本会議 第3号
- 発言数
- 10 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1975/09/16
会議録
○議長(前尾繁三郎君) これより会議を開きます。 ————◇————— 議員請暇の件
○議長(前尾繁三郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。 河上民雄君から、九月十七日より十月三日まで十七日間、江田三郎君及び小林進君から、九月十七日より十月八日まで二十二日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。 ————◇————— 国務大臣の演説
○議長(前尾繁三郎君) 内閣総理大臣から所信に関する演説、外務大臣から外交に関する演説のため、発言を求められております。順次これを許します。内閣総理大臣三木武夫君。 〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕
○内閣総理大臣(三木武夫君) 第七十六回国会の開会に当たり、時局に対する私の所信の一端を率直に披瀝して、御理解と御協力を得たいと存じます。 最初に、重大な局面にある日本経済の現状と対策について申し述べることにいたします。 今日、日本経済は、いまだかつて経験したことのない複雑にして困難な局面に立っております。 まず第一に、石油危機を契機として、世界的な規模でインフレが起こり、それを克服する過程で不況が広がりました。わが国もその例外ではなく、インフレと不況とが併存するという異常な状態下にあります。そして景気浮揚策と物価安定策とが同時に求められております。 第二に、この困難な時期に、高度成長から正常な安定成長への転換を図っていかなければなりません。 第三に、こうしたインフレと不況のもとでの転換期に、しわ寄せで苦しむ人々が、できるだけ少なくて済むように、社会的公正と福祉の追求が一層強く求められております。 第四に、世界各国の経済の相互依存度の深まりとともに、不況、物価、エネルギー、通貨、資源、食糧等の問題は、世界的な規模での解決を必要としております。そのためには、国際協力がますます必要となってきております。 第五に、こうした経済難局に、さらに加えて、巨額の税収入の不足が予想されております。本年度予算の二十一兆二千八百億円の財源として、税収入に期待した分は十七兆三千億円でありましたが、そのうち三兆円を相当上回る税収不足が予想されており、巨額の国債の追加発行が避けられない事態を迎えております。 世界的な石油危機のもとで生じた物価の急騰を鎮静させるため、政府は物価の安定を経済政策の最重点課題と考え、総需要抑制政策を進めてまいりました。 その結果、物価は落ちつきの様相を示し、消費者物価一けた台の目標も来年三月の年度末を待たず、かなり早い時期に実現可能の見通しであります。 他方、経済活動については、去る三月以降、生産は増加の傾向を持続しております。しかし、個人消費や設備投資が停滞し、特に輸出の不振もあって、企業の操業度は、なお低位にあります。そのため、企業採算の悪化、雇用の減退等、経済界に苦悩の色が強まっております。 このような状態にかんがみ、景気浮揚のため、相当思い切った施策が必要と考えますが、幸い物価の鎮静により、これを実行し得る条件が整ってまいりました。そこで、過去三回にわたる景気対策を上回る積極的な第四次対策を打ち出す決意をもって準備を進めております。その構想の概略は次のとおりであります。 公共投資を中心とする予算及び財政投融資の大幅な追加等により、事業規模一兆五千億円を上回る対策を講ずることとし、これに中小企業向け金融措置を加えて、合計二兆円程度の施策を講ずることにいたします。 なお、金融面においても、景気の着実な回復と雇用の安定を図るため、企業金融の円滑化をさらに進めるとともに、金利水準の引き下げを一層促進する考えであります。 これらの措置による需要創出効果は、おおむね三兆円程度であり、これにより、本年度下期の実質国民総生産は、相当の回復が見込まれ、景気は順調な回復軌道に乗るものと期待されます。 日本経済にとって、いまが一番苦しい時期ですが、日本国民の勤勉と英知と活力に支えられた日本経済は、インフレと不況の困難な事態を一、二年のしんぼうで切り抜けられると信じて疑いません。そして、新しい長続きのする、正常な安定成長路線に転換し、それを定着させようとするものであります。 また、国債の追加発行についても、放漫に流れて、新しいインフレ要因となることのないよう、十分慎重にいたすつもりであります。 しかし、今回の景気対策は、「夢よもう一度」と、高度成長経済への復帰を意図するものではないことを、ここに強調しておきたいと思います。 また、物価の安定は依然として重要な課題であります。物価の安定があってこそ景気浮揚の積極的政策もとることができるのであります。国民の福祉のためにも、その前提となり基盤となるものは物価の安定であります。したがって、この上とも、物価につきましては、国民各層、各界の協力を得て、できる限りその安定を期する覚悟であります。 以上の考え方に基づき、政府は、近く、この国会に、五十年度補正予算及び関連法案を提出いたします。また、速やかに成立を図る必要のある諸法案及び条約を御審議いただくこととしております。十分御審議の上、早期成立をお願いをする次第であります。 次に、対外関係について申し述べます。 国際情勢の趨勢は、問題の地域が欧州から中東及びアジアへ、そして問題の内容が東西問題から南北問題へと移行しつつあります。 三十五カ国を一堂に集めた全欧安保協力会議の開催とヘルシンキ宣言の採択は、戦後三十年のヨーロッパの和解を再確認する歴史的な出来事でありましたが、その根底には、欧州の現存秩序の肯定という共通の考え方があります。 しかし、中東及びアジアはいまだ流動的であります。 一方、米ソ二極を頂点とする東西関係は、冷戦から緊張緩和へと改善に向かっております。国際関係の多極化も進みました。 こうした東西関係の緩和と同時に、南北問題の比重が増してまいりました。 先進工業国と発展途上国の間に、いかにして、真の「対話と協調」の関係をつくり出すかが、これからの世界安定の最重要課題であります。わが国としましても、経済・技術協力はもとより、先進工業国と発展途上国との関係の調整にあらゆる外交的努力を傾ける考えであります。 しかも、問題の処理に当たっては、政治も経済も、また、国内問題も国際問題も、分離して考えることのできないほど、相互間の関係が密接になり、世界の相互依存関係が深くなってまいりました。 たとえば、日本の景気の回復は、発展途上国、とりわけ日本との関係の深い東南アジア諸国の経済にも好影響を与え、また、これら諸国の経済発展に協力することが、日本の経済にも好影響を及ぼすことになります。 中東紛争についての政府の基本的姿勢は、さきの通常国会での私の施政方針演説で述べましたとおり、一、国連安保理事会決議二四二号に基づくイスラエル軍の占領地域からの完全撤退、二、同決議に基づくイスラエル国を含む中東全地域のすべての国の存立と安全の保障、三、パレスチナ人の国連憲章に基づく正当な権利の回復であります。そしてその目的を、平和的手段で実現するということが日本政府の基本的態度であります。 しかし、それは一日にしてできることではありません。そこにキッシンジャー米国国務長官のステップ・バイ・ステップの積み上げ方式の意義があるわけであります。今回も、フォード米国大統領とキッシンジャー国務長官の賢明にしてしんぼう強い調停と、それに呼応した関係諸国の努力により、エジプトとイスラエルの間に第二次兵力引き離し協定ができ、戦争の危険が一歩遠のきましたことは、まことに喜ばしいことであります。石油問題で中東と深いかかわり合いを持つ日本にとっては、特に歓迎すべき成果であります。 しかし、他方、原油価格の値上げがOPECで討議されつつあります。 輸入石油への依存、エネルギー源としての石油への依存、そのいずれの度合いもきわめて高い日本としては容易ならざる問題であります。 物価が鎮静し、ようやく景気が上昇しつつあるときに、原油の再値上げは、日本にとっての大問題であるのみならず、石油を持たない発展途上国が、深刻な状態に陥ることは明らかであります。 産油国としての主張はともかくとして、この困難な時期に工業製品と原油価格とが果てしない値上げの追いかけっこをしていたのでは、世界経済は不況から脱出することができません。 私はこの機会に、OPECの産油諸国が、少なくとも、目下開催準備中の産油国と消費国との間の会議の結論を得るまで、あるいは少なくとも世界経済が不況から脱出する目途がつくまで値上げ問題を白紙のまま決定を延期するよう強く訴えたいのであります。 中東問題とは別の意味で、日本にとって最も関心の深い問題は朝鮮半島の情勢であります。 私は、ベトナム情勢が急転したからといって、朝鮮半島の情勢に急激な変化が起こるとは考えておりません。しかし、南北間の緊張状態があることを否定することはできません。 アジア・太平洋地域の安定のためには、朝鮮半島の緊張緩和が必要であります。その緊張緩和に資する国際環境づくりのために、関係諸国の協力が求められております。 しかし、当面の課題は、少なくとも現在の南北の均衡状態を維持して、急激な変化を起こさないことであります。そのため引き続いて米軍の駐留が必要であります。 同時に南北両当事者間で、一層の接触、交流、理解が進むことが、朝鮮半島の安定の基礎であり、それを切に期待するものであります。 わが国としては、言うまでもありませんが、韓国と、外交関係樹立十年に及ぶ既存の友好関係を、今後ともさらに一層発展させていく考えであります。 また、北朝鮮と日本との関係についても、漸次、貿易、人物、文化等の交流を積み重ねて、相互の理解を深めたいと考えております。 アジア・太平洋地域の安定にとって、日米、日中、日ソの友好関係が不可欠であります。 なかんずく、そのかなめをなすものは、日米関係であります。ゆるぎなき日米の信頼関係こそが、アジア・太平洋地域の安定の基軸であります。(拍手) 先般の日米首脳会談を通じ、私は、フォード大統領との間に、本当に心の通った人間的な信頼関係を打ち立てることができたと信じます。今後は、この人間的信頼関係を基盤にして、一層日米友好関係を深めてまいりたいと存じます。 明年、米国は建国二百年を迎えるのでありますが、その歴史的な祭典を前にして、天皇、皇后両陛下の、これまた歴史的な御訪米が行われます。 もとより、政治を離れた親善の御訪米ではありますが、それにより、日米間の真の友好、親善が再確認され、さらに増進されるという歴史的な意義を持つものであります。国民の皆さんとともに、一路御平安な御旅行を祈りたいと存じます。(拍手) また、日中関係につきましては、日中共同声明に明記された四つの実務協定のすべてが締結されることとなり、日中友好関係は着実に進展しております。平和友好条約交渉についても、日中両国は、その早期妥結の熱意において一致しており、両国民の願望である日中永遠の平和友好関係の基盤とするにふさわしい条約の締結を期しております。 日ソ間においても懸案の領土問題を解決して平和条約を締結するため、今後引き続いて努力をいたします。 最後に、八月四日にマレーシアの首都クアラルンプールで起きました米国大使館等襲撃事件について申し述べたいと存じます。 それは、ちょうど私が首脳会談のため、ワシントンに到着した真夜中に発生しました。東京からの連絡で事件の全貌を確かめた上、私は五十三人に及ぶ人質の人命尊重を第一義として処理するよう指示しました。人質全員が無事救出されたことは、不幸中の幸いであったとはいえ、犯人たちの不法な要求を通させたことは、法治国家としてまことに残念であります。本件措置は、当該実定法の規定がないため、緊急措置として政府がとったやむを得ない措置であります。しかし、これは、法治国家の政府決定としては、まことに異例の緊急措置でありますので、この際特に国会に御報告をいたします。 政府は、今後国内的な諸対策を強化することはもちろん、国際的な協力を推進し、この種事件の再発防止に万全を期する考えであります。 以上、当面の緊急問題にしぼり、所信の一端を申し述べましたが、今日の重大時局を乗り切るためには、過去にとらわれない創造的発想が求められております。 水平線のかなたにある二十一世紀に通ずる展望を持った発想と実行が求められております。 理想と現実とを、平和主義、民主主義によってつなぐ、新しい理想主義と新しい現実主義とが求められております。 今日、民主政治と議会制度とが、果たしてこの新しい理想主義と新しい現実主義の担い手になれるかどうかの試練に直面しております。 与野党を問わず、国会も政党もこうした厳しい時代の試練に耐え抜いて、民主政治と議会制度とを守り抜こうではありませんか。(拍手)今日、この政治体制以外に、人間の自由と尊厳と人権の尊重とを保障する制度はないと信ずるからであります。重大なる歴史的転換期に立って、私はこの信念のもとに、議員の皆さん、国民の皆さんの御理解と御協力を得て、この難局打開に全力を傾倒することを誓うものであります。(拍手) —————————————
○議長(前尾繁三郎君) 外務大臣宮澤喜一君。 〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 最近の国際情勢を概観し、わが外交の基本方針について、所信の一端を申し述べます。 今日の世界経済は、きわめて困難な局面に立っております。 世界経済は、いまや戦後最大の不況の中にあり、世界の諸国の多くはインフレ進行の防止に努めながらも、景気回復の道を模索しております。また、このような世界経済の停滞から開発途上諸国が受けている打撃も深刻なものがございます。 このような状況にあって、世界のすべての諸国は、近年ますます深まりつつある相互依存関係を十分認識し、対話と協調の精神のもとに、インフレの再燃を惹起することなく当面の深刻な不況からの脱出を図り、かつ、世界経済の発展を維持増進するために、努力を傾注いたさなければなりません。わが国としては、世界経済の運営に大きな影響力と責任を有する主要関係諸国との緊密な協調のもとに、世界経済の不況を克服するための方策を探求してまいりたいと考えます。 エネルギー問題は、現在世界経済が直面する最も困難な問題であり、世界のいかなる国も単独ではこれを解決することはできません。特にわが国は、エネルギーの大半を海外からの輸入に仰いでおり、国際協調と対話の精神に基づいた施策を進めることが必要でございます。 原油の価格がこれ以上引き上げられれば、世界経済の低迷状態が長期化する恐れがあります。この点について産油国の理解を得て、産油国と消費国とが対決ではなく、あくまで対話と協調により相互の繁栄のため調和ある解決を導き出していくべきであると考えます。 幸いわが国を含む関係国の努力により、産油国との対話は近いうちに再開される見込みであります。従来から一貫して産油国との間に調和ある関係の樹立に努力してまいりましたわが国としては、あくまでもかかる観点からこの対話に積極的に取り組んで行く所存でございます。 一次産品の需給及び価格等の安定は、開発途上国であると先進工業国であるとを問わず、世界経済全体にとっての緊要な課題になってまいりました。このような見地から、一次産品に関する国際協議の準備が着実に進められつつありますことは、わが国としても歓迎するものであります。一次産品はその品目が多種多様であり、おのおのの特性にも相違がございますので、各品目別に、開発途上国の利益となり、かつ、関係諸国にも受け入れられるような解決策を探求することが不可欠であります。特に開発途上国の輸出所得安定化のために、しかるべき世界的な制度を設立することは検討に値すると考えます。 いわゆる南北問題は、今日国際社会の直面する最も重要な課題の一つとなっております。さきに申し述べました諸点も、南北問題と多かれ少なかれ関連する問題でありますが、南北間の諸問題の中で基本的な課題は、いかにして開発途上諸国の民生の安定と経済の発展を図るか、また、南北間において、いかに建設的な協力関係を維持発展させるかということでございます。この問題の解決を図り、調和ある国際協力関係の形成に努めることは、世界各国の共通の責務であると申せましょう。他の先進諸国に例を見ないほど海外、ことに開発途上諸国との関係の深いわが国といたしましては、これら諸国の立場に十分な理解を示すと同時に、これら諸国と隔意ない対話を深め、各般の協力を着実に進めることが基本的に重要であります。そのために二国間の協力及び国際連合その他の国際機関を通ずる協力を積極的に推進してまいる所存でございます。 第七回国連特別総会に対するわが国の参加も、このような見地に立つものであり、わが国としては、同特別総会の成果も勘案し、南北間の協力関係増進のため、できる限り国際的合意が達成されるよう努めてまいる所存であります。 特別総会に引き続き、国際連合の通常総会が開催されます。国連は、本年創立三十周年を迎えますが、この間世界の平和と経済発展のために貴重な役割りを果たしてまいりました。わが国としても、今後とも国連に対する協力を推し進め、その機能強化のため、できる限りの努力を行うとともに、多角的な外交を展開する場の一つとして、国連を積極的に活用してまいる所存であります。 次に、世界各国、各地域との関係について申し上げます。 今日、日米間の友好協力関係は、両国外交の主要な礎をなすとともに、国際社会における強靱でかつ安定的な力となっております。 日米両国は民主主義の基本的価値観をともにする友邦であり、それぞれの特性と両国の互恵的、補完的関係を十分に活用しつつ、確固たる信頼に基づく建設的な対話を通じて、世界平和と繁栄のために貢献していくべきものと考えます。 八月初め、三木総理大臣訪米の際、フォード大統領との間で、一層安定した平和な世界秩序の実現のための諸原則が示されるとともに、今後の日米協力関係の基本的方向が明確にされましたことは、この意味でまことに時宜を得た有意義なことでありました。私は、このような基本的方向を十分に踏まえつつ、今回合意を見ました米国国務長官との年二回の協議等を通じ、日米協力の一層の強化のために最善の努力を尽くす所存でございます。 今般、エジプトとイスラエルの間でシナイ半島に関する新協定につき合意を見るに至ったことは、まことに喜ばしいことであります。この成果を得るに至ったことにつき、各当事国及び米国の熱意と努力をわが国は高く評価するものであります。今般の合意は、平和的な話し合いにより中東紛争の解決への前進が可能であることを示す証左として、大きな意義を有すると考えます。 言うまでもなく、これは和平への新たな一歩であり、これを基礎として関係各国がさらに努力を続けることにより、一日も早く中東地域に公正かつ永続的な平和が実現されるよう強く希望するものであります。かかる和平の達成のためには解決すべき多くの問題がございますが、政府としてはパレスチナ問題がきわめて重要な問題の一つであると認識をいたしております。 今後ともわが国としては、産油国、非産油国を問わず中東諸国と人的、文化的交流、経済技術協力の一層の拡大を図ることにより友好協力関係の増進に努め、もって中東地域の安定的かつ健全な発展に寄与し得るよう努力する所存であります。 インドシナにおける戦火の終息により東南アジアの情勢は新しい局面を迎えました。インドシナ地域においては、今後復興と建設が進められ、民生の向上が図られることが期待されます。インドシナ周辺の諸国においては、それぞれの国内の経済的、社会的な体質強化の努力と並行して、ASEANの動きに見られるように地域的連帯を強めようという機運が高まっております。また、政治、社会体制を異にする国との関係を調整しようという動きも顕著になっております。 わが国といたしましても、このような新しい情勢に対応して、従来から密接な関係にある東南アジア諸国との間に、よき隣人としての関係を強化するよう一層努力してまいるとともに、インドシナ諸国とも友好関係の確立とその増進に努める所存であります。 朝鮮半島については、その平和と安定が維持されることをわが国は強く望むものであります。そのためには当面、南北間の均衡が保たれるとともに、急激な変化が起きないよう米軍が引き続き駐留することが必要と考えます。 もとより朝鮮半島における永続的平和の確立のためには、全朝鮮民族の願望である南北朝鮮の統一が平和的に達成されることが望ましいことは申すまでもありません。このため、朝鮮半島における両当事者が改めて一九七二年の南北共同声明の精神に基づいて、現在中断されている対話を早急に再開し、南北朝鮮の平和的統一のために忍耐強い努力を続けるよう希望するとともに、南北朝鮮間の関係の進展を促進するような国際環境が醸成されることが必要であると考えます。 韓国との友好協力関係の維持発展は、わが国の朝鮮半島に対する基本政策であり、引き続き韓国とのこのような関係を推進していく所存であります。 また、北朝鮮については、今後とも貿易、人物、文化等の分野における交流を積み上げていく方針であります。 日中関係につきましては、八月十五日東京において両国間の漁業に関する協定が調印されました。これにより日中共同声明第九項で約束されていた四つの実務協定のすべてが締結されることとなりますが、このことは日中友好関係が同共同声明に基づき着実に進展しつつあることを示すものであると信じます。 政府としましては、日中両国間の永遠の友好関係の基礎を築くべく、日中平和友好条約の締結になお一層努力してまいる所存であります。 ソ連との間に善隣友好関係を発展させることは、わが国外交の一貫した方針であります。しかしながら、戦後三十年を経た今日、いまだにわが国固有の領土である北方四島の返還問題が未解決のまま残されておりますことは、きわめて遺憾に存ずる次第であります。政府としては、本問題を解決し平和条約を締結するため、一層の努力を傾ける所存でございます。 今日世界が共通に直面している諸問題の解決には、同じ先進民主主義国家としての立場に立つ諸国間の緊密な協力が不可欠であります。このような観点から、米国との関係に加え、大洋州諸国、カナダ及び西欧諸国との友好協力関係の一層の強化に努める所存であります。 また、東欧諸国は、わが国と政治経済体制を異にしておりますが、外交の基盤を拡大するとの観点から、これら諸国との友好関係の維持促進に努めてまいりたいと考えております。 さらに、中南米、インド亜大陸及びアフリカ諸国との関係の増進も、幅広いわが外交努力の重要な一環であります。かかる観点より、中南米地域に対して先般福田副総理の訪問及び財界代表から成る使節団の派遣が行われた次第であり、また、インド亜大陸の諸国とも各般の協力と交流の拡大に引き続き努めてまいりたいと考えます。 アフリカにおきましては、本年に入りモザンビーク、カーボ・ベルデ、サントメ・プリンシペがその念願の独立を達成したことは、まことに喜ばしいと考えております。わが国としては、これら新生諸国を含めたアフリカ諸国との交流を進め、また、これら諸国の国づくりに対し、諸分野での協力を一層拡大していく所存であります。 政府は、これまで核拡散防止のための国際的努力に積極的に協力するとの立場を内外に表明してまいりました。私は、今国会に審議が継続されている核兵器不拡散条約の批准のための承認が、できるだけ近い時期に得られるよう強く希望するものでございます。 諸国間の相互理解を増進することは、今日の国際関係の安定と発展にとって重要な課題となっております。政府といたしましては、各国との間に各種の文化交流を今後とも推進し、諸国民との心のつながりを培うことに努めてまいる所存でございます。 以上、わが国の外交につき所信の一端を申し上げました。 国民各位の御理解と御支援をお願いいたします。(拍手) ————◇—————
○羽田孜君 国務大臣の演説に対する質疑は延期し、来る十八日午後一時より本会議を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
○議長(前尾繁三郎君) 羽田孜君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時十三分散会 ————◇————— 出席国務大臣 内閣総理大臣 三木 武夫君 法 務 大 臣 稻葉 修君 外 務 大 臣 宮澤 喜一君 大 蔵 大 臣 大平 正芳君 文 部 大 臣 永井 道雄君 厚 生 大 臣 田中 正巳君 農 林 大 臣 安倍晋太郎君 通商産業大臣 河本 敏夫君 運 輸 大 臣 木村 睦男君 郵 政 大 臣 村上 勇君 労 働 大 臣 長谷川 峻君 建 設 大 臣 仮谷 忠男君 自 治 大 臣 福田 一君 国 務 大 臣 井出一太郎君 国 務 大 臣 植木 光教君 国 務 大 臣 小沢 辰男君 国 務 大 臣 金丸 信君 国 務 大 臣 佐々木義武君 国 務 大 臣 坂田 道太君 国 務 大 臣 福田 赳夫君 国 務 大 臣 松澤 雄藏君 ————◇—————