内閣委員会 第11号
- 発言数
- 202 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/12/18
会議録
○藤尾委員長 これより会議を開きます。 行政機構並びにその運営に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木野晴夫君。
○木野委員 同和問題は人権に関する問題でありまして、この問題を解決することは国民的課題である、このように思うのであります。政府におきましても、同和事業対策特別措置法という法案をつくって努力されておりますのも、一刻も早くこういった問題を解決しなければならぬ、このことは人道的問題でもあり、国全体として当たらなければならぬ問題である、鋭意努力されておるところであると思うのであります。私も、この問題につきましては、本当に日本の国として大事なものであって、人権という立場に立ち、党派を超えてこの問題の解決に当たらなければいけない、こういった考え方でおる一人でございます。 実は、先般、人事極秘地名総鑑という書物が一般に販売されておって、その内容を見ますると、私といたしましても、これでは本当に困ったことだ、心ない人の行為であると思うのでございますが、新聞でそういった記事がありまして、その翌日でございますか、総務長官からそういった人に対して非常に強い怒りに満ちた言葉で談話が発表されて、そして各省庁それを受けまして、それぞれの地方公共団体またはそういった民間の企業に対しても適切な処置をとれという談話があったわけでありますが、事重大でございますので、私はその経緯につきましてお聞きし、また重ねて総務長官、政府の考え方をただしたい、こう思っておるのであります。 それで、事の順序といたしまして、事件の経緯はどういった経緯であったかということを聞いて、その上で政府の考え方をただしたいと思うのでありますが、この経緯につきましてはどこの役所が所管しておられるか。総理府には同和対策室がありますが、また一面人権問題でもありますので、法務省の人権擁護局というのもありますから、どちらのお役所になりますか、まず第一に経過を聞いて、それから内容に入っていきたいと思います
○村岡政府委員 本件事件の経過について御説明いたします。 去る十一月十九日、大阪府の同和対策室から大阪法務局に対しまして、企業防衛懇話会なるものの特殊部落地名総鑑という本の出版案内書の写しの送付を受けました。そこで、その内容を検討いたしましたところが、この案内書自体が非常な差別文書である。そこに記載されております地名総鑑というもの自体も、これは明らかに部落差別を助長、拡大するものであるということが考えられましたので、直ちに人権侵犯事件として調査を開始することにいたしました。 この企業防衛懇話会は東京にございますので、大阪法務局では即日所管の東京法務局にこの件を通報いたしまして、東京法務局が中心となってこの事件の調査、処理を図ることになったわけでございます。目下その調査中の段階でございます。 現在までの調査結果によりますと、この本の発行者は、東京都中央区にございます企業防衛懇話会の理事長京極公大ということになっております。これは調査の結果、本名坪田義嗣という五十五歳の人物であることがわかりました。坪田本人にまず当たりまして事件の調査を進めたわけでございます。この本の印刷発行部数がどれだけであるかということにつきまして、坪田は当初、四百部印刷したんだと言っておりました。その裏づけの捜査、印刷所等で裏づけの調査もいたしました結果は大体符合しておりましたので、それを前提に実は調査を進めておったわけでございますが、ごく最近その点に疑わしい点が出てまいりまして、具体的に申しますと、もう少しよけいに刷っているのではないかという疑念が生じてまいりましたので、この点はなお追及中でございます。 また、この名鑑の内容は、同和地区の地区名、世帯数、主たる職業というようなものが記載されております。地区名につきましては旧と新が並列して記載してございまして、旧というのは、調べたところでは、どうも昭和の初年ごろの地名によっているようでございますが、それと現在の地名とを対照して、現在でもその地区の所在をわかりやすくするような形で記載がなされております。 それからなお、当方といたしまして一番関心を持ちましたのは、それではどのくらいこれが販売されたであろうかということでございまして、初めはこの坪田の供述によりますと五部売れただけであるということでございまして、早速その五部と、まだ在庫になっておりました三百九十五部、合わせて四百部につきまして、このような文書が存在すること自体がけしからぬことであるということでその回収に努めまして、もとより人権擁護局、法務局の行います調査活動はあくまでも関係者の任意の協力に基づいて行うということでございまして、強制的にこれを差し押さえるとか取り上げるということはできないわけでございますが、各関係者の任意の提出によりましてその四百部全部を回収いたしまして、それで事件の調査が終わり次第これは全部廃棄、焼却処分するという予定で進めていたわけでございます。 ところが、先ほども申しましたように、ごく最近に至りましてもう少しよけい印刷しているのではないかと疑える節が出てまいりましたので、そうなりますと購入者につきましても数が若干ふえることになるわけでございます。この関係は非常に調査が困難でございますが、法務局の機能を最大限に発揮いたしまして、他の購入者も突きとめる考えでございます。 以上がこれまでの経緯でございます。
○木野委員 いまの話を聞きまして私から問いただしたい点が数点あるのでありますが、もう一度整理しますと、十一月十九日に大阪市内の職業安定所にこういった文書が出ておるぞ、こういったのはどうだという話があって、そうして法務省でいろいろ調べた、こうなっておるわけですね。ところが総務長官の発表といいますのは、実は私もこの総務長官の談話を見て初めて知ったわけでありますが、その間一月あるわけです。この間は何をしておったわけですか。
○村岡政府委員 ただいまも申し上げましたように、法務局の人権侵犯事件の調査というものはあくまでも当事者の任意の協力に基づいて行うものでありますために、まだ事案の内容がはっきりしないうちにこれを公表することは事件の調査、処理にも支障が生じますので、法務局といたしましては、外部にこれを明らかにすることなく、ある程度事実の概要がはっきりした上でこれについて何らかの公の発表の措置をとるというつもりで処理を進めていたわけでございます。総理府の方には個々の事件の処理について従前とも一つ一つの具体的な事件を通知するということはしておりませんので、この事件につきましてもある程度事案の概要がはっきりしてから御通知申し上げるという方針で進めておりまして、さような事情から、事件の概要がおおむね明らかになりました十二月九日の段階で、総理府の同和対策室の方にこの事件の通報をいたした次第でございます。
○木野委員 それじゃ、大阪の東職業安定所でこういった事案をキャッチした、それから法務省の方では調べなければいけないからということで慎重に調べて、そうしてやったと、こういうことですが、発行者が東京だから東京へ回したということだが、大阪と東京、東京と法務省、こういったのはぴしっとやっているのですか。
○村岡政府委員 通報のありましたのは、正式に申しますと、先ほど述べましたように、大阪府の同和対策室を通じて大阪法務局に通報があったわけでございます。これは、人権侵犯事件として法務局において処理するのが適当であるという考えのもとに通報があったのだというふうに了解しております。それから、大阪法務局、実際に事件の処理に当たっております東京法務局、法務本省、この間では密接な連絡協同のもとに事件の処理を進めてまいりましたし、今後も進める考えでおります。
○木野委員 法務省の関係は密接に連絡をとってしっかりやっているんだということですが、総理府長官の方は十二月十二日に談話を発表されておりまして、このことを知ったということならば直ちに、こういった強い談話を発表されて結構だと私は思うのでありますが、その間は法務省が調べておるから、事態が解明をするまで待っておったということなのですか。それとも、さっきあった一般事案は通告しないから、人権擁護の事件はたくさんあるから、一々通告しないからということでおくれておったのか、それとも、これは調査中だから、それで発表は全体がある程度解明するまで待っておったのか。この時間の関係で、総理府の関係はどうなんですか。
○植木国務大臣 ただいま法務省から説明がありましたように、十一月十九日にこの問題について大阪法務局が人権侵犯事件として調査を始めたわけでございますが、総理府の同和対策室にこういう事件が起きているということの通知を受けましたのが十二月九日でございます。したがいまして、私どもといたしましては、対策室が法務省と連絡をいたしまして、この調査の内容についての把握に努めますとともに、きわめて重大な事件でございますので、十二月十二日に総務長官の談話を発表した、こういうことでございます。 したがいまして、法務省の方から連絡を受けましてから、私どもとしてのこの問題に対処いたします姿勢というものは、短期間に処理すべきであるということで、異例でございますけれども、長官談話の発表を行いますとともに、関係各省庁にも集まっていただきまして、先ほど御質問の中にございましたように、関係各省庁から地方団体及び企業団体に対しまして通達を行う、通知を行うということにいたしたのでございます。この通知、通達というものは、長官談話よりも少しおくれまして十五日でございます。なお、十五日には労働大臣の談話も発表されたということは御承知かと存じます。
○木野委員 私もいまの話を聞きまして、十一月十九日に大阪の職業安定所の方でこの事件をキャッチした、法務省内の人権問題として直ちに連絡をとってやった、これはいいと思います。それからまた、調べるんだから文書なんか押さえなければいけませんから、簡単に飛んでいって聞き合わせて照会するという問題じゃありませんから、あなたの方である程度期間を置いて全部調べて、そうして在庫も全部押さえてきた、これも、まあ対応策として一応わかる気がするわけであります。 ただ問題は、こういった問題が起こったときに、もうこれは大変だ、普通の人権問題とは違うんだ、あれだけ政府がやっているにもかかわらずこういった問題がある、心ない人のこういった問題、これは大変だということで、総理府の方へ知らせば実は直ちにしておく必要があるのじゃないか。この点、私はちょっと意見が違うわけです。総理府は、十二月九日にわかって直ちにしたということですが、だから、このことを、十一月十九日に法務省の方まで来たのを、人権擁護局の方が実はこんな問題がありますと言っておけば、長官談話は十二月十二日かもしれませんが、お互いに連絡をとってやっておったであろう、こう私は思いますので、これはいまの法務省と総理府の関係の連絡をもっとびっしりやるべきじゃないか。といいますのは、私はこの問題はもう国民的な課題だ、大変だと思うので、そういった点は少し事務的過ぎるというきらいがあるのじゃないかと思いますので、これはひとつ今後十分に注意していただきたいと思うわけであります。 それから、いろいろいまの話を聞いておりまして、任意調査ですから、調べておったがその後信用の置けない点があるんだというふうな点がありまして、こういった問題につきましてはできるだけの強い調査をやってもらわなければいかぬと思うのでありますが、私の感じました点を二、三申し上げますと、京極公大というのが本の発行者の名前なんですね。ところが、本人の名前は坪田義嗣、五十五歳となっておりますが、本を出すときに発行者が別の名前を使って出しておる。新聞を見たところによりますとこれは総会屋だとも書いてあるわけでありますが、この坪田義嗣という者はどういった人で、こういったことをする人ですから何するかわからぬと思うのでありますが、前科とかそういった点は調べられましたですか。
○村岡政府委員 この本の発行名義は、先ほど申しましたように、企業防衛懇話会京極公大ということになっております。本名坪田でございますが、この人は、昨年ごろから出版業を営むようになりまして、そのころから企業防衛懇話会という名前を使うようになったようでございます。ただ、その懇話会と申しましても、もとより法人格のある団体ではございません。実態もいわば個人企業に等しいものでございまして、従業員も、ことしの秋ごろ何か軍隊時代の友人であると称する一人の男を使っていたようでございますけれども、坪田自身の言うところによりますと、実際は何もかも一人でやっている、個人企業の色彩が非常に強いもののようでございます。 ただ、この坪田という男は、先ほど申しました中央区の雨宮ビルというところを使っていたわけですが、ここには現在は看板も何もかけてございません。郵便受けに企業防衛懇話会という名前が載っていたようですが、最近はこれも取り外しているということのようです。 それから各別につきましては、企業防衛懇話会という名前のほかに、企業人材リサーチ協会楠征一という名前も使ったことがあるようでございまして、これまでに出した出版物といたしましては「特殊株主名鑑」あるいは「右翼ダイジェスト」こういう本も出版、販売したことがあるようでございます。 これらの本の内容を見ますと、どうも普通には手に入らないようなものを出版いたしまして利益を上げるということを考えているようでございまして、いわゆる会社関係のいろんな事情を調査したり、こういう本の出版をしたりということが彼の収入源のようでございまして、特に彼自身が総会屋であるということの正確な情報はまだ得ておりません。
○木野委員 こういった違法なことをやっているのですから、私は、そういった際物を出してやっておるのだと思います。 それから、いまの企業防衛懇話会、これは企業防衛懇話会という会があって、そして会員が何名かおって、それが会費を出し合って、定期的にそういったその会の趣旨に適した本を出しておる、その会の業務をやっておる、こういったのじゃないのですか。
○村岡政府委員 私どもも、企業防衛懇話会という名前からいたしまして、何か会員組織になっていて、会員から費用を徴収するということではないかと考えまして調査いたしたのでございます。現在までの調査段階では、そういう会員組織の実態というものはないようでございまして、全く坪田個人がこういう名称を使っているということのようでございます。 それからなお、前科の点でございますが、坪田には脅迫の前科があるようでございます。ただ、その内容につきましては、現在調査中でございます。
○木野委員 私は、いまのあなた方の話から見て、企業防衛懇話会という会があって、そうして出版物を出しておるというのではなくて、また、この坪田何がしというのが自分の考え方を持っておってこうだと言っておるのじゃなくして、際物の出版物を出してやっておる、そのときに企業防衛懇話会という各別でやっておる、名前は京極何がしで出しておる、こういったような人じゃないか、だからこそ同和関係のこういったことについて地名総覧というのを出して、そうしてそれを、国民が皆一日も早く解決したいと思っているときに、こういったもので本を売る、こういったことをしていたのじゃないかと思うのです。 もう一度念のために聞きますが、企業防衛懇話会というのが今回の地名総覧のときに使った名前であって、たとえば右翼ダイジェストとか、特殊株主名鑑とか、こういった本では何という会の名前で、何という各別を使っておるかですね、これを念のために聞いておきたい。 といいますのは、調査をやりますときにこういったのをきっちりやっておかないと、後に触れますが、部数がちょっと合わぬから信用がおけない——信用がおけないなんというような話の調査じゃ調査でないので、もっとしっかりしてもらわなければいかぬと思うのですが、この人物はどんな人かというのを知る意味で、出版しておった本の名前と、そのときの発行者の名前と、それから会の名前、これを言ってください。
○村岡政府委員 先ほども申しましたように、坪田は企業防衛懇話会という名称のほかに、企業人材リサーチ協会代表者楠征一という名称も使っておったようでございます。ただ、先ほど申しました特殊株主名鑑、右翼ダイジェストの出版名義がどうなっておりましたか、たしか京極公大という名前を使っておったように思いますが、ちょっとその現物をいま持ち合わせておりませんので、後刻調査の上、御通知いたしたいと思います。
○木野委員 それから恐喝罪で前科があるという、これは有罪の判決を受けたのですか。
○村岡政府委員 そのとおりのようでございますが、まだ判決そのものを入手しておりません。
○木野委員 こういったのは当然とっておいて、そうして事件は前回にはこういったことになっておったと、全部記録があるのですから、そこでこんな人なんだということをしっかりとやらないと、一般の調査と同じようなつもりでやられたのじゃ、私は実態はわからぬと思うのです。しっかりとひとつやっていただきたいと思うわけであります。 私はこういったことを聞きますのは、購入案内書をば千部刷って八百枚配っておった。それから本でありますが、四百部刷って五部売れて、三百九十五部押収した。五部は会社から回収したらいいわけでありますから、だからこの図書は一般に出ずに済んだ。せめてものこれが——早くわかってよかった、こう思っておるのでありますが、その話の後からいまのあなたの話を聞きますと、実は信用のおけない点が多々あるのでということなんです。信用がおけない点というのは、名前をたくさん使っておったとかそういった点だったらいいわけでありますが、まだ刷っておったのじゃないか、こうなるわけでありまして、私は、こうなってくると、調査自体が通り一遍の調査に終わるんじゃないか。それで、恐らく四百部刷っておった、あなた方、それで一応四百部ということで押さえて、五部売れて三百九十五部押収した、こういうことですが、四百部と言ったときに、本人が四百部刷りましたということで四百部と言っているのだったら、私はこんな調査ならやめた方がいいと思う。四百部と言ったからには、恐らくそれを刷ったところへ行って、四百部このとおり刷っております。伝票を見て、そうか、それじゃこれで合ったと、こうなってくるわけでありますが、そういうふうにされたと思うわけであります。 ただ、そういうことでされたということならば、いまの話で、もう少し刷っておったのじゃないかということになってくると、これは単に本人に聞いておるだけでは実態がわからない。私はこの件につきまして、部数が全部回収できたということを非常によかったなと思っているわけでありますが、いまのこの調査の段階におきまして、この点についてはどうなんですか。四百部刷った、これはこういうふうに押さえました、そうして五部はこうで三百九十五はこうです一いまのあなたの、後の怪しい点がある。これはこれで結構ですから、ただ、そのためにはどういうふうに調べなければいかぬか。一段と強い考え方で臨まなければいかぬと思うのですが、いまの図書の件について、どうですか。
○村岡政府委員 先ほど申しましたように、すでに販売されておりました五部を含めて、あと三百九十五でございます。合わせて四百部、これは完全に押さえることができたわけでございます。したがいまして、印刷部数が四百部ということであれば、これは全部押さえることができたということで、私どもといたしましても、すでに購入された部数が非常に少ないということ、それから全部を押さえることができたということを非常に喜んでおったわけでございます。しかし仰せのように、四百部というのはもともと坪田の供述するところでございますので、これを当方といたしましてもうのみにしたわけではございませんで、先ほど申しましたように、印刷所に当たりましていろんな帳票類を調べた上で、それと符合いたしますので、一応これは信用していいということで事を進めてまいったわけでございますが、それにしましても、それをまだ完全に信用していたわけではございません。そのために裏づけの調査をさらに行いました結果、ごく最近、はっきりと申しますと一昨日でございますが、一昨日になってその疑わしい点が出てきました。さような事情で、現在、東京法務局を中心に全力を挙げて印刷部数、それから販売部数等につきまして事実を明らかにするように努めているところでございます。
○木野委員 いまの話で、本人に、任意調査ですから、よっぽどしっかりと腹を決めて聞かないと言わないし、そしてまた、帳票を整えてあるからそれでいいのだと思っていてもいまの点がありますから、いまの率直な話を聞きまして、私はそれはそれでいい、ただしっかりと調査してもらわぬといかぬ、こう思うわけであります。たとえば四百部刷って、三百九十五と五冊ありました。ところが原本があるのですね。原本は押さえられましたですか。
○村岡政府委員 原本は、坪田の供述するところによりますと、全部焼却、廃棄したということで、これは押さえることはできませんでした。
○木野委員 私は、そういった場合に原本があるはずだ。焼却した、それで信用するかどうか。それは法務省よりも向こうの方が悪さは一枚上だと思う。だから、よっぽどこういった点をしなければいけないのと、それから、実は十二月の九日の新聞で、この内容から見て資料はTが官庁関係から入手したに違いないと見ておるというふうな見方をする意見も出ておるわけです。この資料の出どころ、これについて十分に調査しなければいかぬ。本人はおれがつくったのだと言えるものじゃないと思うのです。相当な枚数にもなりますし、また特殊株主名鑑とかそんな本を出したりしておりますが、これはまた原本をどこからか同じようにとってきてやったに違いない。恐らくこの特殊部落地名総鑑も、どこかにそういった資料があってそれにつけたに違いない、こう思うわけですが、その資料の追求ということを十分にやることと、それから、この一つの意見として、官庁関係から入手したに違いない、こう書いてあるわけでありますが、これも一つの推測記事かと思いますが、官庁関係から入手をしたというふうなことだったら私は大変な問題だと思うわけです。この点について、あなたの方で調べたところどういうことになっていますか。一つは、部数をしっかり押さえて回収するということ、その点についていまの点ありましたですね。それともう一つは入手先、そういったのを調べて根源を断つ、これを調査してくれというのと、その後段の点について、調べた結果どういうことなのか。
○村岡政府委員 この書物の資料の点でございますが、仰せのように、一部の新聞には、官庁関係の資料が漏れたのではないかという報道がございました。そういうこともございましたことから、私どもといたしましては、官庁関係の資料ということになりますと、昭和四十六年に総理府で行いました調査の結果をまとめたものがございますので、これとこの本件の名鑑とのそれぞれの内容を対比検討いたしました。ところが、これは地区数とか世帯数とかその他で相当重要な相違点がございまして、どうもそういう点から見まして、いま申しました総理府の調査を資料にしたものではないという認識を得ております。 しからばどこから資料を入手をしたかということでございますが、この点について坪田本人の述べておりますところは、これもおしかりを受けるかもしれませんが、当初言っておりましたこととその後に言っておりますことがちぐはぐでございまして、私どもは、当初の供述をもとにしましてその裏づけの調査を実はしておったわけですが、その裏づけによってその供述の信憑性が崩れるという段階になりますと、また違うことを言うというようなこともございまして、まだはっきりとどこから入手したかということを把握することはできておらないわけでございますが、これも全力を挙げて鋭意調査を進めまして突きとめたいと考えております。 それからなお、先ほどもちょっと触れましたように、この書物では各地名を新旧対照にしておりまして、旧地名というのはかなり古い、昭和の初めごろの地名も多く見受けられます。そうなりますと、あるいは戦前の資料が何らかの方法で坪田の手に渡ったのではないかとも推測できるわけでございますが、その辺も対比対照いたしまして調査中でございます。
○木野委員 この資料の関係ですが、総理府の同対室の方で、いろいろこういった資料はどんな資料があるかわかっておるのですから、そういった点から、ああ、あの資料が漏れたんだというようなものはありませんか。
○今泉(昭)政府委員 私ども、ただいま人権擁護局長がお述べになりましたように、私どもの手元に現在ございますのは総理府の四十八年調査でございまして、その結果、その本と対照いたしました地区数なり世帯数、あるいは職業欄がその本にはあるとかというようなことで、それとは違うということでございます。その他の資料につきましても、私どもは現在持っておりませんので、わかりません。
○木野委員 この書類につきましては、たとえば回収してその後焼却するんだとかいろいろ書いてありますが、私はまだこの回収し焼却するというところまで行っていなくて、むしろいまお願いしたいことは、政府にやってもらわなければいかぬことは、何部部数を刷ってどうしたんだ、それから、資料はどこから出たんだ、これをしっかりとやること、そうして二度とこういったことのないようにやらないといかぬと思うのですが、いまのこういった資料関係、政府から関係資料が漏れたのではないかと一部の推測記事がありますが、いま話を聞きますと、その書類の中に書いてあることと違うから漏れてない、また新聞には植木長官が、自分のところは全部ナンバーが打ってあるから間違いないんだ、こういうことですが、政府関係から漏れておるということが記事にありましたので、私は、こういったことのないように、すべての文書そうでありますが、特にこういった文書は慎重に取り扱っていただきたい。漏れてないという話でありますけれども、注意に注意をするという態度をとってもらいたいと思うわけでありますが、ひとついまの点を十分に調べてもらいたい。話を聞いてみると、本人の供述によれば——本人の供述によればですから、これは強制捜査をやらなくても本人の供述でとればいいわけですから。実態をつかむということなんですが、いまあなた方の考えでおると、どうも印刷部数なんかもつかめなくてごまかされたままで済んでしまうのではないか、また入手なんかもそれで済んでしまうのではないか、こうなるわけでありまして、ひとつ十分にこの点の調査は精力的に続けてもらわなければいかぬ、こう思うわけです。 それから、総理府長官が談話を出されまして、私もそれを読みまして、新聞では憤りの談話と、こうなっておりましたが、私も同じ気持ちでございます。ただ、そういった気持ちがすみずみまで徹底するようにやっていただく、憤りの談話を発表しただけで済むわけではないので、この点については十分趣旨の徹底がなされるということかと思うわけです。そのためにもいまの事件の法務省を中心とするところの調査、これはひとつ総理府が中心となって実態の解明に当たってもらいたいと思うわけであります。 いろいろお聞きしますと問題がたくさんあるわけでありますが、私この長官の談話を読みまして、そしてまた続いて各省また労働大臣のなにを見てまいりまして、同和の問題といいますものは文字どおり国民的な課題で、一刻も早く解決しなければならぬ問題である、このように思っておるわけであります。同和対策事業特別措置法が通りまして、いろいろ経済的な援助とか産業の振興とか、教育の援助とか環境の整備とかいろいろやっておりますが、これはそうすることによってこの同和問題のいわゆる差別をなくしていきたい。学校をつくったからいい、道をつくったからいいというのではなくして、そのことによって基本的人権に基づいて差別をなくするということでありますから、この法律にもありますとおり、道をつくったらいいんだ、こうしたらいいんだというのではなくして、このことを図ることによってこの問題を解決するんだということでありますから、考えてみますと非常にわれわれの考え方というものも根本的な問題に立っていかなければいかぬ、こう思っておるわけであります。私もこの同和の地区でございますが、単に経済的な面とか教育的な面とかいうのじゃなくして、そのことによって根本的に解決するということでおるわけでありますが、そういたしますと、この問題といいますのは、日本国民全体がぶち当っているような、当面しているような問題であるわけであります。 そこで、こういった問題が出たということ、私は、これに対して長官談話を発表した、先手を打ったというだけではなしに、この際、憤りとともに反省もしていかなければいかぬ、こう思っているのでありますが、時間もございませんので、同和対策に取り組んでおられますところの総務長官の今回の事件に対する考え方、それから今回の事件を通じて同和対策全体についての考え方、そういった点について御所見を伺います。
○植木国務大臣 同和問題はわが国憲法に保障されました基本的人権にかかわる問題でありますし、人類普遍の原理であります人間の自由と平等に関する問題でございます。したがいまして、この解決を図りますことは国及び地方公共団体の責務でありますし、同時に国民的課題であるというふうに言わなければならないものでございます。したがいまして、私どもといたしましては鋭意同和問題解決のための事業の推進に当たってきたところでございますが、このさなかにおきまして今回のような事件が起こりましたことは、同和地区住民の就職の機会均等に影響を及ぼすのみならず、さまざまの差別を招来をし助長いたします悪質な差別文書でございます。このこと自身が悪質でありますとともに、これが一部の企業において購入をされたという事実はきわめて遺憾であり、憤りにたえないのでございます。ただいま法務省において鋭意調査中でございますが、先ほど来御質疑の中において明らかになっておりますように、私自身の談話を十二日に発表いたしますとともに、十五日には各地方公共団体、企業団体に対しまして、この問題についての理解と協力について特段の配慮をしていただくべく、各省庁連名をもちまして通知、通達をいたしたところでございます。 政府は、従来から同和対策事業特別措置法及び同和対策長期計画を基本としてこの対策の推進に努めてまいりました。いま御指摘がございましたように生活環境の整備等の物的施設面の施策を推進するということはもちろん重要でございますが、これと並行いたしまして、人権擁護活動、同和教育、雇用促進というような物的施策以外の施策につきまして、従来以上に積極的に取り組まなければならないということを痛感をいたしているのでございます。したがいまして、この問題の解決に当たりましては鋭意政府として努力をいたしますとともに、国民の理解と協力なくしてはこの根本的な解決はあり得ないという認識を持っておりますので、今後、啓蒙啓発活動の充実に層一層努めてまいりたいと考えております。
○木野委員 ただいま同和問題につきまして総理府長官から所見がありましたが、先ほどありましたとおり、物的な面だけではなしにそれ以外の面、ことに精神的な面においても深い理解と申しますか、そういった人道的な面に基づいてひとつやっていただく、こういうことだと思います。長官の談話にもそれがあらわれておるわけでありますが、今回の件につきましては法務省なり総理府なりはこれの調査を十分にして、そうしてきっちりとした処置をするということでいかなければいかぬと思うわけであります。 で、先ほど任意調査だからという話でありますが、だからといって、実態がわからない、部数がごまかされてもわからない、ないしは入手がわからないというようなことでは話にならぬわけでありまして、こういった点はひとつ十分に力を合わしてやっていただきたい。これが今回の処置として、あなた方として、それぞれの地方公共団体、企業に対して談話を発表して、そうして徹底を図るということとともに、この事件の実態をしっかりつかむということが一つの大きな任務でありますので、その点を繰り返し強調して私の質問を終わります。
○藤尾委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時五十一分休憩 ————◇————— 午後一時十五分開議
○藤尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 行政機構並びにその運営に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
○和田(貞)委員 十二月九日以来各紙をにぎわしている問題でありますが、今回の差別事象というのはきわめて悪質なものでございまして、その差別書の発行について宣伝これ努める購入あっせん案内なるチラシは、「人事「特殊部落 地名総鑑」発行について」こういう見出しで、その内容たるや、随所に差別的な用語が使われておる。しかも、今日なお、社会意識としての普遍的な差別観念をあおり立てて、そうしていかにも部落民というのは悪いことをするようなやつだ、暴力をやるやつだ、そういうような者が企業の中におったら大変ですよと言わんばかりの宣伝をしておる。こういうような事象というものはいまだかつてないわけなんです。かなり大きな問題、差別事件として取り上げてもらわなくてはならないと思うわけです。 今回のこの問題につきましては、総理府、法務省を初め、比較的早い時期に処理をされたということについては一面敬意を表するわけでありますが、しかし、このとらえ方について、事後処理について、今後の対処、対策について、この機会をとらえて慎重な態度で臨んでもらわなくてはならない、このように思いますので、以下、私は、今日までの政府のとってまいられた措置について具体的に質問をさせていただきたいと思うわけであります。 まず、法務省の方にお伺いする前に、総理府総務長官来ておられるわけでございますので、この差別事件を耳にされて、政府が正式にどのような受けとめ方をされて、どのような心境になったか、当面のその責任者としての総務長官に、この機会に改めてその心境なりあるいはその受けとめ方について御意見を承りたいと思うのです。
○植木国務大臣 十二月の九日に法務省からこの事件についての連絡を受けまして、この文書がきわめて悪質な差別文書であり、しかも一部企業においてこの文書を購入したところがあるということについて、非常な衝撃を受けたのでございます。 今日まで私どもは、憲法に保障された基本的人権にかかわる問題であり、人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であるという強烈な問題意識のもとに同和対策を行ってまいったのでございますので、その間、物的な施設の面での充実とともに、国民の理解と協力を得べくあらゆる施策をしてまいったのでございますけれども、このような文書が出るというような事件はきわめて遺憾であり、憤りにたえない、そのことは絶対に許すことはできないということが私の率直な心境でございます。したがいまして、これに基づきまして、法務省における人権侵犯事件としての調査を促進していただくとともに、政府は、挙げて当面の問題の解決に当たりますとともに、今後一層充実した同和対策事業の推進を行わなければならないという決意を新たにした次第でございます。
○和田(貞)委員 確かにいま長官が御発言になったことにつきましては、十二月の十二日の長官談話という中に述べられておる長官としての決意のほどであろうと私は推察するわけでありますが、もしこの差別書が、匿名ではございましたが、たまたま案内書を受け取った企業の方から大阪の東職業安定所あるいは部落解放同盟中央本部の方に届いたから何とかあなた方も処理できたと思うわけですが、これが届くようなことがなかったとしたならば、四百部であるか何ぼであるかということはまた後ほど議論さしていただくとして、かなりのそのような差別冊子というものがばらまかれておった、その結果起こる事件というのは、かなりのものが出てきただろうと思うのです。したがって、この差別書が幸いにして発見されたからよかったものの、もしもこの差別書を発見することができなかったとするならば、一体どういう事態が起こっておったかというようにお考えでありますか。
○植木国務大臣 ただいま御指摘がありましたとおり、匿名でございましたけれども、某企業の人事担当者と称せられる方から、このような文書が配付されているということについての通報がありましたので、幸いにもその情報に基づいて調査をし措置をするということになったわけでございます。仰せのとおり、このような通報がなかったならば、事態はさらに悪い状況のもとで推移をしていただろうと思うのでございます。幸いにして良識のある人事担当者がおられたということにつきましては、私どもとしては深く敬意を表しているところでございます。 そこで、私どもがやるべきことは、言うまでもなく同和対策事業特別措置法及び同和対策長期計画を基本といたしまして事業を推進していくということでございます。われわれの政府としての見解を明らかにいたしますために、都道府県知事、都道府県教育委員会及び日本経営者団体連合会等企業六団体に対しまして、各省庁連名の通知を行い、かかる事件が再び起こらないように要請を行ったところでございますが、このような悪質な文書は今回限りをもって絶対に配付されるというようなことがあってはならない、また、これと同質の差別的な事象が起こってはならないのでございまして、私どもといたしましては、これを契機にいたしまして、さらに万全の施策を展開してまいりたいと存じております。
○和田(貞)委員 法務省の方にお尋ねしますが、先ほど申し上げたチラシですね。このチラシは、あなたの方でいままで調査されたところによれば大体何枚印刷されて何カ所に配付されておる、こういうように把握されておるのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
○村岡政府委員 ただいままでの調査の結果では、このチラシ、出版案内書は千部印刷されまして、そのうち八百部がいわゆるダイレクトメールの方式で郵送されている、二百部が残っているということでございます。ただ、午前中の審議でも触れましたように、本の印刷発行部数が従来私どもの把握しておりましたのといささか違うという疑点が生じてまいりましたのと並行いたしまして、このチラシにつきましても、どうもそれ以上のものが出ているのではないかという節がございますので、現在鋭意調査中でございます。
○和田(貞)委員 チラシについても千部以上印刷されておるというようなにおいがする、差別書の場合もいまのところは四百部というように把握されておるが、それ以上発行されておるというように推定されるということですね。
○村岡政府委員 さようでございます。
○和田(貞)委員 そこで、いま仮に案内書が一千部ないしは一千部以上——一万枚印刷しておるか、二万枚印刷しておるか三万枚印刷しておるかわからない。その配付先もかなりの企業に行き届いておる。その行き届いておる企業の中で、たった一企業の人事担当者がたまたま大阪の東職業安定所に匿名で知らしてくれた、あるいは部落解放同盟中央本部の方にその内容を知らしてくれた。十一月十七日のことです。「同封いたしました書面はまことに差別撤廃の折から遺憾に存じます。御調査の上厳しく御処置ください。」こういうメモを入れて送ってきているわけです。ただ一企業だけなんです。ほかの企業というのは、その中でも幾つかの企業が、いまあなたの方で調査されておるのでは五件だと言っておりますが、四百部として——本人の供述の上で四百部ということですね、そういうことを推定する中で五部が売りさばかれたということですから、最低限五部以上購入しておるわけです。購入しておらないところもやがては購入しようかというような意思があったかもわからない。その点は調査してみなければわからぬわけですが、こういう差別文書がかなりばらまかれても、たったの一件しか知らしてくれる者がないということは、今日差別がないのだと言う者もあるし、差別というものはなくなりつつあるのだと言う者もおりますが、少なくともこの事実から見まして今日なお社会的な意識としての差別観念というものはまだまだ日本列島の中に蔓延しておる、こう把握をすることによって今後の対処というのは間違うことがないと思うわけなんですが、そのように受けとめられておりますか。
○村岡政府委員 仰せのとおりに考えております。
○和田(貞)委員 たまたまこの問題が出てきたこの一件だけだというように考えたら大きな間違いなんです。たとえば、ことしの夏に部落解放同盟の中央本部が東京に事務所を移転いたしました。移転することについて東京都下の貸しビルを探し求めておる。今日、御案内のとおり不況の時期でございますからどこでも空き室がある。そういう空き室がある貸しビルが東京都内に散在しておるにもかかわらず、部落解放同盟の中央本部が事務所として貸してくれと申し入れたら、あっせんに入る不動産屋さんはここにもあります。あそこにもありますということを知らして案内してくれますが、それぞれ貸しビルの所有者が貸さない。あるいはあるビルの所有者が貸そうといたしましても近所がうるさい、近所がうるさいから貸せない、そういうことで空き室がたくさんあるにもかかわらずとうとう貸しビルさえも借りることができなかった。 それにはそれなりの理由がある。いま私が申し上げましたように、あなたの方がいま確認されましたように差別が厳存しておる、こういうこととあわせて、いかにも部落解放同盟というのは暴力集団だ、暴力団である、ことに言えば山口組や本田会よりももっとえげつないやつが東京へあらわれてくるのだというようなキャンペーンが張られたということも事実である。そういうような中で、いま私が具体例を挙げましたようなことが現実の姿としてある。そのような部落解放同盟を暴力集団呼ばわりするというようなやり方というものは、いいと思いますか、悪いと思いますか。
○植木国務大臣 差別が厳然としてあるというただいまの御指摘でございますが、私どもも差別が依然としてあるという悲しい現実に立ちまして、国及び地方公共団体の責務として、また国民的課題として同和問題に取り組んでいるということを御理解いただきたいと存じます。 なお、ただいま部落解放同盟についてのお話がございましたが、私どもは、この部落解放同盟は長年にわたって部落差別問題解消のために努力を続けてこられた組織であるという認識をいたしております。
○和田(貞)委員 私はいまの御答弁で納得をしますが、先ほど申し上げましたように暴力団呼ばわりをする。たとえば、この案内書の中を見てみましても「数年前、今井正の『橋のない川』という映画などでも同和問題が取り上げられて差別化、区別化と種々な形でつねに問題の解決が考えられております。然し一方においては、八鹿高校問題の様に暴力事件、リンチ事件が発生して社会的な問題となっています。これは一高校の問題であるとして看過すことはできません。この様な事は企業においても起り得ないとは断言できません。これらの人々の採用が果して妥当であるかということは、封建時代のイデオロギーとして残されたものであり問題ではないとすますことが出来るでしょうか。」こういう表現によっていかにも八鹿高校の問題が、原因を抜きにいたしまして、ただリンチ事件、暴力事件があった、これを部落解放同盟がやっているのだという誇張された宣伝の中でこの文書を受け取った企業が、幾らの企業かわからないが、やはりその差別書を購入する、あるいは多くの企業がそれを不問に付しておるという差別意識が非常に助長された結果、この当の本人もそれを巧みに利用してこの差別書を発行するという動機にもなり、販売しようという動機にもなったのじゃないか、こういうように私は思うわけなんです。 そのようなことを考えたときに、私は具体的にお尋ねしたいわけですが、法務省の方でこの事件を処理されるに当たって、いま京極公大というのはこれは偽名ですが、まず本名は何というのですか。
○村岡政府委員 本名は坪田義嗣という五十五歳の男であります。
○和田(貞)委員 その本名坪田義嗣というそういう者を任意で出頭さして、そして任意で本人の供述を法務省がとっておるにすぎないわけです。このようなかつてない差別事件であるにもかかわらず、本人が差別者である、政府もこれが差別文書であるということを認めておるにもかかわらず、その差別者を強制力をもって法的な根拠によって取り調べることができずに、任意で出頭を求めて任意で供述をさせておる、こういう姿しか今日できておらないわけです。そういうような中で、果たして真実を政府の方が把握することができるとお思いですか。
○村岡政府委員 東京法務局では、この事件が非常に重大な差別事件である、しかも社会にまだ残存する差別を悪用しまして自分の不当な利得を図るという点においてもきわめて悪質であるという観念のもとに調査に着手したわけでございますが、最初は、本人に任意出頭を求めるということでは証拠を散逸するおそれがございますので、だしぬけにこの事務所に参りまして、そしてその事務所において事情を聴取するとともに、現物を確認するということをしたわけでございます。 現在の法制のもとにおきましては、御案内のとおり、法務省の人権擁護局といたしましては強制力を用いて人権侵犯事件の調査をすることは認められておりませんので、あくまでも任意の方法でやるということでございますけれども、この事件が言いわけのしようもないきわめて悪質な事件であるということにかんがみまして、法で許された限りの強力なる手段をもって真相を解明していきたい、かように考えて目下調査を進めているところでございます。
○和田(貞)委員 今後取り調べを強化するに当たって、どういう法的根拠をもって取り調べを強化されようと思っておりますか。
○村岡政府委員 法務省の行います人権侵犯の事件の調査につきましては、根拠法規としては法務省の設置法があるだけでございまして、人件侵犯事件の処理についての法律が特別にあるわけではございません。したがって、犯罪捜査におけるごとく強制力をもりて調査する、たとえば物を押さえますにも差し押えする、あるいはそのための捜索を行うというような権限はございませんので、あくまでも当事者の任意の協力に基づいて捜査するという方法があるだけでございます。ただしかし、法務省としては、あくまでもこのような人権侵犯はあるべからざることである、これはもう憲法以下の法令に照らして許すべからざることは明らかなことでございまして、犯罪ではないにしても犯罪に匹敵する重大な不法行為、違法行為であるという観点から、その事の不当性それから違法性、それから人権尊重の意義を関係者に根気よく説得いたしまして、任意捜査とは言いながらもできるだけの調査をしていく、こういう心構えでやっておるわけでございます。
○和田(貞)委員 したがって、あくまでも犯罪捜査として調査ができないわけですね。そうでしょう。これほどかつてない悪質な、最悪質な差別事件なんです。それを犯罪捜査としてやれない、法的には根拠がないというようなことで事が済まされますか。
○村岡政府委員 私ども法務省の人権擁護局といたしましては、あくまでも自由人権思想の普及高揚を図る、そのための啓発を行うということが使命でございまして、人権侵犯事件の調査ということもいたしますけれども、これは調査を通じて自由人権思想の啓発を図るということが職務でございまして、特にこの差別ということが、これは何よりも心の問題である、外形にあらわれたところよりもその奥にひそむ差別意識といいますか、心の点に問題があるということでございますので、その心まで掘り下げて、あくまでも人権の尊重さるべきゆえんを説得して納得させる、それによって啓発を図るというたてまえで事案の解決を図ることを考えておりまして、そのために強制力を用いるということは必ずしも適切とは言えないのではないか、私ども人権擁護局の立場としてはそういうふうに考えておるわけでございます。
○和田(貞)委員 これはいままでの結婚差別であるとか就職差別だとかいうようなことと性質が違いまして、差別を売り物にしておるのです。買い手がある、商売にする。だから、いままでの単なる差別事件と違って、差別を売り物にして商行為をやっているという、こういう悪質な場合でも、法的な措置によって処理していくということは適切だとは思わないという考え方なんですか。
○村岡政府委員 ただいま申し述べましたことは、差別一般についての私どもの考えを申し上げたわけでございまして、本件のような営利の目的でそういう差別を利用するという面につきましては、これは一般の差別行為とは著しく性格を異にしておりますので、これを何らかの法的規制のもとに置くということは十分検討すべきであろうと考えておりまして、現在、総理府の同和対策室を中心にいたしまして関係各省が協議いたしまして、その方策について検討していこうということになっておるのでございます。
○和田(貞)委員 警察の方にお尋ねいたしますが、京極公大というこの本人はおりますか。
○平井説明員 警察におきましては、暴力団犯罪取り締まりの一環といたしまして、いわゆる会社ごろと申しますか、企業などを対象に暴力組織と結託したり、あるいはこれを仮装しまして恐喝などの犯罪を行う者を把握し、取り締まりを進めているわけでございますけれども、いままでの調べでは、そうした対象者の中にはおっしゃる人物はないということでございます。
○和田(貞)委員 いま法務省の方から言われたように京極公大というのは偽名であって、本名は坪田義嗣である、五十五歳の男であるということが法務省の調査の中で浮かび上がっているわけです。この坪田義嗣という五十五歳の男についてあなたの方で把握しておるところでは、これに相当するような、あるいは似通った犯罪を過去に犯したという実績はないですか。
○平井説明員 坪田なる人物がこの事件にどの程度関連があるかにつきまして、私ども犯罪捜査の立場ではいまのところ余り突き詰めた調べはできないわけでございますけれども、私のお聞きしている範囲では、そうしたいわゆる会社ごろ的な人物というものの対象にはなっていないというふうに聞いております。
○和田(貞)委員 そうすると、法務省の方は本名は坪田義嗣であるというように把握されているのですが、警察当局としては、坪田義嗣というのが果たして本名であるかどうかということも疑わしいということですか。
○平井説明員 具体的な事件についての被疑者というふうな対象者になっておりませんので、はっきりしたことを申し上げかねるわけですけれども、いまおっしゃった人物はやはり本名だというふうに承知しております。
○和田(貞)委員 そうすると、法務省が言われておるようにこの坪田義嗣というのは、他に、総会屋の名簿を印刷して企業にばらまいたとか、あるいは右翼の名簿をばらまいたとかいうようなことが過去にあったことがあるというように警察は受けとめておられますか。
○平井説明員 その人物につきましてそういう名簿などを企業などに売り歩いたという問題が犯罪行為としてとらえられるといういままでの事実関係は、私どもの方としては承知しておりません。
○和田(貞)委員 そうであれば、ひとつせっかくの機会ですから、警察の方——いま法務省の方で本人が任意出頭で、任意で調査をやっている。強制捜査はできないわけなんです。いままでこの事件だけでなくて、随所に差別事件というのはありますね。極端に言うなら、司法権を持っておられるあなたの目の前で、差別者が部落住民をつかまえて、おまえはエタであるとかおまえは四つであるとか、過去にあったのです。私は想定をして架空的に言っておるのじゃない。そういうように差別べつ称でののしられるというような、本人にとっては刃物でえぐり刺されるよりも厳しく差別を受けているわけですよ。そのことについて死んでいる者がたくさんおるわけですよ。そういうような行為があなたの目の前であっても、いまの場合あなたがその差別者に対して強制捜査をやって取り締まるということはできないわけなんでしょうか。
○平井説明員 刑罰法令に触れるような脅迫であるとかあるいは暴行罪であるとか具体的な犯罪行為が行われた場合には、これは当然取り締まることができますが、問題はやはり個々の事実関係で判断しなければならないわけでありますが、そうした刑罰法令に触れるような事案のあるなしによりまして、捜査すべきであるかどうか、この点が決まってまいろうかと思っております。
○和田(貞)委員 あなたの前でいま言われるように殴る、けるというような場合があったときに、それは現行法で逮捕することができますが、私がいま言いましたように、あなたの前で差別者が差別用語をぶちまいて部落住民をののしるという事象があったとしても取り締まることができない、現行犯逮捕をやるということはできない、差別を受けたその本人がいつ何どき生命を断つというようなことになるかわからない、そういうような大事件であっても、これは刑法に触れないからということで現行犯逮捕することもできないし、強制捜査することができないというようなことは、それでいいと思いますか、どうですか。それでいいのだというように考えて求られるかどうか。
○平井説明員 先生の言われますように、事柄の重大さは私どもの方で大変よく理解するところでございます。犯罪捜査という業務の立場でいま申し上げたわけでございますけれども、決してそれをもって事案に対してこれが許されるという評価はしておりません。
○和田(貞)委員 今度のこの事件で、これは先ほども総務長官が言われたように、たまたま一企業の人事担当者が匿名で明るみに出したから事が大きくならないで済んでいるわけですよ。それがなかったら大変なことになっているということを総務長官が言っておられる。そのことによって部落の出身の青年が、こういう世知辛い世の中で今後就職をするというような機会も与えられないような結果になってくるし、あるいはその就職しておる企業の中で部落出身の者であるということによって、ここにも書いているように、考課に役立たせてください、——また考課に役立たせるように買っている企業があるわけですから、大変なことになるわけです。そういうようなことになるというようなきわめて重大な事件なんです。そういう重大な事件であっても、法務省が言われるように強制捜査ができない。あくまでも本人を任意で出頭させて調べるしか方法がない。警察も同じことなんです。あなたの目の前でこういうことがあってあなたが発見されたとしても、そのことができないというようなことは好ましいことであるかどうかということをお聞かせ願いたいのです。
○平井説明員 私どもの方は犯罪捜査を行う立場でございますので、そういう点の価値評価について発言申し上げることは必ずしも適当じゃないと考えますけれども、先生おっしゃるような意味は十分理解しているつもりでございます。
○和田(貞)委員 そういうことでございますので、法務省の方は同対室といろいろと連絡を密にしながらということですが、この機会にひとつこのような悪質な一あくまでも憲法に保障されておる職業選択の自由だとかどうだとかこうだとかいうことはありますけれども、少なくともこの種のような差別を売り物にするというような商行為が行われるというようなことについては、これは今後やはり法的な拘束力をもって強制捜査ができないというようなことであっては許されないと思うのです。そういうことについて、いま法務省の方は検討中だということを言われましたが、この機会に総務長官の方からお答え願いたいのですが、今後営業行為に限ってでもいいから、このような差別事件というものが起こらないために法的措置を講ぜられるというそのお考えがあるかどうかということを明らかにしておいてもらいたいと思います。
○植木国務大臣 今回の事件に当たりまして法務省が調査を進められているその状況の中で逐次報告を受けているのでございますが、先ほど答弁がございましたように、強制捜査を行う法令がないということが一つの大きな障害になっているということを私も非常にもどかしく思いますとともに、何とかならないものかという気持ちでいっぱいなのでございます。営利を目的といたしましたこのような事件は最も悪質であるということは言うまでもございません。私どもといたしましては二度と再び発生しないように関係省庁ともども努めてまいりますが、同時に立法化につきましては関係省庁とともに協議をさせていただきたいと存じます。基本的人権、公共の福祉、それと関連をしましてまた別に営業の問題あるいは出版の問題そういういろいろな多岐にわたる問題があるわけでございます。立法技術上いろいろな問題もあろうと思うのでございますけれども、各省庁とともにこの立法化については協議をしつつあるところでもございます。今後も鋭意検討をさせていただきたいと存じます。
○和田(貞)委員 その点は十分早急に立法化する努力をひとつしてもらいたいと思うのです。 そこで、この事件の処理ですね、どういうように処理をされていこうとしておるのか。調査も十分でないのですが、調査も十分でないのだから、処理のことについて総務長官もこの間の談話で発表されておったわけですが、処理よりも調査の方がまだいまのところでは大事な点であると思いますが、一応お聞かせ願いたいのです。法務省としてはどういうような処理をしようとしているのか、今後の調査を含めてひとつ考え方を明らかにしていただきたい。
○村岡政府委員 法務省といたしましては、引き続きこの事件の調査を行いまして、特にこの名鑑を作成いたしましたもとになった資料を追及するという点、それから出版物の売却部数を把握するという点に焦点を置きまして、この事案の事実関係の解明に努力したいと思います。その結果、発行者はもとよりその印刷所それから書物の購入者等に対しては厳正に対処いたしまして、このような行為は許すべからざるものであるということをたたき込んで、深く認識させ、啓発をいたすつもりでございます。同時に、関係者にとどまらず、この事件を契機にいたしまして、このような事件が再び起こることのないように、差別解消のための一般啓発をさらに強力に推し進めていきたい、かように考えております。
○和田(貞)委員 売却冊子の回収だとか、集まってきたのを焼却するとかいうようなことに当面力を入れるべきではないと思うのです。焼き捨てて事はしまいだということにはならぬわけですからね。しかも、任意で押収できないのですからね。そうでしょう。本人が任意で提出を拒否したり、あるいは任意で提出をした差別書を焼くことに本人が同意しなかったら、焼くこともできないじゃないですか。そういうことでしょう。そのように回収するということもこれは処理の仕方でしょう、その回収の仕方というのは、四百マイナス五イコール三百九十五を集めたら事が済むわけじゃないのです。先ほども御確認をいただいたけれども四百部以上発行しておる、あるいはチラシにつきましても千枚以上印刷しておる。八百しか配布していないというけれども、八百以上配布しておるということですから、これはもっと綿密に、一体幾ら印刷をしたのか、チラシも何枚印刷したのか、あるいはどういうところにばらまいたのかということをきちっと把握してから事後処理を考える必要があると私は思うのです。いま言われたわけですが、それよりも前に、この資料の入手先を的確につかんでもらわないと、幾らここで言われても、そのことを根絶しない限りは、これはもう二度も三度も、十回も二十回も何ぼでも回を重ねますよ。したがって私は、この資料の入手先、入手経路、ルートを的確につかむことがまず第一だと思うのですが、どういう方法でそういうことをつかもうと考えておられるか、もう一回言うてください。
○村岡政府委員 これは、坪田本人をさらに追及いたしますと同時に、この種の出版物がまだ保存されていないかどうか、どういうものが保存されているかということをできるだけ調べまして、それとこの事件の名鑑とを対照することによりまして追及いたしたいと考えております。 なお、回収した書物、それから出版会社につきましても極力回収いたしましてこれを廃棄いたしたい、もちろんこれは当事者の承諾に基づいての処分でございますが、廃棄してしまいたいと私ども考えております。もとより、それで事がすべて終われりというわけではございません。それは少なくともやらなければならないことだと考えて対処しているわけでございます。
○和田(貞)委員 たまたま今回この地名総鑑なるものが発覚したわけですが、これに似通った差別書がちまたにばらまかれておるということを把握していませんか。
○村岡政府委員 私ども人権擁護機関といたしましては、具体的なそういう事実は把握しておりません。
○和田(貞)委員 四年前に同じような事件がありましたね。承知していないですか。
○村岡政府委員 ただいまのところでは承知いたしておりません。
○和田(貞)委員 四年前にもこれと同じような差別書が、新橋に事務所を持つ、これは正確な名前じゃございませんが、たしか労働政策研究所というような、これと似通った名前の企業が発行した、それで大問題になったということがあるわけです。あるいは、あなたの方で把握されているように本人の供述しているように、八王子のある女性から五千円で印刷物を買ったというのでしょう。その女性なる者もこれに似通った物を持っているということでしょう。本人がうそを言っているか本当のことを言っているかわからないけれども、そういうことがあるわけでしょう。あるいは最近におきましても、都内の墨田区の日本探偵センター、私も電話を入れましたけれども電話に出ない。電話まで教えてくれている。東京六五三−二六二一、日本探偵センター、ここからこれと同種の物を買いましたという事実を匿名で電話で教えてくれているわけです。あなたはどういう企業ですかと言ったら、それはひとつ名前を言わせないでほしい、ここで買ったということは事実なんだということで、墨田区の日本探偵センター、電話は六五三−二六二一というところまで教えてくれている企業があるわけなんです。これは何ぼでも出回っているのですよ。これだけじゃないのですよ。もっと何種類というものがばらまかれておる。言うならば、すでに何千部か何万部かわからぬけれども、この京極公大なる者が購入あっせん書をばらまいたけれども、すでにその企業がこれと同種の物を持っておるから買い求めないという企業もあるかもわからぬ。だからこの問題だけじゃないのですよ。そして現実的にこういう物をもとにして民間企業が採用について考課について差別をやっておるから、また京極公大なる者が、考課に役立たせてください、採用に役立たせてください、人事資料の一助に使ってください、こういうことでばらまいているのです。現実にしておるからこれをばらまいておるのだ。初めてこれをやったのじゃないということを把握しないと、これは大変なことなんですよ。そういうようなことを法務省が知らないというのは、人権擁護を担当なさっている局長として余りにも不熱心であり不勉強じゃないですか。どうですか。
○村岡政府委員 仰せのような事実があるといたしますれば、私どもの人権侵犯事件の情報収集が十分でなかったということになるわけでございまして、十分その点は反省いたしまして、今後とも情報収集活動を活発に行うように努力いたしたいと思います。
○和田(貞)委員 だから、いろいろわれわれの方にも連絡してくださいよ。一緒になってやりましょう。あなたの方も根絶するという限りにおいては、これを処理するというのではなくて、この種の物がすでに出回っておるわけだから、それを含めて根絶するという大々的な方途を講じなければいかぬと思います。 そこで、法務省の方に重ねてお尋ねしたいわけなんですが、この種の資料というのは、京極公大なる者の企業ということは、こういう資料をつくるようなそれだけの大きな企業ですか。
○村岡政府委員 京極自身は、午前中のここの審議でも申し上げましたように個人企業でございまして、それほど大きな財政的な基盤を持っているものであるとは考えられません。
○和田(貞)委員 そうすると、少なくとも全国的な視野に立ってこういう資料を収集するというような能力がある企業でないということは言えますね。
○村岡政府委員 仰せのとおりと考えております。資料は他から入手したものであると考えております。
○和田(貞)委員 そういう資料はどこから入手したと思いますか。
○村岡政府委員 京極自身はあれこれと申しておりますけれども、どうもその供述内容は信がおけないということで、さらに徹底的にその点を追及して確かめたいと考えております。現在のところではまだ的確に捕捉しておりません。
○和田(貞)委員 一般的に言って、あなたの知識から言うならば、普通一般的にこういうふうな資料というものは持ち合わせておらないということは言えるでしょう。そうすると、私がいま申し上げましたように、これに類する資料が、今度の地名総鑑と同じような差別書が現存しておるということ、そこから転載をするというような方法も一つの方法でありましょう。 もう一つは、民間の会社ではこういうようなものはないわけですよ。どこかわからないけれども、これはやはり官庁関係——私は政府機関とは断言しませんよ。総務長官は政府機関から漏れたことじゃないということを言うておられる。四十六年に総理府で調査したところから一切漏れてない、確かにそうでありましょう。しかし、このようなことは、たとえば国勢調査というのをやはり役所がやるじゃないですか。あるいは府県や市町村に行けばやはり戸籍簿もありましょうし、あるいはそれぞれの行政庁としては一つの資料というのはあるのじゃないですか。そういうことを考えましたら、やはり官庁関係からしかこういうような資料が集まるというルートはないじゃないですか。 私はこの二つだと思うのですよ。官庁関係から資料を入手するか、あるいはこれと同種のものがちまたにだぶついておる、それを転載する、その二つの方法しか私はないと思うのです。私の知識では。あなたはどう考えておられますか。
○村岡政府委員 ただいま仰せの点を十分に考慮に入れまして、さらにその点の調査を進めたいと思います。 午前中も申し上げましたが、この名鑑は新旧対照になっておりまして、古い地名はかなり以前の地名でございます。これを現在の地名と対照するという方法で利用させようという形になっております。恐らく古い地名で書かれた資料をもとにして、坪田自身が現在の地名との対照を調査してつくり上げたものではないかというふうに推測されるのでございますが、その点から考えまして、もとになったものがそういう古いものであるとすれば、かなり以前にどこかで作成されたものではないか。これも一つの推測でございますが、そういうことも考えて調査していきたいと思っております。
○和田(貞)委員 たとえば、私、この「融和事業年鑑」の十五年版を見たわけなんですが、ここの資料と今度の地名総鑑の一部を比較しましたら、合っているところも合っていないところもある。ただ、私つけ加えておきますが、今度の地名総鑑を見てみますと、部落の世帯数の欄を見てみましたら、末尾は必ずゼロか五ですわ。部落によりましたら三百三十三世帯あるところもある。そういうようなものは、三百二十三世帯というように書かないで、三百三十五世帯とかあるいは三百二十世帯とか。だから、巧みに資料を入手してきて、その資料をどこから入手したということを包み隠すために、末尾を必ずゼロか五にしているのですよ。そういうようなところも考えてもらったら、これは単に数字が違うからここから出たものじゃないとかいうことは言えないと私は思うのですよ。その点も今後、私が申し上げたように、官庁関係から入手したものか、他の出回ったこれと同じようなところから転載したものか、どちらか一つですから、単に数字を照合してみてこれは違うというのじゃなくて、作意的にごまかすために、入手先を包み隠すために故意に数字を使い分けておるということもひとつ参考にしてほしいということを、この機会につけ加えておきたいと思うのです。 そこで、四百部、千部というのがそれ以上であったということが明らかになった。そうすると、いままで把握されておるところでは、購入した先は五企業でないということが明らかですね。
○村岡政府委員 五企業にとどまらないという疑いが非常に強く生じておるということでございます。
○和田(貞)委員 少なくともその五企業というのは、いま把握されておる企業ですね、これはどことどことどこですか。
○村岡政府委員 これはただいま法務局で調査処理の途中の段階でございますので、この段階で公表するのは差し控えさせていただきたいと思います。 実は、私ども最初の調査では、その購入先は五企業にとどまるというふうに考えておりましたので、これを早急に処理いたしまして事件の終局を図って、その上で適当と認められる方法でそれを公表するということも考えておりましたが、急な事情の変更で、先ほども申し上げましたようにそれにとどまらないということが出てまいりました。そうなりますと、これはまた根本的にやり直さなければいけないことになりますので、できるだけ早く事実関係を明確にしたいと思いますけれども、直ちにこれを発表するという段階にはまだ到達しておらない次第でございます。
○和田(貞)委員 印刷所はこの機会に明らかにできませんか。
○村岡政府委員 その点も、印刷部数を追及する関係で微妙な点がございますので、いましばらく御勘弁いただきたいと思います。
○和田(貞)委員 いずれにいたしましても、印刷所、購入先については早い機会に公表するということはお約束できますね。
○村岡政府委員 人権侵犯事件の処理として終局いたしました段階では、特段の支障がない限りは公表いたしたいと考えております。
○和田(貞)委員 特段の支障とはどういうことですか。
○村岡政府委員 ただいま具体的にどうということを申し上げることはできませんが、その段階に至りまして十分検討の上で決定したいと考えております。できるだけ公表したいと考えております。
○和田(貞)委員 できるだけ公表したいじゃなくて、そういう不届きな企業ですね、やはり社会的に明らかにしていく、そのためにぜひとも公表すべきです。公表すると約束しなさい。
○村岡政府委員 先ほど来申し上げておりますように、法務省の行います人権侵犯事件の調査というものは、あくまでも関係当事者の任意の協力に基づく、強制を用いないで、こちらから条理を説いて、説得によってその協力を得て調査を進めるという関係にございますので、ただいまその調査を進めている段階で、これは必ず公表するということをここで明言いたしますのは御勘弁いただきたいと思います。
○和田(貞)委員 私は、やはりあの狂乱物価のときの国民に迷惑をかけた企業と同じように、社会悪を果たしているわけですから、社会に公表するということがその当然のたてまえである、そのことによって社会的な制裁をその企業に対して加えることによってそういうような企業を根絶させていくということになるわけですから、私はしっこくは言いませんが、公表すべきであるというように思いますが、大臣どうですか。
○植木国務大臣 ただいま法務省から答弁をいたしておりますように、現在調査中でございます。これの調査に支障を来すようなことがありましたならば、この問題の徹底的な究明が行われないということがございます。したがいまして、いま直ちに結論的なことを申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。社会的な制裁が加えられてしかるべき悪質な事件であるという認識は十分持っております。
○和田(貞)委員 したがって、そのような措置を講じてほしいということを私はさらに強く要望しておきたいと思うのであります。 それが明らかになってからでもいいとはいうものの、労働省に来てもらっておりますが、そういう企業が、少なくともいま五つの企業が明らかになっておる。購入先がまだまだある。とにかく差別を売り物に商売をして、それを買う意識がその企業にあったわけですから、これは最低五つ、五つ以上の企業が——あるいは先ほど申し上げましたようにこの地名総鑑以外のこの種の差別書というのは、私は実は社会に蔓延しておると思う。かなりの企業が持っておると思う。そういうような企業が今回の地名総鑑を購入するというようになった動機も、これはもちろん法務省の方で調べてもらわなければいかぬと思いますけれども、労働省も、少なくとも法務省と連絡をとって、そのような企業がなぜこの地名総鑑を手に入れようとしたのかというその動機、あるいはいままで過去にわたってその企業の中での人事の採用あるいは人事の考課、そのようなことについて差別的な行為というものがあったかどうかということを調査する必要が私はあると思うのですが、労働省、どうですか。
○吉本政府委員 ただいまの御質問でございますが、具体的なところがはっきりいたしますれば、私どもは、先ほど来総務長官も述べられているとおり、大変遺憾なことでございますし、関係の事業主に対しましては、この問題の趣旨の正しい理解と認識をさせるように、さらに徹底をさしていきたい、啓蒙を図っていきたい、かように思います。 また、ただいまの御質問の、具体的な企業におきましてどのような形でこれが利用されているかという点につきましても、法務省とよく協議しながら調査してまいりたいと思います。
○和田(貞)委員 これは審議官、あなたの方を含めて、十二日付で関係省次官連名で各企業の経営者団体には、要請書といいますか要望書といいますか、ばらまかれておるわけですが、そういうことをやったためにこれで事終わりだというのではなくて、そこを通じて私はやはりこの機会に各府県段階で、この調査に協力するという意味も含めて、そのような類似する企業というものがあったかなかったかというような調査もやってほしいと思いますし、あるいは関係府県で、これを購入したという企業に対しましては、その企業が過去において人事関係にそういう差別扱いというものがあったかどうかというようなことを調べてもらう必要があると思うし、あるいはこの機会にそのようなことがないようにということを、あの通達の内容というものを一つ一つの企業にやはり趣旨徹底をするという方途を私は講じてほしいと思うのですが、それはできますか。
○吉本政府委員 先般関係省庁の事務次官名で通達を出しましたが、それと同時に、労働省独自におきましても労働大臣談話を出すと同時に、職業安定局長名でさらに業種別の団体、九十二と思いましたが、その団体等につきましても、労使に通達を、要請文を流しましてその趣旨の徹底を図ると同時に、また各都道府県に対しましてもその旨の通達を流している次第でございます。 そういうことを通じまして、ただいま御指摘のような点につきましても十分配慮しながら、さらにこの行政を進めてまいりたい、かように思っております。
○和田(貞)委員 そのこととともに、企業が中心になりまして、ひとつ企業単位で解放教育の徹底というものもあわせて図ってもらいたいと思います。ただ政府機関が新聞に載せて、あるいはテレビで啓蒙するということだけではなくて、労働省としてはこの機会に全企業に、大企業だけでなくて中小企業を含めて、それぞれの私企業に対しまして啓蒙方をひとつ督励をしてほしい、こういうように思います。
○吉本政府委員 事業主の啓蒙、研修につきましては従来からもやってございましたが、こういう機会にさらにそういうことを徹底させて、個別の事業場につきましても指導をしていくようにやってまいりたいと思います。
○和田(貞)委員 そこで、時間がありませんのでなんですが、法務省としても、いま言われましたように啓発活動をさらに強化していきたい、あるいは総務長官のこの間の談話としても啓発活動をさらに一層強化していきたいというように言われておるわけなんですが、総理府、法務省ともに、それではいままでどのような啓発活動をされてきたのですか。
○植木国務大臣 総理府におきましては、啓発関係の予算といたしまして、国家公務員に対する同和問題の研修を行う経費として百七十万円、一般国民に対する同和問題講演会の委託費といたしまして七百七十五万円、及び、これは労働省でございますが、雇用主啓発啓蒙指導費として九百九十万円を六十年度は計上しているのでございます。これと並行いたしまして、総理府の広報室におきましても啓発活動を行っているというのが現状でございます。しかし、何度も申し上げますように、国民の理解と協力なくしてはこの問題の解決はあり得ないのでございますから、啓蒙活動費につきましては、特に五十一年度には大幅に増額をいたしたいということで、すでに財政当局に要求済みでございまして、あらゆる媒体を通じまして努力をしてまいりたいと存じます。また同和教育の面におきましても、今後徹底した施策が講ぜられるべきであると信じておりまして、この点については文部省も十分な認識を持っております。
○村岡政府委員 部落差別の解消ということにつきましては、かねてから人権擁護行政上の重点事項として考えて対処してきたわけでございますが、今年の十二月四日から十日に至ります人権週間におきましても、この部落差別の解消ということを重点目標の一つに掲げまして、その趣旨のポスターを全国に本省から配布いたしまして掲示すると同時に、人権週間の活動として各地方法務局においてこの重点目標の実現について十分の措置をとるようにいたしております。ただ、その結果の報告がまだ集計されておりませんので、具体的にどういうことをしたかということをここで申し上げることはできませんが、そういうことでございます。 それから、なお本件のような企業における就職差別の問題という点につきましては、これは法務省の一般的啓発の対象となると同時に、労働省の問題でもございますので、労働省当局と協力してさらに啓発活動を進めていきたいと思います。また来年度につきましては、目下予算を大幅に増額して要求中でございます。
○和田(貞)委員 いずれも来年度の予算ということを言われたのですが、これは大幅に増額と言うけれども、これはあなた、法務省二千万円、総理府八千万円、合わせて一億ですよ。これはけたが違っておるのではないですか。
○植木国務大臣 ただいま非常にけたが違っているのじゃないかという仰せでございましたが、この啓発活動の重要性にかんがみまして、私どもとしては五十年度に比べましては大幅な増額を要求をしたつもりでございます。先ほど申し上げましたように、同じ総理府に広報室がございます。この広報室予算を同和問題の啓蒙活動費として活用を並行的にいたしてまいりたいと考えておりますから、その点については万遺憾のないように進めてまいりたいと存じております。
○和田(貞)委員 総務長官、ことしのたしか夏ごろだったと思いますがね、日本国有鉄道が、国鉄は赤字です。パンクしますと、こういうことを大大的に各商業紙を通じまして宣伝しましたね。あれは一体どのぐらいかかっているとお思いですか。
○植木国務大臣 ちょっと私承知いたしておりませんが、全国的に掲載をされたわけでございますから、約一億はかかっているのではないかと存じます。
○和田(貞)委員 これは一億かかっておるのですよ。国鉄が赤字です。国鉄が泣いています。これで一億かかっている。一回やっただけで一億。私の知っている限りでは、確かに「時の動き」という政府の刊行物の中には再々総理府としては部落問題については載せておられます。しかし、そういうものは末端の家庭には行かぬわけですよ。官庁どまりですよ。やはり一般家庭に行くというのはテレビとかあるいは新聞ですよ。少なくとも同和対策室を抱えておる総理府として、せめて年に一回、あの国鉄が泣いてますというあれだけのキャンペーンを張ってもらおうと思ったら、とにかく最低一億かかるのですよ。これを年に二回、三回やろうと思ったら、その新聞に掲載する広告費だけで三億かかる、そうでしょう。テレビで、この間も長官、熱心にされましたけれども、ああいう短編的なものではなくて、もっと定期的に、NHKから各民放を通じて大々的に宣伝するといったら、これはやはり五億、六億という金がかかるわけですよ。私は、そういうところからいいまして、これはけた違いじゃないかと言うのです。これはもうせっかくの機会ですから、私はこの機会に要望したいと思いますが、もうすでに要求しておるのだからこれ以上ちょっと無理やというようなことではなくて、せっかくの機会なんだから、年間八千万円ほどの予算じゃ何にもできないわけですよ。少なくともそのけた違いだというこういう考え方に立っていただいて、ひとつこれからも予算折衝を、事務査定から第二次折衝まで行くわけですから、ひとつこの機会に、なるほど総理府は本腰を入れて新年度は啓発活動に乗り出したぞというように見られるような予算確保のために、総務長官ひとつがんばってほしい、こういうように私は思うのですが、どうですか。
○植木国務大臣 同和問題啓発予算の獲得につきましては、最大限努力をしてまいります。同時に、すでに和田委員も御承知かと存じますが、ここ一両年は各省庁の広報予算はなるべく節減をするということになっておりまして、総理府の広報費の充実をいたしまして、その中で適切な媒体を使っての広報活動を行っているという現実がございます。 そこで、先ほど仰せになりました八月の末でございましたか、あの同対協の磯村会長とともに、同対審の答申十周年を記念いたしまして、テレビの放映を私も出席をいたしまして行いました。これはただいま申し上げました広報室の予算によるものでございます。またこのような事件が最近起こりましたので、近くテレビ番組を持ちまして、これを契機に国民の啓発活動を行いたいという予定をいたしております。先般のテレビ放映につきましては非常に大きな反響がございました。したがいまして、国民的課題であるこの問題に対しては、非常に大きな広報媒体でありますテレビというものを活用することがきわめて重要であるということの認識を持っておりますので、そのための努力をいたしたいと存じます。また新聞等の媒体も活用いたしまして、御趣旨を生かしてまいりたいという考えでございます。御協力、御理解をお願いをいたします。
○和田(貞)委員 ひとつ五十一年度の予算確保についてもがんばってください。法務省も一緒ですよ。あなたのところは一番人権擁護の番頭役だ。それが二千万円。これは二千万円で何をするのですか。啓発活動といったところで、たとえば大阪だけを例にとってみても、あなたの方の二千万円がばらまかれたら、人権擁護の対策予算というのはわずかに年間四十万円、五十万円、これで何するのですか。けた違いですよ、大けた違いですよ。やはりそういう予算の確保についてあなたの方も努力してもらわなければいかぬと思うし、あるいは人権擁護委員に対するところの資質を向上するための研修活動を強化するとか、あるいは単に人権擁護委員で事足りるのじゃなくて、特に部落問題についての専門職を配置するというふうな考え方も法務省としては当然とってもらわなければならない、そういうような考え方はおありですか。
○村岡政府委員 来年度の予算要求といたしましては、法務局、地方法務局に人権担当職員の増員を図るということで十四人の増員要求をいたしております。 なお広報、啓発活動の方法につきましてはできるだけ、この乏しい予算ではありますけれども、重点的に効果のあるようにやっていきたいと思っております。本日、実は東京都の人権擁護委員連合会それから東京法務局の共催で朝日講堂におきまして同和問題についての講演会を開催しておりまして、実は私もぜひそれに出たいと思っておりましたが、この委員会の審議の関係で出席できなかったわけでございます。これは講師磯村英一先生でございますけれども、できるだけ効果的な活動を繰り広げていきたいと考えております。
○和田(貞)委員 総務長官にこの機会にお願いしておきますが、確かに長官言われましたように、国みずからの啓発活動というものも、公務員を対象にして、国民全般を対象にしてやられなければならないわけですが、ひとつこの機会に労働省を督励してもらって、労働省から各企業に対するところの啓発活動、あるいはマスコミ、新聞、テレビを通じて大々的にやはりこの際啓発活動をやっていく、その予算の裏づけを確保してほしい。あるいはやろうと思っても今日の市町村の財政難の折でございますから、市町村を通じてみましても、もっと微に入り細にわたっての啓発活動をするための応分の財源的な助成措置というものを考えてもらわなければいかぬわけですね。あるいは文部省を通じまして社会教育面で啓発活動を強化する。国を挙げて、自治体を挙げてこの機会をとらまえて、やはり解放行政を進めていくということだけではなくて、国民全般の啓発活動をこの機会にやっていくという考え方に立ってほしい、こういうふうに思うのですが、どうですか。
○植木国務大臣 御趣旨は全く同感でございます。御意向を体しまして最善の努力をいたしてまいります。
○和田(貞)委員 では委員長にこの機会にひとつお願いしたいわけなんですが、いまもお聞きになっておられるように、法的措置を講ずるように政府としては検討中であるということですが、その法的措置ができれば今後こういうような事件が、起こってはいけないけれども、仮に起こったとしても強制捜査を法的根拠をもとにしてできるわけですね。いまのところでは、警察がタッチできないし、法務省としては、あくまでも任意で本人を呼ぶしかない、本人がうそをついておれば、それ以上に調査が進まないわけなんです。 こういうようなことでありますので、私たちの方も、政府機関のこの種の調査について立法府としても協力する、こういう意味で、一つは、内閣委員会に、この問題を契機にこの問題を中心に調査を進めていくためにぜひとも小委員会を設置してほしいというのが委員長にお願いしたい一つです。 もう一つは、そういうことでありますから、決意のほどは述べられましたけれども、あくまでも任意によるところの調査しかないわけですから、一向進まないと私は思うのです。私は、そういう面でのバックアップ、協力という面を含めて、適当な機会に本人を国会に喚問する、あるいはこの資料の購入先の企業を国会に喚問するというようなことをひとつぜひとも委員長の努力で取り上げてほしい、こういうように思うわけです。そういう点を含めまして、ぜひともひとつ小委員会を内閣委員会の中に設置してほしいというようにお願いしたいのですが、委員長どうですか。
○藤尾委員長 御趣旨のほどはよくわかりました。各党とお諮りの上、適切な措置を講じたいと思います。
○和田(貞)委員 その点ひとつ委員長よろしく御処理のほどをお願いすると同時に、あわせて、かつてない悪質な差別事件でございますので、政府機関挙げて、1処理を急ぐ余りに調査が不十分でうやむやに終わってしまうというようなことがあれば再びこのような事件が起こりかねないことでありますので、処理ということよりも、本人がこれを発行した動機あるいは企業がこれを購入した動機、あるいはその資料を入手したルートというようなものについて、この機会に万全の策を購じてもらって明らかにしていくということに全力を挙げていただきたいということを最後につけ加えさしていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○藤尾委員長 諫山博君。
○諫山委員 日本共産党は、一九二二年に党が創立された当初から、誤った部落差別に反対し、未解放部落の完全解放のために闘ってまいりました。全国水平社の組織が日本共産党の創立と時を同じくしたというのは決して偶然ではなかったのであります。現在も日本共産党は党綱領の中に部落差別の撤廃を掲げているただ一つの党であります。私たちはそういう立場からこのたびの出来事をきわめて重視しています。私たちは、未解放部落の完全解放、そのために必要な同和行政を進めなければならないと思います。しかし、その同和行政というのは、新しい差別をつくり出したり、逆差別をつくり出すようなものであってはならない、また、部落解放運動というのは暴力的な糾弾で解決するというようなものであってはならない、こういうことをしばしば天下に公表してきたし、国会の中でもこの問題を明らかにしてきました。その立場から、いま問題になっている差別出版物の幾つかの点を質問します。 第一、午前中からの人権擁護局長の説明を聞いていますと、この差別出版物の作成者がわかっている、印刷者もわかっている、しかし、何部印刷し、何部ばらまかれたかということはつかめない、こういうことのようです。これはきわめて遺憾だし、重大だと思います。もし本当にこの問題を解決する熱意があるなら、たとえば印刷に当たった労働者から説明を聞くとか、あるいは紙を納めたところから何冊分の印刷をしたかということを聞くとか、製本屋に当たって何冊完成したかとか、調べる方法は幾つでもあると思うのです。ところがそれがなされていないのか、あるいはなされたけれども実態がつかめないのか、私にはどうしても納得ができません。どのような努力をし、いまどのようなところまで調査が進んでいるのか、この点を説明してください。
○村岡政府委員 先ほども申し上げましたように、当初本人から、この書物は四百部印刷したという供述がありました。もとより本人の供述をそのまま信用したわけではございませんで、印刷所に同時に当たりまして、そして伝票その他の帳票類と照らし合わせ、また領収証等とも対比いたしまして、一応この四百部という供述は正しいものと受け取って調査を進めてきたわけでございます。これがまことに申しわけないことでございますが、一昨年日に至って、さらに調査を進めている段階で、この坪田の管理しております帳票類の中から、従来の供述が事実に反するということを疑わせるようなものが出てきまして、早速本人を追及いたしまして、さらに御指摘のような点も参考にいたしまして徹底的に調査をいたしたい、こう考えておるわけでございます。 〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
○諫山委員 これは調べようと思えばわかるはずです。またこういうことさえ調べ上げることができないということになれば、人権擁護局のあり方自体が問題にならざるを得ません。ぜひもっと調査を進めていただく。さらにこの文書が何をもとにつくられたのかというのも、午前中来問題になっているようにきわめて重要です。宣伝のチラシでは全国足で歩いて回って調べたようにも書かれていますが、そういうものでないことは明白です。この点もぜひ明らかにする。同時に、この本を買い受けたすでにわかっている企業、これがどういう状態で買い求めたのか、また買い求めた動機は何だったのか、これもきわめて重大だと思います。 そこで人権擁護局長にお聞きしたいのですが、幾らで買ったのか、そしてこれは押し売りのような形でいやいや買わされたのか、それとも何かに使うために企業が買い受けたのか、この点はどうでしょうか。
○村岡政府委員 これは先ほども述べましたとおり、ダイレクトメールの形で出版案内を各企業の人事担当者に発送する、郵便で送るという形で勧誘いたしまして、申し込みの者がありますとそこに向けて発送する、代金は後で納めさせる、こういう方法で販売していたようでございます。 それでは一部購入に応じた企業がどういう意図、目的でこの文書を入手したか、買い入れたかという点につきましては、現在のところ鋭意調査を進めているところでございますから、もうしばらくお待ちいただきたいと思います。
○諫山委員 ダイレクトメールで買ったとなれば自発的に購入したということにならざるを得ません。そうすると何らかの利用目的のために買い受けたということになるわけですが、まさにここに問題があるわけです。つくった方、売った方もけしからぬけれども、これを買い受けた企業も重大問題だということを認識しなければなりません。いまの説明では鋭意調査中だと言いますが、しかし常識的に考えれば、この使用目的というのはきわめて明白ではありませんか。この点はどうとらえていますか。
○村岡政府委員 その点は仰せのとおりであると思います。ただしかし、各企業が一体どういう意図のもとにこれを買い入れたのかということは、やはり本人の供述を確かめ、どういう会社内の手続を経て購入したか、こういう細かい点についても一応追及しておくことが今後の処理のためにも必要だと思いますので、その点の調査を進めているわけでございます。
○諫山委員 その点はすでに企業側に当たったのですか、これから当たるつもりだということになるのですか。
○村岡政府委員 一部企業には当たっておりますが、まだほかの企業につきましては今日も調査中でございます。
○諫山委員 法務省としては、この本の作成者が行った人権侵犯を調べる参考人として企業を調べているのか、それとも買い受けた企業自体も人権侵犯の疑いありという立場で調べているのか、どちらでしょう。
○村岡政府委員 その点は両者とも、さらに印刷所も含めてこれは加害者であるという認識のもとに調査をいたしております。
○諫山委員 私は先日法務省の人権擁護局を訪問して、いま人権擁護局で取り扱われている人権侵犯、その中で部落差別がどういう状態になっているのか、とりわけ就職差別はどういう傾向になっているのかということをお伺いしたことがあります。このときのお話では、部落差別というのは法務省に上がってきただけでも決してまだ絶無ではないということのようですが、その最近の実態なり傾向はどうなっておりましょうか。
○村岡政府委員 差別事件といたしまして処理いたしましたものは、昭和四十五年三十六件、四十六年三十一件、四十七年四十二件、四十八年三十八件、四十九年三十五件、この五年間で合計百八十二件でございます。なお、本年の一月から八月までの八カ月間の数字が三十一件となっております。その中で就職差別にかかるものといたしましては、四十六年三件、四十七年一件、四十八年二件、四十九年三件、この年間の合計が九件でございます。なお、本年の一月から八月までの件数は二件、こういう数字になっております。
○諫山委員 次に警察庁に質問します。 さっきの和田委員の質問の中で、あなたの目の前でだれかがエタだとか四つだとか言ってののしる、こういうことがあった場合、これは刑事事件として取り調べるのかという指摘に対して、明確に答えられませんでした。あなたの答弁では、暴力が行われれば、あるいは脅迫的な言辞があればというような説明をして、肝心の質問をそらされたと思う。しかしあなたの目の前で公然と四つとかエタとかいうような差別的な言辞をすれば、これは単なる人権侵犯の枠を越えて犯罪行為として処理されなければならない。侮辱罪というものもあるし、場合によったら名誉棄損罪にもなる、これは当然だと思うのですが、そういう認識を警察庁は持たないのですか。
○平井説明員 いまの件につきましては、私どもも、あらかじめ質問の連絡がなかったもので答えを準備してないのでございますけれども、さっき申し上げました趣旨は、刑事事件となるような犯罪行為があればそれは当然捜査対象となるということを申し上げたわけでございます。
○諫山委員 いま例に挙げた四つとかエタというような言葉で目の前でののしったということになればどうなるのですか。これは皆さんと相談しなければ結論を出せない性質のものなのか、当然犯罪行為として警察は処理するというような立場に立っているのか、どうなんでしょう。
○平井説明員 具体的な事実関係が把握できませんと直ちにお答えしかねます。
○諫山委員 警察庁がそういう態度で臨んでいるとすれば、事はきわめて重大だと思います。何かそういう差別的な発言、しかも常識的に考えても名誉棄損とか侮辱罪に該当する行為があったのに、一々裁判所の判例を調べてこないと検挙すべきかどうかわからない、上司に相談しなければ犯罪行為として取り締まるかどうかがわからないというようなことで事実上処理ができますか。末端の警察官がちょっと判断に困るというのならまあ理解できないことはありませんが、いま具体的に問題を提起されて警察庁の代表として来られているあなたが、何か上司と相談するとかあるいは具体的なケースを調べなければとかいうようなことでは、私は適切な処理はできないと考えますが、いかがですか。
○平井説明員 私の申し上げておりますのは、仮定の問題については明確にお答えできかねるということでございまして 具体的な事態というものがあれば、それはその都度的確に措置が講ぜられると考えております。
○諫山委員 総理府の長官に御質問します。 いまのような発言があれば、これは単なる人権問題にとどまらず——犯罪行為として逮捕するとかせぬというのは次の問題です。犯罪行為として取り扱うことができる性質のケースだという点は議論がないのじゃないでしょうか。
○植木国務大臣 総理府の所管ではございませんので的確にお答えすることはできないわけでございますが、ただいまのような現象がありましたならば、これは一つの人権侵犯の事実は明らかであろうと思います。また名誉棄損罪あるいは侮辱罪に相当するというふうに認識せられましたならば、いずれも親告罪でございますから、その告発をせられるという道も開かれているのではないかというふうに考えます。
○諫山委員 この差別出版物の問題について、部落解放正常化連の中西義雄事務局長は次のような談話を発表しています。「雇用・失業情勢の深刻な悪化につけこんで、部落差別を助長しようとする、もっとも悪質な出版である。わたしたちは、政府に責任ある対処をひきつづき要求していくとともに、就職差別を完全になくすために奮闘する。」こういう見解です。私はこれはきわめて正当な見解だと思いますし、こういう立場から政府が本件に対処することを要望します。同時に中西談話は「この問題で重要なのは、発行者が八鹿高校事件をひきあいにだして売りこんでいることにみられるように、『解同』朝田松井派の暴力による部落排外主義、新差別主義の妄動を背景に、これに触発されて、利用して発行したものであることだ。したがって、この両面を重視し、暴力と利権あさりで差別をふりまく朝田・松井派とのたたかいをいっそう強める」、こういう談話も発表しております。 この観点から、この問題の背景となっている点について幾つか質問します。 この差別出版物の売り込みのためのビラの中には、八鹿高校の事件のことが引き合いに出されております。これは新聞ですでに紹介されているとおりです。そして、企業において八鹿高校事件のような暴力行為、リンチ事件が発生しないとは断言できないではないかと、売り込みの文書の中に書き記しているわけです。さらに未解放部落の人々を採用することが果たして妥当であるかどうかというふうに問題を投げかけて、この出版物を売り込もうとしています。出版物自体がきわめて悪質な差別文書でありますが、売り込みのやり方が非常に許しがたいという点がこの問題の一つの特色であります。 そこで、私たちの党は八鹿高校事件を国会の中でも取り上げ、その厳正な処断を要求してきました。同時に、八鹿高校事件の前に兵庫県で起こった一連の同種の暴力行為についてもいろいろな角度から指摘しながら、迅速厳正な処理を要求してきたわけです。 八鹿高校事件の前に起こった兵庫県での事件として西宮における一連の暴力事件というのがあります。私たちは何回となくこの問題に対する迅速厳正な処理を要求してきたわけでありますが、現在西宮における一連の暴力事件の処理はどのようになっているのか、この点を法務省側から事件数、被疑者の数、罪名、そうして現在どう処理されているのかというような点を説明していただきます。
○石山説明員 お答えいたします。 西宮関係で現在神戸地方検察庁におきまして受理しております事件は、大きく分けて三つございます。 その第一番目は、四十八年九月十七日に発生いたしました。西宮市議会の玄関口で、日共関係の市議団が入場されるのを解同の同盟員が阻止したという威力業務妨害、及びそれらに伴いまして、その際、同盟員らが日共関係の赤土さん、丸山さんら随行員二名に対して一週間あるいは三週間の傷害を与えた、あるいはそのほかの佐伯さんという人に対しまして不法監禁並びに十日間の傷害を与えたという事件でございます。この点につきましては、昭和四十八年の十二月六日西宮警察署より神戸地検尼崎支部に事件が送致されまして、現在解同県連の書記長山口富造外六名の事件を受理いたしております。ただし、この事件につきましては、同年の十二月七日本庁に移送受理いたしております。 〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕 次に第二の事件でございますが、これは西宮の市の庁舎の七階で日本共産党の赤旗機関紙を配布中の関さんという人外五人の人々を、解同の同盟員らが取り囲んで殴る、ける等した上で、約三時間にわたって不法監禁したという告訴事実により捜査を開始したものでありまして、同じく西宮警察署より昭和四十九年の七月三日神戸地検尼崎支部が受理をいたし、同年七月八日本庁で受理いたしております。被疑者の数は山口富造ら七名ということになります。 それから第三番目の事件は、昭和四十八年の十二月三日夕刻発生いたしました。西宮市の勤労会館ホール内におきます。差別をなくし民主主義を守る西宮市民の会の発会式に解同同盟員ら多数が乱入いたしまして会場を占拠し、参会者に殴る、ける等の暴行を加え、その発会式を妨害したという事件でございまして、これに伴いまして参会者十二名に全治二日ないし一月の傷害を負わせたという事件でございます。これは、同じく西宮警察署より昭和四十九年の七月三日神戸地検尼崎支部が受理いたしまして、同月八日本庁で受理をいたしております。 以上の三つの事件につきましては、現在までに神戸地検におきまして鋭意捜査中でございます。何分にも関係者が多数おりますことと、被疑者特定その他の関係に困難があるというので延び延びになっていて大変恐縮でございますが、鋭意努力いたしておりますので、近く結論を得られる予定でございます。
○諫山委員 この三つの事件は、いまの説明を聞いても、きわめて大規模な重大な暴力事件です。私たちは、このような暴力事件に適正な処理がされていたら、南但馬における一連の事件は起こらなかったのじゃないかというようなことを指摘しました。いまの説明では、あれだけ膨大な事件でいまなお処理が済んでいない、そしてこの席で、恐縮でございますと言ってみたところで、これでは本当に部落解放運動の中における誤った暴力をなくするという立場に立っているのかどうか、私たちとしては疑わざるを得ません。南但馬の一連の事件では、たくさんの事件が起訴されております。八鹿高校事件はすでに第一回裁判が行われました。しかし、南但馬における一連の刑事事件、起訴されている事件では、いまなお第一回公判さえ開かれない。これは主として裁判所の問題でありますが、こういう中に、部落解放運動の中にあらわれている暴力という問題に対する政府の甘い態度があるのではなかろうかと私は考えております。こういう指摘に対して法務省、どう考えていますか。
○石山説明員 御指摘の点でございますが、法務省といたしましては、この種の不法事犯はいかなる立場にある者の間で起きたものにせよ、決して見逃すことのできない重大事犯でございますから、その原因を突きとめ、なすべき者に対しましては厳正に法を執行するという立場にはいささかも変更はないというふうに確信いたしております。
○諫山委員 この差別出版物の売り込みチラシの中で、あなたの企業で八鹿高校事件のような暴力やリンチ事件が起こらないと断言できますか、こう言って問題を投げかけているわけです。この立場からこの差別文書の購読を進めている。そうすると、八鹿高校事件というのが当然問題になるわけです。そして、これについてはいろいろなことが言われております。 法務省としては、集団的な暴力リンチが行われたという立場だということは、起訴状を見れば大体理解できるわけですが、こういう部落差別問題に総括的な責任を負っている長官は、この八鹿高校事件、国会であれだけ問題になった事件について、暴力行為があったと見ているのか。私たちが暴露したように、七十名がリンチを受け、五十数名が負傷し、二十九名が重傷を負って入院したというような暴力事件であったというような認識を持っていますか。
○植木国務大臣 八鹿高校事件が起こりました際に、再三にわたって国会で御論議がございました。その際に、法務大臣及び国家公安委員長が、それぞれ司法当局及び捜査当局の立場において法の執行を厳正に行うというふうにお答えになっているわけでございます。したがいまして、法治国家としてのわが国でございますから、法は厳正に執行せられなければならないということは、私も両大臣と同感でございます。
○諫山委員 私たちは、部落解放同盟正常化連の中西事務局長の談話にもあるように、発行者が八鹿高校事件を引き合いに出して売り込んでいるという問題を重視しております。そうして解同朝田・松井派の暴力による部落排外主義、新差別主義の盲動を背景に、これに触発されて、これを利用して発行したという点をきわめて重視しております。その立場から、部落解放同盟朝田・松井派によるいわゆる暴力的な糾弾という問題をどうしてもここで重視せざるを得ないわけでありますが、同時に、現在のわが国の同和行政の中にさまざまな不公正な問題が持ち込まれているという点もこの問題と無関係ではないと思います。私たちは、新しい差別をつくり出したり逆差別をつくり出したりするような同和行政ではだめだ、公正、民主的に同和行政を進めなければならないということを、国会の中でも、大阪、兵庫、東京などの事例を引用しながらいろいろ指摘いたしました。しかし、こういう状態は決して現在もなくなっていないわけです。 たとえば福岡市では、部落解放同盟朝田・上杉派に所属している人だけが住宅改修資金の貸し付けを受けられる。同じ未解放部落の人であっても、朝田・上杉派から脱退して正常化連に入っている人は住宅改修資金を借りられないというような不公正な同和行政が行われております。この問題で福岡市当局としばしば交渉すると同時に、行政指導に当たるべき建設省にもそのような間違ったやり方の是正を要求しました。ところが、建設省としてもなかなか明確な指導をしないというのが現在までの実情です。建設省としてそういう事実があるのかないのか、あるとすれば、どのようにこれを考えているのか、説明してください。
○片山説明員 福岡市の住宅改修資金につきまして、御指摘にありました特定の団体に加入しているために住宅改修資金が借りられないという事実の御指摘でありますが、福岡市の住宅改修資金の貸し付けの仕方といたしましては、国が定めました基本的な事柄——制度、要綱、要領等で基本的な事柄を定めておりますが、その要領に基づきますとともに、福岡市が地域の実情に即するようによく実態を加味しました条例、規則及び慣例に従いました事務手続によって福岡市において住宅改修資金の貸し付けを実施しているところであります。御指摘の点につきましては、この事務手続の要件の一部が不足しておりますために福岡市といたしまして申請書を受理することができず、貸し付けが保留されていると聞いております。 この事柄に対します建設省の考え方としましては、あくまでも同和対策行政はその利益が対象の地区住民にひとしく及ぶことが必要であると考えまして、特定の団体に加入している者に限る等の違法な取り扱いがないように、行政の公平性を確保するよう十分留意するよう、都道府県を通じて指導しているところでありまして、今後とも指導を積極的に進めてまいりたいと考えております。
○諫山委員 そうすると、福岡市で行われている状態というのは、建設省から見れば当然のことですか、是正を要することですか、結論だけ……。
○片山説明員 福岡市が定めております現在の手続は、福岡市が地域の実情に即しまして定め、従来からその方向で慣例として実施してきたものでありますので、これが直ちに公平、公正を欠くとは考えておりません。
○諫山委員 いまのような説明がいまなお建設省から行われるということになれば、乱脈きわまる同和行政というのは簡単に解消いたしません。似たような問題はかつて東京都の応急生活資金でも起こったことがあるわけですが、長官にお聞きします。いろいろ説明の仕方はされております。たとえば、自分の所属してもいない団体から印鑑をもらってくればいいじゃないか、こういう説明もされます。しかし、とにかく未解放部落の住民であって住宅改修資金を結果的に借りられないわけですよ。自分の所属もしていない団体の印鑑をもらってこないと書類も市に出せないというような状態が公正、民主的と言えるのかどうか、さんざん議論されたことでありますが、改めて長官の説明を聞きます。 なお、念のためにつけ加えますと、北九州市の小倉区では、便所を水洗化する場合に、解放同盟朝田・上杉派に所属していなければ同じような理由で水洗化ができない。隣は水洗便所になっているのに、自分のところは朝田・上杉派に所属していないということから水洗便所にならない。子供の間でもこれは大問題になっているわけです。差別をなくするための同和行政がこのような新しい差別をつくり出していいのか、さんざん議論したわけですが、こういう問題をきちんと解決しなければ本当に公正、民主的な同和行政というのはできないんじゃないでしょうか。長官、いかがですか。
○植木国務大臣 同和対策行政はそれぞれの地区の実情に即して行われるべきものでございますが、同時にまた関係地区住民をひとしく対象として公平に実施すべきものであるということは当然でございます。したがって、政府は同和対策行政の執行についての基本方針を昭和四十八年の五月十七日付で各省事務次官通達をもって地方に示しております。また、地方自治体における具体的な事業の執行につきましては、当該地方自治体がこの通達の趣旨に基づいて、地方自治のたてまえにのって行うべきものと考えているのでございます。 この通達の趣旨の徹底につきましては、関係各省が協力して努力をしているところでございまして、最近におきましては昨年の十月の二十八日、本年は六月五日に開催をいたしました全国同和担当主管課長会議の際に、この通達を遵守すべきことの趣旨の徹底を図った次第でございます。
○諫山委員 特定団体に偏重せずとか公正、民主的にという一般的な言葉はしばしば言われるわけですが、それでは北九州市で起こっている事態、同和地区の人でありながら水洗便所にすることができない、福岡市で起こっているような住宅改修資金が借りられない、こういう問題についてはどのような指導をされるのですか。
○植木国務大臣 各地方におきます具体的な問題につきましては私自身つまびらかにいたしておりませんが、先ほど申し上げましたように同和対策行政は関係地区住民をひとしく対象として公平に実施すべきであるということは当然なのでございまして、その趣旨に基づいて地方行政が行われるべきものであるというふうに考えております。
○諫山委員 結局、美辞麗句は並べられるけれども、実際に起こっている不公正な同和行政を積極的に改めようとはしないというふうにしか私には受け取れません。 そこで、人権擁護局長に質問しますが、あなたのところは人権侵害をやめさせるという観点から同和問題に取り組んでおられます。同じ同和地区の人でありながら特定の団体に所属していないばかりに水洗便所にすることができない、住宅改修資金が借りられない、こういう差別というのは部落の中につくり出された新しい差別です。こういう点はどのように理解しておりますか、人権擁護の観点から。
○村岡政府委員 ただいま総務長官が御指摘になりました昭和四十八年五月十七日付各省事務次官通達というのがございます。これにはもとより法務事務次官も加わっておりまして、これに盛られました趣旨は人権擁護の行政を行うに当たりましても基本的な方針として貫くべきものである、かように了解しております。
○諫山委員 私たちは、事私たちが問題にしている新しい差別、逆差別については政府は一様にきわめて逃げ腰、きわめて無責任で消極的という点を遺憾に思います。 福岡県ではかつて次のような問題が起こって、参議院の本会議でも取り上げられたことがあります。福岡県の築上中部高校で新任の高等学校の先生が生徒を前にして、わが校はこの地方における名門校であるというあいさつをしました。ところが、名門校という言葉が差別発言だというので、暴力的な糾弾を受けたわけです。校長先生は、近くの高等学校の生徒の前になわで縛られて連れていかれて、差別発言をした、取り消せというふうに強要されます。この席には県の教育次長も同席していたわけですが、教育次長までが、わが校は名門校だというのは差別発言でございますということを認めたのか、認めさせられたのか、そういう状態が起こる。これを共産党の県会議員団が取り上げて議論しましたけれども、何一つ具体的な改善措置が講ぜられないというのが今日までの実情です。その結果どういう事態が出てきているかといいますと、ことしの十一月二十六日から二十七日の夜にかけて北九州市役所の中で、北九州市の高等学校の校長先生や教頭さんたちが差別行為をしたというので呼びつけられて、千名の人から糾弾を受ける。糾弾の時間は三十六時間です。どういう行為が差別として問題になったかというと、たとえば共産党の高曲県会議員が部落解放同盟朝田・上杉派の暴力行為、不公正な要求を批判したビラを学校で配った、ところが、校長先生たちがそのビラ配布をやめさせようとしなかった、これが差別行為だというので、北九州市の市役所に呼びつけられて、しかも業務命令で呼び出されて、三十六時間の糾弾を受ける。これが福岡県では大問題になっているのですが、長官、こういう事例は御承知ですか。そしてこういう事例に対していまどういう見解を持っておられましょうか。
○植木国務大臣 ただいま御指摘のございました事件は遺憾ながら私は承知いたしておりません。したがいまして、私自身の考え方を述べることはできない状況でございます。
○諫山委員 午前中来、長官の説明で同和対策を充実したいというお話はありました。しかし、本当に公正、民主的にこれを進めるのかどうか、私たちが問題にしている部落住民の間に新しい差別をつくり出す、部落の人でない人たちとの間に逆差別をつくり出す、こういう問題を是正しながら同和行政を進めるかどうかという問題については、私が問題を提起するまでは発言がありませんでした。私たちはいままさにこのことが問題だと思うのです。そしてこの点をきちんとすることが本当に部落差別をなくするためのどうしても必要な要件だと考えております。この問題は国会でしばしば論議されて、政府の方からは一般的、抽象的には特定団体に偏せずとか、あるいは公正、民主的にということが言われますが、具体的に私たちが指摘している問題を解決するという点できわめて消極的、こう言わざるを得ないわけですが、この機会に、この差別文書が問題として提起された機会に、抜本的に同和行政を洗い直す、新しい差別とか逆差別というようなことは絶滅する、そして正しい部落解放を推進するという立場に立つべきだと思いますが、長官いかがでしょう。
○植木国務大臣 御承知のように、総理府の同和対策室におきましては、十二省庁にまたがります同和対策の問題につきまして、総合調整の役割りとともにその事業等の推進の役割りを果たしているのでございます。ただいまいろいろな事件についてお話がございましたが、それぞれ文部省あるいは警察庁その他各省庁にかかわることでございまして、それぞれの省庁が責任を持って事態の解明、解決に当たるべきであると存じます。私どもといたしましては、同和問題は基本的人権にかかわる重要問題でございますから、今後さらに関係各省庁と協力をいたしまして、この問題解決のために精いっぱい努力をいたしてまいりたいと存じております。
○諫山委員 日本共産党の福岡市会議員団長に藤岡祥三という人がおられます。この人は、お父さんが松本治一郎さんたちと一緒に戦前から部落解放運動に参加していた人で、お父さんは部落解放運動の中で不当弾圧を受け、獄死されました。現在部落解放同盟正常化福岡市協の委員長をしている方です。この人が八鹿高校事件が起こった直後、自分の目で確かめたいという気持ちから八鹿町に現地調査に行かれました。そして帰ってきてしみじみ話しておられたのは、祖先からの、あるいは自分たちの長い間の苦しい闘いによって部落解放運動というのは前進してきた、ところが八鹿高校事件によって、また何十年前か昔の状態に逆戻りしたのではないか、生涯を部落解放運動にささげてきた者としてどうしても八鹿高校事件を黙視できないと言って憤慨しておられました。私は、このたびの差別文書、さらにこの差別文書を売り出すためのチラシを見て、この藤岡市会議員団長の言葉を思い出したのであります。八鹿高校事件を頂点にして、部落解放運動という名のもとにさまざまな暴力行為が行われる。校長先生がなわで縛られて他の学校の生徒の前に引き出されるとか、西宮事件におけるような幾つもの集団的な暴力事件が起こる。こういう事件が適切に処理されなかった。そこで、部落の人は乱暴なことをするんだ、暴力を働くんだというような気分が国民の間に広まっていく。これが今度の差別文書のばらまかれる一つの背景をなしているということは、広告のチラシ自体に書かれているわけです。その点ではこの差別文書をつくった男もけしからぬし、これを他に悪用する目的で買い入れた者もけしからぬ。しかし同時に、こういう状態を黙認し、助長してきた政府の責任もやはり問われなければならないと私たちは思っております。きょう警察当局に、四つとかエタというような言葉が吐かれた場合にどうするのかという問題提起に対して、即座に適切な答弁ができない。建設省も一だれが見ても新しい差別としか思われない住宅改修資金の問題について、違法とは言えない。私たちはこの点をやはり重視せざるを得ないと思っております。 繰り返しますが、日本共産党は、党創立以来部落差別に反対してきている政党です。現在でも、党の綱領の中で部落差別をなくするということを書いているのは共産党だけです。そういう立場から、このたびの事件をきわめて遺憾に思うと同時に、この機会に、私は、総理府を先頭にしてもっと本当の同和行政を進める、間違った同・和行政は是正していく、暴力行為に対しては毅然たる対処をするということを要望したいと思いますが、まず法務省いかがですか。−法務省の公安課長の方からまず……。
○藤尾委員長 公安課長は、先ほどお許しをちょうだいして退席をさせましたが……。
○諫山委員 じゃ、長官の方からまとめて御意見を聞きましょう。
○植木国務大臣 同和問題につきましては、憲法に保障されました基本的な人権にかかわる問題でございまして、その解決を早急に図らなければなりません。国及び地方公共団体の責務は重大であり、同時にまた国民の理解と協力を得なければならないということは申すまでもないところでございます。私どもといたしましては、関係省庁とともに、この問題解決のために、四十四年以降特別措置法や長期計画を柱といたしまして努力を続けてきたところでございますが、今回のようなまことに悪質な事件が起こりましたことにつき非常に強い衝撃を受けているのでございます。この事件を契機といたしまして、再びこのような悪質な差別文書が配布せられる等差別がいろいろな形で行われますことを断絶しなければならないという決意を新たにしているのでございまして、相協力をいたしまして、関係省庁はその目的達成のために努力をしてまいりますことをお約束する次第でございます。
○諫山委員 終わります。
○藤尾委員長 鬼木勝利君。
○鬼木委員 本件につきましては、午前中から十分論議も尽くされておるようでございますので、私は重複を避けて簡潔に一、二お尋ねをいたしたいと思います。 人権擁護局長にお尋ねしたいのですが、けさほどからの論議の中で、これは木野先生もおっしゃっておったようですが、安定所から大阪の法務局へそういう連絡があった、それから東京の法務局それから法務省。ところが総理府に達したのが十二月九日だった。事件が起きたのが十一月十九日でその間二十日からあるわけですね。十分実態を調査しなければならぬし、ある程度の事実を把握してと思って日にちが延びましたというような御説明、それも考えらすますけれども、こういう重大な解放同盟に対して不都合千万な——これは単によろしくないとか不都合だとかいうような簡単な問題じゃないと私は思うのです。われわれ血を分けた同胞国民がそういう差別をするような出版物をばらまく、これは国家的大問題で重大だと思う。そういう人権に関する問題に対して、実態を把握することも大切だけれども総理府長官に対してもいち早く連絡をとるべきじゃなかったか、考えが非常に甘いんじゃないか。しかも実態を把握するとかあるいは実情調査をして連絡をとるように考えたとおっしゃっているけれども、事実は実態をはっきり把握はできていないのじゃないですか。まだ調査の途中だと思う。何らはっきりしたものは出ていないと思う。ですからそういう点についてもっと重要視していただきたい。とんでもないことだ、これは断じて許されぬ、私はこう思うのです。その点について人権擁護局長の御見解を承りたいと思います。
○村岡政府委員 この事件が断じて許すことのできない重大な差別事件であるということは私どもも重々認識しておったのでございまして、現在でももとよりそう考えております。ただ、しかし何分にもこれは出版物の販売による差別事件でございまして、この種の出版を企てる者の常といたしまして、なるべくしっぽをつかまれないように偽名を使うとか、あるいは注文先の電話等を用いるといたしましても一応仲立ちだけの電話を書いておいて、それからさらに中継的に連絡を受けてひそかに本を渡すというような巧妙な手段を考える者もいることが十分予想されるわけでございまして、ただこの出版案内のビラ一枚だけの資料で直ちにその住所なり電話番号記載のところに不用意に調査に参りましても、かえって法務省が調査に乗り出したということを相手に感づかれて事実を混迷にされるおそれがある。事実を的確につかむにはやはり慎重な準備活動を必要としたのでございます。果たして京極何がしも偽名でありましたし、東京法務局が最初に調査に赴きましたときも、京極はただいま不在であると言って、自分は何も事情を知らない留守番であるというようなことで事実をごまかして対処しようとした節もございました。幸いこちらは一応京極の身元関係を調査しておりましたので、そういう手段に乗ることなくその現場を押さえ、本人から事情を聴取することができたわけでございます。これは非常に重大な事犯でありますだけに、事実を的確に把握することなしに何らかの処置に出るということは、この事件の処理としまして決していい結果を招くゆえんではない。まず、私どもといたしましては事実の調査が先決問題であると考えたわけでございます。ただ遺憾ながら、先ほど来申しますように人権擁護局の活動はあくまでも強制力を伴わない任意の捜査でございますために、あるいは不徹底なところがあるという御批判を受けるかと思いますが、与えられました権限の範囲内では最善の努力をしてまいりましたし、今後もしていく所存でございます。
○鬼木委員 総理府総務長官はこのことをお聞きになって非常に憤られて、最も不都合だ、よろしくないというので各県公共団体それから企業に直ちに警告を発せられた、まことに適宜の処置であってもっともなことで、私非常に敬意を表しますが、こういうことが今日まだ行われるということは、結局同和対策行政がそういう点について——これは申し上げかねることでございますが、総務長官のお考えはまことにごりっぱだと思いますが、地方公共団体とか企業あるいは一般に長官のお気持ちがまだ徹底していないのじゃないか。先ほどから諫山先生からもお話があったようですが、同和対策行政に対して積極的でなくして消極的に流れているのじゃないか、私はそういう懸念があるわけでございますが、血を分けたわれわれの同胞にそういう差別があるということは断じて許されない。あくまで公平、民主的でなければならぬという総務長官のお叫びがまだ徹底していないのじゃないか、そういう気がいたしますが、長官どうぞお気持ちを悪くされぬで、あなたの御見解を。
○植木国務大臣 ただいま鬼木委員が御指摘になりましたように、同和問題は全国民的課題であるにもかかわらず今日なお未解決の問題でありますことは、私どもといたしましてまことに遺憾きわまりないところでございます。しかも、今回のような悪質な事件が起こるということにつきましては、私どもといたしましては非常に強い衝撃を受け、再びこのよりなことを起こらせてはならないということの決意を新たにした次第でございます。したがいまして、九日にこの通報を法務省からお受けをいたしまして、直ちに関係省庁に集まっていただき、異例ではございましたけれども、総務長官談話を十二日に発しますとともに、関係省庁の連名による各地方公共団体、教育委員会も含みます。また、企業団体に対しまして通達、通知を行い、労働大臣もまた談話を発表をせられるということになったわけでございます。したがいまして、今回までこのようないろいろな類似の事件もあったということもありましょうが、今回とりました措置はいわば前例を破った措置でございまして、むしろ当然やるべきことを政府が今回やったというふうに御理解をいただきたいのでございます。決意を新たにいたしまして、全国民とともにこの問題解決のために精力的に努力をしてまいりたいと存じます。関係省庁も今回の事件で決意を新たにいたしておりますので、御理解と御協力をお願いする次第でございます。
○鬼木委員 まことに明快な御答弁でございまして、私も全く同感で、これは国民的課題であり、私も国民の名において、断じてこういう考え方は払拭しなければいけないという一人であります。 そこで擁護局長にお尋ねいたしますが、承りますと、四百部からそういう不都合な、京極公大という、名前を二つ持った坪田義嗣というような、聞くところによりますと、これは半暴力団みたような総会屋みたような人物らしい。そういう者が解放同盟懇談会というようなものをつくっておった。皆さんがお見えになったときにはかかっておったが、今日はもうその看板は外れておるとかいうようなお話も承ったのです。何の目的でそういうのをつくったのか。いかなる意図があってそういうことをやったのか。それもちらちら御説明があっておるようでございましたが、したがって、この四百部のうちに五部を買ったという企業は、どういう意図のもとに、どういうふうにそれを利用するために買い求めたのか。それからまた、そういうものをつくったところの資料は一体どこから求めたのか。また、それを印刷した経費はどこから出たのか。これには黒幕がいるんじゃないか。まあ多岐にわたりますけれども、そういう点について御調査になっておるのか、その辺のところまでちょっと承りたいと思うのです。
○村岡政府委員 坪田がこの名鑑を販売することとなりましたその動機、目的は、あくまでも営利目的である、これによって多大の利益を得ようという意図であったようでございます。それから各購入先でございますが、購入先の購入した目的、意図につきましては、先ほども御答弁いたしましたように、現在各一つ一つの会社、それからその会社のこの購入に関係した者に当たりまして調査をしているところでございますので、いまの段階では具体的に御答弁することはできません。 それから経費の関係でございますが、これだけの物を印刷出版するとなると相当の経費を要するわけでございまして、これが果たして坪田個人の手から出たのか、それともまた第三者の方から出たのかという点についても現在鋭意調査中でございますが、本人は、これも午前中に御答弁申しましたように、さきに二つの出版物を販売しておりまして、それによった利益をこれに投入したのであって、他からそういう資金の供与を受けていないという説明をしております。この点につきましても、坪田が保管しております帳票、帳簿の類あるいは銀行取引の関係を、任意調査として許される範囲でできるだけ調査いたしまして、果たして彼の言うとおりであるのかどうかを現在鋭意調査中でございます。 それから、この本の資料、いわゆる種本になりましたものは何であるかという点につきましても、繰り返し御答弁申し上げましたとおり現在調査中でございまして、まだ明確な結論を得るに至っておりません。
○鬼木委員 これは警察権があなた方にあるというわけじゃないから、御調査なさるのも非常に御苦心なさる。その点、私了解できますが、先ほどからたびたび同じことをお聞きしておってははなはだ恐縮ですが、企業側はまだお調べになっていないかと思いますが、これは、やはりなるべくこういう問題は超スピードで、おわかりになる範囲内においてでいいのですが、早くひとつ調査していただきたい、売った者も買った者も。売った者が一番よくないですけれども、私は買った企業もよろしくないと思う。何の意図を持ってこういう物を求めるか、これは企業もとんでもない。ところが擁護局長のお話によりますと、四百部だけでなくして、もっとよけい印刷をしておるんじゃないかという節があるという御答弁でございましたが、もっとよけい刷っておるらしい節があるという、そういう節があるというのは、その根拠はどういう点でございますか、その点ひとつ……。
○村岡政府委員 先ほど仰せのありました資金源等の問題について調査を進めております段階で、その坪田の管理しております帳票書類のうちから、そういうことを疑わせるようなものが出てきたわけでございます。 それからなお、購入先につきましては先ほど来申し述べておりますように、五社につきましてはその企業はこちらで把握いたしております。ただ、調査中と申しますのは、さらにいかなる動機で、またどういう人物がそれに現実にタッチして購入したのか、そういった事情等について詳しく調査を現在、本日もいたしておるところでございまして、できるだけ早急に結論が出るようにいたしたいと考えております。
○鬼木委員 まことに御苦労さまで大変だと思いますけれども、この事件のよって来った原因その他、これは私は徹底的に追及していただいて、万全の解決をしていただきたい。再びこういうようなことが起こってはなりませんが、私は再発を恐れるものです。断じてそういうことのないように、先ほどから総務長官のお答えをいただきまして、私、非常に力強く思いましたが、人権擁護の立場から徹底した処理をしていただかなければいかぬと私は思います。 そこで、人権擁護局長にちょっとお尋ねいたしますが、これはそういうとんでもない、京極とか坪田とか、名前を二つも持って、いいかげんなことをやって世間を騒がせるというような不運のやからだと私は申し上げたい。これは法的に何らかの制裁の道があるものですか、その点をお尋ねいたしたいと思うのです。これはなまじっかなことでは……。
○村岡政府委員 人権擁護局といたしましては、これを人権侵犯事件として、その手続に従って処理していくつもりでございます。すなわち、事実を解明いたしました後に、このような行為がまことに許されない重大な社会悪であるということを、この出版をいたしました坪田、それからそれを手伝いました印刷所、それから購入しました企業等につきまして、そういう点を厳重に説示いたしまして啓発を図るとともに、この事件を契機として一般啓発をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。 なお、御質問の趣旨は、あるいはこの行為が刑罰法令に触れるのではないかということかと存じますが、私ども人権擁護局といたしましては、これを直ちに、いままでわかりました範囲の事実をもってして犯罪行為であるということは困難であろうと考えております。なお、この問題は、所管が法務省の刑事局の所管の問題でございますので、法務省としての確定的な見解をここでお答えすることは御容赦いただきたいと思います。
○鬼木委員 まことにごもっとも。ですから私はちょっとその点をお尋ねしたのですが、どうでしょう、総理府総務長官にちょっとお尋ねしますが、こういう不運のやからは社会的に葬るべきだ、私はこういう見解を持っておりますが、何らかの方法はないものでしょうか。これも長官の所管外のことでございますけれども、お気持ちだけでも承りたいと思います。社会におけるところの一般罪人——罪人と言うてははなはだなんだが、法を犯した者よりももっとこれはひどく処理すべきだ、断じて許すことはできない、かように私は考えますが、何かいいお知恵はございませんか。
○植木国務大臣 ただいま法務省で調査をせられておりますので、その結論を待って、私どもといたしましてはどのような措置がとられるべきかということについて結論を出さしていただきたいと存ずるのでざいますが、いずれにいたしましても、これは出版をいたした者及びこれを助けました者、購入いたしました者につきましては、社会的な制裁を受けるべきは当然であると存じます。出版社がこれを焼却をするわけでございますから、それによって経済的な不利益をこうむるということは当然でございますが、それに加えまして社会的な制裁が何らかの形で加えられるべきであると存じます。 なお、刑事的な問題につきましては、いま法務省のお答えがありましたように、法務省の刑事局ともよく連絡をとりまして、その見解に沿ってまいりたいというふうに考えております。
○鬼木委員 そうしますと、擁護局長にお尋ねしますが、四百全部回収していらっしゃる、焼却をなさるというお話でございます。これはなるべく早く焼却をしていただきたいと思いますが、そういうものをとっておくこと自体が私は間違いだと思うのです。 いま総務長官のお話を承りまして、私まことにごもっともだと思いますが、これを購入した五つの企業、これは公表できませんか。私はこれをあまねく天下に公表して、徹底的によろしくないのだという大きな社会的制裁を加えるべきではないか。これは私の個人の見解でございますが、公表されることはいかがですか。
○村岡政府委員 先ほど御答弁いたしましたとおり、現在、この事件はまだ調査中でございますので、調査中にそれを公表するということは、今後の調査に支障がございますので差し控えたいと思っておりますが、この事件の調査が完了し、処理が終った段階においては、特別の支障がない限りは公表する考えであるということでございます。
○鬼木委員 一応、一段落すればこれは公表する。——よくわかりました。 そこで、これは先ほど人権擁護局長にも申し上げましたが、総務長官のお言葉をもう一度お聞きしたいのでございます。 先ほど総務長官の御決意のほどを承りましたので、これは蛇足になるかもしれませんけれども、少なくともこの事件に対してどのように明確に、国民が納得するような措置をおとりになろうとしておるのか、また、いささかも不明朗なことのないように解明していただいて、国民が納得するような結論を出していただく御決意であるのか。その点について、大変恐縮でございますが、最後の念押しというと御無礼でございますけれども、そうしないと、これをうやむや——うやむやと言うとこれまた語弊がありますが、中途半端なことでこれを解決されたのじゃ、われわれ国民の名において承知ができません。でございますから、擁護局長としてはこの実態を徹底的に余すところなく調査していただく、それによってまた総務長官は全国民に対して、なるほど総務長官はこれをいい解決をしてくれたと皆さんが納得されるような解決をなしていただく御意思がありや否や、その点をひとつお伺いいたします。
○植木国務大臣 今回の事件は、同和問題解決を責務といたしております国及び地方公共団体の努力を踏みにじるものでございます。さらにまた、国民的な課題として受けとめておられる国民各位の努力に対する挑戦でもございます。したがいまして今回の調査は厳正に行われるべきでありまして、この点については法務省は非常な決意をもって臨んでおられますので、その調査の結果を待ちたいと存じます。いずれにいたしましても、非常に大きな事件として国民各位が、特にまた未解放地区の方々が衝撃をもって受けとめられている事件でございますから、国民の理解と協力を得ますためにも公正な結論を出したいという考え方でございますので、御理解と御協力をお願いを申し上げます。
○鬼木委員 細かいことにつきましては、私ここに資料を持ってまいっておりますけれども、午前中から論議が十分かわされておりますので私はこれは省略いたします。最後に総務長官のお言葉をいただきましたので、私も非常に力強く感じております。私どももこの問題は国民全体において解決すべきであるというその点においては同感でございます。 大変遅くまで御無礼しました。これで私の質問を終わります。どうもありがとうございました。 ————◇—————
○藤尾委員長 この際、恩給に関する小委員長より報告をいたしたい旨の申し出がありますので、これを許します。加藤陽三君。
○加藤小委員長 恩給二関する小委員会における審議の経過を御報告申し上げます。 恩給に関する小委員会は十二月十日及び同十七日の両日開会し、恩給審議会の答申並びに昭和四十三年以降の恩給法改正案に付された両院の附帯決議に対するその後の改善措置について政府当局より説明を聴取するとともに、今国会本委員会に付託、送付されている請願、陳情等について検討を加えてまいったのでありますが、昨日の委員会において、昭和五十一年度予算編成を間近に控え、とりあえず内閣委員会において次のような決議を行うべきであるという結論に達した次第であります。 案文を朗読いたします。 昭和五十一年度恩給改善に関する件(案) 政府は、昭和五十一年度の恩給改善について、次の事項を実現するよう配慮すべきである。 恩給年額の増額については、公務員の給与改善の上薄下厚の頃向を反映させること。 恩給改定の実施時期の繰上げを図ること。 普通恩給等の最低保障額の大幅な引上げを図ること。 扶助料の給付水準の大幅な改善を行うこと。 恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。 右決議する。 この決議案の趣旨について申し上げますと 一 恩給年額の増額については、従来の一律アップ方式を改め、公務員の給与改善の上薄下厚の傾向を反映させるという趣旨であります。 一 恩給改定の実施時期については、年度当初からの実施を目途とし、五十一年度においては少なくともさらに一カ月の繰り上げを図るという趣旨であります。 一 普通恩給の最低保障額については、共済年金等の最低保障額を下回らないよう、その大幅な引き上げを図るということであります。 一 扶助料の給付水準は普通恩給の五割でありますが、遺族の生活実態にかんがみ、これを七割程度に引き上げることを目途とし、他の公的年金の動向、恩給の特殊性等を勘案しながら、その大幅な引き上げを図るという趣旨であります。 一 恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃することであります。 何とぞ、本委員会において本決議案を御可決くださいますようお願い申し上げる次第であります。 以上。
○藤尾委員長 ただいまの小委員長の報告中、昭和五十一年度恩給改善に関する件について決議されたいとの要望があります。これを本委員会の決議とするに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 この際、植木総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。植木総理府総務長官。
○植木国務大臣 ただいま御決議になりました恩給に関する諸事項につきましては、御趣旨を体して努力してまいります。
○藤尾委員長 ただいまの決議を関係方面へ参考送付する等の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○藤尾委員長 これより請願の審査に入ります。 今会期中、本委員会に付託されました請願は、本日の請願日程に記載してありますとおり三百九十六件であります。 請願日程全部を議題といたします。 各請願の内容につきましては、配付されております文書表で御承知のことでありますし、また本日の理事会で慎重に検討願いましたので、この際各請願について、紹介議員の説明並びに政府の所見聴取等は省略いたし、直ちにその採否の決定に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○藤尾委員長 これより採決いたします。 本日の請願日程中、第一ないし第一一、第二七ないし第六九、第九一ないし第九五、第一〇二、第一〇五ないし第一〇九、第一一一ないし第一一三、第二二二、第二二三、第二二八、第二八二、第二八三、第二九九、第三二九、第三三一、第三三二、第三三九、第三四〇、第三四三、第三九五及び三九六の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、残余の各請願は、いずれも採否の決定を保留いたしたいと存じますので、御了承を願います。 ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○藤尾委員長 なお、今国会中におきまして、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付いたしておりますとおり、軍人恩給等の改善に関する陳情書外十八件、総数十九件であります。念のため御報告申し上げます。 ————◇—————
○藤尾委員長 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。 大出俊君外六名提出に係る国の行政機関の休日に関する法律案 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案 休日の範囲の改定等のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案 内閣提出、第七十五回国会閣法第六七号、国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案 及び 内閣提出、第七十五回国会閣法第六八号、職員団体等に対する法人格の付与に関する法律案 並びに 行政機構並びにその運営に関する件 恩給及び法制一般に関する件 国の防衛に関する件 公務員の制度及び給与に関する件栄典に関する件 以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 内閣提出、第七十一回国会閣法第七二号、内閣法等の一部を改正する法律案及び内閣提出、第七十二回国会閣法第六号、内閣法の一部を改正する法律案の両法律案につきまして、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○藤尾委員長 起立多数。よって、両法律案についても閉会中審査の申し出をするに決しました。本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十三分散会