抗の意思表示であったものと考えられるわけでありますが、率直に言って政治献金よりは預金者を保護する、こういう立場をとるのがいま銀行に社会的な責任を問われるそういう一番の大きな問題ではないかと考えておるわけでありますが、この政治献金の問題と、さらに預金者保護、こういうことに努力する問題についての具体的な参考人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 それから第二に、地銀の会長であります氏家参考人にお尋ねをいたします。最近、耳にいたしますことは、地銀関係が地方債の非常な押しつけを受けてこの年末の資金事情というのはもう最悪の状態である、こういうことが聞かされておるところであります。このような事態の中で、中小零細企業、一般庶民、こういう者の生活を守るために具体的に今後どのような対策をお考えいただいておりますが、お尋ねをいたします。 それから岩波参考人にお尋ねをいたしますが、御承知のように、今度 赤字国債発行ということで踏み切ったわけでありますが、これによって、従来の建設債、こういう限定の方式が政府自身の手で金繰りをされたわけです。それから買いオペの対象に一年過ぎればなるということ、そして日銀の貸し出し、まあこういうことでこの歯どめも外された。今後国債の発行という問題についてはもうフリーハンドでというようなそういう危険な印象を強くするわけでありますが、具体的に今後これらの歯どめをどう立てたらよろしいものやら、ひとつそこのところを私どもにもよくおわかりいただけますように御教示をお願いしたいと思います。 それから池田参考人にお尋ねをいたしますが、現在の国債の消化構造、保有構成から見て、再び過剰流動性インフレが起きるのではないかという心配が強いわけですが、このような過剰流動性インフレを招かないための理論的な根拠があればひとつ御教示をいただきたい。 以上でございます。
○参考人(板倉譲治君) 政治献金よりは公共性の強い金融機関として預金者保護を尊重すべきではないかという趣旨の先生の御質問ではないかと存じます。 政治献金につきましては、私ども確かに公共性の強い企業でございますが、やはり一つの社会の構成員といたしまして議会制民主主義を支えております政党の健全な発展のために応分の協力をしていくのが務めではないかというふうに考えておるわけでございまして、その意味で資金的にも応分な協力をいたしておるわけでございます。一般の公共的な研究施設でございますとか、あるいは文化施設でございますとか、福祉施設などに対しましても、やはり社会の構成員として当然の務めと考えまして応分の寄付をいたしております。それと同様の趣旨でいたしておるわけでございます。 それから預金者保護の点でございますが、従来、預金者保護といわれます問題は、銀行が健全経営を維持しまして預金者に対して元本の支払いができないというようなことがあってはならないという趣旨で預金者保護ということが言われておったわけでございますが、最近インフレというような問題がございました関係で、預金に限らず、あらゆる金銭資産の実質価値が減耗するというようなことが起こっておりまして、そういう面で銀行がもっと預金者に対して尽くす道はないかという御趣旨であろうかと存じますのですが、その面につきまして、銀行といたしましても預金者は銀行にとりまして最も大切な取引先、お客様でございます。したがいまして、できるだけ預金者のそういった利益を図れるようにということは常日ごろ深く心がけておるわけでございまして、この四月以降、公定歩合の引き下げに伴いまして貸出金利が大体二・五%ぐらい引き下げられるということになってきたわけでございますが、そのうち最初の三回の引き下げで一・五%の引き下げがあったわけでございます。この際にも、預金金利の引き下げには手をつけないで貸出金利の引き下げに応じてまいったわけでございまして、この点にも私どもとして預金者のためを十分配慮した点があらわれておるものというふうに御理解いただければ大変ありがたいと思うわけでございます。 なお、この七月から特にインフレによりましてお困りになっておられる方々と考えられました方々に対しまして福祉定期預金というのを始めたわけでございまして、一〇%の金利の預金をそういう方に限定いたしまして実行もいたしました。そういったようなことで、今後とも銀行といたしまして預金者のできるだけ利益になるような、便宜になるような新しい商品の開発もいたしていきたいというふうに考えて一応努力をいたしております。 以上でございます。
○参考人(氏家栄一君) ただいま大塚先生からお尋ねいただきましたのは、年末に地方債がかなり出るような話だが、これで年末金融が逼迫して中小企業に迷惑がかかるようなことはないかと、こういうような御質問でよろしゅうございますか。
○大塚喬君 明年度も含めてですね。
○参考人(氏家栄一君) はい、承知しました。 年末の件につきましては、大塚先生が先ほどお忙しくておいでにならないときに若干触れましたが、各地によって程度は違いますけれども、年末金融は、日本銀行のオペレーションとかあるいは預金準備率の引き下げの影響もありまして、それから一方、資金の需要の方では、資金はもちろん欲しいと思っておりますけれども、われわれが予想していたほどにはきつく必要でない向きもかなりありまして、それからお金よりも仕事が欲しいというような点もありまして、比較的資金需要の方は落ちついていると言うと少し言い過ぎかもしれませんが、問題が少なくて済んでおります。しかし、地方債の引き受けがあれば、それだけとにかく一時的にもタイムラグで逼迫を来すと思いますが、しかし、ただ、地方債は実際出ますのは来年の四月または五月が一番多うございまして、五十年度の地方債は五十一年の春に出る。ただ、今年末は県または市につなぎ資金的なものが一部出る。この程度も県によって違いますが、そういうことになっておりまして、われわれはそれももちろん満たしながら中小企業の金融に逼迫感を与えないように万全のいま努力をしておるところでございます。これにはただ漫然と中小企業に迷惑をかけないかけないと言うのでなくて、銀行は銀行なりに年末金融の一つの枠をつくって、中小企業さん、お困りならばこの枠の中でぜひひとつおいでくださいと。それから県や市の方でもいろいろ中小企業の年末の制度融資をつくりまして、そしてその枠で、まあ枠の足りる場合も少ない場合もあるかもしれませんけれども、その中で健全な中小企業の方の声を入れるように図っておりますので、決して緩くはありませんけれども、全体としては地方銀行の方では十分の手を打っているつもりでございます。それから年末に国債が出るかもしれませんが、国債も入れてわれわれは十分のひとつ手を打とうという申し合わせをついこの間地方銀行六十三行でいたしましたので、まず問題はあってもそれほど波乱の多いことにはならないだろうと思っております。来年は、地方債が四月、五月に出ます。それから国債もまた残りが出ると思いますが、むしろ来年になってからの方がかなり問題があるのではないかと思って、これも今回つまり十二月の地方銀行の首脳部の集まりでは来年のことまではなかなか触れる余裕がございませんでしたけれども、来年早々またスクラムを組んでいきたいと思っております。ただ、問題は、国債の方は今度の法案が通りますれば大体のめどはつきますけれども、地方債の方がまだ全然めどのつかないところがある。ことに、条件なんかはまだまだこれからの問題でありますので、来年は問題が多いと思っておりますが、しかし、中小企業には絶対迷惑をかけないように、これはわれわれの親戚以上のものでありますから、そういうふうに考えて対処していきたいと思っております。 以上でございます。
○参考人(岩波一寛君) 大塚先生から私に対しては公債の歯どめが次第次第になし崩しになってきておるという状況のもとでこれらの徹底的な歯どめをどう考えたらいいかという趣旨での御質問だったと思います。私は、現在の財政法第四条による規定というのは、これは厳密に言いますと、建設公債は発行できないのではないか、これはむしろ赤字公債と言うべきではないかという解釈をとっております。これは財政法立法の時点で趣旨に即して考えればそういうことになろうかと思います。ただ、それが四十年度段階で一応拡張解釈が行われ、それが現実にずっと採用されてきておるわけです。さらに、四十年度と今年度に特例法という形で赤字公債が発行されるという推移を考えますと、確かに大塚先生おっしゃるように、だんだん歯どめが崩されていってしまうという危機感を禁じることができないわけですけれども、しかし、にもかかわらず、私はこの最低限度のところで現在の建設公債以上に国債を発行することは財政法で禁じている、このたてまえをやはり貫くべきではないかと思います。それから財政サイドからはこういう形で歯どめをやはり今後ともかけていくべきだと思いますし、金融サイドからは、金融の側から先ほど来御主張がありますように、やはり金融の実勢に即して起債が行われるというこの形をもう少し追求していかなければいけない。そして、その点から歯どめを考えるべきだというふうにいま考えております。 ただ、一つ、やや心配になるのは、現在赤字公債の歯どめの一つになっておる発行された公債が一年を経過しなければオペレーションの対象にならないという、これがきちっとした法律的根拠を持っているのではなくて、いわば日銀の内規的なものにすぎないという点、もちろんこれを変更する場合には日銀政策委員会の決定を必要とすると思いますけれども、しかし、そういう形でいいかどうかという問題は検討の余地があるのではないか、こう考えております。
○渡辺武君 ほんとの一、二点だけ伺いたいと思います。 まず、村田参考人に伺いたいと思いますが、今年度の大量の公債発行がどうも金融市場の実勢に適合してない発行のやり方じゃないかという点をめぐりまして、特に公社債市場が未成熟だと、あるいは金利の問題等もあって御用金思想で公債発行をしちゃ困るというような議論も大分出たようであります。応募者利回りが八・三二%に落ちついたと思いますが、これとの関連で事業債あるいはまた長期金利の引き下げ、さらには郵便貯金も含めての預貯金金利の引き下げというようなことも進められたと思いますが、その間の事情を簡略でよろしゅうございますが御説明いただきたい。 それからもう一つ、来年度はことしよりも余分に公債が発行されるだろうという予想が立てられているわけですが、公債管理政策と一言で言われておりますけれども、やはり金融市場の実勢に適合したような状態で公債の発行消化ということが行われなければならないとするならば、どんなふうな条件が必要だとお考えになっていらっしゃるか、また、その可能性はあるのかないのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。 それから板倉参考人にお伺いしたいと思いますが、どうもことしの公債はどうやら消化ができそうだというふうに言われております。これはまあ財政資金の散布超過だとかあるいは不況下で多少まだ金融が緩んでいるという条件のもとでのことじゃないかというふうに思われますが、しかし、それにしても、十二月の金融繁忙期には、この間、日本銀行の副総裁から伺いますと、公債を除いて約一兆六千億円くらいの資金不足だ、もし公債が発行されれば二兆円以上の資金不足になるだろう、これを賄わなければならぬということで、すでに約五千億円の公債の買オペをやったと。それから準備率の引き下げもやりましたと。これから先は手形の買い入れだとかあるいは貸し出しのクレジットラインの枠を広げなければならぬだろうというようなことを言っておられました。ことしがそういう状況であるならば、来年にことし以上の大量の公債が発行される場合に、やはり市中金融の資金逼迫というのは相当大きくなるのじゃないか。先ほどクラウディングアウトの話もありましたけれども、いまクラウディングアウトという現象が比較的回避されているのは、いま言った日本銀行のこういう金融調整が条件になっているのじゃないかと思われますが、来年度、この大量の公債発行、これに加えて景気も上昇して資金需要も大きくなる。他方で外為会計の方から見てみますと、恐らく円が揚げ超になるのじゃないかということも考えられるわけですから、やはりかなり日本銀行の信用創造といいますか、これに依存しなければならぬような事態になるのじゃないか。その辺をどんなふうに見ていらっしゃるか、預金準備率とか、あるいはまた買オペ政策とか、あるいはまた手形買い入れ政策等々、この辺についての銀行協会の側からの見方をお教えいただきたい。 それから岩波参考人に伺いたいことは、いま申しましたように、日本銀行の特に年末に著しくあらわれております信用の膨張ですね、これは結局のところ公債の大量発行の条件をつくるというような形になっているような気がするのですね。私は、財政法第五条で日銀引き受けによる公債発行というのは禁止されているけれども、結局事実上はそういう形で行われているというふうな感じがするのです。それで、まあ来年度のいま申しましたようなこともありますし、やはり金融面から何とかインフレの歯どめをつけないと大変なことになるのじゃないかと思われるのですが、この点について、私は、中央銀行がいわば公債発行、公債消化の条件をつくるような下請機関になっていたのじゃまずいのじゃないか、やはり中央銀行は中央銀行としての独立性を保持して通貨価値の安定ということを至上命題として金融政策をやらなければならぬのじゃないかという気がしております。特に、欧米諸国ですでに実施に移されているマネーサプライ規制ですね、これが現在の時点がはかなり有効な措置として作用し得る余地があるのじゃないかというふうに思っていますが、その辺についての御見解を伺いたいと思います。
○参考人(村田宗忠君) ただいまの御質問の第一の点は、国債につきまして実勢との乖離をどう考えるかという御質問と存じます。おっしゃいましたように、多少の乖離が現在ございます。御承知のように、国債の発行のときの利回りが八・二二幾らでございます。実際に実勢といたしましては大体八・五ぐらいかと思います。多少ございます。先般一連の金利体系が新たになりまして、短期金利が低下してまいりまして、これが長期金利の方にすぐ自動的に連動してくるものでも必ずしもございませんので、若干そこに短期金利と長期金利とのタイムラグがございまして、特に長期債の市場利回りというものに反映してくるのに若干時間がかかります。恐らく、私どもいま期待しておりますのは、その金利の低下が実勢に社債市場におきましておいおい反映してまいりまして、だんだんこれがフィットしてくるのではあるまいかと、このように期待をいたしておる実情でございます。 それからもう一つは、来年のことで、来年の金融情勢に適合していくための事業債、国債その他の諸条件はどういうあり方をしたらいいかという御質問かと存じます。どうもなかなか来年のことを見通しいたしにくいのですけれども、たとえば事業債などについて見ますと、若干やっぱり希望額は少し減ってまいるのではないかと、このように存じております。金融全般といたしますれば恐らく緩和した状況であろうと、少なくとも前半は、というふうに存じております。だんだんと事業債にいたしましてもそれから国債にいたしましても実勢に合わせていくと、これが大原則でございまして、次第にその方向にまいるものと、また、そういうふうにしなきゃならないと、このように存じております。どのくらいの条件に落ちつくかというふうなことはちょっとこれは予測に困難でございますが、絶えず実勢に合わせていくということが何よりであろうかと思いますし、また、それにはそれに対応した流通市場というものを形成する努力を私どもいたしてまいらなければなるまいと、このように考えております。 私のお答えといたしましては大体そういうふうなことでございます。
○参考人(岩波一寛君) 渡辺先生の御質問に対して金融に余り明るくない私が適切にお答えできるかどうか大変あやしいわけですけれども、考えていることを率直に一言だけ申し上げたいと思います。 私も、御指摘のように、現在の日銀の公債オペレーション措置というのはこれはもう実質的には日銀、都市銀引き受け発行になっておるということは、そのとおりであると思います。そういう形の中で日銀が機能しているということについてはかねがね大変問題だと思っておるわけです。伝統的に中央銀行というのは通貨価値の安定を求めて政策に対しては中立性を持たなければいけないということが主張されておりますし、当然その制度的な担保が保証されなければならないわけですけれども、残念ながら現在の日銀の制度及び機能はそういう本来の趣旨に照らして問題がある。その端的なあらわれがいわば日銀のオペレーションというような形になって出ているというふうに理解できると思います。その意味ではこれは古くして新しい問題であり、同時に非常に論議があるところでありますけれども、日本銀行の中立性をいかに確立するか、そしてその制度的保証を日本の場合にどのようにつけていくかということを早急に検討し改善しなければならない問題だ。そうでなければ、本当の意味でやはり国債の金融サイドからの歯どめなどということはどんなに願っても実現できないことではないかというふうに考えております。
○参考人(板倉譲治君) ただいま渡辺先生からの御質問、来年あたりはクラウディングアウトが起こるのではなかろうかと、ことしは日本銀行の信用調節によりまして何とかやっておられるかもしれないけれども、来年あたりはむずかしくなるのではなかろうかという御質問の御趣旨かと存じま.すのでありますが……
○渡辺武君 いえ、クラウディングアウトを避けるために日本銀行の金融政策にどのような……
○参考人(板倉譲治君) どのような変化が起こるかと……
○渡辺武君 要望を持たれるかということです。
○参考人(板倉譲治君) わかりました。 御承知のように、日本銀行の信用調節機能と申しますものは、これは民間金融市場におきます資金が日本銀行に吸い上げられた場合にはそれを日本銀行が同額補てんする、そのために日本銀行が信用を供与するわけでございます。民間金融市場の資金が不足しないのに余分に出すということはないわけでございまして、必ず吸い上げられたものだけが出てくるということでございます。その場合に、長期的に日本銀行が信用供与を続けていきます問題と、それから短期的にタイムラグを埋めるために短期的に資金不足が起こった場合にそれを埋めるために信用供与を行うものと、こう分ければ二つぐらいになるかと思うわけでございますが、基本的な日本銀行の信用供与と申しますのは、日本銀行に資金が基本的に吸い上げられるという現象に基づくわけでございますが、基本的に長期的に吸い上げられると申しますのは、これは日本銀行券が毎年経済の発展に伴ってふえてまいります。日本銀行券がふえるということがなぜ日本銀行に資金が吸い上げられるということになるかと申しますと、日本銀行券というのは日本銀行はただでは民間にはくれないわけでございまして、必ず民間の資金、どなたかが持っておる資金を日本銀行に払ってそれで銀行券をかわりにもらってくるということでございます。したがいまして、日本銀行券と申しますのは、言ってみれば日本銀行に対して無利息の預金をしている、その預金の証書を日本銀行からもらったということに等しいわけでございます。したがいまして、それをもらうための資金は民間からそれだけのものは吸い上げられていっているわけでございます。したがいまして、毎年経済の発展に伴いまして日銀券の流通がふえてくる。日銀券は消費活動に使われておりますので、消費活動がふえるに従って日本銀行券の発行高がふえてくる。それに伴って恒常的な引き揚げが続いてくる。それを何らかの形で日本銀行が民間にその資金を戻さなければならない。その戻す形態として日本銀行貸し出しとか、あるいは商業手形の買いオペでございますとか、あるいは国債、政保債の買いオペをやりまして、それを買って資金を民間に戻してくるということが行われているわけでございます。したがいまして、今後とも日本銀行券が伸び率は下がってはきておりますけれども毎年増加いたしていくといたしますと、その限りにおいてこの三つの資金供給を従来どおり続けていかなければならないということは当然あるわけでございますが、ただ、国債の買いオペはそのただ一つでございますので、すべてこれが国債の買いオペでやられているかと申しますと、従来の実績では必ずしもこれは国債の買いオペだけではございませんで、最近では手形の買いオペの方がむしろ主体になっているというのが実情でございます。 それからいま一つ、短期的なタイムラグの不足を埋めるためのやはり資金供与が行われておりますが、これは、たとえば国債が今月発行されたと、国債が五千億発行されたといたしますと、その国債を民間の金融機関が買いますですね。その分だけは日本銀行に吸い上げられまして日本銀行の政府預金勘定に入ってしまうわけでございます。したがいまして、その資金だけは吸い上げられたときに日本銀行がこの資金供与でもって埋めていくわけでございますが、しかし、日本銀行の政府勘定に入りましたこの国債のかわり金は、これはそのまま温められるわけではございませんで、必ず財政支出として民間に戻ってくるわけでございます。したがいまして、その戻ってきたときには、このタイムラグを補うために日本銀行がやりました資金供与ですね、これがまたもとへ日本銀行は吸い上げてまた戻してしまうわけでございます。したがいまして、国債が発行されたときと国債のかわり金が市中にまた散布されたときと、その間の一時的な不足を日本銀行がただ一時的に補うということでございます。この二つの資金供与が従来から行われてきておるわけでございますが、今後につきましても、国債の発行が大量になってまいりましても、この点はやはり変わらないわけでございまして、特に別の違った形の信用供与が行われるということはないと思っております。
○委員長(桧垣徳太郎君) 参考人の方々には長時間にわたり貴重な参考意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。お述べいただきました御意見は、今後の委員会の審議に十分役立たせてまいりたいと存じます。本日はありがとうございました。 本日の質疑はこの程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時三十三分散会