外務委員会 第7号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/12/17
会議録
○栗原委員長 これより会議を開きます。 第七十五国会から継続になっております日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 お諮りいたします。 本件の提案理由説明につきましては、すでに第七十五国会において聴取いたしておりますので、これを省略することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○栗原委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。石井一君。
○石井委員 昭和四十九年の一月三十日にソウルで本協定の署名が行われてからすでに二年の年月が経過いたしております。その間、両国の間にはいろいろの政治的な問題もありまして、野党はもとより、わが与党の中にもこの協定の内容について異論を唱える人もあります。 外務省としては、二年前に署名したこの協定で、もうそのまま批准を強い態度で求めるのか、それともやはり内容の変更について少しでも韓国側と話し合ってみたい、そういうふうな態度があるのかどうか、まずこの点で基本的なお考えをひとつ質問したいと思います。
○羽田野政府委員 二年前に署名をいたしましたこのままの状態でぜひ早く御承認をいただきたいという態度でございます。
○石井委員 そういたしますと、今後の質問に関しまして、いろいろと私たちが疑問に思う点、不備な点について政府側の御見解を一々お伺いしていかざるを得ないわけでありますけれども、まず最初に、海洋法会議の結果を待って、政府としてはこれに対しての批准をやるべきであるというふうな意見もあったわけでありますが、もう海洋法会議の結果ということも考えずに政府は批准を求めたい、しかしこの点について、ジュネーブ会議の結果から見て政府はどのようにこの協定を考えておるのか、この点からお伺いしたいと思います。
○羽田野政府委員 現在、先生御指摘のように、海洋法会議でこの海洋の問題についていろいろな論議がなされております。直接本件の日韓大陸だなの問題に関連する点につきましても、たとえば大陸だな理論あるいは二百海里の専管経済水域の問題、こういういろいろな問題がいま海洋法会議で討議されておりますが、この海洋法会議の結論というものが、次はニューヨークでこの会議が開かれるというようになっておりますが、なかなか簡単に出てくるような情勢にございませんし、また、海洋法会議で、たとえば大陸だな理論あるいは専管水域の理論というものが一つの結論に到達しても、これがそのものずばりいわゆる日韓のこの問題を解決する物差しにはならない。専管水域二百海里というようなことが仮に決まったといたしましても、韓国からはかって二百海里、日本からはかって二百海里ということで、四百海里以上ないと重複する部分があるわけでありますが、この海域は四百海里未満でありまして、重複する部分が出てくる。また大陸だなの自然延長というような問題に結論がしぼられても、日本と韓国との利害というものは必ずしも一致しない。そうすると、結論的にやはりそういう一致しない部分については、日韓で話し合いによって片づける以外に方法がない、こういう実情でございます。 翻って、わが国の事情を考えてみますと、石油エネルギーのほとんどの部分を海外から輸入しておる、こういう状態のもとにおいて、開発できるものはなるべく自国内あるいはその周辺で解決するような努力をせなければならない、こういう点を考えてみますと、海洋法会議の結論が早く出ることは望みますけれども、出ても、それがすべての解決にならないとするならば、この日韓で合意した条約を早く批准を願って、そうして開発に取り組んでいきたいというのがいま政府の姿勢でございます。
○石井委員 いまの御説明に関連しまして、たとえば、わが国は海洋法会議において中間線理論といいますか、それをとって主張をしておるわけですけれども、これは何も日韓の問題だけに限りませんが、わが国の主張というものを、これを批准するということによって何か弱めることになりはしないか。片方の会議では中間線理論を主張しておって、この協定を批准するということは、大陸だな延長論というものを容認するということにもなる。それからまた、経済水域の問題でも、二百海里というふうなことがある程度海洋法会議において前進する形になったとしたら、当然いま開発する地域というものはすべて日本の経済水域の中に含まれる、こういうことになると、その点においても、またわが国の主張なりに矛盾をしたりあるいは不利益をもたらすという面が出てくるのではなかろうか。海洋法会議の結果というものに時間がかかるというのは政務次官の御説明でよくわかりますが、そういう主張との具体的なずれというふうなものに関してどういうふうに考えておられるか、この点をお伺いしたいと思います。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 先ほどの先生の第一番目の御質問にもございましたように、海洋法会議の結論を待ったらどうかという御意見もあるということも私も承知しているわけでございますけれども、そのよって来る根拠と申しますれば、やはりあの共同開発の地域というものが、経済水域二百海里あるいは大陸だなの新たな取り決めということによって、日本のものとなるのではないか、したがって、それを当然の権利として獲得し得べきものをいまから放棄することはないではないかという御議論であるように聞いておりますけれども、海洋法会議で議論されておりますのは、大陸だな及び経済水域と二つのはっきりとした——一緒の問題として議論されてはおりませんので、それぞれ別個の問題として取り扱われているということがまず第一にございます。 大陸だなについて申し上げますと、大陸だなの件に関しましては、先ほども政務次官から御答弁もございましたように非常に複雑な関係にある。つまり、すでに大陸棚条約というものが一九五八年にでき上がっておりまして、それによってある程度の既得権というものを獲得した国というものがあるわけでございます。あるいは言葉をかえて申しますれば、それらの国は、大陸だなに関しては、その一九五八年条約によって既得権を持っておる、したがって、それは自然の延長というものがある限りにおいては、その条約によってその権利を獲得しておるのだというような議論も現にこの新しい海洋法会議においても行われているわけでございまして、わが国は中間線ということを主張はいたしておるわけでございますけれども、それが必ずしも大勢を制するには至っておらないというような状況でございます。 それから経済水域について申しますと、経済水域の議論というものはいろいろと行われておるわけでございまして、これが果たして認められるかどうか、現状においては恐らく認められることになるであろうということは申し上げられるわけでございますが、その態様がどういうものになっていくか、内容が漁業管轄権でございますとか、それから地下資源に及ぶものであるというところまでは合意ができているように思われますけれども、そのほかにさらにどのような条件が付されていくかという点についてはまたいろいろな議論の対象となっている。そこで、経済水域の境界という問題につきましてもこれは議論が行われておりまして、現在、ことしの夏のジュネーブ会議でできました単一草案というものの中にも、大陸だなの境界と経済水域の境界画定ということについての条文がそれぞれ別個に設けられておりますが、経済水域の条文も必ずしも中間線でやるべきだということがはっきりと出ているわけではないわけでございます。 そのような情勢にありまして、わが国は、大陸だなにつきましてもそれから経済水域につきましても、中間線ということを強く主張いたしておるわけでございます。この中間線理論をとっているわが国がこの日韓の大陸棚協定を早期に批准する、しかも共同開発区域がいわゆる日韓の中間線よりも南側の部分にできているということで矛盾するではないかというお尋ねなのでございますが、そのような国際的な情勢からいたしますと、むしろ日本は、この海洋法会議におきまして中間線理論を強く主張することによって、いささか逆説的なのかもしれませんけれども、この日韓大陸棚協定というものについて、共同開発地域というものを日本についても獲得することができたということも言えるわけでございまして、この点については矛盾というよりはむしろ、日本が立場は中間線理論を貫くことによってこの大陸棚協定ができ上がっているというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○石井委員 どうも多少納得のしがたい点がありますが、たとえば地図の上でこの共同開発地域というのを見ますと、中間線よりすべて南側というか、わが国のサイドの中に入っておるというのが現実でございます。そういうことから考えますと、いまの説明を聞いておりましても、全体的な海洋法会議の趨勢なりわが国の立場というふうなものとは別個に、これだけは解決をしなければいかぬ、何かちょっと急ぎ過ぎているような感じすらするわけであります。またその反面、これの必要性というふうなものも認めるわけでありますけれども、私はこれに対して、いまの答弁よりももう少し国民に納得のいく説明、わかりやすい説明というものが必要ではないかな、こういう感じがいたします。 そこで政務次官にもう一問、政治的な問題をお伺いしておきますが、本協定に対する中国側の態度はどうなのだろうか。やはり中国とも隣接した場所になっておる。そしてわが方の相手国である韓国と中国との国交は全くない。そういうふうなことが、三国間の関係と申しますか、日中両国間の将来に対して、わが国と中国の間にしこりを残すことがないだろうかどうか、この点はいかがですか。
○羽田野政府委員 この日韓大陸だな関係の条約を調印いたしましたときに、中国の方から一応異議的な意思表示がなされております。しかし日韓でこの条約を調印する際に、いま海洋法会議でいろいろ論議されておる経済水域あるいは大陸だな理論、中間線理論、こういうふうなあらゆるものを検討いたしまして、そうしてどこからいっても中国のいわゆる権益を主張する海域に入らないようにという配慮を十分いたして、この条約は締結をいたしております。でき得るならば、こういう日本、韓国、中国という三国に利害のある海域における条約は、その三国がそれぞれ協議し、それぞれ納得するような状態で締結することが一番望ましいわけでございますが、いま先生御指摘のように、日本と韓国、日本と中国には国交関係がございますが、韓国と中国の関係がいまだ国交関係が樹立していないという関係で、どうしても三者の合意による条約ということができませんので、やむなく日韓の間でこの条約を締結したわけでございますが、冒頭に申し上げましたように、いかなる点から見ても、いわゆる中国の権益を侵さないようにという十分な配慮をいたしてございますし、その後、日中間におきましてはこの問題についての理解を深めることもいたしております。今後、中国の方から何か異論が出てきたような場合におきましては十分中国側に説明をし、中国側の御理解を得る努力をするつもりでありますし、そしてそれは十分可能であるという確信のもとにこの条約を進めておるわけでございます。
○石井委員 ちょっと確認をしておきますが、中国側に対しては懇切丁寧な説明をし、ある程度の理解を中国側は示しておるのか、それともやはり異論を唱えたままなのか。わが方では権益を侵してないと言いましても、相手側がどうとっておるかということが問題ですが、この点についての具体的な話し合いというのはどういうふうになっておるのですか。
○伊達政府委員 中国側に対しましては、署名前に一応、日韓間においてこのような協定を締結するつもりであるということを概要の内容とともに通報いたしましたし、それから署名後におきましては、協定テキストも相手方に送付いたしまして、その内容を説明したわけでございます。わが国といたしましては、先ほども政務次官から御答弁ございましたように、これがいささかも中国の権益を害したものではなく、中国側が権利を主張できる部分については、何らこの協定の対象とはなっていないという認識を持っておりまして、その旨を中国側に述べているわけでございます。ただ従来の経緯からいたしまして、中国側は別にそれを理解をして了承したというようなことにはなっていないということは申し上げられると思います。
○石井委員 共同開発の協定は発効後五十年間存続するという内容ですね。これは二十一世紀の子孫をも拘束する非常に長期的なものです。こういう条約を二国間、多数国間で結んだ条約がほかにありますか。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 ずばり申し上げまして、五十年という条約は、私ども承知しておる限りまだないということが申し上げられると思います。ただ比較的長期の例といたしましてわが国が結んだものといたしましては、日米原子力の非軍事的利用の協定でございますとか、それから日英の原子力平和利用の協定というものでございまして、それは有効期間が三十年ということになっておりますし、また多数国間条約で申しますと、わが国が加入しておりますものでは部分核実験停止条約、それから税関における物品評価の条約というようなぐあいに期限が全く限られていない、全く無期限のものというようなものもあるわけでございます。それぞれ条約というものは、有効期間をその条約内容の目的とするところに妥当した長さに決めようということで決められるものであることは当然でございますけれども、この条約が五十年になったのは、つまりこの協定におきまして探査権の存続期間が八年でございまして、さらに採掘権の存続期間が三十年、しかもその採掘権は五年ずつ延長できるという規定になっておりまして、探査権の存続期間が八年、それに採掘権の存続期間が三十年、さらに五年ずつ二回延長されるということをめどにいたしまして、十年ということにしまして四十八年、大体五十年ぐらいが適当であろう。これは地下資源の採掘という一つの鉱業でございますので、日本の国内法におきます鉱業法におきましてもかなり長期間の権利設定を認めているところでございますので、事柄の性質上、やはり採掘権というものに関しましては長期にわたらざるを得ないということがあるわけでございます。
○石井委員 これは五十年というのは非常に長いし、その点るる説明がありましたけれども、少しここに疑問を持つのですが、いまお伺いしますと、一番長いので三十年くらいのものがある。 そうなるこの経緯についてちょっとお伺いをするわけですが、先ほどの海洋法会議に関連をした中間線の問題にしてもまたこの期間にしても、この条約が署名されるという段階に至るまでは韓国側のイニシアチブによって進められたのではなかろうか、日本側はずっと受け身に立っておったのではないかというような感じがするのですが、この点はいかがですか。
○大森(誠)政府委員 韓国政府は、昭和四十五年に外国企業に対して大陸だなの石油の開発権を与えたということがございます。この韓国側の鉱区は、日本側の鉱区出願区域と南部において重複する部分が多うございました。そこで日本政府としては、直ちに韓国政府に話し合いをすることを申し入れた次第でございますが、日本側の主張、いわゆる等距離中間線論に基づく日本側の主張とそれから韓国側の主張、これはいわゆる自然延長論に基づくものでございますが、両国の立場は全く対立しまして、平行線をたどった次第でございます。このような経緯を経まして、昭和四十七年に韓国側から両国の主張が重複している区域について共同開発の構想が示され、日本側は日本側の先ほど申し上げました法的な立場を維持しつつも、現実的な解決方法を図るものとして、この共同関発という構想に応ずることとした次第でございます。したがいまして、この日韓間の大陸だなの問題というものは、日本側においても積極的な態度でもって交渉に臨んだ次第でございます。
○石井委員 五十年間近くの効力を有する協定を締結するということになれば、両国の基本的な信頼関係というものが非常に必要だと思うのであります。隣接しているし、古い友人であることは確かなんでありますけれども、昨今の日韓両国の信頼関係が一〇〇%好転してきておるかというと、最近はいろいろの問題が両国の間に起こってきております。それが国会内の野党あたりでも一つの大きな反対論になり、条約プロパーの議論よりも、そういう政治問題がこの条約批准に対して非常に影響を与え、釈然としない気持ちというふうなものを生んでおるのではないかと思うのでありますが、政務次官、最近金大中氏の選挙違反の裁判の判決が出まして、禁錮一年という実刑の判決が下されております。この問題の背景には、わが国の主権が侵害された等々という問題もあるのですけれども、外務省として、あるいは政務次官として、今度の判決に対して当然だと思っておられるのか、これに対してどういう御意見を持っておられるのか。先方の裁判権なり、国内問題だからコメントはない、自分は知らぬというだけではやはり済まされない。これはやはりこの批准に非常に大きな関係のある問題だと思うのでありますが、この点の御意見はいかがですか。
○羽田野政府委員 日韓の友好関係につきましては、これは先生御指摘のように、最も近い隣国であり、そして友好国でございます。これは、より親密に順調にいくことが望ましい次第でございますが、御指摘のように、金大中氏事件その他日韓関係に好ましからざる事件が二、三件起こったということも事実でございます。しかしその後、日韓関係は改善されまして、先般日韓の閣僚会議も行われるというようなところまで至っております。そこで御質問の、金大中氏に対する先般の韓国法廷の判決でございますが、金大中氏の問題につきましては、韓国は終始、いわゆる一般韓国人と同じ権利を認める、出国も含めて、そういうふうな態度でございます。いままで実際に、そういう韓国が表明をしたとおりの、出国も含めて一般韓国人と同じ取り扱いをしてきたということは、私も十分認めるところでありますが、事実上、今回韓国の法廷で禁錮一年という実刑が科せられた、ということは、その期間出国ということの可能性はほとんどなくなったという結果が出てまいっております。しかし、これは、金大中氏でなくても、一般の韓国の人でも、法廷によって裁かれ、そして禁錮刑を受けた場合においては出国ができないということでありまして、金大中氏のみが不利益な取り扱いを受けたというようなことには当たらない事案であります。 そこで、それでは金大中氏に対する先般行われた法廷における判決はどうかということになりますと、これはいかなる国でも、その国の主権に基づいていわゆる司法というものを行っております。この経緯が妥当であるかどうかということまでは、他国が容喙すべきことではございません。要は、金大中氏が、韓国が言っている一般韓国人と違う取り扱いを受けているか同じ取り扱いを受けているかということまでが判断でありまして、私はその点は、やはり声明どおり一般韓国人と同じ取り扱いを受けておる、こういうふうに確信をいたしております。
○石井委員 あなたは外務政務次官でありますが、同時に法学博士で弁護士でもある、こういう問題に関しては大変お詳しいはずだと認識をいたしておりますが、いまの御答弁は公式の見解だろうと思うのですが、問題は、何かこういう金大中の拉致事件というものが起こり、主権の侵害等々というふうな問題が起こってから後にこの選挙違反の問題というものが出てきて、事犯はその前のことですけれども、何かそのことによってとりこになってしまっておるというふうな非常な不明朗さというものがあるわけですね。だから、拉致されてなかったら、この裁判などというふうなものはなかったかもわからないというようなこともあり得るわけで、禁錮一年というふうなことも起こらなかったかもしれないということも言える。 それから、わが外務省がたびたび正式のルートを通して指紋を照会し、金東雲等々に対する捜査の内容についての公開を迫っても、これまで余り誠意のある態度が示されたかどうかということになると、あなたが専門家として見られても、何かそこには両国の信頼関係をさらに強くするという面でいろいろの問題があったことは御承知だと思うのでありますが、最後に、当委員会でもたびたび議論されましたけれども、わが国の警察ですら捜査は続行する、大変な疑義がある、資料を一つも提出されないのは遺憾だ、こういうことが繰り返されておるわけですが、いまの御答弁は、同じ一人の韓国人としてほかの者と平等の取り扱いを受けただろうということはわかりますが、少なくとも、この一連の韓国政府のとった態度なり何なりに関して、法律的あるいは政治的にあなたはどういう御所感を持っておられるのか、これをひとつお伺いしたいと思います。
○羽田野政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、国それぞれ、その国の法律を持ち、その国の立場がございます。金大中氏がわが国から韓国に連れ去られたということにつきましては、わが国の方も、この原状回復を含むいわゆる出国の自由というものを認めるようにという要請もいたしましたし、わが国から連れ去った行為そのものについて、これがどういうふうな犯罪あるいは違法行為に該当するものなのか、あるいはその責任者はだれなのかということを明らかにするようにということを、わが国の方でも厳重に捜査をいたしますし、韓国側にもこの点のはっきりした解明を要請してまいったところでございます。この点について両国の間で必ずしも完全に満足する状態でないこともあったのではないかと思いますが、しかし、この点につきましては、先般宮澤外務大臣と韓国の大臣との間で、双方のこの問題の処理に対する納得というような線まで到達して、そうしてこの問題については、これ以上両国の責任について云々せないというような了解事項まで到達したと私は考えております。私も、事を明らかにする努力は今後もなされるべきだと思いますけれども、政治問題としてこの問題を両国でとかくするということは、私は望ましい状態ではないと思います。 そこで、問題は、韓国の法廷におけるこの裁判そのものについては、これはわが方からとやかく言うべき問題でありませんが、そのことが終わる、たとえば二審の判決あるいは三審の判決がどうなるかという将来の問題まで含めて、一般韓国人が出国できるような自由を獲得するような状態になったときに、この金大中氏の出国をも含めて、一般韓国の人と同じような自由ということが果たして実現されるかどうかという点については、わが方も重大な関心を持っているというのが現在の状態でございます。
○石井委員 非常に賢明な答弁で、この問題は少し政治的過ぎますから、それじゃ聞くのをこの辺にいたしますけれども、私はこういうふうな問題がこの批准をおくらせておる一つの理由にもなっておるような気がしますし、外務当局におかれても、もう少し積極的な態度があってしかるべきだというふうに考えております。 そこで、文句ばっかり言っておるようですが、この条約に関するメリットもあるわけですけれども、少しメリットの方について二、三お伺いをしておきたいと思います。 そもそもこの地域が非常に脚光を浴びたのは、一九六八年の暮れに行われたエカフェの地質調査によって、九州沖から台湾沖に至る海底が中東と並ぶ世界的な産油地帯になるだろう、こういうふうな結果が発表された。東シナ海というふうなものの大陸だなが非常なスポットを当てられたと聞きますが、エカフェの調査報告書にはどういうふうに記されておるのか、また、この資料というものを当委員会に提出したのかどうか、お伺いしたいと思います。
○大森(誠)政府委員 東シナ海大陸だな区域の堆積物は、石油賦存の可能性が最も大きいとされております新第三紀層に属し、堆積物の厚さも非常に厚いことがエカフェの調査の結果判明しているところでございます。この報告書は、さらに詳細な地震探査、試掘が必要であるとしながらも、この区域の浅海底が将来一つの世界的な産油地域となるであろうということも述べております。 なお、エカフェの行いました調査期間は一九六八年十月十二日から十一月二十九日に至る期間でございまして、この報告書は翌年、すなわち一九六九年の五月に発表されているところでございます。 このエカフェの報告書につきまして、当委員会にすでに資料として提出されているかどうかにつきましては、ちょっと調べまして、もし未提出の場合には資料として御提出申し上げたいと存じます。
○石井委員 私の記憶では恐らく提出されておらないと思いますけれども、この問題が開発なりあるいはまたエネルギー資源プロパーに論議されずに、政治的に論議されておるところが問題なんですから、これ以外にもいろいろな資料があろうかとも思いますけれども、そういう形でのいわゆるポテンシャリティーというふうなものが十分に立証されるようなものを、ひとつこれに限らず、当委員会、特に野党の人にさっそく見てもらうというふうな外務当局の努力を懇請しておきます。 付表によれば、共同開発の区域を九つの小区域に分けております。形がそれぞれいろいろな形で違っておる。大きいところもあれば小さいところもある。一体どうしてこういうふうに分けられたのか。非常にアンバランスがありますけれども、不規則に分けたのか、何か一つのルールがあるのか、これはいかがですか。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 この協定の共同開発区域でございますが、これは協定に書いてございますように、当初は九つの区域に小区域ということで分かれております。それが大きいものや小さいものというふうに不規則に分かれているわけでございますが、これにつきましては別にルールがあるわけでございません。つまり物理的なルールと申しますか、そういうものがあるわけでございません。これは実態的に申しまして、現実に技術の開発が行われる便宜を図りましてそのように決めたものでございます。 〔委員長退席、水野委員長代理着席〕 具体的に申しますと、この区域につきましては、先ほど大森次長からも御説明がございましたように、韓国側が鉱区を設定しておる、しかもその鉱区をそれぞれの業者と申しますか会社、石油開発者に対して割り当てておるという実情がございましたし、また日本側におきましても、西日本石油でございますとか、それから帝国石油でございますとか、日石でございますとか、同じような区域に関しまして、これはそれぞれ日本の国内法、鉱業法に基づきます鉱区の出願をいたしておるわけでございます。したがいまして、そういうことを勘案いたしまして、この韓国側の四つの海底鉱区とそれから日本側の出願された区域の組み合わせという現実の事態を考えまして、当初はあのような九つの分類になったというのが実情でございます。
○石井委員 この協定が批准されれば、十二条によると六カ月以内に操業に着手しなければならぬと定められております。時代が急激に変わりまして、いまは非常に財政難だというふうな低成長の時代に入っておる。だからその批准を急いでおったこれまでの時期とは少し時代の背景というものが変わってきておるのだというふうな感じもするのですが、この辺に対してはどういう御所見を持っておられるのか。また、当面批准後六カ月以内に操業に着手するという場合に、どれくらいの予算を計上して、どれくらいの探査を始めようとしておるのか、いかがですか。
○志賀説明員 お答え申し上げます。 確かに、先生いま御指摘ございましたように、日本の経済というものがこれから昔のような高成長が望めないということで、当時とある程度情勢というものが変わってきていることは事実だと思います。そういうことで、日本のエネルギーの需要自身、消費自身が従来のような高い伸びということはないと思いますけれども、ただ、いずれにいたしましても、日本の原油というものの大部分は海外に依存しております。その中でできるだけ安定した供給源というものを求めていかなければいけない。その場合におきまして、日本の周辺海域の資源開発というものは依然として大変重要な問題であろうと思っております。そういう意味におきまして、確かに全体のエネルギー需要の伸びという点につきましては変わってきておるかもしれませんけれども、大陸だなの開発の重要性という問題につきましてはいささかも変わっていないというふうに思っております。 〔水野委員長代理退席、委員長着席〕 それから、今後あの地域を開発していく場合にどのくらいの資金が要るかという御質問でございますけれども、原油の開発というものはまず物理探査をいたします。それから試掘をいたします。そこで埋蔵量を確認した上で開発に移行するわけでございますが、あの地域につきましては、現在まだ日韓の関係がございまして、物理探査というものが十分に行われておりません。ほとんど行われておりません。そういうことから、どのくらいの埋蔵量があるかということがわからないわけでございまして、そういう意味からどのくらいの金が要るかということにつきましては現在ちょっと申し上げかねる、そういう状況でございます。ただ、最初に着手いたします物理探査につきましてはそれほどの金は必要でないというふうに思います。 それからなお御参考までに申し上げておきますが、日本の周辺大陸だなの最初の成功例でございます新潟の阿賀沖のプロジェクトがございますけれども、これの探鉱から開発までに要しました資金、これは約二百三十億円でございます。
○石井委員 たとえば、この国会は終わろうとしておりますが、来国会にでも批准をされるということになりますと、それから六カ月ということになりますと、来年中に操業をしないと十二条に反するということにもなるわけですから、そういう形ではもう少し具体的に考えないと間に合わぬという状態になるわけで、大まかな数字でもけっこうですが、初年度どの程度のものを探査のために投入するのか、いまの新潟沖のものと同じ規模だというふうにおっしゃったのか、あるいはそれと関連がないのかわかりませんが、これは、私はやはり行政当局としても当然考えておられることだろうと思いますから、大まかな数字が示されるものならひとつ示していただきたいと思います。
○志賀説明員 お答え申し上げます。 阿賀沖の数字を御参考までに申し上げましたけれども、あの程度のものという意味で申し上げたわけではございません。何らかの御参考までにと思って申し上げたわけですが、先ほど申し上げましたように、まず着手いたしますのは地震探鉱といったような、船を走らせまして地震波を出してそれで海底の地質構造を調査する、そういう作業から入ります。その物理探査に要します費用というものは、恐らく一年ないし二年ぐらいをかけまして物理探査をやることになると思いますけれども、それに要します費用というのは、これはどのくらいの区域について、小区域の中のどれくらいについてやるかということによって変わってまいりますけれども、これは私の感じでございますけれども、一つのプロジェクトにつきまして恐らく二、三億程度ではないかという感じがいたします。(石井委員「それは九つやるのですか」と呼ぶ)はい、九つ別々でございますから…−。
○石井委員 ここは御承知のように大変な漁場でありますので海洋汚染ということを起こしてはならぬということ、これはもう絶対的な条件になろうと思うのですが、石油公害を起こさずに有効に探査、開発するという技術的な確信があるのかどうか。仮にあったとしてもそれは非常にコスト高になるのじゃなかろうかと思うのですけれども、この点についての採算性、見通しはどうなっていますか。
○志賀説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、石油の開発をしてまいります場合に海洋汚染を防止していく、漁業との調整を図っていく、これはきわめて重要な問題でございます。私どもといたしまして、従来から鉱山保安法という法律の規定適用によりまして厳しく規制を実施してまいっております。 現在まで日本の周辺海域に四十一の井戸を掘っておりますけれども、その中で先ほど申し上げましたような阿賀沖の開発というものが行われてまいっておりますけれども、その間一件の事故も起こしておりません。私どもといたしましては海洋汚染というものを起こさないで開発を進めていく、そういう意味の、そういう面での自信というものはある程度もちろん持っておるわけでございます。今後ともあの共同開発区域が開発される段階に至りました場合でも、同様に厳しく取り締まりを行っていきたいというふうに存じております。 コストとの関係でございますが、現在すでにそういうことで日本の周辺海域の石油の開発につきまして厳しい規制をやっております。その結果、たとえば油の噴出防止装置を何重にもかけるというような、かなり費用のかかるような規制もやっておるわけでございますけれども、現にそれによりまして阿賀沖の開発というものが行われておるわけでございます。現在の油の価格あるいは海外の場合にロイアルティーとかいろいろな負担が別の面でかかってくるというようなことを考えてまいりますと、あの海域におきます開発につきましても十分採算性はあるものというふうに存じております。
○石井委員 非常に自信があるという前向きの答弁をいまいただいておるわけですけれども、これは慎重に本当に検討されなければいかぬことだろうと思うのですが、仮に不幸にしてそういう問題が起きた場合に企業が賠償の責任を負うのか、あるいはエネルギー庁なり政府が、国家の事業でありますから、この企業活動に対しても管理をし統轄をし監督をして責任を負う立場になるのか、賠償と絡めてどういうふうになるのか、お伺いしておきたいと思います。
○志賀説明員 お答え申し上げます。 不幸にいたしまして事故が発生いたしました場合には、開発権者が連帯いたしまして無過失の賠償責任を負うということに協定上なっております。もちろん国といたしましてそういう不幸な事故が起こらないように、先ほど申し上げましたように厳重な監督というものを実施してまいるわけでございまして、そういう意味で国も責任があるわけでございますが、国が賠償責任を負うかどうかという問題につきましては、これはやはりケース・バイ・ケースの問題になろうかと思います。国家賠償法の適用というものがあるかどうかということについて、具体的なケースに応じて判断をしていくことになるのではないかというふうに思います。
○石井委員 水産庁の方にお伺いをしますが、要するに海洋汚染等々で、いま責任の所在等々伺ってきたわけですが、今後詰められる問題もあると思います。必ずしもいまこの時点で明快に答弁のできないものもあったと思いますが、これまで、この開発地域に関連をした漁民の人々とこの問題について話し合いを持たれたことがあるかどうか、またその理解を得ておるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○大鶴説明員 お答えいたします。 この問題につきましては、一応漁民と直接という形ではございませんが、それぞれの関係県の担当部課を通じて、この問題があるということについての説明と理解は得ております。 以上でございます。
○石井委員 そうすると、今後漁民の人々が、批准されたと同時に、いよいよ具体化するというふうなことで非常な反対をされるということも予想されるだろうと思うのですが、その点についての準備は県当局と話をしておるというぐらいでは、かなりまだ今後時間を要するというふうにも受けとめられる一面があるわけですが、その辺の自信のほどといいますか、見通しはどうですか。
○大鶴説明員 この件のみならず、海洋の他産業の開発につきましては、一応それぞれ開発当事者と関係漁民との間で理解をしていただくということで、私どもといたしましては、それぞれの関係県を通じ、あるいはその漁連を通じて側面的に理解を得てきておるというのが従来の進め方でございます。したがいまして、この問題につきましても、具体的にそういう問題が出てきた段階で、一応関係漁業者との間の具体的な接触というものが今後残されておると思います。したがって、現段階でこの問題について漁民に十分の理解が得られるかどうかということにつきましては、私どもとしては、十分の理解が得られるような努力を関係県とともにやっていきたいというふうに考えております。
○石井委員 理解を求めるためには、やはりある程度の調査をするとか、具体的な開発の計画というものを示さなければいかぬと思いますし、いま海の物とも山の物ともわからぬというふうな気持ちでやっておられると、時間的な制約というものもあるわけですから、水産当局としては、その点もう少し積極的にこの問題に取り組まれるべきであろうということを痛感し、またこの席で要望しておきたいと思います。
○伊達政府委員 ただいまの先生の御質問に関連いたしまして、水産庁の方から御説明がございましたが、条約的な観点から補足させていただきたいと思うわけでございます。 条約をつくります際に、水産庁とも緊密に連絡をとりまして、この点につきましては細心の注意を持って条文の作成というものをいたしたつもりでございまして、協定の第五条の一項には、この開発を許される開発権者というものが、実際上事業を開始する前に事業契約というものを結ぶわけでございますが、その事業契約の重要な条項として、漁業上の利益との調整ということを必ず事業契約の中に含ましめなければいけないということを決めております。もしこの条項を欠いているならば、この事業契約は、両締約国の政府による承認を得られないということになっております。しかも、この漁業上の利益との調整ということに関しましては、さらに合意議事録の第四項に、それぞれの小区域で開発権者が操業を開始する前に、それぞれ関係漁民と漁業上の利益の調整をしておかなければならない、しかも、それについては政府として十分に行政指導を行うということを合意議事録に定めてあるわけでございまして、確かに先生の御指摘のように、直接関係漁民の利害というものにかかわる問題でございますので、漁民の理解というものが必要になってくるわけでございますが、この点に関しましては、むしろ漁民のそのような理解、承認と申しますか、要するに承諾がない限り、この事業契約というものが両政府の承認を得られないという関係になっているわけでございます。 以上は法律的な条約の仕組みの上からの御説明でございます。
○石井委員 したがってそういう条項もあるから、よけい実務的な行政面の詰めというものが私は必要だというふうに感じます。 時間が来ましたのでこれでやめたいと思いますが、最後に次の点を簡潔にお答えいただきたいと思います。 日本の批准の手続がおくれておるのに関して、韓国側は何とか早くしてもらいたいというような具体的な申し入れがあったのかどうかということが一点。 それから第二に、韓国政府はどの程度準備を完了したのか。アメリカのいろいろの会社等々との事前折衝、地域を決め、それに対してどの程度やったのか、これはよく調べていく必要があると思いますから、そういうことについてかなり向こう側の状態を掌握しておるのかどうかということ、簡単で結構です。 それから最後に、わが国の批准がおくれておるということによって韓国が一方的に開発をしてしまう、するというふうな可能性はないかどうか、この点をお答えいただきたいと思います。
○中江政府委員 三点につきまして簡潔にお答えいたします。 第一点につきましては、御承知のように、一年前に韓国はすでに国会の承認を得ておりますので、あらゆる機会をとらえまして日本側の国会審議の進捗状況については関心を示してきております。特に最近は、この国会では日中漁業協定の承認がございまして、これが協定の締結といたしましては日韓大陸棚協定よりも後で締結されている協定でありますだけに、どういうわけでこちらがおくれているのかということについて説明を求められたという事実がございます。 第二点に、韓国側の準備状況につきましては、もう一年を経過しておりますので、技術的にもいろいろ準備しておられるということは承知しております。 第三点に、一方的に韓国が踏み切るかどうかという点につきましては、いま二点について申し上げましたような状況から見まして、韓国としては、日本の国会審議の速やかな進捗を期待して、いますぐにこの協定を締結した精神に反するようなことをするというようなことは、私どもとしては想像しておりません。
○石井委員 終わります。
○栗原委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時七分休憩 ————◇————— 午後二時四十五分開議
○栗原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 これより請願の審査に入ります。 今国会、本委員会に付託されました請願は、合計二百三十九件であります。 本日の請願日程第一から第三二九までの各請願全部を一括して議題といたします。 まず、請願の審査の方法についてお諮りいたします。 各請願の趣旨につきましては、請願文書表によりましてすでに御承知のことと存じます。また、先刻の理事会におきまして慎重に御検討いただきましたので、この際、各請願についての紹介議員よりの説明等は省略し、直ちに採否の決定をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 採決いたします。 本日の請願日程中、第一二五、第二一七ないし第二一九、第二二一ないし第二二五、第二三〇及び第二三一の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○栗原委員長 なお、今国会、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり、日中平和友好条約の早期締結に関する陳情書外十件であります。念のため御報告いたします。 ————◇—————
○栗原委員長 次に、閉会中審査申し出に関する件についてお諮りいたします。 まず、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をするに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○栗原委員長 起立多数。よって、本件は閉会中審査の申し出をすることに決しました。 次に、核兵器の不拡散に関する条約の締結について承認を求めるの件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をするに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○栗原委員長 起立多数。よって、本件は閉会中審査の申し出をすることに決しました。 次に、国際情勢に関する件について、閉会中もなお調査を行うため、議長に閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、議長への申し出に関する手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○栗原委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。
○堂森委員 三木総理大臣に、与えられたわずかな時間でありますが、外務大臣の臨時代理でもあられますので、御質問を二、三の点について伺いたいと思います。 三木内閣ができましてすでに一カ年を経過いたしたのでありますが、中東情勢というものが著しい変化を来してまいりました。これはあなたが総理になられる前からの事柄でありますが、さらに続いて石油危機がまいりました。これに伴うところの国際的なインフレと不況、さらに発展途上国の力が増大してまいりまして、あなたが先般出席されましたランブイエの六大国首脳会議の大きな議題もこの南北問題であったのでありますが、さらにことしの四月はアメリカがインドシナから撤退した等々、多くの外交的な問題をあなたは総理大臣として経験されたのであります。いわば三木外交はある意味では、あなたはそう思われないかもしれませんが手詰まりであるという批判も当然あるのであります。 こういうような多くの問題を抱えました外交課題に対して今後どういうような態度で、三木臨時外相代理というよりは総理としてどのような態度で外交課題に取り組んでいかれますのか、まずこの問題について御答弁を願っておきたい、こう思うのであります。
○三木内閣総理大臣 一カ年間私、三木内閣をやってきたわけです。その間に堂森さんも御指摘のように、海外ではアメリカに参りましたし、パリに参って、日米首脳会談、パリにおける六カ国首脳会談、そういう会議を通じて、日本とアメリカ、あるいは日本と西欧諸国との関係というものは非常に新しい関係を築き上げることができたと考えております。それは相互の理解を深めて、相互の国際協力というものの一つの基盤をつくることに成功した会議であると思っています。 それからまた懸案の問題としては、日中間の実務協定は全部、漁業協定を最後にして終わったわけです。これからは日中平和友好条約をできるだけ速やかに締結をしたい。このことは堂森さんも御承知のように宮澤、喬両方の外交責任者によって、相当長時間国連総会の機会に話し合って、相互の理解を深めることに役立ったと思っておりますから、両国においてその会談の内容というものを分析し検討して、まあ呼吸が合えば日中の平和友好条約は早いと思っております。 もう一つの懸案は、継続審議になりましたけれども核防条約、これは私はぜひとも早期に批准をしたいという考えでございましたが、この国会は、いわゆる景気回復などを中心とした限られたる問題をしぼっての臨時国会でありましたから、通常国会にはぜひこの核防条約というものは批准を受けたい、こういうふうに考えておるわけであります。いままでの懸案というものが将来解決を見て、こういう懸案を解決したいと思っております。それが行き詰まっておるとは思ってないわけなんです。 それからその後の問題でありますが、いま堂森さんも御指摘になったように、これはわれわれ先進工業国同士、ランブイエなどにおいて、やはりこれはお互いに協力し合っていこう、相互の依存性というものが非常に高まってきておるわけですから、しかもデモクラシーの政治体制を持ち、自由経済体制を持っておる六カ国でありましたから、お互いの国際協力を通じてやはり今後協力しようということを誓い合ったわけです。そういう先進工業国の協力も必要でございますが、やはり御指摘になったように、これからは南北問題といいますか、先進工業国と発展途上国との格差というものが拡大する一方でありますから、そういう状態で世界の平和繁栄ということにはなかなか、そのことを達成するためには障害になるわけでありますから、今後はどのようにして南北問題というものを調整していくかということが大きな国際的課題だ。日本の場合は近代工業国家になったといっても最近のことでございますから、西欧の諸国に比べて、そういう発展途上国の現在置かれておる立場を心情的に一番理解しやすいのは日本でありますから、ランブイエの会議などでも非常にそのことを私は痛感したわけです。 そういう点で、先進工業国でもあるし、またついこの間うちまでは発展途上国と変わらない面もたくさんあった日本でございますから、今後、何か一つの橋渡しといいますかこの問題の調整ということについて、いろいろな角度から日本外交というものは新たなる使命を持っている、そのことが世界の平和、世界全体の繁栄にも通ずる、将来の日本の外交というものに対してそのように考えておる次第でございます。
○堂森委員 ただいま総理が御答弁になったことの内容について二、三の重要な点がありました。時間が許す限り具体的にお尋ねをしてみたいと思うのであります。 しからば、ランブイエの会議で南北問題についてあなたは重要な発言もされたというふうに報道もされておりますし、あなたもそういう意味で帰国されまして以来、各党の党首とも会われていろいろ御自身の考え方も発表しておられるようでありますが、わが国は東南アジア諸国という発展途上国をわれわれの周囲に持っておるわけでありますが、発展途上国に対し、三木総理は具体的にどのようなことをやっていこうとしておられるのでありますか、いま具体的な御答弁は何もございません。この点について御答弁を願っておきたい。
○三木内閣総理大臣 やはり経済と政治の安定というものはうらはらの関係ですから、貧困な状態にいつまでも置かれている、平和とは両立しないですね。貧困と平和とは両立しないわけですから、どうしても貧困からの脱却といいますか、そのためには日本がその国の立場に立って経済的な自立、経済的な向上、こういう面を図り、あるいは技術あるいは資本あるいは経験、こういうものを通じて日本は協力する。いままでもしてきたわけでございますが、その間いままでのやり方がそのままいいとも私は思わないわけでございますから、そういうことに日本も反省を加えつついわゆる経済的自立を助ける。これは経済の面ですが、あるいは社会開発の面でいろいろと協力する面はありますね。そういう点でとにかく生活の安定向上、民生の安定向上というものに対して、軍事的には日本は何もできないわけですから、日本の考え方を押しつけるというのでなしに向こうの立場に立って、これから各国ごとに事情が違いますから、きめ細かく各国の事情に即応した協力をしていくことが今後の東南アジアに対する日本の方針であるべきだと考えております。
○堂森委員 どうもせっかくの総理の御答弁でありますが、やはり具体性を欠いておると思うのであります。たとえば、東南アジアの諸国は主として第一次産品の輸出国である。これに対してあなたは、ランブイエにいらっしゃる前は、経済的にあるいはこれらの諸国における農業を守って助けるとかあるいは経済的な発展を助けるために基金をつくっていくとかいろいろな構想を持たれるというふうに、新聞には報道されております。そうした意味での経済的などんな手を打っていくべきであるか、打とうとしておられるのか、しつこいようでありますが、もう一度答弁を願っておきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 食糧の事情などからして農業開発というものがこれはもう世界的に決まったわけで、日本もこれに賛成して、日本の割り当て分に対して拠出をする考えでございます。 私がランブイエで言ったことは、第一次産品に対する所得に対して安定をさすようなロメ協定のようなものを、ああいう地域的なものでなくして、第一次産品を世界的な規模でひとつ取り上げようではないか。アジアはアジアとしていろいろな、その中にヨーロッパ、アフリカとはまた違ったものがありますから、その国の所得を安定させなければならぬ一つの品目を加えて、世界的な規模で所得補償といいますか、所得の安定を図るような仕組みを考えようではないか、この考え方には各国とも賛成であります。南北のいろいろなUNCTADとか今度の産消国会議などもそういう問題を取り扱う会議でございますから、これが次の国際的な会議によってこういう問題が取り上げられて解決をされていくし、日本は推進をしたいと思っておる次第でございます。
○堂森委員 会議に行かれる前は、三木総理は、新ロメ協定ともいうべきような構想を持って勢い込んでこの会議に臨まれるのだというようなことも報道されております。しかし、これもいろいろな意味で立ち消えのようになったようなふうに私は印象を持つのでありますが、どうも時間がそうございませんのでこれ以上お尋ねできません。 それから、前回の外務委員会で外務大臣の宮澤さんに、総理は来春は東南アジアを訪問される予定があるのではないか、すると外務大臣は、その計画はありません、準備しておりません、こういう答弁をしております。きのう参議院の外務委員会では、あなたは、国会が済んだ時点等で東南アジアを訪問したい、こう言っておられるのでありまして、外務大臣は、何も準備をしておりません、こういうような答弁をしております。そこで、やはり総理は、時期はともかくとして、国会が終了したような時期に東南アジアを訪問される計画を具体的にお持ちでありますか、重ねてお尋ねをしておきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 いま何も私計画を持っておるという答弁をしたのじゃないのですよ。きのう参議院で、いろいろヨーロッパへ行ったりするが、アジアの方の首脳部とは話すような機会を持とうと思ってないのかという御質問でありましたから、いま計画はないのです、ないのですけれども、国会でも終わって、そういうふうな場合には考えてみたいと思っておるのですということで、何も計画を持ったり、また外務省に指示してそういう予定をつくっておるというそういう意味ではないのです。私も、そういうことを考えないのかと言うから、そういうこともやっぱり考えてみたいと思っておりますと答えたのでございまして、計画がないと外務大臣が答えることはそのとおりで、私自身も計画を持って言ったわけではない。そういう考え方を持っているということを申したわけでございます。
○堂森委員 そこで、さっきの外交的課題についてのあなたの構想の中に、日中友好平和条約を早く締結していく、こういうことが一つのあなたの重要な外交的課題である、こう申されました。私もそのとおりだと思うのでありますが、しかし、伝えられているところによりますと、覇権条項の問題で友好平和条約はすでにもう一年間その交渉の経過がたっておるのでありますが、一体総理は日中平和友好条約についての見通しはどのように持っておられるのでありますか。また、言葉をかえて言えば、いつごろこれが妥結していくというふうにお考えでありますか。この点も承っておきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 私は、日中両国はこれはもうある一時的なものでなしに、永遠な日中の平和友好の基礎を固めることが、日中両国のためにも世界のためにも非常に好ましいことである、こう考えておるわけですから、できるだけ早く締結をしたいという考えを持っておるのですが、しかし、これは両方とも相手のあることですから、私の期待するのは、この問題は御指摘のように長い時間かかっておる問題ですから、できるだけこの機会に妥結を図りたいと切に願っておるものでございます。妥結を図るについては両国ともがやっぱり心から納得するものであることが必要ですから、そういう点で、宮澤、喬両外交責任者の長時間にわたる話し合いを通じて、相当両国の立場というものも理解を深め得たと思いますから、その理解を深め得たことを基礎にして両国とも分析し、検討をしておるのが現在の段階だと思います。お話がこう両方ともまとまれば一気に解決する場合もある。できるだけこの問題は早期に解決をしたいと私は願っておるものでございますが、いつだということは、これは日本だけのなにでもないわけですからちょっと時期を切ることは困難でございますが、できるだけ早くこの問題を妥結を図りたいと切に願っておる次第であります。
○堂森委員 せっかくの御答弁でありますが、どうも私わからぬのであります。友好平和条約をできるだけ早く結びたいのだ、そう総理が念願されることは、これは日中共同宣言で当然のことでありますし、また、あなたが総理大臣になったときから公約をしておられることでもありますから当然だと思うのでありますが、いまのような両国の、宮澤、喬冠華向こうの外相ですか、二人の交渉は、それで順調にいってもう早い時期に妥結するというお考えでありますか。あるいは、あなたが総理として首脳会談等も持つとかいうようなことで、一日も早く妥結させようとしておられるのか。いまの外相間の交渉で十分であるとお考えでございますか。この点も承っておきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 われわれが守らなければならぬのは日中共同声明ですから、あれから後退することは許されることではないわけですから、あれはやはり前進させるものでなければならぬ。日本の考えておる考え方というものは、日中共同声明を後退させるという考え方は全然ないわけですから、これを前進し発展させていこうという考えでございますから、やはり両国の理解というものは得られるものと考えておるわけですけれども、外交交渉というものは、私は、ここでいつまでと期限を切ることは堂森さんには御親切なようにも思われますけれども、ちょっと無理なところがあるんですね、相手のあることですから。ですから、期限をいつまでとは申せませんが、私は、できるだけ早くこういう問題は解決をして、いまでも日中関係というのはなかなかいいわけですけれども、その基礎を固めたいと願っているんだということ以上に、期限を切ってはちょっとこの段階で申し上げることは適当でない、こう考えます。
○堂森委員 私は別に、具体的に期限を切れと言っているわけじゃないんです。 それでは、たとえばどこにきょうまで一年間かかった難点があるとお考えでございますか。この点をそれでは承ります。
○三木内閣総理大臣 覇権問題というもの、これがやはり一番問題になったことは事実です。その間お互いの理解というものが、両国の立場というものに対しての本当の理解が十分でなかった点も率直に認めざるを得ない。いまはお互いの立場というものをよく理解し合ったわけですから、そういう理解が十分でなかったという点についてはある程度理解を深め得たというので、私はこういう問題ができるだけ早く解決されるようなことを期待いたしますし、期待する背景は、両国の立場の理解が前よりもずっと進んだからということが根拠になっておるわけでございます。
○堂森委員 どうも三木総理は答弁がなかなかお上手なものですから……。もう少し具体的に御答弁願いたいのですが、時間がありませんで残念なんでありますが、それじゃ、覇権条項を本文に入れるとかあるいは前文で済ますとかそういうことではないのでございますか。
○三木内閣総理大臣 どこへ入れるかということはその条約の技術論だと思います。覇権問題に対しての理解、そのことが一番重要なんでして、どこへこれを入れるかということは条約作成上の技術的な問題であって、覇権というものに対しての両国の理解をし合うということが問題の本質である、こう考えております。
○堂森委員 それではもう時間もありませんから、総理は、日中友好平和条約に関連しては、日中両国の外務大臣間の交渉に任せておいて、あなたが首脳会談としてこれを解決していくようなことに出ることは当分ない、こういうことでございますか。
○三木内閣総理大臣 いまはせっかくこう、外相間で——初めてですからね、ニューヨークで外相間で話したのは。やっぱりこの交渉の推移を少し見てみたいと思っておるわけでございます。
○堂森委員 時間もありませんからもう一点だけお尋ねして……。 第八回の日韓定期閣僚会議共同コミュニケの第五項で、広く国民的基盤に立脚した善隣友好関係を発展させることを表明しておるのでありますが、総理としてはこれは具体的に何を目指そうとしておられるのでありますか。この点についての御答弁も願っておきたい、こう思います。
○三木内閣総理大臣 私は、外交というものは両国政府だけのことでは、やはり国民を離れて外交はないわけですから、目指すところは、両国の政府間の友好的な関係というものは必要でございますが、国民の間にも広くそういう関係を支持する、国民の間にもそういう政府と同じような考え方があって、両国の友好親善な関係を促進しようというすそ野が広くないと、なかなか目的は達成できぬ。これは韓国に限らずどこの国でもそう思うわけでございます。だから、いろいろ各国においても単に政府間ばかりでなしに、民間の交流などをいろいろな点において促進をする、そういう政策をとっておるのは、そういう基本的な考え方に基づくものでございます。
○堂森委員 私、もっとこの問題についてもお尋ねしたいのですが、時間がありません。 金大中氏の事件の最近の韓国における裁判の結果の問題等、いかに申しましても日本の国民の良識ある人たちは、この問題が日韓両国の国民的な善隣友好関係を促進するような方向には向かっていないという印象を、国民の多数の人が持っておると思うのであります。 そこで一九六五年に締結されました日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定、そして有償無償で五億ドルのお金が韓国に渡される。これが十二月十八日に発効しておるのでありますから、したがって、もうこれはことしでこの効力がなくなるわけであります。そこで、今後の日本と韓国との間における経済的な協力関係を推進するとこの閣僚会議で決まっておるわけでありますが、総理としてどのようなやり方で協力関係を保っていこうとしておられるのでありますか。いろいろこれについても議論はしたいのですけれども、もう時間がありませんから、政府の基本的な態度だけをお尋ねしておきたいと思うのであります。
○三木内閣総理大臣 今後の経済協力は韓国の政府から要請されたもの、民生の安定というものを中心にしてプロジェクトごとに検討するということでございます。
○堂森委員 韓国は、今後も政府間ベースで経済援助をという申し入れをしておるのでありますが、必ずしもこれに対して総理としては全面的に協力していくという態度ではございませんですね。念を押しておきたいと思います。 〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
○三木内閣総理大臣 プロジェクトごとに検討すると言ったのは、民間の協力もありますし、政府の協力もあるけれども、それはやはりそのプロジェクトごとに、政府が協力する場合にも民生の安定上の必要度合いなどを勘案して決めるということでございまして、いままでのようなやり方とは違ってくるわけでございます。
○堂森委員 終わります。
○毛利委員長代理 河上民雄君。
○河上委員 きょうは三木総理が臨時外務大臣でこの委員会にお出になっておられますので、時間の制約もございますから、余り技術的な、実務的なことをお尋ねしてもかえって御迷惑かと思いますので、むしろ総理の信念というようなことを伺いたいと思うのであります。 いま堂森委員から金大中事件の問題に触れて御質問がありましたけれども、金大中氏にかかわる裁判が行われるまでは、金大中氏の出国は裁判が終われば一般人並みに自由になるというふうなイメージがあったことは、三木さんもお認めと思うのでありますが、そして政府による政治決着というのはそういうイメージの上にのってつけられたと思うのでありますけれども、今回裁判の結果は、金大中氏に対し禁錮一年という、われわれから見まするとはなはだ理解しがたいのでありまするけれども、そういう非常に過酷な判決が下っております。今後相当期間出国は不可能になったというふうに見ざるを符ないのですが、こうなりますると、政府は、初め日本国民あるいは国会に対して、三木総理自身が言われましたように、選挙違反事件が早く解決し、金大中氏の自由が回復されることを願っているというお気持ちとは全く反対に、裁判が終われば出国は自由ということは、実は何の保障もなかったのではないかという疑いが出てくるわけでございます。三木総理は先般、十月末の衆議院予算委員会においてそういう希望を表明されたわけでありますけれども、今回の結論をお聞きになって、一体どういうふうにお考えになるか、また、あのように予算委員会ではっきりと希望を表明された総理のお立場として、こういう疑問に対してどうお考えになりますか、伺いたいと思います。
○三木内閣総理大臣 河上君の御質問でありますけれども、韓国の裁判に対して私が批判を加えるということは適当ではない。それで金大中氏のことについては私も重大な関心を持っている。だから韓国の要人には私はいつもそのことを話さないことはないぐらいであります。国民が重大な関心を持っている。 ただしかし、この外交的な決着のときの了解は、やはりいまの係争中の事件が解決しない前は、これは身柄が自由でないわけですから、それが解決をした後においては韓国人並みの自由、出国も含めて自由を回復するというふうにわれわれは了解をしておるわけです。したがって、われわれの願いは、ああいう形で金大中氏が拉致されたわけですから、金大中氏の自由回復というものに対しては重大な関心を持ち続けておるわけですけれども、とにかく韓国の法律によってああいう選挙違反事件のようなものがあって、それがまだ係争中である、完全に金大中氏の自由というものが回復されてないというわけでございますから、われわれとしては金大中氏の身柄については日本政府は重大な関心を持ち続けて、一日も早く自由な身になることを願っている。それ以上、韓国は韓国としての国内法がありますから、これに対して私どもが干渉をするということは、それは適当ではないことは申すまでもないわけでございます。
○河上委員 金大中氏の自由回復について日本政府は非常に重大な関心を持っておるといま総理が言われましたが、ということは、裁判の結果については、政府としてはもう何も言えないという立場であったということが一つあるというふうに理解してよいかどうかということが一つ問題がありますし、もう一つは、もし裁判の結果、それがたとえば刑期が終わるならば直ちに当然出国をする自由を回復して、原状回復ということに一こういうことは本来の原状回復とは遠いことでありますけれども、こういう事態になっても、なおかつ金大中氏が自由に日本へ来られる状態を希求するというふうな政府の意図というふうに伺ってよいのかどうか。
○三木内閣総理大臣 韓国の裁判に対して日本政府はこれを批判する立場ではございません。それは韓国は韓国としての主権を持っておる国の法律でございますから。ただ、そういう係争事件が終わったときには、出国を含めて金大中氏の自由は回復されるということが政府間の了解になっておるわけでございますから、これはわれわれとしては、その了解に対して韓国政府が誠実に実行するものと考えておりますし、われわれとしてもその実行をしてもらわなければ困るという立場であることは申すまでもございません。
○河上委員 大臣は十月末の予算委員会でも、一日も早く解決して出国の自由が回復せられることを願っているというふうに言われた上で、またそうしたことが可能であるというイメージを一般国民にも与えた上で、政治決着がなされた。そういうようなことを考えますと、今回の判決というものは、政府としてはどうすることもできないという立場を持ちながらも、やはりいわば内心じくじたるものというのですか、良心の苛責というか、そういうものをお感じじゃないかと思うのでありますけれども、きょうは時間が余りございませんが、そういう良心の苛責を感ずるような、いわゆる未必の故意とまで言っていいかどうかわかりませんけれども、結果としてそうなったということについて、非常に強い反省をしてもらわなければならない、こんなふうに私は思うのでありますが、きょうはただ大臣の御見解を伺うにとどめますけれども、ぜひそういうことをもっと痛切に、自分が投げた球が相手に与える痛みというものを十分感じた上で球というものは投げなければいかぬということを私は強く申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。 先般来、この委員会におきまして、また他の委員会におきまして非常に問題になっておりますのは、領海の問題であります。これは三木外務大臣臨時代理も御承知のところであろうと思いますが、先般宮澤外務大臣も、従来政府は、国際海洋法会議の結果を待ってという姿勢を示してまいりましたが、日本近海でのいろいろな状況から、沿岸漁民の願いを入れて、来春のニューヨーク会議前にも領海十二海里にすべきであるという立場で実際的な検討に入る、こういうことを言明されておりますけれども、このように方針を変更したようでありますが、三木さんもそのようにお考えでいらっしゃいますか。
○三木内閣総理大臣 この問題の解決は、来年の海洋法会議の結果を踏まえてすることが、海洋法関係の上からいったならば、一番やはり好ましい。国際海峡などに対してのいわゆる航行権の問題もあるわけですからそう思うのですけれども、いま河上君が御指摘のように、日本近海における漁民との間にいろいろな紛争が起こっておることから考えて、漁民の利益を守るという点からいえば、海洋法会議の結果を待ってというのは、そこまで至らないうちに何か日本が領海十二海里というようなものに対して宣言をするようなものもどうであろうかということで、それも含めてただいま関係各省間で検討を進めておることは事実です。そういうことも含めておるわけでございます。
○河上委員 三木大臣は、先般の予算委員会でわが党の楢崎委員の質問に答えて、非核三原則は無条件で守るということを非常に明確に言明されまして、われわれはこれを非常に高く評価いたしておるわけでございます。領海十二海里になっても、非核三原則を改正したり修正したりあるいは例外規定を定めるようなことは、総理のお考えから万々ないと思うのでありまするけれども、この機会でございますので、特に重ねてその点について大臣の所信を伺いたいと思います。
○三木内閣総理大臣 非核三原則は、わが国の権限の及ぶ範囲内においてはこれを崩すことはないわけでございます。国際海峡について、日本もそういうよその国際海峡を通るわけですし、向こうもまた日本の国際海峡を通るわけで、いわゆる国際海峡における航行権といいますか、そういうものが海洋法会議でどういうふうに決まるかということと関連はあるわけでございます。したがって、今日私の申し上げることは、日本の権限の及ぶ範囲内において非核三原則を崩すことはないということでございます。
○河上委員 いまの大臣のお言葉はかなり専門的な知識を持ってお答えになっているようでございますけれども、私は、精神においては、やはり領海は無条件でわが国の主権の及ぶところである以上、三木総理のいまのお言葉は、そういういろいろな例外規定を予想したものではないというふうに承っておきたいと思うのでありますが、きょうは、冒頭申し上げましたように短い時間でもありますし、せっかく総理がおいでになりましたので、たとえ臨時外務大臣代理とはいえ総理でございますから、余り細かいことをこれ以上申し上げずに、所信を承るということで私の質問を時間どおりに終わりたいと思いまするけれども、ひとつ、いま言われました言葉を基礎に、今後本委員会においてももう少し詳細に論議を展開したいと思っております。 それでは、これで質問を終わります。
○毛利委員長代理 水野委員。
○水野委員 総理に伺いたいのですが、私は十分しか時間がありませんから、簡単に日中問題について伺いたいと思います。 堂森委員からも御質問があったようでございますから、最初から前段抜きの話ですが、日中平和友好条約の交渉については、御承知のように宮津外相と中国の喬冠華外相との国連における会談がありまして、そこで四つの基本見解というものが示されております。それは御承知のとおりであります。 ところで、これは私が直接聞いたわけでありますから、正式の外交ルートとかそういうことではありませんが、私が中国側の何人かの方々から聞きますと、中国側は、日本側から四つの基本見解というものが示されておることはよく知っている、しかし、ああいうものを日中平和友好条約の条文の中に、前文であろうと本文の中であろうと、そういうものがいろいろあって入るのでは意味がない、これは日中共同声明のいわゆる後退だ。これは私が言っているのじゃないですよ、彼らがそう言っているということであります。これについてまず総理はどうお考えかということが一つであります。時間が大変ないので、簡単にひとつ伺います。 それから、これは私は間違っているかもしれません、新聞その他いろいろな方々から聞くわけでありますが、最近宮澤外務大臣は、記者会見などの席のようなところで、ある程度覇権問題については踏ん切って——踏ん切ってということは、ソビエトからの非難その他があるかもしれない、あるかもしれないが、ここはもう踏ん切って、覇権問題について踏み込んだ交渉をしていくしかないというようなニュアンスの話をされているようにも聞くのであります。総理のきのうの参議院のお話は新聞に載っております。新聞の記事が全部一〇〇%合っているかどうかはわかりませんが、参議院では、理解に時間をかけても、こうおっしゃっておるわけです。球は別に向こうに投げたわけではないので、向こう側にげたが預けられているわけでもないというような、ちょっとつかみどころのない回答をしておられますが、日中平和友好条約の交渉もかなり長くなっております。御承知のように、こう長くなっていることが、今度はソビエトとの問題にも波及をしそうでありますが、ひとつ、いま私の申し上げたことについて総合的に御見解をいただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 私は、宮澤外務大臣が覇権というものに対して、日本の立場から日本側の考え方をいろいろ述べられたことが、共同声明の後退を意味するとは思ってないのです。各国とも外交政策があるし、いろいろな憲法の規定もあるし、その枠内で外交はやるよりほかにないわけですから、共同声明にしたところで何にしても、ああいうことを言ったのは皆その枠内で言っておるわけでございますから、共同声明を後退させようという意図はないのですよ。あれで日中の国交正常化をなし遂げたのですから、それを後退させようというなら、日本の背信行為だと私は思う。そう考えないのです。後退ではないということと、またボールを中国側に投げたということは適当ではない、ボールは日本にも投げられておるので、どちらにボールがいまあるかということを、いま中国側へボールは投げられたんだ、その返事を待っておるのだというふうには考えない。これは両方の外交の責任者の話を踏まえて、日本側も中国の立場というものに非常に理解を深めたのですから、日本が分析し検討しておるわけで、ボールがどちらへ行っておるという表現は、私は適当でないので、そう言ったわけでございます。大体外交交渉とはそういう場合が多いと私は思うわけです。 それからソビエトの関係は、これは日中間で結ぶわけですから、したがって、この条約はソ連を目標にして日中間で結ぶわけでもないわけですから、あくまでも日本と中国との問題であると、こういうふうに考えておるわけでございまして、そういう見地で解決をしたいと思っておるわけです。
○水野委員 昨年の暮れでありますか、三木内閣が発足する直前ですが、御承知のように自由民主党から保利訪中団が行かれました。その当時、もちろんこれは非公式な話だと思いますが、保利先生が帰られたときの感触では、覇権問題というものはそれほどきわめて重要だとは自分は思わないということを私どもに漏らしておられます。ところがその後、ことしの二月ですか、中国の人民代表大会を経てみますと、明らかにこの覇権問題が中国の憲法の中に明記されるようになっております。私は、実はこの中国の人民代表大会の以前と以後とにおいて、この覇権問題という言葉はきわめて大きな質的な変化があったと、こう思うのですね。宮澤外務大臣は四つの基本見解を示されたと思います。確かに私もこの見解以上に踏み込むことは日本の外交方針としては将来何か困ることが起こるかもしれないという心配を持っておりますけれども、あくまでもこの基本見解というものは、総理はこれは踏み外さないのだと——技術的なことというふうに総理はよくおっしゃっておられる。予算委員会なんかでテレビで拝見するとおっしゃっておられますが、私は技術的なことじゃないと思うのです。これはきわめて重大なことだと思うのです。しかも、われわれはソビエトに対して何も考えていないわけですが、ソビエトを刺激することは、再三モスクワ放送だとかタス通信だとかいうものがいろんな非難、攻撃をして新聞に載せている。これもある意味においてはソビエト側の日中に対する恫喝だと思うのですね。私は一種の恫喝だと思うのです。この辺について、総理は覇権問題についてはどういう認識を持っておられるか、技術的とおっしゃるけれども、私は技術的ではないと、こう思うのですが、いかがでございますか。私、時間がないので、これで質問を終わらしていただきます。
○三木内閣総理大臣 私は技術的とは言っていない。その条項をどこへ入れるかということは技術的な問題である。そして、やはり一国は、どこの国にでも外交政策があるわけでしょう。その外交政策の限界は越えるわけにはいかないですね。そういう点で皆、一国は一国の置かれておる憲法とかあるいはまた外交政策とか、その基本に立って、その上に立って共同声明でも結ばれるものですから、だからそう私は、これは日本がいまになってむずかしい問題を提起したとは思っていないのです。もう少し両方がよく話し合ってみれば、案外意見の一致するところも私はあるのではないかと思うのです。われわれも中国の立場はよくわかるし、中国だって日本の立場はよくわかるわけですから、そういう大所高所から判断すれば、大きな根本的な対決だというふうに私は思わないのです。そういうことで、この問題はできるだけ早くそういうふうな、両国が大局的な判断でこの問題に一つの妥結をしたいものだと願っておるわけでございます。
○水野委員 これは御答弁要りませんが、御承知のように在日陳楚中国大使はいま帰国をしております。恐らくこれは近いうちに帰ってくるだろうと思います。この際に私は、転換があれば、中国側に変化があれば、そこから出てくるのかもしれないと思います。それと同時に、ことしじゅうに来るという約束をしておったグロムイコ外務大臣が、年内には来ないということですが、どうも一月ぐらいには来日するだろうという話も聞いております。言ってみれば、年を明けて一月になれば、この覇権問題をめぐって、日中平和友好条約の締結をめぐって、私は三木内閣が一つの試練といいますか決断を迫られる時期が来るのではないかと思いますが、ひとつ賢明なる国を誤たない外交を展開していただきたいと思っております。これはもう御返答はけっこうでございますから……。 以上で質問を終わらしてもらいます。
○毛利委員長代理 松本委員。
○松本(善)委員 三木外務大臣代理に伺いますが、外務大臣代理は同時に総理を兼ねてもおられますから、日米安保条約の運用、特に軍事協議の問題についての大きな観点からの、どういうふうにしていくつもりなのかということを少し伺いたいと思うわけであります。 このフォード大統領が発表しました新太平洋ドクトリンでも、日本との協力関係というのがアメリカの戦略の柱に位置づけられておりますし、それから三木・フォード会談でも、安保条約の効果的な運用ということを非常に強調し、日米軍事協議機関ができてきた。この日米共同作戦ということが公然と語られるようになったということは、いまの時点の新しいことであり、国民は非常に不安も持っておる。私どもが見ておりますところでは、一方安保条約が強化をされている、非常に危険な方向に行っているのではないかということを憂えるわけであります。 そこでお聞きするわけでありますが、この日米軍事協議機関は、安保条約五条に限らず、六条にも及んで包括的な安保条約の運用について協議をすると、こういう趣旨の答弁が坂田防衛庁長官からもなされております。この点について総理は、この軍事協議機関というものについては、安保条約の包括的な運用全体を協議をしていくものというふうに考えておられるのかどうか、この点について御答弁をいただきたいと思います。
○山崎(敏)政府委員 ちょっと事実関係にまたがる問題もございますので、私からまず御説明させていただきたいと思います。 御承知のとおり、本年の八月の初めに三木総理が訪米されました際に、日米共同新聞発表というものが発表されまして、その第四項で、「両国が協力してとるべき措置につき、両国の関係当局者が安全保障協議委員会の枠内で協議を行う」ということが合意されましたわけでございます。これに引き続きまして、八月末の坂田防衛庁長官とシュレジンジャー当時の国防長官との会談において、この日米防衛協力のための諸問題について研究協議するための場を、安保協議委員会の枠内に設けるということが了解された次第でございます。この新協議機関につきましては、その構成、目的、安保協議委員会との関係、協議内容等について、現在日本政府の内部において検討を進めておりますが、近くその結論を得てアメリカ側と協議を行いたいと考えております。現在そういう段階でございます。 そこで政府の考え方といたしましては、この協議機関において、安保条約の目的というものを効果的に達成するための日米協力のあり方について研究協議を行うわけでございますが、その際に安保条約五条の、わが国に対する武力攻撃に際しての協力ということが中心になるのは当然のことだと思います。しかし、日米両国は、極東の平和と安全の維持に共通の関心を有しておるわけでございますから、安保条約第六条に書いてありますように、日本の安全及び極東の平和と安全の維持に寄与するために、米軍が日本の基地を使用するということについても当然話し合いの対象となるべきものと考えておるわけでございます。なお、この第六条との関連においては、御承知のとおり事前協議の制度があるわけでございますが、この事前協議制度に関する諸問題は、従来どおり、外交チャンネルを通じて処理されるべきものと考えておりますので、今度設置されます協議研究機関において、この事前協議制度に関する問題を取り上げる考えはございません。以上、事実関係について御説明申し上げた次第でございます。
○松本(善)委員 いまアメリカ局長の御答弁は、六条の問題についても、極東の平和と安全についてはアメリカも日本も共通の関心を持っているわけだから、新しい軍事協議機関についてはそれは当然協議の対象になるという趣旨の答弁がありました。この点について総理大臣は、三木・フォード会談でこの軍事協議についての始まりをつくられたわけでありますから、そういう考えでやられたのかどうかということについて、三木さん御本人のお口から答えていただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 これは御承知のように、日米安保条約、日米の協力というものを約しておるわけでありますから、しかし、いままではこの日米協力というものについていろいろと具体的に話をする場が必ずしもなかったわけでございます。いろいろあっても必ずしもその目的を十分に達したとは言えませんので、日米安保協議委員会の枠内でひとつ委員会を設けて、そして日米協力というものについて話し合おうではないかという大きな原則というものが同意されたわけであります。どういうふうな目的、趣旨、いろいろな具体的なことについては、まだアメリカ側と交渉はしていないわけでございますが、日本の部内においてただいま検討されておる最中でございます。
○松本(善)委員 極東の平和と安全にかかわるという共通の関心事ということで、六条についての協議も含めようということになりますと、これは日本が外国における武力行使について、軍事協議でありますから、関心を持つ、こういうことになると思います。これは憲法の趣旨から見て、私は、この極東の安全を含めて日米で協議をするというのは、憲法の趣旨からはなはだしく逸脱することではないか、こういうふうに考えますが、この点については外務大臣代理、どのようにお考えになりますか。これは非常に大きな政治問題でありますので、総理、お答えいただきたいと思います。
○山崎(敏)政府委員 ちょっと事実関係について御説明申し上げたいと思います。 安保条約は第五条で、アメリカは日本防衛の義務を負っておるわけでございますが、それと並行しまして、第六条において、アメリカは、日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するために、日本国内において米軍が施設及び区域を使用することを許されるということになっておるわけでございまして、日本は、いわばそういう基地を提供する義務を負っておるわけでございます。そしてその目的の範囲内においては当然われわれとしても協力すべき分野があるわけでございます。その意味において、六条の問題をこの防衛協力に関する研究協議において研究協議することはわれわれとしては当然だと考えます。 ただ一つ申し上げておきたいのは、第五条におきましては、御承知のとおり、武力攻撃がありました場合には両国が共通の危険に対処するように行動するということになっておりまして、いわば共同行動が想定されておるわけでございますが、第六条におきましては、われわれとしてはそういう基地提供義務を負っておるわけでございますから、共同対処行動というふうなことについての協力ということを考えておるわけではございません。つまり、戦闘作戦協力というふうなことを考えておるわけではございません。
○松本(善)委員 三木さんに伺いたいのですが、これはそういう外務省の役人の答える性質のものではなくて、この日米軍事協議の中で極東の安全について日米が協議をするのかどうか、そういう問題を政治的にどう考えて三木さんは三木・フォード会談でこういうことを考えてきたのか、また坂田防衛庁長官を通じて進めさせているのか、極東の安全の問題について、日米が軍事協議機関の中で協議をするということがあるのかどうか、あるとすれば、これは憲法を逸脱するのではないか、こう私は考えるわけです。外国における軍事行動について日本が協議することであります。
○三木内閣総理大臣 この共同の作戦的な軍事行動というものは、これは第五条に限られることは当然であります。ただ六条の場合は基地の提供による協力でありますから、これは軍事の共同作戦行動とは違うわけだと私は思います。したがって、そういうことで、極東の平和と安全という意味、そういう見地から日米間で広範な軍事の共同作戦行動を相談するというふうではないわけでございます。
○松本(善)委員 そうすると、極東の平和と安全の問題について日米の新軍事協議機関の中で協議をするが、それは基地の提供のことであるから差し支えないんだ、こういう趣旨の答弁ですね。それが違っていれば後で答弁をしていただきたいと思いますが、さらにその点について伺いたいのは、この場合に、有事の際に来援したアメリカの増援部隊に、自衛隊の基地を提供するということがあり得るということが答弁をされております。これは、そういうことを考えているのかどうか。これも非常に重大な問題であると思います。これも三木さん自身の口からお答えいただきたい。
○三木内閣総理大臣 そういう自衛隊の基地を提供する場合もあり得ると私は考えております。
○松本(善)委員 そうすると、六条の協議によって自衛隊の基地をアメリカの部隊に提供する。いまあります自衛隊の基地といいますのは、いざという場合にはいつでもアメリカ軍の基地に使われるという可能性を持っている、こういうことになりますか。いまの三木さんの御答弁によりますとそういうことになると思いますが、いかがでしょうか。
○山崎(敏)政府委員 日本が攻撃された場合その他の場合におきまして、アメリカの増援部隊が自衛隊の施設を使用するか否かは、結局そのときの事態に即して判断するわけでございますけれども、その場合には、もちろん手続的には地位協定の二条の手続によることになるわけでございます。
○松本(善)委員 外務大臣代理に伺いますが、三木さんいいですか……。
○山崎(敏)政府委員 ただいまの御説明がちょっと不十分であった点があるかと思いますので、もう一回改めて申し上げますと、自衛隊の基地を米軍のために提供する場合の根拠規定ということになれば、やはりこれは安保条約六条であると思います。安保条約六条で、日本国において施設及び区域を使用することを許されるということになっておりますから、その施設、区域を現在使っているものに加えて提供する場合には、追加提供になるわけでございますから、その根拠は六条でございます。ただ、それに基づいて具体的に提供手続をとるときには、先ほど申し上げましたように、地位協定の二条に基づいて手続をとるということになるわけでございます。
○松本(善)委員 外務大臣代理に伺いたいのは、いざというときに自衛隊の基地をアメリカ軍に提供することがある。手続のことについてはいま説明がありましたけれども、そういう方針をとるということになれば、先ほど私が聞きましたように、自衛隊の基地はいつでも安保条約六条によって、そしてまた地位協定二条によって、米軍の基地になり得るという方針を三木内閣はとっているということであります。それが日米軍事協議機関の中で話し合われるというものなのかということを聞いている。先ほどのお話ではそういうことのようでございますが、その点について改めて御答弁をいただきたい。
○三木内閣総理大臣 それは、松本君のいまの御質問、いつでもということじゃないですね。第五条、いわゆる日本が直接攻撃を受けた場合というわけでございますから、いつでも自衛隊の基地を使うというわけではない。そのときの必要に応じてそういう事態もあり得ると言っておるわけでございます。
○松本(善)委員 自衛隊の基地をそういう形で使わせることがあるということの答弁と受け取りました。 そのいわゆるいざというときのことでございますが、この場合は、いま三木さんも言われましたように、日本でいろいろ問題が起こったという場合だ、いざという場合だということでありますが、となりますと、自衛隊は治安出動でありますとかいろいろなことも考えられているわけです。この点については、日米軍事協議の中で、いわゆる五条として考えられるすべての場合について協議をするのか。そういうことになりますと、これは治安の問題とかいろいろなことが協議をされるのではないか、こういうふうに思うわけです。軍事協議機関の中でそういうこともやられるのかどうか、そういう考えであるかを伺いたいと思います。
○三木内閣総理大臣 これは今度日米安保協議委員会の枠内でつくられる委員会で、日本の治安の問題をそこで相談しようとは考えておりません。これは日本の政府の問題である。日本の治安問題をこの小委員会で取り扱おうという考えはありません。
○松本(善)委員 そうすると、もう一つはB52のことを伺いたいのであります。 このB52については、ベトナム戦のころには来てもすぐ帰らせるということが言われておりました。このB52については朝鮮への発進ということがあり得るということを宮澤外務大臣は言われました。イエスと言うことがあり得る。B52がこの間来たことについて、われわれは大変遺憾に思っておるわけであります。このB52について常駐させるということは考えられないことであると思いますが、そういうことは絶対許すべきでないと思いますけれども、この点についての考えを伺いたいと思います。
○三木内閣総理大臣 私の了解しておることは、台風避難とか緊急避難の場合であって、B52の常駐は考えておりません。
○松本(善)委員 このB52について宮澤外務大臣は、いわゆる九日間戦争、これは三木さんも御存じと思いますけれども、朝鮮半島で事が起こった場合に九日間で制圧をするという九日間戦争、これは抑止力として支持できるものだということを答弁されました。そうすると、それはもう当然にB52が朝鮮半島に出撃をすることをイエスと言うことであります。そういうことを三木さんも考えておられるのかどうか、伺いたいと思います。
○三木内閣総理大臣 まあ有事をどのようにして防ぐかということが一番の課題ですが、そういう場合に、これは皆事前協議の対象になるということでございます。日本を基地にして戦闘作戦行動に出動するということになれば、事前協議の対象になるということでございます。
○松本(善)委員 事前協議の対象になるということは、別に伺わなくてももうわかり切っておることです。その場合に九日間戦争を支持するというような考えであるならば、当然にB52の事前協議がかけられた場合にはイエスを言わざるを得ない。そういうことを三木内閣は考えているのかどうかということを三木さん自身の口から聞きたいわけです。
○三木内閣総理大臣 私が考えておることは、どうしてそういう事態を朝鮮半島で防ぐかということであります。九日戦争を支持するとか、朝鮮半島にそういう事態が起こってこういう作戦を支持するとかしないとかいう考え方は、私の考え方にないということでございます。
○松本(善)委員 B52の朝鮮への発進というのはイエスとは言わないということですか。
○三木内閣総理大臣 事前協議ですから、イエスもあればノーもあるということで、初めからノーとかイエスとか決まっておるのは事前協議ではないということですから、そのときの事態、これを日本の国益を踏まえて事態をどう判断するかということによってノーの場合、イエスの場合があるということが事前協議本来の趣旨であると思っております。
○松本(善)委員 きょうの外務大臣代理の答弁で、六条の問題についても、日米の新軍事協議機関で協議をする対象になるという趣旨の答弁をされ、そしてこのB52の朝鮮への発進については、事前協議であるからイエスもありノーもあるということを言われた。これはイエスを否定されなかった。これはなかなか重大なことで、いままでの内閣ではそこまではっきり言っていることはございません。三木内閣がそういう意味では、いままでの内閣以上に非常に危険な方向へ行っているということ、きょうの答弁でも明らかになっている。そういうようなことは日本の国民を危険に陥れる、朝鮮に焦点を当てたアメリカの核戦争の第一線基地に日本をしていくという方向が一歩一歩とられている、非常に危険なことであるということを指摘をし、抗議の趣旨を述べて、私の質問をこれで終わりたいと思います。
○三木内閣総理大臣 私、アメリカでフォード大統領と話したことは、やはりどうして朝鮮半島の直接の武力衝突を避けるか。何人も朝鮮半島に軍事衝突の事態が起こることを望んでないのですから、日韓両国はもちろん、アメリカもソ連も中国も、また北鮮もそういうことを望んでないのですから、皆が望んでないような事態を朝鮮半島に起こすということは避け得られるわけですから、だれも望んでないわけですから、どのようにしてそういう国際環境をつくるかということが日米首脳会談の主たる——主たるというか、全部と言っていいくらいその話に終始したわけであって、アメリカの核戦争を支持するとか九日戦争を支持するとか、そういうふうな話というものは日米首脳会談ではわれわれの関心ではなかった、やはりどうして不幸な事態を回避することができるかということが日米会談の主たる議題であったということを申し上げて、松本君はいかにも戦争の危険があるような発言をされましたから、そういうことを防ぐかということに、われわれは、日米の話し合いの場合においてもそれが一番中心であったということだけは申し上げて、余り国民に対して不安を与えるようなことは避けたいと思うわけでございます。
○松本(善)委員 三木さんがそういうふうに言われましたから私も言っておきますけれども、言葉ではそういうふうに言われますけれども、しかし実際には宮澤外務大臣は九日戦争を支持すると言い、ここでも朝鮮半島に対して事前協議イエスもありノーもある、それから新軍事協議機関では六条の協議もするということでありますから、言葉と実際にやっていることは全く違う。着々とそういう体制を整えている。私は三木内閣の一番悪い点はそういうところだと思う。国民を逆にだますというところだと思う。私はそういうような答弁はとうてい納得できないです。 終わります。
○毛利委員長代理 渡部委員。
○渡部(一)委員 私はここでどうしても申し上げておかなければならぬ点をまず二つ申し上げたいと思います。 一つは、回りくどい言い方をよしてストレートで申し上げれば、三木さんは前に外務大臣におなりになったことがあり、いまは総理のお立場であり、きょうはまた古巣へ戻ってこられたわけでありますが、総理としての御実績はいろいろなものがあるだろうとも思いますけれども、少なくとも古巣の外交問題では非常に成果が悪いのではないか。有言不実行だし、何にもやらないし、よたよたしているし、肝心かなめのものはみんなしないし、対話と協調じゃなくて疑惑とためらいと言うしか言いようがない。私は、その一番大きな問題は、一つは日中平和友好条約に対する三木さんの決断のなさであり、もう一つは核防条約に対するあなたの党内統制の欠如からくるところの行動のなさである、決断のなさである、こう言うしかないと思う。これを本当にやる気があるのかどうか、私はまずお伺いしたい。総理は明らかにかけ声ばかりであると思われておる。少なくともあなたの一番得意とされておる外交問題、これは致命傷ですよ。どういうお考えであるか、まず承りたい。
○三木内閣総理大臣 それははなはだ失礼な質問である、やる気があるのかということは。努力をしておることは事実ではありますが、相手もあることでしょうし、お互いの相互理解、理解をし合って条約は結ぶことが必要である、時間のかかる場合もある、しかしこれをできるだけ促進しようとして努力をしておることは疑う余地はないわけでございます。
○渡部(一)委員 失礼であるとおっしゃるなら、九月十六日、第七十六国会における三木内閣総理大臣所信表明演説においてあなたは、平和友好条約交渉について日中両国は早期妥結の熱意において一致しておる、締結を期しておると述べておられます。何にもしないじゃないですか。そうして宮澤外務大臣もさらに述べておる。それもしないじゃないですか。 核防条約についてはもっとひどい。外国へ出かけていってあなたは述べられたじゃありませんか。それでやらない。アメリカまで行って演説されて、やらない。そしてあなたの言ったことは、ここのところ、やるぞやるぞというかけ声だけでした。私が怒るのは理由がある。この外務委員会の理事会に出てこられた宮澤外務大臣は何と言われたかというと、核防の問題についてこう説明された。党内において反対派がおる、特に参議院において反対派がおるから今国会に出せないと言う。三木さんは電話をかけて説得中である、もうちょっと待ってもらいたいと言うだけで、やるぞやるぞと言ってそのままになって、今会期においては核防は一回も審議されなかった。これはむしろ背信ですよ。失敬な質問をしているのじゃない。失敬な態度をとっているから、国民に対する裏切りだからなんですよ。できないならなぜ今国会の冒頭に、核防をやりますとか日中をやりますとか叫ぶのですか。私はそれは宣伝文句だけだと思う。あなたがもし本当に失敬だとお怒りになるほどなら、私は何にも言うことはない。実際やってないじゃないですか。外務委員会理事会における説明は、核防はやる気の話ですよ。あなたはどこへ電話をかけたのです。その結論はどうなったのです。説明をしてもらおうじゃないですか。私は、少なくともそういういいかげんな態度でこの外務委員会というのを行われてきた、それに対する抗議を述べておるのです。
○三木内閣総理大臣 政府の態度がいいかげんなものだとは私は思わない。核防条約は次の通常国会で必ず批准をいたす覚悟でございますから、どうか御協力を賜りたいと思います。日中の平和友好条約は、いままで御質問に対してお答えしておるように、日中両国の理解というものも相当に深まってまいりましたから、できるだけ早く妥結を図るように今後とも努力をしたいということでございます。
○渡部(一)委員 予算委員会において私が核防のことを伺ったとき、あなたは、今国会でやる顔をしましたよ。この次の国会と言わなかったじゃないですか。あなたは一回答弁するたびに少しずつ少しずつ下がっていくのですよ。あなたは私におっしゃったのですよ。ほかの人に言ったんじゃないじゃないですか。この次お聞きしたら、そんなことだったらまた下がるでしょう。だから、あなたの言葉に信用が持てないから、私こんなにがみがみ申し上げているのです。 核防の問題について明らかにそうですよ。日中平和友好条約の問題については覇権の問題ですね。先ほど御自分で述べられましたように、覇権の問題が詰まってない、こうおっしゃった。ところが、あなたのお話の仕方を見てみますと、いままでどんなことを述べられたかというと、覇権の問題についてアメリカが余り好意的でないということを宮澤外務大臣は述べられた。そしてその後、アメリカ側が覇権に反対でないニュアンスであるというのがわかった途端に、今度は逆転して、台湾ロビーの問題あるいはソ連の影響性をことさらに述べられるようになった。そしてそれがまた何とかなりそうだから、今度はやりたいというような言い方をして、喬冠華さんとの長いお話の結論を向こうは考えているんだと、向こうにかぶせる言い方をしておる。今度は、その次には、向こうにげたを預けたわけじゃない、球を向こうに投げているというわけでもない、お互いに時期が熟するのを待っているんだという言い方になる。要するに、何を言っているかというと、この間は引き延ばしが行われてきたというだけですよ。引き延ばしがずっと行われてきた。やる意思がないとしか見られない。だから、中国側においての評価も、私は三木内閣に対して少ないんだろうと思うのです。少なくとも三木さんという、日中国交正常化の問題でわれわれが当初に国会の中で議連をつくり、いろいろ活躍をした当時に、そのメンバーに対して有力な助言を与え続けてこられた総理のお立場とははなはだ違う。はなはだ貧弱な行動をおとりになる。そしていつになるかわからない。相手のあることだから交渉はできないとおっしゃるのはわかります。それは外交一般論で、当外務委員会委員としてわれわれは何年かここに出ている以上、そんな原則的なお話を伺おうと思っていない。しかし、覇権の問題について、ほとんど両者の間に意見の相違はないというようなあなたの御判断が確かならば、詰まるのはもう当然のことであって、ほとんど問題がないとしか言いようがない。だから、やる気があるのかないのか、そこのところに問題がかかってくる。もし問題点があるなら、国民の前にお立場を明らかにしていただきたい。こういう問題で中国側がむちゃ言うからこの問題は詰まらないのだ、こう言っていただければわれわれはわかる。しかし、それも言わない、やる気もない、宮津さんに任せているのかというと、任せているのでもない。やらせているのかというと、やらせているのでもない。自分がやるのかというと、やるのでもない。じゃ何をなさるのですか。私は意思を伺いたい。
○三木内閣総理大臣 意思はいまさら言う必要もないわけです。日中間の平和友好条約を早く締結をして、日中の友好関係の基礎を築きたいとだれも望まぬ人があるでしょうか。そんなものはないでしょう。みんな、やはり日中間というものは友好関係の基礎を築いてもらいたいというのが、中には一部反対の人はあっても、国民の総意ですよ。その意思を体して、われわれもこれはやりたいと思っておることは事実です。ただしかし、外交交渉というものは、お互いに両方の立場というものをよく理解し合って結ぶことが、長い日中の将来にわれわれは友好関係を維持していきたいと願っておるわけでございますから、その結ぶ最初において両方の理解というものが十分な理解を得て、そういう上に立って結ぶことが好ましいということでいままで交渉を重ねてきたわけですが、いままでは外相レベルで話し合いをしたことが残念ながらなかったわけです。今回国連総会において長時間話し合って、両国の立場というものの理解が深まったことは事実です。完全に了解したかどうかということは、相手のあることですから、これは予測することはできませんが、しかし理解の深まったことは事実ですから、そういう理解の上に立って会談の結果を分析し検討して、そしてできるだけ両国の合意が達成できるように、あらゆる機会を得て促進をしたいと願っておるわけで、これを何も引き延ばす理由はないじゃないですか。何で引き延ばしてそのことがいいのですか。ないのですよ。 人間の善意というものを信じなければいけない。皆そうやって疑ってかかれば仕方がない。何で私が延ばして得になるのでしょうか。できるだけ早くやりたいということは私の願いですよ。しかし、その前にはやはり両国が完全に理解をすることが必要である。これは永遠にわたっての日中の友好の基礎を築きたいというわけですから。そういうことでいままで時間をかけておるわけですが、それは何も引き延ばすということが目的じゃないんですよ。しかし、外交というものは必ずしも希望どおりに運ばない場合もありますから、延びる場合もあるでしょうけれども、私自身やりたいという意思があるのかないのかということは、私も気が長い方だけれども、人の善意というものを人間はもっと信じなければいかぬなという感じがいたします。
○渡部(一)委員 私は総理から修身の講義を承るつもりは毛頭ない。総理は残念ながら、言葉で言ったことと実態が違って受け取られているという残念な政治的ポジションに対して、御反省がなさ過ぎると思いますよ。少なくとも、これはあなたの言った施政方針表明演説じゃないですか。あなたは二回にわたって日中平和友好条約をやると言っておいて、延ばしたじゃないですか。毎度毎度言う、毎度毎度予算委員会で言う。しかも衆議院だけじゃない、参議院まで行って言う。七百人の国会の代表に言う。テレビで言う。そしてやらない。私が意思を聞きたくなるのは当然じゃありませんか。私はしかもそれを非常に礼儀正しく聞いていますよ。 あなたは、やりたいのだ、やりたいのだと言って何もしない点では、核防も同じ、日中平和友好条約も同じ。こういうやり方で来られたから私は伺っているのです。もう基本的意思を伺っているのじゃないのです。だから、具体的にあなたが本当におやりになるおつもりがあるならば、いつから交渉を開始するとおっしゃったらどうですか。いま検討しているとおっしゃいました。外相同士の話し合いで検討している。何日検討していらっしゃるのですか。三カ月もたっているじゃないですか。三カ月も検討しているのですか。文章の一語一語を辞書でも引っ張って見ておられるのですか。私は検討にしては時間が長過ぎると思います。そして、検討が終わった後の評価はすでにできておるのは、私はもうわかっております。そしてそれに基づいてアクションを起こさなければならない段階になったにもかかわらず、あなたの御決断が出ないと外務省の中では叫んでおる人たちがいるのも私は知っています。あなたはどうなさいますか。だから、要するに一月初頭なら一月初頭でよい。宮津大臣は、御存じないでしょうから、御報告がいっていないでしょうから申し上げますけれども、十二月中はできませんとあの人ははっきり言いました。一月から取りかかりますと言いました。そして、一年はかからぬつもりですというようなことを言われました。私はそれも一つの評価だと思う。しかし、あの方とあなたの御連絡が悪いところから見て、私はまた疑っているのです。疑わざるを得ないと申し上げておる。 要するに、いつからどういう形で始められるのですか。特使を派遣されるのですか。外交ルートを通じて言われるのですか。あなたが訪中なさるのですか。何をどこから始められるのですか。核防についてはやっと、通常国会でと明言されました。その言葉が後にずれぬことを私は期待しています。しかし、日中については後にぼやぼやいくばかりじゃないですか。その結果として、ソ連政府は物を言いに来る。東南アジアの諸国は日本の態度を見て右往左往する。そして日本の外交は右に左に揺れる。それは決して好ましいことではない。わが国を運転するに当たって、そんな怪しげなことをすれば、よけいな侮りを受けるということは歴史が示しているとおりじゃありませんか。だから、日中平和友好条約をやるとおっしゃるならば、いつからこういうことで始めると、われわれの信用できるような具体的なことも挙げておっしゃっていただきたい。いつまでにできるかはわからないかもしれない。いつから始めるぐらいは言えるでしょう。私はそれを申し上げておるのです。総理がそういうことについて説明なさるチャンスを私は与えて申し上げているんじゃありませんか。
○三木内閣総理大臣 与えていただくことは結構ですけれども、渡部さん、私が日中国交を何で延ばす必要があるのですか。やはり一生懸命やろうとしておる。ただしかし、どうやってするんだ、これからいつ行くんだ、そういうふうに畳み込まれますと、これはやはり両方が外相同士で話し合って、その会談を踏まえて中国案をいろいろ検討、分析したでしょう。われわれも中国の理解を深めることかできましたので——こういうものはそう何月何日からどうしてこうして、そういうものでないのですね、外交交渉は。ある時点が来て両方の呼吸が合ってくれば、それはやはりぱっとまとまるものなんですよ。あなたは何日にだれが行ってどうして、こういうことをいろいろと聞きたい。こちらももう一つの大きな懸案として私の頭の中にもあるのですよ。これは日中間の共同声明が発せられてからもう三年もたつわけですからね。そういうことで一日も早くしたいと考えておる。その善意というものはあなた疑ってはいけませんよ。何かもうする意思がないのに言葉のあやで言っておるとか、そういうことはいけないし、日本の外交が右や左へ揺れておりませんよ。日本の外交は外交としてきちんとした道を歩んでおる。右へ左へ揺れたりしておりませんよ。日本の道は、日本国益を踏まえて行っておるので、何もかも政府のやることはもう信用ならぬというこの前提は、外交なんか超党派外交までやるのですからね。そういうふうな考えでなしに、やはり公明党、日中国交正常化の場合には非常に協力をされたわけですからね、そういう輝かしい歴史があるのですから、外交に対しても政府のやることは皆悪意に満ちたような、こういう偏見は捨てなければ外交というものはうまくいかないと私は思うのです。私の善悪ですよ、早くこれ結びたいのですよ。ただしかし、いま言ったように外交交渉は必ずしもこちらの期待どおりにもいかぬ場合もあるし、また向こうは向こうとして、中国は日本に対して言い分もあるでしょう。そういうものを超えて、両方が大局的な見地に立って、これはどうしても解決しなければならぬ問題ですから、私はこれはそんなに遠くない機会に解決できると期待をしておるわけで、証拠を見せろと言われたらいま出す証拠はありませんが、そう考えておるわけでございます。おくれてきておるということに対するおしかりは受けますけれども、一生懸命にこれを妥結したいと考えておるということの善意は疑ってはいけぬということを申し上げておきます。
○渡部(一)委員 私は三木さんを疑っているんじゃなくて激励しておるのです。だからそうひがまないようにしていただきたい。私らはあなたからおっしゃられるまでもなく、日中国交正常化のために努力した誇りを持っています、言われるまでもありません。ところが、もういまずうっと延びてきました。あなたは御就任以来お忙しかったのはわかります。少ない党内勢力でいろいろがんばられたし、その事情がおありなのはわかる、だから私もこの点はずいぶん甘く見ているわけです。だけれども、いたずらに国会でやると呼号しながら何ら手をつけてこないで後ろへ下がるだけである、決断する時期が後ろへ下がるばかりであるというのは、それは外交じゃないだろうと申し上げておる。私が口を開けばあなたがお怒りになるように私はさっきから申し上げておる。それはあなたに決断を迫るためだ。自民党の中のだれとは言いませんけれども、ほかの方だったら早く決断なさる方もいるだろうと私は思う。三木さんはまたゆっくり考えるのが得意な方だから、それはそれで大きな特色があるとわれわれは評価しておる。しかし、日中間の問題である覇権問題が、両者のお話し合いがこれまで詰まっているのに、一歩前進できないのは最後の決断を総理がなさらないからであるということは、もういままでの委員会審議その他から浮かび上がってきておるから申し上げておるのです。だからその点を責任を持って一歩前進をしていただきたい、一歩前進をなさるべきではないのか、いままでの輝ける経歴からいっても、この問題をあなたが一歩前進して片づけるべきではないのかと申し上げておる。私が不信を抱いておるのじゃ毛頭ない、国民が不信を抱いておる。三木内閣の支持率が少なくなっていくのは、あなたは激励だと言われたけれども、支持率が下がってくることの一つはそういう決断すべきときに決断してないという印象が濃いからでもあるということをわかっていただかなければならない。私は日本の外交が右往左往していると言ったのではなくて、日中問題をこうもぶらぶらさせておけば、横のほかの第三者や第四者からいたずらに干渉を招くから、わが国の外交方針がとりにくくなるではありませんかと申し上げておるのです。だからそこのところをお間違えのないように。 私は、あなたに本当はやさしく申し上げておるのです。こんなやさしい言い方があるのでしょうか、あなた。がんばってもらいたい、がんばっていただきたい。あなたのお言葉を聞く限りでは、こういう応答を聞くだけでは、まだ日本の国民もわれわれも、日中本当におやりなのかなという自信ができないじゃありませんか。少なくとも御就任以来一年間延びている。意識的に後ろへ下がったかどうかは別ですよ、延びちゃっている。延びちゃっているから、どうしたのですかと、私が意思までもう一回お尋ねしなければならなくなっておる。善意を信じてくださいと言う前に、行動しなければいけない。政治家は行動でこたえなければ単なる口舌の徒じゃありませんか。あなたの演説でもおっしゃっているじゃないですか。信がなければ立たないとあなたは有名なせりふをおっしゃっているじゃないですか。信が立つには行動がなくてはならないとあなたはおっしゃったじゃないですか。あなたの演説を私も承ったことがある。だから同じように申し上げておる。日中関係を御するに当たって、あなたはその自分の行動でこたえていただきたい、決断でこたえていただきたい、そして英邁な判断で日中間百年の大計を考えていただきたい、こう申し上げておるのです。
○三木内閣総理大臣 渡部君、いろいろ話を聞いてみると、私は気が長い方だけれども、あなたのことをさっきは私もちょっと抵抗を感じて言ったのですが、いま話を聞けばよくわかります。私もやはりこれは早く片づけたいと思っておることはあなたと一緒ですよ。ただしかし、私は何もそうよその国に気がねしているのではないのですよ。どの国に対しても、やはり日本の外交方針というものが、ちゃんとした外交方針があるわけですから、それからいって、ちゃんと説明のつくような条約はやはり結ばなければならぬと考えておるわけでございます。そういうことであって、だれからも干渉を受けてということではないのです。党内の干渉を受けたり外国の干渉を受けたり、私は右往左往してないです。私の考え方というものは相当前にこの問題に対して明らかにしたのですよ。そういう線に沿うていま外交交渉が行われておるわけでございますから、公明党も日中関係には非常に熱心な党の一つでございますから、今後とも御協力を願うような場面が多いと思いますか、どうか御協力を願いたいと思います。
○毛利委員長代理 永末委員。
○永末委員 私は、三木さんに核防条約についてのあなたのお考えのほどをこの際明らかにしておきたいと思います。 先ほどの質疑を通じて、次期通常国会には核防条約の批准をぜひお願いしたい、こういうお言葉がございました。もともとことしの通常国会であなたはその意思を表明されたのでございますが、六月段階で通常国会における核防条約の批准を断念された。あのとき、あなたはどういうお考えでございましたか。
○三木内閣総理大臣 私は、この臨時国会は経済問題というものにしぼったような、問題をしぼった国会でありましたから、だからいろいろいわゆる景気回復とかそういうものに関連する一連のものをやはり片づける国会であるということで、核防条約は次の通常国会にしたい、また各党間の足並みもやはり次の通常国会にはそろうという私は見通しです。やはりこういう長い間日本に対してある拘束をする条約でございますから、できれば各党こぞってこれに対して賛成をしていただけるような環境がいい。世界も、日本があの条約の批准がおくれたからといって核兵器の開発をしようという疑いというところまでは、どうしておくれるんだろうとは思っておっても、しかし核兵器の開発を日本ができるとは思わないわけです、いろいろな制約がありますからね。 そういうことで、これは早いに越したことはないけれども、通常国会では待ったなしの批准を受けたい、私はこういう考えですから、それまでの間に各党が足並みがそろうのではないかという私の見通しです。それはできればその方が好ましいということで、これについては各党の御協力を願いたいと思うわけでございます。
○永末委員 あなたの期待の言葉は伺うのでありますけれども、最終的な段階であなたが決断をされる場合に、一体どっちに旗を振るか、われわれにとりましても国民にとりましてもきわめて疑念を抱かざるを得ない事件が起こってきたわけです。いま伺ったのは、次期国会ではなくてことしの通常国会で、六月段階であなたが批准を求めることを断念をされました。そのときの心境はどうなったんだろう。伺う機会がなかったので、この機会に明らかにしておいていただきたい。
○三木内閣総理大臣 そのときは、いまいわゆる臨時国会、一番近いのはこの国会ですが、その場合は、いま問題をしぼった国会であると同時にいろいろな各党自身の事情というものも、ある私の判断の基礎になったわけです。この条約は、できればやはり超党派で支持された方がいいと私は思っておるので、ある期間、それが長い将来だったらやむを得ません。通常国会ではもしそういうことになってもやはり国会の批准を促進していきたいと思っておるのですが、まあその私の判断の基礎になったのは、通常国会では足並みがそろうのではないかという判断があったからです。できればその方が好ましい。長い将来を拘束するわけですから。そういう判断もあった。臨時国会の性格、各党の足並み、そういうものに対しての判断があったということでございます。
○永末委員 その臨時国会は後から出てきたことでございまして、時間的な経過、あなたのこの問題に対する判断の波をひとつ跡づけておきたいと思うので伺っておるわけでございます。 臨時国会のときには各党の足並みがそろってないという判断のようでございますが、八月のフォード大統領との会談の直後、ワシントンで日米共同記者発表をやられましたときに、次期国会で批准したいと言われました。あの場合の次期国会というのはいつのことを考えておられたのか。
○三木内閣総理大臣 私もこの各党の足並みのことも判断しておったわけですよ。だから、次期国会ということとすると誤解があってもいけぬと思って、できるだけ速やかにのような言葉を使っておると思います。だから私もフォード大統領と会ったときには、もう各党の足並みの問題も私の判断の基礎にあったわけです。だから次期国会と言わないで、できるだけ早い機会にということで私は手を入れたわけでございます。次期国会という言葉は使ってはなかったわけでございます。
○永末委員 十一月の中旬でございましたか、宮澤外務大臣があなたと打ち合わせをしたという前提で核防条約の批准を求めてまいった。あたかもそれはあなたのランブイエに対する出席が決まった直後でございました。ところが、いまこの委員会であなたの御説明を聞いておると、もともとこの臨時国会は経済問題、不況克服が主眼であったのでと言われました。その言葉の中には、この臨時国会においては、たとえ会期が七十五日間であっても核防条約の批准を求める意思はなかったと聞こえるわけでございます。だといたしますと、十一月中旬、宮澤外務大臣があなたと打ち合わせの上衆議院に対して批准をしてほしいと言われたのはどうもつじつまが合わない。十一月中旬はどんなお気持ちでした。
○三木内閣総理大臣 それは私としては、できればこれは早く批准したい。私自身はしばしば言っておるように批准の促進論者ですから、できればそれに越したことはないけれども、私自身の心づもりとしてはいま言ったように、次の国会と自分の手で直したくらいですから、やはりいろんな諸般の情勢から見て、次の通常国会の劈頭に御審議を願うというようなことを考えておったのでございます。しかし、できれば早いに越したことはないので、外国に対してもなかなか説明がつかないわけです。ランブイエなどではしかし核防条約のことはだれも口にした者はありませんでした。なかったけれども、こちらからすれば国際的にも、非核三原則三原則と言っておって、核防条約を五年も六年も批准しないということを説明することはなかなか容易でありませんから、批准をしたいわけです。しばしば国際的な会議に出会って、私自身としてもそういう感を深くしておるわけでございますからしたいのですけれども、いま言ったような情勢の判断から、次の通常国会になるだろうという見通しを持っておったわけでございます。できればこの国会でやっていただければそれに越したことはないという考え方はあったわけでございます。
○永末委員 次期国会は各党の足並みがそろうのが望ましいが、それはそろわなくてもやりたいという話でございました。もともと各党それぞれ立場がございますから、挙党一致になるかならぬかは結果的なものでございますが、ことしの通常国会のように各党の足並みがそろわなかったからと延ばされた前歴があなたはあるわけでございます。しかし次期通常国会では待ったなしでやりたいというのは、各党の意見が一致しなくてもやりたい、こういうことだと承ってよろしいですね。
○三木内閣総理大臣 努力をいたしますけれども、そういうやむを得ない場合はそれは——だから通常国会で批准を受けないという考え方はしないつもりでございます。
○永末委員 その場合に、ことし出ましたように、あなたの党の党内の足並みがそろわないことを各党にかこつけられて延ばすということはございませんね。
○三木内閣総理大臣 次の通常国会においては批准を受けるということに自民党は足並みはそろっております。
○永末委員 私は問題は、核防条約の批准という形でございますけれども、国民の中に、わが国の安全保障の基本問題に触れる問題であるので、核防条約の批准をすることによって、長きにわたってこれにくくられるということがわが国の安全についてどういう影響があるかということについての政府の的確な説明というものがない、こういうところにあろうと思う。本来ならこういう種類の問題は国防会議ででも議論すべき問題だと思いますが、あなたはどう思われますか。
○三木内閣総理大臣 私はしかし、核兵器を開発する、そういうフリーハンド論にくみせないのです。事実上、核兵器を開発するといったところで、それを不可能にするような条件というものがたくさんに私はあると思うのです。だから私は、やはりこのことが日本の将来の国防に対して重大な支障を来すとは思ってないわけです。ただしかし、その場合には、日米安保条約というものも私は重要視せざるを得ないわけでございます。そういう意味で国防上に対して、核防条約を批准することが日本の国防上非常な重大な支障を来すという論者ではないわけでございます。
○永末委員 私は核防条約の批准をやめる方が自由な手を持つということを申し上げているのではないのであって、はっきりと長きにわたって、少なくとも二十年以上にわたってくくられるということになりますと、その場合核を持たなくてもこうこうこういう防衛措置を講じておるからわが国の安全はいくんだ、保たれるんだと、こういうことの方にポイントがなければならぬと思うのです。だからこそ、あなたの内閣は、四月中旬に宮澤外相をアメリカへ派遣をして、いわゆる安保条約に対するある意味での堅持論というものの証明をとられたはずでございまして、先ほどからあなたとフォード大統領との会談に基づく日米安保条約の運用に関する新協議機関の問題が論じられておりましたが、われわれわが民社党は、もっと政治的な問題なんだ、したがって、あなたとフォード大統領が会われる前に、政治的に、一たんわが国を遅き込むおそれのある有事が発生する場合にどういう判断を下すかは、密接な協議機関を持つべきではないかという提言をいたしたはずでございます。ところが、あなたが帰られた後で決まっておるのは、日米安保協議委員会の枠内でと、こうやられてきた。枠内と申しますと、相手方の方は、言うならば政治的自由裁量のつかないアメリカの代表者でございますね。わが方は外務大臣なり防衛庁長官なりと政治的判断がつく人がやっておる。そういう構えというのは安保条約の発生の過程から生まれたものでございまして、はなはだわが方から言えばいびつではなかろうか。本当にわれわれが有事に直面しなければならぬ問題を迎えるという場合には、政治的な判断こそ望ましい、その意味で政治的な枠組みをと、こう申し上げたところ、あなたがまとめられてきたのは日米安保協議委員会の枠内でということでございました。そうなりますと、そこでいわばその大臣の下の者、行政的な判断はできるが政治的な判断のできない者が有事の場合の相談をいたしていくということで、三木内閣は三木内閣としての責任が持てるのだろうか。その場合には、やはり最高の安全保障に関する閣僚を集めている国防会議、いまの国防会議をもっと拡充強化しながら、これらの問題を処理するということをはっきり制度的にも内閣としてやるべきではなかろうか、われわれはそう思うのですが、あなたはどうお考えですか。
○三木内閣総理大臣 国防会議も私が、三木内閣になって、いままではほとんど開かなかった国防会議というものをわりあい時々開いておるわけです。これを活用したい。シビリアンコントロールという原則からしても国防会議を活用しなければならぬ。それから、日米間に、いままで防衛の担当者同士の間でほとんど話し合いというのが行われてなかった、年一回は会うという。外務大臣も年二回はやはり会談をするという。いままで日米でこれだけ重要な、日米安保条約という重要な条約を結びながら、いま御指摘のように日米間の話し合いという場面が少なかった。ことにいまの、実務者ばかりでなしに政治の面における話し合いが非常に少なかった。そういう点で両当事者が年に一回は会おうということになって、外務大臣との会談もそういうふうに二回会うとかいうことによって、政治的な側面における日米の防衛問題などもそういう場面を通じて話し合ってみたいと、こういうことを考えておるわけでございます。
○永末委員 外務大臣と相手方の国務長官、防衛庁長官と相手方の国防長官は会いますね。しかし問題は外交、防衛を一本にしたところに問題があるのであって、私どもがあなたに期待したのは、そういう機関というものが必要だということを御提言申し上げた。ところがそうはなっていない。したがって、それを受けて、やはりどこで一体内閣全体としての判断をし、総理大臣が決断を下すかということは、いまの組織なら国防会議以外にはないではないか。ところがその国防会議たるや、あなたの内閣でも正規の国防会議は開かれない、議員懇談会程度である、どこかにやはり制度的に欠陥がありはしないかということをわれわれは心配をいたしておる。そこをあなたはひとつそれこそ決断を持って改革をされる、こういう御意思はありませんか。
○三木内閣総理大臣 国防会議の議員懇談会というのも、メンバーもほとんど同じですから、こういうことを必要に応じて時々開くことによって、いままでほとんど国防会議議員懇談会の場合も開かれなかったようなことは、そういうことを活用していきたいということで、いま国防会議そのものにメスを入れようというところまでは考えておりませんが、この国防会議というものを活用していきたいということは御意見のとおりに考えておる次第でございます。
○永末委員 終わります。
○毛利委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十六分散会