予算委員会第四分科会 第2号
- 発言数
- 448 件
- 登壇者
- 38 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/03/31
会議録
○副主査(玉置和郎君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。 昭和五十年度総予算中厚生省所管を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○和田静夫君 千葉県の東金市で広田多久見さんという方が、御本人によれば精神病患者でもないのに五年四カ月もの長期間千葉県旭市の医療法人純正会伊藤病院に強制入院をさせられていたという訴えを二月八日に起こされた。この件についてきょう若干の質問をいたしますが、厚生省はこの件について調査ないし報告を求められましたか。その結果改善すべき点があったかどうかあるいは何かの指導をされたかどうか、まず伺いたいと思います。
○政府委員(佐分利輝彦君) 伊藤病院につきましては、厚生省から千葉県衛生部等に指示をいたしまして、昭和五十年二月二十四日、県の予防課長等が入院患者の平均在院日数について調査、指導をしております。また、五十年三月十二日伊藤病院に対する医療監視を行うとともに実地指導を行っております。なお、五十年一月二十八日、二十九日、県は旭市社会福祉事務所の生活保護法施行事務監査を行っており、さらに五十年三月十一日同事務所の精神障害入院患者の委託状況調査を行っております。なお、その調査、監査の結果でございますけれども、まず伊藤病院の入院患者の平均在院日数は昭和四十七年は千三百八十六日でありまして、県内精神病院の入院患者の平均在院日数——当年は四百四十九日に比較して長いということを確認しております。伊藤病院ではこの平均入院日数の長い点につきまして、理由といたしまして、高齢者が多い、発病以後長期にわたる人が多い、患者の引き取りのむずかしい家庭が多い等の理由を挙げておりますけれども、これについては入院医療を通院医療に切りかえる、あるいは社会復帰を促進するという努力が必要であるという指導をいたしております。また、県は今後伊藤病院のみでなく千葉県内の精神病院に対する指導を一層徹底するために、次のような措置を講ずることとしております。それは第一に、実地指導の強化徹底でございますが、従来年一回であったものをそのほかにさらに随時行う、また精神病院の医療従事者に対する指導、研修を強化する、さらに精神障害者の社会復帰とか通院医療に備えて保健所における精神衛生業務の充実を図る、こういった方針を立てております。なお、民生当局の伊藤病院における生活保護の医療扶助の患者についての調査によりますと、特に問題はなかったように報告を受けております。
○和田静夫君 これからの答弁は簡略に願います、時間は三十分しかありませんから。 そこで、この病院の医師、看護婦の状態というのは、医療法に適合してますか。
○政府委員(滝沢正君) 医師、看護婦は、特殊病院には知事の認可を得ますというと一般病院よりも若干下回った基準があるわけでございますが、実はこの病院が事件当時の調査あるいはそれに至近の医療監視の数字では、その特殊の承認をとっておらなかったわけでございますが、今回三月十日付でこの特殊の承認をとらせたのでございますが、なお医師の数については一・八人、それから看護婦数にして患者数に対応する数で二十六名の不足がございます。この点につきましては、三月十二日に医療監視をいたしまして、さらに医師、看護婦の確保に努力するよう指導すると同時に、具体的に看護記録の問題、あるいは開放病棟等の開放患者の生活環境の充実、それから基準看護をできるだけとるような方向に努力することを指導いたしております。
○和田静夫君 座ったまま答弁してもらっていいと思うんですが、委員長、そういうふうに取り扱ってもらえばいいと思うんですがね。 現在告訴されておって、いずれこの法廷で判断されることですから、その事の真偽についてここでいろいろなことを言い合おうとは思わないんです。この病院、いま局長のお話がありましたように明確に違反をしていた。問題にしたいのは、第二、第三の広田さんのような悲劇が生ずる可能性が現行の精神衛生法でないだろうかということなのであります。精神病院の入院の手続に、強制的入院としての措置入院、あるいは保護義務者の同意による入院、あるいは本人の意思による入院と。で、広田さんの場合は、これ、大臣、同意入院なんですね。この同意入院の場合の診療について三十三条には「精神病院の管理者は、診察の結果精神障害者であると診断した者につき、」云々と書かれていて、一人の医師の判断でよいということを意味しているんだろうと思うんですが、一方、措置入院では、二十九条の二項で、二名以上の医師の診察の結果が一致することが条件になっています。これは大変慎重な扱いなんですね。この違いは一体、簡単に言ってどこにありますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 同意入院は措置入院とは違うというところから始まるわけでございますけれども、同意入院の場合は、入院後十日以内に精神病院の管理者は知事にその旨報告をしなければなりません。また、それを受けて知事は、必要に応じて二人以上の鑑定医をして鑑定診査をするということになっておりますので、そのような現行制度が適切に働けば問題はないものと考えております。
○和田静夫君 同意入院と仮入院ですね、三十三条と三十四条の関係ですが、これはほぼ同じ手順でしょう。
○政府委員(佐分利輝彦君) そうです。
○和田静夫君 そうすると、仮入院は三週間以内ですね。同意入院は五年四カ月という場合が起こっているわけですね、この場合。しかもこの場合は、姉の印鑑を使っているということが要保護者の関係に一体、姉があったのかどうかということも大変疑問なんですが、その辺は争われるでしょうから、そういう形のことも起こり得る現行法になっているということなんですか、あるいはこのことも現行法に違反をしていますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) この場合は姉ではなく、母親が保護義務者の同意を与えておったと思います、現在は死んでおりますけれども。そういう関係で……
○和田静夫君 そうすると、母親の印鑑を姉が渡したということですか、事実関係は姉が渡しているんですがね。
○政府委員(佐分利輝彦君) 母親が同意者になっております。
○和田静夫君 わかりました。そうすると、つまり三十三条というのは、保護義務者が善意であることを想定をしていると、こういう形でありますね。しかし、この保護義務者が悪意であった場合には、これは大変なことが起こるということになりますね。たとえばこの方の場合は、母親にいろいろのことを訴えたかった、自分は正常であるなどということを。ところが、その通信は一つも保護義務者であるところの母親には届いていないという事実関係もありますね。この辺も争われるんでしょうが、こういうことが起こり得るんですが、救済の措置として一般的にはどういうふうにお考えになるんですか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 法的には、先ほど申し上げました三十七条の知事の審査によって救済されると考えております。
○和田静夫君 そこで、その三十七条の審査は、必要があると認める場合と、こうなっておるわけですね。そうしますと、定期点検などは行い得ないのか、あるいは、この必要があると認めるそういう体制というのは整っているのか、これはどうなんですか。
○政府委員(佐分利輝彦君) この患者の場合には、生活保護法、医療扶助で入院しておりますので、六カ月ごとに病状診査が行われておるわけでございます。それも一つのチェックになると思うわけでございます。
○和田静夫君 そこで、この患者を一つの例にしながら法一般を考えてみるんですが、どうもいま言われたように、六カ月ごとにやられたとしても、その医師は初めに診察をし、入院をさせたところの同一の医師であるということになりますね。そうすると、その医師と保護義務者である母親が非常に病弱であって、もう危篤の状態にあるというような、ある意味では判断ができない状態、息子に会いたい会いたいという母親の念に駆られているだけの状態にいらっしゃるお母さんとの間に一人の姉が介在をする。そして姉と医師との間におけるいわゆる意思ですね、の疎通によってすべてが運ばれていくという形ですね。そして、本人は、私は病人ではない病人ではないとは言っているけれども、壁がある。看護婦等の内部告発でもなければ、県知事が必要であると認めながら特別に審査をするというようなことにはなかなかならぬ状態の壁の中にある、こういう人に対する人権上の保護の問題というのは法務省、どういう形で起こりますか。
○説明員(宮本喜光君) この千葉県の広田さんの事件については、現在千葉地方法務局において調査中でございますので、まだ結論が出ておりません。しかし、いままで広田さんから聞いたり、あるいは県庁の担当者から聞いたところによると、この事件については四つの問題点があるんじゃないかということで調査中でございます。四つの問題点と申しますのは、先ほど来お話が出ております、正当な同意権者による同意があったのかどうかという点が一つ。それから、本当に広田さんが精神障害者だったのかどうかという点が二つ目の問題点。三つ目としては、広田さんの話によると、治療がどうも十分でないというような話でございますので、入院中の治療行為が適切だったのかどうかという問題。それからもう一つは、ただいまもお話に出ました信書の制限の問題これが果たして正当な程度の制限であったかどうかという問題、この四点について問題があるということで、現在引き続き関係者から事情を聴取しているという段階でございます。ですから、まだ結論的にどうなるかということは申し上げられませんけれども、一般的に申しますと、その四つの問題点の全部あるいはいずれかに問題点があるということが判明いたしますれば、相手方に対して人権擁護機関としては勧告とか説示とかということで善処、反省を求めるという措置をとることにしております。
○和田静夫君 それはいまの事件についてでしょう。それはよくわかりますが、たとえばこの方の場合、不幸にして、あるいは本人にとっては逆の意味で幸いにして——そういう言い方は語弊がありますが、お母さんが危篤になられた、その機会が活用されて病院を出られるという機会があり、本人が告訴をするという、そういう場が与えられましたから、一つの人権問題としても訴えを中心としながら調査が始まるということになりましたけれども、この方のお母さんがもっといまごろまで元気でいらっしゃって——元気でいらっしゃってるというのは、判断ができる状態の元気ではなくて、肉体的に元気でいらっしゃって、危篤状態にならなかったという場合に、この機会が失せられる危険性はあったわけですね。そういう一般的な状態というのがこれに端を発しながらずっと考えてみると、いまのこの法律のもとでは起こり得る危険性はありませんか。その危険性に対して人権擁護の立場から何かの手というものはないんですか。
○説明員(宮本喜光君) これは私どもは特に御本人から申告がなければやらないというたてまえではございませんので、新聞なりあるいはほかの投書なり、これは匿名の投書もございますし、また親族からの訴えもございますし、そういうもろもろなものを全部平等に考えて、そういうようなものを端緒として積極的にこちらが乗り出すという姿勢にしてございます。
○和田静夫君 そうですね。そこで、先ほど来申し上げていますように、このいわゆる一つの壁があって、信書の問題なんかを取り上げてみても、そして要保護義務者であるところのお母さんに意思を決定するところの肉体的な条件がない、あるいは親族は少ない、内部の告発もないということになれば、壁の中に閉じ込められたままということが起こり得ますね。この場合に、法律の趣旨は違いますけれども、人権擁護委員に与えられているところの第二条による委員のいわゆる権能ですね、そういうものが自発的に、そしてある意味では突発的にある病院に発動をされながら人権擁護委員たちがそういう実態について調査をするというような権能は持っていますか、持っていませんか。
○説明員(宮本喜光君) 何もないところにいきなり人権擁護委員が行って、一種の監察みたいなことをするという権限はやはり人権擁護委員にはないというふうに考えています。ですから、何か端緒があって人権侵犯の疑いがあるというときに初めて調査活動ができるということになっておると思います。人権擁護委員もまた法務省の人権擁護局、その下部組織であります各法務局の人権擁護部、あるいは人権擁護課の職員もすべて強制権限を持っておりませんので、そういう端緒があった場合に、初めて相手の任意の承諾を得て調査をするということになりますんで、あるいは御指摘のような多少の限界、事実上の限界というものがあり得るだろうと思います。
○和田静夫君 二十条との関係でありますが、この保護義務者なんですが、その保護義務者がたとえば物を判断をするところの能力においては平常な、あるいはよりすぐれた事情にあってもその方が病弱であって、そして同居をするところの親族の一人に頼らなければ毎日の生活ができていけない、こういう形のときに他の一人に対してこういう状態が起こる。今度の場合を例にとってみると、姉と弟という関係で話をしてみてもよろしいですが、姉というのが保護義務者との間に一人介在する、その保護義務者はとにかく病弱であって、姉の手をかりなければ日常生活に事欠く、そうするとみずからの意思はどこかで歪曲をされていっても抗弁のしようがないという状態に置かれて患者が存在をするということは当然あり得ることですね。私はこの事件の推移をもっと見た後でこんな論議をした方がいいのかもしれませんけれども、そういう場合を考えますと、この当面の措置として三十三条に明記されていない診察の医師の数ですね、これをもっと明記をして、あるいは少なくとも運用面では複数以上の医師の時と場所とを異にした診察の結果、あるいは二人の医師の結論が一致するという、そういうような形のものを必要とするのではないだろうか、同意入院の場合でも、というふうにこれは全くアマチュアの考え方ですが、今度の事件をいろいろ見聞をして思うんですが、その辺はどうですか。
○政府委員(佐分利輝彦君) ただいま御示唆のございましたような考え方もございますけれども、私どもといたしましては、諸外国等の例も見まして、現在の同意入院の制度は、先ほども申し上げましたように、報告義務もある、知事の審査義務もあるという制度でございますので、この制度が適切に運用されればそれでいいのではないかと、特に診察をやります医師の数を二人以上特定する必要はないのではないかと考えております。
○和田静夫君 と言われてみたところで、具体的にはこういう形の悲劇的な事件が起こるわけですから、この起こったことにやっぱり学びながら、もっとそれに対応する措置というものは当然必要ではないかと思うんですが、ここの場合は、先ほど局長答弁にありましたように、医師の面から見ても、看護婦の面から見ても法は守られていなかった。守られていないような精神病院を対象にしていま話をしているんであって、全く真摯であり、善意であるというそういう形の精神病院を対象にして私は話をしているんではなくて、明確に違法行為が起こされている、そういう精神病院と三十三条の関係というのはもっと厳密な規定を伴うものでなければ、一つのカーテンの向こうにあると、こう言われている状態のものですからいけないんじゃないですか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 確かにこの伊藤病院の場合には問題があったわけでございますが、そのような問題のある病院についてはあらかじめいろんな資料から見当がつくわけでございますから、そういうところは重点的に審査をしたり、指導監査をしたりということも必要であろうかと思います。ただ、一般的に多くの病院は法の定めに従って適切に診断をし適切に運用をしておるわけでございますから、いろんな事務手続の簡素化等も考えますれば現行の体系でいいのであって、特殊の一部の病院のためにそのようにする必要まではないのではないかという考え方を持っております。
○和田静夫君 精神医療の荒廃という問題がある意味じゃずっとマスコミに乗った時代がありますね、もうそんな古い話じゃなくて。したがって、これが今度の歯科医の問題などというような一つの社会的な問題が提起をされない前にもっともっと厚生省としては注意を喚起をするという、そういう措置は全然必要ありませんか、いまの状態の中で。
○政府委員(佐分利輝彦君) 現行制度のもとにおいてその運用の適正化、充実、強化を図っていけば目的は達せられると考えております。
○和田静夫君 わかりました。 そこで、そうすればいまのこの伊藤病院に起こったような形での法違反というものは、それはたとえば悪意でなくても起こり得る状態があると思うんですね。精神科医が、一般的に言われるいわゆる精神科医の数が不足をしているとか、あるいは看護婦の数の不足が深刻だとかというような問題から起こり得ることがあるんだと思うんですが、現在どれくらい不足だとお考えになっていますか。あるいは不足している病院の数はどんなふうですか。
○政府委員(滝沢正君) 精神病院の医療監視等をいたしております。これは精神病院以外もいたすわけでございますが、その結果に基づきまして現在の医師の不足の状態、病院全体では医師が不足の状態が八一%でございますが、看護婦は実は二・八体制等ございますから、四人に一人の基準でいく場合、それから精神、結核のように六人に一人でいく場合等もございますが、現在一〇二%ということでございますが、精神の場合はいまは病院全体でございますけれども、医師の不足のパーセント四七・二ということで、八一という病院全体よりもかなり下回った不足の状態であります。これは充足している状態が八一と四七、それから看護婦が一〇二と精神の場合が七二・二ということでございますので、病院全体でながめたよりも精神病院だけを抜き出しますとやはり医師、看護婦の不足の状態というものは、まあ基準の計算の仕方が結核、精神は特例が認められてはおりますもののやはりさらにそれの数字に合わせても不足の状態が強いということが言えると思います。
○和田静夫君 こういう状態を踏まえながら、四十六年十一月三十日の社会労働委員会で亡くなりました須原委員と医務局長との間に論議がありました。そして「実態を十分調査した上でしかるべき措置をとりたい」とお答えになっているわけですが、その結果はどうだったんですか。
○政府委員(滝沢正君) 当時、須原委員のある病院の事例を引かれての御質問に松尾医務局長が総点検をすることをお答えしているわけでございますが、その後四十七年の医療監視の中に重点事項として会議等でも指示いたしまして重点事項として精神病院の医療監視を取り上げたわけでございますが、四十七年度の数字を申し上げますと、医師不足の病院数の割合が精神病院で七九・六%、全病院で七八・七%、看護婦不足の病院数の割合が精神病院で七七・八%、全病院で六〇・三%ということでございまして、これは不適合の、総点検の中から一名でも医師、看護婦が基準に合っていませんと一応不適合の項目に挙げるものですから、この辺のところを今後どのように——不適合の度合いを一〇〇%という指導でいきますものですから、なかなか改善が困難な医師不足の現状では大体日本の医師の一%が精神、神経科に従事している、十二万人のうちの一%というような届け出からの把握でございますが、非常に精神科の場合専門医の不足という実態はかなり顕著なものがある、医療需要の高いものに比べて一層不足感が強い、こういうふうになっているわけでございます。
○和田静夫君 伊藤病院の場合に、先ほど冒頭お話がありましたとおり、平均的な患者のいわゆる日数が、御老人であるとかなんとかというようなことがあって入院をさせている日数というものが非常に長いというお話がありましたですね。そこで、これからの行政指導のあり方ですね、この病院に対する一のをもう一遍、先ほどちょっと簡単に触れられましたけれども、述べていただけますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) まず入院日数を短くいたしますために、病院内の医療の適正化を図ると同時に社会復帰を促進いたしまして入院医療を通院医療に切りかえるということ、それから、先ほど医務局長から申し上げました医師、看護婦等の従事者の数を早急にふやしてもらうということでございます。
○和田静夫君 これはたとえばの話に答えられないと言われればそれまでになってしまいますが、今度の場合の事犯で、伊藤病院の院長の側に患者が訴えるような形でのあれがあった場合には、これは改めていま言われた以外の措置はとられるということになりますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) そのようになろうかと思います。
○和田静夫君 そういう場合の措置というのは大体どういうことですか、過去の経験に照らしてみて。
○政府委員(佐分利輝彦君) これは医療法人でございますので、理事長の交代から始まりまして院長の交代、また診察上の問題があれば当該医師の医師法に基づく処分、またさらに院長の管理者としての処分、そういったことも予想されるところでございます。
○和田静夫君 先ほど来、現行法を厳格に注意深く適用をしていけばこの患者のような形のものは起こり得ないんだ、同意入院について。というお話がありましたけれども、こういう機会に一遍うわさのあるといった言い方——あなたのお言葉であったものですからそういう言い方をするんですが、うわさのある病院、それからここ数年にわたって精神病院で取り上げられてきた、マスコミでそういう病院について全国的な調査をやって報告をまとめられる、そういうことが私あってしかるべきだ、こう思うんですが、厚生大臣いかがですか、これは。
○政府委員(佐分利輝彦君) 問題のある病院はそう多くはないと思うのでございますが、先般衆議院の予算委員会でも大臣が御答弁いたしましたように、全精神病院の姿勢を正すと同時に、特にそういった問題のありそうな病院についてはできるだけ早く調査を行いまして、必要であれば御報告をさしていただきたいと考えております。
○和田静夫君 いま言われた、必要があればというのはどういう意味ですか。必要があればというのは、われわれが要求すればという意味ですか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 先生の方に特にそれ全部見せろということであれば先生の方にお見せするということです。
○和田静夫君 そういう意味ですか。 そうすると、改めて調査をしなくても問題のあるところはおわかりになっているという意味にとっといていいわけですか、いまのところは。
○政府委員(佐分利輝彦君) 大体各県の方ではわかっていると思っております。
○和田静夫君 それから、いまほどは同意入院の場合に起こり得る危険について三十三条、三十七条の関係でいろいろのことを触れてきたわけですが、措置入院の危険があるかないかは別ですが、これは全くアマチュアの感覚として、第二十四条で警察官の通報義務が規定をされていますね。「異常な挙動その他周囲の事情から判断して、」云云、ここなんですがね。可能性を通報することになっているわけですね。しかし、警察官がそういう状態というものを判断できるのでしょうか、まず第一点。
○政府委員(佐分利輝彦君) 警察官は医学的には素人でございますから、的確に判断できるとは思われません。
○和田静夫君 この警察官の通報によるという場合は、年間大体どれぐらいあるのですか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 六千件前後になっております。
○和田静夫君 いつごろの時期が一番多いのですか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 時期としては特に——現在資料を持ち合わしておりませんけれども、大体毎月それほど大きな相違はなかったと考えております。
○和田静夫君 これを二十九条の二号と照らしてみまして、一名のこれも診察でよいことになるわけですね。
○政府委員(佐分利輝彦君) そうではございません。この警察官通報がございました場合にも、一般人からの鑑定とか保護の知事に対する申請の場合と同じように、まず知事があらかじめ調査をやって、必要があると認めた者について二名以上の鑑定医で鑑定をさせております。
○和田静夫君 精神病患者のアフターケアですが、治癒後の社会復帰を早めるために社会復帰センターを設置すべきでありますね。厚生省もそういう方針をお持ちになって三カ所ぐらいのものをつくられたわけですが、現状非常に貧弱だと言わなきゃなりません。で、これについての考え方と今後の計画について説明をしてください。
○政府委員(佐分利輝彦君) 社会復帰施設はまだモデル的、実験的に実施しておるものでございますので、予算措置でやっておるのでありますけれども、本年は社会復帰施設二カ所、デーケア施設一カ所を整備をいたしております。また明年度はそれぞれ一カ所ずつ要求するとともに、デーケア施設の運営費の補助金も新規に計上いたしまして予算の御審議を願っておるところでございます。 そこで、この施設を整備する場合には、まず専門医とか心理の技術者あるいはリハビリテーションワーカー等特殊な専門職が必要でございますので、一気に多くの施設を整備することが困難でございます。まあ、そのような関係もあり、また先ほど申し上げましたように、こういった施設はまだ各国においてもモデル的、実験的に実施しておるというような段階の施設でございますので、これから先も本年度あるいは明年度と同じようなペースで整備をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
○和田静夫君 同じようなペースということは、その社会復帰センターというものはまだ実験的な過程だと、こう言われる意味ですか。
○政府委員(佐分利輝彦君) そうでございます。
○和田静夫君 じゃ、その実験的な過程だと言われるのは、いまお話にありましたような形でそこに従事をするところの専門的な技能君たちがなかなか養成できないから実験的なものにせざるを得ない。社会復帰センターというものは基本的には必要なんだけれども、内容的に充足させることができないからという意味なんですか。それはどちらですか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 社会復帰をいたします場合にすべての患者がこういった社会復帰センター、社会復帰施設を必要とするわけではございません。精神病院の社会復帰病棟、現在ほとんどの精神病院が持っておりますが、そういうものを通じて社会へ帰っていく患者さんが非常に多いわけでございます。そこでこの社会復帰施設の問題になってまいりますけれども、この施設の評価、効果についてまだ若干の問題がございますし、また先ほど申し上げましたように、専門技術者もそう一気には手に入りませんので、モデル的、実験的に実施をするという程度の整備を進めていけばいいのではないかと考えておる次第でございます。
○和田静夫君 大臣、私これで最後にしますがね、どうもやっぱり素人なりに考えて精神衛生法の現行法というのはこの同意の入院についての場合に少し危険性があるような感じがするんです。先ほど来私論議をしてきた趣旨のことはおわかりになると思いますので、問題点のあるところは後ほど私資料を求めますけれども、それらについて幾つかの素人なりの提言をしてみたいと思うのです。そういう形の上のものに照合をしながら調査をされまして、そして問題のあるものについては早急な何らかの対策を講じていただきたいということが一つです。それから特に人権侵害にかかるおそれのあるものについては、やっぱりこれは直ちに改めなければならないと思うんです。私は一人の患者の問題といいますか、一人の人の問題がいま伊藤病院なら伊藤病院に発生をしたということは、伊藤病院ではやっぱり他にまた同じ要件の人たちがないのだろうかということを大変危惧をいたしますね。そういう面にわたる観察というのは、一片の報告書を求められまして、そして病院でお書きになったものを書類の上で点検されるというだけでは大変手落ちがあるのではないだろうかということを一つは危惧をします。精神衛生法の危険性から考えて、ともかく当面運用面でチェックできることは強く危惧を払拭するための指導というものをやられなきやならぬと、こういうふうに思うんですが、最後に大臣の所見を求めまして……。
○国務大臣(田中正巳君) 精神病の扱い、精神衛生法の運用の問題、そして精神病院のあり方、先般来国会で何遍か質問が出ました。実は私も精神衛生法の一部改正で議員時代に相当深くタッチをいたしました。先生の御疑問のようなことをわれわれは当時討議をいたしました。同意入院につきましてもこれでいいのかどうかという問題もあります。ヨーロッパ等の立法例を当時見せられました。まあまあこれでいいだろうと、こういうことでやったわけでございますが、問題は扱う人たちのモラルの問題とも関連しているだろうと思います。当面は知事の審査というものをもう少し克明にやるといったような、必要があればというんですが、この必要があるということをもう少しコンデンスしてやるというふうな運用をもってまあ同意入院についてはいま言うような事故の起こらぬようにしなきゃなるまいというふうに思っていますが、何さまどうも人権との関連の深いこの問題でございますので、今後事態の推移を見て、先生のおっしゃるようなこともよく私にはわかりますので、現行法でひとつそういう事態の起こらぬような運用をしていくようにいたしますが、どうしてもそういうことが無理だというようなことになれば、またこれはお互いに相談をしなければなるまいと、かように考えておりまして、問題意識を十分持っております。
○副主査(玉置和郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○副主査(玉置和郎君) 速記を起こして。
○井上吉夫君 私は本日は心身障害児、とりわけ精神薄弱児に関連することに焦点をしぼってお尋ねをしたいと思います。 まず第一番目に、一番近い時点における精薄児並びに精薄者の総数、そしてその中で精薄者の援護施設が個所で何カ所あり、収容人員が何人おるか、まずそのことをお伺いいたします。
○政府委員(上村一君) 一番近い時点が四十六年の十月一日の数字でございますが、そのときに行いました精神薄弱者の実態調査によりますと、十八歳未満の精神薄弱児が十七万、十八歳以上の者が十八万六千三百人、合わせまして三十五万六千三百人というふうに推計をしておるわけでございます。 それから施設の数でございますが、大人の精神薄弱者を入れます精神薄弱者援護施設、昨年十月一日の数字がございますが、精神薄弱者の通勤、寮を含めまして、施設の数が公立で百三十一でございます。私立で二百七十一、合わせまして四百二でございまして、定員が公立が一万五百七十四人、私立が一万六千四百三十九人、合計二万七千人ばかりでございますから、施設の定員は精神薄弱者の数の約一五%ぐらいというふうに推定をいたしております。
○井上吉夫君 概要はわかりましたけれども、精神薄弱者というのが大体一五%足らずが施設に収容されているわけですけれども、残りの八五%というものは、そのほとんど大部分が自宅にいるというぐあいに見ていいわけですね。
○政府委員(上村一君) 自宅、施設の外でございますから、自宅、そこから施設に通う場合もございましょうし、あるいは学校に通っている子供もあると思いますが。
○井上吉夫君 そこで次には、その精薄者の就職、就労の状況、これが厚生省のサイドでわかっておればお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(上村一君) 同じ四十六年の時点での調査でございますが、働いておる十五歳以上の精神薄弱者六万四千三百人でございます。十五歳以上の精神薄弱者は、さっきは十八歳で分けて申し上げましたので、十五歳以上の精神薄弱者の数は十九万四千二百でございますから、その十九万四千二百に対しまして三三%ぐらいでございます。
○井上吉夫君 その三三%ぐらいが就労して、残り結局六七%は就労してないということになるわけですが、その六七%に相当する精薄者は仕事の適当な場がないために就労できないのか、身体の都合によって就労能力が全然ないというのか、そのあたりの仕分けは概要わかりますか。
○政府委員(上村一君) そこまで調べたものはございませんが、その働いております六万四千三百の中で働いている場所を調べますと、自宅で働いておる者が半分以上、三万六千九百を占めておるわけでございますので、ここで働いておらないというものは働く場所がないあるいは働く能力が必ずしも十分ではないというふうな事情にあるんじゃないか、こういうふうに推定をしております。
○井上吉夫君 私はその十九万四千の中で三三%が働いている、その中でさらに施設で何らかのめんどうを見てもらっているのは二万七千で、結局六万四千のうちのさらに大部分といいますか、半分以上の三万六千余りが自宅ですから、この自宅というのは本当の意味の働くという状況にあるかどうか大変疑問だという感じがするわけです。現実に働いていない方がはるかに多い上に、働いているという中の半分以上が自宅ですから、本当の意味で生きがいのある生涯を送れる状況になっているかどうかということになりますと、中には若干家事手伝いという形の中でどうやらしのいでいくという、どうやら生きがいを感ずるという状況の中にあるのもおるかもしれませんけれども、恐らくはこのうちのまたかなりな部分というのが家族にとりあえずは見守られながら、どうやらこうやらその日を過ごしているという状態ではなかろうか。そう考えてみますというと、一応施設でめんどうを見てもらっているのが一五%程度でありますけれども、これを若干その上に自宅における仕事というのを加えても二〇%をわずかに超える数ではなかろうか。そうすれば八〇%ぐらいの精神障害者、精神薄弱児、精神薄弱者は、結局もし適当な方法と適当な場所があれば何とかなるという対象がかなりな数ではないかという気がするわけですね。それだけにやっぱりこの対策というのはきわめて急がなきゃならぬというような感じがするわけでありますけれども、そこで、今後これらの対策についてどういうぐあいに進めていこうと考えておられるか、お考えをお伺いしたいと思います。
○政府委員(上村一君) まず精神薄弱者の就労の問題というのは、直接的には労働省の仕事になるわけでございます。いまお話しになりましたように、労働省の資料を調べましても、十五歳以上の全人口の中で働いております者が六三%、それに対しまして精薄はその半分以下、しかも十五歳以上の全人口の場合には、上級学校の進学者は就業者から外されるのに対しまして、こちらの場合にはその可能性が非常に少ないということですから、相対的に非常にまずい。そこで労働省が中心になられまして、身体障害者に劣らずに精神薄弱者の就労対策を進めるということになるわけでございますが、私どもも入っております人につきましては施設の中で、できる限り指導、訓練をして社会復帰ができるようにしていきたいと思いますし、それから家庭にある人たちにつきましては、労働省の施策を応援する形で就労できるような施策を進めていく必要があるんじゃないかというふうに考えております。
○夏目忠雄君 ちょっと関連。 就労対策というのは、数たくさんあって一度にというわけにはいかぬでしょうけれども、できるところからやっていかなきゃいかぬね。 そこで、一つ私実例を申し上げますが、長野県で若槻コロニー——コロニー施設ですがね、精薄も身障も入っている。こういう状況ですから、各工場でもってイの一番に退職してもらうのはそういう人たちなんです、一般の事業が。そういう人たちが、だんだんいま人員整理の第一眼目に挙げられるのは精薄や身障の人たちです。そこで、そういう人たちが実は希望が殺到しているわけですよ、首切られたから、ぜひコロニーで働かしてくれという人が。ところがコロニーは、残念ながら、仕事さえ安定的に確保されていれば相当数収容できるんだけれども、それが仕事そのものが安定的に供給されておらぬ。ぜひひとつ、私はそれで官需の中で一定の割合を確保してもらいたいということを実は長野県の県庁初め各市町村にもお願いしているわけですが、厚生省さんの方でも、ぜひそういう意味で、一例を挙げますると、何か白衣を、どこだったっけな、どこか商社でお預かりしたのが、それが一部韓国へ行っていたやつを取り戻してコロニーの方へ割り当てられる計画があるように聞いておるんですが、そういうような方法を講じて、ぜひひとつ精薄・身障者の就職機会を少しでも多くするという意味で、厚生省さんの官需の方をそっちの方へ振り向けると、こういうことをお考えになりませんか。
○政府委員(上村一君) いまコロニーの中での授産施設についてのお話じゃないかと思いますが……。
○夏目忠雄君 そうです。
○政府委員(上村一君) 授産施設の場合には、主に外部に契約受注して、そこで加工するというふうな仕事をしておりますので、どうしてもいま御指摘になったような外部の事情に左右されまして、授産施設の運営、まあ、したがいまして、そこで働き得る精薄者の何と申しますか、数の制約というものが出てまいるものでございますから、いま御指摘になりましたような、官需をいかにして確保するかという点につきましては、寄り寄り相談させていただければというふうに考えております。
○夏目忠雄君 ぜひひとつできるところから相談してやってください。
○井上吉夫君 それでは、いま若干の質疑をした中で大体考えられることは、まだまだその実態が正確に把握されてないという気がするんですよ。これは、私は自分の県の鹿児島県の場合の資料も取ってみたわけですけれども、私の鹿児島県の場合で、精薄児が十八歳未満で三千九百二十人、このうち要収容者というのを一応八百七十人と押さえて、そのうち八百十人は収容されて、養護学校等で収容されて、いろいろな形で手が加わっている。大体要収容者に対する入所率は九三・一%とかなり高い収容率になっている。一方、十八歳以上の精薄者の段階になりますと、六千五百五十人に対して、まあ要収容者という押さえ方をどうしたか、このあたりにもまだまだ問題がありそうな気がしますが、一応千人と押さえて、これが公立と社会福祉法人、私立とを加えて八百三十人収容されて八三%、これでも若干の差があって、精薄者という段階になりますと若干落ちます。残りの中で、在宅者五千七百二十人というのの内容を、就職をかれこれの事情で聞いてみますと、これはまあ推定という程度で、およそ二〇%程度がどこかで働いていると見込まれる、八〇%程度は在宅だということなんです。 だから、こういうところから見ても、先ほどのお答えを見ても、なかなかこの実数というのが、とりわけ家庭にある者がもしこういう施設があるということを知ったならば、そういう施設でめんどうを見てもらいたいという、この希望者の数の正確なやっぱり実態把握という、そういうものが前提になって、対応する必要な施設数というものをつかんで、それをどういう年次計画で充足していくというようなふうのことをぜひやってもらいたいということが第一です。 それからもう一つは、精神薄弱者の中にもかなりな重度と、それからいわば中度とでも言うべきもの、さらに普通人とそう大きな開きのない軽度というものがある。この軽度の者については、できるだけ私は一般の職場というものに対応するだけの十分な訓練を施して、そこにできるだけ雇用主はもちろん、その職場におけるすべての人たちの理解を受けて、そういう環境の中で普通人にまじって働けるということが一番望ましいと思います。しかし、恐らくその数というのは全体の中で私はそう大きな数ではないと。重障者については、これはまた別個な対応が必要ですから、きょうはこのことについての議論はいたしませんけれども、その間にはさまるいわゆる中度とでも言うべき、更生施設あるいは授産施設というものが整うならば、私は相当な数の人間が一生を何とか生きがいのある職場として生活していけるというぐあいに、大変大まかな観測ですけれども、そういう感じを持ちます。 で、このことのためにも、さっき申し上げましたような実態把握が必要であるし、そして、そういう意味で正確に把握されて、いま申し上げましたような、一般の人よりも若干能力は劣るかもしれませんけれども、そういう対象者だけを集めて、ふさわしい職業、そういうものを与えていくならば、それこそこの世に生まれた生きがいを持って一生を送るということができる、その子はもちろん、その親にとってもこれほど安心な場はないという感じがするわけです。そういう実態調査の必要性と、並びに、いま申し上げましたような対策を打っていくことについての構想を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(上村一君) 御質問の順序と若干逆になりますが、精神薄弱者の中で、軽い者あるいは中度の者——概数だけをまず申し上げますと、これも四十六年の数字でございますが、軽い者は約十三万人ぐらい——十三万三千人、中ぐらいの者が大人、子供合わせまして九万八千人ぐらいおるわけでございます。そこで、この数字は昭和四十六年の数字でございますから、五年前の数字になるわけでございます。私ども五十年度の一つの実態調査の仕事といたしまして、心身にハンディキャップのある人たちの実態調査をやってみたいというふうに考えております。その中でいま御指摘になりましたような障害の程度なり、あるいは就業の希望なり、家族の状況というものをより新しいものとして、つかんでまいる必要があるんじゃないか。どういう方法でやりますかは目下検討中でございますけれども、五十年度私どもの局の一番大きな実態調査の仕事として、こういった心身にハンディキャップのある人たちの実態をつかんでみたいというふうに考えておるわけでございます。 それから、第二点のこういった施設の整備でございますが、御案内のように、子供の施設の方は、児童福祉法で規定がございまして、児童福祉法が制定されましたのは相当前の昭和二十三年でございますから、子供の施設は相当整備されてきた。率直に申し上げまして、子供の施設につきましては、重いものを除いて、大体整備されているのじゃないか、それに比べますと、大人の方の施設は、根拠になります精神薄弱者福祉法が昭和三十五年に制定されたという経過もございまして、不足しておることは事実でございます。そこでここ数年来もう私どもの施設整備の大きな重点としましては、こういった大人の精神薄弱者の更生援護施設、これは収容施設もあれば、授産施設もあるわけでございますが、それに一番重点を置いて整備してまいりまして、一応ここ五年間ぐらいの数字を見ますと、定員で約二倍、施設数でも約二倍に増加したわけでございます。そこで、あるべき形としては、さっきお話になりましたように、施設に入りたい者がどのくらいおるかという数字をつかまえてやるべきなのでございますが、いま申し上げましたように、絶対数が非常に足らぬものですから、とにかくいまの段階というのは無我夢中でと申しますと少々オーバーな感じがしますけれども、何はさておいても、精神薄弱の大人の施設の整備に全力を挙げるという形で進めておりますので、正確な需要というものはまだ把握しておらないわけでございます。
○井上吉夫君 私が言いたいことも若干触れていただきましたけれども、文部省からもらった資料で調べてみますと、これは視聴覚障害も入りますけれども、大体四十八年の五月一日現在の調査で、義務教育段階の心身障害児童の数が五十四万人程度と押えられておる。この中で精神薄弱児の数が三十万、この出現率の傾向から見ましても、かなり心身障害者の中で、精神薄弱者の出現率というものが非常に高い、だから、これは絶対落ちこぼれなしにやってもらわなければならぬわけですけれども、対象が多いだけにその対策が急がれなければならぬと思うのですが、いま御説明がありましたように、そういう中で十七万五千人——三二%は養護学校、特殊学級等の施設によって手当てがなされている。薄弱児についてみますと、四三・二%という数字をもらっております。さらに、普通学級で教育を受けておる者等も相当な数に上がりますので、五十四万人の中で、就学援助を受けている数は二万人程度という内容のようであります。したがって、お話がありましたように、学齢段階においての子供に対する対応というものは、かなり進みまして、特殊な病弱者等を除いて、教育の場というところで、親は曲りなりに手も省けるし、ある程度安心してお任せができるという状態にあります。しかしながら、御説明のように、学校を終わったあとの、それからの長い生涯を一体どうやっていくかということが親の最大の心配です。私がこうとりわけ強く申し上げますのは、私の子供にも一人脳性麻痺の子供がおりまして、四十一年に三歳のときに、鹿児島の伊敷の整肢園に入れたわけです。まだそのときは立ち上がることもできない、哺乳びんからころんで飲むという状態でした、そういう状態のときに子供を預ける親の心情はもうそれは体験者でなければわからないほど大変な厳しいものがあるわけですけれども、それまでにもちろん一般質問の中で、木島さんでしたか言われましたように、最初はもうどっかに何とかなる病院があればということで、全国に適当な場はなかろうかということで一生懸命医療的な面で探し求めるのが親の心情です。結論的にこれがもう医学的に治療の方法が特別にないとするならば、幾らかでも社会的訓練を受けたいと、だからこそ一番手離したくない子を、それこそ心を鬼にして手放さざるを得ないということに到達するまで大変な苦しみを親は味います。そういう中で、どうやらそういう場を見つけ得た者はいいのですけれども、先ほど申し上げましたように、心身障害児の場合でも、まだまだ私は学校という、就学免除の数はいま申しましたように少なくなっておりますけれども、特殊学級だけでは足らずに、これは文部省サイドですけれども、まだまだ私は養護学校というものも必要だと見ております。しかし、それよりもその段階を経て、どうやら養護学校等でめんどうを見てもらっている親の共通の願いというものは、もう学校終わったあと、養護学校あたりはほんとうにりっぱな施設ができております。親の率直な言葉をかるならば、この施設は半分の経費でもいい、これほどぜいたくに、これほど整っていなくてもいいと、その金を今度は学校を出た後のわが子の場に充当してもらいたい、というのは、一方から見ますと、養護学校等は大変りっぱな施設が整っております、大変ありがたいことです。しかし、それから終わりましてがらっと変った環境の場に投げ込まれるわけですから、そのショックはさらに大きい。いま世の中に社会的公正なり弱者の救済ということがいろいろ言われますけれども、私はそういう関係の親としばしば、しょっちゅう接触をしながら、丈夫な子供は乳幼児医療だ何だかんだというものなどは全くなくても、われわれは親として十分めんどうを見ていくと、しかし、この子だけはわが家で甘やかして育てるならば、どうにもならないということなんです。そういう親の切実な願いをしょっちゅう聞きながら、やっぱりいま社会福祉という面で何から手をつけなければならぬかということになれば、これはまあ老人医療の無料化も年限も下げた方がいいでしょう。あるいは乳幼児医療というものも、それは社会で見るということもいいことには違いありません。保育所もどんどんどんどん整っていくこともいいことでありましょうけれども、少なくともすべてのそういうものがいまの財政段階なり、いまの状態の中で整うことが、一気には無理であるとするならば、一体どこから先に手をつけていかなければならないか。私は自分がそういう立場にあるから申し上げるわけじゃなくて、そうして、ひとり精薄児なり精薄者のことだけではなくて、もちろん肢体不自由児もあるいは難病奇病も含めて、これはいわば決して私は本人の罪でもないし、親の罪でもなかったと思うのです。不幸にしてそういう境遇になっている者について、少なくとも世の中に、下手をすれば親子ともに自殺を考えたいとまで考えるような、そういう状態のものがゼロになると、そこから私はやっぱり支えていかなければ世の中よくならないという感じがするわけです。そういうようなふうのことをしばしば聞きながら、いま申し上げましたように、親の最大の願いというのは、こういう対象児のために扶養保険制度などを創設されて、そうして親が亡くなった後扶養するきょうだいなり何なりに年金をやるという、そういうようなふうの仕組みも創設されましたけれども、共通して私はそのことに期待する親はきわめて少ない。それではなくて、もしわれわれ親が亡くなった後に、そのきょうだいにいつまでもめんどうをかけられるかどうかというその心配が一番大きい。だからこそ、いま申し上げましたような施設を十分に整えてほしいと。この場合に、流れをずっと見てみますと、最初のころは公立が多かったようです。そしていま説明がありましたようにこの五年ぐらい急速に数がふえたことも資料でいただいております。現実にも見ております。もちろん公立だけで完璧に整うということは無理かもしれませんけれども、いま特老あたりの場合どんどんどんどん社会福祉法人が多いということと全く軌を同じくして、社会福祉法人だけに頼るということに私は若干問題があるような気がいたします。できるだけこれはボランティアにもめんどうを見ていただかなきゃなりませんし、社会全体の意識をそういうぐあいに持っていただかなきゃなりませんけれども、できるだけ私は公立の面の充足もぜひお願いをしたい。そうしてそれと並べ比べしながら民間の施設というものも施設であれ運営であれ、それを参考とし、互いに連携をとうながら伸びていきますから、オール公立とは申し上げませんけれども、公立の充足という面にもうんと力を入れてほしいというぐあいに考えるわけですが、ひとつ厚生大臣、お考えをお伺いしたい。
○国務大臣(田中正巳君) 精神薄弱者対策、きわめて私は今後力を入れにゃなるまいというふうに思っているわけであります。これはもう御本人の今後の一生の生活、それからまた、このようなお子さんを持っている家族の方々の御心境、私も長いこと社会福祉をやってきました。このたびは厚生大臣になりましたが、長い間議員時代にやってきた私としてはよくわかるわけであります。今後社会福祉施設の整備計画の中には、この精薄者対策施設というものを重点的に織り込んでいきたい。同時にこれは単に収容するだけでは私はいけないと思うのでありまして、やっぱりできるだけ軽、中、重というふうにありまして、限度がございますことはこれはもう間違いがないんですが、しかし、できるだけこの方々が、こういったような精薄者の方々が何とかかんとか一生を送れるような職業訓練なり授産なり、そういうことをやらにゃなるまいというふうに考えて、その方向にだんだん進みつつありますけれども、そういう方向に力を入れていきたいというふうに思っております。ヨーロッパ等で私もずいぶん見てまいりましたが、ヨーロッパじゃモザイク、あれは非常に適当のようです。忍耐力があって軽作業でございますんで。ああいったような適当な仕事を見出して、ひとつこういうことについて親御さんにこういうお子さんが何とかこれで一生やっていけるなと、こういうふうな気持ちが出るようにしてやらなきゃいかぬと思っておりますので、そういう方向で今後努力をいたしたいと。 なお公立と私立の問題がございますが、これは社会福祉施設一般についてこういう問題が出てきたわけであります。これはもう施設整備費では地方公共団体は金を出しますけれども、運営費についてどうもいやがるという傾向があるんで、問題が那辺にあるかわからぬわけではございませんが、こうしたことについてやはり公私相ともどもに切磋琢磨をし他山の石として、お互いに公私が競うというところに、私はこういう施設のよさが出てくるだろうと思いますんで、運営費問題も含めまして、社会福祉法人だけにならないようにいたさなければなるまいと。極端な例は地方公共団体が建てて民間に運営委託するというやり方非常に多いんですが、こういうことがなぜ出てきたかということもひとつよく深く思索をしてみなきゃなりません。かように思います。大変大切なことですから、私も明年度以降の予算編成をめぐってこうしたことについて力を入れたいと、かように思っております。
○井上吉夫君 それから、この機会に一、二希望を申し上げて終わりたいと思うんですが、先ほど申し上げたようなことで、まあ、あらゆる段階で親は心配するわけですけれども、その親の心配を幾らかでもやわらげる意味も含めて、ぜひ私は学校——養護学校等を含めて、その学校と厚生省とあるいは労働省と、それぞれ三省にまたがりますけれども、学校を終わる段階ではもうその後について、後はこうつながっていくんだというような連携をぜひとってほしいと、そのためにも所要の施設というものが充足されないとなかなか容易ではありませんけれども、さっきも申し上げましたように、ごく軽度で一般の職場に何とかこう持ち込めるというようなふうの対象者、それから施設に置いてめんどうを見るという対象者、そういう者ごとに区分をしながら、とにかく数の面でどこかにはめ込んだということでなしに、対象者にふさわしい形でその次の段階に生きる場というものがつながっていくような、そういう連携をぜひとってほしいということが第一点です。 それから、これから先、さっき御返事いただいたように、できるだけ正確な実態把握からまず進めるということで、大変ありがたいことですが、そのことを前提として進め、施設をつくり上げていくについて、次の点をぜひお願いを申し上げておきたいと思うんですが、いままでよく特老であれ、あるいはこういう更生施設であれ、授産施設であれ、ともすれば、まあ極端な人里離れてではないにしても、よく社会の一般の場からかなり離れた場所、隔絶した場所につくるという——それはまあ土地の値段の問題などあったりするでしょうけれども、そのほかにやっぱり周囲の理解というのが容易に得られないということなどもあったりします。しかし、決して粗暴な連中であるとか、特別汚ないとかというわけでもないわけでありまして、身体に若干の欠陥があるというにすぎないわけですから、私はやっぱりできるだけ社会環境に間近な場所に置いて、一般の社会と絶えず交流し、有機的にその社会と連携がとれるという、そういう場の中で生活させる、それがやっぱり社会の理解も深めると同時に、本当の意味で生きがいある一生を送ることにつながると思います。ということと同時に、一つのモデル的な大きなコロニーという形のものも考えてよろしかろうと思いますけれども、それぞれの親の立場などいろいろ考えてみますと、この施設に預けっぱなしという気には決して親はならないわけですから、やっぱりできるだけ頻繁にその子と会いたいと思うわけですので、まあ運営、かれこれとのいろんな関連があるでしょうけれども、そのあたりも十分お調べいただいて、そしてできるだけまあ数多く家族なり両親などがしばしばその子供と会えるような状態、そういうような形で施設をつくっていただくことをぜひお願いをしたいと思うんです。 それからもう一つは、こういう対象者だけを収容して一つの事業をやって、そして半分なり六割なりの能力でありましても、一般の世の中と隔絶して育ちますから、性格的にはまあ極端に俗に言うと仏様みたいな悪に染まらない子供たちです。一生懸命仕事をやるという意気込みは、私は一般人以上に気持ちの上ではあると思うんです。ところが、まあ能力的には劣りますが、それを一つの仕事として集めてやりますと、当然その仕事は社会の何かの場につながっていくわけですから、たとえばクリーニングをやるとか、あるいは木工であるとか、あるいは印刷であるとか、手にも障害があったりいろいろしますので、そういう子供たちでいろんなものをつくる。ところが、一般の経済の市場、そういう中からその施設あたりが何かの特別な大手の取引の場、官公署なりいろんなところと、あるいは病院あたりと連携をとって仕事をやろうとする場合に、まあ一般社会からかなりわれわれの営業の範囲を侵害するという、そういう形の問題が惹起したりします。こういうことについても野放しでいきますと、両方非常にぐあいの悪いことが出たりします。そういうことなどについても理解を深めるという対策が必要だと思います。大変幅広い物の見方が必要でありますし、これはひとり厚生省だけで問題が片づくことではないと思いますけれども、一番中心になる立場においてこういう対象者の治療から訓練からいろんなものを含めて厚生省が一番のいわば親元である。ここから学校と、あるいは労働市場と、そういうものと連携をする最大の窓口としてやっていくんだという気持ちでひとつ十分な連携をとってやっていただきたいと思います。細かいことについては、いろいろ申し上げたいこともございますけれども、おおよそ私の言わんとする気持ちもおくみ取りいただいたと思いますから、重ねて申し上げますけれども、この社会的弱者という中でとりあえずやっぱり一番優先という言葉が当たるかどうかわかりませんけれども、最低の立場にある者を拾い上げるというところには、万全の措置を講じていくということがきわめて必要だと思いますので、格別のひとつ御配慮と御努力をお願いを申し上げまして終わりたいと思います。
○夏目忠雄君 ちょっと私もさっきの話にあれですがね、結局そういったいま業者とのあれがありましたですね。その実例私も実は最近受けておりまして、やっぱり一般の業者と一緒になってお役所の方へ行ってなにするものですから、どうしても競争入札みたいな形になる。そうすると、業者とやっぱり合ってぐあいが悪いから、官需のうちのたとえば東京なんか大きいですからね、五%でもいいですよ、五%でもいいから五%はこれは別枠にしてそういう施設の事業にしてしまう。で、一般と競争させない。こういうことをやると業者との摩擦がなくて済むんです。ぜひひとつ先ほど申し上げましたように、厚生省から官需の手本をひとつ示していただきたいと思います。
○安孫子藤吉君 関連してぼくも一つだけ。 たとえばコロニーとかなんとかいろいろ施設がありますね。これの人員補給が非常にむずかしいんですよね。そういう場合に私はいまコロニーなんかのたとえば施設に入れますと、親は手放したといって任しきりで、ただ、ときどき行くだけでみずからやるという気持ちは余りないだろうと、だから、正規の支払いをしていいと思うんですがね。ボランティアと半々ぐらいでもいいですから、ある期間、一週間とか十日収容している子供の関係者がそこへ行って一緒にやってやるという、それには金は払ってあげたらいいと思うんです。そういうふうにすればいいじゃないかと私は思っているんですがね。これは人員が充足できにくい事情と、それからやっぱり預けっぱなしじゃないんだという連絡ですね、そういう点からそういうことを考えたらいいじゃないかと思っているのです、研究問題として。
○国務大臣(田中正巳君) いまお三人からいろいろと御意見がございましたが、大変私どもとしては的確な御指示だと、かように思っております。私もこの種のものを長いこと実は国会議員になってからやった私でございますけれども、よく皆さんと御相談をしてひとつできるだけのことをいたしたいと思いますが、いまこの方々が働いた後の品物のさばき先についての話でございますが、これは過日も予算委員会で身体障害者の授産施設について、これはあちこちでフリクションが起こっているという話も聞きまして、やはりこれについての措置を考えにゃなるまいというふうに思っておるわけでありまして、民間の場合、なかなかコマーシャルベースで乗らないものにつきましては、やはり役所がある程度犠牲を払ってもやるというようなことをしていかにやなるまいと、かように思っております。要は、この種の精薄者あるいは身体障害者等々のどうやら一生の生活のめどがつくということが私は一番本人にとっても、家族にとっても大切だと思いますので、そういうことをめぐって皆さんのまたお知恵を拝借しつつ、できるだけその方向に意欲的に進めたいと、かように思いますので、御協力願いたいと思います。 —————————————
○副主査(玉置和郎君) この際、お諮りいたします。 予算委員の異動に伴い主査が欠けておりますので、その選任を行います。 選任は投票によらず副主査の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副主査(玉置和郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、主査に藤田進君を指名いたします。 —————————————
○副主査(玉置和郎君) 引き続いて質疑を行います。
○竹田四郎君 三十分の時間ですから、ひとつ適切にお答えをいただきたいと思いますが、私が伺おうと思うのは、乳幼児の被服に含まれていると言われるホルマリンなわけでありまして、これについては有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律というのができて、ことしの十月一日から実施されるわけでありますけれども、新聞報道その他によりますと、大変これは在庫がたくさんあって、全体でどれぐらいあるか私よくわかりませんけれども、業者によっては三、四カ月の在庫すらあると、この在庫の分はいままでのホルマリンが入っているそうしたはだ着類が三、四カ月分あるということで業者関係から大変陳情があって、いま御承知のように繊維は大変な不況であるし、そういう中で在庫がそのままだめになってしまうということで大変な損害があるから、ひとつ十月一日を延ばせという陳情がしきりだと、これは厚生省にもあるようでございますけれども、 〔副主査退席、井上吉夫君着席〕 この件について大臣は一体どうお考えになっているのか。私は事乳幼児の問題であるだけに、あるいは経済的にはある意味でそういう損害というものが出るかもしれませんけれども、しかし、事人の命と健康に関することでありますから、一方ではそういう問題は出るかもしれませんけれども、私はあえてそうした規制を十月一日をもって厳正に行うのがしかるべきだと、こう考えますけれども、大分厚生省の方はいつも、どちらかというと立場がお弱いようにも私は承っているわけでありますけれども、その辺についてひとつ大臣のはっきりした、後になってまたそれを延ばすなんということになると困るわけでありますから、その点は十月一日施行なら十月一日施行ということで明確な決定をやっぱりこの席で私はお聞きしておきたいと思うんですけれども、その辺大臣からひとつ、また延ばされちゃ困りますからね、ひとつ大臣からこの点ははっきりと申し述べていただきたいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) 家庭用品のホルムアルデヒドの問題でございますが、準備期間、そしていよいよ今年十月からこれを適用を実施することになっておりますので、厚生省としては国民の健康の保護を考えておる役所でございますんで、これについてはただいまのところ実施を延長するということは考えておりません。なお、業者の間に繊維不況に対応していろいろな思惑もあるようでございますが、しかし、私どもとしてはこれについていま対応するという考えは持っておりません。ただ、一部の商品についてこの目的と遠いものについては何か考えたらどうだろうか、たとえば直接はだに接しない繊維あるいは子供がよだれ掛けのようになめるというようなおそれがあるようなものは、これはいけませんけれども、そうでないものについてはいろいろと御要望もありますが、こうしたことについては研究することはやぶさかではございませんが、根本的にこの措置を延期する、やめるという考えは持っておりません。
○竹田四郎君 何か大分いまの御答弁を聞くと、ただいまのところとかというような言葉があちらこちらに二、三入っているわけでしてね。またお話によりますと、何か一部を若干緩めていくというような感じもいたしますし、諸外国では余りこのことは恐らくいままでやってないということであろうと思いますし、日本が先がけてやっていることで私はいいことだと思うんですよ。何かどうもいまのお話でもぴしっとやるという、どこかで何かこう小さな穴から水が漏れていくような感じを私は感ずるわけですけれども、これはやっぱりぴしっとやってもらって、ただいまのところ十月一日からやって変更する意思はございませんとかなんとかというような言葉が出ること自体、私はちょっと不安を感ずるんですがね、十月一日からぴしっとやりますと、こういう返事でないと何かあしたになったらまたぐらぐら変わるということであっては困るんですがね、どうなんですか、その点。
○国務大臣(田中正巳君) お説のとおり十月一日からきちんと実施いたします。
○竹田四郎君 それで私一つ心配がある点は、これは通産省にお聞きしておかなくちゃならぬと思うんですが、実際そういうホルマリンが入っているもので、いまからでもこれは売るでしょうけれども、十月一日の時期でそういう有害物質を含んでいる幼児のものは具体的にどのくらいの在庫がいまあるんですか。
○説明員(福川伸次君) 私どももいろいろ個別に業界の不況の実態、あるいはこれに伴います販売の減少という事態をいろいろ関係業界から聞いております。で、実はこのホルマリンの入っております衣類がどのくらいあるかという正式な統計が実はございません。したがって、正式に把握することは困難ではございますけれども、ちょうど昨年十月これが公布になり、今度一年間の実施の間でその間の適用体制を企業側もとっておるわけでございます。で、現在企業によっていろいろ差がありまして、私どももサンプリング的に聞いてみますと、これは先生先ほどおっしゃったように、いま三、四カ月というような在庫を持っておる企業もございますし、あるいは物によっては一月分というような在庫だという企業もございます。そういうことで、サンプル的にいろいろ企業によって差があることは事実であろうと思います。しかしながら、先ほど厚生大臣からも御答弁もございましたように、一年間の施行期間ということの中で企業はやはりこれに対する適応体制を整えるということが本来企業のあり方であろうと思うわけでございまして、これが実施されるまでにいま企業も努力いたしておりますが、私どももそれまでに企業が適応体制を整えるように十分見守っていきたいと思っております。
○竹田四郎君 大臣、そういう形で通産省の方も一体どのぐらいあるのか、サンプリング的にしか調査ができないし、企業によっては恐らく私は大きな企業は大きな損失を招きますから比較的少ないだろうと思いますけれども、こうした衣類というのは大体小さな、小零細と言ってもいいと思うんですね。あるいは場合によっては家内工業的なものが実は多いと思うんです。そういうことでありますと、これが景気のいいときならばまた別ですが、景気が悪いということで、いまでも私大いに売りまくろうとしているだろうと思います。あるいはバーゲン等々を通じて売りまくろうと、いまならまだいいということで売りまくろうとしているんですが、規制をしている限りはやはりそれは好ましくないということで法律ができたわけでありまして、そういう意味では実際消費者の立場からすれば、一体ホルマリンが入っているのか入っていないのかという、家へ帰ってきてなかなか検査ができるというそういう簡単なもんじゃないと思います。また率直に言いまして、そのホルマリンがこれは空気中でも強いものについてはある程度おけばやっぱり含まれていくという、そういう性格のものであるだけに、やっぱりどこで果たしてそれが含まれたかということになりますと、これは大変むずかしい問題に私はなると思うんですよね。そういう意味で消費者が買いやすい、区別がしやすいということが私非常に大事だと思うんですよ。それで、あとで責任問題もそれに関連してくる可能性もあるし、そうした意味では、あるものとないものとが消費者に対してはっきりわかるような表示ですね、私はこれをやるべきだと思うんですよ。特に赤ちゃんが生まれたということで、それじゃひとつお祝いをということでギフトなんかも相当私は出回っておると思うんですよ。そういう意味でやっぱりその辺をはっきりしないとあとの責任問題にも絡むし、また消費者が識別をしにくいということもありますから、どこにどういうふうに表示をするのが適当なのか、それは相手が乳幼児でありますからなかなかむずかしい点があろうと思いますけれども、少しその辺は消費者が買うときに識別できるようなものをひとつ表示をさせると、せっかく法律もできていることでありますから、表示をさせるような措置ということが私は必要だと思うんですが、これは大臣、何か考えてもらえないでしょうか。
○政府委員(石丸隆治君) ただいま先生から表示の御指摘があったわけでございますが、この表示の技術的な問題につきましては、また後ほど通産省の方からお答えがあろうかと思いますが、基本的な考えについて私の方から一言御説明申し上げたいと思うわけでございます。 で、今回の有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律に基づきますホルムアルデヒドの規制は、十月一日以降におきましてはこの規定の規格以下のものでないと販売できないことでございまして、一応そういった意味では十月一日以降に販売されておるものはすべてこの規格に合っているというたてまえになろうかと思うわけでございます。しかし、先生御指摘のように、従来のものがあるいは見逃されて残っていたり、あるいは他の物質からホルマリンがそういった衣料品にうつってくるという、そういった問題もあろうかと思うわけでございます。で、われわれといたしましては、そういった中におきまして現段階において法律をもってそういった表示を義務づけることは非常にむずかしい問題があろうかと思うわけでございますが、先生御指摘のように、消費者がやはり迷わずにそういった製品を選択できるということが必要であろうかと思うわけでございまして、そういった意味におきましては今後通産省の方と十分連絡をとりながら、この表示等について必要な指導をいたしてまいりたいと思っております。
○竹田四郎君 通産省の方ではそれについては何かお考えがあるんですか、どうですか。私は、やっぱりなかなか管理がむずかしかろうと思うんですよね。少なくとも大きなデパートとか何とかいうものはいいですけれども、衣料品なんというのはどこでも売っているし、そういう点ではそういうところになればなるほどわからないわけですし、恐らくきちっとした包装も同時にすることは当然だろうと思いますけれども、何らかの形で消費者がわかるような形にしないと、ある意味では消費者がまた高いものを買うというような問題もこれは将来起き得るわけですね。恐らく規制されて売っちゃいけないというものをこっそり売るという業者も全然ないという、それは望ましいわけですけれども、現実問題としてはかなりの損失を考えるということになると、少しでも売りさばいて赤字幅を少なくしようという努力も一方では当然あるだろうとと、やっちゃいけないことであるけれども、そういう抜け穴をやっていこうという業者も私は全然ないとは言えないと思うんです。だから、そういう意味ではやっぱり消費者が選択しやすいような表示をどこにするか、これはまたいろいろする個所にもよるだろうと思いますけれども、少なくとも消費者が選択できるようなことをやっぱり通産省としては業者に私は当然指導すべきだと、こう思うんですが、通産省の方は何かそういうことについてお考えでありますか。
○説明員(福川伸次君) すでに染色整理段階では、このホルマリン加工というのはもうすでにメーカー段階では実施をいたしておりません。したがって、被服類になりましたときの品物がどうであるかといういまお話でございましたが、私どもの方では十月に今後施行されました後の段階については先ほど厚生省からお話がありましたとおりでございますけれども、私どもの方では検査協会におきまして依頼検査によりまして、これがホルマリンが入っているかどうかという依頼検査に対応いたしまして、これが含まれていないというような形のものを表示をするというようなことの実施をいたしておるわけでございます。
○竹田四郎君 表示をするというんですが、具体的にどういう表示をするんですか。表示の仕方にもいろいろありまして、いままでも牛乳なんかの表示もこれは大臣御承知のように虫めがねで見なくちゃ見れないような表示をして一応表示義務を果たされたなんというのがあるわけですね。薬なんかでも表示をしろというと、ちょっと私どもの年齢では何が書いてあるかわけのわからぬような、それでも表示だということじゃこれは本当にただ単なる言いわけ的な表示であって、やっぱり消費者保護という立場から見れば非常に不親切な私は表示だと思うんですが、大体どんな表示——表示の基準といいますか、それはいろいろなやり方というのはまだ検討されているかどうか私はわかりませんが、検討されていたら具体的にこういうものだというものを示していただきたいんですけれども、まだ恐らくそこまで通産省としても検討しているかどうかわかりませんし、それから検査協会がやるというんですが、この検査協会だって全部のものをやるわけじゃないと思うんですよ。恐らくどこどこの会社の布に対してという程度のもので、これにしても私はいままでもJISマークなんかでの経験もございますけれども、JISマークの紙を買ってきて張って、JISマークの製品を製造する工場でないところの工場でできた物へJISマークを張りつけることによって、あたかもこれはJISマークのもので信頼してもいいんだと、こういうようなことで過去にやった実際のそういう事情もあるわけですよ。だから、その辺はやっぱりよっぽどきちっとやってくれないと、後でやっぱり大きな問題が私は必ず起きてくる。その辺は本当にわかるような、しかも何とかすり抜ければうまくごまかせるようなそういう形であってはならぬと思うんです。まあ恐らくお考えだろうと思うんですが、どんな基準でどんな程度のものをやろうとなさっているのか、やっても余り目に見えないようなやつでやったらこれは意味ありませんからね。
○説明員(小沢紀一君) 御質問の第一点は表示のやり方を何か統一すべきではないかということでございますが、繊維製品の場合、サイズの大小と、非常に品種がございまして、そこら辺は常識的な範囲で見やすくわかりやすいということで指導しているところでございます。現在、家庭用品品質表示法という法律がございまして組成繊維等について表示を義務づけておりますけれども、これにつきましても表示のやり方はいわゆる行政指導でわかりやすくということで、あえて法律で表示の仕方までは規定していないような、あるいは規定できないような状況でございます。そのようなことで御理解賜ればと思っております。 それから二番目に、検査協会がやっているというけれども、きわめて不適当なケースがあるのではないかということでございますけれども、これは違反した場合には法律による処罰の対象になるわけでございまして、十分なる注意をもってやるように指導することは当然のことでございます。また検査協会は、原則といたしましてはみずからやるというよりはむしろ表示者側の依頼を受けて実施し、おっしゃるとおりテストしました一つの商品についてはそうであったけれども、すべてがそうであるということにつきましては、依頼者側からの要望によってそれぞれ管理もいたしますし、そこら辺のところを依頼者側の方で管理するということであれば依頼者側の方の責任において表示すると、そういうふうなことになろうかと思っております。
○竹田四郎君 そうすると、いまのお話ですと、表示者側の依頼によってやるということ、あるいは違反した場合は処罰があるというんですけれども、現実にそれではそれを買った人がそこまで持って行けるかというと、私はいまの段階ではなかなかむずかしいと思うんですよ。実際、じゃ買った物にはなかったけれども途中でうつったんだと、こういうふうに言われてしまえば、今度買った方が悪いということになっちゃうんですね、どこかでおまえの方の手違いがあったんだと、それだからそういう結果になったんだということで、まあ消費者としては、じゃ訴えて——その業者を訴えたところで、それじゃ必ずそれでは処罰されるかと、じゃ売った者が本当に悪いのかというとなかなかその辺というのは私はこの場合、特にこの場合非常にむずかしかろうと思うんですよ。いま、デパートにしてもスーパーにしても、うつらないように、これはこれだけで買ってほしいのでほかの物と一緒にしないでくださいとかというようなことで、コーナーすら特に分けてやっているとか、非常なこれに対して業者としては苦労してやっているわけですよね、現実には一まあ、それはそれだけの理由があるから私はそういうふうにしてやっているんだろうと思うんですが、いまのおっしゃり方だと、どうもその辺が、私はせっかく法律ができて売っちゃいけないということになっても、実際はざる法になっていく可能性というのがどうもあるようなんですがね。ですから、表示にしても、さっき言ったように簡単に紙をこっちに張ればそれでいいんだとか、そういうことならどうにでもなるわけですよ。実際JISマークなんかそうやったことのある工場というのはあるわけですよ、私の調べた範囲でも。だから簡単に表示しかえることが、自分でつけることができるような表示だったらこれは意味がないんですよ、せっかく法律ができても。その辺は相当厚生省と相談して手心の加えることができないような措置にしてもらわないと、後で問題起きたとき私は大きな責任問題にもなるし、また、責任の持っていきようもない泣き寝入りをしなくちゃならぬというような問題というのはかなり出てくるんじゃないかと思うんですね。その辺はどうなんですかね。いまの私は通産省のおっしゃっていることだけではどうも安心できない、もう少し消費者が安心して使えるというような体制というものをつくらないと、法律はできたけれども実際にはどうにもならない、こういうことだと思うんですよ、いまのままでは。どうなんでしょうか、それは。
○説明員(福川伸次君) 先ほど厚生省から御答弁ございましたように、法律が施行されました場合には、その基準に適合いたしませんものは陳列、販売等はできないことになるわけでございまして、それは今後取り締まりをどういうふうにやっていくかという問題であろうと思います。いま、先ほどいろいろ申し上げましたのは、その段階で、途中の段階でいわゆる検査協会に依頼がございましたときにはどういうことであるかということの検査に検査協会が応ずるという体制をとって、それでメーカー段階のホルマリンが入っていないかどうかを明確にするということを検査協会としては企業からの要望に応じてやるわけでございますが、いま先生お話ございましたように、途中の輸送段階あるいは販売段階での移染の問題というのはもう一つ非常に大きな問題としてあろうと思います。これにつきましては、それぞれ流通段階においてその管理を十分明確な措置をとる、移染のしない措置をとるというようなことも含めて、現在行われておるわけでございますけれども、いま陳列し、あるいは販売されておるものというのは、一応すべて基準に適合しているものでなければならないことになるわけでございますので、その辺の責任問題というのは、この法律の施行という過程において非常に明確になるものであろうかと思います。先ほど厚生省から、その辺の監視の問題等々もいろいろございましたが、現在移染の問題というのは、そういう形で、この法律によって十分担保し得るのではないだろうかと思っております。
○竹田四郎君 確かに、机の上では、考えてみると、論理的にはそのとおりだと私は思うんですよ。論理的にはおっしゃっているとおりで、もう売っちゃあいけないんだから、売るやつが悪いんだから。しかし、現実には、まあ場合によれば、こんな小さなものでしょう、そんなもの一つで問題を、法廷闘争までやるなんということは、現実問題としてはちょっと私できないと思うんですよ。それで、しかも検査協会の、すべての製品を検査協会の検査を通さなくちゃならぬという義務づけもないわけですよね。そうなってくると、なるほど大きなところは私はいいと思うし、今度のこれだって、三カ月も四カ月も在庫があるということ自体が実は考えりゃおかしいんですよね、おかしいんだけれども、それが趣旨が徹底していなかったからそういうことに私はなったと思うんですよね。そうなってくると、いま局長がおっしゃるような形で、それじゃあ本当に防げるかどうかと言うと、私は何か防げないような感じがしてしょうがないわけですよね。それは毎日のように通産省が各店頭に並んで、そりゃその検査していればそれはいいかもしれませんけれども、そんなことはもういまの形でできっこありませんよ、現実に。私はそういうことじゃ——ちょっと大臣ね、あなたの方で一生懸命法律はつくったはいいようなものの、その表示とかそういうものに、通産省任せで一体いいのかどうなのかというと、私はその辺にものすごい不安を感ずるんですよ。だから、おたくの方がお見えになったときも、せっかくこの法律つくったのに、結局ざる法になるんじゃないかと、ざる法にしちゃあならぬぞということを私は何回も念押しをしているわけなんですが、どうもいまのお話しですと、私は結局はざる法になってしまうんじゃないのか、こういう感じを持たざるを得ないわけですが、もう少しその辺ぴしっとやってもらわないと、何で国会でこんな法律をつくったのか、消費者団体が何で騒ぐのか……。
○政府委員(石丸隆治君) 表示の問題は、二つの点があろうかと思うわけでございまして、一つは、今後の、いろんな新しく発売されるようなものに対する今後の問題としてのこの表示のシステムの問題と、もう一つは、先ほど来先生御指摘のように、現在、古い製品と新しい製品との混在しているこの段階における当面の表示の問題と、この二つの問題があろうかと思うわけでございます。いずれにいたしましても、今後の一つのシステムの問題として考えました場合に、やはりこれを食品の表示と同じように、今後またいろんな面から、制度化という点では通産省と相談しながら、われわれも、われわれの希望を述べてまいりたいと思っておるところでございます。いずれにいたしましても、この家庭用品の違反品を監視いたしますのが、われわれの方の家庭用品衛生監視員でございまして、この監視員が日常業務を行う際にも、やはりこういう表示が十分徹底しているということがこれらの監視員の業務を非常にやりやすくするというような観点があるわけでございますので、われわれといたしまして、今後の表示のシステムの問題につきましては、今後、通産省の方とよく相談いたしまして、新しく制度をつくり上げてまいりたいと思っております。
○竹田四郎君 大臣、将来は、私は徹底すれば、恐らくそういう有害物質が入っている乳幼児の被服というものは出てこないだろうと思いますけれども、とにかくこの混乱期であるだけに、私はせっかく通産省が法律をつくってもざる法になる、ざる法になるということになりゃ、それがまた、いつか法律の違反をあえてやっていく可能性も私はあると思うんで、この辺の対策というものを十分とっていただかないと、どうも混乱が起きてくるんじゃないだろうか、それと一つは、もうそういう有害物質の入ったものを、もうとにかく十月一日以降はないということが必要だと思うんですよね、あればいまのような問題も当然起きてくるし、私どもの心配もよけい多くなるわけですからね、ですから具体的には、先ほど通産省もおっしゃっていたように、二カ月、三カ月、何か在庫を持っている業者ですね、これはある程度はおわかりになるところだと思うんですがね、その在庫の所持をしっかり通産省がつかむとともに、やっぱりその在庫の措置を具体的に考えてやらないと、大体大きな業者ばかりならば、そのくらいはおまえたちネグれと言うこともできると思うんですけれども、いまの状態の業者の中で、そういうものをたくさん抱えているところというのはこれは大変だと思うんですよ。だから、そういうものを事前に、この十月一日までに、通産省と厚生省がひとつ協力し合って、その在庫をどう処置していくのか、この点だけがぴしっとなれば、私はさっき言ったシールの問題も、あるいは消費者が安心して買うということも私はできると思うんですがね、その辺は何か通産省お考えになっていますか。四カ月も三カ月も、九月末で持っているということになりゃ、やっぱり出ていく可能性というのは、私はそれはそろばん持っている人間とすれば、当然何とかその赤字を減らしたいということはもう当然ですからね、どうなんでしょう、その辺、何かお考えありますか。
○説明員(福川伸次君) 先ほど申しましたように、いま現在で、企業によって若干いろいろ差がございます。在庫、先ほど申しましたようなことで、現在時点では若干、確かに先生御指摘のとおり、繊維製品の不況ということも手伝いまして、そういう在庫があることは事実でございます。私どもも基本的にはこの法律が施行され、政令が施行され、施行期日が十月一日に定まるということでございますと、基本的にはその経過期間の間に企業がそれに対する適応を行うということが本来であろうと思います。通常いろいろ規制基準が引き上げられ、あるいは新たに実施されましたときの適用というのも、従来、大体そういうかっこうでやっておったと思います。しかしながら、繊維産業に関しましては、先ほど先生も御指摘のように、非常に内需も冷え込み、それからまた発展途上国からの追い上げというようなこともあって、繊維産業は非常に、いま、一部に底を打ったというようなことも言われておりますが、依然として苦しい立場にあることば事実でございます。したがいまして、一応この規制に対しての適用というのは、企業がその間に、その適応体制を整えるということが基本であろうと思いますが、非常にそういう経済的に苦しい立場に繊維産業がありますことは、私どもも十分認識いたしておるわけでございまして、今後、この不況の克服策、あるいは企業の経営の圧迫に対しての金融上の諸措置等につきましては、従来に引き続き繊維産業全般に対する施策の一環として、私どもも十分意を用いていきたいと思っております。
○竹田四郎君 私の時間、もう過ぎちゃったんですが、大臣、いまだけの話ではこれはやっぱり出回りますよ、たとえば、それは確かに私は業者もいいとは思いませんよ、いままで一年間の余裕があったにもかかわらず、これ、通産省の指導にも私は若干問題がないとは言えない、どっかにあったから完全に下まで到達していない、いまになって、ようやく騒ぎ出してきたということで、時間的には十分余裕があったと私は思いますよ。しかし、それが実際にいかないというのは、業者が零細だということもあるだろうし、まあ業界の結束が弱いということも、私は同時にあったと思うんですけれども、しかし、そういうことが、そういうことの、過去のことをいろいろ取り上げなくちゃならぬ問題も通産省としては私はあると思いますよ、それはあると思うんだけれども、やっぱりこれがいま外へ出ていく、消費者の手に渡っていくということ、これはやっぱりとめておかないと、これからこの有害物質についての規制というのは、どんどん、どんどん広げていくわけでしょう、広げていくときに、やあ、あんなものは聞かなくたっていいんだ、実際はうまくやりゃ出るんだ、こういうことじゃ、国会で法律をつくったって私は意味ないと思うし、それよりこわいのは、とにかく国民の命と健康に将来影響があるということでとめているわけなんですからね。それが無視されているということじゃ、これは困るんでね。これは大臣、少しその辺は、ただ単なる通産省にまかせるだけでなくて、通産と厚生でそういうものの措置を特別に私は考えててやらないと、せっかく法律をやって、——この法律についちゃ私は前向きないい法律だと内心は思っておりますよ。だから、それを広げていくにはやっぱりここでぴしっとやっておかないと、今後にもいろいろ問題点が私は出てくるだろうと思うんでね。これはひとつ、ただ単なる一般的な金融政策なり、一般的な繊維の不況対策だけでなくて、特殊な対策を私は何らかやってくれないとどうも弱い感じがするわけですがね。これは大臣、あなたはひとつ考えてもらわにゃ困ることなんだけれどもね、どうなんでしょうか。
○国務大臣(田中正巳君) このホルムアルデヒド問題ですが、いよいよ施行が半年後に控えたわけでございますんで、これに対する対応策、いろいろな問題があると思いますが、これについてひとつ関係省庁の間でよく話を詰めて適当な対策を積み上げていくようにせっかく努力をすることにいたしたいと思います。
○竹田四郎君 それはひとつ後で、局長で結構ですけれども、どういう措置を講じたかということはちょっとお話をいただきたいと思います。 それから、その他のものについてこれから一体厚生省はどういうふうにやっていくのか。まあ、われわれ家具売り場なんかへ行って目の痛いことありますし、あるいは何かもらった後で、せっかくもらったのに目が痛いというようなことが非常にあるわけでありますけれども、そういうものも処置をしていかないと——子供のものだけを処置していっても、これは子供はなるほどそれは着なかったけれども、目の痛い部屋に置かれていたんでは、これはやっぱり問題出てくると思うんでね、その辺の措置も合わせないと——皮膚だけをぎゅうぎゅうぎゅうやっても、これはやっぱり生活環境全体の問題があるわけでありますから、その辺はどんなふうにお考えになっておりますか。
○政府委員(石丸隆治君) 今後の方針でございますが、この家庭用品の取り締まりにつきましては、これは二つの面から考えていかざるを得ないと思うのでございます。一つは、その化学物質——そういった家庭用品に使用されております化学物質の種類を今後どういうふうに拡大していくかという問題と、もう一つは、そういった化学物質を使用いたしております家庭用品の種類をどういうふうに拡大していくか、この二つの面からの攻め方があろうかと思うわけでございます。 従来、われわれのとっておりました態度というものは、われわれの生活に非常に密着したものから取り上げていくという態度をとっておるわけでございまして、従来塩化水素、硫酸、塩化ビニールもの、それから有機水銀化合物及びホルムアルデヒドが化学物質として取り上げられたわけでございます。今後このホルムアルデヒドを使用いたしておりますいろいろな繊維製品——現在、この十月一日からは乳幼児の繊維製品と、それから大人の下着類がこの対象になるわけでございますが、そういったホルムアルデヒドを使用いたしておりますいろいろな家庭用品の種類をふやすとともに、今後ホルムアルデヒド以外の化学物質につきましても、データがそろい次第こういったものを順次拡大する方向で、現在国立試験機関におきましていろいろな毒性試験等の実施をいたしておる段階でございます。
○竹田四郎君 一言。 ぜひこれは厚生省としても、私はそういう形で事前の封じ込め政策がうまくいくことを非常に期待しておりますが、厚生省の方でもひとつそのしばらくの間、十月一日以降のしばらくの間は、随時に検査をひとつ少し徹底して、やっぱり市場からそういうものが出回らないような対策というのを厳重にやっていただいて、ざる法にならないように、これはひたすら私は願っておりますから、これはもう当然やってくれるだろうと思うから、大臣答弁要りませんけれども、それはひとつ少し綿密にやっていただきたいと、以上お願いをして私の質問を終わります。
○主査代理(井上吉夫君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午後零時十五分休憩 —————・————— 午後一時六分開会 〔井上吉夫君主査席に着く〕
○主査代理(井上吉夫君) ただいまから予算委員会第四分科会を再開いたします。 休憩前に引き続き、厚生省所管について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○秦豊君 厚生大臣、お疲れでしょうけれども、とりわけあなたにはいま私がこれから朗読する何カ所かの問題点については、とりわけあなたにはよく思い起こしていただきたいし、確認を願いたいし、きょうの限られた三十分という時間で私がまさに問題にしようとする中医協問題については非常に重大なかかわりがありますので、あらかじめそれはお願いしておきたいと思う。 まず中医協の問題については結論から先にずばりと申し上げましょう。現行の中医協制度というものは、その制度の組成並びに現在までの経緯を考えるときに、これをこのままの形で存続をし、継続することについてはわれわれはこれを考え直さなければならないということをかたく決意をしております、これがまず最初のポイントですね。それから、こんな個所もありますね。非常に具体的な点数表そのものを建議をしたり、あるいは点数表そのものを答申をしたりするという姿はどう考えても私どもとしては行き過ぎであり、あるべき姿ではないと思うのであります、これが第二の個所ですね。これぐらいならまだしも、まだあるんですよ。その次のポイントとしまして、医療の問題について言うなれば素人である人々が医療点数表をごちゃごちゃとつくって、これでやれなどということを厚生大臣に言うということは私はもってのほかだというふうに思っているわけでございまして、このような当初の制度の発足からも離れ、制度そのものについてもいろいろと問題があり、ひいては今日このように医療の世界を荒廃し、混乱をさせた中医協というものは絶対に今後とも一これを存続すべきものでないというかたい決意と信念を持っていることをここに御披露を申し上げます、引用はこれで、あと一つ、二つで終わりますけれども、その次にこんなことも言っていらっしゃいますね。三者構成のあのような審議会というものはこれが円滑に運営をし、円満なコンセンサスを得ることのできるような社会情勢ではないだろうと思うのであります、最後に、今日の社会情勢の中でこの中——恐らくはこれは中医協だと思いますけれども、この中からコンセンサスを完全に得て、そしてそれを厚生大臣が告示をするというやり方は百年河清を待つと言っても過言ではないと思われるのであります、これはあなたの御発言じゃなかったんですか。
○国務大臣(田中正巳君) いま先生のお読みになったのは、私がとにかく昭和四十八年十一月の日本医師会との自民党との公開討論会で話したことに間違いございません。
○秦豊君 そうですか。
○国務大臣(田中正巳君) はい。
○秦豊君 あなたは、これ、このときはどういうお立場であったんですか。党内の役職、ポジション、厚生問題とのかかわり。
○国務大臣(田中正巳君) 当時は私は自由民主党の社会保障制度調査会長だったというふうに記憶しております。
○秦豊君 そうしますと言うまでもなく医療行政に密着不離ですね。
○国務大臣(田中正巳君) 実はこれは党内の情勢ですから、説明すればちょっとややこしくなりますが、医療問題に密接不可分の役職としては医療基本問題調査会長というのがございますが、当時はたしかこの役職は空席になっておりまして、社会保障制度調査会長というのは社会保障プロパーについてのいろいろと審議をする機関の長でありました。
○秦豊君 しかし、あれでしょう、その密接不離、密着の度合いは別として、党の正式な機関の中におけるあなたのオーソライズドされた立場というものは、厚生行政、社会保障いずれにせよ、その視野、分野を含めたものであることはお認めになるでしょう。
○国務大臣(田中正巳君) 厚生行政の一環に医療保障がある限り関係がある役職であったことは間違いがございません。
○秦豊君 これは四十八年十一月二十八日のいわゆる日医ですね、日本医師会の激励集会というタイトルになっておるけれども、こういう場合の雰囲気は、たとえば米価要求の日本武道館では勢い景気のいい発言と演説が続くように、あなた方の有力な支持団体である日本医師会で、ついあなたが日ごろの持論プラスアルファで勇み足をして、相当オクターブの高いことを言ったという心情はわからぬでもないけれども、これはオクターブが高いというよりも、田中さんの持論であったんでしょう、当時としては。どうなんですか。
○国務大臣(田中正巳君) まあ、私の中医協に対する考え方というのは、長いこと私も一国会議員をして厚生関係のことをしておりましたんで、過去の経緯にかんがみて、中医協のあり方についてはかなり当時私としては改善の必要があるというふうに思っておったわけで、その考え方の一端がそこに出ているわけであります。
○秦豊君 あなたはいま言うまでもなく厚生大臣であられるわけであって、あなたが非常にオクターブの高い激励演説をされて、あなたの演説自体は何カ所も猛烈な拍手でかき消されているんですよ。実に日医側の琴線に触れて大きな共感を得たんですね。それからいま二年たっていないときにあなたは厚生大臣のポストにいらっしゃるわけですが、まさか基本的に三者構成の中医協という、われわれが考えれば基本的な枠組みであるその中医協について、あなたのさっきの談話は基本的に真っ向からぶちかましなんですよ。いまはあなたのお考えはどうなんですか。
○国務大臣(田中正巳君) 私の中医協に対する考え方というのは、私はこれはなければならない機関だというふうに思っております。しかし、その運営が今日までいろいろと問題があり、したがいまして、過去に何回となく実はこれは運営の円滑さを欠き、いろいろと問題を起こしたことがしばしばにわたってあったわけでございまして、したがって、このような一回や二回のみならず長い間いろいろ問題を起こしている、円滑な運営のできない中医協というものについて、これのあり方については再検討をいたさなければならないであろうと当時考えておったその心境が出ているわけであります。
○秦豊君 いや、私が伺ってるのはね、当時のことは私が申し上げたとおりで、もっと詳しく言えばこれだけありますからね、時間がむだだから言わない。言わないけれども、いま現職の厚生大臣としてのあなたの中医協についてのあなたの昔からのあれを聞くと、存続、継続については考え直さにゃいかぬとここまで言ってるんであって、いま担当の行政のトップにいらっしゃるあなたとして、じゃあ、いま半身不随に陥っており、機能麻痺に陥っている中医協をあなたは廃止するのですか。それがあなたの真意なんですか。
○国務大臣(田中正巳君) 私は当時から中医協を廃止するということは考えておりませんでした。ただ運営のあり方あるいは医療費に対する関与の仕方等々について疑問に思っていたことがあるということであります。
○秦豊君 それはわかったんですよ。そういうことは余り丁寧に言っていただく必要はないんです。いまあなたは中医協をどういうふうにしようとするのか、改組をするとすればどっからどう手をつけるのか、それを聞いている。
○国務大臣(田中正巳君) 中医協についてはこれは私が行政の責任者でございまするから、そしてあれは法律事項でございますから、したがっていま厚生大臣としては現行法にのっとってこれを運用すると言う以外に方法がございません。立法論的にあるいは制度論的に今後改善をすることが可能かどうかということは、これは大きな政治問題ともからみますし、私としてはいまのところこれが簡単にこの中医協の存在、組成あるいは中医協の機能等々について簡単にこれを改めることができるものとは思えないのであります。
○秦豊君 どうですか大臣、こうしてせっかく、立ったり座ったりしないで、座ったままでやっているんだから、あなたの率直な話を聞いておかないと今後わが党の議員が、それぞれ専門委員が、それぞれやりますからね、そのステップにしたいし、もっと踏み込んで伺っておきたいんだが、あなたによれば中医協はいま現実にこれ機能していませんわね。その一番大きな理由はどの辺にあるとお考えですか。
○国務大臣(田中正巳君) 中医協が動かないというのは、医療側委員が私のところに辞任届を出してきておって、中医協に出席をする見込みがないということがいま中医協が正常に円滑に動かない原因です。
○秦豊君 原因ですか。じゃ中医協の組織、組成という言葉をお使いになったけれども、必ずしも十全でないという認識が前提にあるわけですね。どの辺をどういじくれば生き生きと機能するとお考えですか。
○国務大臣(田中正巳君) これについては中医協の一体取り扱う範囲がどの程度であったらいいだろうかということについていろいろ問題があろうと、こういうふうに思っております。つまり、中医協というのは、私は一種の根本の出発点はコレクティブバーゲインニングの思想から出発したものだろうというふうに思うわけで、これは私は必要だと思うのであります。つまり、支払い側というものが一体どれだけのお金を出すか、それから医療側はこれだけのお金が要るんだと、こういったようなお互いの場というものがなければ勝手に厚生大臣が総医療費を設定したり、あるいは勝手に中身を決めるということについては問題があろうと。これだけかかりますよと医療側は言い、支払い側はそれじゃちょっと多い、まあ、この程度にできないかという、そういったような話し合い、これは西ドイツの医療保険、大体そういうかっこうになっているようですが、ああいう姿というものが私は当初出発点において考えられておったものというふうに理解しているわけです。それがだんだんだんだん細かくなりましたが、これが。それで今度はいろいろなフリクションの要因がその中から出てきたというのが、そしてまたこれについては、そういう仕組みなもんですから、お互いにどうも自己の主張をしているうちにいろんな感情問題が出てきたり、鋭角的な対決が出てきたり、そして出てこなくなったり、あるいは辞退をしたりいろんな場面が、もういままで私の記憶のある限りでも十回や十何回ぐらいあったんじゃないかと思うんですよ。そのたびごとにうまくいかないというので世間が御迷惑をしたという事態がありますので、これほどつまりアウト・オブ・オーダーになるあり方の中医協というものについてはもう少し常時円滑にいくようなことを考えにゃならぬというふうに思ったというのがこれは私の心境ですね。ただ、これについては法律事項であります。したがって、法律を改正せざる限り、この中医協のあり方というものは軽々には変えられないと、少なくとも組成なり運営なりについてはそういうことはできないということですから、しからばそういう法律が簡単に通るかということになりますると、いま行政の責任者になってみますると、かようにそのようなことは簡単にできるものとは思えぬと、その間、昭和四十八年十一月から今日に至るまでの政治情勢の違いというのも実は出てきているわけでありまして、そういったようなことを踏まえてみると、いま厚生大臣になったからにわかに前説を翻して何もやらぬというわけじゃございません。やっぱり現実の政治家としては政治情勢を見なければなりませんから、したがってそういう点をいろいろ彼比勘案するときに、私は中医協の法律の改正はなかなかそう簡単にできるものではなし、当事者の間にもまたいろいろ議論がある。それならばひとつやっぱり行政の責任者になった以上、現行中医協法の法律でもって医療費問題は策定していく以外に方法はないということで、いまこれについていろいろと努力をしているというのが私の今日の心境であり実情です。
○秦豊君 一見懇切な御弁で結構なんですけれどもね、公益法人ですよね、日医という団体は、言うまでもなく。歯科医師団体も公益法人ですよね。二つの公益法人がこう並び立っているわけだ。ところが、これは私の印象だから大臣お怒りかもしれないけれども、私もこの問題については中原さんにも会ってインタビューしたこともあるし、調査もしたことがあるんだけれども、同じ公益法人たる日本歯科医師会に対するあなた方の毅然さ、態度の厳しさ、あるいは歯切れのよさと比べると、武見さん率いる日医に対するあなた方の行政指導あるいは発言、これは途端にふにゃふにゃになってはなはだもってあいまいもことする。両団体の、二つの公益法人の政治力、票田としての魅力、これがあなた方の発言に正比例していると思うんだ。そんな議論しているときょう時間たっちまうからあえて避けますけれどもね、とにかくあなたは行政事項として四十八年十一月二十八日のあなたの談話の方が、この方があなたの本音であって、いま厚生大臣として法律を執行する立場、行政監督をするトップにある立場、さぞや不本意な面もあると思うんですよね。しかし、やはり去年で数兆円に上る、恐らく五兆をかなり大幅に超えているであろういわゆる国民医療、医療費の問題、これ重大な問題であって、それをじゃ前進的にどう解決するか、方途が全くないのか、あり得るのか、考えた場合には。やはり、いまの法律の制度下においても新しい法律をつくらなくても、いまのシステムの中でも日医がそっぽを向いていても機能させる道がありはしませんか、どうなんですか。
○国務大臣(田中正巳君) 中医協は三者構成になっておりまして、この一方の者が出てこないという姿のときに中医協を動かすということは、私は、この協議会の性格上できるものではないと、穏当ではないと、このように思っております。
○秦豊君 こういうことはできないんですか。つまり何を医療代表と認めるかという、たとえばあなたがおっしゃるのは日医の代表という意味でしょう。日医の代表がもう総引き揚げをしている、Uターンしたと、だから機能しない、三者構成の三分の一が引っ込んだんだからだめだとおっしゃるんだけれども、仮に医療代表として公的病院の代表が一人でも入っていれば機能できるじゃないですか、どうなんですか。
○政府委員(北川力夫君) 現在の中医協の構成は先生仰せのとおり三者構成でございまして、その中の一つは、医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員、これが八名でございます。これにつきましては関係団体の推薦によって厚生大臣が任命するとなっております。関係団体というのは、それぞれの医師、歯科医師、薬剤師についてこれを代表するのが関係団体だと思うんでございますけれども、従来からもいろいろかつて問題があったことは事実でございますが、現在の段階ではこの団体は日本医師会、日本歯科医師会及び日本薬剤師会というものの推薦によるということで、長年の慣行としてこれは共通しておりますんで、そういう意味合いでやはり歯科医関係の委員が復帰するということが中医協が正常に動く前提だと考えております。
○秦豊君 だから、あなた方の認定が、認定というか、判断と言うべきかもしれないが、たとえばいま公的病院の代表ということを私は言いたいんだけれども、公的病院が扱っている国民医療におけるシェアというか、分担率というのはおよそぼくは大体六分の一じゃないかと思うんですよね。相当な比重を占める。その場合、やはりこの医療担当代表、日医推薦に限定するという方式じゃなくて、病院団体から推薦を受けた代表を受け入れれば、すなわち三者構成の三分の一を充足できるじゃないですか。ならばすぐ中医協を再開できるじゃないですか。そういう判断が行政的になぜできないんですか。
○政府委員(北川力夫君) 関係団体の中にそういう病院団体を入れたらどうかという御提案でございますけれども、現在、いま私が申し上げましたように、日本医師会から推薦を求めているということの中には、日本医師会から現実に出ております委員の中には病院を経営をしている万もあるわけでございます。そういう意味合いで、日本医師会から推薦を受ければそれでもって診療所のほかに病院関係の実情も中医協の場に反映できるというふうに私どもは判断をいたしております。で病院関係の実情と申しますのは、いま先生がおっしゃいましたけれども、何も公的な医療機関に限らず、公私を通じて病院関係の実情が反映をすればいいと思いますので、そういう意味合いで長年この医師会推薦の中において、病院の関係もその中に入れて中医協の場に反映をすると、こういう仕組みをとっているような次第でございます。
○秦豊君 いま北川局長の言われたのは、つまり私の質問に対して方途ありと、病院代表推薦の方式はありと、打解策の一つとして。というふうにぼくはとったんだが、そうとっていいですか。
○政府委員(北川力夫君) 実は、この話は先生も御承知かと存じますけれども、昭和三十三年の甲乙二表に厳選、置かれましたときに、中医協は非常に不完全な姿を数年間続けたわけでございます。その最後の段階で、当時の渡邊厚生大臣のときに、推薦団体で非常にトラブルが多かったもんでございますから、その推薦団体は日本医師会に限ると、日本医師会を推薦団体とすると、こういうことを国会でも答弁しておられまして、自来私どもはこの慣行に従ってものを審査しております。したがって、そういう中において病院の関係の利害が反映するように私どもは期待をいたしております。
○秦豊君 厚生大臣、あなた方は中医協の再開については絶望的なんですか、どうなんですか。
○国務大臣(田中正巳君) そうではないんでありまして、いろいろ努力をいたしておりまして、今後努力のいかんによっては私は再開が不可能だとは思っておりません。
○秦豊君 ならば申し上げますが、三月十七日に報道されましたのは、医師会が中医協復帰に当たっての条件を付した。御存じですね。念のためにポイントだけ言いますけれども、「日本医師会が委員会復帰の条件として「新しく開発された医療技術について(医師会が)自主的に点数を設定する」ことを要求」しているんですね。そうすると、これは極端に言えば、中医協路線に対する明らかにこれ全面否定というかな、あなたがお認めになった三者構成をもうばらばらに分解、崩壊させて、日医の言うことさえ聞いておけばそれでいいんだというふうな言い分にとれるし、これは健保法の条項解釈からしても私は大きな逸脱だと思うんだが、こんな発言御存じですか。
○国務大臣(田中正巳君) 発言というのは。
○秦豊君 発言というのは私が言ったことですよ。日本医師会が中医協復帰に条件をつけている。点数設定は一任せよと日医に言っているおこがましい発言のことですよ。
○国務大臣(田中正巳君) 一任せよとは書いてない。いま持ってこなかったですけれども、一任せよとは書いていない。
○秦豊君 いえ、いえ、いえ、設定する、つまり任せろということを条件にしてあなたが大臣としてのめば帰ってやると言っているはなはだおこがましい言い分ですよ、これは。保険局長、これをじゃあごらんなさいよ、時間の節約だから、三十分しかないんだから。それは誤報なんかじゃありませんよ、正確な記事ですよ。 〔資料提示〕
○国務大臣(田中正巳君) これは非常に何というか、要点だけ抜き書きしておるようでございまして、実際の文章はそうではないんでありまして、この種の新しい十二項目の医療行為について点数を早く設定をして実施できるように取り計らえと、こういう意味だったというふうに私は理解しておるわけでありますが、これが現行法規上なかなか困難なものでございますから、そこでいろいろと今日、これのやり方について考えておるわけでありまして、いま言うとおり、向こうで勝手に、医師会で勝手にやるからそれをのめと、こういうことではなかったようですが、この見出しがちょっと違うのじゃないかと思います。
○秦豊君 いやそれは失礼だ、ちょっと返してください、その資料。厚生省側のこれはやっぱりニュースですからね、私も長年こういう仕事をやっていたからわかるのだけれども、こういう見出しが出るのは、ちゃんとあなた方のリアクションをとってそのニュアンス、それから日医側をよく調べてこういう見出しになるんですよ、整理部の仕事になるわけだ。ところが厚生省のちゃんとニュアンスが出ているわけですよ、これについては。これは恐らく厚生省の局長以上の談話だと思いますがね。新開発技術の点数設定を速やかに行うことには同調できるとしても、法律と——法律ですよ、中医協を無視してこのような医師会側の要求を認めることは不可能であろうと、これは課長では答えられないニュアンスなのですよ。少なくとも局長ぐらいの裏をとらなければいまのジャーナリストは記事にしませんよ。あなたの部下ですよ。そこまで行っているのですよ。だから、これはあなたはスクラップを持ってこなかったとか新聞記事は部分的だから拘束されないとか、それは言い逃れにすぎない。大体こんな言い分というのは、武見方式の、武見ばりの実にぼくは乱暴な言い方であると思う。勝手に、あなた、審議拒否して帰っておいて、総引き揚げをやっておいて、また上乗せをしてどんどんどんどん要求を出してくる。これではいつまでたっても中医協は再開できない。遠ざかる一方じゃないですか、あなた。こういうふうな日医のあり方に対して、厚生大臣、あなたは努力、努力という官僚答弁を繰り返しているけれども、一体本当に努力しているのですか、どうなのですか。日医に対してこのままのような、いまのようなあいまいな態度を続けるのか、あるいは公益法人たる日医に対して断然たる行政指導を始める時期なのか、その辺どうなのですか。
○国務大臣(田中正巳君) 先生、そのお話は私がいま一番苦労しているところで、私は一番よく知っているのですけれども、ニュアンスはさっき私が言ったとおりでありまして、したがいまして、私の方はいま言うとおり中医協を無視してどうのこうのということは考えていない。だからこそ苦労があるわけであります。ですから、そういう意味のまたコメントのような記事が載っているようですけれども、したがって、私どもとしては、今日、中医協に日本医師会が復帰するようにこいねがっていろいろとやっているわけですが、反面これは強引にやっても中医協の現実的な活動というのがなかなか望めないという現実の問題があるわけですから、したがって、できるだけ私としては円満な形でもって中医協が円滑に動き出すことをいろいろいま努力をしているわけでありまして、決して私どもとしては怠っているわけでもありませんし、さればといって中医協の現在のあり方というものについてこれを無視してやろうなどということではないんです。その辺に苦労があるということですよ。
○秦豊君 あのね、厚生大臣、いままでの武見さんの発言は歴代、厚生省をなめ切っているわけだ。失礼だがなめられているわけだ。大体厚生省と公益法人たる日医の関係というのは、厚生省はここにあって、上下という意味じゃありませんよ、システムとして、行政上の位置づけとして、そうして公益法人たる日医を指導する、こういうつながりが本当なのだけれども、順逆、あべこべで、あなた方が歴代指導されているのだ。あと五分しかないから非常に詰めた表現をしますけれども、あなたの苦労はわかる、しかし、あなた方は、日医推薦にこだわって、さっき言った病院代表を認めようとしない、いや三十年から決まっていますと北川さんは言っている。つまり、この事態というのは、国民医療をどうやって切り開くか、根源はやはり診療報酬にあるでしょう、診療報酬に。いまの方式でやればいつまでも新しい診療報酬は決まらない。空回りする。追及するとあなた方は努力していると言う。これはつんぼさじきなのは国民なのですよ。そうでしょう。あなたは大きな責任があるのですよ。だから、ぼくが言いたいのは、とにかく診療報酬についてはもう中医協がそのていたらくであれば職権告示をする決意があるのか、その点どうなのですか。
○国務大臣(田中正巳君) 職権告示についてはかつてある大臣がやりまして、訴訟で厚生省側が負けたというか、まずくいったことがございまして、職権告示というのは私は軽々にやるべきものではない、少なくとも法律違反であることは間違いがございません。緊急避難的な考え方ということも当時考えたこともあるようですが、実際はその程度のものでは緊急避難的だということには認められなかったようですから、したがって、私としては職権告示はやるつもりはいまのところありません。
○秦豊君 そうしますと、中医協再開には日本医師会、日医の壁、そしてあなたの職権告示には法律の壁、二つの壁にはさまれて身動きできないと。一体それでは厚生大臣としての行政責任は果たせませんよ。どうなのですか。
○国務大臣(田中正巳君) これはどなたが厚生大臣をやってもこういう問題に逢着をすることは事実。そこで強引な方法をとってやるということは机上では考えられますが、これはやはり法律問題もあり、また今後の医療界の円滑な運営ということを図っていくためには必ずしも私はそういう道というものは賢明な道ではないということなものですから、いろいろ苦労をいたしまして、歴代の厚生大臣も実はこれで非常に苦労したわけでございますが、とにかく私としては現行制度、法律にのとって円滑に中医協が動くという、そしてそのことによって診療報酬等のあるべき姿が策定されるという方向に持っていくのが一番私は現状としては結構だろうと、ドラスチックなことをやろうといたしましても、これは結局は私は議論の上じゃ成り立っても実際問題としてはかなりの困難を引き起こすだけだろうというふうに思っているのが私の本当の心境でございます。
○秦豊君 時間がいよいよ追ってきましたので、いまの厚生行政というのは、私がジャーナリスト時代からこういう印象を持っているのですけれども、これはあなたから見れば偏見と言うかもしれぬけれども、やはり日医偏重ということが行政の公正な執行を妨げていると言わざるを得ない。たとえば、医療経営の実態調査ということは、適正妥当な診療報酬を決める場合の何よりも必要不可欠な資料でしょう。本来これ、北川さん、三年に一回やらないかぬでしょう。そうでしょう。四十五年にやったのがあるでしょう。あれは発表していないでしょう。なぜですか。
○政府委員(北川力夫君) これはおっしゃったように、三年に一回でございまして、四十五年の分はほとんどまとまっているのでございますけれども、一応この調査は中医協の調査なんです。厚生省の調査ではなくて、中医協の調査ということでございまして、中医協の場で最終的な細部の点についていろいろな問題がまだ残っているものでございますから、中医協が発表するということになれば発表できるわけでございます。だから、中医協がこの問題のつまり決着をつけるポイントを持っておるわけでございます。そういう意味でも、いま大臣が言われましたように、一刻も早く中医協の正常化が望まれる、こういうことでございます。
○秦豊君 まだどれぐらい時間があるかわからぬが、時間になったら知らしてください。 ですから、それは確かにあなたの言うとおりかもしれません。しかし、中医協、まさにその日医がその実態調査が発表されると都合が悪いからブレーキで引っ張っているのが日医なんだ、これはもう永遠に開かれませんわ。実態調査は発表されませんわ、これは。しかも今度仮に四十九年にやるとしますわね、それも発表されない。つまり非常に不確かな基準でもって診療報酬問題が論議されねばならぬ、職権告示もできない、三すくみ、これがいま実態なんですよ。ですからね、それでどうなんですか、大臣、あなたの苦労は恐らくほかの担当大臣よりも多いかもしれません、相手が相手ですからね。苦労はわかる。しかしこのままでは、ぼくとあなたの立場は違うのだから、ぼくは野党の議員で、あなたは大臣だし、日本医師会に対して、たとえばこのような点数設定一任までを要求する傲慢な姿勢に対して、最後に日本医師会に対して田中厚生大臣は、あなたは恐らく——おだてるわけじゃないけれども、歴代厚生大臣の中では一番ディテールをつかんでいらっしゃる。恐らく医療の問題、社会保障、すべてについて感度が一番いいと思うのですよ。そういうあなただから、少なくとも日本医師会のこのような乱暴なあり方、はっきり言えば、中医協を麻痺させている基本的な要因は日本医師会の姿勢にある。あの人は吉田さんが死んだにもかかわらず、吉田さんが生きているときと同じ錯覚を自分で振りまいてつくり上げて、そしてあなた方を脅威する、これは必ずしも国民の共感を買わない、不公正である。 最後にあなたの、日本医師会、今後あなたが厚生大臣であられる間、武見医師会に対してどんな基本方針で対処しようとするのかを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) いま先生がるるお述べになったことがすなわち私はその医療の行政における、ことに社会保険医療行政におけるいろいろなひずみというものを、はしなくも私は秦先生が、いろいろとおっしゃっているうちに私は説明していただいたものだと思うのです。またそこに歴代厚生大臣の悩みの種もあるというふうに思うわけでありまして、したがって、もう少し円滑に運営できるような社会保険医療における仕組みというもの、あるいは点数、診療報酬の設定の方法ができないかということが、長い間の私の厚生関係議員としての悩みが、冒頭あなたが読み上げたあの中ににじみ出ているわけでありまして、したがって、どういう方向に志向するかは別として、何らか考えにやならぬじゃないかということは、私もいまでも思っているわけでありますが、実際問題としてこれができるかどうか、利害が鋭角的に対決をしている医療の世界、この中にあって一体どういう妥当な方法を求め得るかということはなかなか言うべくして困難であるということが実情だろうと思います。そこで、日本医師会に対する厚生大臣の態度、やはりこれは国民医療の大部分を支えているところの医療担当者の集団であり、団体でありまするので、したがってこれの円滑な協力を求めない限り私は医療保険制度などというものも言うべくしてそう簡単にできるものではない。したがって、私としてはできる限り円満な協力を求めるということをしていかなければならないと思いますが、しかしそれはあくまでも法律制度の上にのっとったやり方でなければいけないということでありますから、これを主管大臣である私が現行法を踏み外すようなことはしてはいけないと思っております。なお、どうも世上いろいろ日本医師会に対し政府当局の態度というものについて御批判があるようですが、私は世間の指弾を浴びないように正しい公平な態度でこれを取り行っていくつもりで努力しているわけであります。
○秦豊君 もう時間が来て、それを委員長の計らいで延ばしてもらっていたわけだから質問はしません。ただしきょうのあなたはやっぱり依然として歯切れが悪い。条件はよくわかるけれども、状態はよくわかるけれども、置かれている状態は。しかしこれでは行政の責任が果たせない。だからきょうは分科会で本当の三十分のつかの間であったから、今後はそれぞれの専門委員会ないし予算の総括の段階でわれわれの先輩同僚議員にポイントを譲って、あなた方にやっぱり追い詰めて、問題をはっきりすることが宙ぶらりんになっている中医協を早く再開する、これがやっぱり患者つまり国民にこたえる一つの道だから、今後そういう点については引き続き留保し、継続をし、追及をするという気持ちですから、今後ともどうぞ。
○国務大臣(田中正巳君) わかりました。
○内田善利君 まず最初に、私は食品添加物の安全性について質問したいと思うんですが、あの防腐剤のAF2が問題になりまして一応この問題は解決したかのように見えますけれども、今回同じ主力防腐剤のソルビン酸が亜硝酸ソーダとの関連性において問題になっておるわけですが、私はかつてこの亜硝酸ソーダというのは前々から問題だと思っていたわけですが、今回また問題になっておりますが、ソルビン酸の方は、みそとかかまぼこあるいはソーセージ、ジャム、たくあん、こういったものの防腐剤として使われておるということですが、この亜硝酸ソーダが私は発色剤として使われておるということに非常に疑問に思うんですが、この安全基準との問題になってくると思いますけれども、今回の問題になったのは前々から私も問題だと思っておりましたんですが、喫食の際消化器官内の中で反応が起こって発がん性物質ができると、もう一つは食品の加工、貯蔵の際に反応して発がん性物質ができる、もう一つは調理の際に反応してできる、こういうことだそうですけれども、こういった発色剤が防腐剤と反応して変異性が実証される、発がん性あるいは催奇形性につながる変異性が実証されるということなんですが、この問題についてまずお聞きしたいと思います。
○政府委員(石丸隆治君) 亜硝酸塩あるいはソルビン酸の毒性につきましては、それぞれのものにつきましてはこれはいろいろ従来からデータがそろっておるわけでございますが、これが特にわれわれ人体に摂取された場合、胃の中でどういうふうに変化するかということが今回薬学会で発表されたわけでございます。この薬学会で発表されました内容につきましては、まだ論文等で報告されておりませんので詳しいことはわかりませんけれども、学会に発表された報告書を見てみますと一つの問題点を提起したんではなかろうかと思っておるわけでございます。ただ、今回発表されました条件を見てみますと、ソルビン酸と亜硝酸とをある一定の酸性の溶液の中で氷冷下という言葉が使ってあるわけでございますが、氷で冷やした条件のもとで反応さしたところ、細菌類に変異原性を持った新しい物質ができるという、かような報告でございます。したがいまして、一つの条件といたしまして温度が非常に低い、われわれ体内の体温、いわゆる三十七度より非常に低いところでの反応であるというようなことで、こういった一つの実験報告というものが今後われわれの実生活の中でどういう意味合いを持ってくるかということにつきましてはまだ明らかでないわけでございますが、こういったことにつきまして今後さらに検討を加えたいと思っておるところでございます。 さらに、いろんな細菌あるいは細胞に対します変異原性の問題につきましては、先ほど先生御指摘のAF2の問題を契機といたしまして昨年食品衛生調査会の中でこういった新しい学問の分野をどういうふうに今後行政に取り入れていくかというようなことで一つの暫定基準を作成願っておるところでございまして、こういった実験の計画に基づきまして、今後あらゆる化学物質につきましてそういった実験を今後行ってまいりたいと思うわけでございますが、今回発表されましたその内容を見てみますと、昨年作成いたしました評価基準の中でスクリーニングの一番最初の段階での実験のようでございまして、さらに今後この実験を続けていく必要があろうかと思っております。
○内田善利君 まあ、スクーリニングの第一段階と言われますけれども、過去私は何回もこれは聞いておるわけですが、食品中に含有するアミン類と亜硝酸塩が結合して発がん性のNニトロソ化合物ができたと、これは確認されておる。あるいは魚肉入りのプレスハム、筋子、こういった中にも微量に発見されておる。それから、タラ子に亜硝酸塩を加えると非常に大きい発がん性物質になる、Nニトロソ化合物ができる、こういうこと。それからアミンだけじゃなくてアミド類とも、この亜硝酸塩は同時に与えると消化器官の中でNニトロソ化合物が生成していると、こういうことが発表されているわけですね。そうした中でこういったスクリーニングの第一段階だということですけれども、こういうことがあっているわけですから、また亜硝酸塩そのものは毒物であるわけですから、そうですね——毒物及び劇物取締法の毒物の中に亜硝酸塩は入っている。そういうものが使われるわけですからこれは相当安全基準をしっかりやらないとまたAF2のような問題が起こりかねない、そう思うんですがいかがでしょうか。
○政府委員(石丸隆治君) ただいま亜硝酸ナトリウムがいろんな食品の中に使われておるわけでございまして、その食品中におきまして一つのたん白質等と反応いたしましてニトロソアミンを生成し、そのニトロソアミンが発がん性があるという、かような実験結果は報告があるわけでございます。しかし、この亜硝酸塩を使っておりますのは主としてハム、ソーセージ等の食肉製品あるいは魚肉製品でございますが、こういったものがなぜ使われているかということでございますが、一つの目的といたしましては、ただいま先生御指摘のように発色作用と申し上げましょうか、いわゆるそういった動物の食品の中の血液が酸化いたしまして黒く非常に醜い色になるのを防ぐような作用を持っておるわけでございまして、そういう意味で使われると同時に、この亜硝酸塩を特にそういった食肉製品等に使っている理由は、こういった食品によりまして非常に死亡率の高い食中毒、すなわちボツリヌス中毒の発生も懸念されるわけでございまして、そういった食中毒の発生を防ぐというような効果もあってこれが世界的に広く使用されておるわけでございます。この使用許可量につきましては、わが国がボツリヌス中毒が非常に少ない国であるというような観点から、非常に強い制限を加えておるわけでございまして、諸外国に比べまして約半分以下の使用量に限定をしていると、かようなことでございますが、さらに今後、この毒性問題につきましては研究を続けてまいりたいと思います。
○内田善利君 私は、ソルビン酸はいいですけれども、亜硝酸塩の場合は、やはりさきに食品衛生調査会で基準を見直しをするということですが、この亜硝酸塩ももう一度、その安全性が疑われておるわけですから、安全基準についてはもう一度見直しをすべきであると、こう思うんですが、大臣いかがでしょうか。
○政府委員(石丸隆治君) 昨年のAF2のときもこれが非常に大きな論議を呼んだわけでございまして、そういった点、昨年もこの亜硝酸ナトリウムの使用基準につきまして食品衛生調査会で検討願ったわけでございますが、こういった亜硝酸塩に限らず、あらゆる食品添加物の安全性につきましては絶えず学問の進歩を追いながら見直していくということが必要だと思うわけでございまして、先生ただいま御指摘のように、特に亜硝酸ナトリウムにつきましてはいろんな学会での御意見等もございますので、さらにそういった点を参考にしながら食品衛生調査会で検討を加えてまいりたいと思います。
○内田善利君 やっぱりこういう安全性の疑わしいものはひとつ徹底的にやっていただきたいと思います。 一昨日も通産省にはお願いしたわけですけれども、PCBが生産中止をしましたけれども、PCBの塩素にかわるところに臭素が入ったPBBというのがもうすでに外国から三十トンも入っていると。そしてあちこちで使われていると。こういうことでは、せっかくのPCBがなくなっても、また今度はアメリカみたいにPBBが多くなってくると、全く同じ性質を持った、ただ塩素のところにB、ブローミンが入っただけですから、こういう危険性のものがどこから入ってくるかわかりません。そういったことで、ひとつ亜硝酸ナトリウムは特にそういった面で注意をしていただきたい、このように思いますが、大臣いかがでしょう。
○国務大臣(田中正巳君) 食品添加物については常日ごろわれわれとしては注意をしているわけでございますが、いろいろな学会等の御意見がございますようですから、これが本当にどういう影響を人体等に及ぼすか、よく検討をし、食品添加物によって健康や生命が損われることのないように今後とも十分細心の注意をし、検討を重ねていかなければならぬと、こう思っているわけであります。
○内田善利君 いまの亜硝酸塩の使用基準は五〇ppmですか。
○政府委員(石丸隆治君) これは残存量で計算いたしておりますが、わが国のハム、ソーセージ、ベーコン等食品・園製品中の残存量が亜硝酸根といたしまして七〇ppmと、こういうことになっております。
○内田善利君 どうかひとつ見直しをしていただきたいと思います。 その次に、二十七日の集中審議でも北九州クリニックの例を挙げて、病院のもうけ主義が指摘になったわけですが、私は、腎臓病患者にこの人工透析というのは非常に福音であるわけですが、このことについて北九州クリニックの問題だけでなくて、全国的な医療のあり方について質問したいと思うんですが、まずその前に、北九州クリニックの人工透析膜の再生使用による患者の被害状況、それと医療費の不正請求の問題、簡単に御説明願いたいと思います。
○政府委員(北川力夫君) 北九州クリニックが人工透析における費用について不正請求しておったことは事実であります。このために、去る三月八日、県知事は、当該医療機関を戒告処分にいたしますと同時に、不正に請求いたしました七千八百一万五千円を返還させる措置をとりました。なお、この間における受療患者数は九十六名でございます。透析回数は延べ七千三百十九回、請求金額の合計は一億を上回っております。その中の七千八百万余りが不正請求でございます。北九州クリニックに関する不正請求事件についての概要を申し上げますと以上のとおりであります。
○内田善利君 その結果はどうされたわけですか。
○政府委員(北川力夫君) したがいまして、いま、保険の関係で申しますと、不正請求を行いました七千八百一万五千円を返還させるという措置をとったわけでございます。
○内田善利君 非常に簡単なお答えですが、この北九州クリニックに対しては戒告処分、それから保険医に対しても戒告処分、それから今後の措置として、厚生省は、福岡県に対し保険医療機関の指導を徹底させ、再度このようなことがないように厳しく指示したと、こういうことですね。
○政府委員(北川力夫君) そのとおりでございます。
○内田善利君 この戒告処分というのはどういうことを意味するわけですか。
○政府委員(北川力夫君) これは、保険医療機関について、一般に、不正請求、不当請求あるいは水増し、ふくらましといったものがあった場合に、まず指導をやりまして、指導をやってもなおかつより厳重な処分をしなければならないという場合に、いわゆる健康保険法上の処分があるわけでございますが、一番厳しいのは指定の取り消しであります。ただ、指定取り消しと申しますのはやはりその医療機関に入っておられます患者さん方に全部非常に大きな影響を及ぼすわけでございますので、もちろん相当数やっておりますけれども、戒告なら戒告という処分をして、今後の適正な保険医療の確保を図るように厳重に注意を喚起すると、こういうのが戒告処分の性格のように考えております。
○内田善利君 この不正請求に対する措置として、七千八百一万五千円を返納させるということですが、結局、これは不正請求の事実があったということですね。
○政府委員(北川力夫君) そのとおりです。
○内田善利君 そうしますと、再生品も新品も同一点数でよいと県の支払い基金が言ったと、こういうふうに報道されているわけですが、この事実はどうなんですか。
○政府委員(北川力夫君) 事実関係から申し上げますと、再生関係の器具の使用期間につきましては四十八年の七月から四十九年六月まででございまして、それから、そういった器具の購入数量、金額も二千六百万程度に大体この期間でなっておるわけでございます。そういうわけでございますから、いま申し上げましたように、この辺の実情につきましては、四十九年、昨年九月の二十四日に個別の指導をいたしまして、それから十月から十一月にかけて実地の調査をして、十二月の二十五日に立ち入りの調査をいたしまして、ことしの三月八日に監査の実施に持っていったということであります。そういう状況で、いま申し上げましたように、いろいろな使用いたしました器具等についても詳細に調査をいたしました上での措置でございます。
○内田善利君 私が聞いているのは、再生品も新品も同一点数でよいと県の支払い基金が言ったので院長はそういう措置をとったということなんですね。ところが、この結果は不正請求であったということであれば、そういうことはなかったということなんですね。この辺がよくわからないんです。
○政府委員(北川力夫君) これは、新聞等の報道の中に、ある基金の審査委員の方が再生器具を使っても同一点数でよいと言ったというような話があったように聞いております。しかし、これは一回しか使ってはいけないということになっておるわけでございますから、その辺やはり不正請求に当たるというふうに私どもは考えるわけでございます。
○内田善利君 県の支払い基金の審査にはパスしたんでしょう。県の支払い基金の審査にはパスしておると、そして金も出したと、こういうことなんですから、果たして不正請求になるのかどうかという疑問が私にあるわけですけれどもね。
○政府委員(北川力夫君) そのとおりなんでございますけれども、結果的に申し上げますと、支払い基金における審査上の見落としというものがございまして、その点が今回のこの不正請求というふうなことになってまいったわけだというふうに承知をいたしております。
○内田善利君 支払い基金の審査にはパスしたが金も出していると、ところが、そういった過ちがあったので不正請求を、ということで返さしたと、こういうことなんですね。私は大きな支払い上の問題を提起していると思うのですね。こういうことでいいんだろうかと思うのですが、確かにメーカーの品物にはディスポーザブルですか、使い捨てというふうに明記してある。その明記してあるのを三回ないし十三回も使ったということですから、これは確かにメーカーの指示には従ってないが、医療問題としてはどうなのかという問題も起こってくるわけですね。その点私たちは医者でないからわかりませんが、そういったことと関係してくるんじゃないかと思うんですが、厚生省としては純然たる医療問題として何回ぐらい使ったらいいのか、全然使ってはいけないのか、この辺の指導といいますか、助言といいますか、厚生省としてはどのようにお考えですか。
○政府委員(滝沢正君) この問題は特定な北九州クリニックで具体的に指摘された問題でございますが、これに関連して専門家の御意見を保険制度なりあるいはディスポーザブルと書いてあることとは別の角度の問題として意見を徴しましたところ、三回ぐらいまで厳重な消毒の上では使えるであろうという見解もございますけれども、いまのところそれに対して実効上三回でいいから三回使うとか、そういうようなことは、やはり問題として残っておりますので、おおむねの医療機関はやはりディスポーザブルで一回で使い捨てておるというふうにわれわれ思っております。
○内田善利君 そうしますと、厚生省としてはもう使い捨てどおり一回きりでやるべきだと、こういうお考えと思いますが、実際先生方としては、また厚生省としても三回ぐらいはいいんじゃないか、こういうことなんですね。
○政府委員(滝沢正君) ただいまお答えしましたのは、専門家の見解として申し上げたので、行政の判断として厚生省が今後三回でいいという解釈で保険の取り扱いその他をするというような意味で申し上げたわけでございませんで、やはりディスポーザブルというこの原則で現行の医療が行われ、また支払いも行われているというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
○内田善利君 そうしますと、三回でいいということになれば、厚生省としても保険の点数に加えるとか、そういうことに踏み切られるお考えですか。
○政府委員(滝沢正君) この問題は大変むずかしい問題でございまして、人工透析全体がわれわれのいま認識しています点は、医師の能力につきましては、育成医療制度の中で審査がされて、育成医療の審査をパスした医師が育生医療ができるということになっておりますので、そういう点は一つのチェックがございますが、そのほかにも施設設備、あるいは人工透析の台数と医師、看護婦の数、こういうものにやはり具体的な指導が必要ではなかろうかというような判断も問題点としては出てまいっております。ただ具体的な膜の使用の回数というような問題はきわめて重要な問題でございますので、現行はいま申し上げたような理解でおりますけれども、やはりこの点は人工透析の研究会等もございますから、厳密にそのようなことが消毒等により可能であるのかないのか、今日の段階では自信を持ったお答えはできませんが、仮にそういうようなものが具体的に可能性が検討されますれば、当然その問題と保険局の支払いとの関係を調整する必要はあろうと思いますけれども、これはなかなか現状では私は三回やったということを証明すること自体も非常に困難なことでございますので、やはり現行のディスポーザブルという仕組みというものがやはり厳密な意味で最も現状では妥当な安全性の確保の考え方につながってまいるというふうに思っておるのであります。
○内田善利君 この問題は、北九州クリニックだけの問題でしょうか。それとも全国各地のこういった人工透析を使っていらっしゃるお医者さんは、やっぱり三回ないし何回か再生使用されておったんでしょうか、どうなんでしょう。
○政府委員(滝沢正君) この実態については、ただいまわれわれ何もその実態をお答えする資料なり、実態をつかんだあれを持っておりませんので、これらの点については人工透析研究会というものが全国的にこのような実態を把握していただく研究会としてございますので、これらの点についてはその研究会の実態調査がまだしてなければその点についての御判断をお願いして、実態の把握をしてみたいと思っております。 〔主査代理井上吉夫君退席、主査着席〕
○内田善利君 私はこの人工透析膜を使って治療しておられる方々がまだ一万人足らずだし、またこういう機械もまだ少ないし、こういった問題は直ちに厚生省としては実態を掌握して、三回まではいいのか、二回まではいいのか、この辺はやっぱりはっきりすべきじゃないかと思うのです。やはり三回使われたあるいは十三回も使われたということはある意味ではどこまで安全なのかはっきりしておく必要があると思いますね。それと、人工透析を使って非常に値段も高いということだし、そういったコストの面からも早急に、何回まで使用していいのかどうかですね、この辺決めていただきたいと、こう思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(滝沢正君) この問題は、先ほどもお答えしましたように、医療機関のその安全性の確保の義務、責任というものをきちっとしたものとして考えるならば、確かに学問的には二回、三回ということが可能であるようでございますけれども、この辺のところが、いわゆるその膜の使用の回数等がどのようにして確認できるかというもののような行政判断の問題も含めまして、いわゆる学者の御意見としては二回、三回ならよかろうという御意見がございましても、行政判断としてはこれをどのように確認し、安全性を確保していくかというような問題は、三回が五回と変わりない、五回が六回でもいいというような問題につながるならば、この点は行政判断としてはよほど慎重にする必要があると思いますが、いずれにしても研究会等を通じて御意見を徴して判断いたしたいと思っております。
○内田善利君 それから、再生使用した場合に、患者の方が舌がもつれたり、しびれたりあるいはくちびるがしびれたり、あるいは体もしびれてきた、あるいは悪寒がした、あるいは三十九度ないし四十度の熱が出た、こういう被害者がたくさんおられるわけですけれども、こうやったことについてはどのようにお考えになりますか。
○政府委員(滝沢正君) この問題は人工透析ということと、その膜の使用回数が多かったということとの関連がどのようにあるかという判断は、これは非常にむずかしい問題でございますので、人工透析の技術の問題も含め、また副作用等の問題も含めまして、この点も研究会の御意見を徴したいと思いますが、北九州クリニックの患者さんに具体的にそのような問題があったことが、その膜の何回も再生使用したということとの関連を膜の使用回数の多いことにすぐ結びつけていいかどうかは十分専門家の御意見を聞いて判断する必要があるというふうに思っております。
○内田善利君 患者一人について、医療費が大体一年間に一人につき五十万円だそうですね。年間で約六百万円。そうすると保険組合その他の支出総額が大体六百億、一万人として。そうしますと、二年後には大体この透析膜を使う人が大体月五十人の割りでふえているということですが、そうしますと、二年後には四万人ぐらいになるわけですね。そうしますと非常にこの人工透析膜によって腎臓不全の方々が恩恵を受けておるわけですが、そうしますと、この医療費が現在六百億から二千四百億になってくると、こうなりますと、現在の医療健保財政を圧迫することになりますが、こういったことについてはどのようにお考えですか。
○政府委員(北川力夫君) 人工透析が非常に多額の費用を要するということで、現にまたそういった方々がふえつつあるということで、非常に医療費用面の懸念があるのじゃないかということでございますけれども、私どもはこれ自体が医療費の全体に決定的な影響を及ぼすというふうには現在の段階では必ずしも考えておりません。ただ、非常に財政力の弱い市町村でございますとか、あるいは比較的財政の不安定な健保組合でございますとか、そういったところにこの患者さんが相当数出るということになりますと、当該保険者の保険財政にはかなり影響があると思いますけれども、全体的にながめてみますと、なお今後の推移を見てみませんと、これ自身でもって医療費と申しますか、財政負担に非常に大きな影響が全体的に出てくるというところまでいま申し上げるのはどうかというような感じでございます。
○内田善利君 この北九州クリニックに対して、厚生省としては福岡県に対し保健医療機関の指導を徹底させ、再度このようなことのないように厳しく指導したということですが、先ほどから申しますように、このようなことのこういう問題は全国的な問題として私は提起していると思います。ですから全国に対し、こういった指導徹底をすべきであると思いますが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(滝沢正君) 保険の取り扱いの問題は当然のことでございますが、基本的に医療機関のこのような技術を要し、なおかつ責任も重要な患者の取り扱いの医療の問題でございますので、われわれとしては五十年度の医療監視業務の中の重点事項としてこの問題を取り上げまして、実態の把握そのほか患者数と医師とのあるいは看護婦とのバランスの問題等を研究会等の御意見を聞きながら検討いたしまして、当面医療監視を通じて実態の把握に努めたいというふうに思っておるわけであります。
○内田善利君 私はこの人工透析医療の面について、やはりきちっと患者にとっては非常に大きな恩恵なわけですから、整備をしてもう少し制度化していただきたいと、こう思うのですが、この点、どうでしょうか。
○政府委員(滝沢正君) 制度化という先生のお言葉、先ほど来、私お答えしましたように、このような重要な医療の問題について何か一つの基準的なものの考え方というようなものをお示ししたいいま判断を持っておりまして、その方向で検討させていただきたいと思います。
○岩間正男君 青森県八戸市における虫歯予防薬デキストラナーゼの人体実験がいま現地では非常に大きな問題になっています。まずこの事件に対する厚生当局の調査結果を概略御報告願いたいと思います。
○政府委員(宮嶋剛君) 八戸地区におきますデキストラナーゼの地域実験の問題につきまして、私どもの方に、実はこの実験は四十七年の十二月から四十八年の十二月まで一年間行われたわけでございますけれども、昨年の末から本年にかけまして、特に本年の二月に入りましてから、関係の方方からいろいろな情報が参り、心配であるというお話もございまして、私どもの方ではこの二月の段階におきまして、青森県の環境保健部、本務は衛生主管部局でございますが、その方と連絡をとりまして、その状況の把握に努めますと同時に、適宜の措置を講ずるように当該部長に対しましてわが方からいろいろ指示をしている状況でございます。
○岩間正男君 まあ、それぐらいですか、青森県の衛生主管部に聞くぐらいでこの問題、現地では大変なこれは大きな問題になっていることは御存じのとおりだと思う。だから、もう少し厚生省はこの問題に私は立ち入って調べる必要があると思うのです。いままあ実験の期日は、これはわかりました。だれが実験を依頼したのか、それから試験者はだれなのか、それから事実経過というのはこれは概略つかんでいられるでしょう、どうなんですか。
○政府委員(宮嶋剛君) 本デキストラナーゼは、これは三共が開発を試みたものでございまして、三共の方から研究委嘱を受けました東京医科歯科大学の大西教授、歯科予防学の専門家でございますが、この方がこの研究のキャップになられまして、で具体的には大西教授のお弟子さん方というふうな関係もございまして、また、同時にまた当該地区がかねて歯科予防の関係できわめて御関心が高いというふうなこともございまして、当該地域の歯科医師の御協力を得て、関係の年令層の学童について実験をやるというふうになったものと承知いたしております。まあ、その推移につきまして、いろいろ私どもも心配もしておりますけれども、具体的には当該八戸地域で問題になり、同時にまた青森県としてもこれは県議会の場でも問題になったところでございまして、特に地域の細かいいろいろな問題が問題になっているようでございますので、私どもは現地の青森県の衛生主管部、県当局というものを通じていろいろその調査もし、指導もするということをやっているところでございます。
○岩間正男君 県当局、現地と言いますけれども、これは私たちは先ほど電話をかけてみたんだ、県当局に。そうしたら、わからないというのだな、ろうばいしていると、一言話し合えば、実施の可能、可否については相談された、それなのに実際よくわからない、県としては調査していない、薬理の分析を弘前大学に現在依頼している、こういうことですよ。そんな調査で厚生省、これだけの人命に関する問題、しかもこれは実験を受けたのは何人ですか、だれだ、実験を受けた方は。
○政府委員(宮嶋剛君) 実施者は先ほど申したとおりでございますけれども、実験を受けましたのは、八戸地区の小学校の低学年の子供たち——学童でございまして、六百名と聞いております。十二人の歯科医の方が六百人の学童について一年間研究を行った、かように聞いております。 なお、私ども都道府県の方、特に今度の場合には青森県を通じまして、こういう原始的な問題、問題の重要性はわかりますが、そういう問題でございますから、県の環境保健部長と連絡をとっておりますが、ただいま先生の方から県に聞いてもよくわからないという御意見も聞きましたけれども、私どもは常時よく連絡をとっております。ただいま先生も御指摘のように、特に現地の方の父兄の間で当該実験に供せられたデキストラナーゼのこの品物そのものが大丈夫なのかというふうな御不安が当面きわめて大きいということもあって、先生も御指摘のように、県の衛生主管部としては、当時、この二月の段階でございますけれども、弘前大学のこの教授の方にお願いをして、その分析を急いでおる、近くその結果が出る、出た結果は地域の御父兄の方、あるいはまた関係者にお示ししまして、それによってまた状況判断をしていく、かように進んでいると了解いたしております。
○岩間正男君 注意してくださいよ。聞いたことだけ答えてくれませんか。時間がないんです、時間が。三十分でやられて。そうすると、聞かないことまで答えているというと要点が進んでいかないです。 だれが実験を受けたかと聞いているんですよ。小学生でしょう。一年と三年、そうして約六百人以上ですけれども、そういう者がこれは受けたのでしょう。そうすると、これはやっぱり非常に重大問題です。ことに私は問題になると思うのは、後でお聞きしますけれども、これは人体実験なんですよね、一つの。何ぼ虫歯予防薬だといったって、果たしてこれは厚生省はどうなんです。これに対して認可を与えた薬ですか、どうですか。
○政府委員(宮嶋剛君) 厚生省が認可を与えたわけではございません。それから……
○岩間正男君 いや、それだけでいいです。いいです、もうよけいなことを言わぬで。 これは厚生省まだ認可していない薬でしょう。そうして動物実験を終えた。人体実験は、これはまだ終えていないわけでしょう。どうなんです。
○政府委員(宮嶋剛君) ちょっと補足しますが、認可をしていないと申しましたけれども、実は、私どもの側では、いわゆる人に関する実地の試験というものについて別段制度的にチェックするということは一般的にないわけでございます。昭和二十七年の薬務局長通知をもって特殊の薬、特に問題のある薬、たとえば結核とか、らいとか、あるいはがんとか、あるいは生物製剤とか、あるいは抗生物質とか、それからアイソトープ物質とか、こういうものにつきましては、事前に、前臨床試験と申します動物試験から人の試験、臨床試験に入ります段階におきまして届け出を受けてチェックをするということをやっておりますが、この場合には該当しないわけでございます。そういう意味では何ら規制がないわけでございまして、自動的におやりになったということでございます。
○岩間正男君 ちょっと簡単にやってくださいよ。認可しているかどうかと聞いたんだ。そうすると、ずうっとだんだん発展していくんでね、時間の制限のないときでしたらいいけれども、その点はしぼって答えてください。 とにかく認可をしていなかった薬ですね。これは虫歯予防薬だというので簡単に見られたのかもしらぬが、そういう薬を実験するわけだな。実験するのでしたら、やはりこれはよっぽど慎重な態度でやらなきゃならない。しかもこの薬は、私は、これはアメリカで開発されたのだと聞いておりますが、そうですか。そうじゃないか、そうだかだけ言ってください。
○政府委員(宮嶋剛君) このデキストラナーゼを歯科の予防に使おうという、こういう発想につきましてはアメリカでございまして、現にアメリカ政府も大きく関心を持ってこの開発に取り組んでおると聞いておりますが、今度の場合のは、これはアメリカと関係ございませんで、日本で……。
○岩間正男君 いや、とにかくアメリカで開発したのかどうか聞いているのですから、弁解みたいなのは要らぬから、弁解みたいなのは。
○政府委員(宮嶋剛君) アメリカでは現在研究中でございまして、アメリカと関係なく日本の三共製薬がこういうものをつくりたいというので開発を特に進めておるというものでございます。
○岩間正男君 アメリカでこれは開発して、そしてこれは動物実験はアメリカでやって、それから人体実験、これはアメリカでやったかやらないかということはまだ聞いていないんですけれども、これはそういう情報はわれわれは聞いているわけです。さて、そのような薬ですけれども、最初学校でやってくれと言ったんでしょう。そしたら教育委員会は断った。初めての薬で、どうもこれはどういうものかわからない。安全性があるかどうかわからない。ところが、それなのに校長は、八戸小学校ですか、それともう一つは柏崎小学校、二人の校長は最初は断ったらしいけれども、そのうち結局説得されて、そして学校医がいいじゃないかということで、黙認するというかっこうで父兄の承諾を得ればいいということでこれは実施をしたと、そう聞いておりますが、違いございませんか。
○政府委員(宮嶋剛君) 私ども聞いておりますのは、当初本実験につきましては、学校を通じてお願いをし、学校ごとに実験をしたいということを考えて教育委員会の方にもお話をなさった。しかし教育委員会の方では、この安全性その他につきまして疑義があるから断ったということではなしに、学校単位にやることについては問題があるというふうなお気持ちでお断りになった。こっちの方の説明も十分でなかったかもわかりませんが、そういうことだったそうでございます。それで結論的には関係の地域の歯科医の方が、これはきわめて目的もいいことであるからやろうではないかというので大西教授のお話を受けておやりになるようになった、かように聞いております。
○岩間正男君 同じことじゃないですか。私が聞いているのをまた繰り返さなくてもいいわけだね。私が聞いていることを聞いていて、そして答えてくださいよ。時間の制限を言っているでしょう。同じことを言っている、いま言ったのは。 結局これは校長の黙認、そうして父兄の承諾でこれは実施したと、こういうことになっておるんだ。これは目的はどういうことですか。実験の目的は何なんです。
○政府委員(宮嶋剛君) 目的は医薬品としてのデキストラナーゼというものをつくるについて、それが安全であるかどうか、効能があるかどうか、その面についての人に関する試験をやるということでございます。
○岩間正男君 厚生大臣にお伺いしますが、一年生から三年生の次の時代を背負う子供、それにとにかく動物実験がなされて、それからちょっとした経過を経ていきなり六百人の子供にこれを飲ました、こういうことなんです。この目的は、これは大西教授が依頼している手紙の中に書いている。「この薬がどれ程、虫歯を予防する力をもっているか、その力価を知ることです。この点がこの薬を広く使用するうえで大切で重要な点ですから」——だから結局六百人に飲ましてみて、そうしてこれは安全だったとすればこれで使うのだ、一般に売り出すのかどうか知りませんけれども、そういうことになっていると思う。しかし、これは結局使われ、実験台に供せられるその子供というのは、これはまだ本当にこの薬は安全かどうかということのそれは決定的な結論は得ていないわけですね。結論を得ているなら何もやる必要はない、結論がないからこそこのような実験をするわけになるわけですから。そうすると、やはり非常に私は、結局生体実験といいますか、この実験のやり方についてもっと慎重でなければならぬと思うんです。事は人命に関する問題であり、しかも、このいたいけな子供たち、しかも六百人のやはり問題なんですね。この点について、もっとやはり私は、厚生省真剣にこの問題にタッチして、そうして一体今度のこのやり方というのは正しかったのかどうかということを調べる必要がある。ところが、現地に調査官を派遣したのでもない。県まで聞いている。それからその前に、私が事前に厚生省の方にお伺いすると、三共から聞きました、大西教授から聞きました。大西教授と三共製薬はいまこれはいわば被疑者の立場に立っているんだ。現地の人たちは非常にこれに対して、一体そういうことをやっていいのかどうかということが問題になっているわけでしょう。そうすると、被疑者から聞いてそれを国会答弁にしたり、われわれ議員の質問に対して答えて何の権威がありますかと私は言いたい。だから、あくまで厚生省は、これは医薬行政といいますか、医療行政といいますか、その上に立ってあくまでこれは人命尊重でなければならぬ、安全を確保することを第一にしなければならぬ、そういう立場に立つなら、もっと厳正な立場でこの問題を少なくとも科学的に、しかも厚生省の権威において独自にこれを調査すべきだ、こういうふうに思う。だから、この問題と関連しまして、私は、当然これは現地に調査官を派遣してこの問題調べるべきだと思いますけれども、これはどうですか。ちょっと厚生大臣に聞いているんです。
○国務大臣(田中正巳君) 岩間先生、率直に私答弁しますけれども、実は厚生省、守備範囲が広いものですから、したがってデキシトラナーゼという問題が起こっていることを実は本当は知りませんでした。けさ実は質疑通告でわかりましていろいろ聞いてみたんです。まあ、それはそれとして、今後こういう問題についてはできるだけ私も目を開いていろいろ監視を、監督をいたしますが、問題はその新薬開発の節の人体実験ということ、これは私も社労委員会は長いんですが、ちょいちょい問題になるわけでございますが、しかしどうも新薬を開発するためには動物実験以外に人体に対する実験というのをやらにゃならぬ一つのプロセスだそうで、私も素人ですが、このときのやり方が実は問題だと思う。ことにこういうふうに小さいお子さんに対する実験をしなきゃならぬということになりまするといろいろむずかしい問題もあろうと思われます。そこで、事前に実験を受ける人に対して試験の目的と安全性というのをよく何しなきゃならぬのですが、この辺に少しいろいろ聞いてみると行き違い等もあったようでありますので、今後ひとつそういう点についてはよほど慎重にまたしっかりやらにゃなるまいというふうに思っておるわけであります。 事案についての説明がいろいろありましたが、いま岩間先生から現地に当方の役人を出したらどうかということでございますが、私役所へ帰りまして事案についてよく調べて、必要があればさようなことをいたしたいと、こういうふうに思います。
○岩間正男君 これは質問が進む間にも一御判断いただけば最後には結論出る問題だと思う。実際人体実験が正しく行われたかどうか、しかもこれはあくまで人命尊重、安全性を保つということが基本原則だと思う。その上に立って行われたかどうだか、この点からこの問題は判断されるべきであり、私は単にこれは八戸だけの問題と考えません。やはり今後起こり得るし、あるいはいままで起こったかもしらぬ。今後起こしちゃならぬようなこれは問題を私は控えていると思うんですね。そういう点から申しているんですから、十分にこれは御判断いただきたい。文部省関係どうですか、おいでになっておりますが、この問題に対してどういう見解を持っておりますか、これを端的に言ってください。
○説明員(倉地克次君) 私ども文部省サイドといたしましては、このような新薬を服用するということにつきましては、やはり服用される方が本当にその趣旨を理解されまして、自由な意思でお飲みになるということが最も重要じゃないかと思う次第でございます。そういう点から見ますと、やはり学校などのような公的な機関が積極的に薬を飲むことを勧めるようなことになるのは必ずしも好ましくないと思っている次第でございまして、まあ現地の市教育委員会などがおとりになった措置は妥当ではないかと思っておる次第でございます。
○岩間正男君 あくまでやっぱり子供のこれは命の安全というか、重要な問題ですから、その立場に立って、現地の八戸の教育委員会はこれは断ったというのは私は正しい処置じゃないか、この段階ではそう思うんですね。ところが、それに対して、そうするとそれを今度は一方で校長だけを説得して黙認させて、実際はこれは医者の責任だということで、これは八戸の学校医師会長ですか、それと理事ですね、これがやっちゃった。一年間にわたってこの薬を飲ましたわけなんです。この実験のやり方について、これは一体手落ちがなかったと言えるかどうか、この問題についての検討がなされているのかどうか、私はこの点がやっぱり重要だというふうに思うんですよ、安全を考える上において。この点はどうですか。あったかないか。
○政府委員(宮嶋剛君) 全体を通じまして、一つ私どもが考えますことは、基本的に相手方の同意を十分得ること、同意を得る前にこの実験の目的あるいはまたその動物実験で得られました治験に基づいて安全であるということ、そこら付近についての基礎的な御説明がどこまでなされたか、十分でなかったんではないのか。またその十分な説明ができないままに同意を得たと、こう言っておりますけれども、同意の得方もがっちりいただいたかどうか、そこら付近について十全であったかどうかにつきましては私ども若干気になっている面がございます。状況、細かいところまでつまびらかでない面もございますけれども、一般的にそういう面がなかったであろうかというふうに感じております。
○岩間正男君 この問題について私たち、市民のいろいろなこれに対する問題はあります、これに対するいろいろな意見もあるわけですが、何よりもこれに関係している学校歯科医会というのがあるわけですね。学校歯科医会というのがある。この歯科医会が最近二月の八日ですか、八日に緊急の総会を開いた。十一人の先生たちが集まった。そこでこの問題を検討をした。検討した結果、これはお聞きになっていますか、お聞きになっていませんか、どうですか、この問題は。
○政府委員(宮嶋剛君) まだ聞いておりません。
○岩間正男君 これは聞いてないなんというところが調査が不十分だということですね。私はこういうところはやっぱり広く聞かなくちゃいかぬ。この十一人の医師たちがまず第一に非常にやはりこのやり方がまずいと、第一にこれは何も諮られてないと、医師会に。それでもう会長と理事がこれは知ってるだけで、ほかの人は知らぬ。だから独走したんじゃないかということ、これが一つは、このやり方、大変ですね、こんなことをやったら。それから二重盲検法、こういうような問題、これは検査のためには必要なことなんでしょうけれども、全然何も薬の性能とか何は知らされない、そうして使われるんですから、ある意味じゃこれはモルモットみたいな役割りを負わされている。こういうことをいきなり説明が十分でなくてやられたこともこれも問題。それから服薬前後の健康管理が全然ない。尿、血糖などの総合検査というものは全然これはされてない。こういうことが明らかになっておるわけですね。で、同じ薬でも健康体と虚弱児がありますから、そういう場合には反応の仕方違ってくるわけだ。それから特異体質もあるわけだ。そうすれば、当然、六百人に飲ませるんですから、何か事態が起こらないという保証はない。起こった場合に、これに対してはっきり健康管理のできるそのような事前の措置というのは当然とるべきだと思いますが、いかがでございますか。その点、簡単にやってください。簡単でいいですよ。もう聞いていることだけ言ってください、時間がないんだから。
○政府委員(宮嶋剛君) 今度研究の対象になりましたデキシトラナーゼにつきましては、もともとでん粉分解酵素としましてきわめて安全だということは一般に定説になっておるもののようでございますが、その上に動物実験等によりましてきわめて安全であるというふうなことが保証された、そういう予防薬の卵でございます。そういう意味合いにおきまして、事前にすべての子供について健康診断をやるということはやっておりませんけれども、実験に入りまして、その間子供につきまして、特異の疾病とか何か出た場合には直ちにこれを把握して、そして健診をやるということは考えておったようでございますけれども、私ども聞きますところでは、当該一年間の間に特異のそういう疾病も出てこなかったというふうに県衛生主管部も了解をしておる、そういう問題があるというふうな報告に接しておりまして、結果的にはそういう発病はなかったと、かように聞いております。
○岩間正男君 虫歯の薬だから大したことはないんだろうという考えが頭の中にこれはあるんだろうと思う。しかし、新薬なんだ、動物実験を終えた段階なんだ、そういうものが使われるときにですよ、しかも子供たちがもういたいけな一年生から三年生という小学校の生徒が六百人も使われる。これに対しては私は非常に軽率じゃないかと思う。だから、先ほど先生たちがこれは十二日に声明書を発表している。医者のモラルの上から考えてもこれは非常に重要な問題である。そうして、じかもこのようなことは単に独走的にやられた。こういうのはかまわないんですか。これは重要だと思いますが、これは厚生大臣いかがですか。こういう声明書が出ているんですよ、現地に。現地でこういう声明書が出ている。あそこは十二人ですか、医師は。十何人かいるんだが、十一人の人たちが寄って、そうして医師会には正式にこれは諮られなかった。そうして大西教授とこの会長ともう一人、これは森という理事がいるんですか、この三人の間でこういうような実験がいわばひそかに行われたと、こういうやり方、これは正しいんですかどうなんですか。
○政府委員(宮嶋剛君) 私どもも当時の歯科医師会といまの歯科医師会と、首脳部変わっているようでございますけれども、当時若干歯科医師会内部にごたごたがあったということはかすかに聞いております。ただ問題は、具体的には大西教授のその協力者として地元の十二名の歯科医師が個別に御了承をいただきまして、そうしていわば研究班のメンバーとなっておやりになった、かように聞いているわけでございます。そのメンバーの各位から各父兄の御了承を得てやられたものだと聞いております。
○岩間正男君 厚生大臣、これは判断を私は求めているんです。これが正しいかどうかと言っているんです。医者の大部分が、これはやっぱりモラルを欠いておるんだと、それから最初の、初めの計画をして、発足している、そういうものももう非常に独走だと、こう言っているんですよ。そういうような事件について、やはり私は当然の判断があってしかるべきだと思うが、これはあなたたち判断をされないというとどうなるんですか。これは大臣に判断をお伺いしたい。こういうやり方というのは万全を期したと言えないと思いますが、どうでしょう。
○国務大臣(田中正巳君) この実験については、どうも先ほど来いろいろ質疑応答を聞いておりますと、十分な準備をしないで、また手続をしないでやったような向きがうかがえるわけですが、何か複雑な事情がいろいろあるようにもうかがえるわけでございますが、いずれにしてもこの種のものをやるときには安全性と本人の納得等々、いろんなことをやっていかにやあなりませんわけでございますが、どうもこういうふうなかっこうで後日物議が出るというようなやり方については、何かしら問題があるというふうに私は先ほど来の質疑応答を聞いて思っているわけであります。
○岩間正男君 これは少なくとも手落ちはあったと、一〇〇%正しかったとは、これは言い切れない問題だと思うんです。何よりも学校医の歯科医が、責任を持っておる人たちがそう言い、声明書まで出しているんです。私はこの点重大だと、それからデキストラナーゼですね、これは動物実験では事故は全然なかったんですか、どうなんですか。たとえば……。
○政府委員(宮嶋剛君) 私ども動物実験の前臨床試験の状況を聞いておりませんけれども、毒性試験、あるいはまた粘膜、皮膚に対する影響、血液に対する影響等、そういうのを調べておりますが、いずれも問題はなかったと聞いております。
○岩間正男君 これは死亡例が十例あると、それから誤飲による死亡だと断定しているというのは、これは資料の中にあるわけですね。それから、症状として、これは強いのを飲ましたときですか、軽度の運動不活発、疼痛、刺激に鈍感等の反応があったと、こう報告されているわけです。どうなんですか。
○政府委員(宮嶋剛君) 私ども、動物実験の段階におきまして、あるいはまたその後、いわゆる臨床実験の段階でフェーズワン、フェーズツー、フェーズスリー、そのフェーズワンという最初の段階で健康人にも飲ましてやって、それから初めてやったわけでございますが、動物実験の段階及び健康人に対する第一相試験の段階におきまして特に問題はなかったと聞いております。
○岩間正男君 それは飲ましていると言っているけれども、実際は何でしょう、臨床実験やったわけじゃないでしょう。自覚症状だけでそれは安全だと、こう判定しているわけですね。そうしていきなり今度は六百人の子供にこれを飲ましているわけなんだ。六百人の子供というのは、そこを通らなければ薬の安全性というのは確保されない。いわば実験台に供せられた。もっとひどい言い方をすると、モルモットにされた、そう言われても仕方がない面があるわけですね。だから私は、その点でデキストラナーゼの動物実験見ますというと、体重を調べておるでしょう。それから臓器重量を調べておる。それから血液検査をやっている。それから臨床学的検査をやっている。それから病理組織学的検査をやっている。これだけの五段階の慎重な動物については実験をしている。ところがさっき話した、何と言うんですか、病院とそれから三共の、そういうところの二十五例というのは、これは自覚症状だけです。何もこういうものはやってない。小学校の子供に至っては全然もういま言ったように何の措置もなしに六百人に飲ましている。どうですか。動物よりも安全性は確保されないもとに実験されたということは私は重大だと思うんだ、これは。動物よりもこれらは軽んじられていていいんですか。安全だ安全だということで、あなたたちは既成観念を入れて、それでそういうことをやってしまって、そうしてそこから事故が起こらないという保証はありますか。危険だからこそ実験するんだ。何も実験の必要がなければ、それは実験しなくてもよろしい。危険性を持っているから、その危険性を確かめるための実験だと思うんです。実験というものはそういうものでしょう。その実験に対して万全の備えをしていないということは、いろいろな点からこれは明らかになっている。 そこで、私はお聞きしたいのですが、人体実験をやる場合には基準がありますね。この基準というのは、一つは五つの研究所、または五つの病院での実験がまずやられなければならない。これはさっきの三共とあれでやったんだとおっしゃるでしょう。しかし、これも非常にやっぱりこれに対して慎重ななにがやられたとは言えないと思うんです。そこで安全性が確かめられて、それから社会的実験に入っていくと、こういうふうに聞いておりますが、これが原則ではないんですか、どうなんですか。
○政府委員(宮嶋剛君) 一般的に実験につきましては、先ほど申しますように動物実験をやって、それで安全性と効能を見る。しかし動物と人間、人とは種差を異にしますから、動物でよくとも人の場合には危険な場合があり得るということで、実はすべての医薬品につきましては、人試験をやるわけでございます。で、その段階は、最初の第一段階が健康人、第二段階は少数の患者、第三段階は多くの患者というような実験をやるわけでございますが、この場合は予防薬でございまして、第二段階は一般になくて、第一段階と第三段階、すなわち健康人の調査をやる。それからあとはフィールドで検討する。第三段階の中で、ということでございまして、この場合もそういう線に従ったわけでございます。
○岩間正男君 まあ、これは現地で、やはりもう少しあなたたち行って調べられる必要がありますよ。いろいろいまの局長の答弁は食い違いがある。大体聞いていると三共から聞いている。大西教授から聞いている。向こうの県の衛生主管部から聞いている。青森県の衛生主管部、そう言っては悪いけれども、私は知っていますよ。どれだけの力を持って、どういう一体県民に対しているかということ、これは私たちほかの問題でもずいぶんタッチしておりますから、あそこにね。そういうことで、ここの質問に対する答弁を構成しているというのは、私そこの態度がおかしいと思うのです。問題は起こっているのです。ずいぶん問題にされている。現地からも声が上がっている。現地では、ずいぶんこれは大きな問題として騒がれている問題です。それが厚生省の耳に聞こえておる。そしたらやっぱりもっと真剣に私は行くべきじゃないか。三共から聞いた、大西教授から聞いた、これであなた、国会の答弁まかり通ると考えているんですか。その態度が問題なんだ、その態度が。そう思いませんか、厚生大臣。三共のための厚生省ではないはずだ。ある特殊の教授の、それはボスかも知らぬけれども、その教授の厚生省ではないのだ。あくまで人命を尊重するのだ。国民の立場に立つなら、その立場から客観的にこういう問題を私は調べる、その厳正な態度こそが必要なんで、ここのところを私は一番お聞きしたい。虫歯予防薬だから、大したことはなかったのだ。それを大声で取り上げるまでもないことじゃないかとおっしゃる人もあるかもしれませんが、われわれはそうは思っていない。この問題というのは、やはり現在の自民党政府の医薬行政というものが問われている重大な問題だと、人命に対してどうするのか、決してないがしろにできない問題だと、この点からはっきりこれに対処する姿勢というものが今日要望されている。だから私は、この問題は今後のこのような人体実験に対して、どういう一体厳正な態度をとるかということとつながってきます。 そこで、私はお聞きしますけれども、具体的な措置として私挙げますから、これについてお答え願いたい。 八戸の現地では、非常に児童や父兄の不安が高まっている。厚生大臣は、先ほど申しましたように、どうしてもこれは調査官を派遣して、これを徹底的に調べる必要がある。そうしてその調査の結果については、至急これは私たちに知らせてほしい。いま当面する具体的な措置として、さらにこの実験に供せられた子供たちの健康状態を、小学生六百人でありますが、これの精密検査をやっぱり実施することを現地の父兄の人たちは要望している。これができる準備があるかどうか。 第三には、デキストラナーゼが投与されて、その後に人体に吸収され、排除されるその過程の生理学的な実験の結果があるだろうと思う。これを医学的にやはり公表する必要があるんじゃないか。 第四には、このデキストラナーゼ剤の製造に至った過程ですね、この過程と臨床実験以前の安全性の試験データというものをやはりはっきり公表する必要がある。 第五に問題にしたいのは、これはどうなんです、一体、このような問題を起こしたこの三共製薬と大西正男日本歯科医科大のこの教授というものはね、それからさらに二人のお医者さんですか、橋本元八戸学校医師会長、それから同森理事、この人たちのやり方というものは、やはり先ほどから問題になっているように、いろいろ遺憾な不十分な点があるわけですね。これについて一体どのように厚生省は対処をするのか、責任をどのように明らかにするのかというのは問題ですね。最後に、先生たち、校長ですね、校長は最初は反対したんだけど、結局は黙認して、そうしてこれを医者の手にゆだねてしまったということなんです。教育委員会はこれに対して最初は反対したんだが、今度の問題について当然このようなあいまいな態度でやはり児童の人命を預かっている校長の立場としては、非常に私は不十分だと思いますんで、これに対してやっぱりどのようにこの事態を明らかにし、責任を明確にするか、この点が非常に重要な問題だと思います。以上の点についてお聞きをいたします。
○主査(藤田進君) 答弁者に申し上げますが、予定時間もかなり超過しておりますし、事実認識に多少食い違いがあるように思うんです。ですからどうかひとつ親切に明確に御答弁いただきます。
○政府委員(宮嶋剛君) 先生から五点ほど御指摘があったわけでございますが、まず実態を調査せよ、結果を知らせろということ、この問題につきましては、先ほど大臣答弁いたしましたように、大臣と御相談いたしまして、その様子によって県に調査させるか、あるいはわれわれが行くか、その点は別といたしまして、その結果につきましてはお知らせしたいと思います。
○岩間正男君 何ですか、厚生省から調査官を派遣しないというんですか。
○政府委員(宮嶋剛君) 先ほど言いましたように、大臣と御相談をいたしまして、その上で決めたいと思います。 それから二番目に、精密健診をやれと、こういうお話でございますが、この問題につきましては、現地の状況をいましばらく調べまして、聞くところによりますと、一昨日土曜日の青森県議会におきまして、県当局も現地における精密健診につきまして検討に入ったと聞いておりますので、その様子等も勘案いたしまして決めたいと思います。
○岩間正男君 やる態度ですか。
○政府委員(宮嶋剛君) 県の方は現在検討を進めております。
○岩間正男君 いや、厚生省としては、これはやっぱりはっきりやるべきだという立場に立って進められているということですか。
○政府委員(宮嶋剛君) 精密健診につきましては、現在の県の情報もとっておりますが、県の方も現在の状況ではやらざるを得ないんではないか、やらなくちゃいかぬのじゃないかというふうなこと言っておられますけれども、なお検討中でございます。 それから三番目に薬理学的状況で、吸収、排出の状況はどうかというお話でございますが、吸収、排出につきましては、これは動物実験の中でも出ておりますので、その状況等も御連絡申し上げたいと思います。
○岩間正男君 公表するんですか。
○政府委員(宮嶋剛君) これはお求めがあればその状況をお知らせしたいと思います。 それから安全性のデータと、これはいまの薬理学的な状況をあわせたものと思いますが、動物実験の状況及びまた四十七年から四十八年にかけて一年間やったこの結果のデータというものにつきましては、お求めがあれば状況をお話したいと思います。
○岩間正男君 公表するんですか、どうもはっきりしないからね、はっきりしてください。公表するんですか、しないんですか。
○政府委員(宮嶋剛君) 公表とおっしゃいます意味がよくわからないのですが、先生の方にオープンにすることについては、一向私どもはあれしません、お求めがあればオープンにしたいと思います。 それから三共及びこの大西教授、それから二人のドクターのことをおっしゃいましたが、二人のドクターの関係はよく存じませんけれども、三共及びその大西教授につきましては、今度の経緯にかんがみまして、やはり足らざる点があったのではないかというふうに思われます点もございますので、今後こういう面について遺漏がないように十分注意をいたしますとともに、今後製薬メーカー関係につきましてもこの問題を一つの手本といたしまして、今後とも治験薬のこの実験につきましては、十分注意をするように指導してまいりたいと思っております。 学校関係につきましては、私どもの方の所管でございませんので文部省の方からお答えしていただきます。
○岩間正男君 十分やるといっても、どういうふうにするのか、具体的に厚生省の方針、新薬実験について新たにここでこの問題から学んで、そして明確にやっぱりする必要があるんじゃないですか、公表する必要がある、国民に。大体秘密主義が多過ぎるので、予算についてもそうだし、実験の経過についてもそうだし、結果についてもほとんどこれは報告しないで関係者だけ知っている。これじゃやっぱり本当に国民を信頼し、安全を守るということにならぬので、そういう計画について明確にされますか。これは当然、大臣必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○主査(藤田進君) 時間も過ぎておることだし、勝手にそこらでやりとりするようなことでは困るのです。きちっとやっぱり許可を得て発言をするように。
○政府委員(宮嶋剛君) 現在のわが国の制度のもとでは名企業が研究機関と連携をとりながら自主的にいろいろ検討するということになっております。同時にまた、いろんな医薬品つくりますのにいわゆる企業の秘密性というふうな問題もないわけではございません。しかし、事柄はきわめて国民の安全にかかわる大事な問題でございますので、私どもこのやりました中身につきまして、お求めがあります向きにつきまして、できるだけその内容につきましては公表していく。特に関係の民衆の間で御不満のある点につきましては、できるだけそのものにつきましては内容を申し上げたいというふうな気持ちでございます。
○説明員(倉地克次君) 私ども報告として受けておりますのは、校長は市教育委員会がこの薬の使用につきまして協力を断ったということでもございますし、また、厚生省から認可されていない薬であるということでございますので、学校としては協力することには問題があるということに決定いたしまして、ただPTAにおきまして納得した父兄のみを対象として使用するということを御説明されることを了承したということに伺っている次第でございます。なお、もう一度その辺の事情をよく調査してみたいと存じます。
○柄谷道一君 厚生大臣ね、各種共済を含めて、わが国には大変たくさんな年金制度というのがある。制度としてはたくさんあるわけですね。これは、新規裁定一件当たり金額をとらえてみても、その金額水準においても、差がある。さらに、細かな問題ですけれども、資格期間、それから給付の開始年齢、保険料の負担、国庫負担比率、それから年金額の算定方式、これはいずれもそれぞれの年金が違う面を持っているわけです。大臣は、今日までのいろいろ質疑の中で、制度間に誕生の経緯や歴史もある、その不均衡是正というものはなかなか既得権を主張する向きもあってその不公正不均等是正というのはむずかしい問題だが、五十年一年かかってこれを洗い直してみたい、こうたびたび答弁をされているわけでありますけれども、しかし、これは、所管官庁も散らばっておりますし、これを審議する審議会も多岐にわたっているわけです。私は、各種年金の調整統合を行おうとすれば、一体どの機関でこうした格差是正というものが論議されるものか、この点が明らかでないわけですけれども、年金の中で中心である厚年、国年を所管される厚生大臣として、この調整を論議する機関についてお答えを願いたい。 〔主査退席、井上吉夫君着席〕
○国務大臣(田中正巳君) いろいろなお話がございましたが、最後のお尋ねについては、各省庁の間にまたがっている長期給付年金については公的年金連絡会議というものがあります。ここでいろいろと調整することになっているというふうに承っております。
○柄谷道一君 現在のその連絡会議の権限なり機構からしますと、単に事務的な連絡調整を行うというのが従来の性格であったと思うのです。これだけ重要な問題を調整を図っていくためには、果たしてその機関で調整機能を発揮するだけのことが期待できるのかどうか、はなはだ疑問視するわけですけれども、どうですか。
○政府委員(曾根田郁夫君) いま御指摘がありましたように、確かに、各省間に設けられております連絡調整関係の会議はあくまで調整のためのいわば一種の協議機関でございますから、最終的な各制度の改善改正等の最終的な決定はそれぞれの制度を所管する各省大臣ということになりますので、御懸念のような向きもあろうかと思いますけれども、従来、被用者年金の代表的な制度である厚生年金あるいはまた国民年金、そういったものの改正については、他制度との関連で問題になるような事項は、これまでの経緯ですと、その調整機関によってある程度の効果は上げておりますので、できるだけ実質的な効果をこの協議機関によって上げるように私どもとしては今後とも努力してまいりたいと思います。
○柄谷道一君 私は長い間厚生省の審議会の委員もしておったのですけれども、そういう論議の中で、ひとつ制度審の会長を中心に各審議会の会長が一堂に会して、そして調整のための真剣な議論を行う、運用上少なくともそれぐらいの熱を入れないとこの調整は不可能ではないかということがたびたび議論に出るわけです。いま即答は無理だと思いますけれども、大臣、こういった審議会の中に真剣に議論されている現状を踏まえて、単に連絡機関があるのだからそこに任しておけばいいわというだけでは、大臣の前向きの姿勢が実らない危険が多いと思いますので、これはぜひひとつこれから再考慮してもらいたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田中正巳君) いま、制度審会長あるいは社保審会長等々、会長さんの会議というものはどうだろうかという一つの具体的な御提案で、考えられないわけはございませんが、どうもカバレージが先生御案内のとおりこの審議会については違うわけでございますので、したがって、これが有効に動くかどうか、なかなか問題だろうと思いますが、こうした学識経験者の方々の御意見を承り、そして公的年金連絡会議という受け皿の中で、実際問題としてはやはり一番範囲の広い年金制度を持っている厚生省が相当に努力をしなければならないということだけは事実のようだろうと思います。しかし、各省庁の扱っている年金でございますから、これを何も厚生省が全部引っかき回してどうのこうのということを申し上げてはまた語弊がございまするから、その辺のことは常識的にやらなければなりませんが、その辺のところにこの問題の解決の糸口があろうというふうに思われるわけであります。
○柄谷道一君 私、総括質問の中で大臣に質問いたしました。大臣は、これからの最も重大な国家的な急務は老人問題であると、こう御答弁されておるわけです。この各種年金間に介在する格差というものをどう是正するか。これは一回はくぐらなければならない大きな関門であろうと思うのです。そのためにも、これはいろいろな方法があろうと思いますけれども、ひとつ厚生省を挙げて、大臣が先頭に立って、この調整のために積極的に取り組んでいくという体制をぜひとっていただきたい。 こればかり言っておられませんので次に移りますが、当面今度は厚生年金という問題にしぼって御質問いたしますが、国民皆年金が確立された、こう世上言われておるわけです。ただ一つ谷間があるのじゃないかと私は思うのです。それは、被用者保険における被保険者の妻でございます。これは国民年金に任意選択で入っている者は別として、入る入らないはこれ自由でございますから、国民年金に入っていない者については、妻の年金権というのはないわけです。これだけがいまの年金権という立場からは陥没されている。同時に、被用者の被保険者の妻というのは、障害が発生した場合、これに対する救済策が全くない。これは国民皆年金下における一つの現在の穴だと私は思うのですね。こういう問題について、大臣、これをどう対処されていこうとされるか。
○政府委員(曾根田郁夫君) 御指摘のように、被用者保険の被保険者の妻の取り扱いが一応問題になるわけでございますけれども、これにつきましては、国民年金制度をつくります際にいろいろ議論かあった中で、結果として現行のような任意加入、こういう制度に落ちついたわけですけれども、これを真に年金権を確立するためには、国民年金の強制適用にしてしまうか、あるいは厚生年金の方で現在の体系を改めて何らか独立の年金に結びつけるような措置をとるか、大きく言ってその二つのいずれかだろうと思うのですけれども、しかし、その場合は、もう当然のことではございますけれども、現在の厚生年金の給付レベル、これを現在世帯単位的な考えですけれども、それを一人前、二人前、そういったことを含めて給付レベルをどうするか、いずれにいたしましても、どのような方向で解決するにしましても、かなりそれぞれの制度の大幅な手直しが必要となりますし、今後の重要な課題でございますので、できるだけ私どももそういう方向で努力いたしたいと思っておりますけれども、各制度にもまたがる共通の問題でもございますし、まあいままでこの問題が解決されなかったというのはやはりそれなりに非常にむずかしい背景があったということでもございますので、できるだけ努力はいたしますけれども、来年度改正でこれについて結論が得られるかどうか、その辺については私どももなおもう少し研究さしていただきたいと思います。
○柄谷道一君 しかし、これはもう相当古くて新しい問題でして、国民皆年金下における年金権が確立されていない部分が依然としてあるということは、これは放置できる問題じゃないと思うのですね。これはもちろん審議会の検討にゆだねられる問題であり、私自身はそれに対する解決策を用意しておりますけれども、きょうこの種の問題を議論する時間もありません。大臣、抜本的洗い直しの中でこの問題については解決のために最大限の努力を払うというお約束はしていただけますか。
○国務大臣(田中正巳君) いまお話しがございましたとおり、被用者の妻の年金権、これが制度を積み上げていく間にかなり便宜的に実は扱ってきたことだけは事実のようであります。しかし、やってみますると、やはりこれでは妻の年金権というものが不十分であり、多々欠陥があるということがよく具体例でわかってきたわけでありますので、これについてはひとつ根本的な解決というものについても考えていかなければなりませんが、なかなか、いま年金局長の言うとおり、各制度間にまたがる問題でもありますので、一朝一夕にできないことも考えられる。その場合に、とりあえずのところとしてこのデメリットというものをどの程度にカバーするかということについては少なくとも取り急いでやらなければならぬ。その範囲が一体どの程度のものに終わるか、そこは別ですけれども、現在の制度そのままで今後もむずかしいからといって放置しておくということは私はいけないだろうと、こういうふうに思って今後努力をいたしたいと思っております。
○柄谷道一君 厚生年金の第二の問題ですけれども、四十九年の三月二十六日、参議院の予算委員会が開かれております。そのとき、わが党の中沢伊登子委員から、当時内田常雄さんは厚生大臣の臨時代理ということであったようでございますが、六十五歳以上の減額年金の問題について質問をいたしております。これに対して、当時の内田さんはいろいろ述べておられますけれども、わが国の給料制度のたてまえなんかで、年をとればとるだけ俸給が安くなるというたてまえのようなことになってまいりました場合には、私は在職中二割削減分についても考えなければならぬ問題であろうと思いますと、こうお答えになっております。さらに、六十五歳以上までどこかへ勤めまして、そして給料をもらっておると、その人の寿命がそれだけ延びない限り、本当の満額の厚生年金をもらう期間というものは縮まるわけですから、そのことを考えれば、厚生年金会計の中でもこれはやれる問題ではないかと思いますという答弁をされまして、福田国務大臣が、実態調査をとにかくしてこの種の問題の解決に当たりたいというところで締めくくりになっているわけです。この六十五歳減額年金の問題について、これもいろいろ論議されているところでございますけれども、これによりますともう一年前から実態を調査して何とか解決のための努力をしたいというお約束があるわけですけれども、その後の経緯はどうですか。
○政府委員(曾根田郁夫君) 昨年、内田臨時代理との間にそのようなやりとりがあったことを承知いたしておりまして、その後、老後生活あるいは定年制、そういった問題をめぐりまして必要な調査を行いまして、間もなく集計に入る段階まで来ておるようでございます。もちろんこの結果は十分参考にいたしたいと思いますが、この資料のまた内容いかんにかかわらず、私ども来年度の厚生年金あるいは国民年金の制度の見直しの作業に関係審議会でもうすでに検討をお願いしてございまして、その中でもやはりいまの問題が一つの検討項目になっておりますので、調査結果はもちろん参考にいたしますけれども、しかし、仮にまあ結果いかんにかかわらず、来年度の一つの問題として検討してみたいというふうに考えております。
○柄谷道一君 いま指摘しました妻の年金権と減額在職老齢年金のあり方につきましては、これも相当審議会でも議論に議論を重ねた問題で、大臣は長い社労委員の経験から十分熟知のところであろうと思いますから、この二つぐらいはやはり明年度の改正の中でぜひ前進をするということについてせっかくの御努力を願いたいと思います。 それから次に私が指摘したいのは、スライド制の問題であります。恩給法による恩給、それから国家公務員共済、地方公務員共済、これは法文の上にはまだ明確になっておりませんけれども、過去三年間、公務員のベースアップ率にスライドする、こういう慣行がもう樹立されているわけですね。ところが、厚年及び国年ではまだ物価スライドということです。しかも、このスライド制の実施時期というものにも開差があるわけですね。私はこの非常に激しいインフレの中で年金の水準をいかにして維持するかという非常に重要な問題が各年金間でこのような開差があるということは、これまた一つの大きな問題点であろうと思うのです。まあ根本的な統一問題はこれは抜本改正の中にゆだねるべき問題であろうと思いますが、昨年の十二月十九日、社保審の厚生年金保険部会が、公労使満場一致の意見として、少なくても五月実施を目途として昭和四十九年度以上にタイムラグの短縮を図るべきであるということを答申、建議いたしているわけでございます。しかし、本年度の予算をながめますと、この答申は全く無視されているという残念な結果に至っております。各年金に比べてそれでなくてもスライド制について見劣りのする厚年、国年が、どうしてこの審議会の満場一致意見がそんたくされなかったのか、お伺いいたします。
○政府委員(曾根田郁夫君) ただいま御指摘の審議会の御意見は、スライド指標に、現行の消費者物価指数では、これは五月上旬に確定いたしますので、それじゃ間に合わぬから一部予測値を取り入れる等の手法を考えるべきであるということについて御意見をいただいたわけでございまして、私どもも一応部内でこの点につきましては検討いたしましたけれども、この予測値ということになりますと、最終確定値がこれと相違した場合に、関係審議会の方の御意見は、これはもうそれで踏み切るんだというお考えであったようでございますが、私どもとしては、どうしてもそういう修正というような問題が当然起きてくる、また、そういう前提でこの問題を考えなければいかぬということを検討いたしまして、結局は、やはり現行の指標を前提にして実施時期の繰り上げがどこまで一体いまの体制でさかのぼり得るのかということについて保険庁ともいろいろ相談しましたが、まあ何分にも来年たとえば国民年金について言いますと五年年金が百万を超えるような新規発生もあるという新しい業務量の増大に対応して、ざらに四十九年度以上にタイムラグの短縮を図るということは、いまの少なくとも社会保険庁の事務処理体制のもとではほとんど物理的にも不可能に近いということで見送らざるを得なかったのでございまして、ただ、これはこれで済む問題ではございませんので、今後のやはり検討課題として今後とも努力いたしてまいりたいというふうに考えております。 それからスライド実施時期の相違についてでございますけれども、たとえば厚生年金が八月、国民年金九月と、まあ一月の違いでございますが、これは先生御案内のように、それぞれの年金制度の年金の支払いの時期、たとえば厚生年金で言いますと年三回払いで八月からのスライドの分は八、九、十の三カ月分を十一月、国民年金は同じように九、十、十一分を十二月と。したがいまして、国民年金について八月ということになりますと、九月支払い期の中の一月分……
○柄谷道一君 それはわかっています。
○政府委員(曾根田郁夫君) そういう問題がございますので、御了解願いたいと思います。
○柄谷道一君 しかし、いまの答弁を聞いていますと、事務処理体制上八月にせざるを得なかったということですけれども、そのような理由からですと、これは来年もまたそれ以上のタイムラグの短縮はできぬということにつながってくると思うのですね。審議会は、この際、あわして事務的体制整備も意見として述べているわけですけれども、もっとこれはつきたいのですけれども、この点についてははなはだ私は不満であるという意思を表明いたしまして次の問題に移ります。 それは、いま預貯金の目減り問題が非常に大きな国民的な話題になっておりますけれども、案外忘れられているのが社会保険積立金の目減りだろうと思うのです。厚生年金が四十八年度末で八兆一千九百四十三億円、国民年金が一兆四千四百七十億円、累積積立額がございます。他にこれに各種共済及び失業年金を加えますと、十五兆五千六百九十四億円に達しているわけです。しかも、単年度四十九年度で厚年は一兆五千七百五十億、国年はさらに二千五百七十億円累積される、こう厚生省自体の資料が示しております。実にこれは大きな積立金であろうと思います。この積立金がインフレによって減価している。これはことしの厚生省予算までにはいかないにしても、これは相当膨大な目減りでございます。現在、こうしたインフレの中で、すでに積立方式というものはその存続の意味を失ってきているのではないか。もしこれを存続するとすれば、この目減りに対して一体政府はどのように対処すべきなのか、この問題についてひとつ大臣の明快な答えを求めたいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) まずとりあえずこっちから……。
○政府委員(曾根田郁夫君) 財政方式の問題につきましては各方面からいろいろ御指摘があるところでございますけれども、賦課方式というのが一つの財政方式ではございますけれども、しかし、本当の意味の賦課方式というのは現在の労働人口が現在の高齢人口を養うということでございますので、そういう観点に立ちますと、たとえば厚生年金なら厚生年金という制度自体の財政方式を修正積立を賦課方式に変えるかどうかという議論はいささか私は問題があるのではないか。また、逆に、厚生年金の財政方式をそういう立場で論ずる場合には、同時に年金受給者をふやすといういわゆる成熟化対策が同時に伴わない以上は余り意味のある議論ではないのではないか。したがいまして、この問題は、そういう成熟化対策との検討と絡みましてむしろ公的年金全体の問題として議論をすべきではないか。いずれにしても、しかし、成熟化の度合いによりまして、早晩賦課方式への移行はどの程度の賦課方式でやるかは別といたしまして避けられないところでもございますし、私どもは常にそういう立場でその問題を取り上げてまいりたいというふうに考えております。 それから目減り問題でございますけれども、積立金に限らず、年金制度全般がこの問題には非常に神経質になっているわけでございまして、基本的にはインフレをできるだけ一刻も早く克服するというのがこの問題の本当の意味での解決ではないかというふうに考えております。
○柄谷道一君 十五兆円として二〇%物価上昇と見て三兆円ですか、これは本当にほうっておけない目減りなんですね。しかも、これが現在の修正積立方式をとる以上、次の積算の場合にその保険料にこれが加算されてくるわけですね。ということになると、事業主及び被保険者はもろにその積立額のインフレによる減価を保険料でかぶらなければならないということになるわけです。私は何もいま直ちに完全な賦課方式に切りかえるということを言っているわけではないんです。しかし、少なくとも現在の修正積立方式を修正賦課方式に切りかえるぐらいの勇断がなければ、これは保険者及び被保険者として積立方式を従来のとおり踏襲して来年その分も全部保険料でかぶれというふうなことを言われても、これは合意の得られるべき問題ではないと思うのです。ほかにも私質問したいことがあるからこれ以上申しませんけれども、大臣、これはやはり今回の五十年度中の抜本的検討の洗い直しの中で当然大きな議論の一つとして取り上げられるべき問題であるという御認識をされておりますね。
○国務大臣(田中正巳君) 年金の財政方式問題、その中のいまの修正積立方式についていろいろな欠点があることを私は知っております。その中で、あなたが御指摘している積立金の減価問題などというのは、最も大きな問題だろうというふうに思っております。そこで、財政方式を改めるということになりますが、これをどういう形で改めますか、賦課方式、これもいわゆる学者の言う修正賦課方式じゃございませんで、いわゆるわれわれの考えているような積立方式に対する修正積立方式みたいな考え方の修正賦課方式に切りかえるとしても、いかなる時期に、どういう範囲で、どういう順序で、そしてまたどういう方法でやるかということについては、実は相当いろいろ問題があるだろうと思います。しかし、私は、今後の財政方式の転換については、この賦課方式の考え方を入れていくということはもう必然的な課題だろうと思っておりますが、しかし、これを一遍に賦課方式に切りかえるということは先生もお考えになっていませんが、まあこれについては常日ごろ苦労しているわれわれとしてそういうことはなかなか簡単にはできると思っていませんが、どのような形で賦課方式を導入していくかということについては、これはやはり年金の見直しの際には当然検討しなければならぬ問題だというふうに思っております。
○柄谷道一君 この点は、少なくとも積立金の目減りが現在の積立方式を踏襲することによって全額保険者及び被保険者の負担になるということだけは阻止するように、これは大臣として十分な検討をお願いしたい。 次に、積立金の管理運用についてです。これもすでに審議会が何回も答申を出している問題でございますが、公務員共済などは組合の余裕金は自主管理のたてまえをとっております。ところが、厚年、国年はすべて資金運用部資金としてこれが使用されている。まあ自主管理を求めるというのが本来のたてまえですけれども、少なくともそこへ行く前の段階としても、これは郵便貯金と違うわけですから、強制的に取り上げた一種の保険料の積立でございます。この管理運用に関して、それぞれ当事者の意見が反映されるように、もっと具体的に言うならば、資金運用部資金の運用に関する審議会の中にその代表者が労使入るべきではないかと、これまた公労使満場一致の意見であろうと思いますが、この点に対するお考えをお伺いいたしたい。
○政府委員(曾根田郁夫君) 積立金の管理運用につきましても非常に古くからいろいろと御要望の強いところでございまして、私どもも過去何回かその線に沿って管理運用方式の改善には努力してきたつもりでございますが、これだけやはり巨額な資金でございますから、やはり、たてまえとしては、現在のように、資金運用部に一括預託して、その上で改善を図るという従来の方針がよろしいというふうに考えております。 そこで、具体的にお尋ねの資金運用審議会の委員の件、これも、何年前でございましたか、委員の中に厚生年金あるいは国民年金の関係の方々に入っていただいておりますし、それからまた、さらに被保険者の意向を反映させることにつきましては、昨年の夏でございますが、労使あるいは公益の方、これは私的な懇談会の形ではございますけれども、年金問題懇談会というものも省内に設置いたしまして、各年度の財投あるいは還元融資等の要求について御意見を承ることにいたしておりますので、こういったものの運営によりましてできるだけ御趣旨に沿うように今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
○柄谷道一君 これは大蔵大臣と厚生大臣のどちらの力が強いかということにもなろうかと思うのですけれども、これは本当に過去何回となく審議会が答申してきた意見書でございますから、田中厚生大臣在職中に前進をした、さすが名厚生大臣であったわいという評価を残すように、これまた格段の努力をお願いします。 時間が余りなくなりましたので、次の質問はもう一括して申し上げますが、私は、これから目指す時代は高福祉時代、これはもう三木総理大臣も施政方針の中で言われているとおりです。高福祉時代ということになれば、当然これに対する社会保障の負担というものがふえてくる。それをとらまえて、自民党では、高福祉・高負担と、こう言っておられるわけですが、私は、高福祉・適正負担でなければならぬと、こう思うのです。まあ負担というものが、現行税制や現行の保険料の労使負担率を既定のものとして、それに乗っかって高福祉をねらおうとすれば、これは当然不公平の拡大につながっていくと私は思います。厚生大臣は、この前、私は非常に敬意を払ったわけですが、社労委員会で、現行税制の延長線上に高負担を課すということは考えていないと。これは税制上矛盾がある点はこれから直していきたいという大臣の積極的な意欲と私はこれを受けとめております。同時に、社会保険の労使の負担比率につきましても、すでに資料を厚生省はお持ちでございますので私は言いませんけれども、昭和三十七年の社会保障制度審議会の答申にも、従来の社会保障は保険の原則にこだわり過ぎたきらいがある、今後は所得再配分の観点に立つとともに、費用の効率的な使用を考えて、できる限り保険料と給付の比例関係を排除し、保険料は能力、給付は必要に応ずる方法に進むべきである、さらに、四十八年にも、国庫・事業主負担を増加させるなどの発想に転換せしめるべきであるという趣旨の答申が行われているわけです。先進諸外国に比べまして、まあ私はここに資料を持ってきておりますけれども、日本のごとく労使折半原則が社会保険に適用されている国は欧米には見られない事実でございます。これから法定外福祉から法定内福祉へと、その姿が移行していくということを考えれば、労使の負担比率というものに対しても、これは今後メスを入れなければならない問題ではないか。そういう一方における税制の矛盾解決、一方における公正な労使負担比率の策定、こういう問題が相伴って初めて高福祉時代に対応する適正負担の方途が開けるのではなかろうか、こう私は考えるわけですが、これに対する大臣——きょうは大蔵大臣は大蔵委員会があるのではなはだ残念でございますが、大蔵の担当官が来ておられますので、ひとつ、これは基本的な問題です、今後の高福祉時代に対処する大臣と大蔵当局の御意見を承りたい。
○国務大臣(田中正巳君) 今後の高福祉時代を迎える場合におけるその財源の求め方についてかねがねあちこちの委員会で議論があり、いずれにいたしましてもどこからか財源を求めてこなければこれ以上の福祉の向上はできないということは事実であります。これをどこからどういうふうに求めるかというのがその方法論が問題だと。そこで、税については、私がさきの参議院社労委員会で申し上げた趣旨というものは、これは今日の税制そのものがもう再検討の必要がないんだということではない、やはり税についてはそのときの客観情勢あるいは税制の上でもって見直し、検討が必要であろうということを申し上げたわけでありまして、税のあり方については、私は大蔵大臣じゃございませんからあれこれ具体的なことを申す立場ではございませんが、国務大臣として、さような必要性があるものというふうな認識のもとに申し上げたわけでありまして、いま個々の税目についてあれこれ申し上げる段階ではないし、立場ではないということは御了承を賜りたいというふうに思うわけであります。 それから保険料につきましては、先生おっしゃるとおり、これについては所得再配分的な機能を十分持たせるということは、これは必要であることは間違いがございません。ただ、ここで、わが国においてかなり広く採用されている労使折半の制度というもの、これをいまにわかに改めるということにつきましては、お話はわからぬわけではございませんが、各種の被用者保険全般に通ずる従来から踏襲されてきた一つのプリンシプルでもありますし、また、これがいろいろと国の経済あるいは産業、ありとあらゆる点についての影響ということも考えてみなければなりませんから、したがって、いまここでもってこれをどうするということについて御返事を申し上げるだけの私は準備ができておらないというのが事実でございます。問題としては各方面から指摘をされておりますので、検討することについてはやぶさかではございませんが、いまのところはこれについてにわかに変更するという考え方を持っておりません。 いずれにいたしましても、わが国の税負担あるいは保険料負担は、ヨーロッパの先進社会保障国と比較をすると、税の面でも三分の二、保険料の面では三分の一というふうに低いわけであります。これについてはいろいろ問題があろうと思います。一つは、やはり国が取るべきものを取っておらないということもあろうと思われます。しかしまた、保険料等で見られるとおり、人口の老齢化が進むに従ってヨーロッパの国々では賦課方式による年金の保険料を増徴していったという歴史的経過にかんがみて見るときに、やはりこの種のものについてはそうした政策要請との関連において今後検討していかなきゃなるまいというふうに思っている次第であります。
○柄谷道一君 もう一つだけ。時間が切れましたので、時間がありましたら資料を示しながらもっと深くつきたかったわけですが、質問を終わりますけれども、きょう総務課長が大蔵から来ておられますけれども、一国務大臣としてただいま田中厚生大臣のそのような意見もあったわけです。税制をどう改革すべきか、これは非常に重要な問題でありますけれども、高福祉時代を迎えるに当たって、現在の税制そのものについてもやはり勇断をもって適正負担の原則を貫くべきであるというふうに私は思いますので、帰られて大臣にこの点はよくお伝えを願いたい。 同時に、大臣、社会保険料の労使負担ですね、私もいろいろな審議会をやったのですけれども、社保審でそれを言いますと、労働省関係もそうなのでと、こう言うんですね。労働省関係の審議会でそれを主張しますと、いや、厚生省関係の保険も全部折半になっておりますのでと、その折半原則がキャッチボールされておりまして、本当にこれを議論する場がないんです。ただ一つ存在する制度審では、いま私が申し上げましたように、折半原則をこの際改める必要があるという指摘を行っているにとどまっているわけです。この点も、今後、これは政治課題としても非常に大きな問題であろうと思いますので、大臣、どの機関でこの問題を真剣に論議するのがいいのかという点も含めて、この問題はなおざりにせずに、ひとつメスを入れるということだけは少なくともお約束を願いたい。メスを入れるというお答えを得て、私は質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) これはまあいろいろ御意見がありますが、さっきから申すように、大きな国の経済あるいは産業、コスト、そういったような問題と絡み合っておりますので、ここで軽々にお答えができないということでございますが、いろいろな方面からの御意見もありますので、今後これについて一顧だにしないということではございませんが、やはり政府全体として考えるべきものであろうというふうに思います。
○片山甚市君 きょうは血液行政について大臣にお伺いをしたいと存じます。 一九七三年十月、テヘランで第二十二回赤十字国際会議の決議がございました。それによりますと、無償の献血の思想を認めて、善意の献血で無料で提供された血液は無料で患者に供給されるように国際的にしようじゃないか。こういう考え方については、国の責任者として是認されましょうか、お伺いいたします。
○政府委員(宮嶋剛君) わが国におきましても、ただいま先生申されたようなそういう方針というものは踏まえるべきである、かように存じます。
○片山甚市君 昨年、厚生省は鳴り物入りで輸血代金の無料化を宣伝してまいりました。つまり、自己負担金を受血者の請求によって血液センターから支払う方式についてでありますが、昨年の暮れごろから最近にかけて、たびたび「読売新聞」などに取り上げられてきたように、請求方式が複雑な上に、周知が十分でございません、そういうことがあり、また、その上に加えて、輸血証明費用を取っております。取らなきゃならない、医者としては手数がかかるんだと、こういうことでもっともな言い分ですが、そういうことがありまして実は実効を上げていないと見られるのですけれども、その後鋭意関係の向きが努力をされたようですが、その状況はどうなっておるのか。こういうようなことは新年度からは実効の上がるような方式に切りかえてもらわなきゃならぬ。いまのままですと、非常に煩瑣で請求する側もかなわないし、その関係者は困っておるのですが、厚生省としてはどのような改善策をとられておるのかについてお伺いいたします。
○政府委員(宮嶋剛君) 先生がおっしゃいました前段の方の本年の状況でございますが、初めて本年度この償還制度をつくりまして入ったわけでございますが、どうも調子が思わしくない。秋の状況を見ましても、四千五百万程度の償還しかできてないということもございまして、実は秋から日赤と私どもタイアップいたしまして、徹底的にひとつ患者の方にPRをしよう、同時に、医療機関が十分わかるようにしようということで、いろいろやってまいりました。 具体的には、過去におきまして輸血を受けられた方につきまして病院の方からリストを出してもらう、出してもらったら、日赤のセンターの方からその患者の方に一々御連絡申し上げて、こういう制度がありますと御連絡申し上げまして申請を促すというふうなこともやりまして、今日の段階で申しますと、相当数の方がその後申請をなさいまして、約五億ないし六億程度のものがおそらく本年度償還の対象として払われるであろうと、かように存じております。一応本年度初めてやりまして、振り返ってみますと、確かに、先生おっしゃいますように、まずい点もございます。 そこで、問題は、五十年度に入りまして私どもは特に第一には事務手続を煩瑣なものから簡単なものにしたい、簡素化したいというふうに考えております。従来、封筒に入れて証明書をもらって自分の申請関係を細かく書いたものを、今度ははがき一枚にしちゃいまして、その中に本人が書き込むことあるいは医者が証明をすることを一緒に書き込んでもらってそれで医者の方から出してもらうというふうな簡便方式を考えております。同時にまた、ただいま先生御指摘ございましたように、費用負担関係におきましても、郵便料がかかる、あるいは証明料がかかるという苦情もあるわけでございまして、この面につきましても、五十年度におきましては、もちろん郵便代はこっちが後払いというかっこうで持ってあげる、あるいはまた証明につきましてもたらい回すところをなくすという方向で善処をしたいと考えております。
○片山甚市君 いま厚生省が前向きなことでお答えをいただきました。ことしの予算は、ことしというのは四十九年度でございますが、十二億円でございましたね、予算を組んだのは。それですから、やっぱり半分を超えるか超えないぐらいになろうかと予算上では思います。そういうことでは、やはり半数の人たちがそういうようなことについて十分な知識もなく、または煩瑣であったということで、十分にこの意見を取り入れてもらいたいと思うのです。 いま申されたうち、特に証明書の問題は、二十二県が無料化しておる、二十四都道府県が有料で百円から五百円になったことは御承知のとおり。ですから、このようなことについては、それぞれの地域の事情がございましょうし、特にたくさん血液を使うであろう東京とか大阪というようなところ、特に献血の度合いの一番多い四〇%を超える北海道で手数料を取っていますね、使った者から。一番模範的な献血の量でございますね。そういうようなことを考えてみますと、これはいま言われたことを十分含んでやってもらいたい。これは私のほうが言いたかったのですが、省のほうがそういうのをお答えになっておるのですから、それでひとつ強力にお願いしたい。 さて、国が献血事業の推進を図ってから約十年しかなりません。それまでは、大体売血の大好きな者たちが集まっておった、血の売り買い、こういう大変なことですが、まだまだ血液事業全般にわたって見ますと、体制が十分でないというように思うのです。これは国と地方自治体及び日赤との間に、三者一体というか、三位一体がきちんとなり切っていないような感じを受ける。それはどういうことなのだろうかというように考えてみますと、血液の需給関係からいいますと、いわゆる血液型の分布の状態も九州から近畿または東北というようにそれぞれあるだけに全国に相当大きな調整を必要とする。こういうことで、保存血については日赤という大きいセンターで何とか間に合ったけれども、保存血液を何とかしたということはあっても、血液成分製剤あるいは血漿分画製剤などについてはそれに応じ切れていない。これは設備関係がたくさんお金がかかるのですが、それについてはどのような状態で取り組まれるのか、お伺いしたい。
○政府委員(宮嶋剛君) まさに先生御指摘のとおり、一般的に保存血液による輸血につきまして三十九年度から四十八年度まで十年間かかって一応需給のバランスがとれるという、形の上でそうなりましたけれども、しかし、一般的に申しまして、ランニングストック、あるいはまた地域的なバランスの問題、あるいはまた先生御指摘の血液型による影響と、いろいろな問題で足らない面がございまして、保存血液の使用量も多うございまして、なお献血量の増加に努めなくちゃいかぬ。と同時に、これまた先生御指摘のように、血漿分画製剤あるいはまた血液成分製剤に対する需要がきわめて今日の医療のレベルが高うございます。しかし、それに手が回らない。具体的には、血漿分画製剤につきまして今日原料血につきましてはその半分がなお売血に頼っておるというふうな状況でございまして、この状況は早急に改善しなくちゃいかぬと、かように考えております。 私どもも今後献血量の増加に努めまして、そのための対策をいろいろ考えまして、献血の増加、ひいては血漿分画製剤あるいはまた血液成分製剤等につきましての原料血にも足らざることなしというふうなところまで早く持っていきたいと、かようなことで目下対策をいろいろ検討いたしております。
○片山甚市君 局長の話を聞きながら身の毛の踊るような感じのするのは、いわゆる血漿分画製剤などの原料が売血であると。確かに、相当の処理をいたしますから、病気をなくして使うことになっておっても、これは本来先ほどテヘランにおけるところの第二十二回の決定に比べれば非常に違いがあると思うのですね。これは、生であろうと、薬にしようと、輸血には違いないのでありまして、血液を使うときにはそういうようなものにならぬようにと、こういうことからさらに一歩進めてもらいたい。 いまお話しのとおり、血漿分画製剤などの必要がどんどんとふえておる。医療が進めば進むほどそういうことになっておるのですが、また、輸血に伴うところの医療ミスも出ておりますし、オーストラリア抗原や血清肝炎や各種抗体の問題もわりに多うございます。そういう意味で、血液の医療上に占める役割りから見て、諸外国との立ちおくれから見ても、昨年七月に血液問題研究会の中間答申が出されておるのですが、この中間答申によると、国立血液総合研究センターを設置したいという、これはどうしても巨大なお金が要るだけに国立でこういうものをしてもらいたいというのは各界の要望だと思うのです。これについて厚生大臣の方ではせっかく努力しておると思いますが、いつごろまでにどのような結論を、この研究会もそうですが、省も出されるか、この機会にお伺いしたい。
○政府委員(宮嶋剛君) 御指摘のとおり、昨年七月、血液問題研究会の方から、中間答申でございましたけれども、わが国における血液関係の研究というのが外国に比べてきわめておくれておる、ひとつ研究を推進するために中心になる機関を考えたらどうだと、こういう御趣旨で実は御要望も出てまいったわけでございます。言わんとするところは、特におくれております血漿分画製剤の開発研究、あるいはまた輸血のやり方、あるいはまた血液の保存期間が特に問題になっておる延長の問題、あるいはまたいろいろな病気に対する血液の使い方、利用の方法——相当分野が多いようでございますが、そういう面すべてもう外国におくれておる、だから、まあ現在いろいろな大学輸血部等において研究もなされているけれども、ひとつ中心的な研究の体制というのをつくって、そういうものと連携をとりながら伸ばせというのがそういう趣旨でございまして、そういうこともございまして、私ども昨年七月そういう御意見を承りまして、その後いろいろ検討しておりますが、五十年度のこの予算におきまして、血液の研究体制の検討をするための費用も財政当局からお認めいただきまして若干持っておりますので、目下関係の専門家にいろいろな意見を聞きながら、どういうふうな体制をつくればいいのか、そういうことを検討いたしております。私どもとしましては、検討を急ぎまして、明年度の予算要求の段階で、まあどうなりますか、詰まりますればその段階で一つの案というものを財政当局にお願いをする、御相談をするというかっこうになるのではなかろうかと、かように存じております。
○片山甚市君 そのようにして遅々として取り組みはおくれておっては、まあ省としてはがんばったつもりであっても、私たち毎日医療を受ける立場、私のように献血運動を組織している者にとっては、国は立ち上がってくれない、日赤モノポリーはぼうっとしておる、このように感ずるものであります。これは体感でありまして、これはもう厚生大臣の大きらいな、もう少しきっちりした筋で言えという顔をしておるけれども、顔は別といたしまして、とにかく私はもっと体でこうこなきやならぬと、こう思いますが、大蔵省はそういうところでいわゆる血液問題についてはもう一銭も削らぬという約束をしてもらいたいと思ってきょう来ておるわけです。血液の総合研究所ができますね、そのときに、大蔵省は、このことはほかのことと違うんだから、命なんだから、これだけは削らぬと、こういう約束をしてもらいたいと思ってやってきました。それほどの意気込みです。売血から献血にかわるその非常に暗い時代、それを乗り越えてきた者にとっては、国立のそういうような血液総合研究所ができ、医療部門もできる、診療部門もできる、療養部門もできる、研究部門もできるということになれば、これによって相当の病気を治す手だてができると、こう思います。そこで、私は、いろいろの文献を見ましたが、どんどん需要がふえておる血漿分画製剤などは、主としていまどこでどのようにしてつくられておるのか。いまお話を聞いたように、その原料血が輸入されておるというか、売血だと聞いておる。そのうちに輸入されておる血液はどのぐらいの割合になるでしょうか、およそでよろしゅうございますから、お答えを願いたい。
○政府委員(宮嶋剛君) 現在、血漿分画製剤につきましては、実は日赤のセンターがそれをつくる能力はございませんで、具体的にはメーカーサイドにおいて血漿分画製剤をつくっております、薬品として。主な会社が四社ございます。ミドリ十字、あるいはまた大日本製薬、富士臓器、あるいは化血研と、こういった大きい四メーカーがつくっております。年間つくります数は約二十三万本、血液の本数に直しまして約二百三十万本相当と、こういわれておりますけれども、二十三万本の血漿分画製剤をつくっております。 なお、ただいま先生からその原料血をどうしているかというお話でございますが、大まかに申しますと、そのうちの五〇%がなお売血によっておる、きわめて遺憾な状況でございます。また、そのうち一五%が原料血を輸入しておる。これまたきわめて残念な状態でございます。残り三五%が転用血によって賄われておる、こういう実態でございます。
○片山甚市君 厚生大臣にお伺いするというか、お願いをするというか、ぜひともしていただきたいのは、いま申されましたように、売血に頼った製剤をつくらなきゃならぬ、または輸入血ということで血液の貿易をするというようなことは、われわれ文明国としては余り好ましくないというか、否定をしなきゃならぬと、こういうことで一日も早くこういう状態をなくするように努力をしていただけるかどうか、大臣からお伺いしたいと思うわけですが、いかがですか。
○国務大臣(田中正巳君) 血液の問題、これは確かにわが国においてはおくれておったことは事実であります。それで、その後、いろいろと皆さんの御意見また関係者の非常な御心配によりまして、大分進歩してきたことは事実なんでありますが、まだ十分なところまでいっていないというのはまことに残念であります。いま先生が御指摘になった一連の問題、これはほとんどわれわれがいままでやってきた過程において検討をしたけれどもなお不十分だったとかうまくいかなかったといったようなものが多いわけでありまして、要はやはり献血の量をふやしていくということをやらなければ問題は解決をしないということだろうと思います。そういうわけで、いまさっき薬務局長が言ったように、血漿分画製剤などの原料血がまだ不十分で売血に頼っているとか輸入血に頼っているというようなことをやっているのはまことにどうも遺憾千万でありまして、今後こういったようなことはしなくて、献血によってこういったようなものが賄われるというふうにしなければなりませんし、同時に、これの受け入れ側についてもいろいろと問題があることを私はよく知っておるわけでありまして、こういう点については、従来の経緯にかかわらず、沿革にこだわらず、ひとつあるべき姿にはやっぱり勇断をもって直していかなければならぬと、こういうふうに思っているわけであります。
○片山甚市君 大臣から積極的に進めていただくお話をいただきまして、心強く、関係者の一人として、私は委員でありますけれどもこのことについては十年以来自分がやってきたものですからそういうように思うのです。 そこで、私の考えは、およそ血液は命の一部分であり、それを売り買いすることはできない、いや否定するべきだと考えておるものです。ですから、通常の医薬品で薬価基準で決めて支払ったりなんかするのは方便であって、本来の姿ではない、こういうふうに考えているわけです。そういう措置をとらなければいろいろと不都合なことがあって点数にしておるだけだ、本来は売り買いをすべきじゃない、こういうように思っております。そして、私は、いま大臣が言ったように、人人の善意の献血というものを広く受け入れられるようにし、文字どおりそのことが血の通った助け合いだと思う。日赤には一千万人の会員がおる、四百万人近い奉仕員がおるといって、その人たちは旗を立てるときだけは日赤です。献血運動になったら逃げておらない。わかりますか。私は日赤の会員でございませんでしたが、そういうような運動をしながら、黄色い血で荒らされた子供たちやそういうものを見ながら、やはりいまどうしてもコマーシャルベースに乗せるべきでない、そういう考えを持っておるから、先ほど言った国立総合研究所をつくるなり、あるいは国が全面的に乗り出していま日赤の足らざるものを補っていくという考えだと思いますが、局長、いかがですか。
○政府委員(宮嶋剛君) 全く同感でございまして、血液というものは単なる医薬品とはわけが違う、輸血というのは臓器移植である、臓器の一部と考えなくちゃいけないということは、今日、輸血学会あるいはまた医師会の専門家の間でも特に言われておる点でございまして、最近もこの血液問題研究会の場におきましてそういう御説がきわめてたくさん出てまいりました。私ども、今後、血液行政をやっていく、あるいはまた現に日赤が取り扱っていく場合におきましても、臓器である貴重な血液を扱うという意味合いにおきまして、すべての方針、すべての措置につきまして、そういうことが魂から今度は具現化するというふうな方向で指導もする、私どももそういうふうに考えるというふうにしたいと思います。
○片山甚市君 いま局長がおっしゃったように、ぜひそういった認識に立ってそれを速やかに実施ができるように、特に献血の呼びかけから輸血に至るまで一貫して国が、また国が委託しておる日赤、あるいはそういうものが責任を持って行えるようにしたいと思うのです。そういうときに考えますと、日赤は、どうも新鮮血あるいは保存血についてはたやすい形だからやりやすい、血液を集めるぐらいのことはできるのだが、いわゆる血の貿易、売血を買うとか輸入するとか、あるいは国内で売血があることをなくしようということに本気でないように思う。もしそれができないのなら、厚生大臣にお伺いしたいのだが、日赤じゃなくて別の機関をつくって——血だけ集めたいのなら、日赤の人たちがおもしろ半分に金もうけみたいに集めるなら集めてもいい。しかし、血漿分画製剤などつくるやつは、国が直営と言ったら言葉は適当でありませんが、公的にとにかく金もうけでないようにしてやってもらいたい。この席で言いますが、いまある四社の製薬会社がどうのこうのということをきょう言っているのではありません。国がしなければその人たちがしなければならぬようになっておる。日赤がやらないからそういうミドリ十字初めやっておる、こういう認識です。私はいろいろとミドリ十字を初めとして余り快く思っておりません、本当腹の中じゃ。しかし、そんなことを攻撃する前に、一日も早く国が予算をつけ、総合研究所をつくり、それによって新しい体制を、日赤ができるのか、どちらにしても来年までにめどを立てていただけるかどうか、非常にむずかしい問題をきょう言うのですけれども、どうでしょう。
○政府委員(宮嶋剛君) 日赤についてはいろいろな批判があることはわれわれも承知しております。ただ、日赤が、先ほどから申しますように、ここ十年間、これはまあ世界的な驚異であるといわれておりますけれども、当時すべて売血に頼ったものから、今日すべて献血によって輸血の必要な血液が確保される、ここまでの日赤の努力は私ども多としなければならないと思います。いろいろな足らざる点があると思いますけれども、公共的な仕事を責任とする日赤、また国民もそういう目で見ておりますけれども、その日赤自体が国民の善意を求めながら、まさに先生おっしゃる臓器たる血液、大事な血液を集める、これは日赤の仕事にかなっておると思います。足らざる点は私どももいろいろ指導もする、あるいはまた日赤自体もいろいろな経験を積みながらいろいろ考えておりますけれども、相ともに努力しまして、とにかく日赤を中心としながら今後献血量の増加に努めるというふうに進みたいと思います。 第二に、先生からただいま臓器たる血液の関係につきまして、要するに企業がそういう血漿分画製剤をつくるのはどうも思わしくないと。お気持ちはわからぬわけじゃございません。ただ、それにつきまして、これを一挙に国がやるというのも大変なことでございまして、私どもいま頭の中で考えておりますのは、国民が献血したものが製剤に回るということにつきましては、これは企業が日赤から血を回してもらってやるのではなしに、何かしかるべき、まあ公益法人と申しましょうか、そういう公的立場にある団体なりが日赤から血をいただいて自分たちがつくる、そのたまたまつくる作業の委託をメーカーにやらせるというふうな仕組みにでもすれば、国民的ないわゆる血に対する理解という面から申しましても、ある程度納得が得られるのではないか。また、そういうことによって、血液製剤の製造に関するいろいろな問題もないわけではございませんけれども、そこらあたりも整理できるのではないか、かようなことをいま考えております。
○片山甚市君 実は民間の医薬会社がすべて悪であるとか善であるとかということを申し上げるのでなくて、国民が等しく、これならば大丈夫、手抜きをしていない、安心ができるということでなければならない。日赤におけるところの血液検査料は私の知っているのでは十点かそこらぐらいで、民間のというかその他の医療機関で血液検査をやるときには六十点か八十点かの点数があります。それを見ただけでも、日赤というのはいいかげんに検査しておるのだなと思います。いかがでございましょう、こういうようにも思われますですね。——日赤血液センターでやる血液検査の点数と民間とは違いますね。それを見ただけでもそういうように考えられますから、これは早くきちんとしてもらいたい。 時間がございませんから、次のことについてとにかく質問というか意見を述べてお伺いしたいのですが、血液の需給状況の中で、実は一たび災害が起きますと、備蓄をしておりません関係から、大変な不足が生ずる。外国は軍隊がございますから、比較的に壮丁というか、二十代の人でぴちぴちしておる人からすぐに血液をとれば間に合うし、まあ軍隊ですから日常検査もしております。だから、西ドイツであろうと、どこであろうと、軍隊が前へ出てまいります。日本の国は軍隊はございませんから——軍隊がございませんというのは、軍隊を置きたいという意味ではございません。私は社会党だから、これは帰ってからおしかりを受ける。これは別といたしまして、そういうことでございますので、やはり非常な不安がございます。 去る三月上旬にも、和歌山県のある僻地の病院で輸血の必要が生じました。保存血がないということで、お医者さんが患者にどこか血がないかということになりました。そこで、患者の家族によって運ぶ方法を考えました。患者の家族がタクシーで三時間もかかって運んでまいりました。今度はお医者さんの都合でお宅へお帰りになってしまって翌日回しになりました。輸血を明くる日し始めましたら、またこれがちょっと足りぬということになりまして、また三時間ほどたって持って帰りました。その子供はとうとう亡くなってしまいました。これは新聞に出たことであります。私は大阪におりますが、和歌山というのは私の選挙の地盤でございますから、これを聞いたときに、配給体制というか供給体制というものが非常に十分でない。東京は配送費として三百三十円、大阪の場合で三百八十円ぐらいかかっておるかわかりませんが、平均で全国百六十円で運んでおるそうですね。せんだってからのそういうようなことを見ると、ぜひともこの配給体制といいますか供給体制というものを軌道に乗せるようにしなければならぬ。それから備蓄しますところのいわゆる貯蔵庫というのか、冷蔵庫といいますか、これが十分でないという批判があるのですが、それについては改善されるかどうか。議論をする時間がございませんから、局長の方からお答えをいただきたい。
○政府委員(宮嶋剛君) 仰せのとおり、特に備蓄ということがきわめて大事でございまして、そういう意味合いにおきまして、まあ保存血はなかなかいたみやすいものでございますが、冷蔵庫あるいはまたその他のしかるべき冷蔵施設を各病院で持つということがまず基本的に大事だと思います。そういう面での整備が進みますように今後対策を考えなくちゃいかぬと思っております。
○片山甚市君 いま申されましたが、いつでもどこでもだれにでも輸血ができるように、いわゆる配送の費用や体制が各皆さんの御協力ででき上がるようにしてもらいたい。特に過疎のようなところでは大変な状態だということをもう一度申し上げておきます。 最後の問題でありますが、これは根っこの問題ですが、先ほど大臣がおっしゃったように、根っこの問題というのは、どれだけ血液を皆さんからたくさん集めていただくのかということです。いわゆる血液に対する恐怖を取り除いてもらう、二百cc程度をとっても健康な人は何でもないんだと、こういうことを率先して見せる。そのかわり、先ほどから申しましたように、献血をやった血が、きちんと医薬のために使われておる、金もうけのために使われてないという公的な保証をしていただくことになる。そこで、実は日赤の方では六項目にわたるところの血液検査をすることになっておる。それをするのには、やはり機械の購入と同時に人の問題で日赤は予定よりも順々におくれた感じを受けます。日赤は予定どおりにやっておるというようにおっしゃるかわからぬけれども、私は大阪におって予定よりはおくれておるし、やはりそれをきちんとやるということは大変なことだ。しかし、献血をすると、まず六つの検査が行われる、こういうことになって、健康管理上、国民の健康を守るためにいいんだという宣伝をしなければならぬ。あなたは献血することによってこのような健康診断をしてもらえるという、そしてそれと同時に私がお願いしたいのは、いわゆる健康管理のため、もし病気を発見したら、国及び地方自治体が特別の配慮で病気を治す若干の措置をとるようなことをしてもらえぬだろうか。献血をした人が肝臓障害だとかなんとかいうと、比較的に優先的にとにかく医療機関が使えてそれを治してもらえるようなことをしてもらえぬだろうか。大体四百万人ぐらい一年間に集めたらいいんですからね。いま三百二、三十万人ですから、あと百万人ぐらい足せばいいことですから、そういうことで厚生省は積極的に健康管理の問題を考えられぬだろうか。 同時に、実は、献血する人は、あなたの方のお手元の資料にもありましょうが、会社員という人が百四十万から百五十万ぐらいです。公務員というのは大体五十万人ぐらいです。そして学生が三十万です。その他が百四十万ですね。会社員というものは、献血しようと思えば、大臣、勤務中になるんです。夕方から行けばいい、休みの日に行けというなら、それは少なくなる。ところで、これは今日的にいろいろございましょうけれども、勤務時間中に献血ができるような、それは献血する時間ぐらい足すような条件をつくれないだろうか、いわゆる有給でその時間だけ。献血車が行かないとできないんです。センターに来るわけにいかないんです。あの献血の数を見たらわかりますね。いまの献血しておる総数の大半が移動献血車によってやっておるんですから。そうすると、工場へ入れる、どこへ入れる。そのときに血をとる時間とその前後だけ有給にしてやろう、こういうことぐらいは企業の人たちは金もうけせずにやってもらったらどうだろうか。特に自民党さんの方は、そういう人たちにはよく友達がおるのだから、企業の社長あたりに呼びかけてできないだろうか。省としては、そういうように勤務時間中の採血を認める、こういうことをすることによって、健康なぴちぴちした働いておる勤労者から血液をもらえることになるのですが、そのようなことの方が街角に立って呼びかけるより早いように思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(宮嶋剛君) まず前段の献血なさる方に対する健康管理サービスの問題につきましては、まさに先生がおっしゃいますようなことを私ども考えまして、各血液センターにできるだけオートアナライザーを置いて、それで、六項目でございますか、肝臓機能とか、コレステロールとか、そういうほかのものにつきましてその際測定をしてあげようと、それでまたそれによって場合によって健康の相談もしてあげるというふうなことを考えておりまして、これはリースによるものでございますけれども、着々いま器材を整備中でございます。運転しますまでに若干異常値の測定基準その他いろいろ中央の方で勉強いたしまして、それがきまったらこの秋までには動かそうということで現在準備中でございます。 それから第二に、先生からただいまきわめて結構な御提言をいただいたわけでございますが、現在、採血につきましては、出張採血が八割、それからまた血液センターでやるのが二割でございまして、出張が多うございます。ただいま先生御指摘のとおり、職場において職場の責任者からお休みをいただいて、それで献血に行かれるということはきわめて結構なことでございまして、私ども今後血液を献血していただきますのに、職場関係ではそういうことも一つのアイデアとして十分考え、できましたらそういうことで企業界の協力を得るというふうな動きもしてみたいと思います。
○片山甚市君 時間が来ましたから、最後に大蔵省にお聞きをいたしたいのですが、いまのように命の根源である血液をめぐる諸問題を解決するのには、どうしても国立の総合研究所のようなものをつくり、かつ分画製剤などをつくるための研究指導も行わなきゃならぬ。三木さんは人間尊重をモットーとしておられるんです。こういうことは非常にりっぱなことだと思いますので、五十年度予算の執行の過程はもとより、来年度の予算の編成に向けて、ただいま短い時間でございましたが私から申し上げた血液問題については、日赤初め皆さんの御意見を受けながら、ぜひとも予算を削らないようにひとつ尊重していただくことを約束してもらいたい。これは命を守るためにはどうしても血液行政については全面的な協力を願う、こういうことで大蔵省のお考えをお聞きしたいと思います。
○説明員(梅澤節男君) 血液問題につきましては、私ども財政当局といたしましても問題の重要性は十分承知をいたしておるつもりでございます。五十年度の予算におきましても、保存血液の供給事業の補助金につきましては、四十九年度から開始いたしましたいわゆる輸血の無料化を一段と促進をしていただきまして、献血が促進されるようにということで約十四億二千万の事業費予算を計上しておるわけでございますが、そのほかに、先ほど来議論になっております、たとえば今後の問題としての成分製剤あるいは分画製の研究開発の問題、それから輸血に伴います副作用にどのように対処するかというような問題、それからまた、五十年度の予算におきましては、先ほど来議論になっておりまする今後の血液の研究体制をどのように構想するかということにつきまして厚生省の方から強い御要請がございましたので、五十年度におきまして——ただ、これは、果たして研究所をつくるというような構想にいくのか、あるいは、血液問題につきましては各種大学、研究機関等々で研究が行われておりますので、そういうものをケルンとして研究成果を組織化するという方法がいいのか、その研究体制のあり方について十分検討をしていただきまして、なお、五十一年度以降、いま申しました各種の問題を含めまして厚生省当局からいろいろ御相談、協議がございまする場合には、効果的な施策につきましては所要の額の財政措置をとってまいるという方針でございます。
○片山甚市君 大臣にお願いいたします。いま、けちをつけられぬように、効果的だといって大蔵省がフンフン言うような案をつくってくれるようにお願いだけしておきます。よろしゅうございますか。
○国務大臣(田中正巳君) いまいろいろ御質疑を承っておりまして、先生の血液に関する識見と熱意に私は実は驚いたわけでございまして、実は私も長いこと社労委員をしておった関係上この血液問題についてはいろいろと取り扱ってまいりましたが、いままでのやり方については一部試行錯誤のようなものもあったことは事実であります。しかし、従来から見ますると、大分進歩いたしましたが、なお問題は多く残っておるわけでございますので、したがいまして、できるだけこの問題に積極的に取り組みまして、改善に努めるようにいたしたい、かように思っております。
○主査代理(井上吉夫君) 以上をもちまして厚生省所管に対する質疑は終了いたしました。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○主査代理(井上吉夫君) それでは速記を起こして。 —————————————
○主査代理(井上吉夫君) 次に、昭和五十年度総予算中、労働省所管を議題といたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 本日、昭和五十年度総予算中、労働省所管の審査のため、全日本自由労働組合中央執行委員長近藤一雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査代理(井上吉夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○主査代理(井上吉夫君) それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○阿具根登君 時間が限られておりまして、一応私の質問要旨はお届けしてあると思いますので、なるべく簡単に質問いたします。 まず、雇用保険法についてお尋ねいたします。これについては附帯決議がついておりまして、中小企業の倒産による不払い賃金の救済制度の確立を早急に検討する、こういうことになっておったはずですが、その政策が具体的にどのように今日取り扱われておるか、お尋ねいたします。
○国務大臣(長谷川峻君) 前の国会で社会労働委員会から附帯決議もありまして、こういう情勢のときですから、法律上のいろいろなものを調整しながら五十一年から一部発足して、そして漸次全面的にやりたいということでいま研究をしております。
○阿具根登君 雇用保険法審議の際には、今日のようなこの状態で一時帰休あるいはその他の失業に対してはこれで十分救えるんだというような御答弁があったと思っておりますが、現在、新聞の報ずるところでは、大体九十九万人の完全失業者、そうしますと、われわれから考えますと、大体三百万くらいの失業者がおる、こう思っておりますが、現行法でその失業者が救えるかどうか。さらに、現在労働省で調べておられる中小企業の倒産、失業はどのくらいあるのか。さらには、いわゆる一時帰休の大企業については二分の一の国の援助によってこれは一応救えると思うのです。しかし、中小企業になりますと、一時帰休といっても将来の見通しが立たないですね。三分の二の援助があるにしたところで、これでもやっていけない。見通しがないから一時帰休というのは考えられない。そうすると、当然倒産、失業と、こういうことになっておると思うのだが、これは一体どういうふうな救済方法を考えておられるか、それをお聞きいたします。
○国務大臣(長谷川峻君) 失業者の出ることが私たちとすると一番こわいことでございますから、御承知おきのとおり、雇用保険法、その中の雇用調整給付金というのを一月一日から施行しまして、大企業と中小企業の事業所の数からしますと、いわゆる大というのを一とすると、中小の方は十という単位でございまして、それだけに中小の方にウエートを置いておる。もう一つは、一部役所の中には一月の失業者の数を百数万と言いましたけれども、九十九万という労働省の統計が出ているということは、これは私はやはり雇用調整給付金制度というものが効いておるのじゃなかろうか、こういうふうに感じております。もう一つは、業種指定というものを追加しております。これは、やはり中小企業、なかんずく今度は細分化されたもので、いま先生のおっしゃったようなものにウエートをかけていこうということでやっておりますので、なお詳細な具体的なことにつきましては政府委員から答弁さしたいと、こう思います。
○政府委員(遠藤政夫君) 雇用調整給付金制度がありましても三分の二じゃ中小企業は利用できないのじゃないのかと、こういうお尋ねだと思いますが、ことしの一−三月の実績を数字を申し上げますと、全体で一月から三月までの間に申請のありました件数が七千百九十一事業所でございます。そのうち、大企業はわずか六%強で四百七十八、中小企業が六千七百十三事業所、これは最新の一番新しい数字でございます。延べ人員が四百三十二万で、そのうち大企業百七十万で中小企業が二百六十万人と、こういうことになっております。中小企業が対象人員でも六割を超えている、こういうことでございまして、確かに、そういう三分の二じゃなおかつ中小企業は利用が十分できないのじゃないか、結局は倒産に追い詰められるのじゃないかということでございますが、実際はそうではございませんで、中小企業にフルに活用されておるという実情でございます。中小企業の倒産件数も昨年は確かに四十九年は一千件近くなっておりまして、四十八年に比較いたしますと四〇%よりふえておりまして、幸いこういった制度が活用されることによりまして、五十年に入りまして、一月、二月は八百件台に下がってきております。小康状態を保ちつつあるような傾向にいっております。私どもは、今後さらにこういった雇用保険法によります助成措置が中小企業にフルに活用されることによりまして、できるだけ失業を食いとめ、中小企業の倒産を食いとめていきたいと、かように考えておるわけでございます。
○阿具根登君 数字を示されましたが、それはそうでしょうけれども一、しかし、実際問題として百万人からの失業者が出てきておるということは事実であるし、さらに倒産企業の未払い賃金その他については立てかえ払い制度を五十一年度からということを考えておられるようなお話であっておったのですが、それでは五十年度は一体どうするのか。五十年度は、未払い、立てかえその他は一体どうするのか。さらに、雇用調整給付金制度で救済するということも言われておったと思っておりますが、これが現在どう運用されておるのか、実際救われておるのかどうか、その点をお知らせ願いたいと思います。
○政府委員(東村金之助君) まず未払い賃金の問題でございますが、ただいま大臣からお答えございましたように、五十一年度からそういう新しい制度が発足すると、こういう目標でおるわけでございますが、何分にもいままでやったことのない制度でございまして、法律的にあるいは実際的にどうやったらいいかということがいろいろ問題が出てまいります。そこで、私ども、頭を悩まし、検討しているところでございますが、いずれにいたしましても、その前に出てくる未払い賃金をどうするのか、こういう御指摘でございます。実は、労働基準法発足以来、こういう新しい制度のないままで労働基準監督署監督官が未払い賃金の処理に当たってきたわけでございます。そこで、去年の三月から九月ぐらいまでかなりの未払い賃金があったわけでございますが、それをほとんどの労働基準監督官が一生懸命努力をいたしましてかなりの部分解決しております。もちろんその中には行方不明になってしまって経営者がどこに行ったかわからぬというような問題もございますが、それをも全国的に連絡をとりながら支払わしていると。いずれにいたしましても、私ども、そういう新しいやつができる前におきましても早期把握、早期解決ということで万全を尽くしながらその解決に当たってまいりたい、かように考えております。
○阿具根登君 次々と先へ急ぐようですけれども、雇用保障委員会の設置についてどういうふうにお考えなのか、これをお伺いします。
○国務大臣(長谷川峻君) このお話は組合の方からも私が会ったときに出ておりまして、そこでこういうお答えをしているわけです。経済情勢の基調が大きく変わることがこのとおり予想される今後におきましては、雇用政策面におきましても雇用の安定と確保のための方策を含めて長期的な視野から新しい政策体系を組み立てていくことがもちろん必要でございます。雇用保障委員会につきましては、このような雇用政策のあり方と密接にかかわる問題でもありますし、現行法体系あるいは既存制度との関連を含めまして、今後の対策としてその性格、内容等について研究してまいる、こういうふうに思いまして、よその国でやっているようなものがどういうものがあるか、どういう機関があるものか、そんなことまで私どもの方でいま研究を始めておる、こういうことでございます。
○阿具根登君 早急にひとつそういう方向で進んでもらいたいと思うのですが、労働省はサービス省として当然のことだと思うのですが、この種の委員会でも一応は、満足するようなことじゃございませんけれども、一応やはり天下りということじゃない姿がとられておると思うのです。今度、御承知のように、決算委員会でフリートーキングをやりまして議題は何であったか。あらゆる委員会あるいは公団、事業団、全部これはほとんど天下りじゃないかと、これでは一体何のために委員会をつくったのか、あるいは公団をつくったのか、事業団をつくったのか、こういう問題も出ております。これは、労働省は私は少し違うと思っておりますし、そういう意味で反対の立場の人の意見も相当吸収されるようなやっぱり組織にしてもらいたい。これを労働省でやってもらうことが他の通産省、大蔵省に対しても相当なやっぱり歯どめになっていくのじゃないか、こう私は思うので、これは強く御要望申し上げておきます。 それから労災法に入って御質問申し上げたいのですが、じん肺法が、これは昭和三十五年にできた問題ですが、これからほとんど大きな改正もなくてやられておる。そうして、審議会でも相当議題になっておりますが、これはどういうようにお考えになっておりますか。補償課長もお見えですからいいのですが、その点で特に二、三お聞きしたいのは、じん肺法で管理四、これは労働力がなくなったと、だから長期療養しなければならない、それで年金が認められておる、こういうことなんですが、先般も——これは先般といっても数年前に御質問申し上げたと思うのですが、管理四が労働能力がゼロになったとするならば、その次の管理三は一体労働力はどのくらいあるのか。法でこれを見てみれば、管理三は職場をかわるだけ、粉じん作業所を粉じんのないところにかわりなさい、そのためには一カ月の転換補償をします、これだけなんです。そうすると、自分のなれた職場を転換するということは、収入がぐんと減ることなんです。だから、管理三になっておっても、職場を転勤したくない。だから、管理四になるまで粉じん作業所におると、こういうことなんです。また、不幸にして定年になったならば、その人は管理三で定年で職場を離れるならば、その人の職場はもう何にもない、労働力がないのですから。管理四を一〇〇%労働力が失われたと見れば、管理三を五〇%と見る。五〇%しか能力がないのだから生活もできない。また、療養の補償もされない。これが私が一番聞きたい第一点ですが、これに対してどういうようにお考えですか。
○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘ございましたように、現行じん肺法は、制定後もう十五年もたっております。その間いろいろ社会情勢や医学的な進歩が見られます。そこで、じん肺法につきまして現在じん肺審議会において検討を進めているところでございます。その際に、労働側委員の方から、いろいろの要望といいますか、問題提起がございます。その中に、ただいま先生触れられました問題と関係する、たとえば管理区分の方法、それから取り扱いを改正し、有所見者に対する保護を強化すべきではないか、さらには、現行の管理二、管理三の者にも必要な療養費用を支給したらどうかというような問題提起がございます。そこで、そういう問題を含め、その問題を中心にしながら、現在検討を進めているところでございます。なお、問題点がいろいろございますので、医学的、専門的事項については、それぞれ専門的検討をお願いすることになるわけでございますが、いずれにいたしましても、ただいま先生御指摘の問題を含め、現在審議会で検討をしていると、そういう段階でございます。
○阿具根登君 この問題は、もうちょっと前進しておると思っておったのですが、管理三と管理二、まあ管理一はこれはほとんど通常の体ですから問題になりませんし、管理二もそこまではないと思うのです。だから、この法で一番気の毒なのは、私は管理三の人だと思うのです。ただいま申し上げましたように、労働力は半減されておる。これは何の救う道がない。だから、これは相当問題になりまして、私もずいぶん前からやっておるのですが、まだその段階でしょうか。それとも、それはもう管理三については当然考えねばならぬのだということをお考えになっておるのか、審議会の答申待ちと、こういうことなのか、その点をはっきり聞いておきたいと思います。
○政府委員(東村金之助君) いろいろ御意見がございますが、現在せっかく労働側の皆さんから提起された問題でございますし、それを鋭意審議会で検討されておりますので、現在私からこういうふうにしたらいいとか悪いとかいうことを申し上げることは差し控えさせていただきまして、なるべく早くこの結論が出ることを期待していると、こういう段階でございます。
○阿具根登君 それでは次に移りますが、旧法適用者で長期年金の場合、四十日分の減額をされておるわけですね。これは調べてみますと、減額を行われておる者が大体九百人、こういうことですね。もう一つは、療養援護金の支給を受けている人が大体二百人、こういう状態ですが、四十日分の減額というものは期間的に言ってももうこれは相当長期間ですし、金額に至ってはそれはもう払ってしまっておつりが来るというくらいにされておる状態です。ここで四十日分の減額なんというのはもう時期が来たんだという率直なお答えを期待していま質問しておるわけなんですが、この点についてはどういうことでしょうか。
○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘の昭和三十五年の法改正以前に打ち切り補償を受け、なお同年四月一日以降も療養を継続している方々については、特別の経過措置ということになっておりますが、経過措置として長期傷病者補償を行ってきたのは、御指摘のとおりでございます。そこで、打ち切り補償を受けないで長期傷病補償を受けている人が別におりますので、均衡がございますので、四十日分という問題が出てきたわけです。しかし、いま御指摘のような問題は確かにございます。それから七十四国会、つまり臨時国会の際に衆参社労委におきましてその問題を処理するようにという附帯決議がございまして、これまた労災保険審議会の中に懇談会が設けられておりまして、その懇談会において、まあいずれにしろ労災保険審議会でございますが、この問題を検討するということで現在進めているところでございます。気持ちとしてはおっしゃるとおり前向きに私ども考えていきたい、こういうことでございます。
○阿具根登君 理論的には全くそのとおりです。その当時私も社労の委員をしておりましてそれを主張した方なんです。確かに一方は一時金もらっておる、片一方はもらっていない。そうすると、今日になってみて、そのときの貨幣価値から調べてみると、そのとき一時金をもらっているじゃないか、だからそれは本当は解決しているんだと、それを不均衡にならないように四十日分引いてやっているんだと、これは確かに理論的にはそのとおりです。しかし、今日になってみると、もう貨幣価値が相当な差額が生じてきておる。そうして、金額では、その当時の金額といまの金額と比べるということはこれは余りよくないんだということもよくわかっておりますけれども、現実面としては、当時の金額に上回るやつをもう払ったじゃないか、もう差し引かれたじゃないか、それならひとつもう四十日分の減額を解除してくださらんかという気持ちも今日になって見れば当然これは推しはからねばならぬ。こういう状態でございますので、これは審議会でも相当意見が出ておるようですから、ぜひこれは取り除いてもらいたい、こう思っておりますが、大臣、ひとつこの問題についてお願いします。
○国務大臣(長谷川峻君) 私も役所の方で事情をずっと勉強しておりまして、いま局長も申されたことですし、こういう委員会での話もありますので、こうした問題については前向きの姿勢で検討していきたいと、こう思っております。
○阿具根登君 それからさっきの給付金額の基礎額の問題ですが、今度上がって千八百円ですか。そうすると、これは余り理屈を言っておれば時間がなくなりますから申し上げませんけれども、これではちょっと最低保障額と言いながら余りに低過ぎる。だから、大体各産業の最低賃金制が採用されておるところが大部分ございますね、その企業の最低賃金額ぐらいをめどにしてはどうか。そうしないと、余りにも少ないじゃないか。たとえば炭鉱で見ますと、大体三千二百五十円、金属鉱山で三千百円、こういうのが出ておるし、現在千三百八十円であるのを千八百円にしたから上げたじゃないかということはございましょうけれども、それでも最低賃金とも余りにも格差がある。これじゃ生活ができない。これは保障にならない、こういうことですが、その点はいかがお考えでしょうか。
○政府委員(東村金之助君) 御指摘のように、最低保障日額を引き上げまして千八百円というふうになりましたけれども、これは事最低賃金との関係で申し上げますと、それは最低賃金がむしろ中位数といいますか、最低賃金は低いのと高いのとございます、その中位数ぐらいをねらったわけでございまするので、もちろんそれより高いのも業種別等についてはございますが、低いのもかなりございます。そういう意味では、やはり一つの引き上げた効果をわれわれは期待していいのじゃないかと、かように考えております。いずれにいたしましても、これは固定するものではございませんし、これをずっといつまでも続けるというものではございませんが、当面従来のものを引き上げたと、こういう姿勢でございます。
○阿具根登君 ただいま申し上げましたように、それは千三百八十円から千八百円だから引き上げられたことは事実なんです。しかし、今日の生活環境から見て千八百円というのは一体どのくらいの基準にあるのか。これで生活が保障できるのか。とてもこれは不可能だ。しかも、こういう病気の方々ですから、これは何とか考えてもらって、まあまあ五百円でも上げたからいいじゃないかというような気持ちでなくて、本当にこういう人たちに対してはもっと温かい手を伸べてもらいたいと思います。 それから国鉄の特に新幹線では、今度の新幹線は九州まで通りましたが、そのうちの六割はトンネルだと、こう言われておる。そのトンネルの中で作業をしておる方々が非常にじん肺患者が出てきた、こういうことなんです。私、調査してみました。調査してみますと、国鉄の病院ではじん肺というのが余り出ていないです。これは、大臣、御承知のように、私は熊本県の水俣病を社労委員長のときに調査したことがあるんです。ところが、会社のお医者さんは全然水俣病と認めないです。全然認めない。他の病院では、これは水俣病だと認められておる。そして、それから十何年たった今日は、その認めなかった会社の病院長が、まことに悪うございました、会社の政策に従って私は水俣病と認定しなかったと涙を流してお答えになったということもあるんです。だから、国鉄のトンネルでじん肺が非常に少ないということが私は不思議であるし、しかも、それが国鉄の病院で全部診断されておる。それだけならばまだいいんです。この仕事をしておる人は、ほとんど下請なんです、国鉄の職員じゃないんです。そうして、その下請の方々は出かせぎが大部分です。そうすると、せっかく出かせぎで来ておるから少しでも給料をうんともらわにゃならぬということで、あのトンネルの中の作業というものは夜中なんです。汽車が通らないときにこれをやるわけなんです。昼は昼勤めて、夜は夜勤めて、ほとんど二十時間以上の勤務をやっておるわけなんです。こういうのが一つ基準法の問題もありますし、そこをきょうの新聞でしたかにトンネルの中はじん肺法を適用して云々と書いてありましたからあるかもしれませんけれども、実際私が調査した範囲内では、あの長いトンネルに全然水をかける準備がしてない。そして夜中に急いで仕事しておる。その人たちが、いま申し上げましたように、下請の方々だ。それだから取り上げてももらえない。また、その人たちは取り上げるとしても賃金が低くなるから、せっかく田舎から出てきてやっているんだから、多少体に無理があってもやりますと、こういうような気持ちでやってきておる。それで、このトンネルに対するじん肺法の適用と、それからこのじん肺患者に対する考え方をひとつお知らせ願いたいと、こう思うわけです。
○政府委員(東村金之助君) トンネルの中で、たとえば、たとえばというか、保線作業をやっているという場合に、いろいろ御指摘のような問題が提起されているわけですが、国鉄新幹線及び在来線に所在するいわゆる長大隧道の中における粉じん作業については、じん肺法の適用をするということにいたしました。そういたしまして、対象労働省のじん肺の予防につきまして、先生御指摘の散水であるとか呼吸用保護具の使用等を指導しているわけでございます。しかしながら、私どももこの問題については十分力を入れているつもりでございますが、さらにこの問題については問題が問題でございますので力を入れてまいりたいと、かように考えます。 それからもう一つ、下請の問題でございますが、おっしゃるように、こういう保線作業等にも下請の方がいろいろ働いております。私どもはやはり労働災害、安全衛生という面で、下請であるとかどうであるかということではなくて、事労働者であればきちっと保護しなければならぬ立場にございます。そういう意味を含めまして、こういう新幹線等の工事に従っている、あるいは保線工事に従っている労働者の保護については万全を期するようにということを管下の基準局、監督署にはよく申しているわけでございます。なおその点については周知徹底を図り、監督の適正を期したいと、かように考えております。
○国務大臣(長谷川峻君) これは、阿具根さん、私はわりにこの新幹線に熱心なんですよ。せんだっても、去年の九月ですか、東北新幹線の工事現場へ自分で入ってみたり、これは役所の仕事という意味じゃなくてもですね。それから御承知のとおり、竜飛崎、吉田口、ああいうところも前にずうっと入ったんです。それからせんだっては博多新幹線乗り入れの前に、やはり安全の問題が大分出ましたから、うちの安全衛生部長、そういう専門家を連れて博多から逆コースで岡山まで乗ってみたんです。これは運輸大臣の前でした。そういうことで、私はこういうふうにうちの方はやっぱり法規を守ってもらうこと、御本人も健康診断をしてもらうこと、いろいろな問題点を見つけながらこれを推進していくと、こういう姿勢の一端がいま東村局長が御答弁申し上げたような形でございますから、前向きの姿勢で、基準局やらも動員しますが、そういう姿勢で推進していくということを御理解いただきたい、こう思います。
○阿具根登君 残り時間がないということですから急ぎますが、このじん肺の問題につきましては、これは国鉄病院側が悪いと一概に言うわけじゃありませんけれども、やはりじん肺の専門医のおるところに一応かけてみてもらいたいと思うのです。その企業その企業の病院というものは、やっぱりその企業の意思に従ってやっております。いままで私はずいぶん民間の病院を見て回りましたけれども、そういうことですからお願いしたいと思います。 次は、フォークリフトの腰痛の問題で最近大阪で三十五件かあった。その連絡を受けてみますと、その中で労災を適用されたのはたった二人であったと、こういうことなんです。ところが、最近はフォークリフトというものがあらゆる生産現場では使われておる。そうすると、これも実際フォークリフトを私は使い切りませんけれども、実際乗って見てみました。そうすると、あれは機械だけやるわけにはいかないんです。機械は真っすぐ向いておる。それを動かすのには、自分の体をあそこの上でこう動かさなければできないわけなんです。そうすると、これは腰痛は相当出ておる。しかし、腰痛くらいいつの場合でもわかりにくいのはないんです。だから、腰痛はギックリ腰なんかやったってもなるじゃないか、道を歩いておってもなるじゃないかと、こういう指摘を受けまして非常に腰痛が少ない。しかし、そういう特定の場所で、そして数十人の人が同じような病気になるということは、何かその仕事に私は原因があると思うのです。しかし、これも、やはり一部のお医者さんの、まあ私は医者じゃないから医者の言うのをこれはだめだというようなことは言いませんけれども、時間が切れたそうですから大臣に特にお願いいたしますが、このフォークリフトについてはもう一度洗い直してもらいたい。そうして、この腰痛は労災であるならば、これは会社だってそんないやな顔をしないはずなんです。だから、腰痛はフォークリフトは特別多いんだということがありますので、これは本当にひとつ真剣にやってもらいたい、こう思うわけなんですがね。極端に言えば、この労災法の中にフォークリフト病というようなものまで考えても私は行き過ぎじゃなかろうと、こう思うのですが、これをお尋ねいたしまして、もう時間が切れたそうですし、委員長とも確約がありますので、これでやめます。
○政府委員(東村金之助君) 御指摘のように、腰痛症の問題は、フォークリフト運転者関係について生じておることを承知しております。ただ、腰痛という問題は、先生のいま御指摘にもありましたように、災害性の腰痛と非災害性の腰痛と、いろいろございまして、非災害性のいつの間にかなったというふうなやつは、なかなかむずかしい問題がございます。医学的にもまだまだ解明しなければならぬ問題もございます。しかし、やはり現実に出ているということでございまするので、そういうのはガタガタしないように窓口で適正に補償ができるように現場に対してもわれわれは指示すると同時に、さらにそういう問題について十分研究していきたいと、かように考えております。 〔主査代理井上吉夫君退席、主査着席〕
○田中寿美子君 大変時間が限られておりますので、労働大臣、私は、国際婦人年に関係してもう本当に二点にしぼって婦人の雇用の平等権を確保するために何か実効のあることをこの年に当たってやっていただきたいという立場で申し上げます。 この間から、しばしば、いろいろな方々から国際婦人年に関連した婦人の地位の問題についての御質問もありましたし、申し入れもございましたですね。ただ、私どもは、国際婦人年が設定している「平等、発展、平和」という標語のうち、特に平等の問題が最も重要だと思っているわけなんですが、それでそういうお話をしに大臣や総理大臣やなんかに伺いますと、母親というものは大事なものである、私たちは母親を忘れることができないという式の大変センチメンタルなお話はいつも伺うわけなんです。ですけれども、そういう母性を保護するという面では余り反対がおありにならなくて、ただそれをどの程度手厚くするかどうかという問題になってまいりますね。この点ではもっともっと手厚い方がいいに決まっておりますので、私どももそういうことを要望しますけれども、平等の問題になりますと、これは長い長い日本の慣習の中で男性本位の社会でございましたから、慣習の中で知らず知らずのうちに無意識のうちに男女差別をしているわけなんですね。この国際婦人年に当たって、ひとつぜひ、大臣ね、婦人少年局という婦人少年行政をやる機関を持っているのは労働省でございますので、特に婦人が持っている問題について理解して、そして何歩か前進をさせることを残していただきたいというふうに思うわけです。 それで、余りいろいろと言っている暇がありませんので、国連で一九六七年に男女差別撤廃宣言というのをいたしました。これは婦人少年局もつくって皆さんに配付してくださった。これは私は婦人の持っている問題を非常によく書いてあると思うのですね。いろいろレベルの違った発展段階にある国々でいろいろな問題の違いを持っているわけなんですが、私はいまここで問題にしたいのは、この差別撤廃宣言の中の二条と四条ですね、この二つに関連して、まず、これは婦人少年局長からで結構でございますが、私、大臣に読んでおいてくださいねとお願いしてあったのですが、二条と四条ではどういうことを言っているか、雇用に関するところだけで結構ですが、ちょっと森山さんお願いします。
○政府委員(森山眞弓君) 婦人に対する差別撤廃宣言の第二条におきましては、 婦人を差別的に扱う現行の法律、習慣、規則および慣行を廃止し、男女の権利の平等に対し十分な法的保護を確立するために、すべての適切な方策がとられねばならない。 というふうに書いてございます。 それから第四条におきましては、 次の権利を如何なる差別もなく、男性と同等に婦人に保証するために、すべての適切な方策がとられねばならない。 (a) すべての選挙において投票する権利とすべての公選機関への選挙における被選挙権。 (b) すべての公的な国民投票における投票権。 (c) 公職につき、すべての公務を行う権利。 これ等の権利は法律によって保証されねばなら ない。ということになっております。
○田中寿美子君 つまり、第二条で言っておりますのは、法律、習慣、規則及び慣行の中で男女差別というものがどうしてもあると。だから、法的保護を確立するためにすべての適切な方策をとらなくちゃいけないということが書いてあって、そして、たとえば各国の憲法で男女同権を明らかにしなさいとか、あるいはまた、法律によって保証しなさいというようなことが書いてあるわけです。また、これに関連したこれまでの国際的な文書、国連で採択した条約や何かはできるだけ批准したり実施しなさいということが書いてありますね。 第四条のところで、たとえば選挙権、被選挙権において全く同じように扱わなきゃいけないということと、それから公職につきすべての公務を行う権利ということがございます。やっぱり政府が関係するのは公職でございますので、婦人の公職についている状況を見ますと、これも私は婦人少年局から前もって資料をいただきまして、このことはしばしば国会でも議論されておりますけれども、公職の中で管理職にある人というのはもうりょうりょうたるものなんですね。本当に数少ないです。中央官庁で局長は婦人少年局長だけで、あと課長を入れて九人と、まことにりょうりょうたるものです。それから普通の民間の職場の方も資料をいただきました。これもしばしば衆議院や参議院両方で社労委員会で問題になっておりますけれども、雇用されてから後の差別ですね。結婚退職制とか、結婚妊娠退職制、若年定年制、それから職場結婚に伴ってやめるように勧奨される退職勧奨制度、それから女子の昇進昇格制度について差別のあるもの、これが比率として調べられたものの中で相当多いですね。それですから、中には労働協約ですらそういうものを持っているものもある。ですから、労働組合の中にもやっぱり男女差別が本当にあるんですね。それから内規、慣行、そういうもので差別されているわけです。そこで、最近は、こういうことに対して、一たん職場に入ってしまった女性がそういう差別を受けますと、裁判に訴える事例が相当出てきましたね。これも、いままでの事例によりますと、ほとんど裁判に訴えた者は原告の方が勝訴しております、勝っておりますね。あるいは申請が承認されている。だから、同じ職場におって結婚したからといってやめなさいと言われたり、それから男よりは女の方が早くやめさせられる定年制を持っているというようなことはよくないということで、裁判をすれば大体勝っているわけです。しかし、裁判というのはたいへん暇もかかるし、お金もかかるわけなんです。 大臣ね、そういう裁判の場合、根拠は、つまり訴えた原告の訴えが正しくてそして使用者の側を非とするその根拠は、法的には何でございますか。
○国務大臣(長谷川峻君) それは、基本は憲法であったり、労働基準法であったり、その他民法の問題もありますし、あるいは勤労婦人福祉法という偏理的なもの、そういうものがたしか働いていると、こう思います。
○田中寿美子君 裁判は、全部、憲法の十四条の法のもとの平等と、それから民法九十条の公序良俗に反するという、これが大原則になって裁判をすれば勝つんですね、原告の方が。しかし、そういう待遇を受けている人がいっぱいありましても、なかなか裁判にみんな訴えるということはできないわけなんです。そういう判例があったら、同じようなことはほかの職場では許されないというふうになっていないと困るわけですね。それにもかかわらず、使用者は平気でそういう差別の条件を雇用に関しては置いている。つまり、男女の雇用の不平等というのが横行している。こういうときに、労働大臣ね、こういう憲法の原則、民法の原則を、せっかく国際婦人年ですから、労使に向かって、あるいは男女ともに、私は女にも必要だと思いますし、男性にも必要だと思うのですが、何か宣言するか、あるいは申入書、官庁でしたら通達、そういうものをこの国際婦人年のいつの時期かに発してくださる御決意がありませんか。——これは、大臣、御自分で考えて答えていただきたいんです、非常に大原則ですから。
○国務大臣(長谷川峻君) 長い間の慣習の中から男女平等をかち取るわけですから、なかなかやっぱり暇がかかる。ことに、いまのような法律違反というふうなときに、PRと申しますか、その正しさというものが一つ一つ世間に啓蒙されていくということだと私は思うのです。ですから、私は、具体的に言いますと、先ほど公務員の話が出ましたけれども、せんだってからリストを見まして、各役所に上級職でずっと入っている人数などを見まして、うちには局長一人おりますけれども、来年国際婦人年のときに、それだけ有資格者の有能な人があれば、各省やっぱりこういうときに課長ぐらいはずっとお出しいただくことも、有能な人であればそういうふうなことも一つのスプリングボードになりはせぬかなという感じ方を持ちながら、せんだってから各役所のリストなどを拝見しているわけです。大学などでは、最近はほとんど各学部とも、私の方の私立では各学部の卒業式の総代はほとんど女性の学生というふうなことであるんですね。いまの宣言の問題等々もこれはやっぱり考えられる一つの方法じゃなかろうかと思いますから、研究させてみてください。
○田中寿美子君 大臣、ぜひそれは本気で考えてみてくださいませんか、そういうことがあれば少しは違うと思います。ですから、裁判に訴えればこういうふうに勝訴するちゃんと根拠があるんだけれども、それが無視されている現状だということをみんなに知らせること、そうして、だから使用者はそういうことをしないでみんなにチャンスを平等に与えなさいと——機会を平等にしてくれと言っているのであって、私は、何でもかんでも女を入れ込めと言っているわけではないんですね。 そこで、もう一歩進めまして、雇用機会の中でも一番難問なのは採用就職の問題です。いま裁判になったりしているのは、一たん入ってしまってからのことですね。退職に差別を受けたり、定年に差別を受けたり、あるいは昇進昇格に差別を受ける。そうじゃなくて、女を雇用する際の差別、これをなくさせるということは簡単なことではないわけなんですね。それで、中央官庁の上級職試験ですね、その試験を受けて合格した人の数を見てみましても、これは人事院からいただいたものですけれども、四十七年度は、千三百四十九人の合格者のうち採用した者が六百三人で、そのうち女性が十五人ですね。四十八年度は、千四百十人の合格者のうち五百九十三人を採用して、女性は十九人ですね。四十九年度は、千三百七十五人が合格して六百四十二人が採用されて、女性は十八人です。女性の場合は、合格者四十六人中十五人、これが四十七年度、四十八年度は三十二人中十九人、四十九年度は四十六人中十八人と、こういうわけですね。それでなかなか女性を採用したがらないわけなんですが、その採用したがらない理由は何だろうとお思いになりますでしょうか。
○政府委員(森山眞弓君) 公務員の採用その他につきましては、人事院の方の所管でございまして、私ども総合的に十分把握しているわけではございませんが、いま上級職合格者の採用率については先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、その率を見ますと、たとえば過去三年間の女子の国家公務員上級職試験合格者は合わせまして百七十二名、そのうち採用者が六十八名でございまして、合格者中に占める採用者の割合は三九・五%でございます。男子の同じようにしてとりました率は四四・七%でございますので、この数字だけをもって直ちに不平等であるとは言えないかと思いますけれども、おっしゃるように、女子についてはややちゅうちょする面があるという話はよく聞きますけれども、それぞれの省の採用する担当者のお考え、あるいはその省の都合ということで、詳しいことは私ども把握しておりません。
○田中寿美子君 ただその比率だけをおっしゃるのはちょっと私は問題だと思うのです。これは人事院は必ずそう言います、比率から言えば少なくはないと。絶対数が全く少ないんですね。 それからいまおっしゃった数は、上級職の中も甲種、乙種全部合わせてですね。
○政府委員(森山眞弓君) そうです。
○田中寿美子君 それでなくて、甲種の方の場合をさっき私は申し上げたんで、実はこういうことを言っている時間は十分ないのですけれども、全然採用しない省というのがあるわけですよ。たとえば、四十九年、大蔵、通産、建設、運輸、郵政——人事院だって採用していないと思います、その上級職ですね、甲種というのは。ですから、全然女を最初からシャットアウトしている。こういうことは公務員だけではありませんですね、民間でもある。これはどうして不当なのかというふうには言いにくい問題でございますね。ですから、そうしますと、そのことは、大臣ね、女の人の意欲を非常にそぐんです。これは平等になるためには能力も備えなければいけない、それから女自身の意欲がやっぱりなくちゃいけない。それからチャンスが平等でなければ意欲も実はわかないし、それだけ能力をつけることにももう意欲がなくなってくるわけですね。ですから、平等にチャンスを与えてくれたら、それを選ぶのは自由で、自分は家にいようと思う人は家にいてもいいし、進んでいこうと思う者にはみんなに機会を平等にあけてくれるというならいいんですけれども、男子に限るというふうにされておりますような場合が多いわけですね。 そこで、先ほど私は一般的に言って大臣に何か労使に向かって男女差別をしないようにという宣言なり何なりしてほしいと申し上げましたけれども、もう一歩進めまして、雇用の機会の平等を保障するような法律をつくる。たとえばアメリカ、イギリスでやっております雇用平等法、こういった種類の、これは先進国でやりつつあることですね、みんな。雇用平等法というようなものを設定して、そして雇用の不平等に対する苦情処理の機関を設定する。これは例の総理府の総合調査報告書の中の提案の中にもございますね。女性の雇用に関してその苦情を処理する機関の設定が必要であるということが提案されておりますが、そういう機関を設定するについては私はやっぱり法的な根拠が必要だろうと思う。そういう意味で、雇用平等法というようなものをつくっていただきたいなと思うわけなんですが、説明を伺っている時間がございませんで残念ですが、非常に簡単にそれじゃアメリカとイギリスの雇用平等法のお話をしていただいて、職業安定局長ね、こういう問題に関してはそちらの方が権限をお持ちなんですから、それで大臣に対してもそういう助言をしていただきたいと思うものですからきょうおいでいただいたので、婦人少年局長から、アメリカの雇用平等法あるいはEEOC、私、昨年と一昨年行って調べてきましたが、それからいまイギリスで提案されておりますところの雇用平等法ですね、これはどういうもので、どうしようとしているのかということですね、ちょっと御説明いただきましょうか。
○政府委員(森山眞弓君) アメリカのは、一九六四年の公民権法を改正いたしました平等雇用機会法のことだと思いますけれども、この法律は、人種、皮膚の色、宗教、性別などを理由として職業紹介、採用、報酬、教育訓練、解雇などについての差別を禁止しておりまして、このような雇用上の差別に関する苦情を処理するために、平等雇用機会委員会を設置しておりまして、その出先機関を全国に三十二カ所配置しておりまして、そこで苦情を処理する権限と機能を持っているものですが、その設置について規定しているものでございます。この委員会は、採用、雇用、管理、もろもろの項目につきまして、いわゆるガイドラインのようなものを出しておりまして、たとえば男子の仕事……
○田中寿美子君 そのガイドラインのことは後で結構です。
○政府委員(森山眞弓君) 女子の仕事というようなことを分類することを禁じておりますし、また、求人広告に男女別扱いをしてはいけないというようなことを決めているものでございます。
○田中寿美子君 イギリスのは。
○政府委員(森山眞弓君) イギリスは、実は三月十三日の夕刊の新聞で見ております程度のことでございまして、まだ成文を入手いたしておりませんが、近く入手するべく手配中でございますけれども、まだ手に入っておりませんので、新聞によって察するところによりますと、雇用関係、教育関係、社会関係、それぞれにつきまして男女の平等を非常に厳しく確保するような規定になる模様でございます。それでさらに内務省直轄の性による差別の問題を扱う平等機会委員会というものを設けまして、ここで新しい事態に予想されるいろいろないざこざに関連する当事者からの苦情受付をするというようなことが解説されておりますが、詳細についてはまだ十分把握をしておりません。
○田中寿美子君 アメリカの雇用機会平等法ですね、これは最初黒人の人種差別に対してつくられたものなんですけれども、それを今度は婦人運動の非常に大きな盛り上がりの中で性差別にまで広げてつくったものです。ですから、簡単に言えばEEOCと言いますけれども、このEEOCの働きというものは大変目覚ましい。各州の地方にまでできていて、しかもそれを婦人運動が大きく活用しながら協力しているわけです。それでこういう何といいますか、書き入れの紙がありまして、これに、自分が不当な待遇を受けたとか、あるいは就職しようと思って行ったらあなたは女だからだめだというようなことを言われたというふうなときには、すぐに書き入れて投函してEEOC委員会に出せばすぐ調べてくれて、その結果、差別があったと思われるときには使用者に勧告をする、それでも聞かなかったら今度は裁判に訴える手だてをとってくれるわけですね。そこまでやってくれる。それに婦人運動が大いに協力しながら大変効果をあげてきているわけです。 イギリスの場合も、これはやっぱり六七年の差別撤廃宣言以降、急速に男女同一賃金法の実施をさせるということと、それからこれは私は英国労働党の方から送ってもらったものなんですけれども、やっぱり非常に広範な雇用平等機会のための法律で、果たしてこんなことができるかと思うようなことを、性差別禁止法といいましょうか、セックスデスクリミネーションビル、やっぱり委員会をつくりまして、アメリカのEEOCに相当する委員会で苦情をどんどん聞き込むということを考えているようですね。 それで、日本がそこまでいきなりいけるというふうには思われないのですけれども、しかし、さっき申しましたように訴訟に訴えてもその判決は全体に及ぼさない状況ですから、まず労働基準法の第三条のところの「均等待遇」のところに性別によって差別しちゃいけないというのを入れなければいけませんし、同時に、雇用機会平等法に相当するようなものを、これも、大臣、ひとつこの国際婦人年を機会に考えていただきたい。そして、それの訴える場所、つまり苦情処理の場所ですね、これを何か考えていただけないか。これはもうぜひ職安局長も積極的に取り組んでみていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(遠藤政夫君) いま、現行の労働関係法の中に男女差別禁止の条項を制定すべきではないかと、こういうお尋ねでございます。私どもの方の就職、採用の関係につきましては、現行の職業安定法の三条で「均等待遇」ということで何人も性別によって差別されないということが明確に定められております。と同時に、第二条で、憲法二十二条の職業選択の自由を受けまして「職業選択の自由」が保障されている。こういうことによりまして、私どもの方の職業紹介あるいは就職あっせん等につきましては、求人の受け付けを含めまして男女の差別は一切しないという取り扱いをいたしております。ただ、現実に、先ほどから公務員のお話もありますように、女子については各種の就業制限等の条項がありまして、そのために求人側、使用者側も女子の採用はできない。したがいまして、一般の事務部門とか営業部門等につきましては求人も男女の差をつけておりません。しかし、現実のいわゆるブルーカラー、工場現場採用になりますと、女子の採用はほとんどないと、こういうことになっておりまして、問題は根本的にそういった就業上の男女の差別が現に法制上行われている、こういった点にもメスを入れてみる必要があるのじゃないか、私どもはかように考えております。 それからもう一つ、苦情処理の問題でございますが、現在は法律制度で男女の差別だけを取り上げての苦情処理機関はございませんが、こういった職業安定法なりあるいは憲法等による差別扱い、こういった問題についての苦情処理は、現行法制下ではいわゆる行政不服審査あるいは行政訴訟、こういった道が開かれておりますので、まあこれはなかなか利用しにくいという点はありますけれども、私どもはこういった点も苦情相談には乗っておるわけでございます。今後、特にこういった点を法制化するかどうかということについては検討課題である、かように考えております。
○田中寿美子君 苦情処理機関というものが、女性の雇用の平等を確保するための、あるいは差別に対する苦情の処理機関というものを仮に設定した場合に、やはりそれのバックになる法的なものがないと、あっちからもこっちからもとってきても、現状はそうであるはずのものがないわけですから、ひとつそれもぜひ研究課題にしていただきたい。私たち民間の国際婦人年の運動をしている者は、一生懸命それをいま研究しております。各国の例も研究しつつあるわけなんで、そういうときに、やはり労働省は働いている婦人の味方という立場に立って積極的にそういう方向を考えていただきたい。 それからついでに、さっきちょっと森山局長が言いかけなさいましたが、そういう苦情処理のためのガイドラインですね、私は所得政策のガイドラインなんというのは困りますけれども、アメリカのガイドラインというのは、たとえば、女の職場、男の職場というふうに分けちゃいけないとか、既存の事例で女を判断しちゃいけないとか、固定観念を持っちゃいけないとか、個々人の能力で判断しなきゃいけないとか、前任者がだめだったからやっぱり女はだめだと、これはそう思いやすいですけれども、そういうことをしちゃいけないというようなことをたくさんいろいろと役に立つガイドラインを出して使用者を指導しているわけです。使用者だけじゃない、労働組合までも指導しているわけです。そういう意味で、私は、労働大臣の研究機関を設置していらっしゃいますね、研究会を、あれはどういう目的を持っていらっしゃるのかを伺って、要するに、もう時間がありませんから、要約して最後に労働大臣のお答えを伺いたいと思うのです。 第一番目に、国際婦人年に当たって、雇用における差別は好ましくない。憲法の精神にも沿わないし、訴訟によって判例で見ても民法九十条にも沿わないというふうになっている。だから、使用者もあるいはすべての機関もあるいは労働組合も、それから働く男女も、みんな含めて、こういう好ましくないことはしないように、あるいはもっと積極的なのでもいいですけれども、宣言なり談話なり有効なものを発していただきたいということが一つ。 それから雇用の機会の平等を保障するための何らか法的な措置を考えてみていただきたい。そして、そのために、苦情処理の機関に当たるようなものを設置していただきたいということ、それが第二点です。 それから第三点目には、いわゆる男女差別はこういうことは好ましくないんですよというガイドライン、アメリカのようなふうにまでいかないと、まあアメリカのは男女本当の絶対に平等にしなければいけないことになっておりますね。ですから、妊娠、出産その他でもこれは普通のその他の労働不能の場合と同じに扱えというふうに言っておりますね。 その辺で、さっき職安局長がおっしゃった研究すべき課題がまだ日本にはいっぱいあると思いますが、それらも含めながら、雇用における不平等でもうがっかりしてしまって意欲を失ってしまう女性の気持ちというのは、大臣、少し察していただきたいと思うのです。そして、チャンスが平等に与えられている場合、訓練のチャンスも全部含めて与えられている場合に、女性がみずから何を選択するか、これは私はまた自由だと思いますね。そういう意味で、三点のことをいま労働大臣に御要望しているわけなんですが、ひとつ御返事をいただいて、私の質問の時間は終わりですから……。
○国務大臣(長谷川峻君) 私は、先日以来、労働省の中に先生御承知のとおりたくさん上級職で入っている御婦人がおりますから、一遍ひとつ省内でみんなで一度話し合おうじゃないか、そしてその専門家の皆さん方が職場を通じて何を考えているか、そういうことまで提案して、近いうちにやるようなつもりでございます。 いま職安局長が言ったように、苦情問題ですと人権擁護委員会から全部ずっとそろっているわけでありますが、さて、いますぐそれがどういうふうになるかは別といたしましても、こういう国際婦人年のときに、民間の婦人団体の方々もいろいろお考えをいただく、そういう面なども私たちも参考にしながら、こうしたときが一つのやっぱりスプリングボードだと思いますから、何か考えていきたいということをひとつ御了解いただきたいと思います。いろいろな方法について皆さん方のお知恵をかりて、すぐにこれがどうということにないかもしらぬけれども、そういう前向きの姿勢だということだけはひとつ御理解いただきたい、こう思います。
○田中寿美子君 いま申し上げた三つの点、一遍研究してみてくださいませんか。これは職安局長も婦人少年局に大いに協力してくださいまして、ひとつ実効のある何かをせっかくのこの国際婦人年にやったということでやってほしい。そして、この雇用の採用とか任用の問題に関してはこれは司法的には大変無理なんですね、行政でやるよりしょうがない面なんです。だから、行政がそれに力をかしてくだされば、私たちまた女性の側は女性の側でまた努力しなければいけないと思います。よろしくお願いいたします。
○太田淳夫君 それでは、最初に、職業病ですか、参議院の委員会でも論議されておりますけれども、それに対して取り組む大臣の所感を最初にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) 御承知のように、いろいろ職業が時代の推移によって変わります。その中において白ろう病とかいろいろな職業性の病気が出ておりますので、労働者を守る労働省といたしますと、それをないがしろにしないような形においてそれぞれの機関等々の認定を受けたる者は、それは私の方では認定しながら労働者の生活の保障、再起、こういうものを願っているわけであります。
○太田淳夫君 ただいま大臣のお話で白ろう病の問題が出ましたが、この白ろう病につきましてそれでは労働省で把握している現在の実態をちょっと知らせてください。
○政府委員(東村金之助君) いわゆる白ろう病として労災補償の給付を受け療養中の人方の数字を申し上げますと、これは昭和四十七年三月、四十八年三月、四十九年三月を申し上げます。 まず、四十七年三月は、林業で百四十九人、鉱業で二十七名、四十八年になりますと、林業で百四十六名、鉱業で三十五名、四十九年は、林業で三百九十三名、鉱業で四十七名と、かように相なっております。
○太田淳夫君 私、ここで申し上げたいことは、先だっての社労委員会、十二月二十三日ですか、におきましてわが党の小平議員からいろいろと質疑させていただきましたあの岐阜県の恵那郡におきます白ろう病の問題でございますけれども、恵那郡は、御承知のとおり花山岡岩の有名な産地でございます。最近、機械によりますそういった工具が取り入れられまして、それによっていままでにない新しいそういった職業病が発生しているわけでございます。私ども、十月二十二日に現地へ参りまして、実際に働いてみえる方々と懇談会等を行いました。そのときに、手足がしびれる、そういう症状を訴える方がおみえになりました。そこで、その後、この恵那郡の採石の労働者の方々の白ろう病につきまして、どのように把握され、そして現在どのような経過をとられているか、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
○政府委員(東村金之助君) 恵那地区におけるその後の状況でございますが、もちろんこれは採石業の問題でございますが、昨年の末に岐阜の労働基準局において調査を進めると同時に関係業者の指導を行いまして、一月十三日及び十四日の二日間、関係労働者など九十名につきまして事業者をして特殊健康診断を実施いたさせました。この結果、何らかの治療を必要とするというふうに認められた者が二十五名でございます。それから軽い異常がある、つまり作業時間の短縮等の健康管理を積極的に行うことが望ましいと認められた者が四十六名でございます。それから一応異常がないと考えられている者が十九名であったという報告を受けております。
○太田淳夫君 この一応治療を要する者というものの程度はちょっとわかりませんが、現在白ろう病として認定された者は何人みえますか。
○政府委員(東村金之助君) これは、先ほど申し上げましたのが全体の数字でございますが、恵那地区に限って申し上げますと、実は去年の十二月十六日に現地の労働基準局で採石業労働者などに対する集団指導を行いまして、その際に症状を訴える者が三名ございました。この三名の人方について集団指導を行ったその場で専門医による診察を行いましたところ、まず一名について治療が必要であるという判断がございました。そこで、その方から、十二月二十日、恵那労働基準監督署に保険の給付請求書が提出されました。恵那労働基準監督署におきましては、直ちに設備の整った病院でさらに精密検査を行いました結果、これは業務上であるということで、ここでまず一人の方が補償を受けることになりました。そこで、いま申し上げました九十名の方について二十五名が要注意であるということがわかってまいりましたので、その方々に対しまして直ちに本人あてその旨を通知させるとともに、ことしの二月十七日に恵那の監督署において事業主の団体を通じまして各事業主に対して労災保険の趣旨を十分説明するとともに、療養の給付請求書用紙を渡しまして、それによりまして請求するようにということを申し伝えたわけでございます。しかし、現在のところ給付請求はなされておりません。したがいまして、私どもで恵那地区について把握しておりますのは、一名についてはすでに補償を行っている、二十五名の方が要治療であると、こういう形でございます。
○太田淳夫君 この二十五名の方につきまして健康診査をする予定はございますか。
○政府委員(東村金之助君) ただいま申し上げましたように、九十名の労働者について健康診断を行いました結果、二十五名の方が要治療である、こういうふうになっておりますので、結論は要治療だと出ております。そこで、今度は、その方々に労災保険の方で療養給付をするかどうかの問題でございます。これは、この方々が療養補償をしたいという請求が来ればそれで療養補償をするわけでございますが、その請求がまだ出ておらない、こういうわけでございます。
○太田淳夫君 そうしますと、現地でいま四月に検診を再び行いたいということになっておりますけれども、それはどのランクの人を対象にして行うのですか。
○政府委員(東村金之助君) ただいま申し上げたのは、一月十三日、十四日にやった診断の結果、二十五名というのが出ておりますので、その方から療養の請求があれば業務上外の認定をして補償するわけでございますが、それ以外に——七月でございますか。
○太田淳夫君 四月と聞きましたが。
○政府委員(東村金之助君) その辺の情報はまだ具体的に私どもは聞いておらないのでございますが。
○太田淳夫君 そうですか。そうしますと、一応治療を要するものと考えられる者二十五名につきましては現在そこまで進行しているということですね。——はい、わかりました。 請求を出せば認定を進めるということですね。
○政府委員(東村金之助君) 請求が出てまいりまするならば、業務上外の認定をして、業務上と認定されれば補償給付をいたしますと、こういうわけでございます。
○太田淳夫君 それで、ここでお聞きしたいことがあるのですが、この事業主の方々は、たとえばこの恵那郡蛭川村ですと、一人でこの仕事をやっている方、いわゆる一人親方がみえるわけですが、その方も全部含まれているわけですか。
○政府委員(東村金之助君) 労災保険では、使用者と労働者があるという普通の事業場の場合の労働者だけが保険の対象になると、こういうわけでございます。つまり、一人親方の方は原則としては含まれないわけでございます。
○太田淳夫君 その一人親方の労災管理について特別加入の規定がございますね。その特別加入の中に含まれる業種指定がされている場合とされていない場合がありますね。この採石の場合にはこの業種指定に入っていないわけですか、そうしますと。
○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘ございましたように、労災保険制度は労働者の業務災害に対して保険給付を行うことを目的とするという原則がございます。したがいまして、労働者に該当しないいわゆる一人親方、こういう方の災害については、労災保険制度以外の他の制度によって救済されるのが本則だと思います。しかしながら、これらの救済制度のない一人親方につきましては、業務の実態、災害の発生状況等から見て、危険度が高く重度の障害を起こすおそれのある人方については、まあ例外的でございます、業種等を指定いたしまして特別加入といういま先生の御指摘の制度を設けております。ところで、採石業については、ただいま申し上げました観点から、自営業者いわゆる一人親方については現在特別加入の対象とはなっておりません。
○太田淳夫君 その理由はどういう理由でしょうか。
○政府委員(東村金之助君) 業務の実態、災害の発生状況等から見て、危険度が高く、重度の障害を起こすおそれのあるそういう人方を特別加入という制度で救っていこうと、こういうたてまえになっております。ところで、この採石業については、従来、林業の白ろう病ということはいろいろ言われておりましたが、採石業についてはそこまで健康障害を起こす業種ではない。現に、先ほど申し上げましたように、それほどいまのところ健康障害が発生していないという実態でございましたので、特別加入の対象としていなかったと、こういうわけでございます。
○太田淳夫君 そうしますと、今後次第に採石業におきます白ろう病の実態が深刻な問題になれば特別加入を認めるということですか。実際その一人親方の方々が現地では非常に困ってみえるわけです、そういった労災の指定がないためにですね。実際に零細企業でありますし、林業と比べてまだまだ被害の状況が低いようにおっしゃいますけれども、実際はドリルを使う場合には足をかけてその仕事を行うわけです。したがいまして、手がそういった白ろう病——毛細管が切れて血液が通わない、すなわち白ろう病の現象を起こすとともに、足が相当のしびれを起こすわけです、支えますから。そういうことで、実際には零細企業ですから仕事をしなければならない、いろいろな悪条件の中でやっていますものですから、この一人親方の方々を何とか救済するそういった特別な措置をどうしてもここで考えていただきたい、こう思うわけですが、いかがでしょう。
○政府委員(東村金之助君) ただいま申し上げたような原則と、それから特別加入制度を設ける場合の基準みたいなものをわれわれは考えておるわけでございますが、先生御指摘のように、これはあくまでも基準でございますし、原則でございますので、そういう原則なり基準に該当するような業種かどうかということが問題になります。したがいまして、いまいろいろ問題になりますので、私どもひとつ研究してみたいと、かように考えております。
○太田淳夫君 それでは、その研究を進めていただきたいと思います。どうしてもそういった零細企業の方々を救済をしていただきたい、私はそういうふうに思います。地元の事業主の方々も、この採石業者は零細な方が非常に多いわけです。今後、その採石業者の方に対する安全管理という面で、あるいは健康管理という面で、どういうような対策を考えてみえますでしょうか。
○政府委員(東村金之助君) ただいままでいろいろお話をお伺いしてまいりましたが、これは採石業という業態がある限りは同じような問題が出る可能性はあると、現実には私どもそれほど把握しておりませんが。そこで、私どもといたしましても、こういう問題についてはひとつ取り組んでいこうじゃないかということで、健康診断の実施について指導していこうと。それから何といいましても実情の把握というものが大切であると。ただいま先生御指摘ございましたように、実情の把握をしてまいりたいと。さらには、今後、予防対策指針というものをつくって、何といいましても出てしまった後では問題が事後処理の問題でございますから、できるだけ出ないようなそういう角度から対策を進めていったらどうかということでございまするので、いま三点ばかり申し上げましたが、そういう角度でこの問題に取り組んでいきたいと、かように考えております。
○太田淳夫君 わかりました。 現地のそういう業者の方々といろいろ懇談をしてまいりましたが、ドリル等を使う場合も、新型の振動の少なくなるような機械の開発ということも考えていただきたいという要望がありました。これは林業の方々のチェーンソーの改善もいろいろ研究されていると思います。それと、この採石業者の方々の使うドリルも、やはりそういった無公害の機械、振動の少なくなるような機械の開発ももちろん進めておられると思いますが、そういう新しい機械を購入する場合、振動が少なくなればそれだけ値段も上がってくるわけですね。そういった面の負担ということで、先ほど申し上げましたような小さな企業の方々が多いものですから、経済的な負担ということを非常に心配しています。また、労働基準監督署の方でもいろいろと今後の対策について進めて、いろいろと業者の方方を指導してみえると思いますけれども、やはり冬場——いまだんだん暖かくなりますからあれですが、冬場はやはり屋外で作業いたします。非常に手足が冷えますとこの症状は特に進むわけですね。ですから、何時間か機械を使ったら、今後小屋なら小屋をつくってその中で手足を温めて血液の循環をよくしてまた仕事にかかるということになりますと、その施設ということもここで問題になるわけですね。地元の事業主の方々の中では、特にその機械の購入の場合、あるいはそういった働く人のための健康を守るための施設をつくる場合に、何らか融資を考えてほしいという声が多いわけです。いままで、一人親方ですと、全然そういった融資の道がないわけですね。したがいまして、今後の問題としまして、そういった機械あるいは施設をつくる場合の零細の方々、一人親方の一方に対する融資を考えられるかどうか、そのことをちょっとお聞きしたいと思います。
○政府委員(東村金之助君) 御指摘のように振動工具を使うわけで、それが原因になるというわけでございますから、振動ができるだけ少なくなるようにというのが基本になると思うのです。それについては林業のお話がございましたように、同じようにこの場合にも振動の少なくなるような機械を開発しなければいかぬという前提は当然でございまして、それから寒いところで作業をするためにこの問題がさらに悪化するという御指摘もございましたが、これも当然でございまして、林業等についてもそういう指導をやっております。そこで、そういう問題を先ほど申し上げました今後の予防対策指針の中に盛り込んでいこうというふうには考えております。 ただ、それに対する融資の問題でございますが、まあ私どもの方でも安全の融資は特別にやっておるわけでございます。その際には、先ほど労災の話が出ましたように、労働者を使っている事業場というのが融資の対象、しかも中小企業が中心である。そこで、いま一人親方の方について、労災にも加入する、その融資もということになりますと、現在の制度ではそうなっておりませんが、これまたひとつ研究といいますか、考えさしてもらうというふうにさしていただきたいと思います。
○太田淳夫君 それからもう一つ、現地の方々の対話の中で出たわけでございますけれども、こういう職業病の方々の検診の場合ですが、その費用というのは事業主負担になっておりますね。この石材業者の白ろう病の問題にしましても、もう十何年前から現地ではぼつぼつと言われておりました。実際に保健所等へ行って、あるいは病院等へ行きましても、これは神経痛であるとかリューマチであるとかいって診断されてきたわけですね。これはそういった職業病として認定されたのが今回初めてです、この蛭川村ではですね。先ほど全国の実態をちょっとお聞きしましたけれども、そうしますと、それまでの間に、やはり機械を使ってやった二、三年の間にひどくなって実際にやめていかれた方々がみんなおみえになるわけですね。事業主としましては、零細な企業でありますし、現在不況にまた陥っておりますし、また、海外からも安いそういった石材もいま、輸入されてきているということで、これ以上コスト高になりますと非常な負担になるわけです。したがいまして、その検診の費用についても全額事業主負担ということでなくて、いろいろともっと費用の補助をしてもらいたい、こういう希望がありますが、その点はどうでしょうか。
○政府委員(東村金之助君) ただいまの検診の費用の問題でございますが、先生は御承知の上御質問でございますので、くどいかもしれませんが、健康診断をし、労働者が健康な姿で作業をするという形に持っていくのは企業主、事業主の責任でございまして、安全衛生法においてもその旨がうたわれているところでございます。したがいまして、健康診断をやはり事業主の責任においてやるという原則はひとつ私どもの方でも貫いていただきたいと思うわけです。 なお、いま、融資の問題……
○太田淳夫君 私の言っているのは、こういう特殊な場合です、それを全部……
○政府委員(東村金之助君) わかりますが、いずれにしろ、こういう健康診断はこういう作業をやっている労働者については必要な健康診断でございまするので、その健康診断の費用を国が負担をする、あるいは補助をするということは原則として考えられないわけでございます。いずれにしましても、先ほどいろいろお話しございますし、私どもの方も今後全体の実態を把握して、今後の予防対策指針をつくりたいというふうに考えておりますので、その全体把握の中でそういう問題もひとつ検討してみたいと思いますが、何といいましても企業者が自分の労働者の健康診断をするというたてまえはやはり貫かなければいかぬと、かように考えております。
○太田淳夫君 それでは最後に、労働大臣から今後のことにつきまして所信を一言お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) こういう職業病にかからないような予防というのが一番大事だろうと思うわけでございます。私たちとしますと、やはり健康診断を実施してもらう。これは林業の場合などは健康診断をお願いしましてもなかなか出てこない。ですから、自分が働いてそこで収入を取って暮らしをするのだから、そういうものを事業主が負担しながら健康診断をするのですから、やはり自分で予防するために健康診断を受けると、こういう自分でも守ってもらうという姿勢がまず一番大事だと思います。ですから、健康診断の必要性と、こういう場所でやるということを周知徹底させることがまず第一番で、その次がやはり先生方の御質問にあるように、私たちの気のつかないようなことがありますれば、そういう実情の把握に努めるということが必要でございます。こういうところで話が出ますと、私の方は全国にあります労働省関係の機関を動員してすぐに実情の把握を確かめると、こういうこともやっております。 もう一つ、やっぱり基本といたしますれば、予防関係の対策の今度はいろいろなものの指針を決めていくということにいたしまして、一番大事なことは、こういう不景気というふうなときになりますと、安全問題がとかく事業主もおろそかにいたしますから、そういう意味では事業主に対して私の方は安全の問題について特に重視するように行政指導していく、こういうふうな感じ方を持っています。
○岩間正男君 まず最初にお願いしておきますが、非常に時間がないのです。したがって、端的に聞きますから端的にお答え願います。どうもさっき少し長いので厚生省のは困ったのですが、そうじゃなくて時間を生かすためにわれわれも努力いたしますから、お願いしたいと思います。 お聞きしたいのは、失対賃金の問題です。政府は、去る三月二十七日、昭和五十年度の失対労働者の賃金を発表して、四月一日以降の各地別の一人当たり賃金を決定しました。それによると、労務者単価二千百二十円五十九銭、これは改定前に比べて当初比で二二・七%、果たしてこれでやっていけると労働大臣はお考えになりますか、まずこの点からお聞きをしたいと思います。
○政府委員(岩崎隆造君) 失対賃金は、先生御案内のとおり、失対法に基づきまして類似の作業に従事する労働者に支払われる賃金を考慮して地域別に作業の内容に応じまして失対事業賃金審議会の意見を聞いた上労働大臣が決定するということになっております。それで、五十年度の失対賃金の単価につきましては、本年一月審議会の答申をいただきまして、その答申に基づいて予算要求をして、こういうふうに決定になったわけでございますが、その答申の考え方は、屋外職賃の結果を考慮するということが第一点、その場合の屋外職質の調査結果のうち、建設業の道路、河川等の工事に従事いたします定額制、通勤日雇労働者の一般的な給与額を考慮すること、それに失業者就労事業の就労者の実態に基づいてこれは措置すべきであるという答申に基づいて私どもやって、算定いたしました結果がそういうことになっておりますわけで、これは現時点において私どもは妥当な賃金水準であるというように考えております。
○岩間正男君 委員長にも確認してもらいたいのですが、聞いていることを端的にと、こう言っているわけですね。それを先にいろいろのところに伸ばしてやるから時間が食われるのです。三十分の時間というものは、これは使ってごらんなさい、大変なことなんです。だから、食えますかどうですかと聞いているのだから、これに対してどうなのか、そこのところを答えればいい。賃金の決定の問題なんかというのはある程度われわれも知識はあるし、やっていることですよ。これはとてもそういうわけにはいかない。これは、労働大臣、どうですか、たとえばこれを見ると、二二・七%アップだと、こういうことになっている。聞こえはいいけれども、もともと土台になる親賃金が非常に安い。それで結局食えないというのが失対賃金の最も特徴的なところですよ。だから、こういうことですから、何よりも証拠、ここにたくさん私のところに、これは一部分を持ってきたのですけれども、毎日請願陳情のこういうものがはがきが来ているわけです。これを見てごらんなさい。こういう点で労働大臣は、こういう問題について食えないという現実がはっきりしていてこのような新賃金というのが問題になっているのだから、これにどう対処するか、短くて結構ですから、結論だけ答弁してください。
○国務大臣(長谷川峻君) 最近、失対の方々が非常に高齢化しております。そういうことやらいろいろな問題がありますので、就労実態等を——問題が出てまいりましたので、本年がちょうど失対法に定める制度研究の年に当たっておりますので、御指摘のことも入れて賃金問題を含めて検討を行いたいと、こう思っております。
○岩間正男君 それじゃ具体的にその問題はあとでお聞きしますが、私はずっとこの失対賃金の問題を扱ってみて、この賃金決定の問題というのは非常にほかと違っていて、これはひどいことなんです。これが全部しわが来ているのじゃないかというふうに考えるわけです。私は、基本的な問題として、失対賃金の決め方ですね、ここの問題につきましてちょうど全日自労の委員長の近藤参考人がお見えになっておりますから、その問題点はどういうのか、並びにこれに対してどういう点を要望されるか、この点をまずお伺いしたいと思います。
○参考人(近藤一雄君) まず初めに、失対労働者の生活実態についてごく簡単に申し上げたいと思います。 昨年十月、中央大学の江口教授などによって、失対労働者百三十四世帯について家計調査を行いましたが、その消費支出は一般勤労者世帯の五分位の最下層に比べても三分の二にしかならず、エンゲル係数は四四%できわめて高く、全く食うに追われている実態が明らかにされました。しかも、月四万円程度の失対賃金のため、ある婦人労働者は、毎月十五日ごろまでは、日々の賃金から家賃や水道、ガス代などをまず確保するために、食事さえ切り詰めて、十五日過ぎになって初めて安心して食べることができると、こう言っております。このように、食生活さえ切り詰めなければならない深刻な実態にあります。このような悲惨な状態は速やかに改善していただきたいのであります。 そこで、失対賃金の決め方の問題点と要望についてでありますが、失対賃金は、ただいま岩崎さんからも話がありましたように、緊急失対法第十条の二の二項によって、「同一地域における類似の作業に従事する労働者に支払われる賃金を考慮して、地域別に、」「定める」ことにされており、労働大臣が失業対策事業賃金審議会の意見を聞いて決めることになっています。具体的には、失対賃金審議会の屋外労働者職種別賃金調査の結果に基づいて決めるようにという答申から、毎年八月に行われるこの調査の結果を使って賃金額を算出することになっています。ところが、昨年八月のこの調査結果によると、失対事業の作業に類似する軽作業で男三千六百三十二円、女二千四百十四円であり、重作業では三千九百六十二円になっているのであります。ところが、五十年度の四月からの失対賃金は、わずかに二千百二十円で、はるかに低く定められています。その上、屋外労働者職種別賃金調査は昨年八月の調査ですから、この結果をそのまま使うのでは一年おくれの後追いということになるのであります。その一年おくれのデータと比べても大幅に低いのですから、私どもとしてはどうしても納得できないわけであります。このような全く不合理な賃金決定のやり方が多年にわたって繰り返されてきた結果、たとえば東京においては、公共事業の労務費単価の標準賃金として建設省などで決めているいわゆる三省協定の軽作業の賃金がいま三千八百四十円であり、普通作業員の場合は五千五百八十円であるにもかかわらず、失対賃金は四月から改定するものによってもわずかに二千二百二十九円にしかならないという結果になっています。また、常用労働者の賃金と比べても、昭和四十五年を一〇〇として、四十九年十月で二一一・七となっていますが、失対賃金は一八三・四でしかなく、その格差がますます拡大するという結果になっています。私どもは、このような不合理をぜひ改めて、ぜひともまともに生活ができる賃金、少なくとも世間並みの賃金にして、一層意欲を持って働き続けられる賃金にしていただきたいと考えます。と同時に、労働者と労働組合の意見が反映できるようにして速やかに失対賃金を再度改定するよう強く要望するものであります。
○岩間正男君 労働大臣、お聞きのような問題です。生活の実態、それから賃金の決め方に対する不合理性、これについて十分に意見を反映して聞いてほしいと、こういうことですね。 まず大臣にお聞きしたいのは、ずいぶんこれは格差がずっと何年も継続されているわけですよ。一年おくれの賃金の後追いでいつでもやられている。それが何年も累積しているのですから、ひどいことになっている。この格差をどう是正するかということはやっぱり問題になってくる。第二には、とりあえずの問題として、これは一般労働者は春闘によって間もなく、これは五月になりますか六月になりますか、賃上げがちゃんと実現するわけです。このような賃金アップというのは全く失対賃金に反映していないというのが現状なんですね。どうしてもこれは公正の原則から考えましても不合理きわまりないものでございます。したがって、こういう問題について具体的に検討するときが来ているのじゃないか、こう思いますがいかがでございましょうか。
○国務大臣(長谷川峻君) 先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、本年が失対法に定める制度研究の年でもございます。それからまた、就労者の実態とか性別とか、私たちの聞いているところでは、大分お年寄りが多くなりまして、六十歳を過ぎているんですね。そういう実情も考慮しながらこの制度検討の年に当たって今後十分ひとつ研究してみたいと、こう思っております。
○岩間正男君 これは検討するということですが、前向きの検討でなきゃならぬと思う。それからいつでも六十歳ということを言われるが、六十・二歳ですか、平均。ところが、その賃金と一般の六十歳の賃金を比べました。千三、四百円の違いがあるんですね。そうして、仕事の内容は、軽作業ということになりますと、これはもう清掃とか片づけ仕事、こういうことですから、内容はほとんど変わりない。いつでも年をとっているからとかそういうことを口実にして賃金を低くすることを合理化していますが、これはいけない。それから少なくとも春闘の問題について、もう急速にこれは現実に起こっている問題ですから春闘の結果をちゃんと加味してやると、こういう点ははっきりお約束できますか。
○政府委員(遠藤政夫君) 先ほど、先生から、八月の屋外職賃の結果で決められるということになると半年ずれがある、後追いになるのじゃないかと、こういうお話でございますけれども、実は八月の調査の結果ということは対前年比のアップ率を計算の基礎に置くわけでございまして、額そのものでございません。したがいまして、形はなるほど八月の調査を翌年の賃金に反映していくということであれば後追いのような形におとりになるかもわかりませんけれども、実はそうじゃございません。したがいまして、八月八月と毎年八月をとっていきますと、結局、昨年の春闘の結果が八月の屋外職賃に反映されてきます。それが四十八年と四十九年の対比になっております。そういう関係で、ことしの二二・数%のアップというのはむしろ去年の春闘の大幅アップが反映されている、こういう結果になるわけでございます。ことしの分はこの八月に出てまいりますが、御承知のような情勢でございまして、私どもはことしの二二・数%のアップはいままでの情勢から見ますとかなり大幅なアップになっているのじゃないか、かように考えているわけでございます。今後のことにつきましては、いま大臣からお答えございましたように、この制度検討の中で十分検討をいたしてまいりたい、かように考えております。
○岩間正男君 今後のことを検討するに従来の問題をはっきりさせなきゃならぬという、こういうことをいま言っているわけなんですよね。ところで、後追いだからそれについての修正をやっているんだというようなお話ですけれども、しかし、これは時宜に適していない。それだから、こういう点では、先ほど近藤参考人の話の中にありました三省協定の問題、これはもっと現実的ですよ。もっと具体的ですよ。公共事業の賃金決定でありますけれども、この問題についてお聞きしたいと思うのですね。三省協定というのは、きょうは建設省からお見えになっておりますね。この要点だけ、時間がございませんから、中川調査室長さんですか、これについてどんなやり方をとっておられるのか、お聞きしたいと思います。
○説明員(中川澄人君) 三省協定は公共事業の積算上の基準単価を決定するものでございまして、四十六年以降、農林、運輸、建設三省の覚書によって調査を実施いたしております。調査期間は、毎年九月十六日から十月十五日の間の一カ月間でございます。三省の所管の公共工事から、地域、事業、発注期間等のバランスを考えまして、対象工事を選択いたして調査をいたしておりますが、調査の方法は、賃金台帳から調査表に転記いたして実施いたしております。調査時点から決定時点までの時点のずれは、他の資料によって適宜修正を行っております。 今後の方法でございますが、賃金の実態を常に正確に把握するため適宜調査を行うように考えていきたいと思っております。 大体以上でございます。
○岩間正男君 これはお聞きのとおりで、非常に参考にされる必要があるのじゃないか。いまの話を私なりに要約してみますと、建設、運輸、農林の三省が九月に調査を行って、そうして時差修正をやっている。これは六%から七%ぐらいですね。しかも、三月からこれは実施をされておる。ところが、労働省の場合はこういうことないようですね。それからこの時差修正のやり方も、一年に一回、九月に一回ということじゃ、とても間に合わぬ。物価変動の激しいこういう事態の中でとてもこれは間に合わぬ。したがって、今度はもっと短期にやろうか。年二回ないし三回ということになると思いますが、具体的に現実の問題としてははっきり春闘後に手直しをして、そうして上げる必要があれば上げると、そういうたてまえに立って、全く生活実態と賃金をできるだけ近づけようと、暮らしいいようなそういうものをやろうと。そうでないと、実際は公共事業の請負というのはできない、そういう現実もあります。ところが、実際こういうような方法というものは、これは時宜に適した、そうしてこの努力というものは認められるわけです。これを一体なぜやらぬのか。労働省は少なくともこれをやるのは私は当然だと思うのですが、いかがでしょうか。
○説明員(守屋孝一君) 若干技術的なことがございますので、私から先にちょっとお答えしたいと思います。 三省協定との関係は、まずこの三省協定の積算の基礎になります労力費、これはあくまでも労力費でございまして賃金ではございません。 その次に、三省協定の場合、これは公共事業としての一定の歩掛かりがございますが、私どもの方の失対事業は、この歩掛かりが、何と申しますか、ほぼ三分の一程度という感じでわれわれ仕事を進めております。 それからその次に、この八月の調査結果、これは予算折衝にぎりぎり間に合う一番新しい時点をとるということでわれわれ八月をとっておりまして、これは賃金を決めるためにはどうしても現実の調査が必要だということでございます。なお、八月という時点をとりましても、私どもは必要な季節的な修正は行っているということは御承知かと思います。 それから次に、賃金の、特に日雇の関係の賃金を追っかけてまいりますと、先生も御承知と思いますが、たとえば毎月勤労統計の建設業日雇の賃金水準を見ていただきましても、これは月によって相当変動がございます。必ずしも上昇するということではございませんで、たとえば四十九年八月は、賃金指数を見まして、四十五年を一〇〇にいたしますと、二八二・七という指数が出ておりますが、五十年一月をとりますと、一五七・六というように若干下がるという現象もございますし、あれこれ私ども勘案いたしまして、現在の就労者の実態にもまた即すようにいろいろ考えた結果、いまの賃金の決定の仕方については失対法の決定原則に沿って進めておるということでございます。 以上、技術的な点をちょっと御説明申し上げました。
○岩間正男君 労働省も何か修正をやっているように聞こえるわけですね。調べてみると、本年度決定する場合には一%、さっきの三省協定では少なくとも六%、七%の時差修正をやっている。その前の年になると〇・六%、こんなの修正って言えますか、物価変動の激しい中で。だから、いかにも言っていることだけ聞いていると、そして、あなたたちなかなか答弁がうまいから、われわれ素人はだまされるかもしらぬが、そういうことにはいかぬのです。食えるか食えないかという実態に立って、そして果たしてそれに即応することのできる、何よりも国民優先のそういう体系をつくるかどうかということにあるんだ、問題は。それをなるたけ少なくしようというような方法でいろいろなことを理論を組み立てたって、これは話にならぬ。現実はそうでしょう。そういうことじゃこれは話になりませんので、少なくともいまの三省協定というのは合理的なものを持っている。労働省の説明よりもはるかにこれは合理的なものを持っている。それに近づいていくという必要があると思う。大体、失対賃金というのは、何か社会保障的なものだとか、その調査の三分の一しか取り入れないとか、どこに一体そういう根拠があり得るのか。もう少しやっぱり生活実態というものを調べてください。あなたたち知っていますか。職場に入って本当にやって見ているか。そういうことでないからそういう事態が起こるのでありまして、労働大臣、どうです、私と一緒に職場へ行きましょう。そうして、これは実際見たらもう少し胸を突くものがあるんですよ。そうでなければ、本当の生きた血の通った政治にならぬのだということ、このことを——三木内閣はうまいことを言って、国民の福祉優先とかなっているが、さっぱりそういうことになっていない。実態はそうなっていない。官僚機構は全く逆なところを動いておるのを私ははっきり指摘したい。そういう点から、とにかく何といっても私はここではっきりさしていただきたいのは、少なくとも失対賃金の決定ではいまの三省協定なんかから大いに学ぶべきものがある。具体的に現実的には何といっても春闘後の賃上げ、そういうような問題について十分に加味するのは少なくとも最低限度当然だと思いますが、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(長谷川峻君) いろいろ実情についての御披瀝がありまして非常に参考になります。いずれにいたしましても、私の方でも、役人答弁じゃありませんけれども、季節修正などもしておることも御理解いただきながら、やっぱり制度検討のときに非常な参考にさしていただきたい、こう思う次第であります。
○岩間正男君 いま制度検討の問題が出たわけですが、ことしは五年に一度行われる失対事業制度の検討時期にあると。最近の不況、失業者のこの状況、官庁統計でもこれは一月に九十九万で非常に大変な事態になっております。こうした社会情勢の中で失対事業打ち切りなどということは、これはまるで時代に逆らうことになると思うのですね。そうじゃなくて、前向きにこの問題を検討すると、そう了解してよろしゅうございますか。——これは大臣の答弁。
○政府委員(遠藤政夫君) これは岩間先生御承知だと思いますが、四年前に中高年等の就職促進に関する特別措置法、いわゆる失対の開発といわれました法案が御審議になります際に、この点は当参議院の社会労働委員会等におきましても御質問があって、私その際にもお答え申し上げまして、当時この法案について失対打ち切り法案だということを盛んに宣伝されましたけれども、決して失対を打ち切るという意図のものではなくて、むしろこういう中高年等措置法を制定することによって現在失対に就労されている方は、まあ言葉の言い方は問題がございますかもしれませんけれども、死ぬまで安心して働いてくださいと、打ち切るようなことをいたしませんということを御答弁申し上げた次第でございますが、現在におきましてもその点は変わっておりません。ただ、従来から失対就労者につきましては地域住民の中から失対就労の実態についていろいろととかくの批判がございました。今後そういう批判を受けることのないように働いてもらいたいと、そうすればこの失対打ち切りというような問題は今後起こりません、こういうことを御答弁申し上げた次第でございまして、現在もその点は変わっておりません。
○岩間正男君 生活を安定してもっと手の届くような温かいものになって——あんたたち、食えない賃金を押しつけておいて、その上に立って世間の批判を受けているというような非難をやっている。これは逆ですよ、大臣。そうじゃない。もっと本当にこれを少なくとも最低の生活を保障すると、そういう立場に立って施策を進めてもらいたい。あなたたちの説明を聞いていると、本当に血が冷えて凍っちゃう。人間味がない。まるで逆ですよ。まあ私の言葉は非常に激しいかもしらぬけれども、こういう実態についていままでの官庁行政というものは十分に考える必要がある。 時間の関係から次に進みます。次は田川の問題ですが、自民党内閣のエネルギー政策によって廃鉱を余儀なくされてからすでにもう十数年、筑豊も空知も常磐もその荒廃ぶりは全く目に余るものがあることは御存じのとおりです。これが同じ日本かと言いたい感じがする。この中でも田川の現状はその極をきわめていますが、その最近の状況について近藤参考人からお伺いいたしたいと思います。
○参考人(近藤一雄君) いま先生から御質問がありました失業問題でありますが、全国的に非常に深刻な問題になっていることは明らかでありますが、特に日雇労働者の置かれている状態は深刻をきわめております。ここでは炭鉱閉山によって失業者の滞留が特別に深刻な田川の地区、その状況についてごく簡単に申し上げて、緊急対策を立てていただくことをお願いしたいと思います。 田川市と田川郡はいま総人口五万世帯でありますが、そのうち生活保護世帯が二割、一万百八十二世帯であります。また、失業対策の事業に就労している者が七千六百九十八名という状況であります。そのうち、特定地域開発就労事業、これはいま遠藤さんが言われましたいわゆる中高法に基づくものでありますが、それと産炭地域開発就労事業に二千七百十九名が就労しておりますが、この事業は年間十カ月しか予算がありません。その上、予算定員を超えて失業者が就労している状況にありますので、年末で仕事が切れてしまい、失業対策の事業からあぶれてしまう状況が続いてあるわけです。特にことしは、それを補う公共事業もほとんどなく、このままでは、新年度五十年度の工事が始まる六月ごろまで、長い人では六カ月間も就労の機会がないということになります。失業保険というのはあるわけですけれども、とても生活できるような額じゃないし、せいぜいもらえるのは二カ月程度であり、中にはそれももらえない人がたくさんおります。こういう状況でありますため、この三月三日には二千二百名が集団で生活保護の申請をするに至りました。しかも、特定地域開発就労事業では、六十五歳以上になると就労させないという動きもありますので、深刻な問題を実は持っているわけであります。 ぜひ、この状態に緊急に対処するために、五十年度早々に、四月から特開事業や開就事業、こういったものを実施して、就労できる機会をつくっていただきたいというふうに考えておりますし、まあこれは田川のことだけ申し上げたわけですが、東京を初めとする大都市においてはその深刻さもひとしおひどい状態がまたありますので、これに対しても初年度早々その対策が進められるように特に御要望申し上げたいわけであります。
○岩間正男君 労働大臣、お聞きのように、これは大変に深刻な状況になっていると思うのですね。こういうような実態についておつかみになるということは私は非常に必要だと思うのですね。だから、どうです、一度田川を視察されたら。本当に血の通った労働大臣かどうかということは、みんな要望しておる。ここにこんなに、これは一部分ですけれども、田川から来ていますわ。これは本当に後でごらんになっていただきたいんですが、切実なものですよ。とにかく五万の土地で失業者が一万、さらにいまの失対事業へ七千、そしてそういうところで予算がなくて全く困っていると、こういうことですから、これに対して政府はどういうふうに具体的に対処するおつもりなのか、この点を端的に明確に、まあ決意があれば短くていい。決意がないほど長くなる。それは官僚答弁の通弊でございます。私は長いこの議員生活の中でつくづくこれは見抜いている。そういうことのないように、端的に、こうやります、これで結構です、一言。
○国務大臣(長谷川峻君) 私は、去年九月でしたか、田川地方をずっと歩いたのです、かつて私は九州におりましたからね。あの田川地方、嘉穂地方が、昔のボタ山がほとんどなくなって、一つだけいかにして残すか。それから炭鉱が閉山していま労働省の予算で就職のための訓練を金をもらってやっている諸君が、大体平均年齢五十二歳でした。思わず、元気を出せと、自分の方で金を延ばしてでも訓練させるからと、こういうことで自分で勉強しているつもりであります。 それからただいま近藤さんからのお話などもありましたけれども、特定地域開発就労事業につきましては、五十年度における事業費の単価を二六・一%上げたことが一つと、それから事業がおくれるという話がありましたが、事業を実施する自治体の財政負担の軽減をそれによって図ることにして、五十年度の事業の実施については四月中に早期着工できるように関係地方団体に私の方でいま協議をしているところであります。
○岩間正男君 これは四月中ということをちゃんと確認してよろしゅうございますね。六月というようなことではこれはもう何とも死ねということと等しいですから、これは四月中に必ず、四月中といっても本当に四月初めから、まあ明日からというわけにはいかないかもしれませんけれども、とにかくじんぜん日を送らないで、そうしてもう花の散らないうちにやってもらいたい。これは確認したいと思います。 とにかく、三木内閣の姿勢が問われていますよ。生活の谷間と言っては失礼だけれども、その谷間と言われるところには、非常に健康な人たちが、しかも団結して、そうして働いているわけであります。そこに一つの光を見ているんだから、こういう点を見なけりゃ失対事業というのはわからないですよ、本当は。だから、そういう点から、私は、十分な手を尽くしてもらいたいと思うのです。元来、失対事業というのは、これは失業者をなくすためのものであると思う。ところが、政府は、総需要抑制政策で新たに多くの失業者をつくり出しています。そのしわをかつてのエネルギー政策の犠牲者にもろにかぶせようとしている。まさに二重、三重の私は犠牲だと思う。だから、この上、手をつかねていることは、これは全く死ねということと同じことだと思います。先ほど三木内閣の政治姿勢について申しましたが、社会的不公正の是正ということを表看板にしているわけですね。果たしてそれをやっているか。もし看板に偽りがないとするなら、政府はもっともっと本当に行き届いた政策をとるべきだと私は思う。まあ現実の問題についての御答弁がございましたけれども、さらに全般的に前向きに検討して、そうして、この田川の問題についても、いままで関心を持っておられたようでありますから、これをさらにもっと踏み込んでやっていただきたい、こういうことを確認したいと思いますが、最後に御決意をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) 昨年失対の賃金を上げたときに、実は私は田川の皆さん方からたくさんお礼のはがきをいただいた。それで私は委員会で申し上げたことがあるのです。私たちも、その実情がわかれば、労働省とすれば一生懸命やる。その場合に、やったことに対してこういうふうにお礼のはがきをもらえば、これはもっとやっぱりやる気になるということをはっきり私は委員会で申し上げたこともあります。いろいろこういう雇用不安あるいは物価高、こういうときでございますから、労働省とすれば、いろいろ三木内閣にも姿勢に対して御批判もあるようですけれども、労働省は皆さん方にお願いして、雇用保険法、その中に雇用調整給付金、これは十二月の二十五日に通過したのを一月一日から適用して、多少どころじゃなく、それによって失業が横ばいになっている、またそれを緩和するという方向にいまから先も私たちの責任において懸命に努力してまいりたいと、こう思う次第です。
○岩間正男君 これで終わりますが、最後に確認しておきます。 田川の問題は四月中にやると、これはそのとおりと。 第二に、賃金の決め方については、非常に現実に即応しない形があって、そのためにいつでも後追いをやって格差が開いてきている。これはますます失対労働者を生活苦に追い落としている一つの大きな根源だ。したがって、こういう問題については、やっぱり前向きに検討する。 さらに、当面の問題として、春闘の結果、そういう問題について十分に検討して、三省協定で努力しているような方向に少なくともこれはやるべきだと。この三点、確認してようございましょうか。
○国務大臣(長谷川峻君) こういう大事な国会の場所において先生から御指摘あったことも十二分にひとつ検討してみたいと、こう思っております。
○岩間正男君 検討だけじゃなくて確認できるんじゃないですか、いまぐらいのことは。どうですか。いいですか、検討でなくて確認と言ってください。そうすれば、もうはっきりして、これは長谷川労働大臣の本質はわかるんです。どうなんですか。このくらいのことをあなたやれなければ三木内閣の労働政策ということにならぬ。どうですか。
○国務大臣(長谷川峻君) 私が一生懸命勉強することをひとつ御了承願いたいと思います。
○柄谷道一君 効率的に質問しますから、効率的にお答えを願いたい。 私は、昨年末の七十四臨時国会で雇用保険法が成立をした、労働者の保護行政が一歩前進したことは、これは評価いたします。しかし、この法律をもってしては、企業倒産等による賃金、予告手当、退職金等の労務債権は確保できないことはもう御案内のとおりであります。 そこで、私は最近非常に深刻化しております繊維産業にあらわれた二つの事例をまず御紹介申し上げたい。 一つは、共栄被服株式会社、これは香川県の輸出縫製会社で、資本金二百万円、従業員は七十九名という会社でございますが、会社運営は、社長のほか、弟が専務、両名の妻が経理、営業を担当しているという典型的な一族会社であります。昨年の十月二十六日、不渡り手形を出して倒産したのでありますが、その二十六日と二十七日、たまたまこれは週休二日制で従業員が休んでおりました。この空き家をねらって仕掛かり品その他を一切出荷をいたしました。社長、専務とその家族は、家財道具一切と会社書類を持って逃亡し、現在も行方不明であります。従業員は、たまたま週休二日制による休日でありましたためにこの事実を関知することができませんでした。そこで、残された労務債権は、賃金、解雇予告手当、規定退職金、合わして千八百六十七万円、上級団体であるゼンセン及び弁護士の協力を得て努力をいたしましたが、労務債権に対する確保率は一九%、解雇予告手当と退職金は残念ながら雲隠れのために一切確保することができずにこの問題は今日に至っております。 第二の事例は、大和毛織の例でございます。これは、昨年の十月二十四日の団交で、会社から、合理化問題は考えていないが、主力会社からの援助を受ける工作をしているので、十月分の賃金と夏の一時金の未支払い分は支払いを延期してほしい、速やかに資金繰りを行いたいという提案があり、組合は最終的にこれを了承したのでありますが、十月二十八日、突然会社から、きょう東京地裁に会社更生法適用の申請をしたと報告してきた。その申請の内容は、埼玉県杉戸にある工場を閉鎖し全員解雇、一宮工場のみで再建を図る、こういう内容でございました。組合はこの背信行為を追及いたしまして交渉は難航いたしましたが、最終的には労務債権を完全に確保する、それを最優先的に支払うという管財人との間の協定をとりまして、組合も会社更生手続について協力するという回答をいたしました。ところが、土地が売れません。そのために、一月分、二月分の賃金、退職金、解雇予告手当とも今日に至るもまだ一銭も支払われていない。 私は、こうした事例を二つ挙げたわけでございますが、この種の事例はいま全国に非常に多く出ている問題だろうと思うのであります。 そこで、時間の関係で一括質問をしますからお答えをいただきたい。 まず法務省に対して御質問をいたします。 私は、この種の問題を解決しようと思えば、結論的に言えば、現行法の総洗いが必要ではないか。たとえば現行の民法、商法、破産法、会社更生法、訴訟法、和議法、たくさんの法律がございます。そういう法律の中で、賃金に関しては共益費用に次ぐ先取特権を認めておりますけれども、これは第三者取得者に対する追及力を欠いている、特別担保権者に対抗できない、実行に当たって制限を受ける、動産質権に劣後する、こういった法律上の欠陥を持っております。私は冒頭挙げましたように、経営者が雲隠れした場合は全く労務債権確保の道はございません。また、会社更生法を適用する場合でも、協定はしておっても、労働者が毎日毎月生活していく賃金がこのインフレ下二カ月も三カ月も支払いが全くとまってしまっている。こういう現状は、私は少なくても人間尊重の時代、しかもいま日に日に深刻化するこの不況の中で、放置してよい問題ではないと思うわけであります。私は、賃金、退職金、解雇予告手当、社内預金、こうしたものは労働の提供によって生まれるものでありますから、他のすべての債権に優先する特別権としてこれを確保するよう法の全面的洗い直しが必要である、こう思うわけでありますが、お答えをいただきたい。
○説明員(井関浩君) 現在、民法及び商法でとっている立場は、ただいま先生御指摘のとおりであろうと思います。ただ、いまいろいろと例を挙げられてお話しいただきましたけれども、私ども、実体法の立場で考えますと、やはり、他の租税債権であるとか、別除権であるとか、担保権であるとか、そういったものとの関連で十分検討しなければいけない問題だと思います。たまたま私どもの方で、破産だとか更生手続だとか、裁判所の手続にのっている労務賃金につきましては、それほど問題なく支払われた例が多いと聞いておりますので、多少検討がおくれている面があろうかと思いますが、なお十分検討してみたいと思います。
○柄谷道一君 私は実体法の技術論を述べているわけではないわけなんです。こういう事情がいま各地に数多く出てきている。しかも、他の債権債務と違いまして、これは本当に生活のかかっている労務債権であります。しかも、何年も何年も一生懸命働いてきて、そして、その結果、賃金すら確保できない。また、退職金も一銭も確保できない。法で定めている解雇予告手当すら受けられない。こういった問題は、私は法以前の問題だと思うのですよ。労働大臣、これは所管は違いますけれども、現行法の総洗いと、その中における労務債権の確保について積極的に動くという、お約束をここでお願いしたいと思う。——大臣です、決意の問題ですから。
○国務大臣(長谷川峻君) ただいま法務省からも御答弁があったように、法制上は非常にむずかしい問題だと思うのです。でありますから、私の方は、こういう時期ですので、そこでその立てかえ払いをしようというのが委員会で御審議の際に御答弁申し上げた賃金不払い救済制度について考えるということです、立てかえ払いをすると。こういうことが五十一年から一部実施をしてやりたいということを研究しておると、こういうことでございます。
○柄谷道一君 私は緊急対策はいまから御質問します。しかし、大臣も、こうした現行法律の中における労務債権の位置づけというものが、これは非常に古い時代に決まった位置づけですから、今日の人間尊重時代にはこの位置づけそのものがやはり不合理であるという点を十分認識願いまして、これは時間が少しかかるでしょう、かかりますでしょうけれども、やはり労働者の保護を業務とする労働大臣は、法務省に対しても、より積極的に民法、商法を初めとする諸法の改正を促進するように、これはぜひ働きかけていただきたい。 そこで、時間もないので、それはある程度時間がかかりますから、緊急対策という点で私は時間がないので一括質問します。私は四つの緊急対策が必要ではないかと、こう思うのです。 第一は、現在の労基法二十条には、三十日前の予告かないしは三十日分の予告手当を支払うと、こうなっているわけですけれども、いま事例を挙げましたように、一カ月前に予告されても、この深刻な雇用情勢の中で何ともならないわけです。労働基準法を改正するというのは、これは大変でしょうけれども、少なくても特別措置としてこれを法制化することによって、予告期間、予告手当を六カ月とする。経営者も、少なくても解雇するというような場合は、半年前にはこれを予告し、再雇用がはかられるという責任を持つべきではないか。特に、勤労者の中には学校へ行っている者が多いんです、勤労学生が。一カ月前に予告されて解雇されて、それで次の学校へ行けないんですよ。やっぱり少なくても半年ぐらいの余裕をもって行うという緊急措置をとることが必要じゃないか。一つです。 第二番目は、立てかえ払いの問題です。これも五十一年度実施する。まあ新聞報道によると、賃金の六〇%相当額を立てかえるような構想で、年内法制化かと、こういう新聞記事が出ておりますけれども、真偽は私はわかりません。しかし、少なくてもこの深刻な雇用情勢下、五十一年度までは待っておれないわけです。これを繰り上げてこの制度を発足させるということが必要ではないか。 第三番目は、退職金です。これは労務債権の中で非常に大きなウエートを占めているのですか、いま会社は退職引当金制度があるんですけれども、これは決算技術上の構成値として取り扱われているわけでございまして、実際は、動産、不動産に引き当てられております。したがって、多くの事例が示すように、退職金の確保ができない。私は、退職金額のうちの一定率を企業外に積み立てて、満額でなくても、少なくても一定額はこの退職金の支給が可能であるという制度を確立する必要があるのではないか。 第四番目は、労務債権確保のためには、法廷手段を含めた対策に当たらなければならない。金がかかるんです。中小零細企業ではこの費用の負担は大変であります。少なくても刑法の中にある官選弁護人のような制度に準ずる制度を設けて、これらの労務債権確保に対する訴訟を国が積極的に援助するという姿勢が必要であろう、こう思います。 もう一問質問したいので四つかためて申し上げましたから、簡潔にしかも前向きにお答えを願いたい。
○政府委員(東村金之助君) 四つ問題を指摘されましたので申し上げますと、まず第一には、労働基準法二十条、つまり三十日前の予告を六カ月にできないかという御指摘でございます。これは、予告制度というのは、ただいまお話しございましたように、三十日前に予告するか三十日分の平均賃金を払うと、こういう制度になっております。これは長ければ長いほど次の就職の場を探すのにゆとりがあるということは御指摘のとおりでございますが、ただ、余りそういう不安定の時期を長くするということは、その労働者がその職場で落ちついて働くということの上からいって問題が出てくるし、企業経営についてもそういうことが好ましいかどうか、総合的に判断しなきゃいかぬと思うわけでございます。もちろん、この三十日というのは、労働基準法の線でございますので、これを上回ることを労使が協定しておやりになるということは結構でございますし、そういう方向で行くべき性質のものではないかと、これが第一点でございます。 それから二番目の立てかえ払いの問題でございますが、これは五十一年一部産業について実施するというお話のとおりに大臣からも社労でございましたかお話しございました。これはいままでこういう制度がなかったものをつくろうという問題ですから、非常に複雑な問題がからんでまいります。私法上のもろもろの権利との関係、ただいま法務省との間でやりとりございましたような問題、さらにはどういう賃金不払いを……
○柄谷道一君 簡潔に願います。
○政府委員(東村金之助君) 対象にしたらいいかという問題等々ございまして、やはりこれは十分検討しておかなきゃいかぬじゃないかという問題でございます。 それから退職金の引当金は決算上の問題であるから、これを企業外に積み立てたらどうかという問題、確かに、おっしゃるように、企業外に積み立てるということは、当該企業の資産構成の上で流動性を持たせるという意味ではプラスでございますが、その積み立てたものについて、先ほどお話があったような優先順位をどうするかという問題をあわせ考えないと、積み立てたということによってそれがいざ破産であるとか倒産であるというときに労働者にそのまま渡るかどうかという問題がまた別に残ると思うのです。だから、あくまでもそれは全体の中でそういうものに対して賃金債権がどういう位置づけを持ったらよろしいかという問題にかかわってくると思うわけです。 それから弁護人の問題でございますが、これもなかなかむずかしい問題でございますが、まあ立てかえ払い等検討するということでございますので、その中でさらに検討してまいりたいと、かように考えます。
○国務大臣(長谷川峻君) こういうときですからやっぱり私たちもいろいろなことを想定しながら前向きに勉強しなきゃならぬと思っております。いまお話しの四点は、いろいろ相関するものもありますし、何さま法務省関係じゃ非常にむずかしいというところを、労働者のサイドにおいて勉強するということにしてやらせてもらいたいと、こう思っております。 それから学生の話がありましたが、私も愛知県あたりに行ってみたんです。繊維で一時帰休などで学校に行けないと、なかなか泣いたりして訴えている諸君がありましたが、早速これなどは労働省から文部省の方に連絡して、そういうものは極力学校に入れるような手配などもしておりまして、まあ一つ一つの問題については、お話しのあるたびに私たちの方でもできる限りのことはやっていきたいと、こう思っております。
○柄谷道一君 私は、いま会社が倒産をし、長年働いてきた職場を去らなければならない、これはまさに深刻な状態なんです。そういうときに当たって、たとえば、いま基準局長はいろいろおっしゃいましたけれども、労使間で話せといっても、労働組合の組織もないところは一カ月ぽっきりの解雇予告で終わりなんですよ。予告期間と予告手当は関連づけられるのはこれは当然でございますけれども、大企業は退職金交渉で取れます。基準法を上回るものが取れるでしょう。しかし、中小零細企業がいま一カ月分だけの予告手当でこの不景気な世間にほうり出されるという現状については、これは本当に黙過できないと思うのですね。また、いま言われました退職金制度も、私は時間の関係ではしょったんですけれども、企業外に積み立てろということは、そこで労働者にそれが支給される道を講ずるということは当然のことなんです。しかも、私は、退職金の全額と言っていないんですよ。せめて退職金のうちの一定率、その定率が何%が適当かは大いに慎重に検討を要するとしても、やっぱり退職金の一部は確保できるんだと、こういう道を開くことは私はきわめて必要だと。弁護人の費用も全くそうであります。五人や十人の中小企業でどうして弁護人が雇えますか。弁護人が雇えないためにみすみす労務債権の放棄を余儀なくされている労働者があるわけです。私は、こういうことを考えますと、やはりこれは発想転換の時期だと思うのですね、せっかく失業保険を雇用保険法という形に切りかえて、これは大臣の勇断があったんですよ。やはり労務債権の確保にも同じような勇断が求められてしかるべきだと、こう私は思います。まあ時間を節約しろということでもう一問の質問をいたします。 行政管理庁にお伺いしますが、日本標準産業分類を洗い直すお考えはお持ちでございますか。
○説明員(田島正君) お答えいたします。 日本標準産業分類でございますが、これは経済社会のあらゆる分野にわたって作成されておりまして、ことに各種の官庁統計相互の比較を勘案し、また、わが国と外国の統計との比較に便宜するというような統計の広範な利用の推進をはかる目的のためにもっぱら統計上の必要性に基づいて制定されておりますが、この産業分類がわが国の産業構造の変化に対応した適切なものでなければならないということは私どもも銘記しておる次第でございまして、この趣旨から日本標準産業分類は現在まで七回にわたって必要な改定を行ってまいりました……
○柄谷道一君 簡単でいいです、時間もあれですから。
○説明員(田島正君) 現段階におきまして産業分類を改定するかという御趣旨の御指摘でございますが、これにつきましてほかにも具体的な御意見をいただいているケースもございまして、私どもといたしましては現在のものを洗い直しを含めた検討に着手する所存でございます。
○柄谷道一君 私は行政管理庁にちょっと御認識願いたいのですけれども、統計に使われる重要な指標である、これはわかります。しかし、行管でつくられた産業分類は、単に統計の域にとどまっていないんです。たとえば雇用保険法を適用するに当たって、不況産業の業種指定はその産業分類によっているわけです。たとえば繊維産業その他産業の構造改善をやる、この構造改善もその産業分類によるわけです。私は、そういう観点から、この前の社労で繊維の例を一つ挙げました。包装梱包、これはかつて繊維産業の一工程であった。それが産業構造の近代化に伴って別会社をつくった。運輸サービス部門になる。現実に操短が行われているにかかわらず、不況産業の指定を受けないわけです。ここに自動車産業の例があります。自動車産業の例によりましても、これは全般をくるんで大中小分類が行われておるわけです。ところが、自動車産業の中でも、二輪車、これはアメリカ向けの輸出が停滞したためにいま大きな操短をやっている。また、部品関係、これは零細関係です。これは相当の操短をやっている。にもかかわらず、大くくりな自動車産業という区分になっているために、二輪車なり部品を製造している中小零細企業は、全体をくくっての統計ですと、雇用率、失業率、そういう点が及ばないものですから、不況産業の指定になっていない。私は、この産業分類がいま波及して使われているその先というものを考えると、この洗い直しと改定は早急に行う必要がある、この点を指摘し、今度は労働大臣にお伺いしたいのですけれども、産業分類の改定をやるということになると、これは時間がかかります。いま私が申し上げたような事例が各所に出てきているわけです。そういう観点からしますと、産業分類は産業分類としても、労働省でやはり労働の実態から分類ができると、こういうくくりができるというものについては、日本標準産業分類というもののみにこだわらずに、実態に即して小分類を構成をして、その分類の中で明らかに不況産業指定の必要があると思われるものについてはやはり雇用調整交付金の支給対象にすると、こういう血の通った運営をしないと、せっかくの雇用保険法が生きてこないのじゃないか、そういう運営をしていただけますか。
○国務大臣(長谷川峻君) そういう運用をしております。そしてまた、そういう配慮をもってやろうとしておりますから、実績をひとつごらんいただきます。
○柄谷道一君 すると、いま私の問題を挙げました二輪車製造業、自動車部品・付属品製造業、繊維産業の分類内における繊維の包装梱包部門、これらは今後の検討の中で不況業種に指定する努力を行う、こう理解してよろしゅうございますね。
○政府委員(遠藤政夫君) ただいま大臣からお答えになりましたように、前向きで積極的に努力してまいりたいと思います。
○柄谷道一君 私は時間の関係で、もっともっと多く言いたいわけですが、なるべく後に控えた予算委員会もございますので協力をするという意味において質問をとどめるわけでございますけれども、重ねて、やはり時代の変化があるわけですから、法律もやっぱり時代の変化に応じて改めていくということが必要ですし、また、法のたてまえは法のたてまえとしてあっても、行政運営の面でこれを前向きにカバーし得るというものについてはこれを守っていく。私は違法をやれと言っているのじゃありません。法律は守らなければなりませんが、そうした運営を行うことがこの不況時代に対応する雇用政策の根幹になければならない姿勢だと思うわけでございます。重ねて新しい時代に対応する雇用政策という点について大臣の前向きの回答を期待し、お願いを申し上げたいと思うわけです。
○国務大臣(長谷川峻君) こういう大事なときでございますから、皆さん方の御趣旨、あるいはまたいろいろ地元のあるいは業界の模様などを私の方でよく陳情を聞いておりますので、そうした細かい配慮の中に私は指定業種の中にこうした配慮を行いまして前向きの姿勢でやっていきたいと、こう思っております。
○柄谷道一君 最後に、私は事例として挙げました二つの問題点のうち、共栄被服に関してはそういう事例がございますので、ただこれは共栄被服のみに限らず、経営者が夜逃げしてしまって後は野となれ山となれと、こういうものに対しては、やはり労働大臣が警察等に対しても協力を求めて、早くそういうものが発見できるように御努力を願いたいし、また、大和毛織の事例もあるんですけれども、私、個別の名前はきょうは言いません。言いませんけれども、少なくともこの再建に当たる主要な会社があるわけですね。そういうものが一時土地が売却できるまで立てかえても賃金だけは少なくとも払う、こういうやはり監督行政を強化していただきたい、これを切に求めまして、私の質問を終わります。
○主査(藤田進君) これをもって労働省所管に対する質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、本分科会の担当事項であります昭和五十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省、厚生省、労働省及び自治省所管に対する質疑は終了いたしました。 これをもちまして本分科会の審査を終了いたします。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 これにて散会いたします。 午後六時五十分散会 —————・—————