予算委員会第二分科会 第1号
- 発言数
- 397 件
- 登壇者
- 36 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/03/29
会議録
○矢野登君 ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。 本院規則第七十五条により、年長のゆえをもちまして私が主査及び副主査の選任につきその議事を主宰いたします。 これより主査及び副主査の選任を行いますが、選任は、投票によらず、主宰者の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○矢野登君 御異議ないものと認めます。 それでは、主査に源田実君、副主査に渡辺武君を御指名いたします。(拍手) ————————————— 〔源田実君主査席に着く〕
○主査(源田実君) ただいま皆様の御推挙によりまして主査を務めることに相なりました。皆様の御協力を得ましてその責務を果たしたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
○渡辺武君 御推挙によりまして副主査に任命されました渡辺武でございます。非力のところ精いっぱい努力するつもりでおります。どうぞよろしく御協力いただきますようお願いいたします。
○主査(源田実君) 審査に入ります前に、議事の進め方についてお諮りいたします。 本分科会は、昭和五十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、防衛庁、経済企画庁、外務省、大蔵省及び通商産業省所管を審査することになっております。 三十一日の委員会において主査の報告を行うことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本二十九日は大蔵省及び通商産業省、明後三十一日は午前経済企画庁、午後防衛庁、外務省一括の順序で進めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(源田実君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○主査(源田実君) 昭和五十年度総予算中、大蔵省所管を議題といたします。 政府からの説明は、これを省略し、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(源田実君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○主査(源田実君) 参考人の出席要求についてお諮りいたします。 本日、昭和五十年度総予算中、大蔵省所管の審査のため、日本銀行総裁森永貞一郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(源田実君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○主査(源田実君) それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○徳永正利君 私、この予算委員会のずっと審議を通じて各皆さん方の意見を聞いておりますと、中で、福祉問題につきまして非常に御熱心であるし、また政府側もこれに非常な積極的な答弁を、衆参両院を通じてしておられるわけでございます。私は非常に結構なことだし、これはもう多々ますます弁ずることで、いろいろな面に予算をつけ、年金にいたしましても、あるいはそのほか医療問題につきましても、その他の問題についても非常に結構なことでございますが、ただ、どうも金をつける、金によって福祉を推進するというようなことばかりが議論になっておるのが私は実はちょっと気になるわけでございます。日本人の自立精神を喪失するような活力のない福祉国家をつくり上げたら大変だというような感じがするわけでございますが、そこで特に私、参議院の予算の審議を通じまして、やはり金を、年金をふやしたり、施設を提供したり、いろいろな手厚い手を差し伸べることも大切であると同時に、やはり身障者の人たちに対しては、ただお気の毒だというのじゃなくて、心からそういう人たちをいたわり、あるいは老人に対しましては、本当に自分もやがて老人になるんだ、こういう方々が日本の今日をつくり上げてくれたんだという感謝の念をもってそういう老人に接するというような、そういう気持ちの方がより私は大切である、また大切でなけりゃならぬということをしみじみとこの予算審議、衆参両院を通じて感じたわけでございます。 そこで、大蔵大臣にこのことを御質問するのはちょっと筋違いかもわかりませんけれども、ただ福祉問題というのは、私は、これは厚生省にだけ任しておいていいものかどうか、そうじゃなくて、やはり福祉問題というのは、内閣全体が、時の政府全体がどういうふうに福祉というものを考えるか、そうして、それぞれの各省の立場においてこの行政を進めていく、また国民に理解を求める、協力を求めるということでなければならないと思うわけであります。そういう点で、何か大蔵大臣として、そういう問題について御感懐があれば承りたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 福祉ということは金目ではかることができるもの、必ずしもそういうものではないという御指摘、そのとおりに思います。私どもの究極の目的は、本当の生きがいというものを追求することであろうと思います。気品のある人生を送る、太った豚になるよりは、やせておってもソクラテスになりたいということだろうと思うんです。しかし、人間でございますから、そういうりっぱなことばかりでやっていけるものでもございませんし、また、物質的な施設それから金銭的な給付というものを軽視することは私はできないと思うのでございます。したがいまして、政府としても、可能な限りそういう方面に努力をすべきであると思いますが、原点に立って、そういう施設を生かし、そういう金を本当に生かしてまいりますためには、与える方も受ける方も、いま徳永委員の言われたような心構えをもって受けとめていただくということが大切ではないかと思っております。
○徳永正利君 西洋の先進国、福祉の行き届いている国というのをずっと見て回ってみましても、非常にりっぱな建物にたくさんの御老人が一つところで、その下には最近授産所か手内職所か、そういうようなものをつくっていろいろやっているようでございますが、しかしあそこは、私は当時から、もうスウェーデンを見ろとか、あるいはどこを見ろとか言って、国会でもずいぶん演説が繰り返されたものですけれども、私はああいうところに老人の皆さんに住まってもらう、それが果たして福祉に通ずるかどうか、非常に私は当時から疑問を持って、ひとりそのことについて社会労働委員会においても私は異端者みたいに思われてきたわけでございますが、最近においてなおその感を深くするわけであります。福祉というのは、やっぱり地域福祉にだんだんと移行しなきゃならぬのじゃないだろうか、近所、隣の顔見知りの人々が温かいまなざしで迎え、あるいは温かい感触で肩をたたき、そうして、そういう立場の方々に対して心からなる感謝と申しますか、気持ちがあらわれるような施設なり、あるいは行動なりが必要じゃないかということを最近特に感ずる次第でございます。スウェーデン、スウェーデンとよく言われますが、あそこに行ってみますというと、孫やら子供やらの写真を壁にべたべた張って、毎日そのことばっかり考えて生活していらっしゃる。これは私、決してどんなりっぱな部屋に、どんなうまいものを食わして、どれだけ金をやって住まわしても、私は心からなる生きがいを感ずる生涯は送れるものじゃないということを考えるわけであります。政府におかれましても、多々ますます弁ずる施設なり、あるいは給付なりというものはあとう限りやっていただきたい。やっていただきたいんですが、それと同時に、そういう面においても格段の御配慮をお願いいたしたいと思います。 次に、年金の問題でございますが、これ、厚生大臣も年金問題では、特に無拠出の老齢福祉年金等については、いろいろ活発な前向きの御議論がなされて御答弁があったようでございますけれども、それはそれといたしまして、やはり今度は低成長なり安定成長と言われた経済成長をたどるわけでございますから、私は金の面でいまから先大きな仕事というものはなかなかできぬだろうと思うんです、これはどのぐらいそういう時代が続きますかわかりませんけれども。そういたしますと、いまてんでんばらばらに、年金の制度が何本ございますか、六つか七つあると思いますが、そういうものを一つにまとめて長期計画を立てるということを別々に答弁をしておりますけれども、要するに、経済の再建見通しを立てた上で五十一年度からそういう問題に、五十一年発足をめどにやっていくんだということを言っておられるわけでございますが、ところが、公的な年金の統合なんというようなことは、これは何か公的年金制度調整連絡会議でございますか、そういうものが過去四、五年も熱心に議論を繰り返しているんですけれども、何ら一つとして結論が出たものはない。ですから、これはなかなか言うべくして私は困難な問題である、困難というよりもさらにむずかしい問題であろうと思うわけでございます。しかしさりとて、ちょうどいいぐあいに今度は、低成長がいい機会だと言っちゃ語弊があるかもわかりませんが、こういう機会でございますから、こういうチャンスをつかまえれば、あるいは私は、事務段階の話し合いではなくて、政治的な決断によればあるいはできるんじゃないかという一縷の望みがあるわけでございます。それにいたしましても、私はこれに大きな期待をかけて、しかも給付の改善というようなことをどんどんやっていくということは非常に困難であろうと思います。 そこで、問題になりますのは、いまのうちならば、まだ掛金による、厚生年金にいたしましても国民年金にいたしましても、いまの制度そのものが動いてまいると思いますけれども、これから先だんだん受給者がふえてまいりますと、とうていこれはもう動きがとれぬことになるのは私は目に見えているという気がするわけなんです。そこでその場合にやはりどうしても突き当たるのは賦課方式、野党の皆さん方がいつも言われるような賦課方式というような問題に手を触れなきゃならぬ、これに一応の結末をつけなきゃならぬという時期が私は来るんじゃないかというような気がするんです。それを議論しなくてそれが通り抜けられるかというような気がしてならないわけであります。そこで高福祉、高負担とか、いろんなことを言われておりますけれども、その辺について一体大蔵省はどういうふうに将来のこの年金というものについてお考えでございますか。政府委員、何かお考えがありましたら、ひとつお漏らしをいただきたいと思います。
○政府委員(高橋元君) ただいま徳永先生御指摘の賦課方式か積立方式かということは、年金の財政方式の二つの典型であろうと思いますが、御承知のとおり、現在の日本の年金制度というのは、その中間にあります修正積立方式ということになっております。 賦課方式がいいか悪いかということを考えてまいります際に、ポイントは二つあると思いますが、それはいまも御指摘のありました人口の老齢化でございます。現在六十五歳以上の年金の対象人口というものは、日本の場合七%ちょっと上回ったぐらいのところかと思いますが、これが昭和七十年になりますと一二%になってくる。そういった方々の生産年齢人口に対する割合というものもおよそ二割というぐあいな水準になってまいります。その段階では、老齢者年金の負担というものもかなり重いものになってくるかと思います。もう一つは、年金制度の成熟化ということだと思いますが、これにつきましても、現在の日本の各種の年金制度というものは、発足後まだ比較的日が浅いわけでございまして、老齢年金の受給者の割合というものはそれぞれ一〇%以内にとどまっております。これが七十五年ぐらいになりますと、それぞれ二割ぐらいになる。それがさらに増していくということになるかと思います。 その二つのファクターの上で賦課方式がいいか悪いかということを考えていくわけでございますが、年金受給者の数が急速に増大していく、ただいま御指摘もありましたことでございますが、そういう状態。それから年金受給者の増大という見通しの上に立ちまして、世帯間の負担の不公平や急激な負担の増加を避けながら、制度の健全な運営を図ってまいる必要があるというふうに思っております。急に賦課方式に切りかえてまいりますと、初め非常に負担は低いわけでございますけれども、将来にわたって負担が急速に増大する。そこで世帯間の負担のアンバランスというものが起こってまいるわけでございますから、長期的に考えてまいる必要があると思います。賦課方式につきましてはいろいろな議論もあると思いますけれども、現在急に賦課方式に変えていくということは妥当でないと思っておりますが、将来の財政方式の問題として十分検討する必要があると考えております。
○徳永正利君 いまこれから先三十年間、一年に二百万人生まれて百万人死んでいくと、ですから差し引き百万人ずつ人間がふえていく、こういう厚生省の見通しでございますが、どうしても老齢人口がだんだんとふえていくわけでございますから、社会保障問題にしても、大変な財政負担を伴うと考えられるわけでございます。いま社会保障ということを盛んに叫ばれ、いろいろな施策がなされておりますけれども、恩給等はこれはもう社会保障の範疇に私は入るものだというふうに考えるわけであります。というのは、背景が社会保障的な背景を持っている。一生国に勤めて、そうしてその老後を恩給で暮らすと。それからそのほか戦争未亡人にしても、亭主が戦争で亡くなったからそれで恩給でその生活の一部を賄うとかいうような内容は、多分に社会保障的な私は内容を持っていると思うんです。ところが、厚生当局ではこれは社会保障等の範疇には入らぬというふうに、おれの守備範囲じゃないということかもわかりませんけれども、社会保障の長期計画の中に、そういうものはおれのところじゃ取り込む考えはないというような御見解のようでございます。しかし、これは政府として、私はもう一遍、社会保障の範疇に入るものは予算としてはどれだけあるんだと、よく総予算の中に社会保障費はこれしかないじゃないかというようなことが議論されるわけでございますが、発言があるわけでございますが、私はもう一遍拾い上げてみて、こういうものは社会保障の範疇に入るじゃないかというようなことを、たとえば国鉄が社会保障を受け持っているわけなんです。障害者の割引であるとか、そういうものは一般会計から国鉄に対するいわゆる国の支出として見ているわけなんです。ところが、大蔵省の方じゃそういうものまで社会保障費の中に入れて勘定しておられるのかどうか知りませんけれども、どうもそういうようなところがてんでんばらばらに、厚生省の予算が社会保障予算だというくらいのことしかまとまったものはないような気がしてならないわけでございます。こういう点についてひとつ大蔵省はどういうふうに考えておられるのか、どなたか政府委員の方、ひとつお考えがあったらお知らせをいただきたいと思います。
○政府委員(高橋元君) 現在の予算の主要経費別分類では、御承知のように、いま徳永先生からお話がありましたような考え方で、社会保障関係費と恩給関係費と別に立てております。しかし、国際的な社会保障の分類の仕方についてはいろいろな考え方がございます。その中で、恩給関係費は非常に広い意味での社会保障ということに相なろうかと思いますが、現在の予算の主要経費別の分類ということを別にいたしまして、社会保障全体を把握する場合に、どういう実質的な分類をとったらいいかという問題かと心得ておりますが、いまの御指摘の線も踏まえまして検討をしてみたいと思います。
○徳永正利君 目減り問題が大分衆議院、参議院を通じて議論になっておりましたが、いま大蔵省では、目減り補償と申しますか、目減り対策として何かまとまったようなものでもお持ちでございましたらお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(高橋英明君) 目減りにつきましていろいろ御要望がございますが、私ども過去に向かっての補償的なことはとても考えられないという態度で一貫してまいっておるわけでございます。最近、野党の先生方あるいは政府部内の一部から、それはわかると、さはさりながら、まじめに預金をしておる人が気の毒ではないかというような御意見を踏まえてのことと思いますけれども、われわれもできる限り預金金利を一般的に上げてきておるわけでございますが、それだけではだめだと。そこで、何らか対象金額等を限定して、より有利な新しい預金を売り出したらどうかというようなところに御意見が収斂してきております。 私どももそういう考えを踏まえまして、金融機関の負担能力の範囲内でできる限りのことができやしないかということで、具体的に申し上げますと、いま言われておりますのは、世帯に一口座ということで一定金額でやったらどうかというような一つの案、それから、それはとても金融機関の負担能力を超えるであろうということから、さらに対象を限定して、たとえば所得稼得能力の少ない老人とかあるいは母子家庭とかといったようなものに限定してやってみたらどうかというような、大体二つの案にしぼられてきておると思います。 いずれにしましても、これは法律技術的にむずかしい面がございまして、負担能力の問題を一応別にいたしましても、法制局あるいは法務省といったようなところ、あるいは金利政策全体あるいは金利体系全体の中でどのように位置づけるかというような点、かなり現実論はムード的にはわかる話なんでございますけれども、冷たい法律技術的な問題になりますとかなりむずかしい問題がございまして、ただいま私ども関係のところと鋭意その辺を詰めておると、こういう状態でございます。
○徳永正利君 目減り補償の問題と、この弱者と申しますか、いまのお話の中にもございましたように、弱者という言葉は余りいい言葉ではございませんけれども、弱者は一番大蔵省かもわかりませんけれども、結びつけて行うということ、これやっぱり一つ問題があると思うんです。それから、そういう弱者対策を金融機関の負担においてやっていいかどうかと、そういうような問題も筋道の問題として私は議論が出てくると思います。また、狂乱物価をもろにかぶっているのは、みんな一様にかぶったわけでございますから、そういったような筋道の問題等なかなか論点が多いだろうと思います。しかし、その中で、いまおっしゃったような、国会でも特にいろんな老人とか、身障者とか、力の弱い人だとか、寡婦だとかいうような者が政治の課題となってきたことは十分承知しておりますけれども、しかし、それだけで私は解決つく問題じゃないような気がするんでございますが、去年でございましたか、国民生活審議会の総合部会が中間答申を出されておるようでございまして、そういうようなものもひとつ参考にされて、あるいはインデクセーションの導入というようなことを一遍真剣に考えてみる価値があるんじゃないかと、この目減り対策について。そういうふうな気がするんですが、それについてどうお考えでございますか。
○政府委員(高橋英明君) 国民生活審議会の中間答申は十分拝見しているわけでございます。それから、直ちにインデクセーションの導入に踏み切るべきではないかという御意見には若干私は異論を持っておるわけでございます。 インデクセーションが完全に行われております国はブラジルだけでございます。その他フィンランド等におきまして、若干スライド制というようなことをやったことはございますが、フィンランド等は試みにやって、結局は諸物価といいますか、コストの向上につながり、結局は国際競争力が弱くなって、そして切り下げに追い込まれ、そういう制度の採用を中止いたしております。ブラジルの場合は、若干異例中の異例でございまして、一九六四年に年率八〇%を超えるインフレに達したわけでございます。そこで、軍事政権ができるというような革命政権ができまして、言うなれば戒厳令下における国民生活というようなことになりまして、そのときにこのインフレを抑圧するという、非常手段としておとりになった政策なんでございます。ただ、これはインデクセーションだけで立ち向かったのではなく、超均衡財政あるいは超金融引き締め政策、それから賃金のやや凍結に近い所得政策というのを強力に三本柱といたしまして、その三木柱のもとに、預金のみならず、あらゆる金融資産、金利といったようなもの、あるいは公共料金、家賃、あるいは在庫にまでそういう価値修正率というのを掛けるというような大がかりなことをやったわけでございます。もちろん、これは政府の強力なる統制力といいますか、権力がなければできない問題であるということが一つでございますが、それまで、六四年ごろまで打ち続いておりました非常に大変なインフレといったようなもので、国民の中にもインフレマインドが定着しておったというようなことで、それから一九六四年から、現在七五年でございますから、十年ぐらいたってその効果があったと、こういうことなんですが、現在のブラジルはおよそ二〇%を超える物価上昇率になっておると思います。それでも八十何%からここまで下がったんだから成功であるというようなことを学者は言っておるわけでございますけれども、現在二〇%ぐらいになりまして、このインデクセーションをやめようというような意見がブラジルでもあるわけです。 日本の場合、石油がありまして、狂乱と言われたときに三〇%あるいは二五%というような物価上昇があったわけでございますが、現在御承知のように一五%以下、あるいは卸においては五%前後というところまできておるとすれば、いまさらこういう制度を私は導入する必要はないんではないかと、このように考えておるわけでございます。
○徳永正利君 私はいま直ちにこういうものを導入しろということを言っているわけではないのです。インデクセーションの導入という、そういうものとの関連において、一遍、根本問題として検討してみたらどうだろうかというような気がしたもので申し上げたのでございます。直ちにこれを導入しろ、導入したらどうだと言うほど、せっかちに物わかり悪く物を言っているわけじゃないわけでございます。 そこで、今度の石油危機に際して、ドイツが物価を非常にうまくやったと、物価対策が非常にうまくやられたということを聞いておりますが、どういうところにその原因があったとお考えでございますか。それが一つと、もう一つは、いまもうのど元過ぎれば熱さを忘れるで、油対策についても、もうまるで十年も前のようなつもりで、みんなそういう感じが出てきているわけなんです。がしかし、中東の情勢というものはそうなまやさしいものでもないし、私は石油対策というのは常に注意を払っておらなきゃならぬ。またいつどういうような——いまでこそ物価もだんだん落ち着きかけてまいりましたし、いろんな面で経済も安定しかけておりますけれども、もう一遍ああいうものが何かの形で起きますと、これは灰神楽を上げたようになるだろうと思うのです。ですから、ドイツがどういうわけでああいうインフレに強かったのか。それから、もし学ぶとすれば、どういうところを日本としては、それぞれお国柄がございましょうから、学び取らなきゃいかぬものかとお考えでございますか。どなたかお答え願いたい。
○政府委員(岩瀬義郎君) よくドイツと日本が比較されるわけでございますが、まあドイツと日本との貿易構造なり、GNPに占めるところの貿易関係、そういうものの比率が、一般的には日本が高いように見られておりますけれども、ドイツの方がはるかに高いとか、そういうようなことで、貿易関係の依存度は非常に高いものですから、まあ輸入インフレというようなものを非常に受けやすいという体質がドイツにはあるわけでございます。それから、やはり欧州の各国の非常に接近しておる、かなり資金の流動、流入とか流出とかいうものが非常に激しうございますから、為替管理の面においてはやはり相当前からゆるやかな為替管理をやっておる。そういうようなことでございますから、ドイツの方は、あらかじめもうかなりそういう訓練ができておったという感じはいたしますが、端的に一番はっきり言えるのは、為替レートの変更というようなものを、割りに早くフロートに移行するところを手際よくやったとか、そういう抑制策を相当ずっと前から、スミソニアン以前からずっと続けてきたというような背景がドイツにはございます。逆に日本の場合は、石油ショック以後のドイツと日本を比べて見た場合には、むしろドイツと日本の両国が先進国の中ではうまくやってきているというふうに評価されるわけでございますけれども、それ以前の状況を振り返ってみますと、政策がうまくいったかいかぬかということは、過去の批判になりますといろいろございましょうけれども、当時として日本がとった施策はやはりそれなりの意味があった。たとえば不況を何とか切り抜けるというために、盛んに公定歩合を下げるとか、いろんな施策がとられたわけでございますが、その当時にやはりそういう不況対策を、何とか景気を押し上げようとすれば物価に対して非常に影響があるというような問題とか、それから引き締め措置をとりますと、外貨がいよいよたまってくるというか、外国からはさらに為替レートの変更を求められるような状況に日本の場合にはなってくる。そうしますと、どうしても、為替レートの変更というのは、スミソニアンのときに一回経験したわけでございますけれども、さらにもう一度レートの変更というようなことになると、日本の経済競争力というのが、果たして十分確保できるであろうかというような懸念もあったというようなことで、ドイツに比べまして、当時四十七年、八年にかかる段階におきましては、まあ正確にいけば三カ月ぐらい早目にドイツが景気抑制策あるいは本格的な抑制策に入った。日本の場合は四十八年に入りまして、正確には一月ごろから入ったというようなことで、それぞれお国柄が違うわけでございます。 だから、ドイツがなぜうまくいったのかという御質問に対しましては、やはり結果から見れば、当時やはり為替レートを早く調整したというような点は言えるかと思います。ただ、日本の場合にそう簡単にそういうような状況にはなかったということで、それが一体、ドイツの方はうまくいったが、日本はまずかったじゃないかというふうには必ずしも言えない。それから石油ショック以後のことは、繰り返して申し上げますが、かなり日本とドイツというのが並べられるぐらいうまくいままではきておるということでございますが、一貫して物価の問題を比較してみますと、日本の方は非常に上がった率が高かったもんですから、いま非常に下降している状況は、相当下がり幅が顕著でございます。ドイツの場合は、どちらかというと、コンスタントに物価が安定しているというようなことで、ドイツの方がうまくいって日本は非常にまずいんだということをよく言われるんですけれども、なかなか簡単には御説明できませんいろんな国内的な事情が私はあるんだろうと思います。
○徳永正利君 時間もなくなりましたから、いずれまた別の機会にいろいろ私の考えも聞いてもらいたいと思います。また、お説も拝聴したいと思っております。 これで終わりますけれども、私は最後に、一番最初にまた戻りまして、やはり社会保障、福祉国家の建設、これはもうこの中に、どうしても国民全体がやはりいろんな年寄りとかそういうものに対する心の持ち方を変えなければいかぬのじゃないかということが、私寝ても覚めても実は気にかかるわけでございます。私の隣に家内のおふくろがおりますが、孫といつもけんかばっかりやっているんです。もう孫は、このくそばばあ死んじまえと、こうやるわけなんです、まだ幼稚園ぐらいですから、余り注意やしかられますと。そうすると、ばあさん私の家に泣いて来まして、いまの教育はなってないといって泣くわけなんですが、それからまたやがておばあさんがかぜを引きまして、そうすると、その孫が毛布なんか持って行って肩にかけてやったり着せてやるようでございます。そうすると、うちの孫は本当にと言って、また泣く泣くやってくるわけなんです。そういうようなことを繰り返しているんですが、私はへりから見ておって、まことに生きがいに満ちた生活しているというふうに感ずるわけなんです。その一点だけつかまえてそう言うわけじゃございませんけれども、そういう雰囲気が、私はやはり老人対策の中にそういうようなものが流れていかなきゃならぬじゃないかというような気がしてならないわけでございます。したがいまして、そればかりではございません。老人に対しましても、あるいはまた身体障害者に対しましても、その他いろんなハンディキャップのある方に対しては、ただ金を与える、あるいは施設を与える、そういうことばかりでなくって、国民の心を与えるような政治をこれからひとつやっていかなきゃならぬ。それがためには大蔵省も十分お考えいただかなきゃならぬし、それと同時に、そういうものを与えるためには、いまのような社会施設、福祉施設というようなもののあり方がいいのかどうかというのは十分また厚生省とも御相談になって、何といっても大蔵省が元でございますから、ひとつ十分御配慮の上お進めいただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。 これをもって私の質問を終わります。
○田中寿美子君 ただいまの徳永先生のおっしゃいました福祉のあり方ですね。これは私も非常に長い間福祉の問題にはもちろん強い関心を持っておりますし、それから研究などもしてきましたし、各国の状況なども見てきております。そうしていま福祉の先進国と言われた国々でも、地域福祉というのが一つの方向としてみんな出つつあるところなんで、その点では賛成なんですが、その地域福祉を確保していく条件というのをやっぱりつくっていきませんと、まだ大変不足の状況がある。そういう意味で、私はいまのは大変共鳴する点もたくさんあるんですけれども、大蔵大臣というのはそういう福祉のための財源を見つけてくださる、それを配分してくださる人でございますからね。ですから、厚生省当局が要求することに対しても、もうGNP第一の経済でなく、切りかえつつおるときですから、ひとつ政治的な配慮で考え方をどんどん切りかえていってくださらなければならない。物質的な条件を整えないでおいて福祉を言うことは非常にむずかしくなりますので、ぜひそのことは頭に置いていただいて御答弁をいただきたいわけなんです。 で、実はきょうは私、政府関係金融機関でありますところの公庫の貸し倒れ引当金——滞貸償却引当金という大変むずかしい言葉が使われておりますが、その問題一本にしぼってお尋ねするんですけれども、政府委員室の方が、銀行局だけでいいか、大蔵大臣だけでいいかとたびたびお尋ねに見えましたけれども、私が銀行局だけにしぼりましたのは、政治的な問題は大蔵大臣がお答えくださるはずだし、お答えいただきたいと思うからなんでございます。 福祉ということを一生懸命に私たちも主張いたしますけれども、その福祉を主張するためには福祉の財源というのが非常に必要である、その財源を捻出するために、私たちもいろいろと野党の立場からも考えなきゃいけないし、それから、これまでの国家予算の組み方も見直していかなきゃいけないんじゃないか、あるいはもっと大きく言って資源の配分も変えていくというような大きな政策が必要なんじゃないかという立場をとっているわけでなんです。そういう点から、実は私はこの公庫の貸し倒れの引当金ですね、その計上の仕方に大変問題があるんではないかというふうに気がついたわけなんです。それは、三月五日の総括質問のときにも私はちょっと関連質問で触れまして、そのときに十分なお答えをいただいておりませんし、あのとき、大蔵大臣覚えていらっしゃると思いますが、検討してみますというふうにお答えになっていらっしゃいますので、それで私はどのように検討なさっているのか、大蔵大臣のお答えを聞きたいと思ったわけなんです。 その問題の順序を一通り、よくもう大蔵大臣、非常にたくさんのことを頭に入れていらっしゃると思いますけれども、この問題を私が考えるようになった順序を申し上げてみます。 今回五十年度予算の大蔵省からいただいている資料の中で公庫の関係をずっと見ますと、四十九年度の利益のところですね、全部ゼロになっている。そして五十年度の予定のところに滞貸償却引当金というのを非常に大きな額を計上してあるというのがそもそも私が不思議に思った最初なんでございます。公庫というものは全部利益がないものなのかどうかということなんですね。それから見始めたわけなんで、実は四十九年の四月一日ですね、私がまだ参議院の決算委員長をしておりましたときに、すでにこの問題は決算委員会でわが党の小谷守さんが取り上げているわけなんです。そして、そのときに主張しておりますことは、小谷さんの方の主張したことは、滞貸引当金というものは非常にたくさんの高い率で計上してある、そして大蔵省の方で洗いがえ方式というのでこれまでと方式を変えるようになったということである、しかし、非常に過分に貸し倒れ引当金が積み立ててあるにもかかわらず、実績としては貸し倒れというのは非常に少ししかないではないか、それはおかしいという点を指摘されたわけなんです。そしたら、それに対して大蔵省の答えていらっしゃることは、今回私が総括質問のときに関連して御質問しましたときのお答えと大体同じですし、その後はいろいろな資料を見てみると、大蔵省当局の考え方そのものに非常に問題があるんじゃないかという気がしたわけなんです。 それで、予算を計上するためにたとえば主計局がなさる。しかし、銀行局というのは政府関係の一種の金融機関のようなもので、どうしても銀行局的な発想でなさると思うんですね。それで、私がきょう問題にするのは、政府委員の方は、大蔵省の当局の方は、この問題は幾らでも私に説明をするから国会での質問はしないようにという御要望がありました。しかし、私はこれは非常におかしいんじゃないか。説明は非常によくわかりました。大変丁寧に説明していただきました。経過も説明していただきました。だけれども、こういう行政当局の考え方に対して、あるいはやったことに対して、国会というのは審議する権限がある。だから、その審議する自由もあるはずだ。だから、私は銀行局の人たちの考えに対して、大蔵大臣はもっと高い見地から政策的な立場でお答えを願いたいと思いましたものですから、銀行局の方と大蔵大臣だけをお願いしたわけなんです。 そこで、答弁されたことにいろいろ問題がありましたが、あのときおっし ったことは、民間の経理とは違うんだ、これは国家の政策金融なんだから民間の経理とは違うんだ、しかも、一般会計から公庫にはお金を繰り入れてくるものなんだから、無利息の一番いいお金でございまして、各金融機関の資金コストを引き下げる役に立っておりますというふうに銀行局長は三月五日には答えていらっしゃるわけなんですね。だから、これは政策金融として行うものなんだから資金コストを下げる役に立つし、大変いい金融の財源になるから、そのまま貸し倒れ引当金が使われなくても、取り崩されなくても、毎年毎年積み立ててきてその金額が大きくなったんだというようなことを答えていらっしゃるわけなんです。それで、ほかの一般の企業の経理とは違いますよということを言われ、それから去年答えていらっしゃるのは、政策金融なんだからリスクが多いと、だから積み立ててきたんだと、しかし、実態を見てみると実績では取り崩し額は少ないので、そろそろやり方を変えなきゃいけないと思っていたということなんですね。 そこでその次に、そのやり方を洗いがえ方式に変えるのについては、行政管理庁から勧告が出ているわけですね、四十八年の十月の十一日に。公庫の経理のやり方について問題があるから方式をちゃんと変えなさいと。その他いろいろ後でこれは触れたいと思いますが、行政管理庁からの勧告が出ている。その勧告に対して、大蔵省当局の方も回答を出していらっしゃる。私はその両方を見ました。そこで、さっきから申しますように、大蔵省当局の反省というものが余り私はないように思います。自分たちのやったことはちゃんとしていたんだ、民間金融とは違うぞ、政策金融なんだからこのくらいのことはあたりまえであって、そして利益というものを計上しないで、どんどん滞貸償却引当金が使われなければ毎年毎年積み上げていって、そしてそれを資金コストの安いものとして回しているんだからいいではないかと、こういう考えがにじみ出ているわけなんですね。それにもかかわらず、実績としての取り崩しが少ないということを指摘されたから、今回洗いがえ方式にいたしますと、何だか渋々これに従うような回答が出ているわけなんです。 そこで、大蔵大臣にまず私は、公庫というものはこれは全額一般会計から出資している。これは国民の税金でございますね。ですから、国民の立場からして、この税金を繰り入れて出しているところの公庫の経理というものはそういうふうなやり方をしていていいのか、利益は全部なかったものにして積み上げてきたことについての反省というものがあってしかるべきではないかということが一点。 それから、公庫というものは、一般会計から全額出資してそして使うから、利益が出たときにそれをまた国庫に返すということに原則としてなっているわけですね。それを全然返さないできたわけなんだけれども、そういうやり方をしていていいのかということについての大蔵大臣の御見解を、もう一度きちんとお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 公庫とか、その他政府関係金融機関をつくっておるわけでございますが、それはそれなりの政策目的を持ってつくっておるわけでございます。したがって国の出資でつくる。あるいはそれに対して民間の協力を得てならないというはずのものでもないと思いますけれども、いずれにいたしましても、一定の政策的目的を持ちましてそういう政府機関をつくりまして、その政策目的の遂行を図るということは政府としてやってしかるべきことと私は考えます。 それから第二の問題でございますけれども、しかしそれは……
○田中寿美子君 ちょっと済みません。いま何とおっしゃったのですか。済みません、もう一遍繰り返してください、いま私語しておりましたものですから。
○国務大臣(大平正芳君) 公庫とかあるいは開銀その他の政府関係金融機関をつくっておりますけれども、それはそれだけの政策的目的を持ちまして政府機関を設立するということは政府としてやっていいことだと考えております。その場合、政府出資は全額が政府出資でなければならぬとも考えておりませんけれども、民間に御協力いただいても私は差し支えないものと思いますが、政府がつくる以上は政府出資が主たる給源になるということは、そうならざるを得ないのではないかと思っております。 第二は、それはあなたのおっしゃるように、それは利益を上げなくていい、それから利益を上げる、これはやはり政府の政策によると思うのであります。開発銀行のように、一定の利益を上げていただきまして、アメリカから供給を受けました見返り資金の返済をやる給源にしておるというようなところもございますけれども、特にこれをもって政府はもうけなけりゃならぬと——政策目的を果たすことが主力であって、利益を上げることが必ずしも必要とは考えていないというのがいまの考え方であるし、私はそれでよろしいのではないかと思うのであります。したがって、貸し出しの条件にいたしましても、そういうかげんで実行いたしておると思うのであります。しかし、利益が出た場合にそれを国庫に一たん返しまして、必要な場合に改めて国庫から出資するというようなことは、これも一つの方法だと思いますが、しかしこれは、予算を通じまして一般会計からの出資あるいは特別会計からの出資というような姿をとらなけりゃならぬわけでございますが、まあそういうことをしなくても、これだけの留保、内部留保があるということでございますから、それを確認した上で、それを踏み台にいたしまして貸出条件の緩和に役立てる、あるいは次の年度の歳出——貸し出しの原資にしてまいると無利子の原資になるわけでございますから、それだけの金利が安くつくわけでございますから。これは方法論の問題でございまして、特に一たん国庫に返して、必要なときにまた出せばいいじゃないか、それもそれでそういう方法もあり得ると思いますし、いまやっているような方法が私は悪いとは言えぬと思うのでございまして、問題は、公明にそれが経理されて、政策目的を十全に果たしておればそれでよろしいのではないかと私は考えております。
○政府委員(高橋英明君) いまの大臣の御答弁に若干補足をいたしまして私からも申し上げたいと思います。 滞貸引当金、貸し倒れ引当金が金融機関にとって必要であるということは、これは是認されるところでございます。で、実は滞貸引当金といいますものが、昭和二十五年にシャウプ勧告で税法上も認められるというようなことになったわけでございます。まあ政府機関の場合、税との関係はございませんが、その場合に貸し倒れ引当金の性格というのが非常にあいまいでございまして、発足当初はむしろ負債性の引当金といいますか、会計原則上、負債性の引当金あるいは利益留保的な引当金ではないか、こういうことが言われておりまして、その場合には累積積立方式でやるんだということで、官民ともにそういう方式でやってきたわけでございます。それが、会計学者の間でも、そういうものではないんじゃないか、評価性の引当金なんではないかという議論が出まして、最近では評価性の引当金という説が強くなってきておるわけでございます。で、大体そういう説が強くなりましたのが昭和三十年代に入ってからでございまして、三十五年ごろ、やはりこれは評価性の積立金である。評価性の積立金となったならば、累積積立方式ではなくて洗いがえ方式の方が適しておるということでございまして、昭和三十五年でしたか六年からは、民間の金融機関の貸し倒れ引当金もその両者の併用、つまり洗いがえと積立方式との併用というような形で数年過ごしたわけでございますが、昭和三十九年に至りまして、民間は完全に洗いがえ方式に移行した。つまり、評価性の引当金であるというようなことに大体落ちついてきたようでございます。 政府機関の方は若干それにおくれておりまして、洗いがえ方式というのに移行しないできていたわけでございます。その点が昭和四十八年の十月の行管の勧告で指摘された第一点でございます。民間の貸し倒れ引当金はすべて洗いがえ方式になっておるのに、政府機関の方は累積積立方式でやっておるのはおかしいではないかと。まあ私の方はそれはごもっともでございますということで、洗いがえ方式に移行しますということで、実は五十年度予算からそういうことにいたしましょう、こういうことになったわけでございます。ただ、従来累積積立方式でやってきておりますので、積み立てられているものがかなりあるわけでございますが、これが洗いがえ方式の場合には大体におきまして一定の率で毎年洗いがえをするということになりますと、従来積んでおりますものの取り崩しといいますか、そういうこともしなきゃならぬと。それが激変緩和というので、経過期間を設けて将来千分の二十といったようなところに収斂するようにやっていこうというのが一つでございます。 それから累積積立方式をやってきておりました中で指摘されておりましたことは、要するに、その累積積立の繰り入れ率につきまして継続性がないではないか、あるときによってその率が違うのはいかぬではないかということでございまして、この点は率直に頭を下げまして、そういうことのないようにいたしますと、つまり洗いがえ方式に移行すると同時に、一定率のものにできるだけ早くやっていきたいと思います、ということで行管に答えておるわけでございます。まあ渋々従ったという御意見でございましたけれども、実情はそういうことでございます。
○田中寿美子君 それで大蔵大臣ね、行管の勧告のそのあらましは御存じだと思うんですね。公庫というものは全額政府出資の法人である。だから、一般金融機関から融資を受けられない者に資金を供給する特別の使命を持ったものだ。で、政策目的に沿って効果的に資金を供給すべきものである。それから経営の結果を示す決算の表示をちゃんとしなきゃいけない、不明確だということが一点言われておる。それから経営成績の適正な把握ができるようにしなさいということが言われている。そこで、公庫は全額国庫から繰り入れ、利益は全額国庫に納付し、収支償わないときには補給金を出すというたてまえであると、これは公庫を設立したときのたてまえなんですが、いま大蔵大臣は、返してもよし返さなくてもよしというような言い方をなさって、この間の総括質問のときにおっしゃったのから大分後退している感じです。これは多分銀行局の方々から十分言われて、洗脳されていらっしゃるのだと私は思うんですね。
○国務大臣(大平正芳君) いや、だれとも打ち合わせていません。
○田中寿美子君 それでは、公庫の金というのは、はっきりと、それを利益が上がったら一たん返し、そしてまた補給されるというようなことは、もうその原則は守らないでもいいんだというのが大蔵大臣のお考えであるかどうか、まずそれを伺います。
○国務大臣(大平正芳君) それも一つの方法である。現在やっておる方法も一つの方法である。どちらでなければならぬというように私は必ずしも厳格には考えていない。問題は、公明に経理されて政策目的が十全に発揮されることであると私は考えておる。政治家としての答えを言えということでございますから、この行管の勧告もそういう趣旨の勧告があったことは承知しておりますけれども、私は政治家としての独自の見解を言えということですから申し上げたわけです。
○田中寿美子君 それでは、もういまのお答えでしたら、どっちしてもよろしいと、返してもよし返さなくてもいいということに聞こえますが、公庫は全然返していないんだと思いますが、二十六年に最初に設置されて以来、国庫に返した事例があるのかどうか、ちょっとそれを伺います。——そんなどうでもいいという態度だからそうなるのですよ。おかしい。
○政府委員(高橋英明君) ただいままで北東公庫が五年ぐらい納付したことがございます。
○田中寿美子君 五年間。
○政府委員(高橋英明君) 五年間。
○田中寿美子君 どのくらい。
○政府委員(高橋英明君) 三十四年でございますか、三十四年に五千三百万、三十五年に三億四千八百万、三十六年に三億六千三百万、三十七年に二億四千万、三十八年に五億六千三百万。
○田中寿美子君 例外的に少し返したところがあって、ほとんどはもう全部積立方式にしてきていたと。そうしますと、公庫法なんかでは、いま大蔵大臣が言われたように、一般会計から繰り入れてもらうけれども、それは利益が出ても返しても返さないでもいいし、積み立ててもよろしいしということになっているのですか。もしそうなっているとすれば、これは大蔵大臣が発せられる、何というのですか、指導方針によってやられることなんだと思うのですね。ですから、どういう根拠でそういうふうになっているのですか。
○政府委員(高橋英明君) 利益があった場合には納付しろと書いてございまして……
○田中寿美子君 どこに。——大蔵大臣、全然無視していたからこんなふうにわからないのですよ。こういうベテランがどこに書いてあったのかなと……。
○政府委員(高橋英明君) たとえば国民金融公庫法の二十二条には国庫納付金という規定がございまして、損益計算上利益金を生じたときは公庫に納付しなければならないというふうに書いてございます。その他、こういうふうに各公庫法に書いてあると思います。
○田中寿美子君 だから、行管の勧告の中にも「公庫は、決算の結果、利益が生じた場合は、特別の定めのあるものを除き、その全額を国庫に納付することとされ、また収支相償わない場合は国から補給金を受けており、国の財政収支と密接な関係にあるため、公庫の経営成績を適正にはあくする必要があるので、各主務省庁は、公庫の会計制度について総合的に検討し、公庫の経理基準の確立を図る必要がある。」という勧告を受けているわけですね。大蔵大臣自身が、入れてもよろしい、入れなくてもよろしい、それも一つの方法です、こんな指導方針はよくないと思いますが、はっきりさしてください。どうしますか、今後。これはもう今度洗いがえにしましたという話だから、それに統一されたわけですか。
○国務大臣(大平正芳君) 法律に従って行政をやっているわけでございまして、法律に違反するというようなことはもう篋毫も考えていないわけなんでございまして、もしそういうことのかどがありましたら御指摘をいただきたいと思うのでございますが、その範囲内におきまして、行政の運用といたしましてこういう方法もある、こういう方法もあり得ると考えて、どちらにいたしましても行政目的を十分に果たしておればいいじゃないかというのが私の考え方でございます。あなたの言われるように、年々歳々きちんと返すべきものは国庫に返すと、そうして必要な場合国庫からいただくという考え方も、私は非常に潔癖なやり方といたしまして必要かと思いますし、公庫側で経理を緊張してやってまいる上において、あるいは田中先生のおっしゃるような方向でやった方がよろしい面が私はあるのではないかとも思います。また一面、公庫といたしまして、自分たちの任務をより拡大していきたいと、融資も来年はことしよりよけいサービスしたいと、で、これだけことし内部留保ができましたが、これは大蔵省さんどうでしょうか、私の方で来年このように使わしていただけないでしょうか、一遍お返ししてまたちょうだいするということも方法でございますけれども、われわれはこれを来年度の貸し出しに使わせていただけますまいか、こうすることによってより低利のサービスができるようにいたしたいと思いますが、ということで、これも全部勝手にやっておるのじゃなくて、監督官庁と十分の打ち合わせをして、予算編成前にそういう手続を経てやっておるわけでございますので、これは別に悪いことをやっているとは私は思わないのです。ただ、どちらがよりベターかという選択だと思うのでございまして、しかし、これが違法だということであれば私はこの地位におるわけにはまいらないわけなんです。
○田中寿美子君 私は悪いことをしているなんて思っていないのです。これは何も大蔵省の銀行局も、これはこっそり利益を隠して何とかしているなんて、そういうふうに思っているわけじゃないのですけれども、だから大蔵大臣、政治的な答弁がほしいと思いますのは、これは大蔵省の回答の方にもあるのですけれども、国会の審議をお願いしているものなんだと、公庫の予算というものは国会の議決を必要とする、だから私企業とは違うのだというふうに答えていらっしゃるのですよ。そこで、こんなふうにずっとただ積み上げして、まあ隠されている状況では、国会で審議を受けるといったって私たちわかりっこないのですね。たまたま私はこういうふうに、たとえば医療金融公庫だとか、公庫をこう見てみると、全部どこも滞貸償却引当戻入金なんていうのが全部ゼロである。だから取り崩ししなかったということなんでしょうね。そうして今度、予算額は膨大なものが各公庫ともに五十年には全部計上されているものだから、おかしいと思ったわけですね。だからこれは国会議員というのは、普通の国民の代表なんでして、大蔵のエリート官僚と違うわけなんですよ。ですから、そういうつまり行政というものが、大変みんなベテランで、どんどん先行していって、勝手に政策金融のあり方もみんな行政レベルで決めてしまって、国会議員がちょっと見たんじゃわからないで済んでしまうようなやり方で国会の審議を受けるものなんだから、これは特別なんだと言われるのは困るわけなんです。この経理の状況というのは大変わかりにくいのです。だから、国会の審議にかける、今度そういう方式を洗いがえにしたとおっしゃるなら、予算書の中にそういう説明があってもいいはずですけれども、何にもありません。だから、こうやって繰ってみて、ゼロ、ゼロ、みんなゼロ、おかしいなと思うものをたまたま問題にしたのであって、今回からこういうふうな方式に公庫の経理は変えたというならば、予算説明書にそのくらいのことがあってもいいんじゃないですか。審議にかけるものだからというのをもうにしきの御旗みたいにして、だからほかの企業金融とは違うのだということを言っていらっしゃるなら、この点を大蔵大臣、だから私たちにわかるような説明を——さっきのように、国庫に返してもよろしい、返さないでもよろしい、積み立てておいてもよろしい、だけど、今度は行管から言われたから洗いがえ方式にしましたという説明じゃ困るんで、大蔵大臣としての指導性で、きちんと……。私は全部が全部国庫に返してまた出せなんて言ってない。もうすでにみんなそれは金融に回っているわけですからね。どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 田中先生のおっしゃるとおりだと思うんです。非常にいま行政の機構も複雑になり、行政の範囲も広範になりいたしまして、国会が行政の御調査をされ、監視をされる場合におきまして、これ、国会といたしましても大変なことだと思うんでございます。したがって、行政府といたしまして、国会の御審議をいただく場合におきまして、非常に御審議に役立つように、御審議に便利なように行政府の御報告なり、あるいは提出の一切の書類が調理されておらなきゃならぬことは仰せのとおりだと思うのでございます。そういう面から申しまして、私は行政府に多くの至らない点があると思う。この件ばかりでなく、多くあるだろうと思うんでございます。ただ、これは、ことさら晦渋な方式にいたしまして、国会の方にできるだけわかりにくいようにしようなんという悪意でやっているわけでは決してないわけでございますので、私どもといたしましては、できるだけいま仰せになりましたように、明快に、詳細に御判断の材料が整えられるように、いろいろ工夫をいたしまして提出を申し上げるようにいたしたいと思います。
○田中寿美子君 いま大蔵大臣がお約束くださいましたから、もう少し私たちにわかるような説明をきちんとつけてください。そうでありませんと、国会の審議にかけます、かけますというのをにしきの御旗にされたんでは困るわけなんです。 それで、今回、洗いがえ方式にされた。だから、金額が非常に莫大なものだけど、みんな表へ出てまいりましたから、見えるようになってきたわけですね。そのことは私は行管の勧告にも従われて改善されたことであるということで、一応評価したいと思います。ですから、何も全部金を持ってきて国庫に一遍入れなさいというふうには言わない。ただ私は、政策金融であるから一番いいような貸し付け方をするんだという問題については、これはちょっとまだはっきりよくわかりません。疑問があります。それは、公庫の貸し出しの仕方なんかと関係してくると思いますね。 で、もう一面は、そういうふうにして、今後、洗いがえ方式にする、比率を、引当率ですか、あれは千分の二十ということに今度決定されましたね。最初は、前年度の期末の貸付金残高の一・五%というのが原則でした、引当率ですね。それをだんだん各公庫によって違った比率で、つまりたくさん残るものだから、比率をそれに合わせていったんじゃないかと思いますが、千分の四十三ぐらいまでなっている公庫が出てきたわけですね。それを、民間では千分の十ぐらいだから、だから今回は千分の二十の引当率に一定なさったわけですね。この比率というのは、今後利益が出てきたら、もっと出てきたら、さらに下げていこうとするものなのか、それとも、ずっとそれでもってやっていこうというのか、それをちょっと伺いたい。
○政府委員(高橋英明君) 今後といいますのは余りはっきりいたしませんけれども、一応、ともかく千分の二十ということでしばらくやっていきたいという考え方でおります。
○田中寿美子君 そうしますと、やっぱり利益が出てくる、取り崩しの実績に対して残ることがあり得ると思うんですね。つまり、一種の利益性積立金だということにその引当率がなると思うんですが、どうですか。やっぱりいつでも利益のところはゼロにしてやっていくんですか。
○政府委員(高橋英明君) 償却後の利益がゼロになるようなという意図を持って操作するようなことは今後いたさないつもりでございます。千分の二十ということで出てくれば、それだけ余剰になるということになろうかと思います。
○田中寿美子君 そうすると、その経理では利益金として計上していくわけですか。
○政府委員(高橋英明君) 償却前利益が出まして、それから固定資産の償却、あるいは諸引当金の繰り入れという中にこの滞貸引当金も入るわけでございます。そういった償却等々を行った後、純利益というのが出てくるわけでございます。その純利益は国庫に納付する、こういう形になるわけでございます。
○田中寿美子君 それで、その四十八年の十月に行管の勧告を受けて、そして四十八年度の決算では、公庫に関しては形式が変えられてきたわけですか。決算はどういうことですか。
○政府委員(高橋英明君) 四十八年度決算は、それまでのやり方で決算いたしました。
○田中寿美子君 そうすると、今後、何か変えていくわけですか。決算の形式は変わりますか。
○政府委員(高橋英明君) 決算の形式は変わらないと思いますけれども、五十年度からは洗いがえ方式をやりますから、従来と違った数字の決算になるだろうということは言えると思います。
○田中寿美子君 さっきおっしゃった純利益金なんというのが計上されてくるわけですね。
○政府委員(高橋英明君) 計上されてくるところも出てくるかと思います。
○田中寿美子君 それで、無利子のコストの安い金が公庫には一般会計から入ってくる、そして政策的な金融をしていくんだと、だから銀行局の立場から言えば、自分たちのやっていることが一番この金の使い道としてはいいというふうに考えていらっしゃると思いますね。ですけれども、大蔵大臣ね、私たちはそういう利益が上がってきた場合には、たとえばことしはゼロで、この間の総括のときに言われたように、二千二百四十億ぐらいですか、これまでの利益を計上したのが引当金に新たに計上されて、合計すると。輸銀、開銀まで入れますとね。ですから、私たちは福祉のことを考える場合に、大変金の要るものなんだから、一般会計にこれが入れば、国として、国家として一番大切な政策に財源の配分をするということも考えられると思うわけなんですね。そういう観点からは、私は銀行局の方にはそういう考えは出てこないと思います。これは金融をどういうふうにうまく——普通の市場の銀行からは借りられないような者に政策的に金融するんだというふうにおっしゃっていますから、自分たちの金融の仕方が一番国策にかなっているというふうに思われると思うのですね。ところが、大蔵大臣は、一銀行局を統括していらっしゃるだけじゃなくて、日本の財政全部を賄われる方でございますから、ですから、国の政策全体を、経済が高度成長から低成長に変わっていくときに、いろいろ見直しをしなきゃならない。その財源として、私どもは国会議員の立場から、政治的な立場からしますと、そういう財源はもう一遍どこに一番配賦すべきかということを考えたいというふうに思うわけです。だからそう言うわけです。で、ほとんど国庫には入ってこないような状況で政策金融に回していくのが一番いいというふうにお考えになるのか、それとも、最初に私が言いましたように、一たん国庫に返して、そこでまたよく考えてみて、どういうふうに財源は使うべきかというふうに考えるべきだという考えもあるわけなんですがね。その辺は大蔵大臣はどうお考えになります。
○国務大臣(大平正芳君) いま財政が、中央、地方通じまして大変むずかしい状況になってきております。大変経済が活況を呈しまして、歳入が例年、年々歳々予想を超えて入ってくるというような、過去における、われわれが幸いにして経験いたしましたような高度成長時代が続いておりますならば、あるいはその大蔵大臣の仕事も比較的楽であったと思うんですけれども、いまあなたがおっしゃいましたように、これから財政の切り回しが大変むずかしくなってくるだろうと思うんでございます。経済は冷え込んでまいりましたし、歳入は予想どおり入ってくるかどうか、いままでは予想を超えて自然増収という形で入ってきましたけれども、これからは自然減収になるかもしれないというような時代を迎えたわけでございますから、田中先生おっしゃいましたように、これからはもう政府関係金融機関ばかりでなく、あらゆる部面にわたりまして、財源を整備していただいて国庫に集めさしていただいて、福祉その他必要な部面にこれを配分させていただかなけりゃならぬような時代になってきたと思うんでございます。したがって、いま言われたように、財源の配分という財政の機能を、真剣に、ある意味で命がけでやらなけりゃならぬような、そういうような時代になりましたことはあなたの御指摘のとおりだと思うのでございます。 したがって、これはこういう場合、政府関係金融機関の繰り入れ、滞貸償却引当金の繰り入れ状況という一つの問題をテーマにしてお尋ねでございますけれども、全体として、こういう問題は至るところにあり得ることでございますから、どれだけを留保し、どれだけを国庫に引き揚げるか、そういうようなことは、よほど厳しくやらなければいけなくなってくるんじゃないかと思うわけでございまして、銀行局長ばかりでなく、各方面の協力を得なければ、これいかぬわけでございますが、ただ、先ほど先生御自身も御指摘になりましたように、この繰り入れ累積額というのはすでにもう融資済みでございまして、いつもすぐ国庫に返し得る状態にないわけでございますので、この金融は円滑にやってまいらなければなりませんし、いま申しましたような財政の緊張した段階におきまして、できるだけ資源配分ということに真剣に当たらなければならぬ場合に、どこまでどのように切り込んでまいらなければならぬか、御協力を求めなければならぬかということにつきましては、大蔵大臣という立場では、相当御無理をお願いせなければならぬことと私は思っております。
○田中寿美子君 そうだと思うんですよ。いままでのように、予算を積み上げ方式にして、ばっと頭の出ているものをみんな来年は何%ずつ入るというようなやり方をしていたんでは、福祉経済に切りかえるなんということは困難になると思いますので、その一つとして私はこれを申し上げているわけなんで、実は私は、ずっと財政投融資の問題でも、すごくその問題を問題にしてきたわけですね。そういう面から言いましても、いま政策金融として使っていると言われるけれども、去年の決算委員会でもやっぱり指摘されていることは、ここで例にとられているのは中小企業金融公庫なんですけれども、これだって、中小企業の方に行かなくて大企業の方に主に行っているとか、それから、これは国庫からの繰り入れだけでなくて、財投の方からのお金も入っていますからね、公庫というのは。その中には、国民の積み立てている貯金や、それから年金などの掛金も入った財投の資金も入ってきている。私は、だから財投のときに大変問題にしたのは、それこそ何といいますかね、入れ物は全部同じであって、大福帳みたいになっていて、そしてどこからどう入ってきた金か見当がつかないようになっているというようなことで問題にしたわけなんですけれども、政策金融といっても、果たして本当にちゃんとしたそういう使われ方をしているかどうか。それからことに、過去の高度成長時代には、輸銀や開銀の金というのは、いま非常に大きな企業として問題にされている石油資本だとか造船だとか鉄鋼だとか、大きなところにもう金融が集中して行われたわけですね、政府機関からの金融も。ですから、零細な国民の貯金や税金や、それから掛金なんかも含まれているところの公庫の経営ですから、よけいに私が問題にするわけなんです。 そこで、決算の方ですね。ちょっとけさ急いで調べてもらったんですが、四十七年と四十八年ですね。たとえば国民金融公庫、ここでもまた例の不用額が出ているわけですよね。四十七年度には二十二億八千四万四千円の不用額が出ている。四十八年度には三十四億五千二百十九万円の不用額が出ている。つまり、資金の運用そのものは公庫自身がやるわけだけれども、運用は必ずしもうまくいってない。で、そういう金融をしているわけですよ、大蔵省は。これは理財局も関係しているかもしれないんですけれども。ですから、政策的な金融だからそっちに任しておいて、ここでうまく回していればいいという考え方をやっぱり再検討していただきたいと思いますがね。大蔵大臣、いかがですか。
○政府委員(高橋英明君) 田中先生の御指摘の不用額というのは私存じませんのですが……。
○田中寿美子君 それは理財局ですね——でしょう、恐らく知っているのは。だから、私の言うのは、そういうふうな、国策金融だというのに必ずしも本当に国策的な回され方をしなかったり、使われ方がされないという面まであるものだということを申し上げている。
○政府委員(高橋元君) ちょっといま手元に決算書を持ち合わしておりませんので、詳細数字について御説明しかねるわけでございますが、田中先生の御指摘の不用額というのは、恐らく資金繰り入れがおくれましたことによります金利の支払いが不用になったというものが一番大きな源泉ではないかと思うわけでございます。年間の貸付計画を出しまして、それに合わせて借入金の支払い利子と貸付金の受取利息とつけるわけでございますが、その場合の進行がおくれてまいりますと、貸し付けが大幅におくれたりしますと、繰り入れがやはりおくれてまいりますので、その分、見込みよりも実際の支払い利子が下回る、それが不用額ということかと思いますが……。
○田中寿美子君 だから私は、その不用額の中身をここで聞いているわけじゃないんです。ですから主計局の方にもおいでいただくようにと言わなかったわけで、大蔵大臣に申し上げたいのは、これは国策の政策の金融なんだからということで、一般にはわからないようなやり方を今日までしてこられたことに対する反省をしていただきたいわけで、それで、政策という場合には金融だけじゃないということなんで、またもとに戻るようですけれども、国庫に返す部分が今後出てくれば、これは行管の指摘にもありましたよね、財政の収支に重大な影量のあるものであるから、だからはっきりしなければいけないということを言っていますよね。ですから、そういう意味でちゃんとわかるようにさせてもらわなければいけないし、使い方も、大蔵大臣がちゃんと全体の国の財源について見直しをしてほしいということを申し上げておるわけなんですが、私の意味がわかりますでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 政府金融機関というのは、概して預金を集める受信業務というのがないわけでございまして、一部債券を発行して資金の調達をしておるものもございますけれども、血みどろに預金を集めて、そしてその血の出るようなお金を金融するということではなくて、政府から心配いたしまする政策金融原資を金融するということでございます。したがって、これらの機関がイージーに流れて真剣味を欠くということにならぬように、これは十分気をつけにゃなりませんし、それから間違いなく経営が危殆に瀕するという心配もまたないわけなんでございます。したがって、経営全体が弛緩するおそれはなしとしないわけでございます。御指摘のように、政策金融機関であるからといいまして緊張味を欠くというようなことがあっては大変でございますので、その点につきましては十分監督の立場にある私どもといたしましては、終始注意を喚起し、世間から指弾を仰ぐことのないように、また経理の厳正を、弛緩を来すことのないように注意してまいりたいと思います。
○田中寿美子君 それで、今度洗いがえ方式になすった、それは行管でも一応評価しているというふうに私は思いますけれども、その期末貸付金残高の千分の二十を今度から設定されたわけですね。この千分の二十という引当金率というのは、今後ずっとそのまま行くのか、それとも、次第によってはそれを下げていくこともあり得るのか。 それから、利益がゼロになるというようなときに滞貸償却引当金を調整するのかどうか。利益がゼロになるように引当金で調整していくのかということです。
○政府委員(高橋英明君) 千分の二十の方は、とりあえず民間が現在千分の十でございますので、政府機関の場合その倍にしようかというのが一つのめどでやっておる数字でございます。したがいまして、民間の方が恐らく今後下がっていくかもしれません。そういうものに応じまして、こちらも引き下げていくということはあり得ることだと思います。 それから、まず最終の締めをゼロにするようにこちらの率を動かすのかという御質問に対しては、そういうことはいたしませんということを申し上げるよりないと思います。
○田中寿美子君 それで、大蔵大臣、以上を要約しますと、公庫の収支において利益が出れば滞貸償却引当金を積み増ししてきた、損失が出ればそれを取り崩して収支ゼロになるようにいままで操作してきたというふうに考えられるわけなんですが、こういうふうな会計操作をしてきたということは、これは私は原則論から言えば、本来国庫に納付すべきもので、利益が出たら国庫に納付し、損失が出たら国庫から補ってもらうというその原則から逸脱してきたと思うけれども、さっきから大蔵大臣は、それは入れてもよし、入れないでもよしと言われたんですが、一体原則は、それじゃいま法的な根拠みたいなものはどういう原則になっておりますか。
○政府委員(高橋英明君) その繰り入れ率につきましての法律的な規制はございませんで、政令、省令等で、その都度大蔵大臣が繰り入れ率を定めて公庫に通告しておったわけでございます。したがって、それが多かったり少なかったりというようなことが指摘されておりまして、その点はまさに頭を下げるより仕方ないというところでございました。そこで、今度は洗いがえ方式に移って一律でやっていきましょうと、こういうことでございます。法的には数字は決められてございません。これは大蔵大臣の定めるところによりということで、大蔵大臣が決めることができるというふうになっておったわけでございます。
○田中寿美子君 いまのような状況でございますので、大蔵大臣に責任があるわけですよ、大蔵大臣が定められるわけですから。ですから、その各公庫の引当金率というのは、いまもう全部一律にしちゃったわけけですね、千分の二十に。二十に全部一律にしたんですね、今度。ですから、そうしますと、利益があったときには幾らかでも納付するようにするのか、それとも、それを率をどんどん今後下げるということもあり得るとさっきおっしゃったから、あり得るんですね、それは。
○政府委員(高橋英明君) それは先ほどの答弁と同じことでございまして、今後あり得る、しばらくは千分の二十でやっていきましょう、こういうことでございます。
○田中寿美子君 要するに、大蔵大臣、公庫とか輸銀、開銀など政府関係の機関というものが、政策的な金融であるけれども、そこで利益が出た場合にそれは全部金融に回していくべきかどうかという問題も含めて、政策として考えてみてほしいということを私が申し上げているんですが、おわかりになったかと思いますが、もう一度その点を、今後お考えいただくかどうか伺いたい。そして、それは私ども国会の審議にかけられるように、わかるように、先ほども言われましたけれども、予算書の中にでもきちんと説明をつけてほしいし、それから決算も、今度から変えられるわけでしょう、四十九年度の決算から。変えるか、それとも、はっきりとそこに説明がつけられて、国会の審議にかけるという言葉が本当に生きるようにしてほしいんですが、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 今度千分の二十に五十年度からそういたします。そうしてその結果どのような決算をしてまいりますか、その結果、国庫に納付すべきか内部留保で置いておくかという場合におきまして、これは田中先生の御指摘もございますが、私どもとしてよく検討いたしまして、どうやってまいるのが一番こういう制度を置いたことに適しておるか、よく考えて、いずれにせよ、公明な措置を講じてみたいと思います。 それから第二は、国会の御審議の場合に、非常に晦渋な資料ということではいけませんので、国会に、正式な御報告ばかりでなく、関係の資料にいたしましても、御審議の使に供するように、できるだけ詳細に、かつわかりやすく調理いたしますように心がけてまいるつもりでございます。
○田中寿美子君 早速、五十年度こういう大きな変化があったわけですから、何かの形でわかるように発言していただきたいと思います。 それで最後に、これ、ちょっと違う問題ですが、一点だけ。公定歩合を引き下げられることがもうすぐ実現しそうなんですね。それで、さっき徳永先生の方からも出ましたけれども、いまの物価の上昇率が、昨年の三月末に比べて、大体東京でも一四%ぐらいになったということで、一応政府の政策は、下げようという努力が功を奏したというふうにいま発表されているけれども、しかし、いまだにそれは預金——定期預金の金利の倍くらいですよ、倍から三倍近いでしょうか。こういう状況で、この前から私もその預金金利の問題を問題にしたわけですけれども、そうすると、公定歩合を下げると、貸出金利の方を下げていくと。これは大蔵大臣は貸出金利と預金金利は連動するものだということを——これは福田副総理ですか、盛んにおっしゃいましたけれども、貸出金利の方はわりあいに公定歩合なんかと連動したりしているんだけれども、預金金利の方は、ずいぶん長い間定期預金の利率というものが抑えられていたわけですね。それで、四十八年の半ばごろから少しずつ上げていって、ようやくいま七分五厘ですか、大変庶民は貯金で損をしているわけなんですよ、そういう意味ではね。それで、今度公定歩合を引き下げて、貸出金利を引き下げるから、早速すぐに今度は預金金利を下げるというようなことをなさらないかどうかということが一点と、それから、いままで大蔵省当局もちらちらとおっしゃっている、うんと低額の所得者に対する特別の金利の、あるいは一〇%ぐらいの貯金制度を設けますなんてことも言っておられたけれども、もうそういうことは、この際、公定歩合がだんだん今後引き下がっていく状況にあったら考えないということなのかどうか。大蔵大臣に最後にそれをお伺いして私は終わりたいと思います。——大蔵大臣、政治的な発言……。
○国務大臣(大平正芳君) 本来、金融機関は、お預かりいたしました預金者のお金を融資いたしまして、みずからの経費を支払って、できるだけ多くのお金を利子として預金者に還元しなけりゃならぬ責任を持っておるわけでございます。これは金利の水準がどういう水準にあろうと、常に金融機関が心がけていなけりゃならない、業務の道標でなけりゃならぬと思っております。今度、公定歩合の政策を日本銀行政策委員会がどういうようにとられますか、私つまびらかにいたしませんが、どういうように事をとられようと、この金融機関の預金者に対する責任というものは忘れてもらっては困ると私は考えております。 それから第二点は、そういうことでございまするから、金利政策ということとは一応関係なく、預金者に対するサービス、預金者に質する責任というラインで、いまいわゆる目減り——目減り対策というのは余り私はいい言葉だとは思いませんけれども、徳永先生から先ほどお話がございましたように、こういうことを金融機関がやること自体についても御批判はあると思うんです。しかし、いずれにいたしましても、これは預金者に対する、金融機関の負担の範囲内において、金融機関ができるだけサービスをしようということを、責任を果たそうということでございますから、金利政策とは一応関係なく御検討いただいておるものと私は承知いたしております。
○田中寿美子君 預金金利は下げませんか。預金金利は当分下げないんですか。
○国務大臣(大平正芳君) つまり、金融機関として、もう金融機関も生きていかなけりゃならぬから、ぎりぎり、もう自分で最大限預金者の利益を擁護するように私は振る舞ってもらいたいと……
○田中寿美子君 擁護してないんです。
○国務大臣(大平正芳君) 仮に、公定歩合政策その他がとられて、金利体系に若干の変更が行われても、できるだけ金融機関が受けとめて、預金者の利益は擁護していただくというようにあってほしいと私は考えております。
○田中寿美子君 最後に……。 ということは、何な別途の方策を講じて、いままでの目減りに対して何とか少しでもやろうということですか、やらせようということですか。つまり、もし公定歩合が下げられて、貸付金利を下げられたら連動して預金金利も下げられるということじゃ、全然償われないまままた今度下げられていくということになるので、金融政策としてではなく、別途何か考えるべきだとおっしゃる意味ですか。
○国務大臣(大平正芳君) 金融機関は、預金者に対しまして、インフレ下でいろいろがまんしていただいておる、できるだけこれに対して報いるところがなけりゃならぬということでございます。しかし、全体として金利水準はうんと下がってきたという場合に、それはいつの日かまた預金金利というようなものも連動しなけりゃならぬ時期もないと私は言えぬと思うんです。言えぬと思いますけれども、そういう場合におきましても、預金者の利益は守らなけりゃならぬという精神はいつも把持していなければなりませんし、いま、目減り対策の名において、せめて一部の預金者、新しい商品を開発して預金者のためになることを考えようということは、金利政策のいかんにかかわらず、あれはもうやめにしたと言うわけには私はいかぬのじゃないかと考えております。
○主査(源田実君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 正午休憩 —————・————— 午後一時八分開会
○主査(源田実君) ただいまから予算委員会第二分科会を再開いたします。 分科担当委員の異動について御報告いたします。 ただいま田中寿美子君が委員を辞任され、その補欠として秦豊君が選任されました。 —————————————
○主査(源田実君) 休憩前に引き続き、大蔵省所管を課題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○三木忠雄君 時間が限られておりますので、私、財政投融資の問題と五十一年の排ガス規制に伴う税制の問題、二点にしぼって伺いたいと思うのです。 まず最初に、この財政投融資計画の中の問題でありますけれども、特に高度経済成長時代には財投の運用という問題がいろいろ論議されてきましたが、これから安定成長経済になってくると、果たして低成長下においてこの財投資金の運用という問題をどのように考えていくかということは非常に大きな問題ではないかと思うのです。この点についてのまず大蔵大臣の見解を伺います。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、運用に入る前に、まず全体の原資が期待できるかという問題が第一にあるだろうと思いまするし、それから、これが政府の関係機関に預入ないし預託された場合におきまして、それをどのようにやってまいるかにつきましては従来と全然工夫を異にした措置を講じてまいらなければならぬことは当然と思います。これからの事態の推移に応じまして、極力勉強して誤りないようにしなければならぬと考えております。
○三木忠雄君 これからの一般会計の伸びよりも財投の伸びの方が早いと。いままでのこの財投の当初計画と実質規模を見てまいりますと、非常に最近、四十八年以降、不用額が増加をしてきているわけですね。それから繰越比率が非常に増加をしてきておる。こういう問題点については、理財局の方で結構でありますけれども、具体的にこの理由ですね、この点について。
○政府委員(吉瀬維哉君) 財投規模が、当初、特に成長期におきましては相当な追加を行ったと、そういうような時期におきましては、追加額の絶対額の増加に応じまして、不用額なり繰越額の絶対額も比例して増加しているという面があることは御指摘のとおりでございます、私どもといたしましては、やはり低成長期におきまして、そういうような追加額を行う場合に、やはり全体の事業量の促進状況、特に問題となりましたのは、土地取得が非常に困難になったというようなことから、いろんな建設関係がおくれて、それでそのために繰り越しがあったり不用になったりという面が多いと思います。やはりそういうときには、資材の全体の計画とかバランスを考えながらやっていかなきゃいけないのじゃなかろうかというのが私どもの反省でございます。
○三木忠雄君 特に総需要抑制との関係で、これは四十九年度は、あす大体わかるんでしょうけれども、大体繰り越しはどの程度になりますか、見通しですね、わかりましたら。この数字、通告してなかったから申しわけないけれども、大体で結構です。
○政府委員(吉瀬維哉君) 正確な数字、いますぐ申し上げられなくて恐縮なんでございますが、去年の例でいきますと、繰り越しが一兆五千ある、しかもその一番大きな点が地方団体を通ずる財投繰り越しでございます。ことし地方財政、いろいろこの間追加をいたしておりますが、その帰趨によりまして判断されておりますが、あるいは相当な額が繰り越されるかと考えております。いずれにせよ、正確にもしわかりましたらまた御連絡いたします。
○三木忠雄君 大体一兆五千億ぐらい。
○政府委員(吉瀬維哉君) 一兆五千億。それが地方団体の関係で大きく動きますこともあるかもわかりませんが。
○三木忠雄君 正確な数字はまた後でデータが出ると思いますので、いますぐ必要じゃございませんが、やはりこの前年度繰り越し、それから今回の九兆三千億入れますと相当な規模になってくるわけですね。こういう問題で、やはり不用額はまたふえてくるんではないか、あるいは繰越比率が増加してくるんじゃないか、こういう問題と、もう一つ、資金運用部の国債保有額の推移ですね、これを見ていきますと、四十九年度で三兆五千億の国債保有額があるわけです。構成比率から比べると、ちょっとこういう問題が大きな問題点になってくるのではないかという点を、私はちょっと数字的に見ておるわけなんですけれども、この点についての考え方は。
○政府委員(吉瀬維哉君) 実は、本年度におきましては特に繰り越し、要するに四十九年度におきます財政経済全般の運用といたしまして、繰越額を新たに設けまして、そして公共事業につきましては抑制的に運用したというようなことから、五十年度におきましては、その繰越額を含めた財投の運用計画が御指摘のとおりむずかしい形になると思います。すでに御承知のとおり、この間の経済閣僚会議で、五十年度の上半期の運用、これにつきましては特に促進するとか、あるいは抑制するとかいうような形でなくて、大体各省庁がその公共事業系統の事業を執行するに非常にノーマルな姿でやった場合にはどういう形になるかということを目安にいたしまして運用していきたいと、こう考えています。したがいまして、繰越額の相当額が五十年度上半期にずれ込むわけでございますが、契約額総体としては現在のところ六五、六%といいますか、そういうような形の運用が行われる。できるだけ能力に応じましてやっていくという形でございますが、これをもっていたしましても、四十九年度の上半期、これに比べましたら相当なる一つの、ボリュームといたしましては上半期が相対的な問題で多くなる、こういう形になるわけでございます。 なお、御指摘の国債の保有額が多くなってきている、これは問題でございまして、たとえば昭和五十年度におきましても総額の国債発行額を二兆と削減したわけでございますが、その中におきましても民間の金融情勢などを考えまして、資金運用部の当初引受額は四千二百億と変えなかったわけです。これはむしろ、そういうことによりまして民間の国債引き受けをやや引き受けやすくすると、弾力的にそういう面を配慮したわけでございます。残高が三兆五千になったり、あるいは四兆に近くなってきている、こういうことは問題でございますが、これは日本銀行との関係で、資金運用部の運用形態といたしまして、すでに市中で消化した国債を日銀が保有している、その保有している国債を資金運用部といたしまして運用の形態として持っているわけでございまして、当初引き受けのものがそのまま全体大きくなっているというわけじゃございませんが、その点につきましては先般来、剰余金の特例に関する法律の審議の過程におきまして、与野党ともにいろいろ御指摘もございましたし、私どもといたしましては、国債の運用、これは無制限にふえていく、あるいはとめようもなくふえていくというような形は、資金運用部の運用の形態としては必ずしも適当ではなかろうと、ただ持っている国債の大部分は別に長期的に義務づけられた保有でございませんので、いざとなりましたらそれを資金化して弾力的に運用できるという形でもございます。
○三木忠雄君 きょうはそちらの方に主力を置いて論議する資料は持っておりませんけれども、この不用額が四十七年度にしても三千八百億ですね。四十八、四十九、私、数字を持っておりませんけれども、大体四、五千億の不用額が見込まれているわけです。こういう点を考えますと、当初の計画と、そしてその後における追加投資等を含めて不足額の問題が、土地の問題、いろいろな点があったにしましても、やはり中小企業や、特に必要としているところに財投資金の運用化が少し欠けているんじゃないかという点を私は具体的に感ずるわけなんですね。この点については、当初計画で財投の資料はいろいろ出てくるんですけれども、追加をし、そしてその後の実態というものが、あるいは不足額あるいは繰越額等の理由という問題については余り明らかにされていないと私は思うんですけれども、この点についてはいかがですか。
○政府委員(吉瀬維哉君) 四十八年度の財投の不用額全体で一千四百八億でございます。そのどういうような不用があったという中身を見ますと、一つ一つやや説明のつきやすいようなものも中に入っております。たとえば国土総合開発公団でございますが、発足いたしましたが、それが大して事業が進まなかったとか、そういうような事由があると思います。それから輸銀なども一つの大きな理由になっております。それから四十八年度は中小企業におきましてはほとんど不用が出てないという形になっているわけでございます。恐らく四十九年度の実行におきまして追加をいたしまして、相当中小金融を促進いたしましたので、そうさしたる不用は出てこないのではなかろうか。ただ、御指摘のように、中小金融につきましての配意というものはさらに進めてまいりたいと思っております。
○三木忠雄君 私、具体的にこれは船舶整備公団の問題で一つ伺っておきたいんですけれども、四十九年度の予算あるいは五十年度の予算、こう見てまいりますと、船舶整備公団に対する財投資金というのが非常に少ないというか、需要後の状況を見ましても、やはりほとんど賄い切れないというか、こういう点、いろいろ財政運用の問題でここばかりに多く、厚くするというわけにはいかないと思いますけれども、不用額のいろいろな実態から見まして、こういう必要なところに案外手薄くなってしまっているのではないかという点を私、強く感ずるんですけれども、こういう点についてはいかがですか。
○政府委員(吉瀬維哉君) 三木委員の御指摘のとおり、最近、船舶整備公団の建造につきまして相当申込量が超過しているという実態がございます。これについては、御承知のように、いろいろな事情がございまして、昭和四十六年に一般貨物船の建造を受け付けを中止して、去年、四十八年から再開するというような事情もございましたでしょうし、それから、民間の市中金融の逼迫に伴いまして船舶整備公団に依存してくるという度合いが強くなっているのじゃなかろうか、こういう気がいたします。ただ、私どもといたしましては、財投額は前年同額の百十七億でございまして、事業規模は百六十七が百七十になった、横ばいないし若干上回るというような程度でございますが、これは御承知のように船舶の融資につきまして、初年度と次年度とか、いろいろ竣工の度合いに応じましてずれ込みますので、全体の契約額といたしましては前年度の百五十二億に対しまして三七・五%、二百九億というような増加は特に配意したつもりでございます。特に需要の強いと思われる貨物船につきましては、契約につきまして、四十九年度の六十億に対しまして五十年度は百十九億と相当努力したつもりでございますが、なおやはり応募の申し込みの漏れたいろいろな人たち、こういう人たちの処理をどうするかという問題が後に残ると思います。
○三木忠雄君 これは私も具体的に、たとえば一つの例が昭和四十九年度申し込みが九万八千トン、金額にいたしますと約三百五十一億円ぐらいの要望です。要望を全部賄い切れるかどうかという問題はいろいろあると思いますけれども、大体六倍ないし七倍の数の申し込みがあるわけですね。こういう点から考えて、あるいはいま総連合で中小船舶の調整をやっておりますけれども、それでもまだ船舶整備公団の融資を受けたいというのがやはり総連合で調整した中でもまだ四倍程度あるわけですね。こういう点から考えますと、いま内航海運が約四十万トン、七千隻ぐらいは、もう何とか鋼船にかえたい、あるいは貨物船を強化したいといういろんな強い要望がありますし、日本の将来を考えてもやはり内航海運というものは非常に大きな問題になってくると思うんです。こういう点を考えますと、四十九年度あるいは五十年度の予算で見た限りにおいては、もう新しい受注は実際上は五十一年からはできないんじゃないかというような、いまの財投のこの伸び率でいきますと五十一年からの新しい応募はできないんじゃないか、こういうふうな窮状になってくるのではないかと思うんですけれども、この点についての考え方を伺っておきたい。
○政府委員(吉瀬維哉君) 確かに、総連合でいろいろ承認をいたしまして公団に申し込んだものは、相当、公団が実際に認めた額に対しまして四倍近くなっておる。したがいまして、三倍弱の二・何倍の人たちは総連合の承認を受けながら建造に入れないというような形もございます。ただ委員が先般来御承知のとおり、総連合の承認を受けたものの中でもやはり公団独自の審査の立場からいたしますと、たとえば発注が連続してきていたり、あるいは一つの社で二隻が同時に発注を受けたり、あるいはその竣工時期を見てみますと、必ずしも五十年度に早期に建造を着手する必要はないんじゃないかというものも含まれておりましょうし、その他積み残し量がどうなっているかとか、いろいろ具体的な審査を受けますれば、必ずしも漏れたものすべてが五十年度に発注しなくてもいいんじゃなかろうかというような感じもしております。 なお、これは蛇足でございますが、運輸省の方の告示によりますと、適正船舶保有量、これにつきまして内航船につきましてはすでに現在の保有量が五十年度におきましてはやや過剰ぎみであるというふうな面もございます。ただトータルとして過剰であるということと、船舶整備公団にいろんな意味で物を頼むというものとは若干いろんなずれがあるとは思いますが、私どもといたしましては、去年の秋の審査から若干漏れたいろんな船主、こういう人たちにつきましても、その適性を十分見まして、必要なものは十分五十一年度の財投の実行で処置していきたい、こう考えております。
○三木忠雄君 私、局長の答弁非常に歓迎するわけですけれども、大蔵大臣、やはり中小船舶等の体質強化を図っていかなければならないというのは、これは運輸省としても、特に運輸業界としても非常に大きな問題なんです。そうなるといろいろな問題がありますので、やはりそういう点からも、本年度並みの予算で船舶整備公団等のこういう中小企業向けの融資をしほられますと、私の試算では五十一年度はほとんど新しい新造船をつくろうという新規募集は行われないのではないかという、こういうふうな感じを持つわけです。いま理財局長からいろいろ答弁ありましたけれども、やはりこの新規可能な予算を五十一年度、もう五十年度はいま審議しているわけでありますけれども、実際上五十一年度にこの予算を、大幅というわけにはいかない、いろいろな問題点があるかもしれませんけれども、これは実際上総連合で承認しただけでもやはり四倍もある、それ以上に船舶整備公団でもっと受けたいという、こういう希望というものはやはり中小海運業者には非常に多い、全国的な希望なんですね。こういう問題についてのやはり積極的な財投資金の投入というか、あるいは船舶整備公団向けの融資制度を確立していくという点について大蔵大臣の配慮を願いたいと思うわけでありますけれども、この点について……。
○国務大臣(大平正芳君) 実情よく伺いまして、金融面が隘路になって中小海運業者、中小船舶業者のための船舶建造が阻まれるというようなことのできるだけないように、大蔵省といたしましても可能な限り配慮をいたしたいと思います。
○三木忠雄君 理財局長、具体的に何か……。
○政府委員(吉瀬維哉君) やはり御指摘の中で本当の意味で隘路になっているというものを、私どももうちょっと分析いたしまして、真にやむを得ない理由で何か建造が阻まれている、こういうものにつきましては、特に私ども中身を運輸省当局とも相談いたしながら、私どもといたしましては先ほど来申しましたとおり五十年度の財政、これはまあある程度の必要量は満たしていると考えておりますが、なお検討を続けさせていただきたいと思います。
○三木忠雄君 これは五十一年からの問題が非常に大きな問題になって、新規募集ができない、こういう問題ですから、五十年度はどうにかこうにか間に合っている、間に合っているというか、限られた予算の中で調整されているわけでありますけれども、五十一年度以降の新規申し込みができないという、こういう実態でございますので、この点は特段の配慮をしていただきたいと思うんです。 それから、あと十五分しか私も時間がございませんので、排ガスの問題を一、二点伺っておきたいと思うんです。特に五十一年度排ガス規制に伴う税制改正の問題について、具体的に低公害車に対するメリットというのは何が与えられたのか、どういうふうに解していいんですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 五十一年度規制を満たします車を早期に生産出荷いたしました場合には、物品税と、それからそれを買いましたときの自動車取得税を軽減する措置を今回御提案いたしておるわけでございます。具体的に申しますと、五十一年度規制に適合します乗用自動車を、五十年四月一日から五十年度中、五十一年の三月末日まででございますけれども、その間に物品税がかかります場合にはその課税標準を四分の一減額するということにいたすわけでございます。それから五十一年の四月一日から具体的には五十一年の八月末日まで、考え方はいわゆる並行生産が認められておりますリードタイム終了前六カ月前までということでございますけれども、その間に物品税がかかりますものにつきましては八分の一ないし十分の一課税標準を減額するということでございます。八分の一減額いたしますのは五十一年度規制車の中でNOxが〇・六グラム以下のものでございますし、十分の一減額すると申しましたのはNOxが〇・八五以下のものにつきましてそういう措置を講ずるわけでございます。自動車取得税につきましては、それぞれ五十一年度中に自動車取得税がかかります場合には現行の税率から二%下げますし、五十一年四月一日から五十一年の八月三十一日までに自動車取得税がかかりますものは現行の税率から一%下げると、こういう措置を講じまして、五十一年度規制を早く満たして出荷されるものについてのインセンティブをそれによって果たそうというものでございます。
○三木忠雄君 この措置によって、低公害車が普通の乗用自動車としてどのぐらいのメリットがあるんですか、減税メリット。
○政府委員(中橋敬次郎君) 概算でございますけれども、物品税につきまして、仮にいわゆる低公害車が小売価格九十万円、蔵出し価格六十万円といたしまして、物品税で二万三千円減額になりますし、自動車取得税で一万九千円減額になりまして、合計で四万二千円の減税に当たるというふうに考えております。
○三木忠雄君 これは当初の計画からいきますと、総理かずいぶん発言して規制車——私は税金で低公害車の普及ということに対しては余りいい問題じゃないと思うのです。しかし、五十一年規制車が予定どおり開発が進まない、こういうもとで総理も閣僚対策協議会で税制において何とかそれを補完したい、こういう強い意向を持っておったわけですね。ところが、実際、そういう低公害車に対する減税対策を考えてみてもわずか四万円程度、これではやはり高公害車といいますか、それと低公害車の差というものは余りにも開き過ぎているという感じになるわけですね。いわんやリードタイム前六カ月という形になりますと、非常に並行生産を強力にやって、そして高公害車の方を売った方が得ではないかという、こういう議論になってくるわけですね。こういう点を考えますと、低公害車を一生懸命やはり公害をなくしようとして努力をしているメーカーに対してはある意味じゃ優遇策は全然ないと、こう言わざるを得ないわけですね。この点についてはどう考えられますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 低公害車を普及しますについて、もちろん直接規制と間接規制の方法があるわけでございます。税金だけで低公害車を普及しようとしましてもなかなかむずかしい話でございまして、やはり何といいましても直接規制をかなりの程度やらなければならないというふうに思っております。それから、それは別にいたしましても、間接規制の中でも税金がかなり有効な手段であることも認めますけれども、私どもの考え方としましては、一つには取得課税についてどの程度やる方がよろしいのか、あるいは保有課税についてどの程度やる方がよろしいかということを検討いたしまして、いまおっしゃいますように、いわゆる公害度の高い車につきましては、現に使われております中古車がかなり数があるわけでございまするから、やはり新規の自動車を購入する人だけについてそういう低公害車へのシフトを促進するというよりは、やはり自動車を持っていることに対しまして税金がかかります、それについて公害の高いものあるいは低いものというものについての何らかの差をつけることによって、できるだけ、すでに動いておる車についてもそういった面での差をつけていったらどうかというのが基本的な考え方でございます。したがいまして、今回御提案申し上げておりますのは、いわゆる取得課税、自動車を買ったときの税金についてこういうことをやりまして、インセンティブをつけて五十一年度の規制を満たす車の生産に加速度をつけようということでございますけれども、本来はやはり保有課税としましてある一定時期以後そういう差がつくということをできるだけ早く決定しまして、そういうことを世の中にも鮮明にすればおっしゃるような効果も非常に高いのではないかと思います。 一体そういう保有課税をいつからどういうふうな形でやったらいいかということにつきましては、今後閣僚協議会におきまして早急に検討しようということでございますが、保有課税としますれば、国税とすると自動車重量税というのがございますし、地方税でございますと、自動車税というのがございます。いずれが適当かということになりますれば、私は、自動車重量税は車検が二年ごとに行われるときに取る税金でございますし、自動車税は毎年毎年、しかも毎月毎月というものの使用状況を見ましてかけるものでございまするから、いずれかと言えば後者の方が適当ではないかという気はいたしますけれども、そういう問題も含めまして早急に閣僚協議会で検討を出されるようにと思っております。
○三木忠雄君 これは大蔵大臣に伺いたいんですけれども、いまの保有税の問題、特に対策協議会で具体的に、警察庁の方は総量規制でいろいろ努力しているわけですね。それから通産の方は技術開発の方が具体的にめどがついていないわけです。ところが税制の問題はやはり非常に大きな問題だと思うんですね。この点について当初の排ガス規制の骨抜き骨抜きと、こう言われている問題あるいは税制の問題にしてもずいぶん後退したなという感じを国民は受けるわけですね。やはりまじめに低公害車を一生懸命生産しているところと、余りにも差があり過ぎるんじゃないかという感じを受けるわけです。したがって、保有税等の問題をあわせて大蔵大臣はどのようにこの問題の処理をされようとしておるのか、伺いたい。
○国務大臣(大平正芳君) 私は産業政策や公害政策の担当責任者じゃないわけです。私といたしましては、税制を守ってまいらなければいかぬ立場でございますので、私の方から進んで税法でこういうように助ける用意がありますと言って宣伝するつもりはないのです。問題は運輸省なり、警察庁なりあるいは通産省なり、環境庁なりがいろいろ工夫いたしまして最善を尽くされ、いろいろな政策手段を用意されて、なおやはりこれは税制においてもこういうことはやっていただかなければならぬ、ほかの方法ではいけない、これがベストだというようなことを詰まった話が出てまいりますならば、それは私ども真剣に検討を申し上げて協力せにゃならぬのじゃないかと考えておるわけでございまして、閣僚協議会が設けられますと、そういう真剣な御提議が第一次的な政策当局からあることを私は期待いたしております。
○三木忠雄君 実際に同じメーカーの車でも、やはり低公害車と高公害車の車を比べてみますと、ひどいのは十三万円くらいの差があるわけです、同じメーカーの一つの品物が。したがって、リードタイム期間あるいは並行生産できる期間には、やはり高公害車を売るのが私は当然メーカーとしてもやはり姿勢がそうならざるを得ないと思うのです。こういう点から考えても、やはり確かに大蔵大臣の、いろいろな運輸省や環境庁や各省でいろいろ対策は講じますけれども、やはり低公害車を一生懸命費用をかけて開発をしているわけですね。国民の命を守ろうある心は公害をなくそうという立場でいろいろ努力をしている、こういう問題について一生懸命努力した方に対して余りメリットのないような、いわんや、たとえば四十八年度継続車の問題にしても、四十九年の四月あるいは四十九年の九月に減額をしておりますね、途中で打ち切っているわけです。こういう点についての打ち切り方に私たちは納得のいかない問題があるわけですね。こういう点を考えますと、やはり各省の対策もいろいろあるだろうけれども、やはり、低公害車開発メーカーに対する税制上の問題あるいは国民的な見地に立っても常識で考えられる線の税制問題は考えるべきではないかという気がするのですけれども、この点についての見解を伺いたい。
○政府委員(中橋敬次郎君) 基本的に私どもはやはり規制が行われまして、公害の程度が少なくなることはもちろん望ましいのでございますけれども、一方、そういう直接規制で公害の程度を少なくするということが果たされますれば、やはりその規制のもとにおいて生産もそういうふうな即応態勢をとってまいらなければならないと思います。それで前回とりました減税措置でも今回とります減税措置でも、やはり全面的な規制措置が実現するよりはある程度前に、インセンティブの税制措置は打ち切るという気持ちでございます。と申しますのは、やはり全体がそういうふうに向かうよりは早くそういう措置を講じておる人だけについて何か減税をすることでインセンティブをつけるというのがメリットでございまするから、みんながそういうふうなものしかつくれないときになってまで減税をする必要はないのではないかというのが基本的な態度でございます。しかも、五十一年度の規制が完全に実施をされました暁におきましては、いわばそれ以外の車は出てこないわけでございます。もちろん、その前に並行生産で認められることについては、いろんなことからそういうことになってしまったのでございますけれども、そういう規制が行われた後におきましては、やはり幾ら公害の程度が少ないということになりましても、それが自動車でございまして、やはり私どもの税金の立場から申せば、一台あたり百万円ぐらい投じて買えるような人の担税力について、いまの自動車で取っておるぐらいの税金というものは納めてもらわなければならないという態度をやっぱり持たなければなりません。公害という点からは望ましい車でございますけれども、やはりそれのために、いまの、たとえば物品税で一五%なら一五%という税負担を下げるというわけにはまいりませんから、やはりそういった段階に負担をしていただく税額というのを頭に置きながらインセンティブを考えなければなりませんので、そんなに大幅な減税というのも、低公害車を促進するというインセンティブの税制としてはまた限度があるということでございます。
○三木忠雄君 最後に、このインセンティブは、減税が少ないという問題がやはり並行生産を助長する一つの結果になってくるということを私は心配するわけですね。わずか四万ぐらいの差、これと片一方は十三万円と、こういう形になってきますと、やはりどうしたってこれは並行生産、駆け込み生産というのは、これはもう私は——これは後でわかってくる問題でありますけれども、それは非常に急激にふえてくるんじゃないかということを私たちは非常に心配するわけです。こういう点についてのやはり税制問題を、もっと低公害車に減税をもう少し大きくするとか、あるいは保有税の問題をもっと強固に考えるか、そうすればやはり駆け込み生産をしても売れないのだという、こういう姿になれば、やはりここで消費者だって買うわけはないし、低公害車の方を購入するような形になってくると思うんですね。そういう点のインセンティブがちょっと大蔵省が後ろ向きになっているような感じを私は受けるのですけれども、この点についての見解を伺って私の質問を終わります。
○政府委員(中橋敬次郎君) やはり、おっしゃいますように税金の立場から申せば、インセンティブ税制としましても限度があるというふうに思わざるを得ないわけでございます。おっしゃるようなことを考えますれば、私はやはり先ほど申しましたように、保有課税について何らかの措置を講ずるということが、税制上からそういう援助を進めるという上においては一番強力ではないかと思っております。それで、保有課税についての方向をできるだけ早く決めまして、できるだけこれを早く世の中に示すということになりますれば、並行生産中におきましても消費者はそういうことを覚悟しながらいずれを選ぶかということになりますから、そういう道がやはり一番今後私どもとして、税制上何か間接規制を促進するということであれば、それが今後考えなければならない道ではないかというふうに思います。
○田渕哲也君 私は、まず深夜の割り増し手当に対する免税についてお伺いをしたいと思います。 以前、鉄鋼労連から交代勤務者に対する減税についての要請が、これは田中内閣時代だったと思いますが、総理大臣、大蔵大臣、労働大臣、各大臣に提出されたわけであります。もちろん当時の大蔵大臣も大平大臣だったと思います。この点について、今回の所得税の税制改正の中では取り上げられておりませんけれども、大蔵大臣はどのように考えられておるのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 鉄鋼業や造船業におきまして、夜間勤務を行われる労働者あるいは看護婦などにつきまして、何らかの形でその労に税制上報いるべきであるという御意見、私も伺っておりまするし、よく理解されるところでございます。ただ、その方法として税制上の措置を用いることは、現在の所得税が、およそ所得はその発生原因がいかなるものであるかということを問うことなく、すべて同質のものであるという前提で取り扱うことになっておるので、大変むずかしい問題であると思います。やはり困難な労働、不愉快な労働には、その対価を厚くするということで報いるのが本筋であるというのが私どもの考え方でございまして、税法上これに対して有効に対応する手段を生み出すということは大変むずかしいことだと思うのでございまして、この考え方は容易に、いろいろ御注意もございましてその後検討を重ねてまいったわけでございますけれども、どうもこのみぞは越えがたいわけでございますので、その点は御理解を賜りたいと存ずるのであります。
○田渕哲也君 私は、基本的な考え方として、労働の質によってその収入——労働の質か違うからそれに対して税を変えるというのは、これは困難だと思うのです。理論的にもなかなかこれはできるものじゃない。ただ、こういう考え方はできるのではないかと思うんです。といいますのは、特に深夜勤務の場合、これはもちろん精神的、肉体的苦痛もあるわけですけれども、やはり経済的負担というものがあるわけです。具体的にどういうことかというと、夜中に働くから昼間寝ると、ところが昼間なかなか寝にくいわけですね。たとえば最近の都市の日本の住宅というのは非常にやかましい、だから窓も閉め切って寝ないと寝れない、暗くしなくちゃならない。そうすると、窓を閉め切ってクーラーぐらい要るというような、こういう面の経費はやっぱりかかるわけですね。それからもう一つは、食事の問題にしても、深夜業の場合は昼間と違って食事をとる時間、それから食事をとる回数、そういうものも変わってまいります。それから交通の面ですね、会社がバスか何か仕立ててやっておるところはいいとしても、必ずしも全部がそれが完備しておりません。そうすると、始発、終電の関係から、やっぱりタクシー等を利用する場合も出てくる。こういう経済的な負担が特別にかかるという要素はあると思うんですね。そうすると、必要経費ということを控除するという考え方から見るならば、私は深夜業の場合に何らかの税制上の措置を講じても理論的には成り立たないことではない、このように考えるわけですけれども、いかがですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) いまおっしゃいましたように、昼間に寝なければなりませんから、ルームクーラーという話はちょっと別におきまして、深夜に通勤をする、あるいはそのために特別の夜食を必要とするというような実費弁償的なものでございますれば、また所得税の考え方としてある程度乗ることもできると思います。ただ、今日言われております深夜労働の割り増し賃金といいますのは、やはり労働基準法に言われておりますように、本法の二五%というような形で出ておるものでございますから、なかなか実費弁償であるという部分を摘出するのもむずかしいということでございまして、ましてや全体をそういうものであるというふうには観念できないのでございますけれども、仮にその中で実費弁償というようなものがございましたら、必要経費というものよりもむしろ離れまして、そういうことで考える道はないことはないと思っておりますけれども、やはりそのためには支給形態というのを何らか変えないと、いまのように一律二五%ということではちょっと実費弁償と見るのもなかなかむずかしいのではないかと思います。
○田渕哲也君 たとえば西ドイツでは、すでに御研究されておると思いますが、休日出勤、祝祭日出勤並びに深夜業に対する法定の割り増し、あるいは労働協約に基づく割り増し分については税金を免除しているわけです、こういう考え方からすれば、やはり何らかの措置というものを講じた方が私は公平ではないかという気がするわけです。片一方ではお医者さんには非常に大きな必要経費を認めながら、サラリーマンには一律の給与所得控除しか認めていない、こういうアンバランスから見ても、深夜勤務する場合に必要経費的な考え方で割り増し分ぐらいについては税金の免除をするということは、私はこれは理屈に合わないことじゃないと思いますがいかがですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かに西ドイツにおきましては、深夜労働のみならず、休日労働、時間外労働の割り増し賃金につきまして全部非課税にしております。これはまた、実は経緯がございまして、ドイツにおきましては、一九四〇年に非常に労働力が不足したという、戦時体制下におきましてそういう労務対策上の配慮で導入をせられたということでございますが、必ずしもそれがドイツの税制の中で全面的にいい制度だと受け入れられておるかと申しますと、また一方わが国の税制調査会に当たるようなところでは、これは非常に不公平であるというような指摘もございます。それは別にいたしまして、そういう深夜労働の割り増し賃金というものが、一つの深夜の労働に対する特別の評価としまして割り増し的に与えられておるものでございますけれども、その部分だけをごらんになれば、なるほど一つ、肉体の減耗というようなことについて非常な配慮をしておる割り増し賃金でございますが、同じような配慮というのが、またいろんな職種についてあるわけでございます。たとえば、非常に不快なものであるとか、労働条件が非常に悪いというようなものについて割り増し賃金を払っておる場合もございますし、また危険であるとか、困難であるとかいう職種につきまして特殊の手当を払うというようなこともございます。あるいはまた、公務員についてでございますけれども、全体的に特別の俸給表を適用するというようなことで割り高な賃金を払うというようなことでございますから、深夜労働だけをごらんになりましても、やはり税金という面になりますと、みんなそういう特別の職種に伴う困難度、不快度、減耗度というようなものに対する割り増し的なものをだんだん考えていかなければならないということになりますので、やはりなかなか、その深夜労働だけのものを引っ張り出しまして、それについてドイツのような措置をとるということはどうもわが国ではむずかしいんじゃないかというふうに思われます。
○田渕哲也君 労働省はお見えになってますか。 労働省の方からこの問題についてのお考えをお伺いしたいと思います。
○説明員(川口義明君) 深夜業を行う交代制勤務労働者、鉄鋼、造船等の基幹産業ですとか、看護婦さんとか多いわけでございます。こういう深夜労働は、疲労もありますし、人間の生理のサイクルともちょっと違った面もあるということで、これらの方々の御労苦は何らかの形で報われなきゃならぬものであろうというふうに思っておりますが、御承知のとおり、鉄鋼労連等から、昨年度からその深夜の割り増し賃金を非課税にするようにというお話がございまして、労働省としましては、昨年度に続きまして本年度も税制改正をお願いしてまいりましたが、実現を見るに至っておりません。なかなかむずかしい問題だとは存じますが、私どもといたしましては、なお粘り強くお話を続けていきたいというふうに思っております。
○田渕哲也君 ただいまのお話にもありましたように、最近特に深夜に働くということをいやがる傾向が非常に強くなっているわけです。看護婦さんにしてもそうですし、それから交代勤務にしてもそうだと思います。それにせっかく割り増しもらっても、割り増しをもらう分についての税金は非常にふえていくという傾向にあるわけですね、給料の収入がふえれば税率もふえるわけですから。そういう点考えると、やっぱり深夜業については、せめて割り増し分ぐらいは減税した方が適切ではないかという気がしますが、いかがですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 先ほど申しましたように、割り増し分について確かに深夜についての割り増しもございますれば、先ほど言いましたように、たとえば非常に高いところに上らなければならないという作業について特別の割り増し賃金が払われる、非常に深い海にもぐらなければならないという仕事についても割り増し賃金が払われるというようなことで、いろいろ相関連するものがございます。それは全部もちろん高い賃金になりますれば、累進税率がかかるわけでございまするからおっしゃるとおりでございますけれども、やはり税金をかけます場合につきましては、受ける賃金は同質のものとして考えざるを得ないのでございまして、確かにおっしゃるように、深夜の労働を要するような職種あるいは先ほど申しましたような人のいやがる仕事への労働力というものが不足をすることはよくわかりますけれども、やはりそれには基本的に賃金を高くするということで対応していただかなければならないんで、税金を軽減するということよりは、むしろその方が筋ではないかというふうに考えております。
○田渕哲也君 この問題は、前の田中内閣時代にいろいろ要請活動をやってきた問題だと思います。ある程度そういう方向で検討されておったということは私も聞いておるわけです。ただ、内閣がかわったので何となく立ち消えになってしまったんではないかと思うんです。自民党の税制調査会で五百円ぐらい控除するという案も検討されておるということも聞いておるわけですけれども、これは大臣御承知ですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 自民党の税制調査会でこの問題はもちろん議論がございました。ただ、おっしゃいますように、五百円というふうなことの議論は、まだ五百円という数字自体が出たことを私は記憶をいたしておりません。ただ先ほどおっしゃいましたように、実費弁償的なものとして何か考える余地はないかということで議論があったことは確かでございますけれども、しかし、そのためには深夜の割り増し賃金というふうなものについて、そういう部分をどういうふうな形で支給するかとか、その部分を一体どの程度に見るかということが問題になりまして、結局今日まで実現を見ていないわけでございます。
○田渕哲也君 政府の税制調査会にこの問題について諮問はされたかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 政府の税制調査会ではこの問題について議論はございませんでした。私どもも、実は政府の税制調査会におきましては、税制改正の基本ラインについて御議論をいただくものでございまするから、いわゆる特別措置的なものについては、余りこちらからも御意見を伺いませんし、特別に御発言もなかった——そうでした、忘れていました。一部労働団体の代表の方からそういう御要望があったことはたしかありましたけれども、特別の御議論は税制調査会としてはございませんでした。
○田渕哲也君 この問題について最後に大臣にお願いをし、御見解を求めたいわけですけれども、やはりこれは検討に値する問題ではないかと思うんです。だから、本年度はもう間に合わないにしても、来年度の税制改正のときに税制調査会その他で一応検討すべきだと思いますけれども、その点について大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、税制として大変なじみのしにくい案件であるとは存じますけれども、せっかくの御提議でございますので検討してみます。
○田渕哲也君 それでは次に、非鉄金属鉱業関係の問題について若干質問したいと思います。 日本の国内の非鉄金属鉱山は、現在国際価格の下落等もありまして非常にピンチの状態に立たされておるわけでありますけれども、国内鉱山の存在の意義についてはいまさら申すまでもないと思います。一つは、資源対策の面、それからもう一つは、海外開発の技術の維持向上に果たす役割り、第三点としては、日本の国内の地域の産業対策の面、こういう面から見て国内鉱山の存在意義というものは非常に重要だと思うんですけれども、しかし、現在非常に窮地に陥っておるわけであります。そこで、非鉄金属鉱山の特殊性というものがあるわけで、これは大臣も御承知のように、大体鉱山というのはリスクが非常に大きいもので、たくさんの探鉱投資その他をかけて、山に当たるか当たらないかで将来が左右されるというリスクが大きいという点、それからもう一つの面は、価格の変動が非常に激しいということであります。つまりこのリスクが大きい面、価格の変動が激しいということはどうなるかというと、経営がきわめて不安定である、山もあれば谷もあるし、その山が高くて谷が深いと、こういう差がはなはだしい経営になっておるわけであります。 そこへもってきて、最近は公害問題というのが非常に大きな問題としてクローズアップされております。いわゆる蓄積公害を初め、公害対策事業あるいは被害者に対する救済措置、こういうものが非常に大きか要素を占めておるわけでありますけれども、そこで、これは特に税制上の問題としてお願いをしたいわけでありますけれども、特に公害対策の面で、鉱山には独特の鉱山保安法並びに鉱業法というものがありまして、いわゆる蓄積公害あるいはその他公害の問題については、たとえ閉山してもその後長期にわたってその防止対策というものを講じていかなくてはならない、また、被害が出た場合には、その補償に応じなくてはならない、こういう特殊性があるわけであります。普通の工場でしたら、工場やめてしまえば大体公害はなくなるわけでありますけれども、鉱山の場合にはそうはいかない。こういう蓄積公害の問題については、鉱業審議会の答申にもありますように、もちろん企業の責任は当然でありますけれども、国の責任としても早急に適切な施策を講ずべきであると、こういうことがうたわれております。しかし、現状はこの鉱山保安法並びに鉱業法というものがあって、私は本来ならこの鉱業法や鉱山保安法の改正をして、本当の意味のPPPの原則というものに基づいた負担を考えなくてはならない、このように考えておるわけでありますけれども、もちろん、鉱山保安法や鉱業法の改正は、この場で論議すべきことではないと思います。これはもう別の機会にしたいと思いますけれども、ただ、こういうきわめて一面では矛盾した問題、困難な問題を抱えておるわけでありまして、この鉱山保安法や鉱業法の改正がいますぐ望めないとするならば、やはり税制上の措置をもって鉱山関係の公害対策あるいは被害者補償についての、救済についての措置が講ぜられるようにしていただきたいと思うわけであります。 つまり、鉱山が最盛期というときには非常にもうかります。あるいはその価格が非常に高いときにはもうかります。ところが、反面、価格が下落したり、鉱山の鉱量が少なくなった時点では、事業が縮小して、これは赤字になるわけです。ところが、赤字になろうが公害というものは存在するわけでありますから、その公害費用をどんどん払っていかなくてはならない、極端な場合には閉山した後も長期にわたってその公害対策を講じ、被害者救済に応していかなくてはならない、こういう特殊性にかんがみまして、最盛期あるいはうんともうかっておるときに公害事業や被害者救済のための利益留保ができないだろうか、そういう便法を税制上講じてもらえないか、このように考えておるわけですけれども、この点はいかがですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) おっしゃいますように、確かに金属鉱業の公害対策としまして、いろいろなことが必要でございます。そういう観点から、税金の面におきましても、一つには公害防止事業費事業者負担法によって納付金をしましたときには、本来繰り延べ資産として経理しなければなりませんものを、任意償却を認めるという措置を講じておりますし、昨年の税制改正で、金属鉱業等公害対策特別措置法に基づきまして、採掘権者等が、坑道、集積場等の使用の終了後におきますところの公害防止の費用に充てますために、鉱山保安監督局長から通知を受けました金額を金属鉱業事業団に公害防止積立金とし預託をしました場合には、その預託額以下の準備金の設定を認めると、こういう措置を講じたわけでございます。 そのほかになお、いまおっしゃいましたものが具体的には一体どういうことをお考えかわかりませんけれども、金属鉱業自体が、景気の変動が非常に大きくて、景気がいいときには利益も上がりますから、その分を何がしか将来のそういう公害対策費に積み立てると、漠然とそういうことになりますれば、非常に利益留保につきまして税金を軽減するという結果にもなりかねないものでございまするから、やはりある程度確定する金額がきっちりとした時期に、継続的に、しかもどこかにそれを預託されるという形が一番望ましいわけでございます。そういうことがなかなか、いろいろ御要望の際にも、そういう要件をなかなか満たしがたいところで昨年の税制改正を行ったところでございますけれども、いまおっしゃいました問題につきましては、やはり確定の時期、金額、継続性、しかも恣意的に利益留保にならないような確保というような問題をあわせ考えながら検討してまいらなければならないと思っております。
○田渕哲也君 まあ現在、先ほど御説明のありました償却の問題とか、あるいは金属鉱業等の公害対策特別措置法による積立金の制度があることは存じておりますが、この程度ではなかなか賄い切れないわけですね。だからもう少しスケールの大きなもので利益留保、またそれを鉱山が縮小した後の公害対策の費用に充てるというような制度をつくっていただきたいと思うんです。これは検討していただけますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) そういう必要がございまして、むしろその実態面で先ほど申しましたように、たとえば蓄積公害の防除事業についての一体負担金がいつ確定するのか、それを一体どこに積み立てておくのかとかというような問題を、むしろ実態面でまずお固めいただきまして、私どもの税金の考え方に乗り得るようなことでございますれば、採用することも可能だと思いますから、そういう点でいろいろ検討してみたいと思っております。
○田渕哲也君 それから、現在の特別措置法による積立金は、これはいわゆる保安対策事業ですね、事業費ですね、これは。被害者救済に対することは認められていないわけですが、被害者救済に対する面まで拡大してほしいと思いますが、この点はいかがですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 被害者救済ということになりますれば、いよいよその金額の確定というのが実はむずかしいんだろうと思います。公害防止事業自体につきましても、なかなかその金額の確定というのがまだむずかしいような段階でございまするから、一体いつどれだけ払うかということがわからないままに、とにかくそういうことがあるかもしれないということで積み立てるということになりますと、これはなかなか税金上乗りがたい制度だと思います。
○田渕哲也君 ただまあ公害問題の被害者というのは、なかなかこれは予測しがたい面があると思うんですね。初めからここでこれくらいの被害者が出るだろうなんてわかるはずがないわけです。わかっていたらそんな事業はやらないでしょう。だから、これからどんどん思わぬところにカドミウムが発見されて被害が出るということもあるわけですから、これはある程度弾力的な措置を講じてもらわないと困ると思うんですがね。
○政府委員(中橋敬次郎君) そうおっしゃいますことが実は税金の制度になかなか乗りがたい点でございまして、きわめて不確定な、債務とまで至らないものを、税金上何らかの措置を講ずるということになりますと、それは全く利益留保のような形になってしまうものでございますから、いろいろそういった種類のものが公害関係だけでございません、各種、企業としますれば、まさに利益があるときには税金を少なくし、利益が少ないときにそれを補てんしたいという要望は無理からぬことでございますけれども、税金は、やはりそういう非常に不確定要素に基づきまして利益を課税除外にするということにはなかなかむずかしい面がございます。
○田渕哲也君 これも企業内に任意に留保できるということなら問題だと思いますが、たとえば、金属鉱業事業団等に預託するとか、そういうことならある程度弾力性は認めても差しつかえないんじゃないかと思いますが……。
○政府委員(中橋敬次郎君) そこは預託でございまするから。もう外部に拠出してしまうということになりまするならば、これは非常に明らかでございますけれども、預託金というものの性格上、やはり外部に預託しておるからということだけで税金の面で課税除外に置くということはなかなかむずかしいと思います。
○田渕哲也君 たとえば、現状ではどういう不合理があるかというと、もうかっているときは人並みに税金を取られる。鉱山が閉山したら収入が一つもないわけです。経費だけ出ていくわけです。本当はその分の経費というのはもうかっているときにとっておいたもので埋めなければいけないものですよ。ところが、もうかっているときにはきっちり税金取られて、そして閉山して収入が一つもなくなってからどんどん経費が出ていく、こういう不合理に対して、何かそれならいい方法をほかにお考えですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) そういうことも結果として起こるかもしれませんけれども、一体果たして将来幾ばく払うかということもわからないままにそれを課税除外にするということは実はできないわけでございまして、確実に払うということがございますれば、それはだれかが決めなければいけませんし、決めないままに課税除外にするというならば、もうその会社の支配を離れた外部拠出をしていただきまして、それはしかしいかなることがありましても会社の財産としては考えません、いずれかの日には必ずだれかに払いますという形をとっていただかない限り、将来払うかもわかりませんから今日の段階においてこれだけのものを課税除外にするということは、なかなか税金の面としてはむずかしいと思います。
○田渕哲也君 たとえば、それを公害対策とか被害者救済に払わないで、払う必要がなくなった場合には、その時点で課税するということはできるのじゃないですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) そういうことはまさに利益留保準備金と申しますか、そのときに課税しなくていい、何かのときにまた通算すればよろしいということになりますから、それは法人税法上はいわゆる損益通算、損益、欠損の繰り延べということで制度上繰り越しをしていただかないと困りますので、利益のあるときに、将来そういう損費があるかもしれないからということで課税除外をしておきまして、実際に払ったらそれでよろしいではないかというわけにはなかなか、期間計算をやりまして課税をいたします法人税としてはむずかしいのでございます。
○田渕哲也君 確かに理屈はそのとおりだと思いますが、ただ、現状そういう非常に矛盾が出てきておるわけです。もうかっているときはがっちり税金取られて、全然事業収入がなくなってから費用がどんどんかかる。これはちゃんと鉱山保安法と鉱業法でそういう義務を負わされているわけでしょう、鉱山の場合は。たとえ事業をやめても後の鉱害対策はちゃんとやらなければいかぬということになっているわけです。だから、これは何かの特別な措置を講じてもらわないと困ると思うのですが、理屈はおっしゃるとおりですけれども、理屈だけじゃいかないから、その理屈に合うような便法を何か考えてもらわなければいけないと思うのです。
○政府委員(中橋敬次郎君) それを税金の面だけに御要望になると、また困りますので、むしろ実態面で、こういう金額を必ず納付しろとか、あるいはその金額は会社の収益いかんにかかわらず、いわば不特定の被害者集団といいますか、そういうもののものであるというような形をとっていただきませんと、やはり不合理というのを全部税金で解決するわけにはなかなかまいらないと思います。
○田渕哲也君 こういう問題は、理屈から言えばむずかしい問題を含んでいると思いますが、何らかの方法で、通産省も関係あると思いますけれども、相談していただいて、合理的に現在の鉱山が公害対策や被害者救済ができるような方法を検討いただきたいと思うのです。
○政府委員(中橋敬次郎君) 実は、本年もそういうことで、汚染地の客土事業についての費用を何らかの形で、いまおっしゃいましたような線で処理できないかということをいろいろ通産当局とも議論を重ねたのでございますけれども、結局、いま申しましたようなところで、実態面でもう少し確定性の要素を強める方法はどこに求めたらいいのかということで難関に逢着したわけでございまするから、まずそういうようなことも含めまして、今後ともなお検討いたしたいと思います。
○田渕哲也君 時間が余りありませんので、最後にもう一つだけ、関税の問題について触れたいと思いますが、今度関税暫定措置法が改正されて、これは銅の無税点が引き上げられるということになりますが、この無税点四十四万円の根拠についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(吉田冨士雄君) 先生が最初におっしゃいましたように、銅は非常に国際的に波を打っているものでございますから、一定の無税点を前々から、四十四年からございましたのですが、四十七年に現在の三百八十五円・キログラムで設定いたしまして、それ以上の場合には需要者を考えて無税にして、それ以下は二十四円の税金を取るというシステムになっていることは御存じのとおりでございますが、最近かなり国内の生産コストが上がってきたというのが一点、それからもう一つは、これまで銅の値段が非常に海外相場が上がっておりまして、そのためにかなり国内の価格も上がりまして、銅の業者の方々も相当の収益があったわけですが、ことしの後半からだんだん下がってまいりまして、だんだんとやはり免税点、無税点に近くなってきたのですが、なかなか無税点までいかない。したがいまして、無税点をぜひ上げてほしいということを非常にもう関税審議会を閉めるちょっと前にお話がございましたので、そこで通産当局と御相談いたしまして四百四十円にいたしましたのですが、その根拠といたしましては、国内の生産者価格、それから製錬コスト製錬コストも契約で海外と製錬コストをやっている部分と実際のコストの差がございますが、そのコスト、それから関税二十四円を、生産者の価格、卸売価格に対する影響を考えまして新しく十五円にいたしましたのですが、その十五円の幅というものを勘案いたしまして、さらに合理化努力も加えまして、ちょうど四十七年に現在の三百八十五円を設定した同じ方式で計算いたしまして四百四十円ということにいたしたわけでございます。
○田渕哲也君 私は時間がないので簡単にやりますが、その根拠の中で、合理化努力一五%というのは、合理化によって一五%コストを引き下げられるということの意味でございますか。
○政府委員(吉田冨士雄君) この合理化というのは、いわゆる普通の合理化もございますけれども、先ほど申しました製錬コストでございます。それがいろいろ契約と実際のコストで差がかなりきついと海外から言われておる、その辺を特にがんばってもらいたい、あるいは通産省としてもがんばって指導しましょう、こういうことがございまして、その点を中心にして考えております。
○田渕哲也君 現在の国内鉱山のコストは大体五十五、六万円ということを聞いているわけですが、国内鉱の保護という面で関税が設定されるとするならば、この四十四万円はもっと上げるべきだと思うんですが、この点はいかがですか。
○政府委員(吉田冨士雄君) おっしゃいますように、通産で調べましたところですと、キログラムで大体五百六十七円、五百六十円オーダーの数字でございまして、これを輸入価格の段階で考えますと、それから輸入諸掛かりを引かなければなりませんけれども、五百二十円オーダーのところでございます。それに、先ほど申しました関税によって十五円かかることによるプラスと申しますか、それは本来ならば国内の鉱石を使うものが大体一割ぐらいでございまして、外国の鉱石を使うのが大体九割ぐらいでございます、それで割り振ると十五円のメリットというのは本来なら百円ぐらいになるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、国内の売鉱の製錬コストの不利の部分が非常に大きいものでございますから、それでその差をやはり合理化努力でやっていただきたいというぐあいに考えておるわけでございます。
○田渕哲也君 終わります。
○渡辺武君 日本銀行総裁に伺いたいと思います。 けさの朝日新聞を見てみますと、総裁、二十八日に記者会見をなさって、そして大体まあ景気は底ばいの状態に来たと、今後は緩やかな回復に向かうであろうと、そして物価も鎮静化のめどがついたと、したがって、物価安定のための金融政策は第二段階に入るだろうというような趣旨のことをお話しされたという記事が出ております。で、新聞社の方のこれは観測だろうと思いますけれども、これで春闘過ぎた後、特に来月の十八日から二十二日にかけての政策委員会で公定歩合の引き下げをやるということがほぼ確定的になったと、〇・五%ぐらいは下げるんじゃないかというような観測記事も出ているわけであります。こうした問題について、まず最初に総裁の御見解を伺いたいというふうに思います。
○参考人(森永貞一郎君) 一時不況感が大変深刻になってまいりまして、いろいろな現象が起こってきておるわけでございます。他面、物価の方は需給緩和の状態が続いておりまして、最近、卸売物価は一月、二月とごくわずかではございますが低落の傾向をたどり、消費者物価の方も落ちつきぎみに推移いたしておりまして、かたがた外国での公定歩合の引き下げ等の事例もございまして、国内各方面から、もうそろそろ公定歩合の引き下げを含めた金融政策の転換を図ったらどうかという御要請があることは御承知のとおりでございます。私ども、そのような要請に対しまして、物価の情勢は、表面は落ちついているけれども、コストプッシュの圧力もまだ相当強いことだし、もう少し様子を見きわめなければならないということで、慎重に対処してきておるわけでございまして、現状におきましては、いつどのぐらい公定歩合を下げるという決定はまだ全然いたしておりません。冒頭にもお話がございましたように、まあいろいろな発言内容から観測記事で先ほどおっしゃいましたような記事が出ておるわけでございますが、時期的にも、また程度をどうするかといったような問題につきましても、いまのところはまだ確定的に考えを決めていないのが現状でございます。
○渡辺武君 大分、新聞記事と異なった御見解のように伺ったわけです。重ねて伺ってちょっと失礼かと思いますけれども、たとえば、物価の鎮静化のめどがついたというふうに記者会見ではおっしゃったというふうに書かれておりますし、景気もいまが底で、大体まあ底をはって、やがては緩やかな回復に向かうというふうにも見れると、それで、金融政策が今後第二段階というお言葉も使われたというふうなことも書かれているわけですが、その辺はどうですか。
○参考人(森永貞一郎君) 物価の鎮静は確かにその兆しがあるわけでございまして、その事実はその事実として私ども評価いたしております。ただし、まだもう少し諸般の情勢を見きわめたいと申し上げておるわけでございまして、しかし、そういつまでもいまの高い公定歩合を継続するわけにはまいりませんので、いつの日かそれを引き下げるときが来るわけでございますが、その場合の施策の意味は、昨年来からの緊急状態がひとまず鎮静して、後は安定経済の軌道に日本経済を乗せていく第二段階の始まりと、そういう意義を持つものであろうというようなことは申し上げたわけでございますが、それがいますぐにそうなるというふうに確定的には申し上げてないわけでございます。
○渡辺武君 いま諸般の情勢を検討してとおっしゃいましたけれども、大体春闘でどのくらいの結果が出るか、その辺なども大いに関心を持たれておられると思いますが、大体この春闘の経過、それからまた、先ほどの新聞記事に出ておりましたが、来月あたりの政策委員会あるいはその前の支店長会議、こういうようなところが一つのやっぱりめどになろうかと思いますけれども、どうでしょう。
○参考人(森永貞一郎君) まあ、支店長会議の前に経済情勢の推移を見きわめて何らかの処置をとるというようなことがあるのかという、そういう質問に対しまして、この辺でそう一日一刻を争う問題でもないし、もう少し慎重に経済情勢の推移を見きわめたい、その一つの機会として、全国の支店長を来月招集しておることでもございまするし、つぶさに各地の実情を聞くことも、この情勢を見きわめるということの中に含めて話をしたと、そういうことでございます。その辺からいろいろな推測を生んでおるというふうに御承知いただきたいと思います。
○渡辺武君 いまが物価、景気などのある種の曲がり角というふうに先ほどのお言葉では私受け取れましたが、その辺そんなふうに理解していいでしょうか。
○参考人(森永貞一郎君) 十二月、一月と生産が大産落ち込みまして、しかも製品在庫の調整がなかなか進まない。企業は在庫調整のために一時帰休その他雇用調整も相当広範囲に行っておるわけでございまして、そのことが、自然労働情勢にも深刻な影響を持っておるというようなことで、大変各方面にわたって景気の先行きを心配されておられたのでございますが、私どもはマクロ的に考えまして、まあこの辺が大体峠じゃないかというような感じを前から持っておりました。その後二月の生産、出荷の統計、在庫の統計が発表されまして、生産の減少の方もまあ下げどまったような結果になっておりますし、出荷もわずかながら増加しておる、在庫も減少しておるというようなことで、この一月だけで断定的に申し上げるわけにはまいりますまいが、大体この辺が峠で、これ以上景気がスパイラルに落ち込んでいくというようなことは、もうその心配は大分薄らいだんじゃないかと、そういうふうに考えておるわけでございます。
○渡辺武君 そうしますと、やはり公定歩合の引き下げなども含めた、一定のやっぱり金融政策の手直しといいますか、これはそう遠い将来ではないというふうに理解してよろしゅうございますか。
○参考人(森永貞一郎君) 具体的にまだ決めておりませんことは先ほど来申し上げているとおりでございますが、そんなにいつまでもいまの高い公定歩合を続けていくわけにもまいらないのではないかと考えております。
○渡辺武君 物価の動きでございますけれども、戦前の物価の動きを見てみますと、不況のときには物価は下がる、好況のときには物価が上がる、そして全体として見れば、その波を通して大体生産性の上昇とある程度見合ったように物価の動きが全体としては下がるべき方向をたどっておったと思うんですね。もっとも二十世紀に入ってからは若干そういう動きも変わってまいりましたけれども、しかし、戦後の動きを見てみますと、どうもその辺がずいぶん変わってきまして、不況になっても余り物価は下がらない。特に消費者物価はほとんど下がらない。しかし、景気がよくなりますと急激に上がっていくというような傾向を見せ始めてきました。特に現在の不況は、いわゆるスタグフレーションと言われまして、不況と物価の上昇とがくっついて同時にあらわれてきているという異常な状態にあるわけです。このために中小企業などは、不況の影響と、それから原材料の値上がりなどにあらわれた物価上昇の影響が複合作用して、特別に深刻な状態に置かれているというのが実情だろうと思うんです。ですから、おそらく景気がもう底をついてだんだん回復に向かうというような状況になってきますと、先ほど総裁もおっしゃいましたけれども、やはり物価が再び反騰してくるという可能性は十分考えられると見なきゃならぬと思うんですね。 きのうの新聞の発表を見てみますと、東京都の区部の三月の消費者物価指数は昨年に比べて一四%高。ちょうど政府が一五%高程度のところということを言っていましたが、その範囲内におさまっていることは、数字の上ではそうなっていますが、しかし同時に、前月比の上昇率一%ということで、従来よりも大きくなっているんです。この辺でやはり消費者物価の今後の上昇をそのまま占うというわけにもいかぬでしょうけれども、しかし、多くの人たちがこれについて懸念を持っているということも、これは否定できないと思うんです。ですから、今後の通貨金融政策については、戦前あるいは戦後のいままでの時期と比べましても、特別にやはり厳しい態度をとっていただくということが私は必要じゃないかというふうに考えているわけです。 そういう意味で、この日本経済の体質の変化といいますか、いまあらわれている諸現象が示しているような、そういう事態に対応した今後の金融政策というものはどんなふうにお考えになっておられますか。
○参考人(森永貞一郎君) お話のように、不況下物価高といういままでの経済学の常識ではわからないような事態が起こっておるわけでございます。そのよって来るゆえんのものはいろいろございましょう。まあ昨年の上半期はいわゆるデマンドプル型であったわけでございますが、その後のわが国における物価騰貴の要素の中にはコストプッシュの要素が大変に多いんじゃないか。コストにもいろいろあると存じます。海外における資源価格の高騰ということもございましょうし、また賃金の上昇というようなこともございましょうし、要するに、企業としてはコストプッシュの圧力が大変大きいのでございまして、ややもすれば、需給状態に変化が起これば、何とかそれを価格に転嫁したいというような業種もたくさんあるのが現状であるわけでございます。現状では、それが需給状態を緩和した状態に置くことによって価格への転嫁を困難にしておる、そういう状態でずっと推移してきまして、お説のように一応三月末には一五%というようなことでおさまっておるわけでございます。 そこで、緊急事態は一応解消したとして、公定歩合の引き下げがいつの日か行われるといたしましても、私どもといたしましては、それはいままでの景気循環の過程におけるような公定歩合の引き下げ、すなわち金融の手放しの緩和という状態に持っていってはいけないのではないか、引き続き需要抑制型の経済運営を続けなくてはならないわけでございまして、その政策の一翼としての金融政策におきましても、やはり引き締めぎみに推移しなければならないのではないか。これは資源の制約化、あるいは公害、環境等々の問題がございまして、もはや高度成長を漫然と夢見るわけにはいかない新しい段階に入った、その段階下での当然の要請ではないだろうか。したがいまして、金融政策といたしましても、公定歩合の引き下げが、すなわち昔のようなゴーの青信号ということにはすべきではないのではないか、引き続き引き締めぎみの状態を維持しなければならぬのではないか、さように考えておるわけでございます。
○渡辺武君 私は、いま申しましたように、スタグフレーションなどという新しい現象が出てくるように、日本経済——これは日本経済だけじゃないと思いますが、世界の資本主義経済の体質が変わってきている。で、いまおっしゃいましたように、今後はいままでのような高度成長は困難だろうということもおしなべて言われているわけですね。私はやはり、こうした不況と同時にインフレが高進するというような事態が生まれてまた、つまり体質がそういうような状態になってきた原因の一つとして従来の通貨金融政策も考えてみなければならぬじゃないか。したがいまして、これから先の通貨金融政策といいますか、むしろ制度ですね、この点についてかなり突っ込んだ御検討をしていただくことが必要じゃないかというふうに思いますけれども、その辺はどんなふうにお考えでしょう。
○参考人(森永貞一郎君) 日本銀行の信用増加、その手段として貸し出しの増加あるいはオペレーションあるいは手形の買い入れ等々がございまして、金融市場の調節に当たっておるわけでございますが、これは金融市場におけるそのときどきの資金過剰あるいは資金不足の状態を調節することは、国民経済全体をスムーズに動かしますために私どもに課せられた任務でございまして、その辺の運用につきましては、先ほど申し上げましたような趣旨からも、今後一層慎重を期しなければならないのではないか。ただし、私どものところに起こってまいりまする資金の不足あるいは過剰、これは実体経済のむしろ結果の反映でございまして、その結果のところで起こってくる資金供給をそこの局部だけでコントロールしょうといたしましても、それはとうてい無理なことなのでございまして、要はやはり実体経済の運営をどういうふうに持っていくか、その方が根本であるというふうに考えます。その意味で、 〔主査退席、矢野登君着席〕 先ほども申し上げましたように、抑制的な経済運営、その一環としての抑制的な金融政策、つまり金融機関の貸し出し態度等につきましても、いままでと余り変わらない抑制的な姿勢を今後も当面維持していただくというような感じで臨んでおるわけでございます。 その辺のところを何か端的に指標として、基準として用いるようなものがあるかどうかという問題でございますが、その一つの指標はマネーサプライの動向ではないかと考えております。もっとも、このマネーサプライの動向そのものも、果たしていますぐに具体的な金融政策運用の基準として使えるかどうか、いろいろ疑問がございますが、過去におけるがごときマネーサプライのみが特段に高くなるというようなことによって、かりそめにもこの物価騰貴を招くようなことがないようにという点の配慮は、いままでよりも一層重視しなければならない点ではないかというふうに考えております。
○渡辺武君 私、非常に不思議に思っていることが一つありますのは、昨年は、おととしの十一月をピークとして鉱工業生産指数はずっと落ちまして、すでに低落率二〇%を超えたというような状況ですね。実質GNPも戦後初めて年間で縮小するというような状況になりました。そうしますと、実体経済がそういう状態であるならば、当然資金需要などについては縮小していくんじゃないか、日本銀行も抑制政策をずっと続けてこられたわけでありますから、通貨、信用の供給というのはかえって縮小するというふうに普通には考えられるわけですけれども、日本銀行の統計を拝見しておりますと、この不況下に日本銀行の与信活動はかえって強化しているというふうに見られるわけです。たとえば公債の買いオペレーションですね、これは日本銀行の国債の保有高が四十八年は二兆二千五百億円、ところが四十九年はそれの二倍以上五兆二千五百億円というふうに急増しているわけですね、 〔主査代理矢野登君退席、主査着席〕 まさにかなり大規模な国債の買いオペレーションが行われたということを示していると思うんです。そのほか買い入れ手形の数字などを見てみますと、四十八年は四兆三百二十五億円、四十九年は四兆一千八百三十億円、あの好景気だった四十八年を若干超えるくらいの手形の買い入れをやられたというような状況なんです。一体こうした、もう本当に戦後最大の不況と言われている事態に、どうして日本銀行の与信活動がこれほど旺盛に行われたのか、どういう理由なのか、それをお聞きしたいと思うんです。
○参考人(森永貞一郎君) お話のように、GNPは実質的には減少いたしておるわけでございますが、経済活動はすべて名目価値が基準になって行われるわけでございまして、実質ではなるほど減少でございますが、名目では四十九年度でも恐らく一七%の増加ということではございませんでしょうか。そういたしますと、この個々の経済取引に使われる通貨の量は、やはり名目で所要額が決まってくるわけでございます。私どもの直接の仕事は銀行券ということにあらわれておるわけでございますが、個人所得も、実質では、まあ最近こそ少しプラスに転じておりますが、マイナスの時代も多かったわけでございますけれども、名目では二割近く増加しておる。消費の方も最近停滞ぎみでございますが、やはり名目では増加しておる。それはすなわち物価が上がったということなんでございますが、その物価騰貴を阻止し得なかったということについてはいろいろの問題があるわけでございますが、とにかく、結果的には名目的に大変増加しておる。したがいまして、個人のふところの中におさまっておる日銀券の量もやはりふえてくるということになるわけでございまして、現金の所要額が増大を来しておる。それからまた財政の関係で、時として揚げ超あるいは払い超、さまざまな動きをするわけでございますが、大幅に揚げましたようなときにはそれだけ国庫に引き揚げられるというようなことで、現金の増発と国庫の財政関係の両方が、金融市場全体としての資金不足のファクターとして起こっておるわけでございます。 その不足は、どちらかといえばいま申し上げましたように結果として起こっている現象なのでございまして、それは何とか最終的に日本銀行が補てんをしなければならない。もしその補てんを怠りますと、各金融機関におきましては、預金の引き出しにも応じかねる、あるいは国庫への租税の輸納にも困難を来すというようなことになるわけでございまして、国民経済全体の円滑な運営ができなくなる。そういう観点から、最終的に起こってまいりますところの資金不足に対しましては、私ども貸し出しの増加あるいはオペレーションあるいは手形の買い入れ等の手段を講じまして応じざるを得ない、その応じた結果が、先ほどお示しがございましたような数字になっておると、さように御承知いただきたいのでございます。
○渡辺武君 もう時間が余りありませんので細かい数字は申しませんけれども、私、あなたの方からつくっていただきましたいわゆるマーシャルのkというやつですね、名目GNPの中に占める現金及び当座性の預金の占める割合、あるいはそれに定期性預金も加えた数字もありますが、いずれにしましても、戦後最大の不況と言われた昭和四十九年の数字が、いわゆる過剰流動性を抱えて物価狂乱、そしてまた経済の急速な上昇というような現象のあった昭和四十八年とそう変わりはないんですね。実体経済は非常に大きく変動した。しかし、日本銀行の通貨、信用の供給、恐らくこれが一つの大きな軸になったかと思いますが、通貨、信用の供給量ですね、これは非常に大きなものであったという事実がここに示されていると思う。これを実質GNPと比べてみますと、これはまさに異常な状態になっているんです。それで、経済学者のマーシャルも言っていますが、このマーシャルのkが異常な状態になるというのは、これはそのときの通貨金融政策に何か間違いがあったんじゃないかという判断の材料になるんだというような趣旨のことを言っておりますけれども、私は、こうした日本銀行の通貨金融政策が、なるほど物価上昇のはね返りでもあることは事実だが、同時に、まさにそこのところを全く反射的に通貨供給量をどんどんふやしてきたというところに、不況下でも物価が下がらない、恐らくこの信用や通貨の供給は、生産制限、莫大な過剰在庫、これを抱えるための資金手当てに相当使われたと思うんですね。そういうことがなければ物価も下がっていくだろうと思う。ところが、そういうことでなくして、やはり在庫手当てにそれらが使われるということになれば、物価が下落すべくして下落しないという状態が起こると思う。 私は、ですから卸売物価、消費者物価ともに鎮静化の方向に向かっていると言うけれども、潜在的にはインフレーションの進んだ姿じゃないか。そういう事態があるから、少し景気が回復してくると直ちに物価がまた反騰してくるという動きとなってあらわれてくるんじゃないか、実体経済にただ単に従属的に応じているというだけじゃないと思うんですね。やはり中央銀行の通貨金融政策というものは、それなりに実体経済に大きな影響を与えると私は思います。その点はどうお考えになりますか。また同時に、その点に立って今後はどういうふうに政策を運営していかれるのか、その点伺いたいと思います。
○参考人(森永貞一郎君) マーシャルのkでございますが、M2で見ました場合には四十七、八年はほぼ八〇台でございましたのが、四十九年はそれが七五、六のところにおさまっておるということは、数字の上で御了承いただいておるかと存じます。それと表裏の関係にございましょうか、このM2自身の対前年同期比率も、昨今のところは一一とか一二ぐらいのところにおさまっておるわけでございます。ただ、マーシャルのkにつきましては、通貨の適正度をはかるという物差したる指標であるほかに、個人の金融資産がだんだん増加してくるというような経済の実態も若干そこに反映されておるのではないか、その辺のところはやはり考慮に入れてこのマーシャルのkをながめなければならないというふうに考えます。 そこで、本論と申しますか、過剰流動性があって、それが物価騰貴の原因になる場合も私は皆無ではないと思います。それともう一つは、この物価騰貴の結果がこの流動性にはね返ってくる、両方の場合があると思うわけでございますが、それを、どの場合はどれであって、この場合はこれであるということの分析は、なかなか原因、結果がよくわかりませんので的確にはつかまえられないのでございますが、昨年度の石油ショック以後における現象としては、むしろ物価騰貴の結果が経済の実勢に反映され、そこを金融引き締めその他によって適正な限度にとどめようということで、需給は続くし、物価の鎮静にも役立ってきたと、こういうことだと考えるわけでございます。昔M2が大変高かった、そういうようなときに物価との関係でどういう現象が起こっておるのか、いろいろ分析しなければならないわけでございますが、確かにそれが高過ぎて物価騰貴に無関係ではなかったということもあろうかと存じます。私どもも四十六、七年ごろの外資の流入を契機とする過剰流動性の蓄積につきましては、今日大変反省をいたしておるわけでございまして、将来の問題としてはやはり適正な通貨供給、マネーサプライを適正に維持するということが、どうしても私どもの考え方の中に重きをなしてこなければならぬのじゃないか、そういう観点から、先ほど来申し上げておりますように、金融緩和をいますぐに行う事態ではないというふうに考えておるわけでございまして、将来にわたってもう少しその辺の検討が必要でございますが、われわれといたしましては常時通貨供給量の趨勢いかんということに着目をしていくつもりで、目下鋭意検討いたしておるところでございますので、御了承いただきたいと思います。
○渡辺武君 念のためにお断りしておきますが、私は公定歩合を下げるなとか、あるいは金融緩和をするなとかいうことを申し上げているんじゃないんです。やっぱり従来の経験を踏まえながら、今後のやはり金融制度、政策の基本をどうなさるおつもりかという点を伺っているわけですが、その点に関連して伺いたいんですけれども、いま申しましたような、いわばインフレ的体質ですよね、いまの経済は。そういう時期には、やはり金利の金融調整機能というのはかなり弱まってきているというふうに見なきゃならぬと思います。とにかく製品の値上げをすれば金利ぐらいは払えるというような状態になりますからね。ですから、日本銀行が公定歩合の引き上げと同時にやはり窓口規制というのを強化し、それを続けてきたというのもそれのあらわれではないか、いわば直接的な調整ですね、私はその点について、窓口規制をどういうふうに今後なさるか。 同時に、もう一つの直接統制の手段として準備預金準備率の問題があろうかと思うのです。調べていただきましたら、昨年の十二月末現在で、日本のこの準備預金準備率の実効準備率ですね、これはわずかに一・八%、ところがアメリカは七・五%、西ドイツは一二・四%という数字になっております。西ドイツが案外物価の上昇が緩やかであったということの一つもこういうところにあらわれているんじゃないかという気かするわけですね。したがって、そういう見地に立って、今後インフレを防いでいくというためにも、この準備預金準備率の引き上げなどはどう考えておられるか、その点を伺いたいと思います。
○参考人(森永貞一郎君) 公定歩合は、先ほど来申し上げております、この金融市場の調整の手段の一つでございまして、金融市場における調整の緩厳をあんばいする一つの道具立てだと思っております。そのほかにもオペレーションのやり方であるとか、いろんな問題がございますが、要するに金融市場の調整におきましては、公定歩合の持つ意義は軽視してはならないというふうに考えておるわけでございます。企業金融全体ということになりますと、これは金融市場の調整とは間接的な関係になるわけでございますが、しかし、金融市場の調節が甘くなりますと金融機関の貸し出し態度も甘くなるというような関係はあるわけでございまして、その意味からも、金融調整の今後のやり方は、どちらかと申しますと、やはりきつ目きつ目に運用していく必要がある。それに加うるに、直接企業金融に関係のある問題として、金融機関の貸し出し等につきましても、いま実行しておりまする窓口指導をそのときどきの情勢に応じて緩厳よろしきを期しなければなりませんが、基調としてはいま程度に維持するのが当面必要なことではないかと思っておる次第でございます。 準備率につきましては、実効準備率が日本の場合は比較的低いということは御指摘のとおりでございます。これは、この準備率の導入が日本としては比較的最近であったということもございましょうし、また金融機関のこのポジション意識が、特に都銀等におきましてはまだ低いというようなこともございまして、十分効果もいままでは上げていなかったということだと思います。今後、この準備率をどういうふうに運用していくか、私どもといたしましては、諸外国に比べて少し低いという現状も十分考慮に入れました上で今後の方策を決めて、できるだけこの準備率の操作も活用していく方向で対処してまいりたいというふうに考えております。
○主査(源田実君) 日銀総裁、どうもありがとうございました。 以上をもちまして大蔵省所管に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○主査(源田実君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。 先刻、竹田四郎君、三木忠雄君及び田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として寺田熊雄君、内田善利君及び栗林卓司君が選任されました。 —————————————
○主査(源田実君) 昭和五十年度総予算中、通商産業省所管を議題といたします。 政府からの説明は、これを省略し、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(源田実君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○秦豊君 きょうはYXの問題と、それから不幸な事件であったわけですが、四日前に引き起こされましたサウジアラビア情勢のいわば急変という事情を踏まえたいわゆる石油需給の見通しその他について質問をしぼりたいと思います。二つです。 通産大臣はトランスポートの御専門でいらっしゃるけれども、これは領域は空です。きょうの質問の大きな前提としまして伺っておきたいのは、通産省としまして日本の航空機産業全体について一体どんな展望をお持ちなんだろうか。このことを、角度を変えた表現を許していただくと、航空機産業の位置づけはどうなのかと、こういうポイントになりますが、これをまず概括的に伺っておきたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 航空機産業というものは機械工業の範疇の中におきましても付加価値のきわめて高いものでございます。したがいまして、通産省の航空機産業に対する基本方針は、この航空機産業というものを育成強化したいというのが基本方針でございます。
○秦豊君 育成強化はMITIとしては当然の路線だと思うんですけれども、その場合に、昔で言えば軍需と民需という区分分けがあって、いま軍需という用語は消滅をしておりますし、したがって、その場には防衛用と民需とのバランスと言うべきなのか、あるいは比率と言うべきなのかちょっと迷いますけれども、これはどういうふうに予測されておりますか。
○国務大臣(河本敏夫君) これは具体的な数字を挙げまして正確な予測をしておるわけではございませんが、軍事用の航空機、民間用の航空機ともにあらゆるチャンスをつかまえて育成をしていきたいと、こういう考え方でございます。
○秦豊君 これは私の記憶に誤りがなければ、かつて防衛用、民需用の比率については、通産省として民間に諮問をされる、あるいはリポートを求められるというふうなことがあり得て、それについてはラフに言って民需用と防衛用はフィフティー・フィフティーが望ましいというふうな答申は、かつて通産省に対してもたらされましたか。
○政府委員(森口八郎君) 現在の情勢を見ますと、むしろ日本の航空機産業は軍需の方に、というよりも防衛需要の方に偏りがちであります。私どもは、航空機産業をやはりできれば民需中心に位置づけをいたしたいというような基本的な考え方を持っておりますが、御指摘の五〇、五〇ということは、数字としては私が知っております限り答申としては出されておらないわけでございます。
○秦豊君 それでは、YXの問題に具体的に入りたいと思うんですが、このYXを策定し考えるに当たりまして、アメリカのボーイング社を特にわが国の国際協力の対象として選定をした、選び取ったという根拠と理由をあらかじめ明らかにしておいていただきたいと思うんです。
○政府委員(森口八郎君) 実は私どもの方では、昭和三十三年からYSの飛行機の生産に着手いたしたわけでありますが、YSの生産が軌道に乗り出しました四十年初頭におきまして、YSの次の飛行機は何かということでいろいろ議論をいたしたわけであります。いろいろ議論がありまして、やはりYSに匹敵するような滑走距離の短い、乗客数で申しましても百人を若干上回る程度の飛行機を開発すべきだというような話もあったわけですが、いろいろ航空業界の需要とかそういうものを各委員で議論をしていただきますと、やはりもう少し大型の飛行機がいいであろうというような結論になりまして、現在YXの構想でありますよりは若干小さい飛行機、大体乗客数で申しますと百七、八十人、それから航続距離で申しますと千二百ノーチカルマイル程度の飛行機を開発したらいかがかというような話になったわけであります。そういうことで考えてみますと、こういうような飛行機は若干YSよりも大きくなっておりますし、日本だけで開発するということになりましても、果たして日本の技術者の能力で追いつけるかどうかという問題があります反面、仮にそういう種類の飛行機をつくりました場合に、市場が日本だけでは十分確保できないであろうというようなところから、やはりこれは国際的な開発ということに持っていかざるを得ないであろうという結論に昭和四十六年ごろ到達いたしたわけであります。そのときに各国から、アメリカからボーイングを初めとして三社、それからイギリスのBACとかあるいはホーカーシドレー、そういう会社からいろいろお話があったわけでございますが、先生御指摘のように、最終的にはボーイング社と組むということといたしたわけであります。 その理由は、第一は、ボーイング社は世界の民間輸送機の約五〇%をつくっておる会社であります。この地位は断然ほかを引き離しておるわけでありまして、たとえば二位のダグラス社は二九%というような数字でございますので、やはり技術的な不安のない会社という点と、それから先ほど申し上げました市場という点を考え合わしてボーイング社に決定したわけであります。なお、アメリカの会社にはそのほかにロッキード、ダグラス等の候補があったわけでございますが、あるいは社内の事情がこれを許さないという問題、あるいはすでにYXに似たような機体が現有機の中にあるというような点、そういうような点で最終的にはボーイングと結ぶのがしかるべしというような航空機工業審議会の結論でございました。そういうような理由でボーイングと結んだわけであります。
○秦豊君 そうしますと、YXというのは、通産省の試算ないし想定によると、いつごろのどんな国内需要を満たすものですか。
○政府委員(森口八郎君) いま御説明申し上げましたとおり、当初の予定では千二百ノーチカルマイルということであったわけでありますが、現在考えておりますのは、その後考え方に紆余曲折がありまして、航続距離としては二千ノーチカルマイル以上を考えておるわけであります。また乗客数につきましても、現在の考え方では二百ないし二百四十席というようなことを考えておるわけであります。このクラスの飛行機は、主として日本の国内需要で言いますと大都市間の大量輸送に用いられる飛行機が第一であります。それから第二は、日本を基点といたしまして中国あるいは東南アジア等に大体需要があるのではないかというように考えておりますが、その程度の需要では大体百機出るか出ないかというような数字であろうかと思います。したがいまして、相当数の需要をやはりアメリカないしはその他の地域に依存をしなければいけないというのが私どもの考え方であります。
○秦豊君 民間輸送機開発協会でしたね、正式な名前は。この開発協会とボーイグ社との間の話し合いによって日本・アメリカ・イタリヤの枠組みで分担率が決まっていますね。これはボーイング五一、日本二九、イタリア二〇という理解でよろしいですか。
○政府委員(森口八郎君) 現在の段階ではボーイング社とイタリア——アエリタリア社との関係では、イタリア側の分担率が二〇%ということはほぼ決まっておるというように聞いております。ただ、日本の持ち分につきましては最終的に三〇%前後ということでありまして、二九になるのか三〇になるのか、これは若干まだ今後の交渉の詰めに残されておるというのが現状であります。
○秦豊君 森口局長のその言葉のニュアンスからすると、国際協力事業ではあるけれども、開発事業であるけれども、細部の詰めが残されている。つまり、覚書はデテールはでき上がっていないと理解していいんですか。
○政府委員(森口八郎君) 両者で共同開発をして飛行機をつくろうという意思決定はございますが、仰せのとおりデテールについては現在まだ交渉中であります。
○秦豊君 それでは四十九年度のこのYX関係の予算の繰り越し、まあ使い残しと言ってもいいんだけれども、それはお幾らですか。
○政府委員(森口八郎君) 四十九年度予算は約二十一億計上いたしておりますが、このうち約十二億程度が五十年度に繰り越されるという見込みであります。
○秦豊君 この十二億の繰り越し、使い残しというのはなぜそうなったんですか。
○政府委員(森口八郎君) 四十九年度予算を当初組みましたときには、四十九年度の秋から、私どもの言葉でゴーアヘッドというように言っておりますが、そういう段階に入りまして、ボーイング社と日本の共同事業が始まるという前提でありましたので、そういう共同事業が始まりますと、たとえばボーイング社に設計者を派遣して共同設計を行ったり、いろいろ各種の試験を行うという費用を組み込んでおったわけでございますが、現在、先ほど来申し上げておりますように、交渉のデテールが詰まっておりませんので、この共同事業に入る段階が延びております。したがって、これが五十年度に持ち越されるということで十二億余の繰り越しが生じたわけであります。
○秦豊君 そうしますとね、また十二億強の繰り越しがあって、そうしてゴーアヘッドしなくて、今年度の計上が二十数億ですね。これは一体合算すると三十数億になるんだけれども、具体的に何にどのように、どういう段階で、どんな順序でお使いになるおつもりですか。
○政府委員(森口八郎君) ちょっと、先ほど申し上げました発言に一部間違いがありましたので訂正さしていただきたいと思います。 ゴーアヘッドは四十九年の秋というように申し上げておりましたが、これは当初五十年の秋ということでございましたので、この点を訂正さしていただきたいと思います。 現在ボーイング社と交渉の詰めを行っておるわけでございますが、当然交渉のデテールが詰まって両者で共同開発をしようということになりますと、先ほど申し上げておりますように、当然ボーイング社に数十人、最低数十人の技術者を送りまして共同設計等の段階にある程度入らざるを得ないということであります。したがいまして、そういう人件費に要する額が当然ございますし、それからたとえばエンジンなどの発注の内金、これはエンジンはボーイング社は自分ではつくりませんので外注いたしますので、外注のやはり内金とか、それからいろいろな試験研究を技術者の派遣と同時に向こうの方で行わなけりゃいけません。その分担金が生ずるわけであります。そういうようなところに大体さっき申されました費用の相当部分が使われるということになろうかと思います。
○秦豊君 そうするとまあボーイング社、それから日本、イタリア、この三つのトライアングルでできていますね、この事業は。このボーイング社が下請をお使おうが何しようが、もう具体的にアメリカが担務する範囲、まあエリアと言うか任務分担、それから日本、イタリア。日本は何と何を分担しているのですか。
○政府委員(森口八郎君) 当然ボーイング社と細部の詰めを行って、共同事業を行うということでありますれば、何が分担ということではございませんので、設計の段階においては共同設計、あるいは試験研究は両者が力に応じて技術者を出して共同で行うということであります。ただ製作の段階になりますと、当然ボーイング社でどれだけの部分の生産を分担し、日本でどれだけの部分の生産を分担しというような分担関係は生じますが、試験研究ないしは開発段階においてはあくまでも両者が共同で行うということであります。
○秦豊君 まあMITIはアメリカにも駐在者がいますしこちらにももちろん専門家がいらっしゃるわけだが、このYXに関する情報というのは、これは私の印象ですが、やはりこの民間輸送機開発協会の方から流れてくる情報にどうも重心が偏っている。だから甘くなるという印象を持っているのだが、森口局長はどうなんですか。
○政府委員(森口八郎君) おっしゃいますとおり、これは交渉を行っておりますのは民間輸送機開発協会とボーイング社であります。したがいまして、交渉の内容等につきましては、私どもは民間輸送機開発協会を通じて聞くということでありますので、当然御指摘のような面はあろうかと思います。ただ私どももおっしゃるような面がございますし、それから輸送機開発協会の能力には限度がございますので、当然ジェトロ等の出先機関に依頼をいたしまして、いろいろアメリカの事情、イタリアの事情、ヨーロッパの航空業界の事情等を調査をさして、その両方を比較判断をして総合判断をしておるというのが現状でございます。
○秦豊君 その点はなかなか率直な御答弁だと思うのですけれどもね。ただ私がいろいろ調べていく中で、どうしても森口さんが言われたようなルートに偏在するものだから、偏るものだから、たとえば民間側としては補助金もついている、いろいろついている、早くつくりたい、期待可能性の方が現実性を凌駕しているんですよ。まるで何かの約束みたいに、いまにもゴーアヘッドしますということが再三ならずあったんですよ。そのたびに裏切られている。実現しない。予算は現実に使い残しじゃないかというのが実績に残っていますよね。だからぼくは、単にこれ野党議員という立場じゃなくて、やはり疑い深くなるのですよ。 それと、去年のこれはいつだったか、秋だと思いましたがね、通産省の方でこれは堺さんの方の直接の御担当じゃないかと思いますが、専門家を委嘱してアメリカ現地のリサーチに派遣された事実はございますか。
○政府委員(森口八郎君) 通産省としてはそういうような事実はございません。ただ、御指摘の点は、民間輸送機開発協会の方で専門家を派遣して調べたという事実はあるようでございます。
○秦豊君 そのときのリポートは、簡潔にお答えいただくとどういうことであったんですか。リポートが出てますね。
○政府委員(森口八郎君) この報告書は、特にアメリカの国内航空会社がYXについてどういう意見であるかというようなことを調査したものであるというように聞いております。特にボーイング727型の−300と申します改造型が市場に出回るというような当時ニュースがありましたので、この727−300につきまして、民間航空会社がどういう購買態度を示すであろうかということを重点にして調査をしてもらったものであります。その時点の話では、アメリカ国内の航空会社は727−300というものに、購入をするないしは非常に強い関心を持っておるというような意見が強いというように承知いたしております。
○秦豊君 局長のおっしゃった最後のところは私の観測と一致するんです。私は、失礼かもしれませんけれども、通産が考えているようにゴーアヘッドしないと思うんです、7×7——いわゆるYXは。根拠を申し上げたいと思うんですが、非常に質問時間が制約されているんで、一方的なこの部分は私のコメントになりますが、後で質問します。 やはり私の知る限りでは、ボーイング社というのは非常にこのメーンのエアラインの動向に敏感である。これはあたりまえです。だから明らかにボーイングの首脳は7×7からおっしゃった727−300の方に開発の力点をもう移しています。現実にそれはそうです。それは技術的でもあるし、経営採算上の都合なんだが、ビジネスなんですから、この方向というのはぼくはもはや動かないという印象をますます強めているわけです。それでボーイングは、おっしゃった−300については初めのころは三つの案を持ってましたよね。ボデーの長さが違うので型式が違ってくるという。たとえば727のボデーを四・五七メートル引き伸ばして緊急時のパワーアップをしたものについては300のAという呼称がついているし、次にはボデーを五・五九引き伸ばしたものはエンジン性能を変えて300のBですね。第三はまだ現実にいま開発中のエンジン、新しいエンジンをつけてボデーが六・六伸びていくと、これは確か300のHBR型と呼称されていると思うんですね。ところがこれをずっと試作をしていく段階、設計から試作していく段階でエアラインが非常に興味を持った。特にアメリカの主力航空会社と言われているユナイテッド、イースタン、コンチネンタル、それからアメリカン、この各社が非常に興味を持ったのは私が申し上げた三つの形の中では、機種の中では確か300−Bだと思うんです。いろんな会社の中でもアメリカンとユナイテッドは気が早いのかどうか知らないけれども、よほど気に入ったんでしょうね、購入のための予備交渉さえ現実にやってます。ノートが残ってます。ですから、ボーイングを支えているのは国際線ではPAAでしょう。国内線では私が申し上げたようなアメリカン、ユナイテッド、イースタン、これがドメスティックの主力ですよね。そうしますと、日本とのお話よりは足元のアメリカの方の各エアラインの反応というのか判断、動向の方がボーイング社の基本方針を左右するであろうということはこれはもはや常識中の常識だとぼくは言いたいんですよ。そうなりますと、試作段階ではいまのエアラインのいろいろな注文出ますね。注文出るから吸い上げ設計変更する。無数にそれを積み重ねて、おそらくこの727−300−A、Bのコンバイン型、折衷機種が実用性をみるんじゃなかろうか、この辺は流動的ではありましょう。しかし、明らかにボーイング社としては7×7、つまりYXについてのおつき合いはもういたしかねるというのがむしろ実態じゃないんですか、森口さん。
○政府委員(森口八郎君) 727−300系統につきましては、昨年の秋に調査をしましたときにはアメリカの国内航空会社が相当興味を持っておったことは事実でありますが、最近また航空事情が変わっておりますので、アメリカのエアラインにもデリケートな意識の変化があるやに私どもは聞いております。 それからもう一つ、ボーイングが727−300計画について最終的にどうするかということはなかなか判断のむずかしい問題でありますけれども、ただいま現在の段階におきまして、ボーイング社はまだ727−300について最終的な意思決定は行っておらないというように聞いております。
○秦豊君 その辺がやっぱり違うんですね。あなた方は去年の秋の調査でしょう。データがお古いわけですよ。私たちは向こうにいる友人たちの協力で、つい先月のデータですからね。この辺の遅速があると思います。新鮮さがね。正確さもおのずから違ってくると思うんですよ。 それで現実にはアメリカのこの申し上げたエアライン各社は、7×7の契約を本当はいわゆる三月末までに予定をしていたんだけれども、現実に一社も終わってないんじゃないですか。しかもボーイング社はつい最近の役員会で七五年の三月中に各エアラインとの予備契約がもしできましたら、七七年の七月までには一切の実用テストを終わる。そして七八年の二月には型式証明をもらって量産機の引き渡し体制が取れるとまでちゃんとオペレーションやって、ORをやって、それこそ全部それを裏づけた上で役員会でそういう方向を出しているんですよ。これをひっくり返して、YXに返ってくるというのは、これは至難のわざであって、これはボーイング社の株を日本が何十%も持っているんならぼくは話わかると思うんですよ。この話は非現実じゃありませんか、MITIの方向は。違いますか。
○政府委員(森口八郎君) 727−300についての情報網の相違ということで、先生のおっしゃっているところと私どもの得ております情報と違うようでございますけれども、仮に727−300ということでボーイング社が改造に踏み切りましても当然7×7、要するにYXについてはやはりボーイング社は何らかの程度において——程度においてと申しますのは、要するにいつ売り出すかというような点について若干の遅れは当然あるだろうというように思いますけれども、私どもはこの7×7、YXの計画を放棄するということは、現在の航空事情並びにボーイング社が現在出しております727等の代替からしてあり得ない。期日の遅れはこれは当然−300が出ればこの方に若干需要が吸われますのであり得ますけれども、だからと言ってYXの計画を放棄するというようなことはあり得ないのではないかというように考えております。まあそういうような考え方もありましたので、実は昨年の秋に−300の状況調査をCTDCを通じましてアメリカで行ったわけであります。
○秦豊君 その辺からだんだんやはり意見が違ってくるんですよ。しかし、これは一国の予算に関係しますからね、二十数億であろうと三十億未満であろうと。だから、こだわるんですけれども、やはりボーイングというのは非常に堅実な社風ですからね。いままで各エアラインからある程度の売買予約というか、購入予約が実際に始動されないとなかなか量産に入らない。特に慎重な航空会社ですよね。しかもアメリカの航空会社が実は七五年の一月になって少し景気が上向くかと思ったら落ち込みがどうも回復しない。そこで安いボデーがいい。それからもう一つはやはり日本と同じく市民運動がこうなってますからね。このFAAの締めつけも厳しいし、騒音基準がますますシビアになっている。そうすると、騒音基準についてもFAAの意向にかなう、しかもエコノミーであるから会社の採算上もよい、航空会社も購入しやすい。何もかも与件を満たしているのは、あいまいな形で宙ぶらりんになっている7×7じゃないんですよ。727−300−Bなんですよ。これはもうアメリカの動向なんで、幾ら森口さんがいろいろデータめいたものを並べられても私はそういう印象を持てないんです。したがって、私はYXは浮上しないと。浮上しないものに予算をつけるというふうなことは、いやしくも厳正な一国の予算執行の面では多くの問題を含んでいるということを私は言わなきゃならぬと思う。どうでしょう。
○政府委員(森口八郎君) YXの前途についていろいろ問題点があることは、御指摘の点もあろうかと思います。ただYXの計画は、御指摘になりましたようにこれは三国間の共同開発ということでやっておるわけでありまして、日本だけではなしに、これはイタリアにも関係があるわけであります。したがいまして、ボーイング社の商業会社としてのいろいろな採算上の理由はあろうかと思いますけれども、私は先ほど申し上げたような理由、それからやはりこれが国際共同開発であるというような理由から、若干の時期のおくれはありましても、YX計画はやはりボーイング社としてはやるというように確信をいたしておるわけであります。ただ、現在の状況ではボーイング社と日本の側のいろいろな細目の条件がまだ詰まっておりません。これをやはり一日も早く詰めまして、この国際共同開発を成功さしたいというのは私どもの考え方であります。 それから、先ほどお話がございました−300につきましては、確かに一時は実現の可能性が強かったわけですが、私どもが聞いておりますのは、むしろ−300は当分延期されるんじゃないかというように聞いております。これはやはり−300で売ります価格の問題等と、それから先ほど申し上げましたエアラインにおきます全体の航空輸送需要の考え方、そういうようなことが原因になりまして、そう簡単には決着がつかないだろうというように見ております。ただ、何遍も申し上げますとおり、−300の成否いかんにかかわらず、私どもとしては当然数年後にはYXはボーイング社を買わざるを得ないというような確信を持っております。
○秦豊君 そうしますと、あなたと私の間で一致したのは、YX——私はまあYXはあり得ないと思っている、この二、三年をタームに考えれば。で、あなたもいまいみじくも言われたように、おくれるということだけは認識は共通している。しかしいかにもあいまいな、離陸が危ぶまれているような機種の準備のために使い残しと今年度を含めて三十数億というのは、これは通産省の膨大な予算規模からすれば小さい小さいとおっしゃりたいかもしれないけれども、われわれの目から見ると、あいまいで根拠薄弱で、なかなかどうしてすんなり認められない。じゃ、具体的にどういうふうにこの三十数億をお使いになるんですか。たしかこの観測と調査に誤りなければ、その理由をつけるために、たとえば国内の各部品工業、メーカーその他に対してどういうふうな機器やあるいは部品を研究開発できるかなんというリサーチもなすったことがあるんじゃありませんか。また、あなた方だけでは心もとないから、自民党の関係議員の協力もお求めになったんじゃないですか。つまり、それほどあいまいな基礎の上に立っているからあなた方は強く押せないんじゃないですか。その点どうなんです。
○政府委員(森口八郎君) 先ほど来申し上げましたように、本件はボーイング社と最終的な詰めをしておる最中であります。最終的な詰めができませんと、おっしゃるようになかなかこの金額は使い切れない金額になるわけであります。しかし、私どもはできるだけ早く最終的な詰めをして研究開発段階に入りたいというように思っておるわけであります。 それから第二の部品工業につきましては、御指摘のようにいろいろなリサーチをしたことは事実でありますけれども、現在YX予算として計上しておる金をそこに一遍に使おうというような計画は——調査研究費として使うというだけでありまして、大きな金額を使うというような計画はございません。
○秦豊君 やっぱり基本的に私の方針の方が正しいですよ。つまり、その程度のことであれば四十九年度予算の使い残しで十分じゃありませんか。やがてこの委員会ではっきりしますけれども、今度も恐らく使い残しが、森口局長、出ますよ。というのは、具体的な作業のアイテムも決まっていないじゃないですか。決まっていないものに予算を割り振って、それを名目的にメモを集めて予算を積算してみて合法性をつけようたって、やはりそういうことは許されないんじゃないですか、一国の予算を策定し執行するという面で。やっぱりYXプランの妙味というのは、ボーイング社が、あなたも冒頭で認められたように、非常に持っているあの技術水準の高さ、経験の豊富さ、これをフルに使えるから妙味があるので、いまごろ野党や何かに突っつかれるとうるさいから、予算を積算して国内のメーカーを調べたと言われました。いま認められましたよね。それでつじつまを合わせるために何か研究開発、いまごろどんな研究開発するんですか。具体的にめどがありますか、対象が。ないでしょう。
○政府委員(森口八郎君) 先ほどから部品の研究開発の話を盛んにおっしゃっておりますが、これはちょっと特殊な事情があります。私どもは、先生御指摘のように、ボーイング社と共同開発をする場合には、当然ボーイング社の技術蓄積を利用をしようという考え方からやっておるわけでありますが、部品等につきましては、これはボーイング社とはいわば関係がないわけであります。これはボーイング社が外部から当然購入するわけであります。その場合に、日本の部品工業は長い間研究がおくれておりますので、そういうようなおくれを取り戻すためにそこの部分の研究をいたしておるわけでありまして、ボーイング社自体の研究開発とはいわば若干違う次元の話し合いではないかというように考えております。
○秦豊君 それが違っているんですよ。つまりもうパーツを日本がいまから研究開発して、それを総合的に組んでYXに貢献し寄与する、そんな余地はもうないですよ。これはボーイング社の下請のパーツを使えばいいんですよ。それは冒頭大臣がおっしゃった航空機産業の育成、これは路線としては正しいですよ。しかし、YXというのは具体的なテーマですからね。それに間に合わせるために、つじつまを合わせるためにやっているとしか私には思えないです。重ねてその点御答弁願いたい。
○政府委員(森口八郎君) 部品につきましては、油圧とか、あるいは油圧装置とかあるいは脚の部分、空調装置等について主として研究をいたしておるわけであります。まあ、できますYXの部品についてボーイング社の下請を使うか、日本の部品メーカーを使うか、これはそのときにいずれがよりよい品質の部品をより安く供給できるかということにかかっておりますので、そういうような意味に備えまして、単に機体をつくるだけではやはり航空機工業を振興するというような点から若干問題がありますので、弱い部品メーカーをそのときに備えて育成をするというような意味で部品の開発を行わせておるというのが現状であります。
○秦豊君 残念ながら、ちょっぴりした時間しか与えられていませんので、この点これからやるべきでしょうけれども、油の問題はどうしてもせっかく関係者の方がいらっしゃいますし、これは森口局長、私の意見では、飛行機の部分では最後の質問にしますけれども、四十九年度の使い残りで十分、今度もまた必ず使い残します。あらゆる予算がそうじゃないかというパターンじゃなくて、これは特に積算の基礎があいまいだということを、私はこれはもう質問したって返ってくるお答えはわかっていますから、お答えは要求しませんが、意見として、航空機工業の育成結構、その点は賛成。だけども、YXプランについてのMITIの取り組み方はいかにもつじつま合わせの方が目立って、実態的ではない、予算は四十九年度の使い残しで十分、新規計上の必要を認めない、むしろ予算はその部分について組みかえなさいというのが私の意見です。だから森口さんに、また大臣にはそのことを最後に申し上げておきますが、締めくくりがもしおありならばここで述べていただいて、石油の問題に移行したいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) いま問題点をいろいろ御指摘になりましたが、私どもは大局的な見地に立ちましてこの話をぜひまとめたいと、そういうことで懸命にいま努力をしておるわけでございますので、もうしばらくの間推移を見ていただきたいと思います。
○秦豊君 推移を見る中で問題点を適時指摘をしたいと思います。 実は、四十六分というふうなことを事務局側から言われておりますので、一問一答の形式は以後の展開でとりません。大変恐縮ですけれども、私は各項目を挙げますので、それについてラインナップして、全部石油の問題をお答え願いたいと思います。 ファイサル国王の事件からたしか四日たっているわけですが、かなり御専門の領域から情報収集があり得ていると思います。 まず伺いたいのは、やはりOPECの中枢としてのサウジのドラスティックな変化によって相当サウジとOPECの関連というか、サウジがOPECに対して持つ影響力というか、これは変化があると思うのです。ヤマニ石油相も辞任をするのではないか、いや辞任ではなくて更迭ではないかというふうな観測もちらついているわけですが、大観して、通産省としてファイサル国王暗殺事件以後のいわゆるサウジとOPECの関連をどう見ていらっしゃるか。そして、日本の安定供給については何ら不安材料はないのかどうか、成算がおありか。 それに関連をして、今後の、去年は前年比三・八%輸入が落ちておりますけれども、関連して石油の需給見通しについてはどんな判断をしていらっしゃるか。ちょうど、きのう国際シンポジウムも開かれておりますし、その辺を含めた御報告を願いたい。 それから、四月には産油国と消費国が初めて同じテーブルにつきますね。これにはどんな基本方針で、どんな代表をお送りになるおつもりか、ぜひとも伺っておきたい。 それから、あれこれ並べるようで恐縮ですけれども、すでに通産省の方向の中に、将来は在来の方法プラス、たとえば政府間取引のGG、直接取引のDD、あるいは輸入先の多元化、あるいは新規開発の推進など、いろいろ考えていらっしゃる。そこで、DDがふえる中で考えなければならぬ点というのは、メジャーが支配している石油資本がつまり拒絶反応を起こして、精製について拒否をするというふうなことも予見をしなければならないので、今後のメジャー対策としてもこれは重要なポイントではなかろうか、この点も伺いたい。 それから、石油開発の公団法を改められたわけだが、これは間もなくわれわれの方に回ってきますよ、衆議院から。これはいままで進めてきた開発政策との絡みで非常に重要なポイントを持っていると思うのです。開発政策との絡みについてお話を願いたい。 それから最後に、いま皆さんは、通産省は民族系石油資本の育成ということでできたのが例のアジア石油やなんかを束ねたいわゆる共同石油である。六五年にアジア石油とか東亜石油などが合流してでき上がったときといまと、七五年と変わっていないのは株主の名前だけですね。実態は、たとえばアジア石油は三菱化成じゃないですか。東亜石油は伊藤忠と住友化学など、言ってみれば半分以上住友系列でしょう。そういうふうに、実態が変わってくる。だから通産省は大資本を擁護したのか、民族資本を育成しようとしたのか、とたんにぼやけているという印象を私は持っているのです。 最後に私が聞きたいのは、いま備蓄は何日あるのかということ。ストックの九十日というのは、単にOECDの申し合わせでなかったのか。日本にとって必要にして十分な備蓄とはどんな量か。そうして、しょせん結論的に言いたいことは、この備蓄政策というのは納税者に負担がかかってくる、要するにコストの高い方式でしがなくて、やっぱりもっと産油国との友好経済協力であるとか、あるいは多元化、DD増加、あるいは外交政策による補完、たとえば極端な話をすればPLOの承認とかの方がはるかに長期の視点で見た場合の日本のエネルギー政策を補強するルートではないのか、方法ではないかと思うのです。一気に質問を並べたので、その点については恐縮ですけれどもまとめてお答えを次々にいただきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) ファイサル国王が四日前に不慮の死を遂げられたということは、私どももまことに遺憾に思っております。と申しますのは、ファイサル国王は日本に対しても非常に深い理解を示されまして、日本とサウジアラビアの友好につきましては、絶えず大変な関心を持っておられまして、努力をしておられた方でございますが、そういう意味におきましても、私どもはこの亡くなられたということに対して、大変残念に思っておるわけでございます。特にごく最近に、長年の懸案でございました経済技術協定というものが調印をせられまして、サウジとの関係がいよいよ本格的に進もうと、そのやさきでありましただけに、私どもも大変ショックを受けておるわけでございます。 事件がありましてからその後の動き、いろいろなルートを通じまして調べておりますが、またいろいろな情報が入っておりますけれども、まあ大局的に申しますと、ハリド国王が即位せられまして、ファハド第二副首相が皇太子になられたわけでありますが、これまでの対自由主義国との関係、対日本との関係、基本的には影響はなかろう、こういうことは私は総合的に言えるのではないかと思います。ただ、いま御指摘がございましたように、OPEC内部における力関係、アラブ内部におけるいろいろな微妙な変化等は当然予想されますので、以後引き続きまして、外務省とも協力いたしまして、正確な情報の収集と、それに間違いなく対処できるようにいま努力をしておるわけでございます。特に最近は中近東との貿易関係でイランよりもむしろ大きくなっておる、こういうこともございまして、向こうから入っております油はいろいろなルートを通じまして七千万トンにも達しておりますので、十分気をつける必要があろうと思います。 それから四月七日のパリにおける産油国と消費国との予備会議でございますが、これは本会議が多分七月ごろに開かれる、こういうふうに予想しておりますので、それの準備会議という意味でございまして、議題の整理とか、進め方とか、そういうことを中心にこの話が進むのではないか、こういうふうに思っておりますが、まだその具体的な内容について、詳細にいま申し上げる段階ではございませんが、わが国からも約十名ばかりの代表団を送る予定をいたしております。非常に重大な意味を持つ会議でございますので、日本の政府といたしましても、これに全力を挙げて取り組んでいくということで、いろいろ工夫をしておるところでございます。 それから今後の石油政策につきましてお話がございましたが、御案内のように、一昨年の秋の石油ショック以来、非常に激しく流動しておりました世界の石油の流れも、大体方向が見きわめられるようになりましたので、政府の方におきましても、この際その後の、一昨年の秋以降の大変化を背景といたしまして、今後の基本的なエネルギー政策、特に石油政策はどうあるべきかということにつきまして、基本的な考え方を明らかにいたしませんと、いろいろな審議会で今後のエネルギーのあり方を審議していただいておりますが、政府自身が方向がはっきりしないということでは審議される方もできませんので、四月の中旬には通産省が中心になりまして、今後のエネルギー政策のあり方ということについて、基本的な考え方をまとめたい、こういうことでいま作業をいたしておるところでございます。その中におきまして、先ほど御指摘のすべての問題、たとえばDD原油、GG原油の問題、あるいはメジャーとの今後の関係、日本自身の手による石油開発、石油企業の体質強化、この体質強化に関連をいたしまして民族系企業の今後のあり方というふうなこと、それから備蓄の問題全部を含めまして日本の基本的な方向というものを打ち出したい、こういうことでいま作業を進めておるところでございますので、いずれ来月の中旬には明らかになるであろうと、かように御理解をしていただきたいと思います。
○秦豊君 石油開発公団の問題ですね、これはどなたからお答えいただけますか。
○政府委員(増田実君) 石油開発公団の法律改正を、現在御審議を国会でお願いをいたしておるわけでございます。改正点だけ、五つの点がございます。それを申し上げたいと思います。 今回の改正点は、石油開発公団の業務をふやすということでございまして、業務につきまして、五点増加をいたすということでございます。内容を簡単に申し上げますと、第一点は、石油の探鉱する権利及びそれに類する権利の取得につきまして、従来は民間企業が行いまして、それに対して石油開発公団が出資融資で援助をいたすということになっておったわけでございますが、それに加えまして、石油開発公団みずからがこの権利を取得することができるということが第一点でございます。ただ、この石油開発公団が直接みずからこういう権利を取得することができる場合は、これは限定をしまして、私どもの考えておりますのは、一年以内に石油開発企業にその権利を譲り渡すということを条件にいたしまして、時間的に間に合わない場合とか、あるいは先方がそういうことを希望する場合に、石油開発公団がみずからその権利を取得する、これが第一点でございます。 それから第二点は、これは新しい最近の傾向でございますが、有望な油田につきまして産油国がみずからそれをリザーブしておく、保有しておくという形が相当出ております。そうなりますと、産油国の政府または国営石油会社がみずから探鉱を行い、開発を行う、それから生産を行う、こういうケースが相当出てきておるわけでございますが、この産油国の政府もしくは政府機関に対しまして、いまの事業の必要な資金を融資いたしまして、その見返りとして石油を供給してもらう、いわゆる私ども融資買油と申しておりますが、これができるようにすると、内容的には、石油開発公団みずからが産油国の政府もしくは政府機関に融資をするという権限を付与するというのが第二点でございます。 それから第三点は、従来の石油開発公団の扱います対象物資といたしましては、石油及び可燃性天燃ガスという二品目になっておったわけでございますが、これに加えましてオイルサンドとオイルシェールをふやすということでございます。 それから第四点は、日本の周辺海域における石油開発につきまして出資、融資を行うということでございますが、これにつきましては、従来はいわゆる領海外の大陸だなにつきましては、現在も、昭和四十六年、四十七年からも実績がありましてやっておったわけでございますが、できませんでしたのは領海内の石油開発、領海内の大陸だな石油開発につきまして、これは石油開発公団の設立の趣旨が、海外における事業ということになっておりましたので、これができないようになっておったわけでございますが、現在、領海が三海里から十二海里にふえるということが予想されますし、また、その領海内にも相当有望な鉱層がいろいろ発見されておりますので、領海内をも対象として、石油開発を行います企業に対して融資、出資の業務ができるようにする、これが第四点目でございます。 それから第五点目は、今回、来年から行います備蓄増強計画に絡んででございますが、石油開発公団は、従来は備蓄のための原油の資金の供給、それに対する利子補給というものをやっておったわけでございますが、その業務に加えまして、共同備蓄会社に対しまして出資及び融資の業務ができる。 以上、五点でございます。それ以外に若干細かい点がございますが、いま申し上げました五つの点を追加するというのが石油開発公団法の改正の要点でございます。
○秦豊君 すでに押しておりますので、同僚議員も待っておりますので、以後、控えますけれども、最後に、いま言われた点は、特に第四項目のところでふんぷんとするのは、やはり日韓大陸だな共同開発、この問題について、いま永田町を中心に非常にさまざまな動きが出ている。これは別な機会に、とてもこの持ち時間ではだめだから、別の機会にやらなきゃならぬ問題だと思いますが、とにかく、探鉱一本やりでやってきたあなた方の組織が、開発政策を大きく転換する、それにまたつながるようなこういう法の改正をされたという認識を私たちが持っていて、単に細かい部分が変わったんじゃなくて、これは開発政策の方に大きな影響がある法改正だというとらえ方をぼくはしているわけです。したがって、これは相当重要な問題であって、衆議院での論議不足のところは当院において詰めるべき幾つかの重要点を含んでいると思います。 しかし、それはきょう、この場では適当ではないだろうからやめますが、とにかくさっき大臣が言われた、四月中旬に通産省として当面のエネルギー政策、あるいは前を向いたエネルギー政策を発表されると、おそらくこれは今後のわれわれのいろいろなステップになると思います。将来は、やはりいわゆるキッシンジャー構想といわれている構想の中にあるのは、明らかにあれはぼくたちの認識では、キッシンジャー氏がいかにどういうふうに装っていようとも、しっせんはメジャーのスピーカーにすぎないという認識を持っている。最後に私の考えを言えば、やはりこれはOPECにしてみれば、悲願として持っているのは、生産をする、精製をする、販売をするという一貫システムですね、これを当然考えてくるわけであって、そのことは、自国の中における経済のいわゆるテークオフとともに考えられていると思うんですよ。そうなってくると、日本を相当かっこうな協力事業の対象として選び取るという、そういう時期が必ずくるわけであって、その意味では、ぼくは四月以降の産油国と消費国のあのラウンドテーブルの方式ば重要なステップになるし、また、OPECの考えているその方向に対して、われわれがいつまでもキッシンジャー構想の引力圏の中でもたつくのではなくて、独自の日本のナショナルセキュリティーの根幹をなすようなエネルギー政策のかじ取りを誤ってほしくないという点で、折に触れた追究を、指摘を今後していきたいと、こう思います。 以上で終わります。 —————————————
○主査(源田実君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。 ただいま和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として久保亘君が選任されました。 —————————————
○主査(源田実君) 質疑を続けます。
○矢野登君 私は、エネルギー問題を中心にお尋ねしたいと思ったんですが、秦委員の方から先を越されましたので、断片的な問題になりますが、国内の素朴な問題についてお聞きしたいと思います。 どうも通産省の石油問題に対する熱意というのが心配をされております。ただいまの秦委員の質問に対して、四月中に十分検討して進めたいというようなお答えがありましたが、現在、国民は七三年の石油危機を中心として本当に心配しておる。この心配に対して、はっきりした通産省の答えを出す時期に来ておるのではないかと思いますが、四月の通産省の会議の結果、大方針を確立してひとつ国民に知らしていただきたい。この点をまずお願いを申し上げます。答弁は結構でございます。 原油の輸入状況で、秦委員とはちょっと方向が違った御質問をいたしますが、石油危機当時、あれほど心配された原油輸入も、政府の政策が非常によろしかった、業界の協力もすばらしかったということで、順調に輸入が行われております。ところが、最近輸入過剰である。生産過剰で、国内であらゆるところに過当競争が展開されておる。世界的に原油獲得に狂奔しているときに、わが国のみが、しかも九九・七%の輸入国でありながら石油がだぶついているということ、この石油のだぶつきの原因はどこにあるのか、輸入量が多過ぎるのか、それとも国内における需要減少のために起きているだぶつきであるか、これをひとつ解明願いたい。
○政府委員(増田実君) ただいま矢野先生から御指摘がありましたように、最近の石油の需給状況を申しますと、供給が過剰で石油がだぶつきぎみだということを御指摘になりましたが、そのとおりでございますが、ただ、これは日本におけるだけのことではございませんで、世界的な現象として出ておるわけでございます。この現象が今後どれくらい続くかということについてはいろいろ議論がございますが、その原因につきまして幾つかの原因が挙げられると思いますが、まず第一には、これは日本を初めといたしまして、現在相当経済的に不況にあるわけでございます。そのために需要が非常に押さえられていると申しますか、需要が非常に低くなっているということによりまして、この需要の数字に対しまして供給が過剰ぎみであるというのが一つの大きな原因だと思います。 それから第二番目は、原油の価格が石油危機以前と比較いたしまして四倍あるいはそれ以上に高まっております。このために石油を消費する側がこの高い価格に対しまして相当節約をする、あるいは消費の効率化を図るということで、やはり価格に対する反応といたしまして需要が減ってきておるというのが指摘されるわけでございます。 それからもう一つは、この価格の問題とも関連いたしますが、石油の消費につきまして、やはり節約というものが相当浸透してきておる、節約ムードが相当定着化しているということで、従来は石油が非常に安くて、そしていつでも手に入るというのが、石油危機を契機といたしまして様相が一変いたしたわけでございます。それからまた、石油そのものに対する見直しが行われまして、これは人類の有限な貴重な資源だと、従来のような使い方をしてはいかぬということで、そういう節約ムードが非常に定着化しております。まあいろいろの理由が絡み合って、現在は需要というものが相当減退しておるということが言えると思います。 ただしかし、将来を見ますと、この節約ムードがこのまま続くかどうか、それから現在経済活動の停滞というものが、日本を初めアメリカでも欧州諸国でも見られるわけでございますが、各国におきまして、いろいろの不況対策がとられまして、景気も回復すれば、また石油に対する需要がふえていくということが当然予想されるわけでございますので、確かに現時点で見ますと石油は供給過剰という現象は生じておるわけでございます。
○矢野登君 次に、輸入量の計画決定、これは政府の指導によるものか、民間業者が独自の進み方をしておるのか、この点について。
○政府委員(増田実君) 現在、石油の輸入につきましては、外貨資金の割り当ても行っておりませんし、輸入は自由化されておるわけでございます。一部品目については例外がございますが、これについては全く自由であるわけでございます。ただ、石油というものがやはり経済の基礎的なエネルギーでございますので、従来から石油業法に基づいて供給計画というものを政府で策定しておるわけでございます。この供給計画の中で一応の石油の輸入量につきまして通産省から毎年発表いたしておるわけです。一応この石油供給計画がめどとなりまして、石油を輸入いたします者はその供給計画に合わせるように輸入を行うということになっておりますので、全く政府が何もしないで、無秩序に輸入が行われるわけでございませんで、一応のガイドラインと申しますか、供給計画という名前で一年間の石油の需給表をつくりまして、それに合わして輸入するようにしているのが現状でございます。
○矢野登君 そうしますと、現在の石油のだぶつきというのは通産省の計画以外のものである、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(増田実君) 私どもも、この計画の策定につきまして非常にいろいろな不安定な要素がございまして、昨年の九月に供給計画を立てたわけでございますが、率直に申し上げて、私どもの見通しも大き過ぎたわけでございます。わが国の経済の成長率がここまで低くなるということにつきましては予想できなかったために、若干現状に比べましては高い計画のガイドラインを示したということでございます。そういう意味で、輸入がこれに見合って若干多く入り過ぎているということは事実でございます。
○矢野登君 この輸入量、精製量、これに対して完全に通産省は把握しているかどうか。現在のだぶつきの問題は見直しが甘かった、こういう御回答をいただいたのですが、常日ごろ、常に通産省はこの出し入れ、精製量、こういうものに対して完全にその内容を把握しているかどうか。
○政府委員(増田実君) 石油につきましては、これは指定統計品目になっておりまして、原油の段階から製品の段階まで全部報告が出まして、これを私どもは把握しておるわけでございます。ただ、統計は若干時期的なずれがございますので、統計が出ましたときにはもう次の事態が進んでいるという点ももちろんございますが、あらゆる数値につきまして私どもは把握しているということでお答え申し上げたいと思います。
○矢野登君 この問題について、後にもうちょっと突っ込んだ御意見を伺いたいと思うのですが、とにかく日曜日は休日にして需要を減らすというような対策、政府の省資源、省エネルギー対策、こういう問題が非常に顕著にあらわれてきたのではないか、むしろ一面においては喜んでおるわけでございますが、とにかくすべての面から言って、何か通産省が完全に需給の内容をつかんでいないのではないかというような感がいたします。 ところで逆戻りをいたしますが、御承知のように、キッシンジャー国務長官が半年にわたって進められてきた今度のエジプト・イスラエル間の国交正常化問題は途中で挫折した感じがいたします。見方によってはいろいろあるようでございますが、将来だぶつきはまだ対策の方法はあると思うのですが、七三年の石油パニック当時の再来というようなことのないように、あらゆる点にひとつ通産省は対策を願いたい、こういうふうに思っております。 それから飛びまして輸入関税の問題でお聞きしたいんですが、低廉な石油の安定供給、これは石油業法にも示されておるとおりでありますが、将来も安定供給というのは国の大目標でなければならないと思います。ところが、あらゆる機会に政府は増税というと石油というような方向で進んで、その増税がややもするとこの石油の価格つり上げの原因をつくっている感じがします。 一般石油税の問題については後の機会にいろいろと御意見も申し上げ、お答えを聞きたいと思っておりますが、とにかく原油関税というのは現在のところ世界各国ほとんど先進国は採用しておらないという問題でございます。もっともこの関税は石炭対策の重要な財源で、今後のエネルギー対策上、石炭政策の見直しというものから考えると、これを石油関税という限られた範囲のもので考えておらないで、一般会計から堂々支出すべき問題ではないか。したがって、この輸入関税というようなものは国際的にもかなり議論の対象になっておるようでございますので、この際早急に廃止すべき問題ではないか、これは大蔵省の所管の問題と思うのでございますが、御意見を承りたい。
○説明員(松尾直良君) 原重油関税につきましてのお尋ねでございますが、この原重油関税につきましては、ただいま先生御発言ございましたように、石炭対策ということで増税が行われまして、昭和三十八年度以来キロリットル当たり原油の場合で六百四十円という関税がかかっておるわけでございます。一昨年関税率審議会におきまして、この原重油関税の引き下げにつきましていろいろ議論がございました。そのときの結論は、今後の総合エネルギー政策との関連の中でさらに一年間じっくり検討せい、こういう答申をいただきまして、昨年度、昭和四十九年度の関税改正に当たりまして、この審議会の答申を受けまして六百四十円の暫定税率の据え置きということで御承認をいただきまして、そのお約束をいたしました一年間の検討ということを四十九年度におきまして再び関税率審議会でいろいろ御議論を願ったわけでございます。結論といたしましては、昨年の答申にございます総合エネルギー政策との関連の中でというこのエネルギー政策の非常に重要な一つでございます石炭政策というものにつきまして、昨年の十月以来、石炭鉱業審議会がいろいろ御検討になっておられるところでございますので、この結論を持って、その上で原重油関税のあり方を検討するのが適当であろう、こういう趣旨で関税率審議会から再び六百四十円の暫定税率をさらに一年間延長するという答申をいただきまして、私どもこの答申を受けまして目下六百四十円の暫定税率をさらに一年延長していただくという内容を関税暫定措置法の一部改正に織り込みまして、ただいま国会に御提案をしておる次第でございます。
○矢野登君 参考にお伺いしますが、アメリカも数年前までは輸入関税をかけておったということ、今度のOPECの問題で、しかもそれが日本の六百四十円に対して百八十円程度の非常に低率なものであるが、OPECの石油問題でこれを撤廃したというふうなことを聞いておりますが、参考までにそういう点がおわかりでしたらお聞きしたい。
○説明員(松尾直良君) 関税という形でかけておるのは御指摘のとおり先進国の中では日本だけであろうかと思います。
○矢野登君 次に消費税の一部についてお伺いしたい。 政府は、四十九年度より二カ年間の揮発油税及び地方道路税法に特例を設けて、ガソリン税の一キロリットル当たり五千八百円の増税を断行した。これも世界各国が原油値上げをめぐってその対策に狂奔している最中に増税という暴挙を敢行したとこういうことになりますが、この増税をもたらした特例措置は五十一年末をもって期限切れとなるんですが、こういう税は今後も続けるつもりか、あるいはその期間をもってやめるのか、こういう問題はどうしても現在の状態から言って中止すべきであると考えるのですが、この問題について伺いたい。
○説明員(島崎晴夫君) ただいまの措置は、道路財源の充実を図る、それから消費節約、資源保護という観点からとられたものでございます。その期間が二年間となっておりますのは、当時、石油の供給見込み等の道路整備計画の前提になりますところの事情が必ずしも明らかでなかったために暫定措置ということにしたわけでございます。昭和五十一年の三月末をもってこの措置の期限が参りますが、その後いかがするかということにつきましては、諸般の事情を考慮しなければいけないと思います。揮発油税も消費税でございますから、それを消費する方の担税力に相応するものということも考えなければいけないと思います。ただいまわが国ではリッター当たり三十四円五十銭ということでございますが、イギリスの場合にはこれが五十三円程度でございますし、それから西ドイツの場合には六十四円でございます。また、フランスの場合には四十一円というふうに、世界各国に比べましてもわが国の水準がいかなるところに定めることが適正かということも考えなければいけませんでしょうし、また、道路整備計画というものが今後どう進展していくかという問題も考慮の対象になる要素だと思います。また、石油の供給事情がどうなるかということも考えなければいけないことでございましょう。そういった点あるいは要素というものをいろいろ考慮しまして検討していくべき問題だと思いますが、いずれにしましても、これは税制の問題でございますので、税制調査会の御審議を経て決めていくべき問題だと思っております。
○矢野登君 道路財源、これは納得をいたしますが、消費節約の目標という御説明をひとつ。
○説明員(島崎晴夫君) 当時の事情から、御承知のように、石油を中心としましたエネルギーを節約しなければいけないということが強く叫ばれていたわけでございます。そのために石油につきましても消費の節約ということがうたわれて、この引き上げの場合それが理由になっていたわけでございます。
○矢野登君 イギリス、フランス等の例をお聞きしましたが、アメリカはどのくらいの税をかけておりますか。
○説明員(島崎晴夫君) アメリカは約十円でございます。
○矢野登君 私の記憶しているところでは、アメリカがキロ当たり一万九千円かけておるように記憶しておりますが、高い国ばかりを考えずに、九九・七%という大量の輸入国である日本が、石油をあらゆる機会に税の対象として考えるというような問題はこの際方向を変えるべきではないか、こういうことを考えておりますが、お考えを……。
○説明員(島崎晴夫君) わが国だけではございませんで、世界各国とも燃料につきましては相当高率の課税をしていると思います。先ほど申し上げましたイギリス等の西欧諸国におきましても、付加価値税が導入されているわけでございますが、この一般消費税とは別に、燃料につきましてはそれぞれの税金がかけられているわけでございまして、わが国におきましても、今後道路整備との関係もございますから、油につきましては引き続き課税することが適当と考えております。
○矢野登君 日本の三万四千五百円の揮発油税に対してアメリカが九千六百円、こういうように記憶しております。それに間違いありませんか。
○説明員(島崎晴夫君) アメリカの場合には連邦税が三円十八銭、州税が六円三十六銭、合計九円五十四銭リッター当たりでございます。
○矢野登君 大体九円六十銭という数字は間違いないと思うのですが、アメリカは御承知のように七〇%の石油資源を需要に対して持っておるというようなこと、九九%を外国から輸入しておる日本としては、この全体の税という問題についても特に検討をしていただきたい、こんなことを考えておりますが、この問題は後日に譲ります。 大蔵省の方でひとつお願いしたいことは、酒類の販売業については税務署が許可をするというようなことで、乱立をさせないということで免許制をとっておると記憶しておりますが、それについてひとつ御披露願いたい。
○説明員(高木壽夫君) 酒類の販売業をしようという方に対しましては、酒税法の規定によりまして税務署長の免許が必要であるということになっております。その裏側といたしまして、無免許の販売行為というものがございました場合には罰則が定められておるところでございます。 この酒類販売業免許の要件ということにつきましては、同じく酒税法にいろいろ規定されておるところでございますが、ポイントを申し上げますと、取り締まり上不適当な場所でございますとか、あるいは経営の基礎が薄弱と認められる場合でございますとか、あるいは需給の均衡上不適当と認められますような場合には税務署長は免許を与えないことができる、こういう形になっておりまして、これを受けまして全国的な取り扱いを同一にいたしますために、国税庁長官が定めておりまする酒類販売業免許等取り扱い要領というものによりまして統一的な運用をいたしておるところでございます。
○矢野登君 現在の酒税、年間どのくらい納入されていますか。
○説明員(島崎晴夫君) 五十年度予算における見込み額としましては一兆三百億を予定いたしております。
○矢野登君 通産省にお伺いいたします。 酒税が五十年度において一兆三百億を予定しておる。通産省は石油税全体について地方税は——自治省がいませんな——総額おそらく把握されていると思うんですが、ひとつ御披露願いたいと思います。
○説明員(島崎晴夫君) 四十九年度で申し上げます。揮発油税が約七千億、それから地方道路税が約千三百億でございます。
○矢野登君 石油税は全体で一兆一千七百億、四十九年度において計画をされているはずですね、一兆一千七百億、相当超えると思うんですが……。通産省に伺いたいんですが、こういうふうに大蔵省はいろいろの文句を並べておりますが、その内容は税源の保全というのが根本だと思う。石油や酒類の販売店の許可制というのは税源の保全というのが根本だと思うんです。ところが、石油小売店舗、これはガソリンスタンドになるんですが、これに対してはほとんど自由に任されているというのが現在の状況ではないか。時間がないので、こまかい内容を申し上げている時間がないのですが、現在通産省の指導の範囲内であるべきスタンドの建設が自由自在につくられておるということ、無印スタンドといわれておりますが、この無印スタンドがかつては国税庁が脱税問題で調査して、かなり大きい話題を提供した。それが最近においても無印スタンドがどんどんつくられているということ、こういうことで今後の大きい石油対策というような面から言っても、交通安全という問題から言っても、このスタンドが自由自在に建設されているようなことでいいものかどうか。災害予防という点から言っても、軒を並べてガソリンスタンドが建設されるというようなことではとんでもない国ができてしまう、町ができてしまう、こういうふうに考えるんですが、こういうものに対してどういうふうにお考えであるか。
○政府委員(増田実君) ガソリンスタンドの新設につきましては、先生からもお話がありましたガソリンスタンドの公共的社会的役割りが非常に大きいことにかんがみまして、通産省では秩序ある建設を図るための行政指導により建設規制を現在行っております。ただ、いま御指摘ありましたように、無印スタンドが幾つか現実には存在しておるわけでございますが、この無印スタンドと申しますものは行政指導に従わないものでございまして、私どももこういうものが生ずることは好ましいとは考えておりません。したがいまして従来から、先ほど申し上げましたガソリンスタンドの建設規制の趣旨に基づきましていろいろ説得をいたしたり、その他行政指導に従うように努力を行っておるわけでございます。現在この無印スタンドが全国に約二百ぐらいあるわけでございますが、全体のガソリンスタンドの数の中では、約〇・四%、数は少ないわけでございますが、しかし、こういうものが生じているということにつきましては、私どもはさらに行政指導を行いまして、こういう無印スタンドの発生をとめたい、こういうふうに考えております。
○矢野登君 これは数の問題ではないと思うのです。少なくも一国の通産省が行政指導が届かない、こういうようなことではあってはならない、こういうふうに考えます。どうかこの問題について強力な進め方を希望します。 通産大臣に。日本のしにせである精製業者の社長が経団連で二月十七日に公式記者会見をしてこういうことを発表しました。「わが社の三月期決算予想は、経常利益で百億円近い赤字が見込まれる。」「この分では業界全体の赤字は二千億円に達するであろう。」「現状のまま推移すればあと一年半業界がもつかどうか自信のある人は業界内にはいない」、こういうことを発表しております。すでに、こういうことを発表をするという反面に、企業意欲を失っているのではないだろうか、こういうようなことまで想像されるわけでございます。こういう問題に対して、従来、大企業はけしからぬ、大企業の問題を議論するとどうも大企業との関連があるというようなことが考えられて、わりあいに、石油精製業者でも大企業とみなして、これに対する意見がないようでございますが、少なくも石油問題に限り、大企業、中小企業というような問題は第二にして、将来日本のエネルギー確保の観点からして育成をすべきであると思うのですが、これに対して通産大臣の御意見を伺いたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 石油会社の経営は、先ほど来いろいろ議論もございましたが、その議論等を通じましても、需給関係が大変緩和をしておりますので、赤字経営であることは私は避けられないと思いますが、これはまあ二千億になるかどうか疑問だと思うのです。特に、最近円高の傾向がしばらくの間続いておりましたから、そういうこと等を見ましても若干減るのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、石油は鉄と並び基幹産業でございますから、これはどうしても強化をしなければならぬわけであります。 先ほどもちょっと申し上げましたように、四月中旬に発表いたします通産省の基本的なエネルギー政策、石油に対する考え方の中におきましても、石油企業の体質強化も大きな一本の柱にしたい。具体的にどうするかということにつきましては、その後いろいろ検討いたしますが、いずれにいたしましても体質を強化させまして、基幹産業にふさわしい力を持たせる、そういうふうにするつもりでございます。
○矢野登君 時間がないのでもうお尋ねすることができませんが、問題は七三年に起きたあの石油危機を官民ともに忘れてはいけないと思うのです。特に民間は、ややもするとそうした問題は、次から次と仕事に追われて忘れがちになる。中心になっていくのは通産省、資源エネルギー庁、こういうことになるのではないか。わが国の石油資源ははなはだ乏しい。最近国民各層から、周辺の大陸だなの開発によってすばらしい原油が確保できるのではないかというようなことを期待されておりますが、これは八〇年代に至っても需要の二、三%を満たす程度ではないかという議論をする学者がおります。オイルシェール、タールサンド、こういう問題は日本には皆無でございます。石炭の液化にしてもわが国の採炭量ではどうにもならない。原子力が最近かなり議論の対象になってまいりましたが、技術の面でなかなか急速の発展は望み得ないと思うのです。こういう点から考えて、今世紀中はエネルギー源の六〇%、七〇%、大部分を石油に依存しなければならない、こういうふうに考えます。したがって、大企業であるとか中小企業であるというような事態にとらわれないで、通産省はこの石油確保というものに対して大馬力をかけて進んでいただきたい。これは特にお答えは要りません。要望いたしまして、私の質問は終わります。ありがとうございました。
○久保亘君 私は九十日間の備蓄の問題についてお尋ねしたいと思いますが、通産省が石油備蓄強化対策の中で強調をされておりますことの一つに、石油備蓄に要するコストについては国民経済全体、すなわち国民一人一人がいわば経済的な安全に対する一種の保険料として負担すべきものである。このような主張をされておりますが、備蓄を業とすること、つまりCTSというのは企業として成立するのかどうか、その辺はどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
○政府委員(増田実君) これは備蓄基地と、それからいわゆるCTSというものと若干差がございますので、CTS業務というものにつきましては、石油を受け入れまして、さらにそこを基地にいたしまして出荷を分散して行う、こういうことで、これは原油につきましてもまた製品につきましても、石油を再配分するための基地でございますので、そういうことで一つの倉庫業あるいは保管、受け入れ、出荷というものを受け持つわけでございます。そういう意味で倉庫料に相当する取り扱い料というもので企業として成り立つかどうかというお尋ねに対しましては、それがかかりましたコストにペイするもので、しかも若干の利潤があればこれは企業として成り立つものと思います。ただ私どもが言っております備蓄基地につきましては、その分の石油を常に保有して置くということでございますので、この点につきましては、私は石油業界がこの備蓄を行いますにつきましては相当大きな負担を負わざるを得ない。企業として備蓄基地を設けて、それによって利潤を生むということは全くむずかしく、むしろ反対に大きな負担を石油業界に負わせるものと、こういうふうに観念しているわけでございます。
○久保亘君 デッドストックの部分というものが、今日でも六十日備蓄ということで、備蓄会社にはデッドストックの部分があるわけでしょう。それを考慮に入れて企業として出荷する原油の価格というのは決まっていっているんじゃありませんか。
○政府委員(増田実君) そういうことになります。
○久保亘君 そうすれば九十日備蓄の場合でも、当然企業として原油の価格がかなり安定したものであるならば、計画的に一定の利潤を上げながら備蓄会社を企業として運営できる、こういうふうに私は思うんです。だから、いま九十日備蓄の計画がまだ政府において法律としても決定をしていませんし、具体的な計画はもちろんできていないにもかかわらず、石油企業の方はきわめて積極的に政府のかなり思い切った投融資、財政援助を見込みながら備蓄基地の建設について計画を始めている、こういうような感じがするわけです。その場合に、やっぱりこの備蓄会社の場合にはスケールメリットが一番企業にとっては重要なことだと考えられるので、かなり巨大な基地を計画し始めている。一般質問のときに私がお尋ねいたしましたアジア石油などの場合には、千五百万キロリットルという先例のない巨大な基地を計画をして関係の市町村に折衝を開始しているわけでありますが、これは政府のすでに検討されております財政援助計画というものを見越しながら十分成り立つという立場に立ってやられているものだと思うんです。その場合に、一番ねらいを定めていきますのがどうしても巨大な用地を確保する、あるいは大型タンカーの出入りにできるだけ自然条件が使えるということでねらいをつけていきます関係で、勢い国や地方自治体が自然公園として決定をしておりますような場所とか国有地、公有地などを目標にしてこれらの計画がつくられがちなんであります。私どもはそういう点において、地域住民との間に越こってくる問題というものを身近にたくさん持つわけでありますけれども、環境庁見えておりますか、こういう企業サイドからする利益というものを考えて、国定公園や県立自然公園に安易に目をつけてくることに対して、しかも先例のない、つまり実証済みでない巨大な基地がつくられるということについて、環境庁はどういうふうにお考えでしょうか。
○説明員(宇野佐君) 先生御指摘のように、最近往々にしてそういうお話が出てくるわけでございますが、環境庁といたしましては、自然公園というのは当然に自然の風致、景観のいいところでございまして、それを保護するということで価値づけられているわけでございます。したがいまして、そういうところに石油備蓄基地のようなものができるということは好ましいことではないと考えておるわけでございまして、都道府県を通じましても、そういうようなことにはきわめて慎重に対処するように指導いたしておるところでございます。
○久保亘君 通産省としても、環境庁のいま述べられたような考え方を十分考慮に置いて、新たに考えられる九十日備蓄の基地建設についてはその場所を決定されていくというふうに考えてよろしゅうございますか。
○政府委員(増田実君) 石油備蓄を行うに当たりましては、公害の防止、保安の確保と並びまして、自然環境の保全につきまして十分留意しながらやっていきたいと思います。
○久保亘君 次に、これらの備蓄基地を計画いたします企業が現地に説明をいたします場合には、大体こういうものを計画していきますときには過疎で困っている地域などに入っていくわけでありまして、そのときに地元のメリットということで雇用力、税収、この両面で積極的な説明をされるようであります。それで私は通産省にお尋ねしてみたいと思いますのは、備蓄会社というものが地元にもたらす雇用メリット及び税収の面から見た経済的な地元のメリットというのは、大体どういうような基準を標準的なものとして判断をしたらよいのか、その辺について少し具体的にお聞かせいただきたい。
○政府委員(増田実君) 備蓄基地が建設されるに当たりましては、これは地元の理解、地元の福祉というものをいろいろ考えなければならないわけでございますが、このメリットについてお尋ねでございますので、いまの各項目について私どもの方で試算したものを申し上げます。まず雇用につきましては、これは備蓄基地の必要人員は規模、立地条件その他でいろいろの要素がございますので、一律に算出することは困難でございますが、一つの例として計算いたしますと、タンク能力三百万キロリッターの備蓄基地というものを一つ推定いたしまして、それから現在あります基地、現実にあります基地の雇用人数を一応参考にして計算いたしますと、基地従業員としましては大体八十名から九十名、それから下請関係者、これは保守点検とか、それから船が入りますのでマリーンサービスとか、いろいろな業務が行われるわけでございますが、これが大体百十名前後ということで、この試算によりますと大体二百名前後ということではないかと思います。ただ、これは規模が大きくなりますと、もちろん先ほど先生言われましたようなスケールメリットというのが出てきますので、倍になったから倍の人数ということにはなっていかないと思います。 それから税金の問題でございますが、固定資産税というものがどれくらいになるかということで、これは私どもの方で試算いたしたわけでございますが、五百万キロリッターの基地につきましての固定資産税というものが大体十五億から十八億ぐらいというふうな計算になっております。それからそれ以外に船が入りますので、いわゆる特別トン税というものが地方に還元されるわけでございますが、大体その特別トン税の収入が年間五千万円程度、これはいろいろな例がありますから正確な計算にはなりませんが、一応試算いたした結果を御報告申し上げた次第でございます。
○久保亘君 そうすると、雇用メリットという面では、大体基本になります人員を配置しました後は貯蔵トン数が大きくなりましてもそれほどふえていかない。そうなりますと、三百万キロで下請を含めて二百名程度ということになりますれば、仮に一千五百万キロリットルという巨大なものをつくりましても五百名以上というようなことは考えられないのではないかと思うのですが、それは大体そういうことでございますか。
○政府委員(増田実君) 千五百万キロリッターでは計算しておりませんが、先ほど答弁で申し上げましたように三百万キロリッターのときには大体二百名、その倍になりました六百万キロリッターでは私どもの試算では大体三百三十名ということでございますので、やはり規模が大きくなれば人数の倍率は減っていくということでございます。
○久保亘君 アジア石油の方は、地元には雇用力千七百名という説明をされたようでありまして、こういうのは非常に過疎に悩んでおります地元に対して過大なメリットを宣伝をすることによって、立地難であります石油企業の受け入れを容易にしようとする企業側の配慮のあらわれではないかという感じがいたします。こういうようなやり方で出てまいりますと、やはり地元としてはどうしてもこういう問題に対しては企業側の信頼というものが、公害や事故の問題の前にまず信頼感というものが全然持てなくなる問題じゃないかと思っているのです。 その問題はそれでいいのですが、一千五百万キロリットルなどという巨大な構想、しかも十三万キロタンクを百十六基というような計画を発表されておるのですが、私は備蓄基地とか製油所の規模というものについてやはり一定の上限というものが、今日の石油企業のもたらしている事故とか公害とかいうものの上に立って考えられなければならないのではないかと思うのです。消防庁の考え方としては、石油タンクの十万キロ以上のものについては防災に対応することについて確信が持てない、今日の防災の科学的能力では。そういうことが委員会等で述べられております。ところが、すでに私どもの県には十五万キロのタンクが多数あるのでありまして、その上にまた十三万キロのタンクが進出を企ててくるということになると、住民の間に非常に大きな不安があります。私が通産省にお聞きしたいのは、備蓄基地や製油所の規模の上限というものに対して一定の基準、枠をはめる必要はないのか。それから一つずつのタンクとかタンカーについてもそのような上限の枠を考える必要はないのか。昨今起こっております多くの事故等から考えても、その点については将来安全技術の進歩に伴ってその枠が改められるということはあっても、現状の段階においては一定の基準というものが当然検討されなければならないときに来ているのではないかと思うのですが、この点について通産省のお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(増田実君) タンクの大きさ、基地の総量につきましては、やはりいろいろの技術基準と申しますか、保安基準その他に照らしまして検討しなければならない事項だと思います。ただ、これにつきましては立地条件とかいろんな要素で一概に何キロリットル以上はやってはいけないということではなくて、私どもはやはり安全、防災その他の立場で万全な施策をする。それにはタンクの大きさ、あるいは全容量というものにつきましては慎重に検討して基地を建設していかなければならないと思っております。 この問題につきましては、私どもは関係官庁、特に消防庁とも十分相談いたしまして、決して石油備蓄基地を建設したことによって住民の方々あるいは付近の方々に御迷惑をおかけするような事故を起こすことのないようにあらゆる措置を行いたい、こういうふうに思っております。
○久保亘君 そういう規模の問題と同時に、備蓄基地を含めて石油企業の場合には立地上の多くの問題が今日発生をしておるわけでありますが、それにもかかわらず、九十日備蓄がIEAの加盟国としての義務の面からも、また資源外交の上からも、今日、国策的なものになっていくような感じを持っているわけでありますけれども、そういうような立場では、通産省としては、備蓄基地の規模とか立地について直接政府がこのことにタッチされていくつもりなのか、それとも企業に備蓄の義務づけをすることによって、立地その他についての折衝は企業の責任で行わせようとするのか、その辺はどのようにお考えになっておりますか。
○政府委員(増田実君) 九十日の備蓄増強計画を立てるに当たりまして、基地の問題につきまして、これを私どもの方はただ義務だけを課して、あとは全部企業に任せるというつもりはございません。保安の問題、防災の問題、それから環境保全の問題その他につきましても、私ども、関係官庁いろいろありますが、政府全体一体となりまして、これらの問題を解決しながらやっていきたいと思います。そういう意味で、私どもも石油精製業を所管する立場から、責任を持ってこれを推進していきたいと思っております。
○久保亘君 それでは近く通産省としては備蓄計画についての具体的な内容を石油企業側と合意の上発表をされる段取りになってくると思うのですけれども、年次別の立地計画と企業別の備蓄義務づけ量の計画はいつごろお立てになるおつもりですか。
○政府委員(増田実君) 現在、私どもの方で備蓄につきまして石油備蓄法案を検討しておるわけでございますが、成案を得次第、御審議を受けるわけでございますが、その中で、備蓄につきましての年度の計画というものを立てて、これによって計画的に備蓄を遂行していきたいと思います。ただ、この問題につきましては、先ほども申し上げましたように、保安の問題その他いろいろの問題がございますので、関係庁とも十分に相談し、また現在水島の事故の原因調査が行われておるわけでございますが、それらの結果も踏まえて、地域の方々に決して保安上の欠陥で御迷惑をおかけすることのないような体制のもとに、これを計画的に進めていきたい、こういうふうに考えております。
○久保亘君 すでに五十年度末には七十日備蓄を達成しようというのが通産省の方針でしょう。そうすると、五十年末に七十日のデッドストックに当たる備蓄をやろうということになれば、そのために必要な施設、設備に直ちに取りかからなければ間に合わないでしょう。現在の原油の備蓄設備でもって七十日の備蓄は可能なわけですか。
○政府委員(増田実君) 現在の設備で可能かどうかというお尋ねでございますが、現在の設備で七十日は可能でございます。ただ、これはタンクに入れるいわゆる貯油率というものがございますが、貯油率は従来五〇%あるいは五五%が平均であったわけですが、貯油率を若干上げれば七十日というものは可能であるわけでございます。七十日までは私どもは現有施設で可能であるし、また、若干の設備の増加があれば貯油率は正常な形で行われるものと思っておりますが、しかし、その後の二十日分につきましては、相当大きな建設を行わなければならないということを前提といたしておるわけでございます。
○久保亘君 結局完全な意味での備蓄というものが現在のタンクの総量の何%に当たるのか、その辺はいろいろ見方にもよるだろうと思うんですが、現状の施設、設備でもって七十日分のストックが可能であるということになれば、二十日分の純然たる上積みの設備というのはそんなに巨大なものをつくらなくてもよいじゃないですか。そして貯油率の操作等によって九十日のデッドストックが可能であるということならば、私はそんなに膨大な設備を計画しなくてもいい。むしろ膨大な備蓄基地をつくることによって、われわれ国民の側から見ると、石油の安定した確保ということよりも企業サイドに立った出荷調整の役割りを果たして、そのことが国民の側には不利益をもたらす場合もある。それが四十八年の石油危機のときにしばしば論ぜられた問題でもあります。だから、もしも国策として原油の備蓄をあなた方が企業に罰則を課してまでおやりになるということであるならば、つまり石油の製品の原料について国家が企業に対して義務を負わせて、国家の責任で、そしてコストは国民の負担でやると、こういうような方針をお持ちになるのであれば、その見返りとしての国民の側に立った経済の安全保障というのは、供給の安定と価格の安定ということでなければならぬと思うんですが、その点については、通産省として国民にこれだけの責任を持つということを明らかにされるおりもりですか。
○政府委員(増田実君) 石油というものが、この前の石油危機の経験にも明らかになりましたように、経済の基礎でございますし、国民生活の基礎にもなっているわけでございますので、石油政策といたしましては安定的な供給を確保する、それから価格の適正な安定化を図るということが必要なわけでございます。価格につきましては、これは産油国が一方的に上げた場合、これに対する政策につきましてはもちろん制約があるわけでございますが、それを基本として行いたいというのが私どもの石油政策の基本でございます。ただ、備蓄について申し上げますと、前回の石油危機におきまして約六十日、正確に言いますと五十九日の備蓄のところで石油危機が始まったわけでございますが、この備蓄につきましては、大体十日分以上を食いつぶして昨年の二月に至ったわけでございますが、この備蓄の食いつぶしというのは、四十五日を切りますといろいろな意味で流通、配給上の問題が起こることが、前回の石油危機の経験として私どもは知ったわけでございます。そういう意味で、六十日備蓄というのは、実際には四十五日との差額十五日分ぐらいが食いつぶしで直ちにそういう石油危機のときに対応できる量だということが判明したわけでございます。そこから、もし今後石油の供給が削減されるような場合がありましたときには、六十日備蓄では耐え切れない、またあのような混乱が起こるおそれがあるということで、まあ西欧諸国その他がやっております水準であります九十日備蓄に持っていきたいというのが、今回の計画でございます。そういう意味から言いまして、今後の石油の供給につきまして、それを確保するということで備蓄を持ちたいということでございます。 それから、もし石油危機が起こりましたときには、一昨年の年末に国会を通していただきました石油需給適正化法というものによりまして、この備蓄されましたものを危機に処して適正に配分するように責任を持ってやれるような体制ができたわけでございますので、備蓄ができましたらこれによって危機がきた場合に対処していきたいというのが、私どもの根本的な考えでございます。
○久保亘君 いや、私がお聞きしたいのは、国民の一人一人の経済的な安全保障のために、保険金のようなつもりで九十日備蓄のコストを国民は負担せよというのが通産省の方針でしょう。そういう説明でしょう。それならば、経済的な安全保障として備蓄コストを負担させられたのならば、その安全保障を政府にやってもらわにゃ困るんです、国家に。その安全保障というのは、石油製品の安定した供給と、安定した価格による供給ですよ。そのことに対する保障は何でなさいますかと聞いている。
○政府委員(増田実君) 石油のいま先生のおっしゃられました供給の確保と価格の安定につきましては、これは私どもの石油政策の根本的な命題だというふうに私どもも心得ております。石油需給適正化法は、これはまあ危機の場合に対処するものでございますが、現在の石油業法におきまして、先ほども矢野委員に御答弁申し上げましたように、石油の供給計画を立てまして、それによりまして供給の確保を図っているというのが、現在私どものやっておる石油の行政の内容でございます。
○久保亘君 まあ余りよくわかりませんが、ここで通産大臣にちょっとお尋ねしますが、最近石油企業の経営者の間で一部に石油国営論があります。この石油国営論というものについてどういうふうにお考えになっておりますか。また、今日その九十日備蓄計画が、法律に基づいて、国が資金の非常に多くの部分を負担しながら罰則を科して企業に義務づけていくというやり方で、しかも部分的に政府自身も備蓄の企業に参加をしていく、こういうような形でやられている場合に、これはある意味で石油国営化の一部分をなしているという見方もあるんですが、そういう点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 一部の経営者が不用意にそれに似たような発言をしたということは、私も間接に承知しておりますが、直接に真意を確かめておりませんのでよくわかりませんが、政府といたしましては、石油を国営にする考えはありません。ただ、この石油産業というものは、日本の鉄、電気等と並ぶ基幹産業でありますが、体質が非常に弱体である。こういう意味からこれを強化したい、体質を強化したいと、こういう考え方は持っておるわけでございまして、いまどういう形でこれを強化していくかということは、今後具体的に検討しなければならぬ問題だと心得ております。 それから、いま第二の問題としてお尋ねの、六十日を九十日にふやす場合には、それは政府は大幅な援助等をすると同時に、民間にある程度の義務づけをしておるではないか。それは一部国営的な意味を持つものではないかと、こういうお話でございますが、私はそれはちょっと飛躍でなかろうかと思います。六十日を超えて九十日にふやす三十日分につきましては、資金の面その他いろいろな面で援助はいたしますが、これは先ほど来質疑応答にございましたように、国民経済上どうしても必要である、安定供給上必要であるということが一昨年の石油危機から貴重な体験としてわかりましたので、どうしてもそういう意味で持ちたいと。経済的には、まあまず企業が持つのは六十日までである。そうすると、三十日は国民経済上、つまり国益上必要であるから持たせると、こういう意味でありますから、できるだけ金融上のめんどうを見ていく、あるいは補助をしていくと、こういう意味でございますので、これが直ちに国営につながるという議論には私はならぬと思います。
○久保亘君 まあ、経営そのものが直ちに国営ということではなくても、いま石油というものが単にエネルギーというような問題だけではなくて、国民生活の中の非常に大きな部分を占めているということで、国がある部門で直接管理をしていこうというような立場を今度の備蓄計画の中で出しておられるわけでありますから、そうなってまいりますと、少なくとも原油の輸入、それから確保ということについて国が責任を持っていく、こういうことになっていけば、国の責任でプールをした原油が、製品業者、製品企業、加工企業といったらいいんですか、製油所を含めて、その製品に至る企業にその原油が配られていく。そこからできてくる品物について、原油の安定した確保、それから輸入価格というものが、国の責任、国の外交等を通じてやっていかれるということになるならば、今度はその恩恵を受けて製造をしていく業者、業界が、その製品について、価格についてやはり国家の管理を受ける、政府の管理を受ける、こういうようなことが起こってくる必要があるのではないかという議論があるわけです。その点については、それはやっぱり別の問題だとお考えになりますか。
○国務大臣(河本敏夫君) これは、そういう議論を推し進めていきますと、ほとんど全部の産業にそういう議論が通用するわけでございまして、私はそれは少し飛躍でなかろうかという感じがいたします。
○政府委員(増田実君) この備蓄に関連しましていまの価格の問題を申し上げたいと思いますが、備蓄を義務づけいたしますのは、これは一たん供給が削減された場合に、そのときに対処するために使うわけでございますが、その場合には、やはり先般も行いましたような価格の指導、つまり指導価格の設定、あるいは標準価格の設定というものは必要になってくると思います。ですから、備蓄されたものが、危機が参りまして、そしてこれを供給する、つまり備蓄の食いつぶしを行うというような段階に達しましたら、やはり価格の問題につきましては国が相当関与せざるを得ないというふうに私どもは思っております。ただ、いま大臣から申し上げましたように、その備蓄の義務を課し、備蓄をやらしたり、あるいはそのほかの石油につきましていろんな原油の確保その他に国か入っていると、だからすぐに石油の価格について平時においても統制すると、こういうことは考えておらない次第でございます。
○久保亘君 また最初の問題に返りますが、大体石油九十日備蓄に関していま通産省が鋭意その作業を進められておる段階で、私どもがその具体的な計画を知ることができませんので、中身についていまここでさらに突っ込んだ議論をすることが非常にむずかしいんでありますが、現在石油企業によって日本列島の各地に巨大な備蓄基地や製油所が計画をされておるものについて、これは九十日備蓄計画と直接結びついて通産省との協議の上になされているものではなくて、それはあくまでもいまの段階では企業の独自の計画に基づいて進められているものと考えてよろしゅうございますか。
○政府委員(増田実君) まだ九十日備蓄計画の具体的な立地点その他決定しておりません。その意味では、現在いろいろの備蓄計画につきましてはこれは企業が独自に進めておるわけでございますが、ただまあ九十日備蓄政策を打ち出しまして、そして、若干いまの答弁から外れますが、これは企業にとっても相当大きないろんな意味の負担になるわけでございますが、私どもの方から、やはり石油企業を行っている以上、九十日備蓄政策に協力してもらいたいということで、相当強く石油業界に働きかけておるわけでございます。そういう意味で、石油業界の一部で先駆けて備蓄基地の検討を行っているというのもありますし、また、私どもの方にいろいろ相談もあるわけでございますが、ただ、一番最初に申し上げましたように、まだ具体的な立地計画その他については決まっておらないのでございます。
○久保亘君 そうすると、政府の側から特定の場所について直ちに石油備蓄基地として協力をするようにと、こういうような働きかけが行われることはないと考えてよろしゅうございますか。
○政府委員(増田実君) 現在のところではまだそこまでは至っておらないわけでございますが、今後この九十日備蓄を計画的にやりますためには、私はやはり政府もこの推進に努力しなければならないと思っております。ただ、現段階では恐らく一部の企業が地元の意向を打診するということでやっておるのが幾つかあることは聞いておりますが、これは政府が決めた地点での建設のために行っているんではないということは先ほど申し上げたとおりでございます。
○久保亘君 最後に、通産省の、この資源エネルギー庁の出されております資料の中に、石油備蓄施設安全対策調査費等補助金の交付というのがあります。これが五億円計画されてるんです。この補助金は一件五千万、こういうことのようなんで、五億円計画されているということは、十カ所この石油備蓄基地をつくるという考え方に基づくものですか。
○政府委員(増田実君) 今回、予算要求いたしまして、五億円しかつかなかったものですから、これをまあ効率的に使用するということで一件五千万円ということになっておるわけでございますが、ただ、先生のお尋ねのように、それなら五千万円の十カ所というものがあるのかということでございますが、これは備蓄基地として適当かどうかというものをまあ判定いたしますための調査費でございますので、そのまま十カ所の備蓄基地ができ上がるということを予定しているのではございませんで、備蓄基地として相当可能性の高い、そして調べる必要があるというものにつきまして一件五千万円ずつ交付いたしたいという考え方でございます。
○久保亘君 そうすると、都道府県に対して補助金が出されるということでありますが、それはその都道府県のどこかに政府が備蓄会社の立地を計画した場合に行われるわけですね。政府がそのような計画をその都道府県に持たない場合にはこれはあり得ない、そして、その受け取った都道府県は、この備蓄基地の安全対策調査をやってその五千万の金を使った結果、その安全対策調査に基づいて断ることができる、そのようなふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(増田実君) そのとおりでございます。この五千万円を交付したから必ず備蓄基地を建設しなければならないわけではございませんで、十分いろいろな安全調査をいたして、その結論で、ここは備蓄基地として不適当だという判断がなされれば、これも私は調査の目的を達したというふうに思うわけでございます。
○内田善利君 私は、きょうはNOxの排出規制について、自動車排気ガス規制が、五十一年規制が五十三年まで延ばされたわけですけれども、これに関連いたしまして固定発生源のNOの排出規制の問題、そして総合的な総量規制の問題にまず入っていきたいと思うんですが、昭和四十八年の五月にNO2の環境基準〇・〇二PPmが決まりまして、この目標達成のために自動車では四十八年、五十年、五十一年規制と目標が決まって努力をされてきたわけですけれども、あのように五十一年規制は後退しておるわけですが、固定発生源のNOxの排出規制については、この環境基準達成のために四十八年の七月三十一日閣議決定で大気汚染防止法の施行令を改正するということになりまして、四十八年の八月十日施行になったわけですが、この排出規制の決定によって今日各企業は努力をしていると思いますが、まず、この排出規制検討委員会が中間報告を出しておるわけですね。この中間報告が出ておりますが、この中間報告のまま閣議決定がされたわけですが、最終報告というのはどうなっているのか、まずこの点をお聞きしたいと思います。
○説明員(鈴木晃君) 委員会から中間報告が出たわけでございますが、一応この中間報告で終わりまして、最終報告は出ておりません。
○内田善利君 これを見ますと、最終報告にはなってないわけですね。本当に中間報告だと思うんです。この中間報告に基づいてその後どういう対策がとられたのか。お聞きするところによりますと、この委員会はもう自然消滅している、こういうことですが、そういうことでは全体的なNOxの規制という点から非常に困るわけですね。だから、その後の対策といいますか、これはどうなっておりますか。
○説明員(鈴木晃君) 窒素酸化物の固定発生源に対しましては、御指摘のとおり四十八年の八月に大型ボイラー、それから過熱炉及び硝酸製造施設等について排出基準を定めたわけでございますが、将来の対策といたしましては適用規模の拡大とか施設の追加等、排出基準の強化を図っていきたいと思っております。 それから、総量規制の実施のため必要なNOxの汚染シミュレーションの手法の確立等努力しておりまして、なるべく早い時期に総量規制の実施等に入ってまいりたいと思っております。
○内田善利君 排煙脱硝の技術開発はどうなっているのかですね。これは通産省にお聞きしたいと思いますが、排煙脱硝の技術開発の問題。昨年は環境庁も通産省と同じようにメーカー呼ばれてアンケートをとっておられるようですが、この技術開発の面について国の予算、これはどのようになっておるのか。工業技術院が金を出して技術開発もやっておられるわけですが、これとあわせて技術開発の面についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(大薗英夫君) 工業技術院の試験研究機関で脱硝技術の研究をいたしておりますが、その金額は五十年度のお願いをいたしております予算では三億五千万でございます。なお、工業技術院から民間の研究開発の促進のために、 〔主査退席、副主査着席〕 重要技術研究開発費補助金ということで補助金を民間に対して六億支出をいたしております。
○内田善利君 これによってできた大気汚染防止法の施行令の改正で、鉄鋼業関係の焼結炉、コークス炉、こういったものが防除技術がないということで規制対象外になっているわけですが、この理由は何でございましょうか。防除技術がないということで規制対策外にしたいというのはちょっと腑に落ちないんです。
○説明員(鈴木晃君) NOxの低減策といたしましては、燃焼法の改善によりまして発生そのものを抑制する方法と、それから出てまいりましたNOxを化学的な反応で吸収してしまう、ないしは分解してしまうという方法があるわけでございまするが、脱硝技術につきましては、現在、国初め各メーカーで開発中ではございますが、現在のところ、脱硝技術が一応確立したと言えるのは、ガス燃料を燃やしたときのような、かなりクリーンな排ガスについてだけでございまして、その他ボイラー排ガス等につきましても、まだ実用化まで至ってないという状況でございます。特に焼結炉等におきましては、ばいじんないしSO2の含有量が多うございますので、触媒のライフその他反応条件等いろいろむずかしい点がございますので、まだ実用化されていない状況でございます。
○内田善利君 この規制に基づいて電力業界も一部ボイラーを改造するとか、それから火力発電所等では二段燃焼法とか、あるいは排ガスの循環方式とかいろいろ工夫をして脱硝技術の開発に努力しているわけですね、こういう規制ができたのでさあ大変だということで。それから石油業界も大体同じですね。ところが鉄鋼業界はそういう規制がなかったもので、規制値がないから、自動車排気ガス規制と同じで、改良の努力といいますか、あるいは開発の努力というのか、そういうのが私はないように思うんですが、この点はいかがですか。
○説明員(鈴木晃君) 確かに鉄の焼結炉につきましては規制値はないわけでございますけれども、私たちが承知しておりますところによりますと、現在鉄鋼業界でもNOx開発基金を設置して研究開発を進めるとか、また個別に製鉄所に実際にテストカウントをつけて開発しているとか、かなり努力をしているように聞いております。
○内田善利君 努力しているように聞いておられると言いますが、やっぱり自動車排気ガス規制と同じで、目標値がなければなかなか目に見えた努力の成果というのは上がらないと思うのですね。と言うのは、この目標だって五年後、八年後を目指しているわけですから、だからやはり鉄鋼界にしてもいろんな理由があったにしても、全体的な環境基準が設定されて、〇・〇二ppmは環境基準として守ろう、そのためには自動車の排気ガスはこうしょうと、それで四十八、五十、五十一年と目標を決めたわけです。固定発生源も、こうして大気汚染防止法の施行令を変えた。ところが、鉄鋼業界だけこれに入ってないということは、こればよくないと思うのですね。 〔副主査退席、主査着席〕 一方だけ規制して鉄鋼業界だけは残した。いまだにこの目標値は決まってない。そういうことで一番困っているのはどこかというと、地方自治体です。条例を出そうにもめどがない。また、鉄鋼業界とのコークス炉とか燃焼炉とか焼結炉とかから出る排気ガスを、上乗せ基準を決めようとしても、めどがありませんからね、国が決めてないから。非常に困っているわけです。ですから、私はこれは早急に決めるべきじゃないかと、こう思うんですが。
○説明員(鈴木晃君) われわれといたしましても、確かに規制によりまして技術開発の努力をさせるというのも一つであるわけでございますが、一応開発状況の進展を見ながら、どの時点になったら大体規制に合わした技術開発ができるだろうかということを勘案しながら基準値をつくってまいりたいと思っております。 したがって、われわれといたしましては、常時技術開発の状況をチェックいたしましてそういった作業を進めたいと思うわけでございますが、昨年夏一度やりましたし、それから最近またそういった技術開発状況の調査をやることにしておりますので、そういった結果を見ながら、なるべく早い時期に鉄の焼結炉等につきましても基準をつくるように努力したいと思っております。
○内田善利君 やっぱり環境基準を決めているわけですからね、そして各炉から出てくる排気ガスも決めたわけですから。ところが、鉄鋼業界だけ開発技術の結果を見てということになりますと、自動車排気ガス規制と同じで、メーカーができるできない、そういうことで規制というものはなかなかできないと思うのです。やはり環境基準に基づいて目標を決めてやるべきだと思うのです。そういうことを言われるから、五十一年規制はきちっとやるべきだと、こういう国民の声が起こってくるわけですよ。今度の場合も、技術開発を待ってということになりますとね、なかなか規制も決まらない、また地方自治体も困っている。そういう結果になると思うのですね。早急に鉄鋼業界の焼結炉あるいはコークス炉、目標値を決めるべきだ。中間報告もそう書いてあるじゃないですか、早期に決定すべきであると。ところが早期じゃない。四十八年いつですか、十二月ですか、これはもうたっているわけですからね。早期にやっぱり決定して。だから、この中間報告だけあって最終報告がないのは不思議なんです。これはみんなペンディングなんです、これはもう、中間報告というのは。
○説明員(鈴木晃君) NOxの場合につきましては、環境基準の達成目標年次というのがあるわけですので、われわれとしてはその達成目標年次までに必ずその環境基準実現ということを目指しましていろいろ作業をやっておるわけでございます。したがいまして、現在規制対象になってない設備につきましても、幾らおくれましても、環境基準達成目標という一つの大きな縛りがあるわけでございますので、そういったスケジュールに沿って規制値を定めてまいりたいと思っております。
○内田善利君 それから、NOxの現在の測定局ですね、測定局、これは非常にお粗末ですね。国の基準に従ってやっておられるんだと思うんですけれども、二十五平方キロメーターに一個ですか、これでは環境基準あるいは排出基準、これを完全実施していくためには非常にお粗末だと思うんですね。だから、もう少し、亜硫酸ガスほどまではいかなくても、やっぱり酸化窒素の場合も測定局の強化をしていくべきじゃないかと。大牟田の場合でも一カ所しかないんですね。ことしできて、二カ所ですか。そういうことでは、環境基準を守るためにはまだまだ力が足りないと、こう思いますが。
○説明員(鈴木晃君) NOxの測定局につきましては、先生御指摘のとおり、必ずしも現在十分ではございませんが、一応、国の補助等によりまして現在かなり急速にふえております。 御参考までに申し上げますと、四十五年度には三十九局しかなかったわけでございますが、四十八年度末では三百二十九局ございます。なお、これは一般環境用の測定局でございまして、このほか自動車排ガス測定局が百二十二ございます。まあ約四百五十ぐらいあるわけでございます。ただ、これでも、現在SCの測定局が千七十一あるわけですので、こういった点と比べますと、まだまだこれから整備を進めていかなければいけないと思っております。したがいまして、われわれといたしましては、国の補助金等で自治体の設置を大いにカバーしていこうというふうに考えております。
○内田善利君 それから、NOxの総量規制、これはどのように考えておられますか。
○説明員(鈴木晃君) NOxの総量規制につきましては、総量算定に必要な汚染予測の手法がまだ現在確立されてないこともございまして、総量規制の導入がおくれているわけでございますが、環境庁といたしましては、今後、排出実態及び汚染源の実態把握等に努めるとともに、汚染予測手法の確立、それから排出防止技術の確立等を急ぎまして、その結果を踏まえまして、できるだけ早い時期にNOxの総量規制を導入していきたいと考えております。このため、五十年度におきましては、四十九年度に引き続きまして、窒素酸化物の汚染予測シミュレーションの開発を図ってまいりたいと思っております。
○内田善利君 NOxについては、大臣にお聞きしたいんですけれども、いまお聞きした状況にあると思うんですが、時間がありませんので簡単に終わりましたけれども、やっぱり脱硝技術の開発、これはもっともっと国が金を出して開発を急ぐべきじゃないかと、こう思うんですね。それと、監視体制、測定局の強化、それから排出基準の完備ですね、鉄鋼関係が残っておりますから、完備、そういったことをやっていって、本気になって取り組んでいかなければ、また自動車排気ガスのような、私たちは後退と言っておりますけれども、そういうことになりかねない。もう少し開発技術に対する国の予算、こういったことを考えるべきじゃないかと、このように思いますが、この点いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 大変貴重な御意見を聞かしていただきましたが、そのような方向で努力をいたします。
○内田善利君 それからもう一つ聞いておきたいのは、SOxの総量規制が昨年できたわけですね。十一地区、地域が規制指定地域になったんですけれども、これを見ますと、非常に大事な公害補償法による指定地域などは当然入れるべきだと思うんですが、そういうのが入っていない。私、大分と大牟田、あるいは鹿島とか、こういったところは当然入れるべきだと思うんです。早急にこれは入れていただきたいと思うんですが、どうなんですか。
○説明員(鈴木晃君) SOxの総量規制につきましては、第一次の指定といたしまして十一地域を指定したわけでございますが、一応、大気汚染防止法のたてまえ上、総量規制につきましては、工場または事業場が集合しておる地域で従来の排出規制のみによっては環境基準の確保が困難であると認められる地域を指定していくことになっております。 先ごろ指定いたしました十一地域では、この趣旨に沿って硫黄酸化物の排出基準を、これはK値なんですが、厳しい値に決められているにもかかわらず、相当広い範囲にわたりましてSOxの環境基準を超えている汚染がある地域を決めたわけでございます。大体K値で言いまして第一、第二ランクのほとんどの地域が指定されたわけでございますが、来年度におきましては第三ランクの中から、法の趣旨に沿った地域を選んでまいりたいと思います。先生御指摘の大牟田、大分、鹿島等につきましても、汚染の実態及び地方自治体等とも相談しながら検討を進めてまいりたいと思っております。
○内田善利君 聞くところによりますと、大分のような開発地域ですね、開発未完成地域ですか、こういう地域は総量規制は後回しだと、開発ができてから総量規制をやるんだと、こういうふうに環境庁あるいは通産省あるいは自治体の役人の皆さんが言っておるんですが、そういうことでは私はまずいと思うんですね。開発ができてからやるんだと、大牟田なんか総量規制とんでもない、あそこは開発途中だ、開発ができてからやるんだと、こういうことを聞くんですが、どうなんですか。
○説明員(鈴木晃君) われわれといたしましては、開発地域であるかないかということよりも、現在の規制によって環境基準の確保が困難であると考えられる地域を選んでまいりたいと思っております。
○内田善利君 ですから、大分とか大牟田は当然私はこの十一地域に入れるべきだと思うんです。それが入れてないわけでしょう。
○説明員(鈴木晃君) この点につきましては、現状の汚染の実態、それから今後のK値の強化だけで果たして環境基準の達成ができるかどうか、その辺をよく検討いたしましてやってまいりたいと思っております。
○内田善利君 時間がありませんのでこの程度にしますが、もう一つは、PCBが生産を停止しておるわけですけれども、この環境汚染の状態、そしてその廃棄物がどのように処理されておるのか、こういう問題と、今度はそのPCBの代替品ですね、PCBが工業界になくてはならないきわめて優秀なものであるがゆえに、PCBと同じ種類の、たとえばPCBと同じ、塩素にかわる臭素、同じハロゲン元素である臭素を使って、臭素が入ったPBBというようなものが非常に効果が大きいということで使われておると、このように聞いております。こういうPBBあるいは大阪方面ではPCTとか、いろんなものが既存化学物質として、化学規制法以前の既存物質として出回っておるわけですが、こういったことについて毒性テスト、これがなされてないわけですが、この点についてどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
○説明員(松田豊三郎君) 最初の方のPCBの環境汚染の状態でございますけれども、これにつきましては、すでに環境庁が関係各省の協力を得まして、四十八年に全国の総点検をいたしております。その結果によりますと、四十七年度の調査に比べましてかなり改善の跡が見られまして、四十七年度調査の後に対策を講じた地域もございますが、そういうこともございまして、環境の改善の結果が見られておりますけれども、その結果につきましては昨年の秋に公表いたしておりますが、まず魚介類調査でございますが、これは過去の調査におきまして問題とされました二十水域の三千三百六十九検体について行いましたが、その結果、東京湾の北部の水域など十六水域でございますが、これらの水域につきましては魚獲の自主規制が行われておるわけでございますが、これについてはさらに安期的な調査を行わせるということになっております。 その次に水質の調査でございますけれども、これにつきましては、過去の調査におきまして魚介類の汚染が問題にされました水域、それから底質の調査において一PPm以上の濃度のPCBを検出いたしました水域につきまして調査を行いましたが、このうち本年の二月三日に実は環境基準の設定をいたしましたが、この基準値を超えるものが四三%で五十五検体ございました。その水域の数は全国で十八河川、それから海域の数といたしましては、岩国海域等二十二水域でございました。これらの水域につきましてはその原因の究明をいたしまして、所要の対策を講ずる、こういうふうにしているわけでございます。 それからさらにヘドロ——底質でございますが、これにつきましては、河川、港湾、海域、合計で三百五十四水域の調査を行いましたが、このうちPCBの含有量が暫定除去基準、これは一〇PPmというふうにいたしておりますが、これの基準値を超える水域は五十一水域というふうになっております。これらの水域につきましては、すでに除去対策を行っているものもございますが、それ以外につきましても逐次早急に除去するように指導しているところでございます。四十七年度の調査では非常に高濃度の地点もございましたけれども、その後の対策等によりまして全般的には改善の跡が見られる、こういうふうな状況でございます。 なお、廃棄物でございますが、PCBの含有する廃棄物につきましては、まず、PCBそのものの原液の処分というものもございます。それからPCBを含有する廃棄物の処分というものもございますが、PCBの原液の方が現在PCBを生産いたしました工場の方に回収して保管しているわけでございますが、その他のたとえばノーカーボン紙でありますとかいうふうにPCBを含有する廃棄物、これの廃棄の問題もあるわけであります。それから一般にPCBを含有する汚泥その他等の廃棄物がございますが、これらの廃棄物の処分につきましては、環境庁といたしましては、水質と基準の設定が行われましたので、これに基づきまして、それらの廃棄物の処分基準についても中央公害対策審議会の答申を得ましたので、近く政令によりまして基準の設定をするというふうなことを考えております。その準備を急いでおる段階でございます。 なお、PCBの原液でありますとか、あるいはそれを高濃度に含有するものにつきましては、これを通産省の試験結果等によりまして無害化処理をする、焼却処分等をいたしまして無害なものにするという、分解をするということをたてまえにいたしております。あるいはPCBの付着した混合物等につきましても、これを完全に除去して環境の汚染を生じないようにするという考え方のもとに、処分基準の設定を急いでおるところでございます。
○政府委員(矢野俊比古君) PCBの代替品のお尋ねでございました。現在私ども八種類の系と申しますか、アルキルナフタリン系とか、アルキルフェニルエタン系とか、鉱油系とか、いろいろ八種類くらいの系に分かれておると思います。いまちょうど先生から御指摘がございましたPBBでございますが、これは、調査したところでは輸入にまっておりまして、年間三十トンぐらい。大体鉱油系が十三万トンというのが非常に多うございまして、後は、アルキルナフタリン系で四千三百トン、アルキルフェニルエタンが二千トンというオーダーで生産されておるわけでございます。 われわれとしては、こういったものにつきまして、既存の物質につきましても化学品安全センターの既存化学物質の毒性検査というものをやっておりますので、たとえば、いまお話ししましたあれで非常に少いわけでございますけれども、できるだけこういった安全センターを活用いたしまして、試験を十分進めていくと、こういうように考えたいと思っております。
○内田善利君 いろいろな既存化学物質が出回っておるわけですね。これは、PCBは特定物質として規制されましたからいいですけれども、PCB類似品が非常に有用であるために、使われておるわけですね。いまのPBBなんかも、日本でつくっていないので外国から購入してまで使っている。これは塩素のところに臭素がくっついただけですから、全然全く同じだと思います、分解性も全く同じ。そういうものが使われておるということは、やっぱり問題だと思うのですね。そして、毒性テストも全然やっていない、また毒性もわからない、そういうものでございますから、非常に危険な環境になりつつあると、そのように思うわけですが、したがいまして、私が希望したいことば、現在難燃剤として何を便っているのか、それから熱媒体として何を使っているのか、それから潤滑油として何を使っているのか、こういうことを一遍報告していただきたい、このようにお願いするわけです。 そういったことで、PCB類似品といいますか、PCB代替品が毒性検査されないまま出回っておるという実態、非常に環境が汚染されて危険でございますから、この点もひとつ十分毒性テスト、また慢性テストまでやっていただきたい。このPBBは「技術と人間」という本にありまして、何かアメリカで誤って事故で飼料の中に入って、牛乳が汚染された、牛乳が出なくなったと、そういう記事が出ておるわけですが、そういうPBBが全くPCBと同じだと、こういうものが日本にも輸入されてPCBのかわりに難燃剤として、またプラスチックの可塑剤として使われておるということは問題だと、こう思うわけです。ですから、PCBが有用であったがゆえに、しかも毒性があったがゆえにいま生産を中止している。ところが、代替品が出回ってくると非常に環境汚染の上でよくないと思いますので、ひとつこの点十分毒性テストをしていただきたいということをお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(矢野俊比古君) いま御指摘になりましたいろいろの熱媒体とか、あるいは絶縁油というようなことにつきましての資料は、早速作成して御報告をいたします。 それから、御指摘のありましたそういった技術と人間の記録だそうでございますので、そういう点は私ども真剣にこれは取り上げていかなければいかぬと思います。五十年度予算も相当安全対策は大蔵省からも大きく拡大してもらっておりますので、この運用の中でしかるべく早くこういったものの試験に移ると、こういうふうにさしていただきたいと思います。
○渡辺武君 最近大島つむぎなどを初めとして、いわゆる和装品産業が韓国などからの輸入の急増によって非常に深刻な打撃を受けているという状況であります。先日の当予算委員会の集中審議にも、奄美大島のつむぎ業者の代表や、和装品業界の代表などが参考人として参られて、るる実情を述べられましたので、通産大臣もよく御存じのことと思います。私も細かい資料は、時間の関係で申し上げませんけれども、そのときの質疑応答を伺っておりますと、通産省の調査では、韓国からのつむぎの輸入は大体三万反前後というような御答弁がございましたけれども、私ここに、京都の税関の支署が昨年の七月、八月の両月にわたって調べた資料を持っておりますので、それを御参考までに申しますと、昨年の七月、つむぎの輸入は、税関を通っただけで二千三百三十九反、ところが、八月にこれが三千六百八十六反、約五割もふえている。それから、友禅のかすりですけれども、これが七月が五百一反、それが八月には二千五百七十六反、約五倍に急増している。白生地は七月が六千三百五十反、八月が一万八千九百十七反、約三倍にふえております。羽織は七月が百六十着、八月が六百六十着、約四倍にふえる、ものすごい急増ぶりを示しているわけです。この低い方の七月の数字で計算しましても、大体年間約三万反前後と、こういうことになりまして、京都の税関を正式に通ったというものだけでもう三万反前後になっているのですね。このほか、最近では飛行機で来る人が手荷物で持ってくるとか、あるいは郵便で送るとかいうようなことで、大体業界で十万反と踏んでいるのはほぼ妥当な数字じゃないかと、私の方でもそう考えられるわけであります。で、非常に深刻な状態で、いまの不況下ですから若干その影響もありましょうけれども、ほとんど同じものが韓国から入ってくるということですから、仮にこれが好況に変わっても、これはもう業者の存立の基盤が掘り崩されるというような事態になるわけでございまして、この状況は緊急に解決しなければならない事態だと思うのです。 そこで、大臣に伺いたいのですが、通産省としてこれに対してどのような対策をいまおとりになっておられるのか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) お話のように、きわめて深刻な事態であるということにつきましては、われわれも十分認識をいたしております。つきましては、先月も通産省の代表を韓国側に派遣をいたしまして、問題点につきまして具体的に相当突っ込んだ話をさせまして、先方側もよく日本側の現状及び意向というものを了解をせられまして、真剣な討議をしてくれたわけでございますが、現在、それにつきましていろいろ数量を、今後どういうふうに秩序ある形で持っていくかというふうなことについて話し合いをしているわけでございますが、さらにそれを煮詰めるために、近日通産省の代表として政務次官を団長とする若干名の者を派遣をいたしまして、引き続いて具体的な数字の検討に入りたいというふうに考えております。
○渡辺武君 これはけさの日本経済新聞ですけれども、いま大臣のおっしゃったような措置と同時に、通産省として実態調査を行うというような記事も出ておりますけれども、業界の被害の実態調査などは進めておられますか。
○政府委員(野口一郎君) こういう事態にならないときにおきましても、正確な業界の実態をつかむことが、われわれはいわゆる通産原局と申しますけれども、原局の仕事の第一歩であり、一番基礎になることだと心得えておる次第でございますけれども、いま先生御指摘の大島つむぎを初め、もうちょっと広い意味の絹織物とか、不況の影響もございますが、同時に輸入の増加による何ほどかの影響を受けているものと思われる業種、物につきまして、さらに念の入った、詳細な調査をやりたいというふうに考えております。そうでなくても実は不況になりましてから、いろいろなやり方を通じまして、現地の状況は定期的にある種のフォームを決めまして、報告をいただいておりますし、あるいは現地の方々に出てきていただいてヒヤリングで状況を聞くということばやっておるわけでございますけれども、なかなか情勢がむずかしい情勢でございますので、さらに一段と念の入った調査をやっていきたいというふうに考えております。
○渡辺武君 ちょっと遅きに失したですね。とにかく、これは業界の方の資料ですけれども、奄美、鹿児島、両産地でのつむぎの生産高のうち、いま韓国産と競合しているというものの製品は三万七千反、そのうち——そのうちというよりも、他方で約十万反近くが韓国から入っているというような状況でして、いま、業界の計算ですと、大体滞貨が十五万五千九百七十八反ある、その金額は約九十三億五千八百万円だというような数字も出ているわけですよ。非常に深刻な状況なんですね。大体大島郡一帯で四人に一人が何らかの形でつむぎで暮らしている。私も名瀬市に行って実態もよく見てまいりましだけれども、あそこでは三人に一人、後の産業はサトウキビだと。いまのキビの状態は、もう説明するまでもなく、非常に深刻な状態ですから、このつむぎ産業がつぶれたら奄美大島全体がもうどうなるのかというような事態に来ているわけですね。 ところで、私申し上げたいのは、先ほど大臣がおっしゃった韓国に行かれて話を進めておられると、これはやらないよりも結構なことでありますけれども、これで韓国側にいわゆる秩序ある輸出を要請するということでは、私は、いまの事態は防ぎ切れないんじゃないかという感じがするんです。と申しますのは、ジェトロが調査しましたところでは、一九七三年の当時ですけれども、韓国ではすでにメーカーが三十社、下請が五十社、それで大島つむぎの五万二千八百八十反をすでに当時生産していた。それだけでなくして、韓国では和装織物生産五カ年計画というものをつくって、着々つむぎの生産に取り組んでおりまして、大体最終年度の七六年の予定では、つむぎ四千五百万ドルを生産すると。この調査した当時ちょうど一ドル三百円でしたから、それで計算して見ますと、約百三十五億円、奄美の産地の生産量に匹敵するくらいのものが、これが来年にはもう生産されるだろうと言われているわけですね。そうしますと、韓国の方ではどんどん生産がふえてくる。急増する。初年度に比べて七六年の目標は九倍ですから、物すごい勢いでもって増産している。そうしておいて秩序ある輸出を求めたって、これは向こうとしてもなかなかこれは大変だという状況になるだろうと思いますね。私は、こうした秩序ある輸出を求めるということは、やらないよりも結構ですけれども、その基盤は、これは大島つむぎなどが貿易の輸入自由化品目になっている、そういうところに根拠があるのじゃないかと思うんですね。自由化品目だから輸入の制限ができない。したがって韓国側の自主規制を求めると、こういうような動きだろうというふうに思います。これは通産大臣どうでしょう。自由化品目ではなくして、非自由化品目にして、数量制限をみずからの手でやる、こういう措置をとる必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 先に、いろいろな具体的な事実をお述べになりましたので、局長がそれに対して説明をいたしまして、その後で自由化問題に対して私からお答え申し上げます。
○政府委員(野口一郎君) 最初に、本場大島つむぎの生産の状況でございます。先ほど先生三万五千反とおっしゃいましたが、これは三十五万反のあれだろうと思います。それは私も実は現地の方から聞いて、三十五万反だと。昨年の生産は大体大ざっぱに七十五万反でございました。ただ、その中に品質の高級なものもあるし、まあ比較的品質の低いものもある、そのうち競合するおそれのあるものが三十五万反ぐらい、こういうことで、それに対しまして、業界の方では、十万反入っておる、これは相当のひどい競合ではないかと、こういうふうに言っておるわけでございますが、大体私どもの推計で七十五万反ぐらい、これは検査をやった結果ですね、こういう報告を受けております。これは四十八年の生産に比べまして約五%の減少と申しますか、ダウンでございます。特にその生産が減ったということ、あるいは特に奄美大島の場合、島だというようなことから、必ずしもその数字だけから物事を判断するわけにはまいらぬかと思うわけでございますけれども、一般的に繊維製品あるいは絹織物業は昨年より不況でございまして、五%、あるいは一〇%という生産減を見た品種はいろいろとあるわけでございます。もっとも、その中でも島嶼、島である、それから先生御指摘のように、これしか産業がないというようなことで、なかなか仕事が……
○渡辺武君 実情はわかっているからね、時間がないから。
○政府委員(野口一郎君) それから次に、韓国の状況でございます。 韓国の方につきましては、大臣が先ほど言いました以外に、将来の問題といたしまして、韓国政府は、この韓国産の大島つむぎの生産設備は今後増設することはいたしませんということとか、あるいは生産の奨励はいたしません、で、その背後に、例のセマウル運動、農村工業化の運動があるわけでございますけれども、それの目玉にもいたしません、という説明なり考え方を報告をしております。現に向こう側でそのとき言ったのは、六十七工場あるんだけれども、そのうちの四〇%は閉鎖しておりますと、こういうことを言っておりました。それから、将来に対しまして生産を奨励するようなことはございませんと、こういう説明でございましたので、先ほど先生がおっしゃいました和装振興五カ年計画というもの——私もつまびらかにはいたしておりませんけれども、その計画は少なくとも大島つむぎに関する限り変更されたものというふうに私ども了解しておるわけでございます。 以上でございます。
○国務大臣(河本敏夫君) まあ韓国との貿易を調べますと、日本からは大きく出超になっております。そういうこともありますし、それから、わが国が貿易立国で、特に新国際ラウンドに近く臨もうとしているわけでございますが、いまおっしゃったようなことは、なかなかこれ、むずかしいんです。でありますから、とにかく当面は先方と強力な話し合いをいたしまして、そして先方がこの大島つむぎ等についてこれまでのような輸出をするということは、わが国においては関係するところが非常に大きいと、であるから両国の親善関係を維持するために、やはり思い切った秩序のある輸出ということを積極的かつ計画的にやってもらわないと、経済協力全体にも響く、国交関係全体にも響くというふうなこと等も真剣に述べまして、そうして何とか話し合いによる協定に達したいというのがいまの私どもの考え方でございまして、とにかく全力を挙げて話し合いを続けていきたいと、こう思います。
○渡辺武君 話し合いを続けられることは結構だと思うんです。しかし、やっぱり安心できる歯どめというものは必要だと思うんですよ。で、私は、この大島つむぎなど、いわゆる伝統的工芸品産業ですね、これは技術が伝統的技術であり、原料がそういうものであるということから、その存在価値を持っているものだと思うんですね。だから、ほかの商品のように、機械化して大量生産できるというようなもんじゃないんですね。しかも、そのマーケットというのは非常に限られている。日本の国内だけですよ。しかも特定の人たちが着るだけというような状況でしょう。そういうものをそもそも自由化したというところに私は政府の根本的な間違いがあったのじゃないか。それが今日の事態を来した一つの大きな原因になっていると思うんです。伝統的工芸品産業振興法という法律があります。これは議員立法でできたものでありますけれども、しかし、とにかく政府はそういう産業の振興をあの法律によって一応義務づけられているわけです。したがって、そういう立場からしましても、これの類似の商品あるいは競合する商品、こういうものがいつ入ってきて、いつ打撃を与えるかわからぬというような事態に置いておくというのは、私は国の貿易政策としても根本的に間違っていると思うんです。いまの貿易立国ということもわからないわけじゃない。ないけれども、しかし、こういう特殊な産業、本来自由化すべきものでない、国際的競争などということにとうてい耐えることのできないようなこういう産業は、当然これは非自由化品目にすべきじゃないかというふうに思いますが、重ねて御答弁いただきたい。
○国務大臣(河本敏夫君) そういうふうな措置をとりますと、貿易上非常に大きな影響が出てくることはもう明らかでございますので、なかなか思い切ったことはできない。いずれにいたしましても、事の重大であるということは非常に認識しております。とにかく全力を挙げて話し合いをしてみたいと、こう思います。
○渡辺武君 大臣そういうふうにおっしゃっているところ重ねて言うのもちょっとくどいようで恐縮なんですけれども、たとえば、いまガットが公式に認めている非自由化品目、これは大体五十二品目わが国ではなっていますが、そのほかに、ガットが認めてはいないけれども、しかし日本の政府が非自由化品目にしている、これが三十一品目ありますね。中には電算機のような大きな企業の生産にかかわるものもあるわけですよ、もちろん農産物等々が一番多いわけですけれども。政府はやる気があればできると思うんです。したがって、窮状にあるこういう伝統的工芸品産業を何とか救っていく、そうして今後こうした事態が二度と起こらないような措置をきちっといまこの際講じておくということは私は必要だと思うんです。これは政府がやろうと思えばできることだと思う。重ねて伺いたいのです。
○国務大臣(河本敏夫君) いま電算機の話が出ましたが、電算機も近く全面的に自由化をする予定になっておりまして、農産物を中心といたしまして若干非自由化品目が残っておることは事実でございますが、これを順を追うて全体としては自由化していく、そういう傾向にあるわけでございまして、わが国の置かれておる立場、またわが国の実情、そういうことから考えまして、自由貿易という原則が確立しませんと日本はやっていけないわけなんです。その日本の基本的な立場というものがありますので軽々な態度をとれない。しかし、問題は深刻であるから何とか解決をしなきゃならぬ、こういう立場でせっかく努力をしておりますので、もうしばらくひとつお待ちをいただきたいと思います。
○渡辺武君 非自由化品目にするということが非常に困難だという御趣旨の御答弁なんですが、それならば、いま起こっているような事態、つまり特定品目の商品の輸入が急増して、そうして国内の産業に著しい打撃を与えておる、こういうような事態はまさにガット十九条の緊急措置を講ずることのできる事態に該当すると思うんですね。そこで私伺いたいのですけれども、こうした事態に立ち至ったときに、外国からの輸入品の数量を制限するということが日本の国内法でできることになっておりましょうか。
○政府委員(野口一郎君) 通常の製品におきまして、それが国内の産業に非常な影響を与えていくというような場合に、それを守る方法というのは、いま先生が御指摘されましたように、ガットの十九条というセーフガードの条項がございます。 そこで、このガット十九条にはいろいろ定める条件があるわけです。これは先生御存じだと思いますけれども、この条件というのはなかなかシビアでございます。このシビアな条件に充足をすることがまず第一でございます。ところが、この要件に該当しておりましても、やはり現実にその十九条を発動するということになりますると、さらにいろんなこれは内外の問題、あるいは国際的な問題等も同時にあわせて考え、総合的に判定をいたす、こういうことになるわけでございます。国内的には、先生御指摘のように関税定率法とか、あるいは貿易管理令とかいう制度はございます。
○渡辺武君 伺いたいのは、関税上の措置のあることは私も知っています、緊急関税。しかし、どうですか、輸入制限を行うようなことのできる法律はありますか。
○政府委員(野口一郎君) 数量につきましては、輸入貿易管理令で数量の制限はできるような規定がございます。
○渡辺武君 何条ですか。
○政府委員(野口一郎君) いま調べておりますけれども、第四条ではないかと考えます。
○渡辺武君 それは緊急輸入制限についてのものですか、それとも一般的なものですか。
○政府委員(野口一郎君) 一般的にでございます。
○渡辺武君 だから、つまりガット十九条はある。日本が加盟している。ところが、そのガット十九条に基づいて緊急な事態に即応して輸入制限をするそういう特別な法的な措置がないので、数量制限をやる。ところが、アメリカでもカナダでも豪州でも、御承知のように日本商品はそれぞれの国の国内法でもって、もちろん関税上の措置もとられるけれども、同時にまた輸入数量制限措置もとられているでしょう。何で日本の国内だけないのですか。
○政府委員(野口一郎君) 日本はもちろんガットに入っているわけでございますので、数量制限をもって国内の産業を守ろうというような場合には、ガット十九条で定めるような要件の場合に限って輸入を制限するという慣習になっております。 先ほどの私の答弁を、第四条と申し上げましたのですが、輸入貿易管理令の第九条「(輸入割当て)」という条項でございます。
○渡辺武君 それは輸入割り当てに関する一般的な法律でしょう。だから、日本の国内法でガット十九条の条件に適合したようなケースをはっきり規定して、そして緊急に輸入制限をするということをはっきりと盛り込まなければ、いままでだってこんな事態が起こっているのに、ただの一回もそういう措置もとられていないという、原因はそこにあるんじゃないですか。 時間がないから余りこの問題にかかわるわけにいかぬけれども、通産大臣、私そういう点に手落ちがあると思うんですね。どうでしょう。ガット十九条というものをちゃんと国際的にも公認しているわけですね。いま日本のこの大島つむぎ等々に起こっているような事態のときには、緊急に輸入制限する二とができるんだということは公式的にも認められている。自由貿易のたてまえという見地からしてもこのことはいささかも背馳しない。新しく立法措置を講じて、いまのような事態に直ちに防衛措置を講ずるという必要があるんじゃないでしょうか。どうでしょう、通産大臣。
○国務大臣(河本敏夫君) たびたび同じ返事をいたしましてまことに申しわけないわけでございますが、とにかく自由貿易というたてまえでわが国は進んでおりますし、韓国との貿易は日本から非常に大きな出超ということでもございますし、両国の関係等も考慮いたしまして、事態の重大性はよく認識しておりますので、とにかく政府の代表を派遣をいたしまして十分な話し合いをさせるつもりでございますし、先方もわれわれの基本的な立場というものに対しては二月の折衝において基本的には了解をしたわけでございますから、その点は数量を中心といたしまして十分詰める予定でございます。でありますから、もうしばらくの間お待ちをいただきたいと思います。
○渡辺武君 それでは次に伺いますが、こうした事態の起こった一つの大きな原因として、日本側の商社などが現地に海外投資をやっている。そうして技師も連れていく、原料も供給するということで韓国でつむぎができるような状態をつくったわけですね。それがいまはね返ってきて、韓国物の輸入急増という形になってきているわけです。私は、こうした日本の経済に大きな打撃を与える結果を引き起こすような資本の海外輸出、こういうものは規制すべきだと思いますけれども、その点いかがでしょう。
○国務大臣(河本敏夫君) 原則的にはただいまは 一応自由ということになっておりますが、しかし、輸出をいたしました後わが国の経済に大きな影響が出る、こう思われるものにつきましてはそれぞれ厳重にチェックをいたしております。
○政府委員(野口一郎君) 大臣の答弁を補足いたしたいと思うのですけれども、三井物産とか丸紅とか大手のお話を申し上げましたけれども、絹織物でございますね、それに関する限りは、いま言ったような大手の商社あるいはメーカーの進出はございません。大体において中小企業でございます。
○渡辺武君 それは調査不足ですよ。その点の論争はもうしませんが、いま大臣が御答弁されましたが、いま海外投資の問題は、まあ一定額の額の制限はありましょうけれども、大体自動承認制になっていますね。しかし、日本銀行に大蔵省が事務委任をしている「外国為替管理令等に基づく許可事務等の委認について」というのがあります。これを見ますと、その終わりの方に「記」というのがありまして、その三の(四)に「わが国経済に重大な悪影響を及ぼすおそれがあると認められる投資の場合」は、これは自動承認にしてはいけないのだという趣旨のことがはっきりと現定されているんです。ですから、この伝統的工芸品産業だとかあるいはまた中小企業が圧倒的に多い産業、こういうようなところに大きな打撃を与えることが予想されるというような、そういう性質の資本海外投資については、これは大企業であろうと中小企業がやろうと、当然規制措置をいままでだって講ずることができるようになっている。いままでこれが野放しになってきた。ここに私は問題があると思う。大企業じゃありません、中小企業がやったんだと言うけれども、そういう弁解をする前に、国内法を発動すればできることを、おやりになったらどうですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 確かにおっしゃるように規制はできることになっております。そこで問題は、それではこれまで日本が規制をしたならば韓国やあるいは香港その他近隣諸国に繊維産業が発展をしなかったかどうかということは、私は疑問だと思います。世界的に資本は自由に動いておりますし、技術も自由に動いておりますから、私は必ず他国の資本というものはそこに目をつけまして、他国の資本によりまして同じような結果が私はやはり出てきたと思う。問題は私はまた別のところにあるのではないか、こういうふうに考えております。
○渡辺武君 もう時間も何ですから、あと一、二点まとめて伺います。 大臣、そうはおっしゃいますけれども、これは伝統的工芸品産業なんですよ、外国の資本が韓国へ投資してできるようなしろものじゃないんです。日本から原料を持っていき、あの原料だって特殊な原料ですよ。土の中に入れて、そうしてどろどめするというようなそういうようなものですから、外国人が簡単にまねできるようなものじゃないのです。そういう原料を持っていき、技師を持っていき、工場設備を建てる金を貸して、そうしてやらしているのですから、だから、いまの大臣のは一般論としてはそうかもわかりませんけれども、この伝統的工芸品産業には適用できないのです。したがって、国内的な措置はできるのですから、今後の問題としてこれをぜひ抑えていただきたいと思う。この点、重ぬて御答弁いただきたい。 もう一点、関税法の七十一条によりますと、虚偽表示のものについては輸入を禁止することができることになっております。しかし、無表示で入ってくるものについては何の規定もない。このために、韓国からは全然表示のないいわゆる大島つむぎがどんどん入ってくるんですね。そうして、国内で本場大島つむぎというふうに表示をつけて売っているという例が非常に多いのです。したがって、こうした事態を防止するためにも、この関税法の七十一条の改正という形になろうかと思いますけれども、この無表示物の輸入を抑える措置をぜひとっていただきたいと思う。この点が質問の第二点。 それから第三点としては、先ほどもお話がありましたけれども、ガット十九条に基づいて、日本の国内措置としては緊急関税という措置がすでにとることができるようになっている。これは関税定率法の九条の二の一項にはっきりと書かれている。それからまた、この関税定率法の同じ九条の一項には、ガット第六条に基づいていわゆる不当廉売関税という制度も日本の国内法にはっきりと書かれているわけです。それからもう一点申しますと、やはり関税定率法の八条、これはガットの第六条と関連してつくられたものだと思いますが、相殺関税の制度があります。 時間がありませんので、この内容は一々御説明しませんけれども、いま韓国から入っているにせつむぎ、韓国産つむぎ、これについてはこれら三種類の関税はいずれも適用可能だと私どもは考えている。新立法を私はいまここでいろいろ伺いましたけれども、しかし、現行法でもやろうと思えば関税上の措置によってかなり輸入を抑えるという措置もできるんですね。それをいままで怠ってこられましたけれども、これをおやりになるおつもりがあるかどうか。特にこの緊急関税の場合あるいは不当廉売関税などの場合は、通産大臣が調査をされて、そうして資料を整えて関税率審議会に諮問するということが当然必要な条件になるわけですね。一番最初、いま調査に入っているという御趣旨の御答弁がありましたけれども、至急にそういう方向で調査をされて、そうして緊急関税の発動、あるいは不当廉売関税の発動、こういう措置をおとりいただきたいと思う。この点、いかがでしょう。
○国務大臣(河本敏夫君) 第一の問題につきましては、今後資本の輸出ということについては厳重にチェックをいたします。自余の問題につきましては政府委員が答弁をいたします。
○政府委員(野口一郎君) この表示の問題でございます。確かに御指摘のように、現行の関税法第七十一条によりますると、無表示のものについては取り締まることができないというふうなことになっておりますが、ただ、確かに無表示のものもあるいは日本の本場物と紛らわしい表示をしているものが入ってきているということが非常にいま問題でございまして、これをどういうふうにするかということが現在の解決すべき大きな問題でございます。 したがって、先ほど大臣が触れましたように、この間、韓国へ担当の者を派遣していろいろ話し合った目的の最大のものの一つは、この表示をどうするかということであったわけですが、これに対しまして私どもの韓国側に対する要望は、必ずわかりやすい形で、しかも、後で加工をしてたとえば消されるとか落とすとかいうことがないような形ではっきりと表示をしてほしいということでございました。それに対しまして韓国側の方では、そういう当方の要望の趣旨を了解いたしまして、はっきりと反末に韓国産あるいはメイド・イン・コリアという文字を織り込むようにする、それからさらに、たとえば耳にはそういうことを表示をするというようなことを約束したわけでございますし、その実施を確保するための通牒等も出ているというふうに聞いておるわけでございますので、その韓国側の努力を多として、その結果を待ってみたいと思うわけでございますけれども、そういうものが参りましても、国内に入って切ってしまったらどうするんだという問題が次に出てくるわけでございます。この点につきましては、私どもも公正取引委員会といろいろ協力をいたしまして、その結果が一月末の公正取引委員会の通牒になったわけでございます。国産品と紛らわしいものとするためにたとえば無表示にするというようなことは、まさに公取の通牒によりまして不当景品等及び不当表示防止法に触れることになるわけでございます。 それから第三番目の……
○渡辺武君 緊急関税等々。
○政府委員(野口一郎君) 確かに緊急関税に関する政令の第一条には、関税率審議会に対して、通産大臣から緊急措置をとることについて要請する規定がございます。現在までにおいてこのガット第十九条のために要請をしたということはないわけでございますけれども、これによるかどうかということはいずれにいたしましても、ともかく韓国からの流入の問題につきましては鋭意努力を重ねているわけでございます。今後も、先ほど大臣から答弁がありましたように、数量について、こちら側の市場の撹乱を起こさないようなことを目指しまして、話し合いを進めていくということになっていることを御了解いただきたい。
○渡辺武君 いや、ちょっと待って。答弁、おかしいな。ちょっと時間が申しわけないんだけれども、大臣、いまの関税措置について、仮に数量が減っても、しかし不当廉売だ、あるいはまた政府が特別な減税措置等々を行っているために非常に安く入ってくる、この場合は相殺関税がかけられるわけです。だから、いま言ったように韓国側とあれして輸入の数量を抑えますといっただけでは問題は片づかない。しかも現行法でできるんだから。その点、大臣いかがですか。大臣の御答弁をいただけばもうそれでやめます。
○国務大臣(河本敏夫君) まあ、やろうと思ったらいろんなことでできるかもわかりませんが、しかし、貿易全体に大ごとにならないということのために、数量についての話し合いを先方もやると言っておるわけでございますから、そこで私の方も正式の代表団を近日送りまして、とにかく一生懸命に話し合いをする予定でございますから、もうしばらくの間お待ちをいただきたい、こういうことでございます。
○栗林卓司君 五十一年の自動車排気ガス規制については基準値が決まったわけですけれども、それ以降の必要な行政措置という点でお伺いしたいと思います。 その前に、若干本題から外れるようですけれども、大臣にお尋ねしたいと思いますのは、現在の不況についてごく大ざっぱに言ってどういう感触をお持ちなのか。お伺いする点は、たとえば日本の産業が持っている損益分岐点との見合いで、今日の生産水準というのはどの辺にあるんだろうか、これは漠としたお尋ねですから、漠とした感触で結構ですけれども、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(和田敏信君) 先生御承知のように、損益分岐点に関しましては、四十六年九月に証券取引法で原価内容の明細を公表する義務がなくなりまして、現在におきましては正確に算定することは困難でございます。日銀の主要企業経営分析によりますと、ちょっと時点は古うございますが、資料としてはこれが新しいものでございますが、全製造業の損益分岐点対売り上げ高比率が、四十八年上期におきましては八三・〇五%、四十八年下期におきましては八四・二三%となっております。申し上げるまでもなくこれは四十八年の数字でございますが、最近の動向につきましては、生産の水準が相当低下いたしておりまして、操業度もしたがいまして低下をいたしておりますので、売り上げが損益分岐点を下回って赤字経営となっている企業が少なくないのではないかというふうに考えております。減産によりまして経営に及ぼします影響は、特に固定比率の高い業種において大きいというふうに見ております。
○栗林卓司君 漠としたお尋ねですから漠としたお答えでよろしいんです。個々に細かいことを考え出しますと大変むずかしいのですけれども、ただ、いまの不況の水準がこのまま行ってどこまで長もちするものやらというときに、損益分岐点との見合いでどうなっているんだろうかという感触の話だったので、それで結構です。 そこで、いまの質問につなげてですけれども、これは別に今日進んでいる賃金問題と絡めて伺っているわけではありませんけれども、政府の五十年度の一人当たり給与の伸び率はおおむね一七と見て計算がされておりますから、十七をそっくりとって考えますが、これはやはり相当損益分岐点を上に押し上げる力を持つであろう。そうなると、いまのこの生産水準を考えますと、よほど景気対策は急がなければいけない。急がなければいけないというのは、単に不況対策という意味ではなくて、損益分岐点を割り込んでまいりますと当然それは物価を押し上げる力になる。物価の安定という点からも適度な操業度がどの点かは、これまた漠とした話とはしながら、はだで感ずる面とすると、景気対策を相当急がなければいかぬというようにお感じでございましょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 景気の落ち込みは御案内のように非常にひどいものがございまして、感触的に大ざっぱなことを言いますと、半分ばかりは大体大底に来ておる、しかし鉄、非鉄等を中心とする半分ばかりの産業はなお下げどまっていない、こういう感じでございます。そこで大変だということで第二の不況対策、需要の喚起、それから社債等の発行を中心とする資金調達といいますか、金融のある程度の緩和ということを中心とする第二次の対策を打ち出したわけでございます。 そこで、私はいまのお話の趣旨はよくわかるのでございますが、ただ、二、三割からひどいのは七、八割という大幅な減産をしておりまして、そこへ金利の重圧が加わっておる。それから昨年の大幅なベースアップがそのまま吸収されないまま残っておる、こういうふうなことから、いま局長が話をしましたように、いまほとんど全部の企業が赤字経営になっておる。そういうことから、結局私が個々の業界と懇談をいたしましたそのときの皆さんの話では、ある程度のベースアップを負担する能力の企業ももちろんありますが、しかしもう大部分の産業はなかなかそれだけの力がない。昨年の秋までは若干のベースアップに応じられたかもわからぬが、現時点においてはとてもベースアップというようなことはもう考えられない、こういう企業が大部分でありましたし、中には、むしろ昨年に比べて現在は二割ぐらいが減収になっておる。だからベースアップということよりも、減収になったものを何とかもとへ返してもらえないか、こういう要求の方が強いのじゃないかと、こういうふうな話等もありまして、個々まちまちでございますが、いずれにいたしましても、このベースアップという問題は政府の介入すべき問題ではございませんで、労使双方が現実の上に立って節度のある結末をつけられるということがこれはもう当然の筋道でございますので、私どももそのような方向で期待をしたい、双方の良識のある話し合いに待ちたい、こういう態度を堅持しておるわけでございます。 なお、それではいまのお話は景気の刺激は大変じゃないか、購買力その他からなかなかうまくいかぬのじゃないかと、こういうお話でございますが、仮に私がいま申し上げましたような結果になりました場合には、そのときはそのときでまた、たとえば財政による刺激であるとか金融による刺激であるとか、いろんなことを考えていかなければならぬと思います。だから、いまのお話のように、ベースアップができなければ景気はよくならぬというふうにはっきりは言われなかったとは思いますが、私は必ずしもそういうことではなくて対策は十分ある、こういうふうに考えております。
○栗林卓司君 次にもう一つお尋ねしたいのは、今回の不況の特徴というのは、申すまでもないのですけれども、個人消費が過度に冷え過ぎてきた。これは従来になかったケースだと思います。そこで、恐らく私が聞きたいのだろうということで賃上げを先取りされてお答えになったわけですが、それはそれとして、個人消費を健全な姿に戻すためには先行き不安感の解消ということが大切だと思います。その面で雇用対策をどうしていくのか、あるいはインフレ対策をどうしていくのかということがあるわけですが一質問の趣旨を飛ばしながら申し上げてまいりますと、労働集約的な産業をどのように見ていくのか、それをどのような水準にあるかに鋭敏に考えていくのか、これは一つ重要な部分ではないかと思うんです。ところが、労働集約的な産業というのは、片方では、先ほど来の議論のように国内的、国際的な産業構造の変化にさらされてくる。そうなると、全部つくるんでめんどうみるということもなかなかむずかしくなる。それやこれやを考えてみた場合に、労働集約的な産業である自動車産業というものをどのように戦略的に位置づけてまいられますか。これは簡単なお答えで結構でございますから、お尋ねしておきます。
○国務大臣(河本敏夫君) 私どもがいまの産業の状態で一番心配をいたしておりますのは、いまお話のございました雇用の問題でございます。わが国は戦後比較的順調な経済の発展を続けました関係で、雇用問題は起こらないで来たと思うんです。完全雇用という形がずっと続いてきた。それが最近になりまして完全失業者の数も百三十万になる。しかも、統計のとり方がアメリカと全然違いますから、アメリカ式でやればもっともっとふえるわけでございますが、初めて雇用問題という重大な問題に直面したわけでございます。 いまのような経済の状態が続いておりますと、三月末の推計百三十万という完全失業者はますますふえるばかりではなく、来年の新しい学校の卒業者、また新たに第一次産業等から第二次産業、第三次産業に職を求められる方々、そういう方の新しい就職、雇用というものは非常にむずかしくなる。そうすると、この秋から来春にかけまして雇用問題が非常に大きくクローズアップされまして、ひいては社会問題を引き起こす、こういうこと等を心配いたしまして、何とか夏ごろから景気を上昇させるようにして、雇用問題の起こらないような姿にことしの下半期には持っていきたいという形で考えておるわけでございますが、その場合におきまして、日本の自動車産業は先ほど御指摘のように労働集約型の産業でございますし、自動車産業の立ち直りということが、私はやはり日本の景気の立ち直りということに大きな影響、大きな関係がある、こういうふうに考えておるわけでございます。
○栗林卓司君 いま大臣がお答えになったと同じような感触を、恐らく世界の自動車生産国の政府は感じていると思いますし、景気対策あるいは雇用対策、国際収支等の関係で国によって差はありますけれども、この自動車産業についてわりあい鋭敏な感覚を持ち始めているのじゃないかと思います。 そこでお尋ねしたいのは、自動車というのは国際商品であるわけですけれども、この日本の市場をどのように開放していくのか。従来からの姿勢というのは、私が理解するところでは、完成車、部品をお持ち込みになるのはどうぞ御随意に、結構でございます、ただし資本については制限をつけて考えてまいりたい、この態度は今後もお続けになりますか。これも簡潔なお答えで結構です。
○国務大臣(河本敏夫君) やはりこれは先ほど来いろんな方々からお話が出ておりましたように、日本の場合は私はあくまで自由貿易ということがもう大原則でなければいけない、自由貿易というたてまえは絶対崩しちゃいけない。でありますから、外国の自動車の入ってくることをとめるというようなことはこれはもうできないことでございますが、ただ資本の問題だけは、これはいろんな影響も大きいと思いますので、これはあくまで勝手に自動車産業に外国の資本が入ってくるということはさせない。もちろん単なる投資として株式を市場で買うとか、そういうことは自由でありますが、経営の変更、支配というふうなことにつきましては、政府の方でも十分これを監視するつもりでございます。
○栗林卓司君 お答えでございますけれども、自由貿易というと物の出入りになりますけれども、経済の開放化とか、国際社会で言われている言葉の中には、資本の移動の自由も入っているように従来から主張されてまいりました。だからといって自由でいいかというと、私は大臣のいまの見解に賛成なんです。そこで日本のマーケットを外国の自動車生産国との関係でどうするかということになると、特にアラブにおけるドルの蓄積であるとか多国籍企業の問題であるとかということを考えると、資本についてはそう御随意にというわけにいかぬけれども、完成車の持ち込み、部品の持ち込みについては、日本政府とすると自由貿易主義の原則に立ちながら、十分理解し、便益を供給するという姿勢をこれはとっていくべきだし、これはまた国際社会の理解を得る道だと思うのです。この点は恐らく御異論がなかろうと思いますので、お答えは求めません。 問題は五十一年規制なんです。従来はアメリカのEPAの後を追っかけてきたわけですから、国際社会にこの規制をどうやって適合させるかということは、EPAにおんぶにだっこでよかった。五十一年というのは、世界に先駆けた規制水準になってしまった。それを考えると、日本は固有の事情でかくかくしかじかの規制をかくかくしかじかの内容において行いますということを、いままで五十年までは説明はアメリカのEPAが全部やってくれた。これからは日本政府がその説明をしていかなければいけないのではないのか。したがって、基準値を決めただけではなくて、どのような方法でやるかは別として、関係する諸外国に政府として説明をするミッションを私は派遣をして当然だと思いますが、これは運輸大臣の所管ではございません。そこで、この件について当面この法律の受け皿とすると運輸省ということになろうかと思いますが、御見解をひとつ伺っておきたいと思います。
○説明員(北川清君) お答え申し上げます。 五十一年規制につきましては、環境庁におきまして許容限度の設定がございまして、それを受けまして五十一年の具体的な実施方法について、道路運送車両の保安基準を改正しまして適用することにしたわけでございますが、この場合におきまして、その具体的内容などにつきましては、外務省を通じまして在外公館から諸外国への通報とか、その他在京の外国の公館からいろいろ照会があるものに答えましたり、あるいは国連の会議に参加したり、あるいは自動車関係の団体を通じて関連のメーカーへ情報を流す等によりまして、その具体的な趣旨とか実施の細目について情報提供をしておるというのが現状でございまして、今後ともこういう面におきまして、十分日本におきます規制の内容につきましては相手国の理解を求めるようにつとめていくようにいたしてまいりたいと思っております。
○栗林卓司君 外務省にお尋ねいたしますが、いま外務省を経由してという御答弁でございまして、別にここでかけ合いをする質問をするつもりじゃありません。これまでお伺いしたところでは、この種のものはクレームとして明らかになればそれは外務省として処理をいたしますが、通常外務省の仕事の範囲内と考えているわけではございませんという説明を私は聞いておりましたけれども、具体的に五十一年規制の問題に限ってですよ、このテクニカルな面をどうやって各国の担当に説明するかという点については外務省の固有の領域だと理解しておるわけではありません——間違いありませんか。
○政府委員(野村豊君) 先ほど運輸省の方からも御説明ございましたと思いますけれども、いま先生の御指摘のとおり、五十一年規制というものが各国の規制に比べまして非常に厳しいものになっておることは事実でございます。これはもとよりわが国の環境の置かれた特殊な事情というものがございまして、各国ともどもそれぞれの固有の環境の状況等に応じましてそういった基準を決めておるわけでございます。しかしながら、私たちといたしましては、そういった基準の持ちますところの対外的な面というものもわれわれとしては非常に関心を持っておるわけでございまして、こういった基準の作成されます過程におきまして、事実一部の国からもいろいろな関心の表明されたこともあったわけでございます。そういったことも踏まえまして、いま運輸省からも御説明がございましたとおり、われわれといたしましてはこういったわが国の環境の特殊性といいますか環境等の状況、かつまたその五十一年規制の出されました背景とかその中身、かつまた今回御承知のとおり輸入車につきましては特別な配慮を行いまして、約一年ばかり時期をおくらしておるわけでございますけれども、そういったわが国の意のあるところも十分外交チャンネルを通じましていろいろと説明しておるわけでございますけれども、今後ともそういった二国間の場、あるいはまた多国間の場を通じまして、そういった努力を今後とも続けたいというふうにわれわれ感じておる次第でございます。 なお、外務省といたしましては、そういった自動車排気ガスの規制の問題の非常に技術的な問題は、われわれとしては直接的には必ずしも専門じゃございませんけれども、それの持ちますいろんな対外的な影響につきましては、問題があれば当然外務省もそういった問題につきましては各省ともいろいろ協議なり相談にあずかっておりまして、その対外的な配慮につきましてはいろいろ気をつけておるということでございまして、外務省としてそういった責任をもちろん持っておるというふうに十分自覚しておる次第でございます。
○栗林卓司君 自覚するのと何をやるのとは違う気がするのですけれども、環境庁にお尋ねしますが、アメリカのEPAが基準を決めるに当たっては、アメリカに輸入をしている各国のメーカー代表の参加を求めながら公聴会を開いたと思いますが、間違っておりますか。
○説明員(小林育夫君) ただいま先生の御質問でございますけれども、私EPAのヒヤリングの状況というのをつぶさに知っているわけではございませんので、あるいは間違っておるかもしれませんけれども、それぞれアメリカに輸出をしている国の主要なメーカーについてはヒヤリングを行っている、すべてのメーカーではございませんけれども、主要なメーカーについては世界じゅうのメーカーからヒヤリングをしているというように聞いております。
○栗林卓司君 実は先ほど通産大臣に権限じゃないとこう申し上げたのは、ここまでお伺いしてこないとなかなか本題に来ないものですからそうしたわけですけれども、国務大臣と兼ねてというつもりでお尋ねをするわけですが、五十一年という、従来はEPAの後についていれば解説が済んできたが、今回は世界に先がけての規制値になる。その場合に、本来なら日本に輸入する主要な国のメーカーをそれぞれ呼びながら、聴聞会、公聴会を開かなければいけなかったのかも知れません。しかし、結果としてそういう手続はとってまいりませんでした。そのことのよしあしはいま問いません。一つには、日本に輸入する台数が非常に少ないということがあったのかもしれません。しかし、それはそれとして、決めたからには各国の政府並びにそれぞれの業界に対してどうやって理解を求めていくのか。これはやはり政府としてしなければいけないし、しない場合とした場合と比べますと、した場合の方がはるかに友好的な外交関係が期待できるのではないだろうか。各国がそれぞれに不況に苦しみながら、しかも自動車産業について雇用対策、景気対策との兼ね合いをもって非常に神経を立てている時期であればあるほど、そういう配慮をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) これは非常に大事な問題でございまして、当然そうあるべきだと思いますが、大体この外車のリードタイムを決めますときには、関係の主要な国には大体のことを外務省その他関係各省と協議しながら連絡をしてあります。しかし、大事なことでございますから、なおやはり機会を見て十分な理解を求めることが必要だと思います。
○栗林卓司君 五十一年の問題ではなくて少し話を一般化しますと、現在英国の日本に対する自動車輸出に対して持っておるクレームの一つが、自動車に対する日本の国内法規が非常にややっこしい、われわれにとってよく理解できないという面があると聞いておりますけれども、事実に間違いございませんか。
○説明員(小林育夫君) 私ども各国の事情を聞いたわけではございませんけれども、私のところへもそれぞれの西ドイツあるいは欧州の他のメーカーあるいはアメリカのフォード等が参りまして、五十年、五十一年の規制の問題についていろいろ意見が開陳されておるわけでございます。 それの主な内容といいますのは、いま先生の御指摘のとおり、一つは、基準なり何なりの数値というのは非常に早くわかるけれども、そのデテールと申しますか、実際の実施上の問題点についてはなかなか明らかにならない。こういう点が非常に問題であるということが一つございます。それからもう一つの問題点は、十分なリードタイムと申しますか、規制が発表されてから実際に規制がかかるまでの時間というものが非常にない。欧州の例等でございますと、まず規制が発表されてから本国へ通知をする、それの時間がかかる。あるいは技術的な内容についてそれの照会をする、その時間がかかる。さらには、そういう実際に規制の時期に車を輸出した場合に、現在では通関の時点でその規制がかかる、製造年月日でなくて通関の時期でかかる。そういうために、国産面におけるよりは十分なリードタイムが欲しいというのが、私どもが接触しましたアメリカの意見でございました。 私どもはその場合に、できる限り私どもの規制がなぜ必要なのかということについては御理解を願うようにしておるわけでございますけれども、やはりそういういま先生の御指摘のありましたようなこと、あるいは私が申し上げましたようなことが指摘としてあるわけでございます。
○栗林卓司君 これは大臣にお尋ねをしますけれども、いろんな国内法規の関係、たとえばイギリスが日本に持ち込んでいる車というのは非常に数が少ない。またイタリアも、イギリスほどじゃありませんけれども、そう多いわけではない。そういったものを、これが何十万台という量になりますと、それはあなたの方で考えてくださいということを相手の政府並びに業界に言えるかもしれないが、非常に数が少ないものが入ってきている。こちらから見ると、そんな少ない数ならどうでもいいじゃないかと言いますが、向こうから見ると、その自動車なり自動車産業というものを見ている目からすると、百台、二百台、三百台というものが結構大きな意味を持つ。それについて日本の国内の市場で完成車を持ってきて販売して結構ですというときに、どのようなサービスを先方に供与したらいいのか。 そこで、もう時間がなくなりかけておりますから、あとの質問は別の機会に譲るとしてこれだけで伺うわけですけれども、こういった問題について、先ほど外務省は大いに自覚をしておりますと言われましたけれども、これまた御用繁多だと思います。運輸省はと言ってもなかなかこれはまた世界のすみずみまで手を伸ばすわけにはいかないのかもしれない。そこで、これは運輸大臣の御監督下だと思いますが、ジェトロというのはこういった面で自覚的な活動を期待されてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) いずれにいたしましても、自動車のこの問題からわが国の自由貿易ということにひびが入っては、これはもう大変だと思います。でありますから、わが国の立場を十分チャンスをつかまえては繰り返し説明をし、あわせて理解を求めたいと、こう思います。それをどういう形で説明するかということにつきましては、いろんな方法があると思います。最も有効な方法を考えながらやっていきたいと思います。
○栗林卓司君 自動車の商品の特殊性というのは、大型乗用車がアメリカからの輸入四〇%の物品税だけであの騒ぎになったということを考えますと、いま大臣が言われた御配慮をすみずみまで及ばしながら、なるべく早目に手を打っていただきたいと思います。時間の関係がありますからこれ以上深くは述べません。 ただ、これだけはお伺いしておかなければいかぬ問題があるものですから、最後にこれは大臣の御所見を承りたいと思います。 というのは、アメリカのEPAの考えている頭の中には、エネルギー問題があります。日本もないとは言いません。そこで、これまでのいろいろ伝えられている論議を振り返ってみますと、五十年規制、五十一年規制をやると燃費が悪くなってガソリン消費量がふえる。これは一体どうなんだという話になると、それは総量規制という方法があるから全部の突っくるみの中で減ればいいだろうという議論が、余り検討をされずに来たと思うんです。総量規制なんだということになると、保有で制限しようと生産で制限しようと、片方では労働集約的な自動車産業に対してどんな影響が出るかということをひとつ御検討いただかなければいけません。それからもう一つは、消費者の状況を見ましても、大体収入層あるいは年齢層から見ても、自動車というのはまことに各層とも同じぐらいの比率で持っているというのは、相当国民生活に食い込んできてしまったのではないか。そうなると、これを総量規制ということで除外するというのは、口では言うものの、実際問題として本当にできるのだろうか。もし、その辺のところからこれはなかなかむずかしいことじゃないかということになると、話が振り出しに戻りまして、五十年、五十一年でエネルギー消費がふえて本当にいいのか。 いま私がこれをお尋ねしている理由は、五十三年の〇・二五グラム・パーキロメートルというのを本当におやりになるのか、これは公害対策基本法の中の望ましい行政上の目標値であって、それ以上でも以下でもありません。そうすると、片方の景気対策、雇用対策、資源対策、こういったものの整合性のある議論を経て公害対策基本法の中の〇・二五グラム・パーキロメートルが決まったわけではありません。しかもこれは、五十三年から実施ということで先日の告示の中にも書き込んであります。本当にそれをおやりになるのか。ということは、もうそろそろ御検討を進めていただかないと間に合わないのじゃないか。その意味で、この点についてここで結論を大臣に求めるのは酷だと思いますけれども、雇用問題なり景気対策なり、あるいはエネルギー問題なり、国内における交通問題なり、そういったものの見合いにおいて〇・二五キログラム・パーキロメーターというのは見直しを至急始める必要があるのではないかと思いますので、その見直しを、もし必要と認めたらお始めになりますか。 ここでもう一つお伺いしておきたいのは、見直しをするとして、それはいまの政府機構の中でどこが口火を切っていただけるんでしょう。この二つだけお尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) いま私からお答えをいたしますことは、とにかくこの自動車の排ガス規制という問題は、環境の保全ということを第一義的に考える。その環境の保全という問題の枠内でエネルギーの消費量の増加ということを考えていかなければならぬ。逆であってはならぬ。こういうことが基本だと思うわけでございます。また、そういう方針で来ておるわけだと思います。ただ、これは何回か議論があったことでございますが、個々の車の排ガス規制をいたしましても、交通体系全体が整備いたしませんと何の効果もないということは、もうこれはよく指摘されるところでございまして、そういう意味で、個々の車の排ガス規制ということももちろん大事ですが、それよりも以上に大事なことは、やはり私は自動車が排ガスのために大気汚染を起こさないためのいろいろな交通体系の整備ということがより大事である、両々相まって効果が出る、こういうふうに考えております。
○栗林卓司君 いや、両々相まって効果が出るとおっしゃいますが、私がお願いしているのは、その交通体系にしても、かつて自動車重量税のときに「総合交通体系について」という閣僚申し合わせが出てから一歩も進んでいないわけです。そういったことではなくて、なかなかお答えづらいことかもしれませんけれども、環境の枠内ではなくて、いろいろな多目的の行政目的を追求されるわけですから、その整合性をお求めになりますか。総合交通体系だけが、そういうことを言ってみることだけが解決案にはならないと思います。ですから、私がお尋ねしたいのは、この問題について今日の内閣の中のどこが中心になって口火を切っていただけるんでしょうか。整合性という面で申し上げている。
○国務大臣(河本敏夫君) いずれにいたしましても、自動車の排ガス規制という問題についての基本路線は敷かれたわけでございます。でありますから、この基本路線を実現するために、自動車業界も私は積極的に協力していただく、そういうことをお願いしたいと思います。
○栗林卓司君 まあ答えになりませんが、けっこうです。あと議論を続けたいと思います。けっこうです。
○主査(源田実君) 以上をもちまして通商産業省所管に対する質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時八分散会