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75回国会参議院1975/03/06

予算委員会 第3号

発言数
469
登壇者
41
会派数
2
開催日
1975/03/06

会議録

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十年度一般会計予算  昭和五十年度特別会計予算  昭和五十年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、田中寿美子君の質疑を続行いたします。田中寿美子君。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 昨日、所得の格差が大変あって低所得層ほどインフレの被害を受けているということを申し上げましたのですが、預貯金の目減りの問題についても、大変低所得層ほどひどい目に遭っているわけです。この預貯金の目減りの問題について国民生活局長の方から、どういう状況か御報告いただきたいと思います。

岩田幸基経済企画庁国民生活局長

○政府委員(岩田幸基君) 国民生活白書で貯蓄の目減りにつきまして試算をやっております。それによりますと、四十七年の十二月末、勤労者世帯の貯蓄の残高でございますが、平均百七十三万円ということになっております。この百七十三万円の貯蓄に利回りを掛けまして、一年後には若干の増加になるわけでございますが、一方では物価の上昇によりまして、貯蓄デフレーターが二一・三%ばかり上昇いたします。その結果、四十八年の十二月末の貯蓄の実質残高は百五十一万一千円ということになりまして、差し引き約二十一万九千円の減価が生じるということになるわけでございます。  なお、この貯蓄の残高は低所得階層と高所得階層では差がございます。第一分位、いわゆる低所得者層でございますが、貯蓄残高は七十一万七千円でございますが、第五分位では三百五十八万三千円の残高がございます。一方、低所得者層と高所得者層では貯蓄の中身がやや違っておりまして、低所得者層は、どちらかと申しますと郵便貯金あるいは定期預金といったもののウエートが多い。高所得者層におきましては、株式とか債券というような利回り率の高いものが多いということがございまして、その結果の減価額を同じように計算をいたしますと、低所得者層、第一分位では一三・二%の減価、第五分位では一二・三%の減価というように、やや減価率に差が出るということでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 国民の貯蓄総額ではどのくらいあって、どのくらい目減りしたことになるでしょうか。

岩田幸基経済企画庁国民生活局長

○政府委員(岩田幸基君) これは四十八年の十二月末でございますが、個人の貯蓄総額は、金融資産全体といたしまして約百二十兆百八十六億円ございます。一方、負債の方は四十九兆八千億円ばかりございますので、差し引きいたしますと、約七十兆円というのが個人の金融資産の残高ということになるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 目減りは……。

岩田幸基経済企画庁国民生活局長

○政府委員(岩田幸基君) 目減りは特に計算をしておりませんが、先ほどのような計算で申しますと、約一二%ばかりになりますから、約十兆円ばかりということでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 四十八年度でもそのくらい庶民の貯蓄が減っているわけなんですが、貯蓄デフレーターですね、これが物価上昇率より高いというのはなぜでございますか。

岩田幸基経済企画庁国民生活局長

○政府委員(岩田幸基君) この貯蓄デフレーターと申しますのは、貯蓄の目的がいろいろございます。老後の生活のためであるとか、あるいは土地、住宅の取得のためとか、そういう目的別にそれぞれの土地価格であるとか、あるいは将来の生活のための生活必需品の価格であるとか、こういうものを掛け合わせましてつくりましたものでございますから、したがって、主として土地、住宅、そうしたものの値上がり率が消費者物価よりも相対的に高いということで、貯蓄デフレーター全体が消費者物価上昇率より高くなるということでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 要するに、土地家屋の新築、増築の費用その他、特にそれが高くなっているので、目的をとってみると、貯蓄デフレーターで計算すれば物価上昇率を掛けたよりははるかに貯蓄の目減りが出ているということでございますね。

岩田幸基経済企画庁国民生活局長

○政府委員(岩田幸基君) そのとおりでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 経済企画庁長官、このように目減りしてもなお庶民が貯金する理由は何でございましょうか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) これは正確につかみようはないのですが、私がいろいろの数字なんかから把握しておりますのは、とにかく高値安定といいますか、物価は鎮静してきた。しかし、それにしても非常に高いというところに国民が抵抗を感じておる、こういうことが一番大きな理由じゃあるまいか、そういうふうに思います。  それから経済が、一方においてインフレである、一方においてデフレである、こういう中におきまして不時の環境の変化に備えるというような意識もあるのじゃないかと、こういうふうに思いますが、私は最大の理由はこの高値、これに対する抵抗だと、こういうふうに考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 だから、庶民は大変哀れなんですね。高値だから心配なんで貯金していますけれども、実は目減りしていくわけですからね。こういうふうな状況で、貯蓄推進本部によると、不時の災難、疾病、教育費、老後の不安、住宅建築などを目的にして、それから漠然とした不安などが挙げられております。ですから、みすみす減るとは思いながらも貯金をしているわけなんです。そして、その低所得層ほど貯蓄の目減り率もひどいということは、先ほど国民生活局長が御説明になりました。  で、国民生活白書で債権者の損失と債務者利得のことがありますね。債権者というのは貸し手であるところの庶民、債務者というのは借り手であるところの法人企業、ここのところの説明を国民生活局長お願いします。

岩田幸基経済企画庁国民生活局長

○政府委員(岩田幸基君) これは日銀に金融資産負債残高表というものがございまして、国全体の金融資産の残高を調べたものでございます。それによりますと、昭和四十八年十二月現在でございますけれども、国全体の債権超過額が約七十四兆五千億円ございます。そのうち個人の債権超過額が七十兆円、法人企業の場合は債務超過でございますが、五十三兆六千億円というような数字になっております。これが一年後にどういうような状態になるかということを試算をしたわけでございます。この場合の試算は、前提といたしまして四十八年一年間の物価上昇率を約二〇%、金融資産の平均利回りを八%という前提で計算をいたしますと、個人の場合の債権超過額が一年後には六十一兆七千億円、法人企業の債務超過額が四十七兆一千億円ということになりまして、一年前と比べますと、個人の場合に約八兆四千億円の債権者損失、法人企業の場合に六兆四千億円の債務者利益が生じるということでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 関連。  いまの預貯金の目減りにつきまして、これは総理の諮問機関であります国民生活審議会が昨年の十一月二十七日に総理に建議しておりますね。「社会保障の物価上昇に対応する充実・強化」、これが第一点です。第二は「課税最低限の物価上昇に対応する引上げを中心とする中低所得層向け物価調整減税の実施」、それから第三が「零細貯蓄・老後貯蓄に重点をおいた貯蓄の実質価値の維持」と、この三点を総理に提言いたしまして、とりわけ預貯金の目減りにつきましては、ことしイギリスが実施を発表いたしました国民貯蓄国債の発行、それから小口預金者に対する契約貯蓄制度、この二つを例示いたしまして、総理に、老齢者に対象範囲を限定いたしました五年ないし十年の特別貯蓄国債の発行、それから第二は零細預金者の預金に対する特別利子制度の導入と、この二つを早急に実施する必要があるということを提言いたしておりますが、総理、あなたはこの提言を御存じですか。御存じならば、この国民生活審議会の提案に対してこれを尊重する御意思がありますか。この二つをお伺いいたしたい。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま御提示になりました国民生活審議会の答申は政府として承知いたしておりまするし、その精神、訴えるところに対しまして行政的にこたえるところがなけりゃならぬということで検討を進めておるわけでございます。しかし、政府としては何よりも、過去に起きましたインフレによる目減りに対する対策ということよりは、これから新しくインフレを起こさなないようにすることに施策の力点を置くべきであるということを第一義といたしておるわけでございます。しかしながら、生活審議会が御提議になっておりますように、過去のインフレによる目減りその他に対する対策もないがしろにできないわけでございますので、昭和四十八年、九年、五回にわたりまして長期性預金に対する利子の引き上げを鋭意やってまいりましたこと、御案内のとおりでございます。五回にわたって二分五厘の引き上げが実行できたわけでございますが、それでもいま田中先生が御指摘になっておりますように、目減りとして計算されておりまする率から申しますと、なお至らないところでございます。そこでなお、いま国民生活審議会の御答申にもありますように、目標を、対象を限って特別な国債を出すとか、あるいは特別な長期性の預金を創設することができないかという問題につきまして、各金融機関に検討をお願いいたしておるわけでございます。金融機関におきましては、その負担のできます範囲内において何らかの対策が実行できないかということで、技術的な問題も含めまして、経済情勢の推移を見ながら目下慎重に検討をいたしております。まだ結論は出ていないわけでございますけれども、しばらく時間をかしていただかなければならぬと考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ただいま検討中であるというお話で、まあ了解できないものでもないのですけれども、御承知のように、この審議会は早急な実施を勧告しております。それから、これは信用金庫であるとか相互銀行であるとか、小口、零細な預貯金を扱う、そういう金融機関に対して政府が財政投融資資金などを効果的に運用すれば、相当これは実施が円滑にいくのではないかと思われるわけです。そういう点でも、特にこれからの運用について総理並びに大蔵大臣に御留意を願いたいと思いますが、この点いかがですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 寺田先生も御承知のように、財政投融資資金、この大宗は郵便貯金等でございますが、これは庶民の零細な資金を政府機関が預かっておるわけでございます。したがって、法律にもありますように、有利でかつ確実に運用してまいる責任を持っておるわけでございます。したがって、この資金を政策的な便宜によって低利に運用するというようなことは許されないわけでございますので、財政資金を政策目的のために使うというようなことは考えるべきでないし、政府として考えていないわけでございます。先ほどお答え申し上げましたように、民間金融機関がその負担力の中で、ぎりぎりどこまで、どういう方法で預金者にその利益を還元できるかという問題としてこの目減り対策を考えておると御理解をちょうだいしたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 わかりましたが、それじゃ郵便貯金のゲビートで財政投融資資金を運用するという、そして少額の特別の貯蓄制度を考えるということはできますね。大蔵大臣、いかがですか。郵便貯金の限度において、その範囲においてこの財政投融資資金を運用して、そして小口の特別な零細貯蓄制度を実施するということはどうですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま民間の金融機関に目減り対策として、特殊な性格を持ちました長期性の預金、個人の預金を検討いただいておるわけでございます。そういう新しい預金制度というものができました場合に、それは民間金融機関にだけ限局されないで、郵便局においても取り扱うことができるようにするかどうかという御質問でございますならば、当然この民間金融機関に限られるべき性質のものでないと私は思っております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 総理、お聞きになりましたように、先ほど国民生活局長が説明なさいましたが、債権者損失というのは、わかりやすく言えば、貸し手であるところの庶民が貯金を貸すことによって損をしている。それが四十八年度八兆四千億、それから債務者利得というのは、それを借りた企業の方は六兆四千億は負債が減少させられている。つまり、一方では目減りして、一方ではそれを、インフレですから回せばもうかるということになりますね。こういう不公正は是正しなけりゃいけないと思うんですが、その方策については、いま大蔵大臣もおっしゃいましたけれども、どういうふうにしなけりゃならないとお思いになります、総理。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 田中議員の御指摘のように、物を持っておる者、金を借りておる者、これがやはり、物を持たぬ者、金を貸しておる者に比べて非常に有利な立場に立つ、これがまあインフレの不公正を生む大きな原因ですから、そのためにも、やっぱりインフレというものがいつまでも終息しないということであっては、これはどうにもならない。そういう社会は。健全でない。そういうことで、いまはいろんな不公平を是正しようという後ろ向きの問題、後ろ向きとも言えないかもしれぬが、そういう問題もありますが、やはり将来にわたってこの禍根を断つということが一番大事でありますから、インフレの克服ということに全力を挙げているんですよ、これは。その間に、いま言ったようなインフレの犠牲を受けた人に対して、大蔵大臣も自減りに対してはいま検討をしておるということでございますし、また、社会保障の面においても、今年、まあ田中議員から言われれば不十分だと言いましょうけれども、一兆円ふやして、そうして弱い立場の人たちに対しての犠牲を緩和しようということで、とにかくこれを早く収束さすことがこの不公正是正の根源的な課題であると、こういう考え方でインフレ克服に全力を傾けておる次第でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 政府の目減り対策として、割り増し金つき貯蓄、これは福田副総理が大蔵大臣のときに考えられたことです。それからあとは老人福祉預金制度で一〇%ぐらいの利率にする。このくらいですか、大蔵大臣。それから割り増し金つき貯蓄というのは、あれば役に立ちましたでしょうか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、民間の金融機関にその負担の範囲内において何ができるか、いままで鋭意やってまいったわけでございますが、なお、どこまで、どういう方法で、どういう対象に対してどこまでできるかという点の検討をわずらわしておるわけでございます。いま、どこまで、どういう方法でやれるかというところまでお答えできる状態になっていないことを残念に思うわけでございまして、しばらく時間をかしていただきたいわけでございますが、過去におきましてやりました特別な預金制度は、それなりの成果を上げて貯蓄の吸収に役立ったと判断いたしております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いまはからずも貯蓄の吸収にとおっしゃった。だから、貯蓄をすればするほど損するのに、庶民からは貯蓄奨励です、吸収している。この矛盾に対する実効のある政策を、先ほど引用されました国民生活審議会の答申、報告にもありますようなことをぜひ考えていただきたいということを申し上げておきます。  次に、金利のことなんですが、昨日、福田副総理は日本の金利は高いようにおっしゃったのですけれども、私は、預金金利はずっと低くて、四十八年のあの狂乱が始まるころから上げていった、長い間低い金利で、だからこういう損ができてきたのじゃないかと思いますが、いかがですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) いま物価上昇が進んでおるという段階でありますので、それを考えますと、預金者金利、これが低いという問題があります。ありますが、これは預金者金利というものはどうしても貸出金利、これと見合いをとるという性格のものでありまして、その預金者金利、貸出金利、そういうものを総合して言いますと、私は世界水準の中でややバランスがとれた形になっておるんじゃないか、そういうふうに思いますが、これは最近の傾向として世界で低金利の動きが出てきて、おるんです。そういう動きをよく見なきゃならぬと思う。今日ではバランスはとれておると思いますが、世界情勢の動きいかんによりましては、わが国も金利の問題にも注意した配慮を加えなければならぬ、こういうふうに考えております。この金利水準は、私はこれからは——いま当面そういう国際金利との問題がありますが、将来は幾らかそういう調整なんかの立場から、これは下がっていくであろうし、下げなければならぬ、長い目で見まして。そういう傾向にあると思いますが、これがまた余り低くなるのも、これは総需要抑制というような立場からいかがであろうかと、こういうふうに考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そうすると、預金金利もやっぱり下げていくというお考えですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) この預金、貸し出し、これは連動して考えなきゃならぬ問題です。貸し出しはこれは下げる、しかし、この預金の方の金利はこれを維持する、こういううまいわけにはいかないんです。しかし、預金金利とそれから貸出金利の乖離ですね、こういうことは金融機関の合理化によりまして、なるべく少ない方がいい。金融当局としてはそういう指導をしておるわけであります。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 福田副総理、いままで貸出金利のほうが安くて、しょっちゅうそのときの状況でよく動いているわけです。ところが、預金金利の方はずっと抑えられてきていたわけです。四十八年の半ばから急に上がってきたわけです。それですから、過去の損失が相当あるわけですが、それはやっぱりもっと預金金利の方は上げていくべきじゃないか。つまり、借りれば得をするという体質、これを変えないと福祉型の金利にはならないと思うんですが、いかがですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 貸出金利と預金金利は、これは連動原則、これは原則でありまして、どうしてもそういう関係を否定することはできないと思うんです。ただ、その間の乖離、この両者の乖離につきましては、これはなるべく少ない方がいいのであります。金融行政の大きな役目というものは、その乖離を少なくするというか、金融機関の能率向上、近代化、合理化、こういうことにあるんだろうと、こういうふうには考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 過去において預金金利はぐっと抑えられていたということを考慮していただいて、それでまだ物価上昇率が高いですから、それを預金金利を下げたら、またさらに損をするということになります。その辺を十分考えていただきたいと思いますが、総理、目減り対策についてはいままで議論されましたが、たとえば退職金五百万円を預け入れていて、それで生活している人にとっては身をへずられる思いなんですね。ですから、これはやっぱり実効ある対策を、過去の損失と将来に向けてぜひ決断をもって実行するということをお約束いただけないでしょうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 過去の目減り対策についても、いま大蔵省を中心に検討しておりますが、いま御指摘のような退職金をもらった人たちが、これがやっぱりこういうインフレが続いていけば、実際の貨幣価値は少なくなるわけですから、どうしてもこれは国民的協力を得てインフレを抑えるということ以外に方法ないですよ。いままで過去のことはともかく、将来ずっとこういう慢性的なインフレというものが続いていけば、生活の設計は立たないですからね。そういう点で、言われることはよくわかりますよ。そのものに対しては大蔵省で検討していますが、いま御指摘のような問題を思うにつけても、やはりインフレというものを収束さすことがやはり健全な社会をつくる前提ですね。そういうことで、今後大所高所からこの問題に対処していきたいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 インフレを抑えるといつもおっしゃいますけれども、なかなかそれがすぐにおさまらないで、現実に弱者あるいは低所得者が苦しむという、これに対する対策はぜひ実行していただきたい。  じゃ、次に税制のことについてお伺いしますが、税制の不公正というのは、これはもう一番ひどいと思います。税制というのは所得の再配分機能を生かさなきゃいけないものだと思うのですが、大企業の優遇、これで一番不公正が起こっているわけなんです。で、これまた国民生活審議会の税のゆがみに対しての是正の意見が出ておりますね。これ、お聞きになりましたでしょうか、総理。——じゃ、国民生活局長、説明してください。

岩田幸基経済企画庁国民生活局長

○政府委員(岩田幸基君) 昨年十一月二十七日の国民生活審議会の中間報告でございますが、税制につきましては、第一は、物価の上昇に応じまして、それに対応するような課税最低減の引き上げをすること。第二は、やはり物価の上昇に応じまして、老齢者あるいは障害者に対する控除等を配慮をする必要があるのではないか。第三には、間接税等について生活必需品についての軽減措置を考えるべきではないかということ。それから第四には、税制の持つ自動安定機能を回復するという意味におきまして、超過累進税率の全面的調整を見送ってはどうかということ。それから最後に、長期譲渡所得の分離課税制度等、資産所得の優遇措置の抜本的改正をしてはどうか、というような提言をしているわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 大蔵大臣、いまの報告に関して、どういうことをこの中から参考にして実行しようと思っていらっしゃいますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 毎年毎年、御案内のように、所得税の減税をいたしてきたわけでございます。ことしも、去年の大幅な減税の平年度化の年でございますが、それに加えて、いまお話がございましたいわゆる物価調整減税というものを二千億余りいたしたゆえんのものも、物価高に伴いまして、納税者の負担を軽減しようという趣旨の改正でございます。  それから、長期の譲渡益につきまして、分離課税上特別な配慮をすべきでないかと。つまり、長期の譲渡益に対して重課すべきでないかという御意見でございますが、それはことしの改正でそういう方向に改善措置を講じて御審議を願っておるわけでございまして、不断に税制を各税目について洗いまして、そういう趣旨をできるだけ生かすように政府として努力いたしておるところでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いま二千億余りの減税とおっしゃいましたが、千九百五十億、ミニ減税と言われていますけれども、私たちは、やっぱりこれは酒、たばこの増税がありますからね、結局増税だと考えますが、いかがですか。酒で千七十億、たばこで二千五百億、差し引きしますと千六百二十億は増税ひなると思いますが。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 増税という観念でございますが、酒とたばこは、御案内のように、昭和四十三年以来据え置いてまいったわけでございます。その間、不幸にいたしまして物価は上がったわけでございますけれども、この種の従量税はそのまま据え置いてきたわけでございまして、したがって、他の物価とのバランスから申しまして、この際、従量税にわたる部分は若干の調整をさせていただいて差し支えないのではないかという判断でございまして、なるほど、これを増税と見ることもできないわけじゃございませんけれども、私どもといたしましては、いわば調整をやらしていただいたということに理解をいたしておるわけでございます。他の税目との間の負担のバランスをとるということも、税制を預かる者といたしまして当然考えなけりゃならぬことでございます。また、歳入を確保する上から申しましても、そういうことは考えさしていただいて差し支えないのじゃないかという判断をいたしたわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 これ、国民生活局長に聞きたいんですけとね、間接税——酒、たばこなとが低所得層に及ぼしている影響が強いということを指摘していらっしゃると思いますが、説明してください。

岩田幸基経済企画庁国民生活局長

○政府委員(岩田幸基君) この審議会で指摘しておりますのは、酒、たばこ等、あるいは生活必需品的な間接税の方を相対的に安くして、そのかわり奢侈品その他の間接税を高くしてはどうかというような意味で答申がなされているわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 これ、数字を挙げている暇がありませんが、酒、たばこは国民に対して逆進的なものであるから——これ間接税全体かそれを持っているわけですね、そういう性格を。これは引き下げるようにという答申が、建言があるわけなんです。最も重大なのは土地税制なんですけれども、その土地税制、四十四年とられましたあの低率な分離課税制度ですね。副総理は衆議院の方で、あれはメリットがあったというふうにおっしゃっておりますが、デメリットはありませんか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) あの法律は、制定当初には予期したような目的を私はなし遂げたと、こういうふうに見ておるんです。つまり、土地を所有しておる個人が相当それを手放したと。ところが四十六年から、特に四十七年になりまして、いわゆる過剰流動性というのが発生いたし、まして、その個人の手放す土地を企業がその流動性を使用してこれを買い取ると、こういう傾向が多くなってきたわけでありまして、しかも、その企業の取得する土地は当面需要はないんだと、いわゆる仮需要的なものもかなりあると、こういう状態になり、地価暴発の大きな要因となったというデメリットがまたあったわけなんでございますが、まあそういうメリット、デメリット両方の作用を持ちながら、いよいよことしその時限が到来する、そういうことに相なる次第でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 これ、国税庁長官に伺いたいのですが、もしこの土地の低率な分離課税制度でなくて、四十四年以後ずっと総合課税で取っていたならば、いたと仮定したら、税の収入はどのくらいあったことになりますでしょうか。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○政府委員(中橋敬次郎君) 所得税法におきますところの本則といいまするのは、実は土地の長く持っておりましたものを売りましたときには二分の一を総合するというシステムでございまするので、ただいまとっております長期譲渡所得二〇%分離の税制におきましても、実はかなり増収になっておる部面があるわけでございます。ただ問題は、高額の所得者につきましては、その分離二〇%というのが非常に低いという批判がございましたので、今回御審議をわずらわすことにいたしておりまするものは、譲渡益が二千万円を超えましたものについては四分の三の総合をするということにいたしておるわけでございます。  申しわけございませんけれども、現行法におきましての二〇%によりますものと、それから本則二分の一総合によりますものの税収との比較というのはちょっと手元にございません。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 国税庁の税務統提計で見ますと、大体四十四年以来の譲渡所得、一昨年までで合計して大体十五兆円ぐらいあるんですね。もしこれを平均税率五〇%と仮定して、軽減税率との差が三〇%以上になりますので、税収は控え目に見ても五兆円はあったはずだと、四十八年までに。それだけ逃しているというふうになると思うんですが、いかがでしょう。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○政府委員(中橋敬次郎君) 現在でも、譲渡益二千万円までと申しまするのが譲渡者につきまして約八五%ぐらい該当するわけでございます。したがいまして、いまお示しのように五〇%の税率を適用するということは、かなり高い税率で計算せられておるのではないかというふうに考えられます。それから、先ほど申しましたように、譲渡益は本則では二分の一総合でございまするから、そういう点でもかなり違った数字が出てまいると思います。それからもう一つ、この制度はむしろ二〇%という分離課税制度をとることによりまして土地の供給を促進するということでございまするから、そういう制度のもとにおいて土地の供給が非常にふえたということは過去における実績が示すとおりでございまするので、そういう制度がなくなりましたときに、一体どの程度土地の供給、動きが減るかという要素も入れて見なければなりませんので、大体私どもの考えでは、現在の二分の一総合の本則と比べまして、そう税収としては変わりがないのじゃないかというふうに思っております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それは税率によると思うんです。  それで大蔵大臣、土地税制に対して優遇した四十四年以降の土地を出させるためにメリットはあった、しかし、その後、過剰流動性が出てきて、そして土地をどんどん買い占めてあの狂乱の状態を引き起こす原因になったと、さっきデメリットがあるということも副総理もお認めになったのですね。この土地に対する優遇制度、これ、もう一遍土地の再評価をして、これに課税をするという気はおありになりませんか、現在の土地の再評価課税。大蔵大臣、いかがです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは土地ばかりじゃございませんで、つまり資産に対する再評価税につきましてはいま消極的に考えております。何となれば、これは、いま実現いたしました利益に対する課税でございますならば仰せのように非常に高率な課税が可能なんでございますけれども、まだ実現していない利益であるということで、したがって、未実現利益に対してでございますので、まあ低率にならざるを得ない。で、低率な課税をやっておりますと、いまの法人税の税率より低くなるということになるわけでございまして、どうにもやりようがないのではないかと思うのでございまして、所得税とか法人税というものが歳入の大宗として十分機能しておるという限りにおきましては、土地の再評価あるいは財産の再評価というような姿において歳入を考えるという必要はないのではないか。所得税、法人税が半身不随になりまして、他に方法がなくて財産課税ということに訴えなけりゃならぬというような事情があればまた格別でございますけれども、私はそういう状況にいま日本はないと思うのでございまして、再評価税というようなことはいまわれわれの頭にないわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 まあしかし、いずれにしてもですね、土地をたくさん買い占めて、土地の地代をつり上げたということが狂乱物価の始まるその最初の原因のようになっておりますから、これに関してはもっと、この審議会の建言の中には富裕税みたいなこととか、何かこれははっきり具体的なことは出ていませんけど、出ておりますので考慮していただきたい。  そこで、大企業、高額所得者の優遇などの租税特別措置ですが、これで今年度の、五十年度予算に租税特別措置によって予算の減額している額ですね、これは幾らになりますか。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○政府委員(中橋敬次郎君) 五十年度につきまして、いわゆる租税特別措置によります減収額を試算いたしたものによりますれば、五千六百十億円でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私も、その五千六百十億円という数字を予算書で見たわけです。で、財源が欲しいときに、租税特別措置をいつまでも続けている。これは三十年代からの高度成長のために使われた方法なんですが、そこで、現在私は税法について幾つか提案があるんですが、政府がそれを修正する気がないかどうかということです。  一つは、酒、たばこ、郵便料金なんていう大衆課税の引き上げをやめてほしい。このことばさっきやめられないというふうにおっしゃったので、もうこれは省きますが、私たちはそれを主張しているので、またもう少し後で議論します。  二番目は、五十年末までその租税特別措置の適用期限があるわけですね。ところが今度、先ほど改善の方向に向かっているというふうなお答えが、蔵相からあったんですが、これを三〇%に税率を引き上げて五年間延長ということですね。これはもう改善とは言えないと思うんですが、十二月までまだ期限がありますので、これを今回は提案することをやめて、十二月まで待ってはどうかと、その間にもっと検討して、これは臨時国会の補正でやってもいいんじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 酒、たばこの点につきましては、増税とおとりいただかなくて、四十三年以後据え置いてまいりましたものの調整であると御理解をいただきたいと思うのでございます。四十三年と昭和五十年と比較いたしますと、家計費の中で酒とたばこに費消する割合というものは、今度の増税をもっていたしましても——あなたのいわゆる増税をもっていたしましても、私は少なくなって、はるかに低位になっておると思うのでございます。ことしのように、まあいろいろ社会政策のために、福祉政策のためにずいぶんお金がかかるわけでございますので、酒、たばこを愛好する方々も歳入の一端を御負担いただいて差し支えないのじゃないかと私は考えております。  それから第二は特別措置の問題でございます。特別措置は、もう田中先生に申し上げるまでもなく、これは貯蓄の奨励でございますとか、公害の防除でございますとか、技術の開発でございますとか、いろいろな政策目的のために税の持つ機能を活用するためにとられた措置でございまして、大企業を擁護するためなんとかいうような、ちゃちな目的でやっておるわけでは決してないのでございまして、これはその中で、ことしの税制改正におきましては、長期の土地の譲渡益を本則に返しますと半分を総合するということになるわけでございます。つまり、特別措置を外しまして本則に返しますと、一時所得でございますから半分が総合にかかるということになるのを、四分の三を総合にかけるという特別措置を講じたわけでございますから、その点はわれわれの意図するところは御理解いただけるのではないかと思うのでございまして、つまり、本則に返しますとそうならないで、二分の一しか総合できないということになるわけでございますので、これはよく御吟味をいただきますと御理解いただけるのではないかと思っております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 十二月まで待つのは。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) ちょうど、たまたまいま国会が持たれておるわけでございまして、十二月末が期限でございますから、前もって国会の御審議を願っておくべきであると政府としては考えていま御提案申し上げているわけでございますが、それをお認めいただきますかどうか、これは国会の手にあるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 臨時国会でもいいわけですね。  もう一点は、いまもうすでに納税者は非常にたくさんになっているわけですね。勤労者の九一%、すなわち十人のうち九人までが納税者なんです。で、高校卒の人がすぐに税金がかかってくるわけですね。こういうふうになりますと、所得税の最低税率一〇%というのをもう少し下げるべきじゃないかと思うのですがね。もっと刻みを小さくしないと、高卒ですぐにもうかかってくる、こういう状況ですから、これをお考えいただけないかということです。たとえば一〇%を、かつて八%だったこともあるわけですが、五%ぐらいにして、順々にもっと刻みをつけて、所得の最初に低い人にはもっとそういうことを考えたらどうかということです。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○政府委員(中橋敬次郎君) 所得税におきますところの税率でございまするが、実は所得税の負担は、その税率だけでございませんで、いろいろの人的控除も総合的に勘案されて負担となるわけでございます。したがいまして、課税最低限、いわゆる課税最低限が低い段階におきましては、おっしゃるように表面的な所得税の最低税率というのも低くてしかるべきものかとも思いますけれども、だんだん課税最低限が高くなりますれば、それと兼ね合いますところの税率の最低税率といいまするのはそう低くなくてもよいというのが大体各国のとっておる姿でございますし、わが国におきましても、ずっとそういう形をとってまいっております。おっしゃいますように、八%というのをかつてとったことがございまするけれども、それも所得税の税率の最低税率一〇%の中で、住民税の方に実は分与したような形でもって二%というのが出現したわけでございます。ただ、そういう、私が先ほど申しましたような課税最低限との兼ね合いから、漸次これを四年がかりで課税最低限を引き上げながら今日の一〇%という税率に引き上げてまいった経緯もございます。したがいまして、おっしゃいますように、最低税率を低くするのがいいのか、課税最低限のからみによりまして漸次負担がなだらかなカーブで実現できるほうがよろしいのかという総合判断でございまするので、あながち、おっしゃいますように、常に表面的な税率の一番低いものが低くあるべきではないというふうに私は考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 課税最低限も私どもはもっと引き上げるべきだと思っているわけですけれども、よく、課税最低限の高さにおいては日本はすぐれているというお答えがあります。これはいろんなことを勘案しなきゃいけないわけですが、それで私はもっと課税最低限を引き上げるべきだと思っていますが、もう三千万人も納税者があって、十人働いているうち九人以上が税金を納めているような状況になりますと、いまの点を研究していただきたいと思います。  税金の最後ですが、付加価値税のことですね。このごろ何か付加価値税の構想が大蔵省にもあると。総理大臣、このことについて何か御進講をお聞きになったようですが、どういうお考えですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) アメリカを除いて、日本は間接税の少ない国であります。そういう点で、今後財政の収入の面から考えて、少し間接税にウエートを置いていったらどうかという声があることば田中さんも御存じのとおりでございますが、いま御指摘のように、間接税というものに対しては相当な歳入は見込まれ得るにしても、非常にやっぱりいま一律でありますから、そういう点で間接税に非常なウエートをかけていく点の不合理というものも生まれてくるわけですから、付加価値税などはヨーロッパにおいては成功しておるようですけれども、なかなか日本は国情も違いますしいたしますから、この問題は検討はいたしますけれども、いま付加価値税、日本がこれを取り上げていこうというような段階ではない。しかし、十分検討はしたいと考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 大蔵大臣、付加価値税というものはどういうものですか。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○政府委員(中橋敬次郎君) いまお話のございました付加価値税と申しまするのは、大体いまヨーロッパで多くの国が採用しております一般消費税でございます。その淵源は、売り上げ税というものがあらゆる段階についてかかるという難点がございましたのを、そういう重畳的な効果を排除する意味におきまして、フランスにおいて初めてやられたものでございます。いわば、一般的な消費税というのを、売り上げの段階においてそれぞれ付加価値に応じまして課税されるものでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 付加価値税というのは商取引の各段階に税金がかかっていくということで、これはまた非常にいまのような税の体系で庶民に税の負担が逆進性のものの多い場合、間接税もみんな逆進性があるわけですが、大変この点はインフレをさらに促進することになる、物価を高めていくということで、総理大臣、これはやらないというふうにお答えいただけないですか、インフレ克服が最大の任務だとおっしゃいましたので。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 税、税制全般について検討をすることになっておりますから、こういう検討をするしかるべき税制調査会などにおいても御検討願うわけでありますから、この段階で私が、この税はもうやらぬのだと、いろんな制約を加えることば、自由な検討をする場合に余り適当ではないのではないか。そういうことで、この問題はいま主税局長からも御答弁いたしましたように、国情も違いますし、慎重に検討をしなければならぬ問題であることは言うまでもございませんが、これは日本の税制の中で取り入れる考えは全然ないんだというようなことをここで申すことは適当でないと私は思っております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 大蔵大臣、間接税と直接税を五分五分にするのがいいというふうにお考えになっているんでしょうか。間接税と直接税の比率。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) そう機械的に私考えておりません。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それならよろしいんですが、間接税をふやし、付加価値税というふうなことになってきますと、何か政府はそういうことを考えているのじゃないか、財源を求める場合に大衆にかけるのが一番楽で簡単だというふうにお考えになっていやしないかと思ったものですから。  これは大蔵省が四十七年ですか、シャウプ博士を呼ばれてレクチュアをお受けになった。シャウプ博士というのは日本の税制を指導した人ですけれども、あの方のレクチュアの中に、福祉国家の方向というのは間接税に福祉の財源を求めるべきじゃない、直接税でいくべきだということを言っていらっしゃいますので、そのことは御参考までに申し上げておきます。  次に公共料金のことなんですが、これも同じような逆進性を持っている、間接税と同じような性格を持っているもので、低所得層の方にこれが重く入っていくということなんですね。それで副総理、この前の臨時国会のときに私が福祉型料金を考えてはどうかということを申し上げました。それは検討してみるとおっしゃいましたが、どういうふうに検討していらっしゃいますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 公共料金も料金でありますので、受益者がこれを負担するということが原則でなけりゃならぬ。これは私は変えることのできない原則だと、こういうふうに思いますが、しかし、公共料金は国民の生活に非常に密着した関係にありますので、そういう原則ではあるものの、やはり社会政策的な配慮もまた必要である、こういうふうに考えておるわけであります。たとえば、今回たばこの販売価格を引き上げるというに当りましても、第三種、こういうようなものにつきましては低率にする、第一種につきましては高額にするというような配慮を払っておるわけですが、そういう配慮をできる限りいたすべきものであり、またいたしておる、こういうことでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いまのお答えは、別に福祉型料金について検討したということでないというふうに思います。受益者負担は確かにする必要はあるでしょうけれども、そのこと自体が大変不公正を招いているということをひとつ考えに入れて、公共料金に関しては福祉型の料金制が必要なんじゃないかというふうに申し上げたわけなんです。  それで、去年東京電力が六月から六三・〇四%値上げしました。そのときに、世論に押されまして、生活保護世帯はことしの三月まで据え置き、それから家庭用の電灯百二十キロワットまでは二割引き、二百キロ以上は一割増しといったようなスライド型の料金体系をつくったわけですね。そのような形の福祉型料金をお考えにならないかということ、たとえば電気、ガス、水道というような国民の生活にどうしても必要なものに関して、そういう料金体系をつくるべきじゃないかなと思うのですが、いかがですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 技術的に非常に問題もあるかと思うのです。思うのですが、そういう角度で非常に簡明にそういう社会政策的配慮ができるというようなものにつきましては、私はそういう配慮をしてしかるべしと、そういうふうに考えております。ただ、生活保護世帯に対し、あるいは一定の低所得者に対しまして特別の価格でたとえばたばこを販売いたしますとか、塩を販売いたしますとか、非常にこれは困難なことですね。そういう制約がありますので、そういう問題はなかなか解決困難でございますが、簡明にそういうことができるんだというものにつきましては、公共料金につきましてはそういう配慮をするということですね、これは私は不可能じゃないと、かように考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 公共料金というのはやっぱり逆進性があることや、それから波及性がありますから、物価対策上、これを上げるということは政府が指導して上げるということになりますね。ですから、総理、その点は十分考えていただかないといけないと思うんです。  それで、この公共料金の値上げは、さっき受益者負担とおっしゃったけれども、弱者には大変ひどいはね返りをしているわけなんですね。それで、この実態を厚生大臣御存じでしょうか。東京都下の社会福祉協議会が老人ホームなんかで大変公共料金が上がるために出費がかさんで困っているということで、東京都に要望書が出ている。御存じですか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 要望書の出ていることは存じております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 その内容というのは、たとえば水道料金が七〇%も上がっちゃった。これは出したのは去年ですかね。七〇%も上がっている。プロパンガスが四五%上がっている。灯油がまた一番ひどくて、老人ホームなんかでは、みんな大体倍額近いものを払わなければならなくなった。ところが、国庫から来る単価というのは国の物価指数ではかられている。それで実際は、そんなに上がっているのに追いつかない。だから東京都がこれに上乗せして補助をしているということなんですね。これはどうお思いになりますか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) できるだけ実質的な出費に対応するような措置基準をつくらなきゃならぬと思っております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そうですね。それを実施していただかないものですから、やむを得ず上乗せを東京都でやっているわけなんです。そうしますと、自治大臣は福祉の先取りけしからぬみたいなことをおっしゃる、地方財政が苦しいときに。これはいかがですか、自治大臣、もしそれが間違っていたら正していただきたいのですが。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。  私が福祉の先取りをすることは十分考えてやってもらいたいということを申し上げておるのは、やはり福祉政策というのは、一遍実行いたしますというと、給料と同じ——給料とも違いますけれども、大体、まさかそれを後退させることはできなくなる。そうすると、財源問題を考えないで福祉の先取りをするということは、これはやはりこういうような高度成長から低成長へ変わったときにはひとつ考えてもらわなければならない、財源の問題も十分考え合わせてやってもらわなければいけないと、こういうことを申し上げたわけです。  そこで、福祉の先取りということになりますと、これはいろいろございます。それは、いま先生のおっしゃったようなのも一つと私は思いますけれども、そういう場合でも、たとえば私がそういうことを言ったのは、人件費なども、国家公務員と比較するというと、地方の自治体の公務員は、かれこれ一兆円近いものであるというようなことも言われておりまして、そういうものを少し自粛してもらうとか、あるいは期末手当を二百億も三百億も出すというのを少し、よけい出すということをやめてもらえば相当できるということがありまして、やはり収入と支出の問題のバランスというものを考えながら長い目で見てやらなければいけない。そういう意味で、福祉の先取りというものはひとつ十分こういう収支の問題も考えた上でやっていただきたい、こういうことを申し上げたので、具体的な問題について、これはいけないとかあれはいけないとかいうことを申し上げたのではありません。私は、福祉の問題は、これは当然これからの国民の、われわれが政治をやる上において、環境を整備するとか福祉政策を実現するとかということは非常に大事なことですから、やらなければいけないでしょう。しかし、やる場合には、いま言ったような歳入歳出というような問題も考えた上でやっていただかないというと地方自治体の硬直化が起きますよと、財政の硬直化が起きますよと、こういう意味で申し上げたわけであります。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 これは福祉の先取りと考えるべきじゃないと私は思います。先ほど厚生大臣は実態に即したように直していかなけりゃいけないとおっしゃった。全くそうだ。福祉は、国がたいへん腰が重いもので、地方の方から始まったので、これは革新と保守を問いません、みんなやっていらっしゃるわけなんです。福祉というのはどうしてもお金を食うものです。ですから、これは固定的であり、あるいは硬直化するものであるということを前提にしてやらなきゃいけないものです。ですから、考え方の違いだと思いますが、それで、このことについて総理大臣は先取りというふうにお思いになりますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 地方の自治体が地域住民の福祉という問題に非常に関心を持っておることは当然のことだと思います。やはり地方からすれば、地方の自治体が地域住民と日常接触しておるわけですから福祉に対する熱意というものが非常に高いものがあると思いますが、しかし、この福祉というものも、財源というものが、やはり県なら県の財源と見合うものでなければ、財源というものを見合わないで次々に福祉というものを競い合うことは、これはやはり弊害が起こりますから、先取りは結構ですけれども……。自分の責任において、自分の財源の範囲内で福祉というものに対して積極的に地方自治体が推進することは私は当然のことだと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 総理ね、財源のことをおっしゃるけれども、この問題はまた別の議論をしなきゃいけない。さっき言いましたように、国の単価というのは大変もう現実と見合ってないから、決められただけを計上しても足りないから上乗せせざるを得ない現状です。それを認識していただきたい。  時間がありませんので、きょう専売公社の総裁がいらしていると思いますから、たばこですね、これはどうしても値上げしなければならないという理由、それからコストが上がったという、そのコストと税との区分をちゃんと知らしていただきたい。  それから、ついでに申し上げておきます、もう急ぎますので。五月一日にたばこの値上げをするということにして、大変いま生産性を上げていらっしゃるようです。土曜日も返上してやっているようですが、これはいつも起こることで、大口消費者、たとえばパチンコ屋なんかが買い占めをして、半分買い占めれば五千万円もやみのもうけができる。こういうことを防ぐのにどうなさいますかということを伺いたい。

泉美之松日本専売公社副総裁

○説明員(泉美之松君) お答えいたします。  専売公社は従来から、大体定価に対しまして六〇%を上回る益金率を出しまして、その中からおおむね五七%あるいは八%を国庫及び地方団体に、専売納付金及び地方たばこ消費税として納付いたしまして、その残りを公社の留保金としてやってまいったわけでございます。ところが、四十三年にたばこ定価法の改正をお願いいたしまして定価改定を行いました当時は、六三%の益金率であったわけでございますが、これが昭和四十八年度に五九・三%に低下いたしました。それから四十九年度は、まだ年度進行中でございますけれども、大体私どもが推計いたしますと五四%三ないし五ぐらいに益金率が落ちてまいります。それから五十年度におきましては四六%台にまで落ちてまいる。こういう見込みでありますので、今回定価改定をお願いいたしたいということで法律案を御提出申し上げておるわけでございます。  それでは、なぜそのように益金率が下がってきたかと申しますと、製造原価の六割を占めておりますのが葉たばこでございまして、その葉たばこが昭和四十三年当時から九四%ほど値上がりいたしております。それから工場で働いております労務者の賃金、これが約一一四%に上がっております。そういったことによる原価の高騰、それからたばこ小売人に対するマージンの引き上げも行っております。そういった事情が加わりまして益金率が下がってまいっておるわけでございまして、このままでは、国及び地方団体の財政に寄与する専売公社の役割りが果たせないということで、定価改定をお願いいたしているわけでございます。  なお、お尋ねがございました五月一日定価改定を行いますと、高級品でございますと、百円のものが百五十円になりまして、五割値上がりするわけでございますが、そうすると、それを旧価格のうちに買って新価格でうまくやれば利益が上がるということで、パチンコ、料理飲食店等で相当の買い占めが起こるのではないかということが予測されますので、私どもといたしましては、二月以降そういった大口消費者に対しましては販売規制を実施いたしまして、そういうことによって不当にもうけられることのないようにいたしております。ただ、一般消費者の方には、自己防衛的にある程度お買いになることはあろうかと思いますので、一般消費者には、もちろんそう大量に供給するわけにはまいりませんけれども、できるだけ定改以前御不便をかけないようにいたしますが、そうするためにも、大口消費者に対しては相当規制をやらざるを得ない、こういう状況でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 専売納付金は、今回はそうすると予算ではたいへんふえるけれども、地方に配分する消費税のほうは減りますね。これは困ることなんですが、どうしてですか。

泉美之松日本専売公社副総裁

○説明員(泉美之松君) お話のように、たばこの定価改定を行いますと消費が減少することは、過去の経験から照らしましても予測されるわけでございます。私どもとしましては、今回の定価改定の結果、昭和五十年度におきましては百七十五億本ほど消費が落ちるものと、こういうふうに計算いたしております。そういたしますと、御存じのように、地方消費税は前年度の単価に当年度の販売数量を乗じ、それに税率をかけたものが地方消費税になるわけでありますが、そういうふうに消費本数が落ちますと地方消費税が減りますので、それは地方団体の財政が苦しい折から適当でないと考えまして、地方税法の方に改正をしていただきまして、たばこの定価改定がなかった場合と同程度の収入を保障するためにそういう措置を講じまして、その結果、二百二十億円ほど、普通の計算された場合よりも地方税収入がふえる措置を講ずることにいたしております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それぞれの委員会でもっと詳しく議論していただきますので、専売の副総裁、もう結構です。  それで、郵便料金の方なんですが、これは郵政省に、まとめてお伺いします。  なぜこんなに大幅な値上げをしなければならないかという理由と、それからその赤字の中に、私は局舎の建設費なんかが全部この郵便料金の中から取られているのではないか、それが、聞いたところでも六百億も入っている、これはおかしくはないかということ。  それからもう一点は、福祉的な料金と言って、たとえば盲人の点字ですね、ああいうものは無料にしていらっしゃるわけですが、そういう福祉的な料金で収入減がどのくらいあるか。

村上勇自由民主党郵政大臣

○国務大臣(村上勇君) お答えいたします。  郵便事業は、ほとんどその経費の大部分が、九〇%までが人件費であります。そういうようなことで、年々増加する人件費に耐えられなくなりまして、一昨年すでに郵政審議会で料金を、郵政省の諮問の骨子に沿って値上げをするようにという答申を得たのでありますが、総需要抑制のために一応しんぼうしてまいったのであります。そのために、四十九年度の赤字がすでに千四百億も出てきた。これをこのまま放置しておきますと、五十年、五十一年、まあ三年の累積赤字というものは約八千億になる。こういうことになりますと、御承知のように、郵便料金の負担は、これは受益者負担ということが原則でありますので、どうしても余り大事に至らないうちにここらで料金の改定をお願いしなけりゃならない。これもやはり昨年の暮れ、郵政審議会の答申をいただきまして、郵便五十円、はがき三十円というようなことでありましたが、どうも大衆に比較的親しみの多いはがきの料金は、もう赤字覚悟で二十円にいたしまして、しかもその実施期間を十月一日というように先に延ばして、少しでも国民の負担のかからないようにということにいたして、実はこの国会に料金値上げの法案を提出いたしておる次第でございます。  それから福祉関係につきましては、御承知のように、盲人の点字につきましては、これはもう万国共通でありますけれども、これは全くただということに、無料になっております。その費用が大体七億ばかりと、あと団体で、いわゆる災害時の際の被災者に対する手当て、そういうような点について、全部合わせて九億ぐらいのあれになっております。  それから郵便庁舎を郵便会計の中のそのものであれしているんじゃないかということでありますが、これはまた別なことで考慮いたしております。  以上でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 これもその委員会で詳しくまた議論していただきますが、私は、ポイントだけなんですけれども、一つ、身障者が発行しております刊行物ですね、これは四十六年の予算委員会のときにわが党の木村禧八郎さんから要請しましたのがきっかけになって、そして第三種郵便物扱いしてもらったんですね。それが年間約二百十万円くらいですから本当にわずかです。ところが、今回第三種が、いままで十二円払っていたのが三十五円になる。そうすると大変重大なことで、五百十三万円ほどかかる。三百万以上の増加になると。これは大変耐えられないことで、これはそのまま据え置くことができないかという要望があるわけですが、いかがですか。

村上勇自由民主党郵政大臣

○国務大臣(村上勇君) 四種につきましては、今回はさわらないことにいたしておりますので……。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 三種については。

村上勇自由民主党郵政大臣

○国務大臣(村上勇君) 三種につきましては別途検討いたします。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 ということは、どういうことですか。

村上勇自由民主党郵政大臣

○国務大臣(村上勇君) 御趣旨に沿うように検討したいと思います。

石井多加三郵政省郵務局長

○政府委員(石井多加三君) お答えいたします。  ただいまの御質問に出ました、身障者の方々の中でグループといいますか、お互いに励まし合い、慰め合うような形で印刷物を出されているものがございまして、ただいま御指摘のとおり、前回の、四十六年の料金の値上げの際に、こういったものが従来の規定でいきますと第三種という扱いができませんために、高い料金を払っていただいておる、それを何か方法はないかということがございまして、御説のとおり、私たちの内部の規則を変えまして、こういったものが第三種として発行できるような措置を特別に講じたわけでございます。それが今度の第三種の料金の改定問題に絡みまして、ただいま御指摘のように、非常に大きな値上げになるということで、私たちの方にも何とかこれが低減できないかという御要望が出ておることは事実でございます。私たちといたしましては、第三種の料金につきましては、このたびの郵政審議会の答申の中でかなり大幅な値上げの答申をいただいておりますが、これは法律の定めによりまして、第一種の料金の範囲内で省令でこれを定めるとなっておりまするので、いま郵便法の審議をしていただいておりますが、この決定を見まして、別途第三種の料金を考えるわけでございます。その際、いまのような方々のお出しになっておる印刷物につきまして、これは身体障害者の福祉のあり方の問題とか、その団体の認定の技術的な問題などがございまするので、関係の各省庁とも御相談を申し上げて解決してまいりたいと考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そのようにぜひ郵政大臣、お願いします。  そこで総理大臣ね、いま何度もおっしゃってますけれども、高度成長の時代からもう根本的に転換して、安定成長に入らなければならない時期に来ている、それは力の強い者に少しもっと負担をしてもらう、そして社会的な公正を実現するということだと思うんです。つまり、福祉型に、国のあり方全体、特に経済は変えていくべきだということだと思うんですが、いかがですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは国民の価値観にも大きな変化がありまして、国民は量的な拡大ばかりを望んでいない。もう少し生活の内容の充実ということを望んでいるわけで、そこに生きがいというものも見出されるということに、考え方が大きな変化がされつつある。そうなってくると、やはり生活の充実と言えば、大きく言えば福祉ということになる。私は、その福祉を余り狭い意味にとりたくはない。ただ社会保障というだけに——社会保障も重要な柱ではありましょうけれども、全体の総福祉というか、人間が生まれてから死ぬまでの間、何かやっぱり、機会といいますか、機会の不均等な待遇を受けないように、やはり何か全体を通じて福祉というものが実現できるような、そういうふうに総福祉国家というものを考えていきたいと。ただ、福祉国家ということになってくると、何もかも国に寄りかかってしまうということは私はよくない、やっぱり自立の精神も要ると。社会連帯の精神と自立の精神と、こういうことで日本独特の福祉国家というものができないかということを私は熱心にいま考えておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それで、私が社会的公正という場合には広く広く考えてくれと、いわゆる弱者というところだけじゃないということを最初から申し上げているわけなんです。で、いまおっしゃったようなこと、高福祉高負担ということの意味だと思うんです。それにはやっぱり土台がちゃんとしていなければいけない。いままで議論しましたように、いろいろと不公正が低所得層にしわ寄せされているから、そこのところに、ナショナルミニマムといいますか、最低線生活上どうしても必要な衣食住その他の文化その他を確保する、保障するということがあったら、その上で私らは高福祉高負担でもいいと思っているわけですが、それはいかがですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これがナショナルミニマムでございますと言ってそれを出すという、出す出さぬにかかわらず、やはり福祉国家という中にはナショナルミニマムという考え方が根底になければならぬと思います。そして、そういう人間としての平等な機会というものが与えられるような保証がないと、もう弱い者はどこまでも、どん底まで落ちていくという福祉国家はないわけですから、そういうものの考え方が福祉国家の根底にあることが必要であると、私もそう思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それで、そのナショナルミニマムという言葉はちょっとむずかしいけど、国民生活の最低限必要なものという線がちゃんと確保されるということを土台にして、その分に応じた負担をするということを私は言いたいわけなんです。スウェーデンのことがよく言われて、大変負担しているじゃないかと言うけれども、あそこはもう社会資本が十分に投下されて、そして社会保障もちゃんとしているし、生活環境もいいし、住宅もいい。こういうことがあって、相当高い社会保障税を払っても、貯金なんかしなくたって大丈夫だという状況ですね。そういうふうに努力していただきたいわけなんです。  それで、厚生大臣ね、それについては社会保障の長期計画が必要だと思うんですね。それはどういう見通しを持っていらっしゃいますか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) お説のとおり、社会保障の長期計画を策定する必要があるというふうに考え、現在厚生省におきまして、それの作業を取り進めておりますが、基本的にはやはり国全体の新経済計画と符節を合わせなければなりませんので、それを見ながらそのセットをしなければならないと思って、せっかく検討中でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 きのう副総理は、五十一年度に新経済政策をつくるとおっしゃった。厚生大臣、やっぱりその五十一年度ぐらいには長期計画をお出しになりますか。これはもう何回も、厚生大臣がいつも長期計画をつくるとおっしゃるが。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) できるだけ五十一年度に発足をさせたいと思っております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 副総理、どうですか。経済政策の中には、この福祉とか社会保障、大きなウエートを占めると思うんですが。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) これからの新長期計画におきましては、これはどうしても国の動きの大きな転換があるわけです。転換というのは、産業投資、それに多くの力を注ぎましたが、これからは、生活環境でありますとか、あるいは福祉諸施設でありますとか、そういう方面に力を注がなきゃならぬ。そういう方向は新長期計画においてははっきり出していきたい、こういうふうに考えております。その中身の詰めは厚生省でこれはやっていただく、こういうことに相なります。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 社会保障、社会福祉の長期計画は、その新経済計画の中に非常に欠くべからざるものだというふうに私は思います。  そこで、厚生大臣ね、一番底辺のところの生活保護者に対する基準、現状、どんなになっているか、生活保護基準。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 対前年度に対しまして二三・五%上げることにして御審議を願っております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いま幾らになっていますか。実態を、生活保護の実態を。——じゃ、政府委員で結構です。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 実態というと。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いま基準がどんなになっているかということです。

翁久次郎厚生省社会局長

○政府委員(翁久次郎君) お答え申し上げます。  一級地を例にとりますと、四人家族で七万五千円程度でございます。ちなみに前年度におきましては、それが六万円ちょっとオーバーする程度でございます。これは御承知のとおり各級地別、各性別に分かれておりますので、一応一級地をもってお示ししたわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 四人家族でおっしゃいましたけれども、一人幾らですか。

翁久次郎厚生省社会局長

○政府委員(翁久次郎君) 一人で申し上げますと、これも男女いろいろございますので、一級地で申し上げますと、七十歳の男子の場合に大体二万七千円ちょっとオーバーするかと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それは生活扶助費ですか、それとも総計ですか。

翁久次郎厚生省社会局長

○政府委員(翁久次郎君) 生活扶助費でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それで厚生大臣、生活保護家庭で家計の中でエンゲル係数がどのくらいを占めているか、おわかりになるでしょうか。

翁久次郎厚生省社会局長

○政府委員(翁久次郎君) 東京都を例にとりますと、一般の被保護階層で四十九年の十月現在で四八・四でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 エンゲル係数は、昨日申しました低所得層、第一分位で四一%というふうに、大変このごろ上がってきている。エンゲル係数が上がるということは、生活が非常に苦しくなって悪化しているということですね。生活保護家庭、いま四八%とおっしゃいましたが、ボーダーライン層なんかで、ほかの調査で見ますと五一・四とか五〇・二なんていうもの出ているわけで、入ってくるお金の半分は食べてしまわなければならない状況なんですね。こういう状況の基準となるのは、生活保護基準の基礎になるものは何ですか、何で計算しますか。

翁久次郎厚生省社会局長

○政府委員(翁久次郎君) 保護基準を策定いたします場合に、ただいまお示しがございましたエンゲル係数という考え方もございます。現に、過去においてそういうこともとってまいりました。現在におきましては、一般の家庭における消費支出に対し、できるだけ被保護階層の消費支出をこれに近づけるという考え方、いわば格差縮小方式というものでやっているわけでございまして、ちなみに、現在のところ格差は五六ないし七という数値を示しているわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 この不公正というのは非常に広いところに幅広くあるけれども、一番底辺のところはまず救わなきゃならないですね。それで、これまたもう一遍自治体のことなんですが、私どもプロジェクトチームを組んであちこち自治体を見て回ったわけなんですけれども、東京都の場合、先ほども申しました。それから全社協から要望が出ていると思いますが、厚生大臣、御存じですか。

翁久次郎厚生省社会局長

○政府委員(翁久次郎君) 全国社会福祉協議会からは、予算の編成時には常に各施設あるいはその他の問題についての予算上の要望があることは、承知いたしております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 具体的に覚えていませんか。

翁久次郎厚生省社会局長

○政府委員(翁久次郎君) 具体的にここで申し上げる資料を持っておりませんので、失礼いたします。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 二月二十八日に全社協から、軽費老人ホームというのがありますね、あそこでは自分でお金を出しているわけなんですが、大体東京あたりですと二万円ちょっとかかる。二万一千円ぐらい最低食費その他要る。小遣いは別にして。小遣いを持って軽費老人ホームに入って、十年間に二・六倍に寮費が上がっているわけですね。それで十年入っていられると思った老人が、七年二カ月しかおれなくなる。これは重大なことだと思うのです。ですから、私何度も言っていますように、国の基準というものを引き上げるべきだと思いますが、いかがですか、厚生大臣。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 引き上げるべきだというのですか。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 補助。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) そのとおりだと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私ども地方に参りまして、福祉の先取りということを言われたことに対して大変皆施設の人たちが憤慨しておる。特に、国がやらないのをやむを得ずやっているんです。たとえば私、仙台へ行きましたけれども、市立病院で、植物人間というのがございます。十五人収容していらっしゃいます。これは救急医療でやってきたんですね。交通事故が主です。それを担ぎ込まれたけれども、国立病院も見てくれない、国も見てくれないので、県と市で年間一人当たり七十五万円ずつ出して見ているわけです。宮城県下に五十四人おります。こんなのを全然見ないでおいて、そしてそれを——見ざるを得ないでしょう、そこにいるんだから、生きているんですから。それをやったら先取りだというふうに怒られる。これは困ったことですね。どうしますか。まず自治大臣。こういう事情御存じですか、自治大臣。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) 私は、いまのような例であれば、これは国としてめんどうを見るべきものだろうと思います。それだから、その福祉の内容によって考えていかなければならない。たとえば私の申し上げておるのは、福祉福祉という言葉でも、東京近郊などでは生まれると一万円、亡くなると一万円、どなたにでも上げるというようなことをやっているところもあります。これも福祉の名前においてやっておいでになります。私は、そういうような種類の福祉、それが福祉であるということになると、こういうものはちょっと考えなきゃいかぬじゃないかということを申し上げたので、あなたがいま御指摘になったようなことは、これはどうもやはりやむを得ない面があると考えます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 やむを得ませんか。じゃ国が見るべきですね。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) だから、そういうものは今後は私は厚生行政としてはめんどうを見ていくということになるのではないか。いわゆる一種の難病問題ですね、難病と見るべきじゃないかと私は考えます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 総理、いかがですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は先取りというものが悪いとは思わぬですけれども、いま言ったような、地方自治体もやっぱり責任を持ったものでなければいけませんからね、そういう一般の、何というんですか、財政面の配慮も要るわけで、これは一つの選択ですから、多いほどこしたことはないんですよ、福祉は。何でも皆やれば喜ばれるわけなんです。その自分の財政力というものとにらみ合わないで、皆が福祉福祉ということで、皆喜ばれますからね、そういうことになれば非常に弊害の面も出てくるから、先取りは悪いことではないけれども、地方自治体が責任を持って、地方財政の面ともにらみ合わせた責任のある地方自治行政というものを私は希望する、これを申し上げておきたいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それをにらみ合わせていると、その人たちを見殺しにしなけりゃならぬ、そういうことがいっぱいあるわけなんですね。その辺、頭を切りかえていただかないといけない。  もう最後ですから、私厚生省にお願いしたいのですが、いろいろと調べようと思っても、厚生省の厚生行政の基礎になる統計資料が、ようやくきのう四十八年度のが出ているという状態です。この激しいインフレのときに、各施設がもう困り切って抱えているわけです。こういうことになると地方でも、国の機関委任業務はみんな返上しようというふうに言っているくらいですね。こんなことで、どうしてもっと早く資料をつかむ——こういう緊急のときには速報でも出してくれるということができないのですか、どうですか。  それから植物人間もつかんでいないですね、全国にどのくらいいるのか。どうですか。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○政府委員(佐分利輝彦君) まず、最後のお尋ねの植物人間の数でございますけれども、ただいま的確な資料を持っておりませんが……

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 補助してないからね、何にも補助してないからわからない。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○政府委員(佐分利輝彦君) いえ、研究費を補助いたしておりますので、その研究班の報告書が出ておりますが……

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 研究費だけですよ、百万とか二百万とか。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 金額はいろいろ問題ございますけれども、研究班を設けておりまして、調査研究はやっておりますけれども、的確な数字ではございませんが、その研究の報告では八百名足らずの患者が報告されておったと思います。  また、前段の御質問の調査報告の件でございますけれども、現在鋭意発表あるいは中間集計の時期を早めるように努力いたしておりまして、一部は、御指摘ございましたように、逐次早く御報告するようになってまいっております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 大変官僚的な答弁なんですが、弱者対策と言われるのだから、急がなきゃいけないということを念を入れてお願いしておきます。  最後に、福祉年金は二万円を厚生大臣は五十一年度からするという約束をなさった。それと、最後に総理大臣、こういう福祉体系に向かって決意を述べていただきたい。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) そのことについては、現下の社会情勢にかんがみて、年金の財政を見直し、洗い直して、そのようなことに実現をいたしたいという私の願望を申し述べたわけでございます。決して一般会計のみに依存する従来方式を踏襲し、そのようなことを、そういう給付を実現しようということではございませんので、せっかくそのような方向で努力をいたさなければならないと思っております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 もっと熱意を持ってくださいよ。総理大臣、全体としての、いま聞いていらっしゃったと思う、決意。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 全体として田中さんの言われた福祉行政を前進さすということは、われわれもそう考えておりますし、そういうことでなければ国民の期待にこたえる政治には私はこれからはならない。したがって、これはいろいろな財政上の面もありますから、できる限り福祉政策というものは前進をしていきたいと真剣に考えておる次第でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 発想の転換をしてください。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして、田中君の質疑は終了いたしました。(拍手)  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。     —————————————

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 青木一男君。

青木一男自由民主党

○青木一男君 私は、自由民主党を代表して、独禁法の運用について政府並びに公正取引委員会の委員長に質問します。初めに、憲法の解釈について二、三お尋ねします。これは内閣法制局長官においてお答えいただいて結構です。  まずお伺いしますが、憲法は、いかなる統治権を、いかなる機関が、いかなる方法で行使するかを定めた国家統治の基本法であるから、憲法に規定していない統治権または統治行為というものはあり得ないと思うが、政府の所見を伺います。

吉國一郎内閣法制局長官

○政府委員(吉國一郎君) ただいま御指摘のように、わが憲法におきましては、国の基本法としてわが国の統治制度の基本を定めておるのでございまするから、わが憲法の定める原則に従って申しまするならば、立法、行政、司法の三権以外の国家権力というものはあり得ないということでございます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 長官にお尋ねします。  憲法に統治機関として規定しているのは、天皇、国会、内閣、裁判所、会計検査院、地方公共団体である。そして、その中核をなすものは国会、内閣、裁判所であり、三権分立の方式がとられているとともに、内閣が行政権の行使について国会に対し責任を負う点で国会が国権の最高機関たることを明らかにしておる。そこで、これら憲法に規定された機関のほかに、統治権を最高権威として行使する機関は存在するはずがないと思うが、政府の所見を伺います。

吉國一郎内閣法制局長官

○政府委員(吉國一郎君) お答えいたします。  憲法は、統治権の諸権能のうち、立法権は国会に、行政権は内閣に、司法権は裁判所にそれぞれ属するものと定めて、御指摘のように三権分立の原則を採用いたしておると思います。  ところで、国会は国の唯一の立法機関であると憲法上規定されております。また、すべて司法権は裁判所に属するとされておるのに対しまして、憲法の第六十五条には単に「行政権は、内閣に属する。」というような規定をいたしておることからいたしまして、内閣は唯一の行政機関ではないと、したがって、行政権の一部を内閣とは別個の機関に行わせることも憲法上許されるのではないかというような見解も一部の学者にはあるようでございまするが、政府といたしましては、憲法第六十五条、また第七十二条の規定の趣旨からかんがみまして、会計検査院等憲法上明文の根拠がある場合は別といたしまして、それ以外に内閣から完全に独立した行政機関はこれを設けることは憲法違反の疑いがあるというふうに考えております。

青木一男自由民主党

○青木一男君 さらに長官にお伺いします。  公正取引委員会の担当している独禁法の施行運用は憲法上の行政権に属するものと思うが、政府の見解を伺いたい。行政権であるとすると、憲法第六十五条によって内閣の権限に属し、第七十二条によって公正取引委員会は内閣総理大臣の指揮監督に服し、第六十六条によって内閣は独禁法の施行について国会に対し責任を負うことになると思うが、政府の所見を伺います。

吉國一郎内閣法制局長官

○政府委員(吉國一郎君) お答えいたします。  公正取引委員会の担当する私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の施行運用の事務は、行政権に属するものでございます。それで、憲法第六十五条によって行政権に属するものでございまするから、憲法第六十五条に言うところの内閣の権限に属することもまた当然でございます。  また、第七十二条におきましては、内閣総理大臣は行政各部に関する指揮監督権を持っておりますが、ただ、公正取引委員会に対しましては、その行政事務の性質上、これはまた、御質問に従って申し上げてもよろしいと思いますが、政治的な配慮を排除いたしまして、政治的な中立、公正の立場からその事務を処理することが社会的にも要請されているというようなものにつきましては、内閣総理大臣の指揮監督権が制限をせられまして、これは、具体的には私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の問題の第二十八条の規定によって明らかにされておるところでございますが、先ほど申し上げましたような公正取引委員会の所掌する事務の特異な性質によりまして、内閣総理大臣が一般の行政機関に対して有するような指揮監督権がおのずから制限をせられまして、個々の公正取引委員会の事務処理については、直接にこれを指揮して一定の方向においてこれを処理し、あるいは処理しないことを命ずることはできないような法制に相なっております。しかし、その点は先ほど申し上げましたように、公正取引委員会の所掌事務の性質によるものでございまして、憲法上問題を生ずるようなものではないと、また「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」ということが第六十六条において規定をせられておりますが、全般的に申し上げまするならば、内閣の統括のもとにある行政機関の行う行政について内閣が責任を有することば当然でございます。公正取引委員会につきましても、内閣なりあるいは内閣総理大臣の一般的な行政機関に対する指揮監督よりは弱い関係ではございまするけれども、あるいは人事あるいは財務、会計その他の事項を通じて一定の監督権を行使するものでございまして、これらを通じてやはりその行政に対しては国会に対して責任を負うというふうに考えております。

青木一男自由民主党

○青木一男君 公正取引委員会の委員長にお尋ねします。  独禁法第二十七条に「公正取引委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。」旨を規定しておるが、この「所轄」とはどういう意味か。また、公正取引委員会は、職権の行使について内閣総理大臣の指揮監督を受けておられるかどうか、その根拠とともに伺います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) ただいま法制局長官からの御答弁によってもある程度おわかりかと思いますが、私どもは、内閣総理大臣の所轄に属するということは、まず人事権において総理大臣が、もちろん国会の承認ということもありまして、なお総理大臣のみではありませんけれども、総理大臣が直接任命すると、こういうことになっております。  それから予算は、すべてこれは内閣総理大臣の指揮監督のもとにある。ただ、職権行使につきましては、その職務の性質上公平でなければならぬし、中立性を保たなければならぬという観点から、まあ細かく申しますと切りがありませんが、審査、審判、審決、認可事務、届け出の受理、調査、これは四十条によるものでありますが、四十六条もこれは審査にかかわりますから。それから、指定をする。それからある程度の範囲で許された規則の制定を行うことが独立してできるという、その職務の性質上から来た独立性の保持は二十八条によって保障されているものと思います。

青木一男自由民主党

○青木一男君 いまちょっと委員長の意味がよくわかりませんでしたが、第二十八条に「独立してその職権を行う。」と書いてある。この「独立」ということは、普通世間では、内閣から独立というふうに解している人が多いのですが、これをどういうふうに実行しておるか、内閣の指揮監督を受けておるのかおらないのか、はっきりその点を伺いたい。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) いま申しました職務の行使、職権の行使につきましては、内閣の指揮監督を受けておりません。

青木一男自由民主党

○青木一男君 法制局長官に伺います。  ただいまお聞きのとおり、公正取引委員会がその職権の行使について内閣の指揮監督を受けておらない。そうすると、その根拠である独禁法第二十八条の「独立してその職権を行う。」という規定は、「行政権は、内閣に属する。」という憲法六十五条の規定、内閣総理大臣は「行政各部を指揮監督する。」という第七十二条の規定と抵触することとなると思いますが、長官の見解を伺いたい。  先ほど法律に特例みたいなものが書いてあるから、その分は憲法の除外規定みたいな立場になるという御説明がありましたが、私は憲法の規定を法律によって除外することはできない、こういうふうに思いますが、その点をはっきり説明していただきたい。  また、公取委員会が内閣の指揮監督を受けないとすれば、憲法に認めていない最高権威を持つ国家統治機関はない、存在するはずがないと先ほどおっしゃったことと矛盾すると思うが、その点も説明していただきたい。

吉國一郎内閣法制局長官

○政府委員(吉國一郎君) ただいま御指摘の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二十八条の問題でございますが、この第二十八条の規定と同じような規定は、国家行政組織法の第三条の委員会といたしましては、現存のものでは公害等調整委員会、公安審査委員会、いずれも全く同様の規定を設けております。  また、国家行政組織法第八条のいわゆる「附属機関」、付属機関といたしましては、公害健康被害補償不服審査会、社会保険審査会、労働保険審査会及び航空事故調査委員会がございます。この前三者は、それぞれ一定の行政処分がありました場合に、それに対する不服審査の処分をいたす機関でございまするし、航空事故調査委員会と申しますのは、文字どおり海難審判と同様に、航空事故の原因の調査を公正に行うための機関でございます。これらの機関について職権の行使の独立性と申しますか、職権の独立行使の規定が設けられておりますのは、いずれも、これらの機関がその職務の性質上政治的な配慮を排除して職務が公正かつ中立に行われる必要があるということ、あるいはまた専門的、技術的な分野にその業務が属しているところからいたしまして、これらの機関に対しては、内閣総理大臣または各省大臣は下級の行政機関に対して通常持っておりますような指揮監督権を有しないことを明らかにするためであると考えております。これらの機関の職権の独立性は、その職務の本質に求められるべきでございまして、職権の独立行使の規定、公正取引委員会の場合で申せば、第二十八条があって初めて認められているものではないと思います。と申しますのは、これらの機関と同様に、職権行使の独立性を認められてしかるべき人事院、これは青木委員の御著書においても最も行政委員会の典型として挙げておられるものでございますが、人事院にもそのような規定はございません。また、中央労働委員会、船員中央労働委員会、公共企業体等労働委員会、これらも第三条の機関として、いわゆる職権行使の独立性が認めらるべきものであると思いますが、規定の上では職権の独立行使の規定が別段設けられておりませんが、そういうことから申しましても、公正取引委員会が第二十八条の規定をまって初めて職権行使の独立性が認められるという趣旨のものではなくて、このような規定の有無ではなくて、特殊な性格の行政を担当するような行政機関につきまして、普通の行政機関には認められないような高度の独立性を付与することが憲法の規定に反するかどうかということが当面の問題になるわけでございます。公正取引委員会の場合につきましては、先ほど申し上げましたように、そのような職権行使の独立性を設けることについての合理的な根拠があると認められますので問題はないのではないかと、また、内閣として全く当該機関について監督上の権限が及ばないわけではございませんので、違憲ではないと解しておるものでございます。  なお、そのほかの一般的な行政機関の中でも、その業務の性質上当然職権行使の独立性が認められると考えられるものが多々ございます。たとえば、一般の審議会といわれるもの、これはもう現在各省に二百以上ございますが、その審議会もあるいは定員十名、あるいは定員二十名というようなことで、委員の合議制によって事を決するようになっております。大抵はその設置の根拠となります法令の中に委員会の議事は委員の多数決をもって決するという規定がございますが、多数の英知を集めまして、その多数決によって問題を決するという趣旨の機関でございまするので、そのような機関については当然——狭い意味かもしれませんが、職権行使の独立性は認められてしかるべきものであると思います。また、一般の試験研究機関、たとえば国家公務員の採用試験を行っております人事院の試験機関において試験の採点をするという場合に、一般の上級官庁から下級の官庁に対するような指揮監督権が及ばないことは当然のことでございましょうし、また特定の物資の分析、鑑定を行うとか、あるいは試験を行うというような、試験研究機関の場合につきましても、その試験の結果をいかに利用するかということはもちろん行政の裁量の問題でございまするけれども、試験研究あるいは分析鑑定の直接の事務そのものは独立性を持って行われなければ試験研究等の実が上がらないということが言えると思いますので、要は、その行政機関の担当する行政事務の性質いかんによるものではないかというふうに考えております。

青木一男自由民主党

○青木一男君 私、質問時間が制限されておるから、再質問の時間が十分ありませんから別の機会に伺いますが、いまほかにもあるからという、たとえば国家公安委員会、人事院、それはそのとおり。しかし、ほかにもあるからということは公正取引委員会の活動についての弁明には私はならぬと思う。ほかにも直すものがあるということだ。それから調査会その他は私は一体行政権かどうかは非常にこれは疑う。それからほかの審議会その他はやはり各省大臣の管轄内にあるあれは審議会なんです。その点は私はあなたの御説明じゃ満足しませんが、こうやっていると私の質問時間がなくなるから別の機会にこれは譲ります。  これは政治責任の問題ですから総理にお尋ねします。  憲法第六十六条により「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」こととなっておる。独禁法の施行が行政権の行使であっても、内閣は指揮監督権がない。総理はこの指揮監督権のない分野についても国会に対して責任をおとりになるお考えですか。いまの長官の説明によるとどうもおとりになるらしくもあるが、そういうお考えかどうか、指揮監督権がなくても責任はとると、こういうお考えかどうか伺いたい。  それから一般行政については、国会は担当大臣の出席を求めて行政上の責任を追及しておる。独禁法の分野では、担当大臣がないから問題が起こっても国務大臣を呼ぶことができない。独禁法の施行については何人が国会に対し責任を負うのか、総理大臣みずから負われるのかどうか、その点を伺っておきます。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いま法制局長官が申しましたように、公正取引委員会が時の政治情勢あるいはまた行政の要請にこたえるということであっては、やはり公正中立的な機関とは言えないわけであります。いま自由経済体制というものを維持するためには、やはりそういう交通整理のようなものでありますから、公正な独立した機関というものが必要であるという見地から、われわれは、これは憲法に違反するものではないという見地で公取委員会というものが設置され、今日までその職権を行使してきたわけでございますが、これに対する国会に対する責任は、まあ一般の下級行政官庁に対するような指揮監督権はないにしても、任命権、予算編成権、一般の服務の、何といいますか、一般の服務規程といいますか、そういうものに対してはわれわれ自身が国会に対して責任を負うものでありまして、しかし、全体としてこれは内閣が国会に対して責任を負うことは当然でございます。内閣が負うと、責任は。内閣のもとにあるわけですから。それに対して総理大臣のもとにおいて、これはいろいろな分担は決めるにしても、全体としての責任は内閣が負うというふうに考えております。

青木一男自由民主党

○青木一男君 内閣が行政各部を統括して責任を負うということは、人事、予算のことではなく、行政行為、それに対する政治責任をあれは言うのです。これは、余り時間がなくなっては困りますから、まあ指揮監督権はないが責任をとるというのは、大変、何といいますか、非常に御苦心のほどはわかりますが、普通の常識から言えば、責任をとるということは指揮監督権があるということが前提であると思うのですが、この点もしかし、余りやっておると私の時間がなくなるから後の機会に譲りたいと思います。  政府にお尋ねします。これは経済問題になりますが、できれば総理からひとつお答えいただきたい。  その前に、もう一つ憲法の問題、さらに総理に伺っておきたいことがあります。  私は、独禁法第二十八条と憲法の関係について、わが国の憲法学者の著書を読みましたが、宮沢俊義博士を初め、第二十八条は違憲であると論じた学者はありますが、違憲でないと書いている著書は見たことがありません。私は、昭和四十四年に「日本国憲法と行政委員会」と題する小冊子をあらわし、独立権限を持つ行政委員会は違憲であると論じた。そうして、新進の学者の意見を知りたいと思って、その本を全国の国立私立の大学の憲法担当教授に送り、違憲論に対する批判を求めた。回答を寄せられた教授の意見は全部私と同説であり、違憲でないと教えてくれた学者は一人もなかった。内閣の憲法調査会の会長高柳博士一行が、独禁法の母国であり、行政委員会制度の母国であるアメリカの三大学とカナダの一大学を訪ね、専門の学者に対し日本の憲法と行政委員会の関係について質問した。四人の意見は四人とも、日本の現憲法下では内閣から独立した権限を持つ行政委員会は違憲であり、無理であるということに一致しております。私は、この内外の学者の結論は法律の常識であると思いますが、改めて総理と法務大臣に、独禁法二十八条は憲法に抵触するのかしないのか、そのことを両大臣から伺っておきたいと思います。

吉國一郎内閣法制局長官

○政府委員(吉國一郎君) 学説について御言及がございましたので、便宜私から一応お答え申し上げたいと思いますが、行政委員会一般につきまして、終戦後行政委員会が多いときには二十三も設けられたような時代もございます。それについて、憲法学あるいは行政法学でいろいろ議論があったことは事実でございます。その当時、違憲という意見を出された学者もあることを承知いたしております。たとえば、宮沢東京大学名誉教授のごときは、いろいろ条件をつけておられますけれども、こうこうこういう条件であれば違憲とは言えないというようなことも言われております一方、こういう条件が満たされない、たとえば人事院については違憲の疑いなしとしない。ただ、ここでは、公正取引委員会についてはそういう条件が満たされているので合憲と考えられるというような言い方をしておられますが、全部の著書を当たったわけではございませんけれども、田中二郎元東京大学教授、元最高裁判事でございますが、これも内閣に委員の任命権と予算に関する権限があれば違憲とは言えないというようなことを言っておられますし、田上穣治、これは昔の東京商科大学の名誉教授でございますが、委員の任命権を根拠として違憲ではないというような議論、また、佐藤功上智大学教授も同様な議論でございます。そのほか、議論の立て方は若干先ほど申し上げました私どもの議論とは違いますけれども、浅井清元慶応大学教授、元人事院総裁でございますが、また山田幸男神戸商科大学教授等の議論も、これを行政委員会一般についてでございますが、行政委員会の独立性の問題等について憲法問題を論じて、憲法上も合憲と言えるということがございます。また、鵜飼信成元東京大学教授のごときも同じような議論でございます。したがって、現段階におきまして考えまする限りは、現存の人事院、公正取引委員会、国家公安委員会、この三つが行政委員会の典型的なものであると思いますが、これについて憲法違反であるという議論はむしろ少数説であって、憲法上も十分にこれを認めることができるという説が多数の説であると私どもは考えております。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 私は、現在法務大臣でございまして、御指摘の御質問の憲法論をお返事する立場にありませんけれども、先生恐らく私をお名指しになったのは、かつて内閣憲法調査会の会長である高柳先生や何かに協力して海外調査に関係したり、またその後、自由民主党の憲法調査会長をしたり、そういう立場で何か知っているんじゃないかというふうに推測されて御指摘になったと思うのでございますが、はなはだ立場上困るのでありますね。  いま法制局長官の答弁したとおりでございますが、高柳会長は、御承知のように日本国憲法の運用の実際について、ことに選挙に関して選挙民権第四権としての選挙民権ということを考えられて、選挙の粛正浄化にこれをして当たらしめることがわが国の民主的議会政治の発達に貢献するのじゃないかということで、海外調査に行かれたその際に、御指摘の、特に法律に独立してその権限を行うということを明記した公正取引委員会等については問題がある、そういうことで海外の学者の意見を徴せられたわけです。内閣憲法調査会の報告書に載っておりまして、ミシガン大学のジェームズ・ジョージ・ジュニア教授とか、マーチン・ワシントン大学の教授とか、カナダのマギル大学教授のスコットさんであるとか、日本の京都大学の客員教授をしておりましたアメリカ合衆国アマースト大学のカール・レヴェンシュタイン、これらの人々が、非常に違憲性の強い制度である、本来高度の公共性、政治的中立性、専門的技術性を必要とする行政については独立の行政委員会を設けてもいいけれども、特に公正取引委員会、第二十八条のように、内閣と独立して指揮監督に全然従わないということを明記したような、そういうやり方は少し行き過ぎじゃないかというのがこの人たちの意見です。そういう意見で、法制局長官がお答えになった以上につけ加えることはございません。

青木一男自由民主党

○青木一男君 公正取引委員会の委員長にお尋ねします。  公正取引委員会は、昨年九月独禁法改正案を発表した。法曹界では、これを見て、最高裁判所が刑法改正案を立案し発表したようなものだと評している人があります。公取委員会は独禁法の施行機関であり、法の改正は政府の責任であると考えている人にとっては、委員会がその経験に基づき改正点を政府に要望するのはともかくとして、みずから諮問委員会をつくって改正案を作成し、発表し、国会の内外で原案を強く主張していることについて疑問を持つ人のあることば当然であります。改正案の作成と発表は委員会の職務権限内の行為として行われたのかどうかを伺います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) 公正取引委員会は、言うまでもありませんが、独禁法の目的を達成するために設置されている特殊の機関であります。いま問題になりましたような二十八条という問題もありますが、独禁法の運用の過程におきまして、独禁法の運用の改正強化を行わなければ目的を十分に達することができないというふうな判断をいたすこと、で、そのためには、私どもだけの考えではなく、いろいろ専門的知識を持っておられる方からの意見を聞きながら研究を重ねまして、その結果、やはり法律改正をすることが適当ではないか、こう思って公表したわけでありますが、まあ以前に、二十四年、二十八年、二回にわたって法律が改正され公取委員会の機能が弱体化されたことは御承知のことと思いますが、その当時におきましては、今度は違いますけれども、法律案要綱は公正取引委員会がつくっております。ですから、そういう意味で、そういう実績からも私どもが意見を出して、もちろん、そのやり方にいろいろございましょうが、それについていろいろ広い範囲から批判を受け、そしてその結果を政府の案として出していただくということも私どもはあえて職権を逸脱したものだとは考えておりません。  なお、独禁法の中には、四十四条でありますか、この法律の目的を達成するために必要と認めるときには総理大臣を経由して国会に意見を具申することができるという規定もございます。これは一種独特の規定だと思いますが、いままで実は使ったことはございません。ただ、なぜ使わないのかということを質問されたことはございます。つまり、何と言いますか、政府に要請すべきことかどうかわかりませんが、その内容は必ずしも一つの事柄に限りませんけれども、そういう総理大臣を経由して国会に意見具申をすることができるというふうなことも法律上ありますので、そういう点から申しまして、この立案、公表ということにつきましては、私どもは職務の範囲内で行い、行うことができたものと解釈しております。

青木一男自由民主党

○青木一男君 ただいまの御答弁を伺うと、公正取引委員会の権限というのは私ども考えているよりはるかに広いことになる。まあしかし、これは改めて別の機会にお尋ねします。  委員長にお尋ねします。公正取引委員会は昨年九月、独禁法改正案を発表した。その中の企業分割案は、改正案の目玉商品として、半年にわたって賛否両論が世上を沸かした。経済界は挙げて恐怖感に襲われたようである。最近になって企業分割は現行法上できないというので断念し、営業の一部譲渡でいくことにしたとのことである。企業分割が商法上できないことは法務省の見解をまつまでもなく、少し法律を解する人ならば気のつく点である。かような軽率な行動をする委員会に対し強権を与えることに対し、不安を感じている者の多いのは当然であります。もし企業分割が近く提案される政府案から漏れたとなると、野党の諸君からは大きな後退であるとして政府を追及するかもしれない。政府としてはこれは大迷惑なことである。委員長の感想を伺いたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) 御説のとおり、現行の独禁法では企業分割、特に私的独占に基づく営業の一部の譲渡、これはございますが、独占的な状態になってしまって、そのために実は価格の形成やら利潤の問題などで独占的な弊害が現に生じている場合には、それを排除する方法がない。そういうことから会社分割を含めた企業分割というものを提案したわけでございますが、なるほどそれは会社分割というものは商法に規定がないから、したがって、それは独占禁止法の力の及ぶところではないんじゃないか、それがあたりまえじゃないかというふうにお考えになる向きが多いことも承知しております。  しかし、私どもこの改正案をつくるに当たりまして、商法学者をも含めて十分検討したものでございますから、そういうことは、会社分割というものはこの法律改正によって絶対不可能なものではない、こういう考えに立ったわけでございます。その企業の一部譲渡につきましては、これは重要な譲渡でありましても、私どもの方の考えは当然のことながら公法優先である。かつ、会社分割というものをどう考えるかにつきましては、本来ならば私どもこの企業分割をもし直ちに実施するような場合には、営業の一部の譲渡という方式よりも会社分割の方式によった方が、むしろその分割を受ける側にとっては非常に私は便宜だと思うのであります、私どもは。  でありますから、そういう制度があった方がいいと、こういうことは常々主張してまいりましたし、ただ、まあ周囲の状況で、むしろそれは商法改正が優先すべきである、先に立たなければならぬ、それに対する例外の措置として、みずから会社分割を持ち出すのではなくて、命令によって会社分割をする場合の特例を独禁法に規定するとか、あるいは特例なしでもできるかもしれませんが、何らかの法律的な手当てをしてやった方がいいのではないかと、こういう説が非常に強くございましたので、私どもは、それは近い将来の問題として会社分割をすることができるような法律改正をお願いした上で、改めてそれを独禁法の上で取り上げるふうにした方がいいのではないかと、こう判断したわけであります。常識上そんなことはできそうもないではないかと、こうおっしゃいますが、私どもだけの独断でそういうふうなことを決めたわけではやはりございませんし、まず、もしやろうと思うならば、立法政策上独占禁止法の改正が非常に大事である。こうなりますと、ほかの法律を改正するということも絶対に不可能だとは申し切れないと、こう思っているわけでありまして、その辺は見解の相違があると思いますが、私どもはさように考えております。

青木一男自由民主党

○青木一男君 企業分割案が法務省の考えでだめになったようなふうに世間の人は見ておるのですが、法務大臣は、一体どういう御意見でああいうふうになったのですか。もし当時の交渉というか、お話の経過を伺えればと思います。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) この問題は所管でございますので、御答弁を申し上げたいと存じます。  公取の委員長も言われましたように、私法たる商法の規定において、会社法その他銀行法では私的独占を是正するという道はない。したがって、公取はそういう見地から自分の方でというか、立法権はないわけでありますけれども、自分の方でそういう権限を持たしてもらってやりたいとお考えになる場合もあると思います。そういう場合は、やはり政府との対話を尽くして、こういう経済情勢で、買い占めしたり売り惜しみしたり、トラストをつくったり、ろくなことをしないから、これでは消費者は非常に困るからこういうふうにしたいのだと、こういう場合はあるかと思いますね。ただ、その場合に絶対的に許さぬということではないと思うと、いま公取委員長の言われたことは、それ自体、それなりに私は間違っておらぬと思います。  ただ、この問題は企業分割等を認める具体的な必要性が現在の日本の国民経済上あるのかということにもかかわってまいりまして、日本の国民経済の現状並びに将来の展望によってそれは決まることでありまして、そのことば、そういう判断は経済閣僚の所管であって、私の判断にはよらないわけであります。検討をする所管大臣ではありません、私は。したがって、独禁法改正案の具体的内容が終局的に決まっておりません今日、これは発言を差し控えるべきだと思うのです、経過において。独禁法、企業分割というものがばっと世間に、公取委員長試案として発表されて、それがどうも総理府とこうやっているうちに、いつの間にか消えたのはどういうわけかと聞かれると、それをここで私が言ったってしようがないでしょう。それだから、そういう経過についてのことを言うことは、差し控えたいと思いますが、強いて青木先生の御質問にお答えするとすれば、こうなろうかと存じます。  少なくとも経済官庁が、現在の社会経済の実情を検討し、さらに将来への展望をも踏まえた上で、独禁法の目的を実現するために必要であるかどうかという見地からその改正に臨むべきである、こういう点だけはいま答弁を申し上げさせていただいて差し支えないと、こう存じます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 総理にお伺いします。  独禁法第一条によれば、これこれの方法によって「雇用及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進すること」を法の目的とする旨を規定しております。この目的は、政府の産業政策、金融政策などの目的と共通するものでありまして、ただ独禁法は、不当な取引制限等を排除し、自由な競争を促進することによって目的を達しようとする、方法論において一般経済政策と異なるだけであります。  昭和三十五年、私が自民党の経済調査会長として、わが国の経済成長政策の基本構想を立案したとき、経済の成長率を年七%に置き、十年にして輸出貿易額と国民総所得の倍増を図ったのであり、その最終のねらいを、完全雇用と国民各層間の所得格差の是正に置いたのであります。私は、この計画の立案に当たり、独禁法によって自由競争が保障されておるから、経済成長が容易に達成されるとは毛頭考えなかった。業界の人々がよほど努力し、政府も手をかさないと、この所得倍増は実現がむずかしいと思った。  池田内閣以来、わが国の経済は、私が当時想定したよりもはるかに高度の成長を遂げ、十年にして輸出貿易額は想定の二倍以上に達し、国民総生産は自由主義国第二位に上り、雇用は完全雇用に近い状態に改善した。高度成長に伴うマイナス面が出たけれども、経済成長の雇用改善と国民所得の増加に与えた効果は大きかったことは疑いを入れない。総理は、この経済の成長は何によって達成されたとお考えでしょうか。自由競争阻害の排除という消極面で独禁法が寄与したことは確かであるが、積極面での原動力は、政府の産業育成政策のもとに、関係業界が企業の規模を拡大し、設備を近代化し、進歩した技術を取り入れ、生産コストを引き下げ、量的、質的に外国に負けないだけの企業体制をつくった努力にあると思いますが、総理の見るところを伺いたいと思います。   〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 今日の経済発展によって、青木さんの御指摘のように、所得の水準は高まり、雇用の機会は増大をされた。このことは何によったかというと、それは国民全体のやはり努力、協力というものがあったと思いますが、しかし国民全体といっても、その中で企業というものの果たした役割りというものも非常に大きいものがある。御指摘のような非常な新しい技術を取り入れて、そうしてできるだけ質のいい、低廉な品物をつくろうという競争の中に、経済を発展させた面もあるわけでございます。しかし、何としても、国民が非常に勤勉に、よくこの経済の発展ということに対して、皆が協力したということが背景にあったわけでしょうが、いま御指摘のような企業の役割りも大きいわけで、何か最近は、企業が悪だというような風潮これは一部の人でありますが、これはやっぱり憂うべき傾向である。企業というものの存在を否定して近代社会は成り立たないわけでありますから、一部の行き過ぎはあっても、企業全体が悪だというこういう観念は、冷静な判断で私はないと思う。  しかし、そのためには、先般もいろんな行き過ぎというものがあり、国民に自由経済に対して不安な感情を与えておることは事実でありますから、ここで自由経済がさらに新たなる生命というものを加えるためには、公正な自由競争のルールというものに対して皆が従って、その自由競争の中から新しい日本の活力を見出すことが国民の支持を受けるものであるし、ここに新しいエネルギーが出てくるものだと私は思います。そういう意味において、何としても、自由競争という一つのルールというものが確立されなければ自由経済それ自体は発展しないわけですから、それに多少の国民の不安を与えておることは事実でありますから、これにこたえることは、さらに均衡のとれた経済発展のために新しい活力を添えるものであると私は考えております。

青木一男自由民主党

○青木一男君 引き続き総理にお尋ねします。  わが国近年の経済の発達、雇用の改善、国民所得の向上は、いかなる産業構造のもとに達成されたかを伺いたいと思います。  昭和四十八年のわが国の就業者の業別は、第一次産業五百九十万人、第二次産業千九百十万人、第三次産業二千六百万人であります。また、昨四十九年の輸出総額五百五十億ドルの九六%は工業品である。これを見てもわが国は完全に工業国である。工業国といっても、国内に資源がないから、原料を外国から輸入し製品を輸出するという外国貿易の上に立つ工業国であり、国際経済依存度のきわめて高い産業構造であります。日本の経済は、いままでこの構造のもとに発達したのであり、これからもこの構造は維持せねばならない宿命にあると思いますが、総理の御所見を伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 日本の高度経済を支えたものは重化学工業というものでありましょうが、それに対しては、資源の問題の制約がありますね。いままでの資源は、もう金さえ持っていけば、自由に低廉に資源が確保できたが、これからはそうは言えない。まあ資源保有国の一つのナショナリズムというような感情も台頭してきて、できるだけこれを高く、高水準で、しかももう資源は有限のものでありますから、掘り尽くせないように、できるだけ細く長く資源を保有していこうという感情もあって、資源の入手というものが条件が変わってきた。  また、環境問題というのは、青木さん御承知のようになかなか、産業の立地というものは容易でない事態になりましたね。これに対して、やっぱり環境の保全というものを頭に入れなければ企業の発展はできなくなってきたわけでありますから、そういう点で、もとのままの一つの産業の仕組みを維持していくことは、これはやはり長い目で見たら私は適当だとは思わない。もう少し人間の頭脳とか技術とか情報とか、こういうものを使って、なるべく資源をたくさん消費しない産業に転換することが、世界の資源の状態、環境に対する国民のいろんな意識、これにこたえる道だと思いますから、こういう産業政策の大きな転換が簡単にできるわけではないわけですから、非常に長期的な計画のもとに、そういう方向に向かって日本の産業は構造を改革していくことが必要であると考えております。  しかし、御指摘のように日本は原料も食糧も輸入するのですから、一口に言えば加工貿易、加工工業国であって、加工業者のような立場ですから、原料を買って製品を売らなければ必要な資源は入ってこないのでありますから、そういう意味において国際的な競争力ということもやはり無視するわけにはいかないことは当然であります。

青木一男自由民主党

○青木一男君 福田副総理にお尋ねします。  独禁法を強化せよと主張する人々の中には、日本の企業はすでに大きくなり過ぎ、寡占の傾向が強いことを前提としている者があります。イデオロギーとして独占資本反対、大企業反対を唱える人々は、日本経済に及ぼす影響などは顧慮することなく、無条件に独禁法強化を主張し、これをイデオロギーの実現に利用しようとするものであります。イデオロギーに関係ない人々でも、四十年代に高度経済成長が続き、外貨保有高が巨額に上り、円為替レートの大幅切り上げを行ったのを機として、日本はすばらしい経済大国になったと信じた人が少なくない。そして高度成長の反省論が強くなり、輸出よりも消費だ、成長よりも福祉だという政策転換論が盛んになった。かような経済大国の認識が独禁法強化論の一つの背景をなしておったと思います。  副総理は、日本は手放しで安心できるような経済大国となったとお考えでしょうか。私は、資源のないわが国が際どい輸出競争に勝って築いた日本経済は、外見は大きく見えても、一度輸出条件が悪化し、その他対外競争力を失えば直ちに崩壊する脆弱な基盤に立っておるものと思いますが、副総理の見るところを伺いたい。またさらに、日本の企業が大きくなったといっても、アメリカなどに比べるとまだ段違いである。寡占の傾向というけれども、貿易と資本の自由化が進み、世界企業の時代に入って、無数の外国企業はわが国企業の競争相手として虎視たんたんとして控えておる。寡占どころではないと思いますが、副総理の見るところを伺いたい。また、競争がよいといっても、外国と競争しておる重要産業が過当競争に陥り、共倒れとなるようなことがあっては困ると思うのであります。  次に、経済の高度成長の反省が経済成長不要論になっては大変であります。総需要抑制策の浸透と世界不況のために、わが国の経済成長がとまるとたちまち失業者が増加してきております。この状態が長く続くと、国民所得が減少し、税収入も減少し、福祉政策の実現も困難となる。政府としては、物価の趨勢を見きわめつつ節度ある経済成長を図ることが緊要であると思う。この見地からも、さらに独禁法第一条に掲げた経済の発達という独禁政策の最終の目的から見ても、独禁法の強化によって経済成長を阻害してはならぬと思いますが、副総理の見解を伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) まず、経済大国と考えるかどうか、そういう御質問でありますが、私は、いままでの世界情勢、つまり資源は無限である。そういう態勢の中で、金を積めば資源が幾らでも入ってくる。そういう世界情勢の中では、わが国はまあ経済大国、つまり工業大国といってもいいかもしれませんが、そういう地位にあったと思うんです。しかし、世界情勢が非常に変わってまいりまして、いまや世界は資源有限時代である。そういう中で、幾ら金を積んでも資源というものは自由に入ってこない。また、食糧についても非常に窮屈な状態であるわが日本、そういう中にある日本は、私は、これは資源小国、そういう認識を持つべきである、そういうふうに考えます。ですから、もう手放しで大国だ、大国だといって安心できる日本じゃない。これからさらに鋭意努力をしなければならぬ、そういう立場にある。こういうふうに考えます。  それから第二の御質問は、今日のわが国の繁栄があるゆえんのものは、これは営々として企業が努力したその成果ではないか、そういうふうなお話でございます。私はそう思います。ほかにもいろいろわが国の今日あるその原因はありまするけれども、国民が全体として営々として努力した、また国際環境が非常にわが国に有利に働いたというようなこともあります。ありますが、企業が営々と努力して今日この企業の地歩を国際的に固めた、これは私は無視できないと思うのです。私はそういう立場に立ちまして、資源小国であるというわが国といたしますと、これから対外経済競争力、世界の中におけるわが日本の地歩をどういうふうに固めるか、これはもう非常に重大な問題になってきておると、こういうふうに思うのです。そういう立場から見まして、経済政策的に考えますと、企業の規模が大きくなってきた、企業が大きいからそれが悪であるというようなとらえ方は、これは私は正しくない、こういうふうに思います。逆に企業の規模が大きくなって、そして国際競争にも耐え得るような状態になってきたために、わが国全体としての経済の発展に寄与しておるというその規模のメリットというものは、これは高く評価されなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。  ただ、第三に御指摘のように、この規模が大きくなって、そしてこの経済の自由にして公正な競争の原則、これを阻害するような状態になっちゃ困る。これは企業のマナーの問題であると、こういうふうに考えるわけでありまして、大きいがゆえに、そのマナーの与える影響は大きい。大きければこそ、この企業というものはそのマナーについて気をつけなければならぬ立場にある、そういうふうに考えます。  それから、最後に成長不要論あるいはゼロ成長論といいますか、そういう議論があることを私は承知しております。しかし、この成長なくして私は福祉はないと思うのです。成長があって、そうしてそこに成長の成果というものが生まれてくる。それを背景として、われわれは住みよい日本国の建設ということができるわけでありまして、この成長論を度外視するということはできない。ただ、世界情勢が非常に変わってきております。世界的に私は、高成長期から低成長期に変わってくる、そういう中で、わが日本がどういう立場をとるかというと、やはり世界のそういう趨勢に正しくさお差さなけりゃならぬだろう、こういうふうに思うのです。それから、いままで高度成長、先進諸国の二倍半にも及ぶすばらしい成長発展をしたわが国といたしまして、ここで明確に軌道修正をしなければならぬ。そうして静かで控え目な成長、これを目指していかなければならぬ。しかし、着実に成長発展を遂げまして、そうしてわが国の社会体制というものを整えるその基盤を培うべきときに来ておると、そういうふうに考えております。

青木一男自由民主党

○青木一男君 通産大臣にお尋ねします。  独禁法強化論者は、消費者保護の立場から、あるいは特定のイデオロギーに基づいて企業の膨大化、寡占化を押えようと説くのであります。  先ほど総理に対する質問で述べたように、わが国の産業構造は外国貿易の上に立っておる。大部分の国民はその中で職を得ておる。わが国の食糧自給力は七三%にすぎないのに、不足分を不自由なく輸入しておる。エネルギーとして大事な石油をあの高い値段で必要量を輸入しておる。これは工業品の輸出において外国との競争に勝ち、外貨を獲得しておるからである。外国との輸出競争に勝つということは、よい品物を安く売る競争に勝つということである。わが国の製鉄業、自動車工業、電機その他の機械工業、化学工業その他の産業が資力を充実して設備を近代化し、常に新しい技術を取り入れ、大量生産によってコストの引き下げを図ったことがよい品物を安く売る競争に勝ち、輸出を伸ばした原因である。  わが国の輸入品は食料品、原料、燃料、機械であり、工業製品はきわめて少ない。輸出の九六%は工業製品である。つまり工業製品では日本は世界で一番安い国に該当することを示しておる。外国に安く売って国内で高く売ればダンピングとなるから、それはできない。大規模経営によってよい品物を安く供給するということは国内消費者を大きく利しており、大は悪なりと断ずるのは間違いであると思うが、大臣の見るところを伺いたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 先ほどお話がございましたように、わが国は貿易によって生活をしておるわけでございます。したがいまして、世界におきましてこの貿易競争にも勝たなければならぬわけでございますが、なぜわが国の貿易がここまで伸びたかと言いますと、先ほど御指摘がございましたように、安い、よい品物をつくった、その一言に尽きると思うのでございます。しからば、なぜ安い、よい品物がどんどんできるようになったかと言いますと、これは新しい技術の開発であるとか、新しい商品の開発であるとか、そういうことによって私は競争力がついたものだと思います。そういうことができたということは、非常に巨大な資本、巨大な投資というものが私は必要であったと思います。したがいまして、企業が実力をつけた、ある程度大きくなった、スケールメリットができた、そういうことによって私は日本の経済、貿易が伸びたものだと思います。したがいまして、先ほど来お話のように企業が実力をつける、大きくなるということはよいことであって、決して私は悪いことであるとは思いません。

青木一男自由民主党

○青木一男君 さらに通産大臣にお尋ねします。  わが国の外国貿易中、総合商社の扱う率は非常に高い。それにはいろいろの沿革があると思うが、国内の製造業者、販売業者にとって原料、商品の輸入、製品の輸出を直接自分の手で扱おうとすると、調査や交渉のために海外に店を持ち、多くの社員を外国に派遣せねばならない。それよりも、海外事情に精通する商社を通した方が便利で安上がりであるということが主因であると思う。国の立場から見ても、二重投資を避ける点で意義がある。総合商社がなければ、わが国の無数の中小企業、地方産業の製品は輸出不能に陥るのではないかと思う。  大臣の関係の深い海運の国際競争の状況を見ると、戦後わが国の海運は、国の援助のもとに復興し、いまや世界第二位の船腹を保有するに至った。しかるに、わが国の貿易品が本邦船で運ばれている割合は、輸出入とも半分に達せず、そのため国際収支上、海運関係で毎年十億ドル前後の赤字を出しておる。海運の状況に比べて、貿易界では、商社間では激しい競争をやっているけれども、外国との競争に勝ち、わが国貿易の大部分を日本側の手で扱っているということは、国際収支の点から見ても貢献度が大きいと思う。貿易商社は、貿易外においても、完備した情報網を活用して、海外資源の確保、海外事業発展の案内役を務め、国内の生産についても新技術導入の媒介役を務める等、その役割りは大きいと思うが、通産大臣の見るところを伺いたい。また、いまの総合商社の営業ぶりで、何か国益を害するような点があるならば御指摘をいただきたいと思います。   〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 総合商社に対しましては、最近いろいろ批判が出ておりますが、総合商社自体もそういう点に十分最近は留意をいたしまして、一昨年は、関係者が寄りまして、おのずから行動の規範といいますか、新しい海外進出のルール、こういうものをつくっております。そうしてまた、昨年はそのルールを守り、これを実行するためにフォローアップする機関もつくって自粛をしているわけでございますが、そういうことはそれといたしまして、私は総合商社は悪であるという議論にはくみしません。先ほど先生がいろいろ御指摘になりましたけれども、やはり世界のすみずみまで出ていって新しい貿易の販路というものを開拓したという、そういう功績は認めなければならぬと思いますし、また資源の確保と、こういう面におきましても非常に大きな私は実績を上げ、功績を上げておると思うのでございます。でありますから、この総合商社の活動というものは正当に私は評価しなければならぬと思います。ただしかし、当初に申し上げましたように、最近は批判も厳しいことでございますから、一つの基準のもとに私は今後積極的な活動が望ましいと、かように考えておる次第であります。

青木一男自由民主党

○青木一男君 公取委員会の委員長にお尋ねします。  公正取引委員会は本年一月、総合商社に関する第一面調査報告を発表しておる。報告は商社の短所だけを挙げ、長所には余り触れておりませんが、委員長は、私がいま通産大臣に質問した中で述べたような総合商社の貿易、貿易外の役割りをお認めになるかどうかを伺いたい。  報告を見ると、総合商社を中核として企業集団が形成されていることを述べているが、商社が独禁法上の違反を犯しているとは述べていない。このまま推移すると独禁政策の見地から複雑困難な方向に進むから規制の必要があるというような趣旨を述べておりますが、その複雑困難とはいかなる害悪を意味するか、伺いたい。  委員会は、総合商社の企業形態が気に入らないらしいのである。報告の中で総合商社という形態が必要不可欠であるという考え方は説得力を持ち得ないと述べておりますが、商法に違反しない限りどんな営業形態をとろうと自由なはずであるのに、どうして商社に必要不可欠を立証させる必要があるか、委員長のお考えを伺いたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) 確かに、私どもが第二回の総合商社に関する調査を出しました際には、総合商社に対する長所については余り触れておりません。これは目的が総合商社のあり方について独占禁止政策上どういう点が問題になるかと、こういう点を中心に調査したものであります。前回の調査のときにはそういうメリットの点も触れたわけでございます。しかし、この点については、実はこれはよけいなことかもしれませんが、どういう認識を与えたかといいますと、私、経団連の会合に出た場合に、総合商社の方の社長さんが二、三人いろいろとお述べになったその中で、わが方のこういう総合商社は公取委自身からもおほめのお言葉をいただいていると、そこだけを読み上げてくれば、こちらが利点があると、メリットもある、こういうメリットもあると、こう述べたその部分だけを読み上げて、こういう存在なんだから少しもおかしくないんじゃないかと、こう申されたので、どうもちょっと少しおかしいなという感じを持ちました。いまそれはよけいな話でございますが、総合商社が絶対に必要かどうか、必要不可欠のものであるかどうかということの、それについては、必ずしも十分な説得力を持つものとは言えないであろうと、こう述べたのでして、総合商社は無用である、そういうものは弊害ばかりであるというふうに言ったつもりではございません。その点は、多少表現上の問題をどう受け取ったか、非常に短絡的に受け取れば、総合商社無用論を私どもが申し上げたようになるかもしれませんが、そういう意味であったのじゃありません。  とにかく、総合商社の活動範囲は各国に全く例を見ない、商社としてのあり方としては全く例を見ないものであって、その総合商社の国内におけるシェアを見ますと、卸売業として見た場合、法人が十七万社ある。その中での十大商社だけでシェアが何と五年の間に二一%から二六%にふえている。つまり四分の一を超えるところまで営業の範囲が大きくなっているということの事実、これは悪いと言うのじゃありませんが、十七万社のうちで十社がそれだけの売上高においてシェアを占めるということに問題が全くないとは言えないのじゃないかと。それから、輸出面では無論でございますが、これは四十年度以降一貫して、輸出で五〇%、輸入で六〇%を占めておる。  そればかりじゃないのです。総合商社というものは貿易面でどうということだけではなくて、各国に例がないのですけれども、取引先の中小企業等についても相当広範囲に系列支配を行っているということは争えないことである。また、その系列の中にも、生産の段階に属するもの、サービスの段階に属するもの、不動産に関するものと、まあ何といいますか、その営業範囲というのはきわめて広範なものになっておると、商社自身がすでにこれには、この範囲には若干もう限界があるんじゃないかとみずからも認めているようでありまするが、私どもから見ても、この中には、このほかに、こういうもののほかに、系列支配ということのほかに、企業集団と言われるものの中核的存在になっておるということ、そういう企業集団というものが、——いまくどくどと申しませんが、つまり、わずかの比較的少数のグループの社長会が中心となりまして、そして、お互いに、サロン的だと申しますが、実際は株をもち合ってるわけでして、そして、そのグループの中での経営者の立場がそれによって著しく強化されておる。大抵のことは、そこで決まれば恐らく総会等で反対を受けることもないというふうな状態までなっておりまして、それらの集団、主なる集団として私ども考えておりますのは六集団でありますが、戦前から引き続いている財閥的なもののほかに、金融機関があえてつくったようなもの、それに対するやっぱり商社との組み合わせということが非常に問題となりつつある。  まあ私どもは、経済資本力の過度の集中を抑止する、防止するということも独占禁止法の目的上必要なことではないか。それは何と申しましても、先ほどから経済の発達ということをいろいろ申されておりますが、独禁法の目的はその発達を阻害するものじゃもちろんございませんで、健全で民主的なよい発達、民主的な健全発達ということをやっていくことをつまり目標にしているわけでございますから、公正かつ自由な競争を通じましてそういうようなフェアな民主的な経済のあり方、それを支持していくと、そういう考え方でございますので、このような総合商社のあり方について、現段階において何らかのブレーキをかけた方がよいのではないかと、こういうような結論を導くために調査を行った、まあ調査の結果、そういうふうな結論が導き出されたと、こう申し上げた方が正しいのでございますが。  以上のとおりでございまして、独占禁止法上の問題点が少なくはございません。そういうところをひとつ御理解願いたいと思います。

青木一男自由民主党

○青木一男君 引き続き委員長にお尋ねします。  公取委員会の企業分割案の説明によれば、他の方法では競争を喚起することがきわめて困難と認めるとき、企業分割、営業の一部譲渡を命ずること、となっておる。そして、委員会は、現状では分割命令を適用するケースはないと説明しておられる。したがって、これから企業が大きくなり競争を妨げる事態が起きたときに備える伝家の宝刀ということになる。企業が合併や株式取得によって支配力を増し競争を制限する行為は現行法で禁止されておる。委員会は、今後企業がいかなる方法で大きくなり、競争を制限する場合に備えての規制であるかを伺いたい。  まず、私どもすぐ考えられるのは、特許権を利用した企業であるが、特許権の行使に該当する行為は独禁法の適用を除外されておるから、シェアは一〇〇%であっても規制することはできない。次には、技術の向上によって他の企業の追随できないような優秀品を製造する企業はシェアが高くなるのは当然であって、これも規制には適しない。また経営の合理化によって他の追随できないような安い値段で売り出す企業も大きくなるのは当然であり、消費者の利益にも合致するから規制には適しない。どうもその他には、考えが浮びませんが、委員会はいかなる方法で企業が大きくなり競争を制限する場合に宝刀を抜こうとするのか、伺いたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) 先ほどから、企業分割に関しまして、大きいからいけないんだとか、規模の問題ということがどうも中心に話になっていますが、いまも、青木先生おっしゃったように、シェアの問題でございます。これは大きいとか、小さいとか、工場の規模が大きいとか、小さいとかということじゃないんです。一つの業界を完全に左右してしまうような、そういう状態になったものを独占的状態と、こう言っておりますから、したがって、あくまでこれはシェアとして、産業界を支配する力としてですね、どうにもならないということを言っております。  確かに、じゃあ独占的状態はいかにして生ずるかとおっしゃれば、いまお述べになられたようなことがいろいろと組み合わさってなるものと思います。ですから、合併によって大きくすることは私の方の基準で抑えておりますから、よほどのことがない限り、こんなもぐり行為というのはあり得ませんので、合併によって大きくなることばないと、こういうふうに言っていいと思います。したがって、それ自体のいろいろな企業活動の成果としてシェアが著しく増大していく。ですから、そのこと自体について私どもはそれを一概に悪いことだと、こう言っているのじゃないんです。そういったことは、むしろ企業の努力として評価すべきである。だけれども、独占禁止法政策の立場からは放置できないような状態になった場合に、いろいろな各種の手段を講じてもなおかつ是正ができない、そういうものに対応してやる。  ですから、その経過のいかんにかかわらずと書いてありませんけれども、そういうふうになる状態になるのには、成り行きの経過のいかんを問うところではない。したがいまして、よほどのことがない限り、私どもは軽々しくそういうことを発動するつもりはありませんが、しかし、その法律の必要性というものは、できればそういうものを規定を置いておくことによって、それに至る前のいろいろな自主的な、それを予防する措置、その他関係庁による指導といいますか、よき意味の指導等も加わりまして、なるべくならそういう独占状態になることを事前に防止するという効果も考えている。その予防措置だけでは効果はうんとありませんけれども、実際に生じたらばどうしようもないときは、その規定もやはり抜かざる宝刀ではなくて抜くこともあり得べしと、こういうことでございまして、必ずやるということではありませんけれども、予防的な効果も十分期待した上でのことでありまして、その経過ば問うところではないと繰り返して申し上げます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 さらに委員長にお尋ねします。  もし、株式の取得、合併のほかに、独禁政策上適当でない方法で企業が大きくなり、シェアの高まることが予想されるならば、現行法の株式取得と合併に追加して、その方法を禁止し、弊害の発生を予防することを考えるべきだと思うが、委員長のお考えを伺いたい。  企業としては独禁法の規制下に合法的に大きくなったのに、大きくなったことが悪であるかのごとく企業分割、営業の一部譲渡を命ぜられることが納得できないのである。規制の根拠を改めて伺いたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) 現在でも、いわゆる私的独占というものは、規定がございまして、これに対する排除措置もございます。私的独占とは、つまりいまおっしゃられたような何か独禁法に違反するような、つまり公正でないような方法でもって他の事業者の事業活動を排除して、あるいは自分がそれを支配する、こういうことを、つまり、そういう行動に対する規制として私的独占の規定がございます。ただ、構造的な問題と言われますが、いわゆる今度の独占的状態に対する排除、それを規制する措置というのは、いわゆる行動を伴っているわけじゃない、しかし行動を伴わないけれども、自然にシェアが独占的になった。大きくなったという言葉とまあ同じことでございますが、しかし、ただ規模が大きくなったのじゃなくて、シェアが大きくなり過ぎて、それで、そのために他の競争者が競争する余地が全くない、競争しても全くむだである、こういうふうな状態でございます。つまり、ただ単にそれに追随するのみであって、辛うじてその会社を維持する程度であって何の力もない。ある一社だけが、たとえば支配的な力を持ち過ぎている、こういう場合には、おのずからそこに弊害が生じ得るものであろう。弊害が全くなければやる必要ございません。  仮に、非常に何といいますか、社会奉仕的な考えを持った会社がありまして、シェアが大きくなった、それで独占的状態になったが値上げもしない、できるだけコストを切り下げて安くなったものを価格引き下げでもって消費者にサービスしようと、こういうようなところがあったら、それは悪くないんです。ただし、そのために、ほかの社が全部つぶれてしまいまして、競争者がやっていけないで全部つぶれて、その後に残ったら今度は居直って値上げをするというふうなことが、独占的な会社についてはしばしば、これは外国の事例でありますが、他社を倒してから自社の独占を確保して、そして今度は思うままに価格を操縦するというようなことがございますので、そういうふうなことはやっぱり独占の弊害である。そうなる前段階で——そうなってしまったあとでもいいのですけれども、その前段階で何らかの措置をすべきでないかと、こういうのが私どもの考えでございます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 どうもいまの御説明で私のお尋ねする点、よくお答えいただいておりませんが、別の機会に譲ります。  さらに委員長にお尋ねします。  今回の公取委員会案は、法定の大事業会社は、一定の額を超えて他の会社の株式を所有してはならないと定めておる。この超過分の株式も、今日まで公取委員会の監督下に合法的に所有していたものである。それが突然違法性を持つこととなる。その根拠を伺いたいと思います。  独禁法第十条は、「会社は、国内の会社の株式を取得し、又は所有することにより、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、当該株式を取得し、又は所有してはならず、」と規定し、合併の場合にも同一の規定があります。つまり、現行法は規制の対象たる害悪と規制の目的を法文に示しておる。今回の大口株式の規制はいかなる害悪の排除を目的とするのか、また、何ゆえにそれを案に示されないのかを伺いたい。委員会の案によれば、大会社がたくさんの株を持つことが悪だということに帰するのであるが、私がすでにこれまでの質問で述べましたごとく、大は悪なりという観念は、必ずしもわが国の宿命的産業構造と合致しないのであります。害悪の内容について御説明をいただきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) 株式の保有額の総額制限を行うという趣旨は、先ほどから申しました主として商社等を中心として、株式を持つことによって相手企業との関係を密にし、さらに場合によっては完全支配下に、系列下に置こうとするような行動が目につくわけでございまして、そういうものに対してこれを規制するということがやはり独占禁止政策上必要である。つまり一口に言えば、事業支配力の過度の集中のおそれが出てきておりますので、これに歯どめをかけようというものであります。

青木一男自由民主党

○青木一男君 植木総務長官にお尋ねします。  政府素案によると、大会社の所有株式の総量規制については、十年間の経過措置が認められておりますが、十年経過したときはどうなるのか、やはり原則に立ち戻って超過株式は処分しなければいけないのであるかどうか、伺いたい。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(植木光教君) 政府素案が昨日決まりまして、これから自由民主党内において御審議があることでございますから、具体的な項目については、私、この際申し述べますことは御遠慮させていただきたいのでございますけれども、お尋ねでございますので、政府が考えました株式保有制限の措置につきましては、ただいまお話がございましたように、総量規制を対象会社を限定をいたしまして、また同時に、基準は純資産をとりまして行うことにしようとするものでございますが、現在持っております超過の株式につきましても、十年間の猶予の期間を与えることにいたしまして、株式市場が混乱をいたしましたり、その他いろいろな問題が起こりますことを避けようという配慮をしているのでございまして、十年間というのは一つの期限でございます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 公取委員長にお尋ねします。  金融機関の会社の株式取得規制を一〇%から五%に改めた理由を伺いたい。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) 金融機関はいままでは、一つの会社について言えば一〇%まで保有が許されておったのです。その結果、いまの上場会社等について言いますと、非常に多くの会社が、金融機関が第一位の株式を占めておると、その第一位の株式を占めているもののうちには、圧倒的に多いのがその五%を超えている場合でございます。そういうことで、金融機関というものはもともと金融による支配力が強いのでありますから、株式による支配力もいまのような状態では少し強過ぎるのじゃないかと、こう考えまして、企業はそれによるはみ出しの金額はそう大きくないんですが、この際、五%に下げていただいてもいいのじゃないかと、こう考えました。

青木一男自由民主党

○青木一男君 委員長にお尋ねしますが、規制の目的は株式所有による事業の支配ということを防ぐのが目的でございますか。その点を伺いたい。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) 主として大きな金融機関の例に多いのですから、それらの及ぼす企業に対する影響力、まあ早く言えば企業に対する支配力と言ってもいいんですけれども、そういうことが強くなり過ぎているのではないかという感じがしますので、一〇から五に下げるのが妥当かと存じます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 大蔵大臣にお尋ねします。  今回の公取案では、金融機関の株式所有の規制を強化しようとしておる。独禁法は株式の所有による企業の支配を排除しようとしておるものと思われる。しかし、金融機関の株式所有は資金の運用として行っておるものであり、特に銀行にあっては新会社の設立に対する協力、安定株主化への協力、取引関係安定等のため企業からの依頼によるものがほとんど全部と言ってもよく、その他は増資による持ち株の増加である。銀行が積極的に資金運用のため株式を持つというようなケースはきわめてまれであり、いわんや企業の支配というような、銀行の使命を逸脱した目的で株式を取得した実例は聞いたことがない。今後もあり得ないと思うが、大蔵大臣の見るところを伺いたい。  これは日本だけではない。独禁法で金融機関の株式所有を規制しているのは日本だけであり、他には一国もない。アメリカでもないのである。そういう銀行の株式所有による企業の支配なんということは起こらないからであります。銀行の株式所有規制強化によって影響を受け困るのは銀行ではなく、会社、特に中小企業であると思う。  仮に金融機関が企業支配に働くとすれば、株式所有よりもむしろ融資である。四十八年の全国銀行の貸出金総額は五十八兆円であるのに、株式所有高は二兆円であり、銀行の投資総額の二%にすぎない。貸し出しにせよ、株式所有にせよ、産業の育成と資金運用の目的で行うもので、企業支配のための株式取得というような金融機関の本分を忘れた邪道は、重役が非常識な人間で固められた場合でなければ考えることができない。商法改正で監査役が業務監査を行うことになった。一〇%、五%という持ち株の数字の問題ではなく、モラルの問題である。人間社会のことであるから重役陣に非常識な人間のそろうことも絶無とは言えないかもしれない。しかしその場合、金融機関には他の行政部門に例を見ないようなきわめて厳重な監督機関が整備しておる。銀行局は定期に報告を徴するほか、多数の検査官を擁して金融機関の実地検査を行っておる。銀行については大蔵省のほか日本銀行も調査を行っておる。両者の監督の重点は、資金運用の適正化にあるのであって、企業支配のための融資や株式所有は一件といえども見逃がされるはずはない。独禁法の発動を待つまでもなく、大蔵省の監督行政によって十分防止できる問題と思うが、大臣の所見を伺いたい。もし、融資による企業支配は大蔵省の監督で対処できるが、株式所有による企業支配は公取委員会の力を借りねばならない、大蔵省だけではうまくいかないという事情があるならば伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、金融機関が社債や株式等の流動性資産を保有いたしますことは、資産の運用のあり方上望ましいことでございまして、また、御指摘のように、現在の株式保有は全体としてそのまま企業支配に通ずるとは私も考えておりません。しかし、金融機関が株式保有ばかりでなく、融資を通しまして企業に大きな影響力を持っていることば事実でございまして、それに加えまして株式の保有を重ねるということになってまいりますと、企業に対する影響力は確かに大きなものになるおそれがあるという意見が出てまいりまして、この独禁法改正問題が出てまいりました機会に、この問題をもう一度検討すべきであるという議論が出てまいっておることは御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては十分検討をいたしまして、金融機関の健全なあり方というものは守っていかなければならぬと考えております。しかし同時に、公正取引委員会が株式の過大な所有について関心を持っておるということは事実でございまして、このいまの独占禁止法改正の前は、実は五%だったわけでございますが、改正で一〇%になった経緯もあるわけでございまして、今度五%でどうだといういま御意見が再び出ておるわけでございまして、内外の状況をよく吟味いたしまして、適切な改正ができますよう、これから十分検討いたしてみたいと考えております。

青木一男自由民主党

○青木一男君 大蔵大臣にお尋ねします。  独禁法は、第六章で、自然独占事業に固有なる行為、事業法令に基づく正常な行為を初めあまたの適用除外規定を設けておる。金融業はその性格上やはり適用除外とするのが妥当ではないかと思うが、大蔵大臣の見解を伺いたい。  独禁法の眼目は、自由競争を確保して消費者の利益を擁護するにある。しかるに、金融機関は、物の生産、輸送、販売に関係しないから消費者の観念にはつながらない。独禁法は自由競争第一主義であるから、企業の設立は自由であるべきであり、企業の数は多いほどよいということになる。しかるに、金融機関では、会社の設立は免許制のもとにあり、企業の数を制限し、その規模と内容の充実に主眼を置いている。それはきわめて多数の預金者、契約者を保護するためであり、金融機関はその出発点からすでに独禁法になじまないのであります。また、業界が取引条件を申し合わせることはカルテル行為として取り締まるのが独禁法の中枢任務である。しかるに、銀行の預金金利、貸出金利、保険会社の保険料、証券会社の手数料など、営業の本体を構成する取引条件はすべて法律に基づいて独禁法の適用を除外され、むしろ大蔵省、日本銀行の監督下に統一されているのである。かくて、現行法において独禁法が金融機関に適用されているのは、株式所有の規制と合併という構造規制の面のみである。私は銀行の合併の場合も大蔵省が認可権を持つのが正しいと思います。ことに、外国に一つも例のないような、また国内でも必要性が認められないような、金融機関の株式所有の規制をさらに強化しようというのは私は必要がないと思う。むしろ行政簡素化の趣旨でいまの公取委員会の関与を廃止するのが望ましいと思うが、大蔵大臣の所見を伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 銀行法は、金融行政の立場から銀行の合併を認可制度にいたしておるわけでございます。これは御指摘の金融行政の立場からいたしておるわけでございます。一方、独禁法は、企業の合併につきまして、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合、そういう場合と、不公正な取引方法による場合には、これを禁止することを一般的に定めております。したがって、この銀行法の場合、独禁法の場合は、それぞれその目的を異にいたしておるわけでございまして、金融機関の合併についての判断もそれぞれの法目的に従って処理すべきものであろうと私は判断いたしまして、その限りにおきまして、公正取引委員会がそういう任務を持っておる以上、その機関がこれに関与することもやむを得ないと私は思います。

青木一男自由民主党

○青木一男君 公取委員長にお尋ねします。  諸外国の独禁政策を見ると、アメリカでは、大統領指揮下にある司法省反トラスト部と、行政委員会として独立の立場を持つ連邦取引委員会の二つの機関のもとで、きわめて厳しい独禁政策がとられておる。これに対し、西欧諸国における独禁政策施行機関は、イギリスでも西ドイツでもフランスでも、各省の管下にあって内閣行政機構の一部となっており、一般経済政策との調整のもとに独禁政策が行われる仕組みとなっている。委員長は、このアメリカと西欧諸国の独禁政策の基本的差異はどこから来ているとお考えでしょうか。私は、この差異は、憲法上の関係は別として、両者の経済、国情によるものと思う。アメリカは領土広く、資源に富み、十九世紀末にすでに産業の大型化が進み、弊害が出てきたので反トラスト法が発足した。第一次大戦後、アメリカの国力はますます伸び、その企業は世界無比の規模に発展し、独禁法が独走してもびくともしない程度に成長したのである。西欧諸国は、資源において日本よりはまさるが、アメリカにははるかに及ばない。国際収支の均衡を図るためにも、雇用を改善するためにも、経済の成長、国際競争力の確保は第一義的重要性を持つ。そこで、独禁政策実施機関を内閣の統括下に置いて一般産業政策との調整を図り、独禁法の運用においても、経済の成長を害せずに弊害を除去する点に重点を置いているものと解するが、委員長の見るところを伺いたい。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) どういうことでそれぞれの国の制度が生まれ、今日まで変化しつつあるかということを私がここで長々と述べておったのでは失礼に当たりますので、概してその国々によって法律体系が違うということがやっぱり一つの問題であろうと思います。  それから、イギリスでは、ちょっと私どもには、非常に一般の方にわかりにくいのですが、最近、近年に改正されました法律によりまして公正取引庁というものをつくり、そうして、また一方には、独占及び合併委員会という、これは委員長だけが常勤でほかは非常勤でございますが、まあ相当多数人数おります。委員の数も多いのですが、これは公正取引庁長官から、あるいはまたは、消費者保護大臣が形の上では公正取引庁の上におりますが、そういうものから負託を受けて調査をしたり、勧告したりする。これは別に弊害規制主義とおっしゃいましたが、確かにそういうたてまえではございます。従来から、カルテルは登録制をとっておりますが、そのうちで、これは違法である、大手は好ましくないというものは登録を取り消しますが、それについては制限的取引行為裁判所というものがございますが、裁判所の中にそういうものが含まれておりまして、そこで判定を下すというふうな方法をとっております。アメリカにつきましては、ただいまおっしゃいましたような、シャーマン法があり、クレートン法がある。いずれも相当長い歴史がありまして、これを取り扱うのも一方で司法省がシャーマン法を主として扱い、それから別にクレートン法と連邦取引委員会法は連邦取引委員会という独立機関、これは独立機関でございます、それが取り扱っております。これはただアメリカでは御承知のとおりきわめて厳しく最近においては禁錮の年限を延ばし、罰金を非常に大幅に引き上げたというところからも、これに対する政府の意欲がうかがわれるわけでございます。  また、西独は、西欧における恐らく一番模範的なカルテル規制庁だと思います。カルテル庁というのがございまして、それは形の上では連邦経済大臣の所轄に属しています。連邦経済大臣はかつて有名な大臣であった、今ちょっと忘れましたが、非常に有名な大臣が、熱心にみずから独占禁止法をつくるということでおやりになって、これは現在法律上独立ということは書いてありませんが、職務についてはこのカルテル庁は完全に独立しておりまして、また、そのカルテル庁の中には、審決部というのが一部から八部ありますが、これはあたかも裁判所の裁判長以下三名というふうな形と同じような形をとっておって、それが独立の権限を持っております。カルテル庁長官といえども、本当はその審決部にはタッチしないというふうなほど、相当独立性というのは事実上は確立されておるわけでございまして、西独の考え方はほかにいろいろな統制的な手段はできるだけやらない。ですから、経済省はありますが、経済省の人間はわずか千数百名でありまして非常に少のうございますが、そのかわり独占禁止法をもって自由競争の維持に努めると、この決意たるや、私ども非常に見習うべきところがあると思いますが、西独については事実上そういうふうにアメリカにまた劣らぬ別のやり方でございますけれども、そういう、歴史はいろいろございますが、要するに、西独においては、かつての厳しい統制経済、戦争中を通じてのナチスのいろいろなのに対して、著しいいわば反省といいますか、これをきらう風潮がある。それで、物価の安定をきわめて強く望んでおるが物価統制はしたくないと、こういうことから独禁法を強くしておると、こういう意欲でだんだんと強化されてきております。

青木一男自由民主党

○青木一男君 総理にお尋ねします。  内閣が行政各部を統括し、国会に対して責任を負うという憲法の規定は、憲政の基本原理であると私は思う。先ほど法制局長官はたくさんの学者がいまの制度を是認しておるというような説明がありましたが、これは学者の諸君が非常に苦心をしていまの制度をいかに説明しようかと思ってあれは述べた意見であると思います。行政権は内閣に属するというあの規定の例外を慣行や法律で変えることはできるはずはないと思う。それから独禁法施行に対する責任の帰属ですが、先ほど総理は、指揮監督権はないが責任を負われるというのは、これは実に御奇特のことではあるが、責任の観念と相入れざるものと私は思う。まあ責任はそれでお考えでいいとしても、内閣総理大臣は行政各部を指揮監督するという憲法の規定がある。私はその違反はこれは免れないと思うのです。それで、これは憲法だけの問題ではない。今回の改正案のように、公正取引委員会の権限が強化され、産業構造に立ち入ることになりますと、その運用いかんによっては、産業の根幹を揺るがし、対外競争力を減殺することとなりかねない。独禁政策は大事な政策ではあるが、それのみが唯一の重要国策ではない。独禁法の運用が国の重要経済政策と対立するとき、国益上のプラス面、マイナス面を考え、総合判断を下す適格機関は政府である。公正取引委員会の熱意は認めるけれども、何としても人の数も少なく、職務上視野がおのずから狭く、ことに対外競争力というような場合に海外事情などを詳しく知る機会もない機関でありますから、各省を擁する政府の適格性に及ぶべくもない。  では、委員会の人をふやせばよいという説もありますが、それでは第二の内閣をつくることになる。総理は、憲法を尊重して、公正取引委員会を内閣の指揮監督のもとに置き、内閣の全責任下に独禁法を運用するため、第二十八条の改正について検討されるお考えがあるかどうかを伺いたい。  委員会を内閣の指揮監督下に置くとしても、カルテル規制のような行為規制の分野は法律でもっと準則を明確にした上でその運用を委員会に任せてよいと思う。あたかも税法の施行は大蔵大臣が監督し、個々の運用は法律に基づいて税務官庁が独立の権限として実施し、国会に対しては大蔵大臣が税法施行全部について責任をとるのと同様にすればよいと思いますが、総理のお考えを伺います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 内閣が行政を総括する責任は持っておりますが、しかし、独禁政策の職権を行う公取委員会が、時の政治的情勢に影響を受け、行政の要請にこたえていろいろ判断を下すという意味では、もう中立機関としての役割りは果たせないわけでございます。しかし、公取が何でもできるということは不安を与えますから、重大な職権を適用する場合には要件を付してある。そして、非常に自由に何でも裁量できるというのではなくして、要件を付し、物によったならば主務大臣と協議をするという条項も付してあります。協議というのは、ただ形式的というのでなくして、両方が意思の疎通を図るように十分話し合うことでございます。無論、法律的には最終判断は公取にあることは言うまでもございません。そういうことからして、この公取委員会というもののやっぱり独立機関の性質からして、これを政府の指揮監督、下級官庁のごとく置けば、こういう独立機関の性能は失うわけでありますから、したがって、いろいろな条件は付してありますけれども、公取の中立、独立の機関としての職権の適用をわれわれが認め、したがって、それに対しては人事権——公取委員長も委員も政府の任命権があるわけです。予算もまた政府が組むわけでありますから、政府が国会に対して責任を負うということが公取委員会という性質からしてこれは憲法の規定に抵触するという考え方は持っていないということでございます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 さらに総理にお伺いします。  ただいま政府の一般行政との調整について一端をお漏らしになりました。その中で任命権のことにお触れになりましたが、公取の委員の身分については保障がありまして、懲戒処分でなければ関与できないことになっている。もし二十八条の改正がないとすれば、独禁政策と内閣の産業政策との調整については格段の配意が必要と思います。まず、内閣の指揮監督を受けない独立機関に強大な権限を与える立法には慎重を要するということであります。今回の改正案についても、産業政策に重大な関係を持つ構造規制については、総理は協議とお話しありましたが、やはり決定権はそれぞれの所管省に与えるのでなければ意味はないと私は思います。公正取引委員会と類似の性格を持つ国家公安委員会にあっては、委員長に国務大臣をもって充てるという方法で内閣との連絡調整を図っている。公正取引委員会の職務権限の一般国政との関連性の深さは、国家公安委員会の比ではない。総理は、独禁政策と一般国政との連絡調整の必要をお認めになるかどうか、その対策について御意見を伺って、私の質問を終わります。

吉國一郎内閣法制局長官

○政府委員(吉國一郎君) 法律的な側面について私からお答えいたしまして、後で総理から総括的にお答えいたすことにいたします。  まず、任免権に関連してでございますが、内閣総理大臣は、この法律の第二十九条二項におきまして、両議院の同意を得て任命することができるようになっております。また、第三十一条で委員の身分保障が規定されておりまして、「委員長及び委員は、左の各号の一に該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。」とございますが、その第二号に「懲戒免官の処分を受けた場合」という規定がございます。これから解釈をいたしまして、懲戒免官という処分もあり得て、これはもちろん内閣総理大臣の処分であると考えられます。  次に、公正取引委員会の所掌する行政事務と一般の産業政策との調整についてのお話でございましたが、これは現行の法律におきましても相当多数の処分について産業所管官庁との協議等の規定が規定されておりますし、また、私的独占禁止法の適用を排除しております多数の法律、たとえば中小企業団体の組織に関する法律でございますとか、これは中小企業団体につきまして私的独占禁止法の適用を排除して不況カルテルあるいは合理化カルテルに類するものの実行を認めることになっておりますが、この場合においては、中小企業主管大臣でありますところの通商産業大臣、あるいは農林大臣、厚生大臣、運輸大臣等々の産業官庁と、公正取引委員会との十分な密接な協調によって処分が行われることになっております。同様な規定は、貿易関係において、輸出協定あるいは輸入協定、あるいは輸出組合、輸入組合の組織を認めて、この輸出組合、輸入組合の組合の事業としてカルテルを実施することを容認しております輸出入取引法についても、貿易所管大臣としての通商産業大臣と公正取引委員会との調整が図られております。  そのようなことからいたしまして、私的独占禁止法の施行について、産業政策上の配慮はいまのところ現行法上は図られていると考えられまするが、今後の改正案におきましても、そのような点については十分な配慮がなされることと考えております。そのようなわけで、公正取引委員会の所掌事務と産業政策との調整は、現行法において十分図られておると私どもは考えております。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 青木さんは、政府と公取との行政上の連絡の点を御心配をされておったわけであります。今日のたとえば産業政策にしても、これは通産省専属で通産省専管というわけには私はいけない。たとえば租税政策、産業政策に影響がある。環境政策、これもやっぱり通産行政に関係がある。また独禁政策も私はそうだと思う。縦割りだけで処理するのに非常に無理になってきておるですね、今日の行政は。少し横割り的な、産業行政に新たなる使命というものが加わってきておるのが今日の行政だと私は思うんです。そういう点で、公取が一つの自由経済の秩序、この自由競争の原理を確立するということは大変に大きなやっぱり役割りでございますから、独立機関としての一つの職権の行使を認めて、それに対してはいま言ったように、公取委員の任命権を政府は持っておるし、また問題によっては主務大臣との協議もあって、それ以上に政行の指揮監督のもとに置くということでは公取というものの使命はなくなるわけでありますから、やはり公取の持っておる一つの役割りというものを尊重して、しかも、いま言ったような主務大臣との協議などということを通じて十分に——全然、内閣というものとばらばらなものだとは思わない。そのやる職務、職権に対してわれわれは指揮監督はいたしませんけれども、いま言ったような人事権予算権、また主務大臣との協議、こういうものを通じてやはり連絡はあるわけでありまして、そういう意味において内閣は責任を負うと言っておるんですが、それ以上内閣が立ち入って指揮監督するということには、独立機関としての公取の立場に対してこれは深入りし過ぎるという感じでございます。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして青木君の質疑は終了いたしました。(拍手)  速記をとめて。   〔速記中止〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。     —————————————

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 辻一彦君。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 私はきょうは、深刻な不況に悩む中小企業の不況対策並びに若干の原子力問題について質問をしたいと思います。  まず第一に、先日、私たち社会党の不況失業調査団が北陸、東海、近畿と回りました。そこでこの調査をした結果、中小企業が非常に深刻な状況にある、こういうことを体で実感をしたわけです。加工賃が下がる、多大な借金を負っている、借金をもうこれ以上はできない、そういう中で自殺者も出るという状況にあります。これは一北陸の地帯だけではない、全国に共通する問題であると思いますが、副総理、今日の中小企業の深刻な実態をどう把握されておるか、お伺いしたいと思います。   〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) いま政府としては、物価安定のための施策を強力に進めておりますが、その摩擦現象として、日本経済全体にわたって不況現象が出ているわけであります。その中で中小企業、これは立場が弱いものですから、しわ寄せといいますか、顕著な摩擦現象が起きている、こういう情勢かと思うのです。事業量、総需要等、そういうものが低下する。したがって雇用情勢、その情勢も中小企業の方では悪い。また倒産件数、これは昨年の暮れあたりに比べると一、二月は何か少し減っておりますものの、まだかなり高水準を続けておる、こういうような情勢でございます。政府としては物価安定政策、このためのしわ寄せというものが中小企業へ偏るということのないように、特段の配慮をしておるというのが現況でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 ちょうど不況の中で自殺をしたり、心中をする人が大変出ておりますが、私たちが福井地区の調査に入った、記者会見をやっている三月一日のそのさなかに、中小企業の方が深刻な不況の中で自殺をしたというニュースが流れて、いまさらのように非常に厳しさを実感した。  たとえばその新聞の中で、サッシをやっている野口さんという方ですが、首をつって自殺をしておったのが発見をされた。その中で、背広の内ポケットに妻子にあてた先月二十五日の遺書があって、経営に失敗をした、すべて私の責任である、死んで償う、お母さんの言うことを聞いてよい人間になってくれと、子供にこういう遺書が残されておったという。そしてこのサッシ産業は不渡り手形五通、額面二千五百万円を出して、こういう中で自殺をした。非常に私は痛ましい姿じゃないかと思いますが、こういうのが新聞等で見るとかなりあちこちに見られますが、労働大臣、こういう自殺者等が全国で不況の中でどのぐらいあるかおよそおわかりになりますか。——その細かい詳しい数字は後でひとつ調べて御報告いただく、こういたします。  いまのように非常に厳しい中にありますが、こういう中で政府のほうは物価を一五%に抑えられると、こう言っておりますですね。まあ鎮静したと言う。しかしその陰に、私は先ほど副総理御答弁のように深刻な不況、いわゆる失業や解雇、倒産、赤字、自殺者まで出す、こういう状態があろうと思うんです。言うならば今日の物価抑え込みは、あるいは物価の鎮静というものは、このような中小企業の深刻な犠牲を裏づけにしてなされつつあるのではないか、こう思いますが、この点に  ついての所見をお伺いいたしたい。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、不況現象ですね、これはわが国の経済を安定させる上においてよけて通ることのできない道であると、そういうふうに思っておるんです。まあ物価の方はかなり鎮静してきた。その反面、不況現象というものが出てきておる。そういう中で、そのしわ寄せが小さい弱い立場、経済界で言いますれば中小企業というものに偏らないようにということを篤と気をつけていかなけりゃならぬ、そういう立場からできる限りの施策を講じておるというのが現況でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 その小さい、弱いと言われる中小企業が、一体わが国の経済の中でどのぐらいのウエートを占めているとお考えになりますか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) わが国の産業において占めます中小企業の比重は非常に大きなものがございまして、生産で言いますと、ほぼ半分を占めております。それから数で言いますと、企業の数が約五百万、従業者が約三千万ということで、非常に大きなウエートを占めているのでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 生産で言えば半分、従業者数で言えば三千万、こういう数として非常に大きいですね。だから、弱い、しわ寄せが一部に寄っている、こうおっしゃるけれども、実際はその広範な大衆といいますか、中小企業の皆さんが今日の不況の中でこれを支えているといいますか、この物価値下げの、言うならば抑え込みの一つの犠牲、しわ寄せを受けているのじゃないかと思いますが、小さいからといって簡単なものじゃない、非常に幅の広い大きな底辺であると思いますが、この点どうですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 経済安定のための施策、その摩擦ですね、これは大と言わず、小と言わず、また中と言わず、これはもう経済界企業一般おしなべて受けているわけです。その中で基礎の脆弱な、また規模の小さい立場にある中小企業はその摩擦を深刻に受ける、そういう立場にあるだろう。そういう立場に立ちまして、いま中小企業対策、これはいわゆる不況対策の中の要であるという方針をもちまして対処しておるというのが現況でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 総理にお伺いしますが、総理はしばしば社会的不公正の是正ということを常に強調されている。私はいま深刻なこの不況のもとにある零細中小企業というもの、これの存在というものが最たる社会的不公正の大きなものでないだろうか、これをどうするかということが三木内閣の言われる社会的不公正の重大な課題であると思いますが、この点についての御見解を若干詳しく伺いたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いま政府は経済政策の重点を物価の安定に置いておるわけですが、その結果、総需要抑制ということは中小企業に対しても不況というものをもたらしておるわけで、その深刻な状態をわれわれも承知しておるわけです。したがって政府の経済政策は、この不況のもとにおいて非常な犠牲を中小企業が受けるようなことのないように特別な配慮はしてきたわけですね。昨年度も中小企業に対して七千億円の融資の枠を拡大したし、また資金枠は必要があれば拡大するつもりであります。また、仕事の面についても官公需などに対してはまだ二八・七%ぐらいですか、これを三〇%くらいの目標にして——あの法律は私が通産大臣のときにつくったんです、五〇%ぐらいということを目標にしてつくったわけですが、五〇%ぐらいの目標も、まだ現在のところは三〇%を目標にしてそういうことをやる。それから零細企業に対しては、今年度の予算においても無担保、無保証の資金というものを去年に比べて倍額に増額したりして、中小企業の立場というものに対しては非常に細かく配慮をいたしておるんです。  いま辻さんの御指摘のあったような二重構造というものは、確かにやはり社会的不公正を言えばそういうものの中に入るでしょうが、それはしかし、救済という形でその格差というものが是正されるとは私は思わない。どうしても中小企業というものを近代化して、やはり小さいは小さいなりに中小企業が発展していく余地は十分にあるわけで、私は、日本のような国情で、中小企業の存在というものがだんだん欧米諸国のように非常に小さくなるとは思わないんですよ。日本というものは中小企業というものが、今日でも従業員を三千万人抱えて一中小企業の占める位置というものはそんなに小さくなるとは私は思わない、日本の国情からして。  そうなってくれば、ただ単なる困ったから救済ということでなくして、根本的に言えば、中小企業の経営とか技術の面でこれを近代化して、そして中小企業は小さいなりにやはり十分に競争していける立場をつくることに政府は力を入れることが必要である。そしてまた中小企業は情報が少ないですからね、だから、政府の方としては情報を持たない中小企業に対して、どうしたってやっぱり営業分野というものの転換も起こってくるでしょうから、政府がどうこうというのではないけれども、情報を提供して、そしてできるだけ日本の中小企業が将来発展のできるような方向に転換をしていく必要も起こりましょうし、また低開発諸国からの突き上げということは、もうこれは否定できないですからね、繊維などにおいても。そうなってくると、やっぱり何というんですか、製品の高度化というものもあり、そういう一連の、ただ困れば救済だけでなくして、中小企業の体質をもっと強くしていくための中小企業政策というものに重点が置かれなければいかぬ。  いま辻さんの御指摘になっておるのは当面の問題ですから、これに対してはあらゆる配慮をして、この非常に物価高と不況とが共存しておるようなことはいままで経験がないわけですからね、このむずかしい時代を中小企業にしわ寄せがいくような形でなしに乗り切りたいと、あらゆるきめ細かな配慮をいたしておるわけでございます。根本的な中小企業の対策は、中小企業の体質を強くしていく、これは近代化ということですが、そういうことが中小企業対策の中心だと私は信じております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 いや、もちろん私も、中小企業の長期の対策、これは構造的な体質改善をやらなければいかぬ。それはわかります。当面は、いま引き締めによってこのしわ寄せを最も深刻に受けている。とすれば、これに対する対策をどうするか。その格差は余りにも大きい。それはやっぱり社会的不公正の最たるものの一つになるのではないか。これについて重ねて、いかがですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) インフレというものが社会的不公正を生む根本の原因なんですね。単に中小企業者ばかりでないと思う。勤労者に対してもそうだし、あるいは年金の受給者に対してもそうだし、そういうことで、社会全般の不公正是正のための一番の基礎的な政策は、やはりインフレをなくするということだと思うんです。これは一遍にはいかないにしても、そういう方向に政府が強力に経済政策を今後指導していくということが不公正是正の根本である。だから、長期的に不公正を是正していくためには、いわゆる体質の問題、経営や技術とか、あるいは情報とか、そういう体質の問題があるが、当面はいわゆる金融面で倒産するようなことができたり、まあ仕事というものもなかなかむずかしいわけですね、むしろ金よりも仕事かもしれないですね、中小企業は。   〔理事柳田桜太郎君退席、委員長着席〕 それはなかなかむずかしいけれども、通産省でもできるだけそういうふうなことで配慮をしておるわけですが、一方において、いろいろ政府としてできることがあればそういうことをやるし、民間に対しても、そういう点に対してできるだけ中小企業の犠牲を少なくするような努力を、大企業に対してもそういうことを通産省からも申しておるわけですが、これは不況のときですから、やっぱり思うように仕事がふえるわけではない。またしかし、一方においては、予算などにおいても、第四・四半期に一兆四千六百億ほどの公共事業費がありますから、これを相当繰り延べられるわけですね、いつも。できるだけこれを消化を促進するようにして、いわゆる財政面からも需要を喚起するというような政策もとっておるわけで、まあ住宅建設などに力を入れていけば、そのことは中小企業にも非常にいい影響があることは明らかですから、そういうので細かくいろいろの気を配ってやっているということは御理解を願いたいのでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 第一次の不況対策は二月十四日に打ち出されましたが、あれはいま総理の言うように、中小企業がお金よりもむしろいま仕事がほしいという、そういう仕事をつくっていく上においてどのぐらいの効果があるか、どうお考えですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) あの対策は十項目ばかりになりますが、これは一つは金融対策です。それからもう一つは財政対策。これが主になるわけです。財政、金融両方を通じま、して中小企業に特段の配慮をしておる。つまり、いま金よりは物だと、こういうふうにお話しですが、それはそのとおりのようですが、金もまた中小企業はなかなか窮屈なんです。そこで、政府三機関の融資をまだ強化するとか、あるいは市中金融機関が相協力いたしまして、中小企業救済基金というか、資金といいますか、そういう仕組みをつくっておるんです。それの運用を強化いたしますとか、あるいは信用保険法の機能を活用いたしますとか、いろいろやっておるわけです。  それから、いま住宅投資が始まること、これが景気対策としてはかなり効き目がある、こういうふうにも考えられるし、住宅問題はインフレと言いながら切実の問題でもある。そこで、住宅に対する金融を強化するとか、財政面ではいま総理かちお話しのように、公共事業の消化をなるべく促進する。これはかなりの効果があるだろうと、こういうふうに見ております。また、官公需全体を通じまして中小企業へのシェアが昭和四十八年度では実績が二八%あったんです。それを三〇%とするという目標のもとに中小企業のそれらの官公需に対するシェアの拡大に努めるとか、いろいろやっているのですが、まだ二月にそういう政策をスタートしたばかりでありまして、具体的に効果らしい効果というものはまだ測定できません。できませんが、いろいろ状況調査なんかしてみますと、地方の建設業なんかはかなり活況を呈してきておると、こういうふうにも聞いておりますが、政府のそうした金融、財政を中心とする諸施策は逐次浸透をしてまいる、そういうふうに見ております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 いや、私が金より物と言ったのは、余り深刻で、金を担保能力で借りられないというほど借金をしておるから、いまは物、仕事がほしいと、こういう声があるということ。もちろん融資の重要なこともそういうことは当然であると思います。  そこで、第二次不況対策を政府は二月半ばに用意をされておると聞いておりますが、時期から見てその中身というものがほぼ固まりつつあるのじゃないかと思いますが、具体的にどういうことをお考えになっておるのか、これを伺いたい。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 二月に不況対策十項目を打ち出すということにいたしまして、その影響がどうなるか、あるいはその影響は別といたしましても、業界の推移がどういうふうになるか、こういうことをじっと注意深く見ておるんです。それにはなるべく時間を要した方がいいのですが、しかし、さりとてそう長く待っておるわけにもいかぬ、こういうふうに考えまして、今月の中旬から下旬だろうと思うんですが、その間の景気の動きということを総合判断いたしまして、そして対策を必要とあればまた打ち出す、こういうふうに考えておる次第でございまして、まだ状況判断が的確につかめない、そういう状態でありますので、今日この時点においていかなる施策を第二弾としてやるんだということについては、まだお答えが遺憾ながらできないのです。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 通産大臣は早くから第二弾は三月の半ばと、こうよく言われておりましたが、ほぼ私は通産段階においては——まだ副総理の総括段階にまで至らぬと思うんですが、通産の段階ではある程度の腹ができているのじゃないかと思いますが、この点いかがですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 三月の大体中旬現在における各産業の実態及び中小企業の実態につきまして、詳細な調査をすべくいま準備をいたしております。大体二十日ごろまでにおよその実情の掌把ができると思います。それを分析をいたしまして、どういう対策が必要であるかよく検討してみたい。こういうスケジュールで進めておりまして、まだその対策の具体的な内容というところまでは結論を出しておりません。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 まだ時間が必要ということですが、それでは、この公共事業等をいろいろと早くできるようにする、その場合に、大きな仕事というものは中小企業はなかなか受け取ることはできない。そこで、大きなプロジェクトの分割発注という方法があるんですが、これについて具体的に中小企業に仕事を多くするためにどうお考えになっているか、この点いかがですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) それば当然考えられることでありまして、これはかなり手広くやっていると思うんです。ですから、中小建設業ですね、これなんか動きが非常に活発になってきておる、こういうことが言われるんじゃないか。そういうふうに思いますが、なお詳細でありますれば建設省の方からお答え申し上げます。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) 建設関係の中小業者の問題でありますが、四十九年度は特に重点を置いてやってきたつもりであります。繰り延べの分もありますから、できるだけ仕事は小規模の工事、中小工事を優先してやって、抑制は大規模工事をいたす。それから中小向けの工事はできるだけ分割して、もう可能なる限り分割をしてやっていきまして、そして地方中小業者を最優先せよというのをわれわれ至上命令にしております。地方の出先機関にもあるいは関係府県にも要請を実はいたしておるわけでありまして、もし分割が不可能な場合であれば、大企業とその地域の中小企業とを組み合わせるいわゆるジョイント式、これでやれということで、分割かジョイントか、この二つのいずれかをいまほとんど全部といっていいくらい実施をいたしておるつもりであります。  ただ、四十九年度の一−三月の新規契約は大体八千億円と考えておりまして、三月までに完全消化をするために全力を挙げて努力をいたしておるわけでありますが、まだそうした効果がすぐあらわれているとは思いませんけれども、若干明るい気分も出ておるんじゃないかという感じはいたしております。そしてさらに、中小企業の御承知のとおり体質が非常に弱いんですから、そういう意味では、できる限り共同化、共同経営、これも推進をして、そういうふうなことが可能なものはそういう形で受注の機会を受けるようにさせております。  それから、五十年度になりますと、いろいろ景気の見通しもありますけれども、私どもはいつでも早期の発注ができるようにいまから準備を整えておるわけであります。それと同時に、中小業者の体質の改善という意味で、五十年度は御承知のように建設業振興基金等も設立をいたしまして、体質の改善やらあるいは融資補償等についても全力を挙げて努力をいたしてまいりたい、こういう考え方で中小企業対策を考えておるわけであります。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 考えとしてはわかりますし、動きとしてはわかりますが、具体的に、前に比べていまの段階でどのくらい大きな分割発注をしているか。それから、さらにどのくらいのパーセントまでやられようとしているのか、その点いかがですか。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) 細かい数字は持っておりませんけれども、大体四十九年度三・四半期までに、中小企業と大企業とを分けまして、発注件数は七一%くらいが中小企業に来ております。それから、金額は四〇%程度が中小企業の受注の金額になっておりまして、これは四十八年、四十七年と比べますと非常な伸びを示しておるということは、実質的において明らかに申し上げることができると思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 さっき副総理も三木総理も、中小企業の仕事をふやすために官公需の拡大ということのお話やありましたですね。この各省平均を見ると四二・九%、しかし、平均以下のところがかなりありますが、これは平均以下のところはどういう理由で低いのか、この点を一応明らかにしていただきたい。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ちょっとわかりにくかったようですが、建設大臣ですか。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) 済みません、ちょっと聞き漏らしましたけれども。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 中小企業庁にこの資料を出してもらってあるんですから、中小企業庁長官がおればすぐわかるはずです。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) お答えいたします。  建設省関係はただいま申し上げたとおりでございます。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 具体的な資料がございますので、長官から答弁をさせます。

齋藤太一中小企業庁長官

○政府委員(齋藤太一君) 四十八年度の実績で申し上げますと、四十八年度の官公需の中で、中小企業向けに出ました比率は二七・七%でございます。このうち各省庁の分が三七・二%でございまして、公社、公団関係が二一・八%でございまして、公社、公団関係がその発注の仕事の内容上大規模プロジェクト等が多いという関係で低くなっておりまして、総平均といたしますと二七・七%、こういう数字に相なっております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 この中で総理府、運輸省、郵政省、建設省等がいわゆる各省庁の平均三七・二に比べてそれ以下になっておりますが、これは一体どういう事情なのか、この点伺いたい。

齋藤太一中小企業庁長官

○政府委員(齋藤太一君) 各省庁によりまして予算の内容が非常に違うわけでございます。非常に大規模プロジェクトの多い省庁はどうしても中小企業向けの比率が少なくなりますし、また逆に、わりに中小企業向けに向くような仕事の内容の多い、たとえば印刷関係でございますとか、潤滑油を買いますとか、あるいは役所の備品等を買いますとか、こういったものが主とした内容になっております官公庁の場合にはその比率は非常に高くなっておるわけでございまして、この比率が省庁によりまして差がございますのは、予算の内容の違いによるものかと存じます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 大筋はわからぬことはないですが、しかし、各省庁は、四十八年と四十九年を比較して昨年三七・二に、ことしは四二・九で、五・七%上がっている。ところが、公団や公社の方は二一・八%が逆に二一・六%と、若干だが減っているんですね、四十九年度は。これは一体どういうことなんですか。これは大まかな数字ですから、通産大臣いかがですか、この減っているということは。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 公団であるとか公社の仕事は、非常にむずかしい技術的な内容の仕事が多いわけですね。そういうことで毎年毎年の仕事の内容によりまして増減がございまして、一般の工事よりは少ない、こういうことになっております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 いや違う。数字が減ったのはなぜか。

齋藤太一中小企業庁長官

○政府委員(齋藤太一君) 四十九年度におきましては、公社、公団等につきましては、中小企業向け発注の目標を二三%というように、昨年の八月の閣議決定をいただいておるところでございます。で、昨年十二月末に各種公社、公団に、途中経過的に四月−十二月の間におきます発注状況の結果を集計いたしましたところ、ただいま御指摘のように二一・六%でございまして、公社、公団に関しましては目標を下回っております。中小企業庁としましては、さらに今後残された期間に御努力いただきまして、目標まで達成できるように公社、公団にがんばっていただきたいと、かように考えておる次第でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 総理にお伺いしますが、公社、公団にがんばっていただきたいということですが、さっきから、大きなのをなるべく分割して、それが困難な場合には大企業と中小企業を組み合わせて、その分野をふやしていこうと、こういう答弁があったんですね。しかし、実際にはおととしの二一・八が四十九年は二一・六というように、若干でもやはり下がっている。これは私は何としてもこれは上げなければならぬというのと方向というものが違うと思うんですが、これを一体どう指導されますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は、中小企業の実態によっていろいろそれぞれの工夫があっていいと思います。あるいは下請関係というようなことも経営とすれば安定するわけですから、だから一概に大企業との関係というものは、まあその下請との関係が隷属的なものであってはいけないわけで、そうでなければわりあい経営は安定しますから、これはいけないんだというふうに考えないで、それぞれの中小企業の特性によって安定して発展のできる道を選ぶべきであって、何はいけない、かにはいけないという、これは自主的な判断に任すことが実際的でないのではないでしょうか。私はそのように考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 ちょっと私の質問もどうかと思いますが、意味がわかりにくいですがね。中小企業庁は各省庁に大いに努力してもらうということですが、大体公社、公団を見ると、関係のある省庁は郵政省、運輸省、建設省等が非常に監督の立場として大きいと思うんですが、具体的にこの公社、公団の中小企業発注を拡大される確たる決意があるか、それぞれお伺いいたしたい、郵政、運輸、建設。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) 先生のお説のような私ども考え方で努力をいたしておるつもりでありまして、これからもその決意で最善の努力をいたしてまいります。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木村睦男君) 中小企業向けの運輸省関係の仕事量で先般、政府といたしましても督励するようにということでやっておりますが、大体二十数%は中小企業にやらしておるという、たしか実績を持っておりますが、今後さらに一層督励をいたしたいと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 郵政はいかがですか。

村上勇自由民主党郵政大臣

○国務大臣(村上勇君) 全然調べておりません。いまから調べますから、後ほどお答えいたします。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 では公社、公団で具体的に、どのぐらい五十年度の前半で中小企業を拡大するのか。下がっているんですから、上げるためにどれだけの数字を上げるのか、それを資料にしてこの委員会に出していただきたいと思いますが、いかがですか。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 各三大臣よろしゅうございますか、いまの資料。資料としてある程度の計数を出していただけますか。——郵政大臣だけ……。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 さっき言いました全部。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ただいまの資料について差し支えございませんか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 中小企業庁の方で取りまとめまして提出をいたします。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 次に、不況対策は直接は国の問題だと思いますが、いわゆる地方自治体においてもインフレや不況からの救済、これは積極的に展開すべきじゃないかと思う。そこで、その自治体が不況で財政ピンチに陥って、社会福祉、こういう点を拡充する措置どころか、自分が救済を受けなくちゃならないと、こういう状況になっております。地方自治体も、いまこの社会的不公平の最たるものは何といっても当面の地方自治体の財政でないだろうかと思われる。  そこで地方財政は、不況期に、いままで言いますとピンチになったとき、過去二十四年それから二十九年、三十九年、まあ構造的な不況の過去を見れば、こういうことがあったということは私は明らかだと思います。そこでこれはやはり政府、財界の不況対策に起因をするということが地方財政の今日困っている原因でないか。当面するこの財政危機の主因が総需要の抑制にある、国と財政需要の異なる自治体に一方的画一的に抑制を押しつけた、こういうことが最大の原因と見なくてはならないと思う。総需要抑制で地方債で大幅に締められている、建設事業の財源が不足している、また一般財源も低下をした、こういう結果、経常費のための一般財源が圧迫をされて、収支のバランスが崩れる結果になっている。問題は、こういう中で人件費増や福祉の先取り等々が言われますが、それは私は問題の本質をそらすものではないか。結局、私は国民大衆や労働者にその犠牲を転嫁をするということであってはならないと思います。こういう地方財政のピンチは、これは私はやはりその地方財政の、地方の体質に問題があるんじゃないか、その本質は国の中央集権的税財政の構造と大企業に優先する税財源の配分という点にあって、行財政の民主的な改革以外にこれを打開する道はなかなかないのでないかと考えますが、総理、それから大蔵大臣、自治大臣、これについての見解を一応ぜひ承りたいと思います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) 地方財政が硬直化したのは、国の行政のやり方あるいは経済の運営の仕方が間違っておったからであるという御質問だと思うのでありますが、私はそういうふうには考えておりません。  地方財政の硬直化ということについていろいろの原因が挙げられておりますが、まず第一に、あなたの立論からいけば、高度成長をやったのがいけないんだ、高度成長をやったのが今度低成長に移るからいけないんだ、したがって、それがこの地方公共団体の財政を圧迫しているんだというふうにおっしゃるんだと思うのですけれども、しかし、今日まで高度成長をやってきたことによってどれだけ地方団体が多くの福祉事業を行ったり、あるいは民間のいわゆる公共施設その他いろんな問題を、住民が要望しておる問題を解決してきたかということをお考え願わなければならないと思うんです。しかし、そういうような高成長時代でありましたから、一部において人件費とかそういう問題についてもわりあいに楽な気持ちでこの問題を処理してきたということは、私は認めないわけにいかないと思うんです。しかし、これからは低成長時代に入るのですから、やはりいろんな問題をここで見直さなければならない時代になったということであります。  そうして、その見直すということになったときに、よく超過負担の問題を第一に挙げて、五年間の超過負担は一兆円もあるんだから、こんなものを解決せいというようなお話をよく承るのですが、しかし地方の財政を圧迫したのは何も超過負担だけが一つの原因になったのじゃないんですよ。いままでにわれわれは言うているのは、国家公務員との俸給の差が、もしずっと全部なかったとして考えていったら、私は一年にやはり、六年、七年、八年、九年というようなときでも、おそらくは最小限、三、四千万円、あるいはもっとになるかもしれません。それだけの支出をしてきたということが積もり積もって地方財政の窮迫というか、今日のような硬直化を来たしておるんです。  だから私が申し上げておることば、超過負担の問題を見ないというわけではないが、人件費の問題もすべて見直してもらいたい。超過負担の問題も、われわれはあれがある限りにおいては、今後の問題としてこれは見直さなきゃいかぬ。人件費をいまから払い戻せなんという、そんなばかなこともありませんし、超過負担をもう一遍やり直せと言っても、それは行政の運営の姿を乱しますから、これはできないということを言っておるのでありますが、これからの問題としては、超過負担がやはり起きるようなことであればこれは直さなきゃいかぬ。だから四十九年にはすでに施設費の超過負担は、学校であるとか保育所というようなもの、あるいは住宅関係等においては、これはちゃんと処理をしてきましたけれども、しかし、それでもなお足りないというので、五十年度にはちゃんとそういうような施設についても、さらに八%から九%の予算を加えて計上をいたしまして地方財政計画というものもでき上がっておるわけであります。こういうように、この超過負担の解消の問題については、しかしそれじゃもう全然出ないかと。私はやはり経済の運営あるいは経済の動向によっては今後も出ないとは限らないと思いますよ。そういう場合には解決するのはこれは当然なことである。しかし、そういう問題と完全に絡み合わして人件費の問題を無視していくということは私はおかしいと思うのです。  先ほど福祉の先取りの問題等もございましたけれども、ちょっと申し上げましたけれども、福祉福祉と言っても、何が福祉かということも一つの大きな問題になると思うのです。それから、一つのところではやれることがほかのところではやれない場合もあるわけです。やはり公正を期するとか公平を期するということになれば、大体なるべくはまあまあ平均した形において福祉が実現されることが国民にとっては必要ではないかと思うので、田中さんの質問にもちょっとお答えしたんですけれども、私は、同じ福祉だと言っても、生まれるとすぐに一万円上げるとか、亡くなると、もう困っていようが困っていまいが、一万円出すなどというようなことが、果たして福祉の先取りになるかどうか。当然やらなければならないことは政府はやらなければいけません。たとえば難病対策なんかを出されましたから、私はそれば認めなければいかぬというお答えをしたのでありますけれども、生まれるとすぐ一万円上げて、死ぬと一万円上げるというようなことが福祉の名において行われるということも、これはちょっとおかしな話です。そういう例もあります。何も全国的にあると言うんじゃない。そういう例があります。  だから、福祉の内容を十分に検討するということが必要であるということを申し上げておるのでありますが、いずれにしても、とにかく国家公務員と地方公務員の差が非常にあるということは、どう考えてみてもやはりおかしい。私は、国家公務員を一〇〇とした場合に、その差がまあ三つくらいとか四つくらいというなら、まだまあまあ仕方がない。これはそうきちんとやれるものじゃありませんからなかなかむずかしいと思いますけれども、しかし三〇%も四〇%も高いなどという、そういうところは直してもらいたい、こういうことを言っておるのでありまして、一律に何でもかんでも、どこのもみんなそういうふうに下げてしまえとか、そういうことを言っていない。それからまた、そういう人件費の問題等を是正するにしても、一遍にやれということになると非常にまたいろんな問題が起きる可能性もあるから、私は場合によっては両三年でもいいが、計画的にこういうふうにしますということを言ってもらえれば、これはわれわれは一つの大きな前進だとして考えていいと思っておる。  ところが、人件費などというのは問題じゃないんだ、超過負担が問題なんだとか、あるいはその他の理由を挙げられますけれども、そういうことを挙げたからと言って、私は人件費の問題は解決したとは思っておらない。だから、お互いにやはり常識的に考えてなるほどと思うことは、やっぱりお互いに正し合っていくというのが私は政治の姿であると、こういうふうに考えておるということでありまして、いまあなたから、この際、そういうような高度成長の姿をやってきて、高度成長経済をやってきて、そしていまになったのを、これは政府の責任だからとおっしゃるけれども、しかしまた、高度成長によって利益を得た面もこれまた否定するわけにはいかない。やはりそのときそのときに応じて、入るを図って出ずるを制するというのは余り古い言葉で、こんなところで適当とは思いませんけれども、それぞれよく考えてみる。そしてまた冗費を省いて福祉政策もやる、こういうことが必要であるというのが、私たちが考えておる地方行政に対する財政の運営のあり方ということに御了解を願いたいと思うのであります。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま自治大臣から詳細にお話がございまして、ほぼ私も同じような感想を持っております。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 詳細に自治大臣から答弁がありましたが、要は、私はやっぱり自治の拡大の方向だと思う、自治権は。それにはよほど責任が伴うということです。責任が。そういうことで、やはりいろんな財政上の問題についても、これはやはり責任をもって処理しなければ、自治は拡大し、一方において責任というものが希薄になってくると、それはうまくいきませんからね。自治と責任というものが両方が伴ってくるのがこれからの自治体の方向であると、こう考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 関連。  どちらにしろ、私が総括のときにいま自治大臣が御答弁になった諸問題については改めてゆっくり伺わせてもらいますが、一つだけ申し上げておきたいのは、自治大臣いろいろの御答弁をなされましたが、私は私の質問のときた、ここに並んでいらっしゃるすべての官僚の皆さんの俸給表と同じ条件での自治体の職員の俸給表を表で提示をしてみせます。その結果どういう形であるかということを一つはお考えになっておいてもらいたい。あるいは日銀総裁等においで願って、大蔵省から日銀総裁になられるまでの過程でどういう収入があったかということもつまびらかにいたしましょう。それはそのときのことといたします。  いま質問の本旨は、国の経済政策に見誤りや見通しの見誤りがあった。その結果、地方財政が一つの危機的な状態に逢着をしているということ、そのことに対する自己批判というものが三木内閣総理大臣になかったならば、総理、これは話にならないんです。昨日も予算委員会がありましたから、私は地方制度調査会の小委員会に出られませんでしたが党の委員を通じて私の意向は述べてもらいました。総理がいろいろのことをおっしゃるのならば、地方制度調査会に一遍出ていらっしゃって、じかにあなたの考え方と今後の経済政策の見通しについて述べられる、そのことがなかったならば、諮問をしていますから云々というような形では処理ができない前提があるんです。それだけ大きく田中内閣から三木内閣に向かっての政府の経済政策というのは変わってきているんでしょう。その変わってきていること、そのことが基本的に問われなければならないんです。  同時に、大平大蔵大臣もいらっしゃいますし、福田副総理もいらっしゃいますが、すべて大蔵大臣時代には、国の財政と地方の財政は車の両輪だと答えられたんです。私は何遍も本会議の質問を通じて、あるいは予算委員会や決算委員会の質問を通じて地方財政問題を問うたときに、答えは軌を一つにしてそれだったんです。そうすれば、車の両輪の一方の車輪というものが狂いを生じたのですから、一方にあるところの地方財政という車輪が少し鈍くなるとか、危機的な状態になるとか——私は硬直化問題などというジャーナリスティックなそういう言葉を使いません、その対策というような形でその基本の問題があるのではないか。いまの質問もそうでしょう。国のその基本に間違いがなかったのか、変更がなかったのか、その影響はあらわれていないのか、総理、明確にしておいていただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 国のいままでの経済政策に誤りがあったか、ないかということは、なかなかこれはいろいろ論議のある問題だと思いますが、やはり私は、地方自治体のいろんな業務というものはふえていく傾向にあることは大きな方向だと思うんです。そういうことに対して、いま自治大臣も人件費の増加というものを非常に問題として取り上げた一つの大きな問題点であると私は思いますから、これをただ経済政策が誤ったとかどうとかいうことよりも、これからの方向を、どういうふうにして地方自治体——やはり地方自治というものが健全でなければ民主主義というものは健全に育っていかないのですから、そういうことで私は非常に関心を持っているんですよ、地方自治体のあり方というものには。そういうことですから、地方制度調査会などでもいままで出ておりませんけれども、必要があったら出ていってもいいと思っているぐらいです。これはやはり日本という国の民主国家としての骨格にも関係する問題でありますから、そういう点で、これからの地方自治体というものに対してのあり方というものには非常に深い関心を持ってまいります。  いまは財政的に行き詰まっているわけですから、こういうところから入っていって、地方行財政全般について地方自治体のあり方というものを見直すことは、これはやっぱり必要だと思うんですよ。いまままでの自民党内閣の経済政策がよかった、悪かったと、そういうところで議論にしておったのでは、そういうことだけでいまの当面しておる地方自治体の問題の解決というものが前進するとは私は思わない。それは論じていいですよ。しかし、いま地方自治体が財政的にも非常に行き詰まってきたから、これを将来健全な地方自治体として育てていかなきゃならぬわけですから、われわれも責任があるわけです。どうするかという問題は、これはやはりこのことが問題の核心であると、こういうふうに考えています。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 総理、一つどうしてもお考え願いたいのは、たとえば誤りであったかなかったかと言えばあなた方の方は問題がありましょう。私たちの方は、高度経済成長政策というものは行き着くところはこうなりますよということを長い年月をかけて主張し続けてきたんですから、そして私たちが述べたとおりの結論に落ちついていった。そこで自由民主党政府というものは経済政策について、内政の問題で大きく変更を迫られて、そして変更せざるを得なくなった。ある意味では、三木さんが登場する役割りというのはそこにあったんでしょう。  そして藤田委員の方から、昨日いろいろのあなたの言われてきたこと、なされてきたことについてお話がありましたが、私も戦前からのあなたの衆議院における代表質問その他をずっと読み返しながら、幾つかのことを設定をして後ほどお尋ねをいたしますが、最近述べられていることで、やっぱりいま言われたとおり地方の自治体問題というのは大変大切なんだと、あなたの趣旨はそこにあると思う。私はそのことを尊重する。  そこで、大切なんだから、たとえば行財政全体の構造問題についてもメスを入れなければならないと言われる。そうならば、いま用意をされている法律案のすべてを、この国会に総理の責任において提案をされますか。提出をされますか。これだけ一つ伺っておきたいんです。まだ提出されてない法律がありますね。そして、あなたが述べられていることの趣旨と全く一致しておるところの法律案が自治省の側で原案としては用意されておるやに聞くが、それは三木内閣としては間違いなくお出しになりますね。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) いまの御質問は、おそらくは選挙法の問題であるとか独禁法の問題であるとかということについてのお話だと思いますが、選挙法等に関しましては私の関係に相なりますので、ここではっきりお答えいたしますが、必ず提出をする決意でございます。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 自治大臣の考え方は私の考え方と一致するものでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 委員長、これでやめます。長く言いません。  ということは、提出を予定されている法律案は全部総理はお出しになるということですね。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) いま仰せになっていることのうちに、あるいは地方事務官問題についての一応予定がされておりましたが、このことについての御質問でありますならば、これはいませっかく努力はいたしておりますが、ここでできるかどうかということについてはいまお答えいたすわけにはまいりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 総理、答弁。いま基本にかかわる問題ですから、これは自治大臣の答弁じゃ困りますよ。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 先ほども申しましたように、自治大臣は私の考え方を代表して述べておることでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 高度経済成長政策の生み出した矛盾というものを、人件費や福祉先取りというようにすりかえられては私はいけないと思いますが、この問題は後日、和田委員によって十分論議をしてもらうことにして、私は本論に戻ってもう一つの問題に進みたいと思います。  一つは中小企業の事業分野の確保の件ですが、いま軽印刷であるとかそういう中へ大企業が進出をしてくる。あるいは町の豆腐屋さんの中に大手の森永等々が進出してくる。こういう問題がいま非常に論議されておりますが、軽印刷については通産、豆腐の問題は農林大臣、どういう実態か、要点をお伺いしたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 確かにそういうふうな事実がございました。そこで行政指導をいたしまして、この問題は大体解決をいたしました。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 大手企業の豆腐業界への進出につきましては、最近問題にされておる二社の販売数量は合計三万丁程度でございまして、現在全国の豆腐販売量が千二百万丁ぐらいあるわけでございますが、〇・二%程度と聞いております。しかし、豆腐業界には零細な業者が非常に多いわけで、三万五千業者がおると言われておりますが、大企業の進出がその地域の既存業者との間に大きな摩擦を生ずることは好ましくございませんので、その進出について問題が生じないように配慮する必要があるとも考えておりまして、このために、最近問題となっております二社に対しまして豆腐製造業者の団体と話し合いを行うように指導をいたしたところでございまして、現在両者ともこの線に沿って話し合いを進めておるわけでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 軽印刷の方は行政指導して解決したと言いますけれども、問題は私は残っていると思うのです、一応話し合いはできていると思いますが。  そこで、具体的に国が近代化助成法で構造改善等によって中小企業の体質を変えるためにいろんな助成をいたしております。この印刷業界に、あるいは豆腐業界にどのぐらい近代化の構造改善の資金を出しておるのか、それはどのぐらいの進捗度になっておるのか、わかれば聞かしていただきたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 数字は政府委員から答弁いたします。

野口一郎通商産業省生活産業局長

○政府委員(野口一郎君) お答え申し上げます。  印刷業に対する構造改善計画は目下進捗中でございまして、五ヵ年計画で一応五十二年三月に終了することになっております。それに伴いまして近代化のための資金が投入されておるわけでございますけれども、その資金の詳細につきましてはただいま数字の持ち合わせがございませんので、後刻また御連絡申し上げます。

森整治農林省食品流通局長

○政府委員(森整治君) 豆腐の近代化資金の貸し付けは四十八年で事業を終わっておりますが、四十七年五億八千七百万ということになっております。その他、豆腐につきましては助成事業も行っております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 印刷の方は後で伺うことにしましょう。  片方で国が近代化助成あるいは構造改善というような、中小企業に援助して組合をつくってやっている。片方では大きな力に任せて、森永、ヤクルトというように大きなのが二十日間も貯蔵できるようなそういう豆腐をつくっている。こういうことを私は許しておったならば、これは幾ら片方でやってもどうにもならないのじゃないかと思います。いま話し中であると言いますが、そういうものをやめさせなければ中小企業は守れないと思いますが、これはやめさせますか、どうなんですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 豆腐業界にいま大手の二社が進出しておるわけでございますが、現在行政指導によりまして円満な話し合いを行っておる最中でございまして、私はこの話し合いによりまして大手の二社と豆腐業界の話がつきまして、これは共存できるような形になっていくものと、こういうふうに期待をしておりますし、そういうふうな行政指導をこれからも強くやっていく考えでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 行政指導というものだけで大体こういうものをチェックしていけるとお考えになっておるのか、通産大臣、いかがですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) この分野調整ということは非常に大きな問題だと思うんです。そこで分野調整に関する法律をつくれ、こういうふうな御意見も各方面で非常に強いのですけれども、しかし、ただいままでのところは、各県にもそういうふうなトラブルが起こりましたときには調整するための機関もつくっておりますし、それから中央におきましても問題が起こりますたびに精力的にあっせんをいたしまして、できるだけ行政指導で解決をしていく。これまでは大抵行政指導で解決しておりますので、これからもそういう方法でやっていきたい、こういうふうに思っております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 ここに豆腐業界から出ている陳情書というのがありますが、これを読んでおれば時間がないので読み上げはいたしませんが、長い間家族で一生懸命やって、ようやくやれるようになった。そこへ何万丁も何百万丁もつくる大きな大手の豆腐ができたのではどうもこうもならぬ、連帯をした家族も親族も全部これは自殺をしなければならぬ、こういう深刻なことを書いていますよ。だから行政指導でできた分野というのは私は氷山の一角であって、いろんな面でずいぶんいろんな問題が出ているのじゃないかと思う。その点で政府は、分野調整の確保について立法されるというような点については非常に消極的なように聞いておるんですが、積極的にこれを立法される意図はないのですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 大企業がみだりに中小企業の分野に出ていくということは、これはもうチェックしなければいかぬと思います。ただしかし、法律で禁止するということになりますと、仕事の近代化等もできませんし、新しいアイデアも浮かんでこない、こういうことでありますので、ある意味においては刺激にはなると思うんです。ただしかし、みだりに出てくるということはこれはもう大変なことになりますから、行政指導で強くこれをチェックしていく。氷山の一角というふうにおっしゃいましたですけれども、大体大きなトラブルは話し合いで解決しておるはずでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 政府がこの分野でどうも消極的だということは残念だと思います。  それで、いま議員立法によってこれをぜひ実現させたいという動きが強く出ておりますが、議員立法されれば政府はどうする考えですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) それば国会の御意思でお決めになることでございますから、そういう法律ができましたならば、それに準拠いたしまして適切なる処置をいたします。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 総理にひとつ決意をお尋ねしたいのですが、大企業が中小の分野へ来ると一たまりもない場合があります。確かに行政指導でこれをチェックして、話し合いによって解決している例もありますが、隠れた氷山の底にずいぶんつぶされていく大変な実態があります。時間の点から、私はデータもありますが詳しくは申し上げませんが、こういう面をもっと私は強く規制するということが大事だと思うのですが、この点ひとつ総理の決意のほどを伺っておきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 大企業の進出については地方でも大問題なんですね。簡単に大企業がどこへでも行ってやれるという時代ではないわけですから。したがって、この点は辻さん、立法ということをお考えのようですが、行政指導というような形で目的は相当達しているんですよね。何もかも法律がいいとも思えませんし、しかし、それでもやはり弊害が非常に起こって、このままでは中小企業はもうつぶれてしまうというようなことが非常に拡大していくというのなら立法を考えなきゃならぬが、いまは実際は行政指導というもので目的を相当達していますよ。いまどこへも行けないんですもの、大企業が。これはやっぱり非常に反発を買いますし、そういうことで行政指導によってそういう事態をできるだけ緩和していくということが実際的だと思います。したがって、いまは政府自身が立法化するという考えは持っていないのですが、それは中小企業に不親切だからではないのです。そうすることが実際的であろうということだけでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 これは議員立法等の動きがあれば、真剣に考えてもらいたいと思います。  そこで中小企業の、さっきお話があった金融の問題にひとつ入りたいと思います。  いま中小企業をずっと歩いてみると、お金をもう借りるだけ借りて、いわゆる担保の能力がない。だから、何らかの方法がなければ借りたくても借りられない。片方では、政府はこれだけの何千億の枠を出したと言ってずいぶんお金があると言われるけれども、だぶついているというか、余裕はあっても借りられないという実態がありますが、借りたくても借りられないという、こういう不況の中にある中小企業に対して、どういう具体的な対策によって金が借りられるようにするのか、この点についての考え方と対策を伺いたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) お説のように、確かに担保の問題から中小企業金融が非常に困っておる、こういう事実はございます。そこで、先ほどもお話がございましたように、ことしの予算で無保証、無担保の枠を昨年に比べまして倍にいまふやしておるわけです。なお、そのほかに中小企業金融がスムーズに進みますように、いろいろ具体的な方法を講じております。  具体策につきましては、長官から答弁をさせます。

齋藤太一中小企業庁長官

○政府委員(齋藤太一君) 民間金融機関の中小企業向け融資を円滑に行いますために中小企業の信用補完制度を設けておるわけでございますが、これが百五十万までは無担保、保証人なしで保証をいたします。それから五百万円までは担保なしで保証をいたしております。その上は五千万まで普通保証ということになっておりますが、特に不況業種という指定を中小企業信用保険法に基づきまして指定をいたしますと、その業種につきましては、ただいまの信用保証が倍額まで保証を受けられることになっておりまして、たとえば無担保保証につきましては一千万円まで無担保で保証が受けられる、こういうふうな仕組みをつくっております。ただいままでに、つい先日の三月三日に追加いたしました業種も加えまして、四十七業種をすでに不況業種として指定をいたしておりまして、これは製造業の約三十数%、全業種の二割を超えるぐらいの割合まで、現在、その指定をいたしておるところでございます。  また、民間金融機関につきましても特別にお願いをいたしまして、不況色の強い業種につきましては低利で融資をお願いをいたしております。これがすでに昨年末までに千三百億の融資の実績がございまして、二月にさらに追加をいたしまして七百億円の融資の計画を立てまして、現在、その申し込みの受け付け中のところでございます。  なお、この返済猶予等につきましても、非常に資金繰り等に困りまして返済が困難な向きにつきましては、弾力的に対処して、実情に即しまして返済猶予等を行うように、中小企業三政府系金融機関につきましては、代理貸しも含めまして、通達をいたしまして弾力的に対処しておるところでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 大蔵大臣、それから総理、ちょっとこれを見てもらいたいんですが、これはこの間北陸のほうへ繊維産地を見にいったときに、われわれが接触した機屋さんがどのくらい借金を持っているか、これを全部調べてみたんですね、全部。そうしますと、これはA、B、C、D、それからE、F、Gとありますが、台数で百二十台の機を持っている機屋さんが五千万円借金をしている、そうして毎月百万の赤字が出ている。それから四十台、千五百万−一千万の借金、赤字はやはり月百万。それから十六台、これは五百二十万−八百万、月二十五万の赤字を出している。以下、八十万、百万というように、ほとんど中堅もしくは小零細な機屋、機業地は月額百万とか、こういう赤字をいま抱え込んで、これでは金を借りようにも借りられない。それから、いまある借金を不況資金で返済を非常に迫られている。だから何としても猶予してほしいという切実な声があるわけですね。  私は、弾力的に個々に対処しましょうというようなことではだめですね。こういう実態に即して、不況資金等は二年程度猶予返済をすべきでないかと思いますが、この点ひとつお含みで、通産、大蔵大臣、どうお考えかお伺いいたしたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 先ほども長官が答弁をいたしましたように、実情に即しまして、支払いの猶予、返済の延期等につきましてはそれぞれの金融機関に相談に乗るように指導をいたします。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 辻さんおっしゃるように、一企業体全体として一年間猶予する、二年間猶予するという方法はとるべきでないと思います。いい企業もあるし、悪い企業もございまするし、いま通産大臣おっしゃいましたように、個々の企業の実態に即しまして具体的に処理すべき問題だと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 窓口で相談に乗っていこうということですが、景気のわりといいときに借りたお金は、いま不況になったから、だからこれは猶予しよう、しかし不況資金で借りたのは、もう不況を承知の上で借りたんだから、これはいまごろ猶予してくれと言ってもどうにもならぬ、こういうので窓口で断られて、どうしたものかと言って、これはもうこのまま四月−六月までいったら首でもつる以外ないと、こういう深刻な声があるわけですよ。そういうものをどうされますか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 先ほども申し上げましたように、個々の企業の実情をよく聞きまして、そうして必要な場合には延期措置を講ずる、そういうふうに各金融機関に指導をいたしますが、この際、各企業におかれましてもやはり相当思い切った構造改善といいますか、近代化、競争力を確保するためのいろんな自主的な対策というものを企業自身でもとってもらわなければいけない、こういうふうに思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 じゃあ、政府関係三公庫は窓口で具体的な相談によって猶予をするように指導すると確認していいですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) そのようにいたします。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 大蔵大臣、いかがですか、金融関係ですから。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 各金融機関に、個々の企業の実情に応じて親切に相談に乗るようにという方向で指示いたしてございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 具体的に指示をされるということを聞きました。  それではもう一つ、手形が非常に長期化している。繊維産地で六割ぐらい休業している。自主操短ですね。それから減産で三割−六割ぐらい減産している。それから加工賃は三分の一ぐらいに下がっている。手形が六十日、九十日、百二十日と延びている。一〇%手数料を取られて、三・五%は歩績みで出さにゃいかぬ。踏んだりけったりの状況になっているという声を非常に聞くのですが、こういうことは本当はあってはならないことですが、あるとすれば強力な行政指導をされますか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど繊維業界の不況のことについてお話がございましたが、この繊維業界の不況はいろいろ深い根があるわけなんです。でありますから、なかなか一朝一夕には解決しないと思います。やはりその原因を分析いたしまして一つ一つ解決していかなければならぬと思うんです。  そこで、通産省といたしましてもその対策をいま具体的にとっておるわけでございますが、いまお話の支払い方法とかそういうことについても非常に窮屈な状態になっておるということを聞きますが、これはまあお互いに商取引でやっておるわけでございますから、お互いが了解ずくでやっておるということでございますから、そこまで介入するのはいかがかと思いますが、ただしかし、親企業というものがありまして、その下請でやっておるという場合には、あまり長い手形という場合にはそれぞれ法律で禁止しておりますし、そういう場合には行政指導をいたします。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 大蔵大臣、いかがですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 通産大臣が言われたとおり心得ております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 関連。  いま辻委員からいろいろ中小企業の金融問題でお話が出ています。いま繊維の問題を中心にやられているので、繊維だけについてということでは困るので、私も、実は、社会党のプロジェクトチームで静岡市の鏡台の関係の組合の人たちと話をいたしました。  特に、いまお話のありました不況の金融の借り出しに当たって、その借り出しをする際に、前に借りていたところの金の支払いをその中からさせるということを金融の機関がやっているわけで、金融の機関が不況融資を窓口としてやる。しかし、いままで借りている金をその中から払ってもらって、それであと残りを融資するというようなことをやられているようであります。いまお話のありましたように、いままでいわゆる政府機関から借りている融資についても一時条件を緩和をして延期するということを措置されると一緒に、やはりせっかく不況対策として貸しているものが、前の借金と相殺をされて貸し出されるというようなことの措置のないように、本当の意味で不況対策の真意が十分にこの際活用できるように、ひとつ措置を願いたいと思うのであります。  そうして、いま大蔵大臣もまた通産大臣もそういう措置をするというお話がありましたけれども、指導するというようなお話がありますが、現実的に一体通達を出すなりして指導されるのか、ただこの席でそういうことを言われるだけなのか。だから指導されるというお話があった以上、いまのことをひとつしっかり通達を出して指導されるように特に私は要望したいと思うのでありますが、実は細かい問題はたくさん出ているわけでありますが、いま関連でありますから、いまの不況融資の問題について、前の不況の政府機関から借りてきた借金について特別な措置を個々に事情を聞いて行う、同時にまた、不況としてこの際金融されたものについて、前の借金と相殺をして渡すなどという措置をしない、こういうふうなことについて十分通達を出すなりして連絡をする用意があるのかどうか、これをひとつお答えをいただきたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) これは個々の企業の問題、それぞれ特殊な事情が非常にあると思うんです。でありますから、地方の金融機関あるいは中小の金融機関が新規に貸し出しをいたします場合に、古い期限の過ぎた貸付金の返還を求めるというようなことは往々にしてあることでございまして、それが一概に悪いというふうにはいかぬと思います。でありますから、個々の企業につきましてよく実情を調査いたしまして、善処をするようにしたいと思います。  ただ、繰り返して恐縮でございますが、個々の企業におきましてもやはり企業努力というものをする必要があろうかと思います。そういうこと等も含めまして、それぞれの地方の金融機関に、大蔵省ともよく連絡をとりまして、こういう大変な不況のときでございますから、できるだけこの金融がうまくスムーズにいくように指導をするようにいたします。具体的な措置を相談の上とるようにいたします。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 私は、次に関連して、いま非常に各地で問題になっている繊維の輸入規制の問題について触れてみたいと思います。  東海——静岡から愛知それから岐阜、それから北陸あるいは近畿等々、あるいは和装産業に至るまで、いま外国から繊維が入って非常に困っているといいますか、このままでいくと大変なことになるんじゃないか、こういう実態があります。最近における繊維製品の輸入の実態について要点を伺いたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 数字のことにつきましては、政府委員から答弁させます。

野口一郎通商産業省生活産業局長

○政府委員(野口一郎君) ただいま先生からお尋ねのありました繊維製品の輸入の実態はどうかということにつきまして、若干数字を挙げながらお答え申し上げたいと思います。  御存じのように、昨年の一カ年の輸入でございますけれども、景気の不況、沈滞等の反映もあろうかと思いますが、一昨年の輸入額よりも下回ったわけでございまして、全体で、原綿、原毛等の原料を含めまして約三十六億ドルでございます。  そのうち、やはり問題になるのは繊維製品でございますが、この繊維製品は約十七億七千万ドルという金額に達したわけでございますが、これは前年に対比いたしまして、すなわち四十八年に比べまして約六%のアップでございます。四十八年非常に高い水準であったのに比べまして、さらに六%高いというのはこれは相当な輸入ではないかというふうに感ぜられるわけでございますけれども、このうちの前半、夏ぐらいまでかなり高い水準で推移したわけでございますけれども、この中身は、たとえば繊維の買い付けに当たっての長期契約の残りがあったとか、その他そういう状況等がございまして、去年の夏以降から輸入額は減ってきております。昨年の十月から十二月ぐらいの水準で見ますると、この一月も含めてでございますけれども、大体、月一億ドルぐらいの輸入というふうに考えていただきたいと思いますが、それは前年、たとえば昨年の春ぐらいまでの状況に比べますと約半分、昨年の春の水準が大体月二億ドル前後でございましたので、大体半分ぐらいということで、相当落ちついてきているものと私ども見ておるわけでございます。  さて、先行きどうであろうかということが非常に問題になろうかと思うわけでございますけれども、現状の状況で推移しますると、繊維製品の輸入はさらに落ちついてくるのではないだろうか。この辺の見通しにつきましては、商社あるいは輸入業者等の様子等を聞きまして、こういう落ちついてきた状況はここしばらく続くであろう、こういうふうに見ておる次第でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 その数字は、ある時点をとればそうでしょうが、四十八年というのは、たとえば合繊、人絹、メリヤス、二次製品等を見ると、四倍も五倍も四十八年は四十七年に比べて入っているんですね。四十七年は前の年の四倍とか三倍入っているんですよ。だから四十七年に比べて四十九年を比較すれば、うんとそのパーセントは違ってくる。そこはどうなんですか、四十七年に比べて。もう去年どうもこうもならないほど入った。そこに比べてどうだというより、ずっと前に比べてどうなっていますか。

野口一郎通商産業省生活産業局長

○政府委員(野口一郎君) お答え申し上げます。  確かに四十八年、これは異常な増加と申すべきでございまして、先生御指摘のように四十七年に比べまして、製品で言いまして約三倍という増加を見たわけでございます。  四十七年までは比較的——もちろん逐次増加はしてまいりましたけれども、比較的落ちついた伸びでございました。四十七年の例を申し上げますると、これは製品を申し上げたいと思いますが、年間で約五億四千万ドルでございました。それが四十八年に約十六億七千万ドル、三倍ということになったわけでございます。さらにさかのぼりまして四十六年、これは三億七千七百万ドル、それからさらにその一年前は三億ドルと、こういう状況でございまして、四十五年、四十六年、四十七年は比較的モデレートな増加であったわけでございますけれども、四十八年は、ああいうような状況下におきまして異常と見える増加を示したわけでございます。  四十九年の数字はまあ落ちついたというけれども、それは四十八年よりもまだ若干高いわけでございまして、この理由は、申し上げましたように、四十八年の前半が高かったからということでございます。したがいまして、今後、繊維の輸入は落ちついていくという見通しに立ちましても、四十七年よりは若干と申しますか、相当高い水準にあるのではないかと、こんなふうに思われます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 通産大臣、いまの数字のとおりですがね、四十八年のもう無謀というような輸入、合繊物なんか見ると九三六%を輸入していますね、四十七年・四十八年の比で。その四十八年に比べればなるほど緩やかであるけれども、しかし、四十七年から前に比べれば非常な輸入増になっているんですね。これは行政指導の効果が余り上がっていないように思いますが、どうお考えになっていますか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 四十八年は、いまお話しのように異常な年でございまして、私は比較するのには不適当な年であると思います。でありますから、おっしゃるように、比較するとすれば四十七年と四十九年を比較する、これが妥当かと思いますが、しかし、総合的に申し上げますと、わが国の繊維関係の輸出と輸入、特に製品を調べてみますると、製品の輸出のほうがはるかに多い、輸入のほうはその何分の一かである、こういう状態でございますから、現在が異常な状態であるとは思いません。四十八年に比べますとはるかに落ちついておりますし、四十七年に比べましても、そんなに異常な状態になっているとは思わない、事態は鎮静しておる、こういうふうに考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 余り数字で論議をしてもどうかと思いますが、たとえば合繊物で見ると、四十七年と四十八年は九三六%。ところが、ことしは七〇%落ちていますが、しかし四十七年に比べれば六倍、四十六年に比べると十五倍ぐらいになりますよ、この倍率を計算すると。合繊物に限って一つ例を挙げて言えばね。だから、これはこのままでいくと国内では過剰な生産外からは安い繊維製品が入ってくる。せっかく構造改善事業というものをやっておっても、その根元を掘り崩すことになるのじゃないか、私はこう思います。そういう点で日本の繊維、特に中小企業の面を支えようとすれば、これは対してもっと強力な手を打つ必要があると思いますが、この点いかがですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 確かに個々の品物をとって調べますと、そういうふうにむらがあるわけなんです。ただしかし、全体として見た場合に、日本の繊維製品の輸出というものは輸入よりもはるかに多い、こういう状態になっておりますので、この輸入規制をいまするということは、これはやはりほかにいろいろな影響を与えますので慎重にやらなければならぬと、こう思います。  それで、それよりも、たとえばこれまでは輸入の統計が不十分だったんですが、そういうしっかりした輸入の統計をつくるとか、それから窓口になっておりますのは大体商社でございますが、その商社を行政指導いたしまして、この輸入について秩序ある輸入をさせるとか、あるいは特にわが国に最近たくさん出しております相手国と政府同士が話し合いまして、そこでお互いに秩序あるやり方でやろうじゃないかと、こういうやり方をする。そういういろいろな方法を考えまして、とにかく秩序ある体制をつくり上げる、お互いに話し合って。それが私は先決でなかろうかと思うんです。ここで輸入規制をいたしますと非常に大きな反響が出てまいりまして、これは日本の貿易に大変悪い結果を及ぼす、こういうふうに思いますので、輸入規制をいまする考えはありません。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 その方法として、それじゃ行政指導で、成約統計によって効果を上げようというわけですが、その成約統計なるものが、いま四十六年、七年に比べればずいぶん実際として入っているわけですよ。だから行政指導の効果というものがそれほど期待できると確信をお持ちですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) さっき申し上げましたような幾つかのことを計画的に積み重ねていきますと、私は相当な効果が出ると思うんです。実は、これは御質問にないことでございますけれども、たとえば大島つむぎのごときも、先般通産省から派遣をいたしまして突っ込んだ話し合いをいたしまして、これは大体軌道に乗るのではないか、こういうふうにも思われますので、そういうふうなお互いの話し合いの努力を積み重ねていく、そういうことをしばらく続けてみたい、こういうふうに考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 大島つむぎは法的な裏づけがあるんじゃないですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 法的な裏づけとは、輸入規制について法的な裏づけという意味でございますか。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 行政指導を非常に強力にやるとか、それについて。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) あれは伝統工芸品ということで、国内の対策でございまして、対外国ということになりますと、その効果は及ばないわけです。やはり話し合いで決めなければならない問題でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 非常にむずかしい問題ですが、これは放任しておくと、せっかく国が経費をかけて、近代化資金をかけ、構造改善をやった。しかし、その根源を崩してしまう心配があると私は思うんですよ。だから、やはり真剣にもひとつ考えて、成約統計によるところの行政指導だけでは私は十分な成果が上がらないと思いますが、確信がおありならこれでぜひひとつやってもらって、できなければ輸入規制の段階を考えてもらわなくちゃならないと思います。  もう一つ、これに関連して、海外における投資ですね。韓国、台湾、香港の極東近隣三国においてかなり繊維関係の投資が行われて、逆輸入がされておりますが、その実態をお伺いしたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 確かにそういう事態が起こっておりますが、これは具体的な数字を申し上げた方がいいと思いますので、政府委員から報告をさせます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 ちょっと大臣。繊維産業がつぶれるかどうかということで、海外投資の大まかなことぐらいは大臣として考えて、細かい数字は政府委員でいいけれども、いかがですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 確かに、いま御指摘のような数字があるんです。わが国の繊維産業が近隣諸国に工場をつくりまして、その工場から逆輸入される、そういう事実は確かにございます。  ただしかし、その数量そのものはわが国の繊維の需要に比べますと数%でございまして、数字としては全体に比べて大きな数字には受け取れないんですけれども、ただ、この市況というものには、わずか数%入ることによって非常に大きな影響力があるということで、大変な影響が出ておるわけでございます。  そこで、今後のことでございますけれども、今後は、これまでは大体自動的に外貨の許可が出まして海外でそういうことをやれたようでございますけれども、これからは相当厳しくチェックをしまして、逆輸入というようなことができるだけ起こらぬようにしなければ、いまおっしゃるように、国内でいろいろやりましてもこれは効果がありませんから、これからは相当厳しくチェックをしていきたい、そして逆輸入ということは避けたい、こういうふうに思っております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 厳しくチェックするというのは、具体的にどういう方法でチェックされますか。

野口一郎通商産業省生活産業局長

○政府委員(野口一郎君) 具体的な方法につきましてお答えを申し上げたいと思います。  御存じのように、海外投資につきましては、OECDの資本自由化コードというのがございまして、銀行業、その他特定のものを除きましては、一応日本銀行が自動許可制をやるということになっているわけでございます。しかし、たてまえはそうでございますけれども、わが国の経済に非常に大きな悪影響を与えるようなものにつきましては、個別にチェックをすることが認められております。これは国際的に認められております。繊維産業につきましても、この認められている業種でございますものですから、われわれの方はその認可を、許可をする前に、実は日銀の方からの資料等をもらいまして、それで他の国内に与える影響とか、先生の御指摘の、たとえば逆輸入があるんじゃないかとか、いろんな観点から審査をいたします。それで、非常に悪い影響があるというものにつきましては許可をいたしません。  それから、許可をいたす場合にも、条件をつけて、たとえば計画内容の変更をしてもらうとか、時期についてアジャストしてもらうとか、そういうような行政指導を個別にやってきております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 総理、お伺いしますが、去年の夏、私は参院の派遣で海外に勉強に出まして、各国を回りました。東南アジアのバンコクでこういう話を聞きました、現地の繊維関係から。日本の大手商社は、去年までは、合弁でやるから、幾らでも資本を持ってくるから会社をつくろうと、こう言って会社をつくった、一緒に。人を集めた。できたら、もうこれ売れなくなってきた。こういう無計画な、無秩序なやり方をする、どうしてくれるんだという声があったんですね。私は、こういう海外投資の無計画なやり方というものは、国内にも大変な問題を起こすし、外国も、つくったら計画的に日本に輸入して売れるならいいけれども、去年はどんと買って、ことしはやめという、これはもう大変な混乱が起こる。こういう点から推して、こういう大手商社の海外投資の活動はかなり私は規制をする必要があると思いますが、大筋から見てどうお考えになりますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) まあ、海外投資の法律的な規制ということは私はよくないと思います。しかし、海外投資というものは現地に対して、このことば、それは進出企業というものが現地の住民との間にどういう関係を持つかということは、かなりもう国全体にも影響をするわけで、辻さんにもそういうことを話すわけですから、ほかの人にも話すわけです。そのことからきて、日本というものがやはり国際的な非常に信用にも関係をするし、またそのことが、日本の国内に、逆輸入などの場合における日本の産業の非常な打撃もあるでしょうが——したがって、この問題というものは、海外に進出する企業自体の自粛といいますか、そういうふうな自己規制というものが必要なんで、何でも法律でということで私はいいとは思わないんです、これは。そういうことで、これは海外でもいろんな批判があるわけですから、日本の進出企業に。これは進出企業自体でもいろんな社会的な批判に耳を傾けざるを得ない今日でございますから、企業の姿勢というものが正されてくることを私は期待しておるし、そういうことを推進・するということが政府の役目でしょうが、法律的規制というのでなくして、そういう意味の役割りがあると。  それからもう一つは、海外からの、いまの合弁でやってそしてそれが逆輸入するという、審査をできるわけですから、そういう場合には。こういうふうに審査するわけですが、しかし、一面において、日本の産業発展の過程から言っても、発展途上国の産業の過程というものは、繊維産業のようなものから始まるのは、われわれの過去の歴史を見てもそうですから、なるべく日本がそういうものにチャンスを与えないということになれば、もう高度な経済から非常に労働集約的な企業まで、全部発展途上国が伸びていくチャンスを与えないということで、うまくいけるとは私は思わないんですよ、アジア諸国と日本との関係も。だから、急がれるものは、やはり日本の企業体質が近代化されて、そういう発展途上国の製品と競合しないような高級なものに日本の製品を変えていくということでなければ、問題はいつまでたっても私は解決しないと思うんです。非常に国際的圧力がありますよ、これは。  だから、いま日本が抑えるといっても、いまはできるでしょう。しかし、長い目で見たら、やっぱりそのことが世界から見てももっともだということにはならぬでしょうから、一方において構造改善をしながら、そういう発展途上国の伸びていこうという一つの産業に対しても理解ある態度が必要である。日本の進出企業は、やはりその相手の国の立場になって考えるという考えがないと、これはもう日本人というもの、海外に出た日本の商社というものは、やっぱり総スカンみたいになりますから、そんなことでうまくいくわけがないんで、そのことはもう進出企業自体にも、非常にやっぱり反省が起こっておるわけでありますから、私は法的な規制はしなくても、企業自体の自己規制ということで目的は達成できると、こう考えておるわけでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 私も、その海外投資を全部チェックしろと、こう言ってはいない。国内の中小企業に著しい影響を与えるものについてはチェックの必要があるだろう、これはいま決意のほどを伺いました。ぜひやってもらいたいと思います。  そこで、中小企業問題の最後に、ひとつ最賃制の問題について伺っておきたいと思います。  これは労働四団体、総評、同盟、中立労連、新産別が、過日——ずっと運動としてもそうですが、申し入れもしておりますが、全国一律最賃、最低賃金の法制化を政府に強く働きかけ、要求しておりますが、この立法化について政府当局としてどう考えておられるか、これを一点伺っておきたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) お答えします。  御案内のように、最賃はいま三千六百万の労働者がカバーされているわけでして、業種別、地域別に各地方でそれぞれやっております。そこで、いま先生から一律全国最賃の話が出ましたが、中央においての審議会では、日本の場合は、都会あるいは地方、業種の非常に格差が大きいから、全国一律最賃というのはむずかしい問題であるという実は答申が出ております。労働四団体初め、こういう委員会での御質問などもありますが、制度の基本にかかわる問題ですから、慎重に検討してまいりたい、こう思っております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 これは短時間ではとても論議のできる問題ではないので、一般質問等において、また同僚委員からこの問題について論議があろうと思いますから、そのときに譲りたいと思います。  私は第二の問題として、次に若干、当面する原子力の問題に触れてみたいと思います。  一つは、わが国の原子力発電、それから去年の原子力船「むつ」の問題を見ても、非常にこの事故が多過ぎる。したがって国民の側から安全性に対する不安と不信感が非常に強いと、また原子力行政に対する責任のあり方が非常に不明確である、こういう点から原子力行政に対する国民の不信感が非常に強いと、こう思います。  いま原子力問題のポイントは、いたずらに開発や推進、それだけを追うんではなくして、安全性と原子力行政に対する国民の不安と不信感をなくするというところに重点を置くべきでないかと、こう思いますが、これについて総理の御見解をまずお伺いいたしたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私も二十一世紀は新しいエネルギーが開発されるだろうと思いますが、これは日本も大いに促進しなきゃならぬ、新エネルギーの開発。それまでの間、やっぱりこの原子力発電というものが占めておるエネルギー源としてのウエートというものを軽く見ては私はいけないと思う。だから私は、やはり原子力時代、まあ欧米等もそうでありますが、これに対して国民の理解を得るということは非常に大切な問題であると、いまね。ところがいろんな事件が、「むつ」などもその一つでありましょうが、原子力というものに対しての国民的不安というものが、非常に漠然たる不安を国民に与えておるということは不幸なことであると。したがって、今回科学技術庁に、新しい局というものは全部認めなかったんですが、安全局だけは、これは一般の行政的な方針とは反して、国策の一つとして安全局を設置して、内閣の中に原子力の懇談会を置きまして、この問題というものが、やっぱり安全というものは、国民の不安をなくして、どうしてもやらなきゃならぬわけですからね、原子力発電というのがある時代は。その役割りを担う原子力発電が立地にも困るというような状態ではどうにもならなくなる。そういう点で、当面は国民からして原子力発電というものに対して不安を解消するように、いろんな、専門家の意見も徴しまして、そしてそういうことによって開発を促進できるような基盤をつくりたいというふうに考えておるわけでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 国民の原子力に対する不安と不信を除く第一歩は、現在の事故の原因を明らかにして、公にすることに私はまず第一にあると思います。そこで、日本で三つの集中地がある。福井県の若狭湾、福島の海岸、それから茨城の東海ですね。その中で、たとえば若狭湾に九基あって四基が稼働中ですが、この間、冬にはこの四台とも発電所がとまってしまった。いま三台とまっている。これでは、いわゆる不安や不信はなかなか除けないと思うのですが、この原因を早く明らかにして公表すると、こういうことが一番大事だと思いますが、その点総理どうお考えになりますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いろんな事故が起こった場合には、こういうことであったということは、これはみんな国民の理解を求めることがいいんだと思いますよ。そうして、とにかく原子力の平和利用というのはこれから日本として重大な問題なんです。国民から何か拒否反応があるという事態はよくないと、いまのように。これをやっぱり解消しなければ、日本のエネルギー問題というものを長期的に考えられないわけですから、それには、何かこう秘密があって、そうしていろんな事故が続出しておるんだというような感じを国民に与えるのはよくありませんから、そういうことに対して、できるだけ問題の真相を明らかにして国民の理解を求めることは私は必要だと思う、不安解消。これは何もかも皆全部ということでということが適当かどうか知りませんが、少なくとも、こういうことで事故があったんだと、これに対しての対策はどうできているかと。まあ事故というものは、これは機械ですからあり得るわけですからね、これに対して対策も必要なんですよ。そういう事故があったときにはこういうふうになっているんだということで、もう少しやっぱり原子力に対して、もう初めから拒否反応を皆が示すようなこういう雰囲気でしょう。これを変えて、そうして皆の理解に訴えていくということでないと、これは計画どおりに進みませんからね。そういう点で原子力行政というのもやはり見直してみる必要があると私は考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 わが国の加圧型軽水炉といいますか、この系統の原子炉の一号は美浜の関電一号ですが、去年の七月に事故を起こしてとまって、まだとまっておりますね。それから二号炉は一月にとまって、いまとまっている。敦賀の発電所も二月十四日にとまって、いまとまっている。この実態についてちょっと簡単に御報告いただきたい。

生田豊朗科学技術庁原子力局長

○政府委員(生田豊朗君) ただいま先生御指摘の三つの発電所でございますが、美浜の一号につきましては蒸気細管にたびたびトラブルが発生いたしました。ピンホールがあきまして、その他減肉現象が起きましたので、ただいま根本的な点検を行っております。  同じく美浜発電所の第二号炉につきましては、同じく蒸気細管からの冷却水の漏れが発見されましたのでただいま点検中でございます。  それから敦賀の発電所につきましては、先般米国で発見されましたECCS系の一部、スプレー系統のパイプにクラックが生じたということがございました。それで、アメリカの原子力委員会でも点検をいたしましたので、わが国におきましても通産省から点検を命じまして、ただいま点検中でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 私は、去年アメリカのドレスデンへ行ってこの二号炉を見てきましたが、同じ問題がいま敦賀に出ております。そこで、一体いっこの美浜一号炉は、いま検査をしておりますが、それが、実験が終わって結論が出るんですか。

井上力資源エネルギー庁長官官房審議官

○政府委員(井上力君) 美浜の一号炉につきましては、御指摘のごとく昨年七月十七日に二次側に放射能の漏れがありましてとまっておるわけでございますが、その後、いろいろな技術的な検討を続けておるわけでございます。通産省といたしましても、省内に技術検討委員会を設けまして目下検討中でございます。具体的には、現在、実際に減肉がございました細管を切り取りまして、これにつきましての検討をやっております。それから、具体的な蒸気発生器のモデルをつくりまして、これにつきまして再現実験をやるべく現在準備中でございまして、これらの試験結果が出ますのは、三、四カ月先になるかというふうに考えております。こういう結果をもちましてさらに技術的な検討を続け、それの修復あるいはその他の方針を立てていきたいと、かように考えておる次第でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 通産大臣に伺いますが、まだ三、四カ月検討にかかるというんですね。これから三、四カ月たつと七月。去年の七月にとまった発電所が一年とまるということになりますね。一体、世界の原子力発電所で一年もとまったところがありますか、いかがですか。

井上力資源エネルギー庁長官官房審議官

○政府委員(井上力君) まれでございますが、例はあると聞いております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 どこにあるのか、まれにあるのはどこにあるの。

井上力資源エネルギー庁長官官房審議官

○政府委員(井上力君) すべての例はちょっといまチェックできませんので、一例を申し上げますが、ドレスデン1につきましては七十四年にはとまっておるというふうに聞いております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 私は去年ドレスデンに行って見てきたのだから。前にはとまったって動いているのだから、二年も三年もとまっているのじゃないでしょう。大臣、一年もとまっている発電所、これは四十八年の六月二十九日の参議院の科学の特別委員会で私はこの問題を取り上げて、通産省は欠陥原発であると認められた。あれから二年近くたつのですよ。まだこれ始末ができないのですか、どうされる考えですか。

井上力資源エネルギー庁長官官房審議官

○政府委員(井上力君) 先ほど御答弁申し上げましたように、現在省内に専門委員会をつくりまして、あらゆる技術的な検討をしているところでございますので、この検討を待ちまして抜本的な対策を講じたい、かように考えておる次第でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 去年五月、電源三法の審議で、商工委員会で私の質問に対して中曽根通産大臣は、蒸気発生器——いまの問題ですね、これについては善処すると答弁している。それから、去年の九月七日、森山科学技術庁長官は関電に対して発生器の取りかえを含む善処を指示している。それに、まだこれから三、四カ月やってみます、こんなことで私は国民の原子力行政に対する不信感は解消しないと思うのです。総理いかがですか。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(佐々木義武君) 私は、この原子力発電所の事故の問題でございますけれども、事故の中にはいろいろ解釈もございまして、第三者、言うなれば付近の住民に対して被害を与えるとか、あるいは環境汚染をするとかいうふうないわば重大な事故、こういうものは商業炉に関しては世界で一つもございません。また日本でもかつてございません。今後もおそらくないと思います。ただし、炉の内部におけるいろんな故障等はおっしゃるように起きておることは事実でございまして、主として何千本もあるパイプの中に小さいピンホールができたとか、あるいは亀裂が生じたとか、あるいは溶接の面に故障が起きたとかいうふうなそういう故障は、これは炉によりましては相当数この記録もございます。これは日本ばかりでなしに、アメリカでも同様でございますが、しかしこの面は、それではその故障が大きい重大な事故につながるかといいますと、それをつながらせないようにあらゆる安全の操作をしているのが原子炉でございまして、この点は辻先生はよく御承知のとおりだと存じます。さらばといって、そういう炉内の故障をそれじゃ放置してよろしいかと申しますと、新しい技術でございますから、いろいろこれの修理等にも手間取ったり、あるいはその原因を調査したりして、いまおっしゃるような事態も生じていることばまことに残念でございますけれども、しかし、それは炉の安全性の問題というよりはむしろ技術の未熟という責めに帰すべきじゃないだろうかと私は考えております。それに対する対策も、もちろん国といたしまして、また事業者といたしまして一生懸命これに当たることばもちろんでございますけれども、私の事故に対する感じを申し上げた次第でございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 議事進行。  いま、きわめて大事な原子力行政の問題について、技術的な問題なら、私どもは、局長とか審議官の答えるのはわかるんですよ。事は一番重要な原子力行政のあり方の問題でしょう。それをいまの長官あたりは、何も言葉じりをとらえるわけじゃないですけれども、技術的な未熟云々ということで私は片づけるところの問題じゃないと思うんですよ。次の世代を背負うところのエネルギーは一番重要な、なんて総理も言われておるんですからね。このことに対しますところの、私は政府自体のやはり明確な態度を、私は総理にどうしても答えていただきたい。あまり勝手に、官僚にだけ答弁をさせて、この大事な問題をただ過ごそうと思っても、私は非常に不満です。したがって、私はその問題を明確にするように委員長はやってもらいたいということを強く要請いたします。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) まず、佐々木長官。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(佐々木義武君) ただいま辻先生からは、美浜の炉に関して故障が起き、それが一年にわたってけしからぬじゃないかというお話でございますので、それに関連するお話をしたのでございまして、ただいま御質問のように、原子力行政をどうするんだということでございますれば、引き続いてそれに対しましてはお答え申し上げたいと存じます。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) この問題は、三木内閣としても非常に重要な問題の一つだと私は認識しておるわけです。そうでないと、なかなか、将来のエネルギーの長期計画というものに対して支障を来しますから、そういう点で、これからは安全性の確保というものに対して、これは専門的なことでもありますので、衆知を集めて、そうして国民の原子力に対する不安をなくして、そのためには、ただ不安をなくせよというだけではだめでありますから、原子力の安全の確保というものに対しての機構も強化しますし、また、一面においては、そういう国民との間に、原子力発電に対する理解を深めるための従来の努力も、必ずしも十分だとは私は思ってないわけです。そういう点で、安全性自体の機構、機能、やっぱりこの確保と、国民との間におけるひとつの原子力発電に対する理解を求めるということに対して、従来のことが十分だとは思っておりませんから、これは一段と決意を新たにして取り組みたいと思っておるわけでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 長官、あなたは蒸気発生器は技術的な問題だとおっしゃるけれど、これは原子炉の心臓部でしょう。安全審査報告書の中に、これが問題があれば重大事故に発展する問題だと、ちゃんと書いてあるんですよ、一番ポイントなんですよ。そんなものが、故障だから、ちょっと直せばいいという、そんな問題じゃないんですよ。どう認識されていますか。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(佐々木義武君) 私は、決して軽いものだと申しているのじゃございません。ただ、故障が生じた際には、どんな小さい故障であっても、他の産業、他の設備と違いまして、すぐさま早期にそれを発見でき、またそれに対処できるのは、幾階にも炉の中には構造がございます。したがって、お説のように他の産業であれば放置するであろう小さい故障でも、すぐ炉をとめましてこれの修理に入る、こういうふうな状況になっておりまして、重大な事故には、いわゆる付近の住民なりあるいは環境汚染なりに対して心配がないように、そういう心配はせぬでくださいということだけは完全にできているつもりでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 これ、原因を早く解明せぬといかぬ。それで、私は去年海外から帰って、十月の初めに科学技術庁に対して、アメリカのサンオノフレという発電所で見てきた蒸気発生器に関する資料二点、これを要求したがいまだに出されない。そして私に対して、これは先方の了解云々がなければ出せぬと言ってますが、これの実態を伺いたい。

生田豊朗科学技術庁原子力局長

○政府委員(生田豊朗君) 先生の御要求の資料でございますけれども、ウエスチングハウス社の部内で、非常に限られたメンバーで行いました会議の検討に基づきましてできた資料だと聞いております。したがいまして、ウエスチングハウス社からも余り外に出していないわけでございますので、先方の同意を得まして、同意を得ました暁にはお出ししたいと、かように考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 これは資料の公開というか、国政調査権の問題があると思うのですよ。私アメリカへ行ってその発電所、ロスアンゼルスのサンオノフレで、公刊されている印刷物ですよ、蒸気発生器の世界的なシンポジウムですね、そんなものが、向こうが出せないなんと言うはずはない。現地の所長が私に、アメリカの原子力委員会へ行けば幾らでも出しますよと言っている。だから、科学技術庁にちゃんとアタッシェを通して手に入れるように言っているわけですよ。いつそんなことを確認されたのか、聞かしてください。

生田豊朗科学技術庁原子力局長

○政府委員(生田豊朗君) 先生の御趣旨によりまして、もう一度先方に照会いたします。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 大臣、いま向こうの同意が得られないから出せないと言ったでしょう。そしていま先方に聞き合わすというのは何ですか、どういうことなんですか。

生田豊朗科学技術庁原子力局長

○政府委員(生田豊朗君) 大使館のアタッシェからもまだ私どもは入手いたしておりません。したがいまして、私どもの手元にないわけでございますので、先生の御趣旨によりまして、もう一度照会さしていただきたいと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 総理、ちょっと聞いてくださいよ。私にきのう持ってきた原子力局の書類に、非公式に入手しているけれども、出せないと言っているでしょう。いま手元にないと。何言っているのですか、一体。

生田豊朗科学技術庁原子力局長

○政府委員(生田豊朗君) 私ども、その資料については承知いたしております。ただ、正式にウエスチングハウス社からアタッシェを通じてはまだ入手していないわけでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 じゃ、非公式に入ったのをなぜ出せないの。そんな確認があるんですか、ウエスチングが絶対これは公開してもらっては困るという、何か覚書が。われわれの資料要求を阻むのは、国際的な覚書か何かなければできないですよ。そればもう科学技術庁、何回もやったでしょう、いままで。どうなんですか。

生田豊朗科学技術庁原子力局長

○政府委員(生田豊朗君) 私どもは、ただいま先生御指摘の資料を見ましたときに、この資料につきましてはウエスチングハウス社から非公式に入手したものであって、公式にこれを入手し、あるいはそれを公表するということは避けてもらいたいということを言われて、見たわけでございます。したがいまして、資料を御提出するに当たりましては、もう一度ウエスチングハウス社の正式の同意を得たいと、かように考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 時間が惜しいので余りかかわりたくはないのですが、しかし半年、去年の十月から、私がアメリカへ行ってこれを集めてくるといって、科学技術庁出したものが、なぜアタッシェを通して来ないのか。その返事もわからないというのはおかしいですよ。どうなんですか、一体。長官、答弁してください。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(佐々木義武君) 相手の方は出さないでくれと言っているそうでございますから、しかしお話でございますので、もう一度念を押しまして、よろしいものであればお出しいたします。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 そんな半年もかかって、あれだけ要求していることを確認も向こうとせずに、いいかげんなことで出せないということは承知できぬですよ。納得できませんよ。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(佐々木義武君) ただいま申しましたように、その当時のことは私よく存じませんが、そういうお話でございますればもう一度念を押しまして、できるだけ貴意に沿えるように努力してみたいと存じます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 電報を打ってすぐ確認してもらいたい。できますか、いつまでに。

生田豊朗科学技術庁原子力局長

○政府委員(生田豊朗君) 昨年の秋に先生から御要求がありました資料のうち、一部はアタッシェから届きまして先生に差し上げてございます。残りのもう一部がそれでございます。したがいまして、もう一度アタッシェに早速催促をいたすようにさせていただきたいと思っております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 そんな半年も待たして、まだ何の返事もないというようなことで、ここでいいと私は言えぬですよ。これは具体的に、いつ、きちっと電話なり電報を打ってやるか、はっきりしてもらわなければ質問はできませんよ。

生田豊朗科学技術庁原子力局長

○政府委員(生田豊朗君) すぐに電報を打って手配するようにいたします。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 電話でやってください。電話で。委員長。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 生田局長並びに長官に申します。できるだけ早く——電話もありますし、電報も使えますし、一番早い連絡をとって、ひとつ具体的に速やかに御回答、処置を願います。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(佐々木義武君) 承知いたしました。そのようにいたします。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 総理に伺いますが、資料の公開ということをこういうふうにして阻みますとね、ますます不信感が重なるんですよ。これはもういままでのいろんな歴史が私ははっきりしていると思います。こういう形で資料提出を拒むというのはよくないと思うんですが、平和利用三原則に基づいて総理としての決意をひとつお伺いしたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) この原子力発電については、各企業が非常に新しい開発を競い合っておるわけですから、全部が全部というわけにはいかぬかもしれませんが、少なくとも国民の安全に関係する資料は、そのまま資料を出すということを私は意味しておるのでなくして、故障があった場合には、これに対してどういう理由でこうなったんだということは明らかにすることは必要である。そういうことでないと、何か秘密で処理されておるということはよくない。だから、そのことの原因というものは国民にやはり知らして、理解してもらってやらなければ、これは新しい、日本の場合は新規な産業の開発ですからね、試行錯誤もあると思いますよ。そうだけれども、このように故障はあったけれども、これに対してはこういう対策を講じてあるからこの点は心配ないとか、もう少しそういう点はいまお話のあったように、理由は明らかにすることが国民の理解を得るゆえんだと私は思います。そのように今後いたします。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 それから、被曝問題に触れたいんですが、いま発電所の下請労働者やたくさんの人が被曝をしています。特に問題は、いままで発電所は安全であるという言い方の裏に、原子力発電所に働く従業員が安全である、こういう言い方がありました。ところが、発電所に働く電労連というのがありますが、十三万人、ここが、もうこれ以上の状況では発電所の中で被曝の問題があって危なくて働けないと、こういうことを具体的に提言しておりますね。これは重大な内部告発だと思いますが、これをどう受けとめておられますか。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(佐々木義武君) お話の電労連からの第五次提言は、先般電労連の首脳部の皆さんが見えまして、私も詳細に御説明をちょうだいしました。また、この提言は五回くらい丹念に私自体が勉強しました。まことに建設的な、問題ごとにその解決策を提言いたしまして、大変貴重な資料だと存じております。  ただいまの従業員に対する被曝問題でございますが、これはどういうことかと申しますと、定期検査あるいは故障が生じました際に炉をとめますので、そのとめました炉の放射線等を計算いたしまして、もうこれからは作業に入れるということで作業に入るのでございますが、一般の公衆と違いまして、従業員の被曝許容量はいろいろな対策を講じておりますから高く見ております。  そこで、いまお話しいたしました被曝量が高いじゃないかという御議論は、実は二つ問題がございまして、一つは一人当たりの被曝量がふえておるのかどうかと申しますと、決してそんなことはございません。これは大体一人年間五レムが許容量でございますけれども、ただいまの日本におきます平均被曝量は大体〇・二、あるいは多くて〇・四、あるいは〇・〇〇云々という単位でございまして、ALAPと申しますか、可能な限り、できる限り低くしようということでございますから、一人一人に対しては被害のないように、健康に害のないように努めて低く抑えております。  しかしながら、いわゆるマン・レムと称する、作業に入った人と被曝した量とのその相乗積をマン・レムと言っておりますが、それは確かにお説のようにふえつつございます。その原因は、炉がふえたことももちろんでございますが、さっきお話しのように、故障が多くなりまして、故障ごとにとめて炉に入るわけでございますから、自然さっきのように一人当たりの被曝量を押さえますと、たくさんの人に入ってもらわなきゃならぬ、作業に従事してもらわなければいかぬといったような関係とか、あるいは原子炉がふえてまいりますので、それに従いましてマン・レムがふえておることは事実でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 これは内部からこういう告発があったということは、ほんとは大変な問題ですよ。いままで安全性の実証をされておったところから告発がきたのですから。  そこで、去年科学技術庁森山長官はこの予算委員会で、国際基準の百分の一に切り下げて明文化をするという約束を私にしましたが、それからどうなっておりますか。

生田豊朗科学技術庁原子力局長

○政府委員(生田豊朗君) 先生のただいまの御指摘は、五百ミリレムを五ミリレムにするという御質問だと思います。この点につきましては、五ミリレムを目標値として採用をする方向でただいま詰めを行っております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 そんなものはだめですよ。そんなことは去年聞いたんだ。百分の一に明文化を文書ですると森山長官は言ったですよ、あのときに、前の総理の前で。なぜ原子力委員長はこうできないかと言った、あなた委員長でしょうと言ったんですよ。そしたら、それだけきつい御要望ならば文書にしますと言ったんですね。一年間同じ答弁でしょう。何やっているんですか。長官ひとつ答弁なさい。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(佐々木義武君) 御承知のように、いまお話ございましたように、百分の一の五ミリレムに下げております。これは相当ないわばアローアンスでございまして、しかし、これをさらにできるだけ可能な限り下げろというのが鉄則でございますので、さらにいろいろ工夫をこらしまして、さらに下げ得るものであれば下げたいと存じますので、むしろいまのまま目標値にしておいた方がよろしいのじゃなかろうかというふうに考えます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 それは答弁じゃないじゃないですか。五ミリレムをめどにしているけれども、きちっと文書にしなければだめだ。去年は文書にする、成文化すると、こうおっしゃって一年間放任して、めどにしています、そんなことば去年聞いたことでしょう。どうして一年間放任していたんですか。そこに、いままでこういう被曝問題や安全性について、口では言うけれども実質的になかなかやっていかなかった、それが一つの裏づけじゃないですか、どうなんです。

生田豊朗科学技術庁原子力局長

○政府委員(生田豊朗君) 明文化の方法でございますが、私どもは専門部会の審査が終わりましたので、これを原子力委員会の決定の中に織り込むという形で、ただいま最後の詰めを行っている段階でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 去年約束して、予算委員会で総理も、それから科学技術庁長官も答弁して約束したことが、一年たっても同じことを言っている。こんなことじゃ聞けませんよ。どうなんですか。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ただいま第一段の答弁がございましたから、重ねてこのまま突っ込みをひとつやってください。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 じゃあ、日を切ってください。いつやりますか。

井上五郎原子力委員会委員長代理

○説明員(井上五郎君) お答えをいたします。  ただいまの問題は、昨年環境安全専門委員会というものがつくってございまして、たしか十二月であったと思いますが、その答申を受けまして、それでこの一月に原子力委員会でこれをいかように取り扱うかということを審議をいたしまして、これを成文化をするとすれば、またこれに伴いまするいろいろの問題もございます。さようなことで、私どもといたしましては大体結論に近いものを得ておりますので、まあ今月中あるいは来月にわたるかもしれませんが、あまり長い間ではない期間に決定をいたしたいと考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 これは原子力委員長、ひとつはっきりしてください。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(佐々木義武君) ただいま井上委員からお話ございましたとおりでございまして、結論を得ますれば、その結論に従いまして実施に移したいと存じます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 科学技術庁に聞きますが、きのう福島県の県議会で、福島一号炉にかかわっておった電気技師が、原子炉点検でずっとやっておった電気技師が白血病で死亡しておりますね。その実態について報告してください。

生田豊朗科学技術庁原子力局長

○政府委員(生田豊朗君) ただいま御質問の点でございますが、個人のプライバシーに関係しますので名前は差し控えさせていただきますが、東芝の下請会社に勤めている方でございます。働きました場所が東京電力の福島第一原子力発電所でございますが、白血病で二月の末にお亡くなりになりました。  この話は私どもかねがね聞いておりまして、東京電力に対しましても、これについて不当な疑惑を受けないように十分善処するようにという指導をかねがねしていたところでございます。この治療及び診断をいたしました病院の医師の所見によりましても、原子炉からの放射能によるものとは断定できないということでございますし、私どもの調査によりましても、この作業に従事しておりました期間、約三年間でございますが、その間の被曝線量が約五百ミリレム、〇・五レムと比較的低いものでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 福島県の社会党の岩本県会議員から報告が来ておりますが、きのう県議会でもやっております。中身を読み上げるには時間がありませんが、これもやはり企業側が退職を早くさせて病院へ入れて、いろいろ付き添いを特に本社からつけて、いろいろな接触を妨げたというようなこともずっと報告されております。だから、私はいまの科学技術庁のこの報告をもってしては納得しがたい。したがって、これはひとつ厳重な調査をぜひしてもらいたい。委員長、いかがですか。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(佐々木義武君) 私の聞きましたのも、いま原子力局長からお話のあったとおりでございますが、しかし、そういう御懸念が残っておるのでありますれば、お説のとおりもう一遍詳しい調査をいたしたいと存じます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 御懸念がございますればじゃなしに、この実態を——読み上げてみればいいんですが、その時間がないから省略しますが、ずいぶんいろいろな病院をかわって、問題はあるんですよ。これは厳重にひとつ調査をしてください。  そこで、去年岩佐さんの被曝問題がありましたが、いまだに労災の適用も受けることができずに、生活保護を受けて非常に困っている。原因不明の熱で仕事ができないと言って困っておるんですが、なぜ労災適用が受けられないのか、その実態、これをひとつお伺いしたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。  労災保険では、労働者から保険給付の請求があれば、それを業務によるものであるか否かを調査いたしまして、業務上と認められた者については所要の保険給付を行うものであります。昨年、お話のあった岩佐さんの問題につきましては、現在のところ労災保険の給付請求がなされておりません。そして、本件については民事訴訟で係争中と私の方では報告を聞いております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 なぜ、去年あれだけ問題になったのに適用が受けられないか、これは調べたことがありますか。

東村金之助労働省労働基準局長

○政府委員(東村金之助君) ただいまの大臣のお答えにございましたように、保険給付の請求があれば、業務上、外の認定を私どもはするわけでございますが、この前の国会等におきましてもいろいろ御論議ございまして、調査をするというようなお話もございました。で、私ども保険給付の請求がどうなっているかと、あるいはこの方に接触していろいろやったわけでございますが、御本人は民事訟訴の方で係争するというお話でございますので、現在のところ労災は適用しておらない、こういう次第でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 いや、裁判は裁判として、この労災の場所が日本ゼネラルエレクトリックというのですね、六月二十日に本人が行って請求をした。音さたなし。十二月十日に岩佐さんの勤め先の社長が直接請求したが、わからない。ことしの二月二十一日に再度社長が請求した。二、三日後に連絡すると言う。このようにして一貫して拒み続けているのですが、この実態について労働省は少なくも調査をして、この受け付けをできるならばさせる必要があると思いますが、いかがですか。

東村金之助労働省労働基準局長

○政府委員(東村金之助君) 調査をいたしまして、御本人の方から請求ございましたならば審査をしてみたいと、かように考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 大臣、答弁。そんな、審査をしてみる、しないではないのだ。審査ができないには理由があるの。窓口でとめられているんですよ。だから、それに対して何か政府としてやるべきではないですか、その点いかがですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 前後の事情がわかりましたから、私の方で積極的に調査をしてまいります。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 総理、ひとつ被曝問題でお伺いしますが、いま痛ましい、福島でも一人白血球で亡くなられた。これはいろいろ調べてみなければ断定はお互いにできませんが、まず、われわれのいろいろ調べた範囲では非常に問題が、かかわり合いがあると思います。去年の岩佐さんの問題も、こうして放任されている。被曝の問題は内部からも告発をされ、各地にこういう問題が起きている、非常に重大な問題だと思いますが、これを政府として、安全と住民のいわゆる不安をなくするために私はしっかりした対策を立てることが大事だと思いますが、この点、三木総理のひとつ見解を、決意をお伺いしたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これはやはり重大な問題であります。そうでなければ、原子力発電に従事しておる人の健康というものに対してはもう非常にやはり用意周到に考えなければ、これはああいうところに働いておる人たちが非常に不安になるし、またそういうところに働く人が次第に少なくなってくるということは大変に重大なことでございます。しかし、御指摘のことは科学技術庁でも、いま長官お答えしておったように、至急詳細に調べてみますということですから、その調査の結果を待ちたいと思います。しかし、政府としては原子力発電の従業員の安全、健康の保持というものに対してはこれは重大な関心を持つことは当然だと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 もう一点、原子力行政の見直しについて伺いたいのですが、一番問題は、原子力委員会が日本の場合はアクセルとブレーキを両方持っている、開発推進と規制を一緒に持っているところに一つの問題点が私はあったと思う。もう一つは、発電所については科学技術庁が試運転まで、後は通産省がやる。原子力船については、初期の設計段階はこれは科学技術庁原子力委員会、後は運輸省。この責任のあいまいさといいますか、こういうものが日本の原子力行政の非常な混乱を起こしておったと思う。そこらを整理をして、規制は規制として強力な措置をとるということが国民の原子力行政に対する信頼を回復するためにぜひ必要だと思いますが、この点についてひとつはっきりした考えをお伺いいたしたい。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(佐々木義武君) お説の点が非常に問題点でございまして、原子力委員会のあり方も含めまして、いま申しましたような全般的な原子力行政をどうするかということで、内閣に原子力行政懇談会を先般つくりまして、近く第一回の会合をいたしますが、そこで多方面の意見をちょうだいして、そして新しい出発点というような意味合いも兼ねまして、行政機構の改善をはかっていきたいと存じております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 抽象的でどうも十分わかりませんね。  総理にお伺いしますが、原子力井上委員長代理も私案という形で原子力委員会の案を出している。それは原子力委員会を改組して、強力な原子力安全規制の別個の委員会をつくって規制すべきであるという提案をされておる。それから電労連も内部告発でこのことを言っている。いまアメリカも、従来の原子力委員会を分離して強力な規制の委員会をつくった。これはもう十分見直して対策を立てる時期に来ておると思いますが、安全局をつくってちょっと分けてやる小手先では解決しないと、こう私は思いますが、この点、総理どう思いますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は、辻さんにもお答えしたようにこれは重大な問題です。それはどうしてかと言えば、長期のエネルギーの計画というものは、原子力というものの、原子力発電はこういう事情では立たない。したがって、これはいま言ったような機構あるいは機能、そういうものもひっくるめて根本的に検討をいたす次第でございます。どうやったら安全を確保できるかと、それに対して国民の原子力発電に対するいままでの不安を解消できるかという見地に立ってこれは根本的に見直しをいたします。あるいはいま御指摘のようなことも一つの問題点だというふうに考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 根本的に見直すという御発言ですが、時期がずるずるしておっては間に合わぬと思うんですが、いつまでにやられますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これはいま国会もこういう予算委員会の総括質問のさなかでもございますし、しかし、これはいつまでも放置することのできない問題ですから、いま科学技術庁にも、できるだけやはりこれは懇談会を早く開催をして、懇談会の専門家のいろいろ審議を願わなけりゃなりませんから、これはできるだけ早く第一回の懇談会は開きたいと思っています。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 総理、またさっきのように、一年たって同じことを言わないようにしてくださいよ。大丈夫ですね。  もう一つ、私はこれは通告はしていないのですが、いま新聞が来まして見て、苛性ソーダーの隔膜法について、急な転換が無理だという海外調査団の報告が出ておりますが、もし、この調査団が発言したような内容が取り入れられるとするならば、私は日本の公害行政について重大な大幅な後退を招くと思いますが、この点について通産大臣どうお考えになっておられるか、お伺いしたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) そういう問題があるということは承知しておりましたが、夕刊はまだ読んでおりませんので、それをよく調べまして改めて御返事をいたします。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 これを見てください、朝刊ですから。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 早速調査団とも会いまして詳細に事情を聴取いたします。その上で態度を決めたいと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 いや、これは五十年の九月に三分の一は隔膜法に転換をする、五十三年の三月には全部転換するという方針が出ておるんですよ。これを簡単なことで変えてもらっては大変だと思うんですが、よく聞いてということで——決意だけ聞きたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) そういう基本方針は知っておりますが、それに対してその調査団が新しい事実を発表しておるわけでございますから、調査団の意見もよく聞いてみたいと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 総理、伺いますが、四十八年の七月十一日、参議院本会議で漁業白書の質問に、環境庁長官として三木総理は当時私にお答えになっている。これは、水銀の規制をうんと厳しくしなくちゃならないと、こう御答弁になっている。いまもしこれが従来の水銀法が残るとすれば、重大な公害行政の私は後退だと思うんですが、あの当時環境庁長官として御答弁になった総理の決意をいまもう一度お伺いいたしたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) ちょうど水銀による汚染が大問題になって、そのときに私が招集をした、みずから議長となって招集したときのこれに対する対策の中に、水銀に対する対策を言っておったわけであります。その年の暮れまでにクローズドシステムにする。それから何年後にはやはり隔膜法に転換をするということを決めたわけであります。これはいま夕刊は私も読んでおりませんが、それは外国に行っておる調査団ですか、いま辻さんのお話は調査団の報告ですか、そういう話もよく聞きまして……。そういうふうな方針は決めたわけですから、その方針に沿うて水銀というものの汚染をなくしていくために努力をいたします。隔膜法というものに対して、またほかにも方法があるようでありますが、それはより安全に、より迅速にそういう水銀の汚染を防げるような新しい技術開発ができれば別でありますが、そういうこともにらみ合わせて目標の達成に努力をいたします。(発言する者多し)

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) どうぞ。二分ございますから、どうぞ質問を続けてください。(「やめるか、やめぬか相談するから」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  速記をとめて。   〔速記中止〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。  やりながら、その点はひとつ場内でお話しを願いたいと思います。質問を続けてください、あと二分間。——質問がなければ、次の玉置君に移ります。(発言する者多し)  速記をとめて。   〔速記中止〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。  以上をもちまして辻君の質疑は終了いたしました。  速記をとめて。   〔速記中止〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。     —————————————

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 玉置和郎君。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 総括質疑に立たせていただきましてありがとうございますが、冒頭、長谷川労働大臣にお聞きします。  あなたは、国旗日の丸を掲げようという運動に対して非常に熱心な方でありましたが、この国会の上に上がっておる旗は、これはどこの旗ですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 国旗でございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 運輸大臣、お聞きします。  船舶法によれば、第七条に国旗を掲げなければいかぬということになっておりますが、日本の船は、これはいかがなものですか。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木村睦男君) 船舶法によって日本の国旗を掲げなければならないことになっております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 運輸大臣、その旗は日の丸ですか。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木村睦男君) 日の丸でございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 両大臣の答弁で日の丸は国旗であるということがはっきりわかりました。  そこで郵政大臣にお聞きします。NHKの放送で、最後のところで国旗日の丸が出てまいります。そのときにあの流れてくる歌、これはどこの歌ですか。

村上勇自由民主党郵政大臣

○国務大臣(村上勇君) あれは日本の君が代でございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 郵政大臣、日本の君が代って何のことですか。国歌でないのですか。

村上勇自由民主党郵政大臣

○国務大臣(村上勇君) 国歌の君が代。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 それでいい。ありがとうございました。  ここで大平大臣に聞きたいのですが、これはやめておきます、北京のことを実は聞きたかった。あの五星紅旗とそれから日の丸が上がっている。これは私は、当然大臣は国旗だと、こう認識されたと思う。それから中華人民共和国の国歌が吹奏された。それで君が代が吹奏された。当然私は、これは君が代は国歌であると認識をなさってお聞きをなさったと思います。しかし答弁はもうこれ以上求めません。  そこで総理大臣、これはなぜこんなことを聞くのかということなんです。これでおわかりでしょう。臨時国会におけるあなたの答弁、いまここに持ってきておりますが、日本国の総理大臣としてはなはだこれは私は、何というか、失礼なことですが、どうもやっぱりぴんとこない答弁なんです。何なら読んでもよろしいですが、いま三大臣が答弁をされました日の丸は国旗である、君が代は国歌であるというこの認識について、あなたはどう考えられますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いま外国へ行きましても、国内においても、日の丸と君が代というものはもう国民の心の中に、国歌、国旗として大部分の国民の中に定着してきている。ほかの旗はありませんからね。ほかの歌は外国へ行ったってありませんからね。国際的にも、あるいは国内的にも、日本の国の旗、いわゆる国歌、国旗ですね、日本の国の国歌ということでもう定着しつつある、心の中に。

中山太郎自由民主党

○中山太郎君 関連。  先般の国会でもこの問題でいろいろと政府にお尋ねをしたのですが、いまの総理の御答弁で、国民の心の中には日の丸は国の旗である、君が代は国の歌であるということがおよそ定着しているという御答弁があったと思います。  ただ、私がここでお尋ねをしたいと思うのは、この連日の国会の審議を通じて伺っておっても、やはり国というものの基本に関する問題、たとえば自衛隊の違憲の問題、この問題につきましても、裁判所で裁判官が自衛隊の存在が憲法の違反であるという判決をおろす。それに対して官房長官が、これは裁判所が行き過ぎている、こういうふうな批評を国民に与える。こういうことで、いわゆる日本が戦争に負けてからちょうど三十年たつわけでありますが、三十年たってみても、国が独立するときに決めておかなければならないことが、どうも国民の間に意見がいろいろとあるということは、これはやはり国家にとっても重大な問題であると、私はそのように考えているわけであります。むしろ国際的に見て、いま玉置議員がお尋ねのように、運輸大臣がまた御答弁のように、外国の港に入るときは、これはいわゆる公海条約といいますか、その国の国旗を揚げる。これが相手国で承認をされる。国際的には日の丸が国旗であるというふうに認識をされ、海外諸国からはどの国からも日の丸について論議が今日行われていない。しかし国内において、しかも国家の最高の権威と言われる国会において、この日の丸をめぐって、あるいは君が代をめぐって、国民を代表する与野党の間でこれに対しては疑義があるということが論議をされるということ自体に、今日の日本の問題があるんじゃないか。だから、むしろ国際的な問題ではない、これは国内的な問題である。国内的な問題について、政府が統一した見解を国民にはっきり明示をするということが政治の基本ではないかという点について、私は政府の統一した見解をお尋ねいたしたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 政府は日の丸を国旗と考え、君が代を国歌と考えております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 文部大臣、あなたの臨時国会における答弁、これは私たちが聞いて、これはどこの国の大臣の答弁かと思ってびっくりした。いま総理の答弁のとおりか、あなたの見解は以前のとおりか、はっきりしてください。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) ただいま総理が言われましたように、日の丸は国旗、そして君が代は国歌、文部省もそういうふうに指導要領において指導いたしております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 次に総理、文教の問題でちょっとお聞きします。  総理は、永井文部大臣を起用されたときに、教育の現場に政治をこれは入れたらいかぬという御主張、私たちもよくわかります。教育が政治的イデオロギーによってかき回されるという、そうして対立の場を生むということについて、私はこれはまことに遺憾だと思います。そういう意味で、永井さんを起用された総理の見識というものには、私もやっぱり敬意を表します。  しかし、ここで一点お聞きをしたいのは、政治というものは、そういうふうな狭義のような解釈でいいのかどうかというその問題。私は、やっぱり教育というものをしっかりさすために、その大前提となるのは、政治というものがもっとしゃんとしなきゃならぬということ、この見解について総理の考え方を伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) しゃんとしなけりゃならぬということには賛成でありますが、それは、一つの思想を統一しようという考えには私は反対である。やはり学校教育は、あくまでもリベラルと言いますか、いろんな生徒がいろんな成長を通じて、いろんな思想というものも頭に入れてみずからの思想を形成することなければ、思想をしっかりということが、ある思想で統一しようという教育の方針には私は賛成できないのであります。

高橋誉冨自由民主党

○高橋誉冨君 関連。  私は三木総理に、いまの教育の基本的態度と言いますか、総理の考える教育の問題でちょっとお尋ねしたいんですがね。そういう何と言いますか、いつも学校というのは、教育の場というのは、静かな本当に教育に専念できる場にしたいと、こういうことをおっしゃいますがね、私はそれについて本当に専念できる静かな場にするためには、どういう具体的な対策、具体的な方法が必要かということを、やっぱりはっきり明示する必要があると思うんですよ。私は、二十九年間、小学校、中学校の平教員から教科主任、教頭、校長と、いろんな立場で接触してまいりましたがね、私が二十九年間しみじみ思ったたった一つの結論は、教育は教師と子供、教育者と被教育者、この人間的な温かい心の交流がこれは基本だということを私はしみじみ感じたんですよ。それで、教員が、子供から信頼されている教員が持ちますと、一つの学級もしーんとして一生懸命勉強するようになる。ところが、子供から信頼されない、父兄から信頼されないような教員が受け持ちますと、がたがたになっちゃうんです。一つの学校でも同様なんです。校長が職員から信頼され、そして一生懸命専念している校長のもとには、学校がやはり静かな場として一生懸命教育が展開されると。ところが逆に、これが信頼されない校長であった場合には、学校はがたがたになっちゃう。こういうことを考えるときに、教育は人である、こういうことなんです。その教育は人であるということで私は一番いい発想は、やはり私は人確法を——田中総理が考えたかだれ考えたか知りませんが、とにかく人確法、これによって教員の待遇を一〇〇%でも五〇%でも上げてやろう、そしてすばらしい人間を教育界に誘致しようと、こういう私は考え方を起こしたのは、これは田中総理が恐らく少年時代、いい先生、悪い先生に教わってしみじみ涙の出るような体験からにじみ出した発想かどうか知りませんがね、これと一緒にやった、一緒に協調してやった議員たちも私は同じような体験を持っているだろうと思う。体験からにじみ出したこのような教師の重視ということは、私はこれこそが静かな場にしたいというあなたのあれに合うんじゃないか。ところが、これが三〇%、二五%ダウンしつつある。ダウンしているというのは、教員を、本当に教育界を静かな場にしたいというあなたの念願と違うんじゃないか、この点ひとつお伺いしたい。これが一点。  それから続いて、そういう優秀な教員をつくるためには、私はやはり……

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 手短に、高橋君。

高橋誉冨自由民主党

○高橋誉冨君 教員養成機関というものをしっかりとつくる必要がある。養成機関がいいかげんで、希望しない教員を教員にするところに、私はそういういま言ったいろんな欠陥が出てきた。そのような教育機関をしっかりと確立する必要があると思うが、これは総理どう考えるか、二点お伺いします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は全く高橋議員のお考えと同感でございます。教員と生徒の間の信頼関係というものが教育の基礎になるということは、お説のとおりだと思うんです。しかし、そのためには、私はいまはやっぱり日本の教育界というのは、何かやっぱり異常な零囲気にある。それは何かと言ったら、一番静かな場所であるのが一番騒がしい場所になっているんですからね。だから、その原因は何かということを究明する、しなけりゃならぬということはお説のとおりですが、まずいろんな改革をする場合にも、教育のいまの環境をそのままに置いて私は教育の改革できるとは思ってないんですよ。やはり教育というものをもう少し皆がやっぱり政治の中立の場に置くということが、これはもう国民各層も、あるいは各政党も、総じて教育というものをそういう環境の中に取り戻すということがもう大前提で、それをおろそかにしていろんな教育改革案を出しても、それは目的を達成できるとは思わない。教育界の雰囲気を一新することが日本の教育改革のやっぱり前提である、これは私の信念でございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 総理、総理の政治の基本方針の一つに、社会の不公正是正というのがありますね。この点から、現在の幼児教育、これについてお聞きをしたいと思うんですが、現在総理もすでにお聞きかと思いますが、幼稚園には、公立と学校法人立とそれから宗教法人立と個人立幼稚園と、この四つがあるわけです。公立の幼稚園を除いては、三つともこれは私立幼稚園です。この個人立幼稚園であっても、これは文部省が定めた基準に従って認可したものであります。ところが、個人立幼稚園には、これはいま約百万人の園児が通っておるんです。今度の予算措置で、この五十年度の予算措置で、この百万の園児が取り残されていっておるんです。これは御存じですか。知らなかったら文部大臣。簡単に、簡単に、時間ないから。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) 御指摘のとおり、個人立の幼稚園というのは助成の対象の外にあります。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 文部大臣、その辺に座っておってください。文部大臣、公立の幼稚園というのはこれはほとんど無料か、あるいは最高のところで二千四百円くらい、平均して父母の負担というのは千五十円くらい。ところが宗教法人立幼稚園——学法はこれはまた後の話になるが、宗教法人立幼稚園だとか個人立幼稚園これは大体七千円から高いところでは一万二、三千円かかっておるんではないかと。ことに個人立幼稚園では、総理ね、二年保育でないと引き取らぬのですよ、いま経営ができないから。そうすると、幼稚園に通わせるという父母は大体三十歳前後です。収入はこれは十二万円くらいのものです、平均して。もし年子であったら、一ヵ月に幼稚園に二人を通わすだけでこれは約三万円近い負担をせないかぬという。こういうことで、私は、あなたの社会の不公正是正というものは果たされていくのかどうか、これはどうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは、玉置議員の御指摘になったような問題ばかりでなしに、いろいろあると思いますよ。だから、いまは不公正是正ということがインフレという問題に限っておりますが、長期的に見れば教育の機会均等ということは重大な、やっぱり社会的公正の確保のために欠くべからざることですから、こういう点からこれは一遍に何もかもというわけにはいきませんけれども、やはり教育の機会均等を確保するということは、公正の中で相当大きな柱でありますから、これは十分に、日本の文教政策の一環として考えてみることにいたします。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 総理、いま機会均等と言われましたから、私から申し上げますが、この幼稚園児というのは高等学校だとかそういう学生と違って、高等学校になりましたら自分で自分の個性、特性を生かすために私立大学に行った方がいいと、たとえば三木総理のように明治大学に行った方がいいと。恐らく東京の帝国大学に入る能力あったと思うんですよ。ところが明治大学に入った方がいいというので今日の総理ができたと思う。そのように自分で選ぶ、自由の選択というものができるんです、少なくとも大学に行く前ぐらいになってきたら。園児はできないんです。がんぜない子供なんですよ。特に園児の場合は通園距離というものに限定されるんです。それから試験も、入園試験なんというようなばかなこといまやっておりますが、これだって園児の能力をはかるということはなかなかできない。これは大事な問題です。私が一番恐しいのは、こういうまだがんぜない子供の時代に、自分は公権力によって差別をされておるんじゃないかという意識がもし一あんたら笑うけど、あなたたちの子供がほとんどいま幼稚園に通っているんだよ。大変なんだ、これ。というのはね、あの人らなぜ笑うかというとこういうことなんだ。あの人たちのお母さん方が帰ってきたお父さんに対して、お父さん、これは子供が二人通っていると、もっとあなたしっかり働いてちょうだいと言って尻たたかれるのはあの人たち、笑った人たちなんです。そういうお母さんとお父さんの会話というのを子供はよく聞いておるんです。そして、何で私だけが隣の小さな友達と差別をされなきゃいかぬかという、これが心に芽生えたときの日本の教育の将来の恐しさ、それを私は考えるから言うんです。どうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) やはり世の中で一番大事なことは機会の均等だということ。この中でも教育というものは機会均等でなければ、人生のスタートから違うわけですから、それはもう不公正な社会になりますから、そういう角度から政府としては義務教育の段階からそれを考えるわけでありますが、その義務教育の段階からさらに教育全般のものとして広げて、いろいろ検討を要する問題だと思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 文部大臣、この問題どうですか。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) 私も教育の機会均等というのは非常に大事であると考えております。ただ、現代の社会におきましては、だれでも認めておりますように、非常に学校教育の規模が拡大しております。そこで先ほど御指摘がありましたように、高校よりもむしろ幼稚園の方をという御意見もございますが、しかし、他方また高校も九〇%を超えるぐらい進学しておりまして、さらにその中の私立の人たちの数がおおよそ三〇%程度、幼稚園の場合には八〇%程度、全部義務化にしたらどうだ、幼稚園から高校まで全部義務化にしたらどうだという意見を持つ人もありますが、こういうことはよほど財源とか、あるいは教育学的に考えなければいけない。ですから、私といたしましてはそういう全体を見まして、そして少しでも公平であるように教育が進んでいくというふうに配慮して施策を行いたいと考えているわけでございます。そうしますと、直ちに全部の人が満足するようにはなかなか行きにくいということはあると思いますが、しかし、それは立場としてはいま申し上げたとおりでございますので、なるべくその点も御説明して、御理解を得ながら進んでいきたいと考えているわけでございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 文部大臣、あなたは、今度の予算措置のときに、個人立幼稚園に対しては憲法上助成することに疑義があるというようなことを出していますね、御存じですか。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) 個人立幼稚園につきましては、これは従来から、憲法の八十九条の問題との関連において、国庫補助ができるかどうかということについて疑問を生じているわけです。これに対して学校法人の場合には、学校教育法との関連におきまして補助をしてよろしいという考え方がございます。しかし、事実上、完全に個人立の幼稚園というものに対して補助をしていないというのではなくて、すでに現段階におきましても、御案内のとおり就園奨励費というものを市町村で出しておりますが、それに対して国家も補助をしているわけでございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 文部大臣ね、いまの就園奨励費ということで大体理解ができますけれども、総理、いま私のところに、個人立幼稚園というのにはこれはやっぱり百万人も通っておる。これは大変は数ですよ。それで、特に過密都市周辺に多いんです。こういう個人立幼稚園を経営をしておる人は、大抵その土地のかなりの知名の人です。そうして信用のある人が多い。こういう人たちは私の手元に、いま恐らく百通から超しておると思いますが、憲法違反だとまで言われて何で私たちがこういうことをやらなきゃならぬかということを言ってきておるんです。こういうことについて、私はやっぱりほっておけないと思います。  そこで、いろいろ立法の措置もいまわれわれの仲間で考えております。これは、私は早晩やっぱりやるべきだと。このことについては、与党も野党も反対する者は恐らくないだろうと思います。幼稚園という問題に対して私は先ほどから言っておりますが、こういう見解、そうしてさっき文部大臣が言われた就園奨励費というような問題、こういった問題について、最後に総理の見解を聞きたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私はやはり義務教育、義務教育と言ってもいいぐらい普及した高等学校、こういうものの整備というものが教育の中のやっぱり一番大事な問題だ。教育というものはそんなに一遍に何もかもということにはいかないわけで、明治以来の教育を言っても、長い歴史をかけて教育を充実してきたわけでありますから、やはり優先順位というものを考えないと、もう一遍に教育というものは、いま玉置さんの言われることもそこまで手が届くことが親切な教育ではありましょうけれども、しかし一遍に広げ過ぎて、文部省というものの予算にもこれは将来ふやしていかなければならぬにしても、全体の財政の中のバランスもありますからね、そういうふうなことを考えてみると、まずやっぱり優先的な順位としては義務教育、それに準ずべき高等学校の教育、こういうものも国としてはやっぱり——まだもうそれが整備できてない面もありますからね。そうしてやはり、幼稚園というものに義務教育の段階のようなウエートをまだ置くということにはいろいろな問題があろうと思いますから、できるだけそういうものに手を伸ばしていくということは必要でございましょうけれども、どうしてもやはり、教育のいまそれは、高等学校でもまだやっぱりいろいろな施設からいっても問題をたくさん抱えておりますしね、人口も移動をしておる。そういうことで、やはりそういう点に重点を置いて現段階ではいくべきだと思いますが、そのことは幼児教育を私は軽んじておるわけではないんです。そういう意味で、幼稚園の段階においてもできるだけ政府としてめんどうを見られるものは見ることにこしたことはありませんけれども、一遍にもう何もかもということになるとなかなかそうはいかない。もう少し長期的な計画を立てて充実をしていくことを私は考えるべきだと思うわけでございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 いま総理、あなたは義務教育を大事にする、これはわかります。これは国の責任だということは憲法上はっきりしております。しかし、優先順位という問題について、次に高等学校を挙げられて、そして次に幼稚園を挙げられるというこの見解は、私は少しく幼児教育の問題について認識が足らぬのじゃないかと、実は残念なことですがね、思っております。これは文部大臣、よく総理大臣をあなた補佐しなさい。あなた何のために文部大臣になったんだよ。そういうことを言うためにあなたが文部大臣になったんだよ。あなた専門家だ。あなたはこの高等学校と幼児教育とどっちが大事か、そういうことをはっきり区別つけられるか。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) 私が総理大臣にもっと御説明すればよかったかとも思いますが、しかし、総理大臣は全体を総括される立場でありまして、私は文教の仕事に当たっているわけでございます。御指摘のように、いままではまず義務教育、それから私学につきましては大学と、しかし本年度からは高校から幼稚園に至るまで、別に区別、差別をいたしませんで助成をするということになっておりますわけでございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 総理、お聞きのとおりなんです。高等学校と幼稚園とちっとも区別しちゃいかぬのです、これは。これがやっぱり国の大方針でありまして、あなたの方針ということになっておるのです。それがあなたの口から高等学校と幼稚園と差別つくなんということを言うからこういうことになるのですよ。だからそれは総理、大事なことですから、もう一回重ねて申し上げますが、高等学校に要する費用と、この百万の園児を抱えておる個人立幼稚園に要する費用とは、これは大蔵大臣にも聞いてもいいんですが、これは大蔵大臣よくわかっておりますから、よく相談してください。個人立幼稚園、そんな金かかりませんよ、これは。それで三つ子の魂百までというこの日本語忘れたらいかんです。日本のことわざ、これは根本です。幼児教育の重要性というものは、これは軽んじたらいかぬということ、これは永井さんよくわかるでしょう。この点だけ強調しておきます。  次に、総理が従来から熱心にやっておられますアジア・大洋州共同体構想という、これに関連して、特に豪州の問題について触れてみたいと思います。  近く、日本のあらゆる地下資源を供給してくれる西豪州のコート首相が参ります。総理にも四月四日にお会いをしたいということで、もうアポイントをとったと思いますが、この西豪州におけるピルバラ計画というのは世界最大の大型プロジェクトだと私は承っておりますが、総理は御存じでございますか。——河本さん。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 聞いております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 これは、いまのところ大体二兆七千億から三兆円の大型プロジェクトです。そうして、いまここに日本、西ドイツ、アメリカと、この三つの勢力が入り込んできておるわけです。で、連邦政府も西豪州政府も、この豪州全体の経済というものを将来発展をさせていくためにはピルバラ開発計画を強力に推進をしていきたいという考え方を持っております。この前に、丸茂さんが団長で、共産党の方と公明党の方と私と四人、院の派遣で豪州に回りました。コート首相にお会いをしましたときに、コート首相は私にこう言ったんです。日本の企業は何か合計したら九十社ぐらい、わんさわんさと押しかけてきておる、そうして、何々グループ、何々グループ——三菱グループ、三井グループ、兼松グループ、何とかとたくさん来る、たくさんの方にお会いをしましたが、一体日本が何を考えておるかわからぬと、こう言うのであります。そうしてお互い足の引っ張りをする、困ったものだと、日本がいろいろ協力してくれることはありがたいが、実際どうやっていいのか困っとるんだというのが、コート首相以下の西豪州政府の首脳の考え方でありました。  これについて、これはもう意見を聞くより、ぼくが考え方を言います、これは。そのときコート首相はこう言ったのです、日本の協力はぜひほしい、そしてこの問題について、やっぱり一番距離的に近いのは日本だ、力もある、それで日豪関係というものはこのアジア・大洋州安定には大変な役割りを果たす、それだけにぜひ日本においてもしこういうことが考えられるならば、と言って彼が提案をしてきたのは、私たち全く意見が一致したのですが、パースという西豪州の首都があります。そのすぐ上の方にヤンチャップというところがあります。いま日本の企業も出ております。非常にいい場所です。風光も明媚だし、気候も世界一いいし、そのヤンチャップのあたりに日豪が相協力してピルバラ開発の計画を研究推進をしていくこの機関をつくったらどうかと。そうして、私は帰ってまいりまして、当時の田中総理大臣に申し上げましたら、田中総理も大賛成、そうしてコート首相と、パースに行かれたときに、ピルバラに行かれたときに、その話をなすったとか聞いております。こういう計画について総理はどう考えますか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) いま御指摘のように、豪州の問題でございますが、私は、豪州は日本が資源外交を進めていきます上におきまして最大の相手国だと思います。去る一月二十四日の施政方針演説におきまして総理も、これまでの海外のいろんな経済協力につきまして、単に中東だけではなくして、世界全体におきましてこの経済協力のあり方を、方法、それから量、質、その三つの面で根本的に検討しなければ日本の経済協力、資源外交というものはうまくいかない、こういう御指摘がございまして、目下それを受けまして根本的な対策を検討中でございます。御指摘のように、豪州は最大の資源外交の相手国だと思いますので、その基本的な方法の具体化と並べまして、いま御指摘の点は検討していきたいと思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 総理、もう一つね。これは大事なことですから総理にお聞きしたいと思うのですが、豪州では、そのいまのピルバラというのは大体地下資源です。鉄鉱石を中心にして、ボーキサイト、マンガン、それから今度ニッケル、銅ですよ。こういうふうな地下資源、それから天然ガス、それから石油、こういうのを総合してやるわけですが、ところが豪州の世論というのは、日本は、地下資源というのはこれは限度がある、収奪していくばっかりじゃないかというのが、これがまた一つの世論になっておるのです。というのは、結局大衆民主主義の国ですからあそこも、頭数がどっちが多いかと言ったら、第一次産業に従事しておるのが多いのですよ。やっぱり向こうの方も政治家はそういう人たちのことを考えなければいかぬのです。そこで、私たちが意見の一致したのは、人間が努力をすることによって年々収穫の得られる農産物というもの、しかも日本において集約農業の中ではこれは得られない。たとえば飼料作物、グレーンソルガムだとかメーズだとか——昔総理が外務大臣のときにカンボジアに行かれましたね。私はあのときお供して、あれは失敗だったのです、カンボジアは。なぜかと言うと、発展途上国における一石二鳥という考え方は、私は間違いではないと思いますが、非常にむずかしい。あそこの民度、それから気候、風土、こういうことを考えると、非常に発展途上国での長期の飼料栽培というものはこれはむずかしい。先進国農業方式によるところの飼料作物を確保していくというこの考え方、私は豪州やニュージーランドに日本が求めていくという考え方は正しいと思うのです。そこで水産につきましても、かなり日本の船が出ていっておるんです。それで収奪をしていくと言う。そこで私はコート首相と話をしたのは、これは何といっても日本がいわゆる養魚だとか、それからエビを養殖するとか、養殖漁業というか、こういうものについてはこれから非常にすぐれた技術を持っている。これを豪州で少し考えたらどうかという話をしてきたんです。コート首相も、向こうの首脳者たちもぜひそれをやってくれというのです。今度安倍農林大臣ともコート首相が会うことになっておりますが、こういう構想は、総理におかれてもそういう関係閣僚を激励をされて、ぜひ推進をしていただきたいというので見解をお聞きしたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 豪州との関係は非常に密接になりつつありますが、将来のことを考えれば、日本と豪州との関係というものはさらに緊密な間柄になることは、これは私は必至だと思います。豪州も、イギリスが欧州共同体に入りまして以来、アジアの一員であるという意識が非常に強くなってきておる。アジアの中においても先進工業国の一つでもありますし、そういう意味から言っても、資源も非常に豊富な資源を持って、しかも開発する人口というものは非常に少ない。いろいろ相補うような面がありますから、日本と豪州との関係というものは、もう少し長期的な計画を立てて、そうしてもっと緊密に協力をしていけるような方向に持っていきたい。来月ですか、豪州の首相が来ることになるかもしれませんが、来ればひとつこういう点で基本的な問題について話し合いをしてみたいと思っております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 次に、総務長官にお聞きします。私は、佐藤内閣の末期、それから田中内閣を通じて、この予算委員会の総括質問の場で、世界版渡り鳥運動という、これをやったらどうかということを提唱してまいりました。当時の佐藤首相も田中首相も賛意を表していただきました。ところが、さっぱり具体的に進まない。これに対して、私たちが話をしてまいりました豪州にしろブラジルにしろ非常に残念がっております。これはどういうことかと言いますと、総理はあるいはもう御存じかと思いますので、説明はもうしませんが、世界各地の青年学生が一同に会して、建物の中で文化交流ができる。外ではアウトドアスポーツ、あらゆるものができるという、こういうものに日本がやはり少しく金を出していくという、そして豪州に、ブラジルに、ヨーロッパに、中近東に、それから東南アジアというふうに、世界の青年学生がそこへ集まったらちゃんと交流ができるということ——なぜそれを私はやかましく言うのかというと、恐らく、後で申し上げますが、海洋国日本の安全保障というものを考えていったときに、発展途上国でおそらく吹き上げてくるのは青年学生なんですよ。その青年学生の心をだれがつかめるかというと、われわれ政治家じゃないのです、これは。やはり優秀な日本の青年学生にお願いをするより仕方がない。そういうことを考えたときに、私は単なる青年学生対策ということでなしに、大きな日本の安全保障という問題から、高度の海洋依存国日本という安全保障からそういった問題を進めてもらいたいということでありますが、総務長官、お答え願います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(植木光教君) 世界版ワンダーフォーゲル構想を玉置委員が持っておられますことは、かねがね私も十分承知をいたしておりまして、共鳴をしておりました一員でございます。具体的なお話といたしまして、先ほど来御質問の中に出ております西オーストラリア州のヤンチャップにそういう施設を共同でつくってはどうかと、こういうお話があるということも承っているのでございます。各国の青年交流が活発に行われ、理解と敬愛の念を持ちまして未来を語り合うということはまことに重要な課題であると思うのでございまして、したがって、総理府といたしましても、青少年の国際交流に努めているところでございますが、貴重な御提案でございますので、私は近く早急に青少年問題審議会にこれをかけまして、ひとつ各界の方々の御意見を承り、検討をいたしたいと存じております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 植木長官、もう一つお聞きします。あなたこのたび新聞に「アラブの船」の構想を発表されました。ぼくは単にこの「アラブの船」ということだけではなしに、この世界版ワンダーフォーゲルと結びつけた、日本の造船技術の粋を集めた船を世界に派遣をして、そして船の中でも交流していく。そして各地をずうっと訪ねていくという、そして、そういうセンターをずっとやっていくという、こういう世界的な構想。これは、あなたはもう議員になる前からこういう問題は特に熱心ですが、総理もこの青年学生問題は、私は昔おそばにおりましたから、非常に熱心な方だということを承知しておりますが、これはぜひ総理、あなたのときにこれを実現をしてもらいたい。日本の内閣は、この予算委員会で幾ら答弁したってちっともやらぬじゃないかということを、もうこれで三回目ですからね、言われぬように、ぜひひとつお願いをしたいというのが私のこの願いです。  それから長官、あなたに最後に一問だけ言います。あなたはこの前の中山さんのあのりっぱな質問、善行をした青年、少年にどういうふうな表彰をするのかということに対して、前向きに検討すると、こう言われましたね。具体的にどう進んでおりますか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(植木光教君) 「アラブ青年の船」を考えたらどうかということを申しましたのは、総理府の幹部会の席上において私は発言をしたものでございます。これは、御承知のように、四十二年から「青年の船」がございますし、四十九年からは「東南アジア青年の船」がございまして、非常に大きな成果を上げているわけでございます。アラブ諸国と日本との関係は、ただ単に資源問題、経済問題の協力によるものだけではなしに、やはり青少年の時代からお互いに交流をして理解をし合うということが必要ではないかと、こう意味で、こういう構想をひとつ実現できないものであろうかということで発言をしたのでございます。五十年度予算はすでに御審議中でございますので、五十年度は「アラブ青年の船」というのはこれは実現できませんけれども、しかし、「青年の船」の足を伸ばしましてアラブの国を訪れるということは可能でございますので、その点について事務当局に検討をさしているところでございます。  それから、世界各国、海洋国として、船を政府みずから持って青年交流に使用してはどうかというような御意見があることも承知をいたしております。今日まで、自由民主党の中の青年議員の中で、あるいはまた政財界のぺースで、いろいろその点について新造船の推進委員会というようなのができまして、検討せられてきたわけでございますが、今日では、社団法人であります、これはフロンティア協会でございますか、そこで検討が進められているところでございます。政府としてどのように取り組んでいくかということについては、いろいろ事業計画の点もございますし、また用船とは違いまして、これを維持管理するという点については予算的な問題もございますので、ひとつこの新造船方式と、それから用船方式と、どちらがいいかということを、ひとつ前向きに検討さしていただきたいと存じます。  それから、先般のこの委員会におきまして中山委員からきわめて感銘深い青少年の問題の御発言がございました。緑綬褒章を与えてはどうかと、こういうことでございましたが、この緑綬褒章につきましては、御答弁申し上げましたように、褒賞規定がございますし、さしあたり直ちにこれを行うということにつきましては、地方公共団体あるいは各省庁と十分に意見を調整をしなければならない点がございますので、そこで私は、直ちにとりあえず、善行青少年と申しますか、他の青少年の模範になるような青少年、あるいは健全な青少年の育成に当たってこられているリーダーの方々に対しまして政府として表彰をすることを考えてはどうかと、こういうことでいま事務当局にその成案を得ますように検討さしているのでございまして、これは近くでき上がると思いますので、そのように御承知をいただきたいと存じます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 総理、あなたは日本の青少年対策本部長です。いまの世界版ワンダーフォーゲルのこの構想、それからいまの善行青少年の表彰の問題、それにこの船の問題こういった問題についていま植木長官が大体詳しく述べられましたが、どう思いますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは、青少年の交流というのはもっと盛んにやらなきゃいかぬ。「青年の船」もそうでしょうし、留学生の交換というものもある。これはいろいろと改革を加えにやならぬ面もありますが、いままた青年の交流できる場所をつくるということも一つの案でございましょうし、もう少しやはり青少年の交流というものは今後積極的にやっていく、若い者同士でお互いに理解し合うということは非常に大事なことだと考えております。力を入れていきたいと思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 国家公安委員長にちょっとお伺いします。  実は最近大変な社会不安が起こっております。それは爆弾によるテロであります。すでに新宿の交番の前のクリスマスツリーですか、あの事件以来、ずっと一連の不祥事件が起こっております。まあしかし、最近のああいうもの以外は、新宿からずっと何件かは警察の手によって犯人が逮捕されております。私は、日本で誇るべきものは警察と税務署だと、実は外国へ行ってよく言うんです。頼りないのはこれは日本の政治家だと、実は私自身も含めて、そういうふうなことを言って冗談を言うんですがね。冗談です、これは。私はちっともそう思っていないのです。がしかし、冗談でよく言うのです。それほど私は警察というものはしっかりしていると思います。しかし、このままほうっておいたら、これは大変な問題になる。警察は一体何をやっているのか。それと同時に、政治不在じゃないかという意見が出てきておる、これは。これについて私はやっぱりこの辺で新しい考え方を出して、それに対処する法律をつくるなり何なり、これは考えていくべきだと思う。それからテレビの協力によって犯人が逮捕されておる事実がたくさんあります。だから、この際あなたと郵政大臣、皆さんが協力なさって、NHKを初め、各民放にもお願いをして、いわゆる国会からお願いしてもいい、ひとつこういう凶悪犯罪というものはどういう手口でやられるのか、こういうものの性格は一体何なのかというふうなことを、もうその時間帯は全部一億国民に伝えるというふうな、こういう媒介体を使ってやるという方法、これをぜひひとつ考えてもらいたいが、ひとつ福田大臣と村上大臣にお聞かせ願いたい。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) 三菱の事件を初めといたしまして凶悪犯の事件が続発をいたしております。これについて警察といたしましては、その爆弾を見つけた場合の資材の問題であるとか、あるいはまた配備、人の問題であるとかということで全力を挙げてやっておりまするし、政府としても予備費を使ってまでそういう面において努力をいたしておるのでございますけれども、遺憾ながら今日まで犯人を逮捕することができませんでした。特に、ちょうどいまお話しになった三菱の犯人を逮捕するという問題で、こういう機器を使ったんだ、こういうバケツといいますか、かんを使ったんだからということでテレビでも放送をしてもらったりして、まあテレビ方面も非常に御協力を願っておったわけでありますが、そのときにまたこの間組の問題が出たということは、私は自分自身としても本当に残念でなりません。また、責任も感じておるものであります。しかし、非常に、どの事件を見ましても全部新しい手口をもってやっております。爆弾を隠す場所にいたしましても、使うものにしても、全部新しい。まことに私は知能犯的な犯罪であると思っておるのであります。したがいまして、今後どのような措置をとるべきかということについては、対策本部も警察庁の中へ設けて、いま一生懸命皆が努力いたしておりますので、日本の警察の権威を落とさないようにひとつ一層の努力を傾けたいと思うのでございます。  なお、その場合におきましては、テレビ等も大事でありますけれども、これは、国民の皆様に御協力を願うという意味合いにおいてテレビというものがまた意味があるのでありまして、みんなでこんな問題だけはひとつぜひ解決するように努力をしていただきたいと思っておるわけでございます。  それから、そういう場合に、不慮の災難に遇われた人がたくさんおいでになります。こういう人は、いままでにも無過失であって被害を受けたとか、傷害を受けたとかという人はたくさんいられますけれども、この爆弾事件ほど不慮の災難の最たるものはないと私は思うのであります。こういうことから考えてみますというと、これは、何かそういう方たちに対する温かい措置を考える必要があるのではないか。  同時に、また、警察としてこの問題を解決するに何か適当な法律的な措置があるかないかという問題も含めまして、実は、ただいま検討を続けておるところでございます。  御質問の趣旨を深く心に刻んで今後も一層努力をさしていただきたい、かように考えておる次第であります。

村上勇自由民主党郵政大臣

○国務大臣(村上勇君) 御指摘のとおり、各放送局、特にテレビジョン等によって、犯罪の捜査あるいは公共の福祉のために、非常に協力いたしておりますが、なお今後一層積極的に御協力申し上げるように指導してまいりたいと思います。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 玉置君の残余の質疑は、あす行うことといたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。  明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時六分散会

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