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75回国会参議院1975/03/05

予算委員会 第2号

発言数
520
登壇者
40
会派数
5
開催日
1975/03/05

会議録

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  理事の辞任及び補欠選任についてお諮りいたします。  渡辺武君から、都合により理事を辞任いたしたい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  補欠選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に加藤進君を指名いたします。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 昭和五十年度一般会計予算  昭和五十年度特別会計予算  昭和五十年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  理事会におきまして、三案に対し、総括質疑は本日から七日間とし、質疑総時間は千百五十五分とし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党それぞれ三百八十五分、公明党及び日本共産党それぞれ百四十分、民社党七十分、第二院クラブ三十五分とし、質疑順位につきましては、とりあえず、お手元に配付いたしました質疑通告表のとおりとすることに協議決定いたしました。  そのように取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、総予算審議のあり方につきまして、理事会におきまして活発な御意見の交換がございましたが、本年は、とりあえず総括質疑、公聴会、一般質疑に引き続きまして、総予算重点項目別総合審査といたしまして、社会福祉、不況下における中小企業対策及び地方財政の硬直化の三テーマで、三日間のめどで審議をいたすことにいたしておりますことを御報告いたします。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 次に、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  公聴会は来る三月十四日及び十五日の二日間開会することとし、公聴会の問題公述人の数及び選定等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  三案審査のため、本日、日本銀行総裁を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) それでは、これより総括質疑を行います。藤田進君。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いよいよ衆議院から送付されて参りまして、本日から三木内閣初の重要な施政、施策の中心である予算案を中心に審議するわけでございますが、私は、日本社会党を代表いたしまして、当面する諸問題並びに国政全般の総括の中で、まず第一に、三木内閣の政治姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。  なお、昨夜、同志同僚参議院議員である須原昭二君が病死いたしまして、悲しい中に私は総理にお伺いすることになります。同君の冥福を祈りつつ、同君の志を継いで、ひとつ総理もまた関係大臣も率直簡明にお答えをいただきたいと、かように思います。  さて、その第一点でございますが、三木総理は確かに長い戦前を通じての政党政治家であることは、みずからもこれを内外に表明されております。それだけに、ずっと過去を調べてみますと、三木さんの語録、三木語録といえば相当膨大なものがあるんですね。これは一々戦前から覚えていることも困難でしょうが、その骨となるものをずっと見ますと、かなり今日施政方針あるいは前国会における所信表明等で問題は総論的には出ているようには思います。しかし、どうも総理就任以後の取り組み、姿勢というものについては、これは自民党の中でもあるようでございますが、一般国民の中にも、幾らか後退しているのではないか、幾らかではない、これはもう全然、総論あって各論なしというような評さえなされております。  そこで、まず臨時国会、先回の七十四回国会における所信表明並びに今国会における施政方針演説、あるいは従来いろいろ主張されてきたこれらの所信について、今日実際政治を総理として預かる上において、寸分の狂いもなく今後に処していかれる所信に変わりはないかどうか、まずお伺いしておきたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 変わりはございません。

藤田進日本社会党

○藤田進君 そこで、保守合同以来のことを調べてみますと、まあ反対されましたが、その後賛成。石橋内閣では、これはいわゆる旧友と別れておられます。岸内閣を見ますと、これは岸内閣反対でしたが、入閣はされておる。池田内閣については入閣されておりましたが、これを離れ、佐藤さんのときにも、佐藤内閣では入閣され、これを離れ、田中内閣におきましても同様また閣外に去る。この辺を見ますと、見通しがなかったのかどうか、どうも疑点を持つわけであります。これを称して飛び乗りあるいら飛びおりの歴史と言われて論評はあるのでありますが、これらについて総理としてはどういう心境なり、そのとき具体的に必ずしも真意が表明されておりません。お伺いいたします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いかにも藤田さんのお話を聞くと、私が器用に飛び歩いておるようにおっしゃいますけれども、私はそんな器用な男ではないんですよ。自分の行動に対しては必ず原則を持っておる。その原則を踏み外したことはない。その原則というものは、思想的には自由民主主義の思想である。また、政治においては議会主義である。また、日本の対外政策においては平和主義である。これは三十八年間私は貫いてきた原則である。この原則を逸脱したことはないということでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 力強く御答弁がありましたが、昭和二十六年十月十五日の衆議院本会議における、当時吉田内閣、民主党代表として日米サンフランシスコ条約、平和条約並びに安全保障条約、その後一度改定されておりますが、このときの速記録を見ますと、要するに反対的立場、これを明確にしながら論陣を張り、吉田総理に迫っておられます。ことにその後半には、保安隊あるいは今日の自衛隊については再軍備だと。この「再軍備ということ、日本が再軍備を持つということは、八千万国民がだれ一人として喜んでいるものはない。けれども、日本が」というようにやっておられますが、これは変わりましたか。どうでしょう。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 藤田さんの御指摘があったようで、私速記録を読んでみたのです。この速記録は、恐らく民主党の最高委員か幹事長の時代で、民主党を代表してサンフランシスコ条約、これに対する質問演説をしたわけです。これは反対という立場よりも、やっぱり既成事実を押しつけてはいけない、国民の納得を得て、そしてこの条約が国民の心の中に定着する必要があるという趣旨で、国民の疑問を広範にとらえて私が質問をしておるわけです。いまこれを読んでみましても、少しもずれておるところはない。一言句も訂正をする必要はない。そういうことで、民主党は御承知のようにサンフランシスコ条約、安保条約にも賛成をしたわけです。その代表をして私が質問演説をしたわけでございますから、それは野党の時代でもある。国民の疑問に対して、野党の代表としていろんな国民の疑問を質問するということは、それは反対するからというわけではなくして、国会において国民の疑問を解明することが国会本来の職責である、こういう考え方でやったわけであります。

藤田進日本社会党

○藤田進君 これは今日、憲法第九条でも解釈論で戦力を持つようになっているし、その筆法のたぐいで、せっかくお持ちなら全文読んでいただけばいいけれども、これは時間もかかりますが、この中に明らかに、賛成質問でないことはもう各行を見てもわかります。時間があれば全部読みたいのですが、要するに、この中で三木総理は特に再軍備問題にも触れて、この再軍備には特に力を入れておいでになります。お持ちならば当時の速記録の八ページを読んで見ていただきたい。下から二段目の最後の方にあります。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 御指摘になったのは十二回の臨時国会、昭和二十六年の。その速記録をしまいまで読んでみたのですが、そういう個所は出てこないわけです。これは安保条約と平和条約、サンフランシスコ条約に対するきわめて広範な私は質問をしておるわけで、そういう点は出てきてないのですが、このときの演説と違うんでしょうか。——恐らくこれは再軍備、まあいま自衛隊というものは、軍という、軍備という言葉ももう使わないぐらいでありまして、この私の恐らく指摘したことば、本格的な昔の日本の、いわゆる軍国主義と言われておるような時代の膨大な軍備を持つということであって、いまの自衛隊を予定してここで私が言っておるのではないと。再び本格的な再軍備をすることは国民の望まないところであるということを言っておるので、私はいまでもそう思っておるわけでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 時間があればこれを読めばはっきりするわけですが、先ほどちょっと数行読みましたが、そうではないんです。この前後の質疑の要旨というものは、たとえば、八千万国民だれ一人として再軍備を喜ぶという者はいないと、日本が軍備を持つ。で、いまのお答えでは、かつてのいわゆる軍国主義時代の、敗戦前の軍備を持つということを私は言うとるんだと、こうおっしゃいますが、いまのは軍備ではございませんか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 恐らくそのときの私の演説は、まだ自衛隊もできないころですね。そうですね。だから、そういうときに、八千万の国民が、日本を再軍備するということは、私はやはり国民として希望しておるわけではないと。いまの自衛隊はいわゆる日本の最小限度の防衛力であって、これを再軍備したというふうには私は考えてはいないわけでございます。この考え方はいまも変わらないわけでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 じゃ、いまのは軍隊ではないんですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) われわれは、軍隊というと一般の軍隊、普通一般に言うと軍隊、普通一般の軍隊というものはやはり海外に出て戦争もしますし、そして戦争という手段にも訴えるわけでありますから、日本は——こんな憲法を持っておる国はないんですからね、戦争をしないという、日本の国策遂行の手段として戦争に訴えないというわけですから、こういうものを区別して、われわれは日本の現状を再軍備したというふうには考えていないわけでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 しかし、自衛隊賛成である従来の内閣としては、座して死滅を待つことなくということで、外からの侵略があった場合にはこれと戦う力が必要なんだと。いまの名称は自衛隊だが、しかし、そういう侵略行為があった場合に戦う力を持っているのが自衛隊じゃありませんか。戦う力はないんですか、あるんですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 日本の防衛のためには戦うわけですよ。しかしこれを、いまの日本の自衛隊を、私がここで言う再軍備なりと、そういうふうには私は考えないと、それは……。

藤田進日本社会党

○藤田進君 戦う力があるかないかです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) それはやはり戦わなければならない。戦わなければなりませんが、これからの防衛力というものは一国だけではやっぱり十分ではないわけですから、どこの国でも集団安全保障体制をとっておるですね、ヨーロッパにおいても。そういう点で、日米安保条約、こういうものによって日本の防衛を全うしていこうということで、日本の自衛隊も無論戦うわけでございます。  しかし私は、藤田さんの考えの中に、いまにもこら戦争というものを予定して、そうしていろいろお考えになっておるかもしれぬが、いまは、必要なことは戦争を防ぐということです。抑止力、核兵器時代における旧跡というものは戦争を防ぐということである。戦うということではなくして、防ぐということにやはり国防の重点がある。そういうことでないと、戦って、有事たらしめて、それに対してわれわれがやっていくということよりも、有事たらしめないために、自衛隊もその一つの役割りを果たすでしょうし、外交とかその他の努力によって有事たらしめない努力が必要であるというふうに考えております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いや、だから、戦うんだと、それは  一国ではなく、連合、たとえば安保条約のもとにおけるアメリカということもあり得るのでしょう。そこで、それは戦うんだと。しかし、その戦う力はそれはそれなりに持っているんですか、自衛隊は。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いま言っておるように、いまは単独で自分の国を守れる国はないんですよ。

藤田進日本社会党

○藤田進君 それはいい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) それだから、やっぱり集団安全保障体制が世界の大勢である、そういう形において戦争を抑止する力を日本は持っていると。また、侵略を受けたときには戦う力も持っておるでしょう。しかし、その戦う前に、やはり戦争を抑止する力を持っておるということにわれわれは重点を置いていきたいわけでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いろんな様相、事態はあるでしょうが、自衛隊としてはそれなりに戦う力を持っている、戦う力は持っているんだということは了解してよろしゅうございますね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いま私が言っておるのは、いま一国だけで戦うと言っても、それはやはり集団安全保障体制の一つの、自衛隊はその一翼としての、戦うだけの、戦う力というものは最小限度、戦うというか、まあ戦うという言葉は非常にこう、いろんなニュアンスは持ちますが、最小限度、日本を防衛するための必要な最小限度のものは、これはもう長期にわたってというわけにはいかぬでしょうけれども、持っているために、われわれとしては自衛隊というものを持っているわけでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 現在の自衛隊は戦力であるということは確認されたわけですが、そういたしますと、この昭和二十六年当時の再軍備、これはかつてのいわゆる軍国主義的な時代におけるということだとおっしゃるが、そうはこれは読み取れませんが、仮にそうだとしても、しからばいまの自衛隊、これは現状、四次防あるいはポスト四次防、いろいろ言われておりますが、その点は、まだまだあなたのお考えでは、これを増強し戦力を増強していくということについてどの程度であるのか、お答えをいただきたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 自衛隊というものの限度はここだということは言い切れない。そのときの国際的ないわゆる客観情勢とか、科学技術の進歩とか、いろいろな条件がありますから、これだけが限度でございますと言うことは困難であって、これはあんまり国の防衛というものを単に防衛力だけで狭く見えることはいけない。それにはやっぱり外交の努力もあるし、いろいろ総合的に国の防衛力を見ることが必要だというふうに思えますから、日本の防衛力のこれがもう一番適切な規模だというようなことは、私はそういうことは言えないと思います。

藤田進日本社会党

○藤田進君 じゃ、そうなりますと、戦前をしのぐ戦力保持も時代の要請、四囲の情勢、客観情勢からはこれまたやむなしと、こうなってくるんじゃありませんか、これはもうとどめを知らない……。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 日本は戦争をしないということなんですからね。戦前は戦争をしたんですからね。日本はもう再び戦争はしないという、ああいう世界に類例のない憲法を持っておるわけですから、それはもう戦前のそういうふうな防衛力と今日持っておる防衛力とはもう質が違う。戦争のためではない。

藤田進日本社会党

○藤田進君 一般論として戦争をしないということであれば、自衛隊はこれは必要がない、戦力を持つ必要がないんですね。しかし、どうしても領土、領空、領海、今度は十二海里あるいは二百海里、だんだんと……。戦前だって、あなたはどう規定していますか、第二次大戦、侵略戦争だと規定されてきた。しかし、あなたはこれをどう思いますか。侵略戦争と規定している、諸外国は。だんだんと防衛は先制攻撃が唯一の、やはり優先していくんじゃないでしょうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) とにかく日本は戦争をしないということの決意をした国でありますから、先制攻撃といって、防御するためには攻撃せにゃならぬと、そういうふうな、そういう考え方ではないわけですからね、日本の防衛力というものは。それを、それならば藤田さんは要らぬとおっしゃるのです。それはわれわれの見解の違うところです。

藤田進日本社会党

○藤田進君 なぜ必要か。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) やはり日本は、これだけの一つの世界においても大きな地位を持っているわけですね。それがもうあなたの言われるように、全然防衛力を日本が持たないで、真空状態に置くことが、これは日本の平和を維持するために、あなたはそれがいいと言われるわけですね。しかし、あなたのような説をとっておる国は世界にどこにもないわけですね。世界の常識は、何となしにやっぱり不安である、ある程度の防衛力は持とうということが今日の世界の常識ですからね。日本はその常識を打ち破って、ひとりだけやりゃいいじゃないかということも、それは一つのお考えでしょうけれども、われわれは国の防衛ということにそんな冒険はとらないのだ、やはり常識的に考えて、ある程度の防衛力は持っておるという、この世界の常識に従いたい。それは日本が先に進んで、何も防衛力を持たぬという、いかにも先駆者的な意義はあるかもしれぬが、この一億の国民に対して冒険はすることはできないんです。日本の安全というものに対して一番大きな政治的責任を持っておる、われわれ政府を持っておる者としては、これらに対して、世界にどこにも類例のない、こういうことを一億の国民に対して冒険をすることはできない、やはり世界の常識に従って、ある程度の防衛力は、最小限度の防衛力は持つ。それだけではもうだめなんですから、今日は。集団安全保障の時代ですからね。そういう点で、それを補うものとして日米安保条約がある、こういうことによって日本の安全を守りたい。その安全は、戦って日本が守るというのでなくして、戦争を防ぐというところに、日本の今日の防衛力というものの本当のねらいはそこにあるということだと考えております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 問題がかなり多数、新しく三木内閣で出てきました。  その一つは、自衛隊は、これは戦力を認めながらも、この最小限度というものはその時代によって決まることだし、したがって、兵器その他の進歩も加えて、これは戦前をしのぐかもしれないが、これまたやむなしと、こうあなたは言われていることのように思うです。これが第一点です。  それから第二は、とにかく世界に軍備を持たないところはどこもないのだから——ちょっと待てよ法制局長官。総理に聞いてもらわなければ困るよ、それは。総理。したがって、世界の常識でこれは持たなきゃならぬと、こういうことでは、この莫大な四次防に至るまで国民の血税を使って、これじゃ国民はたまりませんよ。世界のどこにもないとおっしゃるけれども、世界のどこに日本のような平和憲法——あなた自身がこの質疑で触れているように、日本は戦争という大きな洗礼を受け、敗戦、そうして一億−当時八千万とあなたか言われておりますが、八千万国民は、これからはもう平和国家でいくんだと、憲法もそうなっている。平和主義、文化国家の建設だと、一切を切りかえていった。そういう反省から、憲法第九条は、戦力は保持しないと書いてある。そうでしょう。あなたは戦力であると認めながらこれを保持するんだ。世界にそういう憲法がありますか。日本のような憲法はないんですよ、第一。日本はそこから出発点が違う。戦力は持たない。持たないんですよ。あなたは持つことを肯定されておる、自衛隊の戦力をこれを認めた上でね。  以上のことについては、もう同じことを繰り返しても仕方がありませんが、今後、第三点は、いまのような調子なら、この衆議院における反対質問に対して、再軍備を論じたのは戦前のようなと言われるが、戦前までいくことはあなた自身が肯定しておることになるじゃありませんか。これは世界情勢、隣国その他の軍備の事情とか、国際情勢とか、これによって非常に違うんだと、こういう理論の展開であり、基本的態度であるとすれば、さあ、戦争が始まる、戦争をしないと言ったって、あなた、攻めてくれば戦うんだと、その力は持っておるんだと、こう言うんでしょう。戦争をしないならそれは軍備は要らない。そこで、そうなってくると、どんどんと臨時軍事費臨時軍事費で、かつて軍備優先になってきた、そういうことをあなたは肯定したこれは論理なんですか、どうなんですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) どうしてそういうふうにお考えになりますかね。再軍備というふうなことをだれも国民は望んでないということは、これはおわかりでしょう。そうなってくると、日本はここでやはり最小限度の防衛力——私は戦力という言葉は一つも使ってない。防衛力を持つということが、どうして無制限に軍備を拡大していくんでしょうか、最小限度の防衛力を持つということが。だから、それは日本が再び戦争という手段に訴えないんですから、そんな膨大な軍備を持つ必要はないんですから、日本は。

藤田進日本社会党

○藤田進君 どれだけ持つの。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) だから、それは最小限度ということで、そのときどきとして最小限度の防衛力ということで、世界のいろいろな規模から見ても、日本はそんなに国力からいえば大きいものではない。だから、できるだけ軍備は最小限度に抑えていきたいということでございます。だから、昔のような状態になるということは私は考えられない。しかも、いま言ったような、世界の常識だからというのは、やはりそういう真空状態に置くことが日本の安全のためにいいとわれわれは思ってないわけだ。藤田さんはそのほうがいいとおっしゃるわけだ。だけれども、世界から見ても、あなたのような説に従って国の防衛というものを考えておる国は、ほとんど有力な国ではないですわね。

藤田進日本社会党

○藤田進君 憲法を持っておるのもないでしょう。ありますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いや、これが世界の常識だというところは、そういう点からも引いたわけでございます。だから、これだけの憲法を持っておる日本が、むやみに昔のような軍備をどうして持てるんでしょうか。持つわけにはいきませんよ。国民が許すわけがない。最小限度の防衛力、それを補うものとして日米安保条約と、こういうことですから、そんなにむやみに日本の軍備が増大していくということはあり得ないことである、われわれはそういう考えは持っていないわけです。きわめて最小の限度にとどめたいということでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 日本のような再軍備、戦力を保持しないという憲法を持っておる国はないんでしょう、あなたが言われる。その点はどうなんですか。ほかにもあって、しかも憲法、禁止していても再軍備しているというんじゃない。だとすれば、これはもういまの四次防で、その後の増強は必要ないんですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) やはりむやみに防衛力を拡大するということは考えていないわけですから、そのときの情勢によって……

藤田進日本社会党

○藤田進君 四次防でいいんですよ。いまの情勢ですよ。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 四次防、これは将来の問題として、四次防の次には五次防があり、六次防もある、こういう言い方というものはやっぱり検討を要する必要があると思いますが、そんなにむやみに、いまの四次防の規模がにわかに一遍に拡大するというようなことは、そういう防衛力は考えていないということでございます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 関連。  ただいまの総理の見解は、四十七年十一月に出されております政府の統一見解、戦力に関する統一見解を解釈を変えるものだという疑義が生じます。したがって、その四十七年十一月政府統一見解を下敷きにして、ひとつ新内閣としての総理の見解を確かめておきたいと思います。で、具体的に二点にしぼって伺いたいと思いますけれども、ただいまの論争の中から。  第一点は、前の田中内閣、田中総理は——まず諸外国との比較をいま総理は言われましたけれども、今日世界的に承認されているデータに従っての防衛費のランキングで申しますと、第一位はアメリカに発して、アメリカ、ソビエト、中国、このビッグスリーのあとにドイツ、イギリス、フランス、イタリー、日本は第八位ということになっております。これが今日の第四次防衛力整備計画の累進的な防衛費増強ということの中で言います——いまは第四年次に入るわけでありますが、第五年次終了年次には少なくともフランスを抜いてドイツと伍する、ひょっとするとドイツを抜く——NATO体制がありますから。こういう計算に軍事費の上ではなるわけであります。したがって、第一点は、これまでの見解ではドイツ、イギリス、フランス、イタリーの軍隊を、軍隊すなわち戦力として認めておられるわけであります。そして、軍事費においてそれを凌駕することになる日本の防衛費というものを持つ軍事力を、戦力を、一体それに比べて、軍事力、戦力と言わない理由は何であるのか。言わないとおっしゃるのであれば、それの区分をどのように見られるのか。これは決して防衛のためということではないわけでありまして、性能も同じ、たとえばファントムを持つわけでありますから、そういう意味では、戦力と言わないということがどういう論拠に基づくのかということを明確にしていただかなければなりません。攻めることはしないので守るだけだということは全然兵器論としては通用いたしませんので、そこをひとつお願いいたしたい。  それから、総理の先ほどのお話の中で、日本がどのように増強してもそれだけでは守り得る状態ではないんだ、これはまさにそのとおりでありまして、このことは第一点とは違ってくるわけですが、意見は。しかし、そういう論点に立つならば、今日キッシンジャー構想等々から言われております限りでも、日本とアメリカの間に持たれている日米安保条約の軍事的側面というものは大きく変貌をいたしております。これは自民党外交自身の中でも、あるいはキッシンジャーの表現をかりても、単に軍事面ではなくて経済協力論が強調され  ているということは御存じのとおりであり、三木内閣もその方向を強調されているとわれわれは理解をしつつあるのでありますけれども、ならば、軍事的側面において日米安保条約を、日本の防衛力としての戦力を補強するものとして見るのではなくて、その面は薄らいだものとしての世界的潮流の中で、日本の軍事力は安保を見ながら変えて  いかなければならない。しからば、いま御指摘にもなっておりましたけれども、四次防から五次防へというところで総理も言われましたように、単に全く順序そのとおりで四次防から五次防へと増強するものではないと言われるならば、いまこそ全般的な財政運営の観点からしても四次防をもってピークと考える、少なくとも五次防に向かって増強の方向はとらないということを明言なさることが正しい方向ではないかと思うのであります。そうでなければ、今日までの政府統一見解と非常に背馳する見解ということになるわけでありまして、その論をいま二点申し上げましたけれども、明快にお答えをいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は戦力という言葉は一遍も使ってないわけです。それは戦力というものは保持しないということでありますから、そういう点で戦力ということは使ってないわけであります。日本は最小限度の防衛力ということであって、それを戦力とは政府は考えていないわけでございます。  それからまた、日米安保条約、これはもう軍事面だけが安保条約安保条約と言われますが、上田さん御承知のように、日米相互協力と安全保障の条約ですから、これがやっぱりだんだんと日米協力という中にもウェートが置かれてきて、両方が均衡のとれた、日米のいわゆる相互協力と安全保障条約というふうな考え方に日米両国ともなりつつあることは均衡のとれた考え方だと思っております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 貴重な時間をかけて、攻めてきたら戦うのだと、いや戦うのに力があるのか、それは戦う力があるのだ、それじゃ戦う力があるということは、戦うんだ、戦うには力があるのだ、それじゃ戦力じゃないかということを確認していったんですよ。それを、そんなこと言っていないというなら、速記録を調べてください。こんなもう、まだ二、三分しないうちに物が変わるようじゃ困る。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) それは戦力とは言わないのだ、自衛力と言っておるわけなんで、戦力とは言わないのである。戦力は持たないということですから、そう言っておるわけですから、あなたの質問に答えても、戦力を持つというふうには言ってないわけでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 じゃ、戦うか、戦うんだと、力があるか、それは力があるのだと、それは認めますか——認めたんだ。あなたが発言したんだ。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 力は、やはりそういう防衛するための力は、これはあるわけですから、そうして防衛をしなければならぬわけですから、その力はあるわけです。それを戦力とはわれわれ政府は考えていないということです。

藤田進日本社会党

○藤田進君 戦う力があるということを、要するに日本語は戦力だというんですよ。どうなんですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) われわれはこれを戦力と言わない、考えないのだということでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 それじゃ戦う力はあるんですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 防衛力はあるわけですから。それでそれを戦力とはわれわれは考えていない。

藤田進日本社会党

○藤田進君 戦う力があるのかと聞いているのです、イエスかノーか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いや、戦う力はあるわけですが、それを戦力とは言わないのだということです。

藤田進日本社会党

○藤田進君 それじゃ、戦う力はあるんだが、それを戦力と言わないで何と言うんですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 防衛力と言うわけです。防衛力と言う。(笑声)

藤田進日本社会党

○藤田進君 防衛の戦う力ですか。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ちょっと聞こえにくいようです、もう一度。

藤田進日本社会党

○藤田進君 防衛するために戦う力があるのかと、こう言っている。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 何か藤田さん、戦力戦力と私に言わそうとしておるのですが、そういうふうな戦力という言葉の中にはいろんな意義もありましょうから、防衛力は戦う力があるということでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 上田質問の答弁が落ちていますよ。二点あったです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) まだありますか、上田さん。お答えしたが……。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 西独とかフランスというのは、もっと広域的な、軍隊は力を持っているんじゃないですか、広域的な範囲で。日本はもう防衛のためばかりですからね。フランスや西独の防衛力と日本とは非常に差があると思います。違いがある、質的に違いがあるということで、また、防衛力の将来については十分にこれは検討をいたす考えでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 これじゃ、四次防についての答弁がまだないんです。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。

藤田進日本社会党

○藤田進君 まず、総理がそうあいまいもことして、いや戦うんだと、戦うためには力があるのか、戦う力がありますと。戦う力ということが戦力なんです。しかし、自分は戦力とこれを言わないという、そういうことが——文部大臣もここにいるんだが、日本のあなた小学校でも通用しますかね、それが。  文部大臣、戦う力というのは戦力というのと違うのか、ちょっと文部大臣、戦う力というのを戦力とぼくらは習ってきたんだが、どうなんです、いま。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 戦うという意味の中には、また日本のような場合は特殊なんですね、防衛というものばかりですからね。戦うということの戦力ということになれば、これはもう非常に日本の憲法の精神とは違ってきますね、その戦うということは。そういうことで、われわれは、そういうなぜかまぎらわしい言葉を使わないで、やっぱり防衛力と、こう言っておるんでして、やっぱり戦うということになれば非常にいろんな点でその意味の解釈というものが広がってきますから、防衛力ということで終始政府は変わらないわけでございますから、それはそのように御理解を願います。

藤田進日本社会党

○藤田進君 文部大臣、戦う力ということを戦力とぼくらは習ったんだが。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) ただいまの御質問の点は、非常にわが国の将来を考える上で重要な御質問であると考えます。そこで、一般に戦力という場合には、防衛並びに攻撃を含むのが通常であります。しかしながら、わが国の場合に防御の問題を考える。しかし、文部省でこれをどういうふうに扱っているかと申しますと、その点が重要であります。日本国憲法がありまして、日本国憲法の前文にもきわめて明瞭にわが国の目標を、理想を定めているわけであります。しかしながら、世界情勢の変化の中で、わが国に自衛隊ができたと、そこで、これを学校で指導するときにはどうすべきか。その場合には、わが国が憲法前文に示しているように、平和主義の立場に立っている。その場合にいろいろな見解というものがあって、やはりどうしても自衛力というものを持たなければならないという立場がある。しかしながら、これに対して反対する立場がある。それを高等学校の学年から慎重に考えて、そうして終局的には平和理想を達成するように人々をして考えせしめると、こういうふうに文部省は指導をいたしております。しかしながら、その問題を単純に割り切って、平和主義の原則を否定するようなことになってはいけませんから、小学校並びに中学校の段階におきましては、まず精神あるいは理想というものを示す。ですから、現実問題の話の仕方は高等学校の学年から進めますが、その段階においても、憲法の理想というものと現実の問題との関連というものを決して見過ごさないようにという考えでいるわけであります。

藤田進日本社会党

○藤田進君 それじゃ、中学の試験問題で「戦力」というのを訳せといったら、「戦う力」というんじゃ、これはもう合格点になりませんか。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) 私は、中学の試験問題、いままでのを調べておりませんけれども、これは詳細に調べる必要がありますが、そういう形の定義をやるような問題ではなく、一般にわが国で問題が出ますときには、憲法との関連において問うというふうに指導しているのが普通であります。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いや、だからゼロ点ですか、それは。いまのように——いや、答えなさいよ。「戦力」という問題が出て、戦力、それを訳したときに「戦う力」と、こう答案を書いたときには、これはだめなんですか。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) お答え申し上げているつもりでありますが、御理解願いたいことは、わが国は非常に苦しい国民の経験に基づいて、そして明確な憲法を定めているわけであります。したがって、世界のどこの国でも聞いているような単純な仕方で何が戦力かというふうな問題を出すことが妥当ではなく、わが国の場合には、国の理想との関連においてどう考えるべきか、特にこれを高等学校段階から考えるようにということがわれわれの指導の方針でありまして、一つの言葉をとらえて、イギリスでもアメリカでも、あるいはヨーロッパでも日本でも出すというような形の問いは恐らくいままで出ていないというふうに思いますが、しかし、これは調査をいたします。

藤田進日本社会党

○藤田進君 じゃ指導要領で、「戦力」という単純な質問、この試験問題を出してはいかぬと、いつ指示したんですか。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) 指導要領で「戦力」という単純な問題を出していけないと指導したと申上げてはいないのです。そうではなくて、わが国において戦力の問題を考えますときには、憲法の平和主義の原則との関連において考えなければいけないというふうに指導しているというふうに申し上げております。それは高等学校の段階から具体的に考えるというふうに指導しているというふうに申し上げております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 まあ、国民も聞いておられるように、あいまいもことして、これは小学校段階の問題ですが、これじゃまあ文部大臣、困ったものだと思うですよ。憲法の九条で平和主義で防衛がどうだ、そんなことはまだまだ不徹底な段階における日本の国語としての問題これを聞いているんですよ。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) 統一見解、こうなっているんです。「戦力とは、広く考えますと、文字どおり、戦う力ということでございます。そのようなことばの意味だけから申せば、一切の実力組織が戦力に当たるといってよいでございましょうが、憲法第九条第二項が保持を禁じている戦力は、右のようなことばの意味どおりの戦力のうちでも、自衛のための必要最小限度を越えるものでございます。それ以下の実力の保持は、同条項によって禁じられてはいないということでございまして、この見解は、年来政府のとっているところでございます。」ということにございますから、ただいまるる総理大臣がお答えになったとおりだと私は思うのでございます。  また、ポスト四次防の問題についての御質問でございますが、御承知のように、いま四次防達成というものが、このインフレ状況下におきましてなかなかむずかしい状況にございます。したがいまして、まずこれを達成するということに努力をいたしておりますし、ポスト四次防につきましてどうするかということについて、慎重に私どもは検討をいたしておる次第でございます。(「統一見解の後半が読んでない」と呼ぶ者あり)

藤田進日本社会党

○藤田進君 統一見解の後半も聞きたい、そうなりゃ。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) ただいま申し上げましたとおりでございまして(「法制局長官、後半の部分があるでしょう」と呼ぶ者あり)——法制局長官、いいですか。

吉國一郎内閣法制局長官

○政府委員(吉國一郎君) 昭和四十七年の十一月十三日に上田委員の御質問にお答えいたしまして、戦力について統一見解を申し上げたことがございます。ただいま防衛庁長官が読み上げられましたものが、その当時の戦力についての統一見解でございまして、重ねて近代戦争遂行能力と自衛のため必要最小限度を越える実力というものについての御質疑がございまして、これは昭和二十九年の十一月に吉田内閣当時において統一見解と新聞において報道されたものとがございますが、それを引用されて御質問がございました。  そこでは、「戦力とは近代戦争遂行に役立つ程度の装備編制を備えるものという定義の問題について申し上げます。」と、「吉田内閣当時における国会答弁では、戦力の定義といたしまして、近代戦争遂行能力あるいは近代戦争を遂行するに足りる装備編制を備えるものという趣旨のことばを使って説明をいたしておりますが、これは、近代戦争あるいは近代戦と申しますか、そういうようなものは、現代における戦争の攻守両面にわたりまして最新の兵器及びあらゆる手段方法を用いまして遂行される戦争、そういうものを指称するものであると解しました上で、近代戦争遂行能力とは右のような戦争を独自で遂行することができる総体としての実力をいうものと解したものと考えられます。近代戦争遂行能力という趣旨の答弁は、第十二回国会において初めて行なわれて以来第四次吉田内閣まで、言い回しやことばづかいは多少異なっておりますけれども、同じような趣旨で行なわれております」。  「ところで、政府は、昭和二十九年十二月以来は、憲法第九条第二項の戦力の定義といたしまして、自衛のため必要な最小限度を越えるものという先ほどの趣旨の答弁を申し上げて、近代戦争遂行能力という言い方をやめております。それは次のような理由によるものでございます。」——以下その理由を述べたつもりでございます。  第一から第三までいろんな理由を述べまして、このような考え方で定義をしてまいったわけでございますが、「それでは、現時点において、戦力とは近代戦争遂行能力であると定義することは間違いなのかどうかということに相なりますと、」——これは現在でも私の考えは変わっておりませんが、「政府といたしましては、先ほども申し上げましたように、昭和二十九年十二月以来、戦力の定義といたしましてそのようなことばを用いておりませんので、それが今日どういう意味で用いられるかということを、まず定めなければ、その是非を判定する立場にはございません。しかし、近代戦争遂行能力ということばについて申し上げれば、戦力の字義から言えば、文字の意味だけから申すならば、近代戦争を遂行する能力というものも戦力の一つの定義ではあると思います。結局、先ほど政府は昭和二十九年十二月より前に近代戦争遂行能力ということばを用いました意味を申し上げたわけでございますが、そのような意味でありますならば、言い回し方は違うといたしましても、一がいに間違いであるということはないと存じます。」、こういうことを予算委員会において申し上げまして、その後の内閣委員会においてもそのとおりのことを申し上げました。  先ほど、総理の答弁の中で、戦う力云々ということについての藤田委員との間で質疑のやりとりがございましたけれども、総理の答弁の趣旨は……

藤田進日本社会党

○藤田進君 それはあなたじゃわからぬじゃないか。

吉國一郎内閣法制局長官

○政府委員(吉國一郎君) これは、いつも総理に憲法の問題についてお話を申しておるわけでございますが、憲法第九条で「戦力」という言葉、特に「憲法第九条第二項が保持を禁じている戦力」という言葉は、いま申し上げたような、自衛のための必要最小限度を越える実力、あるいは昭和二十九年当時においては、近代戦争遂行能力、最新の兵器を用いて現代の戦争を完全に遂行する能力でございますと、したがって、自衛隊の持っておるような実力はこれは憲法の禁じておる戦力ではございません、戦力という言葉を使うことは妥当ではございません、ということを申しております。内閣委員会等においても、自衛隊が持っておる実力も憲法の禁じている限界以下において戦力と呼んでもいいではないかという御議論があったことは事実でございます。しかし、あくまで憲法では戦力の保持を禁じておるわけでございまして、自衛隊の持つ実力は憲法のその保持を禁じている戦力でないということで貫いておるつもりでございます。(発言する者あり)その趣旨を総理も踏まえて……

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 不規則発言は慎んでください。

吉國一郎内閣法制局長官

○政府委員(吉國一郎君) 戦力は持っていないということを何回も言われたわけでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いま総理の発言は、これは内閣総理大臣就任前後を通じて、当時とは違っているので、総理の場合は、二十六年十月十五日の衆議院の演説、その後の態度、たとえば昭和三十五年の安保改定のときの衆議院の本会議においても、安保を批判して、これは投票しないで、あなた欠席戦術をとってきたんです。どうなんですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 昭和三十五年の安保改定のときに私は退席をしたことは事実でございます。それは安保条約に反対のための退席ではないわけであります。それは藤田さんもごらんになれば、そのときの各紙において、私の理由を記者会見をして明らかにしておる。なぜ退席をしたかというと、あの場合には、五十日の会期を延長をして、そして一気に安保条約の改定を可決をしたという、しようというような、そういうやり方は議会政治のルールに反するのではないか、だから、安保条約には賛成だけれども、そういう手続というものは議会政治のルールからして私はこれには賛成できないと、それに抗議するために退席したということは、各紙に全部記者会見をして——一時半でしたか、全部申し上げたので、反対のための退席ではない。議会政治はやはり手続が大事ですからね。そういう意味で、そのやり方に対して抗議をするために退席をしたということでございまして、安保条約改定そのものの反対の退席ではないということでございます。各紙がこれを私の記者会見で明らかにしておるところでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 そのように、手続よりも安保の方が軽いということは当時評価したのです。三木さんが安保に熱心でないということは、これまた評価している。  それから昭和四十三年の十一月、沖繩基地の本土並みの返還その他三木氏六項目の公約表明、これは覚えておられるでしょう。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は、昭和四十三年ですか、沖繩の返還の問題が非常に日程に上ってきたときに、核抜き本土並みで返還されなけりゃならぬと主張をいたしたわけでございます。しかし、そのときには佐藤首相は私を批判をしたことがあったわけですけれども、結局は、核抜き本土並みで返還が事現されたわけであって、自分の主張は私自身は少しも変わってはいない、私の言っておるとおりに核抜き本土並みで沖繩が返還をされたと、変わったのは私ではないんだということでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 これは、沖繩に核が現在抜かれているかどうかについては、多くの疑問がすでに衆議院段階でも提起されております。しかし、当時の内容、それから各党の主張から見て、沖繩基地の本土並みという中身は、核抜きであるし、基地についての本土並み、広大な基地を沖繩に保有することではなくて、これはやはり本土並み基地も含まれている。核さえ抜けば基地はあのままでいいんだということにはなっていない。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) その本土並みということは、基地というものに対して、これを制限を加えたというよりかは、その基地の機能が本土並み、いろんな安保条約の適用その他が本土並みの基地ではなくてはならぬということを言ったわけで、具体的な基地の問題というのは私がそこで言えるわけの性質のものではない。その基地というものが沖繩だけは特別の基地であるということではいけない、本土並みの基地でなければならない、こういうことを言ったわけでございまして、何かこう、私が変わったと。私は最初に申したように、終始一貫、私の考え方は長い政治生活を通じて変わってはいない、大きな問題については変わってはいないということを繰り返して申し上げておきます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 しかし、防衛庁長官その他に基地の縮小の指示をしたのじゃありませんか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 基地というものは、これは絶対にこれだけの基地の面積でなければならぬというわけではないわけで、絶えず基地というものは検討しなければならぬ。もうこの基地は永久のものだということではなくして、いろんなそのときの情勢に応じて基地は絶えず検討すべきものであって、沖繩においてもそういうことを、私が命じたということはございませんけれども、やはり基地はいろいろ絶えず検討することが沖繩においても当然だと考えております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 過去の主張等、記録が全部ここにありますが、時間の都合で読み上げませんが、核抜きのみならず、基地も含めて本土並み返還という趣旨にこれは貫かれております。ほか五項目ある。それば変わっていないということだから、言うこととやっていること、また今日言うことがずいぶんこれは食い違いが出てきております。しかし基地の縮小については、私は年来の主張というものを総理になって、できるだけこれを実現しようという姿勢から出てきたんだと思い込んでいたが、それほど当時、四十三年十一月二十日ですが、当時の思想はそれほどでもなかったということで、かなり一貫性はないように評価せざるを得ません。  さらに政治資金規正法、これなども、たとえば企業からの献金はもらうべきでない、個人に限定すべきだと、こうあなたは従来主張されてきた。間違いありませんか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は、企業献金は善悪ということではなくして、やはり政党というものが、信条とか政策、それを同じくした人たちの同志的結集体であるし、それに共鳴する人たちがやはり資金も出すということが本来のものだと思うわけでございます。だから、理想としては、やはり党費とか個人の寄付によって政党は賄うことが理想的だと私は考えておりますし、そのために自民党に対しても、私は三年以内と前に言っておったのですが、それを五年ということになりましたけれども、自民党は党議で、党の経常費については五年以内に企業献金をみずから辞退する、こういう党議の決定を行ったわけで、私の三年と言ったのが五年ということの、そういう妥協はあるけれども、私の原則が大きく曲げられておるとは私は思わない。私の言うことがすべてそのまま通るとは言いませんが、しかし、妥協には限界があるということである。これはやはり原則は曲げない。しかし、その方法論については妥協はあり得るということでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 その辺がまたどうも心配になってきたわけで、あなたは本院本会議においても公式にその所信を表明して、自分としてはやれないことは言わない、言ったことはこれをやりますと。これを覚えていますか。今日間違いありませんか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) そこで、私が言っても、少しも変わらぬ、私の言ったとおりということは、いろいろな考え方の人がおりますが、私は考えておる原則というものは曲げない。こういうことで、それは藤田さんも御理解願いたい。私の言うことが一言半句違っちゃいけないとか、そういうふうには私は考えていない。しかし、私の考えておる原則というものは、これは貫かなければならぬ。これはやっぱり私の世間に対して言ったことに対して、私の責任だと考えておる次第でございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 やれないことは言わない、言ったことはやるという、口ぐせのような、座右銘のようなことが公式に表現されたが、これは全くあいまいですね。それは原則だ、例外もあるだろうし、ということになってしまう。具体的には、やれないことは言わないということは、言った以上はやるんだとも、あなたみずから反論しているんですからね、この記録を見ると。しかし、実際にはそれがなし得ていないのだが、少なくとも政治資金については三年が五年の違いだとおっしゃるが、どうなんですか。五年後にもう一遍検討する。五年後でもう企業からの献金はもらってはならないと規制する、こういう条文ではなくて、五年後に一遍どうするかを検討しよう、こういうものが出てくるのじゃないですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 自民党が党議で、みずから辞退をする、法律でどうということではない、みずからの意思によって、五年以内には党の経常費については企業献金を辞退するという党議の決定を行ったわけでございますから、したがって、この党議の決定というものは自民党を拘束することは言うまでもございません。

藤田進日本社会党

○藤田進君 総裁、総理として、そうであれば障害はない。だから、政府提出の政治資金規正法の改正案には、三年あるいは五年にはこれを打ち切るんだという明確な条文で出てきますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 法律はこれからですから、検討しておりますが、しかし、自民党という政党が党議において決定をした。法律でするとかしないとかいう前に、自民党が党議で決定をした。この意思を国民の前に明らかにしたということは、これは藤田さんも御信用願わなければならないと思います。

藤田進日本社会党

○藤田進君 法律で出ますか、いまのとおり。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 法律はこれから検討ですが、われわれは法律の前に党議で決定したのです、自民党は。

藤田進日本社会党

○藤田進君 時期を言っている。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 法律の中には、こういうものが五年後に検討とかそういうふうなことになる——そういうことになるのじゃないかと思いますが、しかし、それは党議で政党がきめたということをやっぱり信用されないと、みな何もかも法律できめてしまえ、法律できめることも方法でしょうけれども、やはり政党が党議でそういうことをきめたということに対しては、これは全然政党がきめたことは意味がないんだというふうには私は考えていないわけであります。

藤田進日本社会党

○藤田進君 再度お伺いしますが、自民党がそうきめたのであるから、何らの障害もないのだから、これは総理の持論である、企業からはもらわないという、それが信念だ。それを約束してきた。言った以上はやるんだという姿勢もある。障害がなくなったのだから、法文で内閣提出の政治資金規正法のその条項は、五年かあるいは即刻か議論はあるけれども、少なくとも総理としては、自民党に障害がなくなったのだから、法律では五年後あるいは三年、もう三年後でもいいのじゃないかと思いますが、これはもらわないんだ、もらってはならないんだ、これは法人からはだめだということもこの間発表されておる。だとすれば、企業からももらわないんだという規定をしても何ら障害はない。だから、これを出すべきじゃありませんか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は、党議の決定でこの問題を処理しようと考えております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 その党議があなたとはかなり姿勢が違うから、あなたはいままでなら、それは田中内閣であろうと、その前のずっと内閣飛び乗り飛びおりの姿勢で、おれはやめたと、反りが合わぬというようなことで。だから、今度は党の体質とあなたの考え方はかなり違う点が出てきているのじゃないでしょうか。独禁法でもそうじゃありませんが、これは。しかし、それは党議だからおれ一は仕方ないんだと。そこにあなたは大きな矛盾を感じなきゃ、これはうそなんだ、良心があればね、じゃ、おれは内閣総理大臣をやめるとか。いままでならやめてきたんですから、これはね。その辺はどう考えますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) どうしてですかね、自民党が五年以内に企業献金を辞退するという党議の決定を行ったということで、これはやはり私の主張というものが生かされておると私は信じております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 あなた御自身はかねての持論だし、自民党も決めたことだし、もう即刻企業からの献金はこれは当然やめるべきだと思うのです。それはそのように実行いたしますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは五年ということを自民党が決めたわけです。個人の場合はもっと時間を早められると思います。党としては五ヵ年と言っている。個人の場合はもう少し、いますぐというわけにはいかぬが、時間をできるだけ短縮することは可能であるし、努力をしなければならぬと、こう考えております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いや個人一般ではなくて、総理自身がそこまで言ったのだから、みずからもう企業からはもらわないとここで言明しなきゃ、うそじゃないですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 党に対しては五年という年限を切った。だから五年という年限を切らないで短縮をしようと私は思っている。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いつからですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) できるだけそういう態勢にしたいと思っておりますが、いつからという約束はいたしません。しかし、党が五年という、五年というのじゃなくして、私自身の場合はもっとその時間を短縮したいと思っておるが、何年かということは、これはやはりいろいろな客観情勢等も見なければなりませんから、いまここでは約束はいたしません。

藤田進日本社会党

○藤田進君 ということは、その間はもらうと、こういうことですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 企業献金というものが善悪とかなんとか、そういう考えではないのです。しかし、やっぱり自民党が、みずからの自分の党の経常費は党費と個人の寄付で賄うことが私は理想だと思うからそうやるわけでありまして、そういう意味で、できるだけ個人の場合も、私自身の場合はそういう方向に近づけたいと思っておりますが、その期間はいつまでということは、先ほど申しておるようにこれは約束はいたしません。

藤田進日本社会党

○藤田進君 だから、その間もらうのかと言っておるのです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 節度のある——今度の政治資金規正法でその問題に触れることになっておりますからね、政治資金規正法の改正、その新しい政治資金規正法の制度に従っていきたいと思っています。

藤田進日本社会党

○藤田進君 とすれば、あなたは企業献金については、やはりなるべく先まで延びればいいんだなという裏面解釈を国民からされても仕方がない。クリーン三木、クリーン三木内閣と、こう一応レッテルを張られたんだが、これは何だか色あせてきつつあるわけだが、やはり五十一年度、いまもうすでに企業に手配されておるかもしれません、この不景気であっても。しかし、それは断れば相手は非常に喜ぶ話ですから、せめて五十一年度あたりからはもう手配しないで、もらわないぐらいは約束をしてくださいよ。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いま言っておるように、新しい政治資金規正法の改正をこの国会に出そうということで政府は準備しておりますから、その制度に従って私もこの処理をしたいと思っております。五十一年とかなんとか、いろんな年限というよりかは、新しい政治資金規正法にのっとって、できる限り自分は自分の理想に近づけたいというのが私の心境でございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いや、だけど、それは五年は待たないと言われるんでしょう。そうすると、いつとははっきり言えないがと言うんだが、せめて私の方からは五十一年からいかがですかと。この不景気はまだ続きますよ、これ。それは新しく成立した政治資金規正法を守らなければなりません、総理といえども。その中には、企業献金はもらえとかもらうなとかいう、そういうことはないことで出るんでしょう、少なくとも五年までは。この状態から見ると、みずからがやはりクリーンになるべきじゃないですか、まず第一に。だから五十一年、どうですか。  それから第二点は、法案として出す以上、五年後にもう一遍検討じゃなくて、五年後が来たならばこれで一切打ち切りと。あなたはむしろ三年と言っていた。これがあいまいになってしまった。後退に後退を続けてきた。従来のあなたの態度なら、とてもこの内閣にはおれはおれぬわいと言わなきゃならぬもう時期に来ているんですよ、いま。しかし、総理が、おれはとてもこれじゃ党の体質と違うわいと、こういうことがやがて来るかもしれませんよ、このままいきますと。国民からは、だんだんだんだん次々に期待が外れてくる。私はそう思うのです。だから、法案の内容についても、やはり調整はある程度必要だとすれば、あなたとは全く違ったものが内閣法で出てくるということは、これは問題があります。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) まあ御親切に五十一年度からといういろんな御提案でございますが、これはいま言ったように新しい政治資金規正法の中で考える、年限については約束はいまはすることは適当でないということでございます。  それから、新しい政治資金規正法の中では、いまの自民党の原案の中では再検討ということになっておるんですよ、党のに。これは政府の方としても十分党とも相談をして検討いたしますけれども、自民党の原案は再検討ということになっておる。一方において党議がありますから、それをワンセットにして考える必要があると私は考えております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 だんだん後退を続けているのだが、かつて総裁に立候補され、ポスト三木についてとかくいまうわさも出ている大平さん、それから福田さん、どうでしょうか、これは企業の不景気もよく知っておられるお二人ですが、企業からの献金はもうすぐやめたらどうですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 現実問題として企業献金を廃止するというのは、これは私は妥当じゃない、こういうふうに考えておりますが、その辺は私は良識ある政治家として節度を持って行動する、こういう決意でございます。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私も政治家として、法律がどうなるかということより以前に、政治家としてどうすべきかということを踏まえて、節度ある態度をこの問題についてはとるべきであると考えております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 お二人は節度節度と言われる。その節度というのは、われわれから見ると、もうこの不景気の中で、独禁法について党内なり皆さん異論が出てきておる、これは後で聞きますがね、やっぱり企業から献金を、莫大ですよ、あなた方、これ総理を含めて。これは昨年の一月二十四日に具体的な数字を出して、ここにおいでになりませんが、田中角榮前総理中曽根当時の通産大臣、五人の回答を聞いたものを持っておりますが、あのときも節度を言っていたんだが、これは五億や十億じゃないじゃありませんか。最近のね、大きなものですよ。ですから、節度と言われても、こういう状態の中でもあるし、独禁法というものをきちっとして、そして企業のエゴもそのかわり許さない、消費者の、国民の立場をやはり守っていくのだ、物価も抑えていくのだ、こういう姿勢であるのならば、その節度とは何ぞや。これはもらうべきでないし、もらわないのだろうと国民は期待するのじゃないでしょうか。もらうのですか、もらわないのですか、その節度の中身。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、法の改正よりはもっと大事なことがあると思う。つまり、政治家が節度を持って行動することであると、そういうふうに考えるのです。法を幾ら改正しても、政治家が節度を持たなければ、これは正直者がばかをみる、こういうことになる。私は、法の改正も、これは現実的な立場においてこれをやってのけなければならぬと、こういうふうに考えますが、要は、その法を運用する政治家の姿勢の問題だと思うのですよ。そういう意味において、私は企業献金問題これはそのときどきの客観情勢に応じまして、節度ある対処をしなければならぬと、こういうふうに考えておるのですが、これをまあ一挙にやめてしまう、これはなかなか私は現実問題としてむずかしいと思うのです。政治には金がかかる。これは藤田さんも否定はされないと思うのですが、そのかけ方について工夫をしなければならぬ。その辺にも節度という問題があると思うのです。また、金を集めるその方法にも、これは腐敗のにおいがする、こういうようなことがあっては断じて相ならぬと、こういうふうに思います。そういうようなことを含めまして、企業献金の廃止ということは申し上げませんけれども、それを運用する上におきましては節度ある態度を持って臨みたいと、こういうことを申し上げておるわけです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) まず、こちらから進んで企業献金を求めるようなことはいたすつもりはありません。それから企業献金の頻度、金額、それから献金先等につきましては、十分吟味してかからなければいかぬと思います。同時に、その使途につきましては節度ある使い道を考えなければなりませんし、公明を期すべきであると考えております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いやしくも国務大臣であるし、法をまって、法のすれすれじゃなくて、法をまつまでもなく姿勢を正すということが、私は総理以下、きょうは明快な御答弁をいただけることを期待いたしましたが、そうじゃなくて、これはやっぱり企業からもらわなければならぬ、選挙には金がかかる。金がかかるというよりも金をかけているのですよ。参議院議員でも十億以上ということでいま起訴されている問題もありますね、この間の去年の参議院議員。これはやっぱり選挙法がどうであろうと、みんなが自粛していく。その上にやはり法規制というものが必要であるならする。これがたてまえであるし、三木内閣が新しい出発をして、私も初めてのやりとりですが、非常な期待外れをいたしました。  それから、選挙法と政治資金の改正は、これは田中前総理も一体のものだということで逃げ切ってきたわけです。しかし、先般三木総理は、これはもう当然別なものですと、こういう言い方をしたわけです。ですから、選挙法の改正がどうあれ、政治資金の規正法というものはあるべき姿にきちんとして、内閣はこの国会に早期に出し、かつ成立を図るのだと、こういうふうにとってよろしゅうございますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) この国会に成立を図りたいと、いま原案を作成中でございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 ところが、前回もそういう実態はやはりあったわけですが、政府としては、まあ世間が、この程度ならと納得するようなものを出すが、国会に提案するけれども、議会の運営の中で、自民党の方で、日切れでこれが廃案になる、こういうことがもう今日取りざたされております。三木内閣は出したけれども議会の方がだめでしたと、もしそうなるとすれば、一党の総裁としてもこれはやはり問題だと思う。これだけ世論からも批判を受けている政治資金でありますから、出すことと同時に、出した以上、政府・与党としてはこれを成立させる。その間に党首がいろいろ話し合って調整をするなり、そういうことはあり得るでしょうが、この点はいかがですか。少なくとも与党あるいは総裁以下、これを議会でつぶすというようなことがあってはならぬと思う。もしそういうことであれば、どういう責任をとりますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは大変に政治資金の問題というのはむずかしい問題ですよね。それを自民党はまとめたのですからね。党の、政治資金の党側の案をまとめて、そうしてその意向も体して政府の間でいま成案を準備中でございますから、どうか野党の諸君も協力してもらいたい、これは野党側も。われわれはもう党できめて、そしていま政府でこれを検討しておるのですから、ぜひともこの国会に成立させたいと考えておることは事実でございます。どうか野党の各派においても、この国民のいろいろな批判にこたえる意味において御協力を願って、そうして国会においてもこの政治資金規正法が成立することを私は心から願うわけでございます。それができなかった場合どうするのかという、できなかった場合というよりも、やろうじゃないですか、これはね。どうしたって、やっぱり国民の期待にこたえるためには、与野党ともにこの問題は解決をしなければならぬ問題でありますから、できない場合を想定するよりも、やろうということで御協力を願いたいのでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 選挙法との関係。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 選挙法は、これも選挙はとにかくやっぱり金がかかる。これは公営をもう少し拡大する必要もありましょうし、あるいはまた法定費用などもやはり実現のできるような金額で抑える必要があるですね、実現のできるような。実情に沿うた、まあ沿うたといっても、やはり粛正選挙をすればこれぐらいでできなければならぬという法定費用に変え、そうして公営も拡大し、それでも選挙違反を犯した人に対してはこれを厳罰で臨む。そういうことで、公職選挙法といいますか、この中においても改正をすべき点があると思いまして、これもまた政府の方でいま国会提出を目指して原案の作成中でございます。これもまたこの国会に出したい。これもまた自民党というよりも、各党の御協力を得て、公職選挙法の改正あるいは政治資金規正法というものはいこの国会の成立を期したいと考えておる次第でございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 内容は後で、政策段階でいろいろお尋ねをし、申し上げたいと思うのですが、いまお尋ねしたのは、従来政治資金規正法と選挙法は一体のものだということで、選挙法がまとまらないということで政治資金規正法は出せない状態をつくってきたけれども、今度三木内閣、三木総理は、政治資金と選挙法が国会に出てくる。あるいは一方は出てこないのかもしれない。選挙法は。そういう場合でも、政治資金は政治資金規正法としてこれは成立を図る、選挙法との絡み合いなんかしないのだという趣旨の発言はもうすでにあったように思うのだけれども、今日変わりがないのかどうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 政治資金規正法は規正法、公職選挙法の改正は改正でやります。しかし、両方ともやはり表裏一体のような関係にもありますから、両改正案ともこれは国会の協力を得て、ぜひとも成立さしてもらいたいと願っております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 願いはわかるけれども、私が聞いているのは、選挙法については、仮に提案されてもまとまらないということもあり得る。現在非常に対立も激しい。参議院の全国区についてだってそうでしょう。ですから、選挙法の成立を見なければ政治資金規正法の成立を見るわけにいかないという議論が、あなたのような一体論からしたら出てくるのですよ。そこが問題なんですよ。一体ではあろうけれども、しかし、法は別なんだから、政治資金規正法はまず通すということがあったっていいんじゃないですか。この選挙法と絡めて、そして政治資金規正法を心中させるという、そういう手練手管がすでにうわさされている、国会の中では。そうであっちゃならぬのじゃないですか。そこはどうなんですかと言っているんです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は手練手管は使わないですよ。やはり政治資金規正法は規正法、選挙法の改正は選挙法の改正、これを両方が一緒でなければ政治資金規正法は提出しないんだとは考えていません。ただしかし、藤田さんの場合は、何でもこれが疑い深くお考えになるけれども、実際この国会で、それは与野党ともに選挙法の改正あるいは政治資金規正法というものは成立せしめて、国民の期待にこたえにやならぬ国会ではないでしょうか。だから、それはもうだめになった場合と、こうおっしゃるけれども、もう少し皆でひとつやっぱりこれをつくり上げようじゃないかというような見地に立って御協力を願っておきたいのでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いや、あなたの所信表明でも、新しい国会のあり方を考えよう、そして話し合いと、そしてそこには調整をとっていこう、こういう姿勢なんでしょう。これは当初確認したように、これは変わりないということだ。にもかかわらず、内閣では一応三木さんは出したいと言っている。世間もあることだから出す。しかし、議会のほうで審議未了という方法もあるじゃないかというのは、もうかなり表面化しているじゃありませんか。そのことをあなたはさせない自民党に。ほかの党がすれば、ほかの党が批判を受けましょう。そこのところを聞いているんですよ。これはもう三遍聞くんですよ、同じことを。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) そんなことができるでしょうか。これだけのやっぱり政治に対する疑惑、国民の批判を受けておるときに、もう本当は出したくないんだと、ちょっと国会に出したと、そんなことが許されるでしょうか。私はそうは思いません。やはりそれは誠心誠意、政界を、国民の批判にこたえて日本の政治をきれいにしようという、これにやっぱり一歩でも近づけていかなければ、本当は出したくないので形だけ出すんだということが、これだけの国民の批判を前にして許されると私は思ってないんですよ。これはやはり私自身としても推進をしてまいりますし、また野党の方々にも推進を願って、これはひとつこの国会で成立するように努力をしなければならぬ、国民に対しても。そういうふうに考えています。だから、それを何か手練手管で、そういう従来の国会対策的に私は考えてないということは明らかにしておきます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 まあしかし、許されないことをだんだん三木さんも後退して許してきているんですよ。たとえば、後で聞きますが、独禁法の原価の公表だとか、肝心かなめのところはもうほかされてしまっている。これは許されないことなんです。それをあなた、許してきているから心配するわけです。政治資金だって、企業からはもらっては困る、これは世論ですよ。だから、物価を話し合って談合して上げる、やみカルテルをやってつり上げる。ここに独禁法の改正も出てきたんでしょう。にもかかわらず、いろんな問題が後退に後退を重ねてきているものですから、現実に院内で出ていることをいま指摘したわけですが、これはそのようなことはあり得べきでない、許されないとおっしゃるですから、これは了解しましょう。  そこで、政治資金規正法なり、選挙法なり、あるいは独禁法なり、諸般のむずかしい問題でいま与野党では苦労されていると私は思う。けれども、その苦労はあるけれども、漸次後退へのコースだ、現在。しかし、一応後退しながらもまとめたものが出てきても、議会の中における与野党間のそれぞれの意見がまた違うものがかなり多いです。こういうものは、あなたの基本姿勢である新しい国会のあり方——ですから対話をし、調整をする。ときにはそういう具体的法案をひっ提げて、総理総裁から言うか、あるいは野党から言うかは別として、肝心なときにはやはり党首にも会って、この法案はひとつこういうふうに修正しようというようなことがあっていいんじゃないでしょうか。そういう方法、とりますか、どうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私はとりたいと思っています。野党からの会談の申し入れがあったら応じます。私からもこれは会談を申し入れて、そして各党党首の協力を得たいと思う。これは国会にいまくぎづけになっていますからね、くぎづけにならなくなったら、もう新聞だねにもならぬぐらい会おうと思っております。そのぐらい頻繁に会おうと思っております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 だから、党首会談はいいが、後退の姿勢からこう見ますと、会うだけは会うけれども、内閣で出した法律、これをのめ、一歩も譲る余地はありませんと、こういうことに終始したのでは意味がないから、従来も党首会談が実らず、ついに頻度もだんだんと減ってゼロになってきた。今度の場合はやはり総理としても、一たん自民党と調整し内閣として提出はしているけれども、野党の声も聞き、調整すべきは調整して、譲り合ってこれをまとめていくという、この姿勢がなかったら党首会談は実りはないです。その話し合う姿勢がありますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) やはり政治の運営に関することは、これは野党とよく話をして、取り入れるものは取り入れようという雅量がなければ、なかなかまとまらぬでしょう。問題にもよりますけれども、まあこの問題なんか、かっこうのものですね、各党間で話し合いをするかっこうの問題であることは明らかでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 独占禁止法についてですが、改正がかなり問題になっているようです。閣内も必ずしも意見は統一していない。河本通産大臣のごときは、かなり三木総理に対しても異論を唱えているようにも報道されている。けさ閣僚懇と称されるものをおやりになったようですが、重要な点についてそれぞれ成案を得たのか、どういうことになったのか、まず御報告をいただきたい。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(植木光教君) 御承知のとおり、総理府におきまして各界の御意見を聞きながら、その法案作成のための作業に当たってまいりました。すでに改正問題懇談会の御意見を承り、また事務レベルでの折衝も終えまして、閣僚間の意見の調整をいたしてまいったのでございますが、本日行われました関係閣僚懇談会におきまして、総理府がつくりました総理府素案が政府素案として了承を得まして、これを自由民主党に提示をいたしまして、今後法案決定に至りますまでの調整と作業を進めていくというのが、本日決まったところでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 具体的内容を聞いている。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(植木光教君) 具体的内容といたしましては、カルテル対策あるいは高度寡占対策がございますが、課徴金制度の採用、刑事罰の強化、違法カルテル排除措置の徹底、価格の同調的引き上げがあった場合の措置、また独占的状態がある場合の排除措置、会社の株式保有の制限、さらに金融機関の株式保有の制限、また独占禁止法違反事実報告者に対する通知義務、不公正な取引に対する排除措置等でございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 原価公表のためには、妥協案として報告、調査、これは調査がなくなり、報告だけというふうにも聞いている。その辺がどちらに決着したのか。それから企業分割について、あるいは公取の独立権限を侵す主務大臣との協議決定とか、そういっためんどうが出てきているし、その他、時間がないので一々申し上げませんが、そういう諸点についてはどういうことになったのか。あとはそちらに記録があるのでしょうから、けさの、こういうものがどうなったというものを、法律にやがて出てくるものをお示しをいただきたい。それから自由民主党との調整の見通しもひとつお聞きしたい。  それから日銀総裁、時間が延びているので非常にお待たせしたですが、日程があるようですから、午後できれば出てきていただきたい。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(植木光教君) ただいまお話のございました調査につきましては、御承知のとおり、現行法の第四十条にすでに明記されているところでございますので、この調査権で足りるという見解でございます。  それから、公取の権限を侵すというようなことば、私ども一切考えておりません。  さらに、自由民主党との作業でございますけれども、本日了承されました、そして政府素案となりましたものを自由民主党に提示をいたしまして、これから自由民主党が設けております調査会において協議が行われ、党のそれぞれの手続を経るわけでございますので、これは党の側において行われることでございますから、この際どのように運びますかは、いまの段階では私から申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 総理にお伺いします。一応総理主宰だったのじゃないでしょうか、いまの閣僚懇。違いますか。いずれにしても、関係大臣いろいろ検討の結論が出た。その中身についてはいろいろ問題があります。単なる見せかけであって、全く実効が問題である内容もある。しかし、それはそれとして別に議論するといたしますが、総裁としてはその線に沿ってまとめ上げる自信があるのですか、ないのですか。あるいはその線に沿ってまとめる、何としてでもまとめる。しかも、この国会にも会期がある。十分両院における審議日程もとって、その上での提出期日というものもお聞きしなきゃなりません。これらの点についてお答えをいただきたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 内閣としての素案として党へ提示しまして、きょうから党に提示して、そうして話し合いが始まるわけですから。これはやはり重大な独禁法の改正というのは、国民の声もやっぱり独禁法の改正をすべしという声が非常に高いわけですから、これにこたえなきゃなりませんので、党としてもいろんな意見があると思いますが、私もこの独禁法を、党との間にも意思の疎通を図って、できるだけ早くまとめたいと思っておるわけでございます。私も全力を尽くすつもりでございます。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 午後零時五十五分まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      —————・—————    午後一時一分開会

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、総予算三案に対する藤田君の質疑を続行いたします。藤田進君。

藤田進日本社会党

○藤田進君 公取委員長にお伺いをいたしますが、午前中政府からの独禁法に関する答弁を聞きますと、かなり世論、消費者の期待に反して後退に後退を続け、さらに党の調整で後退するかもしれないという状況がはっきりいたしました。けさ公取委員長の談話もちょっと聞きましたが、いつにないしおらしい、これまた世論は、せめて高橋委員長のあの強い意思、これに期待していたにかかわらず、やはり政府の諸般の圧力というか、屈してしまったんではないかといったような疑いが持たれるわけであります。主要な点は数点ありますね、公取の独立権限にもわたること、今後実効のある作業と結論を導くためにも法改正を主張されてきた点からかんがみてまことに私は遺憾だと思いますが、これらの条項について、当初以来主張し続けられてきた諸点についてどういう主張なり、今度の調整案では、後退案ではどういう点が困るのかということも含めてお伺いをいたします。  それから第二点は、事務局は、この独禁法改正が成立いたしますと、仕事量は数倍に及ぶだろう、五倍、六倍になるだろう、これが一体いまの状態で、ことし二十六名の増員のようですが、さばき切れるかどうか、私が調査いたしましたところ、事案によっては三年近く停滞してかかっているものもある、あとで内容また触れますがね。これはやっぱり諸外国の例、アメリカだって資本主義がいままさに崩壊せんとするその突っかい棒になっている。三木さんも自由主義経済、これを支えるためにも必要なんだと、こう言う、言い回しは別として、すでにわが日本におきましても資本主義、いわゆる自由主義、弱肉強食、優勝劣敗の原則ではどうにもならないところに、特に戦後公団、公庫ができ、さらに独禁法の強化、これは世界的趨勢ですね、そして公正取引委員会などという、そういうコミッティーではなくて、省までは至りませんが、日本で言えば庁、庁にまで昇格さして機能化をはかっているんです。第二点は、事務局強化についてどういう所信であるのか、また、法措置がどう講じられようとするのか、調整の過程において、どうであったか、ひとつお伺いをいたします。  第三点は、この建築士協会についてでありますが、建築士協会は、その定款を見ましても、きわめてきつい会員統制をしております。あえてこれは読み上げませんが、事前に通告してありますので、篤と精査されたと思いますが、要するに、今日の建築士協会はそれぞれ営業を主体とする株式会社、従業員は千名に上るもの等々含めて、明らかに事業者団体の連合体になっている。しかも、設計そのものは官公庁においてはしばしば競争入札に付されておる。中でもこの東京都の住宅につきましては、これは都営高層住宅滝野川団地設計入札ですが、談合して、七社に指名があったわけですが、公共建築設計事務所が談合の結果受け取るということになった。したがって、第一回入札以来これを最低として逐次自余の六社は入札をしておりましたが、第三回目、最後になって最低の談合の価格を忘れまして、これは中村建築事務所ですね、忘れたために適当にこの辺だろうと思って入札したところ、公共建築設計の談合の結果、本番と同じ価格になってしまった、そこで東京都は抽せんをするということになった。談合の経緯もあるので抽せんは困ると言ったところ、それでは東京都は拒否されれば今後一年間契約発注いたしませんということになって、抽せんした結果、談合でない中村建築事務所に落札決定。で、建築士協会は、その結果それはけしからぬと、談合を守らなかったということで、懲戒処分にしておるのですね。  それから、九州の八女、この事件も数社でコンペを組んで設計に応じたところうまくいかないで、結論的には三笠建築事務所、ここに随意契約で、企業は、これは準公共団体の発注者ですがね、ところが談合としては、みんな結束してそれに全体応じまいという申し合わせができたにかかわらず、三笠建築だけが応じたのはけしからぬ、これまた懲戒処分になった、こういうやり方がありますね。そうして建築士協会では先般大幅な設計報酬手数料の値上げをしました。これは絶対に会員は守らなければならない。そうして御承知のように、かつてはコンクリートビルでも坪が二十五、六万ならできたものが、今ではもう六十万から百万はかかる。そういうふうに工事費がふえている。その工事費を基準に報酬を取るわけだが、工事費はもう倍も三倍もなっている。その上に手数料もふやしている。莫大なこれ状態で締めつけて、これまた談合を守らなければ懲戒処分、除名といったようなことが今日まかり通っているわけですが、そのうち一つは、公正取引委員会に約三年ほど前に提訴されているけれども、事務量が多い関係もあるでしょう、なかなかまだ結審にならない。審決がなければ裁判所にいくわけにいかないという制度なんですね、現状。こういうものは事業者団体であるかないかというような議論も学説もあります。しかし、今日のこの弊害と実態を見ると、明らかにこれは事業者団体——法に言う事業者団体に入れて公取の公正な審査にもあずかれるようにする、こう思うのです。あるいは、今度の法改正に明確にするかどうか、いろいろこういう問題は利害はあろうけれども、不公正の是正というものの中にはこういうものも当然入らなければ、今日建築の許可を取るのにはすべて建築士の事務所を通さなければ建築認可がおりないという制度にもなっておる等からかんがみて、これについてどうお考か、この三つ。   また第四は、石油等についてもいろいろ問題がありますが、またあとで触れます。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) 本日、午前中に関係閣僚懇談会で独占禁止法の政府素案が決定いたしたそうでありまして、それで私もここにそれをいただいておりますが、大変いまきついおしかりを受けましたが、その点、私ども力の至らぬところを認めますが、しかしながら、全般として申し上げれば、いまのいろいろな環境、つまり独禁法改正をめぐるいろいろな環境、そういう中でここまでまとめるのには相当苦心されたということだけは私ども十分理解しておるところでございます。したがいまして、個々の問題について申しますれば、確かに私どもが当初申しました線から見ると違っている点もございますけれども、全体として見て、第三者の感覚から多少聞いてみましても、よくあれだけの項目が一応入ったと、ただしその中身が違っているという点はあります。でありますから、私はこれで完全に当初考えた線が御採用になったとは考えませんが、しかし、私はいまのこの世の中ですべて公正取引委員会がこう考えたと、それがそのまま実現するというふうにはならないんじゃないかと思っております。ただし、その中で非常に重要な点は守らなければなりません。たとえば、いま現在保障されています職務行便上の独立性の問題こういうものは徹底的に私どもも守り抜く考えでありまして、その意図は、この素案には少なくとも私は含まれていると思います。これから、いろいろ自民党等との折衝も残されておるということでありますので、したがいまして、私がこれについていまとやかく申しますと、個々の問題についてここはこういうことを言うことは、そういう政府と与党との微妙な関係もございますから、余りこれについて批判を申し述べることは、今回の場合には御猶予願いたいと思います。しかし、相当私の方の考えがそのまま取り入れられている部分もかなりあるということだけは申し上げていいのではないかと思います。たとえば、企業分割にしましても、これは会社分割ということはありませんけれども、実際にはほぼ似たような効果を上げ得る措置がとり得るというふうなことでありまして、そのほかカルテルに対する対策、原状回復命令がそのまま入っていないじゃないかというおしかりもあるでしょうが、こういう点についても、いまの段階として、とにかく一歩前進ということだけは言えると思うんでありまして、いろいろ御批判を受け、私がだらしがないという責めを受けることは重々私覚悟しておりますが、そういう段階でございますので、この問題についての個別的な見解はこの際としては御猶予を願いたいと切にお願いを申し上げます。  第二の問題として御提起になりました、人数が少ないから非常に仕事が滞っているじゃないか、一体今度の定員増加はどうなっているのかというお話でありますが、審査部の定員は、四十七年には六十八名、これはマイナス一名になっております。それから四十八年度、これはそのまま横ばいでございます、六十八名。昨年度四十九年度に四名プラスになって、七十二名でございます。今度の五十年度の予算では、純増としまして二十三名、これは公取に与えられた二十三名は全員でございますが、これを全部審査部に投入すると、こういう考えでございます。それからまだこれだけでも決して十分であるとは申しませんが、しかし、できるだけこういう範囲で全力を尽くしてやれば、何とかいまよりいささか充実してやっていけるんじゃないかと、かように思います。  それから建築家協会の問題でございますが、この問題は、私、実は事務当局の方でいろいろと迷っておったようでありまして、最近になって実は私どもが知ったというのが実情でございますが、結論を申し上げます。建築士という者も事業者である、この自由業をどこまで事業者と見るか、これが非常にデリケートな問題でございます。したがいまして、絶対にどんな場合でも事業を行う者はすべて独禁法上の事業者と見るかどうかにはまだ疑問が残りますが、建築士に関する限りこれは事業者であると私どもは考え、法第二条の解釈としてそういうふうに認定いたしました。

藤田進日本社会党

○藤田進君 協会ですよ。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) ですから協会は、事業者の団体でなければ事業者団体になりませんから、したがって、日本建築家協会は、独禁法上の事業者団体であると、そこでそれが行いまして独禁法違反に当たる疑いのある、疑いがあると申しますか、そういう談合というふうな事件はこれから直ちに審査を開始いたしますが、おそらく独禁法違反の疑いがあるものと、こうお考えいただいて結構でございます。そういうふうに私どもで措置いたします。

藤田進日本社会党

○藤田進君 次は石油産業等を初め、かなりやみカルテル、値上げ等がなされてきたし、今後も現実に予定されているものがわれわれのところには調査の結果入っております。これらについてはどういうふうに調べられておりますか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) ただいまの御質問は、これからの問題をどうするかということでありますと、私どもは何事も申し上げ得ないたてまえになっております。それは事前にどこどこを審査するぞと、こういうことを言ったら、相手が皆用心してしまいますから、それは申し上げることはできないということでございます。審査の方法の秘密ということにお考えいただきたいと思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 関連。  その点についてひとつ具体的にお伺いをいたします。ガソリンの値上げの問題であります。次のような事実があるわけです。二月の十八日、これは総理にもお尋ねをいたしますが、二月の十八日、東京八重洲の、場所は鉄鋼会館でありますけれども、全石商——全国石油商業組合連合会の全国都道府県理事長会議というのが開かれております。これは初めは事業計画等々の会議であったわけですが、途中から秘密会になりまして、その秘密会の中で価格の話し合いが行われた。形としては、これからの引き上げ幅の問題についての報告を求めたということになるわけですが、それを全部整合をして、その結果が現在リットル百十円でありますけれども、百十九円のプラス、マイナス一円であるという結果が報告をされました。これはまあ情報交換という形はとっているわけでありますけれども、ちなみに申し上げると、このリットル百十九円というのは、一月末にこの業界で試算をしておりまして、これは調査ではなくて試算をしておりまして、その内訳は、仕入れ価格が八十七円二十七銭、小売経費が二十五円四十四銭、利潤が六円四十五銭と見て、計百十九円十六銭と、こういう非常に奇妙な一致する数字があらかじめ出ておりまして、これがすでに全国に流されている。先にこういう数字が、百十九円十六銭というのが流されていて、報告を集めた形で百十九円というのが出されたと、これは明らかにやみカルテルということにならぬかと。まあ事実の問題としてはその十八日の二日後の二十日から、たとえば札幌、それから広島、名古屋、特にまた東京の一部でも含めて百十五円ということになっております。実際には石油が、いまガソリンが余っておりますからすぐそうならなかったのですが、百十円がすでに二日後に百十五円になっている。こういうことになりますと、まさに私は実態でお尋ねするのですけれども、やみカルテルという疑いはないかどうか、これをひとつ公取委員長から明確にお伺いをし、もし、その疑いがあればどのような処置をとられるか。  それから総理ですね。その疑いが非常に濃いと私どもは思うんですけれども、これは現行の独禁法でもやろうと思えばやれるはずなのです。だから単純に現状対応の不備から、独禁法を改正するんだというだけでなく、現行法上でもやれることをしっかりやることを確保しなければ、改正も無意味となる。しかも、改正についての姿勢の後退がいろいろうわさされているわけです。石油問題は、前から特に問題があるわけで、本来カルテル行為の体質があるわけですから、したがって政府は独禁法論争が盛んな今日、こういう事態を許さないという措置をとられるということが、政治姿勢としてしっかりしてなければならない。抽象論ではなくて、こういう明白なやみカルテルのガソリン値上げの具体事例にしっかりした態度がとれなければ、私は、独禁法論議というものは、大変骨抜きになってしまうと思う。その点をはっきりひとつ、この具体論に基づいて総理から御見解をいただきたい。  以上、二点です。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) ただいまの御質問でございますが、私どもの公正取引委員会の調査をする、立ち入り調査等をする立場から申しますと、できることならば、ここでつまりいわば公表してしまうわけですね。公表されてしまう。そのことに対して直ちに業者は、一般的にはいわばそれに対応する作戦をとっちゃうわけです。早く言えば証拠の収集等が私どもにとって著しく困難になるおそれがありますので、もしもできますことならば、私どもの方へそっと言っていただけば、それは本当なんです。そのとおりそうしていただいた方が、直ちにこちらが立ち入り調査などをして事実をつかむ。これは証拠主義でございますから、客観的な事実が認められましても、証拠がないと処分ができないと、こういうことなんでございますので、ひとつ平にその点は……。

上田哲日本社会党

○上田哲君 これはだから事実ですからね。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) わかりました。事実であるということは、そういう客観的な事実がある。それからまた、どうも申し合わせした節があると、こういうことでございましょう。しかし、それはそれだけではわれわれの方の審決を下すための要件にならないんです。大変に入念な証拠集めをしなけりゃならぬ。

上田哲日本社会党

○上田哲君 このケースを事実として、やみカルテルの疑いありかどうかをはっきり言っていただきたいんです。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) いや、それはですから、私としてはそういうことにはお答えできないことになっておる、法律で禁止されております。あらかじめですから、これはその布令に触れると、独禁法違反であるというふうなことは、申してしまってはならないというふうになって、事実の有無、事件の事実の有無、または法律の適用、それについて委員長その他、皆意見を述べてはならないと、こうなっておりますから、その点は法律の問題でございますので、ひとつ御容赦願いたいと、かように思うんですが。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 法律に照らして違反しておれば、それはその法律を執行することは当然のことでございます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 よくわからぬ。その違反の疑いがあることについてはどうするんですか、総理。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋俊英君) そういう事件は、これは私どもは総理大臣の所轄に属すると書いてありますが、例の独立性の問題がございます。職務執行上の独立性がございますから、総理大臣でもあれこれしろと私に指図できないたてまえになっております。ですから、もう実際、いままでもそういうことございません。ですからもっぱら公取の所管の問題であると。公取の方にいまの事実ですね、ここで出てしまいましたので、私はただその事実を調査するということだけは申し上げます。それはほっておく気持ちはありません。ちゃんと具体的に出ているけれども、相手がなおも事前にその方法を知ってしまうという点に問題点があるということをひとつ。

上田哲日本社会党

○上田哲君 調査をされるという約束でありますから、暗に違反を認められたとして、それ以上は公取の立場を考えて問答に供することはいたしません。しかし、私は事実として、もう揺るがしがたい事実として、経過の問題ではなくて、結果の問題として札幌であり、名古屋であり、あるいは広島であり、東京の一部で百十五円上がっているという実態があるわけです、消費者にとってみれば。これは好ましい事態でないことは明らかでありますから、その点は公取委員長、国会の場ではっきりこれはやみカルテル違反であるということを言い切れないというお立場がおありでしょうから、これは言外の意味で結構です。問題は総理、そういうニュアンスがはっきりしている。具体的に消費者はこれだけの被害を受けているんです。ガソリンは上がっているんですから、だぶついている中で、これだけのものが上がっているものを、現行法でもできるような問題として、政治姿勢として、これをはっきりそのような事態を許さないように処置をすべきであると、この御見解は明快にしていただかなければならぬと思うのです。総理お願いいたします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 上田さん、私としたら法律はきちんと執行さるべきものであるという以上に、私としてはこの問題は、それぞれこれに対して法律を適用する所管官庁があるわけですから、そういうお答えするよりほかにないと私は思う。

藤田進日本社会党

○藤田進君 どうも明確でないのが遺憾ですが、時間の関係で次に移ります。  日中平和友好条約あるいは核拡散防止条約は、この国会に批准を求めるという総理の姿勢でございましたが、しかし、日中については覇権条項が予備交渉で難航しているようですし、核拡散については、自民党党内事情がなかなか複雑なようですが、この国会に出せますかどうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 日中はいま御承知のように、外交ルートで話し合いをしておるわけですから、これが完全に意見が一致すれば、当然に国会の承認を求める手続になることは当然ですが、いまやっておる最中ですから、これはいつごろ妥結するかということは、ちょっといま予測できませんが、妥結すれば国会の承認を求めると。  核防条約は、五年前にもう調印しておるんですから、これはその後なぜそんなに延びたかというと、日本の原子力の平和利用というものが、何かこうヨーロッパ、西欧諸国などに比べて非常に不平等な扱いを受けるのじゃないかということで、国際原子力機構との間に保障措置協定をいままで交渉しておったわけです。それがまとまって、日本が予期しておったよりも日本の有利なことで、その保障協定が妥結をしたわけでありますし、まあ、核軍縮の問題もございますし、それから非核保有国の安全保障の問題調印のときに日本として三つの条件を出した問題もございますが、一番懸念したのは、この原子力の平和利用に対する不平等な扱いを受けるのではないかという点ですが、これを解決いたしましたことは、これはやはり国会の批准、国会の承認を受けるこの手続措置を進めていくことになると思います。

藤田進日本社会党

○藤田進君 外務大臣。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま総理大臣の言われましたとおりでございますが、その保障措置協定の具体的なことを、条約御審議の際にごらんを願うことがどうしても必要であると存じまして、保障措置協定の条文化を実はいたしておりますが、百条をちょっと超えますので、それをごらんいただける形にいたしますのに、四月の初旬ごろまで事務的な準備がかかるかと存じます。それが終了いたしましたら御提案をして、御審議をいただきたいというふうに考えております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 日中も、所信表明ではかなりはっきりと述べられているのですが、これまたかなり後退の印象があるわけであります。中身についてはまた後の機会に。  いずれにしても、自動車の公害、窒素酸化物を中心に環境庁長官のときの御発言、これ、田中前総理とは食い違う幕も参議院選挙の直前にありました。しかし、結論的に今度の環境庁長官の告示というものは非常な後退を示しております。これはやはり三木当時環境庁長官の所信が今日変わらないという冒頭の御発言から言えば、一般的にお伺いしたわけですが、これはやはりやり直すべきじゃありませんか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 自動車の排気ガスの規制については、きわめて熱心な姿勢をとってきたわけですが、藤田さん御承知のように、五十年度規制なんかというのは厳しい規制ですよ。一酸化炭素でもやっぱり九〇%カットですからね。それから炭化水素でも九〇%カット、窒素酸化物も二・五グラムを半分にするんですからね。五十年度規制でもやっぱり延ばしてくれという意見は強かったわですが、すでに技術開発もできたメーカーがありましたから、これば延ばさなかったんです、五十年度に。五十一年度規制に問題が起こってきたわけですね。それは窒素酸化物を〇・二五グラムにするということであったわけですが、それを大気部会でやって、どうしても現在の技術開発の段階では無理だということで二年間延ばしたわけですね。ちょうど私が内閣を、三木内閣の出発のちょうどその時期に、いよいよ告示をしようということになったわけですが、私は、いままで異例のことであったんですが、中公審の総会の審議にこれをもう一遍戻したわけですからね。そしていろいろ中公審でやってみたわけですね。だが、どうしてもやっぱり無理だと、技術のいまの開発の状態では。無理だというのを、政治家が政治的に解決できる問題でないですから、したがって、これは今後技術開発を促進して、五十三年に延びたわけですが、できるだけこの目標を実現するということに努力をしたい、また、そういう技術開発をチェックするような体制が弱いですから、別に専門家による委員会をつくって、これをチェックするような機関も設けたい、また、国際的にも協力ができるならば国際的協力も得たい。こういうことで、排気ガスというものの規制をできるだけやっぱり強化していきたいということで、政府としては、もう最大限度やっておるんで、まあ藤田さんにかかったら、何でも後退後退と、あなたのはもう前進はないんですから、全部後退後退というような御発言でありまして、そう疑わずに、一生懸命にやっておるんだということでそれは御理解を願わないと、何か国民から聞けば、もうすべて後退後退と言って、政府の意図と違った意図を、国民にそういう感じを与えることは私は、それは実際ではないという感じがいたすわけでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 まあ聞かれて、だんだんと後退しているということはわかっていただいたと思うんですが、まだまだこのほかに後退の事実が多過ぎるんですね。五十年度予算編成もしかりであります。いずれにしても、今後やはり後退したものを挽回していくなり、あるいはなし得なかったものを今後に生かしていく。たとえば五十一年度予算ならば、これでどうするということはひとつ今後、ものにもよるでしょうけれども、漸次所信に従っていくくらいなことはないと、ならないのじゃないでしょうか。所信表明を見ると、まあ同じ船に乗っているものだからと言われますが、まさにいま三木丸の船員は、あなたの言うことをなかなか聞かないというところに苦労があるようにも思うです、まず足元の実情から見ましてね。ですから、今後の改善ということは、十分これは考えられなきやならぬと私は思います。いかがですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 後退と言ったら、後ろ向いて歩くわけですが、後ろ向いて歩いてはいないわけで、前進をしておるわけです。その前進が、必ずしも藤田さんの考えている前進と速度が違うし、またあなた自身が何かを考えて、そのとおりいかないと非常に後退という印象を受けられるのかもしれませんが、これはやはり政治は前を向いて歩んでいかにきゃならぬわけですから、完璧なとは私は言っているわけではないんですよ。しかし、いろいろ反省もしながら前進は続けていくので、後退、後ろに向かって動くことはない。したがって、今後いろいろと反省はしますよ、謙虚に。反省をしながら、これはやはり政治は前進を続けていかなければならぬ、こういうふうに考えております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 やや前進したものもあるわけです。たとえば総理に就任され、その資産の公表、これはまあ内容に疑点はありますが、しかし、まあこれ一つのタイプ。これはさらにやはり疑問を国民が持っているのは、それは二十数年間の国会議員だが、まあ昔は、戦前は特に井戸へいと言われていたが、これだけの資産がやっぱりたまるのかいなあと、それは先祖のものがあるだろう、どうなんだろうというところなんですね。したがって、これはやっぱり金繰りはこうだったということを発表されるべきじゃないでしょうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは、こういう民主主義のもとでも財産は公開しないんですね、どこの国でも、プライベートのものを。私は、そういう世界の慣習もないのにやったのは、田中政権から異常な政界の雰囲気の中で三木政権が生まれたわけです。したがって、権力を利用して財産を形成したりすることのない、それを明白にすることが政治の信頼を回復する道であるということで公表をやったわけです。藤田さんだったら、その前はどうした、前はどうした、私が生まれてからのことをここでみんな申し上げなければ御信用願えないようですが、やっぱり信頼するよりほかにない。その先はどうだった、その先はどうだった、その先はどうだったと言えば、結局私が生まれたときのことになるわけです。やはりこういうことをしたということは、政治の信用を回復したいという私の熱意が、だれもしてないことをしたわけですからね、やはりある程度信用されなければならぬ。私は選挙を十四回やったわけですからね、そんなに信用ならないんでしょうか。その先はどうした、その先はどうしたと言って、これはやはりある程度信用していただかないと、もう信頼というものを、疑ってかかって信頼できぬと言ったら、何をやっても証明する方法はないですね。だれも、世界でもやってないものをやった、何かこう政治家の信用というものを回復することが第一だということでやったわけですからね。それを次々に疑ってかかるということになったら、信頼関係がないとやっぱり政治はできないですからね。そういう点で先鞭を開いたわけですから、そういう私の真意も御了解を願っておきたいわけでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いやいや、生まれたときまでどうじゃなくてね、いま先ほど言ったように、十四回も選挙をやり、ずいぶん金がかかるだろうが、しかし、相当な資産があるんだなあと。いや、それはどこかやはりどうも月給とかほかに事業はどうもしておられないように聞くので、どこからどう金が出たのかなあというのが率直な国民の疑問なんですね、これは。ですから、それは信用してくれということだけでなしに、こういうことだということをお出しになってもかえってそれはすっきりするんじゃないでしょうか。あなたが悪いことをしていると、きめつけてものを言っているわけではないんですからね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) もう少し政治というものはやっぱり信頼というものがないと、次々に政治家は何かあるんだろうと。私は、十四回と言ったのは、それだけ国民の審判を受けて、今日ここで何にも、いろいろな点で国民から批判されたことがないでここまできたわけですから、ある程度の信用を願わなければ何をやっても、いままで世界でもやらないような公開をやっても、それはまた疑う。何もかも皆、君の言うことは疑うんだ、そういうふうになるとなかなか、政治というものは、藤田さん、やりにくいですよ、これは。そうでしょう。ある程度やっぱりこうやって議員として長くやってきたわけですからね、その点ある程度の信頼というものがないと。もうあなただったら、私だけでいかぬで、親戚の財産も何もかも皆出してしまえというふうに言われるのかもしれませんがね、そういうふうに質問の通告を受けた中には書いていましたけれども、私はやはり御信頼を願いたい。信頼を裏切らぬつもりですよ。そういうことでやったわけですから、どうか御理解を願いたい。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 関連。  ただいまの総理の資産の公表の問題でございますけれども、私一つお伺いいたしますが、総理が資産を公表される場合に、それが所得税法の二百三十二条に基づく当然義務づけられた資産の公表として発表をされたのかどうか。これが、もしそういうことでありますと、全体的に非常に大きな影響を及ぼすわけでありまして、これは特に先般からも田中金脈問題で、個人所得に対する資産評価の公表の問題が守秘義務の関係から非常に論議をされた点でございまして、したがって私は、この二百三十二条に基づいた首相の、三木総理の公表であるとするならば、それなりに私は理解をしてまいりたいと思いますが、その点について明確にしていただきたいと思います。ただ単なる三木総理の個人的な問題ではなくて、これは非常に法律的な問題でありますから、私はぜひその点を明らかにしていただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は、それがどういう法律になっているか存じませんけれども、とにかく私は政治家の、法律によってあれをやったわけではないわけです、政治家のモラルとしてやったわけですから、これは私は、私の財産はこのとおりでございますということを言ったわけで、所得税法によってやったという——私の持っておる財産はこのとおりですということの公表をしたわけですから、税法との関係というものはどういう規定か、それは私もう一遍読んでみなければわかりませんが、そういうことではないわけです。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 所得税法の二百三十二条の中に、二千万円以上の個人所得のある者については、その財産債務明細書を提出をしなければならないということが義務づけられておる。三木総理がこの法律を御存じなくて、ただ単に私見として発表されたとするならば、総理は、今日までこの二百三十二条にもしあなたが該当されているとするならば、あなたは全然自分の財産債務明細書の提出を法律的に怠ってきたということも言えるんではないかと私は理解するんですが、いまのお話によりますと、法律を全く知らなかったということですが、そういうことで済まされますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) どういうことですかね、私はちゃんと所得税の申告をやっているんですよ。その、あなたの言われるのは、その上に何か別に申告しなきゃならぬということですか。所得税の申告はしている……。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 二百三十二条というのは、二千万円以上の個人所得のある者は、その申告所得の裏づけとして財産債務明細書の提出をしなければならないという規定があるわけです。あなたはそれに基づいてやったのですか、それとも全くの私見としてやったのですかということを私はお聞きをしたのです。あなたは知らないということですから、法律を知らなくて私見でやったということになると問題があるわけです。法律的にそれをあなたは公表したということであれば、これは二千万円以上の所得がある者のこの二百三十二条に基づく内容については、全体的な問題として大きな問題になるわけでありますから、私はその点を明確にしていただきたいということを申し上げているわけです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は法律によってやったのじゃないですよ。そんな立法もありませんし、政治家が財産を公表するというような立法もありませんし、法律によったのじゃなくして、私の政治家としてのモラルの問題としてやったんですからね。この法律の規定によってやったのではないんです。所得税なら所得税についての申告はちゃんといたしておるわけで、それとは別に、政治家のモラルとしてやったというわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 それでは、三木総理は二百三十二条に該当するかしないか。

安川七郎国税庁長官

○政府委員(安川七郎君) お答え申し上げます。  所得税法二百三十二条の財産債務明細書の提出の義務がございますが、これは、年間所得二千万を超える方に規定されております。そこで、三木総理の個人所得につきましては、これまでこの限度に達したことは一度もございません。したがいまして、財産債務の明細書の提出の義務は直接ございません。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 総理自身が二百三十二条という法律を知らないわけでしょう。田中総理はたしか七千八百万円の所得の申告をなさっていたわけです。その内容の、この二百三十二条に基づいた財産債務明細書の内容を明らかにしなさいということを私どもは要求したけれども、それは守秘義務ということで、今日まで国会に明らかにされなかったわけであります。三木総理そのものは、いま金額がそれに達していないということですが、そういうことも発表できるわけですが、この前は、田中総理のときはそういうことも守秘義務で全然発表できないということを大蔵省は主張してきたわけです。今日、そういうことであれば、明らかに三木総理の所得は幾らであるということを公表していただきたいと思います。

安川七郎国税庁長官

○政府委員(安川七郎君) お答え申し上げます。  現在、所得税法の規定によりまして、年間所得一千万を超える方は、当該申告書の所得金額を税置署の方で公表することになっています。そこで、三木総理個人の四十八年分は一千四百二十一万一千四十八円と、かようになっておりまして、これは公表されておりますので、この金額が二千万円に達していない。したがいまして、財産債務の明細書の提出義務がないと、こういうことでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 だから、所得との食い違いがありますが、これはまた改めて……。  そこで、河本通産大臣は、決産委員会あるいは衆議院における予算委員会等々、かなり問題が出ているわけですが、この際、これを解明される必要があると思うんです。質問通告はしてありますから御答弁いただきたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 個人の資産を公表したらどうかと、こういうお話でございますが、三木内閣が発足いたしました当時、内閣全体としてこの問題をどうすべきかということにつきまして、官房長官のところで検討がありまして、今回は総理だけにとどめて他の閣僚は公表しないと、こう  いうことに決まったわけでございます。したがいまして、私の場合も公表する考えはございません。

藤田進日本社会党

○藤田進君 お聞きのとおりですが、公表するのをあなたは差しとめているんでしょうか、総理。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは、だれもかれも、大臣に皆財産公開ということは、立法事項が要るでしょう、法律が要る。やはりこれは、どこの国  でも、こういう立法というものはなかなか、そういうことを考えた人もおるんでしょうが、できない  のですね。そこまで個人の財産というものを立ち入っていいのかどうかという問題もあるんでしょう。だから、実際、法律としてはそういうものはないんですよ。それを私が代表して、今回総理大臣として公表をするということで、皆閣僚に私がそれを——財産の公開というものは何にも、法律にも、また世界にも、そういう慣習のないことを、私が総理だからといって皆にそれを強要することは私は考えていない。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いや、差しとめたかどうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) ただしかし、これは私が任命した閣僚ですから、その閣僚に対して私が責任を負うことはこれはもう当然のことでありますが、個々の閣僚に対して財産の公開を総理大臣として要求することはいたさないということでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 差しとめたかどうかということを聞いているんですよ。差しとめる必要もないんじゃないか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) それはどうしてもやりたいという人があれば別ですけれども、だけれども藤田さん、こういう問題皆内閣が、あの人はやる、この人はやらぬというのもおかしな話で、私が今回の場合は代表してやるということで、皆がこれを出してもらいたいというようなことはいたさなかったわけでございます。また、そういうふうなことになれば、私は立法が要ると思うんです、そこまでいくならば。これはただ財産の公開——私なんかは、至って単純ですからね、財産の内容が。だけれども、皆いろんな個人的な財産の内容にわたって公表するという、そこまでは世界のどこにも——やはり政治の一つの道義ということがやかましい国がたくさんあっても、そこまでいかないところを見ると、そこにはやっぱりいかに民主主義のもとにおいても無理があるということだと思います。したがって、私はこれはどうしてもやりたいという人があれば差しとめませんけれども、皆にこれを出してくれとは言わぬつもりでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 河本通産大臣は、総理だけにとどめたから自分はやらないと言うんだが、いまお聞きのとおりなんですね。それは河本通産大臣については、具体的な事例を挙げて議会の問題になっているんだから、いま総理もそれを公表するのをとめはしないと言うんだから、やったらどうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 今回の場合は総理大臣が代表して財産の公開をした。そのことで、ほかの閣僚に対して財産の公開を私は求める考えはないということで御了承を願います。

藤田進日本社会党

○藤田進君 私が求めているわけです、だから。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) よく検討をしてみます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 まあ御検討の結果を期待しておきます。  それから田中金脈について、総理もよそごとのように本人が解明すればいいということなんだが、これは自民党の党員でもあるし、前総理というウェート、そして内容もかなり問題があるんですね。ですから、少なくともいま警察庁あるいは会計検査院等を含む調査も進んでいるようでありますから、質問通告の内容に従って御答弁をいただきたいし、特に問題の信濃川の河川敷を廃川処分にするということが伝わってきておりますが、これはやるべきでないと思います。これをひとつ所管大臣御答弁いただきたい。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○国務大臣(仮谷忠男君) 信濃川の蓮潟地区の河川敷でございますが、先生御承知のように、この川は特に川幅の広い個所があるし、また、長岡大橋の架橋の問題等も関連をいたしまして堤防を締め切ったことは御承知のとおりであります。したがって、河川区域として存置する必要がない土地については、廃川処分を行うのがこれはたてまえであります。したがいまして、当該堤防は完成後約四年経過をいたしておるのでありまして、現在処分に必要な調査等行っておるのでありますが、この廃川処分の時期については慎重に対処していきたい、かように存じております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 総理どうですか。いまのは処分をする方向で——時期は別として言うんですがね、これほど問題になっていることは、もう御承知のとおりです。これは四百億くらいになるんじゃないでしょうか。二十五万坪、ただみたいに取っておいて、これだけ問題になって、これを廃川敷で処分してしまうということは、これはもう世論も許さないと思うんです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 十分慎重な検討を建設省にするように私自身が指示いたします。

藤田進日本社会党

○藤田進君 会計検査院、それから国税庁、それから警察庁。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) ただいまの問題に関連して、安川国税庁長官。

安川七郎国税庁長官

○政府委員(安川七郎君) お答え申し上げます。  いわゆる田中前総理の案件でございますが、昨年十一月以来田中角榮氏及びその関連企業につきまして、いろいろ税務の問題が指摘されましたもので、課税関係の見直し調査を東京国税局及び関東信越国税局の直税部及び調査部が中心になって進めてまいりました。調査はおおむね順調に進んでおります。現在までのところは、全体といたしまして特に問題とすべき大きな誤りは発見されておりませんが、所得計算につきましての誤り、あるいは先方の処理と当局の解釈との食い違い等が見受けられましたので、目下念査を続けているところでございます。  そこで、大体三月中、あるいは法人関係につきましては若干四月にずれ込むかと思いますけれども、三月中におおむね調査を終わりまして、その調査結果に基づきまして修正申告慫慂あるいは更正等の手続をとる予定でございます。  なお、御承知のとおり、三月の十五日が申告の提出の期限になっておりまして、たとえば四十六年分のような過年度分につきましては、この三月十五日で期限が切れる問題がございますので、その期限に間に合わすように処理をいたしたいと考えております。  以上のとおりでございます。

白石正雄会計検査院長

○会計検査院長(白石正雄君) 昨年、田中氏及び同氏に関連があると言われている個人、法人の国税徴収に関する問題が雑誌に掲載されました際、直ちに事務総局に命じて過去の検査に遺漏がなかったかどうかの見返しをいたさせました。その結果、関連の個人、法人について国税徴収上格別の指摘をした事跡のないことが判明し、結局、個人、法人について個別の検討はしたものの、相互の密接な関連からの取引その他の上での問題点に着目するまでに至らなかった点を反省しまして、この際、徹底的な見直し検査をしなければならないという判断のもとに、事務総局に対して特に検査の周到を期するよう指示し、事務総局におきましては、租税検査担当課の中にこの問題の検査を専担するチームを特に設けて、この事務に当たらせることとした次第であります。  申すまでもなく私どもの検査は、納税者について行うものではなくして、税務官署について行うものでありますが、本件に関する検査の状況について申し上げますと、昨年十月、まず検査の手段である計算証明書類、これは租税収入につきましては申告書、財務諸表、決議書などでありますが、これを過去にさかのぼって書庫から取り出し、金額が一定限度以下のため計算証明として提出させずに、相手方に保管させている分につきましては国税局に提出を求め、さらにそのほか、各種の参考資料の収集にも努めております。これらの書類について、各会社、個人の間の取引等の関係に留意しつつ、利益操作、人的、物的利益の供与その他の所得脱漏の有無を検討することとし、この基本方針に従って連日書面検査に没頭しているわけであります。  このように、相互に関連づけながら検査を進めていく場合に、一々の内容は差し控えさせていただきますが、投資関係、不動産の所有及び売買関係、資金の貸借関係、株主の移動関係、配当金の支払い関係、資本金の増減関係、寄付金、交際費等の関係などが解明を要するものと考えられ、すでに会計検査院法第二十六条の規定に基づきまして、数次にわたって国税当局に対して資料の提出を求めております。  この要求資料は順次提出されつつありますが、これらを前述の計算証明書類と関連づけ、また、資料相互間でも関連づけ対照しながら、さらに書面検査を継続しているわけであります。なお、本院がすでに発しております資料提出要求の内容は、国税当局においてもこれを十分考慮して処理を進めているものと考えております。  その上で、さらに国税当局の手持ちしておりまする各種関係書類を調査する必要があり、また、必要によっては権限のある当局者に実地調査をさせる必要もあると考えられますので、税務署等に赴きまして実地調査を実施することに相なります。その実施の時期といたしましては、国税当局が現在税法に基づく調査及びその処理を実施している最中でありまして、効果的かつ徹底した実地検査を実施できる状態ではございませんので、当局の調査等の一段落を待って速やかに実施する所存であり、その際、国税当局の処理に不十分な点がありました場合には、会計検査院法の定めるところに従いまして、毎年度租税の徴収過不足の事態を指摘していると同様、当然に国会に報告するということに相なろうかと思います。

浅沼清太郎警察庁長官

○政府委員(浅沼清太郎君) いわゆる田中金脈問題でございますが、その関連企業の一つと言われておりまする新星企業株式会社、この無免許の宅建業事犯につきましては、主管の建設省から、二月の二十七日に宅地建物取引業法に違反するという通知を受けましたので、目下警視庁におきまして、厳正に所要の捜査を進めておるところでございます。  なお、警察といたしましては、さらに具体的な一犯罪容疑を認知いたしました場合、必要な捜査を行うことといたしておりまして、現在のところは、ただいま申し上げた事案以外には、捜査を必要とする事実について承知をいたしておりません。  以上であります。

藤田進日本社会党

○藤田進君 これは、改めてまた突っ込みたいと思っておりますが、次に総理にお伺いいたします。  もうそれぞれマスコミでも取り上げられておる衆議院の解散です。念頭にはないが、洗礼を受けなければならぬとか、いろいろ言われておりますが、どうも水かきは動いておるように思われる。これをいま、六月、いや十一月、これらの点についてお答えをいただき、かつ、その場合は、やはり対話と協調の精神ということが微動だにしてないということでありますから、当然野党との話し合い解散ということになろうかと思うが、いかがです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 衆議院の任期は来年の十一月まであります。来年の十一月だと思います、任期が、衆議院の。そういうことですから……

藤田進日本社会党

○藤田進君 来年。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 来年でしょう。来年の十一月までございますから、その間に一度は洗礼を受けなければならぬことは、これは言うまでもありませんけれども、まだ来年十一月までもあるわけですから、その任期のあることも踏まえて十分に考慮をいたします。

藤田進日本社会党

○藤田進君 話し合いでしょうな。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いま、解散というのは何も考えていないですから、話し合いで解散をやろうとも何も、そういうことは、解散についてはいま何も考えていないと、したがって、方法論も話し合いでやるとかやらぬとかいうことも頭の中にない、もう法案の審議を促進したいということでいっぱいでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 対話、協調も、これは時によりけりということのようですが……。  次に、宮内庁長官、天皇訪米について、質問通告はそれぞれ個条書きにしてありますから、全貌をひとつ明らかにしていただきたい。

宇佐美毅宮内庁長官

○説明員(宇佐美毅君) 天皇陛下、皇后陛下のアメリカ御訪問につきましては、アメリカの前大統領のときから起こっている問題でございまして、かつ四年前にヨーロッパ御訪問の際、アンカレッジに給油のためにお立ち寄りの際に、ニクソン大統領がわざわざそこに飛んでこられまして歓迎の意を表された際に、両陛下に、ぜひアメリカに御訪問願いたいと言われたのが最初でございます。その後、前総理大臣がアメリカに行かれまして、大統領といろいろ政治的な御会談の際にも重ねてございまして、その他の場合でもそういう意思が伝えられてきております。もとよりアメリカも日本の天皇陛下の憲法上の性格と申しますか、そういうことはよく存じておりまして、決して政治的に扱うものじゃないという考えを漏らしておられたわけでございます。しかし、いろいろ相互の事情が合いませんで今日に至りましたが、昨年十一月にフォード大統領が就任後間もなく日本を訪問されまして、天皇陛下との会談の際に、ぜひおいでいただきたい、これは前からのアメリカとしての要望でございますということでございます。天皇陛下は、それは政府の方に伝えます、私個人としては、四囲の情勢が許すならばその御招待を受けたいということを述べておられるわけでありますが、このことは、同時に大統領は政府の方にも話をしておられまして、その結果政府としても、できれば日米親善友好の増進のために実現することを望むことを発表せられておるわけであります。  結局、いつおいでになるかということが残っていたわけでございますが、政府の方とのお話し合いで、本年の十月初旬はどうかということで、大統領もいろいろ伝えられますように世界にいろいろ飛んで行かれる御予定もあるように察せられますし、ワシントンに着かれるところを早く打ち合わしておく方が相互の都合がいいということから、全部の検討はできませんでしたけれども、大体十月一日東京発、ワシントンで公式行事があれば二日間ということで、東京をたってお帰りまで約二週間ということでお話し合いができまして、閣議決定の後に発表になったわけでございます。そういういきさつで今日に至ったわけでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 三木総理もアメリカ訪問のようですが、これは随員ですか、それよりも前なのか。この天皇御夫妻訪米ということの随員はどなたになりますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 何か新聞にそういうのが出ておったようですけれども、私の予定はありません。これはもう国会もございますし、アメリカをいま訪問する、外遊の予定は何もつくってないですよ。内政問題に専念しようということで、外遊の予定は一つも組んでおりません。

藤田進日本社会党

○藤田進君 随員ね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) そのことはまだ政府の方として、これから宮内庁の意向も聞いて、政府の方でも相談することで、いま決まっておるわけではございません。

藤田進日本社会党

○藤田進君 宮内庁の意見を聞くそうだが、長官はだれを随員に希望するんですか。

宇佐美毅宮内庁長官

○説明員(宇佐美毅君) お答えいたします。  四年前のヨーロッパのときには外務大臣が首席随員としてお供されました。今回は随員のこととか、ワシントン以外の日程についてはまだこれからの問題でございまして、何にもまだ予定もしておりません。しかし、宮内庁だけでなくて、やはりこれは政府として最終的な責任を持って話を進められたことになりますので、政府からもおいでを願うべきだと私は考えております。まだそれも内閣の方とは具体的にはお話ししておりません。

藤田進日本社会党

○藤田進君 どうも三木総理の憲法改正、自民党はこの自主憲法の制定の決議が生きておるように言われております。  この点と、それから国際婦人年ですが、不公正の是正、差別、ジスカールデスタン・フランス大統領は二、三日前、大分ぶっておりますね。それは質問通告してあります。そういったことを含めて前向きのひとつ所信を伺いたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 現行の憲法は、占領下という特別ないきさつもありましたけれども、非常に高い理想を掲げた憲法である。まあ現実との間のずれというような問題も、これは政治が埋めていく問題であると。現在の段階で憲法改定の意思を政府は持っておりません。

藤田進日本社会党

○藤田進君 国際婦人年のね、ことしの。具体的に何をするか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) ことしは国際婦人年ということで、世の中は男性と女性のお互いの協力がなければ安定も進歩もしないわけでございますから、そういう意味で、女性というものは、私の頭の中にあるのは機会均等といいますか、能力のある人が——能力のない人は別ですけれども、能力のある人が、いろいろ婦人なるがゆえにいろんな機会が平等でないということを是正していくために今後努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。それば政府部内においてもできるだけ婦人を、採用する人なども能力のある必要な人はふやしてもらうとか、今後婦人の地位の向上ということについては、あらゆる場面で、これは政府自体のことも、民間もそういう気になってもらう必要がありますから、訴えたいと、国会でああいう演説をしたのも国民に訴えるという意味もあったわけでございます。新聞などにもこの間、そういう私のことを新聞にも述べて国民の協力を求めたわけでございますが、全国民の協力を得て婦人の地位の向上、婦人に対して能力のある場合においては男性と平等な機会が与えられるような社会を目指して努力をしてまいりたいと思っております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 その平等が、いままでの内閣では、たとえば職場の女子定年、五十五歳が二十五歳とか四十五歳とか、これはこの間判決で提訴者である婦人の方が勝ったわけですが、これは当然男子と平等であっていいということが含まれておりますね、いかがですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 先般判決もあったわけでございますし、それは女子だけに特別な定年制をしくというのは適当だとは私は思いません。

藤田進日本社会党

○藤田進君 労働大臣、いかがです。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。  労働省としては、合理的な理由がなくして女子の定年年齢を男子に比べて非常に低くしていることば、憲法あるいは労働基準法、さらにはまた、勤労婦人福祉法の基本的理念にもとると思いまして、従来からも事業主に対していろいろ積極的な行政指導をしておりますが、ことしは幸いに国際婦人年で、一般の方々の婦人の地位の向上、あるいは参加、国際協力の参加、そういうものの気分の非常に大きいときですから、一層推進して解消に努めてまいりたいと、こう思っております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 その合理的な理由を例示されたい。

森山真弓労働省婦人少年局長

○政府委員(森山真弓君) 合理的な理由ということについての御質問だというふうに伺いましたが、女子の定年制につきましては、先ほど来御説明を大臣が申し上げておりますように、一般的に女子ということで若く決めている企業が、わずかではございますが、ございます。それは一律に女子であるからというだけのことで決めておりますので、それは合理的ではないのではないかというふうに思うわけでございますが、合理的な理由があるということがはっきりいたしております例というのは、いまのところ私ども把握いたしておりません。判決その他で出ておりますのは、女子だからということでもって一律に若年定年にしているのは合理的ではないというふうに説明がされているところでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 合理的な理由を考えていないのですか。

森山真弓労働省婦人少年局長

○政府委員(森山真弓君) いまのところ、そういうものがはっきりとしているものはございません。

藤田進日本社会党

○藤田進君 では、労働大臣は空答弁で、合理的理由は考えていないそうです。  総理、原爆被爆者援護法、これはもう条約、平和条約の経過等から見ても、弱者、不公正、この最たるものですね。ところが、政府は今回特別措置法を出しております。これはどっちをかち合わせてどうということは非常に複雑な問題になっております。これあたりはやはり党首会談を持って調整を図るべきだと思うんです。いかがでしょう。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 原爆の被爆者援護法を社会党から提唱をされていることはわれわれも承知しておりますが、政府は、今回、原爆被害者の対策、十分に意を用いて、五十年度予算においても百六十一億から二百五十四億、五八%増したわけでございます。保健手当も新設をいたします。いまのところ原爆被爆者の援護法を特別に制定する考え方はございません。やはりいま言ったような原爆被爆者に対する対策を強化してまいりたいと考えておる次第でございます。したがって、党首会談、私も頻繁に必要に応じて開きたいと申しましたけれども、この問題で党首会談とは考えてはいないわけでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いや、先ほどは党首会談を開いて、食い違えば調整を図るということだったわけですね。そうすると、党首会談をしない問題を例示してもらいたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) しない問題の例示というのはなかなかむずかしいですが、要するに、もうこういう政府の方針を決めたものですから、いまここで政府が野党の、社会党の申し出によってもう一遍考え直してみようとは思ってない、いまの対策を強化していきたいと思っておりますから、特にこの問題で党首会談を開きたいという考えはないわけです。

藤田進日本社会党

○藤田進君 ほかの法律でも同じですよ、それは。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いや、そうでもなく、やっぱりいろいろものによったならばお話し合いをして、たとえば政治の運営に関する問題などはこれはお話をしなけりゃならぬと思っていますが、この援護法の問題は、ひとつ政府は予算も強化しましたからこれでやっていこうとしているわけで、ここでまた党首会談ということは考えてはないわけでございます。しかし、なるべく広く問題を話し合うことは必要ですけれども、原爆の被害者の保健ということで党首会談を特に開こうという考えは持っていないわけでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 かなり後退のあらわれがここにも出てきたわけです。  次に、かなり過剰流動性が心配されてきておりますが、特に不況対策としては第一次が発表されておりますが、次に第二次といいますか、この不況対策の内容等をお示しをいただきたいし、特に中小企業は非常に困って、これは仕事よこせですよ、融資もさることながら。特に和装産業等については、韓国からの輸入等で非常に国内産業は圧迫されておる。これらについての措置を含めてひとつ企画庁長官、総理からお伺いいたします。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 日本の経済は、世界じゅうが非常に混乱しておる中ではまあまあ好ましい姿で動いておると、こういうふうに観察しています。物価ばかなりの落ちつきの傾向でございます。国際収支は大幅に改善を見つつあるわけであります。ただ、いま御指摘のように、物価政策あるいは国際収支対策、そういうものの摩擦的現象として、いま生産が減るとかあるいは雇用情勢が悪くなるとか、ことに中小企業の問題が深刻であるとか、そういう問題が起きておるのです。ですから、私どもといたしましては、いま政策の物価を安定させる、国際収支を均衡させるという、こういう方向への努力、これは放棄する、そういう考えは持ちません。しかし、その努力の間で起きる摩擦現象ですね、特に弱い人の立場、こういうものはそういう政策の過程において十分考えなきゃならぬというので、二月に当面講ずべき対策、十項目になりますが、それをやったのです。その影響は多少もう出つつあるように見ているんです。株価もかなり高騰するというような現象も起きておりますが、中小建設業者なんかにはすでに活発な動きも見られる、こういうような傾向もある。あるいは住宅の建設が少し上向いてきておるというような動きも見られます。そういう動きを三月の中・下旬までじっと見たいと思うのです。そして、各業界がその時点においてどういう状態になっておるか、そういうようなものを見きわめまして、眼点といたしましては、とにかく小さい弱い立場の人、これにしわ寄せが行っちゃいかぬ、これをかなめといたしまして諸対策を講じてみたいと、こういうふうに考えておりますが、まあいま、三月下旬になろうかと思いますが、その時点でどういう対策をとるか、このことにつきましてはまだ中身は考えておらぬ、こういうことであります。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 関連をして一つ通産大臣にお聞きしておきたいことがあります。それはただいまも話がありましたところの、特に弱小企業の中でも不況とそれから韓国産の流入ということで非常なしわ寄せを受けておりますところの和装産業の問題です。  いま、特に韓国産の流入によって不況対策の面以上に大きな影響を与えているところの問題であるということは、通産大臣も御存じだと思うのであります。それだけに、この和装産業の韓国産の流入というものをそのまま放置をされますと、村山大島とか染とか友禅ばかりではなくして、大島つむぎそれ自体も、かつてのしぼりのような状態の二の舞になりかねないというような状況なんです。したがって、この問題についてはそれぞれの業界で何とかしてもらいたい、特にこの輸入の規制についての立法措置をしてもらいたいという強い要請が一月末から二月末にかけましてあったことも、これは通産省御存じだと思います。したがって、私は、この点についてどういう対策を通産省としてはお持ちであるか、関連質問でございますので、次の二点にしぼってお聞きをしておきたいと思います。  一つは、原産地表示の問題と関連をいたしまして、いわゆる無表示物の韓国産のいろいろな和装産業品が日本に流入しておる。特に大島つむぎの場合は、私ここに現物も持ってきておるのでございますけれども、たとえば、ほとんど見た目には変わらない。けれども、それは無表示のままで入ってきて、国内の業者がラベルだけは国内で通用するようなラベルをつけて、偽って消費者に誤認をさせるような処置、方法でもって販売をしておる。したがって、この問題を何とかしてもらいたいということを暮れのこの委員会においても通産大臣に質問したことがあります。そのときに、通産大臣が、この問題は初めて聞くけれども、早急に対策をしますというお約束をされておりました。したがって、この問題についてどう具体的に通産省としては処置をされておるかということが第一点なんです。  それから第二点は輸入規制の問題でございますが、先ほど申し上げましたように大島つむぎ関係者、さらにはまた石川から福井にかけての白生地の絹織物業界、あるいは京都の染、友禅業界、さらには村山つむぎ関係者も、この問題について政府で何らか処置をしてもらわなければ、このままだと自滅をする、単に不況対策の一半として問題を処置するのではなくして、韓国産の流入度をどうするかという問題については輸入規制をしてもらいたいという強い声になっておることも、それぞれ通産省はお聞きだと思いますが、このことに対して通産省としては現在どのように考えておるかという点が第二点でございます。  私の察するところ、この第二点におけるところのこの事態の認識の度合いということが、率直に申し上げて大きなずれがあるようであります。私どもは、それぞれの産地の要請を受けていろいろ事情を調査をいたしますると、まさに、これはガット十九条のいわゆるセーフガードを発動をするに値するところの問題とさえ思っておるわけでございますけれども、なかなか政府の認識がそこまでいっておらない。それならば、その発動しないまでも、どういう対策をとられるか、その点を明確に私はお聞かせ願いたいという、この二点についてお聞きをいたしたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 先般その話がございまして、事態が大変重大でございますので、通産省から代表を韓国に派遣をいたしまして、先方といろいろ話し合いをさせました。  第一点の無表示物の輸入でございますが、この点につきましては厳重談判いたしまして、向こうは織物に織り込む、そういうふうに話し合いがついたようであります。  それからなお輸入規制の問題でございますが、これにはいろいろ問題がございまして、とりあえず韓国と話し合いをいたしましたことは、秩序ある輸入にしてもらいたい。むちゃくちゃな輸入をしないで、オーダリーな輸入にしてもらいたい。それから国内でも生産を奨励する、そういうことはやめてもらいたい、こういういろんな談判をいたしました。その結果、先方もわが国の国内の重大な事態を認識いたしまして、そういうことのないように十分配慮いたします、そういう約束をいたしましたので、当分の間様子を見守っていきたい、こう思います。  同時にあわせまして、国内の輸入業者、窓口になっております商社等を指導いたしまして、これに対してもやはり秩序のある輸入というものを指導していきたい、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、当分の間様子を見守りまして、その上で次の手を打っていきたい、かように考えておる次第でございます。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 私の方からもお答え申し上げておきます。  国内の中小企業のひどいところに発展途上国の追い上げで、いまおっしゃるような問題が出ております。そこで、基本的な問題は通産大臣からお話がありましたが、先日御可決いただいた雇用保険法、その中に雇用調整給付金というのがありまして、その中においてそういう方々に、業種に対して指定をいたしまして、友禅、織物業、こういう方々には雇用調整給付金の対象としております。おっしゃられた和装品、これは含まれておりません。いずれにいたしましても、業種指定の基準に照らしまして今後検討してまいりたい、こういうことをお答えしておきます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 この無表示問題について大臣の答弁を確認をいたしますけれども、これはこういう意味ですか、今後無表示物を韓国としては絶対に輸出をしません、こういうことを約束をしたという意味なんですか。それとも、無表示物は今後送るようなことをしないように努力したいということなのか、そこらあたり明確にお聞かせ願いたいということと、第二点の秩序ある輸入という意味は、これは韓国側が約束したということですから、ていよく言えば自主規制ということになると思いますが、その自主規制なるものの中身は一体どの程度まで進んでおるのか、その中身を聞かしてもらわなければ、関係業者は韓国がこう言ったからということで了解をしてくれということでは、これはどっこい了解ができないのです。したがって、その点を明確に再度お聞かせ願いたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 先方が無表示物を日本に出さない、こういうことでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 輸出は認めないということですね、韓国側は、無表示物は。それをはっきりおっしゃってください。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) そうです。無表示物を向こうは輸出をしない、こういう趣旨でございます。  それからもう一つは、昨年の一月から十二月までの輸入量を調べてみますると、大体国内で使用しておりますものが八十万反ばかりでございますが、それに対しまして約三万反ばかりが入っておる。大体こういう数字が出ております。これをふやさないようにやっていく、こういういま話し合いをしておるところでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 もう一点だけでやめますが、これは三万反云々というのは、現状維持にとどめるということにしかならないのです、それならば。現状でさえも大きな騒ぎになっているわけですから、大臣のいまの御答弁だと、秩序ある輸入というのは現状よりもふやさないということの意味だというふうにしか理解できないのですが、それではもう関係業者としてはきわめて困るということだけは申し上げておきたいので、したがって、この問題については、従来以上にやはり減らすのだという具体的なものを出していただきたい。きょうは関連質問でございますから、次の機会に改めてその問題を質問いたしますから、そのときまでには明確にひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。

藤田進日本社会党

○藤田進君 企画庁長官は、内圧もあり、かつ外圧事情から公定歩合の引き下げを要請するという気持ちのようですが、これはどの程度で、時期等も含めてお答えいただきたい。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま日本銀行に対しまして外圧、内圧を理由に公定歩合の引き下げを行うべきであるというような要請をするという考えは持っておりません。  公定歩合はなかなかマスコミなんかでにぎやかでございますが、これはやはり国外との金利のバランスの問題そういう問題があると思います。その角度から見ますと、わが国の公定歩合、これをいま修正しなければならぬという必要はない、こういうふうに見ております。それから国内の事情はどうかといいますと、いまの物価情勢は、これはコストインフレ、そういう段階です。ですから、金利コストを下げるということは、私は物価対策上はいいことだと、こういうふうに思います。ただ問題は、公定歩合を下げるといいますと、これが相当大きな経済政策の修正をするんだというようなとらえ方が横行している、こういうふうに思うんです。そういう考え方がありますので、この引き下げ問題というのは慎重に扱わなければならぬ、こういうふうな考えを持っておるのですが、いずれにしても、これは日本銀行のやることであります。日本銀行が四囲の情勢をよく見て、そして判断すべき問題であり、政府としてとやかくこれを要請するというようなことは差し控えたい、こういう考えでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いや、いまということなんだが、いま、きょうこの時間というよりも、しからば、三月いっぱいは少なくとも引き下げの必要は企画庁長官としてはないという認識ですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) そこがまあ問題なんです。つまり、政府が日本銀行の行う公定歩合操作、これに対して示唆を与える、これはよろしくないと思うんです。

藤田進日本社会党

○藤田進君 長官としてです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私個人としても、これは発言をするということになれば、政府として示唆を与えた、こういうことにならざるを得ないわけでありますから、これは差し控える。しかし、原則的な考え方といたしましては、外圧、そういうような状態からはこれを引き下げる必要は、いまはない。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いまはいい。今月一ぱいはどうですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) それから国内の経済情勢、これから見れば、長期的な立場からいいますと、コスト要因を取り除くという意味において金利の低下を図る、そのための公定歩合の引き下げを行う、これは私は好ましいことだと思うんです。ただ、いま非常に景気のデリケートなときであります。そういう際に公定歩合の引き下げを行うということはいろいろのまた影響もありますので、これは慎重にやってもらいたい問題だと、こういうふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、今月どうすべきだということにつきましては私としては見解を述べかねると、御承知願います。

藤田進日本社会党

○藤田進君 まあいまはあれだが、今月いっぱいはありそうだというようなことのようですが、総理、不公正の是正をやりたいという所信表明、これはあらかじめ、不公正は具体的にはどういうものなのか、国民はそれぞれ自分の立場、非常に不公正だと考えておる者が多いですが、これについてひとつ具体的に示してもらいたいということを質問通告の中へ入れてあったわけです。それをお示しいただきたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) やはり当面の不公正是正といえば、これはもうインフレというものをとめて、物価を安定さすということが一番の不公正是正の急務だ。インフレが進行いたしますと、所得配分なりに対してもひずみが出てくることは明らかですから、不公正是正の第一番は、やっぱり物価を安定さすことである。また、もう一つの問題は、インフレによる利得を吸収することである。これに対しては、四十八年度にも会社臨時特別税、法人税率を引き上げたり、五十年度には土地譲渡所得課税を強化したりしていますね、こういうことの中にあらわれておる。それからもう一つは、インフレの被害者をできるだけこれを救済しようというふうに、これは社会保障の充実という点にいま力を入れている。五十年度の予算においても一兆円を、社会保障費というものはふやしたわけであります。  こういうのが当面の不公正の是正でありますが、これがインフレの問題が落ちついてくれば、社会の公正を確保するというのには幾つかの大きな問題があると思います。たとえば万人のために自由が保障されるということ、機会の均等が保障されること、あるいはまた人並みな暮らしが保障されること、また正当に努力が報いられること、こういうことばそれぞれやっぱり問題の点です。自由が保障されるというような面から言えば、独禁法という問題もここで起こってくるだろうし、いろいろとこういう公正というものを、ただインフレの進行中というのでなくして、国の長期にわたって考えたときにはいま言ったような問題がある。これに対して、そういうふうなひとつの公正を害するような問題に対しては除去していかなければならぬ。相当これは長期的な計画を持たなきゃならぬと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) ちょっと一言。  藤田さんは、先ほどの私の答弁を畳み込んで、今月中に公定歩合の引き下げがあることについて……

藤田進日本社会党

○藤田進君 示唆を受けた。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 示唆を受けたと、こういうようなお話でございましたが、私はそういう示唆は与えておりませんから御理解のほどをお願い申し上げます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 それじゃ聞きますが、今月中はどうなるんです、長官として……。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 公定歩合は、先ほど申し上げましたように日本銀行のやることでありまして、政府のやることじゃないんですよ。しかし、長い目の公定歩合の論議について私の見解を求められれば、先ほど申し上げましたように、いま非常に日本の高金利だ、産業の負担も減らしたい、またコストインフレにも役立たせたい、こういうふうにいま考えておりますので、いずれの日にかはそういうことになるだろうし、なってもらいたいと思っていますが、いま現実の問題として三月中にどうのこうのということは、これは日本銀行で決める問題である。

藤田進日本社会党

○藤田進君 そのいまが問題なんですよ。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) そうですよ。

藤田進日本社会党

○藤田進君 やはり結論はあまり変わりません。  それからこれが国民金融公庫ほか六公庫あるいは開発銀行等ほか、これが約二千四百億ばかりのいわば貸し倒れ準備金といったような滞貸引当金、これだけの財源を寝させていく。これはもう行管も勧告している。また、法律もこれは国庫一般に入れるということになっている。これはどうして今回こういうことになりましたか。これは取りやめてもらいたい。予算の修正もすべきだと思うんです。これらの財源が隠れてしまっておる。

高橋英明大蔵省銀行局長

○政府委員(高橋英明君) 公庫並びに輸開銀の滞り貸し引当金約二千二百億ほど、四十八年度末でございます。これは金融機関として、貸し倒れ等に備えてそういう引当金を計上することは、当然のことでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 貸し倒れはないじゃない。

高橋英明大蔵省銀行局長

○政府委員(高橋英明君) 貸し倒れの実績とあまりにも差があるではないかという御指摘、これはございます。ただ、われわれは金融機関というのは万一に備えて手厚く引当金を計上せよという立場に立っております。もっとも、現在貸し倒れ引当金としてその二千億程度のものがございますが、これは各公庫、各輸開銀におきまして、自己資金としてすでに貸し出しに使われているものでございます。したがいまして、これは無利息の一番いいお金でございまして、これが各金融機関の資金コストを引き下げるに役立っておりますし、また、量的にもその分だけ補完しているわけでございます。  ただいま御指摘のように、これを国庫で召し上げて、ほかの福祉等々に使うということもお考えにあろうかと思いますけれども、一方、公庫等はそれぞれ政策目的を持ちまして、住宅、福祉、いろいろのことをやっているわけでございます。したがいまして、それだけ資金を国庫に差し出しますれば、現在の資金計画あるいは事業計画というものが適正である限り、また新たに出資なり借り入れをなさなければならないという、いわば堂々めぐりのようなことになるわけでございまして、私どもとしては、貸し倒れ引当金というものを自己資金として使わしていただいておくということは、このまま続けさせていただきたいというふうに感じておるわけでございます。  それから、ただ行管の勧告がございましたというのは、繰り入れ方式、あるいは各公庫におきましてその累積限度といったようなものにばらつきがございました。その点を勧告を受けましたので、昭和五十年度から従来の累積繰り入れ方式というのを改めまして、洗いがえ方式、一般の民間の金融機関でやっておりまする洗いがえ方式に移行しようということで改めることにいたしたわけでございます。これは一応、期末貸し金の千分の二十というようなところを基準にいたしまして繰り入れていこう、それは一般の金融機関の倍でございますけれども、これは政策目的を持っております、民間で借りられないというような性格、あるいは長期的なものになるという性格から一般よりは厚くしようということと、従来積んでおりました額を減少させていくことについての激変緩和というような意味で、とりあえず千分の二十から五十年度からは洗いがえ方式で積んでいこうと、こういうふうにいたしておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 関連。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 関連は少し御遠慮を願いたいと思いますが、大分関連もたびたび出ておるようでございますから。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 最後ですから。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) じゃあ一問、一回だけお願いします。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 実は私も福祉の財源を見つけるために、五十年度予算の資料をずっと見ておりましたときに、公庫並びに開発銀行、輸銀などが、いわゆる企業でしたら貸し倒れ引当金、これは滞貸償却引当金と言うのですが、それが四十九年度全部ゼロになっていて、そうして突如として五十年度の予算に大変大きな額が計上してある。三百何十億というような計上のところもあります。それで大蔵省にお願いして実績の資料を出していただいたわけです。ところが、そのいわゆる貸し倒れ引当金を取り崩しても何でもいない医療金融公庫なんか、これが五十年度の滞貸引当金として九億三千万ですか、それから輸銀なんかは三百六十六億、これも全然ゼロです。取り崩し実績はゼロです。それから環境衛生金融公庫も実績はゼロです。  そういうところに非常にたくさんの、もうこれ全部そうなんですが、それで行政管理庁の勧告には、その計上の仕方が妥当でないということだけではなくて、本来公庫というのは一般会計から、国庫から出資したものであって、そうして期末の貸し付け残高の一・五倍ぐらいを引当金として計上するように大蔵省としては指導しているはずなんですね。それにもかかわらず、それを全部隠したままおって、それで今回行管の勧告があって、本来ならば国庫から入れたものであるから、引当金の取り崩しがなかった場合には国庫に一たん返せということになっているわけなんですが、それを全然しないで二十四年度以後きているわけなんです。  こういうような操作をしていいのかどうか。公庫法その他に違反しはしないかと思うのですが、もしそうであれば法律制度そのものも変えなければいけないはずだ。公庫というのは、国民の税金で引当金も補足しているわけですね。ですから、使わなかった分は国庫に一たん戻すということがたてまえだと思うわけなんです。その金額がことし、先ほど藤田委員が言われましたように千二百二十億、これが公庫の滞貸引当金、それから輸銀と開銀を合わせますと二千四百三十三億も長年滞貸引当金として積み立ててきて、ちっとも国庫に返さないできたということについて、大変国民としては疑惑を感じるわけなんですが、そういう会計上の操作というようなものははっきりと国民にわかるように示して、先ほど大蔵省の銀行局長が言われたように……

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 簡単に願います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 もしもそれだけまた費用が要るならば、一般会計からこれは操り入れるはずのものなんです。その辺をどう考えるのか。これは大蔵大臣、あるいは前の行政管理庁長官は福田さんだったわけなんで、そのときにこの勧告をお出しになりましたので、その点あるいはいまの行政管理庁長官もお話いただきたいと思うのです。そして、それは改めるべきものであるのかどうか、まだはっきり私にはわからないものですから説明していただきたい。

高橋英明大蔵省銀行局長

○政府委員(高橋英明君) 公庫等の滞貸償却引当金でございますが、これは法律で公庫の予算及び決算に関する法律というのがございまして、それに基づきまして公庫の国庫納付金に関する政令というのがございます。これの第一条にその公庫の決算のやり方が書いてありまして、益金はこれこれ、損金はこれこれという中に「滞貸償却引当金への操入れ」というのが書いてあるわけでございます。その第一条の四項に、この率は大蔵大臣が定めると、こういうふうになっておるわけでございます。それで、いままで私どもは各公庫別にその率を定めておったわけでございます。これが各公庫でばらばらであるという御指摘を受けましたので、それを改めておるというのが現状でございます。法律的な面はそのようになっております。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 政府間のことでございまして、財政投融資計画によりましても、またその貸し出し計画に当たりましても、それは原資となりまして働いておるわけでございます。ただ田中先生がおっしゃるように、そのままそういう姿で公庫に滞留させておくのがいいか、一たん引き揚げるべきものは一般会計に引き揚げ、必要なときに一般会計から出すという経理の方式が正しいか、そういうことが問われておると思うのでございます。それば確かに検討に値する課題だと思いますけれども、問題は会計経理のことでございますから、公明にやらなければならないと思うのでありまして、これは確かに公明に経理いたしておることに間違いはございません。問題は、一たん一般会計との年度別の経理を区切り区切りをつけてやるかやらないかということが問題だと思いますが、御指摘の点はなお検討いたしますけれども、いままでやってまいりましたことが間違いであるとは私思いませんで、なお検討してみます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 福田さんのときに勧告しているのです、国庫に戻せと。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私が行管長官のとき関係した問題でありますのでお答え申し上げますが、公庫は、結論から申し上げますれば、そのしりは国庫が、つまり政府といいますか、国庫が責任を持つ、こういう仕組みでございます。でありまするから、その責任を持つ、しりを持つこういう額については、これは適正に責任を持たれるべき額——しりと申しますか、それを経理しなきゃならぬ。ところが、公庫の経理が、時には積立金を少なくしてみたり、時には多くしてみたりいたしまして、必ずしも適正でないのじゃないかという疑いがありましたので、行管として大蔵省に対してこれらの適正処理方を勧告をしたと、こういうことであります。それに従いまして、いま銀行局長からお答え申し上げましたように改善をいたしておりますと、こういうことでありますから、なお今後とも私どもが勧告をいたしましたその筋に沿って経理してもらいたい、かように存じております。

松澤雄藏自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(松澤雄藏君) ただいま福田さんの言われたとおりでございますので、あえて私のほうから申し上げることはございません。

藤田進日本社会党

○藤田進君 それは根本的に違うのですよ、前もいまも。独立採算で穴があけばそこで赤字とか、もうかればそこで処理する、そうなっていないのですよ。穴があけばやっぱり一般からこれは注入していく。余れば国庫に入れる。いずれにしても、それは根本が間違っていますから、それは改めてもらいます。  それから総理がそこまでの予算編成に目が届かないということは私はわかりますよ。しかし、実際に貸し倒れがそんなにないのに二千四百億からの、財源がないないと、何かやりたいと三木さんは思っていたに違いないけれども、余りにもひど過ぎるです。貸し倒れの実績から言えば百六十倍近いものを積んでみたり、これは改めてもらいたいと思うのです。再検討されたいと思いますよ。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いまこの財政硬直化という問題について、財政制度審議会あるいは地方財政については地方制度調査会などで検討を依頼しておりますから、広範にいろいろ問題を扱ってもらいたいと思っております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 予算編成のあり方自身についても、これはもう最後に官房調整費だ何だというような程度で、内閣の総理大臣がもっとにらみのきく仕組みを、それは予算庁を設けるとかいろいろな昔から問題がありましたが、これは検討されなければいかぬと、こう思います。  それから春闘について、まあコストインフレ、コストインフレ——五日前の二十八日の日に総理府調査が発表されて、四十九年度の一般勤労者世帯の指数が発表されております。これによると、ベース改定になったけれども、消費者物価の四十九年度一年間の平均二四・七%の上昇によって、実質収入は〇・三%の減少をしておるのです。また可処分所得は〇・一の減少をしている。これは政府の統計資料ですね。こういう状態なのに、なお今後物価が上がることは間違いない、ゼロではないし、これを政府が鳴り物入りで、労働大臣もしかり、総理以下企画庁長官余りにも介入し過ぎると思うです。これはやめてもらいたいと思う。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 賃金問題は、これはもう労使双方で決める問題でありますので、政府はこれに介入する考え方はありません。ただ、この賃金と物価という関係が、これは高度成長期とこれからの静かな成長期とは根本的に性格が変わってきたという点についての認識は、ぜひ労使双方に持ってもらいたい、こういうふうに存じまして、その点につきましては、これは労使双方はもとより、また国民全体に対しまして私どもとしてはPRをいたしておるわけでありまして、しかし、それだからといって、具体的に決まる賃金、その問題について政府が幾らにしなきゃならぬとか、そういうような介入は、これはもう絶対にいたしません。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 去年までの一〇%の成長の時代とは違って、ことしはゼロじゃなくてマイナスでございます。そういうときですから、こういう実態を見ながら、労使がひとつ国民的連帯感の上に立って賃金交渉をしてもらいたいという願望を申し上げているだけでありまして、副総理が言いましたように、その間に私たちは介入する意思は一つもございません。

藤田進日本社会党

○藤田進君 それは団体交渉に列席はしないけれども、明らかにこれは行き過ぎです。特に労働省は労働者のサービス省で発足したわけですから、この点は十分留意していただきたい。  それから総理、文部大臣、大蔵大臣にお伺いしますが、私学助成はかなり教育重点という方針もあってふえてはおりますが、物価その他の諸経費の値上がりから相当やはり問題があります。経費の〇・五%の助成金とかいうものもありますが、いまなお私学は困っている。困り方にもアンバランスがある。したがって、傾斜配分等を含めて再検討されたいと思う。内容は通告してありますから、それぞれお答えいただきたい。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) 御指摘のとおり、私立大学の財政状況は非常に悪いので、昭和四十五年以来助成を行っておりますが、本年度は一千億を超える助成を行うことになりました。しかし、それにもかかわらず、これまた御指摘のとおり、授業料も値上がりいたしておりますし、それから一、二年のうちに解消するような状況ではないということは、これも周知の事実でございます。  そこで、これをどうしていくかというので、本年度、傾斜配分という考え方をとっておりますが、傾斜配分というのは、大学の教育や研究の内容、これによって傾斜配分をしたり、あるいは有名校、そうでないもの、それを区別して傾斜配分をするということではなくて、むしろ経営の内容について問題となる点を取り上げまして考えていく。ということは、たとえば定員に対して水増し入学がどのぐらいあるか、あるいは学生と先生の比率ですね、これがどのぐらいであるか、あるいはまた大学における設備施設がどうなっているか、そのほかございますけれども、そういうふうな点に留意をいたしまして、そしていままで非常に長い間私学の経営がむずかしい状況のまま進んでまいりましたから、助成をしながらなるべく経営の内容をよくしていくという考えで進んでいるわけでございます。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私学財政の現状に顧みまして、文部省の要請のもとで、ことしは相当思い切った助成を考えたわけでございます。ただ、財政制度の問題といたしまして、高校以下は原則として地方財政を経由しての国庫が助成をするというたてまえに相なってまいっておるわけでございましたが、ことしから直接に八十数億を計上するという挙に出たわけでございまして、これをどのように秩序立ててまいるかということは、今後文部当局とよく相談をいたしまして、成果が上がるよう、実の上がるようなことを考えてまいらないかぬと思っておりまして、いま文部省との間で鋭意検討をいたしておるところでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 五〇%はいつやるのかということをさっき聞いたんですよ。助成五〇%が最終目標で一応来たでしょう、いままで。それを聞いたのだけれども、答えない。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) 二分の一助成の問題について。私学の長期計画を持った助成の方法というものは考えております。すでに四十五年から五十年までやはり長期計画に基づいて手直しをしながら進んでまいりましたが、一律に一定額の助成をする、そしてそれを何年次までに実現をするという形の計画を現段階では考えていないわけでございます。といいますのは、先ほど申し上げましたように、私学の経営の内容についていろいろ考えていかなければならない問題というものをやはり年ごとに考慮いたしまして補助の方法を検討すべきであるということもあり、地方、私学の中に御承知のようにいろいろ大学の種類がありまして、たとえば私立医歯科大学のような場合には非常に多額の入学時に寄付金を要するというような問題もありますから、そこで厳格に一律の補助というものを何年次までに行うというような形の計画ではなく、状況を見て手直しをしながら漸次進んでいくという方法で進んでいく考えでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 総理にお伺いをいたしますが、この二分の一補助をとりあえずの目標にして前内閣以来来たわけです。いまになって、せめて二分の一助成がいつになるか、さっぱりわからないという後退がまたここに出てきたわけです。これは総理の所信でも明らかなように、教育の場をもっと環境レベルをアップしていこうということであれば、これは早急にせめて二分の一助成はなさるべきではないだろうか。  この点についてお伺いしますし、それから傾斜配分は、学生数が定員より多い、あるいは教員数が学生に対して少ないとか、設備施設が悪いとか、この悪条件では、助成が少なくなるというのは、むしろこれはスクラップ化してしまうことになるんです。だから、たいへん長い百年なり歴史を持って、自力を持っているところが助成が大きくて、そうでないところがなかなかはい上がっていけない、こういう実情はよく御存じだと私は思うんです。ですから、そういう傾斜配分ということの弊害が非常に強く出てきているので、これはやはり再検討されたい、こう思いますので再度お伺いをいたします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私学としても、二分の一の補助を受けたいということを強く私学が要望しておるわけですね。そういうことで、理想としてはそういう目標に向かうべきではありましょうが、しかし、財政の面からも安定成長期ということになれば、財政というものもいろいろ硬直化の問題などを検討いたしておりますから、これは相当やっぱり長期的に考えてくる必要があるのではないかと、理想としてはそうだと思いますが、色よいことを申しますと、また藤田さん、後退だ後退だと言われますから、そういうことで慎重にお答えをいたしておきます。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) 二分の一、一律何年次に実施という考え方を持たないというのは、これは後退ではないと私は思っております。先生は非常に私学の振興について御尽力になっているということをよく存じておりますが、それでありますだけに御理解願えると思いますが、わが国の私学というものが助成なしで発足いたしましたのが大正七年でございますから、そこで、現在の状況でいろいろなやはり問題を生じてきております。  先ほどこの傾斜配分で、水増しが多いというような場合、このことを考えると、古い学校だけに有利になるのではないかということがございましたが、これは必ずしも古い学校だけではございません。他方、現在のような水増し定員で学生が全部参りましたときに、教室に入り切れないというのをそのまま放置して二分の一の助成に到達するということをいたしますというと、実は学生の要望にもこたえられにくいという問題がありまして、やはりその点は非常に慎重に考えなければいけないのではないかと思います。したがいまして、二分の一、一律助成というのでなくて、いろいろな条件を考慮した上で、そしてあるものについてその率を目指していくということは結構なことと思いますが、先ほどから申し上げましたように、どうしても現段階におきまして学校の内容というものがやはりよくなっていくように配慮しながら助成をしていくということを考えておりますので、それは数年前の助成が始まったときよりもむしろ私は一歩進んだ考えに立っているつもりで、この考えを、施策を練っている次第でございます。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして藤田君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 徳永正利君。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 私は、自由民主党を代表しまして、私の私見をも交えて、主として総理並びに関係閣僚がいままで本会議あるいはその他で演説をされ、発言されておる、またそれに対して質問もあって答弁もあるわけでございますが、そういう重複を努めて避けて、国民が聞きたいと思っているようなことについて順を追ってお聞きしたいと思います。  そこで、あるいは耳ざわりになるようなことがあるかもわかりませんが、これはひとつ前もって御勘弁をいただきたいと存じますし、質問の通告してない閣僚もおるわけでございますが、そのときの答弁の関連によりましてはあるいはお尋ねをするかもわかりませんから、前もってお断りを申し上げておきたいと思います。  第一に、総理は就任されていま三ヵ月でございます。予算も衆議院を通りまして、暫定予算を組まぬで済んだのは四年ぶりだそうでございまして、総理以下閣僚一致して奮闘されてここに参議院でまみえるわけでございますが、総理の現在の心境といいますか、また参議院の本格的論議に臨んでのひとつ総理の決意などをお聞かせいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) まあ、参議院は衆議院と違った役目もあるわけですから、どうかこの審議を通じて、いろいろな激しいやりとりはあったにしても、品格と格調を持って参議院の存在価値を重からしめるような論議がこの予算委員会を通じて生まれますことを私は心から望むものでございます。われわれとしても謙虚に、いろいろの御意見には耳を傾けてお答えをしていきたい考えでございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 お見受けするところ、いろいろ国民は総理の体なんぞを心配しておったわけです。しかし非常にお元気で、先ほど来、あるいは衆議院の予算委員会を通じても拝見いたしまして安心していることと思いますが、まず総理にお尋ねしたいことは、就任される前に、いわゆる新党運動といいますか、あるいは保革連合構想と申しますか、とにかく総理の周辺に政党のかきねを越えた話し合いが行われたというような報道が実はあるわけでございます。それがすべて真実を伝えておるとは私は思いません。たとえば私が関係した中にも誤り伝えられておることがあるわけでございます。また、毎日新聞にも「政変」という特集記事が連載されております。この機会に私お尋ねいたしておきたいことば、本当に保革構想を描かれたことがあったのか、あるいはまた政党のかきねを越えて、日米安全保障条約の問題であるとか、あるいは四次防の問題等について政策協定を話し合われたような事実があったのかどうか、その辺のことをひとつ御事情を明確にしておいていただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私自身は読まないのですけれども、いろいろなことが書かれてあるようでありますが、まあいろいろな考えを持って動かれた人があるんでしょうが、私自身がそういう保革連合、政策協定というようなことで、私自身の意図でこれに動いたことはありません。私はやはり日本の議会政治というものに対して非常な責任と愛着を感じておる者で、その議会政治というものを安定さすために、極端な考えでなしに、何か皆がこう中道に歩み寄って、その中で政権交代ができるような日本の政党政治ができれば、日本の議会政治は安定するという考え方を私自身は持っておるわけです。しかし、そのために私自身が保革連合構想というものに、みずから私が自分の意図において動いたことはございません。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 ひとつ肝心なところでございますけれども、もちろん保革連合構想に総理がお動きになったことばないということでございますが、ただ、あの「政変」という中に——私は、政治家でございますからいろいろな動きなり構想というものがあってしかるべきだと思います。ただ日米安全保障条約の、たとえばたな上げであるとか、あるいは凍結であるとか、四次防の凍結であるとか、こういうものがもしも仮に話し合いでもあったということになると、これはもう大変な私ども関心を持たざるを得ぬわけでございます。その点をもう一遍明確にひとつお答えをいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私がしばしば言っておるのは、国防とか外交とか、こういうものに一つの共通の物の考え方の基盤があることが政党政治では好ましいと思っておるんです。どこでもやっぱり成熟した議会政治というものは、いろいろの細かい問題について、細かいといいますかどうか、国民生活に関連する問題については違いがあるけれども、何か国の基本の問題についてはあんまり極端な考え方の差がないという議会政治が一番安定した姿である、成熟した議会政治の国は皆そういう形をとっていると私は思っておりますが、そのために、自民党がいままで考えておった防衛政策というものを、私自身がこれを捨てるという考えはないんですよ。  私は安保条約というものは、先ほども申したように、安保安保というその軍事面だけでなしに、日米協力と安全保障という両方の大きな目的を持っておるというこの条約の意味を、もう少し均衡のとれたものに考えることが好ましいとは思っておりますが、安保条約の持っておる戦争抑止力というものに対する価値は、本会議でも言ったでしょう、徳永さん、それはやはり評価しておるわけです。だから、いま安保条約を破棄するというようなことが、そういうことが、政策協定などと言ってそういう基本的な考え方を私は捨てるような考えを持っていない。日本のやはり抑止力としての大きな役目を持っている自衛隊あるいは安保条約、この持っておる戦争抑止力としての価値を軽く考えることは過ちである。これは私の考え方ですから、しばしば述べておるわけですから、そういう安保条約とかそういうものを皆破棄してしまうというような、そういうことをお話をするというようなことはあり得ないわけです。もし話をするとするならば、それはそういうことの価値というものをやはり認めなければいかぬという説得はするかもしれぬが、私自身が捨てるというような考え方は持っていないわけでございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 いや、総理のそういう年来の持論というものは、私はいまから、ずっと問題を進めてまいります中で、明確に本会議においても演説をやっていらっしゃるのです。私がお聞きするのは、自分から保革構想を持ってそういうことに動いたことはない、これはよくわかりました。もう一点ですね、まして安全保障条約のたな上げであるとか、あるいは四次防の凍結であるというようなことは、政策協定まで話すようなことはないと。あったのかないのか、その一点だけでございます。それほど明確にしておきませんと、こういうものはとかく誤解を生みまして、次から次に問題を派生するから、その点についてお伺いしたわけでございます。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) しばしば申しておるように、保革連合構想というのをみずから参画してやったことはないと言っておるのですから、政策協定でそういうものを私がやるというようなことはあり得ません。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 よくわかりました。  次に、昨年の夏の三菱重工爆破事件以来、つい最近の間組の爆破事件に至るまで五回こういう事件を繰り返しておるわけでございます。これはだれにより、何の目的でそういうことがやられておるかということが明らかでございませんけれども、その手段はもう許すことのできないひきょうきわまるものでございます。これはもう天人ともに私は許せぬ問題だと思います。  そこで、現在では警察がこの問題を鋭意捜査をやり、新聞の伝えるところによりますと、目鼻も多少つきかけたというような明るい見通しもあるようでございます。私はその努力に非常に感謝し、これから大いにやってもらいたいとお願いをするわけでございますが、この事件は単なる刑事事件あるいは警察だけに任しておいていいものであるかどうかという点でございます。これは国家秩序に対する公然たる実力による挑戦だというふうに私は考えております。  そこで、一体総理は、政府の各機関が一体になってこういう問題を処理するという決意があるかどうか、そういうふうにこの問題は認識しておられるのか、この点についてお伺いいたしたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 治安の維持ということは、政府としても第一義的責任だと考えておりますから、ああいう爆破事件のような、人心に対して不安を与え、また何ら関係のない人に対して被害を与える許されざる行為でありますから、政府全体としても全力を挙げてこういう事態を防止するために全力を尽くす所存でございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 国家公安委員長の御見解もこの際承っておきたいと思います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。  過去六回にわたりましてああいうような事態が起きましたことについては、警察庁としても非常な責任を感じておるわけでありまして、それに関連いたしまして、爆破物の処理の器材の整備をするとか、あるいは人員の配置をするとか、それから各いろいろとねらわれておるというようなビルその他に対して適当な措置等もとっておったのでありますが、今度のような間組のような事件がまた起きましたことについては、国家公安委員長としても非常に責任を感じております。それでは、いますぐに何か政府にそういうようなものを設けて、機構を設けて、そうしてこれに対処すれば実効を上げられるかどうかということにつきましては、これはもう総理ともまた御相談をいたしまして、必要があれば、われわれとしてはもちろんやっていただければありがたいと思いますが、今後の検討に待たしていただきたいと思う次第であります。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 こういう事件が再び起こらないように祈ると同時に、政府においても万全の策を講じていただきたいと思います。  そこで、このたびの総理の施政方針演説は、みずから筆をとったということで総理のお考えは鮮明に、しかもわかりやすく表現されておりまして、出色のできばえであるというもっぱらの評判でございます。私はこの施政方針演説をもとにいたしまして、これから順を追ってひとつ御質問を申し上げたいと思います。   この前の大戦の敗戦の後に、日本人は何百万もの人が餓死するだろうと言われておったわけでございますが、その中から立ち上がって、とにかく夢中に走り続けてきたことは間違いないと思います。その結果、こうした経済成長という社会が、欲望というような人間の本能が推進力になって持ち上げた。そこに消費が美徳であるというようなことも出てきたことも、これはもう事実だと思います。しかし、低成長の社会を迎えるに当たっては、もはやそのような価値観は通用しなくなりました。そこに欠くことのできないのは、節約もしくは耐乏であると私は思います。このような価値観は人間の理性の所産であろうと思います。低成長社会への移行は、実は人間的な社会復帰でもあろうと思うわけであります。  そこで、これまでの政治は、言うなれば量の政治であり、物の政治であったわけであります。これからは質の政治に転換しなければならない。これは総理の演説の中にも明確に出ているわけでございます。昭和五十年は私は日本人の魂や心を探る年になるのじゃないかというふうに思うわけでございますが、物価に対しては、あるいは経済に対しては、異常な決意で政府は懸命に努力をしておられます。心から敬意を表しますが、今後やはり忘れてはならないのは質の政治、心の政治だろうと思います。いわゆる政治哲学について総理のひとつ御所見を承りたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 物質的に戦後貧しい時代が続いた、そういうときには、量的拡大というものも国民としてこれは一つの合意であったと思うのです。経済的にもう少しやはり発展しなければならぬということ。しかし、今日のようになってまいりますと、量的拡大といっても、それだけでは皆満足をしないわけで、また拡大というものもこれからは阻む条件というものがもう幾つもできてきたわけで、資源の問題だってそうです。幾らでも金を持っていけば安く買えたという時代は過ぎたし、また環境問題を考えてみても、どこへでも海岸地帯にコンビナートをつくって、そうして集約的な、効率を上げるような生産のシステムということは立地だけでも困るわけで、労働力だって、いままでのような一〇%を超えるような成長を続けていって、労働力というものが維持できるわけではないわけですから、条件も失われたし、価値観の大きな転換があった。  そういうことで、これからは私は非常に大きな転換期だと思うのは、やはり人間の価値観が変わってきたということは大変なことであると思いますね。したがってこれからは、いままでは量的拡大を考えておったのを質的に、あるいは生活の環境、あるいは教育とか社会保障とか、いろいろ人間の生活を、単に経済が量的に拡大していくというのじゃなしに、人間の生活というものが何か充実感を日常の生活の中に持てるようなことを皆が望んできた。そういうことでありますから、そうなってくると、やっぱり精神の問題というものは大きな問題になってくる。私は、徳永さんは耐乏と言っているが、耐乏する必要はないと思うんですよ。もう少しやっぱり簡素な生活を皆がするようになる。そして簡素な中にも精神的には豊かなような生活。いままでは何でも大量に使い捨てですからね。そういうふうなことで、いままでの価値観の転換があったわけですから、それに沿うて政治の重点の置きどころもこれから変わってこなきゃならぬし、国民生活のあり方というものも変化がこなきゃならぬし、いろんな点でそれは、一口に言えば量的拡大から質的充実の時代である。  しかも、その上に一つわれわれが忘れてはならないことば、もうこんなに世界各国の依存度というものが非常に高くなってきて、日本は一国でどうにもならぬですからね、資源から製品、考えてみても。そういう、日本人が生きていくためにもいままでより以上に相互の依存性というものは強くなってくる。また、環境問題一つとっても、これは空も水もやっぱり通じていますからね、日本だけがきれいにというわけにはいかぬ。皆がお互いに協力し合ってやらなければ地球は美しくはならないし、また、もし核戦争なんかが起こってくれば、生き残る国はそればもうほとんどなくなるわけで、そういうことを考えてみると、いまほどお互いの運命が共有しておるということを感じられる時代はない。だから、そういう点において、一面においてはわれわれは国際的な協力、また国内においてはいま言ったような量的の拡大だけを目指すのでなくして、もっと落ちついた、充実したお互いの生活というものを築き上げていくために努力をしなければならぬ時代だと私は考えております。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 この問題はこのぐらいにしておきまして、総理は一九七五年という意義を取り上げておられます。私もこれには三つの意義を見出したいと思っております。一つは昭和年代五十年ということであり、二つば終戦後三十年、もう一つは高度経済成長が叫ばれてから十五年、こういうことであります。  その第一の昭和年代五十年の半世紀は実に起伏万丈であったわけでございますが、戦後のあの虚無感からだれもこの今日を予想し得た者はおらぬと思います。それにつけても、私は昭和という年号の問題をここでひとつ提起してみたいと思います。  象徴天皇制が国民の間には私は定着しているというふうに思います。もはや国民世論の動向も定まっておるのじゃないだろうか。そこで、一現行制度の法制化について、この機会にこの際踏み切ったらどうだろうか。総理の御見解を伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) やはり昭和というのは国民の中に定着をしてきておるのですね。だから、国民でも多数の人はこういう年号は置くべきだという意見が多いと思いますが、置くといたしましても、それをいま御指摘のような法律で制度的なものにするか、いままでは慣習のような形になっておるのですが、法律の制度として考えるか、いままでのような慣習として考えるか。年号というものは置くという前提に立って、この問題はもう少しやっぱり検討さしていただきたい。いずれにしても、これは国民の中にも、昭和と言ったらもう皆が定着しておるのですから、こういう年号というのは維持していったらいい。それをどういう形で定着させていくかということは、慣習か法律かということは、もう少し研究させていただきたいと思います。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 このことに関連するわけでもございませんけれども、この際私は、憲法の問題憲法改正の問題についてお伺いしたいと思います。  外交の問題につきましては、昨年の本会議場において所信を述べられて、内外に前内閣の外交方針を踏襲するのだということを言われております。そこで、憲法につきまして総理あるいは総裁としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) まあ、いま、憲法ができたいきさつというものはいろいろありますけれども、日本の憲法というものは、主権在民にしても、人権主義にしても、平和主義にしても、やっぱり大きな理想を掲げておる、日本の憲法は。この理想の旗はおろすべきではない。しかし、現実との間にギャップがあることは事実ですから、やはりその理想と現実のギャップを埋めていくのは政治でないかと私は思っているのです。何か合わないからすぐに憲法改正と、こういうのでなくして、そのギャップを政治が埋めていって、常に国民の中に憲法は生きておることが必要である。  そういうので、憲法の改正というものを軽々しく私は取り扱うことに反対なんです。もう憲法改正ということで世論を二分して、そういうことでいつまでもこれが政治の争いの中心の題目になる国が安定した国だとは思わないのです。憲法改正、これはいつまでも改正できぬというものではないでしょうが、その改正をするというときにはそれだけの世論か熟して——そうでなければ、これが政治の争いの中心題目になることは私はよくないと思っています。したがって、この内閣は憲法改正ということにつきましてはきわめて慎重であるし、いまこの段階で憲法を改正する意図は持っていないということを申し上げておきたいと思います。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 次に、戦後三十年についてでございますが、私、実は戦争中は幾たびか死線を越えて血みどろの戦いをやって、今日生き長らえておるわけであります。昨秋、フォード大統領が天皇陛下を御訪問されて、御歓談されているテレビを見まして、戦後三十年という時の流れを私は本当に感慨無量な思いでかみしめたわけであります。さらに本年は英国の女王も日本においでになるようでございますし、また天皇もアメリカに答礼の御訪問をされるようでございます。私は大変親善のために喜ばしいことだと思うのであります。  しかし、戦後の処理が全部終わったかというと、そうではないだろうと思います。戦争体験を持っている世代の私、政治家といたしましては、こういう問題を全部処理して次の世代に渡してやりたいという念願に実は燃えているわけでございますが、その意味で、まだ一番大きな問題として私は靖国神社の問題があると思うのでございます。靖国神社の問題につきましては、いろいろ議論があるところでございますが、まず順を追ってひとつ聞いていきたいと思います。  文部大臣にお聞きいたしますが、文部省がかつて二十六年の九月十日に「戦没者の葬祭などについて」という通達を出しております。さらに九月の二十八日に、それに敷衍する解釈を各都道府県に出しております。この通達というものはまだ生きておるのかどうなのかということについて御答弁をいただきます。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) 御指摘のとおり、昭和二十六年九月十日付で「戦没者の葬祭などについて」の通達がございまして、そして九月二十八日付で、これにつきましての解釈が出ておりますが、これは政教分離の方針に従って今後も戦没者の方たちの霊を慰めるという、そういう方針でございまして、今日も効力があるものと考えております。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 次に、戦没者の霊に対して崇敬と感謝の念を抱くのは、私は国民自然の感情であろうと思います。国民こぞってその遺徳をしのび、措置をとるべきではないかと思いますが、憲法との関連について、これは法制局長官、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。

吉國一郎内閣法制局長官

○政府委員(吉國一郎君) ただいま徳永委員が仰せられますように、戦没者は自己の死をもって国家社会に奉仕をされたりっぱな方々でございます。その霊を慰め、その遺徳をしのびますことは、素直に考えまして、国民として人間自然の感情であろうと存じます。憲法第二十条は、国民の信仰の自由を保障しております。戦没者の霊に対する尊崇の念をその霊前であらわすことも、もちろん右の憲法の条項に照らして認められなければならないことであると思います。  ただ、その心情のあらわし方につきましては、国民の間にはその信ずる宗教が異なるというような事情からいたしまして、当然異なった形式を欲する向きもございまして、したがって国民がこぞって戦没者の遺徳をしのぶためには、そのような宗教形式にこだわらない表意の方法について検討する必要があるのではないかと考えております。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 憲法に定める信教の自由の保障で、あるいは政教分離の原則についての条文の解釈には、ややもすると占領時代に発せられましたいわゆる神道指令、これの先入観によって解釈がされがちでございます。この点について法制局長官はどういうふうにお考えか、承りたいと思います。

吉國一郎内閣法制局長官

○政府委員(吉國一郎君) ただいま御指摘の占領中に発せられた神道指令と仰せられますのは、昭和二十年の十二月十五日に、国家神道、神社神道に対する政府の保証、支援、保全、監督並びに弘布の廃止についてのGHQの覚書というものがございますが、これをお指しになっていると思いますが、占領中に連合国軍司令部から発せられましたこの指令は、今日は当然失効しているものでございまして、今日わが憲法を解釈するに当たりましては、あくまで自主的にかつ客観的になされなければならないと考えております。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 もう一点お尋ねいたしますが、いわゆる靖国神社法案について、憲法との関連をどういうふうにお考えでございますか、お伺いいたします。

吉國一郎内閣法制局長官

○政府委員(吉國一郎君) 先ほども申し上げましたように、戦没者等の国家社会に功績のあった方々の功績をたたえ、しのび、その霊に感謝の意をささげますことは、国民として人間自然の感情であると考えます。宗教性のない団体が、戦没者等の功績をたたえる等の行為を宗教性のない行事あるいは儀式として行うことを事業といたします場合に、国がその団体の運営に関与をいたしましたり、またはその事業に国費を支出することがありましても、そのことまで憲法が禁止しているというわけではないと考えます。過去数回にわたって提案をされました靖国神社法案は、基本的にはこのような趣旨を踏まえた上で提出されたものと考えておりますが、今後の推移を私どもも深い関心をもって見守ってまいりたいと思っております。(「答弁になっていない。」と呼ぶ者あり)

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 非常にお答えにくい問題であろうと思いますし、答弁になっていないという不規則発言もごいますが、これからやりますと、私も憲法論者でございませんから、この辺でこの問題は一応とどめておきます。  そこで総理にお伺いいたしますが、国のために戦って亡くなっていった、こういう方々の遺徳をしのび、あるいは慰霊をする、こういう問題は私は当然、時の政府がこの問題を取り上げていくべきであろうと思うのでございます。たとえば外国の元首等がお見えになりましても、昨年でもフォード大統領はどこにもお参りに——お参りと申しますか、参拝と申しますか、慣例になっております行事すらないわけでございます。今度エリザベス女王もおいでになるようでございますが、千鳥ケ淵墓苑というのは、これは法律できまったお墓でございますから、何ら制約はないと思いますけれども、あそこは第二次大戦のいわゆる引き取る方のわからない方々のお骨をお祭りしているところでありまして、私の記憶に間違いがなければ、名前はわかっているけれども遺族はわからぬというのは、たしか台湾出身の軍属であったと思います。その方が第一号としてあそこに埋められておるわけでございます。その後、外地の遺骨収集等において引き取り手のない遺骨を祭ったところでございますから、これが全戦没者を象徴するものとはとうてい考えられないわけでございます。  そういたしますと、日本には一体そういうような外国の元首等が訪問される、あるいは参拝されるというようなところはないわけでございます。そういう問題等について、こういう問題はひとつ時の政府がやるべきじゃないか、時の政府において解決する問題じゃないだろうかと思うわけでございますが、総理の御所見を承りたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いまお話にもありましたように、われわれが旅行をしても、無名戦士の墓に花をささげたりして、そういうことは国際的な慣習であるわけなんです。日本の場合は外国の賓客が来ても、そういう国際的な慣習というものは日本ではなかなか容易でないわけなんです。だから、いま御指摘の靖国神社の問題にしても、何かこれは賢明な解決はできないものか。いま、ただこう政府が出すということだけで解決できるという問題でも私はないと思う。もう少しこの問題を賢明に解決をする方法はないかということは、われわれも真剣に考えてみる責任があると思っております。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 この問題はこの程度にとどめたいと思います。  次に、中東の問題でございますが、いま米国務長官の兵力引き離し等のあっせん工作の成功が期待されておるところでございますけれども、この問題について政府はどういうふうに見通しを持っておられるか、お伺いいたします。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま主としてアメリカの国務長官が和平のためのあっせんをしておられるわけでありますが、他方でソ連の外務大臣とも先般会って話をしておられるようでございます。間もなくアメリカの国務長官の関係諸国の歴訪が始まるわけでございますから、私どもとしては中東の戦争再発の危険が、現在の時点では、過去数カ月あるいは十数カ月の中で一番危険の度合いが減っているのが現在の段階ではなかろうか。御承知のように、イスラエルとシリアの間におります国連の監視軍の滞留期限が五月の三十日まででございます。サイナイ半島のそれは四月の二十何日でございますが、おそらくそれらの期間のうちに何かの合意に達しようという動きが、これから高まってまいりますと思います。したがいまして、ただいまのところ戦争再発の危険は過去の時点よりも少なくなっておると考えてよろしいかと存じますけれども、万一この試みが失敗をいたしまして、先ほど申しました国連軍の駐留期限まで解決ができないということになりますと、今度は逆に、そのために非常に危険が増大するということになりますので、この一、二カ月というのが最も大事な段階であるというふうに判断をいたしております。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 総理、それから外務大臣は施政方針演説の中で、一九六七年の十一月二十二日に成立いたしました国連安保理事会の決議にのみ触れていらっしゃるわけでございます。これにはいろんないきさつがあって、昨年の第二十九回の国連総会とか、あるいはラバトにおけるアラブ首脳会議にはお触れにならなかったと思いますが、しかし、そういうようなものの動向を見まして、PLOの他位が国際的にやはり確認されつつある、あるいはされておるというような見方はできないものだろうかと思うのであります。  民族自決主義の原則に基づいて、日本政府は、このパレスチナ、アラブ人の民族国家というものをどういうふうにお考えか。衆議院の議論の中で代表事務所等については多少前向きの御答弁があったようでございますが、もう一度この点についてお聞かせを願いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 総理大臣の所信表明の中で、安保理事会決議二四二号のみならず、それだけではいわゆるパレスタインの扱いは不十分であって、ただの難民の問題ではないという趣旨のことを述べられておりますのは、まさしくこの問題がイスラエルの生存権の問題と並びまして中東戦争解決のための大切な要素であるということを、わが国の総理大臣が方針の問題として言われた、そういう大切な意味のある所信の表明であったと考えております。  確かに現在の和平への動きを見ておりましても、パレスタインの問題を、いわゆるPLOの問題を抜きにしてこの問題を解決するわけにはいかないことは明らかでありますし、国連におきましてもいろいろな機会にオブザーバーというような地位を与えられつつございます。その中で、アラファト議長のリードしておられますグループがその中心になる主たる部分であるということも認識が明らかになってきておるわけでございますので、中東問題が最終的に解決するためには、パレスチナ人の自決権、平等権といったようなものが正当に認識されなければならないということは、ほぼ常識になりつつあると考えるわけでございます。ただ、ただいまはそこまで事態が進展をいたしておらないわけでございますけれども、そういうことを私ども念頭に置きつつ、ただいまお出しになりました問題は仮説の問題でございますけれども、そのような問題が起こりましたときには、そういう認識のもとに対処してまいるべきだというふうに考えております。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 この問題は日々外電等を見ておりましても内容が変わってまいりますから、もちろん外務省は正確な情報をお持ちだろうと思いますけれども、判断の非常にむずかしい問題だろうと思います。  一方、私はPLOだけでなくて、イスラエルの方もやはりこれは二十七年前に成立して世界の大多数の国から承認されておるわけでございますから、このイスラエルの生存権というものも尊重してやらなきゃならぬと思うのです。両方そういうことが明確になって、初めて総理の言われる、いわゆる中東に公正にして永続的な平和と安定がもたらされるだろう、こういうふうに思うわけでございますが、日本政府としては、このイスラエルに対してもう少し明確に生存権というものを表明するということはできないものかどうなのか、あるいはまた、今後中東に平和をもたらすために外務大臣としてはどういうふうに御努力をなさるのか、その点についてお伺いいたします。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) まさしく御指摘のとおりであると存じます。安保理事会決議二四二号の申しますところも、まさにその点を申しておるわけでございまして、イスラエル人の権利は当然に認められなければならない、そしてそれも将来安定した形で認められなければならないという趣旨でございますが、同時にまた、一九六七年の線への撤退ということも申しておるわけでございます。  でございますから、イスラエルの問題と、そしてパレスチナの問題とが、両方安定した形で解決されなければならないではないかということは仰せられるとおりでありまして、わが国として直接にこの問題についてなし得ることは多くはございませんけれども、しかし、一昨年の十一月に出されました当時の内閣官房長官談話、あるいは先般の本国会冒頭における三木総理大臣の所信の表明といったようなことは、わが国も今日までの国際的な位置を持つようになりますと、日本がこの問題をどう考えておるかということは、これは決して世界が軽々しく見ておるところではございませんし、いわんや今年は安保理事会の理事国にもなっておるわけでございます。そういう意味で、わが国が直接武力というようなことでこの問題に何らの解決の寄与はなし得ませんけれども、しかし、その発言権、わが国がどう考えておるかということはやはりこの問題の解決に大きな影響がある、そういう影響力は行使してまいらなければならないというふうに考えております。

岩動道行自由民主党

○岩動道行君 関連。  ただいま徳永委員からパレスチナ問題、そしてまたイスラエルの問題についての御質問がありまして、政府の御答弁はそれなりにわかるのでございますが、私ばやはりパレスチナ国家ないし政府というものが速やかにでき上がるように、日本も積極的な協力ないし努力をしなければいけないのではないか、かような考えをかねがね持っておる一人でございます。  第四次中東戦争の始まる前に、実は私一つの本を書いたのでありまするが、その中にもパレスチナ人の権利回復、すなわちパレスチナ国家を速やかに日本政府は国連の場において受理することに積極的な発言をしたらどうかというような趣旨のことも主張として書いたのでありまするが、現在キッシンジャー国務長官を中心としてそのような方向に逐次向かいつつあることはまことに喜ばしいと思います。  そこで、ただいま直ちにPLOを臨時政府あるいは国家として認めてまいるということはきわめてむずかしい、また微妙な段階にあると思いまするが、しかしながら、その前の手順として、私はPLOの事務所、これはどのような性格を持たせるかは検討を要しまするが、前向きにこの問題は日本政府も十分に検討しておく必要があるのではないか、かように考えるのでございます。先ほど徳永委員の質問に対しては、その点についての具体的な御答弁がなかったので、あえて私もお伺いをいたすわけでございまするが、何らかの手順をとりつつこの問題に取り組んでまいる——非常にむずかしい、微妙な問題でございまするから、日本政府がみずから動くということは、私はなかなか困難であろうと思います。しかし、しかるべき方法をもって、しかるべき手順をもって、早く日本が何らかの具体的な事実をつくり上げてまいるということに努力をする必要があるのではないだろうか、かように考えるわけでございまするが、政府の具体的なお答えをいただきたいし、かつまた事務所の設置につきましても、外交特権などは問題に今日はならないということは、私も常識的に考えられるわけであります。  また、政治活動等についてもいろいろ問題がありましょうし、いろいろな意味において制約もありましょうけれども、たとえばインフォメーションセンターというような形で民間ベースでこのようなものがつくられるという動きが出てまいった場合には、政府はこれに対してどのように対処してまいられるのか、またこのようなことはどのような手順が適当であるかというようなことについて、具体的に政府側のお考えをお示しいただければ幸せだと思うのであります。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど徳永委員にも申し上げましたように、ただいまの中東問題の解決の一番むずかしい部分、おそらく最も最後に残るむずかしい部分は、結局イスラエルとパレスタインの関係になると思うのであります。  で、政府としてはその両者が安定した自決権を認められなければならない、平等権を認められなければならないということが基本認識でありますことは、先ほど申しましたとおりでありますけれども、現状におきましては、両者はお互いに相手を公には認めるという態度をとっておらないわけでございますので、そこでわが国といたしまして、先ほど申しましたようなわが国の国際的な発言力から申しまして、この問題について事態が熟しませんうちに余り先走りました具体的な態度に出ますことが、場合によりましてはかえって事態の解決をこじらせることになるかもしれない。わが国の基本的な態度は先ほど申しましたとおりでございますので、それには間違いはないのでありますけれども、どの段階でどのようなことをするかということは、結局事態の最終的な安定した解決に寄与する種類のものでなければならない、こういうことを考えておりますことを申し上げておきたいと思うのであります。  同時にまた現実の問題として、パレスチナ人の中にもかなり過激なグループ、PFLPのようなグループから、比較的建設的と申しますか、穏健なPLOのようなグループまで各種あるようでありまして、その中でわれわれがどれをという意味ではございませんけれども、やはり建設的な動きの中心になりますのはアラファト議長を中心とするグループじゃないかというふうに考えるわけでございます。  そういう意味で、ある段階になりまして、それらのグループから日本にも自分たちの態度を説明をしたい、そのために日本に入国を求める、あるいはそのための、ただいま岩動議員の言われましたような事務所のようなものを持ちたいということでありますれば、それはしかるべき段階においてそのような申し出があり、またありまして、それをわれわれが受けるということは事態の建設的な解決に役立つということは、その段階によりまして十分あり得ることでございます。したがいまして、そういうことを常に頭に置きながら、ただいままで現実にそういう申し出はございませんけれども、そういうことを常に頭に置きながらこの問題は考えてまいりたいと思います。

岩動道行自由民主党

○岩動道行君 もう一問だけ。   わかりましたが、そこで実はキッシンジャーの動きによってジュネーブにおける会議が相当早く進みそうな情報も伝わっておりますが、その会議にPLOの代表としてアラファト議長がテーブルに着くというようなことになってから日本がにわかに動き出して、そうして事務所とかなんとかいろいろな問題を進めるということになると、実は外交としては後手になるおそれもある。ことに昨年の国連において日本が棄権をしたということは非常にアラブ諸国にとっては失望感を与え、日本に対する信頼感を非常に減殺をしたと、こういうようなこともあるわけでございまするので、どうか時機を失しないうちに、この問題については真剣に、いまから取り組んで検討をしていただきたいし、われわれ有志議員の中にも、この問題については真剣に、前向きに、慎重にこの問題を進めようという話も起こっておるわけでございまするが、どうかそのような意味において、タイミングを失わない、こういうことをぜひお願いをいたしたいと思います。  したがいまして、この点については総理も衆議院において御答弁になっておりまするし、いろいろな方面からのお話もあると思いまするが、最終的には総理の御判断もありまするし、またPLOの関係のどなたかがおいでになったときにお会いになるということも伝えられておりまするが、これも会い方が大変私は問題であろうと、慎重にやらなければいけないと、こういう意味において、ただいま外務大臣が言われましたように、建設的な、PLOを代表できるような人が私は好ましい会見の人であると、これは私の私見でありまするが、そのような立場から、特にこの問題については総理並びに外務大臣から、最後に簡単で結構でございまするから、御答弁をいただきたいと思います。  以上で私は関連質問を終わります。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま岩動議員の言われましたことばまことにごもっともなことと存じます。したがいまして、私どもは内外の動きをよく見ながら、十分政府の意のあるところ、方針を、建設的な形でしかるべき段階に徐々に具体化していくということを考えてみたいと思っております。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 中東問題は国際政治の中でも微妙な問題がたくさんにある問題ですから、慎重に対処すべきであるという岩動さんの御発言はわれわれもさように考えております。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 次に、日ソ問題についてお伺いいたします。  これは北方領土の問題の解決なくして前進ということはあり得ない、これは言うまでもないことでございますが、宮沢外相は新しいアプローチのもとに、今年初頭訪ソされていろいろお話があったようでございますが、その一お話し合いの状況、それからその後に何か話が出てきておるのかどうか。また、おいでになったときに、安全操業、それから墓参、未帰還邦人等について何かお話があったのじゃないかと思いますが、もしあったとしたならば、そういうこと。  さらに、これは歴史が残した民族的な課題をどう解決するかということは、これは大変だろうと思います。思いますけれども、幸いにして今度は非常任理事国にもなったことでございますし、どういうふうに今後国内、国外を通じて、手順を追ってこの問題解決に努力これるのか、そういうような具体的な手順等もお持ちでございましたらお聞かせいただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 一月の中旬にモスクワで日ソの交渉をいたしたわけでございますが、これにつきましては、総理大臣の訓令がございまして、今後日ソ間で、たとえばシベリア開発など、二十一世紀に向かって本当に協力すれば、非常に大きな仕事ができる大変な可能性を持っておるについて、それを考えるにつけても、現在両国間のわだかまりになっておる領土の問題は早く解決をすべきものであるという基本の訓令に従いまして、私としては、この四つの島が一八五五年、当時、幕府と帝政ロシアとの間で結ばれました条約によりましても、両国間の国境はウルップ島と択捉島との間に引かれる。これは平和裏にそのような取り決めができておるわけでありますから、この四つの島は、いかなる意味でも、わが国がいかなる時点でよそから取ったというような歴史のある島ではなく、常にわが国の領土であったということを申したわけでございます。  それに対しましてグロムイコ外相は、別段その事実に反論をするというようなことはございませんでしたが、他方で、領土問題は現実的に処理をすべきものであるという主張を何回か繰り返されたわけでございます。考えてみますと、恐らく現実的という意味は、第二次大戦の結果、ことにソ連の場合には東欧との問題もございます。   〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕 あるいはまた、中国との領土紛争もあろうかと思います。というようなことを恐らく頭の中に置きまして、いわば現状肯定が最も賢明な策であるというような意味であろうと思いますが、現実的という主張をされて、話が妥結をいたしませんでした。ただし私どもは、この領土の問題でずいぶん長いこと議論をいたしたわけでございますから、この問題がすでに解決済みであるというような前提に先方が立っておらなかったことは明らかであると思います。と同時に、グロムイコ外務大臣が今年しかるべきときに日本を訪問する、そうして、この交渉の継続を行うということに合意ができておるということでございます。  なお、安全操業につきましては、現状を説明いたしまして、先方の善処を強く要望いたしました。  未帰還邦人につきましては、ソ連としては、ソ連にいることを好まない、日本に帰国を望む日本人を特にとめておかなければならない理由は全くない、具体的にそういう事例があれば、いつでもお帰しをする用意があるという趣旨のことを言っておるわけでございますが、具体的に、どこにどのようなそういう希望があるかということにつきましては、かねてわれわれが申し入れておりますそのような希望者、希望の有無と、ソ連が確認をした希望者、希望の有無とが現実に食い違っているというようなことが先方の話ではあるようでありまして、われわれとしては先方の方針はわかったわけでございますから、もっと具体的に、それではどこのだれだれということをお伝えをするということを申しております。  墓参につきましては、軍事上特に立ち入りを禁止している地域以外については、なるべく好意的に計らいたい。したがって、どの地点の今年は墓参であるかということについて希望を知らせてほしいということでございました。  抑留の漁夫につきましては、釈放が決定され、すでにおのおののくにに帰っておられます。  なお、その後どのような発展があったかということにつきましては、ソ連から、日ソ間に善隣友好条約というようなものを締結することが必要であるというような意思表示が、これは私の滞在中にもございましたけれども、さらに重ねて、ブレジネフ書記長から三木総理大臣あての親書で述べられました。これに対してわが国は、ソ連との間ではまず解決すべきは領土問題であって、それを解決して平和条約を結ぶということが当面なさなければならない第一の段階であって、それを飛び越え、ないしはそれと並行した形で友好善隣条約を考えるということは、そのような条約の具体的な基礎が存在していないと考える旨を述べておるわけでございます。なお、このような構想を持って、ソ連の駐日大使が有力方面にソ連の立場をいろいろ説明をして外交活動を行っておられるというようなことも承知いたしております。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 総理、総理は今回の施政方針演説で、防衛問題について相当のスペースを割いていろいろ述べられております。私は総理の達見に深い敬意を実は表しているわけです。私、歴代の総理の所信演説を調べてみたのです。そうしましたら、自衛隊のことについてはほとんど二、三行、防衛力の整備に関し所信が述べられた程度でありまして、今回のように防衛、それから国防の考え方について、明確に、これほどの力点を置いて国民に述べられたことば、これも政治の指導性のあらわれだろうと、私は本当に敬意を表する次第でございます。そこで、以下総理の御所見を踏まえまして、私の意見を交えて御質問申し上げたいと思います。  総理は所信の中で、無防備論にはくみしない、国際常識からも防衛力の面からも、日本を真空地帯に置くことば、アジア・太平洋地域の安全をかえって阻害することになると考えるということを明確にしておられます。戦争抑止の観点から、日米安保協力と自衛隊の存在を評価すると述べておられます。しかし、残念ながらわが国は、敗戦以来今日まで、国を守るということについての国民的なコンセンサスがございません。国を守るという決意を持ち、そのための実力、組織を維持するということは、これはもう独立国として当然のことだと思います。  これは総理の言われるとおり、政治の基本であるはずであります。総理がせっかく防衛について積極的に所信を述べられたのを機会として、政府の中でも、また国民の中においても、大いに防衛を論じ、日本にふさわしい防衛観というものを国民の間につくり上げて、コンセンサスを求めていくように努めるべきではないかと思います。同僚社会党藤田議員が、一番先に防衛問題について、戦力問題をおやりになりましたが、私は結構なことだと思います。この基本的なことにつきまして総理並びに関係大臣の御所見を承ります。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 徳永さん御指摘のように、施政方針演説にはああいう防衛問題は余り扱ってない、ことに自衛隊は。私はよくないと思って、これにやっぱり相当な時間を割いたわけです。  それは、やはり国の安全ということに対しては国民的関心を持つべきである、そのために自衛隊の持っておる役割りというものを国民が正当に理解して、国民から祝福される自衛隊になってもらいたい、こう願っておるわけです。自衛隊自身に対しても国民に理解されるような心構え、行動というものを強く望みますと同時に、国民に対してもそれを私は訴えたい。そういうことで、あらゆる場面にこれは国民に訴えていきたい。このことがいままで何かタブーのようになって言わなかったということは私はやっぱりよくないのではないか。こういうことで、その基礎になる私の考え方は、施政方針演説に述べたごとく、自衛隊というものはやはりその役割りというものをみんなが正当に評価して、そうしてやっぱり皆国民に理解され、祝福されるような自衛隊というものになってもらうために、国民に機会をとらえて私は訴えたいと考えておる次第でございます。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) 私は、防衛庁長官になりまして一番考えなきゃならないことは、やはり国の一番基本である防衛というものに対する考え方が国民に理解されないというところにあるかというふうに考えます。  したがいまして、私は日本の防衛というものをただいまこういうふうに考えておるわけでございますが、昭和三十二年の五月の二十日に国防会議及び閣議決定になりました「国防の基本方針」というものを踏まえまして考えますと、第一には、日米安保条約、これによって核抑止力を維持する。それから第二には、御承知のように憲法の制約がございますし、また非核政策がございます。したがいまして、わが国の防衛力といたしましては、まず通常兵器でもってこれに当たる、しかもその防衛力というものは他国に脅威を与えないという原則、そしてまた同時に、わが国の国民生活をひどく圧迫をしないという限度において達成されなければならない。そうして第三には、いま御指摘の国民の防衛意思あるいは抵抗意思というものが国民の大多数に行き渡るということ。つまりこの一、二、三の一つを欠いても日本の防衛は達成できないということでございまして、通常兵器の防衛力だけでは日本の防衛は達せられない。やはり核の脅威に対しましては、日米安保条約による核抑止力によって日本の独立を守る。また同時に、この国民の防衛意思というものがなくなったら、これだめだ。つまりこの一、二、三が一つを欠いてもだめなんで、三つが一緒になって初めて日本の国防、防衛というものが達成できるんだという考え方を基本的に私は持っておるわけでございます。  しかもまた次に、福祉政策であるとか、あるいは教育政策であるとか、あるいは経済政策であるとか、そういうような国民の人権とか、あるいは国民の精神文化であるとか、あるいは国民の民生安定といいますか、そういう政策と匹敵するぐらいに、否それ以上の最高の重要な政策として、私は国民の生存そのものにかかわる問題であるし、国民の自由にかかわる問題が国防である、こういう認識を持っておる次第でございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 私も、本来、国を守るという任務を持った組織は、国民の中から生まれて、そして国民の中に育ち、成長して国民によって維持されるべきであると思います。自衛隊もまた当然そうなければならないと思います。  そこで、真に国民の期待にこたえ、かつ国民から祝福されるような自衛隊とするためにどういうような方策をお持ちでございますか、お考えでございますか、お伺いいたします。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) 国民と自衛隊あるいは防衛というものを密接な関係に持つためにいろいろの施策が私はあると思います。  その一つは、やはり国会において防衛という問題が論議をされるということがシビリアンコントロールの一番の大事な点でもあろうかと思います。活発なる議論がまずなされなければならないのではないか。  それからもう一つは、国防会議が設けられておるわけでございますが、最近はどうも形式的に国防会議が運営をされておるというふうに思うわけでございまして、これが設置されましたころにおきましては、かなり活発な基本的な論議がなされておったように思います。しかし、それが漸次形式的に流れてきておる。これにはいろいろの事情があろうかと思います。こういうようなことも、今後、その運営につきまして実質審議が行われるようにしなければいけないのではないかというふうに思います。  それからもう一つは、やはり自衛隊が国民から信頼を持って迎えられるというためには、自衛隊はやはり国民のそれぞれの方々にどういうようなことをやっておるんだということを見ていただく。したがいまして、部分的にはそういうことをやっておるようでございますけれども、たとえば領空侵犯等の疑いがあるというような場合においては緊急発進をいたしております。昨年の十二月にも、たしか三回緊急発進をいたしております。ことしになりましてからも東京急行といわれるような飛行機がやってまいりました。これに対しましても、わが自衛隊の飛行機が飛びました。それからいま一つは、昨年の十二月、あの水島の油が流れまして、非常に地元におきましてはこのために苦しまれたわけでございますが、地元の要請がございましたので直ちに、年末でございましたけれども、たしか三十日まで自衛隊は出動いたしておりますし、その後一月になりましてからも、約一カ月にわたりまして自衛隊は出動いたしまして、この災害救助のために尽くしておるわけでございます。あるいはまた、最近、仙台沖でフィリピンの船が座礁いたしまして、そしてSOSを発信いたしておりまして、そのために自衛隊が出動いたしまして二十数名の人を救出した、こういうようなことが積み重ねられていくことによって、自衛隊に対する信頼というものがだんだん国民に理解されていくのではないだろうかというふうに私は考えておるわけでございます。   〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 自衛隊も発足以来もう二十数年を経ておるわけでございますが、しかも厳然としてあるわけでございます。ところが、今日なお一部に憲法違反の疑いがあるとされております。一昨年の札幌地方裁判所の判決で憲法に違反するという判決が下されたわけでございます。  この際、政府として考えねばならないことは、このような違憲判決があり、また一部において違憲であるという考え方がある現状において、一番問題なのは、それがために国を守るという国として最も大事なことについての意見が分裂するということだと思います。また、自衛隊員にも精神的に私は微妙な影響があるんじゃなかろうかと思います。政府としては、このような条件のもとで自衛隊を維持したり、自衛隊員の士気を鈍らせることのないように政策を遂行していかなければならないわけでございますが、そこで、あえてこのような状況に対処して総理はどのような考えで臨まれる御決意であるか、国防の責任者でございますから、ひとつお伺いいたしたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 下級裁でいろいろな判決が出ておりますけれども、上級裁ではまだ判決は下っておらないわけです。  私は、自衛権というものは国としてのやっぱり当然の権利として、これが違憲というふうには政府は考えてはいないわけでございますから、そういう意味において、国の自衛権というものの上に立って日本の平和と安全を守るために、総理大臣としての責任を十分果たしていきたいと考えております。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 いろいろいずれ上級審の判決も出ることでございましょうし、いまその御決意を聞いたわけでございます。  まあそればそれとしまして、次に、現在四次防が進行中でございます。先ほどの藤田君の質問にもございましたが、これは五十一年度をもって終わると思いますが、その見通しはどうなっておるか、お伺いします。

丸山昂防衛庁防衛局長

○政府委員(丸山昂君) 四次防の進捗状況と見通しにつきまして簡単に御説明申し上げます。  御案内のように、四次防の総体計画、これは主要項目につきまして申し上げますと、陸上自衛隊が戦車二百八十両、装甲車百七十両、自走火砲九十門、作戦用の航空機が百五十九機、それから地対空の誘導弾、ホークでございますが、これが三群でございます。で、このうちただいま御審議中の五十年度予算を含めまして申し上げますと、自走火砲が進捗率、数量の点で約二%でございまして、その他は大体約七〇%の進捗率、数量的に見ましてそういうふうに申し上げられると思います。  それから、航空自衛隊でございますが、これは総体計画が二百十一機、重立ったものはファントムの四十六、RF4という偵察機でございますが、これが十四、それから国産で開発をいたしました支援戦闘機FST2改、これが六十八機、こういうところでございます。機数で申しまして、五十年度予算の案を含めまして百三十四機、六三・五%というところでございます。その他、ナイキ地対空誘導弾二群と一群の編成準備がございますが、これは一群が編成されただけにとどまっております。  それから問題は海上自衛隊でございまして、艦艇が総体計画五十四隻、約六万九千六百トンでございますが、これが五十年度予算までを含めまして実績三十四隻、三万六千百トンというところでございまして、隻数で申しまして六三%、トン数で申しまして約五二%という状況でございます。  したがいまして、積み残しが、あと五十一年度一年だけということになるわけでございますが、陸上自衛隊につきましては、先ほど申し上げました自走火砲など一部を除きまして、まあ大体目標に近いところまで達成できるのではなかろうか。それから航空自衛隊につきましては、支援戦闘機がかなり残されておりますけれども、これを除きますと、目標にやや近いところまでまいるんではないかと思っておりますが、問題は海上自衛隊でございまして、残されておりますのは二十隻の三万三千五百トンが残されておるわけでございます。で、大体、いままでの各年の平均の建艦ベースが約一万トンというところでございますので、この三万三千五百トンを達成いたすためには約三年を要するというふうに考えられるわけでございまして、この辺、今後できるだけの努力をいたしてまいりたいと思いますが、まあ海上自衛隊については大体未達成の部分が出ることは確実と、残念ながらそういうふうに申し上げざるを得ない状況でございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 総理、お聞き及びのとおりでございます。四次防の計画当時にきょうのような経済情勢を予測し得なかったのはやむを得ないと思いますが、私は防衛の長期計画というものの意味についてひとつ考えてみたいと思います。  これはもう年々の防衛費の伸びが何ぼであるとか、あるいは財源の配分がどうとかというような問題ではないと思います。それ以前の問題で、国のやはり存立の基本にかかわる問題でございますから、政府が一体防衛というものをどのように考えるかということによって私は答えが出てくると思います。このことについてひとつ御所見を承りたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 先ほどもお答えしましたように、国の安全を守るということは、これはもう国の存立の一つの条件であります。そういう意味において、防衛の持っておる意味というものは大変に重い。  ただ、しかし、いまは自国だけで守れる国はない、集団安全保障体制の一環としてやはり国を防衛していくというのが今日の世界的な防衛体制であるということでございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 私は自衛隊の士気に関しまして、これは特にひとつ、総理、お聞きいただきたいと思いますが、歓迎され祝福されるような存在になることを願っておるとおっしゃっております。ところが、現実には、自衛隊員にとってまことに気の毒な取り扱いが行われております。このことが自衛隊員の士気に大きな影響を与えていることはもう御存じだろうと思います。  一、二の例を挙げてみますと、防衛大学の出身者は、官公私立の大学の大学院に入学が認められて修士や博士になった者がたくさんおります。ところが、大学の紛争が激しくなってきてから、昭和四十五年ごろからでございますが、大学院の入学がぐんと減少して、現在ではほとんど皆無という状態になっております。多くの入学希望者があるにもかかわらず、現実はそういうことでございます。文部大臣もよくお聞きいただきたいと思います。また、防大の教授や自衛隊の研究者が学会活動したり研究発表することなどについてもきわめて大きな制約を受けておるようであります。かつては沖繩県や立川市などが市民登録を拒否するという事件もございました。これわはいずれも自衛官のもう個人的な個人の人権問題でありまして、何がゆえに拒否されたり制約を受けねばならぬかということについて、はなはだ私は疑問に思っておる者の一人でございます。私が自衛隊員の諸君を見る限りにおきましては、きわめて謙虚に身を持しておると思います。それはむしろ私は卑屈じゃないかとさえ感ずるのであります。  このような実情に対して、政府は一体どういうふうに考えられるか、これをひとつお答え願いたいと思いますし、また、関係閣僚も、いま私が一つ一つわずかの事例でございますけれども挙げたことについてどういうふうに考えられるか、また、どういうふうな措置をおとりになるか、おとりになったか、その点についてお伺いいたします。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) ただいま御指摘がございましたように、昭和四十三、四年まで大学院で修士、博士を取った自衛隊の人がいるんでありますが、紛争以降非常に事態が変わってきております。  私は、まず原則といたしまして、この問題に関して人々の意見が異なりますが、異なるともう一切話をしないということはよくないと思います。そこで、特に若い人たちの場合にも、意見が異なっていても異なった意見を交換して相互に理解する、その理解によって完全な合意に到達しないということがありましても、最小限理解というものを確保していくということが実はたくさんの武器を持つということよりも一つの社会国家にとって重要なことと考えております。  そこで、教育について申すならば、すべてわが国の国民は能力に応じて教育を受ける権利を持っているわけでありますから、職業によって差別されるべきではないわけであります。そこで自衛官が大学に入学いたそうとする場合に、その職務が大学の学業に支障を来たさない限りにおいて、他の人々と差別されるということがあってはならないと思います。  どうしているかというお尋ねでございますが、事実問題といたしましては、昭和四十九年沖繩大学の経済学部の第二部と思いますが、自衛官が試験を受けまして、そして合格点に到達しておりましたけれども不合格になった例がございます。そこで、これに対して文部省は、大学に再検討をお願いいたしました。そして大学で再検討の結果、入学に決まったということがございます。これはこれまでの方針の一例でございますが、こういう形で原則というものが理解のもとに進められていくということが私は最も望ましいと考えております。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) 衆議院におきましても問題になりました、たとえば兵学研究というような問題、これをいろいろ調査いたしてみますると、一般に、個人として当然研究の自由があると私は思うのであります。それからまた表現の自由が許されておる、自衛隊員としてもしかるべきだと私は考えるわけでございます。しかしながら、また自衛隊員としてのおのずと節度と申しますか、それはなければならない。したがいまして、自衛官といたしまして政策上の問題についてくちばしを入れるとかというようなことは、やはりシビリアンコントロールのたてまえから慎むべきことだと思います。あるいは政党等を批判するというようなことまでやる、それを紙に刷って配るとか何とかというようなことはこれは慎まなければならないことである。  しかし、自衛隊の諸君といえども、軍事研究をやるということは、これはむしろ奨励さるべきことなんだ、それでなければいけないのだ。それからまた自衛官はあれもやってはいけない、これもやってはいけないというような形でやりますと、自然と常識を欠いてくる、あるいは独善的になる、ドグマになる、そのことがかえって問題が起こるのじゃないだろうか。  つまり、この社会は自由社会でございます。高等学校、大学においてはいろんな自由な状況にある。その中において、ただ自衛官のみは二十四時間拘束をされておる曹士の人たちもあるわけでございまして、その中において余りにも極端な制約ということはいかがかと、しかしながら、そういうような、どこからどこまでがいいのか、どこからどこまではいけないのかということについての明確な指導というものが今日まで周知徹底していないということを、私はこの前の楢崎君の質問から学び取ったわけでございまして、そういうようなことも踏まえまして、今回、実は「防衛を考える会」というものを諮問機関ではございますけれども発足をいたさせまして、そしてシビリアンコントロールの今日的あり方というものはどうなければならないかというようなこと、あるいは自衛隊諸君の研究活動はどの程度まで認められてしかるべきものであるかというようなこと等も検討していただく、こういうふうに考えておる次第でございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 私はそういう実態を、拾ったのは一、二の例でございますけれども、まだまだたくさんあるわけでございます。昔で言えば総理は三軍の長でございますから、こういう事態をよく認識されまして、ひとつ自衛官が一生懸命に自分の任務に邁進できるようにやっていただきたい、かように考える次第でございます。  そこで次に、経済の見通しにつきましてお伺いいたしたいと思います。  総理は所信表明の演説の中で「安定成長と福祉向上の路線へ円滑に切りかえていかなくては」ならぬということで、いろいろな項目を拾い上げて、よくわかりやすいようにお話しになっております。また福田副総理も、「国も、企業も、家庭も、「高度成長の夢よ再び」という考え方から脱却し、経済についての考え方を、根本から転換すべきときに来ておると思う」というふうに述べております。これはもう高度成長路線に終止符を打つ、あるいは打たざるを得ないということを明らかにされたものであろうと思います。その限りでは、私は国民は了解もしておるし、納得もしておると思います。  しかし、政府の演説では経済が安定成長路線をたどるのだ、あるいはまた静かで控え目な成長をするのだとか、まあ低成長というような言葉を使っていろいろ説明されておるわけでございますが、具体的に、おまえさんの、国民の生活はどういうふうに今後ならざるを得ませんよというようなことを明確に出してもらえませんと、国民は実はよくわかりませんから迷っておると思います。で、迷うということは深刻な不安を持つことでございますが、政府の政策がどのように今後展開されていくだろうかということについて、私もわかるように、あるいは聞いている国民がわかるようにひとつ御説明がいただけぬものかと思うのであります。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 申し上げるまでもございませんけれども、世界の情勢が、さま変わりというか、非常に変わってきているわけです。六〇年代には五・七%成長という偉大な成長をした世界でございますが、資源有限時代という背景のもとでは、資源を持てる国も資源を持たない国も、資源を大事にしようという考え方が浸透してまいると思うのです。そういう国際社会の中では、どうしても低成長時代と、こういうことに世界的になってくる。そこで、資源を持たない、また食糧についても窮屈なわが日本とすると、どういう政策をとるかというと、やはりわが国も世界の潮流に調子を合わした低成長というか路線の変更、そういうことが必要になってくるだろう、こういうふうに思うのです。  そこで、いままでの十五年間を顧みてみますと、高度成長、世界水準の大体倍以上の急速な発展をしたわが国の経済でありますが、これはそういうことからもう完全に離脱しなければならぬという時期なんです。その時期におきましては、毎年毎年経済は成長します。その成長した経済の成果、その成果の相当の部分というものを次の成長につぎ込む、つまり工業力の培養でございます。もちろん、そればかりじゃありません、ありませんけれども、大きな部分をそこへつぎ込む。しかし、これからそういうことを続けてまいりますればまた高成長になっちゃうわけですから、それは許されない。そういうことになりますると、これからの社会は、高成長ばかりじゃありません、成長の速度でもかなり低目のものになってくる、控え目なものになってくる。が、その経済運営の中身もまた非常に変わってくるんです。  私は、非常に大きな変わり方というものは三つなければならぬと、こういうふうに考えておりますが、一つは、いままでは経済が成長発展する、その成果を、工業力というか産業の開発に、次の経済発展のためにつぎ込んだ、その考え方を大きくここで変えまして、われわれの生活周辺の整備、そういうものにつぎ込むという考え方をとらなければならぬと思うのです。  それからもう一つは、非常に大事なことは、高成長下におきましては、高度成長でありまするから、弱い、小さい立場の人も、ああ去年よりはことしはよくなったという高度成長を均てんをする、そういう状態でありますが、このパイが大きくなるということが少な目になりまするから、パイの分配という問題に大きく着目をしなければならぬ。つまり弱い、小さい立場の人への配慮、そこへ政策の重点を切りかえなければならぬという問題。  それから、政府、地方団体それから企業、また家庭、これを通じまして、やはり省資源、省エネルギー、こういう考え方に徹した経済体制というものができ上がらなければならぬだろう、こういうふうに思うんです。  そういういまちょうどその切りかえの過程でありまして、そういう内容を持ちました長期展望というものを速やかにつくらなければならぬ。いま作業中でございますが、今年中にそれをつくり上げる。そうして国民にも、これからの長い目にわたって日本の経済というのはこうなりますよと、どうか御協力願いたいという姿勢をいまとっておるわけでございますが、五十一年度を初年度とする新長期計画、それを国民にお示しし、国も企業もまた家庭も、これからのあるべき展望をひとつ考えていただきたい、かように考えております。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 私が一番最初に、総理に、これからは忍耐と耐乏の生活も必要だと言ったら、耐乏なんというようなことはまあなんて言われましたけれども、私は、産油国に三百何十億ドルなり五百億ドルなんというものが一遍に流れ込んだんですから、それほどは先進国はいままで以上に耐乏生活をやらざるを得ぬ、またその覚悟は決めなきゃならぬと思うんです。まあいずれにしても低成長だからいまよりは悪うはなるまいということだろうと思いますけれども、私はやはり覚悟としてはそういう覚悟を決めていかなきゃならぬと思います。  いま副総理は資源の節約もやらなきゃならぬと言っておりますが、これはもう各国とも具体的にいろんな、フランスなんか法律案を出している、資源節約のために。そうして可決しているのでございますが、アメリカにしてもイギリスにしてもドイツにしてもフランスにしても、具体的に項目まで挙げてやっているわけでございますが、私はどこまでやるのがいいか悪いかは別としまして、いままでぜいたくになれてきたのを引き戻すということは、これはなかなかできるものじゃないと思います。よほどのやはり覚悟を国民全体が決めてかからなきゃならぬのじゃないかと思うのであります。  春闘について一言お伺いいたしますが、総理も、労使とも物価鎮静傾向に留意して節度ある妥結に導かれるよう切望するというような演説もございますし、従来に例のないこれは発言だと思います。国民も賛意を表しておると思うのでございます。で、経済対策会議もこのことについていろんな、決議というのか何か知りませんが、お話し合いがあって、労使に対していろいろ実勢を説明し努力をしていらっしゃるようでございますが、特に長谷川労働大臣は労働組合等に対しても理解を求めるという努力はなされておるようでございますが、そのひとつ成果と申しますか、今後の見通し等をお伺いいたしたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 世界は不況とインフレと雇用不安、これが悩みでございます。そこで、私は、昨年の夏から、大変な事態になるときには従来の惰性ではなかなかこれはお互いの生活は営めない。そういう意味で、持っているデータを、ときには雇用関係、ときには物価の関係、こういうものをずっと各界にお話し申し上げて御自重をお願いしているわけであります。  しかし、何といいましても、だれしも勤労者が一番悩むことは物価の高騰です。これは物価が相場と言われたんじゃかなわぬということからして、副総理を中心にして経済対策閣僚会議をやっておりますが、そこで結局するところ三月末の消費者物価を一五%程度に抑える、これにはもう内閣が一生懸命やる。そうすると、もらって持ってきた賃金をいただいた奥さん方も安心するわけです。これがようやくにしてとにかく一五%内になるという見通しがついた。それから一方は、お話し申し上げますというと、やはり私は日本の勤労者というものはなかなかおわかりいただける。でありますから、それぞれそういう動きなども出ておりまして、この四月の春闘の時期というのは地方統一選挙もあるときです。そういうときに私は大きな紛争がなくして推移できるならば、いま低成長の中でもお互いの国民生活を質の面において守る、こういうことが生まれるんじゃなかろうかということを期待して、せっかくそちこちにお話し申し上げている次第であります。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 長谷川労働大臣は管理者からも勤労者からも財界からも大変評判がいいようでございます。今後の御健闘をお祈り申し上げます。  そこで、経済情勢は刻々変わっておりますから、私は実はこういう質問をしようと思っていろんな資料を集めておりましたら、次から次にこれがだめになっておりまして、それだけに、ここにまとめてみましたけれども、古い資料が出てきたりするようなことで、目まぐるしい変転をしておる中でこのかじを取られるんだから、これはもう大変だろうと思います。先ほど公定歩合の問題も出ましたけれども、これはもう公定歩合と解散はどんなうそをついてもいいと、許されるそうでございますから、私はあえてこのことについてはお聞きいたしませんが、二月一日の経済対策閣僚会議で二つの柱を立てておられます。しかし、その当時もう新聞の解説はこの二つの柱、要するに物価や国際収支の安定のめどがつくまでは総需要を抑制していく、それからまた、引き締めに伴う深刻な不況現象に対しては財政、金融、雇用対策の面からきめ細かい配慮をしていくと、この二つの柱にいろいろ風鈴がついておるようでございますが、これをお決めになったときに、すでに、まあこの当時は一体国際収支のめどといえばめどは一体何だというような議論も実はいろいろ出たわけでございます。また、総需要抑制の基調というような、基調を堅持する——基調とは一体何だというような、この辺がやっぱり決め手でしたけれども、もうこういう議論は崩れてしまいました。そこで、当時の新聞の解説をいまから読み返してみますと、もう政府はかじをその当時、二月一日時点で切りかえつつあるんだというふうに解説をしております、日経なんかは。私は、物を言うことの、政府が発言されるその影響というものを非常に配慮してやらなきゃならぬし、また配慮しておられることもよくわかるわけでございますが、いまもうすでに物価安定優先という旗をおろされたのかどうなのか、またおろしかけておられるのか、まだ高々と掲げておられるのか。私は本当のところを言いますと、数字の上ではいろんなことが言われますし、新聞、活字の面を見ますといろんな私にも感懐がございますけれども、しかし、一般国民はまだ物価が安定したんだという実感を私は持ってないのじゃないかというような実は気がするわけなんです。この点についてひとつこういう問題の神様のようにみんな信じております副総理の御見解を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 物価安定はここ一、二年の最大の政治課題であると、国民もこれを一番期待していると、こういうふうに思っております。いま今日のこの瞬間をとらえてみると、物価はかなり鎮静してきておるわけであります。消費者物価につきましても、昨年の十二月が〇・四だった、一月が〇・五だ、二月が、東京区部しかわかっておりませんけれども、〇・四だ、これはたいへんな鎮静化です。しかし、これから先を見てみますると、いろいろ不安要因というものがあるんです。また、企業がいま非常に苦しいものですから、少し機会でもありましたら値上げをしようというような動き、これはかなりあるわけです。また、先ほどのお話の賃金が一体どうなるかと、こういう春闘問題この帰趨も非常に重大だろうと、こういうふうに考えるわけです。あれやこれや考えますと、手放しで物価安定の基調が固まるかというと、私はとてもそれはそこまでいま物価問題はいっておらぬと思うんです。ですから、物価が本当に安定してもう動かない——動かないというか、定着した、また国際収支の方も手放しでもよろしいと、そういう時期までは、これはもう総需要抑制態勢というか、その基本はゆるめない、これでいかなきゃいかぬと思うんです。しかし、総需要抑制政策と申しましても、これは中身が固定しておるわけじゃないんです。財政を詰めますとか金融を詰めますとか、いろいろ手法はあるわけですが、それが何も固まった考え方でないので、いま世界も揺れ動いております、わが国の経済にもいろいろな変化がありますから、その変化に応じまして、その時々の情勢に応じて財政上、金融上適当な措置をとる、それはもう当然そう考えておるわけですが、いまこの時点で一番問題は何かというと、相当生産が減ってきておる。それに従いまして雇用情勢も悪化しておる。特に、そういう事態のもとで中小企業の人なんか、しわ寄せを多く受けます。そういう事態に対して政府が手をこまねくというわけにはいかぬ。そこで対策会議におきましてもいろんな手法を打ち出しておるわけでありますが、われわれが歩んでおる道というのは実に細い道なんです。ひょっとすると、もうインフレの方へ行くかもしらぬ、ひょっとすると、これはまた冷え過ぎの方へ行くかもしらぬ、ひとつ注意深くやって、なるべく早い機会に、物価の方もよくなったなあ、景気の方も先が明るくなったなあと喜んでいただけるようにいたしたいと、かように考えております。

宮田輝自由民主党

○宮田輝君 関連。  いま総需要抑制というようなこともあったのでございますけれども、これは大変むずかしいことだと思います。私は先ほど来、あるいは防衛の問題にしても、その他経済の問題にしても、とにかく国民各位の理解と協力が得られなければ何もできないということを徳永委員の質問なり、あるいは政府側の答弁なりから一々感じてきたわけでございます。いま、おととしの石油ショックのころをちょっと思い起こすんでございますけれども、たとえばトイレットペーパーあるいは洗剤、やがて出てきたとしても、一時的にしろ店先からなくなってしまうということがあったわけです。あのときのことを考えますと、私はやはり政府が的確な情報を与えていないということがあるんじゃないか、こう思うんです。その情報に基づいて国民は理解し協力することができると、それによって総理がおっしゃるような、物質的にはあるいは簡素でも、精神的に豊かな暮らしが営める、こういうことももたらされると思うんでございます。最近も石油はちょっとだぶついているということでございますけれども、しかし、日本の使う石油のほとんど全部、九九・七%までが外国からの輸入に頼っていると、こういう日本であるとすれば、その石油というのはやはり何とか蓄えておかなければいけない、非常の場合に備えなければならないということをよく聞きます。政府は、その石油についても、いままでは六十日分蓄えておく、それを国際水準並みの九十日分備蓄ですか、五年計画でそういうふうに持っていきたいということもおっしゃっているのですけれども、国民としては、たとえば石油コンビナートの事故を聞いたときに、果たしてどこへどういうぐあいにして、安全対策を講じながらその石油を備蓄されるのか、そういうことだけでもなかなかわかりにくいんです。私は、一つの例として石油の問題を取り上げたのですけれども、国民にわかるようにぜひひとつ話も聞かせていただきたい。石油問題について、ここでひとつ通産大臣に、いまの点国民は安心していいのか、そしてまた石油コンビナートは、タンクは、その安全対策はどうなっているのか、具体的にお話をいただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) いま石油の問題についてお話がございましたが、五十年度から五十四年度までの計画で、備蓄を六十日から九十日にふやすということで、ことしから始めることにいたしました。どこに備蓄するのかということでございますが、現在まだきまっておりませんけれども、初めの一、二年間は、現在石油会社が確保しております土地に大体やれるのではないかと、こういうふうにいま考えておるんです。ただ、お話のように、最近何回かコンビナートで事故が起こりましたので、やはりこの備蓄を円滑に進めるためにはどうしても防災体制を確立いたしまして、地元の方々から心配はないと、こういうふうに信頼をされませんと、なかなか進みにくいわけでございます。そこでいま自治省が中心になられまして、防災体制をいかに強化するかという作業を進めておられますので、その作業も着々進んでおるようでございます。そういうふうな防災体制の強化と相まちまして、地元の住民の皆さん方の御理解を得て、この作業を順調に進めていきたいと、こういうふうに考えております。現在の石油の備蓄量は約六十何日かにいまなっておりますが、確かに御指摘のように、前回の石油ショックのときは情報不足ということで、大変要らざる混乱が起こったと思います。不必要な混乱が起こったと思います。でありますから、これからは石油の情報等については敏速かつ正確に伝わるようにしたいと思います。

宮田輝自由民主党

○宮田輝君 まあ安全についてはこれ以上やる必要はないということはないので、とにかく安全の上にも安全ということを考えて、国民が安心して暮らしていけるようにぜひお願いしたいと存じます。  それからもう一つの例として、これまた不安なことなんですけれども、この間「しれとこ丸」という大型カーフェリーが迷子になったという話がある。大変大きな迷子なんですけれども、聞いてみると、船舶電話が交信可能な通信圏、これは九十キロともいいますけれども、それしか使えない。それから先へ避難した場合には陸地との交信ができない、こういうことが国民に不安を与えた。乗っていらっしゃるお客さんの家族の方の心配はたいへんなものだったろうと私は思うのですけれども、そういうことがありまして、けさ実は郵政省にも聞いてみたのですけれども、それから後、電波の申請は別にないというんですね。危ない状況の中でわれわれは身をゆだねるということは全くおかしな話なんですけれども、そのフェリー一つとって見ても大変不安である。あれは御承知のように、ガソリンを積んだ自動車を乗せているわけです。外国の話では、フェリーに乗るときにはガソリンを一たん抜いてから、必要最小限のガソリンでフェリーに乗る、こういう話を聞いたこともあります。あれこれ考えますと、大変これもまた心配なことなんでございますけれども運輸大臣、いま、あれから後大型フェリー、やや遠いところへいく方ですけれども、これはもう安全になっておりますでしょうか。ぜひお聞かせいただきたい。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木村睦男君) 「しれとこ丸」の件について、いま御質問がございましたが、実は、船舶安全法でもって船には無線電信設備を備えつけることになっておりますが、さらに、それは原則でございまして、それと同時に、無線電話でもよろしいということになっておるわけでございます。  そこで、事件の起こりました「しれとこ丸」は沿岸フェリーでございまして、東京から苫小牧に参るものであります。沿岸フェリーは大体岸辺から二十海里の範囲の間を通ってこう行くということでございます。そこで、いままでVHFの無線電話をつけておったわけでございます。大体百キロ内外までこれは効果があるわけでございます。そこで二十海里の中を行くフェリーでございますので、いろんな風とかあらしとか、いろんなことでそれから離れるといたしましても、まあ二倍ないし三倍まで出ることはまずあるまいと、そうすれば、いまつけておりますVHFの電話で大体用は足りるということで、その電話を備えつけておったのでございますが、今回の場合は百五十キロも出ざるを得なかったと、いままでそういうことは予想だにしなかったのですが、とにかく事実として一回あったわけでございますから、今後ないという保証はございません。そしてそういう場合に行方がつかめないということではいけないということで、早速そういった沿岸の、太平洋とかあるいは日本海とかそういうところの沿岸フェリー、長距離フェリーにつきましては、無線電信設備をつけるようにという指導をいたしております。したがいまして、今後はこういった大型の遠洋を行きます沿岸フェリー、これには無線電信設備をつけますので、そうするともうその心配はないということでございます。

宮田輝自由民主党

○宮田輝君 いまのお話でございますけれども……

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 宮田君、簡単に願います。

宮田輝自由民主党

○宮田輝君 はい。  その機械の設計とか製作にだいぶ日にちもかかるということで、まだ実はついてない船が多いということでございますが、何かがあってからでは間に合わない。政府はふだんから国民に十分理解と協力が得られるような、いま一歩踏み込んだ対話の姿勢をとるべきだと思うものです。国民にわかりやすく話をしてください。そして不安な感じを与えているということは否めないと思うのです。積極的に必要な情報を流すことと、敏速に的確な措置をとることを強く要望するものであります。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 私は、この三木内閣の公約第一号であった年度末一五%に抑え込み、物価上昇、これはみごと果たされたと思いますが、いまの時点で、今月末のは、どの程度になると予測されますか、わかったらお知らせいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 三月の時点がどうなるか、ちょっと見当はつきません。これは三月は野菜なんかの端境期になりますので、かなりどうも天気なんかに左右される物価情勢でありますので予測はできませんけれども、仮に三月が〇・七%以内の上昇にとどまるということになると、年度間の上昇率が一四%以内、一三%台になる、こういうことになるので、何とか〇・七%以内にとどまるように願っておるわけであります。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 今年度の一五%目標というのが一四%以内に抑え込める見通しがあると、いろんな注釈もあったわけでございますが、来年の一けた台、これは来年のことを言うと普通のことなら鬼が笑うのですが、一応大変な目標であるわけでございます。ところが、今年度の予算を見てみますと、いろいろな点にいろいろな配慮がなされておりますけれども、大型予算になっております。これも行政面の冗費の節減をもう少しやる手はなかったかというようなことが考えられるわけでございますが、さらに総理も施政方針演説の中で、国民の皆さんに訴えたい、高度経済成長のなれっこになって、むだもぜいたくも余り感じなくなったきらいがある、これからはそうはまいりませんぞということを言っていらっしゃいます。まあ昭和初期の、濱口内閣の緊縮政策のときの演説みたいな調子なんでございますが、ところが、それとうらはらに、今年度の予算は戦後第二番目の伸びをしましたように、これはいろんな原因がありますけれども、なっておるわけでございます。民間がこういう不況風に吹きまくられているときでございますから、私は官庁側も、これはもういろいろ真剣に経費節減等を実施していかなきゃならぬのではないかと思いますが、その辺はどういうふうにお考えでございましょう。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) ことしの予算規模、仰せのように二四・五%前年比の膨張でございます。財政投融資計画一七・五%でございまして、これも決して小さくない膨張でございます。御指摘のとおりでございます。しかし、全体といたしまして政府の所掌する財貨サービスの需要は、政府の経済成長率の見通しに予想いたしておりまする数値よりは低目に抑えておるわけでございます。したがって、私どもこの予算ができましたときに申し上げましたように、この予算は決して景気に刺激的ではない。節度を持って編成した予算でございますと申し上げたのでございまして、財政面から景気を刺激し、物価高をあおるというような予算であるとは私は考えておりません。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 大蔵大臣の御所見は承りましたが、官庁側ももう少しいろいろな面に考えなきゃならぬのじゃないか、またやってやれぬことはないのじゃないかという気がするわけなんです。いつも退職金が高いとかボーナスが多いとか議論がありますが、たとえば公団なんかの理事さんは、月給のまるまる掛ける月で出ているようでございますし、それから公団、いまいろいろ後でまたお伺いいたしますけれども、そういうような面とかいろんな面で、さしあたり私はやってやれぬようなことはないと思うんです。またこれだけ不況になっているのですから、政府側も官庁側もひとつ相当——景気刺激の予算じゃないとおっしゃいますけれども、それだけにまた本気で私はやはりかかっていかなくちゃならぬのじゃないか、こうおれらもやるんだということを示さなきゃならぬのじゃないだろうかというような気がするわけなんです。国民は大変寒さにふるえているような感じを持っているわけでございますから、その点をお願いを申し上げたいと思います。来年の一けた台の問題につきましても、これは並み大抵のことでは私はなかろうと思います。まだまだいろいろな値上げの要素がたくさんあるわけでございますから、せっかくひとつ、間違いのないようなかじとりをぜひお願い申し上げたいと思います。  それから、日銀の総裁せっかくおいでいただきましたけれども、先ほど物価の、景気の神様である福田副総理からいろいろお説を聞きまして、実はあなたのものの言い方と通産省のものの言い方が、一つの統計資料をもってもちぐはぐになっているわけなんです。それはいろいろ影響するところがございますから、その辺わからぬでもございませんけれども、それの勝負をひとつつけてもらおうと思っておりましたけれども、副総理からいろいろ御説明いただきましたから、もうそれでありがとうございました。おいでいただきましたが、お帰りいただきたいと思います。  そこで公共料金についてひとつお聞きいたします。この公共料金と言われますが、一体どのぐらい公共料金の種類というものがあるか。これは政府委員で結構ですから。

喜多村治雄経済企画庁物価局長

○政府委員(喜多村治雄君) 公共料金ということばには確たる定義がないわけでございますが、政府部内の実務的な考え方といたしまして、政府が直接規制する価格とか料金ということで整理いたしておりますが、そうした整理で申し上げますと、大体六百項目ぐらいございます。しかし、その六百項目の中の大部分、ほとんど九〇%以上はいわゆる手数料というようなものでございまして、免許手数料でありますとか検査手数料といったたぐいのものでございます。そういうものを除きましたいわゆる国民生活に、あるいは国民支出と申しますか、世帯支出に影響するもの、あるいはCPIに影響してくるようなもの、こういったものを申し上げますならば、大体二十五、六項目あるのではないかと思います。国鉄運賃、郵便料金、電信電話料金、たばこ小売価格、米の政府売り渡し価格、国立学校の授業料、社会保険診療報酬、それから電気・ガス料金、私鉄運賃、地下鉄運賃、バス・タクシー運賃料金、それから一般路線のトラック運賃、通運事業の運賃料金、そういったもので、CPIにも二十五品目ぐらいのものがございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 家計に占めるこの公共料金の割合、また消費者物価中に占める割合はどのぐらいになっておりますか。

喜多村治雄経済企画庁物価局長

○政府委員(喜多村治雄君) いま申し上げましたような公共料金が家計支出に占める割合でございますが、これはごく最近とり得ます昭和四十八年、暦年でございますが、暦年で申し上げますならば、狭義、これはサービス料金だけに限定いたしました場合では、約九%程度でございます。これは全国勤労者世帯でとっております。それから広義、この狭義にプラスいたしまして、米、塩、たばこ、これを加えますならば、大体一四%程度でございます。  それからもう一つのお尋ねでございますが、CPIの中にどの程度の公共料金が入っておるかということでございますが、CPIは一万分の幾つという計数のとらえ方をいたしておりますが、狭義で申しますもの、つまりサービス料金であります公共料金は一万分の千二百五十七、一二・五七%でございます。広義で申しますと一万分の千七百十三、一七・一三%でございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 国鉄、それから大手私鉄、それから中小私鉄、営団地下鉄、都営地下鉄、この輸送機関について、運輸収入に対するいわゆる人件費の割合、それからこの各企業の平均賃金がわかったらお知らせいただきたいと思います。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木村睦男君) お答えいたします。  運輸収入に対します人件費の割合についてまず申し上げますと、割合の高い方から申し上げますと、都営地下鉄が運輸収入に対しまして人件費が一三二・四%、運輸収入をはるかにオーバーしておるということでございます。その次が国鉄でございまして、八三・六%、中小私鉄が七二・六%、大手私鉄が五六・七%、営団の地下鉄が三九・四%、そういうことでございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 わかりました。  それから平均賃金。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木村睦男君) 職員一人の一カ月当たりの平均給与額を申し上げますと、これも高い方から申し上げますと、都営地下鉄が二十一万一千円一国鉄が十六万三千円、大手私鉄が十五万一千円、中小私鉄が十三万八千円、営団地下鉄が十三万六千円でございます。年齢構成の若干の違いがありますから、このとおりの差がそのままの差とは言えませんが、大体こういう比率になっております。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 国鉄の五十年度の収入見込みについて、次のことについてお知らせをいただきたいと思います。  運輸収入は五十年度でどういうふうに見込んでいるか。それから、ランニングコストといわれる経常経費は幾らか。それから、そのランニングコストの中の人件費は幾らか。それから赤字は幾らと見込まれておるか。これを減価償却前と減価償却後に分けて、わかったらお知らせいただきたいと思います。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木村睦男君) 五十年度の収支の見込みでございますが、運輸収入で一兆六千六百五十六億円でございます。それに対して経常経費が、つまりランニングコストでございますが、一兆九千四百三十八億円でございます。この経常経費に占めます人件費が一兆三千七百四十三億円でございます。赤字は、償却前が四千二百二十六億円、償却後が七千八十四億円という見込みになっております。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 国鉄が赤字になったのが三十九年と思います。それから四十九年までの累積赤字がどのぐらいになっているか。また、今年度さらに、見込みでございましょうが、それを足してどのぐらいに赤字がなるか。ひとつお知らせいただきたいと思います。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木村睦男君) 三十九年から御承知のように赤字に変わったわけでございますが、三十九年から四十九年までの間の赤字でございますが、実は三十九年までは黒字でございましたので、三十九年から四十九年だけの間の赤字のみを計算いたしますというと、二兆四千三百二十六億円になるわけでございます。そう申しましたのは、前からのずっと累積の赤字ですと、四十九年までが二兆二千七百三十一億円でございます。これは三十九年以前の黒字が作用しておりますのでこの違いがございます。  それから五十年度の予想を入れまして、三十九年度から五十年度の予想を入れますというと、三兆一千四百十億円ということになります。先ほどと同じように、それ以前からのを通計いたしますと、二兆九千八百十五億円と、こういう予想になるわけでございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 三兆一千億円の赤字を国鉄はいま現在抱えんとしているわけなんです、ことし、五十年度は値上げがございませんから。国鉄がこんな膨大な赤字を抱えて四苦八苦している状況というものが、いまのいろんな数字から見て明らかに出てきたわけであります。五十年度の場合に見ますと、減価償却前が四千億を超える赤字を持っているわけでございまして、これはもう民間企業だったら安全対策もできないというのが現状であろうと思います。さらに人件費の比率は、いまのお話を一応見ますと、仮に一五%の今年春闘で値上げがあるとしたならば、やっぱり九〇%近くに、あるいはちょっとこれをオーバーするぐらいの計算に、目の子算ですけれどもなるわけです。それから経常経費は、もう運賃収入をはるかにオーバーしているというのがこの実態でございます。  そこで私は、こういう実態を大蔵大臣はどういうふうにお考えになるか、また運輸大臣はどういうふうにお考えになるのか、御所見を承りたいと思います。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木村睦男君) 三十九年からずっと赤字になりまして、今日までいまお話のような赤字があるわけでございます。そこで、過去におきましては、昭和四十四年に再建の計画を立てたのでございますが、さらに四十八年度に再建の十ヵ年計画というものを立てたのでございます。この四十八年の十カ年計画では、運賃の改定を向こう十ヵ年間に、大体毎回一五%程度の増収ができるような運賃改正を四回やる。それで増収を図る。それから経営の合理化、機械化等によりまして人員を約十万人、十一万人近く合理化をする。それから政府の方といたしましても一兆五千億の出資をする、あるいは累積債務の利子についてその利子補給をやる、いろいろそういう方法を講じまして十ヵ年計画を立てたのでございますが、これが一年たたないうちに、最初計画をいたしました一五%増収をねらった運賃改正が一年半おくれました。また、人員の整理も予定どおり進んでまいらなかった。さらに、予想以上のベースアップで人件費が非常にふえた。そういうふうな状況が重なりまして、とうていこの十カ年計画の遂行は無理であるということに相なったわけでございます。  そこで、五十年度の予算につきましては、とりあえず今回国会に提出しておるのでございますが、今後の経済の見通し等勘案をいたしまして、五十一年度から再建の長期の計画、長期の計画といいましても、経済は毎年毎年変動するわけでございますので、そう長期の計画を立てましても途中でまた挫折をするという恐れもございますので、ある程度長期の見通しは立てながら、数年ぐらいの範囲内において再建計画を立てようということで現在検討をいたしておるわけでございますが、ただいまのところは、従来のような再建計画の焼き直しのような行き方ではとうていこれは再建できないではないかというふうに考えまして、この際抜本的にひとつ再建の方法を立ててみよう、しからばどこにメスを入れたらそういったうみが出るか、あるいはどこにメスを入れたら治るかということで、現在運輸省の中におきまして検討のグループをつくりまして、いま勉強、検討をさせております。国鉄の側におきましても同じようにいま検討をいたしております。  で、どこにメスを入れたらいいかという基本的な問題が見出せますというと、それをもとに再建の計画を練っていくのでございますけれども、いずれにいたしましても、最終的には国鉄は国民のものでございますし、国民の了解を、理解を得た再建計画でなければなりませんので、最終的には国民全体の御理解が得られるような適当な機関を設けまして、そこでも検討をしていただくということで、再建計画の最後の仕上げをしていきたい、かように考えておりますが、国鉄の再建は、ただ単に現状は銭金だけの問題ではなくて、私は同時に精神的な再建という問題も非常に重要視しなければならないと、かように考えておりまして、この両面にわたって今後の国鉄の再建ということを真剣に検討をいたしていきたい、かように考えております。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国鉄が公共企業体といたしまして大変憂慮すべき段階というよりは、すでにもうその限界を超えた状況にあるということじゃないかと、深い憂いを持って事態を見ておるわけでございます。  いま木村大臣も仰せになりましたとおり、この企業体、単なる数字的な問題というよりは、むしろ精神的な再建が先行しなければならぬと思うのでございまして、誇り高き国鉄をもう一度再建するためには、この再建計画というようなものを立てた場合に、それをわき目も振らずに実行を保障するだけの政治自体の配慮がなければならないのではないかと思うのでありまして、そのときどきの事情によりまして、再建計画で実行が阻まれるというようなことでは、とてもこれは再建はおぼつかないのじゃないかということを心配するのでございます。いませっかく国鉄、運輸省を中心に再建計画が立てられておるようでございます。こいねがわくは、りっぱな計画ができて、それがそごなく遂行されるような条件をみんなで保障してまいるようにいたさなければならないのではないかと考えております。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 大蔵大臣のいまの御所見は、私にはよくわかります。  そこで、政策的な割引が国鉄にはあるわけでございます。公共性を持っているからまけてやれということでいろいろな割引があって、年間約四、五百億だろうと思いますけれども、しょい込んでいるわけなんです。こういう政策的なものは、これはもう各省の政策なんですから、社会保障的な面もございましょうし、あるいはその他のいろんなこともあろうと思います。たくさん何遍も乗ってくれるから安うするというなら、これはまあ一応の企業的な割引としてわかるわけでございますが、そういう政策的な割引まで国鉄にしょい込ませて、それで国鉄は赤字を抱えている赤字を抱えていると言って叱咤激励するのも私はどうかと思うんです。こういう点もひとつ御配慮いただきたいと思いますし、そういうことがあって国鉄というものが、公共性と企業性というものをきわめて両方満足させなけりゃならぬというあいまいな形で今日まで私はあると思うんです。ですから、そういうものをひとつ再建計画を機会に明確にしていただきたい。これは一つ要望申し上げておきます。  いまの、この料金の決定の問題でございます。これは政治情勢とかあるいは経済情勢によって決られるものですから、その都度政治問題になって、国会はもう大変な混乱を今日までずっと起こしてきているわけです。で、主要なこの法律の要るような公共料金というものは、一体国がどのくらい持つのだ、企業努力によってどうだ、それから運賃によって、いわゆる利用者の負担においてどうだということをひとつ明確にして、そうしてもうきちっとその枠をはめて、あとはその枠内において運輸大臣なりが操作できるというような仕掛けにでもしておきませんと、私はこの国鉄の財政再建というものはできぬのじゃないかというふうに思うわけでございます。非常に簡単にかいつまんで申しましたもので、私の意が通じたかどうか。たとえば国鉄で申しますと、建設費とか用地買収費というようなものも国が持つんだ、それからランニングコスト・プラス・アルファは、これは運賃収入でもうまかなえと、それから再建の間は企業努力によってこれほどはお持ちなさいということを——主として政府の持ち分、用地買収費、建設費等の政府の持ち分、それからあとは運賃収入によってまかないなさいということごとはっきりしておれば、再建期間中はともかくとしまして、そういうものがはっきりしておれば、そういう法律をつくっておけば、これは郵政の特別会計も同じだと思いますが、電電もそうだと思いますけれども、あはもうその所管大臣に任せるというような仕組みにはならぬものでございましょうか、どうでございましょうか。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木村睦男君) 今回の国鉄再建の検討いたします場合に、いま徳永委員の言われました点も大きな一つの検討項目にいたしております。いままでもいろいろ議論が行われまして、そのような考えもいろいろ検討したのでございますが、何せ現状ではランニングコストは運輸収入でまかなうという原則を立てるにいたしましても、その運輸収入のうち九〇%までは人件費に使ってしまわなきゃいかぬ。あと物件費その他が二〇%しか使えないということで、いまのような運輸収入の状態ではとうていランニングコストすら持てないということでございますので、そういう点も今後再建の場合には考えなければなりませんし、またランニングコスト以外のところの分割といいますか、区分けというものはなかなかむずかしい問題がございますので、これも検討の大きな眼目にいたしております。  で、公共企業体ということの中にもいまのお話に関連して一つの矛盾がございますのは、公共性のいいところと企業性のいいところを合わせてりっぱな運営をやろうというのであれは発足したわけでございますが、過去の運営の実態を見ますというと、必ずしもそうばかりいってない。したがって、公共性と企業性とをどういうふうに今後考えていくかという問題にも関連いたす非常に大きな問題でございますが、従来になく再建について新しく考えを立て直していく一つの眼目になっておりますので、いまのお説を十分参考にいたしまして検討をいたすつもりでございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 この公共料金の問題は、政府がいろんな場合に政治的に抑えやすいわけなんです。そういうものがたまりたまって、あるいは国会の中でいろんな議論がありまして、運賃値上げは絶対反対から始まりまして、何とかせにゃいかぬというような混乱が今日のこれをもたらしておると思うのです。私は運賃は決して高くないと思っております、決して高くないと。しかし、いまからランニングコストすら、経常費すら運賃で賭えぬという国鉄を再建しようということでございますから、これはもう並み大抵のことじゃ私はないと思います。これはそういう原因をずっと積み重ねたところに、やはりこの問題が出てきていると思います。したがいまして、公共料金等について安易にこれを抑える、その見通しをはっきり立てた上で抑え込みませんとこういう結果をもたらして、今年も電電公社等におきましては相当の赤字を抱えているようでございますが、これが果してこの国鉄の二の舞を踏まないことを祈るわけでございます。こういう点につきましては十分ひとつ今後とも御配慮をいただきたいと思います。  最後に、国鉄の職員問題でありますが、国鉄は四十三万の職員を抱えております。日本最大の企業だと思います。あそこには労使という言葉がよう使われますけれども、労使という言葉はもう前時代的な言葉であって、私はこれは国鉄なんというところは皆あれは職員でございまして、たまたま管理者と勤労者に分かれているだけのことだと思います。現場で働く職員もまた管理者である職員も、それこそ全職員が国鉄の使命を自覚して規律ある職務を遂行しなければならない。これがもう第一に大切なことだと思います。現実は遺憾ながら管理者と勤労者の間において、また労働組合間においてもいろいろな多くの問題が発生しているようでございます。これからつくられる国鉄再建計画におきましては、まず財政の健全性を取り戻すことは、これはもとよりでございます。しかし同時に、総裁以下全職員が生きがいと誇りを持つような国鉄の使命と目的を明確に示して、協力を得られるような計画をひとつ立てていただきたいと思います。運輸大臣の御所見を承りたいと思います。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木村睦男君) 国鉄は、申すまでもございませんが、国の財産であり、また国民のための国鉄であるわけでございます。したがって、これを安全に、そして事故なく運営をして旅客を輸送するということは、管理者の側の責任であると同時に、私は従業員全体の責務であると考えております。そういう意味におきまして、この国鉄の与えられております使命というものを十分に従業員全体が意識をして今後の運営に当たってもらうことが、私は何よりも基本的に重要なことである、かように考えておるわけでございます。遺憾ながら、今日まではいろいろそういう使命感にほど遠いようないろいろなことが起こっております。これは私は、管理者側と従業員との間の不信感を早く取り除いて、そして融和一体化した上で国民から預かっておるところの国鉄を国民のために運営するように、使命感に燃える指導が必要であり、また職員もその使命感をみずから強く意識して働らいてもらう、こういうふうにできる限りの努力をするように国鉄にも運輸省といたしましては指導もし、協力もいたす覚悟でございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 ぜひ御健闘をお祈りいたします。  それから財政の硬直化の問題でございますが、総理は施政方針演説で非常に高い調子で、このことについて熱意を込めて実はおっしゃっておるわけでございます。決意を述べられるまで並み大抵のことじゃなかったろうと私は思います、本当に。また、新年の記者会見でもこのことに触れておられます。また、財界との懇談等においても、新聞の報道等を見ますと、財政の硬直化の立て直しのことについて熱意を持って訴えておられます。  そこで、総理の頭の中にはどういうものが変革を必要とする制度、慣行として描いておられるのか、これが一つでございます。それからどういう手順でおやりになろうとしておるのか、まずこの二つをお伺いしたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは行財政と言った方がいいかもしれないですね。行政とも関係があるわけで、これが並み大抵なことじゃないことば徳永君御存じのとおり。そういうことで、これをすぐに手っ取り早く取り組むわけにはいきませんから、財政制度審議会、地方制度調査会、それから行政管理庁の行政監理委員会、こういうことでやはりこの問題を、私自身もお目にかかったこともございますし、そしてひとつどのようにしてこの硬直化を打開するかということを、これは長期的な問題でもあるけれども、来年度の予算編成に間に合うように一応の検討をしてみてもらいたいということで依頼しまして、そして専門家が寄っていろいろ検討を願っておるわけで、こういう専門家の意見も聞きまして、そうしてこの問題を打開を図っていきたいと考えておる次第でございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 私が申し上げるまでもないことでございますが、池田内閣では三十六年度に臨時行政調査会をつくって、それで三十九年に答申が出て、これはついに実を結びませんでした、残念ながら。その後佐藤内閣のときに財政硬直化のキャンペーンに呼応して一省一局削減をやられた。それから定員の五%削減計画を三カ年計画でやろうということでやられたわけです。私は、ずっといままでの歴史を見ますと、これは実現をみたもののごく数少ない例だと思います。わが党においても園田委員会が発足していろいろな検討を始めておられますし、これにも予算編成のあり方だとか食管、国鉄、健保——先ほど私か国鉄の問題を議論いたしましたのは国鉄がいかなる事態にあるかということを総理にも知ってもらう、御存じのことでございますけれども、国民のみんなにも知ってもらいたいということなんです。そういう意味で取り上げたわけですが、そればかりじゃございません。食管がございます。それから健保がございます。そういうような赤字問題をどう処理するか。補助金の整理も問題がございましょうし、行政機構の簡素化もありましょうし、人件費に悩む地方行財政の問題もございましょう。多岐にわたっているわけでございます。そこで、私どもは、総理のリーダーシップを発揮されて、その問題にひとつ本気で、どれ一つでもいいですから完成するように、実りあるものにしていただきたいと思います。私どもも一生懸命にひとつ協力してまいりたいと思います。  それから地方行政問題について一言触れたいと思います。最近、地方財政は重大な危機に直面していると言われておりまして、いろんな予算も組めないというような訴えまであるわけでございます。そこで、税収の伸びが著しく鈍化していくことを挙げて、いろいろ問題があるわけでございますが、最大の原因はやはり私は地方公務員の給与費にあると思う。これは期せずして各新聞が全部社説で取り上げております。そうしてこのことを警告しているわけでございます。これにはいろんな今日まで経過があると思いますけれども、一体地方財政の危機の実態をどのように把握して、そしてどのような心構えで対処していかれるか。担当各大臣のひとつ御所見を承りたいと思います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) お答えを申し上げます。  御指摘のように、地方財政が今日危機になった大きな原因は、やはり一つは人件費の問題があると思っておるのでございます。で、この人件費が非常に多くなった原因をまた尋ねてみますというと、人員の増加ということがございますし、それからまた、この俸給が国家公務員より非常に差ができた。それには、まあこれは専門的なことになりますが、渡りであるとか、あるいはこの俸給の昇給に当たりまして一年一回の分を二号俸上げてしまうとか、まあいろいろのことがあったり、あるいはその他の方法によりまして非常に地方公務員の給与が上がっておるというのは事実でございます。  で、この問題を解決するということになりますと、私は一年でやれなどということは少し無理じゃないかと思っておるんです、実際は。それは、いままで高度成長でずっと収入がふえてまいりましたから、やっぱり地方におきましても相当この支出増ができるということで、いささかあれがあったわけですが、これからは低成長時代に入ったんですから。しかし、ここいらで一応立て直しをしてもらわねばいけない。どうしても地方財政の立て直しを図ってもらわなければならないと考えておるのでございまして、その意味では、この人件費の問題をひとつ大きく取り上げてもらいたいと考えております。  しかし、一方においては、その人件費だけのことを言ってもいけないので、やはり超過負担という問題がございますから、この問題も国としてはやはりめんどうを見る気持ちがなくてはいけないと私は思っておるのでございまして、どちらがウェートが多いかと言えば、もちろん人件費でございますけれども、しかし、そういう面も考えながら地方自治体が今後理性を持つといいますか、この事態に対処して、そうして誤りのない財政運営の方針を処置してもらいたい。それには、先ほど総理が言われたように、行政調査会の方にも諮問もいたしておりますし、こういう問題も含めまして、国家が地方に委託しておるもののうちでは、ものによっては——ものというのは、たとえば統計の事務でございますとか、あるいはまた自衛隊の募集でありますとか、本来自治体の仕事に属さない面も二、三ありますけれども、あとはやっぱり自治体がやらなければならない問題でございます。で、その場合には、何といってもいまは祉政策ということを実現せにゃならぬということになっているから、自治体とすればやっぱり国民の要望を入れて福祉政策を一生懸命いまやらねばならないときなんでありますが、しかし、福祉というのは、先取りをいたしますというと、これは人件費と同じで、もう絶対にあとは減らないわけです。だから、長い目で見た、また福祉政策の対策も考えるということをいたしまして、そうして人件費の、何といいますか、節約によって得たもの等によって福祉政策を実現していくということも私は地方自治体として今後考えていってもらいたい問題である、かように私は考えておるわけであります。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 地方財政の危機を乗り切るための今後の具体的な対応策としては、地方税をひとつ増強してやらなきゃならぬだろうと思う。おっしゃるように、人件費ばかりが——これが主たるものではございますけれども、これが全部ではない。しかし、手当てするものは手当てしなければならない。それには地方税の充実を図る、具体的にどう考えておられるのか。また、あわせて地方交付税率の引き上げが要望されておりますが、この点についてもひとつお答えいただきたいと思います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) 私が先ほど低成長時代ということを申し上げましたのは、低成長時代になればどうしても税収も減ってまいります。そうすれば、この交付税率をどう処理するかという問題も、もちろん当然出てくるわけでございますが、さしあたり五十年度の予算編成に当たりましては、その点も十分見込みまして、地方財政計画を組んでございますから、私は大体においてこの五十年は何とか処理ができるものと思っております。しかし、その後の問題については、これはお説のとおり、そういう問題も、あるいは考慮せねばならないことがあるかもしれません。一方、地方に財源をつけるという意味では、交付税率の問題、交付税の問題も大きいが、いわゆる税収、新しい税を起こすということもございまして、今度都市を中心にした事業所税というのをつくりまして、これで約八百億円ないしその前後の税収が増税になるわけでございまして、これは新しい税でございますから、これによって一つの財源を付与することができると思いますが、新税以外になりますというと、法人税の税率を増すとか、いろいろな問題が出てきます。しかし、こういうことは、やはり相当住民に対する課税の重課といいますか、負担が重くなることにもなるのでございますから、そういう面も考えてみますと、税収を与えるといっても新税というのはなかなかむずかしい問題がございます。したがいまして、やはりそういうことも考えなければならないけれども、同時に、いま申し上げました人件費の問題等については、これはひとつ十分考えていただきたい。そういう方針で今後の地方自治に対して指導をしてまいりたい、こう考えておるわけであります。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 超過負担のことはお触れになりましたが、五十年度でもしかるべく処理されております。しかし、これで全きものではないと思います。単に単価の改定だけでなくて、補助対象とか、範囲とか、品質とか、あるいはまた補助基準の改定等にも今後努力をしていただきたいと思います。  次に地方公務員の定年制の問題でございますが、これはたびたび議論になっておりますし、衆議院においても御答弁があったようでございますが、このことについてどういうふうにお考えか承りたいと思います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) お答えを申し上げます。  定年制の問題につきましては、各方面においてこの際検討すべきではないかという意見が相当有力なお方から提案されておるようでありますが、実は都道府県で見まして、大体一般行政職でも約三千六百人くらい、それから普通の一般職になりますというと、一万八千人くらいが六十歳以上になっておるわけでございます。こういう問題も人件費増の一つの例になっております。それから定年をそのままにしておきますと、どうしても下積みの人が働く意欲がなくなるのですね。上が突っかえているものですから、働く意欲がなくなるということがございますので、そういう二つの面から見て定年制という問題をひとつ考えなきゃならないのじゃないか。そういうことでは、いままで勧奨退職という形でやっていますけれども、六十になったら勧奨退職にするというようなところもいままで出ておりますし、そんなことを言っては変ですが、横浜あたりもそんなことを今度は四月からやろうと言っておられるようであります。私は、そういう意味で、この定年制の問題はひとつ十分検討をいたしたいと考えておるわけでありまして、今後、前向きに勉強さしていただきたい、こう考えておるわけであります。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 時間がなくなりましたから、私は文教問題について文部大臣の御所見を承りたいと思います。  入試の競争がますます激化したために、学習塾やら家庭教師の指導を受けている者が年々増加して、公立中学の半数以上の生徒が指導を受けている。また利用者が年々多くなると同時に、年も低下して小学生に及び、さらにはなはだしきに至っては二歳の幼児を塾に通わしている。通っているというよりも通わされているのでしょうが、こういう義務教育の無償はもう形骸化していると思うんです。だんだんそういうふうになっていくと思うんです。もはやこれは必要悪として見逃すことができないと思います。この点について、その内容、形態等さまざまあろうと思いますけれども、文部大臣の御所見を承りたいと思います。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) ただいま御指摘の塾の隆盛、あるいは家庭教師を頼るとか、これはもう非常に深刻な事態であると考えます。文部省でも子供の生活時間の調査というのをやりまして、一体どのぐらい塾のために時間を使っているか、あるいは夜の睡眠時間がどのぐらい減っているかというようなことも調べておりますが、これは年ごとに悪くなって、しかも低年齢層になってきております。  この問題の解決というのは相当やっぱり包括的に考えて努力していかなきゃいけない。やはりどう考えましても、そもそも社会が非常に学歴偏重になってきているという問題があるかと思いますから、社会において学歴は尊重すべきでございますが、偏重をして、そして採用、昇進を行うというようなことについていままでと違う方向をとるように御協力を願うということが一つあると思います。  もう一つは、やはり大学というものの数が足りないということと、もう一つ非常に格差があるということでございます。特に国・公・私立の格差がございますから、これを是正いたしまして、私立を強化していく。そしてなるべくどこの学校に行っても条件が等しくなるようにする。さらに次には大学の入学試験の問題がございますから、この制度を変えていく。そして今度、教育課程ですが、小学校から高等学校まで、これが大変な過密のダイヤになっておりまして、もう学校でやっていることが非常にむずかしい。それがまた試験に結びつくから、とても学校だけでは消化しきれないということで塾に行くということになっているわけです。  そこで、文部省は現状におきましては、大学の入試制度改善、それから教育課程の審議会、こういうものにいま具体的に手をつけて進めておりますけれども、そしてまた国・公・私立の格差是正もやっておりますけれども、これを一層包括的に、一体どこをねらっていけば本当に義務教育の充実ができるか。いまおっしゃいますように、わが国は学校がたくさんできましたけれども、皮肉なことに、かえって義務教育というものの内容が問題になるという事態でありますから、何といっても義務教育が地盤でございますから、これを強化していくために、いま申し上げましたようないろいろな側面というものを多角的にとらえまして解決を図るように、これは相当時間がかかりますが、努力をしている次第でございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 文部大臣は、このようないわゆる塾が栄える理由をいまお述べになりましたが、やはり私は学歴偏重の社会をつくり上げていると思うのです。いま大学のことに非常に熱を入れてお話がございました。文部省は大学にばかり熱心であるようにも思うわけでございます。大学に熱心というのは、私は逆に、勉強もせんで棒を持って歩いているような連中の大学をつぶすことに私はむしろ熱心になっていただきたいくらいに考えているわけです。学歴偏重の社会をどうしてもひとつこれはなくしていただかないと、こういう問題が絶えないと思うわけであります。それから、父兄の異常なエリート教育に対する熱意、これはもうすさまじきものがあるわけでございますが、こういう問題もあるいはまた教育の中の混乱もあろうと思います。こういうことについて一段の御努力をいただきたいと思います。また、塾の隆盛は今日のわが国の教育の一つのひずみだろうと私は思います。ひずみの象徴だと思うのです。将来を考えるときに、このまま放置するわけにはまいらぬ。それでは、このものずばりにどういうふうに文部大臣はお考えになっておるか、それを伺いたいと思います。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) 文部省が塾それ自体を規制するということはできないと思います。そこで、どうしても必要なことは、そのものずばりというか、その年齢の層の人たちに必要なことは、小・中・高の学校で教えております内容が非常に過密でございます。いろいろな調査がありますが、どうも学校で勉強しているだけではわからないという子供の数が多いという調査もあるのです。そこで、ともかく学校で教えることは、それこそ最低限すべての子供に理解させる。そこでいま教育課程審議会というのを、全国歩きまして方々で公聴会も開き、また東京でもやっておりますが、これをなるべく早く仕上げまして、そして指導要領というものをもう一回見直して、そして学校で教えることはもうすべての子供にわかるような教科書の内容に一日も早くしていくということが一つです。それも時間がかかりますから、今度は学校の先生の現在の教え方ですが、教え方の工夫ということについて、現職についている人たちの研修を行う。これをやりましたならば相当効果があるだろう。いまそういう角度で塾の問題については考えている次第でございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 社会的不公正の是正、その内容について、いろいろと福祉年金の問題あるいは拠出年金との関連等につきましてもお伺いしたかったわけでございますが、時間が参りましたのでこれで私は質問を終わりますが、最後に、これは藤田委員からのお話にもございましたが、解散なんというようなことを聞いたって、それはもう答えは出てしまっておるわけでございますが、その解散に対して、将来いつまでもやらぬわけにはいかぬだろうと思います。その場合には、話し合い解散というのが望ましいとお考えになりますか。解散そのものについてどういうふうに総理はお考えか、一言ひとつお答えをいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 解散の場というのはなかなか予定しにくいものなんですね。だから、初めから今度の解散は話し合い解散にいたしますと言えない面がありますよ、解散というものを考えるときに。そういうことで、私は解散というものは、いまの藤田さんの御質問にも——まだ来年の十一月まで任期があるんですからね、そういうことで、いまはもういろいろな懸案をいっぱい抱えておりますから、考えてないんですよ、頭の中で、解散は。まあいつかはやらにゃならぬことがあっても、それは来年の十一月までの間にやればいいわけですからね。そういうことで、いま頭にないですから、話し合いとか何とかということも何も考えてはいないわけでございます。

徳永正利自由民主党

○徳永正利君 私はこれをもって質問を終わります。(拍手)

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして徳永君の質疑は終了いたしました。  速記をとめて。   〔速記中止〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。     —————————————

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 質疑順位に関する件についてお諮りいたします。  本件につきましては、数回にわたる理事会におきまして熱心に御協議いただきましたが、残念ながら意見の一致を見るに至りませんでした。したがいまして、委員長は、第三順位以下につきましては、先例に従い、お手元に配付いたしました質疑通告表の順位とすることにいたしたいと存じます。  討論の申し出がございますので、順次これを許します。矢追君。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 ただいま委員長から提案されました本予算委員会の各党質疑順序につきましては、理事会で決定を見ない案件であります。したがいまして、委員長の職権において提出されたものと解釈をいたします。  私は、この委員長提案に対しまして強く反対を表明いたしますとともに、公明党、共産党、民社党、二院クラブとともに、予算委員会総括質疑者の順序につきましては、第一回目の質疑者は各党一巡方式をとることを強く主張いたします。  その理由を申し上げます。  第一は、参議院は良識の府として運営されてきており、昭和三十九年までの長きにわたって、総括質疑の第一回目のは各党一巡で行ってきているのであります。残念ながら、その後このよき慣行が打ち破られ、現在の全く非民主的、不合理な慣行を立ててしまったのであります。政党の大小にかかわりなく、国民の代表である責任政党として、政府に対し公正に質疑を行う機会が得られるのは当然のことであります。  第二は、少数意見の尊重こそ民主主義の基本精神であるとの理由であります。  数の論理による算術平均的に発言の機会を押えることは、数の暴力と言わざるを得ません。社会党が三人質疑し、自民党を含めると今回は七番目に公明党、八番目に共産党の第一回目が回ってくる。民社党は、社会党の六人、今回自民党の四人を含めると十五番目にやっと質疑順序が回ってくる。二院クラブに至っては、社会党の十一人をはじめ各党全員終了した最後にやっと質疑ができるといった全く不合理な状態であります。現在、自民党の委員数は二十三名、社会党の委員数は十一名、公明党、共産党は各四名であり、社会党の委員数は公明党、共産党の三倍に満たないのであります。仮に委員数割りにしたとしましても、社会党が公明党、共産党の前に三人も質疑する理由は何もないのであります。これでは少数意見を無視するのもはなはだしく、良識の府たる本院の運営に国民の疑惑が生ずるのも当然であります。  第三は、参議院の民主的改革がいま国民に大きく注視されております。このようなときに、数の暴力により少数意見が押えられるということは、民主的改革に逆行するものであり、民主主義の原則に反するものであります、各党代表がまず一巡することが最も正しい時宜に適したやり方であり、これが参議院の民主的改革の第一歩であります。  以上の理由から、私は委員長の提案に強く反対するとともに、各党一巡方式を強く主張するものであります。委員長の取り計らいによって私の主張が取り入れられることを強く要望し、反対の討論といたします。(拍手)

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 岩動君。

岩動道行自由民主党

○岩動道行君 私は、自民党を代表し、ただいまの委員長の提案に賛成いたします。  参議院委員会の先例によりますと、予算委員会の質疑は「理事会において、各会派に対し所属委員数等を考慮して質疑時間を割り当てるとともに、その質疑順位を定め、これを委員会に諮って決定するのを例とする。」とあり、今回においても質疑順位について大谷委員長が精力的にかつ積極的に検討され、五回も理事会を開かれ、各会派の意見を十分に聞かれ協議したにもかかわらず、ついに意見の一致を見るに至らなかったため、委員会に諮って決定することとなったことはやむを得ないと思います。委員長の提案された質疑順位は、各党所属委員数の数に応ずる時間割り当てに従い、過去十年の先例をもととし、多数意見を代表する党から順次質疑を行うもので、民主主義の原則に沿うものとして賛成いたします。(拍手)

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 加藤君。

加藤進日本共産党

○加藤進君 私は、日本共産党を代表して、矢追君のただいまの意見に賛成し、委員長の提案に反対するものであります。  本予算委員会において、少数会派は長年にわたって質問時間を短く制限された上、質問順位においてもきわめて不当な扱いを受けてまいりました。このためわが党は、各党代表の質問順位は公正、民主的に行われるよう一貫して強く主張してまいったものであります。ところが、今回の委員長提案は、これに全く耳をかすことなく、従来からの慣例を盾に不当にも多数会派優先の質問順位を依然として固執するものであり、さらにそれは、前国会の方式に比べても一層後退するものであって、少数会派軽視もはなはだしいと言わざるを得ません。  そもそも政党政治は、わが国議会制民主主義の根幹であります。予算委員会冒頭に行われる総括質問で、各党の立場と主張を国民の前に明確に表明する機会を保障することは、国会のなすべき当然の最小限の責務というべきものであります。しかも、総括質問における各党代表の最初の質問に限ってテレビの生放送が行われ、国民が、じかに国政審議の実体に触れる貴重な機会となるものであります。この点から見ても、各党代表による質問順位は、合理的で公正に決められるべきものであります。現に、かつては総括質問において、各党代表は初めに一巡して質問していたのであり、前国会では、委員長みずからこの一巡方式を今後本格的に検討することを公約されたものであります。また、本会議においては、すでに第六十八国会から参議院の民主的改革の精神に沿うて、この一巡方式が復活していることも周知のとおりであります。  委員会の発言順位についても、少数会派の立場を配慮すべきことは言をまたないところであります。  自民、社会両党は、質問時間でも質問者数においても、すでに有利な立場に立っているものであります。その上に、さらに数の論理などという口実をもって、民主主義の原則に反する不合理な慣行を押しつけることは、わが党としては断じて許すことはできません。  わが党を初め四会派が、長年にわたって総括質問冒頭での各会派一巡方式を主張してきたのは、国会運営の不正常を是正し、公正で民主的な政党政治の原則に基づく当然な要求であります。  いま、社会的不公正の是正が国民から強く求められております。これが国民を代表する国会において、多数会派の横暴をただし、質問順位で一巡方式をとる程度の国会運営の不正常を是正することすらできないとなれば、それこそ国民の期待にはなはだ背くものと言わざるを得ません。  よって、委員長においても、わが党を初め四会派の主張どおり、即刻質問順位の不公正を是正し、その公正化を図られるよう強く要求して、私の意見の表明といたします。(拍手)

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 宮之原君。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 ただいまの委員長提案に対して、日本社会党を代表して賛成の意見を申し述べます。  先ほど来、種々の意見が述べられていますが、およそ議会民主主義を国是とするわが国国会運営においては、各政党、会派の発言が保障され、国会を通じて国民の前にそのことが明らかにされていかなければならないということは当然でございます。そしてまた、そのため、より十分な工夫、努力がなされなければならないということも申し上げるまでもございません。  しかし、このことと、質疑の順位まで小会派を優遇、優先しなければならないということは決して同一じゃないのです。同一であるべきだという意見は、論理の飛躍もはなはだしいと言わなければなりません。そしてまた、そうやることがあたかも民主政治の本旨であり、これを否認するところの意見は非民主的であるというごとき、あるいは数の暴力云々というごときは、独善的見解もはなはだしいと断ぜざるを得ません。  御承知のように、わが国国会運営は、長年の歴史と幾多の経験の中から、各政党、各会派の議席の数が基本に置かれて、種々のルールが決められてきておるのであります。このことは、たとえば参議院先例録を見ましても明らかなところであります。特に、ただいま議題となっております発言の順序の問題に、同先例録の二百二十一、二百二十二にも明記をされております。そしてまた、参議院委員会先例録にも、百三十一、予算委員会における質疑に関する例として、「各会派に対し所属委員数等を考慮して質疑時間を割り当てるとともに、その質疑順位を定め、」委員会に諮って決定する云々という例を見ましても明確であるのであります。この原則が確立されておるからこそ、昭和四十一年以降今日まで十年にわたりまして、本委員会の質疑順位及び時間が何ら変更されることなく定着してきておるものと言わなければなりません。  もとより、私も、現行方式が永久不変、完全無欠であると断ずるものではありません。年度が変わるたびにこれほど議論されておる問題でありますから、今後も再び論議されることもありましょう。しかし、私たちは、委員長の提案が最も適切な方法であるということを考えるものであることを再び表明をして、賛成の意を表するものであります。(拍手)

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 向井君。

向井長年民社党

○向井長年君 私は、討論の前に委員長に質問いたします。  きょう、初頭に発言順序を委員会で諮られたときには、大臣全員おられる中で諮られておりながら、いま大臣を全部休憩で出して、そしてこの討論をやるということはどういうことであるか、私は質問いたしたい、まず第一に。後で答弁いただきます。  そこで、私は民社党を代表いたしまして、ただいまの委員長の提案に反対をいたします。公明党の矢追委員の意見に賛成するものであります。その理由を簡単に申し上げます。  本院予算委員会においては、過去、昭和三十九年までは、総括第一陣は完全な一巡方式をとってまいりました。しかるに、昭和四十年に何を思ったか、社会党が突如として各党勢力分野において発言順序を決定することを提案いたしてまいったのであります。当時、予算委員会理事会において論議を重ねました。自民党は終始黙して語らず、不明確な態度をとってまいりました。公明党、共産党、民社党、第二院クラブは強く反対をいたしたのでありますが、最後に反対意見には耳をかさず、社会党と自民党が押し切って今日に及んでおるのがただいまの現状であります。  その後、毎年、毎国会、予算委員会のたびに、私たちは三十九年の制度に戻せ、すなわち一巡方式をとるべきであるということを予算理事会においても提案をいたしてまいりました。特に、昨年末の特別国会、これにおいて、これが問題となり、理事会において相当論議を尽くしまして、大谷委員長も、そしてまた各理事も、次期国会までには十分前向きで話し合いをして、そして結論を出すように努力しましょうと、こういう結論の上に立って、この年末国会が終わったのであります。  今国会においても、先ほど五回ほど論議を重ねたと言っておりますけれども、この論議はほとんど不十分であり、先ほど自民党の諸君が賛成討論をいたしましたけれども、自民党は終始黙して語らず、反対とも賛成とも何も言わない。社会党と、われわれ野党三党が常に対立の意見を闘わしてきたのが、この国会のいわゆる理事会の現状であったと思います。  そういう中にあって、大谷委員長は責任を痛感されて、最終的には大谷委員長の、言うならば若干の歩み寄り、ドント方式あるいは一巡方式の若干の修正、こういう私案をつくられて、非公式でございますけれども各党にそれぞれ打診されたと思います。これに対して、公明党、共産党、わが民社党は、あるいは二院クラブも、少なくとも検討する余地を持っておったのでありますけれども、これに対しましても、他の党は一蹴されてしまったのであります。まことに遺憾と言わなければなりません。  わが国の政治は政党政治であるにかんがみ、政党の大小にかかわらず、国民に対してはそれぞれ責任政党としての義務を負っておるのであります。したがって、国会においては、本会議に次ぐ予算委員会は重要な論議、審議の場であります。各党代表が独自の政策を持ち、政府の所信をただし、十分なる論議を重ね、国民に対して理解を求めるのが私たちの責務と考えるのであります。そのためには、各党代表総括一陣が一巡することによって、国民が比較判断する審議のあり方、これをとらなければならぬと思います。特に各党第一陣は、NHKテレビも、その意味において実況放映されておる理由はそこにあるわけであります。  現状は、公明党の矢追委員が言われましたが、社会党三名、自民党三名の後、七番目に公明党の第一陣が続いてまいります。共産党は八番目、わが民社党の場合においては十七番目になっておるのであります。そして第二院クラブは一番最後であります。全く不合理と言わなければなりません。  私たちは、各党の勢力分野を無視して主張しておるのではありません。数の比率に対しては、発言時間で大きく差がついております。本委員会において委員長から諮られましたこの時間も、たとえば社会党は三百八十五分であります。そして、自民党も三百八十五分、公明党は百四十分、共産党も百四十分、わが民社党は七十分、二院クラブは三十五分となっておるのであります。われわれはこれを了承いたしております。発言順序まで数の比率で主張することは民主主義の履き違えであり、多数横暴と言わなければなりません。常に民主主義は少数意見の尊重ということを、社会党の皆さんもあるいは自民党の皆さんも常に言っておられます。私は皆さま方に反省を求めるものであります。特に、野党第一党である社会党の皆さんに、野党三党、そして一派、すなわち公明、共産、民社、第二院クラブの共通の主張に対して、私は耳に刻んで留意されんことを強く要望いたすものであります。  特に、委員長の善処を促しまして、私の討論を終わります。(拍手)

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) これにて討論は終局いたしました。  それでは、採決を行います。(「答弁、答弁」と呼ぶ者あり)答弁は後ほど、いまの討論の手順が終わりましてから申し上げます。  委員長提案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 多数と認めます。よって、委員長提案のとおり決定いたしました。  ただいま討論の中で向井委員から御質問がございました。人権を尊重いたしまして、二十分間休憩して、政府の職員も、後々まだ質問が続くわけでございますから、お茶でも飲んできてもらうように配慮したものでございます。(「理事会でなぜ話さないのか」と呼ぶ者あり)総括質疑で各大臣を並べてやるものとは問題が違うわけでございます。理事御承知のとおりでございます。  速記をとめて。   〔速記中止〕

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 田中寿美子君。(拍手)

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 総理は、社会的不公正の是正ということをセールスポイントにしていらっしゃるのですが、具体的に施政方針演説の中で、インフレの影響をまともに受ける弱い立場の人々というふうな言葉を使っていらっしゃいます。どういう人たちでしょうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 生活保護世帯とか、あるいはまた身体障害者、母子家庭、老人、まあそういう人たちがやっぱり弱い立場の人たちだと思います。まだ弱い人はおりますけれども、やはり本当に弱いという人たちは、いま言ったような人たちだと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 インフレの影響をまともに受けるという場合に、いまおっしゃったようないわゆる弱い人たちという人たちだけじゃないと思います。政府が発表している国民生活白書の中に、インフレと異常な物価高の中で高所得層と低所得層の格差について書いてありますね。これはどういうことが書いてありますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) どういうことが書いてあるということはともかくとして、いわゆるインフレというものは所得格差を生じますよ。やはり、資産を持っておる者と、資産といいますか、物を持っておる者とそうでない者との間には、非常なやっぱり不均衡が生じますから、どうしても不均衡を是正するためにはインフレを抑制する以外には私はないと、一番の当面の問題としてはそう考えておる次第でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 インフレの被害者というのは、国民生活白書によりますと、あれは総理府のとっている家計調査で、第一分位と第五分位まで区分して、所得階層別にとっているわけです。その中で、第一分位と第五分位の間の格差は大変なものだということが指摘してあるのですけれども、その部分について経済企画庁長官いかがですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 生活白書はそのとおりのことを指摘しております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 もう少し内容をお願いします。

岩田幸基経済企画庁国民生活局長

○政府委員(岩田幸基君) 御指摘の四十九年度の国民生活白書でございますが、インフレによりまして、第一分位から第五分位まで階層によって格差が出てくるという点でございますが、最も大きな格差が出ますのは貯蓄、つまり資産の面につきまして大きな格差が出るということでございまして、たとえば四十七年の十二月から一年間の間に、各分位ごとの貯蓄残高の実質減価の比率を……

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そこを聞いているのじゃないのです。所得の格差を聞いているのです。どういうふうに格差があるか。

岩田幸基経済企画庁国民生活局長

○政府委員(岩田幸基君) 現在ある格差でございますか。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 はい。第一分位と第五分位。

岩田幸基経済企画庁国民生活局長

○政府委員(岩田幸基君) 所得の格差でございますが、年間収入で申しますと、四十八年につきまして、第一分位が一世帯平均で九万九千百六十二円、第五分位が二十五万五千五百六十七円、格差にいたしますと、平均所得に対しまして第一分位は五九・八%、第五分位は一五四・一%というようにたっております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 時間がありませんので数字を申し上げませんけれども、いまお聞きになりましたように、第一分位の世帯収入に対して、第五分位の人というのは大体三倍くらいの収入を得ているわけですね、二倍半から三倍ぐらい。こういう、これは特にインフレのもとで格差が開いてきたわけなんで、ですからインフレと不況のもとで一番犠牲を受けているのは、こういう、つまりいま総理がおっしゃった、いわゆる弱者という人たちだけじゃない。普通の所得を取っているところの低所得層が、もろにその影響を受けているというふうにお認めになりますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) そのとおりだと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 その後、第一分位のその人たちは大体どういう人たちが入っているというふうに思っていらっしゃいますか。

岩田幸基経済企画庁国民生活局長

○政府委員(岩田幸基君) 概して申しますと、年齢の若い世帯が第一分位に入りますし、第五分位は主として年齢の高い層というような区分ができるようでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そんないいかげんなことじゃなくて、労働大臣いかがですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) お答えします。  第一分位は低所得層です。第五分位は高所得者層です。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 お答えがなっていないですね。低所得層というのはどういうふうな人たちを含んでいるかと聞いているわけです。これは国民生活白書にちゃんと出ているのですから。それから勤労者統計だってそうですよ。

東村金之助労働省労働基準局長

○政府委員(東村金之助君) 低賃金層、つまり第一五分位層等に含まれるのは、日雇いであるとか、臨時工であるとか、さらには規模の小さいところで働いている労働者等々だと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いま言われたような人たちが第一分位の主な人。そうしますと、インフレと不況のもとで一番総需要抑制の政策の犠牲になっている人たちではないかと思いますが、いかがでしょう、総理大臣。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 総需要抑制は、インフレを抑制するためにするのですから、インフレの犠牲者であるというべきだと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 インフレと不況の、と言いました。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 不況もやはり影響を受けることは、これはそのとおりだと思いますが、さりとて、それならば物価を安定さす政策というものを、この際その基調を変えて、いわゆる景気政策のようなことに転換していくことが適当だとは思わない。やはり不況対策には、機動的、弾力的に不況対策をとりながら、一方においては総需要抑制の枠組みは続けていく。一番の敵はインフレですから、そのインフレというものを抑制するためには、その方がやはり政策としては適当であろうという判断でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私の問いにお答えいただいていないわけなのですが、労働大臣、いまお聞きになりましたように、第一分位というのには日雇いだとか小企業だとか、あるいは臨時雇いの人が相当いるわけですね。こういう人たちは、不況のもとでどういう犠牲を強いられているか。インフレでも両方からこれははさみ打ちになっているわけです。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 現象としてはそのとおりでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そのお答えでは何にもならないんですね。労働大臣ですから、そういう低所得層の人たちが、いま雇用状態なんかでどういうふうになっていじめつけられているかということをお答えいただきたい。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○政府委員(遠藤政夫君) 昨年の不況の影響を受けまして、一般労働者につきましても求人状況は昨年の秋以来減少の傾向をたどっておりまして、一般常用労働者につきましては、大体求人が四〇%ぐらいの減になっております。これに対しまして日雇いの求人も同様に減ってまいっておりますけれども、一般常用労働者に比較いたしますと、日雇い労働者の求人は昨年の十二月で約三〇%で、常用労働者よりは比較的緩やかな傾向をとっております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 労働時間とか、その賃金が減っていっている原因は何ですか。

東村金之助労働省労働基準局長

○政府委員(東村金之助君) 賃金が総体的に低くなっている理由といたしましては、やはり全体の景況の中で労働時間が減少しているとか、さらには格差問題について申し上げますと、大企業と中小企業の賃金格差におきまして、若年労働者、若い人たちの賃金格差はかなり狭まっておりますが、高年齢層になりますとまだ格差が高い。で、中小企業等においては高年齢層のほうにウェートがございますので、平均いたしますと中小企業の賃金水準が相対的に低いと、かように考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 日雇いとか臨時の雇用者の労働時間ですね、それから有効求人倍率など、労働経済指標にあるんですよ。

東村金之助労働省労働基準局長

○政府委員(東村金之助君) 所定外労働時間でございますが、四十九年には前年に比べ一九・二%減と減少を見ております。なお、規模別にどうなっているかというのは正確な資料がございませんが、ほぼ大体同じような傾向ではないかと、かように考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 労働大臣、一時帰休だとか、希望退職だとか、解雇だとか、新規卒業者の不採用とか、こういう問題は御存じでしょう。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 一時帰休につきましては、御承知のとおり雇用保険の中の……

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いや、どういう状況にあるかということ。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 一時帰休ですか。一時帰休は三十八業種……

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 雇用不安の状況。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 三十八業種指定しまして、そのあと細分類でまた追加などしまして、いまのところ十二月から一月の失業というものが、その適用によって横ばいになったと、こういうふうに理解しております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そのほか、雇用不安がいっぱいあるでしょう。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) いま私たちが一番、心配していることは、こういうインフレの中において、それと同時に物価抑制と雇用不安、この三つの中に一生懸命やっているわけですが、まず一番先には、総理大臣あるいは副総理からもお話があったように、一番大事なことば物価抑制じゃなかろうか。これが先ほどからお話のありましたように、とにかく一五%以内に三月末ようやく消費者物価が抑えられるということになりますというと、もらった賃金が常に安くならぬ、こういう安定のところに従来力点を置いているわけであります。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 さっき有効求人倍率のことを聞いたのです、失業の状況です。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○政府委員(遠藤政夫君) 一般常用労働者につきましては、有効求人倍率というものがございまして、十二月で〇・八、一月になりまして〇・七一になっておりますが、日雇い労働者につきましては、先生御承知のとおり有効求人倍率の考え方は通用いたしません。先ほど申し上げましたように、十二月の求人は対前年比で約三〇%減になっておりますが、求職者も約一〇%減になっております。したがいまして、常用労働者に比較いたしますと、先ほど申し上げましたように求人状況、いわゆる倍率という考え方をもし適用するとすれば、常用労働者よりは比較的状況は好転している、こういうふうに考えていいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そうすると、雇用不安は比較的よろしいというふうに判断していらっしゃるわけですか。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○政府委員(遠藤政夫君) ただいま大臣からお答えございましたように、一般常用労働者につきましても、雇用保険法によります雇用調整給付金制度が作用をいたしまして、現在八十五業種につきましてこの制度が適用されております。で、一月末現在で申請がございました一月、二月のいわゆる一時休業、操短によります休業の状況は、全体で三千四百事業所に及んでおりまして、対象になります休業延べ日数が約三百五十万日、そのうち中小企業が約六割を占めております。こういうことによりまして、こういう制度がなかりせば、おそらくは人員整理、失業という事態に至っていたであろうと考えられますものが相当程度食いとめられておる、こういうことでございまして、この制度の発足によりまして失業を相当防止できておると、こういう状況になっておると思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 さっき申し上げましたように、低所得層と高額所得者との間の格差がどんどん開いていくということ、この問題については、実は衆議院の予算委員会でわが方の堀政審会長が非常に詳しく話をしましたので、皆さん眠っていらっしゃったかどうか知りませんけれども、聞いていらっした。それで、いま労働経済指標によって見ますと、四十九年の下期に常用雇用者数が減少して失業がふえる一方、臨時日雇い就業者数がどんどん減っていく。それから実労働時間が減少していく。ということは、超過労働をやってかせいでいた者がもうなくなってきた。そういうようなことを含めて低所得層というのは実質収入がどんどん下がっているのだということなんですね。それから、一時帰休とか希望退職だとか、新規学卒者の不採用などというのはいまの不況を反映している。まあ総需要抑制もこれに反映していると思います。ですから、こういう状況の中で、インフレの犠牲者という場合に、私は総理にその辺をはっきり把握していただきたいと思ったわけなんです。インフレの犠牲者というのは非常にたくさんいるということ、これは時間がないもので私も言えないのですけれども、詳細に見ますと、大体低所得者層、第一分位ぐらいから下の人というのが五〇%近く日本の勤労者の中にいるわけですね。ですから、もっとインフレ対策というのは幅を広げてごらんにならないといけない。いわゆる弱者というのは、これは当然のこととして救わなければなりませんけれども、インフレの被害者というのは働く人たち一般である。特に低所得層の方はひどい、こういうことなんで、これを不公正だとお思いになりませんか、総理。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) インフレの被害者は低所得層一般であるということは、そのとおりに私思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 じゃ、まあ総理はそれをお認めになった。インフレの被害者というのはもっと幅広く、勤労者の半分から下は全部被害者と、それ以上の人も被害者かもしれません。  そこで三月末一五%、物価上昇率をそこに抑える、これについては、きょうも何回か話がありましたから詳しく触れませんけれども、もちろん私ども物価の安定を望んでいるわけなんですが、これは下がるということじゃないですね。これはどういうことか、経済企画庁長官説明してください。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) それは下がるということじゃございません。一年間に消費者物価が上がる率、これが三月末で一五%程度以内を目標とする。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 前年同月比でしょう。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 前年同月比ですからそういうことになるわけであります。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 ちょっと一五%、一五%という数字の魔術にみんなをかけているような気がするわけなんです。年間の上昇率平均は、政府の見通し二二%ですね。三月末一五%というのは、昨年狂乱物価で二五%も上がっていたと、それに対してそれよりは一五%上昇で抑えるということですね。それでいいですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 つまり、物価は下がるわけじゃなくて、上がり方が三月末では一五%、四十九年度全体を平均したら二二%という政府の見通しなわけなんです。これは大変賃金政策として使われていると思うんですがね。きょう、さっきから何度かお答えがありましたのでこの点はもう一遍あれですけれども、総理ね、一五%に抑えるから賃金上昇率は一五%ぐらいでよろしいというような気持ちをみんなに起こしていると思うんですが、どうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 田中さんも御指摘になりましたように、非常なベースアップを受けた人たちは別として、一般に勤労者、ことに中小企業などに働く人たちは非常なやっぱりインフレの被害を受けるわけですから、そういう意味において、前年同月に比べて一五%に上げ幅をするということは、何もベースアップのためにこれを使おうというんじゃなくて、国民生活全体の安定を図ろうということでやっているわけなんです。しかし、賃金の場合においても、これは一つの大きなベースになることですから、労使ともこういう物価が鎮静に向かいつつあるという状況も頭に入れて、節度のある賃金の交渉の妥結をしてくださいということで使っているわけじゃないんです。これの本当のねらいは国民生活の安定にあるということでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 労働大臣、どのくらいの賃上げだったら節度あるパーセンテージだと思われるんですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) これは、あなた労働問題の専門家でいっらしゃいますけれども、日本では賃金は労使の自主交渉でございまして、そういうことは私たちの方では絶対に口にすべきこと——介入しない、こういうことでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 絶えず指導しているんじゃないですか。もうわかりましたように、年間二二%政府統計でも平均して物価が上がっていると、その後追いの賃金であるということを私は主張したいわけで、低所得層というのは実質収入でマイナス、これは全部平均してもマイナスなわけですね。ですから、一五%以下というような考え方は、日経連の大幅賃上げの行方委員会というあれの考え方と同じであるということを申し上げておきます。  そこで農林大臣に伺いたいのですがね。安売り週間——フードウイークのことをちょっと説明してください。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) フードウイークは、昨年の秋に続いてことしの三月、第二回目を実施するわけでございますが、業界の協力を得まして食料品を廉価に販売をいたしまして、そして消費者のインフレマインドをひとつ解消をしていく、あるいはまた、まとめ買いをしていただくと、こういうことで、いわば食料品のお祭りといったようなことで、大変評判がいいですから、今後も定期的に実施していきたいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 三月のフードウイークの計画は。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 三月は、三月七日から二十日まで、実施地域としては札幌市、東京都、川崎市、横浜市、名古屋市、京都市、大阪府、神戸市、北九州市、福岡市でございます。参加店舗はデパート九十店、スーパーが約三千四百店、一般小売店が約十三万店、それで、メーカー団体あるいは商社等が、都立産業会館やデパート、スーパー等に特設会場を設置して展示即売会等も行うことになっております。参加商品としては、加工食品、生鮮食料——食品全般ございますし、国の助成といたしまして一億三百七十七万円を支出いたして、PR費とか、あるいは関係地方公共団体委託事務費等に充てることにいたしております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いまの食料安売り週間のねらいと効果は。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これはやはり、先ほど申し上げたわけでございますが、物価に悩んでおる消費者のインフレマインドの解消に役立たせたい、あるいはまた計画的あるいはまとめ買い的に安い食料品を買っていただく、そういうことでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 何か大変たわいないことのように聞こえますけれども、それじゃついでに農林大臣お伺いしますが、ホウレンソウに対する特別の補助政策、どういうことですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) ホウレンソウにつきましては、産地におきまして、ホウレンソウの生産に対しての出荷についての助成を行っておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それはどういうふうな、一時的のものですか、それともずっとですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これは野菜全般につきまして、産地につきまして、野菜の安定基金に対する国の助成を行っておりますが、そうした出荷安定基金、それに対する助成、そういうふうな形でホウレンソウに対しても行っておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 時間の節約で私も言葉少ないのですけれども、農林省の方から聞きます。  いままでホウレンソウに関しては価格維持政策がなかった。それで、端境期にいつも野菜が高くなるので、三月のちょうど七日から二十日までの間、ホウレンソウには補助、いまの安売りウイークを設定すると同時に、ホウレンソウに対して特別の補助金を出すということなんですね。これは三月末一五%目がけての努力のように思えるんですが、こういう関係はありませんか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 三月末特に目がけてということはないんです。これは、三月末一五%目標というのはあります。ありますが、それより、より困難な目標があるんですよ。五十年度ですね、これは一けた台という目標があるわけで、この上とも事細かに生活物資一つ一つについて、その需給、それから価格、こういうものについて安定のための努力をしていきたい。それから先々そういう努力が安定するように努めていきたい。そういう一環としてホウレンソウの問題、フードウイークの問題、その他いろいろありますけれどもやっておる、こういうふうに御理解願います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私どもは、もちろん物価の下がることを非常に望んでいるわけなんです。ただ、三月末一五%、一五%というのを、春闘と結びつけて盛んに説かれるものですから、それで作為的に物価指数を一時的にでも引き下げるための努力をしているように思えるものですから、そういう関係は全然ないということですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 三月末目当てということは、特に目当てとすることは、これは全然考えておりません。もし三月末が低くなったということになれば大変結構なんですが、今度は逆に五十年度の九・九%目標ですね、これが非常に困難になってくる。こういうことですから、私どもは何もことしだけの物価問題を考えているわけじゃないのです。五十年度は一けた台、五十一年度におきましてはなるべく早い時期に定期預金の金利以下と、こういうことで努力しているので、何か三月末だけ特別に仕掛けをするというような御感触でありましたが、これはそういう考えは持っておりませんから、誤解ないようにお願い申し上げます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それならば、ホウレンソウに対する補助政策というのは今後ずっと続けてほしいと思いますが、いかがですか。

森整治農林省食品流通局長

○政府委員(森整治君) ホウレンソウの件でございますけれども、今年度の特殊事情といたしまして、気候がわりによいということから、ホウレンソウの早期出荷がどうも見込まれるということが、去年の暮れごろにそういう見通しが出てきたわけでございます。そこでことしに限りまして、三月、四月——四月も含めまして端境期に葉っぱのものがなくなるおそれがある、そういうふうに判断をいたしまして、特に出荷奨励金を出して市場に出荷させる、あるいは、いまからまきつけても間に合うということで、応急の端境期対策としての措置をとったわけでございまして、今後そういう必要が生ずれば、私どもはそういう端境期対策として考えるべき問題ではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 きのう農林省の方の説明ですと、物価指数には全然影響がないというお話でしたけれども、ちょうどホウレンソウの安いときに安く下げるということなんで、大変な努力をしてくださっているのはいいのですけれども、今後ずっと続けてもらわなければしようがないということなんです。そこで、十二、十三、十四日というのが物価指数をとるための調査員の回る日なんですね。説明によると、一定のところでいつも同じ物を家計調査の場合は書き入れなければならない。だから、そういう特別の安売りをしたものというのは、その十二、十三、十四という日はのけて計算してほしいと思うのですが、どうでしょうか。

喜多村治雄経済企画庁物価局長

○政府委員(喜多村治雄君) 安売りによりまして消費者物価指数が下がるということがございますので、総理府統計局の原則といたしましては、短期に安売りをするものについてはその調査対象から外すという原則でございます。今回のフードウイークも、二週間続きますけれども、単一物資については二日、三日という、物資が繰り返してなされるということでございますので、私の聞いております範囲では、それは対象外にするというように聞いております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それで、これは総理大臣にも、それから経済企画庁長官にも伺いたいのですが、さっき申しました、政府は大変矛盾に苦しんでいると思うわけなんです。物価は下げなければいけないけれども、個人消費支出というのは、さっき詳しく言いませんでしたが、第一分位と第五分位では、消費支出がまた大変下がっているわけですね。もうほんとうに冷え込んでいる。これをさらに下げさせるのが、総理の言われる簡素な生活というのはそういうこと——節約させるということをするのか、それとももう少し景気をつけようとしているのか、その辺の見通し、どうしようと思っていらっしゃいますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) ミニマムの生活水準を支えるそういう所得ですね、そういうものは限度があるわけでありまして、私どもが、これは消費を節約すべきものというふうに考えておりますのは、これは余力のある人と、こういうことに自然ならざるを得ないわけであります。ことに消費の節約も、省資源、省エネルギー、そういうことが必要な世の中になってきたのだという立場に立ちまして、生活設計にも大きな変化を来たしてもらいたい、こういうふうに考えているんです。いま消費がわりあいに全体として沈んできておりますね。それは私は、一つは非常に物価がいま高値安定というか、高くなっちゃう。もうその高値に対する反発といいますか、そういうことで買い控えという傾向がかなり強いのじゃないか、こういうふうに思いますが、私は、そういう高値に対する反発ということでなくて、生活を合理化する、特に省資源、省エネルギーという立場で合理化するという方向へ生活がだんだんだんだんと向かって、そういう形で消費が落ちついてくれるということが非常に望ましいと、そういうふうにいま考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 総理、どうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 国民自身も、いままでのような消費生活のパターンというものは、やはりもっと簡素な生活をしていこうということになりつつありますね。いろんな品物を買っても、すぐに壊れやすいような大量消費のものよりも、いい品物、耐久力のあるものを使いたいというふうに、私は急速に生活のパターンが変わってくると思います。そういうことで、やはりこの簡素な生活というものは、価値観の変化も背景にして、いままでのような、ただもう大量消費すれば人間は幸せを感ずるという時代ではなくなるということが、私の考え方の根底にあるわけです。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 簡素な生活をしようというふうに精神訓話するのは、所得階層の高い方の人に対して言うべきことです。消費支出が、さっき申しました第一分位が非常に冷え込んでいる。五十年度の経済見通し、政府では個人消費支出を大変高く見ています。一八・四%というふうに平均で見ている。とすると、これは下の方の人に消費支出を促すことのできるような収入を保証していかなきゃいけないはずです。ですから私は、二二%平均物価の上昇率があるという場合に、やっぱり賃上げは後追いですから、一五%以下に抑えるというような考え方あるいは非常に低く抑えようというような考え方では無理であるということを申し上げたかったわけなんです。その辺はどうお考えになりますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) しかし、やっぱり賃金がもし高水準で決まれば、それはコストに影響することば明らかですから、そういう点で、われわれは介入はしないけれども、国民経済的な見地から労使がそういう点も頭に入れて節度のある話し合いをしてもらいたいと言っておるのは、やっぱり物価を抑えるのですから、それだから、物価と賃金とが悪循環を繰り返しておれば実質的な所得も勤労者のためには減るような場合もあるんですから、どうしても物価と賃金の悪循環を断ち切ってインフレを抑えるということが第一番であります。そういう点で、賃金というものもこれからのインフレと無関係ではないという点で、しかし干渉するわけじゃないんですよ、労使がそのことも頭に入れて節度のある賃金交渉をしてもらいたいと言っておるのは、そういう点を頭に入れてでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 ということは、最初から申し上げております低所得層との格差、不公正を是正するという点においては、どうも総理の考え方は矛盾しているということを申し上げます。それから、消費支出はもっと高くしないと冷え込んで困るという考え方も持っているわけですね。大変矛盾していると思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 第一に、インフレと不景気が共存しておるということは、こういう現象はいままでにないわけですから、処方せんはないわけですよ。こんな共存というか、併存時代というものはないわけですから、したがって、政策の面においてもこれはすっきり——しかし不況の問題幾ら総需要抑制で物価安定が大事だと言っても、不況の問題は無視できないでしょう、これは。そういう点で、どうしたところで不況という問題の打開にも力を用いながら、一方においては物価の安定もしなければならない。重点をどこへ置くかということであって、やはりそこにはおのずから、これだ、これだけを政策として、これ一本にいくんだというような割り切り方のできない点に、田中さんの言われるような、まあ矛盾とは思わないけれども、悩みがあるということでございます。

大谷藤之助自由民主党

○委員長(大谷藤之助君) 田中君の残余の質疑は明日行うことといたしたいと存じます。  明日は正午に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十七分散会      —————・—————

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