予算委員会 第8号
- 発言数
- 641 件
- 登壇者
- 44 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/03/12
会議録
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和五十年度一般会計予算 昭和五十年度特別会計予算 昭和五十年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 三案審査のため、本日、日本鉄道建設公団理事池原武一郎君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 前回に引き続き、寺田熊雄君の質疑を行います。寺田君。
○寺田熊雄君 昨日の守秘義務と国政調査権との調整の問につきまして大平大蔵大臣から御答弁のありました内容は、昨年の暮れに発表せられました政府の統一見解の最終項にあります、できるだけ国政調査権を尊重してまいりたいという政府の見解と矛盾するような印象を強く与えますので、この点それでいいのかどうか、再度政府の明確な答弁を求めます。
○国務大臣(大平正芳君) 矛盾しておるつもりは毛頭ないのでありまして、政府の従来示されました統一見解のラインに沿いまして、国会の御審議に当たりまして最大限の協力をいたさなければならぬことは当然と心得ておるわけでございまして、今後もその点努力してまいるつもりです。
○寺田熊雄君 国税庁長官。
○政府委員(安川七郎君) お答え申し上げます。 昨日申し上げましたように、本件につきましては、昨年の十月以来国会でしばしば議論が行われた問題でございますので、やがて課税措置が終了いたしました段階におきまして、国会の方で御要請があれば、しかるべき場所におきまして調査の態様並びに方法、修正申告あるいは更正に至りました筋道その他、国会におきます質疑にあらわれました問題点等を踏まえまして、可能な範囲で御説明を申し上げたいと考えております。しかし、今後の税務運営に及ぼします影響等を考えますと、具体的な金額など、田中角栄氏その他納税者の方々のプライバシーあるいは財産上の取引に関します細目につきまして申し上げることはできないと存じます。この点はあらかじめ御了承願いたいと思いますが、ただ当方といたしましては、以上のような御説明のしぶりによりまして、国政調査権に対します政府といたしましても最大限の御協力を申し上げたいと、かように考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 修正申告分は当然発表するでしょう。
○政府委員(安川七郎君) 修正申告は公示義務がございませんものですから、これは発表はできないことになっております。
○寺田熊雄君 修正申告額というのは、当然田中氏のように公示された所得をさらに上回るものでありますからして、これを発表しなかったら意味がないと思うんですが、どうですか。
○政府委員(安川七郎君) 立法論といたしましてはいろいろ議論もあろうかと存じますけれど、現行法上、公示義務はないということに相なっております。
○寺田熊雄君 これはもう守秘義務の乱用であることは明白であります。そもそも、その公示された所得を上増しする額が発表されないというようなことは、これは守秘義務の乱用であることはもう明確でありますからして、今後もさらに追及を続けますが、きょうは時間の関係でこれだけにとどめておきます。 それから、昨日盛岡の地方裁判所で判決がありました雫石事件につきまして、判決理由を、要旨でありますが検討いたしますと、これは自衛隊の業務に従事する隊員の過失であるということが認定せられておるわけでありますが、さらに、そればかりではありません。この事故を誘発しました原因は、運輸省、防衛庁の調整が不十分であった、そこにこそ根本的な原因があったという判決理由に相なっておるようであります。そうといたしますと、百六十余名の人命を喪失したという点で、しかもこれは政府の公務員の過失によった、その基本には行政当局の怠慢があったというのでありますから、事はきわめて重大であります。これについて、総理並びに防衛庁長官、運輸大臣の明確な、いまの御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) 昭和四十六年の七月に起こりました全日空機と自衛隊機の衝突事件につきまして、昨日、刑事事件としての判決が出たわけでございます。私はこの機会に、あの事故で犠牲になられた方並びにその御遺族の方に心から追悼の意を表する次第でございます。 判決の中には、在来の航空行政に対してもいろいろと批判をされておるところでございます。運輸省といたしましても、この事件の刑事責任がいずれにあるかということの前に、やはり航空におきます安全の徹底ということに十分反省をいたしまして、今日まで、また今後その対策を立てていかなければならないと、かように考えておるわけでございます。 いまお示しのように、判決の中にも運輸省と防衛庁との連絡調整が不十分であったという意味の指摘もされておるのでございますが、航空におきますジェットルートの設定に当たりましては、自衛隊の訓練空域との関連性も考えまして、関係者間で連絡会議を開催するなど、両省間の連絡調整には相当の努力をしたところでございますが、当時、不幸にしてこの事故が発生いたしたのでございます。われわれはこれに深く反省をいたしまして、自衛隊機の訓練のあり方について、当時必ずしも運輸省としても十分な認識を持っていたとは思われない点もありますし、事故直後に航空交通安全緊急対策要綱をつくりまして、それに基づきまして訓練空域及び試験空域の設定または変更について、運輸大臣がこれを行うということにいたしますとともに、運輸省の航空行政と自衛隊の業務との間の調整に関する覚書を改正いたしまして、運輸省と防衛庁との間の連絡調整を十二分にとりつつ、航空交通の安全確保に一層の努力を続けてまいる考えでございます。 特に、継続審査をお願いしております航空法の改正案が一日も早く成立いたしますことを心から希望するところでございますし、また航空保安施設の整備、運用の充実を図ってまいりまして、今後二度とこのような事故のないように十分努力をいたしまして、御遺族の霊にもお報いしたいと、かように決意をいたしておるところでございます。
○国務大臣(坂田道太君) 昨日判決が下されまして、改めまして、亡くなられました方々並びに御遺族の方々に対しまして深甚なる哀悼の意を表し、また、御遺族の方々に対する御心情をお察しを申し上げる次第でございます。 この判決は個人の刑事責任を課したものでございますが、このような大きな事故の発生につきましては、ただいま御指摘のとおり、行政上の責任も免れないところであるという考えから、事故発生当時におきまして、当時の行政責任者に対してそれぞれ行政処分を行ったところでございます。また、再びこのような事故の発生を防止するため、事故発生以来、教育訓練体制や安全管理体制の改善強化につきまして逐次実施してきたところでございますが、しかし今回の判決に際しまして、私といたしましてはさらに検討を加えまして、教育訓練体制や安全管理の体制の一層の強化に努めるよう強く指示をいたしたところでございます。
○国務大臣(三木武夫君) 雫石事故は、百六十余名というかつてない犠牲者を出しておる。これは取り返しのつかないことであります。そういう御遺族に対しての哀悼の意を謹んで表しますとともに、ただ、こういう事故があったら、これはそのときだけの反省では私はだめだと思います。そういう意味から、あの判決の趣旨を体して今後の航空安全対策というものに対しては関係各省を督励いたしまして、そして再びああいう事故の起こることを極力防げるような安全対策というものを一段と強化してまいりたい決意でございます。
○上田哲君 関連。 雫石の事故についての判決を受けて、いま総理以下関係大臣の、二度とこうした事故を起こさないように努力をするというお話があったわけでありますけれども、その決意が、言葉だけではなくて、具体的な施策としてあらわれてくるかどうかということを具体的にお伺いしなければなりません。今回の判決についていろいろな意見はあるでありましょうし、また控訴というような話も聞いておりますから、争うべきところの見解をお持ちであろうとは思いますけれども、争うことのできない重要な一点は、民間機優先という原則がはっきり出たことだと私は思うのであります。この限りにおいて、今後の事故を徹底的に、これはまさに徹底的に起こさないようにするんだということが政府の方針でなければならない。 このことが間違いないと確認をした上で、具体的に一つお伺いいたしたいことは、しからば、それ以後の自衛隊の訓練空域の設定というものが、民間航空の航空路保全のためにどのように進められているかという点であります。 具体的には、私は那覇空港の例をとりたいと思います。那覇空港では、いまコントロールタワーが建設中でありますけれども、実は行ってごらんになればすぐわかるんですが、いまもって米軍のP3があの空港におりまして、そのために、本来ならばP3の撤去によってその場所にコントロールタワーができることになれば非常に都合がいいわけでありますけれども、また、そのことは従前十分にアメリカ側との交渉で、あの返還協定交渉の中でも確認されていたはずなんでありますけれども、何と今日までこの撤去が結果として実現をしていないために、いまつくり上げられているコントロールタワーは滑走路全体を十分に見通せないという、非常に飛行場の管制上の常識を越える建設が行われているわけであります。 このことは、おそらくは近づく海洋博との関係において工事を急がなきゃならぬということの結果、はみ出した姿だと私は思うのでありますけれども、これは大変許せないことであります。危険千万なことであります。いますでに工事が始まっているものをどうするこうするということが、すぐあすできるかどうかわかりませんけれども、まず航空安全ということを考えられるのであれば、沖繩返還協定の国会の審議の経過にも関連をして、当然に政府はこのP3の撤去を実現をされ、少なくとも滑走路その他において狭隘な条件の中にある那覇空港での、交通量もこれから海洋博を前にして激しくなるわけでありますから、そういう中での実情をしっかりひとつ整理されて、ああいう危険な状態というものをまず除去されるようにされなければならないと思うんです。これが一点です。 もう一つは、米軍の問題とからんで、あそこにはもうはっきりした、嘉手納を含めてアメリカの、筒型になっているちょっと特殊な管制空路になっているわけでありますけれども、そういう状況の中で一つ、それから自衛隊との訓練空域の問題が一つ、大変危険な、一定の高度をとり切れないという制約が那覇空港の進入路の中にあるのであります。これは非常に危険なことでありまして、これは一日も早く訓練空域と米軍の管制空域との関係で処理をされませんと、これは那覇空港で事故が起きる可能性は非常に少なくないと指摘しなければならないと思うのであります。 この二点ですね、この二点をはっきりされるのでなければ、史上空前の大事故が起きた、これは自衛隊の追突であるということを判決が言っている。その中で教訓としてくみ出さなければならないことは、何としてもこれだけは政府が絶対にうべなわなければならないことは、民間機優先ということがはっきりしているわけでありますから、そういうことを守るとおっしゃるのであれば、この那覇空港の問題をひとつしっかり具体的に今日ただいま処理されるということがお約束されなければならぬと私は思うのであります。 たまたま運輸大臣は、当時雫石町の事件が起きましたときの参議院の連合審査の委員長を勤められた立場でもおありでありまして、そういう意味では緊急に、この問題を放置されていたということの責任をとられて直ちに処理をされることが至当であると私は思います。緊急に危機は迫っていると言わなければなりません。よほど熟練した管制塔の指示と、よほど熟練した操縦能力がないとこれはできないのでありまして、那覇空港の危機は本当に私は深いと思います。これが二点です。コントロールタワーの問題と訓練空域の問題、この二つの問題を、総理はまあ具体的には御存じないと思いますけれども、確実に一日も早く処理するという決意とともに、防衛庁と運輸省からしっかりそのことを先に伺って総理の決意と、こういうことになると思いますけれども、伺いたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) 沖繩におきましては、いま上田委員御指摘のように、運輸省が航空管制はやっておりますけれども、嘉手納基地におきまして、米軍において進入管制をやっております。それらの相互の調整等につきまして、非常に技術的な面が多うございますので、担当の政府委員から説明をさせていただきたい。
○上田哲君 いや、決意だけ言ってください。そういう心配のないようにするということを言ってください。
○国務大臣(木村睦男君) 近くP3も撤去するということでございますし、運輸省といたしましては、それに応じて、あそこの飛行場は運輸省でもって民間専用の飛行場として使用したいということでいろいろ準備を進めておりますし、今後の沖繩上空におきます航空の安全についてはさらに一層努力をいたしたいと、かように考えております。
○国務大臣(坂田道太君) 御指摘のP3撤去につきましては、近くこれが行われるというふうに承知をいたしております。特に、七月二十日の沖繩博覧会までには決着をつけるというふうに承知をいたしております。 また、民間航空優先という原則につきましては、私も尊重をいたしてまいりたい。そして、われわれのこの航空の安全を確保いたしたいというふうに考えております。
○上田哲君 ちょっと一言。もう一言言いますがね、運輸省からの技術的な説明をするとおっしゃるわけですか。
○国務大臣(木村睦男君) はい。
○上田哲君 じゃそのことも伺いますがね、問題は、P3は近く撤去されますということが、ずっと今日まで長く続いているんですよ。じゃ、いつ撤去するのかということをしっかりしてくれませんと、これは全然答弁になりません。 それから、P3が撤去する。そしたら、P3が撤去したところにコントロールタワーをつくり直すのなら、それで一つわかるんですよ。ところが、すでにコントロールタワーは飛行場の向こうの端が見えないところに建っているんですよ、いま。これをつくり直すのかどうかということでなければ、これは答弁にならぬのですよ。だから、このままコントロールタワーがいっちまうのだったら、危険は残るんです。P3が後にくるのじゃ意味がないんです。だから、P3がいつ撤去されるのか、それが撤去されたら、ちゃんと適正なところにコントロールタワーをつくり直すのか、そこのところをしっかりしていただかなければならぬ。 それから防衛庁は、防衛庁長官は訓練空域を民間機優先の原則でとるというのであるならば、いまの状況ではだめなんですから、民間機優先の方向に運輸省としっかり話をして、いまは運輸省の方ではがまんしているはずですよ。訓練空域の問題は運輸省の主張を十分に取り入れて、民間機、民間航路優先の方向に改める、そのための協議をする、運輸省側のこれが民間機優先の道がこれこれであるということになれば、それについては最大限に取り入れると、その約束がなければまた事故は起きるんです、約束にならないんです。そこのところはしっかり具体的に両大臣から承りたい。その上でひとつ総理からまた伺いたいと思います。
○説明員(松本操君) お答えいたします。 いま御指摘のございましたタワーの問題でございますが、現在用いているタワーは、上田先生御存じのように米軍時代の古いものでございます。確かに位置としてはそうおかしなところではないのですけれども、P3機が現在おります関係上、民航地の見通しが必ずしもよくない。そこで私どもといたしましては、どんなにおそくても海洋博の前までに、むしろそれよりもやや早い時期にP3機が撤去する、こういうふうに聞いておりますが、しかし、その時点においてタワーを移してしまうということは、実はいまのところ考えていないわけでございます。と申しますのは、P3機がどきましたあとの背後地の返還を求めて、そこに今度は民航のターミナルとして最も適切なターミナルをつくるようにいたしたい。その段階で最もふさわしいところにしっかりしたタワーを初めからつくり直す、こういう考えでございますので、さしあたっては、P3機のどいたあとは民航の用地として、先ほど大臣がお答えいたしましたように最大限に活用してまいる。そのためにタワーがいささか端の方へ寄っておるという点については、運用上の問題によりまして当面は処置をしてまいりたい。P3の後背地の返還ができました後において、新しくここに民航用のしっかりしたターミナルをつくる。そのターミナルをつくります時点において、タワーも本格的なタワーを、先生御指摘のように問題のないようなきちっとしたものをつくってまいりたい、こういう考え方でございます。 それから、訓練空域の点につきましては、確かに先生御指摘のとおりでございまして、目下民航との関連はもとより、航空全体の安全を阻害しないという原則をもとに話し合いをまだ始めたばかりでございますので、仰せのようなラインで今後とも私どもとしては議論を詰めてまいりたい、このように考えております。
○上田哲君 P3がいつかということを、しっかりしてもらわなきゃだめだよ、外交交渉もできているのですから。
○政府委員(菅沼照夫君) 訓練空域のことについて私からもお答えいたします。 先生からいま御質問ございましたけれども、沖繩の那覇基地には、御存じのように104ジェット戦闘機が配備になっておりまして、現在訓練飛行をやるわけでございますが、現在におきましては対戦闘機戦闘訓練というような急激な姿勢の変化を伴う訓練飛行につきましては、米軍の管理をいたします沖繩の北部訓練空域及び沖繩南部の訓練空域を使用して行っております。現在、ただいま運輸省の方からお答えもございましたように、防衛庁といたしましては、その北部訓練空域及び南部訓練空域の周辺に自衛隊の訓練空域を設定していただきたいということで運輸省と協議をしておりまして、ただいま運輸省の方からお答えがございましたように、運輸省におきまして管制技術上等の検討をいたしておる段階でございます。
○上田哲君 もう一言だけ。申しわけございません。 しっかり答えてください。つまりP3は、これは外交交渉になっているはずなんですから、約束なんですから、外交的に。だから、いつ撤去されるのかということが言われなければいまの話は全部だめになっちゃうでしょう。それが言えなければおかしいわけですよ。いつP3が撤去される約束になっているのか、そのことをしっかりしていただきたいことが第一点。 それからこれはいまお認めになったように、いまのコントロールタワー、だめなんですよ、あれじゃあ。そこはもう本当に安全を守るとおっしゃるならば、それをちゃんとしかるべきところに建て直すということをお約束をいただきたい。 それから明らかに運輸省側も出たように、民間機優先の立場での訓練空域の設定についてはいま論争している最中で、決まっていないわけだ。だから、そこを変えなければならない。防衛庁はそれを譲る、民間機優先のためにそれを譲るということがはっきり出なければいまの答弁にはならないのです。 これはあとはもう大臣答弁ですから、その分を、いま申し上げた三点をしっかりしていただいて、そうした問題をしっかり確認をして、総理が、民間機優先、安全確保のために、徹底的な安全確保のために努力をするのだという決意をしっかりお述べをいただきたい。これはもうあちこちしないで、しっかりお答えいただきたい。
○国務大臣(木村睦男君) 現在のP3のところにありますコントロールタワーでございますが、これはいま政府委員が御説明申し上げましたように、あの後背地が提供されますと、そこに本格的なコントロールタワーをつくる。これはもう運輸省としては方針を決めております。それまでの間若干の時間がかかりますから、それまでは現在の、不十分ではございますが、コントロールタワーを使わなければなりませんが、これは十分に注意をいたしまして、そのために航空事故等が起こらないように十分配慮をいたしてこれを用いていくという考えでおります。 P3の撤去につきましては私のほうの所管でございませんので……。
○上田哲君 建て直すということでございますね。
○国務大臣(木村睦男君) 建て面します。
○国務大臣(坂田道太君) ただいまお答えを申し上げましたとおりに、運輸省とただいま協議をいたしておりますが、やはり民間優先という原則は尊重して協議をいたすつもりでございます。
○上田哲君 譲りますね、民間優先の方向に。 P3はいつですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は先ほど御指摘のように、基本的な外交上の了解はすっかりできておりまして、私はたしか二、三カ月うちというふうに聞いているのでございますけれども、いまちょっと作業日程を存じませんので、しっかり調べまして後ほど申し上げますが、もう遠いことではございません。
○上田哲君 はっきりしてもらわなければ、そんなことが大臣がわからぬということはおかしいですよ。沖繩じゃ大変な問題なんだ。係官がいてわからないのですか、そのくらいなことが。すぐわかるでしょう。そういうことで三年もきているのです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 関連の御質問でございましたので、いま担当者が実はおりませんので、二、三ヵ月のうちということは、私はたしかそういうふうに聞いておりますけれども、正確なことを作業日程を確かめまして後ほど申し上げます。
○国務大臣(三木武夫君) 民間機を優先するという方針のもとに、航空安全対策に対しては徹底を期してまいりたいと考えております。
○上田哲君 撤去とかその他の、コントロールタワーの設定とか、訓練空域の優先とか、確実にやるということを言っていただかないと……。
○国務大臣(三木武夫君) P3のことは、外務省からこれは係官が出てお答えができると思いますが、それからコントロールタワーは、いま多少の時間が必要であるということを申しておりますが、言われるとおり、これは新たなるコントロールタワーが必要でしょうけれども、それは多少の時間的余裕が要る。 それから自衛隊の訓練に対しては、空域などに対して運輸省との間に空域の設定についての話し合いの結論を得るように促進をいたします。
○寺田熊雄君 独占禁止法の改正案について、きのうお尋ねしたわけです。総務長官のお話では、営業の一部譲渡——現行法の違反行為のあった場合の営業譲渡じゃないですよ、独占排除のための営業譲渡ですね、その規定を設けるというお話でしたが、その場合、もしも公取の審決を会社が履行しない場合の措置についてはどうお考えですか。
○国務大臣(植木光教君) お答えを申し上げます。 営業の一部譲渡に関しましては、現行法の第七条で違法行為に対する排除措置として規定をされていることは御承知のとおりでございます。会社は、審決が確定をいたしました場合には、これを実行する義務がございます。この実現をはかってまいりますためには、御承知のように、会社はいろいろな手続をとらなければなりません。譲渡先の選定、交渉、さらに譲渡契約の締結、債権債務の整理、さらに従業員の雇用関係の整理、そういう措置を行いますとともに、営業の重要な一部の譲渡の場合には、商法二百四十五条に規定をいたしておりますように、株主総会の決議を要すると、こういう形になるわけでございます。
○寺田熊雄君 特別決議。
○国務大臣(植木光教君) そこで、株主総会の決議を経ますのも、いま申し上げましたようないろいろな手続、措置の一つでございまして、この間いろいろ同意審決のある場合もございますし、あるいはまた重要でない一部の譲渡の場合もございますし、あるいはまた株主総会において特別の決議を得る場合がある。そういうような場合には問題がございません。 ただ、決議が得られなかった場合にはどうかということでございますが、依然として会社にはこの審決を実行する義務があるわけでございまして、その義務は誠実に、真摯に実現するように努力をされなければならないのでございます。もしも真摯な努力が行われなかった場合には、九十条によりまして、御承知のように、その審決違反に対しまして罰則が適用せられると、こういう形になってまいるのでございまして、したがいまして、私どもといたしましては、ほとんどの場合同意審決が行われるであろうということを予想しているのでございますが、その会社の努力というものがなかなか実現をしないというような状況も考えられるわけであります。しかしながら、公正取引委員会の審決も確定をしている、さらにまた裁判所においても公正取引委員会の命令というものを、措置を認めているような状況にあって、なおかつ会社がこの努力をし、そして審決に従うというようなことがありません場合というものは、これはもう社会的な大変な批判を受けるわけでございまして、経営が続けられないというような状況になるということが予想されるのでございますので、したがって、私どもは解決に従わないというような状態は予想をしていないのでございます。したがって、現行法の第七条におきましても、私法上の手続の特例に入るということはいたしておりません。今回の改正案、まだ素案の状況でございますけれども、独占的状態の排除措置におきましても、第七条と同じように私法上の手続の特例に入ることはいたしませんで、この実行を確保できると、このような考えで臨んでいるのでございます。
○寺田熊雄君 それは大変な認識不足と思いますよ。もしも財界が公然と団結して抵抗する場合には、たとえ形式的に会社の理事者が一部営業譲渡の議案を株主総会に諮りましても、いまのように大企業、大法人が株をお互いに持ち合っておるような状態の場合は、その理事者の提案を否決するということは十分考えられます。その場合、その審決の履行を担保する方法をどうするかということが問題なんで、その点、福田副総理は——新聞紙上で報道せられておることですから事実はわかりませんが、審決が株主総会の決議に優先するという御意見だったと報道されていますが、これは法律論としてはめちゃくちゃだけれども、しかし非常なこれは卓見だと思いますよ。何らかの担保措置を講じない限りはだめだと思いますが、公取の委員長と総務長官に、もう一度御答弁を求めます。
○政府委員(高橋俊英君) ただいま総務長官からお話がございましたが、法律的な見解としては私どものほうと食い違いはございません。それは要するに、審決が下って、それが確定しますと、その確定は、現在その措置、審決が行われた日、行われたというか、有効になった日から、到着主義でございますが、三十日を経過すれば確定するわけでございます。その確定する以前には訴訟を提起することができるわけです、これは当然。不満であれば、不服であれば、処分取り消しの訴訟を高等裁判所に提起することはできるわけでございます。 それはまた別としまして、その審決が確定してしまった以上は、それに従う義務があるわけです。いま総務長官がおっしゃったと同じでございます。その義務は、たとえ特別決議を要するような重要な一部の譲渡でありましても、その点変わらない。つまり、そこで異議があって決議が得られなくても、その効力は変わらないというのが私どもの考えでございます。また、これは政府の考えだろうと思います。つまりそれは、公益上の必要に基づいて発せられた公法による命令は会社を拘束するのでありますから、したがって、会社の内部の決定機関である株主総会がそれに反対すれば、これは無効になるという性質のものではございません。そうでありますので、やはりどうしてもそういうふうに従わない、実行する意思がない場合には、それはいますべて独禁法の法律は、たてまえはそうでございますが、強制執行ということはあり得ませんから、間接強制の手段として審決違反の告発をする。告発をしました後ですね、後どうなるかは司法当局のことに属しますから、必ずどうなるということは私は申しません。罰則が必ず適用されるかどうか、それは別でございますが、私どものとるべき手段はそういうことであると、かように申し上げるほかない。意見の食い違いは私はないと思います。
○国務大臣(植木光教君) 先ほど御説明申し上げましたように、第七条の運用に当たりましても、ただいままで公正取引委員会は十分に実行は担保できるということでこれに当たってきたわけでございます。今回の独占的状態の排除に当たりましても、ただいま私も申しましたし、公正取引委員長からのお話もございましたように、審決に従う義務があるわけでございますし、そしてまた、それに対しましては、裁判所における判決の問題もございますし、さらにまた社会的な批判というものもございますので、私どもとしては十分に実効性を確保できると、このように考えているのでございます。
○寺田熊雄君 お二方の御答弁、非常に安易な御答弁で、それはなるほど審決に従う義務は残るのですよ。しかし、義務は残っても、株主総会が最高の意思決定機関だという本質には変わりないのですよ、商法上のたてまえ。だから、それに従わなければ宙ぶらりんになって永久にそれは実行に移されないわけですよ。だから、その実行を担保する法的な措置というものを講じなければどうしようもないわけでね。だから、そんな安易なことじゃいけないし、この独禁法の九十条の罰則なんというものは、たかだかこれは三十万円以下の罰金程度のことで、大会社にはそんなことはへともないです。また、一応執行を理事者が誠実にやったように装うて株主総会にその審決を提案した場合に、その株主総会が否決したからといって、その理事者を処罰することはできないでしょう、どうですか。その点、公取委員長、総務長官と、それから法務大臣の御所見を伺います。
○政府委員(高橋俊英君) 確定審決違反に対する罪は、いまおっしゃいましたが、会社は三十万円以下の罰金でございます。それは両罰規定を適用した場合ですね。しかし原則は、日本の法律はすべて行為者を罰するということでありますから、これは二年以下の懲役です。ですから二年以下の懲役ということはそう軽々しく考えられない。すべて私どものほうの確定審決については同じ方法をとっているわけですね。強制するといっても、土地を強制収用するようなことにはならない。実力行使ということはあり得ないわけですから、したがって、いわゆる法律的に言えば、間接的強制、間接強制になるわけです。従わなければこういう罰則があるぞということでありますので、三十万円以下の罰金だけでしたら、なるほどそれは払ったほうが得だということにはなっちゃうかもしれませんけれども、しかし、その行為者、つまり代表者ですね、その場合の責任者——行為者というのは、会社のそれを決定した、従わないということにした責任者です。これはだれであるかということは私申し上げなくてもおわかりだと思いますが、株主総会の決議云々はその会社の内部事項であると私ども解しておりますので、その内部事項に違反したその結果どうなるかという問題は別個でございまして、公的な法律に基づく決定がそういうことで担保されておると、実行を、と私どもは考えておるわけでございまして、それで十分ではなかろうか。ほかの審決についても全く同様でございます。したがいまして、確定審決違反という事件はめったに起きる問題でございません。全然ないとは私は申しませんけれども、それはほとんどは考えられない。ことに審判は、私どもの扱いとしては、初めから審判に付して、相当回数を重ね、時間をかけてやっておるわけでございますから、そういう、仮にこの法律案が通ったらそうするということでございますし、また現在第七条にある場合も慎重に扱うということは申し上げられます。そういうことであります。
○寺田熊雄君 委員長、自信がありますか、履行させる自信が。
○政府委員(高橋俊英君) 履行は、私はすると思いますね。もしそういうことをしなければ懲役なんですからね。ですから、それはおやめになるかどうか別として、やめても逃げられないわけです、そういうことをきめてしまったら。履行しないというふうなことが明らかになった場合は、これはそういうことでもって実行させられる、間接的な強制で、なる。その点は、私は、普通の良識ある経営者であったら当然従うだろうと思いますね。
○国務大臣(植木光教君) 罰則の三十万円のお話が出ましたけれども、現行法九十条は、行為者に対しましては二年以下の懲役、また三十万円の罰金でございますけれども、この三十万円は、今回の政府素案におきましては、額はまだ明示いたしておりませんけれども、大幅に引き上げるという考え方でございます。また、会社に対しましては罰金だけでございますが、これも同じような考え方でございます。先ほど申し上げましたように、この審決を実行いたしますためには、会社はいろいろな手続を、また措置を行っていかなければならないわけでございます。そのうちの一つが、重要な営業の一部譲渡でございました場合には株主総会とかかわり合ってくる、こういう形になるのでございまして、そういう義務を果たしますために会社はいろいろな努力をする、その真摯な努力の中には、重要な一部の譲渡であるということで株主総会にかけるという、そういうことも一つの義務でございます。これを怠ったというようなことは、怠る場合などは明らかに問題外でございます。さらにまた、たとえば株主総会に対しましていろいろな手を回しまして特別の決議が行われないようにというようなことがありましたならば、これまた真摯な努力をしたものとは考えられません。さらにまた、その特別決議において、これが特別決議を得られなかった場合にもさらに努力をする義務があるわけでございまして、その際には、譲渡先の問題でありますとか、どの部分を譲渡するかだとか、あるいは従業員はどういうふうにするかだとかいうような、そういうことにつきましても、さらにまたその努力をしていくというその努力がございませんと、これまた本当の意味での真摯な努力とは考えられないのでございまして、したがって、あらゆる努力が行なわれなければ、これはもういま申し上げましたように、いわゆる九十条の対象になってまいりますし、そういうような努力というものが完全に行われないような状況でありますと、これはもう先ほど申し上げましたように、社会的な批判もごうごうとして起こるわけでございますから、そういうような状況の中で健全な企業の運営をはかるということはあり得ないと、このように考えているのでございます。したがって、現行法の第七条もいま申し上げたような考え方で私法上の手続の特例には入っていないと、こういう状況でございます。
○寺田熊雄君 法務大臣。
○国務大臣(稻葉修君) 吉田さんは、株主総会の特別決議に審決の効果をかからしめているから、持ち合いなぞをしている大会社が全部一緒になって、団結して抵抗すれば実行が確保されないのじゃないか、こういう御質問のように思いますが、私はそうはならないと思うのです。公取委員長も、それからいま総理府総務長官も言われましたがね、一部譲渡の審決をするまでは主務大臣との協議も行われますし、主務大臣は日本の現在の国民経済の現状、将来の展望、それらのことを公取委員会とよく協議するわけですからね。公取委員会がめちゃめちゃな、会社がもう成り立っていかないとか、それが非常に日本の経済界に影響を及ぼすような重要な営業の一部譲渡を審決するわけはない。
○寺田熊雄君 審決した場合ですよ。
○国務大臣(稻葉修君) それで、いかにもむちゃくちゃな審決をする場合もある、それを前提にして、それを強行しなければ株主総会の議決に、特別決議にかからしめているのでは実行できないということにはならないと思いますね。それからもう一つ……
○寺田熊雄君 めちゃくちゃな審決なんかありませんよ。そんなものはないでしょう。合理的な審決が履行できない場合のことです。
○国務大臣(稻葉修君) ですから、合理的な審決がなされて、会社の役員が株主総会も招集しないというような……
○寺田熊雄君 招集しても否決される場合がある。
○国務大臣(稻葉修君) 招集しても否決されるような運動をしたり、そういうことをやれば義務違反ですから……
○寺田熊雄君 それはわかり切っている。
○国務大臣(稻葉修君) 義務違反でございますから、その義務違反に対しては今度は罰則の強化も行われる、そういうことに政府素案はなっておりますから、そういう点で、これが担保になっていないというあなたの御主張は、どうも私にはうなずけないのです。
○寺田熊雄君 いや、一生懸命やっても株主総会が否決したらどうするかという質問をしているのですよ。一生懸命やらなかったら刑事責任を問われるのはあたりまえです。一生懸命やっても否決された場合はどうなのかといってお尋ねしている。
○国務大臣(稻葉修君) さあ、そういうことは考えられますかな。そういう非常識なことが、日本社会の、この常識の社会に行われますかね。(笑声)
○寺田熊雄君 総理、もう少し法務大臣には法律的な素養のある人をやっぱり任命されないと困る。第一、世論なんと言ったって、医師会をごらんなさい、あなた、何ぼ世論が圧力を加えたって、保険医総辞退でがんばると言えばがんばるのですよ。世論などというもの、財界が正面切って抵抗した場合に、そんなに強いものじゃありません。やはり、何らか審決を株主総会に提案しても、なおかつ大法人の株主が暴力団を使う場合もあるでしょう、総会屋を使う場合もあるでしょう、あるいは財界の圧力、後押しでそれを否決する場合というのは十分考えられるんです。だから、その場合の、実行を担保する方法を法的に備えなければ意味がない。たとえば、労働委員会の命令に対して守らなかった場合は、それを守るまでの間、一日について十万円の過料の制裁というものがありますね。ああいう担保的な規定を置かなければだめだということをお尋ねしているんです。どうですか。
○国務大臣(植木光教君) 繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、違法行為の排除措置を第七条でやっております。この第七条におきましても、先ほど来申し上げておりますように、いま寺田委員がおっしゃっておられるような議論も出てくるはずでございます。しかし、ここ二十数年にわたりまして、この第七条の規定によりまして排除措置というものは実効性を確保できるという考え方でまいったわけでございますので、したがって、私どもといたしましても、今回の改正案に当たりましてはこれと同じ考え方をとりまして、私法上の手続の特例に入らないということにしたのでございまして、したがって、先ほど来申し上げておりますように、審決確定に忠実に従っていくということが会社の義務であり、それに対しましては、先ほど来申し上げておりますような罰則による追及もあるわけでございますから、実行は十分に担保できると、こういう考え方で臨んでいるのでございます。
○寺田熊雄君 会社の理事者が審決の実行を株主総会に提案した場合、誠実にした場合、なおかつ株主総会で否決したような場合は、それはその理事者の刑事責任をとうてい問い得ないんですよ、現行法上、刑事責任。どうですか。
○国務大臣(稻葉修君) 他人の不届きな行為によって誠実にやった者が罰せられるなどということはありません。
○寺田熊雄君 そうでしょう。だから罰則じゃだめだということ。どうですか、総務長官。あなたの罰則論はいまの法務大臣の答弁で完全に覆ったでしょう。
○国務大臣(植木光教君) 完全に覆ったとは考えておりません。罰則による処罰ができないというお話でございましたが、しかし、その間のあらゆる努力が真摯であるかどうかということは一つ問題になってまいりますし、そして、たとえ真摯な努力をいたしましても、その間、先ほどもお話がありましたように、審判の過程におきましても、あるいはまた特別決議が得られません場合にも、いろいろな、どうすればその審決に従うことができるかというための努力なり協議なりというものは、会社と公正取引委員会、あるいはまた主務官庁との間に、あるいはまた株主総会そのものとの間にいろいろ協議が積み重ねられていくわけでございますので、したがって、その過程におきましては、いま申し上げましたように、審決に従うような実効性が上がっていくというふうに私ども確信をしておるのであります。そうでありませんならば、今日まで二十何年間、違法行為の排除措置というものを第七条で行うことにしてきたということも意味がないということになるわけでございまして、したがって、同じ考え方に基づいて実効性を確保できると、こういう考え方なのでございます。
○寺田熊雄君 政府が非常に認識不足だと思いますけれども、まだまだ質問事項がたくさんにありますので、この問題はこれで終えます。どうも公取委員長、御苦労さまでした。 その次に、中央公害対策委員会の問題に移りますが、中公審の中でいま脚光を浴びている自動車公害専門委員会の委員長八田桂三氏につきましては、衆議院の予算委員会で、自動車工業会が配付いたしましたメモの中に大企業べったりの発言があったということが問題になっておりますが、どうしてこういう人を委員長に委嘱したのか、まず環境庁長官の御答弁を。
○国務大臣(小沢辰男君) 家本委員を専門委員に任命したのは……
○寺田熊雄君 八田委員、八田委員長。
○国務大臣(小沢辰男君) 失礼しました。八田委員長は東大の教授で、まさにこの自動車問題の専門家でいらっしゃいます。まあ、この人の右に出る人はないだろうと私どもは確信を持って専門委員にお願いをし、委員会においてもこの方が委員長として就任をされて、今日まで自動車公害の問題について真剣に御検討願ったわけでございます。
○寺田熊雄君 これは驚くべき認識の不足なんですよ、大臣。あの人は東大宇宙航空研究所の教授であって、自動車工学の専門家じゃないんです。だから、あの発表されたメモで、自動車のエンジンの専門家を呼んで聞かなきゃいけないという発言をあの人自身がしているんです。あなた、何の専門だと思いますか。
○国務大臣(小沢辰男君) 宇宙研の教授であることは間違いございません。しかし、私どもはエンジンの専門的な学識を持つ先生としてお願いをしたわけでございます。
○寺田熊雄君 そういうずさんなことだから、ああいう問題を起こすんですよ。エンジンはあなた何でも共通だと思っちゃいけません。航空エンジンと自動車エンジンとは、共通性もあるが、非常に違うんです。それから燃料も違います。そういうことを全く度外視して、ただ東大の教授であるから、航空エンジンの専門家であるからというようなことで任命されるから、ああいう結果を生ずるわけです。大臣、あなたは一体自動車工学の教授が東大に何人おるか、それから生産技術研究所というのが東大にありますが、そこで自動車工学の専門の教授、助教授が何人おるか、御存じですか。
○国務大臣(小沢辰男君) 寡聞にして、まだそれだけのことは知りません。文部省で調べてみます。
○寺田熊雄君 じゃ、私のほうからお教えいたしますが、東大には機械工学科の渡辺茂教授が講座を持っていらっしゃるほか、生産技術研究所に自動車工学専門の教授が平尾収教授ほか四人おられるんです。そのうちの一人が中公審の委員になっています、亘理教授。しかし、これは自動車公害専門委員会にはどういうわけか除外されておる。そのほか、助教授が大野進一助教授ほか二人おります。こういう自動車工学の専門家を除外して、自動車工学の専門でない航空宇宙研の人を自動車公害専門委員会の委員長に任命したという点で非常にこれは疑惑があるわけです。ことに八田さんについては、自動車メーカーの団体であります自動車技術会の中に公害懇談会というのがありますね、その委員をしておられた、その功績で任命された疑いがあるんですが、どうでしょう。
○国務大臣(小沢辰男君) そういうことはございません。航空機のエンジン関係のみならず、自動車エンジンについても非常な専門的な学識を持っておられる方でございます。
○寺田熊雄君 そういう事実と違うことを言ってもらったら困るんです。この間衆議院で問題になりました自動車工業会発行のメモに、八田委員長自体が、エンジン専門家の先生に五十一年規制に対する考え方、暫定値の考え方を聞いたらどうかということを提案しているんです。そういう見えすいたうそを言っていただいたら困るんです。これは、なぜそういう専門家でない人を任命したかという疑惑は消しがたいものがある。もう一遍誠実にお答えいただきたい。
○国務大臣(小沢辰男君) 八田委員長がそういう発言をされたのは、いま十人の専門委員以外に、もっと自動車関係のエンジン関係で学者も経験者もおられますから、そういう方々にも広く意見を聞くこともいいことだな、こういうことでお話をされたわけでございます。先生が宇宙研の教授だ、航空関係の専門家だ、だから自動車のエンジンについては全く専門外じゃないか、この人を委員長にしているのはおかしいと言われますけれども、この点は、いままで衆参両院の公環特でいろいろ八田先生をお招きになって参考人として意見を聞いておられますが、少なくともそういう批判を学問的技術的に八田先生に受けたということは、私はいままで寡聞にして聞いておりません。
○寺田熊雄君 学者の間では、自動車工学の専門家でないということは、これは疑いない事実として認められているんです。そういうことについて政府が調べを怠ったという、その責任は免れがたいと思うんです。それから、いま大臣は自動車公害専門委員会にほかの専門家がおるように言われたけれども、ほかの専門家は一人もおりませんよ。伊東彊自氏は何の専門だと思います。
○国務大臣(小沢辰男君) 御承知のように、気象の専門家でございます。
○寺田熊雄君 したがって、自動車工学の専門家はこの自動車公害専門委員会には一人もいないんです。そういうところで自動車公害の重要な総理の諮問をしようというのですから、これは大変な認識不足、怠慢もはなはだしいわけです。総理、いかがですか。
○国務大臣(小沢辰男君) 御承知のように、この専門委員の中には山家先生あるいは喜多先生、あるいは自動車の特に燃料関係の専門としての片山さん、あるいは八巻先生、あるいは、いろいろ自分のメモを整理して、それが自分からでなくてほかから漏れたことによって問題がございました御指摘のあった家本先生、それぞれやはりエンジンあるいは自動車燃料の専門家でございます。
○寺田熊雄君 総理、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) いま環境庁長官の申したように、専門家というものはいろんな角度から、単にエンジンばかりでなしに、いろんな面で関連のする専門家というものも必要でしょうが、これは私自身も衆議院の予算委員会で申したのですが、五十一年度規制の技術開発をチェックするために、いままでの機構とは別に、専門委員会というような、名前は何にしますか、そういうものをつくって、技術開発の段階的なチェックをしていこうということを申したわけでございます。いままでの機構と違うわけですから、いま御指摘のようないろいろな意見の、本当に自動車のエンジンに対して、いままでの委員の顔ぶれにない各方面の人々をその中には網羅してチェックをしてもらいたいという希望を持っておるわけでございます。
○寺田熊雄君 これは結局、専門家というものの概念を政府が全く誤解しておることに基づくので、やはり自動車のエンジンを中心とする専門委員会ですから、自動車工学の専門家を中心として構成しなければいけないわけですよ。ところが、航空関係の専門家を持ってきたり、しかもそれが業者と非常に親密な関係にあった人を委員長にしたりしておるところに問題があるわけです。衆議院の予算委員会の速記録を見ましても、総理大臣みずから、「やはり委員会のあり方というものは検討する必要があるということは感じますので、十分検討さしていただきたいと思います。」という発言をしておられますね。この御決意には変わりありませんか。
○国務大臣(三木武夫君) 変わりありません。やはり環境庁としては、役所としてひたすら人間の生命健康を守るということに終始しておるわけでありますから、その環境庁の姿勢というものに、国民に疑いを持たすようなことがあれば、環境行政はできません。そういう点で、国民の疑惑に対してこたえて、いろいろの審議会あるいは専門委員会のあり方についても十分な検討を加えることは当然のことであると考えております。
○寺田熊雄君 環境庁長官、いかがです。
○国務大臣(小沢辰男君) 自動車の排ガス規制につきましては、まだこれからトラック、ディーゼル車等の問題、その他いろいろ四つの中公審から御注文もいただいておりますので、先ほど総理が申し上げましたように、また今後、理想の〇・二五に近づいていくためにも、各メーカーの技術開発のチェックもやっていかなければなりませんから、したがって、専門委員会を、いま先生のお話のありましたように、広く自動車関係の工学の専門家をさらに追加をしてお願いをいたしまして、専門委員会を強化拡充をいたしたいと考えております。なお、その際には、家本先生そのものは非常に専門家だと私思っております。また良心的に審議をしていただいた方だと思いますが、いろいろメモの漏洩等もございましたので、今後は直接規制の対象になるような業界の委員は御遠慮願って、むしろ専門委員としては全くの関係のない学識経験を持つ方に集まっていただいて、必要があれば、自動車産業というのは、御承知と思いますけれども、自動車関係の実際の技術については学者の方々よりは本当に相当進んでおる、現実の問題としていろいろ経験も進んでおりますので、この意見を全く無視するわけにいきませんから、参考人とかその他の方法によって、広くそういう方方の意見も聞きながら今後は進めてまいりたいと、かように考えております。 〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕
○寺田熊雄君 次は、三光汽船問題についてお尋ねいたしますが、前回、渡辺委員の質問に対して運輸大臣は、リベリア、パナマに籍を移した便宜置籍船のそういう措置の目的は、税を免れるためと、それから船員の労賃を節約するため、つまり安い賃金の船員を雇うためだという説明をなさいましたね。これは間違いないですね。それから、河本大臣に、それを是認なさるかどうか、両大臣に伺いますが。
○国務大臣(木村睦男君) 便宜置籍船の実態というものは、前回もちょっと申し上げたのでございますが、歴史的に、あるいは経済的に、それでその国家の収入にしておる小さい国、これがリベリア、パナマ、その後はシンガポールとか、レバノンとか、キプロスとか、だいぶふえてまいりました。そこでは、その国に船を登録をいたしますというと、登録料を取るわけです。同時に、この登録料は毎年更新をされますので、毎年更新登録料といいますか、それを取る。そのほかの税金はそれらの国は取っておりません。たとえば、その船舶でどれだけ輸送したかという、いわゆる売上高に対する営業税のようなものですね、そういうものは取っておりません。そういう点で利益があるということ。それからもう一点、どの国でもそうでございますが、自国船の場合は、労働組合と船主との間で、自国の船員を乗り込ますという協約は大抵は結ばれておるわけでございます。そこで、船の国籍をそういった便宜置籍国に置きますというと、船員はどこから置いてもよろしいということで、安い船員を置くということの両方のメリットがあって、便宜置籍船というものが世界的な傾向として、大体全世界の主なる船腹の中で二〇%ぐらい、現在もっと超しておると思いますが、便宜置籍船を持っておる。日本の船会社も大体二〇%から二三、四%までは便宜置籍船を持っておるというのが実情でございます。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど運輸大臣が御説明になったとおりでございますが、なおそのほかに、戦後世界の海運界で便宜置籍船が非常に大きなシェアを占めるに至りましたもう一つの理由は、船舶の売買をいたしますときに、それぞれの母国の籍にしておきますと、売買する場合、いろいろ手続等が非常にむずかしゅうございまして、それで、非常に時間がかかるわけなんです。たとえば、一つの船を売ろうとする場合でも、手続のために半年とか一年かかると、こういう場合が往往にしてあるわけです。ところが、船舶の売買市場というものは海運マーケットに左右されておりまして、常に激変をしております。でありますから、便宜置籍船の場合は、動産的な不動産として即日でも売買ができると、そういうメリットがあるわけでございますが、母国の籍の場合にはそれができない。したがいまして、売買を自由にできないという船は価値が半減されると、そういうこと等もありまして、世界的な金融機関等もむしろ便宜置籍船の方を歓迎をすると、そういうこと等の理由もございまして、戦後非常に急速に便宜置籍船が世界の海運国で採用されたと、こういうことであろうと思います。
○国務大臣(木村睦男君) 私が、先ほど日本の船会社が便宜置籍船を持っておるという言葉を使いましたが、これは間違いでございまして、雇っておるということでございます。
○理事(柳田桃太郎君) 宮澤外務大臣から発言を求められておりますので、発言を許します。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御質問中恐縮でございますが、先ほどの上田委員のP3機の移転の時期でございます。 嘉手納におけるP3移転関連の工事が今月中に完了をいたす予定でありますので、P3機部隊及び諸設備の嘉手納への移転は五月中に完了する見通しでございます。
○寺田熊雄君 河本大臣にお尋ねいたしますが、あなたの社長時代、日本船舶を用船していたのと、便宜置籍船の、名義上外国のオーナーの船を用船しておったのと、用船の比率はどれくらいでした。それから、その船員の賃金が、日本の船員と外国の船員との賃金の比率はどのくらい違いました。 〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕
○国務大臣(河本敏夫君) 大体動かしておりました船の約三割弱が日本船であります。七割強が外国からの用船であったと思います。
○寺田熊雄君 便宜置籍船ですか。
○国務大臣(河本敏夫君) いやいや、外国からの用船でございまして、それは必ずしも全部便宜置籍船ではなかったと思います。
○寺田熊雄君 それはどのくらいの割合になりますか。
○国務大臣(河本敏夫君) そこは正確に記憶しておりませんが、外国からの用船の中には、便宜置籍船のほかに、ノルウェーであるとか、英国であるとか、ドイツであるとか、フランスであるとか、イタリアと、こういう国からの直接の用船も相当量あったと思います。したがいまして、用船しておりました船に乗っております船員も約三十カ国の船員が乗っておりましたので、賃金の比較ははっきりわかりませんけれども、しかし、おおむね日本の船員の賃金というものは、世界で最高の水準にあるわけでございますから、ヨーロッパよりも、もちろん東南アジアよりも高い。その比較のほどははっきりしませんけれども、大体の傾向としてはそういうことが言えると思います。
○寺田熊雄君 各船舶所有の会社に聞いてみますと、便宜置籍船の船員のマンニングですね、これはあなたの社長をしておられた時代、三光汽船は香港でマンニングを行っておったということですが、どうですか。
○国務大臣(河本敏夫君) この便宜置籍船というのはいろいろあるわけでございまして、たとえばノルウェーの船主であるとか、英国の船主がリベリア籍とかパナマ籍とかというふうな形でつくるわけですね。それもすなわち便宜置籍船でございます。でありますから、私の方が直接やるのではなくして、そういう国々の人たちが便宜置籍船としてつくったものを用船をすると、そういう形になっておるわけでございます。
○寺田熊雄君 チャーターバックしたのがあるでしょう。あなたが売船してチャーターバックしたものもありましょう。それから、あなたがお売りになった中で、三光キングとか三光クイーンとか、外国に一応形式上売られた後でも三光の名称を存置しておる船がだいぶありましょう。十一隻もありますが、どうですか。
○国務大臣(河本敏夫君) これは、チャーターバックという概念は、外国へ一たん売りますですね、売りますと、買った船会社が船員等を乗せまして、そうしてその外国の船会社が乗せた船を用船をする、引き続いて何年か用船をする、そういうことでございまして、このチャーターバックの場合は、向こうが船員を手配する、それが普通でございます。
○寺田熊雄君 それが普通のことぐらいは、これは海運界の常識なんですよ。ただ、あなたの場合はマネージメントを自社でやっている、香港でマンニングをしているということが大体船会社の一般の定説のようになっていますから、その点をお尋ねしているわけで、香港の三光エイシアとか、あるいはあなたが出資しておられるという万友シッピングなどがそういうマンニングしているんじゃないでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 三光エイシアというのは、三光汽船が一〇〇%を出資しておる香港籍の会社でございます。それから、御指摘の万友シッピングという会社は中国人の経営の会社でございますが、それに対して出資をいたしております。それから三光という名前のついた船があるではないかと、こういうお話でございますが……
○寺田熊雄君 十一隻もある。
○国務大臣(河本敏夫君) 何隻あるかわかりませんが、たとえば、外国に船を売りますですね、そういう場合には、ギリシャであるとか香港であるとかノルウェーという国は海運以外の産業というものが発達しておりませんから、だから荷物がないわけですね。でありますから、売るときの条件として、その船を引き続いて使ってもらいたい、つまりチャーターバックをしてもらいたい、それならば買います、そういう条件で売る場合が相当あるわけですね。そういう場合には、向こうが進んで、その三光キングとか、あるいは三光クイーンとか、そういう船名を向こうがむしろつける、そういう例が多いわけであります。
○寺田熊雄君 マンニングの点はどうですか。いま答弁が抜けておりますよ、香港での。
○国務大臣(河本敏夫君) 万友シッピング等は船舶の代理店をしておるわけでございますから、あるいは一部そういうことがあろうかと思います。
○寺田熊雄君 それから三光エイシアは。
○国務大臣(河本敏夫君) 三光エイシアはそういうことはしておりません。
○寺田熊雄君 私どもの調査では、これは香港でマンニングをして、賃金の安い船員を雇用しているという、そういう調査の結果が出ております。しかも、日本船員と東南アジアの船員との賃金差は半分以下なんですよ。それが、休暇を大体日本船員は一年間四カ月取りますね。そのために予備員率というのが非常に高い。ところが、そういうものは全くない。船長に賃金を渡して、船長がそのピンはねをして、外国船員というものはもう単に飯を食うだけというような安い賃金で使って、それで利潤を得ておる。そういうエコノミックアニマル的な商法で大きくなるということは、これは実業家としてはともかくとして、国民の負託にこたえる通産行政の責任者としてはどうでしょうか。総理、いかにあなた思われます。
○国務大臣(河本敏夫君) これはちょっと誤解があろうかと思いますので、ちょっと私の意見を申し述べたいと思いますが、海運業というものはもう世界を相手に競争しなければならぬ事業なんです。でありますから、世界と同じようなコストの船をいかにして手配するかということが海運経営の私は骨子だと思うんです。でありますから、現在、日本の船員の給与水準というものは、先ほどもちょっと触れましたけれども、世界の最高の水準でございまして、アメリカとほとんど同じである、ヨーロッパよりもはるかに高い、こういう状態になっておりまして、日本船だけを持ちまして世界を相手に海運経営をするということは、これは現時点では全く不可能でございます。でありますから、どこの船会社におきましても、最近は一部は日本船を活用する、しかし、他は多くコストの安い外国船等を活用いたしまして、そうして、それを総合いたしまして海運全体の競争力というものを確保していく、そういうことになっておるわけでございます。そういう事態をひとつ御認識いただきたいと思います。
○寺田熊雄君 次に、あなたが社長時代、三光汽船が第三者割り当てのプレミアムつき増資をなさいましたね。その年月日や額、プレミアムの総額、これ、ちょっと明らかにしてください。
○国務大臣(河本敏夫君) 正確な数字を記憶しておりませんが、大体のことを申し上げますと、第三者割り当ての時価発行増資は、四十六年に一回、四十七年に二回、四十八年はございませんで、四十九年に一回と、合計四回でございます。それによりまして得たプレミアムは約八百五十億前後と記憶しております。
○寺田熊雄君 それはどのように運用されました。
○国務大臣(河本敏夫君) 主として船舶の建造資金であります。
○寺田熊雄君 これは、世上その資金が、四十七年、当時のジャパンラインの株式取得のために用いられたということは常識になっていますが、この資金が実に膨大で、この三光汽船と、当時の東光商船、瑞星海運、合わせますと一億四千五百万株を買い占めていますね、どうですか。
○国務大臣(河本敏夫君) ジャパンラインの買った株数はほぼその前後であろうと思います。ただしかし、船舶の建造資金も毎年数百億要るわけでございます。でありますから、第三者割り当て増資による資金調達というものは、先ほども申し上げましたように、船舶の建造資金である、かように御了承賜りたいと思います。
○寺田熊雄君 そうしますと、その一億四千五百万株の、これは後に結局売り戻したようですが、その資金の五百五十億程度のものはどこから得られたんです。
○国務大臣(河本敏夫君) それは、手元には常に相当の運転資金を持っておりますから、その運転資金を活用したわけでございます。
○寺田熊雄君 あなたは五百五十億にも達するような運転資金をその株の売買に使われたわけですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 五百億というふうに言われましたですけれども、そんな金額にはなっておらぬと思います。
○寺田熊雄君 幾らで売り戻しました。
○国務大臣(河本敏夫君) 売り戻した金額は三百八十円でありますが、いまのは買った金額のことをおっしゃったんだと思いますが、そんなになってはおらぬと思います。
○寺田熊雄君 大体どのくらいだと。
○国務大臣(河本敏夫君) それは正確な記憶はありませんが、そういう金額ではないと思います。ただ、やはり相当大規模な世界を相手の船会社の経営をしておりますと、やはり常に数百億の運転資金というものが必要でございまして、常に余裕を持った経営をしておりませんとできないものですから、相当な運転資金を常に用意しておるということは事実でございます。
○寺田熊雄君 それから次に、あなたは衆議院の予算委員会で、楢崎弥之助議員の質問に対して、四十六年中あなたが持っておりました負債七億円内外のものを、資産を全部売却して返還したというふうに述べていらっしゃいますね、そのとおりですか。
○国務大臣(河本敏夫君) その七億円という数字がどこから出たのか、私ははっきりわかりませんが、しかし、相当額の借入金はあったことは事実であります。
○寺田熊雄君 何億ぐらいですか。
○国務大臣(河本敏夫君) それを資産の処分によって返済をしたということも事実であります。
○寺田熊雄君 だから、大体何億円ぐらいです。答えてください。
○国務大臣(河本敏夫君) それは正確な記憶はありませんが、実は楢崎委員からも、その借入金の正確な額は幾らか、あるいはどの資産をいついかなる方法で処分したのかと、そういう詳細なことを言えと、こういうお話がありましたけれども、これは個人の資産公開という問題と表裏一体の問題でございますので、その問題との関連もありますので、ちょっと差し控えさしていただきたいということを申し上げたわけでございます。
○寺田熊雄君 あなたの公示された申告所得に、そういう資産譲渡の収益というのは全く載ってないように思いますがね、どうでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 申告所得というものは、毎年それぞれの規定に従いまして申告をするわけでございますが、すべて資産処分等の明細につきましては、細大漏らさず国税庁の方には正確に報告をいたしております。
○寺田熊雄君 最後に、地域開発と公害の問題、それから地域開発に伴う地方の負担の問題ですね、これをお尋ねしたいと思うわけです。 時間がないんですが、結局私がお尋ねしたい趣旨は、最近、地方自治体の財源難というものが、人件費が不当に高いということと超過負担と、この二つに自治大臣が御答弁になっておられ、自民党の方も、人件費が高いから自治体の財政が窮乏したんだというふうに、そこにかこつけておられるわけです。ところが、実態は全くそういうものではないんです。これは国の税源配分、それから公共投資のあり方、そこにこそ自治体の窮乏の原因があるわけです。ただ単に地域開発が公害をもたらしたということだけでなくして、実に地方の財政を窮乏させる原因が、これは所得倍増十カ年計画、池田内閣以来の地域開発一点張りの、高度成長一点張りのその国策が実はもたらしたものだということにあるわけで、そこで、いま関係大臣にお示しをしたこの表の問題になるんですが、御承知のように、水島は、これは新産業都市の優等生と言われたわけです。ところが、それを調べてみますと、事業費はこれは県が二三・六%、それから負担額が一八・六%であるのに、わずかに税収は四%しかない。それから市町村は、事業費が二四・二%、負担額が二〇・一%であるのに、税収入は七・八%しかない。ところが国のほうは、事業費がわずかに八・九%、負担額が一六・九%であるのに、税収は八八・二%もあるわけです。この現実について、総理大臣、副総理、大蔵大臣、自治大臣、これ、どう思われますか。最後にそれだけお尋ねしておきます。
○国務大臣(福田一君) お答えを申し上げます。 新産業都市の問題でございますが、水島の問題は、実は私が、自治大臣じゃなくて、通産大臣をやっておった時分に新産都市の問題が浮かび上がりまして、決定したのも実は私のときでございます。その当時においては、いまお話がございましたが、水島は一番いい地域であるということで指定をいたしたわけでありまして、地元からも強い要請がございました。そういうことでありましたが、いまおっしゃった意味は、新産都市の問題をやって、それがかえって地元を窮乏に陥れて、財政的に非常な負担をかけているじゃないか、こういうお話である。 私は、この高度成長というものをもたらしてきた今日までの姿を見ますと、そのこと自体が一時的には国あるいは地方自治体に影響を与えたことは事実だと思います。それはマイナス面の、ある意味では出資ということをせにゃいかぬ、あるいは施設をつくらにゃいけませんから、やはり相当な経費を支出する必要がございますから、それが与えた影響というものはあると思います。しかし、これは長い目で見て、いわゆる日本の経済を伸ばすという大きな目的には非常にある意味では貢献している面がある。私は、地域自体に対する影響というものはまた別として、そういうことは否定できないと思います。それが今日の日本の経済が伸びてきた原因である、大きな要素であったということは否むわけにいかない。 そこで、いまお示しになりましたこの負担額と税収入との差が、国の場合は非常に多いけれども地方の場合は非常に少ないという、この数字でございますが、私きょう初めて拝見をしたわけでございますから、正確にお答えができるかどうかはわかりませんけれども、やはり長い目で見れば、同地区の発展に大きく影響し、また、税収の問題だけではなくて、相当たくさんの岡山県の地域の方がそういう会社に就職をされて、そしてそういう意味におけるプラス面も……
○寺田熊雄君 してはいない。
○国務大臣(福田一君) 私はあっただろうと思っております。それは全部とは言いません。しかし、それは地元からもちゃんとやはり就職者はおります。それは私もちゃんと調べておりますが、そういう者はおるわけです。そういういい面もあるし、それから、いまさしあたり税収が少ないからといって、いまああいうような事故が起きたりいたしておりますから大変御迷惑はかけておるわけでありますけれども、長い目で見て、市の、あるいは県の収入源になっていくというものではなかろうかと。とにかく、こういうような相当多額の経費を必要とする企業というものは、すぐにその効能をあらわしていくというものではございません。やはりこれは建設をいたしましてから、少なくとも完了してからでも十年くらいの長い目で見ていきませんというと私はいかぬと思うので、経済面の問題は、そのときすぐに効果があらわれるかどうかということも大事なことでありますけれども、長い目で見ていくということも必要でないかと、こう私は考えておるわけでございます。
○国務大臣(大平正芳君) いまこの表をちょうだいしまして気づきますことは、三十五年から四十四年にかけて、この地区の事業費の構成、税収入の構成は、四十五年−四十七年のそれと大きな変化がないということでございます。地方財政の危機が三十五年−四十四年に叫ばれないで今日叫ばれておるというゆえんのものは何に由来するかというと、結局のところ、去年のベースアップが三〇%にも及ぶ大幅のものでございました、これを調弁するために直接人件費の割合が地方財政に大きなウエートを持っておる、地方財政に直接大きく影響を与えておるということをひしひしと感じておることと私は思うのでございます。もとより、きのうも和田先生の質疑等を通じて明らかになりましたように、警察官の増員でございますとか、あるいは義務教育教員の増員でございますとか、国の要請に基づいての増員もございますけれども、四十八年から四十九年にかけまして僅々一年の間に十一万人もの人間がふえるということは、これ自体尋常ではないと思うのでございまして、私どもが節度ある運営を地方に御要望申し上げるのはそういうところにあるわけでございます。 で、この影響は遠からず、すでに中央財政にも来ておるわけでございまして、私は五十年度の中央の財政は大変な状況になるのではないかと思っておるのでございます。言いかえれば、これは、税収、租税の中央地方の配分の問題ではなくて、中の歳出の構造がこのように大きな変化を来しておるところにあるわけでございまして、それにどう対応していくかという措置を早く講じないと、中央も地方もお互いに非常に困ることになるのではないかと思うのでありまして、このチャートで見る限りにおきまして、事業費の構造も税収の構造も一向に変化がないけれども、いま危機が叫ばれておるというゆえんを問うならば、いままでいろいろ問題になっておりましたように、やはり何といいましても、定員の増加、ベースアップの急激な負担というものが問題ではないかと私は思っております。
○寺田熊雄君 これでいいというのですか、それじゃ。こんな不公平なものでいいというのですか。
○国務大臣(大平正芳君) いや、これはあなたが御提出になりました、三十五年−四十四年にかけての構成と四十五年−四十七年との構成が変わっていないということを私は申し上げておるわけでございます。しかも、御案内のように、交付税交付率は四十一年に二九・五%から三二%に改定になっておるわけでございまして、さらに地方のほうによけい配分される姿になっておるわけでございますが、それはともかくといたしまして、こういう構成は変わっていないが、三十五年当時地方財政の窮乏が叫ばれぬで、いま急にひしひしとそれが感ぜられるということは、何といっても人件費が問題ではないか、定員が問題ではないか、それをよく究明しようじゃないかというのが、私ども申し上げたいところでございます。
○寺田熊雄君 この不公平はこれでいいとおっしゃるのですか。この不均衡はこれでいいとおっしゃるのですか。
○国務大臣(大平正芳君) 私は不公平とは思っておりません。
○寺田熊雄君 これは驚くべきことです。
○国務大臣(福田赳夫君) この表について所感を求められましたが、国の税収入というのはどういう数字をあげておるのか、どうもはっきりしませんで、所感の申しようがございませんが、県、市町村等につきましては、これは事業費に比べまして税収入が非常に少ない、これは私は、いま自治大臣が申し上げたとおりだと思うのです。初めのうちは、投資額ですね、これは大きくなる、たくさん要ります。しかし、その投資がだんだん実を結びまして、そして地域開発になる、そこから税収が上がってくるというので、これは少し長い目で見ないと、すぐ議論はできないのじゃないか、そういうふうに思います。
○寺田熊雄君 国は。
○国務大臣(福田赳夫君) 国のほうは、税収入が一体どういうところからこういうふうに計算されたのか、それを聞いてみないと、ちょっと所感は申し上げられません。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして寺田熊雄君の質疑は終了いたしました。(拍手) 午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十七分休憩 —————・————— 午後一時九分開会
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 これより前回の和田静夫君の残余の質疑を行いますが、まず内閣総理大臣、自治大臣及び財政局長から発言を求められておりますので、これを許します。福田自治大臣。
○国務大臣(福田一君) 昨日の自民党作成のパンフレットの件についてお答えを申し上げます。 これは二月の十五日に、自民党の政務調査会の黒田専門調査員から、自治省財政課に対して、最近における地方公務員の人件費の状況、ラスパイレス指数の推移、超過負担の解消状況等について資料の提出依頼があったので、説明の上、提出したものであります。 なお、提出資料の大部分はすでに新聞その他に公表していたものでありますが、特定の団体のラスパイレス指数を公表前に提出したことは軽率であったと考えております。以後、このようなことがないよう注意をいたしたいと存じます。
○委員長(大谷藤之助君) 三木内閣総理大臣。
○国務大臣(三木武夫君) 和田さんに昨日お約束をいたしましたパンフレットの件についてお答えをいたします。 昨日、調査を約束した事項について当時のいきさつを調査させた結果を御報告いたします。 御指摘のパンフレットは、去る二月の中旬、わが党の政務調査会の黒田専門調査員が自治省財政課へ赴き、地方公務員の人件費、ラスパイレス指数、超過負担等の状況について資料の提供及び説明を受け、これを素材としてわが党の政務調査会、広報委員会及び新聞局の担当者が共同して執筆、編集したものであります。
○委員長(大谷藤之助君) 松浦財政局長。
○政府委員(松浦功君) 昨日の和田先生に対する答弁の中で、自治省の問答集につきまして、部内用の資料だというふうにお答えを申し上げましたが、部内用という意味は、文書管理規程によるマル秘の文書ではないという意味で申し上げたつもりでございまして、これを部外に軽々に提供をするということについては、私どもとしては好ましくないことだと、よくないことだというふうに考えておりますので、きのうの答弁にやや説明不足の点があった点をおわびをして、補足をさせていただきます。
○委員長(大谷藤之助君) 和田静夫君。
○和田静夫君 いまお話がありましたとおり、ラスパイレスについては、衆議院でもって出さないと答えておったわけです。ところが、自由民主党には先に抜けていたと、ここが非常に問題で、国会が軽視をされているということでありますので、今後十分に慎しんでいただきたいと思うんです。 ところで、この予算委員会の最中に、担当の大平大蔵大臣がおやめになるんじゃないかといううわさが、さあっとこう出ているんですが、総理、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) いま、せっかく予算成立のために全力を挙げておるときでございまして、辞任は考えておりません。
○和田静夫君 総理いかがですか、ありますか。
○国務大臣(三木武夫君) さようなことは非常なデマであって、そういうことはあり得べからざることであると信じております。
○和田静夫君 昨日の野口質問との関連でちょっと伺いますがね。超過負担が違法性を持っておる、こういう点の主張がございました。そこで、地方財政法十一条との関係で、農林省、厚生省、両大臣、絶対に違反がありませんか。
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 法律的に不備な点はあるわけでございますが、形式的には違反でございます。
○国務大臣(田中正巳君) 突然の御質問でございますので的確な答弁ができませんが、たしか私の省関係では、各省庁の間の意見がまとまりませず、いまだに政令のできないものはあるというふうに聞いておった記憶がございます。
○和田静夫君 そうだから、違反ですね、現行法で。
○国務大臣(田中正巳君) よくないです。
○和田静夫君 ちょっとはっきりしてください。
○国務大臣(田中正巳君) 法律に基づいた要請を満たしておらないということだと思います。
○和田静夫君 総理、お聞きのとおりです。いろいろ自由民主党の側から、中曽根さんを中心として、地方自治体に対する財政攻撃がありますが、明確に農林省、厚生省は違反を犯しているんですよ。したがって、ここの部分については是正をされる、そういうことをちゃんとお約束願いたいと思います。
○国務大臣(福田一君) 御質問に関しては、両大臣から答弁がありましたとおりです。自治省としては、従来これはぜひ早く決めてもらいたいという要請をしておったのでありますが、したがって、これはそういうものを速やかにつくってもらいたいという要望を持っております。しかし、それと具体的な問題とは、これは別に考えていただきたいと思っております。
○国務大臣(三木武夫君) まあ、御指摘の要件を満たしていないものは、地方財政法の規定等に照らしてこれは早急に善処すべきものだと考えます。
○和田静夫君 それはちょっと、そういう答弁では、ここに市長だとか知事経験者だとかいっぱいいまして、こういう人たちが一番よく御存じなんですから、是正をすることをちゃんと——超過負担は政府がもっとやっぱり責任を持たなきゃならぬということをはっきりあれしてくださいよ。
○国務大臣(三木武夫君) この点については、いま違反という高説もございましたし、これはまあ是正をする方向で善処いたします。
○和田静夫君 ラスパイレス方式による比較方法を簡単に説明してください。
○政府委員(植弘親民君) お答えいたします。 学歴別、経験年数別に、一定の経験年数段階、たとえば一年未満、一年から二年、二年から三年といったグループにつきまして、平均給与にそのグループに属する職員数を掛けて指数を出します。その場合と同じような状態にある者を、国家公務員を一〇〇とした場合に地方公務員幾らになっているかということを計算したものがラスパイレス指数でございます。
○和田静夫君 ちょっと総理と自治大臣、これ、ごらんになってください。 私は、四十九年のラスパイレスをいま一覧表につくったものを出しました。で、仮定の数字である、これは明確ですね。
○政府委員(植弘親民君) 仮定の数字ではございます。
○和田静夫君 仮定の数字であることは明確になりました。したがって、自民党が選挙用にずっと宣伝をされている、高い低いということにはならぬということは明確です。そして自治大臣お持ちのその一覧表のとおり、比較対象が一般行政職だけだということは、全地方公務員の給与実態を代表するものではない、このことは明らかですね。
○国務大臣(福田一君) 私は、仮定の数字というか、正確なものでないという意味ではおっしゃるとおりだと思いますが、おおよその基準を示すものとしては、これは人事院でもこの方式でもって地方公務員と民間の会社との給与の比較をいたしておるのでありまして、これは各国においてもこういう問題を検討する場合の一つの基準としてみんな認めておるのでありますから、その点はひとつ御理解をしておいていただきたいということが一つ。 それから、私は二十年間俸給生活をいたしておりました。俸給生活者というのは、自分より上の人、下の人の俸給というのは非常に関心を持っております。あの男がこれだけなのにおれはどういうことだということは、これはもう俸給生活をやった人でなければわからない。私は非常に関心を持っておった。その意味で、同じ年数で、同じ学歴で、そして経験年数も同じという者を比較してみて、そしてそれがどっちが高いか低いかということが出てきますと、大体その会社なり団体内における比率というものは出てきます。私は、それは正確だという意味で申し上げておるのではありません。ラスパイレスというのはそういう意味のことを言っておるのでありまして、これを科学的に正確なものだからこのとおりだと言ってはおりません。だから、ラスパイレスがどうであるとか、こうであるとかということで、それだけの理由で、国家公務員の給与と市町村やその他の都道府県の公務員の給与との比較をした場合に、それが絶対間違いであるというようなことにはならない。やっぱりそれは傾向としてはっきり出てくるということだけは御認識を賜りたいと思います。
○和田静夫君 これ、私は四十九年の発表に基づくラスパイレスを、きのうかかって、こうやってつくったんです。ラスパイレスの指数と人件費の比率の関係というのは、政府が出している資料に基づいて決して正確なものではなくて攻撃を受けるようなものではない。ラスの指点が高くても人件費というもののいわゆる比率はここにしかない、ラスの指点が低くても人件費は高いところもある、こういう状態になっているんですよ。このことだけを確認してもらえばいいんですよ。
○国務大臣(福田一君) 地方公共団体の公務員の場合には山間僻地の給与の問題も入っておると思います。それから同じ府県にしても、非常に生活費のかかるところであるとか、あるいはいろいろの事情があると思います。でありますから、その表だけでこれは絶対間違っておるということには——私は、そういう傾向があるという、たとえば、われわれ言うておるのは、大体国家公務員に対して一〇%ぐらいは上回っておる、平均しては、こう言っておるんです。しかし、その場合において、上回っておらない府県もあります。また、非常に上回っておる府県もあります。市町村においても同じであります。そういうことを個々の市町村、府県について、そうしてもし非常に上回っておるものがあれば、これは是正をしていただきたい、こういう指導をいたしておる。また、指導をするということは、自治省の大きな責務であるとわれわれは考えております。
○和田静夫君 私の質問に答えてもらえればいいんでね、質問に。
○政府委員(植弘親民君) いま答えをはしょりまして、仮定の数字だと申し上げましたが、仮定と申し上げましたのは、地方公務員が国家公務員と同じ経験年数で、同じ学歴の場合に、その国家公務員の平均給与を使ったならばどうなるかという計算をするという意味で仮定の数字なんでありますが、これは統計学的な処理でございますから、当然仮定の数字ということになります。現実に三六・三歳とかいったような職員はいないわけですから、そういう意味で仮定と申し上げたのですが、少なくともラスパイレス方式というのは、もう先生よく御承知のように、現在のこういった物価なりあるいは人事院が行っております官民格差の比較なりに使っております方式としては、現在の統計学的には最も精度の高いものであるということにされておりますので、私どもはその線によって処理しているわけであります。 それから、またもう一つ、一般行政職の職員数だけしか比較していないのは人数が少ないではないか、したがって、余り妥当性がないのではないかという御指摘のようでございますが、一般行政職の職員が、国家公務員と地方公務員とを比較する場合には最もよく対応する職種でございます。したがって、これをもって私どもは比較しているのでございますが、各地方団体におきましては、一般行政職の職員の給料表を中心として、たとえば教育でも警察でも、その他お医者さんでも清掃でも、そういったような職種が、大体均衡をとりながらそれぞれの団体が給料表をつくっております。そういう意味では、一般行政職の給料表を中心に比較することによって、おおむねその団体における給与水準というものが捕捉できる。その意味では最も確度の高いものであろうと、こういうように考えておるわけであります。
○和田静夫君 具体的な数字の論議は、どっちみち分科会なり地方行政委員会でやりますから結構です。問題は、都道府県の場合に二割しかない職員の給与をもって、給与が高い、あるいは人件費が多い、こういうような判断をするということは大変不当でしょう、一般的に考えてみて。そのことは間違いありませんね。二割の基準ではないですか。
○政府委員(植弘親民君) 先ほどもお答えいたしましたように、各地方団体におきます一般行政職というものの給与体系に占める比率は非常にウエートは高うございます。したがって、それをもって一つの判断基準とすることは当然だと思います。したがって、国家公務員と地方公務員との給与水準がどうかということになりますと、最も職種の似通った一般行政職によってやることが、比較としては現在のところ最も確率の高いものだというように考えております。
○和田静夫君 それじゃ、勝手に指定職の俸給表に該当させた——これ、各省のやつ全部とってありますが、次官だけしがなかったものが、いつの間にか審議官まで来ている。全部出して、そうして自治体におけるところの部局長と対比してみてくださいよ。ラスパイレスを出してください。それから現業の国家公務員と現業の地方公務員のラスパイレスを出してください。教員のラスパイレスを出してください、部分的に答えるなら。一覧表を出しなさいよ。
○政府委員(植弘親民君) 先ほどもお答え申し上げましたが、最も国家公務員と地方公務員の職務内容が類似いたしておりますのは、一般行政職、行(一)の適用職員でございます。先生いま御指摘の……
○和田静夫君 一番上の方は類似していないのですか。
○政府委員(植弘親民君) 行(二)のたとえば清掃職員ということになりますと、これも……
○和田静夫君 いやいや、宮崎県の副知事と自治省のたとえば財政局長と類似していないのですか。そんなあなた、国家公務員の場合だって一緒です。
○政府委員(植弘親民君) それからもう一つ申し上げますと、なるほど指定職との関係を比較するというのは一つのお考えと思いますが、全体的なマス的な統計処理になりますと、そのウエートは非常に小さくなりますから、全般の統計的な価値としては、それほど大差ないのではないだろうかと思います。
○和田静夫君 そうでしょう。大差がないのでしょう。
○政府委員(植弘親民君) 私の申し上げておりますのは……
○和田静夫君 もういいよ、わかった。
○政府委員(植弘親民君) 指定職を入れましても、その全体の数字の中で小さなウエートですから、ラスパイレス指数には大して影響がないということを申し上げたわけです。
○和田静夫君 質問に答えてください。出しますか、私の資料要求。
○政府委員(植弘親民君) 指定職については、ラスパイレスの比較はやってございません。
○和田静夫君 なぜやらないのですか。
○委員長(大谷藤之助君) 立って御質問願います。
○政府委員(植弘親民君) いま申し上げましたように、大量処理の統計的な数値からいったら、大した変動ございませんので、やってございません。
○和田静夫君 とにかく渡りとか、いろいろなことが問題になっていますけれども、私は、ここに各省のいわゆる次官以下の指定職俸給表該当者の給与表、全部集めました。人のふところを探ることはいやだから、こんなもの出しませんけれどね、こういうものの対比をやってみなさいよ。私は、総理大臣、いま自治体の問題がいろいろ論議をされることはいいことです。真実私は、地方自治の問題というのは、まじめな形で論議をされるということに大賛成です。そうして私は、その論議に加わる用意をいたしています。ところが、まじめに民主主義の基本としての自治の問題を論議をするときに、それを選挙戦との兼ね合いでもって歪曲をして国民の中に訴えていくという論法、こういう論法が行われていることは非常に不幸だと実は思うんです。私はいま三木さんを見ていて、もう少したったら、井出一太郎、永井道雄共著、近衛日記ならぬ三木日記が出て、三木さんの本心はこうじゃなかったけれども、こんなふうに流れていってしまったというような悲劇が起こることを実は大変心配していますよ。どうです。
○国務大臣(三木武夫君) 地方の統一選挙の場合に、地方自治体のあり方というものは一つの論議の対象になることは当然だと思いますが、それは当然に、事実を曲げて言うことは、それは公正な選挙の上から言ってよろしくないと。しかし、これは大きな問題を提起しておりますから、選挙のときに一つの大きなやはりこれは論議の対象になることは当然だと思います。
○和田静夫君 自治省はラスの指数を唯一の根拠にして国より給与が高いと、こう言われるのです。ところが、人件費が多い、それが地方財政の危機の原因だというような形で論議をいま飛躍をさせることが大切なんじゃないんだと私は思うんだ。ラス指数と人件費とは面接関係がないということはこの一覧表で明らかであります。仮にラス指数が高くても、職員の平均年齢が若ければ平均給与というのは低くなりますよ。そうすれば人件費というのは少なくなりますよ。それから、ラス指数が低いときでも、逆の場合は人件費が多くなりますよ。これは当然のことですよ。したがって、ラス指数をもって人件費が多い少ないというようなことは、これは論議のすりかえだと思うんです。側面的にお聞きになって、どうですか、中立的な立場にあると思われる文部大臣。
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。 それは確かにいまあなたがおっしゃったように、若い者が多いところと年寄りが多いところではラスの指数が違ってくることは事実です。しかし、若い者が多ければ将来これが財政の圧迫になることも、だんだんふえていって人件費がふえますから、圧迫になっていくことも事実である。それはそういう意味で、私たちはラスというものを絶対の数字としては言わないけれども、しかし、一応の基準をとる場合に何か目安というものがあっていいでしょう。それじゃ、一体人事院はなぜいままでラスパイレスの方式でもって国家公務員と、そして民間団体との比較をしておったか。私は、ラスパイレスというものが一応認められておるという証拠だと思うんです。人事院のこの審議の内容には、政府は何も直接どうしてくれああしてくれなどという関与はしておりません。私は中立的な立場でやってくれておると信じておるんでありますが、その中立的な、最もわれわれが信頼している人事院がやっておるその方式を、それは全然もう意味がないものであるとおっしゃるのはいかがかと思うのでありまして、正確で……
○和田静夫君 意味がないと言っていない。人件費の単位で言っている。
○国務大臣(福田一君) だから、完全に合わないということなら私はもう前からそれは申し上げておる。だから、私はきのうも、大体国家公務員に準ずるということであるし、ラスが一〇五くらいまでならば、大体これはそれぐらいのことはもう言うわけにもいかぬじゃないかと、こういうことを言っておるんです。それは私は、みんな良識があるんですから、国家公務員にしたって地方公務員にしたって。自分らの俸給がどんなに高いか安いかというようなことはすぐ、もう非常に敏感に調べていますよ。それから、こんなこと何度も言いたくないけれども、退職金や何かでも余り差がついているというのは、これまた一つの大きな理由でもあるし……
○和田静夫君 そんな話なら、またこっちの差で退職金みんな出すことになる。
○国務大臣(福田一君) いや、そうじゃないですよ。それはそういうことを申し上げておるんで、私は、ラスは全然意味がないということにあなたが……
○和田静夫君 全然意味がないなんて言っていません、人件費の高低との関係ではだよ。ちょっと質問の趣旨が違いますよ。
○国務大臣(福田一君) それじゃ、それについて答えましょう。あなたはこれはもう無意味であるというような意味におっしゃるのであるならば、われわれは承服いたしかねます。これは一つの基準として認めていいんだということをわれわれは固く信じておるということをここで明らかにしておきます。
○和田静夫君 人件費が高いという攻撃にはラスはなりませんと、こういうことを言っているんです。パーシェ、フィッシャーの問題だってあり得るんですから、比較技法としては。あなた自身が八日の日の和田質問に対して、比較技法については問題があるがとにかく地方公務員の賃金は高いんだと、そういう論法に結びつけられるから私は言っているのだ。速記録調べてみなさいよ。そういうような形に結びつけられるのはいかぬと、私は総理に言っている。いまもっとまじめに自治の中における財政の問題をどうするとかいうのなら話は別ですと言っているんですよ。したがって、あなたが基準と言われることに対して否定していませんよ、そんなことを。
○国務大臣(福田一君) これは先ほどあなたがおっしゃったように、この際、国民が地方公共団体のあり方、こういうことについて十分検討をしてやるのがいいんじゃないかということはあなたもおっしゃっておられるわけですから、こういう論議があるということ自体が、国民にどういうところを考えなければいけないかという注意を喚起しておるという意味では私は意味があると思っておるんです。でありますから、私はもう最初から人件費のことだけ言ってない。超過負担も解消せにゃいかぬということをちゃんと言っております。だから超過負担の問題も、しかし、あなたもう最初から五年間で一兆円だとか何とかという数字をつくって——つくったというか発表して——いや、あなたが言っておられるというのじゃないですよ。そういうようなことが出たりして、そういうことをやることがやはりこれも一つの選挙に対する何かのあれじゃないかととられてもいたし方のないようなことが起きるんですよ。そういうことをしないで……
○和田静夫君 いや、自治大臣、攻撃があれば防衛があるんですから。そんな論議をしているのじゃない。
○国務大臣(福田一君) いやいや、それはあなたの方が先に攻撃をしたんだ。超過負担を先に出したのはあなた方ですよ。それに対して、われわれは去年から超過負担の問題大いに言われた。実を言うと、私が二年前に自治大臣したときも大いにそのことを言われた。だから、私は皆さんの味方で大いに超過負担の問題でがんばった。それだから私は、そういうことであるが、是正はしてきておるけれどもまだ何がしかのものが残っておるであろうと、しかし、これを過去にさかのぼってやるということは、これは行政の一般的な法則からいってできないけれども、これからの超過負担については、これは絶対に解消するようにわれわれとしてはしなければならないと、こういうことを申し上げておるわけです。そうでしょう。だから超過負担の問題も考える、人件費の問題も考えるというところが、これが私は本来のこの姿である、また公正な態度であると、こう考えておるのでありまして、人件費の問題はいいんだとおっしゃると、やはりちょっと申し上げないわけにはいかない。
○和田静夫君 私はもっとまじめな論議をしているんですよ。あなたの方に超過負担なんて余分ないま答弁をしてもらわなくたって、私が言っているのは、ラス指数の高い自治体は人件費比率も高いというようなことはないんですと、そのことをお認めになったっていいでしょう。
○国務大臣(福田一君) それは高いのが必ずしも人件費が高いということに絶対になるかどうかということを私は申しません。しかし、大方の場合はやはりそうであるということを申し上げております。
○和田静夫君 いやいや、それだから、ないということは明確でしょう、自治大臣。それは明確なんですよ、そんなことは。
○国務大臣(福田一君) だけれども、政治の問題を論ずるときに、一〇〇%のもののうち一〇%から一五%の差があるからといって、それを理由にして、残りの八五%は間違いであるというような議論をしたんでは、これは私は議論はすれ違いになってしまう。私はそういう意味で申し上げておる。多くはやはりラスパイレスが正しいということを申し上げておる。
○和田静夫君 そんな論理なら話は別です。都道府県の場合には二割しか対象にしてないんです。八割を対象にせずして、二割のものをとらまえて、あなたの論理でいけば正しいなんていうことにはならぬじゃないですか、そんなの。
○国務大臣(福田一君) そこで私は、自分の経験も申し上げておるんです。大体一つの会社なり団体なりにおいて、同じ年数で、同じ学歴、経験をしておる者を大体のものを比較してみれば高いか安い——たった一人ででも、それはその人に右へならえするんです、大体上へいく場合も、下へいく場合も。だからその比較をよけいとったのがラスパイレスなんです。ただ、個人個人でとったんじゃないんですね。本当言うと個人個人でとっても大体わかりますよ、ここは高いとか安いとかいうことは。しかし、ラスパイレスというのは、それでは余りにも科学性がないというんで、そこで同じようなものは二〇%なり、三〇%のものを比較してみよう、こういうことでやっておるんですから、私の言っておることにも御納得のいかぬところがあるかもしれませんが、とにかくこの際、人件費の問題を一つの問題としてみんな国民全体で考えてみる必要があるということだけは間違いないと思っております。
○和田静夫君 人件費に限らず、全体の経済政策の流れ全部を国民が考えてみる必要があるんであって、そのことを抜きにして、何か一つのものだけを抽出して大きな声で考えてみますなどということではならないんです。そのことも含みながら、日本の地方自治がいま遭遇している問題について真剣に考えてみるときです、その論議をしましょうと。しかしそれは、ある一部分を歪曲をしながら、そして何かこう戦術的に使っていくようなことはお互い不幸なことになる、そんなことは総理やめましょうと、こういうことを私は言っているんですよ。総理、おわかりになりますかね。
○委員長(大谷藤之助君) ちょうど時間となりました。(笑声)
○和田静夫君 委員長、肝心なところでとぼけた漫談まがいのことを言ってもらっちゃ困るじゃないですか。
○国務大臣(福田一君) いまの和田さんの最後に言われたことには私は全面的に賛成です。それは全面的に賛成です。すべての経済政策、それからあらゆる面における行政の問題、もしこれを自治体の問題にすればまだほかにも問題はあるでしょう。しかし、そういう問題も全部含めて、この際みんなで検討をしてみるということは非常に有意義なことだと思います。その意味であなたが最後におっしゃったことには私は賛意を表します。
○国務大臣(三木武夫君) 私も、和田さんと同じように考えているんですよ、これは大きな転換期ですから。転換期に対応して経済政策から地方自治体のあり方を見直す時期だと考えます。
○委員長(大谷藤之助君) 時間になりましたから……。
○和田静夫君 最後に、資料の要求だけしておきます。 先ほど厚生大臣、農林大臣の関係で、いわゆる法が守られていないことが明らかになりました。このところは、大蔵大臣と恐らく法制局長官のところだと思うんですがね。したがって、地方財政法の十条から十一条にわたる部分について守られていないところ、これを資料として提出をしていただきたいと思いますが、よろしいですか。
○国務大臣(大平正芳君) 自治省からの御提示をまちまして善処します。
○政府委員(吉國一郎君) 自治省は恐らく各省取りまとめて私どもの方に相談があると思いますので、よく検討して……。
○和田静夫君 自治省、よろしいですね。ちょっと答弁しておいてください。
○国務大臣(福田一君) お手数をかけます。御趣旨のとおりやりたいと思っております。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして和田静夫君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 桑名義治君。
○桑名義治君 私は、まず最初に、政治資金の問題をお聞きいたしまして、クリーン三木とちまたで言われている三木総理の姿勢をお聞きをしておきたいと思います。 まず、冒頭ではございますが、先ほどのニュースの中で、田中氏金脈問題に終止符が打たれたと、すなわち、昭和四十六年から三年間の税額約三千八百万、追徴金二千三百万、これは個人の分でございますが、関連の企業を入れますと約三億円弱と、このいわゆる修正の申告が小石川税務署に午前十時過ぎに提出をされたと、こういうふうに言われておりますが、これは事実でありますか。
○国務大臣(大平正芳君) 所轄の税務署に申告書が提出されたということは伺っておりますが、それがどういう内容のものであるかは私まだ承知いたしておりません。
○桑名義治君 この問題で、こういった申告がなされたことによって、政府はこの田中金脈問題に終止符を打ったと、こういうふうに認識しておられるかどうか、この点について総理にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) これをニュースで聞かれたということでございますが、まだ国税庁から報告を受けておりませんから、これが最終的な調査の結果かどうか承知しておりませんから、いまここで、これで終止符が打たれたか打たれぬかということを私が申し上げることはできません。
○桑名義治君 こういった重大な問題、すなわち、昨日も論議の的になったわけでございますが、こういった新しい局面を迎えたときには即座に大臣の方に報告があり、そして行政上の連絡がとられるのが当然だと思いますが、こういった姿勢を見てみますと、この姿勢の中にすなわち現在の内閣の姿勢が浮き彫りにできているんではないかと、こういうように考えるわけでございますが、この点について総理、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) これは、恐らく、テレビでごらんになったですか。
○桑名義治君 テレビでも見ましたし、夕刊にももう出ております。
○国務大臣(三木武夫君) どうしてもやっぱり一般の報道よりもおくれる場合があると思いますが、しかしこれは、そういうことであるならば無論報告があると思いますから、それをよく聞いてみたいと思います。
○桑名義治君 この問題がこういうかっこうで一応現在のところ申告がされてるわけでございますが、すなわち、この点について政府はその政治責任についてはどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 田中角榮氏は、その財産問題につきまして世上いろいろ論議を呼んだことは御案内のとおりでございます。で、国税当局といたしましては、田中さんばかりでございませんで、納税者の納税に影響がある材料を入手いたした場合におきましては、従来、調査しすでに決定しておりましたものを見直してみるということは当然なすべきことであると心得まして、すでに御報告申し上げておりまするように見直しの調査をいたしたわけでございます。そして、その個人にかかわる分につきましてはほぼ終了の段階を迎えておるということは、今朝ほど御報告申し上げたとおりでございます。関連企業につきましてもいま数字を固めておりまして、三月中には結了に持っていきたいというのがいまわれわれの方針でございます。つまり、われわれといたしましては、なすべきことをなすべき時期にやっておるわけでございまして、政府といたしましてそのために政治責任を問われるというようには考えておりません。
○桑名義治君 委員長、ちょっと済みませんが、総理がまだ読んでないそうですので、夕刊が手元にありますから、ちょっと……。 昨日の質疑の中で、田中氏に対する課税措置問題は、終了した段階で国会の要請に応じ可能な範囲で報告をすると、こういうふうに局長から答弁がなされているわけでございますが、この問題はただ単なる一市井の人の脱税の問題でもなく、一国の総理としての不信が問われた重大な問題でございます。そういった意味で私はこの内容についての公開が必要ではないか、そして国民の不信を払拭していくのが、すなわちクリーン三木の大きな役割りではなかろうかと、こういうふうに考えるわけでございますが、この点についての御所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) この問題が出てまいりましてから、両院を通じまして各委員会でいま御指摘になりましたような問題が問題として出てまいったわけでございます。これに対しまして、大蔵省といたしましては、田中さんといえども、確かに内閣総理大臣の経歴を持たれた政治家であられますけれども、納税の角度から申しますと、一納税者にすぎないし、したがって、この方に対する納税は、他の方よりきびしくするわけにもいかぬけれども、他の方より甘くするわけにもいかないという、公正にやるという態度で終始してまいったわけでございまして、一方、国会におかれましては、これは確かに総理大臣田中角榮氏の、政治に対する、政治の信頼が問われておるものに関連した問題であるんだから、徴税当局としてもこの内容を明らかにして国民の疑惑を一掃すべきでないかという議論が当然出てまいったことは御案内のとおりでございます。しかし、徴税当局といたしましては、そういうことはできませんと。そういうことはわれわれが所得税法上、徴税を公正に保証してまいる上におきまして、職務上知り得た秘密は公開しないと、してはならないということになっておるのでございまして、国会といえどもその例外として認められていないわけでございまして、同じ国会の立法によってそうなっておるわけでございまするので、したがって、この詳細につきまして御報告することは差し控えさしていただきたいわけでございますけれども、しかし、できるだけ糾明をすべきであるという国会の御意思は尊重しなければなりませんので、可能な範囲で最大限の御協力を申し上げますという態度で、各委員会の御質疑にも答えてまいったわけでございます。で、今朝、国税庁長官からも申しましたように、この問題が一応落着を告げました段階におきまして、国会の御要請がございますならば、これまでの経緯、調査の方法、それからこの問題にまつわる問題点等につきましては、可能な限り解明していきたいということを申し上げておるところでございます。
○桑名義治君 では主題に入りたいと思います。これはたびたび論議をされている問題ですが、三木総理が田中内閣の閣僚を辞任をしたとき、金権政治を批判し、政治資金は個人に限ると、こういうふうに中央公論の中でも論文をお書きになっていらっしゃいますし、あるいは朝日ジャーナルの対談の中でもそのような意味のことをおっしゃっておられるわけでございますが、現在の三木総理のたびたびの答弁をお聞きしておりますと、その姿勢が非常に薄れていると、こういうふうに私自身も感じとっているわけでございます。で、まず端的にお伺いしますが、企業献金は悪ではないと、こうたびたび申されておりますこの問題について、いまだにそうお考えなのかどうか、この点伺っておきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 企業献金を悪だと言うことは私はできない。それはなぜかと言えば、企業も大きな社会的な存在でありますから、したがって、民主政治の健全な発展のために政治に対して応分な寄付行為を行うことは、これが違法だということでは私はないと思います。ただ、この政党というものは、私も政党つくった経験があるわけなんです。それはやはりその政党の政策とか、信条、これに共鳴した同志の結合体で、また、そういう考え方に対して共鳴する人たちが——やはりこれに対して活動の資金は要るわけですからね、それに対して応分の寄付をするというのが政党の原点だと私は思うんです。企業とかいうんでなしに、個人で、そうしてこういう政党が大いに伸びてもらいたいということで共鳴しておる人たちが政治の資金を寄付するということが、これがやっぱり一つの原点だと思うわけでございます。ただ、私が言ったときも、いつも私がいろいろそういう雑誌等の私の意見を述べるときにも言ってあることは、まだそれだけの社会的な慣習というものが日本ではでき上がってないし、それに対する税法上の処置などもとられておりませんから、すぐにそこまで持っていくことには無理がある。だから、ある経過規定を置いて、そこへ持っていくことが理想だという考え方は私はいまも変わらない。私は、三年ぐらいで経過規定はどうかということを常に言っておったんですが、なかなか三年ということは無理ではないかということで、自民党が先般党議として決定したことも、五年ということで私は妥協したわけなんです。しかし、その決定は五年後には、法律に違反することじゃないから、法律の中で規制ということは今度の政治資金規正法にはそういう禁止事項は載っておりませんが、党自体の意思において企業の、自民党の経常費については企業献金を辞退するという党の決定を行ったわけで、私の考えておる原則が——多少こう現実的な妥協はしましたよ、三年が五年とか。原則は曲げられたとは私は思っていないわけでございます。
○桑名義治君 三年と言われた三木試案が五年になった、そして五年でそれで打ち切るというのではなくて、五年たてばそこで検討するということですから、そのままいわゆる企業献金が残るという可能性を含んでいるんじゃないかと、こういうふうにわれわれは考えているわけでございますが、その点どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、自民党の党議決定は、五年以内にそういうことに持っていくということでございますから、五年たったらもう一遍考えてみるという党議の決定ではないということでございます。
○桑名義治君 そこで、総理の言われている、企業献金というものは決して悪ではないと、こうたびたび強調されておりますが、しかし、現在の献金の姿を私少し調べてみたわけです。それは疑惑のある国民協会の寄付金ということでいろいろ調べてみましたら、これ一覧表にしてみますと、不思議なことがよくあるわけです。すなわち、企業が多額の献金をしたときには、必ずそれに応じて国会の動きが、その企業にあるいはその企業団体、特殊な企業団体に有利な方向へ国会が動いているという、この事実でございます。この問題につきまして伺っておきたいと思いますが、まず、数字の上から申し上げますので、なかなかおわかりにくいと思いますから、一覧表も総理にちょっとお渡ししたいと思います。 この中の問題を一々取り上げてみますと、これまた大変な時間がかかりますので、そこで、まず最初に取り上げておる麦酒協会の問題を取り上げてみたいと思いますが、昭和四十六年度の上期には幾ら献金されていますか、自治省。
○政府委員(土屋佳照君) 昭和四十六年の上期、二千万円でございます。
○桑名義治君 いまの説明のように二千万円。そうしますと、昭和四十五年の十月にビールは一律十円の値上げを行っております。すなわち、百三十円から百四十円とこういうように上がっているわけでございます。で、昭和四十八年の下期、上期には幾らですか。
○政府委員(土屋佳照君) 昭和四十八年の下期が三百万円、四十九年の上期が二千八百万円となっております。
○桑名義治君 いまの説明のとおりでございますが、四十八年の十月に二十円の値上げを行い、これは百四十円が百六十円になっております。そしてまた、昭和五十年の三月には朝日麦酒が値上げをするんではないかと、こういうように言われております。百六十円から百八十円、これはもうすでに発表されているわけでございます。こういう一つの事例を見ましても、そういう疑惑をわれわれは持たざるを得ないということでございます。 一つだけではなかなかあれでございますので、二、三の例を取り上げてみたいと思いますが、次に最も端的な例を示しておりますのが、その表で見ますと一番最後の三菱重工業の問題でございますが、昭和四十七年の下期には幾ら献金していますか。
○政府委員(土屋佳照君) 四十七年下期が四千七百八十万円でございます。
○桑名義治君 いまお聞きになったとおりでございます。そうすると、いわゆる時の動きというものをながめてみますと、三菱重工業が生産するT2型の練習機は四十七年の当初予算でゼロ査定。復活折衝で二十機分だけ認められたが、四次防の策定までは予算執行停止の条件。そのために三菱重工業は設備、従業員が遊休状態になる。秋の四次防の選定の段階で一時T2は輸入に切りかえられることになったが、十月の五日、これは十月の五日でございますが、ところがその二日後に国産の方針に逆転。さらに、その二日後に首相裁断で五十九機生産。これが決定しております。これは約八百七十億円、こういうデータになるわけでございます。 で、まだ細かい点については、いま総理に差し上げているその中身を一々説明を申し上げますと、全部符合するわけです。こういった状態に置かれている以上、われわれは疑惑の目を持たざるを得ない。企業献金というものが、すなわち金で買われている。いわゆる政策が金で買われている、行政が金で買われている、こういうふうに疑惑を持たざるを得ないわけでございますが、それでもこういった事実の上に立ってでも、総理は企業献金は悪ではないと、こういうふうにお考えでございましょうか。
○国務大臣(三木武夫君) まあ私自身が考えてみても、私自身が政権を担当してやるときに、私の頭には幾ら政治の献金をもらっておるから政策をどうしようという考えは全然ないですよ。全然ない。だから、これで影響を——結果的にいろいろ御指摘になれば、それは疑惑を持たれる場合があるのかもしれぬけれども、実際問題としては、何千万円寄付があったから、それで自民党の政策を曲げようという考え方はもう全然ないです、それはね。ただしかし、私が言うのは、今度の政治資金規正法の中でも改正をしたいなと思うことは、一定のやはり節度がなければいかぬ。だから企業献金ばかりでなしに、ほかの団体も一緒ですよ。私は個人が中心がいいと考えるのは、企業ばかりでないのですよ、ほかの団体も同じことですが、そういう点で、企業も団体もある一定の最高の限度というものを設けることが、幾らでもそれは無制限というよりも、限度を設けることがいいということと、内容について、これはガラス張りがいいと、ガラス張りが。何かこう内容が、会費などというようなことで企業の献金が明白でないようなことは、これはやっぱり明白にした方がいいというようなことで今度の改正案というものを検討し始めておるわけで、これを寄付と自民党の政策とを結びつけて、そういうところに弊害があって、だから企業の献金は悪だという、そういうふうには考えないんですよ。ただ、国民にいろんな疑惑を持たすようなことであってはいけないから、やはり献金には一つの節度、あるいはそれが国民の批判の前にさらされるような、何といいますか、公開されたものであることが必要である。こういう点で改正をしたい、過渡期の処置としては。そういうふうに考えておる次第です。
○桑名義治君 そういったことで、献金には節度が必要だということで、今回の自民党の改正案等についてはその限度額を設けたと、こう仰せでございます。しかし、私は、さらにお聞きしておきたいことは、私鉄の十四社のいわゆる国民協会の寄付、これをもう一遍、この二枚目にありますが、見ていただければおわかりと思いますが、昭和四十五年の十月の五日に値上げをしております。これは普通が一五・五、通勤が四八、通学が一五・六と、それからさらに昭和四十七年の五月三十一日には、これは私鉄の申請をしております。ところが国鉄の料金値上げを凍結するという事柄がありまして、これとともにこれは未発表のままになっております。ところが、昭和四十九年の七月の二十日の日に、さらにこれ私鉄料金の値上げをしておりますが、この中身を見てみると、たとえば昭和四十五年の十月の五日のこの値上げのときには、これは東急が五百万、それから西武三百、京成三百、京王三百、小田急三百、京浜急行三百、東武五百、阪神三百、南海三百、近畿五百、名古屋二百三十と、こういうようにずっと献金しておるわけですね、ほとんど全社にわたって。それと符合したように、いま先ほど申し上げましたように、四十九年の七月の二十日のときも、同じようにほぼ同額の金がずらっと献金をされておる。こうなってみますとね、これは疑うなと言われても疑わざるを得ないという結果が出ているわけです。この点はどうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 献金についていろいろ御指摘がありましたけれども、実際問題として、自民党の政治が献金によって動かされておるということはないんですがね。全然われわれはもう頭にないんです。一体どこの企業がどれだけ自民党に寄付して、その寄付に対して何かしなきゃならぬという考えは、私の頭の中に一%もないということ、一%もない。これによって私が政権を担当する間の政治を左右しようという考え方は、もう頭の一%にもないということ、それはどうか皆で信用してもらいたい。そんなにね、自民党の政治が一千万円——三百万ですか、いま。三百万円もらってそれで政治が曲げられるという、自民党がそういうふうな性根なら、これだけの政権を担当して自民党政権というのは続いてないですよ。そういうふうな、それほど自民党のモラルというものは低いものではないということはひとつ御信用願いたいのでございます。
○桑名義治君 先ほど自民党の素案の中で、いわゆる政治資金規正法のこれは大綱でございますが、この大綱を読ましていただきました。そして検討さしていただいたわけですが、これも実は総理の手元に差し上げているわけで、一覧表つくりました。これも昭和四十九年の上期に国民協会へ寄付した実績、主な会社をずっと挙げてみました。そして、資本金と対比しまして、そして限度額がはじいてございますので、これを見てみますと、昭和四十九年の上期に、京王帝都が約六百三十万、これだけのいわゆる献金がなされております。小田急あたりも六百三十万、三菱油化が六百七十万、東武鉄道が八百二十六万、こういう数字が挙がったわけでございます。それと対比しまして、この原案によって資本金におけるパーセントをはじいてみましたら、京王帝都の六百三十万に対して、この京王帝都は三千五百万までは献金ができるということになるわけです。それから、小田急は六百三十万ですが、これも資本金ではじくと約四千万まではできるという限度額。三菱油化が六百七十万で四千万、東武が八百二十六万で四千万。これは新日鉄あたりは一億までできますが、こういう、まだ細かい数字はたくさんありますけれども、こういう数字が出ているわけです。 そうしますと、少なくとも現在の寄付を行っている行為の上から判断をすると、これは最高額、上限を決めたのではなく下限を決めたことになる、これまではできますよと。こういう判断ができるということが一つと、それと同時にもう一点考えておかなければならない点は、いままでの寄付額を下回ることがないような限度額が出るようになっている、こう疑われてもやむを得ない。これで果たしてこのいわゆる政治資金の改正法案が適当な法案だと、こういうふうに総理はお考えでございますか、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私がいま言ったように、理想としては、党費や個人献金で、企業または団体のそういう寄付は、個人や党費によって賄っていくことは理想だと思いますが、その間の過渡期があるわけですね。そういう時期に、いままでは野放しですからね、金額も多い。それを一応の限度を設けたということは、それは一つの前進だと思います。限度額設けたのは前進である。いままでだったら、そんな幾らでも金額多々ますます弁ずということで、そして無制限にできたのを、ある一定の最高限度というものをやはり決められたことは、まあ節度という中に入るんだと。その決め方がもっと低いところに決めるべきだという御意見はあると思いますよ。しかし、一応の限度を決めたということは、政治資金に節度を持たそうという、改正をしようとするものの意思はその中に出ておるという評価を行うものでございます。
○桑名義治君 私は全然評価するわけにまいりません。これは、節度というならば、いままでのいわゆる実績よりも下回る、もしくは実績の中の適当な部分を頭にする、そういった法改正があってこそ私は節度だと思う。いままでそれだけなされたことがない。実績がない以上のところに、限度額の上限が設けてあるということは、これは決して節度ではないと思うんです、私は。おまけにこれだけではございませんよ。私はこういう面も調べてみた。この会社が政治献金の寄付のほかに、毎月毎月のいわゆる会費を納めている。その会費を見てみましても、たとえば京王帝都の場合は毎月これ四十万です。四十万ですから年間四百八十万。その四百八十万と六百三十万を足してみましても限度額の三千五百万までにははるかに及ばないという、こういう形が出ているわけです。あるいは小田急の場合を考えてみましても、これは毎月四十万の会費です。で、上期が六百三十万ですが、月に四十万とすれば、年間に四百八十万。四百八十万と六百三十万を足してみても四千万にははるかに及ばない、こういうような結果が出るわけでございます。こういった結果を見た以上、私は、これは政治献金を規制した最も有効的ないわゆる改正法であるというふうにはどうしても考えられない。私は、少なくとも常識のある人であるならば、これはもう当然、桑名おまえの言うことは当然だと、こういうふうに私は賛辞を贈ると思いますが、改めてお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 政治資金規正法というものは、これが永久のものではありませんから、一応の限度を設け、しかも企業の場合は、いわゆる政党以外の寄付というものは改正案の中で非常な制限を受けるわけでありますから、企業自体とすると、そんなに現状よりも大きな負担には私はならぬと思います。これは皆いろいろな政治資金の寄付で、これは最高限を決められたわけですから、自民党ばかりでもないわけでしょうから、そういう意味においてまあ一歩前進である。いろいろこれはやっぱり団体の規制も伴ってやるわけですからね。一応ここらで一つの限度を設けて、その中でもう少しやっぱり限度額を低く決めるべきだということになれば、それは改正していけばいいわけで、野放しの状態から最高限度を決めたということは、これはやはり一つの一歩前進であるという評価を私は行うわけでございます。
○桑名義治君 私は、総理のいろいろな答弁を聞きましたが、大変に不満であり、非常に不可解である。この不可解な部分を残しながら、時間もございませんので、次へ進みたいと思います。 次に、同じく総理の姿勢を問われるいわゆる独占禁止法につきまして、少しお伺いをしておきたいと思います。 わが党は独占禁止法の改正問題を、社会的公正と経済秩序を守る、そういう考え方の中でこの問題に鋭意取り組んできたわけでございますが、そこで、政府は五日に独占禁止法の改正政府素案なるものを発表いたしました。いままでなかなかこういった素案的なものは出てこなかった、あるいは発表がなされていなかったんですが、今回に限ってこういう発表がなされたわけですが、この意味はどういう意味でございますか、まずここからお尋ねをしておきたいと思います。
○国務大臣(植木光教君) お答えを申し上げます。 今回の改正案の作成に当たりましては、御承知のとおり各界有識者の方々の御意見を聴取いたしますために懇談会を設けまして、その御意見をお聞きしました段階で、事務的なレベルでのいろいろな作業に当たりまして、そしてこれはどの法案についてもそうでございますけれども、その法案が成案を得ますまでに骨子をつくり、さらに素案となり、大綱となり、そして法制局との調整に当たりまして、またその間、与党との調整に当たりまして法律案というものができ上がっていくのでございまして、同じような考え方で進めてまいったのでございますから、特別に他の法案作成の作業と異なっているということはないと私どもは思っております。 〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕
○桑名義治君 そうしますと、政府素案ができた以上は、これは政府内部の調整は完全に終わっておりますか。
○国務大臣(植木光教君) この素案は、関係閣僚懇談会を開きまして、そこで総理府でつくりました素案についての御審議をいただきまして、了承をいただいたものでございます。
○桑名義治君 通産大臣、どうですか、納得していますか。
○国務大臣(河本敏夫君) いま総務長官のお述べになったとおりであります。
○桑名義治君 福田副総理、これ御納得でございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 納得をしております。 ただ、素案が発表されました翌日の新聞を見ますと、株主総会優先論というような声がありましたので、政府素案はさような趣旨であればこれは大変な間違いだ、そうじゃないんだ、公取の審決は株主総会に対しまして拘束力を持つんだ、持つべきものであると、そういう解釈で私どもは決めたんだということは私、発言しておきました。
○桑名義治君 まあ通産省はしぶしぶおろした、納得をしたような形になった。しかし、この政府素案をさらに調整をするために自民党に働きかけていると、いろいろなうわさがちまたに飛んでいるわけでございまして、そういった意味でお聞きをしたわけですが、次に、自民党の調整は大体いつまでに終わるのかという問題でございますが、最近の新聞紙上、きょうの新聞あるいはきのうの新聞を見てみてもわかりますが、非常に時間がたつのではないかというふうに言われております。今国会に間に合いますか。どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 当然にこの国会に間に合わせなければなりません。この国会に提出をする、このことを前提にして、自民党の調整は、いま何日までということは日を切るわけにはいきませんが、私は促進するつもりでございます。
○桑名義治君 報道関係の現在の紙上を見てみますと、四月には完全にずれ込んでしまうというふうな情勢が伝えられているわけでございますが、四月の半ばを過ぎてしまいますと、国会審議というものが完全にでき終わらない、そのままにこれが流れてしまうという可能性が出てくるわけでございまして、そういったことを考えますと、政府では一応確定案が提出をされたということになりましても、現実は審議の期間がないでそのまま流れてしまえば、提出をしなかったことと同じことに結果としてはなるわけでございますが、その点は間に合うように提出をしますか。とするならば、いつを限度として提出をしなければならないと踏んでおりますか。
○国務大臣(植木光教君) この改正につきましては、総理が国会におきましてもたびたび、改正いたしたいということを申し述べておられるのでございます。したがいまして、ただいま精力的に自由民主党との間の調整に当たっているのでございまして、早期にこれが成案を得ますようにいま尽力をいたしているのでございます。いつ提案をするかということにつきましては、できるだけ早い機会にということしかいま申し上げられない状況でございますけれども、申すまでもなく、両院におきましてこれが十分に審議せられますだけの期間を考えまして提案をすべく、せっかく努力中でございます。
○桑名義治君 そうしますと、大体いつごろがめどになりますか、経験上から。
○国務大臣(植木光教君) 三月下旬を目途といたしまして努力をしておりますことは、衆議院におきましてもあるいはまた参議院におきましても申し述べてまいったところでございまして、そのための努力をいま一生懸命にやっているところでございます。
○桑名義治君 そうしますと、三月末ということを限度ということでよろしゅうございますか。
○国務大臣(植木光教君) それを目途に一生懸命がんばっているというところでございます。
○桑名義治君 そこで、伝えられておりますところによると、自民党におきましては公正取引委員会の独自性というものを問題にしていると、こういうふうに言われているわけでございますが、この点総理は、今回の改正のみならず、将来にわたって公取の独自性というものを守っていこうと、こういうふうにお考えかどうか。まず総理、公取委員長、通産大臣、この三人にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 当然に公取の独自性というものは保証されなければ、公取の目的達成はできないと私は考えています。
○政府委員(高橋俊英君) 公正取引委員会がその独立性を保持し得なくなるということは、もう存在価値を失うに等しいと私は思います。したがいまして、これは絶対に確保しておかなければならないものであると、さようにかたく信じております。
○桑名義治君 企業分割の問題でちょっとお尋ねをしたいのですが、主務大臣の同意にすべしとの通産省あるいは自民党の強い要求があるというふうに聞いております。ところが、「同意」と「協議」と、この二つは法律上どういうように違うのですか、法制局長官。
○政府委員(吉國一郎君) 現在ございます法令で「協議」と「同意」、そういう規定を設けておりますのは、もう数十に上ると思います。私的独占禁止法関係のものでございましても、現在の不況カルテル、合理化カルテルの規定、この公正取引委員会が認可をいたします場合に主務大臣と協議をするという規定がございます。また、私的独占禁止法の適用除外を定めておりますたとえば中小企業団体の組織に関する法律、これは中小企業者が相寄り相集まりましてカルテルを結成して、中小企業のための防衛措置を講ずるということで、これも形式上は私的独占禁止法の適用を除外する規定を設けておりますが、その場合にも、これは主務大臣が認可をいたします場合に公正取引委員会にあるいは協議をし、あるいは公正取引委員会の同意を求めるという規定になっております。現在の法律といたしましては、そのように、「協議」と「同意」とが同じ法令の中で使われている例もございます。 「協議」というものは従来、戦前からたくさんの規定がございますが、単にAとBがお互いに相談をする、意見を交換し合うというような軽い程度のものではなくて、お互いに自己の主張するところについて相手方の納得を得るまで十分な説明をし、相互の意思を通じ合って意見を交換をして、その上で一定のことを行うということを規定したものであると思います。 通常の行政機関でございますと、たとえば通商産業大臣が大蔵大臣に協議をするという規定がございますと、その協議の結果、大抵の場合には一定の意思の合致点に達するだろうと思われますけれども、どうしても意思が合致しない場合においては、大蔵大臣と通商産業大臣の上にはさらに内閣という機関がございますので、そこで調整が行われて、結局意思の合致を見た上で行政が執行されるということがほとんど多くの場合でございまするけれども、まあ場合によっては協議が整わないということもあり得ると思います。その場合には、規定の上ではAは何々を行う場合においてはBに協議しなければならないという場合に、協議が整わなくても最終的にはAの意思によって行政が執行されるということは最終的な場合にはあり得るということでございます。 これに対して「同意」の場合、Aが一定の措置をするためにはBの同意を得なければならないという規定でございます場合には、いろいろ話をした末、どうしても同意が得られないという場合にはその措置をとることができないということ、最終の段階においては「協議」と「同意」とでは違ってまいるということに相なると思います。
○桑名義治君 そうしますと、端的に申し上げると、「協議」よりも「同意」の方が非常に強い意思が働くということになるわけでございますね。そうすると、いま私がお尋ねしておりますのは、企業分割についてこれは主務大臣の「同意」を必要とする、こういうふうに変えろというような声が非常に強いと、こういうように聞いておるわけでございますが、この点についてはどうですか。
○国務大臣(植木光教君) 政府素案には「協議」という考え方を打ち出しておりまして、党とただいま意見調整中でございまして、いろいろな御意見が出るのは当然でございます。これでなければならないというようなことで党の御意思が決まっているわけではありませんで、いま意見の調整中でございます。
○桑名義治君 意見の調整だということでございますが、仮にここで「同意」ということになれば、これは完全に公取委員長の職権行使の独立性を害するということになる、こういうように私は判断をするわけでございますが、この点について公取委員長の見解を求めたい。
○政府委員(高橋俊英君) 仮に「同意」ということになれば、全くお説のとおりでございます。
○国務大臣(植木光教君) ただいまの問題につきましては、法制局の御見解を聞いているのでございますが、法制局の見解としては、「同意」という場合には二十八条との関係が問題になるというような御意見を持っておられるように伺っております。
○桑名義治君 そこで政府としては、「協議」であくまでも押す意思なのか、あるいは「同意」に妥協をせざるを得ないのか、これを最終的に認めるのか、そこが私は一番問題点だと思うんですよ。この点を明快に明確にしておかないと、この独禁法は完全にこの改正というものが骨抜きになるおそれがあるわけです。この点について最終的に総理の意見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) しばしば申しておるように、独禁法の基本というものは守りたいということを私は言っておるわけでございます。
○桑名義治君 基本を守りたいということになれば、あくまでも「協議」で総理は押すということでございますね。確認しておきます。
○国務大臣(三木武夫君) 自民党と調整中でございますが、私は骨抜きにはしないということを言っておるわけでございますから、そういう考え方で党との調整も行いたいと思っております。
○桑名義治君 公取委員長は、これが「同意」になったら、骨抜きになって、骨抜きになるというよりも、職権行使の独立性を害されると、こういうふうに言っているわけです。それを受けて総理は明快なお言葉が出ないんですよ。ただ基本の方針を真っすぐにして曲げないということを言っているだけのお話で、曲げないというならば、これは当然「協議」でなければならないわけです。どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 政府の原案も素案も、「協議」ということで党と調整をしておることからもおわかりがいただけると思います。
○桑名義治君 それは表面上の理解はできるんです。しかし、自民党あるいは通産省の内部の中ではこれを「同意」にしろという意見が非常に強いと。で、総理であると同時に自民党の総裁でございますので、総裁がいわゆる総裁としてのリーダーシップ、総理としてのリーダーシップを発揮するのはいまだと、こういうふうに私は判断しているわけでございますので、明快な答弁をお願いします。
○国務大臣(三木武夫君) しばしば言っておりますように、やはり公取の独立性というものは尊重をしていかなければならぬと言っておるし、また独禁法の骨組みというものを崩す考えはないと言っておるのですから、そういうことで、また政府の素案も「協議」ということになっておるのだということでひとつ御理解が当然にいただけるものだと考えます。
○桑名義治君 あくまでも明快にはお答えにならないようでございまして、余裕を残していらっしゃるようでございます。ちょうど、論議をしておりますと、ウナギを手でつかんでいるみたいな感じで、なかなかつかみようがなくて困っているわけでございますが、 〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕 いずれにしても、この問題は、今後の独禁法がどういう方向に進むかという重大な問題でございますので、いま政府素案としての「協議」という線をあくまでも堅持をしていく、こういう決意を一応総理はお持ちであると、こういうふうに理解をして次へ進んでいきたいと思います。 そこで、企業分割命令の効力について政府は昨日から統一見解的なものを出しているわけでございますが、公正取引委員会はこの見解に拘束をされるのですか、どうですか。
○政府委員(高橋俊英君) そのお話しになった方によって多少言葉のニュアンスが違いますので、私がどういうふうにいまそこを把握するかということでございますが、私としては、総務長官がこれは総理を交えた統一見解であると言って出されたその中のせんじ詰めたところを申せば、要するに、仮に特別決議で否決されても、なおかつ独禁法の審決による命令は、確定すればこれを実行しなければならぬ義務がある、ですから、それに従わない場合にはどうしても私どもとしてはこれは間接強制の手段に訴えざるを得ないんだと、こういうことでございますから、会社が特別決議で反対をしたとしても、会社に対する命令は会社全体を拘束するものである、こういう基本認識を持っておるのでありまして、その点では私は総務長官がいろいろとお話しになったことと実質は変わっていない、法律的な解釈においては、と思います。せんじ詰めれば、私は、そういうことになるのでありますから、基本的に言えばですね、まあ公法優先というふうな観念が頭にあってのことでございます。
○桑名義治君 では、独禁法の第七条の営業の一部譲渡にいわゆる重要部分の譲渡も含むと、こういうふうにお考えなのかどうか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) 含むと解します。
○桑名義治君 そこで、政府統一見解についてお聞きをしたいのですが、特に現段階で統一見解をこういうふうに発表なさった理由はどこにあるわけですか。
○国務大臣(植木光教君) これはいわゆる審決が確定をいたしました際にその会社が義務を負うわけでございますから、その会社がとるべき手続について統一的な解釈を明確にしておくことが必要であろうということで見解を出したわけでございます。
○桑名義治君 統一見解の前段では、審決確定によって会社は審決内容を実施する義務がある、こういうふうにうたっているわけです。ところが、後段では、会社はそれを実現するように努めなければならないと、非常に言葉としてやわらかくなっている。これは、私は、実現しなければならないと、こういうふうに規定すべきだと思いますが、この双方の前段と後段の間に矛盾はお感じになりませんか。
○国務大臣(植木光教君) 義務につきまして特別の配慮を前段と後段においてしたわけではございませんで、義務はあくまでも消滅しないということを明らかにしたものでございます。
○桑名義治君 そうすると、実現しなければならないと、こういうふうに規定するのが本当じゃないのでしょうか。
○国務大臣(植木光教君) けさの御質問に対しても申し上げましたように、いろいろな手続、措置が必要でございまして、その中の一つとして、営業の重要な一部の譲渡の際には商法との関係が出てくるわけでございまして、その特別の決議とのかかわり合い、あるいはまた、裁判所におきまして公取委員会の審決というものを支持する判決が出るというようなことも考えられます。いろいろな事態が考えられるわけでございまして、しかもその間、当事者でございます会社は、公正取引委員会やあるいはまた主務官庁といろいろ協議をし、みずからも努力をする、そういうことになるわけでございますから、したがって義務というものはあくまでも消滅いたしませんから、その義務を果たすための努力はしなければならないと、このように考えております。
○桑名義治君 そうすると、朝にも論議がありましたが、株主総会で特別決議でその分割がいわゆる否決をされた場合、そういう議案が否決をされた場合、これは審決が執行できないわけでございますが、このときどうするかということをもう一遍確認をしておきたいと思います。
○国務大臣(植木光教君) 審決を守り従う義務というものが会社にあるわけでございますから、そのためのあらゆる努力をしなければならないわけでございます。そして、真摯な努力が行われないときには九十条の罰則が働くということは明らかでございます。そして、さらに、いまも申し上げましたように、この審決に従いませんときには審決違反の告発もございましょう。あるいは会社みずからそれができないときには、審決を取り消すことを要請した訴訟も行われるでありましょう。それに対して裁判所の判決が出るわけなのでございまして、そういうようないろいろな事態というものを考えていきますと、審決が確定している、あるいは裁判所がその公正取引委員会の審決を支持したと、そういうような中において、会社がただいまのような問題を真摯に解決をしないということは予想されないのでございまして、私どもといたしましては、あくまでもこの審決というものは最終的に守られるということの担保は十分にあるというふうに確信をいたしておりますので、あのような見解に基づきまして、現在の第七条というのが二十数年間同じような考え方で運用されてまいったのでありますから、私どもとしては、これで十分実効を期することができると、こういう考え方でおるわけであります。
○桑名義治君 総務長官の答弁を聞いておりますと、公取のいわゆる審決が必ず守られるという前提の上に立っての論議になっているわけです。ところが、これは、いわゆる不正常な状態に置かれているために正常に戻すという、いわゆる不正常というまず最初の大前提があるわけでございますので、まずそういうような善意の前提のもとに法律を組み込むということは、これは私はまずもっておかしいのではないかと、こういうふうに考えるわけでございますが、そもそも重要部分の譲渡を株主総会の特別決議にかけるというこれは取締役の専断から株主の利益を守るという私的利益相互の調整のためであるはずでございますし、そこで、なぜ企業分割について株主総会の特別決議事項としないという立法ができないのか、この点についてまず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(植木光教君) この審決に至りますまでに、審判の過程でいろいろなことがございます。また、同意解決が行われるということが理想的であり、またアメリカの例をとってみましても、ほとんど全部同意審決でございます。さらにまた、重要な一部の譲渡というものはごく限られたケースであろうと思うのでございます。したがいまして、そういう限られたケースをいま問題にされており、また私どもも問題にしているわけでございますが、私どもといたしましては、この審決というものには従わなければならないという義務がありますし、いろいろな担保がされておるわけでございますから、実効を期することができるということの確信のもとで今日に至っているのであります。これは繰り返して申し上げますけれども、第七条が今日までその考え方で運用されてきたということをごらんいただきましても御理解をいただけるのではないかと思うのでございます。
○桑名義治君 ここで問題になるのは、もしその審決に従わない場合、九十条のいわゆる罰則規定もあるからいいじゃないかと、こういうふうなお答えもあったようでございますが、九十条の罰則規定になりますと、これは自然人に対する罰則であって、法人に対する罰則——懲役何年と法人が入るわけにいきませんし、こういった立場から考えたときに、真摯ないわゆる検討がなされたかどうかというその判定はどこでなされるのかという、こういういろいろな問題が出てきます。そういった意味でこういうふうな私たちが質問をしているわけでございますけれども、だから、その前提をはっきりしておかないと、この法律が完全に死んでしまう恐れがあるわけです。そこはどうですか。
○国務大臣(植木光教君) 真摯な努力が行われているかどうかということについての判定は、九十条の罰則を働かせますのはこれは公正取引委員会でございますし、これは先ほども申し上げましたけれども、罰金は大幅に上げることになっておりますし、これは行為者に対しましてもそうでありますし、また会社に対しましても同じことでございます。さらに、裁判所におきまして判決が行われるときに、やはりその真摯な努力が払われてきたかということも十分に勘案をせられるというふうに考えておるのでございます。
○桑名義治君 これも午前中からの論議と同じように、かみ合わないで最後まで進んでいく恐れが十二分にあるわけでございますが、そうしますと、取締役あるいは会社は、いかなる場合に審決違反の罪に問われるのか、それを伺っておきたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) 法律案がまだ固まっておりません段階でございますから、私は仮定の問題として申し上げますが、現在の七条でもそうでございます。審決違反というのはどうして起こるか、まあ起こる場合が当然あるわけでございます。むしろ問題なく合意に達する場合はこれは考える必要はないわけです。そこで私ども考えておりますのは、午前中に申しましたけれども、最初から審判手続によると。 ということは、大体これはまず私どもの想定でございますが、一年以内に話のつくのはむしろ相手方が積極的に賛意を表した場合だけである。恐らくそれ以上の期間を要するのではないだろうか。一年かあるいは二年か、それは私は時間は予想できません。しかし、恐らく、もめた場合には、主務官庁も当然関係者として十分その審判の過程で意見を述べることができますし、関係人も当事者も皆意見を十分に述べる機会がございます。そういう段階ですから、仮に年一回の総会、株主総会が年一回になったとしましても、その間には株主に十分説明する機会があるはずです。そこで三分の二の多数決の特別決議を得るようにするかどうかは別といたしまして、総会は必ずある。私はないということはあり得ないと思います。——反対の場合ですよ。同意の審決の場合だったら問題ないですけれども、反対の場合。そういうときに何ら説得もしない、それでつまり従おうとしないという場合には、私はそれだけ時間的余裕があるのですから、審決が下されて審決確定に至るまで三十日のちゃんと余裕がございます。その前だから一年有余、少なくとも一年有余の期間を経ておる。したがって、これは反対であるというのなら、私は当然高等裁判所に上訴すべきであると思います。反対ならば従う必要はないんですから、それは裁判で決着をつける。最高裁まで争うということも当然の権利としてある。 その権利を使わないで放棄して、わざわざ確定するまで待ってからやらない、こういうのは私どもはどうしてもやっぱり法に従う考えがないものと、こういうふうに断ぜざるを得ないだろう。大抵の場合においてこれは告発の対象となり得るし、また、検察庁等においてもどういうふうに扱われるかは別としまして、実質はそういうことになります、法律的な問題については。上訴の権利を放棄してまで争っておいて、そして審決確定後に履行しないというのは、やっぱり私はこれは法を無視するものではないかと思います。
○桑名義治君 そこで、この企業分割の問題について最後の問題としてお聞きしておきたいことは、協議にしろ同意にしろ、その同意と協議を公取にする、その時期は大体いつですか。問題が起こる、そしていろいろ分割命令を出す。その前のいろいろの検討がございます。その同意をする、協議をする時期をいつと考えておりますか。
○国務大臣(植木光教君) この点についてはまだ詰めておりませんけれども、申すまでもなく、審決が確定します前にあらかじめ行われるということは当然でございます。
○桑名義治君 いつということは明快にできないということですね、いまのところ。
○国務大臣(植木光教君) どの時点で行うかということにつきましては、まだいまのところ詰めていないということでございます。申すまでもなく、審決の行われる前であることは当然でございます。
○桑名義治君 そこで、企業の分割が行われましても、それと関連して株式保有の問題をお聞きしておかなければならないと、こういうふうに思うわけですが、政府の素案の中では、独占状態では三つの事項に該当する場合があると。そのうちの(イ)で「一社又は二社の市場占拠率が著しく高いこと」、一社が二分の一、二社で四分の三と、こういうふうに言っているわけですが、この市場の占有率というものは製品で決めるんですか。製品ごとに決めるんですか、それとも総合力をもって判断するんですか、まず聞いておきたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) 原則として商品というふうに考えているわけで、まあ製品でございますな。ですから、その製品の分類を非常に細かくできるものとできないものとございます。しかし、余り細かい部分については、それをもってどうこう言うということは余りない。少なくともこれは同じ命ずるにしても、一部の譲渡のうちの特別決議を要しない部分と、こう考えます。
○桑名義治君 総務長官、どうですか。
○国務大臣(植木光教君) 政府素案には、御承知のとおり、「一定の事業分野」と明記いたしているのでございますが、「一定の事業分野」でございまして、個々の単品になるかどうかということについては、まだこれから調整をしていかなければならないと存じます。
○桑名義治君 そこにもう公正取引委員会とそれから政府の見解の相違が出てきたようでございます。 私はここに資料をつくってみたわけです。——いま差し上げましたこれは「鉄鋼業界の株の持合い、役員派遣状況」と、それから小さな紙の方は「新日本製鉄及び新日本製鉄グループの鉄鋼業界における総合力」、これを一覧表にしてみました。 そうしますと、これは大変なことになるわけでございますが、この資料でもおわかりになりますように、新日鉄が株式保有第一位あるいは一〇%以上株を持っている会社のシェアを合計をして、さらに新日鉄グループとしての製品ごとの市場占有率、こういった実態をながめてみましたらこういうふうになるわけでございますが、この実態を見て総務長官、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(植木光教君) これは、法律の改正案を私取りまとめているのでございまして、個々の企業についてどのように判定するかということは、私から申し上げることは控えさせていただきたいと存じます。
○政府委員(高橋俊英君) ただいまいただきましたこの資料、私実はここで初めて見ましたので、この場で直ちに私どもの方の資料と突き合わせする余裕はございません。 私どもの方では、大体そういうふうなお話が出るということでありましたので、新日鉄に関する関係の資料を一応整えました。要するに結論から申しますと、こういういわゆる関連会社ということでしょう。中には完全支配下にある会社を含んでおります。そういうものを含めまして、これは実は昭和四十五年三月に富士鉄と八幡が合併いたしまして新日鉄になったことは御承知のとおりでございますが、それ以前における状態とこの現在の状態とは変わっておらないんです。ですから、その両社、関連と思われる会社の製品別の——製品といいますかね、たとえば銑鉄、粗鋼というような大きなものからあるいは製品の細かいもの、たくさんございます。これはたくさんと言っても鉄の場合には限られておりますけれども、かなりの数がございます。それを合計したシェアを比較してみました。これは最近の、と言いましても最近が出ませんので、仕方がなくて四十七年を使いましたが、そう変わっていないと思います。そして、それと合併直前である昭和四十四年のシェアを比べてみたんです。 たとえば、大きな項目で申しますれば、その合併直前のシェアは、銑鉄においては四六・六であったと。四十七年には四六・二であります。それから粗鋼の場合は三九・三であったものが三八・一になっております。これは単独ではございませんよ。単独で申しますればやはりまた別途の数字が出ますけれども、これもほとんど当時と変わっておりません。四十四年当時、たとえば銑鉄については四三・七であったものが現在四三・一、それから粗鋼については三五・四であったものが三四・〇であると。これは昭和四十四年と四十七年とを比較した、合併の前の年とそれからまあ比較的近い年の、はっきりわかるところまでとらえたわけでございまして、そのほか、これらの関連会社ですね、いっその株式を保有するに至ったか、これを調べてみましたところ、全部、その合併が問題となった以前に取得しておるわけです。ですから、そういうことで、いまから私とやかく申しませんが、この当時の合併問題について非常にもめたという実績があることだけは確かでございますが、いまわれわれこれについて、そういう事態でありまして、当時、公取が結局においてはこれは認めたものでございまして、そういうことであるということだけ申し上げておきます。
○桑名義治君 総務長官、こういう状態だからとやかく、どういうふうにあなたはするんですかということをお聞きしているわけじゃない。こういうふうに鉄鋼界というものが株の持ち合いが非常に激しい。しかも、新日鉄はこれは一つの例として挙げたわけですけれども、あなたは、製品別に寡占状態を見るかどうかということはこれはまだつまびらかではないと、こういうようなお話でございました。公取委員長は、製品別に見るべきだと、こういうお答えだったわけですよ。そこで、この新日鉄の状態を一覧表にしたのを差し上げたわけです。たとえば八〇%以上のシェアを占めている重軌条とか鋼矢板とかいうもの、これは八〇%以上シェアを占めておる。あるいは、冷延電気鋼帯あたりを見てみても、一社で六〇%から七〇%のシェアを占めておる。ブリキ等については五〇から六〇と、こういうふうに非常な、いわゆる製品別に見てくると膨大なシェアを占めているということが明快になるわけです。したがって、こういう実態を見たときに、このいわゆる寡占状態というものを判断するのは製品別に見るべきだと、こういうようにぼくは判断をするけれども、政府としてはどうですかということをお聞きしているわけです。
○政府委員(高橋俊英君) 私が先ほど、原則としては商品別、製品別と見るべきであると申しましたけれども、私ども、そういう場合場合によってケース・バイ・ケースで違うと思います。ですから、個々に多少問題になるシェアの高いものがある、しかし総合力としてどうかということが、まず企業分割、ことに重要な一部の譲渡を含むようなそういう場合には、私はこれは総合力をまず基本にとらえる。総合力とは結局個々の製品の積み重ねである。しかしながら、物によりまして、たとえば化学というのはめったにこれは独占状態というのは生じないのですけれども、こういうようなものは製品が余りにも多種多様でありますね。でありますから、そういう場合にそれを総合力としてとらえるのがいいのか、あるいは、部分的であれその売上高が相当大きい、これは全体としても大きな問題であるという場合には、全く違った製品が出ますから総合力というわけにもいかない場合もあろう。しかし私は、会社の分割に等しいようなことは原則としては総合力で判断するが、しかし、結局は個々のそういう製品を積み重ねてみなければ判定のつかない場合もある。実際にその一定の取引分野で完全に独占的な支配力を持ってしまっているかどうかということを判断しなきゃなりませんので、あの前に、合併を認める場合に二、三の品目については他社に移しかえをしております。いま挙げられました物の中に、かなりシェアの高い物でありますが、一部は他社に譲渡をさせて、そしてシェアを落としているという物も二、三ございます。そういうことでありますので、一概に商品別かあるいは総合力かということをこの場で断定して申し上げることは、私は、私自身先ほどもそう申しましたが、これは行き過ぎであると思いまして、若干訂正させていただきます。
○桑名義治君 総務長官、どうですか。
○国務大臣(植木光教君) 先ほど私がお答えをいたしましたのは、いま公正取引委員長が申されましたと同一の趣旨のことを申したのでございまして、御理解いただきたいと思います。
○桑名義治君 時間もどんどん過ぎますので次に移りたいと思いますが、企業分割が容易に発動できないとするならば、重要になってくるのは、先ほどから申し上げておりますように、株式保有あるいは合併基準の強化、これが当然だと思います。八幡、富士の合併が明らかにこれは適当ではなかった、こういうことがこの資料の中でも一応うかがわれるのではないかと思います。 そこで、株式保有制限はこれはきわめて重要な法律でございますが、公取試案と政府試案での対象ですね、これは対照してみますと、総理はどういうふうにお思いになりますか。
○国務大臣(植木光教君) 株式保有制限の対象の企業、会社の方でございますが、これは公正取引委員会の案によりますと、資本金百億または総資産二千億、いずれか大きい方をとる。政府素案では資本金百億または純資産三百億、いずれか大きい方をとる。これが対象でございます。それから基準といたしましたのは、公取案では純資産の二分の一でございましたが、政府素案におきましては純資産そのものをとることにいたしたのでございます。
○桑名義治君 何社と何社になりますか。公取試案なら何社、政府試案では何社が対象になるか。
○国務大臣(植木光教君) 公正取引委員会の調査によりますと四十九社でございます。それから、政府素案によりますと十五社でございます。
○桑名義治君 この実態を見てみても、今回のいわゆる政府試案というものが大きく後退をしているということが私は明らかになったのではないかと、こういうふうに思います。 さらに、競争会社の株式の持ち合い制限についてはこれはどうですか、将来やらなければならないと思っておりますか。それともこのままの状態でよろしいというふうにお考えでございますか、どうですか。
○国務大臣(植木光教君) まず、先ほど新日鉄の例を挙げてお話があったわけでございますが、株式の持ち合いの問題につきましては、懇談会におきましてもいろいろ御意見がございました。政府といたしましては、いまの段階では、一般論といたしまして、会社が他の会社の株式を持つということを全く否定することはいかがかと考えているのでございます。しかし、持ち合いによりまして一定の取引分野における競争が実質的に制限されるということになりますと問題でございます。これは、という場合には、現行法第十条によりまして規制が可能でございます。 それから競争会社の株式保有の制限禁止という問題につきましても、これまた懇談会で御意見が出たのでございますが、その際、競争会社という定義でございますけれども、これは非常に概念が広うございます。少しでも事業活動が競合しますならば競争会社に当てはまります。また、もともとの子会社が競争会社に当てはまる場合もあるなど、実情に合わない点が指摘せられました。先ほどの一覧表を見ましても、競争会社の株の持ち合いということが行われておる実態がそこにも出ているわけでございます。そこで、今回の改正案にはこの点については盛り込まないことといたしまして、先ほど申し上げましたように、現行法の第十条の規定を活用することによってこれに規制を加えることが妥当であろうと、こういう考え方でございます。
○桑名義治君 そこで、私はあえてこういう表をつくってみたということは、いわゆるこれは鉄鋼界の実態でございますけれども、新日鉄がいわゆる関東特殊製鋼の株を八%、これは第四位、そして関東特殊製鋼に対して日本鋼管が一・六%、第九位、住友金属が一一・九%で第三位、こうやってお互いに競争会社が株の持ち合いをやっているわけですね。それから丸一鋼管を見てみますと、新日鉄が四%、第七位、日本鋼管が四%の第七位、こういうふうにお互いに競争会社が持ち株をこういうふうにやっておるということになれば、これはもう当然カルテル行為が行われる場合を予期すれば、自然の形でいつの間にか行われてくるという予想が一応立つわけでございます。こういうふうに一覧表にしてみると一番よくわかる問題でございますけれども、そういった意味で、私はこういったこの実態を規制するために今回のこの改正案に盛られていなかったということが非常に残念で仕方がない、こう言うわけでございます。これは今後の検討の課題として是非この規制の改正を行っていただきたいと、こういうふうに思うわけでございます。 さらに、全体を通していろいろと私検討をきょうしたかったわけでございますけれども、もう時間がなくて次の問題に移らなければなりませんので、一応これで独禁の問題は終わらしていただきますけれども、問題は、価格引き下げ命令や原価公表、あるいは違法カルテルの排除措置の徹底、こういった問題が、今回の改正案の中では一応文章としてうたわれてはおりますけれども、現在のこの法律の中でも完全に、現行法の中で完全に適用できるような文章、全く同じ事柄がここに載っかっている。そうしていわゆる違法カルテルのこれが排除措置でございますとか、あるいは価格引き下げ命令でございますとか、そういうような錯覚を起こさせるようないわゆる内容であることに対して非常に残念でございます。いまからせっかくの審議がなされるようでございますけれども、また詳細については各委員会でやらしていただきたいと思います。 私は、新幹線、高速道路、コンビナート、こういった面から、現在の日本の環境保全という問題に少し触れてみたいと思います。何せもう時間が限られておりますので表面的になるかもしれませんが、その点明快な御答弁をお願いをしておきたいと思います。 いよいよ十日から新幹線が福岡まで開通をしました。そこで、新幹線の問題につきましては、これは騒音公害、あるいは振動、電波障害、いろいろな問題を積み残したままさらに福岡まで延長され、あるいは上越、信越、東北、こういった新幹線が着工されているわけでございますが、まず最初に、この新幹線の騒音の基準について中公審が十五日に最終案をまとめられます。この中身についてまず伺いたいと思いますが、どうぞ。
○説明員(藤井松太郎君) お答えします。 新幹線の公害の問題につきましては、四十七年に環境庁から御勧告をいただきまして、われわれとしてはそれに基づいて対策を進めている次第でありますが、いま御承知の中央公害対策審議会が追って結論を出すだろうと、小委員会か何かが相当シビアなものを出しそうだというようなことを新聞あたりが報道いたしておりますが、いずれにしましても、これは非常に厳しくても、ああいうものをお出しになれば、われわれとしてはもう誠心誠意これに従うより方法はない。しかしながら、これは御質問直接なかったんでございますけれども、公害対策の技術というようなものは、これは最近の問題でございまして、まだ発達の途上にある。したがいまして、中公審が結論をお出しになる場合も、災害防止技術がまだ発達の道程にあるんだということ、及び将来においてこれがどんな発達をするだろうかということを十分御検討の上その結論を得る——必ずしもやさしい結論を出せという意味じゃございませんが、出していただきたいという希望を私は持っております。
○桑名義治君 新幹線は、現実に東海道新幹線はもう走っているんです。いろいろもう実際には公害が起こっているんです。そして現在の段階でそういうことをおっしゃるのはおかしいんじゃないですか。いわゆる住民は、現実にはあれだけの被害を受けているわけです。それを積み残したままに、そして博多までの開通をしたわけです。で、今度は中公審のこの十五日の最終原案というものが新聞に発表されております。住宅地域については七十五ホンから七十ホン、あるいは住宅地域、商工地域については八十ホンから七十五ホン、まあこういうふうに、また、段階的に三年、七年、十年と区切りを切っているんです。これに従って、どうですか、国鉄当局としては解決をするように鋭意努力をなさいますか。 なぜ、私がこういうことを聞くかといいますと、十日のいわゆる開業のときに、博多で総裁が、中公審はああいうことを言っているけれども、国鉄単独ではできないんだ、こういう意味のことを発言をなさったという報道があるわけでございますが、この点についてはどうですか。
○説明員(藤井松太郎君) お答えします。 実は、その山陽新幹線もただいま積み残しにして開業したというようなお話でございましたけれども、東京−大阪間の経験に徴しまして、これの取り入れられるものは御承知のように積極的に取り入れて、しかも環境庁がお出しになった八十五ホン、実はそれに到達しないところもこれは十カ所やそこらあることは先生御承知のとおりでございますけれども、これに関しましても、防音壁というようなものを、これ少し開業に間に合わなくて大分しかられたのでございますけれども、こいつを積極的にやって、まず第一段はそういうことをやる。過日博多でお話し申し上げたのを新聞記者諸君がどんなふうにお書きになったのか知りませんけれども、これは中公審がお出しになることはいいけれども、それが恐ろしい莫大な金を要するような問題であれば、国鉄はやはりお容様に御利用願って、その料金でもって支払いをやっているんだから、まあ一応は国鉄しっかりやれといって恐ろしく金を貸すこともいいけれども、結局は御利用になる国民にはね返ることなんで、これは私が申し上げるまでもないんで、まあ各位もそういうことは十分御理解の上で御批判を願っているのだろうと思うんだということを新聞記者に申し上げた次第であります。
○桑名義治君 国鉄総裁はああいうふうに言っていますが、運輸大臣どうですか。
○国務大臣(木村睦男君) 新幹線が開通いたしましてからちょうど十年になりまして、今回さらに博多まで延びたわけでございます。 過去の十年間の新幹線の国民生活に対する役割りというものを考えてみますというと、非常に重要な役割りを果たしてきておる。さらにその役割りをもって今後博多まで延びていく。さらには長い構想といたしましては、全国に新幹線網をつくることによって、国民生活の向上なり、あるいは国民生活に非常な利便を提供しようということでございますが、いままでの新幹線の建設に当たりましては、やはり安全性ということと、在来の鉄道ではとうてい達せられなかった高速の利便を国民の皆さんに提供するということに一生懸命になってやってきたわけです。その結果が、公害等環境整備の点にいささか不十分であったということは、私も率直に認めざるを得ないと思います。で、今回の博多までの山陽新幹線につきましても、いろいろと方策を講じてはやっておりますけれども、私も山陽新幹線の沿線に郷里があるわけでございますが、私の郷里の地域で見ましても、開通と同時にはまだ十分に達せられていないという点も経験をいたしております。したがって、今後、先ほど中公審の部会で一応部会としての制限の基準は出ておりますけれども、仮にあの基準が最終的な基準として出ましたときには、いま総裁が申しましたように相当の経費がかかる。また、技術的にもかなり今後やっていかなければならない点が多々あると思います。したがって、騒音あるいは振動等について十分にこれから策を講じていかなければなりませんけれども、やはりそういう点を考えまして、私はある程度のリードタイムといいますか、そういう点も十分考えてもらわなければならないし、リードタイムをある程度考えてもらうといたしましても、かかる経費についてはもう予想以上のものがかかります。 そこで、国鉄は現在、将来に向かっての大変な再建計画に取り組んで、もうすでに一般企業であればとっくに破産しておる。この苦しい状態を何とか立て直さなければならないというそのときに当たって、これだけの大規模な経費のかかる環境整備ということは大変でございます。したがいまして、私たちといたしましては、五十一年度から再建の計画を立てていくいまその作業をいたしておりますけれども、この中であの基準のとおりにやるとすれば、どういうふうに資金のめんどうを見たらよろしいか、また技術開発もどういうふうにしたらよろしいかということは、十分今後の再建計画の中に組み入れて考えていかなければならないと思います。その結果どうなるということは、今後の作業によりますけれども、私はいま感ずるところでは、いままで計画をいたしております今後の新幹線の建設につきましては、かなり時間的に先へ先へともう少し建設のスピードは落とさざるを得ぬのじゃないかという感じはいたしておりますけれども、しかし、新幹線の国民生活に持つ役割りの重要性ということを考えまして、できる限りの努力をして今後の建設の計画を進め、同時にそれが国鉄の再建計画とマッチするように考えていきたい、かように考えております。
○桑名義治君 この点について総理の御見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) これからの公害の中で騒音というものは無視できないものがある。したがって、騒音の環境基準というものが、これは現在においてそういうことも頭に入れますけれども、人間の生活というものをしていく上においての一つの基準を示すわけですから、その示された基準に一足飛びにはそこへ行けますまいけれども、それに近づけていくと、やはり一つの目標を設定して、国鉄の力だけでできぬ場合もあると思いますが、予算的な処置も講じなきゃならぬ場合も起こりましょうが、その目的に近づけるための努力をするということが、やはり国民の生活というものを、よりよい生活を守っていくための当然の政治の責任だと私は思います。いま実際無理はあろうと思いますよ。それなら現状だけでそのまま無理があるからといっていいのか、ある一つの目標を設定して、その目標設定のためにあらゆる努力を払うという方がいいのかということになると、やはり一応の目標を設定して、その目標に近づけるあらゆる努力を払うことが好ましい方法であると、私はこう考えております。
○桑名義治君 運輸大臣の御答弁の中に、新幹線公害がこういうふうに頻発になってくると、いまの建設のテンポを緩める必要があるんではないかとも検討していると、こういう御発言でございましたが、この点についてはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(三木武夫君) これは今後の交通体系全般として検討すべきものを私は持っていると思います。どこもかしこもずっと全国新幹線で張りめぐらさなければならぬというものでは私はないと思います。まあそういう速度の問題もありましょうが、一つの新幹線を建設していく場合において、いろんな立地的な条件というものは非常に大事だと思いますね、これからは。そういう点で、立地的な条件というものは、騒音というものは、これから次第に国民生活の上で重要な問題になってくるという問題意識を持って、当初から立地条件というものを考える必要がある。やってしまった後からこれを環境基準に合わせていくということでは非常にむずかしい。ある場合によったら、移転よりほかに方法がない場合があるでしょうから、そういうことで、立地条件から考えるということがこれからの新幹線建設の場合の大きな条件になっていくと私は思っております。
○桑名義治君 そこで、今回の山陽新幹線をながめてみますと、大体約五三%がトンネルの中だという、これは特殊な新幹線ができ上がったわけでございますが、トンネルの中の事故というものも当然想定をしなければなりません。そのときの救済措置をどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、その点について。
○説明員(藤井松太郎君) お答えします。 トンネルの中の火災事故というものは、これは鉄道の歴史が百年ぐらいあるのでございますけれども、実は余り過去においてなかったんだが、一昨年、例の北陸で起こったということで、国鉄におきましてもあらゆる学者だの何だの動員しまして、どういう対策を講じたらよかろうかというようなことを検討をしましたが、話が長くなりますので結論的に申しますと、車両を不燃性にする、火が出るような車種は全部防護するというようなことで、さらに具体的に言うと、車両個々のやつを遮断しまして、火の出た車内はそこで隔離して、お客さんをまず誘導してほかの火のない方へ御案内申し上げて、空になったものは遮断してトンネルを走り抜ける。走り抜けられるかどうかということはいろいろな議論があって、去年あたり大分金をかけて実験したんですが、現在の結論においてはそういうことでいいだろうというようなことになりまして、それから通信設備を、お客さんを誘導することになりますと無線を初めとして相互の通信設備が必要なんで、これを完備する。あるいは各車両に防火器具を十分に置くというようなことで抑えられるのじゃないか。 さらに、御質問があるかと思うのでございますが、トンネルを掘るときには斜坑とか立て坑とかやりまして、これは常識的には北陸線なんかが煙でやられたというわけだから、あれは煙突のかわりにならぬかというような議論も当然にあり得るので、われわれもそういうことの可能性のあるところはこれの利用をしようというので研究いたしておりますけれども、トンネルの施工計画であれは入れるので、長いから必ずしもあるわけでないので、たとえば関門のようなのなら海の中へ入れるわけにもいかぬし、あるところもないところもあるというようなもので、利用のできるのはああいうものも利用したい。根本は不燃性の車両にするし、一たび事故があったらお客さんを誘導し、なおかつ火の発生したやつを遮断しちゃう、そして出口に向かって逃げる。関門隧道は世界第二位でございますけれども、現在のスピードでいえば六分ぐらいで逃げられますので、過日の実験結果によると、十分逃げられるというような結論が出て、これはいいか悪いか知らぬが、そういうことであります。(笑声)
○桑名義治君 私はここで漫談を聞いているのでも講談を聞いているのでもない。こういう事故がトンネルの中で起こったら、これは重大問題ですよ。これは笑い話じゃない。ところが、笑い話で茶化されているような感じでございますが、もう少し真剣にトンネル問題を考えてもらわなければ困ると思う。なぜかというと、山陽新幹線もトンネルが五三%、いまからできてきます上越あるいは東北新幹線もトンネルばかりじゃないですか。いまからの新幹線というのはほとんどトンネルばかりのところを通るというふうに想定しなければならない時期にいま来ている。それのまず出発の時点に当たって、そんなふまじめな答弁をしていたんじゃ納得いきませんよ。もう少し真剣にやってください。
○説明員(藤井松太郎君) 私の説明が何かふまじめであったということで、そういう点に関しましては深くおわびを申し上げますとともに、重大問題ということは十分認識いたしておりますので、極力努力を傾倒する所存でございます。
○桑名義治君 そうですよ、当然のことですよ。この効果があるかないかわかりませんけれどもなんてそんな無責任な答弁はないですよ。これ以上追い打ちはしませんが、この問題について運輸大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) 国鉄総裁は決してふまじめな答弁をしたんではございませんので、中身は非常に傾聴すべきことを言っております。 そこで、お話しのようにトンネルの問題でございますが、全く山陽新幹線も五〇%以上がトンネル。また、いまお話しのように、上越あるいは富山経由の新幹線等、今後建設を予定されておりますところも非常にトンネルが多いわけでございます。すでにトンネルにつきましては北陸トンネルの事故もありますし、今後そういうことがないということは絶対言えないと思います。そういうことを常に頭に置きながら、トンネルの中の事故防止ということについては最大の注意をもって設計をし、また、事前の調査等も十分にやっていかなければいけない。私は、国鉄もそのことは重々知っておると思いますし、われわれもその点に重点を置いて指導をいたすつもりでございます。
○桑名義治君 先ほど申し上げておりましたように、山陽新幹線の工事中のいろいろな紛争がまだそのまま残っておると思います。それから、上越、東北新幹線の工事の被害内容、件数を、それぞれの新幹線別にまずここで報告を願いたいと思います。
○説明員(内田隆滋君) お答えいたします。 現在建設中の新幹線で、山陽新幹線、これは五十市町村ございますが、このうち二十一市町村にわたってトンネルによる渇水問題が起こっております。 それから、東北新幹線につきましては八十八、これは東京都も含めまして、八十八のうち十九市町村でやはり同じような被害が起こっております。 以上でございます。
○桑名義治君 山陽を積み残してないですか。山陽は言わなかったでしょう。
○説明員(内田隆滋君) 最初の部分が山陽の分でございます。
○桑名義治君 じゃ上越は。
○説明員(内田隆滋君) 上越は公団でやっております。
○参考人(池原武一郎君) 上越新幹線におきまして渇水等の問題の起きているところは、沿線の十四市町村でございます。
○桑名義治君 山陽、東北、上越新幹線のそれぞれの具体的ないわゆる内容についてきょうはお聞きしたかったわけですが、時間がなくなりましたので、山陽新幹線の福岡トンネル、これは一級河川の遠賀川の源流になる犬鳴川がございますが、この川の上流に福岡県が総工費約四十億円で犬鳴ダムをつくる予定があったわけですが、その下で新幹線の工事が始まったために、流れている川にほとんど渇水状態が起こったという事柄があったわけでございますが、この点現在はどういうふうになっていますか。
○説明員(内田隆滋君) 犬鳴川の渇水につきましては、最初約二十トンの湧水がございましたが、最近は落ちつきまして、現在では半分の十トンの水が出ております。これに対しましては、先生も御承知のように、いわゆる農地の渇水問題に対する補償、それから、井戸水に対しまして新たな給水設備をする等の補償をしております。 なお、工事といたしましては、これらの湧水がとまりますように、トンネルに対して現在注入を鋭意やっております。なお、犬鳴川につきましては、川の水がかれておりますが、これに対しましても河床に注入をいたしまして、そして復元に努めておる状態でございます。現在の状態では、これらのものの工事が約四〇%ぐらい進んでおる次第でございます。
○桑名義治君 ダムができるような状態に復元できますか。
○説明員(内田隆滋君) これにつきましては、いま現在盛んに注入をやりまして、水をとめるべく努力をしておるわけでございまして、われわれといたしましては、ダムができるのに支障のないようになるという確信を持っております。しかし、過去の実例では、いわゆる新しくつくりましたトンネルの水がとまるというのに二年ぐらい、あるいは三年ぐらいかかる場合もございますので、そういうような問題につきましては、今後の工事の推移を見ながら措置をしてまいりたいというふうに考えております。
○桑名義治君 それだけの漏水が二年、三年と続けば、当然これは生態学上大きな害が起こると思いますが、どういうような害が起こると思いますか。
○説明員(内田隆滋君) それらの問題につきましては、われわれとしても非常に未知の部分が多うございますので、大学等の先生等にお願いいたしまして、今後それらの問題を解明してまいりたいというふうに考えております。
○桑名義治君 現在依頼をしているんですか、それともいまからやるんですか、どっちですか。
○説明員(内田隆滋君) 現在依頼をしております。ただ、組織的にはまだなっておりませんので、今後こういう組織的にお願いしてまいりたいというふうに考えております。
○桑名義治君 生態学上、これは実際にはどうなるかわからないということは、漏水は完全にとまらないということを意味していると思うのです、その言葉の裏には。そうなってくると、現在福岡県がダムの建設を予定している。そのダムは、今後はできる可能性が非常に薄いということを示唆することになるのですが、どうですか。
○説明員(内田隆滋君) 現在のところ、われわれとしては、ダムは無事にできるという確信を持っております。ただ、現在やっている注入工事が完全に終わりまして、すぐダムができるかどうかということは、これは工事をやってみて、その後の推移を見ないとわからない。ただ、いままでのいわゆるトンネル工事で水がとまらなかった、あるいは、そういうようなダムの工事ができなかったという事例はいままでございませんので、その点はわれわれとしては確信を持っておる次第でございます。
○桑名義治君 この福岡トンネルの犬鳴峠の土質というものは特殊な土質であり、非常に大きな断層がある、こういうことが調査で明らかになっておった時点でこういう工事を強行したというところに問題がなかったですか。
○説明員(内田隆滋君) 確かに断層がございまして、被圧水がございました。しかし、そういうような現象というものはわれわれは常にぶつかる現象でございまして、そういうようなもので工事ができないとなると、あらゆるトンネルはできないということになるわけでございまして、断層における復元ということは、当然トンネルを復元いたしますれば考えられることでございますので、問題はないというふうに考えております。
○桑名義治君 依然として確信のあふれた回答ではございません。 そこで、今度は角度を変えまして、先ほど申し上げたような水の被害の起こっている二十一市町村、十九市町村、十四市町村、これらの渇水の問題については解決はついていますか。
○説明員(内田隆滋君) 現在、生活上の水が足りないというようなものはございません。ただ、地の補償につきましては、今後の水の復元の仕方等々を勘案しながら、どの程度の補償にするかというような問題がございますので、一部まだ解決のついていないものがございます。ただし、その年度その年度のいわゆる農耕の補償というようなものについては、われわれとしては十分誠意を持ってやっておるつもりでございますので、問題はないと思います。
○桑名義治君 応急措置はとられておるようでございますけれども、こういった問題は、往々にして、住民のいわゆる不満というものは恒久的な措置がとられない、常に、でき上がってしまえばあとは知らぬ顔だと、こういう不満が充満をしているわけでございますけれども、この問題について恒久的な措置をとる決意はありますか、どうですか。
○説明員(内田隆滋君) 実際問題として、たとえば福岡トンネルのような場合に、いまは応急措置のものを次第に恒久措置に変えるべく工事をやっておるわけでございまして、国鉄といたしましては、これは生活の問題でございまして、誠意を持って住民の皆さんが納得のいくようにやってまいりたいと思いますし、必ずやるということを確約いたします。
○桑名義治君 運輸大臣、この点について。
○国務大臣(木村睦男君) トンネル工事につきましては、国鉄の技術は世界的にも非常にすぐれた技術を持っておるわけでございます。したがいまして、国鉄のトンネル技術をもっていま例示されましたような地域についての恒久措置、必ずこれはとらなければいけないと思っておりますし、またとらせます。
○桑名義治君 次に、コンビナートの問題についてお聞きしておきたいんですが、三木総理の指示によって、自治省を中心に各省庁が防災対策法案の構想を練っているということをお聞きしておりますが、この内容はどういうことですか、また、いつごろ国会に提出するんですか。 それともう一つ、通産省にお聞きをしておきたいのですが、それと別の独自のコンビナート法案を用意をしている、こういうふうに報道されているわけでございますけれども、この構想はどういうふうに違うんですか。
○政府委員(佐々木喜久治君) コンビナート地帯の防災法につきましては、現在自治省におきましてたたき台をつくりまして、いま各省との意見調整に入っております。その考え方といたしましては、コンビナート地帯における防災体制を一元化していこうという考え方のもとに、必要な規定の整備を図りたいということでやっておりますけれども、これから各省との調整にどれだけの日限が必要か、それによって差がございますけれども、できる限り早い機会に、できますならば三月いっぱいぐらいには政府案としてはまとめてまいりたいというふうに考えております。
○政府委員(佐藤淳一郎君) コンビナートにおきましては、特段と通産省の所管の業種が入っておりますので、通産省といたしましてはそれぞれの業種、たとえば高圧ガスの産業、あるいは電気事業の関係、あるいはガス事業の関係等々がそれぞれ所管として入っておりますので、そういう所管産業としておのおの個別の業種につきまして、まず前提としてやるべき保安基準といたしまして、当然改めるものはこの際改めるべきであるという立場に立ちまして、個別にいろいろやっておるわけでございますが、ただ、コンビナート全体としてのあり方、どうあるべきかということになりますと、この間のタンクのような、石油のタンクにつきましては消防庁の所管でもございますし、それから、労働者の安全につきましては労働省の問題でもございますので、こういう各省間にまたがる問題につきましては、これはやはり自治省の大きな流れの中に通産省が積極的に参加して、一緒に作業を進めるということにいまいたしておるわけでございます。
○桑名義治君 では、通産省としては独自の法案を考えてないということですか。
○政府委員(佐藤淳一郎君) 独自の法案といいますか、通産省なりの所管産業としての考え方をまとめておることは事実でございますけれども、これはいずれ——いずれといいますか、もうすでにそうでございますが、自治省の方の原案と当然一本になるべきものとわれわれは解釈いたしております。
○桑名義治君 そこで、道路のことをちょっとお開きしておきたいんですが、現在高速道路が非常に環境破壊ということで問題になっているわけですが、日本道路公団、首都高速公団、阪神高速公団、こういったそれぞれの公団でどのぐらいの紛争が現在の時点では挙がっているわけですか。
○政府委員(井上孝君) お答えいたします。 道路関係の三公団に対する苦情件数でございますが、昭和四十八年一月から五十年の二月までに、日本道路公団のやっております高速自動車国道に関して百七十三件、それから、首都高速道路に関しまして百五十七件、阪神高速道路に関して八十八件、合計四百十八件でございます。
○桑名義治君 この三つの問題は、時間の関係で総なめで大急ぎでやったわけでございますが、いずれにしましても新幹線の建設について、あるいはコンビナートの建設、あるいは高速道路の建設、こういった問題が常にたくさんの問題を引き起こしながら、しかもその問題を取り残し、いわゆる積み残しのままにどんどん工事を急いでいるところに、私は大きく改善をしていかなければならない重大な問題があるのではないか、こういうふうに考えているわけでございますが、この点総理としてどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) いろいろ、新幹線にしても高速道路にしても、地域住民との間にいろんな問題が生じて、そのことから振り返ってみると、やはりそういう関係をよく調整しないと、ただ工事を急ぐということだけでは後々まで問題が解決せずに残りますから、そういう点で地域住民との、そういう道路にしても鉄道にしても建設の場合には、もう少しやはりそういう点を十分に調整することと、環境的なアセスメントというものは、後からいろいろ問題が起こるのでなくして、そういうことを十分にやらないと、いまいろいろ桑名さんの御指摘になったような生態的な変化も起こる場合もありますし、そういう点で、事前の環境調査というものがもっと新しい工事をやる場合には力を入れなければいかぬ。その点が、従来ややもするとそういう点は非常に怠っておった面がある。そういうことも頭に入れて今後の新幹線、あるいは高速道路なんかの建設に当たるように今後努力をしてまいる所存でございます。
○桑名義治君 そこで、政府は五十年度予算案で、環境影響事前評価の強化充実ということで一億一千万計上しておりますが、どういう作業をやるつもりでございますか。
○国務大臣(小沢辰男君) 環境アセスメントにつきまして、いろいろなまず項目を、どういう項目をやるか、それからさらに、これに対してどういうような、技術的な影響評価の観点からいろいろと検討をするその手法につきまして、それからもう一つは住民の声を聞く方法、公開をし、かつその住民の声を反映するやり方等について、立法を必要とするいろいろな角度から目下中公審で検討を続けていただいているわけでございまして、この研究調査費に大体先生がおっしゃったような予算を計上しているわけでございます。
○矢追秀彦君 関連。 これは総理に確認しておきたいんですが、私は、この前の臨時国会でも苫小牧の開発の問題について環境アセスメントの問題を総理にお伺いいたしましたが、その後、いま環境庁長官からお話しのように、すでに委員会もできて検討が始まっておりますが、私はやはりこれは余り延ばせないと思います。そういった意味で、できれば今国会でその結論を出せないかどうか。すでに公明党といたしましては、環境影響事前評価法という法律を国会に提出をしておるわけです。私たちとしても、一応研究もし勉強もして成案を見ておるわけですから、政府としては、私はできない問題ではないと、こう思いますので、わが党の法案の検討も含めていただきまして、今国会でかなり結論を出さないと、今度の昭和五十年度はわりあい公共事業等は抑えられておりますけれども、また今後、公定歩合が引き下げられたり、あるいはこれから景気刺激ということになれば、またどんどん開発が進むわけですから、やはり早急にやらなければならない。私は来年度が一番大事であると思いますので、今通常国会中にこの問題には結論を出して、でき得れば法制度化までいっていただきたいと、こう思うのですが、総理の御見解をお伺いしたいのです。
○国務大臣(小沢辰男君) 今国会に提出をすることにつきましては、まだ、ただいま私が申し上げましたような点について、専門家のいろいろ意見を聞いて確定をしなければいけない幾多の要素がございます。公明党で御提出をいただいている法案も、われわれ十分参考にいたしまして検討をいたしておりますが、中央で認可するような形でそれを専門部会におろして、そこで住民の意見や、いろいろな手続等について決められているわけでございますけれども、やはり事柄の性質によっては、地方の権限との調整をどうやっていくべきか、何でもかんでも中央へ持ってくるという必要もないのじゃないかと、こういう点も考えましたり、また対象の事業というものを、どういうふうにいろいろ中央と地方に分けていったらいいのか、そういう点もございますので、もう少し検討さしていただきたいのでございます。何とかこの年度内には結論を持ちまして次の国会に御提案を申し上げたいと、かように考えております。
○桑名義治君 終わります。(拍手)
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして桑名義治君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 内藤功君。(拍手)
○内藤功君 最初に、前総理大臣田中角榮氏のいわゆる金脈、人脈問題の一番大きな問題でありました税金の件について、先ほどもお話が出ましたように、追徴金というものを支払うことで田中個人の税金問題を解決するという方向が出ておるようであります。 そこで、まず大蔵省にお伺いしたいのですが、いままでの田中氏に対する調査の過程で、田中角榮氏本人を呼んで事情聴取、お調べをしたことがありますか。また田中氏関連会社の取り調べの中で、田中氏自身をお調べになったことがあるかないか、この点をまず確かめておきたい。
○政府委員(安川七郎君) お答えいたします。 ただいままでの調査過程におきまして、田中角榮氏個人あるいはその関連会社に関しまして、田中角榮氏をいずれの場合におきましても出頭を求めて事情を聴取したことはございません。
○内藤功君 今後はありますか。
○政府委員(安川七郎君) ただいま大体調査は完結いたしておりまして、なお、法人関係について若干を残しておりますが、現時点に立ちました今後の見込みにつきましても、出頭を求めて事情聴取する必要はなかろうかと、かように考えております。
○内藤功君 実は、この田中角榮さんの管轄税務署は、私の管轄税務署と同じであります。で、先ほど地元の方から私に電話があった。大変なことだと、もし一般の庶民、中小企業者が、これだけの収入で、こんな大きな土地を買ったとなったら、追徴金で済む話じゃありません。追徴金というのは、ああ悪かった、払えばいいんでしょうと言って払うのが追徴金。そうじゃなくて、これは国犯法というのがありますね。国税犯則取締法、こういうものでたっぷり油をしぼられて、さらに質問検査権その他で十分に油をしぼられる。一体こんなことがあっていいかという切々たる訴えがきょうありました。 私はこの問題について、総理にお伺いしたい。この田中金、脈の問題というのは、個人の問題ではなくて、総理大臣、大蔵大臣、与党幹事長という重職にあった人が、その地位を利用して不正な金もうけをしているのじゃないかという疑いがある、こういう問題。政治に対する問題で、総理大臣に要求されるモラルは何かという問題であります。そうして、この取り扱いに悪例を残したならば、日本の議会制民主主義に大きな汚点を残すだろうという大事ないま時点であります。下世話になって恐縮ですが、どんな団体でも、団体の長が不始末をしでかしましてやめるときには、団体の皆さんの前に立って、御迷惑かけましたとあいさつをし、そうして引き下がるのはあたりまえなんです。私は去年七月に参議院に出ましたが、この間一遍だけ、問責決議案のときにお座りになった田中総理を見ただけ、そういう始末。 そこでお伺いしたいのは、去年の十一月十一日に田中前総理は、テレビの記者会見を通して、逐条的にいま調べておる、これを国会なりどこなり、方法は考えるけれども、必ずこれを明らかにするということを言われたはず、私はよく覚えておる。当時三木総理は、まだ総理でなかったけれども、明確に、この問題は臨時国会で明らかにすべき問題だと、こうおっしゃったはずであります。私はいま決算委員会で、この田中金脈追及がどういう理由でおくれているかということをはっきり知っています。しかし、これはここで言おうとしない。ただ決算委員会の問題、さらにわが党が要求しておる金脈特別委員会の設置、この問題はもちろん追及するけれど、同時に総理、総裁としての三木さんは、田中角榮さんに対して——議会政治に前例がない、条文にもありません。総理大臣がそういう悪いことをしたときにどうしたらいいかなんていうことは、条文なんか書いてない。だとすると、これは政治家のモラルとして、議会政治を守る立場として、この田中前首相に対して、国会に対してこういう方法で一部始終を明らかにしなさいということをあなたはやるべき立場にあるのじゃないか。それともほうっておいて、ああ田中角榮というのはああいう人だから、さらしものにしておいて国民の批判があればいい、おれとしては何もしない、こういう御態度か、はっきりその点をお答え願いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) やはり民主制議会政治を守っていくためには、権力を持っておる者の慎み深い態度が要求されることは当然であります。権力を利用し、乱用するということは、これは許さるべきことではないわけです。これはやはり権力を持つ者のモラルであります。そういう点から、田中氏自身も国民に迷惑をかけたと言うて総理大臣の地位を辞任したわけです。そのことが一つある。 もう一つは、税法上その他違法の行為があれば特別の取り扱いを受ける理由はないわけでありますから、いま国税庁などを中心にして、これに対する法規に照らして調査を行っておることは、しばしば御報告したとおりであります。 もう一つは、やはり田中氏自身が、私も覚えておりますが、テレビの前で、国民に対して理解を得るために、これはいろんな出版物等で投げかけられた疑惑に対しては答えるつもりである、しばらくの時間が必要であるけれども、これは明らかにするという約束をされております。こういうことを果たし、また法規に照らして違法行為があれば、これは処置されるべきである、こういうことでこの問題というものの解決を図るべきであって、また、いま言ったような、このことが単に個人の問題というよりかは、自民党総裁であったということから自民党自身もいろんな点で改革を要すべき点があれば改革をしなければならぬ。そういう点でいろいろ党の問題としても私は取り上げておる次第でございます。
○内藤功君 端的にお伺いしますが、税務調査がここまで来た現段階におきまして、総理として、田中前首相に対して約束どおり、逐条解説でも何でもいいです、そういう疑惑を解くための説明を国会でする用意があるかどうか、さらに説明の文書を出す用意があるかどうか、それを促すおつもりがあるかないか、この点を伺いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 私もテレビを聞いておったわけですが、国会というよりかは、もっと国民全体を対象にして、国民の理解を求めるためにその内容を明らかにするという約束をされたと思いますから、そういう形で公表されるものであると、こういう期待を私もしておるわけでございます。また一日も早くそういう発表がなされて、そして、そういう誤解があるとするならば、そういう誤解が解消されることを日本政府のために願っておるものでございます。
○内藤功君 結局、期待をするというだけで具体的に促すという決意は遺憾ながらお聞きできなかった。 先へ問題を進めたいと思います。伝えられるところによると、自由民主党では、今度の公職選挙法改正案大綱の中で、政党機関紙誌の選挙期間中の頒布を規制する、制限する、こういう大綱を考えていると伝えられる。事実とすれば重大問題であります。これはどういう考えに基づくのか、お尋ねしたい。
○国務大臣(三木武夫君) 一つの選挙の場合に金がかかり過ぎるという問題が一つあります。もう一つは、やはり選挙が公正に行われる必要がある。こういうふうな選挙の現状に対して世の批判があることは事実であります。われわれは、政党活動の自由というものは、これはやはり何ら制限すべきものでなくして、大いに活発にやられることが民主政治の上において好ましいことでありますが、選挙の場合において、たとえば出版物——われわれ自体も現場見ておりまして、住民でも言うんですね、これだけもう毎日毎日いやというほどビラやあるいは宣伝のいろんな印刷物がまかれてはもう処置に困ると、こういうふうな苦情を私自身も聞く場合があるわけでございます。 したがって、もしそういうことで皆が——選挙活動というものが、ビラとか、あるいは印刷物が洪水のように来るわけですからね、そういうことが、やはりそのままに何らかの規制がなしに行われるということになれば、これはもういろいろ、各党もやっぱりそういうことを、当然選挙運動の対抗上そういうことになって、そのことが実際に選挙運動の上において、非常に大きな選挙の政党活動として正当な効果を上げておるかどうかということを、実際に疑問に私自身も思うわけであります。だから、日ごろやれば大いに結構でしょうが、選挙の時期に集中してそういう洪水のような出版物が発行されるということ、しかも、それは皆無料ですし、いままでの何か、従来配っておる人に選挙の期間中配るというならいいですけれども、従来は配らないんですから。選挙のときになってきて全部無料でやるわけですから、だから私は、そのことがある規制を受けても、いわゆる政治活動を制限するということにはならないんじゃないか。むしろ選挙というものをもう少し静かな、もう少し政策を通じて本当に訴えるということならば言論戦を中心にすべきではないか。そういうことで何らかの規制を行うことが政治活動の自由を制限するということにはならないのではないか、こういうことで、自民党が選挙時における、しかも無料で不特定の戸ごとに配るわけですから、そういうことは少し規制をすることが、むしろ選挙の公正という意味において、公正を維持する上において好ましいんじゃないかという意見があることは事実でございます。それはしかし、いささかも政治活動の自由を制限しようという意図から出発したものでは全くないということでございます。
○内藤功君 非常に矛盾した答弁だと思います。政党は特に選挙戦においてこそ言論戦で政策をもって戦わなくちゃいけない、これは三木さんのいまの答弁にも出ておる。まさにいま規制の対象になろうとしておる政党の機関紙というものは政策を訴えているものなんです。それを今度の自民党改正大綱で規制しようと、これはまさに政治活動に対する禁止そのものなんです。言論戦そのものを制限するものだと思うのです。非常に矛盾した答弁だと思いますが、もう一遍その点をお答え願いたい。
○国務大臣(三木武夫君) それは政策論なら選挙公報もございますし、あるいはまた新聞などに対しても、いろいろ政策を周知徹底さすために新聞の掲載もあるわけです。こういう点をもう少し徹底さしてやったらどうかということはわかりますが、戸ごとに洪水のようにビラをまかなければ選挙運動というものが徹底して行われないと私は思わない。私は最近、去年の五月でしたか、フランスの大統領選挙を見ておったわけです。ジスカールデスタンとミッテランとの激戦ですが、向こうは禁止してあるのです。イギリスとかアメリカなんかの場合は日本のような習慣はないんですよ。戸ごとにビラがあんなに配布される習慣はよその国はないんです。したがって、法律的には規制はしてありませんよ、アメリカもイギリスも。そんなことはやっていないんですからね。むしろ問題になるのは、日本のような多党——多党制と言えるかどうか、現実に二大政党でないわけです。そういう国はやっぱり激烈になりますからね、選挙が。フランスもイタリアも禁止してあるわけなんです、禁止してある。それはそういうことによって、これがもう選挙、政治活動の自由を束縛するんだったら、フランスだってイタリアだってこれは民主的国家であることには間違いないんですから、そんなことは許されるわけはないんですが、やはりああいう政党がたくさんあるときには弊害の面があって、そして選挙の公正を害するという点からそういう規制が行われたんだと思うんですが、パリなんかの選挙を見ましても、大変にもう静かなもので、家へ行ってもそんな選挙のビラが一枚来るわけではない。ビラでもどこへでも張れないし、ですから、非常に静かな中に、しかもやっぱりテレビとか演説会を通じて、言論戦を通じて激しい選挙が行われている、大変に激しい選挙ですね。しかし、ああいうふうな日本のような形をやらなければ政治活動の自由あるいは政党の持っておる政策を周知徹底さすことができぬとは私にはどうも思えないのでございます。
○内藤功君 フランスの例が出ましたが、私が調べたところでは、一九五六年フランス共和国統一選挙法、一九五八年国民議会議員選挙令、少しも選挙中の政党機関紙を禁止しておりません。 法制局に伺いたい。外国先進諸国で、選挙期間中、政党の機関紙を規制している事例はありますか、自治省。
○国務大臣(三木武夫君) 機関紙を配るのは私は何も言ってないんです。機関紙を購読してない人に、こういう有権者に全部配るという行為だけを言っておるので、機関紙を発行して機関紙をいつもの購読者に配るというようなことは、これは何もこういうものを制限しちゃいけないので、購読者でもない者に、全部有権者に戸ごとに洪水のようにビラを配っていくというような行為というものは、余り私はよその国ではそういう慣習というものは見ないということを言っておるので、機関紙はだれも禁止とか制限という意図は全然ありませんよ。普通の購読者に配ることは、こんなものは制限しちゃいけない。それ以外の有権者全部を対象とすることに対しては、余り日本以外には、そういう日本のような形のビラ合戦が行われておる国は余り私は知らぬということを申し上げておるので、そのことが政治活動の自由を制限するというところまではどうもいくとは私には思えないのでございます。
○政府委員(土屋佳照君) 代表的な数カ国を調べてみたわけでございますが、イギリスとかアメリカ、フランス、西ドイツ、イタリア、そこらで見ますと、選挙運動期間中のいわゆる文書図画については、イタリアなりフランスなり若干の制限がございますが、いま言われた意味での、いわゆる機関紙という一般的な政治活動上のものを禁止しておるといったような条文は見当たらないようでございます。
○内藤功君 昭和四十五年の七月九日に、参議院の公選法特別委員会で報告された「京都府知事選挙の実施状況並びに選挙制度一般諸問題の実情調査報告書」、この報告書をつくられた派遣委員の筆頭にはここにいらっしゃる柳田桃太郎先生も入っている。この報告書は非常にビラというものが総理の言われたのと違って有効に使われておるということを報告しておる。 自治省の方、ちょっとこの議事録を御用意になっていますか、この部分をお読み願いたい。十九ページの上から四段目だ。
○政府委員(土屋佳照君) 四段目でございますか、一番下……。
○内藤功君 四段目の初めから八行目の「検挙状況は、」というところから。
○政府委員(土屋佳照君) 「検挙状況は、自由妨害四件、戸別訪問二件、文書掲示の事前運動一件計七件一〇名であって、買収、供応などは一件もなく、実質犯は自由妨害の四件五名にすぎない。これは、取締対策本部が取締りの基本方針として、早期における警告、両派のトラブル予防、悪質違反の排除をポイントとして臨んだということもさることながら、現像面において、お祭り選挙事情における明朗豁達な開放性が、始めから悪質な違反の存在理由を失なわせていたということであって、このことは、選挙のあり方を考えるうえに重要な意味を持つものと考えます。 お祭り選挙も過ぎれば選挙公害という言葉も出てきた点はともかくとしても、このような開放的な選挙の持つ可能性は軽々に否定してはならないと思われる。そこで、選挙公害といわれるような選挙の態様についてであるが、政党、候補者の政策の周知徹底が第一であって、このためには選挙の自由化は徹底して行なわれなければならないとしても、無駄な点も多くあったであろうから技術的に総合調整する必要があるということもいえよう。」
○内藤功君 それから、その次の二十ぺ−ジの上の一段目の三行目から読んでください。
○政府委員(土屋佳照君) 「京都新聞編集委員森博氏は、今回の知事選挙は、一口に云って混乱状態であった。それは、大量かつスピーディーなビラ合戦の動員力の差が選挙の結果に結びついた。ハデな事前運動、気勢を張る行為に該当するシンボル・マーク、選挙事務所の事実上の乱立等の混乱があったが悪いとは思わぬ。これらは、政治活動と選挙運動の区別が明確でないことに由来するのであるから、むしろ事前運動、戸別訪問を認め、文書図画を自由化し、選挙は、身近かな賑やかなお祭り騒ぎであってよいのではないか。」
○内藤功君 その次に、それから四行目の「上京区」というところを読んでください。
○政府委員(土屋佳照君) 「上京区連合婦人会長の和田早苗氏は、選挙公害であったといわれるが、ビラは読みたくなければ捨てれば良い。今まで無関心であった人も政治、地方自治を身近かに感じ、政治意識を向上させ、学習討論に利用するなど効果があった。政策の争点も明らかとなり、自覚ある真実の投票ができた。これは正しい選挙の第一歩ではないか。」
○内藤功君 いや、御苦労さんです。どうぞ……。 後でゆっくり総理にも読んでいただきますが、これは本院の特別委員会の調査報告。 もう一つ、時間の関係で御披露申し上げたい。 これは東京都選挙管理委員会が四十八年七月の都議会選挙で行った「選挙に関する世論調査」、この中で、パンフレット、ビラ、機関紙というのを、総理、お言葉を返すようだが、洪水というふうにとっているのじゃないのです。これは自治省の土屋さんにちょっとここに来ていただいて、この数字を読んでいただきたい。私は時間がないからあなたに……。
○政府委員(土屋佳照君) 「今度の選挙では、政党による政治活動が行なわれましたが、あなたは、この中「回答票6」のどれが一番印象に残りましたか。」総数が千四百二十六ございまして、その回答票は、(イ)政党の宣伝カー一六・六——パーセントだと思います。(ロ)政党のポスター九・七、(ハ)政党の機関紙一五・三、(ニ)政党のパンフレットビラ三六・九、その他一、ない、わからない二〇・五。 「今回の選挙で、候補者の名前や政策について知るのに役立ったものが、この中にありましたら、あげてください。テレビ・新聞の選挙報道、選挙公報は除いてあります。」それのパーセンテージでございますが、これはダブっておりまして必ずしも一〇〇になっていないようでございます。(イ)選挙運動用はがき五・五、週刊誌・雑誌の選挙報道三・七、労働組合の機関紙四、公営ポスター掲示場一五・七、ラジオの選挙報道四・五、個人演説会八・九、候補者の新聞広告一五、政党の機関紙、ビラ、パンフレット二九・一、候補者のポスター二一・九、電話による勧誘三・二、郵便——私信でございます、二・七、街頭演説一一・七、連呼六、家族、知人との話し合い一三・六、ない、わからないが二七・〇で、回答計は一七二・七でございます。かなりダブっておるようでございますが、以上でございます。
○内藤功君 いまの結論でわかるように、候補者を決めるのに、東京都の有権者の二九・一%というものは、この配られる機関紙、ビラ、号外を参考にしているんです。さらに選挙中に機関紙やパンフレット、ビラを見た人は非常に高い五五%に上っているんです。 私は、これこそがまさに三木さんの言われる——三木さんは戦前の選挙を考えていらっしゃるのかもしれない、街頭演説中心の選挙、そうじゃないですね。いま、テレビだけじゃないですよ、こういうビラです。朝日新聞の投書にこういうのがある。私はもらった各党のビラを、しわを伸ばして家へ帰って見て研究する、非常にこれがいい研究材料だと言っている人があるんです、これは。ですから、私はこの考え方を改める必要があると思う。 そこで、次に伺いたい。法制局長官にこれはなると思いますが、憲法二十一条の表現の自由、言論、出版の自由、この関係から見て、選挙期間中の機関紙、その号外——政党の発行する、党の発行する機関紙、重大なものですね、これを有償の者だけに配る、配るのを制限するというような改正は、どういう問題点があるかということについてお伺いいたしたい。
○政府委員(吉國一郎君) 本件については、公職選挙法の一部を改正する法律案として、自治省から原案を法制局に持ち込んで参りましたその暁に具体的に検討いたします。 その場合、もちろん憲法との関係についても、しさいな検討をいたすわけでございますが、ただいままでの御質疑応答を通じて明らかにされましたような論点をもとにして、一応、一般論として申し上げれば、御指摘のように、政党であるとか政治団体の文書活動というものが議会制民主主義の根幹をなすものであって、尊重されなければならないということは当然のことであろうと思います。しかしながら、公職の選挙におきまして、政党、政治団体の文書活動を全く自由に認める場合において、選挙活動に過度の競争を招いて、その結果として、かえって選挙の自由が害され、あるいはその公正を保持することがむずかしくなるという結果を来すようなおそれがあると認められるような場合に、このような弊害を防止するため、選挙期間中に限って政党、政治団体の文書活動を一定の範囲において規制するということは、それがただいま申し上げましたような弊害を除くという目的に照らして必要かつ合理的なものである限りは、憲法二十一条との関係から申しましても、また十三条等との関係から申しましても、問題とするようなものではないというふうに一般的には考えております。
○内藤功君 いまのは一般論ですね。 そこで、この問題は、いま三木首相は紙くず——要するに紙くずがいっぱいふえる、紙くずとはおっしゃらなかったですけれども、非常に多くなって困る、こういう見方もありますが、さっき私が紹介したような、これは非常に政策勉強の参考になると言う人もいる。で、政治というものは、こういう紙くずと思わない、政策研究の材料になると思う意識を育てていくということが問題だと思うんです。いわゆる紙くず論について言えば、私どもの共産党は駅頭でビラまいているときも、後ちゃんと掃除していますよ。ほかの党もやっておられるかもしれません。ちゃんと掃除している。これは掃除をするという問題なんです、掃除をするという問題。もっと大きいんです、価値は。各戸配布や街頭配布で非常に多くて迷惑を受けるというのは次元の低い問題。次元の高い問題は、選挙中に政党がその政策をもって闘う、演説やテレビだけじゃなくて、文書をもって闘うと、これが大きな問題だ。 私は、この問題について、最後に三木首相の御見解を伺いたいと同時に、こういう自民党の大綱の中に、ビラ規制、機関紙規制を入れてくるということになりますと、これは非常にいままで定数是正とか政治資金規制とか進んできた選挙法の正しい意味の改正と違った、言葉を強くして言えば、非常にファッショ的な取締法の性格を帯びてくる。私は、このような改正にあくまで同意することはできない、やろうとすれば。よくこれをお考えになっていただきたいと思うんです。いかがでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 私はもう典型的民主主義者であって、ファッショなどということは私の頭の中にそんなものは全然ない。
○内藤功君 それじゃこれは撤回しなさい。
○国務大臣(三木武夫君) しかし、私はこう思うんですよ。こういうふうな選挙の期間中の政治活動は、これは一つのルールですからね、だから表現の自由とかあるいは出版の自由とか、それにもうこれはいささかも制限を加えてはいけぬが、選挙中の選挙運動のやり方というのは、各党が話し合ってルールを決めれば、それは規制しても、その原則に触れなければ、私はそういうことはいいのではないかと。なぜかと言えば、皆各党が公正な、余り過熱の選挙でなくして、冷静に判断のできるような、そういうふうな選挙活動ができるようなことを各党が寄って一つのルールにしようではないかという話し合いができれば、それは憲法の原則に触れるようなことをルールだからと言って決めることはできませんよ。しかし、選挙運動のやり方について各党で話し合って決めることは、何もそれは別に日本の言論の自由とか出版の自由とかいうものに抵触するとは思わないです、私は。皆がやっぱり話し合って、これは自民党一党だけの考えではいけません、これは野党も——要するに、選挙法の、そういう選挙のときの選挙運動というものに対しては、これはもうやっぱり一方だけで押し切るということはルールとしての公正を欠きますから、各党でこれは話し合い、公の場もありましょうし、法案を出す前にお話し合いをする場合もあるだろうし、一つの共通のルールとして、もっと金がかからないで、もっと余り不公平が起こらないような公正な選挙ができるようなルールは皆で編み出したらいいと思います。私は憲法の条章に触れるような改正をやろうという考えは全然ないわけでございます。
○内藤功君 金のかからない選挙をやるためには、情実だとか、買収、供応だとか、こういうものに対する連座制の強化であるとか、そして政治資金が大企業から来ないという政治資金の規制が根本なんですね。で、ビラに使っている金というのは、大体、私どもの方でも調べてみましたが、あの一枚が裏表一円なんですよ、ほんのそれだけのもの。これが金がかかるというのは問題のすりかえだということを、私、時間がないので、最後に、金がかかるとおっしゃるから申し上げておきます。 そこで、政治資金の規制について問題を進めますが、あなたは、先ほどの同僚議員の質問に対して、もう自民党が金で動かされているということは自分の頭には一%もないんだと、全然ないんだということをおっしゃった。そうすると、自民党なり、各派、いわゆる派閥に献金する企業の方はどうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 恐らく、企業とすれば、自由経済の体制を維持したいという強い希望があるでしょう。そういう意味において、自民党という政党というものが健全にひとつ発展してもらいたいと企業は願っておるでしょう。だから、企業も幾ら献金したから、これによって反対給付というふうには、私はそんなけちなことではないと思いますよ。大きく言えば、やっぱり自由経済体制というものを維持したいというところが企業が応分の寄付を自民党にする私は根拠だと思う。私自身がないんですからね。企業がどこから金が幾ら入ってきておるという、そんなことで私自身がもういささかも、政治をやる場合の私の頭の中にはないということ、全然ない、それは。そういうことじゃないんです。それをやってもらおうと思って企業が献金しておるというよりかは、いま言ったようなこの自由経済体制というものを維持するために、それを信条とする自民党という政党が健全に発展してもらいたいということが、私はそれは政治献金をする根拠だと思いますね。個々のいろんな、これをああしてもらいたいという、そういうふうなすぐに直接にいろんな政策と結びついたような、そういうことでは私はないと思う。私自身も、これは何も左右されないですからね。そういう意味で期待するとしたならば、それは大きな期待はずれですよ。しかし、われわれも自由経済体制を維持することが日本の国情のためにはいいんだということで、この維持発展のためには努力をするというのが自民党の結党の精神ですから、そういう点では一致する面があるでしょう。
○内藤功君 総理が就任前に雑誌に発表された論文、しばしば引用されていると思いますが、その中で、国民はインフレで苦しんでいるんだ、企業から多額の献金を受けた候補者は企業の代弁者になりやすいのだ、インフレの中で企業は製品の値上げを要求し、組合は労働者の所得の上昇を要求するから、企業や組合の代表者が多く集まっている国会ではインフレを抑える力が弱くなる、だから議員は団体の献金から独立して、政治家として自由な立場を確保しなければならない、こういうふうに言っておられる。これはいまでも同じ考えだと思うのですね。ですから問題は、この個人献金にすべきだという考え方の基礎は、大企業の代弁者になる、あるいは企業の代弁者になるということはよくないと、ここに一つの原因があるわけでしょう。金をもらえばその企業——大企業であっても中企業であってもぼくは問いませんが、特に大企業の意向をそんたくしなければならない、独立した政治家としての仕事ができない、ここに根拠があるわけでしょう。だとすれば、この政治献金というものは、どうしても財界、大企業から政治が独立するために、これは政治家として強く追及していかなければならぬ問題だと思いますが、この点はいかがです。
○国務大臣(三木武夫君) したがって、まあ私は自民党にも、私自身が総務会なりにも出席をいたしまして、そうして先ほども申したように、日本はまだそういう社会的慣習というのが育ってないし、これに対する税法上の措置もありますから、これだけの政治活動というものが非常な広範囲にわたって行われなければならぬ時代にいますぐに切りかえることは混乱が起こるでしょうね。ただ、ある一つの経過的な期間を置いて、自民党の経常費はひとつ個人の寄付と党費で賄うように自民党やっていってもらいたいということを強く私自身が言って、皆さんに説明をして、党議の決定を願ったというのもそういうところにあるわけでございます。
○内藤功君 自民党の経常費と言われますが、自民党の経常費は、現在、年間幾らです。
○国務大臣(三木武夫君) これは自民党、少しまあ大節約をしようということで、いま予算というものを立てておるところですが、もうできるだけ経費を節減して、代議士の党費もふやそうということで、まだ経常費としてこれからどれぐらい、いままだ試験的なことで、いろんな大衆募金のようなことも考えていますし、やっぱりきちんと経常費は幾らということをまだ申し上げるだけ、私は総裁になってからの会計というものがまだそういう予算というものを立てる段階にはまいってないわけです。
○内藤功君 これは商業新聞、一般新聞ではすでに約二十二億だと、こういうことを言っておりますよ。私はこの金額をいまここでせんさくする時間はない。問題は、党の経常費は二十二億、そのほかに各団体ですね、各政策研究団体、派閥のお金、各個人政治家にいくもの、これはこの経常費という中に入っていないんですね。これが一つ。 それからもう一つは、経過措置をとったということ、これもはっきりしておきたいのだけれども、この自民党の政治資金規正法の大綱では、五年たって再検討する、これだけなんです。五年たって、失礼ですが、総理がその職にいられるかどうかもこれもはっきり言えた問題じゃない、大変失礼ですが。しかも、この再検討というのは、さらに上限を上げることだって再検討。この点はどうなんです。少しも廃止の方向への前進ではありませんと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 私の生命は短くても自民党の生命は永遠ですからね。それから党議で決めたわけですから、それはもう非常に、やっぱり党の意思が決定したんですから、これは五年たってそれが今度は、実際は検討してみて政治資金の限度を上げようというような、そういうことになるわけはない。この問題は政党のモラルとして私は取り扱うことがいいと思うのです。だから、法律で禁止というよりも政党が辞退をすると、こういう態度の方がこの問題の取り扱いとしては私はその方が好ましいと、これは団体あるいは企業も団体も入るわけですから、それに対して、これからの政治資金というものは辞退をするという党自身のやはり方針として決める方が私は一番好ましい問題だと思っております。
○内藤功君 これは、いまこの五年後どうするかということは、どうこの文章見たって廃止の方向への経過規定とは見えないんですね。経過規定であるならば、団体の、会社の献金は廃止すると、これをしてはならない、そしてこの条項は何年何月から施行すると、こう書かなければ、これは経過規定ではありません。 さらに私はお伺いしたい。この一遍でいけないのだと、なかなか経過期間がかかるんだといいますけれども、私たちの党は、これは企業からの政治献金というものはもらっていません、全部個人献金です。ほかの党でもそういう党が野党の中にあると思う。一番問題なのは、いま一遍にすぐにいかないと。三木さんは、中央公論では、これは決して迂遠な理想論じゃない、現実的な提案だとはっきり書いておられる。現実的な提案というのはできるんです、これは。できない原因は、自民党の中でもってこの改革というのがおくれているからでしょう。これを直せばできるのです。ですから、逆に言いますと、この企業献金をやめて個人献金に限るということに踏み切ったら、自民党の改革も進むんじゃないですか。あるいは進まないかもしれない。その点はどういうふうに考えられるか。すでにあなたの党の中では、たとえば、名前は言いませんが、個人献金でこれからもう始めてますという人だって一人、二人は出てきているはずです。これはやる気がないということなんです、結局。やる気がないということ。やる気があれば、経過規定、つまり後三ヵ月待ってくれ、四ヵ月待ってくれなら、これは話し合いができますよ。しかし、五年たって再検討、これじゃ前向きじゃありません。やる気がないと言われても仕方がない。クリーン三木のこれは看板に傷がつくというものですが、いかがでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 御存じのように、第五次選挙制度調査会でも確かに五年という経過措置があったと思います。
○内藤功君 もう八年前ですよ。古い話なんです。
○国務大臣(三木武夫君) 第五次選挙制度調査会、これは自民党ではないわけです。第三者が寄っていろいろ考えてみて、まあ現実を考えたらそれくらいの経過規定が要るということでそういうことになったんだと思うのです。これは第三者ですからね、選挙制度調査会。だから、これは自民党の決意と言われますけれども、まだこう、日本の場合は個人が自分で選挙の場合でも金を出して、むしろ候補者よりも有権者が出すのだというような社会的な慣習というのはまだ日本にはでき上がっていませんし、選挙のときばかりではなしに、常の政治活動についても、われわれのためにやってもらっているんだから、みんなやっぱり資金を出そうというような、そういうふうな風土というものはまだ育っていない。政党に対してもそうでしょうね。だから、そういうことでやはり経過規定を置かないと、決意だけでできるんならば私は決意しますよ、決意は。私はその方が理想的だと思う。決意だけではこれはできない。そういうまだ風土でないのですから、日本の政治の風土が。そういうことでやはり経過規定を置かざるを得ないけれども、まあその経過規定はできるだけいろいろな工夫を加えて、そして経過規定は短くするという努力は必要でしょう。しかし現実に、現実の情勢と合わないことをただ決意だけでやるということは、いささかやはり合理的でないと、こう思ったから経過規定を置くということにしたわけでございます。
○内藤功君 この問題の最後に、三木総理は中央公論の誌上でも、政治献金を企業は行わないと、個人献金として献金の額には限度を設けること、そうしてこれはきわめて簡単で、しかも現実的な提案であると、こう言っているんです。そうするとこれは誤りだと、これはやってみたけれども失敗しちゃったと、おれはあのときは総理でなかったからこう言ったけれども、今はできないのだと、できないことを言ったのだと、こういうことになりますね。
○国務大臣(三木武夫君) そうではないでしょう。企業献金にも限度を置くべきだと。今度改正しようというのも限度を置こうとしておるわけで、そしてまた、そのときは三年と言っておったわけですが、三年は、自民党の党の決定も五年ということになっておるが、その三年は五年というのは妥協をしたと。しかし原則は妥協をしていないということであります。三年は、私が言っておったのは五年という党議の決定になったけれども、それはやはり将来経常費は党費と個人の寄付によるという原則は曲げてない。だから、そこに書いてあるのをそのときだけに言ったということではないということでございます。
○内藤功君 次の問題に進みますが、これは三年後に全廃するということと五年後に再検討するということ、これは文字を読める人ならだれでもわかる、本質的な違いだと。原則は曲げられているということを最後に私は遺憾ながら指摘せざるを得ないと申し上げておきます。 次に、運輸大臣にお伺いしたいんです。これは閣僚である三光汽船の、この前から質問をしております河本通産大臣の前に社長やっていらっしゃった三光汽船の問題について一つお伺いしておきます。 運輸大臣、リベリアとパナマにある三光汽船の売船、用船先の会社は幾つあるというふうに運輸省ではお調べでありますか。
○国務大臣(木村睦男君) 三光汽船が用船をしております船が約百三十数隻だったと思います。
○内藤功君 リベリアとパナマの会社ですよ。いまのは答弁漏れですから。
○国務大臣(木村睦男君) それはわかりません。
○内藤功君 わからない……。これは私ども運輸省と外務省から資料をもらい、調べました。約百二十七社がリベリアとパナマにあるのです。いかがです。一部そっちから資料出ているのですよ。
○国務大臣(木村睦男君) 私よくわかりませんが、恐らく先生がおっしゃったような数字ではないかと思います。
○内藤功君 運輸大臣、それらの会社はすべていわゆるペーパーカンパニーだと、それが当然であると、世界の大勢であると河本通産大臣は言っておられますが、運輸大臣としてもその事実は承知しておりますか。
○国務大臣(木村睦男君) これは午前中にも御答弁申し上げたんですが、便宜置籍船の問題に関してのお話だと思いますが、これはリベリアあるいはパナマに船籍を移すためには、リベリア、パナマにいわば今おっしゃるようなペーパーカンパニーと言いますか、一船ごとに会社をつくりまして、そうしてそこの所有にして船籍を登録するということになっておりますので、これは便宜置籍船すべてにわたってそういうやり方をしております。その背後にほんとうの船主と言いますか、これがおるわけでございますが、これは世界的に見まして、ギリシャあるいはアメリカ、それからイタリア、そういうところが七割ぐらいは背後の船主としておるように見受けられます。
○内藤功君 このように多くの会社がリベリア、パナマにつくられているわけですけれども、こういういわゆる便宜置籍船を置く理由というのは、いろいろ昨年から議論されましたけれども、結局するところ、税金が安い、それから船員を、外国の、特に東南アジアの安い賃金の船員を雇うことができる、こういうメリットで三光企業を初めとする企業はやっているんだろう。これはもう明確だと思うのですが、運輸大臣の御認識を伺いたい。
○国務大臣(木村睦男君) 便宜置籍船のメリットは大体二つありまして、一つは今御指摘のように、あれらの置籍国は大体登録料のみは取っております。これは毎年公開になりますので、毎年公開登録料を取るわけです。
○内藤功君 金額の基準なんかも言ってください。
○国務大臣(木村睦男君) 金額の基準はちょっとわかりません。 それからもう一つは、この方が実は現在盛んに便宜置籍船が横行しておる一番大きなメリットなんですが、船員費が非常に安い、これが非常に大きなメリットでございます。そういうことで、世界の船舶のうち大体二十数%が便宜置籍船を雇っておる。日本も大体同じような比率で便宜置籍船を雇っておるのでございます。
○内藤功君 通産大臣にお伺いいたします。私たちの党の増本一彦議員を団長とする調査団がこの問題で香港に参りました。香港の万友船務という会社を調べてまいりました。万友船務というのは、私どもの調査では、リベリアにある百二十数個のこの三光関係の会社のいわばマネージングカンパニー、船主代行というような役割りの会社であると、こういうふうに判断をいたしますが、いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 香港の万友シッピングというのは中国人が社長でありまして、中国人の事務員が何人か働いておるようでありますが、それに対して三光汽船も出資しておることは事実であります。しかし、後でお述べになりましたことは、これは事実とちょっと違うと思います。
○内藤功君 まず間違いないところから固めていきたい。この万友船務は五〇%が三光汽船の出資ですね。そして、この万友船務は、同じく一〇〇%三光汽船が出資している三光エイシア、おわかりと思いますが、三光エイシアと同じビル、同じフロアにことしの一月の三十一日までいたのです。この前あなたは渡辺議員に対してフロアが違うと言ったけれども、フロアが違ったのは二月の一日からなんだ。国会で問題になってから弁護士のある人を頼んで分けたのです。私も弁護士だからよくわかる。弁護士が手続料をもらってやったわけです。そうして階を分けた。ここに写真がありますが、これが一方が、おわかりと思います、十五階、これが八階。分かれているけれども、これは一月三十一日までは同じ三光エイシアの中にいたのです。これはお認めになりますね。
○国務大臣(河本敏夫君) 万友シッピングができましたのは、たしか二、三年前だと思います。それから三光エイシアができましたのはたしか昨年であったと思いますが、その事務所が同じフロアであったということを私は承知しておりませんが、少なくとも現在は同じビルであってもフロアは違うと、これだけは承知しております。
○内藤功君 ここにちゃんとその香港政庁に届け出た日、フロアが分かれた日がちゃんと届け出ありますから、あとでごらんください。これはもう間違いない事実なんだ。 それから、さらに椋原さんという、これはもうあなたがよく御存じの専務さんですね。三光の専務が同時に三光エイシアの役員でもあり、同時にいま問題になった万友シッピングの専務でもある。ちょうど調査団が万友シッピングを訪れたときに、そこにほかならぬ椋原さんおられたのです。これはもうはっきりとこの二つの会社が経済的、実質的には一体の事業体であるということを示していると思う。二つの会社というのは、三光エイシアとそれから万友シッピングというものが経済的に一体だということを示していると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 万友シッピングは、先ほども申し上げましたように、中国人の社長のもとに中国人の事務員が十何人かおって経営をしておる会社なんです。それから三光エイシアというのは、これは三光汽船が一〇〇%出資しておる会社でございまして、そこには三光汽船の本社から派遣をいたしました社員が若干名おりまして、これは同じものではありません。
○上田耕一郎君 関連。 この問題に関連して運輸大臣に質問したいと思います。 その前に一言。七日の渡辺委員の質問の際、私この問題を質問しようといたしまして、委員長から許可されませんでした。非常に残念なことで、予算委員会で関連質問が制止されたのは私が初めてであります。委員長の理由は、他党とのバランスがとれない、また理事会で申し合わせてあるということですが、そういう事実はありません。
○委員長(大谷藤之助君) 本論に入ってください。さような点は理事会において引き続き御検討ください。
○上田耕一郎君 ある党には四名、三名を許し、私たちには二名しか許さない、こういうことはまずいと思うので……
○委員長(大谷藤之助君) 関連をやってください。
○上田耕一郎君 委員長に対して公正、平等な運営を心から要望したいと思います。 本論に入ります。 先ほど運輸大臣は、三光汽船のペーパーカンパニー百二十数社に及ぶ会社は裏に船主がある、ギリシャその他の船主があるんだということを言われました。しかし、私どもの調査では、裏にあるのはギリシャその他の船を持っている船主ではなくて、裏にいるのがどうも三光汽船であると、そういう疑惑を私ども非常に強くするわけであります。私、昨年の十二月二十三日にこの問題で質問して、その後運輸省から資料をいただきました。三光汽船の売船した船が三十九隻あって、そのうちリベリア三十三隻、二十八社の買船社があることになっております。三光汽船のリベリアにおける用船状況、これを示すのが八十六隻ありますけれども、これは八十六隻を売った先が、数えてみますと八十二社あります。この八十二社と、売船先の二十八社と用船先の八十二社、四社ダブっておりまして、引き去りますと大体百六社リベリアに関係する会社があるということになっております。 しかし、ここで大きな問題は、どうも香港での私どもの調査団が明らかにしたところによりますと、リベリアにあるのは、まさに河本通産大臣がペーパーカンパニーとおっしゃったように、実体は何にもないんです。郵便ポストの私書箱がある。これに一カ月に一度三光汽船の社員が行きまして郵便物を集めてくる。その郵便物に対する返事は、全部三光汽船の本社の業務部が行っていると、そういうことであります。そうしますと、百二十何社の裏にギリシャの船主が何とかいると言うけれども、どうもこれを設立し、また指揮監督しているのは三光汽船の業務部ではないかという重大な疑惑が生じます。 それから、私ども、八社については外務省に調査を依頼しました。この八社について外務省の返事は、リベリアの領事館あるいは大使館でしょうね、調べてもらったけれども、全く所在不明だという返事がありました。そういう点で見ますと、まさにペーパーカンパニーで、実は裏に他国の船主があるのではなくて、どうも三光汽船がこれらの会社を設立し、しかも指揮監督しているという重大な疑惑があります。 先ほど内藤委員が質問いたしました万友船務、これは問題になっております。パシフィック・バルクキャリアーズという、例の「たじま丸」、これの売船先の会社ですが、これの代行会社が万友シッピング、それがしかも重役も同じ、電話番号も同じ、一月三十一日まで同じフロアにあった。やっぱり三光汽船の事実上の子会社であるという疑いがきわめて強い。しかもまた、香港の調査によりますと、こういうペーパーカンパニーの設立というのはわずか三日でできるんです。香港ドルで六百五十ドル、日本円に換算して約四万五千五百円払って弁護士に頼みますと、ニューヨークにリベリア本部というのがあります。ここと連絡して、わずか三日間でペーパーカンパニーというのは設立されるんです。三光汽船のこのペーパーカンパニー設立専門弁護士というのは、ジョンソン・ストックマースというソリシターだ、人物の名前までわれわれ明らかにいたしました。こういう点で、私は運輸大臣に、重大な疑惑があるということについてひとつ指摘したい。 それからさらに、私が十二月二十三日に質問した際、木村運輸大臣は議事録によりますとこう答えております。「なお、内容について運輸省で調べておりますことを申し上げますというと、三光汽船の売船先はすべてリベリア及びパナマ籍の会社でございます。したがって、この売船先の会社と三光汽船との間には、それ以外の関係はございません。」と、こう運輸大臣は私に答えられた。その後のわれわれの調査では、関係ないどころじゃない、文字どおり三光汽船の業務部が全部設立し、指揮監督している。百社以上あるのですよ。田中角榮氏は幽霊会社あれだけつくって土地転がしで大分もうけたのですけれども、どうもこの三光汽船の場合には幽霊会社を百以上もつくって、船転がしで莫大なもうけをしているのではないか。これは脱税その他の関係の疑惑さえあると、そういう重大な疑惑があります。一体運輸大臣は、こういう実態を御存じの上で私にこの関係ございませんと答えたのか。どうも先ほどの答弁ですと、何も知らないようです。知らないで、どうして関係ございませんとはっきり答えられたのですか。渡辺委員は、この問題明らかにするために、先日社長並びに業務部長その他の証人を要求いたしました。実際ここで証人を出して調べれば、これだけ大きな疑惑の問題、完全に明らかになると思います。私どもその証人要求を重ねて申しますとともに、昨年の運輸大臣のお答えは、明らかに明白な失言ないしは食言だと思いますが、事実と違うのでひとつ取り消しを要望したいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 運輸大臣もお答えになると思いますが、その前に若干事実と違いますので……。
○上田耕一郎君 河本さんに聞いているんじゃないんですよ。運輸大臣に聞いているんだ。
○委員長(大谷藤之助君) まず河本通産大臣の発言を許します。
○上田耕一郎君 私の関連質問はやめさせておいて、発言の要求がないのに、私が聞いてもいないのに何で許可するのですか。全く不公正なやり方ですね。ひとつ公平、平等にやってください。
○国務大臣(河本敏夫君) 運輸大臣もお答えになると思いますけれども、その前に事実と違う点がございますので、私からその点だけを申し述べたいと思います。 第一点は、三十九隻の船を売った、それを全部チャーターバックしておるじゃないかと、こういうお話でございますが、チャーターバックしている船は、そのうちの約二割でございます。 それから、このリベリアの会社は全部幽霊会社だというお話でございますが、これはリベリアに世界じゅうの船会社が会社を設立しておるわけでございまして、その数は数千あるか、数万あるかわかりませんが、それは全部リベリアの政府のつくっております海運会社が住所になっておるわけです。でありますから、何も特別の関係のものだけがリベリアに船をつくるのじゃございませんで、世界じゅうのものが、全部そこに船会社をつくりまして、そして住所も全く一緒になっておる、こういう事実になっておるわけでございます。
○国務大臣(木村睦男君) 便宜置籍船について私が申し上げましたのは、世界的な便宜置籍船の実情を申し上げたのでございまして、いま河本通産大臣が話されましたように、リベリアにおいてそういう会社をつくって、そこの所有にしなければそこで登録できないわけですから、そういう登録をしておるわけでございます。そしてそれをチャーターして、世界の海運が二〇%ぐらいはその船を使っておる。その便宜置籍をしております船、その本当の所有者というものは、私がさっき申し上げたように、ギリシャとかアメリカとかイタリーというのが非常にたくさん占めておる。つまり七割ぐらいは占めておる。後の三割ぐらいが、それ以外の世界各国が雇っておるところの便宜置籍船なのでありますという意味で申し上げたのでございます。 それから前の予算委員会で私が申し上げたのは、日本の海運会社が便宜置籍船を雇う場合に、その雇った会社と、それから便宜置籍国につくってあるところの会社とがどういう関係にあるかということは、実はわれわれのところでは調べるわけにいかないんです。それで、そういう御質問のときには、その便宜置籍船を雇っておる会社に聞きまして、一体どうなのかということを聞いて、その報告を受けておるにすぎないものですから、そこでそういうふうなお答えをしたというのが実情でございます。
○上田耕一郎君 河本通産大臣は、私が売船の全部をチャーターバックしているかのようにいま——私はそんなこと一言も触れてない。運輸省から出たのは、三十九隻この五年間に売船していて、そのうちリベリアが三十三隻、これは運輸省から出た資料であります。そのことを言っただけです。 それから運輸大臣の答弁も私の質問の答弁になっておりません。河本通産大臣もいまお認めになったように、このリベリアにはどうも国有の海運会社があって、ここに世界の船の、何千あるか何万あるかわからぬけれども、全部同じ住所で一つの会社だと。これは文字どおりペーパーカンパニーで幽霊会社じゃありませんか。私が問題にしているのは、そのペーパーカンパニー、幽霊会社が、運輸省の言うようにギリシャその他の国が裏にいるんじゃない、三光汽船そのものが、少なくとも私たちの調べた範囲では、この日本では、三光汽船では、ペーパーカンパニーそのものの裏にいるのも三光汽船だ、船をつくるのも三光汽船、売る先のカンパニーも実は主人は三光汽船、チャーターする用船先の会社もすべてそう。百二十幾つ全部三光汽船で実体は同じだ。自分の間でくるくる船を転がしている。そのことが、この間から問題になっている海難事故も起こす、公害事故も起こす。あるいは税金その他の問題も起きているというのであります。 一体、そういう事実を運輸大臣は調べて私に対して関係ないと答えたのかどうかということを聞いている。どうも運輸大臣は関係ないと答えたんだけれども、事実を調べないでこういうことを答えたようであります。私どもも、われわれの調査の範囲内でこういう重大な疑惑が生まれていることを指摘いたしました。運輸省はまだ調べていないのなら、私どもが提起したこの疑惑に対して、きっちり調査してこの国会に報告する責任と義務を持っていると思います。この調査をおやりになるかどうか、この点はっきりお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 百二十七隻が三光汽船のペーパーカンパニーじゃないかと、そういうお話でございますが、そういう事実はございません。
○国務大臣(木村睦男君) どうも話が行き違っておるようでございますが、私が申し上げておりますのは、日本と言わず、アメリカと言わず、イギリスと言わず、世界各国がリベリア等便宜置籍国に置籍をした船を使用しておるのが……
○上田耕一郎君 売船先の会社と三光汽船との間には、それ以外の関係ございませんと言っているでしょう。
○国務大臣(木村睦男君) 前半のことからいま申し上げて、その点は後段で申し上げます。世界的にその便宜置籍船を使っておる船が二〇%くらいあるということを申し上げて、それはすべてその国に一応会社をつくって、その所有にしなければ置籍はできませんから、そういう形をとっておるのでございますが、実際にはたとえばギリシャなり、あるいはイタリアなりアメリカの船会社がおって、そして便宜置籍船をつくって使っておる。それらが全体の七割ぐらいはおります。後のイギリスとか日本とか、あるいはフランスとか、そういう国々は残りの三〇%ぐらいの便宜置籍船を使用しておるんですと、こう申し上げたわけでございます。 それから三光汽船が便宜置籍船を用船しておられるという点につきましては、どういう会社であるかという名前だけはわかりますけれども、この会社と三光汽船がどういう関係にあるかということは、われわれ海運行政をつかさどっておる者としては、そこまで調べることも実は必要がないと、こう考えておりますので、調べるのは大変でもございますし、調べていない、こういうことでございます。
○委員長(大谷藤之助君) ただいま上田君の関連質疑に関連して委員長に要請があったようでございますから、その点に触れておきます。 本件に関連して、四者の証人申請の件と存じますが、よく聞こえなかったのですが、その件でございますか……。四者証人の件については、すでに渡辺理事から連絡があったと思いますけれども、けさの理事会において各党の合意を見るに至らず、その点は取り上げないことにきまっております。(「けさの理事会でそんなことはやらなかったじゃないですか」と呼ぶ者あり)昨晩の理事会か、けさの理事会か、一応理事会ではその点は……(「持ち越しで検討するということになっておりますよ」と呼ぶ者あり) いろいろ、いま参考人の件がほかにもありまして、委員長ほかの件と間違えておったようでございますから、正しく訂正をいたしておきます。 昨晩の理事会において一応検討をいたしましたが、いまだ合意決定に至らず、引き続き検討するということでございますから、念のために申し添えておきます。
○内藤功君 委員長、こういう際ですから、冷静にひとつ落ちついてやってください。
○委員長(大谷藤之助君) はい。落ちついてやりますから。
○内藤功君 次はもっと重大な問題。これはいかに安い外人の労働者を入れて、そのために日本の大事な労働者の職場がなくなっているかという大問題。これは不二船舶という会社です。不二船舶という会社は、去年の十一月に東京湾で第十雄洋丸に衝突をして、自衛隊が出て魚雷が当たるの当たらないのという事件を起こしたそのパシフィック・アレス号という船に、昨年一月に三十人近くの台湾系の船員を配乗させた、そのことに関係した、配乗させた会社である。このことは河本さんお認めになりますか。
○国務大臣(河本敏夫君) パシフィック・アレス号という船は、昨年の秋に東京湾で事故を起こしましたが、その船は三光汽船が昨年の夏から短期間タイムチャーターしておった船でございます。タイムチャーター先はイースタン・シッピングであります。
○内藤功君 まともな答弁が出てきません。これはもうはっきりとわれわれのほうで調べはついている。 ところで一つお見せしたいものがある。河本大臣ちょっと——いま大臣にお渡ししたのがこの不二船舶の——会社をつくるときには御承知のとおり添付資料として議事録をつけますね。その議事録を東京法務局港出張所という、法務局じゃ一番でっかいきれいなところです、人間は少し足りないけれども。ここへ行って私どもが全部写してきた。この写しであります。一字一句間違いない。不思議なことに、不二船舶の議事録であるのに、その下には何と三光汽船株式会社と書いてある。これは三光汽船株式会社がまさにこの不二船舶をつくったんですな。子会社なんですよ。うっかり書くに落ちるというやつですな、出てきちゃった。これはお認めになりますか。不二船舶の性質です。
○国務大臣(河本敏夫君) 実はこの問題につきまして、先般同じような御質問がございました。そこで私も問い合わせてみたわけでございますが、大体事情が判明いたしましたので簡単に申し上げますが、昭和四十七年に三光汽船におりました山本という部長が定年で退職をいたしました。そして別に新しい船舶代理店の会社をつくりたいと、こういうことで退職後いろいろ事務手続をやっておったようでございますが、しかし何分にも事務的にまだ事務所もできておりませんから、そこで三光汽船のほうに頼みまして、そしてこの書類のタイプをしてもらったのだそうでございます。そういうことでこの下に三光汽船という字が出たのだそうでございますが、先般も申し上げましたように、退職した者が中心になってつくった会社でございまして、資本的には一株も持っておりませんししますから、いわゆる子会社というものではないと、こういうことを申し上げたわけでございますが、このプリントのことにつきましては判明いたしましたので、以上のような事情でございます。
○内藤功君 大体これで勝負あったと思うんですね。取締役四人は全部三光本社の用度部長、船員部次長、業務部長、それから監査役も三光汽船の用度部次長ですね。これはもういまあなたがお認めになった。世間ではこういうのを子会社と言うんです。世間では言うんです。ちょうど子供がいたずらをして、いたずらしたろう、しないと。これは大変失礼なたとえでありますが、私はこれはこれ以上追及しませんが、さらにもう一つ伺いたいのは、運輸大臣、運輸省に対して先般渡辺武委員が、この不二船舶は船員職業安定法に違反した船員職業あっせんをしておるのではないか、調査をしろと言ったが、その調査結果はどうなりました。
○国務大臣(木村睦男君) 不二船舶株式会社は海上運送法の海運代理店業を昭和四十七年九月から行っておるものでございますが、海上運送法上の届け出も同年九月に行っております。そこで、この会社が代理店業務を締結しております外国船主から依頼を受けてどのような業務を行ったか、現在責任者から詳細に事情を聞くことにしておりますけれども、とりあえず調査いたしましたところによりますと、その外国船主が外地で雇用いたしました外国人船員が、同船主所属の船舶に乗船のためにわが国に入国した際、これらの船員が当該外国船に円滑に乗船できるよう便宜を与えたものと思われるのでございます。今日までの事情調査の結果は、かような次第でございます。
○内藤功君 それを基礎にして徹底的に船員職業安定法違反かどうかを調べなくちゃいけない非常な疑いがここに出てきていると思います。 そこで最後に私は、日本の船員の職場を奪ってインドネシア、フィリピン、タイなどの船員を雇っているんですが、一体どのくらい、日本の船員に比べて航海技術の点ではどうなのか。外国に対して言いにくい話かもしれないけれども、運輸大臣、日本の船員の質は、航海技術は世界でも一流だと思うが、どうです。
○国務大臣(木村睦男君) お話に関連してでございますが、いわゆる外国の船員、つまり便宜置籍船等は外国の船員を乗せておりますから、これらが非常に航海技術上まずくて、事故を起こすのじゃないかというお問いが中心だろうと思います。これはああいうリベリア等も……
○内藤功君 質問してないですよ、そういうことは。必ずしも聞きもせぬが、まあいいでしょう。
○国務大臣(木村睦男君) 一般論としてしか言えぬものですから、外国の船員については。こういうリベリア等は航海安全の国際条約にも加盟しておりますので、その点は間違いないのでございますが、ただロイド統計等を見ますというと、わりにそういった外国船員を乗せた船の事故が高いということで、OECDでもこの問題について現在いろいろと調査をいたしておりますので、わが国もそれに協力をいたしておる、こういう実情でございます。
○内藤功君 一九七四年十一月に西ベルリンで開かれた、国際海上保険連合の大会で配られた資料です。便宜置籍船の事故は全世界の事故のうちの約七〇%、この黒いところがそうです。こういう大きい事故を起こしている。次に賃金の点ですが、大体日本の船員に比べて三分の一ないし二分の一と非常に低い賃金です。これがいろんなタンカー衝突事故を起こしている原因であります。 そこで、いまお話のあった便宜置籍船制度をこの際再検討すべきだという大問題がある。OECDではどういうような勧告をしているか。これについて運輸省、これは政府委員でも結構ですが、一九七一年九月にOECDの海上運輸委員会がやった報告でどういう問題提起をしているか、外国ではどいう規制をしているか、これをお話し願いたい。運輸省、大臣、どうです。
○政府委員(薗村泰彦君) お答えいたします。 便宜置籍船についての国際的な評価はまだ確立されておりません。先進国の、一応OECDの七一年の報告は出ておりますけれども、引き続いて七四年に至るまでいろいろ再検討が行われている。その中で先生御指摘のように、一番大きいのは安全面の問題が大きいということが指摘されているのは、そのとおりでございます。
○内藤功君 それだけですか。
○政府委員(薗村泰彦君) いろいろメリット、デメリットはございますけれども、まだ引き続き検討されておるということでございます。
○内藤功君 最後に、この便宜置籍船制度について、これはいま局長は何にも報告がないように言ったけれども、OECDのいまぼくの言った一九七一年九月の海上運輸委員会の研究報告では、便宜置籍船のもたらす問題は放置し得ないものとなったと加盟各国の特別な注意を喚起している。日本政府代表もここに参加しておるのであります。さらに外国の立法例では、西ドイツでは七二年九月に、税金逃れの海外ペーパーカンパニーを防ぐ法律案が公布された。便宜置籍船の運航は国旗法で禁止されております。イタリアでも、イタリア船の外国移籍に厳重な罰金を科する法律ができております。ノルウェーでもそう、アメリカでもそうです。こういうふうに日本みたいに簡単に通産大臣が海外輸出貿易令ですか、第一条による簡単な承認を出すという国は少なくなってきている。 最後に私は運輸大臣に対して御質問したい。 こういう事故を起こしている、また日本人船員の職場を狭めておる安い外国人船員によって事故を起こしている、こういうもとになっておる便宜置籍船制度、これをどうするか。諸外国の立法例やOECDの研究報告や、あるいは国際運輸労連、ITFの意見などを参考にして全面的に再検討する考え方があるかどうか、この点をお伺いしたい。
○国務大臣(木村睦男君) 便宜置籍船の問題については、いまお話しのようにOECDでいろいろ検討を進めておりまして、いまお話しになったのも中間的な一つの報告でございまして、まだ最終結論は出ておりません。そこで、これはやはり世界的な問題でございますので、日本だけがどうするこうするということは非常に困難なことでございます。それはなぜかといいますというと、いま日本がこういう国際海運に雇っておりますのは全体の約二割ぐらい、日本の船会社が使っております船の中で二割ぐらいはこういう外国の用船をやっておるわけでございます。そこで、そういうものがいけないということになりますというと、日本の船による輸送力というものが下がる。じゃ、その下がった輸送力をどうするかといいますというと、やはりこれは外国の船が入ってくる。これは国際上港湾の出入りが自由である限りこれを拒むわけにいかない。外国の船なら便宜置籍船であるからいけないということもできないわけでございまして、非常に日本海運に与える影響も多い。したがって、これはやはり国際間の一つのコンセンサスを得なければいけない。そこでOECD等でいまそれを検討しておるということになるわけでございます。 それから、日本の船員を圧迫するというお話もあるわけでございますが、日本の船を売船いたします場合には、やはり労働組合と相談をいたしましてその了承のもとに売船をいたしておる、こういう実情でございますので、組合の方もその点については同意をして日本の船を日本の船会社が外国に売船をしておるということで、その辺はよく船会社と組合と話し合ってやっておりますので、まずまずいまのところは円満にいっておるということでございます。
○内藤功君 これは、当然これだけの事故が起き、そうしてこれだけの船員に対する圧迫が起きておる、この状況のもとで外国の動きを待っているということじゃいけない。それじゃ、外国の動きが、各国が一致しなければ何にもしないというんですか。この際、これは外国の動きがここまできている以上は、便宜置籍船制度そのものについて再検討する、これが当然じゃないですか。それともこの問題を放置するというんですか。最後にそこの点、答弁がこれは漏れておりますから答えていただきたい、はっきり。
○国務大臣(木村睦男君) 便宜置籍船のデメリットは各国共通の問題でございますので……
○内藤功君 日本としてどうするかという問題ですよ。
○国務大臣(木村睦男君) そこで日本としては、やはりこれは世界共通の問題の中に日本も協力して解決しませんと、日本だけでどうこういうことをいたしましても、結局、日本の大切な物資の輸送はできるだけ日本の船でやりたい、あるいは日本の船会社にやらせたいという方針をとっておるわけでございますので、したがって、日本としても船員その他の問題で日本の船で運ぶと非常に高くつくということになりますと、どうしても外国の船会社が外国の船で日本の貿易上の品物を輸送するということになってまいりますので、そこでやはり国際的に協調しながら、OECDで便宜置籍船の弊害をどうやって防ぐかという、いまお話しのような検討をやっておりますのに協力して、一日も早く適当な結論が出て、みんながそれに従ってやるということでなければ最終的な成果は得られないと、かように思っております。決して……
○内藤功君 再検討するということですね。イエスかノーですよ、これは。再検討するかしないかということです。
○委員長(大谷藤之助君) 答弁を聞いたあとで発言を求めてください。
○国務大臣(木村睦男君) それは、当然OECDで日本も参加して協議いたしておりますから、この結論についてはやはり再検討していこうという方向でOECDが検討いたしておりますので、これは当然のことでございます。
○内藤功君 時間がありませんので、これで終わります。(拍手)
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして、内藤功君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 近藤忠孝君。
○近藤忠孝君 最初に、地方財政の問題について総理にお伺いいたします。 地方自治体の税財源の拡充が求められて、地方制度調査会答申でも繰り返し指摘されておりますが、まず総理、地方自治体の課税権、これは自治体固有のもので地方自治の根幹であるとお考えかどうか、まず御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 地方自治体の課税権は、地方自治法、地方税法で定められておることは御指摘のとおりでありますが、税の問題は国民の負担の公平を図るという見地から経済政策的な考慮も要りますので、国の法律で地方の課税上に一定の枠がはまっていることは御承知のとおりでございます。
○近藤忠孝君 この課税権について、憲法上の根拠は何か、これについてお答えいただきたいと思います。 〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕
○国務大臣(福田一君) 御案内のように、憲法の第九十二条は、地方自治の大綱は、地方自治の本旨に基いて国の法律で定めるものであるということを明らかにしております。そこで、これを受けまして、地方自治法の二百二十三条、それから地方公務員法の二条におきまして、その趣旨を明らかにいたしておるわけでございます。地方税法においては、地方自治の本旨に基いて地方税の大枠を定める、その枠内で標準税率とか不均一課税、法定外普通税等の地方団体に一定の自主権を認めておる、これはもう御案内のとおりであります。また、地方税における非課税措置は、国、地方を通ずる租税体系のあり方の一環として設けられたものでありまして、その内容の適否については、これはいろいろ議論のあるところでありますけれども、しかし、これは立法政策上の問題でありまして、地方税の非課税措置が直ちに憲法違反であるということにはならないと思っております。
○近藤忠孝君 しかし、いまの御答弁では憲法上の根拠に基づくもの、すなわち、自治体固有のものであるということだと思います。 そこで、具体的な例でお聞きしたいと思います。電気税に係る非課税措置によって市町村税が大変減収しております。どの程度減収しているか、御承知だったら御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(福田一君) いままでは百二十九品目が非課税になっておりまして、七百七十億円減収になっております。今回二十四品目をはずしましたことによって十六億円だけそれが減ったというか、増になったということになるわけであります。
○近藤忠孝君 大変大きな額でありますが、大牟田市の件であります。大牟田市では、この五ヵ年間で七億円減収になっております。そこで、新聞でも御案内のとおり、国家賠償請求をすると、このことが議会に提案されましたが、この件についての経過と内容を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(首藤堯君) お答え申し上げます。 大牟田市におきまして、ただいま御指摘の問題が起こっておる最中でございまして、まだ議会にその議案が提出をされた段階で、議決には至っていないのでございますが、先生御指摘のように、大牟田市においては先ほどの産業用電気税の非課税品目に該当する会社が非常に多うございますので、この分に対する電気税の減収分、このうち地方交付税で補てんができません残りの分、具体的には税収の二五%でございますが、これを国に損害賠償というかっこうで請求するかしないか、その点について現在議会で論議がされておるように承っております。
○近藤忠孝君 自治大臣、早晩提訴されるはずであります。これについての政府の見解、どういう対処をされるのか、どういう見解か答弁いただきたい。
○国務大臣(福田一君) これはそういう裁判の問題になりますから、これがどう決定するかどうかという問題、もし、提訴されるとすればですよ、これはわれわれがいま言うところではありません。しかし、従来の私たちの考え方では、まあ憲法上のちゃんと理由があって、法律できめて、それでやっておることでもありますし、それからこの問題は全体と個人との問題というか、国と公共体の問題というか、そういうことに私はかかってくるのじゃないかと思うのです。国全体として政治を行います場合には、皆公正にどこにもきめたとおりにやらなければなりません。大牟田は財源に困るからといって、大牟田だけ特別扱いをするというわけにはいかないわけですね。そうすると非課税の措置をきめたその法律が適法であるかどうかという法律論になってくるだろうと思います。私は、政治論としてはこれは一応国の方針としてそうきめました以上は、これをわれわれが改める理由はないのじゃないかと、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。
○近藤忠孝君 先ほど自治大臣は憲法九十二条にこの課税権の根拠があると答弁されました。ということは、地方自治の本旨に従って行なうということであります。となりますと、この問題になっております電気税の非課税措置は、地方自治体が特定の巨大な企業の税を先ほどのように巨額に非課税にする、これは地方自治の本旨からいってどんな合理性があるのだろうか。たとえば保育園は別です。これはまさに住民の要求を実現していく道でありますけれども、こういう巨大企業の税金をまけることが地方自治の本旨からいって本当に合理性があるのかどうか、この点についての御答弁を願います。
○国務大臣(福田一君) それは私、先ほどちょっと条文を申し上げておりますが、ちょっと失礼ですけれども条文を読ませていただきます。政府委員から条文だけまず読ませます。
○政府委員(首藤堯君) 条文のことでございますが、もう先生御案内かと思いますが、自治法の二百二十三条に、「普通地方公共団体は、法律の定めるところにより、地方税を賦課徴収することができる。」とございますし、それから地方税法でございますが、二条に、「地方団体は、この法律の定めるところによって、地方税を賦課徴収することができる。」と、こういう規定が憲法の九十二条の規定を受けまして法律上あるわけでございまして、このことによりまして地方公共団体の徴税権というものが付与されておると、このように私ども解釈いたしておるわけでございます。
○近藤忠孝君 いまの説明は、これは憲法九十二条の説明じゃありません。それは一般的なことなんです。むしろ九十二条の趣旨は住民自治の本旨、国とは別の自治体として住民のためにどれだけ奉仕するかという、これはまさに住民自治の本旨なんですけれども、こういった点で、この法律自身、地方税法自身が枠をはみ出ているんじゃないか、これが私の質問なんです。それについての御答弁を願いたい。
○政府委員(吉國一郎君) 先ほどその点については自治大臣からの答弁で明らかになっておると思いますが、憲法九十二条の規定によって、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と憲法では規定してございます。その法律といたしまして先ほど自治省の局長から申し上げましたように、地方自治法及び地方税法が制定をされておりまして、これによって地方公共団体に課税権が付与をされておる。その付与された課税権を行使して地方公共団体は地方税を賦課徴収するというのが現在の憲法、法律の仕組みでございます。その場合に、地方税法において税目等につきましてやや詳細な規定を置きまして、その範囲内において課税をするというのが現在の地方税法の根本的なたてまえでございます。これは立法政策といたしましては、もちろん地方公共団体に一定の範囲において自由な課税をさせるということもそれは不可能ではないかとも思いますけれども、他方、憲法に八十四条という規定がございまして、租税法律主義ということできわめて厳格な規定が設けられております。その規定との調整等も考えまして、国民の租税負担の全体としての合理的な線を確保しなければならないということから、地方税独自の立場で考えるわけにはまいりませんので、国税と地方税を包括的に一体として国民の課税負担を考えるというのが現在の税法全体を通ずる考え方であろうと思います。そのことで、地方税にもおのずからそのような課税除外あるいは一部の免除というような制度も設けられて、これが国税の全体系と相まって国民の税負担の総体を構成しているというのが現在の姿でございます。
○近藤忠孝君 いまの法制局の答弁は先ほどの自治大臣の答弁と矛盾すると思うのです。私が冒頭に聞いたことは、地方自治体の課税権は憲法上の根拠に基づくものかと言ったら、九十二条というわけです。いまの法制局長官の答弁は、地方税法に基づいて自治体の課税権が出てくる、憲法に基づくのか、法律に基づくのか、明らかな大きな違いじゃないでしょうか。それぞれ御答弁いただきたい。
○政府委員(吉國一郎君) 先ほどの自治大臣の答弁では、地方公共団体の課税権が憲法上固有のものであるという趣旨の答弁ではございません。憲法第九十二条に基づいて法律で定めてある、その法律に基づいてこのような課税をしておるということは私がただいまお答え申し上げました点と何ら相違するものではないと思います。
○近藤忠孝君 大臣、どうですか。
○国務大臣(福田一君) ただいま法制局長官が申し述べたとおりでございます。
○近藤忠孝君 結局、政府の見解は地方自治の本旨を明らかに踏みにじっていると言わざるを得ないと思います。これは人件費の問題でも当てはまると思います。私は地方公務員の給与が高ければ高いほどいいとか、人員が多ければ多いほどいいという、そういうことは申しません。しかし、憲法上のたてまえから国が自治体に強制的に介入すること、本来条例が定めるべきことを国が強制的に介入すること、そのことが問題だろうと思うんです。 そこで自治大臣にお伺いしたいのは、地方公務員の給与が国家公務員と同一でなければならないとか、全国一律でなければならないとか、そういうことはないと思いますけれども、御見解を賜りたいと思います。
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。 御趣旨、いまの御質問のとおりでございまして、同じでなければならないということではございません。しかし、地方公務員の給与についてはちゃんと公務員法に規定がありまして、そして給与というものは生活の問題と、それから国家公務員に準じて、しかもその地域の給料というか、そういうものに準じておやりなさい、こういう決めがあるわけです。だからたとえば、東京都の近所では高くても田舎へ行って、山村などへ行きますというと国家公務員よりもずっと安い給料のところもあります。これは当然のことなんで、第三番目の条件を入れた場合にはそういうことが出てくるわけです。そういうところであまり会社もなければ何もないなんてことになると、農協とか森林組合の人たちの給料がどうなっているかということなどが参考にされなければ村の平和というものは保てません。そういうことでありまして、ちゃんと条文でそういう意味では決まっておるわけでありまして、あなたがいま御指摘になったように、必ず一律でなければならないということではございません。しかし、準じなくてはいけません。
○近藤忠孝君 問題は起債拒否とか、あるいは特別交付税による制裁措置までして政府が上からの官僚統制によって地方公務員の給与の引き下げを強制している、こういう姿勢にあると思うんです。これは地方議会の意思に対する介入でもあると思いますし、まさにこういうことが地方自治の本旨を踏みにじった憲法違反だ、こう思うんですけれども。総理の御見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(福田一君) それはもう、私たち給与水準の高低でもって特別交付税の配分額を決めるとか、そういうことはいたしておりません。ただしかし、これだけは申し上げておきますが、よく期末にプラスアルファというのがありますね、ああいうのは東京都あたりはプラスアルファが総額でたしか二百四十億円くらいあったと思いますが、ちゃんと規定以上にまたプラスアルファする、オンして支給する、こういうことをいたしておりますね、これは交付税の基準にしております。これはもう三十九年以来ずっと実施をしておるのでありまして、それになぜそういうことができるかということは、これはもう配分の公平を期するということと、地方交付税法の第十五条というのがございます。そこでちゃんとそういうような場合には減額をしてもいいと、適当に裁量するということを認めておるわけですから、これはちゃんと法律に基づいてやっておるわけであります。期末手当というのは公務員の一つの権利でありますから、それをとやかく言うことはできませんけれども、プラスアルファというのは、これはちょっと何といいますか、当然の権利というわけにはいかないと思うのです。給料の問題は、すぐそれはもう市長とか、あるいは都知事と地方公務員との間の話し合いにすべきで、それで決まればいいじゃないかということがありますけれども、私はそれは当然の権利としてではない。自治省としてはプラスアルファというようなものを出しておられるところは、それはよほど歳入がいいというか、財政の状態がいいからプラスアルファが出せるので、歳入状態が悪いのにプラスアルファ出せませんから、そういうときには特別交付税というのは、災害でもあって非常に金がかかったから、だからそれにはよけいやるというような意味のものでありますから、歳入不足を来たしたというものでありますから、それにはやると、こういう趣旨からいって今度は余るから出せると——余るからという言葉が当たるかどうかしらぬが、豊かな財政であるから出せるというのならば、国全体の公平の原則から見て、そういうのはやっぱり減額するということは当然である。それは法第十五条によって当然の規定だと思っております。
○近藤忠孝君 基本的には介入するものではないけれども、ただ個々の場合にその可能性があるという、この点は大変不満でありますし、また問題は、特に人件費のことを取り上げて問題にしている、そこに大変意図的なものがあると考えるわけであります。先ほどの大牟田の問題にいたしましても、この人件費の問題にいたしましても、大変重大な問題でありますけれども、時間の関係がありますので、別の機会に追及することにいたしまして、次の質問に移りたいと思います。 次は独禁法の問題であります。三木総理が独禁法の改正が必要であるとお考えになったのは、公正な取引の保護、消費者の保護、経済の民主主義を確立すると、こういう目的のためであると考えますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) そのとおりです。
○近藤忠孝君 そこで具体的にお伺いいたしますけれども、昭和四十七年から四十九年にかけてやみカルテルの横行は大変なものであったと思うのでありますが、公取にお伺いしたいのは、各年ごとの違反の件数、これを明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) 四十七年度の、勧告件数で申します、三十件、このうちカルテル件数が二十五件であります。四十八年度六十六件、勧告件数、うちカルテル件数六十六件、全部がカルテルでございます。四十九年度は、これは四月から十二月までの段階でございますが、四十四件の勧告を行いました。そのうちカルテル件数は三十四件であります。
○近藤忠孝君 このうち公取委員会のカルテル排除命令、あるいは勧告に従って価格を下げた例がございましょうか。
○政府委員(高橋俊英君) まあ私どもが調査した限りにおいてはほとんど例がないと、わずかに地方的な事件でありますが、北海道地区における住宅用ガラス短繊維の価格の引き上げ及び販売数量の制限について、これは四十八年度の事件でございますが、こちらの勧告が行われたのが十月、審決が決定したのは十一月でありますが、その夏には非常に高値を呼んでおりましたが、翌年の春には下がっております。ただし、これはほんとうにそういう審決によるものかどうか、詳しくは調査しておりません。
○近藤忠孝君 そこで総理にお伺いしたいと思います。 三年間で百件を超える勧告があって、実質的には一つもその命令に従っていなかったという事実なんです。総理は消費者保護——先ほど私の指摘に対してそのとおりだと申しましたけれども、こういう違法なカルテルの結果値段を下げていない、となりますと、消費者の段階で大変な損害があると思うのです。消費者の間にカルテルによる損害があるということを総理はお認めになるかどうか。
○国務大臣(三木武夫君) やみカルテルなどで価格をつり上げることは消費者の損害になることは明らかです。
○近藤忠孝君 そうであるとするならば、加害者である企業によってこの消費者の被害は賠償されるべきであると考えますが、総理いかがでしょうか。
○政府委員(高橋俊英君) これは非常に私むずかしい問題だと、実際は何でもないようなことなんですが、大変法律的にはむずかしいです。と申しますのは、いまの独禁法上——現行独禁法ですね、これには立法政策としてはまた別にございますが、現行独禁法の解釈といたしまして、そういう違法カルテルによる消費者の損害というものは、これをどうして救済するかという問題ではなくて、公正取引委員会が行うところのいろいろな排除措置、この排除措置というものは、全体の、つまり独禁法第一条に書いております目的、そのいろいろな目的がありまして、要するに先ほどおっしゃいました経済の民主的な健全な発展を図るために、それに反する行為を排除するんですが、「以て、一般消費者の利益を確保する」と、こう書いてあります。ところが、これは直接の目的ではなくて、そういういわゆる独禁法上不法とされる、あるいは違法とされる、そういう状態を排除することが、結局とりもなおさず消費者の利益保護になるんだと、こういうことでございまして、損害賠償につきましては、大変むずかしい解釈で、結局補助的な損害賠償制度を二十五条に設けております、損害補償措置を。何といいますか、こちらの審決を援用して無過失の損害賠償制度を設けている。これが本当に消費者の保護のためのものであるかどうかということにつきましては、実は、私どももちょっといろいろむずかしい議論も出ているのですが、最高裁判所が四十七年の十一月に出した判決におきましても、これは直接に消費者の保護そのものを目的としているのじゃなくて、排除措置が有効に行われるようにその付随的な項目である、こういうふうになっておりますので、立法政策としては、やはり消費者の保護に私どもは留意しなきゃいかぬと思いますが、これらの損害を救済すること自体を法の目的とするものじゃないと、こういうことになっております。
○近藤忠孝君 むずかしいかどうかは別問題として、ともかくも損害があった場合には、それは補償されるべきであると思いますけれども、特に独禁法二十五条なんです。この二十五条をどう理解するのか、この点について御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) 私がここで述べますと、いかにも我田引水流の解釈と思われますので、いまちょっとその判決の部分を、そう長くございませんから読み上げてみます。 「独占禁止法の定める審判制度は、」——これは審決制度でございます——「もともと公益保護の立場から同法違反の状態を是正することを主眼とするものであって、違反行為による被害者の個人的利益の救済をはかることを目的とするものではなく、同法二五条が特殊の損害賠償責任を定め、同法二六条において右損害賠償の請求権は所定の審決が確定した後でなければ裁判上これを主張することができないと規定しているのは、これによって個々の被害者の受けた損害の、填補を容易ならしめることにより、審判において命ぜられる排除措置と相俟って同法違反の行為に対する抑止的効果を挙げようとする目的に出た附随的制度に過ぎず」と、こういうふうなことが最高裁の判例でございまして、このようにいまは私どもも解釈しているわけで、もちろん消費者の損害について何らかの方法により、これをもっといまよりも、現行法よりも援用しやすくするとか、何かの方法は、私どもとしてもできるだけのことは努めなければならぬと、こう考えております。
○近藤忠孝君 委員長も消費者の被害が補償されなくていいとはお考えにならないでしょう。どうですか。
○政府委員(高橋俊英君) もちろんそのとおりでございます。
○近藤忠孝君 独禁法二十五条の解釈について私は疑義があると思うんですが、それは別としていろんな解釈があります。しかし少なくとも民法七百九条に基づいて違法なカルテルの結果こうむった損害に対して賠償を請求できる、これは当然だと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(高橋俊英君) それはもう当然でございます。
○近藤忠孝君 いまのやりとりごらんになって、総理にお伺いいたしますけれども、違法なカルテルの結果こうむった被害者、消費者の損害、これについては違法なカルテルを行った企業によって賠償さるべきである、これは当然のことと思いますけれども、総理の御見解を賜りたいと思います。
○国務大臣(植木光教君) ただいま公正取引委員会委員長が答弁しておられましたように、最高裁の判例がございます。さらにまた、いまお話しの民法七百九条による請求、訴訟提起ができるわけでございますので、そういう面において損害賠償責任を消費者側として追及できる道はあるわけでございますが、私どもといたしましては、別個の立場でやみカルテルのやり得をさせませんように、今回は御承知のような政府素案をもってただいま党側と意見を調整をしているのでございます。
○近藤忠孝君 総理にごく常識的にお伺いしたいんです。常識的に考えまして、違法な行為があり、その結果損害をこうむった、この損害は、今回の場合には、違法なカルテルを行った企業によって賠償さるべきである。このあたりまえのことを総理はお認めになるかどうかということなんです。
○国務大臣(三木武夫君) 独禁法のたて支えが、やはり、公正な自由競争を通じて、そして消費者は究極においては保護されるというたてまえをとっているわけですから、そういう点で、やみカルテルのごときものを規制していこうというわけでありますし、また予防的な措置として構造的な規制も考えていこうというわけでありますから。直接の場合は、いま公取委員長や植木総務長官が言っておったような方法で救済措置が現在においてもあるということでございます。
○近藤忠孝君 いや、賠償さるべきかどうかということ、そのことです。委員長、答えてないですよ。答弁してないんですよ、常識的な。
○国務大臣(植木光教君) いまのお話しのような、賠償をするのは当然ではないかというようなお立場からのお話でございますが、これは訴訟上いろいろな問題がございますし、どういう方法をもって、どのように損害を賠償すべきであるかというようなことは、大変技術的にむずかしい問題でございますから、したがって、私どもといたしましては、その問題については民法の七百九条をもって解決すべきではないかと、このように考えているのでございます。
○近藤忠孝君 民法七百九条によってやるべきだということは、結局損害があるということであるし、それは賠償さるべきことだというぐあいに理解いたします。 そこで、総務長官にお伺いいたしますけれども、この場合の消費者の損害というのは、消費段階におけるカルテル前の価格とカルテル後の価格の差額、これが消費者段階における消費者の損害であると、こう理解してよろしいでしょうか。ちょっと長官。
○政府委員(高橋俊英君) 私の方ですから。 仮に値上げカルテルの場合ですね、上がった後の値段ともとの協定前の値段との差額が直ちに損害額になるということは、きわめて例外だと思います、むしろ。と申しますのは、何の原因もなしにただ価格だけを協定で上げたと、こうならばお説のとおりでございますけれども、大抵は何らかの原因があって、そしてそれを転嫁した。つまり、メーカーであれば、原料が急に上がったというふうなときにそれを価格に転嫁するわけです。そういうふうなあれが多い。その場合に、いわゆる便乗分が含まれていることが多いと思います。したがいまして、差額全部がその損害賠償の対象になるとは限らない。必要な、避くべからざる、避けることのできないやむを得ない原料騰貴等が考慮されなければならないであろうと私は思います。 〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕
○近藤忠孝君 いまの委員長の答弁は、負担すべき企業の行為との因果関係の問題だと思います。しかし、少なくとも消費者段階における損害、これは消費者としますと、いままでなかったものによって、一定の価格が、それがカルテルで上がったわけですからね、この差額が消費者の損害、こう理解すべきだと思うし、委員長が言ったのはこれは因果関係の問題ですよ、どうでしょう。
○政府委員(高橋俊英君) 私は、やはり価格協定による場合でありましても、常にその差額全体が消費者がこうむった損害だと認定することは、これは裁判上の問題でございますから、私は実は私の意見を述べているのですが、それをたとえば公取に聞かれた場合、差額全部が、値上げ額が直ちにそれに数量を掛けたものが損害額であると、こういうふうには申しかねるのじゃないかと思います。
○近藤忠孝君 結局損害があるわけですが、その算定がきわめてむずかしい。そのむずかしいために企業がずいぶん責任を免れているということだと思うわけでありますけれども、しかし、損害があることは間違いないのですから、その損害は賠償さるべきであるということだと思うのです。そこで、じゃ過去にこの損害が実際賠償されてきたのかということでありますけれども、それについての調査状況を御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) 非常に古い事件について、私詳細存じませんが、これはたとえば事件的には古いものも含まれていますが、提訴が三十一年のものというのもございますから、これを含めまして二十五条を援用して訴訟を起こしたものは現在までに三件でございます。申し上げてもよろしいのですが、三件しかないということでありまして、それで結果が結局和解で済んだものが、三十一年の分は三十三年にこれは和解で済んでおります。ですから、損害額といいますか、補償をある程度受けているということは言えると思います。それから、その次の事件は東京高裁にまだ係属中でありまして、次の事件も東京高裁にいまだに係属中でございます。
○近藤忠孝君 結局、損害賠償された事例はたった一件だったということだと思います。 それでは、独禁法成立以後今日まで、価格カルテルの違法な件数は何件でしょうか。
○政府委員(高橋俊英君) お答えいたしますが、これは最初のころは非常に件数が少のうございまして、それから三十八年ごろから若干ふえてまいりました。で、現在までのトータルでは、二十二年、二十三年はゼロでございます。その後二件とか四件とかというふうになったりして、また二件ぐらいに落ちましたが、トータルで申しまして、最近ふえましたから、勧告件数四百三十七件、それからカルテルが三百五十九件であります。
○近藤忠孝君 いまの数字は結局、判明した違法カルテルだけでありますが、判明しないものはたくさんあると思います。そのうち、たった一件だけしか損害賠償されていない、この事実は大変重大であります。 そこでまた公取にお伺いいたしますけれども、四十九年に幾つか審決がありましたけれども、そのうち第六号事件の石油製品のうち灯油、それから第十三号事件の即席ラーメン、第十四号事件のスナックめん、第十八号の牛乳びん、この違法カルテルによって消費者段階においてどれほど損害が発生したか、これについて調査しておるでしょうか。
○政府委員(高橋俊英君) いままでの私どもの公取委の任務といたしましては、実はそこ証では要求されておらないのです。精いっぱいの人員を動員してやっておりますから、とてもそういう余裕もございませんが、いまお挙げになりましたものについては、すべてこれはメーカーのカルテルでございます。消費者ということになりますと、つまり間接的な損害になります。間接的になりますから——メーカーが直接相手に及ぼした金額でもなかなか実は把握しにくい。なぜかと申しますと、その実行された価格が全部統一価格とは限らないんです。それから、もとの値段も差がございます。そういうことでありまして、それぞれのケースについて特別に調査をしなければ非常にわかりにくいということでありまして、間接的な損害についてはほとんど不可能に近いと申し上げてよいと思います。
○近藤忠孝君 結局そういうことかと思いまして、私どもの方で調査をしてみました。これは日本生活協同組合連合会に問い合わせますと、先ほど申し上げた灯油については百十円上がっておりますけれども、これは四十八年度です。国民の損害額、これ調査いたしますと七百三十七億円です。それから、即席ラーメン四百八十億円、スナックめんの損害は十一億円、牛乳びんの損害は一千百四十一億円と、もう一つありますから、五百九十億円、加工牛乳びんも含めますと。合計二千九百五十九億円というのが私どもの計算による損害なんです。国民の段階における損害なんです。この計算が間違っているという根拠はありましょうか。
○政府委員(高橋俊英君) その計算はどういうふうにおやりになったかわかりませんが、先ほどのおっしゃった値上げ幅、小売段階の値上げ幅ですか、恐らくそうだと思うんですが、それに販売数量を掛けたものじゃないかと思います。それを損害額だと断定することはちょっとむずかしいと思います。
○近藤忠孝君 しかし、公取は何もやっていないんですからね。やらずにおいて、間違っている、間違ってない、それは言えないんです。そうでしょう。 そこで、これも私どもの計算です。たった四品目、五品目だけで、先ほど言った約三千億円です、年間ですね。これ全部合わせますと何兆円になるんですよ。制定以来の今日までのあらゆる違法カルテルを合わせますと、これははかり知れません。そこで、こういう損害をこうむっている、こういう状況を放置しているから、総理、企業はやりほうだいなんです。しかも、いままで賠償させたのはたった一件です。しかもこれは、価格は請求額自身が五十数億円の請求ですが、せいぜい和解したとしても五十万円です。五十数億円の請求でせいぜい五十万円。何兆円という損害が片方にありながら、こんなわずかな賠償しかされていないという、このこと自身に問題があると思いませんか、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) まあその計算は近藤さんの計算で、これはどういう根拠かということは別として、そういうことがあるからやはり独禁法を改正して、そうして生産性が上がれば価格は下がる、こういうような自由経済の原理というものを、自由経済というよりも、自由競争の体制というものを整えていくことが究極において消費者のために利益になるということで独禁法の改正をやろうというわけでございます。
○近藤忠孝君 私がいま指摘した金額は、差額全額を計算しましたからこういう数字になりますけれども、仮に、むずかしいからといって半分に削りましても、やはり何兆円という数になるんです。こういう国民の消費者段階における損害をそのまんまにしているという、このこと自身が、企業がどんどんどんどんカルテルやって、結局野放しになっていることにつながらないか、これが私の質問なんです。どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) だから、今度独禁法の改正をやって、そうしてやみカルテルなんかの規制を厳しくして、そういうふうなことを根絶をしていこうと、このことが消費者の保護というものと結びついておるということで、われわれは改正をやろうとしておるわけでございます。
○近藤忠孝君 そうしますと、消費者保護と申しながら、結局消費者の損害はそのままにしておくという、こういうことでしょうか。
○政府委員(高橋俊英君) 消費者の損害をこちらの方から積極的にどうというあれはありませんけれども、しかし現在、制度として二十五条というものがございまして、無過失損害賠償責任を認めておるということですね。実際、私どもがよく援用するのに非常に時間がかかり過ぎるじゃないかとおっしゃいますが、最近の事例で調べますと、これは四十八年度のごときは、たった一件を除いて全部勧告審決で応諾しているのです。その前の年は二件だけです、応諾しなかったのは。ですから、かなりの件数、大部分の件数は直ちに勧告によって審決確定しておりますから、そういうことであればせいぜい数カ月というところで大部分のものはそれを援用できる体制にあります。ですから、いままでは何かとかくあれでしたが、消費者運動が盛んになりまして、恐らくそういうことをこれからどしどし援用されることは結構なことだと思います。
○近藤忠孝君 結構なことだと言っても、結局放置されておった。それが今日のこういう状況になっていると思うんです。その原因は、結局政府や公取がそういう消費者の損害に対して全く無関心だった、放置しておったという、そこにその原因があるわけでありますが、消費者たる国民がこの当然の損害賠償請求をすることが本当に困難な状況にあるのが現状であります。そこで、裁判になった例は三件しかないという話があったわけでありますが、その裁判に至る過程が本当に大変なんです。 そこで、お伺いしたいことは、違法カルテルの発見から審決確定までにどの程度時間がかかるのか、この点について御答弁願いたい。
○政府委員(高橋俊英君) いま、大部分が勧告を応諾していると申し上げましたが、普通の場合で、つまり勧告をしてそれを応諾して審決が出る、こういうことであれば、平均とりまして大体四・五ヵ月、これは事件として取り上げてですね。つまり調査を開始してから勧告が行われるまで四・五カ月、審決をとりましても大体五カ月ぐらいで解決しております。ただし審判にかかった場合は、平均しまして、これは数少ないのですが、二年半ぐらいかかっています。
○近藤忠孝君 裁判所に行った場合ですか、確定まで。
○政府委員(高橋俊英君) 大体確定まで含めましてもそうでありますが、しかし、中にはべらぼうに長いのがありますから、そうですね、私どもは、審判を経て審決が出る、それまでの期間を大体二年半と、こうお答えしたいと思います。
○近藤忠孝君 その確定は最高裁判決まででしょう。
○政府委員(高橋俊英君) そうです。もちろん訴訟を提起すれば、これは最高裁まで行く場合があります。そういう場合は、非常に件数は少ないんですが、とんでもない期間がかかるということになります。
○近藤忠孝君 その件数及び時間を聞いているんです、時間を。それが私の質問なんです。
○委員長(大谷藤之助君) 立って質問願います。
○近藤忠孝君 いや、さっき質問に入っているんですから、質問に答えてください。最高裁の判決があるまでの時間を聞いたんです。
○政府委員(高橋俊英君) これはもう私どもの手じゃありませんから。いままでの事例で相当長期間かかっているというものもございます。しかし、全部が全部最高裁に行っているわけじゃありませんら一概にまた——数は少ないということだけ申し上げます。
○近藤忠孝君 結局、そういう状況がほとんどつかめていないというところに私は大きな問題があると思います。そこで、こういう審決自身に大変時間がかかる、確定までに時間がかかる、その上ようやく裁判ですから、ですから本当に消費者が損害賠償請求できないシステムになっている。そのことが損害を放置し、企業は免れていることになると思うわけであります。そこで、しかしようやく何人かの人が勇気をふるい起こして、裁判を起こしました。しかし、その裁判自身は本当に困難に直面しておるわけであります。 そこで具体的にお聞きしたいのは、昭和四十六年に提訴されたカラーテレビのカルテル事件、これが現在どういう進行になっておりましょうか。
○政府委員(高橋俊英君) 東京高裁にまだ係属中でございます。
○近藤忠孝君 係属中であるけれども、どこまで進んでいるかおわかりでしょうか。
○政府委員(高橋俊英君) どうも申しわけありませんけれども、私そこまでは詳しく調べてまいりませんでした。
○近藤忠孝君 結局消費者の状況など全く関心がないことが、そういう状況になっていると思うわけであります。 そこで私どもの調査によりますと、これは昭和四十一年の違反事件なんです。その事件は昭和四十六年に裁判が起こされた。その昭和四十六年に起こされた裁判がいまだに続いておって、しかも最近ようやく証拠調べに入ったというんです。その困難な原因がどこにあったのか、これはやっぱり公取にも責任があると思うんです。 そこでお伺いしたいことは、裁判所からこのカラーテレビ事件について、公取に対して消費者の損害についての意見を求めてきたと思うんです。それについてどういうお答えをされたか。
○政府委員(高橋俊英君) 損害額の算定についてはきわめて困難な事情があるというふうな形のものが出されておる。それはしばらく前でございますが、私その当時おりませんでしたけれども、そういう返事を申し上げたと、こういうふうに聞いております。
○近藤忠孝君 困難な状況があるということではなくて、価格はわからないという回答をしたと聞いておりますが、いかがでしょう。
○政府委員(高橋俊英君) 価格がわからないという意味がちょっとつかめませんが、そのような回答だったとは私は聞いておらないのですが、要するに、その損害額についてあまり証拠力になるような、十分な参考資料になるようなものを出しておらないということは確かでございます。
○近藤忠孝君 それは委員長、事実と違うんです。私が一昨日公取の職員に聞いたところによりますと、この回答は、結局損害については調べなかったので、資料がないので回答できない、これが事実でありますけれども、いかがでしょう。
○政府委員(高橋俊英君) 先ほど私がいろいろこの損害賠償の問題についてお答えしましたように、公正取引委員会の審査は、つまり損害額の算定にまで及んでおらない、そういうことから実はお答えできないんだと、こういう答弁だったようであります。
○近藤忠孝君 結局、調べないから答えられなかったということだと思うのです。そこで、もしも調査のときに原価まで調べておれば、この裁判所の問い合わせに対して回答できたと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(高橋俊英君) いまカルテルの件数だけ申し上げましたが、それにかかわる会社数というのはべらぼうに多いわけです。ですからその場合に、直ちにその原価を全部調べる、これはいままでの過程においては実はやっておりません。価格については、それは挙証責任がございますから、立証責任上価格の調査を行っているのが大部分でございますが、その原価にまで入ってカルテルのすべてについて……
○近藤忠孝君 原価がわかっていれば答えられたろうというのです。
○政府委員(高橋俊英君) それは原価がわかっておって——ただし、訴えている側は業者ではなくて消費者であると思いますが、消費者であるとしますと間接なんです。ですから間接の者の損害額まで算定するということは大変困難である。そういう場面にぶつかって改めてやることはできますよ。しかし、そうでなければ間接の損害というのは大変困難である。 なおついでに、これはよけいなこと申しますが、アメリカで三倍賠償という非常に消費者保護に力を入れたような法律がございますが、実はこれは消費者保護ではないのです。これは誤解されておりますが、あれはやはり政府の補助手段として使うということが歴然とうたわれています。そのために、原告たり得る者は必ず直接の損害を受けた者に限る、ほとんど業者でございます。したがって、メーカーがやった場合は業者だけがやれる。で、変な言い方ですが、転嫁の理論、パッシシングオンと言いますが、自分の受けた損害をその下の段階へ、たとえば価格を上げて消費者にしわ寄せしてしまったと、その場合に実際損害額はないのであります。損害額がないのにその者だけが、その業者だけが原告たり得る。ですから、損害を転嫁された消費者には原告適格がない、こういうふうになっております。
○近藤忠孝君 質問にお答えいただきたいんです。私は、困難はあっても原価がわかれば消費者の損害額はわかるだろう、困難であっても。そして独禁法八十四条はそれを認めているんだろう。どうでしょう。
○政府委員(高橋俊英君) 私は相当の人員が確保できればそれは可能なんだと思います。しかし、すべての場合にそういうことをやるということが果たして必要かどうか。つまりワンクッション置いた、あるいはツークッション置いた段階での損害額の算定ということは、かなりめんどうなことでございます。
○近藤忠孝君 結局、人員があり、そして原価がわかれば消費者の損害額がわかるということだと思うんです。 そこで、これは公取が一定の法的根拠に基づいて継続的に一定の企業から原価を提供させる、こういう制度があるならば、一定の困難はありながらも、問題になった事件については損害額を算定できると思いますけれども、いかがでしょう。
○政府委員(高橋俊英君) まさに理論的には、そういうふうに違反行為を行った事業者の個々から、ただいまは価格の方は少なくとも一年間はとっております。しかし、原価を全部からとると仮にいたしましても、その適正であるかないかを調べないままで使うということは大変危険でございますから、それを確認するというためには相当なエキスパートが必要になってくると思う。だから全部についてはちょっと私は実情としてむずかしいのではないか。しかし、問題のありそうなものについてやることは不可能ではありません。
○近藤忠孝君 結局、可能だということであります。そこで石油やカラーテレビにあらわれましたように、大企業がこういう違法な行為をやっても結局放置されている。これを完全にとめていくためには、実は原価を常に公取に継続的に、たとえば一部上場会社ぐらいは常時原価を公取に報告させるというこういう体制があるならば、実はその結果消費者の損害はわかりますし、大変大きな賠償責任を負わなければいかぬという、こういう結果によって、実はここに一番大きなカルテルを防止するポイントがあると思うんですよ。そこで、その点について委員長のお考えと、さらにそれを受けての総理のお考えを聞きたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) 私は、独禁法上の立場からだけそういう広範な、つまり一部上場の全部の会社を対象として常時原価を報告させるというのは、私は妥当でないと思います。そこまでまた私どもに分析能力がございません。一部上場会社を全部と言われますと千何百社ということになりますから、それの個別原価、これはいろいろな商品があるわけでして、マクロ原価じゃないわけですから、とても能力はないし、私はむしろそういう問題は別個にいまのディスクロージャー制度、一部上場だったら文句なしに経理公開——公示公開ですね——制度がございます。こういうものについていずれ検討を加える時期が来て、原価というものはいまやもう、秘密であるかないかというのは時間の問題だとされている。専門家の間ではそうなっておりますから、ディスクロージャーの問題としてされるのが一番適当ではないかと思います。
○近藤忠孝君 それでは、公取試案の中で、まあきわめて限定的ではありながらも原価公開の制度を設けた、その趣旨はどういうことなんでしょうか。
○政府委員(高橋俊英君) それはもうきわめて限られたものでございまして、それで、それは条件がついております。非常にかなり高度の寡占であって、そういう業界であって、同じ商品についてほぼ同じような時期に大体同調的に価格が引き上げられた、これを並行行為と呼んでおりますが、そういうものをしているものに限ってそれを求めようとしたものでございまして、そういういまお話しのような膨大な量にあるものを考えているわけではありません。
○近藤忠孝君 膨大かどうかは公取の陣容、予算の関係だと思うんです。陣容があればできるとおっしゃったわけです。 そこで、私と委員長とが意見が一致した点は、少なくとも原価を公開させればこれはカルテル対策ではきわめて有効であるという点は一致したと思うんです。ところが、にもかかわらず、今回の政府素案はこの大事な原価公開が削られているんですよ。大きな後退だと思いますけれども、総理いかがでしょう。
○国務大臣(植木光教君) 原価そのもののとらえ方が大変むずかしいということにつきましては、いま公取委員長からも答弁がございましたが、独禁法改正問題懇談会におきまして、この原価の公表の問題と原価そのものの問題についていろいろ御意見がございました。そこでは、原価というものは競争の最大の要素であって、それを公開させることはかえって競争を阻害する、また同調的な引き上げの場合に原価を公表させても抑止力にならない、また国際的にもわが国のみが原価公表をするのは問題が多いというような御指摘がございました。さらに場合によりますと、コストプラス利潤という形の値上げを正当化させるというようなことも考えられますので、かえって競争政策を損なうことになりますから、政府素案におきましては、これを取り上げないで別個の、御承知のように競争政策の立場から、同調的な値上げがございました場合には、事業者に対して価格等引き上げの理由の報告を求める、こういうことを採用したのでございます。
○近藤忠孝君 そのいまの報告を求めまして、果たして価格が下がるのでしょうか、どうでしょう。
○国務大臣(植木光教君) 同調的な値上げがございましたときにいまのような措置をいたしますことは、事業者に対しまして同調的な値上げを行うということの規制になると思いますし、また、その他寡占対策といたしましてはいろいろな方法を考えているのでございますから、私はこれによって効果があると考えているのでございます。
○近藤忠孝君 政府素案によりますと、その報告はどんな報告をするのかということは企業側がきめることで、別に規制できないことになっております。結局、まあどうでも価格は下がらないと、こういうことになると思うんです。結局、いままでの討議を見ておりますと、消費者保護という点が全く欠けておる。一定の金をかけ、一定の制度を設ければ、原価公開などによって具体的に可能であるにもかかわらず、全く放置しておるというのがいままでの経過で明らかだと思うんです。 そこで三木総理に、せめていままで何もやっていなかった罪滅ぼしに一つ提案したいと思うんです。何かと申しますと、政府自身がたくさん灯油を使っております。その灯油を——結局カルテルで損害をこうむっているんですから、政府が一生懸命人員を使って損害額を算定して、その損害額を企業に損害賠償請求すべきである、そして消費者の先頭に立つべきであると、そう考えるわけであります。 それについての見解を賜る前に、各官庁でどれほど石油消費量があるか、灯油消費量があるかということを、まあ全部は大変ですから、大蔵省、通産省、建設省、総理府、農林省、まあこれだけで結構ですから、それぞれお答えいただきたいと思うんです。
○政府委員(野崎元治君) お答えいたします。 昭和四十八年度におきます大蔵省の灯油の購入数量でございますけれども、四十四万リットルでございます。
○近藤忠孝君 使っています値段は……。
○政府委員(野崎元治君) 金額は八百万円でございます。
○政府委員(川原能雄君) お答え申し上げます。 通産省の四十八年度中の灯油の購入量でございますけれども、二十六万リットルでございます。購入金額は五百七十七万円でございます。
○政府委員(丸山良仁君) お答えいたします。 昭和四十八年度において消費しました暖房用灯油の量は、建設本省で百三十八・一キロリットル、それから、全国八カ所の地方建設局の本局で三十九・四キロリットル、合計百七十七・五キロリットルであります。また金額は、本省で二百六十万二千円、地方建設局本局で七十九万九千円、合計三百四十万一千円であります。なお、地方建設局が非常に少ないのは、大部分が重油を使っている関係でございます。
○政府委員(降旗正安君) 農林省の四十八年度の灯油の購入量は、四十五万四千リットル、金額にいたしまして九百九十万八千八百円でございます。
○政府委員(升本達夫君) 総理府本府庁舎の四十八年度におきます灯油の消費量は、十一万百二リットルでございまして、金額は二百十七万二千円でございます。
○近藤忠孝君 時間の関係でこの程度でやめておきますけれども、これを前提にして、私どもで消費者たる国がどれだけ損害をこうむったのか、これを計算しますと、大蔵省の関係では二百六十九万円、通産省本省の関係では百六十一万円、地方建設局の関係で百九万円、総理府の関係では六十七万円、農林省二百七十七万円という数字、これは損害額です。これは税金ですからね、消費者の先頭に立って、消費者としてこれを企業に損害賠償請求する気はありませんか、いかがでしょう。
○政府委員(野崎元治君) お答えします。 大蔵省におきまして購入しております灯油は、石油の元売り業者から直接ではございませんで、販売業者を通じて購入しているものでございまして、価格協定による損害が生じているかどうかにつきましては判断することがむずかしいと、こう考えております。したがいまして、現段階では、損害賠償の請求を行うべきかどうかについては何とも申し上げられない、こういうことでございます。
○近藤忠孝君 損害もこれは本当に真剣になって、国民の税金をむだ遣いしないという観点から、真剣になって計算すればわかると思うのです。どうですか、総理、計算した結果損害が出てきた場合には、損害賠償を請求する気があるかどうか。これは政治的判断です。どうでしょうか。
○政府委員(川原能雄君) ただいま申し上げました通産省が四十八年度中に購入しておりました灯油でございますけれども、これは価格協定が問題にされております石油の元売り業者、これから直接買ったものではございませんで、中間の販売業者を通じて購入しております。また購入先、購入数量、購入条件、購入時期、この辺が非常にさまざまでございます。したがいまして、価格協定による灯油価格の値上げ、これが先ほど申し上げました購入価格の値上がりとどのような関係にあったかどうか、それにより損害を生じているのかどうか、いろいろ判断する要素がございますが、いずれも非常にむずかしい判断要素がございます。したがいまして、現段階におきましては、損害賠償請求を行い得べきかどうかということについては、まだ何も申し上げられない状況でございます。
○近藤忠孝君 いまの答弁聞いてもわかるとおり、元売りからまたもう一つ経て買っているのですからもっと高いのですよ、もっと損害が大きいのですよ。そうでしょう、便乗値上げがあったのですから。大変な額になるはずです、全部合わせれば。そこで総理として、国民の税金を一銭もむだ遣いしないというこういうことであるならば、賠償請求すべきだと思いますけれども、どうですか、御答弁いただけませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 政府といたしましては、国民の税金でございますから、節約しなければならぬことは仰せのとおりでございます。ただ、いま提起されておる問題は、先ほどのやりとりで明らかになっておりまするように、損害を特定するということは大変困難なようでございまして、残念ながら損害賠償を提起するということは私は困難であろうと思います。
○近藤忠孝君 損害額が算定困難だと申しますけれども、個人である私が計算したんですよ。大蔵省が、政府ができないはずはないのじゃないでしょうか。その困難が克服できれば請求するという意味でしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) あなたが計算できますこと——計算はできると思います。どういう計算も、やり方によってできると思います。でございますけれども、果たしてそういうことで損害賠償請求できて、それで果たして公判が維持できるかどうか、私はそういう点、大変むずかしいと思います。
○近藤忠孝君 私は、大平さんが率いる大蔵省ならできると思うんですけれどもね。それさえやらないということは、結局何もやらぬということなんです。裁判で苦しんでいる人々に対しても何ら手を差し伸べない、これが本日の結論だと思います。 そこで、何かこういう状況で消費者の段階における救済方法、これは考えられないでしょうか、いかがでしょう。
○政府委員(高橋俊英君) それは考えればいろいろあると思いますけれども、そう短期間にこれは解決のできる問題ではないと思います。非常にむずかしいと思うんです。つまり、その損害者は、直接の被害者と間接とある。その間接が二段階、三段階経ていく間にそれぞれ違った転嫁のしようがあるわけですね、転嫁していくわけですから。それらを全部追及するということは、だれがするのか大変むずかしい問題でありまして、やはり裁判でやっていくという慣習をもっと広めていく問題じゃないかと思います。裁判でやるほかにない。
○近藤忠孝君 裁判でやる以外にないという答弁ですが、その裁判自身がきわめて困難な状況にあるんですよ。 そこで総理府、御答弁願いたいのですけれども、こういう困難な状況に対して、いま素案から成案になろうとしているでしょう。そこで、何か盛り込む意思がないかどうか、検討する意思がないかどうか、御答弁いただきたい。
○国務大臣(植木光教君) 第二十五条は、御承知のように事業者が被害者に対して責めに任ずるということでありますので、その被害者そのものはだれであるかということについても、なかなか大変だと思うのでございます。したがって、裁判上いろいろ問題もあります。また、先ほど申し上げましたように、民法七百九条というものの活用もございます。そのほかに私どもいろいろ考えたわけでございますけれども、独禁法そのものが消費者の利益を確保するということを一つの目的にいたしておりますので、したがって、独禁法の改正を行うことによって消費者の保護を行おうというのが一つの大きな眼目でございます。具体的にはそれぞれの項目によりまして消費者に奉仕することになるわけでございますけれども、政府素案におきましては、カルテルの違反の事実がございましたならば、その事実をただいま公取に対して報告をいたします。そして調査を公取がやることになっておりますが、その処理結果につきまして消費者等にそれを報告するということが義務づけられておらないわけでございますから、今回の素案におきましては、それを義務づけるということで消費者の保護を図ってまいりたいと、このように考えておるのでございます。
○近藤忠孝君 報告を義務づけましても、結局何も大した効果がないということは、ちょっと見てみればわかるわけです。そこで委員長にお伺いをしますけれども、結局何にも方法がない。そうなりますと、冒頭に言われたような課徴金を課すことによって間接的な強制によってやる以外にないと、こういう結果になるのでしょうか。
○政府委員(高橋俊英君) 政府の素案におきましても、課徴金は明確に入っているようでございます。そのほか価格について、必要な措置についてどのような措置をとってくるかということを、恐らく価格等について報告を求めると、こうなっておる。そういうことはいままでになかった、かなりの前進でございます。したがいまして、カルテルをやり得のままにしておいたといういままでの状態が悪いので、カルテルをやったら、場合によったら逆に損をするというくらいになれば、私はそれによって損害賠償もやりやすくなるわけですから、そういうことを総合してみて、カルテルそのものを減らしていくということが独禁法の運用をする公取委員会の使命ではないか、カルテルを減らすということがすなわち消費者の保護に通ずる、こういうふうに考えております。
○近藤忠孝君 カルテルを減らすと言うのですが、具体的に何がどういうぐあいに作用して減らすことにつながっていくのか、その辺をお聞きしておるのです。
○政府委員(高橋俊英君) いまも申し上げましたとおり、新しく改正が行われました場合には、いままでのようなやり得に終わらないということをはっきりとさせるということが大切であると、こう思っております。
○近藤忠孝君 そうしますと、課徴金を意味しているのだと思いますが、しかしこの課徴金は、要するにもうけた分を取るというだけですからね。そうでしょう。そうなりますと、物価は下がるのかどうかということ、物価を下げる方策には直接つながらないのじゃないかというのが私の質問なんです。
○政府委員(高橋俊英君) 原状回復命令というような措置は入っておりませんから、そういう意味において的確には申し上げられませんが、しかし、その価格そのものをダイレクトに下げる命令を出すかわりに、何らか、要するにカルテル価格そのものを続けていったのでは何にもなりませんから、そうならないように措置したい。だから、まあ相手の良心に期待するわけですけれども、しかしそうかといって、それだから何の効果もないのじゃないかということには私はならないだろうと思います。
○近藤忠孝君 大変、大議論している一番大事なポイントになりますと、結局相手の良心に期待するという、こういうことでは何のために討議したかわかりません。いままでやりたいほうだいの企業が、課徴金を取られる程度で、発見された場合には課徴金を取られるというそれだけです。結局、命令によって下げる力もないという、こういうことになりますと、上がったものは上がりっ放しです。先ほど、いままで一度も勧告に従って下げた例はないという、こういう答弁もあるわけですから、こういう状況のもとで引き下げ命令がないということは、結局物価が下がる保証がないということじゃないのでしょうか。
○政府委員(高橋俊英君) 私は正直に申しまして、その期待を持たれるということはやっぱり無理だろうと思います。しかしながら、全くじゃあ効果がないのかと言えば、そうではなくて、私いま良心と申しましたが、いろいろな社会的な批判もあり得るでしょうし、上げっ放しにして少しも下げないというふうなことはなかろうと思うのですが、しかし、その辺はいま私はしかと申せませんから、突き詰めた議論をされますと、結局私は、何らかのそういう制裁的な意味を込めた課徴金制度などがあればいまよりははるかによくなると、こう申し上げるくらいでございます。
○近藤忠孝君 公取委員長は、せっかく出した「引き下げ命令」が削られておるというそういう大変苦しい立場ですから、そういう答弁しかないと思うんです。 そこで総理に伺いたいと思うんです。これは、せっかくの引き下げ命令を削ってしまった方ですからね。結局いまの答弁から見ましても、相手の良心に期待するしかないという、こういう状況のもとでこの引き下げ命令を外してしまったこと、結局物価は上がりっ放しだという、こういう結果になりますけれども、上がったままで総理は不当と思いませんか、どうでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) これは先ほどから言っておるように、公正な自由競争というものの原則を経済活動の中に確立するということは、これは究極において消費者の利益ということに奉仕するわけであります。公取が価格の形成に深く介入するということは、これはやっぱり自由経済体制の中から問題があるわけでありますから、われわれは今度の改正を通じて、そういうやみカルテルの行為とか、あるいはまた将来のことを考えて構造上の規制、予防的な措置を行って、そして経済の自由な競争というものが、そういう原則が確立すれば、これは消費者の利益というものはもういまのままでいいという理由は成り立たぬわけで、消費者の利益というものは保護される。それがまた独禁法の改正のねらいでもあると、こう考えておるから、私はいまの法案というものが、近藤さんのように法案の改正をそんなに過小評価しないわけでございます。
○近藤忠孝君 私のいまの質問は、上がったままのが下がらないということは不当じゃないかというのが私の質問なんです。で、公取の引き下げ命令が価格介入になるかならぬかは、公取委員長も、決してそうじゃない、上がったものをもとに戻して、あとそれがどうなってくるかはまた別の問題だ、ともかく一度下げようというのが、これが引き下げ命令の趣旨であると。これは当然のことなんです。そこで、結局この大事な問題、上がったままのやつを下げられないというこの大事な問題。要するに、価格引き下げ命令を外してしまったそのことは、消費者保護とはもう大変な食い違いである。冒頭の総理の答弁とは大きな食い違いであると思いますけれども、御答弁いただきたい。
○国務大臣(植木光教君) 懇談会におきまして、この原状回復命令につきましていろいろ御意見を伺ったのでございますけれども、カルテル破棄後の価格には需給関係、コスト関係等の変化が織り込まれておりますので、時日が経過いたしました以前に戻すということは単純にできるものではない。また、据え置き期間中に売り惜しみ買い占め、あるいは下請等へのしわ寄せというような弊害が起こるではないか。また、これの効果が流通段階に及ぶということも十分保証されない、価格介入を広げざるを得ないということになるではないかというようないろいろな御意見が指摘をせられましたので、これらを考えました結果、カルテル排除措置の徹底という見地から、カルテル排除後にとるべき具体的な措置と、その実施状況の報告を命ずるということを素案の中に盛り込んだのでございます。私どもといたしましては、十分いろいろ経済の実態等を勘案をいたしまして、いまのような結論に達したのでございます。 なお、この際申し上げておきますが、独占禁止法によって消費者保護を行う、あるいは物価問題を解決するということは、これは一つの方法でございますけれども、物価対策というものは、これはもうあらゆる立場から政府全体があらゆる行政措置をもちまして行うべきものなのでございますので、その辺のところはもちろん近藤議員は御承知でございましょうけれども、この独禁法改正イコール物価対策と、こういうことを短絡的にお考えいただかない方がよろしいのではないかということを、この際ひとつ誤解等もございますので、明らかにしておきたいと存じます。
○近藤忠孝君 独禁法は結局経済の基本法ですからね、具体的な経済政策が違うのですよ。これは明らかなことです。いまの物価の関係はいろんな要因があると認めます。しかし、むずかしくても、一たん下げるということによって新しく進んでいく、これが必要だと思うのです。このことさえしないということは、結局企業寄りと言われても仕方がない。このことが明らかになったと思います。 そこで、時間が参りましたので最後に一言お聞きしたいことは、いままで問題にしておりましたことは、結局取引分野ですね、公取の試案にしましても結局取引分野の問題なんです。しかし、いま日本を本当に支配して、本当に影響力を持っておりますのは、銀行を頂点として総合商社が関係しているいわゆる巨大な企業集団というもの、多国籍企業も入っています、そういうものが現実に具体的な取引の場とはもう関係なく競争の場をなくしているという、こういう状況がありますけれども、こういう問題に対して抜本的な規制、対策を立てる必要があると思いますけれども、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) その問題は、確かにいろいろ御指摘のとおり問題がございます。ございますが、現在ただいま企業集団とは何か、あるいはそれに対する対策はどうするかというふうなことを、直ちに検討して結論を出すというわけにはまいらぬと思います。ですから、私どもは株式の保有制限、総量制限ということだけをまず取り上げたというだけでありまして、御指摘のような問題はありますけれども、ただし、企業集団とは何かということからしてなかなか定義づけはむずかしい問題でございますので、相当長期間かけなければこれに対する有効な対策というものは出てこないだろうと思いますが、そのように努力すべきである、私ども独禁法の立場からも努力したいと思っておりますが、将来の問題でございます。
○近藤忠孝君 総理、お答え願えませんか。
○国務大臣(三木武夫君) 株式の保有の制限などもそういう弊害を除去しようということでありまして、これは一遍にそういうふうな弊害というものを除去する——いろんな方面からそういう弊害があるならば除去する方法を講じていくことは当然でございますが、この独禁法では株式の保有の面において規制を加えようということでございます。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして、近藤忠孝君の質疑は終了いたしました。 明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時五十三分散会