予算委員会 第6号
- 発言数
- 554 件
- 登壇者
- 43 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/03/10
会議録
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和五十年度一般会計予算 昭和五十年度特別会計予算 昭和五十年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 三案審査のため、本日、水資源開発公団総裁を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 前回に引き続き、工藤良平君の質疑を行います。工藤君。
○工藤良平君 土曜日の質問に引き続きまして、これから質問を続行してまいりたいと思いますが、最初にこれは農林大臣と総理にまずお伺いいたしますけれども、報道によりますと、きょう水産庁長官がソビエトに出発をされるとか、されたとかいうことでございますけれども、土曜日に私が質問をした際にそのことがすでに決定をされていたかどうかということ、決定されていたとするならば、基本的な方針はどういうことをもって臨まれるのか、これが一点。 それからもう一つは、これは九日の読売新聞でございますけれども、非核三原則について「政府、新見解を検討」中ということで、国際海峡については非核三原則のうちの一原則、いわゆる持ち込ませずという点についてはこれを除外をするというようなことが検討されているという報道がなされておりますので、この点については、総理、外務大臣からひとつ改めて御見解をお聞きをいたしたい。 さらにもう一つは、昨日三木総理は大阪で、国会終了後アメリカに渡米をされるというようなことが報道されておりますけれども、本国会においてはそういう意思表示がなかったのでありますが、それは新たな心境としてそういうことになったのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 訪米のことに関しては私自身に関連のあることで、お答えをいたしておきます。他の質問は外務大臣から答えます。 きのう大阪で記者会見をしまして、まあ国会終了後必要があれば外遊もするけれども、いまのところは全然そういう具体的な予定はないと、こう言ったのですが、どういうことですか、私がいかにも訪米の予定があるような報道でありましたけれども、私の言ったことは、必要があれば、そういう訪米というのでない、外遊という、外遊も国交の必要があればやらなければならぬけれども、いまのところ具体的なそういう日程はないと言ったのが私の記者会見だったのですが、まあ新聞記者の方々がいろいろな想像されてああいう記事になったのですが、いまのところは予定を私は持っておりません。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 内村水産庁長官の訪ソにつきましては、かねてからソ連側に対して要請をしておったわけでございますが、このほど、ソ連側としても内村長官の訪ソを歓迎するという了解を得られましたので、きょう、十一日に訪ソすることになったわけでございます。 今回の水産庁長官の訪ソの目的は、御存じのように太平洋岸におけるソ連漁船の進出によりまして日本の沿岸漁業が被害を受けておるわけでございます。したがって、この問題につきまして、日ソ間におきまして紛争の未然防止あるいは紛争の処理、さらに補償等の問題につきまして日ソ間に協定を結ぶ、こういう目的で訪ソをいたすわけでございますが、同時にまた、日ソ間の漁業全体につきまして日本側の立場をソ連側に対して説明をする、こういうことでございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 領海十二海里の問題でございますが、せんだってもこの委員会で申し上げましたように、国際海洋法会議におきましては、この問題、経済水域の問題、大陸だなの問題、深海海底資源の問題等々が複雑に実は絡み合っておりまして、それらのものを一括処理することによってこの会議を成功裏に終えさせたいというのが、わが国の基本的な立場でございます。したがいまして、領海十二海里の問題だけを取り出してどうこういうわけにはまいらないであろうし、また、それではわが国の国益に沿わないことになるのではないかというふうに考えております。 ところで、そういう環境の中で、たとえば発展途上国は、非常に主権的な色彩の強い経済水域と抱き合わせでなら領海十二海里を考えるという主張をするものがございますし、先進国の中では、領海十二海里は自由航行に近いものが許されるという条件においてのみ考えたいという国がございますし その中でまた主張が非常に一様でございませんので、それらの帰趨を見なければならないと思っております。 ちなみに、多くの国がいわゆる国際海峡になりましたときにそこを通過する船として問題にしておりますのは、主として大型のタンカーでございます。そうなりますと、わが国は大型タンカーによって、御承知のように、ことに石油エネルギーを輸入しておるわけでございますので、この航行に支障を来たすということは、わが国の国益に大きな影響があるという点もございます。多くの国は、どちらかといいますと、いわば軍艦よりは大型タンカーのほうがいろいろな事故を起こしやすく迷惑であるという考えを持っておるように見受けられますので、それらの複雑な各国の利害の帰趨を見ながら最終的にこの問題は決めなければならないと思っておりまして、ただいま御設問の点は、その決まります経緯にかんがみまして、その段階で政府の態度を明らかにしなければならないと思っております。
○工藤良平君 そうしますと、その点については、国際海洋法会議で十二海里が決定をするまでは非核三原則については全く当たる意思はないと、こういうように理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国際海洋法会議が今回ジュネーブでそのようにまとまりますれば、わが国の立場も十二海里についてははっきりいたすわけでございますけれども、他方で、国際海洋法会議が今回まとまりませんときに、わが国が十二海里をどうするかという問題がまたあり得るわけでございます。いずれにいたしましても、そのようにわが国が十二海里というものを海洋法会議の結果として、あるいはわが国独自の立場として決定いたしますときに、この問題はやはり決定をしなければならない。ただいまの段階ではないと考えておるわけでございます。
○工藤良平君 端的に結論を言っていただきたいと思いますが、十二海里についてはいろいろ問題があるけれども、日本としては承認をすると、このように理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 海洋法会議におきまして、わが国はこの問題もほかの問題と一緒に、いわば交渉の一つの要素として用いたいと考えておりますので、ただいまそこまで申し上げかねますけれども、わが国としては、十二海里というものがやや大勢になりつつあるということはよく認識をいたしております。
○工藤良平君 この問題で時間は余り——農業問題がありますから、私はこれまた後日に持ち越して検討したいと思います。 総理の渡米の問題について、これは官房長官にもう一つ私は確認しておきたいと思いますが、昨年の決算委員会でも私はこの問題を取り上げまして、一国の総理が新しく就任をいたしますと必ず米国に訪問をしてきたようでありますけれども、もし三木総理がそのようなお考えであるとするならば、当然当初予算にそういうことを組むべきではないかと、私はこういうことを申し上げてきたのでありますが、この点について官房長官の御見解を聞きたいと思います。二階堂官房長官がこの点私に答えているんです、当初から組むようにいたしますと。
○国務大臣(井出一太郎君) まだ総理の外遊等の日程は全然予定にはございません。目下、予算の御審議最中でございますし、極力国内問題で鋭意努力をするというのが総理の考え方のようでございます。
○工藤良平君 予算的な措置として、各大臣が国外に行く場合には通常の予算の中から予算的に計上されているわけで、総理の場合は予備費からすべて支出をされてきているわけで、そういうことはいけないじゃないか、当然一国の総理が国外に出る場合には、予想されることだから、当初それは予算的に当然計上すべきではないかということを私は主張してきたわけで、その点についてもう少し明確にしていただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) 各省大臣の場合、いろいろ国際会議があって予定ができるわけでありますが、総理の場合は、どうしても出席しなければならぬという会議というよりかは、そのときの国際情勢などによってどうしてもやはり直接総理が外国を訪問しなければならぬということが、必ずしも予算編成前からわかっておらない場合が多いのですね、今日は。そういうので、私の場合も何も予定は持っていないわけです。どうしても私が既定事実として外遊するという予定はございませんから、何らの具体的にそういう予定がないわけですから、予算の場合においてそれを頭に入れて編成するということはいたさなかったのは当然のことだと思います。
○工藤良平君 国会の中で予定がないと言うけれども、外に出ては、いらっしゃると言うのです。はっきりしていただきたいと思う。国会の場で、どうせ行かなければならぬと、その時期はまた考えたいなら考えたいで、その点は明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) きのうも記者会見で私が申したことは、必要が起こればアメリカに限らず、どこへでも私は行かなければならぬが、現在のところは具体的の予定は持っておりませんと、こういうのが記者会見でございますから、外で私が外遊するというようなことを申しておるわけでございません。日本の新聞記者の諸君、非常にイマジネーションの発達しておる方が多いからいろいろなことを言われたのでしょうが、私自身は予定を持っていないのですよ、現在のところ。そういうことでありますから、何も予定を持っておれば国会で隠す必要はないです。だけども予定がないわけでございますから、いま現在具体的なそういう予定はないと、こう言ったので、国会で、もしそういうことを私考えておるのだったら申し上げたいと思うのです。いまはそういう予定は持っていないということでございます。
○工藤良平君 きわめて不満でありますけれども、これから論議の中で余りあいまいな態度をとっていただきたくないのです。きちんとした態度でこれから答弁していただきたい。 それでは、農業問題についてこれから質疑を進めたいと思いますが、私は土曜日に御質問いたしまして、国際的な食糧需給の状態について大まかに説明をいただきました。そこで、大変大切なことは、これからの日本の農業を考える場合に、当然国際的な問題でこの問題を検討してまいらなければならないと思いますし、そういう意味から、特にFAOにおける日本の役割りというものについて、先般ローマ会議以降の農林省のとってまいりました態度について、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 食糧につきましては世界的に逼迫の基調にあるわけでございまして、そういう立場に立って昨年の十一月にローマにおきまして世界食糧会議が持たれまして、その際、開発途上国に対する食糧の援助、あるいはまた世界における食糧の増産、さらにまた食糧の備蓄と、そういったこの三つの問題につきまして討議が交わされ、決議等も行われたわけでございます。 食糧増産につきましては、開発途上国における増産はもちろんでございますし、同時にまた先進国等におきましても、この食糧事情等を踏まえて食糧の増産を行っていかなければならぬわけであります。そうしたたてまえに立って、わが国におきましても、食糧自給力の向上を目指してのそれぞれの諸施策を講じなければならぬわけでございますし、また同時に食糧の備蓄につきましては、さらにローマの会議を踏まえて、ことしの二月にロンドンで食糧の備蓄問題が討議されたわけでございます。しかし、この会議におきましては具体的な提案はなされないで、食糧の備蓄をどういうふうに考えるかということで各国の意見が出されたわけでございますが、しかし、それぞれ備蓄問題に対しましては、これは各国の立場も微妙に異なっておるわけでもございますので、結論を得るに至らずに、今後とも備蓄ということは必要である、世界の食糧の在庫量が少なくなっておる今日、やはり備蓄を行うことは必要であるというような基本的な問題は一致したわけでございますが、それぞれの立場において多少の考え方の相違がありますので、今後これを詰めていくということになって、今後に持ち越されておるわけでありますが、わが国といたしましても、この備蓄問題につきましても、やはり世界的な協調の中にあって、わが国はわが国としての責任も果たしていかなきゃなりませんし、また、世界的に協調し、協力するところは協力をして世界における備蓄構想、備蓄制度というものができ上がるようにやっていかなきゃならない、こういうふうに考えておるわけでございまして、またさらに、食糧の援助につきましては、御存じのように、やはり開発途上国等におきまして相当な食糧不足に悩む地域等も出ておるわけであります。こういう国々に対する食糧援助を行うということは、これはもう世界的にも先進国家としての責任があるわけでございまして、わが国はわが国なりにそうした問題に対処して対策を講じていくという基本的な立場に立たなきゃならぬと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、全体的な今日の食糧事情、世界的な食糧事情を踏まえて、世界的に食糧問題が大きくクローズアップされて、今後とも世界的な規模の中にあって会議が行なわれ、そしてわが国もこれに対して積極的に協力をしていくという姿勢は堅持していくべきである、こういうふうに考えておるわけであります。
○工藤良平君 総理にお伺いいたしますけれども、ローマで開かれた国際食糧会議の規模、そしてそれが開かれるまでの経緯について、総理としてはどのように理解をしていらっしゃいますか。
○国務大臣(三木武夫君) 食糧問題というのは、石油というものが大問題になってきましたけれども、しかし、食糧というものも、やっぱり現に食糧不足のために、天候の影響もあって餓死する人も現にある。だから食糧の緊急援助というようなことが国際問題になって、食糧というものが単に自国で必要な食糧を賄うということはできないような現状からして、国際協力というものがどうしても必要である。これはどこでもやはりそうなんですね、食糧を輸出できる国というものはもう限られてきたわけですからね。 そういうわけでありますから、しかも、石油よりももっと人間の生活、人間の生存というものに対して直接影響を持つ食糧問題でありますから、国際的にこの問題をひとつ話し合って、国際協力によって食糧問題を解決せなけりゃならぬという、そういう機運が世界的に起こってきておったわけですね。そういうことで、食糧というものが、考えてみれば一番人間の生存の出発点になるわけでありますから、そういう意味で、必要が世界的に起こってきておったと、そういう背景のもとにローマの会議は開かれたというふうに理解しております。
○工藤良平君 じゃ端的にお伺いいたしますが、百三十三カ国、各国の農業開発担当大臣、アメリカではキッシンジャーを中心にして出席をしているわけですが、こういう会議が食糧問題で開かれたということは過去ございましたでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 数年前までは、世界的に食糧が余っておるという情勢でございましたので、食糧の国際会議を開かなければならないという情勢になかったために、開かれた例はございません。
○工藤良平君 この会議というのは、会議までの経緯というものも、各国の強い要請の中で、しかも国際的にこれだけの大規模の会議が開かれたということは、食糧問題としては初めてのことであります。それだけ、いま総理がおっしゃるように深刻な問題であり、これからの対策についても非常に重要な問題であるわけであります。したがって、私はさらにこの問題を追及をしていきたいと思いますけれども、昨年の暮れのローマ会議で、倉石農林大臣がわが国を代表して演説をされているわけでありますけれども、その最も主要な問題は何であったのか、その点について簡単にひとつ御説明していただきたいと思います。
○政府委員(岡安誠君) 昨年のローマ会議におきます倉石日本代表の演説の主要点は、まず、やはり食糧問題の解決のためには各国が増産をしなければならない、特にやはりLDC諸国におきましてはみずからの自助努力によりまして生産を増強しなければならない、そのために日本としましては技術的資金的その他の援助の用意がある、また、国際的な食糧の逼迫状況の現況を考えてみますと、情報不足といいますか、それが非常に多い、あらかじめ情報がわかればそれに対処する方法が具体的に考案ができまして対処し得たにもかかわらず過去においてそういうことがなかったということで、日本としましては情報システムといいますか、それを新しくつくる、ということを提唱いたしたわけでございます。それから、LDC諸国を中心とします食糧不足に対します食糧の援助につきましても日本は相応の協力をする用意があるということを申し述べ、さらに、備蓄等につきましてもわが国の立場を踏まえまして前向きに検討し、国際協力の場において私どもも検討に参加する、ということが倉石代表の演説の大要でございます。
○工藤良平君 大臣にお伺いいたしますけれども、この委員会では三つの委員会に分かれて論議をしているわけですが、その中の第二委員会、この主題になったのは何でございますか。大臣。
○政府委員(岡安誠君) 第二という番号でちょっと私覚えておりませんけれども、御承知のとおり……
○工藤良平君 食糧安全保障。
○政府委員(岡安誠君) 安全保障の問題というのは、やはり食糧の備蓄を中心といたしました問題でございます。食糧安全保障につきましては、御承知のとおり、かねてからFAOのパーマ事務局長が食糧安全保障という問題を提起いたしまして、パーマ提案という一つの構想を提起いたしております。この内容を簡単に申し上げますと、世界でガイドラインというのをつくりまして、そのガイドラインに沿いまして各国が自主的な判断によりまして備蓄の努力をする、その成果につきましてはそれぞれ持ち寄りましてこの補正をするというような、ソフトな考え方でもって備蓄をやろうではないかという案がかねてから提唱されておったわけでございます。この案につきましては、各国大体賛成をいたしまして、そういう線でいこうということになっておりましたけれども、御承知のとおり、それに加えまして、アメリカがさらにこの備蓄構想を強化しようということを世界食糧会議の冒頭にシッシンジャー・アメリカ国務長官が提案をいたしまして、この提案は、もう少し備蓄の量等をはっきりいたしまして、各国の義務といいますか、をはっきりする、そのための主要国間におきます交渉を始めようではないかという趣旨の提唱をいたしたわけでございまして、それらを踏まえまして、その委員会でもって備蓄構想はどうあるべきかということが論議されたというふうに聞いております。
○工藤良平君 いまの局長のお話のように、日本の倉石農林大臣が三つの主要な点について国際会議で提起をした。その主要な大きな問題の一つに、情報システムの問題があるわけであります。しかも、国連のこの会議で食糧安全保障委員会の中でも、この情報システムの問題が中心的な課題になった。私が一昨日冒頭に、二つの統計の問題を取り上げましたのは、ここに実はあるわけであります。したがって、農林大臣にお伺いいたしますが一この倉石農林大臣の提起、さらに安全保障委員会で検討されたこの情報システムの問題について、わが国としてはじゃどのような構想を考え、将来どういうことをやればいいというように考えているのか、その点をひとつ、大臣、明らかにしていただきたいと思うんです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 倉石前大臣が提案をされました情報システムの構想につきましては、先ほど局長も申し上げましたように、やはり今日の世界の食糧事情の中において、情報を早く集めて、その上に立った対策を的確に講ずべきであるという観点からこの構想を行ったわけでございますが、現在におきましても、FAOにおきまして情報システムについての各国の協力が行われることになっておるわけであります。わが国としても、それに対する分担をいたしておりまして、これに対する予算等の計上もいたしておるわけでございますが、しかし、単にFAOだけの問題でなくて、やはりこれからの食糧事情を長期的に考えた場合においても、もっとやはり世界的な規模における情報の収集機構といいますか、システムというものは今後考えていく段階にも来ておる、私はそういうふうに思っておるわけでございます。これはその後の会議がロンドンで行われまして、ロンドンでは十分な検討がなされておりませんが、今後とも食糧問題についての世界的な会議も持たれるわけでございますから、そういう中にあって、わが国としては積極的にこの問題を取り上げていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○工藤良平君 これは総理にもぜひ聞いていただきたいと思いますけれども、この情報システムというのは非常に重要な問題でありまして、わが国が一国の一面的な統計の取り方では問題があるということ、そういうことが私は問題の出発点となって、国連の場におけるこの統計ですね、情報システムというものが提起されてきたというふうに思います。しかも、これは中国は留保いたしましたけれども、ソ連を含めて、参加国全員が賛同したというような非常に重要な問題であるわけで、当然、わが国といたしましては、この事務局の強化なり、あるいは陣容等につきましても、日本としても積極的に私は提起すべきではないか、こういうように思いますし、さらにまた、主要国に私どもが参りましても、たとえば大使館等におきましても農林担当の係官がいらっしゃらないという点が非常に多いわけで、こういう点について、私は徹底的な、日本としても積極的な取り組みというのが必要ではないかということを痛感いたしますから、この点については総理としても、ぜひひとつ前向きの御意見をいただきたいと思うんです。
○国務大臣(三木武夫君) これは国際的に考えて、食糧問題というものは一番深刻な問題に私はこれからなってくると思います。そういう意味からして、日本は海外経済協力ということがこれからやっていかなければならぬ大きな国際的責任でありますから、その中で一番人間の生活に関連を持つ食糧問題というものには、もう少し国際協力という面で日本が関心を払い、そしていま御指摘のような情報活動などというものに対しては、これは食糧の国際協力の中の一つの大きな基礎をなすわけでありますから、こういう点で、工藤さん言われるように力を入れてまいらなければならぬと私も考えております。
○工藤良平君 不満ですけれども前に進みます。 それでは次に、この委員会で問題になりました食糧援助、日本の場合には特に開発輸入を中心にいたしまして論議が進められておるようでありますけれども、この点について今後基本的にどのような考え方で臨まれるのか、お聞きをいたしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) わが国といたしましても、できるだけ国力の許す範囲におきまして積極的に開発途上国等に対する食糧援助を行わなければならないわけでございますし、今日までも食糧援助というものは行ってきておるわけでございますが、この場合において、わが国の主要食糧でございます米につきましては、国際価格と比較をいたしますと、あまりにも隔たっておるわけでございます。したがって、今日までわが国として食糧援助を行う場合は、資金援助という形で開発途上国に行ってきておるわけでございます。また同時に、食糧援助とともに、開発途上国等に対する農業協力あるいは技術の協力等も行っておるわけであります。さらにまた、国際協力事業団を通じて海外の農業協力を行い、そして開発途上国における輸出の余力がある場合にわが国がこの農産物を受け入れる、こういう基本的な考え方で臨んでおるわけでございますが、今日の段階に直接食糧そのもので援助するということは、食糧の国際価格との対比から見まして効率的でないというふうに考えておりまして、今後とも食糧援助は積極的にやっていかなければなりませんが、その場合においても、いわば最も効率的な資金援助という形でこれを行っていきたい、対処していきたい、こういうふうに基本的には考えておるわけであります。
○工藤良平君 特にこの開発輸入の場合に問題になりますのは、低開発国に対するそれでありますから、それらの国の生活向上に見合って食糧がわが国のこれからの輸入関係にどのような影響が出てくるかということは、きわめて大きな問題が出てくるわけであります。しかし、国際連帯の場における食糧援助というような観点から私は問題をとらえていく必要があるというふうに実は考えるわけで、この点については、ただ、従来まで非常に非難を受けてまいりましたエコノミックアニマルと言われるような、そういうことではなくて、本当にこういう国際的な食糧事情のもとにおけるわが国の担当しなければならない部面は何か、こういうようなことをやはり大局的な見地から考えて進まなければならないというふうに実は私は思っているわけで、そういう観点に立たなければ、私がこれから提起してまいります次の問題についても非常に大きな問題が出てくるわけでありますから、そういう点について、これは大蔵大臣、財政を担当する関係大臣として、現在の私がいまやりとりをしてまいりました過程の中における食糧事情というもの、その中における日本の受け持つべき役割り、それをどのように大蔵大臣としてはお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 第一、わが国が食糧の安定供給をこのきびしい環境の中で確保してまいる上におきましては、国際経済秩序が安定的に維持されていなければなりませんので、経済外交を推進する上におきまして、まず貿易、金融、投資、国際経済通貨その他の国際経済秩序の維持にわが国は積極的に貢献して、その維持を図ってまいることが第一だと思うのでございます。そういう中におきまして、FAOその他国際的な仕組みのもとで食糧の供給確保ということが考えられている中におきまして、わが国がすでにコミットをいたしておりまする約束というものにつきましては、忠実にこれを守って世界の信用を確立してまいることが必要であると考えておりまするし、また、そういう機構を通じまして、わが国が積極的にことし情報システムの推進を主張いたしましたように、積極的な姿勢でアピールしてまいるという態度を終始堅持してまいる必要があるのではないかと考えております。
○工藤良平君 それでは、そういうような状態を踏まえて、備蓄の問題について先ほど農林大臣からもちょっとお話がありましたけれども、この点についても少し踏み込んでみたいと思うわけでありますが、この安全保障委員会の中で情報システムと同時に非常に主要な論議になりました備蓄の問題であります。この備蓄について国際的にどのような議論がなされたか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(岡安誠君) ローマ会議におきましては、一般的に備蓄の必要性と、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、FAOの事務局長が提案しております備蓄構想に加えまして、アメリカの構想を取り入れた、より強固な備蓄制度をつくる必要があるという程度の合意であったわけでございますけれども、その後、ことしの二月にロンドンで、アメリカ提唱によりまして関係国が集まって論議がなされました。その結論は、先ほど大臣が申し上げましたように、具体的な結論を得たわけではございませんけれども、その論議されました概要を申し上げますと、やはり備蓄というものは必要であるということ、これは各国異存のないところでございまして、さらに、備蓄につきましては、いわゆるパイプラインストックといいますか、各国が通常持っております操作在庫のほかに上乗せをしてやはり備蓄をする必要があるというようなことも、大体各国異議がなかったようでございます。備蓄の規模につきましては、アメリカが、世界食糧会議の冒頭、キッシンジャー国務長官が六千万トンという数字を挙げまして提唱したわけでございますが、その後、アメリカ自身も、この備蓄の規模については三千万トンから六千万トンの幅をもって検討される必要があるであろうというようなことを言っておりますし、ECにおきましては、各国際機関の試案等を披露いたしまして、それぞれ千二百万トンから四千五百万トンぐらいの幅でいろいろ提案があると、これはやはり慎重に検討する必要があるというような議論があっただけでございます。それから後、参加国の備蓄の分担につきましてもそれぞれ意見が述べられたようでございますけれども、これにつきましても、食糧の生産国、消費国、特にまた食糧の輸入を緊急に必要としますLDC諸国等につきましては意見が非常に分かれまして、これはただ単に意見を述べ合ったという程度にとどまっております。 以上が大体現状でございます。
○工藤良平君 この点、ずっと記録を読んでまいりますと、ローマ会議の際には、アメリカのいわゆる備蓄問題に積極的な姿勢を示すという案と、それから備蓄問題は当然貿易交渉と密接不可分の関係にあるので貿易交渉の場で行うべきだという、ECあるいは日本の考え方と、二つの若干の違いがあったというように、私は記録から見ますと、そういうように理解するわけですけれども、この点については意見の一致を見たわけでございますか。
○政府委員(岡安誠君) 先ほどちょっと申し上げましたように、備蓄の問題につきましては、食糧の大生産国、いわゆる輸出国と、それから輸入国、この間には根本的に、思惑といいますか、考え方が違います。ECが、備蓄等につきましては、ただ単に備蓄という問題ではなくて、これはガットの交渉その他といろいろ関係があるので、そういう場においてこれは交渉すべきである、アメリカは、それとは別の場において主要国間でもって交渉を始めたいという提案をしたわけでございますが、ECはそういう提案をいたしました。そういう考え方はいまでもまだそれぞれ固持いたしておりまして、どういう場でやるかというようなことも含めまして、また今後の検討にゆだねられるのではないかというように考えております。
○工藤良平君 まあ備蓄の場合に、いま言うように、国際的に大きな二つの——そう異なったということではありませんけれども、若干の違いの意見があるわけですけれども、わが国として、当然この備蓄の問題については非常に大きな輸入国、特に飼料の場合に顕著でありますけれども、輸入国でありますから、神経質にならざるを得ないわけでありますが、特に今日わが国で、いわゆる備蓄と称せられるような状態が現実にどういうかっこうになっているか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) わが国といたしましても、食糧の世界的な情勢の中にあって、世界的にも備蓄問題が大きくクローズアップされておる段階でございますし、また、わが国自体の食糧の安定確保という面から見ましても、備蓄を今後とも進めていかなければならぬと思うわけであります。世界的な国際協力のもとで備蓄構想に参加するとともに、わが国はわが国自体としても備蓄に対して対策を積極的に講ずべき時期が来ておると思うわけでございますが、今日までのわが国の情勢、状況下におきましては、十分な食糧についての備蓄は行われてないと言っても過言ではないと思うわけでございます。今日におきましては、そういうことから、本年度から備蓄に対しても積極的な姿勢をとらなければならぬということで、実は米につきましては大体期末の十月には百十万トン程度の在庫の積み増しを持つような、今回稲作転換事業等の縮小等によりましてそういう試みをいたしたわけでありますし、また、来年度は大体百五十万トン程度の端境期における在庫の積み増しも行うことができるというふうに考えておるわけでございます。 また同時に、先ほどお話がございました飼料穀物につきましては、わが国は大量の輸入国でございます。これに対しても、ほとんど備蓄という考え方に立って今日までその政策を進めてきておらなかったわけでございますが、今後の国際的な食糧不足という立場に立って、こうした飼料穀物等についても在庫の積み増し、あるいは備蓄といった方向へ進んでいくべきではないかと、こういうふうに考えまして、実は、小麦等につきましては百十一・七万トン、二・三カ月分、あるいはまたトウモロコシにつきましては八十六万四千トン、約一ヵ月分、これは四十九年度でございますが、これに加え五十年度においては、トウモロコシ二十五万トンを民間で備蓄をしてもらうということで、助成等の予算措置等もとっておるわけでございます。もちろん、十分な備蓄量とはとうてい言える数量ではございませんが、今後ともこの在庫の積み増し、あるいは備蓄を少しずつふやしていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○工藤良平君 備蓄に、私は二つの方法があると思っているわけです。その一つは安全在庫、もう一つは緩衝在庫と言われるものだと思いますが、今日まで過剰という状態を踏まえてまいりましたから余り備蓄の問題については問題になりませんでした。輸送途中とか、いろいろな関係から、むしろ緩衝在庫としての今日までの日本の形態というものが一つの要素であったのではないかと思っている。緩衝在庫というものですね。これは安いときに買い込んで、調整をして出すというようなやり方なんですけれども、これは今日まで商社が主として私はとってきたと思うのですけれども、これのやり方から、これからはやはり安全在庫という方向に移っていかざるを得ないのではないかという気がするわけですが、この点について、通産大臣、ひとつ御意見を伺いたいと思います。——眠っておったらわからぬのだよ。みんなに聞いてもらわなきゃ困るのですよ、この食糧問題は。眠っておったらだめですよ、あなた商社の監督的な立場にあるのでしょうから。あとで答案を回しますよ、答案を。試験をしますよ。眠ってばっかりおるんだから。
○国務大臣(河本敏夫君) 産業界では、ある程度の在庫を持っております。
○工藤良平君 委員長、あれで答えになりますか。答弁になりますか。——いや、いいです、時間がありませんから、もったいないですから。まあ通産大臣はそういう程度の認識でしょう。食糧問題については、確かにいままで過剰時代に商社を中心にしてやってまいりましたから、そういう程度だろうと思いますけれども、私は、そういうことでは済まなくなった、これからは、やはり安全在庫、いわゆる高くても安くても、損得、経済性にとらわれずに食糧を確保しなければならぬという要素が出てきたということを実は主張したいわけです。したがって、これからの安全在庫という問題について日本として一体どう考えるのか。これは予算的な措置が伴うものであります。総理、どうでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 安全という点から、やっぱり食糧というものに対しての配慮は必要だと思います。どの程度安全在庫というものが必要なのかということはいろいろ検討の余地がありますけれども、ある程度の備蓄は当然に持つべきだと思います。
○工藤良平君 それは当然必要だと。したがって、ある程度国が金利なりあるいは倉敷料なり、倉庫の建築なり、若干の経費というものは相当部分これ持たなきゃならぬという理論が成り立つと思うのですが、そういう点についてはどうでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かに、安全在庫といった立場から在庫量の積み増しを図り、国民食糧の安定的確保を図っていかなければならぬと考えるわけであります。農林省といたしましても、トウモロコシあるいは大豆等につきましては民間に備蓄をしていただきまして、それに対して助成をする、こういう措置をとっておるわけでございまして、この五十年度からも、さらにその助成措置を拡大をいたしておるわけでございます。
○工藤良平君 これ、もっと基本的に言いますと、これはよく言われますように、いま石油と食糧というものが戦略物質として位置づけられるようになってきたということを皆さんおっしゃるわけですね。そういう状態に確かにあるわけです。したがって、他国の在庫政策と意図的な連携なしに保持するということがあり得なくなってきた。したがって、やはりそういう立場からすると、経済性ということではなくて、日本の食糧の安全確保という意味において財政的な措置というものが当然必要になってくる。そういう観点に立った在庫というものが必要ではないかということを私は主張しているわけで、その点について御了解できますかと、こういう質問です。総理、大蔵大臣、どうでしょう。経済企画庁長官、どう思いますか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまのような考え方は、これは世界情勢が非常に変わってきておりますから、これは導入していく、こういうことは必要だと思います。現にある程度のことはやっているわけですが、なお世界情勢、特に食糧のこれからの情勢をよく見て、わが国としては食糧問題はこれは安全保障だというくらいな心構えで対処しなければならぬと、こういうふうに考えます。
○工藤良平君 そこで、備蓄の問題については基本的には私もそういう考え方であるならば了解できます。したがって、これからの対策が必要になります。それは、三木総理、備蓄をするためには前提が要るわけであります。その前提とは一体何か。わかりませんか。その前提となるものは、一方的に、日本は食糧が足らないからということで外国に求めるということだけではいけないのであります。その前提となるものは、国内食糧について最大限われわれが血のにじむような努力を積み上げなきゃならぬという前提が要るということを私は申し上げたいわけです。その点についてどうでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) それは私もそのとおりに考えますが、しかし、工藤さんも御承知のように、食糧の自給自足ということはどこの国でもできない、ごく少数の国はできるでしょう。そういうふうになってくると、やはり食糧はある程度の自給率を高めることば私も賛成ですよ。しかし、食糧問題の必要なことは、食糧の安定供給といいますか、これはやはり日本が確保する必要がある。また、どういう世界情勢になってくるかもわかりませんから、常に食糧の潜在的な生産力というものは培養しておかなければならぬ。土地基盤の整備というものが重要である。そういうことで食糧問題を考えないと、何もかも日本が自給していくというようなことはとてもできるものでもありませんし、そういうことを考えることが適当だとは思わないわけです。したがって、食糧の輸入というものを確保しておく。いろんな予想できないような世界情勢に対処できるように、土地の生産力というものを、常に潜在的生産力というものを強化しておくということが必要だと私は思います。
○工藤良平君 もちろん、私も日本の国ですべてつくりなさいということは言っていないわけです。とにかく最大限の努力をしようじゃないか、その上で足らないものを私どもが国外に求めるということは、これは原則であろうと思います。いままでもそういうことをしきりに言ってまいりました。しかし、それじゃ国内でどういう力を注ぐのかということが具体的に表現されなければならない。政策として打ち出され、予算化されなければならぬわけであります。それが必要であります。ですから、これから私はそのことを論議するために、いま前提としてそういうものが必要だということを申し上げたわけですね。 それでは続いて、国内食糧の生産の可能性をわれわれは一体どのようにして追求したらいいのか。これはもちろん、農林省からここに資料が出されています。これを私は読んでみまして、一体力点がどこにあるのか、農林大臣、率直に、あなたは攻撃的な農業をやるということですから、ひとつ説明していただきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) やはり、何といっても、いま御指摘がございましたように、国内における自給力を可能な限り高めていくということが一番大事であろうと思うわけでございまして、そういう自給力を高めるためには、やはり土地、水を確保する、そうしてこれを高度に活用していくということが大前提となるわけでございますが、そうした土地、水の確保と高度な利用、さらに農業に従事される方々の生産意欲を高めるためのあらゆる対策を講じていく。さらにまた、こうした農業従事者の方々の再生産が確保されるような価格政策というものも充実していかなければならないことは当然でございます。そうした農業に対する全般的な対策を強化していくということが自給力を高める大前提になるわけでございまして、そういう観点から、今日までのわが国の農産物の自給の情勢というものを十分見きわめ、その上に立った長期的な見通しを立てなきゃならぬ。さらに生産目標も立てなきゃならぬ。こういうことで、現在農政審議会に、農産物の自給と、さらに生産の見通し、今後の農政の基本的な方向づけといったことにつきまして諮問をいたしておりまして、これが四月にはその答申をいただけることになっておるわけでございます。こうした答申をもとに、さらに国会の論議等も十分踏まえて、その上に立って長期的な視点に立った総合的な食糧政策、これはただ農業だけじゃなくて、先ほどからお話がございましたように、漁業資源等もずいぶん制約をされる情勢にあるわけでございますから、農業、漁業を含めた総合的な長期的な視点に立った食糧政策というものを打ち出していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○工藤良平君 「農産物の需要と生産の長期見通し」、さらに、「食糧問題の展望と食糧政策の方向について」という、この二つの農林省の案を見せていただきました。この中で特に今後問題になりますのは、これからの米の需要と供給の関係についてでございますけれども、現在生産調整を進めております。これも終わるわけでありますけれども、今後この生産調整はどうなさるつもりか。さらにまた、生産調整とあわせて、土地の基盤整備というものが通年施行等を通じまして非常に進んだわけですが、この果たした役割りというのは実に大きいわけで、今後これが打ち切られるという段階になりますと、実は基盤整備の進捗に非常に影響が出るのではないかと思いますが、この点についてお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 米の生産調整につきましては、いわゆる休耕田につきましては四十九年度以降打ち切っておるわけで、稲作転換事業をやっておるわけであります。これが五十年で終わりとなるわけでございます。そこで、今後五十一年度から稲作転換事業を行うべきかどうかということを決定をしなきゃならぬわけでございますが、私たちはその際に、やはり今日の米の需給の動向、さらに今後の動向等も十分踏まえますとともに、今後転換といいますか、生産を必要とするところの作目があるわけでございます。飼料作物であるとか、あるいは大豆であるとか、増産を必要とする作目があるわけでございますが、そういう増産対策と米との関係をどういうふうに調整したらいいのか、さらに国際的な食糧の需給動向もおいおい明らかに、この六月ごろにはことしの小麦等の世界の情勢もわかってくるわけでございますから、そういうものも十分踏まえまして、大体この六月ごろに五十一年度からどうするかという結論を出したいと思うわけでございますが、その際におきまして、確かに、いまおっしゃいましたような通年施行事業等につきましては、これはやはり今日までの効果というものを十分判断をして、その上に立った結論を出していきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
○工藤良平君 これは大蔵大臣のところにもずいぶん各地域から農民の皆さんから要請がなされていると思いますけれども、やはりこれからの日本農業を考える場合に、いま言ったような議論というものは非常に重要な問題であります。したがって、大蔵省の段階におきましても、実は基盤整備等を基本的に進めていかなきゃならぬ、その最大の要素として果たしてきたこの役割りについて、財政的な面からも、私は、農業の基礎を築くためにも手だてが必要ではないかと、このように考えているわけでありますが、ぜひひとつ大蔵省、農林省と十分緊密な連絡の上にそのことが進められていくかどうか、その点を大蔵大臣からお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 農林省と緊密な連絡、調整をとりながら誤りなきを期したいと考えております。
○工藤良平君 それでは次に、この農業を進め、さらに食糧を確保していく、いま総理もおっしゃったように、私ども最大限の努力をしなきゃならぬわけですが、努力をしてまいりますけれども、それにはいろいろと、食糧自給率が減退をしてきた、農村から多くの人がいなくなった、農業の担い手がなくなったという大変重要な問題があるわけですが、それにはもちろんたくさんの要因がありますけれども、ここで一体どういう主要な問題があるのか、この点について私たちは明らかにする必要があろうと、このように思いますが、その点について農林大臣——まあ総理おわかりになれば答えていただきたいと思いますけれども、要約して、どういう点に問題があるのか、その点もお聞かせいただきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今日までの経済の高度成長の中におきまして、確かにわが国の農村における生活水準も向上いたしたわけでありますし、あるいは生産も向上したことは事実でございますが、反面におきまして、農村における人口の流出、これは農業の労働力の脆弱化というものにつながっていったことも事実でございますし、また、農業基本法等におきまして自立経営農家を打ち出して、自立経営農家等の育成に努力をいたしたわけでありますが、高度成長の中におきまして農家の経営が兼業化がどんどん進んできたということも、これは紛れもない事実でございます。さらに農村におけるところの過疎化ということも人口流出とともに進んでまいったわけでございますし、さらにまた、土地のいわゆる資産的所有というような形態が強くなり、反面また、経済の成長の中にあって農地の壊廃がずいぶん進んだということも、これはもう十分認識をしていかなきゃならぬことであろうと思うわけでございます。そうした農業における全体的な力といいますか、農業全体が脆弱化してきたということも、私は、これはもう争えない事実ではないだろうか、一面においては向上した面もありますが、全体的に見ますと農業全体の基盤が弱くなってきているというふうなことは言えるのではないか、こういうふうに考えております。これを今後回復をし、そして伸展をさせるということが、これがこれからの農政の基本的な考えでなければならない、私はそういうふうに率直に考えておるわけでございます。
○工藤良平君 その中で、私は、これからの農業を伸ばす上にいろいろな障害となる要因を取り除いていかなきゃなりません。その努力をこれから続けていくわけですが、その中で、特にこの基盤整備の場合に、国営とかあるいは県営のパイロット、あるいは団体営ということで進めてまいりますけれども、いま非常に農民の間から要求として出てきておりますのは、一つの中核農家が一生懸命自立農家としてやろうとする。その場合に、みずから土地開発を考えるわけですね、小規模の。ところが、これに対しては、残念ながら手だてがないわけです。その点について、辻さんからもこれから具体的に御質問があると思いますが、私は、その点についてやはり真剣に考える必要があるのじゃないかと、このように思っているわけで、その点は辻さんの御意見とあわせてひとつ御答弁を一緒にいただきたいと思っているわけです。
○辻一彦君 関連。 一点お伺いします。平場地帯においてはかなり基盤整備や土地改良というのが進んでおります。しかし、過疎地や山間僻地において非常に問題がある。というのは、農地が小規模のために、それだけでは暮らしができない。だから、かせぎあるいは勤めに出なくてはならない。そうなりますと、朝晩の仕事で農作業をやらなければいけない。ところが、小規模のために土地改良や基盤整備が全然進んでいない。ここを何とかしてくれという声が、山間地や僻地、過疎地の農民の間に非常に強いわけですが、これに対して農林省は、国は、十町歩以下の小規模であっても国の助成の対象を拡大すべきではないかと考えますが、この点をまず農林大臣にお伺いいたしたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 基盤整備につきましては、御承知のように、国営あるいは県営、さらに団体営といったようなものがあるわけでございまして、こういう事業に対しましてはそれぞれ国の補助も行っておるわけでございますし、同時にまた、補助対象とならない事業等につきましては、公庫資金によるところの長期低利資金の活用によって事業を行っておるわけでございますし、また同時に、山村地域につきましては、これは山村振興法その他特別措置法によりまして、採択基準等を拡大、引き上げまして、それによって事業がしやすくなるように今日まで措置もとってきておるわけでございますが、しかし、全体的に見ますと、最近におきまして相当工費等もかさんできておるわけでございます。それだけ農民等に負担が、過重になっていることもこれは事実でございますので、こういうふうな点は十分ひとつ考えまして、今後とも農民の負担が少なくて済むような方向に努力をしていかなきゃならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○辻一彦君 もう一点、これは総理にお伺いいたしたい。 社会的格差というのはいろんな種類がありますが、その一つに、こういう平たん地における問題と、それから、過疎、山間僻地におけるこの格差というものは非常に大きいわけですが、社会的格差解消といいますか、是正という、三木内閣の観点からも、この小規模十町歩以下の山間僻地農民の声に私はこたえるべきであると思いますが、この点、総理の見解をお伺いいたしたい。
○国務大臣(三木武夫君) 格差是正ということは必要でありますが、やっぱり地理的な条件の不利ということもこれはありますから、山間僻地とまた平たん部との間には、非常なやっぱり自然的条件としての格差というものはあり得るわけですが、いま辻さんの御指摘になったような、国の助成というものが国営とか県営とかいう大きなパイロットだけじゃなしに、過疎地帯における小規模な土地改良、土地の基盤整備についても、政府がもう少し助成の方法を考えることがいわゆる格差を——絶対的に縮めるわけにはいかないですよ、地理的には。できるだけその格差を縮めるためにそういうことが必要であるということは、私もそのとおりだと思うんです。農林大臣も答えておりましたが、いろんな資金などによって、小規模な基盤整備についても、もう少し助成の方法を考えてまいるような努力をいたします。
○工藤良平君 いまお話しのように、基盤整備の段階におきましても、私どもがもっと本当に、農民がいま一体何を求めているかということにこたえていく、そのことによって農業経営が発展をし、食糧の自給率が高まるということになるわけです。そういう努力を私たちはやらなきゃならぬと、実はこのように思うんですが。 そこで、私は、この予算編成の段階で起こってまいります、実際に農業経営をしている者と予算を組む者との間のギャップがあるのではないかという点ですね。たとえば構造改善事業をいたします、もちろん、一つのこういう典型が一番やりやすいですよと、これが効率的ですよということは示す必要があります。それはもちろん予算の積算の基礎として非常に大事だと思います。ただ、それのみに拘泥してまいりますと、せっかくの農業をやる者が考えている、その意欲なり経営が壊されていくということも、また一方にはあるわけですから、そのギャップをどのように調整をしてやるかということが非常に私は必要ではないかと思うんですが、この点について、農林大臣あるいは大蔵省も、これ非常に重要な問題ですが、御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) やはり基盤整備事業を行うに当たりましては、地域の特性、農民の意思というものを生かした形における基盤整備事業が行われなきゃならぬと思いますし、同時にまた、構造事業、改善事業等についても、そういうことば十分参酌していかなきゃならぬわけでございまして、まあ、こういう点につきましては、農林省といたしましても、地域の農民の意向を十分組み入れたような形において農業予算の執行を図っておるわけでございますが、最近におきましてはメニュー方式等も御存じのように取り入れまして、相当弾力的にいまの地理的な農民の考え方が生かされるような方式を徐々に採ってきておるわけでありますが、これはさらにひとつ私どもは推進をしていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、地域農民の感覚、経験、希望、そういった点を予算にどう生かすかということは、常にわれわれが心がけにゃいかぬことと思うのでございまして、農林省とよく相談しながら十分心してまいりたいと思います。
○工藤良平君 いま私申し上げましたように、やらせる農業論はあるけれども、つくる者、やる者の農業論がないと言われているわけですね。きのうもずいぶん農林省のあれで議論をやっていましたけれども、私はそのとおりだと思うんですね。ですから、この点が非常に大事だと思います。 会計検査院、ひとつ検査をなさる立場からも、この点について私は十分留意をしなきゃならぬと思いますが、御見解をいただきたい。
○会計検査院長(白石正雄君) 会計検査院といたしましては、設計その他積算等について検討しておることは言うまでもないことでございますが、しかし、事業の目的に沿うて最も効果的に使用されておるかどうかというような点につきましても、鋭意力を注いでおる次第でございます。
○工藤良平君 それだけですか。
○会計検査院長(白石正雄君) 御趣旨の点に沿うように、なお努力いたしたいと思います。
○工藤良平君 いまから問題を回しますから、ひとつ書いてください。資料を回して……。ちょっと委員長、済みません、資料を回してもらいますので……。各大臣に、それ、ちょっと回してください。いまから私質問します。
○委員長(大谷藤之助君) 質疑、どの大臣にですか。
○工藤良平君 いや、全大臣に、二十人。
○委員長(大谷藤之助君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。
○工藤良平君 皆さん、大臣に御理解をいただきたいと思ったんですが、何か委員会の都合で全員には配られなくて、私の質問をする対象だけだそうですから、後ほどぜひ大臣、これ、終わりましたら見ていただきたいと思います。そのことをお願いしておきたいと思います。 それを見ていただきますと、これは肥育肉牛の平均的生産実施状況というのを、先日私どもの党で調査をいたしまして概略まとめたものであります。これは一頭当たりに、肉牛を肥育する場合に一体どういう経費がどうかかるか、そして幾らで売ってどれだけの利潤が上がっているかということを端的に表現をしたものであります。で、これから見てみますと、現在、この計画にもありますように、畜産を伸ばさなきゃならぬということは、これからの農業の非常に中心に据えられているわけです。しかし、御承知のように、この例示は、昭和四十八年に素牛を実は二十二、三万円で買いまして、その後、飼料の高騰がありまして、大体十八ヵ月飼育をして、昨年の暮れに売却をした。その売却をした価格の計算を私がいたしているわけです。そういたしますと、この一頭当たり、実は十八ヵ月飼いましてマイナス二千七百円という実態が出ているわけです。これはもちろん設備投資のお金は全然入っておりませんから、昨年の暮れは農家の皆さんが非常に苦しんだということは、この実情でもわかるわけです。ですから、三十頭、五十頭飼っている人は大変な赤字を抱えている。これから読み取れますことは、一体、この畜産農家に何をしてやらなければならないかと、その主要な課題は何かということが明らかになると思いますね。その点、農林大臣、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 畜産につきましては、おととし、確かに牛肉、牛の価格が非常に暴騰いたしました。そういう中で子牛等も買い入れまして、それが総需要抑制等によりまして去年におきまして牛肉等の消費がずいぶん減る、そういうこともあって、牛肉の価格等も低落をいたし、それが直接、飼料高等も加えて、畜産農家に直接的な打撃になったことは事実でございまして、そういう中にあって、この肉牛の畜産農家の経営の安定を図っていかなければならぬということで、農林省といたしましても牛肉の海外からの輸入をストップする措置も講じたわけでございますし、さらにまた飼料等につきましては、昨年も親基金制度等もつくっていただきまして、非常な高騰に対する不足分を補てんをするという措置も講じたわけであります。 さらにまた、畜産農家に対する、そうした債務の整理をするための低利融資等も行ったわけでございますし、同時に、今回国会で御審議をいただいておりますが、牛肉につきましては畜安法の指定食肉に指定をすると、こういうことで法律の改正等も行っておるわけでございますが、しかし、いまお示しの資料のように、肉牛の生産者がこれは大変な打撃を受けて、いろいろのこれに対する措置等は講じたわけでございますが、非常な打撃を受けたということは、これはまあ事実でございます。
○工藤良平君 大臣、これは簡単に、私、端的に申し上げます。一番問題になりますのは資金対策なんです。いいですか。もちろん飼料対策は大事です。もちろん基本ですけれども、ここで問題になりますのは資金。どこからどういうお金を借りて一体運営をしているかということですね。たとえば飼料を買います。農協から飼料を買うんです。買った日から金利がついているんです、一一%の。これは、いわゆる二年近く寝せるわけですね。そうしますと、二年間、金利が一一%ずつついてくるわけなんです。いいですか、こういう状態にある。したがって、これは資金対策をどうしてやるか、非常に重要な問題です。で、それでは、いま農家が借りている資金の関係はどのようになっておりましょうか。
○政府委員(澤邊守君) 四十八年度末の調査でございますが、都府県と北海道の場合かなり差がございますので、酪農で見まして、都府県におきましては百五十四万一千円の借入金がございます。北海道の場合は四百六十二万九千円ということで、大型であることもございますけれども、かなり大きな借入金になっております。その他養豚、養鶏等含めまして、稲作とか耕種農業に比べますと、かなり借入金は大きくなっております。これは御承知のように、畜産は迂回生産を主といたしますので、資本集約的であるということにもよると思いますが、財政資金、系統資金を含めまして、ただいまのような数字になっております。
○工藤良平君 もう少し具体的に聞きましょう。じゃ、金利の、普通金利ですね、いろいろ国や県の助成を受けなくて、どうしてもやはり農協のプロパー資金を借りなければならぬというのがかなりの部分あるわけですが、これは平均してどの程度、何割ぐらいお借りをしておりますでしょうか。
○政府委員(澤邊守君) ただいま申しました酪農の場合で申し上げますと、百五十四万一千円、四十八年度末の借入金でございますが、そのうち財政資金を借りておりますのが四十六万二千円、系統資金が九十九万三千円でございますが、そのうち農業近代化資金が三十六万九千円ございますので、一般の系統資金は約六十万ということになっております。
○工藤良平君 いま、総理、大蔵大臣、お聞きのように、農業経営の中でプロパー資金、いわゆる高い金利を使っているという、九・五%、一一%という金利を使って農業経営をやるということ、どんなに苦しいものであるかということを私は知っていただきたいと思うのですね。この資金対策、いわゆる金利対策というものは、これは財政的に、国やあるいは県の援助によってできることであります。できるだけそれをやって、そして農村の皆さんにも努力をしていただく、赤字経営でやれやれと言ってもこれは自給率は向上しないわけです。その手だてをすることによって——農民の皆さんはやろうという意思を持っている人もまだたくさんあることを私どもも知っているわけです。ですから、そういう手だてを、この例示からいたしまして、私はぜひ理解をしていただきたい。大蔵大臣、ぜひひとつ前向きの御答弁をいただきたいと思うのですけれども。
○国務大臣(大平正芳君) ちょうだいいたしました資料から判断いたします限りにおきまして、これは容易ならぬ条件のもとで畜産経営が行われておるということでございまして、ちょっとやそっとのことでこれはなかなか打開の道が出てくるように私には思えません。したがって、私は、まず農林省がこの問題について——先ほど工藤さんからもお話がありましたように、われわれは緊密な連絡は農林省ととりますけれども、まず農林省がこれに対してちゃんとした答案を一遍お示しいただかなければならぬと思うのでございます。そして、それをたたき台にいたしまして、政府としてどこまで打開できるかという見当をつけてみる必要があるのではないか。資金の調達にいたしましても、財政資金ということにそうイージーに頼られても困るわけでございまして、これには、財政資金といいましても限度もございまするし、給源が無限にあるわけじゃございませんし、おのずから厳しい選択が必要なのでございまして、そういう選択をくぐりまして畜産にはどうしてもこれだけは必要だということで、しかも、それは日本の財政のフレームの中で考えられるということでなければ話にならぬと思うのでございまして、よく農林省と相談させていただきたいと思います。
○工藤良平君 農業問題は非常に幅の広い、深いものでありますから、こういう議論では本当の一部分を触れたぐらいにしかすぎないと思います。私はもっともっと時間をいただいてやりたいのでありますけれども、これは際限がありませんから、農業問題についてはこの程度で打ち切らざるを得ない。非常に残念に思いますが、私は先般の本会議でも総理にお伺いをいたしました。農業の持つ新しい役割り、そしてまた、非常に農業が衰退をしている中で一生懸命がんばっている若い青年もいるし、お年寄りもいるわけです。その人たちによっていまの農業が守られ、私たちの食糧が辛うじて確保されておるという状態であります。しかも、いま残念ながらお互いに働く喜びというものを忘れている。農業こそが私は働く喜びを生み出し、無限の力を生み出していく最大の力だということを、私はこの前も本会議でも申し上げました。そういう立場に立って、これからの農政というものを、本当に真剣に食糧を確保し、そしてまた、農民の生活がそれに結びつき、全体的に国益になるとするならば、それを全面的にやはり進めていくということが大事ではないか、こういうように考えますし、ぜひひとつ総理の本当に真剣な決意のほどを私は伺って、次の問題に移りたいと思うのです。
○国務大臣(三木武夫君) 農村は、食糧の供給ばかりでなしに、ある意味において私は日本の大きな安定勢力と言ってもいいと思いますが、そういう意味で、農村を荒廃さすような政策というものは、国政の中でそういう政策をとってはならぬと思っておるわけです。しかし、そのためには、いま工藤さん御指摘になったようにいろんな問題がある。若い人たちが魅力を持って農業経営をやれるようなものにならなければ、精神論ばかりではだめですからね。そうすれば、いろいろいままで御指摘になっておった、いわゆる耕作反別の問題もあるし、それを所有権をそのままにしておいてどう解決するかという問題もございましょうし、だから、真剣にこの農業問題というものは、単に食糧問題ばかりでなしに、日本の国の運命にも関係をする問題だと私は思うのですね。農村というものがすたれた、そんな国はやはり健全に発展していく国じゃないという点で、いろいろ御提起になりました諸問題確かに検討を要すべき問題でございますから、われわれとしても十分に検討をいたしまして、日本の農業が長期的に安定をして経営のできるようなところに持っていかなければならぬと真剣に考える次第でございます。
○工藤良平君 それでは次の問題に移ります。 農業問題とこれまた密接な、きわめて切り離せない重要な問題があります。それは、現在大変じみでありますけれども、大きな問題であります水資源の問題について私はこれからお伺いをしてまいりたいと思います。 総理の諮問機関といたしまして、水資源開発審議会がつい先日再編をされたようでありますけれども、総理としては、このわが国の水資源の問題について一体どのように理解されていらっしゃいますか、総括的にひとつ御意見をいただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) まあ、水というものは非常に豊富なような感じを国民が持ちがちでありますが、しかし、雨量が多いといっても、いろいろ、領土も狭い、地勢上の関係もあって、やっぱり水というものは日本では非常に貴重品である。そんなに日本の水が潤沢なものではない、都市などにおいても、これは都市の人口というようなものも水によって制約を受けるようになってくると私は思いますね。ダム建設というものも思うようにすんなり進まないし、そういうことでありますから、水の資源を確保するということは、都市住民の生活ばかりでなしに、農業経営においても今後重大な問題になってきますから、水資源の開発ということは国政の中で相当ウエートの大きい問題であると、かように考えておる次第でございます。
○工藤良平君 この水の需要と供給の関係については非常に重要な問題でありますから、これを総括しております——これは国土庁ですか、いま。国土庁の方から現在の概況についてお話をいただきたいと思います。
○国務大臣(金丸信君) 水の問題につきましては、人口の増大あるいは生活水準の向上、産業の進展というようなことで非常に水需給が増大をしておることは事実であります。建設省の調査によりますと、六十年度を踏まえまして、南関東、京阪神、著しい水の逼迫を告げるという予想が出ておるわけでございますが、そういう意味で国土庁といたしましては、関係官庁とも十分連絡をとりながら、水資源地域の対策あるいは環境保全等十分留意しながら、この水の確保というために、また、ただいま総理からもお話がありましたように、ダム建設等の促進を図っておるわけでございますが、水源地域対策特別措置法によりまして、その地域の道路とかあるいは公共施設等についてはまことに喜ばれておる点もあるわけでございますが、水没するところの人たち、こういう人たちに対しての生活再建というような問題につきましては、いま少しこれにてこ入れをしなければ今後の促進はできぬじゃないかというような私は考え方を持っておるわけでありますが、どちらにいたしましても、ダム建設に対しましていろいろの拒否反応もあるわけでありますが、この拒否反応を十分検討して、今後のダム建設等の促進を図るように努力いたしたいと考えておる次第であります。
○工藤良平君 いまお話しのように、水が従来の自由財というものから、いわゆる経済財としての性格を非常に強めてきている。したがって、水の単価というものが非常に上昇していると私は思っているわけであります。したがって、これからの長期予測というものは非常に重要な論点になるわけでありますが、これからの予測について具体的にこの数字を、たとえば何年度どれだけの目標でどういう供給体制をとっていくのだということを示していただきたい。
○政府委員(宮崎明君) 御承知のように、非常に雨が多いのですが、人口一人頭の降雨量といいますか、水資源量で見ますと非常にわずかでございまして、アメリカの五分の一程度、フランスの八〇%ということで非常に厳しい状態であります。現在といいますか、四十五年時点で利用されております都市用水、まあ生活用水、工業用水等が約二百三十億トンから二百四十億トンくらいと大体想定されます。それから農業用水が五百五十億トンくらい年間使用されておると考えられるわけであります。 これが昭和五十五年あるいは昭和六十年時点でどのくらいになるかということにつきましては、いろいろな予測がございますが、御承知のように、一昨年建設省の方で広域利水調査報告も出しましたけれども、かなりの地域で不足になるという予想でございますが、かなり経済情勢の変化もございますし、いままでの傾向から見ますと、大体年間十億トンくらいの需要増ということでございます。ですから、今後十何年間、約十年間で見ますと、大体百億トンあるいは百二十億トンくらいの需要が出てくるんじゃないかと、こういうふうに想定されます。しかし、この点につきましては、現在長期水需給計画策定の作業を進めておりまして、できるだけ早い機会にもっと明確な見通しを立てたいと考えております。
○工藤良平君 水には、いまおっしゃるように、都市用水と、それから農業水と、いろいろ種類があるわけでありますけれども、これからの水需要の中で、特にこの水需要の価格弾力性あるいは所得弾力性によって工業用水や家庭用水がどういうように変化をしていくか、その点について。
○政府委員(宮崎明君) 御承知のように、あの石油ショック以来、非常に水の大切さということ、また工業用水等の需要も多少減退しまして、かなり四十九年における水の使い方というのは対前年横ばいに近いような状態であります。今後のダム建設等、非常に原水コストが上昇してまいりますので、そのコストのはね返りというものが生活用水あるいは工業用水にはね返っていくわけでございますけれども、御承知のように、現在の水道料金、たとえば東京都でとりますと、家庭料金というものはバケツ一杯一円以下というような非常に安いお値段。したがって、非常に、湯水のごとく使えといいますか、使い方がぜいたくである。ですから、できるだけ節水をしていただくということが必要じゃないかというように考えます。これからの水道料金もかなり高くいただかないと、全部赤字経営になっておりますので。しかし、それでもまだ、いま申し上げたように非常に安いお値段でありますが、使う方を節約していただくのと、やはり必要な水については必要な費用負担ということが考えられるんじゃないかと思います。
○工藤良平君 いまお話しのように、たとえば価格は少々高くなったといたしましても、工業用水等はどんどんこれから需要が増すだろうと、それから所得の増加によって水の使用、あるいは家庭用品の近代化というもので、どんどん水がたくさん入り用になっていくということから、その伸び率というものは驚異的なものがあるだろうと私は思っているわけですね。したがって、その水需要に対応していくために、一体それじゃ水の供給はどうしていくのか、これについてはどのように考えておりますか。
○政府委員(宮崎明君) 基本的には河川流量の平均化を図っていくということで、ダムの建設等、これは積極的に進めなきゃならぬと思います。そのほか、湖沼とか遊水地の有効は活用を図る、あるいは河川間の横の連絡を図って流況を調整していくとか、そういうようなことで対応していかざるを得ないと考えております。
○工藤良平君 工業用水の場合に、ダムへの依存度がどのように推移をしてきたか、その点をひとつ示していただきたいと思います。
○政府委員(宮崎明君) 戦後昭和三十年ころから非常に急速な経済発展に伴いまして、工業用水需要が急激にふえてまいりました。現在のダム等による新規開発利用のうちに占める工業用水の割合というものも漸次多くなってきていますが、最近になりまして、かなり工業用水の合理化、いわゆる回収率の向上等が進んでまいりまして、今後は生活用水に重点が移っていくというふうに思います。詳しいデータにつきましては、ちょっとよくまだ調査ができておりません。
○工藤良平君 これはだいぶ資料が古いわけですけれども、工業用水のダムに対する依存度は驚異的にふえているわけであります。やっぱりダムをつくって水資源を確保するという方向に進んでいるわけですね。 それからもう一つは、成長に伴って水を確保する。そのために、たとえば水質の汚濁負荷量がどんどん大きくなっていくことによって、水の確保というのが非常に困難になってくるという問題が出てきますが、この点についてはどのように理解しておりますか。
○政府委員(宮崎明君) おっしゃるとおりでございまして、いままで使い得る水が非常に水質が汚染して使われなくなるというケースが一部出てきております。ですから、水を使うということは水のきれいさを消費することでございますので、できるだけ少なく使っていただくということは、そういう水質汚染の問題からも好ましいというふうに考えております。
○工藤良平君 大変不十分で、議論がどうも、これはその程度じゃうまくいかないんですけれども、これは建設大臣にお伺いいたしますが、河川ですね、河川というのは、川の水があるから河川ということになるわけでしょうけれども、河川の水についてどのように理解していらっしゃいますか。
○政府委員(増岡康治君) お答えいたします。 河川の水についてどう考えておるかという御質問だと思いますが、いま国土庁の水資源局長が申し上げましたように、川の使命というものは、治水と利水と環境だと私ども考えておりまして、これは土地とともに利用され、また保護されるべきものであるという観点で、河川法の趣旨に基づきまして、公共のためになるような河川の管理をしていくべきものであると考えておるわけでございます。
○工藤良平君 ちょっとそれは、私の質問がまずかったですね。ぼくも具体的に言いましょう。河川というのは地下水によって涵養されて川になるというように理解をするのか、その地下水によって河川がつくられているというふうに私は理解をしているわけですけれども、どのようにその点を理解しているか、非常に重要な問題ですからお聞きするわけです。
○政府委員(増岡康治君) いま、地下水と河川の関係を御質問なさったように思います。私どもは、これは水という面からいきますと、二つが大きな水の資源だと考えておりまして、実際の水利用に当たりましては、河川に依存する度合いが非常に多いわけでございますけれども、国土の地下には全部地下水がございます。これも現在大いに利用されておる。その依存度はいろいろございますけれども、この二つが私どもは大きな水資源だと考えておるわけでございます。
○工藤良平君 私がなぜこのことを聞くかといいますと、建設省は、ただダムをつくれば水が集まってくるというように考えているでしょう。もちろん洪水のときはそれが直接河川に入ってまいりますけれども、普通、通常の場合は地下水によって河川というものは実はでき上がっている、水というのはでき上がっているわけですね。この点を私は大変重要な問題として主張したいわけです。いいですか、建設省は川というものを縦にしかながめない。農業というものは、この縦に流れている川の水を横に流して、全体的に国土にまんべんなく潤すことによって、地下水を涵養し、それが日本の血液としての重要な役割りを果たしているということを、建設省、国土庁が理解をしているかどうか、その上に立って、これから私はダムの問題を質問をしていきたいわけで、その点を明確にしていただきたいと思うんです。
○政府委員(増岡康治君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、地下水がくみ上げられますと、またそれが、たとえばたんぼ等で涵養されてまた使えるというようなことで、河川水と一体になりまして、これはやはり一体になって適切に使われていくということが非常に大切だと思っておるわけでございまして、一体不離な点もあるわけでございます。
○工藤良平君 ちょっとこれはまだピンぼけですね。ここらは国土庁長官、前に建設大臣もしていたのですから、ひとつ基本的に。非常に大事なことなんです、これは。
○国務大臣(金丸信君) 水の問題について御質問でございますが、いま河川局長が御説明申し上げたんですが、いわゆる地下流水も表流水も水資源であると、私はこう考えております。
○工藤良平君 川の水というものは、地下水が集まってきて川になっているわけなんです。一遍土地をくぐって出てきているわけです。もちろん雨が降っているときは、これは直接流れ込んでまいりますけれども、雨の降ってないときは地下水となって、それが水として川を形成をしているわけなんですね。ですから、非常にこれは大事なことなんです。河川行政として、国土を守るという立場から大変重要だから私はそのことを言っているわけなんですが、もう少し明確になりませんか。
○政府委員(宮崎明君) 先生のおっしゃるとおり、降った水は山林で涵養され、それが自然に維持流水として河川の流況というものはできております。そういう認識は十分底に踏まえた上で考えております。
○工藤良平君 そこでダムをつくるにしても、水の開発をやるにいたしましても、その周辺の山あるいは農地、そういうものを無視してはこれは絶対に不可能なことなんです。それを頭の中に描いて水開発というものを考えなければ大変大きな問題を起こすということを私は主張したいわけです。いいですか、そういう観点に立って、これからダムの問題についてお聞きをいたしましょう。 具体的に聞きます。下筌・松原ダムの問題が三十年来大変大きな問題になってまいりました。これは私はダム行政の非常にとうとい教訓だと思っているわけでありますが、先般来から行管の調査、あるいは建設省自体といたしましても、ダム完成後クラックができて大変大きな問題になっておりますが、その点に対して行管、建設省のひとつ概要を説明していただきたいと思います。
○国務大臣(松澤雄藏君) 第一番目には、昭和四十九年度から三カ年計画で実施して、漏水防止対策の実施等を促進してきております。第二といたしましては、ダム周辺の地すべり対策の計画を策定し、その実施を推進すること、あるいはまた地元住民の不安を解消するため十分な措置を講ずる。第三には、今後のダムの建設に際しましては基礎調査を充実し、事前に十分な対策を講じておくことの三点等に対して改善の意見を提示してまいったものでございます。その実行が確保されるよう見守っていく所存でございますので、御了承いただきたいと思います。
○政府委員(増岡康治君) 下筌・松原ダムにつきまして、ただいま行政管理庁長官が申されましたように、私どもはこれにつきましての改善意見をいただいたわけでございます。これにつきまして、建設省といたしましては、第二次の下筌ダム貯水池周辺調査団というものを外部の有識者によって編成いたしましてお願い申し上げたところ、その報告書が昨年末提出されました。これに基づきまして、大分県、熊本県両県とも協議の上、三カ年計画で必要な対策工事等を四十九年度から実施中でございます。 また、その中に指摘ございますように浸透流の問題がございますが、現在のところ、これにつきましては特に異常は認められませんけれども、恒久的なダムの管理の立場からさらに万全を期すために、昨年九月、松原・下筌ダム浸透流対策研究会を設けまして研究中であるわけでございます。 なお、この第二次の調査団報告書も、関係地方自治体と協議しながら、大分県におきましてもすでに地元の地区の方々に対しまして説明を行っておるわけでございます。 今後の問題でございますけれども、今後の新規の建設に当たりましては、ダム地点のみならず貯水池の周辺の基礎調査に重点を置きまして、今回のこの貴重な教訓を生かして、一層ひとつ充実したダムの建設に当たりたいと、そういうふうに考えておるわけでございます。
○工藤良平君 行管庁長官にもう少しお伺いいたしますが、この行管の調査の中で、予備調査、基本調査の段階で、下筌・松原ダムについてはほとんどやられていないということ、その下につくる予定でありました久世畑というダム、これは防災ダムとして計画したんですが、これに圧倒的に予算が使われまして、下筌・松原ダムの予備調査、基本調査は着工までにはほとんどなされていないということ、この点についてもう少し説明していただきたいと思います。
○政府委員(大田宗利君) これは四十九年九月十二日に、九州管区行政監察局が九州地方建設局に対して改善意見を申し述べたものでございます。 現地の調査結果によりますと、松原・下筌ダムにおいて試験湛水開始後に発生した浸透流は、発見後直ちにいろいろな措置が講じられております。旧大山導水路における漏水量は相当減少しておりますけれども、しかしなお完全とは言えない状況であるという報告でございます。これに基づきまして、九州地建に対して、ダムの安全確保により万全を期するべきだという所見表示を第一にやっておるわけでございます。 それから地すべりの防止対策でございますけれども、これにつきましては第二次の調査団の調査がございます。ただいま建設省の方から御報告がございましたですが、その最終報告書の提出が昭和四十九年の末となっております。これに対しまして、九州の行政監察局では、この地域の地すべり等につきましては、第一に、直ちに対策を必要とするものと、それから第二は、さらに発生原因、地質対策等の検討が必要なものと、三番目に、当面対策の必要はないが十分な継続観測が必要なものがある、そういうものに対して発生の原因、あるいは事業主体、地域によりその事業主体もおのずから異なってまいりますので、九州地建が中心となりまして、熊本、大分両県の協力を求めて、地すべり等の防止対策に関する具体的な諸対策の全体計画を策定すべきであるということを意見として申し上げておるわけでございます。 それから最後に、基礎調査の充実でございますが、松原・下筌ダムの建設工事着手前に行われました予備調査及び実施計画調査の一部については十分であったとは認められないが、このことが浸透流あるいは地すべり等の原因になっているかにつきましては、にわかに断定はできない、非常にむずかしい問題であるというふうに申し述べております。しかしながら、ダム建設に反対する地元の住民が、当時地質に関連があると指摘していた地域であるにもかかわらず、地元住民の反対のために立ち入り調査が困難であったとはいえ、基礎調査が不十分なままダム建設に着手しましたことは、十分反省すべきであるというふうに申し上げております。 以上でございます。
○工藤良平君 建設大臣、いまお聞きのように、これは非常に重要な問題点であったわけです。ここは地すべり常襲地帯である、地質がよくない、ダムをつくることは不適当であるということが住民から実は出てきたわけであります。にもかかわらず、予備調査、基本調査の段階で調査がほとんどと言っていいぐらいなされていなかったということ、これは建設省の河川、砂防技術基準に照らしても大変問題があると思うのですが、建設大臣、この点について御見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(仮谷忠男君) 私は先生のおっしゃること、よくわかるのです。私自体が高知県で、ダム県です。戦後もう五個ほどやっておりまして、一昨年は貯水量二億トン余りの、いま水資源公団、日本一と言われているダムをやっております。その場合に、いろいろと調査をしながら、それで補償の問題等も考えて実はやったのですけれども、その後にはいろいろの問題が現に起こっておるわけでして、地すべり問題等も現に起こっておることです。そういう意味から考えますと、調査が十分でなかったということ、いまの下筌ダムの問題にしても私ども認めます。それならそれなりに後の対策に万全を期さなければならぬということは当然でありまして、誠意を持って努力しなければならぬと思っております。
○工藤良平君 大変前向きの御答弁でございますが、私もその点はいまの建設大臣の答弁を了といたします。 それで今後の、事後対策の関係からも、これからもう少し時間のある限り明確にしていきたいと思うのですが、私、報告書をいただきました。もちろん、これは一昨年の六月に私が提起をいたしまして調査団を充実をしていただいて、非常に貴重なデータをつくっていただきまして、私は敬意を表しているわけです。しかし問題は、これで解決をしたのか、しないのかということですね、私はこれで問題が解決したと断定することは非常に不可能である、このように思うのですが、その点についてはどうでしょう。
○政府委員(増岡康治君) 先ほど申し上げましたように、行政管理庁よりの改善意見を私どもまじめにフォローしております。しかしながら、ダムは建設だけで終わったわけじゃございません。絶えず、永久に良好に維持管理されて初めてダムの機能を果たすということから、この下筌の貯水池周辺の問題あるいはダムの問題につきましても、私どもは絶えず観測を続けながら、やるべきものは堰堤維持でやり、対策工事や地すべり対策等、いろんなものを使いまして、やるべきものはやっておるわけでございます。なお、今回の調査報告に見られますように、貯水池の水位の上限に起こった地すべりと無関係のものと、まだよくわからないという点がありますので、このよくわからない点は現在もなおいろいろ勉強をしておるわけでございまして、このような調査はずっと続けていきたいと思っておりまして、これで終わったと私ども考えておりません。
○工藤良平君 この報告書に、地すべりあるいは地割れの状況図が私はないように見受けたのでありますが、これは何か理由がございますか。当然つけなければいけないと思いますけれども。
○政府委員(増岡康治君) 特別に理由はございません。
○工藤良平君 それでは後日、これは報告書の内容として提出をしていただけますか。
○政府委員(増岡康治君) さらに、この調査報告書のバックデータがあると思いますので、その辺をよく調べまして、先生の御要望の資料を御提出いたします。
○工藤良平君 これは裁判の際にも問題になったわけですけれども、この鑑定書の中には、ここは地すべり地帯であるということが明記してあったわけであります。しかし、それは当時建設省としては認めていなかったわけですね。それが、今回再発であるというような表現を使っているわけでありますが、そういたしますと、室原さんは亡くなっておりますけれども、鑑定書に明記された地すべり地帯であるということはお認めになる。このように理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(増岡康治君) 地すべり地帯というのは、大規模のものと小規模のものがありますけれども、いま先生のおっしゃるとおり、これは地すべり地帯でございます。
○工藤良平君 鑑定書の際には、鑑定書に対抗いたしまして、建設省としては地すべり地帯でないと、このように実は反論をしたわけで、その点は明らかに鑑定書に明記されたように、これは地すべり地帯である。したがって、これこれこれと、こういうふうになるわけですけれども、その点は、私はそのように理解をしたいと思うんですが、よろしいですかと、こう聞いている。
○政府委員(増岡康治君) ただいまの地すべり地帯の問題は非常に専門的な問題でもありますので、いまのお答えは、もう少し勉強さしていただきたいと思います。私自身も若干いま不明なところもございますので、本当の専門でないものですから、その点ひとつよろしくお願いいたしまして、またいろいろと地質学者の皆さん方、御依頼申し上げた方に、もう一度お聞きいたしたいと思っております。
○工藤良平君 検討するとするならば、これは当然再発を認めているようでありますから、そうすると、元来この地区は地すべり地区であったと、建設を計画した当時の状況は、ちょうど地すべりが小休止の状態であった。ところが、このダムをつくることによって湛水をした、その小休止をしていた地すべりが促進をされるということが当然起こってくると、このように私は理解をするわけですね。当然そうならなければ、今後の事後対策というものが打ち切られてまいりますから、そのように当然私は考えたいと思うのですが、よろしいですか。
○政府委員(増岡康治君) 現在発生しております亀裂その他につきましては、いずれも対策工事をやっておりますし、また地質構造もだんだん明るみに出てまいりましたけれども、自然の動きというものは非常にわからないものがございますし、そういう意味で、私どもが先ほど申し上げましたように、観測網と言いますか、地すべり計と言いますか、そういうものを設置いたしながら、なるべく早く予知して事前に防止したいと、そういうように考えておるわけでございます。
○工藤良平君 そこをはっきり、地すべり地帯と、このように認めて、それが再発をしたということをこの報告書でも書いているわけですから、当然それは地すべり地帯であって、再発したんだというように明らかに私はしていただきたいと思うんですよ。鑑定書の関係が、裁判でやっていますから、なかなか言えないかもわかりませんけれども、当然明らかに、ちょっといまの答弁はそれていますから、委員長もう一ぺん。わかりますか、私が言っていることが。時間がないものですから大変要約しているものですからね。重要なんですよ、ここは。
○政府委員(増岡康治君) ただいま先生おっしゃいましたように、報告書にはそういうことが書いておるわけでございます。この辺は私ども、もう一度詰めなければいけないということでおったわけでございますので、的確な御返事ができなかったわけでございますけれども、この問題はもうちょっと慎重に、私どもももう一度、諸先生ともいろいろ究明するような論議をしていきたいという問題であったわけでございます。
○工藤良平君 そうすると、その問題は断定じゃなくて、問題を今後に残すと、このように理解してよろしゅうございますね。
○政府委員(増岡康治君) そういうことでございますが、この問題は早く私どもも結論を出したいと、そういうぐあいに考えておるわけでございます。
○工藤良平君 それからもう一つは、この水没被害者の問題でありますが、建設省としては、当然、この湛水線以下の住民が水没被害者であると、このように考えてきたのではないかと思いますが、現に被害が起こっているのは湛水線以上のところ、いわゆる地すべりが起こる。したがって、これもダムの因果関係だという立場から、熊本県側につきましても、すでにそういうことが確認をされてきたところもあるわけですが、今後これが大丈夫だと断定できないとすれば、それは当然湛水線上においてなおこの被害者が起こってくる。それはダムの因果関係については微妙な問題がありますけれども、原則的にそういうことは当然起こり得ると、このように私は理解をいたしたいと思いますが、その点についてはどうでしょう。
○政府委員(増岡康治君) ダムの、貯水池の水没の面積の上の方の問題につきましてもそういうような地すべりその他が、貯水池のダムの築造から原因するという場合は、私どもは当然の義務といたしまして、これの対策に当たるのは当然だと思っておりまして、その趣旨に基づきまして、いま地元の方々といろいろお話を進めて、もう一部にはうまくいっていると、そういうところまで、いま来ております。
○工藤良平君 ダムの問題で、基本的に私は最後にお伺いいたしたいと思いますが、このダムの建設につきましても、いまお話がありましたように、ダムの湛水というものが、その周辺に非常に微妙な影響が出てくるわけであります。したがって、これは断定的にこれで大丈夫だということも言えないし、あるいは起こるかということもなかなか言えない、しかも、下筌・松原ダムというのは二十八年の災害——二十八災のあの災害を起点にいたしまして問題が起こってきた事項でありまして、当然災害防止ダムとしての役割りというのは非常に大きいわけであります。したがって、下筌ダムに、いま周辺にクラックが起こって危険な、と言うと言い過ぎかもわかりませんけれども、要素である。それを受けた松原ダム、これは重なっているわけですから、当然、これは二つの関係というのは切れないわけでありますから、もしそういう不安があるとするならば、これを受けた松原ダムは、場合によっては空にしなければならないという状態も起こるのではないかと思いますが、その点についてはどうでしょう。
○政府委員(増岡康治君) ダム周辺、貯水池周辺にいろいろとそういうようなクラックが入ったりなんかいたしまして、この防止対策をしておりますが、ダム本体につきましては安全でございまして、いま先生のおっしゃるようなことにはならないと、私どもは確信しております。
○工藤良平君 本体は大丈夫だというのは、いまどこでもそうなんですが、その周辺に地すべりが起こったときに被害が起こるわけで、その点心配されるから松原はどうだと、こう聞いている。本体が崩れたら大変ですよ、そんなものは。周辺が落ちるから大変だと、こう言っている。
○政府委員(増岡康治君) いま先生のおっしゃる問題、おっしゃるとおりでございまして、この周辺のものが貯水池に出れば、それがやはり大きな影響を起こしまして、ダムに波及するわけでございます。したがって、私どものいまの一番中心的課題は、貯水池周辺の地すべり対策を強力に進めるということにあるわけでございまして、たまたまいま、ダムの本体のお話と間違いましたけれども、そういうことでございます。
○工藤良平君 この下筌・松原ダムの問題について、私は、先ほどから申し上げましたように、非常に問題をまだ今後に残しておりますから、ぜひこの事後対策につきましては万全の対策を予算的にも措置を講じていただきたいということを申し上げて、再度御答弁を建設大臣からいただきたいと思います。
○国務大臣(仮谷忠男君) 万全の措置を講じてまいるつもりであります。
○工藤良平君 それでは、ダムの問題はそれくらいにいたしまして、水の問題にまた戻ります。もう一遍。 そこで、利根川の渇水調整協議会が設置されておりますけれども、この構成と運用をちょっと説明していただきたいと思います。
○政府委員(増岡康治君) 利根川の渇水調整協議会のことでございますけれども、これは利根川のみならず、全国の主要な渇水のときに大変になるであろうという川につきまして、私どもは、地方建設局を中心にいたしまして、各都道府県あるいはまた利水者の皆さん方と一緒に、いざというときはどうしようかというようなことを中心にして、いま大いに本省の指導のもとに渇水対策についての協議をしておるわけでございます。御承知のように、河川法五十三条によりまして、渇水のときの問題はあっせんまたは調停をしなきゃいけない、そういうことがございますので、特に最近から、こういうものを大いに進めておるわけでございます。
○工藤良平君 答えてないです、構成と運用。
○政府委員(増岡康治君) 利根川の場合は、これは各県と協議いたしました結果、利水者といいますか、代表をどうしようかということがございまして、いろいろやりましたところ、たくさんあるわけでございます。そういうことから、各県の企画部がひとつ代表にしてほしいという要望がございました。それからもう一つは、河川管理者としての河川部、いわゆる土木部ですね、土木部と企画部と地建と、そういうような構成がありまして、その中に東京都の水道局も入っておられるということを聞いておりますが、各地方によっていろいろこれは形が違っておりまして、各県との合議の上決めていくようなことを考えておるわけでございます。
○工藤良平君 農林省、それから林野庁、そういう農業の、たとえば土地利用関係の組合あたりはこれは当然関係があると思うんですが、そういうものは関係ないんですか。
○政府委員(増岡康治君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、利水と言えば農業用水が非常に大切なんです。そういうことでございまして、各ほかの地方では皆入っていらっしゃいますが、利根川は、先ほど申し上げましたように、各利水代表が非常に多くて、会議の運営上というふうに聞いておりますが、そういうことで、企画部がすべての利水者の代表を持つということでそうなったにすぎないわけでございまして、私ども、いま先生のおっしゃるように、そういう御要望がありますれば、いろいろとまたその構成につきましては考えてもいいと、そういうぐあいに考えておるわけでございます。
○工藤良平君 この点は国会でも問題になったんじゃないですか。
○政府委員(増岡康治君) 国会の場でお話があったそうです。私がそれでその結果をもってもう一度関東地建を中心にして話した結果が、いまのような結論になったということでございます。
○工藤良平君 ちょっといまの答弁には納得できませんよ。国会であっているんですから、ちゃんとこれは確認をしているわけでしょう。建設省、そうしてやっているわけじゃないですか。国会で問題になっているんですよ、これは。
○委員長(大谷藤之助君) 再答弁を願います。
○政府委員(増岡康治君) ちょうど私が確かめていなかったので申しわけありませんが、そのようなことが行われた結果、全国的にもこういう問題の構成につきましては、いろいろと私ども神経を使っておるわけでございますが、たまたま利根川につきましては、やはりたくさんの利水者のすべてを網羅するということが非常にむずかしいということから、各県の企画部が代表になった、そういう経過であるわけでございます。
○工藤良平君 たくさんな利水者があるからむずかしい。むずかしいから、より慎重にやらなければ問題が起こってくるわけでしょう。むずかしいから入れなくてなんて言ったら、あとで問題が起こるでしょうが。だから、水の問題が尾を引くわけでしょう。いつまでたっても片づかないわけじゃないですか。どうですか。だれが考えてもそうでしょう。
○政府委員(増岡康治君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、この利水者を調整するのが大きなことですから、各利水者が皆お集まりになった席上でいろいろな議論をするのがたてまえでございまして、私どもは実はそういう指導をしておりますけれども、先ほどいろいろ県当局と、こういう問題どうしようかといった場合に、関東ブロックで利根川を論じたときに、そういう各県の企画部が各利水者のある程度の調整をもってその会議へ臨む、そういうふうなかっこうがいいというような話し合いができたということから、たまたまそうなったわけでございまして、私どもは、本当は利水者直接の会議の方が望ましいということは先生のおっしゃるとおりでございます。
○工藤良平君 それじゃ指導性がないわけですよ。私はさっき水と河川という話を出したら皆笑っていましたけれども、これは重要なんですよ。水というものを、どのように川というものを理解をしているか。農業というものは水を横に広げるという重要な役割りを持っている。大変だということは私さっき言ったでしょう。指導性がないじゃないですか。
○国務大臣(仮谷忠男君) ただいまの話は私もいま聞いたのですけれども、建設省は利用者も当然その中に入れてやるべきだという考え方を持っておるようです。それで進めているけれども、各県の事情でいまのような構成になっておるというふうに言われておるのでありますから、そういうふうな御意思を、私ども建設省がそういう意思なれば、もう少し各県にその意思をはっきりと徹底をさせて、そういうふうな方向でいくべきだ、かように思っておりますから、もう一度よくこの点は確認をして、そういうふうに指導いたしてまいります。
○工藤良平君 ここでもう一つ私は聞きますが、水の流れというものを、工業用水あるいは上水道の水の流れと農業の水の流れというものを、どのように理解をしていますか、基本的に。
○政府委員(増岡康治君) 農業用水の特色は、同じ用水の中で、これが非常によく還元されるということでございます。それを言いかえれば、またそのものが涵養事業である、そういうところに明らかに他の用水と違っておるというのが私どもの認識でございます。
○工藤良平君 その程度の認識ですか。不満ですね、これはもう。建設省の答弁。いいですか。水の中間利用の中で一番大きな問題は何か。たとえば工業用水の場合には、川をせきとめてダムをつくって、あるいは河口せきでもいい、それで水を持ってきて工業用水に使って、それは汚されて、そのまま河川から海へと直通に流れていくわけでしょう。農業用水はそうじゃないわけでしょう。さっき言ったように、国土の血液としてまんべんなく国土にばらまいていくという要素、大きな違いを持っている。その重要な農業用水に対してそんな軽率な扱いというのは私は大変不満なんです。この点、総理、どのようにお考えですか、さっきからの議論を聞きまして。
○国務大臣(三木武夫君) 工藤さんの熱心なお話、私もよくわかります。水というものが、これは本当の血液ですからね。いろんな点で、いろいろ御指摘のあった点で、水の行政というものは改革せんならぬ面も非常にあると思います。そうして、いま工藤さんが力説されるように、水というもの、どうして水、河川、生まれてくるのか、それをどうやって利用するのが一番有効利用かという、ことに農業用水と工業用水とは御説のように違いもありますから、われわれは水という問題についてはもう少し関心を深めていかなければならぬということを、あなたとの質疑応答を聞きながら私も痛感をいたした次第でございます。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農業用水につきましては、いま工藤さんからも御指摘がございましたように、その利用した水が大多数また地下に還元をされ、そして反復をされるわけでございまして、自己涵養しながら反復循環作用があるわけでございまして、きれいな水を使って、きれいなままでまた返ってくる。そしてまた灌漑時期という一時的な問題もあるわけでございまして、これはやはり都市用水とはおのずから異なっておると、こういうふうに考えるわけでございまして、そういう面からやはり農業用水を画一的に考えるということにつきましては、十分これは考慮していただかなければならぬ問題だと、私はこういうふうに考えておるわけでございます。
○工藤良平君 時間が参りましたからこれでやめますけれども、最後に、先ほどのダムの問題について会計検査院の御答弁をあとでいただきたいと思いますが、私は、いま、総理以下関係大臣、皆さんに聞いていただきたいと思いますが、水の重要性を説いてまいりました。もちろん、私も不十分ですけれども、現在、この地下水を自然の産物として見て、みんなが分捕り合いをするということだけではなくて、やはり農民の地下水強化の営みというものを私たちはきちんと見ていかなければならないと、このように実は思うわけです。川を縦の流れとして見て、いわゆる河川係数がどうのこうのというような数字をいじっている限り、日本のこの河川の特徴も、そうしてそれを築いた人間の生産労働の偉大さも見出すことはできないと私は思っているわけです。川の水が縦に流れるという見方は自然主義的な見方であって、人間の歴史的な労働を見ていないという、この原則をいま改めて私たちが確認をして、水の貴重さ、その中で農業が持ってきた役割り、そういうものを考えてこれからの水の開発を当然考えるべきだ、このように私は特にこの席をかりまして主張いたしたいわけでありまして、以上のことを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。 最後にどうぞ。
○会計検査院長(白石正雄君) 先ほどからの御議論の、四十九年度以降について講じられまするところの特別の対策費について、会計検査院はどういう検査をするかというお尋ねだろうと思うわけでございますが、これは特別の事情があって講じられるわけでございまするから、十分そういう特別な事情を考慮いたしまして検査をいたしたいと考える次第でございます。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして工藤君の質疑は終了いたしました。(拍手) 次の質疑者につきましては、理事会におきまして協議の結果、先例としないこととして、その順位にかかわらず、この際、特に和田春生君の質疑を行うことに意見が一致いたしましたので、さよう取り計らいたいと存じます。御了承をお願いいたします。 それでは午後零時五十五分まで休憩いたします。 午後零時二十四分休憩 —————・————— 午後一時二分開会
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き質疑を行います。和田春生君。
○和田春生君 衆議院で予算委員会に対する審議が始まりましてから、すでに一ヵ月の余を経過をしているわけでございまして、この間に同僚議員の諸君からさまざまな角度で質疑が行われました。しかし、政府側の答弁を見ておりますと、三木総理を初め、理念あるいは抽象論の面では、何かやりたい、新しい方向を出したい、従来の政治の流れを変えたい、そういう意欲が大変強くあらわれていることは認めるわけであります。ところが、具体論になりますとさっぱりぼけておりまして、私のところにやってくる支持者や国民の声も、一体これからどうしようとするのか、どうしてくれるのか、国民生活と財政あるいは経済とのかかわりはどうなっていくのか、そういうことが具体的にさっぱりわからない、ぜひそういう点を国会審議を通じて明らかにしてほしいという意見が大変たくさんきているのです。そういう点で、私はもう抽象論や理念は結構でございますから、具体的な問題についてぜひこの質疑を通じ政府の所見を明らかにしていただきたい、こう考えます。 そのことをまず前置きにいたしておきまして、いままでのおさらいのようなことになるかもわかりませんが、田中さんから三木さんに総理大臣がおかわりになりまして、政治の流れが変わったという見方も多いわけでございますが、政府の行う施策の集中的な表現は何といっても予算案であると思います。そこで、五十年度予算案に盛られた三木政治の特色というのは、一体どの点に具体的にあらわれているのか、要点的に簡潔にお答えをお願いしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、人件費、物件費、大幅に値上がりをした非常に条件の厳しい中で、できるだけ抑制した予算を組んだことは御承知のとおりであります。公債の発行もやはり二兆円に抑えた。そういうふうなことで、その窮屈な予算の中で、ごらんになってもわかりますように、政府が力を入れたものは社会保障、教育、まあ社会保障でも、全体の予算が二四・五でしたか、これに対して社会保障関係費は三五・八%の前年比の増加であります。教育は三四・五%。いずれもこれは前年度の予算に比べて大幅な増額で、これは相当に力を入れておるということが予算の上にもあらわれておる。公共事業費はほぼ前年度並みに抑えたわけでありますが、その中で、特に住宅、下水道、公園というような生活環境の整備ということに対しては、抑えた公共事業費の中においても重点的な予算配分をした。 こういうことを考えてみますと、予算の特徴は、国民生活の安定、生活環境の整備という、国民の生活、国民の福祉、これを安定充実していきたいというところに本年度予算の特徴があるということを申し上げていいと思います。
○和田春生君 それでは一つ一つ具体的にお伺いしていきたいと思いますが、ただいま総理は、特に社会保障に関して、前年度に比べて大幅に伸びたということをおっしゃいました。しかし、いま総理が挙げられた数字は予算の補正前の対比でございまして、昭和四十九年度に行われた予算の規模というものは補正後の数字も加えて考えなくてはならないわけです。その補正後の数字に対比いたしますと、約二五%の増にすぎないわけです。これにインフレによる物価の上昇というものを加味いたしまして、実質的にどれぐらい四十九年度よりもよくなるというふうにお考えでしょうか。感触でよろしゅうございますから、お答え願いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 補正後との対比においてのお話でございますが、昭和四十九年度補正後の、補正を含めての予算額と、いま御審議いただいておりまする五十年度の予算額との規模の差は一〇・九%でございまして、すなわち、約一割一分程度の規模の膨張でございます。それから、一方、政府が見込んでおりまするこの財政が需要を喚起いたしまする財貨サービスは、去年に比べまして一四・四%の増加であるということでございますが、そういう中にありまして、いま仰せのように、社会保障につきましては、補正後の数字に比べましても二五%を上回る予算をつけてあるわけでございまして、実質的に相当の伸びになっておりまするものと私どもは確信をいたしております。
○和田春生君 実質的にどれぐらいよくなるというふうに考えているか、それをお伺いしているんです。
○国務大臣(大平正芳君) 年度間の消費者物価の値上がりというものは二二%といわれております。また、三月を基準にいたしまして、消費者物価の値上がりは一四%弱ということに相なっておるわけでございます。そういう関係におきまして三五・八%の予算の増加ということは、それだけに実質的な予算の実のある増加になっておるということができると思います。
○和田春生君 それでは具体的な数字を挙げてお伺いいたしますが、たとえば四十八年度の社会保障関係費が四十七年度予算の補正前の当初比では二八・八%ふえている。四十九年度は四十八年度に対して約三六・七%ふえているわけです。そして五十年度が四十九年度に対して補正後の対比でいくと、いま言ったように二五%。依然物価の上昇が非常にひどいわけです。あまりよくならぬじゃないですか。特に力を入れたということにならないと思いますが、その点はいかがですか。
○向井長年君 関連。 いま総理から特に社会保障を重点として政府は力を入れた、こう言われております。いま和田委員が質問いたしておりますように、社会保障費、昭和四十九年度は三六・七%、五十年度は三五・八%、こういう形で率が伸びておると思います。ところが、政府の当初物価の見込みが、四十九年度には九・六%、それから五十年度には一一・八%、こういうことを見込んでおられたと思うのですよ。そうなってまいりますならば、四十九年度は二七・一%である。それから五十年度は二四・〇%である、こういう数字が出てくるのです、その率で言いますと。額ではふえておりますよ、物価は上がっておりますから。ところが、率から言うならば三・一%の低下になるのです、低くなっている、四十九年度と五十年度を比較するならば。そうなれば、三木総理が当初言われた社会保障重点、社会福祉重点というところから考えるならば、率的には低下しておるではないか。そうなれば特色というものが出ていないという考え方をわれわれは持つのですが、その点、総理なり副総理の見解を聞きたいのであります。
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和五十年度は、これは四十九年度に比べまして一一・八%の消費者物価の上昇を見ておるわけです。これを年間上昇率で見ますと九・九と、こういうことになるのです。それなのに社会保障費の方は三七%ふえます、こういうのですから、これはまあ五分位というような考え方をとりましても、これはかなり手厚い社会保障対策であると、こういうふうに固く信じております。
○和田春生君 大蔵大臣にお伺いしたいのですが、私はいま具体的な数字を挙げて質問したわけです。五十年度の物価上昇というのは一つの見通しでありますから、しかし、五十年度に補正をしないとすれば、当初予算と四十九年度の補正後の数字と比較すると約二五%の上昇である。だから、具体的にどれぐらいよくなるのか。それが高度成長期の四十七年に対する四十八年、四十八年に対する四十九年、やはりよくなってきているわけです、ある程度。国民から見れば大変不十分ですけれども。それと感じでなおさらによくなるという感じがしますかどうか。大蔵大臣からお答え願いたい。
○国務大臣(大平正芳君) 経済が成長期にある場合の財政のあり方というものと、それから成長がとまりまして停滞期にある場合の財政のあり方とは、おのずから違ったものになることは御理解いただけると思うのでありまして、これまでのわが国の財政は、いわば成長経済に支えられた年々歳々非常に順調な伸びを示すことができた財政であったわけでございまして、あなたの言われる四十九年までの財政は、そういう意味におきまして恵まれた条件に支えられておったと思うのでありますが、五十年も、そういう意味におきましては半ば成長経済のしずくに支えられておる財政と言えるわけでございますけれども、ようやく予算編成と同時に策案いたしました経済の見通しをもちましても、成長は大きな成長が望めないという状況になったわけでございますので、財政は当然のことといたしまして抑制型の財政にならざるを得ない。したがって、そういう中で社会保障ばかりでなく、すべての経費につきましてもう一度見直して、御遠慮いただき、御不自由をがまんしていただかなければならぬ予算になるはずでございます。しかし、そういう環境の中にありまして三五・八%の予算を確保できたということは、よほどの努力があったということにほかならぬわけでございますので、このことが、こういう調子で明年度、明後年度続くかどうかという点につきましては私全くまだ自信が持てませんけれども、少なくとも五十年度におきましては精いっぱいの努力を傾けたというように御理解を賜りたいものと思うのであります。
○和田春生君 大蔵大臣、何かというと三五・八%を持ち出しますが、これは当初予算の比率なんですよ。実際によくなるかどうかということは、補正後の四十九年の実体に対してこの予算を比べなくちゃいけない。もし、その三五・八を五十年度も補正後の規模で保とうと思えば、昨年と同じ程度の補正をやらなくちゃならぬわけです。そういう見せかけの数字で、よくなったよくなったと言っているから、先ほど来、どうかということを聞いているわけです。もう一回、しかと御答弁を願います。
○国務大臣(大平正芳君) 問題は、そういたしますと五十年度の予算が補正を伴うことなく、いま御審議をいただいておりまする予算がそのまま間然するところなく執行できたということになりましたならば、われわれの主張は一〇〇%裏づけされるわけでございまして、結構なことでございます。しかしながら、そのことはこれからわれわれが経済運営に当たりまして、あるいは財政運営に当たりまして、非常な決意を持って当たらなければならぬわけでございまして、よし補正をやるにいたしましても、それはミニマムにとどめなければならぬことは当然でございまして、これからの政府の努力にかかることでございます。 ただ、四十九年度の補正が非常に大幅でございまして、それに比較いたしまして、それを勘定に入れないで、四十九年度の当初予算との比較において三五・八%をむやみに宣伝して回るということは慎まなければならぬと思いますけれども、同時に五十年度の補正予算をなるべく編成することのないように、あるいはどうしても必要であるという場合におきましても最小限度にとどめるという、今後の財政経済の運営の努力ということにかかってまいるわけでございまして、私ども物価を安定させなければなりませんし、実質賃金の確保をしてまいらなければなりませんので、経済の運営、財政の運営に当たりましては非常に慎重を期して、非常な大きな決意を持って当たって、いままでのようなぐあいに安易な補正を予定するというようなことのないように運営してまいりたいと考えております。
○和田春生君 安易な補正をするかしないかということを聞いているわけじゃないんです。私が伺っているのは、実感として、国民が受け取る社会保障が、三木内閣は非常に重視したと言っているけれども、実体的にそうよくなったと受け取れるかどうか、そういう点を、四十七、八、九年との対比でお伺いをしているわけです。だから、三五・何%ということをあなた方が言う以上、それは四十九年度の、同じ程度の規模の補正をしなければその数字は実体にならない。しかも、物価の上昇率をデフレートをさせれば、実体というものはもっとしぼんでいくのではないか。したがって、よくなる程度という形で言えば、四十七年に対する四十八年、四十九年に対する五十年——四十九年は物価狂乱として別に除いてみても、大して変わらぬのじゃないか、そのことを突き詰めているわけですよ。もう一度お伺いします。
○国務大臣(大平正芳君) 和田君が言われる御質問の意味が、私よくのみ込めないんでございますけれども、四十九年度に比べまして、先ほど申しましたように、予算全体は二四・五%の規模の拡大であったと、それに対しましては、先ほど総理からも言われたように、社会保障は三五・八%の伸びであったと、それでしかし、四十九年度の補正を入れて考えてみると、予算全体は一〇・九%であったと、しかし、その場合の社会保障は二五%程度になるということを申し上げておるわけでございまして、非常に経済の成長が難渋になってまいりました段階におきまして、公共事業費その他につきまして相当不自由をお願いしておる段階におきましてこれだけのものが計上できたということは、よほど政府の努力の跡を買っていただきたいと思う気持ちでいっぱいでございますけれども、何か特に御理解いただけないところがあるんでございましょうか。
○和田春生君 いや、何を言っているのかよくわからないです、私は大蔵大臣の言っているほうが。全体の規模の中でパーセンテージが多くなったか、少なくなったかということは、余り大きな問題じゃないでしょう。予算の規模を下げれば、前年同額だってパーセンテージはふえるわけです。伸びの傾向を言っているわけです。その点でもう一遍お答えください。
○国務大臣(大平正芳君) じゃ、それに対するお答えといたしまして、予算の中の社会保障関係費のシェアを申しますと、四十七年度は一四・三、四十八年度は一四・八、四十九年度は一六・九、五十年度は一八・四%になっておるわけでございますので、伸びの傾向から申しましても、着実な伸びを示しておると言えると思います。
○和田春生君 予算の規模の中のシェアを聞いているのじゃないと言ってるんですよ。私の言っていることがわからぬのなら、とぼけているのなら、あなたは相当な人物だな。わからぬとすれば大蔵大臣の資格ないですよ。社会保障の伸びを言っているんですから、そのことに対する実体的な、実質的なよくなり方はどうだということを聞いているわけです。
○国務大臣(田中正巳君) 確かに実数の上では、伸び率は四十九年度のほうが対前年度比、多少高いわけですが、これは幾何級数的に伸びていくということが必ずしも可能であるかどうかという問題が一つあろうと思います。それといま一つは、つまり、伸びた項目の内実を調べていただきたいというふうに思うわけであります。 議論がいろいろありましょうけれども、三つに分けて考えてみまして、社会保障費のうち、当然増が幾らぐらいになったか。あるいは政策増が幾らになったか。それから、わが省独特の問題でございますが、診療報酬の増というものがどうなったかということを考えてみますると、対前年度比で当然増が四二・三%であり、政策増が六四・三%、そして診療報酬の増はマイナス七・七%でございますから、これから見ますると、要するに四十八年から四十九年までには、非常に診療報酬の増というのが大きかったわけでございまして、そのような傾向に対比いたしまして、四十九年度から五十年度には、政策増が六四・三%あったということは、まだそう声を大にして誇ることではないと思いますが、内実についてはかなりの実質的な伸びがあったというふうにお考えくださっても結構ではなかろうかと思うのであります。
○和田春生君 厚生大臣のほうが大分正直でいらっしゃるわけです。確かに伸びからいけばそう大したことではないと思うんです、社会保障の関係で。診療報酬費のことを申されましたけれども、これはきょうは時間もございませんから取り上げませんけれども、診療報酬の伸びというのは、政府予算だけではなくて、国民のふところの中でいろいろと負担がふえて、いま、御存じのとおり、歯科診療初め問題になっているところです。これはまあ問題は別にしておきます。 そこで、私はもう一度返って大蔵大臣にお伺いしたいんです。 その程度の伸びを保っていく。しかし一方で、三木内閣は経済の安定成長ということを言っている。そうして高福祉を続けていこうとしている。そのギャップがあるんですが、来年、再来年というふうに、いまの三木内閣の特色を続け得るとお考えですか。続け得るとすれば、どういうところにおいて可能とお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) それには幾つかの条件があると思うのでありまして、経済は、政府の見通しにもありますように、低成長ならざるを得ないと考えております。したがって、財政収入というものはそういう制約を当然受けなければならぬと思いますので、社会保障費ばかりでなく、あらゆる費目にわたりまして、明年度以降どのように計上できるかということになりますと、大胆な、大幅な増加ということは、大変むずかしいと思うんでございます。ただ、財政の内部の構造におきまして、不要な部分の削減に各省庁が非常な御協力をいただくことに成功いたしますならば、その限度におきまして、必要と存ずる社会保障等につきまして、ある程度の財源を生み出すことは不可能ではないと思いますけれども、総体といたしまして、明年度以降の展望は大変苦しいものがあろうかと考えております。
○和田春生君 政府の資料によりましても、財政の中で、四十九年度に対する五十年度の所得税、法人税、酒税の国税三税の収入見込みは、全部平均して約十三%のアップ、そして経済見通しは福田副総理の経済演説の中で名目一五・九%の伸びと見ているわけです。それ以上に自然増収をあまり大きく見込むわけにはいかない。一方、名目にせよ、二〇%から三〇%以上社会保障を伸ばしている。そのバランスというものはつくとお考えでしょうかどうでしょうか。これはひとつ総理と、続いて大蔵大臣から実務的にお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) やはり安定成長によって大きな自然増ということは見込まれまいゆえに、社会保障とか国民の生活、福祉を充実していかなければならぬという要請が強くなるわけです。その間、和田さんの御指摘のように、財政的には苦しいから、だから今後はやはり選択というものは厳しくせざるを得ないですね。何に重点を置くのかということを厳しく——まんべんなくというわけにはいかない。重点的に厳しい選択をせざるを得ない。また、既定の経費も見直してみる必要がある。もう当然に必要な経費として当然増当然増ということできておった既定の経費も、やっぱり見直してみる必要がある。 またもう一つは、結局は将来の方向としては高福祉にいくということになれば、やはり高福祉、高負担ということは、これは原則的に言えばそういうことにならざるを得ないわけですが、そのためにはやっぱり国民的な合意が必要だと私は思うんですよ。これはその国の財政というものは手品のようなわけではないのですから、どうしたってこれは強い者は弱い者に、若い者が年寄りにというふうに、皆が何というのですか、社会連帯的な基盤がないと社会保障というのはなかなかできませんから、いま政府はこういう新しい新税を考えておるということではございませんけれども、しかし、税収入の面においても、国民的な合意を得つつ、新しい工夫が私はこれから要ると、大きく言えばこういうふうなことに考えていかざるを得ないと思っております。
○和田春生君 重ねて三木総理にお伺いしますけれども、施設方針演説で、経済の運営については安定成長に持っていくんだ、そして福祉面では高福祉だと、こういうことを三木内閣の基本的公約としておっしゃっているわけです。当然、低成長といいますか、成長率が低まれば国庫の収入も下がってくるわけです。高福祉といっても、福祉は結局財源の配分の問題、国家財政から言えばそうなると思うのです。それはふくらましていこうと言う。必ずその間にギャップができるはずです。どういうふうにして埋めようとされるのか。国民的課題で検討しようということではなくて、どういう方法でそのギャップを埋めていこうとされるのか、その点を伺わないと、われわれとしては安心するわけにいかないわけです。
○国務大臣(三木武夫君) だから、和田さんにお答えしたように、既定の経費も見直す必要がある。いままで当然な増加として考えておったのを、これをもう少し見直してみる。まあ既定の経費制度——制度も含んでくるでしょうね、見直してみる。できるだけ予算の効率的な運営をはかっていく。一つはやっぱり社会保障という国民の社会福祉の問題でどういうものが緊急性があるかという、そういう選択というものを厳しく考えていかざるを得ない。 それから、これは将来日本が福祉国家の方向をたどろうとすれば、どうしてもやはり財源という問題については、これはわれわれとしていろんな点で、いまここでどういう問題をということを申し上げる段階ではないけれども、これは税制調査会でも大きな課題に私はなると思うんですが、こういう問題について、一体将来の税収入というものをどう考えていくかということは、少し時間を私はかしていただきたい。どうしたってやっぱりそういう方向に行かざるを得ないということだと思うんです。
○和田春生君 時間をかすにやぶさかではございませんが、具体的に大蔵大臣にお伺いしたいと思うのです。 全体の中で社会保障の、先ほどの大蔵大臣の言葉で言えばシェアをふやしていく、どこかへこまなくちゃいけないのです。へこますとすれば、どこを一番へこますおつもりですか。
○国務大臣(大平正芳君) まあ年々歳々、御案内のように、予算編成に当たりまして不急不要の経費の見直しはやっております。この努力は来年も引き続き強化してやってまいらなけりゃいかぬと思います。 それから定員の管理につきまして、政府は一定の計画を持ちましてこれを厳重に実行いたしておりまして、これも着実に進めてまいらなければならぬわけでございますが、いま、そういう前提で計上いたしておりまする経費はいずれも大切な経費でございまして、来年はこの経費は取りやめねばならないというようにいま私の頭にはあるわけではございません。明年度の予算編成に当たりまして、また新たな観点からどういう費目について再検討をいたしますか、その時点でよく考えてみなければならぬと思いますけれども、先ほど申しましたように、すでに計上いたしました収入の見積もりというものを確保すること自体が大変むずかしい状況でございますので、いままでのように安易に自然増収を期待するということがほとんど見込めなくなるのではないかという懸念があるわけでございます。したがって、社会保障につきましても、いままでのような調子で、三十何%云々というようなテンポでシェアをふやしていくというようなことは期待できるかというと、それは非常にむずかしい局面に逢着しておるのじゃないかという認識でございます。
○和田春生君 不急不要の経費の見直しということは、大蔵大臣の頭の中ではわかっているかもわかりませんけれども、聞いている国民には何のことかさっぱりわからないわけです。歳入規模で一〇%台の低い伸びである。その中で、仮に社会保障の関係費用が二十数%、三十数%伸びていく、われわれもそれを期待しているわけですよ。そうすると、それを埋め合わせるだけ不急不要の経費があるでしょうか。見直すという以上、見当つけていると思うのですから、そのどれとどれとどれが不急不要の経費の代表的なものであるか、お答え願いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) ことしの予算編成に当たりまして、御承知のように、各省庁にわたりまして共通に見直して節約をお願いいたしましたものは、光熱費、水道費、旅費等でございまして、これにはそれぞれの研究所であるとか病院であるとかいうようなものにつきましては率を少なくいたしておりまするけれども、総じて各省庁にわたりましてお願いをいたしておるわけでございまして、したがって、われわれは、計上いたしました経費はそれぞれ必要な経費でございまして、不必要な経費を計上しているわけじゃございませんで、すでに計上して、必要ではございますけれども、できるだけ、こういう厳しい状況のもとでございまするので、できるだけ歳出を詰めていただかなければならぬということでお願いをいたしておるわけでございまするから、そして御協力をいただいておるわけでございますから、今後におきましてもそういうラインで各省庁にわたってお願いをすることになるだろうと思います。したがって、ことしはこのように入れてあるけれども、来年はやめてもらうのだという計画がいま大蔵省にあるわけでは決してございません。みんなそれぞれ必要な経費でございますから、有効に使っていただかなければならぬわけでございますが、いよいよ予算編成に当たりまして、全体の歳入歳出の状況を見まして、どうしてもこれだけは節約をしていただかなけりゃならぬとなりますと、改めた相談をお願いしなきゃならぬと思うわけでございます。
○和田春生君 これは驚きました。大蔵大臣から、光熱費だとか水道だとか旅費が総括質問の中で出てくるとは思いもよらなかったんです。経理課員ぐらいの発想ですね。そうじゃなくて、大きな目的別な政府の財政支出の中で、一体、片方でふくれていくものがある、入ってくるものは多くを期待できない、どこをへこまして、どこをふくらませるのか、それが一国の財政を担当する大蔵大臣としての発想でなければならぬと思う。そういう点においてもう一ぺんお答え願いたいと思います。水道を全部ぶっとめて、冷暖房をやめて、公務員の旅費を全部削ったって、そんなものは間尺に合うはずがない。節約をするなという意味じゃありませんよ。もっと根本的な財政運営の問題を伺っているんです。
○国務大臣(大平正芳君) いま申しますように、すべての歳出、これは不急不要であるというものではないんです。皆必要なんでございまして、したがって、われわれは必要であるから計上して御審議をいただいておるわけでございます。で、この歳出を見ていただいていま一番大きな問題は、すでに世上で問われておりますように、弾力性を喪失しまして、歳入の状況がどうあろうと歳出自体は硬直化していく傾向が年とともに濃くなっておるじゃないかと、それは人件費の増高を初めといたしましてその傾向は非常に濃くなっておるじゃないかと、したがって、この硬直化打開の道を問うべきじゃないかという議論がすでに数年前からありますことは御案内のとおりでございますし、ことしも政府部内におきましても、与党内におきましても、この問題を改めて爼上に乗せて明年度の予算に間に合うように検討を進めてみようということになっておりますことは、御案内のとおりでございます。これは、つまりマンネリ化した、硬直化した歳出というものを、それは確かに必要ではあろうけれども、よしそれを支えるところの歳入力が十分でない場合にどのように遠慮していただくか、どういうところから是正してもらうかという道を探求しようという問題意識から出たものでございまして、このことは来年の予算編成までに少なくとも粗筋はひとつつくり上げてみなければならぬと、せっかく各審議会にも御審議をお願いしておる状況でございます。 一方、歳入面におきましては、これは年々歳々税制調査会で御審議を願って税制改革案をお願いしてきたわけでございますが、このように経済が大きな変革を経験しておるときでございますので、いままでのような税制のあり方でいいか悪いか、これは確かに大蔵省といたしまして改めて考え直さなけりゃならぬ段階に来ておると思うわけでございます。したがって、技術的な税制の見直しばかりでなくて、やはり歳入体系全体について日本の経済の今後の展望との関連におきましてもっと突っ込んだ検討が必要じゃないか。両々相まちまして、これからの財政のあり方というものをわれわれは捕捉し、探求していかなければならぬのでないかと考えておりまして、一つ一つの費目につきまして、これをどのようにひねっていくかというようなことにつきまして特別に計画があるわけではございません。
○和田春生君 それじゃ先ほど来総理もおっしゃいましたけれども、既定の経費を見直すとか、厳しい選択をやるというのは、単に抽象的な言葉の問題であって、具体的に見当はついていない、そういうふうに確認してよろしいか。
○国務大臣(三木武夫君) それはそうならざるを得ないわけですよ。国民の生活、福祉に対する意欲の方を充実していくという要請は強くなることはもう当然ですからね。そしてあまり自然増も予定できないということになれば、それはもう抽象論というよりも、来年度の予算編成にはたちまちこの問題はぶつかる問題でありますから、抽象論ということではありませんが、これは検討するのに来年度の予算編成までの間には、いま言ったような一つの原則に従って歳入、歳出の面について十分な検討を加えたい。そのために、和田さん御承知のように地方財政もあるいは中央の財政面でも、財政硬直化というようなこういう問題にも触れて、皆それぞれ諮問をして答申を求めておるわけでありますから、そういうこともひっくるめて、これは来年度の予算編成までにはいま言ったような方針のもとに結論を出さなければならぬと、タイムリミットがあるわけでございます。
○和田春生君 重ねてお伺いいたしますが、そういたしますと、最初に質問いたしましたけれども、すでに静かで控え目な成長と高福祉というのは、三木内閣の命題として決していると私たちは理解をしておったわけです。そこでこういうことをお伺いしているんですが、やってみたらその看板は外れるかもわからない、そういう余地を大きく残しているということですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私はこれからの政治というものは、その看板を外して政治になるとは思わない。どうしたって国民生活の充実、国民福祉の増進ということを、いろんな困難の中でどういうふうにして実現していくかというのが政治の課題であって、これは三木内閣に限らず、どの内閣が出てきても、こういう大きな政治の方向というものを外しては今日の政治にはならない。その中でどうやって知恵をしぼっていくかということに、内閣としてのやっぱり苦心があるわけでございますが、これはどうなるかわからぬというようなものでありません。そういう方向に向かって、どのように困難な財政の中で資源配分をやっていくかということに取り組んでいきたい。看板を外すわけではないということでございます。
○和田春生君 看板を外さないとすれば、重ねてお伺いをいたしますが、もし歳出規模のほうでそれほど大きく押さえられないとすれば、歳入のほうをふやさなくてはいけないと思う。これは税金か、あるいは保険料その他の姿を変えた国民の負担かになるはずであります。仮に歳入規模をふやすという場合に、それは国税三税でいけば所得税、法人税、酒税、どこに重点を置いてお考えになるのか。これは大蔵大臣でもけっこうでございます。
○国務大臣(大平正芳君) いま、社会保障費という観点からのお話ですか。その社会保障費を増すという(「全体」と呼ぶ者あり)——全体のことでございますならば、政府といたしまして所得税が税体系の中軸になっておりますことは御案内のとおりでございます。そして、それに資産税等が補完的な役割りを果たしておるわけでございますが、この体系をいま崩そうとしておるわけではございません。ただ、欧米諸国に比べましても直間の比率が異常に直接税に比重が偏り過ぎておりまするし、間接税というものも財源としてもう一度見直す必要があるのではないかという議論も出ておるわけでございますので、新しく財源をどうしても必要だという場合に、私どもといたしまして、直接税ばかりでなく間接税にもやはり検討を進めてまいらなければならぬものと考えておるわけでございますが、それをどういう割合に考えたらいいかということは、すでに政府部内で見当がついておるわけではございません。ただ、方向といたしまして、もう少し比重は間接税に向けてよろしいのではないかという感じは持っております。
○和田春生君 初めて少し具体的な答えが出てきたわけですけれども、国民の負担の面で、経済成長が静かで控え目になれば、法人所得の伸びも大きく期待できない、個人所得の伸びもそう期待できない、そういう中で間接税にウエートを置いていくことを検討される。今後は直間比率の面で間接税の方にウエートを置いていくということが政府の検討の一つのポイントになっているわけですか。そういうふうにお伺いしてよろしいでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 一つのポイントでございます。
○和田春生君 じゃ、その間接税はどういうことを考えておられますか。
○国務大臣(大平正芳君) いまございまする間接税につきまして、すでに今国会にも酒とたばこにつきまして御審議をいただいておりますが、これはいわば従量税でございますので、価格の上昇に対しまして、税が弾力的な対応ができないという性格のものでございます。したがって、ほかの税目について増徴が行われておりますけれども、この種のものはそのまま据え置かれておりますので、この際、調整の意味で若干の増税をお願いしてしかるべしと考えたわけでございます。 しかし、もう少し新たな視野から売上税とか、あるいは付加価値税とかいうようなものを検討すべしであるという議論も一部にございます。しかし、これは税制の問題として大きな問題であるばかりでなく、政治の問題としても確かに大きな問題性を持っておるわけでございまして、よほどの検討が行われて、よほどの国民的支持がなければこれはできる仕事ではないと思うのでございまして、私どもといたしましては、間接税は確かにいま申しましたように一つの検討の題目ではございますけれども、どの税目をとらえて、あるいはどの税目の新設を念頭に置いておるかということを問われるならば、まだそういった具体的な展望をいま念頭に置いておるわけではない、いま一つの大きなテーマとして間接税の領域を見考してまいることが今後の税制改革につきまして一つのポイントだ、重要なポイントだという認識を持っておるわけでございます。
○和田春生君 そういたしますと、三木内閣の安定経済成長、高福祉の実現という中の財政需要と、それから歳入とのバランスという中における重要なポイントの一つとして間接税を見直ししていく。一つは従量税から従価税、売上税、付加価値税、これを検討の中に含まれている、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 具体的検討として取り上げて税制調査会にお願いするというようなところまで来ておるわけではございません。ただ、あなたが、間接税を見直すという問題は一つのポイントではないかと、そう考えておるかということでございますから、それは確かにそういうように考えておりますと答えただけでございまして、いま申しましたような具体的な手順をもってすでに政府が作業を始めておるとか、あるいは関係調査会に御審議を願っておるとかというようなことではないのでありまして、今後の展望として、間接税の見直しという点は歳入の確保の上から一つの大きなポイントでないかという考えを持っておるということにとどめさせていただきたいと思います。
○和田春生君 人に責任をすりかえちゃいけませんよ。私は、どうせいと言ってないんです。どうするつもりかと聞いている中からあなたが言ったことじゃないですか、直接税はなかなかむずかしいから間接税というものを考えなくちゃいかぬということを。だから、間接税はどこにポイントを置いているのかと聞いたわけです。 先ほど三木総理は、タイムリミットがある、今年じゅうには決しなくちゃいかぬという意味のことをおっしゃいました。慎重審議では間に合わぬわけです。一体、めどをいつごろまでに置いていらっしゃるわけですか、税体系の見直しについて。お伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 税ばかりじゃなく、財政硬直化の問題についての検討も、昭和五十一年度の予算編成に間に合うようにやらなければならないわけでございまして、そういうことを念頭に置いて、これからわれわれとしては手順を考えていかなければいかぬと存じております。
○和田春生君 それでは、五十一年度の予算編成までをめどにして検討をすると。もし検討した結果、間接税の比重をふやすということはむずかしいとなったときに、やはり財政需要と歳入とのバランスはどこでとられますか。
○国務大臣(大平正芳君) 歳入、歳出をバランスをとらなければいかぬものでございますから、歳出を御遠慮いただくか、あるいは間接税がむずかしいとなれば直接税の増徴ができないものか、それも不可能であれば公債がどれだけ発行できるか、そういった問題として、いずれにせよ歳入、歳出をバランスさせていかなければならぬわけでございますが、私どもといたしましては、公債財政に対する依存はできるだけ薄めてまいる方向で問題を考えていくべきであると思っておるのでございまして、歳入、歳出——歳出を御遠慮いただくにいたしましても、また歳入を税等で確保するにいたしましても、これはよほど困難な問題がありますけれども、この両面にわたって精力的な努力を払わなければならぬと、まず考えております。
○和田春生君 どうも大蔵大臣の頭の中では、国家財政はこんがらがっているんじゃないかと思うんですがね。建設的な経費については、将来の国民負担に頼るという意味で公債に依存してもいいんですけれども、社会保障費というものは大方、移転的支出でしょう。そういうものについて公債なんかに頼ったら、結局自転車操業になるじゃないですか。そんなこと聞いているんじゃないんです。毎年の財政のバランスのことを伺っているわけです。その点についても、それでは間接税を五十一年度の予算編成までには見直すというめどは一応立てておるが、具体的なことはまだ考えていない、こういうふうに理解してよろしいんですか。
○国務大臣(大平正芳君) さようでございます。
○和田春生君 この問題については、税体系の問題として、また場所を変えて基本的に議論をするときがあると思いますので、論点を変えたいと思うのですが、今年度予算の特徴は、先ほど三木総理もお話しになりましたように、公共事業関係費、投資的経費というものが非常に抑えられているということだと思います。その傾向は今後もお続けになるつもりでしょうか。これは総理から基本的にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 公共事業と申しましても、これの中で住宅や下水というのは、特に抑制の中で力を入れたというわけでございますから、いままで公共事業の中で立ちおくれておったのが、一口に言えば生活関連の公共事業費だと思うのです。これは抑えると申しましても、やはり国民の生活、福祉というものを重視するということになれば、生活関連の諸経費というものはこれは増額していかなければならぬわけでございますから、公共事業費一般を将来にわたって抑制していくという考えではないわけでございます。
○和田春生君 そういたしますと、公共関係事業費のうちで、住宅とか下水とかそういうものは重視していくが、いわゆる産業基盤の強化とか経済発展とか、そういう面に関するものは抑えていく、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(三木武夫君) いままでは高度経済成長ですから、産業の基盤を整備していくということが経済政策と歩調を合わす上において必要であったわけですが、今後は緩やかな成長になるのですから、むやみにそう産業基盤を整備していくというだけの必要度というものは高度経済成長期のようにないわけでありますから、これはいままでのような形において公共事業費の中のウエートというものは占めることではない。やはりウエートは、生活関連の諸経費というものがウェートが重くなっていくということでございます。
○和田春生君 確かに、住宅とか生活環境の整備というのは、国民の快適な生活を保障する、私どもも非常に大切だと思います。その点は同感であります。しかし、政府の財政が国民経済に及ぼす影響という点から見ていきますと、財貨サービスの購入はそれほど、節約すると言っても余り大きな余地はないと思うのです。社会保障をふくらますということは、いわゆる移転的支出がふえていくわけでありますから、言いかえれば国民の所得にふえていく。それはある意味で消費需要に姿を変えてくるという、こういうことが予想されると思う。そして、住宅や下水の整備ということは、生活環境はよくなるけれども、生産をふやすという面については、全然関連はないとは言わぬが、余り大きくは影響はしない。そういたしますと、今後の日本経済の中で従来のような成長が求められないとすれば、供給不足が起こって物価が上昇する原因になるかならないかという重大な問題がそこにはひそんでいると思う。そういう関係についてどうお考えか、これは福田副総理にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) まさに御指摘のとおりな問題が起こってくると思うのです。 そこで、総需要抑制ということをしばらくの間堅持しなきゃならぬ。つまり、世界経済の様相が非常に変わってきております。また、それに応じてわが国の今後を考えますと、もう野方図の発展はこれは許されない。そこで、どうしてもある成長の高さというものを想定しなきゃならぬだろうと思うのです。その成長の高さを想定しますれば、それに合った生産こういう体制がとられなきやならぬ。そこで、経済の成長、これはどうしてもいままで考えたような高いわけにはまいりませんから、そこに企業も、あるいは政府も、政府というのは地方公共団体も含めまして政府も、また国民生活の方も、非常な変化をしなきゃならぬだろうと思うのです。そういう日本国じゅうすみずみにわたりまして、その成長のさま変わりの様相に対しまして調子を合わせなければならぬ。そういう姿勢が大体定着をする、完全な定着というのはなかなかむずかしいと思いまするけれども、大体定着するという期間、どうしてもそういう体制を誘導するために需要管理政策というもの、それをとっていかなければならぬだろう、こういうふうに思うのです。 その期間は一年半か二年ぐらいかかるのじゃないか、そういうふうに思いますが、私どもはいま総需要抑制政策、管理政策、これを堅持いたしますと申し上げておりますのは、一つはそういうところがあるんです。もう一つは、いま御質問にはありませんけれども、当面のこのインフレ対策、そういうものを考慮しての考え方だと、こういうふうに御理解願います。
○和田春生君 どういうふうな具体的な方策で、いまの副総理のおっしゃったことを実行するかということには問題がありますけれども、さて、そういう副総理のおっしゃったととが三木内閣の基本的な方針であるとすると、一年半か二年の間に全部の基調を変えようというわけなんです。当然、この時点において政府の財政、国家予算というものについて基本的な考え方、それに伴う具体的な方策が私はあってしかるべきだと思う。しかし、全体として言えば確かに社会保障をふやした、それは結構なことです。われわれも望ましいと思うし、賛成なんです。それを、公共事業をへこます、こういう形でつじつまを合わしたにすぎないわけですから、物価安定という面で見通しがついて総需要抑制を緩めたということになった、途端に物価が反騰してくるという危険はあるのかないのか、その辺の見通しはいかがでしょう。これは副総理ですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これも御指摘のような心配が実はあるのです。私はいま総需要抑制政策を当分堅持する、こういうふうに申し上げましたが、一つは、わが国の長期にわたっての今後の低成長体制、これにわが国の行方を誘導しなければならぬという見地がありますが、同時に当面の物価ですね、これへの配慮からの観点でございます。 そこで、いま経済界を大体見ておるのですが、何か機会があったならば価格改定をしよう、価格を上げたい、こういう空気が満ち満ちておると言ったらあるいは言い過ぎかもしれませんけれども、かなり旺盛でございます。そういう環境でありますので、これはいま経済の厳しい姿勢というものを、これを完全に緩めてしまう、そういうわけにはいかぬだろう、こういう見地から、そういう厳しい姿勢をとり続けておる、こういうことであります。もっとも、それはそういう姿勢をとることによる摩擦現象がありますから、この摩擦現象に対しましては機動的な対策もとっておる、こういうふうに御理解を願います。
○和田春生君 先ほど来の質疑でもまだはっきりしない点もあるわけでございますが、少なくとも、いままでに総理あるいは副総理から表明されたような方向を実現していくということのためには、いろんな条件整備が必要だと思う。その点は抽象論ばかりですが、一体政府自身何を一番基本的に大事だと思っておやりになるのか。それから、経済の運営にとって一番大きな影響力を持っている財界に何を望むのか。労使関係に対して何を望むのか。また地方行政に対して、これはあとから御質問いたしますが、何を望むのか。そういう点について、それぞれの所管に応じて、私はこれが一番大事だと思っている、こういうことを国民も考えていただきたい、協力を願いたいということを示してもらいたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) そういうような観点から私は一番大事なことは、これは国も地方団体も、また企業も国民もすみずみまで、世の中が非常に変わってきたのだ、その認識だろうと思います。その認識の上に立って、それに対応する姿勢の転換を各界各方面でやる、こういうこと、これの浸透というものは何よりも大事である、こういうふうに考えております。
○国務大臣(長谷川峻君) いま副総理からも御答弁がありましたが、やはり非常にさま変わりしたということを全部が認識してもらうことだと思います。一番大事なことは、こういうときに労使の正常な関係が対話と協調の精神、こういうことでぜひ実現してもらいたい。産労懇などに総理、副総理などにも御出席を願いながらやってもおりますし、けさもまた民間共同会議、こういう方方にも副総理ともども出てお話などをして、こうしたときにこそ私は国民連帯の気持ちでこういうところを乗り切っていきたいと、こう思っております。
○和田春生君 通産大臣。
○国務大臣(河本敏夫君) 基本的な考え方は先ほど副総理がお述べになったとおりでございますが、私は当面の課題といたしましては、生産性の向上ということが余り進んでおりませんので、この点について当面の課題として強く考えておるわけでございます。
○和田春生君 どうもさっぱり具体的なものは出てこないんですけれども、私はこういう押し問答しておってもらちが明きませんので、念を押していきたいと思うんです。 三木さんは施政方針演説で、それから財政あるいは経済の演説で、それぞれ約束をしておられるわけです。それを実現していくために必要な条件がある。単に見直すとか努力をしたいとか、さま変わりを認識してもらいたいとかいう精神的な抽象論では解決をしない転換期にあるからこそ、私は具体的にお伺いしているわけですが、どうもいままでのところではそれがはっきりしていないと思います。この点については本当に実行されるのか、あるいは花ばかりで実のないヤマブキ内閣であるのか、これは一年後に相まみえることになると思いますが、性根を据えて御検討願っておきたいと思う。 次に、同じくこの問題につきまして地方財政との関連がございます。これをお伺いしたいと思います。いま、地方財政が硬直化を言われておりますけれども、一番大きな原因は何にあるとお考えでしょうか、自治大臣。
○国務大臣(福田一君) 私は、やはり硬直化の大きな原因の一つは、人件費の問題が取り上げられてしかるべきだと思っております。それからもう一つは、やはり超過負担をできるだけ解消する努力をしなければならない。大きい問題と言えばそういうことかと思います。もちろん収入、いわゆる財政の歳入をふやし、歳出を抑えるという形で福祉行政、環境行政というものをやっていかにゃなりませんけれども、しかし大きな問題と言えばそういうことかと思います。
○和田春生君 そのほかに、いま地方自治体から大きな問題にされているのは税源配分を言われています。いまのままでいいとお考えですか。改めるとすればどこを改めようとされるのか。
○国務大臣(福田一君) 大きな意味で税源と言えば、新しい税をつくることも一つの問題点かと思うのでありますが、一番問題になりますのは、交付税の税率の問題をどう処理するかということではなかろうかと思うのでございますが、私たち五十年度の予算の編成に当たりましては、現在の三二%のこの比率をもってして、大体これがまかない得るという一応の計画をつくっております。もっとも、計画と実際とはいつも相当乖離しておりますから、これを詳しく詰めていけばこれは大変ですが、何しろたくさんの自治体を一緒にして一応のめどを示していくわけでありますから、はっきりした数字をここで申し上げることはできませんけれども、私たちとしてはその意味で十分できる。たとえば税金の問題は、地方税におきましても四千六百億、まあ四千八百億円ほど減税しましたけれども、また増収もありますから四千六百億円の減税ですけれども、それを含めても大体二三%以上伸びるであろう。それから国庫、いわゆる交付金も相当二十数%、三〇%近く伸ばしております。それからまた公債も二三%余、四%近く伸ばしておりますから、それでやっていけば大体歳入の面はやっていけると、すなわち、四十九年度に比較してそれだけの増を見ればやっていただけると、またいっていただきたい、こういう考えで処理をいたしておるわけであります。 歳出の面になりますれば、先ほど申し上げたような人件費の問題。もっとも、人件費と言いましても、これは農村あたりではやっぱり相当人件費が国家公務員と比較して低いところもあります。それはそうでしょう。農協よりは高い人件費を出したなんといったら、住民が承知しませんからね。だから、人件費というのは、もう法律でも、大体において国とかその地方の民間の企業とのよく比較をして、そして妥当なところにきめなさいということになっておりますから、国との比較においては、所によっては高いところがある、非常に高いところもある、また低いところもございます。 私は、しかし、その低いところという意味は、いま言った民間との関係というのはあると思う。非常に高いところでは、やはりこれも民間との関係がありますけども、しかし国家公務員の給与をきめるに当たっては、人事院が民間との比較においてちゃんと整理をした上で、これくらいが妥当であろうということを言っておるのですから、その公務員よりは非常に高いところがありとすれば、これは考えていただかなければならない。一律に何でもかんでももう全部を高いとか安いとか、そういう意味でこの問題は論ずべきではないので、それぞれのところにおいてやっぱり何といいまするか、公正なといいますか、まあ常識的な範囲でやっていただくようにしていただかぬと、やっぱり高いところで四〇%も四五%も高いのをそのままでいいというのは住民感情も許しませんし、また財政計画としても至当なものであるとわれわれは考えておらないわけであります。
○和田春生君 これは大蔵大臣にお伺いすることになると思いますが、いま交付税税率の問題が出ました。検討するとすれば、減らすわけにいかない。ふやすことをお考えになっているということでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 考えてはおりません。
○和田春生君 いま自治大臣の答弁と食い違いますね。
○国務大臣(福田一君) 私が交付税率が伸びると申し上げましたのは、国の税収がふえますから、それに伴って三二%を掛けますと、いま言ったような数字が出る、こういうことを申し上げたわけでございます。
○和田春生君 先ほど自治大臣は交付税税率とおっしゃいましたよ。だから私は伺ったわけです。全体がふえていけばふえるというけれども、先ほど来それはもうふえることは期待できないと再三大蔵大臣がおっしゃっているわけですから、ずいぶん食い違っておりますが、どういう形で地方自治体の自主財源を確保するか、政府の考え方を重ねてお聞きします。
○国務大臣(大平正芳君) これは自主財源の問題が一つございます。第二は、いま仰せになっておる交付税の問題でございまして、第三は地方債の問題でございまして、こういった問題がバランスのとれた姿で地方財政を支えておると思いますが、交付税率三二%を改定するつもりはないということを申し上げたのは、この税率をもっていたしましても、この五十年度予算、四兆四千億余にのぼる財源が地方に移されるわけでございまして、地方の財政が正常な姿で運営される限り、私どもの判断ではこれで十分でないかという判断を持っておるわけでございます。 それから、自主財源の問題でございますけれども、これはこれまでもいろいろ考えてまいりましたし、ことしも事業所税という姿で一部考えておるわけでございますが、このように財源が偏在いたしておる状況のもとにおきまして、実際自主財源を地方に与えるにはおのずから限界があるわけでございまして、いま私ども、われわれが考えておる地方財政計画におきまして大きな支障が起こるものとは考えていないのでございます。地方債につきましても、御要望の線に沿いまして、いままで大体御不自由なくおつき合いをできておると思うわけでございまして、いまこういう大きなフレームを改定するというようなことは考えておりません。
○国務大臣(福田一君) 先ほど財政計画の問題について御答弁するときに、税率と言ったのは私の間違いでございまして、交付税でございますので御訂正を願います。
○和田春生君 交付税率は変えない、経済成長も余り期待できない、自主財源をふやすということになると、何か新税をつくるか、地方税の税率の幅を広げるか、いずれかの方法が必要なんですが、何かそういうことで検討されているんですか。
○国務大臣(福田一君) 御質問が五十年度の予算でございますれば、われわれは一応四十九年度の予算に対しまして先ほど述べたような比率で財源をふやしておりますので、大体これでうまく収支が合っていくものと、またそれに伴ってある程度の福祉、環境関係の予算もできる。その場合には、収入がいま言ったようにふえますし、それから支出の面では、特に人件費等の多いところではこれを少し縮めていただいて、そうしてそれでまた財源を浮かして、それを福祉の方に回していただく、こういうことにしていただければ、まあ三木内閣としての地方行政における福祉の実現というものはできると、われわれは一応の目安を踏んでおるわけでございます。
○和田春生君 五十年度経済について言えば地方財政計画で一応数字のつじつまは合っている。しかし、この中で財政の硬直化というものは解消していないと思う。私はそれで歳入の方からいまお伺いしているわけですが、では今度は出る方で具体的にお伺いしましょう。超過負担の解消とおっしゃいましたけれども、具体的にどういうことをお考えになっておりますか。
○国務大臣(福田一君) もうすでに和田さんも御案内のように、四十九年度の補正予算におきましては、いわゆる建設費といいますか、小中学校とか保育所とか、公営住宅の単価の引き上げということで約二三%近く、二二、三%でございますが、はっきりしておらないのでありますが、二二%のあれをふやしておる。それから今度は五十年度には、それにまた八・五%、かれこれ九%近いものを乗せて、そして予算を計上いたしておるわけでございます。したがって、いわゆる施設費という面ではある程度、これはいまの段階においては、物価がこの段階においてなら解消できる。たとえば一平方メートル当たり、いままでは五万幾らとかなんとか言っておったのを今度は七万五千円までしまして、そしてまた非常に人口稠密であるとかあるいは人口が急増するようなところには比率をよくするようにしてありますから、大体できるわけです。関東などでもできるというようにわれわれは聞いております。 そういうようなこともいたしますし、とにかく施設費の方はいいが、今度は運営費ですね。国家の委任事務のような問題等々につきましては、それは五十年、五十一年くらいでできるだけ解消するように努力をしたい。そういう意味でいま、五十年にはもちろんある程度は入れてありますけれども、全部解消したわけではございません。これは順次解消していくということで、二年計画で何とかこれは解消するようにしたい、こう思っております。しかし、これは計画なんですよ、われわれの考えておるのは。計画どおりでなくて物価がどんどん上がっていくというような場合は、もう一遍考え直さにゃいかぬ場合もあります。しかし、政府としてはまあ年内は八%から九%前後というところを抑えておりますから、われわれが施設費で九%前後の伸びを見ておれば大体これでやれるのではないかと、こういう考えを持っておるわけであります。
○和田春生君 それではもう一つ、人件費でございますが、確かに現在の地方公務員の人件費については、労働者の立場から見てもいささか目に余るのではないかと思われる面がないわけではない。それを全体的にどういうふうにチェックしていくのか。困る困るではぐあいが悪いわけですね。政府としてはどういうことを考えているのかということをお伺いしたい。
○国務大臣(福田一君) いままでの人件費は、御案内のように条例によってきめるものでございますから、そこで議会に提出いたすのでありますけれども、一括して人件費幾らというような出し方をいたしておりますので、それでは住民にもよくわからないし、またそれを審議する議員さんもよくわかりにくい面もあると思うのです。そこで、今度は人件費の内訳ですね、どういう人にはどれくらいのものとか、こうずっと内訳を全部きれいに細かく出して、そしてそれも公表する、できるだけ公表するようにしなさい、こういうことを言っておるわけです。そうすれば皆にわかってきますから、いままでのような、九州の瀬高町なんかで起きた事件でも、何も実際わからなかったということから起きるので、これはわれわれのやっぱり一つの努力がある意味で足りなかったと思うのでありまして、やはり人件費などというものは、どういうふうになっておって、あるいは国家公務員との比較からいうとどれくらいになるのですよというようなことを予算面で詳しく材料を出しまして、そして審議をしてもらう、そしてまた住民にもわかってもらう、こういうことにすればいいのじゃないか。 そうすれば、それはなるほど高い、たとえば四〇%も高いということが出たとすれば、これもなかなか比較の問題でいろいろなことがあるのですがね、しかし四〇%一応高いということがあれば、せめて私は二、三年の間に一〇%か一五%くらいずつでも減らして、大体の国家公務員に近いところまで持っていかにやならぬ。 しかし、それは私がなぜ近いところと言うかといえば、その人件費というのは俸給ですね。俸給というのはやっぱりその地域の民間の俸給ともよくにらみ合わせてやりなさいということがちゃんと出ておるわけであります。もちろん国家公務員というのは、そういうことを人事院が民間との比較をしながらちゃんと案をきめておるのでありますから、大体の平均のベースにはなっておるわけでございます。平均のベースにはなっておるけれども、平均以上のところもあるかもしれません。そういうところは若干高くなったからといって、これを私はとがめるわけにはいかないと思う。しかし四〇%も四五%も高いというところがあれば、まあ少なくとも私の見るところでは一〇%以上くらい高いとあれば、これはやっぱり一遍考えていただかなければならない。それが私は今日の常識ではなかろうかと思っておるわけであります。
○和田春生君 いまの自治大臣のお話がいいか悪いかの批評は別にしたいと思いますが、総理にちょっとお伺いしたい。 いまの問題について、結局しかし、地方自治体に国が権力で介入することはできない。基本的に考えてみると、三割自治と言われているように自主財源が非常に少ない。大方政府がかりで補助金行政とかそういう形でコントロールを受けている。私は悪い意味での親方日の丸になっていくと思う。ですから、住民の意識というものを尊重しながら地方自治体が責任を持つというためには、やはりもっと自主的な財源を多く与え、自治体の裁量できめられることを幅広くする。そしてその責任は自治体自体が、地方議会なり地方首長が持たなくてはならぬ、こういうふうに持っていくことが必要だと思う。さま変わりの時代においてそういう地方自治の原則を強めていく、こういう点についてどういうお考えがありますか。これは総理と自治大臣からお伺いしたい。
○国務大臣(三木武夫君) 原則的には私も和田さんと同じように考えているんです。ただ、少し問題なのは、各府県によって財政力に違いがありますから、ある一定の行政水準を国として維持したいとするならば、どうしたってやはり交付金のような制度で、そして調整というものを国がしないと、これは非常に財政力の弱い府県は非常に行政水準が落ちてきますから、そこに悩みがあるわけですね。外国の地方自治体というのはもう少し単位が大きいですからね、ヨーロッパでもアメリカでも。日本の府県は、こんなに狭いところにこういう府県単位というものが非常に細分化されていますからね、そこにやはり日本の場合はよその国でない悩みを持っている。そこで自治体に自主財源を与えて本当の自治というものを確立するという財源の面からは、私はむずかしいと思うんですね、これは。しかし、いまのような何でも中央にお願いしますというような行き方は私はいいとは思わない。 もう一つ、やっぱり自治というものですね、まずいろんな問題がいろんなイニシアチブが地方から出てこないと、国が何もかもするんだということでは、日本の地方というものが地域地域によって特色を持っているんだが、その特色が殺されていって全国一律のようなものになれば、決して地域住民のために幸せな生活環境では私はないと思う。そういう意味で今後はできるだけ、今度も事業所税のようなものを新設しましたけれども、私は自主財源をできるだけふやしていくべきであるという説には原則的に賛成ですよ。そしてなるべく責任を持った地方の自治体でないと、何もかも結局は最後は中央がしりぬぐいをするんだというようなことでは、やはり地方行政というものがどうしてもルーズなものにならざるを得ない。そういう点で確かに地方自治のあり方というものもこれから大きな私は問題だと思う。 和田さん、こう私が言いますと何もかも決まっていないかと、こう言われますけれども、私は日本が非常な大きな歴史的転換期である、これを一遍にここでどうするんだ、こうするんだというふうに言えということには少々無理がある。こんな転換期というのは、恐らくちょっと日本の歴史の上でも再々は来ない転換期であります。だから地方行政にしても、労使にしても、国民生活にしても、高度経済成長にはかえられない、夢よもう一度というわけにはいかないのだから、日本の経済成長がどれぐらいのパーセンテージになりますか、数字は人によって違いはありますけれども、いままでの日本の成長率からいったらずっと緩やかなものになるんですから、それに即応してすべての政治あるいは経済、生活、見直しをしなければならぬ。ものによったら数年かけなければ私はならぬと思うんですね。これを一遍に一年の間に、こんな大きな転換期に対応するような国内の体制はできないし、またそういうものをつくることはかえって弊害だと思う。そういうことで和田さん、何か何もかも、言わないじゃないかということで何も中身がないんだとおっしゃることには多少無理がある。こんな大きな転換期に際して、やはり多少の時間をかけてじっくりと日本の行く末を考えて、そして方向を打ち出してもいいのじゃないか。 ただしかし、来年度の予算編成に間に合わす、それまでに検討しなければならぬ問題もありますがね、その問題は当然に予算編成期というタイムリミットがあるわけですから、それはやらなければならぬが、地方自治体の問題もこれは大きなやっぱり課題である。いまのような状態であったのでは何か全部中央依存で、地域社会のためにみずからのイニシアチブでやろうという気分が、だんだんと少なくなってくる傾向を私は憂えているものであります。そういう点で、いま御指摘になった地方自治体のあり方というものは大問題の一つである。私は、だから今度の施政方針演説の中にも地方自治体の問題というのを大きく取り上げたのも、こういう問題意識が私にはあるからでございます。
○向井長年君 関連。 総理、通産大臣、自治大臣に適宜答弁いただきたいと思いますが、いま自治体の財源問題でございますが、ちょうど田中内閣当時に電源促進法というものをつくられまして、本年度はまず企業から一キロワット当たり八銭五厘ですか、これで本年度の予算には当初予算百億、そうして次期に三百億、これを計上するようであります。これは促進税という立場から、企業から取って当該自治体に交付することになると思います。しかしながら、これに対しましては水力なり、火力なり、あるいは原子力なり、それぞれのいわゆる出力に応じて適宜配分されますけれども、この配分の使い道、用途というものは相当通産、エネルギー庁で規制されておるようでありまして、そうなってまいりますと、これはみずからの自治体がその事業を行おうとするならば、その交付金以上に持ち出しをしなければならぬ。こういうことで、促進にはならぬ傾向がただいま出ておるのではないかと思います。 そうなってまいりますと、ちょうど一昨年でございましたか、田中内閣当時に、これは屋上屋を重ねる結果になるから、そういう問題については慎重に検討しなければならぬということを私は言ったはずであります。現にただいまこの促進税の、これから交付されることになりましょうが、これとあわせて別に企業から再び協力費として取ろうとする動きが強いわけであります。したがって、もしこれが交付される段階においては、その地方自治体の一般会計と申しますか、どれに使っても促進になれば用は足すわけでありますから、そういう方向をとるべきだと思います。いよいよ使途に対する規制がされますと、たとえば道路の問題あるいはまた市庁舎等の問題、そうなってまいりますと、その財源では足らないから、みずから持ち出さなければならぬということで事実上でき得ないという状態があらわれてくるし、これが促進の意味にはならない、こういう現況がただいまある。これをひとつ今後、これは通産省と思いますが、あるいは自治省と思いますが、ここらで今後のこの使途、促進のために使うという立場においてこの問題を取り上げなければならぬと思いますが、いまどういう方向で検討されておるかお伺いいたします。
○政府委員(増田実君) 電源促進のための交付金でございますが、昭和五十年度では三百億の電源税から二百二十億ないし三十億、この交付金に充てることになっております。 ただいま向井先生御指摘のとおり、これの使途については制限されております。また、全額でなくて一部地方その他に負担を願っているということにもなっております。ただ、私どもとしては、電源開発が行われるに当たりまして、その地域住民の福祉向上のためにこれが使われるようにということで、できるだけ広くこれを解釈することでやっておりますが、ただ、これにつきましては、一定の制限がある現状でございます。その制限の範囲内でこれを使うということになっております。また、電力事業者に対しましてこれを負担させるということではございませんで、電源税で徴収いたしましたものを地域の住民に還元する、こういう方向でこれを運用していくということでやっておるつもりでございます。
○向井長年君 いま長官からそういう説明がありましたけれども、福祉に使うことは当然でありましょう。しかしながら、福祉に使うことはいいけれども、促進にならぬということになれば、この法の精神なり財源というものは無意味になるんじゃありませんか。やはりこれは今日まで企業から取って、アンバランスがあり、そういうことでは電気料金にはね返るからということでこういう問題を処理されたと思うんです。それならば規制なんかをせずして、その地域がどれに使おうと、電源促進税であるからどれに使おうとこれは自由にして、福祉向上に使えばいいのではありませんか。これを制限するものだから、各地方自治体で再び持ち出さなければならぬという財源が生まれてくるんですよ。その点を私は聞いておるわけだ。それをどうするか。
○国務大臣(福田一君) 向井さんも御案内のように、実はこの税の問題についてはいろいろお世話をいただいております。私は、いま向井さんが指摘されたような事実が出ておることについては承知いたしておりませんが、もしそうでありとすれば、これはあまり効果のないことで、ただ出しただけ損だということにもなりますので、これは事実を調査させていただいて、そしてしかるべく考えさせていただきたいと、かように考えるわけであります。
○和田春生君 それでは先ほど来やりとりがあったわけですが、非常に大きな転換期に来ておるし、どうしても現存の財源の配分、行政の配分、地方自治体の超過負担等、そういう基本的なあり方について変えなくてはいけない——気持ちはわかったわけです。私は、何もかも言えと言っているんじゃない。抽象論じゃなくて、ここをこうやりたいという具体的なものが一つでも二つでも重要なものが出てくれば、それをまた基礎にして質疑を発展させたいと思っているんですが、それがなかなか出てこない。しかし、いま三木総理のお話では、五十一年度予算編成までに何らかの答えを出そうということですから、確認しておいてよろしゅうございますね。
○国務大臣(三木武夫君) 二通りあるんです。早急に予算編成までに結論を出さなけりゃならぬ問題と、もう少し二、三年腰を据えて検討しなければならぬ問題もある。たとえば行政も、行政改革というものはそうですよ。私はそんなに予算編成までにやっぱりできるものじゃない。そういうことですから、二通りあって、そして予算編成に間に合わせなきゃならぬものもたくさんありますから、それはそれとしてタイムリミットを置いて結論を出さなければならぬ。もっと腰を据えて検討しなけりゃならぬ問題は時間をかけたらいい。そんなににわかに大問題を短期間の間にやることに弊害もあるということで、二通りに分けるということです。
○和田春生君 この点については三木内閣、二、三年とおっしゃるので、三年もてば、ほんとうだったかうそだったか総理に直接確かめるわけですけれども、それはどうかわかりませんけれども、長く言われてきたことですから、二、三年二、三年と言わずに、大きな転換期、副総理の経済演説でも五十年度、五十一年度をその転換期と考えているというわけですから、二、三年じゃなくて、少なくとも二年以内に結論を出す、来年には相当なものが出てくるということを期待しておきたいと思います。 ところで、だいぶん国家財政の議論をいたしましたけれども、時期も迫ってきましたので少し生臭い話に移りたいと思います。 もう間もなく春闘の大詰めでありますけれども、政府の政策を進めていくという上で、望ましい今年度の賃上げはどれぐらいの水準であると考えているか、国会の場でお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) まことに申しわけないのですが、政府は労使の間で決める賃金決定には介入いたさない、こういう方針なんです。ただ、介入はいたしませんけれども、この労使間で決められる賃金が、これがいままでの高度成長下の過程のような惰性の決定でない、これからの経済は減速経済といいますか、低成長時代に入る、それの初めての賃金決定の機会でありますので、この賃金決定は労使の間で内外の情勢をよく見きわめていただく。また企業の状態もよくにらんでいただく。また、私どものやっております物価政策の行方もよくにらんでいただく。そうして良識のあり妥当な結果になるということにつきましては非常に大きな関心を持ち、ぜひそのような御決定をいただきたいと、こういうような気持ちで、ほんとうに神様にお祈りいたすような気持ちで御期待を申し上げております。
○和田春生君 祈られたら困るのでして、こちらの方が伺っているわけですが、介入しろと言っているわけじゃないのです。二月十八日付の新聞に出ておりましたけれども、賃上げが二〇%なら実質成長三・九%、一五%なら四・四%、こういう企画庁の試算が出ているわけですね。これはこのとおり受け取ってよろしゅうございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは、企画庁で事務参考用としてつくったものなんです。それが何らかの拍子で新聞に出ました。その翌日、民社党の和田耕作議員からあの資料を国会に配付せいと、こういうことでありましたのでこれを配付いたした、こういう次第でございます。
○和田春生君 だから、介入ではなくて、望ましい賃上げはどう考えているかということをお伺いしているわけですから、この資料をもとにしてどれぐらいお考えでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) この資料は、一〇%の賃金の上昇でありますれば物価は六・六%になっておりましたか、非常に低い水準になりましょう。それから一五%賃上げでありますれば物価は九・〇%ですね、一けた台にとどまります。またこれが仮に二〇%成長になった場合におきましては、物価は一一・四%上がります、こういう計算が出ているのです。これは事務参考用の試算としたものでありまして、これをもって直ちに一〇%、一五%、二〇%、そのどれを期待すると、こういうことは示唆いたしたものではございませんです。
○和田春生君 これは福田副総理のお話とは思えないのですけれども、介入しろと言っているのではなくて、あの経済演説で示された、五十年度末には消費者物価上昇九・九%、名目成長率一五・九%、実質四・三%、これを実現したいと、しかもそれはいままでの質疑応答の中で、単なる願望ではない、政府としてはそのために全力を尽くすのだと言っておれば、その基礎として賃上げはどれぐらいかということをお考えのはずなんです。それをお伺いしているわけです。
○国務大臣(福田赳夫君) 経済見通しにおきましては、雇用者取得は一七・一%、そういう前提で計算はいたしております。一七・一%という雇用者所得の場合におきましては消費者物価は一けた台にとどまる、こういう計算になっております。
○和田春生君 雇用者所得という言葉がきたわけですが、実際に団体交渉で決められる賃上げ率と雇用者所得の伸びというものを、並行したものとお考えになっているのでしょうか。今日その間に乖離があるとお考えなんでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) これはなかなか複雑な要素がありまして、一概に申し上げられません。雇用者所得というのは——つまり、いま問題になろうとしておる春闘の賃金は、裸の賃金、所定内賃金と、こういうふうに言いますが、それなんです。それに勤務手当でありますとか、あるいはボーナスだとか、そういうものを全部ひっくるめまして雇用者所得。雇用者所得は、ですから裸の所定内賃金の倍になるんです。その倍になる雇用者所得の水準が一七・一、この水準でありますれば、他に情勢の変化がなければ消費者物価は九・九%の上昇になるであろうと、こういうことを言っておるのですが、この雇用者所得と裸の賃金とは、これ必ずしも一致しないんです。しかし傾向判断としまして、雇用者所得が一〇%上昇の場合はどうとか、あるいは一五%の場合はどうとか、二〇%の場合はどうとか、これは非常に明らかに賃金が上昇しますれば、つまりその場合は雇用者所得ですが、物価に相当大きなはね返りが来る。こういうことはその資料でももうはっきりしておるわけですが、現実に一七%という雇用者所得が、裸の賃金つまり所定内賃金の何を意味するか、そう大きな乖離はないと思うのですけれども、必ずしもこれは一致しておらぬ、こういう性格のものでございます。
○和田春生君 どうも言葉でいろいろあやで言われては困るのですけれども、たとえば、昨年は史上最高の大幅賃上げが実現したと言われておりました。最高であったかどうかは別として、大幅であった。その結果どうなったかと言うと、景気の動向によって残業がカットされる、一時帰休がふえる、そういうことのために諸手当が減っておりますから、名目賃金は三十数%上がったけれども、いわゆる雇用者所得、自分が所得として持って帰る分は四十八年度よりも減ったという者もたくさんあるわけです。静かで控え目な成長というところで考えると、私は、雇用者所得の伸びより賃上げの率の方が高くてもバランスがとれるということもあり得るわけである。賃上げ率よりもさらに雇用者所得の方が伸びるということになるとすれば、どんどん景気がよくなって人手がふえるようになってくる、残業に次ぐ残業が出るという形でないと、そのバランスはなかなかとれてこない。そうすると、雇用者所得の伸びの約一七・一%というのは、実際の春の賃上げとしてはそれよりも高い率が想定されていると、こういうことですか。
○国務大臣(福田赳夫君) そこが上になるのか下になるのか、これはちょっとむずかしい判断なんです。つまり四十九年は不況ですね。ですから時間外手当、そういうようなものが少なくなる。ところが私どもは、五十年度は初めの方は不況です、これは。しかし、しり上がりによくなりまして、それでとにかく四・三%成長だと、こういうことを言っているんですから、ですから時間外勤務手当でありますとかそういうものが、四十九年度には失われたそれが回復してくる。こういうことを考えますとまた、あなたのいまおっしゃるような結果と逆になるかもしらぬ。そういう場合もあるんですが、これは非常にデリケートな判断の問題で、私は、上になる、下になる、こういうことは大ざっぱにはちょっと申し上げられません。
○和田春生君 いまの副総理の御答弁は、いわゆる計画というか見通しと結果論というものが私は一緒になっておるように思うんですね。 そこで角度を変えてお伺いしたいのですが、あの経済演説で示されたこれを実現するために、もし政府の考えていることと違った方向に行こうとした場合に、どういう方策をお持ちでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは重ねて申し上げますが、労使双方に対しまして良識ある結論を得るように最善を尽くしてもらいたいと、このお願いをするよりほかはないんです。もし仮に私どもが期待する結果と違った結果が出る、そういうことになりますれば、私は経済の運営、これは相当厳しい姿勢をとらなければならぬだろうと、こういうふうに思います。
○和田春生君 これは非常に大事なポイントですから総理にお伺いしたいと思う。いまのような説明をお伺いしておりますと、すべてはあなた任せで、良識を期待をすると言って民間労使に任しておる。その結果、仮に賃上げが二〇%とか二五%という形になったとすると、そういう賃上げになったから、あの三木内閣の公約は崩れたけれどもやむを得ないんだというふうに、そこに責任が転嫁されるような、そういうまさか腹でおっしゃっているんじゃないでしょうね。いかがでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 物価が鎮静の傾向にあることは、これはもうだれにもよくわかるわけです。こういう中の春闘でありますから、労使とも従来よりも違った、国民経済的な見地から賃金の交渉というものは妥結をしてくれるものと期待をしておるわけですね。労働組合も、今日においてはやっぱり日本の国民経済に対して責任を感じておる良識のあるリーダーは人たちだとわれわれは期待をしておるわけですから、だから、それで政府の言っておる物価安定というものを、賃上げがこうなったからこうという、それの責任を転嫁するつもりはありませんが、そういうことになれば他の経済政策というものはやはり厳しい態度をとらなければ、政府の物価安定の目標の達成というものは困難になることは事実でありますから、全部責任を労使に転嫁して、そしてそのときの言い逃れにしようという気はありません。他の経済政策を通じて目標達成に全力を傾けることは当然でありますから、非常に厳しい困難な問題になることは事実でありますが、しかし、そのために責任を労使に転嫁する考え方は持っておりません。
○和田春生君 この問題について、現在までの賃上げというのは、これは事実が明らかにしているようにインフレの後追いであった。ここに大きな転換期に来ているわけです。私は、その際に政府の態度は逆立ちしているのではないか。本当に日本の経済に責任を持つのなら、こういう条件は政府は約束をする、したがって賃上げはこの程度にとどめてもらいたいとか、この程度で解決をしてほしい、もし政府の約束が反した場合には三木内閣としては政治的責任をとる、それぐらいの気魄があってしかるべきではないかと思うんです。それを、賃金は民間のことだから介入はいたしません、自主的にお決めください。しかし、一方においては、あなた方の考えていることと関連のある数字がいろいろ出てきているわけです。結果的には、賃上げが望ましい方向に行かなかったから、また物価が上がったけれども仕方がない、こういう政策をとらざるを得なくなった、私はどうもそういうところに逃げていく。きれいごとが多過ぎるのではないかという気がするんです。ここで、この春闘に臨んで政府として物価、経済見通し、あるいは経営者に対する態度、こういうものについてはっきり条件を示してこれを国民に公約をする。したがって、この程度において解決をしたい、直接介入ではなくて責任を明らかにする態度があるかどうか、そのことをお聞きしたいと思うんです。
○国務大臣(三木武夫君) イギリスなんかの社会契約などには、いま和田さんの言われておるようなことが内容をなしておるようですが、われわれとしては、まだそこまでいっていないのですけれども、しかし、物価に対して政府はこれはやっぱり相当な公約をいたしておるわけですから、消費者物価水準に対して三月の末までには前年同月比一五%、来年の三月には一けた台にするということは、これは政府としてはかなり責任を持たなければならぬ約束でありますから、したがって、そういうことは労使間において賃金の交渉をするときには、一つの大きな環境づくりには私は役立ち得る。それを一歩進んで和田さんの言うようなことも将来研究の課題だと思いますが、政府はいま物価の目標に対して国民に明らかにしておる。これが一つの一歩前進だということは言えると思うんです。そういうことを通じて、労使間において良識のある、節度のある決定がなされることをわれわれは希望をするわけでございます。
○和田春生君 依然はっきりしない点がありますが、そこで論理のすりかえが結果論として行われないように、くぎを刺しておきたいと思うんですが、関連して次の問題に進めたいと思います。 春の賃上げが盛んになってまいりますと、特に国民に関心があるのは公共企業体、とりわけ国鉄、郵政の争議行為だと思うんです。この点について労働大臣、どういうふうに対処しようとしておりますか、あなたの基本的なお考えを伺いたい。
○国務大臣(長谷川峻君) 三公社五現業の基本権につきましては、御承知のとおり公制審で八年間もやったわけです。これは三論並列、国民の負担の問題、国会の審議権の問題、あるいは経営者の当事者能力、それほどまでにむずかしい問題でございましたが、昨年以来ことしの秋を目標にして結論を出そうということで、関係閣僚協でいろいろ御審議を願っていると聞いております。
○和田春生君 それは事実の報告ですよ。現にストライキが行われているのに対してどういうふうにお考えかと聞いているわけです。労働大臣、スト権の問題じゃありませんよ。
○国務大臣(長谷川峻君) まだスト権のないところにスケジュール闘争的にやろうとする気分があることに対しましては、私たちは自重するように、そういうことのないように要請しております。
○和田春生君 それは答えになりませんよ。まだやるという計画が出ているわけです。行われているわけです。ストライキがいいか悪いかの問題を議論しているんじゃないんです。法がそこにあるわけです。政府としてどうお考えか。
○政府委員(道正邦彦君) 先生御案内のとおり、現行法におきましては三公社五現業の争議行為は違法でございます。昨年の春闘に当たりましても、違法行為に対しましては厳正に措置するということを閣議で決定いたしております。これが政府の基本的方針でございます。
○和田春生君 答えになっておらぬ。違法であるのはわかっている。どういうふうに対処しようかといって聞いているわけです。
○委員長(大谷藤之助君) 再答弁。
○政府委員(道正邦彦君) 現実の問題として、再三にわたる政府の厳重な警告にもかかわりませず違法行為が行われたことは、まことに遺憾でございます。そのストライキの計画があるというような場合には、事前に当局に対しましても一段と努力をするように、また直接組合の皆さんにも呼びかけまして、違法行為を厳に慎むように、再三にわたって警告をいたしております。
○和田春生君 警告だけですか。
○国務大臣(長谷川峻君) 昨年の問題につきましては、これは閣議においても決めたとおり、そういう違法ストに対しましては厳正に慎重に処分をすると、こういうふうに閣議決定が決まっているわけであります。
○和田春生君 やっていますか。——委員長、答弁になっていません。一つも聞いたことに答えていない。
○政府委員(道正邦彦君) 私どもといたしましては、先ほど来お答えいたしましたように警告をし、当局の努力を要請するということを一方において行っております。同時に、労使間の紛争調停、あっせんの機関といたしまして公労委があるわけでございますので、公労委の努力によりまして事態の解決を図るということも公労委としてはやっているわけでございます。
○和田春生君 ちょっと待ってください。これはもう労働大臣に伺わなければいかぬのですが、公労法で公労委の調停、仲裁が行われているというのは、ストライキ、争議が禁止されているということの代償措置として仲裁制度があるわけでしょう。ところが、そのストライキの方は、私はストライキが本質的に悪いと言っているんじゃないのだ。全然やりたいほうだいにやらしておいて警告をしているだけだと注意をしているだけだ。そして、公労委によって解決をしてもらいたいというのはおかしいじゃないですか。これは相関関係のあるものでしょう。労働基本権の問題と公労委の機能と、それから使用者の立場と、基本的にどうとらえておるんですか。その点をはっきりお答えを願いたいと思う。
○国務大臣(長谷川峻君) ただいまお話しのように、非常にむずかしい問題でございますから、公制審で八年間もかかって結論が出ないで、そして関係閣僚会議でいま御審議を願っておると、こういうことで、ここで直ちに切って割ってすっと、こういうふうな御答弁ができないほどに慎重な問題でございます。
○和田春生君 問題をすりかえちゃいけませんよ。公制審でやっているのは、公労法を改正して争議権をどういう形で認めるかということをやっているんですよ。いまの公労法が存在している中における、争議権と公労委の役割りと使用者の責任を聞いているんです。これ、もう質問時間に入りませんよ、同じことを何遍も言っているんですから。
○政府委員(道正邦彦君) お答えいたします。 現行法におきまして、三公社五現業の争議行為が違法であることはもう明らかでございます。それに対してどういう措置をとっているかというお尋ねでございますので、警告もし、当局の御努力もお願いをするということを事前にもやっているわけでございます。事後の措置といたしましては、政府の方針としては、厳正に措置をするということで臨んでおる。今後の問題としては、先ほど大臣からお答えございましたように、八年間公制審の審議をお願いいたしましたけれども、結論が必ずしも出なかった問題でございまして、この問題につきましては現在鋭意閣僚協で検討している、この秋には結論を出したいということを申し上げておるわけでございます。なお、労働省も一生懸命やっておりますけれども、三公社五現業の当局並びに組合におかれましても、それぞれの努力をなさっているわけでございます。
○和田春生君 逃げて歩いておるんで、どうも三木内閣の性格が出ておるようですけれども、私はストライキ権を認めるなら、きちんと認めるように早くしたらいいと思う。それに必要な歯どめを決めればいいじゃないですか。審議会を隠れみのにして逃げ回るのではなくて、政府がはっきり態度を示すべきだと思うんですよ。たてまえとしては、争議行為はいけないという形になっておる。そして野方図に行われているじゃないですか。民間の公益事業よりももっと歯どめがない。そういうことをやっているから国民の間から不信感が出るわけです。そういう点について政府がどう考えているかということを伺っているんですから、労働大臣がお答えになれないなら総理大臣からお伺いしたいと思う。
○国務大臣(三木武夫君) 私も和田さんの言われるように、こんなものは、毎年のように、年中行事のようにこのことが繰り返されて、処分をすればまた争議行為がある、それに処分というので、全くこういう悪循環のようなことが繰り返されている。これは断ち切らなければいかない。言われるとおりだと思いますね。しかし、これにはいま労働大臣も言われたように、いままで何年もやって結論も出ないわけでございますが、政府は秋までに結論を出す、こういうことを繰り返して、これは処分をしてもまた処分に反対して争議行為ということで、国民から見てもこういうふうな労使のあり方というものは納得しないに違いないと思います。そういうことで、秋までには結論を出して、もう少し公共企業体の秩序というものが回復することにいたしたいと、そういうことで鋭意閣僚会議で結論を出すべく努力をいたしておる次第でございます。これはやはり今年度でこういう状態というものは断ち切らなければいかぬ。こんなことを繰り返しては、やっぱり労使のあり方としておかしいと私は思います。
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。
○和田春生君 いま、公企体のストライキの問題について現に行われているではないか、法律の関係でどうかということを重ねてお伺いしたんですが、どうもはっきりしない。公制審はこれからの制度の改正を議論しているのです。区別して議論しなければいかぬ。 それから、もう一つ関連してお伺いしますが、現在の法律の中で、三公社五現業だけじゃなしに、ストライキ規制法で、たとえば電気事業の労働者は、事務ストは若干できるけれども、発送電に関することは一切禁止されている。そしてそれが非常に厳しく守られてきているわけですね。そういう人との関連は一体どうなるのか。まじめに一生懸命やってきている者がそういう中で苦しんでいる。有力な対抗手段をもぎ取られている。片方は法律でいかぬということになっているけれども、野放図で幾らでも認めていって、そこに何の変化もない。一体そういう形はどうなるか。社会的な不公正という面からいっても、労働基本権の面からいっても、政府のあり方というものは支離滅裂じゃないですか。その点をはっきりと伺いたいと思うのです。
○国務大臣(長谷川峻君) 多少御解釈がまちまちのところがありましたが、将来の問題に対しましては、先ほど総理大臣からお話があったとおりでございます。いままでの問題につきましては、これは法律に基づいてはっきり処分をする、こういうことでございます。 それから、ただいまの電気関係のストの問題につきましては、御案内のように、こういうところでも何遍となく議論されておりますし、組合の諸君からも、参与になっていただいて、こうした問題についての結論を出すべく御研究を願っておるということは御理解をいただいていると思っております。
○和田春生君 それでは、三公五現の問題と関連をして、スト規制法の問題についても、秋までにはめどをつける、そういう腹があるというふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(長谷川峻君) 大事な労働者の基本権の問題でございますから、そういうふうに、秋までに、いろいろの審議会の経過を見て結論ができるということを、私たちも期待しております。
○和田春生君 それでは、スト権の問題についてはその程度にいたしまして、実は、国鉄の場合に、順法闘争とか減産闘争とかいうのが行われているわけです。この点が、ダイヤを非常に乱すという面において、利用者、国民の大きな批判を買っているわけです。お伺いをいたしますが、これは法務大臣、あれはサボタージュですか、ストライキのうちの一部ですか、どちらです。
○国務大臣(稻葉修君) 私はサボタージュだと思っております。
○和田春生君 そういたしますと、国鉄の労使間でどういう行為が行われるかということは、部内の問題でありますから、そのサボタージュがいいか悪いかは、私はいまここで問おうとは思わない。問題は、たとえば最近レッテルや広告でも非常にやかましくなって、レッテルどおり広告どおりの品物が売られていなければ、これは金返せということになるわけです。はっきりストライキを宣言してぴしゃっと列車をとめるというんなら、これはサービスは売りませんよということですから、これは話がわかる。ところが、時刻表の刷り直しは行われていない、切符はあたりまえに売っている。そして、乗ってみたら列車は幾らでもおくれていくというのは、これは明らかに欠陥商品、欠陥サービスを売っているのと同じじゃないですか。そういう点について、ちょっとばかり利用者の方がミスをするとすぐ超過料金だと言って取り立てる。ところが、そういう面については何ら補償をしようとしない。そこに利用者の大きな不満があるわけです。運輸大臣、どう考えますか。
○国務大臣(木村睦男君) 国民の側から見ますというと、確かにあなたのおっしゃるような感じを受けると思います。そこで、サボタージュの場合におきましては、要するに指示に違反しておるわけですから、サボタージュをやめるようにという業務命令が当然出るわけです。出てそれに従わないときには、国鉄の内部規定によって処置はいたします。サボタージュの結果、乗客に非常な損害を与えるということになりますと、これはやはり私考えますのに、損害賠償の一つの形になろうと思います。法律的にそれが成立するか、あるいは非常に損害が少なくてそこまでいくかいかぬかは問題でございますけれども、法律的にはそういう関係が成立するんではないかと、かように思います。
○和田春生君 国鉄——総裁はいないんですが、代表者。
○説明員(加賀谷徳治君) ただいま御質問のサボタージュ行為、減産闘争あるいは減速闘争と、いろんな名前をつけてやっておりますが、私どもとしては、明らかに違法行為であるという考え方で対処しております。この闘争、非常にいま先生おっしゃるように欠陥商品を売るというような形になって、非常にまずい闘争である、利用者にとっては迷惑な話でありますし、非常にまずい闘争なんでございますが、私どもとしまして、できるだけこれを未然に防止するという意味で、そういった際には管理者を動員し、あるいはこれを確認しなければいけませんから——そういったようなことで努力しております。はっきりつかんだものにつきましてはかなり厳重な行政処分といったようなもので対処しておるというのが現状でございまして、最近、こういった行動につきましても、これはもともと労使問題がもとをなすわけでございますので、その根にある問題を解決するということにまず努力しなければならぬということと、それから、こういう行為についての反省と申しますか、そういったようなものにつきましてもいろいろ話し合っておるわけでございまして、一時、減速闘争というものはやめるべきだとかなんとかというような組合の中でも議論が出てきたりなどしたというような機運が少しずつは出てきているんじゃないかというふうに考えております。今後もいろいろ努力してまいりたいと考えております。
○和田春生君 努力ではなくて、私はそれははっきりすべきだと思うんですよ。たとえば、民間の私鉄がストライキをやる、きちっと何月何日の何時からどれだけやりますといって掲示してやりますから、乗客は、それは多少不満あるでしょうが、はっきりするからいいわけです。利用しなければ済むわけです。ほかのことも、自衛手段を考えればいいんですね。考えればいいと言えば言い過ぎかもわからぬけれども、そういう方法がある。あたりまえに時刻表どおり発表しておいて、切符を売っておいて、そうしてそれがおくれる。 これは郵政省にも関係がある。慢性的な遅配地帯があるわけです。普通郵便では届かないものだから、大事な手紙は全部速達で出しているという事実が現にあるわけです。これは現実に二十円から九十円に値上げをしているのと同じです。欠陥商品を売っているわけじゃないですか。ストライキをやるんならきちんとした形でやらせるようにする。歯どめはかけるんならかける。しかし、そういうようなインチキ商品を売るということについては、損害賠償ではなくて、直ちに料金の割り戻しをするなり、そういうことをやるべきだと思うんです。国鉄の経営の責任者としてどう考えますか。次に郵政大臣。
○説明員(加賀谷徳治君) そういう闘争の行われます場合には、事前にできるだけお客に知ってもらうという努力もするわけでございますが、先ほど、非常にまずい闘争だと申し上げましたのは、そういった意味で非常に不明朗な、不明確な点があるわけでございまして、われわれこれをできるだけ最小限度に食いとめるまず努力をしなけりゃならぬということになると思いますが、なお、先生のおっしゃる割り戻しその他の問題につきましては、国鉄にあります一般のルールによってやるという以外に現在ちょっと方法がないんじゃなかろかというふうに考えております。
○国務大臣(村上勇君) 公労法第十七条によりまして、ストライキ、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為は禁止されております。省といたしましては、闘争時などに業務規正闘争等と称して、ことさら作業能率を低下させ、あるいは上司の命令を無視して恣意的な方法で作業をすることにつきましては中止するように、職員及び組合に対して厳しく警告いたしております。それにもかかわらず、これを無視してあえてこれらの怠業行為を行う者に対しては厳重な措置をもって臨むことといたしております。
○和田春生君 全然答弁になっておりません、それは。私の言ったことに答えていただきたいと思うんです。
○国務大臣(村上勇君) お答えいたします。料金をどうという問題につきましては、事務当局からお答えさせます。
○政府委員(石井多加三君) 郵便の遅配が組合のいろいろ闘争等によって起こりました場合の料金の返納の問題でございますけれども、これは通常郵便物につきましては、ただいまお話にございましたような場合でも、これはそういった料金の減額をするということはいたしておりません。 それから速達郵便物の場合でございますが、速達郵便物の場合でも、これが料金の減額をいたします場合は、同じような条件で出されました通常郵便物と比べて遅延するということが条件になっておるわけでございます。ただいまのストライキのような場合におきましては、現実には速達を利用されましても途中の運送手段あるいは配達手段等が同様に乱れておるわけでございまするので、速達で普通二日なら二日で着く場合でもそのとおりいかない場合が多いと思いますが、その場合には、それだけの理由で料金返納ということはいたしておりません。
○和田春生君 運輸大臣。
○国務大臣(木村睦男君) 国鉄の常務理事が答弁したとおりでございます。
○和田春生君 答弁してくださいよ。質問に答えていないんだ、まだ。
○委員長(大谷藤之助君) 時間に入れませんから、ポイントをもう一遍重ねて、和田委員。注意してください。
○和田春生君 それでは言いましょう。 ともかくストライキで宣言をしてとまったというときには、違法か合法かという議論はあるけれども、それは堂々とはっきりしているではないかと、利用者の方もそれを心得て考えるから対応策があるというんですよ。ところが、時刻表のダイヤは一つも修正されていない。そして列車の切符、指定券、急行券、みんな売る。ところが、減産闘争とか順法闘争とか減速闘争とかという形でだらだらだらだらおくれていく。そこに大きな不満があるというんです。だからそれは、言うなれば広告と違反した、つまり中身とレッテルの違う欠陥商品、欠陥サービスを売っているのと同じではないか。郵便も慢性的な遅配の地帯があるから、結局普通郵便では用が足せないという形で、はがきでも郵便でも、大事なものは皆速達にするということが行われておる、現実に。そして、それが事実上料金を負担されている。そういう問題が起きているじゃないか。結局そこが無責任になっていく原因なんだから、料金の払い戻しとか割引とかいうことを即座にやる必要があるんではないか。それを考えないと、社会的不公正という点からいってもいけないと思う。いまもこちらの方で、横からも話がありましたけれども、民間で動かなかったりストップしたら返されますよ、すぐ。一体それが三公社五現業なるがゆえに大手を振って通るというのはどうかということを聞いているんです。
○委員長(大谷藤之助君) しっかり答弁願います。
○説明員(加賀谷徳治君) いまの旅客運送契約上から言いますと、国鉄が決めております急行とか特急とか、特別なものに対するそういうスピード料金といいますか、そういったものにつきましては、一時間ないし二時間おくれた場合に払い戻しをするという制度がございますが、それ以外につきましては、いまの運送契約上から申しまして払い戻しする方法がないというふうに考えております。
○政府委員(石井多加三君) 私たちの場合は、郵便局におきましてそのような行為が行われております際には、郵便局にその旨を掲示いたしまして、現在、全国的な場合は、全国的なこういうストのために郵便が相当おくれておりますというふうなことを掲示いたしまして、それを皆さん方に、利用者の方に納得していただきまして、承知の上で出していただく、さようなたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、先ほど速達について返納の問題も、お答え申し上げたとおりでございます。
○和田春生君 問題点の一つは、私はそこら辺にあるように思うんです。民間企業の場合は、中身と違う品物を売ったりサービスを提供したら、損害がもろにはね返ってくるんです。だから経営者も真剣になるんです、事態を解決するために。順法闘争やそういうことをやる労働組合はいかぬ、いかぬと言っている。違法行為をやるのはいけませんよ。私も賛成しないけれども、野方図にしている管理、経営の責任者が一つも損にならぬというところで、のほほんと構えているところに、そして、そういう無秩序な職場の状況を許しているところに一番大きな原因があるんじゃないですか。それならば、そういう問題が起きたときに、経営者自身もみずから責任を感じなくちゃいけないという体制をつくることが私は社会的公正のゆえんだと思うんです。三木総理、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) この問題は、日本の労使間で非常にやっぱり長い間これは異常な一つのしきたりのようになってきておる。これは断ち切らなければならぬ。労働組合自身もこれはよほどやっぱり考えてもらわんならぬ面もありますし、管理者の態度もやっぱりもっと、言われるように、厳しくあることは当然でしょう、これは。そういうことで、この問題はひっくるめて、いままでのやり方というものはこの機会に皆やっぱり反省して、新しいスタートに立たなきゃならぬ問題で、いま言われてみて、和田さんの言われることに対して違いますということは私は言えないと思う。労使ともに、この問題というものはここらでピリオドを打って新しいやっぱり労使関係というものをつくらなければ、国民に対しても言いわけの立たない問題だということはお説のとおりだと思います。われわれ自身としても、この問題は管理者の側の立場に立って、これはひとつ考えてみなけりゃならぬ問題を含んでいると、従来の惰性ではいけないと、断ち切らんならぬ時期だという感じでございます。
○和田春生君 これは公制審や関係閣僚協の問題ではありません。この点について、遵法精神の権化であると言われている法務大臣、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(稻葉修君) いまのサボタージュによる場合の責任は企業側に二つあると思いますね。一つは、公労法十八条に基づく解雇処分、いまやっているかやっていないかということは別として、法律的には解雇処分の責任がある。もう一つは、損害てん補の責任があると思います。企業責任として二つあると思います。
○和田春生君 損害てん補の責任があるとお認めになりますね。
○国務大臣(稻葉修君) 私はそう思います。
○和田春生君 その点についてはいまはっきりと答弁を得ておきましたので、具体化については別の機会にはっきりさしていきたいと思います。 それでは大分時間も遅くなってまいりましたが、最後に、三木内閣の一番大きな公約の一つである選挙制度の問題についてお伺いしたいと思うんです。 この中で参議院の全国区制度がわれわれ自身に関係する問題として出ているわけですけれども、総理大臣並びに自民党の総裁としての三木さん、これどうしようとお考えになっているのか、現在の時点に立って答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) この問題は、やはり二院制度のあり方の根本に私は触れる、簡単にいろいろ全国区制度と言っておりますが、これは全般の問題として検討をしてみなければならぬ問題で、われわれの今度の角度も、ただ金がかかるという面から取り上げておるんですが、金がかかるという面だけで私はないと思うですね。参議院のあり方として、二院制度というものが衆議院と違った参議院の使命を持つとするならば、全国区なども考えてみる余地が私はあると思うんです。自民党の中にも、全国区を比例代表制にすべしという意見が強いわけですが、その比例代表制の中身についてまだ党内の議論は一致してないんです。拘束制、非拘束制というものに対して意見は一致してないんですが、これは一自民党だけの問題でもありませんから、私は、でき得べくんばこういう問題というものは、選挙法というのは一つのルールですから、力だけで押し切っていくという問題ではないわけですから、これは各党間でこの問題のような問題は取り上げて、みずから解決するというようなことに私は持っていってもらいたいと党にも言っておるわけです。私に何か結論を出せと、こういう意見もあるんですけれども、そういう問題でもないと、これは皆が一つの、各党間に話し合いができなければならぬ問題でもありますし、自民党自身としても、ただ金がかかるからいかぬという角度ばかりではないと思いますよ、この問題は。そういうことで、まだ結論出てないんですよ、自民党でも。比例代表制にすべしという意見はみんなの意見だけれども、比例代表制の内容についてまだ結論が出ておりませんから、まあ私自身がここで結論を持つことも適当でないと思いますが、これはやはりこの国会で解決をしたい問題の一つだと思っておるわけでございます。
○和田春生君 私の聞いてるところによりますと、政府と与党の首脳に一任という形に自民党の中では結論が出た、そのとおりでございますか。
○国務大臣(三木武夫君) 私もこんな問題は、一任をとれば、そのかわりに賛否両派がその裁断には一言も文句は言いませんという保証がなければ、これはなかなか、やっぱり選挙法の規定というものは党員にとっては大変な問題でありますから、そこまで行ってないんですよ。新聞にはそういうふうに書いてありますけれども、まだそこへ来てないわけですから、まだ党内でいろいろ論議されておるというのが正直な段階でございます。
○和田春生君 そうでしょうけれども、各党間で話し合うといっても、最大の与党の中の意見がまとまらなければ、話し合いというものはなかなか進まないわけですね。ところがそれがもたもたしている。三木総理御就任の際の最大の公約の一つであったと思うんですね、中心的な公約の一つ。そうじゃないんですか、選挙制度の改正は。ちょっとそれを御説明ください。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、全国区制度というものについては、何も私自身が公約したわけではない。私が公約したのは、選挙制度というものは、ひとつ選挙粛正という角度から公職選挙法の改正が必要である。それには、公営の拡大とか、連座制の強化とか、選挙というものが、いまのような形で金かけて、そうして中央がそうなら地方も右へならえですからね。法定選挙費用というものは問題に余りされないわけですから。こういう状態であっては、こういう面から民主政治というものは崩れていく、こういうことでこれをやろうということであったんで、全国区というものを私は取り上げてはないんですよ。だから、選挙を、公職選挙法の、主として選挙腐敗行為に対して、こいつをやはりいろんな面から規制をしようということであったわけです。が、しかし全国区も問題の一つでありますが、私は、初めから全国区の問題というのを大きく取り上げたんでなくして、選挙の腐敗行為というものをなくさなけりゃだめだということを強く言ってきたわけです。しかし、これは問題点でございますから、私は避けて通る気持ちはないけれども、初めから全国区の改正を旗印にして選挙法の改正を言ってきたのとは事実と違いがありますので申し上げておきたいんです。しかし、避ける気持ちはありません。これもやっぱり問題として取り上げなければならぬ点であることは、これは御指摘のとおりだと思います。
○和田春生君 そうすると、選挙制度の改正は、衆議院の定数の是正と、それから参議院の全国区、それから地方区の定数、金のかからない選挙、政治資金の規制と、これがポイントですね。その中で、全国区の改正と衆議院の定数是正はワンセットでなければならぬと、しばしばこれは政府・与党から言われて、マスコミにも報ぜられましたけれども、あれはうそだったんですか。
○国務大臣(三木武夫君) うそということではありませんが、私は、定数の問題とか全国区の問題は、理設的に言えば各党で話し合いができないかと。私は三つ、いまの政治の改革案として、すでにもう法案みたいな形になって党に提示したわけです。その一つは、この選挙の腐敗行為防止といわれるような公職選挙法の改正と、政治資金規正法と、自民党だけの関係でありますが、総裁公選の規程に対する改革と三つを出したわけで、私は定数とかこういう問題、全国区の問題は、各党間でひとつ話し合いができないかということで、私自身の改革案の中には入ってないんですよ。党に出しましたね。それに、いま問題としてあることは事実でございますから、自民党の総裁としてこれを避けて通るつもりはございませんけれども、私の最初の問題としては、この中には言ってなかったわけでございます。したがってこういう問題は、でき得べくんば各党でこれを、みずからのことですから、このぐらいのことが各党間の話し合いで解決する能力を持たなければならぬじゃないかと私はいまでも思っておるわけなんです。いまでも、できれば各党間で定数の問題あるいはまた全国区の問題は、これはひとつ話し合って解決してもらえないかと、いまでも思っておるぐらいです。
○和田春生君 そうすると、三木内閣成立の臨時国会から今日まで、国会の中で政府・与党の公選関係の委員が、参議院の全国区と衆議院の定数是正はワンセットだと言い続けてきたということは、総裁の御存じのない自民党だけの考え方ですか。
○国務大臣(三木武夫君) まあその問題はやっぱり関連は持ちますからね、各党間で話し合うときに、関連を持って考えることは当然だと思う。私は、そういう一つの全国区や定数と、政治資金規正法とか、そういうものとはワンセットではないということでございます。それはやはり定数や全国区は各党間で話し合いしなけりゃならぬ課題でありますから、これは一緒に自民党が話し合おうという態度はあり得ると思いますよ。それが私の言う選挙の腐敗防止とか、あるいはまた政治資金規正法とワンセットだとは私は思っていないのです。
○和田春生君 資金規正法の問題ではない。 そうしますと、衆議院の定数是正については衆議院の方で各党の合意ができております。参議院の全国区について各党の話し合いができなければこの国会において切り離して処理する、そのことも当然あっていい、こういうふうに考えていいわけですか。
○国務大臣(三木武夫君) それは関連があることですからね、でき得べくんばそういうものを一緒に解決してもらいたいと。どうしても解決できぬというときにはどうするかという問題は、その時点において考えなければならぬ。定数是正もいつまでもほうっておけない問題ですからね、これは。しかし、でき得べくんばこれは両方を一緒に解決するということが、ワンセットとして解決するということは自民党としてそう考えることは当然だと思えますが、それはどうしても話し合いができないときの処置としては、またそのときにおいて私は考えなければならぬと思っております。
○和田春生君 そうすると自民党総裁として、総理大臣は、いまの点は切り離すこともよろしい、あり得ると、そういうことですね。
○国務大臣(三木武夫君) 切り離さないで一遍に解決——それくらいの解決能力を各党が持たなければ、これからの議会政治というのはやっていけぬじゃないかと思う。だから、ひとつそれくらいのものは解決してもらいたいと、こう願っておるわけで、いまから私が切り離してもいいんだと言ったら、皆解決の熱意をお持ちにならぬかも……。これはやっぱり全国区というのは問題だということは皆が言っているんですから、何か皆が知恵しぼってみて、そしてこれはお互いのルールですからね、自民党が得とか民社党が損とか得とかという問題じゃないんです。将来の議会政治というものを考えてみて、どういうルールでいくかということは、これくらいのことは各党で話し合いをすればできぬわけはないと、それをひとつしてもらいたいと。それをいまから切り離していいと私は考えておるというようなことになると、これはなかなかやっぱり解決がしにくいですから、いま言ったような問題はどうか各党間で虚心坦懐にひとつ話し合ってもらいたい。私、いま国会などで、予算委員会でずっと朝から夕方までおるわけです。もう少し時間が、私の余裕ができれば、私自身もこれは一つの党首会談の題目だと思っておるぐらいです、この問題は。
○和田春生君 それは、そうするとワンセット論というのは必ずしも総裁の意思ではなかったんだと。だから切り離して解決することもあり得るが、それは意見がまとまらない場合はやむを得ぬと、そういうことですね。
○国務大臣(三木武夫君) 和田さん、これを切り離そう切り離そうという意図がおありになるのかもしれませんが……
○和田春生君 いえ、私が言っているんじゃないですよ。
○国務大臣(三木武夫君) そうでしょう。ワンセットでひとつ話し合いをしてもらいたい、これが私のいまの考えでございます。
○和田春生君 どうもいまの三木総理の答弁を聞いておりますと、いままで与党の方が言ってきたこと、マスコミに報ぜられたことは、どうもまるきり全部変えちまわにゃいかぬようなことになるのではないか。それをワンセット論で、臨時国会や今日に至るまで審議にさえも入れずにきたというのが参議院の公選法特別委員会の現状ではないですか。総裁として御存じのはずでございます。責任を感じてもらわなくちゃいかぬと思う。この期にきていいかげんなことを言う。いかがですか、その点。
○国務大臣(三木武夫君) いいかげんなことを言ってないんですよ。ワンセットとして自民党がこれを解決しようとしたことは、これは無理からぬことである、だから今後においてもワンセットとして解決されることが好ましいと、こういうふうに考えておるわけですから。何もこう無責任なことを言ってきておるわけではないわけでございます。
○和田春生君 その点について、じゃ総理・総裁として何もイニシアチブをとらぬというお考えですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私はね、こういう選挙法の問題は、各党間で話し合って決めた方がいい。だれか一人がイニシアチブをとって、そして各党がいやなことを押しつけるという態度は ——ルールですから、共通の。共通のルールでスポーツのルールみたいなものですから、ワンサイドゲームというのはよくないですから、だから、皆が話し合ってやるんで、だれか一人がイニシアチブをとって、これでというようなことは、それはどうしても何か党の態度が決まらぬような場合にはあり得るでしょう。しかし、これくらいの問題というのは各党間で話し合って解決されなければ、これはやはりなかなか議会政治は健全に——皆がお互いに議会政治を健全に育てていくというのがお互いの共同の責任ですから、そういう意味で定数はこれは当然に是正しなきゃならぬ。それで一方において、全国区というものが弊害が多いということを皆が認めるならば、そうならば、やっぱりどうするかということを話し合って、これくらいは解決できるんじゃないでしょうか和田さん、話し合ったら。皆が小さい利益を離れて、比例代表まではいいと言うんですよ。比例代表まではまあいいんじゃないか。その比例代表をどうするかという方法論ですから、これはやっぱり比例代表にも反対の党があるのかもしれませんね。あるのかもしれませんが、大体多数は比例代表制がいいと言っている。そのやり方について違いがあるぐらいですから、これくらいは克服されなきやならないし、こういう問題は各党間で話し合いをされることが一番好ましいと私はいまでも思っているんですよ。だから私は、イニシアチブをとることにはあまり積極的でないんですよ。こんな共通のルール、どっちが正しいというものでもないですからね。そのときの弊害をどうしたら除去できるかということで、これが絶対に正しいというような問題とは私は必ずしも思わない。そういうことで一つの皆に話し合ってもらいたい問題で、先に、話し合いができてないときに私がイニシアチブをとってこれだと言って押しつけるというのは余り適当でないんではないかと思っているんです。しかし、皆ほかの各党の意見が、いろいろお話し合いする場合に、自民党の意見がまとまらず困るというときに総裁としての責任を私は回避いたしません。しかし、いまのところまだそこまでいってないですから、どうか話し合ってもらいたいということが私の心から願っておる点でございます。
○和田春生君 私は、三木総理が出て政治改革という点で執念を燃やしているという点に敬意を表したものの一人です。ところが、この重要な段階に来て、そういうぐにゃぐにゃ、ぐにゃぐにゃですね、ゼスチュアでやられたんじゃ困るんですよ。やる気があるのか、やる気がないのか。政治資金の規制も含めて首相としての所信を表明してくださいよ。
○国務大臣(三木武夫君) それは、私が政治改革をやろうという私のこの執念を疑われては心外です。これは、政治資金の規制であるとか、あるいは公職選挙法の改正であるとか、これは新聞などでもいろいろ自民党のいままでこう委員会の案が出ておるようですが、これが和田さん自身から見れば、なまぬるいとか、いろいろな御批判はあるでしょうけれども、いま福田自治大臣のもとで鋭意法案の作成をしておるわけですから、この国会に必ず提出をいたしますということでやっておるわけでありますから、だから私のこの政治を——いまの一つの選挙のあり方ですね、こういうものは改革せなければ、もう日本の民主政治というものはここから崩れてくる、いまのような選挙をやっておれば。そういう私の憂えは少しも変わってない。これは改革せなければならぬという執念にはいささかも変化はございませんから、どうかそういうふうにひとつお考えを願いたいのでございます。
○和田春生君 それでは重ねて確認をいたしますが、選挙制度の改革については幾つかのポイントがあるわけです。それについて各党の合意ができたもの、できるものからでも、できるだけ早く今国会中に実施すると、ワンセットでなければ問題は解決しないという形で、先にいたずらに延ばすというようなことはない、その意思だけを確認しておきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、公職選挙法の改正ですね、これはもうぜひやりたい。こういういまのような、もう中央から地方から、この選挙界の現状というものは、皆さんごらんになっても、これは日本で民主政治が健全に発達していく姿だと思いませんよ、地方の選挙を見ても。そういうことで、こんなに金かけたような選挙をやっておったんではどうにもならない、日本は。そういうことで、そういう面からは改正しますが、いま言ったような全国区のような問題は、これは少し各党間でもっと話し合いがしてもらえないのかと思うんですよ、全国区のような問題はね。こういうことで、そういうことは各党で話し合いのしてもらいたい部分は、もっと話を煮詰めてもらいたいと思いますが、このいまの政治の粛正の基本に触れるような問題ですね、この問題はこの国会に必ず上程をいたしまして、御審議を願いたいと思っております。
○和田春生君 最後に、この質疑を通じていろいろお伺いいたしましたが、私は、言葉のみ多く、具体的な御答弁が的確になかったということが非常に残念であります。いやな言葉でございますけれども、ヤマブキ内閣というのは花ばかりきれいだけれども実がない。そういうことがないように、あるいは風鈴内閣というように、音だけは涼しそうだけれども実体がないと、こういうことでも困るわけです。私は、当初の意気込みを忘れないように、三木総理が陣頭に立って政治改革に、経済改革に、国内の人心の改革に全力を尽くされることを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして和田春生君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 三木忠雄君。
○三木忠雄君 私は、日本の将来に関する重大な問題として、やはりエネルギーあるいは食糧の問題等を中心にし、さらに総理が公約したところの排ガス問題についての後退の問題について具体的な事例を挙げて質問をいたしたいと思います。 まず最初に、エネルギー問題について御質問したいと思うわけでありますが、まず、エネルギー政策は最も私は重要な政策の一つであると考えるわけであります。したがって、資源の少ないこの日本の国を、有効なエネルギーの確保について総理はどのような考え方をもっているのか、まずそれをお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(三木武夫君) 日本は、欧米諸国に比べて、やはり石油にかわるエネルギー資源というものの条件が一番悪い国であります。石炭の資源などもそんなに日本の場合は恵まれてないわけです。そういうことで、どうしてもやっぱり石油時代というものは相当に続く。だから、石油の供給というものが安定的に確保されるということは非常に大事であります。現に、中東方面から八〇%程度の石油を輸入しておるわけでありますから、したがって、中東と日本との関係において石油の供給というものが確保されるということが大事である。その間、原子力発電というものもこれは相当に重きを置かなければならぬわけでありますが、いまこの原子力発電に対する安全性に国民の不安があることは事実でありますので、これは原子力行政全般に対して安全性という角度からも再検討を加えたい。安全局という局も科学技術庁に置きましたことは御承知のとおりです。また、原子力全般のあり方に対していろいろ専門家の意見を徴すべく懇談会もつくることにいたしたことは御承知のとおりでございます。それからまた、日本がみずから資源の開発ということも努力をしなきゃならぬし、新しいエネルギーの開発、核融合の問題というものは日本が取り組んでいく課題であると私自身は思っておるわけです。これはサンシャイン計画などもございますが、その中においても、核融合というものの一つの研究開発というものは相当重点を置くべきではないかと思っておるわけでございます。そうして、また一方においては、消費の面からいっても、これは産業構造の上において、できるだけ省エネルギーといいますか、技術とか、頭脳とか、情報とか、そういう産業構造に時間をかけて計画的に転換をしていく、また個人の消費生活の中においても、できるだけ省資源ということを頭に入れた国民の消費生活もあってしかるべきである。まあこういうふうに、大きく見て日本のエネルギーというものに対してエネルギー政策の基本をそのように考えておるわけでございます。
○三木忠雄君 特にまあ将来の核融合等の問題については、これはまあ今世紀どうかという問題がいろいろ議論されるわけです。しかし、当面やはり昭和六十年なら六十年を目標にしましても、このエネルギー確保という問題が具体的に手が打たれていかなければならないと思うんです。一昨年のような、ああいう石油ショックのようなことを二度と繰り返しては私はならないと思うんです。こういう点について、総理はもっと具体的に、この所信表明で述べたような、具体的なエネルギー政策ですね、これはどういうものを持っていらっしゃるのか、その具体案を伺いたいんです。
○国務大臣(三木武夫君) まあ数字的なお話は後で通産省の方からいたすことが適当だと思いますが、とにかく日本が石油というものに相当依存しなければならぬというわけでありますから、そうなってくれば、日本の国内において石油の生産というものはほとんどないに等しいわけですから、どうしても産油国との間、まあ中東が主でありますけども、そのほかインドネシア、アメリカ、メジャーを通じて——アメリカと中東といっても、いままあメジャーを通じておる部門がDDオイルは少ないですから、そういう意味における国際協力という問題は私は非常に重視するわけでございます、非常に重視する。そういうことが一つの日本のエネルギーの、まあ今世紀ですね——やっぱり核融合の問題は二十一世紀の課題でしょう。今世紀の課題としては、やっぱりそういうものが中心になる。石油の安定的な供給の確保、一方においては原子力発電、こういう問題を私はエネルギーの中心に置いておるわけでございます。これを数字的に申しましょうか、通産省から少し補足説明をいたしてよろしい問題。
○三木忠雄君 通産省から具体的で結構ですから、数字で結構。この日本のエネルギー需給の見通しですね、この点についてまず伺いたい。
○国務大臣(河本敏夫君) いま総理からエネルギー問題の基本的な考え方についてお述べになりましたが、これを角度を変えて言いますと、第一は、いかにして必要なエネルギーの量を確保するかということだと思います。それから第二は、いかにして低廉なエネルギーを確保するかということだと思うんです。ただし、その方法といたしましては、いずれにいたしましても、わが国の置かれておりますいろんな立場から、これを国際的に解決していかなければ無理だと、国際協調が必要であると、まあそういう趣旨のことをお話しになったのだと思います。そういう基本的な考え方のもとに立ちまして、いかにして必要な量のエネルギーを安く確保するかということがこの問題の焦点でございまして、要するに、石油だけでは非常に不安定でございますから、石油以外に原子力であるとか石炭、こういうもののウエートを高めていかなきゃなりませんし、それから石油そのものもやはり輸入先を分散しなければならぬ、こういう問題があるわけでございます。さらにまた、長期的に見ました場合には、サンシャイン計画であるとか、つまり代替燃料の開発、あるいはまた省エネルギー産業の育成と、こういう問題があろうかと思います。関連いたしまして、必要な数字を申し述べる必要がありますならば、政府委員から答弁をさせます。
○政府委員(増田実君) お答えいたします。 エネルギーの長期計画でございますが、これは昨年の七月に総合エネルギー調査会で検討いたしまして、一応中間的に発表いたしたものでございます。これは内容の数字といたしましては、エネルギーの供給の限界を探るということでございます。この数字を後で申し上げますが、これは供給でございますので、需要がどれくらいになって、そしてエネルギー需給表をつくるということが今後の日本のエネルギーの長期計画でございますし、また、エネルギー政策の基礎になるわけでございますが、この作業は現在行っておりまして、五月か六月ごろには一つの中間的な結論が出るということになっています。 そこで、去年やりました一次エネルギーの供給可能量につきまして簡単に申し上げますが、昭和六十年度——約十年後ということになりますが、このときにおけるエネルギーの総合バランスをどうするか、また供給可能量はどうかということで検討いたしたわけでございますが、このエネルギーの総量を一応下限七億二千七百万キロリッター総トン、それから上限を九億一千九百万キロリッター総トンということで計算いたしたわけでございますが、この中で一番問題となります石油でございますが、現在約三億キロリットル日本が輸入しておるわけでございますが、これが昭和六十年度におきまして、五億ないし六億キロリットルになるということで計算いたしております。それによりまして、現在大体七五%以上が石油依存率になっておりますが、これが六一%前後になる。それから原子力でございますが、現在まだ稼働中のものが四百万キロワット若干欠けるところになっておりますが、これを昭和六十年度におきましては、下限五千万キロワット、上限七千万キロワットというものに持っていくと、これによりまして総エネルギーの中の占める地位が一八%ないし二〇%にするということでございます。これ以外、水力、地熱、あるいは天然ガス、石炭、その他も計算してございますが、一応省略いたします。
○三木忠雄君 いまエネルギー庁から発表の数字でいきますと、総理——通産大臣でも結構です。具体的にこれだけしかエネルギーの供給可能量がないと、こう考えますと、これは後でまた原子力の問題等は数字を詰めたいと思いますけれども、これでいきますと、予想される経済成長率というのはどの程度になるかということなんですね、エネルギー量から見た場合。どうですか。
○国務大臣(河本敏夫君) エネルギーの供給可能量というものは、もう刻々に変わっておりまして、去年の事情と、またことしの事情は変わっておると思うんです。そういうことでございますから、毎年見直していく必要があろうかと思いますが、したがいまして、このこと自身が、私はそんなに将来の日本の経済成長率というものを制約しないと、こういうふうに考えております。
○三木忠雄君 これ、福田副総理に伺いたいんですけれども、昨年の経済閣僚協議会でエネルギー問題がいろいろ懇談されたと思うんです。そのとき石油確保から見て、原油の輸入の実態から見て、五十年度の経済成長率は四%であろうと、こういうふうな話が出ているわけでありますけれども、やはり私は供給量、いろいろ時々刻々変わってくる問題もあると思いますけれども、日本の現在置かれている立場、資源の少ない日本の国の中で、エネルギーの供給量はどの程度は可能で、やはりそれに合わした経済成長率が考えられるんじゃないかと思うんですけれども、その点いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 経済成長は、これはエネルギーだけを考えるわけじゃないんです。他の重要資源がどんなぐあいで入ってくるだろうか、そういう際における国際収支は一体どういうふうになるだろうか、国際収支が、これが一昨年のような、あんなことになったんじゃ困りますから、大体バランスをとるようなことにしなければならぬ。それからもう一つは、物価のことがあるんです。どうしても高成長になれば、これは物価を刺激する、こういうことになりますので、そういう点を総合して成長率を決める。こういうことにせざるを得ないと思うんです。 それからもう一つは、わが国の、世界の中の経済大国といいますか、工業大国としての地位から見てどうかという問題があるんです。つまり非常に高い、七%成長でいきましても、十年間で日本の経済は倍になる。そういう場合に、一体世界の重要資源あるいは重要エネルギー、そういうものの輸出力、それに対してわが国がどういうシェアを持つか、こういうことになる。場合によると、わが国が世界の総輸出を大半買い占めしなければ、わが国の経済がやっていけない、そういうことを世界が許すはずはない。また、多量の資源を輸入し、多量のエネルギーを調達して経済の発展をいたす、そういうことが資源の関係から可能にいたしましても、そういうものを使いまして生産されるわが国の商品、それが高い成長のもとじゃ世界市場にはんらんをするということになる。それが世界の中の日本の経済として許されるかと、こういう問題もある。そういうことを考えますと、大体今後の世界の経済の成長に速度を——世界と申しましても、これは先進諸国です。そういうものをにらんで、その間で余りかけ離れた立場はとらない、世界と、大体先進諸国と肩を並べていくというようなことを考えながら、今後の成長を決めていかなければならぬだろう、こういうふうに考えるんです。いまちょうど世界的に変転期というか、激動期でありまして、いまこれから長期にわたる世界の成長の高さというものがどんなふうになっていくだろうが、ちょっといま見通し困難ですが、一、二年で大体の見通しもできるだろう。そういう際には、わが国も長期計画をつくるに当たりまして、そういう展望に立って適正な成長、それを基礎にいたしまして諸計画を立てなければならぬ、こういうふうに考えております。
○三木忠雄君 これは具体的に一つの例でございますけれども、この間、副総理から原子力発電ですね、特に原子力の六千万キロワット六十年度、これはやはり見直さなければならないという、こういうふうな見解を述べられたのを私伺っておりますけれども、これは副総理の見解でしょうか、それともやはり閣僚協議会等で統一をした問題でしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) まだ総合エネルギーの長期計画につきましては、その改定を閣僚協で検討はしておりません。おりませんが、大体の見通しといたしまして、六十年度目標のあの数字は、大方なかなかむずかしいのです。特に原子力につきましては、安全の問題でありますとか、あるいは立地の問題とか、そういうことがありまして、六十年度六千万キロワット、この目標はかなり困難であると、これは修正を必要とすることになるであろうと、こういうふうに見ております。
○三木忠雄君 総理も同じような考えですか。
○国務大臣(三木武夫君) その目標を会議で変更したという手続はございませんけれども、いまの進捗状態からすれば、その目標の達成は非常にむずかしいと私も見ております。
○三木忠雄君 私、これは非常に重大な問題だと思うのです。いまの原子力発電の建設状況、これは具体的に後で数字でお示し願いたいと思うのですけれども、やはり予定どおり進まない。進まないところに行政のいろいろな問題点があるわけです。安全の問題にしろ、あるいは働く労働者の問題にしろ、具体的な問題が数多く山積をし、原子力利用という問題に対する国民の不安というものが多いということです。これにやはり政府はこたえていかなければならない。こういう低成長下に向かおうというときに、エネルギーの計画、特に原子力の発電計画の数字を見直して、そうして安全に力を入れて、国民に信頼されるような原子力の利用という問題に持ってこなければならないと思うのです。そこで原子力の現在の建設計画と行き詰まっているいろいろな問題点は何か、これらの点について具体的に伺いたいと思います。
○政府委員(増田実君) 原子力発電所につきまして、現在すでに正式に運転いたしておりますのが八基、三百八十九万キロワットでございます。それから現在建設中のものが千二百万、これは若干端数がございますが、千二百万キロワットということになっております。 〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕 これの完成時期は、一応計画で完成時期の一番遅いのが昭和五十六年となっております。
○三木忠雄君 これが完成して、昭和六十年までで千五百万キロワットぐらいしかできないわけです。これはやはりここまでしか進まないいろいろな原因があると思うのです。その点について、通産大臣どう考えていますか。
○国務大臣(河本敏夫君) いろいろ問題があるのですけれども、一番大きな問題は、立地条件につきましてなかなか地元の了解が得られない、これが一番大きなことであろうと思います。でありますから、原子力発電を進めていきます上におきまして、最大の課題は安全性の確保、これが最大の課題であろうと思います。
○三木忠雄君 これ立地条件だけ、あるいはまあ安全確保とはしなくも言った問題でありますけれども、総理、これは具体的に六千万キロを掲げたって無理な数字なんです。実際上、いまからやって千五百万キロしかできない。これはまた後で私質問したいと思いますけれども、この石油の輸入という問題も非常に重大な問題になってくる。あるいはまた、水力発電にしても火力発電にしてもそんなに伸びない。こうなったときのエネルギーの確保という問題は非常に大きな問題になってくると思うんですね。この点についてやはり大きくこのエネルギーの供給計画は見直さなけりゃならないんじゃないかと思うんです。この点について総理のお考えを。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほどいろいろ原子力発電の数字についての議論がございましたが、仮に六千万キロ昭和六十年という目標が実現をしない場合には、それにかわるべき対策を考えなければならぬわけでございますが、その一つといたしましては、石炭に対する依存度をもう少し考え直してみる必要があろうかと思います。また同時に、あわせまして、石油の供給という問題はいま世界的に見まして一年前に比べまして非常に状態がよくなっておりまして、量をふやすということはさほど難事ではない。また新しい油田も方々に発見されておりまして、これは事情が変わっておりますから、石油の面でこれを補うということも可能であると。でありますから、この原子力発電の見通しがはっきりいたしますと、それにかわるべき方法は考え得ると、こういうことであろうと思います。
○三木忠雄君 ここがいつも通産行政のまずいところなんですよ。私たち、これはまあ二十年あるいは三十年先を考えたときに、エネルギーの問題がそんなあいまいな姿勢では困るわけです。私は、原子力発電何でもかんでも反対じゃないんです。やはり安全というものを確保し、原子力の発電を建設しなきゃならないという立場は、これは国民ほとんどが賛成だと私は思うんです。しかし、いまの政府の行政のあり方が非常にまずい。ちょっとつまずいたら、あるいはちょっと変なやり方をして、そしてとるべきところからとれない、あるいは輸入問題にしましても、いつも混乱をし、通産省内の一部内でこのエネルギー問題が絶えず操作をされて、大きなまずい問題になっているんじゃないか。それは国民生活に大きな影響を与えていると言っても過言ではないわけです。したがって、やはり私は、総理に、この際原子力の懇談会を結成されるという話を伺っておりますけれども、この原子力発電についての安全の問題、あるいは開発と規制の問題、具体的な問題を総理がどういう考え方をもってこの諮問委員会にかけようとしておるのか、この具体的な内容をまず伺いたいと思うんです。
○国務大臣(三木武夫君) 立地がなかなか困難だというのも、根本はやはり安全性に対する不安というのが大きな原因だと思いますから、ここでその安全局というようなものの一部局も設けて、そして安全の確保というものを集中的にあらゆる角度から取り扱うような部局を設けたんですが、私は、国民の不安を解消するために、いまの原子力委員会のあり方そのものからも、——だから懇談会というのは何かこう、いまの問題の間に合わせのようなものでなしに、もっとやはり原子力行政の根本にさかのぼっていろいろ検討をしてもらいたい。そしてこういう角度で原子炉というものの安全性がこうやって念を押されて、こういう過程を通ってこれは大丈夫だということが承認をされたというような、何かこう安全確保に対して、政府の責任というものがもっとやっぱり強く出てくるような、そういうふうな機構というものが要るのではないか。それと同時に、まあ国民に対しての理解と申しますか、そういうものに対して地域住民との間の原子力発電に対しての——これは新しい産業の開発ですからね、非常に不安が伴うわけで、これに対してもっと理解を持ってもらうためのまあ周知徹底するようなことにも——いままでやっておったにしても私は不十分だと思うんですよ。だから、安全そのものに対しての機構、国民から見てもこれだけまあ念を押して安全の確保に意を用いたとするならば信頼ができるというような機構と陣容、一方においては、国民に対して原子力発電というものに対しての認識というものを深めてもらうためのそういうふうな機能を強化する、こういうことが基本にあるわけでございます。
○国務大臣(佐々木義武君) 内閣につくりました原子力行政懇談会の目的等を補足いたしたいと存じます。 総理からお話ありましたとおり、昨年の「むつ」の問題等以来、国民の間には原子力の安全性の問題を中心にいたしまして、特に原子力行政に対して非常に厳しい批判がございます。このままではいけませんので、この際原子力委員会まで含め、抜本的な原子力行政のあり方をひとつ検討しようじゃないかということでつくったのが、内閣につくりました原子力行政の懇談会でございます。したがいまして、ただいまよく言われてます、いままでの原子力委員会はどちらかといいますと原子力の開発問題に主力を置きまして、安全の問題を少し手薄じゃなかったかと、あるいは同じ機関が二つの問題をやるということには矛盾がありはしないかといったような問題、あるいは安全に対する審査、検査等の責任の所在が分散しておって明確でないじゃないかといったような問題、あるいは安全問題に対する研究自体が日本は独自の研究がまだ不十分じゃないかといったような問題とか、先ほど総理からもお話ございました国民の理解を得るための手段、方法等もっともっと研究すべきじゃないかといったような問題を含めまして、原子力行政をこの際いかにあるべきかということをひとつ検討してもらおうというのでつくったのでございます。
○三木忠雄君 総理に伺いますが、この問題はやはり公開にされますか、公開。国民に公開するぐらいの息吹でこの問題に行政諮問委員会を取り上げるかどうか。——もう一つ私は意見として、この原子力委員会は中立のために、中立性にすべきで、やはり専門の立場の人たちを何人か常勤で置くような姿にすべきではないか、あるいは原子力委員長がやはり科学技術庁長官というのはちょっとまずいのじゃないかという感じが私はしているんですが、この点についてのお考え方を。
○国務大臣(三木武夫君) いま科学技術庁長官も言われておりましたように、原子力委員会というものが、何か開発重点というふうな感じもいたすような機構にもなってるわけで、安全審査というものにもつと力を入れるというんですから、いま言ったような原子力委員会そのもののあり方というものに対して根本的検討を加えます。いま御指摘のような委員長をどうするかというようなことは、いまのところこちらが案を持っておるわけではございませんが、まあそういう専門家の意見も徴して、そしてともかく国民がこの機構、これだけの機構改革をやったら安全審査というものを信用できるというようなものでなければ、これ進まないですからね。相当なこれは国民に対して、ことに「むつ」というあの事件は非常に不幸な事件であったわけでございますから、そういう点で根本的に見直してみたいと思っております。 それから公開の問題ですが、まあこれが重要な問題についてこの大要を国民に一つの知ってもらうためにおいて必要なものは、私は国民にできるだけ、公開といいますか、皆によく理解してもらうためにこれを発表するということは必要だと思いますが、原子力委員会のことを全部公開ということが適当かどうか、これはそういうことも含めてひとつ懇談会なんかで意見を徴してみたいと思っています。要は国民の信頼を、新しい改革された機構で信頼されるかされぬかということですから、そういう角度から、どういう形でそういう会議などの模様を国民に理解してもらった方がいいかということもよく研究をしてみたいと思います。
○三木忠雄君 これは具体的にいつごろまでに——三月に開く予定ですけれども、これ結論を出す予定ですね、この点について。
○国務大臣(佐々木義武君) 三月の十八日に第一回の懇談会を開催いたしまして、まだもちろん委員長等は——座長は互選でございますから、皆さんが話し合っての結果でないと何とも申されませんけれども、しかし、ただいまの大体の見通しでは、早ければ半年内、遅くても一年以内には結論を出すべきじゃなかろうかというふうに考えております。
○三木忠雄君 私は特にこの安全問題に対して、やはり原子力は国民にわからないというところに、またこの原子力関係者が非常にわかりづらくしてしまっているというところに、やはり国民が理解できない問題があるんじゃないかと思うんです。こういう点をやはり公開にするなりの、民主、自主、公開のこの三原則ですね、これはやはり踏襲すべきではないかと思うんです。特に、安全審査体制の問題については一元化を図ってもらいたいという、こういう点を強く私は要望として言っておきたいと思うんです。 次に、原子力発電所の事故の問題でございますけれども、先般アメリカの沸騰水型の発電が故障があって、日本で原子力発電の総点検をしたわけでありますけれども、この具体的な結果についてお示し願いたいと思うんです。
○国務大臣(佐々木義武君) これはBWRという原子炉でございまして、日本に六基ございます。先般、通産省の御命令で総点検に入ったわけでございますが、ただいまの段階では三基は全然故障はありません。それから一基には若干問題がございまして、あと二基はまだ実は点検中でございます。
○三木忠雄君 具体的に言ってください。
○国務大臣(佐々木義武君) 場所ですか。
○三木忠雄君 悪いところを具体的に。
○政府委員(増田実君) ただいま科学技術庁長官の言われました一基若干問題があるというのは、具体的には原子力発電株式会社の敦賀の原子力発電でございます。
○三木忠雄君 あと二基は——三基。
○政府委員(増田実君) あと二基でございますが、これ別に具体的に故障、それから問題点が出ておるわけでございませんが、まだ点検が終わってないということでございます。それで、具体的に申しますと、福島の一号とそれから島根の原子力発電でございます。
○三木忠雄君 これは通産大臣、この原電の総点検について、やはり何の根拠に基づいて総点検をやるようになってるんですか、この点についてお伺いしたい。
○政府委員(増田実君) ただいまのとめましたのは、電気事業法の五十二条に、安全規程を各社が設けるということになっております。安全規程では、問題があるときにはこれを点検しなければならないということがございますので、根拠規定は電気事業法の五十二条でやっておるわけでございます。
○三木忠雄君 そうしますと、アメリカから輸入したこのBWRですね、この問題について、やはり日本で実際上どこが問題であるかなんというようなことはわからぬわけですね。アメリカから言われてやはり総点検をしなければならない。確かに五十二条の条項によることはわかりますけれども、実際にアメリカの言われたままにやはり総点検をしなければならない日本の原子力行政の貧困という問題がうかがわれるんですけれども、この点についていかがですか。
○政府委員(増田実君) ただいまのこの点検を行いましたのは、アメリカのドレスデン発電所で同型の原子力発電所につきまして問題点があったという通知をアメリカ側から受けましたので、日本政府の判断といたしまして、各電力会社に対しまして、点検をするように命じたわけでございます。
○三木忠雄君 これは具体的な問題は私は別な委員会でやりますけれども、実際にこの総点検をやったために、相当な日数、原子力発電をとめなければならない。これはいろいろな問題点があるわけですね。私は安全総点検することは賛成です。しかし、行政の乱用によって、あるいは安全点検が一年間のうちに二ヵ月やらなきゃならないのです、原子力の発電所は。それをやって、すぐに、またアメリカからこういう通知があったからすぐにとめなさい、こういう形になってくると、その損害額はだれが負担するかという問題なんですね。この点についていかがですか。
○政府委員(増田実君) 先生のおっしゃられましたように、点検を命じますと、これは炉を停止いたしまして、調べるわけでございます。そのために相当な損害を各会社が負担しなければならないのはおっしゃられるとおりでございますが、これにつきましては、電力会社が負担するものということで私どもは考えております。
○三木忠雄君 具体的にこの六基とめたために、何日間とめて、大体六基でどのぐらいの金額になりますか。
○政府委員(増田実君) とめました日数がそれぞれの原子力発電所によって違いますが、どれくらいの損害がとめることによって出るかという御質問でございます。これにつきましては、これはいろいろな要素がございますので、一概に幾らということを計算いたすことは非常にむずかしいと思いますが、ただ、私どもの方でいろいろな試算しました金額の中には——失礼いたしました。五十万キロワットの原子力発電所一日とめますことによって、大体六千万円の損害といいますか、それだけの負担になるわけです。これは計算方法はいろいろございますので、もっとほかの計算によりますと、その半分以下になるわけでございますが、私どもの計算いたしましたのは、原子力発電所をとめて、その不足分をいわゆる重油をたきます発電所に切りかえる、そういたしますと、一キロワットアワー当たりの原子力の単価と、それから石油の単価、この比較をいたしまして、その差額を計算いたしまして出しましたのが、いま申し上げましたように、五十万キロワットの設備で一日六千万円になる、こういう計算でございます。
○三木忠雄君 私は、こういう具体的な問題は、これから詰めて質問するつもりは持っておりません。しかし、通産大臣、これはよく腹に決めてもらいたい問題です。これは一日いま六千万円と、こう出しましたけれども、私が計算すると三十万キロワットぐらいで大体七千万なんです。二十日間とめられると十四億の損害をこうむるわけですね。こういう点を考えますと、これが東京電力にしろ、あるいはまた原子力発電所にしろ、どこにしろ、そういう大きな損害をこうむらなければならない。確かに、安全総点検という問題は私は賛成します。しかしながら、いろいろな問題点が、通産行政とこの総点検の間にいやな問題が数々あるということなんです。こういう点が、安全の審査がどこで行われて、通産大臣の頭、胸一つでやっているのかどうかという問題が、非常に国民が負担しなければならない電気料金に入ってきているという問題なんです。この点について私は真剣に考えていただきたいと思うのです。この点について、通産大臣、どうでしょう。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど来長官が御答弁いたしましたように、電気事業法によって点検をしておるわけでございまして、ただいままでのところは安全の確保ということを最大の主眼にやっておるわけでございますから、そのために要したロス、経費というものは電力事業者が負担をすると、そういうことになっておるわけでございます。ただしかし、将来の問題として総合的に考えるべきだと、こういうお話のようでございますから、そういう点はよく検討してみたいと思います。
○三木忠雄君 これは総点検の分でありますけれども、たとえば美浜の第一号ですね、これはPWR、この問題はずうっと故障続きですね。これはやはり炉の輸入の問題、いろいろな問題がある。たとえば「むつ」のウエスチングハウス社との関係の問題、三菱関係がやったものは全部失敗していると言っても過言ではないわけです。こうなりますと、やはりこの炉の問題が、たとえば美浜の場合はほとんど動かない。こうなってくると、関西電力が相当この原子力発電に投資した金というものが国民のこの地域の電気料金にはね返ってくるという問題が細かく具体的に計算すれば出てくるわけですね。こういう点に、炉の建設の問題についてももっとやはり研究しなきゃならないのじゃないか、ばらばらではないかという点について私は通産省あるいは科学技術庁長官の意見を聞きたいのです。
○国務大臣(佐々木義武君) 先ほど申しましたように、アメリカから入れます軽水炉は二種類にわたっておるわけでございますが、この軽水炉の安全性に対しまする日本の独自の研究、これはもちろん世界的な範囲に、ソ連でもドイツでもフランスでもみんな使っておるわけですから、それぞれ情報を交換し、さらに安全なようにみんなで固めていくのは当然でございますけれども、しかし、どちらかと申しますと、わが国でやりますこの安全性の研究は、原子力発電所が軽水炉の安全を真剣にいま取っ組んでおりますけれども、まだ必ずしも十分とは言い得ない状況でございまして、反面、ドイツ等は安全性の方は同じ軽水炉を入れましても独自の安全性を機材その他を用いているようでございまして、したがって、アメリカで故障が起きてもそれにはそのまま応じない。自分の方独自で、点検等はやらないというふうな強い態度のようでございますけれども、残念ながらわが方は、ただいませっかく去年あたりから一生懸命この安全性の研究に取っ組んでいる最中でございますので、ただいまの段階では、まあアメリカでとめた場合には、安全のために日本でもひとつ追随して点検してみようというこの行き方はやむを得ざるものと私は判断しております。
○三木忠雄君 これは安全の点検とあわせて総理に私は意見として述べ、あるいは伺いたいのですけれども、いまこの原子力発電の開発について、原子力研究所、それから原電、それから動燃、それから電源開発、そして各九電力あるわけですね。これはおのおの原子力を持つということは会社としてのいろいろな考え方があると思いますけれども、やはりここらがお互いにむだが余りにも多過ぎるのじゃないか。開発銀行等の融資も大分行われておりますけれども、こういうまだ未経験というか、余り安全性という問題に対しても確証を得ていないこの炉については、たとえば二年間なら二年間同じ炉で一つの会社が経営をし、その実態を見た上で炉の開発を行っていくべきではないかというような私は考え方を持つんです。さすれば、安全点検をやっても、一カ月かかるところがやはり総点検をやっても十日で終わる。部品のパーツなんかでもすぐにその用意ができるわけです。こういう点をやはりこういう試験段階においてはもっと考えなければならないのじゃないかということを強く考える。このために、どれだけ国民にまた、事故のためにあるいは故障のために電気料金にはね返ってくるかという、こういう切実な問題を考えますと、余りにも開発行政がばらばらではないかということを指摘したいわけでありますけれども、総理の考え方をお伺いしたい。
○国務大臣(佐々木義武君) 少し技術的な問題にわたりますので、私がかわってお答え申し上げます。 総点検の問題でございますけれども、お話のように、これは普通の火力でありますと大体一月くらいでございますが、原子力発電は大体七十日くらい総点検にかかるわけでございまして、お話のように、これはもう少し改善の余地はありはしないだろうかと。先般電労連の第五次の進言、提言と申しましょうかございまして、その中でも、原子力発電の総点検はもう少し工夫をこらして短い時間でやるようにしたらどうだろうという提言がございますので、今後さらに研究を深めてみたいと存じます。
○三木忠雄君 総理、どうですか、その点について。
○国務大臣(三木武夫君) 三木さんのお話が、どうも、九電力とか、余り原子力発電の開発が多岐に各方面にわたり過ぎておるのではないかという御意見ですか。
○三木忠雄君 そうじゃなしに、やはり九電力から金も出して一つの原子力発電会社もつくる。各電力会社もおのおのつくっているわけです。これではまたまたばらばらで、やはり九電力が出費をして原子力発電所ができているわけです。それが実際上炉が完成していって二年なら二年の実績を見た上で各電力会社もそれをまねしてつくればいいじゃないかという考え方です。
○国務大臣(三木武夫君) いま日本の場合は安全性ということが問題になっていますから、原子力発電というものは非常に特異な技術開発の面のような感じをわれわれは受けるのです。欧米ではもうこれが普通のことのようになって、いろいろ問題はあるようですけれども、もうどこも安全性の問題とというものが日本のような深刻な問題にはなっていないわけですから、そうなってくれば、九電力会社が皆、電力会社が将来のエネルギー源というものは原子力にかわっていくので、そういうものが皆おのおの経験を積んだ方がいいのではないかという——最初のときに三木さんの言われるような議論があったんですよ。どこか一本でやって、そしてそれが普及して皆がやるようになったほうがいいのではないかと。まあ国営論もあったぐらいですね、最初の開発をやるときに。しかし、やがて一般にあたりまえのものになってくると、そうなってくれば、電力会社がエネルギー源をこれに非常に依存するということが必ず来るんだから、そうなれば、皆経験をいまのうちに積んでおくことが、これを実際の産業政策として考えたときには、その方がベターではないかということで、各社が皆それぞれ経験を積んでいくと、こういうことにしたわけでございまして、これはいま安全性の問題というのは政府が本腰をこれから入れてやろうというのですから、そうなってくれば、いろいろ分かれておるようだけれども、皆それぞれ研究を、研究といいますか、経験を積んでいくことは、将来のためにやはり悪いことではないのではないか。一般のものになってくるということになってきた場合には、ある特殊などこか一本にまとめてということよりも、やはり技術者というものもこれ訓練を積んでいかなければなりませんから、そういうこう集中的なよりも、分散していろいろな新しい産業の開発に皆が経験を積んでいくということが、安全性の問題さえこれが確保できるならば、そういうのは産業政策として私はいまの型で悪くないのではないかという感じを持つのでございます。
○国務大臣(佐々木義武君) 失礼いたしました。さっきいまの点を落としまして。 総理のお話に引き続きますけれども、安全性の独自な日本の研究は、軽水炉に関しましては、先ほど申しましたように、原子力研究所で九電力の皆さんと協力しながら進めてございます。それから新しい炉、すなわち新型転換だとか、あるいはファストプリーダーとかいうものは、これは動燃の方でその安全性をあわせて独自に進めております。したがって、ただいまお話しございました軽水炉に関して各九電力がそれぞれまちまちで、思い思いに、同じPWRにしても、それじゃ質が違ったような輸入の仕方をして建設するのはおかしいじゃないかと、もう少し統一してやったらどうだろうという御提言のようでございまして、これは私どももいまのままではどうもやっぱりぐあいが悪いと。できますればもっと標準化してやった方がいいのじゃないかということで、原子力委員会に部会を設けましてせっかくただいま研究中でございます。
○三木忠雄君 これはもうぜひともいま技術庁長官の答弁のように、やはりそれがいいと思っても現実に非常に負担になってきているわけですね。完全な炉じゃないわけですよ。まだ商業炉にならない。関西電力の美浜発電所はとまりっぱなしなんですね。これは結論的には電力会社に大きな負担になってきている。これが電気料金の値上げにつながってきているわけです。莫大な設備投資、莫大な金額なんです。こういう問題はやはりメスを入れなければ、私は国民にこたえられないと思うのですね。ただ開発さえすればいいんだという、こういうふうな考え方に大きな誤り、あるいは六千万キロワットを何としても達成しなきゃならないという政府の指示というか、それがやはりこういう開発体制に大きなそごを来しているのではないかと、こう考えるわけです。総理、もう一遍御答弁を……。
○国務大臣(三木武夫君) 長官もいま御答弁の中にありましたように、これは研究をするということですから、研究をさせていただきたいと思います。 私が言ったのは、これはもう電力会社がエネルギー源はやっぱり原子力発電に相当ウェートがかかってくるから、皆九電力会社が経験を積んだ方がいいと、原子力発電に対して。この一般論でございまして、いま具体的な問題について原子力行政の上からいろいろこれに対して改革を加えるということに対しては私は何も異存はないわけで、しかし、各電力会社に開発の経験を持たした方がいいということは私はいまでもそう思うんです。しかし、その内容に至っていろいろ改革を加えることには何の異存もございません。
○三木忠雄君 それではこの原子力問題で、最後に補償問題で一点伺っておきたいのですけれども、賠償法と補償契約法について原子力事業者に集中の保険がかかっていると思うのです。この無過失の賠償補償法というものはどういうぐあいになっているのか、この点についてお伺いします。
○国務大臣(佐々木義武君) 大分、いまから十数年前でございますが、私がまだ原子力局長をやっておりました当時、東大の我妻教授を中心にいたしましてずいぶんこの問題を深く研究したのでありますけれども、その際、まず第一番目に問題になったのは、過失がないから賠償の責めに応じないという従来の民法の法則ではとうてい救いがたいぞということで、日本ではたしか初めてかと存じますが、無過失賠償責任というものを初めてつくりました。同時に、責任者を明確にすべきであるというので、原子力事業者そのものを最終的な責任者に決めまして、そうしてその賠償の仕方は保険制度でいこうじゃないかということで、賠償責任保険の措置を決めまして、これがもし第三者に損害を与えた場合には、一万キロワット熱出力を超える原子炉に関しては六十億円、一万キロワット以下のものに対しては十億円を限度にいたしまして、この保険に強制的に入るべしと。ただし、保険会社で受け付けないものがございまして、地震とか津波とかあるいは噴火とかといったようなものは国が保険にいたしましょうということで、いまの六十億円を国の限度にいたしまして保険に入っております。もしそれ以上にそれを超えたものがあったらどうなるかということで、これもずいぶん当時議論したところでございますけれども、結局、賠償法によりましてはその国の六十億円を超えた場合には国会の議決を経た範囲内で国が援助しようと、こういうふうにしておりまして、万全の措置をとっておるつもりでございます。 ただ、当時は原子力事故を非常に概念があいまいでございましたのを私は記憶しておりますので、少し恐縮でございますがお話し申し上げたいと存じますのは、この前からの質問でもお話ししましたように、いわゆる故障と事故というものを非常に混同しておりまして、いまアメリカでは故障というよりはむしろリスクという言葉を使っております。したがって、第三者に対して損害を与える、あるいは環境を汚染すると、こういうものはリスクであって、炉内の故障とは違うのだと。炉内の故障は、さっき申しましたようにいろいろございまして、炉をとめて修理しておるわけですけれども、それは修理すれば直る性格のものでありまして、別に第三者に被害を何も与えません。したがって、この損害賠償制度というものは、おそらくそういう第三者に対する事故が起こるであろうということを想定してつくったものでありますけれども、アメリカの原子力委員会が、軽水炉が世界にほとんどびまんしておりますから、これに対する安全性の確立の面ではっきりさせようじゃないかというので、ラッスムッセンという学者を中心にいたしまして六十人のスタッフで膨大な費用をかけまして大分二年間研究いたしまして、去年の八月に結論を出しております。その方法は、国防省あるいはNASA、宇宙開発で開発いたしました事故査定の新しい手法を用いまして非常に貴重な結論を出しておるわけですけれども、その結果はどうなっておるかと申しますと、原子炉自体からそういう事故が生ずるかどうか、リスクがあるかどうかという問題と、それから他の同じ手法でやった場合に他の事故との比較がどうかという結論を出しまして、それによりますと、お叱りをこうむるかもしれませんが、原子力というのは大変安全なものでございます。最も安全なものでありまして、仮に、例をあげますと、自動車は一年間に個人の損害率は四千分の一です……
○三木忠雄君 簡単でけっこうです。
○国務大臣(佐々木義武君) それから航空機は十万分の一ということで、この原子炉の事故は、百基を基礎にした場合には三億分の一、それから一基の場合には三百億分の一というので、ほとんど第三者には被害を与えないという——というのは、もう詳しい話はやめますけれども、故障がそういう大きい事故に結びつかぬようなあらゆる操作をしているのが原子炉でありまして、その操作自体を説明しては長々しいからやめますが、要するにそういうことで、原子力損害賠償法をつくりましたけれども、もちろん世界の商業炉ではそういう第三者に損害を与えたというような事故は一つもございません。日本も一回もございませんので、補償制度はつくりましたが、実際の発動はしてございません。
○三木忠雄君 実際の発動をしていない保険を事業者にかけさせているわけですね。非常に矛盾しているといえば矛盾している。まあしかし私は、たとえば具体例であの「むつ」の場合に、ホタテガイがあの原子力船のためにホタテガイが安くなると、こういううわさでホタテガイが、実際安くなったわけですね。こういう問題は無過失賠償法が適用されるんじゃないんですか、いかがですか。
○国務大臣(佐々木義武君) 「むつ」の場合は、海水を汚染したとか、あるいは乗組員の身体に障害を加えたといったことはもちろんないんでございまして、ただ、中性子が出まして、そして放射線となって、これもごく微量でございますが、出たので、安全のためにこれをとめているどいう状況でございまして、別に第三者に損害を与えたというふうな事実はございませんです。したがいまして、原子炉そのものの事業者に、おまえは損害を与えたじゃないかということで、この面から損害賠償の責めに応ずるというのではないわけでございまして、そういう賠償法からは損害補償しておりません。
○三木忠雄君 ちょっと私不思議なんですけれども、陸奥のホタテガイも第三者ですよね。あるいは敦賀湾で、コバルト60があったということで魚価が下がったんですよ。魚がやはりうわさで下がったんですね。こういう場合の補償はだれがするかということなんです。この点について明快に答弁願いたいと思うんです。
○政府委員(生田豊朗君) 原子力損害賠償法の適用の対象になりますのは、いわゆる原子力損害でございます。すなわち、原子炉その他の運転の結果といたしまして、原子力あるいは放射能による被害を受けた場合、これが原子力損害でございますので、たとえば「むつ」の場合で申し上げますと、これは試験を開始いたします前に原子力損害が発生した場合には、当然原子力損害賠償法によって損害が賠償されるということを青森県知事との間に約束したわけでございます。ただいま先生御指摘の、うわさによって魚価が下がった場合、あるいは敦賀湾の場合、それらは、いわば原子力あるいは放射能によって汚染された結果損害が発生したということではございませんので、いわゆる原子力損害という考え方ではございません。したがいまして、原子力損害賠償法の適用外であると、かように考えております。
○三木忠雄君 ここはちょっとおかしいんですよね。そんなはずはないはずですよ。やはり原子力があるためにあの敦賀湾の漁民の生活は大変なんですよ。敦賀湾から持ってくる魚は食べられないというような感じが一時うわさになってその魚価は下がったんです。じゃあ、現実にこの原子力の賠償法の支払い規定はありますか、どういう規定がありますか。
○政府委員(生田豊朗君) 支払い規定その他細かな規定につきましてはまだできておりません。これは具体的な事実があらわれました段階で検討してまいるということでございます。
○三木忠雄君 これは私は、おかしいんですよ。ないんですよ、調べても。こういう問題があって、出してくれと言っても出せないんですよ。この問題について明確な答弁。そういういままで事故がないから支払い規定がないというのは、そんな問題ないですよ。 じゃ運輸大臣に伺いますが、突然で申しわけないんですけれども。無過失の自動車損害賠償保険はちゃんと支払い規定あるでしょう。どうですか。
○国務大臣(木村睦男君) ございます。
○三木忠雄君 あるんです。原子力だけないんですよ。これは問題だね。
○政府委員(生田豊朗君) 御説明申し上げます。 原子力損害賠償法の第二条におきましてこう規定しております。「「原子力損害」とは、核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物の放射線の作用若しくは毒性的作用により生じた損害をいう。」ということでございますので、放射能その他によりまして汚染されたという事実が明確でございますれば、これは当然この法律の適用の対象となるわけでございますので、そこの認定の問題だろうかと考えております。
○三木忠雄君 違うね。観点がちょっと違う。その支払い規定が具体的にあるかどうかということだよ。
○政府委員(生田豊朗君) 現在のところ支払い規定はつくっておりません。ただ、これで原子力損害賠償法によります支払いの請求ができました段階では、当然この支払い規定をつくることが必要であろうというふうに考えております。
○三木忠雄君 これは具体的に支払いの問題は生じているんですよ。漁民が泣かされているんですよ。委員長、こんな答弁では私は納得できない。
○政府委員(生田豊朗君) この原子力損害賠償法によります損害賠償の請求あるいは支払いの問題につきましては、最終的にはこれは裁判の問題でございます。現在、原子力損害賠償法によりまして損害賠償の請求訴訟が一件行なわれております。これはまだ公判中でございます。したがいまして、仮にこの原子力損害賠償法の適用が受けられるということになりました段階では、当然この支払いにつきましての細目の規定をつくってまいりたいと、かように考えております。
○三木忠雄君 法制局長官いいよ。あなた、法律でごまかそうたってだめだよ。具体的に漁民は困っているんだ、魚価が下がって。実際これ、あるんだ。原子力潜水艦もあるんだ、原子力潜水艦も。
○政府委員(吉國一郎君) ちょっと法律的な側面を申し上げます。 原子力損害の賠償に関する法律によって、この間の陸奥湾のホタテガイの関係の損害賠償を請求することは法律的にはできません。それはなぜかと申しますと、いま原子力局長が申し上げましたように、原子力損害の賠償に関する法律で賠償いたしますのは、第一条で、「原子炉の運転等により原子力損害が生じた場合における損害賠償に関する」云々と定めてございますので、この法律の目的がはっきりいたしておりますが、第二条の定義の中で、第二項で、「「原子力損害」とは、」ということで、「核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物の放射線の作用若しくは毒性的作用により生じた損害をいう。」ということでございますので、ホタテガイに現実に放射線による毒性的作用等が起こればもちろん損害賠償の対象になりますけれども、そういう問題ではございませんので、原子力損害の賠償に関する法律の適用の問題じゃございません。 原子力損害の賠償に関する法律の支払い規定というようなお話がございましたが、原子力損害賠償のこの法律では、損害の賠償は責任保険契約と補償契約によって行なわれます。その保険契約等の措置を講じていなければ原子力事業者は原子炉の運転等をしてはならないことになっておりますので、必ずその措置は講じられているわけです。さっき定義で申し上げましたような、原子炉の運転等によって生じた原子力損害があった場合には、 〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕 それで当然保険契約と補償契約によって賠償の措置が講ぜられて、それで足りない場合には、さっき科学技術庁長官が申し上げましたように、国が出てまいるということになります。 陸奥湾のホタテガイの問題については……
○三木忠雄君 私は陸奥湾だけ言っているんじゃないんですよ。
○政府委員(吉國一郎君) 陸奥湾の問題については、これは民法の損害賠償の規定七百九条によって、相当因果関係があったかどうかということによって判定されて、もしも相当因果関係があるということになれば、この原子力損害の賠償に関する法律によってではなしに、民法七百九条の規定によって、あるいは民法七百十五条になるかもしれません——の規定によって、一般の損害賠償の問題として処理される問題であろうと思います。この原子力損害の賠償に関する法律は、先ほど申し上げましたように、放射線の作用もしくは毒性的作用による損害の賠償にのみ適用されるということで、先ほど原子力局長がるる申し上げたとおりのことに相なると思います。
○三木忠雄君 それは補償契約法の方じゃないですか。私が聞いているのは、無過失の賠償法について伺っているわけなんです。これについての支払い規定がないということです。会社は保険を掛けているわけですよ。実際に支払い規定がないわけですよ。これは陸奥湾だけじゃなしに、敦賀湾でもこういう問題で非常に漁民は悩んでいるわけですね。こういう無過失に対して、魚価が下がった、市場へ持っていっても、あれは原子力のマグロだからだめだといって、実際にうわさで下がった事例があるんです。こういう問題に、だれが責任持って支払うかという問題なんです。保険は掛けているんです、会社は。もういいから、支払い規定を出しももらえばいいんです。
○政府委員(生田豊朗君) 支払い規定の問題でございますが、支払い規定がないと先生もおっしゃいました、私も申し上げましたのは、政府の補償分につきましての会計処理上の規定がないということでございます。で、支払い一般につきましては、原子力損害賠償法の施行令の第六条におきまして、「(補償金の支払)」、これは読み上げますと、「科学技術庁長官は、原子力事業者から補償金の支払の請求があった場合は、当該請求があった日から三十日以内に補償金を支払わなければならない。」という一般的な規定はございます。それから原子力事業者の保険あるいは供託によりまして金を用意してございます分につきましては、これは当然この支払いの請求あるいは裁判所の決定によりまして支払われるわけでございますので、これは支払いの会計的な規定にかかわらず支払われると、かように考えております。
○三木忠雄君 私はいまの答弁じゃ納得しないんです。この問題だけで私時間とりたくないんで、前へ進めますけれども、これは実際上支払い規定ないんです、いま原子力局長認めているとおりに。私もこういう問題で漁民から訴えられて、具体的にやって、政府にこういう問題がない。科学技術庁長官、この問題ははっきり認めて、私は改正すべき——改正したらいいと思う。何も審議をストップさせようとか、そんなやぼな考えは持っておりません。もう少し明確に、こういう無過失に対して支払い規定を設けて、明確にそういう請求に対しては支払うという点をはっきりしてもらいたい。
○国務大臣(佐々木義武君) 先ほど来お話ございましたように、原子力賠償法に基づく損害賠償は、それぞれ因果関係の範囲が決まっておりまして、いまのお話のは、直接原子力から出る放射能等によっての損害と違います。したがいまして、法制局長官のお話ございましたように、民法等の規定でこれをカバーするのであれば当然カバーすべきものじゃなかろうかというふうに実は考えます。
○三木忠雄君 答弁じゃないな。どうもそれはっきりしないね。
○矢追秀彦君 関連。 長官、質問者の質問をよく聞いて答えていただきたいと思うんです。いまのは答弁になってないわけですよ。法改正をしてもいいからちゃんと検討すべきだと、ここまで言ってるわけですよ。全然検討も何もないじゃないですか、いまでちゃんとできるという。現状でできればすべて問題は解決しているわけじゃないですか。解決をしてないから質問しているわけです。どうするんですか、これから。
○国務大臣(佐々木義武君) ですから、この原子力賠償法の適用の範囲を広めまして、放射線等による損害でないのに損害だということで損害賠償するということは、これはおかしいと思います。したがいまして、そうじゃなくて、いわば経済的な人気等の、ほかの要因による損害賠償でありますれば、この原子力賠償とは直接の因果関係はないわけでございます、相当な因果関係はないわけでございますから、それは民法等による損害賠償で処理していくべきじゃなかろうかと、こういうふうに考えます。しかし、せっかくのお話でございますので、なおデリケートな問題でございますから、研究してみたいと存じます。
○三木忠雄君 せっかくじゃないんだな。ないんだ。私は答弁に納得しませんけれども、やはり政府が善処してもらいたいと思うんです。これは実際にそういう事実があるわけです。この点で国民は泣かされている問題です。この点について、やはり事業者に責任が全部集中しちゃって、事業者が実際困るわけですね。政府へ行けば全然払わないという形になるわけです。この点についてやはり明確な線を出しておいてもらいたいと思います。 最後に、この問題、同じ補償でありますけれども、特に下請事業が非常に多くなってきているわけです。この問題、たとえば敦賀にしろ福島にしろ、この下請事業者がやはり被爆手帳を持っていない。あるいはまたそこの地域には公立の健康管理センターみたいなものがないわけです。こういう問題について、たとえば事故が起こった場合にどこへ持っていっていいかわからないと、こういうふうな問題があるわけです。この点は、やはり公立の健康管理センターなりいろいろ原子力関係の病院というか、こういう問題は、やはり発電所をこれから多くつくろうという過程においてはこんな問題が非常に大きな問題になってくるんじゃないかと思うんですね。この点についてお尋ねします。
○政府委員(生田豊朗君) ただいま先生御指摘の点は非常に重要な点でございますので、被爆手帳を、ただいま電力会社は持たせるようにしております。ただ、ただいま御指摘の下請の場合、しかもその職場が転々として移ります場合に、その被爆手帳が必ずしも十分でなくなるのではないかというふうな御指摘もございます。 それから健康管理センターにつきましても、確かに御指摘のような点がございますので、その点はそういう方向に前向きに検討してまいりたいと考えております。
○三木忠雄君 それでは次に外務大臣に伺いますが、この核防条約と——科学技術庁長官の方かいいかもしれません——原子力の平和利用の問題についてどのように考えているのか。
○国務大臣(佐々木義武君) 現在の状況は、二国間条約のみ存在いたしまして、核防条約にまだ批准しておりませんので、二国間——米、英、仏、カナダ、豪州、西ドイツ、こういうところとそれぞれ相互条約を結びまして、そして燃料等の供給を受けておるのでございますけれども、その方は一つの例を米国との相互条約に当てはめて考えてみますと、前に、当初に結びました相互条約では、米国は日本でやります発電に関しては供給の義務を負うと、濃縮ウラン等の供給の義務を負うということを明示しておりましたが、一昨年これを変えまして、そして六千万キロ、先ほど問題になっておりました六千万キロワットの発電に所要する濃縮ウランは契約によると、具体的に言いますと、わが方の九電力と向こうのAECの契約によるということで供給の義務を外しております。したがって、油の問題が起こりまして非常にウランの需要が増しました際に、わが方で交渉いたしますと、必ずしも円滑にいくとは申されません。そういう関係もございまして、もしこの条約に、国際条約に加盟いたしますと、その点はもう一つ保障を確実に得られるような規定になっておりますので、相互条約とこの国際条約を合わせれば、大変燃料の供給等は確保上確実になるんじゃなかろうかという点が一つ。 もう一つは、査察を受けました際に、その査察が秘密の保持を破ったり、あるいは業務を妨げるような、ディスターブするようなそういう査察をするんじゃなかろうか、あるいは他国に比して不当な査察を受けるんじゃなかろうかというふうな点で危惧の念がございましたけれども、これは再三お話ししますように、今度の第五次の予備交渉でこれを解消いたしましたので、そういう点から見ましても、この条約に加盟していることは、平和の利用を阻害するんじゃなくて、むしろ大変その促進に役立つというふうに御理解いただきたいと存じます。
○三木忠雄君 総理も所信表明の中で、原子力の平和利用につき、その査察が西欧などと平等に行われることなどの条件が満たされた上で批准の手続をとると言った。これはもう満たされたわけですね。この点について、特にこの核防条約に関して、八日ですか、キッシンジャーの書簡が届いたという、こういうお話でございますけれども、この点、外務大臣か総理。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのようなことを承知いたしておりません。
○三木忠雄君 そこに大体持っていらっしゃる。それ読んであげればいいんです。違うの。
○国務大臣(宮澤喜一君) ございません。
○三木忠雄君 まあそういうことはなかなか出したがらないそうでありますけれども、私もいろいろ情報の中で、キッシンジャーの書簡が届いて——まあ私何も悪い問題じゃないと思うんです。こういうこの核防条約に対して、やはり平和利用の面から考えた場合には、やはりメリットがあるという点を私も感ずるわけです。いまの政府の姿勢からいったならば、恐らくこの核防条約はこのまま見逃されるんじゃないかというような感じもするわけです。こうなってきますと、やはりあの保障措置協定等の問題から、国際信義上見てこの問題はどういうふうに考えられますか。もし批准が行われなかったならば、どういうデメリットが出てくるかということについて、外務大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまお話しの保障措置協定を、条約を御審議願います関係上、協定そのものを条文化して国会にお目にかける必要があると考えておりまして、その作業が四月の初めぐらいまでかかるかと存じます。他方で、この条約を署名いたしましたときに政府声明をいたしました他の二つの問題国際的な核軍縮の進展と非核保有国の安全保障という問題につきまして、その後十分な発展があったかなかったか、政府としては、まず長い目で見て、傾向はいい傾向に向かっておると考えておりますことは、先般総理大臣からこの委員会で申し上げましたが、それについていろいろ議論がございますので、保障措置協定の条文化が済みますまでの期間、そのような議論がただいま世間でも行われておりますし、主として自民党の党内でもまた行われておるわけでございます。で、政府といたしましては、三つの条件が、満足ではありませんにいたしましても、整う方向にあると判断しておりますし、この条約を国会の御審議を願わないということになりますと、わが国がせっかく軍縮運動の先頭に立っておるそのことについても、みずからの行動によってそれを示すことができないということになりますと、それなりにまた国際的な核軍縮の動きに逆効果を及ぼすというようなことも国際的な影響として考えなければなりません。そのようなでメリット——ほかにメリット、デメリットの議論はいろいろございますけれども、ただいまお尋ねの点で申しますと、その点はよほど考えないといけない大きなデメリットではないかというふうに考えております。
○三木忠雄君 そこで、この核防批准の推進に当たって、フランスや中国に対しては具体的にどのように対処していこうと考えていらっしゃるのか。
○国務大臣(宮澤喜一君) フランスも中国も、御承知のように独自の立場からこの条約に加盟をいたしておりません。したがいまして、五月にレビューの会議がございましても、再検討の会議がございましても、わが国としては、加盟国に対してはいろいろこの問題について議論を述べることができますが、そうでない国に対しては、その場ではいろいろ主張することができないことになります。そこで、実はただいまそういうことも含めまして、在外の公館に対して、それらの国も実は含むわけでございますけれども、この問題をわが国としてどのように加盟国並びに非加盟国に呼びかけていったらいいかということについて、私として意見具申を実は求めておるところでございます。
○三木忠雄君 これは外務大臣あるいは総理大臣、具体的にこの問題は折衝される予定はございますか、この核防批准に当たって。
○国務大臣(宮澤喜一君) これにつきましては別途一九六八年、国連の安保理事会で一つの決議があるわけでございます。で、これもいろいろ問題はございますけれども、わが国にとりましては、ことにその決議の第三号で国連憲章五十一条を引用しております点など、いざというときの安全保障になろうかとは思っておりますけれども、当時、実は現在の中華人民共和国が国連におったわけではございません、御承知のように。そういうこともあり、いたしますから、その決議を何かの方法で再確認をするとか、どういうようなやり方でそれらの国にただいまの御指摘の問題を確認するかということを、もうしばらく研究をさせていただきたいと思っております。
○矢追秀彦君 関連。 先ほど外務大臣の言われた、この核軍縮の進展の問題ですけれども、この二月五日にアメリカの議会にアメリカのシュレジンガー国防長官が報告しておりますが、これの冒頭の言葉を読みますと、非常に私は脅威を感ずるわけです。ちょっと読んでみますが、「強力な男が武装して自分の宮殿を守っているときになしうる善は、平和のなかにある。」と、その次に、「われわれはもはや過去の時代の神のように天と地を動かすような力は持たないが、それでも、あくまでも強い意志をもち、努力し、探求し、発見し、その意思を放棄するようなことがあってはならない」と、要するに依然としてその「天と地を動かすような力」に対して、その「意志をもち、努力し、探求し、発見し、その意思を放棄」してはならぬと、こういうことを冒頭に述べまして、そのあと、「ソ連は現在、国防にアメリカより多くの資源を投入している。」と具体的な数字も挙げ、軍人数あるいは国防予算の実効国防費を挙げまして、むしろアメリカの方がいまソ連より劣ってきているのだ、だからアメリカは国防を強化しなければならぬと、こういうふうなことを議会に報告をしているわけです。まあこれからアメリカの議会がどう反応するかは、これはこれからの見ものでございますけれども、依然としてアメリカ政府は、この核に対してはさらにソ連に対抗するだけもっと強くしなきゃならぬとまで言っておりますし、このいま冒頭に読み上げた言葉を見ましても、依然として米ソ二大超核大国の世界支配の考え方というのはまだまだ抜けていない。こういうときにあって、私たちは核防条約の批准をやることについては賛成でございます。しかし、この核軍縮というものを日本が国連の場を中心としてどうこれからやっていくのか、やはりそこに日本の外交というものが相当しっかりしていかなければ平和の世界を建設することはむずかしいと思うんですが、このシュレジンガー国防長官の議会の報告書について外務大臣はどうお考えになっておるか。核軍縮——先ほど長期的にはいいんだと、こう言われましたけれども、その点についてはもう一度はっきりお願いしておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) せんだってこの委員会でもお尋ねがございまして申し上げたところでございますが、たとえばラテンアメリカの非核地帯の条約に対して、その議定書で核保有国が保障をすることになっておるわけでございますけれども、ソ連がその保障を与えないためにこの条約は有効に動いておりませんというようなことから、ソ連の意図についていろいろな観測が行われるわけでございます。で、シュレジンガー氏のいまの話も、そういったようなところにやはりソ連の意図をそんたくしてのことであろうと思われますし、他方で、米ソの核のいわゆる手詰まりによって現在のデタントが保たれておるということも事実上事実であると思います。けれども、昨年のウラジオストックの会議で、あの結果に出ておりますように、両者ともある程度の天井を設けることには合意をした、天井は確かに高いわけでありますけれども、青天井の競争をすることはやめようということまでは合意ができたわけであって、しかもその間、両国のいわゆる政治当局が軍事当局の主張をかなり強く抑えてあのような協定ができたように承知をいたしておりますので、そういう意味では、確かに米ソのそのような二核大国の関係は、矢追委員のおっしゃるとおりであろうと思いますけれども、しかし、それが無制限にいくというふうにも、この間あたりのウラジオストックの会議を見ますと考えられない。満足すべきほどの核軍縮があるとは思えませんけれども、長い目で見なければならない問題でありますだけに、傾向としては少しずつはいい傾向に向かっているのではないかというふうに考えられます。しかし、それにいたしましても、この核拡散防止条約にわが国が加盟する、締結をするということは、やはり日米安保体制というものと切り離して無関係に考えられるかと申しますと、私は現実の問題としてそれはなかなかむずかしいのではないだろうか、現在の世界情勢に関します限り、わが国が日米安保体制によってその方面での安全を保っておるということは、現在の世界情勢においてはやはり事実であり、必要である、こう考えなければならないのではないかというふうに存じます。
○三木忠雄君 それでは一、二石油の問題で伺っておきたいのですけれども、特に先ほど通産大臣も、石油の輸入の多様化、分散化という問題を述べていらっしゃいましたけれども、具体的にこの多様化、分散化というものを通産省は進めているのかどうか、この点について。
○国務大臣(河本敏夫君) 具体的にいろいろ進めております。たとえば、これまでは輸入先が中東が大部分でありましたが、それを中国とかその他インドネシア方面にも相当分散する、そういうことを進めております。
○三木忠雄君 私はやり方が非常に手ぬるいと思うんです。特に中東援助の問題で後で伺いますけれども、最近、産油国の間でやはり現地精製の推進が非常に行われてきているわけですね。したがって、やはりこれからは製品輸入の拡大という問題が非常に多く話題になってくるんじゃないかと思うんです。この間アメリカの方で四兆五千ドルですか、この経済援助が成立しておりますけれども、やはりメジャー一本あるいはいままでのやり方一本だけでは、石油の輸入という問題については非常にそごを来してくるのではないかと、こういう点を感ずるわけです。こういう問題について、現地精製の推進という問題が中東のプロジェクトの問題と合わされて考えられるわけでありますし、もう一つは、やはり政府が一部言っているような、石油価格の設定をめぐって国際商品協定を結ぶというような動きがあるそうでありますけれども、この点についての見解を二点伺いたいと思うんです。
○国務大臣(河本敏夫君) キッシンジャー構想につきましては、まだ先方から正確なことを言ってきておりませんので、近く外務省とも相談をいたしまして、先方から専門家に来てもらって詳細を聞こうと、こう思っております。 それから現地精製の問題でございますが、確かに御指摘のような傾向が出ております。しかし、いずれも計画は二、三年おくれておるようでございまして、数年先だと、こういうふうに理解をしております。
○三木忠雄君 この問題で、特に中東とのパイプですね、総理は中東へ行かれて——総理が副総理のときですか、中曾根特使あるいは小坂特使、具体的にこの中東援助の約束をしてきたと思うんですね。この問題については具体的に実施をされているのかどうか、この点について。
○国務大臣(三木武夫君) 政府間の経済協力とか技術協力は順調に進んでおります。民間の経済協力は、多少予定よりもおくれるようなものも出てきておるようでありますが、もう少し詳細に申し上げましょうか、それだったら外務省の方から、中東局長から申し上げます。
○政府委員(鹿取泰衛君) ただいま総理から御説明がありましたように、大体政府間レベルでは順調に進んでおります。それをやや詳細に申し上げますと、まず、産出国とは言えませんけれども、アラブの重要な国といたしまして、エジプトに対しましては商品援助七十五億円の政府間の協定ができております。
○三木忠雄君 細かなところはいい、要点だけでいい。
○政府委員(鹿取泰衛君) それから同じくスエズ——エジプトの間で約束いたしましたのも、近く交換公文に至る予定でございます。それからヨルダン、これも産出国ではございませんけれども、電話プロジェクト、それからアルジェリアのテレコミのプロジェクトについて円借款の交換公文が済んでおります。それから、イラクとの経済技術協力協定と円借款に関しましても交換公文が済んでおりますが、そこで予定されております六つの重要なプロジェクトについて、いま日本の業界と先方との間の商談が進んでおりますが、これがなかなか値段等の問題もございまして、交換公文ができたからすぐにというわけではございませんけれども、鋭意日本の業界が努力しているところでございます。それからサウジアラビアとの間には、先般経済技術協力協定の締結も見られましたし、その後、さらに民間ベースの話し合いも順調に進められるというふうに考えております。
○三木忠雄君 まあ、政府の問題は経済協力の協定の締結とか、そういう点で終わるわけでありますけれども、大半がやはり民間借款の問題に移っているわけですね。しかし、現地の、たとえばセメントの一つの問題にしても、スウェーデンに入札が落ちたと、こういうイラン、イラクの問題を考えましても、いまのままではやはり民間との借款契約というのはうまくいかないんじゃないかということを私は強く感ずるんですね。アメリカあるいは他のEC諸国の方が、やはり中東向けの経済援助というのは非常に積極的に行われている。政府が約束してきた、確かに民間ベースかもしれませんけれども、具体的に進捗しないというこの問題は、やはり価格の問題、いろいろな点があると思いますけれども、やはり政府の積極姿勢というものが足りないんじゃないかということを感ずるんです。この経済援助のあり方について、やはりメスを入れなければならないんじゃないかと思うんですけれども、総理の考え方を伺いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 非常にむずかしいのは、西欧諸国は非常にいろいろ政治的な角度が日本よりも強いと思いますね。日本は政治というよりかは、民間ベースは純経済ベースですからね。そういうところに何か政府自身が中心になっていくという形をとってないでしょう。ところが、向こうは民間というものがないんですからね。そういうところにやはり相当政府が民間というものに対して後押しをしないと、どうも民間と民間同士というものでないものですからね、そういう点で中東の場合は、何か民間であっても経済協力によその地域とは違った一つの仕組みを工夫する必要が私はあると思います。そういう点が一つと、もう一つは、日本の場合は——ヨーロッパと中東というものの歴史は古いですからね、そういう点で、日本が現地でいろいろな入札などをする場合においても、いろいろな点で、従来の浅い関係からヨーロッパに競争をして敗れる場合も多いようでありますが、しかし、ただ一つだけ言えることは、中東は日本との間に過去にいろんな不幸な関係を持っていないわけですからね。日本が中東に対していろんな政治的な軍事的な野心を持ってないわけですし、そういうことから、非常に中東の諸国が日本との経済あるいは技術協力というものを希望しておる。日本に対していやな思い出がないわけですから。ほかの国々はあるわけですからね、いろんな点で。そういう点で中東と日本との間には接近していく一つの基盤はある。こういう点で、そういう中東の諸国の事情をよく踏まえて、相手国の立場に立って、日本の中東に対しての経済協力のあり方というものは、いまお話しのような少しやっぱりいろいろ検討を加える必要が私はある。しかし、将来は中東と日本との関係というものは大いにやっぱり開拓をしていく余地は持っていると。いろんな点でそういういままでのやり方を反省して改革を加える必要は確かにあると思います。
○三木忠雄君 これは、通産大臣、やはりいまの進まない経済援助の問題ですか、民間ベースの問題がまとまらないので、やはり一つ一つの国に一国一プロジェクトで何か経済援助をやるという考え方を固めているそうでありますけれども、この点はいかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) いま総理から中東との民間の経済協力の基本的な考え方についてお話がございましたが、実はこれまで停滞しておりましたいろんな経済協力の話し合いも、最近は非常に順調に進み出したと私は判断をいたしております。したがいまして、一カ国で一プロジェクトということではございませんで、やはり懸案の問題の中でまとまるものは全部まとめていく、そういう方針で進めております。たとえばイラクなどは、現在非常に進んでおりますのが、肥料とペトケミの方は非常に順調に進んでおりますが、引き続きましてリファイナリーとLPGにかかっていくとか、たとえばサウジであれば、先ほどの外務省のお話のように、経済技術協定ができましたので、懸案のリファイナリーとペトケミ、それから製鉄、さらに銅の探鉱、こういうものも順調に動き出すのではないかと思います。また、イランにおきましては、バンダルシャプールのペトケミ計画もスタートいたしましたし、あとの懸案の問題もそれにつれてスタートする予定でございます。そういうことでございますから、一ヵ国一プロジェクトということではなくて、経済協力を大いに進めていく、そういう方針で現在進めておるわけでございます。
○三木忠雄君 具体的に油の問題、二年前の二の舞を踏まないように、やはり安定供給できるような石油対策、やはり多角的な検討が行われなきゃならないと思います。 そこで、このオイルダラーの問題と金融援助協定の問題について大蔵大臣に伺いたいと思うのですけれども、この一月に国際通貨会議が開かれて、オイルダラーの還流の問題が大きな話題になっているわけでありますけれども、この金融援助協定が決められた問題について、具体的にわが国の態度、考え方について伺っておきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) オイルショック以来、世界の国際収支の構造が一変いたしまして、去年一年間に産油国に九百五十億ドルものいわゆるオイルダラーが集まったために、その他の消費国に大きな国際収支の赤字を結果したということが言われておるんでありまして、そういうことでございますので、このオイルダラーの還流が一つの安定したシステムとなりまして、国際収支のバランスがどうにか回復いたさない限りにおきましては、世界経済の秩序を維持するということは非常に至難のことになると思うのでございます。したがって、わが国としては、あらゆるルートでオイルダラーの還流が行われることが望ましいと考えておりまして、一つのルートに偏在するというようなことは好ましくないと思っておるのでございます。したがって、IMF等の国際機関を通じて還流することも結構であれば、それぞれの消費国が産油国と直接話し、直接産油国から引いてくることも歓迎すべきでございましょうし、ユーロ市場あるいはアメリカ市場等から引いてくることも歓迎すべきでございますが、いまあなたが言われたように、OECDを舞台にいたしまして、金融援助協定でそういう道がついてまいるということも歓迎すべきことと考えておるのでございまして、原則として、世界金融秩序の維持のために、日本としては原則的に賛成の態度でその成立に貢献すべく努力をいたしておるところでございます。
○三木忠雄君 私は、キッシンジャー構想のこの問題は、やはり先進国の、消費国だけの一つのグループで、産油国との間の対話という問題から考えたならば、総理の言っている考え方とちょっと私は違っているような感じがするわけです。しかし、IMF中心の還流の方が、産油国にも呼びかけていいんじゃないかという感じがするわけでありますけれども、この金融援助協定に加入する日本のやはり負担金の問題があるわけですね。この問題についてはやはり何%で、いつからこれを負担をするようになるのかどうか、この点について伺いたい。
○政府委員(大倉眞隆君) これは、でき上がりました後の姿は国際的な条約の姿をとろうと思いますけれども、ただいま専門家の会合を大蔵省を中心で各国ともやっておりますので、便宜私からお答え申し上げます。 総額は、三木委員のおっしゃいました、本年一月のワシントンでの合意で、二年間に使える金として二百億SDRということが合意されておりますが、これを各国別のシェアにつきましては、現在まだ交渉中の事柄でございますので、ちょっとここで申し上げるのは避けさせていただきたいと思います。ただ一部に、日本は一二・五%というような新聞報道がございましたけれども、私どもの主張しております国内総生産あるいは貿易量という基準でシェアを求めるといたしますと、それよりは若干少な目な金額になるんではないかということを現在考えております。なお現在、今週もパリで法律専門家の小委員会と経済専門家の委員会とそれぞれございまして、現在の日程では、四月上旬に、できれば関係国の署名にこぎつけたいということが予定されております。私どもとしましては、大蔵大臣がお答え申しましたように、本件の成立に協力するという姿勢で臨むつもりでおりますが、署名いたしました後、国内的に条文整備をいたしまして関係の議案として御審議を願うというのには、なおかなりの時日を要するかと思っております。各国、現在の審議中の案では、一応参加の意図表明をいたしました国のシェアの合計が九〇%を超えるときに初めて効力を発生するという案になっておりますので、実際に動き始めるのには、なお各国の利害の関係もございまして相当の時日を要するんではないかと、かように考えております。
○三木忠雄君 そうしますと、いまの進行状況からいきますと、この五十年度予算にはこれは関係ないと、五十一年、五十二年と、こういう形になる予定でございますか。
○政府委員(大倉眞隆君) その点につきましても、当初の新聞報道では、いかにも基金ができまして、そこに直ちに現金を預けて金を集めてしまって、その後必要に応じて貸し出しを行うというように報ぜられておりましたが、現在審議中の案はいわば一種のスタンドバイの取り決めでございまして、各国がシェアまでの資金を出す用意を国内的に整えておきまして、具体的に、メンバーの中で特定の国が国際収支上非常な困難に陥って融資をしてくれというときに初めて資金を出す、しかも、それは出資とか拠出という形でなくて、貸し付けるということが予定されておりますので、いまの私どもの考え方では、五十年度の一般会計予算などで直ちに歳出を組まなくてはいかぬというような仕組みにはならないというふうに考えております。
○三木忠雄君 五十年度の予算に組まないということで私も確認しておきたいんですけれども、やはり五十一年、五十二年、まあシェアは幾らになるかわかりませんけれども、やはり十数%にすれば二千三百億か二千五百億程度に日本の負担分がかかってくると思うんですね。こういう問題が、やはり日本の先進国の協力という問題があるかもしれませんけれども、相当な大きな負担がこのオイルダラーの還流の問題に対して日本に背負わされるのではないかということを考えるわけです。 で、大蔵大臣は、これはやはり日本としてはメリットはなくデメリットばかりだというような考え方の方が強いんじゃないかと私は思っておったんです。この問題と、もう一つは、大蔵大臣のオイルダラーの還流のやはり基本的な考え方を伺っておきたいんです。
○国務大臣(大平正芳君) いま申し上げましたように、もしこういうシステムがなかったら、各国は非常に大きな国際収支の構造的な変化に直面いたしまして、勢い自衛的になってまいりまして、あるいは貿易の直接の制限の挙に出るとかいうようなことになってまいりますと、世界の経済の秩序が乱れてしまうわけでございます。したがって、そういうことがないように、国際的な支払いがともかく円滑に行われるような状況をつくっておくということは非常に大事なことだと思うのであります。 そういうことで、先進国の間で、少なくとも比較的恵まれた国と比較的弱い国とがございまして、弱い国に対しまして比較的強い国が協力して、そして秩序を守って世界経済の縮小を救おうということでございまするから、私は積極的なメリットはあると考えるし、そういうことでみんなで協力しようという精神が、現在、この乾いた世界に流れておるということは非常にわれわれの人類の救いじゃないかと思うのでありまして、もとより、いま仰せのように、こういう問題についての取り扱い方は負担を伴うことでもございますし、同時に権利義務の関係でございまするから、慎重にやらなけりゃならぬことでございますけれども、基本的な考え方と問われますならば、このような経済的に大きな責任を持っておりまする日本といたしましては、当然、それ相当の責任のある対処の仕方をすべき性質の問題であると私は考えております。
○三木忠雄君 もう一つ、特に民間企業は外債の発行については大幅に規制をいままではされておったのが、昨年の十月には、やはり外債の発行を大幅に緩めたわけですね。 この問題は、当時の金融引き締めから考えますと、大企業の優先というか、やはりあの厳しい銀行においても大口規制を二〇%——これはしり抜けでありますけれども、その過程において、実際に民間企業の外債発行を昨年十月から許した。これはやはり何が原因なのか、この点について経緯を伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) オイルショック以来、わが国では、資本勘定におきまして、わが国に対する株式あるいは債券等、投資に流れてきておりました外資が流出するという傾向が出てまいりまして、都合十三億ドルぐらいの流出に結局なったんじゃないかと思うのでございます。ところが、ことしの一月からようやくわが国の債券あるいは株式等に対する非居住外人の投資が出てまいりまして、二月になってそれが相当な金額に上ってきたわけでございますけれども、その金額はまだ一億とか二億とかいうオーダーのものでございまして、したがって、この程度のものでございますならば、これを特に規制する必要を認めないわけでございます。日本銀行におきましても、そういう事実を踏まえて、それぞれの金融機関に対する窓口規制はいたしておるわけでございますので、この程度の流入ということに対しまして、そしてそれに伴う円資への転換という問題につきまして、特別の外為法上の措置を講ずるというような必要を特に感じていないわけでございます。
○三木忠雄君 まあ大蔵大臣の見解、私も一部理解できるわけでありますけれども、最近、特に外・内債の発行であるとか、あるいはまた貸付金債権これは非常にふえてきているわけです。特にことしの一月から二月にかけて、非常に急激にふえてきているという、こういう実態の中で、やはり過剰流動性の危機が、まあ四十七年、四十八年ほどないにしても、そういう芽生えが出ているんじゃないかという予感がするわけです。 特に、この一月、二月に外・内債の発行であるとか、あるいは貸付金債権がふえてきておる。あるいはきょうの新聞等の報道によりますと、四月から事業債を、各社ですね、一兆八千億認めるというような形になってきますと、いま借りたい中小企業は実際借りられないけれども、都市銀行等では金がだぶついているという一部声もあるわけです。こういう問題を考え、さらに一昨日発表になったアメリカの公定歩合の引き下げ、こういう問題から考えますと、相当外資が日本の国に流入してくるのではないかということを非常に懸念するわけですね、というように考えるわけです。こういう問題についての大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。
○政府委員(大倉眞隆君) ただいま三木委員の御質問と大臣の答弁で、証券投資のことお答えございました。そのほか、御質問のとおり、昨年の暮れ以降、従来、外の事情もありまして発行が円滑でございませんでしたいわゆる外・内外債を認めることにいたしました。一−三月で民間企業の外・内債は約二億二千万ドル発行ベースで発行になっております。 それからおっしゃいました貸付金債権の中でインパクトローンが三カ月当たりで大体四億ドルから四億五千万ドルぐらい流入しておるということも事実でございます。 御質問の中で二点あったように存じますが、一つは、これは大企業中心ではないのかという御指摘、その点は外のマーケットにおきまして公募をいたします場合には、どうしても知名度の高い、いわば一流の企業という形でないとなかなか調達ができないということは、これは事実でございます。したがいまして、全体の金融調節につきましては、私必ずしも直接の所管ではございませんが、中小企業金融は国内で別途専門の機関を用い、あるいは都銀に要請をして十分の配慮を用いていくということを考えざるを得ないかと思います。また、全体の量的調節の問題といたしましては、外債もインパクトローンも、いずれも日本銀行と将来の三カ月間の大体の枠を相談しながら、また企業ごとの発行予定ないし取り入れ予定を相談しながら、現在運営をいたしておりますので、いわば日銀は事前にどれくらいの金額がどういうセクターにこの形で入ってくるかということを知りまして、知った上で四半期ごとの金融調節をいたしておりますので、御指摘のように、この両方のルートによります資金流入が金融調節のしり抜けになるという懸念はない、そのように考えております。
○三木忠雄君 まあ四十七年あるいは八年のときから比べれば非常に締まっていると思いますけれども、特に一昨日のアメリカの公定歩合の引き下げについて、あるいは西欧諸国西ドイツあるいはまたイタリアと日本の金利と比べてみると、非常に差がある。そのために国際協調の面からもいろいろな面の圧力が加わってきているんじゃないかと思いますね。やはり日本の公定歩合の引き下げというものも考えなければならないときではないか。それは春闘の問題であるとか、いろいろな関連からいろいろ操作を考えているそうでありますけれども、物価対策上の問題等を含めて、副総理から公定歩合の引き下げの問題について、どのように考えていらっしゃるのか。
○国務大臣(福田赳夫君) 公定歩合は、これは日銀が決めるので、私がどう考えるということを申し上げるのは妥当じゃないんです。 でありますが、原則論としては、これは物価対策、この上からはいいと思うんです、歓迎すべきものである。ただ、この与える影響ですね、これは非常に重要視されておるんです。そういうことでいま非常にデリケートな段階でございますので、いま、この段階で公定歩合を下げるのはどうかなと、慎重の上にも慎重を期したいと、こういうふうに考えております。
○三木忠雄君 大蔵大臣、やはり外資の流入は相当ふえてくると思うんですね、いつまでもこの体制でいきますと。こうなりますと、これは日銀の専決事項でありますけれども、いま経企庁長官、副総理から慎重にも慎重というお話でありますけれども、日銀は四月の上旬の支店長会議等をめどにというような考えもあるそうでありますけれども、やはり春闘対策とかいろんな問題を考えての公定歩合引き下げの引き延ばしじゃないかというような考えも一部あるんですけれども、やはり第二次不況対策の、この二十四日ですか、このときに何とかめどをつけるというような考え方はあるんですか、この点についてお伺いします。
○国務大臣(大平正芳君) これは日本銀行総裁の仕事でございまして、私の関知したことではございません。
○三木忠雄君 確かに日本銀行の総裁の専決事項です。しかし、内外のこういう金融事情の問題を考えたときに、やはり政府として考えなければならないこういう問題点が出たときにといういろんな考え方は固まっているのじゃないか、こう思うんですけれども、アメリカがあれだけドル金利の引き下げという問題、公定歩合の引き下げがあった場合に、やはり政府もいままでの考えとは違うのではないかと、こう思うんですけれども、もう一度。
○国務大臣(大平正芳君) ただいままで、日本銀行総裁からそういう問題についてまだ御相談を受けておりません。
○三木忠雄君 それでは、次の問題に移ります。 時間も余りなくなりましたので、排ガス問題を伺いますが、特に排ガス問題については、総理が当初考えておったよりもずいぶん後退した。また、こう言いますと、総理は原則は曲げてないと、こう言うわけでありますけれども、実際に実施過程においてずいぶん後退をしておると思うんです。この点についての現在の総理の心境はどうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 窒素酸化物に対する規制というものは世界に類例のない厳しさであり、五十年度規制においても、御承知のように、窒素酸化物の排気ガスに対しては、これは二・五グラム・パー・キロメーター、これをすでに五十年度規制で半分にしたんですからね。そうした上にもってきて、これを今度は目標が〇・二五というのを〇・八五、小型車では〇・六でしたか、五十一年度規制まではいかなかった。これは五十一年度規制まで持っていければ理想的ですけれども、これはどこでもやってないわけですからね、技術開発のお手本はないわけです。日本みずからが技術開発をやるよりほかにはないわけです。 そこで、私も環境庁の長官時代から何とかして五十一年度規制を実行させたいと、在任中は自動車業界を呼んで、そうしてこれを督励したわけですけれども、なかなかやはり実際問題として五十一年度規制の〇・二五というものを実行するというのは不可能であると、専門家の意見を徴しても、大気部会という専門家ばかりでなしに、もっと広い層からの中公審の総会にまで、大抵は大気部会で済むのを中公審の総会にまでこれをもう一遍再審議してもらったわけです。どうしても無理だということで、これは政治家の一つの決意だけでやれることなら私はやりたいと思うんですが、それはやはり合理的でありませんからね。実際問題として不可能だということを強行するわけにはいきませんので、ああいう暫定値を決めたわけです。 これを二年延ばして、五十三年度にはこれをぜひやりたいということで、これは単に日本ばかりでなしに、アメリカなどは、マスキー上院議員などはこれを前から提唱しておったわけですが、マスキー上院議員とも私連絡とって、何かアメリカの技術開発でわれわれとして協力できるような、非常に進んだ技術開発をやっているような会社とか研究所があれば協力をしたいということを申し出たぐらいでありまして、そういう点で事実上は、これは五十一年度規制というものからすればいま三木さんの言われるような後退という感じがいたすだろうと思いますが、しかし、いま言ったように政府としては何とかしてこれを実行したいということであらゆる努力を払ってきたけれども、目的達成ということは技術開発の段階で不可能であった。それで今度は交通の総量規制というもので最近も交通量を規制して、そういう面からこの窒素酸化物の排出ガスに対して、これをそういう面からも結果的には少なくしていくようなことをしようということです。 まあ私からすれば、この問題については私が相当重要視したわけなんですね。だから、ただもう任しておったわけでないので、みずからそういうことで自分自身が手がけてきたわけでございますから、五十一年度規制というものがそのままできなかったにしても、自分の良心からして、できるだけ最大限のことはやったという感じがいたしますが、この二ヵ年延ばした五十一年度規制が、できるだけ実行できるように今後は努力をしていきたい。アメリカでも五年延ばしてまた延ばしたんですからね、これは。そういう点で、これは大変にやっぱりむずかしい問題でありますが、日本のいまの都会地における空気の汚染状態からして、こういう問題は重要な問題であるということで、今後とも努力をしていきたいと考えております。ただ、三木内閣が五十一年度規制を実行いたしますという公約は私はしたことはない。私は政権を担当したときに、もうすでにこれは進んでおったのを、そういう時点において何とかこれを目標に近づけることはできないかということで、あらゆる努力をしたことは事実でございます。
○三木忠雄君 まあ、アメリカと日本とはずいぶん状況が違うわけですよ。そういうことをここでいろんな問題、論議しても仕方がありませんので、やはり行政のやるべき手はしっかり打たなきゃならない。しかしながら、私はこの審議の過程で非常に思うのは、この環境庁の告示を見ますと、二本立て規制をしないという方針にもかかわらず、やはり二本立てにしているという一点、もう一つは、等価慣性重量を用いたというこの点についての明快なる見解をいただきたいと思うんです。
○国務大臣(小沢辰男君) 二本立てにしたということについて御質問がございましたが、これは御承知のように、一般的に言いまして、等価慣性重量が増加をすれば、やはり排出量が増加していくということを技術的には言われているわけでございますので、したがって、本来一本化すれば確かにいいことはいいのでしょうけれども、実際の、現実の車のいろいろな状況から見ますと、やはり等価慣性重量の増加に応じて排出量の増加というものはやむを得ないことでございますから、したがって、一トン未満は〇・六、一トン以上は〇・八五と、こういうことにきめたわけでございます。この点は、いろいろ専門委員会が集まって技術評価をやりました結果でも、やはりそれが妥当ではないか、こういう答申をいただいているわけですから、私どもは、この点についてはまことにやむを得ないものがあると、かように考えて採用したわけでございます。
○三木忠雄君 妥当であるところのこの等価慣性重量、いろいろ参考として検討したと思うのです。 私は、環境庁長官にお伺いしたいのですけれども、この等価慣性重量の車種別の車体重量表を出していただきたいと思うのです、検討した。
○国務大臣(小沢辰男君) 自動車を登録いたしますときに、運輸省の方で調べがございまして、それを私どもの方でそれぞれ車種別の等価慣性重量を全部調べまして出してあるものがございます。これは運輸省と相談をして、御希望ならば先生のもとにお届けをいたしたいと思います。
○三木忠雄君 いま出してもらいたい。
○国務大臣(小沢辰男君) 先生から資料要求がございませんでしたので、いま全体にお配りする資料の持ち合わせございません。また委員会の方で資料の提出の御決定があれば、私どもそれに従います。
○三木忠雄君 これは私は資料要求した、何回も要求したのです。環境庁にも運輸省にも資料を要求したのです。ところが、資料が出ないのです。このために私はここで聞きたい。やはりこの等価慣性重量というものが問題なんですよ。一トン近くにほとんど大手の車が集中している、七〇%シェアを占めているという問題ここに一トンに区切った非常に問題点がある、この点についての私は資料をもらいたい。
○国務大臣(小沢辰男君) 資料は、御要求があればいつでも出します。ただ、委員会の御要求があれば出しますし、私は、実は先生から要求あることはいま初めてわかりましたので、いつでも——用意はございます。ただ、先生、お言葉ですが、一トン未満の車は多いからこれを二本立てにしたなんていうような考え方は私ども持っておりません。この点だけは誤解のないようにしていただきたいと思います。
○三木忠雄君 だから、誤解しないから資料を出してもらいたい。何回も要求した。要求したんだ、政府に。出さないんだ、この資料だけは。局長、持っているはずだよ、参考資料にしたはず。こんな一トンの問題まで出せないんじゃ……。
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こしてc
○国務大臣(小沢辰男君) いま聞いてみましたら、先生からおっしゃった資料は、メーカーからそういう資料を取ったろう、その資料があればよこせと、こういうお話だったそうです。私どもはメーカーからとっておりません。運輸省の車検の登録の状況を私どもがとりまして、それによって専門委員会の審議に資するために資料として私どもがつくったのはございます。もし、お出ししろという委員会のあれがあれば、私どもはちっともこれを隠す必要ありませんので、委員会の御要求があればお出しいたします。
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。 政府は、ただいまの資料について答弁を願います。
○国務大臣(小沢辰男君) 四十八年の等価慣性重量別新車登録台数というものを私の方は表にいたしてございます。それをずっと読み上げますと、非常にたくさんランクがございますから、したがって、総括して申し上げますと、先ほど先生が言われましたのですが、私どもは、一トン未満が七二・四%。全車種、メーカー別の車種を集計をしてみまして、七二・四%。一トン以上が二七・六%であると、こういうことでございます。
○三木忠雄君 私は資料に基づいてこれを論議したい。簡単な問題だけれども、やはりここが問題だから出せなかったわけですよ、出せないはずなんです。あとで出してもらいたいと思うのです。 ところがこれは、私の調べた資料によりますと、一トン未満の七二・四%というのが、やはりこの排ガス装置をつけたり、あるいはまたいろんなヘッドを重くしたり、そうしますと一トンを軽く超えるような車にほとんどなっちゃうわけですよ。ここに私は非常に大きな問題点がある。等価慣性重量をしいたというのは、やはり次のこの排ガス装置、あるいはまたシャシーを重くしたり車体を重くして一トン以上に上げて、その形を逃れようとする一つの操作のためにこの等価慣性重量を用いた、わかりづらいような等価慣性重量を用いたんじゃないか、この点を私は伺いたいんです。
○国務大臣(小沢辰男君) 先生がそういうふうにお考えになるのは、少し私どもの考えと違うのでございまして、私どもはやっぱり車の台数の多い、七二・四%もあるような車は〇・六というきびしい平均値を要求する、こういうようにお考え願いたいのであります。この〇・八五に、楽な基準値でいいように、メーカーが何か重みをつけて一トン以上にしようという工作をするじゃないかとおっしゃいますが、その点は私どもも、もしさようなことがあってはいけませんから、いろいろとこれからそれを防ぐようなやり方をどうしたらいいか、十分検討して、意識的に規制値の〇・八五の方に楽にいこうとするようなメーカーに対しては、十分それを阻止するだけのいろいろな対策を考えていきたいと考えておりますから、そうすべてを何といいますか、疑ってかかってそう解釈をされないで、むしろ、よけいな車はうんと低い平均値の〇・六をひとつ守らすことによって、大気の汚染を減らしていこうという私どもの考えをぜひ御理解をいただきたいと思うんです。
○三木忠雄君 私は理解できないんです。だけど、こういう問題でいつまでも論議をしたくありませんけれども、実際は環境庁にしても、通産にしても、運輸にしても、公害対策上加重されるのは仕方がないという形で、やはり触媒装置等をつけてこの問題が一トン以上に、いま七二・四%、一トンぎりぎりのところにあるわけですよ、このよく売れている車種がやはり触媒装置なりをつけて一トン以上になってくるという、こういう公算が私はきわめて多いわけですね。そういうために車体重量、この等価慣性重量を用いた。 それでなければ、もっとわかりやすい排気量でやれば一番国民がわかりやすいわけですよ。等価慣性重量で言ったって国民はわからぬわけですよ。排気ガスが二千だ、あるいは千五百と言えば、この車は公害車であるとか低公害車であるということはすぐにわかるわけです。そういうわかりやすいものを使わないで、わかりづらい問題のこの等価慣性重量を用いたところに、やはりこの排ガスの答申に非常にわかりづらい問題があり、メーカー優先の、大手優先の姿勢があると言わざるを得ないわけですよ。この点について、じゃ具体的に触媒装置なり、あるいはこれからの新型車に何の歯どめをかけるか、具体的な対策をやっておりますか。
○政府委員(春日斉君) ccで区別いたしましても、同じccでありましても、重量の重いもの、軽いものがございまして、重いものは先ほども申しましたように等価慣性重量によりまして窒素酸化物の排出量が多くなってまいります。したがいまして、やはり窒素酸化物の排出量を規制する場合は重さでいくべきであって、ccでいくべきではないというのが委員会の御結論でございます。 なお、私どもは先ほど長官申しましたように、触媒装置をつけたり、その他いろいろな防除対策をやることによって重くなることは事実でございますが、なるべくこれはいままでの重さにとどめ、しかもなおかつ安全であるように指導してまいりたいと考えております。
○三木忠雄君 まあ、この問題はもう少し後で論議したいと思っております。 もう一つ、通産大臣に伺いたいんですけれども、低公害車と未対策車の並行生産について、これは通産省どういうふうに考えていますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 並行生産が起こらないように指導していきたいと考えております。
○三木忠雄君 そういう指導で、具体的にこの並行生産が行なわれないと通産大臣は理解しておりますか。
○政府委員(森口八郎君) 並行生産の問題はあくまでも指導の問題でありますが、私どもは、各メーカーの具体的な生産事情、あるいは運輸省との関係があるわけでございますが、型式変更の機会をとらまえて、できるだけ強力に、かつ詳細に指導してまいりたいというように考えております。
○三木忠雄君 私は、これは資料要求しておりませんので、並行生産の具体的な生産計画はもう通産省は掌握していると思うんです。まあ行政指導されるという問題、具体的に並行生産の生産計画と販売計画はもう通産省には提出されていると思うんです。この点については資料を提出できますか。
○政府委員(森口八郎君) 先生御存じのとおり、新型車は五十年の四月から逐次出ていくことになると思いますが、これが新しい認定を運輸省から型式認定として受けるわけであります。型武認定として受けた後に並行生産の問題が起こるということで、型式認定が具体的にどの車種についていつ受けられるかということが確定しがたい事情であります。したがいまして、各メーカーとも先生がおっしゃいましたような内容については必ずしも具体的な、確定的な生産計画を持っておらないと思います。したがって、私どもも、現在の段階でそういうふうな並行生産の生産計画は入手しておらないというのが現状であります。
○三木忠雄君 まあ入手をしていないという問題でありますけれども、今日まで、四十八年以来低公害車が、たとえばホンダにしても、東洋工業にしても、具体的に低公害車をもう開発しているわけですよ。これは租税特別措置の法案のときにいろいろ質問してもいい問題でありますけれども、やはり低公害車の普及のための税制措置なり、いろいろな問題点が行なわれてないというところに一つの大きな問題があるのじゃないかと思うのです。一生懸命低公害車を開発するメーカーが、幾ら開発しても並行生産をせざるを得ないような結果、あるいは大手メーカーの有利な方向のこういう政府の行政措置というものが私はやはり不公平になっているのじゃないか。技術開発の問題ができないにしても、せめてそういう問題にやはり不公平をなくするべきじゃないか、こういう考え方をするわけでありますけれども、総理いかがですか。
○国務大臣(小沢辰男君) 御承知のとおり、ただいまの国会で御審議願っておる税制の中で、物品税の改正等御審議をいただいておる中に、五十年度中に一年早く五十一年規制車が出た場合には、四分の一物品税を減額するというのが出ております。四分の一を減免するという税制が出ておるわけでございますが、いまおっしゃったのは、むしろ五十一年規制に対しまして、それを守る車と、それから並行生産が出るような場合に、あるいはまた中古車の問題等についてそうした低公害車をつくる方が損をしないように考える。また、先ほどおっしゃいました〇・六と〇・八五の問題で、何か重量をふやせば〇・八五の方に移行できるじゃないかというものを防止するためにも、〇・六と〇・八五について税の負担を、ひとつ差を設けていくというようなこと、これらについて私どもはいま閣僚協でいろいろ検討いたしておりまして、五十一年の税制で具体的には法律改正をお願いをする所存でございますが、ただ、その方針だけはできるだけ早く決めて、そして、先生がおっしゃったようないろいろな弊害が起こらないようにひとつやっていこうと思って、鋭意いま検討中でございます。そういう趣旨で、私どもはその方法についていま検討しているというところでございますが、結論としては、必ずひとつ中公審の答申にもありますような〇・六と〇・八五の差を設けたり、あるいは低公害車と普通車についてのメリットをつけて売るような方向で考えていきたいと、かように考えております。
○三木忠雄君 官房長官に伺いますけれども、この対策閣僚協議会、座長でいらっしゃるわけでありますけれども、確かに技術開発の問題はいろいろあるにしても、行政の面で具体的にこの〇・二五のN〇%の線に近づけることができるのじゃないかということがいろいろ考えられるわけですね。この点について対策閣僚協議会として具体的なスケジュール、そして、いつまでにこういう問題の決着をつけるのか。この点について伺いたいと思います。
○国務大臣(井出一太郎君) 自動車排出ガス対策閣僚協議会は、去る一月に発足いたしました。そこで、ここにおける検討項目は、技術開発の促進を初めとしまして、あるいは税制上の措置でありますとか、自動車交通量の抑制と、こういうふうな問題を主として三つのグループに分けまして、せっかく検討に入っておるのでございます。この重要性にかんがみまして、なるべく速やかに結論を得たいという努力を払っておるわけでありますが、こういう国会情勢だものですから、なかなか会議の開催も思うようにいかずおりますけれども、できるだけいまの御指摘にこたえるように努力をいたす所存でございます。
○三木忠雄君 具体的に、特に環境庁に伺いたいんですけれども、ディーゼルとかトラック等の排ガス規制ですね、この問題については、具体的にどのようなスケジュールでこの規制を行っていく予定ですか。
○国務大臣(小沢辰男君) 先生も御承知だと思いますが、ディーゼル車につきましては、昨年の九月に約二〇%ダウンするような、カットするような規制をやったわけでございます。これから私どもは小型トラックも含めまして、特にこの点が大都市におきましては、御承知のように、乗用車との比率が大体半々、あるいは東京は六、四でございますけれども、そういうようなウェートを持っておりますので、トラックとディーゼル車につきまして規制を、専門委員会の強化を図りまして、これはひとつ私どものほうである目標を示しまして、それについての御審議を願って答申を得てから実行に移したい、かように考えていま準備を進めているところでございます。
○三木忠雄君 この問題の最後に、総理がこれはこの間のテレビでも、技術専門委員会を特別につくりたいという考え方を述べていらっしゃるわけでありますけれども、各メーカーがつくったものに対する技術チェックがいままで行われなかったところに一つの問題があったんじゃないかと思うんです。したがって、この問題に対してやはり定期的に排ガスの問題の研究成果を国の機関でチェックをし、あるいはそれを公開をしていくという処置をとるべきではないかと思うんですけれども、この点についていかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 中公審の答申の中にも、技術開発のチェック体制がいままでは非常に不備であったという、こういうことも指摘されておりますから、今度はそういう専門委員会をつくって、技術開発の段階においてこれをチェックしようと思っております。その内容は、できるだけ国民にその大要は周知するような方法を講じたいと思っております。
○三木忠雄君 それでは最後に、国鉄問題総合交通政策を一、二伺って終わりたいと思うんですけれども、特に現在の国鉄問題を考えますと、きょうから新幹線が運行されているわけです。しかしながら、国鉄問題の抱えている問題というものは非常に大きな問題だと思うんです。これは運輸省や国鉄だけで解決できる問題ではないと思うんです。総理は具体的にこの国鉄をどのように再建をしていこう、あるいはこの国鉄をどのように考えていこうとしているのか、国鉄の使命、あるいは再建の目標等について、まず総理に意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) これは大問題でありますから、国鉄自身としても、運輸省自身としても、国鉄の再建問題というのは大きな課題としていま取り上げて検討しておるわけでございますが、やはりこのままでただ赤字を累積していくようなことになれば不健全な経営になりますから、国鉄の経営の内容についてはメスを入れなければならぬという考えでございます。
○三木忠雄君 まあ、そういう問題だけではなしに、具体的に運輸省内あるいは国鉄だけでこの再建計画をつくっても私は無理じゃないかと思うんです。いままでと同じような発想だと思うんですね。したがって、もっと総理の私的機関でもいい、あらゆる関係者を集めて、やはり国鉄問題を政治の中心舞台に上げなければこの問題は解決しないんじゃないかと、このように考えるわけでありますけれども、国鉄問題の懇談会等をつくり、そして具体的に国鉄問題にメスを入れるという考え方はございませんか。
○国務大臣(三木武夫君) いま内閣の部内につくる考え方はありません。しかし国鉄自身としても、これはもうただ漫然といまのような経営を続けていくわけにはいかないわけで、問題を根本的に解決をしなけりゃならぬということを最も切実に考えておるものは国鉄自身でもあるわけでございますから、したがって、そういう国鉄、運輸省もこれに加わって、そして根本的な改革というものを考えることは私は適当だと考えております。
○国務大臣(木村睦男君) 国鉄の再建につきましては、就任のとき以来、総理から非常に強く要請を受けておるわけでございます。そこで、いま三木委員のお話の第三者的な機関を設けてやったらどうだという御意見、私も全くそのように考えております。ただ現在のところは、どこにうみがあるかということで、どこにメスを入れたらいいかということを、現在のところは国鉄、運輸省、それぞれ内部に一つの研究、検討グループをつくりまして、その検討をいまやっておるわけでございます。その検討が終わりまして具体的にいよいよどうしたら再建にこぎつけるかということになりますと、お話のように、運輸省だけの力ではどうにもなりません。政府部内、関係各省とも十分協力も得、相談もいたさなければならないのですが、さらに、やはり国民の国鉄でございますので、この再建につきましては、国民の各界各層の人の御意見、また御協力を得て再建の最終案をつくらなければいけないと考えております。そういう構想のもとに、最終的にはそういう懇談会でありますか、協議会といったようなものをつくりまして、そこで十分最後の案を練っていただくと、こういうふうな考えでおるわけでございます。
○三木忠雄君 運輸大臣のいまの構想は、八月の概算要求までに結論を出して、そして再建計画を軌道に乗せると、こういう考え方ですか。
○国務大臣(木村睦男君) 再建計画は五十一年度から実施したいと考えておりますので、お話のように、八月の末に概算要求をいたしますから、そこを一応のめどにして努力をいたす計画でおります。
○三木忠雄君 総務長官に一言伺いたいんですけれども、こういう国鉄問題、あるいは省資源問題から考えますと、やはり現在の総合交通体系ではまずいんじゃないかと思うんですね。したがって、新しい時点に立った総合交通体系をつくる必要があるんではないかと、このように考えるわけでありますけれども、この意見を総理にも伺って、私の質問を終わりたいと思うんです。
○国務大臣(植木光教君) お話のごとく、四十六年にできました「総合交通体系について」という決定が閣僚協議会においてなされまして、それを基本的には今日においても尊重してまいっているのでございますけれども、昨今のエネルギー問題を初めといたしまして、環境問題等、交通を取り巻くいろんな経済、社会的な問題が起こってまいりました。したがいまして、そういう事態の変化にかんがみまして、新しい社会の要請に応じた交通サービスのあり方について、目下、鋭意検討を進めているのでございます。省資源、省エネルギーの立場からいたしますならば、一般的には大量輸送機関の活用が望ましいというふうにも考えています。一方また、交通総量の抑制等も大事なことでございます。各面にわたりまして、ただいま申し上げましたように、総合交通体系の見直しをいたしているのでございます。
○三木忠雄君 総理、一言、交通問題。
○国務大臣(三木武夫君) 経済企画庁でやろうとしておる社会経済開発計画という中にも、交通体系というものは大きな問題ですから、そこでもやはり大きな問題については論ぜられると思いますが、もう少し具体的な問題としては、総務長官がいま申したような形で検討をいたす所存でございます。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして、三木忠雄君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 立木洋君。(拍手)
○立木洋君 ラロック証言以来、核持ち込みの問題、特に核通過の問題というのは重大な問題になっておるということは、皆さん御承知のとおりだと思う。 ここで改めて外務大臣に確認しておきたいわけですが、アメリカの艦船がわが国の領海を通過する場合、それが単なる通過であっても、いかなる形の通過であろうとも、これは核持ち込みとして事前協議の対象にかかるという点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) アメリカの艦船が核を積みましてわが領海を通過いたしますときは、いかなる通過でありましても事前協議の対象になります。
○立木洋君 十七日からジュネーブで第三回海洋法会議が開かれますが、この問題に関連して、十二海里が領海であるということが国際法上の原則になった場合、核積載艦船がわが国の関連のある国際海峡を通航する場合には自由航行というふうにされることも考えておられるのかどうか、このことについて。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国際海峡、いわゆる領海十二海里の問題につきましては、当委員会でも以前に何度かお答えを申し上げましたが、いろいろ国内に議論はございましたけれども、やはり海洋法会議においていろいろな問題と一括して審議、折衝することがわが国の国益により有利であろうと判断をいたしましたので、間もなく開かれます海洋法会議の決着を待ちたいと考えております。もし海洋法会議でそれらの問題について結論が得られませんでしたときには、そのときにわが国としてどうすべきか。また仮に、その場合十二海里というようなことを決定いたしましたときに、ただいま御設問の問題をどうするか。海洋法会議の審議の経過にもかんがみまして、その時点において決したいと存じております。
○立木洋君 先日、当予算委員会で外務大臣がお答えになっている点では、海峡通過について軍艦と大型タンカーを分けて考えることは国際的大勢でない。いずれが沿岸国に迷惑をかけるかという点で言えば、タンカーの方が多いという、そういう答弁があったと思うのですが、この点で検討なされる場合に、核を積んだ艦船が通過することと大型タンカーの通航という問題とを区別されるのか、あるいは同列において検討されるのか。区別されるとするとどういう区別をなさるのか。核積載艦船と大型タンカー、その点について。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまお読み上げになりましたとおりの御答弁をいたしましたが、それは海洋法会議における各国のいわゆる大勢はそのように考えておるというコンテクストで申し上げたと存じます。すなわち、いわゆる先進国は領海十二海里、国際海峡について自由航行というものを条件にならこれを認めるという態度でありますし、後進国は、また経済水域との関係で別の主張をしておるわけでございますが、そのいずれの場合にも、大型タンカーと軍艦とを分けて考えるということを主張しておる国は実はほとんどないようでありまして、実際問題としては、発展途上国にとっては大型タンカーの方がいろいろな事故を起こすことが多いと、こういうことでございます。したがいまして、わが国だけがその両者をどのようにして分けて主張するかということは、おそらく海洋法会議においては非常な少数、あるいはわが国だけになるかもしれないと思いますし、他方でわが国は大型タンカーが国際海峡を妨害を受けずに通航することについて非常な国益を持っておりますので、その辺のことも考えながら、先の時点において決したいと思っておるわけでございます。
○立木洋君 その問題は大変大切な問題が含まれておると思うのですが、核積載艦船がこういう国際海峡を通過する場合に、あくまで非核三原則を守られるのかという質問に対して、必ず非核三原則を守るという形での答弁がなされなかったわけです。この非核三原則の問題に関しても、この国際法の原則がどのように決まるかということによって、いわゆる非核三原則も変わり得るという可能性もあるわけですか、それとも非核三原則については絶対に変わらないというお考えなんですか、そこらあたりを明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般に申しまして、非核三原則を変えないということは何度も総理大臣が御答弁になっておられるとおりでございます。海洋法会議の結果、いわゆる国際海峡なるものができましたときに、ただいま御設問の問題をどうするかということは、その時点で各省とも相談の上政府の態度を決すればそれで足りると、この問題は海洋法会議に提出すべき問題ではないであろうと考えています。
○立木洋君 ですから国際法の原則がどのように決まろうとも、絶対に非核三原則は変えないというふうには明言されないわけですね、明確にしていただきたいんです、これは非常に大切な問題ですから。絶対に変わらないと言われるのか、それとも国際法上の対応の仕方によっては変わることもあり得ると言われるのか、三木総理に答弁をお願いしたいんですが。
○国務大臣(宮澤喜一君) 大筋におきまして、つくらず持たず持ち込ませずという非核三原則が変わることはございません。ただ海洋法会議の結果、国際海峡というものができましたときに、その場合にどうするかということはその時点で考えなければならないと思います。
○立木洋君 それは大変な問題が含まれておるわけですから、この際総理大臣の見解をお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 私も外務大臣と同じように考えております。
○立木洋君 この問題は、三木総理がこの非核三原則の問題でおっしゃっておられる。そしてこの問題については国是であるというふうなことがいろいろな委員会でも話が出されてきたわけですが、この問題は、国際法の原則がどのようになるかということによってわが国としては変わることがあり得るという問題なのか、それとも絶対に変わらないのか、このことはやっぱりはっきりさしておかないと、いわゆる核の問題に関しては多くの国民が関心を持っておる重大な問題でありますから、これはこの際明確にさしていただきたいと思うんです。しかも十七日ですよ、ジュネーブで会議が行われる。いまこの時点になっても日本の考え方が明確にされないということでは、私はあまりにも外交姿勢としては自主性がないんではないか、この点をはっきりさしておいてください。
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国の非核三原則は申し上げるまでもないことですが、海洋法会議の議題になる筋合いのものではないと存じますが、海洋法会議において、いわゆる新しいルールができましたときには、これは当然新しい国際法になるわけでございましょうから、その時点においてこの問題を、今度はわが国独自の利害の問題としてどのように処理すべきかを考えればよろしいのではないかと思っております。
○立木洋君 そうしたら、この核積載艦船がわが国の領海を通過する場合に、先ほどは核の持ち込みとして事前協議の対象になると、いかなる通過であろうともというふうにお答えになったわけですが、日米安保条約の第六条との関連であります事前協議のいわゆる対象条件、国際法上の原則が変わった場合ですね。その事前協議の対象条件が変わることがあり得るのかどうか。この事前協議の対象条件というのは絶対に変わらないというふうに明言することができるかどうか。その点をお答えいただきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) たびたび申し上げますとおり、海洋法会議の結果、新しい国際法の通念ができたというときには、その際にわが国がいままで考えておりました方針とそれをどのように調整して考えるかは、その時点で決めたいと存じます。
○立木洋君 これは大変な問題ですよ。いわゆる事前協議の対象条件が変わることもあり得ると、これは非核三原則は日本の政府が決められた考え方ですよ。しかし、この第六条のいわゆる事前協議の対象にかかるかどうかという問題、この条件が変化するかどうかという問題はこれは別の問題ですよ。アメリカとの関係において事前協議にかかる対象条件が変わり得るということも考えていいわけですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 繰り返して申し上げますが、それはただいま申し上げることではなくて、海洋法会議がどのような帰結を見るかによりまして、そのときに判断をすべき問題と思います。
○立木洋君 これはわが国の国是であると言われた非核三原則の問題、これも変わるかもしれない、あるいは安保条約第六条の関連のある事前協議の対象条件が変わることもあり得るかもしれない。これはきわめて重大な問題であります。私はこの問題に関する質問については、明日引き続き行いたい。
○委員長(大谷藤之助君) 立木洋君の残余の質疑は、明日行うことといたします。 明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時五十五分散会