予算委員会 第20号
- 発言数
- 512 件
- 登壇者
- 34 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1975/04/01
会議録
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 この際、委員の異動に伴う理事の補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に藤田進君、渡辺武君、向井長年君をそれぞれ指名いたします。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 昭和五十年度一般会計予算 昭和五十年度特別会計予算 昭和五十年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 総予算三案審査のため、本日、日本銀行総裁及び商工組合中央金庫理事長を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) これより締めくくり総括質疑を行います。宮之原貞光君。
○宮之原貞光君 三木内閣の一枚看板でありますところの対話と協調は、衆参の二カ月に及ぶ予算審議の中でどのように生かされたと総理は考えておられますか。
○国務大臣(三木武夫君) 宮之原さんも御承知のように、予算編成の前に党首会談をいたしましたし、また、大蔵大臣と野党の各派の代表者とも話し合って、できるだけ取り入れられるものは今年度の予算編成の中にわれわれとしては取り入れたつもりでございます。むろん野党の諸君の言われることをそのまま取り入れることはできませんが、もっともだと思うものはできるだけ取り入れる努力をいたしたわけでございます。これは第一回のことでございますから、まだ野党との党首会談などが軌道に乗ったとは私は思っておりませんが、対話と協調の第一歩としては、それなりの努力はいたしてきたつもりでございます。
○宮之原貞光君 まあ党首会談と申してもきわめて形式的で、しかも、衆議院段階でわが党を初めとする各野党の修正及び組み替え動議に対しても一顧だに与えない、あるいは本予算委員会でわが党の同僚委員が指摘をいたしましたところの、たとえば公庫の貸し倒れ引当金の問題だとか、霞ケ浦干拓予算の未使用分の累積の問題だとか、油づけになっておるところのF86F二十九機の未使用に伴う防衛予算の削減要求だとか、あるいは大蔵当局の法施行規則の不当行為等々、当然、私は政府がみずからこれらの意見を入れた中で手直しをしなければならないところの問題が相当あったと思うのです。それにもかかわらず、それをほおかむりで逃げているという政府の態度は、私は従来の形態と一つも変わらないと見ている。それでも三木さん、対話と協調云々というような形になったでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 先ほど申し上げたように、まだ与野党のこういう重要な問題に対する接触というものは、軌道に乗ったとは思わぬけれども、一つのそういう精神で終始したいという、そういうことはそれなりの効果は私はあった、しかし、これはまだ今後育てていかなければならぬ、こういう考えであります。
○宮之原貞光君 大分まだ精神論の域を出ないようでございますが、それなら単にそれだけでなくて、春闘がようやくたけなわになってくる、その間やはり労使の紛争という問題が今後予想されると思いますが、そういう問題等々について、対話と協調の精神ということをどういう角度から政府としては指導しようというお心構えですか、それをまずお聞かせ願いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 毎年毎年ああいうストの処分、これに対する抗議のスト、これが繰り返されておる悪循環というものを断ち切らないと、日本に健全な労使関係は確立されない。こういうことで、できる限り労働組合の要望というものは政府もこれを真剣に取り上げて検討をしようと、たとえば労働基本法の問題にしても、関係閣僚会議において真剣に検討いたしておることは宮之原さんも御承知のとおりでございます。また、春闘の一番共通の課題であった全国一律の最低賃金制の問題についても、この是非について最低賃金審議会、これにおいて政府は研究調査をしようということを約束しておるわけでございまして、こういう労働組合側の掲げてくる大きな要望事項に対して、政府がこれを真剣に取り上げて検討しようという態度をとっておることは、これすなわち対話と協調、力づくでなくして話し合いによって労使の問題を解決していくという、新しい一つの労使関係を確立したいという政府の熱意のあらわれだと私は思っております。
○瀬谷英行君 関連。 総理は、新しい労使間の慣行を確立するためにストライキと処分の悪循環を断ち切りたいと、こういう強い意思を持っているようにいまの御答弁でも承りましたが、これは一番大事なところであろうと思うのでありますが、その考え方に間違いないのかどうかということをもう一度念を押してお聞きしたい。 それと第二点としては、三公社五現業の処分に関する決定権は、それぞれの当局側にあるわけであります。したがって、処分の方法、時期などは当然当局の判断にゆだねて任せるのが筋ではないかという気がいたしますが、以上の二点について関連質問をしたいと思うのです。
○国務大臣(三木武夫君) 悪循環を断ち切りたいという強い熱意があるかというのは、そのとおりでございます。 また、第二問の公社五現業の職員の懲戒権は、法によってそれぞれ総裁または主務大臣等が持っていますから、その実施の具体的な日時、内容等は、総裁または主務大臣が決めるべきことであることは当然でございます。
○宮之原貞光君 対話と協調という一枚看板が、先ほど申し上げたようにまだ具体的な実りもないようでございますが、それは、それだけにまた総理の数々の公約も後退をしておると申し上げても私は過言でないと思うのです。その点は国民の目はさすがにごまかされないようでございまして、三木内閣の支持率の急速な低下というものもそこにあるのではないかと思います。 独禁法に関しますところの三木語録は、一月二十八日の衆議院本会議では、骨抜きにした改正案を提出することは考えていないと、こう総理は言いながら、三月七日の本委員会では、内容についていまだかつて云々したことはない、何を基準にして後退と言っているのか私はわからないという、開き直った物の言い方を総理はやっておられます。私はこの発言の推移は、独禁法改正問題が公取試案から政府素案へ、そして自民党政調会へと進む中で、後退と骨抜きをしたところの経過をたどっておることを裏づけておると思うのであります。よく商業紙にもこのことは指摘されておるわけでございますけれども、特に企業分割から営業権の一部の譲渡、そしてそれもまた大分無理をしたところの政府の統一見解へと、次々と弱めておるのであります。だから、自民党のある関係議員をして、この独禁法のあの中身は抜かざる宝刀なんだ、もっとも抜いてもこれは竹光なんだと、こう公言してはばからないような情勢になっているのでありますが、それでも総理は、この独禁法の問題については公約から後退をしておらないとお考えですか、どうですか。はっきりおっしゃっていただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) しばしば国会の席上で私が言っておることは、自由経済に新しいルールをつくって、競争の原理というものを自由経済の中に確立をしなければいかぬということを言っている。骨抜きにはしないということを言ったわけでございます。それは政府案も近く決定をする予定でございますから、ごらんになればわかりますように、いままで独禁法というものはいろいろ後退するような場合が多くあったわけでありますが、今度の場合は相当なやっぱり前進をしておるわけでございます。それだけにいろいろと審議などにおいても手間取っておるわけで、これが出た場合に、骨抜きになったという批評は私は受けるとは思ってないわけでございます。ただ、宮之原さんが公取委員会の原案というものを絶対最善のものだというお考えで、公取の一つの原案と違っておるということを後退と言われるならば、それはやっぱり違っておるでしょう。私は、しかし、最初からこの国会でも申しておるように、公取の案が絶対だとは思っていないわけであります。政府は政府として、国民の納得できるような独禁法の改正をする責任を持っておるわけでございますから、今度の独禁法の改正が後退したなどとは私は少しも考えていないということを申し上げておく次第でございます。これは国会提出をした場合に、ごらんくださればおわかりになると思います。
○宮之原貞光君 少なくとも一月段階の総理の衆議院本会議におけるところの答弁というのは、公取案が示されて、まだほかのいろんな意見が出されておらない段階の話なんですよ。ですから、やはりこれを基準にして物を言うのは当然じゃありませんか。それをいまごろになって骨抜きをしてないんだと言うなら、恐らくおたくの考えは、初めから骨のない魚、ナマコみたいなものを考えられておったと、こう言われても仕方ないんですよ。そういうようなことでは国民はますます信頼をしませんよ。それだけは申し上げておきます。 いま、独禁法の問題がそうですから、政治資金規正問題も全くそのとおりだと私は言わざるを得ないんです。三月五日の本委員会でわが党の藤田質問に対して、あなたは三年以内にと前には言ったのでありますが、それを五年以内ということになりましたけれども、自民党は党議で党の経費について五年以内に企業献金をみずから辞退をするという決定を行ったのですから私の原則は大きく曲げられたことはないと思いますと、このようなことを言って、企業献金は五年後は廃止するという方向性を答弁されておるんですよ。ところが、どうですか、その後のいろんな新聞報道、さらには三月二十四日の本委員会のわが党の矢田部質問に対しまして、あなたの幕僚であるところの福田、大平、井出というそうそうたる幹部は、この企業献金の問題については何らそういうらしい発言はしてない。たとえば福田副総理のごときは、五年後につきましては法律がどうなるかわからぬから、そのときになってみなければわかりませんと、こういうような御答弁をされておる。あるいはまた担当の福田自治相も、五年後の見通しの規定ということは、そのときにならなければわかりませんと、こう答弁をされておるんですよ。これは明らかに後退ですよね。これは三木さんの統率がきかぬのかどうか、あるいは親の心子知らずというのかどうかわかりませんけれども、こういうことでは後退だと言われても仕方ないじゃありませんか。どうですか、その点。
○国務大臣(三木武夫君) 企業献金は法律に違反するということはないわけでございます。企業がやはり民主政治の健全な発展のために政党に対して応分な寄付をするということは、何もこれは当然のことでございますが、しかし、近時、政治献金に対していろんな批判が出ておるような現状にかんがみて、政党のみずからのモラルとして、五年後には政党の経常費については、いま言ったような個人献金と党費によって賄うことにして、そして企業の献金はみずから辞退しようという党議の決定を行ったわけでございますから、これはもう自民党が党として決定をしたわけでございますから、法律の中にこれを書くというような、法律の問題ではない、政党の道義の問題であるという解釈からそういう党議の決定を行ったわけでございまして、私の精神というものは貫かれておるといまでも信じておるわけでございます。
○宮之原貞光君 だって、総理は党の総裁として、法文に書かれようとなかろうと、自民党としては五年後には企業献金を廃止の方向にやりたいということを答弁をされている。ところが、それぞれの師団長と呼ばれるところの皆さんは、それは法律のこともさることながら、法律にどう書かれるかどうかということによって自民党の物の考え方を決めていきたいという筋の答弁をされておるんですよ。全く違うじゃありませんか、それは。それでも三木さんは断固としてこの問題は方針を貫くとおっしゃるのかどうか、その点をはっきり言明していただきたいんです。
○国務大臣(三木武夫君) 自民党が党議で決めたということは、これは自民党を拘束することは明らかでございます。したがって、五年後にいま言った党の経常費は党費と個人の寄付による、これは貫く方針でございます。
○宮之原貞光君 いま総理からきわめて心強い話があったんですが、福田さん、大平さんどうですか、そのとおり理解してよろしゅうございますね。あなた方も相当やっぱり党内では大きな影響力をお持ちの方ですから、念のためにお聞きいたします。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、この前もお答え申し上げたのですが、企業献金を禁止するかどうかにつきましては、五年後の時点で検討しようということに話が進んでおりますので、そのとおりにすべきものだと、かように考えております。
○国務大臣(大平正芳君) この前にもお答え申し上げましたように、政治資金というものは、政治資金規正法があるとかないとかいうことより前に、政治家としてこの取り扱いにつきましては非常な注意を持って、集める場合も使う場合も気をつけてやらなければならぬということを第一義と心得ております。その場合におきまして、政治資金規正法が今後国会においてどのように改正されますか、それは私は存じませんけれども、その改正によりまして、それに従ってまいるのはわれわれ当然の義務と心得ております。
○宮之原貞光君 総理、大分違うんじゃないですか。まるっきり違うんじゃないですか。総理ね、いまの答弁によっても明らかなように、あなたは法律にどうあろうとなかろうと、自民党総裁としてはやはり企業献金を五年後に廃止したいと、こうおっしゃっておる。ところが、有力閣僚の皆さんは、法律の中身を見て、決められた後でなければわからない、それは五年後に決めていいんじゃないかと、こうおっしゃっておるんですよ。これは明らかに食い違いですよ。総裁としてどうなんですか、それは。
○国務大臣(三木武夫君) 政治資金規正法の法律として両大臣は答弁をされておるので、法律の事項ではない政党のモラルとして、政党の経常費に対しては企業献金を辞退すると党の決定を行ったわけですから、それはもう言うまでもなく全党員を拘束するものであることは明らかでございます。
○宮之原貞光君 やれますか、あなた、それじゃ。両方の大将はどうですか、あんなに総裁ははっきり言っておるんだけれども、あなた方はまだはっきりしないじゃないですか。ぼくが聞いているのは、法律であるかどうかということを聞いておるんじゃない。少なくとも自民党としては五年後としてはこういうふうに党議決定しているから、そういうことをやりたいと総裁はおっしゃっている。あなた方はそうじゃない、法律に書かれたらそのとき考えましょうと、こう言っているんじゃないですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 党としては五年後は企業献金を経常費には充てないと、こういうことを総理は申し上げておるのでありまして、私が法的に五年後に企業献金を禁止するかどうかはその時点で検討すると言うのと、少しも矛盾するところはございませんです。
○国務大臣(大平正芳君) いま総理が申し上げたようなことが自由民主党において決議に相なったことは承知しておりまするし、それは尊重しなければならぬと思っております。
○宮之原貞光君 経常費には云々という、そこまではようやくそれは向こうが近づいてきた。それなら派閥とか選挙のときなんか、これは経常費じゃないだろうと思います。そういうのはやはりもらうのですか、どうですか、総理、モラルとして。
○国務大臣(三木武夫君) いろいろな特別の場合の経費もありますから、私が党の決定を求めたのは、党の経常費については五年後は党費及び個人の器付によって経常費を賄うことにして、企業献金は辞退をするという決定を行ったのが決定の内容でございます。
○宮之原貞光君 大分やはりしり抜けであるということははっきりしました。派閥なんかどんどんもらうのですから、何のことはない、もとと同じですよ。かっこうだけよくて中身がないということなんです、これは端的に申し上げれば。 時間がありませんから次に移りますが、三木総理は施政方針演説の中で、教育をあるべき場に引き戻す、教育を政争の圏外の静かな場所に移す、そのためには環境づくりが必要である云々と述べられていますが、その真意はどういうことですか。
○国務大臣(三木武夫君) 教育は、これはきわめて国として重要な問題であることは言うまでもないわけであります。それが、現在の教育は政争の場に巻き込まれておる形勢を持っておりますから、少なくとも教育の場というものは政治から中立の場に置いて、静かな場所で教育をするというような環境をつくらなければ、いろいろな改革案と言っても、この教育界の雰囲気を一掃しなければ私は改革案というものが着実に実行されるとは思わない。そういう点で、あるべき姿というものは、教育というものは一つの政治の争いの場から離れて、そして静かな場所で教育を受けられるような環境、それをつくることが必要であるということを申したわけでございます。
○宮之原貞光君 それを実現するための具体的な構想というのはどういうことですか。
○国務大臣(三木武夫君) このためにはやはり教育に携わる者、あるいはまた各政党、皆教育に重大な責任と関心を持つ人たちが日本の教育の場を正常な場に帰そうという努力がなければ、これはすぐに何か法律によってというものでも私はない。皆がやはり日本の教育を正常に戻そうという意識が、教育に対して責任を持っている人々の中からそういう意識というものが強く生まれてこないとなかなか一気にそういうことになるものではないと、そういうことで強く私は訴えたいと思って申したわけでございます。
○宮之原貞光君 その中で総理としてはどうしたいとお考えですかと聞いているのです。人のことはいいですよ。そのためには、政府はまずやってもらわなければいかぬのだから。
○国務大臣(三木武夫君) そのことで私はあらゆる場合に、教育に携わる者、各政党に対してもそのことを強く訴えていきたいというのが私の考えでございます。
○宮之原貞光君 ただ訴えるだけではだめで、まずみずから、おれのところはこうしたいがどうかという範を示してやらなければ、これは具体的なものになりませんよ。 そこで私は申し上げますが、いわゆる教育を政争の圏外に移すとか、環境づくりをやるというためには、まず私は現在の教育行政のあり方というものに大胆にメスを入れて、正すべきは正していくというこの政府のイニシアというものがきわめて大事だと思うんですが、その点どうお考えになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) 常に正すべきは正さなきゃならぬことば言うまでもないことです。
○宮之原貞光君 永井文相は、その著書「近代化と教育」の中でこう言っておられる。「戦後の教育摸索の歴史は、二十余年をへてみると、実は、季節はずれの一九世紀的な行政の中央集権化にすぎないものであった。」と、こう二百六ページで述べておるんです。私も全くこれは同感なんです。この教育環境づくりというのは、言うならば行政のあり方というものが一番ポイントになっていくんです。おそらく私は、三木さんはあえて永井さんを起用したとおっしゃるのですから、このものの直接の表現はいざ知らず、考え方には同意をされているでしょうね、総理、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) それは教育に限らず、何もかもやっぱり一つの大きな転換期に際して、見直して改善をしなければならぬものがたくさんあると思うんです。教育もその一つであることは事実でございます。
○宮之原貞光君 中身がないじゃないの、あなた。教育行政のあり方について非常な批判をしておられたのですよ、文相は。言葉の生を認めるかどうかということじゃなくて、少なくとも教育行政のあり方について反省すべきだということについて、総理はどう思いますかと私は尋ねておるんですよ。答弁になっておらぬから私は聞くんですよ、総理に。まともに答えてくださいよ、行政をやるのは政府の責任なんだから。
○国務大臣(三木武夫君) やはり教育というものが、次代の国民を育成するために、いろんな点で教育は多岐にわたっておると思います。一口に教育行政はこれだとは言い切れない。そういう点で、そういう全般にわたって教育行政というものも改善すべき点は多々あることは事実であります。こういうものに対しては、文部当局においても十分検討を加えておるでありましょうし、永井文部大臣もそういう意味から政党以外から入られて、そしていま真剣に取り組んでおる問題だと私は思います。そういうことで、今後、文相のいろんな教育改革に対しての努力に対しても協力をしていきたいと思っております。
○宮之原貞光君 きわめて抽象的な答弁で、多々あるでは私は話は進まぬと思うんですよ。政治はやっぱり現実ですからね。総理、考えてごらんなさいよ、昭和二十八年、九年以来の教育関係の法案の国会審議を振り返ってごらんなさい。教育二法、新教育委員会法、大学臨時措置法、筑波大学法等、すべてが問答無用の強行採決が行われ、場合によっては警察官の導入を招いてまで教育関係の法案をずっと成立させていったところの過去があるじゃありませんか。勤評問題にしても全国的ないろんな紛争を起こしている。それだけに、こういうことまでをして無理にやらなければならないところのこの教育行政のあり方、政府の教育に対するところの姿勢の問題について、過去のことを振り返って改めるべきものは改めていかない限りは、この問題にしたって一つも前進しませんよ。したがって、過去のそういう点についてはこういう方向にいかないものだろうかという、一つの方向性というものがなくして、ただ関係者よ静かな雰囲気の中に移しなさいでは、私はこの問題は解決つかないと思うんですが、その点どうなんですか。もう少しはっきりおっしゃってくださいよ。
○国務大臣(三木武夫君) 過去のいろいろないきさつはあったでしょうけれども、私は教育というものが与野党の間で共通の課題にならないという日本の雰囲気というものは、問題だと思う。皆やはり平和な民主的な次の時代の国民を育成しようという、教育の共通の目標を持っているわけです。それに与野党の間でいろんな文教問題に対しての法律案が出てもなかなか容易に意見がまとまらないというような現状が、私はこういう雰囲気というものは、何かやっぱり与野党の間で共通の目標というものはあるわけですから、話し合いによって教育というものが改革——いろんな改善すべき点がたくさんあることは事実ですから、それを改善できるような雰囲気というものがどうしてできないのであろうか。これをやっぱりつくらなければ、いつまでたってもいまのような状態であっては、これは教育が正常な形において教育本来の目的に沿うての改善ができていくとは私は思わないんです。まずこういう点から、何か教育というのは共通の目標があるんだから、与野党の間で話し合えるような雰囲気をつくるという、これはつくれないものであろうか。これは宮之原さんのような専門的な経験をお持ちになっておる人などもよく考えてもらいたい。いつも教育問題というのは政争の大きな中心になるということは不幸なことである。共通の目標に向かって、与野党の間で少なくとも教育問題に対しては話し合えるような雰囲気というものをつくり上げるという努力がなければ、これはなかなか日本の教育というものは前進しないと私は思うわけでございます。そういうことを私は強く申しておるわけでございます。
○宮之原貞光君 それは考えてもらいたいという、その一般化されては困るのです。これはもちろんいろいろ動あれば反動あり、いろいろ原因は多々あるでしょう。しかし、現実に政治権力を握っておるところの皆さん方の方で、この点はイニシアをとってこうしようじゃないかというものの提起がない限り、この問題は解決しませんよ。たとえば、総理は与野党のコンセンサスを得るように努力をするとかいうようなことをおっしゃったが、政府としては事教育の問題についてはそういう努力をしたい、少なくとも過去のように力づくで法律をきめていくようなことは、事教育の問題についてはしないように最善の努力をしていきたいと、そういう雰囲気づくりを積極的にやるならやるというあなたの姿勢がない限り、この問題は解決つきませんよ。そのことをさっきから聞いておるのです、どういうことですかと。
○国務大臣(三木武夫君) 教育の問題というものを力づくで解決するという考え方は私はないんですよ。教育こそ、これこそはもう国の基本に関係する問題ですし、そしてまた、それがお互いに共通の目標を持っているわけですから、そこに余りイデオロギーなんか入ってくる余地はないわけなんですから、教育本来の目的を達成しようという共通の意識を皆が持つならば、これは力づくでなくて問題が解決できることは、これはもうできなければならぬ問題です。私は、力づくで教育の行政を進めていこうという考え方を持っていないということを明らかに申しておきます。
○宮之原貞光君 私は、そういうことが本当に実行されたら結構だと思うのです。しかし、私は、先ほど指摘しましたように、いままでの教育の行政のあり方というものはそうじゃないんですよ。教育よりも管理ということを優先させておるんですよ。私は今日の教育行政のあり方を端的に表現せしむれば、管理あって教育なし、これが教育行政の実態だと、こう言いたい。そこに私は今日の教育の不幸の大きな実態があると思うのです。それだけに、教育とは何か、教育の立場に立ってみんなが話し合うという、そこのところこそ私は国民が一番期待していることだと思うんです。そういうような意味合いから何回も先ほど総理に聞いておるわけなんです。したがって、少なくとも総理はそういう立場に立って今後教育行政に、施政の方針としてやりたいと、こういうふうな考え方だと理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(三木武夫君) こんな国の将来、民族の将来に影響する問題を、与野党間でこういう共通の問題を力づくでなしに解決できる能力をやっぱり持たなければいかぬ。そうでなければ国民に責任が果たせないですから、文部省のやり方に対していろいろな御批判も持っておるようでありますが、そういうふうなことも、それはあなたの一方的な意見をそのままそうだと私は言うわけにはいかない。皆それぞれの立場によって考え方の違いがあるわけですから、そういう問題を話し合って、こんな基本の問題を政争の具に供するということはこれは大変誤っていると私は思います。そういう点で、力づくでなしに、この問題こそ与野党共通の課題として真剣に取り組むような雰囲気をつくっていきたい。そのために力づくで押し切っていこうというような方針は私はとらない考えでございます。
○宮之原貞光君 続いて文部大臣にお尋ねしますが、文相はこの教育行政のあり方を規定しておる基本法の十条、これはどのように理解されていますか。
○国務大臣(永井道雄君) 私は、教育というのは政治などの他の力に圧迫されることなく、国民に直接責任を負って行われるように、行政というものがその立場をとるべきものと理解しております。
○宮之原貞光君 それならば、教育基本法の十条の教育条件の整備というこのことが一番私はこの教育行政の主たる任務だと規定されておると思うんです。その条件整備に、内的条件だけか、外的条件だけかでいろいろ議論はありますが、いずれにしてもその教育条件の整備というものが主体に置かれなければならぬ。しかし、そのことに主力を置くということより、いかにして学校を管理するか、教育を管理するかというふうに頭が向いておるとすれば、行政のあり方が向いておるとするならば、これは私は間違いだと思いますが、その点どうお考えになりますか。
○国務大臣(永井道雄君) 私は、教育行政というのは教育の条件を整備するということが非常に重要な仕事であると考えます。しかし、いま宮之原委員が御指摘になりましたように、この条件というのは外的条件、建物などの問題もありますけれども、内的条件と言いましょうか、なかなか微妙な問題があります。一例を挙げますというと、たとえば小学校六年の子供に一年生の教科書を読ませるとなかなか不都合なことになってきますし、その逆も困る。そういう意味においては、やはり六年生には六年生にふさわしいような、一年生には一年生にふさわしいような、そういうふうなことについて政府というのは責任を負っていくことが妥当であると考えております。 なお、宮之原委員が御指摘になりました、管理というものに傾くというと教育行政はできないのじゃないかということでありますが、これについて私が考えていることを率直に申しますと、現在のように複雑な社会機構になり、また学校教育制度というふうなものも相当構造的な複雑性を持つようになってまいりますと、管理が一切ないということはこれはない、管理運営。やはり法に基づいてそういう学校制度というふうなものを秩序正しく運営していくということは非常に必要であろうかと思います。また、その管理者というものはどういう責任を負うのかということでありますが、いろいろな危急の場合、たとえば地震とか火事があるというような場合に、当然管理者というものは果断な処置をとらなきゃいけないというようなことから、非常に重要な責任というものを負わされると思います。ただし、教育の平常、日常的な活動に関して申しますというと、教育に携わっているそれぞれの人の考え、自主性というものを十分に生かすように教育行政の仕事に携わる者は心を配らなければいけないし、そこが非常に重要なところであると考えます。その点についてこれまでのやり方が足りていたかということをもしもお問いになるならば、これは足りていないし、これを今後本当に教育の現場にある人の考えを生かすように、教育行政というものを常によくしていくということがきわめて重要な眼目であると考えております。
○宮之原貞光君 私は、管理は全然やめろと言っておるんじゃない。行政のあり方としては、管理よりも教育条件の整備ということにウエートを置いてやらなければこれは間違いじゃありませんかと、こう聞いておるんです。端的にお答え願いたい。
○国務大臣(永井道雄君) 条件というものをどう定義するかということはなかなかむずかしいことですが、先ほど私が申し上げたように、いろいろな面を含むという意味において条件をとらえますならば、御指摘のように、その条件というものの整備に力を注ぐということは教育行政上きわめて重要であると考えます。
○宮之原貞光君 ところで文部大臣は、かつて教育界を風靡し、現在も根強くまだ浸透いたしておるところの特別権力関係論とか学校経営重層構造論とかというのを御存じだと思いますが、それはどういうお考えを持っておられますか。
○国務大臣(永井道雄君) それは特に私自身が主張した理論でありませんので、宮之原委員からもう一度御説明いただきますと、私はそれについて見解を申し上げます。
○宮之原貞光君 これは特別権力論を書かれた文部省のある高級官僚の事例を引けば、こう言っておるんですよ。たとえば校長から酒一升買ってこいと言われても、それを拒めば職務命令違反であるという考え方、言うならば校長というものは包括的な権力をみな握っているんだ、何でも職務命令でやれるんだ、これがあなた、一時文部省からずっと日本の教育界を風靡しておるんですよ、いまだに残っておるんですよ。そういうものの中から一体教育というものが育ちますかどうか、したがって、こういう物の考え方というものはどうですかと聞いておるんです。
○国務大臣(永井道雄君) 酒一升買ってこいと言われたらはいと言うところから、教育は育ちません。
○宮之原貞光君 残念ながら、その物の考え方というのが日本の教育行政のあり方としてずうっと流れておるから、ここにやっぱり教育の問題の大きな問題点があるのですよ。これは野にあったころ、あなたがすでに指摘されておったとおりです。それだけに私は先ほど来総理に、この行政のあり方というものにやはり反省を加えない限りだめですよと言っている。そうすると総理は、あなたの一方的なとこう言うけれどもね、それは私はみんながみんな政府が悪いと言わない。けれども、少なくとも権力を握っておるところの側がイニシアチブをとってそういう姿勢を正さなければ、これは教育界だって正常化されませんよ。そういう決意がありますかということを先ほど来尋ねているのですよ。
○国務大臣(永井道雄君) 私文部大臣になる前も、酒買ってこいと言われてはいと言った、これは教育にならない、いまも同じ考えですから先ほどそう申し上げたのです。そこで、そういうことではだめなんでありまして、やはり教育者というのは、自分で考えて、自分の考えで責任を負って教育をしていくものだと思います。しかし、それを阻害しているものとして、私の本を御引用になりまして、日本に中央集権的教育行政があってこれが阻害要因ではないか、そう私は書いておりますが、そういう要素があるということは事実であります。そこで、この中央集権的傾向に傾いていくものをどうしていくか。そこでそれぞれの地方自治体における教育委員会の力というものも責任を重んじていかなければいけませんし、またそれぞれの学校の自主性を重んじなければなりません。しかし、もう一つ私のその本の中に書いてあることをつけ加えて申しますと、わが国において、保守革新を問わず政治勢力というものが、教育について政治性を持った形で活動したことに戦後の教育の一つの問題点があるということを、私の文章を引用された本に私はまた書いているわけです。その面から考えますというと、私が願いますことは、党派を問わず私たちに対する御協力と御理解をいただけますならば、教育行政というものはでき得る限り中立の原則に基づき、そしてそれぞれの教育の現場の自主性というものを重んじて推進していくようにしなければならないと考えております。
○宮之原貞光君 だから私は先ほど来、そのためには政府がまず範を示しなさいと、こう言っているんですよ。みずから範を示さないでおって、他の者にやれやれと言ったって、これはできっこないんですよ。私は一番その典型的な事例が、これは先般の地方教育行政三十八条の例の内申権通達の問題だと思うんですよ。これはいろいろ文教委員会でも議論されたし、衆議院でも議論されていますから多くは申しませんけれども、あれほど立法当時に、内申権というのは地教委がありますと。それに基づいて文部省は二回も通達を出しておるんですよ、そのとおりですと。ところが、時移り変わると、立法当時は予想しなかった事態が起きた云々という口実を設けて、自民党のいわゆる政治勢力に押されて、百八十度転換するところの通達を出し直しておるでしょうが。これなどは全く教育行政を、中央集権と私が言う以上に、一つの党がこれは強引に言わしめておると思うんですよ。これは田中さんの時代のことであり、あるいはあなたの前の文部大臣のことかもしれませんけれども、そういう問題に対しても謙虚にあなた方は反省しなきゃだめですよ。それを仕方がありません、守ります守りますでは、私が先ほど来論じてきたところの意味は一つも、皆さんがみずからやろうとしても意欲が起こらないとしか思えないんですがね。その点どうお考えになりますか。
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの内申がなくても人事行政を行い得るという通達の問題でありますが、その問題は私はかように考えているんです。まず、そういう通達を出すことがないようなわが国の教育、政治の情勢であるならば、一番望ましいと思います。しかしながら、なぜそれが出てきたかということをやはり考えなければいけないのでありますが、いろいろ調べると、たとえば市町村教育委員会からの内申阻止運動というふうなものが教職員組合によって展開されることがあるわけです。そうすると、この阻止運動が一方にあり、そうすると内申が出せませんから、それでは内申なしに人事行政を行うというふうなことになるわけです。現在までそういうふうに事態が進んできておりますが、もちろん日本の一部でありますが、それで私がどう考えているかと言いますならば、そうでないような状況をつくりたいということで、私自身その当該教育委員会の方々ともお話を続けてきているわけであります。 他方、それは一つの面でありますが、特に教育につきましては、そういう教職員組合と行政当局との話し合いと並行いたしまして、人事などの問題と並行いたしまして、重要なのは教育の事柄について具体的に対話を進めていくことであると考えています。そういう問題については、私が就任しましてから骨を折ってきておりますことの一つは、たとえば教育課程の改革というふうなことについて各方面の御意見も承る。そういうことを進めてきておりますので、事態が次第に変化して、政争の場から離れたところで教育が行われるように、そういう眼目を持って進んでいくときに、幾つかの面を含みながら変化しつつあるということを御理解願えればまことに幸いであると考えます。
○宮之原貞光君 あの通達を、あなたはいまごろになって阻止運動に籍口して云々と、こう言っていますけれどもね、あなたが野にあるころもそれは知らなかったはずはないんですよ、その経緯は。あなたは朝日新聞の論説の中でこう言っているじゃないですか、この通達は旧通達に反しているということにとどまらず、中央の教育行政の度を越した行政だと、厳しく批判しておる。これは当時の朝日だけじゃない。いわゆる新聞論調はみんな同じような論説を毎日のように掲げておったんです。そういうところに問題があるんでして、事のどこが起こしたか、こうしたかということを論ずるよりも、そのもとのところを正さなければだめですよと私は言っている。そのためにはまず政府がイニシアをとってその範を示しなさい、そうすれば不信感も徐々に除去できますよと、こう申し上げておる。そういう姿勢がないから依然として今日の、やはり教育行政とは管理だという頭が変わらぬのですよ、切りかえが。 あなたはいま頭をひねっていますけれども、この通牒もしかり、先般の人事院の教員給与の、この待遇改善に対するところの文部省の申し入れだってそうじゃありませんか。私は永井さんに正直期待しておったけれども、期待外れであった。何かというと教頭さんに一等級をつくってくださいとか、あるいは主任手当を新しく設けてやってくださいと、こういう申し入ればかりですよ。これは学校を一つの系列化する校長、教頭、管理主事というものを優遇しておけば、学校教育は完全に成り立つんだという物の考え方が頭にあるんですよ。考えてごらんなさい、学校ではどういう人がりっぱな先生なのかということです。校長や教頭は必ずしも偉い人じゃありませんよ。総理、あなたは居眠りしていますが、聞いていますか。いわゆる管理職につくことなく、営々として教師にあって本当に一学級あるいは一教科を受け持って、生徒に信頼をされておるところのその人、その先生にこそ待遇改善をしていくということが人確法のねらいなんです。限られた予算の中で、まずそういう人々に温かい手を差し伸べるというなら文部省の物の考え方もわかりますけれども、そういうものはさておいて、それは技術的にむずかしいからという口実を設けて、教頭さんは等級を上げてください、主任さんやいろいろな者にも手当をあげてください、給与を回してくださいと、こういう物の考え方が、これは教育行政の管理ということを主体にしたところの物の考え方だというんですよ。ここのところを改めない限り、これは日本の教育は発展しませんよ。どう思いますか。
○国務大臣(永井道雄君) いま宮之原委員が御指摘になりました懸念が相当あると思います。ただ、校長とか教頭という管理者というものも非常に重要であると思うのであります。問題は、その管理者というものがどういう管理のあり方を考えて、そして教育のそれぞれの学校における管理に当たっていくかということでありまして、私は校長がいる、あるいは教頭がいるということから直ちに管理主義的な傾向が出てくるというのでなくて、むしろ問題はその管理のあり方にあるように考えます。その点について私自身これから、すでに文部省内でもその話を進めておりますが、これをどういうふうに校長先生あるいは教頭の先生方に私たちの考えを周知徹底して理解していただくかということが重要な課題であると考えております。
○宮之原貞光君 ひとつ考えるだけにとどまらないで、行動に移してもらいたいんです、これは。 最後に、関連して聞きますけれども、例の大学臨時措置法ですね、これは一体どうされるつもりですか。もう廃棄するなら廃棄すると明確に言ってもらわなければ、いつまでたってもおかしなかっこうになっていますよ、これは。どうされるつもりですか。
○国務大臣(永井道雄君) 現段階におきまして申し上げ得ることは、大学臨時措置法の取り扱いについて未決定であるということであります。しからばどういうふうな問題が特に重要であるかということがありますが、それについて申し上げますと、臨時措置法ができましたころ、これは大学の中の紛争あるいは暴力事件というものが大学に限定されていたものが多かったのでありますが、それから後の年ごとの傾向を見ますというと、大学の外に出て街頭にある事件、そして大学の学生以外の人たちも関与しているような、そうした事件というものが多くなってきております。そういう非常に重要な見逃すことができない変化がありますので、この点が最も考慮すべきことであると考え、それを一つの重要な地盤といたしまして、他の勘案すべきことも考えながら、この法についてどう考えていくか、目下検討中でございます。
○宮之原貞光君 いつごろまでに結論を出しますか。国会が終わってからですか。
○国務大臣(永井道雄君) でき得る限り早く出します。
○宮之原貞光君 総理、聞いてごらんなさい。こういうこと一つにさえも、三木内閣ははっきりした姿勢を示し切らぬのですよ。これはもう去年の八月で死んでおったんです。それをあなた方はまだ生きておると、こう言うんです。「するものとする」という三百代言的な解釈をつけてそうなっておるんだけれどもね、それはいまだどうするかも決め切らぬと言う。優柔不断では困りますよ、こういう問題は。本当に管理主義云々というものを捨てるとするならば、はっきり決着をつけてくださいよ。総理としてはどういうお考えですか。
○国務大臣(三木武夫君) 問題によっては右から左にすぐに決めることが適当でない場合もある、慎重に検討する必要がある場合もあることは当然でございます。
○宮之原貞光君 余り慎重過ぎて、決意したときには三木内閣はなくなっておるということにならぬようにしてくださいよ。 続けますが、日本の社会機構の面で現に教育に大きな悪影響を及ぼしておるのは、これは学歴社会の問題です。私は去年もここでそれをやりました。当時田中総理は同意を示されたのでありますが、残念ながらまだ一つも手がつけられておらない。このことについて総理はどうお考えになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) だんだんこの学歴社会を打破しようという機運は社会の中に出てきておる兆しはありますけれども、まだやっぱり学歴社会であるという、こういうことが日本の社会全般の中に非常に強く根づいておるわけです。これはしかし、いろいろ官庁など見ても、採用、昇格なども能力の実証によって採用しておる、必ずしもどこの何を出なければならぬというふうにはないのですけれども、結果においては学歴社会であると言われるような結果が出るわけで、これは一遍に打破すると言っても、まあ社会全般がそういう機運というものになってこないと、打破いたしますと言っても打破できる問題でもないし、時間がかかると思いますが、しかし、だんだんとこれからはやはり本人の能力というものが中心になって、必ずしも学歴によってところてん的な一生が過ごせるという時代ではなくなってはくる。これはしかし、これだけ根強く社会の中に根をおろした学歴社会を一気に打破することはできないけれども、いろんな点で、たとえば学校などについてもできるだけ東京大学なら東京大学、こういうものが中心にならないように、あるいは私学の振興であるとか地方の大学を充実していくとかそういうところから、学歴というものがある偏った数校に、学歴の中でもまたその数校の学歴中心というようなこういう風潮はいろいろ教育の制度の上においても改革していける余地はあると思いますが、これは相当社会全般がそういう打破しようという機運になってこないと一朝にしてはできない。だんだんとそういう傾向にこれからの社会はなっていくに違いないと私は思っております。
○宮之原貞光君 この件で、昨年の三月二十四日の朝日新聞の社説を私はまだ覚えておるんです。これは恐らく永井さんがお書きになったと伝えられておるんですがね。これは特に「官庁でも企業でも、学歴偏重の採用や昇進を行わないように行政指導することはすぐにでもできる。」と書いてある。すぐできると。「教育改革は枝葉の手なおしではなく、国会での問答を文字通り勇断によって実行するときである」、こう結ばれておるんです。私は非常に同感であるし、非常に期待をしておったんです。そこで、当時社説を書かれたと伝えられる永井さんが、はからずもと言うとこれは失礼かもしれませんけれども、大臣になられた。具体的にどういう手を打ってこられたか、まずお聞かせ願いたい。
○国務大臣(永井道雄君) 昨年、この参議院の予算委員会におきまして、宮之原委員と当時の田中首相との間に討論がありました。学歴偏重という現実を変えなければいけないということでありました。実は私もかねてから全く同感であります。その場合に、わが国では国立大学というものが非常に重視されておって、まあ公立というものもありますが、私学というものがそれほど重視されてこなかったという点があります。一九六〇年代について見ますと、高等学校以下の教育というものの充実のための政府の施策というものは、財政的に見ましても国際比較上相当大きなものでありますが、高等教育についてそれほどでなかったという、これは国際比較上そういう現実があります。そこで、いま日本の経済も決して楽でない状況の中でこれを考えていくということは、決して容易ではないということをまず申し上げておく必要があります。 その状況の中で、しかし学歴偏重というものは少しでもこれをやわらげなければいけない。何をしてきたかということでありますが、これまでも心を配ってまいりましたし、今後、力を注いでいかなければならないと考えておりますことの一つは、私学というものの充実でございます。先ほど総理が言われましたように、私学出の人もいろいろ仕事をする。総理御自身、私学御出身でありますが、そういう趨勢というものはあるけれども、しかし、なおその趨勢というものを促進するように努力するところに教育行政の一つの役割りがあると考えております。 そのほか、官界ないしは経済界におきましてやはり偏重の事実がある。しかし、その偏重ということを大づかみに言いますというと次の施策が出てこないというふうに私は考えまして、現在進めておりますのは年齢別、職種別、そういう別にどういう学歴構成になっているかということの調査を、これは経済界にお願いをいたしましてすでに進めておりますが、官界についてもその問題について取り組んできております。その上で職種、年齢別構成というものが学歴との関係についてわかってまいりましたならば、私自身、学校の改革をするだけでなくて、その社会、特に日本の重要な職業についている人たちの雇用の形態について、教育の立場からいろいろお願いしたい、こう考えております。
○宮之原貞光君 まあ御努力は多といたしたいと思いますが、しかし、これは民間だけ協力を願ったってできないのです。一番本元の、本山の官僚社会の学歴社会をどうするか、ここに手をつけない以上はこれまたできない。さっき総理のお話を聞きますと、だんだん時間がかかってよくなるでしょうという、まるで評論家的な話ですけれども、これまた政府がイニシアを握らない限りできないんですよ。 お手元に差し上げてある一覧表を見てごらんなさいよ。いま差し上げておるのは、各省の局長以上の出身校別の一覧表です。それによりますと、各省庁は外局を含めて二百四十五名、東大卒がそのうち二百四名の八三・三%、京都大学は十二名の四・九%、私学出身はわずかに六名で、それもみんな外局ですよ。しかも、エリート中のエリートの官庁だと世間に言われておるところの大蔵、外務は、みんな東大卒でなければ局長になれないという、これが端的に示しておるんです。なお、次官クラスの天下りの公社公団の首脳部を調べてみましたら、二十三名中二十名がみんな東大卒なんですよ。しかも、その東大はほとんど法学部卒が八〇%を占めておる。いわゆる日本の官僚機構が法科万能主義の官僚機構であるということも端的に示しております。 これは一体どうなのか、総理に恐らく尋ねたら、それは何も東大卒だから入れたわけじゃない、結果的に優秀でしょうという答えが返ってくるかもしれませんけれども、そういう通り一遍の形では、いわゆる今日一番教育界に悪影響を及ぼしていますところの学歴社会の是正というのはできないんですよ。その点、総理、何にも感じられませんか、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 御指摘のように、官吏は東京大学の法学部出身の者が圧倒的に多い。私学の者などでいま御指摘のように局長クラスは少ないというのは、もう私学は初めから行かないんですね、初めから官庁でなしに民間で活動しようということで、採用試験などでも、私学というのは官界よりもやっぱり民間で活動する方が向いていると思うんでしょうか、志望者も少ないわけです。しかし、東京大学法学部中心になり過ぎておるという事態は、私もこれはちょっとよその国では類例のない形であることは認めます。 しかし、これがいまのような採用試験で能力主義でいっておるわけでございますから、試験をした場合にやっぱり合格する人が多いし、また、そこを出た人たちが官界を志望する人が圧倒的に多いということも、こういう数字の結果であるわけですが、この点は私はだからもう少し、何と言うんですか、日本の学校というものは、東京大学というものがもう唯一の——よその国でこんなことはないですからね、幾つもの有名な大学があり、各国とも東京の大学でなければならぬというような国民の意識というものはないですからね、地方の大学も中央の大学に劣らないだけの水準を持った大学はいっぱいあるし、私学もいっぱいあるし、むしろ私学の方がいいという場合もあるわけですから、だから、やはり日本はそういう面からも、この学歴社会というものを打破するために、そういうやはり無視できない一面があるという感じがいたします。
○宮之原貞光君 これは局長以上だけじゃなくて、たとえばもう一つの資料の、四十九年の上級試験の採用者を見てごらんなさい。これは二百五十二名中、東大が百四十七名、五八・三%、京都が三十八名で一五%、私立大学は八・三%になっておるわけですが、この中で、各省庁で七〇%以上を東大卒で占めている採用者は、運輸省の十五人中の十三人、自治省の十七人中の十四名を初め、大蔵、通産、建設、わずかにこれは永井さんの時代になってからかもしれませんけれども、文部省だけが十四名中東大を二名に抑えておるんです。これは文部省を受けたところの東大だけが成績が悪かったとは私は思いたくないんです。むしろ逆の意図が働いておるんじゃないかと思うぐらいなんです。もちろん、これを言えばまた試験の結果だと、こう言いたいでしょう。しかしこの採用者は、先ほど局長のこの仕組みの中で申し上げたように、十年たち二十年たつ中でみんなセレクトされて東大オンリーになって、ほかの者は冷や飯を食うていかざるを得ないという多くの格差がつくということは、これはもう明確な事実なんです。だから、総理も言ったように、先の見えているところの官学出身でない人は民間にいくとか、あるいは東大卒でも、官庁に入って、先の見える人は早く政界に打って出るという人が多いんですよ。 私もいろいろ調べてみました。そうしたら、衆議院の場合、いわゆる東大卒以外で中央官庁の課長クラスで政界に入った者は三十名下らない。それで私立大と国立大との衆議院の学歴を調べてみますと、百六十三名対百六十八という全く五分五分の状態なんですね。言うならば日本の官僚機構は学歴社会、その中でも学閥社会だから、もう向こうに行ったら初めから値段が決まっておる、だからおれとしては力を政界で発揮したい、経済界で発揮したいと、こういう形になっていくという結果を生んでおる。これは典型的なやはり日本の学歴社会の頂点です、総本山です、東大をピラミッドとしたところのね。 ここのところにメスを入れないでおって、総理が、先ほど来徐々になくなっていきましょう、時間をかけてと、そういう評論家的な立場でおるならばこれは一向解決しません。したがって、ここのところが解決されない以上、世の中に教育ママ、受験競争万能主義というものはなくなりませんよ。したがって、これは日本の社会機構のあり方、官僚機構のあり方と同時に、日本の教育を発展させるためには、どうしても大胆なメスを入れなきゃならない問題なんですよ。したがって、官庁のそういうものをやるのは総理、政府しかないんですよ。それに対して総理はどう思われますかと先ほどから私は聞いておる。どうなんですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、宮之原さんの言うように、役人になることをそんなに魅力を感じていない。だから私はならなかった……
○宮之原貞光君 それは、あなたがたまたま総理になったからそう言うんでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) だから、学歴社会といって、もう官界にこれだけ東大が入っておるということを、そんなに何も気がねをする必要ないんじゃないですか。このごろ余り魅力ありませんよ、官界に入ることは。むしろ優秀な人は民間に入って活躍する人が多くなってくる。私はそうなると思いますね、これから。外国でもそうでしょう、そういう傾向があるわけです。だから学歴……
○宮之原貞光君 あなたはそう言っても、父兄はそうは思わぬのだよ。
○国務大臣(三木武夫君) そういう考え方を改めなきゃいかぬ。これからはやっぱり官界に入ることが……
○宮之原貞光君 そういうところをいじらなきゃだめだと言うんだ。
○委員長(大谷藤之助君) 答弁中は静粛にしてください。
○国務大臣(三木武夫君) これからはやっぱり、官界に入ることが人生の最高の到達すべき目標であるという考え方はもう時代おくれである。だから、私はそんなに学歴社会ということで、役所にこれだけ入ったから、これでほかの者が不平等な扱いを受けておるとは思わない。しかし多過ぎますよ、それはあなたの言われることは認めますけれども、それだからといって、何かほかの者が人生の落後者みたいになる考え方を持つ必要はないのじゃないかと私は思います。
○宮之原貞光君 あなた、問題をすりかえてはだめですよ。それはあなたがおっしゃるように、あなたみたいな人は私学から出てきて総理になったんだからそう思うでしょうけれども、世の中はそうじゃない。日本の明治以来の学制をよく見てごらんなさいよ、制度を。すべてが東大を頂点とされてやっておる。そういう一つの機構の中で、今日の官僚機構というものの人事機構は決まっているんですよ。そこのところのメスを入れないでおって、そう思いなさんなと幾ら三木調で説得を国民にやったって、それは教育ママさんは聞きませんよ。そこが今日の教育の、受験競争を生んでいるところのゆえんなんですよ。したがって、そういうところにも手を入れていく。何も私は、東大を出てみんなが力がないのになったとは思っておらないんです。それはそれぞれ力量はありますよ。しかしながら、余りにもひど過ぎるじゃありませんかと。ほかの国ではパーセンテージで一つの目安を置いて、アンバラを是正をしてバラエティーに富んだところの行政組織をつくるという行政方法もできておるんですよ。そこらあたりの、やっぱり行政機構というものは単に機構いじりでなくて、人的な構成ということについてもメスを入れない限り私はこれはできないと思う。それはひいては教育界に大きな影響を及ぼすだけに、この点についてそういう先ほどの答弁では納得できませんよ。その点についてやりたいと思うのかどうなのか、そこらの点もうちょっとはっきりおっしゃってください。
○国務大臣(三木武夫君) 私と考え方がちょっと違うのは、そんなに官界というものはこれから魅力を持つでしょうか。私はむしろ民間で思う存分働く方に若者は魅力を感じてくる時代だと思うんですね。東大の法学部出身が多過ぎるということは、こういう社会の変転の時代に、これは少し一校に偏り過ぎていた弊害はありますよ、弊害はあると思います。だから、これはあるいは採用についていろいろ工夫を加えるという必要は私も認めますけれども、そんなにみんなが官界に入れないということに対して、何かこうあなたの考えるように私は考えない。むしろ、もうこれからは能力のある者は官界よりももっと自由な天地で活躍するような時代が私は来ると思うんですね。そういうふうに考えますけれども、一方に偏り過ぎているという弊害は、確かにいろいろの弊害の面も出ましょうから、これは採用のときに何かもう少しバラエティーを持たすような方法はないかということは検討に値すると考えます。
○宮之原貞光君 何も私は官界万能主義を言ってないんだ。しかしながら、その官界にしてもそういう人事の配置状態ではいけませんよと、こう言っているんです。それが今日の学歴社会の頂点ですよと、こう言っているんですよ。しかも、官界に入ったところのほかの大学出身の者、私大の者でも、ある年数たったら見切りをつけてどんどん外に行っているんですよ。そういう一つの体制ができておるから。ここに東大解体論というものさえも官界や学界で出てきておるんですよ。これは総理、御存じですか。
○国務大臣(三木武夫君) 大学の改革というものは、大学当局の自主性というものを認めなきゃならぬわけですから、簡単に一つの大学の解体というものは国家権力でできるというものでもない。しかし私は、これからの日本の教育で改革しなければならぬのは、余りにも教育が東京、しかも東京大学中心になり過ぎている。地方の大学などはもっとやっぱり力を入れていくべきじゃないか。私学もそうでしょうね。もう少し有名な大学が幾つも幾つもたくさんあったら、今日持っておる学歴社会の弊害というものはよほど違ってくると思いますね。 そういう点で、いままでの何かもうすべての若者が東京大学入学のために青春を犠牲にするような、こういう社会的風潮というものは、これは打破していかなきゃならぬ。そのためには、東京へ来て東京大学へ入らなくても、地方の大学を出ても十分に、世間から見ても学問的な水準から見ても劣らぬようにできないか。そういう面から学歴社会、いま持っておる学歴社会の中でも、ごく限られた大学だけが教育の水準が高いというような、実際でない場合もあるでしょうが、一般にはそう信じられている。これをやっぱり打破するのには、官界の採用という問題もありましょうけれども、根本はやはり教育というものをもっと分散して、教育水準において劣らぬような大学をたくさんつくることだ、これがやっぱり一番学歴社会打破の一つの段階として必要なことだ、こういう考えを私持っておるわけでございます。それだから、今後はやはり私学の振興、地方大学の整備充実、これに私は力を入れていきたいと考えておるのであります。
○宮之原貞光君 いや、総理の言った物の言い方の根本に、実は東大解体論があるんですよ。先ほど来申し上げておるように、多くの今日の学閥社会の頂点に東大が立っておる。したがって、学歴社会を打開するところの決め手がここにあるという問題と、東京へ東京へ、東大へ東大へという、これが今度は東京に大学をずっと集まらせ、また青年が情熱を燃やす。結局解体論は、大学を地方分散をするという意味においてもきわめて重要なファクターだという立場から、この解体論というのは出ておるんですよ。したがって、一見非常にとっぴに聞こえるところの議論ですけれども、これはやはりいま私が触れ、また総理がおっしゃったその立場から、この言わんとするところの中身を考えてみると、私は値打ちのあるところの問題だと思うんですがね、総理。これは、総理としての立場からそれにどうだこうだと言うと、与えるところの影響も大きいと思いますから、これ以上申しませんけれども、そういう立場からなされておるんです。今日の財界の多くの有力者の方々が言っておるのも、そこのところが問題なんだ。それが教育にどうはね返っておるか、そこのところを十分認識をしていただきたいということだけを申しておきます。 そこで文相に聞きますが、東大の総合大学院構想、これはどうお考えになりますか。
○国務大臣(永井道雄君) 宮之原委員が総合大学院構想について聞かれますのは、先ほどの東大解体論とも関係があると思います。といいますのは、東京大学という大学は、明治十九年に帝国大学として整備されまして以来、わが国の過去およそ百年の発展に相当な役割りを果たしてきたわけであります。これは、官界のみならず、学術的にも相当な役割りを果たしたということを認めるのが妥当であるかと思います。 ところで、大学というものも独立大学院を考える段階に入った。そこで、東京大学の方で総合大学院をつくるということで案が提出されました。その内容というのは、いままでの学科にこだわらずに新しい考えをもって臨んでいるものであります。しかしながら、他方、いろいろ学界の方々に伺ってみますと、これから総合大学院をつくっていくという場合に、東京大学にこれを置くというよりは、むしろ、国公私の大学からそれに入っていくことができるような別の場に置いた方がいいのではないかという御見解もあるわけです。それはやはり、先ほどから御指摘の歴史的な変化というものを反映しているように思います。 そこで、いま私といたしましては、学界の方々にもいろいろお考えをいただきまして、歴史の次の段階における学術の中心というものをどうしていくべきか。これは東京大学の総合大学院案というものも尊重いたしますけれども、必ずしもこれにこだわらずに、むしろ学界のいろいろな各方面の意見を生かして、次の時代にふさわしい、そういう意味においては、東大だけによらない、そういう大学院の方向というものも非常に重要なものとして御検討願うようにいま進めている段階であります。
○宮之原貞光君 私は大臣に、率直にこの総合大学院構想というものは好ましい方向かどうかということをお聞きしたかった。私から端的に言わしめれば、これはやはり東大の依然としての独善的な閉鎖的な考えが根本にあると思うんです。現在の大学院のように百講座を持ったところの総合大学院をまた別につくるんだと、こう言い、表面はほかのところの大学の学生も入れるんだと言いながら、実際はまた東大の卒業生しか入ってこないという、こういう大学院構想というものは、これは日本の大学院構想としては決して好ましい方向じゃない。むしろ私は、大学を卒業したらだれもが入れる、受験資格ができる、入りやすいような、連合の総合大学院と申しますか、そういうような方向に大学院制度というものを考えない限り、依然として東大頂点の日本の学制体制というものは抜けないと思っているんですが、その点どうなんですか。
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの御提起になりました問題も、きわめてもっともなものだと私は思います。そこで、先ほど申し上げましたように、しかしこれは私が個人的に決めるという問題ではなくて、やはりいろいろな学界の人たち、そしていろいろな学問領域にまたがっておりますから、いま諸先生方の意見を聞くことに力を尽くしておりますが、要は、御指摘の点、東大だけによらないような形で総合大学院を考えるべき歴史的段階に入ったということではなかろうかと思いますが、そういう考えというものを非常に重視して検討を進めなければならないと私自身考えております。
○宮之原貞光君 関連をしますが、大学の地域格差、これは先ほど総理も言われたように非常にあり過ぎる。この是正をどうしようとお考えになっておるのか、ちょっと聞いておきたい。
○国務大臣(永井道雄君) 大学を地方に分散せよとか、地方を強めよとかいうことは先ほど総理も言われたとおりでありますが、大学人口の推移というものを高等教育懇談会でも考えておられますが、この推移というものが、経済的な変化などによって人口動態にどういう影響を及ぼしていくかということをまず見守っていかなければならないと思います。見守りながら計画を柔軟に考えていくべきでありますが、原則といたしまして、私は地方の大学の充実というものに力を注いでいくことが妥当であろうかと考えております。
○宮之原貞光君 私はあなたの「公社論」も拝見をいたしましたけれども、あれは高度経済成長時代ならいざ知らず、ぼくはいまのときには、率直に申し上げてこれは時代おくれというか、時代にそぐわないと思うんですよ。新幹線同様にやるとか、あるいはパ・リーグとセ・リーグみたいに現今のものと新しいものとあればいいじゃないかとかね。 今日私は、この大学の地域格差の是正という問題は、大学をさらにやたらにつくるのではなくして、現在あるところの地方の大学をいかに充実をしていくかというところに重点を置かれなきゃならない。言うならば、各県には駅弁大学と言われるぐらいに、県庁所在地にはもう国立大学があるんですからね、ここをやはり地方の総合大学として育てていく。それで旧制の帝大あたりはいわゆるその連合大学院ぐらいにして、地方にやはり学問の中心をずっと分配させていく、これぐらいの大きな構想を持たない限り、ちょびちょびっとしたところの大学の増設だけでは私はこの問題については解決つかないと思うんです。これは総理、どうですか。それぐらいの大きな視野から日本の大学というものを考えていけば、当然先ほど来議論したところの東大中心主義というのも抜けていくんですよ。それぐらい思い切った政策というものを検討する用意はありませんかどうか、総理に聞きたい。
○国務大臣(三木武夫君) 宮之原さんと意見のすれ違う場合が多いんですけれども、地方大学を整備充実すべしということば私は同意見です。地方の大学をもっと充実していくべきだということは同意見です。皆が東京へ東京へと寄ってくることが、教育の上ばかりでなしにいろいろと諸問題にも問題がございますし、こう皆東京へ来なくても、やはり若者たちの学問をしたいという要望が満たされるような、そういうところまで地方大学というものを充実していくべきだということに対しては、私もやはりそのように考えております。今後力を入れていきたい。
○宮之原貞光君 時間がありませんから次に進みましょう。 関連して、私は付属高校のあり方について聞いておきたいんです。あくまでも付属学校は実験研究のための学校でなけりゃならぬ。ところが、どうですか、現実は。幼稚園からエリート校になっておるでしょう。高校になりますと進学有名校になっておるんですよ。一体このままでいいかどうかという問題です。これは思い切って教育行政の第一に着手しなきゃならぬ仕事だとさえ私は思っておるんですがね。 私はいまここに資料を持っておるんですけれども、これは東京学芸大学附属高校の、多分PTAだろうと思いますけれども、泰山会の本年二月の納入金の領収書なんです。それによりますと、入会金、特別会費等々五万一千円、それから卒業時には返しますからといって三万円金を借りておる。八万一千円も納めなければ入学できない仕組みになっておる。国立の付属高校ですよ。一体、これはどこに原因があるかというと、今日もう東京の付属高校あたりは東大進学への有名校になっておるわけなんです。だからそこへそこへと集まるから、当然国立だから一番金が少なくならなきゃならぬ高等学校がこんなに金が要っておるという、全くいびつな姿になっておるんです。聞くところによると、閣僚の中にも、それを承知の上で自分の子供を付属高校に上げておるところの閣僚もおるらしいんですけれども、私はそういうことでは、これは口では教育がどうだと言いながら——この付属高校のあり方というものは、これは大改革をすべきであるし、こういうものを続けていく場合に、解体すべきだとさえ思っておるんですがね、その点どうですか。
○国務大臣(永井道雄君) 国立付属高校の校費につきまして、父兄負担の額が多いというただいまの御指摘でありますが、これはそうあってはならないことでありまして、文部省としても、この三月にすでに注意をしていることであります。しかし、その注意というものだけでは足りませんから、これは先生方の待遇というものももちろん今度よくなってまいりますが、そのほか施設の問題なども考慮していくべきことと思います。 なお、付属学校のあり方の問題でありますが、いわゆる受験校的エリート校になっているという御指摘は、まことにそういう傾向が強いことは否定しがたい事実であります。本来、付属学校というのは教育研究のためにあるわけでありまして、宮之原委員から初めからこの問いについてのお申し入れもありましたので、私がいままで知っている数字を少し整理をいたしましたが、現在全国に二百三十九校あるうち、特殊学級を置きまして、いわゆる特殊教育の研究をやっているものが四十六校あります。それから養護学級を置いておりますものが二十六校ございます。それから帰国した子女の学級を置いている学校が四校ございます。そのほか、双生児の研究を眼目としている学校が一校ございます。盲聾が一校あるわけです。したがいまして、一つの新しい傾向といたしまして、こういうものは非常に教育研究的なんでありますが、私は今後の方向をどうするかということを考える場合に、やはりこういう普通の学校でなかなか研究しようと思っても手が届かない重要な問題であるもの、特殊教育あるいは帰国子女の教育、こういうふうなものをやはり強化していくというのが一つの方向であろうかと考えております。しかし、教育研究というのは他のいろいろな面も含みますから、これだけに限定すべきでないと思いますが、こういう形で付属学校というものが今後強化されていくことが望ましいのではないかと思っております。
○宮之原貞光君 次に進めますが、次は大学入試制度の抜本的な改革の問題について文相に聞きたいと思います。私は大学入試改革の方向性、基本的なものの考え方というのは、どういう方法で入ってくる子供をセレクトをするか、ふるいをかけるかという観点からではなくして、むしろどうしたら適格者に大学教育の機会を用意できるかという観点を踏まえるべきだと思うのでありますが、いかがでしょう。
○国務大臣(永井道雄君) いまの、適格者の資格試験的なものをお考えになっているんだと思いますが、この問題と選抜との兼ね合いですが、どういう形でテストをしていくかということは、一つは需給関係といいますか、応募者に対してどのぐらい学生を入れ得るかという問題にも関連してくるように思います。
○宮之原貞光君 先般大臣に提出された大学入試改善会議の報告に対する御見解を承りたい。
○国務大臣(永井道雄君) 大学入試改善会議、非常に骨を折られまして、いままで議論を進めてこられました。その間、国立大学協会ともいろいろ連絡をとって進めてこられたわけでありますが、私はあの案と、国立大学協会のこれまでの実験的な試みというものに、結局二つの眼目がございます。一つは、昭和五十三年度をめどとして、国立大学において一、二期校の別を撤廃するということです。もう一つは、国立大学協会の協力を得られるならば共通学力テストという方向でございます。 私は、これはもう宮之原委員も前から非常に憂慮しておられますが、多くの日本人も憂慮していることでありますので、とにかく現在の受験体制を変えていくきっかけをつかまなければいけませんが、そういうものとして私自身としては、入試改善会議の提案と国立大学協会の学力テストの研究というものが呼応いたしまして、五十三年に実現することを期待しております。
○宮之原貞光君 その一期校、二期校を一緒にするというのはいいですよ。問題は、私は共通学力検査のあり方の問題だと思う。しかし、それを大臣は国大協のこの中間報告を尊重するみたいな言い方ですけれどもね、私はこれはいただきかねるんですよ、率直に申し上げて。国大協はどちらかと言うと選び人のほうですから、これは明確に予備選抜という規定づけをしているんですよ。したがって、そのコンピューター方式を用いる、本格的なやつは第二次試験でという物の頭は変わらないんです。こういう方法では、受験するところの学生に負担過重を、従来と同じようにかけるだけなんですよ、私から言わせれば。ここのところを、ただあなたは簡単に、国大協の方向でまとまることが好ましいと言いますけれども、これは私はやっぱり相当の問題があると思うんですよ。これこそ、このあり方の問題については関係者の合意を得るように十分検討すべきだと思うんですがね。どうなんです、そこは。
○国務大臣(永井道雄君) 私は、国大協のテストの内容について、何も考えずに、いい方向であろうというふうに言っているのではないのであります。そうではなくて、いままでそれぞれの大学で入学試験問題をつくりますというと、やはり平素はいろいろな授業を担当しておられる教授方がつくるわけでありますから、なかなか高等学校の教育内容に即した出題というのもむずかしくなります。それから、幾つもの学校が一ぺんに問題を出しますから、相当いわゆる落とし穴的な問題もできるわけです。これに比較いたしますというと、共通学力テストの場合には、高等学校の正規の授業というものを十分に研究して、そして時間をかけてつくることになりますから、選抜という点は従来と変わりませんけれども、私は、高等学校の教育内容に即したものをつくり得るし、また、そのことが現在の検討内容であると理解しているわけです。それと、二次テストの段階になりますと、いまでも論文テストというのが出てきておりますが、こういう方向を強化できるんではないか、あるいは、場合によっては口頭試問というものも加え得るのではないかということを期待しているわけであります。でありますから、従来と同じような形で負担過重になるんではないかというお言葉がありましたが、これは従来よりも進んだ形で高等学校教育の内容に即したものが出てき得る可能性がある。そういう角度でまた御検討願いたいと私は考えているわけです。
○宮之原貞光君 いまの国大協の中間報告、あれは端的に言って、足切りのテストですよ。一番下の方を切っておいて、ある程度固めておいて、そこをもう一回セレクトしようというね。それでは今日の入試制度の改革というものになりませんよ、これは。もう端的に申し上げておきますけれども、時間がありませんから次に進みますが、あれでは困りますということだけ言っておきます。再検討してもらいたい。 それともう一つは、私学助成の問題と関連をしてお尋ねをしますが、私学助成の問題について、これほど大きな社会的問題になっている。しかし基本的な考え方は、あくまでもサポートをする、しかしながらノーコントロールというこの原則は貫かれなきゃならない。したがって、現在の私学法五十九条の凍結部分ですね、あれはあくまでも堅持さるべきだと考えておるんですがね、その点いかがでしょう。
○国務大臣(永井道雄君) いまの五十九条の問題ですが、変更の意思は全然ございません。
○宮之原貞光君 関連していま一つ聞きたいのは、歯科の医師の養成問題ですね。これは、新聞を見ますと、いわゆるやみ入学金がふえてどうだこうだと騒がれておる。これぐらい歯科医のモラルが低下しているときに、こういうぶざまなかっこうというのはあり得ないと思いますがね。文部省としてはこの問題をどう見ているんですか、このやみ入学金問題を。
○国務大臣(永井道雄君) 歯科に限らず、医科もそうでありますが、非常にたくさんの入学時寄付金があるというのは、教育の機会均等という点からいいましても妥当でないと考えております。そこで、そういう学校に経営上の注意ということもいたしておりますが、しかし、現実的にどうするかという問題であります。結局、私立医歯科大学についての助成というものを強化するという方向が一つ出ております。そういう形で、要するに学生あるいは家庭による負担というものが軽減していく方向ということを考えています。もう一つは、国立というところで、医科はもちろんでありますが、歯科につきましても養成を考えていく方向というものを考えております。それから第三番目に、医師の、あるいは歯科医のモラルということをおっしゃいましたが、こういう点は非常に重要であると考えておりますが、そこで、歯科医などにつきましても、カリキュラムの構成というものをだんだんに考えて、たとえば歯科社会学とか、あるいは歯学史、つまり歯の勉強の歴史ですが、そういうふうなものもだんだんカリキュラムの中に加えて、そして歯科医の養成というようなものを、もっとでき上がった学校の中でも社会的責任というものを持っている人たちを養成すると、三つ申し上げましたが、以上のような方向性で私たちはこの問題に対処しているわけであります。
○宮之原貞光君 やっぱり根本的な問題は、あれじゃないですか、国立の歯科医養成機関がきわめて少ないというところにあるんですよ。だから私大におんぶされる、補助金は少ない、勢いやみ入学金を取らなきゃならぬ、それだけ投資しておるから、卒業したら、モラルの問題になってきますけれども、何が何でも患者からもらって穴埋めをしなきゃならない。ここのところに問題があるんですよ。その根本の問題を私は見逃してもらっては困ると思う。だから、もっともっと普通の医師養成の医科大学を各県に一つずつつくる、いわゆる歯科の国立大学の定員をふやすとか拡充するという、そこらあたりにも根本的に目を向けてもらわなきゃ困ると思うんです。 それで、それは答弁を求めませんが、関連をして厚生大臣に聞いておきたい。この間の集中審議の際に、わが党の田中寿美子委員のほうから厚生大臣にお尋ねをした例の歯科医師会のマル秘文書ですね。これについて断固たる処置をされるという御答弁があったんですが、その中身をひとつお聞かせ願いたい。もう日もたっておるわけですから。
○国務大臣(田中正巳君) いわゆるマル秘文書につきましては、厚生省でその後、かような文書を間違いなしに出したかどうかということに対して、歯科医師会の幹部を呼びましていろいろと尋ねました。先方はこれを肯定してまいりました。そこでさらに、これに対しまして事情を聴取いたすことにいたしまして、いかなる経緯でやったものであるか、あるいは徹底度合いはどの程度まで行っているか、一説によりますると、県段階までしかおりておらないなどという話もあるけれども、これについてどのような程度までこのマル秘文書が徹底をいたしたか、あるいはこれに対して対処策をどのようにとっておるか、撤回をいたしたという文書を持ってまいりましたが、この撤回をした文書についての徹底度合いといったようなものについて、これを問いただしました。これをできるだけ速やかに、おおむね三月いっぱいにこれを当方に説明をするようにということを向こうに要請をいたしました。今日四月一日になりましたが、いまだに実は参りません。もちろん、これについては歯科医師会の内部事情もいろいろあることであろうと思われますので、まあ昨晩遅くまでお待ちをしましたが来ませんので、直ちにこれを催告すべきかどうか目下検討中でございますが、余り長くなるようでございますれば、このようなものに対する催告というものをいたさなければならないというふうに思っております。 そこで、これに対する対処の仕方でございますが、かような内容を持っておるものでございまするから、したがって、向こうの対処の仕方あるいは経緯等をいろいろ聞いた上で判断をいたさなければならないと思いますので、したがいまして、いまここでもって具体的に申し上げる段階ではございません。ただ、民法の規定によりますれば、民法七十一条でございますか、これに対して法律上の処分としては設立の許可の取り消しという条項があるだけでございますが、かようなことを発動することは決して公益のためになるものとは考えられません。唯一の歯科団体でございますので、したがって、このような条項を発動することは適当ではない、そうすれば民法六十七条によるいわゆる厚生省の監督権に基づいて適当な処置をし、要はこのようなことが二度と起こらないように向こうに戒めるということが私は肝要であろうと思われますが、要は、このようなことについての報告を待って、それを検討して措置をいたしたいというふうに考えておるわけであります。
○宮之原貞光君 これは、あれじゃないですか、いつまで待っても来やせぬのじゃないか、なめられているのじゃないですか、それだけ。むしろこの段階では、これだけ世間を騒がしているところの問題ですからね、行政府の政治姿勢を示すという立場から、いまおっしゃったところの六十七条でもよろしい、あるいは健康保険法違反でもよろしい、そういう立場から、やはり明確な態度を示す時期に来ているのじゃないかと思いますが、どうですか。
○国務大臣(田中正巳君) おおむね三月いっぱいと申しましたものですから、したがいまして、私どもとしてはそろそろ期限が来るだろうと思っておりますので、先生のおっしゃるように、余り長くなりますれば催告をいたします。また、催告をして応じない場合には、こちらの判断で適当にやらなければならないというふうに思っておりまして、この点については遅滞なくやるつもりでございます。
○宮之原貞光君 これは遅滞なくやるというところに私は信頼しておきたいと思いますがね。なお、ことしの二月二十六日の会長名の通達ですね。これはこの間も問題になりましたけれども、四十八年のマル秘文書と私どもは何ら本質的には変わらないと見ておりますがね。変わっているのですか、これ。
○国務大臣(田中正巳君) この両方の文書をしさいに読んでまいりますると、性格上若干の相違があるということを私は判断いたしております。なぜかなれば、俗に言う四十八年のマル秘文書というものは、差額徴収制度に認められていない範囲の歯科治療について差額徴収制度というものをこの際準用してやれということでございますので、これは明らかに私は健康保険法の趣旨にもとるものであるというふうに考えられるわけであります。ところが、二月二十幾日の文書というものはそうではございませんで、一般に歯科診療に関し患者との相対ずくでもって、理解と納得を得て歯科診療において保険診療をやめてお互いに自由診療にしようじゃないか、こういう内容を持ったものでございますから、これについては、患者が納得をし、自由診療に切りかえるということは法律上違反行為ではございません。ただ、これが歯科医師側から患者に対して強要するということになりますれば問題が出てくるということでございますので、両者の間には法律上かなりの違いがあるというふうに私は判断をいたしております。
○宮之原貞光君 これは私どもは何ら本質的に変わってないと見ているのですよ。だってあなた、四十八年通達も自由診療というところをもう明確に打ち出しているのですから、これは。しかしながら、そのときの過渡的な措置としてこうこう、こうやりなさいというかっこうで出てきておる。今度の場合も、差額徴収を中止して自由診療に切りかえなさいとある。あるいは補綴を保険から除外する、こうありますけれども、これは実際の患者に、どうしますか、もう保険はききませんが、自由診療にやりますか、少し金を納めたらこうなりますよというなら、金を納めますよ、患者は。人質にとられているのだから、歯をやられているのだから。だから実質的には変わらない。むしろ私どもから見れば悪質なやり方だと思っているのですよ。それを厚生省は、何だか二月二十六日文書を弁護するみたいな物の言い方ですがね。これは大分考えが違うのじゃないですか。
○国務大臣(田中正巳君) 二月二十六日の文書は、やりようによっては非常に私は危険な要素を含んでいると思いますが、のっけからこれについては、どうもあのマル秘文書とは同じような扱いにはならないということでありまして、しかし、そういう文書を出した根底の考え方ということについてはいろいろ判断の余地があると思いますが、いずれにいたしましても、健康保険法等に照らして見て、両者の間にはかなりの違いがあるということは間違いがなさそうであります。ないと思います。したがいまして、私は決してこの二月二十六日文書について、これを弁護するつもりは毛頭ございませんが、かようなことを健康保険医でありながらやるということについては私は問題があろうと思われておりますから、これがよろしいという意味ではございません。ただ、両者の間に違いがないかと聞かれれば、あるということを申し上げざるを得ないというのが私の見解でございます。
○宮之原貞光君 それは、文章表現は違いはありましょう。しかし、実際的には保険診療の拒否ですよ、これは。何と言ったって、この通達も。だから、本質的には前の四十八年通達と変わらない。だから、改俊の情少しもなしとしか見られぬのです、これ。したがって、やはりこういう問題も含めて、先ほどの問題に対するところの処置というものを政府は考えてもらわなければならぬと私は思うのです、決断を。これは一厚生大臣の問題じゃなくて、内閣全体の問題ですからね。総理、この点どう思いますか、そういうことをお聞きになって、この通達問題、マル秘文書問題を。
○国務大臣(三木武夫君) 厚生省は、いま厚生大臣が御答弁を申し上げましたように、実情に対して十分先方には問い合わしておるようでございますから、そういうことが事情が明白になった時点において、厚生省を督励して厳正な処置をとることにいたします。
○宮之原貞光君 もう明白になり過ぎているのだ、事態は。 時間がありませんから次へ移りますが、福田副総理に聞きますが、景気の見通しですね。これは政府の矢継ぎ早な第一次、第二次の不況対策とか、あるいは日銀の景気の事実判定論に対するところの通産省の反論等を見ると、先行き不安なような気もしますし、あるいはまた同時に、二月の鉱工業生産動向を見ると、もうとまったと、こういう感じもするのですがね。どういうふうなかっこうになります。
○国務大臣(福田赳夫君) 世界じゅうの経済が混乱している中では、わが国の経済は、まあまあ好ましい形で動いている、こういうふうに見ております。物価は鎮静方向を強く出しておる。国際収支も改善方向です。ところが、まあ摩擦現象として不況という問題があります。そういう問題がありますが、私ども政府としては、夏ごろからこの景気——いままあとにかく底へ来た、こういうふうに見ておりますが、その底も、なべ底というような観察です。すぐは立ち直らない。しかし、政府といたしましては、夏ごろを目安といたしまして景気が上昇過程に転ずる、そういうことを目標といたしまして諸政策をかじ取りをしていきたい、こういうふうに考えます。大体私の見当といたしましては、その見通しは実現し得る、かように考えております。
○委員長(大谷藤之助君) 午後零時五十分再開をいたします。 暫時休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 —————・————— 午後零時五十九分開会
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き、宮之原君の質疑を行います。宮之原貞光君。
○宮之原貞光君 大蔵大臣にお聞きしますが、四十九年度補正後の租税収入の見通しですが、一般会計全体の税収の伸びは前年に比して、一月末の進行割合を見ましても、前年度よりも二・九%も下回っておる。こういう状態ですが、十五兆三千七百四十億円という税収見積もり額が果たして完全に集まるのかどうか、その見通しをお聞かせ願います。
○国務大臣(大平正芳君) 二月末——いま私の手元にある数字は二月末現在の各税目の収入でございますが、八四・五%収入予定に対しましてそれだけの収入を得ておるわけでございます。去年の二月末は、これに相当する数字が八三・六と申しますか……
○宮之原貞光君 それは補正を含めたものですか。
○国務大臣(大平正芳君) 補正を含めたものでございます。去年よりやや一・一%ぐらい、まだことしの方が計数の上ではいい数字が出ておるのでございます。けれども、三月中の、三月十五日の確定申告の状況、それから十二月決算の法人による収入がどのぐらい確保されるか、それからさらに土地の譲渡所得がどれだけ確保されるかというようなところをいま私どもつかみたいと存じておりますけれども、まだ確たる数字をつかむに至っておりません。しかし、感じといたしまして、御指摘のように経済の景気の落ち込みを反映いたしまして、この三月の税収は相当苦しい状況になるのではなかろうかという予想をいまいたしておりますけれども、まだ計数的に申し上げるまでの用意はないのでございます。
○宮之原貞光君 見込みどおりにいかない場合の財政運営はどういうかっこうになりますかね。
○国務大臣(大平正芳君) 四十九年度はもう終わったわけでございまして、これの帳じりをどのように締めてまいりますかにつきましては、確定数字をつかんだ上で政府として処置してまいりたいと考えておるわけでございます。 問題は、五十年度のいま御審議をいただいて近く成立を見ようとしておりまする予算が、こういう状況を反映いたしましてどういう運営の状況になりますか、これはこれからの経済の運営あるいは経済政策、内外の状況がいろいろ反映してまいることでございましょうから、ただいま確たる展望を持つことはもとよりできないことでございますが、一言に言って慎重に対処していかなければならぬことは当然と心得ておりますけれども、これまた計数的にあらましの展望を申し上げるというようなところまで、政府のいませっかく持っておる経済の見通し以上に申し上げる立場にないことを御了解いただきたいと思います。
○宮之原貞光君 いや、いま大臣がお話しになった五十年度の租税の収入見通しということに関係があるから、昨年のものを聞いているわけですが、その五十年度なんですが、たとえば具体的に聞きますけれども、源泉所得を賃金が一七%増、雇用を一%増と見込んでおられるわけですね。一方では春闘を一五%に抑えると躍起になり、あるいはいま雇用の拡大どころか、百万も二百万も失業者が出てきておる。いまこういうような状況を呈しておるんですが、すでに年間見通したときに、一体この源泉所得の面から見て、五十年度の税の収入の面からのものは見通しとしてどうなんだろうかという不安を感ずるんですが、その点どういう見通しですか。
○国務大臣(大平正芳君) でございますから、いま申し上げておるように、ことしの経済運営にかかるわけでございまして、内外の経済がどのように推移してまいりますか、一応政府の見通しといたしましては、いま御指摘のようにノミナリーに言って一五・九%ぐらいの成長、実質四・三%の成長ということを踏まえた経済の見通しを持っておりまして、それを土台にいたしまして税収の見積もりを立てておるわけでございます。そのとおりまいりますかどうか、どれだけの偏差が出てまいりますか、これはこの土台になる経済状況がどのように推移していくかにかかるわけでございまして、いま申し上げましたように、いま政府が公表いたしておりまする経済の見通し以上にお答えできる立場にないわけでございますが、大変微妙な状況でありますことは私もわかりますけれども、計数的にまだお答え申し上げるような段階でないことは御了解いただきたいと思います。
○宮之原貞光君 源泉所得の税収ばかりじゃなくて、法人税の税収を見ましても、鉱工業生産を対前年度比で五・四%増と見込んでおられる。しかし、二月の鉱工業の生産指数は前月比で横ばい、しかも一月が前月比で四・四%も落ち込んでおる。あるいは前年同月比では一八・二%と、戦後最大の落ち込みをしておるわけですね。そういうことから見ますと、四十九年度の当初予算の二六%増というこの税収見込みというのが、非常に私は甘いのじゃないだろうかと判断をいたしておるんですが、その点どうなんですか。
○国務大臣(大平正芳君) そういう御判断、評価があり得るかもしれません。しかしながら、いま申し上げますように、政府としては昭和五十年度の経済の展望につきましては、予算編成のときに発表いたしました経済の見通しというもの以上の見通しをまだ持っていないわけでございます。その予算編成時に作案いたしました経済の見通しをベースにいたしましての税収の見積もりを立てておるわけでございます。これについていろいろな評価があり、批判があり得ようかと思いますし、今日の経済の状況を頭に置きますと、御批判のようなことは一応私も理解できないわけじゃないわけでございますけれども、それに対して具体的にお答えするという用意はいまございません。確かにいま景気は非常に冷え込んでおりますけれども、これから上半期がどういう状況になりますか、とりわけ下半期がどういうカーブを描いた回復の足どりになりますか、そのあたり、まだ確たる展望を立てるまでに至っておりませんので、御質問に対しまして具体的にお話を申し上げるまでに至っていないことを御理解いただきたいと思います。
○宮之原貞光君 抽象論ではなかなかわかりかねるんですが、さっき副総理の景気の見通しを聞くと、なべ底だと、まあ八月ごろから徐々に緩やかなカーブを描いていくんじゃないだろうか。少なくともV字型の不況克服ということはないということははっきりしておる。それだけに、私は当初この予算を組まれたときに、その見通しが後へ後へとずれていきよるだけに、税収の面で非常なしわ寄せが出てくるんじゃないだろうかということを危惧するんです、率直に申し上げて。しかも、この五十年度を展望して見た場合に、給与改定費を五%前後しか組んでない。あるいは酒、たばこの値上げの問題にしても、率直に申し上げていま五月一日の実施というのはこれは無理ですよ。これは大分おくれるでしょう。しかも、今後の生産者米価、いろんな問題の関係で補正予算は絶対組みませんという確約はできぬだろうと思う。そういうようなこと等々を考えてみた場合に、いわゆる入ってくるところの面では、非常に今度の予算を通じて五十年度を展望してみた場合に、甘さがあるんじゃないだろうかという感がしてならないんですよ。そこを確信を持って大丈夫だと、こう言い切れますかね。
○国務大臣(大平正芳君) まず第一に四十九年度、終わったわけでございますけれども、四十九年度の確定収入が各税目にわたりましてどれだけ確保できたかということは、いま私の手元でわかっておりませんけれども、旬日ならずしてこれは確実にわかるわけでございます。先ほど申し上げましたように、景気が予想以上に冷え込んでおりまするので、二月までの収入は必ずしも収入歩合は悪くはありませんけれども、三月は相当落ち込むことになるのではないかという懸念を相当濃厚に持っております。しかし、これはまだ確定的な数字をつかむに至っておりませんので、感じにすぎないわけでございます。しかし確定数字を把握いたしましたならば、四十九年度の補正予算で私どもが見積もりました歳入というものが甘かったかどうかということは、実績をもって判明するわけでございます。それからまた、補正予算の見積もりをベースにして、さらに五十年度の展望に立って見積もりを立てました五十年度の歳入の見積もりが、甘いかどうかという一つの指標がそこからつかみ取れるのじゃないかと思うわけでございまして、いずれにせよ、その確定数字をつかみ切った段階におきまして、そういった点を十分吟味して、これに対応する対策を、四十九年度の帳じりをどのように締めてまいるかということ、それから今後の財政運営の問題をどのようにやるかという問題、さらには今後の経済の運営についてどのようにお考えいただかねばいかぬかというような問題も含めまして、われわれといたしましては十分部内において御相談しなければならぬばかりでなく、場合によりましては国会の皆さんにも提示して、御高見を求めなけりゃならぬことにならないとは保証できないといま考えておるところでございます。
○宮之原貞光君 これはもちろん今後の見通しですから明確には言えませんけれども、こういうことははっきり言えますか。少なくとも何かいまのを見ておると、昭和四十年の不況、あの前後と似たような傾向もないでもないんですよ。それだけに四十年前後というと、例の赤字国債を思い出す。今度のは二兆円の国債。それ以上の国債は少なくとも今度は出さないということだけははっきり言えますか、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) いずれにいたしましても、確定数字をつかみ切ってからのことにさせていただきたいと思います。
○宮之原貞光君 少なくとも努力はしてもらえますね。安易に国債に頼ってもらっては困ります。
○国務大臣(大平正芳君) もちろん、最善の努力はしなければならないと存じております。
○宮之原貞光君 次に移りますが、新聞報道によりますと、総理府の行政に対する評価と希望に関する国政モニターのアンケートは、不公正な税負担への不満が六五%だと言っておるんです。私はやはり国民が素朴な気持ちとして持っておるのは、現在の税制に対する非常な不満だと思うんです、不公正に対する。したがって、その面について若干お尋ねいたしたいと思いますが、まず所得税ですが、主税局は負担の調整を強調しておるんですけれども、どうも給与所得者の控除が昨年同様に青天井であるということは理解しかねるんですが、この問題について手だてをするという考えはないのかどうか、そこをまずお聞かせ願いたい。
○政府委員(中橋敬次郎君) その点に関しましては、衆参両院の大蔵委員会でも御議論のあったところでございます。給与所得控除の金額限度を置かなくしましたのは昨年の改正でございまして、そのときには、むしろ勤労性の所得と資産性の所得との問題、あるいは給与所得に伴いますところのいろいろな必要経費の問題、把握の問題、担税力の問題等々を考えまして、従来ございました限度を撤廃したのでございます。したがいまして、政府といたしましてもそういう昨年度の改正の問題、あるいは勤労性の所得についての配慮としまして、ある国におきましてはむしろ最高税率が七〇%でございまするのに勤労性の所得については五〇%にしておるというような例も参酌してやった直後でございまするから、その制度は今回そのまま据え置いたわけでございます。
○宮之原貞光君 この問題について非常に国民大衆の中に不満があるということは御存じだと思うのです。これは衆議院段階でも大分問題になったものですから、だからやはり金持ち減税だと言われるゆえんがあるのですよ。これは利子・配当課税の問題にしても私はそうだと思う。「適正化」と、こう書いてあるのは、一体適正化という意味はどうなのか。「適正化」と書きながら、これをさらに五年も延長したというその最大の理由は何か。「適正化」と五年の延長との関係の面をわかりやすくひとつ言ってください。
○政府委員(中橋敬次郎君) もちろん利子・配当所得に対する課税につきましても、本来の理想でございます総合課税に向かっていろいろな制度を考えなければならないことは当然でございます。そこで源泉選択制度を導入いたしまして、現行その税率は二五%でございまするが、今回御提案を申し上げまして、昨日成立を見ました租税特別措置法によりますれば、これを五%引き上げるということでございます。もちろん、一挙に総合課税にしないという点については、まだまだ完全な適正ということには言えませんけれども、それに向かいまして一歩、二歩前進するという意味で「適正化」という項目として掲げたものでございます。それで五年間の期間を設けていただいたわけでございますけれども、その間におきましても、もちろん利子・配当につきましての総合課税の道というのは十分われわれとしても検討し、また金融機関に対する預け入れ側、あるいは受け入れ側につきましても、十分そういったことについての勉強をやっていただく。また税務当局においてもそういうことについてのいろいろな方途を勉強するという意味におきまして、五年間の期間をいただいたわけでございます。
○宮之原貞光君 五年間延長した最大の理由は何ですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) その間におきまして、総合課税の道を見出すということでございます。
○宮之原貞光君 衆議院では実務上の理由があって云々と大蔵大臣は答えていますね。それの中身はどういう意味ですか。
○国務大臣(大平正芳君) 利子・配当の帰属の実態というものを、ただいまの政府の行政能力をもってしては十分に掌握できない。十分に掌握できない状況において総合課税を施行いたしますと、より大きな不公平を招来することになりかねない。したがいまして、これはやはり相当準備期間を置きまして、実態を十分掌握した上でやらしていただかなければならないということでございまて、決してこれは総合課税を断念したという筋合いのものではございません。
○宮之原貞光君 これはいわゆる架空名義の名寄せの問題と私は関連をしていると思いますが、この支払い調書の作成義務というのは、やっぱり金融機関にあるんじゃないですか。これは衆議院では、法制局長官もそうだというふうに肯定されているのですが、その点どうなんですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 利子につきましての支払い調書を作成する義務は、もちろん金融機関にございます。ただ今日、利子の源泉選択分離制度をとっておりますその租税特別措置法の一連の系列の法令におきまして、それをつくりますのは、一回の支払い金額ごとに限度を設けておりまして、それを超過するものについて支払い調書を出すという制度になっております。
○宮之原貞光君 銀行だと言いながら、これは四十五年六月六日の国税庁と銀行局の覚書では、これを否定するみたいなことが書いてあるでしょう。この両者の関係、どうなっているんですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 昭和四十五年から今日の利子・配当についての源泉選択分離課税制度というのは導入したわけでございます。この制度は、いわば従来の制度に比べますれば一歩総合課税の道を進めたわけでございます。と申しますのは、従来は全部分離課税でございますから、一律の率で取っておったのですけれども、総合の道を選ぶ人とそれから源泉選択分離課税の税率を選ぶ人との二通りを認めたわけでございますので、そこで初めて利子の支払い調書の問題というのが近来としては大きく問題となってきたわけでございます。その際に、先ほど申しましたように、租税特別措置法のもとにおきまして、一回の支払い金額で利子の支払い調書を提出しなければならない限度というのを切ってございますが、お示しの昭和四十五年の六月六日の覚書では、別にそのことについて違法なことを決めたわけではございません。そういう本体系のもとにおきましての利子の支払い調書ということについて覚書を交わしているものでございます。
○宮之原貞光君 所得税法の二百二十五条あるいは施行規則の八十二条は、明確にこれは支払い調書の作成は銀行にと書いてあるんですよ。けれども覚書は、これは銀行にはそういう責任がないみたいなことをずっと書いてあるじゃありませんか、私もこれ持っていますけれども。そうしますと、これは両者完全に食い違いなんです。そういうことは食い違ったままにしておいて、まだそういう実務上の作業が進まないから総合課税の問題についてよう踏み切れぬのだと、こういう物の言い方では私は困ると思うんですよ。現に、いま指摘しましたところの覚書の第一項の注にも、銀行行政を通じ、その処置に努めると、こうありながら、何らそれをやっておらない。やっておらないでおって、なかなかその架空名義、あれをつかまえるのが非常に困難だからというような形でこの総合課税という方向性をいつまでも私はそのままにしておくというようなことは、これは怠慢だと言われても仕方がないと思うんですが、それならば、具本的にこの問題についてどういう手だてを今後講じられていくつもりですか、大蔵大臣。
○政府委員(中橋敬次郎君) いまお示しのように、四十五年六月六日の覚書の第一項の注に、架空名義預金については銀行行政を通じ、さらにその是正に努めるものとすると書いてございます。それで、今後われわれとしましても、利子の支払い調書と申しますのは預金者の名前でもって支払い調書が出るわけでございまするから、むしろその根幹となります預金者の名義が実は架空名義でないように、真正の名義であるような手だてを講じなければならないわけでございます。それにつきましては、たとえばわれわれの従来の慣行でございます印判でもって簡単に預金口座が設定できるというようなことを、何か、預金者の方でも自粛をいたしますし、たとえば金融機関で真正の名義でないということがわかりましたときには、できるだけ真正の名義の預金口座を設定してもらうとか、銀行におきましての、競争によりまして真正名義でない預金まで受け付けるというようなことをやめるとか、あるいはまた、その名義が真正になった曉におきましては、その名義によりますところの支払い調書の名寄せを今度は税務当局でいろいろ能率よくやらなければなりませんから、それについての手だてをどういうふうなことを講ずべきかというようなことについて、いろいろ今後研究しなければならないと思っております。
○宮之原貞光君 言葉じりをとらえておるわけじゃないですけれども、いまから検討すると言うんでしょう。だから、いつまでたっても国民の望んでおるところのこの利子・配当課税の矛盾というものは除去できないんですよ。本当にあなた方がやる気があれば、たとえば証券会社が照会文書で確認をしておるところの方法なんというものもあるんですよ。それを金融機関にとらしめるように積極的にあなた方が指導するというならわかるんだけれども、いまの局長の答弁では、今後検討しますという形では五年たってまた延ばすということしかできないと私は思うのですよ。本当に積極的な意欲があるかどうかさえも疑わしくなるのですが、ここに今日、この税制に対する問題の最大のやはり国民の不満があるんですが、これを今後どう具体的にやっていこうというのか、その意欲的な話をしてもらわなければ私は納得できませんね、どうですか、大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) 税はちょうだいしなければなりません。が同時に、微妙な金融秩序というものもわれわれは守っていかなければならぬわけでございます。税金は完全に徴収できたけれども、金融、信用秩序というものは壊れてしまったということではいけないわけでございますので、いま利子・配当の総合課税、それについて名寄せを完全にいたしまして総合課税を実行してまいるということは、主税局が多年にわたって追求しておる道標でございます。しかしこれは、そのためにはまず無記名預金に入る前に架空名義の口座というようなものをだんだん除去してまいらなければならぬわけでございますが、同時に金融資産は、宮之原さんも御承知のように、社債にいたしましても、金融債にいたしましても、無記名になっておるわけでございまして、そういうものと株式あるいは預金とのバランスというものをどのようにしてとってまいるか、あるいは銀行と証券会社、あるいは資本市場との関係をどのようにバランスをとってまいるかということは、大蔵行政にとりましては非常に大事なむずかしい課題でございます。したがって、この大事業をやってまいる上におきましては、薄皮をむくように条件を手がたくつくり上ぎていかねばいけないわけでございまして、幸いにいたしまして、架空名義にいたしましても、無記名預金にいたしましても、国民の協力を得まして、年々歳々、徐々にそのウエートが減ってまいっておることは歓迎すべき方向に私はいっていると思うのでございまして、金融機関とその利用者の御協力を得ながら、漸次そういう環境をつくりながら所期の目的を達成していこうといたしておるわけでございます。一挙に腫物を切り落としてしまうか、それとも、漸次体質の改善を通じてこの腫物を治していくか、そこらあたりのかげんは行政にとりまして非常にむずかしい課題でございますので、そのあたりについては、ある余裕を持った御理解をぜひ私はいただきたいものと思うのであります。
○宮之原貞光君 この問題は何も今日突然として議論されているのではなくて、昔からずうっと議論されているところの問題でしょう。それをずうっと来てから、また五年こう延ばしていく。国民から見れば不思議でたまらないのですよ。これは銀行は実際、架空名義と言ったって、知っておるんですよ、どこの家がどうと。だからあなた、一生懸命預金の募集には一軒一軒回って歩くじゃないですか、預金者の。言うならば、国民から見れば、銀行は承知の上でそれをうんと活用して預金をうんと集めておるというかっこうなんですよ。だから、私どもは大蔵省のやり方、銀行局のやり方というのは、むしろ国民側よりも預金側、銀行寄りじゃないかと、こういう批判が起きてぐるのは、これは無理ないと思う。それだけに、大蔵大臣みたいにじっくり検討したいということでは、これは困るんです。私はこの問題について早急に積極的な意欲も燃やしてもらわなければならぬし、総理の言うところのいわゆる社会的不公正の是正というものは、具体的にこういう問題を一つ一つやることこそが私はやはり実効が上がる問題だと思うんですが、この問題について、総理、お聞きになっておってどう思いますか。いつまで置いておいていいんですか、この問題は。
○国務大臣(三木武夫君) 利子・配当などに対する総合課税の問題はいままで議論になってきたわけですが、結局は、利子の実態把握というものが実際において非常にむずかしい。そういうことで、理想的にはそうすべきだという意見は皆大方の意見は一致しておるのですが、延ばしたというのは、やりたくないから延ばしたというのでなくして、その延ばした期間内において何か利子を把握するようなやり方を検討しようという意味もあったわけです。実際に無記名預金や架空預金もあって、それをやれば非常な不公正になってきますから、そういう点があるので、これは何とかしてその把握の方法をその期間内に検討いたすことにいたします。
○宮之原貞光君 これは利子・配当課税の問題だけじゃないんですよ。たとえば少額国債利子の非課税制度の五年延長にしてもそうじゃありませんか。これはもうマル優預金が三百万ある。そのほかにこの三百万までの国債で無税だということになると、六百万までは要領よくやればもう無税でずっといけるんです、これをやろうと思えば。これは国民の十一月現在の預金の平均が二百三十五万円でしょう。これから見れば、相当高額所得者の人がこれを持っておるとしか見えぬのですよ。そういうものにも手をつけない。それでおって社会的な不公正是正が税制の問題でもできて云々という、これは国民が不満を持つのは当然なんですよ。これならば早急に政府の決意次第でもできるんですが、これもまた五年延ばさなけりゃならないという理由もわからぬ。これはどこに問題があるんですか、そして今後どうするつもりですか。——これは大蔵大臣ですな。
○国務大臣(大平正芳君) あなたのおっしゃる国民の意思というのは、社会的不公正を利子・配当等の総合課税を実現することによって是正すべしという国民の願望、それは確かに仰せのようにあると思います。と同時に、国民といたしましては、自分たちの預金あるいは金融資産というようなものをどれだけ持っておるかはなるべく人に知られたくないと、そういう願いもまた一面あるわけなんです。それで、それをみんなあからさまに発掘調査いたしまして完全に税金をちょうだいするということは、ある意味において望ましいことでございますけれども、そういうことによって銀行信用というようなものが壊れる、あるいは産業資本の調達、金融秩序が壊れるというようなことになりますと、これまた大問題でもありますので、大蔵省といたしましては、そういう両面の要請に対してどのようにこたえてまいるかにこれは明治以来ずっともう苦労を重ねてきておるわけでございますが、先ほど私が申しましたように、漸次事柄は前進いたしておるわけでございまして、無記名預金にいたしましても逐時改善の方向を顕著に示しておるわけでございまするので、そういう実態的な条件を漸次固めてまいりまして総合課税ができる条件をつくり上げるべく精力的に努力していくと、そのことが国民の不公正を是正しようという正義感にこたえる行政ではないかと思うのでございますので、そのあたりは、私が先ほど申しましたように、あるアローアンスをもってやはり御理解をいただきたいと思います。まあ非常に潔癖なことばかりを言われておるものとは私思いませんけれども、私どもの方の苦心のあるところもくみ取っていただきたいと思います。
○宮之原貞光君 大蔵大臣、ちょっと答弁が違うんですよ。私が次に尋ねておるのは、少額国債の利子非課税制度をまた五年間延ばしておる、さっきの利子・配当だけじゃなくてね。この問題もやっぱりそういう立場からなんですかと聞いておる。どういう理由ですかと、これぐらいは少し手をつけられませんかと言っておるんです。
○政府委員(中橋敬次郎君) 少額利子の非課税制度も実は昨年改正になったところでございます。おっしゃいますように、少額の預貯金についての限度三百万円、あるいは少額の国債利子についての限度三百万円、郵便貯金三百万円、それを全部足せば一千万円近くになるではないかという御計算もできますけれども、むしろ税制からいたしますれば、郵便貯金を選ぶ人は郵便貯金、あるいはマル優制度の預金を選ぶ人は預金、あるいは国債を選ぶ人は国債と、大体そういう観点から三百万円というのでそろえておるわけでございます。そのほかにまたなお勤労者財形でございますれば五百万円という金額を高くしておりますから、全部を使うというよりは、むしろどれか一つを選んでいただくということを前提に立てておるわけでございますし、しかも、その制度は、昨年全部三百万円ということで、あるいは勤労者財形については五百万円という制度を改正されたばかりでございまするから、今回そういう前提でもって一括しましてその制度を五年間延長するということにしたわけでございます。
○宮之原貞光君 合わせてやる人はそのまま見逃しですか、局長。あなたはみんな分けてやるものとばかり理解しておるが、これはどうするのか。
○政府委員(中橋敬次郎君) もちろん、それは、両方使う人は両方使い得ます。
○宮之原貞光君 抜け道があるじゃないか。事ほどさように、私はいまのこの税制の仕組みの中では、何だかんだと表面は言うけれども、社会的不公正が一番たまっておるんですよ、総理。したがって、これは、言葉じゃなくて、税制の問題にやっぱり積極的に手を入れなければ、国民の三木内閣に対するところの信頼感というのは出てきませんよ、率直に申し上げますけれども。 もう一つ申し上げておきますが、時間がありませんが、例の農産物の奨励補助金の課税の問題ですね。米の方はよろしいと。しかし、麦とかその他のものはやはり対象になっておる。片一方では農産物の食糧の自給制の確立と、こう言いながら、税金の方ではがっぽりやっぱりそうやっていくということぐらい私は矛盾するものはないと思うのですがね。ここらあたりは、将来を嘱望されておるところの農林大臣あたりは本当に開き直ってこの問題から解決して農民の期待にこたえていいと思うのですが、どうですか、農林大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農産物の生産奨励金の問題でございますが、麦、なたね、飼料作物等につきましては生産奨励金が出ておるわけでございますが、この奨励金は農産物の生産を振興するという誘導措置として交付するわけでございまして、農家にとりましてはこれは言わば所得の上積みという関係になるわけでございますので、税制のたてまえから課税の対象から外すということはむずかしい問題があると思うわけでありますが、また、米につきましては、米の稲作転換の奨励金、これは言わば国として農家に要請をして転換を行ってもらうと、言わばその補償措置として行うわけでございますので、これは麦とかなたね、飼料作物とは性格が違うわけで、そういう点をとらえて税に対する特別措置というものがとられたと、これはまあ議員立法でございますが、とられたというふうに理解をいたしておるわけでございます。しかし、参議院の大蔵委員会における審議の経過もございます。また、衆議院における大蔵委員会においても同様な審議の経過があるわけでございまして、今後はやはり必要に応じては特別措置を講ずべきかどうかということについても検討する必要があると考えておるわけであります。
○宮之原貞光君 これは経緯は私は知らぬでもないですけれども、米の方は、休耕させると、昔はつくるなつくるなというのに金をやって、今度は、いま自給制度を確立しようというのだからつくれつくれというふうに一生懸命麦とかいろいろな農作物の奨励をしているでしょう。そこの方には税制の面で特典がない。せめて一時所得の取り扱いぐらいでもして、やはり農民に働くところの意欲を——日本の農政を転換しておるのですから、転換に見合うような形で税制の方も考えなきゃならぬのに、税制だけ昔のままにしておいて、この問題だけやれやれと言ったって、農民は納得しませんよ。もう一回そこの意欲のほどを聞きたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 先ほどお答えをいたしましたように、米につきましてはこちらから要請をして減反をお願いすると、そういうことでございますので特別措置がとられたと、こういうふうに理解をしておるわけで、麦とか飼料作物に対する奨励金とは性格が違うというわけでございますが、しかし、いまお話しのございましたように、食糧の自給力を高めていく、あるいは農家の経営の安定を図っていくという立場に立てば、委員会の審議等もあるわけでございますから、これらについては必要によっては特別処置を講ずるということについては検討をしていきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
○宮之原貞光君 時間がありませんからはしょりますが、例の預貯金の目減りの補償の問題です。国会で答弁を見ますと非常に前向きの答えをしているかと思うと、今度は新聞は後ろ向きのが出たり、一体これはどういうかっこうになっていますかね。もう予算審議も終わりに近づいているのですから、この問題ぐらいに対しては三木内閣のこれだというものを出してもいいじゃないですかね。総理、これはどうなっているんですか、どうするんですか。
○国務大臣(大平正芳君) これまでの預貯金のいわゆる目減り部分に対する補償をしようというつもりは政府に全然ございません。いまいわゆる目減り対策と言っておりますのは、少額の預貯金を営々としてためようとしておる方々に対して金融機関が報いるところがなければならぬじゃないかということでございまして、金融機関の負担の範囲内におきましてできるだけそういった方々にその利益になるように最大限の配慮をすべきじゃないかということで、新しい対象を限った、そして比較的高金利の預金の種類を設けましてそういう要望にこたえようとすることでございまして、そういうことでございますならば、金融機関は常にそういう心がけでやらなければならぬことは当然でございますし、とりわけこういうインフレ下におきまして金融機関としてはより一層そういう熱意を持っていただかなければならぬわけでございまして、せっかく金融機関に検討を要請いたしておるところでございまして、私どもといたしましてはその早期の実現を期待いたしておるところでございます。
○宮之原貞光君 これまたなかなか歯切れの悪い話ばかりですがね。総理ね、社会的不公正の是正と申しますれば、やはり一つでも解決をして、あの予算審議がされてから二カ月余りの中でいろいろな衆参の両院を通じて浮き彫りにされてきたところの問題なんですから、そのうちの一つぐらいはこうしてやっているんだと、ここがない限り、私は、この予算審議というのも、政府が出されてきたものをそのまま認めるか認めぬかということでは、これは全く形式論になってしまうと思うんですよ。これぐらい問題が提起されて国民が一番関心のある問題に対してさえもお答えがない。少しぐらいは前向きの何かがあってもしかるべきじゃないかと思いますが、いままで論じましたところのこの税制を通じての諸問題について、総理の今後の心構えというか、こうやりたいというのがありましたら聞かしてください。なければないでいいですよ。
○国務大臣(三木武夫君) まあ一番不公正というものは、インフレそのものであると私は思うのです。いつまでもこういう状態が続けばこれはもう財産、資産を持つ者と持たない者と非常に不公正になるんで、そういう点でインフレを抑制して物価を安定したいという政府の政策は、公約を下回る程度には物価は抑えられてきておるわけであります。これは現に実行をしたわけであります。その他、税制についても、宮之原さんはお気に召さぬようでありますが、相当な税制の不公正に対しても手をつけたし、その他、単にインフレの不公正是正というものは、一面において弱い立場にある人たちに対する社会保障とか福祉、こういう面で充実していくということも、これまた不公正是正という思想から出る政策の一つでもある、それがすべてではないけれども。そういう点で今年度は一兆円、あの制約された予算の中で社会保障関係の費用は増額をいたしておるわけでございます。福祉年金なども、それは多いにこしたことはないですけれども、全部一つの一般会計から出すわけなんです。例年の例からいえば、小刻みに上げておったものを一挙に上げたんです。そういう一連の政策は、インフレ下における不公正、非常に犠牲を受けておる人たち、そういう人たちにできるだけ犠牲を緩和したいという政策、インフレの抑制から始まって、できるだけのことはいたしておるつもりでございます。
○宮之原貞光君 時間がありませんから、最後に通産大臣にお聞きをいたしたい。 それは、本委員会で再三にわたってお尋ねしてまいりました大島つむぎにかかわる韓国産の大量の流入対策の問題です。伝産法の指定を受けておる伝統産業で、かつ日本人しか着用しないという和装産業である大島つむぎは、この問題の特性にかんがみ、繊維一般の問題に埋没させるのではなく、積極的なやっぱり保護対策を講ずべき段階にきていると思うのですが、これに対する通産省の物の考え方とその後の具体的な手だてについてお聞かせ願いたい。
○国務大臣(河本敏夫君) この問題につきましては、去る二月に担当の審議官を韓国に派遣いたしまして表示の問題と数量の問題について協議をしたわけでございますが、先方も表示の問題につきましては完全に了解をいたしましたが、数量の問題につきましてはこれから詰めようということになっておりましたので、近々政務次官クラスの者を長といたします数名のミッションを先方に派遣いたしまして具体的の詰めに入る予定でございます。御案内のように、伝統産業としての非常に大きな産業でございますし、影響するところが大変大きいと思います。そういうことで、いま懸命にやっておるところでございます。
○宮之原貞光君 これで終わります。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして宮之原貞光君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 柳田桃太郎君。
○柳田桃太郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、締めくくり総括質問をいたしたいと思います。 まず、総理にお伺いをいたしたいと思いますが、総理は、施政方針演説の中で、国防と治安は政治の基本であると強い姿勢を打ち出されまして、いままでの総理にないように、自衛隊の問題につきまして相当の紙数を割いて強調されたことには深く敬意を表するものでございますが、この国防という問題につきまして、終戦後三十年に至る今日まで国民の中にコンセンサスがない、政党の中に合意が得られないということは、わが国の政治の基本に大きな疑念があるような問題でございまして、これは対話と協調をモットーとされて政権を担当されました総理といたしまして、最も重要な問題としてしんぼう強くこのコンセンサスを取りつけることに御努力が願いたいと思うのでございます。 その中で、一つの問題として、総理は、自衛隊を廃止するということについてはくみしないと、日本を真空状態に置くということは太平洋地域の安定を阻害するものだという一つの理由を掲げておりますが、私が心配をいたしますのは、国際間の平和的解決の体制というものが現在完全にはできていないと私は判断をして心配いたしておりますが、総理のこれに対する見解を承りたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 国際連合の活動、国際的世論というものも、従来よりは非常にいろいろな問題に対して起こってくる社会的な情勢にはありますけれども、御指摘のように、紛争問題を皆平和的に解決するという仕組みが、国際連合などにおいても、そういう目的のもとにつくられたものでありますけれども、実際問題として完全にその機能を発揮してすべての紛争を平和的に解決するというそういう仕組みまで国際連合がまだその機構がそういうところまではいっていないことは、御指摘のとおりだと思います。しかし、われわれは、日本はもう国際的な紛争を平和的に解決しようということが日本の国民的これは大きな合意でもありますので、やはりそういう役割りを果たすとすれば国際連合だと思いますね。国際連合というものを将来強化して平和維持の機能をますます発揮できるようにすることがわれわれのとるべき方向だと考えております。
○柳田桃太郎君 総理のお考えに私は反駁するわけではございませんけれども、国際連合が武力介入をした朝鮮戦争なりあるいはインドシナ紛争なりについては、これは失敗と言われておりまするし、なおまた、パトロール部隊として国連緊急軍を向けました中東紛争の調停ということに対しても、必ずしもこれで紛争は解決するというわけではない。国際世論の盛り上げによりまして国際連合の場において多数決をとって平和を守るという体制を総理はおっしゃられたことと思いますが、これはきわめて大切なことと思います。 しかし、現在の時点において少なくとも一国が平和と繁栄を維持するために自国の自衛力を放棄してすべてを国際連合に依存するということは困難な情勢にあると見まするために、私は、この自衛隊の問題については、政府は大胆率直に必要なものは必要として、自衛隊が国民の信頼と尊敬のもとにその任務を遂行する体制をとらなければ、本年もまた一兆三千億余の経費を投じてやる大きな事業でございますけれども、私はその任に当たる人が非常に気の毒な気がいたしますので、もう一度重ねてこの自衛隊の問題について総理の見解をただしておきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、いま、柳田さんの御質問が、どうも平和的に物を解決することがなかなか国際的に見てもむずかしいから、まあ考えてみたらどうかというような御趣旨だと思いましたので、あきらめてはいけないということを申し上げたわけでございますが、その基本になるものは、日本のは自衛のためであります。自衛のための防衛力を持つことは当然であります。これに対してそれを補うものとして日米安保条約と、こういうことで、日本が戦争が——私は、今日は、戦争が起こってきてそれに戦うためというふうなことよりも、戦争を未然に防ぐところに国防というものの意味がある。いざということになってきて、どうそのいざというときに日本が戦うかということは、これはやっぱりいざというところまで持ってきたら大変だと思います、日本は。こういう海岸線を中心にして人口稠密の国ですし、領土は狭いし、ここを戦場にするという考え方に私は賛成しないんですよ。戦場にしない前に戦争を防ぐ、戦争を抑止するための国防である、そういう意味において、日本が自衛力を持ち、しかも安保条約によってそれだけの抑止力を持つという点において、今日日本を無防備の状態に置くことに対しては賛成できない、それは抑止力にならないと、こう考えておる次第でございます。
○柳田桃太郎君 戦争がないような事態になることを望みますし、またそうあらねばならぬ、私もそれは全く同意見でありますけれども、戦争がない状態に置くんだ、そうすればもう自衛隊も要らないんだというところにすぐ結論が行ってしまいますと非常な危険になりますので、あえて申し上げておるわけでございます。 次に、外交の問題に移りますが、国連において世論の支持を受けて、その世論の結集において国の平和と安全を守るということが、これはもう最善の方法だと考えるのでありますが、このためには日本が国際社会においてどういう役割りを果たしていくかという、その重要な役割りを果たしていかなければならないと思うのでございます。これは言いにくいことでありますけれども、国民の中で声があり、私もそう思っておる一人でありますが、フォード大統領が御就任なさって、忙しい中に日本を訪問されました。三木総理が総理大臣になられましてから、一番関係の深いアメリカに対して使節を送ったということも承っておりません。近く外務大臣がおいでになるということでございますが、さらにまた、日本と石油関係あるいはオイルダラーを通じて非常に密接な関係がありますサウジアラビアのファイサル国王が不慮の死を遂げられましたときに、イスラエルとソ連以外の政府特使が皆弔問においでになったというときに、日本は弔問が遅れた。別に遅れたからそれが非常に失礼になるということはなかったと思いますけれども、これは常識的に見て、やはり日本は早くその特使を送るべきであったであろうと常識的には考えられるのでございます。 したがって、三木内閣は、総理大臣を初め副総理もまた大蔵大臣も、外務大臣の経験者であり、しかもベテランの外務大臣を持っておられるのですが、施策方針演説の中には外交面について非常にいろいろ政策が述べられておりますけれども、積極的に三木内閣が親善外交を強力にしておるということから見れば、われわれは何か非常に消極的に控え目になっておるような気がするのでございます。これは一般にそういう見方をするのは間違っておるかもしれませんけれども、もう少し三木内閣は、この国際世論の中で日本が支持されなければいけない。それは単なる言論外交だけじゃだめでございましょう。それは、経済援助にしても、あるいは企業進出にしても、いろいろな点で日本がいままで非難さるべき点がございますから、こういう点も改めていかなければなりませんが、少なくとも国際社会の中において日本は頼もしい国だということを皆さんから思われるような政策を、また実行を積極的に打ち出していくということをぜひお願いをしたいと思いますが、三木総理はどういうお考えでございますか。
○国務大臣(三木武夫君) 今日のような相互の依存関係というものが非常に密接な状態になってきまして、日本が孤立して世界からやっていけないわけですから、日本がこれからやらなければならぬことは、世界の平和、世界の繁栄といいますか、こういうものに対して日本が貢献をしていく、自分のことばかり考えてほかの国のことは余り考えないということでは、幾らいろいろ外交的にやってみても日本に対する信頼は高まるものではありませんから、そういう点でそれなら何が一番日本として効果的にできるかというと、発展途上国といわれておる国の社会経済開発、これにできるだけ相手の立場に立って、日本が、あるいは資金の面もありましょうし、技術の面もありましょうし、日本の経験を通じての場合もありましょうが、とにかくそういう国々の経済的自立、新しい国づくり、こういうものに対して日本が親身になって協力をするということが、これはやはり平和というものはただ平和平和と言って実現できるものではなくして、そういう社会を安定さしていくというその基礎をつくることが平和の条件をつくっていくことになるわけでございますから、そういう点の役割りが一番私は大きいと思います、これからは。そういうことで、日本は縁の下の力持ちをしておるということの日本の誠実さが国際社会で認められるような国になることが必要で、そういうことが日本のこれからの大きな役割りであろうと、こう考えておるわけでございます。
○柳田桃太郎君 これは副総理にお伺いいたしますが、経済の低成長下のもとにおきまして現在インフレの克服と物価の安定ということは非常に大切なことで、これは、副総理、非常に念願とされた狂乱物価も総需要抑制政策によって今日まである程度抑え込んできたということは、その労はわれわれも非常に高く評価しなければならぬと思うのでありますが、大体消費者物価も一四%台に三月の末にはおさまったのではないかと報ぜられておりますが、そういうことでございましょう。ところが、物価の下がったものというものを探してみますと、金属だとか耐久消費材であるとか飼料の原料であるとかいうようなもので、日常生活必需品の中では野菜の一部が下がったぐらいのものでありまして、家庭の主婦などの感覚から言えば余り下がっていないような気が非常にするということをよく聞くのでありますが、これからもう少しきめ細かく、たとえば輸入食糧を見ましても、小麦は一番高いときからは五〇%値下がりしておるし、大豆も約四九%値下がり、砂糖などは高いときより三分の一になっておりますが、その高いものがいま入って来つつありますけれども、やはり運賃も三分の一にいま値下がりをしておるのでございますから、パンなり豆腐なり家庭用の砂糖なりやっぱり端的に値を下げて、一四%になったというその効果を及ぼすようにひとつ御努力が願えないものでしょうか、副総理にお伺いいたします。
○国務大臣(福田赳夫君) 諸物価は大変落ちついてまいりまして、三月末まだ全国統計が出てまいりませんけれども、恐らく一四%そこそこではないか、そういうふうに見ております。この一四%というのはかなり高い、こういう数字です。しかし、そういうふうに一年間で高くなりましたのは、昨年の秋ごろまでにずっと上昇結果というものが出たわけです。昨年の十二月から非常に鎮静してきまして、十二月から二月まで見ますと、〇・三だとか〇・四だとかというような調子で、年率にしますと五%ないし六%ぐらいな上昇でありまして、これは私は非常によかったと、こういうふうに思っております。しかし、とにかく〇・三だ、〇・四だといいましても上昇なんですから、国民から見ますと、安定した安定したと言うが、しかし高値安定だと、こういう実感になってくるんです。そういう中で、いま御指摘のとおり、賃金要因だとか海外要因とか、いろいろ作用してくるわけですが、海外要因の方は幸いに、砂糖でありますとか、あるいは飼料でありますとか、大変下落してまいりましたので、そういう海外要因なんかをフルに活用いたしまして、これから先、まあ上がる要素もありますけれども、なるべく実感として物価が落ちついてきたなということを感じ取っていただけるような施策をきめ細かに進めていきたい、かように考えます。
○柳田桃太郎君 いよいよ総需要抑制政策も行き渡りましてオーバーキルといわれる程度にまでまいりまして、企業側はいま非常に不況に陥っており、鉱工業生産力も十三カ月も連続して低下するという状態になっておりますが、ここで不況対策、いわゆる景気振興対策をやるということになりますと、またまた物価が頭をもたげてくる。これは新聞紙上の報ずるところでございますけれども、経団連が主要会社百社について調べましたところ、六十四社については春闘あけに値上げをしなければ採算がとれないだろうという、いわゆる値上げ気運にあると、こういうことであります。そこで、景気の振興策と物価の安定というものはこれは両立しがたいむずかしい問題なんでございますが、これにつきましては十分なる用意と措置が行われると思いますが、副総理はどういうお考えでございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 今日は非常にデリケートと申しますか、むずかしい時期でありまして、一歩踏み誤りますとまたインフレの再燃だ、また、一歩誤りますと暑気が冷え切ってしまうというような、まことに綱渡りのような動き方をしていかなければならぬ、そういう時期であります。しかし、一番大事に思いますのはやっぱり物価だと。で、何とかして物価を早く安定させる。しかし、かたがた景気につきましても余りの落ち込みを防止しなければならぬ、こういうふうに考え、ただいまの目標では、夏ごろを目標にいたしまして景気が上昇カーブに移るようにという政策誘導をしているわけです。まあ景気だけのことを考えれば、つまり物価のことをそう考えないということになれば、これはV字型に景気を上昇させることはいともやさしいんです。しかし、それじゃ国民の期待する物価問題、これにこたえ得るゆえんじゃありませんので、景気をなだらかな上昇カーブに誘導する、その時期は大体夏ごろ、そういうふうに見当をつけて、それに向かって政策誘導をする。大体、私が見るところではそういうことが実現可能であうろと、こういうふうに考えております。
○黒住忠行君 関連。 ただいま御答弁ございましたように、これは両立する努力をしなければならないと思います。ところで、その問題につきまして二、三お尋ねしたいと思います。 西独のベースアップ方式は、本年から明年にかけての消費者物価の予想上昇率の二分の一に生産性の向上率を加味して決定する、こういうふうに聞いておりますが、大変参考になる考えかと思います。労働大臣のお考えをお聞きしたいと思います。 それから第二に、ただいま柳田委員から質問がございましたが、政府は第一次、第二次の不況対策を立てられました。その中で、二、三お尋ねいたします。 第一に、一つの大きな柱といたしまして、住宅投資の促進の点でございます。この点につきましては、住宅ローンの金利を引き下げるという施策が伴えば大変効果が上がるのではないか、大蔵大臣の見解をお聞きしたいと思います。 それから、昨日、社会経済国民会議から、雇用の問題、雇用政策の基本的構想と当面の雇用対策ということで提言がございましたが、安定成長下の雇用対策ということはきわめて重要な問題であると思います。労働大臣の御見解を承りたいと存じます。 それから、もう一つの柱として、中小企業金融に対する配慮ということがございますけれども、中小企業に仕事を与える、仕事がなければ金融対策があっても意味がないわけでございますから、中小企業に仕事を与えるという施策につきましての通産大臣のお考え方を承りたいと思います。 最後に、いま一連の不況対策、いろいろ効果が上がっております。福田副総理からもお話がございました。これらの対策はいわゆる積み上げ方式でもって進んでいくべきであると思う次第でございますが、さらに第三次の対策というものをどう考えておられるか。公定歩合の引き下げというものも、いわゆる適宜適切に行われなければならないと思うわけでございまして、それらの点につきまして、稲田副総理からお答えを願いたいと思います。時間の関係上申し上げましたので、ひとつ順次お答えをお願いしたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。 西ドイツは十二月からことしの二月までが春の賃金改定なんですね。そして、日本以上に物価が安定しておりまして、大体七%少々物価が上がっておる。そういうことで、賃金の問題について政府は労使の間に入っておりません。しかしながら、第一次、第二次のインフレということがありましたので、インフレーションに対しては非常に警戒をしておりまして、労使が自主的交渉して大体七%程度に全部が片づいたと、こういうことでございまして、これはやっぱりよその国はよその国のやり方がありますが、早い話で言えば、コンサート方式といって、政労使が相協調しながら、ほかの人の調子を狂わせないで国民連帯をやっていこう、こういうふうに聞いておりまして、非常に参考になることじゃなかろうかと思います。 もう一つは、ただいまおっしゃった中山伊知郎さんの社会経済国民会議の提言も拝見いたしましたが、いま一番私たちが心配することは、何と言ったってこういう状況のときですから、安定成長のときにおける失業問題です。これは御承知のとおり、きょうから発足します皆さんに御審議いただきました雇用保険法、これをやりつつ、一方には雇用調整給付金、それと同時に、そういうものの施策によってなるべく失業者を出さないでやっていこう、こういうふうなことを万全に考えつつ、いずれ、いまある雇用対策というものを練り直していく時代が来たと、こういうふうに考えて対策を練っているところであります。
○国務大臣(大平正芳君) 民間の住宅ローンの金利引き下げについてのお尋ねでございます。 今日、民間の住宅ローンの金利は九分四厘八毛、平均その程度になっておると思います。企業向けの長期の最優遇金利が九・九%でございまするから、住宅ローンについては各金融機関非常に奮発していただいておると思うのであります。しかし、仰せのように、これがもっと下がることが望ましいわけでございますので、その方向へ私どもも努力をいたしたいと思います。けだし、いまの景気対策といたしまして、金利政策もさることながら、住宅投資の量的確保がいま当面非常に大事でございますので、その方向にわれわれ一層努力したいと思います。去年一年間に金融機関の住宅ローンの貸し出し残高は三五%ぐらい伸びております。全体の金融機関の貸し付け残高が一一%ぐらい伸びておる中で、三五%伸びておるわけでございまして、順調な足取りで伸びておりますけれども、なお一層その量的確保に努力したいと考えております。
○国務大臣(河本敏夫君) 中小企業の仕事が最近非常に減っておることはいまお話しのとおりでございます。それに対しましては、基本的にはやはり経済活動が盛んになる、景気がよくなるということがあくまで基本でございますけれども、当面の問題といたしましては、先ほど来問題になっております民間の住宅投資がふえるとか、あるいはまた、官公需における中小企業の仕事の割合をふやす、こういうふうなことを懸命にやっておるわけでございますが、そういうことを図りながら中小企業の仕事が幾らかでもふえるようにと、こういう配慮のもとに進めておるところでございます。
○国務大臣(福田赳夫君) 第三次の対策を必要とするのかというお話でございますが、ただいま政府の考え方といたしましては、柳田さんにもお答え申し上げましたように、この夏ごろからゆるやかな景気回復基調が出てくるような誘導をしたいと、こういうふうに考えており、また、そういうふうになるであろうと、また、それが可能であろうというふうに見ております。つまり、一つは経済がいま底に来ておる。このなべ底状態がなお続きますが、その間に経済の自律反転作用、そういう勢いが進むと見ております。現に在庫投資なんかも底をつき、だんだんと調整が行われるような勢いになってきておるのであります。それから政府の第一次、第二次の対策の効果、これも進展、浸透いたしてまいるであろうと、こういうふうに見ておるわけであります。そういうことで、この一、二カ月特に注意してこの経済の動きを見てまいりまして、そして必要があれば第三次の対策もとる、こういうふうな考えでございます。その間、政府の問題じゃございません、日本銀行の問題ですが、公定歩合の引き下げをどうするか、もちろん、日本銀行もこの経済の動きを注意深く見守っておりますので、これは適宜適切な対策をとるであろう、こういうふうに考えております。
○黒住忠行君 最後に、総理にちょっとお聞きしたいのですが、いまあちら立てればこちら立たずという困難な課題を持っておるわけでございますけれども、これを解決するのがすなわち政治であると思います。いま副総理からも、夏までには安定成長の軌道に乗ってくるということでございまして、国民は大変な期待をいたしておる次第でございますが、賃金が上昇しあるいは操業度が低下するということによりまして製品価格が上がってくる、こういうことでは大変でございます。政治に対する信頼、国民の協力を得まして、安定と成長を目指していかなければならないと思うことでございまして、総理の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) インフレと不況とが同時に来たというのは初めての経験なんです。教科書にもないわけです。世界ともこの問題で悩んでおるわけです。日本は国民の協力、政府の施策などが効を奏して物価鎮静への傾向にあるわけですが、まだまだしかし物価を突き上げる要因というものはいろいろ残っておる。いま柳田さんも御指摘になった、いろいろ各企業とも値上げの要望は強い。そういう中で、これで物価を安定をさせて、しかも不況問題というものはこれは世界でも大問題ですから、破綻なしに、にわかに景気はよくならぬけれども安定しながら景気を上向けにいくということが、だんだんと緩やかに上向けに景気を持っていくことが成功すれば、いろいろ言われながらも国民の三木内閣に対する信頼は私は高まってくる、むずかしいことはだれもよくわかっているわけですから。そういう点で、われわれも全力を傾けてこの国民の期待にこたえることが政権を担当しておる者の責任である、こう考えて一生懸命にやっておる次第でございます。そういうことでなければ政治の信頼というものは高まらない、こういうふうに考えております。
○柳田桃太郎君 次に教育の問題について一、二お伺いしたいと思いますが、この問題は、後で文部大臣が参りましたときにやります。 次に、靖国神社国家護持法の問題でございますが、これは党のコンセンサスを得てない問題でございますから、一つの意見としてお聞き願えば結構でありますが、少なくとも、戦前のわれわれと戦死をした英霊との間には、心の約束として靖国神社にお祭りしますというようなことを意識的にわれわれも考えておったのでございますが、憲法の改正によりまして、靖国神社国家護持法というものがこれは容易に政党間のコンセンサス、国民の中の同意を得ることが困難な状態になってまいりました。 しかし、これはそれといたしまして、いま研究をされておられますので、その皆さま方の御検討を待ってわれわれは審議をすることといたしたいのでございますが、仮にこういうものを多数決をもって強引に成立させましても、これが政変があったりあるいはいろんな状態があって、国民全体が尊崇しないようなものができますと、大変これは後日に禍根を残すことになりますので、十分に御検討願うことといたしたいと思いますが、少なくも、国事に殉じた英霊の功績をたたえてこれを国民がひとしく表敬するような、表敬の塔というようなものを建立して、もう政党政派、宗教、思想等にかかわりなく参拝できるような聖地をこれは別途考え、靖国神社国家護持法の問題は護持法の問題として御研究をなさるというようになさったらいかがなものであろうか、こういう考えも私は持っておりますので、御研究を願いたいと思います。総務長官はどういう感想ですか。国としての御意見でなくても、御意見があれば承っておきたいと思います。
○国務大臣(植木光教君) 御承知のように、八月の十五日には政府が諸英霊に対しまして慰霊の式を行っておりますし、千鳥ケ渕には墓園がございます。いま、新しく聖地を卜し、慰霊塔を建てるなどして敬弔の意を表すればいかがかという御提案でございますが、一つの貴重な御提案でございます。関係各省たくさんございますので、ひとつよく相談をさせていただきまして、研究をさせていただきたいと存じます。
○柳田桃太郎君 外務省にひとつお伺いをしますが、外務大臣、中東においでになりましたが、六月五日にはスエズ運河が開通する。中東の和平調停はいまのところ失敗に終わったような状態になっておりますし、ファイサル国王は亡くなられましたが、大した大きな変化はないとは思いますが、身をもってどういうようにお感じになったか、簡単にひとつ今度の中東御訪問の感想をお聞きしたいということが一つ。 次は、北鮮に日本人の国籍を持ったままいわゆる日本人妻として帰還をいたしたといいますか、送還された方々が千八百人ぐらいおられるそうであります。はっきりわかりません。その家族のうちでかなりの人数が、日本におられる方が向こうに行かれた人の安否調査をしたい、あるいは里帰りをお願いしたいという希望があるようでございますが、外務省に正式にこれを申請している人は非常に少ないようであります。調査依頼をした人も少ないようであります。しかし、そういう日本国籍を持った人の安否調査なり里帰り希望があるということになれば、外務省は日赤を通ずるなり何なりいたしましてこれに便宜を図ることと思いますが、かつて中華人民共和国が、まだ国交を回復しない前に、向こうの好意と日赤の御努力によって日本人妻の里帰りを許したような例もございますが、北鮮の場合も、少くとも参ったまま一遍もだれ一人も帰られないというようなことではなくて、もしそういう要望があれば、外務省はこれをお取り次ぎになる御意思があるかどうか。 その中東の問題と北鮮の問題とを、二つ御質問をいたしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私が参りましたのはサウジアラビアだけでございますし、それもきわめて短時間でございました。 最初に、サウジアラビアとわが国との今後の関係についてでございますが、私ちょうど新国王と新皇太子と御列席のもとに弔意を述べたわけでありますが、その際、新皇太子から、日本とのこのような特殊な温かい関係は前ファイサル国王によってつくられたものであるが、新国王も自分もこのファイサル国王の遺志を継いでますます両国の国交を深め親善を高めてまいりたい方針であるということを言われました。なおまた、新政権の、新しい国王の世界の他の国に対する外交政策につきましては、その後外務担当の国務相に任ぜられましたサウド殿下が、従来の方針を基本的に踏襲するということを外交団に言っておられました。したがって、サウジアラビア国のわが国並びに世界の他の国に対する関係は大きな変化はないものと、一応責任者の言明からは感じられるわけでございます。 なお、別途に中東問題と仰せられましたが、これにつきましては、先般キッシンジャー国務長官の調停が中断されたわけでありますが、その後注目すべき点として考えられますことは、エジプト、イスラエル両国とも、調停者であったキッシンジャー氏を非難するような発言を一切していないこと、それからキッシンジャー氏自身が中断に当たってジュネーブ会議の共同議長国への呼びかけをする——これはソ連を意味するわけでございますが——というようなことを言明していること、第三に、先ほど御指摘のように、サイナイ半島における国連軍の駐留期間が四月の二十四日まで、ゴランハイツのシリアの方は五月の三十日まででありますが、そのうち、先ほど御指摘のように、サイナイ半島の部分についてはエジプトの大統領がこれを三カ月延長する用意があること、及びスエズ運河を六月五日に再開するということを言われたわけでございます。これらのことは、一応当面事態が悪い方に急転することはともかくあるまいということを示唆しておるように考えますけれども、しかし、基本的に何ら事態は解決されておらないというのも事実でございますので、問題としましては、サイナイ半島の国連軍の期限は三カ月、すなわち七月の二十四日まで延期されたわけと思いますが片一方のシリアの方の関連は五月三十日で一応ただいまのところは切れるということでございますので、そこが一つの問題の見きわめ点になるのではないかと考えております。 それから、北鮮に行かれましたいわゆる現地妻の問題でありますが、政府といたしましては、そのような方がわが国に一時帰国を希望されるというのであれば、これは何ら妨げる理由はありませんので、十分温かく迎えたいと考えております。が、それらの安否調査についての依頼でございますが、外務省にはほとんど参っておりませんで、赤十字社に少しずつ参っておりますけれども、従来北鮮側で、照会をいたしましても返事をしてきた例は皆無であったか、非常に乏しかったか、どちらかであったように存じます。もし詳細必要でございましたら、政府委員からその点は申し上げます。
○柳田桃太郎君 時間がありませんので次に進みますが、大蔵大臣にひとつお伺いいたしますが、地方行政が非常に窮迫したという話がありましたが、本日初めて宮之原君から国の財政も非常に大変じゃないかというお話がございました。私は、確かに国の財政も低成長下におきまして大変なことになったと思っておりますが、一方、高福祉、高負担と申しますか、高福祉の声が高まり、社会的不公平を是正するという声が非常に強くなり、これはやらなければならぬことだと思いますが、総理も、政府は手品師でもなければサンタクローズでもないんだ、とてもそんなに金がないということを新聞に言っておられましたが、これはもうこの状態におきましては、もちろんいまの税制の中でできるだけの増収措置をはかられるでしょうけれども、どうしても新しい税源として付加価値税のようなものを創設するという考慮を進めていかれる必要があるんじゃないか。 もう一つは、財政審議会に当然増経費などの洗い面しについて諮問をしたということを新聞で拝見をいたしましたが、当然増経費も、昭和四十九年から五十年度のときには三兆四千億ぐらいでありましたが、いま国会におきまして前向きで検討しますとか、考えてみますとかというようなものを合わせてみますと、来年の当然増経費というものはこれは巨額に上るんじゃないかということで非常に憂慮をされますが、もちろんそれを予算化するわけでもありますまい、十分に査定をするでありましょうけれども、どうしても新しい財源を求めていかなければならぬと思いますが、それについて何らかの考えがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 地方財政が危機を問われておるということでございますが、危機はひとり地方財政ばかりではございませんで、中央の財政も御指摘のように容易ならぬ状況に逢着しておるということは御指摘のとおりでございまして、そのためには、まず財源をどうするかの前に、歳出面に相当厳しい見直し、洗い直しを求めなければならぬのじゃないかと存じます。ことしの当然増といわれる経費が三兆四千億にも上りまして、ことしの予算の増加いたしました額の八割三分は当然増であるという異常な状態にありますことは御指摘のとおりでございます。したがって、これは当然こういうこれを支えておる制度、慣行というものを根本から洗い直して見直してみる必要があることは御指摘のとおりでございまして、先般、財政制度審議会にもそういう角度からの御検討をお願いいたしました。もっとも、これは短期間の検討で答えが出る性質のものでもございませんで、五十一年度の予算の編成にかかるまでに中間報告が建議の形でお願いできますならば、それを活用させていただいて、五十一年度の予算の編成に役立てさせていただきたいと念願いたしております。 それから、しかしながら同時に、あなたが言われましたように、高福祉時代を迎え、高福祉は当然のこととして高負担を伴うものでございますが、この高負担は保険料の形でいたしますか、あるいは税の形でいたしますか、あるいは公共料金等の姿でいたしますか、いずれにいたしましても、どういう姿で考えるかということは確かに財政上の大きな課題でございまして、税制上におきましても、いまの税制でこなし得るものか、それとも新たな構想をもって臨まなければならぬものか、御指摘のように間接税等で新たな分野を確保していくように努力をしていかなければならなくなるか、これも当然財政上の大きな課題になると思うのでございまして、財政硬直化の課題とあわせまして、そういった問題につきましても鋭意検討を続けてまいるつもりでおります。
○柳田桃太郎君 これはもう回答は要りませんが、昭和四十三年から今日まで、財政制度審議会におきまして、人件費、定員、機構の問題、補助金のあり方、食管制度のあり方、国鉄財政の再建、社会保障制度、地方財政というようなものにつきましてはかなりりっぱな意見が答申されてまいりましたが、いろいろな問題がありまして実施に移れなかったことも多かったのでありますが、今度こそ、これは勇気と決断をもってやらなければならぬときが来ておるということを大蔵大臣に申し上げまして、大蔵省に対する質問を終わりたいと思います。 次に、文部省の問題に返ってひとつ御質問申し上げますが、さきに宮之原委員から建設的な御意見もあったようでございますが、私どもの見るところでは、もちろん文部省の中央統制とか中央管理が教育の場にいろいろな影響を与えたということも事実でありましょう。しかし、やはり教育の場に政党間あるいは思想団体のイデオロギーが入り込みまして、教育の場における秩序の維持が困難になりまして、わかりやすい言葉で言えば、教育の場が荒廃をしておって非常にやりにくくなっておる。それを何とか文部省は直そうとする、一方は、そういうイデオロギーの対立の中にある。もう政争を持ち込む前に、イデオロギーが入り込んで、どうにもならないような状態になっておるから、教育条件だけをそこに整えるだけでは、うまくいかないという困った情勢にあるようでございます。したがって、これは文部大臣も総理もよく言われますように、じっくりそれはもう対話と協調で話し合ってこれを何とか解決しなければ、権力でどうすることもできない、対立でどうすることもできないという状態であろうと思うのであります。その問題につきましては、何か文部省だけが一方的に責任を負わなきゃならぬように私は聞こえましたが、——いまさっきの質問はそうではなかったかもしれません。しかし、私は、教育の場においても十分に責めを負うべきものがあるということを強調をいたしておきたいと思います。 それから第二の問題は、これは非常にその問題とかけ離れた問題でございますが、さきに新聞に、これからの私立大学は規格を非常に厳格にして、つくらせないようにするというようなことが新聞に出ました。さきに、新学園都市構想として、前の大臣のときに、昭和四十八年に七カ所、昭和四十九年に七カ所、それから広島大学の移転等十五カ所の新学園都市の構想が出ておりました。これに対して、この間の新聞によって地元では非常にがっかりしておりますし、そういうところは、大学の就学率の悪いところであり、父兄としては、そういうところに大学ができることを希望をいたしておるのでありますが、あの新学園構想というものはいまもなお生きて進めようとされておるかどうかということをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(永井道雄君) お尋ねの二つの点について申し上げます。 まず、第一の方の、教育が政争の場にあるというのは、あながち文部省だけではないのではないか。そういうことを、それに関連しまして私がいつも言っておりますのは、これはもちろん文部省だけでなく、この政党間の、あるいは政治的立場の対立というものが、立場を超えて余りに教育に反映したということはあると思います。ただ、文部省は教育行政の中心でございますから、私たちとしては、顧みて他を言うというよりも、でき得る限り行政の立場といたしまして、そういうものが次第になくなって静かな教育の場がつくれるように努力していきたいと、そういう趣旨でございます。 なお、新学園都市の問題でございますが、これはわが国の学生人口を見ますというと、大体六〇%程度が東京あるいは政令指定都市におります。学校の数で申しますと、約四〇%でございます。そういう状況の中で、やはり新学園都市というものが非常に必要であるということから、十カ所を超える場所についていままで検討は続いてきているわけでございます。 この問題をどういうふうに考えているかということでございますが、東京あるいは大都市に人口が集中しているというだけではなく、これは高等教育機関の将来の進学率を予想いたしますというと、一応近い機会に多少足踏みをいたしますが、昭和五十五年からまた増加に転じて、六十一年には非常に学生人口がふえるということが予想されております。ただ問題は、経済の基本的な事情というものが、新学園都市を初めて構想した時分と変わってきておりますが、かといって、この案を全く捨ててしまうというようなことではございません。そうではなくて、この新学園都市問題についての建設調査会というものがございますが、建設調査会でも引き続き検討を続けております。 で、具体的にはどういうふうに考えていくべきかということになりますが、新学園建設調査会の方からまとまったお考えというものが五十年度に出てくるわけですが、それが一つ出てくるのをもちろん尊重して仕事を進めてまいります。他方、いまあります地方の国公立の大学というものを相当充実していくということが学生人口の増大というものに見合って非常に必要である。ですから、その両方というものの関連を考えながら、将来学生人口の増大に見合うこの大学の建設が必要である。このような考えで、経済の情勢に変化がございますけれども、その変化の中で新学園都市構想を既存の大学との関連においてどうやって生かしていくかということに重点を置きまして、これまでの考え方というものを尊重していきたいと考えております。
○柳田桃太郎君 新学園都市の問題につきましては、岩動委員が質問することになっておりましたが、時間の都合で取りやめますが、将来別の機会にまた詳しくいろいろ御検討を願いたいと思います。 次に、通産省の問題に移りたいと思いますが、石油の需給状況と石油業界の不況の状況でございますが、これは石油産業という基礎産業が、かつては千載一遇のときであるからというので大変景気のよかった時代もあり、世の批判を受けた時代もあったのでありまするが、今日においては七十日近くの備蓄をいたしておりますし、非常に採算状況が悪化をしておるようであります。三十六社の中で赤字になるであろうという予報が十六社で、無配が二十二社というような発表がされておるようでございます。 これは、この基礎産業である石油業界がこういう状態にあり、しかもほかの産業と違いまして、公害関係であるとか、あるいは安全であるとか、あるいは防災であるとか、あるいは備蓄の経費であるとかいう余分の負担を負担していかなければならない産業であるにもかかわらず、自己資本比率がもう非常に低いのであります。ほとんど六%を割るという状態で、ほとんど借り入れ資本であります。こういうような脆弱な基礎産業を三十六社も持っておるということが、日本の今日と将来のためにどうであろうかと非常に憂慮されますが、これはこの際、何らか抜本的に、思い切って整理統合をするとか、何か政府で、てこ入れをする必要があるのではないか。なお、運転資金等、備蓄資金については、新聞の報ずるところによれば、何らか政府で措置をしようという考え方もあるようでありますが、この石油産業対策について通産大臣はどういうお考えを持っておるか、ひとつお漏らし願いたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 石油業界の現状につきましては、いまお述べになったとおりでございます。鉄、電力等と並ぶ基幹産業である石油業界が非常に弱体である、しかも経営上問題をたくさん抱えておる、こういうことにつきましては、通産省といたしましても非常に憂慮をいたしております。そこで、いまこのエネルギー問題の基本的な考え方をまとめておる最中でございますが、石油業界の体質の強化ということを一つ大きな柱として取り上げていきたいと、こういうことでいま作業をしておるところでございます。
○柳田桃太郎君 石油産業についてはもう少し詳しくお聞きしたいのでありますけれども、時間がございませんので別の機会にいたしたいと思います。 次に、運輸大臣にひとつお聞きいたしますが、便宜置籍船という問題が今回の委員会でも話題になりました。この詳しいお尋ねはもういたしませんが、この便宜置籍船の乗組員は、主としてその置籍国の船員が乗っておるようであります。これらの人々に対する、特に船舶職員に対する船技技術の検査ということが、利用する側の、日本なら日本の国で検査をすることができないのに対して、OECDの報告を見ると、船技免状に欠陥のある船員もかなりあるというようなことが出ておりまして憂慮いたしておりましたところが、ちょうど質問をしようとしました本日付をもちまして、リベリアから日本海事検定協会に船舶の検査、それから船技免状の取得状況並びに安全及び油濁防止取り扱い等に対する事務委託が参ったようでありまして、きょう御質問申し上げようと思いましたところが、こういうものが来ましたからこれは結構であります。 さて、日本でいま強制パイロットのついている港は六カ所でございます。浦賀水道なんかは強制パイロットではないわけです。いま日本の狭水道で海難の事故の非常に多いところ、それが強制パイロットでないために事故が起きておるところもかなりあるのでありますが、これは速やかに調査を完了されて、浦賀水道などはやはり強制パイロットシステムをとらなければ大変じゃないかということを私は痛感しますので、運輸大臣にはそのこと一つだけをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) 日本の狭水道、航行の安全が非常に危険である水道を航行する場合に、パイロットを強制に乗り組ますという地域は、御指摘のように六カ所ぐらいでございます。しかし、外国船は特に日本の海象あるいは気象状況等に慣れておりませんので、そういう場合にできる限りパイロットを乗せて航行の安全を図るように現在指導をいたしております。しかし、外国船と日本船と分けてパイロットの強制乗り組みに差をつけるということは、これは国際海運の関係上できないわけでございますので、現在そうでなくても危険区域がまだたくさんございまして、そこらに、強制的に水先案内人を乗せた方がいいと思われるところがございます。それらの問題につきましては、現在運輸省に設けられておりますその方の審議会がございまして、それに諮問をいたして現在検討をいたしてもらっておりますので、近くその答申を待ってこれは措置いたしたいと、かように思っております。 なお、パイロットは乗り組まなくても、いろんな方法で、たとえばその付近の航行安全に関するいろんな資料、英文の資料等を配付したり、あるいは海上保安庁が誘導したり、そういうことで、極力現在のところは航行の安全を確保できるように努力をいたしておるのが現状でございます。
○柳田桃太郎君 時間の都合もありますので、農林大臣にひとつお伺いしたいと思います。たくさん問題がございますが、二つにしぼってお伺いしたいと思います。 一つは、食糧の自給率を確保するという問題については各委員から質問もありましたし、かなり答弁も行われましたので省略をいたしますが、食糧の節約というような問題については余りいままで話題に上っておりません。これは厚生省の調べでありますから、どの程度のものかはよくわかりませんけれども、六千世帯について調べてみますと、一日一人がまあ日本人が二千五百カロリーとっておるのに対しまして、大体一割が浪費されておる、一割が捨てられておるということであります。これが都市の厨芥の量に非常に影響をしておることはもう御承知のとおりであります。一割も高価なものが捨てられておる。これは学校教育、社会教育の中におきましても、戦前のようにもったいないとか節約をするとかいう風習がこの高度成長下の中において一度失われまして、今日では余りそういうことが言われませんが、これは厚生省、農林省——農林省も一割増産するということはこれは大変なんですが、こういう物の節約についてのやはり何らかの考慮が必要じゃないかということが一つ。 もう一つは、農林省の価格の、小売の指導価格などを出される基本方針でございます。これは非常にむずかしいことでありますが、さきに申し上げましたように、砂糖は昭和四十九年の十一月には一英トンが六百三十ポンドであったのが、現在は二百三十ポンドに落ちておるのです。そして、いまの一キロ二百八十七円の砂糖は二百七十ポンドぐらいのときに決めた値段なんです。いま入ってくるのは、六百三十ポンド近くの高いときのものがこれから入ってくるからというので値上げ申請が出ております。これはマル公ではなくて、いわゆる上限を決める指導価格でございますが、主婦などが見ますと、新聞を見ますと、砂糖の値段は三分の一に下がっておるというのに、日本に入ってくるのは高いときのがいまから入ってくるのでありますから、値を上げなければならぬ。どういうぐあいにして水を薄めたようなかっこうでこれを安い価格で供給するかということは、これは農林省として非常な指導のしどころだと思うのです。 それから、さきにちょっと総理大臣への質問にも申し上げましたけれども、運賃が三分の一に下がっておるのです。ガルフ・日本というのが三十二ドルぐらいしておりましたが、いまは十一ドルから十ドルだ。そうすると、一トンで六千円ほど違うのでありますから、飼料が八千五一円下がるのは運賃だけでも六千円の要素になっておるわけです。そのほかに、トウモロコシも四九%なり五〇%下がってきておるということになれば、ただ人件費が上がったからとかなんとかということでは済まされない。もう少し輸入品の値下がりを農林貨物の販売価格の中に反映するように、農林大臣は一段とひとつ努力を願いたいと思うのであります。以上。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いまの食糧の節約の問題でございますが、これはやはり食糧生産とともに大事なことであろうと思うわけでございます。現在、わが国の食生活が経済の高度成長に伴いましていろいろと変化し向上をしてまいったわけでございます。もう今日のカロリーの摂取量あるいはたん白質の摂取量から言えば西欧的な水準にまできておるわけでございますが、今日の段階におきましては、これから経済においても大きな構造の変化等もあるわけでございますし、これまでの日本人の食生活のパターン、これからどういうふうになるべきであるか、消費の節約という面もとらえてこれはひとつ農林省でいろいろと研究をしようということで、これから研究を始める段階に入っておるわけでございますが、消費の節約、食糧の節約につきましては、農林省としてもいろいろと業界等とも話し合っています。 たとえば砂糖等につきましては、コーヒーにつける小さい袋、これをいままで十グラムであったわけですが、これは八グラムぐらいでちょうどいいのじゃないかということで十グラムの小さい袋を八グラムに指導するというふうなこともやっておりまして、こういうことによって砂糖等につきましても大きな節約ができるし、あるいはまた魚にいたしましても、いままでの日本人、特に都市生活の方々は高級魚本位でございまして、イワシとかあるいはサバ、アジといったような大衆魚というものがなかなか都市においては消費されない。ですから、最近サバあるいはイワシ等が非常に豊漁でございますが、ほとんど東京でもこれが食卓に上らない。いろいろと流通上の問題等もあるわけでございますが、そういうところに食生活の変化等もあるわけでございますから、こういう点についてはひとつ積極的な消費拡大運動というものを起こしていけば、これから十分そういう面において節約もできるんじゃないだろうかというふうに考えておりまして、いろいろな角度からこれは研究をしていきたいと考えておるわけでございます。 それから砂糖あるいは飼料等の問題でございますが、砂糖は、砂糖のメーカーが非常に高いとき仕入れた砂糖が今日入っておるわけですから、原糖のコストを割るというふうな状態で、メーカー側としては経営が維持できないということで四月一日から値上げをしてほしいという要請が出ておるわけでございます。しかし、いまお話しのように、すでに二百四十ポンドというふうに非常に低落をしておりまして、これはもう二、三カ月すればまた日本に入ってくるわけでございます。そうなれば、一たん値上げをした砂糖がまた値下げをしなければならぬということになるわけでございます。したがって、そういう点は十分われわれとしても、国民生活に直接砂糖は結びついておるわけでございますから、十分配慮をして、値上げをしてまた値下げをしなければならぬというふうなことになっては相ならぬわけでございますので、これもやはり物価安定ということを第一義と考えて、四月一日からここしばらくは小売砂糖については値上げをしないという方針で、なおメーカー等のいろいろの経営上の問題については相談に応じていきたいと思うわけでございますが、これは値上げをここしばらくやらないという基本的な考え方でございます。 それから飼料につきましては、これもやはり現在飼料は非常に低落をしておりまして、これは私は一時的な現象であろうと思うわけであります。十月以後どうなるかということは気象条件等があるわけですから軽々に判断できぬわけでございますが、現在は低落をいたしておる状況でございます。また運賃も安くなっておるというふうなこともありまして、全農等もずいぶん指導し、相談もいたしまして、配合飼料につきましては八千円の値下げの断行を全農が四月一日からすることになりました。これは今後の農業のこれからの経営に大きな好影響を持つものであろうと思うわけでございますが、これもやはりしかく相場は下がったといっても、こっちに入ってくるまでに三カ月かかるわけでございますから、その間にいろいろと時間的な問題もあるわけでございますが、全農が八千円に下げたということは、私は運賃あるいは最近の飼料の値下げ等も判断をして非常に適切な価格であった、こういうふうに考えておりまして、今後とも農林省としても食糧の自給力を高める、さらにいま農家の経営の安定を図っていくというふうな基本的な命題の中にあって、同時にまた流通の改革等も行っていかなければなりませんし、消費者価格の安定というところにも大いに配慮いたしまして行政上の指導等を積極的に進めていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○柳田桃太郎君 これでやめます。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして柳田桃太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を始めて。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 松永忠二君。
○松永忠二君 質問が始まる前に、ちょっと大臣の方に総理初めお願いをしておきたいのは、私も予算委員会によく出てきますけれども、今度の委員会ほど大臣が答弁せぬで局長に答弁させているのは私は初めてです。特に、失礼な言い方ですけれども、総理を初めあるいは通産大臣あるいは労働大臣なども局長にしゃべらせることが非常に多いので、私たちも別にそんなに大して専門家ではないので、われわれの聞いたことぐらいはひとつ大臣からできるだけ御答弁をいただきたい。また、委員長もその指名をしないようにひとつお願いをしたいと思います。 そこで、総理、それから大蔵大臣、副総理にもお聞きをしたいわけですが、今度の予算編成が終わった後で、こんな予算編成じゃとてもしようがない、これはもう徹底的に直していかなければいけないということで、特に予算の硬直化等の問題でいろいろ御三人発言をされておるわけです。しかし、皆さんは御三人ともいままで重要な政府の役割りをして、こういうふうになったことについてはそれぞれ責任があるお方たちだと私は思うのです。そこで、いま審議会にはかけておりますけれども、どうしてもここは直さなければならぬと考えておられる点がおありだと思うので、総理、それから副総理、大蔵大臣、それぞれから、ひとつここはどうしても直さなければいかぬとお考えになっているところをお聞かせをいただきたい。
○国務大臣(大平正芳君) 財政が中央、地方を通じまして大変いま険しいむずかしい状況に立ち至っておりますことは、御案内のとおりであります。しかも、いわゆる硬直化の傾向が進んでまいりまして、言いかえれば、弾力性を漸次喪失しつつある状況は憂慮にたえないところでございます。したがって、財政にもっと活力のある弾力性を回復すること、そして国民の要請に応じて適時適切な手が打てるような状況をつくらなければならぬことは当然のことでございます。ところが、今日まででき上がりました予算は、よかれあしかれ、これはいま松永委員の仰せのとおり、われわれがやってまいりまして、これでよかれと思ってやってまいりましたことでございます。しかも、数々の制度、慣行に支えられて計上せざるを得ない予算でありますことも御案内のとおりでございます。こういう状態で財政に弾力性を回復しようということは容易ならぬ難事業でございます。したがって、何をまずやるかというお尋ねでございますが、私は全国民にこの事実をまず理解していただく、そして協力を仰ぐことが一番基本だと思うのでございまして、その一つの方便といたしまして財政制度調査会その他の審議会に御審議も願っておるわけでございまして、容易ならぬ状況であるということを各方面によく理解していただくことが、すべての事の初めにあるのではないかということを感じております。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、世の中が変わってきた、財政をめぐる内外の環境が一変をしてきた、そういう認識の上に立って財政の背景である国の諸制度、諸慣行、こういうものを全面的に見直す必要がある、この考え方なしには私は硬直化問題というものは打開はできないんだ、こういうふうに思います。そういう見地から、あるいは国の定員の管理、政府の職員定員の管理の問題、あるいは機構の問題、補助政策のあり方の問題も、これはもう松永さん一つ何か言えというのですが、一つじゃとても片づきません。国政全般をそういう見地に立って見直さなければならぬ、こういうふうに考えております。
○国務大臣(三木武夫君) やはり制度、慣行というものは根の深い幅の非常に大きい問題でありますから、なかなか容易ではないけれども、しかし情勢がこれだけ変わったのですから、高度経済成長でいろんな財政的需要を満たし得たのですが、これからはそうはいかないわけですから、そういう点で既成の経費についてもいろいろと検討を加えることはもちろんであります、一つは。もう一つは、やはり重要施策というものの選択が非常に厳しくこれからやらなければならぬ。それからまた、福祉ということがこれから大きな問題になってくるわけですが、これはどうしてもやはり高福祉には高負担ということになるわけですから、これを一体どのようにして国民の福祉、社会福祉の増進という要請にこたえていくかということは、新しい税金を創設するにしても保険金を値上げするにしても、国民的な合意が得られなければなかなかむずかしい問題。こういう問題がある。公共料金の場合でも、公共料金のあり方というものもこの際再検討する必要がある。そういう点で、これも財政制度審議会においても御検討を願っておりますが、非常に広範な問題についてメスを入れなければなかなか予算編成というものは困難な事態を迎える、そういうことで国民の、大蔵大臣も申しておったように、すっかり時代が変わったんだという意識のもとに相当な改革をやるということでなければ、なかなか予算編成が困難になる時期を迎える。政府はそういうことで、財政制度審議会の意見も聴取しつつ、来年度の予算の編成にはある程度、これは一遍に一年間でそういう改革ができるわけがないけれども、ある程度やっぱりそういう考え方は反映されるような速度でこの問題を検討しなければならぬと考えております。
○松永忠二君 行政管理庁の長官に、昭和三十九年に二年半にわたって調査、審議された臨時行政調査会では、予算編成についてどういうことを言っておりますか。
○国務大臣(松澤雄藏君) 特に行政管理庁といたしましては強い要請をしておるわけじゃございませんけれども、要は結論的に、はっきりした予算編成的な面を要望して今日までまいったわけであります。そしてまた、現段階におきましても、そのような意思のもとにおいて強く要請をして、極力みんながわかりやすいような気持ちで予算編成をやってほしいと、こういうふうな気持ちでお願いしてきております。
○松永忠二君 私の聞いているのはそういうことじゃありません。こういうふうに言っているんですよ。「年々閣議決定される予算編成方針は、きわめて抽象的で、しかも時期的に、大蔵省の予算原案が閣議に提出される前後であるため、編成過程を通ずる指針としての役割をほとんど果たしていない」。 だから、ことしの与党の予算編成の大綱が十二月二十五日、内閣の予算編成方針が十二月二十八日、予算の大蔵原案が一月四日、結局大蔵省の原案のつじつまを合わせるために編成の方針だとか大綱がつくられる。それから「昭和五十年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」が一月二十四日ということで、全然重要な施策の参考になってないわけです。昭和三十三年のときには、八月三十日に「経済見通し」が出て、九月には翌年度の予算に関する基本構想の閣議決定が出ているんだが、こういうことについて反省はありませんか。
○国務大臣(大平正芳君) いま御指摘のように、予算編成の前提になりまする「経済見通しと経済運営の基本的態度」、あるいは予算編成の共同精神である予算編成方針も直前にきまるじゃないかということは御指摘のとおりでございますが、これについて反省がないかという御質問でございます。 私は、一政治家としてこの問題についてこのように考えております。われわれは、常に国会の論議を初めといたしまして、世上の予算に関連いたしました世論というものに対して絶えず気を配っておるつもりでおります。それからまた、与党との間におきましては、細大漏らさず政策上の打ち合わせ、論議は暑い夏もずっと続けておるわけでございます。したがって、そういったやりとりの過程を集大成したものが予算編成であり、あるいはそういう中に貫かれる精神を予算編成方針として整理しておるというように感じるのでございまして、予算編成方針が一月四日にできまして、早速あたふたと即製的に予算をつくったというものでは決してないのでございます。 それからまた、政府と与党の間で予算編成が行われて、出した以上、予算は原案のまま成立するという例になっておりますけれども、これは前国会の本会議、委員会を通じまして戦わされました議論は、予算のあらゆるアイテムの中に深く広く浸透いたしておるわけでございまして、政府と与党が独善的な立場で予算を組んでおるというように私は見ていないのでございまして、予算委員会を初めといたしまして、国会の御論議というようなものは予算編成に非常に私はよく生かされておると思っておるのでございます。したがって、われわれ、人間でございますから、なすこと十分ではございませんけれども、精いっぱいデモクラティックな予算を組むべく努力をいたしておるわけでございます。ただ、松永委員がいま御指摘になったとおり、形式的な手続から申しますと、いかにも予算編成の直前に予算編成方針が決まったり、あるいは経済の展望が決まったりしておることについては、もう少し工夫の余地があるのではないかと思いますけれども、その点はいま申しましたように、実態的にはずっとそれ以前に引き続いて検討したことの集大成であるというように御理解を賜りたいと思うのであります。
○松永忠二君 形式的にはそうだというのじゃなくて、実際のところそういうふうなことができてない、八月に概算要求ができて、それに基づく閣議決定は、大体ことしの予算要求は何%増にとどめてくれるという程度のことであって、どういう見通しに立ってどういう点に重点を置いてやっていくということが予算編成の前にちゃんと決まっていて、それに基づいて予算の大蔵原案ができるのはあたりまえなのであって、これはそうしたいけれども何かできないというならわかる。それじゃ行政調査会の答申というのは、これは意味ないんですか。そんなものは何にも傾聴するに値しないですか。
○国務大臣(大平正芳君) 概算要求は毎年八月末に大蔵省に提案されるわけでございますが、それから大蔵省と各省の間では概算要求をたたき台にいたしまして査定が行われるわけでございます。しかし、その過程は一部の官僚の密室における作業ではないのでありまして、いま申しましたように国会の論議、世上の予算に対する世論、それから与党との間のわれわれの絶えざる政策の検討というようなものを踏まえた上でのものでございまして、それが進行いたしまして、その集大成という姿で予算の編成方針というようなものに化体されてまいるというように私は理解しておるわけでございまして、決して、形式的には遅く予算編成方針が決まるようでございますけれども、実態的には相当突っ込んだ検討が事前に行われておるというように御理解を賜りたいと申し上げておるわけでございます。
○松永忠二君 そういうふうなことだから、結局官僚主導型の予算編成になるんじゃないですか。公開財源は五百億だ、隠し財源は千六百六十四億だ、そして財政投融資の方の歳入見積もりを大蔵省が千六百九十六億増加する。結局大蔵省の隠してある財源を大臣が山分けをしているということじゃないのですか。こういうことにはもう限界が来たから、すべて公開財源にして納得のいくような処分方針にした方がいいとか、あるいはもうちょっと、五千億くらいの調整財源にした方がいいというのは自民党が言っているんじゃないんですか。この点どうなんですか。
○国務大臣(大平正芳君) いま申し上げますように、私ども五百億の公開財源で自民党との政策の調整をいたしておるなんていうことではないのでありまして、根っこから、あらゆる部門の政策につきましては、ずっと予算編成以前から与党との間におきましては細目にわたっての検討を各省を媒体といたしましてやっておるわけでございます。したがって、最後のメーキャップの段階におきまして五百億の公開財源をつくったからといって、それが政治的な脚色であるというようにおとりいただくのはいささか実態と離れた御見解であろうかと思います。
○松永忠二君 それは自民党の人たちが言っているのですよ。われわれだってそういう印象を持っております。そこで標準予算制度というのをやったらどうだろうと。戦前はこれでやっていたけれども戦後やめたと。三十年以後もこれを数年続けたことがあるんですが、これについては大臣どんなお考え方でしょう。
○国務大臣(大平正芳君) いわゆる予算の形式に標準予算というのはないわけでございます。俗に標準予算と言っておるのは、予算の中で最も事務的な旅費であるとか物件費であるとかいう予算全体の一%ぐらいに相当するものを、いわゆる雑件というようなものを予算編成前に大蔵省と各省の間で政策の査定に入る前に片づけておこうというわけで整理いたしておるのが言うところの標準予算でございます。しかしながら、松永委員がおっしゃるように、標準予算制度というのをそういう形骸にとどめることなく、もう少し実態的に、国の予算の骨格を標準予算という名においてもう少し実のあるものにしてみたらどうかというお考えは私は考慮に値する御提案であろうと思うのでございますが、いまやっておりますのはそういうごく事務的なことしかやっていないわけでございまして、いろんな工夫を予算編成には考えなきゃいかぬと思うのでございますが、いま御指摘の標準予算にもう少し肉づけする方法がないかということにつきましては、なお検討さしていただきたいと思っております。
○松永忠二君 副総理に聞きますが、総需要抑制というのは過剰流動性を吸収して価格の暴騰に一定のブレーキをかけて効果をおさめたということは私は事実だと思うのですが、これがまた国民経済の均衡というような点についていろいろなひずみをもたらしていることも事実だと思うのですが、物価の面にどういうひずみができているとお思いでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) ああいう大混乱の後からの脱出でございますから、これは私は当初からひずみ現象というか摩擦、これがあると思ったのです。その摩擦を恐れておる、あるいはひずみを心配しておったらインフレは克服できない。摩擦やひずみは避けて通ることのできない道である、こういうふうに考えましたが、所期のとおり、考えたとおり大体物価の面は、私は好ましい方向で動いておる、こういうふうに見ております。また同時に国際収支、これも非常に改善をされてきておる。それはいいのですが、摩擦、ひずみもまた出てきておるわけです、それは企業やあるいは雇用だとか、そういう方面。それから物価の面で特に大きなひずみ、摩擦現象が出てきておる、こういうふうな認識は持っておりませんです。
○松永忠二君 私はそうは思わないのですがね。物価の面で大企業の製品が上昇テンポを高めているのに、中小企業の製品の下落という傾向があるということは事実じゃないですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 一時そういう傾向がありました。しかし、最近の傾向といたしましては、大企業の方へのデフレ的影響、これが強く出て来ておる、こういう傾向になってきております。
○松永忠二君 ちょっと事務局の方で、昭和五十年一月の工業製品の前年同月比と、大企業と中小企業の製品の卸物価と消費者物価の前月比をちょっと言って下さい。
○政府委員(喜多村治雄君) 大企業性製品と申しますのは、これは資本金五千万円以上の企業の出荷額が総出荷額の中で半分以上占めるものと、こういう理解でございますので、あらかじめ御了解いただきたいと思います。 卸売物価指数につきましては、十二月は大企業製品が対前月比ゼロでございまして、中小企業性の製品が〇・三というところで、十二月以降は先生の御指摘にもかかわりませず逆になっております。一月は大企業性製品はマイナスの〇・五%、中小企業性製品がマイナスの〇・一%。消費者物価指数で申し上げますならば、手元に十二月までしか持ち合わせておりませんが、大企業性製品が対前月比〇・四%、中小企業性製品が〇・五%と、こういうことでございます。
○松永忠二君 昭和五十年一月の工業製品の平均の前年同月比が一四・六%で、大企業製品が一六・五%、中小企業が二二・二%。四十九年の十二月の消費者物価では一二・七%上がっているが、大企業製品は一五・七、中小企業は二・九と、四十九年の十月から十二月はマイナス一四・八中小企業は価格が減少しているのに、大企業は七一・九と、そういうことになっているんですよ。そういう点はどうなんですか、大臣、全然そういうことは考えておられない……。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御指摘の点はこれは卸売物価についてですね。しかし、卸売物価というのは概して言うとこれが大企業物価です。それから消費者物価は、これは中小企業物価、そういうふうに申し上げていいと思うんです。ところが、大企業物価である卸の方はどうだと言うと、これは十二月、一月、二月、これは年率にしましてマイナス〇・五でございます、年率にして。ところが、中小企業物価とも言える消費者物価の方は、これは上昇年率五%だと、こういうふうな状態になっておるので、この中小企業の方はなかなかデフレ傾向に抵抗しておるということを顕著に示しておる。松永さんが卸売物価だけの分析をされておりますが、卸売物価の中におきましても、最近は大企業の方の下落の傾向、これが出ておるということを数字が示しておると、こういうふうに御理解願います。
○松永忠二君 物価に問題がないなんと言うのは、全然頭かしげるようじゃちょっと私はおかしいと思うんですね。また、こういうこともあるんじゃないんですか。総需要抑制して需要が少なくなれば、価格は下がるというのが普通なわけですわね。ところが、たとえば建設の関係なんかでは、結局どうも不景気だ不景気だというのでいろいろ手当てをしたところが、九月期の決算を見たところが非常に好調だと、大蔵省、おかしいじゃないかということで、建設省に命じて大手四十三社の経理の内容を調査させたという、事実九月の決算は非常にいいし、三月の決算の見通しだって大企業の建設業者というのは非常にいいんじゃないですか、小さい方が悪いんですよ。こういうところにもそういうひずみが出ているということをお考えになりませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) それは物価の問題じゃないんです。これは企業、先ほど申し上げましたが、そういうところには問題が出てきておる、企業経理の問題として。中小企業、持にこれは建設業なんていうのは直撃的な影響を受けておりますから。したがって、中小企業に対しましては中小企業対策をきめ細かくやっておる、こういうことになるわけであります。
○松永忠二君 利益が上がるということは、つまりいわゆる請負の価格をパーセント上げたから、結果的にはそこの利益がふえるのであって、価格的にはそういうふうなところが利益をおさめるということになるんでしょう。それからまたこういう問題もあるわけでしょう。要するに、いま大企業が持に価格に転嫁をするという傾向がある。それは一体どういうわけなんでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 一つは、操業度が減りまして、したがって単位当たりの製品コストが上がってくる。それを総合してみると、企業経理が赤字状態になるというものも多くなるということだろうと思うんです。それを改善したいという動きが各企業ともあるわけなんです。その改善する道はどうかと言えば、一番手っ取り早いのは、やっぱり製品でありますとか、取り扱い商品の価格を引き上げるということで、みんながそういうことを希望しておるということは事実なんです。しかし、希望はしておりまするけれども、それは実現したら大変なんでね、そこで総需要抑制政策はこれを堅持するという姿勢をとっておりますから、需給の方はそう簡単に緩みません。したがって、値段を上げますればそれが売れないということになります。したがって、希望はするけれども、その希望は実現はなかなかいたしにくいという状態にあるわけであります。
○松永忠二君 大企業というのは、減産体制を強化して、市場の需給関係を調整してコスト上昇をするという傾向がある。そういう傾向があって、物価がまだ上がる傾向があるというのは、あなたもいろいろ説明しているところでしょう。だから、それができるのは大企業であって、中小企業はなかなかもうそこまではいかないという状況になっているでしょう。したがって、物価という面についても、これはやはり総需要抑制の中で寡占体制が強化をされているんだというような認識は、あなたには全然ないんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 総需要抑制政策の結果、寡占体制が特に強化されたというふうには考えませんが、総需要抑制政策をとればこれは経済全体として沈滞します。その沈滞の中では、中小企業の経営というようなものは特に弱い立場ですから、そういう立場において非常に困難になる一こういうことだろうと、こういうふうに思います。
○松永忠二君 私は、総需要抑制の一つの物価のひずみというのは、要するに大企業の価格は上昇することができて、そういう中で寡占体制は強化をされているというのが物価の面に出た一つのひずみだ。それは総需要抑制というのが、その波をもろにかぶっているのが中小企業だということは、これはもう否定のできないところなんですけれども、ここでも大企業よりも中小企業が非常な大きなしわ寄せを受けているという点が私はあると思うんですが、この点について通産大臣、そういう大企業と中小企業の総需要抑制の波のかぶり方ということについて、どういう認識を持っておられるんですか。 〔委員長退席、理事中山太郎君着席〕
○国務大臣(河本敏夫君) 今度の総需要抑制の影響するところでございますが、経済全体がその影響を受けておるわけでございますけれども、やはり統計の示すところでは中小企業の受けておる影響の方が大きいように思います。
○松永忠二君 企業の倒産とか減産について、どういうふうに差をもって影響を受けていますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 企業の減産状況は、これは業種によって非常に違いますので一概に言うことはできませんが、大体中小企業関係でほぼ前年比およそ二割強の減産になっておると思います。それから倒産関係では、十二月までは約千三百件という数字でございましたが、一月、二月は若干減りまして、これは年末に金融の手当てをしたせいもありまして大体千件を切っております。しかし、例年に比べますとなお相当多いという数字が続いております。
○松永忠二君 大企業と比較してちょっとお答えください。
○国務大臣(河本敏夫君) 倒産の内容、大企業の数字がどうか、中小企業の数字がどうかということは、これは政府委員の方から答弁をさせます。
○政府委員(齋藤太一君) 十二月の生産動向を中小企業と大企業とに分けてみますと、全体の鉱工業生産指数が一一三・八でございます。これは昭和四十五年を一〇〇といたしております。それに対しまして中小企業の生産指数は一〇二でございまして、平均よりもはるかに下回っております。さらに一月で見ますと、中小企業の一月の生産指数は九八・四でございまして、昭和四十五年の水準をすでに割っておるという状況でございます。平均はもちろんまだ一〇〇を割っておりません。そういうふうに中小企業の方の落ち込みが大きいように見られます。 それから倒産でございますが、二月の倒産件数が八百八十九件でございますけれども、このうち大企業の倒産は一件でございまして、八百八十八件が資本金一億円以下の中小企業でございます。
○松永忠二君 通産大臣、これはあなたから答えてくださいよ。これは取引の条件なんかについて、どういうふうな悪化の現象が出ておるんですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 取引の条件は、経済全体の状況が悪くなっておるということと、金融の逼迫というこの二つの面から手形取引などがふえまして、同時にその決済期間というものが非常に長くなっておるというのが特徴であろうと思います。
○松永忠二君 もっと具体的に言ってください。
○国務大臣(河本敏夫君) 具体的という意味は、決済期間の長さのことでございますか。これは業種によって皆違いまして、一概に言うことはできないと思うんですが、しかし非常に長期化しつつある、こういう傾向でございます。
○松永忠二君 手形の決済だけでなくて、納品の起算をずらす、現金比率の悪化というような点も非常にあるわけですね。金融の条件なんかについてはどうなんでしょう。
○国務大臣(河本敏夫君) 金融の面では、総需要の抑制下におきましてひずみ現象が中小企業に及びませんように格段の配慮をいたしております。年末にも中小企業関係の三機関で七千億ばかりの追加融資をいたしましたし、それから一−三月、つまり四十九年度の第四・四半期も五百億強の追加融資をいたしております。それからさらに、民間の中小企業関係に関する緊急融資も年末に相当額をいたしまして、金融の面では大体私はできるだけのことはもう十分しておると、こういうふうに考えております。
○松永忠二君 今度の第二次の不況対策の中でも歩積み両建ての問題が出ているわけですね。ひとつ大蔵大臣と公取委員長にお聞きをしたいんですが、この歩積み両建ての問題については、一体どういうふうな結果の状況を把握をされ、どう一体指導をされておるのか、両者からひとつお聞かせをいただきたい。
○国務大臣(大平正芳君) 最近数年間の拘束性預金比率の推移でございますが、いずれの金融機関におきましても大幅に改善の跡が見られます。都市銀行におきまして、たとえば昭和四十六年十一月三・三%でございましたが、四十九年十一月は一・九%になっております。同じ時期に、地銀は六%から三・七%に改善を見ておりまして、相互銀行一一・五%から五・三%に、信用金庫二一・四%から一一・四%、全体といたしまして七・四%から四・三%に改善を見ておるわけでございます。しかしながら、なお後を絶たないわけでございまして、したがって、大蔵省といたしましてはこれの解消に向かって、各金融機関に相当地位の高い常務級の責任者を置いていただいて、その方に責任を持っていただいてこの改善を促進するという方途を講じておるわけでございまして、二月の末にも改めて通達を出しておるわけでございます。また、常時検査をいたしておるわけでございますので、検査面におきましてもこの改善を促進するというように配慮をいたしておるわけでございます。
○政府委員(高橋俊英君) 私どもの方の調査はすでに御承知かと思いますが、中小企業だけを対象にしております。それによりますと、一般にその改善の徴候ははっきりあると申し上げていいと思います。いまも大蔵大臣からも大蔵省の調査の結果を申し上げましたが、たとえば、四十五年の十一月現在では八・六%を形の上で拘束されておる。それから去年の十一月が実は集計がちょっとおくれておって申しわけないのですが、昨年の五月現在では八・六であったものが三・五に減っておる。それからこれを実質的な拘束預金、形の上だけでなくて実質的な拘束預金で申しますと、同じ時期に比べまして二一%であったものが一六・九%、借り入れに対しまして実質的直拘束されているものが一六・九に下がっておりますが、若干まだ私どもちょっと腑に落ちない点があるのは、債務者預金というものが、この中小企業に限って、私どもの調査件数は余り多くはございません、全体の数百万件という貸付先に対しては非常に少ない件数でありますけれども、同じようなぺースで調査しておりまして、この債務者預金の比率がほとんど動いていない、横ばいです。債務者預金と申しますのは、借入額に対して債務者が預金をしている額は四〇%前後でずっとこの数年間推移している。ですから、そこにやはり一つ問題がありはせぬかというので、私どもも調査をいたしますが、なお大蔵省に対してはこの辺の関係がどうなっているのか、債務者預金が本当に自発的に預金者がやったものかどうか。そうしてまた正常な商慣習と認められるものはこれは不公正と思いませんが、それを超えている部分があるのではないかという疑いも持っておりまして、相当な情勢の好転は認めますけれども、なお一層検討の余地があるように思われます。
○松永忠二君 公取の委員長の方が正確ですね。改善されているかどうかという質問に対して、八二%改善されていないと言っているわけですよ。公取では約二〇・一%だと言うのに、あなたの方は四・六%という数字を出している。銀行へ聞いているわけですよ。銀行へ聞いている。こっちは直接聞いているわけなんですね。これはいま常識的に、歩積み両建てをしていないで借りられるなんという中小企業はないと言って極端でないけれども、これはなかなか言えないというような現状だと私は思うんです。そんな程度の認識だから結局こんなことが十分できない。ひとつ公取委員長、特に今後の対策についてどういうことを考えておられるのか、何かひとつお聞かせをください。
○政府委員(高橋俊英君) 正直に申しまして、これは非常にむずかしい問題でございます。実は私もこの問題は非常に悩んだ問題でありまして、十年以上前から、あるいは十数年以上前からこの問題に実は私は関係しております。そういう点で、どういうところから直させるかということについて非常に私、問題点が多過ぎると思いますが、一つは金利の問題が絡んでいるということです。金利の問題ということは、あらゆる企業、信用のいかに大きな企業であれ、倒産の一歩手前であれ、金利が同じであるということは、これは市中金融の場合にはあり得ないわけです。ですから、いまたとえば二・五%という最高金利を決めておりますけれども、恐らく借りている方の計算からすればそんなものじゃないと思うんですね。それより高い。かなりの大企業になればその金利に非常に接近しているという問題が一つある。これをどうするかという問題がございます。みんなその一一・五の中に実質金利を押し込めてしまうことが可能かという問題。私はそれはできないと思います。ある程度そういうところは、本当の実効金利というものはどの程度までがまあ銀行としてもがまんできる限界であり、借りる方もがまんする限度であるかということを究明する必要があるんじゃないかと思います。だから実質金利が二〇%あるいは二五%ということになりますと、これはもう不良貸しの一歩手前と言っても、不良貸しをしていると同じようなことになりますが、借りる方から言えば、高利貸しから借りるよりまだましだというふうな考えがある。そういうところに妙な妥協が生じているわけです。そういう点が一つ。 それから預金高競争ですね。それは私が先ほど申しました四〇%前後で中小企業分が推移している。実は全体の平均をとるともっと高いんです。大企業を交えた方が実は平均が高いという奇妙なことでございまして、これは昔には見られなかった現象でございまして、中小企業の拘束分が実質的にもそれより下がっていると言えるんですが、そういう預金高競争で銀行の順位が決まるという一つの風潮、これをどういうふうにするかということを考えた上で、私どもは大蔵省に十分御検討をいただきたい。私どもも知恵があればおかししたいと思いますけれども。 そういう、まず一つには両建てを考慮した場合の実効金利、それが長くなった場合の実効金利というものを少し幅広く考える必要があるのではないか。それを解決しなければ、どんな不良なところにも優良企業に貸すと同じ金利で金を貸さなければならぬということにすると、実際には金が出ないんですね。そういう企業だったらお断わりだということになりますから、かえって中小企業のためにならない。どの辺までならいいのかというふうなことをめどにして、それをめどに解決の方策をそこに接近させていくということ、正常な商慣習でやむを得ないと思われる程度の預金は、これは私は認めなければならないと思います。銀行でも、営業しておる者に対して貸すのに、預金ゼロでは会社の概要もつかめません。そうでございますから、どの辺が正常な預金とみなされるのかどうか、そういう点も究明してみたいと思いますが、ただ私どもとしては、何分専門の立場にありませんし、大蔵省に今後いろいろこういうところを検討していただいて、まあ一挙にはまいらぬでしょう、しかし漸進的に改善の方向へ行かなければ、これはなかなかに時間をかけても根本的な解決にはならないだろうと、こう思いますので、その辺は私ども勉強いたしますが、大蔵省の方に特に御研究をお願いしたいと、こういうふうに考えております。 〔理事中山太郎君退席、委員長着席〕
○松永忠二君 商工中金の総裁が来ておりますが、現実にこういうことをあなたは御存じでしょうかね。一千万円の金を中小企業金融公庫から借りるときに二百万円は組合へ預けている。組合の名前でワリショーを買って、組合へ預けて、それで融資を受けているというような状況がある。中小企業金融公庫というのは、御承知のとおり団体が借りて個人に貸し付けるか、団体の推薦を受けて貸せるわけだから、いわゆる商工組合というものが相当の力を持っていることは事実なんです。そういうようなことからして、いわゆる定期の預金をさせるというようなやり方はやらぬけれども、そういう形でつまり融資をしたときにワリショーを買わせて、しかも組合の名前で買って、預けておくという、そういうことをやっているというようなことを、われわれはいろいろな調査で承知をしているんだが、そんなことを御存じでしょうか。
○参考人(高城元君) 実は私ども、いわゆる両建てと申しますか、歩積みという、貸し出すに際して特定の条件を与えて預金をさす、あるいは債券を買わすということは厳重に禁止をいたしております。あるいは組合の方でこういうことが一つございます。組合で借りて組合員に渡す場合に、組合の理事長あるいは副理事長というのが連帯保証をいたします。そのために、ただ判を押すのじゃかなわぬ、若干の担保的なものが欲しいというようなことで、債券を買って、これを組合の担保として、組合員に対する担保として持つということはあるかと存じますが、私どもの方からそういうふうにしなくてはいかぬということを勧めることは厳に禁止をいたしております。
○松永忠二君 大体、商工中金の融資というのは無担保、無保証で貸せるというのが原則であって、特に必要があれば担保を取るということになっているでしょう。それを一体、そういうふうなことをやっているところがありましょうなどと言うことはおかしいじゃないですか。
○参考人(高城元君) 普通の原則は、組合で借りまして、組合から組合員に、転貸と称しておりますが、もう一度貸す。その場合に、役員に保証をしてもらう、連帯保証をしてもらう、これが一つのたてまえでございます。ただ、たとえば設備資金というようなことになりますと、なかなか、十年も連帯保証できぬと、こう役員さん言われる。そうしますと、じかに業者に対しまして担保を取って貸し出しをしておるということでございます。ただいまのは防衛預金とか防衛と、組合の防衛でございます。商工中金の防衛じゃございません。組合の防衛のためにやるということはございますが、これは私どもの方からそれを指導してやらしておる、あるいは条件にするというようなことはいたしておりません。
○松永忠二君 これはいわゆる歩積み両建ての拘束した預金と同じことでしょう。独占禁止法にだって違反じゃないですか。ものを貸せるときに、それの条件としてワリショーを買わせ、しかも本人じゃなくて組合に預ける形で買うというやり方、それはあなたはいいとお考えになっているのですか、悪いとお考えになっているのですか。その辺をはっきり返事をしてください。
○参考人(高城元君) 組合がやっていることでございまして、私どもの方からそうしろと言っておることではございません。組合の自衛上やっておることでございます。
○松永忠二君 そういうことはいいか悪いかということを聞いているわけなんで、そういうことがあるとすればそういうことはやめるように指導するのがたてまえだと思うけれども、そういうお考えはないんですか。
○参考人(高城元君) ただいまの問題、実はどこでありましたか私は存じておりません。もしどこの組合であるということをお示し願いますれば、すぐ改善をさせるようにいたしたいと思います。
○松永忠二君 私はどこというようなことが問題じゃないと思うんですよ。こういうことをやはりないようにしっかりした通達をしてきちっとするということが必要じゃないですか。特に金を借りるときは困るから金を借りるわけですよ。借りるときに、それを条件に二割は結局ワリショーを買わなきゃできないということになれば、結局拘束した預金をすると同じことに結果的になるのじゃないか。だから、そういうようなことは厳重にやめなきゃいかぬし、やめさせるように指導もするし、そういう通達も出すというならわかるけれども、その点はどうなんですか。
○参考人(高城元君) 実は、これ組合内部の問題でございまして、組合の理事者が何にもなしじゃ判を押せぬというので、それでそういう措置をとったんではないかと思います。したがいまして、一切そういうのをいかぬということになりますと、連帯保証に判を押しません。そうするとお金が借りられなくなるわけでございます。したがって、簡単にはいかぬのじゃないかということでございます。組合の自衛上やっておることでございます。私どもがそうやれと申したならこれは大変悪いことでございます。組合が自発的にやっておる場合には、これは組合内部の問題、つまり理事者諸君がただ判を押すのはいやだ——これは連帯保証でございますから。そのときに、それだけの担保みたいなものを組合がこれを防衛預金とか防衛云々と言っておりますが、防衛上やっておることでございます。したがいまして、これは一切いかぬぞとなると、組合の運営がつかなくなるという問題もございますので、具体的にどこの組合であるということがわかりますれば、よくそこと話をしまして、そういうことは今後やめた方がいいのか、あるいはどうしてもこうやらないと判押せないんだというかという問題もあるかと思います。ちょっとそこのところ、一切いかぬぞということが言えるかどうか、組合が防衛上自発的にやっていることをいかぬぞということが言えるかどうかというのは、ちょっとこれむずかしいことかと思います。
○松永忠二君 通産大臣、そういうことを前提にして法律はできているんですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 商工中金は中小企業者が相互扶助という形でやっておるわけでございまして、それでいまの商工中金債、これによりまして資金を確保しておるわけです。大部分の資金はこれによって確保しておるわけでありますから、だから取引先にやっぱりある程度持ってもらう、こういうことも私はあるんじゃないかと思うんです。 それから個々の組合等につきましては、いま理事長が言いましたようにやっぱりいろんな事情があると思います。でありますから、私は自発的にある程度のことがありましても、やっぱり運用上これは一概にいかぬというのはこれはいかがかと、こういうふうに思います。
○松永忠二君 それはひとつ大蔵大臣に聞いておきましょう、御見解を。
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のとおり商工中金、政府関係の中小金融機関でございまして、高い公共性が要求されておるわけでございますから、貸し出しと関連いたしまして拘束性の預金の受け入れというようなことになりますと、これはゆゆしいことになるわけでございまして、万々そういうことのないように御留意をいただいておるところでございます。大蔵省からは商工中金に対しまして留意方をお願いいたしておりましたところ、商工中金の方では各木支店に専任担当官を増員していただいて、拘束性預金の自粛に関する専任担当官を同時に増員していただくことになりまして、それから内部監査体制を強化していただく、それから各事業組合の理事長を通じて組合員に債券を販売する行為は誤解を生ずることになるので原則として避けること、そういう改善措置を講じていただいておると聞いております。
○松永忠二君 もう一つ大蔵大臣、そういう指導の仕方で徹底をしていただきたいと思うわけでありますが、そこで話を少し進めますが、総需要抑制が物価の面で、さっき申しましたように寡占体制を強化をするというような面が出てきているのじゃないか。また、中小企業に対して大企業よりも非常な大きな波がかぶってきているということになりはせぬか。もう一つ私たち考えることは、雇用とか賃金とか消費生活に非常に深刻なやはりひずみ、影響をもたらしてきているのじゃないか。 そこで労働大臣に、あなたは第二次不況対策閣僚会議で、雇用とか賃金情勢をどんな内容で御説明になっているんですか。
○国務大臣(長谷川峻君) 第二次不況対策では、雇用調整給付金制度を活用して業種指定などをもう少しやれと、こういうふうな話が出たのであります。そこでいまの模様を……
○松永忠二君 雇用情勢をどういう報告をしたか。
○国務大臣(長谷川峻君) 雇用情勢は、こういう時代でございますから残業時間の減少、それから中途採用の手控えとか一時休業、あるいはそういう動きの中におきまして、完全失業者は一月には前年同月に比べまして二十七万増加して九十九万になっている。そこでまた、一時休業につきましては、雇用調整給付金の支給に関しましてこの二月中に休業の実施をした、届け出をした事業所が、現在までに取りまとめたところで、一番新しいので七千二百事業所、そして休業延べ日数は四百三十二万人目、この内訳を申しますと、大企業の場合には四百七十八事業所で百七十三万人目になりまして、中小企業の場合は六千七百十三事業所、そして二百六十万人目というふうなことになっているというふうに私たちは思っているのでありまして、そこで一方、こういうことからしまして雇用調整給付金の制度の活用、あるいはまた現行の職業転換給付金制度を初めといたしまして、きょうから、四月一日から全面的に施行されます雇用保険法、この法律に基づいていろいろ対策を前向きに考えてこうした時代に沿っていきたい、こういうことをやっているわけでございます。
○松永忠二君 失業者の中にどういうふうな問題点が出ているかということをどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(長谷川峻君) 政府委員をしてお答えさせます。
○政府委員(遠藤政夫君) ただいま大臣からお答え申し上げましたように、一月の完全失業者は九十九万人、二月の失業保険金の受給者も大体九十八万という数字が出ております。この中で問題になりますのは中高年齢者、比較的年齢の高い方々の失業問題がこれからの重要な課題になってまいる、かように考えております。
○松永忠二君 女子。
○政府委員(遠藤政夫君) 男女につきましては従来の傾向とほとんど変わっておりませんで、女子の比較的若年層の失業者、いわゆる家庭に非労働力化して還流する、こういった人たちは従来と傾向は変わっておりません。したがいまして、私どもといたしましては、こういった失業者の中で、特に中高年齢者あるいは倒産等によってしわ寄せを受けて離職される身体障害者、こういう人たちの再就職問題に重点を置いて行政を進めてまいりたいと、かように考えております。
○松永忠二君 あれでしょうかね、やはり労働雇用とかそういう情勢は深刻だというふうなことなのか、それほど大した深刻の度合いはないというふうにお考えなんでしょうか、どうでしょう。
○国務大臣(長谷川峻君) 失業というものは働く諸君にとっては大変なことであります。いわんや御家族にとっても大変なことであります。そういう意味でいろいろ手当てをしているのですが、現在は失業率大体二%、こういうことでございまして、これが雇用調整給付金等々のことによって横ばいになっている姿というものを見て、そしてこういうものがふえないような対策を講じていると、こういうことでございます。
○松永忠二君 賃金不払いというような問題も出てきているわけでありますが、その賃金不払い立てかえ制度というものを、法案を考えていきたいという考え方があるようでありますが、これはどんなのですか。
○国務大臣(長谷川峻君) 先ほど申し上げましたように、賃金が勤労者にとって大事な生活の糧であり、それを待っている奥さんにとって、さらに生活の大事な問題でございますので、労働省としてはそういう問題が起こらないように、いろいろ情報を集めること、さらに起こった場合には優先してそういうものが払われるようないろいろ労働基準監督機関を通じてやってもおりますが、最近の情勢に応じ、あるいはまた国会での附帯決議等等も考えまして、いろいろ法律的なむずかしいことはございますが、とにかくこれは立てかえ払い制度として法律的に発足しようと、こういうことで五十一年を目標にして鋭意検討を進めているところであります。
○松永忠二君 細かい数字を挙げて、私説明できる時間はありませんが、雇用の状況は非常にいま深刻で、労働時間あるいは所定外の労働時間あるいは全勤労者の世帯の実収入と消費支出の統計を見ても、非常に低所得の者にしわ寄せがかかっているわけであります。そこでなお、いま雇用保障措置法というようなものをつくって雇用保障委員会などで一〇%、あるいはまた五十人以上の馘首の場合には三カ月ぐらいの実施を延ばして、労使の間で相談をさせるとか、あるいは解雇の予告が一カ月だけども、それを三カ月に延ばしていったらどうだろうかという、こういうふうな考え方が出ておりますが、こういうようなことについては労働大臣はどうお考えでしょうか。
○国務大臣(長谷川峻君) こういう時期ですから、いろいろ知恵をしぼって対策を講じなければならぬと、こう思っていろいろまた法律などで御審議いただいてはいるわけですが、いまの問題についてはいろんな方面から御提案もあります。そこでまた、よその国等の例もございますし、日本の場合でも一カ月のやつを三カ月延ばした場合に、それじゃその間はどうなるかと、かえって就業の機会があるのかないのか、いろんな問題等々がございますし、一方ではいままでの高度経済成長のときと違いまして、安定経済成長の時代の一体雇用計画というものをどうすべきか、こういう大事な私は転換期に来ていると思いますので、そういう基本の問題等々について、いま研究あるいはまた検討に着手させている、こういうことでございます。
○松永忠二君 そこで副総理、私は物価上昇の、三カ月前年同比が一五%以内にとどまった、まあ一四%になったということはこれは結構だけれども、これはいまちょっと質問したように、中小企業の犠牲、あるいは労働者とか、特に低所得者の犠牲によるところが多い。その結果、個人消費が非常に落ち込みをしてきている。そういう中で、大企業の寡占体制は強化されているという経済の仕組みが、こういう中でいま変わっているという点について、われわれはそういう認識を持っているわけです。したがって、独占禁止法の強化をしなければいけない、あるいは銀行法の改正もやらにゃいかぬというふうに考えているわけなんですけども、そういう一四%になったことについては、もっぱらそういうところに大きなしわが寄って、その結果こうした数字が出てきたのにも影響があるんだという、そういう点を全然お考えになりませんか。私は総需要抑制の一つの反省というものはやっぱりあってもいいのじゃないかと思うんですけども、この点については副総理はどうでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 総需要抑制政策は、これはあの混乱した物価の鎮圧をねらいとしてやったわけですが、私は先ほども申し上げたんですが、これはもう摩擦、ひずみなしにこれをやっていくわけにはいかぬと、何かほかに御名案でもあればまた伺いたいところでもありますけれども、どうしたってこれは摩擦現象というのがあるんです。ただ摩擦というものが弱い小さい立場の人にしわ寄せをされては相ならぬ、こういうふうに考え、五十年度の予算でも社会保障の予算を特に重要視する、あるいは金融政策等におきまして中小企業の金融を強化する、あるいは政府のいろんな事業をやりますが、その発注に当たって、中小企業者に対しましてその発注の機会をできるだけ厚くしよう、こういうようないろんな配慮をいたしておるわけです。ですから、ひずみがあると言えばひずみがあるんです。あるんですけれども、そのひずみをなるべく小さい弱い人にしわ寄せせぬという配意も、またできる限りしておるわけなんです。 それに対して一体どういうふうに今後すればいいかということになれば、これはやっぱりもう物価はここまで来た、これから先の物価をさらに落ちつけなきゃならぬということも考えなきゃなりませんが、同時に景気の問題につきましても意を用いなければならぬであろう、こういうふうに考えております。景気が上昇過程にとにかくいきませんと、松永さんの御心配されている問題の多くは解決しませんね。私どもは夏ごろを目安といたしまして、景気を上昇過程に転じさせるということで最善を尽くす、こういう考えです。 それからどうも松永さんのお話で腑に落ちないのは、物価の側面で中小企業が総需要抑制政策の非常なしわ寄せを受けているというようなお話ですが、先ほど申し上げましたように、消費者物価というのが、非常に大ざっぱというか、大局的に見ますと、これは中小企業物価です。それから卸売物価というのがこれは大企業物価なんです。その大企業物価である卸の方は、この三カ月をとってみれば年率五%の下落をしているんです。中小企業の方はこれはなかなかそういうわけにいかぬ。消費者物価というものはこれはなお鎮静とは言うものの年率五%の上昇をしておる、こういうんで物価の面におきまして大変御強調されましたけれども、中小企業、大企業、そしてその格差が激化したというようなことはございません。 それからその体制の中で、管理価格体制が強化されたというようなお話ですが、もしそうなら卸売物価がこういう狂乱の後で、三カ月の間に年率で五%も下落したなんて、そんなようなことはあり得ません。私はとにかく卸がそこまで落ちてきたということは、大企業がかなり大きな犠牲を分担している、こういうふうに見ております。
○松永忠二君 私はそうは思わないんですよ。要するにいま中小企業の段階では、やはりもう価格に上乗せするという力はなくなってきちゃっている。大企業の方は減産をしていて、しかも、いわゆる量を一定にして価格に乗せて上げてきている。だから大企業の方がいわゆる卸売物価、消費者物価でも、私持っていますけど、相当価格が上がるのに中小企業の方の値段は下がっていく。大企業の方の生産指数は高まっているけど、中小企業の生産指数は低いし、利潤を考えてみても、大企業の方は利潤を得ているけど中小企業は利潤を得られないでどんどん倒産したり何かしているわけです。だから価格の面についても、いわゆる大企業というものが物価へ乗せる、上昇する、物価上昇機運があるというのは、そういうことを言っているんでしょう。もう、ちょっと変わったらすぐ上げようという考え方、そういうところには力がある。だからそういう面があらわれているということをやっぱり考え、結果的には大企業の寡占が強くなって、そういうふうな面では価格もそんなに下げない、いわゆる価格をすきあらば上げようというようなことになるということを私は言っている。これは時間もないし、そういう議論はやりませんが、私はそういうふうに考えております。 そこで今度一四%になったというので、そんなばかなことはない、私たちはもっと苦しいんだというような、いわゆる消費者物価と生活実感の開きというのは非常に大きいように指摘をされるわけでありますけれども、これはどこに原因があるというふうに大臣お考えになっているんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 非常に大局的に見ますと物価は安定してきております。とにかくこの三カ月ぐらいは年率五%ぐらいな上昇だと、これは世界じゅうで五%消費者物価なんというところは他に見ないというくらいな状態になっているんです。それにもかかわらず私どもが接する御婦人等は物価が高いと、こうおっしゃる。それはなぜかというと、これは安定はしてきたけれども高値安定だ、こういうところに問題がある、そういうとらえ方をしております。
○松永忠二君 私はそうじゃないと思うんですが、物価指数のとり方にも問題があるんじゃないですか。それからまた、いわゆる生活必需物資という基礎物資の値段が非常に上がっているという点で、それで生活は苦しいので、実感どおりじゃないというのは、平均のいわゆる物価指数だということになっているから、そういうふうなことになっているんじゃないんですか。 そこでいま物価指数の問題というのは、いろいろな面でこれが基本になっている。もう賃上げでもそうだし、年金でも生活保護でも家賃でも、損害補償でも慰謝料でも、みんなこれを一つの目安にしているわけですから、これはよほど指数の果たす役割りというのは大きくなっていると思うんですね。そこで、ことしはそういう物価指数を改める年になっているので、日本学術会議が物価指数の改善の提言というのを出しているわけです。これについてはあなたは、とるべきものがあり、どういう点はもっともだというふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 物価指数は五年ごとにそのとり方の内容を検討しておるんです。そして五年間で生活の内容がどういうふうに変わってきたか、その変わり方を見て、そしてその指数が消費生活の指数といたしまして適正であると、こういうことをねらいといたしておるわけですが、いまお話の何か提言というのは、私はまだ見ておりませんでございます。
○国務大臣(植木光教君) お答えを申し上げます。 お説のように、日本学術会議から、先般物価指数の改善のための体制整備につきまして政府に申し入れがございました。実は政府の中にも、行政管理庁所管でございますが、統計審議会がございまして、これは有力な専門家、有識者で組織をされておりまして、消費者物価指数の作成方法あるいは基準時の改定等に関しまして議論が行われておるのでございます。したがいまして、統計審議会の場で全般的な問題は論議せられるわけでございますが、学術会議の申し入れにつきましては、この検討の際に十分参考にしてまいりたいというふうに考えております。 具体的に申し上げますか、よろしゅうございますか。
○松永忠二君 いや、いいでしょう。 その中でやっぱり中立の、中立というか常置のいわゆる委員会のようなものをつくってくれという指摘がありますね。それからまた一般の人たちからも、学術会議などでももっと消費者とか労働者のメンバーを入れたらどうだと、みんな役人や何か、私ここに持っていますが、こういう人ばかりではおかしいじゃないかという意見があるが、これはどうでしょう。
○国務大臣(植木光教君) そういう御提言ございますけれども、物価指数の作成方法でありますとか、基準時などをとりますのは常時やるような問題ではございませんで、したがいまして、適時お集まりをいただいているという状況でございます。先ほど申し上げました政府内の統計審議会のメンバー、ただいま十八名でございまして、それぞれの場で統計学者を初めといたしましていろいろな方々に出ていただいているわけでございます。現在の構成で十分に使命を果たされていると存じておりますが、なお検討はさせていただきます。
○松永忠二君 それはもう全然納得しません、利用者の方は。みんな役人や何かなのでしょう。で、ちゃんと、いわゆる政府は学術会議と協議の上、消費者、労働者代表メンバーを加えて中立的な常置委員会を設けるとか、総評とか同盟とか、その他のところでもそういう要求を出しているし、もういまではずいぶんそういうところで精密な調査をやっているわけです。そういう経験持っているわけです。これはもっと慎重に考えるべきだと思うがいかがですか。
○国務大臣(植木光教君) 政府内で問題にいたします統計方法等につきまして嘆きわめて専門的な技術的な問題が多いものでございますから、したがって、いまのような構成メンバーにお願いをいたしているのでございます。 なお、このとり方でございますけれども、物価指数のいまの調査の方法は、実はこの審議会だけではございませんで、国際的にもILOの統計年鑑等にも準拠いたしました方法をとっておりますので、したがって統計をとります方法の技術的な問題につきましては、いま申し上げたようなメンバーでいいのではないかと思います。なお、物価問題についていろいろ民意をお聞きをいたすということになりますと、これは先般まで、政府内にも総理府総務長官の私的諮問機関として調査会がございましたけれども、こういうメンバーの中には、言うまでもなく消費者でありますとか労働団体等の方々に入っていただいていたわけでございまして、そういう総合的な物価対策の中に民意を反映をして、みんなで力を合わせて問題を処理していくという機関でありますと、ただいま御指摘のようなメンバーで構成されるべきがしかるべきであると考えるのでございます。
○松永忠二君 これはひとつなお考えていただくとして、副総理、経済企画庁、あなたは三月、前年同月比一五%以内の目標を到達したいというのが一つ強調されたことだけれども、同時に私は、四十九年度の経済成長をマイナス一・七%にしたい、五十年度は四・三%にして静かな成長という目標をやりたいというのも一つの公約だと私は思うわけですね。物価は下がって成長率はゼロになってしまったなんというのは考えていなかったわけで、現にアメリカだって卸売物価はずっと下がっちゃっているし、消費者物価は一けたになっても不況が深刻なわけなんだと私は思うんですが、一体この目標は達成できるんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 四十九年度の成長ですね、これはまあその前後に落ちつくんじゃないかというふうに見ておりますが、これは非常にむずかしい計算がありますので、まだ数字的に何%というところまでは申し上げられませんけれども、改定見通しマイナス一・七%、この辺で大体動いておるんじゃあるまいか、そういうふうに思います。
○松永忠二君 五十年。
○国務大臣(福田赳夫君) それから五十年度につきましては、それを受けましてなだらかな景気回復というんですから、まあ大体見当としては経済見通しで四・三%、こういうふうに申し上げておるわけですが、そういうコースを歩むであろうと、こういうふうに見ております。これも経済成長率というのはなかなか、いままでも実績を見ますとずいぶん見通しと乖離があるんですが、今度はそう乖離はしない。多少景気回復がおくれておりますので、あるいは四・三%から多少下がるというようなことはあるかもしれませんけれども、とにかくこの四・三%という経済成長率、それから同時に物価の方を消費者物価で九・九、これを目標にいたしまして諸施策を進めていきたい。物価の方に特に重点を置いていきたいと、こういうふうに考えております。
○松永忠二君 通産大臣の方の見通しはどうでしょう。
○国務大臣(河本敏夫君) いま副総理がお述べになりましたとおりでございます。
○松永忠二君 これは全くどうも——じゃ新聞記事は違うわけですな。恐らく五十年度は、通産省の方では中期調整期間だから二%ぐらいじゃないかと。それで経済企画庁の方で二%でなくて三%ぐらいだろうと、こう言っているが、これは全然根拠のない数字ですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 四・三%という成長率を出して以来、成長率についてどういう実際上の変化になるかということについては、いまだかつて全然検討したことはありません。ありませんが、私の勘を申し上げますと、多少景気回復のテンポがずれておりますので、あるいは四・三というのをちょっと下にいくかなというような感じもします。しかし、私の考えとしては二つ目標があるんです。四・三というものもある。それから消費者物価九・九%という目標もあるんですが、とにかく、九・九という消費者物価をこれは最大の目標として取り組んでいきたい。成長率について多少の上下がありましてもこれはやむを得ない、かように考えます。
○松永忠二君 そこで、国民所得計算の基礎がまた変わっちゃって、それで昨年の十月−十二月の速報によると、マイナス一・七というのはマイナス〇・三ないし〇・五だというようなことを言っているわけですね。ことしマイナス一・七で五十年度四・三%というのは、一体その数字からいくと幾つになるんでしょうか。それからまた、この数字に基づいて国民経済見通しが発表されているわけですが、これはいつ変わるんですか。大臣、これは大事なことですよ、見通しを出している一番のあれですからね。これはいつ変えるんですか。 それからまた、新聞記事などによると、これはコンピューターを変えちゃって、もうこれからは一・七とか四・三というのは全然数字は出せないんだという話ですけれども、そんなばかなことがあるでしょうかね。私は、一・七も四・三もいまおっしゃったようにこれは物価と同じように、これはあなたの一つの目標であり、公約だ。それが幾つになるのだかわからぬようになってしまうというそんなばかなことはないと思うんですが、この点はひとつ大臣どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) その点は私もまだ事務当局の方から報告を受けておりません。何かそういう作業がある、こういうふうなことは聞いておりますが、作業の経過につきましては政府委員の方からお答えさせます。
○政府委員(青木慎三君) ただいま先生御指摘の点は、国民所得計算の計算方法の改定だと思いますが、国民所得計算をいたしますのは、大体確報は毎年十一月の末ぐらいに出てくるわけでございますが、ことしは特に物価の実質の方の計算をいたします基準年次を四十年から四十五年に改定いたしたわけでございます。したがいまして、その実質は変わってないんでございますけれども、基準年次の改定に伴う計算の修正というのが特に行われたわけでございまして、そういうことで、国民所得計算の速報の数値が四月にさかのぼりまして若干変わったということでございます。 経済見通しの方は、原則として名目の方ではじきまして、それに物価のデフレーターを掛けて実質を出すわけでございますが、そのデフレーターの数字が四十年基準から四十五年基準に変わりましたために、若干の修正になるというのが従来の経緯でございます。ことしの経済見通しをつくります段階では、その四十五年改定のデフレーターが発表されておりませんでしたので、私どもの推計でやったわけでございますけれども、その後正確な計算が出てまいりましたので、若干実質の成長率の計算に誤差が出てきたということでございます。
○松永忠二君 見通しの数字は変えるのか。
○政府委員(青木慎三君) 見通しの数字はこのまま、特に変える必要はないかと思います。と申しますのは、現在まで出ています速報の数字は十−十二月まででございまして、一−三月の数字がもう少し固まりませんと、四十九年度といたしましても正確な国民所得計算の推計がむずかしいわけでございます。したがいまして、もう少しデータがそろうまで数字そのものはこのままにしておきたいというのが事務当局の考え方でございます。
○松永忠二君 それじゃ聞きますが、一・七というのは、一体、今度の新しいので言うと幾つになるんですか。四・三というのは幾つになるんですか。それじゃ、いつ国民所得計算のあそこの数字を変えるんですか。その期日を言ってください。
○政府委員(青木慎三君) 先ほど申しましたような事情でございますので、実際の速報の数字が四十九年度出てまいりますのが、恐らく五月の終わりから六月の初めごろだと思います。そこで……
○松永忠二君 幾つになるかと聞いているんです。そんなこと言わぬで、一・七は今度の改めたので言うと幾つになるんですか。
○政府委員(青木慎三君) それは、正確に計算するわけには現在の段階ではできないわけでございます。
○松永忠二君 全然できないの。
○政府委員(青木慎三君) 困難だと思います。
○松永忠二君 総理大臣、そんなばかなことがありますか。来年は、ことしはマイナス一・七%で四・三%と、こう言って、そうして物価はこれだけですと、こういうようなことを言い、また、雇用所得でもそれを使って説明をしているのに、はっきりした数字はわかりませんと、コンピューターを崩しちゃったと。あなた、そんなばかな話はないじゃないですか。それならなぜ先に、機械で、一・七は幾つになって四・三は幾つになる、だから来年は数字はこういうふうに改めますとなぜ言わない。それじゃあなた、全く国民をペテンにかけていることじゃないですか。物価指数の方ばかりそのままにしておいて、経済成長の方は全然数字ははっきりわかりませんと。そんなばかなことはできるわけがないでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) その問題は、私もまだ事務当局から報告を受けておらぬ、そういうものでありますから、松永さん御心配の政府の見通しと実績がどういうふうに関連しておるのかということにつきましては、明快に説明できるようにはもちろんいたします、これは。
○松永忠二君 この点だけは私は最後に時間を保留しておきますよ。 そこで、私はなお副総理にお聞きをしたいんですが、個人消費の落ち込みがひどい。従来の景気後退時の実質個人消費支出の動きから見ても、全然、個人消費のいわゆる停滞が続いている。こうなってくると、静かな経済成長というのも大変むずかしくなるんじゃないかと。そうなってくれば、賃上げをマクロ的に日本経済の安定成長要因に転化をするというような、こういうことの方が好ましいんじゃないかという意見が出ているが、この点については副総理はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、夏ごろから徐々になだらかな成長過程に入るという経済状態を展望し、それに対して施策を進めるという考えですが、これは大局的に申し上げますと、国民経済の中で一番大きな需要要因、これは国民消費です。これはいま沈滞をいたしておりますが、しかし、この沈滞しておる理由というものを考えてみると、これはいろいろありますが、大きく分けて二つじゃないかと思うんですよ。一つは、非常に諸物価が上がった、その上がった高値安定の、その高い価格に対する国民の拒絶反応、これがある。それからもう一つは、これはやっぱり世の中が大変だなと、省資源、省エネルギーといいますか、生活態様の変化、順応というものが出てきておる、こういうふうに見ておるのです。そういうことを考えますと、これからのなだらかな成長過程への転換ということを考える場合に、個人消費支出にその主導的役割りを期待するというのはこれは私はむずかしいと思うのです。これは徐々には個人消費も上がってきますよ、しかし、これが景気牽引の中心となって働くというふうには考えておりません。 それから、第二の経済要因である設備投資はどうだというと、一昨年の大変な過熱状態の景気ですね、その中で各企業とも二、三年先を見てみんな壮大な設備投資をしています。だからこそ今日稼働率が非常に悪いという状態になっているんです。ですから金を仮に貸しましても、業種によっては、例外はありまするけれども、おしなべて申し上げますと、これは設備投資、そういうものはあまり起こってこないだろう、こういうふうに思うんです。これは多少ありますよ、ありますけれども、総体として設備投資が景気上昇への牽引力となる、こういうふうな感じはしない。そうすると、輸出はどうだというと、海外の輸出環境は非常に悪い。現に輸出もだんだんと鈍化しておる。そういうような状態で、これに景気回復の役割りをということも期待しにくい。 そうすると、どうしてもこれは財政と個人住宅投資、こういうことになっちゃうのです。でありますので、この財政を、第一次、第二次不況対策に見られるように、これを対策の主軸とする、こういう考え方をとっておるわけでございますが、そういう手法をもちまして景気をなだらかな軌道に乗っけていく。その中でまた個人消費、これなんかにつきましてもだんだん高値安定のその高値に消費者もなれてくる、そこでまた消費意欲というものも起こってくる。他方、物価がとにかく安定するという感じを持っていただけると思うんです。そういうことから、また個人消費もやや刺激されるという形になってくるのじゃないか。とにかく財政に中心を置いた経済運営ということにならざるを得ないだろう、こういうふうに考えております。
○松永忠二君 あなたの言った財政を中心にして、住宅だとか、そういうふうな公共事業についてあれをするということを別に悪いと言っているんじゃないんですよ。しかし個人消費がこれだけ落ちているわけだから、落ちているということばかりあなたは主張するけれども、それを少し上げる方法があるのじゃないかということを私は言っているわけですよ。そういう方法として、適当なやはり賃上げがなければ個人消費が上がらぬじゃないのかということを言っているわけですが、そこで、これは大臣から聞きますよ。 企画庁が出した、例のいわゆる雇用所得が五十年度の経済、特に物価にどのような影響を及ぼすかという試算表を出しましたけれども、これには労働生産性とかあるいは労働分配率というのは変動しないものとして計算されていると私は思うんですが、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) あれはいろいろ経済要因がありますけれども、御指摘のような経済諸要因は変動せず、そういう前提で賃金だけが一〇%上昇、一五%上昇、二〇%上昇、こういうことになった場合に、それが消費者物価にどういうふうにはね返ってくるかということを試算したものです。
○松永忠二君 いま所得政策論争でほとんどもう定式化されているのは、物価といわゆる賃金をすぐやるのじゃなくて、物価と賃金と生産性と分配率というものの変数の定率化を図るという悪例の恒等式というのはほとんど権威化されているわけなんですよね。全然生産性も変わらぬ、物価も労働分配率も変わらぬようなものを出して、すぐいわゆる賃金と物価と直結するようなものは、これは非常に誤解を生むものだと私は思うんですよ。これは私はいまやそういうものじゃない。それは物価と賃金と生産性と分配率——企業者の努力だって当然なことだし、そんなものは全然考えなく試算を出しているというのは少し私は理解に苦しむ。 そこで、日本の労働分配率というのは国際的に見て大変に低くて、かつ下がっていく傾向にあるという、そういうことは副総理、御理解されているんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 労働への分配率ですね、これは諸外国に比べて日本は低いんです。低いんですが、最近はかなり高くなっている、こういうふうに承知しております。手元に資料を持っておりませんが、政府委員から……。
○松永忠二君 いや、もういいです。
○国務大臣(福田赳夫君) 最近は高くなっているはずです。
○松永忠二君 いや、そうばかりいかぬ。これは定説のあるところであって分配率はうんと低い、国際的にも。現に通産省が出した資料にも出ている。 そこで、またこういうことも事実じゃないんですか。製造業を特に考えると人件費の比率というのは、四十六年度以来一・三%台、大きな変化はない。かつ国際的に見ても人件費の比率は低い。これも大臣、常識として御存じでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 人件費比率は低いことは知っておりますが、最近の情勢がどうなっておるかですね、それをちょっと伺って……。
○松永忠二君 よろしゅうございます。これまた常識的だと思うのですね。 それで、しかも個人消費の支出は国際的に低い。かつ近年低下の傾向にある。生産の条件は世界トップクラスだけれども、生活条件は世界最下位クラスになるというのは国民生活白書なんかに、四十四年度版にそういうことが出ている。四十四年以後はこういうことをやらなくなっちゃった、これ大分やられて。しかし、とにかく個人消費支出が国際的に低い。しかも数字もありますけれども、これは調査室から出している資料ですが、こういう低下傾向にある。それでしかも、生活の環境条件というのはいわゆる世界のほかの先進国に比べて低いという、これは常識だけれども、念のためにひとつ副総理にお聞きします。
○国務大臣(福田赳夫君) 国民総支出の中における国民消費支出比率、これは諸外国に比べるとわが国はやや低い方に属します。そのとおりです。
○松永忠二君 そうなってくると私は分配率も低い、人件費も低い、しかも個人消費も低い、しかも生活環境条件は悪いということになり、しかも個人消費の低下、うんと下がってくるということになれば、これはやっぱり賃上げをして、そういうふうな面で個人消費を刺激すると。何も賃金を上げることは物価を上げるということだけでなくて、別な面でいえばどこの国だってそれをいわゆる一つの景気刺激の政策というか、一つのあれとしてやっていることも事実だろう。 そこで、日本生産性本部の例の金子さんという人がこういう方式を出しましたな。物価指数が、物価の上昇が一五%なら定給を三%にして一八%だ、五十一年度物価が一〇%なら、それを加えて二三%、大体そこらがめどじゃないかと、こう言ったけれども、こういう考え方についてはどうお考えでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) あれは企業の賃上げ率の考え方としての一つの基準について考え方を示したものだと思いますが、あの考え方というのは物価だけを考えてやっておられる考えのようです。しかし、賃金を決める要素というのは物価だけじゃないんです。これは労働の需給の問題もあります。それから企業の経理、採算の問題もある。そういういろんな要素で決められるんであって、物価だけで賃金水準を決めるという考え方は、私はこれは妥当でないと、こういうふうに見ております。
○松永忠二君 ただ、それはあなたの見解だと私は思いますね。私はいま言ったとおり、今度は非常に個人消費の率は下がっちゃっている。しかもあなたの言っている財政とかそういうところでやることも事実だけれども、個人消費を高めるという意味から言って、しかも労働者の賃金というのは、いま言うとおり国際的に見ても、分配率から言っても、人材費から言っても——人材費が上がらぬということは大体吸収しているという面もあるわけです。だから、このところのいわゆる賃上げというものは、やはり日本の経済の回復というものに一つの大きな役割りを果たすというくらいな意味は認めなきゃならないと私は思うんですよ。そういう点を私は申し上げているわけなんです。余りひどいことをおっしゃったり、抑制をしたり、特にこれはけしからぬと私は思うんですが、鉄鋼とかそういう大手の十三社の社長が集まって、一五%以上に鉄鋼が回答するようなら一トンについて一万円以上の値上げは認めないというようなことを決めたことは、これはどういうことになるでしょうかな、ちょっと合点いくようにひとつ聞かせてください。
○国務大臣(福田赳夫君) 鉄鋼会社の社長さんたちが何か話し合って決めたという話は、何も聞いておりませんです。
○松永忠二君 いや、聞いたらどうする、どう思うと言うんですよ。
○国務大臣(福田赳夫君) 賃上げが、どういうんですって。
○松永忠二君 一五%以上に鉄鋼が賃上げを回答すれば、もう造船とか電機とか、すべて大きなメーカーの大社長が集まって、鉄鋼が一トンについて一万円値上げをするのを承知しない、一五%以内で回答さえすればそれは認めようと、こう言うんですよ。これはもう労働大臣に聞くまでのことはないけれども、あれはけしからぬと思うんですよね。
○国務大臣(福田赳夫君) お答えします。 いま、大企業が賃金問題で非常に苦悩をしておる最中で、いろんなことを構想されるだろうと思うんです。それについて私がとやかく介入をいたすことは妥当でないと、こういうふうに考えますので、お答えは差し控えさせていただきます。
○松永忠二君 そこで、新経済計画というものを六月に諮問をして、年末までに答申を得ていくと。静かで控え目な成長を望むという点から言えば、わが国の経済政策の大きな方向転換を示すものとして非常な大きな役割りを持つと私は思うんですけれども、これは総理、政府としてその政策策定に当たって、どういう点を留意するお考えでしょうか。特に、いままでのいろいろな計画の中で、国民所得倍増計画というのが一番国民に親しまれたものなんです。あるいはまた、計画の想定したものと現実とうんと違っちゃっているということも事実だし、まあおっしゃるように、生活関連の社会資本をどうするとか、社会福祉部門をどうするとか、いろんな面がある。あるいはいわゆる別の国民指標を入れていくとか、あるいは資源とか、エネルギーの蓄積だとか、あるいは自給率とか、そういうような問題、あるいは財政、金融というような負担率をどうするかというような問題、いろいろあると思うんです。抱負経綸が私は副総理に相当あると思うけれども、まずひとつ総理にこの点について御意見があったら聞かしてください。
○国務大臣(福田赳夫君) 先に私の方から。 国際情勢を考えてみると、これは資源有限時代と、こういうかなり長期にわたる情勢になるであろうというふうに考えられるんです。そういう中で、資源に乏しく食糧に弱いわが日本としてどういう政策態度をとるか、そういう問題ですね。ですから、そういうことから考えまして、もういままでの進め進めの高度成長政策、これはもう是正をしなけりゃならぬ、そこで新しい道を探る、こういうことになるわけでございまするが、その新しい道を今年いっぱいに大方策定をしようと、こういう考え方です。 その考え方の主軸となる問題は、主要な点を申し上げますと、一つは成長の高さの問題です。これはいままでは先進諸国の二倍半に近い速度、一一、二%成長というような状態でありましたが、もうとうていそれはできない。そこでもうこれがまあかなり下がるわけでございますが、やっぱり私は国際水準というところを目安にすべきだと思うんです。いま、世界じゅうが混乱期でありまするので、その国際水準がどの辺にいくのか、これ、いま非常に測定困難な時期でありますので、少し時間をかけて、国際社会の動きを見て、わが国もそれに順応するという高さの成長、これを考える。 それからもう一つは、成長の質的側面です。一つ大事な問題は、やっぱりそういう世界情勢に順応してのわが国の経済政策転換でございまするから、やはり省資源、省エネルギーということに、財政もあるいは企業もあるいは家庭も徹すると、こういう考え方が、この新しい構想に貫かれなけりゃならぬだろうと、こういうふうに思います。 それからもう一つは、そういう低成長というか、低目の成長になりますので、わが国の経済力を、次の成長にいままでのようにそう大きく投入する必要はないんです、これは。そのかわりにわれわれの生活周辺、生活環境の整備、これに国力の多くを投入する、こういう考え方をとらざるを得ないと思います。 それからもう一つ、大きく考えておかなけりゃならぬ問題は、これは高度成長時代には、これは高度成長の成果に国民ひとしく均てんをすると、小さい、弱い立場の人までも、ああ去年よりはことしはよくなったという満足感があったと思いますが、低い成長の時期になりますと、その成長の均てんという問題が非常に狭くなってくる、そういうふうに思われるんです。 そこで、三木首相の、いわゆる社会的公正といいますか、弱い、小さい立場の人への配慮というものが諸政策の中で貫かれなけりゃならぬ、こういうふうに思いますが、そういうことを総合いたしまして、この成長の高さも考える、また同時に、内容、質の問題につきましても転換を行う、こういう考えでございます。
○国務大臣(三木武夫君) いま、福田副総理の言われておりましたように、私もこういうふうに考えるんですよ。第一、国民の意識の変化も一あるでしょうね、量的拡大というのでなしに、もう少しやっぱり生活とか、生活環境とか、福祉とか、そういう生活の内容を充実しなければ、量的拡大だけでは人間幸せにならぬという大きな意識の変化もある。また資源の問題も、これはもう資源というものは、いままでのように金さえ持っていけば買えるという時代ではないんです、値段も高くなるんですね、高資源時代である。またそんなに需要に応じて必ずしもそれは供給しないかもしれませんね。計画的な生産をするかもしれません。資源の制約もあるし、環境問題はこれだけやかましい、環境、公害問題というのはますますやかましくなる。だから、いやでもおうでもここでやっぱり大きく日本経済というものは、転換期を迎えざるを得ないところに来たわけですね、内外の条件が。 だからもう、再び夢よもう一度という時代は来ないのです。まだまだ、インフレの問題についてもインフレマインドがあるということは、またもう一遍昔のような経済に返るというものを期待する者もあるでしょうね。そういうところで、これは大変なことだと思うのですね、この転換というものをスムーズに持っていって新しい軌道をつくり上げるためには。そうなれば、やはりいろいろな企業に対してもいままでのような、何というのですか、資源を浪費型というよりも、できるだけ資源を節約するような産業構造に、これは一遍にはできませんが、変わっていかなきゃならぬし、設備の投資の面においてもやっぱり新しい技術の開発とか、公害防止のいろいろな技術開発とか、いろいろな産業の投資というものに対してもいままでと変わってこなきゃならぬ。また個人の、国民生活の面でも、いままでのような大量に商品を使い捨てみたいなわけにもいかない。物を大事にするような時代にもなってくる。ある意味において簡素な生活に変わってこなくてはならぬし、大きな転換がくるわけですね。 そういう場合に、私はこれからの政治で考えなきゃならぬことは、やっぱりいままでおろそかにされてきた人間の生活を大事にするということだと思いますね。それは何かと言ったら、生活の環境だって整備されていないですから、こういう方面に力を入れていかなきゃならぬ。それからまた、いろいろな国民の、一つの政治に対しての公平といいますか、公平な政治というものに非常に国民の目が厳しくなってくると思います。この予算委員会でも、税制などについてもいままでにないいろいろな御批判も出ておったわけですから。公平なことというのは、いままでのような高度経済成長でないですからね、そうなってくると、やはり周囲の生活というものもお互いに目につく時代になってくるわけですから、公平な政治をやっていかなきゃならぬ。 そうして、そういう中で必要なことば、やはりある程度の人間としての生活というものが保障されて、そういう何か生活というようなものに対して一つの安定感というものが要るわけですから、社会保障なんかというものはやっぱり大事になってくる。そういうふうな場合、いままでと違って人間の生活とか、福祉とかというものが非常に大事になってくる。そうなってくると、しかも安定成長の時代で財源的にも窮屈な中で、どのようにして国民的ないろいろな要望にこたえていくかということは大変にむずかしい問題が出てくると思うのです。そういういろいろな産業から国民生活に至るまで大きな転換期をこれから迎えてくる。それに対してわれわれが賢明に対処していかないと、これはやはり非常な混乱を起こしてくる可能性がある。そういう時代がこれからの時代であると考えておるわけでございます。
○松永忠二君 日銀総裁にひとつお開きいたしますが、どうももうあと残ったところ公定歩合引き下げ以外にないのじゃないか。しかし、これをやったって大した効果は期待できないのじゃないかという声もありますね。事実、昭和四十七年から四十八年にかけて金融緩和の行き過ぎと引き締め政策への転換のおくれが出たことは、やっぱり日銀が中立性を守れないで、何か政府とかそういうものに引きずられているというような印象を与えていることも事実なんです。日銀法というのは戦前の法律であるし、こういう点で、いわゆる日銀の中立性を明らかにするようなことを明確にしてやらにゃいかぬのじゃないか。昭和三十五年に調査会で答申を受けただけで、それから後こういうところで聞くと、大蔵省も日銀も、たびたび検討します、法改正しますと。一度もそんなこと、やったことがないわけです。そこで、いわゆる公定歩合引き下げの効果あと残るところそれだと思うが、それについての考え方、そうすれば、そういう点でどういういい影響があるというようにお考えになっているのか、あるいはまた少しおくれ過ぎているのは、この前と同じようにやっぱりそういう点で日銀法というものに問題があるのじゃないかということでありますが、二つの点について、改正の問題、公定歩合の引き下げの問題について総裁の御意見を聞かしてください。
○参考人(森永貞一郎君) お答えの前に、お許しを得まして、去る三月二十六日の当委員会集中審議に欠席をいたしましたことにつきまして、一言遺憾の意を表したいと存じます。 出席の御要請をいただきましたのは、二十六日の前日、出張先の熊本においてでございましたので、その後の予定等のこともございまして、前川副総裁を出席せしめたのでございましたが、やむを得ざる事情とはいえ、重要な審議に私自身が参加できませんでしたことを大変遺憾に存じております。当委員会にも御迷惑をおかけいたしましたことを大変遺憾に存ずる次第でございます。今後のことにつきましては、国会審議に一層協力すべく、日程等の調整につきましても万全を期したいと思っておりますので、そのことを一言申し上げた次第でございます。 お尋ねでございますが、まず公定歩合の問題でございます。 現在景気を判断するのに、いろいろな明暗さまざまな事情が交錯いたしておりまして、デリケートと申しますか、なかなか判断のつきにくい情勢になっておるのでございますが、業種により、あるいはところによりいろいろバラエティーはございますけれども、大勢としてはもうこれ以上スパイラルに景気が悪くなっていくという情勢ではないような感じでおります。他方、物価の方も先ほど来問答がございましたように、大分鎮静化してきておるのでございまして、諸外国における公定歩合引き下げの事例等もありますことでございますので、もうそろそろ公定歩合を引き下げるべき時期ではないかというような御議論が方々で行われておることは御承知のとおりでございます。しかし、私はまだいまのところその決心をすべき時期ではないと存じます。と申しますのは、なるほど物価は一応安定いたしておりますが、内部にはコストプッシュの要因がたくさん潜在いたしておりまして、需給が一たび締まればまたぞろ物価が急騰しかねまじき状態でございますので、もう少し諸般の経済情勢の推移を見きわめてからというふうに考えておるのでございます。 公定歩合引き下げの効果につきましていろいろ御議論がございましたのですが、やはりこの金融政策の一つのシグナルでございまして、その効果は相当大きなものがあると存じまするし、また最近企業の金利負担についての問題などが起こっておる、あるいは内外金利差の問題等も、まだ現状におきましては日本経済に対しまして撹乱的影響は及ぼしておりませんが、やはり一つの問題でございまするし、やはり公定歩合の引き下げは引き下げなりの意義があるのではないか。ただ、それをいつ下げるかということにつきましては、まだ決めておりませんので御容赦いただきたいと存じます。 それからもう一つ申し上げなければなりませんことは、金融政策のシグナルとしての意義があると申し上げたわけでございますが、これまた先ほど御問答がございましたように、日本経済のいま置かれておりまする環境から考えますと、昔のような高度成長は許されないのでございまして、資源の制約、公害、環境問題等々考えますと、いわゆる安定成長ないしは低成長に甘んじなければならない状態にあるわけでございます。そういう状態下におきましては、経済全体の運営を引き締めぎみに、抑制ぎみに運営しなければならないわけでございまして、金融政策につきましても、いつの日か公定歩合を引き下げるようなことがございましても、直ちに量的な緩和を望むべき事態ではないのではないかというふうに考えておることをつけ加えて申し上げたいのでございます。 次に、日銀の中立性についてのお話がございました。私ども、この金融政策は国の経済政策の重要な一環でございますので、経済政策全体の方向につきましては、政府と日銀との間に常に緊密なる連絡協調を保ち、大筋の考え方につきましては一致を見る必要があろうかと存じます。その大筋の考え方に立ちまして、具体的な施策の発動につきましては、日銀に任せられた範囲のものは、日銀の責任において、日銀の判断において自主的に実施してまいる所存でございまして、いままでもそうでございましたが、今後もそういう点につきましては遺憾なきを期したいと存じておる次第でございます。
○松永忠二君 日銀法の改正。
○参考人(森永貞一郎君) 日銀法は、御承知のように、昭和十七年の戦時下の立法でございまして、日本銀行の目的、使命等の条項につきましては、戦時統制経済色きわめて濃厚な規定が残っておるわけでございます。運用上は別段具体的に支障があるわけではございません。運用によってその規定の不備を賄っておるのが現状でございまして、すぐに改正しなければならないとは存じませんが、しかし表現、内容その他につきまして、あの後三十何年もたちまして世の中がすっかり変わったことでございますので、新しい事態にふさわしい日本銀行法の改正をいずれは手をつけなければならない、できるだけ早い時期にお願いしたいと存じておるものでございます。ただし、日銀法はいわば金融法の基本法とでも言うべきものでございますので、その改正に当たりましては拙速ではいけません。やはり相当衆知を集め、ある程度の期間をかけまして慎重に内容を審議していただきたいところと念願をしておる次第でございます。
○松永忠二君 外務大臣にお聞きいたします。 ロン・ノル・カンボジア大統領国外亡命は決定的になって、ロン・ノル政権は実質的に崩壊することになった。このカンボジアの大統領の亡命については、内戦を終結させるためにロン・ノル大統領に退陣を日本や東南アジアの諸国の一部が勧告したことが、こういうふうな結果にもなっているというふうなことを言われておりますけれども、このいわゆるロン・ノル大統領の退陣を勧告したというような、そういうふうな関連のことはあったんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 事態が非常に微妙でございますので、十分この席で申し上げられませんことを残念に存じますが、実は過去一カ月近い間、カンボジアの総理大臣等々要路の首脳から、この事態をいかにすべきかということにつきまして、わが国の栗野大使初め、主としてASEANの国々、インドネシア、タイ、ときによりましてフィリピン等々でございますが、しばしば求められまして意見を、一緒になりまして徴せられておるわけでございます。これはこちらから意見具申をしたというのではなく、ここ一、二週間ほど連日のように集合を求められまして、どのように考えるかという意見を徴せられておりまして、その間わが国の栗野大使を初めこれらのASEANの国々は、究極的にはこれ以上カンボジア人の、住民の流血の惨を避けるということがやはり政府としてとらるべき一番大切な目的ではないかというふうに自分たちは考えるということを、ASEAN諸国一致して、わが国もあわせまして、そういう求められて意見具申をいたしてまいったわけであります。具体的にそのために何をどうするかということは、もとよりこれはカンボジア政府首脳の決定すべきことであるということはその都度申し上げつつ、しかし何としても無用な流血の惨は避けられるためにいろいろ方策を講ぜらるべきではないかと、こういうことはしばしば求められましたために、わが国初めASEANの国々の大使の意見として申してきたことは事実でございます。
○松永忠二君 総理にお聞きいたしますが、カンボジア代表権問題が国連総会で討議されるたびに、ロン・ノル政権の議席を与える決議案を日本は支持してきたわけですね。こういうことについての反省と、今後の外交の処理の仕方というものについて、総理はどういうお考えをお持ちでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) その前に一言ただいま申し上げるべきことを補足いたしますが、そのような進言を求められ、いたしたということの背景には、ただいま御指摘の昨年の秋の国連の総会におきまして、カンボジアの事態というのはしょせんカンボジア人によって解決せらるべきものである、それ以外の人々のいろいろな意味での干渉、介入によってではなく、カンボジア人自身によって決せらるべきであるという、そのような国連の決議が御指摘のように成立をいたしました。そういう考え方に基づきまして、わが国初めASEANの各大使が共同でそのような進言をいたしました。こういう背景がございますことをつけ加えさせていただきます。
○国務大臣(三木武夫君) いま外務大臣が申されておりますように、カンボジアの問題はカンボジア人によって決定すべきであるという立場に立ってそのような態度を……。
○松永忠二君 日本の態度ですよ。向こうのことを言っているんじゃないですよ。
○国務大臣(三木武夫君) そのときはやっぱりロン・ノル政権がやっておったわけでございますから、よそから大国の支配でなしに、カンボジア自身によってカンボジアの統治はやるべきである、そういう点で、当時ロン・ノル政権というものがカンボジアの統治に当たっておったわけでございますから、われわれとしては支持したという事情があるわけでございます。
○松永忠二君 私が聞いているのは、そういうふうな情勢の見通しについて、まあ非常に困難であったということもあるけれども、そういうことも兼ね合わせながら、持にそういう外交の面についてどういう反省なり、今後の対処の仕方をするかということをお聞きしているんですよ、将来。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま総理が言われましたとおり、結局この問題は、処理を間違えますと、幾つかの大国がいろいろな意味で各、力につながりかねない情勢であったわけでございます。これはロン・ノル側につきましても、あるいはシアヌーク殿下の側につきましても——ちょっとこの辺は表現は微妙でございますけれども、クメール・ルージュにつきましても、幾つかの大国あるいは隣国等々がいろいろな意味で結びつきそうな形勢であったわけでございますから、決議の趣旨はそうではなくて、カンボジア人においてやはり決定すべきである、民族自決の精神に基づいて決定すべきであるという、それが国連の昨年の秋の決議の趣旨でありまして、したがって、このたびわが国初めASEAN大使が進言をいたしました基本もやはりそこにあった、こういうことでございます。
○松永忠二君 南ベトナムのチュー政権をめぐる情勢というのはどういうふうに見ておられるんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これもまたはなはだ微妙な事態でございますので、十分に申し上げられないかと存じますけれども、要するにインドシナ半島のあの部分におきまして、チュー政権としてはサイゴンあるいはデルタ地帯、またできるならば海岸部に近い人口密集地に軍事的に撤収をして、そして人口密集地を北越あるいは北側の攻撃から守ろうと、こういう意図をしたものと考えられます。 内政的には、チュー政権としてはことしのある時期には総選挙をするということでもあったようでございますので、そのことも考えましてあのような措置をとったのではないか、一応表面的にはそのように解釈をしております。
○松永忠二君 私の方で申し上げます。南ベトナムとカンボジアの攻勢というのは交互に起こっている。したがって、五年前にインドシナ人民首脳会議で固められた解放勢力の連帯というのはいまも生きているのではないか。解放側には、インドシナ全域の攻勢が強まって、全インドシナの情勢は解放勢力の側に有利であると判断されますけれども、この判断は間違いでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 少し長い歴史の流れの中で考えますならば、やはり世界的に一種のデタントと申しますか、そういう情勢緩和の国際的なデタントの中にあって、民族自決主義的な運動が大国の支配を離れて起こりつつある。ことにこの点は、西側陣営の方がそういう点につきましてはやはり何と申しますか、寛大と申しますか、東側陣営においてはなかなか制約が厳しいということもございます。西側陣営といままで考えられていた中において、いろんな意味での大国なり他民族の支配を排して民族自決の動きをしようという、大きく言えばそういう歴史の流れの中においてとらえられるべき出来事であろうかと思います。
○松永忠二君 関連を持っているということでありますが、さっきお話のありましたように、この際、流血と混乱を収拾することが最大の目的でなければならないと思うんですがね、私たちがこのことから受ける教訓というのは、民族主義というものは強いということで、解放側は南ベトナムでもカンボジアでも民族連合政府の方式をいまでも捨てていないし、南ベトナム解放側もそういうことを呼びかけていることは事実だと思う。和平協定は死文化したといった一時伝えられたアメリカ側のその態度ではなくて、事態収拾のためには和平協定に立ち返ることが前提だと考えられるし、日本もこのためにできるだけの努力をする必要があると考えますけれども、この点については外務大臣と総理大臣にひとつお聞きをいたしたいわけです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的には松永委員の御指摘になるとおりであると思います。ことに和平協定の中で、これは戦争によってではなく外部勢力は軍事的なこれ以上の追加援助をしないという条件のもとの中において、当事者たちが話し合いをして決めていくべきであると、そういう大筋の精神は私は御指摘のとおりだと思います。 具体的な問題になりますと、サイゴン政権と、それからいままあ解放政権と言われました、これは一方の当事者というふうに規定されておりますが、それと、そのいずれにも属さないいわば第三者的な中立的な勢力とが、三者で話し合いをして、そして一つの選挙でございますかにまで到達をして、一つの和解に達して、その後にハノイ側と——南越と北越とのさらに話し合いということになっておったわけでございますが、その、いま中立的な第三勢力なるものがここで求め得るかどうかということには、この段階になりますと問題があると思いますけれども、しかし、基本的に外部からの軍事的な支援を、増加的な支援をとめることによって、民族同士が話し合いあるいは選挙等によって問題を片づけていくべきであるというパリ協定の精神は、これはやはり今後この問題を解決するための指針でなければならないと思いますし、わが国としても、当事者ではございませんけれども、その精神を尊重していくべきであると考えます。
○国務大臣(三木武夫君) ベトナム問題の解決というものは、パリ協定の原点に返るよりほかないと。ほかに解決する方法はないわけですから、これはやはりいま外務大臣の申しておったように、これに立ち返って、そして解放側と南ベトナムあるいは中立というような、南ベトナム人同士でこの問題の解決に当たると、日本もそういう原則の上に立って、日本のできることは限られておりますけれども、そういうふうな原則が達成できるようにできるだけの努力をするということだと思うんです。
○松永忠二君 外務省は、南ベトナムとカンボジアのいわゆる軍事情勢の緊迫化について、ベトナム和平協定を基礎としたわが国の対インドシナ政策というものを根底から揺るがしかねない、したがって、南北ベトナムに対する復興援助の再検討に迫られているというふうな態度をとっておられるようでありますけれども、南ベトナムに対して四十九年に九十億の無償援助を、三月二十八日の駆け込みのようなかっこうで閣議で決定したというのは、全くこの方針が一貫してないと私は思うんですが、これはどういうわけですか。それからまた、北ベトナムの来日中の経済使節団が具体的にいろいろこういうふうな経済交流の問題点を話をしているけれども、まことに冷淡で、ほとんど取り扱いを正面からやってない。あるいは、こういう状況の中じゃ大使館開設も考えなければならないというようなことも一部に伝えられているようなことで、特に駆け込みで三月二十八日、もうこんな緊迫した情勢の中でこういうことをやったことについて南ベトナムの臨時革命政府は非難の声明をしていることも事実。われわれから言っても、ちょっとこれはベトナム和平協定を基礎として南北に対してということであるなら、少しへんぱなやり方じゃないのか。また北ベトナムについての、わざわざ来ているものについての話し合いを十分しておくというような必要もあるのじゃないかと思うが、この点については外務大臣どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のようにただいま南と北、両者に対する経済協力の問題があるわけでございます。南ベトナム共和国政府、サイゴン政府に対しましては御指摘のように先日経済協力分を決定したわけでございますが、これは事態がこうなりまして、駆け込みということでは実はございませんで、かなり長い前から話がございまして、ことしの一月であったと思いますが、先方から主管の大臣が見えまして、私と大筋の話をいたしました。ただ、その内容はこれは従来からも気をつけてはおったつもりでございますけれども、民生の安定に役立つような商品援助というふうに考えまして、肥料でございますとか農業関係のもの、器具等々を主体にいたしまして、合計九十億円になるわけでございますが、これをちょうどわが国が年度末になってまいりましたので、ちょうどそういう時期もございまして、先般サイゴンにおいて署名をいたしました。これはしかし、このような事態になりますことを私どももとより予想いたしておったわけではございませんので、かなり長い期間におきます交渉の結果を先般署名をいたしたということであります。 内容につきましても、これがいわゆる軍事的な潜在力になりませんような配慮はいたしております。 それからハノイ政府との関連におきましては、これはもっと長い、何カ年かにわたる交渉であったわけでございますが、先般とりあえず五十億円の経済協力、経済援助——これは無償でございます——を決定いたしました。その内容は、これも同様な配慮から、いわゆる戦力増強というようなものになりませんような種類の援助の内容をただいま東京において先方の使節団と政府との間で話し合いをいたしておりますが、まだ品目としては最終的には全部決定いたしておりません。先方もわが国のそのような立場については十分協力的でありまして、いわゆる軍事的な物資というようなものは含まないということは両者の間に十分了解されております。 別途、わが国の大使館をハノイに開くということもほぼ最終的に決着をいたしました。したがいまして、ここ数日あるいは一、二週間のうちにそのための要員を先方に送りたいというふうに考えております。
○松永忠二君 この際、朝鮮外交の問題について少しお尋ねをいたしますが、三木内閣の朝鮮外交の基本方針というのは一体どういう方針ですか。これは総理から聞きたいです。
○国務大臣(三木武夫君) 日本の基本的立場は、朝鮮半島というものの緊張が緩和されることを望んでいる。やがて朝鮮民族の悲願である南北が平和的に統一されることをわれわれは願っておるものでございます。しかし、現在は御承知のように二つの政権があることは現実である。韓国に対してはわれわれは外交関係を持ち、また韓国の民生の安定、経済、自立の達成に対して、経済の協力、技術協力を行っておるわけでございます。また、北朝鮮との間には国交関係はございませんが、やはり人的あるいは文化的、経済的交流というものを積み上げていくことによって、そして接触を保っていきたい、こういうことが基本的な考え方であります。また、せっかく南北の対話が開かれたわけですから、この対話がやはりまた実を結んで、南北の間に平和的に話し合いができるような環境が朝鮮半島に生まれてほしいということを心から願うものでございます。
○松永忠二君 そこで、その方針はわかりましたが、私は朝鮮民主主義人民共和国を承認する障害というのはいまやなくなっているのではないか、また、承認する時期にきているのではないかという問題であります。朴大統領の南北同時国連加盟提案を日本は支持している。また、いわゆる南北対話の促進、継続、南北共同声明を歓迎をしているし、現に第一委員会は南北朝鮮が同時に招聘もされている。あるいはまた世界保健機構にも参加をしている。朝鮮統一復興委員会も解体をされたし、安保理事会は国連軍司令部の解体を検討するような、南北とも同時に承認するということは何も障害をしているわけでもない。しかも、国連の一連の決議というのは、いずれも朝鮮に軍隊による武力侵入を原因としたものとして決議が上がっているわけなんで、もういまやこれはほとんど実体はないわけです。そうすると、どこに一体承認の障害があるのか。もうすでに障害はないとすべきではないかというふうに思うのですが、これはどこに障害があるんでしょうかね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに、いっときは南北で対話を開くというところまで事態はいったわけでございますが、どうもその後、ことに最近は、大きな規模ではございませんけれども、かつてのような平和状態、平和を望む状態よりはいろいろな、小規模ではあるけれども衝突が起こったりしております。他方で、しかし政治的な色彩のない国際的な会議には、南北がいわば同席をするということに韓国政府としても反対ではないとの立場を最近はとるに至っておりまして、御指摘のようにWHOであるとか、そのような会合には北鮮の代表も出るというようなことになってまいりました。 私どもが一番考えておりますのは、そのような南北の対話というものがせっかくいっときあそこまでいきながら、やや後退しておるような現状におきまして、わが国が北鮮を承認するというようなことになりますと、朝鮮半島におけるかなり微妙なバランスというものがそれによって変化をする。変化をすることは避けられないと存じますが、そのことが朝鮮半島全体のこれからの平和、あるいは将来の望みであるところの統一に来たしてプラスになるであろうかならないであろうか。ことに、韓国とわが国とは国交関係を長いこと持っておりますし、いわばそういう意味で深い関係にあることはこれは事実でございますから、将来の統一ということに向かって、ただいまわが国が北鮮承認にわが国だけで踏み切るということが果たしてプラスになるか、あるいは撹乱要因になるかということは、かなり考えなければならないところであるというふうに思っておるわけでございます。他方で、人道的な、あるいは経済的な、文化的な交流は北鮮といたしておりますことは、これは御承知のとおりでございますが、わが国として、いかにもわが国にとって近い国であり、かつ、わが国の影響力が大きい地域でありますだけに、現在の微妙なバランスを崩すことが、果たして将来の両者の平和的な関係、あるいは最終的には統合といったようなことのためにいいことであろうか悪いことであろうかということについて、十分に見定めなければならないという考えをいたしておるわけであります。 他方で、ちょっとお触れになりましたクロス承認という問題がしばしば話にはなっておるわけでございます。すなわち……
○松永忠二君 クロス承認と言ったのじゃない。
○国務大臣(宮澤喜一君) よろしゅうございますか——それじゃ、ここで聞かしていただきます。
○松永忠二君 いや、両方承認することをそれぞれ別に異議を唱えてない。一体、同時承認をしている国はたくさんあるんじゃないかと。
○国務大臣(宮澤喜一君) わかりました、クロス承認のことでなければ……。 そういう点では、わが国としては、いかにもわが国の影響力が大きい地域でございますだけに、現在の微妙なバランスを確たる見通しがなしに崩すことはいかがなものであろうかという気持ちを基本的には持っております。
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。
○松永忠二君 私は素人で余りよくわからないんですが、今度の国会を通じて外務大臣が、パレスチナ解放戦線の承認の時期もまたあるというような答弁をいたしましたね。私は、いまの説明と、中東アジアにおけるパレスチナ解放戦線の持つ意味とを比べてみて、たまたま——パレスチナ解放戦線を承認することに別に反対じゃないけれども、それならもっと先に承認する、もう朝鮮民主主義人民共和国なんというのは、それより先に承認するようなものじゃないのかと私は思うんですがね。これは素人判断で、間違いでしょうかな。
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国として非常に地理的にも近く、歴史的にも沿革的にも関係の深い朝鮮半島であり、また、現在わが国の影響力が何といっても非常に強い地域でございますから、私どもとして、できるならば、先ほどちょっとお触れになりましたいわゆる朝鮮半島における国連軍の帰趨をどうするかといったような、そういう問題との関連で、国際的な場の空気をもう少し改善していく、この問題につきまして——というようなプロセスをやはり必要とするのではないかという判断をいたしております。この点は、お聞きようによっては、いかにも慎重ではなくて、むしろ憶病ではないかというような御批判があるいはあろうかと存じます。しかし、いかにもわが国の影響力の大きい地域でございますだけに、その間の朝鮮半島における、ともかく平和が保たれておるというバランスを悪い方に変えてはならないという配慮をやはり特段に必要とするのではないかと、ただいまとしては考えております。
○松永忠二君 そうすると、三木内閣は、一体佐藤内閣や田中内閣のときの朝鮮政策と、どこが一体前進しているんですかね。国連でああいうふうな決議が次々なされている現段階における三木内閣の朝鮮対策の方針と何にも変わりはないでしょう。前進は何にもないじゃないですか。どこが一体前進しているんですか。どこを前進させようと総理はお考えになってるんですか。
○国務大臣(三木武夫君) 外交政策が前内閣と常に変わらなければならぬとは私は思ってないんです。ところが、やっぱりこの朝鮮米島の問題というのは、日本の立場というものは一日も早く円満な南北の対話というものが再開をされて、南北の緊張が緩和されるということに対して日本は願っておるわけですね。現実に二つの政権があることは事実です。ところが、いま松永さんの言われたように、北朝鮮の承認問題というものはやはり相当変化を与えますからね、朝鮮半島に。日本が考えなければならぬことは、日本の行動というものが朝鮮半島に対して何らかの緊張をもたらすような材料になるようなことはしない方がいいと、そういうふうな立場で、北朝鮮の承認問題というものは政府が慎重に取り扱っていきたいという態度は、これは私は当然のことだと思う。これは遠方のことではないんですからね。朝鮮半島における影響力というものはやっぱり日本なんかは最も強い国の一つですからね。だから、この外交政策というものが非常に慎重な外交政策をとるということはまあ当然のことだと思うわけでございます。
○松永忠二君 私は、外交の政策が慎重であることは何も差し支えはないと思うのですがね。ただしかし、いまお話しのとおり、インドシナ半島の情勢を見ても、世界の情勢を見ても、いわゆる民族主義あるいは第三世界の力も伸びてきている状況であって、また、そういう中で南北の対話を促進しようというなら南北に同じような情勢をつくっておかなければ、片方へばかり力を入れて片方へ力を入れなければ、それは本当の意味の南北のいわゆる対話にならないじゃないですか。だから、何かこっちの方が慎重にせにゃいかぬという考え方には私はとても賛成はできませんし、何も口でいろいろ言うけれども、前進はちっともしないじゃないかと、同じことをやっているのじゃないかという感じを強く私は持ちます。 そこで、まあ実はまだいろいろ質問したいこともありましたけれども、さっきの福田副総理の答弁も聞いた上で、また少し私質問もいたしたいので、時間をひとつ残さしていただきます。 そこで、なお一つお聞きをいたしますが、上田委員に、これ、予算委員会の終了までにシーレーンに関する日米軍事秘密協定についての調査結果を説明するというお話がありましたが、私一番しまいでありますので、これ、説明をお願いいたします。
○国務大臣(坂田道太君) 三月の八日、予算委員会総括質疑におきまして、有事の際に米第七艦隊を主軸として、ハワイ、グアム、フィリピン、横須賀を結ぶ海域で日本の分担を決めた日米軍事秘密協定があるのではないかとのお尋ねでございましたが、そのような秘密協定は存在しておりません。日米両国は有事に際しましては日米安保条約によりまして共同して対処することになるため、平素から両者の間で相互に密接な連絡をとりまして意思の疎通を図り、緊密な関係の維持に努める必要がありますので、統幕並びに陸海空幕がそれぞれ随時在日の米軍司令部あるいは陸海空軍司令部の幕僚とわが国の防衛に関する意見の交換、研究等を行い、意思の疎通を図っておる状態でございます。
○政府委員(丸山昂君) ただいま私どもの長官から申し上げましたとおりに、この日米間におきます協定は現実にはございません。しかしながら、私どもこの前、上田議員の御質問に対しまして、四護衛隊群の二十五万トンを整備することで十分なのかというお話がございましたけれども、実はこれはいろいろな前提があっての上のことでございまして、当然、日本の周辺海域におきまして海上交通の保護の万全を期し、対潜能力を強めるということになりますと、これだけの数量で万全を期するということはきわめてむずかしいという事情にございます。御案内のとおり、アメリカの海軍力によります、また空軍力によります周辺海域におきます制海圏の確立ということが前提になるわけでございまして、陸上部隊につきましては、一朝有事の際に独立で処理をしていかなければならないという宿命にございますけれども、海、空等につきましては、当初からアメリカの在留部隊あるいは来援部隊というものの兵力を計算に入れなければできないということでございまして、論理的には当然日米安保条約の前提下におきましてアメリカとの間に細かい作戦の打ち合わせということをやっておかなければならないのでございます。そこで現実は、先ほど大臣から申し上げましたように、その細かい取り決めというものはできてない、現在は制服レベルの研究ということに終わっておるということでございまして、やはりこの点については今後のわが国の安全保障をどう持っていくかという場合におきまして根本的に解決されておかなければならない前提であるというふうに考えておるわけでございます。
○上田哲君 ちょっと簡単に。 防衛庁長官、この件について近々シュレジンジャー国防長官と話をされて検討される予定がありますか。
○国務大臣(坂田道太君) ただいま防衛局長からお答えを申し上げましたとおりに、日米安保条約というものにつきまして、やはり日本の防衛を考えていく場合においては、ある程度詰めを行わなけりゃならないというふうに私は考えます。したがいまして、日米の防衛の責任者同士が話し合う必要があるというふうに考えております。昨年、田中元長官はシュレジンジャー米国防長官と会いまして意見交換をいたしましたが、今回はシュレジンジャー長官を日本にお招きをしたいというふうに考えております。その時期等は、国会終了後の近い機会に手続を踏んで進めたいというふうに考えておる次第でございます。
○上田哲君 そこでこれをやるんですか。
○国務大臣(坂田道太君) そのことも、御指摘のございましたこの問題をも含めまして、この日米安保条約の円滑な運用に関しましてお話し合いをいたしたいというふうに考えております。
○上田哲君 先般御質問をいたしました際には、とうてい思い当たるところがないと、こういうことでありました。調査の結果を承りますと、それとは全くかけ離れた非常に注目すべき諸点が明らかになったと思います。 第一は、防衛局長が明らかにいたしましたように、従来から議論をされていた周辺二十五万トンの艦艇総トン数による海上防衛、これはそれ単独では防衛構想は成り立たないのであるということがここで明確に報告をされました。つまり、これは防衛局長の書架をかりれば、当然アメリカ海軍の制海圏が計算に入っておると、こういうことが明らかにいま言葉の上でも出てきたわけであります。したがって、二十五万トン、これ以上の増強計画は持っていないわけでありますから、必然的に海の防御構想を構築をするということの中には、第七艦隊とのシーレーンに基づく軍事協定ということが前提となっている。このことは、いまの点から明らかになってきた。その検討が行われているということが長官からも言われたわけでありますし、さらに、この点を含めて近々、国会終了後に、これはレアード以降初めてだと思いますけれども、シュレジンジャー国防長官がやってきて日米の防衛最高担当者がこの点について話し合いをすると。これはつまり、これらを一口で言うならばシーレーンに基づく軍事協定というものが海の防衛構想を確立をするという立場に立つ限り、避けては通れないのだということが明らかになったわけであります。私は、きょうは関連質問でありますから、大変この問題を重視いたしまして、議論を深めたいとは思いますけれども、そのことは後の機会に譲りますけれども、この機会に総理からしっかりひとつ承っておきたい点を指摘をいたします。 第一は、今日明らかに二十五万トンの軍事増力に基づく防衛構想の重要な側面として、第七艦隊との軍事協定、このことが避けては通れない問題として、防衛局長の言葉をかりれば、検討をしているということは明らかになっているわけでありますから、こういう問題を特にシビリアンが、内局が全くわからずに、ユニホームが、つまり制服がと、さっきの言葉にもありましたけれども、検討を進めているというところがきわめて重大であります。したがって、政府としては政府の責任においてシビリアンコントロールを強化されて、このような検討が行われているのは内局ではなくてユニホームであるならば、制服のコントロールを十分にされて、この問題を、この協定が存在することは制服間では事実でありますから、これは制服間の常識になっていることなんでありますから、すみやかに提出をしていただきたいということが一つ。 それから、シュレジンジャー国防長官を迎えての日米軍事最高首脳の話し合いが行われるということになるとすれば、そのこと自体は安保条約の範囲内であるとしても、少なくとも第七艦隊と共同行動をとる海域協定というようなことは、今日海洋法会議その他の問題とも関連があり、海が大きな問題としてクローズアップされているところでもありますから、その意味では第七艦隊というのは明らかに戦略攻撃部隊でありますし、この第七艦隊と日本周辺海域を協定をして海域設定をするというような話し合いを日米軍事担当責任者が行うということは許されるべきことではありません。この点については、こういう話し合いをその中には含めないということを総理から明確にひとつ伺いたい。横須賀のミッドウエーの母港化ということの問題は、ここに非常にかみ合っておりますから、この二点を明確に伺いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 防衛庁長官からお答えいたします。
○国務大臣(坂田道太君) ただいまお答えいたしましたのは、この日本の防衛というものを考える上において日米安保条約というものがいかに大事であるかということでございまして、そういうことにつきまして責任者同士が常時話し合うということは、私は非常に大事なことであるというふうに考えておるわけでございます。その意味におきまして、先年、山中長官が向こうでお会いになりましたし、また今度は、ひとつシュレジンジャー氏にこちらへ来ていただいて、いろいろの問題についてお話し合いをしたいということでございます。
○上田哲君 まるっきり答弁にならぬ。
○松永忠二君 私もちょっとそれは疑義があるから、またあと残った時間にやりますから、きょうはこれでやめておきます。
○上田哲君 シビリアンコントロールをいいかげんにしてもらっては困る。日米軍事首脳会談の中にこうした問題が入ったことはないですよ、いままで。
○国務大臣(坂田道太君) シビリアンコントロールの問題につきましては、私たちそれをやっておるわけでございまして、研究はやっておるということは、これはもうずっと前の国会で何回もお答えを申し上げておることでございます。
○上田哲君 冒頭、やってないと言ったじゃないですか。全然答えてないんだ、これは。ちょっと一言だけ。
○委員長(大谷藤之助君) じゃ、簡単に一言だけ。
○上田哲君 全く答弁をしてくれないから、これは困るですよ。いいですか、二点にしぼりますから。 明らかにこれは、防御局長が答えたように、検討をしておるというんですよ。これは検討するが、防衛局長の言葉をもう一遍使うなら、論理的には当然あることだと言ってるんです。それがなかったら、二十五万トンの海軍兵力は意味がなくなってしまうんです。ですから、これは論理的に防衛構想上あり得ることだっていうことは認めているんです。その検討というのは、制服がやっておって、内局はやってないということなんです。それはシビリアンコントロールを欠いていることになりませんか。現実に存在しているこの軍事協定を、防衛局長の言葉を借りても、制服同士の検討にゆだねていたのでは足りないのだと、こう言っているわけです。
○委員長(大谷藤之助君) 簡単に願います。
○上田哲君 ですから、まさにシビリアンコントロールとして、政府はそこを十分に検討して、存在している軍事協定をこの場で明らかにしていただきたいということが一点。 それから、レアードとあるいは日本の防衛庁長官が、中曽根さんやなんかが議論をしたという段階に、こういう軍事協定の、第七艦隊と海域協定をするというような協定の話し合いをしたことはない、それをするというのであれば、これは憲法違反であって、真っ向みじんのこれは重大発言ですよ。その問題について、そうした協定の中に入れるべきではないということは、当然これは憲法の規定に基づく、憲法を尊重する立場から総理の明確な発言がなければおかしいのです。 この二点は、問題をそらさずに明確に御返答いただきたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 明確にお答えを申し上げますが、研究はやっておるけれども、協定は事実ないということでございます。
○国務大臣(三木武夫君) いま、いろいろ上田議員疑義をお持ちのようでございますが、防衛庁当局もしばしばお答えしておるように、研究はやっておるけれども、そういう協定などはないと、また、日本の自衛隊の出動範囲は憲法に定められた日本の領域に限ると、こういうことでございます。
○委員長(大谷藤之助君) 松永君の残余の質疑は、明日行うことといたします。(拍手) —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 矢追秀彦君。
○矢追秀彦君 私は、冒頭に、先日の本委員会の分科会におきまして、和歌山県の日高郡竜神村におけるたん白尿が多量に検出された事件につきまして、先日の厚生省の報告につきまして疑義がございますので、改めて御質問したいと思います。 初めに、厚生省の方から、先日発表されたデータ、あるいはその後わかったことがございましたら、御報告を願いたいと思います。
○政府委員(上村一君) 先日の分科会で担当の課長から御返事申し上げましたのは、その高いということを否定したつもりはございません。ただ、新聞に報道されるほどまあ高くはないんじゃないかということでございます。 そこで、私どもこの仕事につきましては、直接には学校の問題でございますけれども、和歌山県の衛生部長を呼びまして、いろいろ事情を聴取いたしました。その時点では、和歌山県の衛生部でもその実態をまだ把握はしておりませんでしたが、すぐに関係機関と連絡をとりまして、いろいろ検討いたしました。そこで、新聞に報道されました検査の内容について実態を改めて把握することが必要であるというふうに考えたわけでございます。そこで、衛生部が中心になりまして、とりあえず緊急措置として三つばかりの措置をとることにいたしております。一つは、過去に行われました生活環境なり健康障害に関するいろんなデータを集めまして、それを解析するということ。第二点は、竜神村の全小学生、それから中学校の児童、約千名ばかりでございますが、それを対象としました尿たん白を主体としたスクリーニングを実施する、学校がちょうど春休みに入っておりますので、四月十日過ぎに実施するというふうに聞いております。それから、残留農薬なり重金属を主体にいたしました水質検査を実施するというふうに和歌山県の方で措置をとるようになっておりますので、厚生省としましては和歌山県がとりました措置の結果を待って判断をしたいと考えております。
○矢追秀彦君 私が聞きたいのは、先日厚生省が言われました、今回行われました順天堂大学医学部の吉川講師の調査について、何かそれが余り高くない数字であると、新聞の報道が何か間違いだというような印象の答弁を受けたわけです。これについて、もう一度はっきりしてください。
○政府委員(上村一君) 先ほども申し上げましたように、私どもの方の担当課長が御説明いたしましたのは、何と申しますか、同じ先生が実施いたしました調査の結果を見て、そして比較をしてみると約二倍程度であるというふうな判断があって、そう申したわけでございますが、さらに私ども関係者から目下話を聞いておる最中でございますので、この前の答弁がそのままであるというつもりは毛頭ございません。
○矢追秀彦君 古川講師からの資料を厚生省はそのまま取り寄せて検討されましたか。
○政府委員(上村一君) 吉川さんの御都合もございまして、きょうの夕方聞いておる最中でございます。
○矢追秀彦君 じゃ、すぐに報告してください。それがないと質問できない。向こうの都合があってと言いますが、テレビでも放映されたのですよ。ごらんになっていないですか。データがちゃんと出ていますよ。
○政府委員(上村一君) 本日のテレビ、私見ておりません。それで、いま聞いておりますと申しましたのは、ちょうどいまの時間に、私どもこっちに参っておりますが、担当課の方で先生から話を聞いておるという状況でございます。
○矢追秀彦君 じゃ、こちらにいつ報告できますか。あしたの朝に私、この質問をずらしてもいいですよ。
○政府委員(上村一君) じゃ、帰りまして、私が話を聞き、それから明日そのお話に参上するようにしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○矢追秀彦君 それではこの問題は、いまの報告を受けてから改めて質問をいたします。 それでは総理にお伺いをいたしますが、総理の公約が大幅に後退をしたというのが私たちの結論でございますが、総理は、しばしば後退はしていないと言われますが、たくさんございますけれども、私は、まず政治資金と、それから選挙制度と、それから独禁法の、この三つにしぼって御質問したい、と思います。 まず政治資金につきまして、政府の方から案が出てきておりますが、この政治資金について、五年の件は、先ほども宮之原委員から質問がございましたので省きますが、企業献金はあくまでも最高一億五千万円までできるという仕組みになっておるわけです。これは先日も当委員会でわが党の桑名議員からも質問がございましたが、これは規制にならない、かえって奨励になると考えるわけですが、総理はどうお考えになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) 最初の後退から総括的に私の感じを申し上げておきたいんですが、矢追さん、もし時間をお割きくださるならば、私が国会において答弁をしたのを読んでいただきたいと思うんです。 〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕 だから、私の申しておる、国会において答弁をしておる原則は、私は後退はしてないと考えておるわけでございます。したがって、そういう時間をお持ちくだされば幸せだと思うんです。 そこで、政治資金の問題ですが、最高額というものをいままで決めてなかったわけですね、最高額を。今度は、政党及び団体の最高額を決めたと。この最高額が高い低いといういろんな御批判はあると思いますよ。しかし、いままでは何にも最高額が決められてなかったものを最高額を決めて、しかも経理の公開主義というものを貫いた。私がしばしば言っておったことは、政治資金規正法の中でこの二つだけはやはり貫きたいと言っておったわけです。公明正大なものにしたいと、限度を設けたいということを言っておった。ただ私は、理想的には政党の資金は個人の寄付あるいは党費によって賄うことが理想だと、いまでも私は思っているんです。ところが、まだ日本の社会的風土はそういうところまで行っておりませんから、やはり経過規定は設けなければいかぬと私は言っておったわけです。それが三年ぐらいでどうかと思ったが五年ということで、これは法律で決めるというよりかは、やはり一つの党のモラルとして、そういうことを辞退をして——法律にも違反することでもないし、企業から政党が寄付を受けることは悪いとは脅えませんけれども、いろんな国民の批判などにも耳を傾けて、みずから政党の態度として、五年後には政党の経常費、日常の経常費については企業の献金を辞退するという党の決定を行ったわけですね。これは私の考えておったより少し——三年が五年になったということはございますけれども、私の言うことが一〇〇%通るというわけではない、政党内閣ですからね。しかし、私の原則というものが、政治資金規正法においても、国会でしばしば述べておる原則は曲げられてはいない。方法論について多少の妥協はある、原則は曲げてはいないと、こう私は信じておるものでございます。
○矢追秀彦君 総理はいつもいま言われたと同じことを言われるんですが、まず一つは、個人献金はいまでも理想と思っている一ということは、企業献金はやはりよくないということが裏にあるわけです。しかし、そう言うと、企業献金もいいのだと、限度額がいままでなかったから限度を決めたから、これで私の信念は貫かれておると、こう言われますが、いままでは確かに青天井です。今度はその天井をつけたんですが、届かぬ天井なんです。いままでの企業の過去のデータを調べても、この天井まで届いた企業はないと、これはこの間の桑名質問の趣旨です。だから、非常に総理、ずるいんですよ、やり方が。個人献金は理想だ、結構だと、これでいくんだと言いながら、企業も片方で結構ですと、三年が五年に延びたのは党内のいろんな事情でやむを得ないと、しかも個人の献金は日本の風土になじまないと。なじまなかったら、公明党はできて十年です。まだ自民党のような大政党じゃございませんけれども、全然いままで会社からもらってないんです。個人献金だけで運営しているわけです。ちゃんとなじんできているんです、わが党の支持者は。だから、私は、これは日本国民全部に広がって、なじまないことは絶対ないと、こう思うわけなんです。そういった意味で、この宵天井に天井をつけても届かぬ天井ですよ。こういうことになると、総理のやっぱり私は後退と考えざるを得ないと、こう言っているわけです。その点どうですか、天井の問題。
○国務大臣(三木武夫君) 天井という——あなたの天井はもう最高額、株式会社で言えば一番日本の大きい会社のような例をとられるわけですが、普通の大企業と言われるものは三千万円という枠ですから。ところが、あなたの言われるのは、もう日本一の会社、最高、そういうことになるでしょう。それをまあ一億一億と、こう言っている。他の団体に対する寄付の五千万円を入れて一億五千万ということになる。政党に対しては一億。それは最大の会社のもう天井ですからね。どこでもというわけでありませんよ。三千万円というのが政党及び団体の普通のやっぱり大きな限度であり、これはかなり一つの——これは決めたけれども何にも効果のないものというのではありません。また、公明党は相当な政治資金をお持ちになっておるんですが、われわれも公明党のやり方を研究して、自民党もできる限り企業などの献金を——私は悪いとは思わぬですよ。これはやはり、企業というのは大きな社会的存在ですからね。日本の民主政治の健全な発展というものをこいねがい、また、企業は自由経済の中に生きておるんですから、自由経済体制というものを健全に発展さすために応分の寄付をしようといっても、それは悪だというわけではない。しかし、いかにも何かこう、企業と自民党というものが、政権を持っておるだけに、そういう点で何か癒着しておるんじゃないかというような、そういう疑いを国民に持たすことは、これはやはり政権を担当しておるものとしてよくないから、できればやはり党費と個人の寄付によって賄えるようなところへ持っていくことが理想だとは思うわけですね。しかしそれは悪いから、あるいは法律にこれが何かいろいろと疑義があるからというわけではない、政党のモラルとしてそういうことをすることが私は好ましいということで言っておるわけでございまして、まあ矢追さんは一番最高の場合をあなたは一億一億と言うけれども、そういうわけではないわけでございます。
○矢追秀彦君 まあ、それは仮に三千万としましても、三千万出すところも、これまた一回で出すところというのは、そうないんですよ、実際は、五十億の資本金で。総理の方を認めたとしても、これも私は天井としては高過ぎると。だからやっぱり、企業の献金は片方でいいと言う、片方では個人献金が理想と言う、こういう総理の両面性というのに、私は、非常に総理のリーダーシップというか、政治姿勢として疑いを持たざるを得ないんです。 それから、いま公開、明らかにするということをおっしゃいましたけれども、報告形式も、これ、非常に不備があると思うんですね。それからもう一つは、報告も二万円を超えるものは公開するが、派閥や後援会への寄付は百万円を超えるもののみが公開になると、こういった点でも非常に透明度というのはぐっと下がってきているわけです。だから、総理が理想とされたこの政治資金の改正というものには、今回の政府案というのはかなり後退をしてきていると、こう指摘をせざるを得ないわけなんですが、その点、この二つの問題、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) それはまあ、百万円というこの個人献金、個人の——献金というのはいやな言葉ですから私は寄付と言いたい。個人の寄付は、やはりこれはできるだけ優遇したいということで、いろいろな税法上の優遇をするわけですが、だから、それは、いろんな個人の寄付を出す人で、なるべくそれは発表してもらいたくないというような個人もあるわけですね。しかし、税法上の特典、優遇措置に浴そうとするならば全部届け出をしなければならぬという、だから、結果的には大部分がやはり届け出することになると思いますよ。届け出をしなければ税法上の優遇措置は受けられないと、こういうことですから、まあ実際問題として、これがこういうふうに決まりましても、やはり大部分は届け出されて公開される結果になると私は思います。そして、やはり何かこう、矢追さんのお話は、一刀両断に何でもやれというお話ですけれども、そういうことにはいかないんですね、現実を踏まえて。公明党が政権を持つ口がおありになれば、よくおわかりになると思いますが、やっぱり現実があるんですから、一刀両断にいかぬところがあるんですよ、これは。そこでは現実を踏まえて——理想を持つことは大事ですけれども、やっぱりそれに近づけていくためには、踏まえておるものは現実であるということも忘れてはならぬわけですから。まあ、あなたからすれば、もう一刀両断に何でもやったほうがいいと、右か左かと、こういうことが非常にわかりやすいではありましょうけれども、現実に政権を担当する者としては、そういう二者択一、右か左かというわけにはいかない場合があるということは御理解を願いたいのでございます。
○矢追秀彦君 これは右か左かという議論じゃないと思うんですよ。私たちはやっているんですからね、現実に。私たちの意見としては、個人党費、会費も三万円以上は寄付とみなして、しかも派閥、個人への寄付も一万円を超えるものは公開にせよと、こういうふうに主張するとともに、私たちもやる場合はちゃんとやります。また、やれる態勢にあるわけです。だが、総理は自民党だけできないという考えなんですよ。だから私は、ちょっとこういうことを言いたくなるんです。 そうすると総理は、いま言われたように、そんな右か左か、一刀両断はいかぬと。いま国民が疑惑を感じているのは、この政治献金の不明朗さにあるわけです。そのために三木さんが出てこられたんでしょう。で、クリーン三木と言われているんですから、私はもっと——少々の混乱はあるかもしれません。しかし、私はやる気になったらできることだと思うわけです。その点は、まだこれは最終的には決まったものじゃないわけですから、ひとつ前向きの検討を期待をしたいんです。 次に、公選法の問題に移りますが、今回衆議院の定数は一応是正される方向になりましたが、参議院の地方区が全然見送られました。これはどういう理由ですか。
○国務大臣(三木武夫君) 参議院の地方区の問題、全国区の問題もやはり問題になってるわけです。いまのような全国区のやり方ではもう非常に金がかかる、何とか改革すべきであるという論は相当に多いんですね。自民党ばかりでない、野党の中にもあるわけですね。だから、参議院は定員数も、そういう全国区の選挙制度というものもひっくるめて、まだ煮詰まってこないんですよ、議論がね。自民党の中もいろいろなアンケートを出したりして、自民党の意見も徴しておるようですが、何かこう煮詰まってこないわけですから、もう少し時間をかけて定数の問題並びに全国区の問題は検討することがよかろうということで、これは一切手をつけなかったわけでございます。
○矢追秀彦君 少なくも定数是正が衆議院でできるわけですから。もちろん、全国区の問題は私たちは私たちなりの意見があります。われわれは、現行のままで、金のかかる問題は公営ということを進めればいい。やはりいままでの良識ある参議院というものが全国区によってある程度は成り立ってきたわけでありますから、それが政党化の進む方向というのはわれわれとしては反対をせざるを得ないわけです。そういった意味で、やはり早急に地方区の是正はやらなきゃならぬと、できれば、これはセットでお願いをしたいというわけです。 次に、一番の私たちが問題にしておりますのは——今回の改正案で出てきております中で定数是正は一応各党がいろいろ合意をした問題ですから、これはいいんですが、選挙の新聞の政策広告の費用、これを国庫負担にする。これはまあいいんです、公営を進めるということで。その所属候補者数に応じて回数を出すということは非常にこれは不公正だと思うんですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) どうでしょうかね、政党の、数の少ない政党も将来できる可能性があるかもしれない。そういう数の少ない政党と、自民党のような全国的にも候補者の数も圧倒的に多い政党とが、そういう広告を出す場合に同じようにするということが、かえって、平等なようで公平でないという考え方も私はあり得ると思うんですね。何でも平等に皆一緒だ、それが公平だとは言えない場合がある。したがって、ある一つの基本の回数は、三回なら三回は小さくても大きくても平等にするが、それ以上大政党の場合では、もう少し回数をふやすことが公平な行き方ではないかということで基準は決めたけれども、その上に政党の数によって回数をもう少しふやすような工夫をしようという考え方が出ておるわけです。必ずしも同じように皆平等にすることが公平だとはわれわれは思わない。それば非常に不公平な扱いだというふうには考えてないわけでございます。 〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕
○矢追秀彦君 いままでの選挙戦の最中における、まあたとえばテレビを取り上げましても、討論会とか、そういうのは大体公平にやられてきているわけです。だから、やはり新聞広告も、これはそういった意味で各党同じと。もし総理が言われるように、政党の大きさ云々を言われるんでしたら、じゃ政党の大きさとは何なのか、議席数なのかということになるわけです。それは現状においては議席数でしょうが、選挙のときというのはこれは違うわけです。候補者数と言われますと、じゃわが党でもこのことを意識してたくさんの候補者をいっぱい出すということをやった場合、これはどうなるのかと。かっこうだけ出して実際はこの人に全力を挙げる、あとは形だけ出すというふうなことをかりにやろうとした場合、これ、新聞の回数を一番多くやることは可能になってくるわけです。そういうことにもなるわけですから、だから私は、こういった新聞広告というものはやはり公平にすることがいい。これは選挙です。ふだんはこれはまた別だと思いますよ。ふだんの国会の運営だと、ある程度数の論理というのが働いていることはあり得るわけですけれども、やはり選挙となれば私は対等であるべきだと思う。しかも、候補者が多いわけですから、それだけポスターだってたくさん張れるわけですし、そういった点で、別に候補者が多いから少ないからといって新聞広告に差をつけるというのは、それだけを取り上げれば、何か総理の理論が通っているようですが、選挙全体をとらまえて考えたら、やはり政党対政党の国民に対するPRですから、国民は知っているわけですから、どこが大きいか小さいかぐらいは。ちゃんと判定は国民がするわけですから、私はやはり公正にすべきだと思うんですが、その点重ねてお伺いします。
○国務大臣(三木武夫君) これは共通のルールですからね。この問題はやはり法案が国会に上程されたならば十分に審議を尽くしてもらいたいと思っております。今度の公職選挙法の改正というものは、公営の拡大としては恐らくもうこれ以上できぬぐらい拡大したわけですからね、公営を。今度拡大するといえば、もう選挙というものは一切国の費用においてやるぐらいやらないとできぬぐらい拾えるものは全部拾い上げたわけです。政党の政策の発表の新聞掲載なども、いままでの常識の中にはないのにつけ加えてみたんですが、この案については十分審議の場合に御検討願いたいと私は思うんです、各党において。
○矢追秀彦君 それでは次に、選挙運動の期間中に確認団体の機関紙誌、または一般紙誌の頒布は選挙の報道評論のあるときは有償に限ると、そういうことで、非常に政治団体の機関紙誌が選挙中に何もできなくなると、こういうふうなことが今回決められてきておるわけですが、これは非常にやはり言論の自由、出版の自由を侵すものと私たちは受けとめているわけです。現在知事選挙が行われておりますね、現在知事選挙が行われていた場合、かなり政党の活動は制限をされております、いまでも。総理、本来政党活動というものは私は自由であるべきだと思うんですが、その点いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 政党活動は当然に自由でなけりゃならぬし、だから機関紙などは、これはちゃんともう購読者に対して選挙中配るというようなものに対して何も制限を加えてないんですが、ここでは号外、号外というんで選挙中にいっぱいに印刷物が戸ごとに配布される。ああいう号外というものは、かえって公平な選挙という点においては、何かどうも改革を必要とするのでないかということでね。政党の機関紙に対して何らの制限を加えるわけではない。それがいつも出しとるんならいいですよ。そのときに号外、号外というて選挙に洪水のようなビラが配布をされて、まあそれは選挙に有効な場合もありましょうが、実際問題として非常に困っておる家もあるんですよ。こんなにいっぱい、もうビラが毎日毎日来て、その処理にも困るという人もあるんですよ、実際はね。まあどこの国でも、あんなにもう、選挙のときに、これでもかこれでもかと、ビラが戸ごとに配られる選挙を私は見たことないです。もう少し選挙というものが政策を皆にできるだけ浸透するために、それはいろいろなもっと工夫があってもいいと思いますけれども、あの政党がまくビラですね。号外というビラで、いつもそういう新聞も読んでない家まで戸ごとに配っていく。政党によったら、そういうことをやらない政党もありますからね。もう少しそういうビラ合戦みたいな選挙というのはこの際改革したらどうかというのが、その原案の中に入っている。政党活動を制限しようとするのではないが、政党活動をもっと冷静なものにできないかという意図が、そういうところにあらわれておるわけでございます。
○矢追秀彦君 いまの総理のお話を聞くと、何か、号外をまくことが冷静でないと。選挙というのはある程度、私はね、やっぱり戦争みたいなものですから、これはやはり白熱もしなきゃいけませんし……。私は元来選挙というのは非常におおらかで伸び伸びと明るいものでなくちゃいかぬと思うのです。大体、日本の選挙制度ほど厳しいのはないのじゃないですか。総理、どうですか。戸別訪問も含めまして。
○国務大臣(三木武夫君) まあやっぱり、選挙の状態も世界の中で悪い国の一つですね、日本の選挙の姿が。これはやはりいろいろ悪い時代はあったけれども、もっと選挙というものが粛正された姿が、今日の私は先進国の選挙の姿だと思う。日本はいろいろな制限を加えておるという面もありますよ。戸別訪問なんか認められておる国も相当にあるわけですから。しかし、一面から言って、どうもこう、選挙というものが、たとえば費用などでも法定費用が決められておるわけですからね、法定費用が。しかし、国会議員の選挙から地方の選挙に至るまで、必ずしも法定費用で選挙が行われるとは私は思わないのです。やはりこれ、立法機関ですからね。立法機関がそれが守れなければ、守られるような法定費用に改正をしなけりゃならぬ。そういう点で、なかなか日本の選挙、まあ今度は改正をしたわけですが、守られるような法定費用にしようと。費用超過というものに対してはこれはもう厳罰に処せられるということで、もう少し金がかからないで選挙ができるような工夫はないものかと。金がかかり過ぎるということは、いろいろな弊害が起こってくる原因になりますからね。そういう点で、言われるように、ちょっと制限というのは多いですから、もう少し将来はおおらかな選挙になっていいと私も思います。いまはしかし、選挙がどうもよその国に比べて日本の選挙はいい選挙界の状態だと言えないところにも、いろんな制限されるような事態が起こってくるわけですけれども、本来から言えば、もっとおおらかな選挙であっていいと私も思います。
○矢追秀彦君 何か総理はいま評論的に言われていますけれども、戸別訪問が禁止をされ、それからいろんなことが制限をされ、それで今度は政党活動まで——制限しないとおっしゃっていますけれども結局制限なんですよ、これは。そうなりますと、去年だって、実情は私はわかりませんけど、新聞等でしか知りませんが、徳島における選挙は、総理自身が一番経験されて御存じでしょう。あれ、決して明かるい選挙じゃないと思うんですよ。非常に陰湿な選挙だと私は思います。そういうのが出てきたから、やっぱりこういうふうになってきた。だから、一番正していただきたいのは自民党なんですよ。だから、政治資金の問題も選挙の問題も、その辺をちゃんと正してもらわなければ、これは幾ら何をやってもだめなんですよ。 そういう意味で、選挙の選挙期間中に号外をまくことがいかぬと。たとえ、仮に洪水のような号外を出した場合どうなるか。まず、政党の財源というのが一つ問題になりますよ。それから今度は、国民が判断します。そんなしつこく来たところを、それに入れるか入れないか、そんなことは私だってばかじゃないんですから。しかし、やはり政策を周知徹底するということで、ふだんから街頭でやったりしていたのが、選挙中もそのままやっておると、こういうことなんですよ。そういうことで、こういうことが片方においては何か公選法を変えていい方向へ持ってこられるが、片方においてはこういう——絶えず片方でいいけれども片方でやいばを突きつける、こういうかっこうになってきているわけです。そういったことが、私は何か三木総理の本質的な体質のような気がするんです。片方でいいことを挙げているが片方で締めてくると、こういうことじゃ困ると思うんですよ。 そういう点も含めまして、もっと選挙というものは本来自由で明かるいものにする。その中でおのずと政党ももちろん自粛をしていくが、やはり国民の目がいま厳しくなっていますから、金を使った人間が落選すると、こういう時代が私はもう来ていると思うんです。事実、去年の選挙がそうじゃありませんか。参議院においてこうやって保革伯仲になったのは、やっぱり自民党の金権選挙の結果だと私は思うんです。その点も含めまして、今後の選挙法をもっと自由な、おおらかなものにしていく、そうして政党活動の制限をしない、そういう点を私は強く要望するんです。総理の所信をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) ビラの問題も、ある政党がしますと、またほかの政党も無理してビラをまくようになってきて、どうでしょうかね、そういうのは。もう少し、何かもっと冷静に有権者に訴えるような方法というのは皆で研究できぬもんでしょうかね、それは。私は方法はあると思いますよ。そうやって戸ごとに公明党がまけば、ほかの政党も皆まいて、選挙のときにあんなに、政策のPRということもあるでしょうが、個人的なことが記事の中心になっている場合も多いですよね、号外の場合は。そういう、何かもっと皆が平等に、皆がビラを競い合うような選挙でなしに、もっとほかで、政党が政策を中心として争いできるような工夫というものは、これは皆が相談すれば、私は知恵はあると思いますよ。私自身にも、なるほど、この間の党首会談をしてみて、社会党が言われたですが、政党の一つの宣伝といいますか、政策の宣伝を何か選挙中に新聞の折り込みでも入れて、そうして各党が同じように政策の宣伝なんかをやるような、そういうことは考えられぬかという話があったんです。一つの案だと思いますね。社会党の場合、新聞の折り込みとは言わなかったかしらぬが、とにかく政党の政策を選挙中に何回か皆平等に各政党が自由にできるようにする、そういうことをやったらどうか。 あのビラについては、自民党だけじゃないんですよ。衆議院の中においても、あのビラはもうやめたらどうかという声は、自局党だけでなしに、ほかの政党においてもあるということですよ、これは。自民党が党利党略でそういうことを言っておるのではないので、ほかの政党の中にも、あれはもうやめた方がいいなという意見が相当にあるという、そういうことを反映してああいう改革案になったわけで、公明党の党というものに対して意識してなんて、そんなことではないんです。ほかの政党にもそういう意見が非常に強かったということもあるわけです。
○矢追秀彦君 それでは、次に独禁法の問題に移りますが、けさの朝刊に、独禁法の「改正政府案まとまる」ということで、かなり具体的に出ておりますが、総務長官、これは政府案の大体の要項を伝えていると解してよろしいですか。
○国務大臣(植木光教君) けさほど一新聞紙に出ておりましたものは、去る三月二十七日に自由民主党の政務調査会内の調査会と政府素案との調整ができ上がりまして、政府案と申しますか、法律案要綱をつくりますために各省庁に対しましてそれぞれ意見の最終的調整を行うためにつくりましたものでございまして、総理府から発表したものではございませんが、そのような案をもとにいたしまして、ただいま各省庁間で政府案、法律案要綱をつくるべく作業中の素材でございます。
○矢追秀彦君 これを素材にして今度は各省庁で詰められたものが、今度は自由民主党と詰められると、こういうことですか。それから国会に提出すると、こういうことになるわけですか。
○国務大臣(植木光教君) 法律案要綱ができ上がりましたならば、それを党の政務調査会に提出いたしまして、所要の手続が行われました後、決定をいたしましたならば、法律案としてこの国会に提出をされるわけでございます。
○矢追秀彦君 大体、時期はいつごろですか。二十日ごろとか、いろいろ言われておりますが、めどとしては。総理、いかがですか。
○国務大臣(植木光教君) 四月の中旬を目途として作業を進めております。
○矢追秀彦君 少しこの内容に触れたいと思いますけれども、特に企業分割の問題で協議事項が出ておりますが、この協議は、聞くところによりますと、自民党との調整で六段階にわたって協議をするというふうな話も聞いておりますが、そういうことはございませんか。あくまでもここに出ておる線で進められますか。ここは審判の前と後と、こういうようになっておりますけれども。
○国務大臣(植木光教君) 独占的状態を排除します措置といたしまして一部営業の譲渡が行われるわけでございますが、その際に公取委員会は主管大臣と協議をするということになっておりまして、この独占的状態の排除措置には、それぞれいろいろな場合を想定いたしました要件を付しているわけでございます。それぞれの要件を満たしますものにつきまして排除措置が講ぜられるのでございまして、そのお手元にあります素材が法律案要綱の素材でございますから、私どもがただいま考えておりますのは、そのとおりでございます。
○矢追秀彦君 前に協議をするということは、百歩譲って、ある程度やむを得ないといたしましても、審判の後で協議するということは、これはどういうことになるわけですか。
○国務大臣(植木光教君) 独占的状態の排除のために行われますこの措置は、営業の譲渡でございますから非常に大きな問題でございます。したがいまして、審判が行われます前に協議をいたしますとともに、審判が終わりました際に、総合的な判断といたしまして、どのようにするかということについて協議をせられるのは当然ではないかという考え方でございます。
○矢追秀彦君 審判中は協議はされませんか。
○国務大臣(植木光教君) 先般も申し上げましたけれども、いろいろこの手続上には、譲渡先を探しますとか、譲渡契約をいたしますとか、あるいは従業員の雇用問題をどういたしますかとか、いろいろな問題があるわけでございます。したがいまして、審判の過程におきましてもいろいろ随時協議が行われるというふうにお受け取りいただいて結構でございます。
○矢追秀彦君 公取委員長、お体が悪いと聞いておりまして恐縮ですが、いまの協議の問題ですが、審判の前は、私いま言ったように百歩譲って、やむを得ないといたしましても、審判中に協議が行われたり、あるいは審判が終わった後に協議をされるとなりますと、公取委員会の独自判断ということが何か薄れてくるような気がするわけです。その点、公取委員長としては、こういうふうなことになったことについてどうお考えですか。公取の独自性は失わないと、こう解していいですか。
○国務大臣(植木光教君) 先ほど、審判の過程で協議と申し上げましたが、これは意見を聞くということがあってしかるべしと、こういう意味でございまして、先ほどのは訂正さしていただきます。
○政府委員(高橋俊英君) いまの主務大臣との協議でございますが、私は、端的に申しますと、本来は、協議を必要とするということであれば審決の段階で一回行うというのが、これは個人的な意見でございますが、筋だろうと思います。審判を開始する前にもうやる、つまり、同じ事件について二度協議をするということはむしろ異例なことでございまして、他に例はございません。しかし、今回は特に事柄の重要性や非常に複雑性を考えまして、審判の以前において他にかわるべき方法ありやなしやという問題ですね。つまり、独占的状態の排除措置を審判によって行うことなくして、それ以前に法令等によってやる方法があればそれによって解決するということも、それは考えられなくはない。したがいまして、審判開始以前に協議をするということは私どもも仕方ないだろうと、こう思います。審判の終わった段階で、審決を下すこと、下す段階において協議するのは、いかなる措置をこの問題についてとるかという審決案ですね、審決案を私どもの方が大体その骨子をつくりまして、それを主務大臣と協議するということです。これはもちろん同意とか同意に等しいような協議でございますれば、これは独立性がなくなりますから、これは根幹にかかわる問題でございます。しかし、そうではなくて、いずれの場合も協議はあくまで協議である、それ以上のものでもなければ以下でもないということでございますから、したがいまして、私は、審決の際に協議を措置についていたしまして、仮にそれが関係官庁の同意を得られないといたしましても審決は下し得ると、こういうふうに解釈しておりますので、それは政府側の、総理府側の解釈も同じであると思いますが、協議はあくまで協議であって、同意の種類ではないということでございます。この点は、私はおそらく総務長官にお聞きになっても同じ答えであろうと信じております。
○矢追秀彦君 協議と同意の問題については、いろいろこの問題についても議論をしたいんですけれども、時間の関係で次へ移りますが、いまの公取委員長のお話だと、委員長の個人の考えとしては、二回は多いと、前後はですね。しかし、まあこういうのが出てきたからやむを得ない、独自性は失われないと、こういうふうに言われますけれども、そういう点がやはり私は政府案というのがだんだん——そうでなくても公取試案からうんと後退したわけですから、これでまたその公取委員長がいま一つでいいと言うのを、また二つ設けるということ。いま公取委員長は後がいい、後の一回だけはいいと言われましたけれども、私は、とにかく二回が多いという意味で、仮に前を譲ったとしても、後はよくないということを申し上げたわけでして、とにかくこの二つはちょっと後退のような気がするんですけれども、総務長官、いかがですか。
○国務大臣(植木光教君) いま後退というお話がございましたけれども、懇談会でいろいろ御意見を伺いまして、カルテル対策、高度寡占対策、さらに企業集中対策、消費者対策という四つの大きな柱の中で私どもとしては国民の理解を得られる案をつくりつつあるのでございまして、たとえば原状回復命令でありますとか、原価の公表というような問題につきましてもいろいろな議論のあるところでございましたので、これらを参酌をいたしまして政府案をつくりつつあるわけでございます。したがって、後退と言われますのは、あるいは骨抜きと言われますのは、当たらないということでひとつ御理解をいただきたいと存じます。
○桑名義治君 関連。 先ほどからの企業の一部譲渡の問題でございますが、審決の前にまず第一に大臣に協議する、それからまたその途中の段階におきましても意見を求める、それからまた審決を下すときに、結論を出すときにまた主務大臣に協議をする、こういうことになれば、私はほとんど同意に等しいのではないかと、こういうふうに考えざるを得ないわけです。じゃ、そういうふうにおっしゃるならば、いわゆる意見を求めるということと協議というものはどういうふうに違うんですか。これは総務長官にお願いしたいんです。
○国務大臣(植木光教君) 協議と申しますのは、合意に達することを目的として徹底的に話し合うものでございます。したがって、通常の場合には合意が得られることを期待をしております。しかしながら、どうしても合意が得られない場合には、法律的に申しますならば、最終的には権限を持つ官庁、この場合は公正取引委員会の判断にゆだねられると、こういうことになるのでございまして、したがいまして、協議というものはただいま申し上げましたような形で行われる。 なお、先ほど申し上げましたように、この独占的状態の排除にはいろいろな手続が必要でございますし、先ほど申し上げましたように、その譲渡先あるいは従業員の問題、あるいは債権債務の問題、いろんなものがございますので、したがって、その審判が終わりますまでの間に公正取引委員会が判断をせられる材料として意見を問われる、あるいは主務大臣からも意見を述べるというような状況で最終的な審決に達するということなのでございまして、これはこのような状態の排除措置のために非常に複雑微妙な問題を最終的に解決していくわけなんでございますから、意見を問うということは公正取引委員会の職権の独立性を侵すとは私どもは考えておりません。
○桑名義治君 そのように総務長官はおっしゃいますけれども、実際に最初から最後までそれぞれ主務大臣の意見を聞くということになれば、あるいはそういうことになれば、ほとんど外から見れば共同作業というような感覚を受けざるを得ないんです。しかも最終的にも、審決を出す前にも主務大臣に協議をしなければならないと、こういうことになれば、これはもう骨抜きだと言われてもやむを得ないんじゃないですか。 そこで、もう一つだけ確認をしておきたいのは、最終的な審決を出す段階で協議がお互いに決裂した場合には、公正取引委員会がいわゆる審決を下すのに何の制限もやりませんね。これだけは確認しておきたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) ただいまの御質問のとおりでございまして、それは理想的には主務大臣と意見が一致することが望ましいんです。しかし、そうでない場合だってあり得るわけでございますが、その場合には、公取は協議整わない場合においても審決を下すことを妨げられないと、このように解釈しております。 なお、先ほどの途中で何回も実質協議みたいなことが行われるんじゃないかという御心配ですね。私は、それだからこそ初めから審判手続による、審判の手続によりますれば、関係庁のあれはどんどん出て、私の方はむしろ出ていただいて、その省の権限に属するといいますか、その省の監視にあることについては意見は十分述べていただくと。もちろんこれはそういう審判手続による場合ですね。これは私は相当期間かかるし、相当回数が要ると思います。無論、途中で合意に達すれば同意審決ということはありますけれども、そうでない場合は、私はこれは二年ぐらいは優にかかる問題だと思います。公取だけでそのくらいの期間はかかるものと考えておりますが、その間において、関係省庁は、私どもが必要と認める者はもちろん、それから向こうから述べたいという場合には遠慮なく出ていただいて、その審判の過程において意見を述べていただく、私はそういうふうに理解しておるんですが、審判手続の外においての協議にいたし、調子いいような相談をするというふうには理解しておらないんです。手続の仕方として、審判というのはそういうものでありますから、やはりその間においては関係省庁の意見は十分に述べていただくと、こういう趣旨でございまして、これは何ら私どもの独立性にはかかわりはないと、こういうふうに考えます。
○桑名義治君 総務長官。
○国務大臣(植木光教君) 先ほど来申し上げているとおりでございまして、公正取引委員会が審決を下すに当たりまして、それぞれの関係省庁が公正取引委員会に意見を述べる、あるいは公正取引委員会から意見を求めるということによりましてこの排除措置を行っていく、その手続の中での審判の過程と申し上げましたのは、いま公正取引委員長がおっしゃいましたのと同じ意味なのでございまして、私どもはこれが最善の策であるというふうに考えております。
○矢追秀彦君 次に、企業分割の命令はここの案でも出てきておりますが、最終的には「委員長及び委員のうち、三人以上の意見が一致しなければならない。」と、こういうことになっておりますが、これはどういう趣旨なのか。そして、この委員の選任いかんで企業分割が動かなくなる可能性が出てくるわけですが、この点について「三人」にされた理由はどういうところにありますか。
○国務大臣(植木光教君) 非常に手続もいろいろ複雑でございますし、また、いろいろ重要な案件でもございます。したがいまして、ただいまは委員長を含む三名によりまして過半数をもって公正取引委員会の意思が決定できるということになっているわけでございますが、この案件に関しましては、先ほど来申し上げておりますように、事の重大性から考えまして、最高裁におきましては違憲判決を行いますときに過半数の八名の同意を必要とするということになっておりますので、これと同じ方法をとることにしたわけでございます。
○矢追秀彦君 次に、価格の同調的引き上げのあった場合の期間ですが、これを「三箇月以内」ということにされたわけですが、これは政府素案よりも後退しておりますし、私は少なくとも六カ月は必要だと思うんですけれども、これを三カ月にされた理由をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(植木光教君) 政府素案の中では一定の期間という表現を使っていたと思います。何カ月ということは明示をいたしておりません。いろいろ考えました結果、三カ月ということにいたしたのでございます。
○矢追秀彦君 余り理由が明確でないわけですが、三カ月ぐらいだと、値上げをずらす可能性があるわけです。いままでの過去の例から見て、公取委員長、三カ月で十分取り締まりができますか、どうですか。
○政府委員(高橋俊英君) 具体的になにを申せばいろいろの問題がありますけれども、私どもの方が同調的値上げとみなしているものの中に、三カ月と一日というものがございます。一日だけおくらせれば三カ月には入らない、そういう場合の扱いなどどうしたものかと。実際上いま三カ月と決まればこれは外れてしまいますから、これには要請できないということになります。少しその辺が意識的に、故意に三カ月を何日かおくらしたというふうな場合には、それはそういう点が明らかであるような場合には、やはり中に入れて対象にすべきじゃないかと思いますけれども、とにかく三カ月ということで政府案、何といいますか、折衝が決まりましたので、一日でもずれておりますれば規制できません。
○矢追秀彦君 この問題、最後に総理にお伺いしますけれども、総理はかなり熱意を燃やしておやりになりまして、ようやくここまで来たわけですが、ただ、私たちが期待したようなものにはならなかった、またこれを後退と言うと、いや前進したと、こう言われますから、答えはわかっているようなものですけれども、前進がゼロとは言いません、これ私たちは。そういう点では少し前進もありますけれども、公取試案ぐらいまではわれわれとしては行ってほしかったと思うんですが、それから見ると大分骨が抜かれちゃったわけです。これで総理は十分国民の期待にこたえられるように独禁法が改正されるという確信がおありなんですか。
○国務大臣(三木武夫君) 公取の案も参考にしながら、政府の中に懇談会を設けて、各方面の独禁法に対していろいろな見識を持つ人たちの懇談会の意見も徴して、このぐらいの改正が国民の納得を得られる案であるという考えで提出をしたわけでございます。日本の独禁政策の中ではかなり歴史的な法案だと、構造規制もこれに加えたわけでございます。私は、日本の自由経済の中に一つの秩序をつくっていく、ルールをつくっていくということに対して相当歴史的な法案になるという評価を持っておるものでございます。
○矢追秀彦君 次に、五十年度予算の問題と今後の問題に移りますけれども、大蔵大臣、今年度予算は現在の経済状態、特にこれからの新しい経済計画ができるまでの調整期ということをしばしば言われてきたわけです。で、そういったことを十分意図されて今年度の予算は編成をされましたか。私は、ある程度のスローダウンは認めますけれども、昨年の十二月二十三日の補正予算の委員会の審議においても申し上げましたように、やはりいままでの特に大型開発、大型プロジェクトについては、それがそのまま同じ延長線に来ておると、速度は緩めたかもしれないけれども、やはりこの考え方の基礎は同じであると、こう見ておるわけですが、その点、その調整というのがどういう形で出てきておるのか、ただ予算を削っただけが調整なのか。次の新しい時代を迎えるに当たってやはり転換が行われなければいけないわけですが、それなりの転換が出てきておるのかどうか、その点いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 大変経済情勢が微妙でございますので、大型のプロジェクトにつきまして自信のある決断ができなかったわけでございます。したがいまして、五十年度は、新幹線にいたしましても本四連絡架橋等にいたしましても、一応最小必要限度の仕事に限定をいたしまして、今後の経済情勢の推移をまず見たいと思いまするし、また建設省を初め関係公団の意見、それから地元の意見等も十分承らなければなりませんので、決定的な断案をこの予算に盛り込むことは御遠慮申し上げたわけでございまして、一にかかって今後の推移に待ちたいと考えております。
○矢追秀彦君 それでは各省に伺いますけれども、最初に通産大臣にお伺いしますが、コンビナートの問題でございますが、今年度はまあ九十日備蓄の問題もございますので、かなり予算がつけられておりますが、本年度の計画はどのようになっておりますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 昭和五十年度を初年度といたしまして五十四年度までの間に現在の基準六十日を九十日にするわけでございますが、本年度はその第一年度でございまして、必要な予算合計、合わせましていろんな形で千数百億円を計上いたしております。
○矢追秀彦君 五十四年までに九十日備蓄体制を整えるためにはかなりのコンビナートをつくらなくちゃいけないのですが、その計画はいまはどうなっておりますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 場所はまだ決まっておりません。
○矢追秀彦君 場所は決まっていないと言われますけどもね。じゃ、今年度はどうされるのですか。どこかつくられるのですか。
○国務大臣(河本敏夫君) さしあたっては、現在の石油会社の持っておる敷地が相当ございまして、そこをある程度活用することも可能でありますし、さらにまた、新しい備蓄の基地といたしましてそれぞれ調査をするための費用も計上をいたしております。
○矢追秀彦君 その調査の候補地点は大体もうねらいは決めておられるわけですか。
○国務大臣(河本敏夫君) その候補地はまだ決まっておりません。
○矢追秀彦君 これは先日の一般質問においても同僚議員の矢原委員から指摘をされておりまして、通産省の方が、これは五年前の資料だということで、ついにはっきりされなかったわけですがね。これはきちんと大体CTSの候補地が出ていますよね。やはりこの方向でいかなければ九十日備蓄はできないわけでしょう。だから、すでにこれは一応の候補地として決められてこれの調査に当たると、こう考えてよろしいですか。これは資源エネルギー庁から出ている資料なんです。
○国務大臣(河本敏夫君) その資料は、ある意味では参考になるかもわかりませんが、私は必ずしもこれからの候補地を示すものではないと、こういうふうに理解をいたしております。
○矢追秀彦君 参考になるとおっしゃっておりますが、しかし、規模としてはこれぐらいになってしまうわけでしょう、場所は少々変わるかもしれませんが。どうですか。
○国務大臣(河本敏夫君) これは五カ年計画でございますし、一地区にどの程度の備蓄タンクをつくるか、そういうこと等もそれぞれの地域のやはり事情等を勘案いたしまして決めますので、全体の数が幾らになるか、そういうことはすべて未定であります。
○矢追秀彦君 次の問題も全部聞きまして、最後にまとめて副総理にお伺いしたいと思いますけれども、次は運輸大臣にお伺いしますが、新幹線は今年度はどういう計画になっておりますか。
○国務大臣(木村睦男君) 新幹線は、現在着工中のものにつきましては、それを継続いたしまして建設をやります。それから、現在整備五線というのがございまして、これは国鉄と鉄道建設公団と、それぞれ分担をしてやることになっておりますが、これは現在実施計画を検討中でございます。したがって、これは五十年度は引き続き実施計画の検討を続けてまいりますが、これらは経済の新しい基本計画、あるいは全国総合開発の新しい基本計画、そういったものとの調整も図らなければなりませんので、それらを見合いながら実施計画を検討していきたいと、かように考えております。
○矢追秀彦君 この予算案を見ますと、いま言われた整備計画線が百億円で、調査費が四億円となっていますが、この整備計画線と調査費との違い、いま言われた経済の計画と見合って考えると言われるのは調査費の段階なのか。というのは整備計画線というのはかなりもう私は具体化しつつあるものだと見るわけです。そうすると経済計画がどうなるかによってこれは途中で切れてしまうか——途中でやめるということはもうできなくなっている性格のものではないかと思うんです。そういう意味ではこの整備計画線というのは、これはもう大体、時期的には延びるかもしれないけれども最終的には走らせると、こういう性格のものと解してよいのかどうか、その点お伺いしておきます。
○国務大臣(木村睦男君) 現在建設中の成田新幹線、東北新幹線、それから上越新幹線、これは最初の計画は五十二年度には完了する予定でございましたけれども、これは引き続き建設を続けますが、五十二年度中に完了するということは今日の段階ではちょっと無理だと思います。少し延びると思います。あとのものにつきましては、現在実施計画の検討中でございますので、引き続き検討をいたすと、こういうことでございます。
○矢追秀彦君 それは中止も含まれるわけですか。
○国務大臣(木村睦男君) いや、検討でございますから、そこまでは考えておりません。
○矢追秀彦君 次に、建設省にお伺いしますが、道路はどうなっておりますか。
○国務大臣(仮谷忠男君) 高速自動車国道、都市高速道、本四連絡橋でありますが、五十年度は御承知の総需要抑制の見地から進度の調整を図ることにしておりまして、各事業とも事業継続に必要最小限度の事業を実施する計画であります。具体的に申しますと、本四連絡橋は前年度に比して約二〇%の減でありまして、これで漁業補償や試験工事等を実施する考えであります。それから高速自動車国道は前年並み、都市高速道路の建設費はおおむね一〇%減でありまして、いずれも新規なし、継続工事であります。
○矢追秀彦君 国土庁長官にお伺いしますが、先日建設委員会で本四架橋の点についてお触れになりまして、一本にするというふうな発言があったと聞いておりますが、この点についてはいかがですか。
○国務大臣(金丸信君) 本四架橋の問題につきましては、私はあの関係の住民の一つの悲願であろうという考え方、また公共事業が一部緩和されるということであるならば、低成長の経済の方向であるけれども、一つぐらいやるべきじゃないかという考え方を申し上げたわけでございますが、どちらにいたしましても、経済企画庁で計画しております経済社会基本計画と私のところの新全総と、これはまあ車の両輪のようなものでございますから、この低成長の中で白紙というか、見直していくというような考え方で今後その計画も立てていかなくちゃならぬと、こう考えております。
○矢追秀彦君 建設大臣、いまの国土庁長官のお話と先ほど言われたこの予算の点はどういう関係になりますか。今年度の予算の執行はやはり一本にしぼるという線で進められるのか、三本とも進められるのか。どうですか。
○国務大臣(仮谷忠男君) 三ルートともそれぞれ使命、目的もありまして、そのために四国の関係住民四百万あるいは本土の四県、五県の人々と一緒になって、これは先生御承知のように超党派で実は推進をしてきた問題であります。本来なれば私どもは三本をつけたいのでありますけれども、いま三本同時着工ということができないことは、これはもう御承知のとおりでありまして、しからばこの時点に立ってどうするかという問題は、これは経済の動向等見比べながら慎重に考えなければならぬ問題でありまして、いずれにいたしましても、関係の人々とも十分に相談をしながら、経済の見通しもつけながら、そしていかにこれに対処するかという態度決定をせなきゃならぬ、そういうふうに考えておるわけであります。
○矢追秀彦君 運輸大臣たびたび恐縮ですが、港湾の整備、これはどうなっておりますか、今年度。
○国務大臣(木村睦男君) 港湾につきましては、四十九年度下回りました百六十億という予算がついております。で、これは従来の計画をそのまま続行いたしまして、五十年度も整備に努めたいと、かように考えております。それらの港湾、七つぐらいございますけれども、これはいずれもその背後地の工場あるいは都市活動、そういうために必要な整備でございますので、特別大プロジェクトとして、今後の港湾背後地の開発発展計画ということではなしに、従来の整備計画を続けていくという線で続行をするつもりでございます。
○矢追秀彦君 経企庁長官にお伺いしますが、先ほど国土庁長官からもお話がございましたが、いま各省から出ました、大体各大臣から言われた予算、確かに削られてはいるんですね。スローダウンにはなっておりますが、やはりいままでの大型開発といいますか、高度経済成長下において考えられつくられてきたものがそのまま頭を出してきておるわけです。これをその次の経済計画等見合わせて調整をすると言われておりますが、どう調整できるのか、その点いかがですか、基本的な問題として。
○国務大臣(福田赳夫君) 五十一年度からは、国土利用の諸計画その他長期計画につきましては、これはもう全面的に見直しをしたいと、こういうふうに考えておるわけです。そういう前提のもとに五十年度の予算ではかなり既定の諸計画についてテンポを緩めておると、こういう情勢ですが、まあ五十一年度から発足する長期計画が決まりますれば、それに順応した措置をとらなけりゃならぬと、こういうふうに考えております。
○矢追秀彦君 五十一年度からできるその経済計画がどうなるか、これはまあこれから検討されると思いますけれども、じゃそれがまあどういう形になるかわかりませんが、それが仮に決まった場合、たとえばいまの本四架橋を三本が一本になってあと二本はもう絶対やらないというふうなことができるのかということなんです。私は、いまのままだと、やっぱり時間は延ばしてもこれだけもう芽は出ているんですから、全部、結局はやるようになってしまって、要するに、私が前からも申し上げておりましたが、これは私見だからそんなことはないと言われますが、田中内閣時代に言われた日本列島改造論、それをもとにしてつくられた田中内閣の一つの経済政策というものがそのままやはり続いていくのではないか。時間は延びるかもしれません。しかし、最終地点においては同じのものになるんじゃないか、先ほどからのずっといろんなことから考えてそう考えざるを得ないわけですが、その点本当に大きな転換というのが可能なのかどうか、その点重ねてお伺いしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 経済発展のテンポが非常に低下する、こういう状態でありますから、それに応じまして国の諸施設、諸計画、かようなものにつきましてもそれ相応の修正をしなければならない、そういうふうに考えるんです。そこで、まあケースによりましてはテンポを延ばすものも出てくる、あるいはケースによりましては規模を修正する、こういうものも出てくるでしょう。あるいはケースによりましては企画を取りやめるというようなものも出てくるだろう、こういうふうに思いますが、それら全部ひっくるめまして全面的に再検討すると、こういう考えでございます。
○矢追秀彦君 いま全面的に検討してその転換をすると言われますけれども、いままでの過去の経済計画、かなり昔から出されておりますけれども、特に池田内閣になりましてから経済高度成長、所得倍増計画ということで来たわけですけれども、それから、大ざっぱな考え方で恐縮ですけれどもずっと見ておりますとそう変わってない。やっぱり基本にどうしても経済成長というもの、経済の高度成長ということからすべてが来たものですから、いまやめると言われますけれども、私はなかなかやめられないものが多いんじゃないか、こう思うわけです。それで副総理が言われております高度成長は望めない、あるいは静かで控え目な成長、こういうことを言われておりますが、安定成長、低成長、そして静かで控え目な成長、この問題について少し、先ほども成長率は議論に出ておりましたけれども、まず低成長と安定成長は同じか違うのか。
○国務大臣(福田赳夫君) 低成長は低成長、それから静かで控え目な成長だ、こういうふうにまあ申しておりますが、成長の高さだけから見ますればこれは低成長ということですが、また成長の内容まで含めて言えば安定成長だ、またこれからの経済の姿をもう少し感覚的に申し上げるということになれば静かで控え目な成長だ、こういうことでございます。
○矢追秀彦君 その辺が非常にわからないんですよ。私は、低成長というのは高度成長に対する言葉である、これが一つ。もう一つは、現在の状況が低成長ですね。この低成長というのは、摩擦が多く生活不安がつきまとう不安定な時代、こういうふうに私は解しているわけです。だから、いま言われた低成長が静かで控え目な成長というのは——現実に先ほどからもいろいろ出ておりましたし、倒産が出たり、レイオフが出たり、いまぎすぎすしていること、それは副総理もお認めでしょう。いまの状態が低成長、高度成長に対する言葉で低成長、これは非常に摩擦の多い時代であると私は言いたいわけなんです。静かで控え目な成長というのと私はちょっと違うと思うんです。静かで控え目な成長は、その中に安定ということが含まれてなければいかぬと思うんです。現在は静かで控え目な成長では決してない。低成長であって非常に摩擦が多く不安定な時代と、こう私は定義づけたいんですが、その点いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、使う人によってその意図するところは違うんじゃないかと思いますが、時に私どもが低成長と言うのは、静かで控え目な成長、または安定成長、その意味するところの成長面だけをとらえて言っておる、こういうことでありまして、いまマイナス成長だというのを低成長だとは申し上げておりませんです。
○矢追秀彦君 そうすると、副総理の言われるその低成長というのは、あくまでも静かで控え目な成長でそれは安定しておるんだと、こういうことですね。で、現在はそうだということですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いまはマイナス成長でありまして、決して言うところの低成長じゃございません。つまり、安定成長という言葉には二つ意味があるんです。一つは、これは成長の高さの問題ですね。その成長の高さは、これは高さだけの点から見れば低成長。それからもう一つは安定成長。高度経済成長下に見られるような景気の波が非常に高い、不況の谷が非常に低いというような景気変動の波をなるべくならす、平均的に伸びていくという意味も含めておるわけです。それから同時に、内容といたしまして、これは国民経済の構成員である各界各層、これがバランスのとれた成長ができるような姿、そういうことも考えておるわけです。また、先ほども申し上げましたが、われわれの生活環境、そういうものを重視しなきゃならぬとか、あるいは小さい弱い人の立場を尊重しなきゃならぬとか、そういう意味も含めておる。さらに、そういう内容に加えまして、私が静かで控え目な成長ということを同じような意味で言っておりまするが、そう言うことは、まあ社会全体といたしまして余りざわざわした社会でない、これは本当に人間尊重、友誼といいますか、あるいは社会連帯というような、こういう社会理念がしみ通った社会といいますか、こういう精神的な面までもつけ加えて想望した場合の社会、その中における経済のあるべき姿というようなことまでつけ加えますと、これは静かで控え目な成長だと。余り進め進めという動的な状態じゃなくて、社会全体として静的な静かな成長の姿、そういうものを想望して申し上げておると、こういうことでございます。
○矢追秀彦君 そうすると、いまの状況はマイナス成長であって、低成長はマイナスに入らないと、こういうことですね。 では次に、池田内閣が、先ほど申し上げましたように所得倍増計画でスタートいたしまして、その中で四つの格差を解消すると、そういうことで高度経済成長路線をとって今日まで来たわけです。その結果、この四つの格差は果たして是正をされたのかどうか。これは各大臣にお伺いしたいんですが、この四つの格差というのは、一つは農業と非農業、二番目が大企業と中小企業、三番目が地域間の格差、四番目が所得階層間に存在する生活上及び所得上の格差、こういったものが果たして解消されたのかどうか。この四つの問題、お答えできる大臣からお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 高度成長下におきまして、農外所得の増大等もありまして農家の生活水準が上昇したことは事実でございますし、また、生産性につきましても、農業の生産性は他の先進諸国と比較をして決して劣らなかったわけでございますが、非農業の生産性が著しく高かったために、その間に格差が生じたことも事実であります。そういう中で、兼業の増大であるとか、あるいはまた労働力の減少というような事態が起こってまいりまして、非常に問題が起こっておることは事実でございます。
○国務大臣(大平正芳君) 池田内閣の官房長官をやった者でございます。 私から答えさせていただきますと、四つの格差が所得倍増計画で解消になったかどうかということでございますが、いずれも格差の縮小に役立っておると思います。これは、たびたび出しております政府の白書が証明いたしておると思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 大企業と中小企業の格差という意味はいろいろあるわけでございますが、一つは所得格差の問題だろうと思いますが、これはよほど私は解消されたと思います。また、生産性の問題につきましてもある程度の解消はできておる、こういうふうに理解をいたしております。
○矢追秀彦君 あと副総理まとめて。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま各大臣からお答え申し上げましたように、高度成長下では、やはり国民各界各層というものが成長の成果に均てんをいたしておるんです。したがって、格差、そういうものも、これは完全に解消するなんというようなわけにはなかなかこれはまいるものじゃございませんけれども、その格差は縮小、そういう傾向をたどったと思います。特に地域格差、こういうものについて見ますと、いわゆる後進県と言われたような地域における県民所得、これなんかは非常に顕著に向上してきておる。まあ後進県、先進県、これの格差はかなり縮まっておる、こういうふうに見ております。まあしかし、完全に解消されたという状態でありませんので、なお格段そういう問題につきましては配意する必要がある、かように考えております。
○矢追秀彦君 総理はどう御認識になりますか、いまの問題。
○国務大臣(三木武夫君) 確かに、高度経済成長下で諸般の格差は非常に縮まってきたことは事実だと思います。そういう点で、格差是正には一つの大きな役割りを果たしたということは言えると思います。
○矢追秀彦君 私は、いま各大臣が言われた答弁は非常に納得できないわけです。それは、最低の要するに所得というのはある程度上がったかもしれません。またある地方において、その地方の所得なり文化なりが上がったことは私は否定はしません。しかし、いわゆる格差ですよ、これはますます高くなっていることは事実なんです。そうでなかったら、いまこんな国民の不満は出ないわけです。この点は非常に大きい問題だと思うんです。これはまた、数字を挙げて議論をしてもいいわけでありますけれども、それはまた別の場所に譲らせていただきまして、問題は、この高度成長でもできなかったこういった格差の是正が、果たしていまマイナス成長で非常に、また逆にそういうマイナス成長のもとで被害を受けておるのが絶えず所得の少ない人であり、あるいは中小零細企業のような力の弱い企業であり、やはり大企業もある程度は波をかぶっておるでしょうけれども被害は少ない。やはりマイナス成長というか、低成長でも非常にそういう格差がまた出てくるわけですね。高度成長でもできなかったものを、副総理の言われる静かで控え目な成長で果たしてこれがどういうふうに格差の是正ができるのか。社会的不公正の是正を最大の眼目にされている三木内閣ですから、この辺が非常に問題だと思うんです。その辺のかじ取りはどうされますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどは、非常に概括的なことを申し上げたわけです。つまり四つの格差、こういう非常に大まかな区分をしてのお話でありましたが、そういう大まかな観察をしますと、格差は確かにかなり解消の方向をたどったと思います。しかし、今度はその区分の中で一体どういう状態であったかというと、やはり力の強い人はもうどんどん先へ出る。非常に極端に言うと、優勝劣敗というか、そういうような傾向がかなり強かったと私は思います。しかし、これから一体どうなるんだというと、高度成長じゃなくて静かで控え目な成長、安定成長時代に入る、そういう際になりますと、たとえば農業と非農業との関係を考えてみると、そういう際には工業がずいぶん所得を増大する、その増大に農業がなかなか肩を並べ得ないと、こういうような状態もありましたが、全体として農業もまた肩を並べ得るというような状態の成長というようなことになっていく、そういう点もあるわけであります。しかし同時に、格差を積極的に是正するという手段としての成長の成果、そういうものが小さくなるわけでありまするから、これは政治的に、政策的にかなり社会的公正という問題に対して気を使わなければならぬと、こういうふうに思うんです。自然に放置するということでなくて、政治的、政策的にかなり意を用いて公正の確保ということに努力をしなければならぬと、さように考えております。
○矢追秀彦君 私、副総理にお伺いしたいんですが、すべてを新しい経済計画を立ててから立ててからと言って、中身がなかなか出てこないわけです。それは、いま全部出せと言っても無理でしょうけれども、ある程度の副総理の頭の中に描かれているものはもう出てこなければだめなんじゃないですかね、国会が終わってからゆっくり考えるとおっしゃるのかもしれませんけれども。 というのは、昨年も言われたように、ことしの予算があくまでも調整期であると言われたんですよね。来年も調整期になる可能性がある。本格的には五十二年度ということも答弁をされております。そうするとあと二年あるわけですね、二年の調整期。調整期というのは実際どうあるべきなのか。私は調整期という言葉は、いまさっきいろいろ言われたような転換をする場合のその芽は出てこなくちゃいけないと思うんです、ことしから、いろんな問題で。ところが、先ほど言いましたように、特に高度経済成長を支えてきたいわゆる大型開発といいますか、高速道路とか新幹線とか、あるいはコンビナートとか、あるいは大型の港湾とか、そういうものは全部スローダウンはしているけれども、やはり前と同じように出てきている。それでは調整期にならぬのじゃないですかと。これからつくられようとする青写真のやはり前の段階が五十年度予算であり、これが決められたら五十一年度予算にはもうそれが反映しなくちゃいかぬ。 ことしは仮に譲ったとしても、来年度予算編成に当たってはもうそれははっきり出てこないといけないと思うんですけれども、その辺いつも副総理は、計画ができてから計画ができてからと言われますけれども、その点をもう少し具体的にどういうふうな方向で、控え目で静かな成長へ、そして安定成長へ軟着陸をすると盛んに言われているわけですから、いまのまま行きますと——私が心配しているのは、これはまた後で言いますけれども、この間も分科会で申し上げましたように、過剰流動性の可能性が十分ある。だから、ちょうど自動車で言いますと、この間までは超スピートで走っていたのがいま急ブレーキがかかってとまったと、国民は前にのめって頭を打っていると、こういう状態ですよね。今度また、ゆっくりアクセルを踏んですっと行くならいいですけれども、この間からの不況対策なんかをずっと合計していきますと、相当のお金になるわけです。そうすると、かなり高度成長の路線へまた出ていくのではないか。そういう意味で、その安定成長への軟着陸はどういう方向で、どういう転換のもとに行われるのか、その点が全然出てきていないわけですよね。その点をきょうはお伺いして、きょうはこの程度にとどめたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) この一、二年調整期間だと、こういうふうに申し上げておるわけですが、この調整期間というのは、これは私が言う意味は、これは混乱した状態の収拾期である。つまり、もう少し具体的に言うと、物価が安定した状態になる、また国際収支もバランスのとれた状態だ、それが本当に定着するまでにはまだ一、二年はかかるであろう、こういうふうにいま考え、その後には安定した物価、また安定した国際収支というものを踏まえましてそれに新しい路線を敷く、そういう趣旨を申し上げておるわけであります。そういうことで、その混乱収拾期たる、物価もまだ安心ならぬ、国際収支もまだ問題があるという、そういう時期としての五十年度、この年度における諸施策を一体どうするかと、こう言いますと、どうしても中間的措置にならざるを得ないんです。五十一年度以降の、あるいは五十二年度以降の軌道というものをそう簡単にはこれは決め得ない、特に国会に対して責任を持って御説明できるような計画はできない、そういう際において五十年度のこの措置を一体どうするかと、こういうことになりますると、どうしても中間的措置になる。やはりそういう意味において、五十年度予算というものはかなり中間的色彩が強く出ておる。 まあ矢追さんがごらんになって、大変いろいろ御不満というか、そういう御批判の気持ちを持たれることは私もよく理解できるんです。私どもといたしましても、ぱさっと踏み切ったような気持ちになれない面もあるわけなんです。しかし、非常な混乱の経過的な時期であるということで御理解をいただくほかはあるまい。そのかわり五十一年度予算は、すっきりしたものを御提案申し上げるということで御理解をお願いいたします。
○委員長(大谷藤之助君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。
○政府委員(上村一君) 先ほどお話ございました和歌山県の竜神村の学童に尿たん白がたくさん出た件につきまして、吉川さんのお話を伺ったわけでございます。吉川さん自身まだ十分分析しておりませんので詳しいことは後日お話しするということでございましたけれども、吉川さんのお話によりますと、竜神村の尿たん白の検出率は疑陽性を含めまして一〇・二四%である。そしてこの一〇・二四%というのは早朝尿、朝一番の尿でございますが、それを三回続けてとったものである。したがって、同じ早朝尿を一回だけとった場合に比べると出現率は十分の一ぐらいになるのが定説だそうでございます。したがって、一般的には二回続けまして陽性が出るのが〇・二%前後だと言われておりますから、この一〇%なり、あるいは陽性だけにしぼりますと三・九%と一般的な〇・二%前後を比較すべきではないかというお話であったわけでございます。あと和歌山県の教育委員会の調査等もございますし、先ほど申し上げましたように、和歌山県立医大を中心にしました実態調査の結果とか、あるいは吉川先生のお話を引き続き聞きながら検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○委員長(大谷藤之助君) 矢追君の残余の質疑は、明日行うことにいたしたいと存じます。 明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時四十五分散会