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76回国会衆議院1975/11/11

社会労働委員会 第1号

発言数
169
登壇者
14
会派数
5
開催日
1975/11/11

会議録

大野明自由民主党

○大野委員長 これより会議を開きます。  まず、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  厚生関係の基本施策に関する事項  労働関係の基本施策に関する事項  社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項  労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項 以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面から説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野明自由民主党

○大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————

大野明自由民主党

○大野委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山富市君。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 最近の経済不況に伴って、十月の統計によりますと戦後最大の倒産数を数えている、こういう状況の中で、大手の興人等の倒産もあったわけです。  そこで、きょうは主として興人の倒産に関連してお尋ねしたいと思うのです。興人も会社更生法の手続が開始されて、やっと再建の足がかりがついたという段階ではないかと思うのですが、この興人の倒産に伴って、興人並びに下請関連企業等を含めて、全体の労働者の数はどの程度あると把握されておるか、それをお尋ねします。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 労働者の数を申し上げます。  興人そのものは三千六百九十名でございますが、関連企業は三十七社に及んでおりまして、三千五百六十五名であります。そのほか下請、これはどこまで入れるかでございますが、二次下請も含めまして一応百五十四社つかまえておりますが、それが三千五十二名でございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 いま興人の倒産に伴って、会社更生法の手続が開始されておるのは、興人並びに関連二社ぐらいで、あと下請の企業で地方の裁判所に更生法の適用申請をしているところがあるわけです。こういうところはまだ手続が開始されておらぬわけです。したがって、こういう興人並びに関連企業並びにその下請企業で働いておる労働者は一体どうなるのか、非常に不安に駆られて明日の計画も立たない、こういう状況に置かれているのではないかというふうに思われます。  そこで、こうした倒産に伴う関連下請企業の労働者も含めて、一体、労働省は雇用の維持について、どのような対策を現在まで講じられてきたのか、その点についてお尋ねします。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 雇用の関係につきましては、後ほど御答弁があると思いますが、全体につきまして一言申し上げたいと思いますけれども、この興人の問題が発生をいたしました直後に、八月二十八日でございますが、私どもは興人の古川専務取締役以下関係者を労働省に招致いたしまして、次のような申し入れを行ったのでございます。  「一、労働者の賃金については、遅欠払とならないよう、その全額の支払につき万全を期せられたい。二、社内預金についても、その保全措置が講ぜられているものに限らず、そのすべてにわたって預託労働者に返還が期せられるよう、適切な措置を期せられたい。三、下請又は関連企業に対する労働者の賃金支払、社内預金の返還に支障のないよう、十分な措置を期せられたい。四、会社更生手続きにあたっては、関係労働者に雇用の不安を与えないよう、十分な配慮をお願いする。」こういうことで指示をいたしました。  また、その後、私どもの担当官と通産省の担当官と共同で、興人本社、富士工場、富山工場、八代工場、佐伯工場、下請のコーデラン工業、興人化成、こういう工場をずっと見て回りまして、できるだけ現状の把握に努めておるわけでございます。それから、地方の出先についての指示をいたしておることは申すまでもございません。  なお、雇用については関係局長から……。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 私も法的な関係はまだ余りよくわからぬものですから、ここでお尋ねをしておきたいと思うのですけれども、会社更生法の手続が開始されて管財人が決まりますね。そうすると、会社更生法に基づいて再建計画を立てる。その再建計画を立てる段階で、仮に倒産前からずっと労使の間で協定された労働協約があるという場合に、その労働協約と管財人が立てる再建計画との関連といいますか、それはどういうふうに理解すればいいわけですか。

青木勇之助労働省労政局長

○青木(勇)政府委員 お答え申し上げます。  一般の双務契約につきましては、会社更生法の第百三条という規定がございまして、百三条の第一項から第三項までの規定によりまして、管財人は当該双務契約を解除し得るというような手続が規定されておりますが、労働協約につきましては、百三条の四項でその規定の適用が除外されております。したがいまして、その当時現に有効に存続しております協約は、更生手続が開始されました後も有効に存続する、こういうことに相なります。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 そうしますと、たとえば再建計画を立てる過程で、従来の労使関係の状況の中で、そのままを保全して再建計画が立てられないというような事態が起こった場合に、当然、労働条件の改悪とか企業の縮小とか、こういう問題が起こってくると思うのです。それが仮に労働協約に抵触をするような部面が起こった場合にはどういうふうになるわけですか。

青木勇之助労働省労政局長

○青木(勇)政府委員 詳細の手続は、当該更生計画がどういうかっこうで決定されるかという関係がございますが、もちろんいま先生御指摘のように、事業の縮小とかいろいろな問題が出てまいりますが、その場合には、結局、当該協約と抵触するというような事態が生じますれば、組合側と当該協約の変更等について話し合いをする、こういうことに相なるかと思います。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 そこで、お尋ねをしたいわけですが、こういう倒産問題などというのは、もう従業員には全く責任がない。これは多くは申し上げませんが、言うなれば国の経済政策なり、あるいは会社の経営責任なり、やはりそういうところに由来するのであって、労働者には全く責任がない。しかし、責任のない労働者が一方的にしわ寄せを受ける、犠牲を受ける、こういう事例というのは、いままでたくさんあるわけですよ。したがって、これからは少なくともそういうことのないように措置をすべきではないか、こういう強い社会的要請があることも当然だと思うのです。  そこで、先ほど賃金の問題や、あるいは社内預金の問題や関連下請機関の労働者の身分保全の問題や、そうした問題についてのお話がありましたけれども、具体的に興人の社内預金の額はどの程度あり、それからこういう事例もあると聞いているわけです。たとえば興人の下請で、事業の縮小に伴って倒産以前に希望退職者を募った。そしてその退職金については計画的に年次払いをいたします、こういう約束で、まだ退職金が払われておらない。こういう労働者の退職金の保全の問題、確保の問題といったような問題については、どういうふうに措置されますか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 興人につきましては、倒産時に社内預金十四億六千万円ございました。その後、一部返還がなされておりまして、現在、残高は十三億円と聞いております。この社内預金につきましては、その返還に関しまして、この十月三十日に管財人と労働組合との間に協定がなされまして、本年十二月以降、一〇%ずつ十カ月にわたって払い戻しを行うというような協定ができたようでございますので、当面は私どもとしては、それが確実に守られるかどうかというような推移を見てまいりたいというふうに思うわけでございます。  それから、退職金につきましても、早川管財人と労働組合の代表ということで沼田さんの署名がございますが、やはり協定ができまして、当面、税込み五百万円を支払う、そしてその残余については、五十一年三月三十一日までに支給するというような協定ができているようでございまして、それから離職等についても協定ができているようでございますので、その推移を見守るということだと思います。  お話は、さらに下請関係の問題についても、いろいろな懸念があるという御指摘だと思いますけれども、私ども先ほど申し上げましたように、各工場の現場をできるだけつかまえていくという体制でおりますので、それぞれの具体的ケースが出ました場合には、適切な監督、指導を加えていきたいと思うわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 これは具体的には再建計画がつくられていく過程で、いろいろまた予想されない問題が起こる可能性もありますね。たとえば興人自体の企業の縮小ということもあるかもしれないし、それに伴ってまた関連下請機関の切り捨てというようなことも起こるかもしれませんね。こうした問題に対して、労働省は一体どういう指導をこれからするつもりなんですか、もし起こった場合ですね。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 こういう倒産の処理というのは、なかなかむずかしい問題であろうかと思います。ただ、会社更生法の手続に入りますと、従来からもそうでございますが、一般債権者もたくさんあるわけでございますけれども、最近は労働者の権利というものに対しまして特に重視していこうという傾向が一般でありまして、今度の場合にも、そういうことで労働組合と協定が行われて、管財人も意欲的にこの問題の整理に当たっているというふうに見ておりますけれども、しかしながら、おっしゃるように大変厳しい問題でございます。特に下請ということになりますと、なかなかむずかしい問題があろうかと思います。そこで私どもも、必要に応じまして、関係省庁から意見を求められた場合、あるいは管財人等に対しては、むしろ必要があれば積極的にこちらから意見を申し上げるというようなことで、常時緊密な連絡を保ちながら、また各地の工場の現場を十分把握しながら、適時適切な手段を講じていきたいと思います。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 その適時適切な措置を講じていきたいという考え方はわかりますが、具体的に管財人が再建計画を立てる過程で、労働組合があれば労働組合と話もし、意見も聞くかもしれませんね。しかし、倒産をしているだけに、現実は決して甘いものでなくて、厳しいものがあると思うのです。したがって、その厳しさを乗り越えていくためには、やはり相当労使の協力関係も必要ですし、そのためにまた一方的に労働者に犠牲が強いられるというようなことも起こり得る、そうした場合に、仮に、いま申しましたように、興人の下請関係が切り捨てられるとか、そのことによって労働者が失業するとか、こういったような事態も当然想定されますが、そういうものに対して、それは一人の犠牲者も出さないということが一番いいわけですけれども、その努力はしても、なおかつ犠牲者が出た、こうした場合に、その犠牲者に対する何らかの保全措置というか、雇用対策というか、そうしたものについて何か具体的に考えがありますか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 御存じのように、今日の困難な厳しい雇用情勢の中でございますので、こういう興人のような大型倒産に際しましても、親企業はもとより下請企業につきましても、離職者を出さないように再建計画の中で十分私どもは意見を申し述べてまいりたいと思います。万が一、そういう離職者が出ました場合には、雇用保険法あるいは雇用対策法、こういった現行の法令、制度を十分活用しまして、一日も早く再就職できるように最善の努力をしてまいる考えでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 現実問題として賃金やら、あるいは退職金やら、あるいは仮に社内預金があれば社内預金やら等々について、賃金等については労働基準法でそれは支払いの義務もありますし、罰則もありますけれども、しかし、現実に倒産をしてもう支払い能力がない、こういう企業もやはり中にはあるのではないか。そうした場合に、そうした労働者の賃金なり退職金なり、あるいは社内預金があるとすれば社内預金なり、そうしたものを保全する保障というものは、現行法にはないでしょう。それは仮に要求をする、権利はある、裁判問題になったって、しかし相手に払う能力がなければどうにもならぬわけです。したがって、えてして労働者の方が一方的に泣き寝入りをする、あきらめる、あきらめさせられる、こういう事例もいままではたくさんあったし、これからもあり得ると思うのです。したがって、そういう場合に、その労働者の債権を何らかの形で保全をする、しなければならないといったような考え方があるかどうか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 いまお挙げになりましたような労働債権の確保の問題につきましては、御承知のように、先国会で雇用保険法が成立するときに、大変論議が行われまして、附帯決議もなされておるところでございます。また、労働省といたしましても、かねがね労働基準法研究会にお願いいたしまして、問題点の整理をお願いしてきましたけれども、去る七月末日に答申も得ております。そこで、次の通常国会に何らか具体的な措置につきまして、法案の御審議をお願いできるようなふうに持っていきたいと思って、いま鋭意検討を進めている段階でございますが、問題は、いま御指摘のように、賃金につきましては、労働基準法二十四条がございますし、また社内預金につきましては、大変不十分ではございますけれども、一応いろいろな指導、通達で保全措置もさせてまいってきておるわけでございますが、それらがそのままでは十分でないということは、いま御指摘のとおりでございます。  そこで、いろいろ検討しておりますが、問題は幾つかに分かれまして、一つは、労働債権の優先順位の問題をどうするかという問題がございます。これは大変基本的な問題でございます。それからもう一つは、事業主の責任というものについて、現状のような体制でいいのか、あるいは下請、元請の関係のような場合に何らかの措置がないものかどうか。それからまた、不払い賃金は後になって払うわけですが、そのときの利息が、単なる法定利息のようなことでいいのかというような、そういう問題もございます。それから、退職金や社内預金につきましては、いろいろな保全措置が、いま御発言のようにもっと厳しく設けられていいのじゃないかという問題もございます。それから、いよいよぎりぎりになってどうしても支払えないというような場合に、結局、しわが労働者に寄るということでは問題が残るのではないか、そこに何らか立てかえ払い的な制度ができないかということで、これは諸外国の最近の立法例などを調査いたしておりまして、何らかの援護措置といいますか、そういうものも考えてみたいということで、目下鋭意検討を加えているところでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 大蔵省見えていますか。——この興国人絹の倒産に関連してちょっとお尋ねしたいのですが、この倒産の原因をいろいろさぐってみますと、さっきもちょっと申し上げましたように、抽象的に言えば、政府の責任もあるし、同時に、もちろん企業側の経営者の責任が一番大きいわけですけれども、金融機関のいろいろな関連における責任もやはりあると思うのです。したがって、会社の再建に対して金融機関がどのような協力体制をとるかということがやはり一番大きいと思うのですが、そうした金融機関に対する大蔵省の特別の指導といいますか、そういうものがありますか。

宮本保孝大蔵省銀行局銀行課長

○宮本説明員 本件は、戦後最大の倒産でもございましたので、われわれといたしましても、八月の二十七日に財務局に早速通牒を出しまして、特に興人の再建と関連企業の倒産の防止という点につきまして、財務局にお願いをしたところでございます。  まず政府、日本銀行といたしまして、特に仲介の労をとる必要があるのではないかというようなこともございまして、現地におきまして、日銀、大蔵省、通産省そのほか関係省庁が集まって、金融上の措置に万全を期するように、特に各地方に中小企業金融臨時連絡協議会というものがございますが、これを活用して万全を期するように申し伝えてございます。  それから、金融機関に対しましては、特にメイン銀行が中心になりませんとうまくいきませんので、メイン銀行を中心にいたしまして、当該関連企業が資金繰り上破綻を来すことがないようにいろいろ関係者間で協議して、機敏に措置をとってくれというごとも言っておりますし、また、融資条件につきましても格別の配慮を行うことといたしまして、特に現在やっております中小企業救済特別融資制度というのが、まだ枠が残っておりますので、これを十分活用するようにというようなこともいたしております。  そのほか、現地におきます政府関係金融機関がございますので、それにつきまして、協力できるものについては十分協力するように、それから既往の貸し付けの弁済猶予等につきましても、政府関係機関において十分留意してくれというようなことをいたしておるわけでございます。  その結果、最近、中川管財人が決定されまして、特にこの管財人がつくります再建計画に必要な資金であれば、当然、われわれとしても、金融機関側に対して十全の協力をするように今後指導してまいりたいと思います。  それから、すでに報告によりますと、手形割引につきまして、九月で救済のための八億円の融資と十月にはすでに十二億円の融資も行われているようでございまして、われわれとしても、できる限りの措置をいたしておるところでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 こういう単に会社の経営上の資金だけでなくて、興国人絹というのはパルプ産業ですから、したがって、公害問題なんかも若干あるわけです。たとえば地元の漁協に公害の補償金の未払いがあるとか、あるいは海に大変ヘドロが堆積して困っているので、そのヘドロの除去について地元の市や県あるいは住民と協定を結んでいるとかいったような公害防止に関するものもあるわけです。これは会社側が資金繰りが非常に順調にいっているときには、会社の能力でやれたでしょうけれども、倒産という段階になってもうそれができない、こういう場合に、県やら市やらあるいは地元の住民にもうちょっと再建までがまんしてもらいたい、こういう話にはなかなかなりにくい面もあるわけです。そうした公害防止に対する必要な資金等についても、特別に何か大蔵省の方で配慮をして手当てをするとかいうような考えはありますか。

宮本保孝大蔵省銀行局銀行課長

○宮本説明員 公害の防止につきましては、特に興人の場合に、私、聞くところによりますと、来年中に何か五、六十億ぐらいの公害防除施設をつくりませんと、興人自体の再建がうまくいかないというようなことも聞いておりますし、いま先生御指摘の、富山とかいろいろ個々の大きな工場がございますけれども、地元におきまする個々の公害防除等につきましても、かなりの資金が要るようでございますし、これは再建計画の中での資金の問題といたしまして、再建計画の遂行の過程におきますそういう必要な資金につきましては、特に先ほど申しましたように、メインバンクが中心になりまして十分めんどうを見ていくようにということで指導いたしていきたい、こう思っております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 いずれにいたしましても、この興国人絹の倒産が今後どう発展をしていくかという問題については、大変大きな社会問題にもなると思うので、それだけに事態は非常に大きな影響力を持っている。この興国人絹の再建については、大蔵省、通産省、労働省等々がやはり連携をとりながら、十分に保全をして守っていくということが当然必要だと思うのですが、最後にひとつ労働大臣、さっきから申し上げておりますように、これは少なくとも労働者には責任はないわけですから、したがって、その責任のない労働者が、このことに関連をして失業したり、路頭に迷ったり、生活に困ったりすることのないような手だてはひとつ十分やっていきたい、こういう意味のお考えと決意を聞いておきたいと思うのです。

長谷川正三日本社会党

○長谷川国務大臣 先ほどから政府委員が答弁しましたように、興人の破産というものは、非常に社会的な大ショックでございました。私は、政府委員から答弁があったように、経営者を労働省に呼んで、先ほど申し上げたような条項について申し入れをする、あるいは私がまた会社の三つの組合の諸君にも会って模様を聞いたりいたしました。そうして役所の方では、各現場機関がそれぞれ歩いて実情を把握したことであります。  そこで、私が非常に印象的であったことは、経営者も組合の皆さん方も、何とかこの会社をやっていこう、こういう意欲があったのに私は非常に感心しました。そうしてお話のように、私の方から通産省を通じて、会社更生法が今度適用開始されるに当たりまして申し入れたことは、東京地裁を通じて申し入れたことでございますが、更生手続開始決定を可及的速やかに行うこと、さらには管財人については、雇用その他の労働問題についても高い識見を有する者を選任すること、第三番目に、賃金については遅配、欠配、不払いとならないこと、及び退職金、社内預金を含むその他の労働債権については完全に弁済されるように措置すること、こういう申し入れをしたこともございます。そうしていま、労使ともどもに何とか再建しようと仕事をしているわけです。そうしてこういうふうに更生手続が踏まれている。  一方、私、早川種三氏は個人的にも友人でございますから、これだけの大きな倒産であるから、何とかいままでの経験を生かしながらぜひ早くこれを更生するように、非常に力のある方ですから、日本銀行なり政府なりいろいろなところにも働きかけてくだすっている、こう思いますので、いま御質問のあった点も、政府委員がお答えしたような手続をとりつつ、そしてまた労働協約などというものが、会社更生手続が踏まれておっても、その中に生きていくような姿で、労働者の諸君の賃金並びに家族の方々をお守りするというところに重点を置きながらやっているような実情でございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 何回も申し上げますが、この事態から一方的に労働者が犠牲になるとか、あるいは失業して路頭に迷うとかいうような事態が起こらないように、もう一人の犠牲者も出さない、こういうことを前提にしてみなさん方にも十分な対策を講じていただくし、同時に、仮に犠牲者が出た場合には、その犠牲者の生活保障や雇用問題については十分にひとつ対策を講じていく、こういう決意で今後の問題についても対処していただきたいと思うのです。そういう意味では、大蔵省も単に経営だけの問題ではなくて、そうした労働者の身分の保全なりあるいは生活の保障なり、こうしたものについても、ひとつ万全の対策を講じていただくということを特に要望いたしておきたいと思うのであります。  次に、最近、地方自治体の財政窮乏化に伴っていろいろなトラブルが起こっております。そこで、そうした公務員関係の、労使関係の問題について若干見解を聞いておきたいと思うのです。  現行法から申し上げますと、公務員関係の労働組合の基本的な労働権に対していろいろな規制が加えられておるということは一応あるにしても、私はその前提となる基本的な労働基本権といったものは、全部を否定されておるわけではないというふうに思うのです。これは、たとえば地方公務員の場合を例にとりますと、現業の組合員もおりますし、非現業の組合員もいる。現業の組合員は、特に、地方公営企業労働関係法の適用を受けて団体交渉もできるし、労働協約の締結権もあるわけです。しかも仮に非現業の組合にいたしましても、これは地方公務員法の五十五条で交渉もできますし、同時に、交渉で妥結したものについては文書の取り交わしもできる。これは労働協約とは違うけれども、しかし一つのやはり紳士協定として労使双方が守る義務と責任がある、こういう内容のものだと思うのですが、そういう公務員関係の労働基本権についてどういうふうに労働省はお考えか、聞いておきたいと思います。

青木勇之助労働省労政局長

○青木(勇)政府委員 ただいま先生お話しございましたように、地方公務員につきましては、現業と非現業とでは当該労働関係の取り扱いは一応異なっております。先ほどお話しございましたように、現業関係につきましては、地公労法の適用を受けまして協約締結権まで認められております。争議権は御存じのように否定されております。これに対しまして、非現業の一般職の公務員につきましては、団結権は地公法上保障されておりますが、労働協約締結権につきましては、御指摘のように五十五条の第二項で締結権限は認められておりませんが、しかし当局と交渉する権限というものは認められており、条例とか規則、そういうものに抵触しない限りは、文書によって書面協定を結ぶことができる、しかも当該書面協定につきましては、当事者は誠意と責任をもってこれを遵守するという規定があることは、先生の御指摘のとおりでありまして、したがいまして、労働関係に関する事項についきましては、当事者間で十分な話し合いを行いまして、合理的、平和的に解決するのが筋ではないか、こういうふうに考えております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 ところが、最近、これは具体的な例を申し上げますが、福島県等においては、いままで労使が話し合いで積み上げてきた、いろいろな協定を一方的に破棄をして——たとえば各県に人事委員会があって、人事委員会が給与の改定の勧告をいたします。その勧告は当然尊重しなければならぬと思うけれども、給与の改定の時期を一方的に県が決めて通告する、あるいは昇給の延伸等についても一方的に通告をして延伸をやるとか、こういう全く労使関係のあり方、慣行を無視して、賃金なりあるいは労働条件を一方的に切り下げるような措置がとられておる。こういう事例が単に福島県だけでなくて、最近たくさん出ているわけです。  もしこうした賃金の切り下げなり、あるいは労働条件の切り下げなり、そういうものに労働団体が、職員団体が反対行動をとれば、これは法令違反として処分される、こういう事態になってまいりますと、一方的に組合の方が泣き寝入りをする、こういう状態に置かれる可能性もあるわけですが、こうした労働関係のあり方について労働省はどういうふうにお思いになりますか。

青木勇之助労働省労政局長

○青木(勇)政府委員 それぞれの先生御指摘の福島県等の各事情については、私の方でつまびらかでございませんので、その具体的事例についてのお答えはいたしかねるわけでありますが、いずれにおきましても、労使関係の問題というものは労使が誠意をもって話し合いで解決するというのがたてまえでございまして、そういう線で事の処理をしていくべきではないか、こういうふうに考えております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 いま労政局長から答弁がありましたように、労働組合法の適用があるとか、あるいは地公法の適用を受けているとか、こういうことに関係なく、前提としてはやはり労使が十分意を尽くして話し合いをする、そうして労使関係の問題を解決していくというのがその基本でなくちゃならぬ、これは当然だと思うのです。  ところが、さっきも申し上げましたように、これは具体的に申し上げますと、こういう通告がなされているわけです。「給与改定は九月一日から実施する。昭和五十一年一月一日から昇給を十二カ月延伸する。ワタリ昇格基準は昭和五十一年一月一日から全面廃止する。初任給は昭和五十一年四月一日から国に準じて措置する。定率制の特勤手当は昭和五十一年四月一日から定額化する。今年度に限り、勤続二十五年で年令四十五才以上になる者、昭和三十二年十月十六日現在在職し、年令五十才以上になる者に希望退職を募集する。」こういう形でいままでの労使の取り決めというものを一方的に破棄をするようなかっこうで出てくる。しかも、さっき申し上げましたように、これに対して抵抗すれば処分が来る、こういうことになる可能性があるわけですね。強いわけです。  そこで、最近の労働情勢を見てまいりますと、たとえば公労協関係も賃上げをやる、あるいは労働条件の改善闘争をやる、公労法に照らして処分を受ける、処分反対闘争をやる、こういう繰り返しをやっておっても、やっぱり労使関係の安定はあり得ないということの反省から、いろいろな取り決めが労使関係でなされておりますし、同時に、公務員制度審議会でいままたスト権問題については議論がなされておるところなんですが、こういう労使関係の趨勢と見合わして考えた場合に、いまやとられておる各県の、あるいは市町村の地方公務員に対する措置というのはきわめて一方的で時代離れしておる、こういうふうに私は思うのですけれども、そこらについて、いま労働省からありました答弁と照らし合わせて自治省は一体どういう見解を持っておるのか、お尋ねします。

金子憲五自治省行政局公務員部給与課長

○金子説明員 労使間の問題につきましては話し合いで解決をしていくということが基本的なものであることについては、私どもも同様に考えております。  ただ、ただいまお話のありました福島県においての事例が、賃金、労働条件についての一方的な切り下げであるというふうには考えておりません。従来行われておりました協定がいかなる形式でいかなる内容のものであったのか、十分に承知をしておりませんが、今回、福島県の方が出しております給与改定に当たりまして、今後昇給期間の延伸を行う、あるいは渡り昇格基準等につきまして撤廃措置を講ずるといったようなことは、現在、福島県においての給与水準が異常に高くなってきておる、それからさらに従来、違法の昇給期間短縮措置を行ってきたことについて、それの回復措置を行うといったようなことがその中心点になっておろうかと思っております。そしてその際におきまして、給与改定でベースアップが行われるときに、こういう従来行われておった不当な運用措置についての是正を行うということでございまして、その部分を見ましたときは、決して給与条件が切り下げになるというものではございません。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 給与水準が引き下げになるとは思わないといったって、いままでの協定で、あるいは労使関係の交渉の中で取り決められてきた経過からすれば、いま申し上げたようなこういう一方的な県の通告は、現実に大変大きな切り下げになるわけです。  そこで、こうした労使関係のあり方については、これはもういままでの公労協を含めていろいろ問題があって、いまは反省の時点に立って基本的な権利の問題もいろいろ議論されているところでしょう。そういう時代の動きの中に、公務員関係の組合だけ一方的にこういう措置がとられるということについては、大変不当ではないかと思うし、自治省はそういう指導を県や市町村にやっているわけですか。

金子憲五自治省行政局公務員部給与課長

○金子説明員 従来、不当に高かった給与水準については是正をしてもらいたい、それから従来違法、不当な運用については、それも是正措置を講じてもらいたいということでの一般的な指導を行ってきております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 これは本来的には、県や市町村は自治権があるわけですから、したがって県、市町村は、それぞれ当局と職員団体が話し合いをして決めて、決めたことは、必要なものについては議会で条例化するなり議会の承認を得るなりすれば、それは地方自治体で自由にやれることじゃないですか。そこらはどうですか。

金子憲五自治省行政局公務員部給与課長

○金子説明員 言われるとおり、最終的に、その団体の職員の給与条件につきましては、その団体において決定されるべきものであります。しかしながら、自治省といたしましては、地方公共団体の人事行政について助言協力をする責務というものを持っておりますし、その権限に基づきまして、従来、地方団体について指導をしてきております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 ところが、最近の自治省のやり方を見てみますと、単なる指導助言じゃなくて、もう強圧的に押しつける、あるいは極端に言えば労使関係にまで介入をして、そして一方的にやらせる、こういう事例、動きがあるんじゃないですか。

金子憲五自治省行政局公務員部給与課長

○金子説明員 労使関係に介入するというようなことはやっておりません。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 最近の自治省は、地方自治団体に対して、事人件費に関する問題については、いまだかってないくらいに執拗に手を打っていますね。  たとえば、ここに若干その例を申し上げますと「給与条例の改定時期に関する自治省行政局長通達」というのがありますね。これは言うならば「地方公務員の給与改定実施に関する議案の提出時期等について」という通達を出して「給与改定関連議案の議会提出を国に先行して行なうことは適当でないので、厳に差し控えよ」という内容のものですね。これはさっき私が前提に申し上げましたように、地方自治体が自分の責任において職員団体と話をして、そして仮に妥結をした、次の議会に提案をして承認を求めるというのが本来、地方自治権に基づく当然の行為ですが、それを、国より先にやってはいかぬとかいったような法的根拠は何があるのですか。これは明らかに介入じゃないですか。どうですか。

金子憲五自治省行政局公務員部給与課長

○金子説明員 地方公務員法上に地方公務員の給与の根本基準というのがございまして、その中に、地方公務員の給与につきましては、生計費、民間の給与等と同様に国家公務員の給与を十分に考慮して定めるというふうになっております。ただいま言われました給与改定時期につきましての通達は、昨年出されたものでございますが、その際、国に先行して行うことのないようにというふうに申しましたのは、地方公務員も国家公務員と同様に、広い意味で言いますと日本の行政を担っておる。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 そういう意味で、給与改定につきましてのその内容、それから時期につきましては、やはり国家公務員と同様に行われる必要があるということが一つ。それからさらに、地方公務員の給与改定につきましては、当然それに随伴して国の地方財政上の措置が必要になってまいります。したがいまして、それらの措置を待って、かつ当該団体においての財政上の見通しを確実に立てて、その上で行ってもらいたい、そういうような趣旨で出したものでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 いや、そういう財政運営上の配慮をして指導助言をする程度ならともかく、出してはならない、適当でない、厳に差し控えよ、こういうやり方というのは、これは単なる指導助言の問題ではないですよ。いま地方団体は、財政等の問題も含めて自治省には全く頭が上がらない。陳情して金をもらうばかりなんだ、こういう状況になっておりますから、一言自治省が言ったことが大変大きな圧力とおもしになる。こういう国と地方団体との関係を考えた場合に、こういう内容でやられれば、これは単なる指導助言の域を越えて、大変大きな圧力になっている。その圧力が労使関係を規制する一つの介入になってきているということは当然考えられると思うのですが、どうですか、この点。

金子憲五自治省行政局公務員部給与課長

○金子説明員 ただいま通達の件に触れて申し上げましたように、やはり地方公務員の給与の決定につきましては、国家公務員との均衡、さらに財政上の確実な見通しを待って行われるべきものというふうに考えております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 もうそれは話にならぬ。話にならぬけれども、私は少なくともやはり地方自治権は尊重さるべきであるし、同時に、その地方自治権の尊重の上に立って、労使関係の話し合いというものについても、自主的にやることについては尊重さるべきである、こういうふうに思いますから、そういう点はこれから厳に慎しんでもらいたいと思うし、そういう点は十分配慮してやるべき必要があるのじゃないかというふうに思うのです。  大臣、いましておる話をお聞きになってどういうふうに思いますか。

長谷川正三日本社会党

○長谷川国務大臣 具体的な内容については、自治省関係ですから、私つまびらかじゃありませんけれども、話し合いの中に円満に問題が進むことを期待しているものでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 この問題については、また別の場所でもう少し掘り下げた議論もしたいと思うのですけれども、特に最近、必要以上にトラブルが起こっている。これは一つは、私の見方を申し上げさせてもらえば、自治省が必要以上に地方公共団体の長に対して圧力をかけている、あるいは介入していく。こういうものに縛られて、自由に労働団体と話をして、自分の責任で始末をつける、こういう当時者能力が相当規制をされておる。そのことからやはりトラブルが起こる可能性というものが十分考えられるわけですから、したがって、あくまでも法の趣旨というものは尊重して自治権は尊重する、労使関係の立場も尊重する、そして自主的な話し合いでうまくいくように十分自治省も配慮していく、こういう立場というものはやはり厳に守るべきであるというように私は思います。もうこれ以上議論はしませんけれども、その点は強くここで要請しておきます。  次に、特に再建団体が若干いま問題になっておると思うのですが、たとえば福岡の豊前市等については、再建団体になって、これは五カ年間昇給がストップされる、こういう一方的な、いままでの労使協定が破棄をされるようなことも平然と行われておる。これは私、さっき興国人絹の倒産問題でもお話を申し上げましたが、少なくとも地方自治体の赤字を解消し、財政再建を行うということになれば、当時者も理事者もあるいは職員も、もっと広く言えば住民も、全体がやはり協力をして財政再建をやっていく、こういう体制ができなければ、本当の意味の財政再建にならぬと思うのです。それを一方的に、責任のない職員の昇給を五カ年間ストップするとかいったような形で財政再建がなされるようなやり方については問題があるのではないかというように思いますが、その点はどうですか。

関根則之自治省財政局指導課長

○関根説明員 豊前市の再建計画のことでございますが、再建計画というのは、御承知のように地方団体が作成をいたしまして、それを自治省において承認をする、こういう手続をとっているわけでございまして、あくまでも地方団体の自主的な計画であるというふうにわれわれは理解をいたしております。その再建計画の策定の段階で労使の交渉が持たれるわけでございますけれども、一応私どもの基本的な考え方としては、再建を進めるに当たって、先生おっしゃるとおり、できるだけ幅広い、職員もあるいは住民をも含めての協力体制が必要であるというような考え方に立っておりますので、できるだけ話し合いをして、了解でき得るものについては了解を得た上で計画をつくるように、そういう考え方に立っておるわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 これは豊前市の場合もそうですが、たとえば大分県の竹田市の場合なんかも、労働組合と職員団体と話をしないだけではなくて、議会も大した審議もしないままに、しかも話し合いをしようではないかと言って要求している労働組合、それを無視して一方的に議会で議決をするということについては、これはけしからぬというので若干の抵抗をした。そこに機動隊を呼んで、そして職員を排除してあっという間に決めてしまった。再建団体の指定を受けるという議決をしたわけですね。そういう議会の当局のやり方、さらに労働条件等についても、あるいはその再建の方策についても職員団体とは全然話をしない、そして秘密裏に事を運んでいく、こういうやり方についてはどう思いますか。

関根則之自治省財政局指導課長

○関根説明員 先ほども申し上げましたように、私どもとしてはできるだけ組合等とも話をして計画を練り上げるように、あるいは再建の申し出を行う場合にも議決が必要でございますが、そういう前提段階においてできるだけ話をするように、こういう考え方を持っておるわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 ところが、現実にはそういう話し合いが余りなされないでやられているということをひとつ十分含んで、これからの指導をやってもらいたいということが一つです。  それからもう一つは、これはたとえば地方公務員の中では、さっきから申し上げておりますように、現業も非現業もあるわけです。現業の場合には、これは地公労法の適用で団体交渉権もあるし、労働協約締結権もあるわけです。そして現に労働協約は締結されておるという場合に、財政再建のために一方的にその協定が破棄される、こういう事例は過去にもあったし、これからもあり得ることだと思うのです。そうしますと、財政再建団体に指定をされて財政再建をやられるということは、言うならば労働組合法も地公労法も上回った権限を持ち得るのかどうかということになるのですが、そこらの見解はどうですか。

関根則之自治省財政局指導課長

○関根説明員 再建計画が現行の労働関係法規というものを乗り越えるだけの効力があるというふうには考えておりません。再建団体になりましても、当然、職員に適用される労働関係の法規に基づく権限、権利というものはあるというふうに考えております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 そうしますと、恐らくその再建計画を立てる過程では——それは議会が決めることですね。地方議会が決めること、該当の議会が決めることです。しかし、その決める前に自治省とは相当事前に打ち合わせがあって、そして大体自治省にも承認を求められるというふうなものを前提にして、議会では最終的に提案をされて議了する、こういう段取りになると思うのです。したがって、そういう再建計画をつくる過程の中で、いま結ばれておる労働協約があるとするならば、その労働協約なんかは尊重するという前提で再建計画をつくられますか、そういうふうに指導しますか。

関根則之自治省財政局指導課長

○関根説明員 再建計画はいわば粗筋を定めるものでございますので、具体的に再建計画そのものに協約をこういうふうに変更するとか、そういうものが書かれるものではございません。重立った経費の節減事項、どういうものがあるかということを書きますし、歳入面で強化する方策は何かというものを書きます。最終的にはそういうものをまとめまして金額として毎年度の歳入歳出がいくらになる、その中のたとえば人件費がどの程度になるというものが金額で押えられてくる、こういう性格のものでございます。そういう再建計画を町なり市なりの権限において議会の議決を経てつくるわけでございますけれども、再建計画が一たんでき上がりますと、それに従って予算執行をしなければいかぬ、財政運営をしなければいかぬということになりますので、その計画によりまして具体的に経費がはみ出さないようにいろいろと労働関係の協約の変更であるとか、そういうものを実施に移していくわけでございます。再建計画は既存の協約等に全く変更を加えないで常時できるものとは考えませんけれども、直接再建計画が協約の変更をする効力を持つというものではないものでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 いまお話がありましたように、予算執行上、たとえばこういう件については節減しなさいとかいうことになるでしょう。そうしますと再建計画を立てて議会でその承認を求める、それはもう絶対的な一つの拘束力を持ってくることになるでしょう。そうすると、そのことが仮に結ばれている労働協約に抵触をして、労働協約のその協定を一方的に破棄するような実施面が出てくるということも当然考えられるでしょう。そうした場合、その労働協約があるとするならば、その労働協約を前提にして、そこらの予算執行の面については十分再建計画を考える、こういう配慮がなされてしかるべきではないか。そうでなければ、財政再建ということに名をかりて、労働者との労働協定が一方的に破棄をされるというような事態も起こり得るではないか、そういうことを言っているわけです。

関根則之自治省財政局指導課長

○関根説明員 再建を行います地方団体は、財政的には非常に大変な状況になっているわけでございますので、一般的に、労働協約はすべて既存のものについては変更を加えない、そういう前提に立ちますと、なかなか再建も困難である、そういう事情が一般にあるわけでございますので、必ずしも再建計画では既存の労働協約に絶対手を触れないのだということではでき上がらない。したがって、内容的には既存の労働協約の変更を余儀なくされるというような金額面での制約を持った計画もできるわけです。そして、そういう計画ができた場合には、その労働協約を変更いたしますときには、当然のことながら法律の規定に従った改定の手続、その他をとっていかなければいかぬということになるわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 さっき会社更生法との関連の中でも労働省から説明がありましたように、有効に存在する労働協約についてはその効力を失するものではない、これは会社更生法の中でもちゃんと認められておる。それと同じようなことがやはり言えるのではないか。そうしますと、再建計画を立てる段階で、こういう予算執行をすれば、これはいま有効に存在する労働協約に抵触をするとか、あるいはそれを一方的に破棄しなければならないことになるとかいったようなものについては、事前に再建計画をつくる段階で十分その関係団体と話し合いをして、同意を求めるとか了解を求めるとか、こういう手だてをとるべきではないか。そうでないと、その過程を抜きにして、そしてつくって議会で承認された、予算執行の面でこういう支障が出てくるので、その支障について関係組合と話をするとか団体と話をするとか、こういうやり方をされますと、これはもう相当進んだ段階で一方的に押しつけられる、こういうことにもなりかねないので、法の趣旨からいったってそういう扱いをすべきではないかと思いますが、その点はどうですか。

関根則之自治省財政局指導課長

○関根説明員 当然、地方団体で再建計画を組みますときには、既存の協約をどうしなければならないかということを考えてつくるわけでございますので、たとえば労働協約を変更せざるを得ないという場合には、そのための期間がどのくらいかかるだろうかということを見越しまして、そういう手続が終わってでき上がる時期、すなわち一か月なり二か月なり、物によっては六か月後から実施をするというような形で再建計画が組まれるわけでございますので、ただ既存の労働協約と申しましても、期限の定めのないもの等がございますので、そういった点は法律上支障なく変更ができるというような見通しのもとに地方団体としてはやっているものというふうに考えております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 これはひとつ、労働省にも見解を聞いておきたいと思いますが、さっき申しましたように、会社更生法の手続きが開始されて再建計画をつくる段階でも、やはりいま有効に存在する労働協約はその効力を失するものではない、それは尊重さるべきであるというのは当然の話ですね。しかし倒産をしたということ自体を考えて、会社を再建するためには従来の労働条件をそのまま維持してやることについてはいろいろ支障がある、そこで労働協約もやはり改定してもらう必要がある、こういう考えに立った場合には、その会社の再建計画を立てる段階でやはり労働者の意見も十分聞いて話し合いもして、そして協力を求める、こういう手だてを講じた手続きをとるのが当然だと思うのですが、その点はどうですか。

青木勇之助労働省労政局長

○青木(勇)政府委員 財政再建というようなきわめて重大な事態を乗り切るためには、関係者が一体になって努力することの要請されることは申すまでもないところでございます。したがいまして、財政再建計画は当局の責任において策定するという性格のものではございますが、その策定実施に当たりましては、必要に応じて、先ほど関根課長からも答弁がございましたように、関係職員あるいは職員団体に十分に説明をして、その協力を得ることが望ましいというふうに考えます。先ほど自治省の方からも答弁がございましたように、再建計画が策定されましても、それによって現に有効に存在する協約の効力が否定されるものでないということは、自治省の方もはっきり言っておるわけでございますが、しかし、いよいよ再建計画の実施に当たりましてはいろんな問題が出てまいります。そういう場合には、当該協約の一方の当事者でございます団体と誠意をもって話し合って、内容の変更等を話し合いによって解決することが必要ではないか、こういうふうに考えております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 事が決められてから、前提がつくられてから、そしてその労働協約に抵触する部分が出てくるので労使に申し入れをして話をするというようなことでは、相当追い詰められた形で話がなされるから、対等の立場で交渉ができるということを破壊するわけですね。したがって私は、むしろやはりいまの労使の関係から正当に判断をするならば、必要に応じて再建計画をつくる過程の中で、必要な部分については職員団体と十分話をして協力も求める、こういう態度をとるべきではないかというように思うのですが、その点はどうですか、労働省は。

青木勇之助労働省労政局長

○青木(勇)政府委員 その点、先ほども申し上げましたように、財政再建計画は当局の責任において策定するものでありますけれども、その策定に当たりましても、必要に応じて話し合いをするということが必要である、こういうふうに先ほど申し上げたわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 自治省は、その再建団体については特に強い指導権を持つわけですから、そういう、いま労働省から答弁のあったような立場で方法で考え方で今後も指導に当たるというふうに判断をしていいですか。

関根則之自治省財政局指導課長

○関根説明員 再建計画を作成する段階におきまして、できるだけ職員組合等と話し合いをするように指導を、いままでもしておりましたし、今後ともしていきたいと思っております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 これは特に会社更生法の場合も、地方団体の場合の財政再建も同じですけれども、当局が一方的にできるものじゃないですよ。職員団体の協力も必要ですし、同時に住民の協力も必要です。協力が必要であるだけに、やはりその過程で十分話し合いをして了解を取りつけるということが何分大事だし、それが、ある意味では再建ができるかできないかということを決める大きな要素にもなると思いますから、そういう点も十分含んで今後の指導については、その問題に関する限りは十分配慮をした指導をしてもらたいということを強く要望して終わります。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 田中美智子君。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 十月の二十四日に名古屋の三井東圧で森友治さんという方が、いわゆる塩ビによる肝臓がんでなくなられたということが起きてから急に社会的にも非常に大騒ぎをしている、特に労働省がそれから動き出しているというふうに国民は思っているわけですけれども、私が調べましたら、四十四年に労働省が塩ビの危険を察知して各工業所に、工場に調査をしたというふうに聞いておりますけれども、それはやっておりますでしょうか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 塩ビの問題につきましては、昭和四十四年の秋に東京で国際労働衛生会議というものが持たれまして、その席で指端骨溶解症というものが起こるという報告がありまして、これは大変なことであるというので、私どもとしては、その後直ちに塩ビ協会等に管理基準をつくれというような指示もいたしたわけです。その段階で、これだけ国際的に重要な問題になった事例について、わが国ではほとんどつかんでいないということで、何か調査をする必要があるという意識を持っておりました。すでに問題の三井東圧のございます愛知の基準局では、その場合に自主的にまず三井東圧の名古屋工業所について状況を把握するようにというようなことを指示いたしまして、そういった把握をさせたこともございます。しかし労働省全体といたしましては、四十六年から四十七年にかけまして関係の事業場のデータを集めて、いろいろそれを専門家によって解読をしてもらうというような努力をしてまいりました。ところが、四十九年に至ってまた今度は肝血管肉腫という問題が起こったわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 私の質問だけに答えていただきたいと思います、時間が短いものですから。四十四年に国際労働会議があった後、各塩ビ工場に指示をして労働省が調査をしたというふうに聞いておりますが、その調査の結果はありますかということを伺っているのです。これだけについてお答え願いたいと思います。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 その調査は、結局各社でやっております検診の個人票を全部出させ、それからX線写真を全部出させまして、それを解読しました。その結果が論文になっていますけれども、そういう個人票なりX線は返しております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そうしますと、それはどういう基準でやったのか、それはどういう項目でやったのか、それから幾つの企業がそれに対して労働省に回答を出しているのか、その中で異常者が何人あるのかというふうな資料はわかりますでしょうか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 いまお尋ねの全体について詳細は必ずしも把握いたしておりませんが、おっしゃいました点は、その時点では指端骨溶解症の問題でございます。そこで千五百九十七の検診個人票を集めて、そしてそれらについていろいろ調べたわけであります。それからX線は千五百九十九のX線を集めてやっております。それらについて坂部博士あるいは久保田博士等々がいろいろ解読をして研究したということがございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 私どもの調べたところでは、この四十四年の三井東圧の調査を見ますと、このときにも、はや手足がしびれるとか手足が白くなるとか目の刺激があるとか、それから酔ったとか、こういう調査項目が出ているわけですね。そしてその中に森友治さんの症状が出ているわけですが、七項目のうち森さんは四つの項目に対してそういう症状がある。目まいがしたというような症状が出ているわけですね。ほかの方にもそういう症状がたくさん出ているわけですね。ですから、そのときにはまだ塩ビによるがんということははっきりしなかったにしても、一応塩ビによって労働者の体が、健康が害されているということは、四十四年の時点で労働省ではわかっていたはずですが、それに対してどういう手を打たれているのですか。  それで、ここでひとつお願いしておきたいことは、そのときの調査の基準とそれから回答数と異常者数を後で私に届けていただきたいというふうに思います。それはよろしいですね。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 いま私が挙げましたような個人票なりX線の撮影の結果を解読したものにつきましては、どういう症状が何人あったかというようなことは、坂部論文あるいは国内の学会でも一部発表されておりますから、それは後でお届けをしたいと思います。  そこで、四十四年に国際学会でも問題が指摘され、そういういろいろな調査を行いまして、少なくとも指端骨溶解症というような非常にシリアスな問題があるということから、四十五年には塩ビ協会で自主的に管理指針をつくれということでこういう詳細なものをつくりまして、それをよく守るようにというような通達も出したわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 いまおっしゃいましたのは、私もそれを手に入れておりますけれども、「塩ビモノマー取扱作業の管理指針、というので、四十五年九月に塩化ビニール協会がこういう自主規定をつくっているわけです。しかし労働省の方から出しているあれは四十五年の十一月十六日。結局、塩ビ協会の方が先に危険を察知して自分たちの自主規制をつくり、健康診断も、不十分なものであるにしてもつくっている。それを後で労働省は追認しているのじゃないですか。これは九月にできていますが、通達は十一月十六日になっているわけですね。こういうものがあるから、これによって指導せよということがこれに書いてあるわけですね。  ですから、あなたのおっしゃったことは、労働省はどういう手を打ちましたかと私が聞いているのに対して、こういう手を打ったということは、塩ビ協会がやっているのを後から追認して、ああそのようにやりなさいというふうにやっただけですね。そしてたくさんの症状、がんまではわからなかったとしても、こういう症状が出ている。そして現実に労災を適用しているではありませんか。四十年に労災を適用しているではありませんか。それから四十二年にも労災適用していますね。ということは、塩ビによるがんであるかどうかはわからないにしても、塩ビによって労働者の健康が害されている、労災を受けなければならない状態になっているんだ。この労災を見ますと、みんな現場で昏倒しているわけです。ひっくり返っているわけですよ。そういう状態を労働省は四十年から知っているわけですね。この国際会議があったのは四十四年ですよ。ですから、それに対しては労働省は何にもしてないじゃないか。私が調べても何にもしてないじゃないか。いま期せずしてあなたがおっしゃったように、したということは、塩ビ協会が九月にやったものを後から追認しているというやり方だというふうに思うのです。ですからその後、労災それから四十四年の後は労働省は何をしていますか、どういう対策を打っていますか、それを聞かせていただきたい。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 いま塩ビ協会がやったものの後追いではないかという御指摘でございますけれども、私ども職業性疾病の抑圧、特にこういう非常に長い時間のかかる遅発性の疾病の防遏につきましては、何といいましても現場の労使というものが一番よく承知をしておりまして、そこからその努力が払われなければならないと思っております。  そこで、この指針も当然学会の問題もありまして、私ども業会等にも非常に働きかけてこれをつくってもらいまして、そういう内容のものを徹底すべきだという指示をいたしたのでございまして、その後も、たとえば管理濃度の設定なんかにつきましても、塩ビ協会、化学労協、私どもの三者で常に共同してこういうものをやってまいっております。そういう意味では、言ってみれば共同作戦を展開してきたのでありまして、業会に任せっ放し、あるいは組合に任せっ放しということではなくて、少なくともこの件についてはかなり十分な協調体制がとれてきたというふうに思っております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 十分な体制がとれてきたというのは、一体あなたはいつの時点のことを言っているのですか。第一こうした職場で卒倒して、労災も何も四十年から出ているし、四十四年にはもう学会でも相当——指の先がなくなっているんですよ。指の先がとれたものは生えてこないんですよ。ただ事じゃないあれですよ。そういう状態が出ているにもかかわらず、四十五年に努力目標として五百PPMだとか、これは努力目標ですよ。ですから、会社側が努力しなかったら、そこの監督をするのはあなた方であって、三者が一緒になってやるというよりも労働省が監督しなければならないわけでしょう。それを単なる努力目標というのを出しただけであって、法的な規制とかそういうものをほとんどしていない。  池田論文は御存じだと思いますけれども、この池田論文を見ますと、知覚症状、これは方向性のものですから、知覚症状があるのには六千PPMくらいでないと知覚症状がないという論文が書かれているわけですね。ですから、たとえば目まいがするとかはき気がするというような労働者は、しょっちゅうひっくり返りそうになって危ないというので、外に出て草原のところでちょっと座っていると治るという形でまた入る。また麻酔状態になるわけです。そういう状態は一万二千から一万六千PPMというふうに言っているわけです。そういう状態がずっとこの間まであったわけですよ。  ですから一体、労働省はその間何をしていたんだ。ただ五百PPMにしなさいという努力規制を示したにすぎないじゃないですか。そしてこれが四十七年といえば三年前ですよ。そのときには、もうあちこちで肝腫、肝臓のできものというふうなものが発表されているわけですね。その時点でもまだ二百PPMということは、口頭で言っているにすぎないじゃないですか。法規制したのは五十年の十月一日からですよ。そしていまやっとできましたと言うけれども、やっとどころじゃないでしょう。初めてやったんじゃないですか。  それで私は、もう一つ責めることになりますけれども、森友治さんが去年の七月、名古屋大学の稲垣先生に診断を受けたときは、もう塩ビによる肝臓がんだということはわかっていたわけですね。会社もわかっていれば、労働省もわかっているわけですね。あそこの小野所長という方に会いましたら、これは本人にがんということを知らせたくないから箝口令をしいていたのだ、こういうふうに言いました。それは本人に知らせない努力をするということは決して悪いことではない、いいことだと私は思います。しかし、この時点で肝臓がんが出た、そしてもう死ぬのだということは医者にも会社にもわかっていたわけでしょう。だから入院しないで、なるたけ自宅に帰して少しでも死ぬ前に家族と一緒におらしたらいいという配慮を医者もしているわけでしょう。そこまでわかっていながら、法規制もしなければ何もしないで、死ぬ間際にするというふうな不手際をやっているというふうに思うわけです。そういう点で、今後こういうことが一切ないようにしていただきたいために、いまこれを言っているわけです。  それで、四十四年の資料というのは、私どもはいまおっしゃった坂部論文を見まして、労働省がもう調査をしていたということを知ったわけです。あなたは基準局がというふうに言われましたけれども、基準局の山口政治さんという局長に会って聞いてさましたら、それは基準局を通さずに労働省が直接にやったというふうに言っておられるわけです。それから三井東圧の所長の小野さんも労働省から言われてその資料は労働省に出したと言っているわけですね。これを見ますと、非常にひどい状態、手が白くなったりしびれたり目に刺激があったりということが出ているわけですね。ですから、私が要求しますのは、坂部論文の基礎になった資料を提出していただきたいということです。よろしいですね。  それからその次は、これからどうするかということがいま一番大事な問題です。二十年、三十年潜伏していて、これからどんどん出てくるのじゃないか。それは労働者には本当に聞かせたくない言葉です、不安ですからね。しかし、稲垣先生自身が、これからどんどん出てくるぞと言っていらっしゃるわけですね。それなら早急に手を打って、一日でも早く治療をしなければならない。そのための対象者に対する健康診断をしなければならないわけですけれども、労働省としては経験年数五年からというふうに言っていらっしゃるわけですから、対象者は五年からにするわけですか。後、時間がちょっとしかありませんから、簡潔に答えてください。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 これから行います健康診断につきましては、五年という制限をつけるつもりはございません。現従事者全部、関係者はやるつもりでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そうすると、一年でもどういう人を対象にするわけですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 それは現在、重合がまの清掃というようなことから非常に深刻な肝血管肉腫が出ておるわけでございますから、当然、そういう工程を中心にやるということになります。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 もっとはっきり答えてくださいよ。重合がまに入った人は、一回でも入った人は全部対象にしますか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 現在、塩ビ協会に指示しております従業員の検診につきましては、危険があるものはできるだけ全部したいというふうに思っています。ただ問題は、いま御指摘のように、たとえばたった一回とかあるいは一日というのをどう扱うべきかということにつきましては、いま御指摘の問題のみならず、今後これの対策について十分な手を尽くさなければなりませんので、例の稲垣先生も入っていただきまして早急に塩ビの専門家会議を発足させる、この二十日に第一回の会合をやりたいということで、細かい点はそういうところで十分検討していきますけれども、いま問題はできるだけ不安を除去するということがねらいでございますから、できるだけ幅広く検診を行うということは当然でございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 できるだけ幅広くということですが、細かい点までいきませんけれども、新聞情報だと五年と書いてありましたので、一年の経験者でもそれに入れるか、それはどうですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 五年という制限はいたしておりません。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 しないですね。一年は……。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 一年をどうするかということについては、私も専門家でございませんので、いますぐにはちょっと即答できませんけれども、先生の御趣旨はよくわかりますし、私どももとりあえず不安を除去するということでございますから、できるだけそういう趣旨に沿った健康診断をやりたいと思います。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 それで、ぜひやっていただきたいのは肉腫が出ている人、これはおたくでよく御存じだと思いますけれでも、坂部先生が委員長になってやられている「環気中塩ビ濃度の規制に関する職業がん専門委員会検討結果報告」これを見ましても、五年未満の中に肉腫が出ておりますし、それから稲垣先生が三井東圧の三十二名をやった中には三年未満の人も入っているわけですね。三十三人中三十人は異常が出ているわけですので、こういう点で対象者を五年ということではなくて、一年間そういうかまに入っていたという人でも対象者にして、健康診断を幅広く、精密にやっていただきたいというふうに思います。  次に、健康管理手帳のことですけれども、いまの六価クロムにしてもPCBにしても、国民から見ればこうした新しい物が次々と出てきて、そして人が死んでから大騒ぎをする。それで調べてみれば、これはもう何年も前から危険信号はずっと出されていたのです。それを死ぬまで全然しない。死ぬということがわかってさえまだしない。死んで、新聞に載って大騒ぎになってから法規制がなされるというふうな形ですから、労働者は非常に不安に思っていますので、今度の健康管理手帳を早急に出していただきたいというふうに思います。これは、どのようになさるおつもりでしょうか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 この職業性のがんは、御承知のように非常に長い期間潜伏しておりまして、いま、死んでからでなければなかなか措置ができないじゃないかということをお挙げになりましたけれども、私どもは現在の特化則でも、ベンチジン以下二十四の物質をがん原性物質としてすでに規制の対象に加えて、一生懸命勉強しているわけですけれども、どこの国でも遅発性の職業がんという問題の処理には非常に頭を悩ましているわけであります。ですから、そういうことのないようにできるだけ先取りをやっていかなければならぬという点は御主張のとおりだと思います。  健康管理手帳の問題につきましても、私どもはいまもお話がありましたような趣旨から、現従事者は、これはもう法律によって事業主は健康診断の責任があるのですけれども、潜伏期間が非常に長い場合は退職してからが問題で、そのために健康管理手帳の制度があるわけでございますね。そこで、これについては、さきにも中央労働基準審議会に諮りまして、塩ビにつきましても、これを出してもらうという答申をいただいておりまして、関係各省の折衝もほぼ終わりましたので、これは早急に政令改正をいたしたいと思っております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そうすると、健康管理手帳は早急に出せるということですね。いつごろ出せますでしょうか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 従来の慣行でございますと、予算がつかないとこれがなかなかいかないということで、来年度予算の要求をしておりますので、四月一日というのが普通でございますけれども、しかし事は非常に重大でございますので、私どもは先月、すでに基準審議会の答申を得ましたので、そういうことを言わずにできるだけ予算の運用でもやろうじゃないかという話を財政当局にも持ち込みまして、いいじゃないかというような話になってきているわけです。ですから、後は法令の整備に若干の日にちが要りますけれども、できるだけ早くやりたいというふうに思っております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そうすると、四月前にも健康管理手帳を出す準備があるということですね。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 そのつもりで努力をいたしております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 それではぜひできるだけ早く、可能な限り早く健康管理手帳を出していただきたい。それで、幅広い健康調査結果に基づいてこの手帳を配布していただきたいというふうに思います。  それで、もう時間になりましたが、最後に末端骨ですね、措置の溶解症が日本に出たということは御存じですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 四十四年の学会以降、先ほど先生がお挙げになりましたような調査をいろいろやりまして、そうしてそれについて、少なくとも二名はもう完全な職業性の疾病だということで労災認定もいたしたわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 四十八年に名古屋大学の竹内康浩先生がこの病気を発見しているんですね。ところが、それについてもほとんど対策がなされてなくて、いま大急ぎでやられているということですので、おくればせながらいまから大至急やっていただきたいと思うのです。  これは新聞のあれですけれども、久保田労働衛生検査センター所長、この方がおっしゃっているのは、やはり生産第一の高度成長時代のツケがいま国民に回ってきているのだ、こういうふうに言っているわけですね。もう野放しにして、ただ高度成長、大企業がどんどんもうけるためには、国民の健康もそれから労働者の健康もある程度無視に近いような状態で進めてきた結果だということを久保田先生が言っていらゃしゃるわけですけれども、これについて労働大臣はどうお考えになるか、そして今後どういうふうにしていくのか、その御決意を聞かせていただきたいと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川国務大臣 石油ショックが起こったとき、私たちは非常にあわてましたが、その中にも、あなたも御存じでございますが、塩ビが足りない、塩ビが足りないという話がありました。いろいろな品物が改良される中に塩ビが、たとえば鉛管、水道の鉛管などがあの塩ビを使っておるのが、そういうものが足りないことがある。これは高度経済成長の名残という話もありますけれども、日本のこういう産業がアメリカから二十年間おくれてきて、そしてここ四、五年の間にアメリカに次いで世界で二番目のこういう使用量になっておるわけです。そういう中から、いまでもアメリカにおいては二十分に新しい品種が一つ生まれる。ですから、この場合でも二十年間も一潜伏しておって、偶然のようでございますけれども、国際学会を日本でやったときにそういう話があったから、おくれた、おくれたとおっしゃるけれども、私の方とすれば、そういう危険があるということで事業所にいろいろな勧告などをし、そして今日まで来て、その間に四十九年の一月にアメリカにそういう実例が出たということで、早速先生がおっしゃるその坂部さんをアメリカにやって、その実情を調べて、そして塩ビ協会、これは経営者の団体でしょう、それと同時に合化労連という労働者の団体、こういう方々にこんなものが出ておるぞということで、政府も一緒になっていろいろな施策をしてきた。それがときにはパンフレットになったりしたものでありまして、いまこういうものが出たことは私は非常に残念だと思います。  また一方、何といってもいま数千名の方々が働いておるのですから、その働いておる方々に安心を与える施策として、いま御質問あったようなことで健康管理手帳とか、あるいはいままで離職した方々に対してのフォローアップ、こんなことで万全を期していきたいと思っております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 これは、いまのお言葉ですけれども、そういうことがわかっていながら、坂部さんが日本で調査をした論文を、アメリカでは発表できるけれども、日本ではしていない。国民には全然されていない。私たちは英文を手に入れて、自分で翻約をして初めて労働省が四十四年に調査をしたということをそれで知っているわけです。ですから、そういうことではなくて、日本は独立国ですから、アメリカで発表できるものであれば、これは当然日本で発表し、国民にも警告を発して、そしてすぐに法規制をするなり、そういうことをすべきなのに、ことしの十月一日から初めて法規制をするというようなことは、だれが考えたって、これは高度成長政策のツケが国民に回ってきているんだし、国民の健康というものを労働省が非常に考えていなかったという結果だというふうに思います。その点で今後万全を期していただきたい、これをお願いしまして質問を終わります。

長谷川正三日本社会党

○長谷川国務大臣 これは反論するわけじゃありませんけれども、学問的なことだから、一つだけ申し上げておきます。坂部さんの場合、アメリカで出したかもしらぬけれども、日本じゅうに公開という、そういう新聞やら国民全体に公開されなかったでしょうけれども、あの人は学者ですから、そういうデータでいろんな日本の学会でこれは発表されているのです。そういうふうに学会で発表しているということも御理解いただきたいと思います。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 もう時間がありませんので終わりますけれども、どこの学会ではっきりと日本で発表したか、後で結構ですからお伝えください。あとまだ質問がありますので……。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 坂部さんがアメリカで発表しましたのは、御承知のように去年の一月に肝血管肉腫が出てすぐにそこに派遣した、そこで学会があるので、非常にこちらとしてもあわてまして、何か日本でも報告してくれということでございますので、そこで先ほどやりました四十六、七年からのデータをとりあえずまとめて坂部さんが発表したというような経緯でございますが、その後、四十七年の十一月に産業衛生学会の東海地方会におきまして、名古屋大学の竹内、馬渕両氏によりましてその一部が発表されておるということでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 それは竹内、馬渕先生の論文の一部にこういうものがあったということがあったのであって、労働衛生研究所として発表してはいません。そうですね、いまのお話では。発表していないじゃないですか。これは竹内先生がお読みになって、自分の論文の中に、一部こういうものがあった、こういうふうにしたのであって、これは竹内先生の研究なんですね。それはアメリカの資料でやったのです。日本の結果を、アメリカに発表された資料で竹内先生は知られたわけですね。ですから、あなた方は国民に対して、労働省の責任としてこれを日本の国民には発表していないじゃないですか。  終わりにします。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 労働衛生研究所の発表は……

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そんなに言いたいですか。もうそんな弁解をなさらくてもわかったでしょう。時間がなくなっているわけですね。いつも私が質問するときに、時間がないとわいわい言うくせに、なぜそんな弁解だけしたいのですか。してないじゃないですか。いまのは答えになっていませんよ。日本で労働省がどこでどういうふうに発表したか、労働省はしてないじゃないですか。竹内さんが自分の研究の中でしたということじゃないですか。そうでしょう。もうこれで結構です。もし労働省がちゃんとやっているというならば、後から、いつどこで何をしたということをちゃんと知らせください。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 寺前巖君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 雇用、失業の問題について労働省にお聞きしたいと思います。  この間、十月の二十八日に私は上野の玉姫という職安へ、朝早くに、どういう状態になっているだろうかと思って見てきました、たくさんの人が、きょうはどんな仕事があるのだろうかと思って札を見ておりました。私が見たところでは、ちょうどその日は百人もなかったです。来ている人は三百人ほどおりました。聞いてみたら、登録している人は二千七百人ぐらいおる。それで、あぶれた人たちにちょっと手帳を見せてくださいと言ったら、手帳に、民間の日雇いの紹介を受けている人、あの雇用保険の証紙を張ってもらっている人が、月に三枚ぐらいしか張ってもらってないですよ。これはえらいこっちゃな、あなたたち、大体ことしになってからの状況はどうですかといったら、大体月に三回か四回だ、ここで紹介してもらえるのは、八月段階には六日ぐらい張ってもらいましたけれども、大体そんなものだ、どうしているのだと聞いたら、一食で生活している。あるいは千四百円で血を抜いてもらっておるのだ。血というのは月に一回ぐらいしか抜いたらあかん、こう言われておるのだけれども、六カ所回っています。それでは、そんなに食べ物も食べぬような血というものは使い道にならぬでしょうと言ったら、砂鉄を飲んで重くしております。えらい深刻なことを私は聞かしていただいておる。  この話というのは、その玉姫に登録している民間日雇いの方々の特殊な人の例なんだろうか。玉姫の多くの人たちがそういう実態にあるのだろうか。あなたたちは直接職安行政をやっておられるんだから、この事実について、その人特殊の話なんだとおっしゃるのかどうか、まず最初にそれをお聞きしたいと思います。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 最近、不況のあおりを受けまして、雇用面に相当厳しい情勢が続いております。雇用統計、失業統計等でもいろいろな困難な数字が出ておりますが、その中で、いま御指摘のありました玉姫労働出張所、いわゆる山谷地区の日雇い労働者の就労状況は、確かにその厳しい失業情勢、雇用情勢の中でもむずかしい問題が現状に出ております。いまお話のように、月に三日しか就労していないという事例もあるように聞いておりますが、私どもは実はことしの春ごろから、この山谷地区の日雇い労働者の就労の実態につきまして、東京都当局とも一いろいろ相談をいたしまして、できるだけ昨年あるいは一昨年、通常の状態に近い就労が確保できるようにというようないろいろな手段を講じながら、就労の確保に努力をしてまいっている状況でございまして、全体として月に三日しか就労していない、これが山谷玉姫地区の全就労者の実情だとは私どもは受け取っておりませんが、今後、これから暮れにかけまして、就労の問題は非常に厳しい状勢が続いてまいるかと思いますので、年末年始にかけまして、こういった就労者の実態、就労の確保につきまして、さらに一段と努力をしてまいるつもりでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それはどこか、つてを訪ねて行っているかもしれません、生活をするためには。しかし、職安が職業紹介をやっている状況の輪番状況という資料を玉姫の労働出張所から私はいただきました。五月は二ないし三回、六月は主ないし四回、七月は三ないし四回、八月は五ないし六回、九月は三ないし四回、そして十月は輪番状況は二回となっている。これは向こうが正式にくれた書類ですよ。職業紹介という形で職安がお世話することができるという実情はこういうことにしかならないんですということが、これが現実だと思うのです。この書類に誤りがあるというならば誤りだと御指摘をいただいたらよろしいが、職安として輪番でお仕事を紹介するとすればこれだけしかできませんという、深刻な私は問題提起だと思うのです。  それで、私のところに手紙が来てました。「先日道路を歩いているときに交番の前を通ったときにお巡りさんに呼びとめられて、君の腕をば見せてくれと言われたので見せました。そのときに、この青くなったところをば見て、これは何を打ったのかと言いましたので、私は血をば抜きに行ってきたと言いました。そしたら、ほかのものをば打ってはいないかと聞かれました。このようなことをば聞かれたことは私としては憤慨です。」すなわち、ヒロポンというふうに見られているわけです。朝、あそこら辺に行ってみたら、いっぱい人がうろうろ歩いている、この姿なんです。私は、ああいう姿を見ておって、働く意欲を持っており、働く場を求めて訪ねてきた人たちに、職安が輪番で紹介できる状況が月に二回ということで、これをこのままにやっておくのか、一体どういう手を打たれるのか、私はその手の打ち方について説明をしていただきたいと思うのです。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 いま先生から御指摘ございました山谷地区の玉姫労働出張所では、山谷地区のいわゆる日雇いの登録者数が三千数百名ございます。こういう人たちが、いわゆる輪番紹介によりまして、安定所の紹介で就労できますいわゆる輪番に当たります回数は、確かに十月は二ないし三回、先ほどから各月別に御指摘になりました数字は間違いございません。それで、山谷地区のもう一つの河原町の場合はその倍近い八日、九日程度の就労輪番回数になっております。ただ、それじゃ月に二日ないし三日、あるいは四日、五日しか就労していないのか、それで食っているのか、生活しているのかということになりますと、実は、山谷地区の特殊な労働事情は先生先刻御承知だと思いますが、この中には、安定所を利用して紹介あっせんを受けて就労する人、こういう者が全体の中で二九・四%、それからいわゆる友人、仲間の縁故で就労する者、いわゆる俗に言われております手配師、こういった形で就労する者が全体の中で五一・六%、いわゆる会社直接の募集によります者が一〇・五%、その他と、こういうことになっております。     〔竹内(黎)委員長代理退席、住委員長代理着席〕 登録をした三千数百名の人たちが全部安定所の紹介だけで就労をし、それ以外に就労できないということではございませんで、月のうちに十五日なり二十日なりという、通常の状態で就労しますうちのいま申し上げました約二九%、三〇%弱が安定所の紹介によっている。半分以上、五〇%強はそういった縁故、仲間の経路で就労している、こういう状態でございまして、そのいま申し上げました安定所紹介による二九%相当分が、玉姫地区では輪番回数が三回程度、こういう状態でございます。  そこで、私ども、確かにことしはこういう厳しい状態でございますので、先ほど申し上げましたように、この春以来、特にこの地区の就労実態につきまして関心を持ちながら就労の確保に努めておるわけでございますが、四十八年、四十九年、それからことしと、こういう状況を見てまいりますと、確かに就労は減ってまいっておりますが、たとえば安定所への出頭労働者数を見ますと、四十八年を一〇〇といたしました場合、ことしは一二五で約二五%ぐらい出頭がふえております。それに対しまして就労数は、四十八年を一〇〇といたしますと、昨年の秋が七九%、これに対してことしの九月現在で八八%と、昨年の秋よりは少し上回ってきている。これは私ども、東京都とも連絡をとりながら就労の確保に努力しておりますその結果が、若干なりとも効果が出ているんじゃないか、こういうふうに感じておりますが、先ほど申し上げましたように、これから年末年始にかけて、山谷地区の就労状況はやはりいろいろと問題の出る時期でございますので、そういった点に十分配慮をしながら就労の確保に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 人の質問にちゃんと答えなさいよ。私は、職安の窓口で紹介をしていただいている、あなたの言葉を聞いておっても三割近くの人が職安の窓口に頼っているんだと言っておられる、その窓口に頼っている人が二回か三回しか紹介されなかったとしたならば一体どうなるんだという問題なんですよ。それについてどう手を打つのかということを明らかにしなければいかないですよ。それを聞いているのです。どう手を打ちます、大臣。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 いま申し上げました私の申し上げ方が、ちょっと先生の誤解を招いたかと思いますが、三割の人が全部安定所の紹介に頼っているのではございませんで、全就労数の中で三割程度が安定所の紹介によっている、こういうことでございまして、ある日は安定所の紹介によって就労し、ある日は会社直接の募集によって就労する、こういう状態でございます。  そこで私どもは、全体の就労者が例年並みに就労できますように、実は先般来東京都に対しまして、都が実施いたします公共事業その他公共事業に準ずる事業、こういったものの発注に際しましては、事前に、発注の際に安定機関と連絡をとって、その請負業者が、こういった安定所に登録をしておりますこの地区の日雇い労働者の就労が確保できますように、十分な連携のもとに措置をいたすように事務的にも連絡をとっております。さらに全体といたしまして、大臣が先般閣議で関係省庁に対しましても、同じような、公共事業の発注に際しましては日雇い労働者の就労確保に協力していただくように御発言いただいたわけでございます。そのほかにも、東京都が従来からこういった山谷地区の就労確保のために東京都独自の事業を計画いたしてまいっております。こういった事業が、この夏時点で一時、財政的な見地から打ち切られたことがございますが、先ほど申し上げましたように、こういった東京都の山谷地区対策のための事業につきましても、今後年末年始にかけて従来どおり実施していただくように、事務的にもいま連絡をとりつつある次第でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 そうすると、いまのお話では、一つは、東京都で特別対策を打ったやつを年末にかけてやれるように手を打ちたいということと理解していいわけですね。間違っておったら訂正してくださいよ。それから、大臣が閣僚の皆さんにお願いをしたというやつがある。この二つですね、簡単に言うたら。  それじゃ私は聞きましょう。大臣が関係各省にお話しになった結果はどういう結果でいまあらわれているのか、具体的に御説明いただきたい。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 大臣から閣議で関係各省庁に要請をされましたのは十一月に入ってからでございまして、関係各省庁、建設、運輸、農林、北海道開発庁等はそれによりまして、公共事業の発注の際は事前に、請負契約の締結時点におきまして安定機関と連絡をとって、日雇い労働者の就労確保に十分な配慮をするように、こういうふうにそれぞれ下部機関に対して示達をしていただいているそうでございます。私どもも先般全国職業安定課長会議を開きまして、この大臣の御要請を受けて、安定機関としてそれぞれの公共事業発注機関に対して事前連絡をとることにいたしまして、それぞれの安定所の日雇い登録者の就労確保に最大の努力をいたしている最中でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それもあなた、不親切じゃないですか。私はその結果がどうなっているのかということをお聞きしたのです。遠藤局長さんのお名前で、十月八日付で公共事業等における求人の確保に関する協力依頼が出ている。また、安定局長の名前で都道府県知事に対するところの文書も出ている。あれからすでに一カ月たった。一カ月たった今日、どのようにその結果があらわれているのかということを私は聞いているのです。深刻な事態だから、一刻を争っている時期だから言っているのです。いまのお話では、あなた、そのことをやったというだけであって、一つも結果の話はないじゃないですか。結果はどうなんです。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 いま御指摘のように安定局長名で通達を出しましたのは十月初旬でございます。労働大臣から閣議で関係閣僚に御要請いただきましたのは十一月の冒頭でございます。したがいまして、私どもは、この日雇い労働者の就労確保の問題で一番厳しくなります年末年始にかけての就労確保を目標にいたしましてこういう措置をとったわけでございまして、御承知のように、八月、九月と一般の求人もやや上向いてきておりまして、そういう傾向の中で、第四次景気対策によります公共事業等の発注を目標に、こういった事業の発注に際して日雇い労働者あるいは出かせぎの人たちの就労確保という観点からこういう措置をとったわけでございます。私どもは、この一カ月間に逐次、出先第一線機関の努力が実を結んでくるものと期待いたしておるわけでございまして、その結果はまだ私どもの手元には集計に至っておりません。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私は、あなたの方が要請を出した先について、その後労働省がどういうふうに点検したのか、ちょっと聞いてみたら、その後何にもございませんというのが関係方面のお答えでした。私は、こんなことでは、通達さえ出したらしまいだということは無責任だと思うのです。  そこで、私はこの際にもう一つ聞きましょう。関係方面に公共事業についてひとつよろしくという話を出しておったら、直接労働省所管の雇用促進事業団に対してはどのように措置をしておられるのか、その結果について聞かしてほしい。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 労働省の所管でございます雇用促進事業団におきましても、雇用促進住宅その他福祉施設の建設を行っております。これにつきましては、各施設の設置につきまして、各都道府県の労働主管部、職業安定課あるいは雇用保険課あるいは労政課等でこの施設設置の関係の事務を行っておりますので、発注に際しましては、入札後請負業者に対しまして、できるだけ日雇い労働者の採用について配慮するように、こういう個別の指示を行っております。先ほど御指摘のありました十月八日の通達、その後、この通達を受けまして、全国都道府県の主管課長会議を開きまして、その具体的な求人開拓についての指示も私からいたしております。雇用促進事業団の施設の設置につきましてはもう当然のこととして、こういった日雇い労働者の就労についての特別な配慮は十分示達したつもりでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 あなた、具体的に教えてくださいよ。雇用促進事業団が五千戸の住宅建設をやります。埼玉県の川口市の住宅二百二十四戸、四十九年十二月から五十一年三月までの工期だ。この結果どういう手を打ったのか。千葉県の旭市で八十戸ある。五十年の十二月着工見込み、これに対してはどういうふうな結果になってきておるのか。具体的な日程がずっと全部入っています。兵庫県には四カ所の雇用促進事業団の計画があり、これが五十年十二月から五十一年二月にかけてあります。あるいは五十年三月から五十一年五月という計画もあります。具体的にこれがどういう結果になっておるのか、教えてください。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 いま御指摘のように、川口市の住宅はすでに昨年から着工いたしております。私どもは、先ほどから御指摘になりました通達なり関係各省への要請、雇用促進事業団に対する示達、これは先ほどから繰り返し申し上げておりますように、これから発注いたしますものにつきまして日雇い労働者の登録労働者の就労を確保するように、こういう指示をいたしております。現在発注未済のものについては特にその点は強力に指導をいたしております。したがいまして、これから発注になりまして、各請負業者が手持ち労働者以外に新しく採用する者についてはこういった登録労働者を使え、こういう指示をいたしております。したがいまして、その結果はこれから出てまいるものと私ども考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 労働大臣、さっきからお話を横で聞いておられたらおわかりになるでしょう。文書は出した、指導はしておる、結果はわからない。結果がわからないで——これから寒空になっていくのですよ。そして二回か三回しか仕事はもらえていないという実情は何も玉姫の出張所だけじゃないのです。私は調べました。神奈川県も、あるいは大阪府も兵庫県も愛知県も、同じ実情が生まれておるのです。こういうことを考えたら、ここでどれだけの仕事を確保するかということを具体的に、それぞれの府県だったらそれぞれの府県のところで、これで何日分の仕事ができたという、詰めた話をしなかったならば無責任だといべことになるでしょう、月のうち二回しか紹介ができないという姿では。だから私は労働大臣にお答えをいただきたい。詰めた話をやることが緊急に必要ではないのか。これが一つです。  それから第二番目にもう一つ、私はこの玉姫の出張所の現場に行ってみたらあの証紙を売買しておるという話が出てきました。三百円で売っておるとか四百円で売っておるとか。それはそうでしょう。なぜかと言ったら、あと二枚あったら雇用保険がもらえるということになったら、全然もらう対象にない人はそれを売ったかわりに金をよこせ、こういう話が広がるのは当然のことです。違法とか違法でないという話じゃなくなってきますよ、生きるための手段として。そこで労働大臣、本当に失業したときに生活を全うさせるための手段として雇用保険の制度があるのですよ。それは二カ月で二十八日、平均すると月に十四日、これだけは保障してあげなかったならば失業状態におけるところの生活ができないのは当然でしょう。だからせめて月に十四日の仕事、二カ月で二十八日の仕事は、職安の窓口に訪ねてくる人たちには保障するという、その仕事をしなければいけないのじゃないでしょうか。私はこの二つの点について、詰めた話を聞いてみたいと思うのです。  各府県なり各職安なり、もう全面的に、これで何日の仕事を確保したということを、関係各省の出先も含めて相談し合うということが一つです。もう一つは、二カ月で二十八日、最低の雇用保険の受給資格条件を保障する体制をつくる。どうでしょう、労働大臣。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 事務的な問題としてお答えします。  私ども、先ほど申し上げましたように、十月の初旬に各都道府県知事あて通達をいたしまして、それぞれ関係各省の公共事業あるいは都道府県、市町村単独の事業につきまして、こういった日雇い労働者の就労確保を図るべく指示をいたしました。と同時に、これを受けまして、各都道府県の職業安定課長会議を招集いたしまして、細かく具体的に、各都道府県、各地域におきます登録日雇い労働者の就労確保の指示をいたしたわけでございます。したがいまして、その後全国の各安定機関に対しまして各都道府県からこういう指示が行われておりますので、山谷の問題は別といたしまして、全体の都道府県の実態といたしましては、先ほど御指摘になりました二カ月二十八日、月平均十四日の就労を確保することは、私は十分御期待に沿えるもの、また沿うべく努力をいたしてまいる覚悟でございます。  山谷の問題につきましては、確かにいま御指摘のような問題がございますが、これも先刻来申し上げておりますように、これから年末年始にかけまして、東京都と事務当局と十分連絡をとりながら、こういう人たちが従来就労しておりました実態にできるだけ近い線まで就労確保できるように、最大の努力をしてまいるつもりでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川国務大臣 国会でこの日雇い問題が論ぜられます。やはり議会というのは、いろいろな地方の実情を、自分の足で歩いて、それぞれの方々がお話をいただいて、私自身のまた参考にもなり、そしてまた、こういうときでありますから、先日早速閣議で私が発言をしたわけであります。これはただ話をしただけだから、効果がないじゃないかというお話なども一部には当時ありました。しかし、やはり閣僚の一人として、関係各大臣に向かって自分が持っている仕事を出す場合に、こういうものに注目しながらやってもらいたい、そして私の方にもまた連絡をとってもらいたいという発言をしたことなどが、いまから先、効果を出すということだろうと思っております。いますぐ実績が出てないことは残念ですが、そういう姿勢で、関係機関をあわせて推進してまいりたい、こう思っております。局長からお話があったように、各県知事に話をしたり、あるいは全国の職業安定課長などを呼んで、こうしたときにこそしっかり手配をしろ、こういう姿勢の中に、皆さん方が御心配いただいておるものを一歩、二歩でも前進させたい、こういうことでございまして、さらにまた、今度の予算などが通過いたした暁には、そういう就労の機会というのはさらに推進できるんじゃないかということに私は期待をかけております。御心配いただきました問題は、これは本当にそういう方々に働く機会をみんなで与えるという姿勢でやってまいりたい、これをひとつ御理解いただきたいと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 お約束の時間が来ましたので発言を終わりますが、いま局長は、二カ月二十八日をお世話する、そういうことは責任を持ってやるようなお話でございました。責任を持って最低それくらいの役割りは労働省としてやらなかったならば、憲法で労働権が保障されていながら、それを国家としての国家機関が保障しなかったことになったら、その責任は重大だ。必ずお役に立つようにやってもらうことを繰り返し要望して、発言を終わりたいと思います。     〔住委員長代理退席、委員長着席〕

大野明自由民主党

○大野委員長 大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 私は、労災保険法に関連しまして、脊髄損傷、いわゆる長期傷病補償給付を受けていらっしゃる方々の改善について若干お尋ねをしたいと思います。  不況下のインフレあるいは低成長、減速経済といわれております現在の社会的、経済的混乱の中にありまして、そのしわ寄せをもろに受けているのが、言うまでもなく年金生活者であったりあるいは社会的弱者といわれている方々であろうと思います。その不安と苦悩というものは、私どもが想像している以上のものではないか。実は先週、九州の脊損患者の代表の方々が数名、昨年の請願行動に引き続きまして、あの不自由な身をいとわずに上京し、必死の思いで訴えを行っていらっしゃった。労働大臣のところにも陳情に行かれたかと思いますが、特にわれわれ福岡県出身の衆参の議員が一堂に会しまして、皆さまの請願陳情を実は受けたわけでございます。その患者の中の一人の方が、いろいろと説明するよりも、気の毒ですが私のこの体を見てくださいと言って、涙を浮かべんばかりに、そこで洋服をおとりになって、実際の姿を見せられたわけです。私たちも胸が詰まる思いでそれを拝見したわけですが、背中にはたくさんな褥瘡というはだ荒れができておりますし、あるいは本当に言うに耐えないような惨めな実態を現実に見たわけです。私は、こういう現実を見るときに、低成長下の福祉のあり方というものがいろいろと論議されておりますけれども、これら労災によって生涯不治の病となりました皆さん、いわゆる介護人と車いすなしでは生活ができないという、希望の光をなくした人生のそういう悲しい生活に陥った気の毒な脊損患者にこそ、最優先して援護の温かい手を差し伸べてやらなければならぬと考えたわけでございます。そういうことで、去年から訴え続けている問題ではございますが、この前の改正では大したメリットもなく、附帯決議等ではその内容がうたわれておりますけれども、いよいよ次の労災法の改正に当たっては、少なくとも皆さんが必死で訴えているぎりぎりの線だけは何としても改正をしていただきたい、そういう願いを込めて具体的に質問に入りたいと思います。  脊損患者の長期傷病に対する補償給付というものは、受傷日の前三カ月間の平均賃金が基礎となっておるわけです。受傷年度別によるスライド制が導入されて算定され、支給されているわけでございますが、同じ脊損患者といいましても、その補償給付が受傷年度によって大きく開いて、ますます格差がついてきているという実情があるわけですね。特に昭和四十二年を境にしまして、その前と後とは著しい格差があります。なぜならば、昭和四十二年度を契機としまして高度成長期に入って、各企業の平均賃金は急上昇していったわけでありますが、そのために昭和四十二年後と以前の受傷者の平均賃金は大きな格差がついてきているわけです。これが基礎となってスライド率が掛けられていくわけでございますので、スライドのたびごとに格差がいわゆる扇形にだんだん開いて、不公平が生じてきている。こういうことを考えたとき、特にこの前陳情にいらっしゃった方々の受傷というものはずいぶん前のことであり、平均賃金が非常に低い時代の方々でありますので、何としてもこの不公平を是正してもらいたい、こういう訴えでございましたが、これについての考え方を聞かせていただきたいと思います。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 労災保険の給付額につきまして、いま御指摘のような計算方式をとっておりますために、長期間療養している脊損患者と新たに脊損患者になった方との間に、給付額に格差がどうしても生じてくるということは事実でございます。そういう格差を是正するために、いま御指摘になりましたようなスライド制というものをとっておるわけでございますけれども、しかしながらその現行スライド制にも問題がある。それから、そもそも非常に若いときに受傷していると、非常に低いときの賃金がそのまま固定されてそれにスライド率が掛けられるというようなことで、御指摘のような問題があるわけです。この点はかねがね問題になっておることでございまして、御承知のように、現在労災保険審議会で基本問題についていろいろ検討しておる中のきわめて重要なテーマの一つになっておるわけでございまして、先般、いまお話のありましたような患者の皆さんに私も会いまして、十分時間がございましたので逐一拝聴いたしましたが、そういった問題を何らかの形で解消できるような努力をさらにしてみたい。審議会も大詰めになっておりますので、御主張の点は十分頭に置いて対処したいというふうに思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 厚生年金の障害年金は、三年間の療養を経て長期傷病に移行した場合は、その加入期間のいかんにかかわらず二百四十日分が支給される。これは定額部分も比例報酬部分もともにそのようになっております。ですからこれは、いまもお話がありましたように、労災の基本問題懇談会で特に重要な問題として検討されているということでございますが、また関係者の陳情も十分受けられたということでございますから、最終的に法改正をなさるときに、この請願者の意図が十分反映されるような内容で改善されることを希望いたし、お願いいたします。その点をもう一度明確に答えていただきたいと思います。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 現段階におきましては審議会で鋭意検討中でございますので、その方向についてどうということをいま申し上げる段階ではございませんけれども、お気持ちは十分承知をいたしておりますし、また審議会にも反映をさせて努力を重ねたいというふうに思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは次に長期傷病給付の改善についてですけれども、労災法は昭和四十五年、ILO条約に基づきまして大きく改正されたわけでございますが、そのとき脊損患者につきましてはその実態の認識がなかったといいますか、浅かったといいましょうか、単なる長期傷病者として障害補償年金の給付基礎日額、いわゆる日数、それは据え置かれたままになっているはずです。すなわち、障害等級三級と同じ二百十九日分の支給とされているわけでありますけれども、脊損患者の障害の実態というのは障害等級の一級以上の症状にあると私は思うのであります。御承知のように、一級障害というのは「両下肢をひざ関節以上で失ったもの」となっておりますけれども、この脊損患者の障害の実態というのは半身不随ですね。両下肢はただついているだけ、全くミイラ化しております。中枢神経を侵されているために膀胱、直腸障害、尿道炎等、あらゆる内臓機能に障害があります。絶えず合併症状におびえておられますし、失禁はもちろん、褥瘡等の特異な障害に見舞われているという実態であります。  そこで私は、今度の法改正に当たりましては、この実態に即して大幅に改める必要があろう、こう考えるわけでありますが、この点についての御見解を承りたいと思います。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 御承知のように、現在この長期傷病補償給付を受けていらっしゃる方につきましては、給付基礎年額の六〇%というものがベースでございまして、それから先般の改正でさらに特別支給金ということで二〇%を加えられましたので八〇%までいったわけでございますが、いま御指摘のこの一級というものをとらえて考えますと、一級は八六%でございますから、なお若干の格差がある。それで、実態は一級と同じではないかという御主張であろうかと思います。  そこで私どもは、その点も御主張のお気持ちはよくわかるわけですけれども、長期傷病補償給付という形が現在のような形でいいのか。いまお挙げになりましたような、実態はむしろ障害保障としてはもっと高度な障害を残しておるのではないか。そこで長期傷病補償制度そのものを検討すべきではないかというような視点から、やはりこれもいま基本問題懇談会でいろいろ論議がなされております。その問題の解決の過程で、できるだけ御主張の趣旨を頭に置きまして努力をしてみたいというふうに思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 ただいまの答弁では、すでに基本的に六〇%、それからこの前改正されて特別支給金二〇%で、まあ八〇%は支給されている、しかし一級障害者は八六%だから、そこには確かに差がある、これは何とか考えなければならぬという答弁であったと思いますが、関係者の皆様は一級障害以上の障害だということを強調していました。私がいま小まめにその症状の内容を訴えたのはその意味からであります。皆さんは、一〇〇%支給にしてもらいたい、三百六十五日分を主張していらっしゃるわけですが、いまのお答えの中で、長期傷病給付のあり方そのもの、中身そのものを根本的に考えなければならぬということは、私は、実質的にはそういう支給内容になるんだなというふうに理解をしたわけですが、この私の理解が大きく間違っていれば訂正してもらいたいのですけれども、その点はいかがでしょうか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 現在、長期傷病補償給付を受けておられます方の実態がさまざまでございまして、それを一律に固定的な六〇%プラス二〇%という、そういう制度でいいのかという視点から検討が行われておりますから、結果が、現在のものがどういうふうに分類されるかという問題はございますけれども、いま御指摘になっていらっしゃいます点は非常に重度な脊損患者の件でございますから、そういう意味ではやはり障害補償としてもかなり高いところにランクづけされるべき性質のものになる、障害補償ということになりますればですね、そういうことは害えるかと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 労働大臣には最終的にまとめて御答弁いただきますので、一つ一つが非常に重要な改正問題だろうと思いますから、真剣に受けとめて聞いていただきたいと思います。  では次にまいりますけれども、スライド制がいま導入されているわけですが、これをぜひ改定してもらいたい。厚生年金は昭和四十九年度からスライドが導入されまして、対前年度比の消費者物価指数が五%以上上昇した場合スライドされる。ところが長期傷病給付の方については、全国労働者の平均賃金が二〇%以上の場合にスライドが実施される、このように規定されているわけでございますが、先ほど私申しあげましたように、低成長化あるいは減速経済といわれている今日、こういう二〇%以上のスライド云々ということは有名無実だと私は思うのであります。むしろ、その関係者の方々は、五%上昇したらスライドしてもらいたいというくらいに真剣に訴えておりました。私は、五%が妥当かどうかはまだ深くは考えておりませんが、いずれにしましても、平均賃金が二 〇%以上にならないとスライドしないというのはやはり有名無実だと言われても仕方がないと思いますが、この点についてのお考えを聞かしていただきたいと思います。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 何もかにも労災保険基本問題懇談会でいまやっておるというお答えになりまして恐縮なんでございますけれども、いま御指摘のいろいろな問題は、かねてから附帯決議等にも出ております。当委員会でも御審議のあった問題でございます。昨年まで一般の、労災保険の給付水準のレベルアップということに終始してきた。今度の改正はいわば制度的な改正でございますので、そこでそういうことになる点はあらかじめ御了承を得たいと思うのです。  そこで、いまのスライド制でございますけれども、先生御承知のように、スライド制というのは従来他の社会保険にはなかったわけでございまして、労災だけが持っておった非常に独特な制度であったと思います。それが厚生年金に取り入れられたわけでございます。ただ、厚生年金はこれまた御承知のように物価スライドでございまして、果たして物価スライドがいいのか賃金スライドがいいのかという点は非常に問題があろうかと思います。労災の方は賃金スライドでございます。そこで、今日のような経済情勢の中で二〇%という幅が適当かどうかということはまさに基本問題懇談会でも論議の問題として挙げられておるわけです。そこで十分論議をされました結果を踏まえまして、私どもとしては検討してまいりたいというふうに思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは、次の法改正にはこのスライドのいわゆる基準が検討されて、大幅に変わるということは間違いないですね。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 今日の段階で変わると確言いたすわけにもまいりませんけれども、十分問題意識を持って懇談会で論議をされておる、その結果が正式に答申として出てまいりますれば、私どもは当然答申を尊重して措置をする、こういう段取りになろうかと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 懇談会の皆様は当然いまの実情は御承知の上での討議であろうと思いますし、当然この問題は解消されると確信いたします。  次に、旧脊損患者は当時打ち切り補償として千二百日分を受給していたために、その後法改正で長期傷病給付を受けられるようになっても、その給付額から四十日分が差し引かれているわけですね。打ち切り補償費千二百日分というのは、昭和三十五年度から調整して、現時点で金額の点から見る限りにおいては十分返済できた、こう見ていいのじゃないか、むしろ私は支払い超過になっているのじゃないかと思うわけで、これも当然廃止されるであろうと考えるわけです。これもいま恐らく懇談会で重要な検討事項になっているとは思いますが、その感触でも聞かしていただければ幸いと思いますが、いかがですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 いま御指摘のように、脊損やじん肺患者の方々で三十五年の法改正前に打ち切り補償を受けまして、なお同年四月一日以降も療養を継続している方々につきましては、特別な経過措置として長期傷病補償を行っているわけでございます。しかし、打ち切り補償を受けないで長期傷病補償を受ける者との均衡という問題が出てきて、一応打ち切り補償を受けているという点を考慮して給付額の減額が行われたわけでございます。その際どのくらい減額するかということが大分検討されまして、まあ七十日とかいうような提案もあったわけですが、最終的に国会で四十日というふうに決まって、それ以来四十日の減額がなされておることは御承知のとおりだと思います。これもいま先生御指摘のように、大分長いこと減額をしてきたので、もう完済したのではないかという意見がかなりございます。その点は、懇談会でも実際の問題点は十分掌握をしております。そういうことで論議がなされております。そういうことを御報告申し上げます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 先ほども申し上げましたように、旧脊損患者の皆さんといえどもその実態は本当に気の毒な状態のものでありました。当然この問題も検討され、解消され、廃止されるものだろうと確信いたしますけれども、いずれ法改正の最終的責任は労働大臣にあるわけでございますので、この点は篤と肝に銘じていただきたい。関係者の話によれば、確かに金額的にはもう返済になったとか支払い超過だと言われるけれども、利子の計算まで入れるとまだ果たしてなっているかどうかなんという話もちらりと聞くわけですが、こういうことはそれこそ受傷者の実態から見てかわいそうだし惨めだ、そういうことを取り上げること自体が問題だと思いますので、この点もぜひ廃止の方向で法改正に踏み切っていただきたい。強く要望しておきます。  それからもう一つですが、脊損患者はいわゆる労働災害の患者であって、そしてまた生涯不治の病となって、不幸な、気の毒な生活を余儀なくされているわけでありますが、労災による長期傷病給付は、厚生年金法による傷害年金の百分の五十を調整、差し引かれた分が支給されているわけですね。きわめて少ない額となっているわけです。労災患者でありながら、労災法に規定しているその給付はきわめて少なくなるという不合理があるわけです。やはり労災は労災法の恩恵を十分受けられる状況に持っていくべきではないか、これも大きな改善点であろうと思うのでございますが、この点はいかがでございましょうか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 各種の社会保険が現実にはあるわけでございまして、その間に、同一災害についてそれぞれ適用があるということになれば、やはり何らかの合理的な調整というものは必要ではなかろうかというふうに思うわけでございます。ただ、従来いま御指摘のようなやり方で調整をやってまいりましたけれども、近年厚生年金の内容が非常に充実いたしてまいりまして、スライド制などもとられまして、その結果、厚生年金をまるまる支給してその調整を労災でやる結果、労災の給付が非常に低くなるというケースが出てまいっておりまして、確かに問題であるという指摘がございます。これまた懇談会の検討事項ということで鋭意取り組んでおります。ただ、合理的な調整というものがあるかということにつきましては、いろいろ算式をいじりますと、従来よりも得になるところも出てくれば、損になるところも出てくるというような、いろいろな技術的な問題がございまして、なお懇談会の中でもいろいろ論議がなされております。しかし、問題意識は皆さん十分お持ちで論議をされておる、こういうことでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いま申し上げましたように、とにかく働きながら災害に遭って、一生涯それこそ車いすと介護者のお世話にならなければ生きられないという本当にお気の毒な状態になった方々でありますし、そういう方から言うならば、当然労災の恩恵を十分受けられる立場に立ってしかるべきである。ですから、この調整問題は根本的に改善されてしかるべきだということであります。いまの局長の答弁でも、これは十分問題意識を持って検討されているところであるということでございますが、私はこれも重大な事柄であろう、こういうふうに考えております。法改正の段階において特に注意をしてこの点を改善していただきたいことを強く要請しておきます。  次に、自宅療養者の介護料の件でございますが、ことしの十月からようやく二万三千円ということまではなったわけでございますが、まだまだこれは低い。私は、これは中途半端な支給額だ、こう考えるわけです。たとえば、自宅で療養するときに、先ほど言ったように車いす、あるいは朝から晩までだれか介護してやらねば行動ができない状態にある患者の皆さんでございますので、当然奥様なり家族の方がめんどうを見ることになります。ところが、家庭経済からいくと、そういう二万三千円程度の支給額をもらうよりも働きに行った方が収入は多くなるし、家庭生活は安定の方向にあるわけです。しかしそういうわけにもまいりませんし、やはり家族の方丈がめんどうを見るということになるわけでありまして、そういうことから考えてまいりますと、この二万三千円という介護料は中途半端な支給額だ、私はこう思うのでございます。これも実態に即して大幅な改善支給をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 脊損患者の介護というのは大変なことでございまして、関係者の御苦労は私どもの想像以上だというふうに思うわけでございます。そこで、いまの介護料でございますけれども、多々ますます弁ずであろうと思いますけれども、本年九月まで御承知のように月額一万八千円だったものを十月から二万三千円に上げたわけでございまして、相当大幅に引き上げたと思っておりますけれども、今後ともいまの御主張の線に沿いまして、引き上げについては十分努力を重ねたいというふうに思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それもしっかりお願いします。  補装具の問題でございますけれども、車いす、電動式のいすの再支給についてですけれども、労災法によって車いすの支給は一台と限定されているわけですね。その後福祉の方から四年に一回の割合で支給されているということでありますけれども、先ほど申し上げましたように、労災の患者の問題でありますので、労災保険の保険施設からの支給にすべきではないかということです。しかも、一台と限定せずに、四年に一回再支給ができるという措置に切りかえていただきたい。また、頸椎損傷患者には電動式のいすを是が非でも支給していただきたいという強い要請があっておりましたけれども、この点についての考えをお聞かせ願いたいと思います。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 労災保険につきましては従来からも保険施設でいろいろな措置を講じてまいりましたけれども、この次の国会でお願いをしたいと考えております労災保険法の中では、労災保険給付だけではなくて、安全衛生事業でありますとか社会復帰事業でありますとか、あるいは各種の福祉事業でありますとか、そういう面を思い切って拡充したいと思っております。  いま御指摘の車いす、電動車いす、こういうものも本当に重要なものでございますので、私どもとりあえず、いままでは一台限りということでございましたが、本年の十一月以降、電動車いすは一応除かれておりますけれども、一般の車いすを初めその他の各種補装具につきましては再支給の措置を講ずるという線を打ち出しまして、いま業務方法書の改正作業を急いでおります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは時間も大分迫ってまいりましたので、もう一つお尋ねしますが、これは厚生省とも関連すると思うのですけれども、介護人、いわゆる看護婦さんですね、この方々の身分といいますか位置というのが非常に不明確なんですね。ああして大きな大人の体を入浴させたり何かするというのは大変な労働であるわけです。足をくじいたり腰を痛めたりというような事故がかなりあるわけですが、そのとき何の保障もないという立場にあるわけですね。こうした脊損患者には介護人はもうなくてはならぬ立場にあるわけでございまして、そうした方々の身分的な位置づけと保障を何としても明確にしたい、せねばならない、こう思うわけでございますけれども、それについてはどんなお考えを持っておられるか、お尋ねします。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○藤繩政府委員 いま御指摘の問題も、実は先般陳情を受けましたときにいろいろな実例も承ったわけでございます。看護人の方が急に電話がかかってきて飛び出して交通事故で亡くなられたというような悲惨なお話も承ったわけでございます。その点で私どもは何とかしなければならないというふうに思いますけれども、いま直ちにこれを労災保険法の労働者として取り扱うというようなことはちょっと困難ではなかろうかと思っているわけでございます。こういう問題については保障が十分でなければならぬという点は十分わかりますので、今後の一つの課題として検討さしていただきたいと思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 では最後に労働大臣に答えていただきたいわけですが、いままで時間いっぱい、脊損患者に関係しまして、特に長期傷病給付を受けている皆様の問題について、先般じきじき労働大臣にも陳情申し上げたかと思いますけれども、あのとおりの気の毒な状態にある方々に対して、次の労災保険法の改正のときに皆様のこの要望がそれこそ十分に反映されて、喜ばれるような内容になるように是が非でもお願いしたいと思うわけですが、大臣の見解を承って終わりたいと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川国務大臣 大橋先生の脊損患者の方々に対しての御理解、御同情に敬意を払う次第です。  脊損患者の方々というのは、労働災害の被災者の中でも症状が非常に重篤な方々でありまして、従来いろいろ手当てなどしてまいりまして、一応ILOの水準まで達したことはお互いの努力の結果だろうと思います。しかし、いままで十一項目について先生が御熱心に御発言された内容、私もお伺いしておりました。また政府委員からの答弁もありましたが、こうした長期給付の受給者に対する給付内容の改善とか整備とか、あるいはまた制度の問題等は非常に基本的な問題でございますから、おっしゃるようにいま労災保険審議会の場において鋭意いろいろなデータで専門家によって審議されております。その結論を待ちまして、こういう労働災害による方々の将来の問題でございますから、話がまとまった中においては、私もこれはいずれ国会の方に御提案申し上げて、皆さん方の御賛成、御審議をいただきたい、こういう姿勢で取り組んでいることを御理解いただきたいと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 労働大臣の誠意と温かい行政の心を期待して、質問を終わります。

大野明自由民主党

○大野委員長 小宮武喜君。

小宮武喜民社党

○小宮委員 大臣も御存じのように、今日わが国は深刻な不況に見舞われて、雇用不安が大きな社会問題にまで発展しております。ちなみに、わが国の完全失業者の数を見ましても、三月の百十二万人をピークにその後減少を続けて、七月には八十七万人までになりましたけれども、八月に入ると今度は逆に増加して九十四万人、九月に入るとさらに上昇して九十九万人になっております。このように失業者の数が上昇しつつあるわけでありますが、これからはどうなるであろうかということを非常にわれわれ心配しているのです。だから、いまのような情勢であれば、さらにこの上昇基調というものは今後も続くのではないかというふうに考えられますが、労働省として、今後の雇用情勢がどうなるのかということについてひとつ見解をまず聞きたいと思います。できれば、九月までのやつは失業者数が大体九十九万人とわかっておりますので、十月、十一月、十二月、来年の一、二、三月、これぐらいまでの失業者の数はどうなるのかという点について、ひとつ労働省に見通しをお聞きしたいと思います。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 ただいま小宮先生から御指摘がございましたように、七、八、九と完全失業者数がふえてきております。ただ全体の情勢から申しますと、ことしの二月を底に、三月から鉱工業生産もわずかずつではございますが上向いてきております。御指摘の七、八、九月の有効求人倍率の面につきましても、〇・五六、〇・五五、〇・五五というような形で、大体、私どもの当初予想よりは回復がおくれておりますけれども、この七−九月が底だ、こういう見方をしております。今後とも第四次景気対策が、これから補正予算も成立いたしまして浸透してまいりますと、雇用の面にも幾らかずつは好影響が出てくるかと思いますけれども、この七−九月の底の状態が今年いっぱいは横ばい状態で続くか、かように考えております。年明けまして、一−三月について少しずつ上向いてくる、こういうかなり厳しい情勢が雇用の面では続くのではないか、こういうふうに考えております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川国務大臣 いま全世界が雇用不安、さらにはまた不況、さらに物価高、この三つの、三重苦と申しますか、これで悩んでいるわけでございまして、けさも閣議の前に月例経済報告がありましたが、アメリカが上向きになりながらも八・三%、八百万という数字がけさ出まして、私は日本の毎日の数字を見ながら、それよりも率が低いから安心だという意味ではございませんで、おっしゃるように九十九万、これはいまの景気刺激策などによりまして、来年の三月ぐらいまでにはその中から十万人ぐらいの吸収というものがあり得るんじゃなかろうかというところに期待しているわけであります。

小宮武喜民社党

○小宮委員 わが国の場合はアメリカに比べて失業者の数が少ないとか、いろいろ求人倍率の問題とかが出てくるわけですけれども、実際はアメリカと日本とは失業者のとり方にしても違うわけです。だからそういう意味で私はあとで質問はしますけれども、案外労働省というのは、雇用情勢の悪化についてどちらかと言えば甘い見方をしておるのじゃないか。担当だからむしろそういった見方をしがちかもしれませんが、その意味では、あとでも質問しますけれども、何か労働省の考え方というのは甘い考え方をしておるのじゃないかというふうに考えます。たとえば、いまのような不況下にあって、各企業においては新規採用の大幅削減あるいは採用ゼロというような企業がふえてまいっておることは御存じのとおりです。九月十八日、日経連が各企業の来春卒業する大卒、高卒の採用計画を発表しておりますが、それによりますれば、全国八千八百三十の企業のうち、大卒の採用ゼロは全体の二〇%、それから採用計画人員は今春の実績に比べて三六・七%の減、また高卒についてもそれぞれ、一九%、二五・七%の減になっておるわけです。ところが労働省あたりでは、中小企業が採用意欲があるので、企業のえり好みさえしなければ全員就職は可能だということを何回も言っておるわけです。しかしながらまた、現在一部経済学者の中にも、来年の新卒者の大卒は約三十万人、高卒者が六十万人、中卒者が十万人、これらのうち大体三分の一に当たる三十万人くらいは失業するのではないかということが言われておるわけですが、この点の見方について、労働省あたりは、中小企業に採用意欲が出てきたので、就職のえり好みさえしなければ何とか全員就職可能だというような見方をやっておりますけれども、これは大体どちらが正しいのか。これは、労働省のこれまで一貫した雇用情勢に対する見方をずっと見てきますと、私たちに言わせれば非常に甘い期待があるものだから、そういった意味で、何かそういうような根拠でもあればひとつ根拠を示してもらいたい。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 小宮先生から、雇用、失業情勢について労働省の見方が少し甘過ぎるんじゃないか、こういう御指摘でございますけれども、私どもは決して失業の趨勢について甘い見方をいたしておりません。先ほども申し上げますように、これから第四次景気対策が浸透してきますと、日本の経済情勢も上向いてくる、雇用情勢もかなりよくなるのじゃないか、こういう見方がございますけれども、私どもはむしろ、先ほど申し上げましたように、この七−九月が底で、この状態が横ばい状態で続く、来年の一−二月につきましてもそれほど大きな期待はできない。全体として、大臣からお話がありましたように、完全失業者で十万程度は吸収できるのじゃないか、これくらい厳しい見方をしながらこの対策を考えているわけでございます。  そこで、具体的な来年三月卒業の中、高、大学卒の就職問題でございますが、日経連の発表の数字もございます。私どもで一部、二部上場の百五十社を対象にしまして抽出調査をした結果によりますと、採用中止の予定企業数は二四%になっておりまして、むしろ私どもの調査の結果の方が厳しい数字が出ております。全体として見ますと、中卒は御承知のように全体で六、七万しか就職希望者がおりません。これに対して求人倍率四倍を超えております。それから高卒が約五十七、八万から六十万ございますが、これも求人倍率は、昨年に比較いたしましては落ちておりますけれども、依然として二倍以上の求人がございます。したがいまして、中、高卒につきましては依然として、まだいわゆる若年労働力は金の卵的な要素が残っております。この就職問題は心配はございません、かように考えております。  大学卒がなるほど三十数万ございますが、これにつきまして、いわゆる大企業と言っておりますのは、言いかえますと超大企業というか一流大企業でございまして、こういった向きにつきましてはいま申し上げましたように、私ども調査の結果でもかなりな採用中止数が出ておりますけれども、いわゆる三百人以上、資本金一億円以上の大企業ということになりますと、いわゆる通称、大企業と言われないで、私ども中堅企業という言い方をしておりますが、ここらあたりは昨年までは大学卒業生は見向きもしなかった、こういうところで求人は相当数ございます。大学側の調査によりますと、私どもでテスト的に抽出いたしました関東、関西、中京地区の十三の大学によりますと、求人がことしは去年より減ってはおりますけれども、二倍程度の求人がある、こういう結果が出ております。文部省が全国の私立大学、国公立大学について調べた結果によりますと、さらにそれを上回る求人がある。これはいわゆる超一流大企業以外のいわゆる大企業、それからそれ以下の中小企業、こういった企業の求人が相当数あるということから、依然として学生の就職希望者数に対してはそれを上回る求人があります。したがいまして、去年までのようにいわゆる超一流企業だけを目標にしないで、それぞれの適性、能力に合った職場を志向するように、学生の指導に誤りがなければ十分就職の可能性はあるということでございまして、全体で百万前後の新卒のうち三分の一、三十万があぶれるのじゃないか、これは私は当たっていないのではないかと思います。とうていそんなことは考えられない、かように考えておりますし、また、万一そういうことのないように、就職に対しましては最善の努力をしていきたい、かように考えております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 それでは、来年の大卒、高卒、中卒者は失業者となってあらわれる者はいないというふうに、はっきり言い切れますね。  先ほど、失業者が横ばいだということを言われましたけれども、横ばいだというのは、単なる勘とかいうようなものじゃなくて、何かそういうような根拠があって言われておるのか。さらに、やはりその問題と関連するのは今後の景気動向の問題ですが、その問題も一後で触れたいと思いますが、九月が九十九万人ですね。そうすると横ばいというのは、今後十、十一、十二、一、二、三というのは、九十九万人ということではないけれども、上限、下限があったにしても、大体ここを中心にして横ばいに動いていくというふうに理解していいですか。

小粥義朗労働省職業安定局雇用政策課長

○小粥説明員 労働力調査によります完全失業者の数字で月々の失業者の数が出ておりますけれども、年間を通じて見ました場合に、月によってそれぞれの季節の特色がございまして、たとえば冬場の場合には特に東北等の積雪地帯で就労できない人たちが失業者として計上されるという動きがございまして、他の時期に比べますと若干数字が高く出るのは例年のことでございます。したがって、九月の数字九十九万というのが横ばいだから、それがずっと同じ数字でいくということでは必ずしもございませんで、そういう季節的な増減というものはそれなりにあらわれてくるものと見ております。したがって、一−三月においては数字的には若干上がらざるを得ない。ただ、それは例年の傾向でございますので、そのことが特段の意味を持つということでは必ずしもございません。

小宮武喜民社党

○小宮委員 雇用情勢の悪化が非常に長期化したということですね。これは労働側も経営側も景気刺激対策を非常に訴えていたわけですね。では、完全雇用を達成するためには経済成長率が何%になればいいのか、その点いかがですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 実は現在、昭和四十七年度を初年度とします雇用対策基本計画というのがございます。これはいわゆる高度成長時代の雇用計画でございましたので、これから日本経済が大きく転換をしなければならないという時点で、まだ計画期間を一年残しておりますけれども、来年度、五十一年度を初年度とする雇用対策基本計画を現在検討中でございます。その前提になります昭和六十年までの労働力の需給見通しを先般雇用対策調査研究会で策定をいたしました。それによりますと、昭和六十年までの時点におきます労働力の供給見込み五千七百五十万あるいは五千六百五十万、大体こういう数字が出ております。これは細々と、たとえば高年齢労働力をどう見るか、婦人労働力をどう見るか、こういった点がございますが、おおよそマクロで申し上げますと五千七百五十万程度ということになります。この五千七百五十万の供給に対して、一応完全雇用という線で雇用政策を進めていく上でこれからの日本の経済成長率をどれくらい見たらいいのか、これは学者の間にもいろいろと議論のあるところでありますけれども、私どもの一応の試算によりますと、おおよそ六%程度であれば、大体昭和六十年度の時点の労働力供給に対しまして一応完全雇用と言える状態になるのではないか、こういう試算がございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 なるほど、労働大臣の私的諮問機関である雇用政策調査研究会でも五十年代の労働力需給の展望ということで報告書が出されております。それによれば、いま言われるように、完全雇用を達成するためには実質六%の経済成長率が適当であるというように結論づけておりますけれども、経済学者の中では、完全雇用を達成するためには最低七%の成長率が必要であるという主張をしておる方もおられるのです。経済成長率が一%違うことによっていわゆる二十万人の失業者が出るということを言われておりますので、そういった意味から、いまの大臣が諮問されておるこういったところでは六%という見方がある、一方では七%という見方がある、いろいろありますけれども、やはりわれわれは、六%と七%、ただ一%違いではないかということで済まされない問題があるわけですね。一%減ったら二十万人失業者が出るということになってまいりますので、労働省としては、六%であれば完全雇用は達成できると、ここではっきり断言できますね。

長谷川正三日本社会党

○長谷川国務大臣 おっしゃるように、人によっては七%、ことに組合などでも七%ぐらいはどうだという話もあります。幸い、こうした諮問機関の方々によく検討してもらって、やはり近代国家は完全雇用ということをねらわなければなりませんから、そういう意味からして六%というものでねらいをつけている。余り高い率で成長率をやりますと、片一方インフレという問題があって、直ちにせんだってのような大変な物価高で、逆に雇用不安も出てこないとも限りませんから、そういう意味からしますと、この調和をどうとっていくかというところに私どもとしての重大な責任があるし、そういう問題に対しての皆さん方の御議論、それをまた反省なり将来の参考のための大きな問題として、ここは慎重にやっていく、こう思っております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 今度政府が第四次不況対策あるいは公定歩合の引き下げによって景気回復をねらっておるようです。そこで、五十年度下半期の実質経済成長率を年率六%程度に引き上げるというような計画のようでございますが、いま言ったように、それでは本格的な景気回復がいつごろなされるのか。もうすでに政府部内でも、一部では第五次不況対策に取り組まなければならないという声すら上がっているわけですね。そうしますと、たとえば今度の景気回復策が効力を発揮するのはいつになるのか。さらに、労働省としては第五次不況対策というものについてはどう考えておるのか。

長谷川正三日本社会党

○長谷川国務大臣 景気対策をやっても、御承知のとおりちょっとタイムラグがありまして、今度で第四次になりますけれども、そういう意味からしますと、なかなかタイムラグの関係で出てこなかった。今度の第四次によって、特例法等々いろいろおやりいただくわけでございますが、そういうものによって、私たちは三年以内のいわゆる調整期間、そのうちの一年半、そして来年の三月ぐらいから上っていくのではなかろうかということを期待しているわけであります。  それから、さっきお話がありましたが、大学、高等学校、若手が三十万も失業、こういうふうに不安がらせてもいけませんので、従来は大学の卒業生の就職というのは、高度経済成長の時代は大学の四年生になると四月、五月にほとんど就職するようなかっこうでありましたが、しかし、高度経済成長と安定成長に入ったときのその幅というものを就職する者は見きわめることと、大学卒業生が毎年毎年ふえていく姿から見ますと、局長が御答弁申し上げたように、超大企業、いわゆる有名大企業、そこだけにいままでのように集中する姿では絶対にこれは就職できない。現に大企業でも、先生がおっしゃったように求人ゼロのところもあるわけです。私たちの方はまた、いまそういう方々にお会いしまして、時間短縮もやり、首は切らないでくれとかいろいろなことを言うと、それに新人を採れとはどういうことですか、そうしておいて片一方で企業悪などと言われてはかないませんなという不平なども言うのですが、そういうふうなことに対して、連帯意識と将来の企業の永続性、継続性、そういうものから、こうしたときにいい学生をひとつしっかり採用してくれということで、学生の意識転換と企業側の社会連帯というふうな意味で、及ばずながら一生懸命進めている、こういうかっこうで、不安は起こさせないことが一番大事じゃないかと思ってやっていることも御理解いただきたい、こう思います。

小宮武喜民社党

○小宮委員 それでは、今度の第四次不況対策によってその実効が上がるのは大体いつごろと労働省は見ているのか。そうしないと、やはり失業者の問題とも関連しますし、特に一部では来年の五、六月ごろではないかとか、三、四月ではないかとか、いろいろな見方がある。これが特に来年の新卒、あるいはいまの失業者が減少していく問題ともつながってまいりますだけに、その辺がわれわれも非常に知りたいところだし、労働省としてはどう見ているのかという点についてはどうですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 ただいま大臣からお話がありましたように、第四次景気対策が実施されました。公定歩合の引き下げも行われました。補正予算も先般成立いたしまして執行にかかるわけでございます。これによりまして、景気の回復過程はいままで以上に回復に向かってくると思いますが、それが雇用の面にいい結果をもたらしてきますのは、大臣からお話がありましたようにタイムラグがありますので、いま四次対策による補正予算が実行されましても、すぐ十一月、十二月というわけにはまいりません。これが雇用面に出てきますのはどうしても来年の一−三月、それも三月に近くなってくる、こういうことだろうというふうに考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、雇用情勢は、この七−九月を底に、底ばい状態といいますかが今年いっぱい続いて、一−三月に若干上向いてくる。トータルで申しますと、たとえばこの第四次景気対策がなければ、完全失業者で下半期百万という想定が数字の上から出てまいりますが、これが十万程度下がって九十万程度になるのではないか、こういう推計がなされておるわけでございまして、雇用情勢は、今年度いっぱいはこういう厳しい状態が続く、私どもはこういうふうに覚悟をいたしておるわけでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 それでは、来年度は大体経済成長率六%に持っていくお考えなんですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 いま企画庁におきまして経済社会基本計画が検討されておりまして、その中でいまお話しのような来年の実質成長率をどれぐらいに見込むのか、こういった検討がいろいろなされております。私どもといたしましては、雇用の面から考えますと、いまいろいろな雇用、失業の指標として取り上げられております有効求人倍率が現在〇・五五でございますけれども、少なくとも来年度〇・八ぐらいまで持っていけるような状態にという希望を持っておるわけでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 われわれも一日も早く失業者がなくなることをこいねがっているわけですから、そういった問題で政府自身が来年の経済成長率を大体六%に持っていくということであれば、われわれも非常にそういった期待で、来年ぐらいはやはりこの失業者がなくなるというような事態が来ることをこいねがっているわけであります。  それはそれとして、これは先ほどいみじくも労働大臣が言われたように、一部には経済界の中にも、政府の景気刺激策への取り組みがおくれたことが今日の不況を招いたんだ、特にそれにブレーキをかけたのが労働省だという批判の声もあるわけです。ただ、労働省として、いろいろな物価の問題も考え、そういった意味から取り組みに対して慎重であったということは理解しますけれども、労働大臣あたりがいつも言っておられることは、日本の失業者の数はこれぐらいでも欧米諸国に比べればまだいい方だとか、いろいろな言葉の端にそんなことが出てくるものだから、これぐらいの失業ぐらいで心配するなというようなことがたびたび労働省の見解として出てくるものだから、それがこういうようなことを言われる原因だと思っておるわけです。本当に労働省がいまの雇用不安をなくして失業者をなくするという立場から、これは大事な問題だということで、政府の一員ですから、もっと政府に積極的に働きかけるべきであった。まずこの問題を経営側と通産省が大きく取り上げ出した。その後から大蔵省とか経済企画庁が取り上げ出した。労働省はそういう中でも一番最後まで踏ん張って、まだまだ大丈夫じゃというようなことをいままで主張してきたということから、この景気刺激策への転換がおくれた責任は労働省にあるのではないかという声すらあるわけです。いまさらそれを言ったってしょうがないですけれども、しかしながら、確かにこの臨時国会でいろいろ論議された中でも、やはり景気政策への転換が遅かったのではないかということは、これは野党各党の質問の中でも出ているわけで、そういった意味で私は労働省の責任は重大だと言わざるを得ないわけです。  それはそれとして、労働省はこういった事態に直面して、緊急雇用対策に取り組むということで、定年延長の積極的な推進の問題あるいは企業に対して新規学卒者の採用あるいは中高年齢者の採用、こういったものをいま呼びかけているわけですが、実際にそれがいまのような不況の中で実効が上がるかどうかということは私は疑問だと思いますが、その点いかがですか。

長谷川正三日本社会党

○長谷川国務大臣 私の責任のようにお話しですが、これはそれだけに責任を持っておりますから、皆さん方に御心配いただいたことは昨年の春の国会に雇用保険法を提案申し上げたわけです。高度経済成長が石油ショックでぶっつぶれた瞬間に、こんなことを労働省が予見したと言うては悪うございますが、そんな感じから雇用保険法を提案した。そしてあれが昨年の暮れの三木内閣の臨時国会において皆さん方の御賛同を得て通過をした途端に、その中から雇用調整給付金だけは一月一日からやれということで抜き出してやった。労働省はとにかく失業者を出さないことが一番でございますから、その効果については先生も御評価いただいて、おほめいただいた。だから、とにかく失業者をいまの給付金によって出さなかったということ、そしてなおかついま数十万が出ているということでございまして、一方、何と言ったっていまいささかでもお互いの中に勇気がわくとするならば、やはり物価の安定でございましょう。その物価の安定が過ぎた今日すぐ、忘れたみたいに景気刺激策を言うところの資本家陣営もあれば、気がつかないでそんなことを言うところの労働団体もあった。まずこれは物価安定じゃなかろうかということでやってきたことに対して御評価いただきつつ、そしていまから先も経済成長六%、その中に、きょうも一月例経済会議で話が出ましたが、今度の補正予算でいますぐ出てくるものは何かというとやはり住宅です。それがどの程度に建設が進んでいるか、手当てが進んでいるかということはお互いがみんなで実は話し合ったことでして、早い機会にいま認められている予算において景気をずっと拡張していくことが、御心配いただく失業者を吸収することだ、こういうふうに感じております。  また、そうした厳しい中に、定年延長だ、あるいは時間短縮だ、週休二日だということも、労使のコンセンサスを求めつつお願いをいたしますが、一方では、先生がおっしゃるような中高年齢者の問題あるいはまた身体障害者の雇用の問題等々は、こういうときにこそみんなで連帯しなければいかぬということで、実は審議会等々にお諮りをし、皆さん方の御要望等々も入れながら、できるならばこの次の通常国会にはそれを出しながら、みんなで苦労を分け合いながら何とかやりたい、こういう姿勢が労働省でございます。幸いに私たちの気持ちをわかっていただいて、内閣全体が、大蔵大臣が、経済企画庁長官が、総理大臣が、いろいろな演説の中に雇用、雇用ということを言うようになった。これをずっと推し進めるところに私たちの大事な仕事がある。その間のいろいろな御議論、いろいろな御批判、これはすべて参考として推進したい、この気持ちだけはひとつ御理解いただきたいと思います。

小宮武喜民社党

○小宮委員 雇用保険法が今度の不況に対して救済的な役割りを果たしたということは私は認めます。しかしながら、私たちは、後ろ向きの対策ももちろん必要ですけれども、失業者を出さないような前向きの政策をやはり最重点に考えなければいかぬ。確かに大臣の指摘するように、半年くらい前までは、インフレ、インフレだと言っておった。ところが、いまではやはり雇用の安定化というふうにまで変わってきた。極端に言えば、少しぐらい物価は上がっても雇用の安定が最重点だと言う人たちもおります。その意味では、これは大臣が指摘することも、その気持ちは私も持っております。しかしながら、それほど雇用問題が非常に今日の大きな社会問題になっておるということを考えれば、労働者としてはむしろ一番失業するというのは大きな問題ですから、その意味で労働省にも苦言を言うておるわけで、いろいろ労働省に対しても、先ほど言われたように企業側からも確かに批判があります。たとえば、やれ過剰人員は抱えろの、あるいは定年は延長しろの、あるいは大卒は採用しろのと身勝手なことばかり言っている、これで企業が成り立つとでも思っているのかというような批判も出ておるわけです。しかしながらそれはそれとしましても、やはりこれは労働省としても一生懸命取り組んでおるという、その姿勢は私も認めますけれども、私はひとつここで大事な問題を大臣に言っておきたいのは、定年を延長しろというこの緊急対策の中で私が心配をするのは、中高年齢者の雇用安定を図るために、業種別、事業所単位に雇用率を設定して、その企業に雇用の義務づけをするという問題と、もう一つは、定年延長について、企業が定年延長をしやすくするために、いわゆる延長後の措置として、労働の能力、それから労働の内容において賃金を横ばいにするとかあるいは賃金を低下してもよろしいとかいうようなことを考えておられるようだし、また退職金についても、これはもう五十五歳で一応打ち切って、あとは退職期間に通算しなくてもよろしいとかいうような制度を設けるとかいうようなことがいろいろ報道されておりますけれども、これは事実ですかどうですか。

藤繩正勝労働省労働基準局長

○遠藤政府委員 中高年、特に中高年と申しますよりは高年齢者の雇用問題がこれからの面で一番重点になってまいります。したがいまして、現在法律の中で定められております中高年のいわゆる職種別の雇用率というものが、実は先生御承知のようになかなか実効性を上げにくいという面がございます。むしろこれからの問題は、中高年の中でも特に高年齢者の問題だということで、高年齢者の雇用率というものを法的に制度化することについても検討を進めておるわけでございます。  それから、この高年齢者のいわゆる一般的に行われております五十五歳の定年を、さしあたり当面六十歳まで延長しよう、こういうことを進めておりますが、この定年延長の一番大きなネックになりますのは、賃金原資がかさむ、それから人事管理上いろいろ問題がある、こういうことでなかなか労使の話し合いの中で定年延長が具体的に進まない、こういう現状でございます。そこで、定年を何とかして六十歳まで延ばさせようという具体的な指導の指針としまして、定年を五十五歳から六十歳まで延ばすについては、その時点から賃金を能力なり職務内容に応じて横ばいあるいは下げてもよろしい、下げてしかるべきである。それから退職金についても、五十五歳で一応打ち切って、そこで凍結、清算をして、それ以上は加算をしない。それから人事管理の面では、いわゆるポスト、部課長とか工長とか係長とかいうポストをはずして、ラインからスタッフに切りかえる。こういうことによって、定年延長に伴う賃金原資が増高する、あるいは人事管理上の壁にぶち当たる、こういうネックを取り払うことによって六十歳までの定年延長を実現しよう、こういう考え方でございます。  まあ、御心配の、賃金を下げていいという指導方針を打ち出すことには問題があるんじゃないか。確かにそうかもしれません。しかし、現実に一般的に大部分の企業で実施されております。五十五歳で定年になって、傍系会社へ出向する、あるいは中小企業に単に就職するといういままでの定年後の再就職の状況を見ますと、こういう人たちのほとんど大部分が、賃金が六、七割に下がっております。そういうことから考えますと、また同時に、五十五歳になりますと大体お子さんたちは大学を出て、独立した社会人として家庭から離れていく、こういうことによっていわゆる生計費の負担もそれだけ減少していく、こういうことから考えますと、従来二十年、三十年働いてきた企業で、仮に賃金が他の企業に転出した場合と同じくらいに下がっても、その技能、経験を生かして六十歳まで延長して安心して働けるということであれば、むしろ賃金が下がってもその方が本人にとっても得ですし、企業にとってもその長年の技能、経験を生かして働いてもらえる、こういう利点がございます。そういうことから、いままでも労使のいろいろな話を聞いておりますと、こういった定年延長の壁となっているこの問題を解決さえすれば労使間の定年延長の話し合いが進むのではないか、こういう御意見もありましたので、私どもあえて、定年延長に際してはこの賃金原資がかさむとかあるいは人事管理上の問題点についての指導方針を打ち出したわけでございます。こういうことによりまして、労使双方とも、働く人たちも企業にとっても、いままでよりはいい方向でこの高年齢者の問題は解決していただけるということで、私どもはこれからも強力にこの方針を推進していきたい、かように考えておるわけでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 もう時間が来ましたけれども、一言だけ……。  それは確かに、定年延長を実施する過程においては、一つの経過措置として現在そういうものもあっていることは事実なんです。しかしながら、やはり労働側としては六十歳までの定年延長、賃金も下げない、退職金もその期間は通算するという方向に進んでいるとき、賃金を下げてもいいとか、あるいは昇給もストップしてもいいとか、退職金も凍結してもよろしいとかというような行政指導をやられることは、政府が一つのガイドラインを設けたことになるのです。そうすると今度は、安易に企業側では政府もこう指導しておるじゃないかということで、その壁を突き破るのに問題が起きてくるわけです。だから、そういったことはこれはもう労使の間で話し合うべき問題であって、それを労働省が一つのガイドラインとして、指導方針として出すことについては、これは慎重にやっていただかぬと、これは非常に大きな壁になるということを私は非常に懸念するのです。だから、そういった意味でこれは意見として申し上げておきまして、あとはこの次にまた、あとの問題がずっと残りますから、質問しますけれども、この定年延長の問題について、そういうふうにガイドラインを設けて政府が指導するということは、これはちょっと危険な点がありますから、その点だけ、ひとつ十分慎重に配慮してほしいということだけ申し上げまして、時間が来ましたので、残りは次回の委員会で再度続けて質問したいと思います。

大野明自由民主党

○大野委員長 次回は明後十三日木曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十八分散会

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