物価問題等に関する特別委員会 第4号
- 発言数
- 114 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/11/12
会議録
○横山委員長 これより会議を開きます。 物価問題等に関する件について調査を進めます。 本日は、参考人として経済団体連合会副会長安居喜造君及び日本銀行総裁森永貞一郎君の二名の方をお願いいたしております。 この際、一言ごあいさつ申し上げます。 最近の経済情勢を見ますと、物価は長期にわたる総需要抑制政策により、卸売物価は鎮静し、消費者物価も安定化の傾向を示しておりますが、いまだ前年に対する上昇率は一けたに達しておりません。また今後各種の公共料金改定の動向等を考えますと、消費者物価の安定には種々の困難な問題が山積しているものと考えられます。 一方、総需要の抑制は経済活動をも沈滞させ、企業経営を困難な状態に至らせたため、政府は本年二月以降数次にわたる対策を実施し、九月十七日、不況対策の決定版と銘打って、公共投資を中心とした第四次不況対策を発表いたしました。これに対し、景気対策としての実際の効果や今後の物価動向との関連等について各界からの論議が紙上に発表され、また、第五次不況対策をとの声も出ています。 本日は、企業経営者を代表して経団連の安居副会長から、第四次不況対策の景気刺激効果について、物価に及ぼす影響等を中心に忌憚のない御意見を承りたいと存ずる次第であります。 次に、議事の進め方でございますが、森永参考人は午後三時から出席されることになっておりますので、まず安居参考人から最初十五分程度要約して御意見を賜わり、その後委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、参考人は委員長の許可を得て御発言願い、また委員に対しては質疑ができないことになっておりますので、さよう御了承をお願いいたします。 それでは安居参考人にお願いします。
○安居参考人 それでは、ただいまの御質問にお答えするに当たりまして、若干過去を振り返って御説明をしたいと存ずるのでございます。 現在、景気は緩慢ながら回復の過程にあると言われておるのでございますが、実際の鉱工業生産の動きを見ますと、三月から七月までは対前月比増加を続けておりましたが、八月にはこれがまたダウンいたしまして、九月にはまた増加する、十月は、通産省の調査によりますと、再びマイナスを予想されておるのでございまして、一高一低を記録しておるというのが現状でございます。このような姿は出荷、在庫の動向を勘案いたしますと、この生産の動きには一抹の不安が残っておるのでございます。いずれにいたしましても、現在の鉱工業生産の水準は、四十八年の十一月のピーク時に比べまして一六%落ち込んでおるわけでございます。九月の生産水準を過去の時点と比較いたしますと、ちょうど三年前の水準に落ち込んでおるということでございます。 そこで、今後四月から九月のようなテンポ、大体月一・二%の上昇を続けておったのでございますが、このようなテンポで上昇を続けましても、四十八年の十一月の生産水準に戻りますのには五十一年いっぱいかかるということになるわけでございます。しかも現在、御承知のように、なお大きな在庫を抱えておるのでございますので、生産が今後とも一本調子の上昇を続けるという確信は持てないというのが、率直なわれわれの感想でございます。 そこで、ただいま申し上げましたのはマクロ的な指標でございますが、ミクロ、特に企業段階で見た諸指標は不況色がもっと強く、先行き不安感が払拭されていないのでございます。第一に製造業の稼働率の指数は八月が八三・四%でございます。しかし、実際の操業率は七五%前後でございまして、特に業況の悪いアルミ、セメント、平電炉等は五〇%近くまで操業率が落ち込んでおるのでございます。 このような状態のもとでは、固定費の負担はいつまでたっても軽減されません。しかも製品の販売価格の方は、卸売物価の動向に代表されますように、低位に安定をしておりますので、企業の収益は好転するはずはないわけでございます。その上、生産を落としましても、わが国のような終身雇用制のもとでは人員の削限はむずかしく、その分だけ人件費のコストを企業がかぶるわけでございますから、このままではそろそろ企業の負担も限界に突き当たるというような状態にきておるのでございます。 一方、この企業の利益の面で見ますと、ことしの九月期で見ますと、三月期は前年に比べまして二二%ダウンしたのでございますが、この九月期は三月期に比べましてさらに三五・一%のダウンになっておるのでございます。特に製造業だけをピックアップいたしましてその経常利益を見ますと、三月は前期に比べまして四二%ダウン、九月はさらに三月に比べまして七五%ダウンということでございます。来年の三月にはかなりの改善を見るということを期待をしておるのでございますが、それでも五十年の三月、つまり本年三月期の水準に達する見込みは現在のところはございません。 このような状態のもとで企業としてはできる限りの合理化、経費の削減に努めておるのでございますが、最近経団連でアンケート調査をいたしましたところが、全部の企業が五%ないし一〇%を目標に経費の節減に努力を続けておるのでございますが、経費の節減と言いましてももう限界がございます。あるいはまた一方、物価の上昇によりまして節減の努力は相殺されておるというようなことで、目標の達成が不可能である、非常に困難であるという回答が半数を占めております。 なお、この経団連で今後の景気動向につきまして、これも会員会社からアンケートをとったわけでございますが、その結果を見ますと、在庫は正常水準を上回っており、なお調整の必要があるという回答が半分以上に上っております。第二に、主要製品の需要はいまなお不振であり、回復に向かうのは五十一年四−六月以降である、早くとも四−六月以降であるという見方が圧倒的でございます。 五十一年度経済につきましても、マクロでは景気の回復の年となるわけでございますが、ミクロでは好況感はなかなか盛り上がらない。と申しますのは、大部分の企業が現在水面から下に沈んでおりますので、少々景気で持ち上げられてもまだ頭が水面に出ないというのが現状でございますので、なかなか好況感が盛り上がらないというのが現状でございます。 そこで、御質問の第四次不況対策についてでございますが、政府のこの第四次不況対策につきましては、その内容あるいは政府の御努力あるいはわれわれに与える心理効果というものを私たちは率直に評価しておるのであります。しかしながら、これによって景気がどの程度に回復するかということは、これはまた別の問題でございまして、政府の発表によりますと、今度の不況対策によって需要の創出効果というものは二兆から三兆であるというふうに伺っておりますが、現在需給のギャップは大体二十兆あるというわけでございますから、これは景気を押し上げるというよりも、景気が底割れする、あるいはこれ以上悪くなるということを防ぐ効果はございましても、これを押し上げる力は非常に乏しいのではないか。 さらにまた、ことしの年間の成長を二%というふうに見込んでおられるようでございまして、そのためには下期は年率六%の成長が必要であるというわけでございますが、これは恐らく疑問ではなかろうか。 それから、第四次不況対策の実施状況を見ますと、金利引き下げも遺憾ながら一カ月近くもおくれておりますし、補正予算を伴う公共投資の促進も余り現在のところは進捗をしていないようでありまして、特に地方公共団体の行う公共投資のおくれから、関連業界にはその効果はほとんど出ていないのが実情でございます。このような実施のおくれによりまして、せっかくの効果が減殺され、また一次から三次までのような失望感が出てまいりますと、これは心理的の効果も非常に大きいわけでございますから、その点を十分に御配慮をいただきたい、かように考えておるのでございます。 そこで、一部ではもうすでに第五次の不況対策の必要性というものも論じられておるのでございますけれども、われわれといたしましては、第四次不況対策が現在実施の途中にあるわけでございますから、これをいかに効果的に実施するかということの方にまず重点を置くべきではないかというふうに考えております。 ただ、不景気もこれほど長くなりまして、国民生産の五〇%を占めております個人消費が非常に沈滞をしておるというような非常に暗い空気がみなぎっておるわけでございますから、やはりこの景気を上向かせるための心理的の影響も十分考慮いたしまして、不況対策はこれで終わりだというような発言というか発表というか、そういうものはかえって不安感をあおる、あるいは期待感を喪失させるというわけでございますから、これは得策ではないというふうに考えております。 そこで、今後の問題でございますけれども、個人消費は、これは日本だけではございませんで、世界じゅうが非常に沈滞をしておる。設備投資は全く火の消えたような状態でございます。輸出もちょっと上がり目が出ましたけれども、やはり最近余り芳しくない、在庫投資もこれ以上ふやすわけにいかぬということになりますと、需要回復の力はいまなお弱いわけでございます。しかし、さればといって、一方、いまの経済を安定成長へ軟着陸させるという一つの大きな課題もあるわけでございますから、この両面を踏まえての政策というものは非常に困難であろうかというふうに思うのでございます。 ただ、投資が冷え切っておりましても、民間といたしましては、たとえば在庫資金なり減産資金であるとか赤字資金というような後ろ向きの資金というものがこれからまだまだ出てくる可能性がございます。一方、大量の国債の発行が企業金融に与える影響というものも、これも運用のいかんによっては相当大きな影響がございますので、しかも、企業のこれからの所要資金というものが、どちらかと申しますと、後ろ向きの資金が多いだけに、この辺のかじ取りは非常に重要であろうと思うのでございます。 幸い卸売物価は一%程度で安定をしております。これはどちらかと申しますと、企業の赤字によって支えられておる。国際的な市況商品でございますと、価格に転嫁はなかなか不可能でございますので、企業の赤字によって支えられておる。このような経営というものが続きますと、歳入欠陥というものはますます拡大するでしょうし、企業経営そのものも行き詰まる、雇用問題などの社会不安にもつながるという懸念もございますので、ともかくも第四次の対策が早急に動き出すことを期待いたしまして、御報告を終わります。
○横山委員長 ありがとうございました。 これにて安居参考人の御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○横山委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。松浦利尚君。
○松浦(利)委員 きょうは経団連の副会長さんに大変お忙しい中をおいでいただきましてありがとうございました。 いま御説明いただいた以外のことも若干質問させていただきたいと思うのですが、一つは、第四次不況対策を実施したけれども、実質的に各企業では依然として不況感が強い、第五次不況対策を要求する声もあるが、当面は第四次不況対策を完全に実施してもらうことにウエートを置きたい、しかし不況対策をこれでもう打ち切るのだというようなことを言われたのではちょっと問題があるというような発言をされたのですが、やはり財界としては、第四次不況対策を実施してなお第五次不況対策というものまで考えておる、そうしてもらわなければ困るのだという意思を言っておられるのか、その点が非常にあいまいですから、その点をひとつはっきりさせていただきたいと思うのです。 それからもう一つは、やはり即効的な景気浮揚策というのがいままでの第四次不況対策というものではとられておらぬわけですね。現に先進諸国でやっておるように、特にアメリカなどはそのことによってまた逆の意味でインフレの危険が出てきておる公ですが、やはり思い切った所得税の減税政策というものをこの際景気浮揚の柱としてとるべきじゃないかという主張が非常に強い。われわれ野党としては常にそういう主張をしておるのですが、財界としては、われわれのこういった主張に対してどういう見解を持っておられるのか、この二つをまずお聞かせいただきたいと思うのです。
○安居参考人 第一の御質問の問題でございますが、非常にわかりにくいことを申し上げたようでございますけれども、全部そのとおりなんでございまして、第四次不況対策では、現実に政府みずからが需要の創出効果は三兆と言っておるわけでありまして、片や二十兆のアンバランスがあるわけですから、これ以上に景気が落ち込むということは防げる、若干の上向きには転ずると思いますけれども、これだけではそう大きな効果はないと思うのでございますが、さればといって、なかなかこの日本の風土ではまだまだインフレ心理というものも残っておるわけでありますから、立て続けに、性急にその次の五次対策をやる必要があるかどうかということは、いまやっと補正予算が通ったばかりでございますから、もう少し四次の様子を見てからでもいいんじゃないかということを申し上げたわけです。 そこでもう一つは、現在までの一次、二次、三次の場合でも、何かこれでおしまいだ、おしまいだというような空気が強い。へっぴり腰といいますか、これではかえって心理的な面からいってもマイナスじゃないか。せっかくやる以上は、これでおしまいだ、おしまいだと言ってみたところで、第四次不況対策の効果が思わしくなければ、これは何か手を打たなければ、このままほうっておけないことは事実でございますから、そういうことはおっしゃらない方がいいんじゃないか。黙って、いけなければまたやるぞというような態度でおやりになっていいんではないかということを申し上げたわけであります。 それからもう一つは、即効薬ですね。これは経団連でもずいぶん議論したわけでございますけれども、現在の国の赤字の話を伺っておりますと、これはとうていいますぐ実現も困難であろうし、もうしばらく様子を見ようということでございます。 おっしゃるとおり、アメリカは個人の所得税の減税もしておりますし、投資に対しても税額控除をする、即効薬を次々と打っておりますけれども、日本の経済がアメリカなんかに比べて小さいと申しますか、もう少し様子を見た方がいい、こういうことでございます。
○松浦(利)委員 いま安居さんの言われたことを聞いておりますと、いずれにしても、財界としても、所得税の減税等の措置というのは、風土から言っても現状としてはなじまないということですか。
○安居参考人 そうでもないのですけれども、あの赤字を見ると、何といいますか、要求しにくいということですかね。
○松浦(利)委員 これは安居さんと論争するつもりはありませんが、ずばり申し上げて、赤字だから減税できないというものではないわけですね。
○安居参考人 それはまあそうです。
○松浦(利)委員 だから、そういった意味で、いまお話を聞いておりますと、確かに財界として、マクロ的には景気の指標その他はずっと上昇してきておるけれども、四十八年十一月の状態に戻るのが来年の後半。ですから水面下であるので、ミクロ的に見れば好況感がない。ということは、逆に言うと、だからこそいまカンフル剤として負の所得税というか、一定の所得以下の者に対する思い切った減税措置、そういったものをとってもらいたいということが、いま一年の経過を見て出るんじゃないかという気が私はするものですからね。ところが、なおかつ慎重に、いやそれは御遠慮申し上げるんだ、そうでなくてもいいんだ、こういうふうに言っておられますが、私たちはむしろ現状下で必要だ、ある程度景気が回復し出したときは必要ないんで、いまだからこそ必要だという理解の仕方なんですが、安居さんとしてはいまは必要ない、こう思っておられるのですね。
○安居参考人 現在はまだ経団連としては思想統一まではいっておらぬのです。
○松浦(利)委員 それからもう一つお尋ねしたいのですが、関西の財界あたりでは、今度の春闘でガイドライン、日本版所得政策といいますか、一五%以下にだれとなく春闘を抑え込んだ。経済企画庁長官に言わせますと、労使の良識によってなだらかに落ちついたんだ、こう言っておられるのですが、逆に言うと、そのことが個人消費を停滞させる一つの原因をつくり出しておるという批判が関西の財界あたりから出ておることはよく拝見するのですが、経団連全体としては、ことしの春闘について、そういう面からどのように御理解なさるのか。 同時に、来年の春闘のことを言えば早いのですけれども、こういう状況の中で、来年の春闘について財界としてどういう見解を持っておられるのか、その点をお聞かせいただきたいと思うのです。
○安居参考人 この問題もまだ正式な議題にはのっておらぬのでございます。来年の春闘に対して、いまおっしゃるような、どのくらいがいいとか悪いとかいう問題は、まだ爼上に上っておらぬのが現状でございます。
○松浦(利)委員 ことしの春闘の落ちつき方については、どういうふうに思っておられますか。
○安居参考人 これは大変労使の良識の結果、おさまるところにおさまったんじゃないでしょうか。昨年は、日本の経済で一番大きな問題である労働賃金の問題、輸出の問題、物価の問題、この三つの厄介な問題がまずまず——国際収支も予想ほどの悪化を見ないで済んだ、物価もまあまあのところに落ちついた、春闘もまあまあのところで解決したということで、これはいわゆる良識の結果だというふうに考えておるのでございます。
○松浦(利)委員 そうすると、関西の財界が言われるように、春闘の落ちつきが個人消費を停滞させたというような意見が出ておるのは当たらないということですね。
○安居参考人 これは当たる当たらぬの問題じゃなくて、個人消費が落ちているのは世界じゅうなんですね。世間でもよく言われますけれども、最近の世界経済の動きのパターンを見ますと、皆同時化している。これは七〇年代の特徴であるというふうに言われておる。事実そうなんです。われわれがしょっちゅうアメリカやヨーロッパへ参りますと、メーカーの悩みはもうわれわれの悩みとそっくりであって、わざわざ意見を聞く必要はないくらいぴったりで、やはり個人消費がどうも盛り上がらぬということです。これは、先生のおっしゃるように、春闘の賃上げが低かったから消費が落ちたのか、あるいはいままでの消費は美徳だということの反動が来たのか、インフレの時代ですから、貯蓄意欲というか、そういうマインドが出てきたのか、あるいはまた物を買うよりもレジャー方面に金が回っているのか、その辺が私にはどうもよくわかりません。
○松浦(利)委員 後におられますから、もうこれで最後にしますが、これもやはり財界の方の御意見で、財界から出されておるいろいろなものを読ましていただくと、どうも政府のとる不況対策と金融対策、特に金利政策というのはきわめて落差がある、タイムラグがある、そのことが逆に言うと、不況対策の効果を薄めておるのじゃないかという批判がよくあるのですが、これは安居さんの方ではそういうふうに見ておられるのですか。
○安居参考人 やはりタイムラグはある、これは非常に遺憾だと思っております。
○松浦(利)委員 そういうことに対して、財界としては政府なり何なりに要望はしておられると思うのですが、具体的に、改善策としてどうあるべきだというようなお考えは持っておられるのですか。
○安居参考人 御承知のとおり、日本の金融制度というのは非常に複雑でございまして、たとえば郵便貯金にあれだけの金が集まっておっても、これは大蔵省のコントロールの外にある。また保険にあれだけの金が集まっても、ペンションファンドにあれだけの金が集まっても、これは日本銀行のコントロール外にある。日本銀行がコントロールをするのは普通銀行と長期信用銀行、地方銀行くらいなものです。その点がタイムラグができる一つの原因ではなかろうかと思うのでありますが、この問題は終戦後しょっちゅう議論されておりますけれども、なかなか改善の道がない。われわれとしては、それは指摘はしておりますけれども、それではどうしたらいいかというとなかなか決め手はない。
○横山委員長 関連質問を許します。山中吾郎君。
○山中(吾)委員 三点だけお聞きしたいと思うのです。 現在、景気の回復の時期にマクロ的には達しておる、しかしミクロ的には非常に深刻な状況がまだ残っておる、若干不安が残っておるというお話ですが、現在の第四次不況対策を有効に実施することによって景気は回復するとお考えになっておられるのか、回復の時期を確認するのは、財界では大体何月ごろとお考えになっておるのか、これが一つ。 第二に、来年一年かかってようやく四十八年十一月水準に復帰できるというお話ですが、財界が望んでおる経済水準、成長率五%あるいは六%を前提として、どこまで復活することが財界として望ましいものであり、どの水準を前提として政府あるいは国会に要望されておるのか、その到達水準についてどうお考えになっておるか、お教えいただきたい。 それから第三に、現在の一応安定した物価は赤字企業で支えておると言われておるわけですね。そうすると、赤字がなくなるまで物価を上げなければならぬということが、その裏に安居さんの望んでおることだろう。それを一般に、最近は新しい価格体系という言葉を使ったりしておるわけですが、そのときに、前と同じ経済成長政策の思想の上に立てば、同じ一〇%以上の成長を前提として成り立つ企業を前提として、赤字にならないその企業を支える物価ということになりますから、また同じようにインフレを繰り返す物価になる。私たちはそういう経済成長の時期はもう来ないんだ、安定型の日本の経済、国民経済をつくらなければならぬというのは、われわれ政治家のいま努力をしておるときなんですから、赤字で支えられておる現在の物価という認識を、新しい価格体系を望んでおられるという思想で切りかえて、私が安居さんの言われたことを解釈した前提の上に立って、成長型の上の物価体系でなくて、安定型の、四、五%の成長を前提とした物価を望まないと、財界のおっしゃることについてわれわれはなかなか理解をするわけにはいかないわけですね。その三点について、もう一度明確にひとつ教えていただきたいと思います。
○安居参考人 これはいずれもなかなかむずかしい御質問でございますが、非常に慎重に考えますと、私は来年いっぱい景気というものは回復しないのじゃないかと思うのでございますが、だんだん明るくなりまして、現在は上場会社の三割強、四割近いものが赤字決算をしておりますが、そういうものがだんだん減って、むしろ赤字決算をするような会社が減ってきて、一般が明るくなってくるというのは、大体来年の上半期が終わったところじゃないか、秋ごろじゃないか。具体的に申しますと、三月決算はまだあれだけれども、来年の九月決算になって少し明るくなってくるのじゃないかというのが、第一の私の考えでございます。 それから、一部にローマクラブなんかの意見が大分入りまして、エネルギー危機その他でゼロ成長あるいは低成長が絶対に必要で、何か高度成長が罪悪のような風潮も一部にあったようでありますが、やはりいままでの日本の経済でしかも福祉を支えてこられたのは、ある程度の成長があったからでありまして、成長がとまってしまえば、分けるパイがなくなるか小さくなってしまうのですから、日本のようなこういうまだまだバイタリティーのある民族なり国家なりではそれはとうていやっていけないのじゃないかというふうに考えますと、まだ成長し得る力はあるわけですから、先進国の成長が大体四、五%というのならば、日本はそれ以上の力があるというなら、それよりも若干上目でもいいのじゃないか。そうすると、現在政府の言っておられる六%とか七%というのが好ましいのじゃないかというようなところにもめどを置いておるわけであります。 それから、企業が赤字で物価が安定しているということでございますが、最近また石油価格が値上がりする。そうすると、エネルギーなり、燃料が値上がりするということになりますと、電力やガスというような公共料金は、独占企業ですからすぐに上げられるかもしれませんが、たとえばわれわれのやっております——私は人造繊維の製造を経営しておるわけですけれども、こういうものは世界的な市況産業で、どこも同じ物をつくって、自由に国と国の間で貿易が行われておるわけでございますから、たとえば燃料が上がり原料が上がって、その分だけを売り値へ転嫁しようと思っても、これは相場があるから転嫁できない。そういうものは赤字で吸収するほかない。だから、これで世界的な需要がもう少し伸びてきて、どこの国も大体フル生産になってくる、しかもまだ物が欲しいという時期に来れば、初めて転嫁できるのじゃないか。そういうことを申し上げておるわけでございます。
○横山委員長 小林政子君。
○小林(政)委員 安居参考人にお伺いいたします。 第一次から第四次までの不況対策がいままでとられてきたわけですけれども、ただいまの最初のお話を聞きますと、これが景気対策として、まだまだ十分景気を回復させていくというところにまで至っていない、こういうことですけれども、全く何らの効果もなかったということではなかったと思いますし、具体的にどの程度の効果というものがいままでの不況対策の中で出てきていたのか、こういう点をひとつお伺いしたいことと、それからもう一つは、先ほどのお話の中でも、第四次の不況対策はこれから取り組むということですけれども、その中で、効果的な取り組みの中でも、消費がいままだ沈滞している、これについてやはり何とかしなければというふうにお話しになられたと思いますけれども、この個人消費を向上させていくという点で、具体的に先ほど減税というお話も出ましたけれども、そのほかに、個人消費を向上させていくという点で、どのようなことをお考えになられているのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
○安居参考人 第一次から第三次までの不況対策は、全然ゼロであったとはむろん申しませんですけれども、世間で言うほど、あるいは一般が期待したほど効果はなかった、強いて申すならば、ほうっておけばあのとき日本の経済が底割れしたかもしれない、そういうものを支えたという効果はあったのじゃないか。特にあのうちで、金利が若干下がりました、これはそれだけの影響を与えておると思います。これからの四次は、だからそういう意味において非常に期待しておる。 それから、いま日本の政府のおやりになっておる不況対策は、主として公共事業といいますか、そういうことに金をつぎ込もうというので、これは不況対策の一つの定石でございますけれども、これはとかく集中豪雨的に、かたまったところへ効果が出るのでございまして、これが一般に浸潤するのには三カ月なり半年なりの時間がかかりますので、これが一般に浸潤してくれば、そこで個人消費も盛り上がってくると思うのです。そういう意味において、先ほどもお話がございましたように、減税が一番インパクトが早いわけでございますけれども、いま公共投資を中心にした景気対策が進行したようなことになると、一般への影響というものは三カ月なり半年なり先になるのではないか。そういう意味において、景気の回復も少なくとも来年の下期にならないと明るくならないと申し上げたのもそういうところにある、こういうわけであります。
○小林(政)委員 私ども、景気の見通しについていまお話がございましたけれども、恐らく来年の下期にならなければ明るい見通しが出てこないのではないか。これはいろいろと経済調査団体なんかも調査をされて、その軽気球をずっといろいろ揚げていますけれども、その中の一つで、これはある予想調査などを見てみますと、ことしの九月決算はともかくとしても、恐らく来年三月は相当効果が発揮できるんじゃないか。しかも、その数字なども見てみますと、売上高では大体製造業で八%以上からの上昇になるのではないか、あるいはまた税引き利益も二倍半からの増益になっていくのではないか、こういう予測がずっと立てられていますけれども、これも一つ、二つの調査機関ではなくて、幾つかの調査の中でもこういう傾向がずっと出てきているわけです。恐らく今後の景気見通しというのは相当明るい方向がこれから出てくるんだろうと私は思いますけれども、その中で問題になっているのは、ともかく先ほどのお話にもありましたとおり、非常にコストインフレといいますか、いま不況でなかなか品物が、需要と供給との関係もあって、供給過剰というような状況のもとでなかなか浮揚していかないんだ、しかも企業はその中で赤字を出しているというようなことが言われているわけですけれども、これを何とか新価格体系ということで、コストアップから出てきている赤字を解消していくためにも、企業から価格の引き上げの非常に強い要求が出ているというふうに言われているわけですけれども、こういう価格を、特に基礎物資などは市場での需要と供給との関係でではなくて、コストアップを何とかここでもって埋め合わせていくという点も含めての新価格体系への移行という問題について、これは国民の立場から見て問題があるのではないか、こう私は思いますけれども、この点について、いまの財界あるいは産業界の動向と、この見通し等についてどのような見解をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
○安居参考人 第一の御質問でございますが、来年の三月期には、この九月期よりもよくなるか悪くなるか、いろいろ見方があると思うのでございますが、たとえば業種によりまして、すでにもう一年、一年半以上前から悪いやつは来年の三月ごろになれば少し明るくなってくる。たとえば紡績であるとか、われわれの合成繊維などというのはその方に属するわけであります。ところが、不景気が少しおくれまして、ことしの夏ごろからだんだん深刻になってきた、たとえば鉄鋼であるとかあるいは軽金属であるとか、そういったものはむしろこれから下がってくるんじゃないか。そういうことになりますと、なかなか平均して、製造工業がこの九月から来年の三月にどこまでインプルーブするのか、あるいは依然として悪いのか、この辺の見通しがもう少しはっきりしないと思うのでございます。調査機関でいろいろのあれをしておりますけれども、あれも、ことしの九月の見通しも当たっているところもあれば当たっていないところもあるということで、必ずしもそれははっきりしないんじゃないかということでございます。 それからもう一つ、コストプッシュで値を上げたいといういまお話でございますけれども、これも商品によって、コストが上がればそれだけを販売にわりあいに転嫁しやすい業種とそうでない業種があるわけでございまして、たとえば、ほかの業種の話はあれいたしまして、われわれの業界の状態を少し申し上げますと、綿紡の大手の八社でございますけれども、この八社が四十九年と五十年の二期、四十九年十月期、五十年の四月期、二期通算いたしまして大体の実質の赤字というものは八百四十億と言われておるわけですが、八百四十億と申しますと、払い込み資本金の一三〇%に当たるわけでありまして、二期で百年の歴史を持っておる綿紡会社が資本金を飛ばしてしまって、なおかつ三〇%の赤字が出ている、こういう状態であります。しからば、それを回復するために値段を上げたらいいじゃないかと言いますが、これは上げようがないわけです。世界的な品物で、取引所も立っておりますし、品物が余って相場が下がっておる物は、コストアップと金利のアップと賃金のアップはかぶっても、転嫁ができない、つまり赤字をふやして累増していくというのが現状であります。だから、なだらかに上手にいわゆる新価格体系というものへ移行していけば、皆がそうどこにも余り影響がないような形で移行していけば、一番それにこしたことはないんですが、そういうことになるように官民ともに願っておるわけですけれども、なかなかそうはいかないという現状でございます。
○小林(政)委員 特にいま具体的な綿紡の業界の実態についてのお話がございましたけれども、やはりこういった紡績関係、繊維関係、これは国民生活、衣類とかこういったものと直接かかわりを持つわけですから、したがって、国民生活の消費が伸びていかなければ実際にはもう買わない、いままである物で節約をしていくということになるわけです。ですから、最近ともかく景気の先行きが不安だということで、ほとんど消費者も物をできるだけ節約をして貯蓄をしていくというような方向が強まってきている、これもいまの傾向だと思うのです。こういう中では、実際に綿紡関係などにも私は国民の消費が本当に安心して必要な物が買えるというような安定したものがなければ、私は経済というのは国民生活と結びついている問題だと思いますから、これはあり得ないわけですね。こういう立場から、率直にひとつ私は、むしろ国民の生活向上という問題を、いまのこの不況対策の中でどうとっていくのか、こういうことが私は非常に重要な中身を持つんではないだろうか、このように思いますけれども、こういう点についてお考えがおありだったら、お伺いをしたいと思います。
○安居参考人 私も具体的にどういう方法がいいかということについてはお答えができませんけれども、まだ不勉強でございますけれども、おっしゃる趣旨はまことに結構でございます。 企業でいまどういうことをやっておるかと申しますと、つまり現在の設備が高度成長を見込んだ設備で、多過ぎるじゃないか。たとえば、いま綿紡の話だけ申し上げましたけれども、私が関係しております人造繊維の場合でも、綿紡ほど悪くありませんが、やはり二期で資本金の半分、五五%をなくしちゃった。これを消費がふえるのを待ってミートさせるのか、あるいは現在持っている設備というものが、一方において高度成長が少しダウンしてきた、一方においては日本の国際競争力というものがなくなる。ドルの切り下げあるいはオイルショックの問題あるいは労銀の問題、こういうことで非常に国際競争力が落ちてきて、輸出がそれだけ出なくなってきた。結局、つまりいまの設備が多過ぎるのじゃないかという問題が一方にあるわけなんです。それならば、幾ら消費を刺激しようが、余っているものは使いようがない。そうすると、これはしようがないから工場をつぶしてしまう、あるいは機械をスクラップにするというようなこともあわせて考えなければならぬという段階に来ておるわけであります。
○小林(政)委員 ではもう一点。 いま過剰設備のお話も出たわけでございますけれども、これは一つの特定の業界ということではございませんで、経団連では昨日、大企業分野と中小企業分野の調整の問題についていろいろと見解も発表されたようですし、また具体的な計画などもいろいろとされているというふうに報道されておりますけれども、大企業がそういう点で最近中小企業分野の中にどんどん進出してくる。一つの例を挙げれば、建設関係なども、いままで個人住宅の場合には、一応町で言う大工さんなどが個人対個人の関係で個人住宅を建設していた。ところが、銀行などの住宅ローンを、実際に銀行などと結託してその割り当てを先取りして、こういう個人がいままでやっていた建設分野にまで大きな建設関係の業界がずっと乗り込んでくるというような動きが、こういう状況の中で非常に出てきているのですけれども、具体的にこれらの問題も含めて、昨日、中小企業分野に対して大企業が進出をしないというガイドラインを設定されたというふうに報道されておりますけれども、その中身などについてお伺いをいたしたいと思います。
○安居参考人 あれの趣旨は、法律でこういうものを制限をしなくても、行政指導といいますか、あるいはまた業界側の自粛といいますか、ガイドラインで解決できる問題ではないかということをいま研究しつつある。そのガイドラインがどうかという問題については、まだ具体的なものはできておらないのです。
○横山委員長 有島重武君。
○有島委員 いままでのお話の中で、第四次不況対策ではしようがない、第五次不況対策をむしろ望んでいらっしゃるというニュアンスに私は受け取ったわけです。 そういたしますと、お話の中にございましたように、国債の与える影響というものがいろいろ響いてくる。もう一つは、お話の中にございました、いまの卸売物価がやや安定してきたというのは、これは大企業の犠牲の上に成り立っているのだということですね。そういうことを総合して、今後新価格体系の方に早くスムーズに移行していかなければならないというような御結論であったと思いますけれども、もっと平たく言いますと、物価の値上がりということはむしろ避けられないというようなことに、お話を承っていると、こっちは受け取れてくる。そういうふうに受け取ってよろしいかどうか。それが第一点であります。 それから二つ目の問題は、いまお話がございましたけれども、昨日経団連で常任理事会でもって御決定になったという中小企業との分野調整の問題でございます。これはそちらの御見解によりますと、法律は必要ないと言っていらっしゃる。私どもは法律が必要なんじゃないかというふうに思っておりますけれども、非常に気になりますことは、中小企業とそれから従来の皆さん方の企業との間で、「日本経済は大企業と中小企業が相互に補完しながら共存共栄で発展を支えてきた。今後も」と、こう報道されているのですね。これは、補完しながら共存共栄で発展していくべきだというふうに書いてあれば私どもよくわかるのですけれども、いままでは確かに共存共栄の面もあったでございましょう。また、そちらから見ますと、大企業がなければ中小企業なんというものは存続できなかったというようなお考えも多少あるかもしれないけれども、少なくとも大企業と中小企業との間に矛盾があったというような御認識が全くないということは、この報道が真実であるならば、これはどうも、国民の大多数が中小企業に属しておりますが、非常に納得のいかぬことであろうと思うのです。そこら辺の真意を伺っておきたいのであります。 それからなお、パイを大きくしなければやはり福祉もできないというようなことがさっきありましたけれども、この報道を見ておりますと、今後の低い経済成長ということを考えてみれば、小さなパイでもって競争をしっかりしなければいかぬというようなことになります。 それにつきまして、私、三番目に伺いたいのは、独占禁止法の問題でございますけれども、いままでの状態が余り大企業と中小企業との間の懸隔があり過ぎて競争できるようなものではなく、どうも従属関係になってしまう。本当の競争ができない。だから、本当のよき競争条件をつくり出すための独占禁止法であるというふうに私ども認識し、これをなお今後とも出したい。政府の方でもこの次の国会には出したいというような見解を持ちましたけれども、そこら辺についてのお考えも承りたい。 以上、三つのことについて伺います。
○安居参考人 中小企業と大企業とが相補完してきたということは、ちっとも差しつかえないんじゃないでございましょうか。そのとおりだとぼくは思うのでございます。 たとえば、具体的の例を申し上げましょう。自分の仕事だけ申し上げてはなはだ恐縮ですけれども、われわれは合繊の糸と綿をこしらえておるわけなんですね。それから先は何にもやってないのです。そうすると、この糸と綿を紡績して糸にする、それからそれを織物にする、それからそれをまた染める、それからまたそれをアパレルなりいろいろなものにこしらえるというのは、皆おのおのの分野でやっておられる。これは比較的いわゆる中小といいますか中堅といいますか、資本金の小さいところでやっておられます。ところが、それがなければ糸と綿をこしらえたってどうにもならぬのですよ。日本に非常に輸出競争力があったのも、糸と綿で出ている分もありますけれども、やはり織物なり編み物なりあるいはアパレルなりになって出ておる。これは私は、補完したということでいいんじゃないかと、かように考えるのでございます。 それからまた、独禁法の問題ですけれども、一応あれはこの前の国会でああいうことになりまして、その後、経団連としてはあらためてまた勉強しようと言いながら、あのときの結論のままで、いま様子を見ているということでございます。
○有島委員 それでは、私が期待していたような御反省は余りないというふうに受け取っておきます。 それで、最後にちょっと、政治献金のことでございますけれども、報道によりますと、自民党の方に銀行関係から百億円の借金がある。その百億円の借金のうち五十億円を財界が肩がわりなさる、そういうようなお話を承っております。これはその後経団連が業界に割り当てる、そうすると、それは業界が各社に割り当てるというようなことが連動的にあるということを聞いておりますけれども、これはまさに現在の国民感情をもろに逆なでしているのではないか、こういうふうに思いますけれども、どんなお考えでいらっしゃいますか、その辺を伺いたいと思います。
○安居参考人 これはおっしゃるとおり、いろいろなむずかしい問題をはらんでいると思うのでありますが、伺うところによりますと、百億円の借金をしておると、この利息だけでも毎月八千万円要る。銀行さんは利息をまけるわけにはいかぬのかというと、そうはいかぬということになりますと、国民協会が少々お金を集めても、利息の支払いに追われてしまってどうにも困るという声が相当あるそうでございます。財界と申しましても、財界の中の一部の方が何とかしなければいかぬじゃないかという気持ちになっておられるやに聞いておりますが、具体的にそれじゃ、経団連がお世話してどうするこうするということは全然いまのところございません。
○有島委員 私が伺っているのは、国民感情を本当に逆なでしているというように、私どもはそういうふうな受けとめ方をしているわけです。そうではないと思っていらっしゃるのか、それとも逆なでには違いないのだけれども、ここは避けられないからこうなんだということなんですか。いまのお話ではそこのところが……。
○安居参考人 経団連はまだ何もまとめておりませんけれども、私個人の意見といいますか、考えを申しますと、そのときに御相談を受けたわけでもないのでございますが、いつどうしてああいう借金ができたのか何にもわかりませんが、銀行としてもこれをほっておくわけにはいかないということになると、おっしゃるとおり、国民感情上はまことにそれはあれだけれども、何とかしなければならぬのではないかと漠然といま考えておるのですけれども、それもいわゆる応分のことで済むものならば、どういうものかまだ具体的に煮詰まっておりませんので、それ以上はちょっとお答えしかねるのでございますけれども、お気持ちはよくわかります。
○横山委員長 和田耕作君。
○和田(耕)委員 日銀総裁がいらしたから、結構です。 —————————————
○横山委員長 日本銀行総裁森永貞一郎君が出席されました。 この際、一言私から申し上げます。 先ほどのごあいさつでも申し上げましたが、最近の物価動向は、総需要抑制政策により鎮静化傾向を示しているものの、なお今後の消費者物価の安定には種々困難な問題が山積し、楽観を許さないものがあります。しかし、長期にわたる総需要の抑制は、需要の停滞から企業設備の稼働率を低下させ、政府・日銀は、本年に入り数次にわたる不況策を実施いたしました。また消費不振、企業経営の悪化等から、今年度の国の財政は大幅な歳入欠陥を示し、大量の国債発行を含む補正予算を組まざるを得なくなりました。その大量国債が市中消化された場合、民間金融を圧迫し、やがては日銀買い上げから通貨の膨張を来し、インフレを招くのではないかとの強い懸念と不安を抱く向きもあります。今後日銀は物価安定、景気回復等の難問題の解決について重大な責務を課せられていると思います。 本日は、森永日銀総裁から、第四次不況対策に呼応して行われた金融政策について、大量国債発行に伴う中小企業に対する年末金融に及ぼす影響、また今後の景気回復、経済見通し等を中心に御意見と御所見を賜りたいと存ずる次第であります。 次に、議事の進め方といたしましては、まず十五分程度要約して御意見を賜り、その後委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。 それでは森永参考人にお願いします。
○森永参考人 当面の経済情勢に対する私どもの考え方と私どもの政策運営の基本的な方針につきまして簡単に申し上げます。 まず当面の経済情勢でございますが、景気は本年二−三月に底入れいたしまして、その後生産、出荷等の指標は、わずかながらではありますが、上昇傾向をたどっておりますが、最終需要の伸び悩みから景気の回復力は依然として弱い状況が続いております。 最終需要の動きを項目別に若干敷衍いたしますと、財政支出と住宅建設は増加傾向を維持しておりますが、民間投資が引き続きかなりの停滞を示しておりますほか、輸出が海外景気の低迷持続を映しまして五−六月ごろから不振の度を強めてまいりました。また個人消費も基調としては持ち直しの傾向にありますが、その回復のテンポは必ずしもはかばかしくない状況が続いております。こうした景気動向のもとにおきましては、雇用情勢はこのところ小康状態とはなっておりますものの、依然として需給がかなり緩和した状態が続いておるのでございます。 一方物価の動向につきましては、これまでの落ちつき傾向が漸次定着しつつあるものと判断されます。 まず卸売物価を見ますと、八月以降鋼材価格の引き上げや国内炭等一部商品の値上がりの影響が指数の面に出てきておりますが、需給関係がかなり緩和しておる状況でありますために、こうした個別商品の値上がりが他に波及するといった動きは余り見られませず、現に商品市況も九月以来むしろ軟調裏に推移しております。 消費者物価につきましては、九月、十月と前月比でそれぞれ一%を超す上昇率となりましたが、これは米価の引き上げのほか季節商品が値上がりしたことによるところが大きいようでございまして、一般の商品につきましては騰勢鈍化の傾向が続いております。 次に、当面の政策運営の方針につき申し上げます。 私どもは本年四月に公定歩合を引き下げて以来、物価の動向に注目しつつ景気の着実な回復に配慮するという方向で政策運営を進め、この間六月、八月にもそれぞれ公定歩合の引き下げを実施してまいりましたが、冒頭に申し上げましたような最近の景気の情勢、物価の動向等から見まして、当面景気の着実な回復に一層の配慮を加えることが適当と判断いたしまして、先月二十四日に公定歩合をさらに一%引き下げました。また今月七日には預金準備率の引き下げを決定し、十一月十六日から実施することといたしました。 今回の公定歩合引き下げに当たりましては、あわせて預貯金金利の引き下げを行いましたが、これは、これまで預貯金金利を据え置いたまま三回にわたり公定歩合を引き下げてまいりました結果、金利体系の上から見ましても、また市中金利低下の実効を確保するという観点から見ましても、預貯金金利据え置きのままでこれ以上公定歩合を引き下げることは適当でないと判断したことによるものであります。私どもといたしましては、預貯金金利を引き下げた以上、金融機関が貸し出し金利の引き下げに従来以上に努力することを期待しておりますし、先般の公定歩合引き下げに当たりましても特にその点につき金融機関に要望したところであります。 また準備率につきましては、金融機関の融資動向をしばらく見きわめていく必要があると考えまして、これまで据え置いてまいったのでありますが、最近の金融機関の融資態度が引き続き落ちついておることにかんがみ、公定歩合引き下げと同様の趣旨から先般これを引き下げたものであります。これにより景気の着実な回復に必要な資金の供給が一層円滑化するものと期待されますが、このほか窓口指導の運営に当たりましても、すでに本年春以降は、そうした必要資金の供給に支障の生ずることのないよう配慮する方針で運営を続けておる次第であります。 また、目先は年末の金融繁忙期を迎えることになりますが、私どもといたしましては、適切な金融調節によりまして金融市場に波乱の生ずることのないよう対処し、中小企業を初め一般の産業界に年末の必要資金が確保されるよう配意してまいる考えであります。 以上申し上げましたような金融政策の運営は、財政面における諸施策と相まちまして、今後における景気の着実な回復に寄与していくものと期待されますが、私どもといたしましては、当面は引き続き景気の着実な回復を図るという面に適切な配慮を加えてまいるつもりであります。 しかしながら、他面におきまして、物価の安定を確保するということも引き続き重要な政策課題であり、その意味から、私どもは今後とも慎重な政策運営態度を崩すわけにはまいらないと考えております。最近の物価動向につきましては、先ほど申し述べましたように、落ちついた傾向を持続してはおりますが、コスト圧力の根強い状況が続いておりますところからいたしまして、先行き手放しで楽観を許すような状態にはないのでございます。特に、今後景気の回復が進む過程で、そのテンポのいかんによりましては、これまでの物価落ちつきの大きな背景となっていた需給の緩和という状況が変化してくることも考えられます。こうした点からいいましても、今後の経済動向につきましては引き続き注意深く見守っていく必要があると考えております。 この間、先般五十年度補正予算が成立いたしまして、大量の国債増発が見込まれることになりました。いわゆる特例債につきましては、なお国会の審議を経るわけでございますが、私どもといたしましても、国債の増発、特に建設公債の枠を超えて国債が増発されることは、本来的には望ましくないと考えております。しかしながら、当面の経済情勢のもとで大幅な財政支出の削減や増税を行うことはやはり適当ではないのでございまして、景気の着実な回復にとって適切な財政規模を維持するために、この際こういった形で国債発行が行われることはやむを得ないものと考えております。 こうした国債の増発がインフレを招くのではないかとの議論もありますが、当面民間投資が停滞を続けており、民間の資金需要も比較的低調な状況にあるところから申しまして、国債増発が即インフレをもたらすものとは考えられません。 確かに金融面から見ますと、国債発行による財政支出はいわゆるマネーサプライの増加要因となるわけでございますが、現在のような情勢のもとでは、金融機関の貸し過ぎがない限り、マネーサプライが急激に増加するといった事態はあり得ないと考えられますし、また当面ある程度マネーサプライの伸びが高まるといたしましても、引き締め期間中に圧縮された手元流動性の回復という動きなどを考慮に入れれば、特に問題とするには当たらないと考えております。ただ、先行き景気の回復が進む過程におきましてマネーサプライが行き過ぎるようなことになりますと、物価に悪影響を及ぼす懸念が出てくるわけでございまして、その点は十分注意していかなければならないところと考えております。 いずれにいたしましても、今後景気の着実な回復を図っていくといたしましても、その間に金融の過度の緩和を招いてはならないと考えております。換言すれば、今後の政策運営に当たり、景気の面に配慮していくといたしましても、物価の安定確保という大枠を逸脱してはならないという点を基本に置いて臨んでいかなければならないと考えております。これまで金融、財政面から講ぜられました諸施策は、今後における景気の回復に漸次効果を及ぼしていくものと思われますので、私どもといたしましては、この辺で今後の経済動向の推移につきじっくり腰を据えて見きわめていくべきであると考えておる次第であります。 以上でございます。
○横山委員長 ありがとうございました。 これにて森永参考人の御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○横山委員長 引き続き質疑を続行いたします。橋口隆君。
○橋口委員 きょうは物価対策、不況対策の両面からお二人に御意見をひとつ伺いたいと思います。 ただいま森永総裁のお話を承っておって、私の質問に対する回答もすでに出ているようなものでございますが、重ねてお伺いしたいと思いますので、よろしく。 景気は依然として非常に深刻で、失業者が百万人を超え、それから中小企業の倒産も千件を超える状況でございますが、ただいまのお話では二、三月で底入れをしたということになっておりますが、一般的にはなかなかそう見られていないで、非常に懸念されている状況でございますね。 それで、これは安居参考人にもお伺いしたいと思うのですが、政府が第四次不況対策で補正予算を組んで公共投資までやる、すでに日銀では公定歩合ももう四次にわたって下げていただいたわけですが、これで大体持ち直して景気が回復するか、政府が言っておりますように、下半期に六・二%の上昇率になり得るかどうか、そういう辺の見通しをまず安居副会長の方からお聞きしたい。
○安居参考人 先ほども申し上げましたように、何といいますか、一応底入れしたといいますか、何かこつんと音がしたような感じはするのでございますが、まだどの企業も遊休設備を持っておりますし、原材料の価格の転嫁も思うようにいかないということで、企業の収益の面から申しますと、全部まだ水の中にもぐっておる。水の中にもぐっておる状態から少し上へ浮かんだというだけで、まだ頭を水面へ出していないという企業が相当ある。こういうことがマクロとミクロの若干の相違じゃないかと思うのでございますが、いま財政、金融両当局で、一方は財政面から、一方はただいま総裁のお話しのように、金融面からいろいろな対策を打っておられるわけでございますから、もうしばらくその様子を見ようではないかというのが、私たちの考え方でございます。
○森永参考人 マクロ的に見ますと、先ほど申し上げましたように、大体二、三月が底で、その後生産指数、生産、出荷あるいは在庫など、マクロ的な指標はわずかではございますが、好転をしておるというのは事実でございます。またGNPの統計、一−三月はマイナス〇・五でございましたが、四−六はプラス〇・八、七−九がどうなりますか、歴年としてはプラス一・五というのがOECDにおける日本の経済成長率の予測として発表されておりますが、これは先進諸国の中では唯一のプラスの例でございまして、そういうところから見ましても、マクロ的には底入れを終わってわずかながら上昇しているということは言えようかと思うのでありますが、ただいま安居参考人からもお話がございましたように、ミクロ的にはどうもまだ深刻な不況感が払拭し切れないでおるというのも事実だと思うのでございます。 なぜそうかと申しますと、日本の場合は、失業率は余り高くないのでございますが、失業となるべき余剰人員を企業が抱えているといういわゆる終身雇用制の結果、企業の負担の増加ということがあるわけでございまして、それに加うるに操業率が低いのにかかわらず金利負担が減らないという事実、しかも日本の場合、自己資本比率が非常に低くて借り入れ依存率は大変高い。その結果、金利負担を限界的に大変重く感じられる。そういうことで固定費用が非常に大きい。その結果、収益金の減少の状態がまだ続いておる。私ども主要企業短期経済観測調査というのを年四回やっておりますが、その結果によりましても、三月期は対前期マイナス四八%でございましたのが、八月時点での九月期の予測はさらに六三、四%減少するというようなことでございまして、もちろんこれは業種によって非常に違うわけでございます。中にはいい業種もあるわけでございますが、概して言えば、そういう状態でございます。現実に九月期の決算がどうなりましたか、今月また調査をいたしますので、その結果を待っておる次第でございますが、証券会社等によれば、九月期が底で来三月期は少しよくなるのではないかという見込みもあるようでございますけれども、果たしてどうなりますか、その点も十一月現在の短期経済観測調査の結果に私ども大変な関心を寄せておるわけでございます。 そういうことで、企業の深刻な不況感は一向に改まっていないというのが現状でございます。そういう現状に着目しまして、かたがた物価の方は一応落ちつきの傾向が定着化しつつあると見られるということから、政策運営の姿勢を、どちらかといえば、景気の着実な回復を図るという方に移した結果が、何回にもわたる公定歩合の引き下げ、特に第四次の一%という大幅な引き下げにもなってきたわけでございまして、この間政府において御決定になりました第四次不況対策の効果と相まちまして、もしこれらの施策なかりせば日本経済が陥るであったであろう状態に比較して、景気を若干引き上げる効果が出ることを私どもとしては期待をしておるわけでございます。 その効果につきましては、政府の予測にございますように、下期三・一%、年率では六・二%、年度としては二・二%、年度として約一%強引き上げる効果を期待しておられるわけでございますが、私どもの公定歩合の引き下げに伴う市中の実効貸し出し金利の低下が、予測した効果を達成することの支援になるようにと期待をしておる次第でございます。
○橋口委員 いまのお話のように、着実に回復してきているように思われるのですが、末端の中小企業ではいま金利の負担に非常に苦しんでいる。しかも公定歩合を下げてもそれが末端まで浸透していないというのが実情だろうと思います。この前、総裁がたしか参議院の予算委員会でお話ししたと思うのですが、公定歩合を一%下げた場合には、半年ぐらい後に大体〇・六%から〇・七%ぐらい末端金利が下がる、都市銀行ですね、それが下がるというようなお話でしたが、四月以降ずっとやってきていただいておるのですが、私は南九州の果てなのですが、あの辺ではその効果がほとんどあらわれていないのですね。これに対して日銀としてもう少し御指導いただけないかと思うのですが、いかがでございますか。
○森永参考人 四次の前の九月の状態で申し上げますと、全国銀行の約定平均金利は、四月以降六カ月間におきまして、公定歩合引き下げに対しまして銀行全体としては大体三二%ぐらい追随をした、都市銀行は四五%ぐらい追随したという結果が出ております。その他の金融機関、たとえば相互銀行、信用金庫等におきましては、追随率は残念ながらそこまで行っておりません。これは預貯金金利の引き下げを伴った四次の引き下げがなくてももう少し銀行では下がっただろうと期待できるわけでございますが、何分にも預貯金金利を据え置いてまいりました関係上、金利体系にアンバランスが生じては困りますし、また市中金融機関の収益の関係から申しましても、実効金利を下げるのには限界があるわけでございますので、第四次の引き下げに伴いまして預貯金金利の方も一%下げていただいたわけでございますが、その影響がいままでの追随に加わっていくわけでございますので、時間は少しかかりますが、全体としては二・五%下げました割合に対する割合としては、従来同様六、七割は低下を期待したいと思っております。相互銀行、信金等につきましては、従来は追随の割合が低かったのでございますが、預貯金の構成から申しますと、相互銀行、信金等では定期預金の割合が非常に大きいわけでございますので、資金コストが減少する割合も比較的大きいわけでございます。そこからくる収益力をフルに金利の引き下げに振り向けさせるように各金融機関に協力もお願いし、私どもも指導をしてまいりたいと思っておる次第であります。
○橋口委員 ぜひ末端までこの金利が下がるように御指導いただきたいと思います。 一つお聞きしたい点は、今度の預金金利引き下げの問題、これが非常に機動性を欠いたと思われます。その中で、郵便貯金は郵政審議会、それから普通預金の場合には金利調整審議会ですか、それで非常にごたごたしてタイミングが非常におくれたと思うのですが、これを一本化するようなことについて総裁はどういうふうにお考えになりますか。
○横山委員長 あとの人がたくさんおりますから、ひとつなるべく簡潔にお願いします。
○森永参考人 今回の場合、預貯金金利の引き下げの議が起こりましてから一月ぐらい時間がかかりまして、それが決着したところで公定歩合を下げましたので、もたもたしたような感じを与えましたことは、私ども大変残念に思っております。ただ、今回の場合は、預貯金金利を下げることがこの貸し出し金利を実効的に引き下げていく前提でございましたので、預貯金金利の決着を待たざるを得なかった次第でございます。お話のように、預貯金金利を審議する機関を一元化したらどうかというような御意見も確かにあるわけでございますが、白紙で機構を描く場合にはそういうことも考えられるのでございますけれども、何分にも郵政審議会と金利調整審議会と二つに分かれた機構でずっとまいっておりますので、これをにわかに一本にすることも現実の問題としてはなかなかむずかしいのではないか。そこで、何らかこの両方の審議会の間の連絡を一層密にすることを考えまして、今度みたいにもたもたするようなことがないように将来は考えていかなければならぬ。大蔵省にもそのことをお願いをしておるところであります。
○橋口委員 この預金金利の引き下げ問題に関連しまして、この前やはり参議院の予算委員会だったと思うのですが、金利のガイドラインを日銀が採用していくのは、これは独禁法違反のおそれがある、こういうようなことで、私から申し上げるまでもないことですが、アメリカとフランスは法定主義をとっておる。イギリスと西ドイツは金利の自由化をしておりますですね。そこで、今後これはどういう方向をとったらいいとお考えですか、念のために伺います。
○森永参考人 貸し出し金利、預貯金金利、いずれも将来の理想的なあり方としては自由化した方がいいと思います。しかし、日本の現実から考えますと、金融機関の資金量あるいは経営力に非常な格差がございまして、もし自由化いたしますと、いわゆる弱肉強食というようなことになりまして、経営力の低い金融機関が成り立たなくなる。もし資金を集めるために高い預金利子をつけますと、中小企業に貸す金利がそれだけ高くなるということにもなるわけでございまして、日本のいまのこの金融機構の現状では自由化にはなかなか踏み切れないわけでございます。 そこで、最高金利だけは告示で法定をすることにいたしまして、その範囲で日本銀行政策委員会がガイドラインを設定するというやり方を四十五年ごろからとっておるわけでございますが、そういう制度をとるに際しましては、公取委員会当局とも十分打ち合わせいたしまして、ガイドラインということならよかろう、そしてガイドラインに個々の金融機関が自分の意思で追随するというようなことで運用しているのが現状でございまして、この現状は当分変更はむずかしいのではないかと私は考えております。
○橋口委員 次に、今度政府の赤字国債が発行されるわけなんですが、それも非常に莫大な金額に上っている。恐らく全体ひっくるめますと、資金運用部の引き受けを除いて、民間引き受け分が大体三兆八千億円くらい想定されているようでございますね。そうしますと、十一月以降均等に消化するとすれば、月に七千六百億くらいでしょうか、そういうふうに一般に言われているようでございますが、そうなった場合には非常に産業金融を圧迫するのではないかと思われるのですが、そういう点について安居副会長、一体どういうふうにお考えになっているでしょうか。資金が非常に窮迫して、年末金融は特に苦しくなるのではないかと思っております。
○安居参考人 おっしゃる傾向は多分にあると思うのでございますが、経団連といたしましても、先ほどもちょっと触れましたように、これからなお企業段階では、減産資金であるとかあるいは赤字資金であるとかいう資金の需要が相当多いわけでございますので、そういうものを圧迫しないようにいろいろ日本銀行では手段をお持ちでございますから、そういうものを片や物価の騰勢を見、片や資金量がどのくらいが適量であるかということをタイミングよくコントロールをしていただくように、しばしばお願いをしておるわけでございます。
○森永参考人 確かに短い期間に巨額の発行を迎えるわけでございますので、金融界としては相当の負担になることは事実でございます。ただ、ことしは財政支出先行型とでも言うんでしょうか、大蔵省証券その他を財源として財政支出が先に進んでおりまして、政府資金の支払いは散布超過になっております。そのために金融市場は余剰ぎみに推移しておるわけでございますが、それに加うるに国債のかわり金は政府に入りますが、それはさらに歳出となって流れ出てくるわけでございますので、それが預金となって金融機関に集積する。まあ、幾らか現金で歩どまる分もありますけれども、そういうことが繰り返されていくわけでございますので、マクロ的なマネーフローの問題としては無理なく消化できる計算になるわけです。ただし、時期的なタイムラグもございますし、また金融機関別に国債の消化額と政府歳出の結果預金が集まってくる量との間には食い違いができて、たとえば都市銀行は常に国債引受額の方が多くて預金の方が少ないという資金不足の状況、それに対比して地方銀行の一部あるいは相互銀行、信用金庫等におきましては、国債の引受額よりも預金の集まる金額の方が多い資金過剰の状態が起こる。それを何とか彼此融通して埋め合わせていかなくちゃいかぬわけでございまして、そこに金融調節の問題が起こってくるわけでございます。これから年末を迎えまして、いかに資金の過不足を調整していくかということが私どもの非常に重要な任務になるわけでございまして、その点につきましては万全を期し、いやしくも産業資金の供給に事欠いて景気の回復の足を引っ張るようなことがないように配慮してまいりたいと思っておる次第です。
○橋口委員 公共投資中心に今度は財政支出が始まりますと、地方の末端の金融機関にはかなり金が集まってきて、都市銀行は少し手薄になるんじゃないかと思われますね。そういう場合に、日銀で買いオペでもやるということになれば、インフレを誘発する危険があるんじゃないかと思われますが、そういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
○森永参考人 たとえば年末を申し上げますと、資金不足がどのぐらいになりますか、お説のように、都市銀行では資金が足りなくてその他は余っておる、それを彼此融通しましてもまだ不足が起こるという、そういう事態が起ころうかと思います。その不足に対しましては、貸出金の増加あるいは手形の買い入れ、あるいはしばらくやっておりませんでしたが、国債の買い入れ、買いオペレーション、そういうような調節手段を講じまして、金融界全体として摩擦なく推移するようにということを考えておるわけでございます。 年末には、そういうことで資金が巨額に流れ出るわけでございますが、これは年初になりますとまた回収されてくるわけでございまして、年度全体としてどうなりますか、恐らくは過不足のない状態じゃないかと思います。その間、年末のほかに二月とか三月の中旬ぐらいまでの間にまた不足が起こるわけですが、そういうときには、いまのような調節を行い、そしてそれを必要がなくなるのに応じて回収していく、そういう調節を適切に行うことによりまして、過剰な通貨供給にならないようにということを、これからも考えていかなければならぬと思っておる次第です。
○橋口委員 いまおっしゃいますように、日銀の適切な御指導でインフレが起きないようにということを心から願っておるわけでございますが、問題は、きのうもここで話し合いがあったわけでございますが、石油製品の価格体系ですね、それをまず修正しなくてはならない。そうすると、関連業種にも波及してまいりますね。それから一般に公共料金の値上げも続いている、こういう場合に、日銀総裁としてごらんになって、果たして政府が言うように来年の三月末に一けたに乗せられる、そういうふうにお考えになりますかどうか。確実に達成できると見ておいでになりますか。
○森永参考人 お尋ねは、消費者物価の一けたの問題だと思いますが……。
○橋口委員 九%台になるかどうかということです。
○森永参考人 私は達成できるのではないかと見ております。十月の東京都が対前月一・七%、意外に高かったのでございますが、それは野菜その他の季節商品の影響が非常に大きいのでございまして、一般商品は比較的落ちついておるようでございます。前年対比ではちょうど一〇%ということでございますが、もしこの東京都の一・七%と同じ割合で全国が上がったという計算をしますと、十月で九・六%ぐらいという数字も出るようでございます。しかし、これは見込みでございますので何とも言えません。今後年末までの間にどうなるか。まあ経済は生き物でございますので、断定的に申し上げるわけにはいかないのでございますが、いまの消費者物価の動向から考えますと、私は大体一けた台におさまることが十分見込まれるというふうに思っております。
○橋口委員 いまの問題につきまして、産業界の代表として安居参考人、どういうふうにお考えになりますか。
○安居参考人 私も、いま森永総裁の御意見のように、生鮮食料品の値上がりを流通段階で適当な措置さえとれれば、大体一〇%以内でおさまるのではないかと考えております。
○橋口委員 終わります。
○横山委員長 安居参考人は四時でお帰りだそうですから、先ほど質問を保留いたしました和田耕作君から質問を始めてください。
○和田(耕)委員 日銀総裁にちょっとお尋ねしたいと思いますけれども、先ほど来、民間投資が低調である、そしてまた若干銀行の資金がだぶつきぎみであるというお話でございましたけれども、せんだって私、友達のことである信用金庫に借金に行ったのですが、銀行筋の土地に対しての担保力といいますか、評価が非常に厳しいという感じを持ったのです。御案内のように、この十数年の高度成長という状態で、政府の発表によると、昭和十一年に比べて地価は八千倍、所得は大体三千倍、物価は千倍前後という数字があったのですけれども、この地価の異常な高騰というものがまた異常な担保力になって資金がどんどん出された。この前の興人の倒産なんかで気がつくのですけれども、大企業を含めて、土地を担保にした融資を受けて非常に大きなものになっている。つまり、このことがいまの景気回復の非常にはかばかしくない、予想以上に停滞している大きな理由じゃないだろうかという感じを窓口で持ったのです。いまのお話によりますと、わりあい短期間に膨大な国債が次から次へ出されていく。これを消化するのが、つまり銀行の過剰ぎみの資金力だということになりますと、これはいろいろ問題が出てくるのじゃないかという感じがするわけなんです。いまのインフレの問題もそうですけれども、たとえば今後景気がよくなって、民間の方で資金が必要だという場合には、当然銀行に対しての貸し出しを要求してくる。 〔委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕 銀行は国債を売ってでなければ銀行自身も金もなくなるというような事態が出てくると、いろいろ警戒しなければならない問題があるという感じがするんですけれども、この問題を森永総裁はどのように御理解になっておられるのか。つまり、土地信用で膨張してきた経済という問題と、担保力として地価が非常に鎮静するというよりも下落傾向にある、本当にこれを売り買いすればもっと下がるというふうな状況下の金融の問題をどういうふうにお考えになっておられるかということですね。
○森永参考人 四十七、八年当時の過剰流動性のもとにおきまして、土地投資が大変大規模に行われまして、その後地価の鎮静化あるいはまたいろいろな制限などが加わってまいりましたために、簡単に土地を処分できなくなった、これはまさにそのとおりでございまして、そのことが土地の流動性を低からしめておる。したがって、不動産担保の貸し出し等について金融機関も慎重な態度をとるものも出てきているというのはそのとおりだろうと存じます。この土地の流動性が失われかけておるということを日本経済全体の景気との関係においてどの程度のウエートを持って考えるべきかどうか、これはいろんな見方があると思いますが、確かに一つの問題ではあろうかと思っております。 具体的にどうしたらいいかという問題は、なかなか答えが出にくいわけでございますけれども、確かに、土地投資が固定して流動化を失いつつある面もあるということは、日本経済にとって一つの問題だと思っております。
○和田(耕)委員 たとえば年末の中小企業金融の問題でも、この問題はすぐ出てきはしないかという感じがするのです。借りたい人がたくさんおるけれども、担保力がない。いままでの土地では金を貸してくれない。といって、銀行の方は、金を貸したいけれども貸す方法がない。つまり、この問題の打開を何とかお考えにならないと、景気が予想以上に上がってこないということも、民間投資が低いということも、この問題と関係があるように感じてしようがないんです。これは安居さんに、私はこの問題についてのお感じとしてで結構ですが……。
○安居参考人 私もこれは専門ではございませんので、森永さんのお答え以上のことはちょっといたしかねるのでございますが……。
○森永参考人 中小企業の金融は、私どもとしても大変重視しておる問題の一つでございまして、特にこういう景気情勢のもとにおいて一つの企業の倒産というようなことが、健全な経営をやっておる中小企業にも連鎖的に累を及ぼしていくようなことがないようにというようなことを日銀の全店に徹底させまして、各金融機関の協力も求めておるわけでございます。金融機関でございますので、担保はどうしても欲しいわけでございますが、その辺の処理の仕方につきましては、中小企業金融が大変大切であるということをよく考えて対処していただくようにということだと思うのでございます。 〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕 この年末に際しまして、都市銀行以下全金融機関が申し合わせまして、三兆五千億円の中小企業向けの融資の枠をすでに設定いたしておりますが、その枠の適切なる運用によりまして、年末、資金繁忙時の中小企業に対する資金の融通にも万全を期していくようにということをこいねがっておる次第でございます。 そのほかにも、政府の金融機関の資金も増額されることかと存じております。
○和田(耕)委員 後で順番で質問しようと思ったのですが、私はこれで終わりたいと思いますので、お二人にお聞きしたいのですけれども、今度三木さんがヨーロッパへ行かれて首脳会談に臨む態度として、自由貿易の問題を特別に一つ指摘したいというお考えのようですけれども、これは自由貿易を回復するということだけで、いまの国際状態を考えましても国内の問題を考えましても、果たして効果の上げられるものかどうか、できるだけという意味であって、他の政策も考えなければならないのじゃないかという感じがするのですけれども、いかがでしょうか。お二人に、簡単で結構ですけれども、感じとしてお伺いしたいと思います。
○安居参考人 私はやはり戦後三十年間の世界経済の発展を支えてきた自由貿易主義というものは、これはあくまで維持していかなければならないものである。例のIMF、ガットが多分にアメリカのドル引き下げ以来崩壊しつつありますけれども、何とかこれを補強しなければならぬ、そして自由貿易主義を堅持しないと、特に日本のように資源のない国は非常に困るのじゃないか、こう思うのでございます。が、同時に例のOPECの値上げの問題、これはイランのアンサリという経済大臣が演説しているのを私読んだことがありますが、ああいう国の考え方というものは、いままで自分のところで安い油を売っておって、それをいわゆる先進国が安い値段で買っている、それによってその国が非常に経済が発展して国民所得もふえた、今度は自分の方がそれを四倍なり五倍なりに上げて国民所得をふやして生活を向上させる番だから、その分だけは先進国は経済の生活態度といいますか、国民所得を引き下げるのがあたりまえではないか、つまり公平な分配論といいますか、そういうことをはっきりうたわれておるわけでございますから、現在の世界の風潮からいきましても、われわれが国内においても分配の公平ということを考えるのと同じように、国と国との間においてもやはり分配の公平ということを考えなければやっていけない時代になったんじゃないかということになりますと、自由主義というものといま言います公平な観念というものをどういうふうにミックスするかということに英知をしほらなければいかぬじゃないかというふうに考えます。
○森永参考人 私も安居さんの御意見と同意見でございまして、ことに日本のように資源がなくて貿易で立っていかなければならぬ国にとりましては、やはり自由貿易が侵すことのできない前提と申しますか、たてまえでなくちゃいかぬと思うわけでございます。国際収支上の困難に籍口してややもすれば輸入制限等の動きも今日見受けられないことはないわけでございまして、特に先進国の間にもそういうことがあるわけでございますが、そういうことはやはり世界経済の発展のためにならないと思うわけでございまして、今度の会議におきましても、その点について、もちろん具体的な問題までは及ばないと思いますが、大所高所の根本方針につきましてはコンセンサスが得られることは大変効果のあることではないかと思っております。
○横山委員長 松浦利尚君。
○松浦(利)委員 日銀総裁にお尋ねしたいと思うのですが、本当にきょうはお忙しいところ、ありがとうございました。 一つは、先ほど橋口委員からも質問があったわけですが、一連の公定歩合の引き下げ、そして預金金利の引き下げが行われたにもかかわらず、貸し出し金利に連動しないと非常に不満が国民の間に多いわけですね。これは御承知のように、この前の狂乱物価のときに銀行悪論が出まして、四倍も五倍も経常利益を上げておるのじゃないかというような批判がずっと出てきたわけですが、どうも最近銀行筋から資産内容が悪化してきた、だから貸し出し金利を下げられないんだという意見が非常に強いんですよ。実際に貸し出し金利が下げられない原因というものはそこにあるのかどうかですね。これから日銀が積極的に指導していったとしても、中小金融機関、特に信用金庫とか相互銀行とかいったところまではなかなか連動しないのではないかというようなことをいろいろ言われておるのです。その点についてひとつ日銀総裁としてどういうふうに指導なさるのか、お尋ねしたいと思います。
○森永参考人 先ほど申し上げましたのですが、第一回の公定歩合引き下げ以来九月までの六カ月間に公定歩合の引き下げ一・五に対して全国銀行の約定平均金利の低下の割合は三二、三%、特に都市銀行では四五%ということです。これは過去における金融緩和のときの公定歩合引き下げのときの追随の割合に比べれば非常にテンポが速いわけでございまして、過去三回のどのときに比べましてもテンポが速いわけでございまして、まだもう少し追随していただけると思っておるわけでございますが、預金金利を据え置きましたために、たとえば一年物の定期預金の金利が七・七五、それに対して標準貸し出し金利、プライムレートも七・七五ということで、もうさやがなくなってきておるわけでございまして、そこに一つのやはり限界がありましたのと、それから先々一層の低下を期待しますのには、やはり金融機関の収益から申しまして限界があるわけでございますので、そこで今度の四次の際には預金金利も一%下げ、公定歩合も一%下げるというようなことを行ったわけでございます。これによりまして金融機関の引き下げ余力は大幅にできてきたわけでございますので、私どもといたしましては、ぜひとも公定歩合の引き下げに各金融機関の貸し出し実効金利、平均貸し出し金利がフォローしていただけるようにと協力をお願いしておるわけでございます。
○松浦(利)委員 総裁、全体の足並みがそろうのはいつですか。ずばり申し上げまして、目減りしておる中で、依然として物価の一けた台というところで預金金利の方だけはいち早く引き下げまして、片一方の平均貸し出しの方は一つも下がらないというのでは、非常に批判が強いわけですね。いまよりは確かにテンポは速いかもしれませんけれども、全体的に各金融機関の足並みがそろうのは日銀としてはいつを目途にしておられるわけですか。
○森永参考人 貸し出しにはそれぞれ契約上の期限がございまして、その期限が来たところで新しい利率に切りかわるということでございますから、いままでのところでございますと、六ヵ月余りで六、七割追随するということでございました。今度の場合は、第四次を十月に引き下げたわけでございますから、私どもとしては、半年後くらいには今度下げました分と前に下げました分を合わせたところでやはり六、七割は追随していただきたいものと希望しておるわけでございます。 なお、預金金利の問題でございますが、確かに物価が上がりますと利子収入にそれだけの値打ちがなく、いわゆる目減りが生ずるということはお説のとおりでございますが、預金金利は将来への預金に対して適用があるわけでございまして、過去において預金した人にとっては昔の利率が期限内は適用される、そこで過去の、たとえば一年前と比べて消費者物価が一割アップだからということだけで判断するわけにはいかないと思うのでございまして、そのときどきにおける物価の情勢が落ちついておるかどうかということがむしろ大きな判断の資料にならなければならぬのじゃないかということで、今回の預金金利の引き下げにも踏み切ったわけでございます。このことは同時に、これからの物価対策上、消費者物価が余り上がらないようにしなくちゃならぬというモラルな責任を政策当局としては背負うわけでございまして、政府におかれましてもその辺のところは万全の対策を講じていただきたいとお願いをしておるところでございます。
○松浦(利)委員 それから、いまこういう状態になってもう一ついろいろ言われておる中に、従来から大企業向けの貸し出し資金というのが固定化してしまっておる、そのために末端における窓口というのが非常に制約を受けるということがあるわけですよね。そういう問題について、先ほどいろいろ年末資金手当その他のお話はそれぞれの委員の質問にあったわけですけれども、根本的に長期の大企業向け資金の固定化という問題について、どのような指導を日銀としては配慮しておられるのかということをお伺いしたいと思います。
○森永参考人 こういう景気情勢でございますので、たとえば在庫のための資金需要とか、あるいは場合によりましては赤字融資等々、大企業のそういう特殊な資金需要も確かに大きくなってきておるのは事実でございます。ただし、全体の資金量として中小企業の方がなおざりにされておるわけではないのでございまして、増加額のうち相当部分は中小企業向けに充当されておりますし、また残高で考えましても、政府機関も含めてでございますが、全金融機関の中小企業向けの貸し出し残高はやはり五割を超えておるというのが現状でございますので、大企業に貸し出しが偏しておるということはないと思っております。またあってはならないわけでございまして、先ほど申し上げました三兆五千億の資金枠を設けましたゆえんも、中小企業向けの資金の疎通を大いに図ろうというところにあると思っております。
○横山委員長 安居参考人が退席されますので、一言ごあいさつを申し上げます。 安居参考人にはお忙しいところ御出席いただき、貴重な御意見をお述べくださいましてありがとうございました。ここに委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。 引き続き質疑を続行いたします。
○松浦(利)委員 それから、これは大蔵省の銀行局からの資料だったと思うのですが、先ほど和田さんから土地の問題が出たのですが、中小金融機関も相当大量の資金を土地担保で貸し出しておるわけですね。ところが、御承知のように、今度は逆な意味で、担保の目減りという問題が起こってきておるということが経営に若干の支障を与えておるということをちょっと銀行局の報告なんかで読んだのですが、事実そういう地価の安定という問題、あるいは下がってきたということから見てあり得ることだと思うのですね。一体そういうものが中小の経営収支にどれくらいの影響を与えているのか。全体的に不動産目減りに伴う、逆に言うと銀行側の損失ですね。資産の悪化。そういうものはどれくらい推定されていますか。
○森永参考人 どのくらいという数字的なめどはなかなかつきにくいのでございますが、確かに担保価値が減少してきた、あるいは新しく貸すときに土地の値段が下がってきて思ったように借りられないというようなことはあり得ることだと思います。しかし、金融機関は恐らく相当余裕を持って担保をとっておるということもございましょうし、すぐに金融機関の経営内容にそれが響くほどの問題ではないと思っております。私どもも中小金融機関のいわゆる考査を実施いたしておりますが、その考査の際に、やはり土地に対する貸し付け等の固定しつつあるような案件が少し増加しておるという傾向は考査の上にもあらわれております。その割合はしかしそんなに大きな割合じゃございません。 どうも御質問に対する的確な答えになりませんで恐縮でございますが……。
○松浦(利)委員 それから、先ほどこれも橋口委員からの質問で出ておるわけですけれども、まあ特例債が通るか通らないか、これは予断を許さぬところですが、いずれにしても仮にこれが通ったとすると、月平均して七千億近くの受け入れというものになるわけです。そこで日銀の方では、この前新聞で拝見をしたら、買いオペレーションをやるということで、実際に年末資金としてどれくらいの買いオペレーションを計画しようとしておられるのですか。五千四百億というふうに新聞では見たのですけれども、それで足るのかどうか。
○森永参考人 五カ月か六カ月の間に民間で引き受けます金額が大体三兆ぐらいというふうに考えております。月によって発行額が違うわけでございまして、十一月は民間引受額八千億という、これは十一月はちょうど資金が余っている時期でございますが、十二月のその発行引受額がどうなりますか、実はまだ未定でございます。特例法が通りませんと、出し得る国債の金額が二千億そこそこというようなことになる、それじゃ困るわけでございますので、ぜひひとつ特例法は通していただきたいと思うのでございますが、それが通りますと、一体十二月にどのくらいの国債が発行されますか、それによってこの十二月の資金不足がどのくらいになるかということが決まってくるわけでございまして、まだちょっとその辺の見込みが的確につきかねております。昨年の十二月のこの不足額が一兆一千四百億でございまして、国債は七百億、非常に少なかったわけでございますが、それに比べれば、この国債がどのくらいになるか別としまして、相当不足額が大きくなることだけは確実だと思います。どのくらいになりますかまだ的確な見込みは立っておりませんけれども、その見込みを立てました上で、この年末の資金調節をどうするかということを考えていきたいと思います。 国債のオペレーションを幾らにするかという問題も、したがって現在の段階ではまだ決めておりません。昨年は五千億ぐらいでございましたので、新聞などでは五千億というような数字もちらほら出ておるわけでございますが、まだ決定はいたしておりません。しかし、資金不足の全額を債券オペで賄うということはこれは必要がないわけでございまして、来年になれば資金が余ってくるわけでございますので、根だまりになるような資金量が一体どのくらいかという、そこのところの見当をつけまして幾ら買い上げるということを決めるわけでございますので、まだちょっと金額まで申し上げるわけにいかないことを御了承いただきたいと思います。
○松浦(利)委員 それから、物価に関連しまして、これは大まかな試算ですけれども、いまのような資金需要でいけば、来年の三月には対前年度比で一八%以上の量の増大ということになるんじゃないだろうか。ということになれば、御承知のように、通貨の膨張から大体六カ月後に物価がはね上がってきますからね、過去の統計から見て。ということになれば、どうもいまのような形で国債、四次不況対策、公共料金の値上げ等のそういったものとの関連をしていきますと、来年の中、下旬ごろですね、逆に言うと景気が上向いてくるだろうと言われておる、四十八年十一月の状態に戻るだろうと言われておる時期には、また再び物価が二けた台になるのではないかということが、資金の面からも言えるわけですけれども、そういう点については総裁、どういうふうに思っておられますか。
○森永参考人 マネーサプライは、昨年九、十月ごろ対前年同月比が一〇・六七%、それがだんだんふえまして、いまは一三・八が九月の数字でございます。 そのふえましたのは、企業の流動性が引き締め時は非常に窮屈でございましたのがだんだん緩和してきたということにも伴っておるわけでございまして、今後少しずつふえていくことはやむを得ないと思っております。また必要かとも思っております。そこへ国債の増発がありましてマネーサプライが増加するわけでございますが、産業の資金需要がいまのような状態で推移して、金融機関でもいわゆる貸し争いみたいなことが起こらない限りは、そんなに一度に急激にふえるようなこともないのではないか。それにしても、一三・八%から逐次上がっていくわけでございまして、三月にどのくらいになりますか、ちょっとまだ見当がつきかねておりますが、まあ本年度に関する限りは大したことはないだろう。 問題は、来年度以降どうなるか。それにはやはり財政がどうなるか、国債発行額がどうなるか、それからまた、そのときの景気の回復状況がどうなるか。景気が回復しかけてしかもマネーサプライがどんどんふえていくというようなことになりますと、これは相当警戒しなくてはいかぬわけでございまして、昭和四十七、八年にその例を見て、私ども大変貴重な経験、教訓を得たわけでございますので、その教訓をも生かしまして、再びそのようなことにならぬように、私どもとしてはマネーサプライをチェックし、振り返ってみて反省の材料とし、物価あるいは経済の動向ともにらみ合わせまして、マネーサプライが過剰にわたるようなことがないように、それによって物価が再び騰貴することがないように、その辺のところを十分考えて慎重な政策運営を心がけていかなければならぬ、そういうふうに考えております。
○松浦(利)委員 私ばかり質問してもいけませんが、最後に、今度の金利政策をめぐりまして、実は貯金金利がはっきりしないということから、日銀政策委員会の政策決定がおくれた、そのことがせっかく政府がやる不況対策の足を引っ張るというような財界の意見が、先ほども、いまおられませんけれども、安居参考人から、直接ではありませんけれども、間接的にそういうニュアンスのことがあったのですが、やはり日銀政策委員会というのは、独立してもっと積極的に思い切ってやるべきだというふうに思いますね。 だから、私たちから言わせていただければ、むしろ預金金利の方を先行させてもいいじゃないか、何もそれを貯金金利と同時というようなことは考える必要はない。逆に言うと、大蔵省なりが貯金金利の方を決定した後に日銀の政策委員会を開くというのは、何のことはない、ナンセンスじゃないか。われわれは野党ですから、言葉で言わせていただければ、高額なものをいただいておられる政策委員の皆さん方としてはちょっと——これは野党ですからね、そういう批判があるのです。 だから、私は、やはり大蔵省、政府等に顔を向けるんじゃなくて、もっと思い切って日銀政策委員会でやっていかれたらどうだろうか、独立してやっておるということは言われるだろうと思うのですけれども、そういう気がしてなりませんので、この際、総裁の御意見を承っておきたいと思います。
○森永参考人 私は、八月の第三次の公定歩合引き下げのときに、今後一層この公定歩合を引き下げるためには、預貯金金利を引き下げることが必要であるということを申しておったわけでございます。その引き下げの時期がいつかということで時期を模索しておりましたが、九月の半ばに預貯金金利の引き下げについて政府にお願いすることが適当であるという判断に達しまして、銀行その他金融機関の預貯金につきましては大蔵大臣の発議、それから郵便貯金につきましては郵政大臣の諮問の手続をお願いしたわけでございます。そういう手続が決まって確定したところで実は政策委員会が出番になったわけでございまして、公定歩合の引き下げを決断いたしましたのがその決着がついてからということになったわけでございますが、そういうことでなくて公定歩合を先に下げて、いわゆる見切り発車をして、そうして金融機関の預貯金あるいは郵便貯金がそれについてくるように後で努力したらどうかという、そういう御意見だと思うのでございますが、それも確かに一つの行き方だと思います。 しかし、今度の場合は、この貸し出しの実効金利を下げるということが一番大きなねらいでございましたので、預貯金金利を下げるということがむしろより大きなねらいであったわけでございまして、その預貯金金利は、金融機関につきましては私どものところに金利調整審議会というのがございまして、これが大変機動的に動いてくれるわけでございますが、郵便貯金となりますと、従来の例もございますが、この前は問題が起こりましてから半年ぐらいかかったということがございまして、そちらの方が確実についてきてくれるということでないと、金融機関の方も預貯金を下げにくい、そういう事情があるわけでございます。今日、郵便貯金の資金量は二十兆でございまして、日本一大きな金融機関。相互銀行あるいは信用金庫全体よりも大きな資金量をすでに擁しておるわけでございまして、末端におきましては預金の獲得競争が非常に激しいわけでございます。やはり郵便貯金の方も下がってくれるのでないと、金融機関の預貯金も下げられない。その辺が、従来から相互の間に信頼感が必ずしも確立されていないというようなこともありまして、やはり金融機関の預金金利を下げるのには、郵便貯金の方も同時決着が必要であるというような零囲気でございまして、そういう状態からいたしまして、今回の場合は預貯金金利の引き下げの決着が先行せざるを得なかったわけでございまして、やむを得なかったと思っております。 将来の問題としては、先ほども申し上げましたように、預貯金金利の引き下げ問題が起こってきました場合は、もう少し機動的に動かしていただくようにということをぜひ政府にお願いしたいと思っております。
○横山委員長 関連質問を認めます。山中吾郎君。
○山中(吾)委員 私、前に参考人をお呼びしたときに、森永さんと土光会長とお二人おいでになったとき、お二人の御意見を聞いておったのですが、そのときに日銀総裁の方は、いわゆる景気は底をついた、大体回復に向かいつつある、総需要抑制政策は守っていくと、非常に慎重な御意見だった。途中、森永参考人がお帰りになって、土光会長独得の御意見をお聞きしたのですが、まだ底はついていないのだ、それで不況対策は一次、三次、三次とやらなければだめだという認識を発表されたわけです。それで、そのとき私は聞いておりまして、日銀総裁の方は立場上慎重な御意見を述べられ、一方の方は企業の立場でもっと不況対策をやれという意味で、若干おのおの政策的に現実の認識を別に持ちながら御意見を述べたのであろうと実は思っておったわけです。まあ日銀総裁の方はマクロ的に物を考えるし、財界の方はミクロ的に企業ごとの実態に応じて危機感で訴えられると聞いておりました。私自身は、しかし、こんなに不況が深刻であるとはその当時思っていなかったので、土光会長の方は相当これは手前みそで、企業の立場を偏重して言っているなと思っておったわけです。しかし、その後見ておりますと、どうもやはりその当時思ったよりは不況が深刻であった。端的に言いますと、森永さんの方が少し私たちと同じように認識が間違っておったのではないかという感じがあるのですね。そこで、当時公定歩合の引き下げも三次などは考えていないと言われておったのでありますから、いま土光さんおれば、両方にお聞きするのですが、それは別としまして、仮にその当時の認識において、これほど不況は深刻でないと思っておったとお考えでしたら、どこに判断の誤りの要素があったかどうか、いやそうでなくて、こう思っておったんだけれども、政策的に慎重に言ったというなら別ですがね。その辺ひとつざっくばらんに、もし当時の認識といまの認識に違いがあればお知らせ願って、原因は何だと、将来参考にいたしたいと思います。 われわれは、物価の抑制というものは一番重視して政治を考えていくものですから、不況対策というものはまたインフレ助長するという心配も多いのでして、非常に慎重になることは当然なんだが、しかし、どうも今度は、若干客観的認識にそごがあったのではないかということがいま残っておるわけです。その辺率直にひとつお聞きしたいと思うのです。
○森永参考人 いわゆる経済は生き物でございまして、そのときどきの情勢に即して最も適切な判断をするということだと存じます。この前当委員会に出頭いたしましたときも、そのときの経済情勢を判断し、そのときお答え申し上げましたような気持ちで政策運用に当たっておったわけでございますが、率直に申しまして、私どもが当時考えておりましたよりも景気の回復は少しおくれておるということは、これは認めざるを得ません。 なぜおくれたかということでございますが、一つはやはり輸出でございます。世界的な不況の影響のもと、輸出の不振が私どもが思ったよりも一層深刻になりまして、ある月では対前年同月比一割も減るというような状態が一、二カ月続いたわけでございます。その辺も世界経済の不況の影響を少し甘く見ておったという点は率直に反省いたしております。 もう一つは個人消費の動向でございます。この消費者物価がだんだん落ちついてくれば堅実なる個人消費の伸びは出てくるのではあるまいかと思っておったのでございますが、その後の情勢は、消費者の財布のひもは大変かたい状態が続いておるわけでございまして、これは要するに経済の先行きに対するコンフィデンスがまだ十分でなかった。消費者物価は一体先々どうなるんだろうか、あるいは雇用問題がどうなるだろうかということについてのコンフィデンスが十分確立していなかったということが、そういう慎重な消費態度を招いておるかと思うのでございますが、それにしても、減っておるわけではございません。景気の下支えにはなっておる。いわば一進一退の状態が続いておるわけでございますが、その辺、もう少し強い動きを見せるのではないかと思った時期がございました。その点はこれまた少し考え方が甘かったのではないか。それらの点は率直に反省をいたしておる次第であります。
○山中(吾)委員 よくわかりました。輸出の関係は、これは国際情勢の数字のとらえ方、もう少し努力すればできたのであって、その点についてちょっと研究が足らなかったということで終わると思うのですが、消費の場合は、これは心理的なものですから、数字に出る材料ではない。こういう景気予測その他については、われわれ自身も一〇〇%数字に頼り過ぎて、消費者の心理、目に見えない心理の分析、実際をとらえるという点については、お互いにどこか抜けておるのではないか。 それはなぜかというと、消費者運動をやっておる人々の御意見を聞きますと、現在の日本の家庭の主婦などのいわゆる節約への心理というものはもう定着して、少々数字の関係で不況対策をやっても動かないという見方をしておるのですね。どこかまた次にそごが出るのじゃないかという感じがするので、そういう数字でとらえられない心理的な要素、こういうものをもう少しわれわれも一つの予測をする場合にプラスをして、これはどういうことか、個々の心理のとらえ方ですから、いろいろ方法はあると思うのですが、これはいままでの行き方では永久にとらえる着意が少なくなっていくのではないかと思うのです。どうでしょう。
○森永参考人 先々物価がどうなるか、あるいは雇用情勢がどう推移するかというような問題についてのコンフィデンスが得られますれば、堅実なる消費は少し伸びてくるのじゃないかと思います。まあ、あらゆる経済政策の究極的な目標は国民生活の向上にあるわけでございまして、堅実なる消費につきましては、それが伸びてもいいような経済情勢を私どももつくり出すことに努力しなくちゃいかぬわけでございます。そういう意味で、やはりこの経済の先行きについてのコンフィデンスを確実なものにするということが大変大切なことじゃないかと思うわけでございます。 私どもがこの物価の問題に少しこだわり過ぎたような御批判もあるかもしれませんが、それは要するに、もう昔のようなインフレは起こらぬのだという信頼感を国民に抱いていただくためのことであったわけでございまして、その辺のことはこれからもやはり経済政策の一番大きなねらいにしていかなければならぬのじゃないかと思っております。 なお、実は西ドイツなどの例でも、この三、四月ごろはもう景気がすぐにでも回復するような調子で、ちょうど大蔵大臣もそのころ日本にやって参りまして、ドイツが世界景気をリードするんだというようなことを言って大変自信があったのでございますけれども、その後の様子を見ますと、やはりマイナス成長。これはまあ輸出が非常に減ったということでございまして、どうも経済の予測がいかに困難なものであるかということを痛感させられた次第でございます。経済は要するに生き物でございまして、なかなか予断を持ってどうなるということが測定しがたいという問題を痛感させられたような次第でございました。
○山中(吾)委員 恐縮ですが、あと二問だけ。 実は安居参考人にも同じ御意見を聞いたわけなんですが、財界の御意見と金融関係の立場の御意見とお聞きしたいと思うのです。 一つは、今度は、現在の状況のもとにおいて、景気は回復したと確言できる時期はいつごろであろうかということを、森永参考人にもお聞きをしたいのです。これは当たっても当たらなくても、私らに参考になるわけですから。 それから第二には、望ましい経済水準、経済成長率は、日本のこれからのあらゆる内外の条件からいって大体何%くらいがいいとお考えで政策を推進されてきたのか、されるのか。二問だけひとつ……。
○森永参考人 いつ回復するかでございますが、政府が予期しておられまする下期三%、年率六・二%程度の回復は、私どもとしてもぜひ達成できるように、それにつきましては、私どもの所管しておりまする金利政策もその一助になることを期待しておるわけでございまして、それだけのことしか申し上げかねるわけでございますが、もしこの補正予算の実行などの面で少し実施がおくれるとかいうことになりますと、少しおくれるかもしれませんので、そういうことがないように政府におかれましても、また私どもの分担する分野におきましても万全の対策、措置を講じていかなければならぬのじゃないかと思っております。 第二点の望ましき成長率がどのくらいかということは、これはなかなかむずかしい問題でございまして、成長率、雇用、福祉、租税負担等がからみ合ってくるわけでございまして、それを総合的に並べてどのくらいがいいかということの結論も慎重に出さなければいけない、経済審議会でいろいろなケースについて御検討中の由でございますが、私もエコノミストでもございませんので、そういう数字の検討を離れて何%くらいがいいというようなことはなかなか申し上げる立場にはないわけでございますが、常識的に申しますと、五、六%くらいのところじゃないかという漠然たる感じを持っておることだけを申し上げておきます。
○横山委員長 小林政子君。
○小林(政)委員 まず、公定歩合の引き下げと同時に今回預金金利の引き下げということで、一つには、いままでも述べられておりますとおり、金利体系の一環としてやったんだというようなことも言われておりますし、また企業収益、銀行側の収益を向上させていく。総裁も先ほど、約定の平均的な金利の引き下げという問題について相当都市銀行あたりでも追随率が高まっているというようなお話もございましたけれども、公定歩合を引き下げて、いままで問題になっていたのは、貸し出し金利の引き下げがなかなか行われない、これはどういうことなんだということがいままで問題になっていたんですね。ところが、今度の預金金利の引き下げというのは、一つには、貸し出し金利をもっとこれから実質的に下げさせていくというために預金者の金利もこの率に合わせて一定の率でもって下げる必要があるんだ、こういうことで実施されたわけです。私はこの点は日銀あたりでもいろいろと論議されたと思うのですけれども、諮問を受けて、政策委員会あたりでどのような論議が具体的に預金金利の引き下げについてされたのかどうか、この点について明らかにしていただきたいと思います。まずその点を伺いたいと思います。
○森永参考人 八月に第三次の引き下げをいたしましたときの政策委員会でもうすでにその問題が取り上げられておりまして、預金金利と公定歩合との金利上の体系からいってもうこれが限界ではないか、公定歩合をさらに引き下げるのには預貯金金利も引き下げる必要があるというような意見が有力でございました。具体的には、先ほども申し上げましたが、一年物の定期預金の金利が七・七五で金融機関の短期の標準貸し出し金利が七・七五、もし預貯金金利をそのままにしておいて、公定歩合をさらに引き下げ、標準貸し出し金利を引き下げますと、そこが逆転するわけでございまして、逆転しますと、極端なことを言いますれば、借りて預金してももうかるというような感じの金利体系になるわけでございます。逆転しておった時代も実はございました。その間にどういうことが起こったかと申しますと、いわゆる過剰流動性が起こってインフレを招いたわけでございます。金融機関が金利の上での逆ざやを量の伸長によって補おうという貸し出し競争みたいなことになりまして、過剰流動性が起こったわけでございまして、そういう経験もございますので、逆ざやにはしちゃいかぬというようなことで、八月の公定歩合引き下げのときからすでにそういうコンセンサスのもとに政策委員会ではいろんな問題を論議してまいりました。お話のように、最後に、二十二日ですかに公定歩合並びに預貯金金利の引き下げを決定したわけでございますが、これは最後の形式的な詰めみたいなものでございまして、その間において、火曜日と金曜日、両日政策委員会を開いておりますが、そういう機会に随時預貯金金利の問題、公定歩合の問題、貸し出し金利の問題を、正式な議題には供しておりませんが、意見の交換をずっと図ってきたその結果、形式的に議案として提出したのが二十二日でございまして、二十三日から実施、そういう運びでございます。
○小林(政)委員 いま不況問題が深刻である。こういう時代の中で、国民生活はいまきわめて引き締めの基調を強めざるを得ない、こういう中で深刻な時代を迎えているのですね。目減りでいじめられ、そして物価高でいじめられ、あらゆる点で、本当に何らかの形でもって解決していきたいと努力してもどうにもならないというところに立たされている一般国民の立場、こういう状況から見れば、預金者金利というものを、金利政策の角度だけで見て果たしていいのだろうか。事実相当大きなインフレの中で被害も受け、いままた不況という中で先行きの不安に立たされている。こういう立場から、預金者の保護という点が一体どう具体的に政策委員会当局などでも論議をされ、目減り対策を含めて預金者の保護というものを具体的にどうしていかなければならないか。単なる金利体系という立場からだけ預金者問題、預金者の金利の問題を取り上げるということは、私は非常に遺憾だと思うのですよ。確かに一年物の金利を見てみましても七・七五%、これに対して短期の標準貸し出し金利が同率の七・七五に達していると言われておりますけれども、銀行のこの期間の収益の状況というものが一体どうなっているかということ、これは新聞報道でありますけれども、この中身を見てみますと、実際には銀行ほど相当もうかっている企業はないのじゃないでしょうか。たとえば国税庁が発表した数字によっても、今度設けられました会社臨時特別税、この納税状況が発表されています。これは企業のインフレ便乗利益を税で吸収するために国会でもってつくられたものですけれども、それによっても、銀行は、この税金を払った上位三十社のうち十九行がずっとこの会社臨時特別税という税金を払っているのですね。あるいはまた、三月決算の申告書の内容等を見てみましても、これも上位三十社がずっと上から公表されていますけれども、その中を見てみましても、第三位には第一勧業銀行が入り、第四位には住友銀行が入り、第六位には富士銀行が入り、第九位には三菱銀行が入り、第十位には東京銀行が入り、第十五位には三井銀行が入りという形で、ずっと上位は銀行なんですよ、申告所得のトップクラスは。私はこういう点から考えても、いま企業が不況で赤字を出して困っているというお話が先ほど来からもありますけれども、実際にこの会社臨時特別税を払っている企業の中でも銀行が上位を占めているし、あるいは申告所得の内容を見ても上位を占めている。こういう点から考えて、私は、いま企業収益が非常に苦しくなってきているという金利政策の立場から、預金者の金利を引き下げたということは考えるべきではなかったのか、このように思いますけれども、総裁いかがですか。
○森永参考人 問題は二つあると思います。 一つは、預金者の立場にとって目減りをどうしてくれるのかという問題かと存じます。なるほど物価が上がりますと預金金利がそれだけの効果を上げなくなるということでございますが、この問題は、結局、基本的な根本的な対策は物価を上げないように努力するということしか解決の手段はないと思うわけでございまして、ブラジルなどではインデクセーションなどいろいろな対策を講じておりますけれども、必ずしもうまくいっているとは思いません。結局、政府も国民も一致団結して物価を上げないようにがんばるということが基本的な対策だと思うわけでございまして、その意味で物価対策が大変重要になるということをまず申し上げたいわけでございます。 それから第二点は、金融機関はもうかっておるので、預貯金金利をそのまま据え置いても貸し出し金利は下げられるのではないかという点だと思います。なるほど、一般の企業が赤字に苦しんでいる中にありまして、金融機関は収益は減少はしてきてはおりますものの、まだ余裕があるということは言えると思います。しかし、その金融機関の場合に考えなくちゃなりませんことは、金利の引き下げ、引き上げの影響が出てくるのに時間がかかるということがあると思います。昨年の九月に〇・五%ずつ預貯金金利を上げましたわけでございますが、その影響がフルにあらわれますのは来年の年初くらいだと思うのでございます。それから、逐次この〇・五%高い預金金利になったわけでございまして、それまでは安い金利の預金金利のところ、両方まざっておったものが、だんだんに高い金利のものがウエートが高まってくるということでございますので、時間がかかる。その時間が、今度の利下げなかりしとすれば、来年の三、四月ごろにその負担が一番重い時期が来るはずだ、そういう関係に相なるかと思います。その時間的影響がございますのと、貸し出し金利の方も金融機関の経理に影響を及ぼすのには時間がかかるわけでございますが、この四月から〇・五%ずつプライムレートは下げてまいった、それがフルに影響が出てきますのは、これもことしの暮れから来年にかけてということになるわけでございまして、その両方の影響が重なりますと、来年の上期くらいから金融機関の決算も非常に苦しい状態になるようなタイミングに来ておったわけでございます。 そこで、公定歩合の引き下げ、それに伴う短期金利の引き下げ、これは当然自動的に連動するわけでございますが、その他の金利も含めて、平均約定金利をさらに引き下げの実効を期待するのには、やはり金融機関の収益から来る限界も考えなければならぬわけでございまして、その点をあわせ考えまして、今度は思い切って預貯金金利も一%下げていただき、それに見合って貸し出し実効金利も下げていただくようにということに踏み切ったわけでございまして、この預貯金金利と貸し出し金利との関係では、収益に及ぼす影響はプラス・マイナス・ゼロないしは少し持ち出していただくくらい貸し出し金利を下げていただきたいと思っておる次第でございます。バランスのほかにそういう問題がありますことを御了承いただきたいと思います。
○小林(政)委員 私はやはりいまのような時期に預金者金利を貸し出し金利と同列に考えて、金利体系という立場からだけ、いまのこういう経済情勢の中で考えるべきではなかったのではないかということなんです。しかも貸し出し金利の引き下げというここで一連の措置が行われておりますけれども、しかし、これはあくまで企業の金利負担というものをもっと軽減しなければいけないという要求もずっと出ていた、こういう中からとられた政策でしょう。預金の場合は、それは確かに法人などで預金してそれをまた借り出すということもありますけれども、しかし、大部分は、個人の場合は、いわゆる物を買うのを節約したりして、あるいはほかに転化するというような、投資をするというようなこともできずに、結局は財布のひもをかたく結んで預金をしているというのが実情であって、その預金を今度は借り出して何かに使うというような、こういうことではないわけです。ですから、そういう点から考えても、この時期に貸し出し金利を引き下げ、企業負担を軽減するという、こういう不況対策の政策の一環として預金者金利も一緒に引き下げるというようなことは、この時点ではとるべきではなかったのじゃないか、このように私は思うわけです。 次にお伺いしたいのは、国債の問題についてでございますけれども、国債が、先ほど総裁おっしゃったように、これがインフレを招くのではないかという点については、マネーサプライはふえるかもしれないけれども、しかし金融機関が貸し過ぎをしなければそういう心配はないという意味の御発言でございましたけれども、今回の赤字国債の発行が二兆二千九百億円、しかも当初予算等で組まれているものも含めれば六兆円を超えるような膨大な国債の発行、これが結局は金融機関で市中消化をしていくと言っても、そのほかのいわゆる地方債や政保債、そういったものも含めればさらに膨大な国債発行額になるわけですし、これを全部市中でもって消化していくことができるかどうか、この点について総裁、どのような見通しをお持ちになっていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
○森永参考人 九月と十月の市中における国債の消化額は、たしか三千八百億円ずつであったと思います。今度増発後、十一月から四月あるいは五月まで発行できるわけでございますか、六カ月ないし七カ月の間に三兆五千億の国債が増発せられ、そのうち三兆円が金融機関あるいは金融機関と申しますか、国債引き受けシ団の引き受け、その中に個人消化もございますが、大部分金融機関の引き受けということになるわけでございますが、ならしてみますと三兆を六で割って五千億でしょうか。月によって、たとえば十一月は八千億、十二月はもう少し減らすというようなあんばいが行われるわけでございますが、その程度の金額で、そんなに二倍にも三倍にもなるわけではないわけでございます。 それともう一つは、先ほども申し上げましたように、ことしの金融市場は財政支出先行型で、余剰ぎみに推移しております。そこへ国債が増発されるわけでございまして、十一月の八千億というのはそういう環境のもとで消化されるわけでございますが、その後の発行分につきましても、発行されたものがしまい込まれてしまうわけじゃなくて、歳出になって出てくるわけで、それが預金になり、一部は現金で滞留しますけれども、というわけでございますので、金融機関としては、全体としてはマネーフロー上消化できる、産業資金も別に圧迫しないで消化できるという数字になるわけでございます。ただ、時期的に、あるいは金融機関の業態別に、あるいは個々の金融機関別に資金の過不足が起こりますので、それは余るところは足りないところへ資金を流す。それでも時期的に不足が生じました場合には日本銀行で貸し出す、あるいは手形の買い入れ、国債オペレーション等によって調節するということで全体としての金融の流れが円滑に推移するということを心がけておるわけでございまして、そういうことを考えますと、本年度に関する限りは余り無理をしなくても円滑に消化ができるのではないか。この裏には、資金需要が比較的鎮静しておるので、金融機関も貸し出しを競争してふやすようなこともあるまい、したがって、マネーサプライもそんなにふえることはあるまいという背景もあるわけでございますが、そういうことで、少なくとも昭和五十年度に関する限りは問題はないと私は思っております。 問題は来年度以降どうなるか、それは来年度の財政規模、赤字公債の発行額等々、未確定の要素にかかっておるわけでございますので、この段階でまだ何とも申し上げかねますが、願わくは財政につきまして節度ある態度を堅持せられ、その財政面からインフレになるようなことがないようにということをこれから政府にも予算編成上お願いをしていかなくてはならぬ、そういう問題だと思っておる次第でございます。
○小林(政)委員 来年度以降はこれからの問題だというお話でございますけれども、やはり国債が増発されて日銀が買いオペをし、通貨が増発されるということは、過去の歴史が示すように、直接インフレにつながっていく問題ですが、日銀は、政策当局として本当に通貨の安定供給を図っていく、経済の規模に見合った通貨の発行という点で、本当に歯どめをかけてきちっとしていくという具体的な政策をどのようにお持ちになっていらっしゃるのかということが一点。 それから、新聞で報道しているところによりますと、資金運用部の手持ち国債は、五十年の七月末現在で長期国債が三兆八千百四十六億円、短期国債が一兆九千二百六十四億円ですけれども、このうち二兆円を大蔵省が日銀に売却をするというような報道が載っておりますけれども、こういった事実についてはどうなのかという点が第二点。 それから第三点は、今回預金準備率の引き下げを行われたわけでございますけれども、この預金準備率の引き下げについても、その内容は、従来一兆円を超える預金残高のものについては定期性預金では二・二五、その他の預金は四・二五、これはここにずっと数字が書いてありますけれども、しかし、今回は一兆五千億円超というふうに預金残高そのものの額もふやして、そして準備率も二%あるいは三・七五%という形で引き下げをしているわけですし、こういう問題が、いまの時点で物価安定の定着化という立場から考えても、金融のいたずらな膨張ということは明らかにインフレに結びつく問題なんです。そういう立場から言うと、今回不況対策の一環として引き下げを決定されたその主なねらいは一体何なのか。そして今回の措置によって解除される金融量は大体どのくらいになるのか、そしてこれで市中の貸し出し金利が本当に引き下げられるのかどうなのか、また日本の準備率は、その水準が各国比具体的にどうなっているのか。 以上、時間がありませんので何点かまとめてお伺いをいたしましたけれども、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○森永参考人 第一点のインフレをどうやって守っていくかということでございますが、これはただ一つだけの指標で判断するべき問題じゃないと私ども思っております。マネーサプライの動向がどうなるかということを慎重に振り返りながら、その間における景気の動向、物価の動向がどうなっておるかというようなことを始終にらみ合わせつつ適切な金融政策の運用を図っていくことだと存ずるわけでございまして、もしマネーサプライが多過ぎるというような感じになってまいりますれば、適切な手段を講ずるという試行錯誤的に万全を期していくということではないかと思っております。と同時に、財政面にも節度を求めなくてはならぬことは先ほど申し上げたとおりであります。 第二点の資金運用部との国債、短期証券等の売買の件でございますが、これは資金運用部に余剰資金ができましたときには、日本銀行が持っておる国債あるいは短期証券を買ってもらう、そして金が足りなくなると、それを日本銀行がまた買い戻すという操作を年じゅう繰り返しておるわけでございまして、今度の増発に関連して特に起こった問題じゃございません。資金運用部の余資の運用上日銀との間に日常茶飯事として長期国債ないしは短期国債の売買が起こっておるということを御理解いただきたいのでございます。 準備率の引き下げのねらいでございますが、これは公定歩合の引き下げと同様に、この辺で景気の着実なる回復に一層配慮しなければならないという点に着目したわけでございまして、いままで三回の引き下げに際しまして準備率を据え置いてまいりましたのは、その間における金融機関の融資態度を見きわめなければならぬということからでございましたが、金融機関の融資態度も引き続き落ちついた態度がとられておりますので、この際緩和の一つのしるしとして、手段として準備率の引き下げに踏み切ったわけでございます。先ほどお読み上げになりました率による準備預金の解除額は五千二百億でございます。これは今後年末の金融調節の一助にもなろうかと思っておる次第でございますが、これによって即インフレが起こるというようなことではないと存じます。もし年末金融の調節をおろそかにしますと、大変なヒッチが起こってくるわけでございまして、そういうことがないように調節していくのが日本銀行の目的であるわけでございますので、引き下げ即インフレというふうに御速断にならないようにお願いをしたいのでございます。要は、金融市場全体を円滑に推移させるかどうかという目的につながっておるわけでございます。 なお、準備率の水準、実効率で考えますと、確かに日本は諸外国に比べれば低いのでございますが、これはやはり金融環境が諸外国と大分違いますし、環境のみでなくて慣行も違っておりますので、そういう状況をあわせ考えますと、一概に高過ぎるから引き下げは不可であるというふうな結論にもならないわけでございまして、実情に即して引き下げを図ったわけでございます。 なお、この際適用区分を改正いたしましたのは、資金量が大分膨張いたしておりまして、経営力の大きな金融機関には高い率を課するという目的から申しまして、適用区分もしかるべく調整することが適当であると判断した結果でございます。
○横山委員長 有島重武君。
○有島委員 もう時間が来てしまいましたので、私は重複しないように簡単にお尋ねいたします。 先ほどから、財界の側は第五次不況対策に非常に期待しておる、それからまた、近く行われます先進六カ国の首脳会議でも、恐らくイギリスやイタリアからは、日本の景気対策ということを外からも要請されるようになるんじゃなかろうかというように考えます。こうした中にあって、不況克服といいますか、この意味なんでございますけれども、大体四十八年度並みというようなことが言われておる。それで、先ほど総裁は五%の成長ということを申されましたけれども、不況克服とは、どういう状況をもって克服というふうに言うか、その考え方の基本はどの辺に置かれておるのかということをお知らせいただければありがたいと思います。それが一点であります。 それから、国債のことでございます。いまも質問がございましたけれども、今年度予定される二兆二千九百億を含めて五兆五千億から六兆円、来年度もやはり五兆円から六兆円の国債ということ、これは避けられないのではないだろうか、この点どうお考えになるか。しかも、ことし精いっぱいそういったものの消化がある。その上にさらに来年ということが重なったときに、マネーサプライの調整とか貸し過ぎしない限り大丈夫であるとかいうようなことが、なおそれでも通用していくのかどうか、その点が第二点であります。 それから第三点で伺いたいことは、地方財政の窮迫ということが非常に厳しいわけなんですけれども、今度の不況対策なんかでも、公共事業をやろうと言っても、東北だとか北海道というようなところは幾らお金をやっても事業なんか起らないというようなこともあるわけでございますね。こうした地方財政の窮迫状態について日銀なんかではどういうふうに押さえていらっしゃるのか。その統計資料なんというものも、各業界の統計資料はみんなあるけれども、地域的な統計資料というものをやはりお持ちになり、また発表していくお考えがおありになるか、以上三点についてお伺いいたします。
○森永参考人 第一点の景気の問題でございますが、首脳会議ではみんなで景気回復に協力しようじゃないかという話ももちろん出ると思いますが、その場合に、日本の景気の回復がおくれておるから、特別に景気の拡大政策をとるようにという日本を名指しての要請は、今度は出ないんじゃないかと思います。この前のIMFのときにはややそれに似たような感じもございましたが、その後四次対策も講ぜられたことでございますし、公定歩合も六・五まで下がっておることでございますし、またGNPの伸びも日本だけがプラスというようなそういう情勢でもございますので、特に日本を名指しての要請は出ないのではないか。もし出ました場合には、日本は大いに自信を持って、これこれしかじかのことをやっておるということを言ってもいいのではないかと私は思っております。 不況克服のめどいかんということでございますが、これは見る人によって立場が違いましてなかなかむずかしい問題だと思います。政府が予期しております二・二%でも、これはマイナスに比べれば回復ということになりましょうし、満足するかどうかという問題は残りますけれども、まあ一応その程度のGNPの伸びであるならば、回復が軌道に乗ったと考えていいのじゃないかと私は思います。恐らくいままでの財界人の感覚をもってしますれば、その程度のGNPの伸びでは景気が回復したという実感はわかないかもしれません。それはもういままでと全然環境が違うわけでございまして、いままでは景気回復のときにはもう自動的に高度成長のエスカレーターの上に乗れたわけですけれども、今度はそれができない。下手しますとインフレになりますし、また将来を考えましても、高度成長はもう続けられないわけでございますので、いままでのような景気回復感はなかなか感じられないのじゃないか。まあ言うなれば、回復感なき景気回復というようなことで、逐次経済の情勢が好転していくようなことじゃないかと思う次第でございます。お答えにならぬかもしれませんが、私はそういうふうに考えております。 三番目の、来年度もし五兆ぐらいの国債が出たら金融調節はどうなるかということでございますが、その他のいろいろな条件もございましてまだ的確なことは申しかねるのでございますが、見込みとしては、恐らくおっしゃるように五兆円よりも少し多いぐらいの国債発行ということになろうかと存じますが、まあその程度のことなら何とか処理できるんじゃないかと思います。しかし、それもこの景気の状況いかんと関連していくわけでございますので、産業資金の需要がどうなるか、物価の状況がどうなるかということとの兼ね合いでございますので、いまの段階で的確なお答えはなかなかできにくいということを御了承いただきたいと存じます。 最後に、地方財政の窮状につきましては、私どももよく承知いたしております。今年度四兆二千億くらいの公募債、縁故債が出るということのようでございまして、それプラス若干の枠外債というようなことも予想されますので、大変な資金不足、それを金融機関としてはぜひとも消化に協力していかなければならぬわけでございまして、これはまあ縁故債など相対で発行条件が決まるような形のものが財源調達の主力になるということ自体には問題がございまして、将来この地方財政そのものを根本的に立て直す努力をする必要があると思いますけれども、当面のところはやむを得ないことであり、その消化にも協力しなければならぬと思っております。その結果、地方銀行としての資金ポジションがどうなるかという問題があるわけでございますが、その点につきましては、先ほど来申し上げております金融調節上の問題として、各地方金融機関に相談がありました場合には、親身に相談に応じて、金融界全体として、また特に地方の金融界として問題がないように推移するように努力してまいりたいと思っております。 地方の統計でございますが、地方債そのものにつきましてはなかなか的確な状態が把握できなかったのでございます。特に縁故債については、それがどうなっておるかという問題の把握ができなかったのでございますが、最近この問題が脚光を浴びてまいりましたので、私どもといたしましてもできるだけ実情の把握には努力をしておるつもりでございます。
○横山委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 森永参考人にはお忙しいところを御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきましてありがとうございました。ここに委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。 次回は、明十三日木曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十一分散会