法務委員会 第7号
- 発言数
- 64 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1975/12/17
会議録
○小宮山委員長 これより会議を開きます。 本日の請願日程第一から第五六までを一括して議題といたします。 各請願の内容につきましては、文書表ですでに御承知のことと存じますし、また先ほどの理事会において検討いたしましたので、この際、紹介議員の説明等を省略し、直ちにその採否を決定いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小宮山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本日の請願日程中、日程第一ないし第九、第一二ないし第四六の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小宮山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 残余の各請願は、いずれも採否の決定を保留いたしたいと存じますので、御了承願います。 なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小宮山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○小宮山委員長 今国会、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付いたしてありますとおり三件でございます。念のため御報告いたします。 ————◇—————
○小宮山委員長 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。 裁判所の司法行政に関する件 法務行政及び検察行政に関する件並びに 国内治安及び人権擁護に関する件以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小宮山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○小宮山委員長 お諮りいたします。 本日、最高裁判所矢口人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小宮山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○小宮山委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 臨時国会もいよいよ終わろうとしております。本年一年、同僚諸君とともに政府側に対しまして、法務行政その他につきまして数々の質疑応答を尽くしてまいりました。その間、政府におかれましてお約束をなさったこともあり、御検討を約されたこともあり、さまざまな問題がございます。 この際、私は、この一年を振り返って、懸案となっております問題につきまして、逐条的に、簡潔に政府のいままでの検討の状況並びに今後の方針について伺いたいと存じます。たくさんの問題がございますから、どうぞひとつ法務大臣から、きわめて簡潔でよろしゅうございますからお答えを願いたいと存じます。 第一は、保留となっております刑法の尊属殺し、この刑法の改正についてその後どうなったか、どうするつもりか。 第二番目は、本委員会の附帯決議となっております執行官の根本的改正について、一体検討はいかに行われ、かつ、今後いつの国会に提出される見通しであるか。 第三番目は、同じく本委員会の附帯決議となっております司法書士法の改正について、いかなる作業日程にあり、いつ国会に提出される見通しであるか。 第四番目に、先般御質問をいたしました身元保証ニ関スル法律でありますが、そのときの質疑応答を踏まえて、いかになさるおつもりであるか。 第五番目に、犯罪被害者補償法の制定につきましては、超党派の要望もあり、政府の中で審議が行われておると推察しますが、一体今後の展望についていかにあるか。 第六番目に、入管法の改正につきましては、すでに過ぐる国会で何回も行われたのでありますが、その後政府は入管法の改正問題についてどうするつもりであるか。 第七番目に、逃亡犯罪人の引渡条約の交渉をいまアメリカとのみ行われておるために、またアメリカとの条約においても、先般の三億円事件で判明いたしますように、恐喝は条約の中になかったためにこの適用ができなかったこと、他の国々等も含めて逃亡犯罪人引渡条約の改定についてはいかに行われるか。 第八番目に、難民条約の批准については、政府はすでにベトナムからの難民についての問題の際にお約束を願ったことであるが、今後はいかになさるべきか。 第九番目に、同様の問題で、亡命者保護法を制定するようにということを私どもは主張を続けてまいりましたが、この点について政府の考えはいまどうか。 第十番目に、この間法律が通ったのでありますから、当然被疑者補償規程の改正が行われると確信をいたしておりますが、そのように考えてよろしいか。 第十一番目に、会社法の改正につきまして、政府は各方面に質問書、意見の照会を行っておるのでありますが、今後の作業日程はいかに行われるのであるか。 第十二番目に、刑事訴訟法費用補償について法制審議会で審議中でありますが、これは次期国会に提出がされる見通しであるか。同様、刑事補償法の改正、私どもがかねて言っております非拘禁の場合についての補償について政府のいまの考え方はどうか。 第十三番目に、その他検討中の法律について、答申済みである戸籍法、本朝の新聞にも出ておりますが、少年法、あるいはその他数々わが法務委員会において議論が生じております国籍法、民法、監獄法等についての審議経過はどうなっておるか。 第十四番目に、先ほども理事会で議論をいたしたわけでありますが、最高裁判所裁判官の問題なのでありますが、その任命の方式について、われわれとしてはかねての主張をいたしておって、任命の諮問委員会の方式をつくるべきであると言っておるのであるが、その点についてどうか。 以上、多岐にわたりまして大変恐縮でございますが、いまの政府の考え方、今後の展望を、簡潔でよろしゅうございますから御報告を願います。
○稻葉国務大臣 御質問の順番に応じてお答えを申し上げます。 尊属殺に関する刑法の一部改正についての法務省の方針でありますが、昭和四十八年四月、尊属殺人罪に関する刑法二百条の規定が違憲であるとの最高裁判所の判断が示されたことから、法務省としては、尊属殺人事件の実態などを総合的に検討した結果、同条の規定を削除し、あわせて、尊属傷害致死、尊属遺棄及び尊属逮捕監禁に関する規定も削除することが適当であると考え、刑法の一部を改正する法律案を準備したのでありますが、この考え方は現在でも基本的に変わってはおりません。 ただ、この問題については、親子関係をめぐる道徳に関連する困難な問題が背景にあり、これらの規定を削除することによって親に対する尊重報恩の倫理を低下させるおそれが生ずるという意見もありますので、なお検討の必要はありますが、関係各方面との調整がつき次第できるだけ速やかに適切な立法措置を図りたいと考えております。 次に、執行官のあり方についてお答えを申し上げます。 御指摘の附帯決議に係る執行官の退職後の給付の改善及び俸給制への移行については、その後、法務省と最高裁判所の担当者がしばしば合同の協議会を開催するなどして具体的に検討してきており、今後とも御要請の趣旨に沿うようにできる限りの努力を続けていきたいと考えておりますが、種々の困難な問題があるようであり、その点については後で事務当局から補足説明をいたさせます。 次に、司法書士法を改正し、国家試験制度に移行すべきであるとの御質問に対しお答え申し上げます。 司法書士の国家試験制度については慎重に検討しており、できる限り速やかに成案を得るよう日本司法書士会連合会との意見の調整を行っていると承知しておりますが、単に国家試験採用の問題にとどまらず、それと関連する問題も多うございますので、司法書士制度の将来のあり方を貴意に沿い得るよう十分検討し対処してまいりたいと存じます。 次は身元保証に関する御質問に対しお答え申し上げます。 御指摘の法律の改正ないし廃止については、前回御指摘の点も含めて検討したいと考えております。 次は、犯罪被害者補償制度を早急に立法化すべきであるという御指摘に対しお答えを申し上げます。 法務省では、暴力的犯罪行為により死亡しまたは重大な傷害を受けた被害者やその遺族に対して国が補償する制度を立法化するものとした場合、補償の要件、範囲、額、実施機関、手続、他の補償制度との均衡等、制度の具体的内容をどうするかについて鋭意検討しており、できる限り早急に結論が出されるものと担当大臣として期待している次第でございます。 次は、出入国管理令の改正についてお答え申し上げます。 出入国管理令の改正の必要性については、これまで機会あるたびに申し述べてきたとおりでありますが、戦前から居住する朝鮮半島出身者など元日本人であった長期在留外国人の基本的処遇の問題を初め、国際テロリストの入国阻止体制、政治亡命、難民対策等新たに問題となっている事項等につきましても、内外情勢の動向を見きわめつつ、引き続きあわせて検討を重ねている状況にございまして、でき得る限り速やかに実現させたいと考えております。 次は、米国以外の国との逃亡犯罪人引渡条約締結等についての御質問に対しお答えを申し上げます。 現在、日本国とアメリカ合衆国との間で締結されている日米犯罪人引渡条約について、御指摘のとおり引き渡し犯罪の種類、範囲の拡大を検討中であり、また、その他の諸国とも可能な限り引き渡し条約を締結することが望ましいと考えます。したがって、鋭意相手国の法律制度やその運用ぶり等について調査中であり、今後とも外務省と協力して必要性の高い国から順次条約を締結するよう努力してまいる所存でございます。 難民条約の加入についての御質問に対しお答え申し上げます。 難民条約につきましては、かねて申し上げているとおり、その趣旨に賛成しており、法務省としては、外務省等と緊密に協力して検討を重ねているところであります。同条約加入のためには、政治亡命者も含めて、難民保護法制その他多岐にわたる国内体制の整備を図らなければならないのでありますが、すでに同条約に加入しておる諸国における法体制その他諸般の実情、特に運用上の問題点を具体的に把握し参考に供することが緊要であるため、目下それらの点につき在外公館を介して調査を進めております。今後とも関係機関の協力を得て速やかに整理、検討を遂げた上、目途をつけまして貴見に沿いたいと考えております。 次は、亡命者保護法の制定についてお答え申し上げます。 政治亡命、難民対策の問題については、出入国管理令の改正並びに難民条約の加入のところでいまお答えしたとおり検討中であります。 次は、被疑者補償規程の改正につきましてお答えを申し上げます。 前国会及び本国会において、刑事補償法の一部を改正する法律案が審査された際、被疑者補償規程について種々有益な御指摘がありましたので、今回、その御趣旨を踏まえ、この規程を改正し、刑事補償法の一部を改正する法律の施行と同時に改正訓令を発する予定でございます。 なお、規程の運用についても、適正を期するよう重ねて通達させる所存でございます。 会社法の改正作業についてお答え申し上げます。 昭和四十八年の衆議院法務委員会の附帯決議及び昭和四十九年の参議院法務委員会における附帯決議の趣旨にかんがみ、法制審議会商法部会において、昭和四十九年九月から会社法の基本的な問題点についての検討が行われ、同部会の意を受けて事務当局から、これらの問題点について裁判所、弁護士会、大学、各種の経済団体、中小企業団体等に対して意見を照会をいたしました。それらの意見を本年中に取りまとめ、これを資料として法制審議会商法部会において会社法改正について審議されるものと存じます。なおしばらく時間を要すると存じます。 次は、刑事訴訟法の一部改正の作業状況についてお答えを申し上げます。 法務大臣の諮問機関である法制審議会は、去る十二月八日の会議において、無罪の確定判決を受けた者に対し、裁判確定までに要した費用を補償する制度を採用することに決定をいたしました。即日法務大臣にその改正要綱を答申いたしました。法務省としては、現在この答申に基づき法案作成作業に着手しており、次期通常国会には、これを刑事訴訟法の一部改正案として提出する所存であります。 次は、非拘禁者補償を採用するつもりはないかどうかについての御質問についてお答えを申し上げます。 諸外国におきましてもこれを採用している例はないと聞いておりますし、また、国会の参考人の意見も否定的見解が強いように感じられております。なお、問題点も多いと思われますので、将来の課題としては研究すべきであると思いますが、当面これを採用するつもりはございません。 次に、少年法改正問題につき、改正作業の現況と法務大臣の方針についてお答えを申し上げます。 少年法の改正につきましては、昭和四十五年六月、少年法改正要綱を法制審議会に諮問し、以来同審議会少年法部会において審議が行われてきたところでありますが、右要綱の基本とする事項に関し賛否の意見が激しく対立したまま推移し、最終決定に至るまでには相当の長年月を要する情勢にあったため、本年に入って審議方針の再検討が行われ、その結果、諮問に係る要綱の是非に関する結論はしばらくおき、さしあたり早急に改正すべき事項として大多数の意見のまとまるところを中間報告の形で法制審議会総会に報告することに決定をし、右方針に基づき、部会長から中間報告に盛り込むべき事項に関する試案が提示され、当面この試案を検討の対象として中間報告の内容を決定すべく審議が行われていると聞いております。 法務省としては、この中間報告が行われ、これを受けて法制審議会から答申がなされましたときには、その趣旨を十分尊重し、できる限り速やかに改正の実現を期する所存であります。 戸籍法の改正作業についてお答えを申し上げます。 本年二月、民事行政審議会から、戸籍制度に関し当面改善を要する事項について答申がなされました。この答申のうち、戸籍法の改正に関連する事項は、戸籍の公開制度に関するものと戸籍の届け出人の範囲に関するものとであります。これらの事項については、目下事務当局において検討させておりますが、改正案をまとめ、できれば来る通常国会に提案したいと考えております。 次に、わが国の国籍法についての御質問に対しお答え申し上げます。 わが国の国籍法は、二重国籍者の発生を極力防止するという見地から、世界の大勢に従い、父系主義によっているのでありますが、わが国において、西ドイツの改正法と同様に、両親の一方が日本人である場合の嫡出子について一律に日本国籍を付与することとした場合には、わが国の実情から見て多数の二重国籍者を発生させることとなり、その面できわめて困難な問題が提起されることとなりますので、国籍法の改正については、慎重に検討を要するものと考えます。 なお、現行の国籍法のもとにおいても、母親が日本人である混血児のわが国への帰化については、通常の帰化に比してその要件は緩和されており、おおむね素行が善良であれば帰化できるたてまえになっております。当省といたしましても、これらの人々がわが国への帰化を希望する限り、積極的に受け入れる姿勢で臨んでおります。 次は、民法の改正作業はどうなっているかという御質問でございますが、民法七百六十七条を改正して、婚姻によって氏を改めた夫または妻が離婚した場合に、婚姻前の氏に復帰するか、または婚姻中の氏をそのまま継続して称するかを選択できるようにするための法案を、離婚訴訟等の管轄を定めた人事訴訟手続法第一条の改正とともに次の通常国会に提案できるよう法制審議会での審議を急いでもらっております。 なお、相続人・相続分、夫婦財産制及び寄与相続人の寄与分等につきましても、法制審議会で検討中でありますが、問題の性質上、広く国民各界各層の意見を求めている段階でございます。 監獄法の改正作業について、その後の進捗状況をお答え申し上げます。 監獄法改正作業は、事務当局において最後の詰めの段階に入っており、遠からず所要手続を経て法制審議会に諮問できる予定であるとの報告を受けております。 次は、最高裁判所の裁判官の選任について、政府が裁判官任命諮問委員会の制度を設ける考えはないかどうかについてお答え申し上げます。 最高裁判所の裁判官の選任の権限は、憲法が内閣に与えているところであり、国会によって信任された内閣がその全責任においてこの権限を行使することこそ、憲法の趣旨に最もよく適合するものであると考えており、これまでも最高裁判所の裁判官の選任に当たって、内閣はその地位の重大さを十分に認識し、常に最もこれにふさわしい人材を選んでおり、この人選は、従来から国民の信頼を得ていると信じております。したがって、お尋ねのような諮問委員会制度を設けることは考えておりません。 以上、まことに簡単でございましたが、お答えを終わります。
○横山委員 たくさんの問題の御検討をお願いいたしまして恐縮でございました。いまのお答えの中には、私どもの若干意に反するものもございますが、せっかくひとつ諸懸案について努力をされるように要望をいたしたいと思います。 次の問題に移ります。 六月三十日のサンケイ新聞によりますと、 東宝専属の映画プロデューサー、奥田喜久丸(四六)=すでに逮捕=らがアメリカ・ラスベガスへの“トバク・ツアー”を主催、客の会社重役らからトバクの借金をおどしとっていた事件を追及中の警視庁捜査四課は二十九日、奥田らが客から回収した借金をあずかっていた第一東京弁護士会会長、日本弁護士連合会副会長、吉本英雄弁護士(五七)を重要参考人として警視庁に出頭を求め、事情聴取した。これに対し、同弁護士は奥田からあずかった一億六千万を銀行に預金したあと、約八千万円を引き出したことは認めたが、このカネをアメリカへ送金したのか、あるいは送金せずにカネをだれかにわたしたのかなどについて、あいまいな供述をくり返しており、同課は吉本弁護士が外国為替管理法に違反する疑いも出てきたため、さらに一両日中に再度聴取してカネの行方を追及する方針。 六月三十日であります。この問題につきまして関係各省の御意見を伺います。 要するに、この奥田なる者がアメリカのラスベガスのばくち場へ日本からお客さんをたくさん連れていって、ばくちでそのお客さんがもうかった、あるいは損した。そのもうかった、損したのを日本国内において取り立てをする。その取り立てを、あろうことかあるまいことか、第一東京弁護士会会長、日本弁護士連合会副会長吉本英雄弁護士が取り立て屋をやった。そういう言い方が適当であるかどうかわかりませんが、驚いたことであります。 まず、法律的根拠をお伺いしたいのでありますが、大蔵省、おいでになっておると思いますが、外国為替管理法二十七条は、本件についてどういうふうに解釈をすべきか、説明をお願いします。
○神馬説明員 新聞等で読んでいる限りでございますが、吉本弁護士が取り立てをされた、そうしてそれをアメリカから来られました先方の代理人という方に渡されたという事実、それだけを申しますと、まず、賭博で負けられた方から金を取り立てられたという方々、しかもそれが先方へ渡すためであるということであります場合は、外国為替管理法二十七条一項の三号にございます。非居住者のためにする居住者からの支払いの受領ということに該当いたします。それから、先方に金を渡したということに関しましては、やはり外国為替管理法二十七条第一項第二号の非居住者に対する支払いということでございまして、両方ともこれは日本銀行の許可を必要とするということでございまして、この件については許可はとっていないというふうに聞いております。
○横山委員 二十七条違反の罰則はどうなっていますか。
○神馬説明員 お答えいたします。 三年以下の懲役、三十万円以下の罰金と心得ております。
○横山委員 本年十二月八日の朝日によりますと、この吉本弁護士が大蔵省に対して、賭博などによる多額の送金なり何なりをどうしたらいいかということを聞きに行った。そうしたら、「大蔵省は「とばくなどによる多額の対外送金を認めることは、直接間接に、国際収支に悪影響を与えたり、あるいは国民経済の発展に悪影響を及ぼす恐れがある」として、許可はむずかしい、との方針であったため、」と書いてあります。吉本弁護士が大蔵省なりあるいは日銀などへこのばくちの勝った金、負けた金を国内において取り立てたりあるいは渡したりすることについて聞きに行ったことがあるのかないのか、これをお伺いします。
○神馬説明員 お答えいたします。 昨日、実は夜遅くまでかかりまして詳しくもう一度調査したわけでございます。その結果、次の事項が明らかになりました。 吉本弁護士は、サンケイ新聞に六月三十日に出ておりましたが、その後七月中旬になりまして、日本銀行の外国局管理課の方へ御本人が赴いたということでございます。ただ、その場合、送金できるかどうかということを聞いたわけではございません。実は古い政令でございますが、国外居住外国人等に対する債務の弁済の為にする供託の特例に関する政令、こういう政令がございます。この政令の趣旨自体は、戦時中のわが国の国民が対外債務を持っております。これを清算するために国が供託を受けてあげましょうというような趣旨でできているものでございまして、この政令に基づきまして供託が認められる債務ということになりますと、外国為替管理法二十七条の規定にかかわらず送金ができるということになっておりますので、この規定の適用は受けられないだろうかということを聞いてまいったそうでございます。 これに対しまして、その政令については日本銀行も全くの門外漢でございますので、これについては外国為替管理法を主管しております大蔵省に聞いてくださいということで、大蔵省の方へ電話を、日本銀行の担当官から私どもの方の担当官のところへ電話がかかってまいりましたが、それにつきましても、国際金融局の関係の法律でございませんので、大蔵省の他の担当部局の方へ国際金融局といたしましては取り次いだわけでございます。八月になりまして、吉本弁護士はその担当部課の方へ電話をされたということを聞いております。そして、この政令の適用が受けられるだろうかということを聞いたというふうに聞いております。その場合、まだ担当部局の方で検討が十分進んでおりませんでしたので、それは一応お聞きしただけということでありましたが、九月になりまして、もう一度お問い合わせがあり、そのときにどうもこの適用は受けられませんということをお答えしたと聞いております。 そういうことでございまして、この送金自体について直接御相談を受けたことはなかったということでございます。
○横山委員 十二月八日付の新聞によりますと、「吉本弁護士はこの事件に関係した責任をとって、ことし七月、第一東京弁護士会の会長を辞任しているが、調べに対しては「金の取り扱いは支払いの受領ではない。外為法違反になる状態を適法にする法律事務過程での、弁護士としての正当業務行為である」などと反論している」のでありますが、この吉本弁護士の反論は、いまの大蔵省の説明の結果としては、その規定は適用ができないということではあったらしいのでありますが、彼の行為は、この新聞の「外為法違反になる状態を適法にする法律事務過程での、弁護士としての正当業務行為である」という理屈が成り立つのであるかどうか、法務省の見解を伺います。
○安原政府委員 詳しい法律関係は大蔵省当局からお聞きをいただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、外国為替管理法あるいは管理令において禁止されている行為であります以上は、それが弁護士であるからといって正当化されるものではないというふうに考えております。
○横山委員 話によりますと、一億八千万円を政府は没収をした模様でありますが、その没収の根拠は何法何条によって行われたのでありますか。
○安原政府委員 報告によりますと、吉本弁護士は被供託者を奥田喜久丸といたしまして、東京法務局に八千七百九十万五千八百七十六円を供託をしておりまして、現在それを、警視庁が捜査の過程におきましてその供託証書を任意提出させ、三して事件の送致を受けました東京地方検察庁でこの供託証書を領置しておるのが事実でございまして、没収ということはいたしておりません。なお捜査中でありまして、仮に没収できるといたしましても、それは判決を待たなければならないことでございまして、現在の状態は、先ほど申しました供託証書を東京地検が領置しているというのが事実でございます。
○横山委員 その地位も地位であり、そしてまたそのばくちのもうかった金、損した金を国内で取り立てをする、それが外為法ではとてもだめということがわかっておって、どうしてそういうことになるのか。私もある意味では吉本弁護士の立場なり理屈なり、是認できるところはどんなことがあるかという立場でいろいろ検討してみたのでありますが、どうも私自身も、好意的に見てもなかなか説明困難であります。むしろ一体そういうことが書類送検だけでよかったのであるかどうかということに疑義を生ずる人さえ出てきておるわけでありますが、身元を拘束せずに書類送検だけでどうしていいのであるか、逆に伺いたいのであります。
○安原政府委員 犯罪事実が捜査を遂げて公判請求した段階ではございませんで、まだ捜査中でございますが、御指摘の身柄を不拘束のままで捜査を続けている理由につきましては、報告によりますと、被疑者である吉本弁護士については、捜査の当初から証拠物を積極的に捜査当局に提出するなどして捜査に協力しており、罪証隠滅のおそれがなく、かつ住居も明白で、弁護士という社会的地位もあって逃亡のおそれもないということから、逮捕勾留の必要性がないという判断でございます。
○横山委員 奥田何がしというすでに逮捕されている人間が、お客さんをラスベガスへどんどん連れていって、そこでお客さんがもうかったり損したりした、その金がないから、日本でひとつ取り立ててくれ、それで吉本弁護士が取り立て屋なり支払い屋になったということを考えてみまして、この種のばくちの支払いというものは、ラスベガスで起こった事実について、損した人、得した人は一体法律上どういうことになるのであるか、民法上から民事局長の見解を伺いたいのであります。それはあくまで債務として支払う義務があり、支払う義務があったら、吉本さんが来たら、えらい済みませんでした、ラスベガスで迷惑をかけたので利子をつけて払いますということになるのであるかどうか、その点を伺いたい。
○香川政府委員 とばくが仮に外国で行われました場合でも、日本人同士の間でありますと、民法の九十条の規定によりまして公序良俗違反ということで請求はできない、かように考えるわけであります。外国人と日本人の間のとばくということに相なりますと、法例の適用があるわけでございますが、法例の七条で、当事者の意思によっていずれの国の法律を適用するかが決まるわけであります。当事者の意思がはっきりしないときには行為地法によるということになっておるのでありますが、いずれにいたしましても、日本でそのことの請求ということに相なりますと、同じく法例の三十条の規定によりまして、公序良俗違反でございますから、やはり無効ということで取り立てばできない、かような結果になるわけであります。 それから、すでに取り立てた、支払ったということに相なりますと、これはとばくでございますし、両当事者にそれぞれ不法の事由があるということに相なりますので、民法の七百八条の規定によりまして、いわゆる不法原因給付ということで返還は請求できない、かような法律関係になるわけでございます。
○横山委員 そうしますと、わかったような話でありますが、ラスベガスでもうけてまだ払ってもらってない人、ラスベガスで損して払わなければならぬと思っている人で、いま国内に居住している人たちは一体どうしたらいいのですか。
○香川政府委員 どうしたらいいかということはお答えする限りではございませんが、もうけた人はすでにもう金を受け取っておる……(横山委員「受け取ってない」と呼ぶ)受け取ってなくて、計算上もうけておるということになりますと、少なくとも日本でその取り立てをしようというときには、先ほど申しましたように、公序良俗違反ということでもともと無効でございますから請求はできない。裁判所に持っていけば棄却になるわけでございます。損をした人は、やはりその関係が公序良俗違反ということで無効でございますから、法律的には支払う義務がないということになろうかと思います。
○横山委員 承ると、吉本弁護士は数々の公職をなさっておられるようであります。また、この種の問題が弁護士法に、弁護士たる品位その他を汚して、該当をするように思われるわけでありますが、承れば公職の一部はすでにおやめになっておるようでありますが、この間の委員会で私が取り上げました井上弁護士の弁護士法二十八条違反、そしてまた今回はこの吉本弁護士、東京第一弁護士会会長、日弁連副会長ともある人の外為法違反、そして、どういうことになるか、これからお伺いしたいのでありますが、非常に遺憾千万なことであります。 この間も、私はこの種の問題について、弁護士諸君の非違行為について、政府やあるいは最高裁に監督権がないのであるからお答えを最終的に願うわけにいかない、しかしこの私の質問を通じて相手なき回答をもらいたい、日弁連がこの種の問題について社会的責任を負う立場から何らかの回答をされんことを望むということをこの間も言いましたが、重ねて、吉本弁護士の事件を通じて、日弁連に何らかの社会的責任を果たす回答をもらいたい、そういうことをこの際私は申し上げておきたいと思います。 いま捜査中だというお話でございましたが、今後どういう進展になりますか、差し支えのない範囲内で結構でございますからお答えを願います。
○安原政府委員 具体的な事件でございますので、法務当局からどのような処分をなされるかということは言うべき筋合いでないことは御理解いただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、いま捜査中でございまして、検察の使命から申しましても、当然事実の究明を行って、適正な処分をするものと期待をいたしております。
○横山委員 次に、時間が余りございませんけれども、金大中事件について大臣の御見解を伺いたいと思います。 金大中氏が十三日第一審で禁錮一年の実刑判決を受けましたことは、まことに意外——意外とは言えないかもしれぬけれども、われわれとしては納得のできない重ね重ねの現実について、遺憾千万であると言わざるを得ないのであります。 そこで、端的に法務大臣にお伺いしたいのでありますが、私どもは、この金大中事件が起こりました当時、副総理でありましたか、三木さんが、納得のいく解決をしていかない限り本当に日韓の友好関係はないと閣議の中でもきわめて明白にあのときに言っておったと記憶をいたしております。この実刑判決、まだこれは控訴をすると思うのでありますけれども、この実刑判決によって、金大中氏の身柄を日本へもう一遍、あの事件が起こります前の状態に移せという日本側の要求は全くもう宙に飛んでしまったと考えるのであるか、その点を法務大臣にまず伺いたいと思います。
○稻葉国務大臣 いまの御質問に対する答弁は、外務省がすべきかとも思いますけれども、きのう同じ質問が参議院の法務委員会でありまして、そのときの外務省からの答弁としては、まことに御意のとおり遺憾である、ただ、金大中氏が日本に来ておったときも、選挙違反の事件については被告の身分であったにもかかわらず来ておったわけであり、第一審の判決がああなっても、確定したわけではありませんから、自由な身になって日本に来ることが、そういう道は全く断たれたというものでもありません、こういうふうな答えであったように、私、きのうですからまだ覚えております。 政府としては、金大中氏事件が発生しましたことはまことに遺憾千万であり、日本から連れていかれる前の状態に、自由な状態にしてもらいたい、こういうふうに希望するわけでありますが、検察当局としてのあの事件についての考え方は、事件の性質にかんがみ、警察の捜査結果を待って、本件の真相解明に努力しようということで待っておる、こういう現状にあります。
○横山委員 警察庁や外務省からも来てみえますから、一言お伺いしますけれども、金東雲の身柄引き渡し要求は外務省は本気でやっているんだろうかというのが国民の偽らぬ疑惑でありますが、この点について、事実関係をひとつ明確にしてもらいたい。 それから、警察庁の方は、この金大中事件の捜査をこれからどういうふうにしようとするのか、また、いま現状はどうなっているのか、伺いたいと思います。
○遠藤説明員 横山委員御案内のとおり、去る一昨年十一月二日に、韓国の金鍾泌国務総理が来日されまして、そのときの総理大臣、田中前総理と会談されまして、その結果、いわゆる了解が成立したわけでございます。その了解の中で金東雲に関します点は、韓国側が今後取り調べを行ってしかるべき措置をとる、それからその捜査結果については日本側に通報してくる、こういう点が了解の中にあるわけでございます。 この了解に基づきまして、去る七月二十二日、韓国側から口上書が寄せられまして、金東雲につきましては、その後捜査したけれども、嫌疑事実を立証するに足る確証は見出し得なかった、したがって不起訴処分にした。しかしながら、本件捜査の結果判明した本人の東京における言動というものが日本の警察当局の嫌疑を受けるなど、国家公務員としての資質を欠き、品位にもとるものとして、公務員としての地位を喪失せしめた、いわゆる免官ということでございます。この口上書を受領いたしまして、日本政府としましては、外交的な関係に関する限りは、金東雲に関する問題は終局を見た、こういうふうに判断しております。これが、去る七月三十一日、衆議院外務委員会での宮澤外務大臣の答弁のとおりでございます。
○大高説明員 お答え申し上げます。 金大中事件につきましては、警察は、七月二十二日に口上書が到来しました以降につきましても、従来の捜査体制を崩さず捜査を続けております。警察の方では現在のところ、国内捜査を中心にいたしまして、従来の捜査で収集いたしました資料の洗い直し、あるいはまた、新たな目撃者の発見に努めるという形で捜査を続けておりますし、今後とも粘り強く捜査をやってまいりたい、かように考えております。
○横山委員 法務大臣に特に申し上げたいのですが、金大中事件が発生をいたしました際に、最も強硬であったのは法務大臣、法務省でございます。私は当時のいきさつをよく記憶いたしておるところであります。その趣旨というものは、いま私が改めて言わなくても、法務省ががんとして主張しなければどこが一体主張できるか。いろいろ外務省は外交的な問題があるだろう。警察庁もやはり限界があるだろう。そういう点では法務大臣及び法務省ががんとしてこの問題の根本的解決を最後まで言わんという立場でない限りはだめだというわけで、私どもその当時から法務省を大いに激励をしておったものであります。 〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕 いまも外務省から話がございましたけれども、金鍾泌氏の大統領親書持参の場合には、出国を含め金氏は自由である。そういうことはなるほど裁判で有罪になったらそれはあかんよというような意味があろうとは、それこそ夢にも知らぬ何とやらと言いまして、政治家が出国を含めて金氏は自由ですと大統領親書を持ってやってきた、その金鍾泌氏が田中内閣総理大臣に会って言うたということは、当然素直にそれが守られ得ると国民が思っておったことは当然であります。いわんや今回の禁錮一年の実刑、罰金五万ウォンですか、これは、以前金氏が一九六七年の選挙で裁判に付せられながら海外旅行のためそれが中断をしておった経験から言いますと、今回七三年、強制連行されたわけですが、その今回の事件は一九七一年の大統領選挙のことなんです。二年前の問題をひっかけて四年たったいま実刑一年というのがいかにばかにしておるといいますか、外務省のいまの御説明では、口上書が来たために、金東雲はしかるべく措置されて、お役人からやめさせられたからそれで一切おしまいだ、そういう判断は私どもの判断では違うのでありますが、いずれにいたしましても、金大中事件で当初から一貫して正義の味方法務省、日本のこの主権を守る最後のとりで法務省というふうに気概を持っておられる。当時もすべての国民が知っているように、この事件は、西独で学生が韓国へ連れ去られたときに西独がとった態度とそして日本が今回とった態度との見比べから言いましても、まさに、竜頭蛇尾という言葉がありますが、竜の頭でもない、ヘビとヘビの尾でまことに遺憾だと思います。 その点では、事件発生以来法務省がとってまいりました強硬な態度に変わりはないものかどうか、閣僚の一員としても、法務大臣としてこれから本件についてどうお考えになるおつもりであるか伺いたい。
○稻葉国務大臣 法務省の従来とってきた、がんとした方針については変わりはございません。貴見のとおりであります。
○横山委員 願わくば、いまあなたは、普通だったら、本件についてそういうがんとした態度でやるという説明に、かてて加えて、本来ならもう少しおっしゃるべきだと思いますよ。したがって、この強硬な方針のもとにかくかくいたしたいとおっしゃるはずであります。それが出てきませんところに、頭はどう考えようと、手足が動かぬのかという気がするのですが、そう解釈してもよろしゅうございますか。
○稻葉国務大臣 厳然たる態度に変わりはありませんが、今度の禁錮一年という選挙違反事件についての判決については、それは韓国の法律によって韓国の裁判所がそういう第一審の判決をされたので、これに対して、あれは不当な判決だとかそういう批判をするということは、これはまた逆な主権の侵害になるおそれがありますので、この点は遠慮し、そういう批判は差し控えさせていただきますが、金東雲等はあれだけの警察当局の証拠が挙がっており、それから向こうも、怪しいから免職にしたのでしょう。そういう人間の捜査については韓国側が協力してくれることについて外務省を通じて強く要望する、そうして来たら警察で調べて送検してくる、検察当局は、つまり法務省はこれに対して厳然たる態度で臨む、こういう方針に変わりはないということを申し上げたつもりでおります。言葉が足りませんので御不満を与えたようでございますが、そういうわけでございます。
○横山委員 質問を終わります。
○保岡委員長代理 青柳盛雄君。
○青柳委員 私は、先般大変に社会問題にもなりました公労協のスト権ストの問題、これに絡んで憲法二十八条の解釈、運用の問題、国家公務員、地方公務員それから公共企業体の労働者、こういう人たちから争議権を奪うということが果たして憲法に適合するかどうかということについて、国会でも論議が行われているわけであります。そこで、きょうはもっぱら裁判所の職員の地位に関して質問をいたしたいと思います。 裁判所職員の中にも、裁判官という資格を持っている職員もおりますし、また、それ以外のいろいろの職種の職員がおられます。それで、裁判官という職務についている人たちについて憲法二十八条はどのような関連を持つか、これも大きな問題でございますけれども、時間が制約されておりますのでその問題は別の機会に譲りまして、裁判官以外の職員が憲法二十八条で保障されている労働者としての基本的権利、その中の一つである争議権、これは憲法の規定には争議権という言葉はありませんで、団体行動権とか団体交渉権というような言葉がありまして、団体交渉権が争議権という一種の強制力を背景にして行われるべきものであるという理解からするならば、団体交渉権の中に争議権は含まれているのだということも解釈上成り立つと思いますけれども、その解釈はどの文句に当たるかということは別といたしまして、端的に争議権が裁判官以外の裁判所職員に無条件に保障されてしかるべきか否か。現行法はそれを保障していないというか、奪っている。これが違憲ではないかということが問題になると思うのでありますが、この点について、政府を代表して稻葉法務大臣の見解、さらに最高裁判所当局の見解を承りたいと思います。
○稻葉国務大臣 政府としては、裁判所職員も含めた国家公務員について、争議権に制限を加えている現行法は合憲的法律であるというふうに解釈しておることは、御承知のとおりでございます。
○矢口最高裁判所長官代理者 四十八年九月、第三次公制審の答申が出されまして、三論併記の形で意見が出ており、これらの点につきましては、関係機関において十分御検討をしておられることと考えております。私どもも独自の立場で検討はいたしておりますが、現在の争議権を認めていないというやり方は、それはそれとして合憲なものである、このように考えております。
○青柳委員 これは非常に議論の分かれるところでありまして、それではお尋ねいたしますが、ポツダム宣言を受諾いたしまして、日本が平和的、民主的な国家として立て直されるという昭和二十年の中期以後の日本の状況の中を振り返ってみますと、従来の官吏あるいは公吏と言われる、いまの言葉で言えば国家公務員あるいは地方公務員に当たる人たちの争議権は、もう民間の労働者すら奪われているかあるいは制限されていた戦前の状況と違いまして、民間の労働者はもちろん、いま言ったような国公労働者すべて、争議権は民主国家としての再建の過程で保障されていたということは、歴史的な厳然たる事実であります。これは間違っていたのかどうか。間違っていなかったとするならば、その後これを改めるに至ったのはどういう理由であるのか、現在の状況にしてしまったのはどういう理由であるのか、その辺のところをまず法務大臣から承りたいと思います。
○稻葉国務大臣 占領治下で一時、国家公務員、地方公務員、教育公務員全部、公共企業体関係労働者も含めて全部労働者と規定され、憲法二十八条で団結権、団体交渉権、団体行動権の全部を付与されておった事実はございます。その後、強く公共性の要求せられる部分においては、団結権まで与えていない。初めから警察官であるとか消防職員であるとかそういうものには与えていない。それから国家公務員については団結権、団体交渉権まで、こういうことにいたしましたわけですが、それがわが国の公務員制度、公共企業体のあり方、国民に対する公共性の見地から制約を受けることは、憲法の保障する権利、自由というものは無制限な権利、自由ではないということは憲法自体も認めているところでありますから、その団体行動権を認めないことにした法制は、決して違憲な法制であるというわけのものではないというのが、私の考えであります。
○青柳委員 最高裁判所は、法律をみずからつくる権限も、ある程度のところで認められておりますけれども、争議権を保障されるか否かというような大問題につきましては、最高裁判所自身が法律制定権を持っているわけではありませんのでお尋ねはいたしませんが、たとえば安保六・四事件という事件について裁判所が示した判例によりますと、裁判所の裁判官以外の職員が争議権を保障されていないというのは、争議行為によって国民生活全体に重大な障害が発生するおそれがあるからであって、それらの人々が全体の奉仕者たる身分を有するからではないというような趣旨の判決をしているようであります。行政関係をつかさどる最高裁判所という立場から見て、この解釈は正しいと考えておられますか。
○矢口最高裁判所長官代理者 これまで最高裁の大法廷でお示しになりました判断というものは、それを尊重すべきものというふうに考えています。
○青柳委員 私は、この憲法に適合するか否かという議論は、また後の質疑でもっと深めていきたいと思いますが、きょうはそのような法制のもとにおいて、公務員の身分、たとえば試験制度、任用制度あるいは分限、懲戒、そういったようなことについて保障されなければならない、これは憲法上の大原則であって、国家公務員は、あるいは地方公務員もそうですか、公共的な立場の仕事をやるのだから、その試験、任用、分限、懲戒等々について不公平な扱いがあっても構わないのだという議論はどこからも出てこないし、そのことは恐らくだれも異論はないと思います。問題は、不公平なやり方、不当なやり方が行われたときに、あるいは行われようとするときにストライキ権を発動してこれと対抗する、あるいは労働条件の向上をかち取るというようなことができない場合に、そして現実には公務員はそれを奪われているわけだから、これに対する代償措置というような形で、たとえば人事院制度というようなものが設けられたということが言われております。人事院制度が果たして代償措置として正しいものであるかどうかというようなことについてはいろいろまた議論がありまして、そういう欺瞞的な措置をもって基本権を奪うということを合理化することはできないという議論だって当然あるわけでありますが、そのことは一応別にいたしまして、現実に公務員が労働者でありながら民間の労働者と違った不利益をこうむることを是正するという機能を果たすべきものとして人事院制度がある。で、それはある程度の機能もしているという評価ももちろんあるわけでありますが、裁判官以外の裁判所職員について——これからはもう裁判官以外のという言葉は省略しますけれども、裁判所職員についてこの人事院制度は現在どのようになっているか、簡単にお答えいただきたいと思う、裁判所の方から。
○矢口最高裁判所長官代理者 政府が御指摘のように人事院制度を持っておるということはそのとおりでございます。それを裁判所に適用いたします場合には、一つの変更を余儀なくされるわけでございます。と申しますのは、裁判所は独立の機関でございまして、およそ他のいかなる制肘も許さず裁判を行わなければいけないという使命を持っており、そのことのために司法部は行政府と厳然と区別されておるということでございます。司法行政の権もまた司法部に挙げて一任されておるということでございます。 そういう二つの特殊性といったものをかみ合わせましていろいろの検討がなされたわけでございますが、現在の制度といたしましては、人事院の持っております機能というものを最高裁判所が兼ね備えるということで、法制的には国家公務員法をそのまま裁判所の職員に準用し、また各種人事院規則をある程度の読みかえを行いまして、最高裁判所規則等に読みかえて、いま御指摘の職員の権利保護と申しますか、身分の保護ということを行っておるというのが現状でございます。
○青柳委員 これがよく言われる三権分立の大原則からいって、人事院も行政府の一機関であるから、その機関のもとに司法部の職員が取り扱われるということは正しくないというような議論、つまり立法府に働く国会の職員については人事院とはまた関係がない。それと同じようなんだという議論もあるようであります。この議論がそもそも一体人事院制度を別途に裁判所職員につくり上げる、つまり現行法は人事院にかわるものとしては最高裁判所だということになっておりますし、人事院規則にかわるものとしては最高裁判所規則だというようになっているわけでありまして、全く自主的にこれは司法部としてやるのだ、こういうことでありますが、それに一つの合理性があるといたしましても、これができたのはいわゆる裁判所職員臨時措置法というのが昭和二十六年の暮れごろであります。これで人事院制度を変えて、そうして国家公務員法を裁判所職員に適用する、こういうことになったのでありますが、じゃあ、人事院の制度というのはいつごろからあるのかということになりますと、昭和二十二年ごろからですか、もうすでにあるわけです。この時期は裁判所職員についてはどういう扱いをしておったのですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 正確に申しますと、裁判官及び秘書官を除くことでございますが、先ほど青柳委員御指摘のように、そういうものを除きました裁判所の職員ということで述べさしていただきたいと思いますが、裁判所職員につきましては、裁判所職員臨時措置法が施行になりますまでは、一般の国家公務員法がそのまま適用されておったという状況でございます。
○青柳委員 はからずもそういうお答えが出てきました。つまり裁判所職員についても、行政府の一機関にしかすぎないというような肩書きをつけて、あたかも何か司法部に対して介入をするような権限は持ち得ないのだというような、そういう前提でいるところの人事院、これが機能しておったわけであります。私はそれでも何ら不思議ではなかったと思うのであります。むしろその方が合理的ではないのか。なるほど人事院という機構が裁判所の機関ではないことは明白であります。さりながら、これは全然裁判所とは無縁な機関であるというふうにのみ性格づけることができるかどうか、この辺のところが問題なんでありまして、私どもは第三者機関という性格が人事院には相当重い特質をなしているのではないか。つま任用とかあるいは不利益な処分とかいうようなものが一般の機関によって行われ、それに対して当事者から異議を申し立てるという機関として公正中立な立場でその異議が、苦情が妥当であるか否かを判定する、よく準司法的機関などと言って裁判所と対比されるような機能を持っていると言われておるわけでありますが、そういう準司法的な機関として働く、そういうものとして一般からもその判定というものは公平性を認められ、またその判定に服するということもあり得るわけでありますが、それを裁判所職員については、処分庁であるところの最高裁判所が同時にその準司法的な機関の作用をするというこの矛盾というものをどう解釈していいのか、この点、お尋ねをいたしたいと思います。
○矢口最高裁判所長官代理者 先ほどの、裁判所が裁判所職員臨時措置法ができます前に、国家公務員法がそのまま適用されておったという点でございますが、この点については恐縮でございますが、一言つけ加えさせていただきたいと思います。 と申しますのは、国家公務員法は確かに御指摘の法律改正が行われますまでは裁判所職員にもストレートに適用されておりましたが、これは戦後におきます公務員制度といったものの非常に大きな変革というものが行われて、国家公務員法ができました。その際に、当然三権分立のたてまえから、裁判所職員あるいは国会職員等、人事院の傘下にあるべきではないということは理論的には明白になっておったものでございますが、ただ非常に人事行政と申しますか、新しい考え方に基づきます人事行政、これを直ちに独自の立場においてやるということについてはなれていないといったようないろいろな問題がございましたので、理論上は人事院が所管すべきものではないけれども、しばらくの間人事院が便宜行うということ、そういった立法がなされたものと承知いたしております。 そういうことがございましたので、裁判所といたしましては、全力を挙げて新しい公務員の職員の管理ということについての研究、勉強をいたしたわけでございまして、その勉強が実りまして、御指摘の二十六年の改正ということになって、初めて真の意味の司法部の独立ということが行き渡ったというふうに理解をいたしております。この点はつけ加えさしていただきます。 次に、ただいまお尋ねのいわゆる保障の問題でございますが、この点は確かに司法行政の頂点を担当いたしております最高裁判所が、一面において判定者的な働きをするということで、二つの立場を使い分けをいたしておるというのが現在の法制でございますが、ただ、先ほども申し上げましたように、司法部の独立性というものは、これは何をおいても厳然として維持しなければいけないという司法部のこの全く特殊な性格、そういったものからまいりますやむを得ざる制約というふうに考えておるのでございまして、具体的な機能といたしましては、また運用の心構えといたしましては、人事院がこれを行っておりますのと全く同様に、別途の立場で職員の利益というものを十分に考慮して運用が行われておる、このように理解をいたしております。
○青柳委員 三権分立で司法権の独立ということを非常に強調されるわけであります。私ども、一体司法権の独立とは何ぞやということをまたここで考え直さなければいけないわけでありますが、明らかに憲法で求めているところの裁判の独立、司法権の独立というものは、具体的なケースを判定するに当たって、個々の裁判官が何ぴとからも命令を受けない、いわゆる上級、下級の関係というようなものはない。役人ではあるけれども、具体的なケースでシロをクロとするとか、その逆にするというようなことを上司から命ぜられて、自分の良心というものをなげうっても、また自分の法律に対する解釈というものを曲げても、それの命令に従わなければならないというものではないんだ。それでは真実をどこまでも貫いていく司法の機能というものが損なわれるというところにあると思うのであります。これはだれも議論が分かれないと思うのですが、そういうことを裏づけるためには、人事などについて行政府の方からいろいろの影響力を持つようなやり方は、極力避けたいということが出てくるのではないか。つまり個々の具体的ケースが、行政府の方にとって有利なような結論を出してもらいたいというような欲望を持って人事に介入してくるということになれば、勢い法が曲げられる危険性がある、司法の独立がしたがって侵される、こういう議論だろうと思うんですね。 それじゃ部内ではそういうことは全然起こらないのか。行政府の方には、個々の裁判官には絶対手をつけさせない、職員についても同じだ。しかし、最高裁判所、自分の内部では、個々の裁判官に対しあるいは職員に対して何ら命令は発しない、つまり裁判を行う過程での独立性は絶対に侵さないということかと言えば、もちろんたてまえはそうなっておりますけれども、人事権というものを握っているわけでありますから、行政府が握っているのではありませんけれども、いわゆる司法部内で最高裁判所が人事権を握っている限りにおいてはいろいろの影響力を及ぼす。そういう点では裁判の独立ということは、行政府から独立さえすればいいということではない。結局は司法部内であろうとあるいは国会の方からであろうと、個々の具体的なケースで裁判官の判断を左右してはいかぬ。直接的にも間接的にもそれに類することをやってはいかぬということに全部帰着するような感じがいたします。したがって、何か人事権に関して、人事院でやってはいかぬのだということを論証づけようとするならば、たとえば試験制度とか任用についてとかそういうようなことで特殊性がある。一般行政のベテランであっても、司法行政については素人であるというようなものではうまく行えないから、それはもちはもち屋で、やはり司法部でやればいいんだという程度のことだけに限ってやるべきでないのか。使用主としての最高裁判所と、被用者としての労働者、裁判所職員との間の見解の相違や利害の対立、そういうものがあったときに、中立なものとして判定するのはやはり別なものであっていいのではないのか。それを何か司法の独立ということからそれは許されないのだという議論というものが高々と言われているのは、どうもわれわれには腑に落ちないのですけれども、この点重ねてお尋ねいたしたいと思います。
○矢口最高裁判所長官代理者 司法の独立ということ、その一番核心は、いま御指摘になりましたように、裁判官が法律と良心に従って何者にも制肘されず判断を行うということでございます。しかし、それを守っていきますために、やはり現在の憲法によって与えられております司法行政の行政府あるいは立法府からの独立ということも、これはそれを果たしますための重要な支えでございまして、私ども司法行政の独立もひっくるめて司法の独立ということで考えておるわけでございます。 そういうふうに考えておりますので、やはり使用者としての裁判所の立場とそれから判定者としての立場が一体にならざるを得ないということは、確かにその点だけを見てみますと問題が一応考えられるところでございますが、翻って考えてみますと一人事院のような準独立的な機関がございまして、その人事院に勤務する職員につきまして実は同様の措置がとられているわけでございまして、人事院の職員のそういったいわゆる判定機関はやはり人事院が行っておる、このことは人事院のいわゆる準司法機関な立場——まあそう言い得るかどうか、言葉上の問題はあろうかと思いますが、人事院のそういう準司法機関的な立場から来る一つの制約であるというふうにも考えられるわけでございます。現在私どもがとっております制度は、人事院における人事院の職員の場合と全く同様でございまして、その点これは大きな高次の目的のためのやむを得ざるものと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○青柳委員 まあその議論もあることは私も知っておりました。ただ違う点は、裁判所という機関が最終的な決着をつける機関であるという性格ですね。つまり行政府のやった処分であろうと民間のいろいろの行為であろうとを問わず、とにかくそれが法に合っているか否かということを最終的に決着をつけるのが裁判所であり、その終審が最高裁判所だ。だから、人事院の職員が不利益な処分を受け、そして公平制度で異議を申し立てたけれども、これも通らなかったというときには最高裁判所まで持っていけるわけであります。だから、その点は純粋の第三者機関であるところの裁判所というものへ持っていけるわけです。ところが、裁判所職員の場合には、使い分けと言えば使い分けでございますけれども、処分をした最高裁判所が、同時に、先ほど来問題になっております公平審査の作用をする。それでけっ飛ばされて、今度は裁判所へ持ち出していく。そうすると、果たして裁判所というものは最後のとりでという形であるのかということも疑問になってくるわけですね。だから、人事院の職員と裁判所の職員とは、形の上ではちょっと似ているようではあるけれども、先ほど言いましたように、最後の決着が裁判所という形で行われるという点でははっきり違う。頭の中では処分庁あるいは判定庁の裁判所と、それから権利を最終的に保障し、確認する裁判所と、この三つの作用を最高裁判所が持っているんだから別に不思議はないだろうという議論はいかにも形式論であって、そういう無理な考え方までしないで、やはり行政的な、準司法機関的な作用を営むものは同じ最高裁判所でない方がいいんではないのかというふうに私は考えます。 その一つの私の考える例としては、人事院の判定が苦情を申し立てた人の希望どおりの判定として結論を出した。そのときに行政庁の方では、処分庁ですね、これは非常におもしろくないというんで、最高裁判所まで持ち出すというようなことができるのかどうか。できるんであれば、これはまたその人事院の判定というものも余り頼りにならぬ、せっかくいいものを出してくれても最高裁判所まで持ち出したら取り消されてしまって、やはり最初の処分がよかったということになるんでは、これはそう権威のあるものとも言えないかもしれませんけれども、それがおしまいだということになるとすれば、これは非常に結構なことであります。ところが、最高裁判所は、いずれは自分のところへまた来るというようなそういう見通しのものを、何といいますか、自分で処分をして、それを自分で取り消さないでがんばり抜く。取り消してしまうというようなことはまず考えられないんではないか。それから取り消して自分が自分を訴えるというようなことは当然あり得ないわけでありますから、この辺のところはどういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。ちょっと解説をしてもらいたいと思うのです。
○矢口最高裁判所長官代理者 実はそのところの法律解釈はちょっと明確を欠きますので、後日、もう一度検討いたしましてお答え申し上げたいと思いますが、いずれにいたしましても、運用としましては、最高裁判所が使用者としての処分を行います。判定機能としての判定を行えるわけでございますが、使用者としての処分と判定者としての判定が常に合っておるというわけではございません。判定は使用者としての処分が変更されておる例がかなりこれまでもございます。その場合に実際の運用といたしましては、最高裁判所の裁判官会議はその判定をすべて全面的に援用いたしまして、使用者としてかつて自分が行い、あるいは下級裁判所が行った処分を変更しておりますので、そういった点には運用上は十分留意をいたして、いま御懸念になりましたような問題が起こらないように、やはり同じ裁判所の傘下で行うことではございますけれども、そのような不服申し立ての保障制度があるというその趣旨は十分にこれを生かしていくような運用をいたしておりますので、実際問題としてそのような御懸念になるようなことはこれまでは起こってきていないということが申し上げられるかと思います。
○青柳委員 これは宿題ということで、何か頭の体操みたいな感じもいたしますけれども、しかし、私まだちょっと詰めてみたいと思います。 そこで、時間もありませんから先へ行きますけれども、不利益処分と言えるかどうか、あるいはそれに準ずるものかもしれませんけれども、いわゆる行政措置要求というのがあります。給料が不当に安いとか、あるいはその昇給があるいは昇格が不公平になっているとかいうようなことで行政措置要求がたくさん出されるようでありまして、私がお尋ねしたところでも、十二月十五日現在でいままでに申し立て件数が七千九百九十五、このうち既済件数が五百七十二、その中で取り下げになったのが五十で結局未済件数が七千四百二十三、これが人事院の行政措置要求申し立ての処理状況と比べて果たして非常にうまく作動していることをあらわすのか、大同小異であるのか、私もそこまでは調べておりませんけれども、人事院でもこんなものなんだということであれば不公平を感じませんが、人事院の方はもっとてきぱきと処理されておって、未済件数はこういう比率にはならないということであるにもかかわらず裁判所職員については未済件数が非常に高いということになれば、やはり自分の処置に対して第三者的に物を見られないからそういうものは握りつぶしておくという結果が反映していると考えざるを得ないわけですが、この点はいかがですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 人事院の行政措置要求に対する関係を必ずしもつまびらかにいたしませんが、裁判所の関係ではちょっと違った面が出てきておるようでございます。と申しますのは、行政措置要求の制度の本来の運用は、決して団体的な行動といったものを考えておるのではなかったのではないかと思っております。裁判所に出てきておりますのは、全部がいわゆる職員組合の待遇に関する要求を一律に行政措置要求に移したというところに特色があるのでありまして、これまで大量に出されております措置要求の大部分が、一定の不動文字を印刷いたしまして所要事項の一、二項を記入すればそれで済むといったようなものであります。職員の中にも必ずしもどういう趣旨で書いたのかはっきりしないで、ただ組合の運動としてこういうものを全部出せと言われて出したといったように見受けられるものがあるわけでございまして、そういうことでございますので確かに件数は多く出ております。また未済の件数も非常に多く残っておりますが、その中身につきましては実は数項目にまとめることのできるものでございまして、いずれも職員組合が待遇改善を掲げまして団体交渉をいたします主要項目との関連を持ったものでございます。 そこで、これの措置でございますが、そういった特異性にかんがみまして、個々の事件の一人一人について行政措置要求の形でもって一件一件処理していくことももちろん必要でございますが、その中に包含されておる職員組合の要求を彼らの妥当な要求である限りにおいては、実現していく方向で最善の努力をするということに私どもは力を傾けてきたわけでございます。その結果は、たとえば級別定数の改定でございますとか、かつて事務官兼書記官補というような形で勤務しておりました者がまだ書記官になれないでいる、そういう状況のもとにあるものを裁判所書記官任用試験の合格というような形で処理をいたしてまいりました。また一方、職員組合に対しましては、このような要求について官側としても個々の事件の処理はもちろん急ぐけれども、現在においてはもはやその必要がない、目的を達したと思われるものも多数あるので、これを整理して取り下げるべきものは取り下げてはどうかということを話をし、職員組合側もその間の事情は十分了解いたしておりまして、検討して無用なものは取り下げるというような話し合いをいたしておるわけでございます。 そういうことでございますので、形式的には非常に数が多く未済で残っておるようでございますが、その実質におきましては十分話し合いをし、また、そういったものが出てまいります状況につきましても理解をし、これに対処いたしておるのでございます。こういったことはむしろ制度がありましてその制度を運用する、個々の形で厳格な手続でやっていくということも必要ではございますが、そんなことよりもそこに盛られておる職員の気持ち、希望、そういったものを幅広く実現の方向へ持っていくための努力をするといったことの方がより実質的であると考え、今日までまいっておるものでございます。 そういうことでございますから、形の上で残っておることは、それはそれとしてもきわめて残念なことではございますけれども、現在の心境を率直に申し上げれば、そういう要求が空文になるような形で職員の待遇をあるべき姿に持ち上げるということについて最大限の努力を続けていきたいということでございます。
○青柳委員 矢口さんが一時ごろまででほかの用事に行かれるそうでありますから、あと一、二問で終わりにいたしますが、この臨時措置法にははっきり「当分の間」となっておりまして、成立後もう二十四年もたっておる、だから当分などという言葉の概念に入らないのじゃないかという議論がありますが、最高裁判所としては当分の間ということでこれは済んでいるのだけれども、立法手続を通じて別な構想に改めてもらうようにしたいという希望でもあるのかどうか。裁判所としては当分の間で、このままでよろしいのかどうかということが一つ。 それからもう一点は、ILOに労働組合の方から提訴いたしまして百三十九次の報告というのがあります。結論だけ読みますと、「ILOの委員会は理事会が政府の提供した資料を考慮に入れることを勧告し既設の苦情処理手続が裁判所の職員に対する反組合行為が起こらないようにするようなものであることへの希望を表明するよう勧告する。」翻訳が悪いのかどうなのか非常にわかりにくい表現でありますけれども、とにかく現在ある苦情処理手続が裁判所の職員に対する反組合行為を誘発するものでないようなものにすることの希望を表明するように勧告するということになっております。これは明らかにいまの制度が必ずしも妥当なものではない、労働者にとって不利なものであるという認識のもとに出された結論ではないかと思うのであります。 この二点についてお尋ねいたします。
○矢口最高裁判所長官代理者 「当分の間」ということで臨時立法の形をとっておりますが、御承知のように、経済が安定せず年々ベースアップ等が行われるといったような状況、現在の日本の社会状況といったものを率直に見てまいりますと、なかなか裁判所独自の立法ということの成案が得にくいというのが実感でございます。もちろん、独自の任用あるいは給与制度等についての体系を持つべきであるという理論上の要請というものは十分承知いたしておりますが、現在のところ、なお当分の間このような形で運用していくことはむしろ好ましいのではないかというふうに考えております。 それから第二点のILOの勧告文でございますが、私どもはいま御指摘の主文と申しますか意見は、第三者機関の設置を初めとする制度上の手直しをする必要があるというふうに言っておるものでないということに考えておりますし、また運用面での何らかの手直しを示唆したものでもないというふうに理解をいたしております。今後とも公平制度の運用に当たっては、反組合的行為が生ずるものでないように配慮されたいという、現状を肯定した上での当然の希望を控え目に述べられたもの、このように理解をいたしております。
○青柳委員 まだまだ質問したいことがありますが、きょうは時間の制約がありますので別の機会に譲ることにいたしまして、本日はこれで終わりにいたします。
○保岡委員長代理 本日は、これにて散会いたします。 午後一時一分散会