法務委員会 第8号
- 発言数
- 310 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1975/05/13
会議録
○委員長(多田省吾君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 岩本政一君、塩見俊二君、中村英男君及び安井謙君が委員を辞任され、その補欠として初村滝一郎君、鳩山威一郎君、小谷守君及び中西一郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(多田省吾君) 次に、理事の辞任の件についてお諮りいたします。 永野嚴雄君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。 これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(多田省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 現在、理事が二名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(多田省吾君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に高橋邦雄君及び初村滝一郎君を指名いたします。 —————————————
○委員長(多田省吾君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。 この際、委員長から質疑者並びに総理、法務の両大臣にお願いをいたします。 まず、質疑をされる方に申し上げますが、総理大臣並びに法務大臣の質疑時間が四時間と限定されておりますので、割り当てられた質疑時間を厳守されるよう御協力をお願いいたします。 次に、総理大臣並びに法務大臣に申し上げますが、質疑者の持ち時間は答弁時間を含めた時間でありますので、質疑の趣旨に沿って要を得た明確な御答弁を賜りますようお願いいたします。 また、関連質問は、質問者の了解を得て各会派の持ち時間の範囲でお願いしたいと存じます。 質疑のある方は順次御発言願います。
○矢田部理君 稻葉法務大臣に最初に伺いたいと思います。 大臣は、昭和四十六年の四月十二日に開催をされた月曜会という会合の席で「憲法改正問題と自民党」と題する講演をされております。その中で、いろいろ憲法で改正——われわれと国民にとっては改悪でありますが、改正すべき点が多々あるけれども、少なくとも三つの点は改正をしなければならない、その一つは憲法九条の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」という条項の削除であり、二番目は基本的人権を制限する規定の設置であります。三番目には、二院制を廃して一院制にすべきだという議論を展開されております。それぞれに問題が非常に多くあるわけでありますけれども、私はこの審議に先立って、参議院についての考え方を伺いたいと思うわけであります。 その講演をまとめられたレポートを読んでみますと、いまの参議院について次のように述べておられます。「同じことを総理大臣も二度演説し、各省大臣も衆議院で質問されたと同じ質問をまた受けて、ウンザリするようなことを何度も繰り返している。この激しい変化の世の中に時間と労力の不経済もはなはだしい。」という現状に対する認識を述べておられます。これは今日の参議院に対する重大な侮辱であり、参議院軽視の態度ではないでしょうか。その点、まず、どう考えておられるのか、この講演の要旨はどうなのかということについて明快な答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 私の一院制論は、内閣憲法調査会、これには当時の国会議員も学識経験者もたくさん入っている正規の法律に基づいた調査会でございます。その委員の一人として一院制論を主張したことはございます。それは決して、参議院に対しても衆議院に対しても軽視したつもりはないのであります。ないのであります。ただ、そういういまの、私が自由民主党憲法調査会長のときに決めた憲法改正草案大綱の内容をもとにして行った御指摘の四十六年四月の月曜会における「憲法改正問題と自民党」、こういう際に述べましたその内容に立ち至ってここで論議を繰り返しますことは、差し控えさせていただきたいと思うのでございます。
○矢田部理君 私は、二院制度の是非についてお伺いをしているのではありません。二院制をとらない、一院制にする前提として、大臣がかつて認識をされた参議院、先ほど申し上げましたように「ウンザリするようなことを何度も繰り返し」「時間と労力の不経済もはなはだしい。」という認識の上に参議院の審議に臨んでいるのかどうか、その点を明確にしてほしいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 個人として憲法の……
○矢田部理君 ちょっと待ってください。法務大臣にここにレポートとして書かれてあるその事実を確かめているわけですから、まず法務大臣に答えていただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 矢田部君に私から申し上げておきたいと思います。個人として憲法改正にいろいろな意見を述べることは全く自由であります。しかし、今日においては憲法改正をせずという三木内閣の閣僚でありますから、その言動に対しては十分に注意をしなければなりません。この際、自由な立場であった稻葉君のいろんな発言をこの国会の議場で一々意見を問われても、この際はお答えすることを遠慮させていただきたいというこの稻葉君の現在の立場というものについては、質問者においても御理解を願いたいと思うのでございます。
○佐々木静子君 ただいまの矢田部委員の質問は、明らかに稻葉法務大臣に対する質問でございまして、その答弁をしなければならないのは稻葉法務大臣でございます。それにもかかわらず、何ら発言を求めておらない三木総理が答弁をしようとするということに対しましては、これは私どもは重大な問題があると思いますから、議事進行について異議があります。
○委員長(多田省吾君) 先ほどの矢田部君の質問に対して稻葉法務大臣の答弁を求めます。
○国務大臣(稻葉修君) 内閣憲法調査会の私の説明が正確に出ておりますので——いまお読みになったのはいかにも参議院を軽視するとかいうふうにおとりになるようでございますが、そういう憲法調査会長時代のいろいろな発言をまたここで繰り返しますことを、この際は、この際ですから遠慮さしていただきます。
○佐々木静子君 議事進行について異議があります。 先ほど来私が異議を申し上げましたように、何ら発言を求めておらない総理が立ち上がって物を言う。しかもそれが憲法問題について発言を牽制するようなことを、総理が尋ねもしないのに言われる。しかもそれを受けて、稻葉法務大臣はそれに牽制されて、それに同調するような答弁をされるようでは、これは私どもは重大な問題があると思いますので、一応審議を中断して理事会を開いて、このことについて協議をしていただかないと次の審議に入ることができないわけです。
○委員長(多田省吾君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(多田省吾君) 速記をつけてください。 では審議を続行します。
○矢田部理君 私は、二院制度の是非や憲法問題について質問をしているのではないのです。二院制の是非を論ずる前提として、かつて法務大臣は、うんざりしている、きわめて不経済な参議院だと明確に述べられているわけです。この事実があるわけです。そういう態度で今日の参議院の審議に臨んでいるのかどうか、その事実認識を率直に伺いたい。答弁を差し控えさせていただくなんという性質のものでは全くないはずでありますので、その点誤解のないようにしていただきたい。
○国務大臣(稻葉修君) 私は、矢田部さん一院制がいいか二院制がいいかということの論議に入るのじゃないとおっしゃいますから、ただ自分が述べた事実はどうかということでございますので、あの当時、述べた当時におきましても参議院を軽視するとか、そういう気持ちは毛頭ありませんでしたことを明言いたします。
○矢田部理君 軽視とか何かを越えて「ウンザリする」と言っているじゃありませんか。時間と経費をかけてきわめて不経済だとののしっているじゃありませんか。これはもう軽視なんていうものじゃなくて、否定論と言ってもいいぐらいのきわめて不穏当な発言じゃないかと思うんですが、そういう認識に立っているのですか。
○国務大臣(稻葉修君) そういうのでなくて、一院制論ですからね。一院制論ですから、そんなことを言えば衆議院を軽視したともとれるわけですね。一院制にするというだけのことですから。一院制にしたいと。一院制にしたいという改正の意見をかって申し上げましたのであります。しかし、その理由をここで申し上げたり論争いたしますというと、私、苦い最近の経験からして、対話みたいにならないで、対話と協調にならないで、対立の激化になる、事自分の志と違う結果を導きますものですから、その内容に立ち至って答弁を申し上げますことは、この際差し控えさせていただきたいと、こう申し上げているのです。
○矢田部理君 法務大臣の発言について納得しかねるわけですけれども、現在、今日でもそういう認識に立って参議院の審議に臨んでいるのかと、こう聞いている。こう聞いているのですよ、私は。その事実認識を。
○国務大臣(三木武夫君) 委員長、総理大臣が発言したい、重要なことですから……。
○委員長(多田省吾君) 稻葉法務大臣に答弁をお願いします。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(多田省吾君) 速記をつけてください。 矢田部君の質問は、稻葉法務大臣に対する質問でございますので、最初に稻葉法務大臣の答弁をお願いしたいと思います。そして、総理から答弁の要望があった場合は委員長の責任において指名する場合もございます。
○国務大臣(稻葉修君) 矢田部さん御質問の一院制論議は、かつて述べた私の内閣憲法調査会委員としての個人的見解でありますので、今日このことを再びここで繰り返し論議をいたしますことは、いま三木内閣は憲法改正をしないという立場にありますので、改憲の政治的姿勢のごとく誤解されるおそれがありますので、ここで答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、参議院を軽視するような思想は毛頭持っておりません。
○国務大臣(三木武夫君) これは私は中に入るという考えはないのですけれども、院の構成に関する重要な問題でありますので、総理大臣からお答えをしておきたい。 私は、この二院制度というものは、これは維持していきたい。参議院は参議院として良識の府としての役割りを果たしておられるし、これは重要な院の構成をなすものでありますから、一院制度にする考えは持っていない。稻葉法務大臣は、三木内閣の方針を、これを尊重するという約束のもとに内閣に入閣をいたしたわけでございますから、三木内閣のもとにおいて私の方針が政府の方針であるとお考え願いたいのでございます。
○矢田部理君 どうも、三木総理も含めて私の質問を全く取り違えて答えておられる。かつて二院制を否定する理由として、参議院の現状に対する認識を稻葉さんは述べられた。そういう考えに立って今日でも参議院に臨んでいるのかと、参議院に対する現状の認識を聞いている。憲法改正するとかしないとかということを聞いているのじゃ全くない。そのことを明確にしてほしいと、こう言っている。
○国務大臣(稻葉修君) 決して軽視してはおりません。二院制度を否定してとおっしゃいますけれども、そうではないのでございまして、現在の憲法は二院制度なのですから、否定するもしないも、現在の憲法を尊重することは当然でございますから、参議院を尊重することは当然でございます。
○矢田部理君 どうも質問を別の答えではぐらかそうとしている向きがありますけれども、この質問だけ繰り返すのも何でありますが、いまの答弁には私は率直に言って納得できません。少なくともそういう理解に立った大臣がまともに参議院の審議をやろうとしているのかどうか、答えようとしているのかという姿勢が問われているし、議会制民主主義の根幹にかかわる問題だと私は思うんです。その理解がきわめて欠落しているということで、私は抗議をしながら次の質問を行いたいと思います。 大臣はまた同じレポートの中で、当時の佐藤総理の憲法改正はしないという態度を飽き足らなく思ったのでしょう、佐藤総理が憲法改正についてはよけいなことを言うなという姿勢をとっているということを批判をいたしまして「そんな不正直なことをやっていたら、青年がついて来ませんよ。」と述べている。さらにつけ加えて、佐藤総理も「本心は憲法改正をしたいのではないですか。」と述べたこともございますね。
○国務大臣(稻葉修君) だから、稻葉法務大臣はどういま考えているのかということですか。
○矢田部理君 いや、そういうことを、かつて佐藤総理の憲法改正をしないという方針に対して、きわめて不正直な態度だ、青年はそんな不正直なことをやったらついてきませんよ、本心は憲法改正したいのじゃないかと、佐藤首相の態度を非難をしているわけです。そういうことを述べたことは、少なくともありますね。あるかないかだけ。
○国務大臣(稻葉修君) あるかないかということになれば記憶の問題ですけれども、そこにちゃんと資料をこの間佐々木委員から求められて提出してございますから、それで御承知願いたいと思います。
○矢田部理君 あるということですね。そう書いてあるのだから、あるということになるわけですが、そうすると、今日の三木内閣も、言ってみれば佐藤総理と同じようなことを何度も繰り返している。憲法改正はいたしません——それもあなたの立場からすれば、きわめて青年がついてこないような不正直なことをやっていることになりませんか。本心は改正をしたいのだけれども、その点では佐藤総理と同じだけれども、きわめて三木内閣は不正直なことをやっているということになりませんか。あなたの考え方、信念を聞きたい。
○国務大臣(稻葉修君) 三木内閣は憲法改正はしない、そうしてこの間の参議院における御質問に対しても、それは正しい姿勢だと私は言った。なぜかというと、まだ私どもの勉強は足りませんし、過去に言ったことを、言ったかどうかということになれば言った、申し上げましたことは申し上げましたと、こう申し上げているんですね。それがだんだんだんだん誤解を生ずるおそれがありますものですから、過去において個人として申し上げてきたことを一々ここで反駁したりするということは、そういう答弁はこの際差し控えさせていただきたいと、こう申し上げているのです。
○矢田部理君 私が質問しておりますのは、端的にお答えいただきたいのですが、佐藤総理も憲法改正をしないと述べてきた。しかし、あれは本心とは違うんだ、正直に物を言っていないんだという理解に佐藤内閣の姿勢をとっておられた時期がありますね。同じように、三木内閣も憲法改正はしませんと述べている。佐藤内閣に対するそういう理解からすれば、三木内閣も表向きは憲法改正をしないと言っておるけれども、それも本心ではないのだという理解に立っているんじゃないかと、こう聞いておる。——あなたが答える必要はない。
○国務大臣(稻葉修君) その点につきましては、この間、私の本心はよく委員会で申し上げたとおりなんです。
○矢田部理君 この委員会で明確に答えてください。
○国務大臣(稻葉修君) 三木内閣において憲法改正しないとしばしば総理も御発言になっており、私も閣僚の一人として、三木内閣において憲法改正しないことには賛成であるということははっきり申し上げる次第です。
○矢田部理君 そういう言葉は何回も聞いておるけれども、佐藤総理も同じようなことを繰り返された。その佐藤総理に対して、あなたはうそだ、不正直だと非難をしている。三木内閣も、言葉は何遍繰り返そうと本心と言葉は違うのじゃないか、そこを聞いておるのだ。
○国務大臣(稻葉修君) それは総理に聞いてください。
○国務大臣(三木武夫君) 委員長。(「総理は発言の必要はない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○委員長(多田省吾君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(多田省吾君) 速記を開始してください。 委員長より申し上げます。 ただいまの矢田部委員の質問は、稻葉法務大臣に対する質問でございますので、最初に稻葉法務大臣から答弁を求め、必要に応じて総理大臣の答弁を求める場合もございますので、その点総理大臣においてはよく御認識してお願いしたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 矢田部さんがお聞きになる、三木内閣は憲法を改正しないという三木総理大臣の御発言は、私は本心で言っておられると信じております。
○矢田部理君 同じ質問を繰り返しても何ですけれども、佐藤総理は本心でなかったけれども、三木さんは本心だという理解に立ったわけですね。 そこで、三木総理に今度はお尋ねをしたい。今回の稻葉問題の根っこというのは、自民党と政府の憲法改正に対する姿勢が、考え方が大きく食い違っているところにあるんだというふうに私は考えるわけです。三木総理はしばしば憲法改正はしないと繰り返して述べておられますが、自局党は党是として自主憲法の制定を決めています。事実、昭和三十年十一月十五日には党の政綱を策定して、この点は本年発行した自民党の「わが党の基本方針」という中にも、三木総理の大会に対するあいさつとあわせて載せられているわけでありますが、この六項では、現行憲法の自主的改正を図るとはっきりうたっています。 そこで、まず確認をしておきたいのは、自民党は自主憲法制定という、われわれにとっては改悪だと思うわけでありますが、憲法改正を行うことを党の基本方針としている、そういう党であるということをまず確認をしておきたい。どうですか、総理。
○国務大臣(三木武夫君) 矢田部君は、私が憲法改正せずと言っておるのを本心かどうかということを非常に疑って質問をされますけれども、私が過去において憲法改正をすべきであるという主張を一回でもしたことありますか。一回もない。総理大臣が国会において発言をするということに対しては、やはり信頼をしていただかなければ政治は動かないのであります。私は現行憲法は、その成立の過程のいかんにかかわらず、理想を掲げて現実政治の向かうべき大目的を設定していることはりっぱなものであると思っています。したがって、憲法を尊重していきたいというのが私の信念である。国民の一般の間にも現憲法の理想は定着していると思います。自民党がその立党のときの政綱の中で、憲法の基本精神は変えないが、改憲論を掲げていることは事実である。しかし、その時の政府は、改憲の機が熟しているや否やを判断してその方針を決定する責任を有しておるのであります。現行憲法が占領下という正常でない状態のもとにつくられたことは否定できない。しかし、私は繰り返し国会においてこの内閣は憲法を改正しないということを言っておるのでありますから、本心かどうかというようなことを疑わないで、総理大臣の言明を真正面から信頼してもらいたいと思うのであります。 また、自民党が政綱の中に憲法改正を掲げておるということについていろいろ御質問がございました。自民党が立党されたのは昭和三十年の十一月、そのときは吉田内閣から、独立の機会に鳩山内閣が生まれて……
○矢田部理君 委員長、質問にだけ端的に答えるようにしてください。時間がなくなってしまいますよ。
○国務大臣(三木武夫君) そして、占領中の諸法制を再検討しょうということを旗印に鳩山内閣は生まれた。したがって、やはり占領下につくられた憲法を完全に自由が確立した今日もう一遍再検討しようじゃないかというようなことで、これがこの政綱の中に入れられたものだと私は思う。確かに検討ということは課題であると思います。しかし、いまは時機が熟しているわけでもないことは明らかである。現状では手をつけることは適当でないと私は判断をして、三木内閣は憲法改正をやらないという方針であります。したがって、選挙のたびにも、御承知のように、最近の選挙においても憲法改正を国民に自民党は訴えていない。こういうのは、池田内閣以来各内閣が憲法を改正しないという方針をずっと続けてまいったからでございます。
○矢田部理君 総理は自民党の総裁の立場にもあるわけです。その自民党は、党の基本方針として、党是として憲法改正を掲げている。同時に、今度は総理大臣としては憲法改正はしない、この矛盾をどういうふうにされるのか。いま機が熟していないからというようなことをその一つの理由に挙げられましたけれども、それでは、機が熟せば憲法改正をやるということなんですか。そこを総裁としても総理としても明確にする必要があるのじゃありませんか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は総理・総裁としてお答えをいたしておるわけでございます。やはり憲法というものは、憲法の規定の中にも改憲の手続もあるわけでございます。われわれは国民に対して常によりよい憲法というものを考えるということは、これは政党として当然のことで、調査研究をするということは、これはあり得ることでございます。しかしながら、そのことと憲法を改正するという、政府の方針とは区別をせなけりゃならぬ。それは何かと言えば、今日憲法を改正することは適当でない、また現状において国会の、憲法というものは改正に対する手続については厳重な規定があって、そうして改正というものが現実の課題でもないわけでありますから、私は憲法を改正しないという政府の方針として述べておるのであって、その間に矛盾するものはないと考えておるわけでございます。
○矢田部理君 そういうことで、本当に憲法を改正しないという立場をとられるとするならば、少なくとも自民党は憲法改正を基本方針としている、このこととは矛盾をするわけでありますから、その基本方針を変更するか、少なくともあなたが総理としておられる間は凍結すべきじゃないですか。そういうことをして憲法改正をしないというあかしを立てるべきが筋ではないかと思うのですが、その点どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私が憲法を改正しないということを言明しておるのですから、何もその調査研究をするということをとめる必要はないわけです。憲法というものは、これはやはり国民が決めるものです、主権在民ですから。だから、国民が憲法を変えてもらいたいというような意見があれば、この世論に従わなけりゃならぬ。永久に憲法を変えないと言い切れるものでも私はないと思うんです、これは。なぜならば主権在民であるからで、民意というものを体してこれに従って動かなければならぬ。だから、調査研究をするということは、政党としてそういうことは当然にしてよろしいことでございますが、いま必要なことはですね、いま必要なことは、内閣の方針として憲法は改正しないと、こう言明しておるのでありますから、この内閣の方針に対して、これを前提としていろいろ御質疑を願いたいのでございます。
○矢田部理君 総理はまだ問題の本質を御理解になっていないようであります。自民党の党是でそういうことが決められている。内閣はまたそれと違ったことを言う。党是と内閣の方針が違うために、今度の法務大臣事件に限らず、しばしば憲法問題で多くの話題と問題を提起しているんじゃありませんか。本当に憲法改正をしないということであるならば——いま自民党の方針として出しているのは、総理の言うような憲法問題について調査研究をするということじゃありませんよ、それを党是として積極的に推進をしていくという方針でしょう。そこの矛盾がまさに稻葉法務大臣の集会出席や発言になってあらわれるのじゃありませんか。その意味で、総理が本当に改正をしない、それが本心なんだということならば、少なくとも党の方針について変更すべきだし、凍結すべきだというふうに考えますが、結論的な答えだけ簡単にお伺いしておきます。
○国務大臣(三木武夫君) これは憲法を改正しないと、これだけ言明しておるのですから、何も凍結を、そういう調査研究することを凍結しなければ憲法改正の危険があるというようなことは、絶対にございません。これは私が憲法改正せずという方針を明白にしておるのでありますから、それを前提として御質疑をしていただきたいと思います。
○矢田部理君 もう一つ伺っておきたいと思うのですが、歴代の内閣が憲法改正をしないという言葉では言っているにもかかわらず、実際の行政では憲法問題に対するいろいろな後退現象が出てきているんです。たとえば、自衛隊に入隊をするに当たって宣誓をいたします。この宣誓の中で、憲法を守るということを外しました。あるいは法律を守ろうということで法の日というものが設定をされておりますが、かつては憲法と法律を守ると言っておったのを、今度は憲法を外して、法律を守るというふうに変えるようになりました。それだけではありません。今回も問題になりましたように、憲法記念日、これはかって政府も参加をしてやっておった。これも中止するようになってしまった。一つ一つ憲法問題について大きく後退をしている。本当に憲法を守る、改正をしないということならば、こういう一つ一つの問題について復活をなさる意思があるかどうか、その点を伺いたい。これは総理に伺いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 法制局長官から答えさせます。
○矢田部理君 いや総理が答えてください、基本姿勢の問題ですから。
○委員長(多田省吾君) 三木内閣総理大臣に御答弁をお願いします。
○国務大臣(三木武夫君) 基本姿勢については、憲法を常に尊重して三木内閣は政治を行うものである、これを約束いたします。
○矢田部理君 私は一つ一つ聞いているんです。自衛隊、法の日、憲法記念日、これを本当に守るというなら復活させなさい。それについて具体的な答弁を。
○国務大臣(三木武夫君) 自衛隊というものはわれわれは——法の解釈問題に触れる点がありますので、法制局長官から具体的にお答えいたさせます。
○矢田部理君 解釈じゃありません。憲法に対する基本姿勢です、法に対する。
○委員長(多田省吾君) 法の解釈の問題ではございませんので、三木内閣総理大臣に御答弁を願います。
○国務大臣(三木武夫君) 三木内閣総理大臣は法制局長官にお答えをさせます。
○委員長(多田省吾君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(多田省吾君) 速記をつけてください。 三木内閣総理大臣に申し上げます。ただいまの矢田部委員の質問は政治判断に関する質問でございますので、三木内閣総理大臣におかれましては、質問者の質疑の趣旨をよく認識され、御答弁願いたいと存じます。 それでは、矢田部委員より再質問をお願いしたいと思います。
○矢田部理君 総理大臣にお尋ねします。 私の先ほどの質問は、自衛隊で憲法を守るという宣誓を削ったり、法の日だというのに憲法を守るということを削除したり、あるいは憲法記念日を行わなかったり、そういうことが、憲法改正をしないと言っているにもかかわらず、憲法改正に対する疑いを非常に濃くしている。それを復活させなければあかしにならないじゃないですか。復活する意思があるかどうかを尋ねている。
○国務大臣(三木武夫君) できるだけ質問者の御質問に対して私は答えたいと思うのですが、細かい各論になりますと、総理大臣全部知れといっても、そういうふうに、たとえば自衛隊の宣誓のことも、憲法を守るということを宣誓しておるというようなことを言われておりますが、これはよく調べてお答えをいたしますが、その他、法の日であるとか、こういう問題については私自身が一々お答えをするということは、私も知らぬ問題がありますからね。そういうことで、しかし憲法を尊重するというようないろいろな行事については、内閣としても今後十分注意をしてまいりたいと思っております。
○矢田部理君 もう少し明快な答弁をお願いしたいのですね。法律論や各論をやっているんじゃないのですよ。一つ一つあらわれている憲法に対する姿勢を総理にお尋ねをしている。それが非常に後退現象が目立つから、憲法を守るという立場、改正をしないという立場を具体的に明らかにする、そのためには宣誓にしても法の日にしても、憲法を守りますということを明らかにする必要があるんじゃないか、そのことを聞いている。端的に答えてください。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、憲法を改正せずと言っておるのですから、こういう内閣の方針が各方面に徹底するように今後配慮してまいりたいと思います。
○矢田部理君 次に、今度は稻葉法務大臣にお尋ねをしたいと思いますが、法務大臣は五月七日の決算委員会で佐々木委員の質問に答え、改憲集会出席の理由について次のように述べています。五月三日は憲法記念日で、国を挙げて憲法に関し検討集会が行われれば、そこへ出ても差し支えなかろうというつもりだった、出ないのは憲法に対して失礼である、憲法改正の方が私の信条に合っているからそちらに出ましたと答えている。 そこで聞きたいのは、憲法記念日を法務大臣としては何と心得ているのか、その認識をひとつ。
○国務大臣(稻葉修君) 憲法記念日は、現行憲法が制定されて、先ほども総理大臣の言われたように、民主主義とか平和主義とか、人権尊重主義とか、そういう基本原則を明定し、明治憲法より近代的になっている新しい憲法で、これをお祝いしようという日だと私は思うております。
○矢田部理君 決算委員会の答弁では、そういう現在の憲法の施行を国民こぞってお祝いしよう、記念しようという日として理解をされていたというふうにはとうてい思えないわけです。五月三日は憲法を検討する日だと、そういう発言をしたじゃありませんか。その発言はどうですか。
○国務大臣(稻葉修君) そういう現行憲法をお祝いする日なんです。それば原則として、総理大臣も申されたとおり、憲法の理想とする平和主義であるとか、民主主義であるとか、人権尊重主義であるとか、国際協調主義であるとか、そういう点については国是としてこれを厳と厳守していく、揺るがすべきものではない。しかし、いろいろな点においてやはり研究したり改正を論ずることそれ自体が全部悪いと、こうは総理も言っておられないわけですから、そういう点で検討の日でもあるわけですね、考えてみると。皆お祝いすると同時に、この憲法で将来ずうっとやっていっていいだろうか悪いだろうか、国家の前途はどうなるだろうかということを一生懸命に考えるという日でもあると私は思うのでございます。
○矢田部理君 いまの発言は非常に重大だと思うのですね。大体、法務大臣は国民の祝日に関する法律というのを読んでおられるのですか。そこにどう書いてありますか。
○国務大臣(稻葉修君) まことに申しわけございませんでしたが、御質問の御趣旨が低音でわかりませんでしたので、ちょっと……。
○矢田部理君 まじめに聞いてほしいと思うのですが、単なる検討の日じゃないでしょう。法務大臣は、国民の祝日に関する法律で憲法記念日はどう書いてあるのか、読んだことがあるのですか。
○国務大臣(稻葉修君) 憲法記念日は「日本国憲法の施行を記念し」——私がさっき申したこととそう趣旨は違わぬと思いますが、「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。」と。
○矢田部理君 法務大臣はどうも読んでおられなかったらしい。問題は、重要なのはそこじゃなくて、その一条なんです。祝日とは何かが決められている。「国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」だと。そこを抜いちゃって、憲法を検討する祝日だなどと、どこに書いてありますか。
○国務大臣(稻葉修君) 憲法の施行を記念し、これを祝い、さらに国の成長を期するというのですから、この憲法でずうっと将来いいか悪いかということも考えるというぐらいなことは、考えるぐらいのことは、それは一生懸命にこの国を思うている人間としては当然だろうと私は思います。
○矢田部理君 憲法記念日に対する根本的な理解が私は欠落していると思う。しかも、検討集会に出席しないのは憲法に対して失礼だ、信条に従って、信条に合った改憲集会に出ると、こう言っているのですね。いいですか、これは一体どういうことなんですか。憲法を諸悪の根源ときめつけたような集会に出席することが、憲法に対する礼儀にかなっているとでもお考えなんでしょうか。これほど憲法に対する失礼な話は私はないと思います。その点どうなんですか。
○国務大臣(稻葉修君) 私は非常に憲法を重視しているものですから、その憲法を一生懸命に研究しておることは、何かのお役に立ちたいと、こういうことを国民の一人として考えているわけです。したがって、そういう点について何かいろいろ議論してまいりますと、あなたと私とがまるで対立的な意見を持っておって、憲法をおまえは尊重しない、おれば尊重するというように、こうなっていくようでございまして、一々前の発言したことをここでまた再び繰り返して、それで内容の論議に入りますことはこの際差し控えさせていただきたいと思うのでございます。
○矢田部理君 五月三日の改憲集会に出席した理由というのはきわめて重大だと思うのですよ。その理由がまさに問題にされている。決算委員会では堂々とその理由を述べた。今度は差し控えさせていただきますという態度はないでしょう。明確に答えてください。
○国務大臣(稻葉修君) 私の、いまそういう佐々木さんとの質疑応答のやりとりを速記で繰り返されまして、それは結構なんですが、私の真情は、憲法を大事にするという真情であるのです。したがって、いろいろ検討を加えて勉強しておくことは、勉強はまだ足りませんけれども、さらに勉強を重ねていくことは、将来大事なことに役に立つこともあるかもしらぬ、こういうことでやっているのでございまして、いまの内閣におって、いま直ちに憲法を改正するんだなどということを考えているわけでもないし、総理大臣のおっしゃるとおりにこれに従っているわけですから、その辺のところは区別していただかないと、そして私は憲法を尊重する精神においては人後に落ちないと自分では思っているのです。そういう点をどうぞひとつ御理解願いたいと思いますがね。
○矢田部理君 決算委員会の発言と全然違うじゃありませんか。憲法を尊重するかしないかを聞いているのじゃなくて、決算委員会でそういう理由を述べた。そういう集会に出席することが礼にかなっているということなんでしょう。本当にそういう気持ちなんですかと、こう言っている。
○国務大臣(稻葉修君) あそこで述べましたのは、ずっと慣例になってきたものですから、七回目に至って突然法務大臣だから出ないのもどうかなという気持ちがありました。けれども、三木内閣は憲法を改正しないという内閣の法務大臣ですから、そういうことは今後大いに慎まなければならぬ問題だと反省はいたしております。
○矢田部理君 単なる反省の問題じゃなくて、そのとき出席した理由がもともとおかしいのじゃないか、間違っているのじゃないかということを申し上げておるのです。その決算委員会で述べた理由はいまでも堅持されるわけですか。
○国務大臣(稻葉修君) 矢田部さんのおっしゃることについて、いままでの経過とかそういうことは申し上げましたけれども、弁解的に、釈明的に申し上げましたけれども、御指摘になるとおり、憲法改正はしないという三木内閣の閣僚として、それに賛成している一人としては、やっぱりもっと慎重な行動に出べきものであったということを強く反省しておるということで、あとは内容の論議にお入りになることはひとつ勘弁してもらいたいですな。
○矢田部理君 行動が慎重でなければならぬことは当然だけれども、大体出席する理由そのものがおかしいじゃないか。憲法記念日に諸悪の根源ときめつけた改憲集会に出ることが礼にかなっている、そういう集会に出ないことは憲法に対して失礼だと思った、こういう発言はないでしょう。
○国務大臣(稻葉修君) 矢田部さんのおっしゃるようなことに理由があると思うから反省しているのでございますが、反省をしておりますということで御理解願いたいと思います。
○矢田部理君 納得できませんけれども、時間が来ましたので次の質問に入りたいと思いますが、同時に法務大臣は先般の決算委員会で、諸悪の根源というほどではないけれども、欠陥の多い憲法だという点はいまでも思っています、こう述べて、後日その所為に慎重を欠き誤解を招いたことは遺憾とも言っているようですけれども、この発言は遺憾だと述べただけで済むものではありません。と申しますのは、決算委の発言は、欠陥憲法だから直そうという、欠陥がなければ改憲論は成り立ちませんからねと、こう言っている。いまでも改憲論をとっておられる、その前提の認識として、現行憲法についてはやはり欠陥憲法だからはじめて改憲論という議論が出るのだということを、ある意味では明快に述べておられるわけです。だから、欠陥憲法だと言ったのは遺憾だけれども、改憲論は依然として堅持をする、こういう立場なのか、欠陥憲法が遺憾だというならば改憲論もまずかったということになるのか、その点はっきりさしてほしい。
○国務大臣(稻葉修君) 矢田部さん、ここで私の心境を申し上げますと、私は憲法の一学徒でもありました関係上、憲法の研究に関心を持ち、また憲法に対しては個人的な見解も持っておりますけれども、憲法に多くの欠陥がある、こういう発言をしましたことは何かこう憲法を侮辱したというふうに取り扱われまして、私の憲法尊重の真心を誤解されるおそれがあるわけです。そうして、憲法を改正せずという方針を持つ三木内閣の閣僚としてははなはだ慎重を欠いた発言であり、まことに遺憾でありました。それを深く反省しております。私は、終始憲法を改正しないという三木内閣の方針に従ってまいりましたが、私の慎重を欠いた言動のため誤解を招いたことを深く反省し、今後はさらに慎重を期して、いやしくも誤解を招くようなことを発言をしないよう注意をいたします。
○小谷守君 関連。 矢田部委員の御質問に関連をしてお尋ねをするわけでありますが、法務大臣、あなたは五月七日の決算委員会において、欠陥憲法ということで具体的にいろいろと条項を挙げて長々と憲法改正論をおくめんもなく展開された。前代未聞のことです。それをきょうは何か手のひらを返すような御発言でありますが、もしこの発言を翻すならば、場違いではありませんか。決算委員会で御訂正を願わなければならぬ。場違いですよ。そうして決算委員会においては、私もそのメンバーである、佐々木さんも橋本さんもそのメンバーでありますが、何回も訂正される意思はありませんか、そういうことについて反省の御意思はありませんかということをあなたに申し上げておるのに、がんとしてそれを聞き入れずに、おくめんもなく改憲論を展開された。それが五日や六日で手のひらを返すようなことをおっしゃる以上は、政治家として進退について重大な御決心があっての上のことかどうか。無節操きわまりない話ではありませんか。ですから、法務大臣はそれほど重大な発言について前言を翻す以上は、進退について御決意ができておるかどうか、それを明確に伺いたい。 なお便々としてまだ辞任する意思がないということであるならば、総理大臣に伺います。このような三木内閣の方針に背馳するところの大臣をなお閣内にとどめる御所存であるかどうか、これも総理大臣から明確にお答えを願いたいと思う。 委員長、この決着がつくまでは、これ以上私ども質問を続けるわけにはまいらぬと思います。重大なことだと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 私は自分で変節しているとは思っていないのです。私の先ほどの矢田部さんの御質問にお答えしたのは、欠陥憲法だと言ったではないか、これは憲法侮辱じゃないかという御発言があの当時ありました。私は侮辱しているつもりはないものですからね、それで、この言葉は憲法九十九条との関係で不適当だからいま非常に強く反省している、憲法を尊重し、これを擁護する義務を負うという、尊重するということと、欠陥憲法、憲法に欠陥があるという言葉の使い方は、いかにも憲法を全面的に罵倒して、そして改憲論をこれであおりそそのかすような不当な言葉に聞こえてはこれは大変だなと、こういうことでいま強く反省しておると申しておるのでございまして、決して変節といわれるほどの、手のひらを翻しているというふうに言われることはどうかと思いますが、不謹慎な発言であったということは重重反省しておる次第でございます。
○小谷守君 進退についてどうです、進退については。
○国務大臣(三木武夫君) 私に対しても御質問ございましたからお答えをいたします。
○委員長(多田省吾君) 三木総理大臣、ちょっとお待ちください。 稻葉法務大臣に対して進退に関する質問が出ておりますので、御答弁願います。
○国務大臣(稻葉修君) これも本当は事は重大な問題ですから、ここで御答弁を申し上げることはどうかと思いますけれども、ただいまの私の心境では辞任の意思はございませんことを申し上げます。
○国務大臣(三木武夫君) 稻葉氏は、改憲問題については、当然に改憲をしないという三木内閣の方針に従うことを承諾したればこそ入閣したものであります。個人として改憲論を述べることは全く自由でありますが、しかし三木内閣の閣僚としては、三木内閣の憲法を改正せずという方針に従うことは当然の責務であります。稻葉法相が個人と閣僚の二つの立場を使い分けたつもりでも、閣僚としての重みからそうは受け取られないおそれがあることは事実であります。この点、稻葉法相も行動に慎重を欠いたと言われても仕方がないわけです。法相はこの点を深く反省して、いまも述べられたとおり、今後十分言動を慎み、憲法を改正しないという三木内閣の方針を尊重することを誓約をされておるわけでございますから、私は法相の誓約を信じ、今後の言動でこれが立証されることを期待しておるわけでございまして、いま法相に対しての進退は考えてはおりません。
○小谷守君 六日前の五月七日に言われたことを六日後のきょうは翻す、きょう言われたことをあした翻さぬという保証がどこにありますか。そんな法務大臣の無節操な御発言を信じよと仰せになっても、われわれは信頼するわけにはまいらぬ。これは委員長、大変に重大な問題ですから、後刻理事会で十分御協議を願いたいと思います。 私は関連でありますから、これで終わります。
○国務大臣(三木武夫君) 稻葉法務大臣は、三木内閣の閣僚として憲法改正せずというこの方針に従い、法務大臣としてその職務の行使について、この憲法を遵守しておるものと私は確信をしております。
○安永英雄君 総理にそうまで言われると、私は総理に聞きたい。あなたのことはバルカン政治家とこう言う人もおるし、飛びおりあるいは飛び乗り、なかなか小細工がきくとも言う。あなたはかつて岸内閣のときには経済企画庁長官として、三十三年に警職法のときにこれは辞任をされた。あるいは四十三年には、佐藤内閣の外務大臣も沖繩問題で辞任された。四十九年の七月には副総理を辞任された。私はバルカンとかなんとかいう問題、これはいろいろ評価があると思うけれども、少なくとも飛びおりる時点、辞任をされる時点については、そのときどきにおいて明確なやっぱりあなたの政治姿勢というものがあらわれている。私はこの点については称賛を送った一人です。こういった当時の総理の考え方はいまも変わらないと思う。明らかに当時の総理大臣との間で意見の不一致、そういったものが明確にあったから閣内にあるべきでないと去られておる。それがいまあなたの立場は今度は総理という立場に立ったときに、その姿勢が変わったのかと私は疑いたくなる。少なくともこれは変わっていないと思う。 こういったことで、いま矢田部君がずいぶん追及をしていったけれども、この自主憲法制定国民会議、こういったもの、これは明らかに運動体ですよ。あなたのいまの内閣の間では改憲をしない、こう言っても、そのあなたの機関の中においては精いっぱい改憲という方向へ運動が進められておる。これに出たということは、それ自体がすでにあなたの考え方と違う。あるいはまた決算委員会におきまして、みずからがはっきり改憲論者であると位置づけをしておいて、胸を張って欠陥憲法、こう言い切ってみたり、あるいはわざわざどういった点を改憲するのだと堂々と述べておる。これは明らかにあなたの考え方との間には大きな違いがある。あなたのいままでの政治姿勢からいって、これはもうこの法務大臣に対して辞任を勧めるなり、聞かなければ罷免をする、こういう立場しかないはずです。あなたがこれをやらないということになれば、あなたもりっぱな改憲論者だ。この点のあなたの政治姿勢というものは変わったのかどうか、決意のほどを承りたいと思う。
○国務大臣(三木武夫君) 個人としていろいろな考えを持つことは全く自由ではありますけれども、やはり三木内閣の閣僚としての重みを考えれば、個人と閣僚としての使い分けということは、非常に混同を生じていろいろな誤解を与えると思います。そういう点で稻葉法相の行動は慎重を欠いたということをみずからも認めて反省をされておるわけでございまして、私は、稻葉法相が憲法を改正せずという三木内閣の方針に従って職務をやっていこうという、その稻葉法相の考え方には疑いを持たないものでございます。
○矢田部理君 最後の質問になりますけれども、法務大臣の態度、三木総理の説明、率直に言って私は全く納得ができない。欠陥憲法だと説明をした。欠陥憲法だという前提に立たなければ改憲論は出てきません。しかも、私は隠れもしない改憲論者だと堂々と胸を張って述べられ、まさに憲法改正が私の信条に合っているからという理由で集会にも出席をした。欠陥憲法発言は遺憾であったということで済む問題ではないだろうと私は思う。みずからの信条がそれであるとするならば、長い政治生活の中で私はその信条、信念を貫いて、即刻辞任すべきがあなたの道筋じゃないでしょうか。そういう名うての改憲論者を抱えた三木内閣が、何遍総理が憲法改正はしませんと説明をしても国民に対する説得力はありませんよ。この疑惑を解く道は、法務大臣御自身が即刻辞任をされるか、三木総理が罷免をするのか、どちらかしか道がないというのが私の結論であります。そのことについて明快な答弁、はっきりした態度を示すこと、そのことがまさに三木内閣の憲法姿勢がかけられているというふうに思うわけであります。その点で重大な決意を求めます。それに対する態度が明確になるまでは、私は中断してもいいと思うんです。
○国務大臣(稻葉修君) 私のいろいろな発言について、あたかも稻葉修が憲法九十九条の義務に違反している法務大臣だと、こういうふうに仰せられるが、私は断じて九十九条の義務違反はいたしておりませんから、辞任の意思はございません。
○矢田部理君 いまの答弁、全く納得できませんので、これは理事会を開いて、総理大臣と法務大臣の態度について、あるいは進め方について協議をしてほしいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 稻葉法相は、しばしば申しますごとく、過去においても三木内閣の方針に従ってまいりましたし、今後も従う、従って行動をするということを誓約をいたしておる。ただ、個人の立場でいろいろいたしたことが閣僚としては配慮を欠いたことがあったことを深く反省をして、今後は厳に行動を慎むと申しておるのでございますから、その点は十分に御理解を願いたいのでございます。
○矢田部理君 全く了承できませんね。
○委員長(多田省吾君) 速記をとめて。 〔午前十一時三十三分速記中止〕 〔午後零時十二分速記開始〕
○委員長(多田省吾君) 速記をつけてください。 委員長から一言、総理並びに法務の両大臣に要望いたします。 初めにも要望いたしましたように、委員の質問時間が非常に短時間でございますので、委員の質問に対しましては、質問の趣旨を体し、正確に、明確に、要を得て答弁願いたいと存じます。 それでは矢田部委員に再質問を許します。
○矢田部理君 私は、朝からの質問に対して総理及び法務大臣の答弁が質問の趣旨をすりかえたり、正確な答弁をしなかったりしていることを大変遺憾に思っております。とりわけ決算委員会で、つまり公の席上で法務大臣として欠陥憲法だと重大な指摘をされているわけですね。その後記者会見などでも、そういう認識を私は改める必要はないとか、集会の出席の問題にいたしましても、内閣から注意をされたにもかかわらず、私に対する注意だとは思わないし軽率な行動だとも思っていないとか、決算委員会では堂々と出席の理由まで、先ほど問題にしましたように述べてきたわけでしょう。それを、取り消します、憲法を守りますという一片の答えで帳消しになるものではないというのが私の考え方なんです。そういう立場で問題を考えるならば、本当に法務大臣がその信念に生きようとするならば、私は、三木内閣の方針のもとでは、いること自体がおかしいのじゃないか、むしろ筋と信念を通すのが長い政治生活を全うするゆえんでもないのかとすら考えているわけなんです。そこで私は法務大臣の、単なる取り消しではなくて、政治責任についてどう考えているのかを最後にお尋ねをしたわけです。 ところが、法務大臣と総理の答えは、憲法九十九条に違反をしていないからやめるつもりはありません、やめさせるつもりはありませんと。九十九条違反の問題も確かにあります。しかし、私が最後に聞いたのは、そういう数々の行為をしてきた、注意をされてもなおかつ反省をしてこなかった。その反省をしないのには、法務大臣としては一定の理由があっただろうと思うし、信念があったと思うのですね。ところが今度は一転して、反省をします、取り消します、憲法も守りますという言葉だけは並べておりますけれども、そういうことで政治責任が済むものなのかどうか、そのことを問題指摘をし、辞任すべきではないかということを要請をしたわけだし、そういう考えの人を三木内閣に入れておくことは三木内閣の憲法に対する姿勢そのものが問われることになりはしないか、こういう立場で実は物を申し上げたわけなんです。それを、憲法九十九条に違反しないからやめる必要もなければ、やめさせる必要もない、答えになってないじゃありませんか。そのことについて改めて誠実な答弁をもう一度求めたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 矢田部さんの御質問の趣旨を取り違えまして、先ほど九十九条の問題を出して、そういう憲法九十九条の義務違反をしていると思っていないものですから、辞任しませんと、こう申しましたが、御質問に対してまともから答えていないという御指摘はごもっともでございます。 そこで、参議院のあれですが、いま一変して憲法を尊重する立場にひっくり返った、あのときは憲法を尊重しない立場で欠陥憲法だのいろんなことを言ったじゃないかと、こう申されます点も、だから、この憲法には欠陥が多いと申し上げましたのはいかにも憲法を尊重し擁護する義務を負うと明定してある九十九条の尊重する精神がないのではないかという疑いを持たれるのも、なるほど言われて見ればもっともだなと、こう思いますので、その点については遺憾の意を表しておるのでありますが、遺憾の意は十分に表しますが、いま国務大臣を辞任する意思はありません。
○矢田部理君 三木総理、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 憲法を改正せずということはしばしば総理大臣が言明しておるのですから、一点疑いの余地は私はない。稻葉法務大臣はこの私の方針を承諾して入閣をしたわけです。したがって、その内閣の方針に従う義務を持っております。また、今日まで稻葉法務大臣はこの方針に従って行動をしてまいりましたし、将来もこれに従って行動をするということを約束しております。しかし、今回の問題が起こりましたのは、稻葉法務大臣が個人と閣僚とをこう使い分けようとして、そこに混同が起こったということでございます。この点は今後やはり閣僚としての重さから考えて、個人としての行動といっても非常な誤解を生じますから、今後は言動に対して慎重な言動をしてもらわなければならぬと思っております。本人もまた今回のその点については深く反省して、今後いやしくも誤解を生ずるようなことのないようにいたすということを先ほども皆さんの前に誓約をいたしておるわけでございますから、私はその誓約を信じて、いま稻葉法務大臣を罷免する考え方は持っておりません。
○矢田部理君 いまの総理並びに法務大臣の答弁には率直に言って全く納得できません。午前中からの繰り返しを言ったにすぎないじゃありませんか。私は時間が来ましたので終わりにしたいと思いますが、質問を留保して、とりあえず終わりたいと思います。
○佐々木静子君 それでは私からお尋ねいたしますが、本日の朝からの審議に私参加しておりまして、全く総理あるいは法務大臣に、ただ口先だけで反省をしていると言われるばかりで、客観的に見てきょうの審議については全然誠意が感ぜられない。このように反省している反省していると言うことで物事が何でもおさまっていくのであれば、これくらい世の中は簡単なことはないので、余りにもこれは総理あるいは法務大臣において事態の認識が甘過ぎるのではないか。反省している反省していると言いながら、いまのこの審議一つ見ていても、三十分ほどの間に委員長から同じ注意を受けている。もうそのことだけでも、それじゃその次にちゃんとやるかというと、また違うことをやっている。総理は呼ばれもしないのに立ち上がることを何回もやった。何回注意してもまたやる。これからもやるかもしれない。私はそういう状態の中で反省しているとか何とか言っても、われわれが聞いていてもちっとも納得できないのですから、それはもう国民の大多数が納得できないということははっきりしていると思いますよ。反省していると言っても、これは形の上でちゃんと反省しているという態度をあらわさないとだめじゃないですか。 そういうことを踏まえて、私はきょうの午前中の矢田部議員に対する質問について、これはほとんど問題をすりかえていて答弁らしい答弁をしておられない。憲法は改正しない、反省している、ただそれだけで、それだったらけさの新聞にみんな書いてある。それ以外のことは、憲法は改正しない、反省しているで押し通そうとしている。そういうことではここで何も審議する必要もないぐらいのことだ。これは一院制がどうのこうのという、自分は国会を尊重すると言っているけれども、やっていること自身が国会を全然侮辱していることになると思うんですよ。これは結局国民を侮辱していることですよ。そういうことで私は非常な義憤を持っているわけです。 まず、きょうの矢田部議員が時間が足らないということで質問を保留しておられるわけですけれども、この「憲法改正問題と自民党」、「月曜会レポート」、衆議院議員自由民主党稻葉修という名前で書かれたこのレポートですね、これは私どもが今回の問題が起こってから何か法務大臣の著述はないかということで探し回ったあげくに拾ってきたというものではないので、先日の決算委員会で私が質問したときに、そんなことは一々お答えしないでもここの著述にちゃんと書いてある、これが自分の信念であると、これは法務大臣御自身がおっしゃって、それで国会へ提出していただいたわけですね。そのときに私は重ねてお尋ねしている。議事録にもはっきりしていますよ。これを書かれた日にちときょうの答弁と日時がずれているけれども、ここに書いてあることは全く現在と変わりはありませんね、そういう信念に変化はありませんかということを聞きましたね、重ねて最後に。それに対して、全くそのとおりですから、これが私の信念でございますという答弁になっていますよ。そのとおり間違いありませんでしょう、自分の言ったことだから。実はそんなことは言わぬとは言えぬでしょう。どうなんですか。そういうことを言われましたね、これは現在の自分の信念と全く変わりがないと。その点について法務大臣の答弁を求めます。
○国務大臣(稻葉修君) 佐々木さんのいまの御発言のとおりこれは私の信念でございますと言って、こっちからそういう言葉を使ったとは私覚えてないので、いま速記録を調べてみますから。——いま速記録を調べましたところでは、私から、何か質問されて積極的に信念でございますという言葉を使って発言した記録はないのでございます。
○佐々木静子君 あなた御自身が信念という言葉を使っておらなくても、私自身が、「いまも変わりありませんね、御信念と。」ということを聞いているわけですよ。それに対してあなたは何にも否定をなさらずに、これを提出しているわけですよ。もし信念とこれを書いたときとが違うのならば、そのときにあなたが説明をされないといけないじゃないですか。自分は一々答弁しないでもここに全部自分の言いたいことは書いてあるということを言われたでしょう。——後を向いて人に自分の信念を聞く必要はないですよ。あなたの信念はあなたの心の中に入っているのであって、人の心の中に入ってないですよ。まじめに答えてください。
○国務大臣(稻葉修君) 参議院の決算委員会で、佐々木さん、あなたの御質問にお答えしましたのは、過去に述べた私の憲法改正の見解についていろいろお聞きになるものですから、それに応じてお答えしたものでございまして、いま御指摘になったような不遜な態度でやったつもりではないのです。しかし、それはすべて三木内閣の閣僚としての答えという性質のものではない。過去に私の閣僚でなかった時分の発言、発表についていろいろ御質問があって、私の過去において述べたことと違った意味の、おまえはこういう発言を、見解を発表をしたと言われるから、いいえ正確にはこういうものがございますから、これによって御理解願いますと、こういうことを申し上げたのです。そしたら、それを提出すべきではないかとおっしゃるから提出申し上げたので、経緯はそうでございます。
○佐々木静子君 違いますよ。議事録を読みますと、「時間がありませんので、最後に一言伺いますと、いまあなたの御所信はここで一々話していると時間がないとおっしゃった、書いたものがあると。その書いたものというのを出していただけますね。そうしてそれをあなたの信念というふうに、いまも変わりありませんね、御信念と。」というふうに、私は重ねて尋ねているわけですよ。あなたはそれに対して何ら否定をせずに、いまの所信ですよ、いまの所信を尋ねたのに対して書いたものがあると言われたのですよ。そしたら、それが昔書いたものと、昔といってもちょっと前ですけれども、数年前書いたものといまとは変わっておれば、実はこういうことを書いたけれどもいまは変わっておりますと、そのときに言わなければだめじゃないですか。いまの信念、時間がないから書いたものを出すと言われたのじゃないですか。 しかも、決算委員会での答弁ですよ、法務大臣としての答弁ですよ。そしてあなたはそのときわざわざ、これも議事録にはっきりしておりますよ、憲法集会に出たのは法務大臣として必ずしも出たわけじゃない、そのときの最初の御答弁は個人として出たような表現をされた。きょうここで答弁をするように法務大臣として法務省の代表として出ていったのじゃないんだと。ここに出てきての答弁は法務大臣としての答弁に決まり切った話じゃないですか。何もそう首をかしげる必要はないですよ。わかり切った話でしょう。そういうふうにわずか数日の間に話をごまかそうという、これはいま小谷委員からもお話しがあったように、決算委員会を侮辱するのか、こちらを侮辱するのか、すなわち国会をばかにしているじゃないですか。これじゃ議論にならぬですよ。あなたの決算委員会での御答弁によっても、これは自分のいまも変わらぬ信念である。そうすると、その数日の間に変わったというのもおかしいんですが、変わっていないのでしょう、あなた。そういう話になっていますよ。 それで、いまこの一院制の問題についてもありましたけれども、また矢田部議員の時間の都合もありましたが、この佐藤総理に対するあなたの批判、憲法改正問題について「そんな不正直なことをやっていたら、青年がついて来ませんよ。本心は憲法を改正したいのではないですか。今政権の座にあるものの立場としては仕方がないという意味はわからんでもないですが。」という発言をあなたはしていられる。そして、それに続いてあなたは、三島由紀夫事件のことを高く評価するという発言をしておられますね。これは私の方からこれを拾い集めたのじゃなくて、あなたの方から、これがあるから自分の信念のかわりに見てくれということで出しておられるのですから、私はあなたのお出しになったものに従ってあなたのお考えというものを承りたいと思うのです。 「自分の政治を少しもしないで、すぐクーデターを考えるなんてのは、真面目じゃありませんよ。」という質問に対して、あなたが「いや私のほうが真面目で、三島さんが不真面目とは言い切れない。私はジーッと我慢してやるつもりではありますけどね。ジーッと我慢してやるほうが真面目で切り込み割腹は不真面目だとはいい切れるものではない。」、そして「あれの影響というのは」「稻葉修などの影響よりかずっと強い影響が残ると思っています。「思想家の思いつめた姿」」、「そのへんの評論家の影響力よりずっと強い影響力を、三島は残すと私は思う。」ということで、質問者が三島のやった行動に対してある程度批判的な質問をしているのに対して、これを肯定するような趣旨の考え方を大臣は述べていられますね。私はこれは大変な考え方ではないかと思います。 あなたは先ほど憲法改正がどうの、九十六条があるからどうのと言われるけれども、あなたの背定していられるのは、これは恐るべき思想じゃないですか。一体これは何なんですか。私も当時の三島由紀夫事件の新聞も調べてみましたけれども、これはちょうどあなたの親分と言われている中曽根さんが防衛庁長官をやっているときのものですよ。それに対しても、この「檄」というのは、「われわれは戦後のあまり永い日本の眠りに憤った。自衛隊が目ざめる時こそ日本が目ざめる時だと信じた。」「四年前、私はひとり志を抱いて自衛隊に入り、その翌年には楯の会を結成した。楯の会の根本理念は、ひとへに自衛隊が目ざめる時、自衛隊を国軍、名誉ある国軍とするために命を捨てようという決心であった。」とかいう「檄」がまかれている。そういうふうな一連の三島事件というようなものを、これは「憲法改正問題と自民党」という本に堂々と掲げていられる、御自分の意見を、肯定する思想を。こういうふうなことで、私どもはあなたが憲法を擁護するとか何とかと言われても、これはとうてい納得のできるものではない。 まず、これは総理に伺いたいと思いますが、三木総理は党の近代化というものを叫ばれて田中内閣を脱退されて、そして今度の三木内閣、非常にクリーン三木とか、あるいは対話と協調とかいうような美名を掲げて、そして組閣をされたわけですけれども、この「憲法改正問題と自民党」という著述、これは稻葉修氏の思想を代表される著述であると御自分が推薦していられるのです。こういうふうなものをよく御検討した上で法務大臣に任命されたわけですか。
○国務大臣(三木武夫君) 稻葉氏は、法学者としての、政治家の能力を評価したから私は閣僚に任命をしたのでおります。しかし、いろいろ過去の稻葉氏の発言に対して御質問があったので稲葉氏自身がいろいろと答えたものだと思うのですが、三木内閣というものは憲法を改正せずということの方針を明らかにしておる、それを承知で入閣をされたわけでございますから、三木内閣に入閣された以上は、やはり三木内閣の方針に従って行動をするという厳粛な責任を法務大臣は持っておるわけです。今日まで私は、稻葉法務大臣はその私の方針に背くようなことなく、その職務の執行に当たってきたと思うわけです。 ただしかし、ここに問題が起こったのは、やはり個人と閣僚との使い分けをしようというところに、それを混同したところに問題が起こったわけですね。しかし、やはり閣僚という重みから見たならば、そういう使い分けはできない。そういうところに、やはり稻葉氏の行動というものについては慎重を欠いたと言われても私は仕方がない。そういう点で稻葉氏自身も、佐々木さんもさきにお聞きでしょう、やはり自分の行動というものが慎重を欠いた、これは深く反省して、今後いやしくも誤解を生ずるようなことは一切いたさないことをお約束いたしますと、稻葉氏自身がここで述べたわけでございますから、私は三木内閣における閣僚としての稻葉氏が、この憲法を尊重して、憲法のもとに法務大臣の職務を執行していこうという考えに対して疑いは持っていないものでございます。
○佐々木静子君 これは先ほども申し上げましたけれども、総理に何回も申し上げているんですが、私の問いに答えていただきたいわけです。私はこの本を読んだかどうかということをお尋ねしているんですよ。長々と御答弁をいただいたけれども、そのことについては全然触れていただいてない。私の尋ねたことに答えていただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) 読んでおりません。
○佐々木静子君 これは稻葉氏の法学者としてという、その法学者の姿勢が問題ですよ。どういう考え方を持っているかということが問題ですよ。これがたくさんある著述の中の一つというよりも、こういう短いもので、しかもそれを代表すると御自分が推薦していられる、こういう思想も研究せずして、三木内閣が対話と協調、柔軟な姿勢、そういうふうなことで、こういう言動のある方にわざわざ法務大臣のいすを与えていられる。そこに幾ら言葉を百も二百も三百も反省していると言ったところで、こんなことが信用できるはずがないじゃないですか。これは稻葉氏個人の責任じゃないですよ。法務大臣だけの責任じゃないですよ。内閣は連帯して国会に対して責任を負うのですから。憲法の規定ではっきりしていますよ。三木内閣が非常に無責任内閣だということを、これはもう目の当たりにはっきり見せつけられたケースじゃないですか。どういう思想を持っているかということも考えずに法務大臣を任命したのですか。何を基準にあなたは任命しているんです。
○国務大臣(三木武夫君) 先ほど、どうして私が任命したかという理由を申し上げましたが、三木内閣の閣僚としての稻葉法務大臣は、憲法を改正せずという私の方針に従ってその職務を執行している、このことについては私は疑いを持っていないわけでございますから、したがって、このことによって私の憲法を改正せずという姿勢が疑われるということは、私はないと考えております。
○佐々木静子君 これは、あなたと稻葉法務大臣との間でどういう約束をしたかということを私どもは問題にしているんじゃないですよ。あなたは各大臣のやったことに対して連帯して責任を負わなければならない。内閣は一帯の原則があるわけですよ。ですから、こういう思想を持っていられる、そのことを吟味しないであなたが大臣に任命された。事実こういう方を法務大臣に据えておられるということは、あなたも同じ思想、この内閣が同じ考え方を持っているということになるわけですよ。口で憲法改正はしないとか、やれ柔軟な姿勢だとか何だかんだ言っていても、やっておられることが何一つそうなってないじゃないですか。反省しているとか何とか言っても、口で反省するというのはどこのだれでも、子供でも言いますよ。何百回でも言えますよ。内閣として責任を感じているということを形の上でとらなければ責任をとったことにならぬじゃないですか。これはまさに三木内閣が無責任内閣だということですよ。言っていることとやっていることとがまるで違う。ちょうどよろいの上に衣を着ている。衣の下からよろいがちらちら見えた。ちらちらどころか、もう半分見えた。これがいまの三木内閣の姿じゃないですか。あなた、三木内閣をいま国民はそのように見てますよ。そのような評価で、あなたはああばれたか、そういうことでいいんですか。どういうふうに考えていられますか。
○国務大臣(三木武夫君) いろいろ思想は、これは自由である、人間の思想は自由である。私が問題にするのは、三木内閣に入閣した閣僚が三木内閣の方針に従うか、従わないかということです。従わなければやめてもらわなければならぬ。しかし、稻葉法務大臣は、今日まで憲法を改正しないという三木内閣の方針に背いたことはありません。したがって私は、稻葉法務大臣は憲法を改正せずという三木内閣の方針に従って法務大臣としての職責を果たしていると信じております。 なおまた佐々木さんいろいろと、衣の下によろいという、国民は三木内閣が憲法を改正するという考えを持っておるというのは、それはだれも国民は私は信じていないと思います。それはあなたの思い過ごしである。衣の下によろいが見えておるというようなことはありませんよ。国民に聞いてごらんなさい。三木内閣が憲法を改正する意思を持っておるかどうかということを国民に聞いてごらんなさい。国民はだれ一人、三木内閣が憲法改正を意図しておる内閣ではないと国民は信じておると私は信じております。
○佐々木静子君 あなたは、国民はだれ一人そう思ってないとか、何の保証があるのですか。あなたの周囲の、あなたのそこに取り巻いているのはあなたにおべんちゃらを使う人たちですよ。その人たちがあなたの気に入らぬことを言いますか。そういうふうに自分一人が、わかりもしないのにだれも思っておらぬ、これは独裁者の思想ですよ、あなた。まさに独裁者の思想ですよ、それは。何の保証があってそういうことを言うのですか。そして憲法改正はしないという約束で稻葉さんに法務大臣になってもらった。その稻葉さんは現にのこのことと五月の三日に憲法改正の集会に行っているじゃないですか。これはどうなんですか、それもあなたは是認されるわけなのですか、どうなんですか。
○国務大臣(三木武夫君) だから私は言っておるじゃありませんか。やはり閣僚としての重さから言ったら、個人と閣僚を使い分けるということは世間に誤解を生じてよくないから、今後行動は慎まなければならぬ。稻葉法務大臣自身も、これはやはり慎重を欠いた、今後自分の行動は慎みたいと、それだから申しておるわけでございます。また、私は独断でいろいろ物を申しておるのではないと思うわけであります。
○佐々木静子君 あなたに対して慎重を欠いたから慎みたい、それだって私の知っている範囲ではそのように素直には言ってないですよ。あなたが注意したということだけれども、稻葉氏はこんなことは余り問題にしてないというふうな態度をとっておられるということは、その直後の決算委員会の稻葉氏の態度でもはっきりしています。あなたはそこで稻葉氏とちゃんと話ができていると言うけれども、稻葉氏自身がそのような行動を現実にとってきてないじゃないですか。きょう初めてあなたの隣に座って、あなたの顔色をうかがいうかがい答弁しておられる。これはふだんの稻葉氏と全然違いますよ。私は毎度法務委員会でお顔を見ているのですけれども、きょうの稻葉氏は普通のお顔じゃないですよ。ただあなたがにらんでいるだけの話ですよ、そうでしょう。あなたが知らぬだけですよ、そのようにあなたが勝手に稻葉氏とそういう話ができている、そう言うけれども、客観的に見て反省したという保証がありますか。だれも納得しませんよ。 きのうまで、きのうかおとといかは知らないけれども、この間まで、前に委員会にあらわれたときには決してあなたの内閣の統一見解とやらという立場を従順に守っておったわけではない、非常に批判的であった稻葉氏が、きょうはおとなしくなっておられる。しかし、あすはどうなるかわからぬ。あなたと並んでここで答弁をするのはそう再々あるわけじゃないから、だから、あなたは知らないかもしらないけれども、これはあなたと稻葉氏の問題じゃなくて、国民に対して一体であるかどうかという問題ですよ。そして稻葉氏の行動をこのまま許しておかれる、また、このような事柄が起こったのをあなたがこのまま是認しておられるというのは、あなたがそれに同調していられるというふうになるわけです。それは同調されるのも自由ですよ、あなたは思想は自由だと言われたけれども。しかし、仮にもあなたは内閣総理大臣です。一国の総理です。それが口先と実際やっていることとが全く違うというのじゃ、これはクリーン三木も何もあったものじゃないですよ。大うそつき三木ということになりますよ。そういう内閣でいいのですか。あなたはそれで政治責任は持てるのですか、国民に対して。
○国務大臣(三木武夫君) 稻葉法務大臣は人の顔色を見て物を言うような男ではありません。御承知のように彼は至って正直な人間でございます。したがってきょう国民の前に、これはテレビもあるわけですが、自分の行動に対して深く反省して、今後はいやしくも誤解を生ずるようなことのないことを誓約をいたしますと言っておるのですから、佐々木さんのように言って何もかも疑っていけば、これはなかなか世の中というものは成り立たないですから、今後の行動を通じてあなたがいろいろこういう点があるじゃないかという御指摘があるならば、これはやっぱりごもっともでございますが、きょうあのように本人が誓約をしておるのですから、これを御信頼をしていただかないと、言ったことを全部信用ならぬということでは、議会というものもなかなかこれは議事が進んでいかないわけでございます。私は国民に対して総理大臣としての責任を持っておるわけでございます。したがって、今後いやしくも国民に対して誤解を生ずるようなことが稻葉法務大臣がないことを期待するし、私自身も注意をいたしていくつもりでございます。
○佐々木静子君 あなたは国民に対して誤解のないように注意していくと。いま私は稻葉法務大臣のことを言っているのじゃなくて、あなた総理のことを言っているのですよ。これでは国民が誤解をするのがあたりまえじゃないですか。こういう状態であるのに、稻葉法務大臣のこうした言動なりを総理がかばっておられる。内輪でどういう約束があったか、そんなことを言ったって、これは世間に対する、国民に対する責任は担えませんよ。そういうことを言って誤解のないようにしてくれと言ったって、これは誤解か正解かは知らないけれども、受け取る方は形を見て判断しますよ。 それで、あなたの方でこれはどうしても稻葉法務大臣を閣僚の一人として残ってほしいと、そういう強い御要望と承っていいわけですね。総理、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 何もそういう要望を、要望、それはどういうことですか。私が残ってほしいとして要望しておるとおっしゃるんですか。要望しておる、どういう意味ですか。要するに稻葉法務大臣は三木内閣に入閣して以来、三木内閣の方針に従って今日までその職務の執行に当たっている、こういうことでございます。
○佐々木静子君 従っておればこういう問題起こらないわけですよ。こうやって問題が起こっているのは、従ってないことが重なってきたから問題になってきているわけですよ。あなたは内閣総理大臣として大臣を任命する権限を持っている。また罷免する権限も持っている。しかし、任命権だけを行使されて罷免権は行使されない。そうなってくると、これは稻葉法相の政治責任というよりも、もちろん稻葉さんにも責任がありますが、国民の目から見ると、あなたがどうしてこんなに一体性を欠く内閣の閣僚を罷免せずに置いとくのであろう、いわば罷免権を行使しない、怠慢である、そういう政治責任がいまここで問われているんじゃないですか。あなたは罷免権を行使しない。その正当性がわれわれに説明がつかないから、だからここに問題が起こっているのじゃないですか。言葉のすれ違いじゃないですよ。あなたの政治責任自身をいま問題にしているわけですよ。(「罷免権は総理の専権事項だ」と呼ぶ者あり)専権事項というと勝手にやっていいというんじゃないですよ。そういうふうな誤った、思い上がった憲法判断をする人があなたの党にいるから、あなたがそういうことに惑わされているわけですよ。もっとクールな頭になって冷静に考えてください。 それであなたは、先ほども総理に対して矢田部委員から質問があった祝祭日等の件についても、私ども聞いていると、政治姿勢の問題を尋ねているにもかかわらず、法制局長官に法律解釈だから法律解釈だからと逃げようとする。私どもはいま総理にここへ来ていただいているのはこの事柄、そしてそれに関連する内閣の政治姿勢というものをお尋ねしたいためにここに来ていただいているんですよ。私はそのことに関してさらにお尋ねしたいと思うわけですが、矢田部委員から質問を続けたいと思います。
○矢田部理君 関連して。 先ほど私が大臣に対して幾つかの質問をしました。その質問がいずれも納得できないわけでありますが、その一つに憲法記念日に対する考え方、これが明確にされていないわけなんです。決算委員会では、憲法記念日、五月三日は憲法を検討する日だと、こういうふうに言われている。議事録にもちゃんと書いてありますし、いまでもその考え方を維持されるのかどうかをまずお伺いします。
○国務大臣(稻葉修君) この間の決算委員会の私の答弁に、もしただ検討する日だと申したとすればそれは誤りで、先ほど明確な根拠法に準拠して答えたことが正確でございます。やはり一般的に言えば憲法を祝う日だと思います。
○矢田部理君 憲法を検討する日だということは撤回をされた。それはわかりました。同時に五月三日は憲法を祝い、感謝し、記念する日だということも確認をされている。しかも、欠陥憲法であるということも今回は取り消すと言う。言ってみれば欠陥憲法でないという立場に立たれるとするならば、まさに国民の祝日に関する法律の趣旨にのっとって、本当に現行憲法を守る、改正しないということであるならば、憲法を祝い、感謝し、記念する日を政府の責任において行事としてやる気持ちになっているかどうか、その点を伺います。
○国務大臣(稻葉修君) 矢田部さん、憲法を検討する日だと言い切っているんじゃないですね。五月三日はことに大事な日でございますから、これは憲法記念日で国民の祝祭日でございますから、国を挙げて憲法に関して検討集会が行われたり、まあそこへ出ても差し支えはなかろうかと、私はそういうつもりでおりましたというくだりはありますけれども、五月三日は憲法を検討する日だというふうに私は急には言うておらないように思います。これはやっぱり事実でございますから、事実だけは事実として釈明させていただきませんとね。
○矢田部理君 こういう諸悪の根源というようなことを唱え、運動化し、それに参画、そういう集会を開く。これは憲法記念日にふさわしいと考えているのですか。国民の祝日に関する法律にのっとった集会だと考えておられるのかどうか、その点を端的に伺います。
○国務大臣(稻葉修君) なかなかこれ、端的にとおっしゃいますけれどもね、この前も決算委員会で釈明的に、皆さんから不謹慎じゃないかと言われましたから、不謹慎だと思われては困るなと思いまして言ったんです。ただ、いま総理もお答えになったように、三木内閣は憲法を改正しないと言い切っていることは私もよく承知して、その政治姿勢には従うと、こういうこともあの委員会でも何度も申し上げましたとおりです。そしてそれは正しいと思いますから従うのですと、こういうことを申し上げたつもりでございまして、そういう点について、総理もいま申されたとおり、そういうつもりでは出たのだろうが、そういうことは閣僚と個人との使い分けはなかなかむずかしいのだから以後は慎んだらよかろうと。あなた方も、そういうことはなかなか混同されてだめである、こういうふうに言われますのはもっともでございますと感じまして、いまは強く反省して、今後は言動を慎みます、こういうことの心境にございますことを申し上げる次第です。
○矢田部理君 私の聞いているのは、あなたが出席された改憲集会は憲法記念日という、先ほど言われたような日にふさわしい集会と端的に考えているかどうか、その結論だけを伺っている。ふさわしいか、ふさわしくないのか。
○国務大臣(稻葉修君) だから、閣僚である、その総理の言われる重みにかんがみまして慎重を欠いた出席であったと、こういうふうに思っております。
○矢田部理君 関連質問ですから終わりにしますけれども、あなたは出席の前に憲法記念日にふさわしい集会と考えていたかどうか、現在も考えているかどうかだけをひとつ。
○委員長(多田省吾君) 稻葉法務大臣には質問の趣旨に沿って的確に答えてください。
○国務大臣(稻葉修君) 国民の間には憲法を改正しようという考え方と、いやこのままでいくし、改正する必要はないんだという考え方とございまして、改正したいという方の集会もあれば、このままで厳として擁護しなければならぬという会合もそれはあるわけですね。したがって、こっちは憲法記念日にふさわしくない、こっちは憲法記念日にふさわしいというふうには割り切れないように私は思います。
○矢田部理君 全く納得できません。憲法記念日ということは法律できめているわけでしょう、その意味と内容を。改憲集会などというものを持つのはこれにふさわしいか、ふさわしくないか。しかも、憲法を諸悪の根源だとするような集会はふさわしいか、ふさわしくないかを聞いている。
○委員長(多田省吾君) 稻葉法務大臣には質問の趣旨に沿って質問に的確に答えてください。
○矢田部理君 いままでの答弁は全く納得できません。納得できないということを繰り返し申し上げて、関連質問ですからこれでやめます。
○佐々木静子君 きょう私はただいままでの質問を伺っていて、これは総理並びに法務大臣は全く問題のすりかえ、こちらの聞いていることと全く違う答えが返ってくる。こういうことでは質問を続けてもこれは審議にならないから、私どもはもうここで質問を打ち切ります。後日また、本当に真摯な態度で質疑にお答えいただかなければ、私どもはとうていこういうふうな態度では納得することができないということを申し上げ、そして社会党とすると、先ほど来強く要望しているように稻葉法務大臣の即刻辞職、あるいは総理による即時罷免というものを強く要求して、私の質問を保留いたしたいと思います。
○委員長(多田省吾君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(多田省吾君) 速記をつけてください。 暫時休憩いたします。 午後一時二分休憩 —————・————— 午後二時九分開会
○委員長(多田省吾君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。 委員長から再三にわたり、答弁に関して総理並びに法務の両大臣に要望申し上げましたが、さらに、委員の質問時間が非常に短時間でございますので、委員の質問には、その質問の趣旨に沿い、簡潔に、明瞭に、正確に御答弁いただきたいと存じます。
○白木義一郎君 ただいま、午前中から引き続いて行われております当委員会の私の質問に先立ちまして、われわれ公明党は、現在の憲法は世界有数のすぐれた憲法である、あくまでもこの憲法を守り抜いていく、そこに誇りも感じ、またわれわれの党としてのはっきりとした態度を明らかに申し上げておきたいと思います。したがいまして、公明党は唯一の現憲法を擁護していく政党である、こういう立場で質問を申し上げたいと思います。 先般来問題になっておりますのは、この五月三日の自主憲法制定国民会議に法務大臣が出席をされた。その内容は、現憲法を諸悪の根源ときめつけたその会合に現職の大臣が、しかも最も適正に法を運営し、法の番人であると万人が認めている法務大臣として出席をした。これが国民の非常な疑惑と心配を招いている。こういうことから今日に至っているわけであります。先般来の質疑を伺っておりますと、さっぱり要領を得ない。あるいは繰り返してお尋ねするようなことになるかもしれませんけれども、現実の問題として司会者から法務大臣として紹介をされている、そういうことを法務大臣はお認めになりますか。
○国務大臣(稻葉修君) そう紹介されたと記憶いたします。
○白木義一郎君 決算委員会では、議事録を拝見しますと、大臣はよく聞こえなかった、そういう答弁をなすっている記録を拝見したわけですが、御承知で、しかもそのときには当然拍手をされ、また大臣は頭を下げた、こういうことではないか、こう思いますが、その点はいかがでしょう。
○国務大臣(稻葉修君) 私自身は、この出席は法務大臣の職務とは全く関係のない一学徒として、個人の立場から出席したものであることに間違いはありませんのです。ただ、そういう紹介が、そのときよく覚えていなかったのですけれども、決算委員会で質問されたときは覚えていなかったからそのまま申し上げちゃったのですけれども、あとでそうだったかねと聞いたらそうだったと言うから、法務大臣として紹介されたといまは思っております。
○白木義一郎君 先ほど午前中から問題になっているのは、そういう答弁の仕方なんですよ。最初は確かに聞きました、いまお答えを聞きますと、いまはそう思っている、こういうことを繰り返さないように、再三法務委員会では珍しい中断があって理事会が行われて、再三委員長からも注意があったわけですが、そうすると、法務大臣はあくまでも個人で出席をした、紹介されたときに拍手を受け、それから頭を下げたという、この矛盾する問題については的確にひとつ、みんな心配しているわけですから、お答え願いたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 法務大臣稻葉修氏が見えているという紹介を受けて、私が立っておじぎをする、そして、いやきょうは法務大臣として来たのではない、職務の関係は全然なく、一学徒としての個人の立場から来たんだから訂正せいということを言わなかったというのが用心深くなかったということにはなろうかと思います。そして、そのまま聞き捨てにしてそこに座っているということは、自分がいかに個人的な立場で出席しているといっても紛らわしいから、そういう個人と国務大臣との使い分けがなかなか紛らわしいことだから、そんな紛らわしいことはなるべく慎めと総理大臣もおっしゃられることはごもっともだと思うのですね。ですから、そういう紛らわしい行動は本当は慎まなければいかぬな、反省しなければいかぬな、こういうふうに思うております。
○白木義一郎君 先ほどは法務大臣はこういうふうにおっしゃったんですよ。何回かこういう集会に出席している、今度は法務大臣として出るべきであるかどうかと思ったけれども、まあ出るべきであると思って出席した。そして言っている間にいつの間にか個人になってしまっている。さっきは法務大臣としてとおっしゃったわけなんです。こういうことを繰り返していたのじゃ、ますます国民は政治不信といいますか、シラケ時代の最先端を法務大臣あるいは総理大臣がつくり上げていくということで、それでわれわれは一生懸命この問題に取り組んでいるわけです。なるほどと思う御答弁を伺いたいわけです。 で、統一見解の方は「同氏個人の資格においてであるが」と、こういうふうにはっきりと内閣は統一見解を出しているわけです。ところが、どうして個人の資格で出席したというのか、そのところを伺わないと、みんな国民は心配するわけです。三木さんは改正しない改正しないと言っている、だけれども、最も憲法の番人である法務大臣がこういう会合に出席しているという点について明らかにしてもらいたいというのが大方の心配なわけです。そこで、内閣が統一見解を出すに至ったあなたの内閣に対する説明ですね、それがあったればこそこういう統一見解が、個人で出たんだとあくまでも内閣の見解としてわれわれに出されているわけです。そこでどういう見解を示されたか、また、内閣がどういう点でそれをあくまでも個人として認めたんだ、総理大臣も個人としてこの出席を認めたんだという点を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 私は個人として出席したつもりでおりますのです。その理由は、自由民主党の中に自主憲法期成議員同盟、これは前には自民党だけじゃなかったのですが、緑風会の諸先生もたくさんお入りになっておられたんですね。そのころからずっと自主憲法期成議員同盟という団体を持っておりまして、これが自主憲法制定国民会議というたくさんの団体の連合体の一つの団体になっているんですね。その自主憲法期成議員同盟の会員でございまして、その会員は自主憲法制定国民会議の大会に、これはずっと案内状が出て、ずっと出てきたわけです。私も自主憲法期成議員同盟の会員として御案内をいただきますから、ずっと出てきたわけです。ことしは……
○白木義一郎君 そんな説明を聞いているのじゃないんです。
○国務大臣(稻葉修君) ことしは、だからそういう立場で出たつもりでおりますから、法務大臣としてではなく、自主憲法期成議員同盟の会員たる稻葉修個人として出席したものでございますと、こういうことを申し上げたいと思っております。
○白木義一郎君 それじゃ、その案内状はそういう案内状だったのですか。稻葉修殿とかということであって、それで会合で法務大臣というのは、これはナンセンスですね。そんなふざけた答弁は聞きたくないですね。
○国務大臣(稻葉修君) どうしてなんでしょう、白木さん。私、法務大臣の職務に関連して行っていると思っていないんです。
○白木義一郎君 紹介した肩書きが……
○国務大臣(稻葉修君) ええ、たまたまいままでずっと出ておった自主憲法期成議員同盟の会員に案内が来た。それで出た。その稻葉修が、ことしに限っては法務大臣という地位にあったということになりましたのです。そういうわけでございますから、おっしゃるとおり、私は法務大臣として出席したかのごとき誤解を非常に与える面があるということを反省しているし、そういう紛らわしい行動は今後とるべきものでないと反省をしておる次第でございます。
○白木義一郎君 先ほどは総理大臣が、閣僚と個人の使い分けは非常にむずかしいと。私もむずかしいと思うんです、ずっと考えてみたけれど。その非常にむずかしいことを、統一見解では「個人の資格においてである」と、こう大上段に私たち国民に示しているわけです。そういうことから考えますと、私は個人のつもりで行きました、個人のつもりで行きましたというような答弁はあなたらしくないですよ。いままで何回も法務委員会で御答弁を伺ってきたのですけれど、むしろ私どもは竹を割ったような答弁である、なかなか気骨のある大先輩である、こういう気持ちでいたわけですけれども、いまのあれではどうも承服できませんね。総理大臣は、むずかしいと。私はそうだ、軽率だったからおわびしますと。法務大臣として出席しているわけじゃないですか。しようがないでしょう、紹介され、拍手をされ、頭を下げる。わかりますよ、その気持ちは。それでここへ来て、いや私は個人のつもりでございました。それじゃ乗っている車はタクシーで行ったのですか。大臣の車じゃないですか。あなたをひとり歩きさせるような警視庁じゃないでしょう。ちゃんとボデーガードがついている。それでもなお私はというのは、本当に私はもうあなたに対するイメージはがらっと変えなくちゃならぬ。そこのところをひとつ、ああなるほどとこう納得をさせていただきたいんですがね。そうしませんと前に進まないわけです——また総理大臣が何かさっきの午前中の調子でもそもそされているようですから、じゃ総理大臣、ひとつお伺いしましょう。
○国務大臣(三木武夫君) もそもそしておるわけではないんです。白木君が総理大臣は認めたのかという御質問が私にあったわけです。私は何も……
○白木義一郎君 そこまで言っていませんよ。
○国務大臣(三木武夫君) いや、先ほどあなたが認めたのかという御質問がございましたよ、あなたの発言の中に。よく私は記憶しておるわけです。それで、出席ということを認めるとか認めぬとかいうことではないわけです。私は承知しなかったわけです。 まあ白木君、稻葉法務大臣は竹を割ったような人間でと言っていろいろおほめにあずかっても、本人が個人の資格で行ったんだと言うのですから、これ以上本人としてどうもその事実を曲げるわけには私はいくまいと思う。ただ、私はこう思うんですよ、本人は個人の資格と閣僚の資格とを使い分けたつもりであっても、やはり閣僚という重みから見て、世間にはそう受け取られない。やはり白木君がいろいろな疑問を出されることは、世間にそういう誤解を与えることは私は無理からぬことだと思います。そういう点で閣僚が個人と閣僚というものを二つを使い分けるということはこれはむずかしいことで、私はやはりそういうことは誤解を生ずるからしない方がいい、だから今後稻葉法務大臣にはそういう点では慎重を期してもらいたい。稻葉法務大臣も、それは自分が慎重を欠いた、深く反省しておる、これから再びそういうことは繰り返さないことをお約束するとこう言っておるのは、その使い分けのむずかしさということについて正直な稻葉君の心境を語ったものであると私は思うのでございます。つけ加えてそういうことを私は申し述べておきたいと思います。
○白木義一郎君 一般的な問題としては総理の御説明はわかるんですよ。だけれども、個人として、あるいは法務大臣として出席をしたというその自主憲法制定国民会議では、元の総理大臣、あなたの先輩だ、自民党の大元老、その岸信介議長がメッセージを送っている。その内容は「現憲法が米国占領軍により唐突として一週間の短時日に成案作成せられた前代未聞のものである。現憲法条文は、国の治安、教育、政治、経済、福祉のあらゆる面で破綻を露呈してきている。これら諸悪の根源である現憲法は、一日も速やかに改められなければならない」、これが問題のポイントになるわけですよ。元総理大臣がいまの憲法は諸悪の根源だと言っているのです。その席へ現職の法務大臣が、私は個人の資格で行ったんだ、いま考えてみますと軽率でした、まことに遺憾でしたと、そんなふざけた話は聞きたくないです。こういう会合に出られておいて、それで稻葉修は個人でという御答弁は承服しかねます。もう一度法務大臣ひとつ。
○国務大臣(稻葉修君) この前の参議院の決算委員会でも申し上げましたとおり、私は現憲法には幾多の長所があって、それは堅持する。したがって諸悪の根源とは思っていないという御答弁を申し上げました。 それから、先ほど個人の資格か法務大臣の資格かということで、役所の車に乗って行ったとか護衛がついて行ったとか申されますけれども、それは私も用心したものですから、これは役所の車を使っちゃいかぬと思いまして、その日は私の個人の車で参りましたし、それから秘書官も、役所の秘書官はこれはきょうはついてきちゃいかぬなと思いまして連れていかなかった。ただ護衛さんは、親戚の病人の見舞いに行くときでもついておいでになるものですから、これはしようがないということでございます。そういうところで、何とか個人の資格であるということを明瞭にしたいという努力はあったのでございますけれども、ただ、法務大臣として紹介されてそのまま座っておるというようなことがあったり、そういう点では個人の資格であるのか、国務大臣の資格であるのか、これは紛らわしいことであるという御注意もいただき、白木先生もその点を心配されて私に非常なありがたい忠告をしていただいているのですから、今後は慎みます、反省をいたしますと、こういうことを申し上げている次第でございます。
○白木義一郎君 いまのは普通の子供がそういうあれだというなら何ですけれども、そこまで大臣が配慮されて役所の車も乗らないというようなところまで考えた上でお出になるならば、最初にそれを断るとか、あるいはふだんのあなたなら、ばか違うよと、おれは法務大臣で来たんじゃないんだ、個人で来たんだ、もう一回言い直せというようなあなたなんです、衆目の見る目が。ところが、このことに限ってはそうじゃないというところに私たちが、国民が疑惑を持っているわけです。 そこで、あなたはこの憲法が諸悪の根源とは思っていない。じゃ、どういうふうに思っているのか。決算委員会でおっしゃったとおりにもう一度お答え願いたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 質問者の違うにしたがっていろいろ答弁しておるわけです。要約すれば、現憲法に存する理想、それから平和主義、民主主義、人権尊重主義というような、明治憲法から見るとずっと国民の自由が拡大されている美点はそのまま堅持するのがいいと思っております、こういうことを言っているんですね。そういう考え方です。したがって、諸悪の根源という言葉も使ったこともなし、そういうふうには思っていないということも申し上げているわけでございます。
○白木義一郎君 それでは法務大臣、あなたの出席して問題になっているこの国民会議の、あなたは出席されているから一番よくおわかりになっているはずですが、この会議の内容というのは先ほどからのお話ではいろいろ討議の場であったと、そういうようなお答えであったわけですが、そのとおりでしょうか。
○国務大臣(稻葉修君) いままでの七回ばかり開かれたのは、武道館でやったこともあったり、共立講堂でやったこともあったりいろいろいたしました。今度のは自主憲法制定国民大会という名前ではなくて、自主憲法制定国民会議総会ということなんです。いままでのような大集会ではありませんでした。そういう会合でございまして、それはその日に改正の個所を討論したりするそういう会合ではありません。
○白木義一郎君 そんなこと伺っているんじゃないですよ。どういう内容の会合だったかというんです。 午前中からこれを繰り返しているわけですよ。再三ふまじめな要領を得ない答弁について大いに注意をしてもらいたいということを繰り返して、まだ続けるなら、これはちょっとこれ以上私は質問を続ける気が起きないです。ふだんのあなたならこういう答弁はなさらないはずなんです。会議でも集会でも総会でも結構ですから、その出られた会の内容をどういうふうにお受け取りになったかと伺っているわけです。
○国務大臣(稻葉修君) 憲法を改正したいという意思を表明する集会です。
○白木義一郎君 単なる憲法を改正したいという意思を表明した会合にすぎない、そういうお受け取り方だというのですが、それではメッセージを全文、もう一度復習の意味でお聞かせします。「わが日本国の危機を排除し、盤石の国の礎を築かんとする自主憲法制定のため、日夜不断の努力敢闘を続けている本日の参会者諸君に対し、心から感謝をいたします。現憲法が、米国占領軍により唐突として一週間の短時日に成案作成せられた前代未聞のものです。現憲法条文は、国の治安、教育、政治経済、福祉のあらゆる面に破綻を露呈してきている。これら諸悪の根源である現憲法は一日も速やかに改められなければならない。しかるに、自主憲法制定の課題は、現実にはまことに険しい隘路に差しかかっているけれども、われわれ国民会議は強固な決意と団結をもって全国民に訴え、自主憲法制定の大きな渦を全国に巻き起こしていきましょう。自主憲法期成議員同盟の諸君は国家のリーダーの立場から、また国民会議に参画された同志諸君は国の志士として、共々にこの渦巻きの中心をなす大きな柱となって、祖国のため、はたまたわれわれに続く子孫のために本総会を契機としてさらに奮起しなければならない。私はこのメッセージを参会各位に伝達して、諸君と共に邁進せんとするものであります。」 これはもう大進軍ラッパなんです。進めというわけです。あなたもその進めと言われたわけです、議長からメッセージで。それと先ほどのお答えとの食い違いを明確にひとつお願いします。
○国務大臣(稻葉修君) その岸信介議長のメッセージの内容は、私の考えとは、憲法に対する私の所見とはずいぶん隔たっております。それが証拠には、第四回の自主憲法制定国民大会における、当時ですよ、当時自由民主党憲法調査会長としての私のあいさつは、そういう点をむしろたしなめるという考えから述べられていることを御承知願いたいと思います。
○白木義一郎君 総理大臣、いまメッセージを読み上げたようなそういう内容の会議に法務大臣としてと紹介されたということに対して、総理大臣としてどういうお考えですか。
○国務大臣(三木武夫君) 岸さんがどういう意見を持っておるか、それは自由であります。われわれは、この憲法は大きな理想を掲げて現実の政治の向かう方向を示したものであって、りっぱなものであると思っておりますから、諸悪の根源などというふうには考えていないということを明らかにしておきます。 また、稻葉法相が個人の資格として出席をしたというふうに本人自身が申しておりますが、しかし、閣僚という地位は重いですからね、そういう場所に出席をするということは非常に誤解を生じますから、私は慎重を欠いたとこう考えて、今後とも十分言動は慎んでもらいたいと考えておりますし、本人もまたそれを深く反省して、今後はいやしくも誤解を生ずるようなことは一切いたさないということを本日の委員会においても誓約をされたのでありまして、それは非常に慎重を欠いた行為であると、こう言われても仕方がないと思います。
○白木義一郎君 いま読み上げましたメッセージから、この集会は単なる憲法をどうするかこうするかという議論の場ではない。明らかに元総理大臣が、そこへ集まり、あるいはまた全国民に対して大きな渦となって進もうじゃないかと、あなたもまあ法務大臣か個人か、そこのところが何ですけれども、そこにいられたわけです。これはどうしてもはっきりしていただかなければならない問題だ。 諸悪の根源なんというのを私も新聞でその翌日か見まして、これはまあひどいこと言うもんだと。諸悪の根源と言うと、たばこの値上げも酒の値上げもこれは憲法が悪いんだ、そういうことになってしまうわけです。あれもこれも憲法が悪いんだと。そういうところへ個人、法務大臣の区別のむずかしい立場のあなたが出席したことについて、はなはだ軽率でした、残念でした、こういうことでは済まされないわけです。あなた、学者として言論の自由、思想の自由を発表する会合でというのじゃないんです。進軍ラッパの吹かれた物すごいハッパのかかった会合なんです。そこへ行かれて、それで遺憾でございました、これからは慎みますということであっては、これは明らかに集会といえども推進運動です、運動です、大きな渦となって進めというわけですから。そこへ出席されてきたわけです。それだったら、その行動に対してまことに遺憾であったということは具体的な行動であなたはお示しにならなければならないと思うんです。 そこで私は、あなたは委員会の記録を拝見しますと、強烈な改憲論者である、法学博士である、学者である、こういうことをおっしゃっているわけです。ちゃんとここへ持ってきているわけです。それで、諸悪の根源とまでは思わないけれども、欠陥憲法だ、こういうようにおっしゃっているわけです。その欠陥憲法であるということを取り消されるわけですか。取り消すか、取り消さないかの御返事だけで結構です。
○国務大臣(稻葉修君) 事実に違う点はありますけれども、その釈明をすることは遠慮しますが、最後の方の、端的に答えよと言われますから、その点だけをお答えしますと、憲法に欠陥が多いと申し上げましたことは、先ほども矢田部君の御質問にお答えしたとおり不適当な言葉である、いかにも自分の本心を疑われる。私の本心は現行憲法を美点を認めて尊重しようという考えもあるわけですから、それが欠陥があるということを言うと、憲法全体を罵倒するような侮辱するような言葉に受け取られる言葉だなと、もっと言葉を正確に……
○白木義一郎君 いや、取り消すのか、取り消さないのかということだけはっきり。
○国務大臣(稻葉修君) そこで、その点についてはけさから反省をしておりますということを申し上げているわけです。
○白木義一郎君 そんな答弁はだめだ。
○委員長(多田省吾君) 速記をとめて。 〔速記中止〕、
○委員長(多田省吾君) 速記再開。 ただいまの白木委員の質問は、稻葉法務大臣が参議院決算委員会における答弁で、欠陥憲法と言った言葉に対しまして、本委員会で取り消すのか取り消さないのかと、こういう質問でございますので、的確にお答え願います。
○国務大臣(稻葉修君) 決算委員会における発言の取り消しにつきましては、手続の問題がありますので——委員会が別なんですから、手続の問題がありますので、ただいまここでのお答えとしては、取り消しの意思を持っていると申し上げておきたいと思います。
○白木義一郎君 それでは、いまの取り消す意思があるという御答弁から言いますと、あなたの学生時代からの理念といいますか、あるいは学者の信念といいますか、これを取り消す意思があるんだと、こう伺ってよろしいですね。
○国務大臣(稻葉修君) そうはならないんじゃないかと思います。私の、取り消す意思を持っていることを明確に表明しますというのは、不適当な言葉でありまして誤解を生じますから、ほんとはまあ、できれば改正したい点もある憲法でございますとか、言いようがあったんじゃないかと、こういうように思いますので、取り消す意思を持っておりますということであって、学説をひっくり返すとか信念を取りかえるとか、そういう問題とは違うんじゃないでしょうかね、どうでしょう。
○白木義一郎君 そこで大きな声で取り消すのですか、しないのですかということをお聞きしたわけですよ。いまのあれだと、するのだか、しないのだか、わからないようなことですけれども、取り消す意思があるという言葉をもとにしていくと、私は余り勉強が好きじゃなかったから学者に対しては非常に尊敬の念を持っておりますが、また、あなたは日本の教育の中枢である文部大臣もおやりになり、しかも博士号を受けられている、そういう学者がこれだけのことで、長年の信念といいますか、学者的良心を取り消すという御意思なのか。 私は、これを聞いた国民は非常に大きな疑惑と不安を持つ。強烈な改憲論者、しかも大学の教授であり、ドイツまで勉強に行って博士号まで受けた学者が、しかも新聞等の記事では思言行一致の信仰は変えないと。私はいい悪いは別にしても、一つの信念を生涯持ち続けていくということは非常に人間的に大切なことだと思っています。その中でも学者という、あらゆる大衆、国民を正しい方向へ引っ張っていくその学者が、その長年の持論を、信念を変えるとおっしゃるならば、私は、どうしても日本の学者は権力の座に未練を持って、長年の学説を変えていくと。政治家なら君子豹変ということが、参議院へ来て私は教わりました。それならば別ですけれども、日本のエリートです。エリート中のエリートが簡単に長年の持論、研究し尽くして、外国まで行って勉強して、そしてしかも堂々と決算委員会でも熱烈なる改憲論者ですと、そこまで言い切ったあなたが、わずか数日のうちにその学者としての生命を断ち切るようなことをおっしゃる。まことに私は残念だ。その点、学者の良心としての立場からもう一度お答え願いたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 憲法を改正しないという三木内閣の閣僚として誤解を生ずるおそれがある言葉でございますから、それで取り消しの手続をとる用意がある、これだけの話であって、学説を変更するとか、それから良心を曲げるとか、そういうことにはならないのではないかと私は思いますけれども、白木さんのおっしゃることのようでしたら、私の不徳のいたすところでございます。
○白木義一郎君 不徳のいたすところですなんという、わが国でも有数な憲法学者がそんなことを言ったら、どんなに永井文部大臣を連れてきて日本の教育をどうのこうのと総理大臣がお考えになっても、何もならないと思うんです。余りにもその場しのぎの御答弁で、午前中からのわれわれの申し上げていることが一つもあらわれてない。 私はこれ以上質問を続ける気がしません。ちょっと休憩してください。
○委員長(多田省吾君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(多田省吾君) 速記再開。 ただいま速記録を検討する間、暫時休憩いたします。 午後三時四分休憩 —————・————— 午後四時十七分開会
○委員長(多田省吾君) 休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。
○白木義一郎君 先ほどだけじゃなくて、何遍も申し上げたとおり、午前中からの答弁について大変理事会で何回も御注意をいただくということが繰り返されてまいりました。御承知のとおりです。そこで、先ほど私の質問にお答えになったことについてもはなはだ明確を欠く、こういうことが引き続いてございましたので、実は理事会で、速記録をもとにして明確なお答えをいただこうじゃないか、こういうことで再開ということになったわけです。 そこで、いまいただいた速記録をお聞かせしたいと思います。 ○白木義一郎君 それでは、いまの取り消す意思があるという御答弁から言いますと、あなたの学生時代からの理念といいますか、あるいは学者の信念といいますか、これを取り消す意思があるんだと、こう伺ってよろしいですね。 ○国務大臣(稻葉修君) そうはならないんじゃないかと思います。私の、取り消す意思を持つていることを明確に表明しますというのは、不適当な言葉でありまして誤解を生じますから、ほんとはまあ、できれば改正したい点もある憲法でございますとか、言いようがあったんじゃないかと、こういうように思いますので、取り消す意思を持っておりますということであって、学説をひっくり返すとか信念を取りかえるとか、そういう問題とは違うんじゃないでしょうかね、どうでしょう。 「どうでしょう。」というんです。こちらからお伺いしているわけです。いまお聞きいただいたように、決算委員会で欠陥あると、こうおっしゃったことについてこの法務委員会で言うわけにいかぬ、だから取り消す意思があると、それだけ言っておこう、こういうことでいまの速記録に続くわけです。 ですから、取り消す意思があるとあなたは明確におっしゃったから、憲法学者として現在の憲法に欠陥がある、諸悪の根源とまでは思わないけれども欠陥があると言ったことを取り消す意思があると、法務委員会だからそう言うたのだ、ということは、あなたの持論を取り消す意思があるんじゃないか。本当を言えばくどいわけです、私が伺うのは。あなたは取り消す意思があるということは、いままでのあなたの人生の勉強した結論ですね、改憲学者としての結論を取り消す意思がある、こういうようなおっしゃり方ですから、本当は伺う必要なかったのですけれども、改めて伺ったわけです。 そうしたら、いまお聞きのように、「そうはならないんじゃないか」。ということは、それは学生時代はおれは法務大臣じゃなかったのだ、いまは法務大臣だと、個人と公人の立て分け方みたいなお考えをいまだにお持ちになっているようです。「私の、取り消す意思を持っているということを明確に表明しますというのは、不適当な言葉でありまして」——先ほどここでおっしゃった、法務委員会だから取り消すとは言わないけれども、取り消す意思があるとはっきりおっしゃったことを、それは不適当な言葉だと。これだと朝から何をやってきたかということになるのです。もう矢田部先生も佐々木先生も非常に不愉快に思われるのは当然だと思うのですよ。さっき言ったのは不適当な言葉だ——総理大臣よく聞いておいてくださいよ。またその次に、取り消す意思でありますというのは不適当な言葉であって「誤解を生じますから、」——これね、話だけ伺っているとわからなくなっちゃう。速記録を見るとはっきりするわけです。誤解なんかしていないですよ。誤解というのは、不適当な言葉、さっき言ったことがあれは実は不適当なんだ、だから誤解を生ずるから、こうでしょう。それで「まあ、できれば改正したい点もある憲法でございますとか、言いようがあったんじゃないか」、こういう姿勢でおいでになる。 午前中からしばしばこの委員会が中断されるようになったのは、そういう、あなたの本心じゃないんです、何かこう歯切れが悪いわけです。いつもの法務委員会の法務大臣の、あのすかっとしたあれがないんですよ。その点は先ほどから拝見していて、まあ何と気の毒にと、一遍に二十歳も年をとられたような感じを受けるわけです。いつもは生き生きとしていらっしゃるのですけれども。それで、「言いようがあったんじゃないかと、こういうように思いますので、取り消す意思を持っておりますということであって、学説をひっくり返すとか信念を取りかえるとか、そういう問題とは違うんじゃないか」、で最後に、おまえどう思う——。これじゃこれ以上一生懸命、党の代表としていろいろと伺いたいことがたくさんあるわけですけれども、やる気がなくなりますよ。とにかくこの個所、お手元にありますね。それをよくひとつ、私は学者じゃありませんから、なるほどと思うように御説明を願いたいと思うのです。
○国務大臣(稻葉修君) 私の白木先生に対する答弁が持って回ったようでわかりにくいという御指摘は、いまこの速記録を読みますと、ごもっともな点がございます。 したがって、明瞭に申し上げますが、私が決算委員会において現行憲法には欠陥が多いと言ったことは、憲法改正をしないという三木内閣の閣僚としてはその方針に誤解を与えてはいけないと反省し、取り消しの手続をとる意思のあることを明言いたします。
○白木義一郎君 それは先ほど伺ったのですよ。その明言が、今度は不適当だと、こうおっしゃり出したのです。それはどういうことなんだか。不適当な言葉だから、誤解を生じやすいから、別な言い方をすればよかったのだ。もっとあれすれば、私の本心をはっきり言った方がよかったのじゃないかと、というのは改正したい点もある憲法であると、そういう言い方があったのじゃないかと、こんなふうにおっしゃっているのですよ。そこをひとつ。
○国務大臣(稻葉修君) 「取り消す意思を持っていることを明確に表明します」、まず結論を申し上げます、と申しますのはと。「というのは」というのはその理由はというような意味ですね。「というのは」というのは「というのは、不適当な言葉」と、こう続きますからね。そういうように続きます。「明確に表明します」、これが結論なんです。そこへ「というのは、不適当な言葉で」と、こう続けてずらずらっといくと、なるほど前言を、それじゃ取り消すと言うたのはうそで不適当だと、こういうふうにお聞き取りになったことは、これはやっぱりそういうようにおとりになるのも無理はないと思いますね。私のは「明確に表明します」と申します理由は、欠陥といった言葉は「不適当な言葉でありまして誤解を生じますから」と、こういう意味に申し上げたのでございますことを御了解いただきたいと存じます。お願いしますわ。お願いします。
○白木義一郎君 そうしますと、欠陥という言葉が不適当だった、ほかに言い方があったということは、いまだに法務大臣としても、この憲法は改正すべき点が多々ある、ただそれを欠陥と言ったのが言葉遣いがまずかったので、私の本心はいまだに変わらない、こういう意味で、言葉だけ、言葉遣いだけが適当でなかった、だから取り消す、先ほどから何回も言われている遺憾に思うとか反省するとかいう点は、その欠陥と言ったその言葉を反省して遺憾に思っている、学者としあるいは自民党の改憲論者としてのエキスパートとしての気持ちはいまだに変わらないというように、大臣のこの議事録をもとにした繰り返してのお答えをそう伺ってよろしいですか。そうしかとれないわけです。
○国務大臣(稻葉修君) そういう誤解を生じますので、私が現行憲法には欠陥が多いと言ったことは、憲法改正はしないという三木内閣の閣僚としてはその方針に誤解を生ずるおそれがありますから、不適当な言葉であると反省し、取り消しの手続を用意しておると、こういうことで御了解をいただきたいと存じます。
○委員長(多田省吾君) 稻葉法務大臣に申し上げますが、先ほどのこの法務委員会の稻葉法務大臣の答弁は、「できれば改正したい点もある憲法でございますとか、言いようがあったんじゃないかと、こういうように思います」と、こうはっきりおっしゃっているのです、この委員会において。ですから、法務大臣としていまもそのように思っているんだなという確かめの質問でございます。
○国務大臣(稻葉修君) 三木内閣の閣僚として改正の意思を持つものではありません。
○白木義一郎君 そうすると、ここでは「できれば改正したい点もある憲法でございますとか、言いようがあったんじゃないか」と、こうおっしゃっている。ですから私は、あなたの学者としての良心を、信念を取り消すのじゃないかと心配したわけですけれどもね。それで、こういう御返答が出たので、さっぱり要領を得なくなった。その点をもっと明確にしていただきたい。取り消すと言ってみたり、その取り消すと言ったのは不的確で不明確であった、だから憲法を改正すればいいんじゃないかというように言えばよかったとか、まるであなたの手のひらへ何か載せてこうやってやられているみたいだ。
○国務大臣(稻葉修君) 憲法は改正しないという三木内閣の閣僚としては、その方針に従うのでありますから、改正の意思はないと、そういうことを申し上げる。それで、決算委員会で欠陥の多い憲法と言ったのは、まあ理論的には検討すべき点があるということは、それは学究として私は許されることだ、学問的には、理論的には。ただ現内閣の閣僚でございますから、こういうことを言いますと、この現内閣の憲法は改正しないという基本方針に疑いを持たれるおそれがあって適当でないから、こういう点は取り消しをする用意がある、こういうふうに御理解願いたいと思います。
○白木義一郎君 だんだん、禅問答をやっているみたいで、最初はこの委員会で、欠陥のある憲法だという表現をしたのを取り消すとは言えないけれども取り消す意思があると、こういうこと、そこで打ち切って、それでは欠陥がない憲法なのかと、こうならざるを得ない。ですから、あなたは正直に「まあ、できれば改正したい点もある憲法でございますとか、言いようがあったんじゃないかと、」これは本音です。ですから、伺っていてさっぱり要領がわからない。すると、何かまたお立ちになっておっしゃるには、それは言葉遣いだけが悪かったので、欠陥と言った言葉だけが悪かったのでというようなことになりますと全く、これから何人か質問に入るわけですけれども、とてもじゃないけれども、他の委員の先生はできないと思うんです。 それでもう一度前に戻って、決算委員会で、諸悪の根源であると元岸総理がメッセージで言われた、それほど、そこまでとは思わないけれども欠陥のある憲法だと、こういう発言をされたことについて私が伺ったところ、欠陥のある憲法という言葉を取り消す意思がある、こうおっしゃった。そこへひとつ話を戻して、もう一回決定版をひとつずばりとおっしゃっていただきたい。
○国務大臣(稻葉修君) 私が決算委員会で現行憲法には欠陥が多いと、こう申しましたことは、憲法を改正しないという三木内閣の政治姿勢に疑いを持つ閣僚がいるかのごとき誤解を与えますから、取り消しの手続をとる意思を持つということを申し上げているわけであります。
○委員長(多田省吾君) それでは議事整理の関係で委員長からお伺いしますが、先ほど当委員会におきまして稻葉法務大臣がおっしゃった「ほんとはまあ、できれば改正したい点もある憲法でございますとか、言いようがあったんじゃないかと、こういうように思いますので、」という言葉は、取り消すのですか、取り消さないのですか。
○国務大臣(稻葉修君) 将来のことを別として、三木内閣の閣僚としては改正は考えない、改正をする意思はないという方針に私賛成なんですから、そういう意味に御理解願って、いま委員長がお読み上げになった点について、委員長がこれは適当でないという御意思から御処置なさることについては異存ございません。
○委員長(多田省吾君) 取り消すか取り消さないかは、これは稻葉法務大臣の意思でございまして、私はただお聞きしているだけです。再答弁を求めます。
○国務大臣(稻葉修君) それでは、欠陥の多い憲法と言ったのは、理論的には検討すべき点があるとでも申せばよかったのですが、欠陥の多い憲法などと憲法を侮辱しているようにとられる言葉を使ったのはまことに不適当なので、取り消すべきものと考えております。私は三木内閣の閣僚として、内閣の憲法を改正はしないという方針に全く賛成でございます。委員長、できれば改正したい点もあるがとでも言えばよかったのですがという個所でございますが、そこのところを、理論的には検討すべき点があるとでも申せばよかったのですが、としていただきたいと思います。
○委員長(多田省吾君) そのように訂正したとおっしゃったと理解します。 それでは質疑を続行いたします。
○白木義一郎君 それでは、法務大臣としてあの集会に出た、出ない、こういうことで、それについては総理大臣は、非常に個人であるとか公人であるという点は紛らわしい、こういう見解を述べられております。紛らわしい行動をとられた法務大臣に対して、遺憾であったとかその程度でお済ましになるのですか。それともどういうお考えですか。
○国務大臣(三木武夫君) しばしば申し上げておりますように、稻葉法務大臣としては個人と閣僚と使い分けたつもりで、そうしてあの集会にも出席をされたわけでありますが、しかし、閣僚という重みからすれば、やはりそうは受け取られない恐れがあることは事実でございます。だから、いやしくもそういう憲法を改正せずという三木内閣の方針のもとにおける閣僚として誤解を生ずることのないよう、今後言動に対しては十分注意をしてもらいたいということを私が法務大臣にも申しておりますし、法務大臣自身も、自分の行動は慎重を欠いた点があって深く反省をして、今後はいやしくもさような誤解を生ずるようなことはいたさないことを誓約いたしますと、ここに最初に述べておるのでありますから、私はその誓約を信じて、今後行動をもってその誓約を示されることを期待をいたしておるものでございます。
○白木義一郎君 そこで、かつて倉石農林大臣は記者会見の席で、現憲法は他力本願だということで辞職せざるを得なくなった先例があります。記者会見でそういう発言を大臣としてして、それが問題になって辞職をされている。今度の場合と比較にならない問題があるわけです。それを私たちは問題にしている。公式の場でもいろいろとおっしゃっている。しかもあれは、先ほどから申し上げたような、非常に進軍ラッパの高鳴る席へ法務大臣として紹介されて、拍手を受け、頭を下げた。そういう問題と倉石元農林大臣の処遇に対してどういうお考えですか。
○国務大臣(三木武夫君) 倉石大臣の場合、これは無論いろいろ違うわけであります。同じ性質のものではない。まあ稻葉法務大臣は、先ほどここで答弁したように、自動車も役所の自動車を使わない、役所の秘書も伴わないというので、やはり個人と閣僚と区別しようとして非常に苦心をされたわけでありますが、いま御指摘のように、そういう場合に法務大臣として紹介されたならば、それは違うと、こういうことを言うべきであったでしょう。それくらいのやっぱり配慮はあってしかるべきだと思いますが、そういう点ではやはり慎重を欠いたと言われてもいたし方ない。しかし、私は、三木内閣は憲法を改正せぬという方針を明らかにしておる内閣でありますから、それを承諾して、その方針を守るということで入閣を承諾したわけであって、稻葉法務大臣が入閣後この方針に反するような、職務の執行について反するような行動はとっておりません。また、今後もこの方針に背くようなことがないばかりでなしに、これに誤解を生ずるようなことば一切いたさないという約束をしておりますから、したがって、今回の場合、倉石氏の場合と比較してこれはどうかと、これを両方比較すべき性質のものだとは考えておらないのでございます。
○白木義一郎君 誤解を招くと言いますと、まるでこっちが悪いように聞こえるわけです。法務大臣が、進軍ラッパを吹いている、一日も早くこんな諸悪の根源の憲法は改めるべきである、火の玉となって進めと言っている席上へ出て、拍手を受け、頭を下げて帰ってきた。片方は、農林大臣は記者会見でぽろっと他力本願だと、それであれした。もう全然比較にならぬ。私はその点、総理大臣、はっきりとした行動にあらわしてすぐ御答弁をしていただくまで、私の質問は保留いたします。
○国務大臣(三木武夫君) 白木君に申し上げますが、稻葉法務大臣はこの方針に従って今日まで国務大臣としての職務をいたしてまいってきたわけでございますから、しかし、個人と閣僚と使い分けをしよう、使い分けができると考えたところにやはり問題の混同があるわけでありますから、今後は十分にさようなことのないように言動を慎むということを本人も言っておりますし、私も今後十分に注意をいたしてまいる考えでありますので、この問題についてほかの、全然背景が違うほかの問題と比較してどうかということをお答えすることは適当でないと考えます。
○橋本敦君 私は、まず総理に対して明確にしてほしいのですが、あなたは、きょうの委員会でも繰り返し三木内閣としては憲法を改正しない、国民にこれを信頼してもらいたい、こうお述べになっておられます。そこで私は、憲法を改正しないという総理の言明が具体的にどういうことであるのかをまず明確にしていただきたい。それはすなわち、三木内閣としては憲法改正の発議をしないことはもちろんですが、憲法改正を目指しての政府としての研究作業や資料の収集や、そういったような準備行動も含めて一切やらないということをはっきり言明されますかどうか、明確に御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 政府のもとに置かれた憲法調査会、そのもとの憲法資料調査室というのがありまして、各国においていろいろ新しい憲法ができたりするんですよ、そういうことでその憲法の資料を集めておるような仕事をしておりますが、憲法改正のための準備は政府はいたしておりません。
○橋本敦君 いたしていないといういまのお話ですが、憲法改正を目指しての政府としての準備活動は、あなたが総理である限り今後も、いまはいたしてないという答弁ですが、今後もしない、これは確約されるわけですね。
○国務大臣(三木武夫君) 私は憲法改正しないと言うのですから、改正のための準備を私の内閣ですることはございません。
○橋本敦君 あなたは先ほどこの三木内閣の方針、つまり憲法を改正しないという方針はこれはきわめて重要な方針なので、閣僚はこれに従う責務があって、これに従わない閣僚はやめてもらうということを明言されましたが、これも三木内閣の基本姿勢と了解をしてよろしいわけですね。
○国務大臣(三木武夫君) 三木内閣に入閣しておる閣僚は三木内閣の方針に従うということは、これは当然の責務だと考えます。
○橋本敦君 私が言っているのは、当然の責務であることはわかりました。その責務を逸脱した場合においては、当然あなたは罷免権を行使して閣僚を罷免する、それだけの強い決意を持っているのだということを言明されたのでありませんか。そのことを確認したいという意味です。
○国務大臣(三木武夫君) それは三木内閣の方針に従えないというなら、本人自身も閣僚としてとどまらないし、第一それはやっぱり閣僚を辞退してもらうことは当然でございます。
○橋本敦君 いま、稻葉法務大臣が五月三日の自主憲法制定国民会議の総会に参加をされたことがこうして問題になってきたわけですが、総理はその会合がどのような具体的内容を持った会合であったかを調査をされて、十分了知されておりますか。調査をされましたか、されませんか。それだけで結構です。
○国務大臣(三木武夫君) まあいろいろ集会というものはこれ皆各自自由に、集会を開くことは自由でございますから、その会の模様というものについていろいろ詳細に私は調査はしておりませんが、自主憲法制定国民会議という会の名前であったということを承知しておりますが、その内容について詳細に調査はしておりません。
○橋本敦君 総理、それは問題ではありませんか。まさにその会議に稻葉法務大臣が出席をしたということが、三木内閣の憲法を改正しないという政治基本姿勢との関係で問題になっている。だから、この問題についていかなる責任をとるべきであるか、とらすべきであるか、これを検討する上では、この会議がどういう会議であったかをあなたが調査を命じ、みずから具体的事実を知る、これは当然ではありませんか。稻葉法務大臣は、去る七日の決算委員会において私の質問に対してどう答えていますか。自分から進んで、この集会は激烈な集会であったと述べているんですよ。そんな集会に出たということを認めているんですよ。それを明らかにしないで責任を判断するということは、そもそもできないじゃないですか。あなたは閣僚の責任は重いと言われた。同時に、三木内閣の国民に対する責任はもっと重い。その責任を果たす上で、稻葉法務大臣がどんな集会に出たかさえ具体的に調査していないということは、まさにあなたがこの問題を軽視をしているという証拠ではありませんか。どう考えられますか。
○国務大臣(三木武夫君) その内容の詳細について、どういう発言があったかというようなことは調査をしておりませんが、私はその会合に稻葉法務大臣が個人の資格において出席をしたということが一つ、閣僚としての出席ではなく個人の資格において出席をしたということが一つ、また、三木内閣の憲法改正せずという方針には賛成をする、したがって今後とも、その方針にいやしくも誤解を生ずるような行動というものは今後は十分に慎んでいきたい、このいわゆる個人と閣僚を使い分けたことに対していろいろな誤解を生じたので、そういうことのないように今後は慎みたいということを言ったわけでございますので、したがって私は、そのようにこの問題を私自身も解釈をいたしたわけでございます。
○橋本敦君 いまの総理の答弁は、とうてい私は納得できません。まさに稻葉法務大臣がどういう集会に参加をして、それが国民の目から見てどういう意味を持つのか、三木内閣の改正しないという政治姿勢とどうかかわるか、これを明らかにしなければ問題の解明はできません。 私はここに、その日にその会議場で配られた資料を持っています。これは稻葉法務大臣もおもらいになった資料であることは間違いありません。その会議で一体どういうことが議論をされ決められているか、まずこれを明らかにしてみたいと思います。 まず第一に、先ほどから言われている岸内閣のメッセージの問題がありますが、その前に稻葉氏は法務大臣として紹介をされて拍手を受けた、これはもう明らかですね。そしてこの会議で配られた資料、この中に「自主憲法制定国民会議資料」という資料があって、この中に、当日議事次第に従って事業報告という形でこの文書に基づいて報告されています。この会議がどういうものであるか、その性格を端的に示すものですから、具体的に私はその点を指摘してみましょう。 「自主憲法制定国民会議の発足とその経過並びに本年度の新方針」と題して、その中に次のように述べられている。「国民会議を構成する民間七十八団体が夫々の見識と強烈な改憲意慾に燃えているものの、七十八団体の申し合わせは、国民会議諸団体が信頼する政府責任政党たる自由民主党の改憲内容が明確になった時点に於て、各団体は百家争鳴を停止し、小異を捨て大同に就き自民党案をもって改憲の大雄として自主憲法制定の前面に掲げて改憲の大業を果すことを申し合わせたのである。」これがまず第一点です。そして次にこう述べています。「本年からは、国民会議自体に於ても内部組織を改めて、国民会議内に中央委員会を設置し、自ら進んで研究し全国民に呼びかけて逆に自民党に同調を求め自民党を激励して目的貫徹に積極的活発な運動を展開することに決定した。」こういう報告がなされている。いいですか、総理。そして、その後でさらに続いて最後に「わが国民会議が強烈に主張し強烈な運動を展開する所以である。」ということで結んでいる。 そこで総理、このような討議資料に基づいてこのような報告がなされた事実、あなたは調査をされておられないから御存じないと思いますけれども、稻葉法務大臣、このような報告がなされた事実は間違いないですね。あなたは聞いておられますね。事実だけ明確に。
○国務大臣(稻葉修君) 私は途中で帰りましたから、その申し合わせをするときにはいなかったのじゃないかと思いますがね。
○橋本敦君 法務大臣、絶対にそれは私はごまかしだということを申し上げますよ。私は調査をしています。ここに式次第がありますが、私が確認したところでは、あなたが退席をされたのは、いま私が言った議長あいさつの次にこの事業報告がなされたよりはるか後です。あなたが退席したのは、議長団が選出をされ決算報告の承認があり、そうして「街頭進出と日常活動」という運動方針が提案され、その後で退席をしておられる。もし何なら参考人を呼んで明らかにしてよろしいですよ。あなたはどの段階でどこまで話を聞いて退席をしたと、こうおっしゃるのですか、明確にしてください。
○国務大臣(稻葉修君) こういうことが私の記憶にはある事実です。それは、どういうところまでおったかはいまはっきり覚えておりませんが、途中で記者諸君が会見をしてくれということを、事務局のどなたかが言いに来たんです。それで私は席をはずして記者諸君と話をして、そうして戻ってきたときにはそのいまのことが済んでおったのか、それもわからないですね。そうしてまたその次の話を聞いてみると、先ほどのメッセージもこれ困ったもんだなあと思いながら、その次の話を聞いてみると、だんだんエスカレートしてきますからね、これはどうもいままでの自主憲法期成議員同盟の行き方とも、それから私は憲法調査会長としてやっていたあのことがどうなっているか……
○橋本敦君 委員長、簡単に答弁するように注意してください。
○国務大臣(稻葉修君) いや、退席した理由です。理由を申し上げているんです。
○橋本敦君 いつごろ退席したかと聞いているだけですよ。
○国務大臣(稻葉修君) それが、どなたかが、いま名前は忘れましたが、相当激しい演説が始まつたすぐ直後なんです。その人が、名前と言うと、そういうことは知らないんです、いま。
○橋本敦君 いま私が読んだのは討議資料として袋に入れてその中に入っている文書、これに基づいて報告されています。私はテープを起こして聞いています。あなたはこの中に討議資料として入っておるものはごらんになったでしょう。
○国務大臣(稻葉修君) 私、袋を出した覚えはあるけれども、よく詳細に全部見たようではない、そういう記憶です。
○橋本敦君 要するに総理、この討議資料の中にいま私が摘記をした強烈な改憲運動を進めていくということを事業方針として書かれてある資料が入っておる。これはもう事実です。明らかです。さらに、いま稻葉法務大臣が言われた激烈な報告があったというのは一体どういう報告か。岸総理からの諸悪の根源云々というメッセージがあったそのことではなくて、激烈だとあなたが言った報告があったのは運動方針に関する報告、そのことは記憶ありますか。
○国務大臣(稻葉修君) 運動方針に関するこの説明ですね、そのときは記者会見のときじゃなかったかと思います。記者会見から帰ってきて、演説しておられたのはそれを鼓舞するような何か演説でして、しかし私どもの自由民主党憲法調査会長としていろいろなことを考えたのと大分違うものですから、これは余りおもしろくないなあと思って退席をいたしたような次第です。出るときも用心をし、それからそういうことにも用心をして実は帰ったのでございますので、三木内閣の改正をしないという方針に従っている者としてはそのくらいな行動はとらなきゃいかぬと、こういう認識でございます。
○橋本敦君 出るときも用心したというのは、あなた許せませんよ。出るときに用心して、法務大臣の稻葉修先生、非常に喜ばしいことにお忙しい中をお越しになりましたと紹介されている。用心していれば、こういう紹介がないように用心したらいいじゃないですか。通りません。 いま私が指摘をした、この集会で次に提案された「街頭進出と日常活動」という、これは中央委員会副委員長戸張卓さんが提案報告をされたんです。私は問題の個所を読んでみますから思い出してください。こういう運動方針が提案されているのです。「昭和四十四年五月、わが国民会議が発足いたしまして満六年になりました。この間に、わが式典といたしましてもさまざまの施策を続けてまいりました。しかしながら、自主憲法制定に対する意見はいよいよ強固になるばかりでございます。諸内外の情勢はその早期実現を要請しております。こういったときに、わが中央委員会では、本年のわが国民会議の総力を街頭に進出して日常活動を行うというような意見に帰結をいたしました。」 そして次のことが提案されている。一つは街頭宣伝車を一台ぜひとも早急に整備をする。そしてこれに乗る専門の宣伝会員をつくって、そして、間接的に一カ月一遍や二カ月に一遍やったのではどうにもならない、これは専従職として毎日やる。「その宣伝カーを駆使いたしまして三百六十五日日本全国を宣伝活動していきたい、こういう意見でございます。」これが一つの提案です。もう一つは「国家緊急事態に対しまして治安立法を請願し、その署名を集めるということであります。」これが次の問題です。その次の提案は「わが国民会議各団体は、友好団体にお願いをして優秀な青年学徒をぜひとも日本の自衛隊、防衛大学に大量入隊させたい、こう考えております。」こういった「街頭進出と日常活動」の方針が会議では提案をされて、戸張さんから報告をされておる。あなたは聞いた覚えがあるでしょう。いかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) それは聞いております。
○橋本敦君 おるでしょう。稻葉さん、私はあなたに伺いますが、いまの憲法で非常大権、緊急事態法、いいですか、そしてこのための治安立法、こんなことを署名を集めて請願をやる、こういう運動をやるんですよ、この会議の運動方針は。韓国における人民弾圧の大統領緊急措置令しかり。まさにいま金芝河氏は死刑の重い心配の前にあえいでいます。こういうことをやろうというんですよ。まさに現憲法の民主的諸条項と国民の基本的権利、これをじゅうりんする。しかも自衛隊に大量に入隊さす、こういうような軍国主義的な、反民主主義的な運動を強固に展開しようという会議にあなたは出席をした。これははっきりしています。 そこで総理に伺いたいのです。あなたは稻葉法務大臣がどのような会議に出席したかは調査しなかったとおっしゃる。いま稻葉さんがお認めになったように、このように強烈な改憲運動を推進する団体、こういうことまで決めている団体なんです。いまの憲法でとうていやれるはずもないような緊急事態法を目指しての治安立法制定請願までやろうということを提起している団体なんです。三木総理、伺います。このような強烈なファッショ的な憲法改正推進の運動体である会議にあなたの閣僚が出席をしたという事実、これについてあなたの基本政治姿勢との関係で重大な問題があるとお考えになるのは当然だと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 稻葉法務大臣がいま私に言っておったことは、従来憲法調査会長として出ておったときはそういうふうな会ではなかったんだということで、自分はその会の内容について賛成はしないんだ、賛成はしないという、むしろそういう考え方に対して反対の意見を持っておるんだということをいま言っておりましたが、とにかくこういうことだと私は思うんです。従来も出ておったので個人という資格でその会に出た、その点はいま言った慎重を欠いたということはしばしば申し上げておるわけであります。しかし、憲法を改正をするということは、これはそのときの政府の方針ですから、私は憲法を改正しないと言っておるし、また今日、橋本君がごらんになっても、国民の中に現在の憲法は定着をして多数の国民が支持しておるわけですから、また内閣も憲法を改正しないという方針を明らかにし、そうしてまた稻葉法務大臣もその方針を承諾したればこそ入閣しておるわけですから、三木内閣の閣僚としての稻葉法務大臣の三木内閣の方針に対してこれを守っていくということに対しては、いささかも彼はそれに違反するような考え方を持っていないのでありますから、そのことは、会合に出てその会がどういう性質であったからといって、その会がいかにも稻葉法務大臣と同じ考えであると言うことは、少し私は独断に過ぎるという感じがいたします。
○橋本敦君 総理、あなたは憲法改正をしないという基本政治姿勢をとっている。これは非常に重大な姿勢だとおっしゃった。いま、稻葉法務大臣が将来慎むとかどうするとかいうこととの関係で私は聞いているのではないんですよ。このような稻葉法務大臣自身が国会で激烈だとおっしゃった集会なんです。その激烈の中身はいま私が指摘して、稻葉大臣も認めました。このような集会にあなたの閣僚が、三木内閣の分身であり、重大な閣僚ですよ、法の番人として法務大臣は。それが法務大臣として堂々と紹介をされて、拍手を受けて参加をしておる。この事実はまことに遺憾であるとあなたはなぜおっしゃらぬのですか。遺憾ではありませんか。その事実についての御見解、これを聞きたいと言うんです。
○国務大臣(三木武夫君) したがって、しばしば私自身も、それは慎重を欠いたと、また稻葉法務大臣も、非常に慎重を欠いた行動であった、今後は十分にさようなことのないように自分も今後は戒めていきたいという意味の発言があったわけでございます。
○橋本敦君 普通の憲法改正を論ずるような研究集会に出たのとは事柄が違います。わけが違います。大変な改憲推進運動に出ているという事実なんですよ。これが三木さん、あなたが本気で憲法改正しないことを基本方針とするあなたの基本姿勢からいって、あなたの閣僚が出たことについてその程度の反省しかあなたはお持ちにならぬのですか。いまあなたは個人として出たと、このことを一つの理由におっしゃいました。法務大臣として紹介されている事実、これは動きませんよ。稻葉法務大臣は決算委員会でも、個人として自主憲法期成議員同盟の一会員として出席したと、こうおっしゃっている。 法務大臣に伺います。普通の会員の座る席にあなたはお座りになりましたか。それともどこに当日お座りになりましたか。答えてください。
○国務大臣(稻葉修君) 私この会に出ようかなあという気持ちになりましたのは……
○橋本敦君 事実だけ答えてください。
○国務大臣(稻葉修君) いやしかし、それが関係があるんです。それがあなたのどこに座ったかということに関係があるんですよ。私、前に自由民主党の憲法調査会の会長として憲法調査会の決定をいただいた日本国憲法改正草案大綱というものが、その後憲法調査会長がかわってどうなったろうか、いつもの会合では憲法調査会の会長の報告があるんだが、小島会長はどんなことをおっしゃるんだろうと、こういうことで、やっぱり憲法に興味のあるものですから、つい出なければいかぬ、しかしこれは法務大臣という職にある、役所の車は使っちゃいかぬな、秘書官もよこしてはいかぬなと、こういうことで行ったのです。それだから個人として行ったのですから、まあその辺に置いてくれればよかったのですけれども、前に憲法調査会長としていろいろ大会で説明したりした前歴があって重く見られたのでしょう。そこで相当の上席へお座りくださいと言いますから、司会者の言うとおりそこへ座りました。
○橋本敦君 ただいまの答弁、納得できません。あなたは先ほど、初めからよく注意をして行ったと言ったじゃありませんか。よく注意をして行ったならば、いまあなたは憲法調査会長でないことは明らかだし、壇上に座る必要はありませんよ。それを漫然と壇上に座ったままである。まず第一にこれは問題じゃありませんか。深刻な反省をしている人のまともな答弁と思えませんよ。 総理、あなたは稻葉法務大臣の言葉をそのまま信用して個人として行ったということを何度も強調されますけれども、新聞でも写真は出ていますし、私はいまさら写真を総理にお見せするまでもないと思ったのですが、念のために稻葉法務大臣がどこに座っているか、当日の写真を私は大きく引き伸ばして持ってきておりますから、一遍総理見てください。 いいですか、総理。稻葉法務大臣はまさにこのひな壇の一番上席に座っておられます。この下には一般会員の方たちが座っておられます。右は議長団ですね。真ん中は発言席。そこで稻葉法務大臣は胸にバラまでつけてもらって座っておられます。こういう状況を総理、率直にごらんください。国民の常識の目で、本当に正しい常識の目でこれをごらんください。そうしてこの壇上で法務大臣は、まさに法務大臣として紹介をされて万雷の拍手を受けたのです。これが個人として出席したんだと、こう言って通ることでしょうか。国民に言いわけが立つことでしょうか。絶対に立つような状況ではありませんよ。これについて総理、いかがですか。いまだにやっぱり個人として行ったのだということのお考えは変える必要はないと考えていますか。
○国務大臣(三木武夫君) 本人自身も個人として行くということで車まで役所の車を使わずに行ったのですから、個人の資格ということで稻葉法務大臣が出席したことは私は疑わないんです、これは。ただしかし、閣僚であったということで、そのことがやはり世間から見れば個人と閣僚二重写しになって、閣僚の重みというものがありますから、そういう点では慎重を私は欠いたと考える次第でございます。
○橋本敦君 総理の答弁は、全くあなた自身が責任を痛感されておられない答弁としか受け取れません。あなたは総理として憲法を改正しない、いやしくも国民に三木内閣がそのようなことをする内閣だと疑わしめるような行為を閣僚にさせてはならぬと、こういう立場です。ところが、いま写真でお見せしたように、私が説明したように、非常大権を要求するような、また自衛隊大量入隊を運動としてやるような、そんな集会に法務大臣が出ている。この事実だけでも国民はけしからぬと思いますよ。それを個人として総理自身がかばう。何ゆえですか。あなたは先ほどこうおっしゃいました。個人と閣僚、この使い分けはこれは許されませんとはっきりおっしゃいました。そうおっしゃったあなたが、いまは個人として行ったんだとかばい続ける。これだけかばい続けるということならば、三木総理、あなた自身もまた、いいですか、憲法改正しないとこう言明しながら、このような集会に閣僚が参加したことをやすやすと容認をしたということにおいて、あなたの政治姿勢そのものが問われますよ。いかがですか。 私は、次にあなたに質問したいと思うんです。あなたは先ほど閣僚は重い、個人との区別はつきにくい、だからそういうことを区別してやろうというようなことはやめねばならぬ、こうおっしゃった。今後この集会に閣僚を出席させないということは井出官房長官から伝えられたと聞いていますが、それは総理の指示と伺ってよろしいですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は全閣僚が、三木内閣は憲法改正せずということを明らかにしておる、これは国民に対しての厳粛な約束です。簡単にこれは変えられるような約束でありません。また、私自身が改憲論者でないということは橋本君だっていろいろお調べになってもおわかりのとおりであります。そういう点からして、これは国民に対する厳粛な約束でありますから、この内閣における閣僚は、いささかもこの方針に対して疑われるおそれのあるような行動はこれからとらないように注意をいたすことは申すまでもございません。
○橋本敦君 もう一度はっきり聞きますが、今後閣僚を出席させるのですか、させないのですか、その点を聞いているんです。時間がありません。一言答えてください。
○国務大臣(三木武夫君) 閣僚としてはやはりいま申したように、これは憲法改正をしないという三木内閣の方針からして、非常にそういうふうに受け取られない疑いを生じさす何がありますから、三木内閣の閣僚が出席をすることは適当でないと考えております。
○橋本敦君 まさにあなたが適当でない、今後させないと言うその集会に、すでに法務大臣は参加しておるんですよ。責任は重いですよ。井出官房長官はこの問題について、「同氏個人の」——稻葉氏個人の「資格においてであるが、これについて誤解を招くおそれがあるという意見もあるので、ここに、憲法改正を行うことは考えていないという現内閣の基本方針を再確認するものである。」という文書を出された。他人事ですよ、総理。「誤解を招くおそれがあるという意見もあるので」なんて、どうですか、そんなことで三木内閣の責任が果たせますか。いまあなたはしきりに個人と閣僚との区別はむずかしい、そんなことをやったのは不謹慎であった、軽率であったと言っておる。できないんですよ。それをお認めになっておる。ところが、この井出長官の文書では「個人の資格においてであるが」とこう書いて、しかも「誤解を招くおそれがあるという意見もあるので」というように、きわめて三木内閣の姿勢としては他人事のようにとらえておる。こういうことでは納得できません。 あなたがここで答弁された問題、そして私が指摘した問題、本当に三木内閣がどういう責任をとるのか、いまどう考えておるのか、あなたのしっかりした見解を、そしてこの食い違いを正して意見を再統一して明確にしてもらうことを要求します。
○国務大臣(三木武夫君) しましょう、いま。
○橋本敦君 いまおやりになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) いま私が言っておるのは、個人と閣僚というものを使い分けるということは、これはやはり閣僚の重みからいってそう受け取られない場合が多いので、今後個人という資格であっても、閣僚である限りにおいてはそういう会合には出席をいたさないようにいたします。
○橋本敦君 三木総理、官房長官が出された見解と、きょうあなたが答弁をされた見解と食い違いがあるということはお認めにならぬのですか。
○国務大臣(三木武夫君) 総理大臣としての考え方を申し述べておる次第でございます。
○橋本敦君 統一見解では「同氏個人の資格」において出席したことを非難しておりませんよ。変更されますか。三木内閣の統一的見解を明確に示されるように、委員長、取り計らっていただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) これはその問題については触れていないんですね。三木内閣が憲法改正を行う考えのないことを再確認するものでありますということに重点が置かれたわけでございまして、個人の資格においても閣僚である間はそういう会合には出席をいたさせない考えであるというようなことには触れていないので、これは再確認ということに重点があるので、この考え方と違っておるとは私は思いません。
○橋本敦君 きょうの総理の答弁は、みずから憲法を擁護すると言いながら、改正しないと言いながら、憲法軽視も私ははなはだしいと思います。こんな重大な集会に閣僚が参加し、まだ個人として参加したからと言ってかばっておる。絶対に許せないですよ。しかも、いま言ったような食い違いの問題もあって、私は三木内閣が改めて内閣として正式の統一見解を出すことを要求して、それまで質問を留保してきょうの質問を終わります。
○委員長(多田省吾君) この際、お諮りいたします。 委員外議員和田春生君及び市川房枝君から発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(多田省吾君) 御異議ないと認めます。和田君。
○委員以外の議員(和田春生君) 私に与えられた時間はわずか十五分です。大変制約をされておりますから、いままでの同僚各委員の質問と重複を避けて端的にお伺いをいたしますので的確にお答えを願いたいと思います。 まず第一として、いままでしばしば三木総理の答弁、また稻葉法務大臣の答弁の中に、三木内閣としては、あるいは三木内閣の閣僚としては、こういう言葉がしばしば使われております。しかし考えてみますと、そういう言葉のもとに憲法論と政治論、内閣の責任論というものが混同をされている。そして政党政治が土台にある議会制民主主義のもとで、政党の存在が欠落をしている。そこにこの問題がはっきりしない重要なポイントがあると思います。 そこで第一に、三木総理にお伺いをいたします。三木さんは総理になったから自民党の総裁になられたのではありません。自民党の総裁になって総理になられた。しかも、その自民党の総裁は、従来の党の体制の中で指名をされたわけであります。そこで、三木内閣として憲法を改正しないということは、現行憲法を改正して自主憲法を制定するという自民党の党議決定にこの三木内閣は従わない、こういう総理・総裁の宣言である、こういうふうに受け取っていいかどうか、その点を伺いたい。
○国務大臣(三木武夫君) そういうことにはならぬでしょう。やはり憲法改正に取り組むかどうかという方針を決めるのは内閣ですから、そういう方針は持たない。自民党にはそういう調査検討する機関があるわけでございますが、内閣の方針として憲法の改正に取り組むことはしない、こう言っておるのですから、何も自民党とこの私の内閣とが矛盾することはないと私は信じております。
○委員以外の議員(和田春生君) それはごまかしだと思います。国民の直接選挙で憲法を改正するかしないかを争点にして成立した内閣ではないのです。政党選挙が土台になっているわけです。自民党であなたは総裁に選ばれた。その結果、自民党の議員の方の指名投票によって国会で総理に選出をされたのです。もちろん総理になられた以上、日本国の総理です。しかし、その自民党が背景にある。自民党は憲法を改正する、自主憲法を制定するということを党是にしているのです。その自民党を与党とする自民党内閣の三木内閣が憲法を改正いたしませんと、そういうことを言うということは、三木内閣としては与党である自民党の党議決定には縛られない、それには従わないということの総理・総裁の宣言であるかどうかということを伺っている。端的にそうであるかないかをお答え願いたい。
○国務大臣(三木武夫君) こういうことじゃないですか、やはりわれわれはできるだけよい憲法を持ちたい、こういうふうに政党が考えることは事実です。だから、憲法というものに対して常に調査検討を政党がするということは、私はそれは当然のことだと思うのです。しかし、憲法改正というようなことは、これは国の基本法に関することでございますから、慎重に慎重を期さなければならぬ。自民党が、私もどういうことを言っておるかということを読んでみたのですが、これは最近は憲法の改正については触れていないのです、最近の選挙では。昭和四十四年十二月の総選挙に「われわれは当然の義務として現行憲法を遵守する。憲法の改正は国家最高の課題であるから、これを十分再検討し、世論の動向を見きわめつつ対処する」、これが昭和四十四年十二月の総選挙に掲げた自民党の政策でございます。
○委員以外の議員(和田春生君) それでは、憲法改正する、あるいは自主憲法を制定するという自民党の党是といいますか、政綱というものは改められたわけですか。
○国務大臣(三木武夫君) 現にそういうことは自民党の中にそういう自主憲法の、自由民主党憲法調査会というのがあって、いろいろ調査研究しておることば事実でございます。したがって、これは改められたわけではないわけであります。しかし、いまここの総選挙のときにも言っておるように、われわれは当然の義務として現行の憲法を遵守して、憲法の改正というものは国家最高の課題であるから、これは十分世論の動向を見きわめつつ対処するというふうに言っておるのでございまして、こういういろいろ検討はするけれども、しかし、この検討した結果について世論の動向を見きわめつつ対処するのだということで、これは全然この検討を自民党がやめるということではございません。しかし、その判断をするものはやっぱり政府ですから、政府は憲法改正をしない方針であります。このことを池田内閣以来ずっと自民党は言っておるわけで、だから総選挙の争点にも、最近の参議院選挙にも、あるいは衆議院選挙にもしてないわけです。そういうことでありますので、そういう検討ということを自民党が党としてやめたわけではございませんが、内閣の方針として私が申し上げておると御承知願いたいのでございます。
○委員以外の議員(和田春生君) あなたは総理であると同時に総裁です。そうすると、いまの三木内閣の与党である自民党は、党の意思として憲法を改正する考えは持っておらない、検討はしているけれども改正する意思は持っておらない、そう確認してよろしいですか、ここで。
○委員長(多田省吾君) 御答弁は簡明に願います。
○国務大臣(三木武夫君) 三木内閣として憲法改正の方針は持っていない、こう言っておる。
○委員以外の議員(和田春生君) だから問題だと言っているのです。政党政治を土台としている中で、三木内閣としてはとか、三木内閣の閣僚としてはと、こう盛んにおっしゃいますけれども、憲法をごらんいただきたいと思うのです。内閣が憲法改正の発議権を持っているのでしょうか。それは憲法も、御承知のように九十六条で、国会において両院議員のそれぞれ三分の二の賛成によって国会が憲法の改正を発議するということになっているのです。だから三木内閣がするとかしないではなくて、内閣としては改正ができないというのが本当でしょう。したがって、その国会を動かすのは政党の責任でしょう。自民党が自主憲法を制定するとか憲法を改正するということを言っておられるわけです。私は憲法を改正するなという立場ですから、立場を異にいたしますよ。しかし、ごまかしがあってはいけないのです。その自民党が与党として憲法を改正するという意思が後にあるから、幾らあなたが三木内閣としては憲法改正しないとおっしゃっても、国民がどうかなあという疑いを持つのです。内閣は憲法の改正の発議ができると考えていらっしゃいますか、憲法の規定で。その点を伺いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、憲法改正といっても、これはやっぱりそれを準備しなければならぬわけでありますから、政府がそういう憲法改正ということの方針を決めて、そうしていろいろ準備をしていなければ、改正といっても、国会が発議するにしても、政府の準備も何もなしに発議というわけにもまいりませんから、そういうことでやはり相当な準備も要るわけでありますから、自民党も鳩山内閣、岸内閣は憲法改正を打ち出しておったわけですが、池田内閣以来は憲法改正の方針はないということを明らかにしておるわけでございまして、そういう憲法改正の準備をこの内閣はしない、こういうことを申しておると解していただきたい。
○委員以外の議員(和田春生君) 問題をすりかえてもらっては困るんですよ。私は現行憲法が、内閣に一切憲法改正問題に手をつけていないというふうに明文で規定するとは考えておりません。しかし、憲法の条項を読んでいけば、内閣総理大臣は総理の権限として内閣を代表して議案を国会に提出するということはあります。ところが、七十三条に内閣の職権が決められているわけです。憲法改正の発議というのはございません。憲法の改正手続は明らかに両院議員にある、国会にある。その国会が、各政党が土台になって運営されているのが現在の日本の議会制民主主義である。したがって、内閣だ内閣だと言うのは、自民党によって総裁に選ばれて、そして自民党内閣の総理になられた三木さんとしては重大なごまかしですよ。だから私は、その背後の自民党が憲法の改正の意思がない、そういう前提に立っているのか、そうでないとするならば、自民党でどういうことを決めようと、三木内閣は自民党内閣であるけれども、憲法改正とか自主憲法制定に対する自民党の意思には従わないということを総理の責任において宣言しているのかどうかということを伺っているのです。はっきり答えてください。
○国務大臣(三木武夫君) 私の答弁は総理・総裁としての答弁でございます。だから、自民党は三木内閣の間憲法改正はしない、こういうのが自民党としての方針でございます。 それから憲法改正の発議権は、これは憲法解釈論もありますので、これは明白に申し上げておいた方がいいと思うので法制局長官から補足させます。
○委員以外の議員(和田春生君) 質問時間外ならば答弁を認めます。——それなら答弁は要りません。政治論をやっているのです。法的な解釈はある程度わかっています。 そうすると、三木総理・総裁のもとにおいて自民党は憲法を改正をする意思がない。自民党の、それが党の全体の意思である、そう了解してよろしゅうございますね。そうですか、確認をいたしておきます。もし間違った場合には、後で総裁の責任を追及いたします。どうぞ答弁してください、確認をしますから。イエスかノーでよろしいです。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、ここでは三木内閣の一つの行為として憲法改正はやらぬと言っておるわけですが、党の方においても三木内閣の間に憲法改正するという意思は、党は実際問題としてそういうふうな状態にはなっていないことは和田さんお考えになってもおわかりのとおりでありますから、そういうことでありますが、これはやはりそのことを、内閣の方針は私自身が決めたわけで、党の方針は、そういうことで党の方針を決めたわけではないわけでございますから。しかし常識的に考えまして、いま自民党が三木内閣の間に憲法改正をしようという考え方を自民党自身としても持つようなことは考えられないとは思いますけれども、これはやはりそういうことを党として正式に決めたわけではないわけですが、しかし、三木内閣の間に憲法改正ができるというふうなことは党としても考えるはずはないと考えています。
○委員以外の議員(和田春生君) 総理・総裁としての三木さんの答弁には、やはり重大なごまかしがあると思う。このやりとりは国民が判断すると思います。いま総理は、三木内閣の間は自民党は憲法改正するとは考えていないという意味のことをおっしゃいましたけれども、現在の政党の分野でいけば、自民党以外の各野党は、あるいは参議院の二院クラブも含めまして憲法改正に反対をしているわけです。両院議員で三分の二以上の賛成がなければ発議ができませんから、しないのではなくて、できないということでしょう、現在の議員構成で。そういう中で自民党がやはり多数をとって発議ができるようになれば、憲法改正の是非を議論しようとしているのではない、やりたいという意思が自民党にあるというふうに世間一般が受け取っている。われわれもそういうふうに受け取ってきている。ところが、三木さんのいまの御答弁によりますと、自民党全体がそういう意思がないというふうにも受け取れるわけです。 私の質問時間はもうあとごくわずかです。したがって、ここで端的に二つの点を確かめます。その可否については、追ってそれは明らかにして、私たちの追及の方法を決めたいと思う。 第一点は、三木内閣としては憲法の改正をする考え方はない、九十九条の憲法尊重擁護の義務を守っていくということを再々おっしゃられました。それならば、いま廃止をされておる憲法記念日の五月三日の行事を政府の責任において再開をする、このことを約束をするかどうか、これが第一のポイントであります。これは自民党に諮らなくても、内閣の責任でやれることであります。行政府として、三木内閣が憲法を改正しない、憲法を守るとおっしゃるならば、五月三日の憲法記念日の行事を、くどいようですが、三木内閣の責任において再開をする、このことを国民に約束をされるかどうか、これが第一点。 第二点は、自民党の中においてもし憲法を改正するという意思がないということであるならば、総裁として場を改めてそのことを党の意思として国民に表明する考えがあるかないか。もしできないとするならば、総選挙ないしは参議院選挙の際に、自民党の自主憲法制定の趣旨というものを争点として明らかにして、私たちと衆議院選挙あるいは参議院選挙を闘う意思があるかないか、そのことを明らかにしていただきたい。そのことを確かめまして私の質問にいたしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 憲法記念日の行事については十分に検討いたします。(「検討ではありません、再開するかどうか」と呼ぶ者あり)十分検討して、これは何らか憲法遵守という意味が、内閣の姿勢があらわれるような方向で検討をいたします。 それから憲法改正、三木内閣の時代に憲法を改正をしないということは、これは党としてもこれに対して異存があるわけはないと私は信じています。
○委員長(多田省吾君) 市川君。
○委員以外の議員(市川房枝君) 委員外の発言を許していただきまして、ありがとうございました。 さて、御承知のように私は無所属でございますけれども、選挙の際に、民主主義、平和、基本的人権の尊重を主軸としております現憲法を守り、私の行動の基準とすることを約束をしてまいりました。したがって、みずから私は革新無所属を名のり、反自民党の立場を堅持しております。 私が反自民党と申し上げる理由の一つは、自民党が現憲法を改悪し、昔の封建的な、軍国主義的な日本に引き戻そうとしておいでになるからです。これはいま三木首相と和田さんとの間にいろいろ問答がありましたけれども、一般の国民には、私どもにはそういうふうに自民党は映っております。その点で、岸元首相あるいは稻葉法相等が幹部をしておられます自民党内の、先ほどから問題になりました自主憲法制定国民会議の活動を私は苦々しく思ってきておる次第であります。私がこう考えておりますことは、一体間違っているかどうか、総理から御批判をいただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) いまの憲法は、市川議員の御指摘のように、婦人参政権もございますし、基本的人権、福祉、いろんな点で市民社会の基盤というものは非常に現在の憲法によって培われていると思っております。私は憲法の掲げる理想はりっぱなものである、これをやっぱり尊重していきたいというのが私の意見、私の考えでございます。したがって、憲法改正論者では私はないわけです。したがってまた、自民党としても憲法を改悪しようという考えを持っておる者は一人もないわけでございます。これは今日の時代で憲法を改悪するというようなことが許されるわけではない。憲法は国民が決めるものですから、国民がそんな改悪するような憲法を許すわけはないわけですから、どうかこの点は余りいろいろ取り越し苦労をなされないことが私は適当である。国民が許さない、今日。日本の民主主義というものは今日それだけの水準に達しておりますよね。また、自民党もそういうことは考えてはいない。 それからまた、いろんな集会は、それはわれわれが考えましてもまゆをしかめるような集会もありますけれども、集会というものはこれは自由ですから、これに対してわれわれがこれをとめるというようなことはできません。やはり集会することは、これは基本的な人権に関係することでございますので、いろんな集会に対して私が一々価値評価をすることは適当でない。これはやっぱり皆持っておる人間の基本的人権に属すると考えます。
○委員以外の議員(市川房枝君) いま総理は、自民党には憲法改悪なんて考えている者は一人もないとおっしゃいましたけれども、私どもはどうもそうは思えない。いままでの自民党の憲法に対する考え方の経過というものを一通り知っておりますから、ただそうおっしゃられても、すぐそうですかと申し上げられないのですが、少なくともそういう疑問を私どもというか、国民が持たないようにしていただければ、私は国民の考え方も変わってくるのではないかと思います。 次に、三木内閣が結成され、稻葉氏が法務大臣に起用されましたことを知りましたときに、私は実は失望をいたしました。稻葉さんは、どなたかおっしゃったように学者としてあるいは政治家としてりっぱな方のようでありますけれども、前に申し上げた自主憲法の会合に前から御関係になっておりまする改憲論者でおいでになりますし、また、自民党内のいわゆるタカ派に属しておいでになるということをよく承知していたからでございます。私から見れば、きょういろいろ問題となりました稻葉法務大臣の問題は初めから予想されていたことなんだ、こういう方を閣僚になさればこういう事態が起こってくるということは私はむしろ当然ではないかというふうに考えております。 法務大臣のことを申し上げましたから、ちょっとここで申し上げさせていただきたいのですが、法務大臣は三月二十五日の参議院予算委員会での私のトルコの問題についての質問に対して、大臣はこれを茶化しておしまいになりました。覚えていらっしゃいますでしょう。私は時間がなかったから、そのときその問題を追及しませんでしたけれども、この間四月二十九日、宮中での廊下であなたから私に対して、この間は相済みませんでしたというごあいさつがありましたけれども、どういう点をどういうふうに済まなかったと思っていらっしゃるか、この機会にちょっとおっしゃっていただきたい。
○国務大臣(稻葉修君) 法秩序の維持と国民の権利擁護の主務官庁である法務省の長として、売春の横行を非常に憂えておられる先生の御質問が予算委員会でありました際に、これはやっぱり法秩序の維持上、どういうことになっているのか私存じませんでしたものですから、よく調査をして御返答をしなければならないという意味で、調査をしなきゃならない、けれども、法務大臣自身調査しなくともいいわけですから、職員を使って調査をしてこれに対処する法務大臣の所見を申し上げます、お待ちくださいと、こういうまじめな答弁をすべきであったという意味で、相済みませんでした、自分に調査能力がないからどうも、目下考慮中でございますとか、そういう意味のふざけたことを申し上げましたのは失礼でありましたという意味で謝罪したわけです。
○委員以外の議員(市川房枝君) その問題の内容まで触れる時間はありませんし、法務大臣のその問題に対する御答弁は、改めて直接また話を伺いにいきたいと思います。 すでに前の和田さんから御質問、御注意がありましたけれども、なぜ政府は憲法記念日の会合をしないのかということは、一般国民が非常に疑問に思っております。昭和二十七年までは両陛下も出席されて盛大な記念集会が行われたのですが、二十七年からそれがすっかりやまってしまっています。普通の法律でも、毎年あるいは五周年、十周年というものに記念集会を催すことになっておりますのに、憲法はその後一度も行われていない。そのくせ現在の内閣の制度なりあるいは国会の制度というのは全部現憲法によって行われているわけですね。それなのに全然憲法を無視している。そして三日には擁護派あるいは改憲派ということで対立して、いま問題になっているような会合が行われているということは私はずいぶん不思議だと思うわけです。そのことについて、和田さんからの質問に対して総理は検討するとおっしゃり、いや検討じゃない、何とか具体的に、やるとまではっきりおっしゃいませんでしたけれども、私は政府としては、自民党の方は改憲論者がたくさんおいでになるから別としても、政府としては記念集会をおやりになる、きょうは和田さんの答弁にさらに一歩進めて、やるということをここでおっしゃってくだされば、総理が憲法を尊重しているんだ、改憲はしないんだとおっしゃることの一つの裏づけに私はなると思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) いま和田君にもお答えしたのは、これはやっぱり現在の憲法を政府が存置するということを明白にするということが一つの意義のあることだと思いますので、これは何らかの行事をする方向で検討してみたいと思っております。
○委員以外の議員(市川房枝君) さっき総理が、三木内閣としては憲法の改正をしないという言明があり、和田さんからそうはっきり言えるのかというようないろいろな議論がございましたけれども、一応とにかく三木内閣が憲法を改正しないということをおっしゃったことは私は評価をしたいと思っておりますが、それには、消極的にただ改正しないと言うのでなく、いま申し上げました問題も一つですけれども、さらに私は発想を変えて、国民に現在の憲法を知らせる、そうしてその中で、それは改憲する必要を認める人もあるかもしれないし、いや憲法に規定しながら政府が怠って実現していないという点もありますし、私はそういうことをもっと公にして——何だかいま隠しているみたいで、都合が悪いみたいな様子に思われて、実際憲法は日の目を見てないとでも言えるのじゃないかと思うのですけれども、だから三木内閣はその点でひとつ積極的に、改正しないと言うのじゃなく、それを、まあ自民党との関係もありますからはっきり守るとも言えないかもしれませんけれども、しかし憲法の内容を国民全般によく知らせる、そして検討するということの空気を一般につくるということは、それは内閣で三木総理御自身のお考えでおできになることでございますから、ひとつこの機会にぜひやっていただきたい。先ほどから、きょう問題になっておりました法務大臣の辞任の問題、私は改憲論者は本当は内閣にはいない方がいいと言いましょうか、さっき申し上げましたように。けど、これは済んだこと。だから、そうでない方で内閣が構成されれば結構ですけれども、そういう一人の大臣の問題よりも、私は憲法そのもののもっと全般的な問題を考えていただくことの方がもっと重要な問題ではないのか、こう考えておりますので、その最後の点についての総理のお答えをいただいて私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 自民党の中に改憲論者もおることは事実であります。しかし、その改憲論者といえども、憲法の掲げておる理想、民主主義、人権尊重主義、平和主義というものを、これを改正すべきだという意見の人は一人もいないのですよ、自民党に。やはりこの理想というものは将来日本が高く、国内ばかりでなしに、日本の憲法というものは世界に大いにそういう日本の憲法の理想のようなことが世界においても実現されるということはわれわれ努力する一つの大きな課題だと思いますので、憲法の掲げておる理想というものを内外に広く何といいますか、宣揚する努力はいたすことにいたします。
○安永英雄君 一点は、先ほどから論議をやっております欠陥憲法、こういう発言を取り消す、こういう意思があるということを表明されましたけれども、これは念を押しますが、いつ、どこでこの取り消しをやられるのか。あるいは積極的に出られるのか、どこかで委員会があるというときにやりましょうというぐらいのことなのか、その点の考え方を明らかにしていただきたい。
○国務大臣(稻葉修君) 決算委員会での発言でございますから、それの取り消しはやっぱり決算委員会の、全体の委員会というわけにいくかどうか、その辺は全体の委員会でやるか、委員長にお任せするのか、委員長、理事さんにお任せするのかは別でございますが、そういう手続をとる意思のあることを表明したいわけでございます。
○安永英雄君 五月七日、この稻葉問題が起こって直ちに政府の方は統一見解を出されました。この統一見解は非常に抽象的、内容的に見ましても矛盾がある。時間がありませんから内容的には申しませんけれども、少なくとも決算委員会、その後にやっておるこの中でも論議を具体的にされておる。この中で欠陥憲法などという発言も出てきておるし、あるいはまた本日の審議の中でも非常に、抽象的でなくて具体的にいろいろ出てきておる。はっきり言えば、たとえば法務大臣としての立場ではなくて「同氏個人の資格においてである」というふうな書き方を統一見解ではなされておるけれども、きょうの総理の発言等でも、個人と国務大臣の立場のけじめは非常にむずかしい、しかし閣僚としての重みというものもあるんだと、こういうことで、あの当時何とか統一見解で解決できないかということで早々につくったこの統一見解というのは、この問題は政府として今日までの決算委員会や本日のこの審議を経て、もう一回やり直して統一見解を明確に出すという考えはないのかどうか、この点約束ができるかどうか。
○国務大臣(三木武夫君) これから衆議院でもきょうはまた引き続いて同じような法務委員会がありまして、衆議院においても政府の態度というものをできるだけ明確にいたしたいと考えております。その結果、なおかつそういう必要があれば考えますけれども、引き続いて衆議院の法務委員会において政府の態度を明らかにしたいと考えております。
○安永英雄君 この点は衆議院の審議、こういったものが終わりましても、参議院としましては終わる終わらないにかかわらず、このいまの現段階において、いままでの発言その他で統一見解は当然出してもらわなければ、こういった文字ではっきりその態度を表明してもらわなければ納得いかないという点がありますので、この点についてどうですかということです。
○国務大臣(三木武夫君) 今日、いままで私はできるだけ政府の態度というものを明白にいたしてきたつもりでございますが、それでもなおかつ何らかの政府の方針を出すことが必要であるという法務委員会の一致の御見解であるならば、考慮をいたします。
○安永英雄君 これははっきり考慮するということですから、参議院の法務委員会にこの見解ははっきり出してもらいます。 最後に委員長にお願いがあるわけでありますが、本委員会における審議の中からは、決して三木内閣の憲法を守り擁護していくという姿勢は、いまのところ私どもとしてはどうしてもこれは見受けられない。また特に稻葉法務大臣の、この自主憲法制定国民会議出席にかかわる責任とか、あるいは反省とか、こういった重大さに気がついていないというふうに私は思う。この事の重大さというものの認識が一つもない。ただひたすらに、三木内閣は憲法改正は行わない、あるいは法務大臣もこれに従う、こればかりを繰り返してひたすら陳謝に努めておる。これがもう今日まで朝からの事態で、この憲法問題、稻葉問題というものは、こういったあいまいの中でこれは終わるべき筋合いのものじゃない。このまま終わるならば国民の憲法に対する信頼というものは全く薄れてしまう。そういった意味で、私は委員長に、本日以降このような問題についての集中審議というものをなお継続してもらいたい、こういう私は要求をいたしますので、直ちに休憩でもやってもらって理事会でこの問題についての決着をつけていただきたい、こういうふうにお願いをいたします。
○委員長(多田省吾君) 後刻検討いたします。
○佐々木静子君 議事進行についてお願いします。 いま安永議員からも御発言がございましたが、私は野党全部の意見を代表いたしまして、本日の委員会、これは三木総理及び稻葉法務大臣の答弁には全く誠意が感じられない、国会を軽視した、侮辱したものであるということで、とうてい納得することができないというふうに感ずるわけでございます。そして、質問者の各保留質問を中心に引き続き委員会を開くこと、以上のことについて委員長は直ちに本委員会を休憩して、理事会で協議決定されることを要求いたします。
○委員長(多田省吾君) 暫時休憩します。 午後六時七分休憩 —————・————— 午後十一時二十九分開会
○委員長(多田省吾君) 委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 鳩山威一郎君及び永野嚴雄君が委員を辞任され、その補欠として斎藤十朗君及び山崎竜男君が選任されました。 本日の質疑者の質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後十一時三十分散会 —————・—————