予算委員会 第17号
- 発言数
- 381 件
- 登壇者
- 50 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1975/03/27
会議録
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和五十年度一般会計予算 昭和五十年度特別会計予算 昭和五十年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 本日は、総予算三案に関する重点項目別総合審査の二日目といたしまして、社会福祉問題について審査を行うことにいたしたいと存じます。 本日は、政府側のほか、お手元に配付いたしてあります参考人の方々が出席いたしております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は御多忙中にもかかわりませず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。 なお、御発言は、その都度委員長の許可を得て行うようにお願いをいたします。また、時間の制約がありますので、お答えはできるだけ簡潔にお願いをいたします。 各委員が質疑される場合は、政府側とともに、参考人を指名していただきたいと存じます。 それではこれより質疑を行います。斎藤十朗君。
○斎藤十朗君 昭和五十年度予算を拝見いたしまして、特に社会福祉関係の厚生省予算を拝見いたしますと、前年度に対して三六・二%増しという、非常にむずかしい予算編成の中で大きな予算の伸びを示したということは、大変結構なことであると考えております。いま、政治に課せられた最大の問題は、物価の安定であり、また、インフレを克服し、同時発生的なこの不況を抑制をしていく、こういった問題が一番大きな命題であったわけでありますが、そういう意味から、予算も、総需要抑制政策というような予算を組まなければならない、同時に、そういったインフレの中で、まあ社会の中で弱い立場にある方々に対して光を当てていくという、社会福祉政策をその中で大きく進めていかなければならないという、考え方によっては、ある意味では矛盾するような場面であったわけでありますが、そういう中、大変御苦労をいただいて、御努力をいただいた政府のお考え、進め方に対して、まずもって深く敬意を表しておきたいと思う次第でございます。 今年の厚生省予算を拝見をいたしますと、主に福祉年金の六〇%引き上げとか、拠出制年金の物価スライドによるところの厚生年金、いわゆる七万円年金ベースへのアップ、また、在宅重度障害者福祉手当の新設とか、児童手当の五千円への引き上げ、また、社会福祉施設の運営の改善や、マンパワー対策というものが推進をされたわけでありますし、また、僻地医療、休日夜間救急医療の供給体制を整備するというようなこと、また、生活扶助基準を二三・五%引き上げる、また、原爆被爆者に対する保健手当の創設等、まあ原爆被爆者の援護法は持たないまでも、実をとるというような意味での対策が推進をされた、また、戦没者遺族に対する弔慰金や、また、年金などの三八・一%という大幅な引き上げがなされたわけでありまして、一つ一つ挙げてみますと切りがないぐらいに、今回の予算にいろいろな面できめ細かく配慮され、相当前進した福祉予算であるというふうに私は高く評価をいたしておるわけでございます。まず、政府の、厚生大臣を初め、大蔵、関係御当局の御努力に対して心からの敬意を表したいと思います。 振り返ってみますと、昭和四十八年のときに、わが国の福祉元年であるという勢いで、いわゆる日本の福祉社会を目指しての第一歩が踏み出されたと私は考えております。その昭和四十八年には、厚生予算も三一%増し、総予算の伸び率がそのとき二四・六%でありました。昭和四十九年は、総予算の伸び率が一九・七%に対して厚生予算が三七%増し、昭和五十年、本年の、いま審議しております予算は、総予算において二四・五%増し、厚生予算が三六・二%増しというふうに、昭和元年を契機として大幅に厚生予算が伸びてまいっております。 総予算に占める割合も、四十八年には一四・七%、四十九年が一六・八%、五十年が一八・四%というふうに、これまた非常に大きなシェアを占めるようになってまいったわけであります。昭和四十七年までは、厚生予算というのは大体一二%から十三%を低迷しておるという状態であったわけでありますが、こういうふうにして一八・四%というところまで厚生予算が総予算に占める割合が非常に大きくなってきたということは、一つには国の社会福祉に対する取り組む姿勢というものが、はっきりと重点的にあらわれてきたということが言えると思うわけであります。 そこで、一つお聞きをいたしておきたいと思うわけでありますが、社会福祉予算、特に厚生省予算が、いま申し上げたように近年飛躍的に伸びてまいりましたが、真の社会福祉国家を今後ますます実現をするために予算も伸ばしていかなければならないとは思いますが、将来のその総予算に占める厚生予算というものは、どんな形でこれから進めていったらいいんだろうか、何%ぐらいを目標に置いておられるのであるかということを、大蔵大臣の代理で、大蔵政務次官に、簡単にまずお聞きいたしたいと思います。
○政府委員(梶木又三君) ただいま斎藤委員からお話がございましたように、五十年度はいま高く評価をしていただいたわけでございますが、きめ細かい福祉関係の予算を計上したつもりでございます。その結果が、いまお話しいただきましたように、総額では三兆九千二百六十九億、前年度対比で申し上げますと三五・八%と、大幅に伸びたわけでございます。御承知のように、全体の伸びは二四・五%でございますから、非常に福祉関係に重点を置いた本年度の予算だと思うわけでございます。しかし、福祉関係の予算につきましては、これからもますます充実をしなければならないと思いますが、それはもう当然、経済の動き、あるいは国民の老齢化、こういう社会的ないろいろ条件が変化いたしますので、それに対応しまして、今後ともいままで以上に充実した福祉予算を組まなければならないと思うわけでございます。 しかし、一方、経済関係を見まして、いままでのような高度の経済成長も遂げられない、だんだんこれから安定した経済成長になっていくと思うわけでございますので、財政負担というようなこともございますので、今後、先ほど申し上げましたように、ますます充実しなければならない、一面においてそういう財政的な問題もございますから、結局、国と地方公共団体との事務配分の問題とか、あるいは社会保障制度の合理化、見直しというようなこともひとつ厚生省ともども御検討を願って、そういう面との絡み、あるいはまた、いろいろほかの関連した施策もあると思うわけでございますから、そういう施策とのバランス、こういうものを一切含めまして、幅広い観点から十分な検討が今後とも必要だと思うわけでございます。 それで、いまどのくらいのパーセント、シェアを占めるかという御質問でございますが、いままで申し上げましたようなことがございますので、今後国全体の予算に占める割合が何%かということは数字的には申し上げられないと思うわけでございますが、しかし、国としましては、先ほど申し上げましたように、いろいろな角度から諸問題を含めて、一切合財含めて幅広い検討を加えまして、国民的なコンセンサスも求めまして、今後とも充実したものにしていくように努力をしなければならぬと、かように考えておるわけでございます。
○斎藤十朗君 厚生大臣に同じような質問をさせていただきたいと思うのですが、政府部内でも福祉予算を獲得するために一番先頭に立ってやっていただかなければならぬわけですが、今後何%ぐらいまで福祉予算を伸ばしていったらいいとお考えですか。
○国務大臣(田中正巳君) ただいま大蔵政務次官が申しましたとおり、今後何%まで国の総予算のの中に占めるかということについては、私は流動的だと思うのであります。他の政策要請もいろいろと変化をいたすものと思いますので、したがいまして、この中にあって社会福祉予算が総予算に占める比率をどの程度に固定するかということは、私はそう簡単にできるものではないと思います。要は、今後社会福祉水準というものを社会情勢あるいは国民のニードに対応して高めていくということを、こうした大きな国家的な財政要請の中でどういうふうに位置づけるかということは、今後さらに検討をいたさなければならないものと思いますので、いま、総予算に何%占めるかということを申し上げることは適当ではないというふうに思います。
○斎藤十朗君 確かに私も何%というお答えがいただけるとは思ってないわけであります。社会福祉がどうなっているかということは、その国の社会保障給付費がどんな割合にあるかというようなことで見るのが一般的とされておるわけでありますし、その中でも、租税負担がどのくらいであって社会保険負担がどのくらいであるかという、そういう一つの何というか、ビジョンというのか、こうあるべきだという姿をやっぱり据えながら福祉予算というものを伸ばしていくという形でないと、これから一つの大きな壁にぶつかるような気がしてならないわけでございます。そういうような観点からも、今後よくお考えをいただき、お取り組みをいただきたいというような気持ちで申し上げたわけでございます。 戦後の復興期、そして経済成長を遂げた中で社会福祉が立ちおくれていた、見落とされてきたといっても過言ではないと思うのですが、経済の成長がなし遂げられた今日、これを早く挽回して福祉国家に持っていかなければならないということで、まあ社会福祉に向かって駆け足をして、すっ飛んできたというような感じだろうと私は思います。まあ、そうすることによって、制度的にもヨーロッパ並みの制度が整ってまいりましたし、老人医療の無料化というような各国に例を見ないような制度もできてきたというようなことで、日本の社会福祉も、一応、ヨーロッパ並みとは申せないまでも、ヨーロッパ並みの入り口まで入ったというようなことは私は言えると思うわけであります。これから本当にヨーロッパ並み、もしくは本当の意味での福祉国家として充実をしていくために一つのスタートラインに着いたような、そういう時点に来ているような気がするわけでございまして、これから本当に真の社会福祉国家を目指して進んでいくためには、いろいろな意味でいま見直しをし、一つの節として見直しをしていかなければならない、そういう時期に来ているような気がするわけでございます。 まあ最近、おんぶにだっこというような言葉がありますが、何か、上からもらうものは何でももらって、出すものは全然出さないというような、そういう風潮があったり、もらうものは皆国におんぶしてしまえばいいというような、そういう風潮、また、何人か人が集まって大きな声を出せば、それが受け入れられて、何といいましょうか、正しいものであろうと、そうでなかろうと、大きな声で要求によってかち取られてしまうというような面が、ややもするとあるような気がするわけです。そういう形で福祉というものが進んでいくと、本当の姿の福祉国家ということにはほど遠くなってしまうような気がするわけでございまして、そういうような意味から、これから日本の福祉はどうあるべきかという一つの国民的なコンセンサスを得ながら進めていく、そういう一つの節、福祉に対する見直しの時期に来ているというような気がいたすわけでございますが、厚生大臣、どのようにお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(田中正巳君) 節と申しまするか、今後の日本の社会保障の行き方ということについていろいろな御意見が斎藤先生から提示をされましたが、私、常日ごろ思っていることでございますが、わが国の社会保障の体系というのは、どうもヨーロッパの先進社会保障国とは少しく形が違っているというふうに思っているわけであります。 それは一つには、社会保障の中には医療保障と所得保障の二つの範疇に分けられるわけでございますが、日本におきましては、医療保障の面についてはかなりの水準まできておりまするが、どうも所得保障については年金の未成熟等の関係がございまして劣っておるということは、これは否めない事実だと、かように思っております。もちろん医療保障もきわめて大切であり、今後充実強化をしていかなければなりませんが、今後は主として私は所得保障に力点を入れ、これを充実することが日本の社会保障の分野における大きな課題であるというふうに認識をいたしているわけであります。こうしたわけでございますが、いま一つには、わが国の社会保障の体系を見てまいりますると、やっている政策の項目と言いますか、種類、バラエティについては私はこれら先進の国々に劣らないと思っております。しかし、これらの一つ一つの施策が内実において劣っているということが考えられまするから、今後は大きな施策を打ち出したい。世間の大向こうをうならさせるというようなことよりも、むしろ現在ある政策の内容を強化充実をしていく、そしてその間における小さな谷間を埋めていかなければならないといったようなところに、今後の日本の社会保障の充実をする問題点があるというふうに私は考えておるわけでございます。
○斎藤十朗君 いまおっしゃられましたように、日本の所得保障、非常にこれは今後検討していかなければならない問題があるというふうなお話でございます。年金の問題につきましては後ほど触れさせていただきたいと思います。私はここでやっぱり福祉というものを考えるときに、福祉を受けられる方々も決して何か上からいただく、ちょうだいするというような気持ちばかりで福祉が充実をしてきたとは思っておられないと思います、そういうような形では。あくまでも皆さん方が自立をしながら、その中で相互扶助の形における助け合いがなされていくという形でなければいけない。また国民の福祉に対する意識というものをもう少し向上させて、いままではどちらかと言うと上から物を与えているというような感じでありましたけれども、住民ベースの下から盛り上がる、そういう福祉意識というものに支えられた福祉国家というものに今後進めていかなければならないんじゃないか。また、先ほどお話ありましたように、社会保障の点においても、負担の割合をどういうふうにしていくかという国民的な合意を求めつつ進んでいくというような、そういったいま挙げましたことでも三点ほどのことが中心になってこれからの福祉というものをお考えいただかなければならないと思うわけであります。 そこで、日本の福祉に対する長期計画というようなものが以前から立案されるとお聞きをしながら、延び延びになってきておる。社会保障長期計画懇談会、いわゆる長期懇というものが四十九年の十一月に中間報告を出されておりますが、これもまとまったものがまだできていない。せんだってからの国会答弁などをお聞きをいたしますと、新しい経済社会計画というものを昭和五十一年から五十五年にかけて策定をし、その中で福祉に対する長期計画も見積もっていくということをおっしゃっておられるわけでありますが、ぜひそういった将来の日本の福祉のピジョンを確立するような長期計画というものをおつくりをいただきたい。いままでの中間報告を拝見さしていただきますと、どうも厚生省の行政の範疇を一歩も出てないような、いま厚生省が取り組んでいることの、その一歩も出ないような長期計画の中間報告になっているように思うわけです。今度はひとつドラスティックな、厚生省のいま考えておることを数歩先へ行ったような長期計画をひとつお取りまとめいただくように、大臣からも御配慮をいただきたいというふうに考えるわけでございます。 そこで、文部大臣にひとつ御質問をいたしたいと思いますが、ほかの委員会の関係で私の申し上げたい意は尽くせないかもしれないんです、ちょっと順序が転倒いたしておりますので。 いま申し上げました中で、社会福祉に対する国民の意識というものを向上をさせていかなければならない、そして国民の社会福祉に対する理解と協力というものを盛り上げていく中で社会福祉を進めていかなければならない、こう考えるわけであります。いろいろなことがなされなければいけないと思いますが、究極、言われますように教育に負うところが大である。福祉教育という言葉が当たるかどうかわかりませんが、福祉に対する教育というものももっと充実をしていかなければ、お年寄りの扶養意識というものも低下をしておるわけでありまして、そういうことを考えますときに、教育の面においても、小さい子供の折から社会福祉というものを身につけさせるような、そういう教育をしていただきたいと思うわけであります。で、修身というか、道徳教育というような中でも、この福祉教育というものは知らず知らずのうちにあると思うわけです。私は、しかし、教室で先生がこうしなさい、こうあるべきですよというお話をされたり、道徳の本を読んで勉強をするという形だけの福祉教育ではいけない、やはり小さいころからはだで福祉を感じ体験をしていく、はだで社会福祉というものを受け入れていくという、そういう教育でなければならないと思うわけであります。 そこで、私は一つの御提案のようなものをいたしてみたいと思うのでありますが、いま週休二日制というものが進行いたしております。学校教育における週休二日制もいろいろ議論をされておりまして、学校教育そのものの週休二日にした方がいいのか、教職員の週休二日にした方がいいのかといういろいろ御議論があるようでございますし、文部省でもいまいろいろと検討されておるようにお伺いをいたしますが、そういう中で、土曜日を、いわゆる学校の教室の中における勉強というものをやめにして、学校外へ出て社会福祉を体で会得する、そういう日にしたらどうだろうか。学校の先生方も一学年で学年主任のような方がお一人だけついていただいて、そして地域における社会福祉のボランティア指導員のような方に子供たちをお預けをするという形をとる。そして子供たちが、あるときには老人ホームを訪ねて日ごろやっておるお遊戯を見せる、また身障の施設へ行って草むしりをする、施設を掃除する、また地域の清掃運動をするというような、そういう活動を土曜日の学校教育というか、そういうものに振り向けていっていただくということが非常に私はいいことであり、必要なことであろうと思うわけでありますが、文部大臣の御所見をお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(永井道雄君) ただいま御指摘がありました週休二日制といいますか、あるいは学校五日制というか、そこに到達する前に、現在の段階において福祉との関連においていろいろやっていくべきことがあると考えております。福祉というものを、御指摘のようにただ受け取るということではなくて、他の人々も含めまして連帯というか、そういう活動と結びつけていく。あるいは自発性ということも非常に大事であるかと思います。現在でも社会科とか道徳の時間に、これは小中高通してでありますが、そういうこの連帯、自発性の重要性というものを教えていますけれども、しかし御指摘のように、これまたただ観念だけでは仕方がないので、生活習慣としてそういうものができ上がっていくということが大事だと思います。 昭和四十七年に学習指導要領の一部改正がありまして、そのときの施行通達の中で、各教科の指導に当たって、指導上必要があるときにはたとえば学校外の奉仕的活動の実施などを考慮するというのがあるんです。これに基づいていろいろな学校が独自で計画をして学校外の活動をするということもできるようになってきておりまして、事実上青少年赤十字活動というものに参加しているのが相当あります。こういうもの以外にもいろいろなクラブ活動がありますし、それから特殊教育ですね、特殊教育と一般教育の子供がいます。その場合に、特殊教育の人だけが特殊な教育を受けていればいい、他の一般の子供は関係がないというのはやはり福祉的ではないわけで、ハイキングをやるとか、絵をかくというようなことで、一般教育の方と特殊教育の子供が相互に協力するということもだんだん広がってきております。その他幾らでもそういう具体例を挙げることができると思いますが、たとえばスポーツなども大変大事な連帯の学習だと思います。 いま御指摘がありました週休二日制の段階において土曜日をどうするかということでありますが、学校五日制というものをどういうふうに実現していくかという問題は現在検討段階でありますので、私が直ちに土曜日をいろいろな社会活動をというふうにここで断定的に申し上げることはできないと思いますけれども、教育課程審議会というものがありまして、そこでこれからの教育課程を検討しているわけでありますから、いまのような御提案は非常に意味があると思います。これも、受験地獄の解消というものと並行して進んでいきますと、土曜日に単なる学科中心でなくて、社会的活動の中でよい習慣をつけていくというふうにすることができればきわめて望ましいと思います。そういうことが私は今後教育課程審議会などでも積極的に検討されていくものと期待しているわけでございます。
○斎藤十朗君 確かに、教育課程との組み合わせ、これは大変むずかしいというか、教育課程が非常に過密化をしているという状態の中で十分検討していただかなければならないと思いますし、しかしながら、文部大臣がおつくりになられました文明懇談会、こういうようなところでもひとつ日本の福祉教育のあり方というような形で、これを学校教育にどう進めていったらいいかというようなことで文明懇にもお取り上げをいただいて、そういう方向でぜひとも実現をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。何か御所見がありましたら、どうぞ。
○国務大臣(永井道雄君) 文明問題懇談会でお考え願いたいと申しておりますことの一つは、まあクオリティ・オブ・ライフということを言うわけですが、しかし、生活の質と言いましても非常にこれまた抽象的、観念的でありますから、そういうことを次第に具体的に議論をしていただくことになると思います。そういうことと関連して、いまの御提起になりました福祉というようなことは、事実上日本人の生活でどういう姿をとり、そして先ほどからまた御指摘になりました連帯とかあるいは人間の価値のあり方とどう関連していくか、こういうことをおそらく議論されると思いますが、私もまた記憶をいたしまして、積極的にそういうことを議論していただくようにお願いもしたいと思っております。
○斎藤十朗君 積極的に議論をして実現の方向で努力をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。何かございますか。
○国務大臣(永井道雄君) 議論倒れになりませんように、具体的に学校教育の中でいろいろな新しい考えというものが実現していくように努力をしたいと思っております。
○斎藤十朗君 ありがとうございました。文部大臣、どうぞお引き取りくださって結構でございます。 いま文部大臣からそういう前向きな御答弁をいただきましたが、そこで、受け入れるその福祉活動家と言いましょうか、指導員と言いましょうか、指導家というか、そういう受け入れ体制というものが必ずしもまだ完璧ではないというふうに思うわけでございます。後ほど議論してみたいと思いますが、ボランティア活動などの育成と相まって、そういった方面での受け入れ体制も、厚生省の方で早急に実現をしていただきたいというふうに御要望を申し上げておきたいと思います。 この辺で、本日大変お忙しいところをおいでいただいております参考人の皆さま方に、最近の福祉政策を振り返りながら当面する問題、できれば長期的な将来を踏まえた問題などについて御意見をお伺いいたしたいと思います。 皆さま方は本当にいま日本の社会福祉の中で、皆さまこそ社会福祉を支えていただいておる方だと私どもは信じております。また、本当に社会福祉はどうあるべきかという生の声を聞かしていただけるものだと考えておるわけでございまして、できましたら五分程度で、お三方に順次御発言をいただきたいと思います。
○参考人(黒木猛俊君) 黒木参考人でございます。自己紹介をいたしますが、私どもの団体は各都道府県指定都市の身体障害者の団体の連合会でございまして、政党的には中立の団体でございます。 昭和五十年度の関係予算を振り返ってみて、私は一点だけ非常に高く評価する問題がございます。それは介護手当の新設でございまして、三十億の予算要求がなされておりますけれども、これが平年度に直しますと百二十億円になります。昭和二十五年の四月一日に施行された身体障害者福祉法の関係予算が一億四千万であり、昭和五十年度の身体障害者の福祉関係の要求予算が百六十一億七千六十八万三千円であるということを考えるときに、このいきなり百二十億にも達する予算がここに出されるということは私は画期的なことであろうと、非常に高くこの問題は評価しておる次第でございます。 それでは、斎藤先生のおっしゃるように、わが国の社会福祉ということを身体障害者という面からとらえた場合に、一体どうあるべきか。これは身体障害者といえども残存能力を有するわけでありまして、あくまでも残存機能を発揮して社会復帰をしたい強い願望を持っております。しかしながら、ただ強い願望を持っただけでは社会復帰はできません。これをさせるのがすなわち制度であり、制度を実施するに必要な予算であります。それを考えるときに、現在の制度というものは一応形の上では整っておるかに見えますけれども、これは形だけでありまして、中身は整っておりません。身体障害者福祉法、身体障害者雇用促進法、国民年金法の中の障害福祉年金、いずれをとらえてみましても看板だけであります。率直に申し上げて、法律制定の目的が達し得るだけの強制力は法律にありません。したがって、これは根本的にひとつ考え直していただきたいという強い願望を持つ次第でございます。 さて、近年非常に身体障害者の問題が取り上げられまして、急速に充実されてまいりました。昭和四十八年度からはモデル都市という制度が着手されまして、現在全国で十七都市がいわゆる福祉都市になるべく努力が続けられております。たとえば車いすが自由に通行できるように車道と歩道の段差の削除、あるいは信号機に盲人が理解できるような音響信号機が取りつけられておる。いろいろとされておりますけれども、これをヨーロッパと比較すれば私は何十年、何百年の差異があると考えるのです。 先年、私は二回にわたってヨーロッパを見てまいりました。どこに行っても身体障害者が朗らかな顔で日常生活を送っております。車いすで通行する者があるというと、さっとそばの健丈な人が行って、ちょっと言葉をかけて後ろからこれを押してやる。目の見えない人がヨーロッパでも白いりえをついております。歩いているのを見ると健丈な人がひょっと肩をかして、そして誘導しておる。日本ではどうでありましょう。先年高田馬場駅で四十二歳の盲人が、結婚を一週間後に控えてホームから転落して死にました。四十八年になって、身体障害者が自由に通行できるような都市改造がなされておる。これは私は日本人の意識の欠陥であろうと思います。いかに福祉国家を唱え、人道主義国家を唱えても、日本人の意識の中にはそれだけのおくれがある。おそらくヨーロッパであったならば、ホームから転落するような盲人があったら、たちまち周りのお客さんがそこは危ないですよと言って引きとめてくれたであろうと、本当に私は心の中で涙を流しました。こういうことは根本的に日本人の意識の問題でありますので、すなわち幼児教育から、身体障害者というものに対してはどう対処すべきであるか、いま斎藤先生がおっしゃったような形でひとつ小さいうちから、幼児教育、家庭教育、小学校教育から社会的弱者に対してはどうあるべきかということを問い直していただきたい。強く訴えるものでございます。 それから、身体障害者の福祉を含める社会福祉というもののめどは一体どこに置くべきであるか。年金は多いに越したことはございません。身体障害者でも、老人でも、あるいは母子でも、準母子でも、多くを欲しいという気持ちは変わりありません。しかし、一体どこまでが妥当であるかということになると、これはやはりみんな戸惑うんです。そこで、これは一つのめどとしまして、御承知のようにそれぞれの国の社会福祉の水準というのは、国民所得に占める社会保障給付費の比率を指して言っております。これをいま申し上げますというと、残念ながら日本はヨーロッパ先進諸国の三分の一であります。すなわち七二年のデータで言いますと、西ドイツは二一・八%、フランスは一九・七%、イタリアは一八・六%、スウェーデンは一七・三%、イギリスは一五%となっております。しかるに、一九七一年のわが国の国民所得に占める社会保障給付費の比率はわずかに六・一%であります。やはりこういう国際的にそれぞれの国の社会福祉の水準はどこにあるかということを明確に答えられるだけの数字をもって根拠としなければ、流動的であるというのでは私どもは納得できないわけでありまして、すなわち、私たちはわが国の社会福祉の水準はヨーロッパの三分の一だなということを認識しております。このことをひとつ踏まえていただきまして、今後の社会福祉の充実に取り組んでいただきたい。 そうして、身体障害者の場合は、冒頭に申し上げましたように、あくまでも残存機能を発揮して社会復帰をしたいという強い熱望を持っておりますので、重度の障害者に対しては生活の支えになるだけの所得を保障していただきたい。残存機能を有する障害者に対しては職域を確保して、そうして職業の安定を図っていただきたい。これが私の意見でございます。
○参考人(仲野好雄君) 私は精神薄弱者を持った父親でございます。三十五歳で四年前に亡くなりましたが、それまで悩み続け、そしてこういう子供を持っております関係で親の会の専務理事を、ことしでちょうど満二十年でございますが、続けてまいりました者から五十年度の予算を拝見いたしますと、先ほど黒木参考人が申されたように、本当によくとっていただいたと、こう思う心でいっぱいでございまするが、つぶさに内容を拝見いたしますと、三兆九千億の厚生省社会保障予算のうちで、社会保険費が六〇%を占め、保健衛生費が七%、生活保護が一四%で、社会福祉は一六%でございます。そうして、この生活保護あるいは社会福祉の予算の中でもかなりの部分が医療にとられているわけでございまして、私は今後の長い目で見て、社会福祉を進めると国の予算が硬直するということをよく聞くのでございまするが、硬直しないために私は一番大切なことは、社会福祉の対象をいかにしてなくするか、少しでも減らすかということだと思います。 私、精神薄弱者を持ってみて、もう孫子の末までもこういう子供を持ちたくない、こう思う心でいっぱいでございます。そういう意味合いで、私もこういう孫が産まれないように、さらに少しでもよくならないかということを努めてまいりました。アメリカには二回、ヨーロッパにも一回、あらゆるところを、原因さえわかれば予防も治療もできるんじゃないかという考えから私は尋ね歩きました。私も医学を勉強いたしました。結局、原因をきわめなければいかないということで、実はこの三年間、運動いたしまして、前の厚生大臣の齋藤先生、いまの田中先生のお骨折りで、こういう病気の原因をきわめて、その基礎研究を主体とした研究所をつくっていただきたい、そうすれば予防も治療もできるのではないかということと、もう一つは、私は毎月七千二百円の健康保険料をずっと長く払わしていただいておりますけれども、一回も使う必要がないのでございます。これは私は四十五年間毎朝、仕事が終わって帰れば毎晩、健康に留意して運動を続けております。お医者様のお世話には、歯医者以外にはなったことはありません。それでございますから、先ほど申し上げました原因を研究していただいて、発生予防と治療に早く努めるということと同時に、私は一億総健康運動を実施していただけば、老人対策なんというものを全部解決できるとは申しませんが、非常に容易になるのではないか。心身障害児・者対策においてまたしかりと思うわけでございます。 第二の問題は、斎藤先生が先ほどボランティアのお話しをされましたけれども、私は常々考えておることは、もしも健康な人々が、その持たれたお金、富と時間と愛情というものを、五%でいいからみんなが恵まれない人々のために奉仕をするという精神運動、国民運動を起こしてみたならば、本当に斎藤先生の申された福祉国家をつくるために非常に役立つのではないか。こういう意味合いにおいて、ぜひ週休二日制を目の前に控えて、もうすでにかなりの企業はやっておりますが、企業に従事する方もあるいは家庭におられる主婦も、こぞってボランティア活動に従事するというようなために、これをいかに組織し、いかにその指導者を教育するかということが私は非常に大事な問題ではないか。こういう意味合いにおいて、ぜひひとつ日本の政府におかれまして、ボランティア法案と申しますか、こういうものの基準を示していただいたならば非常に国の福祉施策は進むのではないか、こう思います。 以上大きな二つの問題を、いままでの福祉行政を進めていただくことも結構でございまするが、私は一番大事なことは、こういう福祉の対象をなくする、減らすという前向きの政策をもっともっと強めていただきたいという問題と、ボランティア法案でもつくっていただいて、本当に日本の健康なる人々が一日の数十分、数時間、ことに余暇をこの恵まれない人々のために奉仕する、その具体的な御指導、法案をつくっていただけたならばどんなにありがたいことだろうかということをお願い申し上げまして参考といたします。 ありがとうございました。
○参考人(永田八重雄君) 私は、神戸市老人クラブ連合会の理事長をいたしている、全国十万一千クラブ、六百二十万の会員を初めとして一千二百五十万の老人が、どうしたらいついつまでも病気をせずに健康、長寿を保って、不平を言わず、愚痴をこぼさず、明るく楽しく余生を送ることができるか、その上、力のある者は多年の経験を生かして、長年育てていただいた社会恩、国の恩、地方自治体の恩返しのために極力社会奉仕活動をやる、これに全身全力をささげておる永田八重雄と申すものでございます。 政府におかれましても、また国会におかれましても、非常に御理解ある御討議によりまして、緊縮財政の折から老人福祉予算をおいおい増強していただきまして、無拠出の老齢年金が十月から一万二千円、来年には二万円にしてもらえるかと承って、全国の年寄りは大変喜んでおります。どうぞこの期待を裏切らぬように、ぜひともお願いをいたします。老人福祉には政党はありません。老人クラブは特定の政党活動、宗教活動は禁じられておるので、やりません。もう全部の国会議員の方、政府の方一致結束して、どうぞ皆さんも老人になられるんですから、老人福祉のためには力を入れてください。死なぬ以上は全国民が年寄りになります。したがって、老人問題は全国民の問題でございます。そういう意味におきまして、いろいろと増強していただきまして本当にありがとうございます。 さりながら、斎藤先生の言われたように、世界的水準には入ったけれども、まあ入りかけただけで、実際は内容がまだまだおくれております。私も去年アメリカの視察をしてまいりました。ことしは六月二日からヨーロッパ六ヵ国、いわゆる社会福祉先進国を視察に行く予定にいたしておりまするが、外国のを聞くと、非常に劣っております。だから、名実伴った老人天国が実現するまで、私は百になっても病気をしない、こういう決意でがんばっておりますが、しかし、私ではできません。やっていただくのは皆さんでございます。どうぞよろしくお願いいたします。 もうちょっとお願いしたいんですが、そこで、予算というものがあるんですから、むちゃくちゃな要求は年寄りはしません。自分でできることは一生懸命にやっております。政府から示された老人クラブの運営指針という四つの柱、これをじゃんじゃん実行しております。 それは、まず第一に、教養を高めよう、時代におくれてはいかぬと、あらゆる講師をお呼びして講演会をたびたびやっておる。ところが、謝礼がたくさん要るので困っておるんです。結局われわれお互いの特定の研究をしておる人の体験談、意見の交換、討論会などによりまして教養を高めております。また、地域にいろいろな団体がございます。自治会、町内会、婦人会、あるいは子供の会、学校、役所、そういったものと密接なる連絡をとって、独走しないように老人クラブ活動をやっております。また趣味、グループ活動、年寄りは皆趣味を持っております。囲碁部、将棋部、あるいはお花の華部、あるいは絵をかく画部とか、書道部とかお茶の部とか、また風流なのでは俳句会とか川柳会とか、あるいは短歌の会、また詩をつくる。進んだのには謡曲、仕舞までやる。民謡とか舞踊あるいは旅行、こんなものはほっといても皆どこでもやっとる。だから、そういうことは私はあんまりやれ言いません。だから、そういうまじめな、勉強になることをやる。 そして、社会奉仕活動、これはもう御承知のとおり寝たきり病人、ひとり暮らしのさびしい人、施設へ入っておる人、こういうところへ老人クラブがたびたび行きまして、歌ったり踊ったりして喜んでもらっております。あるいは寝たきり病人のところだったら、おみやげを持っていって、どうですか、おさびしいでしょう、元気ですかと言ってひとり暮らしや寝たきりも訪問しております。また、暇がありまするから、バスの停留所前、神社仏閣の境内、あるいは地下道、そういったようなところを、役所の手が足らぬから年寄りが無料奉仕で掃いております。日本人は、戦前はよかったが、戦後は公徳心がなくなって、そして自分さえよかったらええんじゃと。たばこ吸うのは赤ちゃんじゃない、一人前の人間が道路へぽいとほかす。自分らの町を、日本の町を日本人が汚す。これはもってのほかだと思います。けれども、そんなこと言うてもしょうがないから、年寄りが掃除しておる、奉仕活動をやっておる。そういう活動をやる。 まあいろいろな部会活動をやるのに、先生呼んでくるとごっつい高うつきます。うんと要るんです。だから、会費を上げろ上げろ言うて、かけられるだけ会費は上げて、われわれも金を出して一生懸命にやっておるんですが、とても、十回やりたいところ、金がないと一回か二回しかできない。そういう点から、厚かましいけれども、やっぱり補助もふやしていただきたい。 で、どうしたら病人を出さんとおくかということに一番一生懸命になっておるのは、老人クラブです。私どもは健康、長寿には一生懸命やっております。だから、私は百まで病気せぬという自信を持っておるわけなんです。そういうことをいろいろ会合して、どうしたらいいか、食べ物はどうだ、心がけはどうだ、行いはどうだといろいろやっておる。そういうことに経費が要りますので、老人クラブの助成費、それを指導する大都市では区の連合会、地方では市町村連合会の活動費、それを統括しておる都道府県、指定都市の連合会の費用、また全老連の経費、こういったものをうんとふやしてもらいたい。そのお金は、病人を一割減したら——医療費だけで一千四百五十四億使っております。ところが、生きがい対策、たった十九億なんです、老齢年金は別ですよ、十九億。一千四百五十億を、病人一割減したら百四十五億できるんです。十九億が十倍にも二十倍にもなるわけなんです。そういう意味で生きた前向きの活動、老人をつくらない、また食えぬ人をつくらない、弱い人をつくらない、そういうことに一生懸命にやる積極的な生きがい対策費をうんとふやしていただきたい。これを特にお願いしたいと思います。 その理由を申し上げよると時間が一時間ぐらいかかりまするから、これで失礼をいたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○斎藤十朗君 大変、何というか、現場からわき上がるようないろいろなお諭し、御意見をいただきましてありがたく存じます。 お話しをいただきました事柄について一つ一つ厚生大臣を交えて厚生省の考え方なども聞かせていただきたいと思うのでございますが、時間がもう大変おくれてまいりましたので、まことに残念でございますが、総括をさせていただきますと、いまのお話で、予算の面で近年非常に努力の跡が見られると高く評価はするものの、なおまだ足りない、内容の面においてもなおもっと充実をしてもらわなければ困るというお話、第二点は、やはり社会福祉に浴する方々も、社会復帰をし、家庭と地域社会の中において処遇をしてもらいたい。そういう社会復帰の中で社会福祉に浴していく、またそれを支える住民の福祉意識というものも向上させてもらいたいというようなことに尽きるようなふうに考えるわけでございます。これらをまとめてひとつ厚生大臣に御所見を賜っておきたいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) ただいま参考人からいろいろ貴重な御意見を承りました。 そこで、まず申し上げておきたいのは、先ほど斎藤先生から総予算中に占める福祉予算のシェアはどのぐらいかと、こういうことでございましたから、したがいまして、これについては他のいろいろな政策との間にある福祉政策ですから一概に申し上げられないと言ったわけでございまして、もし国民所得に対する比率ということになりますれば、これはヨーロッパの先進社会保障国の比率があるわけでございまして、これにできるだけ追いついていかなければならないというふうに私どもは考えて、せっかく努力中であります。ただ、客観条件が若干違うということは先生も御存じのとおりでありまして、人口の老齢化があの種の国とわが国で違っているということもございますが、そうしたことを踏まえつつも、やはり対国民所得比については、これをあのような国々にできるだけアプローチをしなければならないと考えているわけであります。 老人福祉について、生きがいということを参考人は非常に力説をなさいましたが、私は非常にこれは貴重な御意見だというふうに思います。かような意味で、私どもの厚生省でもいろいろと生きがい対策をやっていることは先生も御存じであります。ここでいま、あれこれやっているということを申し上げるいとまもないであろうと思いますが、この面についてはなおこれを助長しなければならないというふうに思っておりますが、具体的な手法についてあれこれ今後検討し、予算の向上に努めてまいらなければならないと思っているわけであります。 いま参考人から老人医療の無料化についての御批判がございました。私どももこれについてまじめに受けとめているわけでございますが、政策というものは一度これを実行いたしますると、なかなか実はこれを戻すことができないという典型的な例だろうと思います。しかし、これについては世間のいろいろな御批判もありますので、老人福祉に背馳しない範囲においてこれを再検討することはなければならないというふうに私どもは思っております。
○斎藤十朗君 老人福祉問題について少しお伺いをいたしたいと思いますが、いまもうすでにお話が出てまいりました。お年寄りの福祉を考えることは、所得の保障と医療の問題と、そして生きがいの問題と、この三点だと思います。中でも、金は幾らあっても、健康でぴんぴんしていても、毎日何にもやることがないということになると、先進諸国のように自殺でもしようかと、こういうことになってしまうわけでありますから、そういうことのないように、やはり生きがい対策を最も究極の目的として重大な政策として取り上げていただきたい。 その中で、特に私ども感じますのは、老人クラブの活動のための助成金、これが数年前打ち切られるというような時点もあったわけでありますが、いま続いております。ことしは三千六百円から四千三百円に引き上げになり、対象クラブ数も九万クラブから九万五千クラブになったようでございます。しかしながら、全国のクラブは先ほどおっしゃられましたように十二万クラブあるわけでございまして、なおまだ一万五千クラブは行き渡らないということでありますから、結局三分の一補助、国庫補助が薄められてしまう。その薄められる分を地方自治体、県市でこれを補うという形で、いわゆる地方自治の硬直化ということにもつながってくるわけでありまして、そういうことも何やかにや考えまして、老人クラブの助成金というものを今後一層配慮していただきたいということをお願いをいたしておきたいと思います。 時間がございませんので、お年寄りの立場からいまの日本の年金のあり方というものについて一言御意見をちょうだいして、その後の質問に入りたいと思います。
○参考人(永田八重雄君) 御指名にあずかりまして光栄に存じております。 私ども明治三十九年以前に生まれた者は、拠出制がなかったわけでございます。その後できました。だから、入れてくれとわれわれも言ったわけです。おまえ年が行き過ぎておるからあかん。で、入れていただけなかったんです。だからわれわれは、怠けて掛けなかったのではなくて、掛けられなかったのでございまするから、掛けた人と、同じ日本人の同じ年寄りだから、同じようにしてもらいたい。そういう意味から考えまして、年金も五つも六つもいろいろございまするが、これは根本的にひとつ考え直していただいて一本化して、同じ日本の年寄りは同じようにもらえるんだというふうにこれはしていただきたいと存じます。 それから、生きがい対策で先ほどもいろいろ申し上げましたが、いろんな活動をやるのにはずいぶん金が要るんです。会費を上げい上げい言うても、もうこれ以上上げるのやったら脱会やというのが出てきますので——われわれは政府だけにすがっておりません、自分らでできることはもう全部自分でやっておるわけでございます。だから、そういう意味におきまして、そうか、そんなに病人を減すために、健康のためにやっておるのやったらもっと補助をふやしてやる、こういうふうに願いたいと思います。老人クラブへ入れと言うたら、わしはまだ若い、こういうことを言う人は必ず病気したり早う死による。老人クラブへ入ったら若返るんです。年がいかないんです。そうして愚痴や小言や人の悪口を言わないんです。明るい豊かな心になるんです。心身ともに丈夫になって、ほんまの幸せというものがある。そういうことを毎日やっておるんですから、そういう働きをすることは日本を明るうすることなんです。一軒の家に病人があってごらん。病気でなくても年寄りはじじむさい。それが病気になったら家族が暗うなる。そんな家がずっと続いたら、その村、その町は暗うなる。それがずっと広がったら、平和、明るい日本、つくれますか。暗い日本になりますわ。だからそういう意味におきましても、どうしても生きがい対策に積極的な予算を組んでもらって、病人を一割、二割、三割と減してごらん。三百何十億金が浮いてきます。そうしたら生きがい対策費は楽に出るわけでございます。どうぞそういう趣旨におきまして、ひとつ何とか貧乏で食えない人を出さないように、病気にならないように、こういう方面に力を入れていただきたいと存じます。 それと、受け入れ体制をせずに、ただ医療費を無料化されたことは私は非常に残念です。一割は取りなさい。一割でも出すというたら必要以上に医者に行きません。必要なだけしか薬は買いません。ただだと言うから飲み過ぎ食い過ぎで病人が出るんです。医者へ行ったら、薬売らにゃ金もうけにならぬから、何ぼでもくれるんです。ついもろうて来たら、ただだから飲み過ぎて、いかにたくさんの人が病気したり早う死んでおるか。これを医原病と言っています。病気の原因は、医者と薬、これも大事ですが、過ぎてはいけない。 こういうことでございまするので、どうぞ生きがい対策費にうんと盛っていただきまして、明るい日本をつくっていただくようにお願い申し上げます。どうもしつこいことを申し上げまして恐縮でございました。よろしくお願いいたします。
○斎藤十朗君 重ねて生きがい対策の問題についてお話がございましたので、重ねて大臣に御要望いたしておきます。私も地元の老人クラブほとんど回らせていただいて内容をよくわかっておりますが、老人クラブがあって初めて老人の生きがい対策が本当に進んでいるということをはだで感じております。重ねて生きがい対策のための老人クラブの助成等について、今後とも御配慮をいただきたいと思います。 そこで、年金の問題に入りたいと思いますが、厚生大臣はたびたびいろんな場所で、昭和五十一年度に向けて年金の見直しをしてまいりますと、こういう御発言をされておられるわけでございますが、見直しというのはどういうことを見直されるおつもりでございますか、お伺いをいたします。 〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕
○国務大臣(田中正巳君) 今日の年金については、いろいろな問題点がございます。仕組みそのものについてもいろいろと御批判があり、給付額についてもいろいろと問題があるわけであります。ことに現在やっているところの修正積立方式について、財政論議についてもいろいろと論議が集中しているところでございまして、こうした多くの問題を抱えている年金につきまして、これを財政方式のあり方を含めまして今後どのような方向に持っていくかということは、かなり重大な問題だと思います。しかし、これについてはいろいろな経緯もあり背景もあり、また長期計算の上に、数理計算の上に立たなければならないものでございまするから、一遍にこれを改定するということについてもいろいろな問題があろうと思われます。また、社会の人々の現在までの年金体系に習熟をした感覚というものも踏まえてかからなければならないと思いますので、いろいろな問題がありますが、いずれにいたしましても、年金の財政方式に手を染めて、これとの関連においてもう一度見直ししてみたいと思っておりますが、これには明年度が財政再計算時でございますのでいろいろと検討をいたしておりますが、明年のみならず、長期的な視野と長期的な作業によってあるべき姿に落ちつかせていかなければなりませんから、したがって、明年の改定というものが、抜本、細則的にすべてのものを一遍に解決することはできないと思いますが、できるだけそのような観点を踏まえつつ、見直しに努力をいたしたいというのが今日のわれわれの置かれた立場であり、またそのような努力をいたしております。
○斎藤十朗君 長期的な今後のことも踏まえながら財政的にも見直してまいりたいというお話でございますが、それはいろいろ漏れ承りますると、厚生年金とか国民年金という現存する制度の中におけるところの見直しというふうに理解を私はいたしておりますが、それでよろしいですか。
○国務大臣(田中正巳君) これについてもいろいろと検討をいたしております。いま参考人の方からもお話がございましたが、八つほどに分かれておる各種長期給付の年金、共済等を、これを統合一本化せよという御議論もありますが、これはやはり私は理想としてはある程度わかるのでございますが、長い歴史とそれぞれの背景を持って発達をしてまいりましたこの種の年金あるいは共済年金等を、一遍にこれを統合をいたしてしまうということについてはかなり私は困難な問題であろうと思われますが、しかし、やはりこうした制度が分立をしていることによって国民が不測の不利をこうむるということのないように、通則法等々を改定をいたして、こういったようなことによるデメリットというものをできるだけ直していくといったようなこともやっていきたいと思っておりますし、また、今後の問題といたしまして、こうしたものをだんだんと地ならしをしていくための一里塚というようなものは、やはり考えていかなければなるまいというふうに思っているわけであります。
○斎藤十朗君 一遍にやるのはむずかしいから、だんだんにやるためにいまの制度をそういう方向に向けていく、そういう見直しをしていきたいというお話だろうと思います。しかしながら、私はもちろん来年から一本化をするということは無理だと思いますが、しかし、一本化をするための一歩一歩を、もうことしから始めていただかなければならない。それには私は幾つかの国民的合意が必要だと思うんです。 それは、私が考えましたのは、まず第一点には、一定の年齢に達した御老人であれば同額の年金額をすべてもらっていただける、そういう年金にしていくべきだ。また、最低保障の年金額としてその同額の年金が位置づけられるべきだ。また、拠出が平等でなければいけない。平等というのはその所得、若いころの所得の能力に応じた意味での平等であるべきだ。そしてまた、いまの制度でございますと、自分が積み立てしたお金を年とったら自分がもらうという考え方だと思うんです。それをいわゆる公の負担というか、公共的な負担の原則、そういう原則の上に立って拠出をする、積み立てをする。だから、積み立てられたものは自分の金というよりも社会の将来のお年寄りに対する積み立てだと、そういう考え方ですね。そういう考え方に、私なりの言葉で言えば負担の公益化とでも申しましょうか、公益的な意味での負担をするという原則を打ち立てる。また、同時代の同世代扶助、そのときの若者がそのときのお年寄りをめんどう見る、こういう形の、言われるところの賦課方式とでも言いましょうか、そういう形。こういう幾つかの原則というものを国民の中に合意を求め、それを定着させていく中で一本化を進めていく。五年後には一本化をします、そしてこういう条件で国民の合意を求めていきますということをもう始めていただかなければ、これは長期的でむずかしいむずかしいで何年もたってしまうのじゃないかというふうに私は考えるわけでございます。そういう、いま私が申し上げました原則の合意という点についてどうお考えでございますか。
○国務大臣(田中正巳君) 先生の御提言の中にきわめて私は示唆に富んだものを数多く含んでいると思います。しかし、給付条件の均一制あるいは最低保障額の同一額、拠出の平等、こういったようなことは理想的に望ましいわけでございますが、これは鶏が先か卵が先かという議論にもつながるわけでございますが、これだけ分立している各種の年金グループ、それぞれ背景も違いますし、また、できた沿革も違います。また、率直に言って一番困るのは、この種の年金グループの中における人々の拠出能力の違いというのが非常な実はネックになるわけでございまして、したがいまして、このようなことは理想的に望ましいわけでございますが、これとて私は一遍にはできないということだろうというふうに思うわけであります。 また、公益的な負担という名称をお使いになりましたが、要するに自分の負担、自分の拠出というものは自分のためであるというふうに限定をして物を考える、このことは私がさっき申し上げたとおり、これが要するに長い間いまの年金制度になじんだ国民感覚ということを私は暗々裏に申し上げたわけでございまして、このような考え方に国民が執着する限り私は年金の大きな飛躍はあり得ないというふうに考えておりまして、何としてもこのことについては国民の理解と納得を得るように努力をしなければなりませんし、また、いわゆる賦課方式というものもいろいろと世間に言われておりますが、こうしたいま先生のおっしゃったような気持ちがなければ賦課方式というものは成り立たないわけでございまして、口に賦課方式を唱えながら、自分が拠出をしたものは自分のためでなければならないというのは私は一極の自家撞着だろうと、かように思いますので、かような点については、いろいろと今後国民の理解と納得を求めつつそのような方向に持っていかなければ、年金の大きな飛躍はあり得ないというふうに思っております。
○鳩山威一郎君 関連をして。時間がもう余すところ十八分で恐縮でございますが、一言だけ質問させていただきたいんです。 それは、いま大変大事な年金の統合の問題に入ってまいりました。一つ大きな根本的な問題として、日本におきます財政負担も相当な多額になっております恩給費につきまして、これは社会保障的なものとお考えだろうと思うのですが、その見解をひとつ伺いたいのであります。まず質問だけ。ただ、この恩給問題につきましては、その性格が特に国のために全生命を尽くした方々、こういう人たちのために給付をするのである、こういう思想が非常に今日までは強かったと思います。お尋ねは、先ほど、国民所得に対します恐らく振替所得の数字ではないかと思いますが、これは世界各国比べられる、こうおっしゃったのですが、この六・一%の中に一体恩給はどういうふうにお考えか。こういったものの考え方から変えていかないと、なかなか年金の統一というものはできないだろう、これが質問の第一点です。国際比較を出します場合に、黒木参考人からもお話がありました、同じ基礎で比べなきゃならないから、したがって、どういったものを社会保険給付と考えて国際比較をなさるか、これを第一点にお尋ねしたいのです。 第二点は医療費についてでありますけれども、この六・一%を計算される上には、一体、大企業でやっております健康保険組合の給付というものは社会保険給付とお考えだろうと当然思うのです。この六・一%の中に入れてお考えかどうか、これを第二点でお尋ねしたい。振替所得の中に健康保険組合の給付が落ちておるというのは大変おかしいということを私は齋藤前厚生大臣、お父さまのころから言っておるのですけれども、なかなか直らないのです。しかし、日本の医療制度の中で、もうほとんど健康保険等は、半分は組合健康保険であります。その組合健康保険というものは組合で運営しているから振替所得の中に入れないという、非常に形式的な論理があります。しかし、こういったものは国は直接やらなくても、国があるいは公団をつくったり何かをしていろんな業務をやらせる、健康保険法のもとで健康保険法の代行として組合がやるのだから、これは私法人ではないと思います。公法人だと思う。そういった公の機関が給付をする医療費というものを振替所得にどうしても入れてくれないのです。これは今日直ったか直らないか、この二点だけをお尋ねいたします。
○国務大臣(田中正巳君) いま鳩山先生のお述べになったことは、かねがね国会でもいろいろ論議になったところでございますが、振替所得と国民所得という二つのとり方がございまして、国際的には最近どうも振替所得論というのがだんだんすたれてまいりまして、国民所得との対比というのが実はILO等でも一般的になりつつあるように私は聞いております。 そこで、恩給についてでございますが、これは振替所得の場合でも国民所得の場合でも、これは入れて計算をしているというふうに聞いております。 なお、組合管掌健康保険における給付費につきましては、これの考え方というのが実は率直に申しましていろいろな考え方があるわけでございまして、世間の人々でこれの解釈について諸説の分かれるところであります。極端なことを申す人は、これは企業体内部におけるいわゆる労務対策的なものであるとさえ説をなす人がありますが、かようなふうに割り切ってしまうことは私は必ずしも正しくないというふうに思っておりますが、現実の問題といたしまして、組合管掌健康保険における給付費というものは、国民所得の場合にはこれを計算しておりまするが、振替所得の場合はこれを抜いて計算しているというふうに聞いておるわけであります。 ——すみません。いまのを訂正させていただきますが、国民所得と申しましたのは社会保障給付費であります。
○斎藤十朗君 年金の一元化の問題でございますけれども、合意をしていくのが非常にむずかしいからというお話でありますが、その合意を一日も早く取りつけながら一元化の方向に向かっていかなければ、大臣が福祉年金を二万円にいたしますということをおっしゃられたその裏づけも大変むずかしいから、なかなかむずかしくなりましたということで御苦労されている、そういうことになってしまうわけでありまして、負担の公益化というような、そういう大原則が打ち立つならば、積立金をどうしようかという話も生まれてくるわけであろう、こう思うわけでございます。何といいましても、社会保障というのは国民全部が一つの輪の中に入って、お互いに弱い立場の人も強い立場の人も、健康な人も健康でない人も、みんながそこで助け合っていくというのが社会保障の原則だと思います。そういう原則に立った社会保障制度に移り変えていかなければ、日本の社会保障というのはいいものになっていかないということはもう言うまでもないと思うのです。そういう意味から、医療保険の一本化、年金の一本化というものが当面する最大の取り組まなければならない問題だと思いますが、そういう意味において、年金の一本化をなすための国民的合意を得る努力をもう早急にひとつ始めていただきたい、このように重ねて御要望いたします。いかがですか。
○国務大臣(田中正巳君) 先生お説のとおり、私もさっき申し述べましたとおり、そのような気持ちがなければ私は年金の大きな改善もありませんし、また、医療保険においてもそのようなことが言えると思いますが、どうもこのごろ、やはりわれわれが見るところによりますと、既得権の擁護があまりにも強かったり、いわゆる団体的エゴイズムというものが横行する今日、これについてはよほどの私は努力をしなければならないというふうに思っていますが、要はそちらの方に向けていかなければならないということは事実でございます。
○斎藤十朗君 確かにそのとおりだと思いまして、そういう意味でも、団体のエゴを許さない意味でも、公の負担なんだという原則を打ち立てる、これが必要なことであろう、このように思うわけでございます。 時間がまことになくなってまいりまして、あと身体障害者問題について若干お聞かせをいただきたいと思いますので、その前に黒木参考人から、端的に現状の当面する身体障害者問題等についてお述べをいただきたいと思います。
○参考人(黒木猛俊君) 年金の問題につきましては、私どもはあくまでも年金法の目的に明々白々に書かれておりますように、「日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、廃疾又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」、この健康にして文化的な生活を営む権利を保障する額というのは一体具体的にはどこを指すのであるか。それから老齢、廃疾または死亡によって国民の経済生活の安定が損なわれる、これを防止するための年金であるということになれば、当然やはり基準になるのは国民生活水準、物価、労働賃金、そういうものを総合してお考えいただかなければならない。少なくとも私たちはそうした場合に、生活保護基準の給付額というものが基準になるのではないか。したがって、それに近い線を年金で出すように御考慮いただきたい。先ほど永田参考人からも話が出ましたけれども、無拠出の人たちは法律の施行の時点において、たまたま年齢的にあるいは障害的に掛金を掛けることが許されない、適用されない状況にあったのでありますので、早急にこの年金制度が統合されるように、先ほど既得権の侵害があるからという話がありましたけれども、既得権さえ侵害されなければ各種団体等も私は反対しないと思いますので、最高のレベルの方向に近づけていただく統合方式を御検討をいただきたい、かように考えるものでございます。 第二点は、介護手当の問題であります。介護手当に対して私どもは非常に感謝をしておるということを先ほど申し上げましたけれども、何しろ初年度の支給額が一ヵ月四千円でありまして、四千円では重度障害者のいわゆるこの介護ということは非常に至難でありますので、うんとこの額をふやしていただくということ、それからその次に、この対象が予算によって非常に狭められておるということ、一級福祉年金の中で常時介護を要する者というふうに制限されましたので、 〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕 少なくとも身体障害者福祉法の一、二級が、伝統的に二十五年間身体障害者福祉法の施行以来重度障害者として介護を認めておられますので、一、二級を対象とするように、これは身体障害者福祉審議会でもそのような答申がなされております。 第三番目は、貧しい君たちへの郵便料金の問題でございます。ことしの十月から大幅に郵便料金が上げられるというので、社会的弱者である身体障害者等は戦々恐々としております。たちまち文化活動団体の使命でありますところの関係法規の普及徹底に非常に支障を来たすわけでありますので、社会的な弱者に対する郵便料金につきましては格段の御配慮をいただきたい。 以上お願いを申し上げる次第であります。
○斎藤十朗君 いま幾つかの問題が提起されましたが、まず年金に関係して障害者関係でお尋ねをしておきたいと思います。 拠出年金におけるところの障害年金の通算がいま認められていないわけですが、これらについてはどのようなお取り組みをいただいているか。通算の障害年金が受けれるようにしていただきたいと思うわけであります。その点が第一点。 それから第二点は、老齢福祉年金を来年は二万円にするためにいろいろと研究をし、財政的にも努力をいたしてまいります、こういう厚生大臣の発言があったわけでございますが、その二万円に向かって努力されてまいるということは、障害福祉年金は三万円ということで努力をされるということと受けとめてよろしいかどうか。この二点をお願いいたします。
○国務大臣(田中正巳君) 障害年金の通算制度、これは確かにいま認められておりませんが、これについてはいろいろと御要望も高く、また私どもも必要なことであると思いますので、これは公的年金連絡協議会等に諮りまして、何とかこの制度が打ち立てられるように、次の年金の見直しの節にこれを実行いたしたいというふうにいませっかく努力中でございます。 障害福祉年金、これは現在までは老齢福祉年金の五〇%増しというのがずっと長い間続いてきた一つの図式でございます。これにつきまして、今後とも五〇%増しにするかどうかにつきましてはいろいろと検討をしてみなければなりませんが、私としては長い間のそうした方式になっておりまするものですから、できるだけそのようなことをしたいと思っておりますが、これは年金の給付額との関係もございますので、いましばらくひとつ検討をさせていただきたいというふうに思っております。
○斎藤十朗君 老齢福祉年金の五〇%増しといういままでのルールのようなものになっているが、これも検討するということになると大変な問題になりますが、ひとつ五〇%は確保するということで進んでいただきたいと思います。どうですか。
○国務大臣(田中正巳君) 福祉年金につきましてはいままで五〇%であったわけでございますが、拠出年金との関係もいろいろあるだろうと思いますので、その辺のところをしさいに検討いたしまして、障害者につきましてはできるだけの手厚い措置をするのが私は正しいと思っておりますので、できるだけの努力はいたしますが、いまここでもって、五〇%というものを必ずいかなる場合にもやるということについては、これを言い切ることについてはいささか私も軽率だと思いますので、もう少し検討させていただきたいというふうに思います。
○斎藤十朗君 五〇%増しということで、老齢福祉年金は二万円を努力する、その努力の過程で障害年金も三万円の努力をするということでぜひともお願いをいたしたいと思います。 次に、ことしの予算の中で一つのヒットとも言ってもいいようなことだと思いますが、いわゆる介護手当、在宅重度障害者福祉手当、これが新設されたことは障害者の皆さん方にとっては非常な明るい光を差したと考えております。これに対しまして幾つか御質問したかったわけでございますが、時間がございませんので、いま黒木参考人からお話がございましたように介護手当という最初の性質、これを踏まえて、真に介護を要する方々にきめこまかく支給されるような配慮を、今後支給段階において十分御配慮をいただきたいということをお願いをいたしたいと思いますが、厚生大臣のお考えをお願いします。
○国務大臣(田中正巳君) 在宅障害者福祉手当、今年初めて発足をする手当でございますが、これについてはいろいろと政策策定の節に問題がございました。範囲についての議論がいろいろあるわけでございますが、やはり常時介護を必要とする者ということになりますると、身体障害者福祉法別表による一級と二級全部を入れることについて、若干二級の中に常時介護を必要としない者があるではないかということで、より分けをいたしたわけでございますが、今後実態を見まして改善いたさなければならないものがありますれば、私は改善することについてやぶさかではございません。
○斎藤十朗君 そういう面から考えますと、いま身障者の皆様方を位置づけするといいましょうか、その等級が非常に現状とそぐわない形になっている。腕のない方と足のない方が本当に同じような意味での年金で同じなのかというようなこと、また脳性麻痺の方々をどう取り扱ったらいいのかというようなこと、いろいろ議論があると思うのです。こういう等級の洗い直しと、またいま一級から六級までの等級になっておりますが、その六級までも必要なんだろうかどうだろうかということ、また国民年金、厚生年金、身障手帳におけるところの等級、労災などにおける等級、これがまちまちで、私たちも勉強しても何が何だかさっぱりわからないみたいなことにいまなっておるわけでございます。こういう等級の洗い直しと一本化という問題について、どうお取り組みをいただいていますか。
○国務大臣(田中正巳君) 国会においてしばしば論議されている問題でございますが、きわめて技術的な問題ですから政府委員から答弁をいたさせます。
○政府委員(翁久次郎君) お答え申し上げます。 国民年金の等級あるいは身障法に基づく等級、それはそれぞれの法律の目的に従った等級の設定が行なわれているわけでございまして、もちろんその間の相互調整ということは必要であろうと存じます。 また第二点の身障法の等級問題につきましては、御指摘の点も確かにございます。私どもとしては早急にこの等級の見直しをいたしたいと考えております。
○斎藤十朗君 次に、先ほど黒木参考人から第三点のお話がございましたが、郵便料金の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 郵政大臣もちょっと口にされたことがあると思いますが、福祉郵便という考え方、身体障害者の方々に福祉切手というようなものをつくれば、またこれも一つの考えでありますが、そこまでいかないにしても、はがきを一年間に無料で十枚差し上げるとか、二十円の切手を一年間で十枚差し上げるというような形での、福祉の面からとらえた郵便のあり方というものも御検討があったようにお伺いいたします。それの細目にわたりますとなかなかむずかしい点もあると思います。本当に福祉に必要な用にその郵便が使われるかどうかという点について考えますと、なかなか現実の問題としてはむずかしいと思うわけでございまして、これはもう少し時間をかけて御検討いただかなければならない問題であろうと思いますが、当面する問題といたしまして、いま国会に提案されております郵便法の改正の中で、身体障害者関係団体の発行いたします定期刊行物を第三種としてお取り扱いいただく、これの料金の据え置きなどについて強い御希望がありますが、これについてお答え願います。
○国務大臣(村上勇君) お答えいたします。 今回の料金改正に当たりまして、身体障害者等恵まれない方々の郵便料を考慮して、はがきを無償交付してはどうかというような意見もありましたが、これには切手もあり、販売も同じ問題と考えられますが、検討はいたさせましたが、配布方法の問題のほか、国鉄の乗車券のような場合と違いまして、配布してもその趣旨に沿ってはがきが使われるかどうか確認の方法がないことなど、きわめてむずかしい問題があります。したがって、心身障害者等への適切な保護施策につきましては、やはり主管官庁が身体障害者等の生活全体の向上という総合的な観点から実施するのが適当であると考えられますので、実施は一応見合わせることにいたしております。 なお、ただいま第三種料金の中で、身障者の関係団体に対して云々という問題につきましては、身障者の団体が発行している定期刊行物につきましては、諸団体の皆様のかけがえないものと伺っておりまして、従来から第三種として配慮いたしてまいりましたところであります。今回の料金改正に当たりましては、現在御審議いただいております郵便法の改正後に第三種の料金を決めます際に、御意見の趣旨に沿うように前向きに努力をさせていただきます。
○斎藤十朗君 ぜひよろしくお願いをいたしまして、質問を終わります。(拍手)
○委員長(大谷藤之助君) 川野辺静君。
○川野辺静君 私は医療問題、特に各種の健康保険の社会的不公正の是正について、またそのほか二、三についてお尋ねをしたいと思います。 戦後三十年で私ども日本の国も、福祉先進国に追いつけまた追い越せという努力が実りまして、今日福祉国家となりましたことはまことに御同慶の至りと思っております。しかし、この昭和五十年、これはいろいろの意味において一大転換期を迎えていると思うのでございます。したがって、本当の真の福祉国家へのスタートもまたこの年ではないかと思うわけでございます。私は私なりに本当の真の福祉国家とはといえば、これはもう全国民が心身ともに健全に、そして心豊かに、また希望を持って暮らせる世の中をつくる、これが本当の福祉国家と考えておるわけでございます。 それで、何といっても国民の不幸というのは、これは先ほどからも出ておりますけれども、不健康、病気でございます。その病気によりまして心も貧しくなりますし、また経済的な貧しさも出てくるわけでございます。この国民の健康管理を負担しております医師というものの責任は大変に重いと思いますが、その医師もやはり一つの医療制度の中での医療でございます。したがって、この辺で正しい医療制度を打ち立てまして、その正しい医療制度と医師と国家と、これが三位一体になって、そこに初めて国民の正しい健康管理と保持ができるのではないかと考えておるわけでございます。 そこで、厚生大臣にお尋ねしたいわけでございます。これは御承知のように、最近いろいろの保険がございます。そしていわゆる地域では国民健康保険があり、そしてまた会社では政府管掌、あるいは企業で政府管掌健保とか組合健保とかいろいろございますが、これはもうすでに時間もございませんので、こういう保険がございますが、その保険に入っておられる方の中でも最近は非常に老齢化が進みまして、一応の年齢になりますと退職いたします。そしてその退職された方は今度は国民健康保険に入るわけでございますが、そうしますと、老人が病気をするのはあたりまえのことでございます。したがって、その老人の医療等の重圧で、御承知のように市町村等の財政は非常に苦しくなり、まさに崩壊寸前というわけでございますけれども、また一方、政府管掌の保険におきましては健康な若者たちが働いておりますので、これは御承知のように一年間においては数千億円のプラスも出てくるわけでございます。この辺に非常にアンバランスがありますので、こういったアンバランスを公平にして、一億国民が、負担もそしてまたその給付も平等に受けられるように、この辺で医療なども考えまた是正していかなければいけないと思うわけでございますけれども、厚生大臣の御意見を伺いたいと思うわけでございます。
○国務大臣(田中正巳君) 川野辺先生おっしゃるとおり、現在の医療保険における保険者グループというものはいろいろに実は分かれておりまして、これは歴史的にわが国において医療保険を、できるものからグループをつくっていって、そして最後に国民健康保険で残っているものをカバーするというようなことで皆保険体制をつくっていったという歴史的な経過にかんがみまして、いろいろとこの間に問題がたくさん出ていることも私ども承知をいたしております。特に一番困るのは、この種の保険者の集団の中に財政力のはなはだしい格差があるという問題でありまして、これは一つの社会問題であり、また政治の場で何とかしなきゃならぬ問題だろうというふうに思っております。また、お説のとおり国民健康保険には、もともと大体財政力の負担の非常に弱い階層の方方が多くを占めているという問題がある上に、各種の健康保険制度あるいは共済における短期給付からこの種のものに入ってくるというようなことになり、なお財政を圧迫しているものでございますから、そうした観点からやはりいろいろと考え直さなければならない問題が多々あるというふうに思っております。 理想的には同一負担、同一給付、先生のいまおっしゃることが一番望ましいのでございますが、これについてはかねがねいろいろと苦心をしてやってまいりましたが、なおどうもさっきからいろいろ御意見があるように、いわゆる医療の世界においてはきわめて当事者の利害が鋭角的に対決をしておりまして、この間にあって関係者は非常に困っておるわけでございますのが実情でございますし、またそれぞれの団体の構成員の中にも既得権の擁護という声が非常に強いものでございますから、理想としてはわかるのでございますが、現実の面においてこれを是正することに歴代厚生大臣が非常に苦労をし、そしてしかも十分うまくいかなかったというのが現状だろうと思いますが、なおそうした理想に向かって根強い説得と理解を求めつつ、その方向に進むべきものであるというふうに思っております。
○川野辺静君 ただいま厚生大臣から懇切に御説明いただきまして、まことにおっしゃるとおり、わかっておってもなかなかこれはむずかしい問題だと思いますけれども、しかし、やはりいつかどこがで、だれかがこれをやらなければならない問題と思いますので、その道の大ベテランでいらっしゃいます田中厚生大臣のときにおきまして、ぜひひとつこの抜本の改正はしていただきたいと思います。 なお、これも歴代厚生大臣並びに総理方も日本医師会とはたびたびの話し合いをなすっていらっしゃいますわけでございますが、そこで日本医師会としても、いろいろこういうアンバランスを是正して真の医療を打ち立てるためには、この制度をいわゆる老齢保険、それから産業保険、そしてまた地域保険、この三本の構想が打ち立てられておるわけでございまして、これも御承知のとおりと思いますけれども、この医師会の構想に対しましてどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。ただそれだけを伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) かなり前ですか、昭和四十三年ごろだったと思いますが、日本医師会が、先生お説のとおり三つのカテゴリーに保険者グループを分けようという御構想があったことを承知をいたしております。いろいろ議論が実はあるわけでございまして、またさっき申しましたように、各保険集団にはそれぞれの既得の利益と、また既得のグループについての愛着等々もございまして、なかなか実施ができないで今日に至っているわけでございますが、一つのお考えであろうと思って私どもも重要な参考にさせていただきたいと思っております。 この中に老齢健康保険制度というものがございますが、これはさっき先生が申し、私がまたお答えを申し上げたものの一部を含んでいるだろうというふうに理解をいたしておりまして、大変この点については特に示唆に富む御意見だというふうに思っているわけでございますが、ただ、老齢健康保険というふうな、あのような方々だけを集めた保険というものが成り立つかどうか、ここは問題でございまして、保険といいまするか、老人の医療制度とこういうふうに申し上げますか、そういったような老人について特別の給付を考えるということについては、私は、現在の国民健康保険の姿と対比をいたしまして一つの大変示唆に富む御意見だと思いますが、この背後には、承るところによりますると、老人には老人らしい医療の給付の姿があるということを私は聞いております。まあ代謝性物質の供与の仕方等々について普通の方と違うということも、川野辺先生、お医者さんですから私より詳しいと思いますが、そうしたこともあると聞いておりますので、そういう給付面を踏まえて、こういったようなことについては今後検討してまいりたいというふうに思います。
○川野辺静君 よろしくお願いしたいと思います。 つきましては、これも非常に大臣お答えにくいことでございますが、いずれにしましても、いつかはその抜本改正をしなければならないわけでございますね。その抜本改正は大体いつごろやろうかということにつきまして、簡単で結構でございます。
○国務大臣(田中正巳君) 医療保険の抜本改正、よく皆さんが口になさいますし、私も言うのですが、これの志向する概念というものについては、それぞれの人々の頭の中に描く構想がそれぞれ別のようでございます。したがいまして、どれが抜本改正であるかということについて、よくお互いの腹の中を探ってみなければ議論が交錯するということがちょいちょいあることを、私は経験上知っております。しかし、医療保険の抜本対策というものには、いわゆるいま言う保険者のあり方、保険集団の組み方、そしてまた給付のあり方等々いろいろな問題がございますが、給付のあり方等につきましては、最近いろいろと健康保険法等の改正をいたしまして、いろんな制度が前進を見ました。家族の七割給付、高額医療制度等々がございまして、こうしたような積み上げをもって今日この問題に対処をいたしておりますが、広い意味の抜本改正についてはなかなか、さっきから申したようないろいろな理由もございまして、私どもとしてはその方向に進みたいと思いつつも、ただいまいつこれを実施するか、いつできるかということについて申し上げるわけには残念ながらいかないというのが実情でございます。
○川野辺静君 ぜひ、やりにくいことをおやりいただくわけでございますが、よろしくお願いしたいと思います。 なおもう一つ、これはあえて厚生大臣からお返事を伺わなくて結構でございますが、ただいま世界では人口問題が大変に問題になっております。そして、日本でも戦後家族計画が打ち立てられておりまして、これは御承知のように助産婦会がこの受胎調節、家族計画の指導につきましては家庭訪問をやっております。大変に大きな役割りを果たしていると思うわけでございますが、その節、やはり指導いたしまして、実際に適当なゼリーとかあるいはコンドーム、ペッサリーのような薬品、器具等をそこで販売するわけでございます。しかしこれが、御承知のようにこの七月でこの特例が廃止されるわけでございますが、これは今後とも人口問題は日本で大いに考えなきゃいけない。そしてそのためには家族計画が必要、そのためにはこういった受胎の指導も必要、それにはまたいままでのこの特例もこの七月で廃止でなく、続けて実際にこれをやれるようにしなければいけないと私は考えておるわけでございますが、まあこれにはあえてお返事をいただかなくて結構でございますが、どうぞひとつ好意的に御熱意を持って御検討置きいただきたいと思います。ありがとうございました。 次に、私は社会福祉施設の防災、特に火災のことについて伺いたいと思っております。 これは災害というのは、御承知のように必ず防ぐことのできるもので、天災以外は防げると思うのです。特に火災などは人が本当に誠意を持って、これは交通も一切そうですけれども、お互いが知恵と努力と誠意を持てば災害は防げると思います。特に火災はそうでございます。それですのに、あえてその火災のことを取り上げましたのは、福祉施設というのは、先ほど来いろいろお話がございましたが、乳児院とか、あるいは老人者とか身体障害者とか、いろいろ非常に不自由な方たちを収容しておるわけでございます。したがって、こういうところに一たん火災が起きますと、これは大変なことになると思います。たまたま三月十四日ですか、ソウルで弧児院に火災が起きまして、一カ月未満の赤ちゃんが十四人死亡しております。こういうようなことどもを考えますと、本当に転ばぬ先のつえで、これは大いにやらなければいけないと思います。 きょうお越しいただいておる皆さんの中からもそういう御希望があると思いますので、参考人の仲野参考人さんにそのことについて伺いたいと思いますけれども、御承知のように大変時間がきょうは特別の制約を受けております。一口どうぞお願いいたします。
○参考人(仲野好雄君) 私は長い間、二つの精神薄弱児者の施設を経営してまいったわけでございまするが、全国で精神薄弱関係だけでも千を超しておりますが、ここで火災が起きた場合においては必ず事故が起きております。子供が死んでおります。そこで、消防法が三十六年にできてから、特に昨年の六月には消防法がきつくなりまして、これに伴って厚生省も早速、昨年の十一月に、国の補助によってこの防火設備七件について補助するというような御決定をしていただきましたが、昔は私たちは県から金を借りる、あるいは自己資金で賄うというのでずいぶん苦労してまいりましたが、時間の関係上簡単に申し上げますと、この設備の問題と、火災の場合あるいは災害の場合に助け出す人の問題と、それから器具の問題があるわけでございます。 設備の問題を一口に申せば、私は一番大事なことは、やっぱり乳児にしろ知恵おくれにしろ、あるいは身体不自由児、寝たきりの方々は、とても宿直、夜勤の方々だけではいざといったときに救い出せません。したがって、私はデパートに行くとあるような、あの自動消火装置のスプリンクラー、ああいうものをやはり私は施設にはぜひ義務的に、しかも国の補助によってできるようにしていただけたならば非常にありがたいと思うわけでございます。 それから人員の問題については、いま非常に労働基準法の問題でやかましくなりまして、施設の職員をもどんどんふやしていただいており、夜勤の問題も逐次解決されつつありますけれども、夜火災が起きた場合にはとてもこの人たちでは間に合いません。そこで、いま私たちはなるべくこの施設のきわめて近いところ、あるいは構内に職員宿舎をつくっております。これも最近国の方で、施設をつくる場合においては職員住宅に対しても補助金を出していただけるようになりました。これをやはり大いに増強していただいて、非常の場合には近いところからすぐ職員が駆けつけられるというようなことを私たちいま施設側としては努力いたしておるわけでございまするが、これをぜひ拡充強化していただきたいということが第二点。 第三点の避難用具の問題でございまするが、やはりああいう子供たちにははしごは役に立ちません。それで、私はどうしてもこういう特別のものを開発していただきたい。手っ取り早く言えばリヤカーあたりが非常にすぐ役に立つのではないか。 とにかく、以上お願いいたしましたが、基本的にはやはりこの問題は、民間の施設においては民間がやるんじゃなくて、国の施設をつくる場合においては、もう基準の中にぴしっと入れていただいて、必ずこれはやるべきものであり、しかも自動的に火災を防げるようにひとつ進歩していただきたいというのが私たちのお願いでございます。 以上でございます。
○川野辺静君 いま参考人から述べられたとおりでございますが、これにつきまして三点が述べられましたけれども、それでは国としてはどのように思っているということを、どうぞ担当の方からで結構でございますので、一口だけ。
○政府委員(上村一君) 一口ということでございますので簡単に申し上げますと、四十八年、消防庁の協力を得まして全施設の点検をいたしました。その結果に基づきまして、四十九年度から防火施設等あるいは避難施設等につきまして補助金を出すようにいたしております。今後もこの充実に努めるつもりでございます。
○川野辺静君 ぜひそういう意味で今後これを推進していただきたいと思います。 次に私は、婦人の地位の向上を図ります施策の推進、婦人の地位向上について質問をさせていただきたいと思います。 御承知のように、本年は国際婦人年でございます。三木総理の施政方針演説の中でも、国際婦人年に当たって婦人の地位の向上については大いに努力すると力強い御意見の発表がございました。この国際婦人年が、もちろん国連に参加しております百三十八カ国すべての国で今年はこの行事が種々行われますけれども、非常に予算の窮屈な中で、新しい予算として本年、これは満足ではございませんけれども、ある程度の予算を組み入れていただきましたことにつきましては、私どもも大変感謝しております。しかし、この国際婦人年がただの女の祭り、ことしだけということであってはいけないと思うわけでございます。したがって特に、いろいろの問題が具体的にございますけれども、私はここで婦人の地位の向上の意味で、その具体的な一つとして妻のいわゆる財産について伺いたいと思うわけでございます。 民法の七百六十二条では「自己の名で得た財産は、その特有財産」と規定されております。そしてまた、総理府が家族法に関する意識調査をされました折に、夫の財産は妻と共有のものであると答えられたのが男性で八六%、そして女性で八七%でございました由でございます。これを見ましても、まことに夫婦は一心同体だなという感じがしたわけでございますけれども、これがいわゆる国民の声でございます。そこで私は、法務大臣きょうお忙しくて無理の中をお越しいただいておりますけれども、原則として、その財産が二分の一は妻のものであるということにしてほしいという気持ちでございますが、法務大臣の御所見を伺いたいと思うわけでございます。
○国務大臣(稻葉修君) いま川野辺さんがお話しになったような制度に現行法はなっているわけでございますね、いわゆる別産制。ただ、婚姻解消の場合は夫婦の一方に財産分与請求権が生ずる、あるいは相続権を認める、こういうことで夫婦間の実質的な公平を図ってはおります。おりますけれども、この現行制度に対して妻の財産的権利の保護が不十分であるというのが、先ほどお示しになった総理府のアンケート調査にあらわれたように、当然一体的にしたらいいじゃないか、すなわち夫婦財産制は共有制にしたらいいじゃないかというお話でございますな。これ、なかなか法務大臣の所見はどうだと言われてもね。川野辺先生のような非常に収入のあられる方が共有にするという精神は、まことに結構なことだと思います。しかし、いまの別産制を共有財産制にすることは非常に法秩序上全体にいろいろな響きを与えるものですから、したがって国民生活に重大な影響を及ぼす問題でありますので、いま法制審議会で審議をしている最中でございます。その結論を待って処置したいと思いますので、おまえのいまの所見はどうかということはひとつ御勘弁を願いたいと思います。
○川野辺静君 よくわかりました。 いまも大臣おっしゃいましたけれども、法務省の方に法制審議会身分法小委員会というものが設けられておって、昭和二十九年からいろいろこの委員会が審議していらっしゃる由でございますが、その委員会の方ではいまどんなぐあいになっておりますか。いかがでございましょうか、関係の方からちょっとお聞かせいただけませんでしょうか。
○国務大臣(稻葉修君) 専門的なことでございますので、委員会の審議は余り大臣が直接タッチしたりしない性質のものでございますので、事務当局の民事局長からお答えいたします。
○政府委員(川島一郎君) 私からお答えをさせていただきます。 法制審議会におきましては、民法の親族編、相続編の改正問題につきまして審議するために、民法部会の中に身分法小委員会を設けまして検討をいたしておるわけでございます。昭和二十九年から三十年代にかけまして一応親族編の検討をいたしたわけでございますが、その際には、特に夫婦財産制につきまして注目すべき意見というものは出なかったわけでございます。ところが、最近になりまして、もう少しこういった問題について検討する必要があるということになりまして、昭和四十七年ころから相続の問題、これは相続人の範囲をどうするか、あるいは相続人の取り分をどのような割合で決めるかという問題、それからそれに関連いたしまして、ただいまお話のございました夫婦財産制の問題、これを中心にして検討いたしております。 この夫婦財産制の問題につきましては、昭和四十八年から九年ころにかけまして外国の制度をいろいろ調査いたしまして、それを参考にしながらわが国における問題点を検討したわけでございまして、現在なお審議中でございます。審議の内容といたしましては、いま仰せになりました共有の問題、それから離婚の場合の財産の問題、それから相続の場合の相続分の問題、こういった点を中心にして検討しておりますが、近く一応の結論が出まして、それについて非常に社会に影響のある問題でございますので、さらにいろいろ各界の意見を求めた上で最終的な結論を出したいと、こういう段階でございます。
○川野辺静君 ありがとうございます。 次に、今回、いまもお話ございましたが、税制の改正に当たりまして、妻の相続税につきましてはその法定相続額まで非課税にしていただきましたこと、これはもう婦人層に大好評を博しておりまして、非常に感謝しております。いままでの妻の財産の問題についてはある年限が審査に必要なことも十二分に承知しておりますが、ついては、この妻の地位の向上という意味で、所得税のことでございますけれども、いわゆる二分二乗方式、これをとっていただくか、あるいは二分二乗方式とそれから現行法と、このいずれかを自由選択をさせていただく、こういうことにおいて妻の座の地位が非常に向上することになりますが、このことにつきまして、大蔵担当の方のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(梶木又三君) いま川野辺先生おっしゃいましたように、今回妻の座優遇ということで、相続税につきましては画期的に三分の一全部非課税と、こういうことにしたわけでございますが、いま御提案の二分二乗方式でございますが、これはおやじさんだけ働いておるようないわゆる片働きの世帯と、それと比べまして共かせぎをやっておる世帯とか、あるいは寡婦の方の世帯ですね、こういう世帯、あるいは独身者の方、これを比べまして、税負担で二分二乗方式をとりますと、後者の方が相対的に重くなるという問題があるわけでございます。それからまた低額の所得者に比べまして、二分二乗方式をやりますと、中高額の所得者の方に軽減の効果が偏る、こういう問題もあるわけでございます。こういう意味から、せっかくの川野辺先生の御提案でございますが、いまのところは、私どもそれをとる意思はないわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○川野辺静君 よくわかりました。いろいろ意見ございますけれども、きょうは時間の関係もございます。 あわせまして、中高年の婦人の税金問題でございますけれども、これは現在四十五歳から五十五歳くらいまでの婦人は、ちょうど戦後の日本再建に非常に努力した年層でございます。そして一家の中心になって働いた者たちでございます。また、いろいろの事情で独身者も多うございます。こういう方たちに対します所得の課税が、全くいま何ら考慮されていない現状と思うわけでございますが、これも一つには日本を再建するのに大変貢献した中高年者でございますので、ひとつこの課税についても何らかの御配慮を、また配慮をしていくべきだと私も思うわけでございますが、これは時間の都合上、一口だけそれについてお聞かせいただければありがたいと思います。
○政府委員(梶木又三君) 川野辺先生のお気持ちは私も十分わかるわけでございますが、独身女性も、これは戦争被害者ということもよくわかります。しかし、税制という立場に立ちますと、これは戦後、戦勝国のアメリカでもイギリスでも、あるいはまたわが国と同じような立場のドイツでも、特別に中高年の独身女性だけに控除を認めるというようなことをやっていないわけでございます。ただ、戦争被害者につきまして、老年であるとか、あるいは寡婦である、こういう場合には、それに伴う老年者の控除、あるいは寡婦控除、これは御承知のとおり見ておるわけでございます。そういうことで、税制上はなかなかなじまないわけでございまして、先ほどの問題といまの問題、どちらも、川野辺先生の御提案にまことに申しわけないわけでございますが、ちょっと税制上なじまないわけでございますので御了解を賜りたいと思う次第でございます。
○川野辺静君 なかなかこれはむずかしいことと思いますけれども、やはりこれに対しては常にお考え置きいただいて、誠意をもって検討をし、いつの日にかはこれを実らせていただくことが大切だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 さらに私は、この国際婦人年の婦人の地位の向上の一つといたしまして、職場におきます男女の平等について一つ意見も持ち、また伺いたいと思っているのですけれども、これは職場において男女平等というのは非常に叫ばれております。けれども、必ずしもこれが実際には行われていないことは、昨日松永委員からの質問の中にも入っておりましたけれども、数を挙げますとこれは切りのないことでございますが、時間の関係上これは申し上げません。したがって、この国際婦人年に当たりまして、やはり職場の男女平等については特に積極的に考えていただかなくてはならないと思います。それにはその範をどこかでたれなければいけないと思うのですけれども、その範はぜひひとつ政府においてたれるということがいいのじゃないかと思っております。そして女性の採用並びに適材は適所に、昇進、昇格等につきましても政府みずからそういった範をたれて、職場の男女平等についてひとつ考えていただきたいと思いますが、これはきょうは労働大臣、大変お忙しくて御出席いただけませんでした。御関係の方がいらっしておりましたら、一口御意見をいただきたいと思います。
○政府委員(森山眞弓君) 公務員につきましては、国家公務員法また地方公務員法等によりまして、性別によって差別されることがないというふうに規定されております。その趣旨に従いまして女子の採用、昇進、昇格、その他すべての待遇につきまして差別があるべきではない、その点について政府が模範をたれるべきであるという先生の御意見に全く同感でございます。
○川野辺静君 どうもありがとうございます。 国際婦人年に当たりまして、婦人の地位向上についていろいろとお願いを申し上げたり意見を申し上げたわけでございますけれども、これは国の半分以上を占めておりますのが女性でございます。したがいまして、いままでを振り返ってみますと、比較的この女性層に対してはいろいろの面で何か軽く取り扱われていたように思われますが、この昭和五十年、しかも国際婦人年を機といたしまして、これはもう本当に与党とか野党とかいうことなく、本当に国の栄えのためにともに協力のできる、男女が本当の意味の協力でやってこそ初めてそこに国の栄えがあると思うわけでございますので、ぜひ今後とも政府並びに先生方、皆様の御協力で、婦人の地位の向上に一層の御協力をいただきたくお願い申し上げまして、与えられました時間でございますので、質問を終えさせていただきます。 いろいろありがとうございました。(拍手)
○委員長(大谷藤之助君) 午前中の質疑はこの程度にいたします。 参考人各位には、長時間にわたりまして貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。厚くお礼申し上げます。 午後一時四十五分まで休憩いたします。 午後零時二十分休憩 —————・————— 午後一時四十八分開会
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中にもかかわりませず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。 なお、御発言はその都度委員長の許可を得て行うようにお願いをいたします。また、時間の制約がありますので、お答えは簡潔にお願いをいたします。 それではこれより質疑を行います。目黒今朝次郎君。
○目黒今朝次郎君 私は、時間の関係もありますから、要点だけ率直に申し上げますので、ぜひ大臣の発言をお願いしたい、こう思うわけであります。 これは昭和四十七年ころ宮城県の河北新報が取り上げた問題で、いわゆる植物人間ということが非常に問題になったわけでありますが、この植物人間ということについて、厚生大臣、労働大臣、率直に言っておわかりかどうか、お願いしたいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) 俗に言う植物人間、これについては、この委員会でも御質疑が前にございました。いわゆる遷延性意識障害というものだろうと思います。ある程度のことは存じておるつもりでございます。
○国務大臣(長谷川峻君) 私は河北新報がそれを探訪してずっと連載しているときから読み、また冊子も拝見し、また知事さんがこれに熱心なこと、ずっと問題をフォローしているつもりでございます。
○目黒今朝次郎君 そうしますと、いま両大臣の説明によりますと、いわゆる厚生省担当の患者が全国でどのくらいいらっしゃるか、労働省担当の患者さんが全国でどのくらいいらっしゃるか、お聞かせ願いたいと、こう思います。
○国務大臣(長谷川峻君) 労災病院に収容されている人は現在二十名でございます。労災保険からは所要の保険給付を行っているところでございます。
○政府委員(佐分利輝彦君) 厚生省は四十八年度から東北大学医学部の鈴木教授にお願いいたしまして実態調査等をいたしておりますけれども、その御報告によりますと、全国の脳神経外科の病院の調査では六百四十六名となっておりますけれども、それをもとにいたしまして推計いたしますと、全国におおむね二千名から三千名の植物人間と称される患者さんがいらっしゃると考えております。
○目黒今朝次郎君 大体われわれの推定と合っておりますが、いま両大臣から説明があったとおり、この病気の背景は交通事故によるもの、あるいは労災の適用の一酸化炭素中毒によるもの、あるいはその他と、こういう三つの原因であると認識して間違いありませんか。両大臣お願いします。
○政府委員(佐分利輝彦君) 植物人間と称せられるものは、脳のいろんな病気の終末像でございますので、交通事故、労働災害、脳卒中、脳腫瘍、またガス中毒、その他いろんな脳の障害によって起こり得るものと考えております。またほぼ同じような状況は、ただ脳の障害だけでなく、肝臓だとか、腎臓だとか、そういったところの障害あるいはがんの末期等にも同じような症状は出てくるものと考えております。
○目黒今朝次郎君 それで、私はことしの二月二十四日、五日と三月の二十二日、社会党の社会福祉調査団の一員として見てまいったわけでありますが、その中で、いま政府の答弁によりますと、昭和四十八年からこれらの問題については研究班を設けてやっているということがありましたが、今日いわゆるこれらに対する医療の保障、補助などについて、宮城方式であるとか、山形方式と、こういう方式については厚生大臣御存じですか。
○国務大臣(田中正巳君) ある程度存じております。
○目黒今朝次郎君 ある程度というのは非常に不満なんですけれども、少なくとも研究班を設けて、これらの方々の対策をやるという場合には、宮城県がある程度先進的な方式を打ち出してやっていることについて、それを十分に検討して、それを全国に広げる指導的な役割りを果たすのが厚生行政の根本であると思うんでありますが、いかがですか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 四十八年度から鈴木教授にお願いしてやっております調査研究は、まず第一に、全国的な実態調査をやってみていただきたい。また次に、ある程度対症療法的な治療方法はわかっておりますが、もっといい治療方法はないか開発研究をしていただきたい、そういう関係で調査をお願いしておるわけでございます。 そこで、宮城方式のような植物人間に対する特別な措置は確かに医療福祉の一つの方法であろうと思うのでございますけれども、現在厚生省の方でやっております難病対策、これは原因がわからない、治療方法もわかっていないというものを対象にしておりますので、現在の難病対策の対象にするのは困難でございます。また先ほども申し上げましたように、同じような症状を呈する病気がほかにもいろいろございますので、そういったほかの病気との均衡とかあるいは社会保障制度全体の問題ということがございまして、なかなかこういった植物人間の医療費のお世話をするということも困難であると考えております。しかし、四十八年十月に始まりました医療保障の家族給付率の引き上げとか、あるいは高額家族療養費の支給制度といったものが、こういった患者さん方の医療費の軽減にかなり役に立っておるものと考えております。
○目黒今朝次郎君 もう二年もたっていまだに研究中というのは非常に不満でありますが、時間がありませんから。 私は宮城方式を簡単に言いますと、宮城県が七十五万、仙台市が七十五万、合計百五十万を地方自治体が支出をして、これらの方々の生活援助に当たっている、そういうような方法でありますが、これらの段階で実際に行ってみますと、この病気は二十四時間ですか、まる一日患者から離れることのできない病気だ、私はこう思うのであります。それで、こういう補助をもらっていながら、朝の八時から夜の二十時までは看護婦さんが三人、付添人が四人の方々が扱っている。夜の二十時から次の朝の八時までは家族の方が病院に来て付き添ってみている、こういう状態であります。どうしても子供さんが小さいとか、年寄りがいるとか、看病のできない方は、十日間で四万五千四百四十円の金を病院に払う、一カ月にしますと、三倍で約十三万五千円。十三万五千円の金を捻出しなければやっていけない。そのために田地田畑全部売っ払っている、こういういま現状であります。私は参考人の片桐さんにお伺いしたいんですが、こういう看護婦なり付き添いということが医療体制として妥当かどうか。特に仙台市立病院は特定病院として特定の補助を受けている、こう聞いておりますが、この辺の医療体制について御意見を聞かしてもらいたい、こう思うのであります。
○参考人(片桐旬君) いま目黒先生から質問のされた、付き添いを置かなくてもできる看護体制というのがいまの状態の中でできるかどうかという質問だと思うんでありますが、私たち自治体病院に働いている労働者の立場からは、付き添いが要らない看護体制というのが実は切実な要求になっているわけです。ですから、ぜひともそういう体制をつくってほしいということを再三要求をしているわけでありますが、現状はいまのこの医療法の基準に基づいた最高の基準、たとえば特二類という、患者二・五人に対して看護婦一人という、その基準をもってしても、いま指摘をされているような患者を収容している病棟の付き添いをなくすることは不可能だという状態にあります。しかも、看護婦不足という問題については、御承知のように大きな社会問題になっておるわけでありますから、最高基準をたとえば適用しておるとしても、それに必要な看護婦が確保されていない、こういう実態もあるわけでありますから、なおのこと付き添いをなしにしてやることはやっぱり不可能だろう、そういうふうに実は考えているわけです。したがって、私たちとしてはこういうふうなケースに対しては、いまの国の看護婦配置基準というものをこういう実態に即した配置基準に改正をしていただくことがぜひとも必要ではないだろうか、こういうふうに実は考えているわけであります。
○目黒今朝次郎君 厚生大臣、いまの参考人の発言から見ますと、最高の二・五人に一人でもまだまだやっていけない実情、それから病状によっては一対一が必要だと、こういう実情についてお話があったんですが、この参考人の御意見について所見を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
○政府委員(北川力夫君) ただいまお話がございました植物人間についての件でございますけれども、看護体制の面から申しますと、植物人間も含めまして、最近は非常に濃厚な看護を必要とする患者さんがふえているような実情でございます。そういう意味合いで、私どもも診療報酬の面から申しますと、先般の四十七年の二月改正のときに特類というのをつくりまして、相当な評価をしたわけでございます。しかしながら、なおかつ不十分な状態でございましたので、四十九年十月改定で二・五人に一人という特二類をつくりました。そういうことで、だんだんと看護体制のほうも実情に合ったように整備をいたしておるつもりでございますが、いまもお話がありましたように、問題はそういった面の整備と適切な評価と、それからまたこれに見合った人員の確保という両面がございますので、こういったところを両々相まって今後充実強化をしていくように努力をしてまいりたいと考えております。
○目黒今朝次郎君 具体的な例を挙げるんですが、この植物人間はもう食事も食べることができない、あるいはちょっと汚い話ですが、小便やそういう排せつ物についても機能がないと、そういう病人ですから、ここのところを、のどを切って、こう開いて管を入れて、そして流動物をやっているわけですね。それでたんが詰まると、この病人は一丁終わりと、あの世へ行ってしまう。それですから、たんの詰まらないことがこの病人が長生きする条件だと。ですから、常に丸い金具に穴をあけて、こう入れて常にたんを取る、これが二十四時間中継続している。医者も看護婦もなかなか手が届かぬ。付添人が、全然医療の資格のない者が、素人の方がやっておるわけなんです。仮に、大胆に聞きますが、その素人の方が操作を誤ってその病人が死んでしまったという場合には、だれがどう責任とるんでしょうか。それを大臣の口からずばり聞かしてもらいたいと、こう思うんです。あなた厚生大臣です。担当なんだ。われわれ素人以上に玄人なんだ。——大臣ですよ、委員長。
○政府委員(滝沢正君) 大変具体的な問題でございまして、確かに植物人間のたんの除去ということはきわめて重要な問題でございますが、先ほど来看護体制等について御議論がございましたように、専門の教育を受けた看護婦なりが過つということについては、これはその可能性というものは少ないのでございますが、先生のおっしゃるような付き添いの方のこの問題についてどういうふうな立場として病院が責任を持つかというお考えだろうと思うのでございますけれども、具体的にはたんの除去というものが非常にその患者の付き添いにとって重要な業務であることを、やはり病院側としては、十分付き添いの方に指導し、教育して、病院としての責任においてこれは対処するようになると思いますので、その点に対する配慮なり注意義務が十分でなかった場合は、私は病院側にやはりその責任があるというふうに思います。
○目黒今朝次郎君 片桐参考人にお伺いしますが、いまのような形ですりかえされるという場合に、病院の実際に患者さん等を扱っている看護婦さんなりお医者さんなりという立場から、いまの見解について見解を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
○参考人(片桐旬君) このケースで具体的に指摘されているような事故が起きたということは、まだ私は把握をしておりませんので、この場合にどうかということはちょっと正確には申し上げられませんが、いま医務局長が答弁をされましたように、いろんな医療事故というのは、この問題以外の医療事故というのがたくさんあるわけでありますが、実際に事故が起きた場合には、その業務に携わった者が責任を問われるというのがこれまでのケースだと思うんです。たとえば看護婦が本来してはならないという注射等について実際にはこれやらされてしまう。そしてやった結果事故が起きた場合には、本来できないことをやらさしておきながら、実際にはやった看護婦が責任を問われる、こういうふうなケースがこれまでもたくさんあったわけでありますから、そういう意味では、いまの医務局長の答弁についてはちょっと納得がいきかねる、そういうふうな感じがいたします。
○目黒今朝次郎君 それで大臣に聞きますが、あなたは社会労働委員会で私の質問に対して、厚生行政の基本は国民の命を守ることであると、これはすべてに優先するということをあなたは私に答弁されました。いま植物人間という方が非常に家族を含めて非惨な状態にある。宮城県では宮城方式である程度のことをしても、二千名、三千名という患者はほとんど放任されておる。宮城県には四十三名です。ですから、そういう人の命を守るという段階では、やはり一対一の特別な看護体制ということは思い切ってつくるべきだと思うんでありますが、大臣の見解をひとつ聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
○国務大臣(田中正巳君) 国民の健康と生命を守るのはやはり国の責任であり、それを所轄する役所は厚生省であります。このことについては間違いがございませんが、いま俗に言われている植物人間について、これをどのようにしてこれに対処するかということについて、できるだけ手厚いことをしていかなければならないと思っていますが、具体的施策について今後さらに検討をいたしてみたいと思っております。
○目黒今朝次郎君 なかなか答えが出ないことは残念ですが、この問題については今後執拗に私たちは要求していきたいと思っております。 それで厚生大臣にお伺いしますが、おたく植物人間の入っている病棟に行って、直接に患者の実態なり、付き添いの方々の実態なり、あるいは看護婦さんなり、医師の方々の実態に接したことがありますか。
○国務大臣(田中正巳君) 就任以来、国会が非常に忙しくて表へ出ることが全然できません。したがいまして、いまだ残念ながら見ておりませんが、機会を得てこのようなものを直接自分の目で見たいと思っております。
○目黒今朝次郎君 私が行った病院は、長い方は六年、短い方は一年。六年間も眠り続けているんですからね。それでこういうことを聞きました。四十八年の七月の二十日、厚生省のある担当官が齋藤厚生大臣の命に従って実態調査に来た。ところが余りにも非惨であり、余りにもむごたらしかったという点で、病室に入った途端に貧血を起こして倒れちゃったと、そういう事故があったわけでありますが、これは患者側の付き添いのおばさんたちがみんな知っている、病院の方も。そのくらい残酷な立場なんです。ですから、私はひとつ厚生大臣にお願いしたいのは、あなたがじかに、まあ労働大臣はたまたま宮城県ですが、両大臣そろっては無理でありましょうから、やはり厚生大臣がじかにこの病棟に来て、じかに実態調査をしてもらう、そういうことを通じて一対一の看護体制という必要性が私は出てくるものだと、こう思いますから、この仙台が大体集中的に行われておるし、宮城方式も行われておるわけでありますから、ぜひ宮城県に来てこれを実態調査をすると、そういう決意のほどについてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田中正巳君) 機会を見てそのようにぜひいたしたいと、かように思います。
○国務大臣(長谷川峻君) 山本知事が非常に熱心にやっておりまして、私はもう一つありがたいと思いますことは、いまのところ国としてなかなかできにくい面もありますが、宮城県でボランティアでいろんな基金など出して、いろいろ御加勢してもらっている姿、われわれもそこに多少参加しておりますが、そういうことで濃密にみんなでお手伝いするという姿勢もありがたいことだと、こう思っておりまして、なおさらに私も一生懸命推進してまいりたいと、こう思います。
○目黒今朝次郎君 ぜひ不言実行するように期待をいたします。 それから、先ほどありましたけれども、仙台の坂本医師の説明を聞きますと、齋藤厚生大臣が岩手大学、東北大学、仙台市立病院などの協力を得て十分な研究を行うということを言明しておるわけでありますが、現場の医師から見ると、ほとんどこの研究が進展していない。その裏づけは、現在でこの宮城方式が出たのは全国でたった山形県一県だけだ、ほとんどの県が放任されている。でありますから、この研究の促進ということについて担当者の決意のほどを私はここで表明してもらいたい、こう思うんです。
○政府委員(佐分利輝彦君) 鈴木教授グループの研究につきましては、四十八年度は百万円、四十九年度は百五十万円の研究費を差し上げましたが、その重要性にかんがみまして、新年度においてはできるだけ研究費がふえるように、また研究開発そのものがもっと進捗するように努力をしてまいりたいと考えております。
○目黒今朝次郎君 その両大臣の決意と、いまの局長の決意の裏づけをするのは、やっぱり財政的な裏づけをどう見るかと、こういう財布を握っている大蔵大臣の決意いかんだと思うんでありますよ。ところが、決意がないとみえて姿を消したんですが、これは後ほど来たら委員長の方から聞いてもらいたい。これで大蔵大臣に対する質問は保留をしておきます。 次の問題で、人工透析の問題についてお伺いしますが、これを必要とする患者は全国でどのくらいいらっしゃるんでしょうか。
○政府委員(滝沢正君) 人工透析の必要な患者数というには、いろいろの学説といいますか、研究の結果がございまして、年間の腎臓病の死亡数の三〇%程度であろうというような数字がかなり基礎になっております。で、結果として申し上げますと、約八千人ぐらいの方が存在するであろうというふうに推測いたしております。
○目黒今朝次郎君 私も余り、素人ですから——この仕事については一回六時間ないし八時間の治療を行う必要がある、一週間に二回ないし三回やらないとあの世へ行ってしまう、そういうきわめて慢性的な救急疾患であると、このような認識で間違いないでしょうか。
○政府委員(滝沢正君) 腎臓機能が障害されて、このような人工透析の治療法がなかった時代は、これは生命につながったわけでございまして、これを毎日の生活の中から排せつしていくものを、腎臓が悪くなっても、この透析を、先生おっしゃるとおり二日ないし三日置きに六、七時間の透析をすることによって、ほぼ健康人に近い活動ができるという新しい医学の開発によるものでございまして、かなり長期にわたることは当然のことでございます。
○目黒今朝次郎君 そうしますと、そのような大変な仕事を、大変な医療でありますから、私はこれは当然国なり公立の病院で専門的にやると、このように、先ほどの植物人間じゃありませんが、考えるわけでありますが、これを実際に扱っておる片桐参考人に、現場の実情などについてお話し願いたい、こう思います。
○参考人(片桐旬君) 目黒先生から質問をされました人工透析の問題について、特に重要な問題であるだけに、国公立病院がこの人工透析の問題については中心的な役割りを担うべきではないか、こういう意味の御質問だろうというふうに理解をいたしました。 そこで、職場の——職場のといいますか、自治体病院の実態について申し上げたいと思うんでありますが、最近この問題が取り上げられたということもありまして、正確に自治体病院で幾つくらいのところでこの人工透析を扱っているのか、そういう数については把握をしておりませんが、全体の傾向としては、地方の場合には確かに自治体病院、中でも県立病院であるとか、あるいは市立病院等が人工透析を扱っている、そういう傾向は強いようであります。しかし、都市部になりますと、比較的この自治体病院等がこういう問題を扱うというケースが少なくなっているという、そういう状況にあるだろうと思います。 そして、なぜそういうふうな状況が出てきているのかということについて、私たちなりに問題点を考えてみますと、大きく分けて二つの問題点があるんじゃないだろうか、そういうふうに実は考えています。 まず一つは、人工透析を行うに当たつての要員の確保の問題が一つの大きな問題点だと思います。医師の確保あるいは看護婦の確保という、そういう問題が当然出てくるわけであります。 もっと具体的に申し上げますと、四十年の五月でありますが、看護婦の夜間勤務規制に対する人事院判定というのが出されています。通称二・八体制という夜勤制限の問題でありますが、そのものが実は四十年に出されているわけですが、それ自体がほとんど空文化をしているという実態もあります。しかも、四十四年になりまして、参議院の社会労働委員会において、看護職員の不足対策に関する決議というものもしていただいておるわけでありますが、そのものも実質的には空文化をしている。こういう状況の中でありますから、人員確保が非常にむずかしくなっている。そういう状況の中で、この人工透析に関する要員確保というのは非常にやっぱり困難である。こういう実態が一つは指摘をすることができるだろうと思います。 それからもう一つは、人工透析に携わる医師、あるいは看護婦、あるいは臨床検査技師などの職員への感染の問題、それから予防対策の問題が大きな二番目の問題点として指摘をしなければいけないのじゃないか。確かにこれまでも感染をし、発病し、死亡といったケースも実は数例聞いております。そういうふうなことから、やっぱり私たち医療に携わっている労働者の立場から考えますと、人工透析を行うに当たっては、少なくとも次の点を明確にひとつしていただかなければ安易に取り組むことはできないのじゃないかというふうに考えています。 まず一つは、完全な感染予防対策というものをやっぱり考えていただきたいということであります。そのためには、具体的には定期的な健康診断、あるいはまた感染防止を目的とした施設の整備、そういうもの等についても現状は必ずしも十分配慮をされていない。こういう状況にあるだろうと思いますので、こういう点をまず一つはどうしてもやっていただかなければいけないのじゃないだろうか、そういうふうに考えます。 それから二番目の点としては、そういう万全な体制をとったにしても、やはり感染をする危険というのは常にあるわけでありますから、そういう場合の補償体制というのは一体どういうふうにしたらいいのかという点についても、十分やはり検討してもらう必要があるんじゃないだろうか。現状は労務災害補償というようなことを考えておられるようでありますが、それさえも、労務補償の認定申請を出してもなかなか認定をされないという状態があるやに聞いておるわけでありますが、そういうことではなくて、この仕事は危険な仕事だということは明確になっておるわけでありますから、その仕事に携わる職員が不幸にして感染をした場合の生活保障、しかもそれが終身保障という、そういう制度の裏づけがなければなかなかこの問題については取り組むことができないのじゃないだろうか、そういうふうなことを実は考えておるわけであります。 以上、意見を申し上げたいと思います。
○目黒今朝次郎君 委員長、大蔵大臣はどうしたのでしょうか。
○委員長(大谷藤之助君) 二時半には見えるようですから。
○目黒今朝次郎君 来たら、時間をひとつとってもらうことをいまから約束してください。お願いします。 それじゃ、いま片桐参考人からありましたことで、結論だけで結構ですから、二・八体制や、四十四年六月十日の参議院社会労働委員会で看護職員の不足対策に関する決議がされまして、これを、両三年ですから四十七年ですか、四十七年には完成する、こういう決議をしておる。これらの問題について、いま参考人の話を聞くと、実施されていない。国会無税もはなはだしいし、人事院勧告無視もはなはだしい。こういうことを含めて、結論だけ私は、腹構えなり今後の展望について大臣から聞きたいと、こう思うんです。
○政府委員(滝沢正君) 二・八休制につきましては、人事院の判定が出ました以後、国立としては少しおくれてまいりましたが、地方自治体も含めまして、新潟県からこれらの体制に対する職員側の要望等が強まりまして、現在を申し上げますというと、地方自治体の県立病院等では、二人夜勤のところが八〇%程度に改められ、日赤、済生会等でも七五%、文部省系統では七五が予算上の基準になっております。国立の場合は四十七年までの間に第一回の改善を五〇%を目標に進めてまいりましたが、その後これらの問題に対して新たに対処する必要がございますので、四十九年以降努力してまいりましたが、五十年から国立の施設についても定員の増加が認められまして、ただいまの五五%程度の実態が六〇%程度まで改善できる見込みになってきたわけでございます。 それから四十四年の決議の問題に関連した看護婦の養成計画のことであろうと思うのでございますが、この点につきましては、四十五年に国会に高卒一年の准看護婦制度という法案を提出いたしましたが、これが実現を見なかったのでございまして、それ以来看護婦養成についての体制を立て直す準備を進めておりますけれども、現状のところ、そのときの実現できなかった点等を含めまして、看護婦の養成は増強はいたしておりますけれども、依然として不足の状態が続いておるわけでございます。
○目黒今朝次郎君 一番この問題が進まない背景は、やっぱり大蔵省が金を握っておる。そこで大蔵省——これもいない。大蔵大臣がいませんから、これも保留しておきます、この件に関する大蔵大臣の……。 時間がないから先に進みますが、この問題、片桐参考人の説明を聞きますと、やはり国あるいは地方公共団体の病院でやるのが望ましい。ところが、厚生省からもらった資料によりますと、私立の病院がわりあいに多い。それで松本参考人にお伺いいたしますが、私立の病院で行われている問題などについて、九州の事件なども含めて、これらの背景についてぜひ聞かしてもらいたい、こう思うんです。
○参考人(松本憲一君) いま現場の労働者の立場から、国が人的な保障をしないということと、感染を含めて、障害、それから保障の確立をしない。全国的に見ても、地方では県立なんかがやっておりますけれども、都市部においては圧倒的に多数の私立病院に人工透析が任されておる。したがって、こういうことからどういうことが起こってきたかといいますと、私は北九州の実態を紹介しようかと思います。 実は、人工透析といいますのは、一回の透析が約五万、月間で六十万から百万、平均して八十万という多額の治療費を食う一つの医療なんですが、これは更生医療の対象になっております。保険との差額は更生医療の対象になっておりますが、そういう多額の治療費を必要とし、一回の透析料が高いものですから、はっきり申し上げて、私立精神病院の営利のための一つの絶好の場となっております。 たとえば、北九州に北九クリニックという人工透析の専門病院がございまして、ここに約八十人の透析患者が透析を受けております。ところが、先ほどお話がありましたように、現場の労働者でさえも血清肝炎の感染を恐れて、その保障体制がない限りは、なかなかわれわれさえ踏み切れないという悩みを持っておられる。この血清肝炎のおそれがあるにもかかわらず、本来使い捨てにすべきこの透析の器材を過酸化水素で洗い、ホルマリンで再生して、一回一回新品を使ったと同様な形にして請求し、一昨年の暮れから昨年の半ばにかけまして約八千万円の詐取を働いた医療機関があります。そしてこの再生によりまして、そこに入院している患者さんの全員が発熱し、舌の先がしびれ、さまざまな障害が実は出ておるわけであります。一回一回使い捨てすべきこの器材を平均八回ほど使っておりまして、これによって、この患者さんの中には、当然、腎臓でございますから、薬務行政の怠慢によって、盲になったクロロキンの被害者も含まれ、さらには透析の私的医療機関に放置された、こういう無責任によりまして二重の被害を受けている患者さんが実はおるわけであります。この件は現地におきまして新聞でもかなり厳しく追及したわけでございますが、せんだって、約半年かかりまして患者さん側の追及によってこの件が表に出たにもかかわらず、福岡県行政当局は、約八千万の詐取を行ったという事実を確認したにもかかわらず、現在まで全然行政的な何らの処分を行っておりません。 これは、私立病院がこういう形で、この透析医療というものを営利の対象としている。北九州でも実際そういう例があるんですが、私立精神病院が最近数人の透析患者を扱い出した事実があります。そして私が聞いた話では、これほどもうかる商売があるとは思わなかったと、こういう話さえ出ております。衆議院の集中審議におきまして問題になりました京都の十全会の双岡病院あたりでも、たしかこの人工腎臓を扱っているはずであります。したがって、この人工腎臓の透析患者をこういう私的な状態に放置しておるがために、われわれの税金である保険の詐取まで招き、さらには患者の被害まで生み出している。早急にこれは国が公的な責任をもって保障すべき重要な局面だと私は考えております。
○目黒今朝次郎君 委員長、大蔵大臣の来るのを待っていていいですか。
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。
○目黒今朝次郎君 それでは、救急医療の問題について、ちょっと自治大臣並びに厚生大臣にお伺いしたいと思いますが、結論だけ、イエスかノーか言ってもらえば結構ですが、現在の救急医療というのは、両大臣とも、消防法の二条九項あるいは三十五条の五、三十五条の六、あるいは救急病院の指定についての昭和三十九年厚生省令八号、これだけで法的な規制がされていると、このように理解して結構ですか。両大臣。
○政府委員(滝沢正君) 三十九年消防法の改正を受けまして、厚生省といたしましては、申請に基づきます告示病院診療所制度を発足させて、ただいま四千七百カ所、病院が千九百カ所程度ございます。
○目黒今朝次郎君 この救急の関係を見ますと、患者を運ぶということについてはあっても、受け入れ側の事情といいますか、受け入れ体制といいますか、そういうものについては非常に片手落ちだと、こういう感じがするんですが、厚生行政を預かる厚生大臣、地方自治体を預かっている自治大臣、実際にこのことについてどういうお考えか聞かしてもらいたい。
○政府委員(滝沢正君) この病院は申請に基づくものでございまして、指定にするものではございませんけれども、その申請する場合の条件として、やはり救急医療体制が、特に消防法に基づくものは交通災害を中心にしたものでございますので、外科系統の機能を持っているかどうかを確認の上でいたすわけでございます。先生おっしゃるように、その運ぶ方の消防法と、受け入れる医療機関の体制との問題については、その後われわれはやはり第一次に運ぶ場所のほかに、さらに脳外科等ができるようなセンターが必要であろうということで、逐次、四十年の告示以後、計画的に救急医療センターというものを百七十カ所整備いたし、さらに交通事故の多いところにサブセンターとして九十カ所ぐらいを今後も設備していくということで、受け入れの医療体制というものについても逐次充実はしております。しかし、救急医療という言葉に含まれる中に、交通災害以外の一般的に起こる急病患者の問題が最近とみに重要な問題になってまいりました。この点について、休日、夜間の診療体制、さらにそれから二次的に運ぶ病院の機能、これらについては重要な課題として今後取り組まなければならないというふうに思っております。
○目黒今朝次郎君 四十八年の六月三十日、消防消第七十八号、消防庁長官から厚生省事務次官にこの救急に対する要請があるわけでありますが、この要請についてどういうふうに取り組んできたか。特に地方自治体については、この救急医療というのは、まあざっくばらんに言って不採算、赤字、非常に負担が重い。したがって、自治大臣として自治体病院を救急医療に指定する際には、その採算の面については大蔵省から十分な予算の裏づけをもらって、十分に自治体病院も救急医療の任務を果たす、こういうようなたてまえであると思うんでありますが、この辺の事情について自治大臣からお答え願いたいと、こう思うんです。
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。 いま御質問のとおり、四十八年の六月の三十日に、実は消防庁の長官から厚生省の方にも、救急医療の確保が困難であるからひとつぜひこれを担当できるように、救急医療を担当できるように、予算のうちに盛ってもらいたいということを言っておったのでありますが、残念ながら四十九年は実現を見ませんでしたけれども、五十年度におきましては、その実現をある程度見たわけでございます。しかし、いまお話がありましたとおり、救急医療はどうしても赤字になる可能性がございますので、その不採算部分につきましては毎年度地方財政計画に所要額を計上いたしまして、そうして特別交付税で見るようにいたしております。したがって、そういうものをつくったからといって、すぐに地方交付税の問題にまでは持っていきませんけれども、特別交付税で十分めんどうを見ておるつもりであります。 なお、国の補助金につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、自治体の救急医療施設に対しては運営費の補助が今度ようやく創設されることになりました。
○目黒今朝次郎君 最後に、滝沢医務局長にお伺いするんですが、五十年二月六日の病院新聞によりますと、いま言った救急医療について五十一年度から抜本的に見直す必要があると、こういうことをこの新聞に書いてあるわけでありますが、その心構え、方向について簡単にお願いしたいと、こう思います。
○政府委員(滝沢正君) 先ほど御答弁申し上げましたように、従来の救急医療というのが制度的には消防法に基づく道路上の交通災害等が中心でございましたが、国民の実際に起こってまいります需要というものは、家屋内に起こるところの一般急病がかなり重要な問題でございます。この点に対処するためには、従来のいわゆる外科中心の病院の指定というような考え方では無理でございまして、大体、休日、夜間の患者の六割は子供であるというような問題、あるいはお産のための救急収容、あるいは心臓病等による死亡を防ぐための救急体制、こういうようなことを考えますと、従来の消防法に基づく交通災害を中心とした体制では不十分であるということで、五十一年度からこの問題に計画的に取り組みたいというのが私のただいまの判断でございます。
○目黒今朝次郎君 先ほど松本参考人と片桐参考人から言われた問題点については、究極は財政に関する問題ですから、大蔵大臣から一括して見解を聞きたいと、こう思っておりますから、保留しておきます。
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。 これは、答弁は時間外とします。
○国務大臣(大平正芳君) いわゆる植物人間と言われる方々の治療方法の研究促進を図るため、四十八年度末予算措置が講じられてきたところでございますが、今後とも厚生省と十分協議の上必要な措置を講じてまいりたいと思います。 また、国立病院等の看護婦千五百二十五人の大幅な増員を行ったところでございますが、今後とも夜勤看護婦体制につきましては、状況の推移を見ながら厚生省と十分協議の上善処してまいりたいと思います。
○目黒今朝次郎君 いま一つ、医療救急体制の問題について、自治体が採算がとれないという点でなかなか受け手がない、それから市立病院についてはほとんど国家補助を出してない、こういう問題について大蔵省としてはどう考えているか、こういうことです。
○政府委員(滝沢正君) 救急医療、がん等の問題は、これは地方公営企業法の中にもある問題でございまして、特に救急医療については一般会計からの病院に対する援助が認められている事項でございます。それにかんがみまして、われわれは日赤、済生会等の、親元のないと申しますか、そういう財政的な背景も考えまして、日赤、済生会等の病院から救急医療、がん、それから地方の不採算な地区にある病院、田舎の町で一つの病院だけで外来患者数も少ない、入院患者も百床以下である、こういう公営企業法の中の考え方を取り入れまして、日赤、済生会等の援助をまず手始めに始めましたけれども、地方自治体についても先ほど来交付税等の御意見がございますけれども、やはりわれわれとしては、これに準じて特に救急医療についてはこれを援助する必要があるということで、五十年度の予算におきましては五十七ヵ所の、中心的な、機能のいい、患者数の取り扱いの多い自治体病院をまず選びまして、これを補助対象にいたしたわけでございますので、今後ともこの救急医療の確保という観点から、基本的には診療報酬のあり方の問題もございますけれども、やはりそのような不採算の状態に対する援助というものについては逐次進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○目黒今朝次郎君 時間がありませんので、次の答弁を求めます。 先ほど片桐参考人が申しましたいわゆる公立病院における人工透析の問題について完全な予防体制、あるいは最後の場合の障害における保障制度、こういうものがぜひ必要である、こういう姿勢でありますが、これに対する取り組み方なり、今度の考え方を聞きたい。 同時に、松木参考人が申したこの北九州クリニックの事件について、明らかにこれは違反であり、同時に、この人工透析を受ける方々がどうしても一週間に二回ないし三回受けなければ死んでしまう、そういう方々に対して、ある情報によりますと、この問題を告発した患者に対して診療拒否をしている、断わっている、これはもう、もってのほかだと思うのであります。したがって、これは医師法違反であり、同時に、人命無視もはなはだしい暴挙だと、こう言っても過言ではないと思うのであります。したがって、こういう方々が医療の中で横行するということは断じて許さるべきじゃない。したがって、どういう行政処分なり、あるいは今後の指導を行うつもりか、そのことも含めて、厚生大臣の決意なり今後の考え方についてお聞かせ願いたい、このように考えます。
○政府委員(滝沢正君) 人工透析に伴いますオーストラリア抗原等の感染問題でございますが、これは人工透析のみならず、外科、産婦人科等で患者からの血液を取り扱う医療従事者はこの点に十分の予防措置を講ずる必要があるわけでございます。患者がその感染源を持っているかどうかということも、これは大事な問題でございますけれども、一般的に医療従事者が血液を取り扱う場合については、手袋をはめるであるとか、そういういろいろの注意というものは常識的にやはり注意する必要がございますけれども、それでも感染の危険というものは否定できない面がございます。これについては予防ワクチンの開発等がアメリカでなされておりますし、それから、それに対する治療の血清等も考えられておるわけでございますが、いま医療従事者にとりましてはきわめて関心の高い重要な問題であるわけでございます。 それから後段の北九州クリニックの問題の診療拒否という先生の御提言と、これはむしろ医師法違反的な問題ではないかという御質問でございますけれども、これについてわれわれが県を通じて承知している範囲では、患者との人間関係の上に、やや患者にもその医療関係者としては注文したい面があったというようなことで、新聞報道などでも、医師の、特に院長の態度としては決して拒否したものではないから、その点は、患者が医療を今後も受けるということであれば受け入れたいし、ということでございまして、県の報告でも、この診療拒否というように言える実態であるかどうかについては、われわれの承知している範囲では、医師法違反的な問題の取り扱いをするほどの問題であるかどうかというふうにただいま考えておるわけでございます。 先ほどの健康保険の問題については保険局長から答えます。
○政府委員(北川力夫君) 北九州クリニックの問題で御指摘がございました点は、三月の八日に監査をいたしまして、その結果厳重な戒告処分をいたしました。なお、お話に出ました不正請求額七千八百一万五千円につきましては、これを返納させることに決定いたしました。なお、今後厚生省といたしましては、県当局に対しまして保険医療機関の指導の徹底を期するように、再度このようなことがないように厳しく指示をいたしました次第でございます。
○目黒今朝次郎君 いや、いま聞きますと答弁漏れが一つあるんですが、障害——感染の問題はありました。どうしても感染が避けられないという場合のお医者さんなり患者さんの障害補償ですね、障害補償制度についてどう考えているか。これは特別の例であるから、そういうことについては大蔵大臣もやっぱり人間の命を守るという立場から大蔵省でも十分考えるべきであると、こう思いますが、いかがでしょうか。両大臣。
○政府委員(滝沢正君) この労務災害の補償という考え方でございますが、実は、この医療関係者の実態に応じた、公務の場合はその補償というようなものは事実ございます。それから腰痛症等に対する認定の問題もございます。ただ、オーストラリア抗原についての具体的な補償の問題は、実情は先生おっしゃるとおり、感染して非常に重篤な病気になり、場合によっては死亡というような状態につながるのでございますが、これは今後、人事院その他労働関係等の御認定の問題につながるだろうと思うのでございますが、先ほど来答えましたように、このような、常識として医療関係者が守らなければならない注意を基本的には守った上で、なおかつその認定がされるような状態というものがあれば、私は人事院その他の対策というものが今後検討されるであろうというふうに思っておるわけでございます。
○目黒今朝次郎君 では最後に、私はこの問題について、先ほど診療拒否の問題がありましたけれども、これは新聞に上がって世論にたたかれたから、いわゆるその患者との人間関係なんという、きわめて小ずるいごまかしをやったものだ、こう思って、本質においては変わりはないと思っております。ですから、人工透析の問題について起きた事件については十分調査をして、今後再び発生しないように、そういう診療拒否をやった方については厳重な行政上の処分を行うと、そういう意味を含めた新しい通達をきちっと出して再発を防止するということがきわめて大事であろうと、このように考えますが、これらに対する最後の締めくくりの厚生大臣の意見をぜひ聞きたいし、また、大蔵大臣については、この医療関係の問題は人の命にかかわる問題でありますから、やはり問題があればいろんな事情はあったとしても、最優先に人の命を守るための財政の裏づけをするということに対する決意の表明を二人にお願いして、私の質問を終わります。
○国務大臣(田中正巳君) 医療機関の不正につきましては、厳重にこれを監督いたす所存でございます。
○目黒今朝次郎君 今度の九州の問題の、新しい通達は。
○国務大臣(田中正巳君) 九州の問題につきましては、ただいま承ったばかりでございますので、役所に帰りましていろいろ事案を調べまして、適当な措置をとるようにいたしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 人の命を守ることは何よりも優先いたしました課題であることは仰せのとおりでございます。具体的な案件につきまして厚生省から出てまいりましたときには、篤と協議いたしまして対処いたしたいと思います。
○目黒今朝次郎君 終わります。
○委員長(大谷藤之助君) 片山甚市君。
○片山甚市君 私は、薬害問題を克服するために、その問題にしぼって参考人並びに政府の見解をただしてまいりたいと思います。 まず、厚生大臣にお伺いしたいんです。文藝春秋三月号に、井上さんという一主婦が、安い特効薬クロマイの恐ろしさを告発する一文を載せておられます。これは、かわいい娘や父や母に、その薬が何であるかを知らせずにクロマイが使われ、その結果、再生不良性貧血を起こして亡くなった子供のことを逐一書かれておるものでございます。せんだって、薬務局安全課の出しておる「医薬品副作用情報」によっても、クロラムフェニコール、通称クロマイの副作用が報告されておるところでありますが、厚生省の警告にかかわらず、クロマイの生産量が伸びております。昭和四十七年、十九社が九百七十四億円、八十四トン生産をしておるようであります。このようないわゆる副作用のたくさんあるものについてのいわゆる報告、これがどのようになっておるのか、特にまた、血糖降下剤による死亡者がすでに五十名を超え、後遺症で悩んでおる人が百名だというデータも出されております。これらから見て、私は厚生省のやっている薬効再評価の判定、また副作用情報モニターあるいは新薬製造承認などの幾つかの行政は十分な実効を上げていないと思います。これらは薬屋のためのマスプロ、マスコミ、マスセールのための機能に色を添える、それを装うためにつくられたものであろう、薬害をカムフラージュするためにこういうことをやっておるんではないか、道具になっておるんじゃないかと思いますが、それはいかがなものでしょうか、お答えを願いたいと思います。
○政府委員(宮嶋剛君) お答え申し上げます。 薬品に基づきます副作用によりましていろんな被害が出る、まことに遺憾なことでございまして、私どもも安全対策の観点から、ただいま先生御指摘のように、新薬使用につきまして厳格にやるというふうなことを四十二年の十月以来厳しくやってまいっておりますし、またモニター制度——副作用情報をできるだけ収集をするという見地からいたしまして、全国の国公立病院あるいはまた大学病院約二百六十から常時情報をいただくというふうなことをやるとか、あるいはまたWHOのモニターでも情報を得るようにするとか、いろんなことをやっております。同時にまた、得られた情報に基づきまして、その情報を医療機関に対してフィードバックするというためにいろんな手段も講じてまいりましたし、たとえば、この四十九年度に入りまして具体的にわが省から個々のドクターの方すべてに対しましてダイレクトメールをもって副作用情報を伝達するというふうなことも始めたりいたしております。 いずれにいたしましても、私どもこの副作用の情報につきましては迅速にキャッチする、同時にまた、キャッチしたものにつきましては、実はわが省に薬事審議会というものがございまして、そこに多くの薬理学あるいはまた臨床の専門家がおられまして、その専門家の集団の方々による的確なる御判断をいただきまして、状況によって適宜の措置をとる、場合によって医薬品の販売を停止する、製造を抑えるというふうなこともやりますし、また、場合によってはドクターのもとに参ります添付文書、能書と申しますけれども、その使用上の注意について所要の改善を加えるとか、いろんなことをやっております。いずれにいたしましても、国民のこの薬品に対する信頼をつなぐべく、まだまだ十分ではないかもわかりませんけれども、とにかく最善の努力をいたしている次第でございます。
○片山甚市君 いま厚生省はこんなことを言っておりますが、参考人の平沢先生にお伺いしたいのです。一体どこからこのような薬害が克服されない状態のままで置かれておるのか、どのような形で薬害が起こっておるのか、当面速やかにどういうことを改めることによって薬害を防ぐことができるかについて御意見を承りたいと存じます。
○参考人(平沢正夫君) いま片山先生から御指摘された点ですが、まず冒頭におっしゃったクロマイの問題について述べてみたいと思います。 この薬は、日本では一九五二年から使われております。大体、昨年あたりで生産額は四百億円を超えていると思います。その生産量ですが、これはちょっとアメリカと比較するという意味で、少し古い年度の生産額を申し上げます。日本では一九七〇年に約七十トンつくっております。そして七一年には五十四トンということになっております。ところで、アメリカではどれだけつくっているか。FDAという役所から公式に発表されたデータを見ますと、アメリカでは一九七〇年約十三トンです。そして七一年約八トンです。アメリカの方は人口が日本の約二倍いるわけですから。さらに、アメリカの薬は、一般的に言いますと三割ぐらいは輸出されます。日本の方は、せいぜい四%か五%ぐらいしか輸出されません。そういった要素を考えますと、日本人は一人当たりアメリカに比べて数倍から十数倍のクロマイを飲まされているということが言えるわけです。アメリカでは、かつては相当多量にクロマイをつくっていた。そのピークは一九六〇年で、このときは五十トン余りになっております。これもFDAの出した数字です。ところが、六七年以来激減してしまった。クロマイを最もたくさんつくっていた、ライセンスも持っているパーク・デービスという会社は、経営不振のために別会社に吸収合併されてしまいました。このことから見てもわかるように、クロマイというのはサリドマイドとかキノホルムとほぼ同じように、もはや過去の薬になっちゃっているわけです。 ところが、日本では生産額は年々伸びている。たとえば、昭和四十八年は前年度に比べて生産額は百五十億ぐらいふえているわけです。ふえた分だけです、百五十億というのは。アメリカでなぜ減ったのか、それは副作用です。六七年に上院でゲイロード・ネルソンという議員が特別の委員会をつくりましてクロマイの副作用を調べた。公聴会も開きました。その結果、副作用の問題がいまさらのように明るみに出まして、生産額が減ってしまったわけです。厚生省はこのことをとっくの普に承知しているはずです。にもかかわらず、日本では生産額が伸び続けている。しかし、それを厚生省はじっと見ていただけです。何にもしておりません。何にもしていないと言えば言い過ぎかもしれませんけれど、医者に通り一遍の通達は出したと思います。しかし、それは厚生省が言いわけをつくるためにやったんじゃないかと思われるくらい全く効き目がない。 日本でどういうふうにクロマイが使われているかと言いますと、普通のかぜにでも、すぐ打っちゃうわけですね。注射を打つわけです。いま大きな社会問題になっております大腿四頭筋短縮症、子供の足の筋肉が拘縮して、ひざが曲がらなくなる。これは人災です。病気じゃないです。それの原因の大半は、ごく小さいときにクロマイを含んだ注射を打たれたことによるわけです。患者の、あるいは被害者ですね、被害者の親たちに聞いてみますと、大抵、かぜを引いて医者へ連れていって、クロマイの注射を打たれて大腿四頭筋短縮症になっております。かぜというのは、大変常識的な話ですが、ウイルスでなるわけです。抗生物質というのはばい菌を抑える、ないしは殺すものです。ばい菌とウイルスは違うわけですね。ですから、かぜにクロマイを打ってみても、もともと治すことができないわけです。ですから、かぜにクロマイを飲ませる、あるいは注射を打つことそのものは、すでに薬の誤用であり、乱用である。そのことによって、大腿四頭筋短縮症の子供たちを非常に大ぜいつくり出した。こういう問題があるわけです。 医者に厚生省が一通りの通達を出しても、クロマイの生産は依然として伸びている。ですから、私は考えますが、もはや薬害に関しては医者を信用することはできない。厚生省は、薬の副作用について医者だけに知らせるのではなく、国民全体に副作用情報を周知徹底させなければならない、副作用情報を公開しなければならない、このように考えます。現に、アメリカのFDAでは、ことしの二月から副作用情報の大幅な公開を決定しました。ところが、日本の厚生省の方は、少なくとも現在までは副作用情報を国民に公開していない。その理由は、私どもがたびたび厚生省とかけ合ったそのたびごとに聞くことなんですが、突き詰めて言えば、知らしむべからず、よらしむべし、ということです。薬の副作用なんか国民に伝えてもわかるはずはないと、それからまた、いたずらに社会不安をあおるだけだと、大体、このような説明に尽きるんです。しかし、私たちは薬害に関しては医者をもはや信用することはできない。クロマイの例を見てもそれは明らかである。この際、どうしても副作用情報をFDAと同じように公開すべきであると考えます。 また、先ほど片山先生が触れられましたが、医薬品の薬効の再評価の問題、これについては厚生省が一九七二年からやっております。薬を幾つかグループに分けまして、それぞれ小委員会をつくって検討して、わかったものから順次公表しておりますが、ただ、その発表の仕方に非常に問題がある。といいますのは、結論だけを出しているわけです。プロセスが全然わからない。一般的に害われておりますことは、メーカーからその薬についてのデータを出させて、専門家がそのほかにいろいろな文献を当たって、要するにデスクワークでもって結論を出して発表しているわけです。私たちとしては、どのようなデータが厚生省に集まって、それをどのように厚生省が専門家に頼んで討議をして、どのような中身の討議があって結論が出たのか、これらのすべてを知る必要があるわけです。ところが、この問題についても厚生省は国民の要求を拒んでおります。理由は何かと言いますと、企業秘密という壁にぶつかるんです。もちろん、私は企業秘密すべてを否認するつもりはありません。しかし、企業秘密といえども、人命にかかわる場合には企業秘密を犠牲にして、国民の前に情報を出さなければならない、このように考えます。企業秘密を盾にとって、人命にかかわる情報の公開を拒むのだとすれば、これは、極端に言えば、人間は、あるいは国民は死んでもいい、企業だけ生きていればいいんだと、こういう考え方につながると思います。これは厚生省の趣旨にもとるのではないか。健康あるいは生命、あるいは福祉の問題をつかさどる行政府として、これは不適当なんじゃないかというふうに思います。
○片山甚市君 ただいま平沢先生の御意見を聞きながら、私はもっともだと思う立場ですが、ただいまの御意見について、まず厚生省にお伺いしたいんですが、患者または保護者の薬に関する知る権利について私は重視をしたい。投薬や注射の際に患者または保護者にその内容などが知られないことは問題であると思う。むしろ知ったほうが、理解をし、いいと思うんですが、そのことはいかがでしょうか、薬害をなくすために。
○政府委員(滝沢正君) 注射、投薬等のあった場合、その内容を患者が知るということですが、一般的には医師が注射、投薬等の治療をする際に、患者の求めがあった場合には診療内容についての説明を行うことが適当であると考えております。しかしながら、がんの治療を行う場合とか、暗示的な効果を期待して治療を行う場合など、必ずしも患者にその内容を知らせることが適当でない場合もございます。したがって、医師は患者に対しては疾病の種類と内容、病状の経過等を踏まえて、当該治療行為の内容について説明を行うべきか否か、また、説明の程度等を具体的事例に即して判断する必要がある、このように考えております。
○片山甚市君 大体、厚生省というところがどちらの側に立っておるかということを、これほど明白に示したことはないと思う。薬を使う者が安心して使う、いわゆる患者が納得する。私は、がんの問題は本人に言わなくとも家族に言いますよ、そっと。言わないときもあるけど。言わないで済みますか、最後まで、本当に。私はだから保護者と言っておる。本人に言えと言ってない。どうですか。本人に言わなくていいですよ。それじゃ保護者に言ったらどうですか。ちょっと答えてください。
○政府委員(滝沢正君) 先ほどお答えしましたように、決して説明しないでいいというわけではございませんで、一般的には診療内容について求めがあれば説明するべきものと考えておるということでございます。先ほど、がんを例に引きまして、先生ごもっともの御意見でございますが、ただ、最後に申し上げましたような医師の判断の中では、がんの問題についても、保護者に言う時期なり、言うべきかどうかの判断というものには、それぞれのお考えがあるようでございまして、一般的に処方せんの交付義務という、医師法二十二条にございますけれども、この中でもその交付義務を免除されておる条項というものがございまして、先ほど来お答えしましたように、原則は、求めがあれば説明すべきであるが、内容によってそれぞれ医師の判断があってよかろうというふうにお答えしたわけでございます。
○片山甚市君 大体、医師が知っておるんだから医師に任しておけという、また、聞きたければ適当に言おうということもわかりました。いや、適当に言おうということもわかりました。 そこで、現行薬事法によって見ますと、第五十三条で、薬品の名称などについては「当該医薬品を一般に購入し、又は使用する者が読みやすく、理解しやすいよう」に正確に記載しなければならないと書かれております。また、第五十五条では、記載されてないものの授与を罰則をもって禁止しています。「授与」というのはどういうことかということと、投与ということの関係を明らかにしてもらいたいと同時に、薬局で買うときがそうであるばかりでございませんが、医院での投薬、注射の際の薬の名称などについて、使用する者、つまり患者にわかるようにすべきでないかと思いますが、それについてお答えを願いたい。
○政府委員(宮嶋剛君) お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘のように、薬事法によりますと、医薬品につきましては一定の表示義務がございまして、販売、授与のときにその容器または、被包と申しますが、箱包みにその旨の表示をしなくちゃいかぬという規定がございます。ただ、先生が御指摘になっておりますところは、医療機関におきまして患者に対して自己の処方せんによって薬を渡すという場合についても、はっきり名前を表示しておかぬといかぬのではないか、こういう御趣旨での御質問であろうと思いますけれども、現行薬事法のもとにおきまして記載しておりますところは、一般的に製造、販売されております医薬品についてでございまして、先ほど御指摘の五十三条ないし五十五条に言います医薬品のこの表示と申しますのは、医師が自己の処方せんに基づいて調剤いたします薬剤を除きまして、その他一般に流通される医薬品、具体的に言えば、一般のメーカーから医師の手元に渡りますときの医薬品のびんなり、あるいはまた箱に表示があるとか、あるいはまた薬局で大衆薬を売ります場合に、その場合の箱とか、びんに表示があるというふうな点を規定しているわけでございます。
○片山甚市君 そうすると、この「使用する者」というのは、患者または医師と両方になりますか。
○政府委員(宮嶋剛君) 先生御指摘のように「使用する者」といいますのは、医家用の、医家向きの医薬品の場合には医師でございますし、また大衆薬の場合におきましては一般の消費者でございます。
○片山甚市君 そうすると、五十条の九号に「前条第一項の規定により厚生大臣の指定する医薬品にあっては、「注意−医師等の処方せん・指示により使用すること」」という、この「使用」ということと使用者の関係はどのようになりますか。
○政府委員(宮嶋剛君) 先生ただいま御指摘のございました規定は、私ども申します要指示医薬品と申しまして、薬の中で特に副作用も多いし、患者の方が勝手に薬局でお買いになってお使いになることは危ない、薬局では売っておるけれども、その中で大事な医業品につきましては医師の指示を待って使う、医師から証明を書いてもらって薬局でお買いなさいということを規定しておりまして、そういう要指示医薬品を使う使用者という意味で書いたものでございまして、先ほどの五十三条ないし五十五条で言います「使用する者」とおのずから態様を異にしていると思います。
○片山甚市君 それでは法制局長官に聞くのですが、この薬事法の規定による「使用する者」ということについては、患者は入るのか入らないのかということについて、法制局長官から聞きたい。
○政府委員(別府正夫君) お答えいたします。 薬事法五十三条につきましては、ただいままで薬務局長の方から説明ございましたように、医薬品がその性質上正しく使用されないと人の生命または身体に危害が及ぶというようなことを考慮に入れまして、一般に購入しまたは使用する者がその使用する医薬品について必要な使用取り扱い上の注意を正確に理解できるような、いろいろな記載の方法について定めているわけでございます。ところで、医師の診療を受ける患者が医療機関から、あるいは医師から薬剤の交付を受けるという場合を考えてみますと、医療機関ないし担当の医師が診療行為の一環としてその特定の患者の特定の疾病を治療する目的で交付するというようなことでございますので、実際の使用方法、使用分量等につきましては、医師が当然医師の判断によって注意指導するというようなことが考えられる。したがって、患者は、ただいまの御質問の五十三条の「使用する者」という中に入らないと考えてよろしかろうかというふうに考えます。
○片山甚市君 大体、医者でなければ人にあらずということがよくわかりました。患者に知らしたら大変だという前提なようであります。そういうような生殺与奪の権を持つのが医者だということもわかったし、こういう質問をすることも大変むつかしいことだということもわかりました。しかし、これはやはり一般の人を、愚物というか、愚かな者というか、判断が十分でない者という、誤った判断をすると思っておるという前提に立っておると私は思います。これは賛成できませんが、次のことについてお聞きいたします。 投薬注射の際には、薬名、容量、用法、使用上の注意など記載した文書を患者または保護者に渡すことを義務づけてもらいたいと思います。大臣は、薬害問題を絶滅するために、患者の知る権利というようなものを認める用意があるかどうかについて、厚生大臣としてお答え願いたい。
○政府委員(宮嶋剛君) 先ほど医務局長もお答えしましたけれども、あくまでも医療行為につきましては、医師と患者との信頼関係をベースにいたしまして、そこで患者の方からいろいろドクターに指導を求める、質問をすると、あるいはまたドクターの方から、患者の要請によりましていろいろ積極的に指導を申し上げる、お互いの信頼関係の上に立ってそこに一つの関係が結ばれるというものだと思います。 医薬品の問題につきましては、先ほどから申し上げますようにプラシーボ、要するにほかの薬を使って治療をするという場合もございますし、あるいはまた知られたら困る場合もございますので、一概に患者に対しましてそういうものをつけることについてはいかがであろうかと存じます。
○片山甚市君 一概はわかりましたから、一概でなければよろしいですね。一概なら悪いのだそうだ。一概でなければよろしいですね。
○政府委員(宮嶋剛君) どうも、ただいま答弁が舌足らずでございまして失礼いたしました。そういうことでございまして、また、片や先生がおっしゃいますいわゆる添付文書、現在ドクターの手元に渡っております添付文書がそうでございますけれども、そこにはきわめて専門的な使用上の注意なり、あるいは禁忌なり、あるいはその他の一般的な事項が書かれておりますけれども、そのようなものにつきまして、一般的な方が理解することはなかなか困難であると思いますし、そういう意味から、そのようなものをすべての保護者、あるいは患者につきましてお渡しすることはいかがなものであろうかと存じます。
○片山甚市君 先ほどクロマイについて申しましたけれども、この「医薬品副作用情報」のナンバー九においてもそうですが、再生不良性貧血や白血球増加などは書かれておるわけです。ところが、非常に不用意に、そしてそれが先ほど「ママ、千華をたすけて」井上和枝さんの文勢春秋ですか、その本に書かれておるように、ずいぶんと後で、亡くなっていわゆる解剖してみたらどういうことかわかったという、大体クロマイだということがわかったという。それで後追っかけて調べたらそうなったということになる。私はきょう薬害のことだけ聞いておるわけです。薬害を絶つためには、そういうことについて、国民全体のいわゆる薬についての認識、薬とは毒である、毒だから薬になっておる、このぐらいのことをきちんと、文書で書くんじゃなくて、明らかにする必要があろう、こう思いますが、厚生大臣いかがでしょう。
○国務大臣(田中正巳君) 薬というものは、総じて副作用を持っておるということは事実であろうと思われます。したがいまして、これについて乱用をすることは一般的に好ましいことではないということについて、国民にPRをしていかなければならないと思っております。
○片山甚市君 いま大臣お答えになりましたことに関連して、先ほどからも医者と患者と信頼関係を持つことが大切だと言われております。ならば薬効再評価にしても製薬会社の資料をもとにして判定しておるということで、私は疑問があると思っておるんです。そこで、しかしながら国民が知る権利を持っておる立場から、いわゆる判定の基礎となった資料のすべてをこれから公開していただく、そして薬に対して信頼関係を持ってもらう。薬について副作用はこれこれがあります、気をつけましょうということがわかった薬にしたいんですが、厚生大臣、それは大変ですか、そうしたら会社のために。
○政府委員(宮嶋剛君) 先生御指摘のように、ただいま医薬品につきまして再評価作業を年々続けております。膨大な数に及ぶわけでございますが、今日までおかげさまで若干の進展を見ました。 ところで、問題のこの再評価に関します手順につきましては、先生すでに御案内のとおり、薬事審議会の再評価特別部会ないしはその下部機構でございます十六の調査会というところで、専門家相集って、実は慎重な論議を長い時日をかけてそれぞれ御論議をいただいております。私、申し上げたいのは、一般的にこの審議会におきましては、わが国における最高の権威たる薬理学者あるいはまた医学者が集まりまして、長い年月を厳正中立な立場でお互いに御論議いただきまして、そしてその結論を出されたわけでございまして、一般的に権威もあり、また一般的に国民の信頼も得ているものと、こう確信いたしております。 ところで、先生の方から、ただいま要するに企業の方からの一方的な資料によって吟味をしているのではないかというお話でございますけれども、再評価の過程におきまして、もちろん企業の方からも一般的に出ております公開文献なり、あるいはその他企業自体の内部的な研究の成果なり出させますけれども、それ以外に関係されます先生方の手持ちの文献、あるいはまた御学識、経験というようなものも資料となって出てまいりますし、また私どもが薬務局といたしまして、かねがね集めております文献なりあるいは情報というものを全部集めまして議論をされるわけでございまして、言いますならば、企業の一方的な資料のみによって議論をされているということはないということは申し上げられると思います。 最後に先生の方から、すべての資料を公開しろと、こういうお話でございますけれども、この資料の中には、先ほど参考人からも御意見がございましたけれども、企業の秘密に属する事項が多々ございます。具体的にその当該医薬品の製法なり、あるいはまた規格、純度なり、そういうものになってまいりますと、企業の秘密にわたることも多うございまして、そういう意味から、一般的にこの資料を公開することについては問題があると考えております。
○片山甚市君 田中内閣のときもそうですが、今日の三木内閣もそうですが、人命を最優先させたくない、もうかる会社を残したい、薬務局の仕事はそういうものである。そうしてまた、国民が薬のことについて基本的なことはわかる、どういう薬を使えばどんないわゆる副作用があり、どういうような量を使えば大変になるということを国民が知ることは困るんだ。できるだけ特定の専門家が自分たちのエリート集団をつくって、国民を支配、管理をしようとする、いわゆるこれが厚生省の本質であるというふうに私は考えます。もういまの答弁などのごときはむしゃくしゃする。こんなことしか言えないのか。公表して何が悪いか。いわゆる公表して悪いというのは、私は、つくり方、製法については言われるとおりだと思います。しかし薬の効果、どのような効果があるのかという実験をした結果について、私は何といっても厚生省が、それができるような状態をつくってもらいたい。もう一度できないのか、できるかについて聞きたい。
○国務大臣(田中正巳君) 医薬品の再調査につきましては、厚生省で鋭意いままでやってきたことであります。しかも、これについてはいろいろな問題が実はあったのですが、どうしてもやはり今日の情勢にかんがみてこれは再評価しようということを決意をいたしまして、先生御案内のとおり分類別に分けていままでやってまいりました。事実その間にあって、いろいろな医薬品が取り消しを受けたことも先生御案内のとおりであります。決して私どもはメーカー側に立ってこのようなことをやるという意図ではございませんし、おおよそメーカー側に立つならばこういったような措置を私はとらなかったものというふうに思うわけであります。しかし、その再評価のやり方についていろいろと御疑問があるということでございますが、この種の専門的な問題については、やはり対社会的に、また学界において権威のある方々にお願いをして、そのような評価をしていただくということが私は正しいものと思います。決して厚生省だけでやっているわけではございません。これならばという専門家にお願いをしているわけでございまして、したがいまして、私としては今日までこの再評価について、これを進めることについて賛成をいたし、またそのような手法で続けていきたいものだと思っておりましたが、あれやこれや、また内部のやり方について、いろいろと御心配や御批判があるようでございますが、疑い出せば切りがございませんですが、こういうごく専門的なものについては、私はそういう方々の評価にお任せいたすことがとりあえず必要だろうと思います。したがいまして、もしどうしてもその再評価の内容について得心がいかないという向きがございましたならば、私どもとしては審議会に諮って、部分的には私はそれについてお諮りをしても結構だと思いますが、すべてがすべてこれを公開しなければならないということについては、今日のところいかがであろうかというふうに思っております。
○片山甚市君 いま大臣が答えておるように、どうしても必要だというところについては審議会で検討したい。ところが、実はこの薬効の再評価をしたのは、アメリカが初めてで日本が二番目ということになる。そのアメリカはせんだってFDAで薬品情報の公開法案を審議されて、本年の二月十九日から実施をすることになりました。これは国防やプライバシーに関するものを除くと全部公開するということになっておるんです。日本の国におけるところのいわゆるこの再評価について、アメリカがやっておるからやりなさいとは言いませんが、当然公開さるべきものとしてもう一度、アメリカがそういう措置をとることは必至であると思いますが、いかがですか。
○政府委員(宮嶋剛君) ただいま先生お示しくださいましたように、FDAの関係の法律で資料の公開に関する法律がこの春できたということを私どもも承知いたしております。ただ細かい条文につきましてはまだ入手いたしておりませんのでわかりませんけれども、私ども手元に持っております要綱によりますと、一般的に資料公開を政府に義務づけるということがございますけれども、その中で特に商業秘密にわたることについては公開しなくてもいいという一項目が要綱の中にあることも承知しております。私どもも資料の公開につきまして、すでに公開文献になっておるようなものにつきましては、もしお尋ねがございましたら、その所在等につきましても御連絡もし、お話もしていいと思いますけれども、そういう秘密にわたる事項につきましては、FDAの法律においてもそうなっておるということを御理解願いたいと思います。
○片山甚市君 私は企業秘密のことを言っとるんじゃなくて、薬の効力のことについて説明してもらいたい。使うのは患者なんですよ、お金払うのは。日本政府が払ったかというと、保険料を払ったりして患者が払わされてるんですよ。金を出したものが何を買うたかわからぬで買わすというのが医者だということもわかりましたけれども、それはあなたたちの考え方。対等にしてくださいよ、対等に。いやでしょう。何ぼ言っても、これは医師会も強いし、何も強いから、うっかり言ったら危ないことでしょうから言わぬでしょうけれども、これはやはり薬というものについて保険料の何十%を占めておるか。薬を売るために医者がおるのかどうかと言われたら、大体そうだと言ってもいい。医者の技術料よりは薬代の方が値打ちがある。できるだけ薬を紙の袋にいっぱい詰めて売ろうというのがいまの医療体制でしょう。そのために薬害が起こって、サリドマイドでも問題になった。そうでしょう。 こういうふうに申し上げると、私はいまのいわゆるアメリカがなぜ公開にするか。いままで九〇%公開しなかった、一〇%しかしなかったのを、逆に一〇%ほどは公開しないけれども残り九〇%ぐらいするというようになっています、見ておるとですね。私は、日本の国が人間尊重だと三木さんが言うのは偽りじゃない、うそつきの三木さんでなければ、このくらいのことは何とかしてもらいたい、こういうことですがどうでしょう。アメリカのまねをせいとは言いませんが。
○政府委員(宮嶋剛君) 先生のおっしゃることも私もよく理解できると思います。要するに一般国民に対しまして薬に関する一般的な知識を十分普及徹底していく、そのことの必要性につきましては、私ども薬務行政の衝にあるものといたしましてきわめて重要であると考えておりまして、今後とも政府広報のいろんな機会がございますけれども、その機会をかりましてでもそういうPRを一般的にしたいと思います。ただ、薬につきましての一般的な啓蒙にとどまらないで、具体的な個々の薬の効能、あるいはまたその他の情報につきましては、やはり一般的なことの指導と申しましてもなかなか厄介でございまして、それにつきまして、それこそ医師あるいはまた医薬分業の方の大事な柱でございます薬局、薬剤師が、まさにその患者に対しまして機会を見て、また患者の求めに応じてできるだけ懇切にわかるように指導をする、ケース・バイ・ケースで指導をするということがかなめでなかろうかと存じております。
○片山甚市君 幾ら押し問答してもそれ以上出ないでしょうから、さらに続けてお伺いしたい。 薬品の副作用による被害者の惨状はもう目に余るものがあります。もう時間を延ばすわけにいかないような状態だというのが、せんだってからのいわゆる大腿四頭筋拘縮症の問題を含め、われわれのいま目の前にあることです。厚生省は医薬品の副作用による被害者の救済制度研究会をつくられて、昨年の三月三日の新聞では、年末までの間にその検討結果について発表すると言われておりました。今年度中に具体化すると言っておられましたが、その後ありませんでした。これはどうなっておって、いつまでにいわゆるこの結果について御報告されるのか。御承知のとおり、サリドマイド問題が出てその取り扱いをめぐる問題だったかと思いますからお答えを願いたいと思います。
○政府委員(宮嶋剛君) 薬害救済制度をつくれという国民各位の要望もきわめて強いものがございますし、また、薬品に基づきます被害の現状を見まして、私ども厚生省といたしましてもできるだけ早くこの薬害救済制度をつくるようにしたい、勉強をしたいということで実は一昨年の六月からこの研究会を持ちまして、薬務局レベルのものでございますけれども、法律、薬学、医学等の専門家七名でございますが、お願い申し上げまして、ただいま一生懸命勉強をやっているところでございます。 現在、こういう制度につきましては実はまだ世界にその例を見ないわけでございまして、きわめて基本的な論議をいたしますと厄介でむずかしゅうございます。この制度の基本理念をどうするかとか、あるいはまた、この副作用すべてについて見るのか見ないのか。と申しますのは、きわめて軽度の副作用はいいではないかとか、あるいはまた、すでに知られておった副作用というものがあった場合にそれをどうするかとか、そういう受忍すべき副作用の範囲の問題であるとか、あるいはまた特に厄介でございますのは、今日医薬品というものは、全体の八割が実は医家向き医薬品でございまして、医師の手を通じて患者に施用されるものでございます。そういう状況で、いわば医師が使われるという面におきまして、医療事故といわゆる薬害事故との関係をどう考えるかとか、その他いろいろ問題がございまして、ただいま逐一御吟味を願っております。 実は、昨年一年間いろいろな事情がございましてこの研究会はストップしておりました。おしかりも受けたわけでございますが、実は昨年末以来再開をいたしまして、ただいま急いでおります。ただ、現状からいたしまして、先般も研究会の座長とちょっと話し合ったところでございますけれども、なかなか時間がかかると。いつということは実は申し上げることはできませんけれども、なお相当の時間がかかるという状況でございまして、ただ、私どもは気持ちの上でできるだけ急いでやりたいということを、研究会の座長以下メンバーにも申し上げておりますし、私ども事務局もそういう気持ちでいま精いっぱい取り組んでいる状況でございます。
○片山甚市君 日本人は薬に対して非常な信仰心があり、いわゆる薬を飲めば病気が治るような気持ちがある。それにつけ込んだ諸問題がたくさんありました。 御承知のように、厚生大臣が判を押した一昨年十月に妥結したいわゆる「厚生大臣および大日本製薬株式会社は、前記製造から回収にいたる一連の過程において、催奇形性の有無についての安全性の確認、レンツ博士の警告後の処置などにつき、落度があったことにかんがみ、右悲惨なサリドマイド禍を生ぜしめたことにつき、薬務行政所管官庁として、および医薬品製造業者としてそれぞれ責任を認める」「厚生大臣は、本確認書成立にともない、国民の健康を積極的に増進し、心身障害者の福祉向上に尽力する基本的使命と任務をあらためて自覚し、こんご、新医薬品承認の厳格化、副作用情報システム、医薬品の宣伝広告の監視など、医薬品安全性強化の実効をあげるとともに、国民の健康保持のため必要な場合、承認許可の取消、販売の中止、市場からの回収などの措置をすみやかに講じ、サリドマイド事件にみられるごとき悲惨な薬害がふたたび生じないよう最善の努力をすることを確約する」、こういうように言われておるのですが、このことについて確認したい。 しかし、先ほどから申しますように、いわゆる製薬会社の企業秘密ということが人命よりも優先をする三木内閣であることについて確認したい。企業秘密の方が人命よりは優先する、医者の判断は絶対であるから、聞くなら聞いてもいいけれども適当に答える、患者のことを思っているのは医者だけだ、こういうお話だということで、三木内閣がいかに冷たいかということについて本日約四十五分についてお答えがあったように思うのですが、いかがでしょう、お答えを願いたい。
○国務大臣(田中正巳君) 薬害についていろいろのお話がございました。私どもとしては、薬というものは社会的に有用性があるということは、これはもうどなたも疑いません。しかし、反面また副作用等々があるということもまた事実でございます。かようなわけでございますので、したがって薬害をなくすることが一番望ましいことであり、できるだけその方向に向かって努力をしなければならないということでありまして、そのためにどういうやり方で、どういうふうにそういう目的を達するのがよいかということの方法論についての議論だろうと私は思います。かような観点に立ってみるときに、私は、いま先生の御主張なさることもわからないわけではございませんが、すべて先生の言うような方向をとることが、また薬害をなくするといったような方向に全面的につながるかどうかということについては、いろいろと問題があろうと思われる節もあるわけであります。(「わからないぞ」と呼ぶ者あり)かようなわけで、決して私どもといたしましては、薬メーカーの利益とか、あるいは業者の秘密ということを優先をさせて、そして国民の生命を、あるいは健康を阻害するといったようなことは毛頭考えていないところであります。 さっきちょっと不規則発言がございまして、わからないということがございましたが、いろいろと薬効調査等をいたす場合にも、やはりある程度のデータを持たなければならぬわけでございまして、したがって、そういったようなことをめぐりまして、いろいろとまたメーカー側の協力も求めなければ、実際問題としてやっていけない反面もあることは事実でございますので、こうしたことを踏まえてみるときに、一体どういうかっこうでこういったようなことを進めていけばいいか、広い視野でもっていろいろ判断をいたさなければならないというふうに思っております。
○片山甚市君 いまお話がございましたけれども、いま薬害によって国民が大変なことになっておる、難病の問題を含めて。このことに留意をしていただいて、私が申しましたところの判定の基礎になった資料については、それは企業の秘密の問題もございましょうが、とにかく、多くの人に薬とは何かということがわかるように、具体的に啓蒙をしてもらえるように、示してもらえるように重ねて要求をしておきます。終わります。(拍手)
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。 田中寿美子君。
○田中寿美子君 ただいま目黒委員、それから片山委員ともに、医療供給体制の欠陥あるいは医療の被害、薬害などについて非常な怒りをもって質疑をされたのを、厚生大臣聞いていらっしゃったと思います。なぜ、私どもがそのように憤慨するか。つまり、いまの日本の医療制度に対して、根本的に私は大変な欠陥があると思っております。 私は、時間を節約して簡単に申しますけれども、私ども社会党は、医療制度の根本的なあり方として、第一の欠陥というのは、日本の医療が大部分が採算ベースに乗っているということ、そのことから来て大変欠陥を起こしている。医療というのは、健康を守るというのは、私は国の責任だと思います。だから、教育に対して国家が責任を持つように、医療にも責任を持つべきだ。それが、大部分採算ベースであるということから来ている欠陥。 それから第二番目には、妥当性のない点数出来高払いシステムだものだから、医者の技術じゃなくて、薬剤だとか材料でかせいでいくという、そういうシステムになっているということ。 それから第三には、医療機関が、大部分が開業医システムになっていて、だから国公立の方向に持っていって国の責任にしなければいけない。しかし、現在開業医はたくさんいらっしゃって、その協力を得なければいけませんから、過渡的にはそういう方々の協力体制をつくらなければいけない。その協力体制について十分厚生省はやっていない、こういうことがあると思う。それから、患者対医者の関係というのは非常に非民主的です。患者は、先ほどもあったけれども、よらしむべし知らしむべからずというような態度をとられている。医者に対して非常に弱い、こういう関係ですね。こういうことを正さなかったら本当の医療というものは行われないというので、私どもは医療社会化の方針を出しております。 そういう立場から、いま私は歯科診療の問題を取り上げたいと思います。 第一番にお尋ねいたします。厚生大臣。日本歯科医師会長の中原会長ですね、この中原会長は、私は非常な責任があると思うんです。四十八年八月のあの脱保険のマル秘通達、あれはずっと生きていて、そうしてこの間、三月の二十日ごろですか、これを撤回したというふうな話になっていますが、これは撤回したことになっておりますか。
○国務大臣(田中正巳君) 日本歯科医師会が出したと言われるマル秘文書、俗にいうマル秘文書ですが、脱保険ということをいろいろとコメントしておったものについては、厚生省からその真意を問いただしましたところが、確かに出しましたということでございますが、ごく最近、これを取り消しをいたしましたという返事が返ってまいりました。
○田中寿美子君 ところが、ついこの間のことしの二月二十六日に、同じような趣旨の通達を日本歯科医師会の中原会長から出しておりますが、御存じでございますか。ちょっとその中身の幾つかを読んでみますと「差額徴収を中止して自由診療に切りかえる」、自由診療というのは保険医療じゃありませんね。お金を取ることでしょう。それから「補綴を保険給付から除外」する、「補綴を療養費払い」にする、その他一ぱい書いてある。これは脱保険ですね。こういう通達を、ことしの二月二十六日に出しておりますが、これは撤回されておりますか。
○国務大臣(田中正巳君) いま先生がお述べになった、いわゆる脱保険に関するマル秘文書と、二月二十六日に出したという先生いまお読みになった文書とは、いささか私は性格が違うというふうにいままで判断をいたしておりました。というのは、結局、前のいわゆる脱保険という通牒については、保険の差額徴収によらないものについても、これを差額徴収のルールでもってやろうということを志向しておるもののようでございますし、二月二十六日の文書は、これらの部分についていわゆる差額徴収というものをのっけから、グルントからこれをやめて自由診療にしてしまいなさいと、こういうことを言っているものですから、保険法上の考え方としては若干違うものであろうというふうに私は読みました。
○田中寿美子君 そうすると、保険法上の違反じゃないと厚生大臣はおっしゃるのですか。
○国務大臣(田中正巳君) 非常に微妙なことでございますが、この種のものについて、歯科医師と患者とがお互いに了解納得をして保険によらざる自由診療をとることは、健康保険法上違法でないと言われておりまするものですから、そのことをお互いに、いわゆる何といいますか、ギブアップをした姿というものはあながち健康保険法違反ではない。ただし、歯科医師の方で患者に対してこれを強要するということになりますれば、私は、これは健康保険法の違反であるというふうに思われるわけでございます。ですから、微妙な点だというふうに申しておるわけでございます。
○田中寿美子君 これは大変微妙なという、こういう言い方で隠れみのをつくっているわけですね。そして「差額徴収を中止して自由診療に切りかえる」ということですから、脱保険ですね、これは。そうでしょう。ですから私は、これは保険法に違反すると考えますけれども、その前の、もう一つ、四十八年以降ことしのついこの間あれは撤回したというふうに申し入れしてきている、その過去の二年間近い間の保険法違反は、これはお認めになるでしょう。
○国務大臣(田中正巳君) あのマル秘文書と言われるものは、私は、あのもの自体が健康保険法違反ではございませんが、健康保険法に違反するようなことを進めておるものであるというふうに理解をできると思います。
○田中寿美子君 それで、そのために非常にたくさんの苦情が持ち込まれてきて、厚生省は二年近く知らなかったようなふりをして、そしてついこの間、知らなかったことを理由にして、厚生官僚二、三人を戒告とか何とかという処分になさった。それで事が済んだかのように思っていらっしゃいますが、私は中原会長そのものの責任を問うべきだと思いますが、厚生大臣いかがですか。
○国務大臣(田中正巳君) 非常にデリケートな実はプロセスを経ているわけでございまして、この間三人の職員に対し私が処分をいたしました件は、実は歯科医師会側で業務報告書を出しておるし、その業務報告書の中に日本歯科医師会の会務報告が入っているはずである、それをしさいに読めばわかるはずだということを言ったわけでありますので、したがって私の方でこれをしさいに読んでみました。ところが、そのものずばりで書いておらないのでございますが、この会務報告書の中に、どうもマル秘文書を暗示させられるような個所が散見されたわけでありまして、これをしさいに読まなかったということについて職務の怠慢であるという意味で、私はこれに処分をいたしたわけでございまして、したがって、あのようなものをそのまま私どものところへ通告をしたり知らせたりしたのに、われわれの方でこれを怠って知らなかったということではございませんように、私は調査をいたしました。 そういうわけでございますが、いま歯科医師会があのようなことをやったことについて、決して私は、内部の職員を処分をいたしましてそして事足りるというふうには思っておりません。あくまでもあのような不都合な所為に対しましては、私どもとしては、これについて日本歯科医師会に対し厳重な監督をしなければならないというふうに思っております。 先般、実は厚生省に日本歯科医師会の責任者を呼びまして、このようなマル秘文書の存否について、そしてその後のてんまつについていろいろと聞きただしたところが、それについて肯定をいたしました。ところが、その後これについて一体どのようなことをやっておるか、どのようなことになっておるのかということを逐一これを報告せよということを命じました。その報告が、私の承るところによりますると、今月いっぱいに出すということになっておりまするので、それを見て、私は適当な措置をとらなければならないと思って、今日いろいろと考えておるところでございまして、このことは、私、率直に申して、いろいろな報告があると思いますが、あのような文書が出た以上は何事もないというわけにはいくまいというふうに思って、今日そのことについて決意をいたしている次第であります。
○田中寿美子君 大臣は、四十八年のいわゆるマル秘文書のことばかり中心におっしゃっておりますが、ことしの二月二十六日のこの文書、これもほとんど言葉を変えただけのことで、事実上はあのマル秘文書の内容と同じなのですね。ですから、これはもう本当に逃れのために事実上そういう行為を続けているというふうに私は解します。 それで、それから四十八年以降そういう違法行為をさせてきた、日本じゅうの歯科医師にそれをさせるように奨励してきたこの責任について、私は処分すべきだと思います。民法六十七条に、公益法人は「主務官庁ノ監督ニ属ス」とありますから、公益法人、ここでは日本歯科医師会ですね。これは、厚生省の監督のもとにあるわけですね。それから七十一条にこれを受けて、法人が「公益ヲ害スヘキ行為ヲ為シタルトキハ主務官庁ハ共許可ヲ取消スコトヲ得」とありますけれどもね、これでもって処罰すべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田中正巳君) 二月二十六日の文書と前の文書については私は性格が若干違うということを申しておりますが、この論争は一応後ほどまた時間があったらしたいと思っておりますが、とにかく日本歯科医師会のあのような行為、所為に対しては、私は厳重な処置をしなければならないと思っております。それがまた、監督官庁であるところの厚生省の務めだというふうに思っております。しかし、いま民法七十何条でございますか、解散命令を出すということについては、日本歯科医師会という団体の性格にかんがみて、そのような措置が必ずしも私は世の中のためになるかどうかということを考えますると、必ずしもそういったような措置に出ることのみが、えりを正すとか、あるいは公益のためになるということばかりでもないと思いますので、したがって、いろいろな手法をもって、日本歯科医師会のこのような誤った措置に対しては、今後そのようなことが起こらないように厳重な処置をいたきなければならないというふうに考えているのが、私のいまの心境でございます。
○田中寿美子君 患者の方は大変な被害を受けたわけですね。患者といったら日本の国民大部分、三億本も七億本も虫歯があると言われておりますから。それの方の救済はほとんどされていない、それだけの損害を受けているのにもかかわらず。そういうことを指導した団体の長が処分されるのは私は当然だと思うわけで、何も全部が悪い歯科医師ばかりではありません。大変良心的な歯科医師も、この点については憤慨をしているわけなのですね。これに対して厚生省が、それに断固とした処置をするべきであると私は思うので、いまのお言葉では納得できないのですが。
○国務大臣(田中正巳君) 恐らく私は、田中寿美子先生と同じ心境だろうと思います。断固たる処置をとるつもりでございますが、その内容については、どういう方法をとるかについてはいま少しく検討をさせていただきたいと思いますが、これだけの社会事象が起こったものですから、したがって、断固たる処置をとるのが私は当然だと思っておる次第であります。 〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕
○田中寿美子君 断固たる処置ということですから、私はこれは解組するべきだと思いますし、それから処分するべきだと思いますので、これについていまの、ことしの二月二十六日の両方を含めて、これは少しも翻意していない、考え方も変わっていないという意味で、断固たる処置とはいかなるものであるかをもう一遍おっしゃってください。
○国務大臣(田中正巳君) いろいろと、いま日本歯科医師会から私どもの役所にこれのてんまつが届くだろうと思っておりますから、それを見て検討をいたしたいと思っておりますが、いまひとつ、反面、日本歯科医師会は御案内のとおりのような状況でございます。したがいまして、日本歯科医師会の紛議の問題と、これはやはり彼此勘案をして具体的な措置をとることも私は行政上必要なことだろうと思いますので、そういったようなことも考えつつ、今後の処置についてはひとつ具体的に検討をさせていただきたいというふうに思います。
○田中寿美子君 断固たる処置ということは、私、後ほどはっきり厚生大臣から聞きたいと思います。 それでは、まず第一点として、先ほどからもお話が出ておりますが、患者と医者の関係というのは、日本では、まるで支配者と従属者のような関係、患者が非常に弱い立場に置かれている。患者の権利をもっと守らなければならないと思うのですが、患者はどこからが保険でどこからが差額徴収なのかさっぱりわからないような状況になっております。こういうふうに患者を無知にしておくような関係を厚生大臣はどうお思いになりますか。
○国務大臣(田中正巳君) 普通、社会保険診療におきましては、大抵のことは社会保険の中でやれる、健康保険の中でやれるということはもう皆さん知っておりますが、歯科には独特な背景と独特な経緯がございまして、差額徴収制度というものが実は存在をしているわけでありまして、これが問題を非常に複雑にしたものというふうに思います。歴史的に見ますると、これは例の金の配給問題等々から始まってまいり、金が歯科医師に配給をされた節に早い者勝ちになって不公正が生ずるというようなことからこの差額徴収制度が始まったものというふうに、古い話ですが、承っております。 いずれにいたしましても、差額徴収制度があるものですから、したがって、いま先生がおっしゃるように、一般の患者さんは、私のいま受ける診療は差額徴収に該当するものかどうかということがどうもよく判断ができないというようなところからこの問題が起こったものというふうに思っておるわけでございまして、したがって、私は、前にも委員会で説明を申し上げましたとおり、やはり、差額徴収というものはどういうものであるか、そして差額徴収による診療の範囲はどういうものであるか、その場合にはどういうことをお互いにしなければならないかということの周知徹底を歯科医師と患者との間にやらなければならないということを思っておりましたものですから、厚生省といたしましても、歯科医師に対し、また患者に対し、いろいろな方法でPRをしてきたところでございますすが、しかし、そのことがどうも徹底をいたさないでこういう社会事象を起こしたものというふうに思います。なお、ちなみに、いま差額徴収といわれている社会事象は、単なるいわゆる保険法上の差額徴収問題にとどまらないようであります。その他いわゆる保険法上の差額徴収によらざるいろいろな問題がこの際山積をしてこのような社会事象になっていることは、先生も御案内のとおりであります。
○田中寿美子君 松本参考人にお尋ねしたいと思います。 医療に関してたくさん苦情を受けていらっしゃると思いますが、いまの話になったようなやり方、つまり、たとえば料金表を診療室に張っておくとか、ポスターを張るとか、そんな程度では患者というものはわからないです。診療を受けていて、あなたはこうですよと医者に言われたら、それがそうでないという反論もできやしない、そう いう状況ですね。一体どうしたらこういう状況を、患者が自分で自分の病状をよく知ることができるようになるか、妥当性のあるやり方はどうしたらいいとお思いになるか、伺います。
○参考人(松本憲一君) 先ほど薬のところでも患者と医者の関係で国民に知る権利があると大分論議されましたけれども、厚生省の見解は、薬は患者は使用者じゃない、国民の立場からすると非常に腹の立つ答弁をやっておりますけれども、そうしますと、医療全体は実は全然患者が知らされていないということになるわけです。われわれはいろいろな商品は中身を知って買うわけですが、中身を知らずに買うのはデパートの福袋だけです。これも実は後からわれわれは内容を知るわけですが、全体として、薬だけにかかわらず、私らがこの五年間、さまざまな全国の医療被害者、あるいは薬害のさまざまな被害を受けた方からいろいろな実情を聞いて運動に携わった体験を一、二例申し上げます。 たとえば、大分市で、ある患者のお医者さんへ行きまして、一緒に助言するために社会保険事務所に行ってこのレセプトの提示を求めましたところが、レセプトは見せられないと。当の本人を同行しまして要求しましたのですが、見せられないという答えでした。そのときに私がなぜ見せられないかというふうに論拠を突きましたところが、その理由は後からしばらく考えさしてくれと、こういう返事を実際私は体験しておるわけです。 それからもう一つの例を申し上げますと、これは、四年ほど前、大阪の市立小児センターで子供さんの副腎を無断で摘出した摘出しないというケースがありまして、われわれは相談を受けまして、これを全国に報道もしたことがございます。大阪市立小児センターと家族の対立になりまして、これは市民公開の集会まで持っていったことがあるわけです。そのときに、病院側のカルテにはクッシング症候群ということが記載されており、御本人が非常に粘られて七種のレセプトをとりましたところが単純性肥満だと、カルテとレセプトの記載が全然違っていたことがありまして、人体実験の疑いがあると。で、われわれから九大の井上正治氏あたりを弁護人に送り込んで、現在訴訟が争われておるケースがございます。こういうふうに、われわれは、内容を知らなければ、本当に薬だけじゃなく、経済的にも収奪をされ続けている。その典型的な例が今度の歯科であろうと思います。国民の立場からいいますと、保険金を払っているわれわれが、たとえば国民健康保険法の百十四条の第二項には、われわれ被保険者が医療給付を受けたときに、これを調査する職員に報告しあるいは質問に答える義務というのが明確にされております。それに答えない場合は、罰則の百二十三条で一万円以下の罰金というふうに規定されております。ところが、われわれが保険料を払い込み、受けた医療内容、診療内容、これを知ろうとしますと、さっき言いましたように、患者には知らしむべからずということが全国至るところで起こっているわけです。ですからこれを直すためには、厚生省は、歯科の問題につきましては、四十九年の五月七日に、患者の差額徴収については同意書を得ること、あるいは領収書を出しなさいというふうな通達を出しておりますけれども、これは義務化されておりませんから、全然医者が守る気がなければ守られないことになります。だから、これを当然領収書を出すことを義務化し、そうして社会保険のレセプトは患者本人が提示を求めたときにはこれを見せる権利を確立させるために法的に義務化することが必要であろうと考えます。
○田中寿美子君 厚生大臣、いま聞いていらっしゃいましたと思いますが、厚生省の方でも、領収書を患者が要求したら出しなさいとか、そういう通知をしていらっしゃいますよ。だけれども、実際にはこれは苦情の中にたくさん出ておりますね、領収書を要求してもくれないとか、要求したら金を取られたとか。これは患者の権利です。それにどのような治療がされたかということを知る必要もありますので、領収書を出すということを義務化させる気がないかということが一点。もう一つは、いまお話がありましたように、レセプトですね、これは差額徴収がどういうふうなことでされているのか、治療の内容を知る上において必要な文献でありますので、本人が要求したときには出させるということを義務づける。この二点は、厚生大臣、約束していただきたいと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(田中正巳君) 第一の問題の領収書につきましては、これは民法に規定が実はございます。そこで、双務契約の当事者が領収書を求めたときにはこれを発行しなければならないということに、証書の交付を請求することができるということになっており、これを拒んだ場合は同時履行の抗弁権のようなものが発生するというのが民法の規定のようでございますので、したがって、請求があればこれを出さなければならないというのがいまの民法の規定でございますから、これにのっとて実はいままでやってきたわけでございます。これが励行されておらないということについてはまことに遺憾でございますから、このような趣旨にのっとって必ず励行させるように今後はいたさなければならないと思っております。 もう一つのレセプトの件につきましては、政府委員会から答弁をしていただきます。
○政府委員(北川力夫君) 診療報酬請求明細書の件でございますけれども、御承知のとおり、カルテにつきましてはこれは守秘義務がございます。それから明細書につきましては、私どももう少し詳しく研究をしてみる必要があると思うのでございますが、どの程度のことができますか。いまいろいろ参考人の方々からもお話がございましたけれども、要は、患者さんとお医者さんとの信頼関係でございますので、そういうものを見ないと真偽のほどが確かめられないというふうなことでは困りますので、そういう点も含めてこの問題をどう処理するか、よくひとつ検討さしていただきます。
○田中寿美子君 大臣、どうですか。診療を受けますところの患者が、自分がどんな診療を受けたのか、どんな差額を徴収されたのか、それからどんな薬が入っているのかということを知る必要があるときに、それはだれもかれもがこれを必要という場合は私はないだろうと思います。しかし、必要なときには出させるということを義務づけていただきたい、要求したときには。
○国務大臣(田中正巳君) にわかの御質問でございますので、私としてはこれについていろいろと検討をいたして研究をいたしてみたいと思いますので、返事はしばらくひとつ保留をさしていただきたい。後刻検討の結果先生に御返事申し上げます。
○田中寿美子君 医療の問題ではこれはいま非常に重要な問題になっているわけなんで、厚生大臣が政治的なお答えをしていただけるものと思って私は来ているわけなんで、じゃ後で、予算委員会が終わるころまでに御返事いただきたいと思います。いいですか。——それでは次に進みますが、さっきも申しましたように、妥当でない保険点数のシステムのために、医者は自分の技術で金をもうけるのじゃなくて、材料だとか薬剤で点数かせぎをしなきゃならないという、こういう非常に妥当性を欠いた点数制度があるわけなんで、これを適正にしなければならないというのは一つの重要な問題だろうと思う。ことに歯科に今度問題が起こっているわけで、この点について、松本参考人、どのようにしたら良質の医療を適正な価格で受けられるような点数制ができるかということについて御意見を伺いたいと思います。
○参考人(松本憲一君) いま田中先生から保険点数をどうすれば良質な医療が保証されるかというお尋ねでございますが、実はこれは私は一市民としてだけじゃなく、専門の歯科医たちとさまざま共同討議した結果でございます。せんだって、ある新聞で、全国各地に散らばっている青年医が内部から現在の日本歯科医師会はもうけ過ぎ、取り過ぎであると言ったものをある新聞が大きく全国に向かって流しました。実は私はその青年医師グループの事務局長をしておりますものですから、その彼ら専門の医師といろいろ討議した結果をここに端的な例を挙げて御紹介いたします。 まじめに診療をやろうとする、医者にとりまして、現在の歯科の保険点数の構成というものは、非常に手間をとり、しかも、将来の再発を予防するというような点から再発予防を保障するような治療の質は保証されていない。たとえば例を挙げて申しますと、歯の神経を抜く、これは抜髄と言っておりますけれども、この抜髄は一歯につきまして、単根、二根、三根とか保険点数上のさまざまな専門的な用語がございますが、四十八点。それから根管治療と言いまして、歯の神経のやっぱり同様な治療をするわけですが、これなんかも歯一本につきまして三根でも十九点。あるいは虫歯の欠けた部分を金属で補強する支台築造というのがございますが、これは銀合金を使ってやるのですが、この場合でも現在は点数が全然保障されていない、非常に低い点数で、手を抜かないとやっていけないような点数構成になっておる。 他方では、ではその穴埋めをどこに求めるかといいますと、冠をかぶせるときに、この冠をかぶせるときでも、型をとりまして鋳つぶして形をとる鋳造冠というやり方と、歯医者ではこれはたたき出しと言っておりますが、金、銀、合金、パラジウムの薄い板をトントンと鋳掛のようにたたいて形をつくる帯環金属冠というのがございますけれども、こういう二つの方法がございます。技術的に言いますと、たとえば九州歯科大学あたりでこの鋳造冠による方法を教え出したのは実はここ数年のことらしいのです。それ以前のずっと中高年層の世代は、鋳造冠という技術は全然実技としては習っていない、さっき言いましたたたき出しという帯環金属冠という方法でやってきている。ところが、実際は鋳造冠の方は、そういう鋳つぶして型をとってつくりますから適合性もよく、帯環金の方はやはりすき間ができて虫歯になり、再発する可能性が多い。手間と技術的には、鋳つぶしてつくる鋳造冠の方が五倍から六倍の時間がかかるといわれております。しかし、点差はほとんどない。だから、再発を予防しようという、国民に対する治療の質を高めていこうとするまじめな歯科医にとりましては引き合わないという点が、確かにいま一面あるかと思います。 しかし、ほかの点で非常に安易な方法として、歯石を何回も段階を追って取る。たとえば簡単な歯石を取れば——あごを三分の一ずつあけまして、上と下、結局六面に分けます。簡単な歯石を取れば十二掛ける六で七十二点。複雑な歯石を取るならば三十六掛ける六で二百十六点。それから歯の後によく痛んだときに袋みたいのができますが、あれは盲嚢と言っておりますけれども、この盲嚢なんかを簡単なものを取れば五十掛ける六で三百点と、こういうふうに、こそくな手段で点数を上げられやすいような構成にもなっていると、これが若手歯科医師の指摘であり、こういう再発予防をするような治療の質が現在の保険点数では全然保障されていない。こういうことが結局国民に対する治療の質の低下であり、そして差額徴収だ。つまり歯医者が金属のブローカーとなるような局面を助長していると、こういうことが言えるのじゃないかと思います。
○田中寿美子君 そうすると、松本参考人にお伺いしますが、点数を見直してちゃんと妥当な点数制にしたならば歯の治療は保険でできるというふうにお考えになりますか。
○参考人(松本憲一君) 先ほど申しました若い各地に散らばっている歯科医と共同討議の結果、保険を適正化し、治療の流れに沿ったようないわば国民の治療の質を保証するような保険適正化をやれば保険内で十分やっていけるというのが彼らの見解であります。
○田中寿美子君 厚生大臣、聞いていらっしゃったと思うのですが、歯といえば差額徴収しなければならないもののようにいままで思わされていました。いや、一般の患者はそうでしょう。ずいぶん取られて苦情が出ている。ですけれども、点数制の不合理なところをちゃんと直して、そして再発しないような予防的な治療の仕方をすればいいのではないか、いまの点数制のやり方も変えるべきじゃないか、そうすれば保険で間に合うというふうに言われたのですが、厚生大臣、それをどうお思いになりますか、適正化をなさいますか。
○政府委員(北川力夫君) 歯科の治療につきましては、いまお話に出ましたように、治療そのものよりも、その予防をどうするかという問題がこれは子供の時代からあると思うのでございます。厚生省全体といたしましては、そういう意味合いで、保険診療でどういうふうにやるか、あるいはまた予防衛生面ではどうやるかと、こういう問題がございます。予防面について、これをそれじゃ保険で評価するかとなりますと、これは歯科だけに限らず、全般的な問題でございますので、その問題はしばらくおきまして、元来の点数の評価は、すでに昨年も二回点数改定をやっておりますので、四十九年の二月、それから十月、あるいはその前の四十七年の二月と、こういった改定を通じまして逐次そのときどきの要請に応じますように、歯科医師会等の要望も入れまして、相当程度点数は合理化をしているつもりでございますが、今後もなお努力をいたしたいと思います。
○田中寿美子君 厚生大臣、歯というのはもう予防が、ほかの医療でもみんなそうですけれども、非常に大事ですね。ですから、治療したときにちゃんとすればもう一遍再発しないようなやり方ができるのに、ずさんにやっていく、点数の関係で。だから再発するんだから、点数のあり方を再発しないような点数制にしてくれという、先ほどの参考人の話なんですね。そういう方向に向かって厚生大臣は大部分はもう保険でできるように、そういう点数の是正をやっていくという方針を中医協に諮問なさる意思はおありになりませんか。厚生大臣は、もう中医協でなければこれは決められないというふうにいつもお逃げになるので、厚生大臣の責任において中医協にそれを諮ると、こういうお気持ちはありませんか。
○国務大臣(田中正巳君) 歯科における診療報酬につきましては、いろいろ問題があるという御指摘も承っております。したがいまして、これについては、やはりあるべき姿に改定をしていただくようにしなければならないと思っておりますが、いかにせん、これについては、二つの問題が私は現在横たわっているというふうに思うのであります。一つは、鶏が先か卵が先かという議論でございますが、しかし、やはり現在のこの社会情勢を踏まえて診療報酬の引き上げあるいは改定等をいたすということをにわかに打ち出すことについて、社会的に一体どのように受けとめられるかということを考えるときに、私は第一に、やはり歯科医療界で、一部の人ではございまするが、やはりこのようにルールを外れたことをやることについて、この社会事象を解消してもらわなければ、このようなことについてはできないということを考えているのが第一であります。 第二は、やはりどんな制度をつくっても、いま歯科の社会問題になっている問題は、モラルの欠如から出てきている問題もございますので、したがいまして、こうした問題を踏まえつつ、問題が解消するに従いまして、いま先生のおっしゃる方向に持っていくことについては、私は異論がございません。
○田中寿美子君 大臣、私の質問に答えていないんですね。診療報酬の問題を言ったんじゃなくて、点数制を妥当なやり方に直していけば保険でやれると良心的な歯科医師たちも言っている。いま松本さんもそういうふうに言われた。だから、そういう方向に向かって点数の是正を中医協に諮ってくれませんかと言ったんです。
○国務大臣(田中正巳君) 点数表というのは、いわゆる診療報酬でございまして、これにつきましては、したがって、そのような方向に中医協にお願いをする時期が次第に来るだろうと思うことは事実でございます。私が言いたいのは、今日のような社会事象をまず解消していただきたい、そして歯科が国民の間に信頼を得るような措置ができることによって、それをなし遂げた上で、私はこのようなことをやりたいと今日考えているということを申し上げたかったからであります。
○田中寿美子君 厚生大臣によくもっと調べていただきたいんですが、それは、歯科医の技術料なんというものも余りないからほかの方でもうけようとするようになるから、そういうことを含めて点数制のあり方を中医協に合理的なものに、妥当性のあるものに、そして再発を防ぐような方向に直してくれということなんで、それは当然諮られるべきことだと思いますし、諮ってくださいますね、そういうことは。いまおっしゃった、そのモラルとか何か、いまの内紛の問題とひっかけないでですね。
○国務大臣(田中正巳君) 内紛の問題とは関係がないわけではございませんが、直接ではございません。問題は、歯科の診療をめぐってのこのような問題が起こっているわけでございますから、したがって、このような社会事象をまずなくすることが先だよということを私は歯科医師会等に申しているわけでありまして、基本の方向について先生と考えが違いませんけれども、しかし、いまここで私が、このような社会事象がありながら診療報酬を上げますというような解決方法を……
○田中寿美子君 上げろと言っているんじゃないんです。
○国務大臣(田中正巳君) 適正化いたしますなどということを申すということは、一体今日の国民感情から見ていかがであろうかと思われるものですから、私はそういう方向については、やることはやぶさかではございませんが、まずモラルを確立し、ルールにのっとった診療をやっていただきたい、そして、それが正常化したならば、私はそのようなことについて措置をすることについては決してやぶさかではございません。
○田中寿美子君 点数制に関連して、いま上げてくれと言ったみたいにおっしゃるけれども、合理的にせよということでございます。 それに関連して、先ほど松本参考人が、歯科医師が金属ブローカーのようにならざるを得ないというふうな言葉があったけれど、本当に歯科用の材料が私は何らかの形で公的な供給がされないと、高い金属、プラチナなんか、白金を入れたら非常に高く取られるというようなことになってしまっているわけなんです。 そこで、私は厚生省の、これはまあ政府委員でないとわからないと思いますが、歯科材料をつくるときの歯科用金属の中で、白金加金——白金を加えますね、それの製造基準というものがあるのかどうか、その基準はどういうものか、承認の基準はどういうものか、それを簡単に説明していただきたい。
○政府委員(宮嶋剛君) お答え申し上げます。 白金加金につきましては、実はJIS規格がございませんので、JIS規格がございましたらJISの審査をやって、適格であればJISの許可が出ますけれども、そうでないものにつきましては個別審査でございまして、わが方の内規といたしまして白金加金の審査をいたしますが、その品質につきまして、配合割合を決め、また、その他変色の可能性はないか、あるいは引っ張り度等につきまして審査をやっております。
○田中寿美子君 詳しく聞いていきたいんですが、時間がないから、私は松本参考人に伺いたいんですが、先ほども歯医者が差額徴収をするためには金属ブローカーにならざるを得ないというような状況を言われたんですが、その状況ですね、つまり、歯科用材料でもうけていくというようなことがあっては私はいけないと思う。これは公的な供給をする必要があると思うんですが、そのことについての御説明を願いたいと思います。
○参考人(松本憲一君) 歯科用材金属で、実はこれは現在診療に当たっている医師たちから直接耳にしたことでございますが、厚生省の通達では、三十年の八月十九日に金合金については差額徴収を認め、四十二年の十一月十七日の通達では、金合金のほかに白金加金なんかを差額徴収の対象として認めるようになっております。ところが、現実におきましてわずか一%しか白金を入れてないメーカーが現実に存在するのであります。したがって、わずか一%の白金を使っても、この厚生省の通達によって合法化され差額徴収ができるというようなことになるという、こういう事実談を聞いております。だから、私たち国民のこういう通達、差額徴収を認めた通達、しかも白金加金、こういう歯科用金材の質その他について厳格なメーカー規制をやってないならば、厚生省自体は実は脱保険の構造を支えておったんじゃないかという気がいたします。
○田中寿美子君 歯科用のその金属ですね、それは製造業者がいるわけなんですが、そのメーカーがつくったものを販売業者が、卸ですか、業者が受け取って歯科医に持っていく。その間でどのようにその値段が変わっていくかということをつかみようがないと思うんですね。その値段が妥当であるかどうかという点だとか、あるいはその質そのものがちゃんと何%入っているかというようなことまで含めて管理監督する機構があるのかないのか、厚生省。
○政府委員(宮嶋剛君) お答え申し上げます。 歯科用の材料につきましては、薬事法で言います医療用具といたしまして私どもが監督もし、また指導もしております。医療用具の流通関係でございますが、まことに残念でございますが、申しわけないんでございますが、十分な指導ができておりません。ただ、一般的に私どもは薬事監視という立場から、全国的に各都道府県に薬事監視員というのが約二千五百名程度おりまして、いろんな監視をやっておりますが、その中でときどき歯科用金属に関します実態につきまして監視をする、許可された基準と違ったものが売られていないかどうか、品質はいいかどうか、そういうことを実は検査いたしておりまして、実は四十二年度とそれから四十九年度——本年度でございますが、二回そういうことをやったことがございます。その監視の結果、若干の品質面において欠ける物の、要するに販売行為があったという実態もとらまえておりますけれども、今後とも薬事監視の線からできるだけ、こういう状況でございますので、適正な販売行為あるいは製造行為というものが行われますようにさらに監視を徹底してまいりたいと思っております。
○田中寿美子君 厚生大臣、お聞きになりましたように、歯の材料で大変歯科医師がもうけているわけなんですけれども、それが果たして妥当なのかどうか、質がどうなのかということを監視する制度というのはほとんどないわけです。これはメーカーも小さいメーカーが多くて、いろんなものを一緒につくっている、医療用具と一緒につくって卸に卸してそこから歯医者さんに持っていくというふうな関係になっているわけですね。大変ずさんな状況で、したがって、そこでもうけようと思ったらもうけられるシステム、こういうことがあるから、歯医者さんに行ったら百万円取られたというようなことが起こってくるわけだと思うわけなんです。いまお聞きになりましたように、薬事監視員というものは二千五百人いる。これは食品監視員なんかと一緒に兼ねたりしていまして、ほとんど私は役に立っていないと思います。それからメーカーのつくったものが果たして質的にいいものかどうかということを判定する力もないだろうと思う。こういう監視の機構、監視の体制をもっとちゃんとすべきであるということを、私はこれは要望で言っておきます。 そこで、歯というのは私は予防が非常に大事だと、保険の中に予防を入れないというのが日本の保険の制度の大変欠陥だと思うんですね。それで、歯に関しては予防体制を確立すべきだと思うんですが、これについても私は松本参考人の御意見を聞きたいと思います。
○参考人(松本憲一君) 予防をした場合に、日本人の虫歯がどのくらい減るか、いろいろ評価が違いますし、数的な計算で時間をとると思いますけれども、実は日本歯科医師会がせんだって二月二十五日、朝日新聞で大きな広告を出しまして、その中に日本歯科医師会の考える予防観念というのが端的にあらわれております。つまりその中で、日本歯科医師会は、乳幼児の虫歯の責任はほとんど母親の責任だと、予防は保健所がやって、治療は日本歯科医師会がやるんだと、予防の責任を母親と保健所だけに押しつけたような広告を出しております。しかし、歯科医師法にはちゃんと第一条に、歯科医師の任務といたしまして、「歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによって、公衆衛生の向上及び増進に審与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」と規定されておりますし、同じく同第二十二条には「歯科医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない。」と規定されております。さらに、保険医療機関及び保健医療養担当規則の第十五条には、「保険医は、患者に対し予防衛生及び環境衛生の思想のかん養に努め、適切な指導を」行う義務が義務づけられております。実際ブラジルにおきましては、開業歯科医師といえども週に一日は学校において診療予防を法的に義務づけされておると聞いております。日本の場合、民間の開業医は約九割おるわけですが、この九割の歯科医がもうけ本位で差額徴収やそういうことばっかりやるんじゃなくして、この歯科医たちに、私は学校集団診療保健予防を義務化すべきじゃないかと考えております。
○田中寿美子君 厚生大臣、日本の保険医療は、今度のILO百二号条約を批准しようとしておりますけれども、医療給付のところでも予防においては及第しないんですね、そこを及第しないんです。医療というのは予防が非常に大事なんであって、予防の方に力を入れるなら経費もずいぶんと節約になるし、それから医師の数なんかにおいても、予防した方が結局得になるんじゃないかというふうに思うんです。いまの話を聞かれて予防体制をもっと確立すべきだとお思いになりませんか、どうですか。
○国務大臣(田中正巳君) お説のとおりだと思います。
○田中寿美子君 松本参考人に伺いますけれども、歯科医師をどんどんもっとつくれと、こういう状況になったのは歯科医師が足りないからだというようなことを言われておりますが、これはどうお考えになりますか。
○参考人(松本憲一君) 各地で診療に当たっている若い青年医師なんかと共同討議したところで私たちが達した結論は、たとえば、ある島におきまして子供たちの診療に当たっている、これは漁村なんですが、昨年からことしにかけまして約十カ月に扱った歯の実数が三千五百本、一年にしますと約四千二百本は当たれると申しております。現在、歯科医の数が約四万人、日本人の虫歯は、これは統計によっていろいろ違いますけれども、一人に平均三本、だから一億人だったら三億本、予防すればこの半数に減らせると、つまり一億五千万の歯を、現在の歯科医の数で四千二百本に四万を掛けますと大体一億六千万ぐらいになります。現在の歯科医の質を上げながら、数を、私大乱立において絶対ふやさなくてもやっていけるんだというのが、地域で集団予防、学校予防なんかに取り組んでいる、予防的な面も重視している歯科医の見解であります。せんだって日本歯科医師会が朝日新聞に、先ほど申しました広告に挙げた数は、厚生省の統計によるとしまして一人平均八本、だから八億本だと、医者が足りない医者が足りないと、一方では、さっき言いましたように、予防というものを全然母親と保健所だけに押しかぶせている。この計算にしましても、ただ短期間でなくて、そういう形で予防に当たりながら数人でやれば、私大乱立は絶対必要ないと、むしろ国公立において質を維持しながら私大乱立を許すべきでないというのが、集団地域予防歯科に取り組んでいる若い医師たちの見解であります。
○田中寿美子君 最後に厚生大臣、最初に申しました日本歯科医師会の中原会長が出したことしの二月二十六日の通達、それから四十八年のあの脱保険のマル秘通達、それを撤回したと称しても、それまでの間にこれを奨励してきたことに対する責任の処分、それから、この二月二十六日に新たに出して、いまなお生きているこの脱保険の指令のようなもの、これ、ほとんど同じことですよ。これはよく検討して、さっき厳重に、何という言葉を使われたかな、処分と言われたかな、するというふうにおっしゃいましたが、必ずそれはちゃんとやっていただきたいということを私要望して、もう一度お答えを聞きたいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) あのような日本歯科医師会の行動に対して、監督官庁である厚生省は厳重にこれを処置する所存であります。
○理事(柳田桃太郎君) 参考人に申し上げます。 大変長時間にわたりまして、ありがとうございました。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(柳田桃太郎君) 速記を起こして。 小平君。
○小平芳平君 私は、主として隠れた公害の被害者、あるいは広い意味で言われる隠れた被害者、言いようによっては隠された被害者、この被害者をどう救済するか、即刻救済すべきである、こういう観点から二、三の点を取り上げて質問をいたしたいと考えます。 初めに、宮崎県の土呂久、松尾、この地区の砒素による被害者の健康障害につきまして、私は参議院の各委員会で何回か問題提起をいたしてまいりました。しかし、労働省は労災保険の適用の上で、環境庁は公害健康被害補償法の適用の上で、こうした砒素の被害者に対しましては、皮膚と鼻と、それから神経炎、こうしたきわめて限定された適用しかしておりません。 〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕 健康被害に対する措置しかしておりません。これでは相ならぬということを再三問題提起してまいりましたが、いまだに問題が解決しておりません。本日、参考人としておいでいただきました岡山大学の青山先生は、岡山大学医学部衛生学教室の五人の方を中心に計九人の方が、四十九年十月七日から三日間、宮崎県の土呂久、松尾地区で自主検診を実施されたのでございますが、その結果を参考人から、概略で結構でございますから結論的にお述べをいただきたいと思います。
○参考人(青山英康君) まず最初に、公害の被害者は加害企業による被害者であると同時に、もう一つ、行政措置による被害者である。また、被害者であることが切り捨てられているという実態を、私たちはこの土呂久、松尾の検診の中で見出すことができました。私は五重のチェックで被害者が切り捨てられているというふうに申し上げたいと思います。 第一は、たとえばこの土呂久、松尾の場合、砒素中毒ということになっております。砒素中毒の特徴は、これは全く医学的な常識でございますけれども、第一に、非常に砒素に関する感受性は個人差が大きいということ。二番目に、砒素の中毒の被害というのは、非常に長期間の潜伏期の後にあらわれてくる、こういう特徴を持っております。これは全くの医学の常識でございます。であるならば、この砒素の汚染を受けた被害者の実態をつかもうとすれば、いま症状があるとかないとかいうことではなくて、まさに被害を受けた人たちがどういう人たちなのか、いまどうなっているのか、こういう実態の調査がまず第一だろうと思うのです。 ところが、この実態がまずつかまえられていない。たまたまこの調査が行われていても、すでに報告書が出ておりますのでその報告書の中の人数を拾いましても、たとえば土呂久の場合、五百十一名の被害者がおる。二五七十一名の現状も把握できている。しかし、検診をやったのは百七十三名だけである。また、松尾の場合も二百七名の元従業員がつかまえられている。しかし、実際に検診をやったのは九十八名である。せっかくつかまえても、この実態はそういうふうな形でその後の追跡ができていない。元従業員、また鉱山操業時の被害者、また閉山後の被害者、こういった形での被害者の名簿ができていない。したがって、その追跡調査が行われないということになっているわけです。この最初の被害実態の実情がつかまえられていないという形で被害者が切り捨てられている。 第二番目に、地域指定という問題。被害の実態が地域指定という形で行われておりますが、この地域指定の線引きの中で、どれだけ疫学調査の所見が十分尊重されているのか、この点についても非常にあいまいであります。たとえば松尾の場合にも、家族の人たちがたくさん被害を受けております。しかし、この実態もつかまえられていないために、松尾の場合は地域指定も受けておりません。 三番目に、検診を行っている。ところが、この検診を行っているというのも、先ほどのように、元従業員の場合は一回こっきり。土呂久の場合には毎年行っているとはいっても、検診後の説明が被害者には全くされていない。したがって、自主認定申請の方法も知らされていない。検診結果も知らされていないという形です。 四番目に、疾病の指定の問題です。御存じのように、砒素中毒の特徴は、砒素そのものがメタロイドとも言われるように類金属です。類金属と呼ばれるのは、いろんな金属と一緒に出てくるということです。これも全く医学の専門的な知識ではなくて常識の問題であります。とすれば、当然複合汚染が考えられなければなりません。にもかかわらず、これは慢性砒素中毒に限られております。すでに労働省の方で調査された結果においても、たとえば土呂久の場合、松尾の場合、コプロポルフィリン、尿の中の、これは鉛の中毒の場合の検査ですが、その陽性者がプラス二本で土呂久の場合三人、松尾の場合は二人、またプラス・マイナス以上、疑いを含めますと、これが十三人、松尾の場合は二十四人、全体が五十三人中の十三人、六十七人のうちの二十四人、言うなれば三分の一は、また半分近くは鉛中毒の尿の所見も出ているという実態です。こういうふうな複合汚染といったことが全く無視されている。 五番目に、今度は認定の基準の問題になってきます。砒素中毒を、鼻に穴があいている、皮膚に色がついている、また多発性神経炎、この三つが砒素中毒の特徴であるなどというようなことを医学界の定説とするならば、まさに国際的な笑いものになるだろうと思います。たとえばエッチンゲンの「ポイズニング」という本が出ております。中毒学では非常に権威のある本であるし、すでにこれはいろいろな形で紹介されております。百七項目について亜砒酸による中毒、砒素による中毒の症状というものが紹介されております。また、労働省の労働基準局長の「職業性疾病の予防と補償」という本が出ております。この本の中で、砒素中毒の職業病の検診に当たってはどういう症状を見るか、どういう障害が起こるか、この中にもたくさんの全身障害が記載されております。これも全く、この三つだけで砒素中毒に限られている、こういうまさに医学の常識に反していることが行われて認定されている。したがって、この三つの症状がなければふるい落とされるというふうな形で、行政的処置における被害者、五重の被害を受けているというふうに言わざるを得ないだろうと思う。 そのためにも、どうしてもこの問題は公開の場で認定作業も進められるべきです。プライバシーの問題だと言われておりますが、医学会は常に公開で行われております。名前を隠そうと思えば幾らでもできます。また、構成の問題も、慢性砒素中毒は、鉱害の被害、鉱山の被害を受けた人、鉱山の被害を受けたか受けていないかということがなぜ医学的な症状で診断がつくのか。これは医者だけの権威者を集めて、特に神経医学的な専門家だけを集めて判定をするということの過ちを犯していると思います。現実にこの審査委員長の鹿児島大学の井形教授と公開の場でお会いしたときも、判定は社会的に行っているとはっきり言っております。社会的に行う場合に、なぜ医者だけで判定を行うのか、こういった点で五重の私は被害の切り捨てがされている実態をつかんでまいりました。
○小平芳平君 環境庁長官とそれから労働大臣から、この砒素による被害者、元従業員が労災補償として救済されるという点と、それから公害認定の上で健康被害補償法によって救済されるという、この二つの点があるわけでありますが、いま実際に現地自主検診をなされた結果から判断されまして、いまお聞きのような結論を持っておられます。これに対しまして、全く従来の認定作業というようなものは、医学の常識を外れているとまで指摘されておられますが、御意見を承りたい。今後どうするかということの御意見を承りたい。
○国務大臣(小沢辰男君) ただいま、青山先生の御意見を承ったわけでございますが、岡山大学の検診団がいろいろ自主的な検診を行われました。その検診の結果につきまして、宮崎県の認定審査会の委員と学問的な討議を行われたことは伺っております。しかし、環境庁としては、検診団の検診結果についての科学的なデータをできるだけ早く拝見したいと思っておるわけでございます。私、どもまだそのデータをいただいておりません。したがって、それを拝見しまして、地元と打ち合わせをしながら、早急に何らかの調査をやり、かつ結論を出したいと、かように考えておりますが、専門的な事項にわたる問題は、政府委員がおりますから答えさせていただきます。
○国務大臣(長谷川峻君) 先生がこうした問題について非常に御熱心で、委員会でも御意見を拝聴しているわけでありますけれども、御指摘の旧松尾鉱山の元労働者に対する労災保険による補償状況、これは慢性砒素中毒症が七名、じん肺症六名、砒素による肺がん一名、この方はお亡くなりになっているようですが、計十四名に対しては労災を全部認定しております。それから、休廃止鉱山における砒素中毒問題につきましては、内臓疾患の取り扱いについて医学的な検討が要請されているところでありまして、ただいまも環境庁長官からお話もあったようですが、環境庁において研究を進めていると聞いておりますので、私の方としましては、環境庁と密接な連絡をとりながら、その研究結果が出されることを期待し、所要の措置を講じたい。私たちも医学的には素人でございますから、権威ある諸先生方の専門的ないろんな、ただいまのようなお話を承りますと、なかなかむずかしい問題であるということを改めて痛感しながら、それぞれまた対策を講じていきたいと、こう思っております。
○小平芳平君 環境庁長官、それから労働大臣とも、それは労働大臣がお述べのように、私もお医者ではありませんが、医学的な知識はありませんが、少なくとも、砒素中毒は皮膚と鼻と神経だということで作業を進めようということは間違いなんだ、それは、労働省の基準局の通達によってももっと多くの項目が出てきますし、いま参考人が述べられた百七項目にも及ぶそういう砒素中毒は検診が必要だということ、それが皮膚と鼻で問題を処理しようとしたことは間違っていたと。この点いかがですか、両大臣。
○政府委員(橋本道夫君) 大臣のお答えになる前に一言お答え申し上げたいと思いますが、主要症状としていま御指摘にあったポイントを出しておるわけでございまして、検診事項すべてをごらんになっていただきますと相当詳細なものをやっております。そういうことで、私どもの研究班からお願いして認定をやっていることはすべて医学的に完全かと言われますと、私どもは確かにまだ足らないところがあるかと思いますが、その点は自主検診のときでも、全部肝七項目にわたってすべて細かくお調べになって出された結論であるかどうかという問題も一方にあるのではないかと、そういう意味で、私どもは自主検診で出された結果をぜひともいただいて、そして現在、昨年の国会でも御指摘がございまして、それだけのものでは非常に問題がある、そのほかのものを疫学的、臨床的に認定の条件に入れるべきではないかという御指摘もあったところでございまして、私どもは三百万の調査研究費を組みまして、いま研究班に委託をしてやっているところでございます。そういうことで、研究班の成果と、それからいま青山先生からお話のあった自主検診の科学的な報告をいただいた上で、私どもはよりよいものにしていきたいというぐあいに考えております。
○小平芳平君 それでは、これはヒ素による健康被害検討委員会の「認定に必要な要件」、「認定に必要な検査項目」、原則として皮膚と鼻と末梢神経と砒素量の測定、その次に「必要に応じて行う検査」と、こういうふうに分けているでしょう。ですから、原則として内臓にタッチする必要ないようになっているんじゃないですか。どうですか。
○政府委員(橋本道夫君) 先生の御指摘の事項は、四十九年五月の「公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法による慢性砒素中毒症の認定等について」というものについての御指摘であろうかと思われます。ここに、確かにこの症状といたしましてはこれだけのものが書いてございますが、実際検診をいたしております事項といいますのは、ほかの肝臓の機能検査や相当細かいものが行われておるということは事実でございまして、それをさらに細かく、人の神経の障害とか、あるいは皮膚の異常を見ようという場合に、さらに細かな検査を行う場合にはここにございますような(2)の「必要に応じて行う検査」ということがあるということでございまして、何も主要症状だけをさっと見ればこの検診を果たしているというぐあいに私どもは考えておりませんし、検診表も細かな事項が入っております。
○小平芳平君 青山先生に、私たちが現地でお聞きした範囲では、そんなに至れり尽くせりの、肝臓から何から検査をされたという人には会わなかったように記憶しておりますが、その点は先生いかがでしょう。
○参考人(青山英康君) 私は非常に橋本部長さんの御発言はずるいと思うのです。医者以外の前では医者であるとし、われわれ医者の前では行政官として対面される。したがって、検診を行ったというふうにおっしゃっているわけですけれども、現地の方はいかに検診が不親切であったか非常に不満を持っています。 もう一つ、私はこれは非常に高度な医学の専門的なことを言っているわけではございません。砒素中毒というものはどういうものなのか、また、なぜ慢性砒素中毒が認定されるようになっているのか。鉛があり、銅があり、亜鉛があり、アンチモンがあると、いままで何度も私以外九大の倉恒教授も、また労働省の調査における坂部先生の調査においても、また久保田先生の報告の中にも全部指摘されていることです。ですから、なぜ土呂久、松尾の場合が慢性砒素中毒として認定されなきゃならないのか、また、慢性砒素中毒というのはなぜ砒素中毒でなきゃいけないのか、なぜ鼻に穴があいてなきゃならないのかということ、もっとたくさんの症状が、内臓疾患もあるじゃないか、こういうことを申し上げているので、私は決して高度な医学的な問題を申し上げているわけではございませんので、これはきわめて常識的な解答としても、土呂久、松尾の被害者が慢性砒素中毒である、そして、そういう神経内科の先生方で検診されている、被害の実態を、受けているか受けてないかという調査がまず重点に置かれるべきだと、こういうことを申し上げているわけです。
○小平芳平君 環境庁長官、そういうわけですので、複合汚染としてもう一度大至急検討し直していただきたい、いかがです。要するに、橋本部長の述べていることと現地の人たちが受けていることと違うから、環境庁長官として、もう一度はっきり実態調査をし検診をいたします、複合汚染というそういう幅広い検診をいたしますと。——当然じゃありませんか。
○国務大臣(小沢辰男君) 私、先生のおっしゃるように、患者の訴えがあれば調査をするのはあたりまえでございますから、それはやらなければいかぬと思います。ただ、いま専門的な答弁を先に申し上げてと思いましたのは、複合汚染の問題をいろいろ考えましたときに、私に対する報告では、重金属の複合汚染について、砒素以外のことについては大体ほかの対照地区と同じような状況であったから、したがって砒素中毒としての地域指定を行っておったわけでございますので、いま先生がおっしゃる意味が、そういうようなことももう少し深く解明してからというようなことだと思って私は先に専門家の答弁をあれしたわけでございまして、私どもは、いま青山先生がおっしゃったようなことについて自主的な検診をやっていただきましたから、その科学的なデータを十分拝見をさせていただくと同時に、いま国会で先生が取り上げられて、そういう患者さんの問題もあるんだというお話であれば、これはもう当然調査することは、調査を私どもとしてはちっとも、何といいますか、しないとかという問題ではありません。当然これはやらなければいかぬと思います。ただ、患者を公害被害の健康補償という意味でいろいろ取り扱っていく場合には、先ほどもいろいろ部長が申し上げましたように、いまティピカルな三つの障害以外に、それとは別に、それがないのに内蔵関係の障害があるかということについては、先ほど言いました調査班の検討を待ってからいろいろやってみたいと、こう思っておるわけでございます。一般的に、そういう患者が困っているんだから全般的に調査をしたらどうだということであれば、これはもう当然調査をいたします。
○小平芳平君 労働省は、まさしく環境庁のその医学的な判断をお待ちするというふうなお答えをよく大臣はなさいますけれども、この労災補償の方は打ち切り五万円ですから、まさしく鼻の穴だけを補償しているんですね。内蔵疾患についての関係はまだ医学的に未解明だと言って補償の対象になってないわけですから。五万円で打ち切ってしまうというような、そういう単純な健康被害ではないということを私は再三他の委員会でも申し上げているんですが、その点、そういう取り組みをしていただきたい。
○政府委員(東村金之助君) ただいま先生御指摘のように、いわゆる鼻中隔せん孔、これで一時金五万円というケースがございます。ただ、それだけではございませんで、多発性神経炎とか、じん肺、こういう認定もございまして、これに対しても補償している次第でございます。 それから、内臓の疾患の問題については、たびたびお話がございますように、現在いろいろ研究を積んでおられますので、その結果によりましては私どもももちろんそれを認定していくと、その結果を待っておるという次第でございます。
○小平芳平君 じん肺について補償されているという、当然のことじゃないですか。別に、じん肺のことをここで言っているんではないのです。ですから、要するに、砒素中毒患者として五万円で打ち切られていることに問題があると言っているんです。これから研究しますと言って、もう何年たってもこれから研究します——それじゃだめでしょう。大臣、どうですか。
○政府委員(東村金之助君) ただいまのお言葉ではございますが、なかなかむずかしい問題でございます。実は青山先生とも先般御相談もしておるわけでございますし、私どもの方の坂部先生も問題に携わっておるわけでございます。いずれにいたしましても、この砒素の問題と内臓疾患との関連性、これが医学的に業務上・外の認定にどう考えたらよいかという結論が出ますれば、また、早くそれを出してもらわなければいかぬわけでございますが、私どもは、それによって業務上・外の認定を進めていきたいと、かように考えております。
○小平芳平君 そういうふうに環境庁も労働省も、とにかくもう地元の人は待ち切れなくて、皆さんがそのうちそのうちと言っているのが待ち切れなくて、そうしてわざわざ自主検診をお願いし、これは官庁から一銭もお金出ているわけじゃないです。にもかかわらず、これだけのお医者さんと日にちを使って自主検診をなさったという、そういう現地の実情というものが両大臣ともおわかりになってないじゃないかということで私は申し上げているんです。いかがですか。
○国務大臣(長谷川峻君) 不幸にして私、現地にも行っておりません。しかし、こういうところで権威のある先生方のお話、そうしたことをお伺いしますというと、改めて私たちが環境庁のいろいろな調査結果を待ってやるということに対して、さらに推進し、真剣に取り組みたいと、こう思っております。
○小平芳平君 次に、この松尾地区は環境汚染が、すでに昭和十三年当時農業被害を訴えておられる。したがって、ただ松尾地区は労災認定の検診をしただけでは物事は済んでいない。この点については、労働大臣からは、先ほど青山先生が指摘されたように、元労働者で、住所、名前がわかっている方ですら検診漏れの人がたくさんいらっしゃるわけですから、速やかに検診をなさること、その検診も鼻だけじゃだめだということ、それから環境庁としては、農業被害を訴えた、当時、この煙毒による損害補償請求陳情書というものを持って農民が日本鉱業へ行っているわけですから、環境汚染調査を速やかに実施していただきたい。両大臣から御答弁いただきたい。
○国務大臣(小沢辰男君) 松尾鉱山の砒素問題に関連しましては、一応、焙焼炉と住居が相当隔たっておること、それから住居の地域の水系が鉱山のある水系とは異なる、こういうようなことから、元従業員以外には健康被害は疑われておらなかったと、こういうようなこともありまして、特に健康調査が実施されていなかったわけでございますが、一応、私どもとしては、被害が起きてからではあれですから、未然防止の意味から見ましても、ひとつ何らかの方法で地元とよく連絡をとりまして健康調査をやってみたい、かように考えます。
○政府委員(東村金之助君) ただいま先生御指摘ございました名前のわかっている方でも検診漏れの方があるじゃないかと、こういうお話でございますが、実は私ども名前のわかっている方には、検診をやりますからおいで願いたいと、こういう連絡はいたしたわけでございますが、参加漏れの方があるわけなんです。したがいまして、さらに、そういう方に検診をやりますからという御連絡は申し上げてみたいと、かように考えております。
○小平芳平君 環境庁長官、先ほどの答弁は、元従業員のことを環境庁に私が言ったのではなくて、松尾地区には環境被害があったという、こうした農業被害を訴えているんですから、環境被害として環境庁が至急調べて、調査を開始していただきたい。よろしいでしょう。簡単に……。
○政府委員(大場敏彦君) 簡単にお答えします。 松尾鉱山地区につきましては、四十七年と四十八年で環境汚染調査、一応しております。しておりますが、その当時、その結果は、水質につきましてはいずれも砒素は環境基準以下であった。ただし、土壌につきましては一応調査対象とはしたわけでございますが、松尾鉱山周辺には農用地が存在しておりませんでしたので、一応その土壌農作物調査というものは外してございます。しかし、いま御指摘になりましたように、昭和十三年当時、ダムの下流部のところにおきまして酒所というところは水没したようでございますけれども、恐らく煙害についての被害だろうと思うんですが、そういう訴えがございましたので、現在、その農地がどのような状態になっているかということをもう一回よく調べた上で、必要に応じて土壌農作物調査を実施するよう宮崎県を指導してまいりたいと思っております。 〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕
○小平芳平君 それから次に、水俣病の認定作業が大変におくれているという点、その原因として、県の認定審査会のメンバーの選出の問題、あるいは四十九年夏、昨年の夏の大量検診に対する、被害者抹殺的な検診に対する不満、こうした点について青山先生から、現地を直接ごらんになった御感想をお伺いしたい。
○参考人(青山英康君) 水俣の問題も、歴史が古いにもかかわらず、全く、先ほど土呂久、松尾で指摘させていただきました五点による行政の切り捨てが行われておると言わなければならないだろうと思うんですが、この場合も、水俣は汚染された魚介類を摂食した人、これが被害者であるはずだ。にもかかわらず、これが有機水銀中毒でなければならない、さらにハンター・ラッセル症候群を備えてなければならないという形でむずかしくして切り捨てている。むずかしくするために、その医学の権威者が引っ張り出されているという実態じゃないかと思うんです。したがって、これはそんなにむずかしいことじゃ決してない。汚染した魚介類を摂食した人がだれなのかという形での被害者の認定の方策がとられる必要があるだろう。延びたのは、被害者の人がだれ一人として納得できないような形で審査員が選ばれている、しかしこう待たされたら、一人でも一日でも早く認定してもらいたい、じれにじれてその審査会の再開を願い出てくる人もおる、いわゆる被害者の中を分裂させる形で、行政の思いのままの認定作業を進めているという形でおくれているわけで、おくれているのは決して患者さんの、また被害者の方々の反対のためではなく、そういう被害者の人に納得ができないような審査、認定を進めていこうという行政の態度によっておくらされているのだと言わざるを得ないだろうと思います。 第一に、汚染された魚介類を摂食しても無症状の方々、この方々の不安、不満をどう取り除いていくのか。また、認定に当たってここにもはっきり書いております。神経医学的な診察の結果によって、水俣病ではないとか、「有機水銀中毒の影響は認められず」という診断書が出ているわけです。お医者さんが神経医学的な診察をしただけで、なぜ有機水銀の影響がないとか、水俣病ではないとかいう診断ができるのでしょうか。こういう形で、さらには、胎児性水俣病のお母さんでさえ、症状がないというだけで認定が否認されているという状況もあります。こういう状況では、これは被害者の方々が納得できないというのは当然のことだろうと思いますし、それを長々と待たした上で、じれてじれて待ち切れなくなって強引に再開という形にいまなっているわけで、これは、おくれたのは被害者のせいでは決してないというふうに私は考えております。
○小平芳平君 先ほどおっしゃった原因不明の脳障害、その辺、もう一度おっしゃっていただけますか。
○参考人(青山英康君) 非常に特徴的な例ですが、鹿児島の場合、この認定の処分についての通知書の中に、「有機水銀の影響は認められず原因不明の脳疾患の疑いと判断されます」という形で、この被害者が被害者ではないと言われております。もう一つの熊本の場合にも「主要症状として、知覚障害、運動失調、左側半身不全麻痺、視野沈下、眼球運動異常、脱力、知能・性格障害等が認められるが、詳細な検査結果から判断すると、脳血管障害後遺症、変形性脊椎症(頸部)および白内障によるものと考えられ、水俣病とは認められない。」、したがって、水俣病の方は年もとれないし、骨に異常があってもこれは水俣病でないという形で切り捨てられる。現実に、たとえば「アテンション・トレモール」という形で、名前一つ書かしてもこういう形になるわけですね。ところが、そういう症状があっても、首の骨に異常があればこれは変形性脊椎症による、また脳卒中を起こせばあなたは中風によるのだ、いわゆる否認の論理でもって認定が進められているとしか言いようがないだろうと思います。
○小平芳平君 環境庁長官、そういう問題があるということをよく知っていただきたい。胎児性水俣病のお母さんが認定を却下されるとか、あるいは有機水銀の影響は認められないが原因不明の脳疾患だというようなことで、患者が納得できるでしょうか、どうでしょう。
○国務大臣(小沢辰男君) 水俣問題につきましては、私着任以来非常に頭を痛めております。何とか早く認定審査会なりあるいは検診班の設置が患者さんの御理解を得ながら作業が進んでいくようにいたしたいということで、実は着任以来非常に、私自身は向こうにまだ行きませんけれども、保健部長や、いろいろな係の者をやりまして、県とも協議をして進めてまいっております。どうやら理解も得ましてこれが進みつつございまして、認定審査会の開催の運びまでに、どうやら準備段階をようやくきのうで終わりました。認定審査会の構成は、恐らく来月の半ばまでには第一回の認定審査会を開き得るところまでいきました。いま御承知のように、昨年、一昨年に検診班と患者さんとのトラブルがありましたので、そのために認定審査会の審査を受ける方々が六百名ちょっとございますので、これらの方々をまず先に認定審査会であれをいたしまして、それから検診班の設置をやって、早急にこれは軌道に乗せていきたい、できるだけ努力をいたしたいと、かように考えております。
○小平芳平君 環境庁長官、私がいま直接お聞きしたいことは、そうした認定審査を進める過程で、必ず、現地を知っているお医者さんですね、実情がよくわかっているということが第一。それから今度は、患者さんが納得できる結論。私もお医者ではありませんけれども、あなたは原因不明の脳障害ですね、だけど有機水銀ではありませんよと、だけども過去に魚はたくさん食べたんですよと、そんな論理が通りますか、一体。ですから、現地を知っていること、患者さんが納得できる、そういう結論であるべきだ、この二点はいかがですか。
○国務大臣(小沢辰男君) 今度も、現地の認定審査会の編成がおくれましたのは、現地の熊大の代表者に入っていただかなきゃいかぬということが一番のポイントでございましたので、先生おっしゃるように、第一点の御質問の現地をよく知った人ということについては、私どももその方針で進めてきたわけでございます。 第二点の問題につきましては、これはいろいろ検診班の先生方に対しても、検診班の先生方が検診の結果のデータを審査会に持ってくるわけでございますから、問題は検診班の先生方と患者さんの信頼関係ということにあるわけでございますので、これらは先生のお考えは私どもももっともだと思いますので、そういうような方向で努力をいたしてみたいと、かように考えております。ただ、検診というものは、どうしても疫学的なデータ以外に、やはり医学的な症状なり何かに対する医学的な判定というものが加わってまいりますものですから、その辺のところを十分御理解を願って、検診班がまた二年前のようなあれを踏まないように、できるだけひとつ患者さんの立場に立った、理解を深めた検診のやり方をしていただくように努力をいたしたいと、かように考えます。
○小平芳平君 以上二点を私は強く要請いたします。 それから次に厚生大臣に伺いますが、合成洗剤の毒性のあるないをいまここで論議を始めたのでは、とても十三分ではできませんので、ただ結論的に、厚生省としては合成洗剤が全く無害であるという立場には立っていない、それなればこそ使用上の注意なども書かせていると、こういうふうに了解してよろしいですか。
○国務大臣(田中正巳君) 合成洗剤についてはいろいろ問題があるということで、目下研究をいたしているところでございます。
○小平芳平君 そうしますと、昭和四十八年七月三十一日、公明党の峯山議員に対する政府答弁では、「通常の使用における安全性は学問的に十分確立した」と言っているこの答弁は、うそですね。
○政府委員(石丸隆治君) 峯山先生の質問書に対します答弁でございますが、この答弁は食品衛生調査会の御答申に基づきまして作成いたしたものでございまして、御承知のように、食品衛生調査会としてこの合成洗剤の毒性を検討いたしましたのは、食品あるいは食器類の洗浄に使ってこれが経口的に体内に取り込まれた場合の毒性問題についての結論を答申いただいておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、あの答弁書というものは食品衛生上の問題としてお答え申し上げたものでございます。
○小平芳平君 食品衛生上の問題としても、たとえば、これはソ連のアカデミーの発表ですが、こういうものが一九七二年に出されている。そういうのを知ってこういう答弁をしたんですか、知らないでしたんですか。
○政府委員(石丸隆治君) そういう報告書のあることは存じております。ただ、食品衛生調査会に大臣が諮問いたしまして、その答弁に基づきましてわれわれ判断いたしておるわけでございます。
○小平芳平君 厚生大臣はいろいろ問題があると言うし、食品衛生調査会は十分に安全性が確立されたと言って局長はがんばるし、一体どっちなんですか。
○政府委員(石丸隆治君) ただいま申し上げましたように、合成洗剤のこの答弁は、一応食品衛生上の問題として御答弁申し上げたわけでございますが、御承知のように、最近昭和四十四年に至りまして三重医大の三上教授から経皮的毒性につきまして御指摘があったわけでございまして、そういう新しい観点からの毒性の問題につきまして現在昭和四十八年以降におきまして研究班を組織いたしまして検討を行っている段階でございます。
○小平芳平君 それじゃ、癌学会のこの発表とか、それから魚の味覚が冒されるとかいう発表とか、こういうのは全くもう無視して、安全が確立されたということで押し切るんですか。
○政府委員(石丸隆治君) 経口的毒性以外の新しい問題が最近学問的に提起されておるわけでございまして、そういった新しい観点に立ちまして現在新たな観点からの毒性の再検討を行っていると、かような状況でございます。
○小平芳平君 厚生大臣、厚生省の態度は、中性洗剤には危険性があるという指摘をしたのに対して、その指摘を「風変りな発言」「いいかげんな発表により国民を不必要に不安にかりたてる」「モチ屋はモチ屋にまかせておけ」と、こういうことを厚生省のお役人が言っているとしたら、大臣、どうしますか。
○国務大臣(田中正巳君) そういう話は私はまだ知りませんから、したがって、論評をすることができません。
○小平芳平君 そういう話は知りませんと言ったって、この本にちゃんと出ているじゃないですか。これは食品衛生協会、この著者の中には厚生省の食品衛生課の人が五人入っている。そのほか国立衛生試験所、労働科学研究所の方が入っている。結論として、「風変りな発言」「モチ屋はモチ屋にまかせておけ」「いいかげんな発表により国民を不必要に不安にかりたてることのないように願いたいものである。」と。それをひとつよく読んでいてください。 それから次に環境庁にお尋ねしますが、環境庁では、合成洗剤によって環境汚染が発生する、現にしているというふうに考えますか。
○国務大臣(小沢辰男君) 私ども、環境に与える、特に水質に対する汚染の問題があるわけでございまして、これは中性洗剤あるいは合成洗剤による汚染は三つの問題があるわけです。 一つは、一番大きいのは毒性の問題であります。毒性の問題は、先ほど厚生省から答弁がありましたように、一応これはもう大丈夫だということであったわけですが、最近催奇形性の問題が出まして、そこでいま調査をしていると、こういうことでございます。これは調査の結果を待って解決をしなければいかぬ問題でございます。 そのほかに発泡問題があるわけで、例のあわ立ちの問題で、川がいかにも汚れたようなかっこうになるという問題があります。それと、助剤が燐を使っておりますので、これが富栄養化の問題が出てまいります。したがって、そういう面から言いますと、私どもの方では、この燐の除去ということについて当然水質の汚濁の問題として重要視していかなければならない。発泡問題はソフト化によって大分解決をされてきましたが、なお若干そういうような点もいろいろございますので、これらを考えながら、私どもは水質汚濁の防止のために、特に下水の整備、これの処理、終末処理について推進を願っているところでございます。
○小平芳平君 動物プランクトンの卵のふ化に及ぼす影響、一〇ppmでは全滅に近い、一ppmでも支障が発生する、〇・一ppmでも多少の阻害がある、こういう研究は御承知ですね。
○政府委員(大場敏彦君) 環境庁で四十八年に委託しました調査によりますと、いま先生が御指摘になったような報告を受けております。
○小平芳平君 ですから環境汚染についても、ただ下水道をつくればいい、あるいは先ほどの政府答弁によると、上水道については活性炭を使う、下水道については閉鎖的な湖沼に流れ込むものは第三次処理をする、そんな何兆円かかるかわからないような工事が必要になるという調査報告をしている。一方では、プランクトンにも影響が発生すると言っている。ただ安全だ安全だで済まされますか。済まされないと私は思うが、いかがですか。
○国務大臣(小沢辰男君) 私、公環特で申し上げたのですけれども、本来ならこういう物は使わない方が環境庁としては望ましいことは、もう間違いありません。これは水で洗浄していただいた方がいい、時間がかかってもていねいにやってもらった方がいいに決まっておるわけでございます。しかし、もし洗たく関係の場合に、これを別にして今度石けん類の使用ということになりますと、逆にまた環境汚染では非常にBODの問題で、むしろいまの合成洗剤よりは二十五倍ないし五十倍というような被害、被害というとあれですが、そういう影響が起こってくるという恐れがございます。そうなれば生物体界に及ぼす影響もかえってあるいは悪いかなというようなことも考えられますので、この辺を考えますと、一概に洗剤を全部やめてくれというわけにもなかなかいかないところもございまして、二律背反の問題がありますから、非常に悩んでおるわけでございます。いま先生のおっしゃいましたように、私どもとしては下水と終末処理を急ぐと同時に、できるだけこの不要な使用の仕方というものをひとつやめていただいて、そして両々相まって水質保全を全うするように努力していく以外にはいまのところはないのじゃないか、かように考えます。
○小平芳平君 時間がきましたのでまた別の機会にいたしますが、厚生大臣、いかがですか。
○国務大臣(田中正巳君) いろいろと今後注意してやっていきたいと思っております。
○小平芳平君 いろいろ注意して——。こうしたことは適当な発言ですか、不穏当ですか。
○国務大臣(田中正巳君) いまその本を見ました。何ぶんにも広い厚生省のことでございますので、そういう本があることは私いま初めて見ました。十二年前、昭和三十八年の著書でございますが、その当時はその程度の私は認識であったと思いますが、その後いろいろな問題が起こってきましたものですから、そういう事象に対応していま厚生省ではいろいろと調査をいたしているところであるというふうに思っております。
○小平芳平君 それでは最後に、医療制度の問題で一点だけ大蔵大臣に伺いますが、税制調査会の答申、これは細かいことは私申し上げませんし、また細かいことは時間がありませんので御答弁は必要ありませんが、七二%から五二%というこうした税調の答申を、社会保険診療報酬課税の特例の是正として、これを大蔵省は実現させるというお考えですか。 それから三木総理は、早急に適正な診療報酬を見直し、これとあわせて税制調査会の答申を実行するというふうに述べておられますが、大蔵省としてもそういう態勢で臨んでいるのですか。要するに、七二%は根拠がないと盛んに言いながら、また五二%ということで答申しているという、それをそのまま受けて実現しようとなさるのですか、いかがですか。
○政府委員(旦弘昌君) ただいま御質問のありました件につきましては、税制調査会で、おっしゃいますとおり七二%から五二%ということで御答申をいただいておるところでございます。七二%につきましては、この答申の中におきましても、二十年前にそれが法定されましたその特別な根拠があるとは言えずということはもう知っているわけでございますけれども、この答申にございますような医療に対する特別な性格に基づきまして特別な配慮を、実際の経費のほかに特別な配慮をいろいろ加えましたところでこの率を御算定になったものと思います。その線に沿いまして私どもとしては実施をいたしたい、かように考えておるところでございます。
○小平芳平君 大蔵大臣、総理大臣はこの線で、先ほど申し上げたような答弁をしておりますが大蔵大臣はどうですかと聞いているんです。御答弁してください。また厚生大臣、こうした七二%、五二%というようなことについてはまだ研究不足じゃないか。根拠のない上にまた根拠のないものをつくろうというふうな結果になりはしませんか。以上、両大臣から御答弁いただきたい。
○国務大臣(大平正芳君) 現行の診療報酬に対する課税のやり方につきましていろいろな御批判がございますけれども、大蔵省といたしましては、いま御指摘がありましたような方式でまいりますことが改善への第一歩ではないかと考えておるわけでございまして、でき得べくんばそういうラインで改善への方向を進めたいと考えております。
○国務大臣(田中正巳君) 社会保険診療における経費率につきましては、それぞれ診療担当者のいろんなパターンによっていろいろと違うものであろうと思っておりますが、しかし、これを全く正確に経費率を算定するということは、したがいましてなかなか困難だろうと思いますが、大蔵省当局ではできるだけ精査をした上で近似値を出したものと思いますが、やかましく言うならばやはりその間に全く合理性と乖離していないとは言い切れないと思いますが、大体においてその程度だというふうに把握をしてこのような構想を出したものというふうに思います。
○理事(柳田桃太郎君) 山中君。
○山中郁子君 私は本日の集中審議に当たりまして、とりわけ、ことしが国際婦人年であるということに照らして、婦人の問題をめぐり男女差別、そして母性保護をめぐる政府の現状認識をただし、そして具体的な——ここが大事なところなんですけれども、具体的な施策を聞いたいというふうに思います。 初めに、三木総理大臣は国会の答弁その他においても、国際婦人年で婦人の問題を重視しますと、このように再三言われております。そして、これは二月二十六日の朝日新聞ですけれども、「男女の平等をほんとうに実現するには」ということで、「国際婦人年にあたって」というかなり大きなスペースをとった広告メッセージを出しておられます。これは朝日だけでなくて、かなりたくさんの新聞に出ておりますけれども、こうした経費がどのくらいかかっているのか。幾つぐらいの新聞に出されたのか。また、国連に拠出金という形で日本から支出をしていますけれども、そうした金額も合わせて、どのくらい合計のお金を国として支出しておられるのか、労働省の予算は別として。まずお伺いしたいというふうに思います。
○政府委員(竹内道雄君) 国際婦人年につきましての広告でございますが、これは私からお答えするのは少しあれかと思いますが、総理府の方で支出しておられるわけでありますが、約二千八百万円というふうに聞いております。 それから国連に対する分担金は、三万ドルの分担金ということになっております。なお、労働省予算は別といたしまして国際婦人年に関する予算は——一般的な婦人の地位向上のための経費としては別途労働省所管で六億五千六百万円を計上しておりますけれども、国際婦人年に関する予算としてはそのほか二千二百万円を計上しております。
○山中郁子君 私はぜひとも三木総理大臣にお伺いしたいと思ったのですけれども、きょうは福田副総理がお見えになっておりますのでお答えを願いたいと思いますが、御承知だと思いますけれども、国際婦人年に関しまして労働省は三千百万の予算を要求いたしました。そしてその後大蔵省で六百万に査定をした。私ども婦人議員が、これは超党派ですけれども、三千百万の要求に対し六百万に査定するとは何ごとだということで要求いたしましたところ、これが二千二百万に復活した、こういう経過になっております。そのほかにも学童保育、これは前厚生大臣が国会で約束をされて、来年度から制度化をするということで実際上三億五千万円の要求をなさいました。これもゼロ査定になりました。学童保育については、労働省としてもその関係予算として一千五百万円要求をされておりました。これも全くゼロになっています。そしていま政府はILO百二号条約を批准すると、こういうふうに言っておりますけれども、この中の主要な一つの問題である母性給付、これがその基準に満たしていないにもかかわらず、そしてとりわけことしが国際婦人年であるということを強調していながら、この基準を満たすという態度を示さないままに百二号条約を批准する、こういう態度をとっております。私はごく具体的に、端的に幾つかの問題は申し上げましたけれども、そのほかにもたくさんあります。 要するに、三木総理大臣がこういうふうにかっこいいことを言って、そして国連にもお金を出す。先ほどのお金を合計いたしますと、約四千万円近いお金になります。こういうお金を出して、それでは国内で本当に男女の平等を実現するにはどういう施策をするのかということが、何にも出されていない。そして取りかかってもいない。国際婦人年は一年間です。もう三カ月が過ぎております。私はこの点についての口先だけではない、本当に政府の基本的な、そして具体的な考え方を副総理からお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 婦人の地位向上につきましては三木首相は非常に熱心でございまして、施政方針演説まで特に言及をされておる、こういうような状態でございまするが、たまたまことしは国際婦人年である。この機会をとらえまして、かねての三木首相の婦人の地位尊重の考え方を実現をいたしたいと、こういうのでいろいろなPRなんかもしておるわけです。私は、そういうPRを通じて婦人の地位の問題というものについて国民全体が関心を持ち、それが続いてひいては婦人の地位向上につながってくると、こういうふうに考えております。いろいろ施策はやっておるのです。きょうは婦人の局長である森山婦人少年局長もここに来ておりますので、こんなことをやっておるのですということをお聞きとり願いたい、かように存じます。
○山中郁子君 いろいろなことをやっておるということで、具体的にこれというふうに副総理がおっしゃらないことは、また逆に、具体的に政府全体として取り組んでおられないということを意味しているのじゃないかというふうに私は考えざるを得ません。また後ほど婦人少年局長にはお話を伺う機会があると思いますけれども、現実の問題として長谷川労働大臣も、メッセージの中で実際にはやはり男女差別は残っていると、こういうことを言われております。 それで、ごく具体的な問題を二、三申し上げますと、私が申し上げるのはすべて労働省の調査です、特別にお断りしない限りは。労働省の雇用管理調査によりますと、定年制を決めているところが全体の企業の六六・六%ある。その中で男女別定年制をきめているところが二九・五%あるのです。この定年制の問題に関して申し上げますと、もう十分皆さんおわかりだと思いますけれども、たとえば結婚、出産による退職は違法である、また若年定年や、最近のシャボテン公園の例にありますように、中高年者の男女差別の定年制もこれは違法であるということで判決がおりております。簡単に数を申し上げますと、ここ最近十年ほどの間で結婚、出産退職数は六件ありまして、全部これは企業側が負けております。それから若年定年制は名古屋放送を初めといたしまして五件ありまして、これも全部企業側が負けております。それから中高年定年制は三件ありまして、これも全部企業側が負けております。つまりこれは憲法の十四条、法のもとに平等である、そうして民法の公序良俗、これに反するものだということで裁判所が認め、企業もそれを認めざるを得なくて負けている。こういう実態があるわけです。 私はここで伺いたいのですけれども、労働大臣は、たとえばきょうも予定されておりましたけれども、ストライキなどということになると談話を発表して、労働者を敵視することをおっしゃる。そのほかさまざまな問題についていろいろとおっしゃるけれども、いまだかって一度でもこうした男女差別の定年制はいけないのだ、男女差別はやめなさいという談話をお出しになったことがあるだろうか。そしてまた強力な行政指導の一つとして具体的には次官通達などを出すという、こういうふうな積極的な姿勢を示されたことがあるのだろうか。これが私は、政府がこのことを口先だけで言っていながら実際には何ら具体的に、積極的に解決しようとしていない姿勢のあらわれだと言わざるを得ないと思うのですけれども、そのことに対してのお考えと、そして具体的にすぐにでも、遅くはありませんから、そうしたことをなさる御意思があるかどうか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) 山中先生から勤労者を敵視するというようなお話がありましたが、そういうことはございません。そこで、ストライキなどが片づいて国民もほっとしているというところに私は新しい労使慣行をつくりたい。 御婦人の問題につきましての御関心、全くそのとおりでございまして、私自身が具体的にと言われますと、先日などは既婚婦人を解雇するというふうな話もありましたから、早速森山局長と御相談をして、その会社に連絡をとる。まあ組合の方などもその撤回を要求しておったことなどもあったのでしょう。それが一時ストップをしているというふうなこともあり、私は労働省の中に森山局長、こういう一つの組織がございますから、それらを通じまして、いままである男女の不平等のところは、憲法やらあるいはまた勤労婦人福祉法の基本理念に基づく問題であるから、一つ一つの問題について事業主に対していろいろ行政指導をいままでもやりましたが、いまから先も強力にやって、国際婦人年の機会に、さらに一層の盛り上げをしたい、こういうふうに考えているものであります。
○山中郁子君 大臣談話を出したり、次官通達などで強力な実質的な指導をなさるというお考えがありますか。
○国務大臣(長谷川峻君) 婦人の地位向上に役に立つことならば一生懸命やろうと思っております。
○山中郁子君 それで、問題は現実に男女差別がたくさんあるということですけれども、たとえばこれは大阪総評の資料でございますけれども、日立造船でも定年差別を現実にしております。たくさんあるんですけれども、皆さんがよく知っていらっしゃる大きな企業、朝日麦酒などでもそうですし、新阪急ホテルでは五十六歳と三十五歳。もうとっくに決着がついているというこういう若年定年を現在まだやっている。こういう事態がたくさんあります。これはそれじゃ民間だけかというと、決してそうではなくて、おひざ元の国家公務員の中に男女差別があるということを私はいまここで一つの具体的な例を挙げて問題にしたいというふうに思います。 これはすでに衆議院で共産党・革新共同の田中美智子議員が提起をして、政府の側でもある程度御理解いただいているというふうに思いますけれども、国税庁で、皆さん御承知と思いますが、税務署では婦人の方もまた男性の方も働いていらっしゃいます。そして私たち国民が行ったときの税務事務、男の方も女の方も変わりなく税務事務をやっていらっしゃいます。しかし、婦人は税務職の試験を受けられないんですね、一つは。そして一般職の行政職でもって入ります。そして今度は入ると、男の人たちは合計すると一年五カ月という研修になるんですが、税務大学校へ入ります。女の人はそういう研修は受けられません。そして二週間の、お茶くみとかあるいは電話のかけ方とか、大体そんなような中身の研修を受けるだけです。そして実際問題として、している仕事は内部勤務ですね、税務署の中の仕事。これは同じことです。 私はこれは、まず雇用差別であると同時に、職業訓練の差別だと思います。そして実際に、そういうことで一年また二年というふうにたってくると格差が生まれてきます。昇格昇任の差別です。格差が生まれるということは、結果的に賃金の差別が生まれてきます。賃金差別です。こんなにもう四重の差別が国税庁、つまり国家公務員で行われている。これは直ちにやめさせて、そして現在国税庁で働いている婦人にも税務大学校に希望者には行かせて、研修を受けさせる。そして、税務職の試験を受けるという資格を男子だけに限らない、そういう措置をとるべきだというふうに考えますけれども、この点について初めにぜひ副総理から御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 男女の権衡というか、そういう問題は非常にむずかしいんじゃないかと思うのです。これはまあ生理的にも両方は違うんだし、それから心情、心ばえ、そういうものも違っておる……。
○山中郁子君 具体的な税務署のことでお伺いします。
○国務大臣(福田赳夫君) 私なんかでは、うちの家内には私の行っておる公務につきましては、これは干渉、容喙はさせません。(笑声)そのかわり、うちの家内のやっておる家事につきましては私は容喙をしない。そういうようなことで、やっぱりその間に調和がとれているということが大事じゃないかと思います。でありまするから、これはまあ一から十まで平等平等と、こういうわけには私はいかないんじゃないか、そういうふうに思います。そういうことが役所の執務にも、執務規律ですか、制度ですか、そういうものにもあらわれているんじゃないか、そんな感じがいたすわけですが、能力があり、その意思があるという人、それには私は機会を与えなければならぬ、そういうふうに思います。
○山中郁子君 能力があり、意思があれば機会を与えるということは、当然試験を受けて、受かって、そして税務職の仕事につきたい、こういう人にはそういう機会が与えられるべきである、こういう副総理の御意見だというふうに思います。私も全くそのとおりだと思います。現状は、国税庁では税務職に婦人は試験を受けられないんです。そして税務の仕事をして、税務職という俸給表を適用されていながらそうした実態にある。このことについて国税庁長官はどのようにお考えになりますか。
○政府委員(磯辺律男君) ただいま先生の御指摘になりましたように、税務の職員は、採用になりますときには初級職試験を受けまして、税務大学校の普通科に入校する。その場合に、受験資格というのが男子に限っておるというような事実がございます。これは、昭和三十年から現在の税務大学校の組織の整備等に伴いまして、こういった制度になったわけでありますけれども、その当時の歴史的な背景を考えますと、税務の職場の仕事というものはいろいろ多岐にわたるわけでございますけれども、やはりその中では課税標準の調査、検査、あるいは犯則の取り締まり、またさらに滞納処分といったようなかなり激務でございますし、中にはやはり身辺の危険を伴うような場合もございます。
○山中郁子君 例外はいいんです、例外は。
○政府委員(磯辺律男君) ちょっと申し上げておきます。それからさらにまた税務の職場上非常に転勤が多いというようなことがございまして、したがって、かたがた税務大学校の普通科の採用人員も少ないというふうなことから、男子職員に限るというふうに決めたわけでございます。しかし、その後の税務の行政の推移を見ますと、やはり女子職員が担当した方がいいような職場というものはふえてまいります。特に最近は、調査とか滞納処分ということでなしに、納税者の方の御相談を受ける、あるいはいろいろと半分は身の上相談みたようなこともお受けしなければいかぬ。その方には女性の方も非常に多いというふうなこともございまして、税務上の問題だけではなく、いろいろと幅広い御相談を受けるケースが非常に多いわけで、こういった職場においてはむしろ男性よりは女性の職員の方が進出された方がいいんじゃないかといったような問題も多々ございます。そういった意味におきまして、私たちは時代の推移に応じまして、やはり女子職員に対しましても幅広い税務の知識、あるいは税務に対する専門職についていただくといったような方向に転換してまいっております。したがいまして、先生の御指摘のような御趣旨というものは、われわれの今後の税務上の研修の問題、あるいは任用の資格の問題、その中において徐々に解決していって、そして最終的にはそういったいわゆる女性なるがゆえに職場の内部で不平等な取り扱いを受けるとか、不利な取り扱いに置かれるといったようなことのないようにわれわれは努めてまいると、かように考えております。
○山中郁子君 ただいまの副総理の御見解と、それから国税庁次長の、若干もう少しはっきりさせたい点もあるんですけれども、時間の関係で、とにかく改善していかなければならないというふうに受けとめておられるということに理解をいたします。 そこで、税務職の試験を男子に限っているという人事院規則になっておりますけれども、これをいま副総理並びに国税庁次長、政府が明らかにいたしました方針に基づいて、人事院としても検討していただかなければならないと思いますが、総裁の御意見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(藤井貞夫君) 税務の試験につきましては男子に限っておるということは、いま先生からもお話がありましたし、国税庁の方からも御答弁があったとおりであります。その理由とするところも次長が言われたとおりでございまして、私たち人事院として試験をいたしまする場合におきましては、やはり直接にその職員を使っていく担当の省庁の意見というものを十分尊重をしながらやっていくということは、無論根本的なたてまえに相なっております。しかも、その点につきましては理解のできる面も多々あるものでありますからして、現在のところ男子に限っておるということでございますけれども、いまお話のありましたような線で国税庁の方においてもなお検討を進めていくという姿勢でございますれば、われわれの方もそれと並行して検討を進めたいと思います。
○山中郁子君 これは税務職だけじゃないんです。ほかにもたくさんあるのです。国家公務員の中でこういう差別があるということは、もともと国の責任の重大さをやはりいままでないがしろにされてきたことだと言わなければならないと思います。ぜひとも税務職の問題だけでなくて、人事院規則全体を見直して、少なくともこの国際婦人年に当たって、なおかつ国家公務員の中でさえそうした差別が残っている状態がなくなるように、ぜひとも国として急いで手を打っていただきたいというふうに思います。 このように国家公務員の中でも差別がありますから、民間の中では申し上げれば切りがないほどの差別がたくさんあります。そこで総理府が諮問をいたしました御存じの「婦人に関する諸問題の総合調査報告書」という、こういうりっぱなものがあります。この中にたくさんいいことが書いてあるのですけれども、この男女差別の問題に関しまして「「職場における男女差別」の苦情処理機関の設置」ということで「昇進・昇格の男女格差、女子の若年定年制などをなくし、男女の均等待遇を確保するために「職場における男女差別」の苦情処理機関の設置が必要である。」と、こういうふうに意見を述べておりますけれども、私は傾聴に値すべき意見だと思いますが、労働省の御見解と具体的な施策についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) お尋ねの内容は、昨年の総理府の婦人に関する諸問題調査会議の報告中の御提言かと思います。労働省といたしましては、現在就業における男女平等の問題について専門家による調査研究を行っているところでありまして、その研究の成果を待って必要な対策を講じてまいりたいと、こう思っております。
○山中郁子君 具体的な苦情処理機関の問題については、これを受けた具体的な施策を講じられるつもりがないのかどうか、その点についてお願いいたします。
○政府委員(森山眞弓君) 就業における男女平等問題の研究会議は昨年の十二月に発足いたしまして、つい先日第二回目をいたしましたところでございまして、非常にこの問題、複雑でまた多岐にわたりますものですから、これから鋭意進めていただきたいというふうにお願いしているところでございます。内容につきましても、また、いつごろというめどにつきましても、いまのところはっきり申し上げられる段階ではございませんので、御了解いただきたいと思います。
○山中郁子君 いっぱい差別があるということは認められて、そしていつも政府はいろいろ研究会をやってもらっていますというふうにおっしゃいますけれども、それが出るまで出るまでということで国際婦人年なんか終わっちゃいますよね。そうではなくて、本当に現実にあるんですから、そういう問題を解決していくという積極的な施策を、先ほどの福田副総理の言明なさった趣旨に基づいて進めていただきたいということを強く要望いたします。 次に、私は母性保護の問題に関して話を進めていきたいというふうに思います。 いま母性保護の問題に関しましてはさまざまな切実な要求がありますけれども、一つの大きな要求といたしまして、何といっても産前産後休暇を延長してほしいということが大きな願いになっております。これはすべての労働団体、そしてすべての婦人労働者、働く者が要求しております。そこで、この問題に関しまして労働省その他も研究会などをつくってやっておられるわけですけれども、いつ延長に踏み切って、そして母性保護のために政府としての施策を講ずるのか。こうした基本的な考え方について労働省のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) 産前産後休業につきましては、世界的傾向を見ますというと、おっしゃるとおりILO百二号条約においても、産後六週間の強制的な休暇期間を含みまして、産前産後十二週間となっているように記憶しております。書類によりますと、ソ連、西ドイツなどにおいてはもうすでにこれを超える規定を行っておるようでありまして、わが国におきましては、御指摘のように目下労働基準法研究会において、産前産後休暇問題を含めて労働基準法に定められている女子労働者の保護に関する規定についていま研究調査しておりまして、その研究結果を待ってこれが姿勢について検討してまいりたいと、こう思っております。
○山中郁子君 研究結果を待ってということじゃ、もうみんなは待ち切れないというのが実態です。 そこで、私はきょう慶応病院の看護婦さんをしていらっしゃる大久保さんに参考人として来ていただきましたので、大久保参考人から現場の実態、働く者の願いについて訴えていただきたいというふうに思います。
○参考人(大久保弘子君) 私は慶応大学附属病院の看護婦をしています。ここには千四百名の職員が働いていますが、そのうち八百名が婦人、特に看護婦が六百名を占めています。社会的にも大切な職業として誇りを持ち、働き続けたいと思っておりますが、医療を本当に守ろうと必死になればなるほど、自分の健康は破壊され、子供まで産めなくなるという現実、そういう状態を病院の現場で働く看護婦としてぜひ知ってほしいと思いまして、私はきょうここに白衣で出席させていただきました。 私たち看護婦は、御存じのようにほとんど三交代勤務になっています。私が看護婦になって初めて勤務したのは外科病棟で、ここでは夜勤が十日、すなわち一カ月の勤務日数の約半分は夜勤になっていました。このような状態では、看護婦は慢性的な睡眠不足のまま勤務せざるを得ません。一つの病棟には常に五十人近くの患者がいて、そのうち毎日五、六人が手術を受けて戻って来ます。これらの患者を夜勤ではたった二人の看護婦で世話しなくてはならないのです。一瞬のミスも許されずに夜通しベットからベットに走り回らなくてはならない、極度の緊張と体力が要求される仕事なのです。私が勤務を始めたときには五十四キロあった体重も、一年後には七キロも減って四十七キロになっていました。このような激しい仕事を妊娠した女性が続けるときの苦痛を、皆さんには想像していただけるでしょうか。 私が最初の子供を妊娠したときは、つわりがひどくて、吐きながらでも、おなかが張ってきて立っているのがやっとでも、かわりの人がいないために休むわけにいきませんでした。そうして、患者に呼ばれれば笑顔で接するのが看護婦の努めと思って、苦痛をこらえて必死の思いで勤務を続けてきたのです。このような状態では、生まれてくる子供が正常であるという保証はなにもなく、私は、まともな子供を無事出産できるかと考えると不安でたまりませんでした。事実、同僚にも異常分娩が相次いで起きており、切迫流産はほとんどの人が経験しており、死産に至ることもしばしばでした。どうにか生まれてきても、それが先天的股関節脱臼や斜頸、つまり首がこうやって曲ったままの子供なんですけれども、そういう子供はまだましの方で、心臓の奇形や知恵おくれ等の重症もたび重なりました。 これは決して誇張ではなく、労働組合の調査でも、昭和三十八年から四十九年の十年間に生まれた七十九名中、母親、子供ともに異状がなかったのはわずか三名にすぎなかったという驚くべき数字が出ております。七十九名中三名。これでは同僚が妊娠したと聞いても、おめでとうなんという言葉はとうてい出てきません。 私自身は、最初の子供のときは、途中から夜勤のない外来にたまたま配置がえができましたので、無事出産することができましたが、外来ならば夜勤がないから大丈夫ということはなかったのです。三時間待って三分診療と言われるように、患者は多く、長時間立ちっ放しで、応待の仕方にも気を使うことが多く、二度目に妊娠したときは四カ月目に切迫流産で入院し、ついにおなかの子供を死なせてしまいました。その子の骨が小さな箱の中で立てるカラカラという音を聞いたときには、怒りとも悲しみともつかない何とも言えない気持ちでした。 それから三年後に三回目の妊娠をしましたが、またもや三カ月目の、それも勤務中に出血し、切迫流産の診断が下ったため、白衣を着たまま即刻入院となりました。一ヵ月半ほど職場を休んでからまた勤務に戻りましたが、私たちのように立ちっ放し、動きっ放しの仕事では、もう予定日の一週間くらい前から下腹が張って腰は痛くなり、足がむくんだり突っ張ったりして、それこそ坐り込みたくなるほどの苦痛を感じます。横になればおなかの張るのも治りますから、横になって休みたいと思っても患者の大勢いる忙しい中でそれもできず、診察室のカーテンに隠れてうづくまったりして我慢していましたが、産前六週間まで勤務を続けるのは並み大抵のことではありません。私もとうとう八週間前から休まざるを得ませんでした。 私の二度にわたる切迫流産の原因は、外来の過重な労働にあることはもちろんですが、それに加えて、産後六週間で勤務を再開したために、体力の回復が十分でなかったことにも原因があると思います。やはり産後の休養を十分とるということも、第二子、第三子を無事に出産するためには必要なことで、産後三週間は昔から髪もとかさず、本も読まず、寝ている生活をするものと言われています。四週目にはようやく家の中の仕事をし始めますが、まだ外の光には目がくらみ、夕飯の買い物をするのがやっとという状態です。六週間ではようやく自分のことと子供の世話ができるくらいのもので、毎日の通勤に耐えられるほどの体力には戻りません。まして看護婦のような厳しい仕事ができるためには、どうしても八週間の産休は最低限必要だと思います。 産前産後六週間しか休暇のとれなかった最初の子供のときは、母乳もすぐとまりました。しかし、毎月一万円近い賃金カットをされながら二日ずつの生理休暇をとり続け、四万円の賃金カットと引きかえにとった産前八週間前に入った休暇、それをとって生んだ二番目の子供のときは母乳だけでも育てられました。医師の診断書が出ている病気のための欠勤についても、賃金カットがされるのが現状です。 このように、私の経験から考えてみても、多くの看護婦が現在置かれている条件は、母性の保護という面においては非常に劣悪であると言わざるを得ないと思います。何千円もの賃金カットを覚悟しなければとれない生理休暇、一年間に七キロも体重が減ってしまうほどの過酷な夜勤、前後六週間しかとれない産休、大きなおなかを抱えて通勤ラッシュに一時間も一時間半ももまれて、へとへとになりながら出勤してくる看護婦もたくさんいます。これではとても丈夫な赤ちゃんを産むことは望めません。 このようなことから、せっかく優秀な技術を持っていても、結婚後も働き続ける見通しがないため、毎年多くの看護婦が退職していきます。それがまた看護婦不足を招き、さらに職場の条件を悪くしていくことになるのです。国民の命と健康を守り、次代を担うべく生まれてくる子供たちの健康を守るために、皆様方の真剣な御検討を心からお願いいたしまして、私の陳述を終わることにいたします。
○山中郁子君 ありがとうございました。 おわかりいただいたと思います。私も看護婦さんと同じに、労働基準法の女子の深夜労働の適用除外になっております電話交換手として、過去長い間働いてきました。だからその経験の中でも、自分でも子供を産んで育ててきましたので、よくわかっておりますけれども、それほどいま切実な課題になっています。どれだけ母性がそれで破壊されて、そして看護婦さんの場合には、国民の健康が損なわれるという要因をつくっているかということは、本当に口先だけでなくてわかっていただかなくちゃならないことです。 それで私は、現場の人たちの気持ちと実態ということとあわせて、きょう同じく産婦人科の専門家として参考人として出ていただきました長橋先生から、専門家の立場からのこの問題に対する御見解をお伺いしたいというふうに思います。
○参考人(長橋千代君) 私は、東京の豊島に開業しております産婦人科の医者でございます。 仕事の関係上、毎日たくさんの妊婦さんや産婦さんに接し、そしてたくさんのお産に立ち会ってまいりました。私、お産に立ち会うたびに、もう本当に自然の摂理のすばらしさに打たれて、これが普通だったらとても不可能と思われるような、ああいうみごとな赤ちゃんが母体からやすやすと生まれてくる、その美しさ、すばらしさにいつも打たれるのでございますが、いかにすばらしいことであると言いましても、お産というものは物すごい労働でございまして、自分の持っているエネルギーを全部費やして、そして産み終わるものなんでございますが、昔よく深窓の令嬢など、あるいははしより重いものを持ったことのないような生活をしていらっしゃる方たちがいかにお産が重くて難産であるかということは、それだけの体力がないからそういったことに立ち至るものであるということが容易に想像されるほど重労働でございます。 そういうお産をつつがなく終わるためには、どうしてもお産の前に産休というものが必要になってまいります。そのために現在の労働基準法でも六週、六週の十二週が定められているわけでございますが、こういう産休がやはり実際は不足であるということを具体的に申し上げますと、これはWHOの七〇年の調査でございますが、われわれ日本人といたしまして、先進国であると自負しているつもりなんですけれども、この調査による数字を見ますと、日本は上から三十七番目に位するわけです。いかに妊産婦の死亡率が高いかということを、ここに山中さんの、ちょっと借りました数字を読み上げてまいりますと、七〇年、これは十万人のうちの妊産婦死亡者の数でございます。日本は五二・一、アメリカは六九年ですが、これは二二・四、フランスが二八・一、オランダが一三・四、イギリスが一八・六、スウェーデン一〇・〇、スイス二五・二、オーストラリア二五・六、カナダ二〇・二。まあざっと見ましても日本はオランダの四倍ですし、スウェーデンの五・二倍、スイス、オーストラリアの二倍に当たる、これだけ死亡率が高いわけです。 大体この死亡の原因としましては、出血とそれから妊娠中毒症が一番多いわけでございますが、この中で非常に妊娠中毒症というのが問題でございまして、この出血も、妊娠中毒症の患者さんにはやはりお産のとき出血が多いことで、結局は妊娠中毒症というものが非常に大きな問題にされてくるわけですが、この妊娠中毒症のうち、これは産前の休養がいかに大事であるかということを非常に示すものでございまして、妊娠中毒症は、体質もございますけれども、やはり過労やら、それから生活の環境、それから食事の影響などによりまして起こる疾病で、妊娠に合併する疾病のうち一番恐ろしいものとされておりますが、この妊娠中毒症にもしかかるといたしましても、早いうちに適当な医療を受ければそれを重症にさせずに済むということから申しまして、働いている方たち、妊婦さんを拝見しますと、もう六週間がぎりぎりの線で、これ以上あなたは仕事を続けたらもうだめだという線が非常に感じられるわけでございます。そうして、この定期的な妊娠の診察によりまして、妊娠中毒症にかかっても軽いうちに入院あるいは適当な医療行為によりまして、つつがなく出産される方が非常に多いわけですが、この時期を誤りますと、お産のときに、いま申し上げましたような死亡率を示すような結果になるわけでございます。 それから、これは産前休暇がいかに重要なものであるかということなんですが、産後の休暇につきましても、出産は、先ほど申し上げましたように、非常に重労働であるとともに、これにお産のときには必ず出血が伴いまして、その量も、それは個人差がございますけれども、多い方は千以上も出て、これは輸血をしなければいけないというようなことですが、軽くても二百、三百の出血をいたします。そして、お産後の六週間、現在では六週間の間に、このお産のための疲労と出血と、その上に加えて今度は育児という問題が出てまいりまして、この育児のためによる疲労、そういうものが含まれたこの産後の六週間では、とてもとても私たちから考えましてもう非常に少ない、少な過ぎる日数だと思うわけでございます。 そして、最低ぎりぎりの線八週間ということが出されているわけですけれども、私たちの立場といたしましては八週でもなお遅い——まあ八週でようやく生気の回復と、それから大体の、貧血の状態はまだもとに戻っておりませんけれども、まあまあ通勤も可能であるし、職場に出ても働けるような状態だと、個人差がございますけれども、回復のいい方ではそういうふうに考えられますけれども、この育児の問題と、特に母乳の問題を考えてまいりますと、非常にこの八週では不足になると思うんです。それは非常に母乳の出る方でも、職場に出られますともう極端に母乳の分泌が減りまして、そしてこの八週を十週あるいは十二週までに延ばすことによって、非常に赤ちゃんを健康な赤ちゃんに育て上げることができるのではないかと思います。最近、母乳の運動が厚生省あたりからも御指示が出ているようでございますけれども、確かに母乳と人工栄養児の比較をいたしますと、死亡の点において四対一の割合、それから罹病率において三対一と、非常に母乳がいいということは数々の証明をされておる関係上、どうしても産後の休暇は八週からもっと以上を私たちとしては必要と考えております。そしてこの問題は、日本ではますます働く婦人の中に既婚者がふえ、そして赤ちゃんを持つ方がふえてくることから考えまして、これは大きな国民的な立場からこの問題をお考えいただきたいと、私たち毎日医療の、特に産婦人科の医療に従事している者にとりましては、非常にこの点を切望する次第でございます。
○山中郁子君 ありがとうございました。 おわかりいただいたと思いますので私は繰り返しませんけれども、医学上から言っても、つまりこれは労働省が委嘱をしております研究会の専門委員報告の中でも、疲労回復というのはやはり十週、十一週まで訴えられるんだと、こういうことに注目をしなければならないというそういう報告書を出しております。そしてまた、現実の問題としても、この日本でも五百人以上の企業ですでに十二週間、いま労基法で決められています十二週間を上回って産休を採っているところが二一%あります。これは、いかにこれが実際的に必要であるかということを示しているというふうに思います。それから先ほど労働大臣もちょっと触れられましたけれども、諸外国においてもベルギー、西ドイツ、フランスなどは十四週間です。それからカナダやソ連は十六週間ないし十八週間、イタリアに至っては産前二カ月産後三カ月と、こういうふうにして母性の保護を強めつつあります。これはもう世界の趨勢です。医学的に言っても、それから働く人たちの要求から言っても、そしてまた世界の水準から言っても、まさにそういう機が熟しつつあるというふうに考えます。 そこで、私は端的に二つのことをお尋ねしたいと思います。決して政府はこの出産休暇について現状の労基法が理想的で十分であるとは思われていないと思いますけれども、そのことが一つです。それからもう一つは、先ほど御答弁がありましたけれども、こういう実態のもとで本当に具体的に、いつごろまでにめどをつけてこの改正に取り組む御所存であるか。この二点について端的にお答えいただきたいというふうに思います。労働大臣にお願いいたします。
○政府委員(森山眞弓君) 労働基準法の改正につきましては、産前産後の休暇のことも含めまして労働基準法研究会において審議されているところでございます。それで、先ほど先生がおっしゃいました医学的専門的な立場からの研究報告も昨年末に出たところでございますので、そのようなデータを材料にいたしまして、さらに法制上どのようにしたらいいかということを御研究中でございますので、その結果を待ちまして私どもといたしましては対処いたしたいと考えます。 ただ、労働基準法につきましてはいま申し上げたとおりでございますが、二年前にできました勤労婦人福祉法によりまして、労働基準法には特に書いてございませんけれども、母性の健康管理につきまして、たとえば通勤の緩和ですとか、あるいは健康診査のための時間をとるとか、そのようなことにつきまして基準を設けまして、行政指導を進めているところでございます。
○山中郁子君 私はそういうことをお伺いしたのじゃないんです。森山局長も、御自分が御婦人でいらっしゃるし、よくおわかりだと思います。いま大久保さんもおっしゃり、それから長橋さんもおっしゃった、こういう具体的に切実な実態のもとで、政府がどれだけ心を込めて本当に心のこもった政治としてこの要求に取り組むかと、このことをお伺いしているんです。つまり、産前産後休暇、現行六週間で十分で理想的だと思っていらっしゃるんですか。そんなことはないでしょう、そのことが一つです。それから、こういう実態にあるなら本当に積極的に、いままでみたいなペースでなくて、一刻も早くこの法改正の問題に具体的に取り組む、そういう決意をお伺いしたい、このことを伺っているわけです。
○国務大臣(長谷川峻君) 森山局長も母性でもあり、勤労婦人でもございます。あなたと同じ立場で、母性を守る立場でございますので、お話の間の問題は私もそしゃくをいたしまして、本当に勤労婦人を守る立場において推進したいと、こう思っております。
○山中郁子君 もう一つ確かめます。現行で十分で理想的だとは思っていらっしゃいませんね。そのことだけ端的にお答えください。
○国務大臣(長谷川峻君) 私は、いままでお二人の参考人のお話を聞きながら、自分の家内も三人の男の子を生んだこと、そのことを思って、どんなにつらい思いをしたかと。せんだって話をしておったら、物のない時代に三人の子供を、一人をおぶって歩きながら、何遍となく日射病で卒倒しようとした、そういう話を聞きますというと、まさにその期間の問題について、私自身は直接わかりませんけれども、そういうことのないようにひとつ前向きの姿勢で考えたいと、こう思っております。
○山中郁子君 いま森山局長からお話がありましたけれども、私は婦人少年局の皆さんが努力していらっしゃることはよく知っております。しかし、それを本当に政府として努力をしなければ、せっかくの婦人少年局の皆さんの御努力も実らないということを申し上げたいわけなんです。 それで、森山さんがいま言われましたけれども、通勤緩和の問題だとか、あるいは通院休暇の問題なんかも勤労婦人福祉法で行政指導しておりますと、こういうお答えでした。私はこの点について一言だけ触れたいと思うのですけれども、勤労婦人福祉法というのは、これは努力法律です。ですから強制義務になっていません。努力義務になっているんです。そして実態は、あれに基づいてどれだけの行政指導が行われて、あれに基づいてどれだけの民間の会社で通勤緩和が行われたり、通院休暇の保障が行われているかということは、私が申し上げるまでもなく、それは本当に微々たるものであるということは政府がとうに御承知のとおりだというふうに思います。こうした通勤緩和ないしは通院休暇の保障ですね、これは人事院規則によって国家公務員にはいま保障されております。これも皆さんの大きな要求と、そして関係者の御努力によって実ったものです。そして地方公務員においても、自治省の次官通達その他で実現はされております。ですから、やはりこの問題も政府の責任で、勤労婦人福祉法で努力義務をうたっているからというだけではなくて、一番初めに申し上げましたように、関係者を、企業をみんな集めて労働大臣が直接、ことしは国際婦人年だからこういうことをやりなさいということを強力に指導する、こういう中身としてとらえていただきたいというふうに思います。この点についての御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) 日本はいま勤労婦人が千二百万と言われているんですね。私はけさのテレビを見ておりまして、サウジアラビアのお葬式を見ておった。あの中に御婦人が一人もいない。やっぱりチャドールを着ているところと、やはりそれをかなぐり捨てて職場に出るところが、日本の大きな経済発展の基礎をなしておると、こういう基本を持っておりますから、先生がおっしゃったようなチャンスがあれば、幾らでもひとつしっかりとそういうところでPRなり、あるいは向上のためにそういうものが役に立つならば懸命に努力したいと、こう思っております。
○山中郁子君 チャンスがあればじゃない、政府がチャンスをつくるべきだということです。そういうことで御理解いただいていますね。チャンスなんか、なかなか来ないです。企業は労働大臣にそういうことをやってくれなんて言ってきませんよ、少しでも出したくないんだから。チャンスをつくって積極的にこの問題についての解決を進めていっていただきたいというふうに思います。 時間がなくなりましたので、最後に私は厚生省にお伺いをしたいんですけれども、きょう、たまたま看護婦さんに見えていただきました。たくさんの看護婦さんも傍聴に見えていますし、職場の婦人の人たちも見えています。そして午前中の審議にもございましたけれども、二・八というふうな形で、つまりこれは看護婦さんの二人夜勤です。そして月八日以内に制限すべきだと、こういう趣旨です。こういうものが十年たって、その二・八の人事院の判定が出されたときからどういうふうに変化しているのか、私の方から数字を申し上げるならば、変化をしていないんです。悪くなってるんです。そういう実態があります。一体これはいつの時点までにこの人事院判定が出ている二・八体制をやり遂げていらっしゃるつもりなのか。私は三年計画でこれの八〇%の達成ということを厚生省が計画なさったと伺いましたけれども、これが具体的に今年度の予算でどのようになったのか、幾ら要求なすって、そして多分削られたんだと思うんですけれども、どのように削られたのか、そういうことをあわせて伺いたいというふうに思います。
○政府委員(滝沢正君) 先生御存じのように、二・八というのは二人で八日ということでございますが、これは二人の分野をふやそうとすれば、八日の日数が一つの病院では長くなるというようなことで、先ほど参考人から十日、国立病院の平均は九日強。で、この人事院の勧告が出てから、厚生省として直接的には国家公務員の問題でございますので、四十五年、四十六年、四十七年と、三カ年計画で定員、賃金を含めまして約二千名以上の増員をいたしまして、五〇%を目標に、当時それよりは低かったわけですが、五〇%を目標に進めてまいりました。四十八年、九年はこの問題について、難病対策その他もございましたので、本格的に取り組むことができないでおりましたけれども、五十年の予算要求において、先生おっしゃるように、二・八体制というものを必ずしも三年計画というような計画的なものは、過去の四十五年、六年、七年には三年計画で五〇%の達成ということでございましたけれども、今回につきましては、一応そのような点を予算要求としてはならった考え方を一応とりましたけれども、結果的にはこの総定員法の厳しい中で、国立病院、療養所、らい療養所を通じまして千五百名の看護婦の増員が認められ、直接的に二・八体制に関係する看護婦の数字につきましても六百三十一名という増員を認めていただいたわけでございまして、この点については、確かに県立、日赤、済生会というものは、国に対する判定ではございますけれども、地方のそのような公的の病院については国よりも若干進んでいる面がございます。 この点につきましては、われわれはこの総定員法の厳しい中ではございますけれども、看護婦の勤務条件の改善あるいは病棟の患者さんの病気の構造の変化、こういうものに対応するためにやはり二・八体制というものは必要である。ただ人事院の判定の内容は、必ずしも完全に実施しろというわけではなくて、一人夜勤を実施している看護単位もあってもやむを得ないと、その状況によって判断して逐次計画的に進めなさい、こういうふうになっておりますので、われわれとしては現状においてこの何%をいつまでにということを計画的に申し上げるわけにはまいりませんけれども、五十年、幸いにこのような新しい国立病院、療養所の改善の方向が方向づけられましたので、引き続き、行管あるいは財政当局の御協力を得ましてこれの改善を図ってまいりたい、こういうわけでございます。
○山中郁子君 財政当局の協力を得てというお話ですので、厚生大臣と大蔵大臣にお伺いしたいんですけれども、人事院判定が出てもう十年たってるんですよ。そしていまのお話によりますと、いつまでに体制を確立するということは言えないと、こんなことがありますか。厚生大臣に、いつまでにこれをやるおつもりなのか、そして大蔵大臣はそういうことを本当に責任をもってやっていくと、こういうことをはっきり示していただきたいと思います。もう十年たってるんですからね。
○国務大臣(田中正巳君) いわゆる二・八体制の確立、これについては急がなければならないと思っておりますが、いままでは特殊な医療事情——難病とか、あるいは国立におきましては重症心身等々の問題が出てまいりまして、これの後追いに狂奔をしたわけでございますが、いま事務局長が言いましたとおり、今度は二・八体制としての制度の確立を見ることができるようになりましたので、これについては、もう国会で私、十遍ぐらいしかられましたので身にしみておりますので、今後ひとつ大いに努力いたしたい。ただし、いまここで何年ということを申し上げることについては、計画も正直言ってまだございませんから、したがって、今後大いに努力をして、できるだけその要請に近づけるというふうに申し上げておきたいと思います。 〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕
○国務大臣(大平正芳君) 厚生当局の申し出がございましたならば、財政の許す範囲におきまして最大限御協力申し上げたいと思います。
○山中郁子君 とにかく現実の問題として、そういう形式的な官僚的な受けとめ方じゃだめなんだということを、私は先ほどから申し上げているんです。ですからもうそのことは繰り返して申し上げません。 それで副総理にお伺いをしたいんですけれども、たくさんなことがありますが、先ほど大久保参考人から言われましたように、看護婦さんが妊娠して、あるいは出産後も深夜勤労働をしているという実態、どうお思いになりますか。これは労基法でも、妊産婦は軽易作業に転換するということが決められているんです。それにもかかわらず、妊娠しておなかの大きい看護婦さんが深夜労働しているんですよ。こういう実態は直ちになくす、これは民間、国立問わずです。なくすということ、これはもう本当に、むしろ野蛮なことだというふうに思います、実態としてですね。これはとにかく国際婦人年に当たって、具体的に直ちにこういうことをやめていくと、こういうふうな政府の責任ある態度を示していただきたいというふうに思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどからお話を承っておりますが、妊産婦の労働の基準、これは大きな問題だと思います。よくこれは労働大臣、厚生大臣と相談いたしまして、なるべく婦人労働者の健康というか、妊娠にまつわる健康問題には配慮した措置をとりたいと、かように考えます。
○委員長(大谷藤之助君) 時間になりましたから。時間超過ですから。
○山中郁子君 はい。 なるべくということではなくて、必ず政府としてそうした責任ある措置をとっていただきたい。これが本当に国際婦人年ということでこのように宣伝したりするということの、これが本当であるということの証明になるわけです。これを本当にすべての婦人たちが見守っているということを強く申し上げまして、そしていまのお約束を必ず実行してくださるように、お約束をしていただけなかったものについてはさらに前進的に私どもも追及いたしますし、政府としても取り組みを進めていただく、こういうことを最後に要求いたしまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。(拍手)
○委員長(大谷藤之助君) 柄谷道一君。
○柄谷道一君 昨日もお願いをいたしましたが、制限時間が二十六分でございますので、答弁及び参考人の陳述は、はなはだ失礼でございますけれども、簡潔にお願いをしたいと思います。 人口問題審議会が昨年四月、将来人口を予測いたしております。まあくどくどとその数字を申し上げる必要はないと思うんですが、昭和五十年は八百七十一万人、構成係数七・九三%、それが六十年には千百五十万、七十年には千五百三十八万、構成比一一・九八%に達するであろう、そういう人口将来予測の上に老人の総合施策を早急に確立する必要のあることが問題提起されているわけであります。これはまさに今日の政治に課せられた急務であると言わなければならないと思います。そこで政府は、本年度中に総合的な老人保障のための中期五カ年計画と、これを実施する年次計画を確立する用意があるかどうか、お伺いします。
○国務大臣(田中正巳君) 柄谷先生のお説のとおり、日本においては急速に老齢化人口が増加しつつあるわけでございますから、今後の政策の大きな課題になるということを私どもも認識をいたしております。そこで、こうした高齢化社会を迎えるに当たりまして、老人対策を今後計画的に実施をいたそうということを考えておりまして、現在経済企画庁等で策定中の新経済計画と符節を合わせまして、明年度からこうした老人福祉対策を含め、社会保障政策プロパーについても計画的な実施をいたそうと思いまして、目下その計画の策定にいろいろ努力をしているところでございます。
○柄谷道一君 いま御答弁があったわけですけれども、私は現在の老人施策の延長線においては、部分的、糊塗的後追い対策になってしまうと思うわけであります。深刻化する老人問題にそうした行政姿勢では対応することができないと思います。そこで私は、総務長官に質問しようと思ったんですが、いませんので厚生大臣にお伺いします。 わが国の老人の自殺者、これは政府発表によりましても年間四千七百人に達すると言われております。これは交通事故の死者の約半数に当たる数字でございます。しかも交通事故死の中には老人が多数含まれているという事実を考えますと、わが国の高齢者に見られる悲惨な死の様相というものは、大量死が日常化している一種の戦争状態ではないかとも言えると思うのであります。老人の自殺原因は、死者は何事も語らないということからこれはわかりません。しかし、自殺の状況というものを再構成することによってある程度の推定は可能であろうと思います。政府は、このような現実のよってもたらした原因というものがどこにあるとお考えになっているのか、お伺いします。
○国務大臣(田中正巳君) 自殺の統計はわが省の統計調査部でやっているところでございますが、六十五歳以上の自殺者の数は毎年四千人前後と見られておるわけでありまして、外国と比較をした場合、特に婦人の老人の自殺率が高いと言えるようであります。 そこで老人の自殺の原因につきましては、先生御指摘のとおり、なかなかその原因がわかりませんが、推測できることは、やはり健康上の問題、経済問題、身の回りの問題、あるいは孤独感といったようなものであろうというふうに推測されますが、これについては、まあ数の上ではやはり日本においては諸外国に比較をして少ないとは言えませんが、諸外国においても老人の自殺問題というのは、かなり社会保障の進んだ国でもなかなか深刻な問題と承っておりますが、今後こうした問題をできるだけ解消するために、いま先生が御唱道のとおり、老人福祉施策をできるだけ進めなければならないというふうに考えております。
○柄谷道一君 老人の自殺の示すその背景が複雑である、御指摘のとおりであります。私は、老後というものは社会的リタイアから死に至るまでの時間がかかるということ、しかも、平均寿命が延長することによってこれは普遍化してきております。社会的に貢献してきた人々が老後を社会的な弱者として投げ出される、当然収入の道を断たれて公的機関や家族による扶養者となる、しかも老後は病苦にさいなまれる、しかも回復機能は低下する、そこで社会的弱者という立場をさらに悩ませる。四十万人に上ると言われておる寝たきり老人は、その老人の病苦が家族全体を巻き込む不幸に発展している。そこで、こうした環境の中で、社会的に決定的な弱者としての意識に出会って、心身ともに衰退してこれが厭世につながっていく、私はそう理解するのであります。 交通戦争は、取り締まりによってある程度死者を減少させることができます。しかし、老人問題の戦争という問題は、福祉の拡充なくしてこれを減らすことはできないと思うのであります。三木総理大臣は施政方針演説の中で、今後の日本は「物的生活は簡素に、精神的生活は豊かであることを目指して、新しい時代の生きがいを求めていこう」、こう施政方針で訴えられたわけであります。しかし、この死者の現実というものを振り返りますと、総理大臣の目指す社会とはまだまだほど遠いものがある、こういうふうに考えざるを得ないのであります。本当にいま御答弁どおり、明年にはやはり老人福祉のための総合施策、これを実施していく年次計画を厚生大臣としては責任をもって確立するということをお約束願えますか。
○国務大臣(田中正巳君) いま厚生省の考えておるいわゆる社会保障の長期計画というものは、老人福祉だけではございませんで、社会保障、社会福祉全般についての計画でございますが、しかし何といいましても、現下一番重要な社会保障問題は、私は老人対策であると認識しておりまするので、したがいまして、この長期計画の中には大きなボリュームを私は老人福祉対策が占められるものであるというふうに確信をいたしております。
○柄谷道一君 近藤参考人にお伺いしたいと思うわけであります。 最近、老人医療の無料化が進んでおります。これはまことに私は結構なことだと思うわけであります。しかし、これに関連いたします医療供給体制というものをながめてみますと、わが国の医療が治療中心であって、高齢化社会への適応性を欠いている。また特別養護老人ホーム等の福祉施設は昔ながらの養老院という暗いイメージが強くて、その施設の質も貧弱である等々の問題点が指摘されているわけであります。近藤参考人は老人専門病院の院長として、またこの方面の権威者として御経験も豊かな方でございますので、これらの問題に対する参考人の御意見を承りたい。
○参考人(近藤六郎君) 私は社会福祉法人の有隣病院という、もともと結核専門の病院におる者でございますが、最近結核患者そのものもどんどん老齢化いたしまして、私のところなどは百八十人の結核患者のうち六四%が六十歳以上という状況なんです。そういう意味で、最近私は老人医療に大いに挺身いたしておる者の一人でございます。私から改めて申し上げるまでもなく、老人福祉という問題、これはカレントトピックスの重要な課題でございますが、これは医療を抜きにしては考えられないものでございます。そこで老人医療に関するいろんな問題点を、先ほど柄谷さんからのお話もございましたが、申し上げまして、今後のあり方に対する御参考に供したいと思います。 まず、先ほども御発言がありましたが、一般に老人ホームというと何となく世間の同情が集まるのでございますけれども、老齢患者のお世話をする老人病院となるとどうも関心が薄いように思われます。それは、恐らく老人ホームには昔ながらの養老院というイメージがあるのに対しまして、老人病院というものが、医療はすべてペイするものだというような固定観念が先行して、共感が生まれないのじゃないかというふうに考えます。現にボランティアの人たちも、最近ではホームの方には盛んに来てくださいますが、老人病院にはまだその気配がないのでございます。ところが、実際に心身の不自由な高齢患者が何かの病気を持つということになりますと、治療、看護、介護、その他の上から、それこそ労多くして功少ないという点で、老人ホームとは格段の差があるわけです。食事、入浴からおむつの世話あるいはリハビリの手伝い、医療介助等、想像以上の多くの人手が要るんです。 われわれの長い経験から申しますと、老人患者三人に少なくとも一人の看護要員がどうしても必要なんです。しかし、その業務内容を見ますると、看護よりもむしろ介護あるいは介助が主体になる場合が非常に多いものですから、健康保険法に規定する基準看護の制度に定めておるところの有資格者の数は、看護要員の必ずしも八〇%は要らないのです。せいぜい六〇%ぐらいで事足りるというふうに私は考えます。そうすると、結局看護要員は全体として三人に一人という、いわゆる特一類の看護に当たるのですけれども、有資格者が八〇%いないというために、基準看護料は二類の看護料しか認められないということになりますから、結局一人一日について特一類ですと千二百三十円の加算がありますが、二類ですと四百七十円の加算しかないわけですから、その差の七百六十円というものは毎日一人について収入減になるわけです。これは病院経営の上に非常に損失でありますが、そうかといって看護業務に支障のない限り、わざわざ絶対数の不足している有資格者を、八〇%にするために無理してかき集めるというむだな努力をする必要はないと思います。 次の問題点でございますが、老人病なるものが老化現象という基盤の上に生じたものでありますからして、青壮年の場合と違いまして、余り濃厚な治療とかあるいは検査ということもできないし、効果を十分期待されないうらみがあります。したがって、どうしても経過が長引いて、ベッドの回転率が悪く、入院料の中のいわゆる医学管理料、これは一カ月までは八十一点、一カ月から三カ月までは七十三点、三カ月以上は六十六点、つまり六百六十円という、その期間差による逓減制の中の最低料金しか徴収できないというケースが大多数となるわけです。まあ大体以上のような理由から、老人病院では予想以上に多い人件費を賄うだけの医療収入を得ることが非常にむずかしいのです。 その上に申し上げたいことは、施設やあるいは建築費、設備費その他全く公費の助成という道がないわけです。そればかりか、融資の際も医療金融公庫がせいぜいであって、社会福祉振興会とかその他の有利な融資というものは、はなはだその道がふさがれているわけです。何しろ日本には余りに私企業的な私立病院が多いという特殊事情もありますけれども、とにかく医療収入で設備整備費一切を賄うというような、患者不在の不合理な制度は日本にしかないわけです。現に西ドイツでは、すでにクランケンハウス・フィナンツィールングス・ゲゼッツ——病院財政安定法といいますか、あるいはフランスでも同様な法案がありまして、州あるいは連邦が必要と認めた病院に対しては全面的にこれを助成しているということから考えますと、現状の日本の福祉国家の看板が泣くのじゃないかと思うのです。 幸いにして、私のところでは五年前から特別養護老人ホーム、つまり寝たきり老人を百十人お預かりしてお世話しております関係上、一昨年東京都から本格的な老人病院をやれという委嘱を受けまして、四十八年度には建設費の三分の二、四十九年度にはやっと四分の三という助成を受けるようになりましたが、結局あとは借金です。それでもとにかく医療施設に助成するということは恐らく初めてのケースじゃないかと思うのです。しかし私に言わせれば、貴重な土地をこの老人病院だけのために千坪以上も無償提供しているのですよ。だから建物ぐらいは全部建ててほしいと思います。いやしくも公共性の医療に取り組もうとするものに十分な公費を投入するのは当然であり、また大義名分も立つと思うのです。 それではこのマイナス面を補足する手段はどうするか、国はどうすればいいかということですが、これは後にしましょうか……。
○柄谷道一君 短く、時間もあれですから。
○参考人(近藤六郎君) 時間がございませんから簡単に申し上げますが、とにかくこれを補足するには、老人医療に関する限り基準看護における有資格者の比率に特例を設ける、そうでなければ、すでに実施されているような、六歳以下並びに乳幼児に対する場合と同様に、一定の加算を認めるべきであると私は思います。実際に老人の下のお世話などをするということは、乳幼児の場合と比べて格段の困難さがあるわけです。すでに全国公私病院連盟でもこれを要望したことがありますし、滝沢医務局長もこの点についての発言があったように私は記憶しております。 ついでにこの際申し上げておくことは、こうした現象面の手直しだけでなくて、同時にまた、基本的に医療料金でカバーできる分野と公費投入によって措置すべき分野との調整を明確にする必要があるということです。例をとって言うと長くなりますから省きますが、最後に申し上げたいことは、老人医療は人口の老齢化とともにますます大きな社会課題となるわけですが、これはいま現実に行われているような、単なる医療の無料化とか、あるいは無原則な施しに等しいような施策だけでは問題解決にならぬと思うのです。やはり真のシステムづくりを断行する必要があると思います。たとえばその一例ですが、現在のような、ここまでは社会局だ、それからは医務局だというようななわ張りはやめて、何とか行政の一本化、これができないものか。そして同時に受け入れ体制、受け入れ側の運営が円滑に行われて、医療従事者が喜んで働けるだけの処置と配慮がぜひ望ましいのであります。御承知かと思いますが、すでにアメリカのメディケアでは、かなりの自己負担があるにもかかわらず、いまや百七十億ドルの連邦支出がありますが、それでもお手上げの状況なんです。今後の動向を十時ひとつ衆知を集めて検討してかからないと、とんでもない悔いを残すことになるんじゃないかと考えるものであります。 最後にもう一言申し上げたいのは、サルトル夫人であるボーヴォワール女史が「ヴィエイエス」、「老い」というところで書いておりますけれども、生に対するものは死ではなくて、むしろ生のこっけいな、かつ悲惨のパロディである老いだ、しかし、年をとることが、つまり過齢がもたらす生物学的な衰退は宿命としてやむを得ないかもしれぬが、悲惨な老い、老残といいますか、老醜といいますか、そういうものは社会の責任だと言っております。まさにそのとおりだと私は思います。どうかひとつ政府当局の皆さんの格段の御尽力を心からお願いして、参考人としての発言を終わります。 ありがとうございました。
○柄谷道一君 厚生大臣、あなたは三月十八日の社労委員会で医療体制、特に老人医療体制という問題については従来のカテゴリーに再検討を加える、こういう御答弁をされました。ただいま参考人の意見、はなはだ貴重な御意見だろうと思いますけれども、これらの意見を十分、冒頭私が質問申し上げました医療福祉体制充実の計画の中に織り込まれる用意があるか、私はそのお約束をしていただきたいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) いま参考人が申したように、老人に対する医療というものが今日の姿でよろしいかどうかということについていろいろ問題がある。いま看護、介護というものが中心になるというようなことを考えてみるときに、そしてヨーロッパにおける老人福祉施設のあり方等と比較をいたしてみますると、やはり日本における老人福祉施設の種別というものが果たしてこうしたものに対応しているであろうかどうか。時間がございませんから簡単に申しますが、北欧の国にあるようなあのホスピテールという制度、エウムラウトでございますが、このホスピテールというような制度は、私詳しくは知りませんが、日本の特養に医療の機能を若干強化したものであるというふうに聞いておりますが、こうしたものこそ、私は今後の老人のこうしたニードに対応するものだろうと思いますので、こうしたこともまた検討していかなければならないというふうに思っております。
○柄谷道一君 厚生大臣のお言葉はまことにそのとおりでございますし、大いに期待したいわけでありますが、現実の問題としていま参考人も、老人医療というのがきわめて不採算医療であることを指摘されました。事実そのとおりであろうと思うんです。ところが看護基準についても一般病院と何らの差がない。また入院が長期化するという問題に対しても何らの配慮がない。病院を建設する場合もその融資について老人医療の特色というのが何ら生かされていない。これはまさに言葉で老人医療の重要性を訴えられる、述べられた答弁と現実というものには相当の開差があるんです。だから長期的に対処していくべき問題もあれば、当面直ちに厚生大臣の決断によって、いま言った問題はその是正が可能であろうと思うのです。私はその点に対して時間があればもっと追及したいんでありますけれども、ぜひ厚生大臣としての配慮を願いたい。あわせて、私は一遍厚生大臣、福祉法人でみずからの土地を提供し、明らかに公的な仕事をやっている、そういう人々と懇談をしてその実態をさらに把握して、それらの人々の社会的な使命というものにやっぱり応じていくという厚生大臣の姿勢が必要だと思うのです。そういう会合をお受けになりますか、お会いになりますか。
○国務大臣(田中正巳君) 喜んでお受けいたします。
○柄谷道一君 それではもう一つお伺いいたします。 生きがいの問題について、同じく社労委員会で厚生大臣は、仕事、趣味、家族との団らん等が老後の生きがいとして考えられる、こういうことを答えられたわけでありますけれども、私は現在の収容型の施設ということだけでは、この生きがいというものを満たすということは不可能だと思うのです。私は特定の法人の名は挙げませんけれども、非常にユニークな発想として老人福祉コミュニティー、そういうものを建設することによって、老人自体が連帯しながら、また社会との関連を保ちながら、またそこで適当な労働をしながら、医療、雇用、そして生きがいというものを求めていく、そういう発想でいま計画が進められているわけであります。厚生大臣、こういう試みに対していまのところ何らの助成が加えられていないというのが実態でございますが、これに対して厚生大臣は今後実のある助成、補助というものを行っていかれる気持ちがあるのかどうか、お伺いいたします。
○国務大臣(田中正巳君) 先生のおっしゃるコミュニティー、私は一つの今後の老人福祉対策の大きな役割りを果たすものというふうに思いますし、また、承るところによりますと、アメリカやソ連等にもこういったようなものがかなり栄えているというふうに聞いておりますので、したがって、民間等でいろいろとこのような構想を立てておやりになっていることについては、私は非常に歓迎いたすべくものというふうに思っております。しかし、これについて国が助成するということについては、今日のところ踏み切れないわけでございますが、反面またこれに類したものといたしまして、国が年金の福祉事業としてやっている大規模年金保養基地などというものも、おおよそこれと類似したものであろうと思われまして、こうした方面についていろいろと施策をやっておるものでございまするから、したがって、民間のこの種のものについて、ただいま助成するということは考えてはおりません。
○柄谷道一君 時間が参りましたので、最後に総務長官に一つお伺いいたします。 私は時間の関係で、老人の医療供給体制と地域コミュニティーの問題にしか触れることができませんでした。しかし現在の老人、今後十年、二十年内に老人になろうとする人々、これはまさに谷間を歩いてきた人々であります。戦争中は、そのよしあしは別として、国家使命に協力をいたしました。戦後は、戦後の異常なインフレの中で苦しみながら国家の再建に尽くしてまいりました。そしてまた、わが国経済の発展のために尽力をしてきた人々であります。そういう人々がいま社会の谷間に置かれている。老人というのはだれもが一回は登らなければならない階段であります。そういう点から考えますと、老人対策というものは、所得保障、医療保障、住宅保障、生きがいの保障、数えれば数多くの問題があるわけであります。総務長官は、各省庁間のこの種の問題を総括する一つの役割りがあるわけでございますけれども、長官としての今後の老人問題に対処する決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(植木光教君) ただいま柄谷委員が仰せられたとおりでございまして、老人問題は、今後政府に課せられました非常に大きな課題でございます。老人方は過去多くの御労苦を積み重ねてこられまして、今日の日本の礎となってこられた方々でありますし、また今後、現在第一線で働いております者もやがて老人になってまいるわけでございます。老人の持っておられる不安は非常に多くございます。病気に対する不安でありますとか、暮らしの不安、さらにまた孤独の不安というふうに、すべてにわたって私どもは不安除去に向かって努力をしてまいらなければならないと確信をいたしております。 御老人は、年齢、性、地域あるいは職業、所得あるいは子供の有無、健康状態、教育水準の別等によりまして、まことに多様な生活及び生活環境を持っておられるわけでございます。仰せのとおり年金の問題、医療の問題、住宅の問題、雇用の問題、身の回りのお世話の問題等々、各般の施策を積み上げていかなければならないと確信をいたします。そしてまた、御老人が生きがいを感じられますためには、自分が他の人々のお役に立ってまいりたい、また社会と自分と連帯感を持ちたい、こういうお気持ちがあるわけでございますから、若い世代の人々との十分な交流、共感が図れますように配慮いたしますとともに、本当に安心をして老後を送っていただけますように、関係省庁と十分な連絡をとりまして努力をしてまいることをここにお約束をいたしまして、お答えとさせていただきます。
○委員長(大谷藤之助君) 喜屋武眞榮君。
○喜屋武眞榮君 厚生大臣にお伺いします。 今日、日本の政治の中で、福祉優先あるいは弱者救済、また日の当たらないところに政治の光を当てるという声が叫ばれておりますが、こういう現状において、いまの保障制度を根本的に検討しなければいけない時期に差し迫っておると思いまするが、厚生大臣いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(田中正巳君) いま喜屋武先生のおっしゃるとおりであろうと思いまして、今後そうしたことについて、大いに努力をしなければならぬときが来ていると思います。
○喜屋武眞榮君 それで私、そういった面からメスを入れたいのでありますが、時間がわずかしかございませんので、特に難病対策について政府の対策をお聞きしたいのでありまするが、御承知のとおり障害年金や扶養手当あるいは介護手当、障害者手当等の福祉手当や、あるいは減税、免税等のいろいろの恩典は、身体障害者手帳の所有者を対象としておることは御案内のとおりであります。ところが全く同様な、むしろそれ以上に困窮状態にありながら、身体障害者の手帳の交付を受けにくい、いわゆる難病患者とその家族は、常に落ちこぼれたまま放置されて、救済の手が及んでおらない。そこで金の切れ目が命の切れ目であるという悲劇にさらされておるのでありますが、政府のこの難病対策についてまずお伺いをしたい、こう思います。
○政府委員(佐分利輝彦君) 難病対策につきまして、まず特定疾患対策というのがございまして、これは原因が不明で、治療法がまだわかっていないという病気を対象にいたしまして、専門家の意見を聞いて対象疾患を決めることにいたしておりますけれども、大人の場合は公衆衛生局が、子供の特定疾患については児童家庭局が所管しております。そのほか児童福祉法に基づく養育医療とか、あるいは身体障害者福祉法に基づく更生医療、その他児童福祉法の福祉の措置、こういったもので、たとえば重症心身障害児・者あるいは進行性筋ジストロフィー症児・者、こういった方たちのお世話をしているところでございます。
○喜屋武眞榮君 難病の中でも幾つかは取り上げられて対策が講じられておるわけですが、ところが取り上げられていない多くの難病の中に、本人はもちろん家族を含めて大変惨めな状態にある、いわゆる死の寸前にある、あるいは社会的にも落ちこぼれておる悲劇を私は幾多知っておるのでありますが、きょうはその実態について触れないのでありまするが、そこでその実情をつらつら思いますのに、この対策の根拠となる法律がまだ体系的に整備されていない。問題解決のための法制化を急ぐべきである。それがないゆえに、思いつきで突き上げればそれを取り上げて検討するといったような、こういう状態であるわけですが、この法制化の問題についてまずお聞きしたいのであります。
○政府委員(佐分利輝彦君) ただいまも御説明いたしましたように、すでに一部の疾患については、それぞれ児童福祉法とか身体障害者福祉法の規定に基づいて行われておるわけでございまして、それだけの歴史といきさつがあるわけでございます。新しい特定疾患対策等が法律に基づかない予算措置として行われておるわけでございまして、先生おっしゃるように、将来の問題としては、その体系化のようなものを検討しなければならないと思いますが、現時点においては、それぞれの制度がそれぞれの発足のいきさつを持って的確に動いているものと考えております。
○喜屋武眞榮君 一つ問題を提起をいたしまして御検討願いたいのでありますが、私の知る範囲においても非常に、これは難病に値すべきものじゃないかと思うあのパーキンソン病を政府として検討されたことがあるか、またあるとすればその検討の結果を、いまどのようになっておるのであるか、お聞きしたい。
○政府委員(佐分利輝彦君) 先ほども申し上げましたように、現在の特定疾患対策の対象疾患は、原因が不明で治療法の決まっていない疾患のうちから、特定疾患対策懇談会の専門家の意見を聞いて取り上げております。ところが、御指摘のパーキンソン病は、原因につきましても脳の錐体外路の変性疾患でございまして、これは流行性脳炎だとか中毒だとか、そういったことによって起こる場合が多いということもわかっております。また治療方法につきましても、数年前からL−ドーパという新しい薬が出てまいりまして、パーキンソン病の病状とか経過の改善に非常に役に立つようになってまいりました。こういった関係から先般の特定疾患懇談会でもパーキンソン病の採用を検討したわけでございますが、専門家の大部分の意見は、他に優先する難病があるのではないかという御意見でございまして、私どもはパーキンソン病を特定疾患対策の対象疾患として取り上げる考えはございません。
○喜屋武眞榮君 そうすると、いまおっしゃるのは結論はもう出ているということなのですね。
○政府委員(佐分利輝彦君) 出ております。
○喜屋武眞榮君 この問題につきましては、またいずれ後ほどにいたしますが、厚生省の難病対策の予算はどれぐらい計上されておりますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 全制度合わせまして約二百七十五億の予算が計上されております。
○喜屋武眞榮君 なお掘り下げてまいりたいのですけれども、時間がございません。この問題につきましては、政府はぜひこの難病対策にもっと力を入れて、先ほど大臣がおっしゃったようにぜひ前向きで、それこそ具体的に検討していただきたい。強く要望するものですが、いかがですか。
○国務大臣(田中正巳君) 難病対策については、今後ともこの制度の拡充強化に努力をいたしたい。何分にもそう古い制度じゃございません。ごく最近始まった制度でございますので、まだ不十分な点もあろうと思いますので、今後とも努力を続けていきたいと思っております。
○喜屋武眞榮君 次に、いま日本全体の問題でもあり、特に沖繩で問題になっております心臓病の病児対策についてお尋ねします。 まず最初にお聞きしたいことは、これは全国的にも問題になっていることは御案内のとおりでありまして、全国心臓病の子供を守る会という組織もあるくらいでありますから、まさにこれは重大な問題であります。そこで全国の心臓病児の推計数はどれくらいあるでしょうか。
○政府委員(上村一君) 入院を要すると考えられます者が二千八百八十名ばかりでございます。
○喜屋武眞榮君 いまお聞きして、いよいよ驚いておるわけでありますが、統計的には大体沖繩の人口規模は国の百分の一であります。ところが昭和四十一年に実施された日本政府の援助による学童検診の結果は、沖繩全体、いわゆる十八歳未満の心臓病児でありますが、推計が千百六十六名と出されておりますが、そうすると、まさに半分は沖繩におるということになりますが、これ間違いありませんか。
○政府委員(上村一君) どうも舌足らずでございました。私どもで把握しておりますのは、六カ月以上の長期の入院を要する重い心臓病が先ほど申し上げましたように二千八百八十数名あるということでございます。
○喜屋武眞榮君 そのうちで至急に手術を要する者、いろいろ分類されると思いますが、特に沖繩の場合いろいろの特殊の事情下にありますゆえに、今日まで非常にこの面からも大変困っておる事実は御存じだと思います。百二十人が早急に手術をしないともう命がもたない、こういうニュースも出ております。そして手術を要する心臓病児が約四百人もおるという記事も出ております。ところが沖繩の医療施設は残念ながら月に二人しか沖繩で手術できない、年間二十名前後しかできないという状況であります。そこで復帰前は慶大の医学部あるいは九大の医学部に送って手術をしておったのでありますが、復帰後はそれが大分順調にいきつつあると、こういうことは聞いておるわけなんです。ところが完全解消、不安のないところまで計画、実施がまだ及んでおらぬ、こういう立場から、診察をし、発見をし、そして本土の病院に予約をし、検査をし、手術をすると、こういう手順を踏まなければいけない。その間にホテル待ちしなければいけない。あるいは長期の滞在をしないならば沖繩とまた二、三往復しなければいけない。これで莫大な費用がかかるわけなんです。そこで時間もございませんので、次の点を私、強く要望しまして、その点に対する大臣のお答えを願いたい。 まず第一点は、沖繩で心臓病の治療、手術が十分受けられるように医療体制を確立してもらわなければいけない、第一点。 ところが現状はほっておけませんので、手術が緊急を要し、沖繩で手術できない患者に対しては他県で受け入れられるように行政上の配慮を十分していただきたい。このことについては実情をお聞かせ願いたい。 第三点は、沖繩で手術ができない場合には移送費、その費用が莫大なものであります。心臓病は船で来るわけにいきません。飛行機で急を要する。こういう莫大な費用、しかも付き添いの必要もありますので、この付き添いの費用もせめて一人分は完全に負担していただきたい。 この三つの点と、それから現地での検診は最近頻繁に行われておるわけです。ところがこれは個人として沖繩に乗り込んでいって診断をしておられる。それを国の責任、政府の責任において派遣してもらわなければいけない、こう強く要望いたしまして、それに対する政府の見解を求めまして、私の時間ですので終わりたいと思います。
○政府委員(滝沢正君) 先生おっしゃるように、沖繩における心臓病の手術は県立中部病院で軽い症状の者がわずか二例という、おっしゃるとおりのケースしかできません。最近参りましたときも、院長にいろいろ事情を聞きましたが、こちらから医師を仮に派遣しても、この心臓手術後の看護の問題等を含めますと、滞在期間中にやれるケースというものがもうわずかなものになるものですから、その医師を恒常的に派遣するかどうか、要するに沖繩の県立病院の医師になり切る人が確保できれば向こうでかなりやれますけれども、その点について第二次的な対策として検討いたしたいと思っております。 それから検診について、個人というお話でございましたが、実は神戸大学、国立福岡中央病院、国立小児病院等から四十八年に医師を九名派遣して六百九十八名の検診をやり、要手術が百九名発見できたというふうになっておりまして、医師の派遣は、今後とも国の費用でやるということでお約束したいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) いま技術的な話をしましたが、私、就任直後から沖繩の医療事情が非常に本土に比べて落ちているということを聞きまして、非常に心配をしております。何とかこれをひとつできるだけカバーしようと思っております。しかし、それについてはやはり現実に実態を見たいと思っておりますので、国会の都合を見次第、私も沖繩に行って、よく現実に調査をいたし、また現場において意欲を燃やすようにいたしたいというふうに思っているわけであります。いまの移送費、付添費につきましては、これは政府で考えることにいたしております。
○喜屋武眞榮君 付き添いも……。
○国務大臣(田中正巳君) はい。
○委員長(大谷藤之助君) 本日はこの程度にいたしたいと存じます。 明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時二十八分散会