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76回国会衆議院1975/11/19

交通安全対策特別委員会 第4号

発言数
90
登壇者
12
会派数
4
開催日
1975/11/19

会議録

下平正一日本社会党

○下平委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。沖本泰幸君。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 私は、主としてコンビナート災害あるいは海上汚濁についての問題点にしぼってきょうはお伺いしたいと思います。  石油コンビナート等災害防止法案についてですけれども、主として陸上施設に対する規制で、すなわち陸上の災害を海上に及ぼさないことを目標にして防災体制の立案に当たられ、陸の災害を海に及ぼさないため、それに必要な海上の防災体制をとる必要があるので、そうした関係について必要な規定をこの中に入れておるわけです。しかし、一方では、陸上のコンビナートに油を移送してくるところの湾内での油送タンカーの接触や沈没事故等による災害が現実に起きているわけであります。海上保安庁の「海上保安の現況」の中でも、四十九年に第十雄洋丸とパシフィック・アリス号とが衝突火災事故を起こし、折からの北北東の風で流されて、それが陸岸に接近し、陸上に対する二次災害の発生を強く懸念し、他の船舶、港湾設備、その他の陸上施設にも被害が波及するおそれがあると指摘しておられます。これは最近の映画でも「東京湾炎上」ということで、あれをモデルにとってやったわけで、たまたま雄洋丸はLPGであったわけでありますけれども、もしあれが原油で、それが非常に広範囲に流れていった場合に、またそれに引火したということを想定した場合には、被害はとんでもない大きな問題になってくる、あるいはそういう問題がコンビナート周辺で起こった場合には重大な事故ということが考えられるわけです。  これは相当な陸上、海上の交通混雑なりあるいはそういう施設、設備、船舶、いろいろな機関について重大な被害が起こってくる、これは地震等以上の災害のおそれも出てくるわけでありますから、この審議の際も、陸上施設に対する規制は強化されたけれども、湾内でのタンカー事故による災害が陸上のコンビナート地域に災害を及ぼすことに対する対策は講ぜられていない、コンビナート地域の防災対策とあわせて海上の防災対策を講ずべきではなかったかというような点が議論され、それに対して政府側は、タンカーの事故の問題については運輸省で海上防災法の制定を次の通常国会に提出する予定で検討されているというふうに発言していることがあるわけです。  そういうことですけれども、いろいろな点を総合して考えてみますと、防災体制はこれで完璧というものは恐らくないと思います。しかし石油コンビナート等に対する陸上の防災体制の設備なりあるいは訓練体制そのものも問題点がいろいろあるし、海上についても保安庁で大型の化学消防もできる消防艇を準備された、これは二隻とか、あるいはこれから数をふやされるわけですけれども、一船体について数億かかるというような点、そういう点から考えると、コンビナートの数あるいは石油基地の現状あるいはいろいろな湾内での設備、そういうふうな点を考えると、まだまだ微々たるものであって、それで第一次的な防災体制にもなおかつ及ばないという点もあるわけです。  同時に、大阪湾であるとか東京湾あるいは京浜地帯あるいは千葉県のコンビナート地帯、それぞれだんだんそういう点について強化はされていっているけれども、そういういわゆる危険がいっぱいのコンビナート施設そのものに対する企業側の体制も全然なっていないという点も考えられますし、また大都市港湾のあるところでは、いわゆる消防局自体の消防艇なり海上防災に対するそういうものもありますし、あるいはタグボートあるいはほかのそういう消火設備のある船の応援を得られるという点もあるわけです。また同時に、最近の船のスピードアップという点から考えてみますと、陸上が交通難の中で、海岸地帯の火災に対して車が消火に移動していくよりも、むしろ海上で船が直行した方が、第一次の防災体制が早くとれる、あるいは初期のときに消火、防災が可能であるというようなことも考えられもしますし、これは研究の余地がある点もあるのじゃないかと考えられます。  そういう点もいろいろ考えていきますと、ただ単に第十雄洋丸、パシフィック・アリス号の事故を参考にしてということよりも、むしろ現状に即した防災体制を十分とらない限り、これは重大な災害を起こすおそれがあると考えられるわけです。次の通常国会でこれを提出するということを発言されておりますが、内容なりあるいは本当にそれができるのか、その中にある規模等について運輸省の方なり保安庁の方でお考えの内容があると思うのですけれども、そういう点についてとりあえずお話をしていただきたいと思います。

薗村泰彦海上保安庁長官

○薗村政府委員 先生御指摘のとおりで、巨大タンカーを中心とする防災体制がいまのところで十分かとおっしゃられると、本当に私ども心配な点が非常に多うございます。それで、いろいろ御指摘いただきましたので、ちょっと長くなるかもしれませんけれども、いまとりあえず私どもが巨大タンカーによる事故を未然に防ぐ、ああいう第十雄洋丸のような事件が起こらないようにどんなことをしているかということをまずお話をさしていただいて、それから先生お話がございました点に順次触れさせていただきたいと思うのです。  まず、海上交通安全法というのがいまございます。これは船舶交通が特にふくそうしている東京湾、伊勢湾それから瀬戸内海というところに特定の航路を設けて、交通安全のルールを施行しているというのは御承知のとおりでございます。そこでその交通安全法によりまして、大体タンカー、LPG、LNGの船ですと千トン以上のもの、それからその他の火薬類を積んでいるものについては三百トン以上のものについては、こういう特定の水路に入ってきますときには海上保安庁へ前日の正午までに事前に届けなさいということで、事前通報制度を義務づけております。  それから、その船の大きさだとか積み荷の種類に応じまして化学消防能力を備えた進路警戒船を、大体先ほど申しましたような、海上交通安全法が施行されているような水路については一隻、それから特に東京湾が心配なものですから、二隻つけて進路警戒と万一事故が起こったときの消火、消防能力というものに備えるようにさせてございます。  それからもう一つは、港則法の系統で、これは港長という制度がございますので、危険物積載船が港に入ってまいりますときには港域の外で港長が必要な指揮をとる、そこで停泊場所を指定する、あるいは危険物の荷役の許可を行うということになっております。それから港長は航行安全のために必要があるときには荷役場所付近におけるほかの船の航行を制限、禁止するというような方法をとっておるわけです。それから港内またはその港域付近において、タンカーでございますとタンククリーニングの作業を行うのですが、こういった危険な作業については実施場所、実施方法について必要な指導を行う、こういうことにしてございます。  それから、このほかに東京湾においては総トン数が二万五千トン以上のLPG、LNG、それから二十二万重量トン以上の原油タンカーが日本の国に初めてやってくるような場合には、事前に狭水道あるいは港内航行時の安全対策や停泊中、荷役中の安全対策について積極的にこちらが指導するというために安全対策確約書というものをとって入港を認めるというようなことで、これは事前に、何とかそういう災害が起こらないようにという事故対策をとっておるわけでございます。  それから、消防船でございますが、これも先ほど先生からお話ございましたように、海上保安庁の大型消防船という、まあ一番能力が大きいものは横浜と四日市と下津に置いてあるのですが、それからそれと同等の能力を持っているのが二隻ございまして、これは海上防災センターが所有して東京湾に置いてあるということでございます。  それから、それ以外には、放水能力が一時間に六十トン以上の消防能力を有する船艇を全国的にちょっと数を当たってみましたら、私どもの海上保安庁自体では一管区から十一管区までございますが、二百七十八隻ある。これは現在の三百八隻ございます巡視船艇の中でほとんど大部分のものにそういう消防能力を持たしていくということでございます。そういう現状になっておるわけでございます。  それから、私ども以外には全国的に四百十七隻ございますので、そういう能力を持っている船艇が六百九十五ある、これが現状でございます。  そういうことですが、一たん事故が起こったときに、特にコンビナートなどを控えた場所で起こったら、本当に心配だという点は全く同感でございますので、私どもも、前にも申し上げましたとおり、陸上でコンビナート法案が用意されまして陸上の体制が整備強化されるのに対応して、わが方としては海上防災に関する法制をつくりたいということでずっと努力をしてきております。次の通常国会提出を目途に作業をやっておりますので、恐らく次の通常国会にはお願いできるということを申し上げられると思うのでございます。  ただ、その中身につきましては、災害対策基本法だとかそれから消防法だとか、今度御用意になっているところの陸上の防災法、それから先ほども申し上げましたように、わが方の内部としても海上交通安全法だとか港則法だとかというようないろんな法律との関係がございまして、安全対策という面からかなりそういうところで、私、先ほどもちょっと触れさせていただいたような未然に防ぐ、その交通安全対策というようなものに触れている部分もございます。そういったものと、実際事故が起こったときの、本当にその防災体制をどうするかという、新しくわれわれが考えようとしていることと、多少整理が要りますということでございますので、それを鋭意私のところで現在努力をしているという最中でございます。  したがって、内容としていまどんなことだということをちょっとまだはっきり申し上げにくいのですけれども、私ども考えている法律案の内容としましては、海上における危険物の火災、流出等を対象として、災害発生時における通報、応急措置等の災害鎮圧に関する事項をいろいろ決めたい、それから二番目には、効果的な防災活動を行うための海上保安機関の権限、組織というようなものを決めたい、それから三番目には、国、地方公共団体、関係事業者等の官民関係者の防災協力体制等について規定したいということをいま考えておる最中でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 この「海上保安の現況」という保安庁から出ている内容の中にも、「あらかじめ消防機関との間に船舶火災に関し業務協定を締結し、相互の協力関係によって消火活動を迅速かつ的確に実施する体制の整備を推進している。」という点、それから同じこの五十二ページにあるわけですけれども、「民間における防災業務実施機関の中核として位置付けるため、」——これは海上防災センターのことですけれども、「積極的に強化育成を図る必要がある。」こういうことで表現されているわけなんですけれども、いわゆるデパート火災につきましても、いろいろな点、消火器を幾ら置かなければならない、あるいは脱出装置をどういうふうにしておかなければならない、あるいはスプリンクラーをどういうふうにしておかなければならない、いろいろな取り決めがこういうふうにあるわけですね。  ところが、実際に当たってはそれが機能を発揮しなかった、あるいは誘導等においても欠けた問題があり、そういう器材が全然使えなかったということから重大な人的災害を起こしておるという過去の点にならって、今度は厳重にそういうものの点検をしていき出したということになるわけですけれども、先ほどお話があったとおり、港則法なり海上交通安全法なり、いろいろなものとの関連を考えながらおつくりになっていくわけですけれども、この際ですから、完全に防ぐためには義務づけが必要だ。義務を怠った場合には重大な責任を負わされるというものが企業側にない限りには、あるいはその当事者に責任が負わされない限りには、完全なことが望めないということになるわけです。  水島の事故にしましても、結局バルブの締め忘れ、締め間違えということで、第三段階では防油堤があるから安全だと考えておったところが、防油堤は足しにならずに防油堤を越えてしまったという事態、そういうところから、もっと防油堤を高くしなければいけないとか、全部後になってそういうことが起こってきているわけですね。そしてその設備そのものについても、結局人に及ぼす公害の影響がだんだんやかましくなってき出して、今度はその公害発生源に対するそれを予防する措置がいろいろ考えられて、それが義務づけられて、企業の方はそれに大きなお金を投資している、設備に金をかけているということが現実にあるわけです。  ですから、陸上におけるコンビナートならコンビナート、石油基地なら石油基地の中における完璧なそういう体制もやらなければならないし、当然いまの行き方でいくと、そういう危険物を扱うコンビナート群なり石油基地等はほとんど一つにまとめられて集約されていっている時代に入っているわけですから、当然そこならそこで、そこ自体で起きる災害を防除するために、消防艇なら消防艇を常備しておく、外からの応援が得られる前に初動的に海上からも消火できるということでなければならないと私は考えるのですね。ただ構内に消防自動車を何台か置いて常時訓練しておるというようなのは、まだまだ災害に対する完全な考え方ではないと思います。  ですから、コンビナートならコンビナートに消防車をつけているような、シュノーケルならシュノーケル放水のような内容のものであるとか、あるいは化学消火ができるような内容のものが、放水塔のような形で設備の横についておって災害と同時に可動していくというようなものが義務づけられてやっていってこそ、ある程度の防災の役割りを果たしていくということになるのであって、ただ消防服を着て、そして消防車に乗って、ホースを急いで伸ばしてつないで水をかけているようなのは、一般民家の防災と何ら変わりがないというふうに考えるわけで、その辺の考え方の違いというものが、企業の方にすればただ単にやかましく言われるから必要最小限度のものを置いておけばいいというふうにわれわれは受け取られるということになるわけです。その工場内だけで災害が終わればいいですけれども、災害が町全体に向かって重大な影響を及ぼしていくということになればこれは一挙に大多数の人を災害の中に巻き込んでしまうというおそれが十分にあるわけですから、そういう点を今後想定した将来に向かっての完璧な体制が要るのじゃないかと考えるわけです。     〔委員長退席、野中委員長代理着席〕  同時に、いま長官がお話しになっておられましたけれども、大型のオーシャンタンカーならオーシャンタンカーが入るときには、数日前に入港予定なり港なり時間なりというものが連絡されてき、それに対する応答がいろいろやられていくわけですけれども、それ以外に、先ほど言われたような小型のコマーシャルのタンカーあるいは中型のタンカー等が狭水路を縦横無尽に走っているわけですね。その船なんかは一たん災害を起こしたらほとんど無防備状態になるということになりますからね。  ただ、それがお互いに走っていき交う狭水道でも、そういう水道地域だけで起こったのなら、単にその船一隻の災害で終わるわけですけれども、これがコンビナートの近くになって、あるいは石油基地のいわゆる油を積載するような埠頭、バースのあるところで接岸しながら事故を起こした、付近に大型のやはり同じような危険物を積んだ船舶が数隻係留しておるというところで一気に爆発してしまったということになって油が流れ出たということになると、オイルフェンスを張って急速に泡沫消火剤をかけてというようなのはなかなかむずかしいということになるわけですから、最大の規模の災害が起こったというふうなことを軸にした防災体制というものが考えられなければならないということになれば、いわゆる海上からの防災設備、防災用の船舶なりというものはもっと大ぜいの手で準備されなければならない。ただ、海上に関するから保安庁に準備の責任があるのだ、だから国家予算の中で保安庁がその船を準備するというようなことであってはならないと私は考えるわけです。  もっと言えば、火災が起きたら同時に、これは港湾管理者の責任の範囲になりますけれども、そこの中にあるタグボートなり何なりにしましても、このごろはエンジンは大きくなって力も強くなってスピード化されているわけですから、十分消火能力のあるポンプなり何なりを設備できないことはないわけです。そういう面はやはり補助金を出すなり何なりして義務づけて、第一次災害で救助に赴けるというふうなことを広範にやっていけば、ある程度大きな力が発揮できていくということになりますけれども、そこで、このことは港湾管理者の責任の分野である、こっちの方は海上保安庁の責任である、これはその地域の地方自治体の消防の責任であるというふうな、まだまだそういう、なわ張り根性ではないのですけれども、十分協議はしておるということは言われますが、その間に総合された力が発揮できるほどの体制を持っていくまでの綿密な計画ができ上がっていないというふうに私は考えるわけです。  こういうものが来年防災法ができるときにあらゆる角度から十分検討されて盛り込まれてこなければ、法律はできたけれども実際の効果は上がらないというふうになりますから、まず第一にそういう点について企業が十分責任を持たされる、企業も十分な設備を整えなければならない、企業も力を合わせて初動的に消火ができるような消防艇なり海難救助ができるような船舶の準備もしておかなければならない、オイルフェンスは十分張れるような状態に置いておかなければならない、そういうふうなものをつくるべきであるというふうに私は考えるわけです。いろいろなことで町の人の人気が悪くなったから、工場の中に樹木を植えて公園化して、あるいは動物を飼って見に来ていただくというような消極的なことであっては、私は企業の社会的責任を果たしたということにはならないと考えるわけです。  この点についてもう一度保安庁長官から、そういう内容を十分御検討していただけるかどうか、それから今度は消防庁の方から、いろいろな点を御指摘したわけですけれども、それに対応するだけの検討がされているのかいないのか、その点についてお伺いいたします。

薗村泰彦海上保安庁長官

○薗村政府委員 まず、私どもと消防庁の方では、接舷中の船舶までは陸上の消防でやっていただく、それ以外の船舶は私どもの方でやるというようなことは、原則的に協定はしてございますけれども、一たん事あるときにはもちろんわれわれ海上から陸上に向かって消防消火活動を続けるというようなことは当然臨機応変に考えていくというつもりで、相互に協力し合って災害を防いでいくというつもりでございます。  それから、具体的に災害が起こりましたときにどういうふうにして被害を最小限度にとどめていくかということは、私ども現在法律を考えております中にも、やはり平素から防災会議みたいなものを持って、それぞれ責任の分担を図りながら、また相互に協力し合って災害を最小限度にとどめていく、それから個々のそれぞれの地域に応じてどういう防除体制を平素しいておくことがその災害を未然に拡大を防いでいくことになるかということを、そういった平素の体制づくりからも研究をしておるところでございます。  それから、やはり民間と官側とで協力して防災体制をしいていかなければいかぬということは私どもも考えておりますので、オイルフェンス、中和剤等の機材については、実は私どもが持っているよりも民間に持たせておる長さなり分量の方が多いというようなことで、その体制を現にとらせておるところでございます。     〔野中委員長代理退席、大竹委員長代理着席〕  それで、船の場合は、それぞれの船に積んでどうこうというようなことはなかなかその資材についてもできませんので、共同備蓄体制ということで陸上の適当な場所にそういうものをプールしておいて、それでいつでも引き出せるようにというような体制を現にしいておるところでございます。  そういうオイルフェンスだとか処理剤だとかにとどまらず、それ以外にどういうふうな機材を民間と官側とで分担して体制を整えていくかということは、これは十分私どもも今後検討させていただいていくつもりでございます。

永井浤輔消防庁防災課長

○永井説明員 お答え申し上げます。  石油コンビナート等災害防止法案におきましては、コンビナートに起こりました災害はすべてコンビナートの中で処理するという基本的な方針でいろいろな規制を行っております。特に御指摘のございました、いろいろな企業活動に伴って危険性を有するそういった企業が発生いたしました災害については、その企業の中でとどめる、あるいは発生しても拡大させない、こういった基本原則に基づきまして自衛防災組織というものを義務づけておりまして、そこで必要な防災資機材というものを持たせるように義務づけております。たとえて言いますれば、高所放水車あるいは高性能化学消防車あるいはあわ原液輸送車、油回収船、オイルフェンス、こういったものでございますが、具体的には政令においてこういった基準を定める予定でございます。  御指摘のございました海上防災につきましても同じような考え方がとられるのではないかと思いますが、これにつきましては、海上保安庁の方でお答えございましたように、海上防災法を今後立法する予定でございますので、その立法の中で十分検討さしていただきたいと思っております。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 お答えがあったわけですけれども、消防庁の方では十分検討さしてもらうということなんですが、消防庁の方で、いままでの事故なりあるいはコンビナートなりあるいは石油基地なり、陸上のそういう危険な施設に対するこれから検討することについての具体的なお考えがあるはずなんですが、それは法律になってくるとか政令でやっていく点についてはこれからまだいろいろ紆余曲折はすると思いますけれども、消防庁としてはこういうことが問題なんだ、だからそれについてはこういうように考えているというふうな具体的な内容はないのでしょうか。  たとえば、御披露していただきたいわけですけれども、この間こういう施設の設備を点検なさって、各種の設備について、これはニュースで発表されておりましたけれども、相当足りないものがある、あるいは機能を果たさない設備があるということで、相当厳重にやったけれどもなおかつあったのだということを指摘しておられました。  そういうものをずっと引いてみてみれば問題が出てくると思うのですが、先ほど触れましたとおりに、高層ビルについて相当な警告を発し、やったけれどもなおかつまだ出てきているという点で、何度も何度も手直しをやったり、何度も何度も警告したり、いろんなことで社会的な問題になって指摘されていって、やっと企業の方が体制をとり出した、自覚し出したという点にあるわけで、どうも企業の方がそういうふうな社会的な責任に対する責任感、あるいは社会の中で自分の持っている企業のある責任の分野というものに対する厳しい責任感というものが薄いのじゃないか、ただ単にもうけたらいいのだというふうなことでやっているのじゃないかというふうに私たちは感じ取れるわけですが、そういう点についてもっと具体的なものをお示しいただきたいと思うのです。

永井浤輔消防庁防災課長

○永井説明員 御質問にございました先般調査いたしました私どもの内容といたしましては、あれはコンビナート特別防災区域の指定、それからその中における事業所の自衛防災資機材がどの程度あるかといった問題を今後の政省令の策定の参考にするために調査したわけでございます。  その中におきましては、やはり私どもが今後予定して考えられる防災資機材というものはまだまだ十分でないと考えております。しかしながら、現在の法律では消防法で自衛消防組織が義務づけられております。これは特定の事業所でございますが、この内容は主として化学消防車を主体としておりますので、先ほど私が申しました高所放水車であるとか油回収船というものは現在の法律では義務づけられておりませんので十分でない。したがって、この際、コンビナート法案が成立したら政省令でそういったものも義務づけていきたい、それで十分企業において社会的責任をとって防災業務をやっていただきたい、こういう趣旨でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 ちょっとひっかかる言葉があるのですが、防災法ができて、省令なり政令なりでそういうことをやっていきたいということだけれども、これはむしろ法律の中へ盛り込んでしまって義務づけしてしまう、だからこういうことを準備しなさい、しかしそれの準備を怠った者あるいは準備が悪かった者あるいは不備の者に対しては相当な責任を追及するというふうな、ある程度の罰の加わった内容の義務づけがない限りは設置されないですね。  たとえば、公害を起こして公害の直接責任者しかその責任を追及されないといういまの法律の中に大きな不備があるわけです。これは何としても総合責任者まで問題を持っていくべきだということで、法律をつくるときに相当問題になったわけですけれども、それが除かれてしまった。しかし、いまは、今度訴訟とかいろんな点から出てきているのは、やはり企業の最高責任者が企業責任を問われているということは事実なんですね。そういうことから考えていきますと、十分防災についての企業責任というものを明らかにしておく、それを法律の中でちゃんと決めていくということが重要ではないかと考えるわけです。  ただ、課長さんですから、そのことについてはお答えする責任があるかないかということになるわけですけれども、これは私たちがこれから国会の中で出されてくるものについて検討しなければならないので、相当突っ込んだお答えをしておいていただきたい。そうすればこれは後の参考になって、十分耐え得るだけの法律ができ上がっていくということになりますから、その点についてもう少し突っ込んだお答えをいただけませんか。

永井浤輔消防庁防災課長

○永井説明員 お答えを申し上げます。  石油コンビナート等災害防止法案の第三条におきまして、「特定事業者の責務」という一条を起こしております。読んでみますと、第三条「特定事業者は、その特定事業所における災害の発生及び拡大の防止に関し万全の措置を講ずるとともに、当該特定事業所の所在する特別防災区域において生じたその他の災害の拡大の防止に関し、他の事業者と協力し、相互に一体となって、必要な措置を講ずる責務を有する。」と特定事業者の責任を明らかにいたしております。  その具体的な内容といたしまして、先ほど申しましたように、特定事業者には必要な自衛防災組織を義務づけておる。それで必要な消防資機材、要員を置かなければならない。これは非常に技術的な内容基準になりますので、政省令にゆだねておるわけでございますが、これの義務違反に対しましては、法律と同じように義務違反となります。したがいまして、そういったものを備えない場合には、措置命令を法律ですることにいたしております。措置命令になお従わない場合は、事業の停止命令もできるようになっております。  それからさらに、御指摘のありましたように罰則もございまして、法人の代表者もあわせて罰するという、いわゆる両罰規定も設けられております。  以上でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 これは今後も十分考えていかなければいかぬと思います。だから、この種のいろいろな社会的な責任に対して、いわゆる故意か過失かという判定の中に無過失責任というものまで問われるようになってきたわけですから、故意に怠ったということになれば、これは重大責任ということになってまいります。事が災害ということになるわけですし、起こったときの被害は大きい、範囲も広いということになるわけです。その点から十分今後の検討をお願いしたいわけです。  それから、これは関連するようなことになるわけですが、保安庁の方も消防庁の方も考えておいていただきたいということです。     〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕  最近は、海岸に沿うところの温泉地帯、こういうようなところには非常に高層な温泉ホテル等ができ上がっております。それから海岸にこういうふうな高い建物なりいろいろなものがだんだん出てきておる、そのわりに交通はだんだん停滞ぎみということで、道路幅が狭い、そういうことのために消防自動車の出動も十分でないということです。  ずっと以前に私は琵琶湖の火災を見て、それで雄琴温泉の火災に大津の消防車が出動して現場に到着するのに一時間以上かかる、それじゃ火事が終わった後着いてしまうということで、消防庁の方へ消防艇をつくるということについていろいろな御注文をしたことがあります。数年たって実現して、いま琵琶湖に消防艇がありますけれども、同じような考え方で横浜とか大阪とか東京とかというところには水上消防署があって、消防艇を船舶用に備えていらっしゃいます。港湾責任者が、あるいは消防責任者がそういうものを持っていらっしゃるわけですけれども、こういう船舶の出入りの多い港のないところにはこういうものはないわけですけれども、最近のように交通がふくそうすると、むしろ海上から放水した方が消火能力が高い、水は豊富にあるわけですし、そういう点が考えられるわけですね。海岸線が非常に延びておる、道路幅が狭い、消防自動車はそう急いで現地に届かないという事例をよく聞くわけなんです。  そういう点について研究をなさっていらっしゃるか、あるいはそういうことを実現しようというお考えがあるのか、あるいは保安庁の方では、全然守備範囲が違うわけなんですけれども、海上から見たそういう点についての協力をなさっていこうとするお考えがあるかないか、そういう点についてお伺いしたいと思います。

原徳安消防庁消防課長

○原説明員 お答えいたします。  現在消防機関につきましては、消防機関で具備すべき施設設備及び人員の基準というものを消防庁で定めておるわけでございます。その中で、消防自動車をどれだけ置くかとか、あるいは消防署あるいは出張所をどれだけ置けばいいか、あるいは救急車を人口何万人について幾ら、こういう基準をつくって、それに基づいて消防活動を行うようにという指導をいたしておるわけでございます。  その中に、原則として陸域につきましては消防自動車でもって対応できるわけでございますけれども、陸域の中であっても、河川及び海岸地帯に建物等が建ち並んで消防ポンプ自動車が容易に近接できない、こういう地域で消防ポンプ自動車による火災の鎮圧が非常に困難であるというところにつきましては、消防艇で消火活動に当たるようにということでそれを消防力の基準に定めておりまして、現在消防艇は、原則としてそういうような海岸線といいますか陸域の長さが三キロから五キロにわたるところには一隻置きなさい、五キロ以上にわたるときには五キロごとに一隻ずつ備えるようにということで、目標を示しまして指導をいたしておるわけです。それに伴いまして、関係の市町村で消防艇を建設いたしたいというときにつきましては、現在三分の一の国庫補助で助成もいたしておるという現況になっておるわけでございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 これは機能的に力が発揮できるように今後もう少し検討をよくしていただきたいと思うのですけれども、国庫補助の点なりそういうものがあるので、予算の乏しい地方自治体ではそれだけ消火能力のある消防自動車が得られないというところから、いろいろな寄付金なり、いろいろなところから台数をふやしていったりあるいは特殊な消防自動車をおつくりになったりというふうにやっているわけです。これは地域の人たちが災害に対して関心を持ってお手伝いをしていこうということですから、非常にけっこうではあるわけですけれども、そういうことに寄っかかってしまって、国の方が十分考えてあげることを怠ると大変なことになってくると思います。そういう点から、ますます人口が過密地帯というところでは、こういう機能を発揮する点では十分考えられますので、新しい考え方として、十分その準備をしていただきたいというふうに考えます。  しかし、今度具体的にたとえば海岸地帯に倉庫なら倉庫に火災が起きたという場合に、消防自動車は陸上ですから当然火災報知によって出動するでしょうけれども、それじゃその放水の水が海上から届く範囲内にある場合には消防艇も同時に出動しているのでしょうか、実際の活動についてはいまどういうことになっておるでしょうか。

原徳安消防庁消防課長

○原説明員 現在そういう種類の消防艇は全国で消防機関に四十隻所有をいたしておるわけでございますが、この消防艇につきましては必要な人員も張りつけておりまして、かつ一一九番に入りました火災警報につきましては、消防無線によって必要な措置が行われておるわけです。したがって、コンビナート地帯等につきましては、そういうものが海岸の隣接部にありました場合に出動いたしております。消防艇につきましては、三十トン型程度で大体一・二〇メートルぐらいの水深のところまで近づけるようになっておりますし、放水能力も四十メートルないし五十メートルあるわけでございますので、それらの範囲内であれば現在有効に出動し、活躍をしておるという現状でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 消防艇にシュノーケルを倒せるようにつけておけば、橋をくぐって河川も相当上流まで上れるわけですね、都会地の中にある河川ですと。だから相当上流まで上がっていって、市街地の中で消火作業もできるということが考えられますから、そういう点、やはり技術的にもう少し考えていただいて、役割りを十分果たすということも大切ではないかというふうに考えられます。船ですから主として港湾の中に置かれているわけですけれども、河川でも近いところなら上っていって仕事ができるということになるわけですから、そういうふうな点もお考えになっていただきたいと考えるわけです。それだけ力が発揮できると考えられるわけですね。  こういう点はひとつ今後御研究していただきたいと思いますし、予算の方も十分考えていただきたいし、また離島がたくさんあるわけですから、離島の多くあるところでは、こういうふうな船は水難救助と両方の役割りを果たすことができますので、ただ消防庁だから消防に関してのみのお考えということより、以前はやはり水難救助と両面のために消防艇というものがいろいろ検討されたこともありますので、しけの中でも十分対応できるような復元力のある船をつくればいいわけですから、そういう点もやはり考えていただくことの方が大事ではないかと考えられます。  いまは大分違うことを言ったわけですけれども、保安庁の方はそういう問題はいかがですか。

薗村泰彦海上保安庁長官

○薗村政府委員 私どもは、決まったことを申しますと、海上における人命と財産の安全保護ということが書いてございます。しかし、当然私どもの消防船なり消防艇がおりますところで、そういう私どもの力が及ぶというようなところ、もちろんそんなに浅いところまでは行けませんが、お役に立つときには協力をさせていただくということを考えております。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 きょうはこの程度でやめたいと思うのですが、防災能力を十分考えていただいて、船なんかの整備につきましてももっと急速に充足していただくということをお考えいただきたいわけです。  それから、一つ落としていたのですが、海上防災センターの船が活躍している。そこで訓練なんかもやらして、火災に対する経験なり何なりというものもということで、民間の船舶振興会等からの寄付なり、それぞれの民間企業からの寄付によってこういう点が賄われておるということになっておりますけれども、法律にする考えはありませんですか。

薗村泰彦海上保安庁長官

○薗村政府委員 海上防災センターは、財団法人として去年の十二月にできまして、それでいまお話ございましたように、オイルフェンス、処理剤等の共同備蓄の仕事だとか、それから消防船の東京湾における二隻の維持管理とか、それから防災活動の訓練というような大事な仕事をやっております。ぜひ官民一体となってやるために、それを整備して、また強化していきたいということは、私どもも基本的に先生のお考えのとおりでございます。ただ、法律にどういうかっこうに書き込めていけるのかということは、もうちょっと勉強させていただきたいということで、方向は先生のおっしゃるとおりに考えさせていただきたいと思っております。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 それでは終わります。

下平正一日本社会党

○下平委員長 次に、足立篤郎君。

足立篤郎自由民主党

○足立委員 私は、去年の七月十八日付で運輸省船員局長名で出されました通達の内容等につきまして、若干質問させていただきます。  その通達は、「貸モーターボート事業者等に対する船舶職員法第十八条の適用について」という通達でございますが、私が疑問とする要点を原文どおりまず読んでみたいと思います。それは「プレジャーボート等の一時的貸借(当該貸借を業として行うか否かを問わない。)の場合等船舶が他人に貸与された場合であっても当該船舶の所有者が当該船舶の運航を実質上支配している場合には、当該貸借は法第三条に規定する船舶貸借には該当しないものであること。」というものであります。なお、この通達の前文には、「下記1のとおりその解釈を明確にし」云々ということが書かれておりまして、こういう断定的な通達が出されたわけでありますが、結局この通達の法解釈によれば、プレジャーボート等を借りた側ではなくて、貸した側が法第十八条の義務を真正面から負い、この義務に違反した場合には法第三十条の三に定める三十万円以下の罰金に処せられるということになるわけであります。  実は、去年この船舶職員法が改正になりましてから、新しい制度に基づいてモーターボートの操縦者等の試験が全国各地で行われました。その試験の準備といいますか、受験のために講習会等が開かれたわけでありますが、その講習会ではこの点が非常に強く強調されまして、今後は無免許の者にうっかり船を貸すと、貸した方は三十万円以下の罰金で、借りた方の無免許操縦者は五万円の罰金だ、こういうことを非常に強く述べられたので、その講習会に参加した人の中には貸し船業等を営業としている者が相当おりまして、大変びっくりしたようであります。  それで、私のところに実は訴えがありまして、まあ常識として考えてみて、免許を持たずに操縦したという者が五万円以下で、それに船を貸した方が三十万円以下というのは、どう考えても納得できない、通達が出ているのだが、一体法律はどうなっていますかという質問を受けまして、私も早速船舶職員法を読んでみました。ところがどうしてもこれは私にも納得できない。どうもこれははっきり言えば、運輸省が得手勝手の解釈、もっと悪く言えば、法解釈をひん曲げて、こうしたことで貸し船業者をおどしつけて、協力させようというその意図はわかりますが、余りにもむごいやり方じゃないかという感じを受けましたので、船員局の前局長に対して私はその旨を申し入れまして、どうもおかしいと言ったのです。前局長は、内閣法制局の見解を求めたいから、内閣法制局の見解がはっきり出るまで待ってくださいということでございました。もうそれから半年以上たったのでありますが、一向に御返事がない。そこでやむを得ずきょうは質問時間をちょうだいして質問をあえてするというわけでございます。  つまり、この船舶職員法第三条には、御承知のとおり「この法律のうち船舶所有者に関する規定は、船舶共有の場合には船舶管理人に、船舶貸借の場合には船舶借入人に適用する。」とはっきり書かれております。つまり、船舶貸借の場合には、船舶所有者すなわち船舶を貸した側の義務が全面的に船舶を借りた側に移るのでありまして、ここで問題になっている法第十八条に当てはめてみると、主語の船舶所有者という言葉はすなわち船舶借入人と読みかえられることになりまして、貸した側ではなくて借りた側が海技従事者を船に乗り込ませる義務を全面的に負うことになるものと私は考えます。  この際特に強調しておきたいと思いますことは、いま申し上げた船舶貸借の場合には、貸した側の責任が全面的に借入人に移行するという第三条の規定はきわめて断言的でございまして、船舶の貸借がたとえば一時的な場合はこの限りでないとか、あるいは政令で定める特別の場合は除くなどというような例外は全く考えられません。文言上きわめて明確であると、私は法律を読んでみて感ずるわけであります。  そこで、政府にお伺いしたいと思いますが、これほど明確な規定があるにもかかわらず、プレジャーボート等の一時的貸借は第三条に規定する船舶貸借に該当しないという船員局長通達の解釈は、一体法文のどこを根拠として成り立っているのかという点であります。  なお、その内容を二つに分けてお伺いしますが、その第一点は、一時的貸借なるがゆえに法第三条の貸借ではないという理論的根拠が那辺にあるかということ。第二点は、貸す側が「船舶の運航を実質上支配している場合」というのは一体どういう場合を指しているのか。  いま私が申し上げたように、講習会等でこれが示されたのでありますが、そのときは、貸し船業者は全部この対象になる、つまり実質上支配していると認める、こういうわけのようでありますが、たとえばモーターボートなんかを貸しているマリーナあたりでございますと、一時間とか二時間とか時間を切って貸す場合もありますが、釣り舟などを貸している業者は、これはほとんど一日単位でありまして、朝出ればいつ帰ってくるかわからないという状況でございますし、狭いところならともかくも、私の地元では、浜名湖が主でありますが、浜名湖あたりでは、非常に面積が広うございますので、釣り師は、その舟を借りてどこへ行って釣るのかわかりません。自分の好き勝手にやる。とても貸した方が実質的支配ができるというようなわけのものでは断じてないと私は思っているのですが、あえてこの通達によって、いま申し上げた通り、法第三条に言う貸借ではないという解釈をされた根拠はどこにあるかということをまず伺いたいと思います。

高橋全吉運輸省船員局長

○高橋(全)政府委員 お答えいたします。  初めに、先生が御指摘のこの通達でございますが、昨年の七月十八日、員職第四三一号という通達でございますが、行政的に、要するにプレジャーボート等を無免許で運航することを防止するための一つの行政手段として、こういう通達を出したわけでございます。  そこで、この通達の第一項にございます「運航を実質上支配している場合には」ということでございますが、当時この立案につきましては、実際に人に船を貸しても、配乗権を行使する、すなわち法律で定められた海技従事者を乗り込ませる権能、こういうものを持っておるとか、あるいは燃料、機関の整備等十分にやった上で、さらに運航経路についても一応詳細に指定して乗り込ませる場合には、第三条には該当しないのではないか、こういう趣旨で出したというふうに私は見ておるわけですが、いずれにいたしましても、先生御指摘のように、非常に疑問があります、問題があります。  そこで私としましては、これは先生からの御指摘により、いろいろ内部的にも検討いたしましたし、それから法制局の方にもいろいろお伺いしてまいりましたけれども、いずれにしろ非常に疑問があるし、問題がありますので、私は、この通達をやめまして、別途無免許運転を防止する方法につきまして関係者の皆さんに御納得いただけるような方法で行政指導をしていきたい、このように考えております。

足立篤郎自由民主党

○足立委員 いま局長は、私の質問の要点についてはお答えにならずに、もうのっけからかぶとを脱がれて、これは改めると言われると、私も追い打ちがかけにくいわけでありますが、もうすでにおわかりとは思いますが、どう考えてもこの解釈は無理がある。いまおっしゃるように貸し船業者というのは不特定の人間に船を貸しますから、やはり運航上の安全を一緒になって責任を持つと言うとちょっと語弊がありますが、積極的に協力させるということは私も必要だと思うのですよ。ですが、それが必要だからといって法律の解釈までひん曲げちゃって、こういうふうな通達まで出して、罰金三十万円だといっておどかすものだから、これは貸し船業はもううっかりできないということになってしまうわけです。そこで大問題になったわけでございます。  したがって、どうも行政当局の考え方は、いま言った行政目的を達するためにそういう無理な解釈をなすったのだが、私は、こういうことは許されないのじゃないか。どうも疑問の点が多いからとおっしゃるが、もっとはっきり申し上げれば、こういう法解釈をすることは行政部の責任問題になる問題だというふうに思っているわけであります。ことに罪刑法定主義の憲法の趣旨からいたしましても、よほどの理由がない限り、法律の成文を一片の行政上の裁量によって逸脱して解釈するということは、私は許されないというふうに信じているものでございます。  まあ局長がこれは改めると言うのですから、どういうふうに改めるか、まずその局長の腹の中をある程度伺っておかぬと、私も黙って引っ込むわけにいかないので、その点を少しお漏らしいただきたいと思います。

高橋全吉運輸省船員局長

○高橋(全)政府委員 実は法律の第三条、先生に御指摘いただきましたいわゆる貸借した場合には借り受けた人に責任があるわけでございます。したがいまして、先生御指摘の通達のような内容ではなくて、むしろ借り受ける人にも無免許ではいけませんよというような内容がわかるような指導をしたい。たとえばこれは一つの例でございますが、貸しボートを業とされる方に御協力願って、何と申しますか、適当なところに無免許では運転できませんよという掲示をかけていただくとか、まあそのような方法も一つの案ではないかというようなことで、私は、できるだけ早い時期に、できれば今週、来週中ぐらいにこれを処置したい、このように考えております。

足立篤郎自由民主党

○足立委員 それじゃ局長、この去年の通達は廃止するわけですね。はっきり廃止ということを通達で出してもらわないと、後からいろいろいまおっしゃったようなやわらかいことをおっしゃっても——それは当然必要だと私も思うのですよ、それに反対する理由はないのだが、はっきり廃止してもらわないと、通達というものはいつまでも生きていますからね。その点はっきりしてください。

高橋全吉運輸省船員局長

○高橋(全)政府委員 先生の御指摘のとおり廃止する予定でございます。

足立篤郎自由民主党

○足立委員 いま申し上げている通達の一番最後の「3」にあります報告義務を課せられているのですが、法第二十九条の二第一項の規定に基づいて二ヵ月ごとに別記の様式と書いてあります。その様式を私は知りませんが、こういう報告も今後やはり強制的に出させるのですか。

高橋全吉運輸省船員局長

○高橋(全)政府委員 私としては、この通達は全部廃止したい、このように考えております。

足立篤郎自由民主党

○足立委員 よくわかりました。局長はものわかりがいいので、私二十分ちょうだいしたのですが、十分で終わってしまいました。  最後にお願いしておきますが、去年から私、この船舶職員法でモーターボートの問題でいろいろ提言もし、ことしの春、五月でしたか、運輸省で省令を改正していただきまして、河川、湖沼の範囲内だけの限定免許制度、これは前の法律を一部修正してありましたので、それに基づいて省令を改正していただいたわけです。関係者非常に喜んでおりますが、あの省令は、十一月二十五日までは経験者はその証明があれば実技試験を免除するということで、実はこの間私も受けたのでありますが、おかげで免許証をいただきましたけれども、その免許証の交付が大変おくれるわけなんです。  去年のうちは大体三カ月ぐらいたたぬと免許証が来なかったわけですが、最近大分がんばってくれて簡単にもなったせいか、一月半ぐらいで交付されます。しかし、きのうあたりも試験を受けておるのもおるのですが、この二十六日からは免許証なしには船に乗れないことに法律上はなっているわけですね。したがって、試験を受けた連中は大変あわてているわけなんですが、何とか工夫していただいて、できたら一週間か十日でパスした者に免許証を交付するような段取りをぜひお考えいただきたいと思っていますが、いかがでしょうか。

高橋全吉運輸省船員局長

○高橋(全)政府委員 先生御指摘のように、今回法律改正しまして非常に大ぜいの方々が試験を受けられまして、その免許証の発行の事務に追われているわけでございますが、できるだけ御趣旨に沿いまして早目にしますが、いまのところではまことに申しわけございませんけれども、事務的に大体一ヵ月ぐらいかかるようでございます。

足立篤郎自由民主党

○足立委員 私はどうも一カ月かかるというのは納得できないのですよ。試験はマルバツ式で簡単になさったし、すぐその日のうちにでも百人や二百人の採点はできるわけだ。だから、あとは免許証を書く能力だけの問題ですから、いま申し上げましたようにごく最近までこれはずいぶん殺到して受けていることは事実ですけれども、その人たちは今月の二十五日までは実技試験免除になるということでその恩典を受けようと思って殺到しているわけです。それが二十六日からは免許証なしには乗れないという。これは法律を遵奉しようとすればそういうことになるので、非常に気がせいているわけなんです。そういう人たちの心情もくみ取っていただいて、これは下請をやっておるモーターボート協会ですか、こういうのを督励していただいて、余りお役所仕事じゃなくて、ひとつ早く出すようにお計らいをいただきたいと思います。  それから、せっかく内閣法制局から来ていただいておるので一言だけ。もう局長からの答弁で私は満足したのでありますが、私が心配するのは、たまたま今度のこの通達は私どもの地元から異議の申し立てというかいろいろ苦情があって私は勉強した結果、いまこうした質問をして局長の御答弁をいただいたのだが、さっきも申し上げたように、いわゆる罪刑法定主義からいきまして、いやしくも国民に対する罰則について行政府が法解釈をしてそれを通達として出すというような場合には、運輸省なら運輸省だけの範囲内で、運輸省の文書課あたりが審査をして、よろしいという程度のものでは私はいかぬと思うのです。この問題について内閣法制局に事前に運輸省から協議があったかどうか。  それから、いま私が申し上げた、行政府が一片の通達でこうした法解釈を確定したなんというのはおこがましいことじゃないかと思っているのですが、それについての見解を内閣法制局から伺って、私の質問を終わります。

別府正夫内閣法制局第四部長

○別府政府委員 お答えいたします。  いま足立委員から御指摘ございましたように、特に罰則が科せられているような規定の解釈運用については、くれぐれも慎重でなければならぬということは、当内閣法制局ばかりでなく、各省庁ともそのつもりで運用をやっているはずでございますが、やはり細かい点につきまして、いまも御指摘がありました具体的な例のように、そういうことが起こることが間々あるかと存じますけれども、そのようなことがないように、われわれも実はその細かい通達まで全部内閣法制局でチェックをするわけにはまいらないわけでございますけれども、その点、各省とも十分連絡をして遺漏のないように考えたい、そういうふうに考えております。

足立篤郎自由民主党

○足立委員 そうなると、この案件については事前協議はなかったのですか、それだけはっきりおっしゃってください。

別府正夫内閣法制局第四部長

○別府政府委員 本件通達を出す前にわれわれの方では事前にお話を伺ったという事実はございません。

足立篤郎自由民主党

○足立委員 終わります。どうもありがとうございました。

下平正一日本社会党

○下平委員長 次に、平田藤吉君。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 きょうは車検制度をめぐる問題について質問したいと思います。  最近、民間車検制度を悪用した問題が目立ってきております。交通安全上ゆゆしい重大問題だと考えます。新聞報道によりますと、この問題で警察の捜査が幾つも行われているようだけれども、その概要を報告していただきたいと思います。なお、概要については警察と運輸省、それぞれお答えを願います。

勝田俊男警察庁交通局長

○勝田政府委員 車検の問題で警察で捜査をして検挙した事例でございますが、高知県及び広島県におきまして自動車の継続検査をめぐる汚職事件として捜査をしている事件がございます。  この件につきましては、指定自動車整備業者である吉崎雄幸という男が、依頼を受けまして検査をしないで適合証を発券し、それによって対価を得たという事案でございまして、道路運送法違反、虚偽公文書作成、それから収賄罪というものを適用し、検挙をいたしております。並びにその関係者についても検挙をいたしております。  それからもう一件でございますが、これは神奈川で検挙した事例でございますが、端緒としては、スピード違反からその背後関係ということで捜査をしている際に発覚した事案でございますが、桜商事という会社が横浜の日野自動車KKの川崎支店から保冷車二台を購入をいたしまして四十八年の七月七日に車両登録を行いまして、同月十日、横浜日野自動車KKの湘南サービスセンターにおいて冷凍冷蔵車に改造して使用していたが、翌四十九年七月、継続検査を受けることとなった際に、すでに用途及び構造を変更しておりますので、車両総重量超過というような点で保安基準に適合しないおそれがあるということで、正規の手続では当該自動車車検証の返付を受けることができないということで、さきの横浜日野自動車の川崎支店の人と協議をいたしまして、継続検査の際に自動車を提示をせずに書面検査で済む民間車検制度を利用することを共謀して、指定自動車整備業者である横浜日野自動車川崎支店の自動車検査員名で虚偽の保安基準適合証を作成し、四十九年七月七日に一台、七月十一日に一台、それぞれ自動車検査証の返付を受けた事件でございまして、この事件についての捜査を行いまして、九月十一日に四法人、七人につきまして、道路運送車両法違反あるいは刑法の虚偽公文書作成、行使違反等で横浜地方検察庁に送致しているところでございます。

下平正一日本社会党

○下平委員長 平田さん、済みませんが、運輸省は聞いていなかったので、もう一遍簡単に言ってくれますか。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 運輸省いまお見えになったものですから、いま警察の方の御意見をお伺いしたわけですけれども、民間車検制度を悪用した問題で警察の捜査が行われているわけだけれども、概要について報告していただきたいということで、いま警察の方からお話を聞いたのですが、運輸省の方からも……。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 ただいま警察御当局の方から御説明あったかと思います。同じようなことになると思いますが、まず最初に、私どもの方で指定工場に関する問題として出ましたのが、二次改造の問題でございました。これは街頭の取り締まりを警察御当局で行われた際に、一部の車両につきまして車両法上の正規の手続をしないまま構造変更いたしまして使用されているということがわかった事案でありますが、横浜関係の指定工場がこれに関係があるということでありまして、私ども、現在その後の状況を調べておる状態でございます。  もう一件は、その後、高知にございます指定整備工場につきまして、定められた検査をしないまま保安基準適合証を交付をしているという事実が判明してまいりました。これも警察御当局との連絡、協調の上で、いろいろ捜査あるいは調査を行っておる状況でございますが、私ども、これらの続きます指定工場の不正事件がありましたので、できる限りの方法によりまして現在その対策を講じようということで努力をしている状況でございます。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 十月一日に東京陸運局と神奈川県陸運事務所とが横浜日野自動車会社に立入検査をしたというふうに聞いていますけれども、この事実があるかどうか、立入検査の理由は何であったか。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 先生いまお話がございました監査は、私ども通常指定工場に対する定期監査というものを行っておりますが、その定期監査ということで神奈川の方の監査を行ったというふうに承知いたしております。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 いまもお話がございましたが、神奈川県警の街頭検問で、改造冷凍車の約三割が違法冷凍車——これは保冷車というのですか、そういうことがわかったというけれども、この保冷車とはどんなもので、交通安全上どんな危険が考えられるかについて、警察の方から御説明を願います。

勝田俊男警察庁交通局長

○勝田政府委員 保冷車を冷凍車に改造しますと、トップヘビーになるおそれがあるということで、転覆の可能性が強くなるのじゃなかろうかということで、そういう面からの危険性が見られるのじゃないかということでございます。車両構造全体が保冷車の場合には、本来からの冷凍車に比べてがんじょうではない、そういった面で交通安全上問題があるのじゃなかろうかと考えております。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 大変危険な物が走り回っているということは重大問題だというふうに思うのです。ところが、こういう違法車が民間車検場でなぜ合格しているのか、どこに問題があるのかについて、警察、運輸省、それぞれの見解を聞かしていただきたいと思います。

勝田俊男警察庁交通局長

○勝田政府委員 私ども捜査しておりますのは実質的に合格していないといいますか、基準に適合しないものに虚偽のものを出したということで捜査をしているわけでございます。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 なぜそのような問題が起きるかという御質問でございますが、その前に、技術的なことをちょっと御説明しておくべきかと思いますのでお話をしたいのでありますが、実は保冷車と冷凍冷蔵車と構造的にやや違います。保冷車といいますのは、わかりやすく言いますと冷蔵庫みたいなものでして、ただ単なる箱でしかございません。もちろん、外に熱が逃げるのを防ぐために断熱材を壁の周りに張ってはございますけれども要するに箱でしかございません。冷凍車あるいは冷蔵車と言っておりますのは、それにコンプレッサーを積みまして、自動車のエンジンとまた別のエンジンで冷たいガスをつくっているということで、積極的に冷やしている構造のものであります。  そこで、先ほどの問題でありますが、実は構造上の検査をする場合に、国もやりますし指定工場もやりますが、指定工場に任しております検査は継続検査という検査でございます。継続検査の場合には、新しい構造変更をしたりあるいは全く新規の物を持ってくるということではなくて、一たん新規検査を終わって、その次の使用継続の際に出てくる検査でございますので、通常の場合は、よほど何かうまく隠してない限りは、そういう意味の構造変更が普通ないと考えるのが普通の状態でございます。  もちろん、これは私どもその後反省をいたしておりますが、そういう途中で改造しているようなものが全然ないとは申しませんけれども、こんな大きな改造があるとは私たちも実は思っておりませんでしたので、常識的に、指定工場に働いております検査員も、まさかと思ってそれをうっかり見過ごしてきたということもあり得たと私は思うのです。この点につきましては、これからこういう改造もあり得べし、したがってそういうことを見つけられるように検査員の腕も上げなければなりませんし、そういう意味できつい監視をしなければならないということになろうかと思いますが、一部にはそういうようなことも原因であったのではないか、そんなふうに私どもは考えております。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 よくわからないのですがね。ちゃんと車検証がついているわけですから、なぜそんなことができるのだろうというふうに考えざるを得ないわけですよ。神奈川県警が行った冷凍車の違法のものを発見して、これはいかぬというので街頭検査がさらに強化されて行われたはずなんですが、この街頭検査の結果についての報告書を当委員会に出してもらいたい。当然業者の名前も明らかにして出してもらいたいというふうに思いますが、どうですか。

勝田俊男警察庁交通局長

○勝田政府委員 本件につきましては、さきにそういった事件があったので、実態としてどの程度であろうかということで、街頭検査というより街頭調査ということで、一般的に、こういうナンバーでなければならぬのがこういうナンバーなのはどの程度かという程度を見ましたので、非常に詳しい資料じゃないわけでございます。ですから、それで見たところが、大体二十台ぐらいがどうもおかしいのじゃないかということで、きめつけられるような資料ではないものですから、ここに提出できるというほど整備された資料ではないわけなので、御遠慮させていただきたいというふうに考えます。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 そうすると、新聞報道は違っているのですかね。二十数台違反車が発見されたというふうに言われておるのです。二十数台違反車が発見されて、その違反車が問題になるようなものでないとすれば、違反車じゃないということになるわけだが、その辺、どうなんですか。

勝田俊男警察庁交通局長

○勝田政府委員 外見上の形から見て、これはどうもその冷凍車らしいという形、それからその番号を見て、冷凍車ならこういう番号じゃなければいかぬというのが、そういう番号じゃなしに一般の番号であるので違反じゃなかろうかという推定でございます。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 どうもよくわからないのです。それ自身が違反なのじゃないのかね。違反だとすれば、こういう事例があったというのは明らかにされているはずですよ。そうしたら、その事例は、何でもないことじゃなくて、大事な事例だと思うのです。私どもは、これからいろいろ審議をしていく上で必要な資料になると思うので、どうだろうかと聞いているわけですよ。そういうものが実は問題のもとになるのだから、もう一遍ひとつ答えてください。

勝田俊男警察庁交通局長

○勝田政府委員 神奈川県警察とも、どの程度の資料がありますか、よく一回相談をした上でお返事を差し上げるようにいたしたいと思います。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 そう犯罪捜査で重大な秘密があるなんという資料じゃないと思いますので、委員長、われわれが今後調査を進めていく上で大変参考になる資料だと思うので、委員会としてひとつ提出してもらうようにお計らいを願いたいというふうに考えます。  運輸大臣が指定した民間車検工場が、法律で義務づけられている検査をせずに車検証を出していたという問題がいまも明らかにされたわけです。そしてこれは広島と高知の両県警が捜査したというふうに聞いておりますが、運輸省は当然、陸運事務所から報告を受けられているはずだと思いますが、もうちょっと立ち入って、どんな事件であったかお聞かせいただきたい。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 私ども、まだ調査をさらに続けておりますのと、警察御当局の方のお調べもまだ途中まででございますようで、最終的な結果がまだまとまっておりませんので、その点はお含みをいただきたいと思います。  実は、正直申しまして、私どもとしてもびっくりしているぐらい非常に珍しいことだろうと私は思いますが、ただ、こういうことを始めます以上は、かなり計画的に行われていたのではないかと思われますし、私どもの方で定期監査をしたときには当然この事業場も対象になっておりましたが、残念ながら私どもには気がつく点が見出せなかったというのが実態でございます。  したがいまして、これからの監査の仕方も私どもも考え直さなければならないかと思いますが、普通の指定工場におきます記録の整理、検査の仕方等を見ておる限りにおいては、なかなかそのしっぽがつかみにくい点がございまして、この点はこれからそれができるような方法を考え出すということでいま研究をしております。  この事態の中身につきましては、先ほど警察あるいは私どもで簡単ではございますが御説明した以上のことは特には出ておりません状況でございます。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 いずれ陸運事務所からの報告も検討されることでしょうし、結果はまた聞かせていただくことにしたいと思うのです。  何しろひどいのです。高知まで車をカーフェリーで運んで持っていって車検証をもらってきても、その方が安上がりだと言われるぐらいの話なんです。  この事件との関連で、高知の陸運事務所が警察の捜査を受けたように聞いておりますけれども、それは事実かどうか、どのような理由で行われたか、運輸省と警察それぞれからお聞かせいただきたい。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 ちょっと日をはっきり覚えておりませんが、高知の陸運事務所の方に、この不正事業者が関係しました自動車の数量だったと思いますが、につきまして、どういう書類が事業者から提出されていたのか、その資料を見せてほしいということの御連絡がございました。その後、私どもの方に対しては何もございません。

勝田俊男警察庁交通局長

○勝田政府委員 犯罪の容疑で調べているという報告は受けておりません。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 こういう事件を通じて運輸省としてどんな対策が立てられているか、また具体的な手だてが講じられたか、お聞かせいただきたい。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 まさかこの程度までとは私は思っておりませんでしたが、当然国が行うべき検査の一部を、実務的な面ではございますが、民間に委託をするということで、行政的な面の効率も図ろうということで始まっておるわけでありますから、当然任せる以上は何かあっては困るということでございますので、法制上もかなり厳重な取り締まり的な姿勢をとってございます。わかりやすい例を挙げますと、普通の整備工場では非常にレベルが低うございますので、設備その他もかなり高度なものを備えさせる。それからある一定期間以上優良な検査成績を持つという実績もなければいけない。さらに、その検査をする検査員につきましては、公務員と同じような刑法上の準用もして、不正をしてはならない。さらにそれは事業者、役員にも公務員と同じような準用規定をかけまして、不正防止が法律上図られております。  そういうふうな指定の制度でありますが、運用された後におきましては、私どもとしては、そういう検査員を定期的に研修をいたしまして教育をいたします。さらに、いまのところ大体一事業者、一年に二回ぐらいの割合で監査をいたしまして、立ち入りの上で不正な点があれば注意をするというようなことも行う監査をいたしております。さらに、その監査の際に発見したものはもちろんでありますが、いわゆる通常の話などで、あの工場はどうもおかしいぞというような話が入ってきた場合には特別監査もやるというようなことをいたしております。さらに、そういうような不正な結果が出たものについては、過去にも何件か取り消しの処分をしたものもございますし、この保安基準適合証という、言うならば検査証にかわるようなものでございますが、それの発行をある一定期間停止させてしまうということで、事実上指定行為ができないようにしてしまうという制裁も加えてきております。  従来はそんなことで大体不正が起き得まいということで考えておりました。もちろん処分が出るくらいですから多少のことはございましたが、今回のことにかんがみまして、私どもとしては少し考え方を変えよう。といいますのは、いままで指定工場をどちらかと言えば育成していく傾向にございまして、さなきだに車の数がふえるのに対して、私どもの要員もなかなか追いつきません状況もございますので、全体の効率を上げる意味からも、また、民間自体が持っている能力というものを活用していくことも必要なことでもございますので、そういう姿勢で進めてまいりました。全体的にはまだその方向を百八十度ひっくり返すことは実はできないのでありますけれども、どちらかといえば育成に傾いていたものを少し戻しまして、取り締まり監督型の方へ少し姿勢を変えよう、方針を変更しようということを考えております。したがいまして、従来は計画的な監査ということで、その方に重点を置いて監査などもいたしてまいりましたが、もう当然これは抜き打ち監査を重点的にやろうということに変えていきたい。したがって、出た結果につきましても、従来の処分の仕方が少しなまぬるいようであればさらにそれもきつくして、一罰百戒ではございませんけれども、従来の姿勢でなれた点がございますれば、やはりこの際姿勢を正していただくことも必要でありますので、やや処分の強化も図ろうというようなことで臨みたい、現在はこんなふうに考えております。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 幾らか検討されているようですがね。同じような質問になるかと思うのですけれども、神奈川県警が調査をした話を聞いておりますと、違法な車、つまり冷凍車にかかわり合いのあるものについて街頭調査が行われたわけだけれども、全体で見ると、結構違法な車が走り回っているのじゃないだろうかということが考えられる。私が耳にしている範囲でも冷凍車に限らないのですね。特殊な物を輸送するための車両の変更などをめぐる問題でも、国の車検場では通らない、民間車検場では通るというような話を聞いておりまして、こういうものを通していくのには民間でなければならぬのだというふうにすら話を聞いているわけですね。ですから、相当数そうした種類の車が走っているのではないかというふうに想像されるわけです。  したがって、違法な車が走り回っているのに対して、正規の検査を受けさせるための対策も考える必要があるのではないかというふうに思っておるのです。そこいら辺を具体的に手だてを打つ考えはないかどうか、これは運輸省の方で答えてください。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 先生御心配のような不正改造車がまだほかにもたくさん走っているのではないか、その取り締まりをどうするのかというお尋ねでございますが、もちろん検査制度をしいた以上はそれを裏づけるようなサポート制度もなければいけませんので、車両法と交通法とは実は兄弟のような関係でお互いに輔弼し合っているわけでございます。したがいまして、通常の場合は私どもの方の車検場で定期的な検査をする、その中間の不正問題については街頭検査という方法で見つけ次第それを処罰していく、整備をさしていくといった方が正しいと思いますが、整備通告書を出しながらその是正を図っていくというのが通常の状態でございます。今度のようにかなり焦点がはっきりしております場合は、私どもとしてはそれの是正方が非常に楽でございますので、いまお話しした定期検査、街頭検査のほかにそういう対象事業者をつかまえまして指導が徹底できる、こんなふうに思っておりますので、いまのところは現在の制度で改善できるというふうに考えている状況でございます。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 冷凍車、保冷車をめぐる問題ではそれはできるでしょう。その他で出ていた場合にはこれはつかまらないでしょう。だからその辺の対策はどうなのかということを聞いているわけです。いまの車検制度、特に民間車検制度ですね、この問題点はどこにあるとお考えですか。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 先生がおっしゃる問題点とおっしゃいますのは、このたびのような事件が発生した、そのことについてのことであるといたしますれば、やはり私どもとしては、事業者自体の法律の中に位置づけられた責任、それを十分自覚してもらうことがまず基本的に大事だと思います。この点は私ども機会あるごとに繰り返し教育もしなければならないと思いますし、監査等を行いまして、実態の指導に努めていかなければならないというふうに思っておるわけでございます。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 答えられておる点はそういうことだろうと思うのですよ。民間車検制度がつくられていて現在のような事態があらわれてきた。これもつくられてからまだそう年限はたってないですね。ようやく表面へ出始めてきたという段階だろうというふうに思うのです。そこで高橋局長、いまの同じ質問に対して答えてください。

高橋寿夫運輸省自動車局長

○高橋(寿)政府委員 いま整備部長がお答えしたとおりでございますけれども、非常にたくさんの数の工場の監督をいたします要員の問題もございますので、私ども一生懸命やっていますけれども、必ずしも一〇〇%満足するところまでいっておりません。しかし、国の要員をふやすということは簡単にできませんので、やはり現在の要員にとにかくハッパをかけて指導督励いたしましてやる。少ない要員でいかにして効果を上げるかということをみんなで考えるということで、実はきのう、おととい全国整備部長会議を開きまして、そういうことを相談したわけであります。今後はこういった事故が起こらないようにするだけではなくて、整備体制全体を引き締めていくようにいたしたいということでいま督励をしておる最中でございます。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 できないですよ。局長言われるようにはできないです。民間車検でやった車は書類審査で現物チェックはないでしょう。そこから起こってくる問題なんですね。ですから、チェック体制がつくられない限りは、しりひっぱたいても何しても現物を見ないからわかりっこないですよ。だから車検制度の基本というのは、あくまでも交通の安全を守る、とりわけ、歩行者や自転車に乗っている人々の安全を守っていくということと同時に、ドライバー自身のためでもあるのですね。一たん事故を起こしたら大変なことになりますよ。被害者は取り返しがつきませんが、加害者の方だって立ち直るのに容易ではないという事態にまで至るわけですからね。そういう点から見ますと、よくよく考えなければならぬ問題だというふうに思うのです。したがって、国が決めた車の保安基準を守って、車の構造上からくる、あるいは構造にあらわれた欠陥からくる自動車事故をなくしていくこと、だろうと思うのです。  それにはやはり国の車検場で車検が行えるようにしていくことが一つは大事だ。国の方で責任を負って現物をチェックしていくという体制が大事なんじゃないか。それから国の検査体制、そうしていこうとすれば、当然国の検査体制も充実をしなければならないと思うし、国の検査コースの増設も必要だろうと思う。さらに国の検査要員の増員も必要だろうというふうに思うのですが、高橋局長、どうですか。

高橋寿夫運輸省自動車局長

○高橋(寿)政府委員 大変ありがたい御激励をいただいたわけでありまして、私どもも民間車検等を活用して、そちらの面でしっかりやっていくということは先ほどお答えしたとおりでございますけれども、やはり私たち職員が、直接手を下して車検体制を充実するということがきわめて大事でございますので、実は毎年増員要求をいたしておるわけでありますけれども、全体として、役人の数を減らすべきだというふうな流れの中で、非常に苦戦をいたしております。しかし来年も、やはり私たちの事業量に応じましてこの仕事を確保し、かつ充実していくための要員は要求いたしておりまして、予算時期にかけまして何とかがんばって取っていきたいと思っております。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 きょうはそういう意味では運輸大臣に出席してもらいたかったのですよ。運輸委員会があり、その後いろいろ都合があるようできょうはできないというので無理を言わなかったのだけれども、どうも当事者の局長が後で困るのじゃないかというふうに思っていたので、大臣を要求したのですが、そんな事情で出られないと言っておるので……。  八月十八日に私、埼玉県の陸運事務所を訪れて大宮と熊谷の車検場を見せていただいたのです。所長さん初め大変御足労願って案内していただいたわけです。  そこでいろいろお聞きしたわけですけれども、埼玉県内の自動車の保有台数は四十九年度末で九十九万台、この五年間に四十万台もふえているのですね。検査すべき車両も二倍にふえているのです。さっきもお話がありました車検の期間が切れて、次の車検が行われるいわゆる継続検査、これはどれくらい行われているかと言いますと、四十五年に埼玉で十八万五千台、四十九年には三十三万七千台にふくれ上がっておるのですよ。大変な量ですよ。一・八倍になっていますね。このうち陸運事務所で持ち込み検査をしているのはどれくらいか、国の検査機関で検査しているのはどれくらいかと言いますと、四十五年が十六万台、四十九年が十九万台、三万台の伸びです。伸びてはいるのですけれども、この全体の台数が伸びている点から比べますと大変に少ないのですね。  その結果、じゃあ残りはどこでやっているのだというと、いわゆる問題を多く生み始めている民間車検場でやっているのです。四十五年に二万五千台だったのですね、民間車検場で。これが四十九年には何と十四万五千台にふえております。実に六倍にふえているのですね。当然のことですけれども、民間車検場の数もふえてはいるのです。四十五年に百三十六工場だったのが、四十九年に三百九十八工場にふえています。二・九倍ですね。車の台数が約六倍になっておるわけですよ。これは大変なことですね。そして陸運事務所で説明を聞きましたら、将来七割は民間車検場で検査させるというふうに埼玉の陸運事務所では言っているわけです。  いま見直しを検討しているというふうなお話もありましたけれども、こういう方向で今日まできたというのは、全国的な方向だったのだろうか。見直しとなると、これはかなり大規模なものになるのだけれども、そこら辺は一体どういうことになるのか、お聞かせいただきたい。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 指定工場をどのように活用するかという方向については、先ほどお話が出ました七割は一つの目標でございまして、別にそれをどうしても達成しなければならないというふうに決めつけた数字ではないのであります。  実は三十七年からこの指定制度が始まってまいりましたが、その間、先生御指摘のように五年もたつと車が倍々にふえていくという状態でございました。昨今の情勢ですと、その伸びも少しとまってきているような感じがいたしますが、少なくとも四十年代の時代には非常な勢いで車が伸びてまいりました。それと同じように実は役人の数もふえるかということでありますが、当時としてはとてもそんな状態は考えられない。理屈で言うと、車の数がふえればそれに比例して役人がどんどんふえちゃうということに単純になりますので、それはおかしいということで、何かその辺のバランスといいますか、本当に国がしなければならない仕事を国がして、民間で活用できるものはなるべく民間の力を借りていくという体制をとるようにということになりました。ですから、この指定制度がその後非常に活用されてきたということであります。  したがって、私どもがいま考えておりますのは、七割というのは一つの数字的な意味での目標にすぎないわけでありますが、その七割をいつまでに達成するかという時間的な長さにおいて昨今の問題が起きましたので、やや時間をかけてゆっくり見直してみようと、こういうことであります。  で、全国的には現在のところ指定工場も、先生御指摘のようなことでかなり伸びてまいりましたが、たしかいま一万三千ぐらい全国に指定工場があると思います。一方、その指定工場を生み出したベースになっております普通の認証工場というのがございますが、これが約七万近くございます。その七万の認証工場の中から実は指定工場が次々と出てきたわけでありますが、もう指定工場の伸びも大体おさまりまして、そんなに急に先生が御心配になるような勢いで伸びていくという状態ではもうなくなってきております。  そういう状況の中で、先ほどのお話のような問題も出ておりますので、この際七割の目標は変えているつもりではございませんけれども、来年か再来年に達成しなければならないという状況では決してない。したがってこの際、ちょうど木で言えば年輪のようなところに差しかかったと思いますので、もっと指定工場の質をよくするということで、スピードが落ちても充実をした形を整えながら先へ進んでいったらどうであろうか、そういうふうに考えている状況でございます。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 民間車検制度の拡大されてきている中でいろいろ問題が生み出されているわけですけれども、その中で幾つかの問題について質問したいと思うのです。  いま田付部長の方からお話がありましたように、九月末の民間車検工場の数は、あなた方の方の資料によると一万三千三百七十工場に上っているわけです。この民間車検工場を監督する国の監査官は何人いるのですか。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 この指定制度の発足に伴いまして、指定工場の監督要員ということで増員をいたしてまいりました。現在百三十三名監査要員を確保いたしております。したがいまして、大ざっぱに言いまして監査要員一人当たりの担当工場の数というのは九十七ぐらいになっております。  これは下げるにこしたことはございませんが、私どもとしては、一人当たりの工場の監督数としては大体この辺が適当ではないかというふうに考えておりますが、もちろん十分ではありませんので、監査の仕方その他については今後も工夫していかなければならないし、監査の要員も増強を図っていくということは努めたいと思っております。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 いま言われたように、約百工場に対して一人の監査官ですよ。民間車検工場での車検整備台数は、一工場平均にして見ると三百八十六台ですよ。百工場だと三万八千六百台になるのですね。一人でこれが監査できますかね、どんなふうにしてですか。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 先生の計算された三万何千台をこの監査員が全部見るというのではございません。制度として優良な整備工場なるがゆえに継続検査の実務を任せたわけでありますから、その任された事業体が適切な運営管理をしているかということを中心に監査をしてまいるということだろうと思います。指定工場が整備した車を全部一台一台またもう一回調べるのでありますれば、これはとても国の検査と全く同じことになってしまいますので、そういうことではなくて検査をゆだねた相手方が適正な管理をしているかどうかということを中心にして監査をしてまいっておるわけであります。もちろんそれだけで十分かという御指摘もあろうかと思いますので、この辺につきましてはその指定事業者の運営状態を見ながら要するにケース・バイ・ケース、相手によって監査の仕方等も変えていかなければなりませんのでそういうところにあうんの呼吸はございますけれども、一応原則的には運営体制の不適切な点を見出してそれを是正するということを中心にやってまいったわけでございます。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 この車三万八千六百台を一台一台検査するのではございません、おっしゃるとおりですよ。これだけの車を検査して車検済証を渡していく民間車検場を監査するわけですからなまやさしいものじゃないですよ。それだったら上っ面をぱあっと見て終わりですよ。そうでしょう。一工場当たり年二回監査することが原則とされているのですよ。年二回やりましたら二百回監査することになるんですよ。二百回の監査って可能ですか、一人で。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 先生御指摘のように大変な仕事なんであります。百三十三人の監査員をフルに動員いたしておりまして年間に約二万一千六百件の監査件数を数えております。したがいまして、先ほど申し上げた工場当たりにいたしますと、一工場当たり一・八回という監査を行っていることになります。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 やっているというふうにあなたの方は言い張るわけですね。私の方の埼玉での調査によると、陸運事務所ではこれではとてもやれないと言っているのですよ。したがいまして、年二回を一回にして、一回は書類監査にしなければなりませんというふうに言っているのです。やり切れないと言っているのですよ。こうなってきますとまず一回は書類監査、そうなれば何のことはない、民間車検工場に対して車検済証を勝手に出させているのと同じようなもので、野放しになるに決まっているのですよ。  ですから、こういう状況のもとでは、繰り返し言いますけれども、あなた方は何とかやっているのだ、やり方によっては何とかなるのだというふうに言っているけれども、やはりそれでは解決しない。指定工場制度が発足してまだそう長い年月がたっているわけではない。ここへ来て問題があらわれ始めた。このあらわれ始めた現段階でこれを改善するための対策を立てるのは当然だと思うのですよ。  そこで、第一に国の車検体制を強化する必要がある。検査コース、検査員を拡大すること。第二に民間車検場に対する国の監督を強化すること。これは先ほど来大分苦しいような話がありましたけれども、やはり何と言っても監査員の大幅な増員を実現しなければならないと思うのですね。そしていま埼玉の陸運事務所で言っておりましたような、つまり書類監査にしなければならないだろうというような事態に至らしめてはいけない、書類監査にするというようなことはやってはならないと思うのです。当然立ち入り監査をすべきであるというふうに思うのであります。この点についてどうお考えか、高橋局長、ひとつお答え願います。

高橋寿夫運輸省自動車局長

○高橋(寿)政府委員 私も現在の自動車整備体制を強化するためには直轄の検査要員の増強、それから指定整備工場の監督要員の増強を図ることが喫緊の必要だと思います。したがいまして、毎年努力しておりますけれども、さしあたり来年度予算の要求をがんばって体制充実に一段と努力いたしたいということでございます。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 民間車検場では検査した車は国の書類検査が済まなくてもその間使っていけるような臨時の証紙を出しているわけですね。こういうやり方、つまり監査が完了していないものに証紙を張らせて走らせていくというようなやり方も再検討すべきである、もっと方法を考えるべきだと思いますが、どうですか。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 継続検査を受けるために指定整備をするわけでありますが、その指定整備をした後手続を全部終えるまでの間に車自体の移動性を確保するためのステッカー制度がございまして、短期間ではございますが一部認めておる状況であります。整備の実態からその必要上出てきたのでありますので、私どもとしてはいまそれを急に変える予定はございませんけれども、先生のお話しのようないろいろな問題を含むということであれば、その点は十分含んだ上で今後動向を見定めてまいりたい、こういうように思います。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 一般の自動車整備工場で整備したものは、国の検査場へ持ち込んで完全にパスしてから検査証が渡されるのですね。ところが民間車検場ではそうではないわけですよ。いま言ったようにやってもいないものにちゃんと証紙が渡っているでしょう。こういうことが現実にやられているのです。警察が努力をしてたまたま発見してくれたのであって、どれだけやられているかわからないですよ、可能性は十分にあるのだから。自由に検査済証を渡しちゃって、まあいいやとやられている状態は十分にあり得る。だからいま言ったようにこの制度そのものも、普通整備工場で整備したものはちゃんと国の検査場へ入って、そこで検査すると同時に書類検査も済ませてから証紙が与えられることになっているのですから、これは完了しないうちに出しておくということ自体も問題ですよ。時間がかかってまずいのだというのは時間をいかに縮めるかの問題だと思うのですよ。  さっき運転免許証の話が出ましたけれども、運転試験は合格した、免許証が来るまで一月かかる、書類が山積みになっているから仕方がないのでございますと答えている。ところが、自動車の検査に関してはこれがないのですよ。つまり民間車検場で行う検査に関しては特別優遇がなされているのですよ。これは今日の不況の中で一般自動車整備工場が泣いている問題なんです。つまり、一般自動車整備工場は、整備した車を国の車検場へ持ち込んで、そして車検場の順序に従って何日か後に車検を済ませ書類検査を済ませてやっと証紙がもらえるわけです。その間に車検が切れればおしまいなんです。使えないのです。ところが、民間車検場で行う検査については、これが全部済まなくてもちゃんと車検証にかわるべきものが与えられているという状態が出ておるのですよ。これは後でも若干触れますけれども、このことが今日の不況の中で零細な車両整備工場が困難を来す一つの重要な要因になっているのですよ。民間車検場に対する特別優遇策として行われているために困難が増大していく状態までが生まれているのですよ。そういう意味で私は、どこの法律に基づいてやっているのか知りませんけれども、まことに不公正なやり方だから、運用上でやはり考えなければならぬ問題だと言っているわけです。どうですか。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 認証工場と指定工場との間のバランスが崩れている、したがって、これは認証工場いじめではないかというような御質問の点は、後ほどまたお話を私ども申し上げたいと思うのですが、この検査ステッカーは、実は検査をするのに伴って実際には車を臨時運行しなければならない場合があります。臨時運行といいますと、赤いナンバープレートをつけるわけでありますが、これは市町村長のところへ行きまして借りてくるということになるわけでありますが、そういう一連の臨時運行業務が伴いますので、その業務を、実は正直言いますとなるべく簡略にしたいということがお互いの便利のためにあるものですから、そういうことから、このステッカーを特に短期間に限って認めたわけであります。そういうことを同じように今度は認証工場でも認めろということが実際には要望としてこれはございます。その場合には、認証工場自体を臨時運行が扱える事業体ということで許可をしてくれないかという陳情がいま出ておりますが、この方は実は数が非常に、先ほどお話ししましたように七万工場ございますので、果たしてその全部ができるかどうか、いろいろ問題も多いので検討をしているわけでありますけれども、いまのところは実現できておりません。  ただ問題は、先ほどお話ししたように、現状のところでは一見バランスが崩れているようではありますが、一面そういう臨時運行に伴ういろんな業務の合理化を図りたいという点から行っておりますので、御理解いただきたいと思います。  それから、特にこのことが認証工場に対する一つの差別化ということであるようにおとりになっていらっしゃるかもわからないのでありますが、私どもとしては、認証工場が社会的にどのような役割りを果たすべきなのか、また果たしてもらいたいのか、その辺は私どもなりに考えております。七万あります工場の中には、俗な言葉で言えばピンからキリまでございまして、先ほど来御議論いただいておりますように、少なくともある程度の検査なら代行できるという相手もおりますれば、やはり山村僻地におりまして、体質的には、その事業の大きさから言えば非常に小さい、家内工業みたいなものではあっても、実はその組織の力をフルに出してその地域の整備にサービスしているというあり方もございます。  たとえて言うならば、病院で言うと、総合病院もあれば単科の病院もある、診療所もあるということで、全体がその規模に応じて全国に散らばっているという形でないと、実はこれだけのたくさんの自動車のアフターケアができませんので、私は、それなりにそれぞれの持ち味を生かしながら整備強化が進んでいけばよろしいと思いますし、私どもはその環境を整備していくということでお役に立ちたい、こんなふうに考えております。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 いまの問題で言えば、それは認証工場の皆さんも言い分があるのですよ。というのは、整備士試験を通って免許を持っている人たちが多いのですよ、工場をやっているのに。それはそうでなければ仕事はできませんからね、多いのですよ。だから、同じ資格を持っている人がやっているのに、工場の規模が大きいか小さいかによってその資格があるかないかが決まってくるのです。だから、そこいら辺がやはり問題をはらんでいる。だから、改善のためにこれは検討すべき問題だというように思うのですよ。  いずれにしても、検査を済ませて車が走って歩くようにしなければまずいという点については、私は考え方としては基本を貫かなければならぬ問題だというふうに思っているのです。  まあ、これはこれで検討をしていただくことにして、街頭検査の結果不良整備車が発見されれば、整備確認検査を受けなければならないというふうになっているわけですね。ところが、この街頭検査を、埼玉の陸運事務所の場合、人手不足のために月に一回やれるのがやっとこさだというふうに言っているのですね。何といっても、いまのような状況で危険な車が走り回っているという状態では不安でしようがない、やはり交通安全のためにももうちょっと密度を高めてできるようにしなければいけないのじゃないかというふうに思うのです。  実際に現場で見ますと、これはまあいろいろ無理ない面もあると思うのだけれども、陸運事務所の方で、たとえば十一月二十日にやりたい、こう思うのですね。そうすると、警察の立ち会いが必要なんです。警察の御都合はというと、いや、うちの方は十一月二十日ではぐあいが悪い、こうなるわけなんですよ。まあ無理ないことだと思いますし、警察の方もまたそうそう検査の立ち会いに人手をとられるのも困るのだという話をしてました。この間大宮へ行って警察署の方の話もいろいろ聞いてみたのですが、まあ聞いてみますと、これも無理のない話なんで、そこいら辺は相互で、できるだけ街頭検査が今日のような状態の中では行えるような体制上の強化が必要だと思うのです。  そういう意味で、運輸省の方と警察庁の勝田局長の方からひとつ見解を聞かしてもらいたいと思います。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 私どもの立場といたしますれば、先ほど御説明申し上げましたように、定期的な検査の中間で車両法の違反がございますと、やはりそれを正さないと全体の車両法制度が成り立ちませんので、そういう意味では道交法と輔弼の関係にあるというお話をいたしました。私どもと警察御当局の間で連絡を密にして、いままでも街頭検査の際にお手伝いをさせていただきながら効果を上げてまいったつもりでございますけれども、もちろんまだ十分ではないので今後とも増強してまいりたい、こういうように思います。  ごく最近の私どもの街頭検査の体制固めということで、御承知の排気ガスの問題、いろいろ出てまいりましたので、特にこの何年かかけまして、排気ガスの関係で街頭検査をする場合には特にその要員が欲しいということで、いままでに四十八名ばかり増強さしてもらっております。もちろんまあスズメの涙のような数字でございますけれども、これからもこれの増強も図っていきたいと思いますし、警察御当局と協力しながら街頭検査に実を上げてまいりたい、こういうふうに思います。

勝田俊男警察庁交通局長

○勝田政府委員 街頭検査につきましては、運輸省の方ともよく協力をいたしまして、従来からも緊密な連絡のもとにやってきているわけでございます。その回数なりその他につきましてはなかなか十分というわけにはいかぬかと思います。限度はございます。そのときどき、いまお話がありましたように、排気ガスの問題とかそういったものに重点を置きながら、その都度よく連絡をしてやってまいっておりますし、今後とも緊密な連絡のもとに街頭検査をやってまいりたいと思います。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 体制上それが十分にできるだけの体制にはないのでございましょう、もう少し強化しないと、口で言ってもなかなかやれないのじゃないですかということが私の言いたいところなんです。車の数もふえている。ふえているのに応じてそのまま人をふやせとは言いません。いろいろ検討しなければならぬものはあります。しかし、やはり交通安全のためには回数もふやすなどして対処していただくことが大事だというように考えるので聞いているわけです。  そこで、さっきの問題に戻りますけれども、車検のダンピングが行われているという話を運輸省の方で聞いてますか。

田付健次運輸省自動車局整備部長

○田付政府委員 本来こういうものにダンピングというのはないのでありまして、いわゆるその工場工場によって一つの相場らしいものを持っておるようでありますが、ただまあ、工場同士非常に競争があるものですから、法外というか、世間相場の面から見ますと、えらい安いなというところがそういうダンピングという言葉を生んでいるのではないかと思っておりますけれども、整備料金そのものについては別にこうなければならないというようなことはいたしておりませんので、御理解いただきたいと思います。

平田藤吉日本共産党・革新共同

○平田委員 整備の基準があるでしょう、それぞれの部品について。あなた、車検の検査基準というのはあるでしょう。この検査基準どおりやらないのですよ。部品を取りかえるのを取りかえないのですよ。そうしたら、うんと安くなるのですよ、ぱっとふいて、洗って、油をつけておけばいいのですから。それで検査しましたと車検済証を渡せばいいのですから。それで陸運事務所に報告するのは作文を書けばいいのだもの。現物チェックはないのだもの、幾らでもやれますよ。それは整備士が見て大丈夫だと思っているのだから大丈夫でございますとあなた方は言うだろうけれども、通常かえなければならない基準というものがあるわけでしまう、あなたの方でちゃんと示しているのだもの。それが守られないというのです。というのは、とにかくどんどん仕事をとって、もうかればいいのですから。  こういう形でダンピングがやられてきて危険な車がずっとふえてくるという状態というのは、私どもやはり憂慮せざるを得ないですよ。そういう意味で聞いているのですよ。あなたの方は知らないらしい。ダンピングなんて、ないと言っているけれども、そういうことなんです。基準が守られていない。私どもはそういう話をよく聞いている。だから、あなた方はつかんでいるだろうと思って聞いた。  時間も来ましたので、私でそう長い時間をかけるわけにはまいりません。車検制度をめぐる問題は、このほかさまざまあります。非常に重大な問題をまだはらんでおります。したがって、今後深く突っ込んで検討することにして、きょうは時間が来ましたので、質問を終わります。

下平正一日本社会党

○下平委員長 次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十二分散会

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