法務委員会 第7号
- 発言数
- 204 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/03/27
会議録
○委員長(多田省吾君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木静子君 それでは私から質問させていただきます。 この犯罪予防更生法の一部を改正する法律案の提案の御説明といたしまして、この間大臣から「近時、恩赦上申事件が逐年増加の傾向をたどっており、特に、無期刑による仮出獄者、死刑確定者、刑の執行停止中の者などについての事案の複雑な恩赦上申事件の増加傾向が著しいため、非常勤の委員では十分な調査及び審理が期待」できなくなったので、迅速かつ適正な審査を行うために今度この改正に及んだということでございますが、まず、この犯罪者予防更生法に出てきております中央更生保護審査会、ふだん私どもの日常生活には余りなじみのない機関で、一般の国民には余り知られておらないと思うわけでございますけれども、中央更生保護審査会の権限とかあるいは性格というようなものにつきまして、概略説明していただきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 大まかなことをお答えしまして、細かい点は古川保護局長から御答弁をいたします。 中央更生保護審査会は、法務大臣に対し、特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除または特定の者に対する復権の実施について申し出をなし、また地方更生保護委員会が決定した仮出獄の取り消し、その他の処分についての不服申し立てに対する裁決をするなど、司法機関である裁判所の有罪判決の効果を事後に変更し、あるいは地方更生保護委員会の決定を審査するなど、きわめて重大な権限を行使しております。また、中央更生保護審査会は法務省の付属機関ではありますが、その行政法上の性格は、独立性を有する行政庁たる合議機関であり、恩赦の申し出をするか否かについての決定をする機関であります。
○政府委員(古川健次郎君) ただいま大臣が御説明申し上げましたように、恩赦について法務大臣に申し出をするという、これが一番大きな仕事でございます。 仮釈放関係につきましては、八つございます地方の委員会で決定しましたことについての不服申し立てでございますが、大半の事務はいわゆる恩赦でございます。 先ほど大臣御説明されましたように、恩赦という仕事は非常に大事な仕事でございますので、合議制でやっておりますし、そういう意味で合議機関でございます。しかしながら、やはり公正妥当に行わなければならない、中立性を保たなければならないということで、独立性を持っておるものでございます。また、単なる諮問機関かどうかといいますと、これは単なる諮問機関ではございませんで、恩赦の申し出をするか否かについて決定をするという意味ではやはり決定機関であるということも言えるかと存じます。
○佐々木静子君 お仕事は恩赦についての審査をなさるというのが主たる仕事で、恩赦には政令恩赦と個別恩赦とございますが、主として個別恩赦についての審査をなさるわけでございますか。
○政府委員(古川健次郎君) まさにそのとおりでございます。
○佐々木静子君 個別恩赦については、大体どういう種類のものがあって、どのように違うのか、ちょっと御説明いただきたい。
○政府委員(古川健次郎君) 先ほど大臣がお述べになりましたように、特赦、それから特定の者に対する減刑、刑の執行免除、あるいは特定の者に対する復権、こういうような種類がございます。 特赦といいますのは、これは全くすべてを許すというものでございます。減刑の方は刑を減らす、その刑を減らすのに伴いまして執行猶予期間を減らす、これが減刑でございます。それから刑の執行の免除、これは完全に許すというわけではございませんで、刑の執行することを免除する、こういうわけでございます。それから特定の者に対する復権、これは公民権停止をやめますとか、あるいはいろいろな試験を受けますときの資格、医師になります資格とか司法書士などの資格がございますが、そういう資格がいろいろな法律によりまして、判決を受けてから、懲役刑を受けてあるいは有罪判決を受けてから何年間はできないとそういうようなことを決めておりますが、そういう、判決そのものを変えるわけでございませんで、その有罪判決が及ぼす資格制限、これを取り外すのが復権でございます。
○佐々木静子君 先ほど来非常に大切なお仕事だという御説明が大臣からもございましたし、私も非常に重要な仕事であると思うわけでございますが、現在の委員長並びに委員でございますね、これは実は昭和四十七年にやはりこの犯罪者予防更生法の一部を改正する法律についての審議がこの委員会でございまして、その際にも、これは重要な問題を処理する審査会であるからということで、委員の人選とかその他につきましてもいろいろと政府の方に要望もさせていただいたわけでございますが、いま現在どういう方が委員になっておられるのか、委員長及び委員について、お各別と簡単な略歴を添えて御説明いただきたいと思います。
○政府委員(古川健次郎君) お答え申し上げます。 現在、委員長は柳川眞文氏でございます。同氏は検事をされた方でございまして、法務省の大臣官房保護課長、法務総裁官房長、大阪高等検察庁検事長等を歴任されまして、昭和四十一年三月定年退官された方でございます。中央更生保護審査会の委員におなりになりましたのは昭和四十五年四月でございまして、その際、委員におなりになりますと同時に委員の互選によりまして委員長を命ぜられました。当時は委員長は常勤でございませんで、委員の互選で委員長になったものでございます。柳川先生は委員におなりになりまして、そういう委員の互選で委員長になったわけでございます。ところが、先ほど佐々木先生御指摘のように、昭和四十七年六月に委員長が常勤化されることになりまして、その後も引き続き委員長に任命されまして現在に至っている方でございます。 次に、三宅富士郎委員でございます。この方は裁判官をされた方でございまして、東京地方裁判所の判事あるいは東京高等裁判所判事を歴任されまして、昭和四十三年八月定年退官された方でございますが、この方が中央更生保護審査会委員におなりになりましたのは昭和四十四年の十一月でございます。三年任期でございますので、昭和四十七年十一月に任期が切れましたが、ここで再任となりまして現在に至っております。 次に、吉田次郎委員でございますが、この方は少年審判所等に勤務された方でございまして、京都の少年審判所長、法務省保護局参書、東北地方更生保護委員会委員長などを歴任されまして、昭和四十五年三月に退職された方でございます。審査会の委員におなりになりましたのが昭和四十七年の十一月でございまして、現在に及んでおります。 次に、川嶋眞一委員でございますが、この方は少年院等に勤務された方でございまして、矯正研修所長、大阪矯正管区長等を歴任されまして、昭和四十九年四月に退官された方でございます。退官の直後に中央更生保護審査会委員に任命されて今日に至っております。 最後に、武田喜代子委員でございますが、この方は詩人の西条八十先生等に仁師事された方でございまして、日本放送協会の脚本部等に職を奉ぜられたこともございますが、その後、放送作家として御活躍されておりまして、昭和四十三年六月以降は総理府の青少年問題審議会の委員もなさっておられます。この方は、中央更生保護審査会の委員におなりになりましたのは昭和四十九年の十二月でございまして、現在に至っております。 以上でございます。
○佐々木静子君 いま大体御経歴を伺ったわけでございますが、先の改選の場合にも、この委員の方の御年齢ということも大変に問題になったわけでございます。といいますのは、大変に事件が山積していてお忙しい、記録も山のような記録を読まなければならないという御説明でございましたので、そういうことであるならば、できれば働き盛りの方に委員になっていただきたい、隠居仕事であっては困るということを強く要望したわけでございます。いま伺ってみますと、これは大変に実務上のベテランの方とか、またその他の方面で御活躍なすった方のように承るわけでございますけれども、この五人の方々の御年齢がどうなっているのか。また特に、任期が三年で、御説明によると三年の任期を過ぎてまた再任されていらっしゃる方もいらっしゃるようでございますが、新たな委員の交替時期に任命されるときの基準ですね、特に年齢制限といいますか、どのように当局とすると考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたい。
○政府委員(古川健次郎君) まず現在の先ほど申し上げました五人の方の年齢でございますが、委員長の柳川先生と三宅先生、このお二人は七十一歳でございます。それから次の吉田次郎先生は六十七歳、その次が武田喜代子先生でございまして 六十三歳でございます。川嶋先生が一番お若くて六十二歳。平均年齢は約六十八歳と、こういうことに相なっております。 別にこの委員の方の年齢制限はございませんで先ほど佐々木先生おっしゃいましたように、皆さん各方面の学識経験をお持ちの方、ベテランの方におなりいただいているわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、審査の対象者はすべて有罪判決を受けた者であり、その中には矯正施設の収容者でありますとか、あるいは保護観察中の者が相当多く含まれているわけでございまして、そういうわけで裁判とか検察とかあるいは矯正とか保護等の御経験の方も必要だと、そんなところから先ほど申し上げたような方がなられたわけでございます。それからさらに、やはり民主的な広く各方面の意見を取り入れる必要があるということで、一般の世論を代表される方、さらには女性の方というようなことでいま武田喜代子先生がお入りいただいているというわけでございます。 先生の御趣旨は十分わかります。ただ私、はたの方から審査会の事務を見ておりまして、確かに記録を読む、ことに最近死刑とか無期が非常に多いわけでございまして、非常に大変なわけでございますが、私拝見しておりまして、柳川先生、三宅先生あるいは吉田先生、皆さんわれわれが見ておりまして何か年を感じさせることがないような感じがするわけでございます。しかしながら、そういう御指摘もございますので、十分今後検討したいと思っております。当然国会の承認人事でございますので、十分考えてまいりたい、かように考えております。
○佐々木静子君 いろいろと恩赦の申請などが出されておりまして、そしてあの事件はどうなったのかということをお尋ねいたしますと、大抵の場合が、審査会の委員の方が一生懸命やっていらっしゃるけれども、何分にも委員は数が少なくて、事件は山のようにあって、しかも記録は膨大であるので、そのために手間を取っているというお仮事が大抵の場合返ってくるわけでございますのでこれは何とか審査会の委員をもう少しふやすか、そういうふうにいかないのであれば、ちょっとでもフルにやれる方をということを当然私どもとすると強く希望したいわけでございます。もちろん確定判決の効力を実質上変更するというような事柄も含まれているわけでございますから、そう余り経験の浅い人とか若年の人というわけにはいかない場合も多いだろうとは思いますけれども、くれぐれもその点十分に働ける方をというふうにお願いしたいと思います。 そしてその際も、これは前回の四十七年五月の九日、当委員会で私は政府に質問させていただいているのでございますけれども、そんなに事件がたくさんで、しかも難事件、記録は膨大だということでございましたならば、この審査会の委員の方々を常勤で、委員長だけじゃなしに、ほかの方も常勤でお願いしなければとても処理ができないのではないかという質問をそのときさせていただいているわけでございます。そのときの政府の御答弁とすると、委員長は全部の記録を読まなければならないから、だから委員長は常勤でほかの方は非常勤というふうにしないと委員長の方に非常に負担がかかるから、委員長が常勤でほかは非常勤というふうにしているのだという御答弁と、それからその次の改正案についての質問のときにやはり私がそのことを重ねてお尋ねしていることに対しまして、当時の前尾法務大臣が将来は全員常勤にする予定であるという御答弁もしていらっしゃるんです。今回それが二人常勤というかっこうで改正案が出ているわけでございますけれども、これはどういういきさつでそうなったのか。これは事件がたまっておって、私どもの目から見てもほかの委員が非常勤というのじゃ心もとない、とても追いつかないのじゃないかと、その当時ですらそれを申しておったところが、そのときの御答弁でいずれは全員常勤にするというお話であったけれども、今度は五人の委員のうち二人が常勤である。いろいろと法務省の事情もあったと思うのでございますけれども、大臣、そのあたりはいかがなんでございますか。
○国務大臣(稻葉修君) 前尾元法務大臣がおっしゃったように、私自身も全部常勤にしたいと、こう思っておるのでございますが、人件費、予算等の関係もあって今回は二人にとどまったことは大変に遺憾に存じますが、将来は全員常勤にしなければならぬなと思っておるところでございます。
○佐々木静子君 これは前向きの御答弁をいただいたわけですが、私もそういうふうにぜひ前向きに真剣に取り組んでいただきたいと思うと同時に、また、言うことが大変矛盾しているようですけれども、一面この審査会の委員が全部常勤になるということになると、審査会の雰囲気といいますか、性格が官僚化するのではないか。実はこれは全く別の話でございますけれども、裁判所の調停委員が公務員になるというようなことも、私ども調停の持っている民意を反映するという機能が失われるのじゃないかということで大変に心配して、前国会でも当委員会でいろいろ論議しましたことは大臣も御承知のとおりだと思うわけでございますが、この問題もぜひとも取り組んでいただいてフルにやっていただかないといけないと同時に、また、これがせっかくユニークな制度で民意を反映していくところに意味があるところだと思うわけでございますが、そうなった場合に官僚化するのじゃないか。実は今度二人の委員が常勤化することにおいても、そこら辺はいい反面、悪い面も出てくるのじゃないかということを非常に警戒しているのでございますけれども、その点は大臣はどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(稻葉修君) 官僚化するとかしないとかということは、要するに委員のお人柄によることでございまして、その任命のときによくそういう点のところも考慮し、また国会の御承認も得て慎重に選んでいけば、常勤にしたから官僚化する、非常勤だから民間の意見がよく通るというものでもなかろうと思いますものですから、何しろ事務が非常に複雑になり、たくさんになってきたものですから、今度委員長に加えて二人だけ常勤にはしましたけれども、また将来、事務量の増大いかんによっては全部常勤にしなければならぬようなことになるのではないかという見通しを先ほど申し上げ、前向きに取り組んでおる。そうやってだんだん常勤化していくと官僚化するということは、要するに人の問題じゃなかろうかと私は思っております。
○佐々木静子君 おっしゃるとおりだと思います。これも委員は国会の承認事項でございますので、私どももぜひともいい方を選んでいただきたい。これは法務省の方で実際上選任されるわけでございますので、特に官僚化しないように、幅広い人選というものを特に当局にお願いしたいと思うわけでございます。今度も女性の委員を、最初三田庸子氏が前回は入っておられて、また今度も武田さんという女性の方が入られる。女性じゃないといけないというわけでは必ずしもないわけでございますけれども、そういうふうな委員の構成などから見て、当局の方も幅広い人選ということを考えていただいていることはよくわかるのでございますけれども、重々その点をよろしくお願いしたいと思います。 それから、委員の方はそういうことでございますが、これは事務局とすると、どのぐらいの人員がおってその委員の仕事を補佐しておるのか、ちょっとその機構を伺いたいと思います。
○政府委員(古川健次郎君) この委員会は、先ほど申し上げたように独立性を持っておるわけでございますが、それではこの事務局はといいますと、これは犯罪者予防更生法の第十一条によりまして「審査会の庶務は、法務省保護局において処理する。」と、こうなっておるわけでございます。その保護局内における分担でございますが、先ほどの恩赦関係は恩赦課でございます。それから仮釈放についての関係は観察課でございます。さらに人事関係になりますと総務もタッチいたします。そういうわけで、この審査会の専属が何人かといいますと、これはちょっとそういうことではっきり分担しておりませんが、要するに保護局の恩赦課並びに観察課でほとんどすべてこの審査会の事務を下請けをさせていただいている、こういう状況でございます。
○佐々木静子君 先ほど恩赦に個別恩赦と政令恩赦があるというお話がございまして、そしてこれも前回の改正のときに当時の前尾大臣が、できるだけ政令恩赦を少なくして、これからは個別恩赦の方に重点を置いていくようにしていきたい、特に政令恩赦は国民の側から見てもあまり評判が芳しくないので、できるだけ人権にのっとって個々のケース・バイ・ケースで考えられる個別恩赦の方にウエートを置いていくようにしたいという御答弁があったわけですが、稲葉大臣はどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(稻葉修君) それは私もそのとおりに考えております。
○佐々木静子君 それでは個別恩赦について伺いたいと思いますが、まず、この個別恩赦の手続を概略、局長の方から御説明いただきたいと思います。
○政府委員(古川健次郎君) それでは個別恩赦の手続について申し上げます。 まず、恩赦を受けたい者は、刑務所の長でありますとか、あるいは保護観察所の長でありますとか、あるいは検察官に対して恩赦願書の提出をいたします。これをわれわれ上申権者に対する恩赦の出願と、こう呼んでおります。要するに、刑務所長とか保護観察所長あるいは検察官が恩赦の上申権者でございます。こういうふうに、恩赦を受けたい者からそういう上申権者に対しまして願書が出てまいりますと、それを受理いたしました上申権者は、所定の事項を調査いたしまして、意見をつけて審査会に対して進達してくる、こういうことに相なるわけであります。なお、上申権者は職権でも上申できることになっております。審査会におきましては、こういう上申権者から上がってまいりました恩赦の上申を受理いたしますと、その事件の主査委員を任命、つまり五人の中で一人主査委員になるわけでございます。この主査委員が、まず刑事事件記録その他、関係記録等について詳細な調査及び審理を行います。この場合には、必要に応じて本人とかあるいは関係人等について面接いたしましたり、あるいは補充調査も行うようでございます。また、この間に主査委員は委員長初めその他の委員にも関係記録を回付いたしまして、調査方針等について適宜相互の連絡協議等を行いまして、こういうような調査及び審理が終わりますと、委員長及び四人で構成されております合議体において慎重に審議されて決定される。これは多数決でございます。 そこで、恩赦相当とされた事件につきましては、審査会は法務大臣に対しまして恩赦の実施について申し出を行いまして、大臣は内閣総理大臣に対して閣議を求め、内閣は閣議によって右申し出にかかる恩赦を決定して、次いで天皇がこれを認証する、こういう手続になっておるわけでございます。
○佐々木静子君 刑務所等の在監者は刑務所長あるいは拘置所長などが上申権者になるわけでございますね。保護観察中の者は保護観察所長になるわけでございますね。それから検察官が上申権者になるのはどういうときでございますか。
○政府委員(古川健次郎君) 刑の執行停止などもそうでございますが、復権などは、要するに公民権停止だけでございます。これは検察官でございます。そういう面でございます。
○佐々木静子君 職権で上申するというのはどういう場合であって、全体から見ると何件ぐらいそういうものがあるわけですか。
○政府委員(古川健次郎君) たとえば保護観察中の者、これは保護司さんが主としてめんどうを見ております。保護司さんの方から、本人が特にそれを申しませんでも、観察所長に話して、観察所長の方から上申してくるという例があるわけでございます。
○佐々木静子君 それが何件ぐらいで、どのくらいか、数の比率をちょっと伺いたい。
○政府委員(古川健次郎君) 四十八年の数字を見てみますと、四百二十三件中三十四件が職権上申になっております。ですから一割弱でございます。
○佐々木静子君 この中で、個別恩赦の申請がされてから大体最終的に結論出るまでどのくらいの日数がかかるのか。これは先ほどの質問に申し上げましたように、何分、事件が多いしとか記録が膨大であるとかいうことで、いま熱心にやっておりますという御返事が返ってくるのがほとんどですが、外から見ていますと、本当に進んでいるのかどうかということが大変気がかりになるわけです。短いのではどのくらい、長いのではどのくらい、平均どのくらいなのかという期間をお知らせいただきたいわけです。
○政府委員(古川健次郎君) 先ほど申し上げましたように、本人から上申権者に願い出がありましてから、それぞれの庁で調査をいたします。そういう点がある程度かかる。さらに審査会の審理期間がかかるわけでございます。それを大体通常の場合で申し上げますと、本人の申し出がありましてから審査会にまで上がってくる期間、これが一月ないし二月でございます。主として調査でございますね。それから今度審査会の審理期間、これが大体二月ないし三月、それからあとは審査会の議決の内閣決定、天皇認証、これが半月ぐらい。そこで合計いたしますと三月半ないし六月、これが通常でございます。これが今度の提案理由にございますが、無期とかあるいは死刑とか非常に記録の膨大なものになりますと非常に長い、佐々木先生御存じと思いますが、平沢貞通上申にかかる恩赦は七年数カ月かかった例がございます。これなどは一番長い例ではないかと考えております。
○佐々木静子君 いまの御答弁にも、無期とか死刑の審理については長い時間がかかる。私は前回にも、またほかの委員会でも死刑囚についての恩赦の問題について再三当局にお尋ねさせていただいているわけでございますけれども、死刑確定者に対する恩赦というものを、現在審査会は何件くらい持っていらっしゃるわけですか。
○政府委員(古川健次郎君) この点につきましては、昨年やはり佐々木先生から御質問を受けましたときに私申し上げたのですが、あの当時、昨年の八月でございますが、当時死刑囚から十件申し出がございました。その後、一件審査がありましたが、またもう一件出てまいりましたので、結局やはり現在でも死刑確定囚からの恩赦上申は十件という状況でございます。
○佐々木静子君 これは、ほかの無期以下の有期懲役の方についてもなるたけ早くやっていただきたいという気持ちは私ども強いわけでございますが、特に死刑確定者の場合は、死刑が執行されてしまうともうどうにもならないわけでございますから、どうあっても何とか早く取り組んでいただきたいという気持ちから、これは何回も国会でもお願いしているわけでございます。 再三私やまたほかの先生方からも当局に要望されてまいりました、いまお話しの平沢貞通氏そのほかの事件がございますが、特に、昭和二十二年の五月の二十日に福岡市で起こりました軍服の取引の交渉中に二人の中国人が亡くなった、その事件で、三十一年の七月に上告が棄却されて死刑が確定しております西武雄氏あるいは石井健治郎氏、この二人の恩赦の問題、これもすでに早くから出されているわけでございますけれども、この問題につきましても四十七年の予算委員会でも質問させていただきまして、そのとき当時の保護局長から、いまの西武雄、石井健治郎の両名にかかるこの福岡事件についてはできるだけ早急に取り組んでおるのでという非常に前向きな御答弁をいただいたわけでございまして、その後引き続きまして犯罪者予防更生法の前回の改正のときにも、この福岡事件のことを重ねて伺ったわけでございますが、鋭意取り組んでいる、もう近いうちに解決するであろうというお話でございました。 その間に私も、福岡の拘置所に両名が収容されておりますので、両名からも手紙をもらい、またそれを心配している人たちからも、このままでは二名のうち特に健康がすぐれない西武雄氏がどうなるかわからないというようなことで、私も福岡へ参りまして両名に会ってきたわけでございますけれども、そのときの様子から見ましても非常に健康が気遣われる。しかも体力が衰弱して、失明寸前にある。何とかこの西、石井の両名を早く恩赦の審査を進めていただきたいということで何回も保護局をもお煩わせしてまいったわけでございますが、その後どういうふうになっておりますか。
○政府委員(古川健次郎君) 御質問の石井、西の件につきましては、石井につきましては最初、昭和三十四年の九月十日付で恩赦の出願が出されました。西武雄については同じく三十七年一月九日付で恩赦の、これはいずれも減刑の上申でございますが、出願がなされました。審査会でこれについては一応審査の結果、昭和三十七年と三十六年のいずれも恩赦不相当という議決があったわけでございます。その後、昭和四十四年の九月二十日付で右両名からやはり恩赦減刑の出願が出されております。これが先ほど佐々木先生御質問のとおり、現在審査中でございます。 この点につきましては、昨年の八月二十二日の参議院の法務委員会におきまして、佐々木先生の御質問に答えまして私当時の審査会の意向を御説明したわけでございますが、審査会の意向といたしましても、現在死刑囚についてはやはり早くやるべきであるということで、特に優先的にやっておられるというふうに拝見していると私申し上げたわけです。 まさに現在も鋭意審査中でございますが、特にこの十名中でも、先ほどの福岡事件の西、石井両名につきましては、その中でも一番優先的に審査が進められている状況でございまして、いつとは申し上げられませんけれども、早い機会に何らかの結論は出るのじゃないだろうか。これは私、はたから記録を先生がお読みになるそのような状況などから推察されますし、また先ほどの病状の点につきましても、やはり係官を現地に派遣して調べる、そういうことをいたしております。これはこの十名の死刑囚の中では一番早く審査は進んでいるというふうに私拝見しております。
○佐々木静子君 これは二年前の予算委員会で質問しましたときに、その当時もうかなり進んでいるのだけれども、民事事件が起こって記録が裁判所の方へ行ったので中断しているというお話だったために、即座に民事事件の方を取り下げて、急遽また審査会の方へ記録を戻して、もう戻ったから、きょうかあすかと一日千秋の思いで皆さん首を長くして待っておられるわけです。実は犯罪者予防更生法の改正案の審議があるということで、今度はいよいよ結論がこの改正中にでも出るのではないかということで、福岡からも救援運動をしていらっしゃる方や家族の方が東京へ飛んで来ていられるというような状態にあるわけですね。これは二年前と同じ御答弁じゃ困りますね。私の聞いているところでは、記録もほとんど全部読了されたという話も当局から聞いているわけでございますから、大体いつごろに結論が出るんだということを、もう少しはっきりした具体性のある答弁をしていただきたい。
○政府委員(古川健次郎君) これは先ほどおっしゃいましたように、審査会でおやりになることでございますので、私からとやかく申し上げるのはまことに何でございます。私、側面から拝見しておりまして、そういうような状況が推察できるということでございます。何分にも先生御承知のとおり関係者が非常に多いわけでございまして、本人の減刑の主張も、冤罪ではございませんけれども、自分の責任が軽いんだという主張でございます。当然事件記録の中に立ち入って審査をしなければならない。そういうことで、主査委員が任命されまして主査委員の方は全記録を読破されました。で、その資料をやはり皆様に御相談になる。それから先ほどの病状につきましても、係員を現地へ派遣して調べるというようなことをされているわけでございます。そういう意味でとにかく死刑囚については優先的にやる、しかもその中の西石井については一番先に進んでいるというふうに私印象を受けるわけでございます。この辺でひとつ進行状況については御了承いただきたいと思います。
○佐々木静子君 お答えになる以上はもう少し具体性のある答弁をしていただかないと、二年前の保護局長の答弁でももっと具体性があったからこそ、それではいつだとか何とかいうことが各新聞でも出ているわけで、いまのお話だと、そのときの答弁よりぐっと具体性が薄れております。そういうことじゃ困りますね。私の伺っているところでは記録も読了して、おそくてもここ一、二カ月の間にこの問題についての結論が出るんだというふうに私は感触として承っているわけですからね、せめて二年前よりももう少ししっかりした答弁をしていただかないと困りますね。担当の局長でしょう。
○政府委員(古川健次郎君) 先ほど申し上げましたように、審査会は死刑囚を優先的にする。先ほど各委員の任期を申し上げましたが、委員長は近く三年の任期が切れるわけです。もちろんそれは再任という問題もございますけれども、委員長は現在の任期中にはぜひやりたいというお気持ちのようでございます。
○佐々木静子君 大体これについての結論はいつかというお話はわからないわけですか。いままでこれは私は五遍目ぐらいになるんですけれども、今回が一番答弁は不明瞭ですね。こういうことだからいよいよ人手が要るんだとか、こういうふうになるからこそ早く取り決められるんだ、非常勤の人が今度常勤になるからいままでよりスピードは早まるから、こうした個々の問題についても早く進むんだという御説明であれば、もう少し具体的な答弁はできるのじゃないですか。局長が責任を逃れることばかりおっしゃっていたら、これは話にならぬですよ。
○政府委員(古川健次郎君) 先ほど申し上げていますように審査会でおやりになっていることで、記録は主査委員は全部お読みになったことは大体間違いないと思います。委員長も六月には一応三年の任期が切れる。おそらく任期中にはやりたいというようなことをおっしゃっていますから、その程度で進行状況を御推察願いたいと思います。
○佐々木静子君 それでは、委員長の任期は六月に切れる、おそくても六月までに当局とすると結論が出るというふうに答弁されたと承っていいわけですね。
○政府委員(古川健次郎君) これはあくまで審査会がおやりになることですが、私の感触としてそういう感じを受けております。
○佐々木静子君 審査会でやることだということは最初からわかっておりますよ。だけど、審査会がここへ出てきて答弁するわけじゃないでしょう、あなたが責任持っているのですから。もうちょっと具体的な誠意のある答弁をなさらないと、私どもこの審議をするについても困りますよ。本当に二年前と同じことを言っておる。そして委員長を常勤にすれば進むんだと言うから、それじゃということで改正したわけでしょう。今度の話だって、死刑囚の難解なのが九つも十もある、だからこれを、いま四人が非常勤だからどうしても暇がかかるんだ、二人を常勤にしてくれればいままでよりも少しスピードが上がるんだという説明があるからこそ、私は具体的に、たとえばそれじゃ福岡事件は、今度改正すればいつごろ結論が出るんですかとお尋ねすると、ともかくそれは審査会のやることでわからない。あなたは何にもわからないのだったら、この法案を責任を持って提出すること自体がおかしいじゃないですか。審査会がやるんでしょう。あなたは委員を二人常勤にすれば早く進みますなんと言うているけれども、それだってでたらめじゃないですか。あなたの責任で言う以上はやはりそのぐらいのことはできなければだめですよ。非常勤を常勤に二人かえれば早くできるんだと、それをあなた自身がそう言って法律を一番の責任者の局長として出しているわけでしょう。そうして具体的なことになると、自分じゃないんだ、やるのは審査会だから自分は何とも言えないじゃ、話にならぬですよ。私ども本気になってこれは審議できないですよ、そういう誠意のない答弁ばかりされると。
○政府委員(古川健次郎君) 先ほど申し上げたように、主査委員が記録を読んで、ほかの方にも御相談をされている状況でございます。それは審査会の合議が一回で済むかあるいは二回で済むか、むずかしい事件につきましては何回もおやりになることもありますので、いま合議は現在の段階では一週間に二回で、火曜と金曜ということでやっておりますが、そこで、現在三月中でございますが、委員長の任期は六月までで、委員長も任期中にはもうぜひやりたいと、こうおっしゃっておられますので、そういう意味で、先ほども申し上げたように委員長の任期中には結論が出るのじゃないか、こういうふうに私感じておるわけでございます。
○佐々木静子君 それでは、ここ二カ月以内ぐらいに結論が出るというふうに承っておいて間違いございませんね。 これは大臣に伺いますが、実は再審についての特例法ですね、御承知のとおり衆議院の法務委員会で、昭和四十四年だったと思いますけれども、当時社会党の議員を中心に改正案を出したわけでございます。そのときに特に問題になりましたのが終戦直後、特に占領下の混乱した時代に、ちょうど手続的に言うと旧刑訴の切りかわる混乱時期に出された、非常にはっきりしない、どうも冤罪の疑いの濃い——この福岡事件は、石井さんというのがピストルを発射したということは、これは動機とかその態様が非常に違うわけですけれども、まあピストルを撃ったということ自身は間違いはないということのようでございますが、そのほか全く関係がないようなふうに考えられる死刑囚もその中におるわけでございまして、これはどうしても何とか救わなければならない、人道主義の立場に立っても、文明国の名においても何とかしなければならないということで再審特例法というものが出たわけでございますけれども、これが結局審議未了になったわけですが、そのときの当局のお話では、特に再審特例法の対象になっている七人の死刑囚については事実上恩赦でできるだけ速やかに救済するからという話し合いがあった、そういうことで再審特例法の方は審議未了で終わったといういきさつもあるわけでございます。 いま申し上げているこの西、石井の両名は、このとき問題になった七名の死刑囚のうちの二人でございます。ほかの人たちのこともこの機会にぜひお願いしたいのでございますけれども、どれもこれもと言いましても、それこそ当局の方も大変だと思います。審査会の方も人員が少ない。ですから、二年前からずっと引き続き、もう近いうちに結論を出しますと言っていらっしゃる福岡事件、この二名のことを特にお願いしておるわけなんです。これは二年前に、もうじき結論が出るということであり、そういうことであるなら、まあ、そういうことであるならと言うと妙な言い方ですけれども、そういうふうに人権擁護の立場から審査会がいろいろと積極的に取り組んでいただくには人員が足らないというのであれば、常勤化もしなければならないということで私どもも積極的に御協力申し上げているわけでございますので、余り同じ答弁を、十年一日までいってないですが、二年一日ぐらいなってるわけでございます。いま伺うと、二カ月以内に結論が出るというお話を保護局長から伺ったので、駆けつけてきた親族の方もある程度ほっとしておられると思うのでございますけれども、私どもも、こうして一生懸命にこの問題に取り組んできている国民もたくさんあるわけでございまして、無実というと多少誤弊があるでしょう、強いて無実とは申しませんが、これは死刑にするのは妥当でないと思われる、著しく不公正である、何とか救ってやりたい、まさに恩赦制度というものはこういう人のためにあるのじゃないかというふうに思っておりますので、担当の大臣としてこうした問題について、特に福岡事件についての御見解を述べていただければなお結構でございますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 私といたしますれば、死刑の判こをつかぬ方がいいんです。だから審査の状態がそういうふうになっており、余り長くなっては困ると思ってこの改正法をお出ししたわけです。将来は全員常勤にしても促進したいと、こういうことでございまして、いま保護局長の言いましたように、柳川委員長が自分の任期中にやりたいということを言明しておられるそうですから、その任期は六月ということで御了察願っていいのじゃなかろうか。具体的事件について、法務大臣があれこれ審査委員に促進せいとか、ゆっくりやれとか、指示権はございませんことは御承知のとおりでございまして、しかし一般的に促進した方が人権擁護上妥当であるというので今回の改正案も出しているような次第でございますから、御説の事件につきまして、なるべく早く結論を出していただきたいという希望を持つわけでございます。これはあくまでも希望でございます。
○佐々木静子君 大臣の他の日程の御都合があるようでございますので、大変に力強い御答弁をいただきまして、ありがたく思っているわけでございます。ぜひとも前向きにひとつ人権擁護の立場でお取り組みいただきたいということを強くお願い申し上げる次第でございます。 それから、いま死刑の確定者が十人ほどあるというお話でございましたが、そのほかに、いま恩赦事件で審査会で扱っていらっしゃる事件を調べますと、尊属殺人事件が大変に多うございますね。この尊属殺は、例の最高裁の尊属殺規定の判決の後、思赦の対象になる事件が非常にふえたのだと思うのでございますけれども、これは、どのようなかっこうで上申され、そしてどのような結果になってきているのか。この処理状況を見ますと、四十九年十二月三十一日までのところでは受理事件が九十八件、相当が四十一件、不相当五十六件というふうなことになっておりますけれども、ちょっとこの中身を説明していただきたいと思います。
○政府委員(古川健次郎君) 御承知のように、昭和四十八年の四月四日に最高裁が尊属殺の罪に関する刑法二百条の規定は違憲である、こういうことで判決したわけでございます。そこで、法務省におきましても、尊属殺の罪によって刑に処せられた者のうち、酌量すべき情状があったにもかかわらず法定刑が尊属殺は死刑、無期だけだ、こういうことで重い刑が言い渡されたと認められるものについては個別恩赦を考慮してはいかがかということで進んでまいったわけでございまして、そこで先ほどのように、昭和四十九年十二月三十一日現在では上申は九十八件でございまして、審査会で慎重審議した結果、四十一件について恩赦相当、五十六件について恩赦不相当と、こういうことになった。現在一件だけ未済になっておりますが、そういう状況でございます。 どのようなものがそれでは恩赦になったのか、これはやはり一般の資料であります犯行の原因でありますとか、動機でありますとか、態様とか結果、こういうものから見まして、また被害者の側にむしろ非常な落ち度があるのではなかろうか、こういうような犯情すべてを考慮いたしまして、そこで先ほど申し上げましたように法定刑が死刑と無期だけだというために、判決で仮に減刑された場合でありましても一般殺人に比べてちょっと重いのじゃないか、こういう事案について相当という結論を出した。ところが、やはり尊属殺の中には非常に意外に残虐なもの犯情が必ずしも軽くないものもございまして、結局、先ほどのように上申はあったわけでございますが、何件かがやはり不相当ということになっております。 特徴として見ますと、言い渡し刑が七年とか三年六月、要するに、酌量しますと無期が七年になりますが、その最高限の七年辺の判決の中にやはり相当事件が多いようであります。あるいは三年六月、結局、一たん未遂で減軽しまして、酌量減軽で一番最低は尊属殺の場合は三年六月までしか下らなかったわけであります。ところが、その三年六月というのが結構あったわけです。やはり三年六月の刑につきましては相当が多いようであります。そういうようなところで尊属殺の恩赦が実施されたという状況でございます。
○佐々木静子君 それから刑法犯のうちで、パーセンテージから見ると、また数の上からも、強盗と強盗致死傷の事件が大変に恩赦に上申されているケースが多いし、かつパーセンテージから見ても罪名とすると一番多いわけでございますが、この強盗傷人の場合、致死は無論のことなんですけれども、強盗傷人がいまの刑法の規定からいきますと大変に重い、七年というようなことになっております関係で、事案によってはこれは減軽しても三年六月ということで、ちょっと一般の常識からかけ離れることが間々あるわけでございますね。そういうふうなことでこの強盗傷人の件数が多いのか、そしてまたそれが上申の結果、上申が認められているケースが何%ぐらいあるのか、その件をちょっとお伺いしたい。 〔委員長退席、理事白木義一郎君着席〕
○政府委員(古川健次郎君) 最近の恩赦事件の罪名などを見ますと、ただいま佐々木先生御指摘のように非常に強盗が多いわけでございまして、強盗とその致死傷が、四十八年度を見ますと六百七十九件中百十二件、一番多いわけです。次が公職選挙法で百六件、次に尊属殺の九十一件、その他でございまして、結局四十八年度だけを取り上げてみますと、強盗と致死傷が一番多いわけであります。 これは私全部を見たわけではございませんので必ずしもはっきりしないのですが、一番大きな理由は、むしろ無期刑の恩赦が一番多いのじゃなかろうかというふうな感じがするわけでございます。これは無期刑は、ある程度期間が来ますと仮釈放できるわけです。刑務所の中で非常に情状もいい、そうすると仮釈放になります。そこで仮釈放になって保護観察がつくわけでございます。ところが、仮釈放になりました者について救う道は、これを自由な身にするには恩赦しかないわけです。恩赦になりませんと永久に無期という刑はずっとかぶるわけでございます。そこで、その保護観察を担当しております保護司さんあたりが非常に熱心に刑務所で非常に改俊の情顕著であれば仮釈放になる、仮釈放で保護観察を受けている、そのところで非常にいい、これは全く一般の平常生活をさせていいのじゃないかと。中には結婚とかそういう問題もあるようでございまして、奥さんに隠しているというようなのもあるようです。そういう無期刑の恩赦、これが非常に多い。結局、無期刑は強盗傷人が多いわけでございます。そういうことでこの強盗致傷が、むしろ致死が多いのじゃなかろうかという感じですが、強盗致死傷の点につきましては全部記録を見ておりません、あるいは先生おっしゃったようなのが幾らかあるかもしれません。
○佐々木静子君 いまの無期刑の場合の仮釈放で出ている人の場合に、仮釈放の取り消しというようなことでまた収容されるケースというものが、全体から見ると例があるのかないのか。あるとすればどのぐらいあるのか。
○政府委員(古川健次郎君) 確かに先生おっしゃったように、仮釈放は取り消し制度がございますしたがって無期の場合にも、何か事がありました場合に、また別の犯罪を犯してというようなことになりました場合に、仮釈放取り消しという事態になるものが絶無ではございません。私も保護観察官とよく話すのですが、現場で一番悩むのは何かといいますと、無期の取り消し事案に取り組むときが一番つらいということを観察官はよく述懐いたします。これは結局また戻りますと無期に戻るわけでございます。確かにそういう点で非常に保護観察官はその取り消しの場合に悩む。もちろん保護司さんもそうでございます。できるだけ、そういう意味でも仮釈放で保護観察になった者に対しては、鋭意さらに重点的に保護観察を進めている状況でございます。そこで、しかしながらやはり取り消しがあるようでございまして、現在の大ざっぱな数字でございますが、五%程度あるという状況のようでございます。
○佐々木静子君 それは無期刑について五%ですか、全部の仮釈放についてですか。無期刑の仮釈放のパーセンテージはわかりますか。
○政府委員(古川健次郎君) 無期刑で仮釈放になっている者の取り消し率が二%、一般の仮釈放の取り消し率が五%でございます。したがって、無期の場合にはやはり取り消しが少ない。それだけ本人たちも自粛していましょうし、保護観察官、保護司ができるだけそのめんどうを見てやっているということじゃないかと思います。
○佐々木静子君 時間の関係がありますので別の問題に移りますけれども、先ほど来、仮釈放の対象者などに対する保護観察の問題がございましたけれども、いま保護観察の対象者になっているのは、どういう方々に分類されるわけですか。そして全体で見るとどのくらいの人数がいるわけですか。
○政府委員(古川健次郎君) これには大ざっぱに五種類あるわけでございますが、われわれ一号観察と呼んでおりますが、これが家庭裁判所で保護観察処分になりました少年、これがわれわれ一号観察と呼んでおります。次に二号観察といいますのが、少年院を仮退院した者でございます。これが二号観察。それから三号観察と言っておりますが、これはいわゆる仮出獄、刑務所を仮釈放されました者、これが三号観察。それから四号観察と呼んでおりますのは、これは例の保護観察つき執行猶予、つまり一般の裁判所で保護観察つき執行猶予を受けました者であります。 それからあとは婦人、売春防止法関係で保護観察になりますが、これは五号で、この売春防止法のはきわめて少ない。結局、多いのは一号から四号で、全体は大体八万足らずというふうに私記憶しておりますが、その中でも多いのが一号観察の家庭裁判所における保護観察処分を受けた少年でございまして、大体これが五万ぐらいじゃないかと思います。あとの三万弱が仮釈放、仮退院、それから保護観察つき執行猶予という状況のように私記憶しております。
○佐々木静子君 その保護観察をされるお仕事が、保護観察官と保護司というふうに分類されると思うのでございますけれども、保護司の方の定員がなかなか充足されておらない。特に、東京などでは五千三十人のところを現在員が三千七百四十九名というふうに伺っておるわけですけれども、大都市において充足率が非常に少ないようでございますが、その点はどのように当局としたら努力していらっしゃるのか。 それからもう一つは、沖繩ですね、売春婦に対する保護観察のケースは非常に少ないと全般的なお話としてございましたけれども、前回の改正の二年前のときにも、これはまた沖繩県の状態が変わってきている部分もあるかもわからないとは思いますけれども、沖繩の場合は売春防止法が施行されて間もないし、また復帰してから非常に日も浅いために、いろんな意味での犯罪の温床になっているから保護司の活動に期待しなければならない面が大変に多い。そのために沖繩県は思い切って保護司の定員を増員するというお話が、二年前保護局長の答弁になっているわけなんです。ところが、この保護司の充足率を見ておりますと、沖繩は定員五百名に対して三百九名、これは全国で一番パーセンテージとしては充足が不足しておりますね。そういう点で、これは沖繩県のことはほったらかしになっているのかどうか、そこら辺のところ、東京と沖繩のことを伺いたいと思います。
○政府委員(古川健次郎君) まさに先生御指摘のように、保護司の充足というのはわれわれ一番頭の痛い問題でございます。保護司の高年齢化といまの充足、欠員が多いということが一番の問題でございます。鋭意努力をいたしておるわけでありますが、何分にも最近の保護観察の仕事が大変といいますか、そういう面、それからわれわれの更生保護に関するPRの力不足かもしれません、確かに欠員が必ずしも埋まらないという状況でございます。 〔理事白木義一郎君退席、委員長着席〕 この点につきましては、各観察所を督励いたしまして適材の方を得るように努力を重ねているわけでございます。従来、主として地区の保護司会からの御推選をいただく方からということになっておりますが、それだけでなく、保護観察所長みずから担当の職員などと一緒に人材発掘に努めるべきであるということで督促いたしております。 ただいま御指摘のありました東京と沖繩でございますが、東京はますます問題が多いわけでございまして、最近は団地が非常にたくさんできてまいります。この団地あたりでは非常に保護司さんの発掘がむずかしい。そこで、その団地に住んでおられる方で、従来から保護司をやっておられる方の知り合いというようなものを頼りまして、いま盛んに団地における保護観察、保護司の発掘に努めているわけでございます。意外にこの団地がまた対象者が結構あるわけでございまして、この点非常に悩んでおります。 次に、沖繩の問題でございますが、私昨年沖繩に行ってまいりまして感じたのでございますが、非常に対象者の多いわりに保護司さんが少ない。この理由は何かと言えば、保護司さんの適材が少ないということであります。これはどうも保護司さんの報酬制の問題とも絡むような感じも受けるのでございますが、従来、復帰前にはある程度それに対して相当実費弁償よりも多いあれがあった面もあるようでございます。やはり沖繩の人の中で適材と思われる方に保護司になってくれないかとこう言いますと、一体給与はどうなっているのかというようなことを問われる方があるようでございまして、この辺やはり戦後の、元来保護司さんはボランティア、社会奉仕の精神という何かこの歴史が、沖繩では十数年空白になったという点がどうも一つの原因じゃなかろうかというような感じもするわけでございます。 そこで、当時検事正をされていた安田さんとも一緒にPRに努めまして、安田検事正が新聞に毎週一回ぐらいずつPRをされまして、その新聞を見て保護司を希望された方が相当数ございました。まあ逐次ふえつつある。しかしながら、私拝見した中で、一人で二十人の対象者を持っておられる保護司さんもおられまして、非常にお気の毒だと思いますので、この点も十分現地の保護観察所長など督励いたしまして適材の確保に努めたい、かように考えております。
○佐々木静子君 保護司がボランティアであって報酬というものを受け取っておらない、また報酬目当てで保護司の活動をしていただいても困る面が多いと思うのでございますけれども、実費弁償がこのたび若干増額になったということを、前回の委員会でもそういうお話がございましたけれども、額が大変に少ないのじゃないか。二千六百円とか千三百円とか千百円というふうな実費弁償では、実際問題としてなかなか保護司活動ができないのじゃないか。私の心やすい大阪の保護司の方々などでも、やはり仮出獄で出てくるとなれば、そこの家庭の中も整えてやらなければならないしまた勤め先に訪ねていっても、会社へ保護司が行ったのでは何もかもばれるから、うまいぐあいに外へ出さなければならない。そのためには何回もむだ足を運ばないといけない。道で立ち話をするわけにはいかないから、喫茶店でお茶でも飲みながらということになれば、そういう費用もすぐに千円ぐらいはいってしまう。そういうことで、熱心にやればやるほど足が出て大変だという話もよく聞くわけでございます。 そういうことから考えますと、これは本来ならば国がやらなければならないことを国民の有志の方々の善意に期待してやっているわけでございますから、せめてその方々に余り迷惑をかけないようにしてもらわないといけないのじゃないか。当局としても熱心に取り組んでおられるとは思いますけれども、大変にじみなお仕事であり、PRをされるといってもなかなか大変なことだと思いますが、もう少し社会から保護司の方がその仕事を評価され、かつ保護司の方が十分に活動ができるだけの経済的保障というものを確保していただきたいと思うわけです。その点について具体的に、次官いかがでございますか。
○政府委員(古川健次郎君) 実費弁償の問題だけにつきましてちょっと私から……。 いまの佐々木先生御指摘の問題は、これまた非常に頭を痛めている問題でございまして、毎年努力しているわけでございますか、現在、つまり本年度、昭和四十九年度の実費弁償は、一番処遇困難の、一番最高のもので一件につき千九百円、一月一人の対象者を見て一件千九百円。確かに先ほど先生御指摘のように、一回お茶を飲めばもう千円くらい要る。とんでもない話ということで、われわれも鋭意努力しているわけでございます。これがようやく五十年度では、大蔵省に対して大分働きかけましてやっと二千六百円、約三〇%でございまして、伸び率としては、パーセントとしてはほかの予算よりは伸びたのでございますが、これまた二千六百円。これがいま佐々木先生からもおしかりを受けるというようなわけでございます。 ただ、先ほどから先生も御指摘のように、保護司さんは社会奉仕の精神に基づいてボランティア活動をやっておられるということでございまして、そう高い報酬を望む方も少ない。むしろ、そんなくらいなら自分はやらないとおっしゃる方が多いわけでございます。しかしながら、そうかといってそれに甘えてはおられぬということで、毎年努力いたしますし、また昭和五十年度には、そういう保護司さんの待遇について一体将来われわれはどう考えていったらいいのかということを、長期展望に立ちました更生保護のマスタープランの三本柱の一つといたしまして、この点については予算が入りましたので取り組んでいきたい、できるだけ先生の御趣旨を踏まえまして前向きに検討してまいりたい、かように考えております。
○政府委員(松永光君) 佐々木先生のおっしゃること、まことにごもっともでございまして、私どももいま局長の説明いたしましたように、保護司の方々は報酬とかそういうものを考えて仕事をしていらっしゃるわけじゃございませんけれども、しかし、それにしても実費を十分に補償できないなどということではまことに申しわけない、こういう気持ちでおりますので、昭和五十年度の予算の折衝のときにも、この保護司の実費弁償金等の増額については特に努力をしてがんばったつもりなんでございますが、今後とも保護司さんの実費弁償金等については十分な予算がとれるように一生懸命努力したい、こう思っております。どうかひとつ先生もいろいろな機会を通じて御援助賜ればありがたいと、こう思う次第でございます。
○佐々木静子君 前向きの御答弁をいただいて大変心強く思っております。ぜひこの保護司さんの待遇について重々御配慮いただきたいと思います。 それからBBS運動、このBBS運動につきましても、先日の新聞にも報道されておりましたように、大変に高く評価されている。特に本年度は予算が一躍大幅に、昭和五十年度のBBS活動費千五百九十万円、前年度の十二倍というふうに伺っているわけですが、そのとおり間違いございませんか。
○政府委員(古川健次郎君) そのとおりでございます。
○佐々木静子君 予算を前年度よりふやすということは大変な御苦労だと思うのですけれども、このように十倍以上一遍にふやすことに成功されたわけで、保護局の腕前に大いに敬意を表するわけですけれども、BBS運動に特にこれから力を入れていこうという、何か具体的な方針でも法務省とすると立てていらっしゃるわけですか。
○政府委員(古川健次郎君) 先ほどちょっと触れました保護司の老齢化がわれわれ抱えておる非常に大きな問題で、その保護司さんの老齢化、それから非行少年の増加、これに対してわれわれとしてBBSを育てていく一番大きな仕事だと思うのでございます。また、それだからこそ大蔵省もわれわれの要求を認めてくれたのじゃないかというような感じがするわけでございまして、非常に責任を痛感しているわけでございますが、そこで、われわれ現在考えておりますのは、やはりBBS活動というものを一般の方に御理解いただく。それからBBS自身の腕をみがくといいますか、腕をみがくと言うとちょっと語弊がありますが、やはり専門的なことも必要でございますし、そういう研修を大いに行う。 それからもう一つわれわれいま考えておりますのは、各県にそれぞれBBSのモデル地区をつくりまして、そこにできるだけ重点的に予算も注ぎますし、また、われわれ保護観察の機構も注ぎ込みまして、そのモデル地区をまず育成して、その都道府県内におけるBBS活動のPRをするということで、現在、この三月末に全国でそれぞれの県におけるBBSのモデル地区の選定を終わりまして、ぽつぽつ報告が参っているところでございます。 そういうことで今後BBS運動を盛り上げまして、まあこれは夢でございますけれども、現在約一万人のBBS会員が五万人、すなわち保護司さんと同じ数になれば非常に私効果がある、また保護司の老齢化の問題に対する対策としても非常に効果があるのじゃないかという感じがしております。今後ともよろしくひとつ御指導のほどをお願いいたします。
○佐々木静子君 このBBS運動についてもう少し伺いたいのですが、時間が余りありませんので、保護観察官のことについて伺いたいと思います。 この保護観察官というのも非常にむずかしい専門的知識を必要とする仕事であるにかかわらず、余り目立たないじみな仕事でございますけれども、この定員がどうなっておるのか、また一人当たりの負担量がどのくらいになっているのか、御説明いただきたい。
○政府委員(古川健次郎君) 現在、保護観察所の職員の定員が全国で千二十五人でございます。その千二十五人のうち保護観察官は七百八十五人でございます。ところが、その中には所長とか支部長でありますとか課長とか、管理職がおるわけでございまして、それを除きますと、一線の保護観察官の定数は五百七十人でございます。ところが、最近の保護観察の対象者は全国で七万なり八万ということでございます。現在これを五百七十人で割りますと、保護観察官は常時一人当たり百二十件から百三十件、百件を超える対象者を持っているということでございます。これはアメリカなどの調査では保護観察官一人に対象者五十人ぐらいが限度ではなかろうかということもございますので、わが国はその二倍以上ということで、まことに残念でございまして、できるだけ毎年保護観察官の増員に努力しているわけでございます。
○佐々木静子君 具体的にどのような増員計画を立てておられるのか、それからまた保護観察官が十分にその仕事の目的を達するためにどのような具体的な方針をとって当局は当たっておられるのか、もう少し具体的に説明していただきたいと思います。
○政府委員(古川健次郎君) 最近われわれの保護観察官の中には、できるだけやはり自分で担当したいという気持ちがございます。また処遇困難な者に対しては、保護司さんにお任せするのじゃなくて、やはり専門家である保護観察官が直接やった方がいいということがあるわけでございます。少なくともそういう者については保護観察官が直接当たれるようにということで割り出してまいりますと、大体五百七十人の倍ぐらいいないと最小限度できないということで、倍ぐらいのものをということで要求するわけでございますが、これはとてもいけませんので、現在のところは毎年二十人ぐらいの増員で、まあ満足と言いますか、やむを得ない状況でありますが、これはできるだけふやしてまいりたい、かように考えております。
○佐々木静子君 これも大事な問題でございますから、法務省としても努力していらっしゃると思いますが、ぜひとも前向きで取り組んでいただきたいと思います。 最後に、この恩赦というものが、いま私ども国民から見た場合に一方的に権力者が恩恵を受ける。本来から言うと恩赦というものは、個々の気の毒な国民、あるいは不公正な判決とかそういうようなことで谷間であえいでいる国民の人権を守って、不公正を是正するというのが一番の目的であり、刑事政策的に見てそういうふうに恩赦制度というものを活用していかなければならないにもかかわらず、現実に私ども国民の前に恩赦ということが問題になるのは、恩赦によって時の権力が思い切りいろいろな面で利益を得るというふうなかっこうで、いまの恩赦制度というものが運用されているようにわれわれ国民には見えるわけでございますね。 前回の改正のときにも、御承知のとおりにちょうど沖繩復帰に伴う恩赦の問題などもございまして、そして沖繩恩赦から選挙違反者を除外せよという決議案を社会党その他の野党からこの委員会に提案いたしまして、また私も、恩赦法の一部改正案をそのとき発議者となって当委員会に提案したわけでございますが、残念ながらいずれも否決されたようなことになったわけでございます。いままた統一地方選挙が始まっている、また選挙違反者が出るであろう、そういうふうなときにまた恩赦がフルに回転するということが、国民にとって、主権者である国民が望んでいるようなかっこうで恩赦制度が拡充されるのは非常にありがたいことなんですが、全く望まない方向に恩赦というものが動いていくのじゃないか、そういう点で大変に私ども危惧しているわけでございます。 特に、これは講和条約を締結したときの恩赦だと思いますけれども、そのときの恩赦が、九九・何%という率でもってその恩赦の対象になったのが選挙違反の人たちであった。私数字を用意してきたのですが、いまちょっと出てまいらないわけでございますが、間違いなく九九%以上が選挙違反対象者であった。そういうことに対して、こういうふうなことでは困るじゃないかという質問に対しましても、やはり選挙違反者だけを特別優遇しているというふうな感じがその後の沖繩恩赦においても、これだけ厳しい世論が起こったにもかかわらず、選挙違反者が大量に罪を免れて、そしてわがもの顔にまたもや同じことを繰り返している。 そういうことで、きょうは刑事局の方に来ていただいておりませんので、前回の参議院選でも悪質な選挙違反者が出たことは十分当局で御存じのとおりでございますので、大体公職選挙法違反の事件がいまどのくらい係属しているのかということもお聞きしたいわけですが、もう時間もございませんし、この悪質な選挙違反というものに対する恩赦、これは大きく選挙違反が恩赦の恩恵をこうむるのは政令恩赦の場合が多いと思うのでございますが、しかし個別恩赦の問題もございますし、それから特に復権は、公民権のほかにいろいろな試験制度についてというようなお話がございましたが、医師になりたいと思っている人、司法書士になりたいと思っている人というのはきわめて全体の国民から見るとまれで、復権によって利益を受けるのは、これは選挙違反を犯した人たちがそのほとんどでございますので、そういうことから考えますと、今度の法案の改正と選挙違反に対する救済というものとが、これは密接不可分な関係にあると思うわけです。 私ども、この法律の改正によりまして審査会が、人権を守り社会の不平等を是正し、そして刑事政策的に意義ある方に審査会が充足されるということについては賛成でございますけれども、それが社会悪を助長し、一部の権力者のみを保護するというかっこうに審査会が充足されるとすれば、これは由々しき問題だと思うわけでございます。そういうわけで、今後選挙違反者に対する個別恩赦あるいは復権の問題なんかについても当局はどのように今後処していかれるか、局長と次官から伺いたいと思います。
○政府委員(古川健次郎君) 政令恩赦の問題はさておきまして、審査会でやっております特別恩赦、あるいは主としてやっておりますのは常時恩赦でございますが、この常時恩赦を見ますと、四十八年度の処理事件で公職選挙違反は一六%。一六%でも多いという御指摘があるかもしれませんが、まあ特に多いという感じもしないわけでございますが、先ほど選挙違反の中で悪質なものも恩赦になるのじゃないかということでございますが、この選挙違反事件でも、恩赦不相当になりましたものが全体の中でやはり一二%ございました。その点は審査会におかれましても、悪質な選挙違反については上申がありましても、これについてはやはり不相当というような結論を私は出しておられるのじゃないかという感じがするわけでございます。もちろんわれわれも恩赦が乱用されたりあるいは不公正が行われるということは好みませんし、審査会においてもその点は十分意識して、それでやはり中立性が保っていっているのじゃなかろうか、こういう感じでございます。今後とも注意してまいりたいと思っております。
○政府委員(松永光君) 恩赦の関係について、大部分の国民が納得するような形で行われることが望ましいということについては、私もそう思います。前回の沖繩復帰の恩赦等の場合にも、私の記憶と感じでございますけれども、特に悪質な違反事件等については恩赦にならなかったというふうに記憶するのです。たとえば候補者たる者がみずから犯した選挙違反事件等については、ほとんど恩赦にならなかったという私記憶があるのですが、そういう点で、相当先生がおっしゃるように世間が納得するような形でなされておるという感じも持ちますけれども、今後とも先生の御指摘の点は十分注意していかなければならぬと、こう思うわけでございます。
○佐々木静子君 特に、日本の民主主義を守っていく上で、国会とか地方議会というものが国民からやはり尊敬され信頼されなければ日本の議会政治は守れないわけでございまして、特に国会の選挙で選挙違反者が出る、それを国会がまた救済する法律をつくるというのでは、これは全く国民に背を向けた事柄と言うよりほかないわけでございます。ぜひとも国民のための恩赦制度の拡充ということに向かって、いまのお言葉どおりに精進していただきたいということを特に要望いたしまして、時間がございませんので、私質問を二、三保留いたしまして、一応私の質問終わります。
○委員長(多田省吾君) 午前の審査会はこの程度にとどめます。午後一時三十分再開することといたし、休憩いたします。 午前十一時五十分休憩 —————・————— 午後一時三十五分開会
○委員長(多田省吾君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○白木義一郎君 最初に、この法案の第七条第二項「委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。」こういう条項がございますけれども、この条項についての大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 恩赦は一種の行政処分ですから、中央更生保護委員会はやっぱり行政機関であることは間違いがないと思います。ただ、法務大臣の所轄のもとに独立してその権限を行う。そういういわゆる独立して権限を行う行政委員会は他にもございますが、それは高度の公正性、それから中立性、あるいは専門的学問的判断を待たなければ普通の行政官では決せられないような、そういうことがあります場合には独立性を有する行政委員会を設けるわけでありますが、公正取引委員会やこの更生保護審査会もそうであろうと存じます。したがって、この場合は厳正な中立性を確保するための、そういう観点から政党エゴが入らないように七条のような規定を置いたものと理解いたしておる次第でございます。
○白木義一郎君 これは局長さんの方に伺いたいんですが、その中で「積極的に政治運動をしてはならない。」こういうふうになっておりますけれども、積極的な政治運動と消極的な政治運動をどうとらえられてこのような条文ができ上がっているか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(古川健次郎君) これは必ずしも、これが積極的な活動、これが消極的な活動ということは必ずしもはっきりしてないようでございます。いまのような条文は、こういう委員会制度のほとんどにあるようでございますが、その場合に、こういう委員の方すべての政治活動を制限する、これじゃ余りにも自由に反します。そうかといって、先ほど大臣から御答弁いただきましたように、こういうことの中立性、公正性を要求されるものが、委員会におきまして余りに積極的な政治活動をするということはその中立性、公正性にも反します。そういうことでこういう積極的な政治活動はしてはならないというふうに決められているようでございまして、それならば一体どこまでが積極的で、どこまでが消極的というのは、どうも必ずしもボーダーラインがはっきりしていないようです。結局は個々のケースにつきまして判断されるより仕方ないのじゃないかという感じはしているわけでございます。
○白木義一郎君 そこで、第五条の四項には「委員長及び委員の仕命については、そのうち三人以上が同一政党に属する者となることとなってはならない。」こういう条文がありますけれども、私の感じでは、何だかこういうふうに出てくると、政治というものが、明らかによくないんだ、けしからぬのだと、政党エゴなんというのを大臣までも認めてしまっているんだというような印象を受けて、はなはだ残念なんです。そこで私は、この犯罪者予防更生法という法律は、その最たるものが恩赦であるというのであれば、何とか許せるところはないのかというような発想に基づいてすべてが行われていかなければならないのじゃないかと思うのです。そういうことになると、必ずしも政治家がこういう問題に携わるのがよくないか、必ずしも不公正になるかというようなことまで考えるわけです。 ですから、あくまでも犯罪に対する裁判は、これはもう厳正にやらなければならないのは当然ですけれども、それに服した、さあ今度はそれについてはできるだけ更生し、あるいは社会復帰をできるような道を開こう、開いてあげなければいけないというような趣旨に私は更生法を解したい。そうしますと、先ほど来の審議の中では、どうしても常勤というようなことになって、次に出ています「報酬を得て他の職務に従事」したり営利事業をやってはならないというような枠がありますと、おのずからどうしても専門家ばかり集まってくる。そうすると、裁判等で非常に法曹関係であれして最終結論を出した。その人たちを拾い上げ救い上げていこう、社会へ送り出していこうというような考えよりも、むしろ非常に専門的なところへ目が向いて、かえってこの趣旨が生かされないのじゃないか、こういう心配があるわけです。それでこんなところに引っかかるわけですがね。積極的と消極的はどの辺だ、それを聞いておかないと、われわれは毎日が政治運動であるというような立場から、どうもこれは引っかかる。というようなことで、はっきりしたお答えをいただけないのはわかっていて伺っているわけですけれども、 そこで、その次に第三項に「委員長及び常勤の委員は、在任中、法務大臣の許可のある場合を除くほか」と、こういう条項がありますけれども、この法務大臣の許可できる範囲というものはどんなものがあるのでしょうか。
○政府委員(古川健次郎君) どうもむずかしい御質問ですが、御指摘のように、常勤の委員は兼業等について法務大臣の許可を要することとされている、そのどういうものがあるだろうかということでございます。 この条文は、白木先生も御存じのとおり、ほかのこういう委員会の規定には大体あるのでございまして、これも本来特別職の職員は国家公務員法の規定が適用されませんので、特に法律で規定しない限り、私企業からの隔離とか他の事業または事務の関与制限等を受けることはございませんけれども、常勤ということになりますと、そういう私企業その他の事業よりはむしろこちらの常勤におなりいただいた審査会の委員として専念していただくことが主になるということでございまして、このようなわけで、しからばそういう審査会の委員として専念していただくについて差しさわりのないような兼業というのはどういうものか、そういうところから範囲がおのずから決まってくるのじゃないかというような感じがするのでございます。 特定いたしますと、やはり私企業に関与する、さらには弁護士なども、弁護士をやれるかどうかということもやはり問題になってくると思います。現に国家公安委員会の委員の方々にも同じような条文がございまして、現に公安委員会の方の中で常勤で弁護士をやっておられる方がございますが、やはり弁護士とか私企業の役職員なんというのはこの対象になってくるのじゃなかろうかという感じがいたしております。
○白木義一郎君 これから委員の選定あるいは任命について、非常にそういう仕事に意欲を持っている方がいて、ただしこの点はというようなときに、ある程度はっきりしたものを持っていないと話し合いができないのじゃないか。せっかく優秀な方もその辺で引っ込み思案になるというようなこともあるのじゃないか、そんなことでお聞きしたわけです。 そこで、今度大変この審査会が忙しくなったから常勤のあれを二人ふやしたいということですが、この表を見ますと、ちょっとわからないのですが、これは審査会委員の一年間の審査会出席状況、この表を見ますと、四十九年一月は審査会が開催日数が九日、出席した回数が委員長二十日、三宅さんは十八日、吉田さんは十七日とこういうふうになっている。一月は九回審査会が開かれているのに、委員の方々は二十回というような数字が出ているのですが、この点どうでしょうか。
○政府委員(古川健次郎君) ただいま御指摘のように、各委員で出席日数が幾らか食い違っておるわけでございます。委員長の方は常勤でございまして、合計一年間二百四十一回、これは当然だろうと思います。ところが、非常勤であられる三宅先生が比較的これに近いと申しますか、百九十七回、それから次の吉田次郎さんも百六十七回、非常勤であるにもかかわりませずこれだけ御出席いただいている。これはやはり今回の法案提出の理由になりました、非常な事務のふくそうということが大きな原因になっているわけでございます。そういう常勤、非常勤の差が比較的御出席日数で差が少ないということ、これはまさに非常勤の委員の方にまことに申しわけない、これが今回法案を提出いたしました非常に大きな理由でございます。これをお認めいただけますならば、三宅先生吉田先生も委員長と同じように御出席いただきまして、さらに審理が充実いたしますし、また各委員に対する御労苦に報いることになるのではなかろうか、かように考えております。
○白木義一郎君 そうじゃないんですよ、トータルから言っても、審査会が年間百七回開かれていて、委員長は二百四十一回出ている、それから三宅さんは百九十七回出ている。
○政府委員(古川健次郎君) お答えいたします。 この点は先ほどもちょっと申し上げましたが、審査会そのものは毎週火曜と金曜の二回開いているわけです。したがいまして回数が、審査会の開催そのものが百七回、ところが、午前中も申し上げましたように、主査委員が任命されまして、主査委員が記録などをお読みになる。これはやはり役所の方においでいただきまして、役所で大体見ている。もちろん自宅にお持ち帰りになる場合もないではございませんが、原則として役所で見ていただく。したがいまして審査会の開かれない日に、常勤の方は、委員長はこれはもうおいでになっておられますが、非常勤の方も審査会の開催される以外の日においでいただいて記録をお読みになる。あるいは委員長にその記録の状況を報告して調査方針などを御相談する。あるいはそのときおいでになっているほかの委員の方とも相談するつまり審査会以外にそういういろいろな調査事務があるわけです。そういうことで、こういうふうに非常勤であるにかかわらず出席日数が多い、こういうことになっているわけでございます。
○白木義一郎君 そうしますと、この表のつくり方が悪いというわけですね。私が見ると、たとえばここで言えば、法務委員会は年に二十回開かれた。ところが佐々木先生は五十回出ている、ぼくは七十回出ている、そうなると午前と午後に分けているのじゃないかとか、途中で抜け出してまた入ってくると一回ふえるんじゃないかとか、あるいは場合によっては水増しなんていうのじゃないのかと、よけいな心配するわけです。そうすると、要するに委員としてこの審査会の仕事をするところへ行かれたら一日出勤をされた、こういう考え方ですね。それは了承しました。 そこで今度は実務の点ですが、恩赦なら恩赦で、本人から恩赦の上申をする、それが審査会にかかる。それからもう一つは職権の上申、こういう二通りあるというように伺っておりますが、これについては必ずそこの責任者が、恩赦の上申があると必ず刑務所長なら刑務所長がそれをよく目を通して、それからここへ出てくるんだろうと思う。そのときに、これはおまえ、だめだぞというようなことはできないと思うんです。必ずやらなければならない。やるについては、一番身近でその人のことをよく知っている人が意見を付するのが当然だと思うんですが、そうやっているのでしょうか。
○政府委員(古川健次郎君) まさに白木先生御質問のとおり、恩赦を願い出る者が、上申権者、すすわち保護観察所長でありますとか刑務所長に対して願い出る。そういたしますと、その上申権者は、その恩赦の出願が適当であるかどうか、つまり恩赦が相当であるかどうかということにつきまして諸般の事情を調査いたします。それで自分の意見をつけまして審査会に上げてまいります。ですから、ある事件については相当という意見をつける、ある事件については不相当という意見をつけて上申しても、必ず進達はしなければいけませんので、自分は不相当と思っても、それは調査した結果自分は不相当と思うという意見をつけて審査会に上げてまいります。
○白木義一郎君 そうしますと、審査会の委員の方々は、直接その本人にかかわり合ってよく知っている立場の方からの意見を重視すれば、そう書類の最初から終わりまで専門的に虫めがねで見てやらなければならないというようなことじゃなくて、それぞれの責任者がいて意見を付して出してくる以上は、大体その辺で、これは何というか、不相当にしたくてやっているのか、それともできるだけ拾い上げてやるかというような、審査の仕方によってずいぶん違うと思うのです。 そうなりますと、もっと大ざっぱに言えば、何もこういう方々を苦労してこういう立場にしなくても、たとえばわれわれ国民の代表である議員がそれを直接裁くことができるのじゃないか。これはあくまでも大臣が言われたようにエゴとかなんとかいうことじゃなくて、何とか政治というものの信頼を取り戻すという考え方に立ってやっていくことで、いろいろ現状で前向きという言い方もありますが、常に改革していくということも前向きじゃないかと思うんです。ですから訴追委員会とか弾劾裁判所とか、ほとんどはエキスパートばかりですけれども、中に私も入っているわけです。そうすると、専門家の方と意見も合いますし、合わないところもあるというようなところで、いわゆる選良が真剣になってこの趣旨を生かしていこうというようなことも考えられたら、また、考えるべきじゃないかと思うんですがね。 大臣の言うように全部常勤にされる、そうするといわゆるプロが全部になってくる。そうなってくると、どうしても長い間の、全身これプロですからね、そういう見方をしていくと、これはこう言うけれどもこんなあれがあるじゃないか、これは不相当だ不相当だということにどうしても傾きがちじゃないか。そこへいきますと、われわれだと選挙の関係もあって、まあこの程度ならと、じゃあなたの責任でそうしましょうというようなことで、ぼくはこの法律の趣旨はそうだろうと思うんです、賞罰を明らかにしていかなくてはならない。そういう点について大臣の御意見を伺いたい。
○政府委員(古川健次郎君) 確かに白木先生の御意見、よくわかるわけでございます。御承知のように、恩赦は犯罪者予防更生法の中にありますように、犯罪者に対するアフターケアと申しますか、その一環でございまして、仮釈放とかいろいろございますが、結局最後は恩赦、まあアフターケアの一番最後のとりでといいますか、そういう非常に重要な、しかも内容的にも、裁判所が慎重に裁判して生み出しました最終的な判決結果を実質的には変更していくという非常に重要な仕事である。そこで、一面では民主的といいますか、国民の納得する恩赦でなければならない、と同時に、やはり有罪判決を変更するという意味である程度のまた専門的なことも要求される。その両方をミックスした審査会がやはり理想的なものじゃないかという感じがするわけであります。現在もそういうことで審査会の人選が行われていると存じますし、今後ともそういう方向でいかなければならぬと思うわけでございます。 ただ、先ほどおっしゃいました現地の上申権者が意見をつける、そうするとこの意見が相当しんしゃくされていいのじゃないかというようなお考えも伺ったわけでございますが、まさにそうだとは思うのでございますが、ただ現地は、犯罪事実ももちろん考えますが、犯罪事実よりは本人の状況、たとえば刑務所におりますれば、刑務所における心身の状況でありますとか、刑務所内における行状、そういうことが中心になりますし、さらにはその者が釈放された場合にどういう環境に置かれるかという環境、さらにはその被害者が現在どうなっているか、被害者は現在どういうような感情をその犯罪者に対して持っているか、被害者以外の一般の社会感情はどうか、そういうような点を主として調査するわけでございまして、犯罪事実そのものについては記録はほとんど手元にございませんし、結局そういう点は審査会にむしろゆだねられる。 そういうことでございますので、いま申し上げた現地がつくってまいります意見の中には、先ほど申し上げたような点、心身の状況でありますとか、行状でありますとか、被害者感情とか、そういうような点が相当ウエートを持って書かれておりまして、犯罪事実そのものについてウエートが必ずしも高くないという面で一つ問題があると存じますし、また、やはり全国的視野に立ってこの恩赦は相当かどうかと決める意味では、一つしかございません審査会がほかの例等も全部しんしゃくして決めるという意味で、中央で一カ所という、中央が決めるという意味がまたございますし、それからやはり五人の合議制、冒頭に申し上げましたように、各方面の意見、専門家、プロの意見も含めた五人の合議制で決定するというのがまた公正を確保するゆえんじゃなかろうか、こういうふうに感じられるわけでございます。
○白木義一郎君 そこで、局長さんの答弁の中に、恩赦の効果は非常に上がっている、刑事政策としては非常に進んでいるというような答弁を議事録で拝見しております。その具体的なことはきょうは伺いませんが、そういう効果が上がっているということから言えば、ますますこの道を開くような方向へ進むべきじゃないかと、こう思ったのですが、そこで、職権上申というのは、直接担当している拘置所長とか何とかが、これは何としても社会へ復帰させたいと、責任を持って職権上申をされるわけですね。これは実際問題として全部審査会でもフリーパス的なあれでいっていいのじゃないかと思うんですが、いままでいわゆる不相当という結論が出た職権上申はどのくらいあるのですか。
○政府委員(古川健次郎君) 職権上申は、ほかの上申に比べまして相当率が高いことはもちろんでございます。ただ、では職権上申のものは一〇〇%かと言いますと、これは必ずしもそうでございませんで、何件かはやはり先ほどちょっと申し上げた全国的視野とかいろいろな面から、これは現地からどうしてもとは言っているけれども、審査会としては認めがたいというのが若干あるようでございますが、正確な数字は、何でしたらまた調べましてあれしますが、若干あるようでございます。
○白木義一郎君 数字よりも、保護局長さんの記憶にある中で、こんな点が審査会で発見されてという、一つで結構ですから、全国的視野とか抽象的なことだとなかなかこっちも頭を使わなくちゃなりませんから、私の覚えているのではこういうことで不相当になって、だめになったのがあるんだという点を伺いたいんですがね。
○政府委員(古川健次郎君) いま実例というお話でございますが、具体的にいますぐ、こういうのが現地では相当でありたが不相当になったというのを思い出せませんので、まことに恐縮でございますが、確かに現地で不相当というのが相当になり、現地で相当というのが不相当になるというものが若干あるように私記憶しております。ただ、具体的にいますぐここでこういうのがというのを申し上げられないのはまことに申しわけないと存じますが、御勘弁願いたいと思います。
○白木義一郎君 人生に忘れるということがあることは非常に大事なことで、まあやむを得ないことだと思いますが、職権で上申されたものが不相当になるということについては、相当な問題があるのじゃないか、こっちは素人ですから、専門家のあなたにお聞きすれば、しかも長年頭脳を研ぎ澄まされた方ですから、実例を話していただけるんじゃないかと思ってお聞きしたのですが。 そこで、この恩赦相当の比率を見せてもらいままと、公職選挙違反者に対する恩赦相当がどうしても多いようにとられるわけです、全体のバランスからいってですね。ですからこの制度が政治的に——政治的といったって、政治的というと何でも悪いように言うのははなはだ心外なんですがね、悪い面もあるんですが。そこで、ああいったような沖繩恩赦とか何とかかんとか騒ぎ立てれば、ほとんどが選挙違反のための恩赦だというように新聞ニュース等を目にする一般はそう思いがちなんです。ところが、こうやって個々にも恩赦が上申できるんだという制度があるということをどれだけの人が知っているかと、こういう問題になってくる。そうすると、この制度の活用についてどこまで皆さん方が力を入れていらっしゃるか、こういうことなんです。 ということは、選挙違反なんかについては、それっというので、もうそれぞれ詳しい方が応援してどんどんやっていきますけれども、ふだんの服役者等はそういうことをほとんど知らないのじゃないか。そうすると、知らずに最後まで刑期を終えて、いろいろなひっかかりを残したまま、反省しながら一生生きていくような人もいるのじゃないかと、こう心配するわけですがね。こういう制度の活用ということになれば、判決が下った時点に、ちょうど警察の調べみたいに黙秘権というのがあるんだというようなことを教えておいて、恩赦があるんだからしっかりまじめに務めなさいよ、ああそうですかということでこの制度が積極的に活用されるような現状かどうか、その点をお伺いしたい。
○政府委員(古川健次郎君) ただいまのことにお答え申し上げます前に、御質問いただきました実例の問題、これは必ずしも先生の御質問に対して十分なお答えになるかどうかわかりませんけれども、昨年でございましたが、業務上過失で、行状が良好だということで復権の上申がまいりました。ところが、後で犯歴を調べてみましたら、数回その上申後に反則行為を犯していることが、スピード違反とか、つまり刑事事件にならない程度ではございますけれども、数回反則を犯しているということがわかりましたので、これで審査会の段階で不相当と。その際には、やはりその内容も調べました。こちらの審査会の段階である程度内容を調べまして、これは同じ業務上過失であり、今度は刑事事件ではないけれども、スピードがもしちょっと超えれば当然刑事事件になるような反則だということで、恩赦にすることはどうかということで不相当になったのがございます。余り適切な例ではございませんが、ちょっとそんなのを思い出しました。 そこで、いまの恩赦制度の活用と申しますか、これは白木先生からも御指摘いただきましたように、われわれ大いに考えているわけでございます。ただ、どうも恩赦制度は余り声を大にして犯罪者に対してPRするにはいろいろ何か問題があるような感じではございますけれども、しかしながら、できるだけこの点についてはPRしているつもりでございまして、政令恩赦とか政令恩赦に伴います特別恩赦の際には、新聞報道等も活用いたしましてPRされておりますし、いま白木先生の御指摘の問題はむしろ個別恩赦かと存ずるのでありますが、個別恩赦の点につきましても、たとえば毎年七月法務省が主催しております「社会を明るくする運動」、これは犯罪予防活動と同時に、犯罪を犯した者の更生ということを主たるねらいとしている広報活動でございまして、毎年七月いっぱい開かれるわけでございますが、この七月いっぱい行われる「社会を明るくする運動」の際に、いろいろなパンフレットをつくりまして、各検察庁あるいは保護観察所等でいたしますが、その際のパンフレットの中には必ず、恩赦という制度がある、それにはこういう内容がある、出願手続はこうであるというところまでいたしておりますし、それから「更生保護」という雑誌を出しておりますが、七月はこれを倍の約十万部刷りまして、いろいろな講演会とか、あらゆる機会を通じて配布しておりますが、この中にも相当ページをさきまして恩赦制度の解説をいたしております。ただ残念ながら、まだ一般的に広まっているところまでいっておりませんが。 そこで、犯罪者そのものに対するPRはどうか、これは受刑者に対しましては、先生御承知かと思いますが、まず恩赦の前に、先ほどもちょっと触れました仮釈放があるわけでございまして、刑務所の中ではむしろ早く仮釈放になりたい、まじめにやらなければ仮釈放がもらえないということで、むしろそういう面で大いに活用されているわけでございまして、受刑者につきましては仮釈放という点で一種のアフターケアといいますか、これが行われている。その仮釈放が活用されて、なお救えないものが恩赦にくるということで、受刑者に対しては余り恩赦が活用されていないわけでございます。 保護観察の方につきましては、これは保護司さんに、保護司さんは保護司になりますとすぐいろいろな研修を受けますが、その中には恩赦の上申ということを十分説明申し上げまして、したがいまして、先ほど申し上げましたように保護司さんからの職権上申も相当数あるわけでございまして、特定の犯罪者に対しましてもそういう面からPRに努めているつもりでございますが、ただ、どうもまだ一般的には十分いったとはわれわれも考えておりませんし、もっともっとこれは活用すべきものだと、かように考えますので、今後も御趣旨に沿って大いにPRいたしたいと、かように考えております。
○白木義一郎君 そこで大臣ね、いま局長さんからパンフレット等でPRしているという御返事がありましたけれども、直接本人に、警察の取り調べのときみたいに、普通恐らく、黙秘権なんというのは知らない人が多いと思うのです。ついあれして、取り調べのときに言われて、そこで覚えるわけですから、あとの人は知らなくていいわけですよ。ですから、刑務所なら刑務所に入ったときにすぐこれをよく読んでおけと、心得とか何とかいって大きな紙に書いて張って、それでしっかりまじめに自分の責任を果たしなさいというようなことであれば、そんなに手数も要らないし、金もかからないし、手も省けるのじゃないかと、こういうふうに思うのですが、大臣どうですか。
○政府委員(古川健次郎君) いまの犯罪者そのものに対する説諭と申しますか、PRと申しますかの点でございますが、受刑者のはさておきまして、保護観察につきましては、保護観察になりますと保護観察所で本人に対する心得を渡しますが、その心得の中で恩赦というものもあるというふうなことをPRしているしおりもございます。そういう点でも、少なくとも保護関係につきましてはそういう点についてはもっと強化してまいりたい、かように考えております。
○白木義一郎君 大臣、黙して語らずですから、次に進みます。 保護司の方の待遇について、大臣も大変恥ずかしい思いをした、これはもうぜひ改めなければならないとおっしゃっている。そこまではいいんですが、その恥ずかしさは一生大臣について回ると思うのです、良心的な大臣ですから。だけれども、それほど恥ずかしい思いをなすったなら、具体的にしかるべく行動にあらわされるか、あるいはあれ以来こういうふうに具体的にその点の解消に自分は努力しているのだと、その点何かお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(稻葉修君) 実は、全国保護司会の会長さんであるとか役員の方々にお目にかかりまして実情を聞いて、おっしゃるとおり、まことにお恥ずかしい次第だというふうに思いましたのです。それで、いっそ社会奉仕ならば、こんなお金よりはむしろただでやっていただきたいという方がまじめなんじゃなかろうかと思うほどなものですからね、しかし、それにしてもそういうとうとい精神に甘えておってはこれもいかぬのじゃないか、こう思って、この程度はどうでしょうか、この程度はどうでしょうかというふうなことを御相談申し上げておるわけです。 余りまた報酬みたいになってしまいますと、給料を取ってやっているんだということでは、こういう非常に崇高な精神がまた生きないで、そのために刑余者の社会復帰とかいう効果が、ああやって皆さん社会奉仕的にわれわれを保護してやってくださるんだ、ありがたい、早くまじめな人間にならなければいかぬなというそういう効果という点になりますと、社会奉仕的な制度でやっておる日本のこの独特な制度にも、犯罪者の更生の効果はその方が上がるような点も一面あるわけでございまして、その辺の兼ね合いのところはなかなかむずかしい。それぞれの関係者といま相談をしておる段階でございます。
○白木義一郎君 保護司さんの待遇と言うと大げさになりますけれども、本当に奉仕的にやってくだすっているんだという、それにこたえる、要するに法務大臣としての何らか保護司さんたちに伝わるような待遇の仕方ですね、たとえば自治体の方へ頼んで、バスの無料パスを差し上げるとかなんとかということを一歩でもなすった方が、大臣在任中の思い出かできていいのじゃないか。結局伺っていると、とらえどころのない話になっちゃって、時間が終わるまで、じっとこらえてがまんの子になっていればそれでいいんだ、なんて言いたくなるわけです。何かおやりになったらどうか。日本の法務大臣として恥ずかしい思いをした、いまとりあえずやれることは何だという、そういう人間味があっても、これが政治じゃないかと思うのです。 それで、実費弁償というのはどういう実費を考えられているのですか。
○政府委員(古川健次郎君) 実費は、保護司さんが実際に保護活動をおやりいただくその実費をお払いする。それを保護司法では、その実費の全部または一部を国が支弁する、こういう形になっているわけです。それで現在、それにつきましては一応基準をつくりまして、大蔵省と折衝いたしまして、先ほど申し上げましたように、たとえば非行少年一人、保護観察の少年一人を担当した場合に、処遇の一番困難なAクラスで最高千九百円、一月に一人の対象者を持って千九百円と、こういうことで一応一律に考えているわけでございます。それは先ほど佐々木先生からも御質問ありましたように、一回お茶を飲めばもう千円は吹っ飛んでしまうので、それだけでも少ないとは存ずるのでございます。ただ、これにつきまして折衝しました結果、昭和五十年度におきましてはこれが二千六百円、約三〇%のアップを見たわけでございます。これは対象者を一月見た実費でございますが、それ以外に、これも実費といっていいかと思うのでございますが、仮釈放になるかどうかを審査する場合に、その仮釈放になった暁に戻る環境の調査を保護司さんにお願いをしている場合がございます。そういう場合にも、四百円ないし五百円の実費をお払いしている。そういうのが実費の実情でございます。
○白木義一郎君 そこで、保護司さん方の活動に報いる道としては表彰とかあるいは叙勲の道がありますので、そこの道をさらに押し広げていくとか、どうせそんなに金かからないんでしょう。それで生きがいを感じてますますがんばろうという方だって多いのじゃないかと思うんです。ですから、本当にその気になって皆さんが最高の頭脳をフル回転させれば、次々と前進できるのじゃないかと、そういうように考えます。 そこで、保護司さんの人数が少ない、また老齢の方が多くて、若い方もなかなかむずかしいというようなことから、事の重大性を考えますと、こんなことを考えたのですがね、先ごろわれわれの秘書をもう一人ふやしたいというようなことが出たのですが、いま会館に三人いると窒息しちゃうわけです。そうすると、三人にして、一人はそれぞれの選挙区に置いて、当然市民相談もやるんですから、そうすると、この保護司さんのやっていることも十分できるのじゃないか。いやそれは政治運動とかなんとかという、そういうところにこだわるから、それじゃ市民相談や何かもみんなそれとひっかかってくるじゃないかというようなことで、まあ素人というのはそんなことも考えるわけです、わりあいに無責任な立場で本質的なことから判断する場合がありますから。ですから当事者の方も、そういうこともひとつ含めて、今後のよりよきこの法案の趣旨を生かし切っていくという方向で努力をしていただきたい、こういうように思います。 最後に、先ほどもございましたけれども、平沢さんの恩赦の上申の審査に七年かかっている。これはちょっと納得いかないのです。そこにいわゆる政治的配慮だとか、いろいろなお考えが審査委員の方にもおありでしょうし、また法務省全体の立場もなきにしもあらずということはわかるわけですが、そこで政令恩赦ということになると、極端に言えば総理大臣の意思で、平沢はもう年とってよぼよぼじゃないか、もう何したって暴れることもできないじゃないか、ああいう老人をあのままこの世を終わらせるのは忍びない、自分もだんだん年とってくればその気持ちはよくわかるということで、ばさっと政令恩赦でやればできるわけでしょう。できるんでしょう、やれば。政府に、総理大臣にはそれだけの権限が与えられているんじゃないですか。とすれば、それが今度はいま上申中だからできないとか、あるいは再審査の申し出があるうちはできないとかというようないろんなひっかかりが出てくると思うんです。だけれども、これは極端な話いまここで三木内閣が稲葉法務大臣のもとに平沢さんを自由の身にした。文句を言う人も必ずいますけれども、大半の国民はよかったなあと思うのじゃないか。それについてはこの審査に七年もかけているという点は、素人の私どもにはどうしてもそれだけでは納得できないのですけれども、御説明を願いたい。
○政府委員(古川健次郎君) 確かに御指摘のように、前回の平沢の上申の恩赦関係につきましては相当年月がかかったわけでございます。第一回の出願が昭和三十八年でございまして、これが四十六年に不相当ということになった。その後直ちに、これに対しましてまた四十六年の七月九日付で本人から恩赦の出願が出てまいっておりまして、これも現在審査会にかかっているわけでございます。 平沢関係のが遅延しました理由には、従来いろいろ言われておりますが、まず主張が冤罪である自分は真犯人ではないんだというようなことの理由で恩赦、しかもいわゆる特赦といいまして、全部とにかく飛ばす恩赦を、減刑ではございませんで特赦という出願でございます。そこで非常に審査に手間がかかったということが一つございます。さらに一方では、本人は昭和三十年から現在まで十六回にわたりまして再審請求をいたしております。十五回まではすべて棄却されまして、昭和四十九年の九月二十五日に東京高等裁判所あてに出されました第十六回目の再審請求が、現在東京高等裁判所に係属中という状況でございます。こういう再審がかかっておりますと、冤罪という主張に対する第一義的な判断は、やはり再審の方が優先するのじゃないかというような関係もございますし、また記録自身が裁判所にしょっちゅう再審関係で行っております。先ほど申し上げたように、非常に記録が膨大である、審査に慎重を要する、さらに再審等のために記録がといういろいろそんな事情から、先ほどもおっしゃいましたように七年有余かかっている、非常に遅いではないか、人権侵害ではないかという御指摘があるわけです。現在、先ほど申し上げましたように、死刑についてはその事情を考えてできるだけ早くやるということでやっておりまして、できるだけ前のように遅くならないようにやっておりますが、いまのところ、現在再審もかかっておりますので、審査会でも審査中ではございますが、早急に結論が出るというところまではまだいっておりません。そういう状況でございます。
○白木義一郎君 そこで、法務大臣の権限の中の死刑の執行命令、これはどういうものなんでしょうか。どうしても法務大臣はしなければならないのか、あるいはいまのように再審中には大臣といえどもできないのか。
○国務大臣(稻葉修君) 死刑が確定したものに死刑の執行命令をするのは法務大臣でございます。それについて再審請求があって、再審の審理中だから死刑の執行命令書を出すわけにはいかないというものではありません。それについても死刑執行命令を出すことはできるのでありますが、いまの具体的な件につきましては、再審は何度も却下されましたけれども、また恩赦の申請も出ており、中央更生保護審査会で現在審理中でもございますし、それを無視して死刑執行命令を出すのもどうかなと思って、留保をしておるような状態であります。
○白木義一郎君 大臣としては、そういう権限があっても、在任中といえどもそんなことは絶対わしはする気はせぬというような、先ほどちょっとお気持ちをそのように伺ったのですが、そうしますと、大臣にはそういう権限があると同時に、必ず反対の立場でそういう人でも何とか拾い上げていくということもできるはずだと思うのです。ですから、全部が全部というわけじゃないわけですけれども——大臣、お幾つでしたかね。
○国務大臣(稻葉修君) 六十五歳でございます。
○白木義一郎君 これから二十年近くたつと平沢さんと同じ年配になるんですが、そういうことを考えると、たとえば八十歳以上とか何とかいろいろつけて、だれが何と言おうと、わが自民党政府は人助けをしているんだというようなことがたまにあってもいいと思うのです。幾ら悪いことをしてはいけないからといっても、私も含めてこの中に、出るところに出たら恐れ入りましたと言わざるを得ない人がどれだけいるかということですよ。私だってとんでもない。ビルを爆発した連中だって、いまだにつかまっていないわけでしょう。そういうことを考えれば、あくまでも裁判は厳正公平にやっていかなければならぬ。これは国民のよりどころですから、ここまで崩れたら、政府は信用できない、値上げしないと言っておって、たばこも酒も上げるなんていわれたら政府も信用できない、だけれども裁判だけは、日本の裁判は世界最高に公平なんだというその一点が崩れると、世の中めちゃくちゃになると思うのです。ですから、よほど短気な人は何かやりたくなりますよ、こういう不安な、しゃくにさわる世の中の状態では。そういうことから起きたこともあるわけです。ですからそこに、全体に人間らしい雰囲気がだんだん流れていくことによって世の中も収撹できるということも、政治家としては当然考えておかなくちゃいけない、こう思うのです。 ひとつ大臣、在任中に、りっぱなといけば大変結構ですけれども、さすがに今度の法務大臣はというような、国民に喜びと安心感を与えるようなことをおやりになるべきだと、この法案の審議に当たって勉強をさせていただいているうちに、私はそういう気持ちが先行して、できる立場にいらっしゃるわけですから、ぜひともひとつ善政を実現していただきたい。でき得れば評判の悪い政令恩赦、その政令恩赦を発動して、平沢あるいはそれに近い人たちの出所を断行したというようなことがあれば、そこに一縷の希望を国民は持って生きていけるのじゃないか、こう思うのです。大臣の御所感を伺って私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 白木さん、だれだって死刑執行命令をやるなんてことは、そんな愉快なことではない 不愉快なことであることは当然でございます。やっぱり国の裁判所が裁判をして確定して、そうして死刑確定ということになったものをやたら無性に放してしまう、これでは世の中はめちゃくちゃになってしまう。何のために死刑制度というものがある。死刑制度が存置するのがいいか悪いかは別として、現在の法律では死刑存置になっておるわけですから、その確定裁判を全然執行しないということは、これは執行すべき職務にもあるわけでございますから、務めでもあるわけでございますから、そういう点で……。 さらに、政令恩赦でやったらいいじゃないかと言われますけれども、従来のやはり慣例というものも尊重しなければならぬと思うのでございますが、強窃については政令恩赦でやったためしはいままでないものでございますから、この点についてもやっぱり内閣全体として死刑確定者に対する政令恩赦ということは、私はなかなかむずかしいのではないかというふうに感じております。 以上が私の感想でございまして、できることならそんないやな判こを押したくないという心持ちは十分ありますけれども、一つには国家の法秩序を守るという職務を持っておりますから、いやなこともやらねばならぬということがございますことをお許し願いたいと思います。
○白木義一郎君 こういうときに、よく検討いたしますと言って座っていただくと助かるのですがね。職務だとか何だとか言って、じゃ職務なら人を殺すのもやるのかということを言いたくなる。
○国務大臣(稻葉修君) そこをそういうふうにおとりになってもらっては困るのでございまして、私の気持ちは白木さんとそんなに変わりはないんです。ですから、そんなふうに一般がなっていって、まあ八十歳とか八十五歳とか、百歳以上ならもちろんそんなことは放したほうがいいというような気持ちですね、そういうことは十分ありますので、御指摘の事案につきましてはただいま更正保護審査会でせっかく審理中でございますから、いましばらく御猶予を願いたい、こういうふうに思うのでございます。
○橋本敦君 いま、金権選挙をなくす、あるいはきれいな選挙を行う、これが一つの三木内閣の公約になっておるわけですが、そのことが果たして三木内閣の手によって行われるかどうか、これはこれからの課題だし問題だと思っておるのです。それと関連をして、そのようにきれいな選挙を行うという公約の裏側として、これまで行われた選挙違反について、一つはやはり厳正に処断をするという検察の姿勢なり裁判の姿勢がなくてはならない。もう一つは、みだりに選挙違反関係の復権や恩赦を多数行うということは、これまたきれいな選挙を行うということと裏腹の関係で問題がある。こういう観点で私は質問をしたいと思うのです。 まず、言われているような沖繩恩赦あるいは明治恩赦について、数字的に言えばどれくらいの恩赦、特赦の件数があって、その中で選挙違反関係の特赦、復権が占める率がどれくらいになっているか、これを明らかにしていただけますか。
○政府委員(古川健次郎君) お答えいたします。 まず政令恩赦につきまして見ますと、明治百年記念恩赦の際には復権令がございまして、これは道路交通など全部含んでおりますので、千九百万というようなことをいわれておりますが、明確な数字をつかめないわけでございます。その中で、それでは大体選挙違反はどのぐらいあったかと言いますと大体六万七千件、これも推定でございます。六万七千件公職選挙法で復権、つまり政令恩赦であります復権令によって復権したという状況でございます。 次に沖繩恩赦でございますが、沖繩恩赦も復権令がございまして、これもやはり道路交通とかそういう罰金が非常に入っております。全部で六百七十万ぐらいこの復権に該当しただろうといわれておりますが、そのうち公職選挙違反はどれぐらいかといいますと、これが大体二万七千六百件ぐらいだろうというふうにいわれております。これが政令恩赦でございます。 次に、政令恩赦の際にいつも付随して行われます特別恩赦、この特別恩赦の基準ができまして、これで行う特別恩赦、これは出願でまいりますますので正確な数字がつかめておりますが、これが明治百年恩赦の際は、受理総数が四千四百二十一件ございまして、その中で公職選挙違反は三千三百六十七件、全体の七六%でございます。それ以外の一般のが、差し引きいたしまして千五十四件、したがって全体の二四%ということでございます。次に沖繩恩赦でございますが、このときの総数が二千七百九件でございます。その中で公職選挙法関係が二千二百三十六件、パーセンテージにいたしますと八三%、それ以外のものが四百七十三件、これが一七%という状況でございます。
○橋本敦君 いま御指摘の数字だけを見ましても、政令恩赦の数はかなりだし、特に特別恩赦の中で選挙違反関係の占める率が八三%、七六%、こういう大きな数字になっていることは明らかなんですね。 ところで最近の例をお伺いしたいと思いますが、この法案に関連をして出していただいております資料からだけでは内訳がわかりませんのでお尋ねをしたいのですけれども、まず四十八年度の前期と後期に分けまして、それぞれの処理件数の中で選挙違反関係が占める件数とその率がおわかりならば教えていただきたい。それから四十九年度につきまして、つまり昨年、四十九年度につきましても同じように上期下期に分けまして、その中に占める選挙違反関係の処理件数、これがわかりましたらお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(古川健次郎君) まず四十八年度の個別恩赦、常時恩赦、つまり特別恩赦を除きました完全な個別恩赦と申しますか、常時恩赦の処理状況でございますが、これが四十八年度は総数が六百九十二件でございます。その中に公職選挙法は百九件でございます。パーセンテージが一五・八%、それ以外のものが五百八十三件。
○橋本敦君 受理件数ですか。
○政府委員(古川健次郎君) 受理件数です。その中で、相当になりましたものが四百十四件でございます。その公職選挙法等の内訳を申し上げますと、公職選挙法が九十四件、パーセンテージが二二・七%、その他が三百二十件、七七・三%でございます。 それと四十九年度につきましては、実は前日に御依頼いただきましたのが四十八年の後半と四十九年の後半をということでございましたので、四十八年と四十九年の後半部分だけについてちょっと比較して申し上げたいと思います。 四十八年の後半、つまり四十八年の七月一日から十二月三十一日までを見ますと、これが全体の受理が百六十三件でございます。そのうち公職選挙法関係が二十九件でございまして、パーセンテージが一七・八%、それから一般が百三十四件、八二・二%でございます。この中で相当になりましたものの件数でございますが、相当になりましたのが総数で百十四件、それで公職選挙法関係で相当になりましたのが二十一件でございます。相当率は七二・四%でございます。それから一般事件で相当になりましたのは九十三件でございます。百三十四件中九十三件でございまして、相当率が六九・九%でございます。これが四十八年度の下半期でございます。 次に四十九年の下半期、四十九年の七月から十二月まででございますが、これの受理総数が二百七件でございます。そのうち選挙関係が二十九件、パーセンテージが一四%、それから一般が百七十八件、八六%。その中で相当になりましたものは全体で八十四件でございまして、そのうち選挙が二十件でございまして、パーセンテージが二三・八%、それから一般事件で相当になりましたのが六十四件で七六・二%。この相当率を見ますと、選挙関係の相当率は二十九件中二十件でございますので七四・一%、それから一般事件では百七十八件中、これはまだ四十九年の後半でございますので、相当と出ましたのが六十四件でございます。審査しましたものの中の相当率を見ますと八八・九%になっております。現在、一般のものにつきましてはまだ未済が九十六件もございますので、相当率がそのようになっております。
○橋本敦君 いまの数字から非常に明らかな問題は、一つは政令に関してなされる特別恩赦で選挙違反関係の恩赦が、先ほど言ったように八〇%前後の高い率、それでない通常の個別陳情恩赦の申請に関しても、相当率つまり恩赦相当と見られる率が一般の事件の率よりも高い、率から言えば大体七〇%を上下している、こういう結果になっているわけです。 そこでお伺いをしたいのですが、法務大臣、このような数字から見ますと、統計的には選挙違反関係の恩赦が多いことと、それから恩赦相当率が高いということが歴然と出てくるわけですね。これはどういう結果からこのようなことになっているとお考えでしょうか。
○国務大臣(稻葉修君) これは何といいますかな、保護審査会の委員の皆さんに聞いてみないとわかりませんです。
○橋本敦君 じゃ、局長はいかがですか。
○政府委員(古川健次郎君) 前々からそういう御指摘をよく聞くわけでございますが、政令恩赦の点につきましてはさておきまして、審査会がやっております特別恩赦の中で、先ほどの沖繩復帰恩赦でも八〇何%という非常に高い率になっております。これは前の明治百年恩赦のときには、特別恩赦の基準の中にも公職選挙法などがあったわけでございますが、これがやはりそういうことはまずいだろう、まずいと言いますか、それよりも一般に広めた方がいいだろうということで罪名は落としたわけでございます。ところが、結果的にはこういう選挙違反が非常に多く恩赦になっておる、これは結果として、やはり選挙違反関係者が恩赦を求めて上申してくる例が多かった。特別恩赦は出願上申がたてまえなものですから、選挙違反者の恩赦に対する関心が強く、出願に及んだ者が多かった。それからまた特別恩赦の基準の中には「刑に処せられたことが」「公共的社会生活の障害となっている者」ということが条件になっておりますので、やはり、選挙違反で刑に処せられたことがそういう障害になっている方で、公共的社会生活を活発にやっておられる方が多かったということになるかと思います。この点につきましては、先ほども白木先生から御指摘いただきましたように、やはり恩赦というものの趣旨をもっと広めて一般の方も救うようにもっともっと広げていくべきだろうという感じがいたすわけでございます。 また、個別恩赦につきましては、先ほどの昭和四十八年につきましては、確かに選挙違反の方が相当率が、七二%と六九%でございますからやや上回っておりますが、ほかの際には、四十九年度はそれほど差はございませんし、むしろ一般の方が上回っているような状況もございますし……。
○橋本敦君 たとえば何年度ですか。それは確かな数字が出ますか。一つだけでも数字を言ってください。
○政府委員(古川健次郎君) たとえば四十九年度の先ほどの下半期が……。
○橋本敦君 まだ未済でしょう。
○政府委員(古川健次郎君) まあ未済が多いものですからこれはまだわかりませんが、現在の段階ではそれほど差がないということで、個別恩赦の方は特に選挙が件数が多いあるいは相当が多いということは、直ちに言えないのじゃなかろうかという感じがいたすわけでありまして、やはり審査会では、選挙だから特に寛大に、その他だから特に厳しいということはないのじゃなかろうか。これは審査会でおやりになることでありますが、結果的にはそういうふうな感じが、政令恩赦、特別恩赦とはその点では幾らかまた違っているのではないかという感じがするわけでございます。
○橋本敦君 いまあなたが答弁なさった中に、二つの重大な事由が実はあるんですね。御指摘のとおり、まさに明治百年恩赦の場合は、これは特別恩赦の基準そのものの中に政府が公選法を入れています。これはまさに公選法関係の恩赦をなさんがための閣議の決定した基準だと言われてもしようがない。これは非常に社会的に厳しい批判を受けた。こんなことをやればどんどんふえるにきまっています。政府の政策として公選法違反関係の恩赦をするというのですから、これはもってのほかです。こういうことが一つは大きな原因になっている。 それから、あなたがおっしゃるように、さすがこれは余りにもひどいので、沖繩恩赦に当たっての特別恩赦基準では公選法ということは表向きなくなった。しかし、実体的に変わらない問題が出てきている。たとえば恩赦の判断基準の特別復権の基準として、社会公共のためにその人が貢献するところがあり、刑に処せられたことが立候補等の障害となっている者で、復権の出願をしたものと、こう書いております。大臣、いかがですか。原因はよくわからないとおっしゃったが、審査の具体的な基準はおわかりにならぬでしょうが、これで選挙違反関係の恩赦の申請が減るなんてことはあり得ないです。局長いかがですか、こういう基準は問題だと思われませんか。
○政府委員(古川健次郎君) いま橋本先生の御指摘になりました点は、明治百年記念の特別復権の基準でございますね、これには「刑に処せられたことが就職、立候補等の障害となっている者で」云々と、こうございます。これが沖繩恩赦の際には、沖繩恩赦の特別復権の基準はこれを落としまして、「現に公共的社会生活の障害となっている者で」というふうに変わってきたわけでございますが、結果的にはしかしやはり選挙関係が多かったのは事実でございますけれども、こういうふうに復権の基準、特別恩赦の基準についても幾らか変わってきているわけでございます。
○橋本敦君 それが変わっていないことを数字で先ほど証明したわけですよ。なるほどあなたが言うように、「立候補」という言葉は削られて、「現に公共的社会生活の障害となっている者」というように変わっている。これはそうです。しかし、この中身が変わっていないじゃないですか。変わっていない証拠に、先ほど挙げた数字で選挙違反関係の特別恩赦率が八三%、七六%、依然として大きいではありませんか。だからこの閣議基準で言うところの、ここに書いてある刑の判決を受けたことが「公共的社会生活の障害となっている」という意味は、これは広く解釈されますから、就職の場合も立候補する場合も選挙運動する場合もみんな含めてここに入るということは、これは解釈上当然じゃないですか。局長、これは認めますね。だから、言葉で政府は姿勢を正したように見えるが、実体は姿勢を正しておらぬ。問題はここですよ。だからこういうことを、今後政令恩赦があるかどうか知りませんが、それに伴う特別恩赦の閣議決定基準としてこういうことを続けるならば一向改善はされない、私はそう思います。大臣、いかがですか。改善される可能性がありますか。
○国務大臣(稻葉修君) なかなかむずかしい。
○橋本敦君 そうでしょう。改善されるという保証はない。そこで、この問題については大臣も慎重にひとつ御検討願わねばならぬ。まさにクリーン政治を行うというなら御検討願わなければならぬ課題だということを指摘をしておきたいのです。 その次に問題なのは、具体的に個別の恩赦上申、復権の上申があった場合に、審査会は議定書をつくりますね、会議の結果。この議定書の閲覧は一般に可能ですか。局長いかがですか。
○政府委員(古川健次郎君) 閲覧可能でございます。
○橋本敦君 それは犯罪者予防更生法の五十八条の二項で明記をされているところですね。そこで、その議定書の問題で一つ私は問題にしたいのですけれども、たとえば福岡で一番最近に選挙違反関係で復権が認められた議定書の中に、相当と認めた理由にこう言っていますね、買収事犯ですが、「供与金額も十六万円で比較的少額である。犯行の態様も必ずしも悪質でないと認められる。」こういうことがある。あるいは「公判で起訴事実を争わなかった。第一審判決後直ちに服罪した」こういうことがある。これは自民党関係の参議院選挙の違反に関連してなされた違反の事件です。 大臣、伺いたいのですが、十六万円の金で票を買ったという買収事犯、これは糸山さんよりもずっと金額が低いけれども、恩赦の公正な判断として、十六万円の買収というのはこれは金額が少ないといって勘弁してやれますか。個別訪問とかあるいは文書違反とかいう形式犯ならともかく、古今東西これはもう買収というのは一番いかぬ選挙違反でしょう。これをやって、十六万円ぐらいだから、これは金額もそう多くないんだということで相当理由にするという感覚は、これは問題ですよ。私はそう思います。いかがでしょう、大臣、十六万円ぐらいなら軽いですか。
○国務大臣(稻葉修君) 十六万円で、一人にやったのだか、十六人だか百人だか知らぬけれども、そう少ない金額とは私は思いません、自分の選挙にかんがみまして。そういう感じはいたしますね。しかし、その議定書には、理由としてたった十六万円くらいとは書いていないですからね、そうは書いてないのです。
○橋本敦君 たったとは書いていません。
○国務大臣(稻葉修君) ですから、他の選挙違反事件にいろいろ比較して、まあ百万円とか二百万円とかいうものがあるが、十六万円で、多くの事案から見ると少ない方だという判定じゃないでしょうか。私自身は余り少ないとは思いませんけれども、ほかにどんなふうになっているかわかりませんからね。そういうことでそういう判定をされ、なおその他諸般の事情をいろいろしんしゃくされたのではなかろうかというふうに存じます。
○橋本敦君 もちろん諸般の事情をしんしゃくされたと思いますよ。問題は、買収という、まさに清潔な選挙を行うためには最も徹底的にやめねばならぬ問題について、仮にこのぐらいの金額ならこれはまあいいんだというようなことを考えるようなら、更生保護審査会の審査自体が私は姿勢として問題だと思うのですよ。大臣がおっしゃったように、十六万ぐらいなら少ないという、こんな判断をすること自体が問題だ。それからさらに、いま指摘しましたように、選挙違反関係の事件というのは、私は弁護士の経験もあるし、大臣も法曹のお一人でいらっしゃる、よくおわかりと思いますが、微妙な事犯で無罪を主張して争うということがきわめて多い罪種ですよね、これは。争う権利を国民はまた持っている。まさに判決があるまで無罪の推定を法律上も受ける。ところが、裁定の結果恩赦相当とする理由に、一審で検察官主張の犯罪事実を認めたからとか、一審後直ちに服罪をしたからとかいうことで、まさに法廷で無罪を主張して争う権利が悪いかのごとき印象を与えるような裁定書があるとしたら、これは問題じゃないですか。こんなことが相当理由にされるということ自体が問題じゃないですか。この考え方でいけば、恩赦してもらおうと思えば全部服罪しなければならぬ、こうなってしまう。 そこで私は聞きたいのですが、このような不当な判断基準がいまの審査の中であるとすれば、これは問題だ。局長に伺いますが、一体どういう判断基準が合理的なものとしてこの恩赦上申の審査にはあるのですか。そういうものはないのですか。それを伺いたいのです。
○政府委員(古川健次郎君) 犯罪者予防更生法の五十四条がこの場合にいつも引かれるわけでございますが、この犯罪者予防更生法の五十四条は「審査会は、法務大臣に対し、特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除又は特定の者に対する復権の実施について申出をする場合には、あらかじめ、本人の性格、行状、違法の行為をする虞があるかどうか、本人に対する社会の感情その他関係のある事項について、調査をしなければならない。」こういう点がございます。さらに、先ほどもちょっと申し上げました、上申がありました場合にその上申権者の庁でいろいろ調査をいたしますが、その調査書の項目は、心身の状況でありますとか、経歴及び行状、家族の状況、資産及び生計並びに将来の生計方針、犯罪時の職業、生活状況、犯罪の動機、原因、犯罪に関する参考事項、被害者及び社会の感情、その他参考となる事項、こういうようないろいろな事項が一応判断のデータになると思うわけでございます。そういうものをすべてしんしゃくいたしまして、それで審査会は相当、不相当の結論をお出しになっているものと、かように考えるわけでございます。
○橋本敦君 いまあなたが御指摘になったのは、それは当然の一般的諸事情ですよ。それはそれとしていいですが、たとえば閣議の特別恩赦基準の中で「公共的社会生活の障害となっている」というようなことを、これを恩赦の際の相当判断基準の一つに、これは閣議決定で基準に入ってくるのですよ。こんなことは法律にないんですよ、いま読まれた法律には。本人の将来の就職というのはありますよ、これは将来生計を立てて更生してもらわなければなりませんから。ところが、公共的な社会生活の障害ということで言えば、すべての人はそうですよ。書かぬでもいい基準です。しかし、これがわざわざ書かれるということは、明らかにこれはまさに選挙違反関係者が再び立候補することを含む公的選挙活動に参加をするということを前提に、それに支障がある場合ということなんです、これは。だから私が問題にするのは、このような閣議決定は、いま局長が読んだ法律で定めている恩赦基準、それを越える基準を決めておるじゃないか、特に選挙違反関係が妥当するように。これは自民党内閣の姿勢として問題じゃないかということなんです。わかりますか。こういう閣議の基準が、局長が読まれ九法律の基準を越えて、一般的に選挙違反の恩赦を容易ならしめるようなかっこうになっているというこの閣議の基準、もう一度大臣、この基準はこれでよろしいか、改める必要があるか、大臣のお考えを伺わしていただけませんか。私の指摘はおわかり願えたと思うんです、法律の基準以上のことをやっているんだから。
○国務大臣(稻葉修君) 大変示唆に富んだ御質疑でございまして、私も何だかそんなような気がいたしますが、なお、よく十分に検討して御趣旨に沿うような方向に参りたいと、こういうふうに考えます。
○橋本敦君 私は法務大臣あるいは局長に望みたいのですが、法の規定によっても議定書は閲覧が可能です。一つ一つの審決、裁決について報告はないと思いますけれども、大臣御多忙でしょうけれども、あるいは局長御多忙でしょうけれども、議定書はやっぱり慎重にごらんいただきたい、件数が多いけれども。そこでその議定書の相当理由、あるいは不相当とした場合もそうですが、この法で定めた基準に合致しないような基準を判断基準に持ち込んでいないかどうか、たとえば私が言ったように、法廷で無罪を争う権利が阻害されるようなことが書かれてはこれは大変です。そうでしょう、そんなことが裁決書に堂々と出てくるのは問題ですから、これはやっぱり適正な審査が今後行われるようにするためには、議定書は公開ですからごらんいただいて、審査会のメンバーとも適正に行われるような必要な協議を年に何度かは行われることが妥当ではないか、そういうことを制度化されることが慎重になる道であると思いますが、そのような方法をおとりになるお考えがあるかどうか、大臣の所見を承りたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) それは所轄のもとにあるわけですから、いかに独立機関といえども、所轄のもとにあるやっぱり国の一つの行政作用でございますから、私にも責任があるわけですから、よく対話する、そういうことは必要かと思います。議定書をわりに読む方なんです、私は。
○橋本敦君 では、以上の問題はこの程度に置いておきまして、次に私は受刑者の待遇の改善問題について、教えていただいたり御意見を述べさせていただいたりしたいと思います。 まず第一に、現在拘束されている受刑者はどれくらいの数おられますか。
○政府委員(長島敦君) 三万五千前後と記憶しております。
○橋本敦君 三万五千の受刑者を世話なさる職員の皆さんの御苦労も大変ですが、職員数は、いま定員はどれくらいになっておりますか。
○政府委員(長島敦君) 刑務所の定員が大体一万六千でございます。
○橋本敦君 五十年度では定員の増はどれぐらい認められましたか。
○政府委員(長島敦君) 御承知のように行政整理がございますので、それを差し引きますと十二名の増員でございます。
○橋本敦君 年度初頭の要求は幾らでしたか。
○政府委員(長島敦君) 全部で四百二十七名の増員要求でございまして、そのうちで百二十六名認められたわけでございますが、行政整理で減りますので、先ほど申しましたように純増が十二名になったわけでございます。
○橋本敦君 私は、この刑務所の職員の定数というのは、一つは、これが少ないと大変な労働強化になって職員の皆さんの負担になる、一つは、定員が少ないために受刑者の世話が十分できないという意味で受刑者の人権擁護に欠ける結果をもたらす可能性がある、こういう意味で私は刑務所の職員定員というものは非常に大事だと思っておるのですけれども、四百二十七請求をして、そして百二十六に減らされて、結局純増が四百二十七請求したうちでたった十二名だという結果は、これは私は改善しなければならぬ、もっと認められなければならぬと思いますが、いかがですか。結論だけで結構です。これで十分ですか。
○政府委員(長島敦君) いろいろと増員について努力をしておるわけでございますけれども、諸般の事情でかようなことになったわけでございます。
○橋本敦君 局長としてはもっともっと多い方がいいというお考えは間違いないですね。いかがですか。
○政府委員(長島敦君) 私としては、現在も大変職員の負担過重があると思っております。
○橋本敦君 たとえば面会についてお伺いいたしましょう。受刑者の面会はどの程度許されておりますか。
○政府委員(長島敦君) 法律的な御質問だと存じますが、受刑者につきましては法律的にはその親族ということになっておりまして、親族以外の者につきましては、特に所長が必要がありと認めて許可するという、例外的な許可があった場合に面会ができるということになっております。
○橋本敦君 回数、一カ月で何回か。
○政府委員(長島敦君) 一ヵ月の回数は、これは累進処遇令の関係がございますが、一般的と申しますか、懲役受刑者につきましては、最初に入りました第四級といいますか、入所当時の受刑者は毎月一回でございまして、もう少し上がりますと今度は三級というのになりますが、これは月に二回、それからさらに二級に上がりますと毎週一回、それから一級の受刑者になりますと随時接見ができるということになっておりますが、これにも例外がございまして、特に遠くから親族が来たとかいうような場合は、所長の裁量で特に面会を許しております。
○橋本敦君 その面会をいま言ったように累進的に回数を定めるというのは、これはどこで決まっておるんですか。
○政府委員(長島敦君) これは先生御承知の行刑累進処遇令という省令が出ておりますが、それで決められておるわけでございます。
○橋本敦君 私が議論をしたときに、受刑者が面会をする、家族と会う、それを累進的にだんだん多くしていくということだけれども、最初月一回しか家族と会えないというのは、これは懲罰の意味なのか、一体何なのかということを議論したことがあるんです。これは懲罰の意味ですか。局長はどうお考えですか。
○政府委員(長島敦君) どういう趣旨でできたのかわかりませんが、累進処遇令の基本的な考え方は、最初施設へ入りましたときにはある程度厳しい管理下におきまして、行状がよくなるにつれて緩和していくということによりまして、本人自身も励みになりますし、そういうことで順応しましてから社会へ出すということが教育的に意味があるという考え方でこれが出発しているものというふうに考えております。
○橋本敦君 本人が励みを持つというのはいいですけれども、しかし、家族との面会が月一回しかできないというのは、これは逆に教育的でない精神状況を起こすんですよ、おわかりだと思います。なせこれをふやさないのか——これはもう政府の方が変える気になれば変わるんですから一と言いますと、お世話する職員の数がとても足りないんだという話を私は現場で聞いたことがある。そういう事情もあるのじゃありませんか。
○政府委員(長島敦君) その事情も確かにございまして、面会とか差し入れとかいろんなことには相当人手がかかるわけでございますから、かような問題を一気に変更します場合には、相当のやはり準備期間と申しますか、体制の整備が必要だと思います。
○橋本敦君 だからそれは、やっぱり職員の増員も含めた体制整備で改善をしてやる方がよろしいという現在お考えがあるというふうに私はうかがえるお話なんですけれども、これはぜひやってもらわなければならぬ。 もう一つ、私が弁護士をしておったときの経験ですが、会いに行きましても、刑務官が立ち会われて本人と直接の接見交通ができないんですね。いかがですか。
○政府委員(長島敦君) 御質問の趣旨が必ずしもよくわかりませんが、刑事事件での担当の事件でお目にかかられるときには、さようなことはないはずだと思っておりますが。
○橋本敦君 当該刑事事件じゃないです。刑がきまってもう受刑している……。
○政府委員(長島敦君) 民事事件ですか。
○橋本敦君 民事でもね。
○政府委員(長島敦君) この点は、実はいまの監獄法の委任に基づきます監獄法施行規則がございますが、これによりますと、刑事事件につきまして被告人が弁護人と会われます場合には立ち合いをしないという明白な規定がございます。これは御承知のように、刑事訴訟法に規定がございますとおり、それを受けた規定でございますが、そのほかの場合には「接見ニハ監獄官吏之ニ立会フ可シ」という原則がございますので、立ち会っておるものというふうに理解しております。
○橋本敦君 そのとおりです。まさに六十年前につくられた監獄法の規定でそうなっている。ところが本人は、たとえば家族関係の問題、あるいは離婚という問題もあります。あるいはその他家庭の事情で民事訴訟を起こさねばならぬ問題とか、いろいろな相談がある場合がありますね。われわれ弁護士であるという立場では、法律上プライバシーを、秘密を守る義務がある。みだりにこんなことは他人に口外すべき性質のものではない。ところが、刑務官が立ち会っておられるために、本人自身がもっと詳しく微妙な話を弁護士と相談したいと思っても言えないということを訴えておられる人がある。これは私理解できますよ。そういう場合はまさに刑の執行と関係のない本人の生活関係と人権にかかわる問題ですし、弁護士自体は本来そのような人たちのために仕事をするという職務があり、職務上の秘密義務があるのですから、弁護士が会いたいというときは刑務官の立ち会いなしに会わせるということを当然考慮されてもよろしいと私は考えておるのですが、そのようなお考えはいかがですか。
○政府委員(長島敦君) この問題は大変実はむずかしい問題を含んでおると思います。現在、監獄法の全面改正について内部で作業を進めておりますが、その一つに受刑者の法的地位と申しますか、これを法的にどういうふうに考えるのかというのが大きな問題でございます。そこの中の一つにいま御指摘のような問題も入っておるわけでございまして、実はただいま慎重にそういった問題を、全般的な法的地位という角度から検討を真剣に進めておる段階でございます。
○橋本敦君 その検討の結果はまた議論する必要があると思いますけれども、次の問題として今度は作業奨励金ですね、受刑者が労役に従事した場合にどれくらいの作業奨励金が支給されているのか、その基準を説明してください。
○政府委員(長島敦君) 現在の受刑者の作業賞与金でございますが、一人平均いたしまして一ヵ月当たり、現在は大体千五百円程度でございます。五十年度予算案におきましては約二〇%増の予算が認められまして、大体一カ月千八百円近くになるということでございます。
○橋本敦君 その労役というのは、通常社会的に行われている作業内容と変わらないわけです。印刷にしても、あるいはその他の金属関係の作業にしても変わらないわけです。ところが一ヵ月働いてわずか千八百円である。 ところで、そういう受刑者の作業によってどれくらいの作業収益金があるかを四十七年度決算書で調べてみますと、八十四億八千七百二万円からの作業収益が国庫収入で上がっているわけですね。そして、さらに四十八年度になりますと九十五億八千六百六十四万円何がしかが、政府が国会へ提出した決算書で見ても作業収益で上がっているわけですね。莫大な利益が上がっているわけです。これだけの利益が上がっておりながら、作業奨励金が一カ月に千円何がしかというのは、私はこれは残酷じゃないかと思うのですね。このようなことをするから、逆に、刑事犯罪の被害者になった人が損害賠償請求をして、被害を償いたいと思っても本人に支払い能力がないということで泣き寝入りなさっている方がたくさんある。刑事被害補償の問題がいま世論化しておりますけれども、そういうところからも出てくる。では本人が刑を務めて出所するときに、次の新しい生計を立てる、自分の生活基盤にするために刑務所で働いて得た労役の報酬を使おうと思っても、とても一カ月千八百円じゃできません。だから刑事犯罪被害者の救済の面からいっても、本人自身の将来の生活設計、社会的更生からいっても、これだけ百億近い作業収益が国庫に収入されておりながら、本人にはわずか千円何がししか渡さぬというのは、これは改善しなければならぬ。私はこれは本当にそう思っているのです、両方の面から。 たとえば、局長御存じだと思いますけれども、有名な国連決議で、受刑者は単に自由を奪われた労働者であるという言葉が出てきます。自由を奪われた労働者だ。そこで働いているものはやっぱり労働の報酬として、対価として当然本人にしかるべき範囲で与えねばならぬ、これが近代的思想だと私は思うのです。こういう言ってみれば残酷な作業奨励金の状況のまま今後ずっと置いておいていいのか、これは改善しなきゃならぬのか、局長の御意見はいかがでしょう。
○政府委員(長島敦君) ただいま先生がおっしゃいましたような国際的な考え方というのも広く出てきております。賃金制がいいのかどうかといういろんな議論はございますけれども、いずれにしても、その労働に対して相応な対価と申しますか、報酬と言いますか、そういうものを与えるということは、将来の方向として必要なことだというふうに私思っております。ただ、これには実は莫大な予算を要しますので、いろんな問題はあろうかと思いますけれども、方向としてはそういうふうに努力をしてまいるべきだというふうに思っております。
○橋本敦君 莫大な予算を伴うといっても、収益は一方で入っているんですよ、本人自身の収入で。そうでしょう。その刑務所全体を運営する、あるいは人件費その他を含めた法務省予算その他、莫大な経費が要ることはわかりますよ。わかりますけれども、労働それ自体をとってみれば、まさに国家が無償で予算をつけなければならぬ問題とは異質ですよ。これはやっぱり処置しなければならぬ性質の問題です。だから、いまおっしゃった改善方法をこれはいつごろどうなるか、急にはお答え願いにくいとは思いますけれども、ぜひ改善をしていただきたいと私は思うのです。いかがですか。
○政府委員(長島敦君) 私も、おっしゃいます方向で努力したいと思っておりますが、先ほどのお話でございますが、たとえば四十八年度に九十六億の作業収入がございますけれども、直接この収容者の収容に要しました経費、たとえば食費、それから衣類、光熱水料、そういったものに約六十億使っておりまして、それから作業の原材料費、それからいま申し上げました賞与金その他を加えますと、ほぼ収入ととんとんのところへ実は予算的にはいっておりまして、この収入が全部本人たちに還元しますと、相当の実は予算的には赤字になるという面もございまして、大変むずかしい問題ございますけれども、私としては極力そういう方向で努力したいというふうに思っています。
○橋本敦君 発想の転換が必要なんですよ。たとえば受刑者を教育刑的目的で一応収容する、社会から隔離する。いいですか、仕事をしなくたって食事をさせてやらなきゃならぬ。これはもう基本的人権として当然です。その上に仕事をした収益が上がっているという考え方に立たないと、発想の根本的転換はできはせぬと私は思うんですよ。そういう考え方が監獄法の改正にからんでいま世界的に言われている問題じゃないか。そこのところを踏まえないと、あなたのおっしゃるような単純計算やっていれば何事もできはしません。 そこで、いま局長がおっしゃった監獄法の改正というのは、これは古いですよね、法務大臣が監獄法の改正を矯正局長に対して指示したのが昭和四十二年ですから、もうかなり古いですがね。これに基づいて監獄法改正準備会が設けられたと私聞いておりますが、そこで改正作業はいまどの程度進んでおりますでしょうか。
○政府委員(長島敦君) おしかりを受けたわけでございますけれども、あらゆる努力をいま集中的に注いでおりまして、現在の私の申し上げ得ます限度では、おそくもこの秋には法務省としての要綱案ができまして、法制審議会にはかけ得るというめどをいま持っております。
○橋本敦君 勝尾元矯正局長がお書きになっている論文を見ますと、この監獄法改正問題に触れられて次のように述べておられます。「今や監獄の制度は、壁の中の生活と壁の外の生活との間にあり得べきさまざまの差異を減らすことに努めなければならない」こととなり」云々とこうおっしゃっていますね。これはまさに、この監獄法ができたのは明治四十一年でしたか、その当時の国家権力が主体となってやっていた時代からはるかに違った今日の憲法体制に見合う方向に行かなければならぬし、世界的な水準から考えても、行刑制度は教育刑的な処置から開放処遇の方向ということが非常に強く打ち出されておりますね。だから、成績がよくなれば一時帰住制度、一時家へ帰してあげるというようなことで社会との関係を復活させていくとか、それから比べると、わが国の制度は非常におくれているというように言わざるを得ないわけです。 そういう意味で、いま局長がおっしゃった、秋には大体方向が出るということですけれども、その出る方向を、いま私が言ったような今日の世界的な方向とマッチをした、憲法にマッチをした方向で思い切って打ち出されるという大胆な作業が準備をされているのか。それとも、明治四十一年の監獄法の規定は条文そのものを読んだって余りにも古いですが、そういう若干のあれこれの手直しという程度にとどまるような状況なのか、どっちなんでしょうかね。
○政府委員(長島敦君) まだ私の手元で準備作業を強力に遂行している段階でございますので、法務省の方針というわけにはまいりませんが、私としては、ただ字句の整理というような程度にとどまる改正では意味がないというふうに思っております。
○橋本敦君 そのとおりですがね、いま局長がおっしゃった、手直し程度では意味がないので抜本的な改正方向を打ち出すということですが、改正の基本要項といいますか、条文は結構です、基本方向といいますか、そういうものを明らかにしていただくことはできませんか。きょうでなくて結構ですから。
○政府委員(長島敦君) もう少し省内の調整等がつきました段階では可能かとも存じております。
○橋本敦君 なぜそれを言うかといいますと、これは日本弁護士連合会としても、あるいは法曹に携わる多くの人たち、人権を守るという立場の人たちが重大な関心を持っている。そこらの御意見は十分お聞きになる方がよろしかろう。そのために、準備をなさっている要綱と方針を法務省として近いうちに責任をもってお出しになって、そして関係者との討論、法曹関係者の協力ですね、これを深められる手続を経て達成されることが望ましいのではないか。そういう処置を近くおとりになるような御準備を願いたい、こういう私の希望なんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(稻葉修君) それは大変に結構なことじゃないかと思います。この間実は矯正局長から一体監獄法の改正はどの辺まで進んでいるんだと聞いて、ずいぶんハイカラだねと私は言ったんですけれども、ですから、御趣旨の方向に、進み過ぎているくらい——私は古いですからね。そういうことでございますから、おっしゃったように法曹三者協議会もできたことであり、別に秘密にしておく必要もありませんから、もう公明正大、ざっくばらんに天下の衆知を集めて、いい監獄法、いい行刑法にしたいという考えを持っております。
○橋本敦君 それを具体的にお進めいただくように心から希望をいたしておきます。 受刑者の処遇、待遇改善については小さな問題ではたくさんございますけれども、時間の関係がありますので、いまの大臣のおっしゃった方向を期待して質問を終わります。ありがとうございました。
○佐々木静子君 いまの橋本議員の御質問に関連して、ちょっと長島局長に伺いたいと思います。 実はこの監獄法の問題でございますね、御承知のとおり私もここ四年間、八回ほど監獄法の改正がどうなっておりますかということを法務大臣あるいは矯正局長にお尋ねしてまいりましたが、いつでも大体半年ほど後に成案ができるとか、三ヵ月ぐらいたったらできるとか、歴代の大臣なり局長がおっしゃっておられまして現在に至っているわけなのでございます。きょう伺いますと秋にはできる、これはもう真正面、確かなお返事として受け取ってよろしゅうございますね。同じことばかり言っていると困るわけですよ。秋には成案が得られるというふうに確約していただけるわけでございますね。
○政府委員(長島敦君) これは私自身の見通しでございますが、現在の作業の進行状況から私自身が判断いたしまして、私としてはできるというふうに思っております。
○佐々木静子君 私どもも監獄法は非常に古色蒼然としておって、いま橋本議員の御指摘のあったように、思い切った発想の転換をした監獄法をつくつていただきたい。矯正局長は非常にユニークなお考えをお持ちで、新しい方向に向かって御研究を深めていらっしゃるということで、私ども大変期待しているわけでございますので、ぜひともおっしゃる期間までに成案をつくり上げていただきたい。そして、できたものを国会にお見せいただくというのじゃなくて、これも再々お願いしておるのでございますけれども、ちょっとでもできつつあるものを、少なくとも法務委員会にはお示しいただきたい。私どももいい監獄法をつくろうということについては、これは人後に落ちない気持ちを持っておるわけでございますから、できるだけ一生懸命に取り組みたいと思っておるわけでございますので、ぜひともそのようにお願いしたいと思うのですが、お約束していただけますか。
○政府委員(長島敦君) 現在の段階では、まだ省内の調整が完全についておりませんので、それがつきまして支障のない段階になりますれば、私の方も一度諸先生方の御意見、御勧告をいただきたいというふうに考えておりますので、そういう段階になりましたらまたそういうふうに計らいたいと思います。
○佐々木静子君 それでは五月、六月ぐらいには大体国会の方に骨子をお示しいただけるというふうに承っていいわけですか。そうしませんと、秋にはちゃんとなるというのじゃ、ちょっとまたずれてしまいますからね、毎度ずれますので、国会の方に大体骨子をお示しいただけるのがいつかということ。
○政府委員(長島敦君) 内容のいかんにもよりますが、秋ごろに法制審議会にかけるということになりますと、夏ごろということになろうかというふうに思います。
○佐々木静子君 それではぜひ少しでも早く、これは歴代の大臣にお願いしておりまして、そして各大臣皆さんが前向きに大いに取り組むとおっしゃっていただいているのですが、なかなかそういかずにかわっておしまいになる。稲葉大臣はぐっとがんばっていただいて、そしていまのお話のように、夏にはわれわれの前に骨子を示していただけるように期待しておりますので、どうぞひとつよろしくお願いいたします。大臣の一言でけっこうです。
○国務大臣(稻葉修君) 私は余りがんばらない方なんです。あっさりしている方ですからね。 それから骨子の程度にもよりますし、なるべく早くそれは皆さんに御相談した方がいいという気持ちがありますが、ただ、この人はわりに学究はだの人ですからね、理想的なことをだいぶ書いてあるな。そうして、やってみたいのだね。けれども、実務家としてどういうものか、現地の刑務所長だのそういう意見も私はもっとよく聞かぬと、あなた、シャバにいるよりもっと楽で遊んでいられるなんていう刑務所があったものではないですから、そこのところのけじめは、人間は悪性と善性を持っているのだから、悪性はあくまでも強制的に押さえつけなければならぬ。その押さえつけるのを何ぼでも緩めればいいというものではなかろうと思うような気がするんです。どうもそういうことで、いませっかくやっておりますから、今度はそんな、秋に出すと言って来年の秋になったり、そんなことはありません。
○佐々木静子君 どうもありがとうございました。私どもせっかく大臣が長いこと法務大臣におられて、いい監獄法をつくっていただきたいということを希望しているのですから、余り力を入れて恐ろしい監獄法に変わってしまわないように、ひとつくれぐれもお願いして、関連質問ですから終わらせていただきます。
○委員長(多田省吾君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(多田省吾君) 御異議ないと認めます。 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(多田省吾君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 佐々木君から発言を求められておりますので、これを許します。佐々木君。
○佐々木静子君 私は、ただいま可決されました犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び日本共産党各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 一、政府は、政令恩赦については、恩赦制度の趣旨にもとることのないよう慎重に対処するとともに、選挙違反事件に関する恩赦については、適正な運用を期すべきである。 二、政府は、個別恩赦については、人権擁護の見地から、適正迅速な処理がなされるよう配意すべきである。 三、政府は、保護司の使命の重要性にかんがみ、保護司の実費弁償金及び研修経費の大幅な増額を図るべきである。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(多田省吾君) ただいま佐々木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(多田省吾君) 全会一致と認めます。よって、佐々木君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、稲葉法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。稲葉法務大臣。
○国務大臣(稻葉修君) ただいま全会一致をもって可決されました附帯決議に関しましては、その御趣旨に沿うよう最善の努力を払ってまいりたいと存じます。
○委員長(多田省吾君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議こざいませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(多田省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十七分散会