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76回国会衆議院1975/12/18

社会労働委員会 第8号

発言数
166
登壇者
18
会派数
5
開催日
1975/12/18

会議録

大野明自由民主党

○大野委員長 これより会議を開きます。  請願の審査を行います。  本日の公報に掲載いたしました請願一千五百八件を一括して議題といたします。  まず、審査の方法についてお諮りいたします。  請願の趣旨につきましては、すでに文書表によって御承知のところでもあり、また、その取り扱いにつきましては理事会においても協議いたしましたので、その結果に基づき、採否の決定に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野明自由民主党

○大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  それでは、本日の請願日程中、  林業従事者に対する労働者災害補償保険法の特別加入措置に関する請願 十二件  市町村社会福祉協議会の充実強化に関する請願十二件  保育事業振興に関する請願 百十四件  完全雇用に関する請願 十三件  医療体制の整備充実に関する請願 一件  失業対策の確立に関する請願 一件  乳幼児の医療費無料化に関する請願 一件  医療制度の確立に関する請願 一件  児童福祉法に基づく学童保育の制度化に関する請願 三件  大学の生活協同組合育成に関する請願 三件  以上の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野明自由民主党

○大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野明自由民主党

○大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

大野明自由民主党

○大野委員長 また、本委員会に参考送付されました陳情書は、国民健康保険制度の財政強化に関する陳情書外七十七件でございます。  以上、念のため御報告申し上げます。      ————◇—————

大野明自由民主党

○大野委員長 閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。  保育所等整備緊急措置法案  最低賃金法案  金属鉱業等年金基金法案  雇用及び失業対策緊急措置法案  厚生関係の基本施策に関する件  労働関係の基本施策に関する件  社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する件  労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する件  につきまして、議長に、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野明自由民主党

○大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————

大野明自由民主党

○大野委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子みつ君。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 厚生省は先ごろ厚生白書をおまとめになって、まだ私どもはその実物を拝見しておりませんけれども、新聞発表でその中身の概略を拝見することができました。その厚生白書の中には、社会保障全体の水準と所得保障の問題、あるいは医療保障の問題、そしてさらに社会福祉サービスの問題というふうに、三つの部門に分けてそれぞれ現状分析して、問題点などを提起しておありになったと思います。  私、本日厚生大臣に御所見を伺いたいと思っておりますのは、この中の医療保障の問題だけを取り出したいと思うのでございますが、実はその要約された、新聞発表されました中から拝見いたしますと、医療は——一わが国の医療はということですが、国際的にも見劣りしない状況にあるというふうになっておりました。これと同じような言葉は「厚生の指標」すなわち国民衛生の動向の中にも「医療の概況」中に載せられております。「欧米諸国に比して遜色を示すものではない」というようなことが書かれているわけでございますが、私、この点について伺いたいと思いますのは、本当にそのとおりだと認識していらっしゃるだろうかということなんです。と申しますのは、これは要するに医学界の自負であるとか、あるいは政府の自画自賛になっていやしないかという懸念があるからなんでございます。  と申しますのは、申し上げるまでもございませんけれども、医療というのは医学の人間への応用でございますから、単なる学問だけではないし、また医術だけの問題でもないはずでございます。病人のためのいわゆる診断、治療を含め、あるいは療養生活をしている病人のための総合的な医療のケアでなければならないというふうに考えるわけでございますが、その観点から見ますと、必ずしも日本の医療は満足すべき状態ではないし、国際水準に比べても見劣りがしない状態にあるかどうかということを、もう一遍謙虚に考えてみていただきたいわけです。  たとえば、問題になっております医師や看護婦その他の医療従事者の不足でありますとか、あるいは救急医療はよく話に出ます患者のたらい回しの問題でございますとか、あるいは僻地医療問題あるいは無医地域の解消はできてなくて、そこには保健婦を代行させて済ましておくとか、あるいはリハビリテーション施設は不備だし不足だし、さらには公私病院の経営の赤字の問題あるいは入院患者からの差額徴収の問題というふうに、いわゆる医療として、国民にサービスとして加えられる医学の応用部門につきましては、必ずしもこれでよろしいという状態ではないし、外国に比べて遜色を示してはいないというふうに言い切れるかどうかということについて、私は、大臣はどのように考えていらっしゃるのだろうか、これでいいと思われていたら大変だと思うわけでございます。というのは、国民は一体いつになったら安心して、必要な医療をいつでも受けることができるんだろうかということを期待しているわけなんですけれども、それがなかなか行われていない実情でございますから、私はこの言葉にちょっとひっかかったわけです。  そこで、大臣はまさかそれはそのとおり真実信じていらっしゃるのじゃないと思いますけれども、本当にそのことについてはどうお考えになっていらっしゃるのか、お考えを伺わせていただきたいと思うわけでございます。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 医療については諸外国に余り遜色がない、こういうふうな表現ですが、これは一つは、社会保障というものを大きく分けますと、所得保障と医療保障という二つの分野に分けられる。そのほかに白書には福祉サービスという面がありますが、これはちょっとカテゴリーが違うわけで、この二つに分けますと、この所説というものは、わが国においては所得保障と医療保障を比べると、第一にやはり医療保障の方がかなり実は進んでいるということを表現をしたいという気持が一つあるだろうと思います。それからまた、医療そのものの給付のあり方、内容等々をいろいろ検討してみるときに、いろいろ問題はたくさん実はあるわけでございます。  たとえば医療保障の仕組みの問題についても、いろいろと考え直さにゃならぬ問題が多々あるだろうと思います。給付の面についてもいろいろとあるだろうと思います。また、先生お説のとおり、いわゆる医療のサービスの提供の場所と時間というところに大きな問題があるということは、もうこの委員会でいろいろと力説されているところでございまして、決して万全であるなどというふうには考えておりません。  一つはやはり所得保障との関連で、いま一つは世界じゅうの医療保障——私は実はいわゆる諸外国の医療保障の先進国というところを、いろいろと専門に検討して歩いたことがございますが、それぞれの国にいろいろ実は問題がございます。給付の内容につきましても、一〇〇%の給付をしていないという国がわが国では社会保障の王国と言われている国であるわけでありまして、たとえばスウェーデンのごとき、四分の三の療養費払いといったようなことがあり、また、それぞれの国において給付の面においては、わが国と比較して、いろいろグロスで言いまして、かなりわが方がいいかなと思われるようなものを実は私があちこちで見て感じてまいりました。     〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕  しかし、そうは言うものの、わが国の医療制度が完全無欠で、再検討の必要がないなどということは私はとうてい考えておらないわけでありまして、そういったような点については今後とも改善を加えていかなければならぬことはもちろんでございますが、しかし、総じて言うならばというような意味で書いておるものというふうに御理解を願いたいと思います。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 わかりました。それだったらば、国民が読んで誤解のないように、言葉をきちんとそろえていただきたいと思うわけです。良心的な医師は、日本の医療は約三十年世界に立ちおくれているということを言っておられるのはよく聞くわけでございますが、いまの大臣のお気持ちはよくわかりました。私はそれで理解いたしましたけれども、白書をこれから読むと思います多くの国民が誤解しないように、お手はずをお願いしたいと思います。  それでは私は、万全ではないと考えられる医療の中身の一つをきょうは提案させていただいて、厚生省の御所見を伺わせていただきたいと思います。  現在、日本の医療のおおむねが社会保険診療を行っているのは御承知の点でございますが、この社会保険医療の中で、政府の御方針あるいはまた指導とされて行われているものに基準入院サービスというのがございます。いわゆる基準看護、あるいは基準給食、あるいは基準寝具というふうに、三部門に分かれた基準入院サービスというものが行われておって、ある一定の基準が決められ、この基準を満たされることを期待しながら新医療を展開していくということになっているわけでございますが、この基準入院サービスの目的の中で二つの目的を持っておられるというふうに私は理解しております。その一つは、保険の患者には一定の水準の入院サービスというものが確保できるということが一つの目的になっていますね。それからいま一つの目的は、いわゆる旧来の入院サービスにとどまっている幾つかの病院があるわけですが、そういう病院に対する入院サービスの改善を目標とする、こういう目的も持っておられるようでございます。  そこで、現在どれくらいこの基準入院サービスが展開され、進められているかということを、厚生省からいただきました資料で私の質問に答えていただきたいのですが、その中で私はいわゆる基準看護だけを取り上げて、いまこの資料のことを申し上げたいと思います。  基準看護の承認されている病院の数が一般病院では二千七百二十六というふうに承りました。結核や精神は病棟単位で承認されますので、これを病院数と数えるわけにはいきませんからこれは一応外すといたしまして、一般病院だけで見ますと、基準看護承認全体は二千七百二十六と聞いております。この数は、日本の国の全体の病院数が八千二百七十三病院あるわけでございますから、この全病院数に対して基準看護承認病院の数は三五%くらいになりますか、そういうような現状でございますが、こういう数字を土台にしまして、政府で志向していらっしゃる基準看護、いわゆる基準入院サービスを進めていこうとしていらっしゃる立場から、この数字は果たして成功しておられるのか、あるいはもっと進めなければならないと思っておられるのか、この辺でよろしいと思っていらっしゃるのか、その辺の御見解をまず聞かせていただきたいと思います。

八木哲夫厚生省保険局長

○八木政府委員 ただいま先生からお話ございましたように、現在、社会保険診療報酬の中で、看護の問題につきましてできるだけ実態に即応し、あるいはあるべき方向に向かって改善していくべきであるということにつきましては御指摘のとおりだと思うわけでございます。そこで、ただいまお話ございましたように、現在の保険医療機関でございます病院数で申しますと八千百五十七でございまして、そのうち基準看護を承認しております病院の数は二千七百二十六でございます。そこで先生からお話ございました方向というものを踏まえて進んでいるわけでございますけれども、現実にはやはり基準看護ということで、患者さんのために十分なサービスができるというような観点から看護婦なりあるいは基準看護に必要な人員の数という面で必要な基準を設けているわけでございますので、私ども、できるだけそういう方向で行かなければならないというふうに考えておる次第でございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 いま後ろの方の声が聞こえていたものですからちょっとよくお声が聞き取れなかったのですけれども、私がお尋ねしたのは、この入院基準サービスですね、看護基準の病院をもっとふやさなければいけないと思っていらっしゃるか、この辺でいいか、その点を伺いたかったので、その点だけお答えいただけませんか。きょうは時間が大変短いものですから急いでおります。

八木哲夫厚生省保険局長

○八木政府委員 基準看護では当然看護婦の数というのが基礎になるわけでございますが、現在看護婦の数が不足しているというような実情でございますのでそこまでしか行っていないという状況でございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 もっと進めたいと思っていらっしゃるのですね。その点だけ知りたいのですよ。進めていくために必要な云々というのは結構です。それはわかっておりますので、どういう御方針かということが伺いたい。

八木哲夫厚生省保険局長

○八木政府委員 当然、看護内容の充実を図るという意味から申しまして前向きで行かなければいけない問題であるというふうに考えております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 わかりました。大体見当がつきました。前向きということの意味が非常にむずかしいのですけれども、先へ急がせていただきます。  そこで、続きになります。厚生省がお出しになった指導要領の中で「基準入院サービスの水準」というのが決められていますね。この水準は「最高水準ではない」と断っていらっしゃる。「標準的な在り方」なんだというふうに断わっておられるわけですけれども、ざらにその中身として「純医学的見地からのみの基準設定ではない。」これは言葉をかえれば制限診療である、こういうことに解釈していいんじゃないかというふうに理解します。それから「被保険者の生活習慣や経済状態に適応させる」というふうにも言っておられますから、言葉をかえれば、被保険者には自己負担をさせないとか、あるいはこれはできるだけ少なくするという意味に理解できる、こういうふうに解釈できるわけでございます。  そこで、「当面の目標」というのが示されております。「当面の目標」を拝見しますと、「看護部門では、付添看護婦(人)を必要としない程度にゆきとどいた看護が行われていること。」これが当面の目標ですね。「給食部門では、補食を必要としない食事が供されていること。」それから「家政部門では、寝具類を持込む必要のない入院であること。」これが当面の目標になっているわけでございます。  そこで、この「当面の目標」に合わせて通牒が出ておりますね。基準看護の「承認の取扱い」というところの説明を読みますと、「基準入院サービスの承認を受けた保険医療機関に入院する患者は、すべて基準入院サービスを受けなければならないし、また保険医療機関側も受けさせなければならない。たとえば、重症患者だけ基準入院サービスから除外して付添看護婦をつけることは、たとえ患者の希望であっても認められない」非常に厳しく制限されております。また、「直営サービスであること」というところで、「看護については当該保険医療機関の看護婦及び准看護婦が自身で、又は当該保険医療機関の看護助手を協力させて、患者の病状に応じた一切の看護を行うものであり」というふうにも示されております。ですから、言葉をかえれば、病院に入院した被保険者の患者は「患者の負担による付添看護が行われているものであってはならないこと」という、このことがあちらにもこちらにも細かく規定されているわけでございますね。これを受けて通牒も出ているわけでございますね。はっきり出ています。  通牒を読む時間がありませんから省きますけれども、そういうなにがされているのに、現在は基準看護承認病院に入院している患者さんが付添人をつけて、その料金を支払っているという実情があることを御存じだと思うのです。知らないとはおっしゃらないと思いますが、それが国立病院にも国立療養所にもあるわけですよ。国立だけではなくて、公立にも私立にも、とにかく日本のあらゆる病院にそういうものが現在存在しているということになるわけです。それでたとえば国立の場合なんか——厚生省の方だから特に私は国立を重要視するわけですけれども、五十二カ所の病院に対して調査した結果、その中で回答を寄せない病院もあったわけですけれども、回答を寄せてきた病院の中から数えますと、三十七施設が有料付添人、これは要するに患者が負担しているわけですね、そういうところが三十七施設あって、多いところは十八名も二十四名もというふうに置いているのですね。これは国立ですよ。こういうところがあるということがわかりました。  その中で、実は実例を一つ申し上げて厚生省の御見解をいただきたいのです。患者が個人で付添人をつけてはならないはずの病院に入っていてつけているという事実と、さらにそれについて患者が付添看護料を支払っているという事実ですね。基準看護承認病院でございますから十分なサービス、「ゆきとどいた看護」と書いてありましたね。「看護婦(人)を必要としない程度にゆきとどいた看護」と書いてあります。それが受けられるはずだと思って入ったのに、ですから言葉をかえれば基準看護料を入院料のほかに追加して支払っているわけですね。ところがそれが実態としてはそうじゃなくて、また別につけなければならない。そしてまた別に付添料を払わせられますから、看護料については二重払い、こういうことですね。患者にとってはだまされたという感じがするわけです。こういう実態が本当にあってはならないと思うのですが、そういうことは抽象的に言っていてもしようがないですから具体例を一つ申し上げます。一事が万事ということで、同じような例は幾つもあるのですけれども、一つだけ申し上げます。  これは一昨日の予算要求行動のときに私どもの川俣議員から質問として出されましたので、医務局長、そのとき御出席だった方は御存じだと思いますけれども、これはこういう例です。六十一歳になる方ですが、国立大蔵病院に入りました。そして網膜剥離の手術を受けて入院したわけです。ところが入院するときに主治医、眼科の先生ですが、医長さんから、退院後半額は返ってくるから付添婦をつけた方がいいと言われて、付き添いをつけてしまった。この人がお医者さんの言うことを信じて、退院後社会保険に付添料の半額の返却を求めましたところが、それは基準看護承認病院ですからだめです、支払えませんと言われて、全額自分で支払いをした。これは三十万円かかったわけですね。こういうケースはたくさんあるのですよ。たとえば、入院すると、手術なんかするようなことになりますと、「病院の方でお世話はいたしますけれども、御心配なようでしたら家族の方がおつきになってはいかがですか」という言い方があります。そこで家族をつけたいと思っても、家族もその手がない。「そうですか、それではお世話いたしましょうか」と大変親切に言ってくれるのですが、こうやって違反をさせられてしまっているという事例がたくさんあるわけですよ。  そこで私は、この国立大蔵病院のことは事実だったかどうかというのをお調べくださるということでしたから、そのお調べの結果については医務局長から御答弁いただきたいし、こういう、患者が看護料の二重払いをしている病院をほっておくのかということについて保険局長から御答弁がいただきたいと思います。

石丸隆治厚生省医務局長

○石丸政府委員 先生御指摘のように、国立病院は基準看護承認施設でございますので、原則的にはこの付添看護婦というものはいないわけでございます。しかしながら、看護要員の一時的な不足、あるいは患者の症状上どうしても必要な場合に、きわめて例外的に付き添いを認めている場合があるわけでございますが、この場合におきましても、当該医療機関の責任においてこれを行うことにいたしておるところでございます。しかしながら、先ほど先生御指摘の数字のような状況でございまして、全国的に見ました場合には、全入院患者の一〇%ぐらい、そういった事例があることは事実でございます。  それで、先生御質問の非常に具体的な国立大蔵病院の事例でございますが、これは早速調べてみたわけでございます。これは昭和四十四年六月二十五日に入院した患者さん、これはカルテから調べましたところそういった患者さんでございますが、六月二十五日に網膜剥離で入院されまして、同年八月二十二日手術、十月三日退院された、こういう患者さんのようでございます。これはただいま申し上げましたように昭和四十四年の事例でございまして、当時の記録はカルテ以外はすでに処分されていて明確ではございませんし、なお当時の主治医の眼科医長が昭和四十七年七月すでに退職されて現在開業されておる、こういったような実態でございまして、いろいろこれに対しまして照会をいたしたわけでございますが、医者の方から付添看護を要請した事実はない。ただ術後、患者または家族から申し入れがあったものに対して、病院管理上支障がないと認められる場合には期限を限って承認した、そういうことのようでございまして、半額後で返るというようなことは言っていない、こういう御返答があったわけでございます。また、当時の病棟婦長が現在外来婦長をされておりますので、この方にもいろいろ実情を聞いたわけでございますが、大体この主治医の先生のおっしゃっているのと同じような御返事でございまして、非常に古い事例でございますので、そこの半額返すとかなんとか、そういった点につきましてはどうもはっきりいたしませんが、少なくともこういう誤解がないよう、今後さらに十分指導してまいりたいと考えております。

八木哲夫厚生省保険局長

○八木政府委員 基準看護病院の付添看護の問題につきましては、先生からお話がございましたように、私どもといたしましては、患者の負担によります付添看護が行われることがあってはならないというはっきりした方針を出しているわけでございます。したがいまして、ただいまの問題等の例がございました場合に、実態がはっきりそのような患者の負担になっているというような場合におきましては、病院の方におきまして返還させるというような指導をするということで、今後ともこういうような問題が生じないように十分指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 いま両局長からそれぞれお返事があったのですけれども、医務局長の御答弁の分は、四十四年で事例が古くなってしまっているからもうわからないというふうに、簡単に言えばそういうふうに聞こえるのですね、しかしそんなことはないですね。病院の記録というのは最低五年間、あるいは物によっては永久保存することになっているはずでございます。だからそんなにわからないはずはないと思うので、もしわからないとすれば病院側の管理が悪いというふうにしか考えられないと思います。だから、それは結局厚生省の責任になりますから、結局医務局長のところに戻ってくるわけですね、その責任問題は。そこで、いまのような事例は私ははっきりしていると思いますから、その患者さんに、もう六年前のことではございましたけれども、当時間違っておりましたと言って——間違っていたのは病院の方なんですからね。患者さんが誤解して間違ったのじゃないですから、そこを間違わないでいただきたいと思うのですけれども、病院側が間違っていたわけですから、その説明をして返金すべきだと思いますね。それはぜひやっていただきたい。  それから、これは国立病院だから医務局の方でそれをなさるのかもしれませんけれども、保険局の方で考えていただきたいことは、こういう事例は私はたくさんあると思いますよ。一つ一つ掘り出したらみんな出てくると思うのです。というのは、有料付添をつけているところを調べてごらんなさい、みんな患者が支払っていますよ。それは私は看護婦さんたちから聞いてわかっているわけですけれども、時間がありませんのでここでいま申し上げません。しかし、そういう事例はあるはずでございますからお調べいただきたいのです。実は私は保険局に、基準看護承認病院で有料付添をつけている病院がどれくらいあるか知りたいと申し上げたら、そういうことはわかっておりませんというお返事をいただきましたから、保険局はお調べになっていないということがわかったのですけれども、本当に調べていらっしゃらないのかどうか疑問だと思います。もしやっていらっしゃらないのだったら、これからでも遅くないですから調べてください。そして、そういう病院がありましたらば、その付添料を払っている患者には必ず病院の責任において支払っていただきたい。これを約束していただきたいのですが、どうでしょう。そうしなかったらこれはおかしいことになりますよ。患者が悪いのじゃないのですから。

八木哲夫厚生省保険局長

○八木政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、私どもの基準看護病院というのは、そういう患者の負担による付添看護が行われないという病院につきまして基準看護を承認しているわけでございます。したがいまして、現在基準看護病院になっておりますところにおきましてはそういうことが行われない、それが前提でございますので、むしろ、行われてないというのが前提の病院について行われてないものがあるかどうかという調査というのは非常にむずかしいわけでございます。したがいまして、個別的にそういうものが出てまいりました場合に、万一そういう場合には、そういうことが行われないような十分な指導をするということしか申し上げられないのではないかというふうに思うわけでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 大変お役所らしいお返事で、私も感服いたしました。そういうふうにお返事なさるんだなというふうにわかったのですけれども、それでは話にならないのですね。身もふたもない。事実そういうことが行われていることがわかっておりますから。これは保険局では立場上お調べになるわけにはいかない、こういうことだと思います。それだったらほかの方法で調べて資料を差し上げますから、そうしたらお調べください。そしてその事実があったときには返金するということを病院側に命令する、それはぜひやっていただきたいと思うのです。二重払いをさせられて非常に泣いている患者がたくさんございますからぜひそれはやっていただかないと、社会保障の中で医療保障は所得保障よりもすぐれていると先ほど大臣はおっしゃいましたけれども、どうも余りすぐれていないように思いますから、その辺はぜひお願いしたいと思います。  それをお願いをしておきまして、そこで次の問題に入りたいと思いますけれども、基準看護承認病院は、患者が個人的に付添人をつけないのが原則だし、つけなくてもいいことになっているはずですね。実態としては、それなのになぜつける人たちがこんなにいっぱいあるかということなんです。なぜつけなければならなくなっているのであろうか、知りたいのはその理由なんですよ。私は、その理由は、いろいろおっしゃるかもしれないと思いますけれども、基本的には、これは看護婦の数の問題だけではないと思います。私は基準の決め方に問題があるんじゃないかという気がするわけです。  たとえば、いまの基準は特二、特一、一類、二類、三類、これだけございますね。それだけある中で、問題は、一つは一括承認しているという問題がありますね。どこの病棟も全部一括して何類というふうに病院全体で見ているというのが一つ問題。病院の中というのはどこの病棟も同じじゃないのですね。ICUがあるところ、あるいはCCUの場所、あるいは重症の病棟、あるいは中等度、あるいは回復期、いろいろございますね。それなのに一括してするというのは大変に不合理ではないかということが考えられますから、その点一つ。  それから、いま最高は二・五人に一人、特二でございますね。特二の基準の承認をもらっている病院ですらつけているのですね。ということは、特二の基準でも間に合わない、こういうことになるのじゃないですか、病院側の責任において看護をしようと思う場合には。そうすればそれ以上の基準を設けなければならない。すなわち二人に一人、少なくとも二人に一人、特三類、こういうものを新たに設ける必要がありはしないかという考えが起こってくるわけです。それを考えていただけるかどうかということが一つです。  いま一つは、時間の関係で細かい御説明ができないのですが、一類の場合というのは、医療法の施行規則の十九条に基づいて入院患者四人に一人という数字を使っていますね。だからこれは一応裏づけがあるのですが、この一類の場合でも、四十床の病棟を例に挙げて計算をいたしますと、四十人の病棟で昼間四人。ところが八〇%の有資格ですから有資格者というのは三人しかいない、こういうことになるわけですね、四十人に対して。この場合はまあ何とかいけるかと思いますが、二類とか三類ということになりますと、しかもその中で精神科などというのは実にみじめな状態に置かれておりますね。全体の七〇%の有資格でいいとか、それは五〇まで落としていい、最低四〇%あればいいところまで落ちていますね。そうなりますと、六十床の精神病棟と仮定して、六人に一人だから十人、この十人と設置された看護職員の方たちの働き方を見ますと、昼間は四人になります。そして、もし五〇%有資格でいいというのだったら一人ですね。四〇%まで落としてもいいということになりますとゼロ人です。そうなると一体どうしたらいいのですか。主任看護婦は週休もとれないというような状態になります。第一、こんな数字は看護だと言えるのかどうか。これは医務局の方から御答弁願いたい。こんな数字で患者の世話をして、責任をもって行き届いた看護ができるなどとお考えになっていらっしゃるのかどうか。  結論としては、この二類とか三類とかというものは廃止したらどうかということなんですよ。こんなものは看護じゃない。しかもこんなものに、よい看護をして差し上げますから看護の追加料、加算看護料をお払いくださいといま言っているわけでしょう。払って入ったところがとんでもない実態だったということになるわけですから、これは全く患者をだましたかっこうになります。そこで、この二類とか三類というのは、私の意見では看護じゃないと思うから、こんなものは外したらいいじゃないかというふうに考えます。  そしていま一つは、いま申し上げた基準の決め方が低過ぎると思いますから、もう少し高い基準をつくるということを考えることがないのかどうか、その点も聞かせていただきたいし、あわせて医療法施行規則の十九条、これが問題になっておりますから、これを改善する必要があると思っておりますが、これをお変えになる意思はないか。少なくともニッパチが実施できるぎりぎりの線、二・五人に一人、この辺まで改善なさる意思がおありかどうか。お二人の局長からそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。

八木哲夫厚生省保険局長

○八木政府委員 ただいま先生からお話ございました、基本的な問題としまして現在の看護の基準の決め方自身にいろいろな問題があるんじゃないかというような御指摘だろうと思うわけでございます。  一つは、非常に一括して決めているということで、具体的な場合があろうかということでそれからさらに高い水準が考えられないかどうかということでございます。私どもの基本的な考え方といたしましては、医療技術の高度化とかあるいは疾病構造の変化等によりまして、いろいろ患者さんの実態というものも変わってまいると思いますし、社会保険診療報酬の中の看護料のあり方につきましても、そういうような実態の推移に伴いましていろいろ考えていかなければならないという方向につきましては、先生御指摘のとおりだというふうに考える次第でございます。そういうような見地からも、従来ございませんでした特二という範疇が前回の診療報酬改定の際に新たに設定されたというようなこともあるわけでございまして、今後とも、これからのいろいろな動き等考えましてこの問題に取り組んでいかなければならないというふうに思われるわけでございます。いずれにしましても、看護体制の基本的なあり方ということにも触れる問題でございますし、十分医務局等とも御相談いたしまして、研究していかなければならない問題であるというふうにも思われるわけでございます。さらに、最終的には中医協の場で御審議いただくわけでございますから、中医協の場等におきましてもこういう問題を十分研究していただかなければならないというふうに考えておる次第でございます。

石丸隆治厚生省医務局長

○石丸政府委員 看護業務の内容は、ただいま先生御指摘のように複雑高度なものから比較的軽易なものまで非常に幅が広いものでございまして、こういった看護業務というものを医療の場において行うには、やはり看護チームを編成いたしましてこれを実施していくのが通常でございますが、看護チームの編成をどう考えるか、それぞれの医療施設の医療内容や患者の状態等により異なっておるものでございます。これを一律の基準で定めるということは非常に困難であろうかと考えております。  なお、最近の医療の高度化と申し上げましょうか、医療面におきましてただいま先生御指摘のようなICU、CCU、そういった、従来ですと医療の対象にならないような非常に高度な医療、あるいはME機器の導入によります看護の技術の高度化、そういった新しい医療面からの要請というものがありますし、またニッパチ体制あるいは週休二日というような新しいいろいろな事態もあるわけでございまして、こういった新しい事態に即応いたしまして、この看護のあり方を今後とも追及してまいりたいと考えておるわけでございます。そういった点、さらにわれわれといたしましては看護要員の養成というようなことに今後とも力を入れてまいりたいと考えておりますし、また医療費の支払いというような点につきましては、新しい看護体制と医療費とのあり方というような点につきましても今後保険局の方と十分連絡をとりながら検討してまいりたいと思います。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 両方の局が一緒になって考えていただかなければ結果は出ない問題だと教えるわけでございますから、今後もやっていただきたいと思いますが、どうもいまのお二人の御答弁では、今後もやっていかなければならないというふうにおっしゃいましたけれども、どういうふうにやっていこうかというのがお示しなかったわけですね。だから私は大変に不満だと思うのです。私がお尋ねした問題については避けていらっしゃったみたいで、触れてくださらない。その点、大変残念に思います。ずばり私は具体的に申し上げたのであって、抽象的にお答えいただいてしまったもので大変に困っているわけでございますが、どうなんでございましょう。  重ねてお尋ねいたしますけれども、元来看護というのは、入院したらばその当該施設がお世話をするというのがたてまえでございますから、加算看護料などというものを追加しなくてもいいのが本来の姿だと思いますね。入院料の中に全部入っているべきだと思いますけれども、それが、日本の医療費の問題等があって十分な医療費が組めないから、仕方がない、看護は決していい看護じゃないけれども入院していただく、そのかわりによい看護をいたしますからというので、加算看護料ということで基準看護承認なんということをやっているというふうに理解いたしております。それならばさっき申し上げた、二類とか三類とかという、看護とも言えないような決め方によって加算料を取るなんというのはひどいじゃないか、だからそんなものはやめてしまったらいかがですかと言ったわけなんです。  それで問題は、基準の決め方に問題があるのだから、基準の決め方をもっと前向きに進歩的に、本当によいケアをするというたてまえで考えていてくださるのなら標準を上げるということを考えていただきたい。もちろん中医協の問題があるということは考えております。しかし、中医協には厚生省の方から諮問なさる立場におありになるわけですね。中医協は答申をなさるわけでしょう。そういう取り扱いにいまなっているようですから、新しい時代に即応した医療ということを考えるならば、診断、治療だけでない、看護のケアについてどれだけのことが必要かということをもう一遍本当に真剣に考えていただいて、そうして中医協に諮問をしていただいて、そうしてその結果、本当に国民のためにケアができるようなことが行える、いわゆる十分な看護ができるという形を整えてほしいと思うわけです。先ほど大臣おっしゃった、社会保障の中では医療保障が所得保障よりもややすぐれている形になっているというふうに認めていらっしゃるのだったら、その中身はこんなぐあいでございますよと私は言いたかった。決してお認めいただくように十分ではない。だからこの面をぜひ進めていただきたい。基本的な改正ということを考えていかれるかどうか、それ一言で結構でございますが、聞かせていただきたいと思います。  それで最後に大臣からも、このいわゆる承認基準のきめ方の問題を、細かい問題は後でお聞き取りいただきたいと思いますけれども、大変に問題が起こっていることについて、新たに基本的に考え直すという態度がおありになるかどうかということを伺わせていただいて、質問を終わりたいと思います。

八木哲夫厚生省保険局長

○八木政府委員 ただいま先生からお話ございましたように、方向といたしましては、新しい時代に即応しまして看護のケアの面につきましても十分な体制がとれるという方向は、おっしゃるとおり大きな一つの方向であろうというふうに思われるわけでございます。さらに、先ほど来先生から貴重な御意見等も承ったわけでございまして、看護の問題につきましては大きな問題があるわけでございますが、医務局とも十分相談いたしまして、この問題につきまして真剣に取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 ちょっと途中で出ていましたから詳細な具体的な議論は聞いておりませんでしたが、基準のとり方でございます。これはいま答弁があったと思いますが、基本的には中医協がこれを決めることです。が、中医協が決めるからといって厚生省がほっておくわけにはいかぬので、やはり中医協にそれぞれ呼びかけて、あるべき姿に直していかなければなるまいというふうに思っております。  問題は、まず第一に、やはり基本的には改善、向上の方向に進むよう努力をしなければなるまいというふうに思っております。しかし反面、現実の問題として厚生保険特別会計の医療勘定における財政問題もあるだろうと思います。この点も否定はできないと思いますが、さらに、現実にあるべき姿を想定をいたしましても、具体的な人がそれに伴わないといったような問題も踏まえてかからなければなるまいということでございますので、私どもはあくまでもこうしたことを踏まえつつ、あるべき姿に改善、向上するように諸種の検討をいたさなければならないというふうに思っているわけでありまして、看護の体制、現在の姿で一歩も進むことが必要ないなんということは絶対考えておらないわけでございまして、今後ともいろいろと努力をいたしたいというふうに思います。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 お留守の間に話が進んでいましたので大臣には失礼いたしましたけれども、要するに、現在の社会保険の基準看護承認の問題が、看護でないと思われるようなことを基準承認して、そして患者から費用を取っているという問題ですね。患者が二重払いしているという問題をどうしても解決しなければならないということと、そんな看護と言えないようなお粗末なものを金を取ってやらせるということについての方針を改めていただきたい、そういうことをお願いしていたわけなのです。  ありがとうございました。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員長代理 田口一男君。

田口一男日本社会党

○田口委員 きょうはひとつ医療保険制度の、特に国民健康保険、さらに組合健保、こういった問題について、基本的な問題もあるのですけれども、大臣、それから局長から方向を明らかにしてもらいたいと思うのです。  特に国民健康保険の場合に、たしか今月の四日、国保関係の全国大会があった際、大臣のごあいさつの中にも、いまのままでは大変困難だ、そういう従来の制度をそのままにしておいて、臨時調整金とかなんとかいうのを積んでいっても限界があるじゃないかという意味のごあいさつがあったようですが、確かに私はその点はそのとおりだと思うのです。昭和五十年度に一兆円の大台に乗った国保の助成金、それでなおかつまだ国保がえらいえらいと言われておるのです。わかり切ったことかとも思いますけれども、国保の財政がもともと弱い基盤を持っておることは指摘をされておるのですけれども、一体どういうことが原因になって国民健康保険の財政がこういうふうに問題になっておるのか。それを整理をする意味で、ここに至った原因をひとつ羅列をしてもらいたい、こう思うのです。

八木哲夫厚生省保険局長

○八木政府委員 ただいま先生からお話ございましたように、国民健康保険につきましては、ほかの制度に比べまして財政的に非常に弱い問題があるということでございますが、基本的にはいろいろな原因があろうかと思いますけれども、国民健康保険の場合に低所得者が非常に多いというような問題があるわけでございます。さらに、国民健康保険の場合の被保険者の年齢構成としまして、老齢化比率が非常に高いというような問題等もあるわけでございます。それに加えまして、四十八年の法改正等におきまして老人医療の無料化制度ができたというようなことで、老人医療費の急激な増高が行われた。あるいは高額医療費制度の創設ということで、そういう意味におきましては被保険者の非常に大きな福祉向上になったわけでございますが、そういうような新たな問題も出てきたということで、従来から国民健康保険の場合には財政的に他の制度に比べまして弱い面があったわけでございますが、新たな要素といたしましてそういうような老人医療なり高額医療の問題が出てきた。さらに、人口構成がさらに老齢化していくというような問題が基本的な原因であろうというふうに思うわけでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 もともと基盤そのものが弱い国民健康保険、それにいま局長のお答えのように老人医療の無料化という制度ができた。さらに四十八年の改正で高額療養費払い。それが直接的な原因ということは、各保険者、市町村長からもそういう話を聞いておるのですが、やはり矛盾を感じるわけですね。一方で国民が強く要望をして、その要望にこたえて高額療養費なり老人医療の無料化というものができた。ところが、それを採用したために今度は国民健康保険がより財政困難に陥ってくる。そうなってくると、昨年あたりから、はやり言葉のようになっております見直しとか抜本的改革とか、そういう言葉があるのですが、どうも従来の制度をそのままにしておいて、ただ臨時調整交付金なり何なりを積み上げていっては限度がある。となると、最近二、三の団体からいわれておりますように、では、悪化の原因が高額療養費だ、老人医療だということになると、その辺をひとつチェックをしようじゃないかということに安易に考えられやすい。これは国民の要望に反するような結果が結局出てくると思うのですね、安易にそういった老人医療を抑えるなり高額療養費を抑えることは。  その辺のところを矛盾に感ずるのですが、ひとつ大臣に直接お答えをいただきたいのは、これは市町村長はもちろん健康保険組合なんかでも大変心配をしておる、大蔵四原則と言うておるそうですが、五十年度予算編成の際に大臣と大蔵大臣との間に約束をしたとかしないとか言われておる例の四つの問題がございますね。御存じだと思うのですが、このことについて、いま国保を圧迫している一つの高額療養費については限度額を引き上げる。それから老人医療の無料化に関連をして退職者医療制度というものを創設をする。そのほか、あと二つありますけれども、特に国保という立場から見た場合には確かに、高額療養費をいま限度額を引き上げればある程度楽になるだろう、退職者医療制度というものを設ければその分だけ国保の財政がゆとりができるだろう。こういうだけのことで大蔵四原則のうち二つが言われておるのですが、いま予算編成、こういう時期なんですけれども、一体、高額療養費という問題、それから退職者医療というものは制度として新設をする必要があるのかどうか、この辺のところ、基本的にどうお考えになっていますか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 五十年度予算編成の節に、いま先生のお挙げになったもの並びにそれに一、二の問題について私どもの方に提起がありました。これは承るところによりますと、下の段階で今後とも検討をするという程度にいたしておるわけで、決して必ずやりますという約束はしておらないようでございます。  そこで、先生がお挙げになった二つの点でございますが、高額医療費の問題です。これはどうも同じ診療行為が、その後医療費がかなり上がったので相当上げていいのじゃないかという議論が世上間々ありますが、私はこの議論についても、一部首肯できるものがあるが、一部首肯できないものがある。要は、あれは結局医療保険における一部負担というものの国民がたえ切れる限度というものをどこに考えるかということが正しい、言うなれば可処分所得論の方からアプローチするのが正しいのではないかというふうに思っているわけでございまして、したがいまして、今日の段階として、いま三万円にしてありますが、三万円を著しく上げるということについては私は賛成ができない。     〔戸井田委員長代理退席、竹内(黎)委員長     代理着席〕 しかし、その後の物価、賃金等の情勢もありますから、かたくなにいつまでも三万円そのままでなければならないというわけにもいくまいと思いまして、今後予算折衝でこれについては財政当局とも話し合いを進めねばなるまいと思っております。  それから退職者医療、これについては、国保サイドの救済というような発想から出てきたもののようであります。一部にはやはり、在職しておった者が退職後直ちに医療保険についての給付が落ちるというようなことを何とかしょうという気持ちもあろうと思いますが、主としてこれの発想はいわゆる国保財政を確立する一助にしたい、こういうことから出てきているものと私は思うのですが、私はこれについては賛成ができないということを就任当初以来言っているわけであります。これはそうしたことよりも、国民の公平の見地から見て、この退職者医療というのは実際問題として問題があるというふうに思っているわけであります。なぜかなれば、多少のゆとりのある——ゆとりのないのもありますが、後で先生お話があるようでありますが、組合管掌健康保険においては大体ある程度の退職者医療はあるいはできるかもしれませんが、政府管掌健康保険ではもうほとんどできません。現在でもすでに財政は相当に、先生御承知のとおり窮迫しておるわけであります。最近の年度の決算等は皆若干ずつ赤字を出しているわけでございますので、したがって政管ではできない。そうすると、若いときに大企業に勤めたから退職後しばらくの間は適当な医療を受けられるけれども、中小企業に勤めたからだめだという、そんなばかなことができるかというのが私の所信でございます。このような手法をこのままとるということは、国保財政の救済のためには幾らかの実効は上がると思いますが、そういうことのために国民の公平を損ないたくないということで、これは終始一貫私は反対をしているわけでございまして、大分私がいろいろ言うものですから財政当局もこれについては幾らかトーンダウンしているのじゃないかと思いますが、いまだに旗はおろしてないようですが、私はこれはやりたくない。ただ、これに類したことで、いま言ったこの種の被用者が退職直後に急にダウンするということに対しては、例の任意継続という制度がございますが、むしろあれを活用する方がまだぼくはいいのじゃないかと思いまして、そういったような方向で検討したらどうだろうかというようなことを言っております。大分近いのですけれども、今後の予算折衝のときにかなり問題になるだろうと思いますが、基本の方針としては私はそういう方向で臨みたい、こういうふうに思っております。

田口一男日本社会党

○田口委員 いまの退職者医療に関しての大臣のお考え、実は私も個人的にはそうあるべきだと前々から思っておったのです。いまのような地域と職域の健康保険制度がある。それを国保サイドから退職者医療というものを制度化するということは、むしろいまの制度を混乱させるだけではないのかという気もいたしますし、さらに、この退職者医療の問題が起こってきた一番素朴な意見は、これは大臣もとっくに御存じでしょうから申し上げる必要もないと思うのですが、結局、国保の財政の問題と、若い時分に高い保険料を払って、病気がちな年寄りになってからほうり出されるのはという個人感情もあるわけですから、そういったことを考えればむしろもとに戻って、いまの国民健康保険というものをもっと充実強化をしていけば、退職をされた方々にとっても給付水準が落ちるとかどうとかということに問題が起こらなくなるのではないか。むしろそういう、いま大臣がお示しになったようなお考えをひとつ貫いていただきまして、そういった退職者医療問題が国保のサイドでどうだこうだと言われなくなるような、国保の基盤整備強化にひとつ今後も御尽力、御努力をいただきたいと、これはこの機会にお願いをしたいわけです。  今度は局長にお尋ねしたいのですが……。とは言っても、国民健康保険がいま困っておる。そして高額療養費だ、老人医療だということを目のかたきにはしておりませんけれども、それが一番大きな原因だと言っておる。そうなると、私は数字はごたごたと並べたくありませんけれども、確かに、おたくの方から出された資料によっても、七十歳以上の人口の占める割合は国民健康保険が他の保険に比べて大体倍程度ありますね。共済なんかに比べると三倍になります。そこでひとつ、よく言われる保険との相乗り、これをもっと勘考する必要があるのではないか。いま国保でいったら七割給付をする、七割は保険料で賄う、もちろん国の助成もありますけれども、残った三割について老人医療として金を出すという仕組みなんですから、この相乗りの方法を——私どもは根っこから公費負担をせよと前々から言っておるのですけれども、今日の財政事情を考えた場合に、一歩譲っても相乗りの割合を勘考すればやや緩和していくのではないかと思うのです。それ以外にも方法があると思いますが、そういう点についてどういうお考えを持っておられるのか。

八木哲夫厚生省保険局長

○八木政府委員 ただいまお話ございましたように、国保の場合にはもともと財政基盤が弱い。それに加えまして老人の被保険者の割合が非常に高いということで、現在の七十歳以上の方々の比率というのは七%くらいでございます。他の被用者保険の場合には約三%、政管は三%をちょっと超えるというようなことで、お話ございましたように、老人比率が非常に高いというようなことは御指摘のとおりであるわけでございます。ただいまお話が出ましたように、現在の老人医療の無料化制度というのが、保険と公費負担の相乗り制度というようなことにもなっているわけでございまして、これは老人医療の無料化の際に、どういうふうなあり方が最も好ましいのかということでいろいろな角度から議論がされた問題でございまして、当時の状況としまして、現在の保険と公費負担の相乗りという形でできているわけでございます。その結果、ただいまお話ございましたように、国保の財政基盤の弱いところにある意味では老人の問題がしわ寄せになっている、集約されているというのは御指摘のとおりなわけでございます。  当面の問題といたしましては、国保の財政力、現在、調整交付金を入れまして四五%の、他の制度にない高い負担率、国庫補助になっているわけでございますが、それに対しましても、現在のいろいろな財政問題があるというようなことから、特別の国としましての助成措置を講じておるわけでございまして、本年度におきましては六百五十億の特別助成措置を講じているわけでございますが、今後、来年の予算折衝に当たるわけでございますが、この問題につきまして重点的に取り組んでいかなければならないというふうに思うわけでございます。当面の問題としてはそういうような問題があるわけでございますけれども、基本的な問題としまして、老人医療のあり方をどうするかという、先生の御指摘の問題もあるわけでございますが、この問題につきましては大臣からの御指示もございまして、現在省内におきましてプロジェクトチームをつくりまして、この問題を真剣に研究しているという段階でございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 これは医療の面だけでこの老人医療ということを考えるのは余りにも狭いと思うのですね。ある市町村で、これは人口二万ぐらいの町なんですけれども、こういう実例があるんですね。御存じのように、老人医療はただだ。しかも年をとればどこか悪いところがあるのはあたりまえですから、ちょっと悪くてもお医者さんに行く。これはいい悪いは別ですよ。そういう傾向を何とか解消するために——これは保険局の所管じゃないと思うのですけれども、その町が考えたのは、字ごとに老人憩いの家というものを、集会所のようなものをつくって、お年寄りが気軽に立ち寄ってそこでいろいろな話をする。お茶なんかも無料で出る。そういうことでストレスを解消して、受診率が半分ぐらいに減ったというんですね。これはある町の特徴的な一つの例なんですけれども、そういうことと両々相まってこの老人医療という問題を考えなければならぬと思うのです。巷間伝えられておるように、このように受診率が高くなったから、老人医療が財政を圧迫するから、ひとつ初診料でも取ろうかということは、これは来年度の問題にしろ将来の問題にしろ、社会福祉という観点からも老人福祉という観点からもそういうことは取り上げるべきではない。巷間伝えられておると私は申しましたけれども、財政審あたりもそういう意向らしいのですが、そういう基本的な考えを持ち続けていただきたいと思うのです。大臣、どうでしょう。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 老人医療のあり方についてはいろいろまだ検討すべきものが多々あろうというふうに思われるわけでございます。先生がいまお挙げになったのも一つの方法だろうと思いますが、私はもっと突っ込んで、日本の老人福祉施設のあり方というものをさらに掘り下げて考えてみなければなるまい。いまの特養、特別養護老人ホームという制度、これが、諸外国のこの種のものと比較いたしますると若干どうも医療面のケアが希薄なようでございまして、諸外国ではさらにこれに医療面のケアというものをもう少し濃厚にする施設がヨーロッパ等にあるようでございます。     〔竹内(黎)委員長代理退席、住委員長代理     着席〕 そうすれば普通のものはそうした施設でもってやれるということもあろうと思いますので、そうした検討もいたさなければなるまいというふうに思っております。  しかし、いま老人医療についてあれやこれや、世間でいろいろな御批判あるいは論評があるわけでございます。これを踏まえていろいろな御意見が出ているわけであります。財政審等でもいろいろな議論があったようでございますが、私どもとしてはできるだけ老人医療のあり方を正しい方向に持っていきたいというふうに考えておりまして、この問題については、私は、さっきのように明確な解答をいまのところ持っておりません、率直に言うと。いま少し検討させていただきたいということでございますが、予算折衝ももう近いものですから、何とかひとつこれについての対応策を考えてみなければいかぬ、こういうふうに思っているわけであります。  いま保険局長から答弁いたしましたが、老人医療のあり方については、給付の面のみならず予防とか健診というようなこともあわせていかなければなるまいというふうに考えておりまして、これが別個の制度の中でやられるのがいいのか、あるいはそうした老人医療の給付の一面としてこれをやっていくのがいいのか、そういったような問題もあろうと思います。いずれにしても先生、私は、一番受診率の高い老人、これは四倍から五倍というふうに言われておるわけでありますが、これを一番弱い保険集団である国保の中へぶち込んで、いろいろな名目で多少の助成はしておるものの、これじゃ問題は解決しないというのは私の就任当初からの考え方でありまして、これについては、老人の健康という一面からも、また保険財政という一面からも、相当思い切った抜本的な改革をせにゃなるまいというふうに思って、いま事務当局に検討方をいろいろ命じているわけでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 老人医療の問題はその程度にしまして、時間がありませんから最後に……。  中医協はいつ再開されるか知りませんが、いずれ遅かれ早かれ医療費が上がると見て差し支えない。そうなってまいりますと、いまの国民健康保険はもちろんのこと、政管保険もそうだろうし、組合健保の場合にも医療費の上昇が相当財政を圧迫するということは明らかだと思うのです。  そこでこれも考え方を示してもらいたい、というのは、国民健康保険の場合にも、保険者の経営努力といいますか、そういった点もあって、議会筋でいろいろな摩擦があるようですが、保険税を上げる、保険料を引き上げるというふうなこともやっておるわけですね。それと同じような考えでこの組合保険の場合にも——もう法定の千分の九十をとってなお赤字、こういう組合が年々ふえてきておる。数字は御存じのように、四十九年度の決算で二百七十八組合、赤字の総額が八十三億を超える。五十年度の決算見込みでも、今度は赤字組合が四百四、五十にふえるんじゃないか、そして赤字の総額も九十億を超えるらしいと心配をされておるんですが、こういった法定の保険料千分の九十を取ってなお赤字、こういった健保組合についても、これはその組合の自主性でもっと保険料を上げなさいということにはなるまいと思うのですね。この辺のところに対する対策といいますか、指導といいますか、助成といいますか、これらをどう考えてみえるのか。これはいずれ来年の政管健保の問題にも、赤字なんですから出てくると思うのですが、さしあたって、法定の保険料いっぱい取っておってもなお赤字という組合には、何らか国でめんどうを見るのが当然ではないかと思うのですが、その辺、お考え方を示してほしいと思います。

八木哲夫厚生省保険局長

○八木政府委員 先生御指摘のございましたように、健保組合の中には、相当の努力をいたしましてもなかなか財政状況が好ましくないというような健保組合もあるわけでございます。その基盤としましては非常に特殊な事情があるというような面が多いと思うわけでございますが、そういうような組合に対しましては、非常に特殊なケースであるというようなことから、給付費の臨時補助金というような形で毎年予算を計上して、これらの財政基盤の弱い組合に対します補助の助成策をとっている次第でございます。私どもも、最近の実績等にかんがみまして逐年この予算額の確保については努力している次第でございまして、昭和五十年度、本年度予算におきましては四十九年の三億八千万から五億というふうに、その額も増額を図っている次第でございまして、私ども、これらの組合の実態というものを踏まえまして来年度予算につきましても対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 それで要望しておきたいんですが、先ほど大臣、高額療養費の問題に絡んでその限度額というふうなお考えをお示しになりましたけれども、健康保険、政管にしろ組合にしろ国保にしろ、やはりいまお互い十分議論をしなければならぬと思いますのは、そもそもこの制度の起こった原因を考えたときに、病気になって、昔のように娘を身売りをするとかどうとかということはいまはありませんけれども、大変な貧乏に陥る、その貧乏を防ぐという意味合いも私はこの医療保険制度には一つ含まれておると思うのです。高額の療養費を払って、それでもう大変な目に遭う、そういったことが、この健康保健制度ができてから緩和をされておるんですから、いま財政の問題にしろ、いろいろと健保制度全般について見直しが各界から出ておる今日、防貧の機能ということをもう一遍見直していく必要があるんじゃないか。そうなっていくと、可処分所得という表現もありましたが、その辺のところで国民的な合意というものも得られるんじゃないか。高い医者代がかかってもこれは全部保険で見ましょう、これが保険の原則なんです。しかし、いまの所得状態から見てどの辺が負担限度か、こういう議論もいずれはやらなければならぬと思うのです。しかし、その議論をやるにいたしましても、いま申し上げたように、釈迦に説法だと思うのですが、健康保険というものは防貧機能というものをもっと持たなければならぬ。前の金子委員の話にもありましたように、入院すれば付き添いが要るとか差額ベッドが要るとか、こういったことで、病気になった患者が、また家族が苦労するということではなしに、それは全部保険でカバーしますよ。しかしこういう面はということもそろそろ議題にのせて、お互い十分協議をするときに来ておるんじゃないか、こう思うのです。そういう点についての答弁は要りませんが、大胆なたたき台でも早急に出していただいて、この委員会で腹を割って話をする機会を持ってもらいたい、このことを要望して私の質問を終わります。

住栄作自由民主党

○住委員長代理 吉田法晴君。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 与えられました時間が四十分に足りない程度ですから、余り議論はしないでお尋ねをしてまいりたいと思います。特に、社会保障制度審議会から建議が出ました。それから厚生白書も先般出ました。それから、いま予算折衝中でございますから、予算要求して来年度予算編成中でございますので、これらに関連をしてお尋ねをいたします。  まず、社会保障制度審議会の建議が出まして、これを厚生大臣としてどういうぐあいに受けとめられ、この部分は来年度予算なりあるいは今後こういうふうに生かしてまいりたい、こういう点がございましたら承りたいと存じます。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 この間、十二月一日ですか、制度審議会から「今後の老齢化社会に対応すべき社会保障の在り方について」という建議が内閣総理大臣に出されました。私も一応拝見をいたしました。現状の分析をいろいろやっているようでございます。具体的な今後の対策ということについての、何といいますか、直ちにこれをそのままというような御提言というのは比較的少なかったように思われますので、私どもが今後政策改善に取り組むときの基底のアイデアにいたしたい、あるいは社会事象の分析なりあるいは物の考え方に使いたいというふうに思っております。私も実はちょっと、率直なところ、もう少しこれについては具体的な何かがあって、これだというようなものがあるかと思って読んでみたのですけれども、その点については若干抽象的であったように私覚えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 副題は「老齢化社会における社会保障制度のあり方」ということで、その中で一番大きな問題は年金の問題だと思います。その年金の問題についてはこれから意見を交わしながらまとめていく段階ですから、年金についての具体的なものは今後出てまいると思います。  ところが、私は委員の一人として参画をしながら、厚生省が考えられるであろうといいますか、あるいは政府が考えられるであろうと思われる、老齢化社会が欧米の倍のテンポで進んでおる、一九八〇年になりますと二千万近くになる、そこで低成長、あるいは別な言葉で言いますと、来年の予算でございませんが、財政難のもとにおける社会保障のあり方、こういう考えになりがちであります。  そこで、私は社会保障制度審議会の歴史を振り返ってみると、大内先生や二代、三代にわたる制度審議会会長におましては、欧米の社会保障に比べて日本の社会保障制度はおくれている、速やかにこれは追いつくべきだという点に意見その他の重点がございました。それを受けて政府においては老齢年金あるいは特に福祉年金等についての充実に努力していただいたと思っております。  したがいまして、これはそういう一般的な意見だけでなくて、先般東京都が、財政難のもとにおける社会保障のあり方について世論調査をいたしました。お読みになったと思いますけれども、東京都の財政も容易でなくなるけれども、社会福祉、社会保障についてはより急速に充実をしてもらいたいというのが半数以上ございました。これは国民の要望だと私は思うのです。また、低成長と申しますけれども、現前に進んでおりますのはスタグフレーションといいますか、物価高とそれから生活困難、不況というものがございます。物価高の問題は努力をしておられますけれども、そして現実にはテンポが緩くなった云々という点もございますけれども、これは公共料金の値上げでございませんで、なかなか容易でない。そこで、低成長ではあるけれども、あるいは財政的には少なくとも来年は非常にむずかしい状態だけれども、そのもとでそのひずみを受けております弱い者といいますか、老齢者とかあるいは母子家庭とか、あるいは身体障害者とか、あるいは労働のできない人だとか、そういう人に対する手当ては急務だという意味で、低成長下といえども社会保障制度については充実をしなければならぬし、また望まれておるところだと思います。  そこでお尋ねをいたしますが、厚生大臣は年金問題について基礎年金構想等出されておりまして、あるいは、これは内閣の方針になっているかどうか知りませんけれども、ライフ・サイクル・ワークといいますか、これに関連をして御意見も出されたようにも思いますし、五十一年度の予算の中で社会保障に関連をしてどの程度に要求をしておられるのか。あるいは折衝中でございますから結論は得られておらぬか知りませんけれども、少なくともこれだけは実現しなければならぬというものがあるはずでございますから、それを承りたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 細かい話は年金局長からお話をいたしますが、私どもとしては、かねがね申しているとおり、昭和五十三年度に予定されておった財政再計算期を五十一年度に繰り上げてやっていきたいというふうにいろいろと考えているわけでございまして、第一に、御承知のとおりいわゆる物価スライドというものは毎年これを実施してまいりましたが、財政再計算時にはやはり賃金水準、生活水準といったようなものを織り込んでやっていくのが普通でございますので、そうしたことを勘案をいたしまして年金水準を改定をいたしていこうというのが第一であります。  それから第二には、これも当委員会等でしばしば議論になりましたが、通算制度に問題がございます。老齢通算年金というものがございますが、障害、遺族につきましては通算制度がございませんので、これを何とかひとつ起こそうということで、いまいろいろと検討、努力をいたしているわけでございます。中へ入ると実は非常にめんどうでございまして、各要件等もいろいろ違っておりますが、そうだといってもやはりやらないわけにはいきませんから、この点について何とかひとつ実現をいたしたいというふうに思っております。  次に、遺族年金の支給率ですが、現在老齢年金の五割ということになっております。これはいろいろ当委員会でも議論があり、また国会の内外でいろいろと御要望も高いものですから、これをできるだけ引き上げたいと思って、これについても意欲を燃やしているわけですが、これは先生、新聞やテレビでごらんのとおり、財政当局、かなり実はかたい決意で抵抗をしていますので今後の予算編成の一つの大きな争点になろうと思いますから、これはひとつ委員各位の御支援をお願いをいたしたい。厚生大臣、火の玉になってこれを取り組む所存でございます。  次に、標準報酬の改定をやっていかなければならない。これは医療保険と同じにしていきたいと思っておりますが、標準報酬の改定についてこれをやっていきたい。年金の方については、標準報酬の改定は給付にリンクをいたしますからある程度のメリットがございますので、そういう観点からも現在の給与水準等との関連において考えてよろしかろうと思っておりますが、下限をどうするか、上限をどうするかということについて、ごく近い間にまとめ上げなければなるまいと思っております。  次に、この委員会でもしょっちゅう議論になりました在職老齢年金制度がございます。これは、退職を要件にしておった厚生年金を働いておってもということでやった特例措置で、あの節には非常に喜ばれたのですが、どうも差し引かれるとか出ないとかいうことで、あれこれ御批判がございます。そこで、これについてもできるだけの改善を加えたいということでいまいろいろと内々で折衝をいたしております。スタンドポイントが違うとこれほど違った議論が出てくるのかと思われるような意見の食い違いもありますが、私どもとしてはお年寄りになって働いている方々の立場を考えて、できるだけの給付水準の向上——皆さんは制限制限と言っていますが、あれは制限かどうか知りませんけれども、あの金額なり率を上げていきたいと考えているわけでございます。  あらまし以上のとおりでございます。しかし、年金はこのようなことだけでは根本的な解決は困難だろう、私はかように思っておりますので、私どもとしては相当掘り下げた改善を次の段階でやっていかなければなるまいと考えて、この点についても目下鋭意作業、努力中であります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 ライフ・サイクル・ワークに関連をして、新聞紙上ではちょっと意見を承ったのですが、それに触れてはお話がございませんでした。しかし、新聞で見るところではどうも、大臣の言われる基礎年金とそれから社会経済国民会議の意見との間には——社会経済国民会議の意見の中には基礎年金のほかに収入に応じて加算する部分がございますね。総額において相当の開きがあって、田中厚相の考えられる基礎年金構想だけでは年金の水準を下げる役割りをするのではなかろうかという疑いを持ったことがございます、詳細に聞いておりませんけれども。  来年度予算に関連をして言いますと、これだけ物価が上がっておるところで一番困っておるのは、先ほど申し上げましたいわゆる弱者です。前々回の選挙のときですから四十二年当時に、とにかくいろいろりっぱな議論はあるけれども、すぐに二万円の年金をもらいたいという痛切な訴えをいただいたことを覚えております。それがスライドいたしますといまの金額で四万近くになるのじゃないかとも思いますが、要するに弱者あるいは働けない人の最低生活の水準は、これは憲法のいう水準でありますが、一般社会としてあるいは国際的に上がってまいりました。ですから、いままでの最低生活を保障するというものではいかぬと思います。あるいは生活保護はだんだん上がってきている、こういうお話があるかもしれませんけれども、福祉年金等に至りましては、御努力をいただいてまだ一万二千円です。いま年金の水準を上げたいというお話でございますが、その辺の基礎的な観念あるいは基礎的な標準、それとライフ・サイクル・ワークとの関連等について厚生大臣はどう考えられておるか、それを承りたい。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 私が、非常に未成熟なものでございますが基礎年金というものを新聞クラブに話をいたしまして、いろいろと積極、消極の議論があります。一部では大分おしかりも実はいただいたわけでございますが、私はあのままでなければならないなどとは毛頭考えていません。ああいうふうな発想について国民にひとついろいろ御批判を願ってみたいという気持ちから投げかけたわけでございまして、決してコンクリートなものであるというわけではございません。ただいま先生からライフ・サイクルとの関連についてのお尋ねがございましたが、ライフ・サイクルというのは、現在の社会事象の分析と政策要請の把握の仕方については私は高く評価をいたしております。しかし、各論につきましてはなお多くの検討すべきものがあると認識をいたしておりまして、与党においても御研究中だそうですが、政府部内でもそういう観点からいろいろと検討をいたすことになっております。  そこで、年金につきましては、私の考えている基礎年金とは似ている面もございますが、実はかなり違っている点があるようであります。ライフ・サイクルはかなり浩瀚なものでして、私読みましたけれども、あるいは誤解して読んでいるかもしれませんが、違っている点は、第一に、基礎部分の上に積み重ねるいわゆる報酬比例部分を、私どもの方の基礎年金では公的年金としてこれを把握しておりまして、公的年金としてやっていこうというのに対して、ライフ・サイクルの方では私的契約の年金というふうに考えているもののようでございまして、その部分は民間で各自適当にやりなさい、こういうことですから、その点が大きく違っているわけでございます。第二は、基礎年金を受けるカバレージが違うように私は理解をいたします。私どものところはすべての国民がということでございますので、その点の論拠が必ずしも明らかでないようでございまして、私どもは、従来年金について拠出に間に合わなかった人あるいは遅かったために未成熟な人を何とかいたしたいという考えから、極端な場合、いまの福祉年金制度の該当者まで基礎年金部分でカバーしようという考え方を持っているわけでございます。そうした点が基本的な違いである。したがって、私どもの方は標準報酬の六〇%を確保しようというのに対して、先方様は四五%と考えているわけでありまして、その違いはその辺から出てきているものと思っております。基礎年金部分については両者とも同じように考えていますが、私の方も、政府として初めてだろうと思いますが、あの部分については賦課方式を導入しようという、私としてはかなり思い切った、大胆な構想を出しているわけでございます。  しからば、基礎部分をいかにするかということについては、私どもとしては現在のところ確たる水準を持っておりません。これはもっぱら、国民一般の拠出意欲と努力に対応して、またその節の社会水準等勘案し、できる範囲内のことをできるだけ無理なくやろうというところから出発しようというのが私どもの現在の考え方であり、そのことが、あるべきナショナルミニマムという点から見るとあるいは御批判が出るかと思いますが、余り高きを望んで元も子もなくなるなどということは——私どもは実際家でございますから、したがってそういう点を考えてやっているわけでございまして、これについては今後国民大方の御意見や理解等々踏まえて、しかるべきところに策定をしたいと思っておりますので、新聞等に言われている金額等は私どもとしては確定したものではないということでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 年金局長も来ておられますけれども、ちょっと時間がございませんので先を急がしていただきます。  来年度予算に関連をして、生活保護基準の改定あるいは年金水準というお話がございましたが、福祉年金についてどういう要求をされますのか。それからもう一つ、社会福祉施設についてどういう構想と要求とを持っておられますのか、承りましょう。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 生活保護基準の問題でございますが、御承知のとおり、昔はマーケットバスケット方式あるいはエンゲル方式というようなことで毎年の生活保護基準の策定をいたしておりました。ここ十年ばかり、こういったことについて低所得階層の人々の生活を向上させるためには、一般の勤労世帯に少しでも近づけることを保護基準の内容にいたしまして、そういうことで例年保護基準の改定をいたしているわけでございます。来年におきましても、低成長下の経済の中でこういった被保護階層の人々の基準をいかにすべきかということにつきましては、近く経済企画庁から発表されます来年度の経済見通し、なかんずく消費水準あるいは物価の動向を勘案いたしまして保護基準の改定をいたしたい、かように考えているわけでございます。  また、社会福祉施設につきましては、御案内のように例年相当額の改善を見てまいりました。ここ数年、保育所と特別養護老人ホームにつきましては相当大幅な施設の増を見ております。しかし、身体障害者、精神薄弱者の収容施設につきましては必ずしも施設の増ではなくて、むしろ在宅対策の強化という方向で来ております。したがいまして、来年度の福祉施設につきましては、保育所、特別養護老人ホーム、こういった施設に重点を置きまして、なお、いろいろと時代の要請にかんがみまして、施設の中における内容の改善と申しますか、そういったことを中心にした施設整備を行ってまいりたい、かように考えているわけでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 生活保護と福祉年金については、来年度予算に関連をしてどの程度の向上といいますか、増加を目標にして努力をしておられますかという具体的な数字をお尋ねしたわけでありますが、いかがでしょう。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 生活保護基準につきましては、例年、経済見通しにおける個人消費の伸びを基底にいたしまして、これから外れることのないように今日までいろいろとやってきておるわけでございます。まだこの点について経済企画庁から確たる数字が出てきておりませんから、ここでもって幾%と言うわけにはまいりませんが、できるだけのことをいたしたいと思っておりまして、正直なところ、ただいま何%という数字を申し上げる段階までは来ておりません。  福祉年金につきましても同様なことが言えるのですが、実は私としてはこれを何とかいたしたいという気持ちでいっぱいでございますが、いかんせん、どうもこれはすべてが一般会計に依存している制度でございまして、しかも受給者の数が多いものですから、一万円上げるためには六千億、一千円上げるためには六百億という一般会計の財政負担が必要であるということでございます。現在、先生御案内のとおり非常な財政難でございまして、今年度予算も一般会計の四分の一強のものを借金、公債で賄っている。明年もこれ以上、三〇%とかなんとかいううわさもありますが、よくわかりませんけれども、そうした情勢でございますので、いろいろと財政当局はこの種の一般の歳出については相当切り詰めることを考えているもののようでございます。私は議論を巻き起こすといけないと思って余り言いたくないのですけれども、補助金等についてはずいぶんやかましいことを言って、これで全部で幾らだと聞いてみたところ、大した金額でないのをかんかんがくがくの議論をしているという状況下にありましても、私は何とか福祉年金を向上させたいと思って今日いろいろと努力しておりますが、まだ確たる数字は出ておりませんので、ごく近い将来、役所内部でもって決意を決めて、財政当局と折衝をいたしたいと思っているわけでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 この年金問題については近く社会党も意見を出すつもりでありまして、用意をしてまいりました。その中で福祉年金につきましては月四万円を考えておる。特にいま、財政難のもとにおいて一般財政から出すものだから云々というお話がございましたが、厚生年金の積立金を借用するということは、五年、十年たってまいりますと積立年金の支給がだんだんふえてまいりますから、一定の期間だと思いますが、これらの点についても意見を出しましたらひとつ御勉強願いたいということを要望します。  さらにその点について、実は社会保障制度審議会も、一般的な建議をしました後、年金問題について討議をすることにしております。見ておりますと、これは三木内閣になっての一つの特徴だと思いますが、総理大臣も、制度、法律に基づく審議会や何かでなくて、いわば自分の好きなブレーンを集めて意見を求めておられる。どうも三木個人色が強いということは、これは私どもだけではなさそうでございます。たとえば年金問題のごときについては、社会保障制度審議会は法律に基づいてできておる公認の制度ですからそれの意見等も調整はされると思いますけれども、私的な諮問機関で個人的な意見を出されて、それが自民党の政策になりつつあるようでございますが、これはやはり総理としては問題があろう。厚生大臣としても、仮に厚生大臣の私的な諮問機関をつくって、そこで厚生大臣の考えられるような意見を出させるというような方法でなしに、法律に基づく審議会あるいは各党の意見を聞くとか、あるいは国会なら国会の意見等もお聞きになる。それは学者の意見をお聞きになるのも結構ですけれども、個人的な諮問機関に意見を求められることは遠慮さるべきだ。これは総理大臣であろうと厚生大臣であろうとそう思いますが、これらの点についてはどうお考えになりますか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 私は、総理でも各閣僚でも、私的な諮問機関あるいは建議機関、相談のコミッティーを持つことは悪いことだとは思っておりません。しかし、それはあくまでも閣僚個人の今後の政策策定の一つの参考に資すべきものでありまして、主となるものはやはり公的な審議会、なかんずく国会の御意見等を踏まえて政策というものは展開をすべきものだと思っております。主として、私的な諮問機関の提言するものはアイデアというものが多いようであります。したがいまして、そうしたことを踏まえて、彼此勘案をして政策の向上にそごなきよう努力をいたすのがよろしいと私は思っております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 これは社会保障一般の中に入りますけれども、あるいは建議の中にも入っておりますけれども、特に中医協の再開が近いようでありますから、その見通しと、それから厚生省として医療費の引き上げについてお考えがございましたら、基本的な考え方についてお尋ねをいたします。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 中医協の再開問題、いろいろな経緯をたどりまして、いまちょっとというところまで実は来ているのですが、そのちょっとがむずかしゅうございまして、実はいま苦労しているわけでございます。ゆうべあたりの状況はなかなか大変な状況でございまして、私としては何とかこの難路を打開したいと思いますが、各方面にいろいろな御意見がありまして、これの一致点、調和点というものを求めていくというのがなかなかむずかしい機関でございます。皆さん首を長くして待っておられるのですから、できるだけ早く何とかやりたいと思っておりますが、これについては、私の諮問機関ではありますが、ある意味では私の権限を制約するという機能も持っている審議会でございます。したがって、ある面のところではやはりあそこの円城寺会長のお世話にならなければならぬ一面もあるので、円城寺会長も懸命の努力をいま払っているところでございまして、いまにわかにいつごろどうなるだろうということを言うと、おまえ何を根拠にしてそういうことを言うかということになりますので、この点についてはひとつ私と円城寺会長の努力を期待をいたしていただきたいし、また皆さんの方でも各側にそれぞれ働きかけていただくならば幸甚これに過ぐるものはないということになろうと思われます。  診療報酬の改定の内容でございますが、いろいろございます。いろいろありますが、一体アップ率をどの程度にするかということについては非常にむずかしい問題でございまして、実は私、厚生大臣としてこれに取り組むのは初めてでございますが、前任者等の話を聞きますとなかなかめんどうだそうでございます。やはり財政に関係がありますから財政当局の御了解を得なければなりませんし、また医療側、支払い側、そして厚生省、四者がそれぞれこの辺ということであうんの呼吸が合わなければできないということでございますので、これについてもまた今後、私、一汗かかにゃなるまいというふうに思っているわけでございますが、いろいろと今日、内部の上げ幅についての策定の作業もそろそろ始めておるところであるということでございまして、ただいまこういう場所で、幾ら、どういう形で改定がなされるかということを申し上げ得る段階までは来ておりません。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 中医協再開の前提といいますか、実質的な前提になっておりましたのは薬価の調査と、正常化ということであったと思います。新聞紙上によりますと、薬価の調査の問題については診療側との意見調整も済んで問題はないように承知をいたしますが、どうでございますか、お伺いをいたします。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 いま先生、一部をお述べになりましたが、支払い側が、九月九日であったかと思いますが、私のところに来て中医協の再開の要件として申したことは、正常化問題が第一、第二は薬価と経営実態調査を進めるという確約をいただきたい、第三は歯科の差額徴収問題について結論を得るようにということでございます。  第三の歯科の差額徴収問題につきましては、中医協の中の歯科部会で結論を出すことでございます。したがいまして、中医協が正常に作動すれば、私はある程度の期待が持てるだろうということを申し上げておりまして、これについてもいささかの支払い側の御議論がありますが、まあまあ何とかいけるではなかろうか。  第二の薬価調査あるいは医業経営実態調査につきましては、日医の方ではこれを進めることについて承知をいたしてまいりました。しかし、薬価調査のやり方、いわゆる今後の薬価基準のあり方等につきましてはいろいろと医療側に御注文がございまして、私どももしかるべき方向かと思っておりますが、なおこの調査の仕方については、あるいは薬価基準収載のあり方については過去において中医協で論議をしたことであるものですから、再開中医協でこれについていろいろと議論をいたしたいということでございまして、完全にセットをいたしたということではなさそうでございますが、おおむねこの点についても何とかなるものと思っております。  問題は正常化問題でございまして、これについてはいろいろと支払い側は激しいことを言っておりますが、いまの段階では、何とか医療側が今後の正常化についての確約をコメントしていただきたいということを私のところに要望してまいりました。医療側とは私直接会っておりませんが、円城寺会長と医療側との折衝によりますと、これは中医協の運営問題でございますから円城寺会長にお願いをしておったわけでございますが、どうもこれについては確たるお答えをいただきかねておるというのが最後にひっかかった一点であるというふうに私どもは理解をいたしております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 時間がそろそろなくなってまいりますから、最後は一括してお尋ねをいたします。  薬価調査だとか経営実態調査だとか、あるいは正常化だとか、医療協だけでも画期的なことが行われるわけでありますから、ここで相当の改革も行われるかと思いますが、しかし結局は診療報酬なり薬価なりを上げるということで終わるような気がいたします。  そこで、医療の実態は御承知のとおりでございますが、転換期に立っておるといいますか、たとえば救急医療の問題をとりましても、単に金になるとかならぬとかいう問題だけではなかった。これは政府もあるいは地方公共団体も関連をして、医療の社会化ということを考えられたかどうか知りませんけれども、そういう実態が出ていると思います。それから、普通、病院に参りまして、三時間待って三分診てもらえばいい方で、三時間以上になっておる。また大きな総合病院に入るのは、普通の人はなかなか困難であります。救急医療についても、持って回って、結局診療をしてもらうところがなくて死んだという人がときどき出ますが、同じように、総合病院に診てもらうことができないで、十分な治療をしないで死んでいる者がたくさんあるというのが実情です。ですから、医療全体について改革をすべき時期だし、総合病院と開業医のそれぞれの役割りを分化して画定をするとか、医療の性格に応じて社会化をするとか、あれだけ医科大学をふやされたけれども僻地の問題とかあるいは公務員の医者になり手が少ないとか、いろいろ問題がございます。  実情を見ると、厚生行政で一番強いのは、あるいは医療で一番強いのは製薬会社で、その次が医師会なり歯科医師会。厚生大臣は厚生行政では一番権威を持っておられるはずですけれども、必ずしも最高の権威ではないというのが実態ではなかろうかと思います。そこで、そういう悪口に近い批判をなくするためにも、これは思い切って善処を願わなければなりません。中医協がその機関ということになろうかと思いますけれども、これらの点について、社会党案も出してまいりますが、ひとつぜひ御検討いただいて、その方針を御推進いただくようにお願いをいたします。  最後に厚生大臣の所見を承って、質問を終わります。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 医療の問題については、先生御説のような問題がいろいろあるわけであります。診療報酬アップ、薬価アップというのですが、薬価の方はダウン傾向でございまして、いずれにしても総診療報酬は上げていかなければならぬというのか今日の——ですから中医協を何とか開きたいということであります。  さて、医療の供給体制については、私は三つ、四つの大きな問題があると思うのです。  一つは、要するに一般的には日本の医療供給体制というのはかなりのところまで来たのですが、休日、夜間という時間帯に一つの供給体制の問題がある。それからいわゆる地域帯、僻地、無医村等々の地域的な空白がある。さらに医療機関の機能分化をどうやっていくか。これがわが国においては相当混淆しているという御批判もあるわけであります。いま一つは、どうも日本の医療、ことに医師はきわめて専門化が進んだようであります。専門化が進んで医療水準の向上が非常に期待できた一面もありますが、余りにも専門化が進み、そしてまた国民一般も、スペシャリストでなければお医者に信用を置かないという一つのリアクションも出てきたようであります。こうしたことから、いわゆる最初のトリーティングをやるお医者様というものがだんだん欠如をしてきた。ここにまた休日、夜間の一つの問題があるようであります。専門化しているものですから、来る患者さんが自分の専門外であって手がつけられない、あるいは下手に手をつけて問題を起こしちゃいかぬというようなことで問題もあるようでありまして、日本においてはホームドクターといったようなものを卒後教育で養成をいたし、またこれの社会的地位と信憑性というものを高めていかなければ、私はいま言われているような社会事象というようなものがなくならないというふうに思ったりしております。しかし、なかなか長い歴史と経緯を持っておる問題でございますので一朝一夕にいかないと思いますが、こうした点についての問題意識を持って解決に臨んでいきたいというふうに思います。  なお、医療の問題につきましては、それぞれの専門家の間の各当事者の意見が非常にある意味では鋭角的に対決する場面が多うございまして、したがいまして、この間にあって厚生省が苦慮することは事実であります。大体仕組みが厚生大臣のなかなか自由にならぬような仕組みになっているものが多うございます。たとえば中医協、いやだと言って出てこなくなったときに、あれを出させるようにするのに結局説得以外に方法がないといったようなところに歴代厚生大臣の悩みの種があったんではないかというふうに思われて、一年間の厚生大臣の経験を通じていましみじみと、この点は何とかならないものかなと思っているのが私の偽わらざる心境でございます。

住栄作自由民主党

○住委員長代理 寺前君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 時間の制限がございますので、簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。  まず第一に、先日の委員会でも問題になっておりましたが、今年末までとされている国民年金の特例納付について、必要な要件を備えれば世帯更生資金を貸し付けるということの話でありました。ところが、その後も私のところに受け付けてくれないという話が出てきた。出されてきたところをちょっと列挙してみますと、大阪府の和泉市、高石市、堺市、こういうところから、拒否された、申し込みまでに間に合わないという事態が生まれてあきらめざるを得ないという話が出てきたわけです。そこでさっそく大阪の社協に聞いてみました。そうすると内規があるそうです。その内規で、貸し付けについては六十三、四歳の人に限る、申請の締め切りを十二月十日までにする、こういうことが実施されているということが明らかになってきました。私は、これはきわめて不当なことであり、必要な要件を満たしていれば貸し付けることは当然であると思います。したがって、このような内規を撤回させ、今年末までとされているのですから、年内いっぱい、十二月三十一日まで貸し付けが行われるような措置をとるべきだと思うけれども、どう考えておられるのか、これが第一点。  第二番目に、なぜそういう内規をつくったかということについて詰めて話をしてみたら、貸し付けの資金が不足しているということだ。大阪には三百万と言われています。そこで、金がなければ受け付けたってけらざるを得ないという運命になってくるという問題があります。これでは形式的な受け付けを何度やったとしても実際には処理されないことになる。これについて厚生省として緊急の措置をとるべきだと思うが、いかが考えられるか。  第三番目に、たまたま問題になってきたのが、あれほど問題にされていながら大阪で生まれてきたわけだけれども、ほかにおいても起こっているのではないか。とするならば、全国的に再度調査をすべきだと思うけれども、いかがなものでございましょうか。  以上三点について局長から御答弁願いたいと思います。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 第一点の問題につきましては、私どもも調査いたしまして、ただいま御指摘のとおりでございました。したがいまして、大阪府を通じまして、こういう内規的な制限を速やかにやめて、そして本当に困っている人に支給できるように措置するように、ただいまなお連絡し、また指導中でございます。  それから、年末まで貸し付け得るようにすることにつきましても、同様な考え方でこれも大阪府に連絡をして指導をいたしております。  さらに、第三点の資金枠の問題でございますけれども、御承知のとおりことし予備費で三億五千万追加いたしました。それぞれの府県におきましては、年間計画をもって貸し付けに当たっておられるようでございます。窓口が社協でございますので、直接私どもがこうせいああせいということについてはいかがかと思いますけれども、この点についてできる限り弾力的に対処し得るように指導をしてまいりたいと考えております、  なお、この十二月に入りましてから、特に世帯更生資金の福祉資金の対象枠について、できる限り弾力的に、十二月三十一日までの特例納付に可能な限り貸し付けができるように、再度通知をいたしまして指導いたしておるところであります。(寺前委員「全国的にですか」と呼ぶ)全国的であります。(寺前委員「事態の調査は」と呼ぶ)調査につきましては、後刻調査いたしたいと考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 その次に、前回の委員会のときに私、大久保製罐の問題についてお尋ねをいたしました。御調査されたことでございましょうから、実態はどういうことであったのか、そしてどう処理されるおつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 先週、十一日でございましたか、この件についてのお尋ねがございまして、さっそく翌十二日、年金福祉事業団の担当責任者をして実地調査をいたさせましたところ、その結果は、やはり先生御指摘のように、二階の体育施設のみならず、三階の集会所等に商品が置かれておりました。これにつきまして、会社の責任者等の話によりますと、昭和四十九年の九月ごろからそのような使用を始め、特に最近このような不況でございますので、滞貨がかさんで今日に至ったということでございますけれども、会社としては直ちに撤去を始めるという返答で、数日後には完全に復元するということでございました。事実、その後の連絡によりまして十四日じゅうに撤去を完了いたしております。  そこで、これらの実情を踏まえまして、年金福祉事業団といたしましては、これの取り扱いについて部内で検討いたしました結果、いろいろ事情はございますし、はなはだ遺憾なことではございますけれども、現実に本来の目的に復元しておるという事実、また厚生福祉施設としての今後の有用性等を考えまして、今回の取り扱いといたしましては、たとえば直ちに繰り上げ償還を命ずるというような措置はとらないで、厳重注意の上、本来目的に沿って使用するよう指導いたしたいということを申し越してまいりましたので、私どもも、先例等ともにらみ合わせて、会社には厳重に注意するということで、この事業団の措置については了承いたしたいというふうに考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 前回も指摘いたしましたが、雇用促進事業団のときにも同じように体育館をつくるということで実際は事務所にしてしまった。これは返還の命令が出た、こういう経過があります。これはまた二度目の問題です。私は、一度のときの話であっても問題だと思うのに、二度にわたってこのようなことをするというのは、きわめて悪質だと言わなければならないと思うのです。そして見つかったらそのときに改善をすればいいのだ、それでは、やはり得ということになるじゃありませんか。私は、やり得というようなことが、こういう障害者の問題をめぐって利用されているときには、がまんがならないのであります。したがって、やり得にならないように対処の方法を再度検討されることを要望したいと思います。いかがでしょう、大臣。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 雇用促進事業団の例もございますけれども、この場合は私どもの今回の場合と異なりまして、一、二階を事務所、倉庫等に使っておった例でありますけれども、結局は原状復帰が困難ということで、完全に目的外使用という形が残りましたので、繰り上げ償還を命じたようでございまして、厳密に言いますと、今回の年金福祉事業団の融資のケースとは目的外使用の復元の有無という点では異なっております。しかし、いずれにしても、このようなことがはなはだ遺憾であるということは否定できないところでございますので、事業団も含めまして今後二度とこのようなことがないよう、また会社については、先ほど言いましたように厳重に、取り扱い金融機関も含めまして指導することで今回の措置といたしたいというふうに考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私は、今回のその措置は納得いきません。このことについては大臣、こういう障害者を食い物にするようなことをする場合に、元へ戻したということで済まさないように、どう措置するかということについて厳しく御検討いただくことを再度これは要望したいと思います。  時間の関係がありますので次に移りたいと思います。  いよいよ予算の編成期に入りました。私は、予算の編成に当たって大臣がどういうふうに対処されるだろうかという問題について、二、三聞いてみたいと思うのです。それは前々回、去年ですかおととしですか、参議院で学童保育の制度について委員会で問題になりました。大臣から学童保育をやっていきたいというような御答弁があった。ところが実際、予算段階になって出てきたものを見ると、学童保育についての予算というのは、ずばりと削られてしまって存在をしていない。私は、国会の中で政府当局と委員会とが真剣に審議した内容について、その内容は最優先してやはり取り扱うべきではないのだろうか、そういうことから見たならば、あの学童保育の予算が削ってあるということ自身、最優先としてそのことは何としてもやり上げるのだという態度で臨むべきではなかったかということを、この前の通常国会のときに実は強く感じたものなんです。あれだけお約束になった話ですから、私はまさかと思っていたけれども、現実はそうなってしまった。     〔住委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理     着席〕  そこで、あそこまで論議されたところの学童保育です、大臣、今度はその点やり抜かれるのかどうか、お聞きしたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 学童保育の問題につきまして、確かに五十年度予算要求では要求があったにかかわらず、これは査定でだめになりました。私は実は速記を読んでみました。齋藤邦吉君の大臣答弁ですが、かなり微妙な表現を使っておったようでありまして、齋藤君にも実は私、聞きましていろいろなにしたのですが、あの議論を正確に読んで知っていたならもう少しやったのになという、率直なところそういうふうに実は思っているのですが、何しろ私は、大臣になったのは十二月九日で、予算折衝はすぐ、二週間かそこらでやったものですから、不勉強な点もあったと思いますが、今度は私、自分で答弁しているものですから、今度は何とかしなければ大変だ、こう思って予算要求も的確にさしております。また、財政当局にも強く予算説明で言って、事務当局から言わしておりますが、何分にもことしは御承知のようなことで新規はだめだ、こういうことを言ってきていますが、だめだと言っても、こっちは何とかしなければならぬということで、この問題では強く取り組む所存でございますが、ふだんのときのような努力じゃだめだ、ことしはえらいときにこれはやらにゃならぬわい、私はこう思っておりますが、それだけにまた、私としては強い決意で折衝に臨みたい。しかし、相手のあることですから、いまここでもって、確実につきますとかつきましたとかいうようなわけにはいきませんが、私がいま申し述べたことで私のただいまの心境をお察し願いたいというふうに思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 同じ種類の問題は、七十五通常国会の予算委員会で、老齢福祉年金について五十一年度から二万円にするというような具体的な目標のお話がございました。あの通常国会の段階よりも、消費者物価は明らかに十数%伸びている今日です。あのときの段階でも、五十一年度に二万円にしたいという数字をあえて言われているのですから、これは何としてもおやりになるのでしょうねということを私はお聞きしたいと思うのです。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 福祉年金につきましては、いろいろとその後の御議論がございます。私、ほかの委員会でも、また、この委員会でも申し上げましたが、あの議論というのは、一つは多賀谷真稔君から出た議論と、いまそこにおられる大橋敏雄君とから出た議論でありまして、要するに、福祉年金の目標額を一体どの程度にしたらよろしいかという議論が一つありました。それには財政方式の改定というものを踏まえなければできないのだということで、財政方式論議から議論がずっと展開されているわけでありまして、私といたしましては、財政方式を切りかえることによって福祉年金のあるべき姿というものを具現いたしたいというふうに考えて議論をしておったわけであります。しかるにどうも、あの速記を全部お読みになるとそういうふうな感覚を得られるはずでございますが、報道におきましては、そうしたような前提あるいは議論のプロセスというものを全く捨象をいたしまして、私が考えておる目標というものだけを報道しておりますものですから、国会議員の間にすらそういったような御議論が出ているわけでございまして、私どもとしては、そういうこともございますので、できるだけ早く財政方式を切りかえて、そして現在の福祉年金該当者というものについて、できるだけ私が考えているような福祉年金めいたもの、つまり給付金というものを給付いたさなければなるまいと言って作業を急いでいるわけでありまして、私、当時の心境から申しても、決して逃げるわけではございませんが、いまの一般会計にすべてを依存する制度で福祉年金をそのような金額に給付できるものとは考えてはおらなかったわけでございますが、この点についての受け取られ方がやや違っておる——ややというか、かなり違っておることについては、私としては非常に当惑をいたしているわけでございまして、そうした点についての御了承を賜りたいというふうに思っておりますが、そういう受け取られ方をしただけに、私としては、いわゆる財政方式論というものについては、非常に決意を新たにしてこれを早く実現をするように努力をしているというのが私のただいまの状態であり、心境であります。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 福祉年金というのは経過的な措置の年金だと思うのです、無拠出ですから。ですから、制度のないときにつくろうという年金ですから、したがって財政方式云々というのは、本来から言うならば、保険制度の別の問題だと言わなければならないと私は思うのです。問題はそれよりも、生活することができるための年金に向かって努力をしようではないかということが各種の審議会においても論議になっているところです。ですから、いまの一万二千円の福祉年金については、これでは低過ぎるということがあのときにも論議になったものです。その論議の過程の中で水準問題として五十一年度の二万円という話が出てくるのは当然であって、それは財源の問題は別個に考えるとしても、水準問題としてはそのぐらいのことはやらなければならないという気持ちになってもらわなければならないのじゃないでしょうか。私は、そのぐらいを出すというところに力点があってしかるべきだと思うのですが、大臣はそうじゃなかったのですか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 私としては、福祉年金というものはできるだけその程度のものを支給いたしたいものだというふうな目標はいまでも持っているわけで、何とかしてやりたいのだという気持ちは持っているのですが、何しろ一千円上げれば六百億もかかるものですから、したがって、あと八千円上げると四千八百億かかるのでございまして、そんなことが一遍にできるとは考えられないから、何とか知恵をしぼってこの際そうしたものの給付に足るような財源を見出さなければいかぬということで、いろいろそういうことをめぐっての議論の過程で出てきた話でありまして、財政論を現在のままにして一般会計にすべてを依存してそのような給付をやろうということは、私はやれるとは思っておりませんでしたし、ただいまはなおのこと財政不如意でございますから、したがって、できないということでございますので、私としては財政を、そのような給付の原資というものをこの際集めるための方法を考えていかなければならないというふうに考えているわけでありまして、熱意とかあるいは指向するところは私はいまでもさように考えているということは間違いがございません。ただ、政治家としてそれを実現しないのはいかぬじゃないかと言われればそれまででございますが、そのために私は、その手法というものについてただいま鋭意検討をし、急いでおるというのが私のただいまの心境であります。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私は、少なくともその目標は何はさておいても、経過年金だけでありますから、経過年金だけに積極的に財源をつくるために考えてもらわなければいけないし、また、この間の社会保障制度審議会で総理大臣に申し上げた内容というのも、低成長下にあってそれだけのことをするということは、全体の中からちゃんと出すようにするというのが当然であるという趣旨の意見を申し上げているのもそこにあると思うのです。私は、特段に予算を組まれるべきだと思いますが、これは意見にとどめたいと思います。  その次に、同じく年金問題でいろいろ問題になってきたのに遺族給付の問題があると思います。これは今国会で批准されたILO百二号条約にもあるように、遺族給付が老齢年金の五〇%というのは余りにも低いことになるのではないでしょうか。私は、これは早急に改善すべきものだというふうに年金の分野についても思います。同じく総理府の所管になるのでしょう。恩給法による公務扶助料等、戦没者遺族への給付率も同様に五割ということでは問題ではないでしょうか。あの戦争の中で、国家の命によって戦いに参加された人々、そしてその中で遺家族になった方々が、長年にわたって低率の扶助料で生活をしておられるということは、断じて許しておくことのできない問題だと思いますが、総理府お見えですか。——総理府の方はこの問題についてどういうお考えなのか、厚生大臣と相ともにお聞きをしたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 遺族年金が老齢年金の二分の一であるということにつきましては、古い時代からわが国においては一種の通り相場になってきたわけでありまして、古い時代にはどなたもこれについて余り疑問に思っておらなかったわけでありますが、最近、社会情勢等々との絡みにおいて、これは低過ぎる、もう少し上げるべきだというふうな御意見があり、百二号条約の批准問題等々と絡んでいろいろと論議がかまびすしくなったわけでございまして、私も、ごもっともだと思いますので、これについては七割程度に引き上げたいというふうに考えて、今日そのようなことで財政当局と折衝をいたしたいと思っておりますが、事実上この話は大蔵省もよく知っているわけでありまして、したがいまして、新聞に散見されるようにいろいろと論議が闘わされているわけでありますが、これについては財政当局はかなりきつい反論を示していることは、先生も御案内のとおりであります。しかし私としては、何としてもやりたいということで、これについてはかたい決意で臨む所存でございますが、さてそこで、これは総理府から違った御意見が出ると政府部内不一致で困りますから、どうしましょうか。——私は、公務扶助料というものについての考え方は、遺族年金とは同じではないという考え方を持っているわけであります。なぜかならば、私も、いまこそ厚生大臣ですが、かつてこういうことについて党内で議員としていろいろと政策策定に努力をした一人として考えてみるときに、公務扶助料のごときは公務扶助料の金額それ自体が多いとか少ないとかいうふうにあげつらって私どもこの金額の策定をしてきたのが過去十年、二十年の歴史であります。決して老齢年金というものを、この倍の金額、これが多いとか少ないとかいう議論をして、そしてそれを二分の一に割り返して公務扶助料がたまたまそうなるという議論はわれわれはしておらなかったわけでありまして、その意味では遺族年金と公務扶助料の問題というのは、おのずから思考過程、発想の過程において違うものであるというふうに思っております。しかしさればといって、公務扶助料がどうあるべきかということは、私があれこれ申すべきものではないと思いますが、私の過去の経験、折衝の経過等にかんがみますと、これを全く同列の議論をするということは、論理としては、物の考え方としてはやや正確なところを離れるおそれがあるというふうに思っているというのが私の心境でございます。

手塚康夫総理府恩給局恩給問題審議室長

○手塚説明員 確かに恩給法も、現行の恩給法が大正十二年にできまして以来、遺族給付というものは本人に対するものの二分の一というのが原則になっております。しかし、その前の時代は三分の一という時代がございまして、それが大正十二年に二分の一になったということで、われわれ二分の一というものが本来定まっていて、そうでなければいけないものであるというふうに理解しているものでは決してございません。やはり社会情勢の変化に応じてその辺の見直しも必要ではないかと考えております。ただ、われわれ考えますのは、その二分の一自体の問題というのは、遺族給付の水準の問題でございまして、その遺族給付算定の仕組みの一部にそういった二分の一という計算方式が入ってくるわけですが、問題は、そこだけではなくて、どうやって遺族給付を上げていくか、現在の遺族の状況にかんがみまして、私どもの方で出しております扶助料、決して私ども多いと思っているわけではございませんので、その辺、率の問題も含めて広くこちらで検討を進めているところでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 時間もあれですから次にいきますが、遺族年金や障害年金の通算もかなり当委員会で問題になりました。通算問題は五十一年度実施される予定なのかどうかお聞きしたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 これについては国会で大分議論がございまして、私も、何とかいたしたいという御答弁を申し上げております。その限りにおいては自分として責任を持ってこれは実現をいたしたいというふうに思っておりまして、これは努力のいかんによってはできるのじゃないか、かように私は思っていますが、ただ理論は非常に精細にやるといろいろな問題がありますが、とにかく通算制度を遺族と障害について起こすことについては、是が非でもやりたいと思っております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 もう時間が迫りましたので最後に、私のところに京都府盲人協会の会長さんの玉中修二さんという人から訴えが参りまして、ちょっと読ませていただきます。  近年、人生の半ばで失明する人がふえてきています。  私の住んでいる京都市右京区だけをみても昭和四十六年五十人、四十七年五十三人、四十八年四十一人、四十九年四十五人、五十年四十六人も出ています。  これは、交通事故や労働災害、各種の薬害など、社会的な原因によるものが増えているとみられます。  失明するということは、人間にとって、文字どおりヤミの世界に突落されたということです。  見る、聞く、触れる、においをかぐ、味わうなど、人間の感覚機能はどれひとつとして欠かせないものにちがいありませんが、とりわけ見ること、視力が欠けるということは、他の感覚機能の正常な働きさえも制限するといわれています。  私の身近をみても、こうした中途失明による悲しいできごとが多発しています。  今年の三月、一人の主婦が阪急電車に飛込み自殺をしました。三十五歳で二人の子供のいるこの方は、右眼を失明していましたが、残る左眼も近いうちに視力がなくなるという医師の診断を受け、絶望の果てに自からの生命を断ったものでした。  私自身も中途失明をしたもので、こうした悲しい話を聞くたびに、その深い苦しみ、悩みが身につまされてわかります。  同時に、ヤミの世界の絶望から起上ってきた私の体験からいっても、こうした悲しいできごとを起さない手段はないものかと真剣に考えざるを得ません。  失明という重大な障害があっても、道を歩き、買物もでき、炊事、洗濯もでき、子供を生み、育てることができ、字を読み、手紙を書け、働くことも可能だということを、不幸な中途失明者の人々に伝えて、はげましてあげたいと念じています。  私は京都府の盲人協会の役員をして、多くの人々の相談にのり、自分の体験を語り、はげましてきましたが、言葉だけの空しさを痛感せざるを得ません。  つい先日も二歳になる盲児を背負った婦人が相談に来られました。児童相談所、福祉事務所に行ったが、どうしようもないといわれたといいます。盲乳幼児の場合でも集団的な生活の場に入り、適切な指導があれば、普通の子供と同じように活発に遊び、成長していくことは、わかっていても、それを受入れてくれるところがありません。  また大人の場合も、歩行、生活、点字の訓練をやってくれるところや、専門家も具体的に答えることができないからです。  京都の場合は、市の補助でライトハウスがわずかな人数の歩行訓練をしたり一今年から府に指導員が一人配置されたというのが実状です。  こうした対策は、一人でも取残されてはならないことだと存じます。  聞くところによれば、川崎市では独自に五人の指導員を配置しているといわれます。  ぜひ国の施策として全国の都道府県に中途失明者の生活訓練を行う施設をつくり、少なくとも五、六人の専門指導員を置くような制度をつくっていただきたいと思います。  また、盲乳児対策を確立するようにしてくださることを心から訴えたいと存じます。  こういう手紙が来ております。一体どういうふうにやられるつもりなのか、お聞きしたいと思います。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 ただいま手紙をお読みになった事実については、そのとおりの事実があることと存じます。御承知のとおり、中途から視力障害になられる方は、現在二十五万といわれる視力障害者の中の二十二万に近い人々でございます。もちろん程度の差はございますけれども、そういった実情になっております。国といたしましては、国立の施設の中で、夏、学生が帰郷しております間に、一部これの中途失明者のためのいわゆる歩行訓練、生活訓練ということをいたしております。  また、ただいま御指摘がございましたが、大阪のライトハウスにおきまして、施設における歩行訓練士の養成をいたしておるわけでございます。ただ、こういった施設については非常に数も少のうございますので、国立の施設における、そういったいわゆる生活訓練の場を広げていくという方向でわれわれは対処してまいりたいと考えております。  また、民間等を通じてのいわゆる地域におけるそういった生活訓練、これは各県にお願いしておりますいわゆる福祉施策の中で、現在までのところ盲婦人に対する生活訓練をいたしておりますけれども、来年度からはこれを一般の成年の中途視力障害者の人にも及ぼすような事項を考えておるわけでございます。  そういった点で、まだ緒についたばかりでございますけれども、こういった点について今後さらに推し進めていかなければならない、かように考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 時間が参りましたから要望に変えたいと思いますが、視力障害センターは全国で五つの施設ですから、したがって、国立でやっているだけでは対応することはできない問題だ。そこでもう一つは、いわゆるメニュー化予算と言われる対応策でやっておられます。これは一県に数百万円というわずかなものです。これは視力障害だけではなくして、すべての障害者の地域活動費ですから、これでも保障することにはならないと思います。中途失明という事態が生まれたときに、それこそ真っ暗けになるという事態だと思います。ですから、制度的に都道府県あるいは政令都市で積極的に専門員制度を置いてめんどうを見る体制というのを御検討くださることを要望して、発言を終わりたいと思います。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 石母田達君。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 きょうは、きわめて限られた時間でございますが、二つの問題について質問したいと思います。初めは産業廃棄物の問題と、もう一つは救急医療の問題であります。  初めに、産業廃棄物の問題について質問したいと思います。この間、先ほど質問のありました寺前議員が一般廃棄物について質問をした折、その回答の中にも、いま産業廃棄物の方に全力を注いでいるので一般廃棄物については若干欠けるところがある、こういうようなお答えもありましただけに、この産業廃棄物についてはかなりの研究をやられたと思いますので、その点からお伺いしたいと思います。  まず、六価クロムの問題で産業廃棄物の問題が非常に大きな国民的なといいますか、社会的な問題になったわけであります。その中で、厚生省としては、これを契機に産業廃棄物の問題について真剣に取り組む、また、現在の廃棄物処理法についてのいろいろ不備の点もあるので、法改正ということを準備しているというふうにお答えがあったわけですが、いまの時点で通常国会に出されると予想されている法改正の点での要点、ごく主要な点でよろしゅうございますから、どういう点であるかを御説明願いたいと思います。

山下眞臣厚生省環境衛生局水道環境部長

○山下(眞)政府委員 実は、法改正の問題につきましては、本年の九月二十二日に専門の審議会でございます生活環境審議会に大臣から御諮問を申し上げまして、十二月十一日、先週でございますが、御答申をいただいたわけでございます。この御答申いただきました事項が、私どもが今後法改正を立案いたします場合の中心的な問題になっていく、こういうふうに考えているわけでございますけれども、その主要な点を主な項目だけ申し上げますと、まず一つは、産業廃棄物の処理をいたします責任体制につきましてきちっとした整備をいたしたい、ことに違法行為を未然に防止することができるような制裁措置、罰則の設定を含めましてそういった点の整備を図りたいというのが一つでございます。それからまた、工場や事業場におきます産業廃棄物の処理の責任体制をはっきりしていただく、その中には、排出された産業廃棄物についての処理状況、排出状況等の記録でありますとか、その保管義務でありますとか、しかるべき責任者の設置でありますとか、そういったこと等も検討すべき項目として上がっておるわけでございます。なおそのほか、産業廃棄物の処理業者の許可基準につきまして、これの明確化、場合によっては合理化というようなこと等が検討すべき事項ではないかというようなこと等も挙げられております。  なおそのほかに、現在何ら規制をいたしておられないわけでございますけれども、埋め立て処分地につきましても、事前の届け出等、所要の措置を定めまして、これについての所要の規制が行えるようにいたすべきではないか、そういったこと等が、審議会において議論をされ、御答申をいただきました主な項目でございまして、この項目を受けまして、私どもこれから立案に取りかかる、こういう状態に相なっている次第でございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 その内容については、私も、この答申やあるいはまた懇談会の方の報告書も読んでおりますので存じておりますが、政府としての法改正の要点と、そういう点を答申を踏まえて法改正の準備をしているという政府の方の態度はそのとおりであるというふうに見てよろしいのでございますか。

山下眞臣厚生省環境衛生局水道環境部長

○山下(眞)政府委員 実は、先週この答申をいただきますまでの間は、審議会の資料づくりやその意見の整理等に追われておりまして、やっと答申をいただいたということでございます。これから政府案としての案を関係各省とも十分協議をいたしまして詰めていくわけでございますが、私どもといたしましては、せっかく専門の審議会でいただきました項目につきましては、できるだけこれを尊重し、盛り込みたい、そういう構えで詰めに当たっていきたいと思っておるわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 今度は大臣に聞きたいのですけれども、いまの六価クロムの問題で厚生省、政府としてもいろいろ答弁されたわけですが、いまの諮問といいますか、それも政府の方から法についての不備があるので改正したいという点で幾つかの点を諮問されて、その結果こうした答申が出たというふうに理解しているわけですけれども、政府としてもそういう方向でやっているかということについて、もう一度大臣の方からお答えください。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 六価クロム問題に端を発した産業廃棄物処理の問題については、いろいろやってみますと、行政上の至らぬ点もありますが、そもそも法律制度そのものがどうも不十分であるということに気がつきましたものですから、したがって、法を改正しようではないかということを考えまして、事務当局にこれを命じたわけでございます。その後審議会、懇談会等でいろいろと議論がございまして、その結果答申等が出てまいったわけであります。この過程でずいぶん役所と審議会等々でいろいろ意見の交換をしておりますので、私どもとしては、この答申、報告等の内容を踏まえて、それに沿って法の改正をいたしたいというふうに考えておりまして、あとは各省庁との詰め等が現実問題としてあろうと思いますが、大筋としてはいま水道環境部長の申した点について法改正を御審議願うことに相なろうかと思っております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 その際、二、三ちょっとお伺いしたい点があるのですが、一つは、この間寺前議員も質問していた点ですが、一般廃棄物として排出される廃棄物の中で有害な物質を含むものについての取り扱いの問題なんです。たとえば七種類の有害物質が決められたわけですが、水銀の問題につきましても、日常、たとえば私ども乾電池をたくさん使っている、あるいはカメラなんかには水銀電池も使っている、それから小さいもので言えば朱肉とか朱墨も、これで見ますと水銀を使っている、それから螢光灯なんかは、日常非常にたくさん使用されているわけですが、これもこのもの自体というよりも、こういうものが廃棄されてどんどん処理される中には、あるいはこうした水銀が含まれているわけですから、こうしたものの有害性というものが影響せざるを得ないのじゃないか。あるいはまた、カドミウムの問題にしましても、いまはやっているカドミウム電池、盛んにテレビなどでも充電のできる電池ということで、かなり広まっておりますが、こうした問題とかあるいは顔料、これはかなり使っておりますが、塗料の問題、それからテレビなんかに使うブラウン管、こういうものが一般廃棄物として出てくるわけです。そういう中のこういう有害物質を含んだものの処理について一体どうやって規制するのか、あるいは処理していくのか、こういうことについては、今度の法改正の中では考えられているのかどうか、あるいは考えられているとすればどういう方向になっているか、聞かしていただきたいと思います。

山下眞臣厚生省環境衛生局水道環境部長

○山下(眞)政府委員 先生御指摘のとおりに、現在産業廃棄物につきましては、七種類の有害産業廃棄物を指定いたしまして、細かな基準を決めておるわけでございますが、一般廃棄物につきましては、公共水域の汚染防止、飛散、流出というような規定があるのみでございまして、この前寺前先生からもお話がありましたような問題点があるわけでございます。この一般廃棄物につきましては、けさの新聞にも出ておりますように、廃棄物の処理施設自体を水質汚濁防止法の特定施設として指定すべきだろうという中央公害対策審議会の御答申がきょう出ておるようでございます。そういう点からの水質汚濁防止法上の規制、今後の問題としてこれが一つ重なってくることは当然でございます。  それからもう一つは、廃棄物処理法上の処理基準の問題といたしまして、一般廃棄物の中にも有害なものがあるのではないかという問題でございます。この処理基準につきましては、環境庁と御相談をして処理していくわけでございますけれども、環境庁におかれましては、四十九年度、そういった実情の調査をされ、今年度検討委員会を設置しておるという状況でございます。その結論に従いまして必要に応じた措置をとっていくことに相なるということでございますが、いずれにいたしましても、この有害物の指定あるいはそれの細かな処理基準というのは、すべて政令事項ということで政令で処理されるわけでございます。したがいまして、明年度予定をいたしております法律改正を待たずとも、必要があれば政令で措置すべきでございますし、また法改正とはかかわりなく、必要に応じた措置を講ずべき場合には講じ得るというようなことでございまして、政令段階での措置によって処置し得るような内容になっております。当然、今後法改正に当たりましてそういった問題等も、環境庁と御相談しながら検討の一環になっていきますけれども、問題の性質はそのようなことであるわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 もう一つは、今度の六価クロムで日本化学ですか、あの社長なんかとやり合っているように、処理業者に頼んだ、それでその責任は一体どうなんだという、さっき責任体制と言われたけれども、いわゆるそういう排出者の責任を明確にするという点で、今回のように、もう処理業者に頼んだからおれは知らぬのだ、それは処理業者の責任だと言って排出者がその責任から免がれるというようなことが許されるのか、それをきちんと明確にできるようになっている、そういうことも検討しているのかどうか、その点を……。

山下眞臣厚生省環境衛生局水道環境部長

○山下(眞)政府委員 まさに、ただいま先生が御指摘になりました問題が、この夏以来非常に問題とされておりますことでもございますし、かつまた、生活環境審議会におきましても非常な議論が行われた点であるわけでございますが、少なくとも審議会の御意見といたしましては、事業者が処理業者に委託いたします場合には、はっきり相手が許可業者であることを確認させる、あるいは委託いたします場合に、委託いたします廃棄物の内容を告知させる。それから現行法でも無許可業者に委託してはいけないわけでございますが、これに対する制裁規定がございません。無許可業者に委託した場合については、それについて所要の罰則を設ける等の制裁措置を検討したらどうかというようなこと等々がございます。さらに無許可業者に委託した場合について、その無許可業者の処理が違法な処理であった場合については、委託した事業者についても所要の措置が出せるようなことを検討してみたらどうかという点までいただいております。ただ、事業者が正規の許可を受けた許可業者に委託いたした場合でありまして、そしてその許可業者がみずから責任と判断において処理いたしました分につきまして、さかのぼって事業者に所要の罰則その他の措置をかけられるかということにつきましては、法律論としてなかなかむずかしい点があるのじゃないか、その点だけはいささか問題が残ろう、こういう御意見が多かったのでございます。そういった御意見をいただきまして、今後法制局その他関係各省とも十分詰めてまいりたい、かように思っております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 その点は世論もありますし、私どもの要望としても、ぜひそうした有害物質を特に含むような産業廃棄物を出すという排出者については、十分な責任を明確にさせるようにしていただきたい。また、制裁措置においても十分な措置をとるようにしていただきたいと思います。  もう一つは、あの場合も問題になっているのですが、つまり捨てて問題になった、その捨てて問題になったところを原状回復が命令できるようにしてほしいというのが、大分新聞の論調でも出ていたと思うのですが、この点についてはどうなんですか。

山下眞臣厚生省環境衛生局水道環境部長

○山下(眞)政府委員 現行法の解釈といたしましても、事業者の処理基準違反につきましては、所要の措置を命じ得るという規定がございまして、その解釈としていけるのじゃないかという意見があるわけでございますが、御指摘のとおりに、処理業者の処分違反につきましては、許可の取り消しもしくは業務の一時停止という措置があるだけでございまして、それに対する所要の措置命令、改善命令という規定が現在脱落をいたしておるわけでございますが、この点につきましては、審議会といたしましても、ただいま先生の御発言のとおりの方向で検討したらどうかという御意見をいただいております。私どもも、その線で検討いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 それから、実態の把握がきわめて困難でほとんどできていないという状況であるというようなことが、懇談会の報告などにも書いてありますけれども、この実態の把握については、クロムの問題を契機にいたしまして、とりあえずクロムを取り扱っている約五千工場について十月からいろいろな立入調査を始めている。その他の有害物質を含む廃棄物についても、来年度を目途に予算を組みながら調査を進めたいというようなことが出ておりますけれども、全体の産業廃棄物の排出量が三・二億トンとも言われ、七・一億トンとも言われているので、これはどちらが正確なのかということと、この中で有害物質を含む汚染とか鉱滓その他のそういう排出物というのは一体どのくらいあるのか、これがわかっていたらお知らせ願いたいと思います。

山下眞臣厚生省環境衛生局水道環境部長

○山下(眞)政府委員 その前に、先ほど申し上げました有害な産廃についての総点検実態調査、全国で約一万七千の事業所と見ているわけでございますが、今年度取り急ぎ、その中で、クロムを流出するものについてはクロムのみならずその他の物質も出しますので、全体につきまして取り上げたいと思っておるわけですが、約一万二千と見ております。その分を年度中に——そのうちの処分地等の状況は来年度にずれ込む分もございますけれども、大半については本年度中に把握いたしたいということでいま作業をいたしておるわけでございます。  それから、全体の産業廃棄物の排出量の問題でございますが、七億トンという数字を申されましたのは、実は昭和四十六年当時に初めて廃棄物処理法ができまして、何ら資料がございません当時におきまして、大阪府でございましたか、一府におきましてある程度の資料があった、それをもとにいたしまして引き伸ばした、全国推計をいたした数字でございまして、さほどの根拠は、確実な数字ではなかったわけでございます。今年度に至りまして、昨年並びに一昨年におきまして各都道府県において実施されました実態調査を、こちらにおきまして積み上げました数字が大体三億二千万トン、こういうふうに把握をいたしておるわけでありまして、私どもとしましては、この数字の方が真実に近い数字であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、この三億二千万トンのうち、どの程度が有害産廃であるかということについては、率直に申し上げまして確実な把握はいたしておりません。実は、ただいま実態調査を進めております結果等によりまして、その辺が明らかになっていくと思うのでございますが、各府県の実例一、二調べてみますと、大体一%から少ないところは〇・三%ぐらいという幅の中で有害産廃の量があるようでございます。もし一%と見ますれば三百万トンでございますか、〇・三%程度と見ますと八、九十万トンというふうな推計等ができるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、確たる有害産廃の量というものは、現在のところまだ把握しておらないという状況でございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 これは非常に重大な問題なんですね。特に有害物質を含む産業廃棄物が、六価クロム以来非常に重大な社会問題となったわけですから、これは早急に全国的な実態をつかむようにしていただきたい。その中でいま一万七千カ所と推計しているということですが、私どもの得ている状況では、有害物質を含む産業廃棄物を排出している事業所の全体の数字をリストアップしているのは、十五の県と七つの政令市にすぎないというふうに、私どもの調査ではなっているんですけれども、この一万七千カ所というのは、いま私どもの調べたものとの関係ではどういうことでしょうか。

山下眞臣厚生省環境衛生局水道環境部長

○山下(眞)政府委員 実は、私どもが当初一万七千と申しましたのは、水質汚染防止法によりまして有害な排水を出します特定施設の数というものが把握できるわけでございますが、これが約一万二千あるわけでございます。それ以外にも有害な産廃を排出する事業場があるであろう、それを一定の推計によりまして約一万七千と推定をいたしたわけでございますが、先生先ほど申されましたように、九月に全国に指示をいたしまして、現在実態調査を行わしておるわけでございます。その実態調査の一番最初の仕事がリストアップになるわけでございます。どこに有害産廃があるか、事業場があるかという、そのリストアップになるわけでございます。したがいまして、その後九月、十月等においてリストアップがどんどん進んでおります。その状況を中間的に現在私ども、まずリストアップの数だけ教えてくれぬかということでとっておるわけでございまして、ほぼ全数出そろいまして、あと一、二の政令市を残すのみになっているわけでございますが、現在の状況で約一万六千ちょっとという数字になっておりまして、私どもといたしましては、当初推定いたしました一万七千の有害産廃事業場という数字はほぼ正しかったのではないか、かように推計をいたしております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 ではついでに、私の神奈川と横浜、もしそのリストアップのうちに入っていたら個所数だけでも……。名前の方は後で報告してもらっていいですから。

山下眞臣厚生省環境衛生局水道環境部長

○山下(眞)政府委員 神奈川県につきましては、神奈川県とあと横浜市、川崎市、横須賀市という政令市でございます。それを集計いたしてみますと約千百三、四十という事業場ではないか。一つの事業場で二種類の有害物質を出しているところもございますから、それを統括して事業場数で申しますと千百三、四十というところではないだろうかと思っております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 もう一つ数字の点で、産業廃棄物の年間の処理施設の公称能力ですね、これはいろいろ処理業者や公社でやっているという数も含めて、あると思うのだけれども、能力というのはどういう……。それといわゆる産業廃棄物のうちで、そういう処理をしなければならない量はどのくらいなのか。それをやる能力というのはどのくらいなのか。わかっていたら教えてください。

山下眞臣厚生省環境衛生局水道環境部長

○山下(眞)政府委員 産業廃棄物の処理施設の汚泥なら汚泥、廃油なら廃油、そういった種別の施設数、それから施設の総数、これは把握をいたしておりますので、いま、あるいは後ほど、それでよろしゅうございましょうか。(石母田委員「それはわかっております」と呼ぶ)実はその施設における処理能力というところまでは、現在の時点では把握をいたしておらないのでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 この点大臣、産業廃棄物のうちで処理しなければならぬ量と、それからそれをやれる能力、これがまだ実態がつかめてないんですね。この点、対策を立てるためには非常に大事な問題だと思うし、もう一つ、ここの数字で、これは厚生省の調べですが、処理業者の許可件数を見ますと収集、運搬というところは、たとえば有害物質のものだけ見ても百五十、あるいは一般のもの六千六十六あるんですね。ところが、中間処理及び最終処分までできるということになると、これが有害物質のものだけでも四件しかなくなる。処理できる業者というのはもう非常に少ないんですね。そうすると、収集、運搬できる者が当然不法投棄するというようなことも、こうしたところの実態から出てくるのじゃないかと思うのです。この点を含めまして、きょうは時間がありませんので、いずれまた、そういう改正法案ができたときにいろいろ論議をしたいと思っておりますが、こういう点を踏まえて十分にこの産業廃棄物の問題、特に有害物質を含む産業廃棄物の処理その他については、六価クロムの事件がありましたし、今後もこういう事故が起きる可能性が非常に強い状態でありますので、政府としても十分な対策をお願いしたい、こういうことを、この点の最後の質問として大臣にお伺いしたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 産業廃棄物の適正な処理のためには、できるだけの万全なことをやりたいというふうに思っていますが、ただ処理法、この法律の改正、いろいろ聞いてみると、まだ実は問題いろいろあるようでございまして、これはすべてを完全な形でやろうということになりますと、これまたいろいろ問題がございますので、とりあえずのところをひとつできるだけ詰めていこうということでございますが、いずれにしても、とりあえず問題のないように大いにきめ細かく努力をいたしたい、かように思っております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 もう一つの質問の救急医療の問題なんですが、この間、六月二十六日の質問のときに、私の質問に対して救命救助センターの設立の問題についてお答えがあったわけですが、その後、これが二十億円の予算、全国八カ所ということでありまして、こうした施設は非常に喜ばれているわけですが、この点の予算の獲得という問題については、特に大臣の決意をお伺いしたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 救急問題につきましては、世間でいろいろと御論議のかまびすしい今日でございます。いろいろな施策を固めなければなりませんが、いまわれわれの役所で予算要求をしておる救命救急センター、これはぜひ私としては実現をいたしたいというふうに思っていますが、聞くところによりますと、財政当局は、今日の財政でございますので、いろんなことを言っているようでございますが、私どもとしては、これをできるだけ確実に実現をさせたいというふうに思って、かたい決意で折衝に臨もうと思っております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 特に私の住んでおります横浜の問題につきましては、人口が非常に多い中で、急増地域の一つでありまして、この休日、夜間の救急医療の問題は、きわめて切実な問題になっているわけです。そしてこの間も、その点についてはいろいろ事実を申し上げておきましたが、特にこうした施設を必要とする地域であるわけでございます。そうした点で、国立病院もあることでございますので、このような救命救助センター、応急病院の設置を横浜などにぜひ実現していただきたい、こういうことを要望したいと思いますが、この点についてもぜひお願いしたいと思います。

石丸隆治厚生省医務局長

○石丸政府委員 ただいま予算要求をいたしておりまして、目下財政当局と折衝中でございまして、個所づけ等につきましては、今後の問題として処理いたしたいと思いますが、ただいま先生御指摘のように、横浜という地域が非常に交通事故の多いところでございますし、また、そういった患者さんも多いようでございます。特に救命救急医療を行う上で前提となります条件といたしましては、診療スタッフの医療供給体制の供給源といたしまして、地元医科大学等から全面的な協力を得なければなかなか実現困難でございますが、横浜につきましては、地元の横浜市立大学との間の連絡も十分とれているようでございますので、この実現に向かいまして最大の努力をいたしたいと思います。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 最後にもう一つ、年末年始の問題で、いつも私のところへ夜中、朝、病人から電話がかかってくるわけです。非常に気の毒なんだけれども、消防署の方からもこれまたいろいろ苦情が来るのです。それで年末年始のこの救急医療体制については、お医者さんの休みたいというのも、これはもちろん人権問題ですけれども、しかし患者にとっては、この問題が非常に重要な問題になっておりますので、こういう年末年始の救急医療対策については、やはり特別の対策をしてほしい、こういう点についてどういう対策を考えておられるのか、これを聞かしていただきたいと思います。

石丸隆治厚生省医務局長

○石丸政府委員 救急医療の確保につきましては、常日ごろから機会があるごとに都道府県を指導いたしておるところでございますが、特に年末年始につきましては、比較的長期間にわたりまして各医療機関が一斉に休業するという非常に特殊性があるわけでございまして、そういった期間におきます救急医療体制につきましては、関係医療機関及び地域医師会等の協力を得まして、休日夜間診療所の運営に万全を期してまいりたいと考えております。なお、休日夜間診療所等の設置されていません地域につきましては、地区医師会の協力を得まして、当番医制等によりまして従来からも実施しておるところでございますが、今後ともさらに、この年末年始に向かいまして、その協力方の依頼等もいたしたいと考えております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 質問を終わりますけれども、こうした休日、夜間の診療体制なんですが、夜間というのは国会ではそう言いますけれども、実際には横浜でも夜間はやってないのです。休日診療所という形で十四区のうち五カ所ぐらいしかまだないというような状況ですから、休日、夜間の診療体制の整備を行う予算などを含めまして、こうした救急医療の問題で強力に政府が大きな努力を払うよう心から要望いたしまして、私の質問を終わります。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 私は、年金問題について若干質問をいたします。  そこで大臣に、これは質問というよりも物の考え方なんですが、一般社会通念といたしましても常識といたしましても、うそをつくとかあるいは裏切るとか、また、何といいますか約束を破るというようなことは、人間社会の正常な運営に大きな阻害を与えることはもうおわかりだろうと思いますね。ましてや政治を担当している者が、公の場で国民に対して約束をした、すなわち公約をしたことについて、もしそれを実現しない場合は、これは大きな政治不信につながることはおわかりであろうと思うのです。  そこで、いま五十一年度の予算編成の真っ最中であるわけでありますが、せめて厚生大臣が国民に対してお約束なさったことだけは是が非でも果たしていただきたい。三木総理は、いろいろとりっぱなことをおっしゃるのですけれども、その内容はほとんど実現しなかった。つまり公約違反の総理だということで大変な不信を買って、その支持率も想像以上に下がってきている事実を御承知と思いますが、田中厚生大臣だけはそうあってほしくない、このような願いを込めて私はいまから質問に入らしていただきます。  まず、福祉年金二万円程度の支給について、私は、二月の二十二日だったと思います、忘れもしませんが、社会的不公正是正の集中審議ということで予算委員会で質問を申し上げました。そのとき田中厚生大臣みずからおっしゃったことがあるのです。きょうその会議録を持ってきておりますからお読みいたしますが、「先般私は予算委員会で、総理もおっしゃいましたが、月額二万円程度の福祉年金を支給いたしたいということを申しておりましたものですから、」これから先が大事ですよ。「これは公約でございますから、何としても財源を見つけてこれを実行いたさなければならないというかたい決意のものに、あれやこれやの手法を駆使いたしまして、その実現を図るべくいろいろと努力をいたして、検討をいたしております。」このようにおっしゃったわけです。その後に、実は私が私の考えとして、資金運用部資金の借り入れをやりながらその財源確保をしていったらどうですかという案を示して質問したのでございますが、それについても、あなたが示した案はベストであると結論づけるのはなお軽率だと思うけれども、大いに参考にはしたい、いずれにしましても、ここで、公約なんだから、何としても財源を見つけてこれを実行いたさねばならないとかたい決意をしている、こうおっしゃったわけですね。みずから公約だとおっしゃったわけです。それからまた、私がいろいろと質問した中に、二万円のことについていろいろ御答弁なさっておるわけでございますが、それも決して否定はなさっていないんですね。私は、厚生大臣がこうおっしゃったことについて確認をとったのです。「あなたは、ベストではないけれども大変参考になる、五十一年度には二万円を実施する、こういうふうに見ていいですね。」と、このように私が質問いたしましたことについて「二万円の方は、私は必ず実施をいたしたいというふうに思っております。」こう答えられました。その後また私が繰り返して質問した中に「厚生大臣は五十一年度から二万円にいたしますと確約なさいましたので、その点については私は多といたしますが、」と、ずっとこう続いているわけですね。  このように、あのときの質疑応答を見てまいりますと、これはもう会議録でもはっきりしているのですが、一歩も逃げられない確約になっているわけです。ところが、先ほど委員の質問に対して、あれは前後があって誤解をされているのだというような意味の御答弁をなさっておりましたが、それはいかに抗弁なさろうとも、これは無理ですね。実は、この会議録ができました暁に、私は、与党の責任ある方にこれをお見せして、この厚生大臣の約束というものは逃げられる内容ではないですねと言いましたら、見れば見るほどこれはもうはっきりしたものだ、どうしようもないですねと、こう言っておりました。しかし私は、その後でその方からいろいろと与党内部の事情も漏れ聞きましたので、人間的には同情もしないわけじゃございませんけれども、あの二月二十二日の質疑応答というものは二人だけでやったわけじゃない。公の場所で、予算委員会ですね、しかも副総理もいました、大蔵大臣もいた中での話し合いでありまして、私がこのように申し上げたことに対して、最終的には否定もなければ反論もなかった、こういうことですから、これはもう完全なる公約になったと私は思っておりますが、これについてどうお考えですか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 二月二十二日の私の答弁でございますが、これは先生みずから御質問をなさったのですから、前後のいきさつについては先生よく御存じだと思うわけであります。あの議論というものは、つまり福祉年金の財源論をもって終始をしたことは事実でございます。私もまた財源論で御答弁を申し上げておったわけであります。そして私としては、当時から今日に至るまで、この種のものは二万円程度のものは差し上げたいものであるし、差し上げなければならぬものというふうに思っているわけでございまして、したがいまして、いま先生のお読みになったとおりでございまして、私も、速記録を後で、いろいろと取りざたされているものですから克明に読んでみました。財源を見つけてあれやこれやの手法をもって何とかいたすというふうに検討をいたしたいということでございまして、一般会計でこれを実現するということは、私の脳裏には全然なかったわけでございます。したがいまして、このときにはいわゆる財政論というものを踏まえて、言うなればいまわれわれの間にあるライフサイクルや、私どもの基礎年金構想にあるものを脳裏に置きながら答弁をいたしたというのが私の心境であったことは間違いがございません。  なお、これについては、いまそこのところをちょっと省略してお読みになりましたけれども、最後のところで、公約ですから何とかやります、こういうところでございますが、五十一年度からということは私はそこでは申しておりませんけれども、しかし私としては、そういう方向を実現したいということを考えておるものですから、したがってその後、こういったような財源を見つけるためにあれやこれやの手法を検討するということはやらにゃなるまいと思って事務当局を督励いたしまして、こういったようなことを実現する手法——それこそ手法というものをいまいろいろと検討いたし、党内でプロジェクトチームをつくっていろいろとやっているわけでありまして、その一部を御披露申し上げて、今後これを実現に向かって持っていきたいものだというふうに思っているわけですが、何分にも財源を特別に見つけていくというやり方でございますので、したがって大方の御了承なり御納得をいただかなければなりませんから五十一年度には間に合わない、できるだけ早くこれを間に合わせたいというのが私の考え方でありまして、決して私が虚言を申したということではございません。本当に私はそのぐらいの金額は出したいものだという気持ちでいっぱいなんでございますが、何分にもそうしたような財政論、財源論ということをクリアしなければできないということであります。  もう一つ、先生に御理解願いたいことがあるのですが、実は予算委員会のときの財政事情とその後の財政事情というものが非常に違ってきたというところに、実はこの問題じゃございません他の一般の問題についても、非常に苦労があるわけでございまして、あの節には私も先生方も、こんな財政状況になるということは考えなかったわけでありまして、そのことを踏まえて答弁をしておりますが、しかし、さればと言って答弁したことはやらなければなりませんから、非常な苦労が、実はいま、この予算折衝期をめぐってあるということだけはひとつ御理解願いたいと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 大臣のいまの答弁の中で、私の心境はこうであった、ああであったといろいろ御説明なさいましたが、私は大臣の心境は認めますよ。それは認めるのです。ようくわかります。しかし私はその五十一年度ということは約束してないとおっしゃることは、これはやはりからりとお認めにならなければならぬことになっているのです。なぜならば、私が大臣の答弁に対して再確認しているんですよ。「あなたは、ベストではないけれども大変参考になる、五十一年度には二万円を実施する、こういうふうに見ていいですね。」と私が確認をとったんですよ。いいですね。「五十一年度には二万円を実施する、こういうふうに見ていいですね。」と、とっているんですよ。そうしたら「二万円の方は、私は必ず実施をいたしたいというふうに思っております。」と、こう答えられたのです。ということは、公明党の提案をそのまま取り入れることについては約束できないけれども、二万円の金額の方については約束しましょうということになるでしょう、これは。しかもその後に私が質問しております。「それでは結構な話でございますが、わが党のこの案をのんでもらえば、毎年二万円の年金額を一〇%ずつふやしていっても、なおかつ十分に運営できる、また支給できる内容でございます。いま厚生大臣は五十一年度から二万円にいたしますと確約なさいましたので、その点については私は多といたしますが、」と、こう続いているんですよ。その後で厚生大臣は否定なさいましたか。反論なさいましたか。この会議録を見る限りにおいてはありません。ですから、それは心境はわかりますから、その点についてはあっさりとお認めになって、申しわけなかったとお言いになる方が大臣らしくもあるし、人間らしくもあるということですよ。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 答弁の速記がここにございますが、「二万円の方は、私は必ず実施をいたしたいというふうに思っております。」と、こういうふうに言って、私が実施をしたい福祉年金の金額はこの程度だということを申し上げているわけですが、しかし、その後に先生が五十一年度にというふうに……(大橋(敏)委員「その前も言っているじゃないですか」と呼ぶ)前にもそういうことを言っておりますが、私のここの答弁はそういうことでございますが、しかし、あれこれいまここで議論してもいたし方ございません。私としては、二万円というものは出したいものだということを考えておりまして、そのことについての財政論というものをいまいろいろと鋭意検討をし、努力をしているということだけは事実でありまして、言いっ放しでもって何もやってないということではございません。しかし今日、そういうふうに受け取られておるということについては、私は実は非常な心の重荷になっているわけでございます。したがって、もう少しこの点についてのあなたの御質問についても、最後のところで、いや、それはちょっと誤解でございますということを言っておけばよかったなと実は後悔の念もあるのですけれども、いずれにしても、私としては、この金額を実施することに向かって何としても狂奔をしなければなるまいというのが私の率直な心境でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それじゃ、もうこれは幾ら議論しても、あなたはそういう立場でお逃げになるでしょう。しょうがないから、福祉年金の性格をどのように考えているか、これをお尋ねします。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 福祉年金は当初いわゆる補完的、経過的年金として、言うなれば敬老的なものから出発したことは事実であります。当時一千円——当時でも一千円というのは、こういう性格を如実に具現したものであるというふうに思いますが、その後、国民の福祉年金に対する感覚というもの、物の考え方は微妙に変化をいたしてまいりました。今日では福祉年金でも何とか生活を支えるに足るようなものにしてくれという声がございます。しかし、政府といたしましては、多大な財源を必要とするものでございますから、それに十分おこたえすることは困難であろうというふうに思っておりますので、したがって、いままでの私以前の政府側の答弁でもそうでございますし、私もそのような趣旨で答弁をいたしましたが、生活設計の支えに足るような年金というふうに言っていることは、これをあけすけに言えば、これで全部食べていかれるというところまではお約束はできない、何がしかの役に立つように、要するにお小遣い程度であってはいけない、お小遣いというか、いわゆる気は心ということであってはいけないというふうなことで、その辺に位置づけられているものでございまして、確たる概念規定というものはまだ定着をいたしておらないというのが真実だろうというふうに思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 もはや福祉年金は経過的年金だとか補完的年金とかいうことで性格づけをしてはならない、私はこう思うのです。社会保障制度審議会もことしの二月六日に、国民年金法等の一部改正について厚生大臣に厳しい答申を出しておりますが、この中でも「福祉年金に生活保障的な色彩を加えることは、時代の要請である」こうはっきり言っておりますね。  そこで、私が三月の二十六日に、この社会労働委員会でやはりこの問題について質問いたしましたが、そのとき厚生大臣は、先ほどからおっしゃるように、二万円程度の福祉年金は出したい心境でいっぱいなんだ、こうおっしゃっていました。じゃ出したらいいじゃないかということを言いまして、それと同時に、いまの答申を尊重してやるかということについて質問しましたら、もちろん答申も尊重する、その程度のことはやりたいと思っている、決意も十分だけれども、残念ながら答申が出たのは予算編成が終わった後なんだ、やりたいけれども予算の関係でできなかった、しかし、答申は今後私は尊重してやっていくということを三月二十六日の委員会で答えております。  そこで、今回は予算編成の時期ですから、尊重するならば二万円程度はぎりぎりでしょうからね、当然そこまでは要求なさるはずでしょう。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 生活保障的色彩を持たせるべきであろう、こう言っております。色彩というところに実は非常に意味があるわけでございまして、そのものずばりだというふうに審議会でも言っておらないわけでございます。「福祉年金に生活保障的な色彩を加えることは、時代の要請である」加えていかなければならぬということでございますので、私としては、福祉年金の金額はできるだけこれを向上させようというふうに思って、現在いろいろ考究をいたしているわけでございまして、できるだけその方向でいきたいと思っておりますが、何分にも先生御承知のとおり、政府もお手元不如意でございますので、どこまでいきますか、この多大な予算を必要とするものについて、私としては、多々ますます弁ずるという考え方を持って——厚生大臣というのは本当にそういう気持ちなんですけれども、そこのところは現実的な帰結というものが出てくるものだろうというふうに思っておりまして、いま、ただいま幾らになるということを申し上げ得る段階ではございません。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 もうあなた、二つ約束を破ったことになります。最初は五十一年度をごまかした、これが一つ。そして二万円実現したいと思うけれども、これは予算措置がなされた後だから残念だ、この次はこの答申を尊重してやっていく、生活保障的色彩というのが厚生大臣は二万円程度だということはもうすでに考えていらっしゃった、これはいままで質疑応答をずっと繰り返してきてそうなるわけですよ。あなたは、その程度は出したいと思っているのだということを盛んに強調なさったでしょう。ですから、厚生大臣はこの辺で二つ、私にというよりも国民に約束をしたことを破られたことになります。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 生活保障的色彩イコール二万円というふうに考えることは、私は無理だろうと思います。そうは言うものの先生、これは一般会計ですからね、よけい出したいことは私もそうですし、また、よけい出さなければなりませんけれども、しかしまた、金との兼ね合いということも現実政治では考えていかなければなりませんから、したがって私としては、できるだけ出したいということでいろいろ努力しておりますが、ここでもって幾らになる、二万円にならなければ生活保障的色彩というものの答申に違背をするというふうなことに相なるものというふうな直ちに論理的帰結になるとは私は考えないわけでございますが、できるだけ多くしたい、こういうふうに思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 一般会計から出して持ってこいと言ったのではなかったですよ、あのときは。私は、資金運用部資金から借りて、いわゆる公債政策を取り入れておやりになったらどうですか、利子もちゃんとつけて返せる見通しもあるじゃないですか、こう質問をしたわけですよ。そうしたら、いや自分はそのほかにもいろいろと検討しておる、いろいろものを駆使してそれを検討しておるのだ、あなたのは参考にしよう、こう言われたでしょう。それは間違いないでしょう。ですから私がいま、何といいますか、二万円について一般会計から云々じゃなくて、いま言ったようなやり方でならばできるじゃないかと言ったら、あなたは、財政法第四条に抵触するので、これはちょっと問題だという意味の答弁をなさいました。そうですね。ところがいま、臨時国会で大変問題になっておるのは、赤字公債発行のための財政特例法案ですね。これが第四条に抵触するがゆえに、特別にこうした法律をつくって赤字公債を発行できるようにということでいまおやりになろうとしておるわけでしょう。私が質問したときには、いや、それは財政法第四条に抵触するからちょっと無理だ、このようにおっしゃったのだけれども、結果的には今度政府そのものが財政法第四条を乗り越えて法律をつくろうとしておるじゃないですか、そのよしあしは別としましても。そうでしょう。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 当時の考え方としては、財政法第四条というのにあの当時としては抵触することは間違いがないということであったことは、その答弁は間違いがなかったと思うのであります。要は政策論だろうと思います。  そこでいま、財政特例法で四条以外に公債を発行しようということだから、したがって、あの先生の御提案になった積立金から借りるという方法を直ちにやるべきであり、またやれるのだ、その法的根拠というものについては、場合によっては一部外れたということにも相なろうかと思いますが、政策論としてこの際、積立金から福祉年金の財源を見出すということが結構であるか、それができるかいなかということについては、今日私どもとしては、それが適当であり、できるというふうには判断をいたしておらないわけでございますので、したがって、一般的にいわゆる特例法によるところの赤字国債というものを一般財源として調達いたし、恐らくその中からも私は福祉年金の所要財源というものが当て込まれるものというふうに思いますが、そういう手法でこの種のものの財源を当て込むということに実はいま考えているというのが政府の現況であるわけであります。     〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 要するに財産法第四条はあるけれども、政府がその気になればできるということは、今回証明されましたですね。そこで、大橋が示したその案は、そういう問題もあるので、それを直ちにベストと認めるわけにはいかぬ、検討する必要がある、これはわかります。私も必ずしも自分の考えが絶対的だと思っているわけじゃなかったのです。そのときに厚生大臣は、公約なんだから二万円の実現のためあれやこれやの手法を駆使している、その実現を目指して努力しているのだ、だから任せろと言わぬばかりだった。そしてその後で、二万円の方は約束する、こうおっしゃったわけですが、どういうふうに一般会計以外からこれをしようとなさるのですか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 そういうわけですから、いろいろとそうしたものを給付するような仕組みというものを考えなければいかぬということで、その後いろいろと作業を進めたわけでございます。その一環として出てきたものが、非常に未熟ではございますが、現在基礎年金というふうな構想で私が世に問うておるのも、まさしくそういったようなものにこたえる一つのやり方、手法であることは、先生もお読みになって大体見当はつくだろうと思いますが、あれがよろしいか、あるいはあの式の中でまたいろいろ検討することがあるかというふうなことは、いろいろ御批判があろうと思いますが、私があれ以来何にもしないでおったということではない。つまり、ああいったようなものを世間の御批判の前にさらすということも、私は、誠実にこの種のことをやりたいというふうに思って、いろいろと苦慮し、努力をした結果がああしたものになって出てきたものというふうに御理解を賜りたいと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 大変努力なさっているようですけれども、私は、その努力の内容について非常に疑問を抱いております。なぜならば、ことしの一月二十八日の衆議院本会議で、わが党の竹入委員長が年金問題について質問いたしました。それに三木総理が答えてこう言いました。福祉年金を「二万円ということになりますと一兆二千億円、税金からそれだけの支出をしなければなりませんので、こういう財政状態からして、一兆二千億円を福祉年金のために振り向けるということはなかなか困難で、どうしても年金制度というものの仕組みを根本的に考え直す時期に来ておると思いますので、年金制度というものを、厚生省を中心として根本的な検討をいまいたしておるわけで、来年度の予算編成には、その検討の結果を反映したいと思っておるわけでございます。」こう答えております。あなたもこれは御承知のはずです。来年度には年金制度の根本的な検討をいたします、こう三木総理が答えておる。これは大事なところですよ。  それから続けてお尋ねしますが、公的年金制度の受給者はいま九百五十六万人と聞いております。この中で年金らしい年金をもらっているのはごく一部にすぎない。政府の言うように五万円年金でしたか、これは物価にスライドされまして現在七万三千円くらいにはなっているそうでございますけれども、もらっている者はほんの一部の者だ、こういうのが事実。しかも去る十月からやっと福祉年金が一万二千円になったわけでございますが、この福祉年金の受給者というのは、全体の受給者の半分くらいを占めているわけですね。年金をいまの仕組みのままにしておいたのでは、成熟までには三十年以上かかると言われております。厚生省は五十一年度に間に合うように根本的な検討をしたのかどうかということで、私は注目をここに寄せておったわけですが、ついきのうの新聞報道等によれば必要最小限度の改善にしかならない、根本的な改革ではない、こういうことですが、これについてどういうお考えですか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 確かに、先生のおっしゃるようなことは、私はある意味では御批判は受けなければなるまいというふうに思います。当初私どもが三木内閣発足当時に考えておったのは、いま少しく年金の抜本的な改善というものを五十一年にも実行をいたしたいものというふうに思っておりました。しかしそれについては、それ以来いろいろと検討をいたしましたものの、五十一年には間に合わないということがだんだんと時日がたつにつれてはっきりいたしました。片やいわゆる財政再計算期をめぐって、従来の財政再計算期において行うような改善というものだけは少なくともやらなければなるまいというふうに考え、そのような方向の改善というものについては、いろいろと審議会等の御意見を踏まえていま施策を積み重ねているわけでございまして、抜本的なものは、さらに財政方式の基本的な改め方等を踏まえたものについてはその後にならざるを得ないということになってまいりましたので、その方面についても努力をいたしていまいろいろやっておりますが、とりあえずのところは、昭和五十一年度は従来の財政再計算期において行ったようなものでお願いをいたし、追って続けてそうしたものについての具現方を努力するという、言うなれば二段の構えに相なっているというのが現実の姿であります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは、要するに三木総理大臣がわが党の竹入委員長に答えたこと自体もやはりうそになってしまいました。  去る八月十五日と十九日に、社会保険審議会の厚生年金部会と国民年金審議会がそれぞれ来年度の年金法の改正について意見書を厚生大臣に提出いたしております。時間の関係で私はその中身は省略いたしますけれども、厚生年金ではということで、大体九項目にわたって意見が出ております。国民年金については三項目について大きなものが出ております。この点についてはこれまで国会で論議されてきたところでありますし、制度の改善として一応の評価はできますものの、当面必要最小限度の手直しであって、私は、この意見を実行したとしてみても年金問題の根本的な改善にならない、こう指摘しておきます。  国民年金の財政は本年度すでに給付費が保険料収入を上回っていると聞いておりますが、来年度は十年年金の受給者が一挙に百万人も出現するはずであります。その上、来年はさきの審議会の意見書にもありましたように、これらの年金の引き上げも考えなくちゃならないということになって、大変な苦慮をしているということは、先ほど大臣もおっしゃっておりました。  そこで、具体的にお尋ねしますが、国民年金の財政を今後どのように運営するつもりなのか、お尋ねいたします。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 国民年金の今後の財政運用につきましては、年金局長から御答弁願うことにいたしますが、いまのこの社保審の答申にもありますとおり、社保審自体が「昭和五十一年度における厚生年金保険制度の改正についての当部会の意見は上記のとおりであるが、」云々と書いてありまして、「今後の制度改正にあたっては、公的年金制度全体を考慮した検討が基本的に必要とされ、将来の公的年金制度のあるべき姿をふまえて制度の改正を行う必要に迫られていることを痛感する。今回の意見にはこのような観点から制度間調整に一歩ふみ出した点もあるが、」まだまだだ、こういうことを言っておるわけでありまして、社保審でも今後のステップというものは考えておられるようでございますので、これを、こういったような踏まえている審議会にさらにひとつ次のいわゆる抜本的な改正——そうでなければ私はいかぬと実は思っているわけでございますので、そうした方向に踏み出したいというふうに思っております。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 国民年金の財政につきましては、御指摘のように非常に悪化をいたしてまいりまして、よく賦課方式という議論がなされますけれども、率直に言いまして、五十一年度以降、形態としては賦課方式的な色彩を結果として帯びるような状態にあるいは追い込まれるのではないか。  そこで、私ども来年国民年金につきましても、厚生年金に準じましてレベルの見直し、その他の改善を行いますけれども、しかし同時に、国民年金につきましては、特に財政の健全化を長期にわたっていかに確立するか、その点については十分配慮を加えまして、将来の収支計画も頭に置いた上で適正な保険料負担の設定をいたしてまいりたいというふうに考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 局長さんは、いろいろと説明なさいますけれども、結果的に考えられておることは、掛金を引き上げることでしょう。当面、掛金の引き上げ等をいたしましても、これから急速に増加していく国民年金の受給者の年金を将来とも掛金の引き上げであがなおうという考えは、立場の弱い自営業者や農民など国民年金の加入者にとっても酷な話であると私は思います。これはやはり今回の国民年金審議会の意見書にもありましたように、各公的年金制度を通じて共通の基礎を設定する方法とか、国民年金創設の趣旨から見て国民年金制度を基礎的なものとする方策とか、これはまさに総理も言われていたような根本的な検討課題だと私は思うのでございますが、そういうことを近い将来具体化する意思があるかどうか、これをお尋ねいたします。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 いま先生のおっしゃったこと、そしてここの審議会で言っていること自体が、まさしく私どもが世に問うている基礎年金構想でございまして、さようなことで私どもとしては、基礎年金というものを、構想的なものについてこれをできるだけ早く実現をするように今後努力をいたしたいというふうに思っているわけで、そのようなことを考えておるという証左がこの前出たものであります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いまおっしゃっている基礎年金構想というのは、十一月十七日に新聞報道されたものと私は思うのですけれども、これを見ますと、五十二年度から二万円の構想を発表なさっているわけです。もしこれがあなたが考えている基礎年金構想というものであるなら、私はこれはナンセンスだと思いますね。ましてやこれが三木総理のライフサイクル計画の中でのナショナルミニマムの年金ということであるならば、これは本当に国民を欺瞞するものだ、こう私は思います。なぜならば、二万円年金は福祉年金で論議されている問題であって、それをおしなべていわゆるごまかそうという立場から基礎年金構想を打ち出してやる。わが党もすでに基礎年金構想、基本年金と言っておりますけれども、構想もすでに大綱だけは発表をいたしました。そしてわが党は、この基本年金あるいは基礎年金の水準の考え方については、勤労者の毎月決まって支給されている賃金の平均の大体四割ないしは四割五分、こう見ているわけです。これは決して私は無理な考え方ではない、こう思うわけです。  労働省の発表によりますと、九月の発表ですけれども、労働者の平均賃金はいま十四万円だそうです。四割となれば五万六千円になるわけですが、四割五分だと六万三千円。ですから、二万円程度のナショナルミニマムなんということは、とてもじゃないですよ、話にもなりませんよ。ですから、これが三木総理のライフサイクルの中の本体というならば、これは大問題ですね。これについてどうお考えになりますか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 基礎年金構想につきましては、全貌を実は発表をいたしておらないわけでございまして、その物の考え方の骨子だけを、あの節にクラブにお話を申し上げたわけであります。したがいまして、あの記事も一部についてはいろいろと違っているところがございまして、給付金額については二万円と書いたものもありますし、二万五千円と書いたものもあるということでございます。ということは、この基礎年金の部分を一体幾らに決めるかということについては、ただいまのところ確たるものを私どもは持っておらないわけでございまして、できるだけこれが多い方がよろしいとは思っておるものの、しかし現実において、これが余り高いところになるということになりますと、非常にドラスチックな改変ということになりますので、国民のこれについての理解と協力を得られる限度というものを頭に置きながら、そうしたところに抵抗なく進むという方が合目的的であろうというふうに考えておりますものですから、したがいまして、いまのライフサイクル構想、これは例のさっき私ちょっと答弁をいたしましたが、あの基礎年金というものは、上積みの部分は私的年金でやってよろしい、こういうことを言っておりますが、あそこまで大きくすることはいかがか、かように考えておりますものですから、したがって、それより低いところあたりがいいのではなかろうかということを申しているわけでありまして、そこからこの金額のいろいろ推定した数字が、各新聞でまちまちに出ているというのが現実でございまして、したがいまして、この金額は私どもとしては今後の社会情勢、国民のこれに対する理解度あるいは協力度というようなことを踏まえて実施をいたしたいというふうに考えておりますが、御承知のとおり、あの基礎部分については賦課方式をもっていきたいというものですから、賦課方式に習熟をしていない国民が、一体どこまで賦課方式に協力できるか、その辺のことについては、ひとつしさいに注意深く検討し、要は、できるだけ多くしたいという気持ちを持ちながら、実現可能な方向で進みたいというのがわれわれの基底の考え方であります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 時間が参りましたのでこれでやめますけれども、福祉年金の財源調達方法として私の案を示したことは御承知のとおりですが、あれをそのまま英断を持って踏み切られておれば、今回こんなにまで悩まれなくてもよかっただろう。あるいはまた基礎年金構想を打ち出していらっしゃいますけれども、わが党では基本年金構想をすでに打ち出しております。これをどこまで参考にしていただくかわかりませんけれども、私は、決してこれが絶対的なものと言っているわけじゃありません。決して公明党の人気取りのためにやっているわけではないのです。本当にいまの公的年金八種類のこの問題を考えたとき、どこかで共通点を見出して、ナショナルミニマムを確保する年金の実現をしていかねばならない、これが国民の期待にこたえる最大の内容ではなかろうか、そういうことで発表しているわけで、またわれわれも、それについてこれから深く検討を進めていくわけです。一日も早く国民が期待しているような、新国民年金構想とでもいいますか、そういうものが全体的の中から生まれることを強く期待しまして、また要望いたしまして、私の質問を終わります。

大野明自由民主党

○大野委員長 小宮武喜君。

小宮武喜民社党

○小宮委員 私も、年金問題について質問します。  厚生省は、五十三年度の年金財政再計算期を五十一年度に繰り上げて厚生年金、国民年金水準を、最近の経済情勢やあるいは賃金水準の変動に合わせて引き上げるために、いろいろ検討をされておるようであります。しかし、もうほとんどその具体的な検討も煮詰まっておるというふうに考えますし、また昨日の夕刊あたりで若干その内容が報道されておりますが、一つは、国民年金並びに厚生年金または福祉年金についてどのように改正されようとしておられるのか、これは局長からでも結構ですから御答弁を願いたい。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 来年の改正の主な内容でございますが、まず厚生年金、国民年金共通の問題といたしまして、これはそもそも再計算繰り上げの直接の動機となった社会経済変動に対処する年金レベルの見直しの問題、これが第一の眼目でございます。そのほか、従来の改正はどうしても年金額の引き上げに力点が置かれたために、いろいろ議論されながら積み残しになっております問題がいろいろございますけれども、たとえば障害、遺族の通算問題、あるいは遺族給付の支給率の改善の問題、こういったものも、やはり来年の改正の一つの柱として目下案を詰めておるところでございます。それからまた、厚生年金特有の問題といたしましては、これも非常に要望の強いところでございますけれども、在職老齢年金の改善の問題等々がございます。なお、福祉年金につきましても、拠出年金、特に経過年金等のバランスも考慮しつつ改善を考えておるというところでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 局長から抽象的に答弁があったわけですが、われわれが一番聞きたいのは、やはり具体的にどうなるのか、そういった考え方でこの厚生年金なり国民年金、福祉年金を引き上げようとした場合に幾らになるのか、こういうことが聞きたいわけです。もうすでに昨日の夕刊にも一部新聞では報道されておりますし、国民はあれを見るわけです。だから、そういった意味でもう大蔵省の原案も、会期が延長されても大体二十五、六日ごろには示されるし、政府原案は大体三十日か三十一日ごろ決まるということが言われておりますが、ほぼ煮詰まっておる段階だ。それは、その中には大臣折衝の問題もありましょう。しかしながら、やはりわれわれが聞きたいのは、こういった一部新聞でも、これは推測と言えば推測かもしれませんけれども、金額も出ておるというようなことから見れば、やはりもっと具体的な数字を聞きたいわけです。たとえば厚生年金にしても、この財政再計算期を引き上げてやって、物価上昇率にスライドするということになれば、昨年が七万三千円ならそれにいまの物価上昇率を掛けて大体はわかるわけですよ。だから、そういった意味ではやはりもっと、いまの厚生省の考え方はこうだということ、どれくらいになるということを示してもらいたい。むしろそういったことが、大蔵省との折衝にしてもあるいは大臣折衝にしても、私はマイナスどころかプラスになるというように考えるわけですが、局長、ひとつもう少し親切に説明してください。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 この時期でございますから、政府部内の意見調整等もかなり煮詰まっておるのではないかという御指摘、もっともでございますけれども、率直に言いまして、実は年金問題は拠出制部門だけではなくて、福祉年金全体を含めてのいわば大蔵省の立場から言いますと、財源の総枠をどうするかという問題になっておりますので、いろいろの考え方でかなりの詰めはできておりますけれども、最終的にこの案でというところまでいっておりません。そういう意味で大変恐縮でございますが、きょうこの段階でたとえばどの程度になるか、具体的な数字でお答えできないのがまことに遺憾でございますが、しかし、せっかくのあれでございますので、たとえば厚生年金の場合でおおよそのめどとして申し上げますと、これはことしの八月の厚生年金部会の意見書にもございますように、標準的な加入期間を有する者の年金としては、四十八年の改正時に設定された直近の男子の平均標準報酬の六割程度を維持すべきである、そういう考え方が示されておりますので、その考え方に沿っておおよその見当を申し上げますと、いま私どもの推計では、来年三月時点の男子の平均標準報酬は大体十四万前後と考えられますので、それの六〇%相当額ということになりますと八万四、五千円。ただし、これは標準加入期間が何年になるか等々の問題がございますので、はっきりした数字ではございませんけれども、おおよその見当としては、四十八年時の五万円が八万四千円程度にはなろうかということでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 私は、厚生省の態度としてどういう考え方で大蔵省と折衝するのかという、せめて厚生省の態度なりを聞きたいわけです。しかしながら大臣も、昨年の予算委員会で老齢福祉年金の問題でいろいろ言われたので、余りそれで追及すると、今度は大臣が責のように口をつぐんでしまって、なかなか言わぬようになるのじゃないかということが心配もされるし、また、ここで言ってそのとおりならなければいろいろ言われるから、大臣も非常に口が固くなってしまうということになりはしないかと思いますが、厚生年金の場合は、大体来年の三月時点の平均賃金が十四万と見ても六〇%で八万四、五千円。それでは福祉年金はどうでしょうか。無拠出の老齢福祉年金は、いま言われたように現在一万二千円。この問題については厚生大臣も非常に積極的に努力されておられて、大体二万ぐらいの気持ちはあったけれども、こういった財政欠陥の折から一万五千円ぐらいはというような気持も非常に強いということを漏れ聞いておりますので、それでは来年の老齢福祉年金は大体幾らぐらいというふうに見ていいでしょうか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 この老齢福祉年金の金額については、さっき大橋委員とやりとりのいきさつがございますが、あれは私、本当はそんなつもりで申し上げたわけではないのですけれども、そういう受け取られ方をしているものですから、私としては、きわめて慎重かつ意欲的に要求をし、折衝をしなければならないと思っておりまして、思いあぐんでおるというのが今日の私の心境でございます。  しかしまた、財政当局は、お金がないということで、この種のものは余り大きなことを言われても困るというようなことを言っておるようでございますので、その辺のことを考え、余り私の方が大きなことを言うだけ言って、後は大蔵省にたたき切られましたから私は免責です、そんな卑怯なことを私は閣僚の一員として言うべきことじゃございませんから、したがって私としては、できるだけのことをいたしたいと思っておりますが、いまだに実は決めかねております。予算期も近いものですから、大蔵省からは、そろそろ大臣の意向を漏らしてくれということを言われておりますけれども、近日中に私としては事務当局に、このことについて大体このぐらいでひとつやってきてくれないかということを言おうと思っております。また、この種のものについて、いま先生おっしゃいましたが、福祉年金だけじゃございませんで、この拠出年金の金額からその他いろいろなものについては、要求と現実とが余り離れるのはいかがかという考えが私はあるものですから、場合によっては予算のチャンバラ——チャンバラと言っては恐縮ですが、復活折衝の中であれこれ上がったり下がったりということをやりたくないということから内部的に詰めをいたそうということになっておりまして、いろいろと話し合いをしていることは事実でございます。  そこで現在のところ、まだ、あれについてはこうだ、これについてはこうだという議論がございますので、したがって、この場面において確定的な金額とか率とかいうことを申し上げることができないというのが真実でございますので、いま少しくお待ちを願いたいというふうに思います。しかし、中にはある程度の傾向が出ているものもあり、私どもの感触として、これはいけそうだなとか、これは難航するなというものが実はございますから、その限りにおいては、御質問があれば私としては積極的にお答えをすることにやぶさかではございません。

小宮武喜民社党

○小宮委員 大蔵省の方からも大臣の考えはどうかということが、いま打診があっておるというようなことであれば、私は、その二万円の旗はおろさざるを得ないというふうに判断をしておりますが、少なくともいまの一万二千円にどれだけ今年度は上積みをするかというのを、われわれも非常に注目しておるわけです。そういった意味では大臣が、私はこれこれくらいにひとつしたいということをここで明らかにしてきたので、むしろこれだけは認めてもらわなければ困るというような、逆なやり方もあるのではないかというふうに考えますので、大臣として大体これぐらいは大蔵省との折衝の中でぜひともかち取りたいというような強いお気持ちがどの辺にあるのか、そういうような点をひとつお聞きしたいと思うわけです。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 先生の、私の心中をぜひうかがい知りたいという気持ちはよくわかるのですが、私自身が実は悩んでおるわけでございまして、私としては、いろいろな意見を踏まえて、いろいろいま考えておるわけでございます。  そこで、非常に財政不如意の折であるから、この際、物価スライド程度にとどめるべきであるという有力な御意見もありますが、それではいけないというふうに私は思いますから、それにどの程度、どういうふうに上積みをつけていくか、意欲を見せていくか、それがどこまでいけるか、どこまでやったならば適当であろうかということをいまいろいろと考究中でございまして、率直に申して、ただいま月幾らということを申し上げるだけの心境にまだ立ち至っておりませんので、これは本当のところでございますので、なお、いまここで先生に言われたからといって、思いつきでもって急に考えて申し上げるということは軽率でございますので、いましばらくひとつお待ちを願いたいというふうに思います。

小宮武喜民社党

○小宮委員 この問題はそれぐらいにしまして、在職者の老齢年金、この問題については現在、報酬月額が七万四千円未満の人たちは、報酬によって二〇%なり八〇%がそれぞれカットされておって、また、六十五歳以上の在職者も一律に二〇%カットされる制度になっているわけですね。在職者の老齢年金の支給制限については、さきの七十五通常国会でも、私は、かなりこの問題について時間を割いて質問をしたわけです。その際厚生大臣は、五十一年度の財政再計算期にはひとつ大幅に再検討して緩和をするようにいたしたいという答弁をしているわけです。これは議事録まで沈み上げませんけれども言っておるわけですから、そういった意味では今回支給制限の大幅緩和については、厚生省として大体どのような考え方を持っておられるのか、その点ぐらいはひとつここで明らかにしてもらいたいと思うのです。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 在職老齢年金につきましては、二つあるわけですけれども、まず六十五歳以上の在職老齢年金について申し上げますと、現在は一律二割支給停止でございまして、先般の厚生年金部会の意見書では、できるだけこれを撤廃というようなニュアンスの意見書でございましたが、果たしてこれは年金制度として全部撤廃してしまうのが適当なのかどうか、非常に高給の方にまで一〇〇%年金を支給するということが所得保障制度として適当かどうか、現実論と筋論との間にはやはりどうしてもギャップが残ります。  そこで、率直に言いますと、ただいまの段階での私どもの考えは、やはり一定のところで線を引いた方が適当ではないか、その一定の所得を超える人は従来どおり二割支給停止、それ以下の人に一〇〇%支給というのが大体の考えでございます。  それから、六十四歳未満の在職老齢年金、これはただいま御指摘のように、標準報酬で七万二千円以下を三段階に区分して支給制限を行っておりますけれども、この七万二千円を厚生年金部会の意見書では大幅に引き上げてもらいたいという意見でございます。私どもも、できるだけこの方向に沿って、具体的にどれだけになればいわゆる大幅かということでございますけれども、これにつきましては、少なくとも現在の限度額以下の人が被保険者のごく一部にとどまっているような状況は何としても改善いたしたいということで、相応の改善をいたしたいというふうに考えております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 もう少し具体的にひとつここで答弁できませんか。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 この点につきましても、率直に言いましてまだ最後の、関係当局との間にかなりの距離がありまして、しばらくお待ち願いたいと思うのですけれども……。

小宮武喜民社党

○小宮委員 この無拠出の老齢福祉年金の支給制限についても、大幅に今度改正しますか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 この所得制限、実は三つあるわけでございますが、このうち私などが非常に意欲を燃やしているのは、本人所得制限が比較的きついのでございまして、これについては私どもとしては、できるだけひとつ引き上げをいたしたいというふうに思っていろいろ折衝をいたしております。扶養親族の所得制限、これが八百四十万というところまで来ているものでございますから、したがって、これについてはどうもしばしば新聞におもしろくないことが出るわけでございまして、私どもとしては、あのようなことがあってはいけないというふうに思っておりますが、これはいま論争の中心点でありまして、むしろこちらとしてはやや防戦的な立場に立っているというのが率直なところでございますが、いずれにいたしましても、私としては、本人所得制限で何か年寄りの人が働いておってちょっとすればもうあの限度をオーバーしちゃって、それであなたあげないよというのはちょっと気の毒だと思いますので、あれだけは意欲を燃やしたいというふうに思っていますが、これについては、いまのところ多いの少ないのと議論でもって丁々発止とやっておるところでございますので、まだ確定的なことを申し上げられる段階までは来ておりません。

小宮武喜民社党

○小宮委員 これは確定しなければここで大臣もなかなか明らかに答弁ができない、確定してしまってからわれわれが質問しても、今度はもう動かせないという事実があるわけですね。だから、むしろわれわれはこういった質問の中で——大臣も局長もこういったことに対しては、やはりこういうふうな質問が出たということで、それを受けて折衝をする際に非常に参考としてもらわぬと、いまの情勢では幾ら通常国会で年金法案の改正案が出てきた、そこでどうだこうだ言っても、もう決定したことは動かすことができぬわけですから、そういった意味でわれわれはむしろ厚生省を援助するつもりで言っておるわけですから、できれば大蔵省ぐらい呼んできてここで質問した方が一番いいのだけれども、そうすればまた厚生省が後で大蔵省から少ししっぺ返しされたらいかぬということでなるだけ呼んでくれるなと言うものだから、厚生省だけに質問せざるを得ないというようなはめになっているわけですよ。だからそういった意味では、やはりわれわれも厚生省の立場を推進していくという立場でおるわけですから、そういった意味でひとつ親切に答弁してもらいたいと思います。  この厚生年金の改定に当たって厚生省は、保険料の算定基礎になる標準報酬月額を現行最低二万、最高二十万円までとなっておるのを、最高三十万円までに引き上げるという方針が伝えられておりますが、事実かどうかということと、さらに保険料についても一%から何か一・五%に引き上げるというようなことが伝わっておりますが、これは事実かどうかという点でひとつお答え願いたい。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 まず、標準報酬の上限でございますが、実は部会意見書には具体的なことは触れられておりませんけれども、率直に言いまして、厚生年金部会の審議の過程でそのようなことがまあまあ大方の一致した考え方として示されたことは事実でございます。  実は、厚生年金の場合、上限設定については過去いわば一つのルールがございまして、おおむね全体の被保険者の五%程度が上限に滞留する線で上限を設定する、そういうことでございますので、それを厳格に当てはめますと、その後の標準報酬の上昇もございますから、三十万ちょっぴり超えるような線も考えられるのですけれども、この点につきましては、率直に言いまして医療保険の問題も結果的には絡む問題になっておるものですから、これにつきましても、また、財政当局との間で距離が縮まるまでに至っていないというのが実情でございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 それから、大臣にはっきり答弁してもらいたいことは、五十一年の年金改定に当たって、大蔵省が本年度あるいは来年度の歳入欠陥ということも考えて、いまの厚生年金の支給開始年齢の六十歳を六十五歳に引き上げるということが新聞報道で伝わってしまって、六十歳前後の人はこの問題について非常に重大関心を持って、非常な反響を呼んでいるわけです。だから、われわれにもいろいろな問い合わせが来ますが、そういったことはないということを言っておりますけれども、これが次から次に後を絶たずにいろいろ問い合わせが来るわけです。だからここで、これはあくまで支給開始年齢を六十歳から六十五歳までにしようとするのは大蔵省の考え方で、厚生省としては現行どおり、六十五歳からということは考えておりませんということを、ここで、公式の場で大臣からひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 厚生年金の支給開始時期を六十五歳に引き上げたいという新聞報道がありました。私も驚いて一体ニュースソースはどこであるかというふうに、かなり実はショッキングなことでございますので、いろいろ調べてみましたが、どうも当省ではない。当省にはそういうばかなことを言う人間は一人もおらぬはずでございますので、私どもとしては、大体先生のおっしゃるようなところから出ているものというふうに思いますが、これは非常識きわまりないというふうに私は思うのであります。なぜかなれば、大体今日の定年制のあり方等も考えてみなければなりませんし、また他の年金制度、ことに公務員共済などはもっと低いところから出しているのですから、それをやらずに何を言っているのだと、こういうことでございまして、私ども、そういうことのないようにいろいろとキャンペーンをいたしました。これについては世間からも大分反論がその方面に行ったようでございまして、その後は余り言わなくなりました。近ごろもときどき口走るということを聞きますが、まあ、いまのところは世間のそういう非常な御批判と反対がありますので、そういうことは考えていないというふうに思ってよろしいと思いますが、厚生省としては、これからよほど老人の働く年齢が引き上がるということがあれば別でございますし、また、その他の共済年金の支給開始年齢時期などの条件整備ができれば別ですが、ただいまのところ、そのようなことは絶対に考えておりませんから御心配なくと申し上げたいと思います。

小宮武喜民社党

○小宮委員 それから、先ほども基礎年金構想の問題がありましたけれども、この基礎年金構想についての厚生省の考え方とこの年金構想のねらい、それからその背景、こういったものについてひとつ簡単にお答えを願いたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 第一に、現在のわが国の年金はいろいろなものを含めて八つに分立をしているわけであります。しかもその条件、支給開始年齢、保険料その他いろいろと、国庫負担の入れ方等々まちまちでございまして、こうしたものの統合をできるだけ早くせよというお声があります。ごもっともだと思います。しかし、それぞれの沿革を持ち、それぞれ既得権を持っているものを、この際一遍にやることはなかなか困難であるということでございますので、基底の部分だけでもひとつこれを統一いたしたいというふうに考えておるのが、第一の発想であります。  第二は、これについては、また年金については、いわゆる賦課方式を導入せよというお声があります。私も、賦課方式というのは国会でしばしば答弁しているように、将来の年金の財政方式としては十分考えられる方式であるということを申しておりますが、しかし、いついかなる場合にどういう範囲でどういうプロセスで賦課方式を導入するのがよろしいか、非常に綿密な検討と注意深い考察が必要であると申し上げていますが、そうしたことを踏まえて、かねがね積み立て方式に習熟をした国民というものが、この際賦課方式というものに入り込むためには、一遍にやるということについてはいろいろ問題があろうと思うものですから、基礎部分について賦課方式を導入いたしたいというふうに考えております。また、いろいろさっきから議論のございましたいわゆる拠出制年金になじめなかった方、あるいはそれについての期間の短い方等々を踏まえてみると、こうした人々にできるだけ年金を給付するという意味においても、国民が少なくとも一定部分だけは年金給付が受けられるようにというふうなこともいろいろ考えておるわけでございまして、まあその他、こういう時世になりますと、私どもが白書で申し上げましたとおり、やはり国民の老齢化が進んでくるに従って、国民はある程度老人のために、年寄りのために、前の世代の人たちのために、いま働いている世代がそれぞれお金を出し合うということを実際にやらなければなるまい。しかし、これを観念的に申しておったのでは説得力がない。したがって、具体的な手法、具体的な施策というものをこの際御披露申し上げることによって、いわゆる具体的な観念を植えつけて具体的な施策のもとにこれについての御協力を願うようにといったような、いろいろな観点から実は考えまして、あのようなことをわれわれは世に問うたわけでございますが、残念ながらあれについては記者会見でございますので、実は、精細な問題についての御説明がございませんから、若干誤解を受けている点もあろうと思いますし、また私も謙虚に構えまして、あの案がベストであって、あれはあのままでなければならないなどということを考えているわけじゃございませんので、大方の年金に御熱心な、また、よくわかっている方々の御批判と建設的な御意見を取り入れて、とにかくああいうふうなものをこの際つくり上げていきたいというのが私の考え方でありますし、また、そうでなければ年金の今後の向上というものもあり得ないし、社会保障水準の向上もないというふうに考えておるというのが、私どものいまの心境でございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 この基礎年金の性格の問題ですが、これらの問題は非常に大きな問題になってくるわけで、そのことと、結局現在、国民の最低生活を保障するための生活保護基準というのがありますが、これとの関連をどうするかという問題がありますし、さらに、たとえばこれがいまの年金構想では、六十五歳以上の人たちに対して云々ということが言われている、まあ二万円、三万円ということは別にして。そうすると、いまの無拠出の老齢福祉年金との関係はどうなるのか。それからまたこのことで、いまの国民年金あるいは厚生年金というものの関係について、ちょっと私、気がかりなことがあるものだから、その点、そういうふうな無拠出の老齢福祉年金との関係、それから厚生年金あるいは国民年金、こういうようなものとの関連はどうなりますか。その点ひとつ御参考までにお聞きしておきます。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 第一の福祉年金との関連は、現在の福祉年金受給者のような方、つまり拠出になじみ得なかった方々は基礎部分の給付によってこれを受給していただく、つまり、いまの拠出制年金だけでない非拠出の方々も基礎年金のフェーバーはこれをあまねく受けようというのが、あの考え方の第一であります。  それからいまの厚生年金、国民年金の被保険者のそれ以上の給付については、付加給付としてその上に上積んでいこう、こういうような仕掛けにしているわけでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 私も、大体そう考えておるわけですが、そうすれば、いまの無拠出の老齢福祉年金はこの基礎年金にとってかわる、そして厚生年金、国民年金の場合は基礎部分を二万円なら二万円、二万五千円なら二万五千円としたら、結局その上にいまの持ち分が上積みされると理解していいわけですね。そうすれば、これは五十二年度をめどにやるということでございますが、昭和五十二年度をめどにやるということは、先ほど大臣は答弁の中で二万円とか二万五千円という声があります、そういうふうな答申もありますということを言われておるけれども、昭和五十二年度をめどということになると、この基礎年金構想がそのまま七十歳以上の老齢福祉年金の方々にとってかわるということになれば、それを短絡的に見れば、二万円の老齢福祉年金になるというふうに考えてもいいですか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 論理的には大体先生のおっしゃるように考えてよろしいのじゃないかと思います。ただ、問題はこの実施の時期でございます。これについては、私どもとしては、できるだけ早くこれを実施いたしたいと思っておりますが、あれをやるのには、相当大きな変革でございますので、国民の理解と納得を得るようによほどわれわれが努力をしなければならない。できるだけ早くいたしたいと思っておりますが、そのためには相当の努力をいたさなければならない。理論的にも精細に積み上げていかなければなりませんし、国民の皆さんのそうしたことについての御協力の気持ちというものを、この際早く醸成するようにいたさなければなるまいと思っております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 先ほども話がありましたように、わが国の公的年金制度には八つ種類があるわけですが、それぞれ給付水準からしても、あるいは支給開始年齢からしてもいろいろ違いがあるわけです。そうすると、今回の基礎年金構想は、いまばらばらになっておる八つの公的年金の統合を図るまずワンステップと理解していいですか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 ワンステップということになるとツーステップ、第三ステップというものがあるか、こういうことになりますが、私どもとしては、いまそこまで明言をする限りではございません。一つには、各公的年金を皆統合をいたすべきだという御議論がありますし、ある程度ごもっともですが、ある面ではまた、それぞれの制度の特殊性なりあるいは既得権といったものもありますので、全部を一遍に統合するということについてはできないだろう、したがいまして、基礎の部分だけやっていこう、しかし、それが次第に可能な場合には第二のやり方というものは考えてもいいと私は思いますが、ただいまのところ、すぐ次の面が出てくるかということになりますと、はっきり明言する限りではございません。第一のこの問題だけでもよほどの努力をしていかなければならぬということでございますので、第二の点はどうだと言われても、私は、いまのところ申し上げる限りではございませんが、できるだけ年金は統合していきたいという気持ちは持っております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 それはいまの問題だけでも簡単にはいかぬだろうし、また、いまのそれぞれ歴史のある八つの公的年金を統合するということはなかなか容易なわざではないと思うのです。ただ、私が質問しているのは、そういったばらばらの公的年金を将来統合するという方向に向かっておるものと私は理解するが、どうか。それは相当期間はかかるかもしれません。しかしながら、いままでいろいろな審議会等で、ばらばらの年金制度を将来は統合すべきだというような意見書も出ておるので、そういうようなことを受けて厚生省は今度いろいろな年金の検討委員会のようなものを設けておるということもあるし、だから、そういった方向で理解していいか。期日的な問題昭和五十二年度からスタートするとか昭和六十年とか、なかなかそんなことは言えません、しかし、方向としてはそういうふうに理解していいかということを言っているわけです。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 理想の形としては、私は、できる限り統合していくべきものだと思います。しかし今日、さっきから申しておるように、それぞれの年金にはそれぞれの沿革と既得権あるいは特殊事情もありますから、一〇〇%これが完全に統合できるかということになると、やはりむずかしいのじゃなかろうか、遠い将来においてもそのことはかなりむずかしいのじゃなかろうか。しかし、できるだけ多くの部分を統合していくというのが、行政の姿としては正しいものというふうに私は思いますので、そうした方向について今後とも努力を重ねていかなければなるまいと思っております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 いまの段階でいろいろ質問しても、なかなか私が期待するような答弁は出てこないようですから、いずれ通常国会にこの年金法等の改正案が出ると思いますから、その際、十分論議することとして、きょうは私の質問はこれで終わります。

大野明自由民主党

○大野委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十六分散会

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