文教委員会 第8号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/05/06
会議録
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 文化功労者年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。なお、衆議院における修正部分につきましても便宜政府から説明を聴取することといたします。永井文部大臣。
○国務大臣(永井道雄君) このたび政府から提出いたしました文化功労者年金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。 文化功労者年金法は、文化の向上発達に関し特に功績顕著な者に年金を支給し、これを顕彰することを目的として昭和二十六年四月に制定された法律でありまして、以来今日までの間に文化功労者として決定された者は二百六十八人に上り、わが国文化の振興に資するところ大なるものがあったと信ずるのであります。 文化功労者に支給される年金の額は、昭和四十九年度におきまして、百五十万円から二百万円に引き上げられたところでありますが、昭和五十年度予算案におきましては、引き続き、これを二百四十万円に引き上げるのに必要な経費を計上いたしました。 この年金額の改定のためには本法の改正を要するのでありますが、近年における社会的経済的諸事情の変遷には著しいものがあり、これらの諸事情を勘案して年金額の改定を行い、速やかに支給するため、このたび、文化功労者に支給すべき年金の額は政令で定めることといたしております。 なお、衆議院において、施行期日に関し、附則の規定の一部が修正されましたので、念のため申し添えます。 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概略であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願い申し上げます。委員長(内藤誉三郎君) 以上をもって本案の趣旨説明は終了いたしました。 午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。 午前十一時四十七分休憩 —————・————— 午後一時九分開会
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから文教委員会を再開いたします。 文化功労者年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○矢原秀男君 午前中、文部大臣から、文化功労者年金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の御説明をいただきましたので、時間の限定もございますので、簡単な質疑だけをやりたいと思っております。 まず、文化功労者年金についてでありますけれども、一つは文化功労者年金額決定の基本的な考え方、それからもう一点は、五十年度文化功労者年金額を二百万円から二百四十万円に引き上げたこの根拠、この二点について簡単にお答えを願いたいと思います。
○政府委員(清水成之君) 最初の文化功労者年金額の決定の基本的な考え方の点でございますが、この年金の性格をどういうふうに考えるか、こういうことがまず一つ基本にあろうかと存じます。御承知のとおり、この年金は生活給、こういう性格のものではございませんで、年金法自体にございますように、文化の発達向上に特に貢献をした、こういう方の顕彰の性格を持った年金でございます。したがいまして、一義的にこれはどういうふうに決定するということにはまいりませんが、私どもといたしましては、文化の発達に特に功績のありました者を顕彰するにふさわしい額でなければならぬ、これは抽象論でございますが、そういうことが一本ございます。 それから、今回御提案をいたしております八条の二項にございますように、従来もこの考え方でまいったわけでございますが、法律で明記をしていただきたいということで、「文化の向上発達に関する功績に照らし」ということが一つございます。それから「社会的経済的諸事情を勘案」する、こういうことが基本的な点として一つあるわけでございます。こういうものを踏まえまして、かつまた従来の年金額増額の沿革等も勘案いたしまして決定をいたしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。 第二の御質問で、昭和五十年度におきまして二百万から二百四十万に引き上げをお願いしたわけでございますが、それの根拠でございますけれども、一つは従来と申しますか、当初発足当時二十六年が五十万で発足して、その後百万、百五十万、二百万、こういう引き上げをお願いしてまいった沿革が一つと、それから国家公務員の給与ベースの改定の率を一つ念頭に勘案をしております。それからもう一つは、都市におきます消費水準の上昇率、こういうものを勘案いたしますと、二百万を基礎にして考えてみますと二百四十万から二百五十三万見当の辺に数字があったわけでございます。これを一つのめどとして二百四十万、こういうことをお願いしておる次第でございます。
○矢原秀男君 その他に文化に関する年金制度として日本学士院会員の年金、これは日本学士院法でございますが、それと日本芸術院会員の年金、これは文部省設置法三十六条、四十二条、日本芸術院があるわけでございますが、これらの年金の一つは趣旨と、それからまた文化功労者年金との趣旨がどう違うのか、この点について説明願いたいと思います。
○政府委員(清水成之君) ただいま御指摘の点でございますが、それぞれの法律にございますように、一つは、文化の向上発達に特に貢献のあった方を顕彰する、こういう性格がございます。一方、学士院並びに芸術院につきましては、それぞれの分野につきまして貢献のあった方々の栄誉、こういう点でございます。学士院並びに芸術院、こういう機関に所属しておられるのでございます。 そこで年金を差し上げるということに学士院法なりあるいは文部省設置法でなっておりますが、この年金と、それから文化功労者年金の間には多少性格上の差異があろうかと思うのでございます。一つは、先ほど来申しておりますように、顕彰ということで、言葉は悪うございますが、賞金的な性格がございます。一方は、栄誉、こういうことでございますが、学士院、芸術院につきましては、それぞれの院の仕事にある程度参画をなさる、こういう性格がございまして、一部給与的な面も含まれている、こういう性格上の差異があろうかと存じます。
○矢原秀男君 では、いま御説明されておりますように、これらの年金額が文化功労者年金より低額となっている理由は、そこにあるわけですか。
○政府委員(清水成之君) そこにあると、それだけが理由かと、こういうふうに申されますとなかなかお答えしにくい点もあるのでございますが、性格的にはそういうところから発足をしておるということ、それからまた、これは何と申しますか、理論的なお答えにはなりませんが、発足当時からのすべり出し、沿革という点も大きな影響をしております。
○矢原秀男君 ちょっと横にそれますけれども、人間国宝といわれる重要無形文化財保持者に対する特別助成金、これも五十年度は八十五万円から百万円に引き上げられております。この金額も文化功労者年金より低い理由ですね、こういう点について明確な答弁があれば答えていただきたいと思います。 それからもう一つは、文化功労者のうち、日本学士院会員または日本芸術院会員、またはいわゆる人間国宝を兼ねる者の数、これを示していただきたいと思います。また、こういう兼ねる方は全体の比率がどの程度か、それをお願いします。
○政府委員(内山正君) 重要無形文化財の保持者に対しましては特別助成金を五十年度は百万円ずつ交付することになっておりますが、これは重要無形文化財のわざの維持向上と伝承者の養成という仕事に対します経費の一部を助成するという措置のものでございまして、顕彰のための優遇措置としての年金というものと性格を異にいたしております。そういう意味で、実際に活動していただく経費の一部を助成するという形になっておりますので、その金額等についても開きがあると考えられるわけでございます。しかし、これらの特別助成金の額にいたしましても、必ずしもこれで十分とは考えられませんので、将来においては、さらに増額等について検討してまいりたいと思います。
○政府委員(清水成之君) あとの御質問の数字的な点でございますが、文化功労者現存者が百十九名ございます。このうち学士院会員が四十四名、それから芸術院会員が四十名、それから委員長高橋誠一郎先生——学士院と芸術院両方に関係しておられる方が一名、それから無形文化財保持者五名、合計九十名、こういう数字でございます。
○矢原秀男君 四月の七日に、日本芸術院は恩賜賞二人と日本芸術院賞五人、計七人の受賞者を決定しております。この賞金は一人につき五十万円ですね。この金額は日本学士院賞と同じ賞金額でございますが、この賞金額はいずれも五、六年前から凍結されておるわけなんですね。ですから、賞金額もある程度は物価等をいわゆる勘案をしてやっぱり引き上げる措置、こういうふうなものが大きな課題になると思うんですけれども、この点、明確に答えていただきたいと思います。
○政府委員(内山正君) 芸術院賞並びに芸術院恩賜賞につきましては、今年度五十万円の賞金を支給することにいたしております。これは昭和三十八年ごろは十万円でございました。四十二年に二十万円に上がりまして、四十六年に三十万円に増額をいたしておりまして、四十七年に五十万円になっております。現在五十万円でございまして、五十年度におきましては五十万円で施行いたします。さらに、将来におきましては、このほかの賞金等との勘案をいたしまして検討してまいりたいと考えております。
○矢原秀男君 以上の年金について、たとえば、仮定をして申しわけないんですけれども、受給者が死亡された場合、これを仮定しますと、遺族には現在支給されないことになっていると思います。本人の功績の陰には妻の内助の功、これも無視することはできないと思うんです。ことしから相続税の面でも妻の座が認められておりますし、ことしは国際婦人年にもなっておりますね。以上の観点に立って、遺族となった妻、たとえば、反対に夫の場合もあり得ると思いますが、本人の半額程度の年金を支給すべきだと思っておりますけれども、これについて文部大臣の見解はどうでしょうか。
○国務大臣(永井道雄君) 文化に活動される方の場合、夫人が陰になりひなたになって非常に御苦労になるということはきわめて重要なことであると思います。ただ、そこで、その半額支給の問題もそういう角度からお考えと思いますが、この年金の場合、顕彰が目的であって、生活費というようなそういう角度ではないわけです。そこで、現段階では年金自身がそういう性格のものでございますために、御遺族の方にその顕彰を引き続きやっていくということができにくい情勢にございます。ただ、先生が御指摘のように、やはり御家族を非常に尊重すべきであるということは重要な点であると思いますから、この問題は、一つの宿題として検討さしていただきたいと考えております。
○矢原秀男君 それから、本改正案の趣旨でございますが、文化功労者年金の額を政令で定めることが基本となっております。ここでいつも問題になるわけですが、なぜ政令に委任をしなければならないのか。いろいろ理由も挙げておられますけれども、この際、もう少し深く明確に答えていただきたいと思います。
○政府委員(清水成之君) この点につきましては、昨年の臨時国会でも政府側としてはお願いしたところでございますが、現行法ができます当時は、法律で金額をどんぴしゃり明定をする、こういう御方針でまいったわけでございます。ところが一方、今日のように社会経済情勢の変化が著しい、こういう時代におきまして、ひとつ予算でこの年金額の点を御審議を十分いただきますので、政令に譲らせていただいて、そうして予算の御決定をいただきましたならば、政令を必要に応じて改正をいたしまして、年金受給対象者に速やかにひとつ支給をさせていただきたい、こういうことから政令へお譲りを願えないか、こういうことで提案をしておる次第でございます。
○矢原秀男君 次に、文化功労者の選考について少々質問いたします。 一つは、文化功労者選考審査委員、十名と聞いております。どんな基準で、また、どのような方法で文部大臣は任命されているのか、これが一つ。 もう一つは、選考の審査会の文化功労者の選考基準について示していただきたいと思います。
○政府委員(清水成之君) まず、選考委員の選考でございますが、御承知のとおり、「文化の向上発達」という「文化」が非常に広い意味で運用をされ、また立法をされておると、こういう趣旨にかんがみまして、各分野——芸術また学術、学術の中も自然科学から人文科学、また、医学、農学、薬学、そういうような各分野、それから芸術文化、狭い意味の芸術文化にとりましても、文芸あるいは美術あるいは評論、その他一般というような区分けを一応私ども念頭に持ちまして、それぞれの分野から全国的な視野で広く該当者を御選考いただける方を選考をする、こういう方針でございます。 それから、この功労者の選考の基準でございますが、具体的に私どもとしましてその基準を一々決めましたり、あるいは選考委員の方にお示しをしておるということではございません。法律にございます「文化の向上発達に」と、これに特に貢献のあった方を、自分の専門分野はもちろんのことでございますが、選考委員の方々の広い視野からお選びをいただきたい、こういうことで格別具体的な一々の基準は申し上げておりません。ただ、選考の過程でございますが、委員の方々から、従来話題になった人にどういう人がおるか、こういうようなお尋ね、お求めがございました場合に限って、こちらから従来話題になった人々についてお名前を申し上げる、こういう次第でございます。
○矢原秀男君 本法の第一条の「文化」について、文化功労者年金法案が最初に審議された第十回国会においては、参議院で、政府の原案は「学術、芸術その他文化の発達」、こういうふうになっていたわけなんですが、「文化の向上発達」と、こう修正した経緯があるわけです。このことについては、学術、芸術だけではなく、宗教、教育、言論、思想等にまで広く解したい趣旨だと述べられております。この趣旨については、今日まで選考に当たって生かされているのかどうか。この点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(清水成之君) その点につきましては、国会で御修正をいただきました趣旨に即しまして選考委員会で運営をしていただくというふうに私ども考えておりますが、具体的に申しますと、当初の原案でいきますならば、狭い意味の芸術、学術の点でございますけれども、御案内のとおり、いわゆる教育者の方あるいはまた出版関係の方、また登山、柔道等スポーツの方、こういうふうに狭い意味の芸術、学術以外の分野からも選考がなされておる実態でございまして、これらの点につきましては、今後ともこの選考委員会で立法並びに御修正の趣旨に即して運用がなされていくものと、こういうふうに期待をしておる次第でございます。
○矢原秀男君 文化功労者百三十人中、日本学士院会員を兼ねる者が四十四人ですね。日本芸術院会員を兼ねる人が四十人、その他人間国宝等入れると、兼ねる方の総数が九十人近くにも上がっておりまして、文化功労者全体の七〇%を占めているわけですね。このことは、文化功労者の選考が、学術、芸術の分野に硬直をしているんではないかという感じも受けるんですけれども、この点どうですか。
○政府委員(清水成之君) いまの点でございますが、数字的に見ますとそういう御感想をお持ちになるということもこれまたごもっともかと思いますが、一面、また学士院会員なりあるいは芸術院会員におなりになる方々につきましては、それになるについて相応のまた業績がある方でございまして、文化功労者年金法に言うところの、特に向上、発達に貢献した、こういう方々が勢いそういう分野に多いのではないかと、こういうように選考結果から思われるわけでございまして、御指摘のとおり、何と申しますか、意図的にある分野に限ってよけい選考がなされておるというふうには私ども選考委員会に列席をしておりましてそういう感じを持っていない次第でございます。
○矢原秀男君 私は、一つはやはり社会の日の当たらないところで努力をされていらっしゃる方、たとえば、恵まれない人たちを相手に長い間尽くしている人、具体例を挙げますと、心身障害者教育、また僻地教育の分野で活躍をされている教師等についても文化功労者決定の対象とすべきではないかなとも私は思うわけなんです。もしこれらが是認されるようであれば、やっぱりこういう人たちを選考する選考審査委員の人たち等にも具体的な方策というものを考えていただかなくちゃならないわけでございますが、こういう人たち、これは将来この対象にはもう永久に枠外なんだと、それとも将来は弾力的にそういうような人たちも、対象とする考えがあるんだと、この点についてどうなんですか。
○国務大臣(永井道雄君) いまの、僻地教育に携わる方、あるいは心身障害者の教育に当たられる方、こういう方たちも私は考える上から見まして例外ではないと思います。要するに、選ばれる対象の中に含まれる者として考えるべきものであると思いますが一しかし、具体的にどういう方がどういうふうに選ばれるかという問題は、これは選考委員会で御決定になることでありますが、決して現在の考えでも除外しているものでないというふうに理解をいたしております。
○矢原秀男君 とにかく、この選考については新聞等でも非常にいろいろの問題が指摘をされておりますけれども、決して狭いものではなしに、幅広く今後ともやっていただきたいと思います。 それから関連として一つだけ質問したいんでございますが、国際文化交流についてでございます。 去る四十八年の七月三十一日には、中教審の答申の中で、文化の国際交流について、中の文を読みますと、「我が国における文化交流は、従来、主として民間関係者の自発的な努力により、時々の必要に応じて断片的に行なわれてきたにすぎず、我が国の文化交流に関する体制や予算が、西欧諸国のそれらに比べて極めて貧弱であり、また、微々たるものであることなどに顕著に示されているように、国の文化交流に対する姿勢は極めて立ち遅れてきた。」、このように述べておられるわけなんですね。ですから、ここで考えられることは、政府は国際間の文化交流の必要性、これどのように感じていらっしゃるのか。そうして予算面と体制面のおくれについて、西欧諸国と比べてどのようにおくれているのか、まず、その点を御説明願います。
○政府委員(木田宏君) いまお尋ねの文化に関する国際交流でございますが、その場合の文化は、御審議をいただいております年金法の場合と同じように、かなり幅広く、学術、芸術さらには、教育も含めて幅広いものとして考えておるわけでございます。これが諸外国と比べまして日本の場合に必ずしも十分にいってないという点につきましては、歴史的な日本の事情等も十分反省もし自覚もしておるわけでございます。経費の面でどの程度おくれておるかというようなことを数量的に持ち出すことはなかなか比較が困難でございますけれども、とかく日本の国際間のおつき合いにつきまして心のつながりが足りないという点は広くいろんな方から御指摘をちょうだいしております。そこで、中央教育審議会の答申をちょうだいいたしまして、幅広く文部関係で担当いたしております文化交流の体制を立て直すようにしたいというふうに考えておる次第でございます。 ただ、数字として必ずしも的確なものでございませんが、国と国との間の文化交流ということを考えます場合には、一つは、国によって構えが違うからいたし方ないんでございますけれども、各国の外務省関係で持っております金額の差というのが一応は出てくるかと思うのでございます。これは全部の国の年次をそろえてうまくとれるというわけじゃございませんが、たとえば一九七一年のレベルで、それぞれの国の外務省の持っております予算を円で申し上げますと、一番大きいのがフランスで五百二十八億円近い金額を上げております。このときに日本では外務省が八億七千万程度の予算でございました。ですから、外務予算という面から見ますと非常に開きがあるということでございます。ただ、国際交流につきましては、一九七五年——昭和五十年の予算で御説明申しますと、文部省関係で国際関係の予算が大体百四十億ほどございます。そして、外務省の管轄しております予算規模が国際交流基金に対する出資金という、大きいものも入っておる関係はございますが、七十一億という金額でございまして、諸外国との比較をいたします場合に、こういう金額をどのように比べられるのか、そこまで十分にいたしてございませんが、私どもの気持ちといたしますと、派遣あるいは受け入れの人員の数、留学生の出し入れの大きさ、そういうものを部分部分で比較をしてみまして、かなり努力をしないと普通の文化の交流という状態にまで達し得ないんではな いかというふうに感じておるところでございます。
○矢原秀男君 時間が参りましたので、二点だけ要約して質問したいと思います。 一つは、文化全般にわたっての情報の収集整理、それから提供するその機能を果たす文化財の情報センターの設置を文化庁では提案されております。非常にこれは貴重な提案だと思っておりますけれども、設置に対する計画の具体性、こういうものがどの程度なのか、御説明願いたいと思います。 それから最後に、文部大臣にお伺いしますけれども、やはり国の文化に対するかかわり方について伺いたいんでございますが、国が文化行政を進めること、これにはメリットも多いと思いますが、反面、デメリットの危険性もございます。ですから、文化統制の危険性と、国が認める文化しか育たない、つまり一定の範囲、限定された範囲の文化を奨励することになる、こういう懸念性がいまでも見られるわけでございますが、以上の点から国の文化に対するかかわり方についての文部大臣の考え方を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(安達健二君) 文化に関する情報のセンターというようなものの必要性は各方面から叫ばれておるところでございます。ただ、これをあらゆる文化に関する情報を総合的に集め、これを利用に供するようなセンターとするか、あるいはそれぞれの分野ごとに情報センターというようなものを充実していくかというような問題があるわけでございます。私どもといたしましては、まずは各分野ごとの十分なるセンターをつくり、そして、その後の段階におきまして、総合的なセンターということも考えていってはどうかというようなことでございまして、現在、文化庁関係で考えておりますことは、一つは、埋蔵文化財に関するところのセンター、これを奈良にございまする国立文化財研究所の中に附置をいたしたのでございます。それから映画等につきましては、フィルム・センターというのが国立の近代美術館に設置されておるわけでございます。また、古典芸能等に関しましては、現在の国立劇場の中でこういうような機能をいたしておるわけでございます。さらに新しい現代芸能につきましては、第二国立劇場等の中で、そういうようなものの情報を収集し、提供するようなセンターをつくっていきたいと、こういうことで総合的なセンターにつきましては、その後の段階等におきまして漸次検討を進めてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
○国務大臣(永井道雄君) 国家が文化に関与することについてのメリット、それからデメリットについての御質問について考えを述べさしていただきたいと思います。 まず、メリットの方ですが、かつて、この経済の発展というものもまだ比較的低い段階にあったときには、資産家とか貴族あるいは諸外国の場合には資本主義が発展した中で財団というようなものがいろいろな文化を興していく上で役割りを果たしたと思います。しかし、今日のような経済社会になりましたときには、私は国家というものが財政の側面からいろいろな文化の発達を奨励するということは非常に重要なことであると考えております。これをやりませんというと、やはり社会の経済情勢に左右されて、比較的お金がもうかるような形の文化だけが伸びる、そして、そうでないものは日陰に置かれるというようなおそれもありますから、そういう点では国家が財政政策の中で文化というものをバランスのとれた形で発展していくようにすること、非常に大事であると考えます。 ただ、デメリットというのは、そのお金を使いますときに、国家が仮に恣意的にある種のものを選び、そして他のものを捨てるというようなことが起こってまいりますというと、自由に自主的な活動というものによって起こってくる文化の基本的な意欲がそがれてしまうことになるかと思います。そこで、その場合、政策の展開の仕方は非常にむずかしい課題になるわけでありますが、公平の原則というものに基づいていろいろ委員会のようなものをお願いする、これは功労者の場合もそうでありますが、そのほかのものにつきましても、政府が直接、たとえばある種の文化財が絶対にいいとか、あるいはある種の方を功労者にするというのではなくて、委員会、しかもその委員会というものは文化界において非常に重要である、あるいは尊敬されている、そういう方々を公平の原則で選んで構成していただいて、そして、その方々が政府に対して建言する、そういう意味における文化界の自主性というものを尊重して、そうしてこの経済的な、あるいは財政的な側上面での政策を展開していく、こういう形を、でき得る限り原則に沿うように行っていくことによってデメリットというものを克服しながら、メリットとして調和のある形で自主的な文化活動というものを伸ばし得るんではないかと私は考えております。
○委員長(内藤誉三郎君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。 —————————————
○委員長(内藤誉三郎君) 次に、教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○鈴木美枝子君 近ごろ医科大学の問題、その中での歯科医の問題が大変取りざたされている時期でございます。この時期に、運輸省の方にお聞きしたいんでございますけれども、NHKが四月の二十五日に流されました台湾での歯科医の問題を御存じでございますか。
○説明員(佐々木建成君) お答えいたします。 先生の御指摘のありました件と申しますのは、日本の歯科医の治療代が高いというようなことが背景になって、台湾において歯の治療をした場合が安いという情報を旅行業者がお客さんに提供して台湾を目的地に旅行を企画したということは承知しております。
○鈴木美枝子君 NHKのことでございますから、これは宣伝に流したんだとは思いませんけれども、一つのニュースとして流したんだろうと思います。私が見ましたのは、NHKの四月二十五日でございました。また、これは沖繩タイムスでございます。沖繩タイムスに、「珍商売大当たり 歯の治療・台湾ツアー 安くて丁寧 利用者全員がべたほめ」、この新聞が出ます当時の、歯を治療したいための旅行者は第一回目だと思うんでございます。現在は第五回目が五月十五日、第六回目が六月の三日に予定されていまして、五月十五日ではもう希望者六人が歯の治療をしたい、六回目、六月三日は九人が希望を申し込んでいるということなんです。私が質問したいのは、その第二回目に治療しました人が陳情に参りまして様子がよくわかりましたけれども、再び聞こうと思いましたら同じ旅行社におりました人がそれは余り深くしゃべらないで、飛行機会社から弁償金を取ったらいいじゃないかという問題が起きました。弁償金を取るということは、台湾での治療の問題なんでございますね。それが何日間で治療することができるかは御存じでございますか
○説明員(佐々木建成君) お答えいたします。 ただいまの御指摘のありました旅行業者の内容についてまず御説明さしていただきたいと思いますが、取り扱いました旅行業者の名前は、私どもが調べた限りでは東京に営業所のございます株式会社「東京旅行」という会社のことではないかと思いますが、これは私どもの方の旅行業法に基づいて四十六年に登録を受けた業者でございます。台湾旅行の内容でございますけれども、ことしの一月以降いままで四回実施していま先生の御指摘ありましたように、五回以降予定しているように聞いておるわけですけれども、参加人員が十人から十五人ぐらい。それから旅行経費につきましては約十四万円ぐらいの値段で設定しておると聞いております。それで五泊六日でございますけれども、旅行の目的である台湾の観光というものが十三万九千円の中身になっておりまして、歯科医の件に関しましては、歯医者に関する情報を提供するという内容になっております。御紹介申し上げますと、台北滞在中に歯の治療をしたいという人には台北市の歯科医師会の加盟の日本語を話す歯医者さんを紹介しますと、もろもろの歯医者との契約につきましては直接その先生と話をして、治療費につきましても直接話してくださいということで、一種の情報提供をやったというふうに私どもは理解しておるわけでございます。 それで、陳情のありました件につきましては、私どもまだ内容を十分には承知しておらないわけで、今後またさらに調査をしてみたいと思っているわけでございます。
○鈴木美枝子君 まだよくわかっていらっしゃらないようでございますね。観光旅行と歯の治療をツアーにして商売にしているわけでございますけれども、五泊六日でもって上下の歯を抜いちゃって、そして治療を完全にして帰るということは日にち的にもできないということは明白でございますね、五日間でございますから。上の歯を全部抜いてしまう。それではとてもできない。ここでは宣伝のように書かれているんですね。宣伝のように書かれているこの沖繩タイムスとそれからNHKのこの放送も、帰って来た結果はテレビに映してないわけですから。どのぐらいに歯があれして、五日間で上下の歯を抜いたら完全に治って帰ることはできないわけです。そうなりますと、NHKで流していることも、これは宣伝に終わるわけです。ニュースじゃなくて宣伝なんですね。お客の興味をそそる、行って安くできる、ただ安いということで流していることになります。それがどういう効果があってどういうふうになるということじゃないんですね。日本でやるより安いんだと、どれぐらい安いのかということは沖繩タイムスに書かれているんですけれども、一般治療が四百五十円、臼歯二千七百円で抜くことができる。大体日本の場合より五分の一から十分の一安くできるんだと、そうして総入れ歯の場合は二百万円とか百五十万円と日本は言うけれども、総入れ歯を向こうでやれば九万円でできる、だからあちらで治しなさいと、そういうことを観光と兼ねてやりますからね。そうすると、五泊六日で行きまして見物するひまもない、観光は全然できないで歯を抜く、安いということで抜いてくるわけです。ところが、その歯を抜いて帰って来ましたときに、保証するものは何もないんです。ただ歯が悪いと、これだけなんです。そして、歯のことについて厚生省の方はそのことを知っていらっしゃいますか。衛生課長さん、伺いましょう。
○説明員(笹本正次郎君) 私どもも新聞紙上で台湾のこの問題について知っておる程度でございまして、治療の内容等についてはつまびらかにしておりません。
○鈴木美枝子君 じゃ御存じないわけですから、このことについて、いま陳情された方の内容について、五泊六日のその経過について御報告いたしますので、よくお調べになって、そして、それはもう注意するどころではなく人間の肉体にかかわる問題でございますから、調べてやっていただきたいと思います。 私のところへ来た陳情の方は、第二回目の——いま六回、五回と募集しておりますね、二回目に行った方なんでございます。そして、そのときは一ツアーでもって十五名乗っておりました。そして、歯の医師は三名向こうに用意されていた。そして、旅費は一式で十三万九千円。その人の場合の歯の治療は、七本抜いて十二万円です。そして着きましてすぐ——十五名の治療したい人はNHKの広告じゃなくてニュースを見て行ったわけですね。NHKは広告してないんですから、ニュースを見て行きました。安くできるということが書かれていたので行ったわけです。着きましたらすぐにくじ引きで——三人の医師に一遍に希望者がかかることができませんから、三人の医師にくじ引きで、どの医師にかかるかをくじ引きしまして、そして五名ずつ抜いてもらうことになりました。だから、観光という表向きの名目がございましても、見物する前に、いきなり着きましたらくじ引きをして、そして、自分は歯を七本抜きたいという希望はないわけですね、医者が見ましてこれは七本抜いた方がいいと言うので、この人は抜かれたわけです。それで、それが抜かれまして、そして入れ歯を入れる。はれが静まるまで向こうにいるということは、なかなかこの契約されたものですからできないわけですね。この沖繩タイムスの中に書かれている場合でも、これを企画した立案者は飛行機会社にいますね、新聞に発表しているんですから。国際部長が発言していらっしゃるのは、「お客さんは安くて助かると喜んでいます。日本の医療行政がきちんとしていれば何も台湾まで出かけて歯の治療をする必要はないのです。」新聞にこう発表しながら、見えない場所でこういうふうにやっている。そしてこれを飛行機会社に抗議を申し込んで、帰って来てからどうもこの五日間でやったのじゃどうにもしようがない、そしてその治療費を、こちらで治すためにもう一回治療費を取りたい、そのことを飛行機会社に申し込んでいるわけです。それで、私のところに陳情に来た人は、飛行機会社に申し込んで私が二度目に会おうとしましたときに、国会でやられちゃお金がよけいもらえないから、何でも金々ということでストップされているという事実ですけれども、だけれどもそういうことを全然御存じなかったんでしょうか。そしてまた、これを聞いてどういう手続をすることができるんでしょうか。衛生課長さん、答弁してください。
○説明員(笹本正次郎君) 御指摘の歯を抜いてすぐ入れ歯を入れるということにつきましては、特に前の歯、前歯等の場合には心理的な関係等々から、あらかじめ抜く前に型をとって入れ歯をつくり、それから歯を抜いて入れてしまうと、これはあくまで暫定的な応急処置で行う場合がございますけれども、今回のような例につきましては、普通の常識ではなかなか考えられないような行き方だと思います。もちろん、抜いた後すぐ入れ歯を入れるということは、そういうことはございますけれども、これはあくまで暫定的な問題であって、応急処置である。そういうことで、台湾における治療が行なわれているとは私、全然存じておりません。ただ、普通の場合も、入れ歯をつくる場合にも、入れ歯をつくったから、それで全部済むということではなくて、必ずその後の矯正という問題が出てまいります。普通の入れ歯を入れる状態であってつくられた入れ歯でも、使っているうちにここが痛い、あそこが当たるというふうなことで、何回かの矯正が普通行われております。そういう点で、五泊六日ということでそういうものが完全にできるとは考えられません。私どももこの新聞を見たときに、医療の内容はわかりませんけれども、少なくとも入れ歯をつくった後の矯正ということについて、すぐ懸念をされるべき問題であったわけでございますけれども、いまお話伺いましたようなことが全然私の方では、実はまだ知っておらなかったというふうな状況でございます。
○鈴木美枝子君 いま歯のことを聞いているんじゃないんです。そういうことが許されていいかどうかということを私は聞こうとしているわけですから。これは例でございますけれども、韓国で大島つむぎを低賃金でつくらして、そして逆輸入する。台湾で安い歯を入れて、そしてあれするという、NHKは信用されていますから、大ぜいの方には。結果が放送されなければ何にも意味ないことなんです。六日間で向こうへ行ったら、くじ引きでやるんだと、くじ引きでやられて、そして行ってしまったからしょうがないから観光旅行という名目で金は出しているけれども、だけど観光する前にベットの中に寝っぱなしだと、そして、それが完全にその日にちでは入れることができないんだと、こういうことをNHKで流す自体が私はおかしいと思うんです。結果もちゃんと帰って来た人々から歯の治療はどうでしたか聞いて、そういうニュースも流さないと困るんです。安いから行きなさいということだけを流すんでしたら、これは国家的宣伝なんですよ。ですから、NHKに対する注意もしていただきたいと思うんです。これは文部大臣に申し上げたらいいんでしょうか。これは重要なことなんです。こういうものを総合的にまとめる機関はないんですか。
○説明員(佐々木建成君) 私どもは旅行業者を監督している立場でお答えいたしたいと思いますけれども、いま御指摘がありましたように、歯の治療といいますのは、抜歯から最後の矯正まで、かなり時間がかかるというのは一般の方々の常識であろうかと思うわけですが、旅行業者といたしましては、単純な情報提供ではございますけれども、できるだけ出発前に抜歯をして、二週間ぐらいたってから出発した方がいいというふうな情報は提供しておるわけですけれども、必ずしも矯正というような問題もありますので、十分な情報提供であったかどうか検討する必要があると思いますけれども、少なくとも旅行中に歯を抜いて、治療をして完成するというところまでを予定して旅行を組むということがいいのかどうか。主たる目的は観光旅行でございますので、付随して何かちょっとやるという程度ならよろしいかと思いますけれども、相当大がかりな歯の治療をやるということが、情報提供にしろ、ツアーの中でかなり影響があるような宣伝の仕方になった場合に、いま御指摘のような点も出てまいると思いますので、もう少し当該業者からいろいろ事情聴取をいたしまして、もし悪い点があれば是正をさせるということも考えていきたいと思います。
○鈴木美枝子君 悪い点があればということではなくて、いま私が言っているのですから、飛行機会社から聞いて調べるのじゃ、飛行機会社は名簿も渡さないのですよ。名簿を渡さないということは、一人ずつに聞かれたら困るということなんです。ですから飛行機会社に聞いていいか悪いかきめるというのじゃ、国民の一人ずつを調べることができないことにあなたたちは協力をしたということになります。飛行機会社は名簿を渡さないのですから、名簿を渡されて、一人ずつ聞かれちゃ困るということなんじゃないでしょうか。陳情に来た人が一人ではないのです。一人でなくて、集団的に飛行機会社から歯の弁償金を取ろうということですから、悪いわけなんですね。そしてまだ現に、これが五回も六回も続こうとしているわけですよ。全体をNHKが報告するならいいんです。だけれども全体でなくて、安いそういうところがあるんだということは、つまり大きなスポンサーになることですからね、NHKが飛行機会社に対して。そのことをちゃんとやらなければいけないということなんです。全国を網羅しているNHKが結果を報告しないで、そうして安く治療ができるのだということだけを宣伝しているから困るのです。そうして飛行機会社が名簿を渡さないことも困るのです。ですから、それをいま私が国会で言いましたら、あなたの返事が、飛行機会社で調べてからと言うのです。名簿を渡さない飛行機会社だけの調べじゃ困るのです。そうじゃなくて、そういうことで体が悪くなるということを早くとめなくちゃいけないと思います。そういう調べ方はできないのですか。
○説明員(佐々木建成君) お答えいたします。 責任があるとした場合に、旅行業者とエアラインと両方あるわけですけれども、エアラインにつきましては、いわゆる旅客を運送するという立場でございますから、エアラインに直接責任をどうということは、少なくともなかろうと思います。それから私どもが直接監督しておりますのは旅行業者でございますので、旅行業者は私どもの登録業者でございますから、呼びまして、十分事情を聞いた上で判断をさせていただきたいと思います。
○鈴木美枝子君 それじゃ、現に患者は困っているのですから、旅行した人は一人ではなくて、困っていて、そうして旅行会社に弁償金を要求しているのですから。ですから調べるだけじゃなくて、まだ五回、六回やるのですから、こういう結果が生まれたことをNHKや何かが流さなければ、どんどん安いというだけで旅行者はふえると思うのです。そうして後それがわからないようにしていくということは困るのです。ですからそれを発表していただきたいと思いますね。そうしてちゃんと歯の治療をたったの五日間でやるということはやめていただきたいと思うのです。それについて御返事していただきたいと思います。
○説明員(佐々木建成君) 本件につきましての詳細な事項を、きょうの時点ではまだ承知しておりませんので、先ほどもお答えいたしましたように、旅行業者から十分事情を聞きまして、また必要があれば陳情された方のお話も伺いまして、その上で判断させていただきたいと思います心
○鈴木美枝子君 それじゃ、よろしくお願いします。
○久保亘君 いま質問がありましたことに関連をして、ちょっとお尋ねをしたいと思うのですが、台湾における歯科医師の養成のあり方と、それから日本と比べて歯科医師の数というのが、人口密度に対する歯科医師の数がどういう状態になっているのか、それはおわかりありませんか。
○政府委員(井内慶次郎君) 歯科医師の養成の仕組み、状況等ちょっと私どもつかんでおりません。
○久保亘君 いまのような問題が起きて、そして政府の機関でもそのことについて別に余り問題とせぬというだけではなくて、むしろ、何かこういう方法があるぞというようなことで情報提供しているというような先ほど答弁もありましたんで、そういうことになってまいりますと、台湾における歯科医師の存在の状況というのがどういう状況にあることを知った上でやっておられるのか。それから台湾と日本と比べた場合、歯科医師の養成の方法やそれから資格の取得の仕方、それから歯科医師の現在の人口に対する状況というようなものが著しく日本の側に何か欠陥があって生じてきているのだとするならば、文部省としては、歯科医師の養成についてそれらの問題もあわせて慎重でしかも非常に緊急を要する検討の課題になってきているんじゃないか、こういうふうに考えるんですが、文部大臣としては、こういう問題が起こるということを歯科医師の養成という立場から見てどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(永井道雄君) 国際的に低廉な医療を求めて人口が移動するというケースがいままでにもかなりございます。アメリカ合衆国に住んでいる日本人が歯を治すために日本に来たという例がございますが、この場合は、アメリカの生活水準と日本の生活水準の違いが主要な理由であって歯科医とそれから人口比とのそういう需給のアンバランスではないように聞いております。また、イギリスが医療制度が安いためにヨーロッパ大陸の人たちがこれもいわゆるパッケージツアーでイギリスに行っているというケースもたくさん報告されておりますが、この場合には、医療制度の外国人に対する無給サービスということがあるわけです。そこで、私考えますのに先生が御指摘のように、わが国の人が外国に参りまして医療上の妥当性が問題になるようなものにかかっている場合、直ちにそれが養成制度に関係があるかどうかということは、かなりいろいろな要因が作用いたしておりますから、やはりそういうことをよく検討してみなければならないように考えます。いまの台湾とわが国との関係、先ほど大学局長も申し上げましたように、必ずしも台湾における歯科医の養成方法とか、あるいは資格の取得方法はわかっておりませんけれども、あるいは一ころアメリカ合衆国にいた日本人が歯科の治療のために日本に来た、この場合には生活水準、物価の違いというものが要因として作用しておりますから、それに似たものがあるかもしれないので、この辺は相当詳細に調べてみないとなかなか結論を出しにくいのではないかと考えております。 ただし、そのことと全く一応切り離してわが国の歯科医の養成方法あるいは今後の歯科関係の学術機関の強化方法、これはもう非常に深刻に考えてみなければならないことであると思います。これにつきましては、人口十万人当たりのわが国の歯科医師の数がやはり先進的な工業国家の中で比較をいたしますというと、非常に少ない、四十数人程度であると、これが台湾との関係でどうなっているかは先ほど申し上げたようによくわかりませんが、一般に工業的な水準が高いと考えられているところでは、要するに、歯科医療などに対する需要もまた増大いたしますけれども、それに見合った形で養成されていないというところに根本的な問題があるように考えますので、こういう角度から今後の歯科医の養成をどうしていくか、また、医療制度をどう考えていくか、こういう角度から私たちはこの問題に取り組んでいる次第でございます。
○小巻敏雄君 私は、今日の大学教育が全国民的に非常に広く問題になっておるときに、大学教育の責務の点にもかんがみて、特に具体的な問題として奈良教育大で今日さまざまな憂慮すべき状態が見られますので、その問題について文部省のお考えをただしたいと思っているわけです。 言うまでもなく、大学という場は学校教育法でも、広く知識を授けて、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的、応用的な能力を展開するというふうにうたっておるわけですし、それは学問研究の自由の裏づけがなければ決して発展するものでない。そういう点では、言われるごとく一つの党派的もしくは直接運動の介入にさらされてはならないもんだと、それは当然なことだと思いますし、まして教員養成という大学では、教育というものは効果が緩慢にあらわれてくるものですけれども、これは直接的にかなり教育効果は学校教育にじかに反映してくるもんですから、教員養成大学におきましては、特に今日の熱心な国民の高等教育に対する希望とあわせて考えてみますなら、非常に重要だと思うんです。幾つかの事件が発生しております。不祥事件といっていいんですけれどもね。これは大臣が就任される前の問題についてお伺いしますので、特に二、三の事件については関係者からお答えいただきたいと思うんです。 一つは、昨年の四月二十七日、この日に奈良教育大の学生会館ホールにおいて「部落差別を助長する奈良学芸大差別糾弾闘争」と銘打って部落解放同盟奈良県連、それから奈良教育大の狭山実行委員会と、こう名のる団体、当時の自治会執行部とが共同して教授糾弾をやっておるわけですね。この原因、内容、模様ですね、その後の問題等について、いま把握しておられるところについてまずお答えいただきたいと思います。
○政府委員(井内慶次郎君) 昨年の四月二十七日の解放同盟等による糾弾集会の状況についてのお尋ねでございますので、その点につきましてお答えします。 この集会におきましては、同大学における同和教育についての姿勢に関して、学生、解放同盟の関係者から大学に対して事実確認等が行われたものと聞いておりますが、その際、一部教官の教育態度等が具体的な事例として取り上げられ、主として英語担当の助教授の使用した教科書に差別的表現が見られたことが問題とされ、同教官はその教科書の使用において適切な配慮に欠ける点があったことなどを釈明しておるというふうに聞いております。英語担当の助教授が使用した教科書と申しますのは、四十八年度の小学校課程一回生の英語の教科書としてイザヤ・ベンダサン原著による「日本人とユダヤ人」を使用いたしましたところ、四十九年二月ころ一部学生から同書の注釈の中に差別表現があるとして同教官の姿勢が問題視されたというふうに私ども報告を受けております。なお、大学といたしましては、その後の問題といたしまして、四十八年から学内に同和教育の推進協議会を設け、同和教育選択科目として二単位を開講して、同和教育の問題に取り組んでおるというふうに報告を聞いております。
○小巻敏雄君 行われた場所はどういう場所で行われ、どのくらいの人数が参加したものでしょうか。糾弾する側、される側、それぞれどんなものだったんですか。
○政府委員(井内慶次郎君) 恐縮ですが、場所についてはちょっと報告を受けておりませんが、参加者の数としましては、学生側がただいま先生からもお話ございました狭山実行委員会等が中心で、自治会執行部として約三十名、解放同盟の奈良県支部が約四百人、教官側が約六十名というふうに、人数につきましては報告を受けております。
○小巻敏雄君 数百名の者たちに取り囲まれて、教授の半数を超える七十名余りが私は参加を強制されたというふうに聞いておるわけです。 そこで、端緒として言われたのは、いまあったように、英語の教科書の注釈の部分に「ETA」というローマ字があって——「えた」ですね。そして、それが外人の手によって記述されたものであって、これが今日の日本の部落解放運動のレベルから見て立ちおくれた考えで記述されておるということから、これは全大学の責任だということで、さまざまな要求が出されておるわけです。しかも、この教科書はこの大学だけでなくてほかでもかなりの間、かなり広く使われておるわけです。私はそういうふうに承知しておるんですが、こういう状況の中で、よしんばその教材が適切であるかないかを決めるのはだれが決め、それを指摘して直してもらおうと思えばどういうふうにあるべきかということにかかわって考えてみれば非常に逸脱した問題だ。特に、私はこの問題について大学側のとった態度として、こういう糾弾集会を大学側が肯定する立場をとって学生会館を使用せしめて、そして教授の出席に便宜を与えて、これがあたかも強制を伴うものでないかのように装う手伝いを大学がやっておるということは非常に問題だと思うんです。この結果、しかも、教授会は、「見解と反省」という二通の文書を八月十七日付で出しておるわけです。その内容について御承知ですか。
○政府委員(井内慶次郎君) 四十九年八月十七日付で奈良教育大学教授会といたしまして、先ほどお答えいたしました助教授の英語教科書使用に関する差別問題についての見解と反省というものを出しております。 それから、その見解と反省の内容といたしましては、先ほど申しましたイザヤ・ベンダサン原著の「日本人とユダヤ人」という教科書の中で同和教育、同和問題に関連いたしまして差別表現として問題となった個所はどういう点であるかということをその中で述べ、そうして結論といたしまして、大学の教授会といたしましては、「この問題をたんに佐藤助教授の個人的問題にとどめることなく、大学全体の問題としてこれを受けとめその社会的責任を自覚する。」と、確かにこういった問題についての「基本的認識が未だ十分でなく、そのため同和教育への取り組みも著しく立ち遅れている。」、今後「本学の使命にかんがみ部落の完全解放に不可欠な同和教育への取り組みが急務であると考える。」という結びになっておりまする見解が一つでございます。 それから同じく八月十七日に、奈良教育大学教授会といたしまして、実はこの助教授が在外研究として海外に留学に行かれる予定がありまして、文部省の方でも大学からの計画を承認いたしまして在外研究に出発をしていただきました。在外研究の問題は大学の学問の研究、教育に関しまする本質的な問題でございますので、各大学の方で候補者を決め、大学の方で一定の手続をとられますと文部省の方でそれを一定の枠を見ながら承認するということでやっておるのでございますが、この助教授の在外研究渡航についての見解と反省というのも同じく四十九年八月十七日に出されております。この点につきましては、教授会は同助教授に対しまして出発が延期できないかという要望をいたしたようでございますが、現地でのいろんな計画でありますとかそういったものがありますので、同助教授は昨年の八月七日に出発をいたしました。このことは、奈良教育大学の多数の教官としては、いろいろ問題になっておるときでもあるし、延期できないかという要望を本人にはしたようでございまして、その意向に反したということになる、教授会としては、同助教授が強く自己反省することを求めるという趣旨の見解と反省を同じく八月十七日に教授会として取り決めております。
○小巻敏雄君 大臣、それだけ聞かれてもかなり異常な問題が進行したということはおわかりになるかと思うのですけれども、実にこの四月二十七日数百人の者に取り囲まれて、しかも大学が承認して貸し与えたこの学生会館ホールでこの解同県連の委員長がみずから乗り込んで、そうしてこの反帝学評というセクトに所属をする、これはかなり暴力をほしいままにする私らはトロツキストというふうに呼びますけれども、こういう集団の者と共同の司会をやって、その中で教員は自己紹介と称して大学の教官は一人一人立ち上がらされて、たとえば解同の結成の日の日付を言ってみろとか、メンタルテストのようなことをやられてさんざん凌辱され、侮べつをされ、そうしてその中で自己批判を確約させられ、それが多数に及ぶに至って二つの教授会決定を出さされる、こういうようなものに屈する中で、その後のこの少なくとも同和にかかわってくる問題の学問の自由が保証され得るのかということで憂慮されるような状況にあったわけであります。その中で書かれた、いま紹介されたこの二つの決議文について特にお伺いをするのですけれども、教授会が、一つはこの問題にかかわって、こういう教科書の注釈があったのを一人の教授が使用したということは全大学教授の責任問題であって、今後部落の完全解放に不可欠な同和教育への取り組みを急務とするとか、さまざまな解同朝田派流の言い方を決議の中にのまされるというような状況ですね、こういうような状況について一体どうお考えになるかということ。もう一つ、それはたしかベンダサンという人のこの書いた注釈自身は私はそれを支持するものでありませんけれども、都市の中にあるゲットーは日本の特殊部落とちょっと似ておるなんというような表現は自分たちは、解同の諸君は、平気で使うわけですね。ただし、解同の者が言えばこれは是正するために言うんだからよろしいけれども、解同を支持しない者が言えば差別になるというようなあり方というものが果たして学問を進めていく上で認められるのか。そういうような考え方の中に教授会が落ち込めばどうなるのか。あわせて教授会としては異様な見解を出しているわけです。いま紹介されたように、確かにこの教授の在外研究出張を延期要望したことも事実でしょうが、この見解と反省文書の中には解同が糾弾を要求したら糾弾を受けるために帰国の措置をとることを要請するということまで教授会が決定する。とうてい本心であろうとは思えないんです。強制されて決定したと思うよりほかないような、こんな非常識な教授なんていないと思うんです。そういう教授会がこういう決定をするようになる動機は糾弾なんですね。これらの問題について、こういう状況というのは正常なことであるのかどうか、これは大臣にお伺いしておきたいと思います。一つは、大学当局が学生会館ホールを使用させて大学容認のもとにこういう糾弾集会が行われたということ、そして、この糾弾集会においてかような異様な教授会の決定が出されるような端緒が開かれたというような問題について、これは法政大学や早稲田大学の問題と違って国立大学でありまして、直接指導助言を何の媒体もなしに文部省がなさるべき立場にある大学の出来事である、こういうような点で大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(永井道雄君) 先生のただいまの御指摘の大学の問題というのはきわめて重要であると私は考えます。それで、大学がどういう研究を行い、また、教育についてどういうふうな方針で臨んでいくかということは、究極的には大学の自治において定めることであると考えます。また、大学の自治には教官全体の共同責任があると思いますが、しかし、それぞれの科目を担当しておられる先生方に自分の科目については直接的な責任があるんだと考えます。 その自治を遂行していく上での原則というのは学問の自由ということでありますが、それは大学以外の社会における、あるいはまた大学内部におきましても政治的な圧力というふうなものから独立して教育ないしは研究の方針を定めるべきであるということだと考えます。 そこで、しかし一つむずかしい問題が生じてまいりますのは、大学で一切大学外の社会の人々の意見に耳を傾けないのかということであるかと言いますと、それはそうではなくて、やはり大学というのは社会の人々に耳を傾けなければいけない。耳を傾けて十分意見を聞き、また意見を交換し、最終的には自己の責任で決めるということだと考えます。 そこで、この問題に限定して考えますというと、これは解放同盟の人々が大学の同和教育のあり方について見解を表明したということでありますが、問題はその表明の仕方にあるのだと考えます。仮にそこで暴力が用いられるというようなことであるならば、これは全く妥当性を欠いていることで、排除しなければならない。さらにまた、ここに糾弾という言葉が用いられるわけでありますが、糾弾というふうな形が解放同盟であれ、他のどのような団体であれ、大学外の人々と大学教官との間に成立すべきではないと考えます。しかしながら、意見を十分にぶつけあって、社会の方から大学の教育ないしは研究のあり方について一つの注文をつけるということはあるのだと考えます。 そこで、この奈良のケースにつきましては、もう少し、先生が申されることを決して私たちは疑ってるというわけではございませんけれども、私たち自身としてもその意見の交換の仕方、あり方、そういうものについて十分に考えた上で私たちの見解を申し上げるべきであって、私はそれが妥当な限りにおける社会から大学への注文であるということであるならば、そしてまた、強制を感じたということでなく大学の先生方がその注文を受けて自己の責任において御決定になったということであるならば、それは妥当性を持つけれども、その枠を越えるものであるならば、やはり大学のあり方として問題があると、かように考えております。
○小巻敏雄君 糾弾という関係で話し合い——話し合うのではないんですね、糾弾というのは。糾弾というようなものを受け入れれば強制を受け入れることだからそれは正しいことでないということはいまお言いになったわけですね。当該の四月二十七日の問題は、そういう強制を伴う糾弾であったのか、社会の注文に耳を傾ける機会として理解されるのか、こういうことになると思うのですけれども、私は少し大臣答弁はかまととのような気がしますけれどもね。これだけ引き続き問題が起こって、他でどうしても屈服しなければ暴力を振るう同一の団体がそこから立ち去ることを許さずに自己批判をするまで終わらないというものは、そこで物理的暴力があろうがなかろうが閉ざされた状態のものであって、こういうものを話し合いと呼ぶのは偽ることになると、そう思うわけですし、現実にここに準備されるときは、部落解放同盟奈良県連合会によって奈良学大差別糾弾闘争要綱というようなものがつくられて、そのトラの巻きをてんでに握ってやっておるのでありますから、周到に準備をされ、それはすでに糾弾を受ける側になった大学の教授の側にも二十三日ごろからこういうものが出回っておるのですからわかっておるわけです。後ほどまた調査をするということであれば重ねての機会にさらに具体的にお伺いをしたいと思いますけれども、これは私は二回にわたって実際奈良に足を運んで自治会から話を聞き、実際被害者と思われる先生に会い、受講した学生から講義の模様なども聴取をして参りましたけれども、それは決してそれほどわからない問題ではありません。こういう問題について、いま糾弾というあり方はやっぱり大学が受け入れるべきでないという文部大臣の意見が、これは厳正に各大学でさように行われるように、逸脱がないようにするためにはやはり指導助言をなさることが必要であろうと、こういうことの一つの具体例として明らかになっております。こういうものは糾弾要綱というようなものがばらまかれて、そして幾つか合わせて狭山実行委員会という名、それから自治会、その時点では執行部に当選をしておった反帝学評の諸君の手で大々的に宣伝された上で行われてきたんだということです。やってみるまでわからなかった問題ではない。こういう状況がわかっていながら、大学当局側がこの学生会館ホールという大学の財産、大学の建物をそのために供与をさせるというようなことについてもう一遍お伺いしておきたい。これはもう糾弾ということが明らかであるような場合に、大学当局がそういうことに学校の施設を利用させてよいものかどうかという問題について文部省の見解を聞いておきたい。
○政府委員(井内慶次郎君) ただいまの四月二十七日の集会の詳細の状況、会場のこと、それを貸した場合の、貸すに至りました経緯とかその辺の事情につきましては、なお、詳細大学の方に私どもも照会をしたいと思います。
○小巻敏雄君 一般問題としてお伺いしておきましょう。糾弾というあり方はあってはならない関係だと、大学教授と社会とのそれは対話ではないと、こういう前提に立って糾弾をするということが明らかになっておる際ですね、一般的にですよ、今後も起こることですから。学校の施設を供与をする。こういうことは妥当なことであるのかないのか、これについて大臣いかがですか。
○国務大臣(永井道雄君) 糾弾というような一つの言葉でありますが、その糾弾というものが実質的内容を伴う意味において用いられるというふうに仮定した場合、その糾弾の場に大学が用いられるということは会館であると否とを問わず妥当でないと考えております。
○小巻敏雄君 それでは、具体的な内容が逐次明らかになった場合には、そういう基本姿勢から具体的な指導が行われると、こういうふうに確認をして、もう少し、私自身もいろいろ見てまいった問題がございますから、具体的にお尋ねをしたいと思うんです。 この四月二十七日の大学側容認のもとに行われた糾弾会というのは、その後さまざまな大学に対する強制介入、これを導入をする端緒になっておるわけです。その後、そのとき以来反帝学評の狭山実行委員会と名のる学生諸君が、いわゆる差別摘発隊というようなことになりまして、各学科、とりわけ小学校課程なんかの教材研究の講義なんかの中で一々の問題をあげつらって、それが解同の後押しということになれば学校側としてはそのことに対して適切な処置をとらないというような問題が引き続いて起こっておる。A、B、Cいろいろございますけれども、一つは、家庭科の講座において、これは女性の教官、仮にTとでもしておきましょうか、この教官の授業におきましては、これはまあ新しい研究意欲に燃えて、住居の領域の問題、学習指導要領にある家庭生活の住領域の問題ですね、住まいの問題について、このことの意義を明らかにするためにと、いろいろ抱負も持って、自分の「住まいの見取り図」をレポートの中に提出をして、そしてそれでもって研究を進めようという課題を出されたのを、「住まいの間取り」を書かせるのは差別だと、「間取り」を書くことによって苦痛を感じる人たちがいるのを知らないのかということから、前期十五回の講義が十四回まで妨害をされて、ほとんど講義が行われることができない。マイクを持って入ってきて、差別者と、こうやるわけですね。七十人ぐらいいる学生の中で、八人か九人でほかの六十人を超える学生の学ぶ権利が奪われている、こういう状況です。それは、この教官が相手の言い分どおりに毎時間それらの人たちに特定の演説をすることを許せば、屈服をすれば済んだのかもしれませんが、大学の授業というものは、そういう人たちに曲げられた教授を行うところではない。ついに十五回の講義がほとんど、撹乱者たちによって教授がしようとするような講義が行われていない。 同様なことが社会科の方でも行われておる。一つは、産業構造の中で公害を取り上げようとしたら、「なんじはいままでから解放運動にも参加していないのに、公害というような人の痛みを伴う問題について取り上げる資格がない」と、全く無法な言いがかりであります。これは解放新聞にも書かれて、これは差別者糾弾の一つの領分であるというふうに承認を受けますというと、その授業がほとんど行われることができない。 さらにひどいのは、七十人を超える学級になると効果が悪いので、選択を、前期と後期と分けて開講されるものを抽せんにするなり何なり整理をしてくれということを言った教官に対しては、選択権を阻害する者と、すべて、七十人程度の授業が、八人か九人の、ときには聴講のごとくやってくる部外生を、これを導入をして妨害をされて、昨年の前期は非常に異常な姿でかなりの授業が失われていっておるわけですね、大学において。 そして、九月九日に前期のテストが行われるのを、十数名の者の講義室の封鎖によってテストが中止をされている。こういうような事件を迎えておる。九月九日の前期テストの中止については、承知しておられるところがあったら聞かしてもらいたいと思います。
○政府委員(井内慶次郎君) 昨年八月二十三日に狭山実行委員会の学生が大学当局に対して、九月に集中審理される狭山事件公判に出席するため前期末の試験の延期、追試験の完全実施等を申し入れたようであります。九月九日に、試験延期を求めまして試験場を封鎖いたしました。大学側は、学生自治会の代表等の意見も徴したようでございますが、試験実施を求める学生自治会の意見も徴し、教授会におきまして善後策をいろいろ協議したようでございますが、混乱の中で試験を実施することは適当でないという判断をし、試験を当分の間延期し、前期の期末試験は十月に入りまして十月二十八日に実施されたと、かように報告を受けております。
○小巻敏雄君 封鎖に当たった者の人数その他については聞き及んでおられますか、その暴力学生の状況については。
○政府委員(井内慶次郎君) それほどの人数ではないというふうな様子を聞いておりますが、詳細の人数につきましてはちょっと確認いたしておりません。
○小巻敏雄君 私の聞くところでは、十人前後の者であって、大学が決意をすれば中止をしなければならぬほどのものではないということ、学生諸君が、そういうことでテストを中止をするのはけしからぬし、封鎖をするということは学生の意思でないというので、封鎖に反対をし、テストが行われるようにということを、自治会の執行部を代表として大学に申し入れておるわけですね。しかし大学は、テストを行おうとする措置をとることなく、これらの少数の諸君の要求を受け入れて、そうしてこのテストを中止をしておる。私がこれを調べてみたところでは、これは常識と思えないわけですね。これは、狭山実行委員会と名のる諸君の言い分には、背後関係を恐れてその要求をのんだというふうに理解するより理解のしようがない。 しかも、その後で大学当局がとった措置は、さらにそれを追認をいたしまして、各教官に対して九月四日に学生部長名をもって通知書を出しておる。これが「教官各位殿」で、非常勤講師を含めてですね、「狭山裁判にかかわる運動に参加する学生の前期試験の取扱い」、「このことについて」は「教務委員会および同和教育推進協議会において審議を重ねた結果、別紙写しのように取扱うことに決定致しました。」、「別紙写し」によりますと、「狭山裁判については、同和教育の推進を使命としている本学にとって、同和問題に深くかかわるものとして重大な関心をもつている。ついては、」「狭山裁判にかかわる運動のため受験できない学生に関しては、別途の試験またはレポートの提出等によって評価する。」、私はこれは驚くべきことだと思うんです。それはつまり大学が、狭山の裁判というのはこれはもう全く真実と公正の可能性のない、裁判長というのは不公正な裁判をやるもんだと、だから裁判以外の実力によって紛砕をせよという運動は、大学が正しいものと認めてそれに便宜を供与しておるわけですね。そういう通知書になると思うわけです。これを一体どうお考えになります。それは一貫しておるわけですね。テストの中止と、さらにテストを狭山裁判を紛砕のための上京をする学生に対してはレポートに切りかえるというようなことを学生部長名で教授に対して通知をしておるんですから、これについての御見解を聞きたいと思います。
○政府委員(井内慶次郎君) 先ほどお答えしましたように、八月二十三日に狭山実行委員会の学生から学生部長に対しまして、前期末の試験についての申し入れがあったと、それは試験の延期、または追試験の実施という要望でありました。その際、大学側は試験の延期ということは考えられないと、追試験という問題については状況により考慮もしたい旨の回答を与えたようでございますが、しかし、学生の方は九月九日早朝に、大学の方で認めなかった試験の延期ということを求めて試験場を机、いす等で封鎖して先ほど申し上げましたような結果に相なったと、こういうふうに報告を私ども受けております。
○小巻敏雄君 大臣にお伺いをするんですが、実際上、全学生は封鎖に反対をし、そしてテストが行われることを望み、そして一部の学生が孤立しながらそういう姿をとった。そうすると、その要求を受け入れてテストをやめてしまうという大学の態度なんですね。私は、これが糾弾のもたらしたものだというふうに解釈をしております。しかし、私は解釈についてお伺いをするのではないんです。こういうふうにテストを行うことと、正常に大学を運営をしようとする姿勢を欠くような大学の態度について正当か不当かと、このことをお伺いしておきたいんです。
○国務大臣(永井道雄君) 客観的な原則として申しますと、大学は自己の計画と自主性に基づいてテストを行うと、それで、そのテストをやめさせるというようなことが学生の側から起こってはならない。それは妥当性を欠くものと考えます。
○小巻敏雄君 これはまあ起こってしまった問題でありますが、特に教育問題と言わず、これらの問題を検討するときは常に将来再び起こらないようにと、あるいは誤った状況が正されるようにという観点で問題を見ていく必要があると思うんです。ところが、この状況ですね、大学側は部落解放同盟のこの糾弾を受けて以降、そこに義理を立てて、具体的に学生の声に耳を傾けるかというと、指導が変わって反帝学評の手から正しく封鎖に反対をし、授業妨害に反対をし、勉学を進める方向で自治会が動き始めると、そことの対話、交渉をなおざりにして、引き続いて狭山実行委員会と協議をして、この要求に対してはほとんど無条件で受け入れるような状況が見られておる。その中で二月の段階におきまして、この狭山実行委員会と交渉を行って、その中で非常に見逃せないのは、狭山実行委員会から三名の教官に対して確認会を求めるというような要求が出されておる。幸いにして非常にそれらの諸君が少人数で孤立しておりますので、まだ実行されていないようでありますけれども、これに対しての大学の態度が定かでないわけであります。その教官は家庭科の教官一名ですね。「間取り」をレポートに出したというのは差別であり、それを自分で教育上正当だという信念を述べるのは一層悪質な差別者であるという理由ですね。 それから、もう一人は、常々狭山裁判反対闘争にも参加せず、彼らの言い分に、十分に聞き入れない教師が公害を取り上げる資格がないというような問題ですね。 さらに、選択の問題で官僚的な態度をとって反省が不十分だ、まだけじめをつけていないから確認会を行おうというような要求が行われると、こういうようなことを私は許してはならないと思うのでありますけれども、これらの三つの問題等についても現在「間取り」の問題、しばしば言われておる問題ですからね、まあ見解があったら聞かしてもらいたいと思います。「間取り」を書くことがどうして差別なのか、教科書にもかなりあるんです、この取り扱い。私もワイフが家庭科の教師をやっておりますから、若干教科書についても目を通したことがあります。これは一つの場所でとらえればすべて差別になる、とらえた人によって中身が差別であったりなかったりする、こういうことを許していいのかという問題にかかわっておりますから。この確認会要求については決して許してはならない、こういう点で大臣のきっぱりとした御答弁をいただきたいと思うんです。
○政府委員(井内慶次郎君) 大臣の答える前にお答えします。 狭山実行委員会の方から大学の同和対策推進協議会に対しまして、大学の同和教育に対する取り組み方が不十分であるとして、問題提起をしてきておるようであります。その際、具体の問題としましては、ただいま先生御指摘のように社会科の教授、助教授及び家庭科の講師のテーマの取り上げ方等につきまして、配慮を欠いているという申し入れが同和対策推進協議会に対してなされておるようでございますが、その状況等につきましても、目下私ども大学に照会中でございますので、以上事実だけをお答えします。
○小巻敏雄君 一定の範囲では御承知と思いますが、私はその三教官とお一人ずつお目にかかりました。率直に言って、初めは私の授業は妨害されておりませんとか、そういうことを言われたです。討論は授業でありまして、単位を与えてしまえばそう言わなければならなくなるとしたら、一体どういうことなんでしょうと、学科というものは。授業の間に何人かの学生がハンドマイクを持って叫び、その中で言おうとする講義は行え得なくて、それが十五回ある講義の中で八回続き、七回は倒れて入院をし、そのあとでレポートで単位を与えるというのが正常でしたと、これは専門職の悲しさなんでしょうかね。与えてしまえば責任を持たなければならぬのですから。これは大学が全体としてそういうことが起こらないように教官の安全を努力をして確保しなかったら一人一人で守れるもんじゃないんです。それでもきっぱりやっておる方もありますけれども、病気になって入院している方もあるんですね。こういうような状況で行われた先生、あとの方ではやっぱりよく話してみると、しかしこれは私の講義は行っていませんということを言われているんですからね。私はひとつこれをよく調査をされて、これについて、いまの大学の側の誤ったふがいない態度については、やっぱり正しい方法で是正をされるようにどうしても指導、助言をしていただきたいと思います。特にこの三人の教官が再び大学容認のもとに確認会などが行われるのか行われないのかということが、学生諸君がいま正常に授業を正しくやろうとして自治会を再建をしておる状況、それから八鹿問題等を通じて暴力性が明らかになって次第に孤立的な状況を深めておるこういう暴力的な諸君を、これを大学は毅然として正しい方向をとるのかというものの注目をしておるんです、みんな。百人余りの先生方はこの三人がこんなになっておってもまたやられるのか、そうでないかということを注目しておるわけですね。こういう状況でありますから、ぜひ事実確認会というようなことを大学容認で再び行わせることがあってはならないということを特に強く、要望しておきます。 それから、この大学当局と狭山実行委員会との団交、話し合いはすべて非公開で行われるわけですね。これは驚くべきことであります。会と大学側の話し合いは、全学生の要求を背後に負っておる限り基本的に公開であります。ところがこれは暗黒の交渉なんですね。何が決められておるのかわからない。狭山実行委員会は大学当局に何を要求したのかわからないのであります。大学当局に正当な交渉権を持っておる自治会が、その実行委なるものに約束をしたのかしないのか、どういう要求を受けたのか、この問題を聞き入れると、これ答弁しないわけであります。これは申し入れ書もあれば文書回答もありますけれども、故意にはぐらかされて答弁が行われていない、こういう点も指摘をいたしまして、今後直接責任ある、国として、国立大学の教員養成の大学にこれは厳正に指導をされるようにということを申し上げておきます。私も特に教育に携わってきた者として、いわば教育大学がさような状況で汚染されておるということは水源地を汚されておるようなものでありますからね、学校教育にとって。文部省から、この点について厳正な調査の上、ひとつとられた処置をまた次の機会にお伺いをするとして、私の質問を終わります。
○委員長(内藤誉三郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。 本日は、これにて散会します。 午後三時一分散会 —————・—————