外務委員会 第1号
- 発言数
- 53 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/10/18
会議録
○栗原委員長 これより会議を開きます。 この際、理事辞任についてお諮りいたします。 理事鯨岡兵輔君から理事を辞任したい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 引き続き、理事の補欠選任を行うのでありますが、先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に木村俊夫君を指名いたします。 ————◇—————
○栗原委員長 まず国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 本委員会といたしましては、国際情勢に関する件について調査を行いたいと存じます。したがって、この旨議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○栗原委員長 次に、漁業操業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣宮澤喜一君。
○宮澤国務大臣 ただいま議題となりました漁業操業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 政府は、近年わが国沿岸の水域におけるソ連漁船団の操業に伴い、わが国沿岸漁民との間で事故が生じている事態にかんがみ、事故の未然防止と事故発生の場合の紛争の迅速かつ円滑な処理を図ることを目的として、ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間で漁業操業に関する協定を締結するため、本年三月以来モスクワで交渉を行ってまいりました結果、去る六月七日に東京において、わが方外務大臣と先方イシコフ漁業大臣との間でこの協定の署名が行われた次第であります。 この協定は、第七十五回国会に提出されましたが、審査未了となったものであります。 この協定は、本文十五カ条及び四つの附属書から成っており、漁船及び漁具に関する事故の未然の防止のために、漁船の標識及び信号並びに漁具の標識等に関する規定、漁業操業の規則の設定と遵守に関する規定、情報の交換等に関する規定等を定めるとともに、漁業紛争の処理を促進するための漁業損害賠償請求処理委員会の設置による紛争処理手続等に関する事項について定めております。 この協定の締結によりまして、特に近年わが国沿岸におけるソ連漁船団の操業の結果問題を生じていた日ソ両国の漁船の操業に一定のルールが課されることとなる結果、漁船及び漁具に関する事故の未然防止が図られることとなり、また、不幸にして事故が発生した場合には、事故から発生する損害の賠償請求の処理につき迅速かつ円滑な解決が促進されることになることが期待されます。 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○栗原委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 —————————————
○栗原委員長 ただいま議題となりました本件について審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
○井上(泉)委員 本協定が六月七日にソビエトとの間において成立を見て、それが今日までわが国国会の承認を得なかったということは、国際信義上からもまことに遺憾だと思うわけでありますが、時間がないのできわめて簡単に質問をするわけですから、率直にお答え願いたいと思います。 昨日十七日の毎日新聞でもソ連船団が根こそぎで漁業をやっておるという報道がなされ、さらにはまた五月以降も十件になんなんとするソ連漁船団による被害等が出ているわけですが、この協定が成立し、批准の承認を得た場合においてはこういう問題は起こらずに予防ができるのかどうか、この点まずお伺いしたいと思います。
○伊達説明員 お答え申し上げます。 この協定は先生も御承知のように事故の未然の防止ということと、不幸にして事故が起こりました際には、その被害者の民事請求にかかわる手続をより容易にしようということから、日ソ間で漁業損害賠償請求処理委員会というものをつくって解決の促進を図るということが二つの眼目でございます。したがいまして、新聞に報道されますように、わが国の領海外のところでソ連漁船が操業をするということ自体を排除しているないしはソ連船がそういう操業をしないということを決めたものではございません。したがいましてその点に関しましては、この協定は何ら解決の策をもたらしていないということは法律的には申し上げられると思います。 ただ、この協定ができましたことは、六月にイシコフ漁業相が参りました際に共同コミュニケにも書いてございますように、この協定ができるという基礎の上に、ソ連側は日本側と十分話し合った上日本側の規制措置等を勘案して、従来のような非常に乱暴な操業はしないようにするというふうな声明を出しておる次第でございまして、そういうことからも、ことし十月に入りましても、ソ連船の操業は従来よりはやや穏当な形において行われておるという背景があるわけでございまして、その意味におきましてはこの協定が日ソ間において発効するということは非常に効果のあることではないか、そのように私どもは考えております。
○井上(泉)委員 もちろん効果のないものを協定をするはずはないわけですから、協定に期待するのは当然であるし、協定が効果のあるのは当然だと思うわけですけれども、この協定がなされて、国会で承認を得られてはいないけれども、しかしやはりこの協定の精神に基づくソ連側の操業態度あるいはこれに対する日本側の姿勢、そういうようなものが、やはり国会の承認がなければ、もうこういう協定の以前の状態が横行闊歩するというようなことであっては、お互いの友好関係を深める上においてこれはマイナスだと思うわけですが、いま参事官の説明の中でも、いろいろ領海外における操業についての問題を解決をするというようなことにはこの協定のたてまえ上はなってないと、こう言われるわけでありますけれども、やはり領海内における問題ならこれは問題はないわけで、領海外におけるこうした漁業紛争というか漁業の被害等に対して、これを防除し、そしてお互いがこれを排除していくということが、私はこの協定の趣旨だと思うわけですが、外務大臣、この交渉に当たってのソ連側の真意というものはどこにあるのか承りたいと思います。
○内村政府委員 ただいま外務省から御答弁ございましたように、本協定は日本の領海外の日ソ間の漁業の操業の調整を図るという協定でございます。したがいまして、ソ連側としては当然領海外でございますから漁業ができるわけでございますが、ソ連側も日本側も漁業をする際に紛争を避けるためにいろいろな調整措置をとるというのがこの協定でございまして、この協定が発効いたしますと、ソ連政府といたしましても、ソ連の漁船に対してこの協定を遵守するということを指導するということがはっきり約束されておるわけでございます。 それから七月以降の漁業被害を見ますと、先生御指摘のとおり約十二件、被害金額百三十万円程度のものが出ております。しかしながら、今漁期に入りましてのソ連の操業のパターンを見ておりますと、大体日本の距岸十五海里から二十二海里くらいのところで操業しておりまして、今日までソ連側が昨年のように十二海里と三海里の間に入ってきたというようなケースはまだございません。
○井上(泉)委員 この日ソ間の漁業関係が円満にいくということは非常に私は期待するものであるし、そうなくてはならないと思うわけです。日ソの間における漁獲量は世界の四分の一、そこで、経済水域を二百海里にするあるいは領海を十二海里にするというような国際的な情勢の中で、その場合に一番被害を受けるのは日本であって、ソ連は北洋というものが残るわけで、そういう点においても日ソ間の友好あるいは漁業協定というものが遵守され、そうして、この精神が現実に生かされるということが大切な使命を果たすわけでありますので、そこでやはりこの条約が恐らくきょうの国会で承認をされると思うわけですが、その承認をされた以後におけるこの二百海里の水域の問題、あるいはまた世界的な十二海里の問題、こういうふうな問題について、国際会議等において日本はどう対処していこうとしておるのか、その点を外務大臣から承って私の質問を終わりたいと思います。
○宮澤国務大臣 まず二百海里の問題でございますが、海洋法会議が御承知のように進行中でございますので、参加国の中で一方的に二百海里を宣言するというようなことは、海洋法会議で共同作業をしております精神から申しますと適当なことでないと私ども考えております。したがって、日本政府としてそのような処置をとる考えはございませんのみならず、もし他国においてそのような動きがあるならば自重を促したい、慎重な配慮を促したいということを、政府といたしましても正式に申しておる場合もあるわけでございます。海洋法会議の結論を待ちたいと考えております。 領海十二海里の問題につきましては、沿岸漁民の利益の立場から言いますと、これを直ちに実現することもそれは一つの意見でございましょうと思いますが、海洋法の諸問題との関連あるいは国際海峡の通過の問題外国船のわが国周辺の国際海峡通航の問題等々いろいろな問題、わが国全体の国益と絡んでおりますので、海洋法会議の再開もそう遠くないことでございます。そのようなことを考えながらなお慎重な立場をとるべきではないかというふうにただいまとしては考えております。 先ほど水産庁長官のお話のように、現実にソ連の今回の漁業は十五海里ないしその以遠において行われておるようでもございます。そのようなこともございまして、この条約の御承認を得ますならば、当面のわが漁民の利益を図っていけるのではないかというふうに考えております。
○栗原委員長 正森成二君。
○正森委員 イシコフ漁業大臣が前回お見えになったときに、日本国において有効である漁業規制措置を考慮に入れていろいろの方策を講ずるという合意ができました。それを受けたのであろうと思いますが、九月八日から十七日まで、わが方の松下友成水産庁次長とソ連側のラフィツキー氏が専門家会議をやっております。そこで、この操業協定に規定されていることだけでなしに、日本側の漁業規制を尊重するという点でどういうような合意が行われたか簡単に説明してください。
○内村政府委員 九月の専門家会議におきましては、わが方は、わが国の沿岸における底びき漁業の禁止区域等につきまして詳細に説明したわけでございます。それに対してソ連側からは、ソ連の沿岸にとられているいろいろな措置の説明がございまして、意見の交換をしました結果、ソ連側といたしましては北海道南部の一部水域及び銭州、大室出し周辺のサバの産卵場における操業の自粛をソ連の国内措置としてやるということを表明したわけでございます。
○正森委員 ところが、そういう表明にもかかわらず、最近九月、十月に北海道の十勝、釧路沖あるいは胆振沖、それから虎杖浜ですか、そういうところで次々に被害が起こっておるんですね。刺し網などが突っ切られて非常に被害が起こっておるということになりますと、この漁業専門家会議も、文章をよく見ますと当局に勧告することが必要であるというように書いてあるので、実際上は専門家会議の合意も効果がないのではないかというように思われますが、いかがですか。
○内村政府委員 わが国の沿岸の底びき禁止区域は大体七海里、距岸七海里からまあおおむね十二海里くらいのところでございます。最近いろいろ被害が出ておりますのは距岸十七、八海里のところにありますわが国の漁民が設置してある漁具について被害が起こっておるわけでございます。したがいまして、今日までのところソ連はわが国のトロール禁止区域、底びき禁止区域の中に入ってきたというケースはございません。したがいまして、ただいままでの被害は公海に設置してございます——もちろんその三海里の外は公海でございますけれども、十七海里、十八海里のあたりに設置してあるわが国の漁民の漁具に被害が起こっておるわけでございます。
○正森委員 漁民からの訴えによりますと、刺し網などをしておる、そのど真ん中を突っ切っておるようですね。これは日ソ漁業協定ができますと標識がつきますから、少なくともそういうことは公海上であっても行わないようにすると、こういうことだろうと思いますが、さらに訴えによりますと、これは釧路沖だと思いますが、九・九トンぐらいな小さな船が向こうの漁具にひっかけられて四時間ぐらい引きずり回されたという訴えがあります。人道的に見ても四時間も引っ張り回すなどというのはもってのほかだと思うのですが、それについて調査し、しかるべき措置をおとりになりましたか。
○内村政府委員 釧路市の漁業協同組合から北海道への報告によりますと、昭和五十年八月二十九日の午前五時ごろ、釧路漁協所属のエビけた網船第十一栄運丸という船が、釧路港の南東三十二海里付近で操業中、ソ連の漁船、これは漁船の名前もわかっておりますけれども、漁具に第十一栄運丸の漁具がひっかかりまして、西南西の方向に四ないし五ノットの速力で引きずられ、九時三十分ごろソ連漁船がソ連のトロールの網を揚綱いたしまして、第十一栄運丸の絡まったロープを発見し、それをソ連の船上で切断した後に結んで返してきた、こういう事故でございます。そこで、このエビけた網船でございますけれども、かけまわし漁法に類似したものでございまして、ロープが非常に長いわけでございます。三千メートルから四千メートルのロープでございますので、それをひっかけられたという事件でございます。 このような事故の防止のためには、日ソ操業協定が発効いたしますと、一定の距離をもって操業しなければならぬということになりますので、こういった事例が起こりました場合には、協定に基づきましてはっきりソ連に抗議するということができるわけでございますので、そのような措置をとらなければならぬというふうに考えているわけでございます。
○正森委員 時間がありませんので、最後に一点だけ大臣に伺います。 先ほど同僚議員から、漁民のいろいろの要望の中に、領海十二海里があるというのが出ました。いま答弁によりますと、十五海里から二十二海里ぐらいのところが多いという話ですが、現地の声を聞きますと、これまでは十二海里以内にも入ってきたことが多いというので、非常に要望が強いわけですね。海洋法会議のことが出ましたが、わが国としては非核三原則の規定を含む無害通航ということを主張した上で、十二海里領海説を速やかにとるのが漁民の利益、国益にも合致するのではないか。すでに安倍農林大臣はそういう趣旨のことを公言されておりますし、再度御見解を承りたいと思います。
○宮澤国務大臣 水産庁長官からお話がございましたように、今年につきましては、ソ連の出漁というのは、十五海里あるいはそれ以遠である由でありまして、その点では、この協定の背景になりました両国間の話し合いというものが守られているように存じます。この協定ができますと、さらにわが国の漁民の利益が保護されることになるであろうというふうに期待をいたすものでございます。そのようなこともございますので、十二海里自身は、確かに漁業という観点から申しますれば、早く宣言をすることが有利であるという立場はよく了解するところでございますけれども、海洋法会議そのもののいろいろな問題と関係をいたしております。ことに、たとえば二百海里等のような問題につきまして、海洋法会議を離れて単独に宣言をするというような動きが世界にあるような傾きもございますので、そのようなことを考えますと、問題は違いますけれども、やはり海洋法会議そのもので一括解決を図るということがわが国全体の国益に沿うのではないかというふうにただいまといたしましては考えております。
○栗原委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 日ソ漁業操業協定の交渉の間に大きな期待が日本側で持たれており、ただいまの政府の提案説明の中にも、本協定の締結によって「日ソ両国の漁船の操業に一定のルールが課されることとなる結果、漁船及び漁具に関する事故の未然防止が図られることとなり、」という部分がありますが、その期待は意外に少ないのではないかという心配を持っておるわけであります。特に本協定は、ある新聞の社説を見ますと、交通法規のようなものだというような評価もございますが、事故が起こってから解決するためには効力を発しますでしょうが、事故の未然防止に関しては今後の努力が必要ではなかろうかと存じます。 特に、「日本国沿岸の地先沖合の公海水域における漁業操業に関連する問題に関する日本国とソ連邦の専門家代表団の会議の議事録」と称するものの第六項目にこう書いてあります。「専門家は、上記協定の適用水域における紛争防止のためにとるべき追加的措置を検討することを目的として引き続き協議を行うことが必要であると認めた。」こうなっております。ということは、少なくともこの協定の目的をもっと的確に達成するためには、紛争防止のために追加協定が必要であることを示唆いたしております。私は、本協定に加えまして、安全操業のために協議を行う用意が政府にあるかどうか、それをまず伺いたい。また、その用意があるならば、今後どういうふうにしていくおつもりなのか、それをお伺いしたい。
○内村政府委員 ただいま御質問のございましたように、先般の九月の専門家会議の際の議事録にそのような規定がございますのは、九月の専門家会議でいろいろなことが話されまして、ソ連も日本の底びき禁止に関する規則を一部の海域についてはこれを尊重してやるということを言ったわけでございますが、さらにその後、それをやってみた後でまたいろいろ問題が起こる可能性があるわけでございます。そこで、向こうの自粛をしてもらう海域を広げてもらう話とかいろいろ話が出ますので、今後引き続き専門家の間で話し合う、こういうことになっておるわけでございます。 それから協定の第六条にも、「両政府は、両国の漁船による漁業の操業の実態に関する情報を交換し、必要な場合には、その情報に基づいてとるべき適当な措置を決定することについて適宜協議する。」という規定がございます。そういうことで、協定の運用につきましていろいろな問題が今後も起こってくるおそれがございますので、そうした問題の解決を図るために、今後必要があればいつでも専門家会議を通して話し合おうということになっているわけでございます。
○渡部(一)委員 必要があればなどとのんきなことをおっしゃっていますが、ことしの五月以降八月までの漁具被害というリストをこうやって手にしておりますが、五月九日、十日、六月二十日、二十一日、二十九日、七月十五日、十六日、八月二十九日、合計十一件、被害金額は、カニかご、ツブかご、エビかご、メヌケ刺し網、エビけた網など二百十一万七千円に上っております。こういう被害は、どうも聞いてみますと、木協定の実施で被害金額についての調整はできても、予防措置というものはほとんどできないものであると北海道の現地から承っておりますが、これは早急に何かの手を打つ必要があるのではないか、こう思いますが、いかがですか。
○内村政府委員 先生御案内のように、今度の協定で標識の問題あるいは操業の距離の問題等、操業の調整に関するいろいろな規定があるわけでございます。したがいまして、協定が発効いたしますと、たとえば日本の漁具が設置されているところから五百メートル離れて操業しなきゃならぬというような規定が働いてまいりますし、そういったものについてソ連側はそれを遵守することになってまいりますので、私どもは、協定が発効いたしますれば、当然そういった被害が減ってくるのではないか。さらに、そういった事態がはっきりしております場合には、当然協定の問題としてソ連側にいろいろ抗議するというような措置をとっていけば、いままでよりはかなり事態は改善されるのではないかというふうに期待している次第でございます。
○渡部(一)委員 前国会において参議院自民党の酒、たばこ値上げ法案の強行方針によって消滅した賠償請求権についての救済措置は、政府はどういうふうにおとりになる決意であるか。特に十月の初頭から本日に至るまでの間、数件の漁民被害が本協定によって救済されないことになりますが、それに対してどうお考えであるか、伺いたい。
○伊達説明員 お答え申し上げます。前段の請求権に関する点だけ私からお答え申し上げたいと思うのでございますが、新聞にもそのように書かれていたようでございますが、請求権が消滅したというふうに誤った印象が世上伝えられているわけでございますが、請求権は消滅しているものではございません。請求権はあくまで民事的な請求として権利が残るわけでございまして、ただ、この協定が発効しなかったということによりまして二、三件ないし四件ぐらいのものが、この協定発効時からさかのぼりまして二年以内の範囲から外れてしまう。そのために、この協定に定めます請求権処理委員会というものの、何と申しますか、いわゆる便宜な手続、解決を促進する手続というものに乗らなくなるということがあるわけでございます。
○内村政府委員 四十八年の漁期に入りまして、十月五日に最初の事故があるわけでございますが、十月中の事故が約五百二万円ございます。それで、最後の事故は三十日でございまして、これが三百万円等の事故になっておりますが、いずれにいたしましてもただいま伊達参事官から御答弁申し上げましたように、民事上の請求権は残っているわけでございます。したがいまして、協定が発効いたしまして損害の評価に関する委員会が動き出すということになるわけでございますが、その場合、それによって解決されるケースとの均衡を考えながら、何らかの措置があるいは必要になるのかもしれないというふうに考えているわけでございます。
○渡部(一)委員 評論家みたいなことばかり言っておられるけれども、行政の当局者なんですから、それはしかるべく答弁しなければ仕方がないんだ。答弁がいいかげんであり過ぎる。民事の諸権利が残っているなんということは知ってますよ。しかしそんな諸権利をソビエト側に対して民事訴訟の段階で交渉できる相手でないこともまた百も承知じゃないですか、外務省は。だからこんなばかばかしい協定が要るんじゃないですか。だからこそこの協定に、前国会で参議院においてあのようなおかしな国会運営のもとに漁民の権利を踏みつぶした責任を自民党内閣はとらなければならない。だからその返事をしなければならない。当然じゃないですか。民事訴訟によって救済されないであろう、本協定の枠からはみ出したであろう漁民の被害に対して、政府はどういう対応をするのか、評論家としてでなく行政担当者として聞きたい。
○宮澤国務大臣 先ほどから政府委員から申し上げておりますように、請求権そのものは、御承知のように現存をする、残るわけでございます。しかしこの協定そのものが発効しておりませんので、この協定によりますところの処置というものはできないということを申し上げておるわけでございます。私どもとしては一日も早くこの協定が有効になりまして、そのようなケースが少しでも救われていくということを心から希望をしておるわけでございます。
○渡部(一)委員 大臣、時間もありませんので一つだけ伺いますが、この協定の救済から、前国会のごたごたによってはみ出してしまった漁民の被害に対して、政府はどういう救済措置をとられますか。日本政府として救済の措置をとるおつもりはありませんか。
○宮澤国務大臣 これは別個の新しい問題、すなわち過去におきまして、この協定の発効以前におきまして生じましたそのような損害をどう扱うかという一般の問題であろうと存じますが、政府としてはただいまそれにつきまして確定した方針を持っておりません。
○栗原委員長 永末英一君。
○永末委員 ソ連の海軍総司令官として二十年近く務めましたゴルシコフ元帥は、ソ連海軍機関誌「モルスコイズボルニク」、一九七二年の二月から七三年の二月にわたって、ソ連の海軍についての記事を載せました。その中でゴルシコフ元帥は、ソ連は海洋が伝統的な西側のシーパワーの支配下に長い間置かれることに満足するであろうか、もちろんそんなことはできないということを書きまして、そしてソ連がシーパワーについて全力を挙げてその獲得のために努力をしていることを述べております。その中でシーパワーの重要な要素として、第一には海軍、そして第二には商船隊、そして第三には漁船隊を挙げて、みずから世界最強の漁船隊としてこれがソ連のシーパワー獲得のために動いていることを高く評価をいたしております。この漁船隊というものをシーパワーの重要な要素だとゴルシコフ元帥が考えておるこの考え方について、外務大臣はどうお感じになりましょうか。
○宮澤国務大臣 ソ連の内情についてつまびらかにいたしませんので、深い論評は申し上げることができませんけれども、最小限度漁船がいろいろな意味での情報源になり得るということは考えられることであろうと存じます。もちろん、恐らくはいわゆる軍艦というものには漁船は当たらないものであろうと考えますので、そういう意味で軍艦が持っております国際法上の地位を漁船が持つということはないのではなかろうかと存じます。
○永末委員 私が伺っておりますのは、漁船はあくまで漁船でございまして、漁船隊に軍艦がまじっているとか、あるいはいろいろな調査のためのあるいは連絡のための船がまじっているとかといううわさもございますが、それは別といたしまして、ソ連がシーパワーというものをそのようにとらえ、そして漁船隊というものがその重要な要素だという角度で臨んでおり、それとわれわれはいま協定を結ぼうとしておる。そういうことについての彼らの考え方というものについての評価を伺いたいわけです。
○宮澤国務大臣 その点で申しますならば、ソ連の考えがいかようにありましょうとも、私どもとしては、この協定はわが国の漁民、漁業の保護という観点からのみ考えておりまして、わが国自身の防衛あるいは国防上の問題としてこの協定を、そういう発想から考えあるいは扱っておるわけではございません。ソ連がどのような意思を持っておりますかは、私どもそれ以上実は論評の限りではなかろうと存じます。
○永末委員 もちろんこの漁船隊というのが何もいわゆるミリタリーにストレートに関することではございませんが、海中資源、海底資源等々に対するあるパワーをソ連が及ぼそうとする場合の一つの先兵的役割りをなすものだと彼らが把握いたしておるとしますと、先ほど領海十二海里の問題について外務大臣は、海洋法会議の結果というものに非帯に重点を置かれました。しかし、もしわれわれの近海にシーパワーという観点からソ連が漁船隊を動かしておるということになりますと、そのことに関しては、ストレートに三海里よりは十二海里にした方がよろしい、こういう結論が出ると思いますが、いかがですか。
○宮澤国務大臣 そのことに関してはと仰せられるわけでございますけれども、この十二海里自身が海洋法会議でいろいろな問題との関連を持っておるわけでございますので、永末委員のそのことに関する限りとおっしゃる意味がわからないわけではございませんけれども、政府としては、やはり全体の海洋法会議との関連で決断をいたしますことが総合的な国益に沿うものではないかというふうに考えるわけでございます。
○永末委員 海洋法会議で取り上げられている問題、そしてわが国がこれに対して態度を明らかにしなければならない諸問題がございます。ただ、私がいま取り上げている問題は、この協定に関し、ソ連の漁船の取り扱い方というものを考えた場合に、十二海里というものをもう一度その角度からストレートに取り上げるべきではなかろうか。十二海里領海説だけにつきましても、たとえば国際海峡、わが方の津軽海峡や対馬海峡の問題について、これは政府がどういう結論を持っておるか知りませんが、はっきりさせなければならぬことは承知しております。この国際海峡の問題について御方針をお持ちですか。
○宮澤国務大臣 国際海峡という言葉をいまお使いになりました。私も先ほどから実は使っておるわけでございますけれども、国際海峡というものがいかなる法的な意味合いを持ち位置を持つかということが、実は海洋法会議で決定されるべき問題でございますので、私ども、国際海峡自身の定義そのことの持っております意味、それに伴います権利義務等々、やはり国際法としての海洋法会議の決定を待つべきではないかというふうに考えております。
○永末委員 国際会議の決定は、もうすでに外務大臣御承知のとおり、その決定をなさしめるためにも、わが方の意向というものをやはりまとめなければならぬ問題でございまして、私は、なるほど過去のいろいろないきさつはございましょうが、この際、やはり領海十二海里ということをはっきり方針を立て、そのもとで国際海峡の問題も、わが方として現在の国際環境上どうすることがわが国の安全保障に一番役立つか、こういうことでひとつ御方針を早急に固められるよう期待をいたします。お答え願いたい。
○宮澤国務大臣 海洋法会議にさらに継続して臨みますわが国といたしまして、いわゆる国際海峡が世界的な合意が求められておるわけでござますけれども、その中におきまして、わが国の総合的な国益というものが満たされるような形で決定されますように、わが国の立場を主張してまいりたいと考えております。
○永末委員 終わります。
○栗原委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○栗原委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 漁業操業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○栗原委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○栗原委員長 本日は、これにて散会いたします。午前十時四十三分散会 ————◇—————