農林水産委員会 第16号
- 発言数
- 211 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/06/20
会議録
○委員長(佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 農林水産政策に関する調査のうち、当面の農林水産行政に関する件を議題といたします。 これより本件の質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
○川村清一君 ことしの二月二十日の当委員会におきまして、私は、農林大臣の所信表明に関連いたしまして当時大きな問題になっておりました水産の問題につきまして、と申しますのは、三月の十五日ですか、から始まるジューネーブにおける国連の海洋法会議の問題、さらに昨年の秋からずっと引き続いて、今年に入りまして特に大きな問題になりましたソ連の漁船団の日本近海における操業に伴うわが国漁民の大きな損害問題、こういうような問題に関連しましていろいろ質問をいたしたわけであります。その後ジュネーブの国連海洋法会議も終わりましたしいそれから日ソの漁業紛争の問題等につきましても、政府当局の非常な御努力等もございまして、過般イシコフソ連漁業大臣が来訪されまして農林大臣と折衝を持たれました結果、日ソの漁業協約が締結され、さらに両国の代表による共同声明も出されたというようなことで問題解決へ向かって大きく前進したものと私は考えておりますが、今日の段階におきまして、当委員会で私が質問しました問題等につきまして、どういうふうに発展し、どういうような現状にあるかというようなことを、さらには今後わが国の漁業というものがどういうふうに推移していくのか、また、どうしなければならないかという問題を中心にして、与えられた時間、ひとついろいろと質疑をしたいと思うわけでございます。 まず最初にお伺いいたしますことは、外務省のこの海洋法会議に当たられました担当者から、まあ、この国連の海洋法会議というのは何も水産に関連した問題だけでもなく、広範な問題について議論されていることは承知しておるわけでありますが、今日は、水産の問題、特に経済水域二百海里を中心といたしましてわが国の漁業に関連した問題につきましてまず御報告をいただき、それに関連してまた質問をしたいと思いますので、その会議における経過なり結果というものを御報告いただきたいと存じます。
○説明員(門田省三君) お尋ねのございました経済水域につきましての審議の経過等につきまして御報告申し上げます。 経済水域二百海里の問題につきましては、昨年夏のカラカス会期におきましてかなり議論されまして、その結果、水域の幅を二百海里にするということにつきましては大勢の賛同があったと見受けられたわけでございます。この後を受けまして、ことしの春ジュネーブで行われました会期におきましては、水域の中における権利義務をどのように定めるべきか、という点に焦点を当てて審議が行われるべく会合が進められたわけでございます。ところが、会合の進め方につきましては、問題がきわめて技術的な内容もあることもございまして、公式協議グループという形をとったのでございます。これはエベンセン協議グループということで御承知いただいているわけでございますが、この委員会におきまして、経済水域の問題を集中的に討議いたしました。その結果、エベンセン委員長が個人の資格で案文をつくりまして、これを委員長に上げて、それで会議の結果つくられました単一草案の中にはエベンセングループでつくられました草案が大体取り入れられている、こういう形でございます。 そこでその内容はどうであるかと申し上げますと、経済水域の幅は二百海里とする、これは岸から隔たること二百海里という意味でございます。その内容としましては、まず沿岸国はその水域内におきます生物資源、非生物資源、つまり魚、あるいは鉱物資源といったものにつきましての管轄権を持つということでございます。特にただいま御関心がおありになりますのは魚の面でございますが、この点につきましては、沿岸国は資源保存の観点から許容されるべき漁獲量というものを科学的なデータを基礎にいたしまして定める、ただし沿岸国は、魚をとるということにつきまして最適利用ということを常に義務づけられておるわけでございます。つまり、漁獲して構わない量につきましてこれを最も適した形で漁獲しないという際には、沿岸国は第三国、つまり沿岸国以外の国に対しても魚をとる権利を認めなければならないということが同時に義務づけられているわけでございます。この意味におきましては、従来その水域において漁獲を行っておりました、実績を持った国が、経済水域ができた後におきましても漁獲をするということの可能性についての道が開かれたと申すことができると存ずるわけでございます。これが一般的な漁獲に関する草案の内容でございます。 なお、特にサケあるいはマスといいますいわゆる遡河性魚種の問題につきましては特別に一項が設けられておりまして、沿岸国は、従来その水域におきまして漁獲を行っておりました国の経済に混乱が生ずるというふうな場合には、その混乱を最小限に食いとめるというために、従来の実績を勘案いたしまして、その水域の内外において漁獲するということを認めることあるべしということになっておりまして、この点につきましても実績国の立場がある程度反映されているということでございます。
○川村清一君 経済水域二百海里の問題といまの遡河性魚類の問題等につきましてただいま御報告をいただきましたが、日ソの漁業紛争と大きく関連する問題といたしましては領海十二海里の問題があるわけですね。これは御案内のように、領海十二海里という問題は非常に歴史的な経過がございまして、一九五八年の第一次国連会議、それから第二回目の一九六〇年の国連海洋法会議、こういう経過を踏まえまして第三回の海洋法会議、カラカス会議、ジュネーブ会議、こう経過を経ておりますが、その領海十二海里という問題はやはり大きな問題なんですね。これが決まるか決まらないかというのは、現在の問題として、日ソの漁業紛争の問題解決のために大きなやはり要素を持っているわけです。非常な関心を持っておるわけです。そこで、ただいまの御報告には領海十二海里という問題について触れられておりませんが、これも日本の漁民にとっては大事な問題ですから、これについてもひとつ触れて御説明をいただきたい。
○説明員(門田省三君) お尋ねの御質問につきまして海洋法会議における情勢という側面からお答え申し上げたいと存じます。 領海の幅をどのように決めるか、なかんずく領海の幅を十二海里以内は構わないのだというふうな線で結論を出そうというふうな意見を持つ国がかなり多いことは昨年のカラカスの会期の過程を見ましても大体動かしがたい情勢になっていたというのが一般状況でございます。ただ、この領海の幅の問題につきましては、経済水域の二百海里の問題、それから国際海峡の通航の問題と申しますいわゆる関連する問題といわばパッケージの形になって取り上げられているという事実がございます。こういったことから今度のジュネーブ会期におきましては、領海の幅十二海里ということは大体一般のコンセンサスがあるということで、それの関連する問題、つまり経済水域二百海里及び国際海峡の通航制度という問題の方に視点が向けられたということでございます。ただ御承知いただいておりますとおりに、経済水域の二百海里の問題、あるいは国際通航の問題につきましても、ジュネーブ会期おいて十分議論を尽くす段階に立ち至らなかったこともございまして、いわゆる国連の海洋法会議の結論といたしましては、まだ領海十二海里ということにつきましては結論が出ていないということでございます。
○川村清一君 いろいろ議論があって決まらないと。しかしながら、領海十二海里の問題につきましては、今度のジュネーブ会議においてエベンセンの統一草案というものが出まして、そこにははっきり領海は十二海里ということがうたわれておるわけですね。ですから、これはもう世界の大勢であるとわれわれは考えておるんですが、どうですか。もう領海十二海里というものは世界の大勢であると。今回は決まらぬけれども、これは大体、将来こうなるんだ、というような考え方を外務省としては持っていらっしゃいませんか。
○説明員(門田省三君) 先生御指摘なられましたように、いま、ただいまの現状を見ましても、つまり各国が領海の幅をどのように考え、また実施しているかという実情をながめましても、領海十二海里という制度をとっている国が非常に多数にあるわけでございます。ですから、その意味では、先生御指摘のとおりの実情があると申せると存じます。ただ、領海十二海里が、いわゆる国際慣習法になっているかどうかの点につきましては、これは海洋法会議の結論を待って明らかになる問題かと考えております。
○川村清一君 お話の趣旨はわかるわけでございますけれども、領海三海里という立場に固執されて現行行っておる国というものは、世界のうちでもほんのわずかの国しかないと私は考えておるわけですよ。もう二百海里だの、百海里、百五十海里なんという、とてつもない領海幅を宣言しましてそうして、もう行使している国があるわけですから。 そこで、外務省の見通しを聞きたいんですがね、カラカス会議から始まって、ことしのジュネーブ会議。このジュネーブ会議では結論は出なかった。しかしながら、大体その草案というものがエベンセン案として出たわけですね。で、この案を一つのたたき台にするのか。やはりこれは一つの基準になると思うんですが、来年の三月にニューヨーク会議があるというこのこのニューヨーク会議ではたして決まるか決まらぬかそれはまだわかりませんけれども、しかしながら、ニューヨーク会議が第三次の会議といたしまして、それで決まらなくても、第四次の会議ではもう大体決まるんではないか。決まったからといって、すぐそれが世界じゅう行われるということではない。それは各国が今度批准のやっぱり作業をせねばなりませんからね。ですから、これが確実に動き出すというのはまだ数年後だと思いますけれども、われわれとしましては、大体こうなるんだというように、私自身は思っているんですよ。したがって、この方針に沿ったやはり漁業なら漁業の政策というものを打ち立ててそうして、これを行っていかなければならないという考え方を持っているわけなんですが、外務省の方の見通しとしてはどうなんですか。一体、いまの世界の動きというものを阻止するという、反対するという立場なのか。世界の大勢はこうなんだと、こういう中でわが国の国益というものを守っていくといったような立場で進められているのか。いまのこの動きなんという、こんなものは問題でないんだ、というような考え方を持っていらっしゃるのか、これは大事なんですよ。それをひとつお聞かせいただきたいんです。
○説明員(門田省三君) 先ほど御報告申し上げました中で、この経済水域の問題は、エベンセン協議グループにおいて集中的に討議されたということを申し上げたのでございますが、このエベンセン・グループにおける審議の中でも、特に長い時間をかけて、また密度の濃い議論が経済水域について行われたという事実がございます。こういう観点からいたしますと、かなり議論が煮詰まった形で進められたものと考えてもよろしいのではないかということがございます。つまり、一応つくってみたというような案ではなくて、かなり議論が行われた結果であるということは客観的事実として申し上げることができると存じます。ただ、エベンセン委員長が最終段階でこういう案をつくってみましたということで委員に諮りました段階では、各国ともそれぞれの立場から、まだこれでは十分でないということで留保を行っておるというまた事実が他方ございます。したがいまして、この二つの側面、つまり長時間をかけて集中的に議論を行った結果できたものであるということとあわせまして、まだ各国はしかし言いたいことがある、これはニューヨーク会議において十分意見を開陳するんだということを申しておりますこの側面、二つがございますので、この点をやはり踏まえて今後の見通しをしていかなければならないのではないかと、かように考えているわけでございます。
○川村清一君 ですから、私はその見通しを聞いているんです。その前段のおっしゃっていることは、私もう承知しているので、それでその担当の政府の外務省の見通しですね、それを聞いている。
○説明員(門田省三君) 先生の御質問は、領海の点についてでございますでしょうか。
○川村清一君 特にそうおっしゃるならば、全部の問題なんですよ。ということは、日本の水産をどうするか、いわゆる経済水域が二百海里に決まるか決まらぬかと。これはもうもちろん政府当局、これは反対だと思うのです。日本の業界も反対だと思うのですよ。しかし世界の大勢がこうなんだ、いままで公海自由だ、これが原則だ、なんということで、世界のどこの海へ行っても公海ならば自由に漁労をやっていく、こういうことはもう許されないのだ。そういう時代に来たんだと、こういう考え方ならば、日本の漁業の構造というものをこれは大転換をしていかなければならない時代へ来ているわけなんです。 そこで、あなたにお聞きしているのは、経済水域二百海里の問題もそうだし、当面の問題としては、領海十二海里の問題はどうなんだということをお聞きしている。
○説明員(門田省三君) ニューヨーク会議におきまして、先ごろから御説明しております経済水域の問題、それから国際海峡の通航の問題につきまして合意ができますれば、領海十二海里はそのパッケージの一環としてやはり合意に達するものと私どもは判断いたしております。
○川村清一君 二百海里は……。
○説明員(門田省三君) 二百海里の問題につきましても、水域内における権利義務関係について合意ができれば、経済水域を二百海里として認めるということにつき結論が出るものと見通しております。
○川村清一君 そこで、日ソの漁業紛争の問題に関連してお尋ねするわけでありますが、この二月二十日の当委員会におきまして私が安倍農林大臣にいろいろ御質問を申し上げたその段階で、農林大臣は、この日ソの漁業紛争というものを防止するためには、魚業のサイドから言うならば、ぜひ私は、領海十二海里というものを宣言したい、こうおっしゃっているわけです。領海十二海里というものをきちっと宣言すればいままで起きておる紛争、事件を大体六割から七割ぐらいは解決するわけです。ということは領海の幅が広がるというと、いままで紛争起こしておったところの水域というものが領海の中に入りまして公海でなくなるわけですから、したがってその紛争、事件というものは減るわけですね。ですから、農林大臣としては当然そういうような考え方を持つべきでしょうし、そこのところはっきりとこの委員会で言明されているわけです。われわれも、それを大きく期待しておったわけであります。ところが、農林大臣は、ちょうどジュネーブの海洋法会議の前でしたから、この会議が終わったならばこうしたいということをおっしゃっておった。会議は終わった。われわれは、安倍農林大臣が委員会ではっきり言明されたんですから、一日も早くそのことを日本国政府が宣言してくれると期待しておったが、さっぱりならない。新聞報道するところによるというと、どうも外務省が反対しておる。農林省の足を引っぱっているようだ、外務省のほうが。その理由は何か。これは漁業には別段関係のないことでありまして、これは国際海峡の航行権の問題、自由航行権、無害航行権この問題に関連して外務省はなかなか旗をふらない。こういうふうなことになる。まことに私ども、農林水産委員会としては、日本の漁業を思い、日本の生産漁民の立場に立ってものを考えていきますから、一生懸命農林大臣を叱咤激励して、やれ、やれと言っているんですが、今度は外務省がそれ反対しているということになれば、これらちがあかない。農林大臣ははっきり言っている。農林省だけではできないんだと。ほかの省庁ともよく協議して決めますということをおっしゃっている。どうして外務省反対するんですか。外務大臣でないから、責任ある御答弁はできないと思いますけれども、あなたの所管する仕事の立場に立ってひとつ、言えるだけのことを言っていただきたいですね。
○説明員(門田省三君) 先生おっしゃいましたように、大臣がお答えしたこと、ごもっともなことだと存ずるんでございます。ただ、この問題、つまり領海の問題は、経済水域二百海里の問題と国際海峡通行の問題とあわせてパッケージとして、海洋法会議で取り上げられておるという事実がございます。したがいまして、その一つだけについて直ちに結論を出すということにはまいらないという事実が、客観的情勢があるわけでございます。それで、私どもといたしましては、ジュネーブ会議におきましても、領海の幅の問題が他の二つの問題とともに一括して合意に達するように努力を傾けるべく会議に参加したわけでございます。ただ、会議の次第は御報告したとおりでございまして、この三つの点をパッケージとして取り上げ、そして結論を導き出すということにはまいらなかったわけでございます。したがいまして、この問題は全体的な角度から慎重にまた十分検討する必要があるということで、ただいままで、また、ただいまのところも、全体的な角度から検討をいたしておるということでございます。
○川村清一君 大臣でもございませんし、また責任のある局長でもございませんので、それほどこれ以上申し上げるのはかえって、説明される、せっかくおいでになられた皆さん方に迷惑かけることになりますので、あとは遠慮しますがね。こういうことがありますので参考までに聞いていただいて、それからこういう方の担当の局長にあるいは大臣にぜひ報告しておいていただきたい。 この領海十二海里の問題は、私は、何もことしになってからこういうことを言っているんでなくして、私は、昭和四十年にこの国会へ出てまいりましてから、もうここで数回にわたってやっております。本会議でも議論しております。一例を申し上げますと、いまこれ会議録のコピーを持ってきておりますが、昭和四十六年の五月十九日の参議院本会議におきまして、昭和四十五年度の年次報告、いわゆる漁業白書、これについて質問をいたしまして、この領海十二海里の問題につきまして総理大臣あるいは当時の愛知外務大臣に質問している。そのときに、佐藤総理大臣はどういうふうに答弁されたか。愛知外務大臣はどういう答弁をされたか。これは昭和四十六年ですからひとつ参考までによく頭に入れて報告しておいていただきたいんです。佐藤総理大臣の答弁の個所だけちょっと簡単ですから読みますが、「領海あるいは漁業専管水域その他について、最近の日ソ漁業交渉から関連して考えられる諸問題について触れられました。詳しくは外務大臣からお答えすることだと思いますが、私は三海里説を従来からとっておる日本の領海説、これは当然改めるべきだろう、かように考えて、外務当局にもいろいろ検討を命じておったところであります。また、漁業専管水域の問題も他国と問題を引き起こしやすい国際的な問題でありますので、すでにつくっている漁業専管水域、そこに入漁している日本の漁業を守ると同時に、新たな問題としてこれは検討しなければならない。」、こういう答弁をされておる。佐藤総理大臣も、「私は三海里説を従来からとっておる日本の領海説、これは当然改めるべき」であろうと、こうおっしゃっている。 この総理大臣に続いて、当時の愛知外務大臣はどう答弁されておるかと申しますと、「ただいま総理からお示しのありました基本方針に基づきまして、大体領海六海里、専管水域六海里、合わせて十二海里という説を政府としてとることが適当ではなかろうかと考えまして、その線に沿いまして国際的な合意ができるように、あらためて大いに努力をいたしたいと考えております。」と、こう言っておる。これは現在から四、五年前の話なんです。ところが、日本の外務省は、総理大臣でさえこういうふうに考えられて外務当局に検討を命じておると言うのにもかかわらず、いまだに三海里に固執しておる。そして、この国際法会議におきましても、これは経済水域なんかとパッケージとして考えておる。 それで、私は、ここに責任ある局長なり外務大臣がいらっしゃれば聞きたいんですが、一体この日本の国際海峡とはどこを指すのか。恐らくこれは津軽海峡、あるいはどこですか。対馬海峡ですか、宗谷海峡ですか、この辺の海峡を指しておると思うんです。で、領海十二海里を宣言したことによって、このたとえば津軽海峡、これが十二海里になって、その海峡全部が領海になったとした場合、そのことによって、日本の国益をどれだけ損ずることになる。日本がそのことによってどれだけ困る。国際的に考えれば、そこにいわゆる自由通航権が認められないというようなことになれば、日本は困らないんです、困る国はどこか。——ですから、このカラカスの海洋法会議に臨むアメリカやソビエトの態度というものは、最初アメリカだってソ連だって大きなこれは漁業国ですから、特にソ連の遠洋漁業なんというものは日本以上なんですから。したがって、アメリカだって、カナダだって、ソ連だって、当初から経済水域二百海里というものに賛成はこれはしておらなかったはずですよ。ところが、後になって賛成に回ったというのは何か。それはやはり取引があって、もしも国際海峡自由航行権を、自由通航権を認めるならば経済水域二百海里を認めよう、認めないならば経済水域二百海里は認めない。したがって、アメリカにすれば、漁業とそれから国際海峡の通航権というものをはかりにかけてどっちにウエートを置いておるかというと、むしろこの自由通航権の方に重きを置いているわけですね。ですから日本は、こう決めたところで日本自体はちっとも困らない。困らぬけれども、そういうことをやるというと、またアメリカやソ連からいろいろな苦情が出てくる、だろうと思うんですよ、断定はできませんが。だろうと思うんですが、そういうことが原因しているんではないかと思うんですね。ですから、国際海洋法会議におきまして、経済水域二百海里、同時に国際海峡の自由通航を認める、これが合わさってくるというとこれはとるけれども、片方ではだめだということなんだ。日本はその線に乗っているだけの話だ。ですから、日本の漁業者の立場、あるいは日本の水産の問題をいろいろと心配しているわれわれの立場からいえばですよ、一日も早くこの領海十二海里は宣言してほしいわけですよ。ところが外務省は、目はどっちの方へ向けているのかわからぬけれども、日本の漁業、国内の問題に目を向けるよりも、むしろアメリカやそっちの方に目を向けて、それが原因になってこういうことをするということは、せっかく農林大臣はそういう漁業の立場に立って、漁民の立場に立って、そうしてやろうとしているのに、その足を引っ張ることは、はなはだもって納得いかないわけですね。われわれは、農林大臣を大いにこれは押し上げて、バックアップして、外務省と一戦を交えなければならぬぐらいの考え方を持っているわけですから、あなたがお帰りになったら十分、きょう委員会でこういうことを言われてきたということを御報告しておいていただきたい。お願いしますよ。それじゃ、外務省の方よろしゅうございます。 そこで、今度は農林大臣にお尋ねしたいわけですが、まあ領海十二海里というものが決まらなければ問題を非常に大きく後に残すわけです。ところが、今度日ソの漁業協定を締結されまして、共同宣言も出されました。その御労苦は大いに多とし、敬意を表し、高く評価するものでございますけれども、しかしながら、どうもこの共同宣言を読んでも安心できないわけですよ。漁民の皆さんは非常に喜んでおりますよ、喜んでますけれども、やっぱり一抹の心配は皆持っているわけですよ。そこで、本当に、この領海十二海里というものを決めなくても、宣言しなくても、ここ数年、特に去年からことしにかけて起きた大きな問題、こういう問題は、もうことしの秋には起きないのかどうか。これに対する見通しをひとつ農林大臣からお聞かせいただきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日ソ漁業操業協定は御存じのように六月七日、日ソ間で署名されたわけでございます。これと同時に、私がイシコフ漁業相との交渉において最も力を入れた問題点は、いま御指摘がありましたように、操業協定だけで日ソ間の今後の操業にかかわる紛糾を防止するということがなかなか困難な面があるわけでございまして、日ソ間のやはり、今後日本の沿岸におけるトラブルが起こらないように根本的なやはり合意を取りつけなければならない。特にソ連の合意を、ソ連のこれに対するはっきりした態度を打ち出させなければならないということに全力を挙げたわけでございます。もちろん、領海十二海里問題はこれと並行してわれわれとしても努力をしたいと考えておるわけでございますが、それとともに今後、具体的、現実的にもう九月からまたソ連船がやってくるわけでありますから、それに対応して今後、問題が起こらない、その際も問題は起こらない、こういう方向に努力をし、そのために交渉を行ったわけでありますが、まあわれわれが力説した点につきましても、ソ連側もまあ相当理解を持ったというふうに私は判断もいたしております。 いろいろの経過はあったわけでありますが、まあ最終的には日ソ間のこの共同発表にも盛り込まれておりますし、川村委員もこれを見ていただいたと思うわけでありますが、ソ連側としても、日本の近海、沿岸の、日本が漁業規制をしておる、日本が国内法によって漁業規制をしておる区域につきましてはその操業を自粛をするということを彼らもはっきりと明言をいたしました。これも共同発表の中にはっきり書かれてあるわけでございますし、同時にまた、交渉の過程におきまして、この自粛につきましての今後の具体的な取り決めといいますか、交渉を近いうちに行うということもはっきりいたしたわけであります。まあ御案内のように、日本の漁業の規制区域は六海里から七海里、あるいは広いところでは十五海里までに至っておるわけであります。まあ十五海里ぐらいの間が規制区域に入っております。その間ではたとえばトロール、日本のトロール船の操業も禁止しておるわけでございます。まあそうした地域にソビエトのトロール船が入ってくるということは、日本の漁業規則でトロール船を禁止しているその中に、ソ連のトロール船が入ってくるということは困るわけでございますから、この問題がもうはっきりすればこれはもう事実上、この領海問題は、まあ政府全体の問題としていま検討中でございますが、この結論が先に延びたとしても、事実上そうしたトロール等の漁業規制区域にソ連船が入ってこないということが具体的に取り決めができれば、これはもう現実的、具体的にはソ連船の被害というものはこれを防止することができるわけでありますし、沿岸漁民としても非常に安心ができるわけでございますので、この点を詰めまして——操業は自粛をすると。そうしてその問題点、海域等についての問題点については今後早急に詰めるというところまでまいってきておるわけでありまして、私はまあイシコフ漁業相との間の交渉の過程から見まして、これは今後、日ソ間の具体的な交渉の中にあって取り決めていくわけですが、私の判断では、解決ができるのではないか、具体的にこれらの問題について決着を見ることができるんではないか。そして、九月からのソ連船の日本沿岸における操業については、日本の沿岸漁民の皆さんにも安心をしていただくような形で行われるようになるのではないか。これはしなきゃならぬわけでありますが、日ソ間の交渉ではそういうふうな非常にいい雰囲気であったというふうに考えておりますし、また、これはできるのではないかというふうに判断をしておるわけであります。が、これは非常に重大な問題でございますし、今後ともひとつ鋭意最大の力を注ぎまして沿岸漁民の期待にこたえていかなきゃならない、こういうふうに決意をいたしておるわけであります。
○川村清一君 ただいま農林大臣からいろいろ御説明がございましたことを、ぜひそうなっていただきたいということを大きく期待しておるものでございます。そしてまた、この件につきましては、共同発表の要旨の中に、原則として少なくとも毎年一回両国の主管大臣間協議を交互に開催することに同意したとうたわれており、安倍農林大臣は、イシコフ漁業相から本年中の都合のよい時期にソ連を訪問するように招待し、その招待は感謝の意をもって受諾されたと。こう発表されておるわけですから、まだまだ話し合いする機会がございますので、その中でぜひいまおっしゃったことを実現していただきたいわけでございますが、私は、いまおっしゃったように、そううまくいくとは必ずしも考えておらないわけであります。 この問題は大臣、三つの点から考えてみなければならない。第一点は国民感情という点です。第二点は、いわゆる日本近海における資源を維持するという問題、資源問題であります。第三点は、この両者のトラブルによって日本の漁民が損害を受けないようにというこの三つの側面から考えてみなければならない。恐らく安倍農林大臣は、ソ連が大挙して沿岸に来ている姿というものをまだ見ていらっしゃないんではないかと思うわけでございますが、御案内のように領海三海里——三海里というものがどのくらいの距離かというと、まあこれは御承知のように、一海里というのは千八百メートルです。三海里というのは五千四百メートル。陸上の五千四百メートルと言えば相当遠くに見えますが、海上における五千四百メートルなんというものは、ちょっと手を伸ばせば、つかまるぐらいのふうに見えるわけです。すぐそばに見えるわけです。そこまでは領海ですから来れませんけれども、それを一メートルでも越せば来れるわけです。向こうの船団が操業しなくても、一万トン級の母船を五隻も六隻も持ち、それに付属独航船のような、あるいはトロール船のようなのが数十隻やってまいりまして、そうしてその領海の外に停泊していることがあるんです。その停泊しておる姿が陸上からははっきり見えるんです。手を伸ばせばつかまるようなところに、ごっそりいるわけですよ。まさに日本の昔の連合艦隊を思わせるような姿でもって目の前にいるわけです。それを見たときの、沿岸のいわゆる日本人の国民的感情というものを、あなたはよく考えていただきたい。私は、二回も三回もこの姿を見て、何となく割り切れない不愉快なこういう感情にかられております。この問題が一点あるわけです。 もう一点は資源の問題です。資源の問題につきましては、ただいま大臣もおっしゃいましたが、御案内のように、北海道の近海というものは、これは底びき禁止区域がずっと設定されておるわけであります。私は国会に出てくる前に北海道議会の議員をやっておりまして、十年間水産委員会に所属しておりました。この十年間、私が北海道の沿岸漁民の立場に立って闘ってきたことは何であるか。一言に尽きることは底びき禁止区域を拡大するということです。それから、沿岸から底びきをできるだけ追い出して、そうして沿岸漁民の操業の区域というものを広げる、このために私は闘ってきたと言っても過言ではないんです。その底びき禁止区域の中に、これはもう公海ですから、しかも、北海道の沿岸の漁業協同組合の持つところの共同漁業権というものは非常に沖出しが深いのがあるんです。三万メートルぐらい持っているところもあるわけですよ。ですからその共同漁業権、いわゆるその漁民の共同の財産である共同漁業権の中にどんどん入ってきているわけです。そうしてその海は底びき禁止区域の地域なんです。そこにソ連のトロール船が入ってきて日本の底びきは引かせない。そこへソ連の結局底びきが来て底を引いてしまう。このことによって、一つには資源というものを乱獲する、こういうおそれが十分あるわけです。 いま漁獲量一千万トンを超えておりますね。昭和四十七年、四十八年、四十九年ちょっと減りましたが、一千万トンを超したところのこの漁獲量、このうちの約三割というものは何か、これはスケトウダラですよ。スケトウダラが大体三百万トンぐらいある。これは北洋でとってくるのと北海道沿岸でとれるのがある。ところが、このスケトウ資源というものがだんだん減少してきていることは水産庁の長官もよく御存じのことと思います。体形が非常に小さくなってきておる。体形が小さくなってきておるということは、資源量が減退しているということを証明しておるわけです。これを、ことしの春あたりは、北海道の太平洋岸のスケトウダラの産卵地と言われているような沿岸にまで入り込んできて、そうして資源を乱獲しておるでしょう。それから東北から千葉県、関東、静岡県まで、たとえば伊豆のサバの産卵地と言われておる銭洲あたりまで来てトロールを引いておる。それから、日本の漁業調整規則によって網でとることは禁止して一本釣り、釣り漁しか認めておらない、そういう県もあるでしょう。県の漁業調整規則でもってそういうことをきめているところがありますよ。こういうところへ来て、まき網だとかあるいはトロールでもって引いておる。大きな問題ですね。だから日本の沿岸における資源を守るという立場からもこれは見ていかなければならない。ところがトロールは入らないんだと、こういうことですよ。本当に入らないのか。非常にむずかしいと思う。と申しますのはどういうことかというと、これは母船を持ってくるわけでしょう、おそらく。ソ連の、日本の近海に来る漁船団の根拠地がどこなのか私には定かでございませんけれども、どっか遠い基地からソ連の漁船団が来るわけでしょう。一万トンクラスの母船が三隻も五隻も持ってくるわけでしょう。そこに付属してくる船が底びきをやらない、いわゆるトロール船ではない、小型の船だけである。こういうことが果たしてでき得るものかどうかというところに私は一抹の疑問を持つわけですよ。 それから、共同発表の中にこういうことをうたっておりますね。「協定の規定に基づき、かつ、日本国において有効である漁業規制措置を考慮に入れ、日本国沿岸の公海における漁業操業に当たって紛争発生の可能性を除去するため、方策を講ずることに合意した。」、こううたっている。すなわち、日本国の漁業規制措置を考慮に入れとあるんですから、このことが大臣のさっきおっしゃったことだと思うんですが、日本の漁業法に基づくところの漁業調整規則、こういったようなものをよく守ってやると。ぜひそうやってもらいたいんですが、実態はなかなかむずかしいんではないか、このことを漁民の方は心配しているんです。領海十二海里ということをはっきり決めればこういう問題がさっとなくなるわけですが、それを決めないままに、領海十二海里というものを決めないで、領海三海里というこういう中で、これらの問題を完全に規制していくということが実際できるのかどうかということ。それから今度は、トラブルによって損害が起きた損害問題はどうするか。この問題は後でやりますが、いま申し上げたこの二点について大臣のひとつ所見をお聞かせいただきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この日ソ間の問題、特に漁業問題については、北洋についてもあるいは日本の沿岸漁場におけるソ連船の操業につきましても、まあ基本的にはやはり日ソの、何といいますか、友好関係というものが前提でなければこれはもうならないわけであります。実はこの近海におけるソ連船の操業問題につきましては、私とイシコフ漁業相との会談に入る前は、率直なお話をいたしますと、もうとにかく日本は三海里までが領海であって、三海里以上は公海じゃないか。公海で操業するのは自由じゃないか、もし日本が操業させないとするならば領海を十二海里にすればいいわけであって、三海里以上の海面においてソ連船が何をしようと、それは公海であるんだからというふうな態度で、これは、イシコフ漁業相が日本に来ましていろいろと、イシコフ漁業相と接触をした方々に対してもそういうことを述べておるわけであります。しかしまあわれわれとしては、領海外であっても、いまおっしゃるような日本が漁業規制している区域というものについてソ連船が入らないようにしなきゃならぬということに対してこれはもう交渉の主力を挙げたわけでありまして、ですから、まあ公海上の操業がどうだこうだというふうな観点から論議をするということになりますと、非常に簡単にソ連から峻拒されるというふうなこともあるわけでございますので、ここはやはり——イシコフ漁業相というのは長い間日ソ間の漁業交渉に実に二十八年間漁業相として当たってきているわけでありますし、まあ日本に対しても非常に理解も持っている、漁業問題には非常に許しいわけでありますから、私は、そうした問題よりはむしろ先ほどから川村さんがおっしゃいましたような、日本が沿岸において漁業規制区域を設けて、たとえば、トロールの、日本のトロールの禁止を行った、そういう措置に至るには日本の沿岸漁業の歴史の中においても非常に長い道のりがあったわけでありますと、しばしば大変な日本の漁民間のトラブルもあったことは御承知のとおりでありますと、そして、やっとそうした漁業規制区域というのが設けられて、そして日本の沿岸漁業を保護するという形になっておる。そういう規制区域に対して、せっかく日本がここまでの長い歴史の中に積み重ねた漁業の秩序というものに、ソ連船が入ってきて、そして大きなトロール漁船で底ん掘り取ってしまうということは むしろこれはお互いに漁業をやっておる、両方とも世界では大きな漁業国でありますから、漁業国、そして漁民同士の、簡単に言いますと、俗な言葉で言いますと、仁義に反することじゃないかと。だから、これはイシコフ漁業相もよく理解をしていただきたいと。お互いの漁師の仁義というものはお互いにあるわけで、それは国を離れてもそういうものがあるんだから、お互いの国が規制したものには入らないというのは日本もやっておりますし、ソ連もそういうことをやっておられるわけでありますし、ソ連間にもそういう漁業上のいろいろの紛争を処理するための、国内的な漁業秩序のための規制措置も行われておるわけですから、こういうところへ外国の船が乗り込んで行って、公海だからと言ってやるということは、漁業者の仁義にも反することじゃないかと。そうした日本の今日の漁業規制に至るまでの長い歴史のいろいろな問題をお話をし、そしてお互いが協力をして、お互いにひとつそういう漁師のいわゆる仁義を守っていこうじゃないかというふうなことで、率直に言いますとそういうお話をいたしたわけであります。で、それに対してイシコフ漁業相は非常に理解を示されたわけでありまして、そしていろいろとソ連間においては御協議もあったようでありますが、最終的にはあの共同発表にも、日本の漁業規制区域については考慮するという項目を盛り帰むことができた。 私は、この間の交渉の過程から見まして、ソ連側としては相当やはり日本の沿岸漁業というものに対して思い切った考慮を払ったというふうに見ておりますし、まあそのときの交渉の雰囲気から見て、今後具体的にそれじゃどこの地域、まあ銭洲であるとか、襟裳岬海域であるとか、そうした非常に大きな日本の漁業規制区域のある大漁場、そういうふうなところをどういうことにするかということは今後具体的な交渉に入っていくわけでありますが、それに対しても十分な理解は私は示したというふうに判断もしておりますし、これはやはりソ連も決して日本の沿岸でトラブルを起こそうとは思っていない。トラブルは起こしたくないというのがソ連の気持ちでもあるようでございますので、これは私は今後われわれが積極的に交渉をすれば具体的にそういう規制区域にソ連船が入ってトラブルを起こすということは防げるのではないかというふうに判断をしております。非常にこう楽観的だと言われれば楽観的かもしれませんが、私が交渉した責任者として感じております率直な気持ちとしては、これで具体的に交渉を詰めていけば、これは九月からソ連船がたとえ日本の沿岸に入ってきてもいままでに起こったようなトラブルは防げると。まあ操業協定もできましたし、これでもって相当トラブルは防げるわけでございますが、さらにいま申し上げますような交渉を詰めていけば紛争というものは防げるのじゃないか、こういうふうに判断をいたしておるわけでございまして、そういう判断に基づいて積極的にこれはもう八月中にでも具体的交渉を進めなきゃならぬと考えておるわけであります。
○川村清一君 ぜひ大臣がいまおっしゃったことが実現されますように、私が申し上げたことが全く杞憂であったというような結果が生まれるように御努力を願いたいと思うわけであります。 もっともこの操業協定に基づきまして両国の間に漁業損害賠償請求処理委員会といったようなものも設置されるわけでございますから、要すれば両国の親善友好の関係をいよいよ深めまして、そういう両国の関係の上にこういう委員会を持って、そしてその委員会が強力に任務を遂行されましてそういう問題が出ないようにぜひがんばっていただきたいということを要望申し上げたいと思います。 そこで、水産庁の長官にお尋ねしますが、これは新聞で承知しただけでございますが、四十九年の十月から五十年の三月までの間に漁具被害というものが一千件あって、その金額は三億四千万に及ぶ、こういうようなことが出ておりまして、それに対する緊急の対策といたしまして何か九億円の緊急融資をしたというようなこと等が出ておったわけでありますが、これらの問題についてちょっと御説明願えませんか。
○政府委員(内村良英君) ソ連漁船の被害対策につきましては、これは本来民事上の問題としてソ連側に賠償請求すべき問題でございますけれどもなかなか、現在の被害を受けているのは零細漁民の方々でございますし、向こうの裁判所にどうというような話にもなりませんので、政府がかわって被害を向こうに通告し、賠償を請求しているわけでございますけれども、なかなか簡単に片づかないということもあるわけでございます。 そこで、国として、特に今年の春、北海道その他の地域で受けた被害につきまして、漁業者の方々は非常に困っておられるということもよく承知しておりますので、まず緊急措置をやるということで、漁具購入資金、生活資金及び経営資金について、ソ連漁船により漁具の損傷を受けた者及びソ連漁船により漁獲の減少した方々に対しまして低利融資の金融をやろうと。その融資ワクは大体九億円ということになっております。そのうち国は、基準金利と末端金利との金利差につきまして都道府県が利子補給した場合にその三分の二、経営資金の場合には二分の一を補助するということを決めて、近くこれは実施をされるわけでございます。その他、緊急対策事業といたしまして、都道府県の漁業協同組合連合会が対策基金を設置いたしまして、その事業の中から、われわれメニュー方式と言っておるわけでございますけれども、各種の事業をすると。その中で、どんな事業が考えられておるかと申しますと、漁具の貸与事業、それから被害漁場の整備事業、その他ソ連漁船警告用の放送施設の設置等、水産庁長官がこれは適当だと認める事業を行うということになっております。国は、対策基金に充てるための資金につきまして関係都道府県が補助する場合に、総額一億五千万円というもので補助をしたいということで、これも近く実施に移すことになっております。
○川村清一君 そこで、日ソの操業協定の内容を見ますというと、漁業損害賠償請求処理委員会というものが設置される、それから損害賠償請求は事故発生後一年以内に委員会に申請する、ただし、協定発効以前の事故については二年前までさかのぼって申請できると。こういう協定になっておりますが一そうしますと、いま私が質問しております昨年からことしにかけてのこの紛争によって生じた損害というものは、この委員会が設置されたときに損害請求できるのかどうか、これはどうなっておりますか。
○政府委員(内村良英君) 当然損害請求できるわけでございます。たとえばことしの八月一日に発効すれば、それから前二年間ということをさかのぼって請求できるわけでございますから、実質的には累計四億ちょっと、四億二、三千万円の被害のうち四億近いものが請求できる、こういうふうな形になっております。
○川村清一君 この損害に対しまして、まあこの北海道の問題ですが、北海道の漁民は大損害、大変なことになりまして、したがいまして、これを救済する措置として、北海道が独自で、すでにこれに対するいわゆる金融措置を、いま長官の言われたような、国がやろうという措置を先取って北海道がもうやっておるわけですね。したがって、しかもこれは道議会でいろいろ質問されていった結果、道知事が、これはもうすでに将来において返してもらわなくてもいいような、あげたといったような、そんなことまでははっきりも言えないでしょうけれども、そんなようなかっこうの答弁もされておるということを聞いておるわけでございますが。——こういうふうにしていま国か緊急融資をした。これは融資ですからまた返してもらうわけでしょう。そうすると、このいまの紛争処理委員会ができて二年前の損害を賠償請求した、出てきたとした場合には当然そういうものは、その中で処理されるものと思うんですが、これはどうですか。
○政府委員(内村良英君) 損害賠償が成立いたしまして賠償金が来たという場合には、それを受け取った漁業者の方々がそれを財源にして、融資の分については返すかっこうになるんじゃないかと思います。それから後で、後段の措置として申し上げましたいわゆる財成措置につきましては、これはもう返していただくというようなことは全然ないわけでございます。
○川村清一君 そこで、これからいろいろお尋ねしたいのは、いわゆるポスト海洋法と言いますか、海洋法会議によって経済水域二百海里、これはもう時間の問題で決まるだろうと私は思ってるんですが、それから領海十二海里、これも決まるだろうと思っておるんですが、領海十二海里につきましては、農林大臣はこの委員会で胸を張ってお答えになっておった。この間の委員会でも、どなたかの委員の質問に対して、農林大臣としてはこうだ、という決意を述べられておった。この決意はいまだに変わっていらっしゃらないか。実現のために反対しておる外務省あたりとも十分折衝して、ひとつ実現のために努力するものと期待しておるわけですが、農林大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この委員会において私しばしばお答えをいたしましたように、領海十二海里の問題につきましては、これはやはり沿岸漁業の漁業者の利益を守るという見地から言えば、直ちに実現をすることも考慮すべきである。漁業のサイドから見れば、もう十二海里を逡巡する理由というものは私は何もないと、こういうふうに思うわけでございますが、ただ、しばしば申し上げておりますように、政府全体とすれば、これは国際海峡通航問題、あるいは先ほども外務省からの答弁をいたしましたように、海洋法との関連の問題というふうなこともあって、政府全体としては、これは慎重に検討するということになっておるわけであります。しかし、私は、漁業の責任者の立場として、沿岸漁民が安心をする領海十二海里を一日も早く実現をするように今後努力を続けてまいりたい考えでおるわけであります。
○川村清一君 水産庁の長官にお尋ねしますが、いまも申し上げたんですが、海洋法会議の見通し——ジュネーブ会議では決まりませんでした。次に来年三月にニューヨーク会議、ここでも決まるか決まらぬか、しかし大体方向は固まるんじゃないか。その次の会議はどこであるかわからぬけれども、その辺の会議ではきっちり決まるんではないか。しかしながら、それが決まったからといって翌日から行われるんでなくて、これはやはり条約でございますから、調印国が今度は批准しなければならないという段階が一つ出てきます。ですから、まあ二年先になるか三年先になるかわからぬけれども、そう遠くない将来においてそういう時代が来るものと私は考えておるわけでありますが、どうですか、水産庁。いわゆるわが国の水産行政の責任者としての水産庁長官の見通しとしてはどういう御見解を持っていらっしゃいますか。
○政府委員(内村良英君) これは、百何カ国も集まってやっておる会議でございますから、見通しを述べることは非常に困難でございますけれども、私のいままでのいろいろな情報等を判断いたしますと、会議がまとまるか、まとまらないかということはやはりフィフティー・フィフティーぐらいのところじゃないかという気がいたします。そこで、しかしながら、経済水域二百海里というものはもうかなり議論されておりますし、過去の漁業専管水域、あれは結局国連会議では負けた——負けたと申しますか、通らなかったわけでございますけれども、それがあれだけ議論されますと、実体的にその後において、漁業専管水域を設定した国が続々と出てきたということもあるわけでございます。この辺のことは先生御案内のとおりでございますけれども、そこで、経済水域がこれだけ議論されている今日、仮に一つの法典としての海洋法ができなくても、やはり経済水域をつくっていくということは世界の流れとして出てくるのじゃないか。われわれは、それをやっぱり覚悟しながら今後のわが国の水産行政を担当していかなきゃならぬというふうに思っております。
○川村清一君 そのことは、まさに日本の漁業の危機である、その時代が来るという覚悟をして、それに対処した政策をやはりいまから強く行っていかなければならないんではないか。私はそう思うし、長官も同じ考え方だろうと思うのです。そこで、そういう問題のいわゆる前提になるものは何かというと、日本の食糧の問題としてこれはつかまえていかなければなりませんし、それから、現在、漁業を経営しておる、あるいは従事しておる漁業者の立場に立って経済を守るという立場からいろいろと考えていかなければならない問題だと思うわけです。 それから、この問題につきましては、漁業白書を読むというと、相当分析はされておりますけれども、しかしそれは並列的に並べられてあって、きわめて常識的に書いてあって、だからこうするのだ、という具体的なものはここに出ておらないわけです。この問題について若干触れたいと思うのですが、問題は、この問題を解決するために二つの問題を考えていかなければならない。一つは、いわゆる現在もう世界第一、二といわれている日本の遠洋漁業がどうなるのか、この対処をどうしていくかということと、この遠洋漁業の問題は、これは食糧の問題ともう一つは、この遠洋漁業に従事している特に労働者の問題。一体、労働問題をどう解決していくかという側面からもこの問題を考えていかなければならない。その次には、やはりこの食糧問題という立場、それから沿岸漁民の立場から考えていって、いわゆる沖合い、近海漁業含めて沿岸漁業の問題を考えていかなければならないと思うのです。 世界の海がもはや、自由に行って漁業ができるような海ではなくなった。経済水域二百海里というものが設定されればそうなるわけです。そこで、経済水域というのは外国にだけあるわけではなくて、日本列島にもあるわけです。日本列島の経済水域をどう守り、発展させるかという具体的な計画というものをもう打ち出していったって遅くないと思うのですが、どうでしょうかね。聞くところによると、日本は島国ですから、日本列島のエコノミックゾーン、経済水域の範囲というものは、面積というものは世界で第七番目の広さを持っているとかということを聞いたのですが、そこは私も自信がありませんが、相当の面積を持っているわけです。この日本列島の経済水域、これをどういうふうにこの中で日本の漁業を発展させていくのかという具体的な考え方、計画というものはどうでしょうか、全然まだお持ちになっておりませんか。その構想はありませんか。あったらお聞かせください。
○政府委員(内村良英君) 今後、遠洋漁業が直面していく問題、これにつきましては、私どもといたしましては特に重要な北太平洋につきましては、関係国のアメリカ、ソ連、カナダとよく交渉いたしまして、漁場を確保していこうと思っているわけでございますが、いずれにいたしましても、今後におきましては沿岸及び近海漁業の振興が必要になることは先生御指摘のとおりでございます。そこで、私どもといたしましては、今後、沿岸漁業の振興につきまして漁場整備を初め、各種の施策を講じて沿岸の漁業というものを確立していかなければならないと思っているわけでございます。 それから、二百海里ということになりますと、多少、沖合い漁業の問題も入ってまいりますけれども、現在のわが国の沖合い漁業の状況を見ますとかなり資源的、先ほどサバの話が出ましたけれども、サバとかスケソウについても若干資源的な問題も起こっておりますので、沖合い漁業につきましては、経済水域の中において資源管理というものを十分やっていかないと、沖合い漁業自身がやはり漁獲高が減ってくるということにもなりかねない状況になっておりますので、そうした点に留意して、各般の施策をとらなければならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○川村清一君 ですから、その考え方はわかるんですよ。それは説明としてわかるんです。それらのことはここに書いてある、白書によく書いてある。沖合い漁業あるいは沿岸漁業につきましては沿岸漁場の見直しと沿岸漁業の振興、それから沿岸資源の増殖と養殖業を伸ばすというようなことも書いているわけです。で、沿岸漁業を見直す、沿岸漁業を振興させる、増養殖漁業というものをうんと発展させる、これはわかるんです。これは反対でなしに、ぜひそうしてもらいたいんです。しかし、それは長官、その実態は口で言うほどやさしいことでは私はないと思うんですよ。これほどまでに経済の高度成長によって、もう沿岸漁業を伸ばす、増養殖をやりますと言ったところで、海がないほど埋め立てられて工場ができてしまって、そして工場排水あるいは油のたれ流し、そういったようなものによって、これほど汚れ切った海というものを正常に返すなんということは、一体口ほど簡単に私はできるものではないと思うんです。こういう海の環境の中に、増殖をやる、養殖をふやすと言ったって、そううまいぐあいにいくものですか。 そこで長官は、この間も、どなたか委員の御質問に対しまして、四十八年に制定された沿岸漁場整備開発法をもとにして強力な沿岸漁業振興をやるんだということをおっしゃっています。それも結構なんです。しからば沿岸漁場整備開発法に基づくいわゆる振興法、具体的な振興法、そういうプランはもう立っているのかどうか。どうでしょうか。こういう点についてもしもあったらお聞かせいただきたい。
○政府委員(内村良英君) 沿岸漁業の振興につきまして、いわゆる公害の問題、汚染の問題が非常に大きな問題であることは先生の御指摘を待つまでもなく、私どももよく承知しております。そこで、最近いろいろな話を聞いてみたり自分で行ってみたりして感じておることでございますけれども、全然悲観したものではないという感じを実は私持っているわけでございます。で、これは水島の事故の前でございますけれども、瀬戸内海に行きましていろいろな関係の漁業者の方々と懇談したときも、かなり水はよくなってきた、少なくとも透明度に関しては非常によくなってきたと言って、非常にいい魚が取れたということで——小さな魚だったですけれども、去年は少し曲がったやつもあったけれども、こんないい魚が取れたということで持ってきて見せてくれましたけれども。それからいろいろ話を聞きますと、工場排水につきましては現在のいろいろな公害立法の整備によって逐次よくなっていくのではないか、ただ一つ問題は、今後の大きな問題は家庭廃水の処理ではないかというような立場に立っておられたということを非常に私は深く痛感したわけでございますけれども、そういった点について、努力すれば全然絶望的なものではないということで、水産関係者としてやはり他省に対してそういった施策を強力に要請していかなければならぬということを実は痛感したわけでございます。したがいまして、今後、沿岸漁場の整備ということについて汚染の問題がもう絶望的な壁ではないという感じを私は持っております。しかし、非常に障害になることは事実でございまして、その点については関係各省にいろいろ協力を求めながらやっていかなければならないのではないかと思っております。 そこで、そういったことを前提にして沿岸漁場の整備をやる。これも御指摘がございましたように、一気にたくさんのものが取れるわけではございません。私どもの計画でも十年で現在約二百五十万トン沿岸で取っておりますけれども、これを三百二、三十万トンから三百五十万トンぐらいに十年間でできればもう大成功じゃないか。これもなかなかむずかしそうだということを実は感じを持っております。しかし、だからといって現在の沿岸漁業の振興の計画をそれじゃ縮小するかということは、そんなことは全くございませんで、私どもといたしましては立てている計画を極力実現したいということで、実は五十年度の予算編成の際も努力したわけでございます。しかし、国全体の関係から、新しい公共事業の実施は一年見送れということもございましたので、昨年立てました計画をさらに現在いろいろ見直しまして、五十一年度におきましてはそういった線で予算を要求したいというふうに考えておるわけでございます。
○川村清一君 沿岸漁場整備開発法、これは昨年制定された法律でございますが、これに基づいて沿岸漁場を整備開発するという、それは具体的な計画を立てて進めておるんだ、五十年度予算にはそれを組んであるんだというような御答弁でございまして、それはそれで結構であり、今後とも推進していただきたいけれども、私の申し上げたいのは、これ長官は、私が言うまでもなく、身をもって御承知だと思うのですが、農林省だけがこれをやろうと思っても、農林省の考えどおりにはいかぬわけですね。農林省は、これは建設省あるいは運輸省あるいは通産省、各省庁にまたがるいろんな問題がありますね。その問題を解決していかなければ、農林省の考えどおりにいかないわけですね。それほどかように、この沿岸の漁場開発ということはむずかしいわけですよ。 私は、この沿岸漁場整備開発法ができた昨年は、当委員会に所属しておりませんので、また、この法律も十分勉強しておりませんからとやかく申し上げる資格はございませんけれども、これと似たような法律に、昭和四十六年に海洋水産資源開発促進法という法律をつくりましたね。このときには、私この委員会におったのです。私はいろいろ質疑をしたわけですが、このときにもいろいろと問題点を指摘して問いただしたわけでございます。この法律に基づいたって、この沿岸漁業振興のためには相当のことをやれたのですよ。これは開発計画というものを各都道府県が立てなければならないのですが、どうなんですか。その後この委員会を離れてしまってよくわからないのですが、この法律に基づいて各都道府県は相当開発計画を立てていますか。水産庁はどういうふうに、この法律はこの辺どうやっているのか。この海洋水産資源開発促進法というのは、いわゆる海洋における深海開発と一緒に沿岸開発もここに載っているわけですよ。これに基づいた沿岸開発というものはどれだけ進んでおるのですか、ちょっと説明していただけませんか。
○政府委員(内村良英君) ただいまお話のございました開発計画につきましては、先生御指摘のように、これにつきましては建設省、運輸省その他の関係庁と調整をしながら計画をやらなければならぬわけでございます。 そこで、ちょっと数をこっちへ持ってこなかったわけでございますけれども、初めは北海道を主として指定しておったわけでございますが、最近に至って、石川県その他県の計画が出てまいりますと、逐次指定地域は拡大いたしておりますけれども、当初予定したほど指定地域はふえておりません。残念ながらそれが現実でございます。
○川村清一君 いまの指定というのは、四十六年のときに制定した海洋水産資源開発促進法に基づく指定ですか、それとも昨年の沿岸漁場整備開発法に基づく指定ですか。どっちの方の指定を答弁されたのですか。
○政府委員(内村良英君) 海洋水産資源開発促進法に基づく開発計画でございます。
○川村清一君 それほどさように、四十六年に決めた法律ですよ。そのときに私は、さんざんここで議論したのですよ。まあ農林省がそういったところで、四十六年ですから、当時は、経済高度成長の真っ盛りでございますから、工場誘致でもってもうぐんぐん海岸全部埋め立てをやっている時代ですから、こんな法律をつくったところで大体、運輸省が賛成するか、通産省が賛成するか、建設省が賛成するか。これはもっとその計画を立てる都道府県知事が賛成するか。各県の知事とも、そんな沿岸漁業の振興なんかよりも、工場をどうやって持ってきてそれで工場を発展させて、その実績を上げるかというところに頭へきているときに、都道府県知事が、沿岸の振興計画なんか立てるはずがないではないか、ということを私は指摘したのですよ。案の定、いま説明を聞くと、北海道だけくらいのもので、あとの県なんてやるわけがないのですよ。今度は風向きが変わってきて、時代が変わってきましたから、今度はやるでしょうけれども、四十六年の時代はそうなんですよ。 ですから、長官は、昨年つくった法律の方を一生懸命おっしゃっていますが、四十六年につくった法律だってしっかりやればできるのです。それで、私が言ったことは、この法律は、遠洋漁業だとかそんなこと、大資本漁業ばかりに力を入れて、そして大資本漁業のために漁場を開拓するための法律じゃないか、沿岸漁業のことを忘れているのだ。沿岸漁業のことをつけなければ法律が通らない、野党の方は全部反対するからと。そこで、つけ足しに沿岸の方をつけた、というのがこの四十六年の法律の本当の真意なんですよ。これ安倍農林大臣は、当時もし衆議院の農林水産委員会に所属されておればおわかりになっておると思うのです。それで、昨年これと同じような法律をつくって沿岸漁場整備開発法。これは反対しておるのじゃないのですよ。これを強力に運用して、沿岸漁業振興のためにやってくれるなら何も文句はつけないのですけれども。ですから、いまこの沿岸漁場整備開発法に基づく開発計画というものは具体的にできているのかどうか。まあ長官のお話では五十年度予算でつけて実行していると言うのですからいいですがね。しかし実行しておるとすれば、予算面にどういうふうにあらわれているのですか。予算のどこにそういうことが出てきているのですか。
○政府委員(内村良英君) まず最初にこの海洋水産資源開発促進法に基づきます沿岸水産資源開発計画でございますが、先ほどお話いたしましたように、まず北海道から始まりまして、石川その他に及んでいるわけでございます。最近十八地区指定の希望がございまして、現在関係の通産、運輸省等とも協議中でございます。 先生御指摘のようにこの開発計画につきましては各省とも相談を要することになっておりますので、そこに非常に時間がかかるという面はございますが、私どもは、鋭意それを片づけながら開発計画を定めた市町村の数をどんどんふやしておる段階でございます。 それから沿岸漁場整備についてどういう予算が組んであるのかということでございますけれども、昭和五十年度公共事業として発足することはできませんでしたけれども、沿岸漁場整備開発事業といたしまして大型魚礁設置事業、人工礁漁場造成事業、幼稚仔保育場造成事業、大規模増殖場開発事業、漁場造成事業、浅海漁場開発事業、漁場環境維持保全対策事業、並み型魚礁設置事業等を加えまして、約四十億の予算を組んでいるわけでございますが、将来におきましてはこれを逐次拡大いたしまして沿岸漁場の整備に努めたい。と申しますのは、当初の段階ではやはり調査が主でございますので、予算額は小さいわけでございますけれども、これをどんどん事業を進めまして沿岸漁場の整備を図りたい、こう思っておるわけでございます。
○川村清一君 先ほどちょっと長官がおっしゃっていましたね。いま経済水域二百海里が設定されて、厳重にやるということになれは——これはそういうことは実際にありませんけれども、しかし額面どおり経済水域二百海里が規定されて、その中に一歩も入れないということになれば、現在の日本の漁獲量一千万トンのうちの大体半分近く、四百五十万トン減るということになりますね。もし最悪の場合減ったと仮定しまして四百五十万トンの漁獲が減って、これはすべて国民の食料、動物性たん白食料ですから、これが四百五十万トン減ったということは大変なことですよ。そこで今度はもう、好きでも、きらいでもとにかく沿岸漁業を振興しなければならないということは当然ですね。そこで一生懸命力を入れる。力を入れたってこれはいま長官がおっしゃったようなそういう事業、たとえば大型魚礁を入れる、並み型魚礁を入れる、こんなことをやります。それはいままでの構造改善事業と同じでしょう、いまおっしゃったことは。構造改善事業というのがあったのですね、まあ、それをちょっとふやしたくらいの話じゃないのですか。新規なものはないでしょう。まあ各委員会……それはまあ後からでいいですが、そういうことをやっていったとしても、人工的に沿岸漁業を振興し、生産を伸ばすとするならば、一体どのくらい伸びますか。さっき言った話では百万トンくらいが限度じゃないですか。
○政府委員(内村良英君) まず私どもの推定では十年間で七十万トン、非常にうまくいって百万トンくらいが限度だと思います。
○川村清一君 まあ私もそう思うのです。どんなに力を入れても百万トンが限度。しかし、この百万トンを、生産を増するためにあらゆる施策をそこに投入していかなければならない。もう銭を惜しみなくそこへつぎ込んでいって百万トンでしょう。四百五十万トン動物性たん白資源が減ってしまって、そうして、その沿岸漁業の振興によって百万トン生産を増強したとしたって、なお三百五十万トン足りないでしょう。この三百五十万トンをどうするんです。それは、いろいろ日ソの関係、日米の関係、日本、カナダの関係、あるいは開発途上国との関係、この中で外交折衝によって、あるいは親善友好関係を深め、そういう中によって、できるだけそれを、既得権を減らさないようにというのが水産庁の方針でございましょう。それはいいです、それは結構ですが、まさかその三百五十万トンを畜肉で変えるなんということはもう絶対できないんでしょう。夢みたいなことで、実現不可能ですね。そこで、その百万トンをふやすために、いまから具体的な計画を立てて、そうして、この財政投資を惜しみなくそこに投資してやっていかなければ、将来大変なことになりますよ、国民の食糧という立場から。そうお思いになりませんか。そういう決意でもって水産行政に当たらなければならないと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(内村良英君) そういう決意で当たらなければならぬと私も思っております。
○川村清一君 そこで、そのお考えというものは、これあなた、そういう施策は、政策は、口ではだれでも言うんですよ。しかし、責任ある政府は、その政策というものを裏づけていかなければいかぬ。裏づけているのは何かというと予算なんですよ。予算がないものを、何ぼ口でうまいこと言ったって、だめですよ。そこで、この予算を検討してみたんです。そうしたら、私が十年前にこの委員会で発言した、予算を分析したのと、今日ただいま分析したのと全く同じですよ。ただ、国の総体予算、農林省の総体予算がふえたから水産の予算もふえているだけです。と申しますのは、農林省の合計予算が二兆一千七百六十七億、これに対して水産庁の予算というものは一千百五十八億、その比率は五%、この五%というのは十年前からです、これは。農林省予算の五%が水産庁の予算。これ以上になったことがない。それを私はかつて、漁業白書の質問のときに、時の水田大蔵大臣に質問した。国民のたん白食糧がとにかく半分ですよ、五〇%。畜産の方が五〇%、そして水産の方が五〇%。半分生産しておる水産に対する予算というものは何たることか、ということを質問いたしましたら——ちょっと読んでみますからね。これ四十三年の五月十三日の参議院本会議、漁業白書の質問。これは、昭和四十二年度の年次報告に対する私の質問ですよ。時の水田大蔵大臣はどういう御答弁をされておるかと申しますと、「水産関係予算が全農林予算に対して少し地位が低過ぎやしないかという御質問でございましたが、率直に申しまして、やはりこの点は再検討の必要があるのじゃないかと私は考えております。」こう言っておる。これは大蔵大臣の本会議の答弁ですよ。そうして、公共漁港を中心とする公共事業予算については「はたしてこの水産関係の社会投資が全体と比べて比重がどうなっているか、立ちおくれがないかということについては、やはり問題があると思いますので、今後これは十分に主管官庁にも検討していただくと同時に、私どもとしても、次の問題としてこれは十分考慮したいと考えております。」これは本会議の答弁です、大蔵大臣の。時の水産庁長官は久宗さん、早速久宗さんは私の部屋にとんで参りまして、先生、大蔵大臣にいい答弁を引き出していただきまして本当にありがとうございましたと、こう言った。ところが、いまこの予算を検討してみると何ら違わないじゃないですか。それで、一体、たん白資源百万トンをふやすためにこの法律をつくりました、強力な施策を推進してそうしてやります、沿岸漁業を振興いたしますと。できますか、一体。 ぼくはこの際、農林大臣にはっきりお尋ねしておきたいのですがね。この動物性たん白食糧を生産する部門は農林大臣が主管されているんですよ。片方は農林省の畜産局が主にやっているわけですよ。片方は水産庁が主にやっているわけですよ。この両方の、畜産局、水産庁。畜産と水産、この二つの産業か国民食糧——特にたん白食糧に寄与している寄与率というものはどうですか、差がありますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) わが国の消費する動物性たん白質のちょうど半分を水産動物性たん白質で占めておるわけでございまして、したがって、これからの国民食糧確保という上における水産の役割りというものは非常に大きいというふうに認識しております。
○川村清一君 どっちが主に国民食糧に寄与しているかということを聞いているのです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはやっぱり半分半分ぐらいじゃないかと思うわけです。ちょっと意味がよくわかりませんが、国民食糧に対する寄与という面からいけば、量も半分ですし、寄与率というのも半分半分じゃないか、こういうふうに認識しております。
○川村清一君 寄与率はフィフティー・フィフティーですね。私もそう思うんですよ。しからば、あなたの所管する水産庁と畜産局に、これは差をつけちゃ困るわけですよ、どっちも大事なんですから。そこで、それはなぜ、どっちを重点にしているかどうかといったようなことははかりようがないから、はかりにかけるとすると、私どもは予算をもってかけるより方法がないわけですね。ところが、予算の方はやはり、農林省全体予算二兆一千七百六十七億に対しまして、畜産局の五十年度予算は一千五百五十九億、ところが水産庁は一千百五十八億。この中で一つ問題があることは、水産庁予算は御案内のように、大臣、漁港予算、いわゆる公共事業費というものを抱えているんですよ。もちろん漁港というものは、沿岸漁業の生産基盤ですからね、これももちろん大事なんです。これにうんと金をかけていかなければならないんです。かけていかねばなりませんけれども、その漁港でもって大体五十年度七百億かかっている。そうすると、一千百五十八億のこの予算の中で七百億というのは公共事業費、いわゆる基盤整備、農業でいう基盤整備の方に持っていかれるわけですね。ところが、畜産の方はまるまるこれは畜産の振興だとか、あるいは流通対策だとか、あるいは畜産の農家に対するいろいろな施策の面にいくわけですよ。ところが一方、漁業の方はどうかというと、七百億持っていった残りが一般の事業費になってくるわけですね。ですから、沿岸漁業振興、沿岸漁業振興と歴代の大臣、歴代の水産庁長官はそうおっしゃっておる。特に、こういう時代になってきたのだからなおさらです。新しい法律もつくっているわけです。ところが、新しい法律を幾らつくったって予算はちっとも変わらないです。たとえば、いまさっきお尋ねしたら、どういうことをやるのだといったら、大型魚礁を増築するとか、並み型魚礁をやるとか、いろいろなことを言っておりますが、そういう公共事業から今度は養殖、増殖の方の補助金や何かいろいろあるんでしょうけれども、しかしながら、総体予算を見るというと大した変わってないんですよ。せいぜい四十億か五十億ぐらいしかふえてないんでしょう。そんなことで、この海洋法会議において、いわゆる経済水域二百海里、これは先がもう見えているんですが、それに対処していく施策を強力に推進していく予算として、そんなことでできますかどうか、どうでしょう、安倍農林大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私もまさに川村さんの御指摘されているとおりな認識を持っているわけでして、私たちは六十年目標を立てておりますが、水産につきましては大体千百万トン、現状から少し大目の目標を持っておるわけでございます。が、しかし、ポスト海洋法あるいは現在の漁業情勢から見まして、先ほどからいろいろと御議論のありましたように、この一千百万トンというものを確保するということは大変なことである、と言うよりは、非常に私はむずかしいんじゃないか。たとえば今日国際捕鯨会議等が行われておりますが、この捕鯨一つとってみても、急激にこれは漁獲量が減ってくることも事実であります。日本が一番大きな痛手を受けるわけですし、日ソの漁業交渉を見ましても、日米あるいは日加の漁業交渉を見ましても、もうとにかく漁獲量がふえるということはない。とんとんでいったら大成功だというわけで、ふえるということはあり得ないわけでありまして、まして経済水域二百海里というものがもう相当排他的な形で設定されるということになりますと、さらに厳しい情勢が生まれるわけでございますので、これは相対的にふえるということはあり得ないわけですから、それだけに現状を維持するためにも、そうした国際遠洋漁業で減る分は沿岸漁業でカバーをしていかなければならない。そうすると、いま水産庁長官も申し述べましたように、七十万トンから百万トン、これだけでカバーできるかどうかということも非常に問題ですが、限界として七十万トンから百万トン。これを日本の沿岸、沖合いにおいていまから増産をしなきゃならぬということですから、いままでのような水産関係の予算の伸び率ではとうていこれ対応できるはずはないと私は思うわけでございます。ですから、水産の漁獲量が減るからと言って、それじゃ畜産でカバーしろと言っても、畜産の方も、国民の需要が伸びてくるわけですから、そう急激に水産資源にかわる畜産の成長というものは考えられないわけでありますので、どうしてもこれはもうそういう国民の求める動物性たん白資源というものに、これは、沿岸、沖合いで増産をしなきゃならぬわけでありますから、これはやはり確かにいまおっしゃるように、いままでのようなやり方ではとうてい不可能じゃないか。 そういう意味で、国民的な食糧確保、特に水産問題に対する認識というものも相当高まってきておるわけですから、これを機会に私たちは水産の関係予算というものを思い切ってやはり増加といいますか、ふやすという方向に政府全体で力を注いでいかなきゃならぬことじゃないだろうかというふうに思うわけで、といって農林大臣だけでこれできるわけじゃないわけでありますし、また、農林省の予算は農林省予算の中で、長い間の積み重ねで、御存じのように、比率みたいなものがあるわけですから、しかしこのままではいかぬわけで、これはやはりそういう枠というものを政府全体としても、また農林省は農林省としても、打ち破るというぐらいの決意を持って水産予算あるいは水産政策というものに取り組んでいく必要があると私も痛感をいたしておるわけであります。なかなか容易なことではないわけでございますが、事態をもう冷静に認識していただけば、私は各方面の御理解はいただけるんじゃないかと思っておるわけでございますので、今後ともひとつ全力を尽くしてみたいと、こういうふうに思うわけでございます。
○川村清一君 まず五十一年度予算からもう絶対的に農林省予算の五%が水産庁予算だなんていうパターンをぜひ破ってもらいたい。この壁を破らんければだめだと思いますから。それでなかったら、これからの日本の漁業を立て直すわけですから、大変なことなんですよ。もういままでの体制を全面的に、いわゆる構造をつくり直していくという大きな仕事にぶつかるわけですから、ぜひがんばっていただきたいと思うわけです。 もう時間がありませんので、あと一問ぐらいでやめたいと思いますが、沿岸でなくとも遠洋漁業の問題に関連して大きな問題で労働問題がある。これは経済水域二百海里に決まったらもちろん大変な問題になりますが、決まるまでにもう現在、どんどんどんどんと遠洋漁業というものが縮小されてきている。遠洋漁業の縮小に伴って多くの漁業労働者というものが失業していっている。この状態に対処してどうするかということが大きな問題になってくるわけですね。もういままで大きな工場がつぶれて、そうして労働者が皆ちまたにほうり出された、炭鉱がどんどんどんどん閉山していった。そこで労働者が皆失業して大きな社会問題を起こしていったというようなことは、表には出ておりませんが、そういうかっこうがもう着々と進められてきておる。まず日ソの漁業問題を考えてみても、北洋の漁業というものは年々歳々縮小されていっていますね。たとえば抱卵ニシンが全面的に禁漁になった、あるいはことしからは西カムチャッカにおけるタラバガニが全面的に禁漁になってしまった、それからサケ・マス流し網漁業というものも漁獲量が、規制が厳しくなって、年年減っていっているということ、それから国際捕鯨、これはもうことしあたりはあるいは国際捕鯨委員会で全面禁止というようなことになり得るんではないですか。しかし、いままでも捕鯨はどんどんどんどん減ってきておる、こういうようなことで、遠洋漁業に従事しておる労働者、従業員といいますか、これが減ってきておるわけです。今後、専管水域二百海里というものが実際に行われるようになって、遠洋漁業というものはもう全滅的な打撃を受けるようなことになった場合においては、この間の委員会で議論されたあのカツオ・マグロ漁業を初めとして、もう縮小に次ぐ縮小、合理化、それに伴うところの労働者の失業問題と。これは農林省の主管する問題ではないかと思いますけれども、やはり漁業の問題ですから、これに対処してどうするかということを御検討になって、それぞれ主管の役所である労働省とかその他の官庁ともいろいろと協議をして強力な対策を進めてもらいたいと思うわけです。ことし西カムのタラバガニの全面禁漁に伴いまして約一千五百人の労働者がもう船からおりたということも聞いております。それから現在日魯、日水あるいは大洋というああいう大きな会社では、どんどんどんどん合理化によって従業員の首が切られていっております。労働問題が起きております。全面的に二百海里が実施されるとすれば、約九万人の漁業労働者が失業すると、こう言われておるわけです。これは大問題です。これらについて農林省としてはどうするお考えか、農林大臣のひとつ御見解をお聞かせいただきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かに今後の遠洋漁業における労働問題というのは非常に重大であると私も考えておるわけでございまして、私たちも遠洋漁業を守るために、今後とも国際協力を進めることを初めといたしまして、あらゆる努力をしなければならないわけでございますが、しかし現実問題としては、遠洋漁業というのは縮小の方向にいかざるを得ないだろうと思うわけでございます。そういう中にあって、やはり遠洋漁業の再編成というものも当然俎上に上がってこざるを得ないわけでございます。そういう中にあってやはり労働者に対する問題というものは非常に大きなウエートを持つわけでございますので、これはもう現在におきましても、農林省、運輸省、労働省、それぞれ事務当局間でもおいおい話し合いもいたしておるわけでございますが、私といたしましても、さらにこうした遠洋漁業の再編成というものを控えて、労働問題を大きくこれを政府部内においても取り上げて、労働者の皆さん方が安心をしていただけるような方策というものを検討をしていかなければならないと、こういうふうに考えでおるわけであります。
○川村清一君 ぜひ今後の大きな問題でありますので、関係の省庁と十分協議されて、そして善処をしていただきたい。私といたしましては、炭鉱の閉山によって失業したところの炭鉱離職者に対して特別措置がとられましたが、あれと同じような処置がなされてしかるべきじゃないかと。何も、いやでやめたのではなくて、失業した従業員には何も責任があるわけじゃないので、結局いろいろ、ある意味においては国の責任においてこうなったといってもこれは間違いではないと思うわけですから、ぜひ、遠洋漁業において合理化あるいは漁業の縮小によって職を失う離職者に対しましては温かい処置が、炭鉱離職者と同じような、少なくてもあれくらいの処置がとられることを強く要望しておきたいと思いますので、御善処方をお願いします。 大体以上で、時間が過ぎましたので終わります。
○委員長(佐藤隆君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、これにて休憩をいたします。 午後は一時から再開いたします。 午後零時十二分休憩 —————・————— 午後一時二十二分開会
○委員長(佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
○青井政美君 非常に厚生大臣御多忙のところ御出席を賜りまして、まことに恐縮でございます。 きょうは私は食品衛生行政に関する問題点についてお尋ねをいたしたいと思うのでございますが、時間もたくさんございませんので、早く大臣に、次の仕事に行かれるという状況等がございますので、基本的な問題だけをお尋ねをいたしたいと思います。 いわゆる違法の合成保存剤を使ったという状況になって、今日まで衆議院の社会労働委員会あるいはその他の関係においていろいろ御議論をせられておることは十分御承知のことだと思うのでございます。私は、この問題は、大きい意味においては国民保健上の非常に重大な大問題であるというふうに思うのでございます。また青果物に対するこの要請を考えてみますときに、新しい青果物というものは、より新鮮でより国民の潤いに、期待するものでなければならないと思うのでございます。従来からのジフェニールよりさらに新しく施行せられておったというOPPの関係におきましては、より以上国民の保健上の問題について所管の責任者としての大臣は、どのようにお考えになっておるか、私はこの問題について特に大臣の直接のお声を聞きたいということでございます。 第二点は、やはり過去におきまする現在の保存剤として認可されておりますものの認可の経過その他等、私自身は詳細に承知をいたしておりませんが、関係の方々等からの要望等伺いますと、少なくとも認可するまでの経過の中には、国民の合意の得られるような諸手続というものが省略されたんじゃないかというふうにうかがえる問題がございます。したがいまして、今回OPPと称するオルトフェニルフェノールというものを新しく認可する御意思があるのかないのか、この二つの問題点だけは特に大臣からのお声として伺っておきたい。その他の細かい問題は、これに関する問題点等につきましては、それぞれの関係の方々等からお尋ねするということにいたしたいと思うので、二つの問題のお答えをいただきたい。
○国務大臣(田中正巳君) いわゆる青果物、柑橘類の保存料につきまして、いろいろお尋ねがございました。その中に技術上の問題がございますので、私の所見は、技術上の問題について担当局長から答弁をしていただいた後に、ひとつ私から申さしていたたきたいと思いますので、とりあえず担当局長からこの問題の経緯等についてお聞き取りを願いたいと思います。
○政府委員(石丸隆治君) わが国へ輸入されております柑橘類、あるいはわが国で生産されております柑橘類のカビどめといたしまして、従来わが国で、厚生大臣がその使用を認めておりますカビどめは、ただいま先生御指摘のジフェニールと言われる薬でございます。世界的にこの柑橘類のカビどめとして使用されております薬、化学的物質を見ますと、現在四種類があるわけでございますが、そのうちわが国では、ただいま申し上げたジフェニールだけを認めておるわけでございます。それで今回問題になりましたそのカビどめでございますが、サイヤベンダゾールという薬とオルトフェニルフェノールと言われる薬でございまして、特にオルトフェニルフェノールが今回大きな問題になったわけでございます。なぜかと申し上げますと、ただいま申し上げました薬のうち、サイヤベンダゾールという薬は、これは、わが国におきまして農薬としては登録をされておる薬でございます。ただ、食品衛生法上の食品添加物としては認められていないものでございまして、今回そういった意味におきまして一番問題になりましたのが、いわゆるOPPと言われるオルトフェニルフェノールでございます。こういったいろんな食品添加物があります場合に、これをわが国の場合、一体どういうふうにして厚生大臣がその使用を指定するかということでございますが、これは法律に基づきまして厚生大臣がその諮問機関でございます食品衛生調査会の意見を聞きまして厚生大臣が認めるわけでございます。 その基本になる考え方を申し上げますと、まず第一に、そういった食品添加物というものは毒性がないということが第一要件になろうかと思うわけでございます。もちろんその毒性ゼロというような化学物質は非常に少ないわけでございまして、やはり毒性が少ないと申し上げましても、これは比較論の問題でございますが、まあ比較的毒性の少ないものを認め、それ以上の、ある一定以上の毒性のあるものは添加物としては認めない、かような基準で運営をいたしておるわけでございます。さらにそういった毒性の非常に低い化学物質でございましても、その使用というものが食品の生産上必要不可欠であるとか、あるいは非常にそういった食生活にプラスになる、こういったものでない限りは認めない。すなわちその利益がないものは、いかに毒性が少なくても認めない。この二つの点から食品添加物を、厚生大臣が食品衛生調査会の意見を聞きまして認めると、かような事務手続をとっておるところでございます。 それで、今回のOPPの毒性でございますが、これはいろんな意見があろうかと思うわけでございますが、現在この物質につきましては、百五カ国参加いたしておりますけれども国連のWHOとFAOの合同の国際食品規格委員会というものがございまして、そこで現在検討をされておるものでございますが、こういったところで国際的にも現在検討されておるものでございまして、そういった点、今後、各国がそういった基準を受諾するか否かという問題もあるわけでございますが、そういった受諾状況等も今後十分参考にしながら検討してまいらなくてはならないものではないかと考えております。
○委員長(佐藤隆君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(佐藤隆君) 速記を起こしてください。
○青井政美君 局長さんのお話の問題は、私も日ごろからよく伺っておるわけでございますし、手続上の問題も了解できるわけでございますが、現時点に起こっておる問題は、日本の法律では認可されてないものが青果物に塗布されて日本の市場に出回ったということでございます。この問題についてお尋ねをしておるのでございまして、食品行政全般の問題についての問題ではございません。毒性がきついという問題におきましては、御承知のように、農林省の蚕糸試験場の重松博士の分析によっても、OPPの最大値は一六・九二ppmであるということでございまして、このことは先ほど申し上げましたように、日本ではやはり認可のないものでございますから処分の対象になると思うのでございます。 したがいまして、新しいものをどうせいという問題を申し上げておるわけではございません。このことはやはり各新聞、日経だろうと、農業新聞であろうと、NHKのニュースであろうと、全国に流された問題でございまして、この問題についての問題におきましては、やはりそれぞれの立場の関係者の方々等も、端的に申し上げますならば、洗い流せば流れるんだというお話でございますが、試験をいたしてみますならば、やはり果肉にまで浸透しておるという事実がございます。このことはやはり毒性がどの程度かという問題点においては非常に大きい問題だと思うのでございまして、先ほど申し上げましたように、現状の時点の中にも、日本のいずれかの立場ではこのOPPの認可をさせようというような動きもあるやに伺っておるのでございます。これは少なくとも一億国民の立場から見ますならば、やはり諸外国で、あるいはWHOなり、あるいはFAOなりが規格として認めるといたしましても、日本は日本としての独自のやはり試験なり、テストなり、ある期間というものを置かなければ、それが国民の合意を得られるというふうなことには私はならないということが考えられるわけでございます。また、本当に青果物にこのような状況でやるということは、日本の青果物をつくって国民全体のために相当努力をしておる立場の者に、また現状の青果の行政の中から見ますならば、やはり価格形成上には非常に大きな影響をもたらすという状況のものがたくさんあるわけでございまして、やはり国際親善という問題も一つ大きい問題でございますけれども、違法なものをつくっていかなければよい、という状況では、私は日本の第一次産業というものの構造の中では一つの大きな問題が残される。さらにこれがもう少し広く、幅広く使われるという状況になる場合に、日本の国の法律の許可がされてなくっても、業者がそのようなことをしたんだという逃げ口上では、少なくても食品の衛生行政という担当者という立場からは、私は問題が残るのじゃないかということをお尋ねしておるわけでございます。したがいまして、一部では、先ほど申し上げましたように、いわゆるオルトフェニールフェノールという、OPPという新しい防腐剤は認可をさそう、というお気持ちがあるのかどうかという問題をまず大臣に聞きたいのでございます。
○国務大臣(田中正巳君) いろいろ御説明がございました。本件に関する技術上の問題についてはなお局長から答弁をいたさせますが、基本的に、先生、この問題について二つの問題があるわけであります。 一つは、現在すでにわが国に輸入をされてしまった、輸入されかかっておるところのオルトフェニールフェノールを含んだ柑橘類、これをどうするかという問題と、今後の問題として、この種の柑橘類等々の保存料をどう扱うかという二つの問題に分けて問題を考えなければならないと思うのであります。 第一の点につきましては、何と申しましても、いろいろな諸説はございますが、現在わが国ではジフェニル以外の保存料は認めておらないわけでございますから、したがってジフェニル以外の保存料を用いているということが発見された以上、何と申されても、私どもはこれは出荷ができないものであるということで、その方針を厚生省としては貫いているわけであります。これについても先生御案内のとおり、世上いろいろな議論がございます。しかし私どもとしては、やはり食品衛生を担当する官庁として、いずれにいたしましても、法を曲げるわけにはいきませんから、これについては断固としてお断りを申し上げているわけであります。事実上、承りますると、大変お気の毒なような実情等も耳にいたしますが、そこは食品衛生担当の官庁としてやはり毅然たる態度が必要であろうということで、今日私どもはかような要請に対してはお断りを申し上げているわけであります。 第二の問題でございますが、将来それではジフェニル以外の保存料を認めたらどうかといういろいろな御意見があることは先生も御案内のとおりであります。これにつきましては、いろいろと価格上の問題もあろうと思います。先ほど局長が申しましたとおり、諸外国における研究の成果、あるいは実施の状況等々をいろいろと説明をいたし、われわれに対しこれについての考え方の改善を求めてくる動きもあることも事実でございます。しかし私どももあくまでも、これは厚生省は食品衛生の行政を担当する官庁でございますので、純科学的な立場に立って、これが国民に対してどのような一体影響を与えるものであるかということについて、科学的な根拠でもって事を処すのが正しいというふうに思っているわけであります。かような意味で、これについては今後、私どもといたしまして、いろいろな御要請もあり、またいろいろな御意見もありますから、したがって、ジフェニル以外の薬品を使うことについて一体どういうことになるのだろうかという検討は、私はいたさないとは申しかねるわけでございますが、しかし、それだからといって、いろいろな事実上の意見を踏まえて軽々にこれについていろいろ措置をするということは絶対にいたさない。要は、私はあくまでも科学的根拠に基づき、諸外国の資料等もいろいろと参考にいたしますが、わが国における研究の成果を踏まえ、また先生御案内のとおり、この種のものの告示をする場合には、食品衛生調査会という権威のある機関等もございますから、そうしたところのスクリーンにかけて、真に科学的に納得がいく状態にならない限り、私どもはこの問題の告示等の取りかえをいたさないということでございますが、しかし、これは科学上の結果を待つわけでございますが、これがいまどうなるかということについては、私としてはにわかに即断的に申し上げるわけにはいかないというのが現状でございます。
○青井政美君 厚生大臣のお立場から見れば、ただいまのような御答弁しかないのかもわかりませんが、ただ御承知のように、昭和四十五年にビフェニルの認可をせられたときの経過を先輩からいろいろ伺ってみますと、農薬の場合等におきましても、やはり動物実験その他等少なくても二カ年以上の経過を経なければ、またそういう意味が——生産者なり消費者なり、メーカーなり、関係者の合意を得て認可をしてきたという経過があるが、ビフェニルの場合には、幾らかその辺の問題点ももう少しスピードアップして御認可になったかのように伺っております。しかしただ、以前のことは別といたしまして、今回やはり諸外国でどのようなデーターがあり、どのような状況でございましても、日本の食品行政の元締めとしての考え方としては、十分そのような問題点については、動物実験なり、あるいは消費者の代表なり、生産者の代表なり、いろんな立場の関係者からも信頼を得られるような措置をして、やはり次に進んでいただくようなことをお願いをいたしたいと思うのでございます。 ただ、私が心配をいたしております問題におきましては、諸外国による例はいろいろとられると思いますが、青果物に特に考えてみますときには、世界的にいろいろ青果物の生産の状況、さらに消費の状況、あるいはまた価格の問題、こういった問題との絡み合わせの中で、日本の現状の中では、いわゆる農業基本法によりまする選択的拡大という状況の中で——国民がこたえて、努力をしてきた成果の中に、現状の中には、生産は少なくとも行政指導にこたえたけれども、その価格というものは、非常にマイナスの状況が多い。具体的に申し上げますならば、農家の所得というものは非常に低くなってきておる。そういった問題が、やはり諸外国のこういった問題、より強力な保存剤の使用によって云々という問題は、生産者にはそのような打撃を与え、また消費者には一つの不安を与えるという状況であってはならないと思うのでございます。 けさの朝日新聞にも若干出ておったと思うのでございますが、皆さん方もごらんになったかと思いますが、少々高くついてもよいから、安全性のある食品というものにしなければならないだろうということが新聞に出ておりました。私もそれをちょっと読んで、なるほどなあという感触を持った者でございまして、特にやはり果樹というふうな問題が考えられますときに、無理に防腐剤を入れて長もちをさして食べることが、国民の嗜好に合い、国民の健康の上においてプラスになるかということを考えてみますときには、非常に大きい問題がございます。いままでいろいろこの問題についてのお尋ねの問題なり、あるいは花田博士のいろいろのデータ等も私どもも若干見せていただいております。また、衆議院の社会労働委員会で、局長さんなり、あるいは大臣なりが御説明になられておる問題点等も若干読ましていただいておりますが、私は、この問題をただ単に生産者なり一部の者が云々という問題じゃなくて、もう少し次元の高い、日本の、少なくとも食品衛生行政という立場からお考えをいただきたい。また、この問題点、いろいろ問題を検討いたしてみますときに、現状の試験の陣容、その他等で果たしてやっていけるのかどうか。もっとも化学的な問題については、しろうとの私ですが、常識問題として考えてみましても、現在の空港なり、あるいはそれぞれの港というものに配置されている云々という問題の中には、やはり問題が残されておる。過去におけるデータをいろいろと見ますと、同じ出荷物がある場所では、不合格品になり、ある場所ではOKという状況が生まれておる。無論サンプリングの取り方によって、そういう結果が生まれるということも、ある意味においてはやむを得ぬかと思いますが、行政措置によってあらわれたものより、国民の消費の場合には、より以上厳しいものがあるんだということが、私はその中に出てくるのじゃなかろうかということでございます。 この四月四日以降各新聞、あるいはその他皆さん方がおやりになられた問題、あるいは都の衛生局の問題、さらにまた食品衛生協会なり、食品衛生研究所が分析せられました問題点等も、それぞれ出荷の問題、あるいは未出荷の問題、さらにグレープフルーツの問題あるいは柑橘類全体の問題というふうに、それぞれございますが、いずれも共通する問題は、やはりこの物を使うか使わぬかということによって、今後日本の国民全体が非常に大きい危惧が考えられる問題でございます。また生産者団体という立場では、やはりどの果物にも何か防腐剤が入っているのではなかろうかという印象が、今後の生産意欲を減退し、そうして、国民のために必ずしもプラスになるということにならないという形のものが、うかがわれるわけでございまして、いわゆるいろいろな立場から、先ほども大臣からお話がございましたように、このくらいのものは認可して入れたらいいじゃないかという声もあるのだということも伺っております。しかし、これはやはり一億国民という立場から見るときに、ただいまの程度の御答弁しか願えないわけでございますが、オルトフェニルフェノールという、OPPというのは、私の見解ではそこまでして青果物を日本の国民に供給しなければ、国民が果物に飢えて云々というような状況だとは私は考えられないのでございまして、非常に行政上、果物の類が、消費が、国民に迷惑をかけるという日本の産業構造の内容の中ではないということを考えてみますときには、ある国が認可したからわしもやるのだという考え方だけでは、科学的な根拠において有利なものがあるといたしましても、やはり問題が残ります。私は現在まで入ってがたがたしたという問題点については何も申し上げません。また、そういうことをせられたために、非常に大きな多額の損失をせられたという立場の方にもまことにお気の毒だと思いますが、今日の環境行政の実態なり、日本の今日のより安上がりの人命保護という立場での食品衛生行政であってはならないと思うのでございます。 今後この問題につきましていろいろそれぞれの団体から、皆さんの方へいろいろグレープフルーツを初め、お願いに行っておろうと思うのでございますが、先ほどもお話がございましたように、一応はビフェニールの問題はよろしいといたしましても、サイアベンダゾールの問題、オルトフェニルフェノールの問題も、これは農薬では認可されておるといっても、農薬で認可されておりましても、それは日本で栽培したときに初めてそれが使えるということにしかならないので、木から取れたものに、その薬がぬってあったからといって、それはまかり通るというものではありません。このことはやはり少なくとも厚生省と農林省とがいろいろ御相談を願わなければ、行政上の問題点としての問題も残っちゃいけないと思うのでございます。いわゆる木にあるときと、しからざるときとの区別というものが法律上の、運用上の一つの問題点であるということでございますならば、諸外国から入ったものが、木のまま入ってくるという心配はあり得ぬわけでございまして、その点はやはりただ化学的にこの程度の残存量ならばよろしいのだという考え方だけで律したのでは、やはり問題が残る。行政指導の中にはやはりそういう愛情の細やかな問題も含めて、私はお願いをしたいと思うのでございます。 私は、今後特にこの合成保存剤の使用についての問題点、さらに新聞その他等の論調を伺いますと、まあ自主点検といいますか、自主検査といいますか、そういうものに重点を置いて、適当にサンプリングを取ってやるのだという考え方では、少しわれわれ不安でいかぬという感じがいたしますが、やはり全体の現状の日本に入っているバナナからグレープフルーツ以下すべてのものを考えてみますときには、とうていそういう陣容を擁してやるというようなことは不可能なことだと私は思います。したがいまして、最善の国民の奉仕者としての考え方の中には、やはりなわ張りという問題もございましょうが、いま一つの問題は、やはり国民の保健衛生上の立場からもうちょっと高度の問題として考えていただく、という形のものにならなければならないのじゃないかということでございまして、日本の技術屋さんがいずれの場所で、いずれのことをやっても、やはり法律上において合理性が認められるという問題の場合はよろしいかとも思いますが、やはりよそがやったからいいとか、悪いとかという問題であってみても、やはり技術屋の権威にもかかわることでございますので、今後のこの問題に対する行政指導のあり方をお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) いろいろのお話がございました。まず検査の問題については、今後これは先生御案内のとおり、すべてを行政検査をするということは事実上私は不可能だと申し上げざるを得ないと思うのですが、できるだけ検査体制を強化をいたしまして、そういうふうな法にもとるものが国内で販売されることのないようにさらに努力をいたしたいということは、私もるる国会等で申しているところであります。 なお、こうしたものについて厚生省といたしましては、やはり食品衛生を担当する官庁といたしまして、あくまでも科学的な根拠に基づき、納得のいく結果に基づいて処置をいたすべきものだというふうに思います。 いま一つさっき申しました、局長が申したところの基準であります。不必要な添加物はなるべく使わない。こういうことでございますが、これにつきましては、私どももできるだけそうしておるわけでございますが、しかし、どの点が不必要かということになりますると、これはいろいろとまた議論の分かれるところであります。まあわが国に産出をすることのできない果物というものを、これを食べる必要が全くないんだというふうになりますると、この種のものは要らないということになりますが、この点の調和点というのが実際問題としてむずかしいところではなかろうかと私は思います。まあそのほかにいろいろと先生もお触れになりましたが、農基法による選択拡大の問題からのいわゆる農業政策上の問題がございましたが、これは私はいま厚生大臣ですが、国会議員の一人として先生のおっしゃることはよくわかりますが、私はいまここに厚生大臣として参っているわけでありまして、農業政策等については、担当の官庁からの施策を待つ以外に方法がないということだろうと思います。
○委員長(佐藤隆君) 速記とめてください。 〔速記中止〕
○委員長(佐藤隆君) 速記を起こしてください。
○青井政美君 非常に大臣にも御迷惑を重ねまして恐縮でございます。ただ私は、もう一歩OPPは当分やらぬのだということだけは実は大臣の口から欲しかったんですが、これも非常にしゃべりにくいという問題もあるし、片一方の圧力もあるんだということでございますが、私の後ろには一億の国民がついているんだということを前提でひとつ局長さん、いろいろ御質問申し上げることについてのお答えを賜りたいと思うのでございます。国民に、日本にできない果物を食わすんだということは、ジフェニルで間に合う程度のものを入れることによって、私は十分満足させてもらえるという見解を持っております。したがいまして、その倍以上効くという劇毒物を使ってまでそれを食べさすというサービスは過剰サービスになり、日本の経済の発展のためにもプラスにならぬのじゃないかということを私は思うのでございます。したがいまして、局長さんに特にお願いを申し上げたい問題は、やはり新しい体制の中で自主検査というものの限界、あるいは行政とそういう自主検査との限界をどのような姿で今後お考えいただくかという問題をお尋ねいたしたいと思います。
○政府委員(石丸隆治君) ただいま先生から輸入食品の検査体制の不備を御指摘を受けたわけでございますが、われわれといたしまして、現在各港に食品衛生監視員を配置いたしまして、輸入される食品をできる限り検査を行っておるところでございますが、このわれわれの検査体制の整備以上に現在、外国からの輸入食品の輸入量がふえておるところでございまして、なかなかこの輸入量に対応するだけの検査体制の整備がむずかしい段階でございます。しかしながら、われわれといたしましては、やはり国民の健康を守るという立場に立ちました場合には、わが国に輸入される食品がすべて食品衛生法上の規格に合うような安全なものでなければならないと考えておるところでございまして、今後ともその検査体制の整備につきましては努力してまいりたいと考えております。
○青井政美君 私は、これは科学的には素人でございますので、それぞれの先生方の見解の口移しを申し上げ皆さん方に、直接行政にそういった問題を参考にしていただかなければならぬと思うのでございますが、OPPの安全性の問題については、一九七〇年FAO、WHOの専門委員会では評価されており、合同食品規格委員会では、銅一〇ないし二〇ppm程度の残存量を検討をしておるということでございますし、またアメリカやオーストラリアなどは、一〇ないし二〇ppmの範囲では残存量が認められておるということでございますが、OPPは洗浄すれば除去は可能であるとしておる。これに対して名城大学の花田教授はミカンの貯蔵テストにおいては、ジフェニルは十日でカビが発生したが、OPPは二十日以上発生せず、その場合の残存量を調べた結果、ジフェニルには皮だけに九・一ppmであったが、OPPは皮に五六・六ppm、果肉に五・一八ppmであって、厚生省が指導しているように洗浄によってOPPが除けるというのは全くナンセンスであり、動物衛生学実験でもジフェニルよりはるかに毒性が強いということが反論をせられておるという状況でございました。どうかこういった問題について、皆さん方のところではそれぞれの立場の関係の方々からそれぞれの資料を聴取せられておろうかと思いますが、国民全体ではやはりこういう問題に対する反論のある、博士の反論があるという問題については、やはり疑いがあるということには一応通じるのじゃないかと思うのでございます。したがいまして、安心して食えるという環境と条件づくりに特に厚生行政の中で御配慮賜りたいと思うのでございます。
○政府委員(石丸隆治君) FAO、WHOの合同委員会におきます評価、あるいはそこで定められました食品の規格、そういった点につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、われわれといたしましても、そういったデータを持っておるところでございます。ただ、このOPPを使用いたします場合に、このOPPの使用の形態がいろいろあろうかと思うところでございまして、普通、今回の問題になりました柑橘類について調べてみますと、その木から取った後におきましてワックスの、ろうの中に懸濁いたしまして吹きつけている。こういうような方法が多いようでございますが、そのほかにもいろんな使用方法があるようでございます。またそれと同時に、そういったものを水洗するという場合にも水洗の仕方にもまたいろいろあろうかと思うところでございますが、われわれといたしましては、今後やはりそういったわが国の法律に触れるような食品が輸入されるということをできるだけ防ぐという、輸入された後において検査をして摘発するということではなく、事前にそういったものが輸入されないような体制の整備に努力してまいりたいと考えております。
○青井政美君 もう時間がございませんので、もうこれを最後にいたしたいと思います。 先ほど大臣からお話がございましたように、今後これを進めてまいりますための港と空港との整備の問題が、やはり将来サンプリング調査といいましても、これは局長さんの直接のお仕事になろうかと思うのでございまして、ぜひ国民が納得いくように今後の予算措置の中であるいはまたそれが間に合わぬときにはそれぞれのやはり試験研究機関の御協力を得られるというふうな体制で、この問題を進めていただくことが今後問題がうまくいくのじゃないか。ただ、いままで私どもが伺っておる問題では、問題がたくさんございまして、その中には、適当にサンプルさえいいものを持って行ったらうまく通るんじゃがと。これは簡単な話ですが、そういったようなムードなり社会的な問題が起こるということは、利は非常に悲しむべきことであって、また行政が素直に信じられないという考え方の中の一つの国民の声だと思うのでございます。その意味において今後こういう問題が再び起こらないように——起こったときにはどのように措置をするかというふうに。今回の措置のように、東京で、名古屋で、仮に関西で、それぞれ同じものがすべて違うという現象が生まれてきて、そのときに一番都合のいいデータだけが重要視せられて、一番都合の悪いデータが一番底に残る、そういう姿の中での行政は私は非常に好ましくない。一番悪いというものを中心でやはり国民サイドに立つ奉仕者としての仕事というものを今後特にお願いを申し上げます。このことはやはり消費者なり生産者という立場の中には一つの問題点を持っておるわけでございまして、特にこの問題をやはりお願いを申し上げまして私の合成保存剤の使用に対する質問を終わりたいと思います。
○政府委員(石丸隆治君) ただいま先生御指摘の検査体制の問題でございますが、確かに先生御指摘されたような点があるわけでございまして、今後われわれといたしましては、そういった点の改善に努めてまいりたいと考えておるところでございます。特に、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、すべての食品をわれわれの監視員事務所で一〇〇%検査するには、まだ今後相当時日を要すると考えておるところでございまして、まあそういった場合におきましても、やはりある程度の自主検査を認めていかざるを得ないところでございますが、ただいま先生御指摘のように、その自主検査をやるにいたしましても、そのサンプリングの方法等につきましては、さらに今後改善していく必要があろうかと思うところでございます。これは食品衛生検査の本質そのものにかかわる問題も含んでおりますので、なお今後慎重に検討をいたしまして、先生の御意見に従うような方向で改善に努めてまいりたいと考えております。
○小笠原貞子君 まず最初に、冬枯れ病とか、それから雪腐れ病とか言っていますが、牧草における大粒の菌核病の被害とその対策についてお伺いしたいと思います。 北海道で私たちどか雪と言ってますけれども、非常に大雪が急にどかっと降る、これがこの春ございまして、その後遺症として、五月には珍しいまた長雨が続くと、北海道の道東地方、十勝、釧路、根室、網走というような広範囲のところで、ほぼ全域で牧草を枯らすいま申し上げましたような菌核病というものが発生をいたしまして、飼料不足が非常に深刻になっております。北海道の農務部で、五月の二十二日における調査結果というものを見ますと、この地域の全草地面積の約五〇%、十五万ヘクタールというところにこの菌核病が発生し、更新する草地というものが二万六千ヘクタールにも達しているというような大変深刻な被害が出ておるわけでございますが、農林省としてこの被害の実態をどのように調査なすって、現在どういうふうにつかんでいらっしゃるか、まずお伺いしたいと思います。
○政府委員(澤邊守君) 北海道の道東部を中心として大粒菌核病が発生いたしますことによる相当の被害を現在こうむっておるわけでございますが、私どもが北海道庁から受けております報告によりますと、六月七日現在の被害状況調査報告をもらっておるわけでございますが、十勝、釧路、根室、網走の四地域において大粒菌核病が発生をしており、牧草作付面積三十一万六千ヘクタールのうち被害面積が十四万七千ヘクタール、四七%の被害面積率でございます。うち、被害程度が五〇%以上という被害の大きな面積が一万一千ヘクタール、これは約全体の作付面積の八%に及んでおります。被害農家戸数につきましては、全体で九千三百九十九戸、五〇%以上の被害を受けておる戸数は二千六百四十戸というような報告を受けております。被害の地域は先ほど申しましたようなところでございますが、比較的五〇%以上というような被害程度の高い地域は、特に十勝に多くて、私どもの聞いておるところでは六千ヘクタール余りございます。次に網走の三千二百ヘクタールというのが主要なところでございまして、あと根室、釧路地区もほぼ五〇%以上の被害が発生をいたしておると思います。要対策面積として北海道から、北海道庁すでに指導を実施し、まあこれに対します対策の要望もまだ具体的ではございませんけれども、国に対しても参っておりますのが、追肥、追播をして早く牧草を再生させるということのために三万四千ヘクタール、更新が七千二百ヘクタール、その他の飼料作物、青刈りトーモロコシ等に転作をするというものが一千百ヘクタール、合計で四万三千ヘクタール、概数でございますが、ぐらいが対策を要する面積である、こういうような報告を受けております。
○小笠原貞子君 いま報告を伺っただけでも相当な被害が出ているということです。北海道の酪農にとっては何と言ったってこの草地が生命でございますし、特に被害が出ました道東地方っていうのは、もう酪農が主産地で、これでまあ農業やっていけるというようなところで、半分以上の草地が被害を受けているというような中でございますので、これは具体的に一つ一つ農家を訪ねてみますと、非常に深刻な問題になっております。私たちの方でもすぐに調査に入りました。で、入りましたところは、帯広市の拓成地区というところで、約三十ヘクタールの草地はほとんど全滅をしております。で、二百ヘクタールを五月末から六月初旬にかけて更新をし、そしていま乳牛に食べさす草が全くないというような状態の中で、緊急しょうがないというので、草を確保するために牛と草の物々交換というようなのがちょうど行われているときでございました。また、大きな被害を出しております更別でも、草が全然生えてこないというような中で、例年ですと五月末にはもう放牧に入るわけですけれども、現在はその放牧ができないと。そして乳量の方を更別の町でまとめたのを見ますと、六月の四日現在で前年比八三・六と、十一日現在で八四・九というように、前年比に対しましても乳量が具体的には下がってきているというような状態が出ております。昨年、そしてことしの低乳価というような中で生乳生産の伸び悩みで苦しんでいる上に、この病気の大発生というようなことになりますと、もう被害農民にとっては大変な事態になっているというようなことで、何とか道にも対策を立ててもらいたいと。しかし、道だけでどの程度やってもらえるかというと、大変これは大きな被害にも出てまいりますので、国としてもこの被害について何らかの具体的な対策を立ててもらいたいというようなのが非常に切実な要望として出されていたわけでございます。 そういう中で、きょうお伺いしたいんですけれども、まず具体的に申しますと、その緊急の粗飼料、いまもう、取っておいたのがなくなってくる、放牧して草を食べさすこともできないというようなときですから、この緊急な粗飼料の確保について一体どうしたらいいんだろうと。十勝支庁内の中札内、大樹、更別、忠類、広尾というところはもう一番ひどい被害が出ております地区で、もう全部に菌核病が発生しておりますし、その地域の部落に入りますと、もう全滅というようなところが決して少なくございません。こういうようなことで、せんだってもちょっとお願いをして出していただくことになりましたけれども、牛に食べさせる取っときの干し草というようなものも緊急に放出していただくとか、その他いま、このないというような中で、どういうふうな緊急の対策というものが考えられるか、その点についての御所見お伺いしたいと思います。
○政府委員(澤邊守君) ただいまの大粒菌核病によります牧草生産の低下に伴いまして、酪農農家はことしはやや飼養頭数もふえてまいるといういい条件があらわれ始めたやさきで、非常にお困りな点もよくわかるわけでございます。御指摘のように、乳量の低下ということも懸念をされておるわけでございます。そこで、当面なすべきことといたしまして、草地の先ほど申しましたような追播、種子の追播をするとか、あるいは更新をするということもございますけれども、さしあたり牛に食わせる飼料がないというところも経営によってはあるわけでございます。これらにつきましては、現在道庁におきまして、乾草あるいは稲わら、ヘイキューブ等の流通粗飼料のあっせん、調整をしてもらっておるわけでございまして、たとえば友愛飼料の運動、一種の助け合い運動のようなことで、農家ごとに少しでも余裕のあるところは不足の農家に分けて出すというようなこともやってもらっておりますし、今後の問題といたしましては、ビートパルプの加工、あっせんとか、その他流通粗飼料の加工、あっせんのための対策をやり、一部を検討しておるというところでございます。で、国といたしましては、とりあえず、被害農家の粗飼料を確保するために、国立の種畜牧場の手持ちの乾草二百十トンばかり——これは東北にございます牧場を含めまして、道内の牧場とともに四牧場から二百十トンばかりの乾草の放出を緊急措置として御要望に応じてやっておるところでございます。当面、そういうことをやっておりますが、実は越冬飼料が心配される。牧草、現在刈り取りするものもかなり越冬飼料に回るわけでございますが、それができなくなるということになりますと、冬期間の貯蔵飼料の確保のためにこれから追播したりあるいはわせ青刈りトウモロコシの緊急作付をするというようなことによって極力確保するということも必要になるわけであります。また、草地の更新を要する面積が先ほどの御報告しましたような北海道の北部においてもございますので、これらにつきましては、今年度から実施することを予定しております緊急粗飼料増産総合対策というものをメニュー方式でやりますけれども、その中で更新事業をメニューの一つとして取り上げるようにいたしておりますので、この中の事業で実施できるところは更新の助成をしてまいるということをさしあたりの対策として考えております。今後さらに、詳細な報告に基づき、また具体的な道庁からの要請に応じて検討してまいりたいと思っています。
○小笠原貞子君 いろいろ御検討いただかなければならないと思いますけれども、さしあたり牧場から放出していただいたということは大変喜んでいるわけなんですけれども、たくさん要るところに二百十トンというところではなかなか足りない。これ、もうちょっと何とかふやすというようなことはできないものなんですか。考えていただけるものでしょうか。
○政府委員(澤邊守君) 国の牧場から放出いたします数量については、全体の被害量からしますと大きな割合を占めるというのはとてもまいりませんけれども、今後なお御要望に応じて放出できるものがあるかどうか早急に調査をいたしまして、できるものは実施をしたいというふうに考えます。
○小笠原貞子君 緊急な場合ですしぜひ、大変質もいいし、牛も喜んで食べるなんという話も現地なんかでも言っておりましたし、ぜひ国の力としてもうちょっと放出量をふやして助けていただくということを具体的に御検討お願いしたいと思います。 で、特にいま問題になりますのは、干し草の価格。買おうと思いますと、こういう時期になりましたからでしょうか、非常に値上がりをいたしまして、昨年は一キログラム当たり十六円から二十円ぐらいだった。ところが、現在は五十円しているというのが、私たち聞いたときなんです。いま、また上がったかもしれません。そうしますと、乳価がキログラム八十円二十七銭で、草がキログラム五十円ということでは、北海道弁で言うと、全然これはまかたしないということになってしまうわけなんで、ここも非常に大きな問題になってくる。この点が問題になってくるんです。 で、調査に入りました拓生部落というところの、具体的に小沢さんという方だったんですけれども、この干し草とヘイキューブ、濃厚飼料で、当面、何とか間に合わせなければならないというようなことで間に合わしていらっしゃるということで、これちょっと、どれくらいの赤字になるんだというようなことも計算してみたわけなんです、小沢さんという方は、乳牛を三十頭飼っていらっしゃいまして、そのうち搾乳牛は二十一頭、そして草地は三十ヘクタールなんです。そのうちの二十ヘクタールは更新されて、五ヘクタールにゲントコーンをまいて、五ヘクタールは手つかないでそのまんまということでございました。収入の方は九千キログラムで八十円二十七銭掛けますと七十二万三千円と。支出の方を見ますと、濃厚飼料が二・五トン、七万円掛けまして十七万五千円。干し草が二十キログラム八個、三十日分の五十円掛けて二十四万円、ヘイキューブが三十一万三千円ということで、合計しますと七十二万八千円ということで、ちょっとこう計算しただけでもこれはもうこれだけで赤字。労賃なんというものは全く見られないというようなことで、なかなかこれ計算して具体的に見ると、大変なことなんだなあと私つくづく考えさせられたわけなんです。まあお金の問題はお金の問題としても、現実にその草を持ってこなければならないということで、その立場から今度考えてみますと、北海道の場合には転作なんかいたしまして牧草を植えたというようなところも相当ございます。しかし、それが本当に有効利用されているかといったら、それが刈り取られて飼料として使われているというようなのが行われていないというところが相当あるわけですね。いわゆる荒らしづくりみたいになっていて、そのまま肥料にもなるだろうし、というようなことで、とにかく牧草が植わったままでそれが飼料として利用されていない。こんなの非常にもったいと思うのですね、いまの粗飼料を増産するという政策から考えても。何でこれが飼料として使われないのかといいますと、やっぱり輸送費の問題なんです、具体的に。そのもの、草を刈っても、それじゃそれを、牛が食べるところのそこの牧場の方に送るということになると、いま輸送費がとってもかかるというのが具体的な問題になってきてるわけですね。そうしますと、その輸送費というものの解決がつけば使えるというものが出てくるわけなんですけれども。それでそういう輸送費を国の方で何らかの形で助成して、そしてその飼料を有効に使うというようなことは考えていただけないものでしょうか。
○政府委員(澤邊守君) 北海道庁におきましては、そういう干草あるいはヘイキューブ等の牧草にかわるべき購入粗飼料を手当てするために必要な資金対策という意味も含めまして、牧草が足らなくなったために家畜を手放すことのないように、家畜を保留するために緊急に必要とする低利資金の貸し付けということを七億五千万ばかり融資枠を設定をして実施をしておるというふうに聞いておりますので、それらの中において、ただいま御指摘のございました牧草の手当てをするための資金も見られることにもなるわけでございます。ただいま御指摘がございました輸送費の問題につきましては、これはいまのような資金の中でも見られないことはないと思いますけれども、別途に転作等で捨てづくり的になっているものを、この際、輸送をして入手できるようにということのための、輸送費に対する助成というものにつきましては、現在そのような要請も抽象的には出ておりますけれども、具体的にどのようなというところまでまだ道庁から参っておりませんので、一般的にそういうこともあるいはお願いするかもしれないという程度の話は参っておりますけれども、よく実情を踏まえた上で検討したいというふうに思います。
○小笠原貞子君 まだ正式に来てないとおっしゃっていましたけれども、実際にはそれを出していただければ、 〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕 うんと助かる、有効利用できるということは確かだと思いますので、その節にはぜひそういう助成の面も含めて御配慮いただきたい、そう思うわけです。いま長期、低利の融資の問題もちょっとお話お出しになりましたけれども、いままでも酪農大変だ、大変だというのは毎回のことでございますけれども、本当によくこの大変が続くものだなあとつくづく考えさせられまして、おととし、えさのばか値でもって大変な目に遭って、去年は今度は小牛がうんと安い、三千円だ、二千円だ、八百円なんというところまで下がりまして、ことしはと思ったら、今度はこれがくると。実に連続の大きな困難が重なってまいりましたし、これまた農民個人個人の努力や善意ではどうにもしようがないということです。 今度、更別というところの村の方の調査でちょっと平均どれくらいの借金になるかな、なんて考えてみたわけなんですけれども、更新の更別村で平均三十頭、三十ヘクタールというのが大体平均で見られるわけなんですわ。それで、更新草地で十ヘクタールということにしますと、この費用——収穫ほとんどことしは見込まれないわけですから、だから干し草を購入するというような費用が大体約三十万くらいかかる。そして、他の草地の減収分というのを三〇%と見ると、これで十八くらいかかってくる。更新すると言っても、これまた肥料だの、種だの、機械を借りたりというようなことで、これも計算してみますと、十ヘクタール当たり百五十万円くらいかかるんだと。そして追肥、追播ということと、乳量が先ほど言いましたように具体的に減収になってくるという分考えると、これで百十万だと、こういう計算になるんですね。これは農協の方にも一緒に計算していただいて。そうすると、一戸ちょっと平均三十頭、三十ヘクタールにすると、これでまた三百八万というような赤字というのが計算上は出てくる、こういうわけになるんですね。 そうすると、これがまた今度みんな借金になって、これ組勘に入ってプロパー資金ということになると、金利が一三%というようなことになって、これもますますまたことしも三年目。つらい思いをして、つらい思いでがんばってくれればいいけれども、もう三年たってこれではいやだなんて、これ、もうやめたなんて言われれば、これもう畜産の方から考えても相当大変なことになるわけなんでね。この長期低利の融資というのが具体的には非常に大きな要求になっているんですけれども、こういう金融の面に対しては具体的にどの程度のことが考えていただけるのかどうかという点、ちょっとお伺いしたいと思います。
○政府委員(澤邊守君) 今回の被害に伴います必要な低利長期の資金ということにつきましては、具体的にどの程度かという点が詳細な報告が参っておりませんので、私どもでは現在まだ把握をいたしておりません。ただ、一昨年と昨年、実施いたしましたような過去の減産によります負債の整理をするための自作農維持資金の融資をいたしたわけでございますが、今回も実態を調べた上でなければ確定的には申し上げられませんけれども、そういう災害に伴う自作農を維持するための資金が必要であるということになれば、既存の制度の中で対応できる面もあろうかと思いますが、これは私どもの方では、構造改善局が直接やっておりますけれども、私どもの方でよく実態を調査した上で、関係局とも協議する、相談をしてみたいと思いますけれども、現在まだ具体的な被害額なり必要資金量というものがまいっておりませんので、現段階ではまだ具体的に申し上げられる段階ではございません。
○小笠原貞子君 大体の調査というものはどれくらいめどで、調査の結果というのは集約されるような予想ができるでしょうか。
○政府委員(澤邊守君) 先ほど、最初に申し上げましたような被害面積、それから要対策面積というのは、とりあえずの報告でございますので、これ自身なお詳細な報告を北海道庁に求めておるところでございます。したがって、その数字自体も変わると思いますが、今後の天候その他によりましてかなり牧草生産の回復する面もあろうかと思いますし、いまの時点ですぐ調べて、どれだけの被害額であり、どれだけの融資を必要とするかというのはややまだ早いんじゃないかという気がいたします。したがいまして、まず被害面積あるいは対策を必要とする面積を確定した上で、今後の作柄等を見た上で、今年度の経営としてどの程度の被害が生じ、そのために必要な長期低利の営農資金がどの程度の額に達するかということはいましばらく時間を要するのではないかというふうに思います。
○小笠原貞子君 きちっとやっぱり調査されてからお出しになるというのは、当然そちらのお役目の側からはそのとおりだと思うんですけれども、やっぱり何しろもう急いでほしいということですね、こういう場合には。 それから、もう一つは、調査を上げてくるというのは数字でございまして、もうきょう、これカラーだったらすごくいいんだけれども、カラーじゃないものだから、白黒でちょっとわかりにくいと思うんですけれども、やっぱり数字で見るより行ってごらんになっていただいて、そして農家がいままで何年も酪農の中で苦しんで、というような実態をもう本当に身近に感じていただければ、それじゃ融資というような問題だとか、いろいろの手当というようなものも本当に実のある対策というものを立てていただけるというふうに思うわけなんですけれどもね。全然まかせて、上がってくる報告で、農林省としてはこの問題についてちょっと調査に入る、見てくると。農民のいろんな意見を聞くというようなことは、いまお考えになっていらっしゃらないんですか。
○政府委員(澤邊守君) 私ども北海道全域にわたります被害の調査は直接にはいたしておりませんけれども、したがって、道庁の報告によって把握しておるわけでございますけれども、部分的には私どもの担当官をすでに派遣をいたしまして、現地を見さしておりますので、ただいまお手持ちのような写真、私自身もカラー写真で相当な大きな被害だなということで承知をしておりますし、また道庁からもそのような各種の資料を持ってきておられますので、私もその中に、稈の中に黒い斑点の菌が入っているというのを見せてもらっておりますので、全く具体的な感がないわけではございませんけれども、全体の把握は道庁を通じて正確なものを今後もさらに早急に報告をしてもらって対策を検討してまいりたいと思っております。
○小笠原貞子君 ぜひそういうふうに血の通った対策というものを。幾らいいのができても、もう時期おくれになってしまいますと、ちょっとこれ草の問題なんというのは時の問題でございますので、ぜひ早急にお願いしたいと、そう思うわけです。現地の農民の方たちもそうでしたけれども、私たちも、いま粗飼料を緊急増産しなければいけないというようなことを非常に力を入れていらっしゃる時期ですし、また農林大臣も、今年度の予算の中に緊急粗飼料増産総合対策事業費三十億というような予算を考えていらっしゃる。もうこれは非常に農民の方も喜んでいたし、これはまた大事な問題だと思うわけなんです。実施要網もまだ具体的には発表になっていないというような中ですけれども、こういうような事業の目的から、緊急にこの北海道の今度の被害というようなものもこれに乗せて運用するという面で、いろいろ助成とか補助とかいうようなものが行われてしかるべきではないかと、そういうふうに思うわけなんですけれども、この緊急粗飼料増産の事業に、運用に乗せていくというような面ではどういうふうに考えていただけるでしょうか。
○政府委員(澤邊守君) 緊急粗飼料増産総合対策の具体的な実施要領につきましては近日中に出したいと思っております。ようやく財政当局とも細部につきまして打ち合わせを終わりましたので代日中に出したいと思っておりますが、その中で今回の被害に対します対策として活用できる部分がございます。先ほども申しましたように、牧草の更新というのはこれまで国の助成の対象になっておらなかったわけでございますが、今回の総合対策の中のメニューで、更新のために必要な種子の購入とか、あるいはおこすための経費というようなものにつきましてメニューの中に加えまして、それを選択的に活用できる道を開いておりますので、今回の被害の大きかったような地域であって今年度から総合対策の事業を始めていただくところではその事業を活用して更新を進めていただくということができると思います。なお、今回の被害を見ておりますと、同じ地域であっても道路一つ隔てて非常に被害を受けた草地と、そうではない草地と、ほとんど被害のない草地というふうにはっきり分かれている例があるというふうに聞いております。これは牧草の日ごろの管理というのが非常によく行われておるところと、非常に粗放で生産力の低いというようなところの差が出ておるわけでございます。そういう意味からいたしますと、今後、粗飼料を増産するためにも、牧草の生産力の反収を上げていくということのためにも、更新をしたり、あるいは日ごろの肥培管理を適切に行うということが今回のような被害に対しても非常に抵抗力を強めるということになりますので、ただいま申し上げましたような総合対策のみならず、技術的な対策といたしましても、牧草地の肥培管理等一般の生産性を上げるような技術の普及も早急に図ってまいりたいというふうに思っております。
○小笠原貞子君 その運用で、いろいろと援助してもらうというようなこともこれからやっていただけると思うんですけれども、問題なのは、それが運用されるというのはいつから始まるかというところで、実はもうこれ更新しないとどうしようもないということで、農家の方では具体的にさっきも言いましたように、どんどん更新に入っているわけなんですね。そうすると、反当たり一万五千円かかるというようなところで、いまもう仕方ないとどんどんやっている。いまさっき言いましたような乳価の低い中で、これだけ積み込んでということが大変負担になってくるというようなことで——いまこの問題が起きて、この後からの分には運用でできるというようなことになるか。いままでやっていたというのが大変負担が重くなってくるというようなことで、その辺いろいろと運用の仕方で何とか考えられるのかとも思いますけれども、やっぱり指導する方も、こういう方向で国でもやってもらえるというようなものがありますと、もうどんどん指導もしやすいということですが、農協の方なんかも更新をいまどんどんやれということでも、その国の出方がどうなんだということも非常に不安に思っていますしね。その辺のところを何とか具体的に更新ができて、草がちゃんととれてと、安心できるような、というために考えていただきたいというのが大きな希望なんですけれどもね、どうでしょうか。
○政府委員(澤邊守君) お尋ねのように、今年度から実施いたします総合対策はこれからやる部分でございますので、現在すでに実施しておるものについて、厳密に言えばさかのぼってというのはこれはむずかしい問題でございます。ただ、これから実施するものについては、もちろんこういう余地はあるわけでございますし、それから、さらに御承知のとおり地方競馬全国協会によります助成事業の中には従来から更新事業を逐次入れておりますので、そういう助成事業も活用していただければさらに国の補助——直接的な補助ではございませんけれども、助成を受けて実施しやすいということもございますので、それらの制度もできるだけ弾力的に活用して、広く実施していくように検討していきたいと思います。
○小笠原貞子君 余り静かな声だったからちょっとわからなかったんですけれども、具体的に国ではちょっと無理だけれども、こうこうこういうところからとおっしゃったその何とかというのね。もしそれだけじゃなくて何かほかにないんですかね、こういうようなときに本当に飼料を確保するというような、おたく専門だからいろいろ何かいい知恵がないですか。
○政府委員(澤邊守君) いま申しましたのは、国の補助事業として今年度から始めます緊急粗飼料増産総合対策、これはこれから実施する事業でございますので、すでに行ったものにさかのぼってやるということはこれはできないわけでございますが、今後実施する分はもちろんそれの事業の中でできるわけであります。そのほか地方競馬全国協会というものが助成事業を各種のものをやっております。これは国の補助事業とは別個の事業としてやっておるわけでありますが、その中に牧草地の更新というようなものが従来から入っておりますので、それらも活用をしていただくということによって、いろいろな国の補助事業だけではなしに、そういう特殊法人の助成事業というものも組み合わせて活用をしていただいて、できるだけ広くその被害地域の農家が更新できるように進めてまいりたいと思っております。
○小笠原貞子君 いま、大臣いらっしゃらないときに、ちょっとこの問題入っていたのですけれども、北海道で病気が発生いたしまして、先ほども申し上げたんですけれども、おととしは、えさがばか高値になっちゃった、去年は子牛がばかに安くなっちゃった、ことしは何かと思ったら、こういう牧草の被害で大変な赤字を抱えている上にまた赤字というようなことになってきまして、それに対して何とか、大きな被害だから国としてもいろいろな手で御援助いただきたいということをいまお願い申し上げていたわけなんですよ。それと一緒に最後に私がお伺いしたいことは、こういった異常な事態だということがいつ起こるかわからないということなんですね。それに対して備蓄なんというのは、何にも事が起こらなければ全くばからしいようなものなんだけれども、やっぱり備蓄ということも相当考えておかなければならないというその問題点と、それからこれから冬に向けて何とかことし食べさせても、来年の春までに向けての本年度の冬場の備蓄の問題、それから今後いざというときに牛殺してしまわなくても済むような、こういう飼料についての備蓄というようなものについては、どういうふうに考えて、どういうふうな対策を持っていらっしゃるか、それを最後にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 牧草の病気被害につきましては、いま調査しておるというふうに聞いておるわけで、なお北海道庁と連終をしながら被害の情勢を正確に把握をするとともに、国としてできるだけの今後の対策は行っていかなければならない、畜産局長も答弁したと思いますが、いかなければならぬと思うわけであります。 同時に、備蓄につきましては、これはもう畜産の中において、特に飼料穀物についてはこれは大半が輸入に頼っておるわけですから、ですから今後の畜産の発展を考えるときはやはり備蓄を進めていかなければならぬわけでございまして、大体五年間で百十五万トンということで民間とも相協力をして備蓄体制を進めていくということになっておりますが、これらの問題につきましては、さらに国際的にも備蓄問題大きく取り上げられておる時期でございますから、そういう中でわが国としても再検討もしなければならぬ時期にもきておるんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。
○政府委員(澤邊守君) ただいま備蓄のことでお尋ねでございましたが、いま大臣からは飼料穀物全体のお答えをしたわけでございますが、あるいはお尋ねの趣旨が牧草の備蓄ということかとも思いますので、その点についてお答えいたしますと、国ではいま牧草なり牧草の備蓄をすぐ助成あるいはみずからやるという考えはございません。さしあたりの問題といたしまして、冬の飼料が足らないということにつきましては、たとえば海外から現在十万トンぐらいヘイキューグを輸入しておりますけれども、これはふやせば物としての確保はそう困難ではないと思いますので、そういうことによりまして冬期間の牧草にかわるべきものを輸入によって確保するということも十分今後進めていくつもりでおります。
○小笠原貞子君 それじゃ牧草それくらいにいたしまして、しっかり御援助のほどよろしくお願いします。 次に、麦価問題についてお伺いしたいと思うわけです。 で、麦の生産量というものをずっと見ますと、戦後昭和二十五年七十六万七千ヘクタールですね、これを最高にして年々減少を続けてきています。で、三十四年——三十六年のときには一時ちょっと数字見ても持ち直しておりますけれども、三十六年の前年比八%増の六十四万九千ヘクタールというのが最高で、三十七年以後は再び減退になって、四十四年までは年率実に約一〇%減、二十八万七千ヘクタールとなって、その後四十五年は前年比二〇%減、四十六年は二七・五%減、四十七年は三一%減、四十八年には実に四一%の減少というような大変な加速度的な衰退を示しているわけなんです。で、まずこのような小麦の減差というようなものが一体なぜ起きたんだろうか、原因はどこにあるかというふうに考えていらっしゃるか、その問題お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(松元威雄君) お話のように麦の生産、小麦その他を含めまして麦の生産は年々減少を続けていることは事実でございます。その原因はいろいろあるわけでございますが、基本的にはまず麦の作付規模が非常に零細でございまして、北海道の場合はかなり規模が大きゅうございますが、都府県の場合はたとえば平均いたしますと二十アールとか三十アールとか非常に経営規模が零細でございまして、したがいましてそれに関連して収益性も低いというのがまずあるわけでございます。それに加えまして、いわば経済の成長と関連いたしまして、他産業への就業機会もふえたわけでございます。したがいまして、そちらに労力が行くという事情もございます。 それからまたもう一つは、これは水田裏作麦の場合でございますが、これは水稲との作期の調整がなかなか技術的にむずかしい問題になってまいった。と申しますことは、田植えが非常に早期間に進んだ。さらに加えて田植機によってまたさらに進んだという事情がございます。したがいまして作期が非常に重複すると。もちろんこれは地域でかなり違いますけれども、そういった事情で米との関係でなかなか裏作麦までは手が回らぬという事情もあるわけでございます。さらにまた、ちょうど収獲期に雨の被害が多うございまして、ただいま御指摘の数字の中にもありましたが、雨によって収量が非常に減ったと、翌年は生産が減るという傾向が見えまして、そういった不安定性の問題、それらが総合的にからみ合いまして、これまでは異常に減少してまいったというわけでございます。
○小笠原貞子君 確かにいまおっしゃったようないろいろな問題が重なってきているということはわかるわけなんです。しかし、やっぱりその中で具体的にこの減退を示した主要な原因は何かということをはっきりさせていかなければならない。たとえば、規模が大変少ないとおっしゃったけれども、その規模は三十六年当時と比べたらどうなのかと、これは大して変わらないじゃないかというふうに。その減産になる前と比べてやっぱりそこのところで大きな問題になっているというのは、低収益性にあるということがやっぱり一番大きな原因ではないかと私は考えてみるわけなんですね。そういうわけでちょっといろいろと比較してみますと、生産費と生産者価格というものを比較してみますと、昭和三十五年のときには生産者価格と生産費との数字出してみますと、九三・五%だったものが四十七年になりますと七五%に落ち込んでいるというような数字が上げられております。それからまた、米価との比較で見ましても、昭和三十五年には五五%だったのが四十七年には四三%に数字として客観的に落ちてきている、つまり収益が低いと。このことはつまり生産者価格そのものが低く押えられてきたという、これが一番大きな原因になっているのじゃないか。これだけとは言わない、いろいろな経済成長で出ていくというようなこともあったけれども、それもまたかかってくるわけですけれどもね。やっぱりこれは価格が低く押さえられたということが一番大きな原因だと私は見るべきではないかと思うんですけれども、どうなんでしょうか。
○政府委員(下浦静平君) ただいま御指摘のように、価格の面あるいは農家の所得面という一面もその原因の一つとしてあろうかとは存じておりますけれども、より基本的には先ほど農蚕園芸局長からお答えをいたしましたような労働力関係あるいは麦の地位が非常に従属的なものであるというようなこと、あるいは生産関係の技術的な面、そういう面の方がかなり大きく働いているのではないかと存じております。 なお、全国的に生産費とそれから政府買い入れ価格のカバー率の関係を見てみますと全国平均では九三・四%ということに相なっております。これは四十八年産の麦の場合でございます。それから、北海道の場合にはこの数字が一三三・四%ということになっております。
○小笠原貞子君 価格が問題だなんてはっきり言えば、後に何が出てくるかわからないというのでちょっと遠慮していらっしゃるのじゃないかと思いますけれども、やっぱり何だかんだ言われても価格というものが低いということからこの減産になったというのは否めない事実だと思うんですね。なぜ、そういうことを私は確信を持って言うかといいますと、四十九年度には減退してくるのがストップかかっているわけなんです。わずかだけれども、増産に向かっているというのが四十九年からのことなんですね。北海道の場合でちょっと調べてみますと、小麦の作付面積三十五年が一万五千ヘクタールが半分ぐらいに減少していたんですが、四十九年には一万五千ヘクタールと昭和三十五年の水準に戻っているわけですね、四十九年には。そうして、収量では逆に三十五年より上回ってきたというこのことを見ましてもね、いろいろの麦が非常に重要だというようなことも大きな問題になっていたと思うけれども、具体的に奨励金が一俵二千円ついたということが非常に大きな問題だということは否めない。ということがあるから、その奨励金もこれからいろいろな奨励金の形、補助金というような形をお出しになっていると思うんですね。こういうことから考えると、やっぱりこの価格の問題というのが麦の増産をどれだけ保障していくかという問題にならざるを得ないというふうに思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 先ほど局長、次長から申しましたように、いろいろな要因はあるわけですが、やはり価格問題というのは大きいと思います、確かに。大きな要素だと思います。したがって、先ほどから言っておりますように、いまおっしゃいましたように、奨励金その他によってこれが増産を図ることによって下げどまりになったということも確かにそのとおりだと思います。
○小笠原貞子君 で、本当に奨励金の役割りというのが実に大きかったなということは、価格保障がいかに大事かなということになってくるわけです。奨励金つけていろいろな配慮してくださるというのは大変ありがたいことなんですけれども、この奨励金というようなものが一体いつまで続けられるのかということですね。そしてまた、報道によりますと特別裏作に五千円というようなものも考えていらっしゃるというようなことも出ておりますけれども、その辺のところ、いつまで奨励金というものを、どういう形で幾らくらい出すものを考えているかということですね。麦生産振興五カ年計画というようなことから、五カ年たったら打ち切るのかどうかというようなその点の問題、具体的にお伺いしたいと思います。
○政府委員(松元威雄君) まず、先ほど来収益性あるいは価格所得という御論議があったわけでございますが、いわば収益性を構成する要素はいろいろあるわけでございます。確かに価格も大きな要素でございます。それから先ほどお話の生産振興奨励補助金、これは価格そのものずばりではございませんが、結果の機能は、農家のサイドから見ますれば、そういう機能を持っているということも事実でございますが、これ自体はやはり生産振興のための特別の奨励金であるわけでございます。それからまた、収益性を規定する要因としてまた経営規模の問題もございます。お話のように、北海道は非常に伸びました。この場合には、北海道はもともと経営規模は大きいわけでございまして、伸びる素地があったわけでございます。また輪作体制の中に麦を入れるという必要性が再認識されているわけでございます。それに加えて、お話のとおり、四十九年からの生産振興奨励補助金という特別の施策が功を奏したということも確かにそのとおりでございまして、これらの総合結果としまして著しい減退傾向に歯どめがかかった。特に北海道の場合非常に伸びたと、したがってこれをさらに伸ばしまして、さらに定着を図るということが重要な問題だと考えておるわけでございます。 そこで、ただいま交付期間の問題でございますが、これは一律にいつというふうに切れるという問題ではございませんで、やはり今後の麦の生産増加の状況でございますとか、需給の動向等に応じまして、さらに検討していくということで、具体的にいつまでということをいま決めるという問題ではないだろう、やはり効果を見ながらずっと考えていくということだと存ずるわけでございます。 それからまた、いま申しましたとおり、従来の著しい減少傾向に歯どめがかかったわけでございますが、歯どめがかかっただけでは不十分でございますから、さらに伸ばす、さらに定着させるというためにいろいろな施策を講じたわけでございますが、さらにこれにつきましてただいまその拡充方策につきましていろいろ検討しているという段階でございます。
○小笠原貞子君 先ほど伺いましたね、新聞報道によりますと、昨日、十八日ですかの「農林省、自民党幹部及び大蔵省に今年度の農政基本となる来年度以降の米麦対策を説明し」という中で、水田裏作五千円というようなものが出ておりましたけれども、具体的にいま考えていらっしゃる、そういう助成とか補助とか奨励金というようなものについてお伺いしたいのです。
○政府委員(松元威雄君) ただいまも申し上げましたが、今後さらに麦の生産を拡大するためにいろんな施策の拡充について検討をしている段階でございます。その場合にまだぴしゃりもちろん決まったわけではございませんし、各般いろいろ検討中でございますが、ただ、私ども、これから麦を伸ばす場合の一体ポイントはどこだろうかというように考えますと、麦のふえ方が田畑別、地域別に非常な相違がございます。畑麦は北海道では非常に伸びました。しかし、都府県ではまだ減少傾向、鈍化はいたしましたが減少傾向でございます。と申しますのは、何といっても経営規模というものが大きな要素ということをまさに示しているわけでございます。ところが、都府県の場合には、畑の減少傾向に対しまして、水田裏作麦は伸びているわけでございます。四十九年が約一二%、それから五十年産麦も約八%これは伸びているわけでございます。と申しますことは、水田裏は一つにはあいているということ、それからもう一つはまとめやすいわけでございます。非常に作付規模の拡大を図りやすい、こういう条件がございます。したがいまして、今後麦を伸ばすためには、北海道の畑は別といたしまして、都府県の場合にはやっぱり水田裏が中心ではなかろうかということで、水田の裏を伸ばす施策をどうしたらいいかということをいろいろ検討している、こういう段階でございます。
○小笠原貞子君 そういう段階というのが実にあいまいなんだけれども、具体的に、この報道されているように、水田の裏作の小麦については五千円の補助というものを考えているということで、来年度はこれを予算化していく、ということがはっきり出されているわけなんですか。大臣どうなんですか、新聞に大分出ていたのですが。私も裏作振興ということは大変有効利用の上からも大事だし、結構なことだと思ったのだけれども、いまお話聞いていると、何かあまりはっきりしなくなっちゃったのですけれども、これ五千円。これだけ出ているのだが、引っ込めるのですか、出して努力するのですか、どうですか。
○政府委員(松元威雄君) 新聞報道でございますし、特にこれは一つの新聞でございまして、一般的に出ているわけではございませんものですから、いろんな推測も入っているだろうと存じます。 ただ、私が申し上げたいことは、ポイントは、水田裏を伸ばす、そのための施策を充実させるということははっきり申し上げたわけでございます。その手段として確かに反別助成ということも確かに一つの有効な方策だろうと思っております。ただし、金額等につきましては、中でもいろんなことが書いてございますから、一時的にまだ決めているわけではございませんし、そういう方向でいま具体案を固めつつあるという段階であるわけでございます。
○小笠原貞子君 いろいろと事情はあっただろうけれども、それじゃ、これはあまりつつくとやりにくくなりますかね。まあ、こういうふうに裏作を奨励していただくということは大変結構なことでございますのですけれども、ちょっと時期的に……。いまこういうのがぱっと出て、いい顔をしていて、だからといって麦価の方に影響をもたらされても困るというような不安もあるわけなんです。だけれども、大臣が答弁なさったのじゃないですか、農相答弁というのが出ていますよ、毎日に。違うのですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 違います。
○小笠原貞子君 そうですが。それじゃ、まあ、裏作振興のためにぜひやってもらいたいわけなんですけれども。それで、さっきの質問になるのですけれども、まあ需給のあれを見ながらとおっしゃっていましたけれども、つくる方にしてみれば、やっぱり非常に不安定なんですね。だから五カ年計画で——増産五カ年計画で、五カ年計画で削られちゃうものか、それとも六十年までの見通しというので見ますと、やっぱり六十年は四十七年の約倍を見ていらっしゃるわけですね。そうすると、もう倍にしようというと相当の奨励措置がなければ大変だと思うのですけれども、六十年までは奨励金つけるということは考えていらっしゃるわけでしょうか。 〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
○政府委員(松元威雄君) こういった特別の生産振興奨励補助金という施策でございますから、いわば形式的と申しますか、何年までというふうにはなかなか決めかねるわけでございます、要は施策の効果というものを、十分これもあらわれるわけでございますから、施策の効果を見ながらやっぱり具体的に考えていく方が実際的ではなかろうか。いつまでと言ってしまうと、逆にその後は打ち切り。こうなると、逆にとられてもいかぬわけでございまして、現にこの施策の効果があらわれているわけでございますから、そういうことを踏まえまして、さらに具体的に検討する、こういうふうに考えておるわけでございます。
○小笠原貞子君 ちょっといろいろそうなると問題だなと思うのですね。これは北海道の小清水というところで調査したのですけれども、農協の人なんかもはっきり言っていることは、機械が非常に高くなっていますね。コンバインなんか一台千三百万円というようなお金が要る。また小麦の場合には特に乾燥施設というものが大変必要になってくる。これになりますともう億という単位の設備費がかかる。で、もう奨励金だけでは将来の見通しがなかなか大変だということで、この奨励金そのものもいま二千円というようなものではインフレの時代だから、これも何とか考えてほしいというような問題点があるわけなんですね。この小清水というところは昭和四十八年には三百ヘクタールだったのが四十九年五百ヘクタール、五十年には八百ヘクタールというような作付をふやしているわけなんです。私はやっぱりお願いしたいことは、農民を本当に信頼してもらいたいということなんですね。そして農民自身も、もう金が高ければ何でもいいというようなことではなくて、やっぱりいま問題になっている地力の問題を考えても、この小清水というところは、私は去年行きましてジャガイモのウイルス、葉巻き病でお世話になりましたけれども——あそこなんですよ。ここは見渡す限り何十町歩のイモ畑でして、しかもこれは毎年ジャガイモなんです。そうすると、土地が弱ってきているというのはだれよりも農民が知っていることで、それで、ここは何としても小麦をつくって、そして二割は小麦にしたい。そしてあと転作とジャガイモで輪作をしていって地力を肥やしながら増産していきたいという、こういう考え方なんですね。 私は、そういう意味で、農民というのは決して金でつるだけじゃなくて、もちろん金の補償もなければいけないけれども、農民自身がいま非常に農業というものを真剣に考えて立っているということを信頼して、そしてこれにこたえるという姿勢がもうどうしてもほしいわけなんです。だからやっぱり奨励金にしても、二千円じゃとてもいまこのインフレの時代では安過ぎる、もう少しふやしましょうとか、少なくともこれが六十年に倍の増産をするというのであれば、六十年くらいまではこれはもう出すのだから、だから少々無理してでも、機械を買っても、乾燥施設をつくっても、この小麦の大変な自給率を高めていこうというそういう姿勢を私は農林省としては出していただきたい、そう思うわけなんですね。そうでないと、もうあまりにもその場その場の補助金だ、奨励金だというので、金でつっている農政というのは私は、農民を非常に信頼していない農政で情けないと思うのですね。その辺のところ、大臣なんかどう考えていらっしゃるか。特に小麦の増産というようなことは真剣に問題にしていらっしゃる立場ですから、ちょっとお考えを伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 麦、特に小麦につきましては、これはやはりこれからの食糧の自給力を高める政策を進めていく場合における一つの大きな柱になるわけです。ですから、私も麦の増産対策には大いに熱意を持ち、来年度の予算にはぜひとも具体化をしたい、こういうふうに考えておるわけであります。 麦の増産を図っていく場合には確かに、幾ら政府が太鼓をたたいても農民の皆さんについてきていただかなければどうにもならない。やはり、そういう意味では農民の信頼がなければ真の増産というものはならないと思うわけでありますから、これは麦の価格だけではなくて、価格奨励金、それから麦作の体系ですね。米麦一貫体系の推進であるとか、あるいはまた集団麦作の推進であるとか、そういったもろもろの政策を総合的に推進をしていく。そういうことによって私は十分六十年目標には達成することができるし、また農家の皆さんも自信をもって麦作を推し進めていただけるものと、こういうふうに確信をいたしておるわけであります。
○小笠原貞子君 大型機械導入だとかいろいろな増産のための手だてをするにしても、結局は価格面で長期的な安定というものがないと、それがわかっていてできないということになると思うんですね。それから考えると、どうしても現在の価格のパリティ方式というようなものではもうこれは無理なんだ、やっぱり生産費に基づく算定方式に改めるというのがもう大前提になってきている時期ではないか。また農林省の中でも、いろいろな立場の方の中にも、もうそろそろパリティ方式というものは考えなきゃいかぬ時期だというふうにおっしゃっている方も、御見解もちらほら承ります。これはやっぱり大前提として価格の方式を考えなければならないということと、それから第二番目としては、その場合に裏作の麦作振興のための労働費の問題なんですけれども、都市労働水準、労賃の水準でなければ、やっぱり出かせぎに行ってしまうというような問題がいままでの経過から見て出てきますね。そうすると、やっぱり労働費というものを、都市労働賃金の水準というもので考えていかなければならないのじゃないか。第三番目には、麦というのは決して余っているんではない。余っているどころか足りない。自給をふやさなきゃいけない、増産しなければならないということから考えれば、その生産費というのは、限界的な地域の生産費が償われるようなものでなければならないと、こういうふうに考えられるんですけれども、この三点についてどういうふうにお考になっていらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 麦の価格につきましてはパリティ方式をとっておりますし、ことしの麦についてもパリティ方式で行うわけでございますが、これは昭和二十七年以来ずっとこの方式をとっておるわけでございますし、なかなか、これを変えるということは困難な問題もあるわけでありまして、いまお話しのように生産費所得補償方式にせよという御意見も各方面から強く出ておることも承知いたしておるわけでありますが、しかし、所得補償方式にするには、現在麦作の態様というのが非常に規模が零細であり、作付地が分散をしておる、あるいはまた麦作の態様が地域や田畑の違いによって大きく異なっておる、作況の変動によって生産費の変動も大きい等、米とは違った実態にあるわけですから、ですからこの麦の価格体系を生産費所得補償方式に切りかえるということは非常に困難であると、これはもう麦作には合わないと、私はこういうふうに思っておるわけであります。
○小笠原貞子君 まあ合わないと言うんじゃなくて、合うか合わないかもうちょっと厳密にいろいろと御検討いただきたいと思うんです。昨年の米価審議会においても建議という形が出ております。「麦類の価格算定方式について、種々の意見もあるので、政府において広く検討されたい。」と、こう出ております。このパリティ方式を改めなければというのは麦作全体の歴史的教訓でもあるのではないか。審議会の建議を尊重して、その検討というものが、いまなじまないとか、合わないとかとおっしゃっていましたけれども、どういうふうに検討されてきたのか、去年建議が出されてからこの問題について。そして、これから検討するというような立場に立って考えていらっしゃるのかどうか。
○政府委員(下浦静平君) ただいま先生御指摘のとおり、昨年の米価審議会で建議をいただいておるわけでございます。内部でいろいろと勉強はいたしてきておりますけれども、わが国の麦生産の振興を図ってまいりますためには、価格の問題ばかりでございませんで、作付規模の問題あるいは作付規模の拡大の問題、水田における米麦一貫生産体系の確立等の問題、つまり構造対策あるいは生産対策に属する問題の推進というようなこともございまして、これらの問題も含めまして総合的に検討を進めてまいりたいということでございます。 なお、この算定方式につきましては、そういうような状況でございますので、とてもこれは結論を得るというところまでには至っておりません。
○小笠原貞子君 時間がないので、それじゃスピードをかけます。 次に、麦の流通対策についてお伺いしたいんですけれども、特にこれは北海道の農業団体から強く要望されたことなんですけれども、麦の運賃諸掛かり負担の問題なんです。北海道では先ほどもおっしゃいましたように、急速に小麦の増産になりました。道内では処理し切れないで、道外の工場に運ばなければならない。運ぶためには運賃がトン当たり八千百円もかかるというわけで、四十九年産については生産者団体も積み立ててこの運賃の一部に充てているということを聞いております。五十年度産についてどういう対策を立てていらっしゃるか。増産を奨励して、そして北海道では一生懸命やったと。これにこの負担がかかって、というようなことでは大変困るというようなことなので、この運賃なんかの負担についてどういうふうに負担を考えていらっしゃるかどうか、まとめて簡単にお答えください。
○政府委員(下浦静平君) この北海道の小麦の運賃助成の問題でございますけれども、これは、契約生産奨励金の一部の積み立てによりまして四十九年産から助成をいたしておるわけでございます。五十年産につきましても、同様な方式で助成をいたすように考えてまいりたいと考えております。
○小笠原貞子君 本来、麦は食管物資で、政府が買い入れ、売り渡しを行っているというものですから、今後、増産を図るということになれば、どうしてもこの運賃諸掛かりというようなものは管理経費として国が負担して当然ではないか。四十三年度までは国が出していたというようなこともございますね、特に北海道の場合、増産ということに熱意を入れているという立場で考えると、ぜひ御検討いただくということが大事ではないか、というふうに重ねてその点をお願いしたいと思うわけです。 最後のことなんですけれども、消費者麦価と同時諮問をするというふうなことが言われているわけですけれども、外国産の小麦の値段も下がってきているというような状態の中で、ここのところで上げるという必要もないし、同時諮問でもって上げて、同時諮問で終わっちゃうというようなことでは、とても大変なことなんで、いまの物価値上げというような経済情勢の中では、何としても消費者麦価の方は抑えていただきたい。同時諮問ということではなくて、一緒にやらないで、分けて慎重に考えて、いまの物価、景気の動向なども見ながら消費者麦価の方は抑えるということについてどう考えていらっしゃるか。どういうふうにしようとしていらっしゃるか、その辺のお考えを伺わせていただいて終わらしていただきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 麦価につきましては、これは生産者麦価、消費者麦価ともに毎年同時諮問でやってきておるわけでございます。 今回の消費者麦価についてどうするかということでありますが、これは二十五日から米審が開かれるわけで、それまでに政府としても方針を決定をしなければならぬわけでございます。 消費者麦価につきましては、外国の麦が非常に下がっておるじゃないかと、食管も余裕がそれで出ているんじゃないかという御意見もありました。しかし、依然として逆ざやがあることもこれは事実でありますし、また麦作の推進を行わなければならぬという農政上の問題もありますし、対米比価という問題もある。そういうふうなこともあるわけでございます、農政上は。また一面、確かにいまおっしゃるように物価という面もあるわけでございまして、この点はいま非常に慎重に検討いたしておるわけであります。二十五日までに方針を決定をして対処したいと、こういうふうに考えておるわけでありまして、まだ結論を出しておりません。
○工藤良平君 それじゃ、いま麦の売却価格の問題が出ましたので私もそちらの方から入りたいと思います。 いま大臣、また結論が出てない——もちろん二十五日の米審を経て決まるわけですからいま結論言ってしまってはおしまいになるわけですけれども、私は現在の、ここ二、三日ちょっと麦の値段が上がっているようですけれども、いままでブッシェル当たり大体三ドルから三ドル二十セントぐらいで推移してきたというふうに聞いているわけですけれども、ここ二、三日ストップ高の要素が出ているということで、またソビエトあたりが少し買いに出ているんじゃないかということが心配されるんですが、その点についてはどうでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 後で食糧庁から詳細に情報を説明させますが、私が聞いたところによっても、シカゴ相場で麦がストップ高を——ストップ高といってもまだまだ安いわけでありますけれども、ストップ高が続いておる、それはやはりソ連の買い出動というようなことが背景にあるのではないかというふうなことも聞いておるわけでございますが、その後、今後どうなるかということについては予測もつかない状態でございます。
○政府委員(下浦静平君) ただいまの大臣のお答えに余りつけ加えることはないんでございますけれども、おとといでございますか、たしかストップ高をつけまして三ドル二十セント近くまで上がっておるということでございます。この原因といたしましては、やはりソ連がかなり買いに入ったのではないかと、それもトウモロコシを中心に買いに入ったのではないかというような情報がございます。ただこれは、二年ほど過去の傾向を見てみますと、一昨年は大豆の輸出規制等がございまして、大豆に引っ張られて小麦が上がるというようなこともございましたし、昨年はトウモロコシが非常に不作でございましたので、これが上がりましたので小麦が上がるというようなことがございまして、やはりこれはかなりの相関関係があるというぐあいに見ておりますので、かなりこれは今後警戒をしていかなくてはならないのではないかというぐあいに考えております。ただ、昨日は三ドル五セントまで実は下げておりまして、まだ今後どういうことになるかは予断を許さないのではないかというぐあいに考えます。
○工藤良平君 現在のところ、シカゴ相場も若干落ちついたようなかっこうではありましたけれども、やはり不安定要素を持っている。こういうようなことを考えてみますと、私は、今回の麦価の諮問に当たりましては、特に売却価格の問題については昨年の十二月の諮問にもありますように、やはり安定的でない。こういうような要素を勘案をしてみますと、今回の場合にはなおその売却価格については据え置かざるを得ないのではないかというような気がするわけでありまして、この点についてはもちろんいま結論をと申し上げましても非常に困難かと思いますけれども、そういうような状態を踏まえて、今回の場合にはやはり生産者米価を中心にして、むしろ生産体制を一体どうするかということを真剣に、米審でも議論をしていただいた方がむしろ効果的ではないか。こういうように私は考えるわけですが、その点についての見解を、非常に言いにくいと思いますけれども、農林省の立場からひとつ発言をしていただきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いまの工藤さんの御意見は一つの御意見であろうと思うわけでございます。いろいろの意見を十分検討をしながらこの問題には対処したいと考えておるわけであります。
○工藤良平君 もちろんこの問題については財政を担当する大蔵省の立場、あるいは物価の問題を担当する経済企画庁の立場と、それぞれ私は変わった角度の考え方というものが当然出てきてしかるべきではないかというように実は思っておりますが、物価を担当する側としては、できるだけやはり消費者麦価についてはこれを据え置くなりむしろ、国際的な価格が低下をしていくという傾向があれば、それはむしろ引き下げていくということの方が私は、本来の姿であろうと思うのです。が、現在の段階では、それを引き下げるということは困難でありましょうけれども、現在の状態で少なくともやはり固定化していくということから消費者物価を安定をさせるという一つの大きな要素として考えていく必要があるんではないか。特に麦の場合には、主食用の麦をとってみて考えてみましても、特に加工食品の問題に対しまして非常に大きな影響が私は出るように考えますし、その点について経済企画庁としてどのように御理解していらっしゃるか、その点について何か御意見を聞きたいと思います。
○政府委員(有松晃君) 麦の売り渡し価格を引き上げました場合に、物価面でいろいろ影響が出てまいりますのは事実でございますが、これをただいま御指摘のありました加工食品等のコストに及ぼす影響、そういったようなことを含めて一応計算いたしてみますと、消費者物価指数に及ぼす影響といたしまして麦の売り渡し価格を一%上げるごとに〇・〇〇五%程度押し上げる、こういう計算が一応できるわけでございます。したがいまして、これは仮定でございますけれども、一〇%引き上げますと〇・〇五%、二〇%なら〇・一%、こういったようなコストアップ要因になるわけでございます。しかし、そういったコストアップ要因のほかに、食パンとかあるいはめん類、こういったような関連製品がコスト以上に引き上がるおそれがなしとしない、そういったような面では私どももいろいろ心配はしておる次第でございます。
○工藤良平君 ですから、まだ物価が完全に安定していないという現在の状態の中においては、むしろあまり刺激的な、たとえ小さな〇・一という影響であるといたしましても刺激を与えるということは問題ではないだろうかというような気がするわけで、そういう点については若干の間、国際的な価格なり生産の見通しが落ち着く若干の期間やはり、この問題についてはあまりさわらない方がむしろいいのではないかという気がするわけですね。この点についてはぜひ、今後一層の御検討をお願いをいたしたいと思うわけです。そこで、これは農林大臣に聞きましても結論が出ませんから、この問題はその程度といたしまして、二十五日の米審の際にはぜひそういう点も配慮して大臣としても対処していただきたいと思うのです。 それから、いま小笠原さんの方からずいぶんお話がございましたが、生産者麦価の問題でございます。私は若干、もちろん生産者の麦の値段を生産費所得補償方式で生産を刺激をしていくということは正しい考え方だと思うのです。そうぜひあってほしいと思いますが、ただ、その前提となりますのは、私は、やはり価格の問題で、金の問題で解決をするというのはきわめて安易なむしろ考え方だという実は気がするわけです。ですから、いまの国内産麦の生産量からいたしまして、この問題食管の中で扱うとすればそう——そうと言いますと、これは大蔵省から怒られるかわかりませんけれども、まあまあそうさほど大きな金額にはなりませんから、金で解決するというのは一番私は安易な考え方ではないかと実は思っているわけです。先ほどの議論を聞いておりましても、私は、やはりなぜ年々、麦の生産高が低下してきたのかということを根本的にもう少し掘り下げてみる必要があるのではないかと思っております。まあいま幾つかの問題点が指摘をされておりましたけれども、私は、やはり根本的には日本の食糧対策あるいは農業対策の中で大変大切なことは、とかく安い麦はもうアメリカから買えば、カナダから買えばいいという考え方というものが昭和三十年後半から支配的になってきた。で、そういうものが私は、麦のこのような減退傾向というものに拍車をかけていったと実は私はそのように考えているわけですね。そうすると、ただ単に、価格だけの問題ではなくて、もっと根本的な問題について、私どもがやはり政策的に対処していかないと、若干生産者麦価を上げた、あるいはその補償金をつけたと、こういたしましても、これはごく瞬間的なものであって、それが長期的に続くかどうかということになると、これはさっき大臣が六十年の目標をりっぱに達成をいたします、ということで、目標そのものが余り大きくありませんから達成は可能かもわかりませんけれども、私は容易でないという実は気がするわけですね。 そこで、そういう意味からいたしまして、根本的にこの安い食糧に依存をするという考え方というものは、もうこれは従来からも再三言われてきておりますから、これを根本的に変えるということと同時に、やはりこれからの農業の中に、いままでのこの麦抜き農業、麦を抜いてしまった農業というものが進められてきたこれを、そうじゃなくて、やはり再び麦を日本農業の近代化の生産システムの中に組み込んでいく、米、麦、それに畜産とか、あるいは野菜とか、そういうものをきちんと位置づけていくということが必要ではないのか、という実は気がするわけで、この点についての、大変基本的な問題ですけれども、御見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) わが国の国民食糧を確保していくという上におきまして、米の方は御存じのように、完全自給といいますか、むしろ過剰基調にもあるわけでございますが、麦についてはだんだんとこの収量が低下をいたしまして、いま惨たんたる状態になっておるわけでございます。しかし、これはかつての実績があるわけでございますから、われわれが努力次第で相当自給率は高めることができるというふうに考えておりまして、したがって、自給力を高める一つの大きな柱と考えまして、これには農林省としても政策の大きな目標として取り組んでいきたい。したがって、来年度予算等におきましても、麦対策というものを大きな柱に考えておるわけでございます。特に水田裏作につきましては、年々減少して、奨励金がつくようになって、やっと去年ぐらいから減りどまりがしたわけでありまして、これがいろいろの対策を総合的に講ずることによって、水田裏作については、これから大いに伸びる余地があるというふうにわれわれは判断をいたしておりますので、特にこれらの点、この点については重点を置いて施策を進めたいと、こういうふうに考えるわけであります。
○工藤良平君 もう少し具体的に私はお聞きしたいと思うんですが、たとえばさっきお話がありました稲と麦との作期の関係ですね。これは私は、おととしでしたか、栃木県の南河内の試験場分場に参りまして、ビール麦の研究をしているところを見てきたんですけれども、ここで熟期をいま一週間大体繰り上げることに成功している。あと、もう四、五日、十日ぐらい繰り上げることができたならば、ビール麦の生産というのはかなり急速に進むだろうというようなことを試験場の皆さんは言って、一生懸命がんばっているわけなんですが。ですから、いま日本の場合に残念なことに——本当に麦の品種改良という問題について、機械化になる、そうすると、非常に短い短稈の収量の多いような品種をどのようにして開発をしていくのかとか、いま言う熟期を何日早められるかということ、そういうような研究というものを徹底的にやはりやっていく必要がある。もちろんこれは短時日ではできませんけれども、それを丹念に積み上げていかないと、口ではいろいろ言ってみても私は始まらないと思うんです。そういう意味から、ややもいたしますと水稲関係については非常に進んだ研究がなされてきたわけですけれども、麦に対して果たしてそれだけの研究がなされたかといいますと、必ずしもそうではないような気がいたします。 そういう意味から、いま申し上げましたように、機械化に適応した短稈の収量の多いものをつくる、あるいは熟期を早める、こういうことによって若干でも前進が得られるのではないか。あるいはさっきもお話がありましたように、収穫期の雨の問題ですね、梅雨に入るということ。これはたとえば関西の場合にはライスセンターの建設につきましても、これは農林省の非常にきつい実は規制で、稲、麦両方いけるような活用でないとなかなか許可がおりないというようなことで、麦の収穫期におけるライスセンターの利用というものも一緒にかみ合わせてやっているようなんですが、そういうものを有効に生かすことによって私は、水田裏作の場合の麦の生産というものはもっと大きく改革できるのではないか。こういうような気がするわけでありまして、そういう点についてせっかく予算的にもかなり無理をしてそういうことも進めているわけですから、これを有効にどう使うかということ、これはやっぱり麦の生産に私は非常に大切なことではないかと思いますので、そういう点についてより積極的な対策を進めていただきたい、このように思うんです。特に品種改良等の問題については、これは試験研究機関に最大限馬力をかけていただいてやる必要があるのではないかと思いますが、その点大臣から……。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いまおっしゃることは、まことにそのとおりだと思います。これからの麦の増産を進めていくためには、価格奨励金の問題もありますが、同時にやはり米麦の一貫体制を推進をするということが必要でございますし、そのためには作期の調整ということが大きな問題になるわけであります。で、そういう作期の調整を行うという意味におきましても、この品種の問題が出てくるわけでありまして、私もこの品種改良、米麦一貫体系ができるための稲、麦等の品種改良につきましては、特に試験場等を通じまして研究を進めるように私も指示をいたしておるわけでございますが、研究の方も大分進んできておるというふうに判断をいたしてもおるわけでございます。この点については技術会議の局長からもいままでの研究の成果等についても説明をいたさせます。同時にまた、集団的な生産組織をモデル麦作集団というふうな形で進めてきておるわけでありますが、これがやっぱり相当な私は効果を上げておると思うわけでございまして、こうした集団組織をつくって麦作を推進していくということは、今後の農政の上においても大きな効果をなすものじゃないか。これもやっぱり今後の麦対策の一つの大きな政策の一環として推進をしていきたい。これは農家の皆さんの信頼を得るということが大事ですが、集団的生産組織というものは、そういう面においてはまあ農家の信頼を非常に得やすい面につながっていくわけですから、これまた大いに推進していきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○工藤良平君 これは私、この前も稲の研究のことでソビエトの稲の話をしたことがあるのです。クバン三号という、これは七トンから九トンとれるという大変な稲を、ソビエトあたりは十年ぐらいで開発をしているわけですけれども、この前ブルガリアに参りましたときに、私小麦の品種でルサルカという——読みが違うかもわかりませんけれども、私、ルサルカという小麦の品種の話を聞いたんですが、これがやはりヘクタール当たり九トンという大変な収量を上げております。それは非常に短稈で短いんですが、穂は非常に大きいという、特殊なそういうものを——もちろんああいうところでは小麦が主食でありますから、主食に対する非常に熱意というものは日本の米と同じような熱意と思うんですけれども、やはり私は、そういうようなことが日本の、特に農林省の場合開発されていいんではないか。こういうふうな気がいたしますので、ぜひひとつ御努力をいただきたいと思います。 そこで、麦の生産体制の問題ですけれども、今度農振法も改正になって、かなり意欲を持った農家の皆さんに土地が集まるというような、便宜を図ろうというようなことになっていくわけなんですが、そういたしますと、当然機械も入ってまいりましょうし、あるいは機械を入れるためには圃場の整備というものが必要になってくるわけで、特に麦が裏作として水田地帯でこれから強力に進められるとするならば、それに対する整備というものが非常に必要になってまいります。 ところで、これちょっと私予算を繰ってみたんですけれども、たとえば土地基盤整備のこれからの本格的な十カ年計画というものを進められておるわけですけれども、全体的に、総需要抑制の実は大変な犠牲を受けておるように私は感じます。この前もちょっと申し上げたんですけれども、四十六年から四十七年あたり、四十六年がたとえば圃場整備の関係で見ますと、予算が基盤整備が二千四百七十億が四十七年は三千二百三十七億と、四十八年が三千四百五十四億、四十九年が三千四百七十六億と、四十六年から七年ぐらいまではちょっとこう伸びたんですけれども、いま言うように四十七年、特に八年から総需要抑制のあおりを受けてかなり停滞をしている。おまけに圃場整備の単価は大幅に上昇したということから、実質的にはむしろ圃場整備が非常に低下をしている。こういうような実態にあるわけでございまして、この点については特に私は大蔵省の御見解も聞きたいわけでありますけれども、圃場整備の場合にそういうように単価が急速に上がってまいりますと、昨年と同じような予算でありますと、これは逆に仕事の方は大幅にダウンをせざるを得ない。こういうことになるわけで、三年計画が五年、あるいは五年計画なんていうものは十年も十五年もかかるという実態で、せっかく始めましても現実には農家の皆さんにとりましては非常に農業計画が成り立たないというような状態もありますので、この点については、私どもも努力をしなければいかぬと思いますけれども、ぜひ大蔵省等におきましてもそういう実情を十分踏まえていただいて、この予算の編成等におきましては最大限の努力を払っていただきたい。そうしなければ私は、特にこの食糧の自給体制をとこう言ってみても現実にはついていかないと、こういうような気がいたしますので、この点についての御見解を伺っておきたいと思うんです。
○説明員(宮下創平君) 農業基盤整備の重要性につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、私どももいろいろ農政上各種の施策が講ぜられておりますけれども、その中で農業近代化を図るとか、あるいは農業生産の安定確保ということが言われておりますが、何といっても基盤整備が中心になるだろうというように考えております。ところで予算的に見ますと、ただいま先生の御指摘のように四十八年度までは、たとえば四十七年から八年は年率二五%程度大幅な伸びを示したわけでございますけれども、四十九年度と五十年度におきましてはほぼ横ばいと。これはいま先生御指摘のとおりで、総需要抑制政策の一環として公共投資を抑制する、こういう大方針があったもんでございますから、そのようにならざるを得なかったんでございますが、しかし五十年度におきましては、そういう中にあっても、農業基盤については他の公共事業と異なりまして若干増額を図って三・四%の増という例外をつくっていただいたわけでございまして、その点はおくみ取りいただきたいと思います。 それから単価が上がって工事の年数が非常にかかるのではないかという御指摘は私ども痛切に感じております。これは予算額を一方ふやしていかなければならないことはもちろんでございますが、新規の採択その他も地区ごとに、新規採択をむやみにとって効率の悪いような仕方をすることは問題ではないか。したがって、よくその優先順位を考えまして効率のあるやり方をとっていきたいように考えております。いずれにいたしましても、明年度以降の問題につきましてどのような財政上の姿になるかここで申し上げるわけにまいりませんけれども、冒頭に申し上げましたように、農業基盤の重要性については十分私どもも認識しておるつもりでございますので、今後ともそういう角度から努力してまいりたいと、こういうように考えております。
○工藤良平君 私は、いつもこのことについて議論をするんですけれども、極端に言いますと、農業の基盤の整備等については、むしろそのためだけの国債あたり発行して思い切ってやったらどうだと、短期間にやっぱり完成するようなことが必要ではないのかということを毎度よく申し上げるんですけれども、これは事務的な問題よりも、むしろもっと大きな政治的な見地から、総理なりあるいは大蔵大臣等は検討すべきことではないかと思いますけれども。機会あるごとに私どももそのことを主張してまいりたいと思いますし、大蔵省の事務当局といたしましてもぜひ実情も十分に御承知だと思いますから、農業関係については非常にテンポの遅い産業でありますけれども、それだけに思い切った施策というものがいま短期間に必要ではないのか。そうしないと、食糧問題等につきましては五年、十年たった先に大変大きな問題が出てくるような気もいたしますので、ぜひその点についての御努力をお願いをいたしたいと、このように思います。 さらに、これはよく言われますように、食管会計に対する一般会計からの繰り入れが行われてまいります。もちろん食管会計そのものはそれぞれ勘定科目がありまして、たとえば内地米の勘定、それから外米の勘定、それぞれの勘定ごとに会計が組み立てられておりまして、それに対して全体的な赤字補てんという形で一般会計からの補てんが行われる。こういうことになるわけですが、その補てんが全体を含めますと、主食に対しまして約一兆円近い補てんが行われるというようなことから、ややもいたしますとそれが全体的な他の農政部門における予算編成に影響を及ぼすというようなことがよく言われるわけでありまして、そういう点からいたしまして、私は今回の麦やあるいは米の両米価の諮問というようなことが議論として出てくるような気がいたします。現在のところ、私ども食管の勘定別の会計を見てみますと、たとえば外国食糧の中で特にいま問題になっております外麦の場合、昭和三十五年から四十九年までの黒字。ちょっと私さっきはじいてみたのですけれども、約二千三百二十九億、それから四十八年から四十九年の赤字の見込みが千八百七十二億と、こういうことで、非常にここ一、二年外国麦の暴騰によりまして赤字が出ておりますけれども、全体から見ると、まだまだ従来外国麦の輸入によって黒字を出してきたという経緯もあるわけで、そういう点から考えてみますと、私は長期的に見ると、麦やあるいは米の消費者に対する価格の対策というものはむしろ全くもう社会保障的な、連帯的な社会保障的なような性格を帯びてしまっている。こういうような気もするわけで、そういう点から考えてみますと、この食管会計に対する考え方というものはもっともっと大きな見地からものを処理していくべきではないだろうかと、このように思いますので、この点についてできれば御見解をいただきたい。もっともこれは大蔵大臣あたりから聞くのが当然だと思いますけれども、これからの予算編成の事務的な仕事もなさる主計官でありますので、ぜひひとつ御見解を聞いておきたいと思うのであります。
○説明員(宮下創平君) 御指摘のように現在の食管の赤字は、国内米勘定、国内麦勘定、輸入食糧勘定、合わせまして八千四百十億という巨額なものになっておるわけでございまして、これはかって見ない多額なものになっているわけでございます。ちなみに四十八年度で申しましても二千九百二十億でございますから、倍以上というような赤字の急増を見ているわけでございます。その赤字が、いま仰せのように、米で申しますと生産者米価は高く、消費者米価は安くという二重価格制によって生じておる。米だけについても、その場合六千八百五十一億の赤字があるわけでございまして、それが一種の社会保障的な機能を持っているのじゃないかという見解でございますけれども、一面そういう性格があることは、結果としてそういうことになっておるということは否定できないわけでございますけれども、われわれはそのようには必ずしも解していないわけでございまして、この巨額な赤字というものは何としても少しでも少なくして解消していきたい。そしてその資金をもってもっと前向きな、いわば生産対策なり構造政策なりに振り向けてまいりたい。このように考えておりまして、ただいまいよいよ米麦の改定シーズンになりますけれども、適正な生産者米価ないし麦価の決定と同時に、消費者には応分の負担をしていただくためにそういった価格の改定について十分配慮して、ひとつ関係各省の御了解を得てやっていかなくちゃならないんじゃないか。これが長い目で見て日本の農政のためにプラスになるというように私ども信じておるわけでございます。したがいまして、最初に御指摘があったように、このような大きな財政負担がございますと、どうしても結果として一般会計の中に占める農林関係予算のシェアというものもそう無制限に拡大するわけにまいりませんから、結果として非常に窮屈なものになるということはこれは否めない事実であろうかと思います。
○工藤良平君 そのことが私どもとしては心配になるわけで、いまお話のように、確かに、負担できる消費者の立場は後を負担をしていただいて、いま生産体制に対して予算が入れられるものならばということ。もちろんその点について私どももよくわかるわけですけれども、その調整、線をどこで引くかということが非常にむずかしいわけで、むしろ、私がさっき申し上げましたように、この食管制度の性格から言って、社会保障的なものを前面に、むしろもう少し打ち出した方がいいじゃないかという極論までも持っているわけなんですけれども、ただ、いまの経済状態の中でそのことが直ちに予算として反映できるかどうかということについては、なかなか一気にそういうようなことがいくということも私考えられないとは思います。しかし、いずれ何らかの形で食管会計というものが全体的に農林予算に影響が出てくるということになりますと、これは農業関係のこれからの施策のテンポが非常におくれていくということになりますので、その点については、将来にわたって食糧自給の問題についても影響が出てまいりますから、ぜひ今後の予算編成の中においてはその点についての私どもの考え方も反映していただきたいと、このように思っております。 それから、これは松元局長にお伺いいたしたいと思うんですが、さっきも出ておりましたが、麦の生産関係についてのかなり思い切った奨励金をつけて、この際、麦の生産体制を強化しようということで、従来まで出しておりました麦作振興奨励金を千八百円から二千円のですね、これはそれぞれ支給の方法に若干問題があったようでありますけれども、これについては統一的に平均化してやりたいというようなこと。これは、さっき小笠原さんも新聞の中からその問題を指摘をしておりましたが、今回、新聞によりますと、裏作の振興奨励のために奨励金を十アールあたり五千円ぐらいつけるというようなお話が出ておるようですけれども、大体いまの麦の反当収量三百キロといたしましても大体五俵と。一俵当たり千円ぐらいになるんしゃないかということが新聞でも解説として出されておるようですが、もちろんそういう形で、ある程度価格の面で奨励金という形で刺激をして引きずっていくということも一つの方法だと私ども思います。ただ、このやり方として問題になりますのは、安易にそれに取り組んでまいりますと、とにかく裏作で簡単に植えて、ほとんど荒らしづくりで、ろくにできない、一俵、二俵しかできない。それに対しても五千円やるんだというようなことになると、これはまた大変大きな問題が起こってまいります。私は、少なくともやはり麦の反当収量を大いに上げてもらう、こういうような意味から、一定の水準を超したものについては、たとえば五俵とれるところを八俵、十俵とったというものについては、それにむしろプラスして誘導していく、反当収量を大いに引き上げていくというようなかっこうを生産者に与える。それはこれからの麦の振興対策として大変大切なことではないかというような気がするわけで、特に米の生産調整の段階に出てまいりましたように、三万五千円から四万円の転作あるいは休耕奨励金を上げますよ、というような形で土地が荒れてしまった、というような行き方ではなくて、むしろ生産を非常に高める、反当収量を高めていくというものに対して、優遇措置をして引きずっていくというようなことが、これからの対策としては必要ではないだろうかという気がいたします。そういうようなことで、ぜひ、こういう制度をつくってやられるとするならば、それにふさわしいような生産体制における対策が必要ではないかと思いますから、その点をひとつお聞きをいたしたいと思います。
○政府委員(松元威雄君) 麦の生産を伸ばすためには、私はやっぱりいろんな施策の総合結果だろうと実は思っているわけでございます。価格も一つの要素でございましょう。それから生産振興奨励金というのも一つの方法だろうと思います。それからさらに、私は全般を通じまして麦のやっぱり生産性を上げるということ、これは反収を上げるということと、それから労働時間を減らすということ、両面あると存じますが、それに、何と申しましても、やっぱり規模を拡大するということが非常に重大な課題だろうというように思っているわけでございます。 先ほど、北海道が伸びたと、これも、もともと規模が大きいものでございますから伸びやすかった、素地があったということも申し上げたわけでございますが、何としても作付量をふやさなければ、零細規模のままで単純に金をふやしただけで伸びるとは私も思わぬわけでございます。しかしそれもしなければならぬということであります。それからまた機械施設の導入ということ、これも大事でございまして、そこでそのためにやっぱり価格、それから生産振興奨励金、それからモデル麦作の奨励金というもの、さらにいわば生産流通の近代化資金導入ということもいろいろやっているわけでございまして、それらを総合結果として伸ばすということでございまして、一つのものだけじゃなかなかいかぬだろうと思うわけでございます。 特に大事なことは、御指摘のとおりやっぱりどのようにして麦の生産性を上げるか。何と申しましても、零細規模のままばらばらやったんでは私なかなかこれは上がらぬと思うわけでございます。水田裏がたしか四十九年も一二%伸びましたし、五十年も八%伸びているわけですが、やはりそういった意欲があってまとまった条件があるところで伸びたんではなかろうか。それをいかにまたその意欲を盛り立てるかということがやっぱりこれからの政策方向だろうと思うわけでございます。 麦の収量につきまして、ただいまの御指摘で、一つの御提案といたしまして収量が特にふえた場合に、という御指摘もあったわけでございますが、ただ私、麦の収量につきまして過去を見ますと、かなり年々の振れが大きいわけでございます。米ほど安定性はございません。それから伸び率そのものを見ましても、やはり米の伸び率よりはどうも小さなような感じがいたすわけでございまして、これには、先ほどの御指摘もございました品種改良の問題とか、そういう問題もあろうかと思いますけれども、どうも不安定性ということと、それから上昇率がそう大きくないということで、したがって、荒っぽく申しますと、米がたとえば八俵であれば麦は五俵ということで、余り大きな変動がないわけでございますが、これを少しでもやっぱり上げる努力をしなければならぬ。特に、水田裏でやります場合には、麦をつくりますと地力が減耗するものでございますから、地力の維持、培養を図るということもまた一つ重要な方向であろうと思うわけでございます。 それやこれや考え合わせまして、単純に一俵当たりあるいは面積当たりの金がふえるということだけじゃございませんで、それが十分生かせるように、いま言った土地利用の集積を高めて規模を拡大するということ。実は、そのため昨年度も水田裏につきましては、モデル麦作の集団の奨励金の助成単価も畑に比べまして非常にふやしたわけでございますが、これもそういった規模拡大ということであったわけでございまして、それら組み合わせまして有効な生産振興に結びつくようにやってまいりたいと思うわけでございます。
○工藤良平君 大臣も席を外しましたので、また飼料それから米の問題については日を改めて私ゆっくりやりますので、きょうは後それぞれまた日程もあるようですからこの程度にいたしまして。特に、麦の問題につきましては先ほどもるるお話がありましたように、これから大きく生産体制を強化をしよう、こういうような農林省の熱意もうかがわれましたので、私どももその意味では最大限の努力をいたしたいと思います。 ただ、私もずいぶん麦もつくってまいりましたけれども、非常に不安定要素もあるけれども、逆に言いますと、これ少し手入れをいたしますと、麦というのは非常に大きく伸びる要素も持っているわけですね。ですからそういう意味からいたしまして、ややもいたしますと奨励金の使い方によっては荒らしづくり的な、とにかく植えればいいんだ、というような考え方じゃなくて、生産を高めるという意欲を持つ必要がある。そういった意味から、さっき申し上げましたように新しい近代的な農業システムの中に麦というものを一本大きく入れて組み直すということが必要ではないか。忘れられていた麦を新しい農業の仕組みの中に取り入れて——もちろんそれは地力増進ということも当然考えていかなきゃならぬ。このように思いますから、まあこの点についてはまた飼料のときに私ゆっくり議論をするつもりをいたしておりますので、そういうことで農林省といたしましても最大限の努力をしていただくということを特に要請をいたしましてきょうはこの程度で終わりたいと思います。 どうも長い間ありがとうございました。
○原田立君 麦の問題が小笠原委員、また工藤委員よりありましたので、私も若干お伺いしたいんですが、大臣はいつごろ入るんですか。もう後何分ぐらい。——後二、三分。 それでは、その前にお伺いしたいんでありますが、田の耕作地面積は四十九年度は三百二十万七千ヘクタールに対し、四十八年の麦の耕作地は七万ヘクタールと聞くわけでありますが、余りに少ない。要するに、裏作利用が非常に少ない、こう思うんであります。また、畑では八万五千ヘクタールと聞いておりますが、一体どうして裏作を奨励——もちろん農林省は奨励しているんだろうと思うんだけれども、どうしてこれが実際に農民に好まれないのか、どうして進まないのか、この点はいかがですか。
○政府委員(松元威雄君) 御指摘のように、これは麦だけではございませんが、水田裏の利用率は非常に減少いたしているわけでございます。都府県につきまして、都府県の水田面積とそれから冬に植えられまする裏作物の面積をそのまま単純に比べますと八・四%しか利用してないということ、これはもちろん本来ならば気象条件もございますし、それから湿田だったらなかなか裏作は入りませんでございますから、単純に比較することは問題がございますけれども、それにいたしましても一割未満という非常に低い利用率になって、かつてよりも非常に下がっているというのは事実でございます。 それではなぜこうなったかということでございますが、これはいろいろ原因があるわけでございますが、一つにはやはりいわば冬場におきまする他産業への就業者がふえたということ、これが一つのやっぱり大きな要因であろうと思うわけでございます。もちろんそれには冬作の大宗をなしまする麦作というものが経営規模が零細で、したがいまして収益性も低いという条件があるわけでございますが、さらに経済全体の環境の中で他産業への就業者がふえたということ、これがやっぱり裏作が放棄された一つの大きな原因であろうと私は思うわけでございます。 それからもう一つの大きな原因は、先ほど来議論出たわけでございますが、やはり表作との調整問題がございます。いわば麦をつくるよりも表で米に努力をして、米の方でいわば所得を上げた方が有利である。こういう考え方もあるわけでございますし、特に水稲が非常に早期化いたしまして栽培時期が早くなり、さらに田植え機によって時期がまた早まったわけでございます。したがって、なかなか水稲と麦作とを両立させることは、これは地域によってかなり違いまして、九州とか中国あたりでは両立が可能でございまするが、関東ではなかなかむずかしい、それを克服するために労働ピーク時の労働の繁忙を少しでも緩和するというような施策をいろいろやっておりますけれども、何と申しましても表作の調整問題が大きなネックになっておりまして、これがまた裏作を目下減少する大きな要因になっているわけでございます。 そういう現象で現在減っているわけでございますが、やはりこれは限られた国土資源を有効に使うという見地からは、これをさらに利用度を高めなきゃならぬということで、実は農林省も昨年来、裏作の利用可能地の拡張、不作付の解消を目途にいたしまして国、地方公共団体それから農業団体一体になりまして不作付解消運動を展開しているわけでございますが、その中心をなすものは麦と飼料作物でございますから、それはすなわち同時にこの作物の生産振興につながるわけでございますから、そこで、先ほど来申し上げておりますが、水田裏作麦を大いに伸ばすという方向でいま各般の施策を検討しているという段階にございます。
○原田立君 その伸ばすのには魅力ある麦づくりというふうにしなければならないと思うんです。収益性が悪いとか、あるいは零細で高率生産ができないとかそういうようなことで、またいま局長も答弁の中であったけれども、麦づくりなんかしているよりかほかへ働きに行った方が収入は多いと、こういうような、そんなような見地から、こういう麦の裏作が非常に悪いわけです。だから魅力あるものあるいは収益性の高いものにすれば、もっと麦の耕地面積の拡大ということもできるのじゃないかと思うのですが、そういう点については目標をどのぐらいに置いているのか。いま局長は八%ぐらいの現状だと言ったけれども、それを二〇%にするのか三〇%にするのか四〇%にするのか、それにはまた、生産率を高めるにはどういうふうなことをやろうといま現在計画しているのか、その点はいかがですか。
○政府委員(松元威雄君) 裏作をつくっている作物、これは麦だけではございませんが、現在麦、飼料作物その他合わせまして約二十四万ヘクタール裏作が行われているわけでございます。それに対しまして裏作の利用可能地と申しますか、これは気象条件もございます、それから水田の乾湿条件もございます。そこで気象条件等で東北、北陸、これはなかなか裏作は入りにくいわけでございます。それから湿田も入らないわけでございます。したがいまして、そういう条件を考え合わせますと、当面裏作の利用可能地が約百万ヘクタール程度あろうというふうに推定をいたしているわけでございまして、したがいまして、六十年目標でもなかなかそれ全部埋めることはむずかしゅうございますけれども、ちょっと詳細な数字、あるいは違ったら恐縮でございますが、現在の二十四万ヘクタールをさらに倍以上にはふやそうというような目標を立てているわけでございます。 で、問題はこれをいかにして実現するかでございまして、おっしゃるとおり魅力のあるものにしなきゃならぬわけでございまして、しからば裏作麦を魅力あるようにするにはどうしたらいいかということでございまして、そこで価格の問題それから生産振興奨励補助金の問題がございます。それから何と申しましても規模を拡大するということが非常に大事でございます。そこで四十九年から麦の生産振興奨励補助金という特別の施策をとったわけでございますが、その効果も出まして、従来の三割以上という著しい減少傾向に歯どめがかかったと。水田裏では四十九年も五十年も一割前後伸びているわけでございます。もちろんこれでは不十分でございますから、もっと伸ばさにゃいかぬわけでございまして、そこでこれをさらにどのようにして伸ばし、またしかもそれを定着させるかということが重要な課題になっているわけでございます。そこで、そのためにはいま申しました価格の問題、それから生産奨励補助金の問題がございますし、さらに規模拡大を図るということでございますから、やはり二十アール、三十アールの零細規模がぱらぱらあったんではこれは生産性も向上しないわけでございます。そこで水田裏につきましては、これは圃場整備ができておりますれば土地をまとめやすいわけでございます。問題は、いかにして遊んでいる土地をやろうという、いわば意欲のある農家に土地利用を集中させるかということが一番大事な問題であろうと。したがいまして、モデル麦作集団の奨励を四十九年からやったわけでございますが、特に五十年産麦につきましては、その助成単価を従来に比べまして二・五倍程度に上げまして水田裏のいわば麦作集団の育成ということに努力をしてまいったわけでございまして、それらの効果もあらわれてこのような結果になったと思うわけでございますが、これをさらに伸ばしていくことにつきまして、先ほども申し上げたわけでございますが、どのような施策を講じたらいいかにつきまして現在種々検討している、こういう段階にある次第でございます。
○原田立君 局長のお話の中に、先ほど当初は八%ぐらいしか利用率がないと、これを倍ぐらいにはしたいと、倍ぐらいというのは一六%ということですよね。そんな低いところにしか目標を置かないんですか。もっと裏作を奨励するためにはもっと高率に、高い目標というものがあってしかるべきではないでしょうか。
○政府委員(松元威雄君) そこで、私先ほど八・四%と申し上げました。その場合私特にお断り申し上げましたのは、これは単純に都府県の水田面積と裏作やっている面積と比べたものでございます。ところが気象条件がございますということ、それからさらに湿田ではこれは裏作はなかなか導入しがたいものでございますから、単純には比べられぬということを特にお断り申し上げたつもりでございますし、さらにまた、あわせまして現在の裏作利用可能地はどのくらいあろうかということで、約百五ヘクタール程度あるということを申し上げたわけでございます。したがって、それを極力埋めるように実施しようということを申し上げたわけでございまして、単純に八が十六ということではございませんで、やはり当面の利用可能地というものに合わせまして目標を設定していくということでございます。もちろん乾田化が進みますれば可能地はさらに広がりますから、一方では基盤整備を進めまして裏作利用可能地を広げる努力をするということと同時に、いま言った麦、飼料作物等の生産振興を図ってこれを解消するように進めていく。そういったじみちな努力をするということが申し上げた趣旨でございます。
○原田立君 湿田地帯が多いので、なかなか耕地面積が拡大できない、こういうお話だったけれども、この前の当委員会において私申し上げた一つの例でありますけれども、佐賀県三養基郡上峰村の耕地改善、あれなんか、行ってみましたけれども、ほとんどと言っていいほど麦の裏作なんてやっちゃいませんよ。それで、現場で言っておりましたけれども、暗渠を設けてそして排水をよくすれば麦の裏作もできるんだ、あるいは農民自身がもっと意欲的にみぞか何か掘って水が流れるようにすれば麦の裏作もできるんだ、というようなことを村長は言っておりましたけれども、そこで問題は、ひとつ整理して言うと、耕地面積の拡大をするには、もう少し麦づくりというのが魅力性のあるものにしなければいけないんじゃないか。要するに麦価を上げてあげなさいというようなことが裏にあるわけです。そういうようなのが一つと、それから構造改善局長もお見えだからあれだけれども、そういう佐賀県の三養基郡上峰村みたいなクリープ地帯の暗渠ですね、それを施設をつくるについて国で高率な補助を出してやって、いっときも早く完成化させるようなことはできないかどうか、その点両局長にお願いしたい。
○政府委員(松元威雄君) 前段の御質問で、確かに裏作を伸ばすには裏作をつくることに魅力のあることが必要だと、これはそのとおりでございます。したがいまして、そのためにはいろいろな要件がございますから、価格もございますし、それから生産振興奨励金という手段もございますし、それからやはり規模拡大ということが大きなポイントでございますから、規模拡大を図るための麦作集団の育成ということもございますし、さらにやはり規模を大きくして機械化をするということがいわばコストを下げて収益性を高める大きな方途でございますから、そういった機械、施設の導入ということもやったわけでございますが、これらを総合的にしなければならぬ。特に今後麦を伸ばす本命は水田裏でございますから、裏についての施策の充実を図るようにいま検討している段階であるということを申し上げたわけでございまして——そういう見地からさらに今後裏作の振興を図る施策の充実を図ってまいりたいということで種々検討している次第でございます。
○政府委員(大山一生君) 御指摘の裏作可能水田をつくる。この点につきまして、われわれといたしましてやはり機械化営農可能の水田をつくる。こういうことに焦点を向けて現在、長期計画に基づきます圃場整備というものを推進しているわけでございます。現在までに、この長期計画発足前までに、裏作と申しますと西日本というようなことになりますが、三十万ヘクタールの圃場整備が完了しているわけでございます。今度、御存じのように、四十八年から五十七年までの長期計画で百二十万ヘクタールの圃場整備をする。こういう中で西日本の方で五十五万ヘクタールの圃場整備をする、あわせて、農道等の整備もあわせまして百二十六万ヘクタールの裏作可能、しかも機械化営農水田をつくる。こういうことで現在圃場整備を進めているわけでございます。圃場整備の中におきましては、先生御指摘の場所のように、いわば排水という問題につきまして一般の暗渠程度では済まないところもあるわけでございます。こういうところにつきましては、当然その事業の中にそれを取り込むというかっこうで進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。 なお、すでにできました圃場におきまして、さらに暗渠だけが必要であるというようなところもあるわけでございますが、この種の問題につきましては、構造改善事業でありますとか、山村振興特対事業でありますとか、こういった事業、あるいは三分五厘資金というようなかっこうで対応しているような次第でございます。 いずれにいたしましても、圃場整備によって水位を自由に操作できる汎耕地化と言いますか、汎用化と申しますか、これが圃場整備の目的でございます。その土地土地における事情に応じた暗渠の進め方ということも当然その中の事業として考えてまいりたい、また考えていきたいと思っているわけでございます。
○原田立君 このことは十分御承知だと思います。佐賀県の三養基郡上峰村だけじゃなくて、ほかにもあるだろうと思うんです。おそらく局長のところにも陳情があっただろうと思う。補助金をしっかりつけてくれとか、何らかの改善を図ってくれとかいう陳情があっただろうと思う。局長は熊本だから佐賀のことはよく御存じだろうとは思うけれども、現地調査ぐらい一遍してもらって、そうして地方団体の意見ぐらいもっと吸い上げるというような姿勢がある、というくらいの答弁をしてもらいたいと思うが、どうだろう。
○政府委員(大山一生君) 御指摘の場所につきましては、農政局から早速現地に参っておるわけでございます。私たちも、時間の暇ができましたら、極力現地に参りまして、現地の実情に応じた施策ができるように努めたいというふうに考えるわけでございます。
○原田立君 農林省では、五十一年度以降の米麦対策についての基本的対策について説明されておりますが、この中で二、三お伺いしたいのであります。 麦の生産者価格、政府買い入れ価格の件でありますが、農林省はあくまで食管法四条第二項に基づいて行うことに決定し、米価方式のいわゆる生産費所得補償方式は取らないこととしているが、その理由について農林大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ、この麦価につきましては、昭和二十七年以来パリティ方式でやってきておりまして、これが定着をしておるというふうに思っておりますが、しかし、価格体系全体を見直すという時期に入っておりますので、研究はしておる段階でございますが、ことしの政府買い入れ麦価についてはパリティ方式でいくことに決定をいたしておるわけでございます。 なお、いまお話がございました麦価を生産費所得補償方式によって決定すべきであるという御議論につきましては、各方面からも強く出ておるわけでありますが、これは、やはり麦作が規模がきわめて零細であり、また作付地が分散をしておる、麦作の態様が地域や田畑の違いによって大きく異なっておる、作況の変動によって生産費の変動も大きい等の事情がある。こういうような麦作の現状からいたしまして、米と同じように生産費所得補償方式をとるということは困難であるというふうに考えております。
○原田立君 困難だ困難だと言っておったならば、実現はなかなかできないわけでありますが、以前から米価同様に麦価に対しても同様の方式で臨むよう強く要求している声があるのはいま大臣が言ったとおりであります。しかるに、来年度以降もいままでどおりの方式を採用することに決めたことに対してはまことに残念でならない。一方では、生産向上のために補助金、奨励金政策をとっておきながら、最も基本となる価格決定方式に対しては改善は考えない。これでは、生産農家が納得できないと思う次第であります。五十一年生産の麦価に対しては米価同様の生産費所得補償方式で臨むから安心して生産に励むよう、こういうふうに指摘するのが農林省のあり方であり、とるべき対策だと、こう私は思うんです。一体、いつの段階から米価方式を採用するのか、責任ある見通しを伺いたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 麦価について米価と同じように生産費所得方式をとるという考えは持っておりません。麦価につきましてはパリティ方式できておるわけでありますが、四十九年度から奨励補助金等を支給するとともに、その他の米麦一貫体系の推進あるいは麦作集団の推進といったような総合政策を推進することによって、麦の生産が非常に落ちておったのが下げどまって、むしろ上向きになった。これはやはりいま申し上げましたような奨励補助金を出したり、その他の総合政策を推進した結果である、成果であるというふうに私は考えておりまして、こういうものもあわせて、さらにその上に強力な施策を進めていけば、私は六十年目標の麦の増産は確保できる、こういうふうに考えておるわけでございます。
○原田立君 現在、食糧自給率の向上は急務であるが、場当たり的な助成金対策ではなく、最も基本的な価格方式を策定しなければ、見通しの達成は当然望めないと思うんです。先ほど局長と、大臣がお見えになる前に他のいわゆる冬作ですね、冬作の麦の作付面積、これが田全体から見れば、水田全体から見れば八%しかないという現状であると、そういうやりとりを局長とやっておったわけなんです。で、結局、結論は、収益率が悪いから、だから麦はやらない。麦づくりで苦労するんだったらば働きに行っちゃった方がいいやと、こういうことになってんだろうと思うんですよ。だからやっぱり麦の効率的な作付をやらせるためにも、収益率のよい麦づくりというものにしなければならぬと思うんですよ。そういう意味で各種団体が生産費所得補償方式を強く要請しているんだから、大臣、パリティ方式で決めたんだからもう断じてやらねえ、だなんて、そんなかたくななことを言わないで、もっときちっとした柔軟な姿勢で検討する、ぐらいなことを言ったらどうですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かにおっしゃるように、収益性が低いということが麦が落ちてきた大きな原因でもあろうと思うわけです。それから同時に、裏作につきましては、麦を増産する上においてこれは非常に大きなウエートがあると思うわけで、私はやはり裏作としての麦の増産体制というものを推進をしなきゃならぬという基本的な考えで、これからの政策を進めていこうと思っておるわけでございます。で、これを進める上においてただ、価格問題だけじゃなくて奨励金も——これは麦作のいろいろの態様から見て奨励金制度をとっておるわけですが、まあ奨励金もこれは出していかなきゃなりませんし、さらに裏作で麦をつくる場合の助成といった問題もこれは考えておるわけであります。われわれ農林省としていま考えておるわけでございますし、その他、生産組織あるいはまた機械化と、こういうものをやっぱり総合的に推進していけば、私は、農家も信頼をもって、信頼をしながら麦作に励んでいただけるものというふうに確信をいたしておるわけであります。
○原田立君 農林大臣が確信していたってそれはだめなんですよ。みんないやがってそっぽ向いているんですから。現に八%しかないんですから、割合から言えばですね。それで先ほど局長は、まあいろんな条件があるから、あれだけれども、二倍ぐらいにはしたいというような目標があったわけです。話がちらっとあったわけです。いまの農林大臣のその答弁でははなはだ不満の意を表明しておきます。 農林省では、米価審議会に諮問する今年度の生産者麦価を一〇%ぐらいの引き上げ幅で決定されたそうでありますが、新聞報道にも、「一〇%を上げ、諮問へ」と、こういうふうに出ておりますけれども、その根拠についてお伺いしたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 前段の話ですが、実は私はこの四十九年度、五十年度ですね、麦対策を行うことによって非常にいままで急激な勢いで減産しておった麦が下げどまって、むしろ上向きになったということに非常に期待を持っているわけです。ですから、さらにこの麦対策を総合的に強化をすれば、これは麦は必ず増産が行われて、そうして六十年目標というのは達成できるというふうな私は自信を持って先ほどから申し上げておるわけでございます。 それから麦の政府買い入れ価格でございますが、これは例年どおりパリティ指数に基づいて決定をするわけでありますが、今日のところ、まだパリティが出てないということでございますので、いろいろと新聞等では報ぜられておるわけでございますが、しかし、米価審議会までの間にはこのパリティ指数に基づいてわれわれは諮問をしたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
○原田立君 また、生産者麦価を一〇%となると当然米価への影響としてつながってくることは明らかでありますが、農林大臣としては、米の生産者価格の引き上げに対してはどの程度と見込んでいるんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まだ生産者米価につきましてはその取り扱いの方法すら決めていない。いま実は麦価で頭がいっぱいでございまして、麦価が終わっていろいろ考えなきゃならぬと思うわけでございます。まあ米価につきましては御案内のように、食管法に基づいて生産費所得補償方式という大原則で決定をしなきゃならぬ問題だと考えております。
○原田立君 昭和四十九年度の農業、漁業白書について若干お伺いいたします。 ここ数年来ドルショック、石油ショックに続く世界的経済の混乱、大国の食糧戦略等に端を発した世界的食糧危機は、自給率の低いわが国に深刻な影響を与えたことは記憶に新しいところであります。そのため、四十八年の白書では、食糧危機を唱え、食糧の確保、農業政策の転換を指摘しておりますし、四十九年度の白書についても、相変わらず同じような指摘が繰り返されておるわけであります。この結果についてまず、農林大臣はその所見を、どういうふうに考えているのか。要するに、私が言いたいのは、四十八年も四十九年も同じことを言っているが、もう少し前進した考えがあってしかるべきではないかと、こういうことなんです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ農業でございますからそうその毎年毎年大きく変化をするわけではないわけでございますが、しかし、最近における国際的な事情の変化、あるいは国内における経済構造の変化といったものから、食糧自給という問題が非常に重要性を帯びてきたということを強調をいたしておるわけでございます。
○原田立君 このような状況に陥った原因は、政府の政策が昭和三十年代から重化学工業優先、国際分業論的な発想が先行し、農業軽視、切り捨て政策によるものにあると思うのであります。その結果は、減反政策にあらわれているのでありますが、高度経済成長のときは工業優先を唱え、低成長のときは農業と、まるで基本方針のない農業政策、経済の動向に左右される、成り行き任せの農業政策と言わざるを得ないのであります。これでは成り行き農政、ネコの目農政と指摘されても仕方がないのではないか。農林大臣の諮問機関の農政審議会で立てた長期見通しであり、それは努力目標であるが、現在の長期見通しに立った基本政策を、また長期ビジョンを確立することこそ安心して農業に従事できると思うのであります。農林大臣は農業の基本政策、長期ビジョン確立の方針それをどういうふうにお立てになるのですか、お伺いします。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 最初に農業基本法の問題がでましたが、農業基本法につきましては、その成立以来、わが国農業は畜産等の成長部門を中心に着実に増大を続けましております。また、西欧先進諸国に比べて遜色のない生産性の向上を達成をしながら、安定した輸入と相まって国民の必要とする食糧の安定的供給を果たしてきておると私は理解をしておるわけでありますが、しかし、その間に農村の過剰人口は解消もし、農家の所得も向上し、都市勤労者と比肩をし得る水準にも達しておるわけであります。だが反面におきまして、農業労働力の脆弱化、兼業の増大、地価の高騰等の問題が生じたことも事実でございます。今後の農政の推進に当たってはこのようなわが国農業の現状や、最近における世界的な食糧事情の変化を踏まえて一億余を超える国民の食糧を安定的に供給するためにわが国農業の体質を強化し、自給力の向上を図ることを基本として土地、水資源の確保、整備、その有効利用、農業生産の中核的担い手の育成、価格政策の強化、技術経営対策の充実等に重点を置いて施策の総合的な展開を図ってまいりたいと思っております。 また農業者の福祉の向上と豊かな農村の建設のため、農村の総合的な整備等の各般にわたる施策を強力に展開をしてまいりたいと思っておりまして、先ごろ決定をいたしました閣議における六十年目標の長期見通しに基づき、またこれを達成するための基本方策を今日立案中でございますが、この基本方策をもとにいたしまして、具体的な施策を今後着実に進めていき、国民の期待にこたえてまいりたいと考えております。
○原田立君 ここで大事な問題は、いわゆる農民の政治不信についてでありますが、昭和四十五年以降の減反政策がもたらした水田の荒廃、米作農民の生産意欲の減退ははかり知れないものがあります。また、政策なき酪農やあるいは農蚕園芸行政、さらに追い打ちをかけたむつ小川原や鹿島に代表される大規模工業の開発、このような農業切り捨て政策では、今後いかなる政策を打ち出しても、農民はますます失意をつのるばかりではないかと心配するのであります。農業の立て直し、食糧自給率の向上を唱えることはけっこうですが、まずこれまでの政府の失政を農民に押しつけるのではなく、農民の政治不信に対して謙虚に反省し、減反政策の後始末、休耕田の復元対策、その他、失政の犠牲になった農民たちに対して誠意ある施策を進めるべきであると思うのでありますが、大臣の御所見をお伺いします。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農政の展開に当たりましては、御指摘のようにわが国の農業——食糧問題と農政について農業者はもちろんのこと、広くやはり国民の理解と信頼を得ながら、これを推進することが重要であることは言うを待たないわけであります。このような考え方のもとに立って、先般、国民各層の代表の参集を得て、国民食糧会議を開催したところでありますが、今後とも同会議での御意見をさらに拝聴し、総合的な食糧政策の展開を強力に図っていき、信頼を博する農政というものを確立をしてまいりたいと考えております。
○原田立君 減反政策の後始末、休耕田の復元対策、これはいかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ減反政策につきましては、四十九年度でいわゆる休耕田対策は終わりまして、ことしいっぱいで生産対策、稲作転換対策を行うことになっておるわけでございますが、この稲作転換事業を来年度からどうするかということにつきましては、現在鋭意検討いたしておるわけでございますが、私は、今日の米の需給の情勢を見ると、依然として米については過剰基調が続いておるというふうに判断をしておるわけであります。もちろん米につきましても、この在庫の積み増しといったことは、いままで以上に充実をしていかなきゃならぬと思うわけでございますが、やはり米の過剰基調というものに対応して、これからやはり増産をしなければならない作目に対する転換ということも、これはまあ過剰基調の中で考えていかなきゃならないだろうと。それをどういう形でやっていくかということをいま具体的に検討をいたしておるわけであります。
○原田立君 農業就業人口、若年農業後継者基幹男子専従者の確保についてお伺いするわけでありますが、景気の停滞に伴い、農村へのUターン現象を、農業就業者の補充、農業人口の増加と単に観測ができないが、何らかの歯どめ対策は必要であろうと思うんであります。要するに、食える農業、魅力ある農業にしなければ、これらの人がまた農村を出ていってしまうと思うのであります。また、四十九年三月卒業者の中で農業就業者は相変わらず減少を続け、前年を四千人も下回わる一万四千人であります。また五十歳未満の基幹男子専従者のいる農家は全農家数の約三割にしかすぎず、今後、高齢者の隠退とともに農業労働力は急速な減退を見込まなければなりません。農業就業人口の急速な減退を前提にして就業人口の増加、若年後継者の確保育成に対していかなる対策で臨むつもりなのか、その具体策を明確にお伺いします。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 最近のわが国経済の変化に伴いまして、農村からの若い人の流出というものも多少足がとまりつつあるという傾向も見受けられるわけでございます。まあ私たちは、こうした農業で働く若い人たちにさらに農村に、あるいは農業に定着をしてもらって、わが国農業の押し上げる力になっていただきたいということを心から期待しているわけでありますが、それにはやはりこれからの農業、あるいは農村というものを魅力あるものにしていかなきゃならぬことは御指摘のとおりでありまして、そのための生産対策あるいは価格対策というものを充実する。同時に農村の今後を背負う若い人たち、後継者たちに対していまいろいろと後継者育成資金等あるいは研修制度等充実しておりますが、そういう後継者の育成のための諸施策を充実していく。同時にまた農村のやはり環境全体をよくしていかなきゃならないということでありまして、まあ農村環境整備事業等も全国的に展開をしておるわけでありますが、そうした環境整備というものにも力を注いで、本当に何か明るい農村というか、魅力のある農業とか、そういうものを展開をしていかなきゃならぬ。それを一つの大きな柱にして、総合的な食糧政策を今後打ち出していきたい、こういうふうに思うわけであります。
○原田立君 どうかひとつそういうふうにやってもらいたい。不安におののいて行き先真っ暗だなんというような、そんな農政であってはならないことはもう当たりまえの話でありますから。 次に、農業の労働生産性について伺いますが、農業の労働生産性は二年連続一〇%の伸び率を示しているものの、この伸び率はどんな具体的内容で達成せられたのか、冷静に分析を加える必要があるのではないかと思うのであります。確かに施設型農業は伸びておりますが、一方では、土地利用型の農業は横ばいであり、耕地の利用率は一〇〇・三%で、四十八年度より落ち込んでいるのであります。この実態をどのように理解し、判断しておられるのかお伺いします。
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。 御指摘は、効率的な農業を進めるためには、一方におきます労働生産性向上のためというのを問題といたしまして、を高め、また耕地の利用率を高めるべきではないか、この点についての認識なり対策、という御指摘かと思うわけでございます。で、これにつきましては、しばしば当委員会でも御論議を願っておりますように、耕地その他の制約と、限られた資源のもとで高い生産力を発揮していくためには、その労働生産性の視点と、土地利用率の向上、この二点がやはり最大のきめ手であると思うわけでございます。で、労働生産性の向上の問題は、先生、先ほど相当高い生産性の確保はできたというお話もございましたが、確かに、われわれといたしましても、農業基盤の整備、先ほど構造改善局長からお話申し上げましたように、三反歩区画等を中心とする機械化の促進、あるいは御案内の農業団地対策、あるいは第二次構造改善事業対策というようなことによりまして機械化を促進して、就業人口の減少をむしろカバーしながら生産性の向上を高めていきたいという点が第一点でございまして、この点の施策はさらに食糧自給力の強化という視点からも進めなければならないというように考えております。 もう一つ、土地利用率の強化の問題は冒頭に、先生から麦につきまして先ほど御指摘がございました問題と通ずるわけでございまして、農用地の造成という外延的拡大とともに、やはり現在の耕地、裏作の利用率、休閑されております裏作の利用率を高めるという点が最も大きい問題でございまして、裏につきましては、表と裏と一貫した作業体系なり、機械化体系を高めていくという問題等が中心になると思いますが、これにつきましては、先般御通過をさしていただきました農振法による規模の拡大、あるいは集団的生産組織による作業規模の拡大というような点を通しまして、水田裏を中心といたしました土地利用の向上という点に重点を置いて施策を進めるべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
○原田立君 農業の振興を図る上で何といっても欠かすことのできないのは優良農地の確保であろうと思うんであります。当然、今国会において農振法の改正をし、農林省としても優良農用地の確保に万全を期すことになると思うんでありますが、この万全の対策で臨まれるよう強く要望したい。 昨日は宅開法が通過しました。あれなどは農業都市調整区域ですか、その区域で開発が進められるんだろうと思うんだけれども、おそらく優良農用地が虫食い状態で、あっちこっちやられるんじゃないかと大変心配し、わが党はあの法案に対しては反対したわけでありますけれども、農林大臣、あのとき仮谷建設大臣も、農用地は確かに確保するように努力しますと、こう大みえ切って言ってたけど、本当に農用地確保、万全なる確保は大丈夫でしょうか、心配なのでぼくはお聞きするんですけれども。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 国民食糧の安定的供給の確保を図るためには、いま御指摘のありましたように優良農地の確保が不可欠の条件であると考えております。このために土地改良長期計画により農用地開発を推進するとともに、次の諸措置によりまして優良農地の確保につとめておるところでございまして、その第一は農地法によるところの転用規制の厳正な運用でございます。これは今後とも厳正にやっていかなければならない。 第二が改正農振法による農用地区域内における開発行為の制限並びに農用地区域外の農振地域における開発行為に対する勧告及び公表の制度の適正な運用でございます。これは今回、農振法を改正していただきました大きな改正点でございまして、われわれは優良農用地の確保においてはこの規定を大いに活用をしていかなければならないと考えるわけであります。 第三番目は、農業振興地域制度に基づく農業振興地域の指定及び農用地区域の設定、あるいは農地保有合理化法人の土地買い入れ等の機能の強化と拡張、そういうものをやっぱり総合的に進めることによって優良農地の確保は図れるし、これはどうしてもこれからの食糧自給を高めていくためには土地が中心でありますから、図っていかなければならない、こういうふうに思うわけであります。
○原田立君 あのときも実は質問をしたのですけれども、「協議」また「主務大臣」——これは農林、運輸、建設、自治、大蔵ですか、そのところがあって、肝心の農林大臣が抜けていると、こう指摘したところ、いや農業基本法やなんかにちゃんと、農地の壊廃をするときには、ちゃんと協議するようになっているのだから、ここのところは入れなくていいんだと、こういう話があったのだけれども、ああいうのなんかやっぱり軽卒なんじゃないのか。やっぱり農用地の問題、調整区域の開発なんですから、当然そこで農用地がたくさんあるところなんですから、農林大臣が協議するものとしてやっぱり法律の上に条文化すべきではなかったのか。ちょっと横道にそれて大変恐縮なんだけれども、簡単にお答え願いたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま構造改善局長からもお答えさせますが、農地を確保するというのは、これは農林大臣の大きな責任であるし、そのためにいま申し上げましたような農地法だとか、今度の農振法の改正といったものがあるわけでありますから、これによってわれわれは農用地を確保するわけであります。したがって、そういう中にあって宅地開発公団等が農用地を利用しようということになっても、その前提条件に、われわれがきちっとしておれば、これは介入のしようがないわけであります。協議する必要——協議しても、優良農用地ならわれわれもちろん、農用区域内は開発の対象にならぬわけでありますし、また農地法の適用も、農地法というのがあるわけですから。これはわれわれの自主的な判断で完全に確保できると、こういうふうに考えるわけであります。そういう点から、しいて協議というものを入れる必要はないのじゃないか。大もとの農地法と農振法というのがあるわけですから、協議、それを無視しては建設大臣も何もできないわけですから、私は、そこの必要はないのじゃないかというふうにも考えておるわけであります。
○政府委員(大山一生君) いまのお答えを一言だけ言わさしていただきますと、宅開公団法は事業実施法ではないわけでございまして、公団の組織をつくっているわけでございます。その組織に関連する権限に関するところについて協議を大臣とするわけであります。事業実施に関しましては、たとえば国土法による土地取引の関係、あるいは農地法との関係、農振法の関係、これはそれぞれの法律に基づいて当然のこととして協議してまいる、こういうことでございまして、その協議に当たります農林省の姿勢は、いま大臣が申し上げたとおりでございます。
○原田立君 次に漁業問題についてお伺いします。 わが国の漁業環境は、国連海洋法会議でも領海十二海里、経済水域二百海里説が世界の大勢を占めておるわけでありますが、一方、年々減少の傾向にある北洋さけ・ます漁業、世界的捕鯨禁止の動き、日ソ、日米、日中、日韓のかの漁業交渉等厳しさは年々増大していると思うのであります。この現状をどのようにとらえ、対処していくつもりなのか、水産庁長官並びに大臣の基本姿勢をお伺いしたい。
○政府委員(内村良英君) 今後の水産業の振興につきましては、沿岸漁業の振興を図り、あわせて遠洋漁業につきましては漁場確保に最善の力を尽くしていって、わが国の漁獲高が急激に落ち込むことのないように、と同時に、漁家の経営も安定するようにというようなことを中心にして施策を進めなきゃならぬというふうに考えます。
○原田立君 このような国際環境の中にあって、いかにして沿岸漁業の振興を図り、発展していくかがますます重要な課題であろうと思うのであります。高度経済成長優先により魚の産卵場や、稚魚育成に必要な沿岸漁場は無残にも埋め立てられ、工場からの排水、残物によって海の汚染は急速に進み、沿岸漁業を奪ってまいりました。沿岸漁業の振興を図ることこそ早急に必要な対策であろうと思うのでありますが、具体策をお伺いしたい。
○政府委員(内村良英君) 沿岸漁業の振興のためには、沿岸漁場環境の保全と沿岸漁場の整備開発、それから最近非常に発展してまいりました栽培漁業の全国的な展開、沿岸漁業の経営の近代化、漁港の計画的な整備等の施策を展開するつもりでございます。
○原田立君 わが国の漁業は国内漁業環境の悪化、外国での漁業規制等内外ともに厳しい状況下に立たされております。農政審議会による農産物の需給と長期見通しによると、十年後の水産物の需要量を千四百八十万トンと見込み、その約九割の千二百万トンの生産の確保が必要とされておりますが、内外ともに厳しい漁業環境の中にあって一体どのような対策を講ずる考えでおるのか、その具体策及び長期見通しについて水産庁長官及び農林大臣にお伺いします。
○政府委員(内村良英君) 長期見通しにつきまして、千二百万トンの確保が国際環境から見てむずかしいのではないかということだと思いますけれども、今回の生産見通しに当たりましては、現在進行中の第三次国連海洋法会議の帰趨等、国際情勢がなお流動的でございますので、おおむね従来の生産の趨勢を基礎として推定したところでございます。したがいまして、千二百万トンの確保につきましては、今後、海洋法の帰趨がはっきりしてきた段階におきまして、すなわち海岸国の管轄権等がはっきりした段階におきましてもう一度見直す必要があるのではないかと思っております。そこで、こういった厳しくなることが予想される国際情勢に対処するためには、わが国としては海外漁場、特に北太平洋におきましては関係国とよく協議をいたしまして、わが国漁業の実績の確保に努めなきゃならないと思っております。 最近、開発センターで深海丸という船ができまして新漁場の開発に当たっておりますが、新資源、新漁場の開発にも大いにこれを推進しなきゃならない。それからさらに今後水産資源の効率的な活用も図る必要がある。現在まだわが国におきます水産資源の利用につきましてはかなりむだな面もございますので、そういった面の合理化、利用確保の合理化を図らなければならないと思っております。さらに先ほど申しましたように、沿岸漁場の振興等各種の施策を通じて沿岸漁業を大いに振興しなきゃならないというふうに考えております。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま水産庁長官が述べたことで尽きておりますが、水産の重要性をさらに認識をいたしまして、決意を新たにして水産政策に取り組んでいかなきゃならないと思います。
○原田立君 環境庁には先ほどからお待ちいただいておりますが、環境庁は今月の十八日、水島重油流出事故の後遺症についての検討結果を発表しておりますが、その調査は残念ながら三月ごろの段階のものであり、事故発生後わずか三カ月足らずしかたっておらない、そういう段階のものであります。また、国の行った調査報告と民間の瀬戸内海汚染総合調査団の調査結果との間に大きな食い違いが出ている等、まだまだ多くの問題を残しているのであります。今月末に出される中間報告での内容が懸念されるのでありますが、現段階において政府は瀬戸内海の安全度合いをどのように評価しておるのか、率直なる見解をお伺いします。これは環境庁と、それから水産庁——水産庁も調査しているあれなんですから、きょうは水産庁長官もお見えになっていますからその点もあわせてお伺いしたい。
○説明員(小川洋二君) 先生御指摘のとおり、五月十八日に検討委員会を開きまして、四十九年度に実施いたしました調査の概要について発表されたわけでございます。調査の結果は別といたしまして、総合検討委員会の方の御意見の中にも幾つかの今後調査を継続すべき問題点が御指摘いただいているわけでございます。その第一は生物相の変化でございます。もとより生物相に与える影響と申しますのは、やはりライフサイクル的な機関で調査をしなければならないだろうと。それで当初からかなり継続的に調査を実施する必要があるのではないかとわれわれも考えていたわけでございますが、御指摘いただいたわけでございます。それから水産物に対します生理、生態の実験につきましてもやはり継続的な調査が必要かと思うわけでございます。それから油の自然の浄化機構というものをさらに詳しく解明するためには、油分解に関与いたしますバクテリアの働きなども調査しなければならないだろうと。主要な点を挙げますとこのような点が今後の問題点として御指摘いただいているわけでございまして、われわれといたしましても、こういうような御指摘いただいた事項につきましては、さらに必要があれば、継続的な調査を実施したいと考えているわけでございます。 なお、一部、民間の調査の結果と違うという御指摘でございますが、調査の手法そのものにも非常に異なる点が見られるわけでございますが、そちらの方の調査で指摘されております、たとえば魚の不漁とか、そういうようなことはわれわれも承知しておるわけでございます。ただ、今回の調査の中でそれらの不漁の原因とか、そういったものと水島の油との関係、これが証拠立てるような調査結果は目下のところ得られていないと、こういうのが実情でございます。
○政府委員(内村良英君) 今般の環境庁を中心といたします総合的な影響調査の中で、水産庁は流出油が生物に与えた影響についての調査を担当したわけでございます。そこで水質、底質の状況、生物相の変化、生理、生態実験等から総合的にまとめてみますと、現段階までに判明したところでは魚介類等には顕著な変化は認められないという結果を得ております。しかしながら、先生からも御指摘がございましたように、比較的短期間の調査でございますので、今後、長期的な影響も考えられますから、引き続き水産庁といたしましては調査を実施し、十分にフォローしていきたいと思っております。
○原田立君 ぜひ継続してやっていってもらいたいと思う。いまもお話がありましたように、八大学が中間報告をしたその中にも、五項目にわたってるる述べられているのが新聞に出ているわけでありますが、政府のただ単に安全だなんていうだけでは、現地漁民が納得しないということがマスコミ等で報道されているわけでありますが、今回の調査結果によると、水質、魚介類への後遺症はない、こう言っているのですね。全然違うわけなんですよね。五月十六日に発表された京大など八大学の研究者による三菱石油水島製油所重油流出事故による瀬戸内海汚染総合調査等の中間報告と、政府側の調査報告と大きな食い違いがある。どんなことかということは、あなた方専門だからおわかりだろうと思いますが、一例を挙げれば、「漁場に与える影響」として、「漁獲が昨年の三分の一以下に減っている。とくに事故後の十二月下旬から二月上旬にかけて備讃瀬戸で産卵する春魚のイカナゴの魚獲の減少が著しい」、あるいは「タイなどの回遊魚の入り込みが少なく、例年は日に七、八十匹とれるタイが、一、二匹しかとれない」、あるいは「藻場に付着しているモエビが激減している」、「貝が多量に死んでいる」、「赤潮が例年より早く多発している」、「汚染が進むと増えるニベが目立つ」など、事故後の漁場の現象を指摘しているわけであります。これらは専門の環境庁あるいは水産庁は、十分その意見等承知はしているだろうと思いますけれども、水産庁長官の、今後も引き続き継続して調査をすると、こういう言を信用して質問を進めたいと思うんですが、環境庁も何かそこいら辺は引き続き調査するというようなことを言っているけれども、これは四省ですか、一省三庁ですか、そこら辺で調査しているようでありますけれども、今後も継続して調査を進めるのかどうか、この点はいかがですか。
○説明員(小川洋二君) 先ほども申し上げたわけでございますが、今度の調査で、期間が短かったこと等もございまして、なお調査する必要のある事項が幾つか残されていると思うわけでございます。したがいまして、関係のそれぞれの分野を専門に担当しております各省庁と御相談の上、さらにこの調査の内容等を決めまして、継続的に調査を進めたい、こう考えているわけでございます。
○原田立君 水島事故が昨年十二月十八日に起き、そうして流出重油が七千五百キロリットルまたは九千五百キロリットルと言われているわけでありますが、特に流出したC重油には、発ガン物質のベンツピレンが含まれていることや、毒性が十分に解明されていない油処理剤、いわゆる中和剤が海域によっては大量に使用されておるのでありますが、油処理剤の使用方法を再検討することや、魚介類の生理、生態への影響については、これはどうなのか。これ非常に心配な点なんでありますけれども、いかがですか、環境庁。
○説明員(小川洋二君) そういう御指摘もございまして、油処理剤につきまして、厚生省の担当で調査いただいたわけでございますが、瀬戸内海からとれた魚の中のベンツピレンを調査したわけでございますが、全検体から発見されてなかったわけでございます。また、水質、底質中の処理剤につきましても、これは主として環境庁が担当したわけでございますが、調査いたしましたが、一月、三月の時点でいずれも発見されてないわけでございます。
○原田立君 私は、今回の調査報告を知るにつけ、あらゆる調査結果に基づき出された結果であれば、これ以上の喜びはないわけでありますが、しかし、地元関係漁民や一部の委員の意見、また独自の調査研究グループの意見と大きく食い違う結果が発表されたことについて、まことに残念に思っている次第であります。 そこで、具体的な問題について伺いますが、今回の調査の予算額、調査方法、継続調査の見通しの三点について簡単に発表してください。
○説明員(小川洋二君) 水島の流出事故は、当初拡散の過程で養殖漁業等に重大な影響を与えたわけでございます。それにも増しまして流出した油が水中に分散しあるいは海底に沈降する等によりまして、今後にいろいろな方面に影響を与えるだろう、こういうことが当初予想されたわけでございます。影響の範囲が非常に多岐にわたるであろうと予想されたこともございまして、十四項目にわたる調査を実施したわけでございます。 まず、汚染実態調査といたしましては、海域の水質、底質、これは環境庁、海上保安庁が担当しまして実施する、それから海岸それから河岸等に油が漂着しているわけでございますが、その岸辺近くの汚染状況を建設省が担当し、実際に踏査して汚染の程度などを調査したわけでございます。 それから象介類等環境影響調査、これがこの調査の主要な部分をなすわけでございますが、水産庁に御担当いただきまして調査したわけでございます。その中身といたしましては、沖合いと沿岸に分けまして魚介類の成育環境を分析調査を含めまして実施した。それから油の魚や貝類にどのような生理生態的な影響を与えるかということで、実験調査をしている。それからバクテリア等によります油の分解機能、これは海域におきます油分解バクテリアの発生分布状態などを調査している。それから魚介類着臭状況調査、これは実際に官能試験によりまして着臭状況を調査したものでございます。 その他の項目としましては、通産省の大型水理模型を用いまして、水中に分散した油がどのような範囲に広がっているだろうかということを実験的に予測する調査、それから漂着油の除去技術の検討、これは環境庁が担当いたしまして、実際に海岸に漂着した油の除去に非常に困難な、技術的にむずかしい点がいろいろあったわけですが、この検討委員会の検討結果を現場の作業に生かすという趣旨の検討を行ったわけでございます。 それから油に汚染されました魚介類のチェックのために、市場に出回る魚をサンプリングして、先ほど御指摘のありましたベンサピレンそれから石油類の分析調査、それから油の人体影響に関する研究としまして、ラット、それからマウスを用いまして油を強制投与いたしまして健康状態を調査する、これは厚生省の担当でございます。 それからこれらの調査の取りまとめといたしまして、環境庁が担当して検討委員会を設置して、これらの調査結果を取りまとめると、こういう体系的な調査を実施したわけでございます。総枠は一億一千六百万ということで実施したわけでございます。
○原田立君 播磨灘の赤潮はこれまでは六月末から七月にかけて発生していたそうでありますが、それがことしは一カ月も早く出始めたということは、重油の汚染が原因としか考えられないとの地元漁民の声があり、また検討委員会の委員の一人である香川大学教授の岡市氏も、〇・〇二ppmの薄い濃度の重油でプランクトンが最も増殖すると指摘しており、重油の濃度とプランクトンとの関係による実験結果からも、五月下旬の赤潮発生に関しては、重油流出の影響は見逃すことができないと強調しておりますが、この点に関して突っ込んだ検討は委員会ではなされたのかどうか。またデータ不足などと片づけるのではなく、一刻も早く、被害を受けた漁民の立場に立って原因調査をすべきであると思いますが、いかがですか。 それから、新聞報道で私は知っただけでありますけれども、いまも申し上げたように、データ不足で赤潮の問題については報告に触れてないと、こう決めたそうなんですが、だけれども、私はこういうふうな疑いのあるものであるならば、当然報告に載るべきではなかっただろうか、こういうふうに思うわけでありますけれども、その点はいかがですか。
○説明員(小川洋二君) 確かに検討委員会の席上で、今回播磨灘で発生しました赤潮との関係がかなり討論されたわけでございます。その背景といたしまして、現在のこの調査の調査結果から見まして、播磨灘の一部でプランクトンの生物相に若干の変化があったということでございます。また岡市先生の方の研究で油が〇・〇二ppm存在したときに、赤潮生物が増殖がよくなると、こういう研究結果もあるわけでございます。そういうことで、当初からその関係を御検討いただくために岡市先生に総合検討委員会のメンバーにお入りいただいて検討したわけでございます。ただ、今回の調査が、赤潮を含めた生物相の調査を実施しているわけでございますが、岡市先生の実験のように、直接的な水島の油とそれから播磨灘で五月に発生しました赤潮との関連を調査しているわけでないわけでございます。まあそういう観点からこの取りまとめの方には赤潮との関連が、あえて触れる必要はないだろうと、この調査の範囲からでは触れる必要はないだろうと、こういうような討議の結果、結論を得まして、赤潮には総合的な取りまとめの中では触れてないと、こういうような実情になっているわけでございます。
○原田立君 今回の総合調査は、ただいまもお話がありましたように、一億一千六百万円をかけて実施され、世界にも例のない重油汚染の総合調査であり、注目もされているところでありますが、幾ら莫大なお金をかけての大規模な調査であるにせよ、調査結果にあいまいな点が残されることは問題であろうと思うのであります。特に、ただいまも問題にしました赤潮との因果関係や魚介類の生理、生態系に及ぼす影響に関しては、さらに長期にわたる調査研究が必要であると思うのであります。今後、徐々に出てくる影響を考えると、大変心配であるし、この赤潮対策については継続して調査すると、こういうことでよろしいですか。
○説明員(小川洋二君) 先生御指摘のように問題点も幾つか、今後、調査すべき事項も総合検討委員会の方から御指摘いただいてるわけで、当然その生物相の今後の変化を継続的に調査する必要がある、当然その中には赤潮の問題も含めまして、調査を継続すべきではないかと考えておるわけでございます。
○原田立君 ないかと思いますじゃなくて、漁民が、その赤潮のことを取り上げてないのは非常に不満に思っているんですよ。マスコミのテレビでも新聞でも出ているんです。だから言っているわけなんです。ぜひ取り上げてもらいたい。いまの答弁では取り上げるということだからそれで了解します。 調査委員会の報告にも、油処理剤の適正使用量、赤潮を含めた生物相の変化状況、あるいは油による魚介類への生態実験の三点を特に、今後とも継続調査の必要を強調しているわけでありますが、この継続調査を行うのか、この継続調査を具体的に今後どのような計画で実施するのか、予算、期間等について決まっていたら発表願いたい。
○説明員(小川洋二君) 総合検討委員会の結論を得た上で、その結果を踏まえた上で、今後の調査計画を検討していきたいと考えているわけでございます。なお、まだ予算措置はとられてないわけでございますが、既定の予算の中で一部継続的に実施している分もあるわけでございます。先ほど先生から御指摘のありました油の人体に及ぼす影響調査はいま継続実施中でございます。それから環境の影響に関しましても、環境基準の監視の調査の際、あるいは底質調査の際に一部継続実施しているような状況になっております。
○原田立君 水産庁長官、ちょっと場違いな質問かどうかと思うんですけれども、たとえばああいう瀬戸内海ですね、その岡山県の水島にああいう工場を建てたと、そうすると油の流出事故なんか起きれば、当然対岸の香川県なんかが影響を受ける、そういうことで、あすこの瀬戸内海沿岸の八県が合同していろいろと協議をしている。ここまでは結構なんだけれどもね、その工場の設置とかコンビナートをつくるとか、そういうときに万が一、起きる事故——事故が起きたら大変なんですから、そういうことを予測して水産庁も、瀬戸内海沿岸の工場新設等については、当然その責任ある官庁として一枚加わって、そうしてその施設をつくることの適否等を意見を言う、生産者の立場から意見を言うと、こんなふうにしたらばどうかというふうな意見を私は持ってるんですけれども、これは個人的な意見ですけれども、いかがですか。
○政府委員(内村良英君) 現在原子力発電等につきましては、設置する場合に関係の省庁として水産庁入っております。ただ一般の工場が建つ場合につきましては、水産庁として意見を述べる場所を現在持っておりません。
○原田立君 意見を言う場を持ってないと。その持ってないことは大変まずいんじゃないのか、あった方がいいんじゃないのか。また、ある大学の先生そう言ってましたよ、当然その意見を言う機会を持つべきだということを。いま原子力にはあるけれども、そのほかにはないと言うけれども、ああいう水島みたいな大型な石油コンビナートですね、あれなんかつくるときには、意見を言う機会を持った方がいいと思いませんか。
○政府委員(内村良英君) 埋め立て等で漁業権の問題がからんでる場合には、県からも相談がございますし、漁業権放棄等につきましてはいろいろ意見述べているわけでございますが、一遍埋め立てができて、そこへ石油のタンクができるというような場合には、今日まで水産庁としては意見を申し上げる場は持っていないわけでございます。しかし、まあ今後、沿岸漁業の振興ということを考えました場合に、先生のただいま御指摘のあった点は非常に重要な問題でございますから、慎重に検討してみたいと思います。
○原田立君 最後に補償の問題についてお伺いしますが、いままでの三菱石油の補償は重油流出事故が原因で被害を受けた漁民に対してのみの補償であったと受けとめておりますが、今後、重油流出事故の後遺症がはっきりした場合はどのような補償方法をとるのか、原因者負担の原則に基づいての補償となるのか、その点はいかがですか。これは水産庁長官と農林大臣にお伺いします。
○政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘がございましたように、水島重油流出事故による漁業被害の補償は、汚染者負担の原則にのっとりまして、当事者間の話し合いによって、本年五月末までに一応の決着を見たわけでございます。 そこで、流出油によりまして今後、影響が出てまいりましてその被害が、明らかに流出油に基づく場合の補償問題については、再度協議して定める旨を三菱石油と関係漁協の協定書において取り決めておりますので、当然これによって処理されることになると思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま水産庁長官が述べたように、やはり原因者負担の原則は、被害については貫かれるべきだと考えます。
○委員長(佐藤隆君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。 —————————————
○委員長(佐藤隆君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 飼料の品質改善に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十分散会