予算委員会 第9号
- 発言数
- 170 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/03/13
会議録
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和五十年度一般会計予算 昭和五十年度特別会計予算 昭和五十年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 これより前回に引き続き質疑を行いますが、質疑者につきましては、理事会の決定により、和田春生君の場合と同様に、特に青島幸男君の質疑を行うことにいたしたいと存じますので、御了承を願いたいと存じます。青島幸男君。
○青島幸男君 私は、第二院クラブを代表いたしまして、若干の質問をさせていただきます。 まず、この委員会でも再三問題になりましたが、田中金脈問題の決着がきのう、個人的な部分につきましては出たと、こういうことでございます。一般庶民といたしまして大変納得できない部分がございますのは、意図的な脱税ではないという判断に基づいて、追徴金三千五百万円で、これ以上の追及をしないというようなかっこうになっておりますけれども、三年間にわたって約六千万ぐらいのお金が申告漏れをしておった。それについて意図的な脱税ではないという判断が行われているわけですけれども、大蔵大臣、これは事前に通告してなくて大変恐縮ですけれども、意図的な脱税でないというふうに判断なさった根拠というのを、まず伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 税務署と納税者の間には通例よくあることでございまして、たとえば非上場株、上場されていない株式の評価の問題がございますならば、そういった問題は、納税者は自分としてはこのように評価すべきものと思う、税務署の方はこのように客観的に評価すべきでないかという見解を持っておるということで、意見の扞格を来す場合が往々にしてあるわけでございます。このこと自体は、脱税の意思があってそういう問題が出てくるわけではないわけでございます。 でございまするから、田中さんの場合におかれましても、八千万円とかいう巨額の大納税者でございますから、それなりの注意を持って、それだけの専門家を御依頼申し上げていままでも申告納税に当たっておられたようでございます。したがって、いままでの田中さんの納税につきましても、私は大きな問題はないものと考えておったわけでございます。しかし、このたび世上でいろいろ論議が出てまいりましたので、税務署といたしましても再調査をいたすことになりました。そこで出てまいりました問題は、税務署と納税者との間の見解の相違とか、あるいは、たとえば自分が使われておる秘書なんかにいたしましても、それが完全に政治活動に使われておるか、自分の私用に使われておるか、そしてその秘書がどこから給料をもらわれておるかというような点も、一、二粗漏なことが間々あり得ることでございまして、そういった点は是正をいたしたようでございますので、これを頭から脱税の意思があったものと見て措置するというような措置は、とるべきでないと判断したのでございます。
○青島幸男君 しかし、折りしも確定申告締め切りが迫っております。一般の納税者にとっては大変なれないことで、煩雑な事務処理で間違いがあったということもこれは認められる点もあるかもしれませんけれども、おっしゃるように、公認会計士あるいはそれに準ずるように会計を担当する専門家がおつきになっていて、株価の評価についても、これが世間一般の評価あるいは大蔵省の評価とはなはだしく違っているというような評価がなされていたということが、意図的でなかったというふうに国民は納得しないわけですよ。まして、東京ニューハウスの所有地三千二百平方メートルを田中氏が無償で供与されていたという事実もあるわけでしょう。株価の評価だけだったらまだ問題は少ないかもしれませんけれども、東京都内で、しかも三千二百平方メートルという大変問題になっている土地ですけれども、あそこにおいでになっているのに、これが全然評価されていないというようなことが、意図的でなかったという判断の材料にどう結びつくのですか。その辺を御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 青島さん、詳細なことは調査に当たりました係官からお聞き取りいただきたいと思いますが、私が受けました報告では、納税者と、いま御説明申し上げましたように、税務署との間の見解の若干の相違に基づくものが大部分であったというように承知いたしておるわけでございまして、意図的な脱税と見るべきものではないという報告を受けておるわけでございます。なお、あなたが詳細にお聞き取りいただければ、係官を派遣いたしたいと思います。 ただ、きのうも申し上げましたように、この問題につきましては、いずれ、田中さんばかりでなく、関連法人の調査も結了いたしました段階で、国会の御要請がございますならば、調査いたしました経過、それから調査の方法、その調査の過程における問題点、そういった点につきましては可能な限り御報告を申し上げたいと思いますので、そういう場合がございますならば、そこでお聞き取りいただくのも一つの方法かと私は思います。
○青島幸男君 ですから、再三この委員会でも問題になりましたし、田中さん個人とは申されますけれども、前総理のお立場であったということからすると、国民感情をいたくこれは刺激しているわけですよ。当委員会で再々問題になっておりますように、何らかの形で国民に納得いくように説明しなければいけないのではないかという話が再三出ましたね。大蔵省の見解は、田中さんを納税者の一人としては平等に扱わなければならない、あるいは守秘義務があるから公開できないものはできないのだという事務的な御答弁を再三なさっていますけれども、しかし、一般国民が、普通の納税者がこういう事態を起こしたときにどうなるか、この辺に非常に国民は疑問を持っているわけです。 本当の意味の事務上の間違い、なれないことをやったために間違いによって納税の申告漏れがあったというような場合に、これがその年度であれば、これは間違いですよ、来年度訂正しましょうという話があるかもしれませんけれども、三年、四年にわたってそういったことが繰り返し行われていたということは、一般にはこれは意図的にやっていたというふうに見られて、平たい言葉で言えば税務署へ行って大目玉、うんと油をしぼられるというような状況が当然考えられるわけです。それが見逃されているということは、やっぱり一個人として、甘くしたのだ厳しくしたのだという、そういう差はつけていないのだとはおっしゃいますけれども、しかし、どう考えても国民にとってはそういう認識しか持てないわけです。これを何らかの形で納得のいくような御説明を、いつか何かの機会でなされないと、納税者の納税意欲というものを大きくそぐような結果になりはしないかということを私は大変恐れます。そのことは大蔵省にとっても重大な問題だと思います。 そこで、重ねてお伺いして恐縮ですけれども、今後どういうふうに御処置なさるおつもりか、そのことだけお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 役所といたしましては、できるだけ正確に、法人にいたしましても個人にいたしましても、正確に税を調査いたしまして決定してまいりたいわけでございますが、申告納税者が大体八百万人おられるわけです。これを調査なさっておる者が、約一万人の税務官吏がおられるわけでございますので、一人一人につきまして正確に毎年毎年調べるということは事実上できないわけでございます。法人にいたしますと百三十五万の課税法人があるわけでございまして、これは約一万一千人の係官が担当いたしておりますので、毎年毎年一人一人の、一つ一つの法人に当たって実地調査をするというようなことはなかなかできないわけでございますので、何年かの間に調査をする、あるいは問題が起きたときに再調査をいたしまして正確を期するということ以外に、いまやり方がないわけでございまして、田中問題につきましては、いろいろな刊行物を通じまして、あるいは国会の論議を通じまして今度財産問題というのが出てまいったわけでございますので、このまま放置することができませんので、従来の調定に間違いがあったかなかったかということをこの際改めて再調査をいたしたわけでございます。 その結果として、私どもは法人につきましても個人につきましても是正をお願いしなければならぬものが出てまいったわけでございますので、それを措置いたしておるわけでございます。きわめてあたりまえに措置をいたしておるわけでございまして、田中さんだから甘くする、田中さんだからきつくするというようなことはいたしていないことは、きのうのやりとりを通じてもあなたはお聞き取りをいただいたと思うのであります。 ただ一点、あなたのお尋ねの点で問題になると思いますのは、これもきのうから問題になっておることでございますけれども、これほど世上で問題になっておるのだから、一切合財調査の事跡を解明、提示して疑惑を一掃すべきではないかということでございます。それも私は確かに、そうすればすっきりと問題が解明されてまいることは当然でございますけれども、一方におきまして、たびたびこれも御説明申し上げておるとおり、所得税法では、各納税者について税務署が調べたことによって知り得た秘密はこれを漏らしてはならぬということになっておるのです。そうしないと、税務署に真実を語るということをしてくれない。申告納税制度に支えられたいまの所得税あるいは法人税というものが動かないことになるおそれがあるわけでございまするので、国会は、立法府は守秘義務を税務官署に課しておるわけでございます。したがって、私ども税務官吏はそれによってそれを忠実に遵奉してやっておるわけでございまして、それをことさら隠しておるということでないんです。それを漏らしちゃならぬという義務を負っておるわけなんでございますから、その点はそのように御理解をちょうだいいたしたいと思うのでございます。しかし、国会がお調べになることはまた別な角度から要請されておることでございますので、それに対しまして、一方にそういう守秘義務がございますけれども、私ども可能な限り御要請に応じまして事態を明らかにしようと一生懸命になっておるわけでございまするし、田中金脈問題というのも私は漸次解明されつつあると存じておるわけでございます。
○青島幸男君 ですから、私は何もかも公表せよとも申した覚えもございませんし、国民の疑惑を解くために何らかの処置が必要なんではなかろうかということを申し上げたわけで、再三伺いました法律論も、私、委員会の席におりまして重々伺って理解しております。ですから、いろいろ御事情もおありでしょう。やがては、田中さんがかつてテレビを通じて国民の皆さんに約束なされたように、御自分でこれを明らかになさる時期も来るかもしれませんし……。それにしても、国民の一人一人としては、やっぱり前の総理だから脱税やったって隠したってあの程度で済むんだ、おれたちだったら大変だ、こういう認識は残るから、それをどういうふうにして解消するように努めたらよろしいんでしょうか、何らかの処置が必要だ、ということを私は申し上げたわけでして、いま御説明を伺っておりますと、伺えば伺うほどそのにおいが強くなるという感じしかしないんですよ、残念ながら。ですからその辺は、法律論も結構でございますけれども、納税者の立場に立って、何もかも明らかにしろとは申しません、何らかの形で納得のいくような方法を講じていただきたいということを改めて要請しておきます。御理解いただきたいと思います。 さて、それは要望にとどめるところで、これからもまた、この問題についてはいろいろの方々が追及なすったりするでしょうから、その方々におまかせするといたしまして、選挙改革、選挙制度の改革についてお尋ねをいたします。 総理、最近選挙制度の改革につきまして、特に参議院全国区につきまして、比例代表制の方が何かと合理的なんではなかろうかというようなお考えをお持ちのようにお見受けいたします。で、もし比例代表制を推し進めようとなさるなら、その根拠を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) この参議院制度というものがどういう形に、戦後のものでありますから、これが実際に推移していくかということは、初めはだれもよくわからなかった。緑風会というようなものもあったわけですから。しかし、だんだんと日がたつにつれて、参議院の政党化というものは、これはもう動かしがたいような状態になってきたわけですね。各国とも見てみると、参議院というような二院制度の国において、どこでもやはり政党化が行われておる、二院においても。日本もやっぱりその例外ではない。青島さんのような立場で当選をされておる人もおられますけれども、全体として、参議院の大勢はやっぱり政党に所属しておる人たちが中心になってきておる。こういうふうな傾向を踏まえて、選挙制度というものはどう考えていくべきかということは、これは大問題でございますが、まあ全国区という制度を見てみますと、これは実際問題として莫大な選挙運動の費用を要することは御承知のとおり。青島さんの選挙のような場合は、もうこれは全く例外であって、全部やはり全国的な、しかも短期間にやりますから、たいへん莫大な選挙費用がかかり、しかも、その間、その選挙運動というものが、自分の考えておる政策を浸透さすための有効な選挙運動になっておるかどうかということにも問題点は私はあると思います。 そういう傾向を踏まえて、やはり比例代表というような形で考えて、むろん無所属で出られる人の立場は、これは守っていかなきゃなりませんが、全体としての傾向が政党化であるとするならば、やはり比例代表という形で選挙が行われることが、何か参議院の性格から見てふさわしい選挙になるのではないかということで、選挙制度調査会においても比例代表制というものが大勢を占めておるわけです。また、各政党の間においても比例代表制という制度を支持する政党が多くなっていると。選挙制度というものは、絶対にこれが正しいというもの、これが正しくてこれは間違っておるという絶対論は成り立たないわけです。常に選挙制度というものは、相対的な、ベターであるかどうかということで、これはもう絶対にこれが間違っておるというものがないところにむずかしさもあるわけですが、どうもいまのような状態から考えて、比例代表という形で選挙を行ったほうが好ましいのではないかという考え方が非常に大勢を占めている——反対の人もありますけれども、そういうふうな世論などを踏まえて、比例代表というものを真剣に検討してみようと思っておることは事実でございますが、こういうものは各党間の一つの選挙のルールみたいなものでありますから、各党間においてもこの問題は話をもう少し煮詰めていく必要があるし、自民党の中においても、青島さん御承知のように、なかなかこの問題は、同じ自民党内部が一本にまだなっていないわけでございますので、われわれは比例代表ということも一つの参議院の選挙制度として検討をすべき課題であるということで、結論は出ていないんですが、いま検討をしておるということでございます。
○青島幸男君 総理、長々と御答弁いただいたんですけれども、よくわからないんですけれども、政党化がすでに動かしがたいものになっておるから仕方がないというお考えは、参議院が政党化するのは好ましい傾向だとは決してお思いになっていらっしゃらないと思いますけれども、参議院が政党化することを好ましい傾向だとお思いになっていらっしゃいますか、そのことを手短にひとつお願いいたします。
○国務大臣(三木武夫君) 好ましい、好ましくないというよりも、それがやっぱり現実のものであると、これは無視することができないだろうということであります。
○青島幸男君 現実はそうですけれども、しかし、それが動かしがたい事実だからといって、この参議院の全国区というもののできたときの立法の趣旨とかなりかけ違ったものになってきている、あるいは二院制度そのものの意味を無にするような傾向に行きつつある現実だとしたら、これはやっぱり是正しなきゃいけないわけでしょう。現実にそうなっちゃったから、もうその最初のときの精神は、これ、やめにして、いまあるがままの姿、そのままのかっこうで推し進める方がいいんだという考えになりますと、これは総理のおことばと、とても思えません。
○国務大臣(三木武夫君) 私は悪いとは思わぬですよ。どこの国でも議会政治をやっていく場合に、一つの母体というものがやっぱり政党政治になるわけで、衆議院の場合においてもいろんな意見があるでしょうが、とにかく、やっぱり政党政治ということでないと議会政治は効果的に機能をしていかない面がありますね。一人一党みたいな状態ではやっていけないわけですから、やはりどうしても議会政治というものが有効に機能するためには政党政治の形をとるというのが今日の形態でありますから、そうなってくると、それは二院制度の国においても両院を通ずる一つの政治の傾向であると、このことは否定できないわけですから、そうなってくると、その現実の上に立って、選挙制度というものを一体どうすることが一番、いまのいろんな弊害も起こっておることに対してベターであるかということで、まあ比例代表制という制度が出てくるわけでございます。
○青島幸男君 それは大変総理のおことばとは思えないんですけれども、それでは政党化はこのままどんどん助長するようなかっこうにしまして、衆議院と全く同じものになってしまった、衆議院と全く同じものが、この膨大な費用を使って二重手間で行われている、参議院なんか要らないじゃないか、参議院無用論というのもおととしあたりからかなり盛んに出まして、これに対しまして、参議院議長初めといたしまして参議院の皆さんが、参議院を何とか改革していかなきゃいけないんじゃないかと。だから党則にこだわらないような採決の仕方とか、あるいは委員会審議もやっていこうじゃないかというところまで話が進んでいるわけですよ。参議院が参議院として独自の役割りを果たして、国民の皆様方の負託にこたえるようにするためにはどうしたらいいだろうか、参議院の皆さん方はそのことに懸命になっていらっしゃるわけですよ。そのことを真っ向から総理は否定なさって、衆議院と同じように政党的な考え方で推し進めればいいんだということは、参議院は要らないんだとおっしゃるのと同じ意味だというふうにしか解釈できませんけど、国民の皆さんもそのように思っていらっしゃると思いますけれども、どうでしょうかね。
○国務大臣(三木武夫君) いや、それも、一院制だという声があったわけですがね。二院制度ということになって——私、二院制度のほうがいいと思うんですよ。一院だけということになって、行き過ぎたような場合、これを是正するような二院制度の式が議会政治の運営としてはやはり慎重な運営ができて、二院制度のほうがかえってよろしいと。しかし、二院制度であって、たとえば参議院でも、皆一人一党のようになって、こういうことで実際の運営というものは、実際問題を考えたときには、なかなかむずかしい。やはり母体というものが要って、政党政治というものが、参議院も衆議院のほうも、そういう一つのまとまりを持つことが議会政治運営のために必要である、避けがたいと思いますね。 しかし、そこで、それならばいま青島さんの言われるように、衆議院と同じようだったら要らぬじゃないかというと、そこはやはり参議院の一つの良識といいますか、六カ年という安定した任期を持っているんですから、われわれ衆議院はいつ解散になるかわからない、六年間という任期、安定した任期を持っておるということは大変なことである。その間、衆議院の人たちよりも参議院の人は、調査研究するにしても、じっくり腰を落ちつけてやれる面があるし、また、党に属しておっても、ときには党派を超えて物を考える大局的な見地でなければ、衆議院の行き過ぎに対してチェックすると言っても、同じような考えで貫かれるならばチェックのしようがないですけれども、六年間という安定した任期を持って、常に腰を落ちつけて、大所高所から調査研究をして、そうしてこれに対して、ときには、必ずしも党派、党意識ばかりでなしに、もう少し、いっときには党派的な意識を超えてでも、大局的に日本の政治の方向というものに対して、参議院は独自の一つの審議や、あるいはまた意見を出すというようなことが非常にやはり二院制度の妙味だと思いますから、分かれは分かれていざるを得ないですね。皆が青島さんみたいな立場で全部があるということになると、ちょっとまとまりがつかぬところもありますからね。だから、政党という母体の中に入りながらも、衆議院と違った独自性というものが要求される。これはやっぱり一口に言えば参議院の良識というものでしょうね、参議院の良識。もう衆議院と違った、やっぱり冷静な、しかも大局的な判断を要求されて、何と言いますか、質の高い参議院というものが、この二院制度を置かれた意味にかなうゆえんだと思う。それは参議院自身の問題であると。制度としてはそうなっていかざるを得ないと思うのです。
○青島幸男君 それは皆青島君みたいだったら、ばらばらでまとまりつかぬとおっしゃいますけれども、第二院クラブは大変によくまとまっております。衆議院がわりあい地域密着型で、現実主義的に法案の審議をしたり事に当たったりする、参議院は六年の任期があるんだから、しかも三年ごとに交代する、だから冷静に物が判断できるだろう、チェックの機関として有効であり得ると、それは立法の趣旨はそうなんですよね。だからこそ衆議院にない全国区があるわけでしょう。 全国区を二十何日間——昔は十日でしたね、選挙期間。十日間で——三千五百キロもありますね、日本は。そこで八千万有権者に十日間でその思想、信条を訴えて主張を御理解いただく、これはどだい無理な話ですね。だから金がかかってしょうがないんだから、これはやめた方がいいという御議論もあるかもしれませんけれども、しかし、もともとはそうでなかったはずですね。大変、文化人と言われますか、作家と言われるような方が、初めかなり多くおいでになりましたよね、全国区に。で、緑風会というような形が、いま思えば大変なつかしく皆さんおっしゃるわけですけれども、理想的な形で運営ができておった。それを崩してしまったのは金がかかるからだの、やれ何だのと。それから政党に有利なように選挙のやり方の仕組みができておるわけですね。で、どうしても無所属が立ち得なくなって、政党に属してしまうような結果になってしまった。これはやっぱり私は間違ってきたんだと思うんですよ。その二つの異なった機能を持った院がそれぞれにチェック・アンド・バランスで、国の運営に全く誤りなきを期するということのために発足しているわけですよね。 そのことをいま改めてここ二、三年、先ほども申しましたけれども、参議院改革ということで皆さん熱心におやりになっているわけですよ。そういう方向を逆手にとるものでしかないわけですよ、比例代表制は。ということは、参議院が政党化することをもう大前提としている。しかも、それをなおかつ助長させるようなかっこうでしておる。しかも、総理のおっしゃっている主な理由は、金がかかり過ぎるからと、こう言うんですね。決してそうじゃないと思いますね。十日間でこの広い日本の中で訴えるということのきわめて基本的な趣旨は、ふだんから論文なり、あるいは学術的な研究なりの成果を通じてあまねく有権者に知ってもらっている方がお出になる。ポスターも何も持たないでお出になる。まあ、タレントも一つの形かもしれませんけれども、変則的な。しかし、かつてはそういうことで、きわめてすがすがしい参議院が存在していたわけですね。それに戻そう、こういう考え方はおありになってしかるべきだと私は思いますけれどもね。で、主なる理由が、金がかかると、こう言うのですね。じゃ、比例代表制にすれば金がかからないと総理お考えですか。その辺を明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) いまの全国区というのは非常に個人本位になっていますから、個人本位になっておって、そうして、必ずしも全国区を持っている人たちの考え方あるいは政策というようなものが、そういうことで争われるというよりも、まあいろいろ短期間にやるわけですからね。したがって、むしろ、まあ青島さんのような人は、どんな制度になってもあなたは当選——いまだけの地位を持っておれば当選されますよ、これはね。いまだけの地位を持っていれば当選する。無所属の人の立候補あるいはまたそれに対して政治に参加できるという機会を奪うような選挙制度はいけないけれども、大勢はやっぱり政党化されておるのですから、そういうので、政党は政党としての政策を掲げて、そうして全体として国民の意思を問うという政治形態、そういう選挙の形態というものは、よその国でもずいぶんやっている国があって、参議院というのは衆議院と同じような式でこれはないわけですから、そういう行き方はあり得ると思うのですね、政党政治の時代ですから。しかも、参議院はほとんど大部分の人が政党に所属しておる。その所属しておる政党の政策を掲げて、これを国民に周知徹底することは可能ですわね、政党の掲げた政策だから。だから、個人個人でいろいろなことを言うというのでなしに、実際に運営されておるのは政党政治ですから、政党政治のその政党の持っておる政策を掲げて、これを詳細に国民に理解を求めて国民の審判を受けるということも、まあこういう政党政治の行き方としては一つの行き方だと思うんですね。 独自性といっても、独自性も要りましょうけれども、実際国会の中で運営されるのは、こうやって皆各党は各党で党議で決めてくるのですからね。運営されておる姿は政党政治の姿である。したがって、大きくやっぱり、その政党は政党で、選挙を政党が中心になってやるという式のほうが、有権者には、どういうことを考えておるのか、どういうことをやろうとしておるかということには、その方が忠実になるのではないか。一人一人といっても、国会で運営されておるのは政党が母体ですからね。むしろ政党自体が選挙の前面になって、こういうことをやるんだということを明らかにするほうが、やはり選挙の趣旨を徹底する道ではないのか。その間、無所属で独自の候補者が出られることは、これに対して圧迫を加えることはよくない。しかし、大部分の国会の運営の現状は政党が中心になっておる。この現実を踏まえて、比例代表制ということは確かに選挙制度のあり方として、これは考えられる制度であると、こう考えるのです。
○青島幸男君 どうも話がかみ合わなくて、私も大変歯がゆく思っているのですけれどもね。比例代表制にしても金がかかることはかかるわけですよ。自民党の内部でのお話し合いの様子を私外からうかがっていますとね、どうも拘束制にするのはやめよう、非拘束にしたほうがいい、拘束にすると順番が下の方になったら、これ、ぐあい悪いわけですから、やっぱり前面に自分の名前を打ち出していきたい——そうなりますと、いつもと同じことですよね。ポスターもそれなりに張らなきゃならないだろうし、ビラもチラシもやらなきゃならないだろう、そういうことになりますと、同じですしね。拘束制をきちんとやろうじゃないかということになると、党内で金が動くんじゃないかということも予測されるわけですね。そうすると、どっちにしたってお金の動くことに変わりがないじゃないかというようなことになると、国民の意思を反映するために選挙が行われているということと、かけ離れたことになってしまいますね。それは正当に選出された議員たちによって構成される院が一番民主的な運営ができるわけですね。ですから、基本的にはだれが何を考えているかということがわかりやすく国民の皆さん方に御理解いただけるように努力をするのが本来の姿ですね。ですから、最近問題になっていますのは、選挙の公営化をかなり進めていこうじゃないか……。 私、当委員会で、かつて佐藤総理に御質問した際に、ちょうど選挙の折でした、総理が、私は二十何日間に五千キロ走って五十万人の方々に親しくお目にかかってお話をしたと、大変自慢げにおっしゃるわけですよ。総理の権力をもってして、五千キロ走って五十万人の方にやっとお目にかかれるかどうかですね。しかも、手を振ってあいさつぐらいのものでしょう。そうなりますと、それはテレビの視聴率から言えばコンマ以下の存在ですね。だから、テレビがあるのだから、政見放送もラジオだけじゃなしに、テレビを通じて行われるようにしたらいかがでしょうかということを、私その際提案いたしました。それから御検討があって、その次の衆議院の選挙から実際にテレビが活用されるようになりました。私も逓信委員会に所属しておりますのでね、各地へ視察に参りました折などは、放送局その他で調査しますと、テレビの政見放送を投票する際の参考にしたという方のパーセンテージが三〇%、四〇%あるわけですね。そういうふうに機会均等に皆さん方に自分の主張が遂げられる、しかも国営というようなかっこうでですね。何もかも国営にしてしまうことはすばらしいことだと私は思いませんけれども。しかし、そういう形で機会均等にそういうことが行われるようになれば、そうむやみにお金を使おうとなさる方もおいでにならなくなるはずです。ですから、もう少し——政府のPRも、いまわりあい私は冗漫な使われ方をしている部分があるのじゃないかと思うところもあるわけですよ。それから、放送局に協力を求めるとか、あるいは公報を通じるとか、その他の手だてを講じて、もう少し公営の線を伸ばしていく。そうすれば、ずっと金をかけずに候補者の考え方を皆さん方に理解していただけるようになる。 もう一つ、ポスターの問題ですけれどもね。金がかかる主たる原因はポスターにあるようにしばしば論じられておりますけれども、確かに諸事物価値上がりの折から、ああいうものを、人件費も高いから、張って歩いたら大変ですよ。しかも、全国区という規模になりますと、ポスターを張るというのは実に大変です。ポスターが本人の主張をどの程度正確に有権者の方々に伝えるかというと、これは疑問ですね。ただにっこり笑ったポスターで、各政党どれも同じて、手を振っている写真が幾ら並んでいても、どれがよくてどれが悪いか、国民の方々判断に苦しまれるわけですよ。ですから、全国区の場合は——わりあい話は具体的になりますけれどもね、全国区の場合にポスターを一挙に廃止してしまうとかいうようなかっこう、あるいは公営を逐次増加していくというようなかっこうにすれば、先ほど来申しておりますように、何も参議院のあり方を根本的にゆがめてしまうような比例代表制というものにいきなり飛びつかなくてもいいんではなかろうかというふうに私は思いますけれども、その辺どういう御見解をお持ちでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) テレビとか、ああいう報道機関を通じて候補者の考え方を周知徹底さすということは私も賛成です。放送局との間にも、もう少し候補者のテレビ放送の時間を長くできないか、なかなか技術的に困難もあるわけですが、しかし方向としてはそういうふうな方向をやはり強化していくということには賛成です。 ポスターも、これはまあ今度公職選挙法の改正のときには、選挙公営を拡大する場合に、ポスターというものを私が提示した原案の中には考えてあるわけですね、ポスターというものの費用を。ポスターを全廃というわけにもいきますまいけれども、いままで金がかかり過ぎて、ポスターが全国区の場合は大変莫大な金を要するわけです。もう少しやはりポスターという面から選挙費用を少なくするということも必要ですが、とにかく、やはり選挙というものは、その候補者の信条、政策というものを理解してもらって投票を受けるわけですから、現実にはやはり政党というものが母体になって動いているのですね、政治は現実には。だから、個人がいろいろな政策を持っておっても、現実の政治の動きは政党を母体にして動いておるのですから、その政党の考え方というものをもっと詳細に有権者に理解してもらうことが、選挙の場合に国民の判断に問う場合において、それが実際政治の場合はその方が実際的である。 だから、政党が母体になって選挙をするという形ができれば、これは一番私はいいと思う。現実に動いているのですからね。それが個々ばらばらで政治が動いているわけでないのです。大きな政党の枠の中で、一つのそういう考え方を持っている人たちが寄って政党を結成している。そうして、国民から言っても、政党は要らぬという論者はないわけですから、まあ政党に属さない青島さんのような人たちがおることに対して意義は皆認めておりますが、しかし、政治を現実に動かすものは政党である。そうなってくると、その政党というものの政策というものをできるだけ有権者に理解してもらうということによって、そうして投票の判断を求めるということが、やはり選挙の目的を達成するのには、現実の政治の面としてはそれは好ましい。 だから、比例代表という形で政党に対して判断を最初に求めるというような選挙の形式というものが、全然それは間違った、参議院というもののあり方に反する選挙制度であるというふうに私は考えない。これは、どこの国もやはり比例代表制というのは取り入れている国が多いわけですから、いろいろ考え抜いて各国ともそういうことになったのでしょうから、日本の場合もこれは確かに研究してみる一つの大きな課題である、こういうふうに考えて検討をいたしておる次第でございます。 まだ結論は出たわけではございません。これはやはりいままで各党間でもいろいろ話し合いを進めておったようでありますが、さらに私は進めてもらいたい。こういうものは一党だけの考え方で押し切るというような問題よりも、公正なルールとして皆がやはり承認、全部が全部とはいかぬでしょうが、主たる政党間の同意は得ることが必要である。それはやはり共通のルールであるからであると思うのでございます。
○青島幸男君 総理がおっしゃるとおり、独断でこれは決めるものじゃないと思いますし、でき得れば、総理がいつもおっしゃられるように、各政党でそれぞれの試案を持ち寄って、しかも全員が納得して、お互いのルールですから、でき上がるということは、これは理想的です。いままでの発言が、自民党試案なんだとか、あるいは自民党の中での考え方だという、総裁としての御発言だったら私いいと思うのですけれどもね。まだ各党の見解もありませんし、二院クラブは二院クラブなりの改革案も持っているわけです。各党それぞれ持っております。それが突き合わされて、改めてまとまるわけですね、法として、あるいは改正案として。そうなる前に、総理として、私はこういうふうが望ましいというような見解をいまのようにお述べになることは、私は余り適当でないような気がしたのですけれどもね。いずれにしましても、どなたでも自分の所属している院が十分な機能を果たし得るようにということを考えてない方はおいでになりません。ですから、総理、先ほどから言われているような考え方だと、参議院改革というような意図に対して、かなりこれは意味のないものであるというような言い方になさるのは私は大変不満です。 それから第一回普選以来、本質的に院のあり方が討議されることよりも、本質的な意味の選挙というものを追求されるよりも、どうも選挙というとマイクロホンでどなって歩く、ポスターを張り散らかすというようなことでしかないような考え方をされてきておりますけれども、そういうことでなくて、やはり一回——総理は口癖のように、出直し出直し、一歩から考え直さなければいけない、こういうことをお述べになっておられるようですけれども、ですから、参議院のあり方というのは本来どうあるべきなのだろうか、そのためにはどういう選挙の打ち方がいいのだろうか、少なくとも衆議院と参議院と違った性格を持っていなければならないということはお認めになられたわけですから、いま。だから、違った性格のものができるためには、違った選挙母体、あるいは選挙のやり方でなければならないだろう。各党で十分に持ち寄って話をしようじゃないかというときに、軽々に総理のお立場の上で、比例代表制に向かうのが私は一番妥当であるというような見解をお披瀝なさるということは、私は適当でないというふうな気がいたします。再三出直しとおっしゃっておられる総理に、もう一言だけ伺いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 各党と相談をする場合にも、自民党として案を持たずにというわけにはいきませんから、自民党は自民党としての、相談をする場合には党の考え方を持って相談をしたいと思っておりますが、これはやはり、提案の前には各党間とも御相談をしたいと私は思っております。ただ相談も何もなしに、やみくもに自民党だけで出すという考え方は持っておりません。しかし、自民党内部の考え方をまとめなければ相談にもならぬので、考え方はまとめたいと。その場合に、比例代表制というものは、これはやはり検討を要すべき一つの選挙制度であるというふうに考えておることは事実でございます。
○青島幸男君 より参議院の意味が明確になるような、国民の期待にこたえられるような参議院が生まれるような選挙母体を少なくとも形づくらなければいけないということだけは御認識いただいて、その方向で御努力あってほしいということを私は要望いたします。 さて、続きまして、政治資金の問題に移りたいと思いますけれども、しばしば総理は政治に金がかかることは事実だということをおっしゃられますけれども、政治にかかる金、どういう金がかかるんだか、私どもよくわからないんですけれども、御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) こういうふうになってくると、国民と政治とを結ぶものは政党だと。どうしてもその間に国民と政治とを結びつけるような母体が要る。それが政党の役割りだと。そうなってくると、政党の日常の政治活動というものは、これはもう諸物価も高くなっておりますし、人件費も高くなってきて、どうしたってやっぱりそういうふうな日常の政治活動というものには金がかかることは青島さんも御承知のとおりです。そういうのが一つ、政治活動費。 また、政策の立案といいますか、調査、立案、こういうふうなこともよほど強化していかなければ、知恵は全部役所から借りるということでは政党政治にならぬわけですから。ことに政権を担当しておる自民党とすれば、政務調査の機能というものは非常に私は弱過ぎると思う。もっと徹底してこの機能を強化しなければ政党政治にはならぬ。これなんかもやっぱり金が足りないですね。もう少し自民党は政務調査機能というものが強化されて、役所の知恵を借りなくても自民党でいろいろと政策立案能力を持てるだけの、それだけの充実した政務調査の機能を持たなければならない。こういうのも莫大な費用がかかるわけですよ。 そういうことで、どうしたって政治に金がかかるという現実ということは無視できない。その使い方というものには問題がありますよ。しかし、純粋な政治活動、政務調査のための費用、こういうものはやっぱり無視することのできない必要な経費だと思っています。それに相当莫大な費用がかかる。
○青島幸男君 調査研究もけっこうでございますけれどもね。自民党の方の一つの派閥の調査研究費あるいは立法費が一つの政党のそれに匹敵するほど莫大なものであることもあり得るわけですよ、調べてみますとね。だから私再三申すのですが、何を調査し、何を研究しているのか、大変国民の納得のいかない部分に突き当たるわけです。それに、大体出てくる法案がそれほどの費用を莫大にかけて練られたというふうに余り国民は考えないのじゃないですかね。官僚の中からぽっと出てきたというふうな現実のほうが多いのじゃないかというふうな気が私はしておりますけれども。よく総理は、金がかかるのは確かだけれども、これは節度というものが必要だということをしばしばおっしゃられますけれども、何をもってその節度というふうにお考えになりますかね。
○国務大臣(三木武夫君) 金がかかるということになれば、まあ幾らでも多いに越したことはないというわけですが、そこの節度というものはどこまでが限界かということは、これはなかなか線を引くということはむずかしいですけれども、一定の常識的な限界というもので、これはどこが線かということはなかなかむずかしいと思いますが、しかし、実際の必要な経費、むだ遣いのないような、それをまかなっていくために一定の限度はあると思いますね。幾ら金があれば便利だからといって、むやみに政党が金でどうこうというわけでないのですが、必要な経費を賄うというのですから、おのずからそういう経費というものの限界はある。まだ予算というような制度が自民党なんかでもきちんとできていないのですね。私は、自民党などの運営も、予算制度というものをしいて、そして予算決算というものをきちんとして、党の財政を明朗にしたいと思っておるわけです。そういう自民党の活動経費を賄う程度において政治資金というものの寄付は受けるべきであると思っております。
○青島幸男君 確かに節度の基準というのは設けにくいと思いますね。それぞれ価値観によって違うかもしれませんしね。一応目安として、法定選挙費用なんというのもそれだと思うのですね。むやみに使っちゃいけないのだ、しかも自治省に報告させるようになっております。車を使うのは幾らだった、ポスター幾らだった、何人にお手伝いいただいたからこれだけの費用が出た、事務所の費用がこれだけだと明細を明らかにいたしますね。そうすると、あれだけの選挙、あれだけ走り回るためにはこれだけのお金が要っただろうと、これは国民も納得するということがあれば、それが私は節度だと思います。たとえそのらち外に使ってあっても法定選挙費用以内で届け出る人が多いわけですけれどもね。その法定選挙費用自体にも問題があるかもしれませんけれども、一応法定選挙費用というのは節度の目安にはなると思います。 ですからね、総理、このことなんですよ、実は。総理がクリーン三木と言われて個人の資産を明らかになさるということも結構ですけれどもね。大方の人は総理の個人の資産などについては余り興味をお持ちでないと思うのですよ。総理が幾らお持ちになっていても関係ない話で、人のふところですから。それよりも、政治資金の使い方を公開なさる方が納得いくわけですよ。これこれこういう費用がかかって、これだけ使ったんだから、これだけ方々から御理解いただいて御寄付いただいているということが明らかになれば、国民が、ああなるほど一国の総理大臣ともなれば、それはいろいろ大変だろうと、立法調査のためにこれだけ要る、いろいろ選挙活動にしても、その他政策を周知徹底せしめるために活動費がこれだけ要った、それが納得いけばそれを節度だと思うのですよ、私は。ですから、御自分の個人の資産を公開なさるよりも、私の政治活動はこういうことだ、そのためにこれだけ使ったんだということを明確になさる方が、よっぽど国民の期待にこたえることだと思いますけれども、どういう御見解をお持ちでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 前段の法定費用という問題は、私は軽く見てないのですよ。やはり法定費用というものは選挙法できめられておるわけですから、この法定費用というものがほとんど有名無実になるような状態はよくない。だから今後の公職選挙法の改正においても、守られるような法定費用に改める。その改められた法定費用というものは、これはもう厳重に守らなければ厳罰を受けることはやむを得ない。いままで法定費用というものはあっても、余り実際問題として、残念ながらそれが厳格に守られておるとは言えないわけですからね。これは立法機関としてみずからつくった法律というものを厳重に守る責任は当然にあるわけですから、重要視するわけですよ、今度の改正をしようとする場合においても。守られる、これだけの選挙費用で選挙が行われなければならぬという限度に引き上げて、それは厳重に守る。それを守らない場合には、非常にやっぱり買収や供応と同じような厳罰を受けてしかるべきだと私は考えます。 それから選挙の政治活動の費用というものは、いままで公開はしてあるわけですね、自治省への届け出で。それがもう少しわかりやすくするための政治資金規正法の届け出の場合に、これは改正の場合に、もっと政治資金の使途というものが明確になるような工夫は、今度の改正案の中に十分取り入れていきたいと考えております。
○青島幸男君 しばしば問題になるのが派閥の組織活動費あるいは調査費ですね。億という単位で動いているという実情があるわけですよ。だから何を調査し、何を組織活動費としたのか、よくわからないということをしばしば私も当委員会でも申し上げてきたのですけれどもね。 たとえばクリーンと言われている三木さんの支援団体も、年間十億ぐらいお集めになっていらっしゃる。しかも、これが不思議なことに選挙のときとか総裁選挙のときに妙にふえているという符合があるわけですしね。それから、この委員会のことだと思いますけれども、御自身の懇談会、研究会ですね、それについても明らかに把握していらっしゃらない事実もおありになった。政策調査会そのほか四団体ですね。しかも億という金を動かしている。そういうことでは国民はやっぱり納得できないんだと思います。ですから、法律的にはそれで現行法上許されておりますね、自治省へ届ければ。しかし、それが何に使われたのかということを大変疑問に思っておるわけですよ。そのことを法律に先がけて明確にしていこうというお気持ちはございませんですか。
○国務大臣(三木武夫君) いまも届け出はしてあるわけです。皆見ないですからね。ああいう膨大な自治省への届け出というものを特別の関心を持って調べられる人は別として、その使途に対しては報告もしてあるわけですが、しかし現実において皆がそれに対して関心が、個々の問題の使途に対してそれを調べる人は特別の人以外にないですから、届け出はしてあるわけですが、もう少しわかりやすいような工夫をしたいと思っています。 とにかく金にまつわる不信というものは払拭しないと、民生政治は健全に発達していきませんからね。いままでの政治資金規正法にも、確かにやっぱりいま御指摘のような明確さを欠くような面があったことは事実であります。そういう点はできるだけガラス張りにできるような方法で政治資金規正法を考えていきたいと考えております。
○青島幸男君 総裁選の前になると献金の額がふえたり、それからこの前、先日もこの委員会で明らかになりましたけれども、私鉄あるいは酒、それから企業の場合、受注時に申し合わせたように寄付額が上がっておるというようなことも大変国民は疑問に思っていますしね。それが立法調査費、組織活動費として使われていると。 かつて私ここで田中さんが総理でおいでのときに、何を調査し、何を活動していらっしゃるか明確にしていただきたいとお尋ねしたことがありました。当時の自治省調べの私の書類の中で、おいでになりました大臣に、ちょうどあなたお名前が出ているから、どういうふうに使っているか教えてくださいとお伺いしたこともありました。歴史的な事実で、この派閥の支援団体の集める金が多い人ほど権力に近づくわけですね。ということは、そのお金で組織活動するのではなくて、派閥を伸張、拡張してメンバーをふやす。そういうことになりますと、党内の力は大きくなる。結局、田中さんがおいでになったときですね、あなたは総裁の地位をお金で買ったのと変わりないじゃないですかということを私失礼にも申し上げましてね、烈火のごとく怒られたことあるんですよ。しかし、この事実をもってすれば、私の調べた事実ですね、これ以外のこと考えられないじゃありませんかと。総裁選のときに、リュックサックで金が運ばれるというのを雑誌などでよく見受けますけれども、そんなことは私はないと思いますけれども、この事実からしますと、リュックでもなければ運べない金が動くように見えますということを申し上げたんですけれどもね。 総理、そういうことが明確にならないと、ちょうど田中さんのスケールの小さいのじゃないかというふうに言われるのが私も大変残念です。私はかねてから三木総理のお人柄には敬服しておりますので、その辺を明確になされることが、法に先がけてやはり一番国民の期待にこたえることだと私は思うのですよ。それを、何だ三木さんだって田中さんだって自民党は同じだ、変わりはしないんだと、陰でさんざん金使って動かしているだけじゃないかというふうなことを言われるのは私もくやしいと思うのですけれども、その点総理どうでしょうね。
○国務大臣(三木武夫君) これだけの金銭にまつわる問題というものが世論の批判を浴びたわけですから、やはりこれにこたえなければ国民の期待に沿わないわけですから、そういう意味でいまいろいろ御指摘になったような点、まあ事実と違う点もありますけれども、国民に疑惑を持たれておるということは、これは政治の場合においては反省をしなければならぬことは明らかでございますので、いま御指摘のような問題をひとつ今度改革をしてみようということで取り組んでおるわけで、私自身もやはりそういう点でみずからの姿勢は正して、まあ三木総理は金にまつわる余り不審はないというようなことにならないと、私のやはり内閣に対しての信頼というものは、これは生まれてこないわけですから、みずからの姿勢は厳しくいたしますと同時に、党として批判を受けておるような面については、これはいろいろな改革を行って、できる限りそういう国民の疑惑を解くような努力はいたしたいと考えておる次第でございます。
○青島幸男君 それはもう私ばかりでなくて、野党の皆さんも、国民の皆さんも、一刻も早くそういうすっきりした事態になりたいというふうに認識するのは当然です。それはもうそのように御努力あってしかるべきだと私は思うのです。使うほうもそうですけれども、集めるほうもやはりつまびらかでなければならぬ。 総理最初おっしゃっていたのは、企業献金というのは一切断らなければいけない、政党へのあるいは政治家への献金というのはもう個人に限るようにしなければいけないのだ、で、個人の支援者の数をふやすということが本当の意味の民主政治に通じるのだと、これは私は正論だと思うのです。しかし、そうでないようですね、なかなか。せんだっても自民党さんは六万円パーティーというのをおやりになって、かなりの額のお金をお集めになったようですけれども、しかし、六万円パーティーのあり方ですけれども、大ぜい集めて六万円ずつ、しかし六万円、幾ら自民党のシンパでも身銭を切って行っている人はわりあい少ない。あれは企業の交際費で大方の方がおいでになっているということになりますと、企業献金を細分しているというだけの話で、しかも、そこへおいでになって、わりあい楽しいことじゃなかったと思うのですけれども、大ぜいの方をお集めになって、一緒にお写真をお撮りになったりすることが。そういうことからしまして、集める方も大変厳しくなると思うのです。 それも今度の政治資金規正法ではっきり出てくると思うんですけれども、たとえば、ここに例が一つありますけれども、どこからでも集めていいということではない、しかし政治献金は悪ではない、寄付という行為を通じて政治信条を明らかにするということだから悪ではないということに、後退されたわけですか、総理。——では、日航とか日本銀行というような、政府が出資したり、あるいは地方公共団体が出資している会社から献金を受けるというようなことは決して望ましいことじゃないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、悪だということで、悪だから個人献金に——個人の寄付に切りかえたらいいとは思うが、そういう意味からくるのではないのですよ。政党側も余り大企業に甘え過ぎてはいけないのだ、やはり政党自身がみずから資金は、そう大口に頼らなくても、集めるだけの苦労をすることが政党のあり方としては、それが本当でないかということで言うので、悪という感じではないわけです。企業というものも、これは社会を構成しておる大きな単位になるわけですから、だから、民主政治というものが健全に発達してもらいたいというために応分の寄付をすることが悪だとか違法だとは思えませんが、政党自身のモラルとして政党はそういう点について甘えないようにしなければいかぬということで、五年以内に自民党は党の経常費については個人あるいはまた党費によって賄う、とにかく企業ばかりでなしに、団体の寄付というものは政党自身がみずから断って、そうして、もう個人ということにすることが、私は、政党の成り立ち方からすればそれは理想だと思っているのですよ。それはしかし、ある経過規定を置きませんと、いま、そういう社会的な慣習というものはなかなか日本には生まれてないですよね。個人がそうやって出すというような慣習というものは、そういう人もおりますけれども、まだ生まれてない、ことに政治の寄付の場合は。 そういうので、税法なども、今度改正ということの政治資金規正法の中にはそういうことも考えておるわけで、社会的な慣習というものを育てていったらいい。育たないときに、いきなり切りかえては混乱が起こりますから、そういう経過規定というものが要る。六万円のパーティーも、六万円というものは安くはないけれども、そうやって一人一人、中にはやっぱり個人の人もおるんですよ。交際費の人もあったと思いますが、個人の人もおるんだが、そうやって自民党が資金のすその根を広くしようとしておる党の意欲というものはやっぱり評価してもらいたいと思うんですよ。一口六万円、そうやって何千人も寄ったわけですから、そういう一つの、できるだけ政治の寄付というもののすそを広げていきたいというこの努力というものは、これからはもっと会費を安くして、会社の交際費でなしに出せるような形に持っていきたいとは思いますが、しかし相当な、やっぱりそれだけの努力を自民党が払い始めたということに対しては、これはやはり自民党の意図というものは御理解を願いたいのでございます。 これをもっと広げていって募金運動もやっていいと、自民党が。そういうことで、すそ野を広くして、できるだけ広く政治資金の寄付を受けたい、そういう方の第一歩があのパーティーであったわけです。少し六万円というのは会費が高いような感じもしますが、しかし一面において、われわれとじかにいろいろ話し合う機会を持つことと、そしてある程度、党の運営の費用のために寄付を願うという目的で寄付の費用が入っておるものですから、その六万円というのは少し一般から見れば高い会費でありますが、その中には相当の政治、政党に対する寄付も含まれておるということでございます。
○青島幸男君 いや、その六万円のパーティーはどうでもいいんですよ。どうでもいいということはありませんけれども、重大な問題ではないわけですよ。日航とか日本銀行、政府が出資したり地方公共団体が出資している会社から寄付を受けるというようなことは妥当か、好ましいことかとお尋ねしているわけです。
○国務大臣(三木武夫君) 政府から補助金とか、いろいろ政府との関係の深い団体から寄付を受けることは好ましくないと思っております。
○青島幸男君 そうすると、利子補給金を受けたり補助金を受けたりしている会社から献金を受けるのも、当然そうである。国あるいは地方公共団体と請負その他特別の利益を伴う会社と契約している会社ですね、そういうところから献金を受ける、これも政治資金を受けるというような会社から除外したいと思いますが、どうですかね。
○国務大臣(三木武夫君) 法律——政治資金規正法ではそういうものまでも寄付は禁止されておらないと思いますが、しかし、政治の寄付としてはできる限り国と直接の利害関係、国の契約あるいはまた国から補助金をもらっておるとか、いろいろなそういうところからはなるべく寄付を辞退するということは好ましいことだと思いますね。しかし、政治資金規正法ではいろいろ、何もかもいけないということにはなってないようでありますが、政党としてはなるべくそういうふうな先からは寄付をもらわないようにすることが、政党のモラルとしては好ましいと私は思います。
○青島幸男君 政府金融機関から融資を受けている会社から献金を受ける、これもやっぱり除外しなきゃならないと思いますが。
○国務大臣(三木武夫君) 政治資金規正法ではそんなに、そういうことを何もかもいけないということにはなってないんですが、私は政党としては国民から疑惑を持たれるような寄付はなるべくもらわない方かいいというふうに——それは法律の解釈ではないわけですよ。法律ではもっと規制というものが、いま青島さんの言われるほど厳しい規制ではないと思いますよ、法律では。
○青島幸男君 いや、それは総理、御認識違いですね。現行法にはそういう規定がありますよ。公選法の百九十九条の一項、二項、三項ですね。これで、現行法では禁止しておりますし、話題になっておりますところの第五次答申案、あるいは佐藤さんのときに出された六十一回国会の案にも制限がついていますよ。それで公職選挙法の規定で申せば、確かに政府が出資したり地方公共団体から出資している会社から献金を受けるというのは国から取っちゃうのと同じですね。これ当然よくないに決まっていますし、しかし、こういうかっこうの会社があるわけですよ。事実、農林中央金庫から融資を受けておりますのは雪印乳業ですね。そこからも献金が来ていますね。ということは、やっぱり現行法にも違反するかっこうになりはしませんか。 それから利子補給金を受けたり補助金を受けたりした会社から献金を受けるのは望ましいかと私伺ったら、望ましくないと。海運会社あるいは船主協会というのはかつてそうでしたね。国から利子補給金を受けたり補助金を受けたりしておりました。これも国民協会を通じて献金をなさっておられる。これはやはり違法行為に近いのじゃないかと私思いますね。それから、地方公共団体が請負その他の特別の利益を伴う会社と契約している会社といいますと、ほとんどの会社ですね。トヨタ、いすゞ、日産など自動車会社から住友、日商岩井あるいは商社、それから建設関係でも間組、東急建設、大成建設、ほとんどあらゆる企業が政府と契約関係があるわけですから。防衛庁だけとってみてもほとんどの企業が入っているわけですね。各関係省庁網羅しますと、ほとんど全部の企業がそういうところに該当するわけですが、そこから寄付を受けるというような行為は現行法でも違反に近いと思いますけれども、それはどうでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 選挙に際してという、選挙に際しては相当厳しい規定に制限があるわけですが、一般の政治活動の場合とは区別をして規制が行われることになっておりますが、具体的にいろいろ青島さん問題を提起されましたので、これは明白にしておいた方がいいと思いますので、自治省から現行法規に照らしていま御指摘になったことが違法であるかどうかということを御答弁しておいた方が御理解願えると思いますので、自治省から御答弁いたします。
○政府委員(土屋佳照君) ただいまお話のございました、たとえば国、地方団体等と請負契約をしておるものとか、あるいは選挙において補助金、負担金等をもらっておるところとか、あるいは資本金、基本金等に対する出資があるとかといったようなこと、また利子補給について補助があるといったようなものでございますが、そういった規定につきましてはただいま総理からも申し上げましたとおり「当該選挙に関し、」ということで書いてございます。これは公職選挙法のたてまえ上、選挙に関連したというかっこうで縛りをかけているということでございまして、そういった意味ではいろいろ問題があろうかと思いますが、通常の場合においてたとえば請負しておる者が請負契約期間中に選挙に関してやるということは悪いわけでございます。禁止されておりますけれども、通常の形態でずっとかねがね寄付をしてきておるといったような形態がある場合に、選挙に関してということが立証されなければそれは直ちに違反であるというわけにはまいらない。ただ、総理からも先ほどお話がございましたように、しからば国から出資を受けておるとかいったものを一体どう考えるかということは、前々から第五次の選挙制度審議会のときの答申等もございますし、前の政府案等にも選挙に関してということは除いてございます。そういったことをどういうふうに今度詰めていくかということは、今後政府案として立案する際にいろいろ研究をいたしたいというふうに考えております。
○青島幸男君 お聞きのとおりのことですね。しかも当該選挙に関してというのと選挙活動ということが、じゃ、明白に区別できるのかといいますと、これはできにくいですね、そうでしょう、総理。毎日の日常活動をしている、選挙の期間でないときも。ということは、やはり政策あるいは主張を周知徹底せしめて有権者から御理解をいただくということですね、日常活動というのは。それが積み重なって選挙のときに票になるかもしれませんね。そうなるとこういう解釈の仕方をしていけば、どうやってもどこの企業からもやはりもらえないということになるわけですよ。ですから総理が就任前におっしゃっておられたように個人に限るのだと、企業からもらうのは甘えてはいかぬという趣旨にどうしても詰めていけばならざるを得ないわけじゃないですか。それをいままではこういう違法行為に近いような、明白に区別できない日常活動と選挙活動、明白に区別できないというようなことが条項になっておる。その抜け道といいますか、ざるになっているところを利用して、本来違法行為かもしれないようなことを積み重ねて自民党は票を集めてきているのだというふうに一般の人間が思ってもこれは仕方がないのじゃないですか。その辺のところ明確にしてください。
○国務大臣(三木武夫君) 現行法はそういうことになっておるわけですけれども、政治資金規正法を今度改正をしようとする場合に、どの程度、政治資金というものを寄付できるという企業あるいは団体、こういうものに対してどういう規制をつけるかということについては、いままでのいろんな世間の批判なども頭に入れつつ、これは十分に検討いたす所存でございます。
○青島幸男君 そこが実は総理、重大な問題でしてね。実に腹立たしいと思うのは、自民党が改正案としてお出しになる大綱が、その第五次答申案よりずっと下がっているわけですよ。それで二十八日にはまた違うのが出ているわけですね。二十八日には、二十四日に出たのよりまた下がっているわけですよ。それで、国、地方公共団体が請負その他特別の利益を伴う契約をしている会社から献金を受けてはいけないという規定はなくなっているわけですね。これを外してしまわなければ事実上金が集まらないわけですよ。ですから自民党の大綱じゃ外してあるじゃないですか。ですからいままでと変わらないよりもっと悪いんですよ、今度の大綱は。こんなことで国民は納得しますか。それじゃ多々ますます弁ずで、金を集めて使うだけばらまけばそれでいいのだという考えはないのだと総理はおっしゃっていましたが、今度の大綱が通ればそうなるんですよ。こんなことは大変許しがたいことだと私は国民の一人として思いますが、どうお考えですか。
○国務大臣(三木武夫君) いま政府案をまとめておる最中でございますから、選挙制度審議会のいままでの経緯なども踏まえ、また世論なども頭に入れつつ、政治資金に対しての規制はもう少し厳しくした方がいいという、世論に逆らうような決定はしないようにいたしたいと望んでおります。
○青島幸男君 事実逆らう方向に向かっているわけですよ。しかも最後に出ているのは、五年間を経過した場合において、その施行状況を勘案して、政治資金の個人拠出を一層強化するための方途、あるいは会社、労働組合その他の団体が拠出する政治資金のあり方についてさらに検討を加えるということだけですね。ですから、そのときにどうなるかわからないわけですよ、いままでのお約束を伺っておりますと。 ですから、結論的に申しますけれども、総理は御就任前は大変理想的なお方で、すてきなことをおっしゃっていて、一々ごもっともなんです。それから施政方針演説にいたしましても、大変意欲的であったわけですよ。ところが三年後に下がった、あるいは五年後に下がった、あるいは骨抜きになったということで、総理の見解は全く退歩しているわけですよ。私はここが自民党の非常にはだにあわを生ずるほど老獪で憎らしいと思うところは、総理が総裁に御就任になった経過から考えても、クリーン三木という三木さんの高潔な人柄を利用して風当たりを避けたと評する人もいるわけですね。そんなことにさしたくないですね。総理の高潔なお人柄を利用して、自民党は隠れみのにして、もっと悪いことをしようとしているという認識を国民が持っても弁解のしょうがないわけですよ。だから総理、自民党からお離れになって、国民のために御活躍いただくように私は切に要望したいですよ。だからあなたはかいらいだと言われてもしようがないわけでしょう。当面の風当たりの……
○委員長(大谷藤之助君) 青島君、時間が来ました。
○青島幸男君 はい。ですから、私はそういうことを言いたくないのですけれども、もしそうでないことを証明なさりたいなら、この政治資金規正法にしても、独禁法にしても、もっと国民の要望、要求を入れたものに改めていただきたいということを私は切に要望いたしまして、時間ですから終わります。
○国務大臣(三木武夫君) 私を隠れみのにするような、こういうために、私は総理・総裁になったわけではない。自民党を改革をして、自民党が長く国民の信頼を受ける政党にしなければいかぬ。まあこういうことの熱意に燃えて私はお引き受けをしたわけでございますから、まあ、ただ青島さん、私の思うとおりにもいかない。ただ私が言っておることは、私の原則を曲げることはない。方法論においては妥協せざるを得ない場合があるわけです。しかし、原則は曲げるわけではない。だから、政治資金の問題についても、これをいままでのよりもずっと後退するような、そういう政治資金の規正法の改正になりませんからね。そういう点で、ただまあ青島さんが御期待なされるような即時であるかどうかは別である、しかし、政治資金規正法というものを、これをもう少しやっぱり節度のある明朗な公明正大なものにしようという方向を私は曲げる考えはありませんから、まあ原案をこれからいまつくろうとしておるわけですから、いろんなきょうの御批判なども頭に入れて、現時点において一番理想に近づけるための努力をいたしたいと考えております。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして、青島幸男君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 栗林卓司君。
○栗林卓司君 私は、わが国の外交体制の問題、次に社会的不公正の是正について、三番目に環境政策について、最後に三木内閣の基本的考え方について、以上四点を中心にお伺いをしてまいりたいと思います。 まず、三木総理にお尋ねをいたしますが、総理は施政方針演説の中で、外交問題の冒頭に中東諸国との関係を指摘されました。また、特に対話と協調の姿勢を強調されたわけですが、理由としては、中東諸国とわが国との関係の重要さということがあることはもちろんだと思いますが、あわせて、総理が中東諸国を訪問されたときの経験なり実感なりというものが大きく背景にあったんではないかと思いますが、その点について御所見を承ります。
○国務大臣(三木武夫君) 私が施政方針演説の中で中東問題を最初に取り上げたのは、今年の最大課題は中東問題だと私は思っておる。いま中東の和戦の行方というものは世界的な最大の関心事であるわけでございますから、中東の和平というものが世界の平和に大きく影響しておるわけですね。その上へ持ってきて、日本は中東の石油というものに大きく依存しておるわけですから、中東が一体どうなっていくかということは、もう致命的な打撃を与えるわけです。したがって、中東問題を最初に私が出してきたのは、中東問題の比重というものが、国際関係の中で一番大きい比重を持っておるからということでございます。 そして、中東へ私が参りましてどういう感想かというと、私は、これからはやはり二十世紀の後半、いままでは冷戦構造のもとで東西関係というものが中心であったが、後の四半世紀というものは南北問題だと思いますね、これからは。どうしたって、国際会議をごらんになっても、人口、食糧、エネルギー、海洋、この皆根底にあるものは南北問題と言われる先進工業国と開発途上国との関係、これは国際会議をやっても、問題の意識、とらえ方も違うんですしね、考え方も違う。この南北に横たわっておる格差というものが、これが是正されていかなければ世界の安定はない。中東問題も油と金ということを——金はたくさん持っておるけれども、やっぱり根底にあるものは南北問題である。 中東の諸国というものは、オイルダラーを持っておっても、工業開発というものはほとんどない。ほとんど全部輸入ですよ。食糧までも輸入しておる国があるわけです。だから、どうしても国づくりをしたい。自分が石油はあっても、やがては石油はなくなっていく資源である、石油がなくなった後に、自分たちの子孫はどうして食べていくか、金だけで解決しないですからね。その間にやはり先進工業国に追いつけるように——追いつけるといって、そういう規模にはならぬまでも、新しい国づくりをしたいという意欲がやはり中東諸国の中にも非常にみなぎっている。 だから、われわれはただ油、油と、こういうことだけでなしに、やはりそういう発展途上国の新しい国づくりをしようという意欲にこたえなければ、これからの外交はできない。ただもう油をもらいたいためにやるというのじゃなしに、その国の経済自立への意欲に対して日本が協力しようということでなければ、日本という国の外交というものは、私は役割りを果たすことができない。この二十世紀の後半四半世紀というものは、南北問題こそ世界のやっぱり重要な外交の課題である。これに対して日本がどのように寄与していくかということが、日本の世界に対しての平和への貢献である。無論その間、東西関係も大事ですよ。しかし、やっぱり重点はそういう方に移りつつある。そういう感じを中東諸国を旅行しても非常に感を深くした次第でございます。
○栗林卓司君 いま総理が言われた南北問題、で、南の諸国の意識、物のとらえ方、考え方は大変違うということを、もう少し中東にしぼり込んで考えてみますと、概してイスラム圏である。また、これまで日本としておつき合いがなかなかなかった国であるということは強くお感じになったのじゃないかと思いますが、重ねてその点を伺います。
○国務大臣(三木武夫君) どうもやっぱり日本の外交というものは、ああいう発展途上国の外交というものが弱かったと思いますね、弱い。そういう点で、これからはその問題は、非常に世界は南北関係の中に動いていくんですから、もう少し外交というものをこれから力を入れていかなきゃならぬ。中東でも、行って受ける感じは、非常に日本の外交が弱かったなあと、これだけの大きな油というものをこれだけ中東に依存しておって、日本の中東に対する外交の弱さというものは大いに反省をさせられた次第でございます。
○栗林卓司君 そこで、その反省に立って外交をどうやって強化をしていくのか。基本姿勢はあくまでも対話と協調なんだとおっしゃるわけで、異論ございません。問題は、その対話をする力を、従来弱かったということの反省に立って高めるために何をしたらいいのか。裏返しますと、何が対話能力を高めるのに重要な条件だとお考えになりますか。もう少ししぼって聞きますと、先方の国にたくさん友達がいること、先方の国の言葉ができること、これは最低条件ではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 一番大事なことは、相手の立場に立って物を考えるということでしょうね。そういうことで、そういう相手の立場に立って物を考えるために、いま御指摘のように、言葉もできるということも必要でしょうし、友達がたくさんおるということも必要です。相手方を理解するのに、いま御指摘のことは重要な手段であると思います。
○栗林卓司君 そこでまず総理にお伺いするわけですが、中東諸国との外交官設置、大使任命に当たって、いまの条件を厳しく前提に置いて人選をされたわけですか。
○国務大臣(三木武夫君) 外務省の陣容というものは、今度は相当増員を願いましたけれども、なかなかこれだけまあ各国に大使館を置かなきゃならぬというような状態で、非常に手薄だと思いますね。将来にわたっても外務省の陣容というものはもう少し強化して、いま言ったアラビア語などでもなかなかやっぱりそうたくさんおらないですからね、エキスパート。そういう点で、まあ中東外交のいままでの手薄さというものを反省して、大使館なども新しくふやした計画もございますし、陣容の強化も考えておるようでありますが、何分にも一遍にはいきませんけれども、そういう方向で動き始めておることは事実でございます。
○栗林卓司君 外務大臣にお伺いする前にもう一遍総理にお伺いしますが、急ぐわけですね、どっちにしても。といって、できるものからということがあって、恐らく当面の緊急対策と中期の対策と分けて考えなきゃいかぬ。しかも相手の身になって考える。これは急ぐ話だと。その意味で、そういうことができる人を外交第一線に配置をするというのは当面の緊急対策として重要であるとお認めだと思いますが、念のために伺います。
○国務大臣(三木武夫君) 一つに、大事なことは政府の姿勢でもあるんですね。そういう点で、今度サウジアラビアとの間にも技術経済協力協定ということで、相当政府が前面に出るような協定になっておるわけですね。そういう体制を整えることが必要なこと。それと、いま言ったようなこういう有能な人をそういうところに出すということであります。とにかく、いま大きく外交——東西関係が主であったわけですが、南北問題というのが重要になってきて、そういう角度から外務省の陣容などもこれから強化していかなければなりませんから、いますぐに理想的なことができるというわけではないですけれども、一つにはやっぱり国としての体制を整える。もう一つは、やっぱり出先——日常接触する外交機能というものを強化するということが当面の課題だと思います。
○栗林卓司君 国としての問題は、外務省の問題でしょう。別な話でありませんね。ですから、国として第一線へ出て行かなきゃいかぬというのは、外務省の強化が急がれるという意味だと思うんです。 外務大臣にお伺いします。中東諸国にしぼってお伺いしますが、現地に赴任している大使の中で、現地の言葉ができる、さらにまた赴任前から現地にたくさん友人関係がある、この条件をお持ちの人は何人おりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど御指摘のように、友達を持つこと、言葉ができること、そのとおりだと思いますが、何分にもその両方とも大変に時間のかかることでございまして、ただいま栗林委員の仰せられましたような条件を厳密に考えましたら、私、だれがと、実はちょっと思い当たらないような現状でございます。
○栗林卓司君 外務大臣にお伺いしますが、それでいいんでしょうか。ついでに聞きますが、外務省の中においでにならないのはよくわかるんです。日本人の中にいないんだろうか。絡めて、外務省としての配置が当面の緊急対策として打てる道というのはないんだろうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それで、先ほど総理大臣が言われましたように、こういうむずかしい情勢でありましたにもかかわらず、外務省の定員強化につきましては、総理初め閣内でも非常に理解を得ることができまして、かなり大きな枠を持つことになったわけでございますが、その中で政府関係、各省関係機関、それからいわゆる民間の銀行、商社、それからジャーナリズム等々から実はお人をできるだけ来ていただきたいということで、ことにただいまのような中東地域などはその尤たるものでございますけれども、そのような適格者にひとつおいでを願いたいと考えまして、ただいまそういうことをもっぱら働きかけているところでございます。
○栗林卓司君 そうすると、外務大臣に確認の意味でお尋ねしますが、民間大使の起用については前向きに取り組んでいくと理解してよろしいですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは総理がお答えになるべきことであると思いますけれども、もし適任の方がおられれば喜んでそういたしたいと思っております。
○栗林卓司君 大変結構です。ぜひその方向で人材の活用を図っていただきたいと思います。 総理にまた戻してお尋ねしますが、中期的な意味で、その能力を高めるために何をしなければいけないとお考えですか。一つ例として申し上げます。アメリカの場合ですと、ベイルートに大学をつくっている。また、アメリカ国内に、大学に研究所を持っている。ほうっておいても人の交流があるし、現地で覚えられるし、こっちでも覚えられるということがあるわけですね。大変私は、いかにも的確な戦略配置をしていると思うんですが、これをひとつ踏まえながらお尋ねします。
○国務大臣(三木武夫君) 私もあそこの、レバノンですかね、アメリカン大学というのをちょっと寄って見たところ、大変な大規模な大学です。日本はまあそういう条件をいま持っておるとは思えませんが、留学生の交換など、エジプトとの間にもやっておるのですけれども、人数は少ないですけれどもね、私はさしあたりはやはり留学生をふやしていって、向こうからもそのかわりに交換的に来てもらって、中東諸国との留学生というものをもう少しやっぱり拡大したらいいと。どうしても言葉を習うためにはそういう形をとらないと——またこちらの方でも、外語にあるのですかね、外語。余りアラビア語というものは、やっぱり各大学、一般的な外国語でありませんけれどもね、そういうものの強化とか、留学生をもう少しやっぱり交換を積極的にするとか、まあそういうところからやらないと、いま御指摘のような言葉のできる人といってもすぐにはできませんからね。そういう点で、少し時間はかかるけれども、そういうところから養成をしていくと。それで、民間でそういう有能な人があれば起用するということで、ある期間というものは埋め合わせをしていくよりほかにはないと思います。
○栗林卓司君 留学生の交換、結構なんですが、ただ学生だけじゃだめなんですよ。いまリーダーの役割りにある人たちにも至急要請しなければいかぬ。 そこで、それを踏まえながら、その入れ物をどうつくるのか、五十年度予算の中で入れ物づくりを具体的に配慮されておりますか、総理でも文部大臣でも結構です。
○国務大臣(永井道雄君) わが国が非常に努力いたしておりますことの一つは、国連大学への協力でございます。国連大学は、これは外務省と文部省と協力いたしていることでありますが、外務省の方の予算で昨年度は二千ドル、本年度も二千万ドル計上いたしまして、そして学長も決まりました。幸いわが国からの副学長に、前の東大総長の加藤一郎教授が決定いたしました。また、きょうのちょうど昼には、国会の方も御協力を願いまして、超党派で懇談会をしていただくことになりました。 この大学のテーマは三つございまして、資源と食糧と開発の問題でございます。ヘスター学長に伺いますと、中東諸国の問題についても非常に関係を強めていく御意向のようでありまして、これは私はあえて国連大学ということを申し上げましたのは、先ほどのベイルートのアメリカの大学ですが、アメリカなどの場合には、ああいうふうに世界的に発展した形で来ている国でございますからそういうことはできますけれども、わが国の場合には、私は相当な方向の転換でございますので、むしろ外側からの刺激というふうな形をとることが実際的なのではないか。そういうわけで、一九六九年以降、これはわが国の朝野の努力によりまして、ことし国連大学が九月から発足することになったことは、一つのわが国の教育政策の転換として重要なことと思っております。 これが一つの方法でございまして、こういうところでは、いまお言葉がございましたように、学生よりもむしろ大学院の研究を重視いたしますから、中級指導者と申しましょうか、さらにそこに協力機関というものを設けることにしておりますが、その協力機関というものにわが国の現存の大学の研究所などは参加してまいりますというと、たとえば国際関係の研究、あるいは環境、食糧の研究などにつきまして、中東は確かにいま大問題なんですが、私は、そのときの問題だけを考えているのでは、やはり教育、文化政策というものは考えにくい。特に将来、朝鮮語の研究というようなものは、これは非常に近い地域でございますから大事である。そういうふうなことも配慮いたしますと、国連大学というものが強化されて、いまわが国だけが、実はセネガルを除きまして相当の投資を行っておりますが、これが次第にわが国の国内の教育に波及するということが一つの方策と思います。 しかし他方、外国語学校などにおきまして、どういうふうに語学を進めていくかということも非常に重要でございます。御指摘のように、まただれも認めていることでございますが、遺憾ながらいわゆる開発途上国の学問、特に語学というものが今日まで弱いというのは事実でございます。これをどうしていくかということは、非常に大きな課題でございます。中東、東南アジア諸国の言語教育を行っております大学、学科は十学科でございまして、入学定員二百四十人にとどまっております。この中でアラブ語について申しますというと、これは今年度の入学定員は遺憾ながら三十人にとどまっております。ペルシャ語が十五人、それから先ほど申し上げました朝鮮語につきましては、実は私立の方が国立より盛んでございまして、天理大学が非常に骨を折っておられるわけでありますが、ここに四十人というような状況であります。そこで、やはり今後そういう外側からの刺激というものに対して、内側から呼応いたしまして、何とかしてわが国の教育内容というものを中級のレベル、大学のレベル、さらにできますならば、中、高のレベルにおきましても国際化していく。そうして中東も大事でございますが、朝鮮あるいは東南アジア、そういう国々との交流の地盤になりますような教育を何とかして進めていくことが教育政策の一つの重点であると考えて、ことし若干の努力を進めてきているわけでございますが、特にこの点については、外務省との協力というものが重要であると考えます。
○委員長(大谷藤之助君) 午後零時五十五分まで休憩いたします。 午前十一時五十四分休憩 —————・————— 午後一時四分開会
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き、栗林君の質疑を行います。栗林君。
○栗林卓司君 午前の文部大臣の御答弁について三点お尋ねしたいと思うんですが、一つは、御答弁の中で、日本はアメリカと違って、そう世界に広がっているわけではないとおっしゃいましたが、日本もまた世界じゅうに店を広げているのが実態ではないんですか。それに対して行政がなかなか追いついてこなかった。これが先ほど来の問題になるわけです。したがって、日本もまた世界じゅうに店を広げているということを前提に置かれる必要がある。 二番目、そのためには各国に行って、そこで受けざらをつくって勉強する方が一番手っ取り早いのではないのかという問題意識。 三番目、これは国務大臣としての角度かもの質問になるかもしれませんが、国連大学をつくっても、抽象的な感謝なんです。抽象的に日本が感謝されるだけなんです。現地につくれば、その国が日本はよくやってくれたという話になる。この辺も配慮しなければいけないのじゃないか。三点伺います。
○国務大臣(永井道雄君) まず第一点の、日本は世界に広がっていないからと申し上げたことの意.味でございますが、御指摘のとおり、日本は経済活動の上では世界的に大変な活動をいたしておりますけれども、アメリカあるいはイギリスのような国と違いますのは、言葉の問題がやっぱりあると思います。あるいは、言葉と文化と一緒と言ってもよろしいんですが、アメリカ人やイギリス人は、外国に行って自分の言葉を使いまして、そして活動ができやすい。ただ、日本人の場合にはちょっとそういうわけにいかないという面がありますので、これはやはり、ちょっと簡単に見逃し得ない日本のむずかしい点でございまして、だから絶望的になる人もありますが、私はそうは思っておりませんので、そこで一工夫すればいいという意味でございます。 それから、二番目の、現地に行ってやった方がいいではないか。これはもう全く賛成でございます。でございますから、いままでも現地に日本の学者などを出すようにいたしておりますが、先ほどの中東の問題につきましても、いま日本からの学者が、すべての国でございませんけれども、多少は行くようになってきております。しかし、ほかの国々にももっと現地に行って学習する人、それを養成するための地域研究の組織が大学にできてきておりますが、京都大学の東南アジアの研究センターとか、あるいは東京外国語大学がいろいろな地域の研究を始めておりますが、こういうところで地盤をつくりまして方々の国々に行く。あるいはアジア経済研究所も同様なことをやっております。これはどんどん強化していくべきだと思います。 それから三番目の、国連大学を日本に呼んで日本だけ利益を得ても仕方がないではないか。まことにそのとおりでございまして、日本にはこの九月から本部が発足いたします。そうして本部のほかに、恐らく研究機関というものも生まれることになるのでございますが、しかし、国連大学の長期計画といたしましては、日本だけでなく、世界の各地に、特に開発途上地域におきまして研究教育施設をつくっていくということでございます。それに日本人も協力していく、これは時間がかかるのでございますが、計画上はそうなっておりますし、必ずそう進んでいくと思っておりますので、構造的に申しましても御趣旨に沿うように発展するものと考えております。
○栗林卓司君 いま文部大臣が言われた言葉の障害の問題、この難点をどう克服するかは、大げさな言い方をすると、わが民族の将来にかかわるんじゃないかとさえ思うものですから、その意味でつけ加えて伺いたいと思いますけれども、時間の関係もありますし、今後ぜひ積極的に御努力をお願いしたいと思います。 総理にまた戻って、経済協力という観点からお伺いしたいわけですが、施政方針演説の中を拝見すると、「日本の貿易振興のためよりも、真に受益国の経済社会基盤の強化に役立つものでなくてはならぬ」とおっしゃっておる。お気持ちはよくわかります。ただ、日本の経済問題と真に受益国に役立つ問題、この調整をどうするかということは、案外口で言うほど簡単な問題ではないんじゃないか。一つの例を挙げながら御所見を承りたいと思うんですが、経済協力をする——日本の技術と、場合によっては資金で工場なら工場をつくる。製品ができるわけです。その先方のドメスチックマーケットで消化できるならよろしいが、ある程度の操業を維持しなければいかぬわけですから、そのとき販路について日本の市場、具体的には日本政府がその間に立って何がしかの努力をしていかなければいかぬ、こういうぐあいになっていくのかどうか、承ります。
○国務大臣(三木武夫君) 日本はこういう短期間の間に工業先進国の仲間入りをしたわけでありますから、今日の発展途上国の持っておるいろんな悩みというものは、一番よくわかるのは私は日本だと思うんですね。だから、いろんな工業を開発しようとする場合に、やはりマーケットのことも頭に入れて相談に乗ってあげる必要があると私は思いますね。やっぱり相手の立場になって考えてあげるというのは、ただ工業開発をするばかりでなくして、その製品というものの販路までもいろいろ日本が考えてあげることが親切な行き方だと思うわけです。 しかし、それは日本との場合に競合する場合がありますから、何でもというわけにはいかない。そこで、やはり工業開発の場合にはどういうプロジェクトをやるかという場合に、事前において日本が、日本との貿易関係などとも調整を行って、そして将来はマーケットの世話もしてあげなければなかなか工業開発といっても進まない面もありますから、それは物によってそういうこともちゃんと頭に入れて日本が協力をしなければ、協力しても、後で工場はできて製品はできたけれども販路がないということでは、先方としても援助は生きてこないわけですから、そういう点も入れなきゃならぬが、そこはすべて日本の貿易を犠牲にするわけにはいきませんから、やはり日本の貿易とのことをよく勘案しつつ、できるだけマーケットの世話もしてあげるという態度が必要で、一般的なことは、やはり一般的にこれをどう規定するかということはむずかしくて、問題ごとに考えていく問題だと思うわけでございます。
○栗林卓司君 外務大臣にお尋ねをしますけれども、イランとの間で経済協力協定が結ばれたわけで、これをひとつ材料にしながらもう少し具体的に伺いたいわけですが、ケース・バイ・ケースというのではなくて、こういう協定を結びますと、当然販路も含めて先方の産業が、企業が成り立つように日本としても考えてまいりますという包括的な責任を負うことになるんじゃないか。これもまた、あえて中身を言いますと第二条の二項だと思いますが、これもまたそういう意味合いを持っているんじゃないか。そうなりますと、その開発途上諸国の身になってという話と一緒に、日本の産業の身になってどう調整するかということも、先々の問題じゃなくて、いまの問題として私はあるんじゃないか。まずこの点について、イランとの協定について外務大臣から伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) いまのイランの協定の第二条二項とおっしゃったと思いますが、まあこの書き方そのものはかなり抽象的でございまして、開発計画実施の可能性について協議し「適当な協力の方式を発見する」とございますが、しかし栗林委員の言われますことは、私はそういう場合は確かにかなりあろうと思うんでございます。たとえば、これが石油精製とペトロケミカルとがセットになっておるようなプロジェクトだといたしますと、わが国として将来ペトロケミカルの製品の何がしかを引き取ると、こういうような形になるわけでございますが、そういう業種でありますと、比較的わが国のそういう協力がしやすい。と申しますのは、今後国内においてそういう産業の立地がなかなか容易なことでないというような関連もございまして、比較的そういうものでありますとやりやすうございますが、今度は国内の中小企業とまともにぶつかると、さっき総理の言われましたような、そういうケースもまたあり得るわけでありまして、業種によりまして非常にそういう協力がやりやすい場合と多少しにくい場合とあろうと思います。しかし、いま言われましたようなことが一般的にやはり協力関係の一つの大事な部面になってまいることは、私は否定できないと思います。
○栗林卓司君 これも抽象的な文言になっておりまして、できるだけ「協力の方式を発見するよう努力するものとする。」とあるわけですけれども、日本語のあやで、「ものとする」というのは何も直訳文じゃないわけですから、先方がこれを横文字で見た場合にどう思うのか。また、日本と先方との国力の差というものを考えたときに、どの程度の期待感で見ていくのかと考えますと、まあ相当のげたを履いたわいと覚悟して取り組まざるを得ないだろうと思うのです。で、それが日本の中小企業との関係で、個々のプロジェクトとの見合いでいろんな問題が起こってくる。 もう一つの問題というのは、プロジェクトとの見合いで問題が起こらなくても、国際的な産業構造が変わるわけです。それが、じゃわが国とどう絡んでくるか、こういう問題について通産大臣にお伺いしたいわけですが、経済協力は経済協力のベースで進んでくるのだ、こっちはこっちなんだということではなくて、経済協力を進めるときに、事前の何がしかのアセスメントなり合意の求め方なりというものが必要なんではないか、この点について御所見を承りたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 確かに、いまお述べになりましたように、中東との経済協力を進めていきます場合に注意しなければならぬ点だと思います。ただしかし、いずれもこの民間で進めておりますプロジェクト提携事業というものは非常に大規模でございまして、完成が数年先あるいは七、八年先と、そういう非常に長期なものが大部分でございます。そういうことでございますから、現時点における問題ではなくして、相当長期的な角度から検討していくべきものであると、こういうふうに考えまして、その方向で調整をしておるところでございます。
○栗林卓司君 重ねてお尋ねいたしますが、個々のプロジェクトという問題もありますが、同時に、国際的な産業構造変化がそこで生じてくるという問題意識は持たざるを得ない、これは間違いございませんか。
○国務大臣(河本敏夫君) 部分的にはそういうことが言えるかもわかりませんけれども、いま現在進んでおります程度のプロジェクトでございますと、私は、世界の産業構造が変化する、そういう大げさなものではないと、こういうふうに理解しております。
○栗林卓司君 それでは、少し舞台を広げてお尋ねいたしますが、中東だけではなくて、太平洋圏諸国を含めて日本の政府ベース、民間ベースの経済援助を見渡しながら考えますと、これは国際的な産業構造変化とのかかわり合いが非常に深いということになるのじゃないでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 中東からさらに広げまして東南アジア全域を考えましたときには確かにおっしゃるようなことがございます。
○栗林卓司君 外務大臣にお尋ねいたしますが、こういう国際的な産業構造変化に対して、わが国の外交方針として対応しようとする原則は何でございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 原則で申しましたら、相手の国がほぼ発展途上国と考えますと、やはり、たとえば第一次産業の農業でありますとか、水産業でありますとか、あるいは中小企業、そういうところから経済を立てていくのが本当である、それが相手の国のためになるという考え方でございましょうから、言葉はちょっと悪うございますが、垂直分業のようなものができてきまして、そして、わが国は先進国としてより付加価値の高いものの方へ向かっていくと、こういうような形、これが原則であろうと思いますが、ただ、それは言葉で言うほど簡単ではありませんで、向こうの頭とこちらのしっぽがぶつかるような競合関係がしばしば出てまいりますので、これはガットなどの規定等も考えまして、ことに特恵とかいうようなものもございますから、できるだけそういうものを発展途上国に譲る形で発展途上国の経済建設を助ける、そういう考え方ではなかろうかと思います。
○栗林卓司君 いま大臣がお答えになったのは、産業政策面の各論なんです。私は、わが国の外交方針の原則は何だと伺った。私の意見では自由貿易主義だと思いますが、違いますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的には、わが国は自由貿易を支持をし、現在まで過去二十年間、世界はそういう体制であったことは言われるとおりだと思います。が、先ほどちょっと私が申しかけましたように、特恵というような制度がまた別途出てまいりまして、これは厳格に申せば、自由貿易主義を一部発展途上国のために修正するという形になってきておりまして、そういう意味では、原則は自由貿易主義、そのとおりでございますが、発展途上国の関係を考えますと、そのようなやはり修正と申しますか、一部、完全な自由という形ばかりが貫けないというのが最近の現実ではないかと考えております。
○栗林卓司君 歯切れが悪い御答弁なんですが、資源がない日本として、貿易立国の日本として考えると、自由貿易主義を貫くことによって一番メリットを得る国は日本ではないのですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そう言われますことには全く異存がございません。そのとおりと思います。
○栗林卓司君 そこで、通産大臣に戻ってお尋ねをするわけですが、国際的な産業構造の変化がある。わが国とすると、自由貿易主義を最も有益な方針として立てながら守っていかざるを得ない。さすれば、わが国の中小零細企業群というのは、国際産業の構造変化の激流に裸でさらされるわけです。こういう問題について一つ例をとらえますが、日本の繊維産業を例にとりながら、これまで経済協力との見合いでどういうことをなさってきたのか、伺いたい。三点に分けて伺います。 問題は、近隣諸国に経済協力——政府、民間ベースどちらでもけっこうです、それを発動する以前に繊維産業に対する構造改善案が立案され、発動されていたのかどうか。 また、経済協力の内容について、自由貿易主義の結果、国内の中小零細企業群が大きな影響を受けるということを配慮した指導がされていたのかどうか。 最後に、国際的な産業構造がどう動いていくのかについて、政府としてどういう情報網を備えていたのか。 以上、三点を伺います。
○国務大臣(河本敏夫君) いま、繊維産業を例に引かれまして御質問がございましたが、実情を申し上げますと、現在近隣諸国、東南アジアの近隣諸国から相当大幅な繊維製品の輸入がございます。それがわが国の繊維産業に非常に大きな影響を与えておる。そのことに関連しての御質問だと思いますが、まず第一番に考えておりますことは、原則はやはり自由貿易ということでございますし、それからさらに東南アジア、特に近隣諸国との貿易の状態を考えますと、わが国から非常に大幅な出超にいまなっておるわけでございます。繊維製品だけは特例でございますが、全体の貿易としては非常に大幅な出超になっておる。したがいまして、輸入規制、輸入制限、あるいはまた輸入禁止と、こういうふうな激しい動きがあるわけでございますけれども、これをいま行いますと、非常に大きな影響が貿易全体に出てくるわけでございます。したがいまして、そのことに対しては、できるだけ相手国と十分話し合いをいたしまして、そして秩序ある輸入、そういう形に持っていきたい。特に、東南アジアからの輸入がふえましたのは、ここ一両年のことでございますので、何とか話し合いでひとつ解決の道を探してみたいということが一つでございます。 それとあわせまして、国内の繊維産業の構造改善事業を政府も援助いたしまして、強力に推進していくということ。体質の改善ということ、構造改善事業のほかに、やはり日本の繊維産業が競争力を失っております理由といたしましては、人件費の問題もございますが、一つは、どうも機動力がなくなっているんじゃないか。たとえば非常に激しく動いております需要者の要望にこたえ切れない。たとえば品物の高度化であるとか、あるいは多様化、個性化と、そういうふうな激しく動く要望にこたえ切れないという、機動力がないということ、そういう面も含めてのやはり構造改善事業ということが必要だと思います。でありますから、国内的な対策とあわせて、国際的な話し合い、両々相まってこの問題の解決に当たっていく、こういうふうに考えておるわけでございます。
○栗林卓司君 国際的な対策については、かつてアメリカが言っていたようなことをまた言うのか、といって、かっこうの悪い話は短期的にはしょうがないですが置いておくとして、国内対策をどうするのか。これは繊維工業審議会がまとめた資料なんです。細かく読みません。結局、これまでの繊維産業対策というのは不況カルテルしかなかった。中小零細企業に対して何とかせい、どうするか、金がない、力がない、どうしたらいいかわからない。これに対して機動力がないというお話ですけれども、だったら、政府としてどういう対応策をおとりになるのか、それはお示しになる必要があるし、もっと早く私は示すべきではなかっただろうか。過去は問いませんが、これから具体的にどうなされますか。
○国務大臣(河本敏夫君) やはり根本は競争力を回復するということでございますから、構造改善事業というものを現在も進めておりますけれども、さらに政府の方で強力にこれをバックアップしていくということだと思います。ただしかし業界自身も、私も先般業界の会合に出まして言ったのでありますが、業界自身もやはりこの体質改善の自発的な努力というものを絶えず継続していただく、それと政府の構造改善事業に対するバックアップと、この両々相まって競争力を確保していく、それが必要であろうと思います。
○栗林卓司君 仮に業種転換ということを考えますと、日本における繊維産業の広がり方を含めていきますと、それはおそらく労働集約的な、しかも付加価値の高い産業であろうと思う。それは一体じゃどの産業なのか。この地域はそれでいけるが、この地域はどうするかという対策でなければ私はだめだと思います。時間がありませんから深くこれ以上入りませんけれども、経済協力というのは、言ってみればかっこうがよくて済む問題ではないということは銘記をしていただきたい。 最後に一点だけ伺いますが、国際的な産業構造がどう変わるかという情報をどうとるのか。太平洋圏をとってみましても、繊維が一体どうなっているかということについて統計データがないんです。ノット・アベイラブルがずいぶん多い。どうやってとるのですか。外務省がとるのですか、ジェトロがとるのですか。一体また、それをどんな能力の人がとるのですか。統計数字というのは、開発途上諸国においては信頼できる数字がないと思わなければいけない。それやこれやを含めて対策をどうおとりになるのか、外務省と通産省に伺って、一応この問題をおいて次に移りたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かにそういう問題がございまして、たとえばインドネシアのケースで申しますと、どこにどういう工場が建っておるというようなことが全く情報はわからないわけでございます。外務省の者、ジェトロの人たちもそうでございますけれども、できるだけ相手政府に聞きまして、その都度その都度情報をとるのでございますけれども、実は政府部内でも必ずしもわからぬというような場合がございまして、そういう意味では、商社の人たちがかなり大事な情報源になったりする場合もございます。できるだけそういう努力を、商社の人たちの情報網も借り求めながら、できるだけそういう努力をいたすという以外にどうも方法がないのが、国によりましては現状でございます。
○国務大臣(河本敏夫君) この海外の経済情報の収集の仕方でございますが、外務省の方でもおやりになっておるわけでありますけれども、通産省はジェトロを中心に世界的な規模で情報の収集をしております。商社ももちろん世界的な情報網を持っておりますが、ただ、私どもが痛感をいたしますことは、非常に国全体を挙げての情報収集能力というものが弱い。そのためにいろんな点で不利を招いておるということを痛感をしております。でありますから、この面でやはり強化をしなければいかぬと、こういうことを痛感をいたします。
○栗林卓司君 総理に一つだけ伺いたいのですが、商社の話が出ました。いろいろの議論の種になっております。ただ、いま各大臣からお答えのように、日本の情報収集機能の重要な部分を結果として商社が担ってきているわけなんです。産業組織論としてこれをどうするかということを議論するのなら、国のあり方として、民間におんぶにだっこということは変えてまいりますか。今後とも期待をされますか。口だけでは済みませんので、将来相当金と人がかかるんですよ、これは。含めながら、商社に対してどういう評価を今後ともしておいでになるのか、総理の御見解を伺います。
○国務大臣(三木武夫君) いま栗林さんの提起された情報収集ということは、これは日本の場合も、いままでは手薄であることは事実ですね。そういう点で、私はやっぱりジェトロなんかの機関——商社というものもこれは第一線に立って、一番彼らの中心は情報ですからね。だから、こういう政府、民間というものの情報収集というものも、補完的に政府の情報収集の中に商社の持っておる情報収集というものを活用したら私はいいと思う。その中にはいろいろ商社の自己本位な面もあるでしょうけれども、そうでないものもたくさんありますからね。そういう点で商社の持っておる情報というものも大いに活用できる面があるのではないか。これは実際に海外に出ていろいろ経済発展をしておる場合における商社の一つの役割りというものは、私は否定することはできない。だから、その会社の自己本位でない面の情報というものは大いに活用できる面があるというふうに思いますので、これは活用したら私はいいというふうに思うわけです。いますぐにほかの国のような情報の機能というものは、機構的にも、あるいはまたいままでの収集能力からいっても、これは日本は劣っておることは事実ですよ、それを将来の過渡期における情報収集として、そういう過渡的な処置というものはやっぱり私は大いに活用する必要があるというふうに考えておるわけです。
○栗林卓司君 大変虫のいい御答弁なんですが、深く触れません。意のあるところは御理解いただきたいと思います。 次の点に移りたいと思います。 社会的不公正の是正ということが言われ、総理も強調されました。これは単にいわゆる、いやな言葉ですが、社会的弱者に対しての恩恵的な救済という面だけではないだろうと思う。結局いろんな部分の格差を、上を抑え下を上げながらということになる。国民感情を踏まえて考えると、いま一番急がなければいけない不公正是正というのは、衣食住という生活の基本にかかわる不公正、不公平をどうやって是正するのか、これが第一点。第二点は、特権をなるべく社会から排除していこう、これが第二点だと私は思います。一応そんなことを踏まえながら、例示的に二つお尋ねをしたいと思います。 衣食住のうちの衣食は、まあ不満はありながらまあまあである。問題は住だと思うのです。四十九年度の国民生活白書を拝見しますと、こういう数字が書いてございました。御披露しますと、四十七年から四十八年にかけて大変な物価上昇が起こったわけです。これが国民各層にどんな影響を与えたのだろうか。平均的勤労者世帯を考えますと、まず、年間でもらうものと貯金については目減りをしました。減ったものは、大体推定ですと二十万ぐらい値打ちが減っちゃった。ところが、幸運にも自分で土地建物を持ってお住みの方々は評価額もふえた、こういう勘定になりました。これを家を持っている人と持っていない人と分けますと、途中の細かい計算は抜きますが、家を持っている人は評価額が上がった。持っていない人は預金の目減り分が裸でくるだけですから、ふえてみようがない。こういう推測計算をすると、持ち家の平均的勤労者世帯は一年間で三百六十三万七千円入った勘定になる。家を持っていないところは百七十一万九千円しか入らなかった勘定になる。差し引き何と百九十一万八千円の格差がついてしまったと国民生活白書は書いている。この問題をどう理解されますか、対策を打たれますか。まず総理に伺います。
○国務大臣(三木武夫君) 確かに栗林さんの御指摘のように、住宅を持っておる者、持たない者の格差というものは非常にあると思います。そういうことで、これからやっぱり対策として力を入れなければならぬのは住宅だと思いますね、まあ食も衣もこれは一応充足されてきたわけですから。どうも西欧などは住が先に、食住衣とくるわけです。日本のは衣食住で、こういう点で非常におくれておるわけですが、だから五十一年度から新しい住宅建設計画が始まるので、こういう場合に、これは人生、段階的に住宅のあり方というものは変わってくるわけですから、まあ卒業して結婚するまで、結婚してから働いて、そして一応それだけの自分の住宅を持てるような段階、幾つかの段階があるわけです。初めのうちは家庭から通ったり会社の寮、それが公団とか公営住宅に移り、それが借家になり、それからまた自分の家になる。こう幾つかの段階があって、全部初めから持ち家ということは無理ですが、こういう人生の段階に応じて、住宅政策というものはもう少しやはり根本的に考え直してみる必要がある。五十一年度のそういう新しい住宅建設の計画を機会に、住宅政策というものは見直してみる必要がある。それがまた社会的不公正という感じを与えておる大きな原因にもなっているということは、御指摘のとおりだと思います。従来の住宅政策というものはやはり考え直してみる時期に来ておる。ちょうど来年度の出発を機会に考え直してみたいと思っておる次第でございます。
○栗林卓司君 私が伺ったのは、国民生活白書が、推定計算にもせよ、こんなに開いてしまったというものをどうするんですか。いまのはお答えになっていないのです。ごめんなさいと言うのですか、あきらめてくれと言うのですか。対策を打つのですか。ここなんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 御指摘の国民生活白書ですね、これは私は白書の指摘しておるとおりだと思います。なぜ持ち家の人と賃借りの人との間にそういうアンバランスが起こるかと、こう言いますと、これは全く私はインフレのなせるわざだと、こういうふうに思うのです。もしインフレ状態でない経済社会でありますれば、これは持ち家の人、その家を持つために金を投ずるわけです。その金に対しましては利息を払わなければならぬ、こういう問題がありますわね。他方において家賃を払わぬでもよろしい、こういう負担の軽減があるわけです。他方、借家の人はどうだ、こう言いますれば、これは家賃を払うという負担があるわけであります。 持ち家の人とそれから借家の人、これはもうインフレという問題がなければ、大体利害得失のバランスがとれると思うんです。ところが、インフレになると、持ち家の人は借りた金の金利の負担が軽減される、こういうのに加えまして、持った土地なり家屋の価格が上昇するというメリットばかりあるんですが、借り家の人につきましてはそういうメリットというものが全然見られないそこに非常に負担が生ずる。私は、インフレというものは社会的公正、社会の敵である、こういうふうに申し上げておりますが、端的にただいま御指摘の数字にそのインフレの恐ろしさというものが露呈されておる、こういうふうに思います。
○栗林卓司君 副総理、私がお尋ねしているのは、すでに発生しちゃったんです。これが将来のインフレ対策で解消できますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 将来というか、過去のインフレによってかもし出された不公正、これは総合的な政策のもとに長きにわたって是正をしなければならぬと思うんです。これにはいろいろの方法があると思いまするけれども、これはずいぶん時間がかかる。そう即効薬は私はないと思いますが、しかし社会全体として、インフレのためとばかり言いません、その他の事情から非常に不均衡があるということにつきましては、長い目でこれを解消するという努力を総合的に精力的に続けなければならぬ、こういうふうに考えます。
○栗林卓司君 平たく言えば、昔のことはまあどうしようもございません、将来にわたっていろいろな方策を講じていくしかない。経済というものはそんなものだと思うんです。だからインフレは何としても起こしてはいけないという気持ちは同感なんです。 ただ問題は、出ちゃいましたね、差が。この差が持っている意味は何かと言いますと、一つは、所得水準と土地、住宅を買う値段の水準との乖離がはなはだしくなった。あえて言いますと、たまたま家を持っている人、持っていない人でこんな差がついちゃったと書いてあるんだけれども、よく考えてみたら、平均的勤労者の場合にはほぼ半分半分です。家を持っている人は、たまたま幸運にも前に家をつくったから持っていた。残りは持とうとしても持てない。そういう差なんじゃないか。これが実は、この数字が本質的に持っている本当の意味じゃないのか。そこで所得水準と地価あるいは建築価格との 離をどうするのか。 国民生活白書の数字をお借りしますと、とにかく自分の預金を全部つぶしてしまって、所得の二五%を全部借金に充てるのだ、こういう前提をしても、昭和四十八年には所要資金の七四%しか調達ができない。昭和三十五年には一〇四%の調達が可能だった。これから持ち家はできなくなっていく。全部できないと言いませんよ。従来とはさま変わりをした。この不公平を、じゃ、どう考えたらいいのか。 話をもう少し続けます。だったら、所得水準を上げればいいじゃないかという意味でことしの春の賃金闘争を見ていった場合に、そこからは大幅賃上げという答えが出てくるのではないか。将来へとおっしゃるのなら、絡めて、どういう絵をおかきになるのか、お尋ねします。
○国務大臣(福田赳夫君) 一番端的な例は、これは住宅ばかりじゃありません、土地だと思うのです。土地を持っている人と土地を持たなかった人、その両者ですね、インフレによって受けるアンバランスの影響、これはもう大変なものだ。さあ、それを一体いかにして是正するか、こういうことになりますと、そう簡単にはできない。これは相当長い目で、あるいは税制を通じ、あるいは財政の支出面を通じ、あるいはまたもろもろの金融政策を通じ、いろいろの手を講じて、粘り強く長い目でその格差を縮めていくという方策をとらざるを得ないと思うのです。 そういうことを考えますときに、いま賃金問題に触れられる。賃金問題につきましては、私は、これは不動産を持たない、土地を持たない裸の賃金生活者、こういう方の立場なんというのはこれはインフレによって相当影響を受けた、こういうふうに思います。そういう人たちがこれから高額の所得を得て、そのうちの何かを積み立てて、今日持ってない土地を取得する、あるいは住宅を建てる、こういうようなことはまさに勤労者の皆さんがそう考えるところだろうと思います。ですから、そういう問題を、しかし一挙にこれを解決することはできないだろうということを私は申し上げているのです。これも長い目で、実際の経済情勢に即したような姿においてこの賃金問題というものも考えなければならぬ。しかし、栗林さんが御指摘になった家を持たない、土地を持たないその勤労者の立場というものも、これはもう私もよくわかります。わかりますが、そういうものもありますが、同時に、これは一挙には解決できないんだ、長い目で解決されなければならぬ問題である、そういうふうに思います。
○栗林卓司君 長い目というのは、おおむね何年ぐらいを頭の中に想定されているのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは、いま何年と言うわけにもいかないです。栗林さんも何年という御構想が私はおありになるかどうかわかりませんが、これはとにかくそういう勤労者の、インフレによって打撃を受けた人たちの立場というものも考えて、国政全般というものを相当長期にわたってやっていかなければならぬだろう、こういうふうに思います。
○栗林卓司君 長い目と言って、「何年」は出ないんですよ。出ないのだけれども、衣食住という生活の基本的な要件については、長い目と言うばかりではいかないですね。 一つは、例として申し上げますが、その間どうやって家に住んでいったらいいのだというふうに申し上げるのですが、戦後のベビーブームの時代に生まれた子供たちがいま続々と結婚年齢に達しているわけです。大正九年から昭和十五年まで、当時は大体一年間で平均二十五万人ふえた、年齢人口。ところが、昭和二十三年、二十四年、二十五年、いわゆるベビーブーム時代には何と六十二万人。前の傾向に比べて一年当たり三十七万人ふえた。これがいま続々と結婚年齢に達しているのです。これを考えますと、相当の危機意識で住宅対策を考えなきゃいかぬ。このベビーブームの子供たちはどんな暮らし方をしてきたかと言いますと、小学校に入ったらすし詰め教室のバラックだ、中学しかり、高校しかり、大学しかり、人によってはこれが大学紛争の一つの背景だったとさえ言う人がいるわけですね。 というと、住宅対策も従来と同じというわけに私いかないのじゃないか。それと長い目とのすき間をどうやって埋めるのか。それを五十年度予算でどう埋めたのか。総理でも大蔵大臣でも副総理でも結構ですが、お尋ねします。
○国務大臣(福田赳夫君) 話は具体的な住宅政策の問題ですが、私はいまの国政の中で、もう一番大事なのはやっぱり住宅の問題だろう。先ほど御指摘のように、衣食住と言うが、衣食の方はまあまあだと、これからの最大の課題は住宅問題だと、こういうふうに思うのです。 住宅問題の一番のスタートは何だというと、これは宅地問題なんですが、この宅地の供給、これをとにかくふやさなければならぬという必要に迫られておるので、政府としては国土利用計画法、これが成立いたしましたので、それをよりどころといたしまして、そういう問題に取り組むわけでありますが、昭和五十年度の予算におきましても、これは大蔵大臣の方からお答えがあると思いますけれども、住宅問題これは特別にアクセントをつけて取り上げておるわけであります。
○栗林卓司君 いま、大蔵大臣からお答えがあると思いますがと引き継がれましたので、お待ちしております。
○国務大臣(大平正芳君) 御案内のように、ことしの予算におきましては、一般の公共事業費は前年度と同額程度でごしんぼうをいただくことにいたしておるわけでございますけれども、生活関連の部門につきましては、去年よりも勉強をさせていただいたつもりでございます。とりわけ、住宅金融公庫に対する財投につきましては大幅にこれを増額いたしまして、国民のニードにこたえてまいっておるつもりでございます。数字につきましては、お求めに応じまして事務当局より答弁させますけれども、問題はそういうことで十分かどうかということでございますが、いま与えられた状況のもとにおきまして、また他の公共事業のアイテムとの比較におきまして、政府が精一ぱいのことを住宅対策のためにやっておるということにつきましては、御理解をいただけることと思います。
○栗林卓司君 これはある新聞の見出しですけれども、「高値に所得追いつかず」、私が先ほど来申し上げているのはこれなんです。五十年度予算を見ますと、私の理解に間違いなければ、公営住宅は二万戸減、賃貸住宅は六千戸減、なるほど持ち家面の資金配慮はふえました。これで見たことになるんですかというお尋ねなんです。
○国務大臣(大平正芳君) これは国民の要求、要望にこたえて私どもの政策は考えなければいかぬわけでございまして、戸数が多ければ住宅対策が進んでおるというわけのものではないと思うのでございます。また戸数の質、一戸当たりの質も考えていただかなければならぬと思うのでありまして、国民の要望が多い部面につきましては思い切って予算をつけたつもりでございますし、そうでない面につきましては、質の改善によりまして対応いたしたというつもりでございます。
○国務大臣(仮谷忠男君) お呼びでないのに出しゃばってもどうかと思いましたけれども、五十年度の住宅関係は、大蔵大臣からもお話がありましたように大体一般会計で二〇%、財投で三二%ぐらいで、公共事業は大きく抑制されておる中でかなり伸びを示しておることは事実であります。御承知のとおりであります。内容においては、やはり住宅の規模の拡充を図っていくとか、あるいは内容の充実をはかるとか、いろいろな面で努力をいたしておるわけであります。 いま先生御指摘のありました持ち家と賃貸との問題、これはいまお話しなされたようでありますが、それは少し経緯があるわけです。今年は御承知のとおり、持ち家住宅関係の希望が非常に大きくて、住宅金融公庫からの融資が特別に優遇されたことも御承知のとおりであります。そういうようなことから、五十年度がそういう意味でかなり伸びたということは事実でありますが、反面公営住宅が、これは関連公共施設の問題とか、あるいは土地の問題とか、あるいは単価の問題とか、いろんな問題がありまして、非常に伸び悩みを来したことは事実であります。特に東京、大阪では、公営住宅はほとんど前年度にしてできていない。東京あたりではたしか千二百戸程度じゃなかったですか、従来一万戸くらいできておったのが。大阪が三百六十戸ぐらいじゃなかったかと思うのですが。これは四十九年度の分であります。もちろん前年度からの繰り越しの分はありますけれども。そういうふうな状態で、特に大都市が公営住宅の伸びが非常におくれたといったことが一つの大きな原因になっております。したがって、五十年度は御承知のとおり第二期の五カ年計画の最終年度でありまして、私どもはこの五十年度で一遍切りをつけたいと思っております。そして、第二期でなぜ公営住宅が伸びなかったかといった問題をよく検討をして、そして第三期、五十一年度から出発する新しい計画にはそういったものを盛り込んで、確実に実行できる案をつくっていきたいと、かように考えまして、もう従来から繰り越し繰り越しでいって五十年度まできたわけでありますから、五十年度は最終年度でありますから、これで一切けじめをつける、そういう意味で若干戸数の問題については私どもは制約をした、調整をしたというのが事実でございます。
○栗林卓司君 建設大臣に続けてお尋ねしますけれども、持ち家の希望がふえたとおっしゃるんですが、たとえば五十年二月の空き家募集の倍率を覚えておいでですか。四十九年五月からずっと、そのつど四十倍近い。何を物語っているのかを踏まえながら、ベビーブームの子供たちが結婚年齢に達して大変だなあとお感じになったことがあるのか。その人たちの所得水準とか暮らし向きを見ながら、おっしゃる次の計画にその人たちが見てわかる内容でお書きになるのかどうか、伺います。
○国務大臣(仮谷忠男君) 四十八年度の住宅の需給調査によりますと、全世帯の中の四三%が住宅に何らかの変更と申しますか、改良計画を加えたいという希望があります。その中の七〇%までが家を持ちたいと、いわゆる持ち家希望者でありまして、そうしますと全世帯の中の少なくとも二七%、三〇%近くまでは持ち家希望があるということは、これはもう動かすことのできない事実でありまして、そういうことが国民金融公庫等の希望に殺到した問題じゃないかと思っておるわけであります。 それから、確かにベビーブームの問題がありまして、これも実は私どもは第二期の計画の中の住宅需要には一応含めておるつもりであります。二十二年−二十四年程度、先生おっしゃったようなベビーブームによりまして相当増加をしてきて、しかも四十三年度一世帯当たり三・八七%、五十年度が三・五二%というように構成人員が低下している、そういうのを考えてみますと、世帯数の増が約四百九十二万世帯というふうな状態になっておりまして、こういうものは第二期の住宅需給計画の中に一応含まれておるわけであります。そういった面の考慮をしながら、私どもは五十一年度の新しい計画を立てていかなければならぬと思っておりますが、五十年度は先ほど申し上げましたような一応処置をとったわけであります。
○栗林卓司君 重ねてお尋ねしますが、そういう計画を進める中で、公営賃貸住宅の建設に政府みずからが相当の決意と資金をもって臨む必要がありそうだと。あったら、勇気を持って臨みますとお考えですか。
○国務大臣(仮谷忠男君) 現在の公的家賃の決定は、御承知のように原価主義をとっておるわけであります。だから土地が上がり、建築費が上がると、結局家賃が増高するということになるわけでありまして、そういう意味で今後は、これから急激に家賃が増大をしないように何らかの対策を立てなければならぬということは、今後の私は課題だと思っております。 特に住宅公団あたりでは、緩和のための傾斜家賃制度というようなものをとっておるわけでありますけれども、率直に申し上げまして、現行の家賃制度には新旧家賃の著しい不均衡があります。私は、この負担の公平の面の基本的な問題がどうも住宅対策に残されておるのではないか。私はやはり新旧家賃のきわめてこの均衡の破れておる、不均衡な面をもう一遍考え直してみなきやならぬ、これが一つの大きな基本的な課題ではないかと思っております。そういうものはもちろん考えなければなりませんけれども、今後はやはりこれは住宅審議会の方からも中間報告をいただいて示唆を受けております応能家賃制度というもの、これは所得や能力に応じて家賃を払っていくという制度でありまして、私どもも、これは一つの今後の賃貸住宅の問題の大きな課題ではないかと思っておりまして、取り組んでいかなければなりませんが、それと同時に、ただいま申し上げました基本的な問題、残された問題とも、これは勇気を持って取り組んで解決をつけていかなきゃならぬ。これが今後の住宅の一つの政策の大きな課題であると、かように存じております。
○向井長年君 関連。 先ほどから栗林君が質問いたしておりますように、この格差がこれだけ大きく生じたという原因は、副総理もお話しになりましたようにインフレの傾向であるということだと思います。しからばインフレはなぜ起きたかということで、やはり政府も大きな責任を痛感しなければならぬと思います。そうなってまいりまして、いま指摘されておりますように、低所得階層が一番その打撃が大きいということであります。その中でも、衣食住の中で住宅問題がいま取り上げられておりますけれども、これに対しましてもまだまだ不十分であり、今後その意欲を持っておるということでありますけれども、たとえば公営住宅あるいは公団住宅、こういうものがどんどんと各所でできましても、これは相当の家賃を取っておると思います。少なくとも現在のベビーブーム、この人たちは所得は非常に低いわけであります。そういう人たちがこういう中で優遇を受けようとするならば、公営住宅なりあるいはまた住宅公団等がつくりました家賃が、少なくともこの人たちの所得から考えますならば二万円程度で借り得るという状態、あわせてそういう人たちに優先的に貸し得る、こういう状態を特に建設省、住宅公団等はとるべきだと思いますが、これに対して政府はどういう考え方を持っているか。今後、一方におきましては、庶民住宅のますます増強をやることによって不況対策の克服にもなると思いますが、この点についてどう考えられるか、お伺いいたします。
○政府委員(山岡一男君) 昭和五十年度の予算案によりまして試算をいたしますと、実際に住宅を供給する時期は一、二年ずれるわけでございますけれども、公営の一種の家賃が約二万二千円程度になります。二種が大体一万六千円程度と試算をいたしております。公団も従来は傾斜家賃を期間を短くしておりましたので、来年から十年に延ばしますと、新条件によりますと約三万三千円ぐらいになります。公社が大体三万円程度でございます。これはいずれも一種・中耐三DK並みの家賃でございます。そういう家賃を逆算してみますと、たとえば公営住宅で申しますと、入居階層の上限、下限がございますけれども、大体一五、六%以内というところにおさまるわけでございまして、まあまあ何とかなるのじゃないかと思っております。 それからもう一つは、特定目的公営住宅というものを公営住宅が設けておりまして、特に低家賃住宅というのをつくっております。そういう場合には、特別の低所得者の方に対しましてはそういうものを優先的に提供するという制度を考えております。 それから、現在公営住宅につきまして抽選方式をとっておるわけでございますけれども、将来できるところからということで、困難な人たちを登録いたしまして登録入居制度に移りたいという線で、その研究をいたしておる次第でございます。
○栗林卓司君 住宅問題が非常に重要だという割りには、その気持ちに触れるお答えが返ってこない。人の身になった外交政策とあわせて、人の身になった住宅政策も真剣に取り組んでいただきたいと思いますし、諸事見直しとおっしゃるわけですからしばらく待ちますが、最初に総理がおっしゃったように、どういうライフサイクルとの見合いで考えていくのか。若夫婦にはどんな家を、どんな条件でした方がいいのか。片方で、住宅の所有感というものが持っている安定度をどう評価していくのか。貸し家と持ち家をどうバランスをとるのか、今後ぜひ御検討いただきたいと思います。 時間がありませんから次に移るわけですが、特権という言葉と合うかどうかは別にして、交際費の問題を取り上げたいと思うんです。 日本のように大変同質感が強い社会の場合に、交際費の使い方、使われ方というものは社会的不公平感を増幅するのではないか、この点についてまず総理の御所見を伺います。
○国務大臣(三木武夫君) 実際問題として交際費は必要でありましょうが、全体の金額として国民の受ける感じというものは、交際費というものがどうも、できるだけ交際費は節減をする方がいいという国民の感じだと思うのですが、そういう意味で政府も交際費の課税というものはだんだんと強化をしておるわけですが、国民から見れば栗林さんの言われるような感じを持つんだと私も感じます。
○栗林卓司君 これは詰めていきますとモラルの問題だということになってくるわけですが、なるほど基本的にはモラルの問題だと思います。ただ、税制としてどうするかということは考えていかなきゃいかぬ。 そこで、大蔵大臣にお尋ねしますし、場合によったら事務当局からでも結構ですが、日本の交際費に対する課税のやり方と欧米のやり方と、私は違っているように理解するのですが、どう違うのか、なぜ違うのか、承りたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 交際費の支出の形態が、先ほどお話しのように、むしろ欧米と日本とは違っておると思います。実態的にわが国におきましては、いわゆる社用消費というものが多うございますので、交際費の出し方が欧米のそれとはかなり違っておると思います。 いま御指摘のように、それでは税制の面から見ますと、実はわが国と欧米のそれとを比べてみますと、税制としましては、むしろわが国の方がきつ目にでき上がっておると思います。それは全く実態と相即応しておるものでございますけれども、わが国のように、現行ございます一定金額を超えましたものについて損金算入をしないというような税制をとっておりますのはございません。一つございますのは、イギリスにおきまして、ほとんどいわゆる交際費につきましては損金に入れることを認めないという制度をとっておりますけれども、その他の国につきましては、実際にそれが事業上必要な交際費でございますれば、それはもう当然損金に算入をされるということでございます。むしろ税制上損金に算入をしないとされておりますのは、われわれから見ますと非常にけた違いの、たとえばヨット遊びをするとかハンティングをするとかいった大規模な交際費というのは否認されるというような事情でございまするので、税制に関します限りは、わが国のそれはそんなにひけをとっていない、むしろ実態に問題があると思っております。
○栗林卓司君 私お尋ねしたのは、欧米の場合には、個々の交際費支出について是非を問うているやり方だと思う。日本の場合は枠なんです。この違いはなぜ起こってきたのかということをお尋ねしているわけです。
○政府委員(中橋敬次郎君) 恐らくそれは、やはり社用ということの中にかなり是否認を加えるべき問題のものがございます。欧米につきましては、それを一つ一つチェックをいたしまして、事業関連のものでございますれば、これはもう当然損金に認めますというように個別判定をいたしておるわけでございます。わが国の方は一つ一つ判定をいたしまして、それが実際に事業関連であるという判定をいたしましても、やはり総枠的に非常に大きいという実態にかんがみまして、現実の交際費として認められるものまで総枠的に否認をするという制度をとっておるわけでございます。
○栗林卓司君 これは大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、この交際費というのは、枠で考えるのか、個々の支出といいますか、行為といいますか、それに即して考えるのか、どちらの方がこれは本来の筋道なんでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) 筋道から申しますと、一件一件是否認を決めるのが筋道だと思います。
○栗林卓司君 すると、日本の場合にも枠ではなくて、一件一件是否認を決める方向に変える方が筋道だとお考えになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 筋道としてはそうだと思いますけれども、それは非常に煩瑣にたえないことになりますので、一定の枠を決めて損金不算入限度を決めるという方法によることが徴税費を節約し、あるいは目的を達するために効果的であると判断しておるものと思います。
○栗林卓司君 四十八年の交際費というのは、労働人口一人当たりにして一年二万七千八百円、決して安い額ではないわけです。ただ、いつも問われるのは、この額の大きさとあわせて、ゴルフまで、おい交際費かいと、個々の内容に触れてくるわけです。欧米の場合ですと、お客を旅行である別な場所に接待して宿泊させる。これは否認されるわけです。日本の場合にはそれも結構なんだ、ゴルフも結構だ。個々の、目に見える交際費支出の社会的な妥当性というものは、これは枠だけじゃなくて、軽視していい問題ではないのではないか。煩瑣にたえないと言いましたけれども、社会的不公平感を助長している重要な部分だと考えたら、欧米でさえやっているのですから、個々の支出項目に照らして、枠ではなくて、内容に即してという課税方法に変えるのが、基本的にはモラルの問題であるとしても、せめてもの政府としてやる対策ではないでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) そういう問題がございますので、昭和三十九年に三〇%の不算入限度でございましたのを、昭和四十八年度以降七五%まで損金不算入ということにいたしておるわけでございまして、先ほど主税局長がお答えしたように、相当シビアなものになっておると思うのでございまして、したがって、両面の、交際費というものは相当規制していかなければならぬという思想と、税務の実際の技術的な必要とを調和いたしたことでやっておるわけでございまして、ただいまの状況におきまして、私は、この判断が許されてよろしいのではないかと考えております。
○栗林卓司君 個々の内容についてというのが筋道なんだと大臣もおっしゃいました。二十九年からだと思いますが、この交際費についての税制の取り扱いが決ったわけです。枠でこうやって見ていく、これが出てきた経緯というのは、どういう議論の結果として出てきたか、御存じですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) それは基本的には、やはり何といいましても、わが国の交際費支出というものが多過ぎるという批判があったわけでございます。昭和二十九年当時は、多過ぎるか多過ぎないかという判定を、あるいは業種別にこの程度であれば普通、妥当と認められるような線を一々出したわけでございますけれども、それにつきましての執行上の難点がございましたものですから、漸次、今日のような形に改変されたわけでございます。
○栗林卓司君 お答えですけれども、二十九年以降、税制調査会の議論というものを振り返ってみると、交際費の使い方が社会的に見て多い少ないではなくて、資本充実をどうやって確保するかという観点からの議論ではなかったんですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 資本充実という観点よりも、やはり社用消費が非常に多い、しかも、それがいろいろな会社の経理から言いましても不当であるという批判にこたえたものでございます。
○栗林卓司君 ではお尋ねいたしますが、昭和三十八年の税制調査会の中のコメントだと思いますが、冗費を節約して企業の基盤を強化する必要性をそのときにも言っていると思うんです。企業ということで考えたら、その費用をどうやっていくのか、試験研究費に使うのか、未来に対して使うのか、あるいはいま交際費で使ってしまうのか。いま使ってしまう弊害が大きいから枠を決めたんです。企業の基盤をどう強化するかというのが今日までの交際費課税の原則。後段から社会の批判が高まってきたからどうしようかということで厳しくしてきたのですが、個々ではなくて枠になってきたのは、企業基盤強化、資金をどう使うのか、将来か、いま使うのかということではなかったんですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) それはもちろん冗費を節的しますればそれだけ留保に残るわけでございまするから、それがはね返りまして企業の基盤強化になるわけでございますけれども、一方、それに対しましてはまた税金を、留保しましたものにかけられるものでございますから、それと乱費ということが相兼ね合って今日のような形になってきた。それをできるだけ抑制しようということから、交際費規制という線がだんだんきつくなってきたのが経緯だったと思っております。
○栗林卓司君 結局どうも交際費の議論というのはらちがないのかもしれませんが、これは副総理にお尋ねをしたいと思う。 交際費に対する課税のやり方というのは、日本も欧米も最初はそんなに違ってなかったようです。ところが、個々の内容に触れてこれはいかぬということを厳しくし始めたのは、私の記憶に間違いなければ、アメリカが一九六二年、西ドイツが一九六〇年、英国が一九六五年。そこで遠くの方にお客さんを連れて行って泊めるのはだめだよということまできたわけです。いわんやゴルフもだめなわけ。なぜアメリカが一九六二年、西ドイツが一九六〇年、英国が一九六五年と、六〇年代に申し合せたようにして交際費の規制強化を、しかも個々の内容に踏み込んでまでやる気になったのだろうか、この点について何か副総理としてお感じになる点はございますか。あったらお伺いしたいと思う。
○国務大臣(福田赳夫君) 外国でそういう動きになりましたことについて、格別感想はございませんです。
○栗林卓司君 一九六〇年代というのは、それぞれがコストインフレに触れて惨たんたる悩みに直面した時代なんです。賃金・物価抑制を含めてどういうアプローチがあるかを試行錯誤で始めたのが六〇年代。そうなってくると、やはり交際費が持っている社会的な不公平感をどうするかということに着目せざるを得なかったのではないか。税制の議論をやると、またさっきみたいな話になってしまうわけですが、副総理がいまインフレを大変心配されている。そこの中で賃金問題も、政府としては言えないけれども、とにかく自粛を求めているとおっしゃっている気持ちと、四十八年の場合に、働いている人一人当り一年間二万七千八百円にもつく交際費である。必要なら仕方がないけれども、ゴルフまで入るんだと。税制上できるかできないかという手間暇の話ではなくて、もっと大筋でこれは見直しをしていかないと、いま副総理がお進めになっている物価抑制、そのためにはいろいろな摩擦も耐えていこうということとバランスがとれないのじゃないか、そう思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) わが国では社会慣習としまして社用ということが非常に多いわけです。これは先進諸国の中では際立ってそういう傾向が顕著になっているのじゃないか、そういうふうに思います。そこで、それをどういうふうに是正するかということになりますと、私は、もう税の面から言いますればこれは非常に無力だ、こういうふうに思います。われわれの社会というものが、社用傾向の行き過ぎ、これに対する反省をする、これ以外に私はないというふうに思うのです。営業経費としての交際費、これは本来すべて経費と、こういうふうに見らるべきものなんです。それを租税特別措置法で経費とは見ませんよと、普通、租税特別措置といえば特例を設けて減税をするというのですが、交際費につきましては逆で、特例を設けて重課いたしますと、こういう制度をとっているのですが、重課をいたしましてもごくわずかな影響力しかない。やはりこれは企業のあり方、そういうものにつきまして国民的風潮としての反省が起こるということでないと、この問題は決着つかないのじゃないか。税の理論からいいますと、どうしても交際費は全額これを否認します、こういうふうに申しますとこれは非常に立論がむずかしくなるのじゃないか、そういうふうに思います。いま交際費課税というのは、私の見るところではぎりぎりのところまでやっておる、そういうふうに思われますので、この上は、やはり社会風潮として企業が社用消費ということについて大きな反省をする、そういうことを何らかの形で盛り上げていくほかあるまいと、こういうふうに考えます。
○栗林卓司君 大体この議論はするとこういうふうに落ち着いてしまうのですが、では最後に承りますが、モラルを喚起するために、政府として具体的に何か対策として考えている面があるでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) いま物価問題、これはどうしても解決しなけりゃならぬ。そういうような立場から、経済運営はなかなかむずかしいわけでございますが、賃金問題につきまして、私どもが非常にその成り行きを重大視しておるということ、これもあります。しかし同時に、企業に対しましても、あるいは利潤だとか、あるいは配当だとか、そういうものについて節度を持ってもらいたい、また企業の経理につきましても合理化、そういうものを徹底してもらいたい、そして価格の引き上げということのないように協力してもらいたいということを強く呼びかけておるわけでございますが、法的にこの問題を処置しようというのは非常にむずかしゅうございます。やっぱり非常に私はいまいい時期だと思う。企業も家庭も、従来のあり方というものにつきましてここで反省し、新しい姿勢を打ち出す非常にいい機会だと思いますので、政府といたしましては、極力企業のあり方、モラルの再検討ということにつきまして勧奨して、進めてまいりたいと、さように考えます。
○栗林卓司君 時間がなくなりましたので、最後に一点だけ総理にお尋ねして終わりたいと思うのですが、全面的な転換期、あるいは見直しということを強調されますが、これは三木総理になってからではなくて、前総理時代からも強調されてまいりました。その意味で、五十一年度を初年度とする経済計画の見直しということも前から言われておりましたし、関連して五十年度の予算は踊り場なんだという説も論議としてあったりいたしました。とにかく転換期なんですから、すぐ出せと言われて、ございませんと、それよくわかる気がするのです。その意味では、五十一年度を初年度とする諸計画がどんなにまとまっていくのか、われわれとしても待つ以外はないと思いますが、ただ、対話を言われ、野党としても参加をしてもらいたいとおっしゃるからには、どういう方向で絵をかいていくのか、それは総理としてやっぱりお示しになる必要があるのじゃないか。 そこで、理解を深める意味で申し上げるわけですけれども、総理は高度経済成長から安定成長へと口ぐせにおっしゃるわけです。で、言葉の話をするようですが、高度経済成長の反対の言葉は低成長なんです。安定成長というのは、高度経済成長の反対の言葉ではないんです。したがって私なりに理解をしますと、反対の言葉は低成長なんだが、いかにこれを安定的な軌道に乗せていくのかという政策を加味した話になるわけです。これまでは高度成長一本できましたから、山あり谷ありといっても、どんな谷でも前の年よりは上に上がってきたのです。低成長で、なおかつ山あり谷ありになりますと、谷のときには文句なしにこれは水面の下に没するわけです。これまではレイオフなんていうのはどこの国の話だという話がありましたが、低成長時代では、政策運営のいかんによっては日本にも出てくると覚悟せざるを得ません。したがって、それがいやだから安定成長とおっしゃっているんだと私は理解するのです。その場合に、どういう政策手段で安定させていくのか、その方向は何なのか、そこはやっぱり総理としてお示しにならないと、単に高度経済成長から安定成長なんだと言うことは何も入ってこない。高度経済成長から低成長と言うならわかります、言葉の話ですから。
○委員長(大谷藤之助君) 時間になりました。
○栗林卓司君 どうやって安定させるかについて、どういう政策手段を考えておいでになるのか。従来、経済社会基本計画については、誘導指標のようでもあり、計画指標のようでもあり、何ともあいまいもことしてきたということも詰めなければいかぬ。全般について中期的な計画を組むのか、これもまた考えなければいかぬ。その意味で、どういう内容を安定成長という言葉に託しておられるのか、それを明確にしていただきたいと思いますし、今日伺える範囲を伺わしていただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 高度経済成長に対する言葉は低成長だというお話ですが、言葉の文字からすればそうでしょうが、われわれがいまやろうとしておることは、インフレを克服して、そして経済の成長が安定した形に持っていきたい。これは私はどういう言葉がいいのか、適正成長という言葉をこのごろ使うわけですが、とにかく高度成長の条件は失われたですからね、国民の意識も変わってきたし、だから、やろうと言ったって、もうできる条件というものは非常に失われてきた。日本は潜在成長力がありますから、そんなに——低位というと非常にどかっと落ち込むようだけれども、そこまで私は落ち込むとは思っていないんですよ。 そういうことで一つの日本の、適正成長であっても、これはいまのようなインフレだったら安定でないですからね。いま栗林さんの御指摘になった社会的不公正といっても、これはみなインフレがやったわざである点が多いわけですから、そういうので、やはりインフレのない一つの成長経済、これに見合ったような、やっぱり企業にしても、企業の投資態度にしても、あるいはまた労働組合としても、高度経済成長のようなときなら賃上げといったって全部吸収できるけれども、やはりこういう時代における労使関係というものも新たなる労使関係が生まれなければならない。国民生活のあり方も、いままでのように成長率の高い、幾らでも大量に消費してやれる時代ではないわけですから、やはり簡素な国民生活のパターンというものが生まれなければならぬし、そういうインフレのない一つの安定した形で日本の経済というものが成長していく姿、それをインフレのない成長経済というので安定と、こう言っておるわけです。そして、それに即応した——それは全部なってくるですね、地方行政だってそうですし、そういうことでこれをやはり見直して、そして新しい五十一年度にそういう長期計画もできますから、ここで新スタートをやろう、それはインフレのない成長の時代である、これを安定成長と申しておるわけでございます。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして、栗林卓司君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 引き続きまして立木洋君の残余の質疑を行いますが、まず、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宮澤外務大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) せんだって立木委員、上田委員からちょうだいいたしました資料でございますが、ただいま外務省、防衛庁一緒になりまして内容を分折をいたしております。実はちょうだいいたしましたものが、幾つかの資料からの短い抜粋になっております関係もありまして、やや断片的で、私ども全体がどういう性格のものであるか判断に苦しんでおりますので、この点、政府委員から別途立木委員にもお願いを申し上げたかと存じますが、お差し支えなければ、そのもとになります資料についてもう少し御開示を願いますと、私ども分析なりあるいは照会なりいたす手がかりになりますので、その点をひとつ御考慮をちょうだいいたしたいと思います。その上でさらにお答えを申し上げたいと存じます。
○委員長(大谷藤之助君) 立木君。
○立木洋君 私の提示した文書が断片的だというふうなお話ですが、この文書は米軍のどういう文書であるか、表題も明記してありますし、その重要な主な部分もはっきりと提出したわけです。私たちとしてもこのような米軍の文書を入手することができるわけですから、政府としては、米側にその資料を要求されてはいかがでしょうか。また、要求する上で何かお困りになることがあるのかどうか、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、そういうことをいたしたいというふうに考えておるわけでございますが、資料の番号だけでございますために、どこへ照会していいのかということが実はわからないでおりますので、もう少し完全なと申しますか、いろいろお立場もおありであろうと思いますが、こういうものというものをおっしゃってくださいますと、照会もできるかと思っておるわけでございます。
○立木洋君 文書の番号だけと言いましたけれども、ちゃんと表題もあるわけです。もちろん私たちがそれを示すのは決してやぶさかではありませんけれども、しかし、この問題というのは、核を輸送する任務を持った空輸中隊が沖繩にいるということです。これは核将校も、将校、下士官が七名いる、これは核安全将校ではなくて、核そのものを扱う将校、下士官である。これは初めての私たちの提起であります。これは昨年八月の文書でありますし、また、それのフライトプランはことしの一月、現に秘密任務ということを明記した核輸送が行われておる可能性があるという文書も初めて提起したわけです。 ですから、非核三原則をとられる政府の立場としては、当然これを解明していただきたい。もちろん、われわれもその文書を必要の範囲内で出すことはやぶさかではありませんが、いままでも問題を提起しておるわけですから、これを含めて明確にアメリカ側に照会していただくということだけは、はっきりさしておいていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) フライトスケジュールとありますものは、これは完全な資料でございまして、その中でクラシファイドと書いてあるフライトはどういうものであるかということを、私どもの考えをせんだって申し上げたわけでございますけれども、本件一括して照会をいたしてみたいと思っておりますので、先ほどの点、どうぞひとつ御考慮をお願いいたします。
○立木洋君 この問題は、三木総理も繰り返し非核三原則は守らなければならないということを繰り返しておられるわけですし、この事実というのは、きわめて今日新しい資料であり重要な事態であるということを十分御認識いただいて、これを全面的に解明するために当然御努力をいただきたいと思いますが、最後に総理の御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 先ほど外務大臣が申したような処置をとることにいたします。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして、立木洋君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) この際、去る七日に行われました黒柳明君の質疑に対する内閣の統一見解について、大平大蔵大臣及び村上郵政大臣からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) 去る三月七日、本委員会におきまして黒柳委員より御指摘のございました専売法違反の問題は、きわめてむずかしい問題でありますが、たばこの流通秩序が混乱しないよう、従来にも増して十分注意してまいりたいと存じます。これに関連して法律改正の必要があるかどうかにつきましては、学識経験者の意見をも徴して、多角的に検討してまいりたいと考えております。
○委員長(大谷藤之助君) 村上郵政大臣。
○国務大臣(村上勇君) 去る七日、黒柳委員より御指摘になりました郵便貯金会館に関する見解を申し上げます。 郵便貯金会館は、郵政省設置法を根拠として、郵便貯金の周知宣伝等の施設として設置しているものである。郵政省設置法の規定のみを根拠として設置することについては、それが直ちに違法であるとは考えないが、その設置の法的根拠をより明確にすることが望ましいので、そのために必要な措置として、事業団方式等を含めて、次期通常国会をめどにして検討することとしたい。なお、郵便貯金会館の運営に当たっては、今後とも公的施設としての品位と節度を保つよう十分配意してまいりたい。 以上であります。
○矢追秀彦君 ただいまの政府の報告は、三木総理の答弁内容から見て後退するもので、直ちに納得することはできがたい。ついては、この報告に対する質疑は、必要あれば別の機会に行うことにいたしたいと存じます。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして、総括質疑は全部結了いたしました。 なお、理事会におきまして、三案に対する一般質疑は三月十七日から七日間とし、質疑総時間は九百九十分とし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党はそれぞれ三百三十分、公明党及び日本共産党はそれぞれ百二十分、民社党は六十分、第二院クラブは三十分とし、質疑順位につきましては総括質疑に同じとすることに協議決定いたしました。 そのように取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 明日は、午前十時から公聴会を開会いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後二時三十七分散会