外務委員会 第2号
- 発言数
- 80 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/11/12
会議録
○栗原委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。
○堂森委員 外務大臣は、明日お立ちになりまして、パリの六カ国首脳会議に出席になられる予定でありますが、時間が少のうございますから個条的に、二、三の点についてお尋ねをしておきたいのであります。 三木総理は、かねてからたびたび、南北の格差は開く一方であり、このままにしておいたら世界の平和安定はあり得ない、南北問題についてでき得るならば日本独自の提案をしたいと国会で表明しておられるのであります。外務大臣は、との会議に臨むに当たり、日本独自の案とはどういうものであるとお考えになっておられるのであるか。総理あるいは大蔵大臣も出席されるのでありますが、どういうような政府の意思統一ができておるのか、独自の案というのはどういうものがあるのかないのかもまずお尋ねしておきたい、こう思います。
○宮澤国務大臣 わが国としては、御指摘のように南北問題の解決というものに非常に力を注いでおるわけでございますが、この点につきましてわが国が今回提案をいたしたいと考えておりますことは、これは何もわが国独自の全くユニークなというわけではございませんけれども、従来いろいろございます提案を踏まえまして、一つは一次産品等の輸出による生産国の所得の安定についての一つのスキーム、また、農業の開発についての融資、それからそれらを含めまして、そのための金融措置を先進国あるいは産油国等とあわせまして、どのように考えていったらいいか、大体そのような幾つかの方策によりまして、南北間の格差の是正を図ってまいることを基本的な心構えとして主張いたしたいと考えておるわけでございます。
○堂森委員 それでは、外務大臣はこの首脳会議において、ただいま答弁されたような事柄が本当に実を結ぶような、成果をおさめるような会議となるという自信といいますか確信といいますか、そういう見通しを持っておられるのでありますか。ただ主張するだけだろうというふうな消極的な見通しでございましょうか。もう一遍答弁を願いたいと思います。
○宮澤国務大臣 この問題につきましては、各国に認識の差あるいは方法論の違いこそあれ、問題そのものが焦眉の問題であるということにつきましては、ほぼ合意があるように存じます。しかも、その方策そのものは国際的な規模で行う以外にないということについても、ほぼ合意があるように存ぜられますので、今回の頂上会談を契機として具体的な施策が生まれてくる可能性は強い、そういう意味では生産的な、プロダクティブな効果を上げる可能性はかなり期待をしてよろしいというふうに考えております。
○堂森委員 もう一遍重ねてお尋ねしますが、いろいろな新聞報道等を見ておりますと、財政難の折であり、大蔵省等の財政方面の意見としては、わが国が独自の有効な具体策を出すことについてはきわめて難色がある、したがって、具体的な独自の案というのはむずかしいのではないか、そういうような報道がたびたび、お読みであると思いますが、なされておりますけれども、独自の具体的な案をお出しになるのでありますか。そうではない、そういう主張をするだけである、こういうようなお立場でございましょうか。もう一遍承っておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 御指摘のように、財政の状態から申しますと、いまわが国が追加負担をするということは、なかなか困難がありますことは御指摘のとおりでございますが、しかし、実はそのような財政難はわが国に限ったことではございません。と申します意味は、財政難のよって来るところが、実は申し上げるまでもなくグローバルな原因から来ておる。したがって、グローバルな解決をしていくことによって、実はやがては財政難というものも解決をしていく、こう考えざるを得ない。わが国だけの特殊の事情で財政難でございますとそうでない結論が出ますけれども、実は財政難の各国の共通の原因というものが、グローバルなものであるということがほぼわかっておりますので、財政難であるがゆえにと申せば少し強過ぎますが、あるにもかかわらず、やはりこういう問題はグローバルに解決していかなければならないという認識は財政当局といえどもこれはわかっていないわけではない。当面、確かに追加支出はつらいわけでございますが、解決はやはりグローバルに図らなければならないということは、財政当局といえども理解をいたしておるというふうに考えております。
○堂森委員 大臣の答弁を聞いておりますると、国際農業基金を設けることが一つの大きな具体的な目標である、こういうふうに受け取れるのでありますが、しからば日本政府としては、どういう具体的な内容を構想として持っておられるのでありましょう。これも承っておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 今回の頂上会談におきましては、この農業開発基金については、二、三の条件をはっきりさせておきたいというふうに考えておりまして、その一つは、かねて伝えられておるごとく、これについては産油国も応分の負担をするということ。もう一つは、この基金の運営につきまして、出資をしない国々も基金のメンバーになり得るわけでありますけれども、出資をした国々がある程度の合理的な発言権を持つような仕組みにしておきたいということ。この二つはやはり必要なことであろうかと存じますが、そのような条件についてある程度六カ国の問で合意をしておくことが必要ではないか。 さて、そのような条件に立ちまして、具体的にわが国が出資をどれほどするかということについては、条件が成就しますれば、応分の出資をいたさなければならないと考えておりますが、その金額につきましては、来年の一、二月、この基金が発足をいたします前の段階で最終的にわが国の意思を決定すればいいのではないか。今回、条件を議論いたします際には、わが国としては応分の出資をするということは実は腹に置きまして、その前提のもとに条件の整備を図りたいと考えております。
○堂森委員 そうしますると、会議をやって相談をして、基金の規模あるいはそれぞれの関係国の資金の出し方、量等も決まるということであって、政府は、いま具体的にこれぐらいの金額をあるいはこれぐらいの額をどの国は出すべきであるか、いろいろなそういう構想はやはりなくちゃならぬと思うのでありますが、わが国はどれぐらいの負担はしていくべきであるか、総体としてどれぐらいの金額が資金として用意されなければ効果がないのかあるいはあるのか、いろんなそういうことも検討されておると思うのでありますが、この点はいかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣 今回の会議は六カ国のみによるものでございますので、基金そのもののあり方について六カ国が決定をするという立場にはございません。が、従来から議論をされておるところは、基金の規模が十億ドルないし十億SDRであるということ、しかも産油国がほぼ半額を負担すると期待してもいいのではないかというようなことが従来の経緯からございますので、そのような条件のもとに、その上に決定権の問題が先ほど申し上げたようにございますけれども、それが成就するようでありますと、わが国としては応分の負担をやはりしていくべきであろう。今回の会議を通じまして六カ国のそれについての考え方もほぼ明らかになってまいると思いますから、その中から応分というものをどのぐらいに考えるかということを見当をつけまして、そして来年の一月ないし二月には最終的な意思表示に持っていきたい、こう考えております。
○堂森委員 少しく方向を変えましてお尋ねしますが、これはまた後ほどお尋ねしたいのでありますが、三木総理はやはり演説をされると思うんです。そして日本の総理としての立場からの独自の主張がやはりあると思うのでありますが、その構想といいますか、その内容についてはもちろん当然外務大臣も関与しておられて御承知だと思うのでありまするが、どういうことが主たる主張としてなされるのでありますか、この点についても承っておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 先ほども堂森委員が言われましたように、三木総理大臣は南北問題のうち、特にいわゆる産油国でない発展途上国、今回の経済危機で一番打撃の大きい国々、そういう国々に対して援助等々をやはり集中していくべきではないかという考えを一つ持っております。いわば南北問題の中での援助の対象をやや傾斜をつけて重点的にしていくという考え方が一つでございます。 次に、わが国は、今回アジアの国としてはただ一国会議に参加をいたしますので、おのずからアジアの実情についての説明、主張というようなものがわが国の大切な仕事の一つになろうというふうに考えております。
○堂森委員 そうしますると、この会議でわが国独自の主張というものをもっと、何といいますか、新聞報道等を見ておりますると、貿易のあり方についてあくまでも各国が従来の、たとえば大分前に行われたような、貿易をそれぞれの国が壁をつくって関税を上げて、そして自分の国の貿易を守るとかいろんなそういう関税障壁の時代も過去にはあった。それで、自由貿易というものが主要国の間にもっと行われるようなそういう風潮をつくらなければ、世界的な経済不況は救うことができないんだ、こういう考え方を総理が述べられるであろう、こう言われておりますが、そういう内容が大きな柱になるのでございますか、いかがでございますか。
○宮澤国務大臣 このたびの会議は、いわゆる議長というようなものがたてまえ上ない会議と思われますし、また首脳の会談でございますから何を話してもいい、経済問題に限ることもない、またあらかじめ厳格にアジェンダが決められておるわけでもございません。しかし、たまたまそういう会議でございますので、貿易の問題については、日本の三木総理大臣が冒頭発言をしてくれてはどうかということがございますので、これについては冒頭発言をされることになろうと思います。 その主たる内容といたしましては、一つは、ただいま御指摘のように、われわれ先進国の間では少なくとも輸入制限といったようなことは、こういう経済状態ではあるけれども、慎もうではないかということ。これはかねてOECDでそのような合意があるわけでございますけれども、なかなか実態問題といたしますと各国に困難が生じておりますので、もう一遍これを確認しておきたいという点が一点。 さらに次には、かねて宣言をされております東京ラウンドと言われますガットの多角的交渉を推進をして、できるだけ早くこれを仕上げることによって貿易の障害を除いていこう、この二点を中心としての発言になろうと思っております。
○堂森委員 そうしますると、日本の現在置かれておる貿易の不振、これが不況の大きな原因であるということは、政府当局も予算委員会等でたびたび答弁を繰り返しているわけであります。たとえば今日の繊維不況、これに対して政府もある程度の輸入制限といいますか、輸入の規制といいますか、そういうものもせざるを得ないような情勢になったということを言われておるようでありますが、この繊維の輸入規制といいますか、そういうものを一つとっても、このたびの首脳会議における三木総理の演説と矛盾しないでありましょうか。いかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣 御指摘のように、この輸入制限をすまいということを再度確認しようということが一つのテーマとなってまいりましたのは、実はOECDでそういう約束をしておりながら、各国ともなかなか家庭の事情があるということが一つの理由になっておるわけでございます。わが国の場合には、その家庭の事情は、どちらかといえば、他国に比べますと、まあまあ比較論といたしましては非常に大きな要素ではないものの、当該産業にとりましては実は大きな問題でございます。したがいまして、今回の輸入制限をしないということの確認につきましても、いわゆる一方的な行為による輸入制限というものは慎もうではないか、どうしても各国事情がやむを得ないときには相手国、輸出国と話し合った上での何かのことは多少やむを得ないかもしれない、しかし、一方的に宣言をしてしまうというようなことは、これはどういう場合でも慎むべきではないか、こういう含みのものにならざるを得ないかと実は考えております。それを申しますとせっかくの宣言の効果を減殺するという批判、これはあろうかと存じますので、余り声を大きくしてそれを申したいとは思いませんけれども、各国におのおの家庭の事情があるということ、これもまたお互いに了解の上で原則の宣言をするということになろうかと存じます。
○堂森委員 そうおっしゃいますけれどもやはり矛盾が出てくるということ、総理の発言も、それでそういう矛盾というものはやはり私は否定し得ないと思うのであります。 そこで、もう時間がありませんからあと一問くらいで終わりたいのでありますが、ただいままでの大臣の答弁を聞いておりますると、まあ集まるんだ、そしてフリートーキングでいろいろ話し合うんだ、こういうことで構想はあるにしても、この会議は、言葉を汚くして言えば小田原評議になってしまうのじゃないかというような気持ちも私は持たざるを得ないでありますが、しかし、ないよりはましだということにもなるかもしれません。そこで、十二月の十六日ですから三日間、パリで国際経済協力会議というものが開かれる予定でございますね。もちろん日本も参加する。そして発展途上国の人たちをも含めた広範な会議であるというふうに報道されておりますが、このたびの六カ国首脳会議というものが、十二月に行われる予定であるこの会議に、ある意味では圧力を加えるような会議として受け取られるようなことになる心配はないだろうか。そして、せっかく発展途上国をも含めた大きな経済協力会議にかえって悪影響を及ぼすようになる心配はないだろうかというふうにも思うのでありますが、大臣はどのように判断しておられるのでありましょうか。
○宮澤国務大臣 十二月十六日に行われます世界経済協力会議が今日の姿に至りますまでの経緯は、御承知のとおり、わが国のように対話を主張する国と、中には多少対決的な色彩を持って考えておった国とがございましたが、一年数カ月の経緯の中で、経済協力会議はやはり対話の精神でいこうということがいわゆる先進工業国の間でもほぼ合意になってまいっております。しかも、経済協力会議で取り上げられます問題の種類は、今回の頂上会談で取り上げられます問題と、当然のことながら類似の範囲の問題でございますので、私が考えておりますところは、今回の頂上会談で各国のいわば共通の雰囲気として、十二月十六日の経済協力会議にはひとつ対話の精神をもって臨もうではないか、そのような結論がほぼ生まれるであろうということを期待をしてもいいのではないか。したがいまして、このたびの頂上会談は、ある意味では経済協力会議に臨みますそのような基本的な心構えを各国が合意をするという、そういう意味でも一つの意味合いを持とうかと考えておるわけであります。
○堂森委員 もう時間がございませんから終わりますが、いまの外務大臣の希望的な御答弁であります、そうなってもらわなければならないのは当然でありますが、この会議で大きな成果を得られるかどうかということは私は疑問だと思うのでありますが、せっかく明日いらっしゃるのでありまするから、また帰国されて委員会が開かれてからいろいろと質問を申し上げたいと思います。 これで終わります。
○栗原委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 首脳会議に明日出席をされますので、私もこの問題についてお聞きしたいわけですが、事柄の性質上、若干重複するところもあるかもしれませんけれども、お答えをいだきたいと思います。 まず最初に私が伺いたいのは、このような会議が開かれるようになったことについて、世界の経済情勢を宮澤外務大臣はどうお考えかという点であります。それは、キッシンジャー国務長官も昨年の十一月に、アメリカを中心とする資本主義体制の危機を認めております。エネルギー支配の危機でありますとかあるいはは通貨体制の危機、こういうものが起こってきて、各国ともいまインフレと不況で悩んでいる。日本はもっと非常に激しい状態にある。そういう状況でこの六カ国の首脳が集まるということはなかったことでありますが、このような会議が開かれるということについての国際的な情報、特に経済情勢について外務大臣はどのようにお考えか、まず伺いたいと思います。
○宮澤国務大臣 これは見方がいろいろあろうと思いますけれども、私自身は、第二次大戦後、いわゆるブレトン・ウッズ体制というものが通貨についてあるいは貿易について、資本移動について、かなり長いこと作用をしてまいりましたけれども、それが作用を実はしないような状況になった、そういうのがこの三年ばかりの現状でございますが、それにかかわるものとして新しい体制を生み得るであろうかどうであろうかということが、経済史的に見ますと今後の先進国会議の意味ではないか。もとより、その間に、かつてのブレトン・ウッズ体制というものが先進工業国を中心に考えられましたのに比較いたしまして、いまや産油国もあり発展途上国もある。したがって、関係の国の数あるいはタイプはかつてのブレトン・ウッズ体制とはおのずからまた違ってきております。そのような多くの国を一つに貫くところの新しい通貨、貿易あるいは一般的な国際経済の体制ができるための最初のきっかけになるかならないかということが、このたびの頂上会談の歴史的な意味と考えるべきではないかというのが私の所感でございます。
○松本(善)委員 ブレトン・ウッズ体制が機能しなくなってきている、それはだれが見てもそうでありますが、その立て直しをこの首脳国でやろうという趣旨ではないかというふうにいまのお話を伺ったわけでありますが、これについては私は先ほどの質問とやや重複するかもしれませんが、日本は一体何を提案をし、何を具体的な成果として得ようとしてこの会談に臨むのか、その点を具体的に御説明をいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 ブレトン・ウッズの時代と違いまして、先ほど堂森委員にも申し上げたところでございますが、いまやわれわれは産油国という一つの国のグループの立場を考えなければならない、また、油も持たないが、しかし、先進工業国でもないいわゆる発展途上国というものも考えていかなければならない。そういう意味では体制に、システムに含まれなければならない国の態様というものは先進工業国だけという時代に比べてはるかに複雑になってまいりました。そのことをわが国としては一番強調すべきではないか、すなわち、その中でもことに非産油の発展途上国、最も現在の経済情勢で悩んでおりますところの国々、それに対してわれわれは何をなすべきか、何ができるかということを、これから生まれるべき体制の中の一つの大きな問題として考えるべきであるということが、ことにわが国はアジアの国としてはただ一つ今度の会議に参加いたしますので、アジアの中にはまた、たまたまそういう国が相当あるということもございまして、そこに重点が置かれるべきものではないかと思っております。
○松本(善)委員 ちょっと戻りますけれども、そのお話わかりましたけれども、やはり通貨体制が危機に陥っている、この点はやはりお認めになった上での話でございましょうね。ちょっと伺います。
○宮澤国務大臣 ブレトン・ウッズで考えておりましたような通貨体制というものはやはり再検討を必要とすることは明らかであると思います。
○松本(善)委員 産油国や発展途上国の立場いろいろ考えるという、ここが重点だというふうにお話しでございますが、そうするとその点についての見通し、会議について成果が得られると思われているのか、得られるとすればどういうことになるのか、一体この会議をやった結果、何が国民生活にとってプラスになるということになると考えておられるのか、その辺をお話しいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 冒頭に私の考えではと申し上げておるのでございますが、そういう観点から申しますと、今度の会議はそのような体制を考えるための最初のきっかけであるとは申しましても、実は集まるものは先進工業国だけでございます。それだけで体制が決められるはずはない、もともとそうではないところに問題があるわけでございます。したがって、今度の会議は、十二月十六日のいわゆる世界経済協力会議というものに続いて考えませんと歴史的な意義がはっきりしないのではないだろうか、世界経済協力会議の場で、その場で初めてわれわれは産油国あるいはその他の発展途上国と一緒に問題を議論することができるわけでございますから、そういう場につながるものとして考えませんと、このたびの会議の意味が浮かび上がってこないのではないかと私流の解釈でございますが、私はそう思っております。
○松本(善)委員 そういたしますと、具体的なことはやはり世界経済協力会議でやるのであって、この六カ国首脳会議ではそのきっかけというか、具体的な成果ということはちょっと期待できないと、こういうことでございますか。
○宮澤国務大臣 六カ国の首脳が問題の所在と性質を、認識を共通にするということが成果になり得ると考えておるわけでございますが、その結果どうなるかといいますと、それは十二月に開かれる世界経済協力会議の構成員としてのいわゆる先進工業国が、この世界経済協力会議からどのような成果をもたらすべきかということについて、少なくともこの際、六カ国の首脳の考え方が固まっていくということは成果として考えていいのではないかと思うわけです。
○松本(善)委員 これらの集まる諸国は、言うまでもなくそれぞれアメリカと同盟を結んでいる諸国でありますが、この諸国で集まって、国際情勢についての認識を一致さすという趣旨のお話でございましたが、それはやはり経済的にアメリカを中心とする資本主義体制がインフレや不況ということで、日本は特にひどいわけですが、そういうことで危機的な状況になっていることについての共通の認識をして、そして立て直そうというか、言葉の使い方はあるいは場合によっては宮澤外務大臣と私と違うかもしれませんが、基本的にはそういう会議でございますね。
○宮澤国務大臣 このたびの会議に抜けておるものは何かと考えますと、一つは産油国あるいは非産油発展途上国、これは十二月の会議においてそこへつないでいけると考えておりますが、いわゆる東西関係というものがもう一つ抜けている要素でございます。
○松本(善)委員 私の聞きたいのは、抜けている国があるというお話については先ほど来ちょっと伺ったわけですが、やはり六カ国首脳が認識を一つにする、そして経済協力会議に引き継いでいくというお話でございますから、その一致する認識というのはやはりアメリカを中心とする体制の危機、経済的な危機、こういうことと、それからその解決の方向ということではないかということをお聞きしているわけでございます。
○宮澤国務大臣 十二月に開かれます経済協力会議で、先進工業国は、従来過去三十年そうであったような、自分たち中心だけの利害関係を図っていくということでは、いまの世界経済の問題は解決しないという認識を持って十二月の会議に臨むことになろうと私は考えておりますので、そういう意味では、だれを中心の経済をこれからもつくっていこうといったようないままでの認識は通らないということは、私は比較的はっきりしてまいると思います。しかし松本委員が先ほど言われましたことは、確かに言葉遣いは違っておりますけれども、一つの私は見方である、あえてそれを否定する必要はないと私は思います。
○松本(善)委員 それからもう一つ伺いますが、アメリカとの関係でありますが、日米経済協力ということで、今度の三木・フォード会談でも経済上の協力がいろいろ決められておるわけです。この六カ国首脳会議に出かけるについてアメリカと日本の基本方針は一致しておりますね、アメリカの方針との関係で日本政府の方針を御説明をいただきたい。
○宮澤国務大臣 別段、米国とわが国が打ち合わせをしたというようなことはございません。ただ一般的に申しますと、いわゆるガットの東京ラウンドの推進でありますとかあるいは南北問題でありますとか通貨問題でありますとか、基本的なラインというものは私はそんなに違っていないであろうと存じます。個々の問題につきましておのおのの持っております国益が異なっておりますから、一緒になるとは限りませんけれども、基本的なラインではいわゆる自由主義経済体制、市場経済というものを中心に考えていくということは大筋では一致しておるのではないか、しかし、別段意見の調整をいたしたことはございません。
○松本(善)委員 三木・フォード会談で通貨、貿易、エネルギー、発展途上国問題などについての解決について一致をしたし、それからキッシンジャー国務長官が十月二十四日に訪日して三木首相と会談をしておられます。そういう日米の間でのお話し合い、そのための特別な話し合いがあったかどうかわかりませんけれども、この会議について、そういう一連の経済問題についての日米の話し合いの路線上の問題ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 まずまずそういう種類の問題が議論になるとお考えいただいてよろしいのだと思います。一歩踏み込みますと、しかし、たとえばエネルギーについて石油の最低価格というようなものを考えるかどうか、あるいは穀物、農産物について国際的なバッファーストック以上のストックを考えるかどうかというようなことになりますと、両者の意見は一致していないわけで、踏み込みますといろいろ問題はございますけれども、扱うべき問題の種類はそういう性格のものであろうとおっしゃればそうであろうと思います。
○松本(善)委員 最後の質問であります。 いろいろ伺って大まかな輪郭が出たわけでありますが、そうすると、首脳会議というのが、いま国民がいろいろ国内で困っておりますインフレとか不況、非常に深刻な経済危機に直面をしておりますが、その問題に直接影響を及ぼすような成果はいまのお話ではちょっと期待できないと思いますし、政府もそういうことを意図して行くというのではないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 その点は私は多少違う意見を持っておりまして、現在わが国の国民が面しておるいろいろな経済的な困難、これはわが国に限りませんけれども、世界の、少なくとも先進国がお互いに協力をしなければ解決しないような種類の性格を持っている問題であるという認識が、まず六カ国の首脳の間ではっきり成り立つかどうかということ、仮にそれが成り立ったといたしまして、その指導者がおのおのの国を指導して、そのようなコンセンサスに持っていき、それを実行できるかどうかということ、この二つの条件が成り立ちますれば、これはわが国の国民が面しておる経済的な困難を解決する唯一の、しかも一番早い方法であろうと私は考えますので、成否というのはそういうふうに見るべきものではないかと思っております。
○松本(善)委員 その点については、外務大臣と私はかなり見解が違うことになりますが、やはり六カ国の資本主義国が結束をして、言うならば、いま日本でも行われているような大企業本位の危機打開策というか、そういう方向での相談ということになろうかと思います。私は、この首脳会議によって本当にいまの経済危機が解決できるということは決して期待もできないし、それからいまのお話を聞きましても、言葉の上では外務大臣はそういうふうに言われましたけれども、とうてい危機を解決するというような姿勢もそれから意欲も見られなかったというのはまことに残念だというふうに——それが当然であるかもしれませんけれども、そういう認識だった、私どもの認識が正しかったということを感ずるわけであります。この点については外務大臣とは意見が違うということを最後に述べまして、私は質問を終わりたいと思います。
○栗原委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 私は核防条約の問題について早速お伺いをいたしたいと存じます。 先ほど外務委員会の理事会の中におきましてさまざまな応酬、問答があったわけでございますが、当委員会の席上それを確認したいと存ずるわけであります。 十一月の七日、外務委員会理事会において、核防条約を通常国会で行うという総理の発言というものは、衆議院外務委員会における発言と全然違うではないか、特に、五日に外務委員会理事会に出席された外務大臣がお話しになったこととニュアンスが違うではないか、しかも、政府は、今国会冒頭に所信表明演説において、核防条約の早期批准を打ち出し、またフォード大統領との間の共同新聞発表の中で核防条約の早期批准をうたっている。そのような背景がありながら政府の態度は依然としてあいまいである、この点はまことに問題であるというような意思表示が行われたわけであります。結局外務委員長がこれを裁定してまとめて、外務委員会としては、政府の核防条約の態度については遺憾である、少なくとも自民党と政府との間に差異があるように見えることは釈明すべきテーマであると発言をされました。また、十二日の定例日をめどとして、政府・与党がこの問題について処理するよう努力を求められました。こういうまとめで理事会は終結をいたしたわけであります。 そして本日の外務委員会理事会においてどういうことが行われたかというと、細かい議論は省略いたしますが、冒頭において、外務大臣は、まずこの核防条約の批准についての総理のお立場というものを説明されまして、依然として一生懸命やるというニュアンスを述べられました。ところが水野理事は立ち上がられて堂々と、自民党としては事実上これはできない、国会対策の都合上、本国会の成立を期することは不可能であると明瞭に発言されました。それでは自民党の言うことと政府の言うことは違うではないかと私は攻撃をいたしましたところ、政府の立場と自民党の立場は違うのであって、それは当然のことであるというような、非常な不穏当な発言が繰り返されたわけであります。そこで、私は当委員会に対して総理、総裁である三木さんの出席を求めて説明をすべきであると強く迫りましたが、御回答が得られないまま、本日、国際情勢の審議の時間をつぶすに忍びず話は進んだわけであります。 私がこのように述べましたのは、記録にとどめてこれからの議論のスタートにしたいからであります。まず大臣に改めて伺うわけでありますが、核防条約に対する政府の立場、自民党の立場をお伺いいたします。
○宮澤国務大臣 この点はただいま渡部委員が御指摘のとおり、前国会に御承認を得るために本条約案を提出いたしまして以来、政府の考え、立場は、本委員会における御質問で長時間にわたりまして御説明を申し上げましたとおりでございます。その後、本条約案は、今国会に継続審議という議決を当委員会においてなされました。私どもといたしましては、委員会が一日も早く御審議の上、御承認を賜らんことをこいねがっておる立場に変わりはございません。昨日も三木総理大臣にこの点は私から確認をいたしまして、これが政府の立場であるということを再度申し上げることができると存じます。
○渡部(一)委員 それであるにもかかわらず、自由民主党を代表する理事の諸君は、今国会においてこれを通すことはできないということを述べておられます。すなわち十一月五日、自民党理事の諸君は私に対して、今国会、核防条約については塩づけにするようにという自民党の国対副委員長三原氏の言葉を引いて説明を行われました。私はきわめて不穏当だと思います。ということは、日本が核武装しない意思を表示するこの条約、少なくともデタントの方向にある世界情勢の中での日本の外交を位置づけようという基本的な条約に対して、それを自民党内、参議院内の少数の、皆さん方は確信犯という言葉を使われましたが、確信犯的小グループを恐れる余り、これを本国会に持ち出すこともしない、審議することもしない、あと一両日の審査で通過すべきこの法案を全くやろうとしない、これはもってのほかである。私は、したがって、恐縮でありますけれども、外務大臣は自民党籍のある外務大臣でありますから、自民党の代表がお話しにならない以上、この場所において最も高位の自民党リーダーである宮澤外務大臣にその点の御説明を求めたいと思います。
○宮澤国務大臣 総理大臣の本件につきましての政府を代表しての所信は先ほど御紹介を申し上げたとおりでございます。自民党の総裁としての総理大臣でございますから、総理大臣としてはいわば二つの人格を持っておるのではないかとおっしゃる点は、私はそのとおりと存じますけれども、私が総理大臣から伺いましたことは、政府の代表者としての所信である。したがいまして、この席でも政府を代表してそのように申し上げたわけでございます。
○渡部(一)委員 宮澤さんは政府のお立場、総理大臣の政府の方の顔をいま説明されました。それ以上求めるのは非常に残酷だと私も思います。しかしながら、十一月の五日、あなたが外務委員会理事会で御説明になった段階では、あなたは、明らかに総理が参議院の少数グループは自分が電話をかけてでもこれは説得すると申されたことを報告されました。私は明らかに伺ったわけでありますが、その説得は成功しなかった、だからだめだ、こういう論法でおっしゃるのでございますか。
○宮澤国務大臣 総理大臣が総裁の立場において二、三の党員に説得をしておられることは事実でございます。しかもまだ説得の過程にある。総理大臣としては、自信を持って説得をするというふうに言っておられるわけでございます。
○渡部(一)委員 そうすると、自民党総裁の三木さんという方は、要するに自民党内に対する当事者能力を欠いておる、総理、総裁としての資格をもう喪失しておると私は思います。それは遺憾ながら事実ではないか。というのは、参議院の五人の人を説得することが不可能である、自分の内閣の自分の組織する政党の幹事長を説得することが不可能である、国対の首脳部を説得することが不可能である、そのことをこの問題は示しているわけであります。そして当外務委員会に出席されている自民党の理事の諸君は、いずれも核防条約推進派であるにもかかわらずどうすることもできない。そして漫然と座っておられる。そう見るしかないと私は思う。これはもうとんでもない問題である。 しかも、国際情勢を心配する余り、本国会において政府が核防条約を批准しないと決断したと思われることがないように先ほどの理事会において、自民党理事は全員一致して政府にそういうことを言わせないように陳弁された。こういう愚かな総理、総裁という人を抱えていて今後の国会がうまくいくかどうか、私は非常に不安である。そればかりではない。こんなやり方で日本の枢要なこれからの方向性を決める問題点を取り扱われたらたまったものではないと私は思う。したがって、自由民主党とそして三木内閣という、この二つの接点にある外務大臣に伺うしかないわけでありますが、これほどの重要案件をこれほどのやり方で、このようなひどいやり方で放置していいとお思いになるかどうか、その辺の宮澤さんの政治家としての心境を伺いたい。
○宮澤国務大臣 政府が本条約を御承認を得るために国会に提出いたしますにつきましては、これは自民党の党内の問題でございますけれども、党内におまましても、おのおのの機関に諮りまして相当長い間議論をいたしまして、党の承認のもとに、政府の責任で国会に御審議を願っておるわけでございます。したがいまして、そういう意味での党の意思というものははっきりいたしております。もちろん、どの政党でもそうでございましょうが、党員がおのおの具体的な問題についていろいろ自由な意見を持つということは当然のことでございまして、自民党内にも若干これについて御紹介のような意見を持っておられる方がある、これは事実でございます。そのことは私は異とするに足らないと思います。それに対して、総裁が総裁の立場から説得されるということ、これも私は異とするに足らないことであろうと思いますので、そういう意味では党の姿勢というものは基本的には一つのものになっておると私は考えております。
○渡部(一)委員 反対者がいることは異とするに足らないというのは当然だろうと思います。党議で決定したもの、しかも前国会に出された法案についての運命が今国会になってもまとまらないとすれば、次国会においては全く通過の見込みはなかろうと私は思います。しかも今国会においてやらなければ、恐らくこの法案についての抵抗力はますます大きな力を見ることは当然でありましょうし、また解散というような事態を迎えるならば、日本の核武装に対する意思は国際的に問われる大きな可能性があろうかと思います。したがって、私は政府のこの問題に対する責任はもっと重大に考えなければならぬ段階に来たと思います。国際的に見て核武装の意思を疑われ、そして核エネルギーに対するアプローチ、一切を重大な危機に瀕させて、しかも当事者能力のないことをさらけ出して、自民党内閣はこの問題をこのまま放置するつもりであるのかどうか、私は、国民の前に自民党は説明をしなければならぬときが来たし、三木内閣もまた自分の当事者能力のないことをこの問題で明らかにしたと思います。私は回答は一つ、解散するか総辞職するか、責任をとらねばならぬことがこの問題でも明らかになったと思います。まことに遺憾であります。このようなことを、核防条約の問題について理解のある自民党理事を擁しているこの委員会において言わなければならぬのはきわめて遺憾でありますが、もうそういう時期が来たのではないか、自民党は自民党員の手において刷新されなければならぬときが来たのではないか、私はそう思います。余りにも今回の内閣のやり方は不穏当であります。これについて答弁を求めるのも気の毒ではございますけれども、最後にひとつ外務大臣にお答えいただきたい。
○宮澤国務大臣 解散、総辞職、党の刷新、いずれの問題も私からお答えいたしますのにはちょっと分を越えておるように存じます。
○栗原委員長 永末英一君。
○永末委員 十月の初め、宮澤外務大臣は国連に臨まれまして、中国、ソ連の外交の責任者とともに会談をされました。これらの会談を通じて、日中平和友好条約の進め方についていろいろな御方針を固めておられると思いますので、この件につきましてお伺いをいたしておきたいと思います。 第一点は、中国が平和友好条約にどうしても盛り上げなければならない、中に入れなければならぬという点を明確にどう受け取っておられるかをお伺いします。
○宮澤国務大臣 中国の外務大臣とこの問題につきまして長時間話をいたしました。中国としては、やはり日中共同声明の延長線上においてこの条約を締結することがきわめて望ましいことである。そのための熱意を有しておるということは私は明らかに看取をいたしました。また同時に、日中国交正常化以来、今日までの両国関係が、この条約が未締結であるにはせよ、十分友好親善が増進をしてきたということも中国の外務大臣は認めておられます。したがいまして、問題は、両国が余り大きな摩擦、確執を起こさずにこの条約ができることであればそれが最も望ましいということで、両者の意見が一致をしたということになるわけでございます。
○永末委員 最後に、いま述べられました両国が摩擦、確執を起こさずにこれがまとまることが双方にとって望ましい、摩擦、確執があるという認識があったのですか。
○宮澤国務大臣 その点は、十カ月ほどこの条約の交渉を続けてまいりました結果、いわゆる覇権問題等をめぐりまして、両者の意見がなお一致をしないということがあったわけでございますので、問題なしとしないという認識は、これは事実の問題としてその時点でございました。
○永末委員 双方の間では、覇権問題について一致しない点は何かということをお互いにはっきりと認識されましたか。
○宮澤国務大臣 この問題をめぐって何ゆえに相当長い期間解決ができないで今日に及んだかということは、お互いなりに認識をいたしたと思います。
○永末委員 覇権という言葉が国際政治上あらわれたのは最近のことでございます。わが国外交の歴史から見ましても、きわめてこれはユニークなことだと思います。したがって、この覇権という言葉やあるいはまたそれが示しますものについて、これは相手方との間に条約を結ぼうということでございますから、少なくとも、その内容について一体どこが違い、どこが合っておるのかということをはっきりいたしませんと、条約というものについて玉虫色の解釈は余り許されることではございませんから重要な点だと思います。したがって覇権というものの内容、意味というものは、両者に違いがありますか、ありませんか。
○宮澤国務大臣 その点もいろいろ話をしておるわけでございますけれども、覇権というものが、一国が自分の意思を、いわゆる力を背景にして相手国に押しつけようとする種類の行為である、いわば主権の尊重とか、内政の不干渉とかいう観念と相入れない種類の観念であるというところまでは私は両方の考え方が一致し得るのではないか、きちっと一致したぞと言って確認したわけではございませんけれども、私はそういうふうな見方をいたしておるわけでございます。 それ以外に、中国において、歴史的なあるいは置かれている環境から、特殊な政策上の意味合いを持たせることがあり得るかどうかということは、これは私は中国の問題であろうというふうに考えていまして、ただいま申し上げたような意味での概念としての一致は、私はできるのではなかろうかという印象を持っております。
○永末委員 ただいま力を背景にということが述べられましたが、力というものは軍事力、経済力その他いろいろな国際的な圧力もございましょう、集団的圧力等もございましょうが、力というのは何だとお互いに了解していますか。
○宮澤国務大臣 これは議論をいたしていきますと、お互いがどういう世界観を持っておるか、マルキストであるか、マルキストでないかといったようないろいろなことに関係をいたすと思いますが、それは余り議論していきますと、ややアカデミックな問題になろうと思いますが、私の理解しておりますところでは、一国には一国の意思というものがあって、その意思をいわゆる何かの強制によって曲げていくような、そういったようなものを力と言うと考えておけばまず足りるのではないかと考えております。
○永末委員 その力というのは、一国の意思を他から曲げる力である、こうなりますと、しかし曲げられる場合にはいろいろなもので曲げられるわけですね。したがってその辺があいまいなんでございますが、話の過程で、そういう力をもって他国の意思を曲げようとする国、ないしはその国の集団について明らかなコミットはございましたか。
○宮澤国務大臣 ただいまのお尋ねは、そういう国あるいは国の集団について、それが特定の国を意味するというような説明があったかどうかというお尋ねであれば、その点、わが国は特定の国を意味するものではないと考えているということを繰り返し申し述べておりまして、その点について特段の強い反論があったとは私は考えておりません。わかった、同意したということであるかといえば、そうとも申し上げかねますけれども、強い反論があったとは私は考えておりません。
○永末委員 そのわが方の主張点はわかりましたが、相手方がこの点について明示的に国の名前を挙げたことはございますか。
○宮澤国務大臣 中国の外交上面しておりますいろいろな問題については詳しい説明がございました。そういう中には特定の国の名前が何度か出ております。しかし、それはこのいまの条項との直接の関連においてではなかったというふうに申し上げてよろしいと思います。
○永末委員 昨年でございましたか、この委員会の席上で、この覇権を確立しようとする国について外務大臣は、アメリカもまたこの国に該当することが将来あるかもしれないという懸念の意を表されたことがあります。そういうことはいまでも中国側は考えていると見ておられますか、いかがですか。
○宮澤国務大臣 その点につきましては、中国側の立場は、理念の問題として言えば、ある一国に第三国が軍隊を置く、あるいはその関連の基地を持つということは理念の問題としてはよくないことと思う、しかし、それはわれわれは、物を現実的に処理しなければならないという外交上の立場を持っていることもまた事実である、このような説明をなされたことを記憶しております。
○永末委員 逆にソ連という国が、この他のいかなる国に該当するというようなことは言及されましたか。覇権を確立しようとする国というものに、ソ連が該当するという意味合いのことを伺われたか否か。
○宮澤国務大臣 中国の外交上面しておるいろいろな困難についてはるる説明がございましたけれども、いわゆる覇権条項に申しますところの第三国、それとして特定の国の名前を挙げて言われたことはなかったと思います。
○永末委員 この会談の過程でソ連の外交責任者とあなたは会われました。ソ連は、この日中平和友好条約の日中間の交渉について、このときに言及されたと伝えられております。そうしてこれに対して反対の意を含んで話があったということでありますが、何を反対したのですか。
○宮澤国務大臣 ソ連の外務大臣の使われた言葉はきわめて抽象的な言葉でありまして、日本と中国との間のいろいろの関係、交渉について、ソ連としては重大な関心を持っておるという話がございました。で、私としては、日本は平和憲法の立場から申して、中国と友好関係をさらに進めたいと考えることは当然であるけれども、さりとて、その結果として、ソ連との関係を敵対的なものに持っていくということは日本の憲法上許されないことであるし、日本の外交政策がそういうことはできるはずがないという説明をいたした経緯がございます。
○永末委員 中国がいろいろな団体あるいは国と覇権についての協定を結んだり共同声明を発していることはございました。その中には明らかに覇権を求める国というので現存する特定国を挙げておるものもございます。 私伺いたいのは、そういうものはございますけれども、あなたと中国の外交責任者外務大臣との話し合いにおいては、そういう明示的なものはなかったという態度で今後の交渉に臨まれるものであるかどうか、この点を最後に伺っておきたい。
○宮澤国務大臣 そうお考え願って結構であると思いますし、私と喬冠華外相との間では、この条約についての交渉は国と国、外交チャンネルを通じて行おうではないかという積極的な合意がございました。
○永末委員 前段がちょっとよくわからなかったのですが、よそでは、中国のある団体は明確に国の名前を挙げた声明等を発しておる。しかし、日本国の外交の責任者であるあなたと、中国の外交の責任者である喬冠華外相とは、外交チャンネルという、その場で話をされたのでありますが、その中では、いまのような、明示して特定国を覇権国として挙げたことはなかったという立場で交渉に今後も臨まれますなということを伺っておる。
○宮澤国務大臣 そういうことになるわけでございます。
○永末委員 終わります。
○栗原委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、明後十四日金曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後零時二十一分散会