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76回国会衆議院1975/09/19

本会議 第5号

発言数
21
登壇者
11
会派数
5
開催日
1975/09/19

会議録

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。金子満広君。     〔金子満広君登壇〕

金子満広日本共産党・革新共同

○金子満広君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、当面の緊急問題について、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。  御承知のように、今年は第二次世界大戦後三十年目に当たります。三十年前、多くの国民は、再びこのような惨禍を繰り返してはならないと心に誓い、そこから平和と民主主義、豊かな日本の建設を心から願ったのであります。  しかし、三十年たった今日、国民が直面している日本の現実は、政治的にも、経済的にも重大な危機であります。いま国民の多くが、わが国の安全とアジアの平和、国民生活防衛、危機打開の道を明確に示すことを、この臨時国会に強く望んでいるのであります。  私は、この見地から、まず第一に、わが国外交の原点と日本の安全、アジアの平和の基本問題についてただしたいと思います。  御承知のように、今年八月上旬、日米首脳会談が行われました。この日米会談で最も重大なことは、政府が、ベトナム侵略戦争の際と同じ態度を、朝鮮半島の問題においても一層露骨にとろうとしていることであります。周知のように、三十年にわたるベトナム戦争は、ついにアメリカの敗北をもって終わりました。今日、この戦争がアメリカ帝国主義の干渉と侵略の戦争であったことは、いまや全く明白であります。  私は先般、ベトナム民主共和国及び解放された南ベトナムを訪問し、勝利したベトナム人民が、その全土において意気高く、独立と再建の道を大きく踏み出していることを、つぶさに見てまいりました。このインドシナ諸国との友好関係の樹立は、アジアの一国として、日本外交の重要な課題となっているのであります。(拍手)  いま、日本外交の基本問題として明らかにしなければならないことは、日本政府が今日この時点で、アメリカ政府がベトナムで行ったあの残虐な軍事行動をいまなお正義の行動と評価しているかどうか、そしてまた、歴代の自民党政府がアメリカの軍事行動に協力、加担してきたことについて、いかなる反省も必要でないと考えているかどうか、まず、この二つの点について率直に伺いたいと思います。これは、わが国外交の原点にかかわる重大な問題でありますから、この際、改めて明確に答えていただきたいと思うのであります。  次に、いわゆるベトナム後の日本政府の外交について伺います。  総理は、さきの日米首脳会談で、日米安保条約を、極東のみならず、アジア全体における不可欠のものとして位置づけ、日米軍事同盟の役割りを飛躍的に高めてまいりました。特に朝鮮問題では、歴代自民党政府がとり続けてきたベトナム戦争協力型の外交路線をそのまま当てはめて、これを一層強化したのであります。  しかも、ベトナム侵略戦争の場合には、安保条約の適用というだけで、あれだけ大規模な協力、加担が行われてきましたけれども、今回の日米首脳会談では、朝鮮問題について、この安保条約の強化に加えて、いわゆる新韓国条項という特別の約束がなされ、新たな義務が負わされたのであります。これは、ベトナム侵略戦争への協力、加担以上に日本を危険な道に引き込むことは明白であります。  そこで具体的に質問をいたします。  政府は、日米首脳会談の合意に基づいて坂田・シュレジンジャー会談を行いました。両国政府が初めて公然と日米軍事協議機関の設置を決定したわけであります。これは、これまで非公式に行われてきた制服同士の協議を政府レベルに引き上げ、日米共同作戦体制を本格的に強化したものであります。  しかも、シュレジンジャー長官は、会談後の記者会見で、韓国の安全に対する日本政府の寄与なるものについて触れ、「予見し得る諸条件のもとにおいては、日本の直接的な軍事参加は、日本の憲法が許容すると現在解釈されている範囲をかなりな程度超えて進むであろう」と言明しています。これは、在日アメリカ大使館発行の広報文書で発表されているのであります。これは、日本が韓国問題で憲法の枠を超える新たな義務を負ったことを示すきわめて重大な発言であります。  私は、このシュレジンジャー発言に対する総理の見解を求めると同時に、国民に隠れてこのような危険きわまる事態を進行さしている三木内閣の秘密外交を糾弾せざるを得ません。そして、この日米会談のすべての経過と真相を、国会と国民に報告することを強く要求するものであります。(拍手)  次に、政府は、韓国の朴政権との間で金大中事件を解決済みと強弁して日韓閣僚会議を再開し、政治上、経済上の結びつきを強化させました。今日、朴政権が、金大中事件をうやむやにし、重大な容疑者である金東雲一等書記官を異常なほどかばい、詩人金芝河氏の投獄に代表されるように、一切の自由を封殺した恐るべき独裁ファッショ政権であることは、全く疑問の余地がありません。  自由民主党は、選挙のたびごとに、「自由社会」のスローガンを持ち出すわけでありますが、一体総理は、このような政権を民主主義的な政権と考えているかどうか、事実認識の問題でありますから、総理の見解をお聞きします。  次に、核兵器の問題についてただしたいと思います。  アメリカ政府は、南ベトナムの場合と異なり、すでに公然と、南朝鮮に核兵器が配置されていることを言明しております。また、フォ−ド大統領は、核兵器の先制使用があり得ることを言明しています。日米会談及び日韓閣僚会議を通じ、日、米、韓の軍事一体化が厳しく指摘されているとき、そしてまた、日米新軍事協議機関の設置と在日米軍基地の安定的使用が明らかにされているとき、有事の際、日本は単なる補給基地ではなく、核戦争の基地として最も危険な役割りを強要されるのであります。  総理は、こうした危険なアメリカ政府の核先制使用発言及びアメリカの核戦略を肯定するのかどうなのか、明確に答えてもらいたい。  政府は、核先制使用が、朝鮮であろうと他のいかなる場所においてであろうと、絶対に許されないことを、世界唯一の被爆国の名において、アメリカ政府に厳重に申し入れるべきであると考えますが、その意思があるかどうか。また、しばしば国連で核兵器の使用禁止協定の締結問題が議論され、その必要性が痛感されていますけれども、総理は、この核兵器使用禁止協定の締結を積極的に進める意思があるかどうか、総理の見解を求めるものであります。(拍手)  さらに総理は、あれこれの部分的な措置ではなく、すでに国会の決議になっており、また、政府もその実現に努力することを表明している核兵器全面禁止国際協定の締結について、これまでどのような努力を払ってきたのか、また、今後どのように進める考えがあるのか、お聞きしておきたいと思います。  なお、この際、在韓国連軍解体問題について政府の態度をただしておきたいと思います。  御承知のように、いま開かれている国連総会で、在韓国連軍の解体問題が討議に付されることは必至であります。これに対して、日本政府はどのように対応するか、その態度を明らかにしていただきたいと思います。  外交問題の最後に、中東問題について質問をいたします。  言うまでもなく、中東問題で最も根本的な問題は、パレスチナ、アラブ諸国人民の民族主権を徹底して擁護することであります。しかも、中東問題の根本的な解決は、パレスチナ問題の真の解決なくしてはあり得ないことは、中東の歴史と今日の状況がこれを一層明白にしているのであります。  そこで端的に質問いたしますが、政府は、PLOを、パレスチナ人民を代表する唯一の合法的機関として承認するかどうか。また、それにふさわしい形態でPLOの東京事務所の設置を認めるかどうか、この席で改めて伺いたいと思います。(拍手)  第二に、今日の経済危機の打開問題について政府の所信を伺います。  周知のように、今日の不況は戦後最悪の事態となっています。中小企業の倒産、雇用の不安、そして、インフレはおさまるどころか、消費者物価は依然として一〇%を超える高騰が続いているのであります。労働者の実質賃金は、今年五月以来連続してマイナスに転化しています。国民生活をこうして大きく圧迫しているのが現状であります。しかもその上に、集中豪雨、台風に伴う大災害や、六価クロムなどの相次ぐ衝撃的な事件は、国民の生命と健康を脅かしているのであります。  総理は、日本経済はいまだかつてない複雑にして困難な局面などと強調していますが、問題は、こうした事態を引き起こした自民党政治の責任については、全く無反省であるということであります。昨日の本会議答弁では、インフレも不況も世界共通の現象だから、自民党の責任追及は当たっていないと強弁したのであります。しかし、今日わが国の経済が直面している危機の実態は、他の資本主義諸国と比べ、その深刻さは異常なものであり、同列に見ることはとうていできないのであります。  鉱工業生産の落ち込みは、一昨年十一月のピーク時を基準にして、ことしの四月ではマイナス一八・五%。これはフランス、アメリカ、西ドイツと比べて特別に著しいものであります。さらに物価についても、その上昇率は、七二年を基準とすれば、この五月には五二・九%で、これはアメリカの二七%、西ドイツの二一%に比べ、二倍にも及んでいるのであります。  これに加えて、わが国経済の自立の基礎がどうなっているか。それは大きく破壊され、一億一千万人の人口と資本主義国第二の生産力を持ちながら、エネルギーの九割、穀物の六割を海外に依存するという、諸外国には見られないような驚くべき事態が引き起こされているのであります。総理はこれでも世界共通の現象と言い張るのですか。  この異常な事態こそ、歴代自民党政府の対米従属と国民生活の圧迫、世界にも例のない大企業の急速な資本蓄積を進めてきた高度成長政策の結果であり、まさに自民党による政治災害であります。(拍手)  この点について、総理はどのように事態を認識し、責任を感じておられるのか。問題を外的要因に解消するのではなく、明確に答弁をしていただきたいと思います。  また、総理は所信表明で、高度成長から安定成長への転換などと言っていますが、その内容は、これまでの大企業奉仕型という点では、高度成長時代と全く同じパターンを繰り返すだけのものになっているのであります。この立場から景気浮揚策を唱えても、危機の打開どころか、日本経済と国民生活を一層深い危機に陥れることは明らかであります。  いまこの国会に問われている問題は、高度成長型の政策、方式によって大企業救済の景気刺激策をとるのか、それとも、危機の根本原因にメスを入れて、経済民主主義の立場で、国民生活の改善と国内市場の拡大によって日本経済を立て直すかどうか。まさに二つの道の選択が迫られているのであります。(拍手)  こうした立場から具体的な質問に入ります。  まず物価対策、特に公共料金についてであります。総理はしきりに、物価は鎮静したと述べていますが、あの異常な狂乱物価の再現さえなければ、物価は安定したとでもみなしているのかどうか。政府みずからの八月発表の世論調査の結果によっても、六二%が物価上昇についていけないと訴えています。物価が上昇しても心配がないと答えた者は、よろしいですか、わずかに七%であります。この国民の声を無視して、物価問題を解決済みのようにみなして、公然と物価値上げに拍車をかけるようなことは、絶対に許せないのであります。  公共料金の引き上げが物価上昇の引き金になることは、国民的な常識であります。酒やたばこや郵便料金の値上げは断念すべきであり、引き続く私鉄や国鉄など公共料金の引き上げは、当然ストップすべきものであります。これらの点について、国民が納得できるような答弁を求めます。  次に、不況とインフレから国民生活を防衛する緊急対策について伺います。  その一つは、中小企業の防衛についてであります。  今年に入っても、中小企業の倒産は、負債金額一千万円以上の企業だけでも、毎月一千件前後に及んでいます。しかも、こうした中で、中小企業、小売業分野への大企業の横暴な進出は目に余るものがあり、小売業者や家具木工、そしてクリーニング、豆腐、軽印刷などに重大な脅威を与えているのであります。  いま中小企業の防衛にとって緊急に必要なことは、まず官公需の五割以上を中小企業に発注するための具体的な措置を講ずること、同時に、中小企業の固有の分野への大企業の進出を法的に規制する民主的な措置を図ることであります。政府の見解を求めます。  その二は、失業者の生活保障と雇用問題についてであります。  深刻な経済危機の中で、中小企業の倒産による失業、さらに、不況を理由にした大企業による合理化・人減らし、臨時工や出かせぎ農民に対する首切りは、いまや重大な社会問題、政治問題となっています。さらに、大学は出たけれどと言われるように、その求人は激減しているのであります。  いま、さしあたり必要なことは、まず、失業者の生活保障のため、失業給付の受給日数の延長、日雇い、出かせぎ農民の失業給付の改善、失対事業の拡大であると考えます。  総理は、昨日の答弁で、この点にまともに答えることを避けましたが、これは緊急の問題でありますから、政府の率直な見解を伺いたいと思います。(拍手)  同時に、失業防止について伺います。  いま、わが国には、失業者を出さないための法的な規制は何もありません。そこで、企業の一方的解雇を防止する法的措置をとること、中小企業に雇用調整給付金を優先的に支給することを要求しますが、この点についても政府の見解を求めます。  その三は、福祉問題、特に老人、障害者問題について伺います。  すでに明らかなように、現在老人の世帯数は百六十万を超えています。そのうち、一人暮らしのお年寄りは実に八十三万人、その多くは孤独の日々を送っているのであります。また、寝たきり老人の問題は、社会的にも一層深刻になっているのが現状であります。世の中に、子のない人はあっても、親のない人はいないのであります。老人の福祉はあすでは遅過ぎる。いますぐ手をつけなければならないと思います。  老人福祉年金を大幅に引き上げること、厚生年金、国民年金を同じく大幅に引き上げること、高齢者に見合った仕事のあっせん、そして、ささやかでも安心して居住地に暮らせる、一人暮らしのお年寄りのための低家賃の福祉住宅の建設など、緊急に取り組むべきであります。  また、障害児と障害者について、特に障害者の職場が狭められている折から、仕事の確保、教育、医療についても緊急対策を講じなければなりません。政府は福祉を追求すると言うが、どのように具体化するのか、高齢者、身障者にこの席から答えていただきたいと思います。(拍手)  次に、公共投資の転換による不況対策の問題についてであります。  政府の今次不況対策は、高速自動車道路、新幹線鉄道、本四架橋など、大企業奉仕型の産業基盤投資を中心にしたものであり、公共投資のパターンは、依然として従来の高度成長型を引き継ぐものであります。これでは、大企業は潤っても、環境の破壊、経済のゆがみはますます激しくなり、とうてい日本経済と国民生活を安定させることにはなりません。景気刺激といえば大企業本位の投資しかないというような発想は、根本的に転換しなければならないのであります。(拍手)  私は、昨年十二月の臨時国会で、産業基盤づくりに二、生活基盤づくりに一の割合になっている現在の公共投資のあり方を、逆の二対一に変えることについて総理にただしました。総理はこれに対して次のように答えています。「われわれもさように考えて、住宅とか下水とか公園など福祉施設に重点を置いてまいりたい」と明確に約束されました。もう一年近くなります。この約束は実行されていないのであります。  総理は、みずからの国会答弁に責任を持つなら、大企業、大資本奉仕の不急不要の投資は抑えて、国民の求めている緊急度の高い公共住宅や保育所や病院、老人施設など、社会福祉施設、公園やスポーツの施設、上下水道はもちろん、学校など、生活基盤づくりの分野にその投資を重点的に振り向けるべきであります。あれこれの理由を挙げて、適正配分などと言って問題の本質をそらさず、誠実な答弁を求めるものであります。(拍手)  次に、財源問題について質問をいたします。  総理は昨日の本会議で、増税にも国債発行にも反対では景気の回復の方法がない、こういう趣旨の答弁をされました。高度成長型の財政、金融のパターンを続ける限り、そういうことになるのはあたりまえであります。しかし、そのパターンを変えれば、財源確保の道は大きく開けるのであります。  日本共産党は、すでに発表した経済危機打開の緊急政策において、五十年度予算の中の大企業向けの支出や軍事費などの未執行分を、可能な限り国民本位に組み替えること、また、税金の負担公平を確立する第一歩として、ごく少数の大企業、大資産家に対する特権的減免税の是正を提案をいたしました。  たとえば、赤字を理由にした大企業に対する法人税の払い戻し制度を停止することを初め、大企業が課税されないまま積み立ててきた数兆円に上る膨大な積立金に、正当な課税をする臨時立法を行うことであります。  さらに、地方自治体財政の危機打開、地方自治体による公共投資の財源を確保するために、政府資金の流れを変えること、そして重点的に地方に向けることであります。  たとえば、地方税の減収対策として、全額政府資金による減収補てん債を認めること、利子補給を行うこと、国税における特権的減免税の地方税へのはね返りを遮断する措置をとることであります。また、欠損を理由にして、住民税の均等割りわずか五千円だけという不合理をなくすために、大企業の法人住民税の均等割りを資本金割りに改めること、さらに、郵便貯金の金利を下げるのではなくて、銀行預金よりも優遇して、その資金を地方公共団体に重点的に振り向けることであります。  これは、具体的な財源の裏づけを示した現実的提案であります。この提案に従って財源対策を国民本位に転換をしさえすれば、インフレをさらに助長するような赤字国債の発行をしなくても、国民生活防衛と国民本位の不況対策を実行できるのであります。(拍手)  総理はこのような転換を実行する決意があるかどうか、明確な答弁を求めるものであります。  最後に、三木内閣の政治姿勢について質問をいたします。  その一つは、十月天皇訪米に当たり、福田副総理の随行が決定されていますが、国会が経済危機の深刻化のもとで、その緊急打開策の徹底した審議を行わなければならない重大なとぎに、経済企画庁長官としての福田副総理がその責任を果たさず訪米することは、国会審議の軽視、無視であると言わなければなりません。(拍手)  総理は、昨年末、臨時国会で、政府部門に経済対策閣僚会議を設置し、一大物価作戦を福田副総理総括のもとに展開すると言明されました。これとの関係はどう説明されますか。福田副総理の訪米の取り消しを要求しますが、総理の見解を求めます。  その二は、政治資金の問題であります。  三木内閣が従来の高度成長型のパターンから抜け出せない一つの原因には、大企業とのつながりがあると考えます。こうしたときに、財界は自民党への政治献金を再開した、そのことが報道されていますが、わが党は、企業、団体からの政治献金を法的に一切禁止することを一貫して主張していますが、少なくとも当面、最小限、政府が料金や価格の許可認可権を持っている電力、私鉄、ガスなどの企業及び公害規制の重要な対象になっている企業や業界団体からの政治献金は、法的規制がなくとも、当然拒否すべきだと考えます。(拍手)  自由民主党の総裁としての総理は、この献金を拒否することをここで表明できますか。念のため伺っておきたいと思います。  その三は、小選挙区制の問題についてであります。  小選挙区制導入の問題は、政府・自民党首脳からしばしば発言をされています。総理自身も、前国会最終日の参議院本会議で、全政党の合意がなければやれないというものではない、少なくとも野党の主たる政党の合意が必要だ、などと述べました。  選挙制度は、議会制民主主義の基本にかかわる問題であります。総理は、あれこれの条件をつけるのではなくて、小選挙区制をやらないということを、無条件でここで言明できるかどうか、伺いたいと思います。  三木内閣に対する国民の支持率は、世論調査の結果を見るまでもなく、急速に低下してきています。もし、三木総理が国民の声に背く態度をあくまでもとり続けるならば、さらに厳しい国民の審判を受けることは必至であります。  明快な答弁を再度求めて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(三木武夫君) 金子君の御質問にお答えをいたします。  ベトナム戦争に日本が加担、協力したというそういう表現は、私どもはとらないわけでございます。  ベトナムの戦争が終結をしてわれわれの望むことは、ベトナムの国民が民族自決の原則のもとに、この地域の平和と安定とを取り戻して、そうして、民生の安定、向上を図っていけるように、ベトナムの将来に対して期待をいたしておる次第でございます。  また、日米の首脳会談というものに対して、何か新韓国条項の約束だと、こう断定をされて、日米の安保条約強化というものが、日米首脳会談によってもたらされたというお話でございます。  これは、御承知のように、いままでは韓国の安全というだけの表現であったわけですが、今回の場合は、北側にも目を向けた、朝鮮半島全体の平和と安定を考えるという、より安定した視野の上に立った新聞の共同発表であったわけでありまして、このことをとらえて、安保条約の強化というふうに考えることは誤りであります。  現に、日米の首脳会談においても、どのようにして朝鮮半島における緊張を激化させたり、あるいは、武力衝突が起こるような危険を防止するかという、有事に至らしめないために日米の首脳というものの関心はその点に向けられたわけであって、安保条約を強化するなどという話は、一言半句も日米首脳会談において出ておらないのでございます。  何か、日米両国の首脳が話し合えば、すぐ何でも軍事力の強化の話し合いをするのだと、初めから断定してかかる先入観は、私はなくしてもらいたい。(拍手)そうでないと、日米の首脳会談というものは、必要に応じて頻繁に開くべきものですが、会うたびに、軍事力の強化だ、強化だと、あらかじめ決めてかかる考え方、どうかそういう考え方はやめてもらいたい。そうでないと、日米の協力関係というものは、私は曲げられてくると思うわけでございます。  また、シュレジンジャー米国の国防長官と坂田防衛庁長官の話が、憲法の枠を踏み外した危険な徴候であるというお話でございましたが、坂田長官は私の信頼する閣僚であって、これは民主憲法というものを厳格に守ろうという民主的な政治家でございますから、したがって、シュレジンジャー米国防長官との話し合いの中に、憲法の範囲を超えた話し合いなどをするわけは断じてないわけでございます。金子君は、そういう新聞記事を見たとおっしゃるならば、その記事は誤りである、断じてそのような話し合いはない。これはそのように金子君は御理解を願いたいのであります。  それから、韓国の政治体制というものに対してどう思うかということでございましたが、これは私は、やはり韓国は自由と民主主義の国たらんと目指しておると思います。しかしながら、自由と民主主義には各国にいろいろな段階があり、障害があって、わが国といつも同じような過程をたどるとは限らないわけでございますので、いま私が韓国の政治体制をこの議場においていろいろ批判することは適当ではない、こういうように考えるわけでございます。  それから、韓国に対して、シュレジンジャー国防長官が、核兵器、これを配置してある、そして必要があったら先制使用するんだという、こういう発言というものをとらえられまして、いろいろ御質問がございましたが、その後、シュレジンジャー米国防長官自身の口から、そういうことは起こり得ない、こういう後退した発言があるわけでございまして、われわれとしても、朝鮮半島でそのような事態が起こるようなことのないように、それを防ぐためにあらゆる努力をしなければならぬと考えておる次第でございます。また、アメリカの核戦略というものについては、これはやはりわれわれとしても、アメリカの核の抑止力というものに対しては依存する面もございましたので、やはりこの現在の国際情勢のもとではやむを得ない面があると考えておる次第でございます。  また、核兵器の全面使用禁止ということについて、いろいろ御発言ございました。  それは一つの大きな理想だと私も思う。常にそういう理想に向かって努力することが必要でございますけれども、核兵器の全面禁止協定については、現在の国際環境では、まだそこまでいっていないと私は思います。すぐに核兵器の使用禁止、全面禁止という国際協定ができるような国際環境までまだいっていないと思いますので、政府は、まず核軍備を現状で凍結して、それを削減していくという、こういうふうな段階的やり方が、有効かつ現実的であると考えて、そういう方向に向かって努力をしたいと考えております。  また、国連総会における在韓国連軍の解体問題について、見通しと政府の態度という御質問がございました。  今次の国連総会で、朝鮮半島の平和維持のための法的な枠組みというものをどうするかということが、一つの問題になっておることは明らかでございます。国連軍の司令部の解体について、われわれは、やはり直接関係当時国で話し合いをすることがよろしい。そして、法的な枠組みを確保しながら、そして、直接関係のある諸国で話し合いをせよというのが、わが国の共同提案をしておる決議案の内容であります。実際上、在韓米軍の撤退を求め、また、朝鮮半島の平和維持のための当事者として、韓国を除外するというアルジェリア等の共同提案も一方にはあるわけです。二つの決議案があるわけです。しかし、われわれは、このわれわれの共同提案である方が、これはより実際的な、現実的な、建設的な案であると考えますので、各国の理解と支持を得たいと努力をしておる次第でございます。  また、PLOの東京事務所の設置について政府の見解をという御質問がございました。  政府は、PLOをパレスチナ人の代表的民族解放団体であると考えております。しかし、まだPLOは、国家あるいは政府とは言えないわけでございますから、国際法上の承認の問題というものは起こり得ないのでございます。政府としては、PLOの関係者が東京に私的性格の事務所を設置するために私的な資格で入国する場合には、入国管理令に従ってこれを認めようという考えでございます。  また次には、私がこの国際的なインフレ、あるいは石油危機に経済危機の原因を求めているということに対して、日本の経済の実情は諸外国より深刻である、その責任をどうするかというお話でございましたが、やはり金子君にも御理解願いたいのは、世界経済というものは、それほど相互の依存性というものが非常に深まってきておる。もういろいろな、輸出の問題にしても、エネルギーの問題にしても、食糧の問題にしても、これは世界の相互の関連性というものは深まるばかりであります。だから、五大国の首脳会議も開こうではないかという機運が出てまいった。何とかして世界が協力して、この世界的な、国際的なインフレ、この問題を解決しようかという議も起こるほど、国際的関連というものが深くなってまいりましたから、私は、すべての経済政策の責任を世界経済に押しつけようとするものではありませんけれども、しかし、大きな日本のインフレには、急激に石油の価格、原油の価格が上昇したということが急激なインフレのきっかけになったという事実は否定できないわけでございますから、やはり国際的な関連性というものを除外しては、今日の経済危機は考えられない、こういう判断でございます。  また、日本が世界各国よりも非常に経済の実態が悪いというお話でございましたけれども、実質のGNPとか失業率などの計数で見る限り、わが国の経済の実態が、諸外国よりもより深刻であるとは私は考えてはいない。しかしながら、われわれは物価は鎮静の方向にあるとは言え、インフレの克服にはある程度成功しながらも、不況というものについては、これは軽視することはできません。やはり失業問題なども、これは大きな社会問題になるわけでありますから、今後とも全力を挙げようとしておるわけでございます。不況からの脱出ということに全力を挙げようということに努力をしておるわけでございまして、経済政策というものに対して、いま政府が責任をとらなければならぬというふうには考えていない、われわれの経済政策は誤った方向をとっていない、こう信じておるわけでございます。  また、政府の一つの景気対策というものは、大企業本位の政策をとっているというふうに言われますが、大企業本位の政策をとっているわけではないし、また、とろうとも考えておりません。やはり、国民生活全体の質的な充実、社会的公正の確保、環境の保全を一体としたバランスのとれた経済社会の発展を図ろうというのが、政府の願いであるわけでございますから、大企業本位の景気対策をとろうという考え方はないわけでございます。  また、酒、たばこ、郵便料金の値上げ等が物価の上昇に対して拍車をかけるというお話でございましたが、公共料金というものは、それぞれ利用者が受ける便益の程度に応じて御負担を願うということにしなければ、これはやはり受益者の負担の原則というものがある程度確立をしないと、公共企業体というものはやっていけないわけであります。  しかし、われわれは予算の編成に際して、物価の安定というものを最重点といたしましたから、公共料金のほかにも引き上げたいというものが相当あったわけですけれども、これを特に厳しく抑制をしまして、最小限度、酒とたばこ、郵便料金の引き上げはお願いしようということで、今年度の予算にも計上したわけです。予算は通っておるけれども、この料金の引き上げというものは、まだ国会の承認を受けていないというわけでありますから、そういう予算の歳入の不足、そういうことが生ずるわけであります。  これに対して、やはり一般の税金によるよりかは、お酒を飲まれる人、たばこをのまれる人に応分の負担を願うということが、かえって公平なのではないか、こういう考え方で提出をいたしたわけでございまして、そのことで消費者物価上昇率一けた台の目標が達成できなくなるとは考えておらないわけでございます。消費者物価には影響しますけれども、それによって、もう一けた台の目標を達成するのは不可能になるとは考えていないわけでございます。  それから、雇用保険法に基づく失業給付に対して、いろいろ御質問がございましたが、これは大幅に改善されているので、これを適正に運用を図りますとともに、職業安定機関の全機能を挙げて再就職を援助してまいりたい。失業対策事業については、当面、打ち切るようなことはいたしません。継続実施する方針でございます。  中小企業など、企業一般と言ってもよろしいでしょうが、失業を防止するために法的な措置を考えないかということでございましたが、現在のところ、厳しい雇用情勢のもとでありますから、安易な解雇というものは慎んでもらわなければ困る。しかし、法的措置を講ずるという考えは、いまのところ持っておりません。しかし、政府としては、法に反するような解雇が生じないよう監督を今後強化してまいりたいと思っております。  また、雇用調整給付金は、支給の要件、助成率などは中小企業に手厚くなっております。  あるいは老人、身障者の住宅、その他仕事の確保などについては、厚生大臣からお答えをいたします。  それから、産業基盤と生活基盤とを対比していろいろお話がございましたけれども、追加する公共事業の内容についてはただいま検討中でありますが、水資源対策とか、国土保全とか、農業基盤とか、生活環境施設とか、道路など、そういういま生活基盤の投資と言われるような方面についても、適切に配分をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。  また、そういう場合に、地方税の財源補てん等の地方財政対策については、地方財政の運営に支障のあることがないように、適切な措置をいたしたいと考えておる次第でございます。  最後に、福田副総理の天皇御訪米随行についていろいろ御批判がございました。  天皇の御訪米ということは、これは歴史的なことでございまして、政治には御関係はないことでございますけれども、日米の友好親善関係、これの増進ということについて、きわめて意義のある御訪米でありますから、できるだけ御訪米が所期の目的を達成できますように、心から国民の皆さんとともに願っておるわけでございます。(拍手)  そういう意味で、福田副総理は、国会開会中でございますから、そういう点もいろいろな支障もあるとは考えましたけれども、非常に大事な天皇の御訪米でもありますので、ことに福田副総理は、前のヨーロッパに陛下がおいでになったときにも随行をされた経験もございまして、そういう意味からも、今回、特に福田副総理に天皇陛下御訪米の随行を願ったわけでございまして、いま、これを取り消す考え方は持っておらないわけでございます。  また、政治資金について、いろいろお話がございましたけれども、私は政治資金について窓口でもないわけでございますから、いろいろ細かいことは知りませんけれども、まあ企業から受ける政治資金というものについては、いろいろ御指摘の企業に限らず、節度のある態度が必要であることは申すまでもないと思うわけでございます。  選挙制度の改善について、いろいろお話がございましたけれども、これはいままで選挙制度審議会などにおいてもいろいろ討議された問題であって、政党本位の選挙には小選挙区がいいという、小選挙区制の支持者も相当にあるわけでございますけれども、まあ選挙制度というものは、一つの大きな政党間のルールでもあるわけでございますから、選挙制度の改正にはできるだけ野党の協力を得て改正をすることが妥当なことだと考えておる次第でございます。この問題については、やはり選挙制度は大きな問題でありますから、今後各党においても十分御検討を願いたいと思う次第でございます。  他は、関係閣僚からお答えをいたすことにいたします。(拍手)     〔国務大臣大平正芳君登壇〕

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質疑は、危機財政に対する財源対策についてでございました。  金子さんからいろいろな御提案がございましたが、租税特別措置を含めまして、税制全体を厳しく洗い直しまして、そこに財源を求むべきであるという考え方につきましては、私も同感でございますけれども、御提示になりました具体的な項目につきましては、にわかに賛成いたしかねます。  たとえば、租税特別措置にいたしましても、あるいは大企業に対する助成金にいたしましても、あるいは欠損金の繰り戻し、税の還付制度にいたしましても、それはいま総理からもお話がございましたように、特定の目的をもちまして政府が行っておる施策でございまして、大企業に偏重いたして考えたものでは決してないことは、たびたび御説明申し上げておるところで御理解をいただきたいと思うのであります。  また、防衛費の削減というようなことにつきましても、われわれといたしましては、国力、国情に応じまして最小限度の防衛費の計上をいたしておるわけでございます。こういった財政危機でございまして、四次防の達成につきましても、大変不自由をおかけいたしておるような状況でございまして、これ以上、防衛費を削減するという考えは、政府はいま持っておりません。  それから積立金、引当金等の大幅な圧縮でございますけれども、これは会計原則から申しましても、また将来の税源を培養する上から申しましても、むやみに圧縮できないわけでございまして、それにはおのずから限界がありますことは、金子さんに御説明申し上げるまでもないことと思うのでございます。しかし、全体として、先ほども申しましたように、歳出歳入全体を通じまして厳しく見直してまいって、危機財源の確保には全力を挙げてまいらなければならぬものと考えております。(拍手)     〔国務大臣田中正巳君登壇〕

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) お答えいたします。  インフレ、不況が身体障害者、老人等、元来、弱い立場にある人々にしわ寄せされることは、仰せのとおりであります。こうした観点に立って、施策の充実と細かい配慮が必要であることは申すまでもありません。  そこで、老人の住居の問題についてお触れになりました。  老人の住居一般については、建設省でいろいろ努力中でございますが、特にお触れになりました一人暮らしの老人の住居の問題でございますが、これらの人々を一律に、単独で公営住宅に入居させることは種々問題もありますので、各種老人ホーム等への入所を勧めることが必要な場合が多いというふうに思われます。  また、在宅者についてはホームヘルパー、介護人派遣、福祉電話等の施策の充実強化によって対処するととが適当かと考えられますので、その方向で努力を続けたいと思います。  また、在宅重度障害者に対しては種々の対策を講じてまいりましたが、特に福祉手当の給付がこの十月一日から開始されますが、今後ともこの手当の充実を図っていく所存であります。  老人に対する年金あるいは身障者に対する年金、手当等については、拠出制については、財政再計算時が五十三年でございますが、特にこれを二年繰り上げまして、明年度においてこれを行い、給付額及び内容を向上させるつもりで、いま努力をいたしております。  福祉年金につきましては、この財源がすべて一般会計に依存していること、また、五年年金等の経過年金とのバランスの問題もありまして、いろいろと問題がありますが、できるだけ向上いたしたいと思いまして、目下検討中であります。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣河本敏夫君登壇〕

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 中小企業についての二つの御質問がございましたが、第一の官公需の問題であります。  中小企業の仕事を増加させるために、官公需をできるだけ中小企業向けに振り向けるということは、政府の一貫した方針でございまして、昨年は約三〇%をこれに振り向けております。ことしの目標は、約三%増加をいたしまして、三三%前後を目標にいたしておるわけでございます。ただ、五割にしろと、こういうお話でございますけれども、仕事の性質上、一挙に五割にするということはなかなかむずかしい点があります。ただし、地方等は仕事の性質上、七割ぐらい中小企業向けに振り向けておるところもありますが、中央におきましても、なお今後努力を続けてまいりたいと思います。  第二の事業分野の調整問題でありますが、これまでも何回かこの問題でトラブルが発生をいたしました。いずれもその場合には、現行法の運用、あるいはまた適切な行政指導、こういうことによりまして、ほとんど全部解決してまいったわけでございます。そういうことで、今後もこういうトラブルが発生しないように十分調査もいたしますし、それから紛争処理のための機関を各府県に設けまして監視を続けますが、これまでのように、現行法の活用と行政指導によりまして十分やっていけるものと考えております。したがいまして、新しい立法措置を現在のところは考えておりません。(拍手)     —————————————

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 浅井美幸君。     〔浅井美幸君登壇〕

浅井美幸公明党

○浅井美幸君 私は、公明党を代表し、先日行われました三木総理の所信表明並びに外務大臣の外交方針演説に対し、総理初め関係大臣に質問をいたします。  国際経済社会の大きな変革の中で、わが国は先進工業諸国とともに、いまだ脱出困難なインフレ、不況の同時進行の波にのまれ、いまや戦後最大の不況に直面いたしております。企業倒産、失業の増大を中心に、企業経営はもとより、国民生活の破綻はいよいよ深刻な様相を示し、きわめて憂慮すべき状態にあります。  一方、わが国を取り巻く国際情勢、とりわけアジアでは、インドシナ戦後の激しい情勢変化のもとに、いまこそわが国は、真の平和確立のための政策を自主的に選択、遂行する重大な時期にあります。  言うまでもなく、今国会の最大の課題は、不況の克服であり、今国会の使命は、破綻に瀕する国民生活をどのようにして守っていくかを根底に置いて、不況克服、福祉経済への転換の展望を明確に示すことであります。(拍手)  しかしながら、政府は、このような国民の期待に背を向けて、みずからの責任を回避し、野党には政治休戦を呼びかけ、また、巨額の税収入の不足が政府の見通しの誤りのように言われているが、決してそうではない、政策選択の責任は回避しないが、国民の望んだ物価の安定について、政府の物価優先の選択が誤っていたとは思わない、と言っております。これは反省のない居直りの論理であります。  われわれは、責任ある国民政党として、現実を踏まえた実現可能な、また着実な改革を目指す立場に徹し、誠実に英知を集め、十分に意見を交わし、難局の打開を図り、国民の不安を取り除くために全力を尽くす決意であることを、まず表明するものであります。(拍手)  政府は、逃げ口上と開き直りの強弁によって、事態解決を紛糾させ、国民の政治不信をつのらせていることを反省し、改めるべきは改めるとの誠実かつ真剣な姿勢が絶対に必要であり、そうでない限り、国民の協力や信頼は期待できないことを銘記すべきであります。  確かに国民は狂乱物価の中から物価安定を望みました。ところが、大企業優遇の大枠を温存したままの総需要抑制政策は、そのまま中小零細企業、一般国民を締めつけ、さらに、物価と賃金の悪循環を断つことに一点集中した政策、すなわち大衆を窮乏化、貧困化させることによって物価を抑えようとする政策によって、消費性向の一層の冷却を招き、それが未曾有の不況の一大原因となっていることは周知の事実であります。(拍手)  その結果、一月以来今日まで大型化してきた企業倒産が、負債額一千万円以上の倒産だけで約七千五百件、その負債総額は一兆数百億円を数えるに至り、失業者は約百万人、潜在失業者を合わせれば二百万人に及ぶと言われ、求人倍率もすでに〇・五六倍に落ち込み、また、百万人を上回ると見られる来春の新卒者の就職難は、すでに自殺者を出している現状から見ても明らかであります。  私は、直面する難局を打開する経済政策は決して容易なことではないと承知しております。  しかし、三木内閣のとった政策とその運用が、景気の冷え過ぎをもたらしたことは余りにも明白であります。それを政治の失敗でないと政府は強弁し、物価安定を望んだのは国民であり、物価優先を選択した政府には責任はないと開き直り、物価安定を望んだ国民が景気の冷え過ぎをがまんすべきだという、まことに身勝手な論理をこの国会においても押しつけようとしております。まさに、三木内閣の反国民性はここにきわまったと言うべきであります。  労働者が春闘で、政府が設定した賃上げ一五%のガイドラインを下回る一三%でがまんしたのも、また、さらにそれより低い賃上げでがまんした弱体中小企業労働者も、職場と自分の生活を守るために、また、多くの失業者を出さないことと、物価の高騰を抑えたいと期待したからであります。  このような耐乏生活を強いられながら、その結果が、戦後最大の不況で報われたのでは、政府の政策選択に誤りはなかった、税収の不足は見通しの誤りとは思わないとするその姿勢について、国民は絶対に納得できません。(拍手)  さらに問題なのは、今国会は不況克服のための国会でありながら、そのために不可欠な補正予算がいまだに明らかにされていない。それにもかかわらず今回召集されたこと自体、三木内閣の無責任さの端的なあらわれであります。ましてや、酒、たばこ、郵便料金の値上げ法案を先議することを基本方針としておりますが、まさに言語道断と言うべきであります。  政府は、第四次不況対策と、今後提出される巨額の赤字国債を含む補正予算案について、野党の意見を尊重して、それを補正予算案や景気対策に盛り込む用意があるのか、さらに、予算案については、積極的に修正に応じるのかどうか。対話と協調を訴える総理なら当然のことと存じますが、その御決意を明確にお答えいただきたい。(拍手)  さて、政府・自民党の矛盾と独断を示すものは、先国会の積み残し法案の再提出を決めながら、衆議院で与野党一致して修正可決した独占禁止法改正案の提出をしなかったことであります。総理が経済活動の正常路線への第一課題として国民に公約し、先国会、五党が一致して修正可決したこの法案を、優先して今国会に再提出すべきであるにもかかわらず、先日の所信表明において独禁法に一言も言及しないのは、厚顔無恥のきわみであると批判されても、総理、あなたは反論できますか。前国会で五党が一致した独禁法改正案を本国会に提出するのかしないのか、明確にしていただきたい。しないのなら、その理由は何か、国民にわかるように答弁願いたいのであります。  加えて、またもや自民党内には、公正取引委員会の中立性と権限、その機構を改組し、その権限と機能を後退させようとする動きが見られるが、これに対しどう対処されるのか、総理の決意を明らかにされたいのであります。(拍手)  また、今国会が最優先に審議、可決成立をすべき法案は、国民が要求している、先国会で積み残された恩給や共済年金等の生活関連法案でなくてはならないと存じますが、これに対する総理の所信を伺いたいのであります。  さらに、総理は物価鎮静の成果を自賛しておられますが、当初政府の公約は、経済成長は実質で四・三%、消費者物価上昇は、来年三月で前年同月比九・九%でありました。それは、極度の不況、倒産、失業の脅威がなく、そして物価の鎮静を図るということであり、またそれを国民は期待しておりました。  しかるに、この国民の期待は半年間でもろくも崩れ、今後政府の不況対策が目標どおりの効果を上げ得た場合においても、経済成長は実質二・二%と、年度当初の見通しの半分に落ちるのであります。つまり、政府の政策が常にその場限りの対症療法的手法で行われるために、国民にしわ寄せがされていることを指摘したいのであります。  さらに、今回もし国民の反対を押し切って値上げ法案を強行成立させるならば、値上げ待機中の諸物価が一斉に高騰を始めることは明らかであり、成長は二・二%に、物価は九・九%に抑えますという今日の公約も直ちに崩れることになるのであります。もし崩れないと言われるならば、その理由と具体的な対策を、納得いくように総理から答えていただきたいのであります。(拍手)  さて、政府は今回第四次不況対策の規模を、約一兆五千億円の公共事業などの追加と、年末に予定している中小企業向け政府融資の追加約四千億円を合わせ、約二兆円とし、これによる需要の喚起は来年三月までで約一兆八千億円となり、年度間の経済成長率は二・二%になると見込まれております。  また、三兆六千億円を上回ると言われている歳入不足の補てんと合わせ、不況対策の裏づけとなる補正予算案では、二兆円近い赤字国債と建設国債一兆五百億円が発行されるやに私どもは予測しております。この予測につきまして、公明党は、すでに総理に、不況対策に対する基本的意見を「国民生活を優先する景気対策の実現」にまとめ、申し入れました。  この申し入れの基本的な考えは、景気の浮揚は、弱い立場の人々の生活を守り、一般国民の広い消費購買力をふやし、公共住宅等を中心に、国民生活の基盤整備を充実することを一体化したものでなければならないとするものであります。  しかるに、政府の不況対策は、依然として、産業の二重構造の中で、高度経済成長型の大企業中心の公共事業を急増し、生産財部門の需要拡大を通して景気の回復をさせるパターンを、またも踏襲しようとしているのであります。  総理が強調される対話と協調の精神が本当であるならば、われわれの主張をどこまで受け入れられるのか、以下、順次提案を交えて質問をいたしますので、具体的にお答えいただきたいことを要望しておくものであります。  まず第一に、減速経済、低成長時代の中で、私どもも、雇用問題と、その事業の持つそれなりの需要増加から、新幹線などの大型プロジェクトを頭から否定はいたしませんが、不況のしわ寄せと限られた財源の中で、当面の景気対策としての効果からも、当然優先順位というものが十分考えられねばなりません。特に、比較的短期で、できるだけ広い範囲で波及効果のある政策、これを選択し、また、その事業が直接国民生活の福祉につながることが望まれるからであります。  国民の生活と環境を改善し、さらに中小企業の有効需要を喚起させるためにも、大型プロジェクトより、国民生活関連公共事業として、公共住宅、生活道路、上下水道、公園、保育所、学校、社会福祉施設などに最大の力点を置いた公共投資を行うべきであると考えます。特に住宅は、個人融資による民間自力建設に任すのではなく、公共住宅の建設を強力に推進し、その用地対策に万全を期するとともに、また、持ち家建設については、地価上昇を積極的に抑える方策をとるべきだと考えます。これについて明らかにしていただきたいのであります。  第二に、地方公共団体の財源を強化しなければ不況対策の効果が上がらないことから、まず、国税三税の減収による交付税交付金の減額補てんをするとともに、追加公共事業の地方負担分を完全確保できるよう財源措置を講じ、超過負担が出ないようにすべきであり、また、国の直轄事業の地方公共団体負担金の納入繰り延べを図るべきであります。この点についての御所見を承りたい。  第三に、個人消費の喚起と生活不安をなくし、景気浮揚を一体化するため、不況のときほど社会保障の充実が必要であります。もともと、低い水準の老齢福祉年金、母子年金などの引き上げ、または現物支給による加給措置を図り、従来から言われ続けている国民年金、厚生年金の積み立て方式を、この際ぜひ修正賦課方式に改めるべきであり、やがては、年金などの老後生活保障、医療保障などは、国が行う社会保障として一定のナショナルミニマムを設定し、現在の複雑に分岐された制度を統合する方向へ制度の抜本的改革を図るべきでありましょう。  さらに、低所得者層の所得減税を実施し、国民生活を守り、個人消費の喚起を図るべきであります。総理並びに大蔵大臣の答弁をお願いするものであります。  第四には、不況の直撃を受けている中小企業対策については、わが国労働人口の大半を占めるその従業員数からも、きわめて緊急かつ重要な課題であります。政府三金融の緩和、融資枠の拡大と信用補完制度の充実をあわせて行い、また、返済延納措置の実施、さらに、わが党がかねてから提案している零細事業者に対する無担保、無保証、無利子の資金融通措置が早急に実施されるべきであります。この点についての答弁を求めるものであります。  特に、基本的な対策として、中小企業向け官公需を五〇%目標に増大すべきであり、下請企業については、下請代金支払遅延等防止法の運用強化と下請代金の優先支払いを、さらに、大企業の倒産に関連する中小企業の信用保証の特別措置、政府三機関の運転資金融資措置を強化することについても、あわせてお伺いしたいのであります。  第五に、雇用対策の充実についてでありますが、まず、社会への第一歩を踏み出そうとする新卒者の厳しい就職難について、どう対処されるのか。さらに、深刻の度合いを深めている中高年齢者、身障者、母子家庭の母等に対する雇用対策の強化を図るため、その対策機関を都道府県にも設置して、強力に推進すべきと考えます。要は、現在、企業の操業率の低下が失業を招いている大きな要因である見地から、第四次景気対策によって、企業操業率をどれほど向上させられるか、それによる失業者をどれほど救済できるのか、お答えいただきたいのであります。  また、倒産等による労働債権、社内預金については、先取特権を確立し、国の一時立てかえ制度を創設すべきであり、雇用保険については、基本手当の事務手続の円滑化、給付期間延長の臨時措置、失業中の傷病手当給付日数の延長、倒産、失業に伴う高校在学生の学習手当給付措置の実現を図らねばなりません。  また、健康保険の失業に伴う継続医療の延長とともに、傷病手当の給付期間の延長措置をとること等についてどのように考えておられるのか。総理並びに労働大臣の責任ある答弁をお願いするものであります。(拍手)  第六に、金融対策につきましては、特に歩積み両建てなど拘束預金の取り締まりを強化し、中小企業に対する企業選別融資をやめさせ、また住宅ローン等について、不測の事態による賃金減収に伴う返済猶予措置を実現することについて、まず答弁を求めるものであります。  さらに、公定歩合の引き下げの必要を認めるが、福田副総理は、預金金利の引き下げは必要悪だと、国民を無視して平然と言い切っております。預貯金の金利は、物価が安定したといっても、依然として預貯金が目減りする現状から、この金利の引き下げには強く反対するものであります。とともに、郵便貯金の金利引き下げは断じて行うべきではありません。また、従来の貸し損、借り得であると言われる企業優先の金利体系をこの際ぜひ是正することに手をつけるべきであります。どのように考えているか、あわせて御答弁願いたいのであります。(拍手)  予定される補正予算の赤字国債の発行については、その発想の根本にあるものは、不況対策と表裏一体となっている高度成長体制の温存であります。したがって、不況対策と歳入欠陥補てんのための安易な赤字国債の発行と公債政策がインフレ再燃につながることは必至であると言われております。  そこで、補正予算編成の前提条件は、まず歳入歳出の洗い直しを政府はどこまで徹底して断行するかということであります。  以下申し上げる事項について、総理並びに大蔵大臣の答弁を求めるものであります。  歳出においては、まず私は、旅費、物件、施設費と不急経費等の思い切った節減を要求いたします。これをどこまで実行するのか。  また、歳入においては、課税対象外となっている金融機関の貸し倒れ準備金については、当初大蔵省は現行の貸し出し総額千分の十を千分の五とする考えでありましたが、千分の八に後退をいたしました。これには預金金利引き下げとともに、銀行の政治献金再開と関係があるとさえ言われておりますが、後退の理由を明確に答えていただきたいのであります。同時に、預金準備率の引き下げが報じられているが、あわせてお答え願いたいのであります。  さらに、法人税法による欠損法人に対する前事業年度納税の還付は、四十八年実績でも百六十八件、五百五十四億円になっております。企業倒産のおそれや中小企業の場合を除き、この際中止し、これにかわるものとして、損金繰り越し適用期限の延長を図るべきであると主張します。ましてや、政治献金について、政治資金規正法改正による欠損法人の寄付の禁止は、三事業年度以上の継続欠損ではなく、一事業年度の欠損においても禁止をすべきであります。(拍手)  次に、経済基本路線の転換、安定成長は、景気に対する弾力性を持った経済の民主的発展の上に体制が組み立てられなくてはなりません。したがって、高度成長のために、大企業や有資産者を優遇して、資産蓄積のためにとられてきた租税特別措置を改廃するのは当然であります。この際、その改廃の具体的な方針を政府は示すべきであります。不公平な税制が社会的不公正をもたらした根本問題これを抜きにして社会的公正、福祉向上を云々することは矛盾もはなはだしいと言わねばなりません。したがって、この際、租税特別措置の改廃について具体的に示されたい。  さらに、交際費課税に対する重課措置を断行すべきであります。四十八年度実績で一兆六千四百五十九億円の企業交際費のうち、五千百五十六億円に対して課税されております。この際、交際費等の課税特例の適用期限の延長をするとともに、損金不算入率を限度超過額の一〇〇%として課税することを強く主張するものであります。(拍手)  この際、大蔵当局は直接大衆負担とならない新税を考えているかどうかも明らかにしていただきたいのであります。  少なくとも、以上の前提条件の結果を明確にするとともに、やむなく赤字国債を発行するとした場合に、この国債の消化と償還を具体的にどうするかについて明確に示していただかねばならないのであります。  まず、現在の経済下で巨額の国債発行をすることから、日銀では、市中金融機関の国債引き受け資金として手持ち国債の買いオペをするようであります。従来の消化実績と方法のままであれば、市中金融機関の巨額な国債引き受けのしわ寄せが民間向け貸し出し資金の枯渇につながり、最近の報道では、この融資を断っているという話まで伝わってきております。日銀券の増発、インフレにつながる懸念が大きいことは明らかであります。  また、一番大事なことは、償還財源を明確にすることであります。すなわち、減速経済の中で経済成長に頼る償還は不確定要素が大きい。したがって、これらの不安定要因を解消するためにどのような具体策を持っておられるか、答弁を求めるものであります。  わが党は、償還財源として、四十八年末六十八兆七千億円になっていた大企業の土地含み資産に対する再評価税を創設し、その徴税を年賦として国債償還財源とすることを提案しております。これについてどう考えられておるのか、あわせてお答えいただきたいのであります。  また、マネーサプライの伸びは、国民総生産の成長率の範囲内として歯どめをすべきであるが、この点についてどう考えておられますか。国債消化の一〇%程度であった個人消化率を高めるために、債券市場対策としてどのような手を打つのか、また、国債利率の引き上げをする考えはないかなどについて、総理並びに大蔵大臣の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)  次に、外交、防衛問題についてただしたいと存じます。  日米共同声明では、平和な世界秩序を実現するために、創造的な国際的対話とか五つの諸原則など、抽象的な理念や原則が美辞麗句によって飾られております。こうした口先だけの平和とか美辞麗句の理念だけを並べることではなく、わが国がアジアと世界の平和にどう対処していくかという具体的な政策と行動を国民の前に明らかにし、これを実行することが肝要であります。  その意味から、従来のアメリカの冷戦的発想による力のアジア政策に無批判に追随することを再び明らかにした新聞共同発表は、共同声明の原則と矛盾すると言わざるを得ませんが、その整合性をどう理解しているかをまず承りたいと思うのであります。(拍手)  共同発表に見られるいわゆる新韓国条項は、六九年の佐藤・ニクソン共同声明と何ら本質的に変わるものではなく、むしろ、朝鮮半島の平和維持を口実に、現行の安全保障上の諸取り決めが持つ重要性に留意し、かつ、米韓防衛、日米安保条約を重視したことは、日米韓の軍事同盟体制一本化の強化であることは明らかであります。  もし、総理が本心から朝鮮の平和を念願するなら、その具体策をここに明らかにすべきであります。  また、今国連総会の朝鮮問題討議に臨む政府の所信をそれぞれ明らかにしていただきたいのであります。  もし、朝鮮民主主義人民共和国との関係正常化を図らないとするなら、その理由は何かもあわせて伺いたいのであります。  次に、日米安保条約との関連についてでありますが、新聞共同発表は、アメリカが、核兵力であれ通常兵力であれ、日本への武力攻撃があった場合、米国は日本防衛の誓約を守ることを改めて確認する一方、シュレジンジャー・坂田会談が持たれたのでありますが、政府の意図する有事の際の防衛分担の具体的内容はどういうものなのか。さらに、有事とはいかなる場合で、だれがこれを有権的に判断するのか、きわめて不明確であります。これらの点について、総理の明確な説明を要求するものであります。(拍手)  また、総理は、北朝鮮からの脅威が存在すると考えているのかどうか。もしそうであるならば、その理由と根拠を示していただきたいのであります。  さらに、こうした軍事同盟体制の強化が朝鮮半島の平和に寄与するものと考えているのかどうかも明らかにしていただきたいのであります。  また、政府は、基地の安定的使用に対しては特別の関心を払いながら、基地返還と、これらの国民福祉への還元という国民的要求に対しては何らの意思表明もしておられませんが、国民不在の政策と言わざるを得ません。基地の返還にどう取り組むのか、明らかにしていただきたい。  それとともに、ポスト四次防についての考え方について、この際明らかにしていただきたいのであります。もし、四次防予算が大幅に増額を意図しておるならば、われわれは重大決意で対処せざるを得ないからであります。  次に、日中関係は、すでに復交実現以来三年を迎えようとしております。日中平和友好条約締結のネックとなっている覇権問題について、いかなる態度で臨もうとしているのか、また、平和友好条約締結をいつなさるのか、明らかにしていただきたいのであります。総理が日中共同声明に基づいていまや決断すべきであると思いますが、所信を承りたいのであります。(拍手)  過日、PLOの代表者が来日し、東京事務所の設置を要請したのでありますが、これにどう対処しようとするのでありますか。政府の見解をお伺いしたいのであります。  最後に、核防条約批准問題は、幾つかの難点を持つものであるとしても、私は、世界で唯一の核被爆国として、わが国が将来にわたって非核三原則を堅持すること、なかんずく核兵器の持ち込みを全面的に否定することを前提として、今国会において批准すべきと思いますが、総理はその意思があるかどうかをお伺いしたいのであります。  さて、最後に要求いたします。  政府の失政が今日の事態を生んだにもかかわらず、総理はその責任を何ら自覚しておりません。これはまさに傲慢と言うべき態度であります。わが党は、このような総理に強い責任を追及するとともに、われわれの意見を十分取り入れた不況対策を今国会において速やかに策定した上、衆議院を早期に解散して、信を国民に問うことを強く要求し、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(三木武夫君) 浅井君の御質問にお答えをいたします。  関係閣僚に対しての質問の通告もございましたから、景気対策は福田副総理、税制、補正予算、公債等のことについては大平大蔵大臣からお答えをいたします。  最初に、政府の経済政策の誤りということをいろいろ御指摘になりました。  浅井君がお考えになってもおわかり願えますように、四十八年の秋、原油価格の急騰によって国際的なインフレが起こったわけでございます。日本は、諸外国に比しても、物価の値上がりというものが異常な状態になり、狂乱物価とも言われたわけでございます。  国民の最大の希望は、何とか物価を安定してもらいたい、そうでなければ、国民生活というものが非常な打撃を受けるということで、私どもとしても、国民が言うからばかりでなくして、インフレというような状態が長く続けば、一国の経済の運営は健全には運営されないわけでありますから、したがって、物価安定を最重点の施策としたわけですけれども、物価が安定さえすれば景気はどうなってもいいというような、そういう二者択一という政策ではなくして、絶えず景気の動向にも注目をしたわけで、そのために第一次、第二次、第三次と不況対策もとってきたわけでありますけれども、まだその当時は物価の鎮静というものに対して見通しが立ちにくい状態にもありましたことですから、思い切った景気対策というのはとれなかったわけでございますが、政府が物価安定に掲げた目標というものは、いずれも目標を下回るような水準において実現をしてきておるわけで、国民に政府が約束した物価安定の目標はことごとく公約を果たしてきておるわけでございますから、こういう情勢を踏まえて、ここらで思い切った景気対策をとろうということで今回の景気対策を打ち出したわけでございます。  こういう激動期でございますから、歳入の不足、税収の不足などに対しても、こういう不足を来さないことがいいことは当然のことでございますが、どうもこの激動期というものは、税収に対しても非常に過ぎる場合があり、足らぬ場合があり、過不足というものが起こりがちでありますが、そういう点で、一面やむを得ない面もあったと考えておるわけでありまして、大きく言って、三木内閣の経済政策は誤ってはいない、こう考えておるわけでございます。(拍手)  また、独禁法の改正について、浅井君からいろいろ御質問がございました。  独禁法の改正は、衆議院で全党一致で通過したわけでございますから、この事実は尊重しなければならぬと考えておりますが、残念ながら、参議院において審議も何らしないままに廃案になったわけでございますから、法案はやはり出直さなければならぬわけでございます。  しかし、この国会は緊急に解決を要すべき案件を非常に抱えておるわけでございますから、独禁法の改正は、参議院において審議に相当な紆余曲折が予想されるわけでございますから、この問題に直ちに取り組んだのでは、緊急を要する重要法案の審議に差し支えがあってはいけないと考えまして、自民党でいま再調整をいたしておるわけでございまして、この再調整の結果を待ちたいと考えておるわけでございます。  しかし、自由経済というものに対しては、やはり公正なルールが要ると、こういう私の考え方が何ら変化をしたものではございませんし、また、この独禁法の改正によって、公取委員会の中立性、独立性というものは尊重してまいりたいと考えておる次第でございます。  また、補正予算に対して、野党の修正に応ずる意向があるかというお話でしたが、やはり野党のいろいろ御意見、公明党の御意見も私はよくいろいろと承ったわけでございますから、まあ野党がなるべく修正を必要としないような補正予算を提出したいと考えておる次第でございます。  それから、酒、たばこ等の値上げ、こういうことから物価の上昇の目標としておる一けた台というのは、なかなか達成が困難ではないかというお話でございましたが、やはり酒、たばことか郵便料金というものは、これは予算案は御承認を願って通過しておるわけで、予算に関連する法案でございまして、また、酒、たばこ、郵便の料金というものは、やはりこれが成立をしないということになれば、他の方法を講じなければならぬ。やはりこういう公共料金は、それを利用されたり、あるいは酒、たばことなれば、それを消費される方にある程度の御負担を願うということでなければ、もうすべてそういう問題は、それを利用したり消費したりする人に負担さすことがいけないんだということになりましたならば、こういう公共企業体というものは成り立たないわけでありますから、受益者負担の原則というものは、やはりひとつ確立していかなければならぬと考えております。  また、酒、たばこ、郵便の料金値上げによって、政府の、来年の年度末、三月の消費者物価の上昇率を一けた台にするということは、その目標の達成を阻害することのないように、万難を排して、政府の目標達成に努力をしたいと考えておる次第でございます。  それから、今度の景気対策においては、やはり上下水道とか、公園とか、農業基盤の整備とか、道路とか、国民の福祉とか、生活環境の整備に配意しながら、公共事業費八千億円以上の追加を行うことにしたわけでございまして、住宅金融公庫の融資枠の拡大とか、中小企業対策とかを大きな柱にして、国民生活全体のバランスのとれたような一つの公共事業にしたいものだという考え方で、いませっかく検討を加えておるわけでございます。  それから、地方財政については、浅井君の御指摘のように、地方財政の現状というものはわれわれは十分承知しておるわけでございますから、その運営に支障が生ずることのないよう適切な処置を講じてまいる考えでございます。また公共事業の追加などによって、それに伴う地方費の負担についても、必要な財源処置を講じてまいりたいと考えておるわけでございます。  福祉年金については、五十年度において大幅な改善を行ったわけでございまして、巨額の財源を必要としますから、他の施策とのバランスを検討して考えなければならぬと思うわけでございます。賦課方式の採用などについても、これは将来にわたる負担等も十分配慮して、今後の研究課題にいたしたいと思うわけでございます。  中小企業の対策については、これは特に中小企業対策というものは、政府も重点を置いてまいりたいと考えるわけでございまして、官公需の確保であるとか、中小企業の金融の円滑化とか、下請代金の支払い遅延の防止など、きめの細かい対策を講じて、中小企業にしわ寄せができるだけまいらないように、施策を充実してまいりたいと考えておるわけでございます。  雇用対策については、公明党のいろんな御提案も承知しておりますが、労働大臣からこれはお答えをいたすことにいたします。  それから、日米の首脳会談について、共同声明は何かこう非常に抽象的な原則であるというお話でございましたが、これはやはり日米の両首脳が原則を決めたわけです。こういう原則のもとに日米が協力をしようということでございましたから、細かい具体的なものに触れないことは当然でございます。そして、日米両国の首脳が、民主主義の国家として共通の価値観のもとに、将来とも末永く協力していこうということの基本的な方向と諸原則をうたったわけでありまして、また、共同新聞発表は、具体的な問題に対して実務的に書かれており、両者とも、それなりの意味を持つものであって、両者間の矛盾はないと私は考えておるわけでございます。  また、今回の新聞の共同発表などをとらえて、日米の安保強化、あるいは日米間の軍事同盟体制の強化というふうに浅井君はおとりになっておるようでございますが、しかし、今回の新聞共同発表をごらんくださってもおわかりのように、いままでは韓国だけの安全ということになっておったのを、今度は朝鮮半島全体の安定というものを考えるという、従来よりもより安定した表現になっておるわけでございまして、この表現をとらえて、日米軍事同盟の強化と評することは、これはやはり事実に反すると思います。  また、大統領と私との話し合いの中にも、どのようにして朝鮮半島に緊張が激化したり武力衝突が起こらないようにするか、どうしたら武力衝突を防げるかということが最大の関心であったわけで、安保条約の強化という話などは、一切そういう話は出ておらないわけでございますから、どうか浅井君にお願いしておきたいことは、先刻も申したのですが、日米の首脳が話したら、いつも軍事力の強化の話をするという先入観念だけは、ぜひともこれはお取りを願いたいと思うのでございます。(拍手)  やはりいま日本は、貿易の面とか、あるいはその他の資源、食糧、国際協力の面から見ても、日米関係は大事であります。日米の協力関係を維持するということは、これはきわめて日本の存立、日本の発展のために重大でございますから、何でも、話をすれば軍事力強化だけしか話をしないという狭い了見は変えていただきたいとお願いをするわけでございます。  それから、朝鮮半島の平和を念願すると言うなら、それならば、日本はどういうふうにこれからするのかという御質問でございます。  私は、やはり朝鮮半島の緊張を緩和するために日本は努力をしなければならぬと思うわけでございまして、そのためには、南北朝鮮の情勢判断をお互いに誤るというようなことが一番危険でありますから、これはできるだけ、南北の対話というものがいま停滞しておりますけれども、何かこういうことが再開できないかと願っておるわけでございまして、相互の不信感というものを解消しないと、いろいろな誤解、情勢の判断の誤りというものが生ずるわけでございますから、どうかそういう日の近からんことを願うわけでありまして、日本としては、北鮮との間に、所信表明でも申したように、いますぐに承認ということにはいきませんわけでございます。  それはなぜかと言えば、急激に国際関係というものに変化を与えることは、かえって安定に役立たないのです。やはり時間をかける必要があるので、そういう意味から見て、承認ということは考えてはおりませんが、経済とか、あるいはまた文化とか人物の交流を通じて日本は北鮮との間にも理解を深めていきたい、そういう考え方でございます。  したがって、そういうことを通じて、朝鮮半島の平和と安定というものがより確実になるように日本はできるだけの努力をすべきである。あそこに武力衝突が起こったならば、これはもう日本の平和と安全にとりまして容易ならぬことですから。そういうことですから、努力をいたしたいと思うわけでございます。  国連の朝鮮問題の討議についてもいろいろお話がございました。  外務大臣の指名をしての要求がございませんから、私からお答えをいたすわけでございますが、国連の朝鮮問題の討議には二つの決議案が出ておるわけであります。  日本はアメリカやイギリスと共同の決議案で、それは、国連の司令部を解体するという用意のあることを明確にしつつ、朝鮮半島の平和の維持のための法的な枠組みを確保するについては、直接両当事国間で話し合ってやるべきだというようなことが、日本やアメリカ、イギリスの共同決議案の趣旨であります。この案の方が、やはり半島の平和と安定の達成のためには現実的だと思うのです。また、より建設的でもある。この点を多数の国々に説明をして、支持を求めているわけです。  一方、アルジェリア等の北鮮の支持国から別の決議案が出されておる。その案は、米軍の即時撤退を要求、あるいは、平和協定の当事者として韓国を除外している、こういう点に問題が多いわけでありますから、わが国としてはどうも現実的でないのではないかというので、これは賛成をいたしがたいと考えておるわけでございます。  それから次に、今回の共同新聞発表の中に、いかなる外部の攻撃に対しても日本を守るということを再確認したのは、どういう意味だという御質問がございました。  これは宮澤外務大臣とキッシンジャー長官が、先般宮澤外務大臣が訪米したときにも、こういう再確認をされたわけでありまして、こういうことは、もうすでに何回も何回もアメリカが言っておることでございますから、改めて必要もないわけでございますが、核防条約の批准などに関連して一部に不安もありましたから、すでに何回も何回も確認されたことでありましたけれども、今回の共同新聞発表にもこれは入れたわけでございます。特別に新たな意味を持っておるわけではない。アメリカが従来言っておる、この約束は必ず守ると言っておることを、これを共同新聞発表の中に入れただけのことでございます。  それから、日米間の協力の具体的——いろいろ防衛問題について御質問がございましたが、これはむろん先般のシュレジンジャー国防長官と坂田防衛庁長官との話し合いも、憲法の枠内で日米協力をするという大きな枠の中の話であるということは、先ほど申したわけでございます。  それから、朝鮮半島における軍事的脅威というものに対していろいろ御質問がございました。  この脅威という問題については、私から、脅威があるとかないとかいう、第三者が言うべき、判断する問題ではなくして、やはり両当事者の判断が重要だと思うのですが、南北問にこう不信な感情がありますから、南北の間に緊張の状態があることは、これはまあ否定できないと思います。そういうことで、いま南北の緊張状態はあっても、しかし南北の均衡状態というものが保たれておるわけですから、これに急激な変化を与えないことが必要だと考えるわけで、在韓の米軍というものが引き続いて駐留することが必要であると考えておる次第でございます。  次に、米軍基地の問題からポスト四次防のお話がございました。  政府は、日米安保条約の目的達成に必要な施設及び区域を米軍使用に供していく考えでありますが、従来からも民生との調和を図りつつ、米軍の施設の合理的な整理統合に努めてまいったわけでありまして、今後も引き続いて努力をいたします。  わが国の防衛は、米軍との安全保障体制を基軸にして、わが国自身も国力相応の防衛力を保持することを基本にしておるわけでございます。国防は政治の基本であって、防衛力は一朝一夕に建設できるものではありませんので、ポスト四次防についても、防衛力整備の計画を計画的に推進する方針でまいりたいと思っております。  それから、日中の平和友好条約については、日中の両国が永遠にわたって平和友好関係を維持していくことが、日中両国のためにも必要であるし、アジアの安定のためにもこれはきわめて重要なことでありますから、日中平和友好条約の交渉をできるだけすみやかに妥結いたしまして、友好関係の基礎を固めたいと考えております。  交渉の核心は、覇権反対という問題をどう取り扱うかということにあるわけでございますが、私は、やはり常々申しておるように、覇権反対という問題は普遍的な平和原則の一つである、こういうふうに考えておるわけでございまして、問題の核心に戻して、そして日中平和友好条約を締結して、日中永遠の友好関係の基礎を確立するという大目的に沿いたいと考えております。  PLOの東京事務所については、これはいまPLOは政府とか、あるいはまた国家とかいうものではございませんから、私的な性格の事務所を設置するために入国をしたいという場合には、入国管理令に基づいてこれを認める考えでございます。  それから、非核三原則を厳重に守ることによって、核防条約の批准を今国会で行うべきだという浅井君の御指摘に対しては、私も同感であります。  それは、どうも日本は核武装をしないということを繰り返し言っておるわけでございますが、核武装しないというのに、日本が核防条約をいつまでも批准しないということは、何か日本は核武装を考えているのではないかという疑心暗鬼を世界に与えておることは事実であります。やはり非核三原則というものに対して、それを厳重に守っていこうということが国民の決意であるとするならば、やはり核武装をするという機会を断つということが、それがやはり行動として、正確に日本の立場というものを世界にも理解させる道でありますから、私はできるだけ早く核防条約を批准して、日本はもう核武装は考えていないんだということで、そして日本は国際的にも説得力がありますから、核武装できない国が言うんじゃないのですから、核武装をやろうとすればできる国が核武装をやらないでやるということになれば、核軍縮に対しても国際的に説得力が生まれますし、また、世界の核というものが世界的に拡散されるということは、非常に危険なことですから、日本のようなこういう国が核防条約に参加するということは、大きなやはり核拡散に対する歯どめになることは事実ですね。どうか、浅井君の言われるように、幸いに継続審議になっておるわけですから、早期な批准を願う次第でございます。  また、解散についてのお話がございましたけれども、いま、私はこの難局を打開するということ、これに全力を向けるべきだという考えで、解散ということは、全然考えてはおりません。  お答えいたします。(拍手)     〔国務大臣福田赳夫君登壇〕

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。  私に対しましては、戦後最大の不況をもたらしたのは政府の政策運用の誤りではないか、そういう御所見についてであります。  私は結論をはっきり申し上げますと、総理大臣同様、大筋におきまして政策運営の誤りはなかった、さように申し上げたいのであります。  とにかく、一昨年のあの下半期の経済混乱、これは異常であり、異様であったわけです。物価は狂騰する、また国際収支は百三十億ドルの大赤字、また経済秩序は非常な乱れとなってくる。私は、あれはどうしたって三年ぐらいの時間がかからなければ、ああいう混乱から本当に脱出、安定はできない、こういうふうに思ったのです。しかし、さあ、そのさしあたっての問題は何だといえば、何といっても、このインフレの火を消しとめなければならぬ、そういうことで、昭和四十九年度の政策の中心課題は、このインフレの火を消しとめる、そのための総需要抑制政策を強力に推進する、そういうことだったのです。  一年たって、四十九年度を顧みれば、これはもう物価はさま変わりに落ちつきの様相を示してきておるのであります。私は、あの様相、結果を見まして、国民の皆さんは、ああよくやってくれたと、こういうふうに思っておると思うのです。また同時に、国際社会におきましても、このことは高く評価されておるのです。このことも御承知願いたい。  いまわれわれは、第二年目のちょうど中間に来ておるのです。そうして、第二年目の課題は、この物価安定の基調というものを踏まえまして、そして経済活動をどうして盛り上げるか、こういうことです。  いま現状をよく見てみますると、物価はさらに安定の基調を増しておるのです。他方におきまして、経済活動の方は、これはもう非常に勢いが弱い。三月から生産はずっと伸びておる。したがいまして、出荷もずっと伸びてきておるのです。また、そういう状態を受けまして、稼働率といいますか、この指数は、三月の七七%、これを底といたしまして、今日八三%まで回復をしておる、そういう状態です。マクロで見ますると、上昇過程にあるのでありまするけれども、ところが、いま経済界全局といたしましては、苦悩が満ち満ちておるという状態です。  これは一体何だと言いますると、あの一昨年の問題なんです。これはあの打撃がいかにも強烈である。そこで、まあ経済はなだらかではありまするけれども、回復過程には向かっておる。向かっておりまするけれども、操業度がいまだ八三%、まだ一〇〇というところまで行かない。そこで、マクロではいい日本経済ではありますけれども、一つ一つの企業をとりますると、過剰の人員を抱えておる。その人件費負担が非常に重い。また、過剰の設備を抱えておりまするから、その金利負担というものが非常に重い。そこで収益が各企業ごとには非常に悪い。つまり、マクロではいいけれども、ミクロ、各企業ごとに見まするときに、日本経済、日本企業というものは非常に苦しい立場にある。これが私は、この経済の現状認識としなければならぬ点である、こういうふうに見ておるのであります。  そういうことを考えまするときに、何にしても、これは最終需要を起こさなければいかぬ、そうして稼働率を上げていかなければならぬ、そういう考え方をとらなければならぬと思うのでありまするけれども、さて、この最終需要の最大のものである国民の消費はどうか、まあ沈滞ぎみであります。  この沈滞ぎみである国民の消費に対しまして、人工的にこれを刺激するという考え方は私はとりたくないのです。とるべきじゃないと思う。いまは資源有限時代に入ってきておる。そこへ人工的に消費刺激だということで、また、これが使い捨ての大量消費社会というようなことになっては困る。また、一面におきまして、われわれはこれから多額の公債を発行しなければならぬ。そのための貯蓄ということも重要視しなければならぬわけです。そういうことを考えますと、減税でありますとか、そういう手段も、それはないわけじゃありません。ありませんけれども、そういう人工的な手段を加えてまで、ここで国民の消費を刺激する、これは妥当ではない。  ただ私は、今日国民の消費が沈滞しておる、これはインフレの効果である、影響である。インフレがおさまる、それからまた、経済が安定するにつれまして徐々に復元していく、これを待つほかはない。  それから、設備投資その他はどうであろうかといいますれば、設備投資は、これはとにかく、これだけの過剰設備を抱えておる企業の状態でありまするから、これに景気回復の牽引力を求めるということは、これはなかなかむずかしいことです。  さて、第三番目の輸出はどうだといいますれば、これはいまは世界がみんな景気が悪いのです。アメリカでもマイナス成長だ、ドイツでもマイナス成長だ。そういう際でありますので、輸出、これは工夫の余地がないわけじゃありませんけれども、しかし、これに大きな期待、つまり景気牽引の主力を頼むわけにはいかぬ。そこで結局残るところは何だというと、財政がその任務を担任するということになるわけなんです。  財政は、非常にいま税収落ち込みで苦しいわけでありまするけれども、とにかく経済をここで再建しなければならぬ。そのための任務というものは、ひとつ財政に求めるほかはない。こういうことで、第四次不況対策、景気対策を決めたわけです。財政主軸の景気対策、こういうことになるわけです。  財政措置は一兆五千億円以上になります。これによる最終需要創出効果は三兆円を超えるものと見ます。そのうち六掛け、つまり一兆八千億程度のものが、当昭和五十年度において実現をする、こういうふうに見ておるのでありまして、そうしますと、下半期における年間平均成長率は六%、また年度平均で言いますると、いま何らの対策を講じないと、大体実質一%くらいの成長になりそうなものが、二・二%となるのです。  浅井さんは、そういう中におきまして、インフレの心配はないか、こういうことを懸念されておりますが、私は、いま物価の情勢を見ますると、とにかく春の春闘において、労使の協力によって、あの賃金水準というものはまあなだらかに済んだ。また海外からの輸入物価、これも大体において落ちつきの模様を見せておるのであります。また、卸売物価が、もう前年の同期に比べまして、今日の時点は実に〇・八%の上昇である、こういうような状態であります。それらのことを踏まえて考えまするときに、今後、注意してまいりますれば、物価はさらに安定基調に向かわしめ得る、こういうふうに考えるのであります。  もっとも、この財政が、今度は非常に赤字が出てくるという状態でもある。それから同時に、赤字財政の上に景気対策をとらなければならぬというような立場でございまするけれども、しかし、そういう景気対策はとりまするけれども、これによって物価の安定を乱しちゃならぬということ、これは政府のかたい方針であります。  政府の期するところ、願うところ、これはインフレのない成長であるということを、はっきり申し上げます。(拍手)     〔国務大臣大平正芳君登壇〕

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 税制と、その運用につきまして、御意見を交えて御質疑がございました。  第一は、金融機関の貸し倒れ引当金を千分の五にまですべきではないか、千分の八にいたしたのは後退でないかという御指摘でございます。  私ども、千分の五を譲ったわけではございません。とりあえず千分の八まで詰めまして、これを達成した暁におきまして、どういう手順で千分の五に迫るかということを検討いたしたいと考えております。  それから、第二の点は、土地再評価税を考えるべきでないかという御意見でございます。  きのう武藤議員にもお答え申し上げましたわけでございますが、私は、それはとるべきでないと考えております。何となれば、いま土地を再評価いたしますと、未実現利益に対する課税でございますので、当然、税率は低くなるわけでございます。したがって、転売が行われた場合におきましては、再評価措置を行わない場合よりも税金が少なくなるというような矛盾を生ずるおそれがあるからでございまして、せっかくの御提案でございますけれども、私は賛成いたしかねます。  第三の問題は、交際費課税についてでございますが、これは、浅井さんは一〇〇%まで課税対象にすべきでないかという御意見でございます。政府としては、今日まで逐次詰めてまいりまして、百分の七十五まで課税対象にやってまいったわけでございまして、ただいまのところ、これをさらに強化するという考えは持っておりません。  租税特別措置法の見直しでございますが、これは仰せのように、毎年われわれもやっておりますけれども、なお厳しく見直すことにつきましては、御指摘のラインに沿って努力いたしたいと考えております。  それから、第二に、地方財政につきましては、総理から総括的な御答弁がございました。この点は、交付税額がどの程度の減収になりますか、地方税の減収がどの程度になりますか、いま私の方と自治省の方で詰めておるところでございまして、したがって、この減収額が確定した上で、それを踏まえて自治大臣と御協議して、総理大臣がいま言われたようなラインに沿って措置いたしてまいりたいと考えております。  ただ、超過負担の解消につきましては、財政が苦しいからといって、これを放置するというようなことのないように努力してまいりたいと考えております。  金融政策につきまして、全般の金利の引き下げを今度の第四次不況対策でうたい上げたわけでございます。  これはきのうもお答え申し上げたところでございますけれども、総需要抑制策の一環として、政策的に今日まで引き上げてまいりましたものを、環境が変わってまいりましたので、漸次もとに戻していくということでございますので、金利体系のバランスのとれた引き下げを図るという方向でやってまいりますので、郵便貯金につきましても、御協力を願いたいものと存じております。  それから、歩積み両建て等の拘束性預金の改善につきましては、御指摘の方向で努力いたしておりまして、各金融機関にわたりまして、しかも中央、地方を通じまして、逐次、改善の実が上がっておりますけれども、なお御指摘のような方向で極力努力してまいるつもりでございます。  預金準備率の引き下げは考えないかということでございますが、ただいま考えるつもりはありません。  中小企業金融、それから零細企業金融については、周到な配慮を御指摘のラインに沿いまして努力してまいるつもりでございます。  最後に、公債政策でございます。相当巨額の公債を発行せざる得ない状態に相なっておるわけでございますが、その消化につきまして心配がないかということでございます。  この点は、大量の財政資金が中央、地方から金融市場に投入されるわけでございますので、金融の循環が保障されるならば、マクロ的には公債の消化資金に事欠くことはないと思うのでございますけれども、この条件をどうするか、マーケットのオペレーションをどのように進めてまいるかということにつきましては、できるだけ周到に配慮してまいるつもりでございます。(拍手)     〔国務大臣長谷川峻君登壇〕

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。  雇用問題、多岐にわたっての御質問でありましたが、先ほど副総理から話のありました第四次景気政策によって、その雇用、失業情勢の改善を待つと同時に、いまやっておりますことは、第一は、やはり高年齢者を重点に機動的な職業紹介と職業訓練をやること。第二番目には、お話のように、心身障害者あるいは寡婦、さらにまた高年齢者等、一度離職しますとなかなか再就職のむずかしい方々、こういう方々の離職のないように事業主に対して指導を強化すること。さらに、最近問題として関心をいただいております。来年の春大学卒業生の求人などが、大企業を中心にして、中止あるいは削減が見られておりますが、これはおっしゃるように、中央、地方を通じての職業安定機関を相互に連携させて、大学と緊密な連携の上に、求人の確保、さらには学生に対するところの指導を強化して、来年の春までには全員就職させたいという方向で、努力しておりますことを御報告申し上げます。  さらにはまた、労働債権、社内預金のこういう先取り特権の問題についても具体的に検討をしているところでありまして、必要な施策の実現に努力してまいりたい。  さらに、賃金の未払いについては、これはさきの国会の社会労働委員会の決議などもありますので、明年度から何とか具体的なものを実現してみたい、こう思っているわけであります。  雇用保険等の問題につきましては、前の失業保険制度よりはずうっと上向きでありますし、高年齢者の場合には三百口も実は失業給付をしておりますので、そういう線でいろいろ考えてまいりたいと思うのであります。  最後に、お話のありました高等学校在学の学生の失業の場合には、いままで入っている者につきましては、そのまま失業給付をして援護してあげる、こういうふうなことになっておりますから、御理解をいただきたいと思います。(拍手)     —————————————

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 塚本三郎君。     〔塚本三郎君登壇〕

塚本三郎民社党

○塚本三郎君 去る十六日行われました三木総理の所信表明演説に対しまして、私は、民社党を代表して質問をいたし、総理の所信をただしたいと存じます。(拍手)  三木総理、あなたは、本臨時国会は一体何を目的にして召集されたのでありましょうか。私どもには一昨日の演説をお聞きしましても、なおその目的と意義がはっきりと受け取れないのであります。  昨年末より約一年間、空前の不況に見舞われた日本経済は、破産、倒産が相次ぎ、ついに雇用不安をも増大しつつあります。政府はこの不況を克服し、景気を回復することに全力を尽くし、それがために、一刻を争って臨時国会を召集されたものと受けとめたいのであります。  しかるに、今日ただいまの時点で、それが具体策は何一つ提示されていないではありませんか。一昨日の三木演説は全くの月並みな総論の演説に終始し、私どもの耳には、三兆円を上回る歳入欠陥があり、巨額の国債の追加発行が避けられないという、経済評論家もどきの解説の声が残っているだけであります。そして、むしろ物価を一けたに抑えたことを自慢げに強調しておられます。それでは、一体これからわれわれ議員は、何を審議せよと求められているのか、不明のままであります。  本臨時国会の目的は、歳入欠陥に対する責任を明確にし、具体的数字を提示して補正予算の審議を求めることが、まずその第一歩でなければなりません。聞くところによれば、補正予算案を初め、具体的なことは、十月にならなければ提示できないとのことのようであります。また一説には、先国会の積み残し法案をそれまでにまず成立させたいとの声も聞こえてまいります。それならばそれで、われわれも大いに協力することを約束いたしますので、まず真っ先に、前国会で全会一致で成立した独禁法を提出してこられることが話の筋ではございませんか。(拍手)  前国会で三木総理が執念を燃やして通過させた独禁法は提出しないと決定しておいて、なおかつ前国会の積み残し法案を優先審議するとなれば、酒、たばこの値上げ法案のみを頭に置いたとしか考えられないではございませんか。すでに酒、たばこ値上げ法案の提出は閣議決定をしておられるようでありますが、そのことの是非は、国会がそれを判断いたしましょう。  だが、私は三木総理にはっきり申し上げたい。三木さん、あなたが大平さんの立場をおもんぱかって、わざわざ、補正予算案ができてないのに早期国会を召集した目的がそこにあるのなら、なぜ堂々と値上げ法案を先議するのだと所信表明演説をなさらなかったのでございましょうか。あなたの演説には、この点は一音も触れられていないではありませんか。閣内にも閣外にも、きれいごとだけで事態を切り抜けようとなさる姿は、三木内閣の延命策以外の何物でもありません。一国の宰相としての三木総理の政治姿勢について、まず第一にこの点をお尋ねいたさなければなりません。  独禁法については、きのうの社会党代表の質問に答えて、参議院通過に日時を要するから提出をしなかったと述べておられますが、私どもは、先国会に全会一致で成立した三木さん御執念の法案を、そのままの形で議員提案にいたす考えを持っております。そして、参議院成立についても異例の協力を約束いたしましょう。そのとき三木総理は、いかなる理屈を並べてこれをお断りになるつもりでありましょうか。それとも、野党の熱意にこたえ、改めて御賛成いただけましょうか。その御答弁によって、三木内閣の政治姿勢をしかと見届けたいと存じますので、明確なる御答弁を重ねてお願いをいたします。(拍手)  この際、国会の解散について、一言お聞きしておきたいと存じます。  昨日来、各党代表の質問に答えられる三木総理の御答弁は、解散はいたさない、私の念頭にはみじんもないと、はっきり否定しておられました。しからば、任期いっぱい解散はしないと、この場でお約束できるかどうか。われら議員の身分のことでもありますので、はっきりとお答えをいただきたいのであります。  質問の第二は、不況の克服についてであります。  三木総理は、この空前の不況は、石油危機を契機として世界的規模でインフレが起こり、それを克服する過程で不況が広がったと、経済評論家もどきの説明をしておられます。私どもは、この不況は、三木内閣の経済政策の失敗が原因だと指摘し、その責任を痛感する立場で対処せよと主張いたします。  すなわち、インフレ克服のためにとられた手段は、総需要の抑制と、それがための金融の引き締めのみでありました。  そもそも、総需要の抑制とは、総枠の縮小であって、経済全体を一律に切り捨てることではありません。すなわち、総枠を小さくするが、産業の中でも、大幅に引き締めるものと、むしろ大きくしていかなければならぬものとを一つ一つ点検し、きめ細かな施策が必要であったはずであります。それを、すべて十年一日のごとく金融引き締めの手段にのみ頼れば、結果として、弱い企業者のみが締め出され、破産、倒産に追い込まれ、経済ルールを無視して投げ出すことによって価格が引っ張られ、その結果、物価が鎮静するという効果をもたらしているだけでありまして、決して正常な物価政策というわけにはまいりません。そのことは、ひいては強い企業のみが生き残って、寡占化が著しくなるだけで、そこには政府の経済施策の配慮は何一つ見つけ出すことができず、政治の貧困のみが目立ったと言わなければなりません。  私ども民社党は、このことあるを予期し、心配いたしまして、すでに、昨年十月に経済政策の転換を政府に要求し、十月九日には私みずから直接大平大蔵大臣に面会を求め、そのことを強く要求しておいたはずであります。  三木内閣は、さきに提示した民社党の要求を受け入れないまでも、そして昨年十月とは言わないまでも、今回の第四次不況対策を、せめて本年四月から実施していたならば、よもや今日に見る破産、倒産の不況のどん底は迎えることなく、ましてや、三兆数千億の税収不足という大失態を来さなくて済んだはずであります。特に本年の税収見込み十七兆のうち、法人税に期待するもの約七兆のうち三兆数千億の大部分が法人税の落ち込みにありとすれば、当初予算の半分という見当違いは一体だれの責任でありましょうか。それとも、予算審議のとき、松野政調会長の本院における賛成演説のごとく、当初は正しかったとすれば、その後の運営を誤ったのは、総理御自身なのか、それとも大平大蔵大臣なのか、はたまた、物価抑制以外には目もくれない福田経済企画庁長官のやり過ぎなのか。ともかく、まずもって責任を明確にしていただくことが大切であります。  そもそも民主政治は責任政治であります。被害者が続出しているのに、その責任者があらわれないのは、無責任内閣、きれいごと内閣と言われても抗弁のしようがないではありませんか。その点のけじめをはっきりとつけた上で、私どもは不況克服に全面的に協力していくべきだと信じますが、いかがでありましょう。  不況克服に対し、特に要求いたしたい第一の点は、庶民住宅の大量建設についてであります。  三木総理は、公共投資を中心とする予算及び財政投融資の大幅な追加を言い、事業規模は一兆五千億を上回ると述べておられます。その点、私ども民社党は、この際特にマイホーム建設を最重点に置き、とりわけ住宅ローンを大幅にふやして、庶民の夢を一挙に実現することに大胆な施策をとれと主張いたします。庶民住宅の建設には、政府の資金に加うるに国民も手持ちの金を使うことによって、景気浮揚策は相乗効果をあらわすことができるからであります。  次に、中小企業向けに約五千億程度が見込まれているようでありますが、なるほど一時しのぎの倒産防止には役立ちますが、私どもは、この際、一挙に中小企業を産業別に構造改善すべきだと主張いたします。  仕事が忙しいときには、機械の取りかえすらできません。いまは暇で、半分以上が遊んでおります。しかも、古く、非能率な機械が中小企業を物語っております。政府はこの際、古い機械を整理し、かつて繊維や印刷業界がこれを行ったように、新鋭機械に取りかえ、いざ景気回復のときには、うんと効率のよい生産コストの合う機械に据えかえさせることによって、構造改善を大胆に進めるべきだと提案いたします。それこそが、災いを転じて福となすの政治であり、それがためには、きわめて低利にして長期の融資を考えなければなりません。  今回の景気回復は、単に中小企業を倒産から守るというような、過去に行ってきた後ろ向きの対策から、一転して前向に大胆に行うべきであります。このことは、ひとり中小企業のみではなく、農業における生産基盤の整備拡充についても同様のことが言えます。  さらにまた、災害対策についても、特に復旧ではなく、予防という点に力を注いで、危険個所の総点検を行い、これを修理することによって、需要の増大がすなわち人命の被害を防ぎ、天災が即人災だという忌まわしい議論を二度と繰り返すことのないようにすべきだと思います。  不況対策の第三の点は、備蓄制度の拡充強化であります。  いまは品物が余っていて、幾ら製造しても売れない、無理に売ろうとすれば、製造原価を割って破産をしてしまう、倉庫はいっぱいである、支払いの期限は迫っている、これが今日の企業の実態であります。  この際、政府は、すでにある財団法人備蓄機構を拡充強化して、それらの品物の買い入れのための資金を大幅に融資し、備蓄させておくことを考えられませんか。すでに通産、農林当局はこれらの構想を具体化せんとしておられますが、総理及び大蔵当局の突っ込みがないので日の目を見ずになっているのであります。  繊維、木材加工、非鉄金属、鉄鋼、飼料等は、すべて原材料を他国に依存いたしております。好況時には現在の二倍以上の価格で買い付けに向かっておりながら、今日では、その半額以下になっていても買い付けの船を回さないので、相手国は、日本に対して、困惑よりも怒りの気持ちに変わりつつあります。今後景気が回復し、あわてて買い付けに回ったときには、果たしていままでどおりに原料を確保することができるか否か疑問であります。たとえ買えたとしても、そのときには破格の高値を言い出されることは目に見えております。そのときにあわてて、資源ナショナリズムと、相手方を非難してもどうにもなりません。日本経済は、もはやわが国一国の好不況にのみかかわっている時代ではないことは、総理及び大蔵大臣も御承知のはずであります。さりとて、業者は手持ち資金に限度があり、さらに必要を上回る在庫を抱えることは、買いたたかれる原因をつくるばかりでありますから、勢い生産調整に走らざるを得ません。  この際、洪水時におけるダムの果たす役割りのごとく、不況で物が洪水のごとくあふれるときには、これを買い入れて備蓄し、好況インフレによって品不足を来したときにこれを放出する。かくのごとき備蓄機構に対し、大幅な融資を行うべきであります。かくして、コンスタントに生産、流通の調整役を果たす大きなダムの役こそ、備蓄制度の根本であります。  政府は、この際、二度とこのような乱高下の経済変動を起こさせない確固たる決意のもとに、業界が自主的に行わんとする備蓄制度の拡充強化に本腰を入れるべきだと思いますが、いかがでありましょうか。  次に、預金金利についてお尋ねいたします。  「景気の着実な回復と雇用の安定を図るため、企業金融の円滑化をさらに進めるとともに、金利水準の引き下げを一層促進する考えであります」と総理は述べておられます。公定歩合の引き下げは当然であるといたしましても、それに伴って、預金金利の引き下げをも主張しておられることは納得いたしかねます。  去る四十八年の物価高の折、政府は公定歩合を一年間に五たび上げて、五%から九%にと上昇させたのであります。この間、預金金利は五・七五%から六・二五%と、わずか〇・五%の上昇のみにとどめておいたのであります。すなわち、公定歩合を上げる方は四%、預金金利の一年物定期は、その八分の一の〇・五%しか上げなかったではありませんか。かくして、庶民大衆は預金は損するだけだと嘆き、物の買いだめに走り、商社がこれに輪をかけて、ついに卸売物価は年間三〇%という空前のインフレを引き起こし、郵便貯金の目減り補償の論議が本院で行われたのは、つい二年前のことではありませんか。今回は三次にわたる不況対策を打ち出し、わずか一・五%公定歩合を下げたのみで、まだ一カ月もたたない間に預金金利の引き下げを云々することは、余りにも非常識のそしりを免れません。(拍手)  もちろん、私どもは、貸出金利よりも預金金利の方が高くても構わないというような、金融メカニズムを無視する議論をするつもりはありません。しかし、私どもが言いたいのは、公定歩合を上げるときには、三・五%の差があっても放置しておいて、下げるときには、わずかその半分以下の一・五%下げて、一カ月もたたないのに、すぐ預金金利の引き下げを口にすることは、零細預金者たる庶民大衆の叫びと銀行屋さんのそれと対比したとき、政府の対応策がいかにも極端であり、銀行の出先がすなわち大蔵省だと言われても、抗弁のしようがないではありませんか。(拍手)しかも、相当数の各企業が赤字で困り抜いているとき、銀行のみがわが世の春をうたい続けております。  政府が国民の非難の声に良心のうずきを感ずるならば、せめて郵便貯金、福祉預金には断じて手をつけませんと約束すべきであります。大蔵大臣の所信のほどを伺いたい。  金融について、いま一つ触れてみましょう。  過日倒産した興人は、戦後最大の倒産と言われております。その中身で注目を引くのは、土地の購入についてであります。興人は、企業としては倒産に至るほどの悪い業績ではなかったのに、土地購入資金の五百数十億円が命取りになっていると伝えられております。しかもその相当数は、銀行が売りつけた形跡があります。つまり、某信託銀行が土地を売りつけ、その必要資金を貸し付け、また分譲の販売を担当して手数料を取るという、三重の仕事をしており、土地が規制され、不況が訪れると、手を引いて救済に乗り出さない。これでは、興人が倒産したのではなく、信託銀行が倒産せしめたのも同然であって、その負債と不名誉を興人が背負っただけではないかと疑いたくなるのであります。私は、興人の経営者を弁護する意思はありません。しかし、その金融機関のやり口は、目に余るものがあるではありませんか。しかも、ある銀行ともう一つある銀行は、この土地購入資金にいずれも百億円を上回る融資をしておるではありませんか。  二年前に田中前総理よりお約束をいただいた銀行法の改正、すなわち、銀行は、自己資本の二〇%以上を同一企業に集中的に貸し付けてはいけないという改正案について、金融制度調査会は、三年の間にそれを実施せよと答申していたはずであります。来年がその年と思いますが、準備はどれほど進んでいるのか、金融行政に対する指導の姿勢を含めて、確たる御答弁をいただきたい。  なお、赤字国債についてお尋ねしたい。  金が足りないから、それを補うために赤字公債を発行するというのでは、放漫財政のそしりを免れません。財政法第四条には、建設国債以外には認められておりません。にもかかわらず、赤字の出るたびに特例法をつくったのでは、特例法が原則となって、財政法第四条は死文化してしまうではありませんか。私どもは、赤字国債を全く認めないというのではありませんが、政府がみずからの努力で、経費をせめて一割は節約するくらいの努力をして、一般民間企業がぜい肉を落とすことに全力を傾けている姿を見習うべきであります。  また、果たして政府言明のごとく、市中消化が可能でありましょうか。こんなにも大きくなった公債については、償還計画について、民社党が主張するがごとく、財政五カ年計画を実施する意思がないかどうか、お尋ねをしておかなければなりません。  質問の第三点は、最近各地に相次ぐ爆弾事件の続発であります。  特に、天皇御訪米をめぐってその動きが激しくなってきていることは、憂慮にたえません。  一体、わが国の法の権威はどうなってしまったのでありましょうか。今日の日本ほど言論、出版、集会、結社の自由が保障されている国は数少ないと言うべきであります。それなのに、どうして暴力手段に訴えなければならないのでありましょうか。善良なる国民は理解に苦しんでおります。  総理は、これら一連の暴力事件が、政治と権力に向けられていることをどう受けとめておられるのか、そして、彼らの目的と信条は何かについて、この議場を通じ、国民に理解を与え、政府と国民が一体となってこれが防止に全力を尽くしていただきたい。  その場合、現在の法律によってのみでは予防措置はとれないのか、あるいは、新たなる立法措置が必要なのかどうか、政府は速やかに検討して、本院に報告をしていただきたい。  また、何ら関係なき一般市民がこの無法者の巻き添えを食っておられながら、何ら救済の措置がとられておりません。私ども民社党は、これが救済のために、新しい立法措置を提唱いたしておりますが、政府はどう対処されるのか、お考えを伺いたい。  また、これと同様の暴力集団として、学生の内ゲバ事件が後を絶っておりません。すでに本年になって十七名が殺されております。辛うじて命は取りとめてはいるものの、植物人間となって病床に伏している者は数限りありません。特に、これら集団暴力の特徴は、加害者集団が意識的にその証拠を現場に残していることであります。また、これら革マル派、中核派と称する集団の事務所あるいはたまり場が、現に大学の施設の中にあるというではありませんか。それなのに、どうして警察当局はこれが根絶できないのでありましょうか。大学は、治外法権地域ではないはずであります。学問の自由は、政治権力の介入を許すべきではありません。しかし、学園内だからとて、暴力を振う自由などは断じて許してはなりません。善良な市民の中に交って、これらごく一部の暴力の徒が、しかも、口に国家、社会を論ずる諸君が、法治国家において法を軽視し、否、法に挑戦するがごとき態度は、憎みても余りあるものと言わねばなりません。(拍手)  これはさきの爆弾事件と異なり、すでに長年にわたって連続している事件であり、かつ、多くの証拠をも残しており、さらに、加害者、被害者の多くが負傷して病院に入院しているのであるから、取り調べが進んでおり、事件の再発を防ぐことはさして困難ではないはずであります。それなのに、何ゆえこれが根絶できないのか、その理由を説明していただきたい。  また、さきのクアラルンプールの人質と交換に犯人を釈放した事件についてお尋ねいたしたい。  総理は、本件は「法治国家としてまことに残念」と述べ、「当該実定法の規定がないため、緊急措置としてまことに異例の措置」と断わっておられます。そして、民主国家にとっては人命尊重が最優先と述べておられます。しかし、今回の政府の措置は、ある学者の説によれば、法治国家にあるまじき違法な反社会的行為として、断じて許容できないと主張する人もおります。  問題の本質は、ついに政府までもがゲリラの脅迫に屈して、みずから法律を破ったのではないかとの疑問であります。民主主義国家にとっては、人命尊重が最優先という考え方とは反対に、生命さえ助けてくれれば、どんな言い分にも従います。どんな脅迫にも屈しますというほど、民主政治は卑屈で、無原則で、無節操であってよいかという疑問も投げかけられております。(拍手)  民主主義国家にとっては、人命尊重と比較して、国民がみずからの自由な意思で定めた法律と秩序の方が優先するという説も、決して少なくはありません。もしそうでなければ、一体、国民のだれが、みずからの個人の生命をかけ、生命を投げ出してまで犯罪者と闘い、反社会的行為と闘い、法秩序を守り、この美しい国家を存続させるために努力をするのでありましょうか。  かく考えてまいりまするとき、私どもは、人命尊重のためにやむを得なかったとする政府の説明を素直に認めてまいりましょう。だが、それとは別に、政府みずからが無法者の脅迫に屈して法を破ったその責任は、どう始末をつけるべきでありましょうか。法の権威のために日夜命を賭して働いている多くの人たち、特に犯人逮捕に全力を尽くした警察、検察当局の立場を考えなければなりません。そして、一億国民は、法秩序のみに頼って生活しているのではありませんか。  かく考えてみるとき、法の権威を守るために、政府はこのままでよいのか。何事かをなさなければならないのではないか。この際、三木総理は、法の権威を高めるために、みずから法を犯したことに対して、何らか潔い責任のとり方を考えられるべきだと思いますが、いかがでありましょうか。(拍手)  次に、北方領土の返還交渉について、一言お尋ねしておきたい。  歯舞、色丹、国後、択捉の四島は、日本国固有の領土として返還を求めることが、日ソ平和条約締結のための前提条件であることを、政府は本院でしばしば言明してこられました。しかるに、最近、首相周辺では、三木総理に近い人の声として、四島一括返還を改め、国後、択捉の二島については今世紀末までこれを凍結し、歯舞、色丹の二島のみの返還を求めて日ソ平和条約を結ばんとする声がありますが、それは首相の真意かどうか、伺いたい。歴代内閣の主張と異なる方針をとられることが及ぼす影響は、きわめて重大であります。  わが党は、すでに沖繩返還以前より、北方領土の返還はわが国の当然の主張と叫び、四島一括返還を毎国会主張してまいりました。政府もまた、この点では同感の御答弁をいただいてまいりましたので、単なるニュアンスや表現の違いではなく、根本問題としてお答えをいただきたい。  最後に、私はベトナム以後の日本の安全保障について、御質問をいたします。  本年四月、南ベトナムのサイゴンが陥落し、ベトナム戦争は終結いたしました。引き続きカンボジア、ラオスも共産化されました。かくて、アジアにおける軍事情勢は急激な変化をもたらしたことは否定できません。カンボジア、ラオスの共産化は、果たしてこの地域のみにとどまるのか、それとも、以後拡大の一途をたどりはしないかとの関心であります。  最近、私どもが多くの人たちから尋ねられることは、韓国は大丈夫かとの素直な質問であります。アジアの中で共産化されるとすれば、韓国が一番その危険地帯にあることは、共通の認識のようであります。そして、韓国が戦争になったとき、在日米軍を介して、わが日本もまた戦争に巻き込まれはしないかとの危惧も完全には払拭されておりません。従来、アジアの安全について最も重要な役を果たしてまいったのは、申し上げるまでもなく、アメリカの動向であります。  そこで、私は、去る十日、民社党訪米調査団長として、米国各階層首脳と特にアジアの安全保障を中心に語り合ってまいりました。三木総理、あなたも去る八月訪米されました。そのことについては、「先般の日米首脳会談を通じ、私は、フォード大統領との間に、本当に心の通った人間的な信頼関係を打ち立てることができたと信じます。」と述べられ、「今後は、この人間的信頼関係を基盤にして、一層日米友好関係を深めてまいりたいと存じます。」と結んでおられます。  三木総理、これでは、日米首脳会談は何を話され、また今後、アメリカはどのような態度でアジアの安全に臨まんとしているのか、さっぱりわからぬではありませんか。「アジア・太平洋地域の安定にとって、そのかなめをなすものは、日米関係であります。」と述べられ、そのためにこそ訪米されたはずであります。総理は、その話し合いの中身をなぜ報告されないのでありましょうか。  私どもの調査結果では、アメリカは、ベトナム戦争終結以来約半年を経た今日、漸次落ちつきを取り戻しつつあり、アジアの政治情勢についても冷静な情勢分析をいたしておりました。  すなわち、朝鮮半島の平和維持について、米政府当局者は、当面、朝鮮半島の平和を維持するためには、韓国、北朝鮮の軍事的バランスを崩さないことが重要であり、このため、米国は今後も在韓米軍の駐留を継続することを明らかにしております。その反面、韓国情勢の緊張と在日米軍基地との関係については、アメリカは、在日米軍基地を補給基地として位置づけており、日本の基地から戦闘作戦行動をとることは絶対にあり得ないと強調するとともに、もし朝鮮半島で武力衝突の懸念がある場合には、日米間で、事前に十分な協議を行う方針であることを明らかにしております。そしてまた、朝鮮半島の緊張と日本の自衛隊との関係については、米国は、日本の自衛隊の海外派兵については全く期待していないと述べ、今後朝鮮半島の緊張に際して、日本政府の自衛隊の派兵を要請するような事態は、決して起こり得ないと指摘しております。  この点は、日本にとってきわめて重要な点であると思います。いま日本国民は、アメリカを介して平和を維持していきたいと願う反面、在日米軍を介して他国の戦争に巻き込まれることはないかとの危惧を抱いておるのであります。  その点、今回の日米首脳会談において三木総理が述べられた、「心の通った人間的な信頼関係」の中身を、もっと素直に具体的に国民に説明され、このような状態だから、わが国の安全についてはかく信ずるという所信を述べられる必要があると思うのであります。  昨日の本院における自民党代表からの質問の中に、アジアの緊張の項については、みずから背筋が寒くなるとの心配の質問が出されているではありませんか。言葉の多い総理が、なぜ日米首脳会談の中身を報告されないのか。とりわけ、フォード大統領と突然の秘密会談をされ、外務省さえその事実を知らされなかったことは、国民に疑惑を与える以外の何物でもありません。単なる個人的友情を深めただけだという説明は、国民を納得せしむるものでは断じてありません。この点を篤と御説明をいただきたい。  私の最後の質問は、安全保障委員会の設置についてであります。  日本の安全はこれでいいのか、アジアの軍事情勢はどうなっているのか、そして日本の防衛はどうなっているのか、日本を取り巻く各国はどんな対応を示しているのか。国会は、これらの点についてほとんど論じられたことがありません。ベトナム以降のアジア情勢の急変は、それとなく、国民一人一人が憂えと動揺を隠しておりません。国民の心配をそのまま国会がこれを取り上げ、論ずることは、われわれの当然の任務であると信じます。  わが党は、すでに五年前から、国会に安全保障委員会を設置して、日本の安全に対する国民合意の道を開けと主張してまいりました。そして、過日の春日・三木党首会談でもこれを提言し、三木総理は約束をされたはずであります。また、昨日の自民党内田常雄氏からもこれが必要性を力説されました。自民党は、この際、単によいことだと賛意をあらわすだけではなく、これが実現のために努力をすべきだと思います。  もちろん、安全保障委員会の設置が、即防衛力の増強とか、防衛庁の昇格だとする議論は全く当たらないことであり、わが党はそんな目的をもってこれを提唱するのではないことを付言し、一国の安全は、まず国民の合意が大前提であり、それがための話し合いの舞台をつくれと主張し、三木総理の確たる御答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(三木武夫君) 塚本君にお答えをいたします。  今国会の早期召集というものに対して、いろいろ御質問がございましたが、この国会は、不況対策、財政再建、あるいは速やかに成立を必要とする生活関連諸法案及び条約、それから酒、たばこ、郵便の三法案、こういうふうな問題の処理を目的とするものでございまして、塚本君の御指摘のように、補正予算というものが早く提出をできれば、こういう目的のすべてに合致するわけでございますが、いませっかく努力中でございますので、生活関連法案とか、酒、たばこ、郵便の三法案を通じて御審議を願いたいと思っておるわけでございます。  こういうことで、相当重要な内容を持った国会でございますので、これは早期に召集して、御審議の期間を相当置いた方がよろしかろうという判断に基づいたものでございます。  独禁法の改正についていろいろ御質問がございました。  昨日の本会議でも申し述べましたごとく、独禁法は、衆議院では全会一致で通ったわけでございますが、参議院では何ら審議されないままに廃案になったわけでございますので、いきなりこのまま独禁法の改正案を国会に提出し、この問題と取り組むということでは、せっかくいろいろ重要な、緊急を要する法案を抱えたこの国会でありますから、ほかの審議に支障を来すようなことがあっては、かえって国民の利益にも反するのではないかと考えまして、自民党の中にいまこれの再調整のための委員会を置いたわけでございまして、その結果を見ることにいたしたいと考えておるわけでございます。  また、野党が議員提案とした場合に、これはどうするかということでございますが、国会で審議されることでございますので、政府の見解は差し控えさせてもらいたいと思うわけでございます。  それから、景気あるいは補正予算等の問題については、関係閣僚からお答えをいたすことにいたします。  また、私に対しての御質問の中で、治安の問題がございました。  相次ぐ爆弾事件の予防措置について御質問がございましたわけでございますが、塚本君と同様に、過激派による爆弾事件が頻発をして、一般の市民に被害が及んでおることをまことに心配をいたしておるわけであります。憎みても余りあるという塚本氏の心境と私も同じでございますが、これは、やはり政府といたしましても、あらゆる方法を講じて徹底的に取り締まり、また、これを未然に防ぐということに対して全力を尽くしていきたいと思いますが、しかし、これは国民の協力を得なければなりませんから、暴力というものは、理由のいかんを問わずこれを憎むという、国民の  一つの暴力に対しての憎しみというものが、私は必要である。自分の意見に従わない者は何でも切り捨てるという社会的風潮というものは、許してはならぬわけでありますから、これはやはり国民の御支援と御協力を得て、こういう事件というものの発生をできるだけ防いでいきたい。  また、いま塚本君の御指摘のあった内ゲバ事件なども、これはまことに言語道断のことでございまして、このような暴力行為は、民主主義とはもう相入れぬことは言うまでもないわけでございまして、政府としても、暴力の排除に対しては、今後できるだけの取り締まりの強化をいたしていきたいと思っております。  これについて、それの予防措置として、新たなる立法が必要ではないかという御指摘もございましたが、これに対しては、現行の法令を十分活用して取り締まりの徹底を期したいと思っておりますが、犯罪の予防に新しい立法が必要かどうか、こういう必要性についても、検討してまいりたいと考えておるわけでございます。  それから、クアラルンプール事件についていろいろ御発言がございました。  私も、ワシントンの首脳会談が始まる真夜中に報告を受けて、これはどうするかということで、非常に深刻に考えたわけでございますが、あの場合に、五十三名の人質になっておる人命を救うことが必要であるという判断に達してそういう指示をしたわけで、いま塚本君からいろいろ御指摘になった理由はよくわかりますが、どうもこれは塚本君、一体、ほかに何か別の方法があったでしょうか。私は、やはりあの場合にああするよりほかには方法はなかった。しかし、そのことが、御指摘のように、犯人をせっかく逮捕しておきながら、あるいは、服役中の者もあるわけでございますが、その要求を入れたということは、法治国家として、まことに残念至極なことでございますが、しかし、他にどういう方法があるであろうかということを考えたときに、まことにこの問題は深刻に悩む問題でございますが、私はそれよりほかにないという判断でそういう指示を行ったわけで、現在のところ、それに対して他にいい方法はなかった。これはしかし、将来の問題として、この問題はいろいろと検討を要すべき問題点を含んでおるということは、私も考えておる次第でございます。  また、日米首脳会談についてのお話でございましたが、この日米の首脳会談、最近にアメリカに行かれていろいろ指導的な人々と会談をされた塚本君でありますから、アメリカの事情についてもよく御存じだと思いますが、私ども、フォード大統領と、格別いま解決すべき懸案がなかったわけで、両国が関心を持つすべての問題というものを、従来の首脳会談と違って、あらかじめおぜん立てをしないで率直に意見の交換ができた、首脳会談らしい首脳会談であったと思うわけでございます。  その内容については、ベトナム戦後におけるアジア情勢、朝鮮半島の状態、あるいは欧州における安全保障協力会議後の情勢、あるいはまた中東問題、あるいはまた五大国首脳会議、こういうふうな話題が問題になったわけでございますが、大きく言って、アメリカはアジアから、軍事的にはアジア自身の自主的な努力というものに期待をして、急激でないまでも軍事的には手を引いていこうという方針でありますが、しかし、アジアの政治、経済の面においてはやはり今後とも協力を続けていこう、大国としての責任を果たしていこうという考え方は強く持っておるようでございまして、そういう面で、アジア、太平洋におけるそういう政治、経済両面において、大国の責任を果たしていこうと考えておるわけでございますから、日米の協力という問題というものについていろいろ話し合ったわけでございます。  また、朝鮮半島の問題について、いろいろ野党の方々、何か、軍事力強化の話し合いをしたのではないかという御懸念があるようでございますが、やはり今度の日米首脳会談においてわれわれ日米首脳の非常な最大の関心事は、どのようにして朝鮮半島における武力衝突を避けるかということが、話の中心題目であった。したがって、軍事力の強化とか事前協議がどうかとかいう話は一切出なかった。むしろ、どうして朝鮮半島の緊張を緩和して、武力衝突のような事態が起こらぬようなことに朝鮮半島を持っていくかということについて、最大の関心事であった。そのためには、急激に朝鮮半島における情勢を変化させない方がよいということで、米軍の駐留というものがやはりこの際必要であるという意見も私は述べたわけですが、とにかく、朝鮮半島において有事を起こさないということについての会談が中心であって、いろいろ御懸念の軍事力強化の話などは、全然出てないと御承知を願いたいのでございます。しかし、日本に対しては、安保条約に基づいて、日本防衛の約束というものは必ず果たすということは、これはもうわれわれの首脳会議で確認をされたということをまつまでもなく、これは今回の日米会談の新聞発表にもそういうことは言っておるわけでございます。  また、日本の安全保障について、塚本君の御指摘のように、国民的なコンセンサスを得ていないということはまことに遺憾なことであります。そういう国は、先進工業国の中では非常に珍しいことでありまして、やはり国の安全保障という問題は非常に重要な課題でありますから、これはやはりお互いに議論をする場は持たなければならぬ。そういう意味において、安全保障委員会を設置すべきではないかという塚本君の御意見には私も賛成であって、きのうも、これは私の方から積極的に述べたわけでございます。やはりその実現を強く希望するものでございます。  また、平沢氏の北方領土の論文についていろいろ聞かれましたが、これはもう全く同氏の個人的見解であって、私とも、あるいは政府とも全く関係がない。きのうも私はこの議場で、政府の立場は、あくまで歯舞、色丹、択捉、国後四島一括して返還を実現して平和条約を締結するのだということを、内田議員の質問にも答えたわけです。内田議員は、何かいろいろな雑音に惑わされることなくと言ったから、どういうことを言っておるのか、考えておるのかということを、私は当時は疑問に思いましたが、けさの新聞を見て、ああ、これと関連があったのかと考えたわけで、これは全然私とは関係のないことでございまして、政府の方針は変わらないということでございます。  また、解散についていろいろ、任期中解散しないと言ったらどうだという、傾聴すべき御意見だと思いますが、私の頭には解散ということは一切ない。この難局をどうしたら打開できるかということが日夜私の頭の中にあることであって、解散ということは、頭に全然ないことであると御承知を願いたいのでございます。  その他のことは、関係閣僚からお答えをいたすことにいたします。(拍手)     〔国務大臣大平正芳君登壇〕

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 大量の歳入欠陥を生じましたことに対する責任でございますが、財政を預かる立場といたしまして厳しく責任を痛感いたしておりまして、その対応策に腐心をいたしておるところでございます。  第二に、景気対策に関連いたしまして、庶民住宅の大量発注の必要があるのではないかという御指摘でございます。  この点につきましては、御案内のように、住宅金融公庫に対する融資の七万戸追加等を通じまして、御指摘のような方向に大きく政策を推進いたしておるわけでございます。  それから、単に景気対策は過去のパターンにとらわれることなく、未来を見た構造改革的な構想でやるべきではないかという御指摘でございますが、これは景気対策ばかりじゃなく、財政政策全体につきましても御指摘のような方向で運営してまいりたいと思います。  備蓄制度について考えるべきでないかということでございます。  これまで在庫金融につきまして政府が若干の支援をいたしたことがございますけれども、備蓄制度を制度的にとりましたことは、ごく例外的な場合を除いて、ございません。いま各方面から御指摘のような提案がございます。私どもとしては、いろいろな角度から鋭意検討中でございます。  預金金利の問題についての御質疑がございました。  先ほど申しましたように、金利全体の水準を引き下げる方向で鋭意施策をいたしたいと考えております。今日まで三回にわたって公定歩合の引き下げがございましたけれども、預金金利には手を触れなかったわけでございますけれども、これから先、公定歩合の引き下げをさらにしようといたしますならば、預金金利の引き下げという問題は回避して通れない道であろうかと思いまして、関係方面といま検討を開始しておるところでございます。  それから、銀行法の改正問題でございますが、五月十四日に金融制度調査会に諮問いたしまして、御検討を願っておるところでございます。しかし、御指摘の大口融資の規制につきましては、すでに金融制度調査会の中間報告をいただきまして、昨年から実行に移しておりますことは御案内のとおりであります。  最後に、公債政策について事前に十分用意が要るということ、それから市中消化に万全を期すべしということ、償還についての明確な指標が要るのではないかという御指摘でございます。  一々ごもっともでございます。私どもといたしましては、そういうことを十分踏まえた上で、いま鋭意検討をいたしまして、近く本院の御審議を経たいと考えております。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 外交問題に関します二点は、すでに総理からお答えになっておられますので、ごく簡単に補足だけさせていただきます。  先般、塚本書記長が訪米をされまして米当局と話をされましたときに、わが国のいろいろ安全の問題について、たとえば、仮に韓国に万一のことがあった場合に、米軍がわが国の基地に期待する機能は主として補給基地という機能であって、作戦行動というようなことを軽々しくは考えていないというようなことの話が出た、そういうふうに理解したというふうに仰せられました。先ほど総理が言われましたように、三木・フォード会談ではこの種の話は出なかったのでございますけれども、実は、その前及びその後、たとえば米国の国防長官の訪日などがございまして、そういうことを通じまして、私どもも実は同様の理解をいたしております。  それから、北方領土につきましても、総理がお答えになりましたとおりでございますが、今回申し上げました外交演説の中におきましても、「わが国固有の領土である北方四島の返還」と申し上げておりまして、この点につきまして、政府の態度は、従来、今後とも一貫したものがございます。(拍手)     〔国務大臣福田赳夫君登壇〕

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 塚本さんにお答え申し上げます。  当面の経済運営につきまして、いろいろと御所見が述べられ、また感想も承りました。  特に、景気対策をとるのが遅過ぎたのではないか、あるいは、総需要抑制政策、これが余りにも一律、硬直的に行われたのではないか、こういうような御所見でありましたが、私も十分承りましたところでございまするが、とにかく私は、大筋におきまして、あの事態に対しまして、あのような施策以外には手がなかった、こういうふうに思います。  ただ、とにかく私どもといたしましては、常に過去を顧みなければならぬと思います。また、先々を十分見通さなければならぬ、そして誤りなきを期していかなければならぬ、こういうふうに存じますので、この上とも御所見を寄せられ、御協力くださらんことをお願い申し上げます。(拍手)

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  三木 武夫君         法 務 大 臣 稻葉  修君         外 務 大 臣 宮澤 喜一君         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         文 部 大 臣 永井 道雄君         厚 生 大 臣 田中 正巳君         農 林 大 臣 安倍晋太郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 木村 睦男君         郵 政 大 臣 村上  勇君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         建 設 大 臣 仮谷 忠男君         自 治 大 臣 福田  一君         国 務 大 臣 井出一太郎君         国 務 大 臣 植木 光教君         国 務 大 臣 小沢 辰男君         国 務 大 臣 金丸  信君         国 務 大 臣 佐々木義武君         国 務 大 臣 坂田 道太君         国 務 大 臣 福田 赳夫君         国 務 大 臣 松澤 雄藏君  出席政府委員         内閣法制局長官 吉國 一郎君         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省条約局長 松永 信雄君      ————◇—————

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