P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
75回国会参議院1975/06/11

予算委員会 第22号

発言数
240
登壇者
27
会派数
2
開催日
1975/06/11

会議録

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  この際、委員の異動に伴う理事の補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。  それでは、理来に松永忠二君を指名いたします。     ―――――――――――――

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 予算の執行状況に関する調査を議題といたします。  本調査につきましては、理事会におきまして、本日及び明日の二日間にわたり委員会を開会することとし、質疑総時間は三百三十分とし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党それぞれ百十分、公明党及び日本共産党それぞれ四十分、民社党二十分、第二院クラブ十分とし、質疑順位は、お手元に配付いたしました質疑通告表のとおりとすることに協議決定いたしました。  そのように取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本調査のため、本日、日本銀行副総裁前川春雄君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) それでは、これより質疑を行います。鶴園哲夫君。(拍手)

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 三木内閣が登場いたしまして六カ月になりますが、六カ月前を考えてみますと、目の当たりに浮かぶようなんでございますけれども、大変な高度経済成長に対する激しい国民の批判、また金権選挙、企業選挙、それに大企業に対します国民のかつてない不信感、そういう中で参議院選挙が行われまして、自由民主党の得票率が四二%、半数をはるかに割る、そして保革伯仲という時代になりました。その延長の上に、御承知のように田中内閣が文字どおり崩壊をする。そして三木内閣が登場いたしたわけでありますけれども、三木内閣は、登場と同時に思い切りはでな、華々しい政策をお掲げになりました。対話と協調の政治、きれいな清潔な政治を、社会の公正を確保する、騒々しい高度経済成長から静かな安定成長へ、あるいは保守の政治の流れを変えるのだ、こういうことを華々しく訴えて登場されたわけでありますが、それから六カ月たって、今日の三木総理の感懐をお伺いをいたします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 鶴園議員は、私が華々しく登場したにかかわらず、やることは後退しておるのではないかということが根底におありでしょう。しかし、鶴園議員は後退したと言われるし、一部からは私の改革は行き過ぎであるという批判を受けておることは御承知のとおりでしょう。常に、改革は物足らないというものと、行き過ぎだという両側面の批判を受けることは私は覚悟している。ただしかし、私が目指しておる目標、これは曲げてないんですよ。ただしかし、政府としては、やはり一気かせいに私も改革をやりたいんだ。しかし、現実を踏まえて一歩でも二歩でも前進さすということを、やはり現実の政治の責任を持っておる政府としては、そういうことを心がけざるを得ない。だから、いろいろ大きな改革を望まれる人には物足らない面もあると思いますけれども、まあ汽車で言えば、新幹線でなくても、普通急行ぐらいは走っていると私は思っている。それぐらい走っている。  そういうことで、いろいろな法案を提出いたしまして参議院の御審議を願っておるんだが、鶴園議員も、物足らぬから葬り去るというのでなくして、一歩でも二歩でも前進さすことが日本の政治の前進にこれは通ずるんだという見地から、切に御協力を願いたいと思うわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 三木総理が登場されます前に、政治構造は変わるのではないかといううわさが大変高かった。このことについては、この予算委員会でもその直後に論議になったところであります。しかし、そういう政治構造は変わらないで、政策の目先を変えることによってこの危機を突破しよう、回避しようというふうにやられたと思うのです。しかし、先ほども総理のおっしゃるように、思い切りはでな、華やかな政策をお打ち出しになりましたが、退却に退却、後退に後退というそういう事態になっておるのではないでしょうか。三木総理は大変結構なことをおっしゃるけれども、しかし、その骨抜きに与党は一生懸命だ。国民の率直な受けている感じは、三木総理は善玉で与党は悪玉だという感じを持っておるのではないでしょうか。この点について総理の考え方をお伺いします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 後退と言われますけれども、それの前進の幅が少ないということで、私が後ろへ歩いておるわけではないわけです。その幅の問題であって、自民党もまた三木内閣成立の一つの政治的、社会的背景からして相当な改革をやろうということで、これはやはりいま提出をしておる法案にしても相当党内で論議を呼んだんですよ。それでもやはり改革をしなければならぬということで、自民党が、いろんな論議を呼びながら党の意見をまとめて国会に提出をしたわけでございまして、私がよくて自民党が悪いというようなことはございません。私は、総裁として党の全責任を負うておるわけですから、全部の責任は私にあるわけです。自民党は常に大局を誤らないで、そして冷静な判断をしながら三木内閣に対して協力をしてくれておると、こう考えておるわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私は、申し上げたように、当初国民の受けている感じは、三木総理は善玉で与党が悪玉になっているという感じが非常に強かったですね。しかし、今日、最近になりましての国民の見方は大分変わってきているというふうに思いますですね。それは、どうも三木さんは結構なことをおっしゃるけれども、結局保守の流れは変わっていないではないか、こういう感じを持ってきているんじゃないでしょうか。私は、この間の地方統一選挙におきましてもそういう感じを非常に強く受けております。  総理がこの間、一月の施政方針演説の中で、高度経済成長を、支えたというふうにはおっしゃらなかったのですが、高度経済成長時代の制度と慣行を見改めていきたい、困難であるけれどもこれを放置しない、こういうお話をなさった。私は大変印象深く伺ったのでありますけれども、しかし、その後の六カ月を見てみまして、この高度経済成長を支えてきた制度、慣行というものに対して、是正をするという努力はなさっていらっしゃらないと私は考えております。そして、従来の経済の流れに乗っかっておられるだけではないか。金融政策の問題にいたしましても、税制の問題にいたしましても、その他の高度経済成長を支えた制度、慣行というものに対する総理のもう一遍考え方をお伺いしたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは私は大変な時代である、いまの時代を。歴史がたってみれば大変なやっぱり歴史の中に特筆される時代だと思う。こんな大きな転換期というものはいままでにそう再々ありません。したがって、すべてのものが見直しをしなければならぬ。これを、六カ月たったのにおまえ何もしないじゃないかとこう言われますが、この転換というものはそんなに私は簡単なものじゃない。それは恐らく何でしょうね、三年ぐらいの年限をかけなければならない、この転換は。そのためにこの制度、慣行についても、私が三木内閣出発以来、行政監理委員会あるいは税制調査会、財政審議会、地方制度調査会、みんなやっぱりそういうおのおのの立場から一遍見直してもらいたいということで、いま諮問をしておるわけですね。私も独裁者でありませんから、皆の意見を、衆知を集めて、この高度経済成長期を支えるいろんな制度、慣行というものがあるわけですが、すっかり日本の路線は変わっていくわけですから、そういう点で、そのまま踏襲したらいいというわけではない。見直さなければならぬわけですから、それには大変な仕事であることは事実です。戦後三十年も続いてきた制度、慣行というものを切りかえることは大変なことです。したがって、衆知を集めてそういうことをしなければならぬということで、いろんな機関にそういうことを諮問をしておるわけです。答申が出れば、政府の責任において実行しなければならぬのですが、まあ六カ月という期間がそんなに長い期間でない、この大きな転換期の制度、慣行を見直すのには。そういう点で、何もしないわけじゃない、いま切りかえの一つの準備段階にあると御承知を願いたいのでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私は、三木内閣が登場されましてすぐ大きな問題になりました税制の問題について、利子配当に対する問題、医師に対する租税特別措置の問題、土地譲渡所得税の問題、これが当時、大蔵省関係では三大不公正の税制ということを言いました。これについても当然そのときにおやりになるはずだったと思うのですけれども、土地の問題について若干の問題が出ただけで、あとはそのままの状態に放てきされている。それ以外に細々挙げますと大変になりますけれども、私はそういう制度なり、税制なり、金融政策の面について改めていくという努力が、結果としては少しも出ていないじゃないかという感じを持っておるものですから申し上げておるわけです。ですから、先ほども申し上げましたように、三木総理はいいことをおっしゃる、はなはだ思い切ったはでなことをおっしゃるけれども、保守の政治の流れは全く変わっていないのではないかという強い印象を国民が受けている。私もそう考えておりますが、そのことを申し上げたいと思います。何かありましたら、お説を伺います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 自局党は自民党としての、やはり政党としての方向を持っておるわけですから、しかも、自民党という政党は漸進的な改革を目ざす政党でありますから、一気に革命的な変化というものを自民党は考えておる政党でないわけです。そういう点から、何か鶴園議員は非常に物足らない感じをお持ちになるかもしれませんが、自民党という政党が革命の政党でない、やはり漸進的に世の中を改革していこうという政党でありますから、見る人によったら、なかなかやることは手ぬるいじゃないかという御批判は、それはあり得ると思います。しかし、われわれは堅実に社会の前進を図っていこう、あまり冒険をやる政党ではない、現実を踏まえて堅実に一歩一歩前進していこうということをねらう政党でございますから、そういう意味において、私に、鶴園議員ね、やっぱり手を広げ過ぎるという非難があるぐらいですよ。手を広げる。法案にしても相当な法案を出して御審議を願っておるわけです。手を広げ過ぎる、いま鶴園委員はやらな過ぎると言うけれども、世間は、いろいろ何もかもやろうとし過ぎるという非難も受けるぐらいでありますから、これは改革の意欲は私は少しも失ってはいないということは御理解を願いたいのでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いま総理のおっしゃったように、やり過ぎるといいますか、たくさんお出しになった。思い切ってたくさんお出しになった。しかも思い切って飾り立てて、はでにたくさんのものをお出しになった。それに対する国民の考え方だと思うのです、また私の考え方だと思うのです。しかし後退に後退、退却に退却で、保守党の流れは変わっていないのではないか、ほとんど変わっていないのではないか。  これは三木総理の言葉なんでありますが、参議院の保革伯仲というのは国民の今日の意思表示だと見るべきだと。三木総理の言葉ですけれども、私はこの立場に立って、三木総理が六カ月前に登場された初心に立って政治を進めていただきたい。そして、私が今日考えます三木総理の政治の進め方は、これは総理のおっしゃる対話と協調の精神、これを貫くことが、また貫かなければならないことが、これからの三木政治の中心にならなければならぬのではないかと、このように考えておるわけであります。所信を承ります。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) われわれが議会主義というものに徹底していこうとすれば、力づくというのは、これは議会主義のカテゴリーではないのです。力づくで、力で押し切っていこう、野党は野党で力でこれを阻止しようというのは、私は議会主義の姿だとは思わない。常に議会主義を徹底していこうと思えば、与野党とも柔軟な態度が要求されると思います。それは言葉をかえて言えば、対話と協調ということだと思うのです。これはもう私の内閣のある限り、私の政治の信条としてこの考え方を変えることはございません。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 そこで、独占禁止法の問題について、あるいは政治資金規正法について、また公職選挙法におきますところの地方区の定数是正等々について、三木総理が対話と協調の精神を貫かれるかどうか、この点をお伺いします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 公職選挙法にしても、政治資金規正法にしても、鶴園議員御承知のように、社会党と民社党などの御協力を得て修正をしたわけですからね、そういうことでございますから、われわれとしては、これは公職選挙法にしても政治資金規正法にしても、これが成立すれば相当な私は改革になると思っています。あれはいろいろよくごらんになれば相当な改革ですよ。戦後こんな改革をしたことはありませんよ、これは。そういう意味において、どうか、衆議院においてもずいぶん苦労をして各党の御協力を得たのですから、参議院においても十分御審議を願って、ぜひともこの国会で成立さしてもらいたい、こう切に願うものです。  独占禁止法についても、いま衆議院で審議の段階ですから、一日も早く参議院にお送りをしたいと思って審議を促進しておるわけです。われわれとしても、その修正というものには応じられるものもあり、応じられぬものもあるでしょうけれども、原則的には、国会が修正をされるということはこれはもう国会の機能からして当然のことでございます。われわれはそういうことは、自民党としてその修正に応じられるものはできるだけ応じていきたい。応じられないものもあるわけですわね。応じられるものはできるだけ応じていきたいという態度で、衆議院の審議をごらんになっても、そういう態度で臨んできたわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 この公職選挙法の問題につきまして、参議院の方の全野党が地方区の定数是正の問題について要求をいたしております。この定数是正の問題について、総理の本会議における月曜日の答弁を聞いておりますと、若干の私問題を感じますけれども、全国区と地方区の割合、地方区百五十名、全国区百名、この数字の間には関連はない。でありますから、全国区と切り離して地方区の定数を是正するという考え方について、三木総理の御見解を伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 参議院の機能というものは、日本の議会制度の中できわめて重要な機能を持っていると思います。参議院のあり方というものはやはりいろいろ問題が私はあると思う。全国区の問題にしても、いまの全国区のあり方がいいかどうか問題がある。定数の問題についてもこれはまたいろんな意見があるわけですね、定数。衆議院のように人口によって機械的に定数をふやしていったらいいのかどうかということにも議論する人もあるのですよ。  私は、できれば今度の改革というものは参議院も衆議院も一緒にやりたかったんです。ところが、衆議院の場合はもう各党で意見が一致したんですね。定数是正の問題も、あれは各党で意見が一致したんですからね。ところが、参議院の場合はそうはいってないわけで、この重大な院の構成に関することで各党の合意ができてないわけですから、衆議院の場合とはよほど条件が違っておったわけですよ。それを一緒にやるという、一緒にできなければ、ワンパッケージでなければ衆議院の方もそれと歩調を合わしてやめておくという手もあるでしょうが、それもせっかくまとまっておるから、まあそれが片足であってもこれは前進した方がいいと。いままではワンパッケージ、パッケージということでそれを何か抑えるために使われたこともあるのですよ。そういうことで今度は、全体一緒に出せば一番理想的ですが、そういう事情で衆議院の方だけの定数是正というものをいたしたわけでございます。ほかの公職選挙法のいろいろな改正を行ったわけですが、それと一緒に。  だから、この問題は私は真剣に参議院の方においても十分これは御検討願いたい。参議院の場合は相当任期もまだ、衆議院の場合と事情が違いますから、期間があるわけですから、そういう点で参議院においても、これは日本の議会政治の中における参議院のあり方というものに関連して、各党が、将来の大きな重要な問題ですから、十分御審議を願って、結論を得てこの問題に取り組む方が適当であると、こういう考えで今回は定数是正の問題は衆議院だけにいたしたわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いま総理のおっしゃるように、衆議院と参議院と両院で国会は構成されておりますから、したがって衆議院の定数是正とともに参議院の方の定数是正、これが最も望ましい。しかし、総理はそうおっしゃるが、実際は骨を抜かれた。これも私は骨を抜かれているというふうに思います。また総理は、参議院の任期はもう少しある、それまでにはというお話ですけれども、しかし定数是正は、やはり衆議院と参議院が、衆議院が定数を是正するときにやらなければ、その機運の中でやらなければ、とても次の参議院選挙まで間に合うようなことにはならないと私は考えております。ですから、そのたびに骨を抜かれないように、足を引っ張られないように、総理として総裁としての努力が必要なのではないかと私は思います。  なお、総理は全国区と地方区との関係があるやに本会議でおっしゃいましたですけれども、この定数の百五十名と百名の間には何も一定の定率があるわけでもありませんし、初めて参議院の選挙法が昭和二十一年に帝国議会で論議されましたときにも、百五十名と百名の問題については何らの根拠はない。さらに昭和二十五年に選挙法が論議されましたときに、東京都は四名ふやすと。そのときも全国区との割合も何らの論議になっておりません。沖繩が復帰する前に、御承知のとおりに地方区が二名ふえまして、その後公選法を改正をいたしましたですけれども、その場合にも全国区百名との比率あるいはその他の関係も何ら問題になっていない。でありますから、私は全国区とは切り離して、この際衆議院の定数是正と一緒にこれは行うべきだ、衆議院の方が二・八倍に圧縮した、参議院の方が五倍を超す、こういう状態の中では一歩を踏み出したということにはならないと私は考えております。総理の見解を承ります。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) だから私も、いつまでもこれは延ばそうというのではなくして、次の参議院の選挙までには結論を出すことにいたしますというのですから、国会が済みましたら積極的にこの問題は取り組んでみたいと思っております。これはやはり全国区にも各党においていろいろな新しい案も提案をされておりますし、だから選挙制度全体というものは、一つの問題を投げかけておることは事実ですね、参議院の。そういうので、この国会後において、できるだけ早くこの問題に結論を出すように政府は積極的に努力をいたす考えでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、五十年度の予算が成立をいたしまして、四月の二日に成立をいたしたわけですが、それから三日もたたない間に、五十年度の歳入欠陥があるというような論議が行われている。四月の六日には、新聞の一面にトップ記事で大きく報道されました。そうして四月の十五日、大蔵大臣は「当面の財政事情について」という見解を出されました。世に財政危機宣言と言われております。簡単でありますからこの財政危機宣言でいきますが、この財政危機宣言で、四十九年度の税収について約九千億円ほど歳入欠陥があるという説明をしていらっしゃいます。その補てんはどうなさっているのか、伺います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 四十九年度の税収は、当初の見積もりに比較いたしまして、四月半ばの段階におきまして約八千億円程度不足を来すのではないかということで、私といたしましては財政事情を閣議に御報告申し上げて各大臣の御協力を願ったのでございます。その後、処理が進みまして、結果といたしまして七千六百八十六億円の税収不足ということにほぼ固まってまいったわけでございます。これをいかに、どのように処理したかということでございますが、国税収納金処理に関する政令を改正いたしまして、いままで納期限ベースで歳入いたしておりました税金を、発生ベース、納税義務が発生する時期をとらえてその年度の収入にするということに改めさしていただきまして、四千三百三十億円というものを四十九年度の歳入に取り込むことにいたしたわけでございます。そうして三千三百五十六億円というものがなお不足するわけでございますが、これにつきましては、税外収入におきまして二千六百二十億円の増収を図りまして、歳出の不用を千七百七十六億円立てまして、都合四千三百九十六億円という増収を図りまして、これを補てんして、したがって千四十億円というものが剰余金として残る、こういう始末をさせていただいておるところでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 問題は、政令の改正によりまして、五十年度の予算で承認されている分からおおむね一定部分、一カ月分とはいきませんが、四千三百三十億円を四十九年度が終わってからこれを繰り込んだ。会計年度独立の原則から申して問題はないのかどうか。この点についての大蔵大臣と会計検査院長の見解を聞きたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 税収をどの年度の歳入に帰属するものとして処理するかということでございますが、先ほど申しましたように、ただいままで納期限ベースと申しますか、納期が属する年度の歳入に帰属すべきものとして処理いたしておったわけでございますけれども、それを発生ベースに変えさせていただいたわけでございます。このことは、政府の権限として国会から与えられた裁量の範囲内のことと心得ておるものでございまして、違法でないばかりか、同時に歳入年度区分の原則を紛淆するものとは私は考えておりません。

白石正雄会計検査院長

○会計検査院長(白石正雄君) お答えいたします。  国税収納資金の帰属年度区分に関する政令の改正でございまするが、これは法律の規定によりまして政令にその事項がゆだねられておるわけでございます。それを、政府の権限において今回政令の改正が行われたものでございまするので、適法な措置だと考えておる次第でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 大蔵大臣のこの財政危機宣言によりますと、五十年度について、歳入面について従来のような自然増収は期待することは困難だ、むしろ自然減収をも考えなければならない、こういうふうに述べていらっしゃる。歳入欠陥はどの程度と見ておられますか、五十年度。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 五十年度は、始まりまして二カ月余りしかたっておりません。これから先十カ月、国の内外の経済がどういう態様において、どういう水準において推移してまいりますか、また、これに対しまして政府がどういう政策を持って対応するかというようなことはこれからのことでございまするので、税収見積もりの根拠になる経済自体の展望が明らかでない今日、仰せの五十年度の税収をいまの段階で見積もるということは大変困難なわざでございますので、困難でございますことは御了承いただきたいと思います。  ただ、先般参議院の大蔵委員会におきましてこのことが論議になりまして、いろんな仮定を置きまして、こういう仮定で計算すればどうなるかというような試算はしようと思ったらできるわけでございますので、若干の試算を申し上げたことはございますけれども、現実に五十年度の税収の見積もりというものを、政府の責任におきましていまの段階で幾ら幾らになりそうだというようなことは申し上げることはできないと思います。ただ、いま鶴園さんがおっしゃったとおり、いままでのように自然増収を期待するなんということはとてもできそうにないということ、そして自然減収を生じかねない状況であるという感じを持っておりますことは、仰せのとおりでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いま大臣のおっしゃった大蔵委員会での説明ですというと、四十九年度の税収不足額、これを五十年度に引き延ばす、つまり四十九年度の税収に対して二七%増という考え方をもって予算が組まれている。しかし、約八千億近い、七千六百八十六億円という歳入欠陥があったという点を踏まえて見ると、ほぼ九千億円程度のものになるというメモを出していらっしゃる。さらに補正予算の関係で言いますというと、食管特別会計の問題もありますし、その他いろいろの問題を考えて、二兆円程度の歳入欠陥になるのではないかという質疑が行われて、そういうこともあり得るような発言が大臣として行われておるわけですが、私はこの四十九年度の補正予算、十二月に二兆円を超すという大きな補正予算を組んで、そしてすぐ、どうも約八千億円歳入欠陥だというお話、五十年度の予算が四月の二日に成立をして、三日後の四月の五日にはすでに五十年度もこれは歳入欠陥があるということが大蔵省の幹部会で論議になって、そして四月の六日の日には大きく新聞に出る。これは前代未聞だと私は思うのですけれども、この責任は一体だれが持っていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、今度の歳入不足という問題は大変異例なことでございまして、鶴園委員ばかりでなく、多くの方がこの事態を驚きを持って憂えておることは私よく理解できるわけでございます。  ただ、ちょっとお聞き取りいただきたいのでございますが、なるほど仰せのように四月二日に予算が成立いたしたのでございます。四月二日までに私どものところにございました確たる材料といたしましては、一月、二月という二月までの税収の実績が手にあったわけでございます。一月も二月も税収の成績は去年に比べてことしはよろしいわけでございまして、二月の実績は去年に比べまして一・一%を上回った実績を示しておるわけでございます。したがいまして、この表で見る限りにおきまして、四十九年度の税収がこのような落ち込みになるということは一応推測がつきかねるわけでございます。  ただ、これに先行する問題といたしまして、十二月決算の法人の成績がよくなかったわけでございます。御案内のように、一年の営業年度を持つ法人が法人税の約六割を納めているわけでございますけれども、この上半期は大変成績がよくて、前年度に比べまして百五十数%の増収でございました。ところが、下半期は景気がよくなかろうということで、私どもも前年に比べて一一〇%程度の見積もりであったわけでございますけれども、十月は確かに一二五、ところが十一月になって一〇三に落ちたわけです。十二月になりまして九六に落ちてまいりましたわけでございますので、これはどうもこの景気の落ち込みは相当なものになるのではないかという懸念を持っておりました。それは、しかし法人というのは大体二カ月申告期限があるものでございますから、十二月に決算いたしましたものが三月に入るわけでございまするので、私ども十二月までの数字を踏まえて、予算が成立の時点ではそういう数字しか持っていなかったわけでございますが、これが一月になりまして、さらに九二%に落ちたわけでございます。それから三月十五日の確定申告が非常に鋭角的な落ち方を見たわけでございます。  全くこういうことはかつてなかったことでございまして、こういう事態を洞察いたしまして、税の弾性値というものを的確に見通すことができなかった大蔵省の不明は、どこにも訴えようがございません。これは私ども主税局の練達な諸君の見積もりを信頼いたしておるわけでございますけれども、このようになりましたことを、この諸君も大変不覚であろうと思っております。しかし、責任は申すまでもなく私にあるわけでございまして、この事実を、苦い経験を十分体しまして、今後の税務の処理に間違いないようにしなければならぬと考えておる次第でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 この四月十五日の大蔵大臣の財政危機宣言を見てみますというと、各位の御理解と御協力をお願いしますと、この繰り返しなんです。確かに協力と理解を願わなければならぬ面があります。しかし、理解と協力だけで済む問題ではないと思うのです。いま大臣は不明である、どこへいったって不明と言わざるを得ないと、こうおっしゃった。しかし、財政宣言の中では一言もそういうことは触れていない。そういう姿勢でいいのかどうか、もう一遍承ります。理解と協力だけの繰り返しに終わっている。これは国民に大変な迷惑です。これは今後の予算の執行の面について、あるいは選択的な増税の問題について大きな国民に迷惑をかける。私は、この危機宣言の中で御理解と御協力をお願いしますの繰り返しでは済まないと思っているんです。もう一遍伺います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国民各位の御理解と御協力をお願いする前提といたしましては、申すまでもなく、私を初め大蔵当局の謙虚な反省がなければならぬわけでございます。十分その点は心していかなければならぬことだと存じております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私は、閣僚の失言問題についていろいろ責任の問題をごちゃごちゃ言われる。しかし、いま大蔵大臣のおっしゃっていることは、これは政策上の重大なミステークじゃないですか。そういう問題について責任があいまいでは困る。しかも、そのことを発表するところの大蔵大臣が、理解と協力をお願いしますで繰り返している。誤りであるとか、申しわけないという言葉は一つもない。いまこれが出ただけの話。私はもっと、国の骨幹の予算についてこれだけの誤りをしたならば、それだけの政治の責任を負わなければならぬというふうに思うのですけれども、大蔵大臣の考え方を承ります。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 政治の責任は私にあるわけでございまして、その責任を回避しようとは思いません。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 三木総理、これは閣僚の失言問題よりもはるかに大きな問題じゃないでしょうか。四月の二日に予算が成立をして二週間足らずの間に、税収の欠陥がある、ひょっとしたら二兆円にもなるんじゃないかというような話では、これは重大な責任だと思うのです。練達の主計局のことを信頼してやったけれどもこういうことになったという話なんですが、これは三木内閣の政策の集積として出ている面もあると思うのです。こういった問題について総理、どういう責任をとるか、その点の総理の見解を承ります。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) こういう経済の激動期というものも背景にあるでしょう、高度経済成長から安定成長への。しかし、そういうものに対して見通しを立ててすることは政府の責任でありますが、そういう点が必ずしも見通しが十分でなかったということに対しては、われわれもやっぱり責任を感ぜざるを得ないと思っております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 総理、政策上のこういう問題について、もっとはっきり責任をとるべきじゃないかと思うのですがね。理解と御協力だけで済む問題じゃないと私は思うのです。  そこでお伺いしますけれども、五十年度の税収の一定部分を四千三百三十億円を四十九年度に繰り込む、政令の改正でやる。いいというお話でありますが、五十年度の歳入に変化があったことは事実でしょう。この問題をそのまま済まされる予定ですか、この点をお伺いします。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 政令の改正によりまして年度の帰属を発生ベースに変えたわけでございまして、これは五十一年度以降、政令を改正しない限りはずっと続いてまいるわけでございまして、その限りにおきましては変化はございません。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 国会は五十年度の予算を、歳入及び歳出を決定をしている。その歳入について変化があったということについて、政令で改正したが、それでいいということで済むと思っていらっしゃるのかどうか。これはやはり国会が歳入歳出を決定をしている。その歳入について変化があったのだから、国会の承認を受けるべきだと私は思うんです。この点についての大蔵大臣の見解を承ります。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほどもお答え申しましたように、国会から政府に与えられた権限の中で政令の改正をいたしたわけでございます。その限りにおきまして、私は政府が越権なことをいたしたものとは思っておりません。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私は先ほど申し上げたように、歳入歳出について国会で決定をしている。それが歳入について明らかに変化があった。そのことについて国会で了承を得ないでもいい、それは国会で与えた政令によってという話、しかし、明らかにこれはあったんだから、こういう結果になっているという了承を得る必要がある、了解を得る必要があるというふうに思うわけです。この点について、もう一遍お答えをお願いしますと同時に、もう一つ、政令の改正によってという、これはある意味では臨時的な、あるいは循環的な問題かもしれないだろうと思うんです。それについて、恒常的な政令改正で臨むということについての考え方をお聞きしたい。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、歳入の帰属年度の改正でございまして、予算を管轄されまする国会に対しまして、このことは国会が重大な関心を持たれておることは当然と心得るわけでございます。したがいまして、このことは時を移さず両院の関係委員会に御報告を申し上げて御理解を求めたところでございます。しかしながら、特別の議案として提案申し上げて議決を経るという性質のものではないと心得たわけでございます。  それから後段の方の御質疑の意味は、私には、大変失礼でございますが、よく理解ができなかったのでございますが、もう一度お願いしたいと思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 これは循環的な問題ではないか、あるいは臨時的な問題ではないかと思うんです。それについて恒常的な政令の改正によって対処するという問題であります。恒常的な、これからずっと……。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) これからずっと発生ベースでやってまいることになります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 五十年度の歳入欠陥というのは、いろいろその額は言われております。また、大蔵委員会においても大蔵大臣の発言もあります。それに対する対策についてお考えを聞きたいと思うんです。特に増税の問題、五十年度の増税の問題、あるいは国債の問題等についてお尋ねをしたい。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま御指摘をいただいておりますように、四十九年度の税収に巨額の見積もり上のそごがあったわけでございます。しかし、五十年度の予算はそういう歳入不足がないという前提での、補正後の四十九年度の予算をベースにいたしまして見積もりを立てておりまするので、仰せのように四十九年度のこの歳入欠陥という問題は、五十年度に尾を引く性質のものであろうというふうに考えるわけでございます。したがって、五十年度の歳入欠陥について御心配になられることは当然理解ができることでございます。けれども、先ほどお答え申し上げましたように、年度が始まりましてまだ二カ月でございまして、今後の経済の推移というものの展望がまだ定かでもない、それから政府全体といたしましても、経済の見通しというものを変更するという段階でもないわけでございますので、ことしの歳入、五十年度の歳入不足がどのくらいになるであろうかというようなことをいま申し上げることができないということを御了解をお願い申し上げたのも、そういう趣旨のものでございます。  ただ、先ほど申しましたように、自然増収はおろか、自然減収を生じかねない事態があるという認識を痛いほど感じておるものでございまするから、そういうことに対しまして、私は四月の発言の場合におきましても、まず、既定の行政経費の節減もお願いしなけりゃなるまい、新規の財政需要についてはできるだけ慎重にお願いしなけりゃなるまいという趣旨で、各省庁の御協力をお願いいたしたところでございます。  歳入の問題につきましては、いまどういう態度で臨むかということにつきまして、政府部内で定まった方針を持っておりません。ただ、財政当局といたしまして、私の手元におきましては、こういうあらましの考え方を持っていま検討を進めておるわけでございます。すなわち、できるだけ歳出をしぼってまいるということ、そのような方向で各省庁の御協力をお願いしたいということ、それから歳入につきましては、いまのような景気の状況でございまするし、経済が衰弱いたしておるときでございまするので、一般的に増税をお願いするというような時期でないと判断いたしております。しかし、現行税制の中で増収を図る方途はないものかということにつきまして、行政府としては当然検討をしなければならぬということでございまして、法人の引当金、準備金等を初めといたしまして、現行税制の中でどういった点についてもう少し増収を図る道がないものかというような点につきましては、いま鋭意検討をいたしておるわけでございます。  それから、一般的な増税を考える、そうお願いするつもりはございませんけれども、選択的に増収を図る道をもっと考えまして、あるいは国会の御審議を仰がなければならぬというような場合があるかもしれませんが、そういった点、つまり選択的な増収の方途について、いま財政当局としては鋭意勉強をいたしておるわけでございます。  それから公債の問題でございますが、いろんな手を尽くしまして、しかもなお歳入が不足するというような場合には、残念ながら公債に依存しなけりゃならぬ場合が起こるかもしれないと思うのであります。しかし、公債に漫然依存するということは、財政といたしましては極力警戒しなけりゃならぬことでございまして、私どもとしては、なるべくそういうことのないように努力してまいるつもりでございますけれども、万が一公債に依存せざるを得ないという局面になりましても、財政法が志向しておる原則、建設公債でまいるということ、市場消化というものを貫くということは何としても貫かなければならないのではないかと、いませっかくそう決心をいたして、鋭意勉強中でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 五十年度の問題について、一般の増税は考えられない、現行の税制の中で増収を図る面はないかということで努力をし、鋭意検討中であると。額はともかくとして、この選択的な増税についてどういう項目について検討しておられるのか、お伺いをいたします。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○政府委員(中橋敬次郎君) これらの問題は、いずれ政府の税制調査会にもお諮りしなければなりませんが、私どもが事務当局としまして検討をし始めております問題としては、先ほど大臣からお話し申し上げましたように、たとえば法人税の中の引当金、まあ例としますれば貸し倒れ引当金、あるいはその他の準備金について選択的な増収の道がないかということでございます。あるいはさらに交際費の課税の強化の問題、あるいはまた広告とかギャンブルに対します課税の問題、そういったものを目下検討し始めておるところでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 五十年度はともかくいまお話しのとおりでありますが、五十一年度以降の問題についての考え方を聞きたいと思います、歳入の面について。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 財政は、健全な経済に依存して生活をするものでございまして、財政の展望は、申すまでもなく、今後の長期にわたる日本の経済の展望の中で考えていかなければならぬものと心得ておるわけでございます。それでは日本の経済の将来の展望はどう見ていくかということでございますが、これは私は大変むずかしい課題で、申すまでもなく、内外の諸条件が不安定な状況でございまして、経済計画を持つ、あるいは経済展望を持つということは容易ならぬ難事業であると思うのでございます。しかし、政府としては、石油ショック以後の一つの危機をともかく乗り切ってまいりまして、五十年度という踊り場を越えて、五十一年度から経済社会等の諸計画というようなものを、中・長期のものをひとつ構想してみようじゃないかということで、いま経済企画庁を中心に検討が始められておるわけでございまして、その中におきまして財政の展望も切り開いていかなければならぬものと思っておるわけでございまして、財政だけが独立して別な計画を持っておるというわけでは決してございませんで、そういう諸計画との協調を図りながら展望を明らかにしていくように努力したいと考えておりまして、ただいまどういう構想で進めておるかということを、まだ申し上げる段階でないことを御了承いただきたいと思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 物価の問題が最大の政治課題であると一貫して主張してこられたわけであります。まず、この物価について、三月に消費者物価を前年同月比一五%以内ということで一四・二%になった。おっしゃるとおり、確かに一五%以内ということになったわけです。しかし、年間の上昇率というのは、御承知のように四十六年が五・七%、四十七年度が五・二一%、四十八年が一六・一%というのに比べまして、四十九年度が実に二一・八%という大変に高いものであります。これから来年の三月に九・九%、年間を通して一一・八%という目標でありますが、これは大きな課題になっていると思うのです。この九・九%についての見通しと根拠をひとつ示してもらいたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) まあ九・九%という目標は、これはぜひ実現をしたいと、こういうふうに思っておりますが、そう容易なものではないということはよく承知しております。そこで、しかしこの九・九%が実現不可能なものであるかというと、私はそうは考えない。物価を取り巻く環境は、非常に私は昨年に比べまして改善をされている。いま物価の現段階はどういう情勢であるかといいますと、需給インフレじゃないのです。コストインフレ、コストが物価をじりじり引き上げておる、こういう状態と、こういうふうに見ております。  しからばそのコストは一体どうだと、こう言いますと、昨年、とにかくコストの中で大事なのは原材料、原材料の中で浮動要因は海外物資でございます。これが昨年はずっと上がり続けたわけでありますが、いまや頭打ちであり、鶴園さんよく御承知のとおり、農作物のごときはこの半年の間に半値、あるいは半値以下というものが続出をしておる。それが夏ごろ以降になりますと続々わが国に入着をしてくる、こういうような情勢です。  それから第二に、しかも消費者物価にとりましては非常に大きな影響のある賃金はどうだ、人件費はどうだと、こう言いますと、昨年は三二・九%の上昇、ことしは、まだすっかり済んでおりませんけれども、一三・四%の線に落ちつきそうな傾向であります。これも大変な変化だと、こういうふうに見ておるのであります。  それから公共料金が、去年はこれは消費者物価引き上げに大きな要素になっておったのです。六月には電力料金が業務用は七〇%、家庭用は三〇%というような大幅な引き上げ、ガス料金がそうだ、私鉄、国鉄が上がる、バス、トラック、またタクシー、みんな肩を並べて引き上げを行う、消費者米価は三二%の大幅な引き上げを行う、こういうようなことだったのです。ことしはどうかというと、公共料金抑制方針だということで、酒、たばこ、郵便料金、それから、これからまだ検討しなければなりませんけれども、米価をどうするか、麦価をどうするかと、こういう問題があります。しかし、それにいたしましても、昨年はこの公共料金が消費者物価に与える影響というのは三%を超える、こういう状態だった。ことしはそれは恐らく半分以下のものであろうと、こういうふうに思うのでありまして、これも非常な変化である。  それから、金利もまたこれはコスト要因として響くわけでございますが、一昨年の暮れに公定歩合二%の一挙引き上げがあったわけです。その影響が昨年だらだらとずっと響いておる。ことしはすでに一%の引き下げをする。なお引き下げの可能性をはらんでおる、こういうような状態でありまして、その面も昨年に比べて非常によろしい。  こういうことでありまして、昨年の消費者物価上昇が一四・二%で済んだ。これから総需要抑制体制を堅持する。各物資の需給、また価格の動向を注意してまいりまして、それぞれ行政指導よろしきを得る。また、不況が続くものですから、企業の経営内容がよくない。それを改善しようとする動きが財界にあるわけでございますが、そういうものに対しましてはこの抑制について協力を求める。そういうようなことを注意深くやってまいりますれば、私は九・九%というものは実現できると思う。しかも九・九%というものは、非常にこれは重要な私は政治課題だと思うんです。ことし春闘がなだらかに済んだ。これは私は、とにかく昨年の物価上昇が一四・二%で済んだ、しかも政府が五十年度は九・九%と言っておる、その物価に対する期待、そういうことがこの春闘がなだらかに済んだ背景にあると思うんです。そういうことを考えますと、これは何が何でもといいますか、万難を排してこの目標は実現しなきゃならぬ、そういうふうに考えまして最善を尽くしてまいりたい、かような考えでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 企画庁長官そうおっしゃいますが、五十年度に入りますと同時に、四月に御承知のとおりに二・二%の大幅な消費者物価の値上がりがありまして、五月は、東京都区部だけでありますが、一%、大体いま東京都の区部と全国というのはほぼ連動いたしておるように思いますが、その意味で年度が始まってすぐ四月と五月で合わせて三・二%という、九・九%のほぼ三分の一というものをすでに五十年度の初めで食いつぶしている。  そしていま、たばこ、酒の問題は参議院でこういう状態でおくれておりますが、酒、たばこの問題もありますし、それからいま副総理もおっしゃったように消費者米価、消費者麦価、これは先ほどの大蔵大臣のお話のように、財政の問題から言いますと相当に上げるだろうというふうに見ざるを得ない。消費者米価、消費者麦価、さらに御承知のとおりに大きな企業の物資の値上げも大変な熱意でありますし、三月から主張し続けている。さらに御承知のとおり私鉄の問題もあります。灯油の問題もある。牛乳の問題もある。たくさん値上がりの要素というものは山積しておるんじゃないでしょうか。また最近は、御承知のように農産物の中の豚肉の卸売価格が四〇%ぐらい上がっている。急騰いたしました。まず五〇%を超すだろうと見ております。八月ごろまで続くのじゃないでしょうか。そしてこれが消費者物価にはね返るのは、恐らく十月ごろまで続くだろうと思う。レモンどころの騒ぎじゃないです。  そういう点を見ますと、私はこの消費者物価の九・九%という問題は、いま副総理はそうおっしゃったが、これは容易ではない、大変なことだ、私は公約を裏切ることになりはせぬかというふうに思っておんるですけれども、重ねて副総理の見解を承ります。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 最近、四月、五月の消費者物価の動きを見て、五十年度中の一けた台というのがむずかしいのじゃないかというような議論をなす人があるんです。鶴園さんもそうおっしゃっておるんですが、この四月は非常に特殊な月でございまして、授業料のつけかえ、こういう月に当たるわけです。その他授業料類似の教育、娯楽費、そういうものが一斉というぐらいつけかえる。この傾向は昨年の三月も出ておるんです。昨年は全国消費者物価が四月に二・七%上がっておる、こういうような状態でしたが、ことしはそれが二・二%。それから五月が、これは昨年は非常になだらかでございまして、〇・三です。ことしは一%になっておる。もっともこれは御指摘のように東京区部の話でございまして特殊の要因もあると思うんですが、特に東京におきましては、ふろ代が七十五円というのが百円になるとか、あるいは都市ですからレモンが多く使われる。このレモンの値段が五倍にはね上がるとか、そういうような特殊な要因があるんです。   〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕  しかし、先ほど申し上げましたように、物価安定の基調、その背景というものは私は非常にことしはしっかりしていると思う。でありますので、その特殊要因ということを除いて考えますと、私はこれはそう大きな上がりとは見ておらない。物価鎮静化、一けた台へ向かっての歩み、この基調は私は動いておらぬと、こういうふうに見ており、この上とも努力をいたしたい、かような考えでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 レモンの話も出ましたが、私は先ほど豚肉が大変な値上がりをしている。これは政府が安定価格政策をとっておるのですけれども、昨年からもうすでに想定されておったわけでして、急激に上がってきている。それが七、八月ごろ、消費者物価でいいますと十月ごろまで響く。これは大きいと思う。  これについて農林大臣のお話を承ると同時に、いま副総理がおっしゃった四月というのは特殊な月だ、四月に上がるんだ、四十九年の四月も二・七%だとおっしゃった。これは四十九年というのは特に物価が上がった年なんです。ぐっと上がってきた年なんです。そのときとそんなに変わらない上がり方をしている、ことしの四月というのは。決して安定に向かっているという形ではないと私は見ている。去年は四月というのは、これはぐっと上がってきている最中の二・七だ。そして五月は〇・三。これに比べましてことしは安定し鎮静化していると言いながら二・二という上がり方をしたということは、これは四月ということだけで解決できないというふうに思いますし、五月の、この東京都区部ですけれども、一%というのはこれは非常なやはり上がりだ。その意味では政府は見誤ったという程度の値上がりだと私は思っております。農林大臣と副総理の見解を伺います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 見誤る、見誤らないのまだ段階じゃないんです。年度が始まりましてまだ二カ月の段階ですね。いま四月、五月が消費者物価が上がったと言いますが、これから先毎月平均〇・六三、この上昇でありますれば、これは年度内一%以内の一けた台の上昇ということが実現できるわけなんです。私は、企業の方の動き、これは心配してそれぞれの手を打っておるのですが、その他、その目標への道程を脅かす要素というのはそうはないと思うのですよ。とにかくこれは大事な政治課題でもあり、国民的課題だと思う。これは国民全体が物価が昨年よりもはるかに安定基調を強めるということを待望していると思うのですよ。これにこたえるということは政治の大きな課題です。私は、それでありますので、四月、五月が多少と言うけれども、その基調には変わりはありませんから、その強い基調を踏まえまして、これはひとつ自信を持ってやっていきたいと、こういうふうに思うので、ひとつ大いに御鞭撻のほどをお願い申し上げます。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 最近豚肉が高騰したということにつきましては、私どもも心配をいたしておるわけでございます。この原因については、鶴園さんも御承知のとおり、昨年の夏以降、飼料高ということで豚の生産農家が経営の先行きに不安を持った。そのために子豚の飼養頭数が減少したという影響が今日あらわれておるわけでございます。現在では、五月の情勢では、豚肉の上につきましては六百八十円というのが上位価格でありますが、七百十円前後という状態でございます。これは六月もそういう状態が続くのではないかというふうに考えております。そうした豚の飼養頭数が減少した。さらにまた今後豚肉の需要期に入ってくるわけでございます。したがって、われわれとしてもこの豚肉の安定のためには今後とも努力をいたしていかなければなりませんが、とりあえず、現在、関税の減免措置を行うように検討をいたしておるわけでありまして、関係当局とも調整をとりまして、近いうちに減免措置を行いたい、そうして外国からの豚肉の輸入の促進を図ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。   〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 豚肉を輸入しようと言いましても、輸入するところが大変少なくなっておりまして、これは大変な問題だと思っているんですけれども、しかし、いま私は物価の情勢というのは、副総理がおっしゃるようにそういう基盤がかたいものではない、非常にまだまだ不安定な中にあるというふうに見ております。そして、先ほど申し上げましたように、酒、たばこの問題がありますし、郵便料金の問題がありますし、そして消費者米価、消費者麦価もすぐそこに控えております。それ以外にも先ほど申し上げたように次から次に出てくるわけなんです。ですから、今度の物価の問題、これからの消費者物価の問題については、これは公共料金的なものが主導的な役割りを果たしていくのではないかというような考え方が非常に深いわけであります。したがって、私はこの公共料金について、これをいままで極力抑えてこられたのですけれども、もっとこれはやっぱり延ばしていくとか、当分抑えていくとかいうような考え方が必要ではないかというふうに思いますけれども、副総理の見解を承ります。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 昨年の一月、石油の輸入価格が四倍になった、それに対しまして国内の価格調整というものが行われたことは御承知のとおりです。いわゆる新価格体系というか、そういう方向へ大きく日本全体の価格体系というものが動いたわけです。そういう中において、急激な物価上昇、これをできる限り控えたいと、こういうような趣旨から、公共料金につきましてはおおむね新価格体系への対応という措置をとらなかったわけです。そういうことで新価格体系への調整、対応、その積み残しという部分が公共料金には多く残っておる。これはいつかは是正しなければならぬわけなんです。是正しなければなりませんけれども、政府の考え方といたしましては、まだ物価が非常に重要な段階だ、そこで限られたものだけをひとつこの際五十年度には行うにとどめたいと、こういうので、酒とたばこ、それから郵便料金、しかもその実施の時期、それから上げ幅等につきましても細心の注意を払いながら、この三つのものはやっていきたい。それから米価、麦価、これにつきましてはまだ結論を出さないままに推移しておるわけでございますが、一番差し迫った国鉄だとか、あるいは電信電話でありますとか、そういうものにつきましては、これはもうずっと抑える、本年度は凍結だと、こういうことにいたしておるわけであります。  ただいま申し上げました、よんどころない引き上げの分につきましては、それらを織り込みまして年度内消費者物価一けたということを申しておるわけでありまして、さようなことでございますので、公共料金がこういう際に上がるということは、これは物価安定から言えばずいぶん重苦しい問題ではあるんです。あるんだけれども、また物価以外のいろんな要因もありまして、やむを得ずこれは引き上げる、こういうことにし、しかもこれは物価見通しの一けた台目標の中には織り込んでおる。こういうことでございますので、御審議願っておる公共料金につきましては、ぜひこれを御審議の上成立させていただきたい、かように存じます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 四月の十六日に公定歩合の第一次引き下げを行われまして、そして大変予想よりも早かったわけですが、二カ月たたない間に、六月六日に第二次の〇・五%の引き下げが行われた。これは私は、どうも物価優先という立場から景気回復へというふうに政策の重点が変わりつつある、物価の優先というのが崩れつつあるのではないかという懸念をいたしております。これは経済学の教科書だって、物価を下げろというときに金利を下げろというのは載ってないわけですから、そういうふうに変わりつつあるのではないかという点についての見解を聞きたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど申し上げたんですが、いま物価問題の性格、段階は、これは需給インフレじゃないんです。これはコストインフレの段階である。もしこれが需給インフレの段階であるということでありますれば、これはまさに金利水準を引き下げる、公定歩合を引き下げる、こういうような措置はこれをとるべき性質のものじゃございません。しかし、コスト段階とすれば、やっぱり金利というものもこれは製品コストの中で重要な要素を占めるわけでございまするから、金利を下げる、そうすれば製品のコストはそれだけ下がる、したがって物の価格は引き下げ得ると、こういう性格を持つわけであります。そういう、物価政策といま矛盾するというふうな取り上げ方はしておりません。むしろ物価政策に裨益するところがある。ただ、需給関係をこの金利政策によって緩めるというようなことになりますると、これは需給関係から物価を刺激するということになります。したがって量的金融の規制、これにつきましては総需要管理政策の一環といたしましてこれは堅持してまいる、こういうことでありますので、これは物価に対しましてはいい影響があろうとも悪い影響はない、こういう判断でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 四月の十六日、第一次の引き下げのときに、日銀総裁が記者会見でこういうことを言っておられるのですが、物価の落ちつきぶりがもっとはっきりしてこない限り、第二次引き下げなど考えられないということを述べたと報道されておるわけです。私はこの物価の落ちつきぶりがもっとはっきりしてこない限り第二次引き下げは考えられないと、これが四月の十六日。そして、その直後の四月の物価の値上がり、五月の消費者物価の値上がりというのを見た場合に、物価が安定、物価の落ちつきぶりがはっきりしてきたというふうには言えないと思う。にもかかわらず、六月六日に第二次の公定歩合の引き下げが行われたということはどういうことなのか、日銀にお伺いします。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 日銀副総裁の前川でございます。本日、森永総裁はIMF暫定委員会並びに十カ国会議に出席のため海外に出張しておりますので、私がかわって参上いたしました。御了承願いたいと思います。  第二次、六月六日の引き下げにつきまして、物価の安定状況をどういうふうに判断しておるかという御質問でございました。私ども公定歩合の操作をいたしまする場合には、景気の状況、経済活動の状況、それから物価の安定、それから海外金利の状況、こういう観点を総合いたしまして判断いたすわけでございます。そのうち物価につきましては、先ほど来お話がございますように、四月の消費者物価指数あるいは五月の東京の物価指数、上がっておりまするが、先ほど来お話がございましたように、私どもはこれが季節的あるいは特別の要因によって上がった部分が大きい、したがいまして、基調的には物価の安定が漸次確保される段階にあるというふうに判断をいたしました。公定歩合の操作をいたしまする場合も、私どもといたしましては、物価の安定を損なわない範囲で下げられるときには下げていく。それが景気の緩やかな回復にも寄与するということを期待しておるわけでございます。そういう意味におきまして、物価の安定は基調的には損なわれておらないというふうに判断しております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 先ほども副総理の方からお話がありましたですけれども、四月という月が二・二%上がったということはこれは特殊の例と。確かに四月は若干の特殊な例がありますけれども、しかし二・二%という上がり方は、これは特殊ということだけで片づかないという問題を持っていると私は思うんです。さらに五月に一%上がった。四月、五月で三・二%という値上がりというのは、これは非常に大きいと思う。決して物価が鎮静化という状況は、三月よりももっとそうではないと思う。いま物価安定というのが最大の政策だと言われている、言っている。また国民もそう思っている。ですから日銀総裁も四月に下げるときに、この物価の安定がもっとはっきりしなければ考えられないと言っていた。にもかかわらずこの段階で下げるということは、私はやはり物価最優先の政策というものが景気の方に変わってきているというふうに見なきゃならぬと思っているんです。その点について日銀の副総裁にもう一遍伺います。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) お答え申し上げます。  第一回の引き下げをいたしましてから、物価の安定を図るということは日本銀行にとって第一の眼目でございました。もちろん先ほど申し上げましたように、公定歩合操作をいたしまするときには海外金利あるいは国内の経済活動の問題も考慮に入れておりまするけれども、その結果、先ほど申し上げましたように、今回の引き下げが景気の回復、これは非常に緩やかなものでございまするけれども、そういうものに寄与することももちろん期待しております。しかし、重点はあくまで物価の安定を損なわない範囲で行ったということを眼目にしておりまするので、重ねてお答え申し上げます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 御主張は御主張ですが、しかし、第一回に引き下げたときの日銀総裁の談話とこの第二次との関係を見ますと、明らかに私は物価最優先の政策から景気回復に重点が変わってきているというふうに言わなきゃならぬのだというふうに思います。続いて六月の十六日に第三次の引き下げがあるというふうに盛んに報道されております。この問題は後でまたお伺いしますけれども、第一次の引き下げの際、四月十六日、このときはちょうど春闘のさなかであります。鉄鋼労連初め主要組合の賃金の問題が妥結するのを横に見ながら、妥結した途端にこの公定歩合を引き下げた。そして今度は鉄鋼初め鉄材の値上げが盛んに主張されている。それに応じて直ちに引き下げた。これはだれが見ましても労働者には大変に厳しい、辛い日銀であって、経営者には非常に甘い日銀、そういう公定歩合の操作を行っているのではないかという疑念を私は抱いていると思うんです。今度の場合だって、まさに私はそうだと思う。日銀の考え方を承ります。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 四月十六日に引き下げましたときには、日本銀行の判断といたしましては、物価の状況から判断いたしまして、一昨年の十二月、石油問題が発生いたしました異常事態に対処してとられました強度の引き締めを、そのまま続けておく必要はないという判断から引き下げをしたわけでございまして、春闘との問題を考えたわけではございません。  今回の第二次、六月の引き下げにつきましても、先ほど来私申し上げておりますような、経済全体の指標の総合的判断からいたしまして、物価の安定を損なわない範囲で経済の緩やかな回復にも資する、あわせて海外金利との若干の均衡も図るという趣旨から行ったものでございまして、鉄鋼の価格値上げとの関連を考えたわけではございません。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 一般の受けとめ方は、結論的にはやはり四月の十六日の引き下げというのは、何といいましても鉄鋼労連初め主要組合の賃金の妥結を横に見ながら、妥結した途端に引き下げを行う。そして今度は経営者の方から盛んに主張が行われる。そうすると直ちにまたこれも、四月の十六日に引き下げたときの考え方とは全く違って、物価がまだまだ非常に不安定な中にあって六月の六日の日に引き下げるという考え方は、私は公定歩合の引き下げというものを賃金の抑圧のために使っている。さらに経営者に対して、オール経営者のためになるような形に公定歩合の引き下げを行ったという、結果的にはそういう印象を強く与えているということを申し上げておきたいと思っております。  第三次の不況対策で六月十六日に公定歩合を引き下げる、その他の政策が行われるというふうに言われておりますが、若干の説明をいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま政府におきましては、日本の経済の動きをどういうふうに見ておるかと、こう言いますと、景気は大体底をついた、こういうふうに見ておるんです。ただ、底をついた景気が上昇過程に転ずる、その勢いが非常に微弱である、こういうふうな観察でございます。そういう際におきまして、この非常な落ち込みの底の状態が長続きをするということが、日本の経済界に対し、また社会に対し、これまた放置することができない問題である。こういうふうな考え方のもとに、すでに第一次、第二次の景気対策はとったわけでありますが、どうもそういう日本経済の全体の動きを見てみますと、第三次の対策が必要ではないかということが考えられるような時局になってきておるわけなんです。そこで、五月までの経済の動きをずっと見てみる。その上に立ちまして、さてそれならば景気が上向くための何らかの施策をとる必要があるか。大体あるという方向に動いておりまするけれども、そういう政策をとるならば、その程度の幅のものをとるだろうか。その辺を十六日に経済対策閣僚会議を開きまして決定をいたしたいと、そういう段階に来ております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 景気を支えている四つの大きな柱の中で国民の消費、これが最も大きな要素をなしておると思うんです、GNPの半数以上を超しておるわけですから。ですから一番問題は、この国民の消費が上がっていくということが大切だと思うんですけれども、しかし、これが春闘によりまして御承知のとおりに一二%、一三%という水準に抑えられたということが、後ほどでも申し上げますけれども、国民の消費というものを非常に抑えたというふうに考えております。まあ政府も財界も大変熱心でありました。そのために国民の消費が上がっていくということを非常に抑えた、そのことがいまはね返ってきていると思いますが、これから景気を回復する上におきまして、私は二つの大きな問題があると思っております。一つは国民が貯蓄をしている。この貯蓄をどう景気と結びつけていくのかということと、もう一つは、公共投資を初めとしますところの政府の財政、公共資本の問題だと思います。  その場合に、先にお尋ねをいたしたいのでありますが、経済企画庁の方で、実質成長四・三%というのがすでに違ってまいっている。したがって、これを見直しをしつつあるというふうに承っております。見直しをどの程度に見ておられるかという問題と、さらに、発足いたしましてわずか一年で御破算になった形になっております四十八年度から五十二年度までの経済社会基本計画、これを五十一年度を初年度として五十五年度までの新しい計画を練りつつあるというふうに承っておりますが、その中にある経済成長率をどの程度に見ておられるのか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) まず昭和五十年度の経済見通しでございますが、これはまだ年度が始まったばかりでございまして、まだこれが改定というような、そういう段階じゃございません。まあ改定の必要のないようにと思っておりまするけれども、もし改定の必要があるということになれば、年末ぐらいの段階になりませんとそういう作業はできない、そういう性格のものでございます。  それから長期計画をどうするか。これはいま改定を考えております。改定といいますか、新しい長・中期計画というくらいの意気込みをもちまして考えておるんですが、今月末と思ったんですが、まあ来月になるかもしれません、経済審議会を開催いたしまして新中期計画のあり方いかんということにつきまして諮問を申し上げる、そういうふうにいま考えております。その諮問に対する答申、これを待ちまして政府の考え方を決める。その際に、成長の高さをどこに置くかということがこれは大きな問題でございます。この問題につきましてでありますが、いま私からとやかく申し上げる段階ではございませんけれども、私の感じといたしましては、一〇%とか一一%というような過去の成長率、これはとても今後考え得られざることである、こういうふうに考えております。大体諸外国におきましても、混乱を収拾した後の情勢を踏まえまして、これからのおのおのの国の経済の中期計画、長期計画、これを考える段階になってきておるようであります。そういう諸外国の動きなんかもよく見詰めなければならぬ。私の気持ちといたしましては、その諸外国の中でも先端を行くグループ、そういうグループの成長、それと肩を並べるという程度のわが国の成長、それが妥当ではないか、そういうふうに考えておりますが、いずれにいたしましても経済審議会の答申を待って決定をいたしたい、さように考えております。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ―――――・―――――    午後一時七分開会

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前中に引き続き、鶴園君の質疑を行います。鶴園君。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 午前に引き続きまして、私は景気浮揚政策、景気政策というのは過去の経済構造の路線の上にあってはならない、こういうふうに考えております。安定成長、そして新しい産業構造の路線と結びついて景気浮揚政策、これが行われていかなきゃならないと思っております。したがって、重化学工業偏重の路線であってはならない。そして住宅なりあるいは生活環境、社会環境、社会資本、そういう国民の切実な要望の上に立って、そして長年下敷きになってまいりました農業、漁業、そして中小商工業の面にも重視をした、そういう路線を踏まえていかなければならない、このように考えておりますが、御意見をいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 景気対策をとるといたしますれば、まさにその対策の方向は鶴園さんの御指摘のとおりの線と思います。中・長期で将来を展望いたしまして、そしてまだその展望は定かではございませんけれども、おぼろげながらにはわかるわけです。そういう線へつながっていくということをにらまなきゃならぬ。そういうことから考えますと、景気対策の支柱というものは、何と申しましても生活関連、そういうようなことで政府が何かすることがあるか、こういう点を求める、このようなことになろうと、かように考えます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 そういう立場から若干お尋ねいたしますが、この間、五十年度の上半期の住宅金融公庫の申し込みが一日で打ち切るという、七万四千戸の融資に対しまして二倍近い需要者が殺到した、一日で打ち切るという状況になっておりますが、住宅に対する国民のニードというものは非常に根強いものがあると思っております。その意味で景気政策の一つに大きく取り上げることは確かにそのとおりでなければならぬと思っておりますが、ただ、金融公庫の枠を拡大をするということと、金利を下げるという点について、どういうお考え方を持っていらっしゃるか、伺いたいと思います。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) お答えいたします。  住宅金融公庫の申し込みが、下期と上期に分けまして、本年は一カ月ぐらい早く上期の受け付けをいたしたわけでありますが、御承知のとおり、八万戸近い受け付けの予定に対して、十三万戸ほど一日に殺到いたしたわけで、上期の予定を五万戸超過をいたしたわけであります。それを見ましても、いかに住宅に対する国民の関心が高い、要望が大きいかということを私どもも痛切に感じておるわけであります。だから当面の問題としましては、その上期の超過五万戸を、まず、これは下期の分でありますから、繰り上げて上期で処置をしたいということで、この点については大蔵省との折衝を続けておる段階であります。さらに、本年度枠を拡大するということにつきましても、引き続き大蔵省と折衝をし、要望をいたしてまいりたいと、かように存じております。  ただ、金利も御承知のとおり五・五%で、これは一般会計からの補助によってやっておるわけでありますから、それだけでも本年五百三十億くらいの一般会計の支出に相なっておるわけでありまして、大蔵省としてはその点に対していろいろお考え方もあるようでありますけれども、少なくとも金利が安いということが住宅金融公庫、公的金融公庫の一番大きなメリットでありまして、その目玉を私どもは崩すわけにはいかないということで、ぜひ現在の金利はそのまま据え置きで進みたいという考え方で、これまた大蔵省と折衝を進めておるというのが現在の状態であります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 住宅金融公庫の枠を拡大をするということは、これは積極的に行っていかなければならぬと思うんですが、金利の五・五%、まあ公定歩合が二回にわたって引き下がるわけですが、これはやはり金利についても、速やかに引き下げるという形で積極的な努力をしてもらいたいというふうに思っております。  この点については再度答弁を求めますが、もう一つ、住宅金融関係の八〇%近いものは民間の住宅ローンに頼っておるわけでありますが、この利率が大変高い。九・一八%、高い、さらに貸し出しの枠が小さい、こういうことも金融機関に対します国民の大変な批判になっておるわけでありますが、総貸し出しの一四%ぐらいに当たっているというし、そして個人の預金というのが四〇%以上を占めている。こういう中にあって民間の住宅ローンが枠が小さいということと金利が高いということ、これは引き下げるべきだ。この二つについてお尋ねをいたします。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) 住宅金融公庫の金利五・五%は、これは率直に申し上げまして、本年度の予算折衝の場合にも、大蔵省の方はこの五・五%をもう少し上げたいというのが真意であります。これは財投との金利の問題、差額二・五%を国の方で利子補給をいたしております。先ほど申し上げましたように、この利子補給だけでも本年度五百三十億に達するわけでありまして、これが住宅枠がどんどんふえる、これを野放しでどんどん推し進めていくとなりますと、これは国の一般会計にも非常に大きな影響を及ぼすことはこれはよくわかりますけれども、私どもは住宅金融公庫の率は低いというところに本当の公的金融としての価値があるわけであって、そのために国民も要望をしておるわけでありますから、これをいま五・五%をさらに引き下げるということは非常にむずかしい情勢だと思いますけれども、少なくとも五・五%を据え置きさせていくということに私どもは全力を挙げて努力をいたしてまいりたい、かように存じております。  それから民間ローンの問題でありますが、確かに住宅計画を立てておりますけれども、少なくとも全住宅の六〇%までは民間住宅であります。民間におんぶした住宅計画だといってもいいぐらいのところまであるわけでありまして、そういう意味から申しますと、民間住宅ローンをもう少し拡大してもらいたいということ、これはもう昨年来私どもが強く大蔵省を通じ、銀行局を通じて努力をいたしているところでありまして、だんだん拡大をされておるようでありますけれども、さらに民間ローンの拡大をわれわれは鋭意努力をしてまいりたいと思っております。  金利の問題についても、確かに金利は高いのでありまして、民間ローンの金利が高いということが、逆に公庫住宅の融資に殺到している一つの大きな原因にもなっておりまして、少なくとも民間ローンの利子と公庫の利子との格差は、できるだけ縮めていくということは当然のことであります。そういう面においても努力をいたしていかなきゃなりませんし、今後はそういった面で私どもは努めていくつもりであります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 大蔵大臣の見解を承ります。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 鶴園さんが言われますように、景気対策を推進するにいたしましても、生活環境改善に重点を置いてやるべきだということ、政府もそういう方向で施策をいたしておるわけでございます。本来、今度の予算全体が公共事業は前年度並みに据え置いたわけでございますけれども、住宅でございますとか、あるいは上下水道であるとかいうようなものは相当ふやしたわけでございます。そういうベースの上で、今度の景気対策におきましても、いま問題になっておる住宅金融の拡大ということを推進いたしておることを御理解いただきたいと思うのでございます。  そこで、住宅金融公庫の問題でございますけれども、枠の拡大の問題は下期に残された問題でございまして、とりあえず上期の異常な需要につきましては、まじめなものにつきましては、これを何とか処理しなければ、繰り上げて処理して差し上げなければならぬと考えております。枠の拡大は下期においてさらに検討したいと考えております。  それから金利でございますが、五分五厘の金利というのは、別途一般会計におきまして住宅金融公庫に対する五百二十六億円の利子補給を伴った特利金融でございまして、これは特例中の特例金利でございます。私どもこれをやめていこうとはしておるわけではございませんけれども、これの対象になるものはできるだけ精選してまいりたいということでございまして、住宅金融全体としてこれを拡大充実していくことには賛成でございますけれども、この五分五厘の金利の金融を受けたいために多くの方がこれに殺到するというような姿は、決して健全でないと思うのでございます。この特利を受けるに値する対象というものは、それだけのよい条件を備えた者にしぼっていただきたいということで、建設省にも御検討を依頼いたしておるところでございます。  それから民間の住宅ローンでございますが、民間金融機関の協力を得まして最近大変な躍進を遂げました。過去一年間におきまして約一兆二千億、三四・五%ぐらいの増加を見たわけでございます。五十年三月末現在、四兆六千億を超えておるわけでございます。そういう状況にございます。全体の総貸出残高の中でも一割一分に達するという盛況であるわけではございますけれども、なお一層御勉強いただきますように、金融機関には督励を重ねておるところでございます。それから金利でございますが、あなたの言われた九分一厘八毛というのは、住宅ローンの五年ないし十年のものを指して言われたことと思うのでございます。五年以下は八分八厘八毛、十年ないし二十年ものは九分四厘八毛となっております。民間都市銀行の長期貸出最優遇金利が九・九%でございますに加えまして、金融機関といたしましても、いまの状況のもとにおきまして住宅ローンに対しましては相当勉強をしていただいておると思いますけれども、なお一層金利の引き下げということについては御努力を願うように努力をしたいと思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 後ほどでも伺いたいと思っているんですけれども、低所得者と高所得者の格差が大変に拡大をしてまいっております。目を覆うばかりの拡大であります。したがいまして、この金融公庫の貸し出しについて所得の上限の制限を設ける必要があるんではないか、それから公団の住宅についても所得の上限の制限をつける必要があるんじゃないかというふうに考えておりますが、建設大臣の考え方を伺います。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) 住宅金融公庫の貸出枠には御承知のように一定の限度があるわけでありまして、われわれは枠を拡大することには努力をいたしておりますけれども、これは財政予算の都合上、一定の限度のあることは御承知のとおり。一定の限度の枠の中で全部の申込者の要望にこたえるということは非常にむずかしいとすれば、そこに何らかの区切りをつけなきゃならぬことは御承知のとおりでありまして、最初は抽選制にしておりましたけれども、どうもそれはよろしくないということで申込順にしております。ところが、先着順ということになっておりまして、これにも問題があるわけで、これをどういう形で本当に実態に合うようにするかということで検討をいたしておるわけでありますが、その場合の一つとして、高額所得者の所得制限という問題もあります。あるいは家族構成をもう少し再検討するという問題もあります。そういう問題も含めまして、私どもは今後の住宅公庫の融資ができるだけ実情に沿ったようにいけるようにと思っていろいろ内容を検討いたしておるわけでありまして、その意味において、所得制限の問題も一つの方法としていま検討をいたしておるわけであります。  それから公団住宅の入居者の所得の制限と申しますか、これも大体公団住宅というのは住宅公団法、これに決められておりますように、勤労者のために住宅を供給するということが目的でありまして、できた住宅そのものは、少なくとも大部分は中堅勤労者のために私どもは入居を認めておると思っておるのでありまして、ことさらにずば抜けて高額所得者は入っておるとは思っておりませんけれども、これもやはり一定の数の中に希望者を入居せしめるということになりますと、やはりそういった入居基準というものももう少し厳しく検討する必要があるということはお説のとおりでありまして、今後検討いたしてまいりたいと思っております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 総理にお尋ねをしたいんですが、五月の二十六日に国民食糧会議を開催されました。その目的について、どういう考え方でお持ちになったのかという点についてお尋ねをします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 国民生活の安定を確保するために、食糧というものが持っておる意義は大きいわけであります。この間は石油でありましたけれども、これまた食糧でああいうことになると大変なことになります。したがって、この際各方面の有識者によって、食糧に対する関心を高め、そしてまた食糧増産といいますか、こういう問題についていろいろと意見を交換して一つのコンセンサスを出したいということで国民食糧会議を開いたわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 確かに農業問題、食糧問題について、あるいは漁業問題について国民の広い層の支持と協力、理解、これが必要だということはわかります。新聞の報道するところによりますと、あと六月に一回、七月に一回開いて、三回で解散されるということであります。私はこの程度のものでは、言うならば官邸の中庭で花火線香をという程度のものに終わるんじゃないか、もっとこの問題については日本の空に花火を打ち上げる程度のものにしてもらいたいという私は考え方を持っております。  総理がこの会場におきましてあいさつをされておりますが、そのあいさつの要旨を見ますというと、こういうのが載っております。「何よりも高度経済成長の過程で脆弱化した農漁業の体質を強化」する、こういうことを言っておられます。確かに三十五、六年ごろから始まった高度経済成長の下敷きになってきた一つが、この農業であり漁業であると思っております。総理は少しばかり遠慮ぎみでおっしゃっておりますが、高度成長の過程の中で脆弱化してきている。ですから私は、総理はこういう考え方を持っていらっしゃるのなら、これは口先ばかりでなく、本当に裏づけのある政策なり財政の措置をとってもらいたい。こういうように考えておりますけれども、総理のお考え方を伺います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は農業政策の中で、土地基盤政策といいますか、いろんな場合を考えてみましても、土地自体の食糧供給力あるいはまた潜在供給力、それを保持することが食糧問題のために必要である。やっぱり土地基盤整備というものが一番大事である。今年は予算が大体横ばいの中で、三・四%ですか、やはり土地基盤整備については、窮屈な予算の中で相当配慮した予算を組んだわけでございます。だからそういう物の考え方が、まあ予算の上においてもそういう考え方の一端は出したつもりでございます。何分にもあの予算も、私が政権担当しましたときには大体もうでき上がっていた。それにやはり少し国民のいろんな希望というものをできるだけ取り入れるということで、短期間の間に苦心をした予算であります。その中で苦心した一点というのが、農業政策の中では土地基盤整備というものにやっぱり配慮を払ったということでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私は、いま総理がおっしゃったように基盤整備が最も大切だと思っております。そこで、日本の耕地面積は五百六十万町歩、五百六十万ヘクタールあります。たんぼはその中の三百二十万ヘクタールぐらいありますが、明治の末から大正の初めにかけての馬で耕した時代、これがほとんどなんです。つまり一反区画、十アール区画。産業の中で、最も農業で大切な土地基盤が、明治の末や大正の初めごろ馬で耕した時代のたんぼがほとんどだ。九割がそうです。三十五、六年ごろから機械が入るような基盤整備が行われました。いまたんぼの一〇%ぐらいです。五百六十万町歩の田畑を合わせますと五、六%しかない。ですから、明治時代さながらの形にたんぼや畑が置かれているということは、どのように農業が据え置かれているのかということを示しておるのじゃないでしょうか。ですから私は、総理がおっしゃるように基盤整備が大変大切だと、そのとおりです。これからの農業が経営の規模を拡大をする、あるいはその経営の作業の規模を拡大するという場合に最も必要なことは、機械が入るような形にするということ、明治や大正のたんぼや畑が九〇%も占めている、九五%も占めている状態では、農業が他産業に伍していく力はないと私は思っております。その意味で、この基盤整備について抜本的に努力をされる必要があると思っております。決意を承ります。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) この土地の基盤整備、鶴園議員が言われるとおり、農業の力を養うためにはやっぱり土地基盤整備というものは一番重要な政策の一つである。今後とも努力をしてまいることにいたします。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 関連。  非常に基本的なことでありますから、私いまの鶴園議員の質問に関連をいたしまして総理にお伺いをいたしたいと思います。  それは、近ごろ再びこの農業への提言が各地から行われております。財界、農業団体によります農業懇談会が新たにまた食糧対策についての提言をいたしておりますが、これは、現在設定している政府の六十年目標を上回る自給体制の確立と、二カ月の備蓄についての提言がなされているわけです。しかもその中には、農地の確保あるいは農業投資の増大、経営の安定化という三本の柱が打ち出されておりまして、この点についてはもう皆さん大方の意見の一致するところです。ただ、問題は、そういうことを打ち出しておりましても、日本の食糧自給率は年々低下をするという経過をたどっているわけですが、これは一つは、従来からの日本の食糧消費に対する固定観念というものを、私はここで新たに考え直さなければならない時点に立ち至っているということが一つであります。  そういう上に立って考えてみますと、たとえばこの三つの提言の中で、財界が言っておりますから、改めて考えてみますと、四十七年までの三年間の統計をとってみても、三十七万ヘクタールの農地が転用されている。しかも、近ごろの農地の法人の買い占めというものは百万ヘクタールに及んでいるのではないかと言われておりますが、この法人の持つ農用地をこれからの農業、食糧確保のために一体吐き出す用意があるかどうかということが第一点です。  それから農業投資については二十五兆四千億円というような財政投資が必要だということを言っております。それも大事なことです。大事なことですが、しかし、果たしてそれがどういう形で一体具体化するのか、こういう点については、私は先ほど議論を聞いておりますと、歳入欠陥の問題等からいたしまして容易なことではない。しかし、これはやらなければ、現在の状態を考えてみますと、物価の異常な状況のために三年計画の圃場整備が五年に延びる、五年計画のものが十年に延びる、十年のものはもう私の子供や孫の代でなければできないという実は状態が出されてきて、それではいけないわけであって、このような提言がなされるとするならば、ここで思い切った財政的な対策というものが必要なんでありまして、このためには、県営や国営という非常に大きな規模の基盤整備を行うと同時に、団体営以下の、この前も予算委員会で、ここで議論をいたしましたけれども、それに対する徹底的なてこ入れをやることによって私はこの三つの目的を達成し得ると、こう考えております。  それからもう一つは、長くなりますけれども、何といいましても、やはり農業の開発をやり自給体制を確立をするためには、農業がやりやすいようにしなければならぬ。そのためには私は、基盤の整備あるいは投資の増大が必要ですが、それと同時に、農業用資材の引き下げというのが非常に重要なポイントになるわけでありまして、この点について、これから八月には来年の予算編成にもうすでに入るわけでありますから、ぜひその点に対する総理の、いまのようなあいまいな態度じゃなくて、実はもっと明確な毅然とした態度を私はこの際打ち出していただきたい。そうしなければ日本の食糧確保はきわめてむずかしい、このように思いますので、御返答いただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いまやはり、エネルギーに次いで食糧というものは大問題です。高度経済成長のもとにおいて、いろいろな点で農業というものの地位が非常に圧迫を受けたことは事実です。そういう点で、いまいろいろ食糧会議を開いたり、あるいは農林省でもいろいろな機関を通じて、この転換期に立つ日本の農業のあり方というものを専門家を通じて検討してきたことは御承知のとおりでございます。そういういろいろな成果も踏まえて、来年度の予算編成の時期も来るわけでございますから、少し農業政策というものに、何かそのときそのときというのじゃなくして、長期的な展望を持ちながら、筋道の立った農業政策というものをとる、一つのそういう意味において予算の編成も考えてまいりたいと考えております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 総理また大蔵大臣ですね、先ほど私が簡単に申し上げましたように、一言で言って、明治末年や大正のたんぼというのが九〇%を占めておるんですよ。畑を合わせますと九五%は明治末年、大正のたんぼですよ。これが近代の産業の中で伍していくには、このような形ではだめだということを私は主張しておる。ですから、この問題については根本的に考えてもらいたい。総理もそうでありますし、大蔵大臣もそうだと思うんです。その点について再度――ちょっと細かいですよ、総理。せっかく国民の合意を得ようというわけで国民食糧会議というものをお開きになった。もっとこの点については決意をはっきりさせてもらいたい。大蔵大臣もそうだと思う。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 農業の基盤整備、圃場整備の必要性につきましてはいろいろ御指摘がございまして、全く私も同感に存じます。過去の財政におきまして二十数パーセントというような予算の増額が年々御心配ができたことは、非常に幸せだったと思うのでございますが、今年度の予算は、先ほど総理が仰せになりましたように三・四%の増、三千五百九十五億という程度のものでございまして、非常に意に満たないものであることはよく承知いたしておるわけでございまして、今後、財源の充実と相まちまして、そういった方向に財源を充当してまいることに努力していかなければならぬと考えます。  あわせて、私の希望も申し上げさせていただきますならば、こういった前向きの農業政策、農業財政をやってまいる上におきましては、同時に後ろ向きの農業財政につきましてこれを逐次整理してまいるということにつきましても、国民の理解と協力を求めたいものと考えております。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) わが国の農地の中で、いま御指摘のように圃場整備、基盤整備が行われておるのは約一割だということでありますが、まさにそのとおりでございまして、圃場整備は四十万ヘクタールということになっておるわけでございますが、これは今後のわが国の食糧の自給力を高める、総生産を拡大していく、生産力を高めていくという大目的を貫いていくためにはまだまだ少ないわけでございまして、われわれとしても、やはりこうした生産基盤整備を充実していくということは農政の基本的な課題であると考えております。  そうした観点に立ちまして、三木内閣におきましても、閣議決定をいたしたわけでありますが、昭和六十年を目標にいたしました長期的な見通しのもとに、今後総合的な食糧政策を打ち出しまして、そして今後とも農用地の造成拡大を図っていくとともに、圃場整備等土地改良を進めていかなければならないと考えておるわけでありまして、昭和六十年の目標としては、たとえば八十六万ヘクタールの農地の造成等も計画しておるわけでありますが、しかし、この二、三年来の総需要抑制政策の中で、こうした農地の開発等もおくれておる、土地改良もおくれておるという現実の姿でございます。今後の食糧の自給を確保していくためには、こうした世界的な食糧不足という観点も踏まえて、今後とも基盤整備等を中心といたしました農用地の拡大あるいは土地利用、土地改良につきましては、重点的にこれが実現のために政策を集中しなければならないという決意を持っておるわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 次に、いま豆腐屋さんの仕事の中に大手乳業者が入ってくるという、大変な問題が起こっております。さらに、クリーニング屋さんのところに総合商社が入ってくるということで、ごたごたいたしております。また、軽印刷工業の中に大きな資本が入ってくるということで、ごたごたいたしております。弱肉強食の典型的な問題が至るところに、中小企業の分野に起こっているわけです。そこで、各党ともそれぞれこの問題については、中小企業の分野の確保をするという法律案を進めております。私どもの党も昨年の四月に、この中小企業の分野を確保するという法律を出しております。自由民主党の方でも議員立法として成案ができつつあります。民社党や公明党や共産党においてもそうでございます。いまの法律あるいは行政指導の中ではこういう弱肉強食、中小企業の中に入ってくる弱肉強食に対する有効な手がほとんど打たれない。したがって、私はいま申し上げましたような中小企業の分野を確保していくという、そういう法律をつくる必要があると思っております。この点についての通産大臣の考え方を伺います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) いま中小企業の分野に大企業が入ってくる、こういう具体例のお話がございましたが、そういう事実はございます。そこで、これまでも何回かそういうことがあったのでありますが、その都度行政指導をいたしまして問題を解決してまいりました。今回の場合も、できるだけ行政指導によりまして、話し合いによって解決するようにいま指導をしております。  だんだんとそういう方向にいくと思いますが、そこで法律でもって分野調整をするという問題でございますけれども、これをやりますと、産業の自由競争がその分野ではできなくなる、こういう問題も起こってまいります。それからその分野では安易な値上げ問題が起こってくる、こういうこと等も考えられまして、消費者にとって必ずしもプラスではない、こういうことが考えられますので、通産省といたしましては法律による分野の調整、そういうことではなくして、通産省内部とかあるいはまた各府県に、それぞれそういうふうなトラブルの発生するのを防ぐようないろいろな機構をつくりまして、そしてトラブルが起こるたびにこれを行政指導で解決していく、それが望ましいのではないか、そういう方向で考えておるわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 この問題は中身に入りまして論議する時間がございませんので、改めてやりたいと思います。  次に、三木総理が就任以来主張しておられますところの社会的公正を確保する、社会的不公正を是正するという問題について、二つほど例を挙げながら伺いたいと思います。  その一つは、総理府統計局が五月三十日に、四十九年度の家計調査報告というものを発表いたしました。これを見てみまして私は、目を覆うばかりの低所得者層と高所得者層の間の格差が非常な大きなものがある。これはびっくりするぐらい大きなものがある。これは何らかの対策をとらなきゃいけない。四十九年度に急速に拡大をいたしております。大変な拡大です。若干の統計の問題について総理府総務長官に説明をいただくか、あるいは統計局長でもよろしゅうございますが、二つに限って説明をしていただきたいと思うんです。  それはこの三年ぐらいの間の四十七年、四十八年、四十九年度、三月が入りますから九年度で、実収入の伸び率ですね、いままでは逐次高いものと低いものとの差が縮まるような傾向にあったんですけれども、四十九年度からぐっと拡大しております。非常な拡大です。さらにもう一つはエンゲル係数です。これも低所得者層というのはエンゲル係数が本当に大変な、生活水準が非常な下がり方です。そして上位所得層というものはどんどん改善されてきている。目に見えて改善している。四十九年度も目に見えて改善されてきている。しかし、低所得層は大変なダウンですね。ですから、いま私は結論を申し上げましたですが、エンゲル係数と、それから実収入の第一分位と第五分位のこの三年ぐらいの間の伸び率を説明をしてもらいたいと思うのです。

川村皓章総理府統計局長

○政府委員(川村皓章君) お答え申し上げます。  ただいま私どもの家計調査における四十七年度、四十八年度、四十九年度の三カ年度にわたりまして、おのおの年間の所得の第一分位、すなわち一番低い方の二〇%の世帯と、一番高い、第五分位と申しておりますが、その傾向を申し上げたいと思います。  まず実収入でございますが、四十七年度は、第一が一一・八の伸び率を対前年度に対して持っております。四十八年度は二二・八でございます。それから四十九年度は一七・八でございます。それから第五分位の高い方で申し上げますと、四十七年度が一四・三でございまして、四十八年度が一八・五、それから四十九年度が二九・三でございます。  続きまして、エンゲル係数の御質問であったかと思いますが、第一分位が四十七年度で三五・七、それから四十八年度で三五・九、四十九年度で四〇・五、それから第五分位でございますが、同じく四十七年度が二六・三、四十八年度が二五・三、それから四十九年度が二二・五でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いま説明がありましたように、実収入が前年に対する伸び率が若干ずつ縮まるのではないかという傾向があったわけですけれども、四十九年度になりまして、第一分位、一番所得の低い層というのが一七・八%伸びている。そして第五分位、一番所得の高い層というのが二九・三という伸び率、大変な格差が生じているんですね、非常な格差です、これ。かつて見ない格差ですね。そしてエンゲル係数は、いまお話がありましたように、第一分位の所得の低い層というのが四十九年になって五%もダウン――ダウンするといいますか、生活水準が下がっているんですね。一方の方は全然向上いたしまして、二二・五%です。エンゲル係数が二二・五%。一方は四〇%という、こんな差になっちゃっているんですね。これは大変な差なんですね。ですから、社会的公正を確保する、社会的不公正を是正するとおっしゃったわけですけれども、この四十九年度は大変な格差が生じている。統計上かつて見ない大変な差だと思うんです。だから、これに対して今後どういう政策をおとりになるつもりなのか。  経済企画庁に研究委員会が設けられておりますが、六月に答申が出る。五月中にまとめて六月中に答申をするということになっているんだそうでありますが、どのようなことになっておるのか、その点もお伺いをいたしたいと思います。それから総理府総務長官の、この問題についての見解も聞きたいですね。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御指摘の総理府家計調査の四十九年度分、これは御指摘のように、まことに憂うべき現象を数字的に表明していると、こういうふうに私も見ております。四十九年度という年は、前の年の下半期に物価狂乱の時期、こういうこと、その後を受けての後遺症が四十九年度に大きく打ち出されておる、こういうふうに私は観察するわけです。何といってもインフレの影響、インフレというものは、私もしばしば力説しているんですが、これはもう社会的公正の最大の敵であり、社会格差を拡大する、優勝劣敗というか、弱肉強食というか、そういう社会をつくり出す、その端的のあらわれがその数字だと思うんです。これに対しましては、五十年度予算におきまして、歳出面において、いわゆる低所得者対策、まあ弱者対策というものを充実する。また他方において、歳入、税制の面におきまして低所御者に対する所得減税を行うとか、いろいろ財政上の配慮をしているわけです。  こういう事態に対しましてはどうしても財政が、これが是正の任に当たらなけりゃならぬと、こういうふうに思いますが、しかし基本的には、幾ら財政が努力し活躍いたしましても、このインフレが醸し出すそういう社会的不公正という問題に全部回答を与えるというわけにはいかぬと思うんです。結局これはインフレをやめる、こういうほかないと思うんです。そういう見地に立ちまして、とにかくできるだけ財政上の努力はいたしまするけれども、同時に、基本的にはインフレを断ち切る、これに最大の努力をしなけりゃならぬ、その方向でやってまいりたいと、かように考えております。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(植木光教君) お答えいたします。  四十九年度の数字は、先ほど局長からお答えをしたとおりでございまして、実収入の格差が開いておりますことについては問題であろうと存じます。消費支出の方を見てみますと、低所得階層、中位所得階層の世帯は消費を切り詰めております。一方、高所得階層では消費が大幅に伸びているという結果が出ておるのでございます。そして、この大きな差は、被服でありますとか、あるいは電気製品、自動車というような耐久消費財など、いわゆる選択的な支出項目の消費が、両方の低・中位層と高所得層に差ができているのでございまして、これの原因は物価狂乱以後、消費者が節約ムードで広く節約をする、消費態度が慎重になってきている、こういうことを示すのでございます。五十年に入りましてからは、中位所得層にまで消費がやや回復する兆しが見えております。したがいまして、先ほどエンゲル係数のお話がございましたが、いわゆる生活必需支出項目につきましては、他の選択的な項目を切り詰めておりますから、その中で占めますエンゲル係数の指数は低所得者には大きいという姿になっているわけでございます。いずれにいたしましても、所得格差の是正と各階層の消費態度の問題というものは、これからの重大な政府の取り組むべき政策であると思うのでございまして、その点につきましてはただいま副総理からお答えになりましたとおりでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 激しいインフレ、そして物価抑制、それは不況、その二つが低所得層、それから中位所得層のところにすべてしわが寄っているという形を示しているんじゃないでしょうか。そこに私は問題があると思っているんです。そういう形の中でインフレの収束が図られてきたというふうに言わざるを得ないと思っております。したがって私は、これから、どう言いましても、いろんな事情から言いましても、安定成長を図っていかなけりゃならないという立場に立っておるとすれば、この傾向というものは固定化するものではないかという懸念をしておるわけであります。したがって、総理府で所得分配に関する研究委員会が開かれておるという話でありますから、速やかにこの答申が出て、マイナスの所得税という程度のものは考えていただきたいという点を要望いたしておきたいと思っております。  次に、こういう状況の中で、私は生活保護世帯の問題について伺いたいわけでありますが、行政管理庁がことしの第三・四半期に保護世帯の調査をする。九年ぶりだそうでありますが、調査をするということになっている。その記者会見が行われまして、同時に、新聞の報道によりますというと、いま生活保護世帯というのは全世帯の中の一・一%ちょっとなんだけれども、実際はその二十四倍程度のものがあるのではないかというような記事が載ったわけですが、その点について行政管理庁並びに厚生大臣は御承知かどうか。

松澤雄藏自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(松澤雄藏君) ただいまの監察の問題ですが、私たちといたしましては生活保護行政の問題について、昭和四十一年にただいまのお話のように監察を実施しておりますが、その後、十年近くにもなっております。社会経済情勢の変化とか、社会福祉の関係の諸施策の進展など、生活保護行政をめぐる環境にも相当な変化が出ておるのであります。行政管理庁といたしましては、生活保護行政がこのような環境に対応して適当に運営されておるかどうかということに対しまして、また、全国的に実情を調査してその改善を推進したいと考え、生活保護に関する行政監察の実施をする予定をいたしておるのであります。なお、この監察につきましては、今年度の、ただいまのお話のように第三・四半期に実施していきたいものだと、かように考えておる次第であります。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 行政管理庁が、この秋の監察対象に生活保護問題を取り上げていることは知っております。ただし、先生いまお触れになりました調査でございますが、これは私どもも非常にあの記事を見てびっくりいたしたのでありますが、私どもいろいろ調べてみますると、東京都のN区、これは中野区のはずでございますが、中野区で二三-四%の生活保護を要する世帯があるということは、とうてい常識で考えられないわけでございまして、四軒に一軒生活保護、つまり国民の税金で支えなければならない世帯があるということはどうも考えられないということで、いろいろ私どもの方で調べてみました。  その結果、この調査は東京都が一部の学者に委嘱をしたものでございますが、調査の手法に相当な擬制があるようであります。つまり、所得の捕捉について税務統計をとったようでございますが、これについてはどうも実態を反映をいたしておりませんし、また保護基準の推計についてもいろいろとフィクションがありまして、相当高い基準をとっておるわけであります。したがいまして、両者の間に乖離を生じましてかような数字が出たものと考えておりますので、私は実勢は反映をしておらない統計であるというふうに思っておりまして、このような傾向のものをどういう経過で新聞記者に発表をいたしたか、私どもとしてはその真意を理解に苦しんでいるところでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私もその問題の、この二つの資料を目を通しまして、詳細に分析をいたしてみました。私もやりましたし、また、あちこちに依頼をしてやりました。これは一年間にわたりまして中野の世帯を調査をしている。その場合に、最も有利な保護を受けている水準に達しない世帯というのが四万世帯を超しておる。それから、最も低い保護世帯の水準の所得に足りないものが二万七千世帯というのが出ております。そしてこの間に、このときに中野で生活保護を受けているものは千八百九十四世帯であります。でありますから、この新聞に載りました二四%、つまり二十四倍というものは、私はこの資料から言うならば事実だと思う。詳細に見てみまして事実だと思う。問題は、中野で言いますと、いまの実際受けているものの二十数倍のものがほぼその水準にあるというふうに言って差し支えないんじゃないかと思う。問題はその保護世帯の保護の行政のやり方に問題がある。受けない、受けられない、あるいは受けようとしないという点もあろうと思いますが、これはいま厚生大臣はそういう数字は若干おかしいような話があったですけれども、私はこの数字を見る限りにおいてはそうだと思うのです。  ですから、今度行政監察をやられるそうでありますが、ぜひ福祉事務所、さらには民生委員、こういうものを通じまして実態を正確に把握をしてもらいたいと思っております。私は鹿児島ですが、鹿児島においての実際の数字はこれは大変高いんですから、実際保護を受けているものの数というのは東京なんかよりもはるかに大きい。何倍という数字ですね。そういう点から、私はこの保護行政、保護世帯の行政というものがどうも末端においては十分その機能を果たしていないのではないかという懸念をしておるわけです。その点についての見解を聞きたいと思います。  同時に、級地は四級地に分かれておりますが、これが余りにも差が開き過ぎておりますね。一番低いところは七三。一〇〇といたしますと七三。大変な開きがある。級地の是正を速やかにこれは大幅にやるべきだと思う。この点についてお尋ねをいたします。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 現行生活保護法は非常に精緻にできておるものでございますから、したがいまして、末端の行政については先生おっしゃるように、いろいろと細かい配慮をいたさなければならないことは事実でございまして、私どももそのようなふうに行政督励をいたしておりますが、先生の御注意に基づきまして、さらに一段と努力をいたしたいと思います。  なお、級地につきましては現在四級に分かれておりますが、これについてはいろいろな御意見もありますので、これは私が就任直後に財政当局と折衝いたしまして、四級地を撤廃することに決定をいたしまして、今年度と明年度二カ年間で四級地の撤廃をいたす、つまり三段階にいたすということで級地の格差是正を図ったわけでございますが、今後この問題につきましては、日本全体の物価あるいは社会水準等を勘案して、さらに検討を続けていく所存でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 最後になりましたのですが、地方行政の中で、地方交付税の渡しが多過ぎた、五百何十億返せという問題がある。それから五十年度についても、やはり場合によれば一千億を超すようなものが出てくるのではないかと思うのです。ですから四十九年度の問題、五十年度の問題について、あの総枠を確保するという考え方を自治大臣がお持ちかどうか。また、大蔵大臣はどういう考え方を持っていらっしゃるのか、その点についてお尋ねをいたします。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) お答えいたします。  ただいま御指摘がございましたとおり、国の計画におきましてそういうような、いま御指摘のような数字があらわれておることは事実でございます。しかし、私といたしましては、すでに地方財政計画というものを地方の自治体に示して、そうしてこれだけの、これこれの支出は認める、また国がそれに対してそれだけの金を出すということをはっきり示しておるわけであります。そこで、国の方に財政的にそれだけ歳入減があるというようなことが起きましても、五十年度のこの計画といたしましては、いかなる場合でもそれだけは確保をいたしまして、そうして地方自治体に交付をするということについてかたい決意を持っております。どういう方法でこれをやるかということについては、そういう事態ができました分については大蔵省と折衝をいたします。  また、五十年度と五十一年度のどちらかで処理をしなければならないということについては、これは五十年度でやるかやらないか、あるいは五十一年度に延ばすかという問題も含めて大蔵省と十分話し合いをいたしまして、そうして地方自治体の財政運営に、その意味で、いま言った財政計画というものを立てた意味で影響がないように処置をいたすかたい決意をもって当たっておるわけでございます。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 五百五十四億円と見積もられておりまする四十九年度の過払い分の精算につきましては、これを五十年度にやりますか、五十一年度の予算をもって処理いたしますか、これは自治省の方と相談して決めたいと考えております。  第二の問題につきましては、年度も始まったばかりでございまして、鋭意歳入歳出とも予算にもくろんだとおりに実現を図るよう、最善の努力を図らなければならぬといまのところ考えております。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして鶴園哲夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 柳田桃太郎君。(拍手)

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして若干の質問をいたしたいと思いますが、重複する個所はなるだけ省略して質問をいたしますので、簡潔に御答弁を願いたいと思います。  まず第一は、南ベトナムが解放勢力によりましていわゆる制圧をされましてから、東南アジアの情勢は非常に変わってまいりました。いままで新米的傾向を持っておりました諸国が、非常に速いスピードで中国寄りとなり、この覇権主義を認めて国交を開くというようなことになってまいりましたが、わが国はかねてからアメリカともいろいろ協調して東南アジア外交を進めたようでございますが、これからの東南アジアの外交はどういう基本姿勢で進めていかれるか、三木総理の御方針を承りたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いまアジアは新しい安定を求めて動いている。その安定を求めておる中に、二つの大きな安定のための原則というものをわれわれは深く感ずるのです。一つは、やはりその民族の意思というものが最後に物を言う。民族自決の原則といいますか、したがって、最後に物を言うのは民族の意思ですから、その民族の意思を尊重する。そうでなければ平和も安定もないということが一つ。もう一つは、この生活の安定向上というものを確保しなければ平和も安定も来ない。こういうことが、新しく安定を求めるアジアの歴史を動かしておる中で見逃してはいけない二つの大きな原則だと思うわけであります。したがって、われわれの今後の東南アジア政策というものを考える場合に、この大きな原則を踏まえて今後東南アジア政策をやっていかなきゃならぬ。ことに生活の安定向上という面では、その民族自体の自動的な努力も必要ですが、一方においては国際的な協力というものも必要である。こういうことで、われわれとしてもよき隣人としてできるだけの協力はしていく必要がある、こういう考えでございます。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 具体的にお尋ねをいたしたいのでございますけれども、従来わが国の企業進出はもとより、政府のベースで行われる経済援助の場合におきましても、必ずしも相手国の国民の共感と歓迎を呼んでいないようなものもあるわけでございまして、これから特にアメリカ離れをして自由な立場でいろんなことを詮議する、しかも非常な革新的意見を持っておる国との今後の国交あるいは経済援助を続けていく上において、原則としてはいま総理がおっしゃることはもっともなことでございますが、非常に彼ら新しい国が、頼もしい、信頼するに足る国だというような結局投資対象の選択なり、あるいは金利の問題なり、償還年限の問題なり、あるいは相手企業を思いやる企業進出なり、具体的に今後そういう進め方をする必要があると思われますが、総理はどういうお考えでございますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 日本のいままでの援助というものは相当な評価を受けておると思いますが、まあ一面においていろいろ問題がないわけではないわけで、今後日本の援助はその国の立場になって援助をするということ、日本の貿易の拡大とか、それも全然無視するわけにはいかぬでしょうが、相手国の経済の自立を達成するという、向こうの立場に立って考えるというそういう態度がこれから特に必要になってくると考えます。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 それから、いままでと違った一つの方向といたしましては、社会主義国あるいは臨時革命政府のようなものに対しましては、アメリカの国交が開かれるまでの間は、むしろ今度は彼らとアメリカとの間のかけ橋の任務をわが国が務めなければならないと思いますが、そういう面から見ましても、この秋に行われます第十回の東南アジア閣僚会議というようなものは絶好の場所ではないかと思われますので、今後のわが国の外交の進め方につきまして十分遺憾なきを期せられたいと希望いたしておきます。  次に朝鮮半島の問題でありますが、新聞報道等によりますと、これは外務大臣のお言葉かと思いますけれども、ことしの秋の国連総会で、例の在韓の国連軍が解体されるという決議が通りそうだ、そうなった場合に、朝鮮人民共和国というものとの交渉相手である国連軍がなくなるわけでありますが、そのなくなった場合に、休戦ラインを維持するために法的措置のようなものを国連のもとで講じてもらいたいというようなことを外務大臣は答弁されておるようでありますが、これはどういう内容を意味しておりますか、ひとつお教え願いたいと思うのであります。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまから二十数年前に朝鮮半島の休戦協定が成立いたしたわけでございましたが、この休戦協定の一方の当事者が当時の国連軍司令官になっておるわけでございます。そこで、もし国連軍が解体されるということになりますと、休戦協定に調印いたしました一方の当事者の人格がなくなるという問題が考えられるわけでございます。そういたしますと、一つは朝鮮半島における現在の休戦の法律的な枠組みでありますところの休戦協定そのもの、そのような法律的な枠組みが消滅するということがあり得る。そうなってはならないわけでありまして、休戦協定そのものの法律的な枠組みはやはり必要であるということと、また実際問題といたしまして、ときどき休戦協定違反が起こりますと、休戦委員会において協議をして解決をずっと今日までいたしてまいりましたので、そのような平和維持の機構もしたがってどうなるかという問題がございますので、国連軍が解体されるというようなことになりました場合には、そのような法律的な及び事実上の今日まで休戦を維持してまいりました基礎、枠組みというものは何か必要ではないかと、このことは考えておく必要があるという意味でございます。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 次に、総理にお伺いいたしますが、総理は米国のタイム誌とのインタビューで、韓国と北朝鮮とが国連に同時加盟して、最終的には国連の場で統一の話し合いをしたらいいじゃないかというようなお話があったようでございますが、これはわが国として国連で何らかそういったようなおぜん立てについて協力しようとか、あるいは積極的に運動を進めようとか、そういうようなことでおっしゃっておるのか、あるいは単にそういう希望的観測をお述べになっておるのか、お伺いいたします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 朝鮮半島における両国の関係は、いま分割、分裂国家の形になっておりますが、とにかく朝鮮民族の悲願は平和的な統一にあることは明らかです。しかし、すぐになかなかそこへいけない。われわれとしてはできるだけ朝鮮半島の緊張を緩和していかなきゃならぬ。そういう国際的な環境をつくることに日本の外交は努力をすべきだと思いますが、そういう場合に一つ考えられるのは、永久に南北の朝鮮を分断して分割を固定化するということになれば、これはもう統一したいという悲願を持っているんですから、固定化するようなことにだれも賛成しない。統一の一つのワンステップとして、暫定的な過渡的な処置としてもし国連に同時加盟というようなことができれば、その場合通じて南北の接触、対話、相互理解なども図れて、一つの朝鮮半島における環境の改善に役立つのではないかと、こう考えて一つの考え方を述べたわけですが、これに対しては北鮮の方から、それは朝鮮の分割を固定する考えだといって反対をして、結局は韓国と北鮮の間の合意ができなければそういうこともできませんからね、国連の問題もありますけれども。しかし、一つの考え方として「タイム」のインタビューに私が話したことは事実でございます。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 そういう場合に、ただ希望的観測として述べられたならばそれでわかりますけれども、北朝鮮の政府、すなわち朝鮮人民共和国というものはわが国はまだ承認していないと思いますが、そういうところの国連加盟をごあっせんするというようなことはどうかと思いましたけれども、そうではなくて、ただ一つのそういう希望的観測を述べられたということであれば了承をいたします。  次は、日米安保に基づく有事の際の防衛分担の問題についてお伺いをいたしますが、しばしば問題になる問題でございますけれども、最近いろいろなことが新聞にも報道をされておりますが、これは私の意見として申し上げますならば、国内においてさえも陸海空の諸部隊が、その総力を発揮するために常に演習などをしておるのを例とするわけでございます。しかるに日本は、日米安保条約というものを締結をして有事の際にはアメリカの援助を受けることにはなっておりますけれども、アメリカの軍隊、いわゆるアメリカ軍とわが国の自衛隊とは全く性質の異なるものでありまして、しかもNATOのように同一司令部にあって同一司令官のもとで共同作戦ができるものではないわけでございますから、これをふだんから何らかの形で防衛分担というものを明らかにしておかないと、有事の際に総力を発揮することができないであろうと私は憂慮するものでございます。  しかも、特に最近はわが国においても核の問題がはっきりとしてまいりまして、有事の際でも核は持ち込みをさせない、あるいは米軍の重要配置転換の場合におきましても、事前協議でイエスもあればノーもある、あるいは米軍の基地には賛成しかねるというような住民運動が各地に起こってまいりまして、米軍の機動的な行動が非常に制約されるという、そういうような環境が生まれておるようでございますので、これは真実かどうかは私はわかりませんけれども、米国はアジア大陸からの防衛線を後退させるべきであるというような意見が米国の議会内部にも出ているというような実態でございます。しからば、アメリカの核の抑止力あるいはアメリカ軍というものの後ろ盾で日本の防御というものを考えておるわれわれとしては、非常にこういうような不安定な状態に置くということはいかぬではないかと考えております。  特に、こういうことが報道されておりますので非常に心配するのでありますが、アメリカの国防長官が、この共同防衛上の日本の役割りというようなものを述べておる中に、日本が対潜水艦の戦闘能力、それから海上交通路の保護、防空というようなことを項目で挙げておるわけで、その内容の詳しくはわかりませんけれども、そういった海上交通路の保護というようなことは、日本が公海面で共同作戦をするというようなことはとうてい憲法上できないことでございますのを、もしこれが真実アメリカの国防長官がそういうことをお考えになっておるということになれば、こういうことはやはり事前協議を十分――事前の協定が行われてないからこういうことを言われるのではないかと思うのでございまして、むしろ、これは常に有事の際の防衛分担という問題を取り上げて、これを国会などで議論をいたしますと非常に困難な問題であるということはよくわかりますけれども、専守防衛という効果を上げるためには、このむずかしい国会で事前にいろいろ協議をして、それが一つの了解を得ないまでも、そういった問題があるということを掘り下げ掘り下げていっておることが有事の際には大変ためになるんじゃないかと思いますので、私はそういった意見を申し上げておるわけであります。  したがって、結論的に申し上げますならば、この有事の際の日本の専守防衛ということに対する打ち合わせをして、そのことが国会の承認を受ける事項があれば承認を受けるように努力をする、あるいは防衛計画の上でのせなければならぬものがあればまたこれを国会の場にのせるように努力をする、それで、国内法で非常時立法をつくらなければならないというようなものがあれば、これを制定するように努力するという、そういう体制をつくろうつくろうとする努力がなければ、わが国の国会は、われわれが参加しておりますように、このわが国の防衛あるいは自衛隊に対する評価が非常に違って、そこにコンセンサスがないのでありますから、有事の際にこの問題を国会に持ち出しましても非常に混乱をすることはもう火を見るよりも明らかであります。  したがって私は、最近坂田防衛庁長官が、これはおっしゃったか、おっしゃらぬかよくわかりませんけれども、新聞報道で、有事の際の防衛分担を定めるように話し合いを進めていこうというような気構えがあるということをお伺いして、私はしごくもっともだと思う者の一人でございます。これについて、総理、防衛庁長官の御意見を承っておきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は、やはりこういう核時代というものの国防は、有事なからしめるということが国防の基本だと思って、あらゆる努力をしてそういうことの事態に持っていかぬ。これは日本を戦場にして、日本防衛というようなことは非常にそういうことは容易なことではない。その事態へ持っていかないことが国防の急務である、こういう感じがするわけですが、有事のことについて御指摘でございますから、やはり日米の防衛分担というと、何かアメリカはここまで、日本はここまでというので誤解を生ずることがあると思う。日米協力という、安保条約によって日米協力、その協力をするについて、できないこともありますわね。できることもある。過大な期待を持たして、それが実現しなければ失望も起こる。そういうことを、日米協力という安全保障の問題について当事者間で話をすることは私は必要だと思う。これはお互いにやはり共同、いわゆる日米の相互協力によって日本の安全を保障していこうというわけですから、当事者によって話しておく必要があるということは必要だと考えて、防衛庁長官にも当事者同士で話し合いをする必要があるということは申しておるわけでございます。協定というようなことがいま必要だというふうには考えておりません。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) 日米両国は、いわゆる有事に際しましては、日米安全保障条約によりまして対処することになるために、もし不幸にいたしましてそのような事態が生じました場合、自衛隊と米軍が整合のとれた作戦行動を実施し、効果的な対処行動がとれるよう、平素から日米両国間において率直な対話を絶やさないようにする必要があると考えております。  なお、御指摘の件につきましては、当然のことながら憲法上の制約を十分考慮いたして、政府部内で慎重に検討の上具体化いたしたいと考えておるものでございます。また、この点につきましても、シュレジンジャー長官に招待を申し上げておるわけでございまして、いずれその機会があると思いまするので、日米両国間における防衛の責任者同士がお話をし合う。そして常に情報を交換し合うということは、きわめて日本の安全と独立のために必要なことであろうというふうに私は考えております。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 もちろん総理のおっしゃるように、そういう事態が起こらないようにするのが政治家の務めでございますから、もちろん有事の際を歓迎しておるわけじゃございませんけれども、多少私と国際緊張に対する意見が違っておられるようでありますから、私は、歴史的過程においてそういうことも起こり得るということの前提に立って、いますぐそういうことが起こるということを言っておるわけじゃございません。やはり防衛計画というものも、日米安全保障条約というものがなければ日本独自で考うべきものでありますけれども、そういった安保条約というものがある限り、その中において最小限の防衛計画を立てることがわが国の務めであろうと思うわけでございます。  そういう意味で、私はこの問題については総理と意見が違いますからすぐにはいきませんけれども、綿密ないろんな申し合わせあるいは打ち合わせをしておいても、有事の際にはうまくいかないものでございます。ましてや、核戦争が起きた場合にはそんな問題は間に合いませんけれども、そうでないような場合も、いろいろな場合を想定してやるのがこういう国防というものであろうと考えておりますので、私の意見はそういうことであるということを申し上げて、次に移りたいと思います。  次は、財政の問題についてお伺いしたいと思います。  これはいま鶴園議員からも相当質問がありましたので、要点だけを質問することにとどめたいと思いますが、四十九年度の税収の見積もりが、四月十五日の見通しでは八千億円ぐらい歳入不足があるということがわかったということで報道もされており、そういう御報告も受けたのでございますが、なるほど、三月の税収の見積もりで俄然非常な落ち込みが見えたということで、こういうことは気がついたと思いますが、しからば八千億ぐらい、そういうような歳入欠陥が出るのじゃないか。国税収納金整理資金に関する例の法律で、政令改正でこれを繰り上げ充用の形をとるのだろうと思っておりましたところが、いろんなものを寄せ集めましたところが四百億ぐらいの黒字で決算ができるというようなことでございますが、国民の側から見ると、八千億ぐらい赤字が出たというのにやっぱり四百億ぐらい黒字が出るということで、非常に疑問に思う節もあるようでございますから、もう一度大蔵大臣からその間のいきさつを承っておきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) さっきの柳田議員の私との違いということは、そう違いがあると思わない。やはり、今日ではそういう有事に至らしめないことが第一義である。しかし、もしものことがということを、そういうこともやはり安保条約上いろいろ検討することは必要で、そのためには日米間の安全保障に対する協力関係、できることもある、できないこともある。両当事者でよく話を常にしておくということの必要性は、柳田議員と私も変わらない。しなくていいというのではないのです。それはよくやっておく必要があるということでございます。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 八千億内外の租税の減収が見込まれるのではないかということを懸念いたしておりましたことは、御指摘のとおりでございます。しかし、それはそのまま四十九年度の歳入歳出のアンバランスになるわけではないのでございまして、歳出面におきましてどれだけ不用が立つか、税外収入がどれだけ出てまいるかという要素がありますことは御案内のとおりでございまして、先ほど鶴園さんにも御説明申し上げましたように、税外収入、これは日銀の納付金、専売公社の納付金、それから中央競馬会の納付金等でございますけれども、これが見積もりより二千六百二十億円ばかり多く出たわけでございます。それから歳出の不用が千七百七十六億円ほど立ったわけでございまして、四千三百九十六億円という税外収入等による財源が出てまいりましたことと、一方、政令改正によりまして税の帰属年度を変えさしていただいたわけでございますけれども、これによる増収が約四千億と考えておったのでございますけれども、事実は四千三百三十億出てまいったわけでございます。そういった事情で、それから八千億と見込まれておりました税の減収見込みが、事実は先ほども御報告申し上げましたように七千六百八十六億というようになってまいりました関係上、約一千四十億ばかりの剰余金が出てまいることになりましたわけでございまして、税の減収ということは申し上げたとおりでございますけれども、その他の要素が働いた結果、いま申し上げますような結果になりましたわけでございます。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 本年度も、すでに予算のときに予定されました給与所得の一七%というのも、それに達しないようでありますし、たばこと酒の値上げも少しおくれるような情勢になってまいりまして、まあ酒は別として、たばこの値上げも相当ずれてまいりました。それからGNPの伸び率を見ていきますと、当初の一一五・九という名目も達成しがたいような情勢が見えつつありますので、さきの議員がいろいろ質問されるように、一兆円か一兆五千億ぐらいの膨大な歳入不足が出るんじゃないかということが憂慮されるのでありますが、これは現在の時点では建設公債の枠の中で消化ができる金額かもしれませんが、いままでの経過を見ますと異常な経済成長の低下に伴う異常事態であるので、一般の公債と別にして、別途勘定でこれを早く償還していくというような方法をとろうということが新聞に出ておりまして、財政安定基金制度なんということが考えられておるそうでありますが、私はこれをあえて質問はいたしませんけれども、ことしなどはこれは異常事態でありますから、いままでのような償還年次よりももっと短い期間で早く償還するような公債が発行されることが望ましいと、意見だけを申し上げておきます。  次は、こういう財政窮迫の中ではございますけれども、公務員給与の問題と米麦の問題は、もう差し迫った、これは補正をしなければならぬ膨大な財源を要するものでございますが、これについてはどういうようなお考えでございますか。  私はこれで大蔵大臣に特にお願いをしたいと思いますのは、例の米のコスト逆ざやをなるたけ早く消費者に吸収してもらおうという考え方が万々あるということはわかりますけれども、この米の消費者価格を異常に引き上げるというようなことは、全体の物価に及ぼす心理的効果というものがかなりございますので、この米麦の買い入れ価格、消費者価格の決定につきましては、財政的見地もさることながら、十分に全体の経済運営について御考慮あってしかるべきものと考えておりますので、いまからお聞きするのは少し早うございますけれども、御意見を承っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 人事院勧告がことしあるかどうか、これはこの春闘を経過いたしました後におきまして、官民給与の差額がどう出てまいりますか、それを人事院当局がどのように判断されますか、それによって勧告があるかないか、決断されることと思います。しかし、いまの制度のたてまえといたしまして、人事院制度が置かれた理由というのは私どももよく承知いたしておりまするし、勧告が仮にありました場合、それは財政当局といたしましても尊重しなければならぬと考えております。   〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕  第二の米価の問題でございますが、これはまず農林大臣からお聞き取りいただいた方がよろしいのじゃないかと思います。ただ、財政当局といたしましては、柳田さんがおっしゃるように、財政的見地からだけでなくて諸般の事情を考えるようにというお諭しでございます。さればこそ六千八百億もの食管の負担が現に生じておるわけでございまするし、財政自体がいま御案内のように非常に厳しい状況にありますこと、これは申すまでもないことでございますけれども、そういう状況にあるということだけ私から御報告申し上げさしていただきます。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 次に、五十一年度以降の財政の問題について少しお伺いいたしたいと思いますが、毎年度のことでありますけれども、当然増の金額の比率が最近著しくなってまいりまして、予算の対前年度の伸び率のうち、仮に昭和五十年度にいたしましても、予算の伸び率二四・五%のうち二四・四%という大部分が当然増の経費であるということは、これはもう大蔵大臣御承知のとおりでありますが、これは毎年当然増経費を何とかしようというようにうわさがあり、努力もされておるようでありますが、いままで減るどころか、ふえるばっかりであったわけでありますが、今度は相当決心をもってこの洗い直しをするという、あるいは各種審議会に依頼してそれを詮議しておるというようなことも聞きますが、これはいままでの既定経費のようなものでも相当にその洗い直しをする考えであるかどうか、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま御指摘のように、第一、いまの財政が中央地方を問わず大変硬直化しておりまして、当然増と言われる金額が減るどころか、年々歳々ふえる傾向にありますこと、御指摘のとおりでございます。したがって、これにメスが加えられなければますます動脈硬化を来しまして、財政の機能を果たすことができなくなりますこと、御指摘のとおりでございます。したがって、政府といたしましては、何とかしてこの硬直化を打開しなければならないわけでございまして、財政制度審議会にも御審議を願っておるわけでございまするし、自治省におかれても、地方財政の面で調査会に御審議を願っておられることと思うのでございます。  もとよりこれは大事業でございまして、結論が手軽に出るものとは考えていないわけでございまして、何年かかかる大事業であろうとは思います。しかし、そのうちで明年度の予算編成に間に合うような中間の御意見がございましたならば、それは喜んで承らなければならぬと思います。しかし、今朝来鶴園さんと総理との間のやりとりにもございましたように、改革を云々することは大変やさしゅうございますけれども、実行するということは大変むずかしいことでございます。硬直化打開、打開ということを毎年毎年叫んでおり、努力はいたしておりますけれども、硬直化の度合いは進んでおるわけでございます。もしそれ硬直化の打開の努力を怠るようなことがあったら、これはなおひどい目に遭うと思うのでございまして、私ども一段、勇猛心をもってこの難問の打開に当たらなければいかぬのではないかと考えております。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 次は、少し思い切った発想を申し上げるのですが、いわゆる人間尊重の時代に入ってまいりまして、広い意味の社会福祉関係の経費は、何としてもこれはもう増大せざるを得ない情勢になってまいりましたが、わが国の税制のたてまえからいきますと、直接税が七割、間接税が三割ぐらいでございまして、これ以上現在の直接税に重みをかけていくということは、重圧感がますます大きくなる。しかも、社会福祉関係の経費というものは、長期の見通しを立ててこれを組んで予算化していかなきゃならぬという事態で、一度約束したものを今度はそれを引き揚げるとか、減額するとかいうことは非常に困難な問題が非常に多いわけであります。そこで、このいまの不況時代だけをとって考えてみますとこれは大変なことでございますけれども、ここで財政上の発想をひとつ転換して思い切って何かやらなければ、高福祉、高負担という目的を達成することはできないのじゃないか。総理は非常に愛情を持って政治を進められ、出す方については非常に気前がいいようでございますが、国民に向かって高負担を強いるというようなことは非常に言いにくいことでございます。なかなかできることではない。しかし、やらなければならない。  そこで、いま話題になっております例の付加価値税等を一つの対象として、高福祉達成のための目的税的な財源として国民の皆さんの同意を得るというようなことで、ここに、多少税の理論上からは間接税は議論のあるところでありますけれども、思い切ってここで間接税体系をひとつ取り入れて、長期の財政計画を立てていくというようなことが必要になってきたのじゃあるまいかと思いますので、大蔵大臣の御意見を承っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 戦前に比べまして、今日わが国の税は直接税に偏っておりまして、七割以上が直接税であるということでございまするし、先進国に比べまして直接税の割合が非常に高いということは御指摘のとおりでございます。したがって、直接税にばかり依存することなく、間接税に依存する税制の改革を通じて歳入を確保することを考えるべきじゃないかという御提言でございます。理論的な問題といたしまして、確かに私も首肯できる面があるわけでございまするし、世上にもいろいろそういった御提言がないわけではないことも承知いたしております。しかし、いまこのように経済が非常に空前の危機を経験いたしまして、ほのかな、いまようやくこの危機を脱却しようといたしておるやさきでございまして、こういうときに大きな税調の改革をお願いするというような時期でないのじゃないかという私は感じがいたすのでございます。もっとつましく、きめ細かな歳入確保の道を考えていくべきで、大がかりな手段はいま適しないのではないかというように考えております。  国会の実情から申しましても、付加価値税の創設なんということに対しましては大変抵抗がございますこと、あなたも御承知のとおりでございまするし、衆議院でも申し上げたんですけれども、酒、たばこの値上げにつきましてもこれほどの抵抗があるわけでございますから、間接税を大きくふやすというようなことはとてもできる相談ではないわけなんでございます。いま、もっと手近なところで増収の道がないかということを細かく検討いたしておるのが、今日私どもの立場でございます。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 さきに国税庁長官から税制改正の問題点について二、三お話がありましたが、所得税の減税の問題についてはお話がなかったようでありますが、法人税が非常に落ち込むので、所得税の減税は非常に困難であるということはわかりますが、いままで、給与所得が一五%ぐらい伸びた場合にその税は二〇%ぐらい伸びる、したがってここで物価値上がりだけの減税をしないと、実質上、実質所得は下がってくるというのがいままでの定説であったようでありますが、これは特に財政困難なときで給与所得以外に財源として頼むものはないので、これは一年見送るというお考えかどうか。これは、それならばそれとして、国民に相当訴えて了解を得る必要があろうと思います。  それから、いままで新税構想等について新聞その他でいろいろその構想が打ち出されるために、納税者の関係者というものは戦々恐々と不安がっておるわけでございます。そこで、なるたけ早い機会に統一見解として、来年はこういうこととこういうのは考えてないのだとか何とかいうことが、早く公にされることを希望をいたしたいと思います。  特にその中で、ギャンブル税のようなものはこれをどういうぐあいにするかというような問題は、五百四十の地方団体にも関係があることでありますし、これを税として取るか、あるいは基準財政収入の中に組み入れるか、いろいろな方法もあることでありますから、一度にこういうものに手をつけると非常に地方団体に混乱を及ぼすものでございますから、十分御研究を願いたい。なお、ナフサの課税などということは、ちょっと大きくトップのような記事に出ておるのを見ましたけれども、いま石油化学は四〇%ぐらいの操短をして非常に苦しんでおるところに、ナフサの課税なんということがぽんと出ると、これまた追い打ちをかけることになります。こういうことはあろうとは思いませんけれども、やはりこれは国税庁長官並びに大蔵大臣に申し上げておきますが、最近、次から次に新税構想が公に出ますので心配しておるわけでございます。何らかの方法でそういうものの整理が行われることを希望いたしておきます。これはもう時間がありませんから御答弁はよろしゅうございます。  続きまして、今後の経済運営と不況対策についてお伺いをいたしたいと思います。  これは福田副総理にお願いしますが、景気の見通しといいますか、経済の見通しと申しますか、ここ三年間を振り返ってみますと、四十七年が名目一六・一%のGNPの成長、四十八年が二一・七%、四十九年が一七・九でありましたが、四十九年になりましてGNPは実質マイナス〇・六になったということが、きょうの新聞にも出ておりました。したがいまして、ずうっと過去四十八年の初めごろから落ちてきたのが、四十九年になってその効果が出てきて、さらにダウンしていくようないま傾向にあるわけでございます。新聞やテレビその他有識者の意見は、いやこれで経済は底をついたのだ、これから持ち直すのだ、あるいは上昇に転ずるのだ、いろいろ意見がございますが、事実はもう非常に鉱工業生産の操業度が落ちております。一つの、鉱工業生産がこれだけ落ちるということは、これはコストに非常な影響を持ってまいることは専門家でございます皆さん方のよくおわかりのところであります。したがって、この景気の見通しと、六月の十六日に行われるでありましょう第三次不況対策の問題につきまして、関連して福田副総理の御所見を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) いま世界じゅうで不況と同時にインフレ、こういう状態でございまして、それがだんだんと改善される方向へ大体動きつつある。そういう中で、足取りとしてはわが国は比較的に堅実な立ち直りを見せつつある、こういうふうに見ておるわけです。物価につきましては、四十八年度、これはピーク時には卸売物価が三七%も上がった、消費者物価は二七%も上がる。こういうのが、四十九年度になりまして卸で言うと四・九%の上昇、消費者物価が一四・二%の上昇と、こういうところに来ておるんです。それから国際収支の方は、これは四十八年度は基礎収支で百三十億ドルの赤字だったんです。これが四十九年度になりますと四十三億ドルの赤字ということで、これも大変な改善であります。  一方、景気の方は、これは去年の下半期、特にずっと下降傾向をたどったわけでありますが、したがって操業率の低下、そういう現象が強く出たわけですが、一月ごろから在庫調整、これは在庫率が非常に毎月毎月減っていく、こういうような情勢になり、三月、四月になると出荷もまた生産も拡大傾向に向かうというような状態で、大観いたしまして景気は底をついたと、こういうふうに見ております。ただ、底に来た景気が、さて上昇過程に強く浮揚するか、そういうことを見てみますと、どうもその浮揚力というものが弱い。そこで、若干の景気浮揚策をとる必要があるかなと、こういうふうに考えるような状態になってきておるんです。  それで、近く経済対策閣僚会議を開きましてその内容等を決めたいと思っておりますが、いずれにしても物価問題、これは非常に大事な問題でありますので、物価には最大の関心を払わなきゃならぬ。この物価の、特に消費者物価の年度内一けた上昇という目標、これを達成する、そういう大きな枠組みの中で、これを損なわない程度の景気浮揚対策、これはとらなければならないかなといま考えておりまして、その具体的内容を詰めておる段階でございます。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 物価問題にも言及していただきましたが、物価を一けたにおさめるというのは現内閣の公約であり、責任であり、果たさなければならない非常に大きな仕事だと思います。これについて昨日の報道では、財界、産業界に値上げ自粛の要請をされたということも大変結構なことであろうと思います。というのは、現在非常な値上げ待ちの品物がかなりありまして、押すな押すなのコストインフレを解決するための値上げムードがあるわけでありますから、これの鎮静にもなったかと思いますが、さて、値上げを自粛してもらいたいというためには、何らかその値上げを抑制できる、要するにコストを、それに影響する、プラスになるような施策もまたこれは考えてやらなければ、それだけできるものじゃございません。  現在、ちょっと申し上げますと、鉄鋼業が操業度が七八%、非鉄金属は六五%、金属製品は七三%、機械工業が八〇%というように、特に石油化学などは非常に低くなっております。大企業をずっと見まして、二〇%ないし四〇%の操業短縮をしております。   〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕 この実需を回復しなければどうしてもコストが上がるわけでありますから、この実需を幾らか回復させるような方法、実需だけ回復すれば値上げをしないでしんぼうしなさいとも言えますけれども、実際の需要も喚起されない、値上げもされないということになれば非常に困るであろうと思います。そこで、この年内のいろんな増税というようなものも見送るとか、あるいは公共料金も、いま国会に上程されているもの以外は公共料金も絶対に出さない、凍結するとか、あるいは公定歩合をもう一回思い切って引き下げるとか、そういったコストインフレを防止するような施策を一方に講じながら、強い行政指導で物価を抑えていくというようなことが行われなければ、どうしてもこれは実行困離ではあるまいか。軒並みに値上げ要請をしておるような状態でございます。  しかも、輸出輸入の貿易は、一方輸出は十六年ぶり、輸入も六年六カ月ぶりというようなぐあいにだんだんと下がってまいりまして、相当な下降線をたどっておりまして、いわゆる静かなる成長という、言葉はきれいでありますけれども、縮小均衡というような形をとりつつあります。この縮小均衡の中でつつましやかに、大蔵大臣がおっしゃるように、この公的、私的な経営活動が行われればいいんですけれども、現在のわが国の産業構造をごらんになるとおわかりのように、製造業の自己資本比率は一八%ぐらいであります。特に石油などは六%弱であります。そこである程度、五、六%の経済成長がなかったら、いまの資本構成ではできないようなぐあいになっておると私は見ております。  したがって、いまのように実質成長が〇・六とか、あるいは〇・台の下に落ち込むというような状態では、いかにきれいな言葉をお使いになりましても、これは日本の経済は非常な沈滞をしていくのじゃないかと思いますので、これは方針を誤れば再び狂乱物価を起こしますけれども、非常にここはむずかしいさじかげんでありますけれども、やはり金利の面について、公定歩合の面について、もう少し思い切った引き下げ措置が行われ、そして実需を喚起する。そのためには、大蔵大臣は非常に公共事業の予算を組むことはということで警戒をなさっておるようでありますが、第三次不況対策の中では、いままでに組んでおる予算は早期にこれを契約するとともに、あとの分についても何らかの方法を考える。特に貯蓄に回っておりますいろんな、いわゆる郵便貯金等で蓄積されております八千億というような巨額のものがこれが再生産に回るような方法をとらなければ、個人消費だけに期待しても景気の振興はできない。非常にここはむずかしいところでありますけれども、非常に熟練した福田副総理以下の皆様方の手腕に大いに期待をいたしたいと思うのであります。  私の考えは非常にいろいろなことを申し上げましたけれども、大体皆さんの御意見をお聞きして総合していま申し上げたわけでありますから、簡単に総括してひとつ福田副総理から御答弁を願えれれば結構であります。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 柳田さんのいまの日本の経済に対する御心配、よくわかります。要するに、いまわが国も世界各国並みに不況と物価高、こういう相矛盾した二つの問題に取り組んでおるわけでございますが、アメリカなんかは大変な不況なんです。今日の集計じゃマイナス一〇%を超えるというような成長率、大変なことなんです。失業者が一千万人近くも出るというような状態ですが、昨日集計ができましたが、わが国はそういう中で、成長率で申しましてマイナスの〇・六で済み得たというような状態です。  しかし、とにかくそういう中でわが国も早く物価を安定させなきゃならぬ、経済を先々明るいものにしなきゃならぬ。これで相矛盾する二つの問題をどういうふうに解決するか、綱渡りみたいな非常にむずかしい段階でございますが、とにかくいまお話しのとおり、一方においては物価を安定させる、他方においては景気を徐々にではあるが上昇過程に持っていくというので、財政面におきましても、あるいは金融面におきましても、その他の雇用の面とかいろいろな問題がありますが、あらゆる角度の諸点を検討いたしまして誤りなきを期してまいりたい、かように考えております。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 自治大臣に、地方財政の問題について若干質問を申し上げたいと思います。一括して御質問申し上げますから、一括して御答弁願います。  地方財政の問題につきましては、もちろん地方団体それ自体の責任を追及さるべきではありますけれども、経済成長がかくも急激に低下して地方団体の税収が大幅にダウンするというような見通しは、地方団体ではつき得なかったのであります。そのことが非常な大きな災いになっておることもお考えになって、しかも、現在においては真剣に立て直しをしておりますので、これの財政需要を充足するためにやはり赤字団体に対する地方債の発行等についてお認め願って、地方団体の運営を円滑にするように第一にひとつお願いをしたい。当然そうしてやっていただかなければならぬと思います。  次は、「昭和五十年度の地方財政の運営について」という自治事務次官の通牒が出ております。実に名文でございますが、非常に放漫財政を叱咤勉励し、厳しさをもって一貫しておりまして、内容を見ますと、ぞっとするぐらいにすごいものでございます。これはもちろん東京においてデスクにおれば、こういうことを考えるのは当然であります。私もわからぬことはない。しかし、第一線におる者は住民と直結して日々の行政を担当しておるのでございまして、全体の社会的風潮とか隣の市町村だとかいうようなものの、その流れを無視することのできないような事態に置かれております。したがって、広域的な人事管理機関を何とかしてもらえないだろうかとか、定年制を制定してくださいとか、あるいは基準財政支出の単価を適正にしてくださいとか、あるいは超過負担の早期解消をしてくださいとか等々、地方団体からも毎年要請をしたのでございますけれども、それは国としては国会に出しても通りませんからなかなかやらなかった。これをもしやったならば赤字にならないような団体もかなりあったのでありますから、これは政府側も相当反省をしていいんじゃないかと思うのでございます。そこで、地方団体をおしかりになるとともに、新しい財源について十分御考慮願いたい。ここで私は項目を挙げてどの税、どの税ということは申し上げませんけれども、地方団体というものの育成について温かな気持ちで、私は一体になってこの末端の行政、自治体を育てていくという考え方が自治大臣にあってほしいと思うのでございます。  以上をもって、自治大臣に対する質問は終わります。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) ただいま柳田さんからの御質問でございますが、一々ごもっともだと私は考えておる次第でございます。  今日、地方財政が非常に窮迫しておるということはよく言われておるところでございまして、われわれとしても温かい気持ちで地方の財政問題に対処してまいりたい、こういうあなたの御趣旨には全く賛成でございます。ぜひそうあるべきでありまして、自治大臣としてはそういう立場で物を考えていかなければならないことはお説のとおりでございます。  特に、高度成長から低成長へ入ってまいりますからして、いままで高度成長でどんどん歳入がふえておったような時代にやってきた惰性というものがございますから、それを急に改めるということがどんなにつらいことであるかということもよくわかるわけでございますが、しかし、御案内のように、われわれ次官通牒も出しましたけれども、あの通牒の趣旨は、国としてもできるだけのことを考えるのだから、それにはやっぱり地方でも節約できるものは節約するし、それから人件費などでもむやみにふやすようなこともしないし、また国家公務員の人件費と非常に差があるようなものは是正するというような、やはり地方自治体自身が自分らが考えてみて少し行き過ぎておったと思うようなところがあったらそれは直しなさいと、そういうことをぜひひとつ考えてもらいたい。  それからまた公共料金、地方のたとえば水道料とかいろいろございます。いろいろございますが、それが実費が、実際の必要な経費というものがたとえば百円かかっておると、百円だけはやはり地方民から出してもらわなければならないというときに、二十円か三十円くらいで抑えておるものもあるわけであります。そういうものは一遍に上げるということになると、柳田さんの言われるように大変あれがありますから、せめて三年なら三年くらいでこういうふうにやるのだという計画でもつくって、そうしてこういうふうにわれわれもやっているんだから国としても十分ひとつ考えてもらいたいというような、国と一緒になって難局を打開するという気持ちになっていただきたいというのが自治省の考え方でございまして、ただ上から、何でもいいから全部節約しろとか、もう出さないぞとか、そんなことではこれはやっていけるものじゃございませんから、そういうことはひとつよくまた御理解をしていただきたいと思うのでございます。  なお、それについては新しい財源を考えてやれということでございますが、地方によっていろいろの財源を考えて、われわれの方へこういうものを新税を起こしたいということがあれば、私は必要に応じて、必要というか、その内容を十分検討して、そうして法の許す範囲、またわれわれが良識的に考えてみてその程度はということであれば認めたいと思いますが、先ほど来もお話があったように、中央において新税を起こすというようなことをしてはいかぬとか、あるいは公共料金を引き上げてはいかぬとかというようなときに、余りまた地方に、地方から言ってきたからといってどんどん許すというんじゃ、これはもう首尾一貫しない国の政策になりますので、そこらもよく勘案しながらやらしていただきたいというのがわれわれの趣旨でございまして、私は問題ごとに個々のケースについてなるほどこれは無理がないということであれば、これはどうしてもやっぱり認めてあげるということにしたいし、そうしてまたそれだけ地方が一生懸命こんなに努力したんだ、だから何とかこの分だけはひとつ考えてくれということであれば、私は非常に苦しい中であっても、大蔵省の方にもよく話をして、そうして何らかの措置をとってもらうように私は努力をいたします。それはもう自治大臣として私は当然のことだと思っておりますので、御趣旨を体して処理をいたしてまいりたい、こう考えておりますので、ひとつよろしくお願いをいたします。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 通産大臣にお伺いいたしますが、輸出入貿易が非常に縮小してまいりまして、いわゆる縮小均衡に陥りつつありますが、これの振興策について御意見を承りたいと思います。  特に輸出について見ますと、五月に御承知のとおりに、対前月比九・五%認証額が輸出は落ちておりますが、伸びたのは何かといいますと、地域別に見ますと、中近東が前月比一三五・二%増になっております。これは六月にスエズ運河が開通してまいりましたときのメリットとデメリットの問題ですが、いままで中近東に相当貿易が伸びておりましたが、スエズが開通した場合に、こういうように中近東が大きな輸出市場としてやっていけるかどうか。そこでデメリットがあれば、欧州の方に対する運賃が幾らか助かりますから、そちらでカバーになるかもしれませんが、そういうことについての御意見を承りたいと思います。  それから輸入について申しますと、これもまた非常にダウンしてまいっておりますが、特に原料品が落ちておるわけですが、各国にいろいろな開発をして長期契約で輸入契約等をいたしておりますようなものまで非常に輸入を渋るというような事態が出てまいりますと、将来の経済外交に非常に大きな支障があるわけでありますが、こういう輸入の拡大、あるいは備蓄等についてのお考えがあればお漏らし願いたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 貿易の状態についてお話しになりましたが、輸出貿易につきましても最近だんだんと減ってまいりまして、相当落ち込んでおります。私どもも大変心配しておるわけでございますが、やはり一番大きな理由は、世界全体が不景気で購買力がないということ、特に産油国以外の発展途上国の外貨事情が非常に悪くなっておるということ、これが一番大きな原因でございます。さらに、そこへいま御指摘のようにスエズが開通をいたしまして、欧州から中近東方面へ来る荷物が若干有利になると思います。巷間伝えられるほど有利になるとは思いませんけれども、やはり地理的条件を考えますと、相当有利になることは事実だと思うわけでございます。そういういろいろ貿易のことを考えますと、やはり一定量の輸出貿易の水準を維持するということは国内の景気対策上からもどうしても必要だと思いますので、輸出金融の問題をどうするか、あるいは輸出保険の問題をどうするか、こういう問題についても検討をしてみなければならぬと、このように考えております。  それから輸入の方も、ただいま御指摘のように、これまた輸出以上に大変な落ち込みでございまして、一年前に比べまして二十数%も落ち込んでおる。大変心配すべき状態になっておるわけでございます。特に、発展途上国からの一次産品の輸入が減っておりまして、また、長期契約等で約束しておりました品物も買えない、こういうことで、相手方に対して大変迷惑をかけておるわけでございます。そこで、この輸入が減った一番の原因は、これはやはり不景気のために国内の産業も不振になっておる、原材料がそれだけ要らない、こういうことから減ったわけでございますので、第一義的には、やはり景気の振興ということが大事でございます。しかし、その回復を待っておるということにはいきませんので、やはりある程度備蓄輸入ができないかどうか、そして相手方に迷惑をかけるのをできるだけ少なくしたいと、こういうことをいま研究しておるところでございます。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 最後に、通産大臣にもう一つお伺いいたしますが、石油の問題ですが、原油の輸入は、御承知のとおりに石油業法に基づく需給計画に基づいて輸入が行われておるわけで、これによって相手と長期契約をし、船舶についても長期用船契約をして入っております。したがって、日本の実需が減少したからといいまして、急激に輸入量並びに船舶を間引くというようなことは困難な状態にあることは、これはもう通産大臣一番よく御存じでありましょう。このために、現在、行政指導もありますけれども、六十八日分の在庫があるわけであります。これは、製油所の仕掛け品と流通過程におけるストックが大体四十五日というのが普通のこれはランニングストックと言われるものでありますから、六十八日というのは二十三日もオーバーしているわけで、全体を通じまして三千億の資金が寝ておるわけであります。そこに逆ざやでございますから、石油産業は軒並みに非常に困っておるわけであります。これに対しては、すでにこの六十日分の、四十五日との差額については、二分の金利補償をするようにして金を貸し付けてやるようになっておりますが、それから上のものについては、石油の備蓄法が通ればまた四分利で九〇%貸し付けるというような金融上の恩典もあるようでございますけれども、今日石油産業、このエネルギーの基礎産業である石油産業は、非常な不況に立ち入っていることは御承知のとおりであります。したがって、現在予算で組まれておる金利補償等の問題については、速やかにこれを措置してやってしかるべきではないかということが一点。  第二点は、その石油の供給計画が、需給計画をおつくりになった時点と現在の実需の状況が相当乖離をいたしておることは御承知のとおりで、相当供給計画も締めてかかりまして、四十九年度と五十年度との伸び率は〇・六%の伸び率しか見ていないにもかかわらず、現在電力がC重油の需要が伸びない、あるいは鉄鋼業、あるいは造船、あるいはセメントというような大きなものが二割から四割の操短をしておるということで、軒並みに石油が荷もたれになって困ってきております。これはある程度在庫が豊富でないとまた値上げムードが起きますから、あれですが、一たんつくりました供給計画でも、これが実需と合わないものについてはやはり適当な機会に修正を加えなければ、その負担だけを民間業者だけに負わせて行政官庁は指導のしっ放しというようなことは、これはよくないことではないかと思うのであります。何といっても、非常な重要なエネルギー産業を民間に任せておるのでありますから、特に、一度は育成した民族資本というものがこれによって、非常に脆弱な基盤の上に立っておる民族資本がこれで失敗するというようなことになれば、通産省の指導の趣旨にも反するのじゃないかと思うわけでございます。  だから、かいつまんで申し上げますならば、金利補償をするようになっておるのは早くしなさい、そうして供給計画が過剰なものはこれを改むべきだということを私は率直に申し上げ、そのほかにいろいろ方法はありましょうけれども、こういうぐあいに荷もたれになっておるところにいろいろな価格の問題に触れてみたところが、だれも実需者がそんな高い価格で買う者はありませんから、これは価格の問題には触れませんけれども、そういったコストを引き下げる面について、通産省がひとつ緊急に措置をする必要があるのじゃないか。しかも備蓄ということはコストがかかって、コストが上がる、石油の値段に反映するということを十分にお考えになって、それを上げさせないためには、上げさせないような金融、金利措置というようなものが必要だということを改めてひとつこの際御経験をなさっておくことが必要であろうと思うのであります。  以上をもちまして私の質問を終わります。これに対して、総括して通産大臣の御答弁を賜れば結構でございます。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 企業の適正なストックが幾らかということにつきましては議論の分かれるところでございまして、四十五日から六十日という説がございます。政府の方は、六十日ぐらいを企業で持ってもらう、それを超えるものは、これは国民経済上どうしても必要だという立場から備蓄させるわけでありますから、国が全面的に援助をしていく、こういう方針をとっておるわけでございます。ただしかし、現在非常な不況の影響を受けまして、石油業界は大変な赤字経営を続けております。三月の決算も、実際の赤字は各社累計いたしますと二千億を超えると言われておるわけでございますが、資産の処分等をいたしまして、表面上の決算は累計で約六百億の赤字になっておりますけれども、非常な困窮状態、困っておるような状態だと思います。そういうことでございますから、備蓄計画とは別個に、石油業界の実情をよく調べまして何らかの当面の援助が必要であろう、こういうふうに考えております。  それから、第二点の供給計画を見直す方針はどうかということでございますが、これは先般つくったばかりでございまして、まだ二カ月も経過しておりませんので、もう少し経済の状態を見まして、実情に合わないという判断をいたしました場合にはつくり直す予定にいたしております。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 ありがとうございました。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして柳田桃太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 田英夫君。(拍手)

田英夫日本社会党

○田英夫君 私は、主として外交問題を中心にして政府のお考えをお聞きしたいと思いますが、最初にお願いをいたしますが、大変基本的な問題を最初に伺いたいと思いますので、どうかひとつ、三木総理、宮澤外務大臣中心にお答えいただけると思いますが、率直にお考えを述べていただきたいと思うんです。衆議院の予算委員会などを通じて私も拝見をしておりますと、いささか抽象的にお逃げになるという傾向がありますけれども、特に参議院という場は、国会の中でも国民の側に立ってその気持ちを体して、日本が正しい方向に進むということを政府側と話し合った中でいい道を見つけていこう、こういう意味では非常に大切な場だと思いますので、あえて蛇足でありますけれども、このことをお願いをしておきたいと思います。  その意味で、まずお聞きをしたいのは、いま、言うまでもなく世界は激動しているわけでありますが、この国際情勢をどういうふうに認識をされるのか。ベトナム、カンボジアでああいう事態が起こっている。あるいは中国はこうしたものを第三世界と呼んでいるわけでありますけれども、言うまでもなく、国の外交を進めていくには国際情勢をどう認識するかということが基本になるわけでありますから、これを伺いませんと政府の外交の方向を知ることができないわけでありますから、どうか、まずそのことをお答えいただきたいと思います。総理からお願いをいたします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 先ほども柳田議員にお答えをしたわけですが、いま大きくアジアは動いている。そしてアジアはまた新しい安定を求めている。そういうときの大きな原動力になっておるものは何か。結局はその民族の意思が最後には物を言う。民族自決の尊重ということがやはり安定をするための大きな条件である。安定への条件である。もう一つは、やはり国民の生活、これが安定をして向上するということでないと、それが確保されるということでないと、なかなか安定ということはできない。そのためのその国の自助的努力と国際協力というものも必要である。民族の意思の尊重、やはり貧困の克服に対する国際的協力、こういうものが、動いておるアジアを通じてわれわれに非常に強く看取されるわけでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 これは外務大臣からお答えいただいた方がいいかと思いますが、いまの世界を自由主義陣営と社会主義陣営の対立というふうにお考えになるのか。中国はこれを三つの世界に分けているわけでありますけれども、こういう考え方で言えば、宮澤外務大臣はどういう基本的な認識をお持ちになるか、この点を伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 自由主義国家群と、そうではない、仮に社会主義国家群と呼ばしていただきますが、との考え方、基本的な物の考え方の違いが解消したわけではありませんけれども、しかし、米ソのデタントに見られますように、そのゆえに戦争に進もうというような気配ではなく、いわゆる緊張の緩和が続いてまいってきておると思います。その基調に変わりはないと思います。そのようなことは、従来それらの影響力のもとにありました国々、ことに自由主義陣営に属しておったと思われる国においてそうでありますが、比較的自由に自分たちの道を進みやすい結果になりました。先ほど総理の言われましたような民族の自決といったようなことでございますが。したがって、そういう国々において、いわゆる大国の支配というものから離れて自分の道を進んでいこうという動きが顕著でございます。  他方で、アジアの地域におきましてはそのようなことでありますから、米軍がインドシナから撤退をしたということがありましても米ソのデタントという基本的な枠組みは変わらないと思いますし、なお、米中の対話というものも続いておると思われます。したがいまして、このたびのインドシナ半島からの米軍の撤退は大きな出来事ではございますけれども、アジアの国々が、先ほど申し上げましたような自分の道を歩こうという考え方自身は、今度の出来事によりましてさして影響を受けることはない。もとよりそれらの国々の多くが、なるべく大国の支配を受けたくないということから、その間にいろいろなバランスを配慮することは確かであろうと思います。ことに中ソのバランスというようなことにはいろいろおのおの国ごとに配慮をいたすと思いますけれども、まずまず自分の道を歩こうとするであろう、こういうふうな見方をいたしております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 外務大臣、まさにおっしゃいましたとおり、新しい民族の独立を求める、解放を求めるという勢力が大国の支配を受けたくないという動きを高めているということが、いま世界の動きの中の最も注目すべき基調だと。むしろ私は、それが主流だという認識を持たなければならないのではないか。戦後長い間続いてきた東西対立、社会主義と自由主義陣営の対立という観点から世界を見つめることにわれわれはなれ過ぎていた。このことを少し強いくらいに否定をして――否定というのは確かに強い表現ですが、実際にはそういうものが、そういう流れが残っていることは事実でありますけれども、それよりも主流は民族の解放と独立を求める勢力だということに注目をする必要があるし、日本の外交はそこのところを重視する必要があるということを実は私は申し上げたいのであります。  そこで伺いますが、カンボジアとベトナムで相次いで起こったあのインドシナの事態を政府はどのように理解をしていらっしゃるか、改めてお聞きしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) まず、ただいま総理がお述べになりました基本的な見方を適用して解釈して間違いのない事態だと大まかには考えておるわけでありますが、まずベトナムで起こりました事態について考えますと、いわゆるフランスの植民地を脱した以後、いわゆる民族自決あるいは貧困の克服ということにベトナム民族が努力をしようといたしたことは確かでありましたが、いかなる方法論によってそれをなし遂げるかということについて、社会主義的な方法論をとろうとする者と、そうでないいわゆる自由主義的な方法論をとろうとする人々とに分かれまして、そこにおのおののイデオロギーをよしとする大国のいわば介入がありました結果、あたかも内戦に大国が介入をしたというような様相を呈するに至りました。その結果は、最後には米軍の撤退という形で事態は終わるに至ったわけでございます。したがいまして、と申しますか、恐らく今後ベトナム国は、そのような国の将来を決めるに当たって、どちらかといえば社会主義的な手法をとろうとするであろうというふうに考えられます。  カンボジアで起こりました事態は、その後今日のところが明瞭でございませんが、ここではもう少し米国の介入の理由、動機が分明でございません。内戦に干渉をしたと言われても仕方のないような事態があって、それが成功せずに終わったというふうに解釈すべきかと思います。

田英夫日本社会党

○田英夫君 いまのお答えが大変苦しいことになってしまったのは、お聞きの皆さんがお感じになったとおりてあります。つまり、政府の従来のお考えをこのカンボジアとベトナムで起こった事態に合わせようとすると、宮澤外務大臣が苦しい答弁をされなければならない。そうではなくて、私どもがかねてから申し上げていたように、あの戦争はともにアメリカの侵略戦争であるという規定をしたならば、実に明快に事態を解釈することができるんじゃないでしょうか。カンボジアのことは、いま非常に苦しく言われました。ベトナムも実は同じじゃないですか。一九五四年のいわゆるフランスとの戦いがディエンビエンフーで終わったときのあのジュネーブ協定、そしてそれをアメリカが踏みにじって介入をしていったときの姿、一九五六年のあのサイゴンで起こった焼身自殺などの事態、そういうものを歴史的に正しく見ていったならば、明らかにアメリカが不当に干渉していったのであり、侵略をしていったのであって、あれを内戦に対して大国が干渉をしていったというような言い方をすることは、まことにこれは苦しいと言わざるを得ないと思います。この辺のところは、政府の従来のお考えが、自民党政府のお考えの間違いがにじみ出ていると思いますが、そこで一つ具体的な点に移りたいと思います。  いまサイゴンにできました南ベトナム共和国臨時革命政府、これに対する対応を政府はどういうふうにお考えになっておられますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ベトナムにおけるアメリカの介入をアメリカの侵略であったろうと考えることには、私には異論がございますけれども、これはしかし、お時間の関係もございましょうから深入りをいたしません。  そこで、南ベトナムにおける現在の情勢でございますが、南ベトナム政府、いわゆるPRGそのものは、少なくともサイゴン周辺におきましては、いまだ軍事管理委員会とも称すべきものが一応支配権を持っておるようでありまして、これが内政、治安、外交というような部門を持っておるようでございます。やがてはいわゆる民政移管ということが行われるのではないかと考えられますけれども、その間にありまして、従来米軍の撤退の前後を通じまして、大使館を、大使以下のスタッフを残しました国は、主な国で申しますと、わが国とフランスでございます。その他、ごく少人数残した国が幾つかございます。ただいまの南ベトナム・サイゴン政府の方針は、従来前チュー政権に信任状を出しておったところの大使は一応この際交代をしてもらって、そして新しい人間のアグレマンを求めて、その上で外交関係を考慮する、こういう態度のようでございます。わが国といたしましては、国家の承認はすでに五月の初めにいたしておりますので、したがって正式に外交関係が、サイゴン政府の所見によりますと、ただいま申し上げたような形で継続されるというふうに一応考えておるわけでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 カンボジアについては今後どのような対処をされるのか。これも、承認をしたけれども大使館が置けない状況だと思いますが、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) そのとおりでございます。北京におきましてカンボジアの代表部に対しまして承認の意思を表示をいたしましたが、これは私ども一方行為と考えておりますけれども、その後、外交関係の設定に至っておりません。これはわが国のみならず、私どもの知り得た範囲では、現在プノンペンには何国の大使館代表部もいまだ存在していない状態のようでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 一部の報道は、南ベトナム臨時革命政府は大変やわらかい、そしてどうやら人見大使は以前からの大使だから帰ってもらうが、新しい大使は受け入れる、ところが、カンボジアは大変きついというようなところを強調をして報道をしておりますけれども、政府はこの辺のところの違いをどう理解をしておられるのか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) その点は必ずしも即断できない点があろうと思います。カンボジアにつきまして、ほとんど全く情報がございませんので判断ができないという点は、カンボジアの方が事態が不分明でございまして、恐らくはいわゆる、どう申しますか、非都市化と言うのでごさいましょうか、基本的に農業国家からつくり直そうというような意図で政治が行われるのではないかと思われますが、外部からの接触が可能でございませんので事態が分明でございません。  サイゴンにおきましては、最初のアメリカ撤収後二週間ほどは、事態が比較的楽と申しますか、イージーな状態でございましたけれども、五月の十五日ごろから、北側からハノイの労働党の首脳等がサイゴンに入ってまいりまして、そうして軍事管理委員会の機能も強化され、主としてただいままで治安の維持でありますとか、あるいは旧政権下のいわゆる資本主義的文明の排除であるとかいうようなことが行われておりまして、経済、外交関係についてはほとんど目に見える進展はございませんでした。わずかに最近になりまして、先ほど申し上げましたように、旧政権下に信任をしておった大使たちは一応交代をしてもらいたいという意思表示があったわけでございます。  ただ、それから先のことは実は推測を申し上げるしかないのでございまして、そのこと自身が、今後サイゴン政府自身が外交関係を自己の責任において処理する意思であるのか、あるいは何かの形でハノイとの連携のもとにそれを行う意思であるのか、その点はただいまのところはっきりいたしませんで、私どもとしては恐らく、サイゴン政府からそのような意思表示があったのでございますから、新しい大使のアグレマンについては少なくともサイゴンとハノイとの間の何かの協議が行われるということになるのであろう。これは推察の域をいまだ出ないところでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 この辺は、これから新しい関係を、しかも先ほど三木総理が言われましたように、まさに民族の自決ということを尊重するという立場からすれば、非常に重要なつき合いになるわけですね。しかも長い間戦争で苦しんできた、そして、かつては日本もその人たちに迷惑をかけた地域です。これはことさらに日本の外交の中では重要でなければならないにもかかわらず、いまだに状況がわからないと言われることはまことに私は不思議に思います。従来からもう少し外務省が検討をし、情報を集めているならば、なぜカンボジアがああなり、南ベトナムがいまああなっているかということをもっと的確に知っていなければならないはずです。  私どものような野党の立場からでも、ある程度の情報を得て、ある程度のもう少し正確な推測ができると思います。カンボジアがなぜああなるのか。南ベトナムの臨時革命政府というものは、まさにパリの和平協定で明らかにされた方向に向かって進んでいる。つまり将来の統一を目指して、そしてまず第一に南ベトナムに一つの連合政府をつくっていくという方向をちっとも崩していない。当然アグレマンは南ベトナムの共和国臨時革命政府が出す。その独自性は厳然として保つに違いないということを私は申し上げたいのです。一部のマスコミもその辺は不勉強であります。あたかも北が支配するかのようなことをしきりに流している。この辺は明らかに不勉強と思いますが、そのことは余りいまは触れません。  ここで伺いたいのは、この新しく生まれたベトナム、中の人間は同じであります。そのベトナムとのつき合いをしていくときに、日本にいる、かつてチュー政権が送ってきた留学生、この取り扱いをどういうふうにされるおつもりですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) お言葉ではございますけれども、実はカンボジアにおきましては、わが大使以下スタッフは前政権の一番最後まで残留をいたしたようなわけでございまして、またサイゴンにおきましてはいろいろな事情がありまして、結局、米軍撤収にもかかわらず今日まで大使以下が残存をいたしましたので、外国に比べますと比較的情報については私ども、まあ比較的でございますけれども、わかり得た立場にあったと思います。もとより、それがやや一方的な情報であったかもしれないということは、これは御指摘のとおりかもしれません。  留学生の問題でございますけれども、これは主として法務省からお答えをいただくのが適当かと思いますが、学業中の者であれば、いわゆる残留期間、旅券法上の残留期間が参りましても、学業の継続を希望する者はなお継続して日本にいることを認める。つまり、その意に反して技術的な理由でどうこうするということは政府としては考えない方がよろしい、御本人たちの選択に任せるということでございますが、もとよりそれが逆に、言葉は悪うございますけれども、新政権に対して非友好的な行為になるということは、これはまた不適当なことでございますから、その間も考えながら、なるべく学業している人たちの意思を尊重したいという方針でございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 法務大臣、いまの外務大臣のお言葉でよろしゅうございますか――。文部大臣もいいですか。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) ただいまの外務大臣のお話で、原則は私も同感であります。ただ、私の立場は教育でございますから、教育をいたします場合には、わが国民はもとよりのこと、他の人々もわれわれの国の学校に入って勉強しておられるときには常にこれを尊重して、そして学習者の意思を生かしていくということを十分に考えなければならない。そのことを十分に考えまして、そして他方、外務省また法務省でお考えの線というものに沿っていくようにしなければいけない、かように考えております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 そこで、いまの大臣方のお答えからすれば、従来に変わらず、現在日本にいる七百人余りのベトナムからの留学生は引き続き日本で安んじて勉強ができるようにということだと思います。そして五月に早くも南ベトナム臨時革命政府を承認をされたという方向からも、ベトナムと友好を進めていこうという政府の方針ははっきりあらわれていると思います。にもかかわらず、サイゴンが陥落をしたというショックがあったかもしれませんけれども、それはベトナム人にとってはショックでしょうが、われわれ日本人がそこで動揺するようなことではないはずであるにもかかわらず、まさにその政府の方針に反して、あの四月三十日の夜、警視庁の警察官がとった態度というものはまことにけしからぬことであります。南ベトナム大使館に話し合いのために出かけたという八十人余りの学生のうち二十九人を警棒で殴る、けるという暴行を加えながら逮捕をして、長い人は二晩にわたって留置をした。こういう事実は国家公安委員長はもちろん御存じだと思いますが、暴行の点については警察官、警察側は頑強に否定をしておられるようであります。地方行政委員会でもこのことは取り上げられました。国家公安委員長、この点はいかがですか。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。  わが国は御案内のように法治国家でございますから、事情のいかんを問わず、違法行為に訴えてみずからの目的を達することは厳に許されないということはおわかりを願えると思うのでありますが、われわれの承知いたしておりますところでは、今回のベトナム人留学生の行為は、とにかく門に入ってはいけないと言うのに門の中へ多数を頼んで入って、そして、さくのといいますか、かぎを外して大使館に入ってきた。そういうことをいたしましたので、これは何もベトナムの大使館であってもなくても、日本の家でもそういうふうにして入ってくればこれは違法と言わなければなりません。そこで、やむを得ず警察としては、これはそういうことをしないようにという制止をしたのでありますが、何かそこにああいうときには感情的に、学生の方も感情的になっておる面があったようでございまして、いささかのトラブルが起きた。そこで警察としてはやむを得ず取り締まりをしたというふうに私は聞いております。  その間に暴力ざたがあったかどうかということになりますというと、われわれの方ではそういうことをしたつもりはないと言いますが、まあ、そういうときには間々誤解が起きるものでございますけれども、私はそういう場合において、決して国としては、ベトナムがああいう事情になったからといって、こちらへ来ている学生に対して同情をすることはあっても、それを取り締まるなんというようなそういう立場で物を考えません。私自身も、実は閣議でこの取り扱いの問題が出たときも、ひとつまあ俗の言葉で言えば、薄情なような取り扱いをすることは絶対にしないようにしてもらいたいということを私は発言をいたしておるのでございまして、そういう意味でやはり温かい気持ちでこの問題に対処していかなければならないと思います。したがって、警察のとった態度について行き過ぎがあったとすれば――私としてはそれは認めませんけれども、そういうような御注意もあったということを体して今後にも対処してまいりたいと、かように考えます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 いまそういうお答えがありましたけれども、そういう事態に至る前段の経過というものをもう少し、そこまで温かい気持ちがおありならお調べいただきたいと思います。  私は、実は逮捕された学生のうち直接三人の人に会っております。詳しく話を聞きました。自分がどんな取り扱いを受け、ベトコンやろうとどなられたというような、そうした取り扱いの内容まで詳しく聞いたのであります。第一、四月三十日のサイゴン陥落というのはお昼前にはわかっていたのであります。ちょうど私は実はその日は北京におりましたが、昼食のときにこのことを知りました。そしてこの大使館での事件が起きましたのは夜であります。これは外務省の事務当局の見解を伺いたいのですが、この外国の大使館というものはその時点ですでに外交特権を失っていたのではないかとベトナムの留学生は私に訴えておりましたが、外務省としてはどういうふうにお考えですか。

松永信雄外務省条約局長

○政府委員(松永信雄君) 確かにその事件が起こりました時点においては、すでにサイゴンにおける前の政権は崩壊していたということだろうと思います。一般国際法上の問題として考えますと、政府が交代あるいは政権が転覆したという場合に、その国の大使館、すなわちこの場合は在京の大使館でございますけれども、の地位が変わるわけではございませんで、大使館は依然としてベトナムの外交財産であるという関係にあると思います。そこで問題は、その大使館を管理する者がだれであるか、それまで在勤していた大使なりあるいは館員がその建物に対する管理権を持っているかどうかということでございますけれども、通常の通念、国際的な通念といたしましては、新しい政府のしかるべき権限を与えられた者が到着してその管理を引き継ぐというまでは、在来のその管理に当たっていた者が引き続き管理に当たるというふうに推定するのが通念であると考えております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 もう一つ、そういう意味も含めて大変奇怪なことがあるんですが、ベトナムの旧大使館が四月三十日の午後、いまのお答えは建物の管理の問題ですけれども、パスポートの発行あるいはその一部訂正というようなことは明らかに外交的な行動ですけれども、ベトナムの大使館がベトナムの留学生に対して、緊急に一部の留学生に対して連絡をとって、国外に出たいならば来なさいと言ってパスポートの改ざんをやっているのであります。ここにその写しがあります。そして目的地というところにジャパンと書いてあったところを、さらに走り書きのようなペン書きでフォー・オール・カントリーズと加え、エクセプトですね、共産国を除くと、その日付で、四月三十日付で書き込んでいる。アメリカへ逃げたいんだったらどうぞこれで逃げなさいというサゼスチョンをしているんです。それを聞いて、日本にとどまって勉強したいという学生たちは非常に心配をして、つまり大使館がひもつきで一部のそういう気持ちを持っているかもしれない学生に連絡をとってこういうものを出した。そして本当に日本で勉強をしたいという大多数の学生は、それを聞き知ってびっくりして、みんなで声をかけ合って八十人ほどが大使館に出かけて行ったというのがそもそもの実情であります。なぜ大使館に学生たちが行ったかということの発端はそれにあるのです。こういう行動に対して政府はどういうふうにお考えになりますか、この大使館の。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 実情を私つまびらかには存じませんけれども、恐らく大使館としては自国民保護という目的のもとに、なるべく学生たちの自由意思を尊重してやろうという考えではなかったかと存じます。その間にもとより強制力が働き得る方法もないわけでございますから、選択の自由をできるだけ与えておこうという意思ではなかったろうかと、詳しくは存じませんが、推察をいたします。

田英夫日本社会党

○田英夫君 もしそうだとするならば、一部の学生にだけこういうものを渡しておいて、その事情は一体どうだといって、それを聞きに大使館に行った多くの学生を中に入れなかったということが事実ならば、これはまことに――これはベトナムの旧大使館のことですから政府もわれわれも関知しないと言えばそれまでですが、まことに不当な行動であり、その学生の言い分を聞かずにこれに殴る、けるという乱暴まで働いて逮捕をしたということになれば、これは大変なことじゃないですか。一人一人のこの二十九人に国家公安委員長は頭を下げて謝っていただかなければならぬような、そういう事態じゃないですか。警察の長官はきょうおいでになってないかもしらぬ、警視総監もおいでになってないかもしらぬ。しかしこれは大変なことですよ。日ごろの訓練がよくないから、そうした政治的な判断ができないような若いお巡りさんもいるでしょう。これはしかし許されませんよ、こういうことでは。一方で政府がどんなにベトナムと友好をこれから増進するんだと、一国の宰相である総理大臣がこれからは民族自決の尊重をするんだと言われても、こんなことを末端でやっていちゃどうしようもないじゃないですか。三木さんのお考えを伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私、いまの事件ちょっと心配しまして、何かああいう混乱期でありますから、この問題を早く処理をするようにということを申したわけですが、しかし、具体的には私もよくその内容を知りませんので、田議員の言われるようなことがあればいろいろ問題はあると思いますが、私も内容はよく具体的に承知しておりませんから、そういう問題を把握しておらぬでいろいろ私が申し上げることは、ちょっと適当でないと思います。

田英夫日本社会党

○田英夫君 いまの総理のお答えでは、はっきりとこの重大な事態に対して政府が責任をおとりになるというふうには受け取れないのです。重大なことですよ、これは。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) いまあなたのおっしゃるところでは、ある種の人に便宜を図るためにやったんだ、そして、ほかの者をほうっておくような不平等な取り扱いをしたことについて学生が非常に憤激して集まったんであると、こういうお話でありますが、実は私はその事情だけはつまびらかにいたしておりませんが、あのことがあって、私は非常にこれは問題であると思って警察庁から聞いたところが、実は門の前へ集まってきて、そしてある二、三人の者がさくを乗り越えて入って、そしてかんぬきを外して三十数名の者を中へ入れた。そこで、そのときにベトナムの大使館の人たちが、こういうことでは困るからひとつ出してもらいたいということがあって、それは確かに排除をしましたと、こういうことでございます。  そこで問題は、そのときのいろいろ私はそれは誤解もあり、いろんなことがあると思いますが、そういうような門を乗り越えて入って、そしてかんぬきを外したりなどするというようなことは、これは私はどういう理由があっても、日本のわれわれがやってもいけないことであるし、だれがやってもいけないことだと思うのであります。そういうことがあったとすれば、いろいろのことがあっても余りそう警察だけが悪いんだというふうにお考え願うことでは、今後私は警察は治安の維持ということはできないだろうと思うんです。やはり門というものがあればその建物の中には、不法侵入ということがあるんですから、そういうような事態があれば、私は警察としては、それを排除してもらいたいということがあればそれを排除することはやむを得ないことだと。  善良な管理者の大使館員というものは、正統なといいますか、次の政府のいわゆる大使がやってくるまでは、たとえその身分を失っておっても、一応建物を管理するという意味では善良な管理者の注意をもってする義務があると私は思います、外交官である限りにおいては。その外交官のおるところへ門を乗り越えて入るというようなことを、どういう理由があってもそれを認めるということがいいか悪いか。私は、理由のいかんを問わず、門のさくを乗り越えて入って、そしてそのかぎをあけて数十名の者が入ったんだと、そこで、そうしたときに門衛の大使館員から、ひとつこんなことでは困りますから出してもらいたいと、こう言われて、そうして排除しようとしたところが、そこにいろいろの誤解が起きたと、こういうふうに私は報告を受けておるわけであります。この問題は……。

田英夫日本社会党

○田英夫君 一方的な報告ですよ。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) いや、だからそれはあなたが三名の方からお話を聞かれたということを何も私は否定はいたしません。しかし、そういう事実がたとえ事実であったとしても、門を越えて入って、そしてさくをあけるなどというようなことをしたとすれば、私はそれはやはり認めるわけにはいかない、こう思っておるわけです。

田英夫日本社会党

○田英夫君 国家公安委員長、先輩に対して私は余り言いたくないんですけれども、これは私情を越えて申し上げますよ、そこまで言われるなら。これは、あなたに対する報告というのは、明らかに虚偽の報告ですよ。こういう事実もあります。私のところに来た本人が言っている。その一人は、指紋をとるときに六人で殴られて、そしてぞうきんを口に入れられて押さえ込まれた。普通の日本の住居侵入程度の人にこういうことはやりますか。そして、まさに住居侵入ですよ。さっきの松永条約局長のお答えでも、これはすでに建物管理者でしかない。外交官じゃないですよ。つまり、建物自体は旧ベトナム大使館かもしれない。しかし、そこにいる人間は建物の管理者でしかない。その管理者からの要望を大変に尊重をして、御丁寧に二十九人も逮捕された。そしてその人の取り扱いというのは、住居侵入でしょう、普通の日本人の学生であっても、それで二日も泊めますか。六人で押さえつけて、ぞうきんを口に入れて指紋をとりますか。黙秘したら、ばらしてやるぞと言われたもう一人の人もいます。こういう事実はこれから挙げていけば切りがありませんが、本人を連れてきて挙げてもいいですよ。参考人に呼んでくださるなら、日本語がうまいですからこの委員会の場に呼んできても結構だ。  それは私はただ感情的に申し上げているんじゃないんです。せっかく総理が民族自決を尊重し、アジアの中で友好的にしていこうと言っておられるときに、こういうぶち壊しをするような連中をどう処理されるのか。さっきの雰囲気なら、私は政府に適当に処理をしていただこうと思ったけれども、そういうお答えが出てくるようなら、ここではっきり責任者の処罰、これからの処理というものを明快に述べていただかなければ、私はこれからの質問を続けるわけにいかないです。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) いま仰せになったような問題は、事実があったかないかという問題になるわけですが、いまあなたのおっしゃったのは、こういう人がそういうことをしたと言う。私はそういうことがあったかどうかということに報告を受けておりませんが、もしそういうことであれば、一応私は内容を取り調べなきゃならないと思います。それはあなたのおっしゃるとおりです。私は、そういうことはしてはいけないことである。ただし、門の中へ入って、さくを乗り越えたという行為は、そういう行為はやはりどういう事態であっても許さるべきことではないし、それを取り締まったということをおしかりになるのであれば、私はそれはにわかに賛成はいたしかねますが、しかし、取り調べのときにそういうようなひどい、ぞうきんを口へ入れたとかなんとかいうことであっては、これは私は日本の警察の威信からいっても、これはやはりもっとはっきり取り調べてみる必要があると思う。しかし、私はいま事実を知りませんから、これからその点をひとつ明らかにさせるようにいたしたいと思います。

田英夫日本社会党

○田英夫君 外務大臣からもひとつこの問題について。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 私にちょっと警察関係のことを判断して申し上げられませんけれども、これも推察をいたすわけですが、警察官が何か政治的な動機で取り締まりに当たったということではないように国家公安委員長は言っておられるわけでございますので、建物に対しての不法侵入に対して、それを防いでほしいという要請で発動をしたものというふうに私は実は承っておりましたので、それ以上私がつけ加えて、いずれとも判断をいたすべきことはございません。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) いま、うちの警備局長が来ておりますから、ひとつその間の事情を知っている限り御説明をさしていただきたいと思います。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) 四月三十日午後十時ごろ、南ベトナムの大使館の正門前に数十名の学生と思われる人たちが集まったわけであります。いろいろ口々に叫びながら大使館の正門から突入をはかりましたので、警備に当たっておりました十二名の警察官がこれを規制に当たりました。このうち十人ぐらいがこれを振り切って正門の鉄のとびらを乗り越え、またその横の土手、二メートルの高さでありますが、これを乗り越えて大使館の庭内に侵入をいたしました。そのうちの一名は、大使館の職員からかぎを取り上げまして、正門の鉄のとびらの施錠をはずしてこれを開放いたしました。これに乗じて正門の外におりました二十名ぐらいが警察官の規制を突破して正門から大使館の庭内に入り、さらに同大使館建物の前庭、門から約十二メートルのところでありますが、これに約三十人が全員座り込んで気勢を上げる、こういうことでありました。この事件発生の報を聞いて現場に所轄警察署長が到着いたしましたが、大使館の書記官からぜひこの侵入者の排除をしてもらいたいという要請を受けまして、この書記官とともに警察署長が侵入者に対して三回にわたって退去の警告を行いましたが、これに応じなかったので、十時二十分ごろ、侵入者二十九名を建造物侵入罪で現行犯逮捕いたしたわけであります。  なお、ただいまお話のありました指紋採取の際の問題でありますけれども、御存じのように、逮捕した被疑者につきましては、その罪名にかかわらず指紋を採取する、写真を撮影をする、こういうことになっておるわけでございます。刑事訴訟法のこの手続によりまして、ただいまお話しの被疑者を警察署に留置し、取り調べの際指紋採取をいたしたわけでありますけれども、この指紋採取をこの本人は頑強に拒否をし、暴れたわけであります。したがいまして、警察官三人がこの被疑者を押さえて指紋を採取するということがありました。もとより、ぞうきんを口に押し込むというようなことは、全くそのような事実はございません。

田英夫日本社会党

○田英夫君 報告してないだけだ。私が直接本人から聞きながらとったメモと大分違っています。私はここで水かけ論をやろうと思いません。水かけ論だとも思いませんが、私は一方の側の本人から聞いた事実であります。その辺は閣僚の皆さんも、賢明なる皆さんですから御判断いただけるのではないかと思います。  もう一つ、一つの事実がありますが、この大使館の中に入ったときに、当然のことだと思いますが、自分たちの国で自分たちの解放がなし遂げられたんだという若い学生の喜びの意思の表示として、大使館のポールに臨時革命政府の旗を上げたんですね。これを日本の警察官が引きずりおろしましたよ。その旗は現在代々木署にある。まだ返してこない。この事実を知っていますか、三井さん。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) 旗の点でございますが、当日、先ほど申し上げましたような状況で侵入をしたグループの中から、大使館の、夜でありますからポールにはもとより国旗は立っておらないわけですけれども、このポールに持参をした旗を上げた。この旗を上げた際に大使館員が、これは侵入であり、かつその旗を取りおろすということで大使館員が自分でこの旗を取り下げました。ポールの下まで下がってきたわけですが、そのときにまだ旗はひもに結びつけてあったわけですが、これをこのグループの二十九名の一人が大使館員に取られまいとしてひったくりました。その際に、旗の片っ方がポールのひもに結びつけてありましたので若干裂けたということはあります。この被疑者は警察において現行犯逮捕いたしましたので、その持っておりました他の所持品とともに押収をいたしました。警察署の名前は違っておりますけれども、押収をいたしました。その後、全部で数十点の押収品がありますが、捜査の進展とともに留置する必要のない証拠物件と押収物につきましては、逐次還付ないし仮還付をいたしております。その中に手帳……

田英夫日本社会党

○田英夫君 まだ旗は返っていないよ。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) 手帳その他、旗等も多分還付されておるのではないかと思う次第であります。

田英夫日本社会党

○田英夫君 きのうの時点では返っていないよ。  三木さんお聞きになって、あなたの政府はそういうことをやっているわけですよ。それで友好ができますか。(「外国人じゃないか」と呼ぶ者あり)外国人じゃないよ、よけいなことを言うな。おかしいよ、そんなこと。日本の政府だよ、三木政権じゃないか。よけいなことを言うな。――三木さん、こういうことでいいんですか、実際。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 先ほど申したように、私もこの事件は非常に関心を持った。関心を持ったというのは、ああいう一つの大きな激動期に起こって、このことが非常な拡大をするようなことは不幸なことですから、それで報告は受けたんですが、いま田議員がここで言われることと私の受けた報告との間には非常な距離があるわけですね。したがって私は、先ほどもここで私自身が田議員の御発言に対していろいろ私の意見を述べることを差し控えたいと言ったのは、いまのような報告を受けておるわけですね。そういうことですから、この真相はよく私も調べてみることにいたします。

田英夫日本社会党

○田英夫君 委員会はあしたもありますから、私はこの問題について早急に御調査の上、あした私時間を残していただいて、回答を伺った上でこの問題についての質問は続けたいと思いますが、いいですか。事実がわからないのじゃ議論できないですよ。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ただいま田君の質疑の件に関しては、国家公安委員長の方で重ねて調査の上、明日残された持ち時間の中で政府の回答を求めて、また質疑を重ねてもらう、そういうことで御了承願います。

田英夫日本社会党

○田英夫君 この問題はあした改めてお聞きすることにいたしますので、次の問題に移りたいと思います。  先ほど冒頭に伺いました世界の新しい事態、特にカンボジア、ベトナムで起こっている事態、これは私どもにとってももちろん重大な影響があると言わざるを得ません、いろいろな意味で。そこで、現に起こっていることは、まず第一に、戦争に敗れた、これは政府のお考えはどうか知らぬけれども、私ははっきりとアメリカはベトナム、カンボジアの戦争で敗れたと思います。そのアメリカのショックは当然ながら大きかっただけに、早くも五月一日、翌日ですね、シュレジンジャー国防長官が緊急の記者会見をやって、今後のアジアは日本と韓国を拠点にしていかなければならないという意味のことを国防長官の立場から述べている。これはわれわれにとっては見逃すことのできない重大な問題であります。われわれの方がどう思うかは別にして、向こう側は、アメリカの国防長官がわれわれの日本を名指しで、アジアの、これは向こうの言い方ですれば、間接的な前方防衛地域である、韓国は直接的な前方防衛地域である――そこに差を置いたのは、恐らく前方防衛地域という言い方の中には、戦術核兵器の持ち込みの問題が一つの条件になっているから、日本はそれができないという国民の願いがありますから、そこでアメリカも差をつけたのではないかと思います。が、いずれにしても前方防衛地域だ。アメリカの方が勝手にわれわれのこの日本をそういう規定の中に入れ込んできている。アジアの中の最前線だという意味でしょう。こういうことを言われていてわれわれ黙っているわけにいかないのですが、ところが、それと符節を合わせるように、宮澤さんがアメリカにおいでになって、韓国条項を再確認をして来られた。そして一方で、防衛庁で制服組を中心にして、アメリカ軍としきりに相談が行われているという事実が一方である。こうなってくると、日本国民としては非常に不安で仕方がない。次はわれわれのところが第一線なんだとアメリカが言っているんです。このシュレジンジャー発言を政府はどういうふうに理解をなさいますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) わが国は、自国の安全を全ういたすために米国と安全保障条約を結んでおりますが、同時に、この日米安保体制というものがアジアにおける一つの平和のバランスの枠組みになっておりますことは、これは客観的に私は事実であろうと存じます。したがいまして、アメリカ側から見てそれをただいま言われましたような言葉で表現をするということは、別段私は特に異とするには足りない、何か特別の意図があって申したものとは考えておりません。  なお、韓国、朝鮮半島の問題につきまして、私が韓国の安定はわが国の安全にとって大事なことであると申しましたことは事実でございますが、それは従来から変わらない政府の認識でございます。ただ、ただいま田委員の御指摘になりましたことについてさらに一言申しますならば、ベトナム撤退後に、アメリカとしては各国に対するいわゆる平和を維持するための約束、コミットメントについて何がしかの疑いを受けるということについて相当の危惧を持ちましたばかりでなく、相手方からそのことについて軽んじて考えられる、あるいは誤解を生むということになれば不測の事態が生ずるかもしれないということを、特にアジア地域において危惧をしたようでございますから、それについて、そのような誤解を生じないようにという意図のもとに、ふだんならば特に申す必要のないことを申したというような形跡はございます。これは、意図はそのような意図であったと思いますので、悪いとは申しませんけれども、まあ事態が平静になりましたら、余りそのようなことをしばしば口にされなくてもよろしいことであろうと思いますが、あの段階でややそういう意識のもとにアメリカが申したことは私は事実であったろうと存じます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 朝鮮の問題、まさに非常に重要な問題でありますが、これは後で伺うことにして、そこでもう一つ、シュレジンジャー発言がそういう形であった前後ですね、まさに前後です。四月一日のこの予算委員会、そして二日の予算委員会で上田委員の質問に対して坂田防衛庁長官が答弁をされた問題、いわゆる海域分担の問題がそこにあるわけです。そのときのやりとりを私もずっと伺っておりましたけれども、まさにそれははっきりと、防衛庁が、たしか丸山さんだったと思いますが、日米間の制服の間で有事の際の日米間の防衛の分担について話し合いを進めているということを認められた。そして、坂田長官はその海域防衛ということをはっきりと答えておられます。ここであえて速記録を読むまでもなく、もう委員の皆さんも御存じのことですから、繰り返しません。  ところが、それを、それから二カ月たった六月三日の衆議院の内閣委員会で、社会党の大出俊委員の質問に対しては、わが国周辺の海域に航路帯を設けて日本が防衛を分担する考えはないと、こう上田委員に対するお答えをそこで訂正をされた。訂正をされたというか、変更をされた。変えてしまわれた。明らかにこれは海域防衛ということはないというお答えに変わってしまった。そして、日米は機能分担ということになっているんだということで、あまつさえ、その上に、上田委員の了解を得ていますというお答えまでそれについているんですが、これは私どもはさっぱりわかりません。この参議院の予算委員会でお答えになったことを衆議院の内閣委員会で勝手に変えてしまわれた。これはわれわれとしては黙っているわけにいきませんが、これは一体どういうことですか。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) 四月一日の上田議員の御質問に対しまして、私は海域分担ということは申しておりません。

田英夫日本社会党

○田英夫君 そういうお答えが出てくると、大変私どもは困惑をするんです。これを読まざるを得なくなるんですよ。これは速記録ですよ。当日の速記録ですよ。四月二日の速記録ですよ。そこにはっきりと海域と書いてありますよ。「海域分担取り決めが必要であると防衛庁が考えておることは、御指摘のとおりでございます。」と、こう言っておられる。これは一体どういうことですか。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) 重ねて申し上げますけれども、本委員会において海域分担という言葉は使っておりません。後で速記録を見まして、それが間違いであるということを承知いたしましたので、事務当局にその旨を伝え、訂正方の手続をとったはずでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 それはおかしいですよ。そういう国会の議事録を行政府が勝手に手続をとって訂正をされて、われわれ委員は全然知らないということがあっていいんですか。これは委員長、われわれ委員の、予算委員会の問題ですよ。われわれは知りませんよ、そういうことを。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ただいま田君の委員長に対する質疑の問題は、後でその点に関しては理事会においてひとつ調査をいたして、検討を加えたいと思います。しばらくお待ちください。

田英夫日本社会党

○田英夫君 これは、この公の席ではっきりしていただかなくっちゃ困るんです。というのは、一つは手続の問題。行政府が立法府の議事録を勝手に変えて、われわれが知らないなどということは、とんでもない話だ。もう一つは、この内容の問題ですよ。海域分担と機能分担ということでは明らかに大きな違いがある。海域分担ということは言ってないとそっちはおっしゃるけれども、われわれは速記録によって、はっきりとここに書いてあることを知っている。これ、勝手に取り消されて、政府の方針が勝手にこういう裏で何か消されてしまう、変えられてしまうということをわれわれは黙っているわけにいかないんです。ですから、これは当委員会ではっきりさしていただかないと、理事会で何か決めていただくというようなことではどうしようもないんですよ。これ、ちょっと解明していただきたいと思います。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 重ねて田君に申しますが、ただいまの、速記録によっておると言われる海域分担とこの速記録に載った手続について、政府側の答弁は、この委員会においては海域分担という言葉は使っていないといういま政府側の答弁があったようでございますが、速記録にはこれがはっきり海域分担と載っておる、そういうその事実でございますから、その事実の経緯については後刻理事会においてひとつ検討、調査をして、その結果は委員会に御報告を申し上げます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 関係者がいるんで、実は上田委員が後ろにいますから、上田委員の発言を許していただいて、はっきりした方がいいと思うんですが、少なくともこの点は問題だと思いますよ。衆議院の内閣委員会で、上田委員の了解も求めていると坂田さんははっきりお答えになっている。これは新聞に載って、あるいはテレビを見て、そのことしか知らない国民は、政府の方針が変わったことを私ども社会党も上田委員も、そしてこの予算委員会の皆さんも知っているんだというふうに理解しても仕方がない。ところが、私の知る限りでは、上田委員がそんな了解を与えた覚えはないし、また上田委員も、これは予算委員会の場で公式に発言されたとしてここに記録をされている、速記録に載っているとおりのことなんですから、一委員が、ああそうですが、それじゃいいでしょうと言えるものでもありません。そんなことを上田委員が了解をするはずがない。私はそう信じている。この辺は、少なくともこの点はこの委員会でいま解明をしていただきたいと思いますが、どうですか。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 関連。  いま田委員が質問されている点で、聞かれていることをはっきり防衛庁長官に言っていただきたいのは、いまお話のあったように、衆議院の方で、これは上田委員の了解を得てとってあるということを言われた。それからまた予算委員会でこれが問題になったらば、実は了解を得てとったということはこれは間違いであったということをその予算委員会で言われた。そこで、関係のわれわれの方の党では、この問題はまず参議院で解明をした上で処置をするということになっていたが、一度は了解を得てとったと言い、あるいはまた、それは誤りであって、そういうことはなかったと言った。こういう事実があるのかどうかということを田委員が言っているんですから、その辺をはっきり長官から答えていただきたい。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) 私といたしましては、この問題は非常に大事な問題でございましたので、特に四月二日の上田委員の御質問に対しましては、この点ははっきり記憶をいたしておるわけでございまして、私はここでは申しておりません。したがいまして、そういう気持ちを踏まえまして、予算――衆議院におきます六月九日、楢崎委員の質問に対しましてこう申し上げたんでございます。「ちょっと申し上げておきますが、上田哲さんに対してお答えいたしました中で、その「海域分担」ということが速記録に残っておりますが、あの際には、実は「海域分担」ということを申しておりません。このことは上田委員も御了承になり、恐らく事務当局つまり参議院の事務当局においても了承されて、手続をとられたはずだと記憶をいたしております。」ということでございます。ただ、いまお話がございましたように、この「上田委員も御了承になり」ということは、御了承になっていないわけで、その点はあしからずお許しを願いたいと思います。  ただ、あのときに、この海域分担というものは非常に大きい問題でございまして、上田議員も、恐らくは、私推察でございますけれども、これが入るか入らないかということは重大なものであるというふうにお考えになっておったと思うわけでございまして、私が当委員会でこの海域分担ということを言わなかったことは了承されたものと――そのときですよ、というような気持ちから私はこういう発言をいたしたわけでございますが、しかし、上田委員が御了承になっていないということでございますならば、この点は改めておわびを申し上げたいと思います。

田英夫日本社会党

○田英夫君 防衛庁長官も非常に重要な問題だということを繰り返して言われたんですが、私もそのとおりだと思います。先ほどから申し上げているように、特にいまアジアがこういう情勢の中で、シュレジンジャー発言が出てきているという中で、本当に海域分担というような計画が進められているとすれば、これは非常に重要な問題ですから、この点は、単に言葉のやりとりとか手続上の問題ということで済まされないのです。  で、実は、防衛庁長官もいま言われたとおり、重要な問題だから、あの四月一日の上田質問に対して、最終日の二日の日に、改めて防衛庁長官から発言があった。それが私がさっき読み上げた速記録であります。そのお答えのときに、お答えをつくるために、実は社会党の理事も含めて、防衛庁、政府側のお答えの案に私ども目を通した。それに海域分担と書いてあった。ここにちゃんとそれがあるんですよ、ここに。なぜか、ここに、その後、消した跡がある。あるいは、だから防衛庁長官は、われわれに見せるときには、この文章を見せるときには書いてあったものを、ここの答弁のときにはお読みにならなかったのかもしれない。そういうことになるとすれば、それは当時の社会党の理事に対する不信行為です。あらかじめこういう答弁をするぞと、重要な問題だからということで、われわれも余りそういうことはやりたくありませんが、御相談の上で長官はお答えになった。それを黙ってとってしまわれたといういきさつは一体どういうことなのか、この点をはっきりしていただきたいと思います。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) 私は、あの理事の方々とわれわれの当局との間におきまして御相談を申し上げたことはございますけれども、私といたしましては、その海域分担ということまではやるべきではないということで、ここではっきりと申し上げたわけでございまして、もしそのとき、もし何らかがあったならば、おそらくここでまた上田議員から御発言があるものというふうに私は承知をいたしておったわけでございます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 関連。  改ざん、いわゆる改ざんされたかもしれないという問題ですね。これは事実関係として非常に重要ですから、むしろ私は委員長に申し上げなきゃならないと思いますけれども、単に手続の問題とか、事務上のミスとか、そういう問題になってしまって、たとえば、速記さんが失敗したみたいなことになられたんでは、問題が歪曲、矮小化されてしまうと思います。で、私は、そのことはぜひひとつ客観的に、質問者である田議員と委員長、並びに政府その他の間で詰めていただくことを委員長にお願いをいたしまして、これは非常に重大な問題だと思います。  しかし、それだけでなくて、この際、一つ私は申し上げなきゃならぬと思うのは、少なくとも防衛庁長官が四月一日に答弁をされ、それが十分ではないというので文書に書かれて、一応非公式であるにせよ、野党側の理事との話し合いの上で了解された文書を、再答弁の発言を求められて、文書をお読みになった。しかし、その文書がですね、四月九日に議事録が配られていながら、訂正の申し入れは五月の二十三日に来た、その期間の長さを一つ考えましても、私どもはその疑惑なしとしないわけです。  まあそれはそれとしましても、私が最大に重視して問題にしたいのは、そういう手紙を踏んで行われた政府責任者の発言が、この参議院での発言の内容が、衆議院に行きましたらころっと変わってしまうということになりますと、わが院の討議、審議は一体何であるかということになります。で、どういうふうに言いましても、海域分担は必要ないんだと思っていたからと防衛庁長官は言われるんですが、どうしても抹消したいと言われるたった一点の海域という字句を消しましても、海域分担という言葉は、四月一日と四月二日の全文章の中にあふれているんですよ。だから、その一点をとって、実は参議院ではすべて海域分担は言わなかったんであるといって、衆議院では機能分担ということになったというような作為があることになったのでは、私どもは、これは当院の審議とは何であったかということになるということを、これはどうしても申し上げておかなきゃならない。これはひとつ委員長、この問題は憲法にもかかわる、院の権威にかかわる問題でもありますので、厳正にひとつ御措置をとられることを、まず手続上お願いをしておきたいと思うんです。  で、私は、単なる手続上の問題だけでなしに、これが内容の問題に非常にかかわってくることと、関連質問として、ぜひはっきりしておきたいと思うんでありますけれども、つまり、政府が根本的な見解を変えられてしまったということになると、幾つかの点は当然出てまいります。その当時の、つまり防衛庁長官と、総理も答弁されたわけですが、総理答弁と防衛庁長官答弁が基本的に食い違っていたということなんです。それはどういうことかと言いますと、あれほど明確に海域分担の取り決めをしたいのだと、近き将来云々という言葉まですっかり使っておられた――これは議事録に残っておりますから。そういう方向が変わってしまったというのは、総理が答えられた、憲法範囲でなければ行いませんという言葉に抵触するんです。これは、憲法のこれまでの解釈と、及び安保条約第五条に抵触をするために、いままで制服がずっと続けてきたもんだから何とかしてやらなきゃならぬと踏み切りかけた防衛庁が、やっぱり引き戻されてしまって、海域分担はできないという判断に立ったとしか私どもには理解ができないのであります。もっと具体的に申し上げれば、衆議院における吉國法制局長官の説明も大変あいまいでありまして、細かいことは省きますけれども、たとえばわが自衛隊が領海外に出て行く場合の、いわゆる自衛権発動の行為はどういう場合に許されるかということがいろいろ議論されてまいりましたが、端的に申し上げて、三十五年の安保国会でもこれははっきりしていることは、集団自衛権の発動だけは、これは、ほかはどうあれ、憲法違反であるということは明確になっているんでありまして、そういうことはできないにもかかわらず、海域分担となると、集団自衛権の発動ということになります。それから、領海外でも、攻撃を受けた場合には、その攻撃に対して自衛権の発動は仕方がないんだとおっしゃるが、はっきり海域分担の取り決めを行って艦艇の配置を行った場合には、この突発事件、アクシデントとは違ってくるんであります。こういう観点から、防衛庁長官の発言と総理の言われた憲法に抵触する場合にはできないのだと言われたことが、ここにぶつかってきて、一たんやると言った海域分担を防衛庁は変更されざるを得なくなったという点が一つ。そうであるのかないのかを明確にひとつ解明をお願いしたい。  もう一つ。しかし実際には、海域分担をおやりにならないと言われても、ここ二年間余り、アメリカからやいのやいのという、海域分担協定取り決めを行いたいということが非常に厳しく要請されてきたことは事実であります。たとえばシュレジンジャー長官の記者会見、あるいはブラウン統合参謀本部議長の公式の議会への報告書の中にこれと類する文言は明確に見受けられるのでありまして、この要請が消えないんであります。一体この要請が消えているのかどうかということを明らかにしていただきたい。  第三点。取り消しをされていない……

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 簡単に。

上田哲日本社会党

○上田哲君 簡単に言います。  取り消しをされていない問題について、シュレジンジャー長官を近く呼ぶのだと言われた。シュレジンジャーは来るのか来ないのか。聞くところによりますと、シュレジンジャーは日本側が海域分担協定にうんと言うのでなければ来ないと言っていると言われています。真偽のほどを伺いたいし、シュレジンジャーが来ないならこちらから出かけると防衛庁長官は言われた。出かけられればどうしてもこの判をつかなきゃならぬことになる。一体そこはどうか。  第四点は、これで終わりますけれども、全く新語が飛び出してきた、機能分担とは一体何でありますか。機能分担というのは、衆議院での御説明によると、情報交換、補給、対潜作戦、そして、それと掃海が恐らくつくと思うんでありますけれども、そういうことであるということになりますと、細かい点は、これもここでも省きますけれども、たとえば、特に補給あるいは対潜作戦ということになると、レーンがなければ、フェンスがなければ、これはナンセンスでありまして、しょせんするところ、機能分担と言われても、これは海域分担協定以外の何物でもない。つまり、言うところは、ほんの議事録の一言だけを変えしめて、全体の流れとしては、海域という言葉はいっぱいあるにもかかわらず、たった一つだけ消すことによって、それはたとえば事務的なミスであったと逃げることができるかもしれぬが、本院において明らかにされたすべての考え方を、地下か海の中ですか、もぐらせてしまって、事実上の海域分担取り決めというものを行おうとしていることにしかならないのではないか。  少なくとも以上四点というのは、見解を根本的に変えられた、衆議院で。というのであるならば、本院において十分な再説明と討議の時間が与えられなければ私はならぬと思うのであります。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) 上田議員からいろいろお尋ねがございましたが、その四月の二日に、私は「わが国周辺海域の防衛の構想を立てる上で、米海軍第七艦隊による全般的制海を前提として日米間の作戦協力のための何らかの分担取り決めが必要であると防衛庁が考えておることは、御指摘のとおりでございます。防衛庁は、このため各幕を含めてわが国周辺海域の防衛に関する日米協力について検討を進めてきた一方、日米の防衛の責任者がこの問題を含めて話し合う必要があると考えております。国会終了後二、三カ月以内に手続を踏んで、シュレジンジャー米国防長官を日本にお招きし、この会談の中でこれらの点について話し合いを煮詰めて参りたいと思っております。」――この後で総理大臣から、あくまでもこれは憲法の制約のもとにおいてやるべきであるということをはっきりと申されておるわけでございまして、何らわれわれの考え方が今日まで変わっておらない。衆議院で私は、これを一貫して、上田議員にお答えをいたしましたことを踏まえまして、ずっと一貫してやっておるつもりでございます。  それから、シュレジンジャーさんは、これはこの後、ベトナムの陥落、サイゴンの陥落、たしか四月三十日だったと思いますが、にあったわけで、これはそれ以前のことでございます。したがいまして、恐らくシュレジンジャーさんも非常に忙しい身でございますから、あるいはこちらへおいでになるということが早急にはできないかもしれない。とにかく相手のあることでございますから、相手の立場を考えて、招待は招待ということで、また、われわれの方でも十分準備をいたしまして、お招きするならばそのときにお会いをしたいし、また、必要とあるならば、私も出かけていく用意はあると、こういう二段構えにおるわけでございます。  それから、海域の分担はやらない、しかしながら機能上の分担は考えておる。しかし、その点につきましても、やはり憲法上の制約がございますから、その点について事務当局にいま検討をさせておるということが偽らざる事実でございます。  機能分担のことについては、防衛局長から御説明を申し上げたいと思います。

丸山昴防衛庁防衛局長

○政府委員(丸山昴君) 機能分担と申しますのは、この前のこの委員会で上田議員から御質問がありましたときに私が申し上げましたように、たとえば海の場合には、平和時の防衛力の整備目標二十五万トンという数字を挙げてございますが、それは日本の海上自衛隊だけが独自に防衛任務を遂行するために必要な数量であるかどうかという御指摘があって、その点についてはいろいろ前提があるということを申し上げました。わが国の海上自衛隊の二十五万トンという数量は、第七艦隊の日本周辺におきます全般的な制海権の確保ということが大前提になって、その上に乗っての当方の防衛任務ということではじき出されている数字でございます。そういう意味で、アメリカが、在日米軍が、あるいは第七艦隊が、全般的な、主として空母打撃力によります制海権の確保ということを機能的には全般的に果たしてもらう、そこでわが方は、わが国を防衛する限度において、対潜活動あるいは海上交通の保護、こういう機能を当方として果たしていくというようなことをたとえば考えておる、こういうことでございます。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 簡単に。

上田哲日本社会党

○上田哲君 総理。私は関連質問ですから、もうこれ一回しか立てないわけです。一問一答でないので話が詰まらないので非常に残念ですが、総理にお尋ねしなければどうしてもいけない部分が残りますから、ぜひひとつ皆さん御明確にお答えをいただきたいのです。  私はいまの答弁を聞いておりまして、これは国会ではないですよ。非常に重要なことなんです。その程度の抽象的なことでお逃げになろうとするのなら、具体的に問題だけは指摘せざるを得ないのです。一つは、シーレーンとは何かです。もう具体的に申し上げなきゃならぬではありませんか。いまシーレーンは、南方路線と南東路線と二つの路線があります。そして、これはアメリカ本土からハワイ、グアム、そして日本本土へという線、それから中東から発してペルシャ湾、インド洋、そしてマラッカから日本本土へという二つのライン。これが長過ぎて、明らかにデタントがインドシナに起こったら、こっちへ問題が、中心が来るというのがいま大変な問題なわけですから、その中で、先ほどお話がありましたように、二十五万トンでは第七艦隊と込みでなければだめだという基本的な認識に立って、日本の自衛隊は、そこで制服の話し合いが行われている。今日、このシーレーンの船舶運航統制という問題ですよ。この船舶運航統制には、二つに分ければ直接護衛と間接護衛がある。直接護衛というのは、もう文字どおり直接やることです。そんなことばかりはできないので、間接護衛はハンターキラーやあるいは飛行機やあるいは潜水艦や、大きく分ければ三つになると思いますけれども、その形で船団のあるいは艦艇の構成の問題まで立ち入りながらシーレーンを確定をしていく。現実にいまこの南方路線と南東路線の中で、二つは無理だと。そこで中東の方は、マラッカ海峡からこっちは豪州の方にお願いするとして、やはりアメリカとの関係を重視しなければならないという判断に立ったのがインドシナ以降じゃありませんか。そして、日本とアメリカの関係では、南東路線は捨てても南方路線一本にしぼって、グアム-本土の間を何とかしようじゃないかというところが進められているというのがいまの筋じゃありませんか。そういうシーレーンの問題がいまどうなっているんだということを避けて通ろうとすることのために、衆議院では機能分担などというわけのわからぬことを言った。これはどうなのかということをはっきりしてもらいたい。  二点目。これがしかし制服では進んでいるんですよ、具体的に。制服との話し合いが具体的に進んでいる。制服の出張は統幕の権限で飛行機で飛んでいけるから、たとえばグアムでどんな話し合いでもできる。具体的にひとつ聞いておいてください。第一に、その取り決めが要らないと急におっしゃるのであれば、日米の制服の話し合いを、このまま、続いている話し合いというのを取り決めなしで制服同士で今後とも認めるとおっしゃるのか。第二点、それではシビリアンコントロールが守れないとおっしゃったことはどうなるのか。制服同士にやらせておいたんではいけないから政府間交渉取り決めにするんだと御答弁になったのは、取り決めをしないということならば、制服同士の話し合いを認めるのか。第三に、もし機能分担だというふうに言いかえられるのならば、制服同士だけでやってよいという区分分担の理由はどういうことになるんでありましょうか。第四に、海域分担ではなくて機能分担なら政府間の取り決めが要らないという根拠はどこから出てくるのでありましょうか。総理、これは新しい意味の三矢計画ですよ。ハウスの権威をよそにして、いま制服同士がここまで話が詰んでいる。だから一遍シビリアンはやろうと言った、ここで。できないことがわかってきた。そこで機能協定という初めての、わが国会始まって以来の新語を使って、議事録まであれは間違いであったというところを拡大をして、その形で、取り決めがないような形に持っていこうということで制服が独走して、この新三矢計画を国会が許せますか。  最後にもう一つだけ。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 簡単に。

上田哲日本社会党

○上田哲君 最後にもう一つだけ。  ここで最も重要な問題は、この機能分担という名前のもとに、対潜哨戒機P3Cの大量購入ということが後ろにあるわけです。防衛庁、P3Cの大量購入、六十機とも言われていますけれども、百機でしょう。その百機を購入しようという話が進んでいるじゃありませんか。P3Cというのは明らかに、対潜哨戒機でありますけれども、核爆雷投下機ですよ。これをいまのP2VとP2Jを早い段階でスローダウンして、百機もP3Cをアメリカから、ロッキードからですよ、丸紅からですよ、ロッキードから買おうという話し合いが進んでいることが、このシーレーンの上に立っている基本的な構想です。つまり、海の飛行機、今度のFXで調査団を派遣したのも、F14でなければならぬと言っているのも……

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 簡単に願います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 足が長くなければならないという、海域分担の上に立っている意図であるからです。そしてロッキードから、つぶれかけているロッキードから、三木総理、今度三木さんが向こうに行かれるときには、三木さんが、このP3Cを百機――アメリカ海軍が買う場合には研究費の中に入れておりますから一機四十四億円で済みます。百機で向こうの値段で買っても四千四百億、日本の金なら六千億は間違いない。歳入欠陥が議論されているときに、六千億のいま不必要な飛行機をつぶれかけているロッキードから買おうというようなことを、もし総理が今回の訪米で言われるというようなことが画策されているとしたら……。私は総理の方を信じたいと思う、総理、ここではっきりしていただきたい。そのようなことは絶対になさらぬということを私は確信をしたいし、また、そのことをさせない、そういう交渉をさせないということがないならば、これは非常に大きな問題になってくると思います。  私はいま整理して三点申し上げたが、一問一答でできないのは残念だけれども、この点について明確な御答弁がなければ、まだいっぱい問題があるんですけれども、これは院の権威にかかわります。また、シビリアンコントロールを守らなきゃならない、われわれだけでない、政府の皆さん方の立場も含めて、院の権威を兼ねて、もちろん……

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 簡単に願います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 改ざんというようなことがあるなら詮議もしていただかなければならないし、この事実関係だけではない、その奥に横たわっている基本的な防衛構想、日米問題の中心がいまや軍事部がやっている。その問題をきちっと各論について御答弁をいただけないならば、政府が方向を変えられたんですから、変えられた政府が再提案をし、それに対してわれわれの十分な討議の場を与えていただくのでないならば私はハウスの立場がないと思います。そのことを強く総理に求めておきたいと思います。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) 先ほど柳田委員にもお答えをいたしましたように、わが国は、いわゆる有事に際しては日米安保条約体制により米国と共同して対処することとしておりますが、その際における自衛隊と米軍との間における具体的な任務分担、作戦取り決めといったものは、現在存在しておりません。いわゆる有事の事態、様相は、そのときの国際情勢、武力攻撃の手段、態様等により千差万別でございますので、具体的事態に即して合意を得ることは困難であると考えられますが、有事に際して自衛隊と米軍が整合のとれた作戦行動を実施し、効果的な対処行動がとれるよう日米の防衛の責任者同士が率直な対話を絶やすことのないようにする必要があり、将来要すれば何らかの合意を得ておきたいと考えております。  具体的な内容につきましては、作戦調整機構のあり方、米国に対する支援期待の内容等を考えておりますが、憲法上の制約等を考慮いたしながら、今後の話し合いの過程で煮詰めていくことになる。いずれにいたしましても、海域分担というようなことは考えていないのでございます。  足らざるところは防衛局長からまずお答えをいたしまして、総理大臣のお答えを願いたいと思います。

丸山昴防衛庁防衛局長

○政府委員(丸山昴君) まず最初にございましたシーレーンの問題でございますが、これは前々から申し上げてございますように、わが国が独自にわが国防衛のために必要な海上自衛隊を整備する場合に考えております、独自にできます構想のもとにつくられておりますのが、周辺の数百海里、航路帯を設ける場合には二本と、こういうことが出ておるわけでございます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 私は具体的に出したのだ、南方と南東と。答えなさいよ、具体的に。

丸山昴防衛庁防衛局長

○政府委員(丸山昴君) 二本つくる場合にはそういうことでございます。  それから次に、制服がこういうことをやっておるということでございますが、分担取り決め的なことはやっておりません。これはもう繰り返して申し上げますように、やっておりません。ただ、有事の作戦のすり合わせということはやっておるわけでございます。研究ということはやっておるわけでございます。この問題についてかねがね私どもも、いわゆる片隅で制服同士がやっているということは、これは好ましくない状態でございまして、この前の上田先生の御質問も、元来シビリアンコントロールの趣旨を徹底するためには、そういうものを表立って国会の場で論議できるような形でなければおかしいではないかという御趣旨のように私も受け取っておるわけでございまして、したがいまして、制服同士のすり合わせということがはっきり政治のコントロール下においてなされるというような形のものに持っていくということが筋ではないかというふうに考えております。(「取り決めするのかしないのか」と呼ぶ者あり)そういう意味で、いわゆる取り決めという形になるかどうか、これはいろいろ形式上の問題がございまして、私どもが言える問題ではございませんが、そういうことで、この国会並びに政府を通じてのシビリアンコントロールの実を上げるようなふうに考えてまいらなければならないというふうに思っておるわけでございます。  それからその次に、P3Cの問題でございますが、これも御案内のように、現在のP2J、これが用途廃止に近くなるという情勢を踏まえまして、第四次防におきまして、そもそもこのPXLなるものを研究開発をするという当初の命題でありましたが、途中で、御案内のように外国機導入ということで、方針を外国機導入もあわせて検討をするということで、そこでこの両者につきましては、昨年の十二月に国防会議の事務局の専門家会議の答申が出まして、外国機導入とそれから国内開発の問題についてさらに技術的、財政的な基盤を詰めて決定するということで、そこでP3Cになるのか、新規の開発の国産機になるのかということの結論をこれから出すということになるわけでございます。  ただ、いまの地域分担、海域分担というような考え方は基本的にございませんので、そういう問題とこのP3Cというような問題との絡み合いはございませんし、また、アメリカ側からいままでこういう問題について日本側に要求があったという事実も、私どもに関して存じておりません。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 丸山防衛局長のお話のように、私はそういういろいろな機種の決定を話し合うためにアメリカへ行くわけではないわけでございまして、そういうところが、最高首脳部の話し合いの中にいまのような問題が上がってくるとは私は思ってないわけでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 三木さん、これ、非常に重要なことなんですよ。憲法に違反するから陰でやろうかどうかというところの問題をいま上田委員はついたわけですよ。だから、非常にいま防衛局長の答弁も、あるいは防衛庁長官の答弁も、上田委員が怒るとおり、非常にあいまいになってきてしまう。制服が進めているということをそのまま推し進めていけば憲法違反になるんですよ。吉國さんが何と言おうと、これは前からの政府の答弁からしても憲法違反になる。そこのところをどうごまかそうかということを――協定じゃぐあいが悪いとさっき柳田さんの質問に三木さん答えられた。そのくらいのところは国民みんな見ているんですよ。ところが、一番恐ろしいことは、われわれのこの国会を無視して、陰で制服同士がやっていくことを、政府の皆さんが、防衛庁長官がコントロールできなくなるという事態です。むしろ意識的に制服のところで進めていかせるというおそれさえ私は感じますよ。これはもう憲法無視もはなはだしい。そういう問題だから、これは本当にこれだけで何日も議論をしなけりゃならない問題です。  もう一つは、きわめて手続的のように見えますけれども、防衛庁長官、さっきあの程度の謝り方ではどうしようもないほどに、政府がやられたことは国会の権威を踏みにじったということですよ。この二つのことがある。これ、区別してはっきり考えにゃいかぬと思いますよ。一つは、これも憲法の三権分立を踏みにじる結果になった、まさに。単に速記録を削ったとか直したとかいう問題じゃない。参議院予算委員会を無視して、行政府である防衛庁がただ手続的に裏で重要な字句を削ろうとしたという事実、本当にこれは委員長、理事会で話し合うだけじゃどうしようもないですよ、この問題は。解明しなくちゃ。(「どうしてくれるんだ委員長」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。  では、当面の問題については明日の委員会に持ち時間を適宜残して、続行していただく。さしあたり他の問題について質疑を続けていただきたい。

田英夫日本社会党

○田英夫君 先ほども申し上げましたように、大変重要な問題でありますから、政府で今晩ひとつ慎重に御討議の上、御答弁をいただきたい。われわれはとうてい納得ができません。繰り返して申し上げておきますけれども、これは二つの問題に分かれているということをはっきりしておいていただきたい。本質的な防衛の問題と、院の名誉にかかわる手続的なといいますか、問題と、二つありますから、この点について、あした、さらに御質問をすることにいたします。  外交の問題に戻りますが、そうしたアジアの情勢の中で、いまや何といっても私どもにとっていわば焦点になるのは、朝鮮のこれからの問題であります。言うまでもなく、朝鮮半島は私どもにとって一番近い隣国でありますし、長い歴史的なつき合いがあるわけであります。同時に、私どもにとっては重大な反省をしなければならない過去の罪悪を日本国民は負っている。実は過去の政府の責任でありますけれども、国民もこのことを忘れてはならないと思います。そうした前提の上に立ってこの朝鮮問題を考えたときに、一体、朝鮮はどうあるべきかということ、先ほどの冒頭の問題に戻って、三木総理は、まさに民族自決の尊重とその国民の生活の安定向上ということを言われた。朝鮮半島もまた、まさにこの精神が当てはまる状態にあると思います。この朝鮮半島についての基本的なお考えを伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 先ほども、柳田さんですか、お答えをしたと思いますが、私は、結局あの南北朝鮮の両国民は、やはり、歴史的に考えてみてもこれは一体のものである。だから、いずれの日か、それが困難な道であっても、平和的な統一というものが朝鮮民族の悲願であると私は受けとめておるんですね。しかし、それまでの間には、これ、いろんな紆余曲折もあるでしょうし、なかなか困難ないろんな問題もあるでしょうが、したがって、われわれとしては、そういう国際的環境をつくるために日本としてもできるだけの協力をすべきである、朝鮮半島に対しても基本的には私はこういう考えでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 そこで、その基本的なお考えに立って、現在の状態、北は社会主義国であり、そして南は、残念ながら民主主義を破壊するような政治を行う政権が政権をとっているという、この状態、こういう中で、確かに、いま三木さんが言われた原則は私も賛成であります。朝鮮は一つでなければならないということです。これを実現することはまことにむずかしい。  そこで三木総理に伺いたいのは、総理は衆議院の予算委員会でも、南北同時国連加盟ということを提案をしておられますが、構想として持っておられるようでありますが、これがいま言われた精神に合致するのかどうかですね、この点はどういうふうに考えていらっしゃるんですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) もしそういうことが実現しますると、常時接触の機会があるし、対話の機会もあるし、相互理解も深め得ると思いますが、しかし、北鮮からすれば、そういうことによって分割を固定化するのではないか、固定化してしまうのではないかと、こういうところに、この案というものは、北鮮はこれに対して賛意を表してないわけですね。これは何とか、そういう固定化するのでなくして、過渡的な暫定的な処置としてそういうことが可能であれば、私はやはり、平和的統一といま言葉で言っても、すぐにそこへいかないんですからね。この間の南北の共同声明、平和的統一の三原則から話し合いに入ったけれども、これは停滞をしておるわけですね。何かやっぱりそういうふうな一つの国際的環境をつくるのに、――もちろん韓国と北鮮とが賛成しなければどうにもならぬわけですが、それも一つの方法じゃないかと。われわれとしても、そういう国際的環境をつくるのに何かいい方法がないかといって、われわれとしても努力を傾けるべきである、こう考えるものでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 三木総理がそういうお考えを持たれるというお気持ちはわかります。しかし、現実の問題として、これはやはり南北分断の固定化につながると私も思わざるを得ないのです。その一つの大きな障害は、現在南朝鮮、韓国にある朴政権なるものの性格にあると、こう考えざるを得ないんです。あのような政権が南にある状態の中で同時加盟をしていったときに、確かに国連の場で接触ができるかもしれない。それはしかし、快い接触ではないですよ。むしろ、それによってみぞを深め、そして心ない外国が、大国が、はっきり言えばアメリカが、その民主主義を破壊するような政治を行っている朴政権を国連の場でも支援するというようなことを繰り返していったならば、みぞは深まる一方になるんじゃないですか。これは私は賛成をしかねます。実はきょうも委員会の休みの間にソウルに電話をして金大中さんと話をしました。私はときどき金大中さんと電話で話をします。巷間伝えられるように、彼は決して自由じゃありませんよ、いまも。まあこのことは詳しく申し上げませんけれども。  そこで、これは宮澤外務大臣の見解を伺いたいんですが、たとえば韓国では南北不可侵条約を結ぶべきだとか――これは民主共和党の朴浚圭政策委員会議長が言っていることですね。あるいは日米中ソの四つの国に南北が加わった東北アジア平和会議を持つべきだ――これは新民党の金泳三総裁が言っていることですね。そうしたさまざまな提案が行われておりますが、この二つの案について、これはまあ論評を差し控えると言われずに、お気持ちを伺いたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) それは原理的にはやはり先ほど総理の言われましたところに私は帰着すると思うんでございますけれども、つまり、南と北とが平和的に一緒になることが望ましいということは南北両方が言っておりますし、私どももそう思うわけでございますけれども、そこに至る間の過程として、たとえば国連の同時加盟であるとか、いろいろな構想が生まれ得るわけでございます。南北不可侵協定というようなものを考えてみましても、それはやはり南と北とを別の人格と考えますから不可侵協定というものが考えられるのでございましょうし、よく言われますクロス承認なんというものも、米、中、ソ、日というようなものを含めて云々という考え方で、構想としてはおのおの私は意味合いを持つという見方があると思いますけれども、それは分割を固定化するものであるという立場から言えば、いずれもそういう心配のあることだとも言える。そういう立場を両当事者のどちらかがとります限りはなかなか実現性がないではないかという、先ほど総理の言われましたことのところへ私は返ってくるように思うのでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 そこで、今度は朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮の金日成主席は、きわめて具体的に、過去何年かの間に自主的平和統一への道を提案をしております。それは、発端は一九七二年七月四日の自主的平和統一の共同声明、これは朴政権側も調印をしているわけですから、これが基本であります。そしてその目指すところは、言うまでもなく、一つの朝鮮であります。これが朝鮮民族の悲願であり、朝鮮問題を考えるときの基本ですね。この共同声明を尊重していくということが朝鮮問題を考える基本だと私は思います。  その上に立って、たとえば一九七三年六月二十三日には、いわゆる高麗連邦提案というのをやっております。北は社会主義、南はいわゆる自由主義という形、民主主義という形そのままでいいから、それぞれの政権がそのままの状態でいいから、全朝鮮民族が一つになった連邦をつくって、高麗連邦と名づけて一つの朝鮮で国連に参加をしようではないかと提案をしている。さらに、その翌年の一九七四年の三月二十四日には、アメリカ議会に書簡を送って、南朝鮮、韓国からの国連軍の撤退の上に立って、アメリカと和平協定を結ぼうではないかという提案もしている。一連の提案は、全部一つの朝鮮という上に立ってやっているんですけれども、この考え方に対するお考えを伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) それも総理の述べられました基本原理の応用問題になるわけでありまして、要するに、民族自決ということは、これはしょせん歴史の大きな流れでございますから、両当事者が賛成するような方式であれば、わが国としては何も申すことはないということでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 というところまで伺いますと、実はこのことを伺いたかったからいろいろ御質問をしたということかもしれませんが、いま問題になっている、ことしの秋の国連総会において国連軍の解体決議案、これは去年のは解体というほど強くありませんけれども、それを関係国で審議するというような形ですが、いずれにしても、南朝鮮、韓国にいる国連軍を解体ないし撤退をさせるという方向、こういう提案が出てきたときに、従来自民党政府は、繰り返し罪を重ねるように、アメリカの側に立ってこれを阻止してこられた。ことしはそういうことはありませんね。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) これも両当事者が、やはりお互いに合意のできる形で片づくのが一番よろしいわけでございます。そういう決議案が出ることによって、両者の間の紛争が激化するようでは、これはわれわれのもともとの目的に実はかなわないのでございますけれども、ただ、客観的な情勢として考えますと、昨年のありさまを見ましても、今年の秋の総会は、国連総会自身で申しますと、この決議案は成立する可能性がやはりかなりあると考えるべきでございましょう。そういう場合、わが国として主として考えるべきことは何かといえば、午前中も申し上げましたが、そうなった後の朝鮮半島の平和を維持するための枠組みというものを、土台を失ってしまってはなりませんから、それは残しておきませんといかぬではないか。これは恐らく当然の議論でございますけれども、外交の努力がその方に注がるべきであって、その決議案をともかくああしよう、こうしようということよりは、全体の大きなコンテクストの中で両方の平和というものが壊れないような、そういう努力の方に外交の努力の主点を注ぐべきだと私は考えておるわけです。

田英夫日本社会党

○田英夫君 この問題はしかし、先ほどの総理の基本原理に立ちますと、解答は実に明快に出てくるのだろうと思うんですよ。つまり、いま北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国には外国軍隊はいないんですよ。そして南にだけ国連軍の帽子をかぶったアメリカ軍がいるわけですよ。これは子供が考えたって簡単じゃないですか。それならそれをまず引き揚げなくちゃ、民族自決という方向に――民族自決ですよ、自分で決めるんですよ、よその軍隊がそんなところにいたら民族自決にならない、もう、第一歩じゃないですか。積極的に御賛成になるべきだと思いますが、これは三木さんにお答えをいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 朝鮮戦争のいきさつからして、国連の安保理事会で決定をして国連軍はおるわけでございますから、したがって、それは休戦協定の当事者になったわけですから、そのときはそのときとして大きな役割りを果たしてきたわけで、民族自決という原則に私は反するとは思わないんです。

田英夫日本社会党

○田英夫君 これはまだまだ朝鮮の問題については、いろいろお考えをただしたいことがたくさんありますけれども、いろいろ問題があって、あしたに繰り越したものですから、この問題に時間をかけることができませんのは大変残念でありますけれども、最後にもう一つだけ問題として、いま目の前に迫っているはずの日中平和友好条約の問題、覇権の問題です。  これは一言だけ申し上げておきますが、覇権の問題については多くのことをいろいろな方が言われ、聞かれ、また答弁をしておられますけれども、重要な認識の、何といいますか、欠けている点があるんじゃないか。つまり、こういう協定だとか共同声明に覇権の問題を入れるときには、五つの段階があると私は思います。一つは全然入れないことです。もう一つは、二国間だけで約束をするということです。つまり日中だけで、お互いに覇権は求めない。もう一つは、それに加えて、他のあらゆる国の覇権を許さないということ。四番目は、二つの超大国という表現を使うということです。五番目は、これは中国の側の表現ですが、アメリカ帝国主義とソ連社会帝国主義という表現を使うことです。現実の問題として一と五はあり得ない。そして政府は真ん中の三番目なんだと、こういう言い方をされる。確かに段階的に見ればそうです。しかし、いま政府が結ばれようとしている日中平和友好条約は、私どもの成田委員長が行って現在の時点での国際情勢を踏んまえた上で結んできた共同声明とは違うんです。次元が違う問題ですよ。それを同じ段階のこの段階論の中で皆さんお考えになっているんじゃないでしょうか、マスコミの皆さんも含めて。そうじゃなくて、いま政府が結ばれようとしているのは、これから五十年、百年という間、子々孫々に至る永久の約束を日中間でしようというならば、アメリカ帝国主義やソ連社会帝国主義がもしあったとしても、それが百年、五十年先まであっては困るのですよ。そういうことを前提にして結んでは困るのですよ。だから、この日中平和友好条約であらゆる国の覇権に反対すると言ったときには、これは文字どおりあらゆる国の覇権であって、他の第三国を指していないことは明らかじゃありませんか。この点は三木さんの言っていらっしゃることと一致するんですが、根底があいまいじゃないですか、三木さんの言い方。実に明快じゃないですか、いかがですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は衆議院の予算委員会でもしばしば言ったのですが、この覇権問題に対しての問題の本質は、覇権反対ということをどのように一体受け取るのかという、やはりそれが一般的な、世界的普遍的な平和原則の一つとしてこれを受け取るのかどうかと、こういうところが問題の本質だと思う。これを実際に当てはめて、この国がどうだこうだということになってくると問題が起こってきますね。だから、内政不干渉であるとか、主権の尊重とか、そういう平和の原則があるんですね。その平和の原則の一つとして覇権反対というものを認めるということならば、問題は、いわゆるこの問題に対しての本質というものは明らかです。少し横道にそれた感じです、覇権問題は。この問題を解決するためには問題の本質に返ることが必要である。その本質とは何ぞやと言ったならば、覇権反対ということは平和原則の一つとしてこれを受けとめるのかどうかです。これが、その間の、その問題が割り切れるならば、道はおのずから開かれると私は信じています。

田英夫日本社会党

○田英夫君 もう一言。  いまの三木総理のお答え、実は私も全く同感なのであります。さっき私が申し上げたことと実はある意味で一致していると思います。つまり、他の第三国を名指しでどうのこうの言っているとか、そんな問題、つまり現在の時点の国際情勢を見てどうだこうだと言うのは、それはたとえば、わが党、社会党が共同声明を結ぶというような場合には、現在の時点を見て言っているんです。現在の国際情勢をどう判断するかという問題、これはそれなりの立場から一致すれば共同声明になる。必要でしょう。しかし、日中平和友好条約というのは子々孫々にわたるものなんですから、これはそんな、いまの時点で世界がどうなっているかなどという小さな、あるいは短い次元の問題ではありませんよ。おのずから、どこかの国を指しているなどということを言うのは、初めからこの日中平和友好条約を結ばせたくないという人たちがつくり上げるへ理屈でしかないと思うんです。  もう一つ、覇権という問題はなじまないとか、六大学が覇権争いするとかいう言葉、あるいはそのイコールはヘゲモニーじゃないかと。これは一番初めにこの国際問題の中で覇権という言葉が出てきたのは、御存じのとおり、米中共同声明、上海コミュニケです。しかも言い出したのはアメリカのキッシンジャーがヘゲモニーという言葉を使って言ったのを中国が覇権と訳した。じゃ、ヘゲモニーというのは何だといえば、これは大英百科辞典に明快に書いてあります。ギリシャ国家群の中でどの国家がヘゲモニーをとるかという意味で使った、いわゆるまさに覇権ですよ。覇権イコール、ヘゲモニーなんですよ。明快じゃありませんか。だから、それがなじまないなどということを言っておられるのも、これは日中平和友好条約を妨げたいというお考えの方々がつけているへ理屈でしかない、こう思います。  この問題についても、まだまだ伺いたいことがたくさんありますけれども、あしたの時間をとっておかなければいけませんから、本日は私の質問はこの程度で終わりたいと思います。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 田英夫君の残余の質疑は明日行うことといたします。  明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十四分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗