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75回国会参議院1975/03/26

予算委員会 第16号

発言数
569
登壇者
43
会派数
6
開催日
1975/03/26

会議録

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十年度一般会計予算  昭和五十年度特別会計予算  昭和五十年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  三案審査のため、本日、日本銀行副総裁前川春雄料及び同総務部長三重野康君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 本日から三日間、総予算三案に関する重点項目別総合審査を行うことにいたしております。  本日は、現下のインフレ、物価高における経済対策について審査を行うことにいたしたいと存じます。  本日は、政府側のほか、お手元に配付いたしております参考人の方々が出席いたしております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわりませず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  なお、御発言はその都度委員長の許可を得て行うようにお願いいたします。また、時間の制約がありますので、お答えは簡潔にお願いいたします。  各委員が質疑される場合は、政府側とともに、参考人を指名していただきたいと存じます。  それでは、これより質疑を行います。玉置和郎君。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 参考人の皆さん方におかせられましては、お忙しい中をこうして御出席をいただきまして、心から厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。  きょうは私は、日銀、それから都市銀行を中心にしてお尋ねをいたしたい、こう思っておりましたが、昨日テレビで知りましたファイサル国王の訃報、それについて、実は大平さんが来られたら、前外務大臣でもありましたし、ちょうど石油ショックのときの外務大臣ですからお聞きしようと思ったのですが、私の見解だけ先に副総理にちょっと申し上げます。  日本のアラブに対する見解、これは三木総理は少し考え直さなければならぬと私は思っております。これは副総理は専門ですけれども、アラブはやっぱり右と左の勢力がある。で、あらゆる国と仲よくするということは、これは結構なことです。しかし、なかなかできないことなんです。そういうところから今日のこういうまことに悲しい事態が起こっておると、私は実はこう思っておるんです。非常に心配をしておりましたこのいわゆるサウジアラビア内の、王室内の紛争というものがこういう結果になってきた。これは私たちはもう数年前から知っておりました。しかし、まさかこういうことになろうと思わなかった。ファイサル国王がこうして倒れたということによって、いわゆるサダト大統領との関係、非アラブでありますイランのパーレビ国王、こういう関係は一体どうなっていくのか。それがまた中東問題に落とす大きな影、それをもろに日本は受けやせぬかということを実は心配をして、この前、三木総理に本当に日本の平和と安全を守れるのかということを聞いたことがある。ところがあんな調子なんです。ちっとも有事の際を考えていない。これじゃ総理は務まりません。あなたの補佐も私は足らぬと思う。もっと一国の総理というものは有事の際を考えるべきなんです。有事の際を考えない者はこれは総理じゃない、私はそう思うんですが、こういう訃報に接して、私は一国会議員として、一日本人として非常に悲しむとともに、この問題に対してあなたの見解をこの際お聞きをしたいんです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 中東情勢につきましては、アメリカのキッシンジャー国務長官が非常に苦心をしておった、その工作が中断をいたしたわけであります。そういうことで大変憂慮をしておったその矢先に、今回のきわめて遺憾なる事件の発生だ、こういう報に接しまして、私はこの中東情勢、容易ならざるものがあるなあと存じまして、まことに憂慮にたえない、こういうのが偽らざる心境でございます。ただ、この問題が中東情勢にどういう影響を及ぼすであろうか、これはあの事件の背後関係等もつまびらかではありません。またしたがって、その与える影響がどういうふうに波及してまいるのか、その辺もこれを推測することも困難だと、こういうような情勢でございます。ただ、わが国は中東と非常に関係が深いわけでございまするけれども、わが国の経済界といたしましては比較的これを冷静に受けとめておる。あるいは証券市場でありますとか、あるいは外国為替市場でありますとか、そういう方面においてさした異変を見ないというような情勢であるということを御報告申し上げます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 副総理ね、私一番心配しておるのは、副総理も御承知のように、五月のゴラン高原の問題、いわゆる国連軍を残すか撤兵するかという問題、それからもう一つ案外世界で知られていないのは、キッシンジャー国務長官とファイサル国王が中心になって、それにサダトさんが入って、それにパーレビさんが入って、いわゆるタイムリミットの問題を八月三十一日に置いた。それまでに聖地エルサレムを返してほしい、そうしてアラブ解放機構の独立の問題をアメリカがイスラエルとの間に話をつけてほしい、そのタイムリミットも八月三十一日だ、それまでにはアメリカのいろんな要求に対して、石油の値下げにも応じましょう、そうして、OAPECの中でファイサル国王の果たした役割りというのは私は世界の自由経済安定のために大変なものだったと思う。これね、この辺のことをやっぱり内閣でもう一回しっかり考えてもらいたい。で、考えるかどうかということ、それはもちろん考えにゃいかぬということですが、総理とあなたと一回その問題、外務大臣を含めて、通産大臣を含めて、関係大臣を含めて、しっかりと協議をしてもらいたいということ、どうですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたように、中東情勢はこれはなかなか憂慮にたえぬものがある。また、その中東情勢の推移によりましてはわが国に至大の影響もある、そういう関係にありますので、これはもう総理を中心にいたしまして十分中東情勢を注視いたしまして、それに対する対処の方策を誤らないというふうにはぜひいたしたいと、かように考えます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 このアラブの問題、もう一点だけ聞きますが、ぼくはちょうど大平さんが外務大臣のときに、中華民国とこのサウジアラビアの関係、大平さん知らぬと思いますからこの際言っておきます。あの石油ショックのときに日本がうろたえた。そのときに中華民国の方は、蒋経国院長の命令によって、孫経済部長——これは日本の通産大臣です。これがすぐにファイサル国王のところに蒋介石総統の親書を持って飛んだのです。蒋介石総統の親書を持って飛んで、それで何という返事をもらってきたかというと、サウジアラビアは自由諸国の利益を守るためには、最後の一滴になっても中華民国に石油を供給するであろうというファイサル国王の親書を持って帰ってきたのです。台湾はすぐにそれを全島内に、全国民に発表した。それでみずから蒋経国院長はバスに乗って通い出した。余り大きなショックを受けなかった。これが外交です。  ところが、日本はそれがなかった。自由圏の反対であるソ連と結んでおるイラクに対して中曽根通産大臣は飛んでいった。それで何を約束したのか。何を約束したかというと、皆さん御承知のとおりです。十億ドル貸してやりましょう、石油は一番高い値段で買いましょう、こんなばかなことをやった。それがOAPECの会議の石油値段引き下げにならない大きな原因になっておる。日本外交の失敗です。日本の政治の失敗です。私はこれをきょうは言いたかった。だから、外交というものについては、あなた方も副総理である前に、大蔵大臣である前に国務大臣なんだ。国務大臣として総理を中心としてもっともっと突っ込んだ話をしてもらいたい。これが私たち国会議員の要請です。それについてもう一回副総理の見解を伺います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 玉置さんの憂国の至情につきましては、私どもも同じく憂いを持っておるわけであります。国の安全、これを維持していくためには外交罪種大事である。この外交政策の運営につきましては、総理を中心にいたしまして、一体となって誤りなきを期してまいりたいと、かように存じます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 日銀の副総裁、どなたですか。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 前川でございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 そうですか。前川さんどうも御苦労さまでございます。  実は前川さんに、冒頭から失礼でございますが、きのう実は森永総裁が来れないという連絡が私のところへありました、ここへ来ました。どうして来れないんだと聞きましたら、九州財界と話をしなければいかぬから来れないと、こう言って来た。きょうは、いまどこへ行っておるのですか。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) お答え申します。  ただいま森永総裁は鹿児島に出張しております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 そうしたら、きょう鹿児島でどなたとどなたにお会いになるのですか。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 鹿児島の地元の金融界並びに経済界の指導者と会談をする予定になっております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 これを見たら、鹿児島の人は少ないですよ。これはあなた、全部資料ですよ、宮崎だって三、四人しかおらぬですよ。鹿児島はたった四人ですよ。そのために国会を捨てるんですか。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 森永総裁の九州地方への出張は、今週の日曜日から参りまして、福岡、熊本、鹿児島、宮崎の地元財界並びに金融界の首脳と懇談するという目的を持って参りました。日程の都合でどうしても本日この委員会に出席できませんでしたことは、はなはだ残念だと思います。かわりに私、前川でございますが、出席いたしました。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 前川さん、日銀の姿勢がここで間違っておるのです。あなた方は、私はきょうは日銀を激励しようと思って呼んでおるんですよ。逃げたらいかない。こんな三人や四人に会うために鹿児島へ行ったり宮崎へ行ったりするより、国会へ帰って来るんです。そして日銀としての見解をここで堂々と述べるのです。そして本当に通貨の番人としての日銀のあり方を天下に示すのです。国民を背景にして日銀はどうあるべきかということを考えるのです。新しい経済体制の一つの担い手としての日銀の役割り、これをやるんですよ。  そこで、きょうは聞きたくないが、いまも、私の尊敬する社会党の藤田進先生、私が尊敬する野党の第一人者です。財界と会う、それだけで欠席するとはけしからぬと言っておられました。本当にそうですよ。国会をもっと使いなさい。そして大衆民主主義ですから、どうしてもやっぱり大衆に迎合するところが出てくるんです。議院内閣制です。そのときの日銀の中立性、独立性というのは国会を背景にしなかったらだめなんだ。逃げたらいけません。  聞きたくないことですけれども、いまの森永さん、日銀の総裁になるまで次官からどことどこを歩いてきたんですか。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 森永総裁は、日本銀行の総裁に昨年十二月就任されましたが、その前は東京証券取引所の理事長です。その理事長に就任される前は輸出入銀行の総裁。輸出入銀行の総裁に就任される前に中小企業金融公庫総裁であったと了解しております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 あなたは、東証の理事長やっておった森永さんが一億円以上の退職金もらったこと知っているでしょう。私も東証の中へ行ったら、たまたま私は調査に行った。この次に証券をやります、そのために調査に行った。そうしたら、あそこにべたべた張られて、一億円以上取って逃げて行く、この森永は一体何者だというふうなことを書かれておった。東証では退職金を幾らもらったのですか。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 退職金の金額については私存じません。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 ちょっと委員長、資料要求。いますぐ、済むまでに出して下さい。簡単にわかるのだ。次官の退職金、それから中小企業金融公庫でもらった退職金、輸銀の総裁として退職した退職金、東証の理事長としてもらった退職金、合計額すぐ出してください。日銀はまだ退職していないから退職金もらわないが、これを出してください。頼んでおきます。これはすぐわかるだろう、主計局長、調べてください。済むまでにやってくださいよ。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ただいまの資料について、できるだけ玉置君の持ち時間の間に資料を提出していただきたい。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 それは大蔵大臣、副総理、なぜそのことを言うかというと、こんな人でないと人がいないのですか。国会を避けて通って、それで退職金ばかりごっぽりもらって、何ですか、これ。ぼくは出て来たらこんな失礼なことは言わない。国会を回避するからこういうことを言うのです。逃げるから言うんです。間違っていますよ。大蔵大臣、どうですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 森永貞一郎氏は、私は人格識見ともりっぱな方だと尊敬いたしておる人でございます。したがって、ほかならぬ要職に引き続き請われてなられたものと承知いたしております。ただ、いま国会の御審議に当たって、在京でないということは大変残念なことでございまして、御本人の本意でないと思いますが、今後国会の御審議に当たりまして、十分日本銀行総裁として職責を果たされるように、私も期待をいたしております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 前川さん、森永君によく言いなさい。国会を避けたらいかぬ。国会を背景にしてやらなければいかぬ。あなたたちの過去二十年の歴史を見てみなさい。山際総裁、これは大蔵大臣の大平さんが一番よく知っていますが、当時の池田さんに組みしかれたと、こう言われた。次の宇佐美さん、この人は、私はずっと予算の理事をやっていましたけれども、非常にしっかりしておった。なるほど日銀の総裁とはああいう人だなと思った。それで佐々木さんになった。純粋の日銀マンの、あなたと一緒なんだ。ところが、出てきて答弁はわりにうまかったけれども、やったことは何かといったら、過剰流動性のときに三〇兆ぐらい出してしまって、結局過剰流動性に上乗せをして、インフレ抑止力の日銀としての役割りをちっとも果たさなかった。そして、こうして国会を逃げる森永総裁。日銀は一体どう考えておるんだ。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 日本銀行は法律で与えられました権限がございます。日本銀行の最大の目的は、通貨価値の安定維持ということでございます。ただいま、日本銀行の過去の業績について御批判がございました。あるいはそういう面もあったかと思いますが、それぞれそのときどきの清勢に応じて責任者は職務を十分に尽くす努力をしておったと思います。これからも日本銀行に与えられました権限の適切なる行使につきましては、万遺漏なきよう努力してまいる所存でございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 日銀法の第二条に「国家目的」というのがありますね。いま「国家目的」というのは何ですか。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 御指摘のように、日本銀行法第二条には「専ラ国家目的ノ達成ヲ使命トシテ運営」するという言葉がございます。御承知のように、現行日本銀行法は昭和十七年に制定されました。第二次大戦の最中でございました。日本銀行法第一条にもございますけれども、国家総力を挙げてというような言葉が書いてございまするが、その当時の政治あるいは経済体制、そういうものの反映でああいう言葉が入ったものと思います。「国家目的」という言葉は、いま、現代に至りまして「国家目的」という言葉はあまり適当な言葉とは思いませんけれども、これを現在に引き直してみまするならば、自由主義経済体制、自由主義経済を基盤といたしまして、国民経済の発展あるいは国民生活の安定を図るということが「国家目的」として考えられるものであろうと思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 前川さん、「国家目的」という言葉は適当でないというのはどういうことなんですか。いま日銀法の中に「国家目的」と書いてあるじゃないの。そうすると、あなた、その法律は間違っておるということなのか。「国家目的」というのはあるはずです、それは。とんでもない答弁だよ、これは。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 日本銀行は日本銀行法のもとに運営されておるものでございますから、第二条に書いてありまする「国家目的」ということは、当然われわれが業務の運営に当たっては考えていかなきゃならないことであろうと思います。私が申し上げましたのは、「国家目的」という言葉は現在にそれを引き直しますと、ややそぐわない言葉の意味、そういう印象を与える言葉であろうかという私の私見を申しました。しかし、「国家目的」ということを現在に引き直して考えれば、先ほど申し上げましたとおりでございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 君のおなかの中を探ったら、「国家目的」なんという言葉は適当ではないというふうな、そういう発想はどこから出てくるかというと、われわれ国民の代表から見れば、日銀は財界と癒着をして、いわゆる財界の総元締めの全銀協と癒着をして、結局、さっきあなたのところの秘書が私に言ったように九州財界との会談のためにきょうは来れませんという、そういうことになるんじゃないの。あなたの腹の中にあるからそういう言葉が出てくるんだよ。大蔵大臣、あなた国家目的って一体何ですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 「国家目的」というのは、そこに書いてあるとおり、国家の目的でございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 これを大蔵大臣、政治的に考えたときにどうなるのか、経済的に考えたときにどうなるのか、社会的に考えたらどうなるのかということ、これをお聞きします。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 政治的に考えた場合、日本銀行は……

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 日本銀行じゃない。国家、国。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国が独立国としての名誉と権威を持って世界の中で生存を続けてまいって、世界の進運に貢献してまいることが日本の「国家目的」であろうと思います。  経済的に申しますならば、国民の経済が充実し、安定し、発展してまいりまして、国民の生活がそれを基盤として安寧を保つことができる状態を目的として、あらゆる国家活動が営まれるべきものということを志向した言葉だと思います。  社会的に見た場合に、ここに言う「国家目的」とは、自由な社会の構造の中にありまして、それぞれの個人並びに団体がちゃんとした秩序の中で、その権利と義務が保障されて、安定した秩序ある生存が保障されるというような状態を招来するということを意味するものと私は思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 副総理、私たちはあなたと一緒に話をしてきた、ずっと。いま大平さんの言われたこと、これは間違いがないと思いますがね。これをひとつどういうふうな形でやっていくかということについては、私はあなたと常に意見を闘わしてきましたが、政治的に見たらやっぱり民主政治だと思うんです、これは。前川君、よく聞いておきなよ。政治的に見たら民主政治、これはもう与野党一致するところです。大衆民主主義なんです。それから経済的に見たときには自由経済なんですね、日本は、国是は。自由経済の柱は二つある。それは市場経済、それから私有財産制というもの。社会的に見たときには福祉社会です。私はこういうふうに考えておるんですが、その考え方については、簡単でいいです、間違っておるか、間違ってないか。あなたはそれを支持するのか、支持しないのか。あなたとはもうしょっちゅう議論していますが、どうですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私もそのように考えます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 前川君、これでわかったでしょうが。「国家目的」というのはこれなんだ。財閥と、財界と話をすることでないんだ、これは。間違っておるんだよ、君のところは。どうなんだ。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 私、先ほど申し上げましたように、自由主義経済を基本として、国民経済の発展を図り、国民生活の安定を図るということだということを申し上げました。ただいまのお話、御指摘がございましたように、日本銀行は決して財閥と談合し、融合しておるということを金融政策運営に当たって考えておることは全然ございません。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 そうしたらね、九州で会う人のメンバーは、これなんだ。これは大衆民主主義の時代の代表ですか。全部名簿を持ってきたんだよ、二十三日から二十七日まで会う人。私ずっと読んでみた。一々チェックしてみた。これが大衆民主主義の中の代表ですか。代表はどこにあるんですか。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 日本銀行は金融政策を遂行してまいります場合に、もちろん本店は東京にございまするので、東京で経済界の動向というのはある程度わかるわけでございまするけれども、また各地方の生の声を聞くということも日本銀行の金融政策遂行上は非常に重要なことであろうと思っております。そういう意味で、政策遂行に当たりまして万遺漏なきを期するという見地から、総裁も、また日本銀行の幹部職員もときどき地方に参りまして、地元の実情を把握するということをしておるわけでございます。これもまた日本銀行の政策遂行上、重要な職務であるというふうに考えております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 いまこれね、大蔵大臣も、副総理も、前川君も、これはぼく一人でやっておるんじゃないんだ、プロジェクトを組んでやっておるんだ、自民党の中で。私の考え方は、野党の諸君には申しわけないですけれども、やっぱり資本主義の残していった悪というものをこの辺で与党の責任において清算をしていくという、このために私たちは一いま佐藤君から早く肝心なところをやれやれとここヘメモを書いてきた。これはぼくらのプロジェクトチームなんですよ。だから、これはやっぱり真剣にあなたたちは答えてもらわなければいかぬ。  そこで、日銀の資本金、これは明治十五年に日銀が発足したのですね、その当時の資本金は一千万円。国家予算はあのときに七千三百万円。日銀の資本金は驚くなかれ、いまの時分だったらびっくりするぐらい、七分の一近くあった。そして三菱銀行は、あれは明治四十年ころだったか、何年だったか、あの時分で三百万円ですよ。そして明治二十二年ごろに雨後のタケノコのごとく出てきた商業銀行の一番大きな資本金は五万円。それだけ日銀の資本金というものは充実しておったのです。それが昭和十七年の東条内閣になって、さっきあなたが言ったように、戦争目的を遂行するためにということで資本金が一億円になった。そのときの主計局長か、恐らく主計官だったか、福田赳夫、いまの副総理なんだ。若きときの福田赳夫主計官だったと思う。そのとき確かに国家の一般会計予算、これが九十一億九千六百万円ぐらいです。だから日銀の資本金からすると約九十分の一なんです。その資本金が現在でも一億円なんです、日銀が。そうして、きょう出てきていただいております富士銀行の方は、頭取にいま来ていただいておりますが、これはいま、あなたのところは六百六十億だったね、六百六十億。たしか住友も六百六十億だったと思います。これ、どうですか。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 御指摘のとおり、日本銀行のいまの資本金は一億円でございまして、昭和十七年、現行日本銀行法ができましたときにそう決められたものでございます。中央銀行の資本金、いまの日本銀行の業務規模から申しますると、一億円というのはきわめて少ない金額でございますし、まず名目的な資本金であるということが言えると思います。ただ、中央銀行の資本金が幾らあればいいのかという問題につきましては、中央銀行の草創、これを発足いたしまするときの不動産、本店の取得であるとか、そういう意味の費用というのにはもちろん資本金が必要でございいまするけれども、中央銀行、ことに日本銀行は銀行券の独占的な発行の権能がございます。日本銀行の業務運営には、通常の市中銀行あるいは企業とは違いまして、業務運営上には資本金は必ずしも必要でないということから考えますると、資本金につきましては、これが業務規模から申しますると少ないと思いますが、必ずしも資本金をふやす必要があるかどうかという点にはいろいろ議論があると思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 あなたね、業務運営上必要でないと言うのだったら、いま日銀の出資株券を持っている人は、それならこんなものは必要ないということに通じるんじゃないの。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 私が申しましたのは、市中銀行は資本金を運用する、また企業は資本金によって業務の運営をするということでございます。日本銀行の場合には業務運営上資本金を使うということはないという意味で申し上げました。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 それではね、アメリカの連邦準備銀行、いま日本のお金に直して大体一千億円以上になりますよ。また英国の場合も、これは大体日本のお金に直して一千億円ぐらいになる。だから、アメリカ、英国、どちらも一千億円以上の資本金になりますね。こういうのはどうなんですか、それと比較してどうなんですか。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 資本金を何のために持つかということにつきましては、中央銀行発足当時の必要に充てるということのほかに、不時の損失、不測の損失が起こることがあり得るわけでございまするので、そういう事態に対応するために資本金を持つという必要がもう一つあろうかと思います。しかし、この問題につきましては、必ずしも資本金でなくても、内部留保が十分にありますれば、つまり内部留保を含めました自己資本ということで考えますれば、それでも十分であろうというふうに思います。そういう意味で、日本銀行は資本金は一億でございまするけれども、内部留保を含めました自己資本は八千数百億円でございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 それでは前川さん、いま四五%が民間の人が持っておるんですよ。昔は御皇族が持たれた。皇室だとか皇族がほとんど持ったのです。ところが、戦後になってこれは解体になって、いまのような形になったのです。そうしたら、それを譲り受けた、いわゆる店頭でもって譲り受けてきた、まあ上場はしていませんが、店頭売買というか、そういうことをやっていますね、そういう人たちは一体どうするんですか。いままで日銀の株を持って、床の間に飾って、骨とう品と同じようにそれをなでて喜んでおるんですか。それに対する日銀の責任はどうなるの。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 御指摘のように、法律で、一億円のうち五五%が政府の出資でございまして、四五%は民間の出資ということになっております。民間の出資者は、これもいま御指摘のように、取引所では上場しておりませんが、店頭ではこれを買うことができるわけでございます。これは出資者といたしまして、日本銀行に対する一つの出資者としての権利を持っておるわけでございますが、これはもちろん出資者として日本銀行の業務運営というものに出資者としての関心はおありであろうと思いまするし、その立場は法律に基づいて保護されておるものだと思います。ただ、配当につきましては、法律で年五%に制限されております。また仮に、そういうことがあろうと思いませんが、仮にいまの日本銀行が解散するようなことがございましても、残余財産は国庫に帰属するということになっております。そういう意味で通常の銀行、市中銀行あるいは企業の株主とは違った権利しかないということで、法律によって制限されている。当然でございます、そういうことは。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 前川さん、いまのこの都市銀行で、きょうの富士さん、住友さん六百六十億、資本金ね。それから信用金庫、城南信用金庫というのがありますよね。これが一番信用金庫で資本金が大きいんです。これが五十六億五千八百万です。信用金庫でそうなんです。そして私の知っておるこの事業協同組合、大阪府化成事業協同組合、これは一億三千万円、出資金が。それから大阪府金属事業協同組合、これが出資金が一億二千万円。これは優秀な事業協同組合です。そういう中に、この出資株券を持った人だけが、出資額に相当する残余財産の分配請求権があるという、このことだけでほっといていいんですか。この間に、昭和十七年の国家予算と今日の国家予算比べてもわかるでしょう。それから昭和十七年の物価、それから現在の物価、これ比べたら幾らになりますか。昭和十七年、とにかくもう時間がないから、あなた昭和十七年の物価といまの物価、どのぐらいの開きがありますかね。  いえ、もう時間がないから私が言う。こんなものを知らんで、あなた副総裁は勤まらぬですよ。物価のことも知らんで、どこに通貨の番人の役割り果たせますか。昭和十七年に、関西で言うたら素うどんと言うのです。うどんのことを素うどんと言うのです、揚げだとか入らないのを。あれ五銭だった。いま百円するんですよ、立ち売りの一番安いところで。高いところでは百五十円する。二千倍ですよ。あんパンは幾らしたですか。あんパンが昭和十七年に二銭ですよ。あんたたち知らないんだ、若い人たちは。私ら一個のあんパン食わしてもらおうと思ったらもう容易なことじゃなかった。その一個二銭のあんパンがいま幾らすると思います。四十円ですよ。二千倍です。もっとします。だから大体二千倍というのが昭和十七年といまの物価のつり合いです。そうすると日銀の資本金は、少なくともこの社会常識から考えたら二千億くらいには当然なるべきなんです。三井銀行が発足した、それから三菱銀行が発足した、富士銀行が発足したあの時代から考えても、資本金の充足ぶりというのはその辺になるべきなんです。どうですか。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 資本金が物価指数に応じた金額だけ持つ必要があるかどうかという点につきましては、先ほど私が申し上げましたように、資本金の持つ意味というものから考えまして、もし自己資本を持つということであるならば、内部留保の充実を図るということをもっても、それは達成できるわけだと思います。また、資本金を仮に二千億か幾らか増額するということにいたしましても、これをだれに持ってもらうかということにつきましては、いろいろ問題があろうかと思います。これは中央銀行の性格から申しましてもいろいろ問題があると思います。海外の中央銀行、これは各国にございます中央銀行について見ましても、その形態はいろいろになっております。そういう意味で、この問題につきましても、仮にその資本金をふやすという場合にも、これをだれに持ってもらうかという点については、慎重に検討する必要があろうかと思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 やっぱりこの辺で日銀法というものを洗い直してみる必要があるんです。こんなばかげたことが大衆民主主義の時代に通るはずがない、大蔵大臣。やっぱり根本的に洗い直してみる必要があるんです。あの高橋公取委員長、あれが銀行局長のときこれやりかけて、それであれ、首すっ飛んだんですよ。それを田中角榮さんが拾い上げたという。そのことについてはやめますけれどもいろいろある、これは。そんなことを言っておったんじゃ、これは与党は自民党の地盤を陥没させるだけですから、そんなこと言わない。しかしこういうことも含めて、われわれ党内でやっぱり論議するべきです。そうして政府としてどう考えていくか。いわゆる日銀を管掌するところの大蔵大臣としてどう考えていくかという、こういう考え方を出すべきなんです。そこで、ぼくはいまの大体やりとりを聞いておって、現在の日銀というものは全く閉ざされた日銀なんです。やっぱり国民に開放された日銀でなければいかぬ。特に通貨の出し方、締め方、それによって景気を調整していくというこの機能、これはいままで日銀余り果たしていませんよ。佐々木さんのときになって崩れた。これはもう定評がある。だから、ぼくはこの辺で日銀というものの中立性、独自性、特に議院内閣制のもとにおいては、やっぱり日銀に対して——われわれは大衆民主主義の中で自民党政府はいましっかりしていますよ、特に優秀な閣僚がおりますからね、しっかりしていますが、ちょっとほめ過ぎた、これ。とにかくそういうときにやっぱり手直しをすべきなんです。副総理、あなたは経済閣僚懇談会のトップなんです。それで大蔵大臣も入っておられる。いわゆる日銀が、市場のプライスメカニズムに有効に働くというそれに対して、西ドイツなんかでは連銀総裁を閣議の中に入れていますね。あなたの議長になってやっておられる経済閣僚懇談会に、日銀の総裁入れたらどうですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 御注意はまあ拝聴いたしましたが、経済対策閣僚会議は、政府としての対策を討議する場でありまして、この場に、常時日銀総裁が入っているというのもいかがであろうかというふうに思います。まあしかし、緊密に連絡はとりつつやっていくと、こういうふうにいたしたいと存じます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 副総理、私の言うのは常時入れろというのではないんですよ。やっぱり通貨というものの価値が下落をしていきますと、人心が荒廃するんです、これは。大政治問題なんだ、これは。緑を失っても人心が荒廃する。そうして自分たちの持っておる通貨の価値が下落をしていくと、これはもう人心が荒廃するんです。大きな政治問題なんだ。それだけに、政府として日本経済全体の対策を立てるその会議に、そういうときにはもう呼んで、その中へ入れて、そうして討議をしていくといういい慣行ですね、この際約束をこの国会でしてもらいたい。しょっちゅうでなくていいですよ。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) これは承るまでもなく、経済対策閣僚会議で、これは日銀総裁に来てもらった方がいいだろうというふうに考える場合におきましては、随時来ていただくということを考えております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 そこで前川さん、出資株券のいま店頭の気配はどのぐらい。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 二万四、五千円であろうというふうに思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 そんなことだから、あなただめなんだよ。二万四、五千円なんてことないよ、あなた。三月二十二日の店頭気配は二万五千八百円じゃないか。あなたのところの四五%持っておる出資株主に対して、あなたそんな無責任なこと言えるか。もっとしっかりしなさい。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 店頭気配はその売買の都度相場が出るものでございまして、取引所で毎日相場が立つものではございませんので、私が二万四、五千円ということを申しましたけれども、その都度需給の関係、売買の関係によってその相場は変わるものであろうというふうに思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 三月初めは二万六千円台だったんですよ。一番高いときは三万円近くだったんですよ。そういうものを——総務部長あなたもちゃんと補佐せにゃだめだ。こういう細かいところに目が届かないで、とにかく財閥のトップと会っておったら日銀が済むと思うところに問題があるんだ。(「そうだ」と呼ぶ者あり)野党からでも声援してくれる、これは。そこに問題があるんだよ。店頭気配の値段もきょう知らぬというのは企業の経営者——済みませんが佐々木さん、あなたの株はきょうは幾らですか。

佐々木邦彦全国銀行協会連合会会長

○参考人(佐々木邦彦君) 三百六十五円です。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 ちゃんと知っとるよ。前川さん、企業の経営者というのは血みどろな闘いをしておるんです。  そこで、きょうは副総理と大蔵大臣にお聞きしますけれども、私はこの前三木総理と、あの総理官邸でやった総務懇談会の席上でぼくは三木総理に対して、あなたは企業がいかにも悪であると言わんばかりのことを言った。それで五年先に企業の献金を廃止して個人に切りかえますと。私たちの自民党の中の一党員、末端党員の常識としてもそんなことはできるはずがない、そんなことできたらお目にかかる。それでぼくは三木さんに、あなたは企業がいかにも悪であると言わんばかりのことを言った罪は大きい、クリーン三木として政治を安定させたことの評価は私は高く買うが、企業というものは大変な努力をしてきたんですよ。日銀の副総裁どころじゃないんだ。ああして佐々木さんなんか見てみなさい。自分の株が日々どうなるかちゃんと知っとるよ、これは。これは大事なことなんです。企業はやっぱりここで法人格を持つのか、法人格を持たないのか、この辺の議論がやっぱり私分かれていくと思うんです。  法人格実在説と法人格擬制説というのがある。刑法によれば法人格擬制説なんです。私たちはやっぱりしかし法人格というのを認めていきたい。人格を持っておるものだ。自分の自由意思によって、そうしてどこに金を出そうが、そこに節度があれば、社会が納得する範囲内においては私は自由であるべきだと思う。これが自由経済の原則です。三木総理の、自由経済社会を守ろうと片一方で言いながら、いかにも企業が悪であると言わんばかりのことを言うこの総理の態度、副総理としてあなた、どう考えますか。短く答えてください。検討するなら検討するだけでいいです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私は企業悪という説はとりません。わが国は、やはりこの小さな国で一人一人の個人が結集して、そうして強大なる力を持ち、そして国際競争力にも打ちかち、そして国家経済を運営しておる。こういうところに私は非常に大事な点があるんだろうと、企業性悪説という考え方は私は反対します。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 大蔵大臣、簡単に。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私も企業の大、中、小、零細、形態のいかんによっていいとか悪いとかの区別はつけられるものでない。企業はいい企業と悪い企業があるわけでございまして、しかも日本は無数の企業から成り立っておるいわば企業国家でございまして、企業は非常に大事なわれわれ現実の存在として尊重してまいらなければならぬ社会的存在であると思っております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 そこで大蔵大臣、この日銀問題で最後にお聞きしますが、日銀法は私はこの辺でやっぱり検討すべきだと思うんです。これどうですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういう議論が世間にもございますし、国会にもございまするし、また大蔵省内におきましても、戦時立法でございまするので、状況が変わりました今日見直すべきではないかという議論もございますので、私といたしましては、五十年度の予算の成立を見させていただいた暁は、金融制度調査会の首脳と、この問題とかあるいは銀行法の改正というような問題もあわせて、いまからどのように取り扱ってまいるか御相談をしてみたいと考えております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 そこで前川さん最後に、きょう、えらいきつく言ったりして失礼しました。いままでのこのやりとりを聞いて、やっぱりわれわれ国民の声なんです、これは。国民を背景にした日銀でなければ私はだめだと思うんです。さっきから言っている大衆民主主義ですよ、大衆民主主義というのは私は全体的に肯定しないんです。大衆民主主義の悪がたくさん出てきている。いわゆる大衆に迎合する政治姿勢というもの、そういう中で日銀という通貨の番人としての、通貨の安定維持をやる日銀としての役割り、それは時によっては政党内閣に対して厳しいチェックをしなければならぬ、それは国民のためなんです、国家のためなんです。  それだけに、きょうは日銀の総裁が出てきていないということに対して私は非常に厳しく迫りました。きょう本当は日銀総裁激励してやろうと思った、ぼくは。たった三人や四人の宮崎や九州の財界人に会うために国会をすっぽらかして、私はもう半月ほど前から、三週間前からあなた出てこいと言っているんですよ。それで、出てこれないというのはきのう言ってきたんです。そこが間違っているんですよ、日銀が。この国会を背景にしながら、いかにこの政党内閣というものを、国民のために国家のためにどのようにしていくかという日銀本来の役割り、そういう中から日銀法の改正に臨むあなたの態度、あなたの決意、それで日銀法というものは、大蔵大臣が言われたようにやっぱり手直しをする必要があると言われた。それで手直しをしたいと思うのか、したくないと思うのか、そのイエスかノーかだけ答えてください。したいと思うのかしたくないと思うのか。ほかのことは要らない。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 現行法は昭和十七年でございまして……

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 ほかのことは要らないから。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) その後の状況から申しますると、そぐわない点もございまするので、機会がございますれば改正されるということになろうかと思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 前川君、そういう態度だからいかぬのだ。機会があったらというのは、機会がなかったらいつまでもほうっておくというのか、これは。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 先ほど大蔵大臣からお話がございましたように、この問題は金融制度調査会なりなんなりの審議を経て決定されるべきものだと思います。そういう意味で、日本銀行だけで改正することはできませんので、そういう観点を踏まえまして、機会がそろえばということを申し上げたわけでございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 機会がそろえばという前に日銀の意思があるはずなんだ、日銀としての発想があるはずなんだ。それを言わないというのはどういうことなんだ。それは当面いろんな形で訴えていく、そして国民を背景にしながらこの前のような失敗を再び繰り返さないという、そのことをここで誓いなさいということなんですよ。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) いまの法律が時勢に合わないという点ではこれを改正する必要があると日本銀行も考えております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 ここまで言うのにこれだけ時間がかかる。それが日銀の体質なんですよ。  これで日銀は終わりますが、次に佐々木さん、済みません、どうぞこちらへ。  貸し出し金利の決め方で例の幹事会、調整幹事会がありますが、これはどういうメンバーが入っていますか。簡単でいい、簡単で。

佐々木邦彦全国銀行協会連合会会長

○参考人(佐々木邦彦君) お答えをいたします。  都市銀行十三行、興・長銀、それから信託銀行、これだけ入って相談をいたしております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 日銀から考査局長が入っていますね。そして大蔵省から銀行局が入っていますね。

佐々木邦彦全国銀行協会連合会会長

○参考人(佐々木邦彦君) おっしゃいますとおり、傍聴していただいております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 傍聴じゃないんだよ、私わかっとるんだからね。私ら野党みたいにね——失礼しました(笑声)——いじめようなんて思わぬのですよ。やっぱり過去の間違ったことを国民の疑惑を晴らして、そしてどのように前進をさすかということなんだ。だから、傍聴じゃないですよ、傍聴だったら、あなた、経理基準の問題なんか話ししないですよ。傍聴というのは、ここにおる人を傍聴と言うんだ、後ろにおるの。何にもものを言えない。言おうと思ったら怒られて退席を命ぜられるんだ。それを傍聴と言うんですよ。あれ、傍聴ですか。

佐々木邦彦全国銀行協会連合会会長

○参考人(佐々木邦彦君) 失礼をいたしました。言葉の使い方正確でございません。陪席をしていただいております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 佐々木さんね、陪席なら陪席——陪審員なんか陪席なんだ、これは発言する資格があるんです。そして、これはむしろ陪席どころじゃない、ここで指導するんです。日銀の考査局長が入って、大蔵省が入って、いわゆる十三行の連中と、それから長期、不動産、興銀の三行と入って、いわゆる常務、専務で構成されたこの幹事会でいろんな話をされるんですよ。そして貸出金利、まあ自分だちの、国民側から言うたらガイドラインを決めるんです。石油は、一課長が石連の会議に入ったというだけで大問題になったんですよ。ここで噴き出したんです。噴き上げられて、そして独禁法に問われて、いま告発されておるんです。間もなく裁判、負けますよ、これ。  これだけ銀行は昭和二年の銀行法で守られ、金利の問題には昭和二十二年の臨金法で守られておって、預金保険法で守られておって、そしていまのメンバーは全部日銀からコールマネーを無担保で借りられる。そういうときに、日銀の考査局長が入って、それから大蔵省が入って、これをいままで問題にしなかった国会議員の責任です、私たち。これだけ国会が小さなことでわんわんわんわんやりながら、やれ伝票がどうした、送り状がどうした、すったもんだとか、もう済んだような過去の十年前のようなことを問題にするよりも、ここに問題を当てるべきなんだ。それも与党の責任において当てるべきなんだ。  だから、私は何も、そこから崩れてどこへ行ったとか、どこのまただれがどうなったとか、そういう汚いことは言わない。しかし気をつけなさい。——あなたじゃないですよ、あなたじゃないが、ほかにある。しかし、そういう汚ないことをやるんじゃなしに、私はそういうふうにして、石油の問題でだけでもああいう国会で噴き上げられて、責任者が出たんです。責任をとったんです。だから、こういうことについてはもう国民の疑惑を再び招かないように全銀協の会長としてやっていただきたい。それで、もうこれは国会でこんなもの二番せんじ、三番せんじで、恐らく私がやった後は野党の方もやらないですよ。そこに与党の値打ちがあるんです。どうですか。やらないということだけでいいですよ。

佐々木邦彦全国銀行協会連合会会長

○参考人(佐々木邦彦君) お答えをいたします。  ただいまの玉置先生のお話もよくわかりますので、皆と相談をいたしてみたいと。ただ、この際申し上げておきたいと思いますことは、自主規制金利の申し合わせは銀行間でいたしております、金融機関の間で。そこに、ただいま申し上げましたように大蔵省と日銀から陪席をしていただきまして、何か御意見があれば伺うと、こういうことでございます。  それから銀行間の自主規制の申し合わせでございますが、これは政府の金融政策に協力をすると、こういう立場に立って皆が相談をいたします。またその決め方も、確かに決めますが、それは金利の最低を決めるということではございませんで、最高を決めますわけでございます。そしてまた最高を決めますけれども、その決めましたいろいろな金利のどれを適用いたしますかは、どの貸し出しに対してどの金利を適用いたしますかは、これは個々の銀行の判断の問題でございます。そういった意味で、私どもは自主規制金利、確かに申し合わせばいたしております、大蔵省と日本銀行から御陪席もいただきまして。ただ、これは一般の利益を害すると、こういうふうにはなっておらないと確信をいたしております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 ぼくはあなたともうこれは議論しないけれども、ただ、あなた、私きのう言っただろう。それはそうなってないんだよ。ないから言うんだよ。レートが九%、それであなたたち話し合って九・二五と。ところが、公益事業で、たとえば東京電力は九・四で借りておるんだ。そうすると、あなたの上限の金利ということにならないですよ、貸出金利は。そういうことがあるんです。だから、もうここで議論はしないから——あなたたちはそんなこと言ったって、私は資料はこれだけあるんですよ。ちゃんと報告もあるんだ、皆。これは、三菱のやつもその中に入っておるんだ。高い金利で借りておるんです。天下の三菱においてすらそうだ。だから、そういう問題についてはやっぱり競争の原理を入れるべきなんだ。  全銀協の理事会というのは、私は、ずうっといろいろあちこちから情報を入れてみた。そしたら、国家というのは一体何なのか、国民の願望というのは一体何なのかという激しい議論をされたことが一回もない。一回もない、ここ数年。あったらお目にかかりますが、あなた、どんな話をしたか、一回聞いてください。大抵サロン的なんですよ。そうでしょう。だから、私がいまお願いするのは、あなた方は、いま日本の平和と安全のために一体どうあるべきかというふうな、こういう、少なくともいまの自由経済のトップクラスの人たちですから、日本国家がどうしたらいいのかぐらいの話を一回でもしなさいよ。一回もしてないんだ、あなたたちは。私は全部聞いたんだから……。これからしていただきますか。

佐々木邦彦全国銀行協会連合会会長

○参考人(佐々木邦彦君) お答えをいたします。  ただいま先生のおっしゃいますとおり、銀行協会の理事会では、単純に事務的な話だけで終わっております。ただいま先生からお話しのございましたようなことは理事会の席では出ておりませんけれども、めいめいの間ではときどきそういった議論もいたしております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 佐々木さんね、めいめいでするのは結構なんです。やっぱり全銀協として——そうだったら、私は日銀も含めていいと思うし、大蔵も含めてもいい。ただ、あなたたちの金利のガイドラインだけを決めて、そして、いつもその上にだけ合わしていくというこのやり方、これがやっぱりわれわれの疑惑を招く点なんですよ。それから崩れてどこかへ行くという、そこに癒着ぶりを見るんですよ。だから、御注意ください。これはもうこれでいいです。  次に、この銀行というのは、いま、御承知のように非常に厚い保護を受けていますね。それで、銀行という名のつく限りはつぶれない、どうですかと、この前ここへ来られた全銀協の会長であった第一勧銀の横田さん、りっぱな方です。あの方に私が尋ねましたら、まずまずつぶれないと思います、そうなっておりますと、こう言う。結構なことです。しかし、私のいま持っておる手元の資料によりますと、昭和四十年、これは不況だった。それから四十六年も不況だった。それから今回の不況、この中で、全産業は三期連続減益なんです。ところが、銀行は増益なんです、四十年。四十六年には、全産業が二期連続減益なんです。銀行だけが増益になっております。今回の不況、三期で、これはやっぱり全産業が減益なんです。銀行は、地銀は増収、増益になっておるんですね。あなたたちの都銀が増収で減益だということなんですね。その減益は後でお聞きしますが、これは大体お認めになりますか。

佐々木邦彦全国銀行協会連合会会長

○参考人(佐々木邦彦君) お話しのとおりでございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 大蔵大臣、副総理、こういうことなんですよ。企業というのはもう本当に血みどろな闘いをしておるんです。ところが、四十年の不況、四十六年の不況、今回の不況、これ皆三期、二期、三期と連続減益なんです。その中でぬくぬくと生き残っておるのが銀行なんですよ。ここにやっぱり私は問題があり過ぎはしないかと思うのですが、副総理どうですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 金融機関は好況時にむやみにもうける、こういうような状態でないかわりに、不況時におきまして欠損を出すというまた状態でもない、利益状態が平衡、平準しながら経過しておる、こういう状態だろうと大観しておるのですが、国民感情としますと、どうも不況が長引く、そういう際に銀行だけが、あるいは金融機関だけがぬくぬくとしておるというような感触になることは、これはよく国民感情そのものを考えて金融機関も対処していかなければならぬだろうと、こういうふうに思います。別に金融機関がそういうとき欠損になれと、こういう趣旨ではございません。これは金融機関はどこまでも健全経営でなければなりませんから、欠損というわけではございませんけれども、こういう際には特段の勉強をいたしまして、そして貸出金利の低下を図るとか、あるいはそれをしなければ預金金利の引き上げを図るとかいろいろの工夫があろうと思いますが、銀行も国民とともに苦しみをしておるんだという姿勢はぜひとってもらいたいと、かように考えます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 副総理、ちょっと認識を私は修正をしていただきたいのですがね。好況のときも不況のときも、いずれもこの都市銀行十三行は上位三十位に入っておるんですよ、これは。いいときも悪いときもですよ。言うなら、全天候型戦闘機なんというのがあるでしょう。あれと一緒なんですがね。いつも飛べるんです。いつでも戦えるんです。だから銀行の別名は全天候型企業と、こう言うんです。そしてまた金利の取り方も、私は去年も指摘しましたが、往復びんた型企業というのが銀行なんです。これは国民の声なんです。私が、玉置和郎が一個人で言っておるんじゃない、これは国民の声なんです。  しかもこれは、言いましょうか、この九月期の資本金一億円以上の会社の六八・七%、申告所得の七二%の利益を銀行が経常支出することができるというところに、マルクスが言った資本主義体制の最大の悪は銀行であると、彼は百年前に喝破したんです。私なんか実際うかつであって、去年もここで言ったんです。木村禧八郎先生が、私がちょうど予算のここの三席理事をしておったときです。銀行の実態を白日の前にさらしたら暴動が起きると言った。何のこと言っているかわからなかった、あの時分は。いまこうして時代が流れてきて、そうして自分が何とかしてこの保守党の中で資本主義の持っておる悪というものを一日も早く除去して、国民が喜ぶような金融体制秩序というものを打ち立てたいと、こう念願をしたんです。そうして、私たちみたいな微力の者がこれだけの資料を集めて、これだけの勉強してきた。私の仲間も協力してくれた。そういう中から見ると、やっぱり問題があり過ぎるんですよ。  そして第一勧銀は半期で三百六十億、頭取、あなたのところは半期で三百七億だね。

佐々木邦彦全国銀行協会連合会会長

○参考人(佐々木邦彦君) お答えいたします。  昨年の九月期の経常利益は三百八億、七、八億です。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 それなら私のほうがまだ一億少ない。それで、前は二百億ぐらいあるね。

佐々木邦彦全国銀行協会連合会会長

○参考人(佐々木邦彦君) はい。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 だから五百八億あるんです。トップの第一勧銀なんか、後で言いますが——これはきょうはもう時間がないから、大蔵大臣、あなたとちょっと約束していただきますけれどもね。ぼくは大蔵委員会でやろうということで、すでに野党の理事の諸君とも話をし、与党の理事の諸君とも話をし、大蔵委員長の桧垣さんとも約束を取りつけて、私はこれだけじゃないんです。もっと膨大な資料があるんです。だから、大蔵委員会であと二時間、二時間、四時間くらいかけてみっちりとあなたとやりたい。それでないと、資本主義の持っている悪というものをこの辺で保守党の力で除去するということでないと、もたないですよ、自由経済は。だから、あなた約束してくれますか。あなたの時間を見て私は出てきますから。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国会の御審議には、どういうことがございましても御協力を申し上げます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 それはありがとうございます。  そこで、もうけ隠しというのをきょうはやろうと思ったんだけれども、もう時間が、あと十一分ですから、きょうはやれない。もうけ隠し、それからいろいろあるんだ。もうけ隠しの中には、コールマネーの逆ざやの問題、経理基準上の問題、退職給与引当金の問題、貸し倒れ引当金の問題、不動産減価償却の問題、有価証券の低価法をとっていく償却方法、これは銀行の特権。それから有価証券報告書総覧。これはあなたのところはこれだけです。この厚さを見たって、これは副総理、大蔵大臣、見たことありますか。これ、こんなに薄いのです、銀行は。三菱商事はこんなに厚いのです。なぜかというんです。私鉄を見てももっと厚いんです。これの五倍ぐらい厚さあるんです。この中にいろいろなからくりがあるんです。これを指摘しなかったら国民納得しませんよ。その他だとか、経営経費だとか——経営経費の内訳なんてちっとも出ていない。これは膨大な金額ですよ。その他でわけのわからぬものが数億円ある。  こういう実態について、大蔵委員会であなたに来ていただくか、ほかの銀行の頭取に来ていただくか。きょうは実は住友、それから東海と太陽、神戸、こういうところに問題があった。しかし、まあわが党の理事は、もうそういうものを呼ばぬで、全銀協のあなただけでひとつおとなしくやれよと言うからおとなしくやっているのですよ。だから、これはやっぱり問題があり過ぎるんです。問題、どうですか、認めるんですか。認めたらきょうはもうやらない。

佐々木邦彦全国銀行協会連合会会長

○参考人(佐々木邦彦君) お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃいましたこと、私もお気持ちはよくわかります。ただ、一言言わしていただきますならば、ただいまお話のございましたいろいろな内部留保の点につきましても、金融機関が信用の基本であると、こういった立場からある意味では手厚い保護も受けております。また同時にそれは考え方によりますと、きちんとワクにはめられた強い規制を受けているということでもあろうかと思います。  それから、ただいまのもうけ過ぎ論でございますが、先ほど副総理からもお話がございましたように、銀行の経営は健全であるべきだということで、好景気のときも、世間一般が不況のときも、ある程度の利益を上げております。したがって、一般が不況のときに非常に銀行が高収益を上げておると、こういった感じをお持ちのこともよくわかります。しかし、私はよく申しますんでございますが、銀行の利ざやも非常に小さくなっておる。具体的に申しますと、昭和三十年には都市銀行の預金高は二兆五千億でございます。それが四十九年、昨年の九月には五十兆円になっております。つまり二十倍になっております。ただし、上げました利益は、預金高は二十倍になっておりますけれども、三十年のそれの十二倍ということでございますから、利ざやが約半減をしておるということはおわかりいただけると思います。そういったこと、なお詳しいことは申し上げませんが、今後銀行の利ざやはますます縮小してまいります。  それから先ほど日本銀行の資本金についていろいろお話が出ておりました。私は昭和七年に安田銀行に入りまして、当時は六大銀行すべて払い込み資本金一億でございましたけれども、当時の預金高はいずれも十億未満でございます。つまり預金高の一割以上のものを、払い込み資本金として持っておりましたわけでございます。現在は預金は私どもの方は五兆五千億ございます。資本金は先ほどお話がございましたように、六百六十億円でございます。銀行の資本金をふやす必要があるかどうか、これについてもいろいろ議論はございますけれども、大体世界の銀行の平均は預金高の五%くらいの払い込み資本金は持っておる。そういった意味でまいりますと、五兆五千億の預金を持っておりますならば、少なくとも二千億程度の資本金ではあるべきであろうかと思います。  先ほどの昭和十七年、物価はいまどうか、二千倍。それから見ましてもやはり昭和十年ころの一億は二千億。そういう点を考えますと、現在の収益も、仮に資本金が二千億であったということでございますならば適当な配当もできない、こういった収益状況であるということだけ御了解をいただきたいと思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 会長ね、金利の問題、それからのあなた方の資本金の問題、それから貸付利息を取って、株を取得して配当金を取って、役員を派遣している、そういった問題。それから地方公共団体をだんだん支配していくパーセンテージが高くなっていく問題、これは地銀だけを例にとっても大変な問題なのです。だから、こういう問題についてはまた後刻やりたいと思います。それから倒産と銀行の問題についても、これも企業倒産がずいぶんあるのです。その問題についてもやはり大蔵委員会で私はやります。  最後に住宅ローンの問題、あと五分しかありませんから、住宅ローンの問題。ぼくは去年もこの住宅ローンを中心にしてやったのです。第一勧銀の横田さんには誠実にお答えをいただいて、その後いろいろな対策をやってくれたやに見えます。しかし、それだけでは国民の願望が達成されていないのですよ。  御承知のように、五百万円銀行からローンで借りて、仮に一いまこんなものはないのですよ。八・八八とすると二十年返済で毎月四万四千六百一円、内訳が利息三万七千円、これが八三%、元金が七千六百一円、一七%、返済利息と返済元金が同一になるは百四十七カ月かかるのです。実に十二年三カ月で初めてこの元金と利息が一致するという、こういう中で、それだって何とかして住宅ローンを借りてでもささやかながら自分の家を建てたいというのが国民の願望なのです。ここで横田さんが私に積極的に努力をいたしますと言った。その後、あの答弁、力強い答弁にこたえるだけのことをしておるのかどうかということになると、はなはだ心もとないのです。  ここに資料があります。これは大蔵省が持ってきた資料だから間違いない。大した伸びじゃないのですよ。伸びも従来の貸出残の中に上積みをされていくのですよ。新規の用といったって本当に知れたものです。金融引き締めの結果、前川さん、あんたのところはこういう住宅ローンというものに対してもっと積極的に考えてみなさい。大蔵大臣、ひとつお願いしますよ、住宅ローンというもの。コールマネー一三%、少なくとも住宅のこの貸出残を持っている銀行に対しては、優先的にこの金利を下げていくという、しかしそれは住宅ローンに使っていただくという、こういう方法をやはり考えていくべきだと思うのです。  これはローン利用者というのは結局賃上げを前提に借金してきたのですよ。それから土地が上がるということで借金してきたのです。ところが、賃上げは福田副総理のもとで、何とかごしんぼういただくということになっているのだ、いま。ごしんぼういただく。それは国民全体の経済のためにこの際総予算もごしんぼういただくということにいまなってきている。その中で、住宅ローンを借りた人たちがローンを返済するということでいま四苦八苦している。その中に、不況のために首を切られた人もおる。奥さんが内職をして、アルバイトに行って、そのアルバイト先が夜の酒場であったりして、そのために一家離散をした人もある。ローンが返せないということで、もう一カ月ほど前でありましたか、埼玉で自殺をした人もある。それが国民の声ですよ。  この住宅ローンについて、日銀に対しても私はお願いしておきますが、思い切って住宅ローンに対するこの金利は一律一三%とせずに、コールマーネーも一三%とせずに考えていくのです。政策令利にするのです。そうして、西ドイツのように三・三%にせよとなんか、私はそんなことは言わない。またアメリカのように四・五二%にせよと言わない。少なくとも、日本住宅金融公庫、五・八ですよ。それなのに日本住宅金融公庫が窓をあけたら、ドアをあけたら途端にこれは皆殺到するのです。その現状を横目で見ながら一体都銀が何を考えているのか、日銀が何を考えているのか、政治家は一体何を考えているのか、大蔵省は何を考えているのかということになる。  結局、つまるところは、私は結論を大蔵大臣に言います。副総理に言います。これはね、政治不在なのです。与党、野党を含めて国会議員の責任です、これは。われわれの努力の足らないところなのです。それを強く反省をしているのです。それだけに、どうかこの住宅ローンについては、国民の本当に願望なのです、ひとつ借りやすいように。一番最初、金融引き締めになったら犠牲になっておるのは住宅ローンを欲しい人たちですよ。そうしてあなたたちの店頭から「住宅ローンのために」というパンフレットが全部消えちゃったのです。いつごろ消えたかというのを私言いましょうか。一律にさあっと消えちゃった、都銀から。間違っているのです。政治不在です。もうこれはあなたに答えてもらわなくともいい。日銀副総裁、あなたこれに対してどう考えるか、ちょっと伺いたい。時間がないから簡単に。これを考えるのか考えないのか。頭取、あなたも、考えるのか考えないのか、それをちょっと答えてください。

前川春雄日本銀行副総裁

○参考人(前川春雄君) 御趣旨のとおり考えてまいりたいと思います。

佐々木邦彦全国銀行協会連合会会長

○参考人(佐々木邦彦君) お話はよくわかりますので、十分検討いたしたい、こういうふうに考えます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 最後に副総理、あなたは内閣の副総理として、きょう総理に来てもらいたかったが総理を呼ぶわけにいかぬというから、あなたは総理を補佐するお一人として、この住宅ローンに対する国民の願望というものをどういうふうに受けとめておるか、これを聞いて私は終わりたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 何せ大変な混乱でありましたので、それから脱出する過程で、いま御指摘のようないろんなひずみ現象ができ、その中で住宅問題、これも非常に惨たんたる状態になった。これはまことにやむを得なかったことと思うのです。しかし、経済が安定したら、私は日本の国として取り組むべき最大の課題はこれは住宅問題だ、こういうふうに思いますので、その住宅問題を第一に優先をする施策であるという認識のもとに、住宅ローンにつきましても配慮してまいります。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 どうもありがとうございました。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記をつけて。  斎藤栄三郎君。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 私は中小企業問題に限って討議をしたいと思いますから、大蔵大臣は御退席を願って結構でございます。  副総理にお伺いいたしますが、三月二十四日の第二次景気振興策です。十二項目にわたって書いておりますけれども、あれで一体どれくらい景気がよくなるものか、私はきわめて不十分じゃないかと思うんです。総需要というのは個人の消費が五〇%、設備投資が三〇%、二〇%が財政需要ですから、副総理が手をつけられたのはその二〇%の部面について手をつけられておられるんで、個人消費並びに企業の設備投資の点についてはお触れになってないような気がしますが、その点いかがなものでしょうか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 御指摘のように、経済を動かす需要要因、これは一番大きなのは個人消費ですね。ただ個人消費につきましては、いま物価は安定感が出てきておるんです。しかし、安定感というものは実態は高値安定。この高値に対する拒絶反応というものが国民各界各層の中に出てきておる。私はこの高値安定に対する拒絶反応というかそういう心理状態が、これはまあいずれは落ちついてくると思うんですが、時間が多少かかります。   〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕 そういうことを考えますときに、個人需要の喚起に景気対策を求めるということは非常にこれは私は困難であろうと。ですから、余りこれに期待するというわけにはいかぬ。  それからもう一つの産業設備需要ですね。この設備投資が一体起こってくるかと、こういうと、これは金を緩めますとある程度は起こってきます。起こってきますけれども、これに指導的役割りを期待するということは、私はこれはむずかしいんじゃないかと思うんですよ。つまり、一昨年あたりは高度成長だと、こういうことで一昨年の経済も繁栄いたしましたが、この繁栄の状態が先先もまた続くであろうというので、企業では相当、二、三年、三、四年先を見て設備投資をいたしておるわけです。さればこそ、需要が総体として沈滞したという今日になってみると、さあ二割減産だ、三割減産だ、ひどいのになると五割減産だというようなものが出てくると、こういうような状態である。ですから、これは金を緩めるという、またその他の施策をとりますれば、これは設備投資需要は多少は起こる。しかし、そう多く起こってくるというわけにいくまい。  それからもう一つの景気要因は、何といっても輸出問題ですがね。これもそう世界、輸出環境がいいというわけじゃありませんから、これに多くを期待するということも私はできない。  そうすると、やっぱり何といったって財政になってくるんです。財政、特に公共事業、そういうふうに考えますので、そういう財政がこれはどうしても景気対策の主軸にならなけりゃならぬなという認識のもとに、いままでは四十九年度の予算、これの執行促進を考えておりましたけれども、予算も近く成立をするという段階になりましたので、五十年度の予算の早期執行ということを景気対策の主軸とするという考え方をとったわけなんです。しかし、それだけでというわけじゃございません。金融につきましても、設備抑制、建築抑制、こういうことにつきましては、これはこれを緩和し、それに対する金融、これも弾力的にやりましょう、そういう考え方。それから第一次の不況対策とも相通ずるんですが、その中におきましても中小企業の立場、これを特に配慮しなけりゃならぬ。特に中小企業に対する受注の機会、これを拡大しなけりゃならぬというので、せっかくそういう方面の施策も進めておるという最中でございます。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 そこで中小企業問題に入りますが、下請代金支払遅延防止法を改正していただきたい。というのは、現在の法律は、親会社が下請に発注をする、物を納めてもらったら二カ月以内に現金もしくは現金に準ずるもので払えと書いてある。ところが、こう金が詰まってまいりますと全部手形です。しかも百五十日とか百八十日という長期の手形になる。下請の諸君は、払う労賃は全部現金で払っておいて、親会社からもらうのは手形というんでは、これは非常につらいと考えます。その実情については中小企業団体中央会の稻川専務理事が御臨席になっておりますから、稻川専務の御意見を聞いて、副総理の判断を仰ぎたいと思います。

稻川宮雄全国中小企業団体中央会専務

○参考人(稻川宮雄君) 御指摘のとおり、代金の支払いは現金もございますけれども、手形払いが多く、また最近はだんだん手形払いが多くなってきておる、中にはオール手形というものもございまして、自分の従業員、労働者に支払う分は、労働基準法によりましてもまたあるいは家内労働法によりましても、通貨をもって払わなければならぬとなっておりますので、非常にそのところは苦しいわけでございます。御指摘のとおりでございます。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 副総理、いかがでしょうか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 手形を決済から外すというのは非常に困難な問題だろうと思うのです。そこで、これが長期の期限の手形だと、こういうようなことになりますと、中小企業の方で非常にお困りの方も出てくる。そういうようなことも考えて、いま金融政策全体といたしまして、中小企業に対しましては三公庫の融資枠を拡大するとか、あるいは市中金融機関で特別枠をつくって中小企業へ流すとか、いろいろ工夫しておるのです。そういうようなことで、手形の決済が順便にいくようにということをしておりますが、手形による決済を外してしまうかどうかまでですね。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 労賃だけをやはり現金払いにするように……。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) まあそういうことまで考えたことはありませんけれども、なお斎藤博士の御提言でありますので、篤と検討させていただきます。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 それは副総理、ぜひそれをやっていただかないと中小企業はまいっちゃうと思います。いまもう現にまいっているのが多くは人件費と金利の問題ですから、したがって、ぜひひとつ中小企業のために下請代金支払遅延防止法を改正していただいて、人件費だけは現金で払え、もしもそれも不可能だったら少なくとも三カ月ぐらいの手形と、期限をつけていただくことを強く要望しておきたいと思います。  その次の問題で、この二十四日にお決めになった景気振興策の中に、中小企業に対して官需の優先発注ということをうたってあります。大蔵省では四十八年度は四一%、大蔵省だけで言いますと。それから四十九年度が四〇%、五十年度は五〇%ぐらいを中小企業に優先発注をしたいと言っておられます。全日本の官庁で中小企業に対してどのくらいのものが優先発注できましょうか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) これは政府各省でいろいろ検討しておるんです。四十八年度の実績では二八%が中小企業向け発注でございます。そこで、ことし四十九年度は何とかして三〇%に持っていきたいと、こういうことを目標として努力をしておるわけでございますが、この発注割合というのは工夫をすればもっとふやせるんじゃないか、そういうふうに思うわけであります。で、政府直接の発注につきましてはかなり成績がいいんです。いいんでございますが、政府関係機関あるいは特殊法人、そういうところでやっておる発注につきましては、一般の政府のような発注率にならない、非常に発注率が低いんです。それを少し砕いて、それはなぜかと申しますと、政府関係機関でありますとかあるいは特殊法人におきましては大型の事業を手がけるケースが多いのでありまして、一括発注というようなことになりますが、それを細かくカットダウンをするというようなことで中小企業への発注機会の拡大ができないか、その辺を工夫してみたいと、こういうふうに考えておるんですが、いまここで、全体として何%ということを申し上げられるだけのまだ自信はございませんです。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 かつてアメリカでは中小企業優先発注法という法律をつくったことがあります。やはりそれは不景気対策の一つだった。日本でも中小企業者のためにこの程度のものはもう中小企業に優先発注するのだというような一応の枠をお設けになるつもりはありませんか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 政府並びに政府関係の機関だとか、あるいは特殊法人のやっておる、そういう事業の発注につきましては、何も法律を必要とするという問題じゃないんです、政府がその決意をすればできる問題ですからね。法律を必要とするということになれば、これは民間の事業ということでありますが、民間の事業に法律まで設けてそうして発注先を統制するということはちょっと行き過ぎになる面があるんじゃないか、そんな感じがしますが、政府関係につきましては、これはもうその法律をまたず政府の決意でこれはやりますから、それは御安心願いたいと思います。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 第一の景気の問題についての締めくくりで、現在の個人預金が百十六兆円もあります。一人頭百五万ということになっておる。非常に大きい。可処分所得の中で約二五%が貯蓄に回っているわけです。いかがでしょうか、少し貯蓄し過ぎじゃないかというような気を私は持っていますが、御意見いかがなものでしょうかね。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私はそういう考え方は持ちません。やっぱり恒産なき者には恒心なし、やはり一定の資産、これがあって初めて人心は安定をする、こういうふうに考える。何というか、資産蓄積の手段として貯蓄を選ぶ、ぜひそういうふうにしてもらいたいと、こっちの方はむしろ積極的にお願いしたい方でございます。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 私も貯蓄は美徳だと思いますし、乱費は慎まなければいけないと思いますけれども、少し度を過ごしているんではないか。大体所得の二〇%程度の貯蓄が私は日本では理想じゃないかと考えています。現在、この二五%というのは少し過ぎているのではなかろうかというので、いま御意見を拝聴したわけです。それはもう見解の相違ですから結構です。  第二の問題に移りますが、大企業と中小企業の分野の調整です。これがきょうの私の一番お伺いしたいところで、たとえば軽印刷、青写真、更生タイヤ、クリーニング、豆腐などの業界では大企業による圧迫が非常に強い。たとえば一例をとりますと、軽印刷、たとえばこういうものを刷ったりなんかするのが軽印刷でありますが、その業界は平均従業員二十人、工場の数が全国で二万あります。そういうところへまで大日本印刷のような大きな資本で出てくる。その軽印刷業界二万で、売り上げが年間二千億円。大日本印刷は年間二千五百億円の売り上げをやる。一社で二千五百億の売り上げをやる大日本印刷が、そんな従業員二十人ぐらいのところの弱小な業界にまで出てくる必要があるかどうか。ましてや軽印刷の業界には心身障害の方が必ず二人か三人おられる。それが大資本の前に非常に苦しんでいるのを見ると、これは一例にすぎませんけれども、やはり大資本にやり得ることと中小企業にやり得ることはおのずから分野があると思うんです。そういう意味において、この機会にぜひひとつ副総理の御意見で、大企業と中小企業の分野の確定に関する法律をつくっていただきたいと私は要望しておきますが、御意見いかがなものでしょうか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 中小企業問題で重要な問題は、大企業との分野調整の問題だろうという意識は私は持っておるんです。強くこれは持っておるんです。ただ、その線引きを一体どういうふうにするかということになりますと、なかなかこれはしゃくし定規で当てはめるというような簡単なわけにいかないケースが多いんじゃないかという感じを持っておるのです。ですから、きめ細かい行政指導でこの問題を解決していくということの方がむしろ妥当じゃあるまいかというような考え方のもとに、ただいま政府では、いま御指摘の軽印刷でありますとか、クリーニングでありますとか、あるいは最近におきましては豆腐製造業の問題でありますとか、いろいろ問題が起こっておりますが、そういう具体的な業種につきましての分野調整ということをやっておるんですが、そういう調整の状況につきましていま中小企業庁の方からその状況を申し上げさせますが……。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 その前に、ちょっとお待ちください。  その行政指導をやっていることはよく存じております。ところが、たとえば更生タイヤの例をとりますと、昭和三十年には日本の工場が千六百社あった。それが昭和四十年になって半分に減りました。現在は六百社しかありません。行政指導をやっていただいて中小企業の分野が守れるんならそれでも結構だと思いますけれども、なかなか資本の力が強くて非常に困難ではないかというのが——私は学校出てから四十年、中小企業問題ばかり見てまいりましたが、行政指導には限界があるということを私は感じています。したがって、この機会にぜひひとつ御考慮をいただきたい。  経団連から石塚参考人においでいただいておりますから、御意見を拝聴さしていただけませんか。どうぞお願いいたします。

石塚庸三産業政策委員会中小企業部長

○参考人(石塚庸三君) 本来、大企業と中小企業というものは共存共栄の関係にあるということがあくまで前提であると私は存じますが、ただいまの御指摘のような点で、大企業としてもやはり自粛せなければいけないというふうには考えております。ただし具体的な問題につきましては、やはり関係御官庁の行政指導をいただく、あるいは一連の中小企業団体法等によりましてこの間の調整を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 石塚さん、ちょっとお伺いしますが、では、いまの立法措置で十分だという御意見ですか。

石塚庸三産業政策委員会中小企業部長

○参考人(石塚庸三君) 私が伺っておりますところでは、中小企業団体法が適用になった例がないそうでございます。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 ない。そのとおり。ここに私は六法を持ってきておりますが、団体法やなんか活用されればいいですが、役所の間のなわ張り争いのためにちっとも活用されていない。全く私は、国会開会中だけが中小企業問題がやかましくなって、国会が終わればけろっと忘れてしまう、一体これでいいんだろうかということを感じましていまのような要望をいたしたわけです。あなたの御意見では、いまのままでよろしいという御意見ですね。

石塚庸三産業政策委員会中小企業部長

○参考人(石塚庸三君) 特定の法律をつくりまして、特定の法律によりまして分野の確定をするということは、実際上は非常に困難であると私は考えます。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 稻川参考人はいかがですか。

稻川宮雄全国中小企業団体中央会専務

○参考人(稻川宮雄君) ただいまお話がございましたように、現在でも団体法によりまして特殊契約というものを結ぶということができることになっておりますけれども、しかし、御指摘のとおり、いまだ法律ができましてから一回も発動されたことがないわけでございます。しかし、それは行政庁が中へ入りまして両者の話を円満にまとめますので、その限りにおきましては私は現在のとおりでいいと思うのでございますけれども、しかしながら、団体法によりまして商工組合をつくるということが前提でございますから、商工組合をつくるということは業界の三分の二以上の同意をもってつくるということで、非常に商工組合をつくることがどの業界においてもできるというわけのものではございませんので、団体法があるからそれですべてがカバーできる、こういうことにはなっておりませんので、やはり私は特定の法律をつくっていただくということが適切であるというように考えております。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 副総理、お聞きのように二人の参考人の意見は全く相違いますが、副総理はどうお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) これは区画整理を大と中小との間でする、こういう問題ですが、これはなかなかやり方がむずかしいのだろうと思うのです。つまり、それは第一は、何といってもこれは国民経済全体の規模の中で考えなければならぬ。私は大企業が必ずしもこれは排斥されるべきものではない、こういうことは先ほども申し上げたわけですが、やはりその規模のメリットというものをわが国経済としては生かしていかなければならぬ、そういう立場にあるわけです。  問題は、その規模のメリットが尊重されるがゆえに中小の人を不当に圧迫をするというようなことがあってはならぬと、こういうことだろうと思うのです。何が何でも小さい方の存立、これを維持していかなければならぬ、こういう立場ばかりでなくて、やはり大企業が規模のメリットを持つが、反面において中小企業は中小企業としてのメリットを持つという、メリットが尊重されるような状態に中小企業というものを置かなければならぬ。つまり中小企業の体質改善とかあるいは共同化でありますとか、中小企業が中小企業として存在するメリットというものを持ち得るような状態に中小企業というものを誘導するということの方がむしろ私はこの問題のかなめをなすものじゃないか。そういう問題に手をつけずに、ただ単に大中と中小の間に区画整理をするということになりますと、国民経済の上から見て一体いかがなものであろうかというような感じがいたしまして、いまは、先ほど申し上げましたようにこれは行政指導でやってみる。やってみてこれはどうしても救い切れないのだと、こういうようなことになりますれば、これは立法も必要になる、こういうふうに考えておりますが、その際には篤と検討いたしたいと思います。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 第三の問題に移りますが、最近発展途上国からの輸入商品が非常に多い。それを輸入制限してもらえないかという要望が非常に強いのであります。私のところに来ているのだけでも、たとえば繊維ですと絹織物、中国と韓国、水産ですとカツオとマグロ、これが韓国、生糸、中国と韓国、それからスキー靴とグローブ、こういうものはみな輸入制限してくれと、こう言っておりますが、副総理の御意見のほどを承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) この問題は非常に私ども頭の痛い問題なんです。つまり、わが国全体の立場からいたしますと、世界経済がやっぱり自由貿易体制になければ相ならぬ。自由貿易体制、これに利害を感ずるという国は、私は日本以上の国はないと思うのです。そういう意味から、わが国は諸外国に対しまして、わが国は自由貿易体制をとりますよ、そのかわりあなた方の国も自由貿易体制でいってください、保護手段をとらないでくださいということを強く要請しておる。これが最大の生きる道なんです。そういう中において、いま御指摘のようないろんな現象が出てきておる。それはいろいろ原因があると思うのですが、一つは、わが国の経済が非常に発展をした。それに伴って賃金も上昇した。わが国の企業の国際競争力が弱化したと、こういう問題もある。また、私どもの国からいわゆる対外経済協力というようなことで競って海外へ投資をする。その投資したものが逆にわが国に上陸をしてくるというような問題も起こってきておるわけです。いろいろ問題がありますが、これはケース・バイ・ケースで片づけていかなければならぬ。基本方針としては、日本が保護貿易主義をとり出したという口実を諸外国に与えるというようなことがあってはならないのでありまして、そういう口実を与えないように、ケース、ケース、どういうふうな処置をするかということで対処していかなければならぬ問題ではなかろうかと、そういうふうに考えております。

井上吉夫自由民主党

○井上吉夫君 関連。  ただいまのことに関連をいたしまして通産省にお伺いをいたします。  具体的な問題といたしまして、大島つむぎに関連をいたしまして、この経緯の詳細は申し上げませんけれども、五年前、一九七〇年の九月に奄美ではこの問題が発生をいたしまして、さらに一九七二年の二月には大島つむぎの韓国生産阻止郡民決起集会が開かれ、それでもなおかつ韓国との関係というものがなかなか問題が解決いたしませんので、ついにことしの一月二十九日には、韓国つむぎの輸入禁止立法要求県民総決起大会が東京で開かれた。翌日には和装産業危機突破全国大会が開かれた。こういう経緯については十分御承知かどうかということが第一点。  さらに、総需要抑制策によりましてとりわけ繊維産業には大きな圧迫が来ておるわけでございますけれども、こういう中で、それに加えて韓国その他の低廉な労賃によってつくられる品物が類似品としてどんどん市場に出回るということの圧迫、そういうものが加わりまして大変な問題を醸しているということについては御承知だと思いますけれども、どういうぐあいにこれらの事実の変化をながめながら認識しておられるかということと、さらにこういう経過を通じて、これまで輸入つむぎの原産地の表示なりあるいは輸入規制について、どういうような手を打ってこられたか。そしてまた今後国内産業を守るためにこの問題にどのように取り組むおつもりかをお伺いをいたしたいと思います。

野口一郎通商産業省生活産業局長

○政府委員(野口一郎君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。  本場大島つむぎの問題につきましては、昭和四十五年ごろから問題が顕在化しており、その過程につきましては先生がおおよそお述べになったとおりであると思いますし、私どももそういう経過につきましては存じておるわけでございます。特に、この二、三年来、問題がかなり顕在化してまいりまして以降、当省といたしましても、担当官をしばしば現地に派遣する、あるいは現地における会合等にも出席をする、あるいは東京において行われる会合あるいは説明等につきましてもわれわれ耳を傾けて、問題の重大性についてはよく認識しているつもりでございます。  そこで大島つむぎの現況及びこれに対しましてどういう措置をとってきたかということでございますれども、この七、八年来、和装ブームに乗りまして、あるいは高度成長の波に乗りまして、本場大島つむぎの業界も順当に発展をしてきたと心得ておるわけでございますけれども、一つには、やはり一昨年、昨年来の不況、それから同時に、韓国に芽生えました韓国産大島つむぎの産業の発展、それから輸入ということに関連いたしまして、大島つむぎにつきましても問題が非常に顕在化してきたわけでございます。   〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕 それで、この大島つむぎにつきましては、これはやはりわが国が持っておる伝統的な織物産業として安定させ、かつ発展させる必要があろうということはわれわれも痛感しておる次第でございまして、長期の対策といたしましては、御存じのように昨年できました伝統的工芸品産業振興法におきまして第一号の指定を行い、恐らく現在業界では県等と連絡をとりながら、長期の振興計画につきまして検討中だと、近いうちに出てくるものというように存じているわけでございますが、当面の不況に関連いたしましての韓国産大島つむぎの輸入の問題、これにいかに対処するかという問題があるわけでございます。  そこで私どもの方は、産地の実情のまず実態の把握にいろいろ努めてきたわけでございますけれども、やはり何と申しましても、韓国産大島つむぎの表示がどうも本場のものと紛らわしい、あるいは韓国産という表示がないというものが、末端の販売の現場におきまして本物と非常に紛らわしい、あるいは紛らわしいような売り方をされているという点が一つの大きな問題点であったわけでございます。これにつきましては、国内面におきましては、本場大島つむぎの表示を励行するということ、これは私ども、関係の業界にも強く要望しておりますし、あるいは公正取引委員会とも連絡をとって指導をしているわけでございますけれども、他方、入ってくる韓国産のものについて、韓国産の大島つむぎであるということの正確な表示をしてもらう、これが一つの問題点でございます。それから、韓国産の大島つむぎが輸入されておるわけでございますけれども、これに対しまして、無秩序に入ってくるのは非常に困るわけでございます。この二点につきまして、実は先日、二月の中ごろでございますけれども、繊維担当の審議官を派遣いたしまして、韓国政府といろいろ話し合いをしたわけでございます。で、韓国側の方も、韓国にすればいろんな事情があろうかと思いますけれども、日本、こちら側における問題の重要性というものに深い理解を示したわけでございまして、第一のその表示の問題につきましては、韓国産と表示をする、これは確実に表示をいたしますということを約束をしたわけでございます。  それから、韓国産大島つむぎの輸出につきましては、オーダリーなマーケッティングをやりますということを約束をしたわけでございます。  それから、やや長期の問題になるわけでございますけれども、韓国政府の意向といたしまして、この韓国産の大島つむぎを、いわゆる農村工業化のためにセマウル運動というのがあるわけでございますけれども、それの目玉にすることはしないとか、あるいは生産設備をふやすというようなことはしないというようなことを約束をいたしたわけでございます。  ということで、今後とも、以上申し上げましたように、韓国との話し合いはさらに継続をしていく、話を詰めていくということをやると同時に、国内的に対しましても、商社でございますね、特に大手のみならず専門の商社につきましても指導を強化してまいりたいというふうに考えておるわけでございますし、表示の問題につきましても、先ほど申し上げましたような伝統工芸振興法に基づく計画の中にも、統一マーク、表示の事業を積極的に取り上げてもらいたいと考えておりますが、われわれもその方向で指導をいたすつもりでございます。

井上吉夫自由民主党

○井上吉夫君 ちょっと、簡単に……。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 時間がございませんから、簡単に願います。

井上吉夫自由民主党

○井上吉夫君 本日は時間がありませんので各論には入りませんけれども、私はなおかつ事態の認識が甘いという感じがいたします。もともとほとんど手労働でやる伝統産業でございますからして、低労賃の開発途上国と値段の面で競争になるはずがないわけであります。そうして奄美大島にとって、大島つむぎというのがそれこそ奄美の経済を支える最大の産業であるということは十分御承知のはず、そうして伝産法を制定したねらいというものもこれまた十分御承知のはずであります。で、外交上の問題、あるいは保護貿易ということについての考え方を副総理からお伺いをいたしましたけれども、しかし、そのことによっていままで続いてきております伝統産業というもの、これが大変な打撃を受けるという、この実情下にあるという事態の厳しい認識に立つならば、私は、関税の扱いの問題なりいろんな方法によって、単なる振興ということでなしに、私は大きく輸入の規制というものをしなければ問題は解消しない。地元からもろもろの事情はたびたび聞きながらも、この機会に輸入禁止ということを強く訴えざるを得ないという、そういう動きになってきているという、そういう地元の実情というものを十分に認識されて、それに対応する万全の措置を打っていただくように要請をいたしておきたいと思います。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 午前中の質疑はこの程度にいたします。  参考人各位には、長時間にわたりまして貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  午後一時二十五分まで休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      —————・—————    午後一時三十一分開会

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前中の玉置君の発言の中の、森永日銀総裁の大蔵次官、中小公庫、輸銀、東証における退職金について、大蔵省銀行局長から発言を求められておりますので、これを許します。高橋銀行局長。

高橋英明大蔵省銀行局長

○政府委員(高橋英明君) 午前中の玉置委員の御要求の、森永貞一郎氏の退職金について御報告いたします。  大蔵省をおやめになりましたときの退職金が二百四十二万円でございます。中小企業金融公庫をおやめになりましたときが五百三十四万円、日本輸出入銀行をおやめになりましたときが千四百八十七万円、東京証券取引所をおやめになりましたときが五千万円でございまして、総計いたしまして七千二百六十三万円でございます。     —————————————

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙中にもかかわりませず、本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  なお、御発言は、その都度委員長の許可を得て行うようにお願いいたします。また、時間の制約がありますので、お答えは簡潔にお願いいたします。  それでは、これより質疑を行います。松永忠二君。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 参考人の方、お忙しいところありがとうございました。  まず竹内参考人にお聞きをしたいのでありますが、今度の不況は、雇用調整先行型というくらいに、労働者に及ぼす影響が非常に大きいと思うのでありますが、特に深刻な影響が中小零細企業の労働者の雇用とかあるいは賃金に出ていると思うのでありますけれども、この点についてひとつお話をいただきたいと思います。

竹内静雄大蔵省主計局長

○参考人(竹内静雄君) 参考人の竹内です。  ただいま質問がありましたが、確かにこの不況の中で労働者に大変なしわ寄せが寄っております。いまそれを数字的に挙げますと、雇用調整の中で労働時間が切り下げられております。中でも残業時間につきましては大変な切り下げでありまして、四十九年の十二月の数字を挙げますと、全産業で前年同月比二六・二%の減少であります。さらに製造業におきましては、同じく前年同月比で四一%もの減少を引き起こしているのであります。このことは、中小企業の多い業種におきましてはその傾向がひどくなっているのが現状であります。実際に私どもが職場を回りまして聞きましたところでは、この残業カットによる賃金の減少、これは二万から三万に及んでいるのであります。さらに、ある産業で、かなり年輩の人でありますが、この人はこの残業のカットと、さらに休業が行われておりますから、その休業での賃金カットを含めますと、月収にして十七万円ぐらいの人が今日十万円ぐらいしか収入がない、こういうふうな実情が存在しているのであります。  さらに年末一時金のことでありますが、ここでは軒並みに分割払い、それから社内預金あるいは定期預金にしろ、こういうふうな形での会社側の何といいますか、現金を少なくする、こういうふうな一時金の支給状況が大変ひどい状態であらわれているのであります。特に中小企業の労働者にとりましてはこの傾向が顕著でありまして、いま一つの例を申し上げますと、合化労連の東京合同労組に所属するところでは、その中小企業の業主が言いますのには、年末一時金の支給につきまして、その支給額の半額を定期預金にしなければ銀行が金を貸さないと言っているというふうな状態のもとで、半分は定期預金にしなければならない。したがって現金で支給される部分は結局半分である、こういうふうな状態が実例としてあるのであります。この問題は歩積み両建ての問題とも絡むわけでありまして、結局、融資はするけれども、その融資した金が定期預金として銀行に積まれなければ融資はしないということでありますから、全く歩積み両建ての問題になるのであります。そういうふうな問題の中で、いま例を挙げましたように、特に中小企業ではそういったような問題のしわ寄せが大変に起こっているということを私の方から報告を申し上げたいのであります。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 時間も短いので、少し口早にお願いをいたします。  いろんな数字も出て、私持っておりますが、特に斉藤参考人にお願いをしたいわけでありますが、そういうような深刻な不況が中小零細の経営者に対してどんな影響を与えているのか、それをひとつお聞かせをください。

斉藤勇日本絹人繊織物工業会会長

○参考人(斉藤勇君) 私、繊維関係の中小企業者でございますが、ただいま先生お尋ねございました、その不況がどういう状況であるかというお尋ねだと思いますが、御承知のように昨年のオイルショック以来、非常に仕事の量がまず減りました。それから、大体下請業者でございますが、親会社からいただく工賃が、大体一昨年から昨年の初めの半分以下になっております。したがいまして、資金繰りが非常に苦しゅうございます。そういう状況でございますので、私どもの操業率も大体三割から四割ダウンしておりますから、水揚げがしたがって半分以下になっている。すべてコストが上昇しておる際に、水揚げ半分以下で企業が存続しようとしても非常にこれは無理な話でございます。したがいまして、私どもは自分みずからいかにしてこの仕事を存続するか、あるいは生き残っていくかということについては、日夜研さん努力はいたしておりますけれども、いろいろ政府の御配慮によりまして、制度融資とか、あるいは緊急融資とか、たびたびの御援助はいただいておりますけれども、きょうはもうその融資していただいた金の返済期が来ましたけれども、とうてい返済もできません。金利すらも払えないような状況でございます。軒並み償却前赤字でございます。  これはどういう原因から来たかと申しますと、端的に申し上げまして、私どもの繊維の仕事は、まず近隣諸国に追い上げられた問題が一つと、それからいま盛んに言われておる総需要抑制、インフレ防止のための総需要抑制は私どももよく了解できるわけでございますが、それによって健全な私どもが倒産するということになりますと、将来日本がいわゆる必需品である繊維を全部輸入にまたなければ、国内ではもうつくる業者が死滅するというような状態に立ち至ると私どもはいま想像しておるわけでございます。この点につきまして、ひとつ何かいい名案がございましたら御配慮をお願いしたい。  またお尋ねによりましてお答えをいたしたいと思います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 お話わかりましたので、特に取引条件なんかについて大変な変化が出ていると思うのでありますが、その点についていかがでしょうか。

斉藤勇日本絹人繊織物工業会会長

○参考人(斉藤勇君) 取引の条件は、したがってそういう状況でございますから、だんだん中小企業にしわ寄せが来まして、いままで現金でもらった工賃が手形になる、手形でもらったものはサイトが延びる、もらった手形ももうそれを割り引く力がないと。まあ取引条件と、そういうことで今度はほかの業種でございますが、問屋へ納入いたしましてもキャンセルをされる、あるいはクレームをつけられる、あるいは取引が停止する、そういうしわ寄せがもう日夜、ひしひしと私どもの営業を圧迫しているわけでございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 通産大臣、私たちの調べでも、手形の決済の期日が大幅に延びてきて、一時は九十日くらいだったのがもういま百五十日、ひどいのは二百日というのが出ているようであります。それから起算日が非常にずれて、初めは二十日ころまでに納品をすればその月に支払いをしたのを、いまは十日に納品したものでなければその月に払わないというようなことになってきている。現金比率も一時は六〇対四〇、六対四くらいだったが、いまは一〇対九〇くらいだ。こういうふうな取引条件の一悪化という問題について、一体通産大臣は実情をどう考えて、具体的に何か手を打つ用意があるのか。  それからまた大蔵大臣にお聞きをしたいんですが、歩積み両建ての問題はさっき話も出てきましたけれども、これも大蔵省の調査したのと公正取引委員会の調査したのとは、大分違うわけです。四・六%の拘束預金だというふうに四十九年の五月の調査で出しているわけですが、同じ月に公取の調査は、細かい調査でありますけれども、これでは狭義広義を含めて二〇・一%、とにかく預けた金の四割二分以上が拘束されている。大蔵で出したそのものでも、信用金庫あたりは一三・八%の貸付金に対する拘束をやっているわけです。で、銀行局長の名前で通達出しているようですけれども、第二次不況対策でも強力な指導をするというようなことを言っているわけですよ。あるいはまた銀行局長のでは「従来にもまして厳しい責任の追求等の措置をとる考えである。」と、こういうように言っているけれども、一体何を具体的におやりになろうとしているのか。この二つをこれまた簡潔にひとつ通産大臣、大蔵大臣から答弁をお願いします。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 歩積み両建て問題につきましては、かねてから行政面、検査面、両面から改善に努めておりまして、徐々に実は上がっておると見ております。  公取と私どもの方の数字が違うというわけでございますが、公取がどこまでの調査対象をカバーしているのか私よく存じませんが、もし対象が同一で、時期が同一で、そういう違った計数が出ておるとなれば、こちらも注意して見直さにゃいかぬと考えております。  具体的にどういうことをやっているかと申しますと、各金融機関に責任者を置きまして、それも、責任者も相当高い地位の者を置きまして、両建ての是正に当たらして、責任をもって改善に努めさすということをいま勧奨いたしておるわけでございまして、逐次改善の実は上がっておるものと思いますが、これからなお一層勉強してまいるつもりでおります。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 最近不況が非常に深刻化いたしましたので、取引の条件が急速に悪くなっておるということも承知しております。そこで、余りひどい実情等についての連絡がございました場合には、地方の通産局は八つございますが、そういう通産局を通じて改善を指導しておるところでございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 まあ両大臣の答弁くらいなことでそれが直るなら、簡単だと思うんですよ。だからもっと具体的にこういう手を打ちますというようなことをやっぱり考えていただかなければできぬと思うのです。これだけのことを言っているわけですからね、「従来にもまして厳しい責任の追求等の措置」。責任の追及とは一体何を追及するのか。ただ置いて調べるだけではどうにもならないので、この点時間もありませんので、ひとつその後具体的なことを聞きたいと思うわけであります。  労働大臣、雇用保険法によって雇用調整給付金が実施をされているわけでありますが、これが労働者、特に中小企業に働く労働者にどんな影響が来ているというふうにお考えになっておるのですか。一〇〇%非常にいいということなのか、何か問題があるのか、その点をひとつ大臣の方から聞きたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 雇用調整給付金が実施されまして、ただいま先生、中小企業のことを御心配されておりましたが、その点にちょっとお答えいたしますと、この制度ができましてから実は四千五百六十八事業所に適用しております。その中で、大企業が三百九十五事業所、中小企業、これは四千百九十三、一対十のかっこうでございまして、人数にしますと、片や大企業が二十万七千二十六人、中小企業は二十万四千五百七十六人、こういうことで、私はこの給付金というものが中小企業の場合には三分の二補給をしているということで、いささかお役に立っておるのではなかろうかと、これから先も、細かい業種の追加なども御要望もありますし、いま参考人のお話もあったようなことでもありますから、こういうものは第二次の、先日副総理を中心にした関係会議でもありましたように、なるべく追加していきたいと、こういうふうに考えております。  それからもう一つ、これがいい面、あるいはどういうふうに考えているかということでございますが、実績については、まだ適用してから日が浅うございますから具体的に私の方でつかんでおりませんが、一部におきましては、便乗的な休業とか、あるいは対象業種の指定とか休業規模の要件等についてのいろいろな御議論があることも聞いておりまして、研究をしながらやっているわけであります。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 竹内参考人にお聞きいたしますが、いま労働大臣はそういうお話でありますが、私は雇用調整給付金が中小零細な労働者の、あるいは労働組合にどんな影響が起きているのか、これは大臣が認識しているのとはやや違う問題があるのじゃないかと考えるのですが、竹内参考人の方からもしその点があれば、簡潔にひとつお答えいただきたい。

竹内静雄大蔵省主計局長

○参考人(竹内静雄君) お答えしたいと思います。  ただいま労働大臣の方から数字を挙げられまして述べられましたが、私どもはこの数字を見ましても、大企業に適用されているのと中小企業に適用されているのが大体ちょぼちょぼでありますが、三百人以下の労働者が占める割合というものは、たとえば製造業をとってみますと七〇%でありますから、比率からいたしますれば中小企業においては適用が大企業に比べて少ないということが言えるのではないかというふうに考えます。  その次に実態について申し上げます。一つは、これは社会党の藤田代議士が二月二十八日の衆議院予算委員会第三分科会で質問されたことでありますので繰り返しませんけれども、前期よりも七・一%も利益が伸びているというふうな、もうかって内部蓄積がある企業においても適用されているということ、この点につきまして、遠藤職安局長は、内部留保がたくさんあるのに一時帰休を出すのはけしからぬという気持ちはわかるが、内部留保をチェックすることは現実的にむずかしいという趣旨の答弁をなさっております。この点につきましては、合化労連の太田委員長は、配当が一割以上もあるようなところは適用すべきではないと、そういう意見を前もって表明しているということも私の方から報告をしておきたいと思うのであります。  さらに、中小企業に適用が多いのじゃないかという大臣のお考えでありましたが、全金本部の一月の報告でありますが、一時帰休は二二・四%あるわけだけれども、中小ではほとんどない、つまり少ない。むしろ中小では倒産、工場閉鎖一〇・六%、希望退職を含めた解雇四六・一%、賃金遅払い五・三%、いま申し上げた三つのケースを合計いたしますと六二%と、こういう数字が報告されているということを申し上げておきたいと思うのであります。  また、私が知っているあるケースについて言いますと、そこの場合に、休業を提案する、そうして給付金を申請するといった場合の会社側の提案の中に、休業中、他会社に就労するときには会社の許可を要する、こういうふうな項目があるのであります。したがって、こういう中小企業におきましては、休業をいたしまして帰休をしますと帰ってこないという心配から、こういうふうな条項を使用者側が提案しているのでありますが、この場合に基本給一〇〇%となっていますけれども、いわゆる基準内から見ますと七〇%ぐらいでありますし、もし残業を含めた実収からすれば、さらに低下することは明らかでありますが、そういう状態のもとで、たとえばほかの会社に就労する、アルバイトも含めて就労するという場合に、会社はこういうことをしなければ休業に踏み切れないという実態は、中小企業にとってこの調整給付金というものが、大臣が言われたように必ずしもいっていないということを証明する一つのケースではないかと思うのであります。  そういうふうな状態の中で、さらに別のケースを挙げてみます。広島にガラス工場がありますが、そのガラス工場で現在給付金をもらっていろわけでありますが、ここでは広島が四百名、大阪が六百名の人員を擁しております。しかし生産の比率は、前者が、つまり広島が三、大阪が七という状態、したがって、広島の方が設備が古いわけでありますが、こういう状況のもとで三〇%の減産を一月から三月にわたってやり、休業をいたしました。で、大阪へ広島から約二百名が配転出向というかっこうで、残りが帰休になっている状態でありますが、賃金は八〇%休業補償であります。この場合に三ヵ月という期限があるわけでありますが、そういうときに社長は、秋口には再開するから、あとの問題については心配するな、それを追及するということは水臭いではないかというようなことで、あとの問題、つまり私どもが常識的に考えて広島の方が閉鎖されるかもしれないということに対して、社長はそういうことでお茶を濁しているというのが実情であります。したがいまして、これは工場閉鎖にいくかもしれないという状態のもとで、しかもなおかつ政府からは給付金という金をもらっている、こういうふうな状態でありますから、もし労働省が言っておられるように、失業の予防のためにこの給付金を設けられたとするならば、かかるケースはその趣旨にそぐわない逆方向を向いたものではないかというふうに考えるところであります。  こういうふうな状態は、実は日経連並びに関経連が出しております一時帰休の目的にはっきりあらわれているのでありまして、その中には、人員整理によらず従業員に危機感を与えモラルを向上させるということ、自然退職を求めるということ、これは括弧いたしまして「離職意思の刺激」というふうになっているのであります。これが一時帰休の目的として日経連並びに関経連が指導している内容でありますが、こういう内容から見ましても、一時帰休は解雇の前段階、あるいは解雇に移る、何といいますか、そういう段階として考えているということが明らかで、私どもが各組合のこういった問題に携わるときに、この日経連、関経連の方針どおりの提案がなされているということをつぶさに見てくることができたのであります。以上のようなところから、私どもは大臣が述べられたようには実情は必ずしもいっていないと、そういうことを報告しておきたいと思うのであります。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 時間が短いので、せっかくのお話まことに申しわけありません。  お話がありましたように幾多問題がある。具体的に私のところで、たとえば帰休をやるに当たっても、帰休の中に組合の役員をきちっと指名しておくというようなこともあります。それからまた、いま日経連の話も出ましたが、日経連なんかでは、自然退職を求める、離職意思の刺激として、こういうことを考えるなんというふうなことをきちっと書いてあるわけですね。特に、一時帰休が解雇の不安につながらないようにするためには、これはやはりこの問題について労働組合との間にでき上がった協定書を出させる、あるいはまた六カ月たってなお三カ月延ばせるというのじゃなくて、六ヵ月どころか一カ月くらいで組合との間の協定をきめ細く改めていく、持続していく、こういうことをやらないと、これは結果的には、要するに全く組合自身が骨抜きであり、春闘どころじゃない、帰休でぴしゃっとやられてしまうので機先を制せられて、そんな問題は飛んでしまうということになるわけです。したがって、特に事前の届け出に当たって、こういう労働組合との協定書をきちっと調べる。あるいはまた、やっている間についても監督をしていくということが必要です。ところが、職安あたりにはそんな能力はないわけです。だから、これは非常に効果があるというだけじゃなくて、効果のある面と、それから労働者の基本権を阻害する点がある。つまり帰休の目的を果たさずに、解雇の前提になる、あるいはまたいわゆる余力のある者が改善をするための道具に使われるという、そういう点についての注意が必要だと思うが、労働大臣どうですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 何さま十二月の二十五日に法律が通った後、皆さん方の御要望、また組合、働く諸君の御要望もあったので、一月一日から実施をしまして、先ほどの数字までずっと適用を続けたわけでありまして、いま参考人のお話もありましたけれども、やっぱり私は役に立っている。それは、それぞれの部面においていろんな現象があることも私承知しております。ですから、非常に配当の高いところにこういうものを適用するのもおかしいとか、内部留保の多いところにおかしいじゃないかという御批判なども聞いておりますが、何さまいま労使の間で話をして持ってきたのを私の方でこれを受けて立って、三分の二、二分の一というふうなことでございますので、こういう場所においての参考人あるいは先生方の現実に即したことを事実といたしまして、なお将来の改善のために図ってまいりたい。大いにひとつ心がけて、このせっかくの制度が勤労者のためになるというふうなところに持っていきたいと、こう思っております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 なお労働大臣、ちょっとお聞きいたしますが、日経連のこの考え方については、日経連とやはり話し合いをする必要があるのではないか。はっきり出ているわけです、自然退職を求める、離職意思の刺激ということを言っているわけです、帰休のところで。  それからまた、すでに新聞でも御承知のとおり、東芝が男子五十七歳以上の長期の自宅待機、女子五十二歳以上及び既婚女子全員の半年間帰休というものを出しているわけです。これについて大臣どう考えますか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 私の方でも、いまの東芝の新聞を見まして、これは直接私の方が権限があるわけじゃありませんけれども、こういう時代におかしいことじゃなかろうかと思って、実情を早速職安の局長から向こうに連絡をとりまして調査をいたしました。組合の方もそれを承知しなかったというふうなことなどもあるように聞いておりますが、一時、何か撤回されているというふうに聞いております。問題の起こったたびに気のついたところは何か調査をし、ある場合には、私たちが話をすることによって円満な問題の解決になることが必要だと、こう思っております。  前段の日経連の話は、私ここで初めて聞きましたが、これは日経連というのは、雇用保険法を上程したときも、まるで私たち政府が日経連の手先みたいな法案をつくったんじゃなかろうかというふうに、非常に御非難があったんです。ところが、私たち初め役所の者も、日経連のそういうふうな考え方なども知らなかったし、要綱なども知らず、やっぱり独自の立場においてこれはやったことであります。それについて、いまその制度についてそういうお話がありますれば、なお私の方で確かめもいたしまして、その真意、ある場合には、それが私たちの立場にもとるものであるならば、そういうことのないように努力してまいりたいと、こう思っております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 通産大臣にお聞きいたしますが、今後の不況の見通しというようなものについて、消費需要は一体どうなるのか、在庫調整はどうなるのか、設備投資の状況はどうなのか、国際収支はどうなのかというその項目に触れて、国際収支あるいは設備投資あるいは在庫調整、個人消費、これに触れて今後の不況というものはどういうふうになるのか、まず通産大臣のひとつ見通しを聞きます。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 経済政策全体、景気の見通し全体については副総理が見ておられますので、副総理からもお答えになると思いますが、現段階では景気の情勢はなかなかまだ楽観を許さない。一部の業種は底をついたという感じもいたしますが、しかし、なお悪くなっておるという業種もあるわけでございまして、なかなか楽観を許さぬという状態だと思います。  それから貿易関係、これは外国の事情が非常に悪くなっております。外国も不景気になりまして購買力も減っておりますので、そういう関係であるとか、それから円高の問題等もありまして、よほどの努力をしないとなかなか予定どおりの貿易が伸びない、こういう情勢でございます。いろいろ対策を立てまして、何とか景気が浮揚するようにいま努力をしておるところでございます。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 経済で一番大事な国際収支ですね、これは昨年度は百三十億ドルの赤字を出した、こういうような惨たんたる状態だったんです。その後、逐次改善をいたしまして、今年度といたしましては大体五十億ドル程度まだ赤ではございまするけれども、これはまあ大変な改善になってきておるわけであります。これからの目通しといたしましても、それよりも五十年度におきましては若干の改善は期待できると、こういうふうに見ております。  それからもう一つの重要な眼目である物価、これはかなり鎮静してまいりまして、正月からの働きを見ておりますと、卸売物価のごときはマイナス五、六%ぐらいなむしろ下落傾向を示しておるのです。それから消費者物価につきましても、大体六%程度の上昇、これはいずれも年率にいたしまして。ですから物価全体といたしますと、かなりこれは鎮静の動きであります。そういう状態でありますので、経済全体としますと、世界の混乱の中におきましてはまあいい歩みになっておると、こういうふうに見ております。ただ物価対策、国際収支対策、その摩擦現象というものが、いま出てきておるわけであります。これが不況現象であります。この面になりますと、大体不況は底をついた。非常に大局的に見てです。  ところが、この不況からいつ脱出できるかということを考えてみますと、これはかなり時間がかかりそうなふうに見ておるのであります。とにかく需要が起こってこなけりゃいかぬ。その需要は、いまお話しのとおり一番大きなものは国民消費であります。この国民消費は非常にいま沈滞をいたしておるのです。なぜ沈滞しておるかということをよく調べてみるんですが、これはいろいろな見方がありますが、私の見方では、これは諸物価が高くなった、いわゆる高値安定、鎮静はしておるけれども非常に高い、高値安定。その高値に対するところの拒絶心理状態、それが非常に端的に出てきておるというのが今日の消費鎮静の主因じゃなかろうか、そういうふうに見ております。しかし、これは高いなあと思いましても、だんだんにその高値になれちゃう。そのなれるまでにどのくらいの時間がかかるかというところが問題なんですが、若干の日月を要する。そこで、直ちに消費が盛り上がるということにつきましては私はそう大きな期待はできない。これから景気を盛り上げるという主力としての役割りは、消費には期待できない。また、この消費動向には非常にいい面もあるんですよ、つまり省資源、省エネルギーというような世界情勢、これをはだに受けてというような面もありますから、そういう面は、これはむしろ育てていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。  それから設備投資につきましては、これは一昨年まで大変な成長発展をした日本経済、その勢いがなお続くであろうというような観測のもとに、かなり大幅な設備投資が一昨年までに行われておるわけでありまして、したがって、今日さあ二割減産だとか、三割減産だとか、極端なものは五割の減産だとか、いわゆるデフレギャップといいますか、操業短縮といいますか、そういう現象が出てきておるのであります。金融を緩めますると設備投資が始まるかと、こういうふうに見ますると、業種によりましてはこれは始まるでありましょう。また、始めてもらわなきゃならぬものもあるんです。電力だとか、そういうような基本的なものの需給が将来逼迫するというようなことでも困る。そこで、金は緩めます。緩めまするけれども、設備投資の増資に景気回復の主力をお願いできるかというと、これはそういう見通しはない。輸出は、先ほど通産大臣が申し上げたとおりであります。  そうすると、どうしても財政の作用ですね、これにまたなけりゃならぬ、こういうふうに存じまして、この間、対策閣僚会議におきましても五十年度の予算の上期に公共事業を多く執行しよう、こういうことで、これにひとつ重点を置いてみようという配意をしたわけでありますが、結論といたしまして、大体この夏ごろから徐々に景気は回復過程に向かうであろう。しかし、それまでの間、中小企業というような立場の方々、これは苦しいに違いない、先ほどお話がありましたとおりです。そういう状態もありますので、中小企業に対し財政上受注機会をよけいに与えるとか、あるいは金融を順便にいたしますとか、そういう特別の配意をいたす。同時に、全体として景気が着実に夏ごろからは上昇するように、全体の経済のかじ取りをやっていく、こういうことにいたしておるわけであります。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 大体さっき斎藤さんに話したのを聞いておりましたから、お話の内容はわかります。在庫調整というものが底をついて稼働率も高くなってくるのは、全般的にいつころが一体在庫調整が底をつくと見ているのですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) これは将来の問題でありまして、見方がいろいろあるんです。私は大体在庫が底をつく時期というのは夏ごろまでかかるんじゃないか、そんなふうに見ております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そこで福田副総理にお聞きをするわけですがね、今度の第二次の不況対策出すのに当たっても、きょう経団連の土光会長などは、政府は全くいまの景気の現状あるいは産業界の苦しみを理解していないじゃないか、四十年には公債も発行したじゃないか、こんなことはどうにもならぬと言っておりますが、この考え方についてはどういう考え方をお持ちですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、非常に大事な物価の先行きにつきまして、そう楽観をしておらないのです。つまり、多くの企業が製品の値上げをしようということを意図しておる、これを期待しておる、こういうような動きが非常に顕著でございます。そういうことを見ますと、いまここで経済の運営を手放しにするというようなことになりますると、かなり物価に大きな影響が来やしないか。いろいろ国会でも御議論がありまするけれども、どうも諸悪の根源はインフレです。このインフレの根を絶たないことには、これはもう諸政策はその緒につかない。何としてもこの物価安定、インフレ絶滅というこの大目的ですね、これは貫徹しなければならぬ、そういうふうに考えておるわけでありまして、経済界から言うと、非常に沈滞しておりまするから、不平不満もありましょう。ありましょうけれども、それじゃおっ放しにいたしまして、それでどうなるかというと、これはより重大な問題に遭遇する、こういうように考えておるわけでありまして、まあしばらくがまんしてください、御協力してください、御理解賜りたい、こういうふうにお願いするほかはない、こういうふうに考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 また細かいのは総括でお聞きいたします。少し意見の違ったところもありますが。  そこで最後に時間もありませんが、参考人の方から、一体どういうことをやってもらいたいのだということを、この際、斉藤参考人、竹内参考人それぞれから、時間の範囲内でひとつお聞きをしたいわけです。まず斉藤さんの方から。

斉藤勇日本絹人繊織物工業会会長

○参考人(斉藤勇君) 先ほど申し上げましたとおり、私どもの業界、非常に苦境に陥っておりますので、みずから反省し、みずから更生するための手は打ち尽くしました。また政府におかれましても、いろいろ中小企業対策を金融その他で打っていただきましたけれども、事志と違いまして、現状は非常に深刻な状況でございます。そこで私どもは、まず自分の生産をできるだけ落とすということはやりますけれども、自分の生産を落としますと、今度は外国から入ってくる。その外国から入ってくる根源を調べますと、これは日本の企業あるいは資本、技術が近隣諸国へ行って、私どもの競争相手になって、それが逆輸入をして、そして私どもの仕事を奪っている、私どもの市場のシェアを占領されている。私どもはいかに合理化しても近代化しても、自分の力ではとうていこの難局を打開できる力はもう尽きました。したがいまして、どうかひとつ国の力で私どもが自力更生できるような方策を考えていただきたい。  たとえて申しますと、昭和四十八年の産構審のあの答申は、非常に経済成長いたしておりましたときの答申でございまして、輸入が今日ほど増大するということは見通してございません。あるいはまた流通の問題にいたしましても、御承知のとおり複雑怪奇でございまして、非常に末端消費では高い。私ども仮に申しますと、二百円の生地に三百円の縫製料をかけて五百円でできますワイシャツが、デパートへ出ているのは三千五百円、四千円だ、これでは消費者に安いものは渡りません。私どもがまたいかに努力しましても、消費者には高いものを買わされるという非難を受ける。この流通の隘路と申しますか、流通の不合理が日本の経済の、私どもの業界のガンではなかろうかと思うわけでございます。そういうことにもメスを入れていただきまして、したがって、私どもは下請業者でございますが、小さな業者でございますが、これが大企業から与えられた工賃でやっていこうとしましても、もう倒産続出でございまして、お盆までにはそれぞれの産地が半分ぐらいの業者は倒産するだろうという見通しが立って、非常にいま社会問題になっているわけでございます。  したがいまして、非常にあつかましい話でございますが、設備を処理したいということにつきましては、いろいろ私どもの業界にも行儀の悪い者がございまして、無籍織機をふやすとか、あるいは過剰な設備をどんどんやりましたけれども、こういうものにつきましても、あるいは十六年無利子の金を貸していただくなりして、自力的にこれも整理をしてみたいというふうに考えております。  いろいろ、時間がございましたらまた申し上げたいこともございますが、要約いたしまして、非常にむずかしい問題でございますので御配慮をお願いしたいと思います。

竹内静雄大蔵省主計局長

○参考人(竹内静雄君) それでは、私どもの要望を申し上げたいと思います。  まず、第一に、消費の問題がありましたが、この消費を増加するためには、やはり私たち労働者の最低賃金制の確立並びに大幅賃上げではないかと思います。なぜならば、当時の福田大蔵大臣が狂乱物価と言われたときには、実質賃金が前年同期に対して約マイナス五%であったわけであります。その後七四春闘で三二%、これは名目的な賃上げでありますが、夏場だけは確かにようやく回復しました。しかし、十月、十一月は軒並みに前年同期比実質賃金がマイナスになっているのであります。十二月、一月は、これは一時金が入ったということと、悲しいけれども分割払いが一月に延びているということ並びに公務員の賃金支給がおくれたというふうなことがありましてマイナスにはならなかったわけでありますけれども、こういったような形で実質賃金が全く低下している事実が消費を上げていないのでありまして、たとえば三井石油化学の鳥居社長は最近の新聞紙上の談話の中で、本格的に景気が立ち直るためには消費が増大しなければならないと、かように申しているのであります。そしていま申し上げましたように、実質賃金が実際に下がっているという中で消費が伸びないために景気が回復しないとするならば、やはり私たちがいま要求しているところの最低賃金制の確立、それから大幅賃上げ、これをやることなくしては景気も回復しないのではないか。大幅賃上げは私たちの要求であると同時に、そのためにも絶対に必要であるということが言えるのではないかというように考えます。  それで、最後に、雇用問題について私どもが要求しておりますけれども、雇用問題について、恣意的な解雇に当たっては雇用保障委員会を設けてチェックいたすようにという要求しておりますが、そういうことも緊急に重要に差し迫った要求でありますので、ひとつそういうふうなことが実現されることを祈念しております。  以上であります。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 どうも時間がなくて申しわけありません。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 辻一彦君、用意を願います。辻一彦君。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 不況下において繊維の輸入が与える中小企業への影響等について二、三点、いろんな点から伺ってみたいと思います。  わが国の全体がいま非常な不況下にある。その中で特に繊維の不況は深刻ですが、それが総需要の抑制ということと、もう一つは繊維製品の輸入の圧力というものが大変大きく作用しているのでないか、こういうように私は思います。その不況の深刻さと、そうして海外からの繊維製品の国内繊維生産に与える影響というものについて、斉藤参考人からまず冒頭に簡潔にお伺いしたいと思います。

斉藤勇日本絹人繊織物工業会会長

○参考人(斉藤勇君) ただいま辻先生から繊維製品の輸入について与える影響はいかがという御質問でございますが、繊維製品は原料から二次製品までございまして、多岐多様でございますが、まず原料を輸入しなければならぬことは、これは皆さんひとしく認めるところでございます。ただし、最近の化学繊維は原料が主にナフサという油が原料でございますので、油が輸入されれば原料は国内にございます。しかし、それを加工いたしまして織物なりあるいはメリヤスなりにいたしますと、今度は加工賃が競争できませんので、国内へ近隣諸国あるいは先進国からでも入ってくる。特に絹織物は、生糸が規制されまして事業団の一括輸入ということになっておりますが、織物はフリーになっております。値段を申しますと、国内の生糸は一万一千円ぐらい、それから輸入の生糸は七千円ぐらいであるということになりますと、その七千円の生糸を使った織物と国内の織物と、これはとうてい競争できないというのは幼稚園の子供でもわかるわけでございます。これを私ども陳情を重ねておりますが、生糸の輸入を規制するならば、織物の輸入も規制していただきたいということを特にひとつお願い申し上げたいわけでございます。  それから化合繊にいたしますと今度、日本のメーカーなりあるいは資本と技術を近隣諸国へ持っていきまして、それが逆上陸をする、あるいはまたこれが第三国の方へ送られて私どもの市場を侵食しているということで、第三国やあるいは近隣諸国の国民の生活は向上いたしますけども、大和民族は食っていけないという政治でよろしいかどうかということでございます。特に競争が激甚でございまして、韓国なりあるいは台湾、香港でつくる商品と私どもの工賃の競争は、二、三年前までは競争力ございましたが、最近の諸経費の増大によりまして、もう競争能力がございません。当然これは負けるわけでございます。  これを、なぜ大企業なりあるいは大資本が海外へ行って投資して、そして私どもの仕事を奪ったのであるかということを泣き言を申し上げても、これはそれぞれ合法的にやったものでございますから、私どもは非難を申し上げる筋合いはございませんけれども、結果において私どもがこれによって苦しめられて、そして失業者が増大して、私どもが倒産して社会不安が起きるという世の中にまさになっておりますので、こういう輸入の影響が非常に大きいということでございます。最近この輸入も何かひとつ規制をしていただきたいという陳情をいたしておりますけれども、国民世論は反対じゃということもあるかもしれませんけども、健全な企業が倒産いたしまして、そうして将来五年十年後には衣料が全部輸入品でまかなわれるというような国になってもよろしいかどうか、いわゆる適正な価格で適正な製造ができますように、ひとつ御配慮をお願いしたいということでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 いま斉藤参考人から三点ほど問題の提起をいただきました。時間が非常にないわけですから、要点でひとつ政府の見解もただしたいと思います。  第一は、いまお話がありましたように、生糸を農林省が一元化して規制をしておるのだから、織物の方についてもどうか、こういう声はかなりそれぞれの産地で聞きますが、これらの点について通産大臣はどうお考えになっておるか、まず第一点、お伺いしたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) この輸入制限の問題は、繊維業界のいま最大の課題でございますが、これはわが国が貿易立国でやっておりまして、輸入制限をいたしますと、それは貿易全体に大きく影響するという問題等もあり、かつ近隣諸国からも入ってくるわけでございますが、近隣諸国との貿易は日本からの出超になっておる、大幅な出超になっておる、こういうこと等もありまして、にわかに輸入規制というふうには持っていくことがむずかしい。そこで、当面は秩序ある輸入態勢を確立するということで近隣諸国と話し合っておりますと同時に、窓口になっております商社等にもよく指示をいたしまして、秩序ある輸入に協力するように、こういう指導をしておるわけでございます。でありますから、秩序ある輸入態勢の確立、近隣諸国との話し合いによる解決、そういうことでやっていきたい、こういうふうに考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 私の質問の第一点は、生糸は一元化輸入をしている、しかし織物の方は別だと、そこに非常に問題があるので、せっかく操短をやっても、片方は規制しても、片方が野放しでは非常にむずかしい。それをどうお考えになっておるか、この点です。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 生糸の場合はそういうことになっておりますが、織物の場合は、やはり輸入制限をするということはむずかしいというのが実情でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 絹織物ですよ、絹織物。織物というのは絹織物。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) そうです。輸入制限をするということが非常にむずかしいということでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 なかなか具体的な話を論議するのはむずかしいようですが、私いまの問題は後にもう少し論議することにして、いま問題になっている伝統産業に非常に被害が出ている。そこで、たとえばわが国の伝統産業であります、しぼりの内需の七割、大島つむぎの五割、西陣の三割が輸入物によって占められている。こういうことで産地では非常な影響を受けておりますが、大島つむぎの韓国産つむぎの輸入によって非常に被害を受けているそういう実態を、簡潔に参考人からお伺いしたい。

中江実孝本場大島紬協同組合理事長

○参考人(中江実孝君) 参考人の中江でございます。  ただいま御質問がございましたが、私は奄美大島並びに鹿児島の大島つむぎの産地の状況を簡単に御説明申し上げたいと思います。  御承知かもしれませんが、鹿児島県の鹿児島、奄美大島両産地でつむぎの生産数量は、四十九年度で七十八万反あまりであります。四十八年度よりは約四万反ぐらい減っております。この中でいわゆる韓国つむぎと競合するものは中級品の縦横がすりでありまして、これが七十八万反の中で約四七%の三十七万反に及ぶかと思います。この三十七万反の中で、四〇%は大体集散地の問屋の系列でありますので、これの販売は問屋がやってくれます。あとの六〇%の二十二万反余りの中で約三割は通常の取引で消化されると思いますけれども、七割に及ぶ十五万五千反になるものは、いわゆる韓国から入ってくる韓国つむぎと競合の最も激しい分野を占めております。政府におかれましては年間約三万ないし三万五千反の輸入量ということを発表されておるようでありますが、私たち産地側は東京、名古屋、京都、大阪の四大集散地の問屋とこの二月に懇談会を開きましたが、その際、問屋筋のすべての人々の発言によりますと、三万五千反どころか、それの数倍に及ぶんだ、十万反も超すんだということであります。したがいまして十万反と十五万反との競合になっておりますので、韓国からくる物は一反で約三万五千円ないし四万五千円でありますが、産地の物は六万五千円から七万五千円ということになっております。これを六万程度に見ましても、十五万反ということになりますと約九十数億円に及ぶ額になるわけでありまして、両産地の生産額約四百億円の中の二三%に達する大きな額に達しておる次第であります。したがいまして、伝統産業である大島つむぎはやはり大和民族が着る民族衣装でありますので、この点をよほど考えてもらいまして厳重な措置を講じていただきたいと、かように思うわけであります。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 通産大臣、いま奄美大島、鹿児島のつむぎの韓国産つむぎによる影響について深刻なお話がありましたですね。政府の通関実績では三・五万反、こういう数字が出ておりますが、いろいろな情報を収集すると、産地では十万反前後は出ていて、その非常な圧力を受けている、深刻である、こういう実態のようであります。私はこれを放任しておくと、しぼりのように伝統産業奄美大島のつむぎもやはり崩壊をしていく危険があると思いますが、これらに対してどういう対策を立てられるか、要点をひとつお伺いしたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 大島つむぎの問題でございますが、韓国からの輸入が非常にふえまして、きわめて深刻な打撃を与えておるわけでございます。関係するところが非常に多うございますので、私どもも心配をいたしておるわけでございますが、先般、二月の初めであったと思いますが、通産省から代表団を韓国へ派遣をいたしまして、そして先ほどもちょっと触れましたように、秩序ある輸入にひとつ協力をしてもらいたいということを懇々と話をいたしまして、先方も了承をいたしました。なお、先般も韓国大使にもさらにこのことを徹底するようにということを重ねて申したところでございますが、引き続きまして、いまその詰めをしておるところでございます。どういうふうにこれを詰めていくかということを具体的に詰めに入っておるというのが、現在の段階でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 私はこれに深く入るつもりはありませんが、もう一、二点伺いたいと思います。  聞くところでは、表示をつけるという程度であって、具体的な自主規制的なそういう話し合いにまで入っているというようには聞いておりませんが、そこまで踏み込んだ話を政府はしているのですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 先方は、とりあえずは表示については完全に了解をいたしまして、表示は明確にする。具体的に表示のやり方等につきましても相談をしておるわけでございますが、その点は完全に了解をしております。ただ、数量につきましてはこれからいま詰めに入るところでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 それでは、その表示を韓国政府に約束させたというならば、きのう公取は不当表示をやっている大島つむぎのいわゆる輸入業者等に立ち入り調査をしておりますが、その立ち入り調査の結果を簡潔に御報告をいただきたい。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局長

○政府委員(熊田淳一郎君) 大島つむぎの不当表示問題につきまして、昨年の十二月と、ことしの一月に申告がございました。それに基づきまして、昨日七つの事業所に立ち入り調査をいたしたわけでございます。これは韓国で製織いたしましたつむぎを輸入をいたしまして、これに国産表示を行う、あるいは国産と紛らわしいような表示を行う、こういう疑いでございます。  昨日立ち入り調査をいたしました直後でございますので、まだその内容につきましては具体的にわかっておりませんが、これから急いで審査をいたしまして、その結果、景品表示法による不当表示だということがはっきりいたしますれば、法による厳格な措置を講じたいというふうに考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 不当表示を行っておったという事実はあるんですか。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局長

○政府委員(熊田淳一郎君) これは申告があったということで、私ども疑いで調査をいまいたしておる段階でございまして、まだその調査の結果を待ちませんとはっきりしたことは申し上げられません。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 しかし新聞を見ても、いま公取が出されたこれを見ても、かなりもう明確な名前を挙げて立ち入りをしているんですから、私は具体的事実がおそらくあったと思いますが、事実があったとしたならば、公取はどういう処置をとりますか。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局長

○政府委員(熊田淳一郎君) もしも本当に韓国産であるにかかわらず、日本の国産であるというような誤認を起こさせるような表示をしておるということでございますと、これは景品表示法に触れてくると思います。その場合には、景品表示法による排除命令その他の措置を考えなければならないというふうに思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 排除命令というと、具体的にどうなりますか。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局長

○政府委員(熊田淳一郎君) これは排除命令でございますから、その表示を取りやめるように命ずるわけでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 通産大臣は、韓国政府と通産省でいろいろ話し合って、向こうに表示をつけるということを確認さしたということですが、国内でこういう不当なことが行われている。公取委の調査の結果が、もしその不当表示が事実である、こういうことが確認された場合に、通産省の処置はどうされますか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) これは公取で立ち入り検査をしておられるということを聞きまして、われわれとしてもその結果に対して非常に大きな期待を持っておるわけでございます。せっかく韓国と話し合いをいたしましても、国内でそういうことがありましては、これはもう何もならぬわけでございますから、ぜひともその点を私は厳格にやってもらいたいと、こう思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 いや、公取に期待を持って、まあそれは厳格にやるということは当然ですが、通産省としてはそういう事実があったときに、ただもう公取でやっているのを見ているというだけですか。通産省としてのそういう処置の仕方はどうお考えになるんですか。

野口一郎通商産業省生活産業局長

○政府委員(野口一郎君) 表示の問題は、本場の物をつくっていないものがいかにも本場の物であるかのごとく表示をするという問題、それに対しましては公取が排除命令を出すというわけでございます。それにつきまして通産省どうだということでございますが、われわれの方は、原局といたしまして行政指導の任に日常当たっておるわけでございます。公取委の審査の結果等踏まえまして、それをわれわれの行政指導の上に反映させたいと考えておるわけでございますが、もう一つ通産省のやるべきことは、積極的に本場物は本場物であるということを広く消費者にPRをし認識してもらうということが大事じゃないかと思うわけです。類似物の取り締まりも大事だと思いますけれども、自分たち自身で、自分たちのものはりっぱなものだ、本物なんだということを、たとえば展示会をやるとかいろいろなメディアを通じまして広くPRするということが大事だと思いますし、そのために予算等あるいは補助金等若干は準備してあるわけでございますが、業界において積極的にそういうことをやっていくということであれば、われわれも全力を挙げて支援をいたしたい、こういうふうに考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 行政指導とかいうのは、口ざわりは大変いいけれども、非常に弱い感じですね、この面では。ただ表示を取り外さす、こういうことだけではなしに、少なくも通産省として、政府の間でそういう約束をしてやっている。それが国内でやられないということがはっきりした場合、もっと強い処置をとるべきであると思いますが、通産大臣、どうお考えになっていますか。大臣、どうなんですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) よく検討いたします。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 さっぱり内容がないじゃないですか、行政指導しますとか何かやっていますということでは。

野口一郎通商産業省生活産業局長

○政府委員(野口一郎君) 本場物大島つむぎでないものが、そうでないということをはっきり自覚をいたしまして、標識の上でもその旨がはっきりいたすことでありますると、そういうものとして生産し販売するということ自体を違法であると言うわけにはいかぬと思うわけでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 それでは、通産大臣が韓国と話し合って、効果があるという表示をしなければ、それを違った表示をしておれば、外すだけで何らの処置もないということですね。これじゃほとんど力持たないじゃないです。大臣、どうお考えなんですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 私が検討すると言いましたのは、たとえば韓国産を本場物と偽って販売をするということは詐欺であると、そういうことについて法律上問題がないかどうかということを検討する、そういう意味でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 それは日本の国民、消費者を、にせものというか、だましているといいますかね、やっぱり一つのいま言われた詐欺行為に私はなると思うんです。だから、この事実が確認をされれば厳重な対策を立てるべきである。そういう意味の検討を十分にやられる決意をもう一度お伺いいたしたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 私は、法律のことはよくわかりませんが、常識的に考えると詐欺だと思いますので、これは十分そういう方向で関係者と相談をいたします。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 じゃ、詐欺になるということが確認されたんですが、私は、これ以上の問題はまた後で同僚議員がこの問題に触れられると思いますから、これで打ち切りたいと思います。  そこで、先ほど斉藤参考人からも伺いましたが、合化繊等の産地で滞貨と受注減というために加工賃は三分の一もダウンする等、大変な状態になっている。その中で全般的に輸入の影響というものが、やはり繊維製品の輸入の影響が非常に大きいと、こういうことを伺いましたが、私は、せっかくやった構造改善というこの繊維産業の事業が、こういう形で続いていけばその根元を掘り崩されることになるのじゃないか、こういう感じがいたしますが、簡潔に斉藤参考人からこの点をお伺いいたしたい。

斉藤勇日本絹人繊織物工業会会長

○参考人(斉藤勇君) ただいまお尋ねがございまた、過去七年間構造改善をやりました業種が、輸入によりまして効果が薄れる、そういうことについてどうかというお尋ねだろうと思いますが、全く御指摘のとおり、非常に政府の手厚い施策によりまして、私どもはいままで国際競争力をつけるために七年間構造改善をやってまいりました。しかし、ここへ来て、一昨年のオイルショック以来日本の経済が低成長になると、私どもの生産能力そのものがもうすでに過剰である。過剰である原因はいろいろございましょうが、やりました構造改善が非常に効果がないという事態に陥りました。  そこで、いわゆるポスト構革につきましては、知識集約化と申しまして付加価値の高いものあるいは高級品に移行いたしまして、少品種の少量生産でやろうというような業種にしようとしておるわけでございますが、これもなかなか簡単にいきません。知識集約化して消費者のニードに合うようなものに転換しようといたしましても、私どもの業種はまず輸出織物が大体六割ぐらい占める産地であり業種でございますので、輸出産地のニードがそういう高級品ではございません、いわゆるピースものでございますから、きょうまでやらしていただきました構造改善がむだであったというわけではございませんが、ただ世の中が一変いたしましたので、急激な変化に耐えられないということでございます。そこで、この急激な変化に耐えていけるようにまた業者みずからが努力はいたしますけれども、何らかの施策で徐々に改良進歩ができますような方途をひとつ見つけていただきたい。また長期、中期のビジョンにいたしましても、いわゆる低成長時代の繊維業者が生きていけるようなビジョンの訂正をお願いしたい。  私どもはどうしていいか、右へ行っていいか左へ行っていいか、わかりませんのです。自分の仕事が将来見込みがあるのかないのか、これすら判断がつきません。おじいさんの代からやってきた商売が、ここへ来てはっきり見通しが立たないということならば転業もやぶさかでございませんけれども、転業しようとしますと既往の借入金の処理もできないし、抱えておる労務者の処理もできない。いわゆる万策尽きておるわけでございます。特に非常に繊維業者がこの不況の波をもろにかぶりまして、最初に影響を受けているという状況でございますので、どうかひとつ、政府関係の方々も御認識を新たにしていただきたいと思う気持ちでいっぱいでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 通産大臣にお伺いします。  私、日本の繊維産業の構造改革、構造改善事業というものは、需給のバランスをとって日本の繊維産業の安定成長を図る、これが目的でなかったかと思います。ところが、この構造改善がもう大体終わるというこの時期になって、現場の機屋さんに仕事がない、こういう形で非常な深刻な形にいまなっておりますが、私はこれは総需要の抑制という点もありますが、多分に海外の繊維製品の影響というものが大きい影響を与えているんじゃないか。こうなれば、せっかく国が概算五千億のいろんな経費を使い、あるいは産地では機一台について百二十万ぐらいのいま借財を抱えている、こう言われておりますから、石川、福井等の北陸産地では千七、八百億の借金に私はなると思います。こういうふうな金を使い、そしてまた借金を抱えてやっているこの構造改善というものがその根元を掘り崩されていくというようなことになれば、私は日本の繊維産業にとって大変な問題じゃないかと、こう思うんですが、これについての御認識をどうお考えになっておるか、この点をお伺いいたしたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) いまの繊維問題をいろいろ考えてみますと、一つはこの不況による需要の減退、こういうことが考えられますし、   〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕 先ほど来問題になっております近隣諸国からの輸入の増加、さらにまたもう一つは、一昨年、四十八年における繊維に対する思惑投資というものの後遺症がまだ多分に残っておる、こういう問題もまだ尾を引いておると思います。それから消費者の考え方が大分変わっておるわけでありますので、製品の多様化、高度化、こういうようなことに対して機動的に対応できるという体質の強化というふうなことも必要でなかろうかと思うんです。  そこで、先ほど来申し上げますように、輸入につきましては秩序ある態勢というものを確立したいということでいま懸命になっておるやさきでございますし、大分落ちついてきたような感じもいたします。それからまた景気全体につきましても、先ほど来いろいろお話がございましたように、夏ごろからは上向く、こういう大勢でございますし、四十八年度の思惑投資の後始末もだんだん進んでおるように思われます。そこで、確かに御指摘のような問題はあるのですけれども、もうしばらく様子を見まして、そうしてその上で答申を見直すか、現在の構造改善事業の体制を再検討するかどうかということについて結論を出してみたい、もうしばらく様子を見たいというのがいまの考え方でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 私は輸入問題についてもうちょっと伺いたいのですが、ちょっといま大臣がお触れになりましたから、せっかくの機会でありますからお伺いします。それは、いわゆる四十八年の稲葉案ですね、構造改善の。これは四十七、四十八年のいわゆる日本の経済が高成長政策をとっておった当時における考え方であって、今日のように近隣諸国等の輸入の問題がこれだけ重大な圧力になって日本の繊維産業を見舞うというようなことがそれほど想定されていないし、輸入問題はまさにあの答申の構想の中である意味では欠落をしておったのじゃないかと、こう思うのですね。そういう中で日本の経済が高成長からいま安定成長へ、低成長へ切りかえようとする、しかも輸入問題はこれだけ重大化している、こういう中で今日の現状に適合したあの答申の見直しといいますか、こういうものが必要になってくるのじゃないかと、私はこう思いますが、この点についていま若干の御発言がありましたが、重ねてひとつ考え方をお伺いいたしたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 確かにいまお話になりましたような問題等もありますので、いろいろ手を打っておりますから、もうしばらくの間事態の推移を見た上で再検討する、そういうことにしたいと思っているのです。いま直ちに結論を出すというのは少し時期が早いと、こう思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 もう一つお伺いしますが、日本の経済成長率を、いろいろな見方、想定がありますが、過去のような高い成長率をどの方式、どの基準から言ってもあまり見ていないようですね。そうなりますと、私は四十八年に出された答申の中身は、これからの経済成長の路線からしてもやはり見直していく必要があるのじゃないかと思いますが、様子をもう少し見てということもわからぬではないんですが、大臣の考えの中には、この成長路線の低成長あるいは安定成長の中では見直しをする必要があると、こういうふうに大体お考えになっておるのか、この点いかがですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 先ほども申し上げましたように、夏ごろには大体景気も上向いてくると思いますし、それから近隣諸国との輸入問題についてもある程度の具体的な話し合いができると思いますので、そこらあたりを見まして、そうしていまお話の、検討するかどうかということについての結論をつけたいと、こう思っておるわけです。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 時間の点から余りその問題について伺うことができませんが、私は、前提条件がかなり変わってきている、こういう中でどうしてもこれは一遍見直しをして構想を考えなくちゃならない時期に来ておるのではないか。この点をひとつぜひ検討されるように強く要求をしておきたいと思います。  そこで、さっき大臣言われましたが、輸入問題について懸命の努力をしているということですが、先ほどの韓国のつむぎの程度を見ると、私はなかなか行政指導の中身ではそれほど実効は上がらないのじゃないか。たとえば商社を集めていろいろ相談をしている、行政指導をしているといいますが、いわゆるアウトサイダーなんかの規制といいますか、こういうものは全然らち外にあって網にかからない。こういうことを考えると、今日の行政指導で懸命の努力をされても実効はそれほど上がらないと、こういうふうに思いますが、この点いかがですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 大手商社との話し合いだけでは、お話のように実効は私も上がらぬと思います。それでありますから、韓国政府との話し合いによりまして根本からある程度の調整をしていきたいと、これを主眼に考えておるわけであります。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 それでは、韓国政府のみならず近隣諸国政府と、政府間でそういうような話し合いをこれからずっと進められていくお考えがおありですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) それは、できるだけこの話し合いを進めるようにしたいと考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 じゃ、韓国のみならず香港、台湾あるいは東南アジア諸国と具体的に政府間でお話し合いになる、こういう方向だと確認していいんですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) そういう方向で努力をしたいと思っております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 繊維の輸入が落ちついているというお話ですが、確かにこの間の予算委員会で私も若干論議をしてみましたが、四十九年は四十八年に比べて全体で六%アップという状況でありますね。しかし、月別に見れば後半においてかなり下がりつつある、こういう数字が資料の中に出ております。しかし、これは考えてみると、景気が普通のときならば、一年の後半がだんだん需要が減ってきたというならばいろんな効果が上がりつつあると、こういうように考えますが、日本の全体の経済がこれほど総需要抑制という中で非常な不況と景気の冷え込みがあるという、こういう中で値段が落ちていく、だから外国からの輸入もそれに伴ってやはり落ちていくというのがこれは普通であって、何も行政指導やそういうものが成果が上がって輸入の量というものが落ちつき、だんだん下がっていった、こういうように私は見えないと思うんですが、前者の見解であればきわめて甘い見通しでないかと思いますが、この点いかがでしょう。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) まあそういう見解もありますので、もうしばらくこの輸入の動向を見守りたいというのがいまの考え方でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 あなたのお話を伺っていると、何でももうしばらくもうしばらく見守るということで、どうもその方向がはっきり出せないと思うんですが、そこでもう少し明確にひとつ方向を出していただきたい。この落ちついていると言われるその中身を見ますと、マクロで大きく見ると落ちついてはいるでしょうが、ミクロ的に品目で見ると、大企業のいわゆる大手の原糸メーカー等が生産する合化繊の原糸とか、こういうものはかなり伸びていますね、率が高い。しかし輸入の方では、中小企業が生産する織物であるとかあるいは第二次製品、シャツであるとかこういうものがいまだんだんと一方的に輸入がふえていっている。中身を見ると、こういう数字が私は出ていると思うんですね。だから、大企業は合化繊の工場によって糸をつくって、それを出してしのいでいるけれども、中小企業の方は一方的にしわ寄せを受けようとしている、こういう実態にあると思いますが、この御認識はいかがですか。

野口一郎通商産業省生活産業局長

○政府委員(野口一郎君) 繊維、特に繊維製品の輸入につきまして、先生が御指摘をされましたように、昨年の秋、大体九月以降鎮静化してまいった数字が出ておるわけでございます。その中におきまして、たとえば中小企業のメーカーのつくられる衣類とか縫製品とか、そういうものが落ちていない、あるいはふえているという御指摘がございました。ただ、これも数字等よくながめてみますると、実は縫製品を中心とする衣類でございますけれども、これは確かに、他の製品が大体昨年の六、七月、八月ごろまで高かったわけでございますけれども、その後減ってまいりました。それに比べますと、衣類とか縫製品は落ち方が大分おくれまして、大体約半年ぐらいのおくれとなっております。すなわち縫製品、衣類等は昨年の十一月ごろから減ってまいりました。十二月、一月、減ってまいりまして、大体前年同期の数量、価格で見ましても、半分か半分以下というふうになっておるわけでございます。  これはなぜかというふうに考えてみまするに、やはり衣類等でございますと、いわば長期契約でございまして、スポット物の輸入とは違います。したがいまして、ちょうど狂乱物価、物不足の時代あわてて発注をしたものがずっと後を引いておりまして、それが大体昨年の十一月ごろまでに落ちついたのでないだろうか、こういうふうに見ているわけでございまして、衣類、縫製品につきましても、十一月、十二月ごろから大分落ちつき、鎮静化の状況を示しておるわけでございます。  ただ、織物の中に一部ふえているものがあるという点は先生御指摘のとおりでございます。その一番いい例が絹織物でございますけれども、これは先ほど来問題になっております生糸の一元輸入なり、あるいは生糸のこの間までの輸入の制限というようなものが、織物の需給の面にあるいは値段の面に反映した結果ではないかというように見ておる次第でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 時間の点から詳しい数字は申し上げませんが、通産大臣、日本衣料縫製品協会が出しているこの資料を見ますと、国内生産と輸出あるいはその国内供給量と輸入、この比率は、輸出の方は四十五年が一八・七%、輸入の比率は二・七%だった。ところが、四十九年になりますと、輸出の比率が四・五%で輸入の比率が一七・八%、だから滞貨等を入れると二四、五%にもなるんじゃないだろうか、こう推定されますが、この数字の動きを見ると、もう明らかに第二次製品というものは輸入の量がどんどん比率としても多くなってきている。輸出の方は一方的に減っていく。こういう私は実態があると思うんですね。そこで、政府のこの輸入規制に対する態度はずいぶんかたいようでありますが、大雨が降っていま繊維産業は国内的に非常な不況に見舞われている。緊急避難というような意味においても、短期における国際繊維協定等もあって、四条方式もありますが、短期間でも輸入を何らかの方法によって規制をしていく、そういう考え方はいまのところ考えませんか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 四十八年の数字をながめてみますと、あれだけの投機の輸入があったんですけれども、製品だけでは、やっぱり輸出が大分多いわけです。原料を入れますと、これは輸入が多くなっておるんですが。四十九年度はこれはもう断然やはり輸出の方が多い、全体としてですね。こういう状態でございますし、近隣諸国との関係は先ほど申し上げたような状態の数字が続いておりますので、やはり貿易立国でわが国が立っておる、こういう立場を考えますと、軽々に輸入制限等をしまして、これが導火線となりまして、世界じゅうに日本品の輸入制限というふうな問題に発展をいたしますと、これはもう大変な大ごとだと思うんです。そういうこともありますので、この輸入制限問題につきましてはよほど慎重に取り扱わなければならぬ、こういうことで、私が先ほど来申し上げておりますように、とにかくもうしばらく様子を見たいと、こういうことでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 その点、態度はかたいようですが、十分検討を私はやっぱり重ねてもらいたいと思います。  そこで、残り時間も少ないんですが、最後にもう一点、大手の商社、企業が海外投資をずっとやって、さっき斉藤参考人も、景気のいいときにどんどん投資を行った、その結果、逆輸入もあり、あるいは第三国貿易等によって日本の輸出市場が狭められていく。そういう影響が積もり積もって日本の中小企業にかかっていると、こういう意見の開陳がありました。そこで簡潔にお尋ねしますが、大手の繊維企業の海外投資の実態はどうかと、この点、時間の点がありますので、ごく簡潔に御報告いただきたい。

野口一郎通商産業省生活産業局長

○政府委員(野口一郎君) 簡潔にお答え申し上げます。  大手というのをどういうふうに考えるかということでございますけれども、仮に、例の九大紡あるいは合繊の大手メーカー、合繊の綿フィラメントのメーカーというふうに考えてみますると、しかも一番問題なのは近隣諸国だと思います。そこで、近隣諸国についてこの割合を見てみたいと思うわけでございますが、近隣諸国の繊維工業の投資は、大体三国——韓国、台湾、香港を見ますると、昨年の十二月で約百九十件あるわけでございますけれども、このうち、例の九大紡あるいは合繊大メーカーによる件数は五十件でございます。当該地域の総進出件数の約二六%を占めておるわけでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 このうち、通産が出された資料を見ると、六億四千万ドルというものが繊維産業への海外の投資、まあ近隣諸国に、いま言われた数字が使われております。  そこで、一つは、現地はおそらく合弁資本で同額ぐらいを出して会社をつくると、こういうことでやっておると思います。だから、六億四千万ドルならば二千億、その倍が海外における繊維企業に投資をされておる、こうなります。その中で輸銀はどのぐらい使われておるか、これもひとつ簡単に大蔵大臣から伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 昭和四十九年九月末融資残高が五百三十八億になっております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 じゃ、日本の韓国への経済協力援助というものは累積で幾らか、その中で農村のセマウル運動というのにどのぐらい使われておるか、そのセマウル工場の中で、繊維工場の建設にどのぐらい使われているか、こういうことがおわかりなったらば、外務大臣、お願いしたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 韓国の経済援助の総額、後ほど政府委員から申し上げますが、セマウル運動というのは一般的な総称でございますので、そういう名前で経済協力をしていることはございません。具体的に農業開発プロジェクトというのが三地区ございまして、これに昨年百九十四億円余り借款供与を約束をいたしましたけれども、今日まで一つもそれは使われておりません。融資実績がございません。それから、したがいまして、繊維関係というようなものへの、農村における農村工場としての繊維等の融資もございません。数字を申し上げましょうか、経済援助。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 もう一つ伺います。輸出産業育成という項目がありますね、外務省が出された資料の中に。それは、農村における、あるいは町における繊維産業の育成等に使われておりますか、中身として。時間の点から簡単で結論だけでけっこうです。

鹿取泰衛外務省経済協力局長

○政府委員(鹿取泰衛君) 輸出産業育成という借款は、昭和四十八年に六十二億供与しておりますけれども、この中では特にセマウル工業と申しますか、農村関係の方には行ってないと承知しております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 その論議は、ちょっと資料もありますが、限られておりますから、打ち切って、最後に通産大臣、それから副総理に二点お伺いしたいんですが、海外に大手企業、商社がかなりな投資を繊維企業にしている。おそらく現地もそれに似たような合弁形式で資本を出して繊維産業をつくっている。この中にかなりな輸銀の量も使われておる。韓国のことは、もう時間がありませんから、その中身にはいま詳しく触れません。しかし、民間で調査した中には、セマウル工場という名前で農村に繊維工場がたくさんつくられて、これがかなり繊維の輸出の大きな力になっていると、こういう調査もありますが、そのことの確認は一応きょうは別にして、わが国のいろんな形で海外に投資をされた、そういう繊維企業が、結局繊維をどんどん生産して日本に逆輸入をする。それからもう一つは、それが第三国の貿易を通して、いままで日本の市場であった中近東やその他の方にどんどん出ていく、こういうことによって、日本のいわゆる輸出市場というものがだんだんと狭められていく。これは回って、日本のいわゆる中小企業にしわ寄せが来ているのじゃないかと、こういう感じが、いま私いろいろするわけでありますが、こういう中で、みずからの首を、ある意味においては締めてきたわけでありますが、こういう方向を認めてきた政府の責任というものはないのか、あるいはこういう輸出貿易市場が狭められることについて何らかの救済対策といいますか、対策が考えられるか。この点を大局的に一点だけ伺って終わります。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど来数次のお話がございましたが、とにかく、過去に海外に繊維関係の投資が約六億ドル、そのうちの三分の一、三割強、二億ドル近いものが近隣諸国に投資されておる。その製品が回り回ってわが国の繊維工業に非常に大きな影響を与えておるということは、これは事実でございます。ただしかし、それをやらなかったから、それじゃそういう近隣諸国に繊維産業が発展しなかったかと言いますと、それは私は言えないと思うのです。やはり、どこかの資本が入り込んで、私は当然繊維産業というものは、日本がやらなくても起こっておったと、こう思います。そういうことでございますから、必ずしもそれが一概に悪かったということは私は言えないと思うのです。ただしかし、それだけ日本に対する影響も大きいわけでありますから、日本の繊維工業自身も構造改善事業等を通じまして、また自主的な努力を業者にしてもらいまして、そして体質の改善の強化をする。そして、先ほどちょっと申し上げましたように、国民のニーズ、消費者のニーズが変わっておるわけでありますから、それに機動的に対応できるようなやっぱり体質を強化してもらおうと、そういうことも必要でなかろうかと、こういうことを総合的に考えていきたいと考えております。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 歴史は回るといいますか、ちょうどわが日本が昭和初期にランカシアを追い上げた。今度は開発途上国から追われるような立場になってきておる。その辺が私は根本的にあると思うんです。これにどういうふうに対処するかといいますると、やっぱり国内の繊維産業の競争力、対抗力、これを養うという問題、これはどうしてもやらなきゃならぬ。それからもう一つは、やはり海外経済協力の一環として繊維工業が近隣諸国に発展した。これはまあ大局的に見ると、いま通産大臣が申し上げたとおりだと思います。ほっといてもこれはどこかの資本でそういう産業が伸びたであろうと、こういうふうに思われますけれども、注意には注意をした方がいい。そういうような見地から、対外経済協力、いままでは大体民間の協力につきましては野放しでありまするが、これからは政府がかなり突っ込んだ見方をしていかなければならぬだろうと、かように考えております。

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 宮之原君。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 持ち時間がきわめて限られていますから、答弁もきわめてひとつ簡単にお願いしたいと思います。  中江参考人に聞きますが、先ほどの説明によりますと、総売り上げの二三%に当たる九十三億前後が主として韓国つむぎの売り上げによって減じたと。これはきわめて私は重大な事態だと思うんです。そこで、現地の皆さんとしては何をしてもらいいと求められておるか、簡潔にひとつおっしゃってください。

中江実孝本場大島紬協同組合理事長

○参考人(中江実孝君) 深刻な問題でありますので、ガットとか、あるいは貿易立国とか、いろいろな問題があるかと思いますけれども、奄美について申し上げますと、十六万の住民の中で、このつむぎに関係する者が約七〇%に及んでおります。この住民の生活を考えてみた場合、やはり国としては、ガット十九条による緊急措置をぜひとっていただきたいと、かように思うわけであります。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 先ほどの通産大臣の辻委員に対するところの答弁、あるいはまた、先般のこの委員会におけるところの御答弁等からいたしまして、表示の問題についての御努力あるいは公取委の皆さんの努力は多としますが、これは今後の推移を見守らなきゃならないと思いますが、問題は、御答弁いただいておるところの秩序ある輸入という、この中身は一体どういうことを考えておるか、端的にお聞かせ願いたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 秩序のある輸入ということは、これは一つは数量面で相手国と話し合いをするということであります。それからもう一つは、先ほど来何回かやりとりのありましたこの表示の問題であると、こう思います。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 表示は、先ほど多とするから事態を見守りたいと、こう言っているんだから、あなたのおっしゃっておるところの秩序ある云々というものの量というものは、大体どれぐらいをめどにされておるのか。この間の御答弁だと、どうも現状維持論みたいに聞こえておったんですが、どうなんです。これを聞かせてください。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 実は、数量の面につきましては、いま詰めておるところでございまして、結論は出ておりません。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 はぐらかさぬでくださいよ。問題は、どれだけという数字まで行きますかと聞いているんじゃない。しかし、あなた方は三万反前後入ってきておると、こう見ておるわけだから、言うならば三万反前後というところで現状維持で抑えたいという考えなのか、交渉としてはですよ。それとも、うんと減らしていきたいという考えのもとによって話をしておるんですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 私どもの方は、何とか現状をふやさないようにというふうに考えておるわけでございますが、相手方はやはり現状を相当ふやしたいと。これまで相当ふえてきたわけでありますから、そういうふうな考え方を持っておるようであります。そこらあたりをいま詰めておるわけであります。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 それでは問題にならぬということを私ども先ほどから指摘しておるんです。大体物の把握の状態が違っておるんですよ。あなた方は三万反から三万五千反と言うんですけれども、これはおそらく通関統計を中心にしての判断だと思いますけれども、しかし、通関統計は少なくとも韓国大島つむぎとか韓国つむぎとかという名称で入ってきているものはチェックされておるわけです。しかしながら、無表示の問題とか、あるいはまた郵便で送られてくるところのものだとか、あるいは観光業者が持ち返ってくるところの分などということから見れば相当な数量がやはり入っておる。だから、先ほど参考人は、十万反前後ですと、明確にこうおっしゃっておる。そこの認識のずれがあるから私はこういう問題が来されておると思うんですが。それを現状維持にとどめたいということなら、これは現地の深刻な事態の救済にならぬのですよ。その点どうなんですか、再度それ……。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 私どもは、数量としては大体いまお話しのような程度で掌握をしておるんです。ただしかし、これは必ずしも正確な統計ではありませんので、少しぐらいな違いはあるかもわかりませんが、大体のところ、三万反あるいはそれをちょっと上回った程度、こういうふうに掌握をしております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 だから、問題の大きなずれがあると言うんですよ。あなた方先ほど来言うように、通関統計をもとにしておるからこういう認識をするんです。これぐらいだったら現地は騒ぎませんよ。少なくとも九十億前後の赤字が出ておるというのは相当な数量なんです、これは。これは大蔵省の貿易月報ですけれども、いわゆる原料になるところの原料糸ですね。これの日本からの輸出を見ましても、つむぎに換算をいたしますと、これはすべてがつむぎだとは言いませんけれども、大体換算いたしますと二万一千八百八十キログラム、これは大体四万三千七百七十六反に該当するんです。日本から送られているところの糸でさえも。しかも、昨年のジェトロの報告によっても、現地では一貫産業としてやっておるということさえ報告になっておるじゃありませんか。そういうことを考えれば、三万反というのは全く意図的な数字としか言えないんですよ。そういう認識に立っておられるから一向現地の問題に対しても前向きに解決しようという姿勢が出てこられない。再度聞きますが、本当にあなた三万反、自信ありますか。

野口一郎通商産業省生活産業局長

○政府委員(野口一郎君) 先生の御指摘の点、一番の問題な点でございます。実は、本場大島つむぎ、韓国から入るわけですから類似品でございますけれども、これがどのくらいあるかということの把握が非常に大事な点だと私ども思っております。ただ、先ほど先生がおっしゃって、通関統計をもとにしておるんではないかとおっしゃるわけでございますけれども、私通関のことは詳しくは存じませんけれども、聞くところによりますと、関税分類上本場大島つむぎという分類まで細かくはできていないんだそうでございます。私ども一番いつももとにするのは通関統計でございますけれども、通関統計でも、その分類上正確には把握できないというのが現状であるわけです。しかし、どのくらい入っているのだろうかということにつきまして、いろいろ私どもも幾つかの資料をもとにしながら推計をいたしているわけでございます。たとえば、商社が……

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 もういいや、時間がたつから。

野口一郎通商産業省生活産業局長

○政府委員(野口一郎君) ということで、三万反前後ではないだろうかと、こういうふうに推計をしているわけでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 事態の認識の度合いが違うというのはここなんですよ。その程度だったら何も現地の皆さんは大変な騒ぎはされないんです。実際は、さっき申し上げたような数字が来て九十億前後もしわ寄せを受けておるというところに問題があるんです。これは少なくとも、先ほどお話が出ましたところのいわゆる大手企業とか大手商社、国内の。これが当初海外に投資をしてやるところの化合繊とか綿紡とか毛紡と違って、事少なくとも大島つむぎの場合は、これはもう伝統産業であり、しかも日本人しか着られないところの和装産業なんですから、当然やはりこれに対するところの、輸入上に対するところの問題点の認識というのは違わなきゃならぬし、手だても違っていかなきゃならないと私は思うんです。それを、先ほどからずっと御答弁を聞いておりますと、一貫して抽象的に秩序ある輸出輸入と、こう言われておったんじゃ、何らこの問題に対するところの政府の具体的な解決の方策というものを私どもは見出すことができないんです。先ほど福田副総理からケース・バイ・ケースによって問題を処置したいという答弁もありました、ほかの問題で、やはり繊維関係で。少なくともそういう言に立つならば、この問題について三万反前後というこの認識を改めて、もっと積極的な貿易上の対策がなけりゃならぬと私は思うんですが、再度お尋ねしますが、依然として秩序ある云々で終始されるわけですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 先ほども申し上げましたように、いま数字の面で詰めておるところでございます。でありますから、もうしばらくすると大体の結論も出るかと思いますので、その推移を見たいと思っております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 そんな、待っておった日には現地は日干しになりますよ、これは。  端的に聞きます、時間ありませんから。ガット十九条のセーフガードを発動して、積極的にそれを背景にして現地と話し合うという意思はございませんか、韓国と。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) せっかくいま数字を詰めて話し合いをしておるわけでございますから、繰り返して大変恐縮でございますが、もうしばらくの間その話し合いの成果を待って、どうするかということについてよく考えたいと、こう思います。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 この間からもうしばらくもうしばらくという答弁、昨年の暮れから、これは。ぼくは何回もここで聞いているんだ、予算委員会で。いつまでたったら、もうしばらくになるんですか。その日時を明確にしてもらいたい、その約束の。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) これは先ほどもちょっと触れましたように、二月の初めに通産省から数名の代表団を出しまして、そして厳重に話し合いをしたわけであります。それに対しても、先方も、日韓全体の経済の協力、こういうことを十分理解をいたしまして、真剣に話し合ってみようということで、いま話を詰めておるわけでございます。行ったのは二月の初めで、つい帰ってきたばかりでございますから、もう若干の時間がかかると思うんです。相手のあることでありますから、何月何日というふうには、いま言うことはむずかしいですけれども、事態が深刻になっておる、大きな問題になっておるということは毎日のように聞いておりますし、地元の方からも直接何回も陳情を受けておりますので、目下懸命な話し合いをしておりますから、もうしばらくの間お待ちいただきたいと思います。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 話をしておるって、実際話しておらぬのでしょう。二月に行かれたときには表示問題で具体的に話しされたんですよ。それはおたくの後藤審議官が言いよったじゃないですか。問題はこれからだと言いながら、この話は進めてない。聞くところによると、四月の中旬か下旬あたりに、もう一回韓国に渡りたいと、きわめてスローテンポなんですよ、あなた方は。あたかも大臣の答弁を聞きますと、毎日のごとくやっているかのような印象を与えますけれども、とんでもない話ですよ、あなた。そういうようなスローモーぶりでは、この問題についての解決がつきませんよ、これは。したがって、私は、この問題について早急な、三月中とは申しませんが、四月早々には明確に、次の機会には、ここまでやっているというところの中間報告ができるようにしてもらいたい。場合によっては、私の四月一日の総括質問で再度尋ねますから、その点を明確にしておいてもらいたいと思います。  私は、この問題に関連をして、時間がありませんので多くは申しませんけれども、もしガット十九条のセーフガードを根拠にしたところの積極的な話し合いがないとするならば、少なくとも具体的には、現在のこの貿易管理令を適用するところの、たとえば数量等の規制に対するところの三条一項とか、十条二項という問題について具体的におたくの方でやはり議論をしておいてもらう、あるいは中小企業基本法の二十二条に基づくところの問題点等を根拠にしながら、積極的に通産としてはここまでやっておるんだからもう少し事態を待ってもらいたいとか、あるいはもう少しこういうような形でするからという、一つのめどぐらいは私は示してもらわなければ、この問題に対するところの納得ができませんよ、これは。  しかも、私はこの機会に副総理にもお願いしますけれども、これは通産省当局だけの問題じゃ私はないと思うんです。これは確かにガットとも関連をいたしますから、外交上の問題にもなりましょう。しかしながら、和装産業であり、しかも伝統産業であるところの国内産業の問題ですからね。これを一般論に置きかえて、日本は貿易自由国であるから云々ということでは済まされぬと思ううんですよ。これだけのこの問題に対するところの地域の皆さん方の適用されているところの範囲、生活上の問題、そのさらされているところの脅威という問題を考えていただきまして、早急にひとつ処置をしてもらいたいということについて、政府としての責任あるところの態度を私はお聞かせ願いたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) この問題はなかなかむずかしい点のあることは先ほどお答えしてあるとおりでございますが、私も、大島つむぎ、非常に重大な段階に来ておるということにつきましてはよく承知いたしております。通産大臣がお答え申し上げましたように、できるだけ手を尽くしまして、そうして何とかひとつ安心いただけるような事態になるように最善を尽くしてみたいと、かように考えます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 これでやめますが、ひとつ四月の初めの総括のときには、いまより前進したところの形の問題で、どこまで努力したと、この問題が明らかになるように私重ねて要望申し上げておきます。  終わります。

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 竹田君。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 時間があと二十八分しかございませんので、ひとつ答弁の方は簡略に御答弁をいただきたいんですが、まず副総理にお聞きしますが、本予算委員会に提出されました「年間収入五分位階級及び職業別収入と支出(全国勤労者世帯)」、これは十分御検討になりましたか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 大体頭に入れてあります。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 副総理に尋ねますが、いままでの経済の高度成長の中では、ある程度余裕があったと思うんです。これから経済はいままでのような成長はできないということは、恐らくこれは世界的に見ても日本的に見てもコンセンサスを得られている点だと思うんです。こういう中で、いままでのつくられたインフレ、あるいはつくられた総需要抑制、こういうことで、インフレ、失業の被害に遭っているという人は非常にたくさんある。しかし、一億以上の人口、資源のない日本、こういうことを考えますと、国内における国民の生活というのは、狭い中でたくさんの人が生活するということになると、富める人はひとつある程度がまんしてもらう、インフレの犠牲でどうにも暮らせないという人については底上げをしてやる、こういう形で国民が暮らしていく以外に私はないと思うんですけれども、どうでしょうか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりに考えております。ですから、これから日本の経済政策をどういうふうに運営するか、これは基本的な方針を決めますが、その決める柱は、一つは、低成長に応じまして、省資源、省エネルギー、これに徹すること、一つは、投資を産業中心から生活環境中心に移す、それから、財政金融政策の運営、そういうものにつきましては、これは社会的公正、これに重点を置いた施策、こういうふうに考えております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 先ほどこの資料をごらんになったということですが、この五分位の資料によりますと、大体十二、三万以下の勤労世帯というのは、昨年ベースアップが行われたにもかかわらず、去年の秋から収入は減っている。しかし、五分位の方は比較的伸びている。それから消費支出の方から見ますと、特に一分位、二分位、これは物すごく消費節約している。しかも、被服費だとか雑費だとか住居費だとか、こういうようなものの消費の節約というものは非常に大きいものだと思うんです。これまで一分位、二分位の人たちが、収入で言えば十二、三万以下の人たちがこれほど苦労をしているということについては、私どもどうしてもそこを底上げするということを考えなくちゃいかぬし、また、収入のない人だってたくさんあるわけでありまして、そういう点では、福祉年金を若干進めたという点は、これは私ども否定はしませんけれども、そういう層が非常に多い。これからも恐らく急激に景気が回復するというようなことは私はないだろう、こういうふうに思うわけです。  景気回復についてはいろいろな手を打っておりますけれども、やはり消費の不足というもの、この点は、いろいろな要因のある中で今日の不況の一つの要因だ、こういうように私ども見なくちゃならぬと思うんですが、副総理は、消費が少なくなっているということは今日の不況に全然関係がないというふうに思っていらっしゃるのかどうか、その点をお伺いします。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 今日の不況の原因はいろいろありますが、最大の要因は消費が沈滞していることである、そういうふうにとらえております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 労働大臣に伺いたいと思いますが、いまの最低賃金法による地域別の最賃法、これで見ますと、高いところは、東京の一日当たりの最低賃金額は千七百九十四円。低いところになりますと、まあこれから改めるところがあろうかと思いますが、福井あたりの千四百四十四円、こういうことになっております。去年の十月一日に失業者就労事業就労者賃金日額表というのを労働省でお決めになっておりますが、これで言いますと、C作業の能率三、これを見ますと、東京では千七百九十四円で、地域別の最賃とほぼ同額ということになっておりますが、C作業の能率三というのは、一体どのくらいのところを考えておられるのか。私が聞いている点では、労働力としてはまあ余り期待できない、こういう失対労働者に対する賃金だというふうに労働省から御説明を私はいただいているわけですが、そのように考えてよろしゅうございますか——いや、あなたの感じでいいです。労働大臣の感じでいいです。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○政府委員(遠藤政夫君) 失対就労者のいわゆるC三の賃金に相当するものは、いわゆる六十歳を超えるような方の軽作業に属するものでございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 それで、労働大臣、少なくとも最低賃金の額で、これは民間が雇うわけでありますからね、率直に言って特殊な人は別だと思うんですけれども、まあ普通ならば労働力として使える人、この人たちの賃金がいまの失対労働者のCの三、これと同額だと。この失対の方々の賃金が私決して高いということを言いたいわけじゃありません。しかし、まともに働ける十代、二十歳弱からぐらいの人がそういうような賃金で本当に使われているというようなことは、一体あなた労働大臣の目から見て、余りにも安過ぎるんじゃないかと私は思う。あなたはこれで当然だと思われるのかどうなのか。この点はすでに前に案納委員も質問しているわけでありますからね。その後あんたは比較検討されているはずです。どうですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 最賃につきましては、御承知おきのとおり、日本は非常に地域的な差もございますので、地域最賃とか業種別最賃とか、いろいろ決めておるわけであります。そして、それぞれの時の情勢に応じて、去年の十二月ぐらいにはほとんど全国一斉にそういう作業などをして、上げる方向に持っていっているわけであります。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 私は多いか少ないかという判断を求めたんですよ。そういう事務的な話でちょっと答弁をごまかして私の時間を盗むということは、これは困りますからね。ひとつ委員長、それはちゃんと言ってください。質問に対して明確に答えてください。私は判断を求めているんです。——労働大臣ですよ。委員長、労働大臣に求めているんですよ。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 失対賃金につきましては、類似の賃金に相関して考えておるわけであります。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 委員長、答弁が違いますよ、これ。だめですよ、そんな答弁したら。

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 労働大臣、質問と違うようなふうになっておりますから、政府委員の方が補足してください。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○政府委員(遠藤政夫君) 失業者就労事業のCの三の賃金が低いかどうかということでございますが……

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 大臣だよ。あなただめだ。あなたの話は聞かないよ。大臣だよ、大臣。

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 竹田君に申し上げます。ちょっと、先に答弁をさせますから。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○政府委員(遠藤政夫君) 失業者就労事業の賃金は、一般的にその地域で行われます類似の作業に従事する人の賃金と権衡を保ちながら定められることになっております。したがいまして、一般より低い賃金ということではございません。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 最低賃金の決め方というものは、先ほども私ちょっと申しましたが、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の資金支払い能力を考慮して決めることとしておりまして、これは三者構成で……

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 手続を聞いているんじゃないよ。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) やっているわけでして、そういう意味で、その時に応じて上げていると、こういうことでございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 委員長ね、全然質問を聞いてないんだよ。

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 竹田君、時間外でもう一遍。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 時間外でね。私はそんな手続を聞いているんじゃないですよ。手続なんてちゃんと知ってますよ。高いか安いかって聞いているのよ。あなたの判断を聞いているの。判断に対して答えなさい。高いか安いか、それだけでいいんだ。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 格別に安いものについては、だから最低賃金において、いまの審議会の方式において上げていくと、こういうことでございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 労働大臣、もっとよく聞いていてくださいよ。私の時間、後十九分しかないんですからね。人の時間を盗まないでくださいよ。  私が聞いているのは、これは東京ですよ。東京の失対のC作業の能率主、これが千七百九十四円。どんな人がやっているかと言ったら、いま言ったように六十歳以上の方だと。ところが、この最賃の方はもっと若い人がやっているんですぞと。労働力としては最賃の方で雇われている労働者の方がずっと質的にも高いぞと、それが同じ千七百九十四円だ、金額同じだ。あなたの判断はどっちが高いか低いかと、こう私は言っているんです。高いなり低いなりということだけ答えなさい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 手続の問題ということでおしかりがありますけれども、それは地場賃金に応じての話でございまして、そういうものが三者構成によって安い場合には上げていくと、こういうことでございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 いまのはどうだと聞いているんだよ。上げるとかなんとか、そんな手続なんか聞いてない。あなたの判断を聞いているんだよ、高いとか安いとかって。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 私の方で賃金について具体的な数字を言うことは控えさせていただきたい、こう思います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 なぜそれ、高いとか低いとかいうことを答えられないんですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 賃金はそういう方々にお任せして、いろいろ地域の問題、いろいろな業種の関係、支払い能力等々を勘案してお願いしていることでありまして、その方々の決めていることでありますから、私の方から具体的数字について比較をここで申し上げることは遠慮さしてもらいたい、こういうことです。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 それじゃ、質問を変えます。  私は、当然これは労働力としては地域最賃にきめられて、その賃金で雇われる、あるいはそれ以下でも雇われている人がいる。私は地域最賃のこの金額は低いと思いますけれども、私の意見にあなたは全然反対ですか、どうですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 最賃につきましては、最賃でカバーする人は上げて……

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 ぼくの意見に反対かどうかを答えてください。それだけでいいですよ、時間がないんだから。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) あなたのいまの御質問ですか。

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 低いか高いかということ。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 あのね、私は、この地域最賃の方が余りにも低過ぎると思いますと、ね。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 一般論として。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 一般論として。それに対して、あなたは、竹田四郎の意見は間違っているというふうに言えますかどうですかと聞いている。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 竹田さんの御意見だと拝承しておきます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 いやいや。ちょっととめといてくれよ。質問に対して答えてないんだから、委員長。

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 速記を起こしてください。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) あなたの御意見として私は拝承しておきますと答えているんです。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 だから、それに対する評価を求めている。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) ここで私はイエス・ノーということは賃金の問題ですから言えないということも御理解いただきたい、こういうことです。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 私は、いまあなたに高いとか安いとかということを求めていません、今度は。私の意見というのは間違っているかどうかということを聞いている。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) そのとおりと言うわけにもいきませんし、そうでもこざいませんと——先生の御意見として、いろいろな問題を決める場合あるいは進行する場合の参考意見としていきたいと、こう思っております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 同じことじゃないの。評価を聞いているん、だから。

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 参考にすると言っていますから……。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 だめですよ、そんなの。私の意見が間違っているかと聞いているのに、それに対する判断を出さないじゃないか。そんなばかなことがあるものか。二つのものを引き比べて言っているんだから。

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 速記を起こしてください。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 先生のただいまの御質問に対しましては、重要な参考意見として拝承しておきます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 重要な参考意見ですから、きっと私の意見を参考にしてくれるだろうというふうに私は思います。  そこで、さらにお尋ねしますけれども、雇用安定法が通りました。確かに、大きな企業では、雇用調整給付金等々ももらえるということで、これはそういう点では大変いいと思うのですけれども、四月一日から皆保険になるわけですが、その適用になっていない企業、これが、先ほど斉藤さんのお話の中にもありましたように、繊維不況でどんどんつぶれていく。そういうところの人たちというのは具体的にどのように救済をしていくのか、これは労働省としても十分考えておられる上思うのですが、どうですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 先ほどもお答え申し上げましたけれども、今度の雇用保険法の中の給付金制度というものは、ねらいを、三分の二補給金を出すという中小企業、そういうところに重点を置きましたけれども、いままでのところこれがある意味では非常に歓迎され、そしてまた、いまから先の不況対策としても、業種の追加、ことに地場産業等々のいろいろな陳情などもありますので、なるべく拡大していくという政府の方針のもとに作業を進めているところであります。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 失業保険の有資格者とか、あるいは資格のある、まあいままでは保険をかけていた、そういうところはいいと思うのですね。五人未満はいままで適用除外をされていたわけです。五人未満のところじゃどうなんですか。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○政府委員(遠藤政夫君) 現行失業保険法におきましては、五人未満のいわゆる商業、サービス業等の零細企業につきましては適用ございません。したがいまして、こういう人たちが失業されますと、失業期間中のいわゆる失業保険給付が行えない、これが現状でございます。今回成立いたしました雇用保険法は、こういった小零細企業も全部含めて全面適用ということで四月一日から実施されることになっております。したがいまして、こういった小零細企業で働く方々が万が一失業された場合には、全面的に新しい雇用保険法による失業給付が行われると、こういうことになるわけでございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 それは将来のことで、いまはどうするんですか。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○政府委員(遠藤政夫君) 現在失業保険法の適用を受けていない人たちが失業されました場合には、雇用対策法によります転換給付の制度、これによりまして、就業するまでの間、職業訓練を受けるその間の手当でございますとか指導手当、こういったことによって再就職に万全を期してまいる考えでございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 そうすると、保険はかけていなくてももらえると、こういうことですか。保険をかけていなくてももらえるということですか。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○政府委員(遠藤政夫君) 失業保険法による失業保険金ではございませんけれども、雇用対策法に基づきます雇用転換給付による諸手当が支給されることになります。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 いずれにしても、いままでの地域最賃というのは大変低い、まあこういうことを言っちゃ悪いですけれども、失対の一番低い労働力と同じですから、そういう点では私は当然上げていかなくちゃならないと、こういうふうに理解し、いま国民もそういう意味で底上げをするということについては恐らくナショナルコンセンサスが得られていると、こういうふうに私は思います。長谷川労働大臣、その点では御努力されていることは私は——さっきの答弁は非常に悪かったですけれども、御努力していることについては私は評価をしてまいりたいと思いますから、この点は十分評価をいたしますから、御努力も、さっきのような答弁じゃなくて、その要求に対して十分ひとつこたえていただくようにお願いして、これは御答弁は要りませんから……。  それで、斉藤さんにちょっとお聞きしたいのですけれども、先ほどのお話でも、中小企業の返済期限の来ている融資ですね、まあこれが実際は仕事さえあれば返せると思うのですけれども、なかなか返せないというような事態にあると私は思うのですが、そのように理解してよろしゅうございますか。

斉藤勇日本絹人繊織物工業会会長

○参考人(斉藤勇君) いま先生の御指摘のように、私ども、政府資金あるいは市中銀行から膨大な借り入れをいたしました。これは別に政府からおまえらは機屋をやれと言われてしたわけでございませんので私どもの罪でございますけれども、非常に環境が変わってまいりましたのでその返済に非常に困難を来しておるわけでございます。返済期限が来ましたので、このたび、ケース・バイ・ケースでございますが、償還猶予をお願いして、まずきょうは命を長らえておりますけれども、これが大体九月にまた全部しわが寄ってきまして一括返済になるわけでございます。これを九月前に七月から八月にかけてたびたび陳情を重ねていかなければ返済期限が到達するわけでございます。これで陳情を重ねておるわけでございますので、政府の方でも何とぞひとつできるだけ、できたら一括延期をしていただきたいのですが、できなかったらやむを得ずこれはケース・バイ・ケースでもやむを得ぬと思いますけれども、中小企業の窮状を十分ひとつ御察知願いまして、金融のために倒産の出ないように御配慮をお願いしたいと思います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 大蔵大臣、いまのような参考人の御意見なんですけれども、私もいろいろな中小企業とタッチしておりますけれども、いまの御意見について、まあこれは無差別というわけにもいくまいと思いますが、ある程度融資の返済期限の来たものを延ばしてやる、そしていまの不況による倒産というものから何とか救済してやると、こういうことについては何か措置をなさっていらっしゃいますかどうですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) かねて本委員会でもお答え申し上げておりますとおり、ある特定の業種全体としてどうするというようなことはやるべきではないし、やってもいないわけでございまして、あくまで金融は個々の企業に対する信用度をはかってやっておるわけでございますので、金融機関と融資先との間の関係で返済の猶予をすべき必要があるものにつきましてはできるだけ親切に取り扱うように政府関係金融機関に対しましては指示いたしておるところでございまして、そういうラインで措置いたしているものと私は承知いたしております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 大蔵大臣にお伺いしますけれども、大蔵省から、次のような通達——これは私は通達の文書を持っておりませんけれども、次のような通達を出したという話を私は聞いておりますけれども、たとえばある企業がお金が要るということで県なり市なりの信用保証協会の保証をとって銀行にひとつ金を貸してくださいという形で行きますと、おまえのところはいままで取引がないからだめだと、こういうことで断られておりますけれども、これを詳しく聞いておりますと、財務局の方からそういう話がありました、ですから銀行としてはお貸ししたいけれどもお貸しすることはできない、こういうような話を私は承知しているわけでありますが、そういうことを財務局から銀行に対して言わしたことがございますか。

高橋英明大蔵省銀行局長

○政府委員(高橋英明君) そういうことを言わしたことはございません。おそらくそれは民間でやっております特別救済融資制度の扱いの混乱ではないかと思うのでございます。特別救済融資制度といいますのは、民間で自発的に三千二百億ばかりの枠をつくりまして、そしてその地方等におきます非常に不況になった業種を指定して、そしてまあ一括して一般よりも安い金で貸そうと、こういう制度でございます。ただ、それの運用といたしまして、銀行ではなかなかわかりませんので、その業種を所管しております通産局あるいは建設局といったようなところでまとめて持ってきてもらう、それでそれを従来の取引銀行に振り分けるというようなことで実際は運用いたしているわけでございます。おそらくそのときのごたごたではないかと思いますが、私の方から財務局に対しておよそいままで取引のないところはそういうことをやってはいけないというような指示をしたことばございません。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 その点は、通産大臣、通産省の方からそういうことをやったことはございますかどうですか。

齋藤太一中小企業庁長官

○政府委員(齋藤太一君) 不況色の濃い中小企業に対しまして、民間の銀行にお願いをいたしまして中小企業救済特別融資制度というものをいたしておりますが、これは業種を指定をいたしまして、一定の生産がこれだけ減ったという要件を決めまして、その要件に該当する企業から申請を一応通産省の方に業界を通じまして出していただきまして、希望の銀行を書いてもらいまして、そしてその銀行ごとに推薦をする形をとっております。ただ、これは民間の銀行が特に特利でやっていただいている制度でございまして、従来取引のなかった銀行につきまして借り入れをしたいという希望がありました場合に、その銀行の方でお断りになったケースはございます。そういう場合につきましては、これは強制もできませんので、全部政府系金融機関の方でそういう場合はお世話をすると、こういう形で実際には資金が出るように手配はいたしております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 それは個々の場合はそういうことがあり得るかと思うのですが、ちゃんと県の信用保証協会が保証をしたものについてさえ貸していないですね。私はこれは問題だと思う、あえてここで名前は言いませんけれども。そういうような、ただ個人が銀行に行ってこの金を貸してくれということじゃなくて、具体的には県の信用保証協会が保証した上でやっている。この点は、これは銀行局長の仕事になると思いますけれども、そういうような差別金融というようなことはひとつしないようにお願いをしたいと思います。  それからもう時間が四分しかございませんので、せっかく長い間お待ちいただきました郵政大臣にひとつお願いをしたいと思うのですが、きのうも、郵政省の下請の企業、配達の下請というのをやっている人たちが参りまして、こういうことならばこれは普通の職員と同じような待遇をしてくれと、こういうふうに言っておりますけれども、これは僻地のところであろうと思いますけれども、特定の人が郵便集配の請負をやっている。ところが、北海道の例を私は聞きましたけれども、北海道の場合、普通の郵政職員の場合には、雪が深い、なかなか配達ができないというときには、他の人が臨時にその人の配達区域を配達してやる。ところが、この請負作業によるところの配達員はそういうことをさせてもらえない。こういうのは、私は、やっぱり、人を安く使う、何でもいいから安く使う、こういう考え方に基づいていると思うのですね。この点は、例の赤い郵便車の日逓と郵政との賃金関係、あるいは日逓と、さらに郵送事業協会というのがございますね、このさらに下の下請ですね、これとのあたりの賃金が非常に違っている、二万円近くも違っているということは、私は、正常でないし、いま最低賃金をつくろうと、こういう時期にあるわけですが、こういうふうな同じ郵便をただ配るだけで大きな差が出てきているというのは、底上げという思想じゃなくて、とにかくなるべく格差を広げようというやり方だと思いますけれども、少なくとも郵政事業というのは国の仕事ですよ、国の仕事の中で低い賃金労働者をさらにつくっていくというやり方は、まあ率直に言って高度成長のときにはある程度よかったのかもしれない。私はその時代でもいいとは思いませんけれども、現在においてもそういうことを郵政省がやっているということは、私は、国の事業として底上げをしなくちゃならぬという時期に、そのように格差を大きくするようなやり方というのは、郵政大臣、これはやめてもらいたいと思う。どうでしょうか。

村上勇自由民主党郵政大臣

○国務大臣(村上勇君) お答えいたします。  郵政省の昭和四十九年の平均賃金は十一万三千円、それから郵逓——郵便逓送株式会社の賃金は十万七千円であります。その差額六千円という差額がありますけれども、しかし、それは、平均年齢において郵政省の場合は三十六・何ぼ、一方は三十・何ぼということです。それから勤務年限が、一方は十八年余りと、平均がですね。ところが、一方は九・一ですかということになりますと、約半分ぐらいの勤務年齢であります。そういうようなことでそこに格差があるようですが、決して何か意識して安くさしておるということではありません。これはいまのところでは精いっぱいのところでございますので、御了解いただきたいと思います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 時間ですからもう答弁は要りませんけれども、副総理、ひとつこういう時期であるだけに、やっぱり国内で所得格差で非常に不満のある人、こういうことがないように、まあ三木内閣は不公正の是正ということをおっしゃっていますし、あなたもそれについては反対ではなかろうと思うのです。そういうことで、ひとつ特に低所得者の所得の底上げをぜひしていただいて、高い人やあるいはインフレで太りに太った人は、これはがまんしてもらう。しかし、インフレや不況で大変犠牲になった人は、これはひとつ底上げをしていただくように、特段の三木内閣の御努力をお願いして、私の質問を終わります。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 三木内閣は社会的公正ということを言っておるわけです。つまり、力の弱い人、小さな立場の人、そういう人をお助けするということをとにかく政策の重点的な考え方としてやろうと、こういうわけでありますので、できる限りさような方向で努力いたします。

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 速記を起こして。  中尾君。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 最初に、福田副総理に若干景気問題でお伺いします。  いまも話がありましたが、三木内閣は社会的不公正を是正すると、これを最大の眼目として今日まで、経済統括の責任者として福田副総理を中心に、インフレ、物価を鎮静すると、これを最大の眼目にして今日までおやりになった。そのために、金融引き締め、総需要抑制というものが長期にわたってきたわけであります。私が申し上げるのは、インフレによる社会的不公正、これはまあ当然でありますが、一方におきまして今日のようにこのように非常に不況がありますというと、働く者は仕事がない、失業者が続出する、企業が倒産する、こういうことで、不況による社会的不公正というものもこれは出てくるわけですから、その辺のところも十分に御認識であろうとは思いますが、あえて私はお伺いするのですが、二十四日に第二次不況対策が発表になりました。あの中身は、住宅、公共事業等の十二項目に上るものでありますが、看板は非常にりっぱそうに見えますけれども、中身のほどはそれほど目新しいものもないように思いますが、ここで果たして今日の不況を打開し、景気のてこ入れというものができるのかどうか、それから今後景気はどういうような経過をたどっていくのか、まずその辺からお伺いしましょう。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 物価問題を度外視して考えれば、経済政策の運営はこれはもう非常にやさしいんです。景気がこういう状態にある、これをV字型の上昇に持っていく、これはそうむずかしい問題じゃありません。しかし、問題は、物価、インフレを抑える、これを基本にしておるわけですが、この基本を守りながらいま中尾さんの御指摘のような不況による社会的不公正というか、そういう事態があってはならないと、こういうことで、まあいわば両刀使いというか、一方においてはインフレと闘う、他方においては不況を打開すると、こういう両面の作戦を展開しているわけなんです。その作戦の内容につきましては多くを申し上げませんけれども、大体私どものとっている施策、これは順調に推移いたし、夏ごろから徐々に景気回復過程を迎えると、こういう段階に相なろうと、物価はその際におきましても安定の基調をなお一段と進めるであろうと、かように考えております。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 そうしますと、V字型の景気回復ということは春闘のこともお考えになっていらっしゃるのでしょうが、物価対策上心配な点もあろうから配慮されておるのだろうとは思いますが、夏ごろまではなべの底をはうような景気が続くような発言を私は聞いているし、いまも大体そういうニュアンスであります。そうしますと、五十年度の上半期はどの程度の経済成長率になるのか、その辺のところをお伺いします。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 経済成長率につきましては、四・三%年度間と考えておるのです。上半期は夏ごろまではこれは横ばいのような状況だろうと、それ以来逐次上昇いたしまして年間四・三%成長率、こういうことになると思います。ですから、四半期別とかあるいは半期別には考えておりませんけれども、第一四半期は大体横ばい、自後逐次上昇過程に転ずると、結果として年度間四・三%成長を実現すると、こういうふうな見通しでございます。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 そうしますと、第丁四半期、第二・四半期は横ばいか若干上向く。そうしますと、成長率は大体ゼロ成長あるいはまあ若干と。そうしますと、この四・三%の年間の成長率というものを達成するにはどうしても下半期にこれが集中されてくると、下半期自体がこれはまたインフレになって物価が上がってくると、こういうようなことも私は心配するわけであります。あなたがそれをどうしても四。三%にこだわらないと、どうしても物価が心配だということになりますと、あるいは、年度中に物価は一けたにしなきゃならない、こういうことならば、年度を通じてやっぱりこれは低成長で四・三%の成長率は不可能じゃないかと、こういうことも感ずるのですが、いかがです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) まあ第一・四半期が大体横ばいでありますので、四・三%年度間成長を実現するということになると、夏ごろ、つまり第二・四半期以降の成長率は四・三%をやや上回らなければそういうことにならないわけでありますから、あるいは五%ぐらいになるか、あるいはそれを超えるか、そういう状態にならざるを得ないわけでありますが、まあ夏ごろからつま先上がりにだんだんと上昇してくると。これがまあ勢い余ってV字型になるというようなことがありますれば、これはまた抑制しなきゃならぬ。しかし、どうもそのつま先上がりが実現をしないというような状態でありますれば、多少また刺激する政策もとらなきゃならぬと、こういうふうに考えておりますが、まあとにかくなだらかにやっていきたい。やっていきたいが、第一・四半期だけではいろいろとっている施策がそう目に見えるような効果を生じ得ないであろうかと、かように考えております。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 ちょっと時間がありませんので、次に、大蔵大臣、自治大臣にお伺いします。  大蔵省は、公共事業の、本年度は大体約七兆八千億、これの六五ないし六六%を上半期に集中的に済ましたいというような方向のようでありますが、公共事業は、御承知のとおり、国の直轄事業もあるし、また、県の単独事業もある。あるいはまた、国と県との補助事業、共同事業等もあるわけでありますが、地方団体が協力をしていかないというとこれはちょっと不可能である。ところが、地方公共団体はいま選挙をやっている。だから、知事選だの県会議員の選挙をやって、県の方の予算は、県知事がかわるかもしれない、新しい知事に対しての考慮もというようなこともあって、ほとんど骨格予算を組んでおるわけですね。その骨格予算あるいは暫定予算、それを見まするというと、ほとんど建設事業というものが三、四割は減っている。それから選挙でも済んで新しい知事さんのもとに本格的な予算ができますのは、これはまあ夏場を越えてからというようなことになるでしょう。そうしますと、その間の仕事が非常になくなるわけですね。ですから、その辺のところをどのように配慮されておるのか。また、これは地方財政との問題もありますし、いろいろと地方債等も考慮されておるようでありますが、公共事業の促進というものを大蔵省と自治省と本当にきめの細かい対策をお考えになっていかないというと、第二次不況対策といいましても、なかなか実需というものが地方までいかない。その辺のところを業界のほうでも心配している。仕事がほしい、金だけじゃどうしようもないじゃないかということでありますから、その辺の対策をどうお考えになっていらっしゃるのか、大蔵大臣と自治大臣にお伺いします。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、公共事業は、私の方と自治省ばかりでなく、関係各省、それと地方公共団体との間のチームワークがうまくいかないと円滑に推進できないこと、御指摘のとおりでございます。したがって、私どもは、関係各省から地方とのかかわり合いをいま御指摘のような事情も踏まえた上で五十年度の上半期にどの程度の消化が可能であるかという点もつぶさに数字を取り寄せたわけでございます。その数字が、ほぼいま中尾さんが言われたように、六十数%ということは上半期可能であろうという心証を得ましたので、この間の経済対策会議で御提案申し上げたわけでございます。まあこれに伴う予算措置ばかりでなく、地方債の計画につきましてもそれぞれ周到な配慮を加えてまいるつもりでございまして、これは四月の統一選挙の影響というものは最小限度にとどめて推進を図ってまいりたいと考えております。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 地方債は。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 地方債の計画も含めて推進中でございます。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。  御質問がありましたように、選挙の影響というものを無視するわけにはまいりません。しかし、まあ九月までのことでございますので、五月以降にできるだけ促進をするという形をとれば、特に府県の場合はもう来月の半ばで済みますから、十分所期の目的は達し得るのではないか。また、大蔵大臣がお答えをいたしましたように、地方債の計画については地方財政計画の中に十分その点は盛り込んでございますから、問題は地方債発行について大蔵省との間に十分な連絡をとって万遺漏なきを期したいと、かように考えております。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 それで、問題は、地方財政の赤字の問題等が一つの問題になっておるわけですが、それで地方債のことにつきまして、自治省からも大蔵省にいろいろと御協力をお願いしておるわけでありますが、その辺の話し合いはどういうふうになったのか、昨年度の追加の地方債もあるし、今年度の増加の分もありますが、具体的にひとつ御答弁願いたいと思います。

吉瀬維哉大蔵省理財局長

○政府委員(吉瀬維哉君) 御指摘のとおりに、統一地方選挙がございますので、その間の空白が生じないように、特に公共事業の実施計画の承認事務、これにつきましては十分促進方を関係各省と連絡しております。特に起債の許可事務でございますが、明年度の特異な事業にかんがみまして横の連携をさらに緊密にするということで鋭意打ち合わせております。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 具体的には。

吉瀬維哉大蔵省理財局長

○政府委員(吉瀬維哉君) 具体的には、各事業別に計画をとりまして、それが実際の裏打ちがあるかを一々判断いたしまして、そして確認いたしております。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 額は。

吉瀬維哉大蔵省理財局長

○政府委員(吉瀬維哉君) いまのところ、一・四半期の額ですね、これは一応公共事業の実際の進捗率の六五、六と、これが上半期の計画として、地方債は大体公共事業の裏でございますので、公共事業の実施の額に相応した額を起債で認めよう、こういうことを考えております。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 ちょっと時間がありませんので、先に参ります。  それから、通産大臣、建設大臣にお伺いしますが、きょうは東京都の中小企業協会の副会長さんを参考人にお呼びしたわけでありますが、この公共事業の発注に際しまして、官公需法なんかもございますが、ああいうことも考慮されてやっていらっしゃるだろうとは思いますが、政府は、弱い立場にある中小企業建設業に対しまして、どのような配慮をしていらっしゃるのか、まずお伺いします。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) 全体の業界の九九・四%を占めておりますから、中小企業の育成という問題は私ども最重点に実は考えております。特に、四十九年以来の総需要抑制でもろにかぶっておるのが中小企業者でありますから、そういう意味で、特に工事の場合には、できる限り分割をして発注をするようにいたしておりますし、特殊な事情で分割できない場合でも、地元の業者一社ぐらいはそれに組み合わせて、ジョイントでやらせるようにというふうな形で具体的に進めておりますし、地元の優良な業者は積極的な活用をしようということで、これはもう出先機関には至上命令として私どもやっておりますし、都道府県にも要請をいたしておりますし、それから、体質上非常に弱いものがありますから、共同請負制度の活用等も積極的に進めておりまして、率直に申し上げまして、私どもはいま中小企業を中心に建設行政を遂行いたしておる、こういう状態でございます。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 それでは高沼参考人にお伺いしますが、ただいま建設大臣から答弁があったわけであります。しかし、御答弁を聞きますというと、非常に親切にやっているようなこともありますが、私が聞いておるところは、今日の不況下におきまして、中小企業建設業界は年度末も控えておりますし、決算時期も控えて仕事も余りなく受注も非常に少ない、それがたまたまあっても、資金にも乏しく、あるいは大企業等の妨害といいますか、などもあって、倒産寸前に追い込まれている、わずかな金融の措置で息をつないでおるというようなことも聞いておるわけでありますが、きょうはそういった業界の実態を、ひとつ赤裸々に、要望等も含めて承りたいと、このように思うわけであります。

高沼正夫東京都中小建設業協会副会長

○参考人(高沼正夫君) 参考人の高沼でございます。  中小建設業に対しまして、こういう場を与えていただいたことに対しまして最初にお礼を申し上げます。  いま中小建設業界は大変なところにまいっております。このままでは中小建設業者の相当数が倒産に追い込まれるんではないかと、かように心配しております。実際につぶれてしまいます。これは四十七年からインフレの波が私ども建設業界まで覆いかぶさってまいりました。四十八年にはインフレが急上昇し、また、四十八年の末にはオイルショックというような決定的な事態に追い込まれまして、建設業界は非常に大変な事態を招来したのでございます。これは大手と中小と比べますと、そのしわ寄せはほとんど中小建設業界の上に覆いかぶさってきたと言っても過言ではないと思います。四十九年に至りまして、総需要抑制というような厳しい枠の中で、公共工事の削減、それに加えまして金融の引き締め、私ども重傷を負ってこれから先どうしたらいいのかと、実は途方に暮れております。また四十九年、非常に工事量が激減いたしまして、私どもはまる三年間、工事の受注減と赤字に苦しんでまいりました。また、仕事のない中で中小の分野まで大手業者が割り込んでまいりまして、私どもから仕事を取り上げていっているというような状態も現実にございます。この陰で全国の中小建設業者は泣いております。私どもの仕事の大半は地方公共団体に依存しております。御承知のように、五十年度も地方財政の硬直化に伴いまして仕事がございません。これから先、一体どうしたら私どもはいいんだろうかと、そういう点で悩んでおります。昨年、当局のお計らいで政府系金融機関から借り入れもいたしました。しかし、もう借りるにも担保もございません。そういうところまで追い込まれてきております。また、仕事がなければお金を借りられないというのが実際の実態でございます。  そこで、私どもは、この窮境を何としても生き残っていくためには、どうしても当局に適切なことを指導していただく以外に道はございません。私どもが生きるためには、大手業者と中小業舌の受注分野を明確にして、中小業者分野への進出を抑制していただきたい。  また、二つには、事業協同組合に受注の機会を与えていただきたい。  三番目には、雇用保険の業種指定に建設業を入れていただきたい。  四番目に、政府系金融機関返済期限の延期等を配慮していただきたい。  以上の事柄を英断をもって特別の御指導をお願いする次第でございます。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 大体、承りましたが、それでは具体的に若干お伺いをしてみたいと思います。  いま高沼参考人がおっしゃいました中で、非常にこれは問題があると思います。一つは、大企業建設業に対しまして中小企業の受注分野の確保、この問題はたびたび国会でも問題になっておるわけでありますが、特に建設業界では大手の企業の中小建設業界への進出、あるいは圧力、そういうものがかなりあるようであります。中にはきわめて悪質な事例も私はちょいちょいと耳にしておるわけですが、できましたならば、ここに閣僚の皆さんもいらっしゃるし、そういうような実態を、この場でひとつお聞かせ願えれば非常に幸いかと思うわけであります。

高沼正夫東京都中小建設業協会副会長

○参考人(高沼正夫君) 実態、具体例をお話しする前に、私こういうことを話すこと自体、相当な勇気を持ってお話しするのでございます。こういうことがわかりますと、私どもの営業生命に関係がございます。  具体的な例、これは率直に、つい最近あった例でございます。これは東京都の場合でございますが、下水道局から発注になりました仕事でございます。その仕事の内容は、枝線工事と申しまして、家庭から直接、汚水を流す管に直結する、いわば小さな仕事でございます。これは本来ならば、当然中小建設業の分野でございます。場所は、練馬区に出た仕事でございます。わずか金額も一億五千万ぐらいでございます。これを、大阪の一部上場会社でございます——地元業者でこれを欲しいと言っていた方もございます。しかし、大手の圧力がいろんなところからかかってまいりまして、しゃにむに持っていかれたというのが現実でございます。  それからあと一つは、これも都内に起きたことでございますが、小学校増築工事でございます。これも金額は一億九千万、中小の仕事でございます。これを、おまえたちはずいぶん仕事が出るじゃないかと、おれに一本よこさなければ、おまえたち地元中小業・者は全部取れなくしてやるぞというような圧力がかかりまして、泣き泣きこれも出したということが事実でございます。  それから青森、広島、福岡などでは、五千万以下の仕事は中小で取れますけれども、中小の仕事の分野でも、五千万円以上になると大手の人がみんな持っていっちゃう、これは全国的に行われております。具体的な例はそのぐらいでございます。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 それじゃ建設大臣、いま、少し生生しいことを事例を挙げられまして説明があったんですが、こういったような問題が、陰に陽に中小の建設業者に大手から圧力をかけられたりして、なかなか指導が徹底しておらないと思います。陰では泣いておる。そして余りこんなことを言ったんじゃ仕事がまた取れなくなったりして、非常に困っておるという、こういうことですが、こういうことに対して、建設省はどのような指導をやっていらっしゃるのか、まずお伺いしましょう。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) まことに意外な、いまお話を聞きましたが、もっともそれは私どもの直轄の仕事じゃありませんから、いろいろそういう事態はあったかもしれません。何さま三十万以上の業者ですから、その中には、まだまだいま言ったような問題もあるかもしれません。しかし、私どもの関する限りは、私どもは地方建設局にも、都道府県にも、厳重に実は昨年来、特に地場産業を育成する意味においても、最優先して考えなさいということで、本当に至上命令としてやっておるわけで、ほとんどそういう形で行われておると思います。大手の業者でなけりゃならぬような技術的な大きな問題であっても、その地域の優良な業者はぜひ一、二名加えて、ジョイントにやりなさいというくらいにして、最近の発注はほとんどそういう形にやらしておるつもりでありまして、一部そういった例外があるかもしれませんが、そういった問題は、厳重に、私どもの所管に関する限り、今後注意をして、遺憾のないように期してまいりたいと、かように存じます。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 所管でないとおっしゃったって、建設大臣は、たとえ地方の問題でも総括的にはこれは責任がある。しかも、私が申し上げたいことは、官公需法という法律にも、中小企業者の受注の機会の増大を図るように努めなけりゃならぬ、こういうようなこともあるわけです。なお、四十九年の八月九日には、中小企業者に対する国等の契約の方針、これは閣議決定までされておるわけですね。そうしてこの中には、中小企業者の受注機会の増大を図るために、これこれの措置をする一いろいろ書いてありますよ。たとえば、仕事の量も、なるべくこれは分割発注の推進をするとか、あるいは地方支分部局等の契約限度額の引き上げとか、あるいは事業協同組合等を活用するとか、あるいは指名競争契約における受注機会の増大を図るとか、いろいろ出ておるんですが、こういうことがあなた徹底してないんですよ。私の所管じゃありませんというようなことは、そういうようなことを言うとるからだめなんですよ。閣議決定というのは、閣議だから、皆さん閣僚でしょう、閣僚であれば、閣僚で全部決めたんじゃないですか、そういうような発言はよろしくないと思いますよ。これは福田副総理も、これは閣議決定なんだから、こんなものは作文じゃないんですよ。もう余り時間がないんでね、もう一遍、あなたそれを。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) ちょっと誤解があったかもしれませんけれども、私が直轄ということを言ったから、私の所管でないというようにお聞き取ったかもしれませんけれども、建設業界を指導するのが私どもの役目であって、決して責任逃れをいたしておりません。それから、ただいまの通達の問題にしましても、厳重に守らしてやっておるつもりでありまして、もし遺憾の点がありましたら、今後十分に戒めてまいります。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 それから建設工事の入札制度の合理化対策、これは中央建設業審議会から出ておるわけですね、これによりまして、その各総合建設業者の事業量等が、これはランクによって決まっておったわけですが、これはどうも改正になりまして、これを見まするというと、「入札参加申込者の間における公共工事の適正な配分に配意し、大業者のみに偏重することなく、中小業者の保護助長に留意し、地方的特殊性その他の事情を勘案して発注者において独自にこれを決定するものとする。」と、こういうふうになっておりますが、これに基づいて建設省はどのような発注標準を決めておるのか、また、これが何によって決められるのか、その中身をひとつ、私もこの改正のあったのを知らぬのですよ、古いのは知っていますけれども。それと、できましたら公庫、公団の中で、道路公団でもよろしい、その内容をひとつお聞かせ願いたいと思います。

大塩洋一郎建設省計画局長

○政府委員(大塩洋一郎君) 四十六年の五月の、入札制度の合理化についてという勧告に基づいた建設省の勧告におきましては、いまお話しのように、金額を例示しておりましたけれども、やはり発注者の弾力性ある自主性に任せるということで、四十八年以降、入札制度の合理化対策についてという勧告によりまして、具体的な金額の例示はやめました。建設省におきましては、工事請負業者選定事務処理要領という次官通牒によりまして、四十九年の六月十七月でございますが、発注標準を決めております。A、B、C、D、Eという五段階に分けて発注標準を決めておるわけであります。それから道路公団につきましても、同じ工事請負業者選定事務処理要領ということで、公団総裁の通牒をもちましてこの五段階の発注標準を決めております。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 中身を言いなさい。

大塩洋一郎建設省計画局長

○政府委員(大塩洋一郎君) 中身は、Aランクについて申しますと、建設省が三億円以上、それからBランクが、建設省の場合でございます、三億から一億二千万、Cが一億二千万から三千万、Dが三千万から一千万、それからEが一千万未満。道路公団について申しますと若干違います。Aが三億円以上、Bが三億円から一億五千万、Cが一億五千万から五千万、それからDが五千万から一千万、Eは同じく一千万未満ということになっております。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 建設大臣、ですから、ここにはっきりと、全国一律じゃありませんが、建設省としては、A級が三億以上でしょう。B級が一億二千万から三億の間と。ですから、この辺がまあ大手企業であろうと思いますが、先ほどの高沼さんの実例なんか、完全にあなた方のこういったような建設省次官通牒というようなものは無視されている。そういうようなところをもう少し厳しく、たとえ地方公共団体でも、わしは知らぬというようなことじゃいかぬと思いますよ。きちっとやってもらわぬと、これは何にもならぬでしょう。これは作文ですよ。もう一遍、今後こういったような問題がありましたらどういうふうにされるのか、それをお伺いしましょう。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) その発注基準を厳重に守って発注をさすようにいたしますし、そういうふうにさらに下部の組織、出先にも通達をいたしまして厳正に守ってまいります。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 じゃ、次にお伺いしますが、中小企業等協同組合法という法律がある。これに基づきまして中小建設事業協同組合というものが全国で約二千程度できておるわけですね。ところが、建設白書等を見まするというと、この組合のおかげで経営管理の近代化に役立ったとか、施工能力の向上、設備の近代化が図られたとか、受注量が増大したとか、資金の調達が容易になった、いろいろと評価はしてあるんですが、これもまた、実情とずいぶんかけ離れておるように私は受け取っておるのであります。果たして、この立法の趣旨に基づいて、中小建設業者の事業協同組合が社会的、経済的に大企業と競争に臨み得る単位として成長したのか非常に私は問題がある。その問題の中身は、こういったせっかく法律でつくられたものがさっぱりその受注がない、指名参加の受け付けもしてもらえない、あるいはまた、当局の指導育成というものもきわめて不適切である、こういうのを開いておりますが、これは一体実情はどうなっておるのか、これも高沼参考人にお伺いをしたいと思います。

高沼正夫東京都中小建設業協会副会長

○参考人(高沼正夫君) 非常に残念に思われます。というのは、まだ私の知る範囲では事業協同組合で受注をしているということは聞いておりません。これは協同組合法が制定になりまして二十六年間たっております。また官公需法が制定されまして約十年、その間にそういうことが一回も行われていないというこの現状を私は非常に残念に思っております。それから、まだ指名参加も受け付けておらないというのが現況でございます。  以上でございます。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 これは通産省、建設省にお伺いしますが、いまお話がありましたように、もうこの法律ができましてあなた二十六年になるでしょう。ところがいま話を聞きますというと、建設事業協同組合はできておりますけれども、一遍もまだ受注なんかありませんと、こういうことで、一体これどういうような指導育成をされているのか。その辺私は、行政の怠慢というか、非常に不可解に思うわけであります。一体この建設事業協同組合というのは、個々では大企業、大手に対抗はできないし、非常に圧迫度もあるので、ひとつ組合をつくって、対等の地位で中小企業者も受注等も取れるように保護していこう、これが立法の趣旨でしょう。ところが、二十六年もたって一つも注文もないと、民間の仕事はあるかしれませんが、これははなはだ問題でありますよ、実情はどうなんですか。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) 事業協同組合というもののそもそもの目的、趣旨ですが、私ども、建設業における事業協同組合というのは、組合員相互の利益になる資材の共同購入をやる、あるいは金融のあっせんをやる、あるいは福利厚生施設等の事業を行うというものが主目的と実は考えておるわけでありまして、そういう、組合自体が継続的な工事の受注をすることは必ずしも適当でないという考え方で、率直に申し上げまして、直轄工事については発注の実績がございません。ただしかし、その反面私どもは、やはり体質的に非常に弱い中小業者は、どこまでも共同請負制度というものを、協業体制というものを整えるべきだと、これはその目的が事業の受注をする目的でありまして、共同の請負制度を確立するためにそういう面で指導をし、そういった面では相当の発注をいたしておるつもりでありまして、名前が事業協同組合としてはやっておりませんけれども、共同請負制度としては、私どもは相当にそれを活用をしておると、こういうふうに思っております。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 ですから、私はさっきも言うたじゃないですか、閣議の決定を。あなただって閣議の閣員の一人ですからね。もう一遍、言いますよ。四十九年、中小企業者に関する国等の契約の方針、閣議決定、この中に書いてあるじゃないですか。「事業協同組合等の活用」「国等は、」、「国警」の「等」は公団とか公社とかいう意味ですが、「事業協同組合等に物品等を発注する場合について、法令の規定に基づく随意契約制度を活用するなどして、中小企業庁が証明した官公需適格組合をはじめとする中小企業者の組合等に対する受注機会の一層の増大を図る」、こうなっているじゃないですか。それをあなたの発言見ると、組合なんかはまだ仕事はやれぬというようなことで、その辺のところが非常にこれは不可解なところなんですよ。それはいかがです。

大塩洋一郎建設省計画局長

○政府委員(大塩洋一郎君) 先生御指摘のように、事業協同組合等の活用ということで、国等は事業協同組合等に物品等を発注する場合について随意契約制度を活用するなどして受注機会の一層の拡大を図れというような趣旨が書かれております。で、先ほど建設大臣が申し上げましたように、事業協同組合というものは、事実上はジョイントベンチャーというような形においてその受注機会の増大を図っておるのでございますけれども、事業協同組合の性格からいたしまして、その責任というか、その性格上の脱退、加入が自由であるとか、そういう性格がございますので、継続的な工事につきまして、必ずしもその工事の請負の対象としては適当でないというふうに考えまして、実例としては、そういうジョイントベンチャーを使ってその受注の機会の確保に努めているところでございまして、組合の中には、企業組合とかあるいは協業組合というようなものにつきましては、これは大いに活用する、事業協同組合につきましては、いま申しましたような理由で実際上の発注といたしましては例がないということでございます。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 だから、その辺のところがどうもおかしいんですよ。官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律、この第三条には「中小企業者の受注の機会の増大を図るように努めなければならない。この場合においては、組合を国等の契約の相手方として活用するように配慮しなければならない。」と、「組合」とちゃんと書いてあるんですよ。その辺はいかがですか。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) そのとおりです。ただ、率直に申し上げまして、事業協同組合が、じゃ工事を引き受けてやろうというほどの体制が整ったものが非常に少ない、おそらく、ないと言っていいんじゃないでしょうか。だから、むしろこれからは、そういう意味でなしに、本当に中小業界が一体になって工事を受け入れできるような共同体制をつくって、それに思い切って工事を発注するという形のものを育てていくべきだ、こういうふうに私ども思っております。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 今度は、組合の中になかなかりっぱな組合がないような意味のことをおっしゃったが、そういうものを育成するのがあなた方の責任でしょう。中小企業等協同組合法という法律がありますよ。この法律に基づいて育てていかなきゃならぬ。それが二十六年間たっているんですよ。それをいままで余り指導しないところに盲点がある。おまえたちはどこまでも大企業の下請をやっていればいいんだと、そういうような感じもするわけですよ。それならば、そういうような適格組合があれば受注するんですか、建設大臣。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) 適格組合があって、それが適当だということになれば受注します。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 じゃ、通産大臣にお伺いしますが、この官公需法に基づく適格組合証明制度による適格組合と認められたものはいかなる特典があるのか、その辺、中小企業庁長官でも結構です。

齋藤太一中小企業庁長官

○政府委員(齋藤太一君) 中小企業の場合に、なるべく組合を組織いたしまして、弱い中小企業が組合という形で、まとめて共同受注をするということは奨励をいたしておるところでございます。この場合に、特に組合の結束がかたくて優秀な組合というのを中小企業庁が証明をする制度をとっておりまして、これを適格組合証明制度と呼んでおりますが、証明を受けましたものにつきましては、極力、随意契約を活用していただきまして、その組合に仕事を発注をするというようにしていただくように各省にお願いをいたしております。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 建設大臣、そうしますと、中小企業庁から適格組合の証明をいただいておる建設事業協同組合は、これは受注が得られると、こういうことになるわけですね、その辺いかがですか。あなたはさっき、やるとおっしゃったでしょう。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) 適格業者というのは、これは建設業の許可を持たなければならぬですよ。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 それはそうです。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) それは問題ないですね。そういうものを備えて、そして、その組合に工事をしようという意思があれば、考えます。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 それはあなた、ここではっきりとおっしゃったですから、これから受注の機会があって、だめだというようなことがあれば、私は、あなたの方にこれはお願いしますから、そのときはよろしくひとつ御配慮願いたいと思います。  それから、時間がありませんから、例の雇用調整給付金制度が昨年の臨時国会でできました。そして、今日多数の業種が指定になって、その特典を受けられておるわけでありますが、現在、資料を見ますというと、八十五の業種が雇用保険法の指定になっている。ところが、建設業界だけがこれは入っておらない。そこに非常に不満があるわけでありますが、時間もありませんので要点だけお伺いしますが、私は、労働省に聞きましたところが、どうも数字的に建設業界は基準値から下回っているのが少ないとおっしゃったんですが、その辺のところを簡単に要点だけひとつ説明してください。どういう基準で建設業界はだめなのか。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○政府委員(遠藤政夫君) ただいま御指摘ございましたように、雇用保険法によります雇用調整給付金の制度につきましては、ただいま八十五の業種が指定になっております。建設関係につきましては、いままで申請が出てまいっておりません。まあ内々、建設はどうかという話は伺っておりますが、実はこの業種指定に当たりましては、界の業績と、それから雇用面の指数と、この両方から過去三カ月の実績を取りまして、一定の基準を下回ったものを業種指定をいたします、こういうことになっております。で、建設業につきましては、全般的に業績の問題と雇用指数等の面から基準を下回っておりましても、目下申請も出ておりませんし、具体的なデータが出ておりませんので、まだ指定するに至っておりません。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 そこで、あなた方がこの算定の基準にしているこの資料をいただいたのですが、昨年の九月から十二月までの統計、これを見まするというと、建設業界におきましては、十、十一というようなものは一番仕事がある月らしいですが、それにしても十月は工事量が二九%、これは減ですよ。十一月は三五%も工事量が減っている。残業時間も、十月は一一・七%、十一月は一三・六減っている。それから新規求人の方も、十月は二八%減っている。十一月は三二%減っている。ここまではよろしいが、入職者が十月は二二・六%ふえているからだめなんですというようなことらしいですがね。これは仕事も減っている、残業も減っている、新規求人も減っているのに、入職者が二二・六%ふえているというのは、これはどういうわけですか。どうもこの辺のところが理解がしにくいんですが、ひとつ簡単に。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○政府委員(遠藤政夫君) 建設業全体としましてはいろいろ問題がございますが、いま御指摘ございますように、雇用指数では、各産業が軒並みに雇用指数減になっております。ところが、建設関係だけは雇用指数が上向いております。こういう関係で、申請もございませんので、私どもの方も個別の業種につきまして具体的な検討はいたしておりませんが、各個別の建設業関係のそれぞれの業種について御申請があれば、建設省のデータと私どものデータと業界の御事情を伺いまして、配慮してまいりたいと、かように考えております。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 それで、労働省は数字ばかりいじって、こういうふうに言っている。その辺がどうも納得いかない点もありますので、実情をひとつ聞いていただきたいと思うんですね。  高沼参考人に、建設業界、不動産、繊維、機械、これはもう不況のそうそうたるものでしょう。その実情はどうなのか、その辺ちょっとお伺いします。

高沼正夫東京都中小建設業協会副会長

○参考人(高沼正夫君) 実際に私ども感触といたしましては、中小建設業は、いまの数字にはどうもなじめない点がございます。私どもの実態は、この業種指定によって何とか倒産を免れたい。それがために、私事になりますけれども、私どもの会社でも実は三十三名の職員がおります。その職員のうち十二名、この三月中に切らなければならない。同じかまの飯を食った人たちを切らなければ会社がつぶれてしまうんです。そういうようなのが大半という中小建設業の実態でございます。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 それでは時間が来たようですから、再度私は確認をいたしておきますけれども、先ほど遠藤局長がおっしゃったことは、まあ建設業としてはいまの段階では多少無理があるかしれないけれども、この日本標準産業分類に基づくこの建設業の小分類である一つ一つの項目、たとえば一般土木建築工事業、あるいは舗装工事業、あるいは建築工事業と、こういう項目がありますが、これならば資料を出していただくと雇用保険の適用になると、こういうふうなことでありますか。これは最後に確認の意味でお伺いしておきます。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) そういうふうに雇用調整給付金が期待されることは非常に私はいいことだと思います。建設業全体の問題は先生御理解のとおりでございますけれども、細分類とか、小分類、また、そういうことで私の方で資料などもいただき、そういう申請がありますれば、前向きの姿勢で研究して、そういうものに対処してまいりたい、これが私たちの姿勢でございます。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 終わります。(拍手)

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 近藤君。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 最初に、日産の岩越参考人にお伺いいたします。  最近発表されました自動車工業会の昭和五十年度自動車需要見通し、これによりますと、総需要は、前年に比べて四輪車〇・二%減、二輪車が〇・五%増となっている。この中で四輪車の国内需要は、五十年度排ガス規制が実施されることによって年度後半にはかなりの需要減は免れない、こうなっております。その影響はどの程度と見込んでおられるのか、御答弁いただきたい。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) ただいまの御質問でございますけれども、工業会で五十年の予測をいたしましたけれども、各社でいろいろつくっております車についても差異がございますので、いろいろ御異議があるところと思います。ことに五十年の排気規制がことしの四月から実施されますので、経済の方は物価の安定とともに下期になって上昇というようなことが予測されておりますけれども、実際問題といたしまして、現在アメリカで五十年規制が——昨年の十月から新しい車が発売されておりますけれども、その結果いろいろの装置をつけなければなりませんので、価格の上昇ということが来されております。したがって、価格の上昇と需要弾性値の関係が従来と違ったパターンになっているということが現在の実情ではないかというふうに存じます。したがいまして、国内の需要がことしと同じようなふうに行くかどうかということにつきましては、なお下期の推移を見ないとわからないというふうに存じておりますけれども、いろいろな仮定を考えてみましても、生産をどういうふうにして維持していくか、あるいは関連企業をどうしていくかということは問題がありますので、そういった点を考えてわれわれとしては一応のめどというのをつけたというふうに考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 通産大臣にお伺いいたしますが、低公害車の高価格が需要に影響を及ぼすと、こういうことでありますけれども、通産省としてはその点いかがお考えか、簡単に御答弁いただきたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) まだその辺の数字は的確につかんでおりませんが、大体まあことしの自動車の生産は、外国貿易の関係が非常に悪くなっておりますし、国内の方は景気の動向の見通しがつきませんので、いまのところ、はっきり掌握をしかねておる状態でございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 はっきりした答弁は得られないわけでありますが、結局、排ガス規制が強まることが販売にも影響があると、こういった考えは基礎にあるようであります。  で、そのことから、きょうは見えておりませんが、トヨタの社長は、規制値の決定は総合的かつ慎重にしてもらうよう各方面に働きかけた。その働きかけの具体的中身につきましては、すでに中公審の審議過程の問題としまして、一月三十一日の共産党の不破書記局長の質問やその他の質問によってもすでに明らかになっておるわけです。その審議過程の不公正について追及いたしますと、環境庁の答弁といたしますと、内容は公正で間違いない、こういうわけであります。そこで私は、きょうは内容的にも重大な誤りがあるということをこれから指摘したいと思うのであります。  本論に入る前に、最初に環境庁にお伺いしたいのでありますが、中公審自動車専門委員会が作成いたしました「技術評価」というものを御存じですね。この「技術評価」に東大熊谷教授の考案いたしましたエンジンが三カ所、十六から十七ページ、二十二から二十三ページ、三十四から三十五ページの三カ所にわたってそのデータと評価が記載されております。そのデータや評価は間違いがないものかどうか、御答弁いただきたいと思います。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 間違いございません。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 本当に間違いないかどうか、もう一度確認いたしますが、二十二ページの表には、三菱のエンジンが載っております。そこでお伺いいたしますが、ここに載っております三菱のエンジンは何の車か、どんなエンジンであるか、これについて御答弁いただきたいと思います。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 在来型三菱のエンジンの改造でございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 在来型と言いましても、私聞いておりますのは……。具体的に、どういう車の、名前まで言ってもらいたいのです。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 名前までは存じませんが、千六百cc、一トンの車及び二千四百cc、二千七百五十ポンドの車でございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この二つの車だと思いますけれども、この車は、この数値、絶対間違いないですか、もう一度確認します。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 間違いないと存じます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 三菱の久保参考人にお伺いいたしますが、三菱の車で六気筒千六百cc、それから四気筒で二千四百ccというような車が実際ありますか。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) 私の方では、六気筒の二千ccと四気筒の千六百ccのエンジンで試験をしております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 春日さん、これは全然違うじゃないですか。この表には、千六百cc六気筒、二千四百cc四気筒ですね。いま三菱の社長がはっきり言ったとおり全く違う車なんですよ。実際は千六百cc六気筒はデボネア六G三四、まず、それどうですか。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 私ども自動車公害専門委員会の報告によれば、二千四百ccは四気筒と、こういう報告をいただいておるわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 では、このデータがどうしてここに入ってきたのか、その経路を説明してくださいよ。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 失礼しました。これは四気筒と六気筒が入れかわっております。ミスプリントでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そういたしますと、六気筒が二千四百cc、四気筒が千六百cc、こういうことになりますね。そうしますと、春日さん、おかしくないですか、六気筒の方が燃費がよくなっちゃうんです。こんなばかなことありますか。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) これは、データによってはこういうことは十分あり得ると存じております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 三菱の久保さん、データによってはそういうことがあると言うんですよ。どうですか、ありますか。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) いまの御質問、もう一度ちょっと伺いたいんですが。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 六気筒で千六百cc……

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) いや、六気筒で二千cc。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 しかし、春日さんはそう言うんですよ。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 訂正しました。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 しかし、訂正した結果が六気筒と四気筒が逆だと言うんでしょう。六気筒と四気筒が逆だというんであれば、六気筒が下へ来ますから、そうしますと、六気筒の場合には二千四百ccで燃費が七・六から七・七、そうして四気筒は上へ行きますから四気筒の方は千六百ccで燃費は五・六。となりますと、でかい車の方が、でかいエンジンの方がこれは燃費がよくなっちゃうんですよ、春日さんの説明だと。こういう、ばかなことあるんでしょうか。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) これは、調整が恐らく異なっておると思いますので、こういったことは十分あり得ることだと考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 ですから、久保社長に聞いたんです。調整の仕方によっては燃費が逆になるという、しかも、これは恐らく三菱が責任を持って出したデータでしょう。それについて、春日さんのこの説明ですと、六気筒の方が燃費がよくなるという、それは調整の仕方によってあるというんですよ。そんなばかなこと三菱の車にあるんでしょうか。御答弁いただきたい。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) 質問もう一度ちょっと、まことに申しわけないんですが。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 こういうことなんですよ。六気筒の方が燃費がよくなるというんですね。おかしいんじゃないかと私言っているんですよ。そうしますと、春日さんの説明では、データの出し方であると言うんですよ、そういうことが。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) それはいろいろあると思います。ただ、六気筒、四気筒ということだけではわからないだろうと思います。

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 速記を起こしてください。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) これは研究中のエンジンでございまして、実際多量に研究したのは四気筒の方で、六気筒はわずかしかやっておりません。それで、リッチ・リーンあるいは熊谷式エンジンというのは特殊のエンジンでございますから、六気筒だと二気筒、濃い燃料を入れたものと薄い燃料を入れたものを同時爆発さして、四気筒の方は、これはタイムラグがあるわけです。そういうことで、試験の範囲内ではいまおっしゃったとおりのことになっております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 よくわからない説明なので私の方と四気筒を逆だと間違えたわけですね。その前に大体この表の誤りをまず認められた。大変大事な表の、しかも五十一年規制の一番基礎になる表をまず間違えられた。その次に、この表の訂正の場合にもう一度聞違えたんです。そうでしょう。二重の間違いをしているんです。実際は先ほど三菱の社長が言ったとおり、六気筒の方は二千cc、四気筒の方は千六百ccなんです。そうしますとちゃんと合うんです。ですから、ここで申し上げたいことば、環境庁の技術的な能力がその辺の程度である、これでは自動車メーカーの言い分を見破ったり、うそを言っていることをあばいたりはできない、このことを指摘したいわけであります。  そこで申し上げたいことは、春日さん、この表の間違いは訂正いたしますか、どうですか。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 四気筒と六気筒の間違いは訂正いたします。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 その間違いの仕方がどっちになるのか、それはどちらを変えるかによって全然違ってきちゃうんですよ。それをどういうぐあいに改めるのかを聞きたいのだけれども、私さっき言ったこといいですね。——じゃ、先に進みます。  もう一つあるんです。二十三ページに日産の方の車のエンジン、これが出ております。これによりますと熊谷エンジンの日産における現状が出ておりますが、二千四百ccでCOは〇・六六から一・五、HCが〇・〇三から〇・一四、NOxが〇・六から一・〇一四となっていますね。これはまだ実験室段階で五十年度規制を達成しているにすぎない、こう、育っておりますけれども、このデータには間違いないんでしょうね。どうでしょう。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 間違いございません。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 月産にお伺いいたしますが、このデータはいつ実験したものかおわかりになりますか。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) ただいまの実験でございますけれども、昨年のいまごろまでやった実験の数値だと思っております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そこで、次に入ってまいりますが、環境庁にお伺いいたします。熊谷エンジンでありますけれども、熊谷エンジンにつきましては、昭和四十九年五月二十日から二十一日にかけて行われました、自動車技術会、その春季学術講演会が行われました。そこで熊谷教授が「自動車機関の排気浄化について」という、こういう研究発表をいたしました。こういうものですが、この発表の中で熊谷教授は、五十一年規制は技術的に、実現可能であるばかりか、HC、COに関してはきわめて容易であると、こういうぐあいに結論づけられておりますが、この事実は御承知でしょうか。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 熊谷教授の講演内容につきましては、そのようにおっしゃったと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この事実はいつお知りになりましたか。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 中公審の自動車公害専門委員会の検討の過程におきまして、この論文を私ども入手いたしまして承知いたしております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そこで日産にお伺いいたしますが、日産の単でシリンダーの内径が八十三・〇ミリメートル、それから行程七十三・七ミリ、総排出量二千三百九十三cc、約二千四百cc、これは日産のフェアレディ24の車だと思いますが、間違いないかどうか。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 間違いございません。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 次に、三菱にお伺いいたしますが、このときの熊谷教授の「講演会前刷集」、これは先ほど示したものですが、この「前刷集」によりますと、A車、B車二つの車についてテストを行った結果、COは二・一、HCは〇・二五、NOxは〇・二五達成可能であると、こう書かれております。そこで熊谷教授のこの文書、これは研究発表に使ったものです。ここに出ておりますA車というのは、一三菱の一列六気筒二千ccデボネア6G34エンジン、これに間違いないと思いますが、いかがでしょうか。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) 間違いございません。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この研究発表で熊谷教授は、三瀞のデータだけ、これをスライドで示して発表いたしました。日産のデータは示さなかったわけであります。そこで、この三菱のデータだけを発表したのは、熊谷教授が三菱の久保社長の同点を得て公表する、こういう結果発表したものと思いますが、いかがでしょうか。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) 御質問のとおりでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 日産の岩越参考人にお伺いしますが、これに対して日産の方はデータの公表を拒否した、そのとおり間違いないでしょうか。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 当社の方では実験の途中でございましたのでデータを提出いたしませんでございました。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 先ほどの熊谷教授の論文でありますが、そこにB車となっています。このB車というのは、先ほど私が読み上げたエンジンであるかどうか、ちょっと御確認いただきたいと思います。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 間違いございませんです。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 いま実験段階のもので発表できない、こういう御答弁でありましたけれども、私の独自の調査によりますと、日産のこのデータは、先ほど来この技術評価で問題になっております五十一年規制を達成している三菱の車のデータ、COもHCもNOxもすべてをクリアしているそういうエンジンであると思いますが、間違いないでしょうか。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 先ほどもお話がござ一いましたように、熊谷エンジンの理論というのはユニークな理論でございまして、これを実験してやりますと、いろいろなデータが出る。それから薄い混合気をつくるということは、大体ガソリン一に対して空気二〇、濃い方はガソリン一に対して空気一〇、普通のエンジンはガソリン一に対して空気一五というのが一番いい燃焼する装置でございます。したがいまして、非常に薄い混合気を持つということは非常にむずかしい、安定性が得られないということが実験の途中にあるわけであります。したがいまして、非常にばらつきのあるものの状態でこれを商品化するということは、現状としては不可能であるというふうに考えております。  以上でございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 私がお伺いしましたのは、実用段階の問題じゃないです。いま、熊谷教授が学会で発表したこのデータ、B車、それを公表しなかった、その公表しなかったデータというものは、実験室段階であれ何であれ、三菱と同じものである、ほぼ同じものである、データとしまして。そしてそのデータというのはCOもHCもNOxも全部五十一年規制をクリアしている、そういうデータであるかどうかということを聞いておるんです。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 一つのデータでございまして、それがすべての問題を解決するという問題ではないというふうに考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 質問にまともに答えるように御注意願いたいんですが、私がお聞きしておるのは、その一つであるかどうかは別問題としまして、そのデータが五十一年規制の内容を達成するものであるかどうか、それだけ御答弁いただきゃいいんです。どうでしょうか。そのほかの実用段階の問題とか、いろいろな技術上の問題、また、お伺いします。先走ってお答えにならないで、私の聞いたことだけお答えいただきたい。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 全部合格しているものだとは思いませんです。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 それでは、そのデータはありますね。そのデータをひとつ当委員会に提出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕

柳田桃太郎自由民主党

○理事(柳田桃太郎君) 速記を起こして。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) いまのデータでございますけれども、実験の途中のものがいろいろ組み合わさっておりますので、公表は遠慮さしていただきたいと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 委員長が助けたものだから公表しなくなったんだと思いますけれども……。  それでは中身についてここでさらにお伺いしますけれども、全部達成しているものではない、こう言うわけでありますが、それではCO——一酸化炭素はどうでしょうか。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 実験の途中でございますから、片っ方をやれば片っ方がだめになるということで、片っ方ができたから、こっちは通っても、こっちができなければ全体としてできたということにならぬものですから、そういうような状態であるので、データとしては公表いたしておりません。こういうことでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 熊谷エンジンに関してそういう説明しても、これは納得しないです。熊谷エンジンというのは全部を同時に達成できる、そういうシステムなんですよ。現にお隣の三菱の方は、そのデータによって、先ほど来問題になっております、この技術評価に出ているようなデータを全部達成しておるんです。そしてその三菱と同じシステムで実験を始めた日産です。それでいろいろなデータあるならいいんです。しかし一定のもの、場合によっては一つでもいいんです。一定のものがこの三つを同時にクリアする、そういうデータがあったとして熊谷教授は発表しようとしたんです。それに対して三菱はオーケーした。ところが日産はそのデータをオーケーしなかった。オーケーしなかった理由はいいですよ、いろいろまだあると思うんだけれども、またあとで聞きます。しかし、私がさっきから聞いておりますのは、三菱のデータに近いもの、三つを全部クリアしている近いものがあった、そしてそれを熊谷さんは発表したかった。ところが日産は断わったのです。その事実があるかどうかを聞いておるのです。いかがです。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 当社といたしましては、先ほど申しましたようにいろいろなデータがございまして、その内容が組み合わせていろいろ言われてしまうということでは困るというふうに考えまして、データの公表につきましては私どもとしてはお断わりをいたしました。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 さっき断わりましたから、私は具体的数値はいま聞いているの、じゃないんです。しかし三つを同町に達成したろうと、そうしてその数値は三菱の、先ほど問題になっておりますこれにほぼ近いものであると、そのデータがあったんだろうと聞いておるのですよ。それは決して企業秘密じゃないですよ。どうでしょうか。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 当社としては、三菱さんのデータがどういうことか、われわれとしてはその当時よく存じておりません。したがいまして、私の方としてのできたものというのは、先ほど申しましたように、いろいろと実験の途中のものでございましたので、データの公表は取りやめさせていただいたと、こういうことでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 その問題ばかりで時間食ってしまいますから余りやりたくないのですが、しかし、そう言いますから具体的に申し上げますよ。三菱のはどういうのかわからぬというから具体的にこの技術評価にあるものをちょっと読んでみます。  まず二千ccの方です、六気筒、それはCOは〇・四八、HCはゼロ、NOxは〇・二二、そして燃費は五・六、それから千六百cc、四気筒、これはCOは一・二〇から一・二二、HCは〇・〇〇から〇・〇二、NOxは〇・二〇から〇・二四、いずれも達成しておるんです。ですから、具体的に数字を言わなくてもいいですよ、言いたくないん、だから。しかし、これに近いものだろうと、もしここで言わなければ、先ほどからのああいう言い方をして否定しないのですからね。これはだれが見ましてもこのとおり間違いないということになってしまうんですね。どうですか、お答えください。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 大変失礼でございますけれども、データの内容はわれわれの方の実験のデータのやったときの燃費の問題とか、いろいろな問題を総合しなければどういうデータができたということをお答えすることはできないものでございますから、現在までのところは、当社といたしましては実用化できないというふうに考えておりますのでデータの公表はいたさない方針でございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そういたしますと、実用化の段階の問題としてデータが出せるか出せないかという問題ですね。私が先ほどから聞いておりますのは学術発表なんです。熊谷教授の学会における発表ですね。その会長は中川さんでしょう、そうですね。中川さんが会長やっておるんです。その学会の研究発表段階、実用と関係ないんです。そのときにデータを隠したのだろう、三菱と近いデータがあったのに日産の方は公表を拒否した、それを聞いておるんです、実用段階考えずにお答えいただきたい。それでお答えにならなければ、そういうものをあったと認めざるを得ません、どうでしょう。日産わかっておるんだろう。   〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 先生が技術会でもって論文を発表されたことは存じております。理論と実際の問題ということでございまして、ここでデータについて論ずるということには現状としてはデータ持っておりませんのでいたしかねます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 あなたの後ろにその学会の会長さんおるんですよ、おたくの重役です、聞いてみてください。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 当社といたしましては、論文と実際の実用性というものを考えてそのデータの発表をお断りしております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 結局そういうものがあったという自白だと思うのです。  そこで環境庁にお伺いしますけれども、いまのような事実があったということを環境庁は知っておったんでしょうか。どうでしょうか。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 三菱のデータにつきましては知っておりましたけれども、日産のデータはここに書いてあるとおりでございまして、ここと申しますのは技術評価に書いてある数字でございまして、したがいまして、先生御指摘のようなデータにつきましては私どもは存じていなかったわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 その辺も環境庁並びに中公審の技術的水準の結果だろうと私は思うわけです。  そこで、さらに以上のことを前提にしてお伺いいたしますが、環境庁にお伺いします。この技術評価ですね、この二十三頁に日産のデータが出ておりますが、先ほど読み上げました、これが「まだ実験室的段階において五十年度規制を達成しているに過ぎない。」ですから、実験室段階においても五十一年度は達成していない。そういう言い分だと思うのですね。そうしますと、いまのやりとり見ましても、これは明らかな自白ですよ。そうしますと、少なくとも実験室段階では三菱に近いものがあった。それを熊谷教授は発表できなかったけれどもあった。このことが明らかになりますと、先ほど間違いないとおっしゃったこの部分も、これは環境庁としては訂正しなければいかぬと思いますが、いかがでしょう。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) この技術評価の報告は自動車公害専門委員会の報告でございまして、環境庁自身のものではございません。それが一つと、それからここに書いてあるのは「実験室的段階において」でございまして、「も」は入っておりません。五十年度規制を達成しているにすぎないと、このデータに関する限りそのとおりだと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 「も」があってもなくても同じなんですが、少なくとも五十一年度規制を日産は実験室段階において達成していないと、こういうのがこの技術評価の結論なんですが、しかし、いまのやりとり見てわかるとおり、三菱に近いものを隠しておった、それは三つをクリアしたものだと、こういう事実がはっきりしていますと、この部分も訂正しなければいかぬと思いますが、いかがですか。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 先ほど、日産からの参考人の話にもございましたように、私もこの実験試作車は二回にわたって見ておりますが、燃費の関係あるいはハイドロカーボン使用の削減とNOxの削減の関係等、いろいろな条件でテストいたしますると、いろいろなデータが出てまいります。それをすべて実験室段階では五十一年度規制を到達しておるんだと、こういうふうには言い切れないと思います。そういうことからいたしましても、私どもは公表されております、少なくとも私どもがヒヤリングで日産から聞いております資料によりますると、こういった表現は妥当ではなかろうかと考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 ですから、日産がこの程度出しておこうと思った範囲しか環境庁並びに中公審は理解できないし、それ以上もっとあるんじゃないか、もっと到達し得るんじゃないかということの可能性については、一切それを追及する力もなかった、また気持ちもなかったということがはっきりしたと思うんです。  そこでお伺いしたいことは、この経過の中で、もし一回でも熊谷教授を呼んで聞いておれば、この問題全部わかっちゃったのです。一度でも熊谷エンジンについて熊谷教授から話を聞いたことがありましょうか、お伺いしたいと思います。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 熊谷教授を直接参考人として専門委員会にお呼びしたことはございませんが、学会の報告等々によりまして私どもは十分だと考えておるわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 それじゃあさらにお聞きしますが、この技術評価の二十三ページのところに、私が先ほど読み上げたようなかなりばらつきのある数値が出ております。それが熊谷エンジンのデータとして出ておりますけれども、環境庁並びに中公審としましては、この日産の熊谷エンジンの数値について全く疑問をお持ちにならなかったかどうかお伺いしたいと思います。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 先ほども申しましたように、自動車公害専門委員会の御議論の中では、この成績についての評価はここに書いてあるとおりでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 私がお聞きしておりますのは、このデータが、三菱のエンジンと比較しまして、同じ熊谷エンジンでありながら、余りにもばらつきが大きいんじゃないか、たとえばCOで申しますと、せいぜい三菱の場合は一・二〇から一・二二という、そういう範囲です。それに対して日産の方は、CO〇・六六から何と一・五、こういう大きなばらつきがある。こういうことが熊谷エンジンとしてあり得るのかどうか、これはちょっと技術的にわかっておればすぐわかる問題なんです、いかがですか。

春日斉環境庁大気保全局長

○政府委員(春日斉君) 熊谷エンジンと申しますものは、理論的に申しまして非常に濃い、過濃状態にございます混合気と、それから過薄、非常に薄い状態にある混合気と、同時あるいは交互に爆発さして、その混合気をさらにサーマルリアクターに導いて、CO及びHCを燃焼させるという方式でございますから、これはまあ非常にユニークなテクニックであって、それを試作段階におきまして、全く別個のA社とB社で行う場合、そのデータというもののばらつきというものは当然であろうと考えております。むしろ同じになるほうが私は不思議だと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 同じかどうかという問題も、ごくわずかな差ならいいんですね。しかし、いま読み上げたとおり余りにも差があり過ぎる。三菱はせいぜい〇・〇二ぐらいの差ですね。それに対して日産の場合には〇・六六から一・五という、とんでもないばらつきなんです。これを熊谷先生に見せましたが、こんなものおれのエンジンじゃないと言うのです。熊谷エンジンはこういうことにはならないと言うのです。そのことは少しでも技術的、専門的素養があればわかると言うのです。大変憤慨されておるのですが、そこで日産の岩越社長にお伺いしたい。本当にこれは鰻谷エンジンなんでしょうか。熊谷先生の言われたシステムどおりにやったものでしょうかどうでしょうか。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 熊谷エンジンは、先ほどからお話のございますように、薄いのと濃いのと同時爆発させるのでございますから、結局われわれの方としては六気筒が六気筒の役にならないということで、それをモディファイしてあるということで実験をいたしました。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 答弁になりませんが、それ以上聞きましてもさっきと同じですから、これでやめておきますが、結局いままでのことをまとめてみますと、ともかく悪いデータにも大変問題がある。決してこれは熊谷さんは自分のデータがこんなことになるはずがないと言っておられる。そういうデータがある。一方、いいデータは隠して、がんとして言わぬ。これが日産の態度だと思うのです。  そこで、岩越さんは四十九年九月十一日の衆議院の公害対策並びに環境保全特別委員会に出てまいりまして、こう言っております。「開発のための誤解を避けるために、確信あるデータということでなければ、」公表できない、きょうの答弁と大体同じことです。しかし、いままでの質問によってわかったとおり、日産は熊谷エンジンの動作でないものを熊谷方式だと言っておられる。はっきり熊谷さんが言っておるのです。それから熊谷教授の指示どおりの動作によっていい結果が出た。しかもそれは規制値達成である。それは隠している。このことがはっきりしたと思うのです。そういう反面、五十一年規制達成は不可能だということを、これはトヨタと一緒になって一貫して言ってまいりました。こういう態度こそ、先ほどは誤解を与えると言っておりましたけれども、そうじやなくて逆に国民をだますものだと思うのです。  環境庁長官にお伺いしたい。こういうメーカーの態度を、いまお聞きになってわかったと思うのですね。初めてお聞きになったこともずいぶんあると思うのです。こういうメーカーの態度をどう思われるか。ひとつ、いままでとは違った新しい段階に立って御答弁いただきたいと思います。

小沢辰男自由民主党環境庁長官

○国務大臣(小沢辰男君) 同じ規制を達成するために、いろんな手段方法を各社がそれぞれ検討をされるわけでございます。しかも各社が、それぞれいいと思うものを何とかひとつ採用できないかということで技術的にいろいろ検討されて、その違いが先ほど言ったように相当出てきても、これはまあ、私もむしろ当然じゃないかと思うのですが、こういう態度でやったことと言われますが、こういう態度というその態度の先生の認識の仕方と、われわれの認識の仕方が違うから、議論がどうもかみ合わないのじゃないかと私は思うので、私は中公審の専門委員会で十分いろんな型式のものを検討された結果、技術評価というものをつくり上げ、その結果に基づいてそして今度の暫定値をきめられたわけでございますから、特に私はある社が、できるものをできないような顔をしながら、規制を何とか緩めようというふうにされたとは、そこまで行政官として疑ってかかるのは私はどうかと思うんでございまして、これを環境庁が各メーカーと直接に話をして、そしてまとめて何かきめたというなら別ですけれども、専門委員会で技術的な検討をしていただいて、その技術的な評価がまとまって、それに基づいて答申をいただいて、それを私どもがやるわけでございますから、どうも先生の御意見にはちょっとお答えできないわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 いままでの小沢長官の答弁と全く同じであって、これだけの新しい事実が出てきながら全く変わらぬということは大変残念であります。そういう意味では、大変環境庁も重症だということを思わざるを得ない。  そこで、いまの経過をごらんになってもわかるとおり、日産の方は確信あるデータでなければ公表できないとか、いい結果が出ないと、こういう弁解をしております。しかし、私は、日産自動車にはこういうことを言う資格があるんだろうか、そのことを指摘せざるを得ないんです。本当に日産が真剣に排ガス対策に取り組んでおれば、三菱と同じ熊谷エンジンについてこんなにおくれをとるはずがあったんだろうか、このことについて私は大変疑問に思いますのでお聞きしたい。  まずお伺いしますが、日産の岩越さん、日産に対しては四十七年の初めごろ熊谷教授から、この問題になっております熊谷エンジン、この予備試験をしてくれという申し出があらたと思いますが、いかがですか。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) そういう熊谷教授からのお話があったということでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 四十七年の初めごろすでに申し出があり、それに対して日産の方では、そのような、熊谷さんの依頼したような予備試験はやらずに、文書でこれはNOxは減らぬとか、あるいは——熊谷さんはそんなことはあり得ないと言いましたが、今度はNOxは減るけれども、CO、HCが減らぬとか、こういう逆の文書回答をした。そんなことで四カ月もたってしまった。そして結果的には、その段階では熊谷さんの申し出は断った。間違いないと思いますがいかがですか。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 当社といたしましては、五十年、五十一年、将来にわたっての排気規制の問題についてはいろいろ研究をしているわけでございます。したがいまして、どれでクリアすることができるかというのは、当社として方法をきめていかなければならないと思います。熊谷先生の案も一つの案でありますけれども、当社としてはやはり当社として実施が可能なものをやっていくというのが方針であろうと思います。したがいまして、それも実験としていたしましたけれども、実験のデータが先ほど申しましたようなので、当社といたしましては、先生に対しては先ほどのようなお答えをしたわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 実験したと申しますけれども、一番最初の段階ではこの予備試験は断ったのです。そこで、熊谷教授は今度は三菱の方に行きまして、そうして四十七年九月ごろです、同様の依頼をいたしました。そして、三菱はこれをお受けになって、四十八年一月にはエンジンだけの実験としては予想どおりの結果が出た。こういう事実がありますけれども、三菱の久保参考人、間違いないと思いますがいかがですか。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) 時間的にいまはっきり覚えておりませんが、結果が出たのは四十八年の末ごろだろうと思っています。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そうですか。熊谷さんは一月と言っていますよ。熊谷さんは、一月ごろにはそういう結果が出たと、こういうことであります。  で、日産にお伺いしますが、今度は三菱の方が成功したと、実験がですね。それを知って、今度は日産の方から熊谷教授の方へ出向きまして、ぜひうちにもやらしてくれと、こういうことで実験を開始した。そして、その実験を開始したデータを熊谷教授のところへずっと送られた。いかがですか。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) ただいまの御質問でございますけれど、当社としては、三菱さんがこういうデータができたから実験をやらしてくれというようなことを言ったことはございません。ただ、時間的にわれわれの方の実験がおくれておったということだけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 社長は言わなかったかもしれませんけれども、実際の経過はいま私が言ったとおりなんです。  そこで、今度は三菱と日産の両方にお伺いします。最初は三菱でありますが、両方でこうやって開発が進められました、熊谷エンジンについて。そこで、それぞれのデータがお互いに交換されたと思うんです。いかがでしょうか、三菱の久保参考人。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) 私の方は、熊谷教授にデータを提出しているだけで、日産さんには直接やってありません。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 久保さん、日産の方にそのデータが渡っておることは御存じでしょう。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) いや、それ、存じておりません。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 それじゃ岩越参考人、日産のデータも熊谷さんに渡された、そのことは、三菱の方へ渡っていることは御存じないでしょうか。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 当社としては存じません。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 これはちょうど真ん中におられた熊谷教授が、両方にデータを渡したと、こう言っておられます。そういたしまして、それぞれ並行して進んでまいりました。そういたしますと、必然ながら四十八年中ごろには、日産、三菱の両社の間で熊谷エンジンの共同開発をしよう、こういう打診が行われました。そして、両社の幹部の間でもそれは了承された。それは熊谷教授の仲介でその話が進んでいった。このことは間違いないですね。両方。久保さん、どうですか。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) いまお話のとおりに、やっても結構なんですが、そういう提議がなかったと記憶しております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 岩越さん、どうですか。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) そういうお話があったように思いますけれども、共同にやることはいたしませんでした。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 今度は三菱の方がちょっと事実、間違ってきました。ちゃんと日産の方は、そういう話があったと言ってるのですよ。どうですか、三菱。これはちゃんと熊谷教授が言っておるのですから。両社の幹部の間でそういう内諾があって、熊谷さんがもう最後の話のまとめに行く直前に、いま日産が言ったとおり、日産が断ったのですよ。どうですか。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) お答えします。実際私の方でエンジンの研究をやっておりますのは京都でございまして、熊谷教授は京都の研究者と直接連絡をとっておりますが、私たちとお会いしたり話することはめったにないわけです。そこで、先ほどのお話になりました学術発表をやっていいかということを言われましたときに、私は大分条件をっけたわけです。これは学術的にはなるほどできた、しかし、実用品ではないということはあくまでも誤解のないようにして発表してくださいということを申し上げまして、私はその一回だけなんです、熊谷教授とお会いしたのは。それで、あるいは担当者に話があったかもわかりませんが、私にはございませんでした。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 いま正直に、社長自身にはなかった。しかし、担当者にあったかもしれぬと。片や日産の方ではそういう話があったというんですが、そこで、この話は日産の方から断った。間違  いないでしょうね、岩越さん。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 当社といたしまして、私も直接聞いてはおりませんからあれでございますけれども、そういうお話がありましたけれども、私の方としては御一緒にすることはお断りをいたしました。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そこで申し上げたいんです。  先ほど来おわかりのとおり、日産の方は大変技術が進んでないんです。その方が断るとはどういうことですか。技術が進んでおれば、技術を盗まれちゃうからいやだと言うかもしれない。しかし、技術の進んでいない方の日産がなぜ断ったのか。私はそれには一つ原因があると思うんです。その原因は、この共同開発の話が持ち上がり、かつ壊れた段階と申しますのは、アメリカの状況の変化、すなわちマスキー法延期の時期と一致するんです。マスキー法は、御承知のとおり四十八年二月から三月ごろ延期の話が持ち上がってまいりました。四月にはマスキー法七五年、日本で申しますと五十年規制です、その実施一年延期が決まりました。そのころ国内の自動車メーカーも巻き返し始めた。さらに、六月には七六年規制、日本で言います五十一年規制、その延期がまた大幅な後退が決まりました。そこで日産は、ずうっと進んできた共同開発の話も壊してしまった。どうですか、図星でしょう。いかがですか。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) そういうふうには思いません。これはただいま申し上げましたように、私が熊谷教授とお会いしましたのは、自動車技術会に発表していいかという一回だけでございまして、その他のことについては、担当者とはわりあいに密接に連絡をとっておられたようですが、私にはあまり御相談受けたことございませんので……。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 私が聞いておるのは、断った方の日産、要するに話を壊した方のことを聞いておるんです。ですから、この時期に日産としましてはもうアメリカも延びたし、ひとつ日本は政治力でごり押しでも延ばしてやろう、こう決断をしましたから共同開発の必要もなくなった。これが真相だと思いますが、いかがですか。

岩越忠恕日産自動車株式会社社長

○参考人(岩越忠恕君) 当社といたしましては、アメリカのマスキー法の基準が延びそうだとか、あるいは日本の環境庁がどうだろうとか、そういうようなことは考えておりませんで、国の方針として決められた基準というものに向かっての研究をさしておるということでありまして、その方向というものをわれわれは途中から曲げたことは一つもございません。研究員に対してそういうことを言ったことも一言もございませんです。したがって、当社の研究員は現在も将来のことについての研究を幅広くさしておる。しかし、実際に熊谷エンジンだけがすべて解決する問題ではないというふうに考えております。われわれの方といたしましては、実用性のない、実際に商品化できないというものであるならば、幾ら研究を進めてもだめではないかというふうに考えます。ですから、研究は廃止はいたしておりますが、しかし実用性の問題についての研究というのは、当社としては幅広く研究をいたしておるということをお答えいたします。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 いま正直に申しました。商品にかかわりのないものは幾ら金を出しても仕方ない、まさにそういうことだと思うのです。  そこで、副総理にお伺いしたい。いまの経過の中で、どう日産が抗弁しようとも、経過的にはマスキー法延期、その時期と、いま言った日産、三菱の間の共同開発が話が壊れた時期、私はこの両方の共同開発が進んでおれば、それぞれの長所を選んで、熊谷さんの指導もあり、さらに五十一年規制達成に大きく前進したかもしれぬと思うのです。それがいま言ったような客観的にぴったり一致する事情で壊された、こういった事情について総理にかわってどう思うか、お答えいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私はいま問答を注意深く聞いておりましたが、どうも日産が政府に圧力をかけたとか、あるいはマスキー法の成立を探知して自社の開発をおくらした、こういうふうに結論づけるのはこれは無理じゃないか、そんなような感じがいたしました。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 三木さんがどうお答えかわかりませんけれども、しかし、いずれにしましても企業をかばい過ぎるんじゃないかと思うんです。  そこで、今度は三菱さんにお伺いしたいんです。先ほどから実用化はなかなかむずかしいという話なんです。しかし、すでに三菱のこの熊谷エンジンはもう実用段階に来ている。決して運転性は悪くない。そのことは三月二十日、二十一日、熊谷教授が実際京都の工場に参りまして実際車に乗ってみたんです。その結果、ほかの車と全く変わりない、こう言っております。私はその翌日に会って聞きました。となりますと、三菱の車も実用段階にあると思いますが、いかがですか。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) お答えします。  熊谷先生は学校の先生でございまして、やはり見方がわれわれ実用品をつくる考え方と多少違っておられる、こういうふうに思います。それで、なるほど五十一年規制を満足する、たとえばテンモードとかイレブンモードとかいう点では満足するんですが、たとえば振動が多いとか、それから燃費がちょっと多い。なお研究を続けていますから、もちろん改善をされつつありますけれども、あるいはスローのときの低速がうまくいかないとか、あるいは寒冷地、たとえば北海道、そういうところにおける始動が悪いとか、いろいろの問題が残っておりまして、実用品といいますか、しろうとが使う製品としてはまだ大分時間がかかると。これはこの前衆議院でお答えしたんですが、これが実用になるかならないか見通しをつけるのに、まだ一、二年かかるだろうということを申し上げたんです。ですから、現在私のところでは研究を進めておりますが、実用になるかならないかというのに、なお一年ぐらいの日子をもらってそれで研究したい、こういうふうに思っております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 いま幾つか言われた振動の問題その他は、基本的には解決されておるのです。もう時間が来ましたから具体的に反論しません。どうですか、そう言うんでしたらひとつ私に乗せてください。新聞記者にも全部公開して乗っかってみて、実際運転性がよくないかどうか、振動がどうか、公開でやってください。どうですか、やってくれますか。

久保富夫三菱自動車工業株式会社社長

○参考人(久保富夫君) ただいま申し上げましたような事情、たとえば寒冷地における始動とか、あるいは低速がうまくないとか、いろいろありますので、現段階で余り多くの人に乗ってもらっても判断は非常にむずかしいのじゃないだろうかと私は思います。本当によくわかった方ならば乗ってもらっても結構です。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 ぐあいが悪ければちゃんと皆さんに宣伝してもらえばいいんですよ。ですから、ひとつそれはぜひこの席で申し入れますので、私だけではなくて専門家も含めまして、来ておられる新聞記者も含めて、ぜひこれは公開していただきたい。このことを申し上げて質問を終わりたいと思います。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 柄谷道一君。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 与えられた時間が二十六分しかございませんので、答弁の方も簡潔にお願いをいたしたいと思います。  まず、福田副総理にお願いするわけでございますが、三木内閣が誕生した。インフレは諸悪の根源である。そこで、物価対策に全力を挙げた。その手段としては総需要抑制であった。一応三月末に発表されるであろう物価上昇率は、対前年比一五%を若干割るのではないかというふうに漏れ聞いております。その面においては一応の成果をおさめたわけでございますが、逆に経済は冷却化した。不況が深刻化した。そこでとられたのが第二次不況対策、二十四日に決定されたわけでございます。私は、こういう事実を見ておりますと、副総理は経済演説の中で、発想の転換、計画性、そして不公正の是正、こういうことを強調されたわけでございますけれども、いわゆる従来のパターンの繰り返しではないか、こういう感じを深くするのでありますが、この点についていかがでございますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私が強調いたしておりますのは、これはもう発想を転換しなけりゃならぬ。もう高度成長ということはいまや許されない。ここで静かで控え目な成長、そういう考え方でこれからの経済運営をしなければならぬ、こういうふうに考えております。これは全く経済のかじのとり方、これは基調を変えなきゃならぬ、そういうふうに考えております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 通産省が報告しております資料を見ますと、減産率一−三月の対前年比を比較してみると、繊維機械、重電機は五〇%以上、そして紡績、合繊、工作機械、通信機械、家庭電機は三〇ないし四〇%の減産。この減産傾向は、これから四−六間も引き続き大幅減産体制をとるのではないか。こういうことを報告されているわけでございますけれども、現在の第二次不況対策をもってして、これらの問題の解決に有効に作動するかどうか、どうお考えでございますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、しばしば申し上げているのですが、これはなべ底不況である。底をついたという感じがするのですが、この底は長いであろう、こういうふうに見ておるのです。しかも、その回復過程がV字型に回復をするというようなことは許されないし、また可能でもない。そこで、なべ底が終わった後の成長は、これはなだらかなものにしなければならぬし、そうなるであろう、ならざるを得ないであろう、こういうふうに考えておるのです。ですから、五〇%減産というような業種もありますが、しかし、これを一挙に八〇%、九〇%に持っていく、これはとてもむずかしいことじゃないか。時間をかけてなだらかな成長、これをやっていくほかはない、そういうふうに考えております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 私は、そのように不況産業と言われるものが、いま非常に高度の減産を余儀なくされている。しかも、その回復には相当期間を要するであろう。こうなりますと、いわゆる製品単価当たりという視点でとらまえますと、たとえば金利負担にいたしましても、従来に比べて非常に加重されているわけでございます。また、雇用安定等の問題も惹起しているわけでございます。そういうことになりますと、どうしても第二次不況対策では十分ではない。次にとられる施策として考えられるものは、公定歩合の引き下げ、また銀行における窓口規制の緩和、こういう問題が第三次不況対策として生まれてくるのではないか。ところが、これはまた通産省の調査によりますと、現在の経営者はやはり需要というものがもう少し喚起されれば、機会を見て製品の価格を上昇させたいという意向を持っている者が七〇%前後あるということを通産省としては把握されている。そういうことになると、再び第二次不況対策から第三次不況対策へ、そういう施策において方向を誤りますと、逆に物価上昇に再度火をつける、こういう結果を招来することをおそれるものでありますけれども、この点に対して副総理はどういう対処をされようとしておるのか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの経済情勢は非常にこれは扱いがむずかしいです。これは本当に間違いますと、おっしゃるとおりまたインフレを再燃させる、こういうことにもなりかねない。また、さらばといって、この不況状態を余り極端に進めていくわけにもいかない。本当にいま綱渡りのような状態でございますが、一方においては物価の問題を厳しく見詰める、同時に不況対策についてもできるだけの配慮をする、こういう姿勢で臨まざるを得ないんじゃないか、つまり両刀遣いです。そういうことでございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 私は、具体的な問題としてたとえば賃金の問題を例に引いてみたいと思うんです。  福田副総理、たびたび節度ある賃上げということを言っておられます。しかも労働大臣は労使間の問題に直接関与する考えは持っていない、労使の良識を求める、こう言っておられるわけです。これはもちろん労使の団体交渉で決定されるべき問題でありますけれども、節度というのは上もあれば下もあるんではないか、こう思うんです。たとえば同盟は、仮に日経連の言っている賃上げ一五%にとどまるということになると、実質個人消費の伸びは一ないし二%にとどまるのではないか、そういうことを考えると、日本の実質経済成長率は再びゼロないしマイナスの状態に陥るのではないか、こういう意見を発表しているわけです。この意見の当否は時間がありませんので、きょうは触れません。しかし、現実の姿をながめてみると、不況産業においては賃上げを一年間実施できない、半年延ばしてくれ、中小企業では賃上げどころではない、こういう風潮がいま経営者の中に強まっていることは御承知のとおりであろうと思います。そういうことになると、これは、副総理は国民消費の問題について余りウエートを置いたお考えを持っておられないようでありますけれども、それだけ賃金というものが沈滞をしてくるということになると、日本の経済計画全体に、また不況の克服という問題に非常に大きな影響を与えるということが考えられるわけであります。常に上への節度ということを求められておる副総理として、これら賃上げができない、実質賃金が低下する、それが中小企業群に非常に多い、そのことが国民消費というものに今後大きな影響をもたらす危険がある、この問題についてどうお考えになっておるのか、お伺いします。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 経済見通しでは実質成長四・三%、こういうことを考えているわけです。でありまするから国民全体とすると、所得は大体実質四・三%ぐらい成長するであろう、こういうことを考えておるわけです。それが具体的に景気のなだらかな回復ということになってあらわれてくる、こういう見解です。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 時間があればもう少し反論をしたいわけでありますけれども、質問はこの程度にとどめますけれども、私は、いま福田副総理が四・三%と言われた、われわれ七%程度が適当ではないか、これは議論のあるところでございますけれども、しかし雇用の安定、福祉の拡充、そして不公正の是正、もろもろのことを考えればある程度の経済成長がなければこれらの要求にこたえることはできない、これは明確であろうと思います。そういうことになると、私は総需要抑制政策というものは、いわゆる画一的な総需要抑制ではなくて、俗にいわれておる総需要管理政策——ポリシーミックスの政策ということと、やはり今後の経済運営に方向性と計画性を与えるための国民経済安定計画の策定というものが一日も早く望まれるのではないか、こう思うわけであります。時間の関係でこれは指摘することにとどめまして、副総理の十分な善処を求めたいと思います。  問題を次に移します。次は通産大臣にお伺いするわけでございますが、いま独禁法の改正問題が非常に議論に上がっております。しかし、価格という点からとらまえますと、独禁法というのは談合による価格カルテルの規制を行うことを目的とするものであります。ところが、談合によらなくても市場において寡占状態である、そういう産業、業種がこれを利用して単独の値上げを行う、他企業がこれに追随するということによって価格の上昇というものがあることはこれは避けられないと思うわけであります。通産大臣はこの点について、独禁法だけで管理価格の抑止というものが可能とお考えになっているのかどうか、お伺いをします。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 現在の独禁法の中心をなすものは、やみカルテルの排除と市場における独占価格というものが弊害をもたらす、こういう場合に排除する、それが中心になっておるわけでありますが、いまのお話は、業界に独占的な状態が生じておって、価格の同調的な値上げというものが認められた場合に、管理価格によってそれを規制すべきではないか、こういう御意見のように見受けますが、今度の改正案の政府素案におきましては、同調的な値上げがあった場合には、それに対して公取は報告を求めることができるということに一応なっております。私は、現在の自由主義経済のもとにおきましては、まあその程度が最大限ではなかろうか、ここに管理価格政策というものを導入するということは、これはやはり企業の活力というものを阻害すると、こういうこと等を考えますと、現在の経済の組織においては適当ではない、よほど慎重に取り扱う必要があると、こういうふうに考えます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 本当に時間がないのが残念なのでありますけれども、私はこの点についても、これから独禁法改正の中で大いに議論されるべき問題ではございますけれども、それだけでは十分ではない、われわれは寡占事業者の供給する寡占商品の不当価格等の排除に関する法律、そういう独禁法を補完する一つの法律を立てることが物価の上昇に有効に作動するという考えを持っております。この点につきましても、政府として真剣な前向きの検討をお願いをしたい。  大蔵大臣にお伺いいたします。物価上昇というもの、これは海外要因にある、これは絶えず言われるところであります。否定いたしません。しかし、政策ミスというものがこれに加わったのではないか、時間があれば指摘したいんですが、ゼンセン同盟の行っている貯金目減りの訴訟の中で、比較的公正な意見を述べると思う現代綜研が、これだけ分厚い政策ミスの指摘を行っているわけであります。私はそうした海外要因と政策ミスのほかに、現在の金融面の欠陥というものがこの物価上昇というものを加速した、そういう要因があるということを指摘せざるを得ないわけであります。時間の関係で個々の事例を挙げることは省略したいと思いますが、そうなってくると、どうしても銀行法そのものにメスを入れ、昭和三年制定のかたかな法律の抜本改革を行う必要があるということがいま世上に議論になっているわけです。そこで、時間の関係ではなはだ残念でございますが、大蔵大臣としてこの銀行法の改正について今後どのような手だてで検討を進めるのか、そして私は、少なくとも本予算委員会において、明年度冒頭の通常国会に政府としてその抜本改革案を出したいという決意を示していただきたいと思うわけでございますが、いかがでございますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 銀行法は金融秩序の基本法でございますので、いろいろな角度から十分金融制度調査会を中心に御審議をいただかなければ見当がつかないと思うわけでございまして、まず第一に、金融機関がその社会的な責任を弾力的に果たしていく、つまり銀行機能を十分弾力的に果たすだけの体制を保障するに足るものでなければならぬと思うわけでございますが、国会内外の論議も出ておりますが、いろいろ取り上げまして真剣に検討のテーマにいたしまして、出てまいりました結論についてなお念査を加えて、御審議をいただくような手順にしたいものと思っておりますが、この国会におきまして予算を成立さしていただきした後で、金融制度調査会等と一遍手順等について篤と相談をしてみたいと考えておりますので、いま具体的に特に構想を持っておるわけではございません。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 この点について私は念査は結構でございますけれども、やはり物価と不況ということの根源にメスを入れようと思えばこの問題に当然足を踏み込まなければならぬと思うわけです。各党それぞれの考えを持っていると思いますので、私は機関における念査は行っていただくとしても、少なくとも各政党間の政調段階においてこれらの問題に対する意見交換を十分行う、それぐらいのことは是非やっていただきたい。これも時間の関係でそれ以上突っ込むことをとどめます。  せっかく参考人を呼んでおりますので、現在の中小企業の当面する課題は余りにも多いと思います。しかし、時間の関係で問題をしぼりまして、参考人の方から中小企業分野の確保、下請取引関係の適正化及び中小企業組織の強化、この三点について、時間が本当にわずかで申しわけございませんが、簡潔にその所見を承りたいと思います。

森田弥一東京出版協同組合専務理事

○参考人(森田弥一君) お尋ねの中小企業関係のことでございますが、私は出版関係のお世話をしているのですけれども、全国中央会の組織委員長ということを二十年ほどやっておりまして、全国を飛び回っておりますので、そういった立場から、全国的な中小企業の要望についていまの御質問にお答えを申し上げたいと思うのです。  まず最近、御案内のように下請への発注が非常に激減しております。それについていろいろ下請関係の困っている原因があるのですけれども、それは御案内のように、景気の落ち込みのために需要が非常に減っているということが一つ。それから大企業あるいはメーカーが在庫調整のために下請に出さないということがある。こういうことのために非常に下請への発注が減っていて困る。しかも特に、同じ下請と申しましても、第一次下請、第二次下請、第三次下請というのがあります。第一次下請は、まだ直接大企業に対してとやかく言えますので、たとえば三割減の七割発注をしていただくということが可能ですけれども、第二次下請に参りますと、第一次下請が受注が少なくなっていますから、なるべくできるものは自分のところでやりこなすということで、第二次下請に行くと五割になる。さらに第三次下請に行くと発注が三割しかないというふうなことになってくるわけであります。  それからもう一つの問題は、採算が合わなくなってきているということがあります。発注価格が押さえられて、それでいて人件費と原材料費が暴騰しているということのために、下請の採算が非常に合わないということであります。  第三は、支払い条件が非常に悪化している。いままで現金でいただいていたものが手形になる、あるいは手形と現金との比率が、現金が少なくなって手形が多くなる、あるいは、手形が三十日だったのが六十日になるとか九十日になるとか、そういうふうに支払い条件が非常に悪化しているということがあります。そこで、私どもが頼りにいたしておりますのは、先生方がおつくりくだすった下請代金支払遅延等防止法なんです。ところが、これは私ども非常に、陳情したりお願いをしたりして、昭和二十八、九年ごろだったと思うんですけれども、これをつくっていただきました。これができたときに私どもは非常に喜んだんですけれども、実際には、これがどういうふうに運用されているかということを先生方ひとつ知っていただきたいと思うんです。と申しますのは、下請代金支払遅延等防止法ですから、下請に関するものすべての業種に適用していただけるものと喜んだんですけれども、実際にこの法律ができて適用されているのは機械金属と繊維だけです。それ以外の業種、八十と言い百と言い、いろいろ業種があるんですけれども、繊維と機械金属だけしかこの支払遅延等防止法が適用されていないというのはどういうことでしょうか。私どもは、たとえば、機械金属が適用されるんなら、住宅であるとか、木製品であるとか、あるいは私どもの関連産業である印刷製本とか、そういった下請も全部これを適用さしていただきたいと思うのであります。  それからもう一つは、御案内と思いますけれども、この法律によると、品物を納めてから六十日以内に代金を払えとはっきりうたわれているわけです。ところがそれが、最初のうちは私どもはそのとおりにやっていただけるものと思っていたところが、年月がたつに従いまして、六十日目にさらに二月とか三月先付の手形で支払われるようになった。これは不届きじゃないかということで、公取へ行ったり中小企業庁へ行ったりして、現金で六十日以内にお払いいただくようにお願いをしたところが、結果として非常に、これが公取でもそれでよろしいんだ、これでいいんだということで認められてしまって、現在では六十日目に三十日先付、六十日先付、九十日先付の手形で払われているという実情です。これでは本当に私どもとしては、この支払遅延等防止法によって助けられるという面が非常に少ないのを遺憾に思います。  それから、時間がないので申しわけないんですけれども、先ほどのお話の官公需の確保につきましては、ひとつ五〇%あるいは六〇%は必ず大企業でなく中小企業にやるということを何らかの方法で決めていただくとか、あるいは中小企業分野の確保につきまして、非常に私ども困っているんですけれども、資本力によって殴り込んでくる中小企業分野につきましては、何らかのチェックする方法を考えてもらいたいと思うわけです。これはぜひひとつ地方あるいは中央に、分野の確保に関する審議会のようなものを設けて、そこでチェックしていただくのも結構ですし、何らかの方法で、中小企業が熱心にやっている、まじめにやっているのを、こういった不況になると大企業が殴り込みをかけてくるということで困っておりますので、ひとつぜひお願いをしたい。時間がございませんので、この程度でお願いを……。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 私、副総理、こういう予算委員会の段階で質問をし答えてもらう、これも一つの政治だと思います。しかし、本当にこの不況とインフレというものをどう調和させ克服さしていくのか、これは短時間で議論できる問題ではないと、こう思うんです。で、中小企業の問題についても、総理は、たとえば中小企業分野についてなかなか線引きが困難だ、行政指導でやっていきたい、こういうことを言われておりますけれども、これに対する対案をわが党は持っているわけです。技術的に可能かどうかをもっと突っこんで話すべきだと思うんです。中小企業の支払遅延等防止法についても、いま指摘されたように対象業種が二業種しかない。しかも、六十日目に手形でいいから払えばそれで済むんだ、その間の金利負担を一体どうするのか、こういう問題もあると思うんです。さらに中小企業——いま参考人触れられませんでしたけれども、組織の問題にしても、組織法が大変たくさんある。その組織法というものをもっと一元化し、強化する方法がないか、これも問題点だろうと思います。また、法は存在しても、どなたかの委員が指摘されましたように、なかなかその育成行政というのが徹底されていない。どうすればこれを育成できるのか。私は問題点を指摘すれば、いま本当に数多くの問題が存在し、それを一つ一つ解決していくことが国民の政治に対していま期待している要請にこたえることになるんではないか。銀行法の問題もしかりであります。こういう点について、やはり対話と協調というものを主張されております三木内閣の経済の責任を持たれる副総理として、今後の基本的な姿勢、こういうものを、どういう一つの段取りを踏みながら、国民の合意を得てこれを強力な施策に生かしていこうとされておるのか、この点について私は基本的意見を伺い、私の持っております詳細な意見は改めてまた議員の立場からお話しする機会を与えていただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 経済的に見ますると、わが国が当面している問題は、何をおいてもこのインフレを退治し、そして経済を安定させる。つまり摩擦現象が出てきておりますが、これを解消し安定した状態に持っていく、これがまあ基本の一つであります。それからもう一つは、そういう過程を通じまして、いままで高度成長路線を走ってきたわが国経済の軌道を、これを安定成長といいますか、静かな控え目な成長路線に切りかえる、この二つの問題です。これが大筋、大骨でありますが、いまいろいろのお話がありましたが、小骨と言っちゃしかられるかもしれませんけれども、幾多の問題がある。そういう問題につきましてもあわせてひとつ解決しなきゃならぬだろうと、こういうふうにまあ考えます。何とぞ御教示のほどをお願いします。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 最後に、本当に時間がないのが残念でございましたが、私は、従来の政策の延長線上に問題をとらまえて今後施策を進めていくということでは、いま副総理の言われた理念を実行に移すことはできないと、こう思うわけであります。発想の転換というものには、これは勇断が要ります。と同時に、国民の合意を得ることが必要であります。再度この点について私の意見を十分に尊重されて、今後実のある施策が真剣な討議を通じて、しかも与野党を超えた議論の中から確立されることを強く要望いたしまして、時間の関係もございますので質問を終わります。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 青島幸男君。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 私は、大蔵大臣に主として銀行の融資のあり方についてお尋ねをしたいと思います。  自民党が幾つかの銀行から百億近い借金をしておるというふうに言われておりますけれども、この内訳を、もしできましたらどこの銀行から幾ら、どこの銀行から幾ら借りているんだということがおわかりになったらお知らせいただきたいと思います。

後藤達太大蔵大臣官房審議官

○政府委員(後藤達太君) 私ども、一部の都市銀行におきまして自民党に対しまして貸し出しがあることは承知をいたしております。ただ、これは個々の取引と申しますか、私的契約に関することでございますので、個々に幾らとかいうようなことは答弁を差し控えさしていただきたいと思います。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 それでは申し上げますけれども、毎日新聞の、去年の話になりますけれども、十一月の六日に、金融筋が明らかにしたところによると、自民党への貸し付けは以下の表のとおりであるという表を掲げておりましてね、第一勧銀約十一億ですね、富士十一億、住友十一億、三菱、三和、三井おのおの十一億ほど、それから東海、大和等が九億ちょっと。総額にいたしますと、協調融資という形で九十三億、別途一、二の銀行が単独で三億ずつ融資する、六億あるわけでして、総額が百億というかっこうになって発表されておりますけれども、これは事実と違っておりますか。それとも、いまの御意見のように、個々の契約に基づくものであるということから、この新聞発表の事実をもお認めいただけませんでしょうか。その点をお尋ねいたします。

後藤達太大蔵大臣官房審議官

○政府委員(後藤達太君) 新聞に出ましたのがどういうところから出たのか私ども承知をいたしておりませんが、そうであるとかないとか申し上げますことは、やはりその個々の取引内容を申し上げることに相なりますので、ひとつ答弁は御容赦をいただきたいと存じます。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 それでは、どういうかっこうでこの貸し付けが行われているかという実情についてもお答えいただけませんか。たとえば担保がどうなっておるとか、利子が幾らであるとかいう件でございますけれども。

後藤達太大蔵大臣官房審議官

○政府委員(後藤達太君) 私ども承知しておりますのでは、担保は、物的担保はないと聞いております。それから金利につきましては、その時期等によりましていろいろ違いはあるようでございますが、普通の一般の貸出金利並みと、こういうふうに承知をいたしております。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 この報道によりますと、幹事長名の単名手形によってこの融資が行われているというふうにありますけれども、これもお認めいただけませんですか。

後藤達太大蔵大臣官房審議官

○政府委員(後藤達太君) 貸し出し内容と申しますか、借り入れ内容と申しますか、それが運転資金というふうに聞いております。したがいまして、運転資金の場合には手形の単名で借り入れるのが普通でございますが、この場合もそのように承知をいたしております。ただ、手形名義がどなたになっておりますか、それは詳細には私ども存じておりません。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 しかし、最もリスクの大きい単名手形で、しかも、無担保で百億というような貸し出しが行われるという事実が、大蔵大臣、一般の国民の考え方としてはどうも納得できないと思うんですけれどもね。この辺のところをどうお考えでしょうか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) それらの銀行が自由民主党を信用されてお取引をされておると思いまするし、ただいままで利子が滞ったということも私は聞いておりません。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 その辺が、国民のとても理解し得ないところだと思うんですけれども、少なくとも銀行協会は率先寄付を行われているわけです。寄付といいますかね、援助を、自民党に対してですね、金銭的な。そうしますと、普通の人間が考えますと、自民党さんの世帯のやりくりは企業からの寄付、献金によって賄われておると。そうしますと、銀行協会が率先この寄付を怠る、あるいはしないというようなことをしますと、入ってくる金がなくなってしまうわけだから、貸した金は返ってこないんじゃないか。貸した金の返済を保証するためにも、みずから率先して寄付しなきゃいけないんじゃないかというふうに国民は勘ぐっても仕方がないと思うんですけれども、こういうあり方で金が貸し出されているという事実は、これは政府が自民党の肩を持って、あるいは全く癒着して保証人になっているみたいなかっこうだというふうに解釈をしても、これ何とも言い抜けができないんじゃありませんか。それをどうお考えになります。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 銀行が貸し出し先に対しまして、その危険と責任において、その判断において取引をされておるわけでございまして、私どもその個々の取引に介入いたすつもりはないわけでございます。あなたは大変御心配のようでございますけれども、そういうことは私はよけいな御心配だと思います。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 あのね、私の心配が杞憂であればいいんですけれども、いままでの政治資金のあり方なんかから見ましても、全く納得いかない事実ですよ、これは。  それからもう一つ、この単名の手形で、しかも百億というような金が無担保で貸し付けられるという事実はいままでにもありますか。

後藤達太大蔵大臣官房審議官

○政府委員(後藤達太君) 一般的に、銀行がどういう担保あるいは保全をして貸し出しをしておるかという状況でございますが、全国銀行で見ますと、いろいろな物的担保を取りませんで、信用で貸してありますものは、総貸し出しの中の三二、三%になっております。で、都市銀行の場合には、四〇%程度が信用の貸し出しをいたしております。これは特に短期資金、運転資金等の場合には一般的に行われておることでございまして、ただいまの御指摘の貸し出しが特に異例だと、こういうものではないと存じます。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 しかし、監督官庁としましては、こういう自民党一党にのみですね、自民党だけなんですよね、都市銀行から借りているのが。こういうかっこうが国民に納得いくものであるというふうにお考えになって、これを率先これからもお続けになろうというお考えですか、あるいは監督官庁として、こういうような誤解を生むようなかっこうの貸し付けが行われるようなことは避けるべきだというふうにお考えになりますか。それとも、銀行が勝手に信用して勝手に貸すんだから、そのことに関してとやかく言う筋合いはないんだと、このままほっておくというふうにお考えですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 銀行が、その判断とその責任において取引をいたしておることの一々につきまして行政官庁が介入することは、非常に私は危険なことと思います。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 しかし、三木内閣の大きな柱には、社会的不公正の是正とかいうことがうたわれておりますし、きょうの委員会を通じましても、いかに中小企業の方々が金繰りに困っていらっしゃるかということですね。それから、住宅を建てようとするような一般の方々も、銀行はなかなかお金を貸してくれないわけですね、そういう実情があるわけですよ。しかも、そういう方々の預金が積み重なってその億という金になっているわけですね。そういう方々の預金の目減り、それでなくても目減りするんだというようなかっこうの中からこういうことが堂々と行われているということに対しては、国民はやっぱり何らかの疑念を抱かざるを得ないと思いますけれども、そういうおっしゃり方で事が済むものじゃないような気がするんですけれども、いかがでしょう。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 逆に、あなたのような介入の仕方をしておったら、私は金融秩序は乱れてしまうと思うんです。わが国は幸いにいたしまして、国民の銀行に対する信用が非常に根深いものがございまして、世界で一番高い貯蓄性向を示しておりますことは、幸せなことと思っておるわけでございます。自由を守るということ、秩序を守るということは非常に大事なことなんでございます。権力は、軽々に個々の事案に介入すべきものではないわけでございます。そういうことは慎まにゃいかぬことなのでございます。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 しかし、先ほど申しました国民の疑念というのは、どうしてもぬぐい切れませんよ、それでは、銀行協会が率先寄付を行っているんだということも、一方ではあるわけですからね。その自分の貸した金が返ってこないようになるのがいやだから入れているんじゃないかというような懸念を抱く人々に対しては、どう御説明になりますか。今回提出されようとしている政治資金規正法の大綱にしましても、かつては非常に公共的なもの、あるいは政府と契約関係にあるようなものはなるべくなら避けなきゃいかぬというふうに制約があったわけですけれども、いまそれを外されようとしている折じゃありませんか。三木総理も、そういう公共的なもの、あるいは政府と近い関係のあるものからは、寄付もしくは会費を受けないことが正しい方向だというふうにおっしゃっているわけですし、そういう折から考え合わせまして、まあこれは大変不明朗なものを残すんだと私は思いますけれどもね。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 自由民主党であろうとどの政党であろうと、そういう個々の取引に政府は軽々に介入すべきものでないということを私はたびたび申し上げておるわけでございまして、あなたのおっしゃるように、一々の事案について心配いたしまして介入することは、かえって金融秩序を乱して信用の状況が乱れるおそれを招来することになるわけでございますので、私はそういうことはすべきでないということを申し上げておるのでございます。あるいはあなたと私の見解の違いかもしれませんけれども、私は私の見解が正しいと信じておるわけでございます。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 おっしゃることは私も理解いたします。権力が、信用信用で行われている銀行業務について軽々に何か物を言うことは間違いかもしれません。確かに資本主義というのは通貨の信頼の上に成り立っていますし、しかも、これだけ高度になってまいりますと、銀行を通じて、銀行の信用の上に現在の経済社会は成り立っているということも私も認めます。ですから、その中へ権力が介入するということは不適当だということは当然認めます。しかし、いままでの経緯から見まして、政治資金規正法のあり方などについて懸念を持っておる国民について、国民の一人一人の疑念を晴らすためには、こういう傾向を推し進めるというようなことがあってはならないのではなかろうか。  少なくとも、今度は大蔵大臣というお立場をお離れになりまして私は質問いたしますけれども、自民党の一人の方として、幹部として、こういうかっこうで都市銀行から借り入れるというようなことは今後ないようにした方がいいとお考えになりますか、それとも、そのことは推し続けた方がいいんだというふうにお考えになりますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) まずあなたに私は申し上げたいのでございますけれども、銀行に対して責任を持たれておる経営者の方々、あなたが御心配される前に、まずみずからの御経営については、これはみずからの命運をかけて、信用をかけて、命がけでやっておるわけなんでございまして、あなたが御心配される前に、彼らがどれだけ個々の取引について神経を配られておるか、私はそれをまずあなた考えて差し上げるべきだと思うのでございます。彼らは、何か非常に自由民主党という政党の圧力に弱いロボットであって、非常に権力の誘惑に弱くて、ついお金を粗末にするようなロボットでありはしないかとあなたが評価いたしておるとすれば、彼らに対してあなたは非常に非礼なことじゃありませんか、そういうことは。それはお慎みいただいた方があなたの名誉になるのじゃないかと私は思います。  それから、銀行から自由民主党が金を借りるのがいいか悪いかということなんでございますが、私は自由民主党の会計を扱っておる立場にないわけでございますので、何ともこれは申し上げようがないわけでございますが、金融機関を利用するということは政党としてあり得ないこととは考えないわけでございまして、そういうことがあり得る場合もあろうかと思いますが、しかし、自由民主党もその公党としての信用と責任におきまして、みずから貸借関係が、これは銀行ばかりじゃございませんよ、いろいろ貸借関係につきましてはちゃんとした処理をしてまいるのが、公党としての信用と責任にこたえるゆえんであろうと思っております。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 私は、銀行の業務あるいは責任者について非礼なことを申し上げたつもりはないわけでして、ただ、国民の間にそういう疑念があっては、銀行も信用第一の業務ですから、そういうことがあってはならない。だから、国民の中にそういう疑念が生まれないように指導なさることが適切であろうということを申し上げたわけでして、時間が参りましたのでこれ以上進めません。  資料で提出していただきたいことが一件あるのですけれども、輸出入銀行と開発銀行の融資先ですね、業種別では出ているんです。業種別ではいただいておりますけれども、融資先の企業のベストテンで結構ですけれども、資料として提出していただけるかどうかをお願いしたいと思います。

後藤達太大蔵大臣官房審議官

○政府委員(後藤達太君) いま御指示のお話は、輸出入銀行と開発銀行につきまして融資額の多い方からの十社と、こうおっしゃる意味でございますか——これは、公表されておりますものがどれだけございますか、ちょっと検討をさしていただきたいと存じます。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 では、委員長の方からもよろしくおとりなしのほどをいただきたいと思います。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 本日はこの程度にいたしたいと存じます。  明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時七分散会

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