法務委員会 第2号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1975/02/13
会議録
○委員長(多田省吾君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。 まず、法務行政の基本方針について稻葉法務大臣からその所信を聴取いたします。稻葉法務大臣。
○国務大臣(稻葉修君) 委員各位には、平素から法務行政の適切な運営につき、格別の御尽力をいただき厚く御礼を申し上げます。 この機会に法務行政に関する所信の一端を申し述べ、委員各位の深い御理解と格別の御協力を得たいと存じます。 改めて申し上げるまでもなく、法務行政の使命とするところは、法秩序の維持と国民の権利の保全にあると考えております。ことに、内外の諸情勢が変動を続け、困難な諸問題が山積しているこの時期に際し、国家社会の平和と国民生活の安定を図るためには、その基盤とも言うべき法秩序がゆるぎなく維持され、国民の権利がよく保全されていることがきわめて肝要であると存ずるのであります。 私は、法務大臣就任以来、常にこのことを念頭に置き、所管行政各般の諸問題に取り組んでまいりましたが、今後とも職責を全うするため、全力を傾注して国民が期待する法務行政の推進に努めてまいりたいと存じます。 以下、私が考えております重点施策について申し上げます。 まず、第一は、法秩序の維持についてであります。 最近の犯罪情勢を見ますと、厳しい社会経済の変動を反映して、犯罪の態様は一段と複雑多様化の傾向を示しており、特に企業活動に伴う公害事犯、各種経済関係事犯等国民の社会生活に密接な関係を有する新たな形態の事犯が注目され、他面、治安情勢につきましては、累次にわたる爆発物使用の衝撃的暴力事件あるいは過激派集団の内部抗争による内ゲバ事件等国民を不安に陥れる事犯の続発が見られ、当面の治安情勢は警戒を要するものがあると考えられるのであります。 このような情勢に対処するため、私といたしましては、検察の執務態勢の整備充実を図る等いたしまして法秩序の維持に努めてまいる所存であります。また、不法事犯に対しましては、警察その他関係諸機関と密接な連携を保ちつつ、厳正公平を旨として、適正かつ迅速な刑罰法令の適用に努めまして、犯罪の根絶を期してまいりたいと存ずる次第であります。 第二は、犯罪者及び少年非行者に対する矯正及び更生保護行政の充実についてであります。 犯罪者及び非行少年の改善更生につきましては、少年院、刑務所等における施設内処遇と実社会における社会内処遇を充実強化するとともに、これら相互間の連携を緊密にし、その効果を高めてまいる所存であります。 そのためには、まず施設内処遇につきまして、個々の犯罪者等の特性に応じた処遇方法を講じ、さらに、社会復帰に役立つ職業訓練の充実等を図りますとともに、他方、社会内処遇につきましても、保護司等の民間篤志家との協働態勢の下に、 一層の保護観察機能の充実向上に努め、これら犯罪者等の社会復帰を容易ならしめるよう格段の配慮を払ってまいりたいと存じております。 第三は、民事行政事務の充実についてであります。 登記その他の民事行政事務につきましては、かねてからその事務量の増大に伴い、職員の増員カ初め、関係法規の整備、組織・機構の合理化及び事務の機械化を図るなどして、その需要に対処してまいりましたが、今後とも引き続き所要の措置を講じましてその事務処理態勢の整備充実を期し、国民の権利保全と行政サービスの向上に努めてまいりたいと存じております。 なお、登記所の適正配置計画の実施につきましては、目下、鋭意その作業を進めているところでありますが、幸い地元関係者等の御理解、御協力により相当数の整理統合を実施することができましたが、今後とも整理統合対象庁につきましては、地元関係者等と十分折衝を重ねながら円滑な実施に努め、国民の利便にかなった登記行政のサービス向上に努めてまいりたいと存じております。 また、戸籍制度につきましては、最近の社会情勢を反映して、戸籍の公開制限の要請等戸籍制度の基本にかかわる種々の問題が発生している実情にかんがみまして、現在、民事行政審議会に戸籍制度の改善について諮問いたしておりますが、いずれ答申をいただきました際は、これに十分な検討を加え国民一般の要請にかなった戸籍制度の確立に努めてまいりたいと考えております。 さらに、人権擁護につきましては、昭和四十八年度から全国的に発足いたしました人権モデル地区をさらに推進いたしまして、人権擁護思想の一層の啓発活動を行い、広く人権を尊重する精神の高揚と普及を図ってまいる考えであります。 第四に、出入国管理行政の充実についてであります。 今日の諸情勢に対応できる出入国管理行政の確立は、国際親善に寄与するという観点からも強く要請されるところであります。特に、逐年高まる国際交流の拡大は、わが国への出入国者をますます増加せしめ、出入国及び在留管理に関する事務をいよいよ複雑、困難にいたしております。ことに、外国人入国者の大部分を占める短期旅行者の入国手続の簡素化は国際的要請でもあり、また、在留管理につきましても合理化や改善を図るべき点が多々あるのであります。 このような状況から過去数回にわたり出入国法案を提出したのでありますが、遺憾ながら廃案のやむなきに至っている次第であります。しかし、新しい出入国法の制定はぜひとも必要でありますので、従来の経緯、その他諸般の情勢を勘案しつつ、根本的かつ総合的に再検討いたしたいと考えております。 したがいまして、当面は現行制度のもと、できる限り業務の合理化、能率化を図るなどして、出入国手続及び在留管理事務の適正、迅速な処理に努めてまいる所存であります。 最後に、法務省施設の整備改善についてであります。 現在、法務省が所管しております施設のうちには、老朽、狭隘あるいは地方公共団体等からの借り入れのものが多数あり、早急に整備改善を図る必要が生じている実情であります。しかしながら、これら施設を一挙に整備するには国家財政の面からも不可能でありますので、法務省といたしましては、老朽、狭隘度のはなはだしい施設や地方公共団体等からの返還あるいは移転要請を受けている施設を重点的に取り上げ、逐次その整備改善に努めてまいる所存でございます。 なお、以上申し述べました諸施策のほか、法務行政全般の効率的運営を推進するため、組織・機構の合理化、関係法令の整備、職員の確保及び待遇改善等につきましても十分留意してまいりたいと考えております。また、さきに法制審議会から答申を得ました刑法の全面改正につきましては、目下、事務当局において政府案作成作業を進めているところでありますが、刑法は最も重要な基本法の一つでありますので、その改正につきましては、広く国民各階層の意見をも考慮しつつ、真に時代の要請に適応した新しい刑法典の実現に努力いたしたいと考えております。 以上、法務行政の当面の重点施策について所信の一端を申し述べましたが、その他の諸施策につきましても、委員の皆さんの御協力、御支援を得まして、その解決に努力したいと存じております。どうかよろしくお願い申し上げます。
○委員長(多田省吾君) 次に、昭和五十年度法務省及び裁判所関係予算について説明を聴取いたします。近松法務大臣官房会計課長。
○政府委員(近松昌三君) 昭和五十年度法務省所管予算の内容について概要を御説明申し上げます。 昭和五十年度の予定経費要求額は二千二百七十九億三千百五十九万二千円でありまして、これを前年度予算額千七百六億八千三百四十六万四千円に比較いたしますと、五百七十二億四千八百十二万八千円の増額となっております。 増額分の内訳を大別いたしますと、人件費五百十八億三千五百六万五千円、一般事務費四十九億六千二百七十二万五千円、営繕施設費四億五千三十三万八千円となっております。 まず、増員について申し上げますと、第一に、検察庁において百二十八人が増員となっております。まず、交通関係事件処理の円滑適正化を図るため、検察事務官五十人が増員となっております。また、財政経済犯罪に対処するため副検事二人、検察事務官三十人、公害犯罪に対処するため副検事三人、検察事務官二十八人、公安労働検察の強化のため検察事務官十人、公判審理の迅速化のため検察事務官五人が増員となっております。 第二に、法務局において事務官三百十八人が増員となっております。まず、登記事務の適正迅速な処理を図るため三百四人が増員となっております。また、国の利害に関係のある争訟事件の処理を充実するため十一人、人権侵犯事件等に対処するため三人が増員となっております。 第三に、刑務所における職員の勤務条件を改善するため看守百一人、医療体制を充実するため看護士(婦)十二人が増員となっております。 第四に、非行青少年対策を充実するため、関係職員三十人が増員となっております。その内容は、少年鑑別所の観護活動の充実のため教官十人、保護観察所の面接処遇の強化のため保護観察官二十人であります。 第五に、出入国審査業務等の適正迅速化を図るため、地方入国管理官署において入国審査官二十人、入国警備宮三人が増員となっております。 第六に、破壊活動調査機能を充実するため、公安調査官二十三人が増員となっております。 第七に、法務本省において、訟務事務処理体制を充実するため事務官三人が増員となっております。 増員の内容は以上のとおりでありますが、御承知のとおり、昭和四十九年八月の閣議決定に基づく定員削減計画(第三次)による昭和五十年度削減分として四百八十八人が減員されることになりますので、所管全体といたしましては、差し引き百五十人の定員増加となるわけであります。 なお、以上の増員のほか、法務本省における訟務事務処理体制を充実するため官房訟務部参事官二人の増設及び恩赦事件の適正迅速な処理を図るため中央更生保護審査会委員二人の常勤化がなされております。 次に、一般事務費につき、それぞれ前年度当初予算と比較しながら御説明申し上げますが、まず全体としては、前年度に比し旅費類が六億二千六百二十六万三千円、庁費類が二十二億四千六百九十四万五千円、営繕費が四億五千三十三万八千円、その他の類が二十億八千九百五十一万七千円増額となっております。 以下、主要事項ごとに御説明申し上げます。 第一に、法秩序の確保につきましては、さきに申し上げました副検事五人を含む合計二百七十一人の増員経費及び関係組織の人件費を含めて一千三百八十億八千九百万円を計上し、前年度に比して三百五十五億四百万円の増額となっております。 その増額分について申し上げますと、まず、検察庁関係としては百十五億八百万円が増額されておりますが、その中には、関係職員の人件費のほか、検察費一億六千五百万円、公害犯罪事件等火種検察活動の充実強化を図るための経費二千九百万円、検察執務体制の整備充実経費一千三百万円が含まれております。 次に、矯正関係としては二百五億二千五百万田が増額されておりますが、この中には、関係職員の人件費のほか、職員の待遇改善経費一億五百万円が含まれております。 また、矯正施設収容者処遇の改善につきましては二十二億千百万円の増額となっております。これは作業賞与金の支給計算高を二〇%引き上げるための所要経費九千六百万円、生活用備品、日用品、医療器具等の充実、公害防止等に要する経費十三億四千六百万円が増額となったほか、被収容者食糧費につきましても米、麦の単価改定のほか、菜代の内容改善分十円及び物価上昇分二〇・七%の引き上げによる給食内容の大幅な改善が図られ、これに要する経費として七億六千九百万円が増額となっております。 次に、保護関係としては十三億六千八百万円が増額されておりますが、その中には、関係職員の人件費のほか、保護司等との連絡通信費、事務能率器具等保護観察体制の整備を図るための経費七百万円、保護司実費弁償金一億二百万円、更生保護委託費一億四千五百万円が含まれております。 次に、公安調査庁関係としては二十一億三百万円が増額されておりますが、その中には、関係職員の人件費のほか、調査活動経費六千七百万円が含まれております。 第二に、国民の権利保全の強化につきましては、まず、登記事務処理の適正化に関する経費として、さきに申し上げました事務官三百四人の増員経費及び関係職員の人件費を含めて三百六十七億三千六百万円を計上し、百五億千二百万円の増額となっております。その増額のおもなものは、登記諸費四億六千六百万円、全自動謄本作成機等事務能率機械の整備に要する経費八千万円、謄抄本作成事務の一部を請負により処理するための経費八千三百万円、登記簿粗悪用紙改製に要する経費四千三百万円、公共事業関係登記事件の処理に伴う経費一億八千五百万円であります。 次に、人権擁護活動の充実に関する経費として四千八百万円の増額となっております。その主なものは、人権侵犯事件調査の強化を図るための旅費、庁費千二百万円、人権擁護委員実費弁償金二千四百万円であります。 また、法律扶助事業の充実に関する経費として、法律扶助事業費補助金二百万円が増額となっております。 第三に、非行青少年対策の充実強化につきましては、一部、法秩序の確保関係と重複しておりますが、さきに申し上げました鑑別所教官等三十人の増員経費及び関係職員の人件費並びに収容関係諸費を含めて二百十五億七千二百万円が計上され、前年度に比して四十七億二千三百万円の増額となっております。 その増額分について申し上げますと、まず、検察庁関係としては六千六百万円が増額されておりますが、これは検察取り締まり経費であります。 次に、少年院関係としては二十九億三百万円が増額されておりますが、その中には、生活、教育備品の整備及び職業補導の充実に要する経費九千五百万円等が含まれております。 次に、少年鑑別所関係としては十億二千八百万円が増額されておりますが、その中には、関係職員の人件費のほか、生活備品の整備充実に要する経費四千六百万円等が含まれております。 次に、保護観察所関係としては、関係職員の人件費及び補導援護経費において十三億三百万円が増額となっております。 第四に、出入国管理業務の充実についてでありますが、さきに申し上げました入国審査官等の増員経費及び関係職員の人件費を含めて十四億七千五百万円の増額となっております。その中には、出入国及び在留管理等経費三千八百万円、舟艇建造費等機動力充実経費千三百万円が含まれております。 次に、施設の整備につきましては、登記所適正配置実施に伴う施設整備費十七億二千三百万円及び沖繩施設整備費八億四千六百万円を含め、七十六億九千八百万円を計上し、前年度当初予算に比し四億五千百万円の増額となっております。 なお、このほか、大蔵省及び建設省所管の特定国有財産整備特別会計において、高松法務合同庁舎等十七施設の施設整備費として五十三億五百万円が計上されていることを申し添えます。 以上が法務省所管歳出予算予定経費要求の概要であります。 終わりに、当省主管歳入予算について御説明いたします。 昭和五十年度法務省主管歳入予算額は六百六十六億五千八百四十八万五千円でありまして、前年度予算額六百四十四億三千百三十三万三千円に比較いたしますと二十二億二千七百十五万二千円の増額となっております。 以上をもって、法務省関係昭和五十年度予算案についての御説明を終わります。
○委員長(多田省吾君) 次に、大内最高裁判所経理局長。
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 昭和五十年度裁判所所管予定経費要求額について説明申し上げます。 昭和五十年度裁判所所管予定経費要求額の総額は一千二百三十六億四千四百七十万一千円でありまして、これを前年度予算額一千八十三億九千百三十六万六千円に比較いたしますと、差し引き百五十二億五千三百三十三万五千円の増加となっております。 これは、人件費において百四十億八千九百九十五万八千円、裁判費において二千六百八十六万四千円、司法行政事務を行うために必要な旅費、庁費等において十一億三千六百五十一万三千円が増加した結果であります。 次に、昭和五十年度予定経費要求額のうち、主な事項について説明申し上げます。 まず、人的機構の充実のための経費であります。 特殊損害賠償事件等の処理を図るため、裁判所事務官六人の増員に要する経費として三百八十九万一千円、交通事件(道路交通法違反事件)の適正迅速な処理を図るため、簡裁判事三人、裁判所事務官十人の増員に要する経費として一千五百五十八万円、調停制度の改正及び拡充強化を図るため、裁判所事務官五十一人の増員に要する経費として三千二百九十五万二千円、寄託金事務の処理を図るため、裁判所事務官四人の増員に要する経費として二百五十八万九千円、合計五千五百一万二千円を計上しております。 以上、昭和五十年度の増員は合計七十四人でありますが、他方、定員削減計画に基づく昭和五十年度削減分として、裁判所事務官四十八人の減員を計上しておりますので、これを差し引きますと、二十六人の定員増加となるわけであります。 次は、裁判運営の能率化及び近代化に必要な経費であります。 庁用図書、図書館図書の充実を図る等のため、裁判資料の整備に要する経費二億三千六百十三万二千円、裁判事務の能率化を図るため、複写機、計算機等を整備する経費二億三千三百八十一万九千円を計上しております。 次は、裁判所施設の整備充実に必要な経費であります。 裁判所庁舎の新営及び増築(新規七庁、継続十六庁)に必要な工事費及び事務費等六十二億三千七百八十五万一千円を計上しております。 次は、調停制度の改正及び拡充強化に必要な経費であります。 調停委員の手当として二十四億六百四十九万六千円、調停室の整備等に要する経費として四億五千四十九万五千円を計上しております。 次は、裁判費であります。 証人等の日当を増額する経費として一千八百二十一万一千円、国選弁護人報酬を増額する経費として一億五千七百三十三万八千円を計上しております。 以上が、昭和五十年度裁判所所管予定経費要求額の大要であります。
○委員長(多田省吾君) 以上をもって説明は終了いたしました。 ただいまの所信及び予算の説明に対する質疑は後日に譲ずることといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時三十一分散会 —————・—————