農林水産委員会 第9号
- 発言数
- 204 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/03/27
会議録
○委員長(佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨二十六日、安井謙君が委員を辞任され、その補欠として初村滝一郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(佐藤隆君) 畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 前回に引き続き本案の質疑を行います。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○鶴園哲夫君 前回に引き続きましてお尋ねをしたり、またいろいろ提案をいたしたりしたいと思っておりますが、初めは、時間をたっぷり、五時間程度時間を持ちましてやりたいと思っておったんですけれども、半分くらいになりまして——私は、畜産行政全体について大変疑問があるし、それから、ここでやはり畜産行政というのは根本的に考え直す段階に来ているんだという考え方に立っておるわけです。ですから、その点をもう少し突っ込んで論議をしたりしたいと思っておったんですが、十分できませんで残念なんであります。が、ただ、この間申し上げたことを結論的に申し上げますと、畜産行政というのが、言うなら大規模化ということを、大変大きな迷信的な考え方を持って遂行してこられた。中小家畜については、確かに大規模化の成果もおさめてきたけれども、しかしそれは同時に、農民の手の届かないような畜産にどんどん移行しつつある。こういう状況だと思うんです。のみならず、これが環境の破壊という問題、公害という問題、さらに耕種農業と切り離された農業にますます発展したために、その矛盾を大変に深めておるというふうに私は考えております。それから、大家畜につきましては、大規模化の問題については、限界に来ちまっているという考え方を述べたわけです。その中で、特にいま問題になっております肉牛の問題につきますと、これはもう大変問題がある、こういうふうに思っておるわけです。ですから、ここで、そういう問題についてもう少しやりたいと思うんです。時間がありませんで残念なんでありますが、そういう前提に立ちまして、あと二つほどの問題についてお尋ねをしたいと思います。 一つは、肉牛の振興法を制定すべきではないかという考え方であります。で、まあ畜産行政は、肉行政としてはこれ非常に、反面にあっては大変質的な低下をもたらした。三十五年ごろで言いますと、農業基本法ができて、選択的拡大ということで畜産が大きな柱になる。そのころの肉というのは牛肉が半分ぐらいだったですね。それがもう大変な勢いで落っこっちゃっている、質的には。ですから、食肉行政としては、質的にはこれはもうとんでもない低落をした。さらに牛肉の中でも、乳廃牛が三分の一以上を占める、さらに、その乳雄もこれまた三分の一を超す。和牛そのものはどんどんちっちゃなものになっちまっているということで、牛肉そのものをとってみましても、質的に非常な低下を来たしているという点を私は、もういつも残念に思っておるわけなんです。 〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕 しかも、この肉牛については、いままでほとんど手を打たなかったと言ってもいいんじゃないかというふうに考えておるわけなんです。で、三十五、六年ごろからの、この肉牛行政についてどういう施策をとってこられたのかというのを見てみましても、はなはだ貧弱なんです。三百万頭近くおったものが、がたがた、がたがた減ってきて、百五十万頭まで減ってくる、その間にどういう政策をとられたかと言いますと、ほとんどこれという政策とっておられない。やっと一昨年あたりから、少しばかり肉牛行政、肉牛についても幾らかの政策がとられてきたというような状態になっているわけですね。ですから、私は、肉牛の振興法というものをここに立てるべきじゃないかと。六十年を展望した食糧政策の問題にいたしましても、あるいは長期見通しにいたしましても、肉牛については非常に大きな地位を占めておるわけです、畜産の中には。ですから、そういうものを遂行していくためには、ここでやはり肉牛振興法というものをつくる必要があるというふうに私は思っているわけです。 そこで、まず第一番目にお伺いいたしたいのは、これは肉牛の場合に重要なのは、子牛と素牛と、それから飼料というふうに言われるわけですが、その素牛についての価格安定対策というのが、肉牛については四十二年にできている。それから乳雄につきましては、四十七年にこの制度がとられている。そして国が二分の一の金を出し、県が四分の一の金を出すという形の中で、安定基準価格がつくられて、それを下回った場合には、その八割、下回った分の八割を保証する。こういう政策が行われておるわけなんです。しかし、このことがどういう効果をおさめたのかという点については、非常に大きな疑問があるというふうに私は考えております。そこで、ここで例といたしまして、四十五年に、乳用の子牛の保証基準価格は八万円なんですね、四十六年も八万円です。農林省が発表いたしております子牛の生産費というのは十四万七千円、四十六年が十六万二千円と、こういう形になっているんです。ですから、生産費をもう割って割って、はるかに低いものが基準価格になっているというふうに見受けられるわけです。さらに、四十七年で言いますと、基準価格は十万二千円、生産費は十七万という形になっておりますね。それから四十八年は基準価格が十万二千円です。そして生産費が十九万円。四十九年になり・まして、十九万五千円という保証価格になっております。まあ子牛の値段が三十四万円まで上がったわけでありますから、十九万五千という基準価格ができたのも当然だと思うんです。しかし、いままでの経過を見ますと、これは、保証価格というものをつくってあるけれども、一体どういう効果があったのかという点については、これは全然問題がある。ですから、子牛の価格安定についての事業を、畜産局としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。生産費とばかにかけ離れたような保証価格をつくってみて、一体役に立つというふうに考えていらっしゃるのかどうか。そういう点から私は、やはり肉牛の振興法というものをつくるべきだという一つの論拠にしたいわけなんです。どうも、食肉行政というのは、べらぼうにおくれているんじゃないかと思うんですね。これ御意見をひとつ聞きたいんです。
○政府委員(澤邊守君) 肉牛関係の施策が、畜産政策全体の中で弱いという点の御指摘は前回もございましたが、確かにわが国の肉牛は、役肉兼用という、むしろ役を主とした形で長年来ましたので、それが機械の導入とともに急速に減る、それにかわって肉目的の飼育が始まると。それがまだ、技術の問題あるいは土地条件の問題等から、必ずしも順調に伸びておらないということのために、そういう大きな転換に際会いたしましても、国の行政も、それを十分バックアップして促進するだけの力が発揮できなかったという点は、われわれも認めざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。 そこで、お尋ねの子牛の価格安定制度でございますが、これは子牛の価格が低落したとき、生産者に価格差の補てん金を交付する基金制度を、和牛の子牛につきましては昭和四十三年度から開始をいたしております。 〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕 それから乳用雄子牛につきましては、昭和四十七年度から実施をしてまいっておりまして、現在和牛子牛につきましては二十八県、乳用雄子牛につきましては二十六県において、この制度が実施されておるわけでございます。 それで問題になります補てん金を交付する額の基準となる保証基準価格につきまして低過ぎるじゃないか、最近の市場価格の高騰とコストの上昇要因を考えますと、低過ぎるのではないかという御指摘でございますが、われわれも生産費等も考慮いたしまして、基本的には、過去の子牛価格の趨勢を見ながら、当該年度の価格を想定し、そこから一定の変動率を利用しまして、若干下回ったところを保証基準価格として決めておるわけでございますが、全国平均で四十九年度は十九万五千円、その前年に比べますとかなり大幅にふやしたつもりでございます。乳用雄子牛につきましては、七万九千円という価格が全国平均になっております。これに対しまして国並びに畜産振興事業団から一定の助成をいたしておるわけでございます。この価格水準は、四十九年度からかなり大幅に引き上げましたものの、なお低いのではないかという御意見でございますが、まあ子牛の生産費調査を見ますと、四十八年度、その後のえさの価格その他がございますから、そのままとるのもいかがかと思いますけれども、御参考のために見てみますと、四十八年度の子牛の生産費の第二次生産費を見ますと、十九万一千円ということになっております。第一次生産費は十六万八千円ということになっておりますので、その辺から見まして、その後の値上がりはございますけれども、これは下支え価格という点から見ますと、今後実情に合わせまして、適正な引き上げは図っていく必要があると思いますけれども、現状において、そう極端に低過ぎるというほどのこともないのではないかというようなふうに考えておりますが、今後の価格の動き、生産費の動きを勘案して、十分下支え価格として経営に対して意味のある水準に定めていきたいというふうに思っております。 なお、今回枝肉につきましては、価格安定制度の対象として買い上げをやるわけでございますが、これは枝肉価格安定制度ができますことによりまして、子牛の価格自体も安定し得るという効果が出るのではないかということを期待をいたしておるわけでございます。と申しますのは、昭和四十七年から八年にかけまして、非常に枝肉が価格が高騰いたしました。そのときたとえば、四十八年の秋が、たしかピークだったと思いますけれども一枝肉価格が非常に高騰したからということで、肥育農家がかなり子牛の導入に積極的に動いたわけでございます。そのために子牛価格も非常に高くなったということで、これは乳牛の雄の子牛価格も、和牛の子牛価格も同じでございますけれども、著しく高くなった。それがその後四十九年に入りましてからの価格の低迷とか下落ということに伴いまして、販売価格は非常に安くなる、半面販売する肉牛の素牛を幾らで購入しているかと見ると、非常に高い価格で入れたものを二カ月以上肥育をして出したときに、予想しない大きな赤字を出したということが、昨年の肉牛経営の不振、困難というものの一つの原因になっておるわけでございます。これはそういう高い子牛を当時入れるということが、非常に危険であるということにつきまして、農林省としては振り返ってもう少し警告をし、余り子牛価格をつり上げないように、そういう高いものを導入しないようにという行政指導をすべきであったという反省はいたしておるわけでございますが、結果においてそういうことになりました。 したがいまして、今度、牛肉の価格安定制度ができますと、牛肉の価格というのは、上位価格は大体この辺で政策的に抑えられると。そういう上位価格以上に、ときに上回ることがあっても、常時上回るということは政府の需給調整政策によりまして余りない。したがって、牛肉価格が将来極端に高騰するということはないというような認識に立ちますと、それをめどにいたしまして子牛の導入を図っていく。著しく高い子牛を導入いたしますと、それが枝肉として販売した場合十分ペイしないということが肥育農家の方にもめどとしておわかり願えるのではないかということになりますと、子牛価格が極端に高騰するということが抑制できるのではないかというようなことも考えておりますので、もちろん、牛肉価格と子牛価格は絶えず敏感に連動する——完全に連動するというものではございませんので、どうしてもやっぱり子牛価格の方が変動が大きいものでございますから、現在やっております基準制度も牛肉の安定制度ができましても引き続き継続をし、さらに強化をしていく必要があるというふうに考えておりますけれども、牛肉の価格安定制度ができることに伴いまして、子牛の価格の安定にも資し得る面が新たに加わってくるというふうに考えておりますので、両制度相まって子牛の価格の安定に努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○鶴園哲夫君 私はいまお話しの四十九年度のお話もともかくですが、四十八年度で言いますと、保証価格というのが生産費の半分、生産費の半分が保証価格になっている。あるいは四十七年度にいたしましても、半分近い、四十六年もまさに半分というところに保証価格が決められている。ですから、一体どういう指導をやっておられるのかという点ですね。保証価格というのは、生産費の半分以下に決まっているというんじゃ、これはどうにもならぬじゃないか。ですから、この子牛の価格の安定のために、今後とも安定制度というものは維持をし、そしてさらに強化していく、そしてまた肉牛を飼うと。価格の安定を通じて子牛の価格も安定していくだろうというお話ですけれども、従来からの経緯からいって、余りにもひどい保証価格の決め方をしてきた。もしこれが二、三頭飼いや四頭飼いのものでなくて、豚や鶏みたいに、大量に飼っているようなものであったとすれば、大規模な経営であったとしますと、完全につぶれちまうですよ、これ。二頭や三頭、四頭飼いになっているから、だからそれは何となく維持できたと思うんですよ。何となく維持できた。これがちょっと大きな規模のものだったら成り立つわけがない。これは、ばたばたとつぶれちゃうですよ。ですから、私は、この子牛の保証価格の問題についてはもっと生産費との関連において適切な指導をやるべきだ。今後とも十分これは従来の経緯にかんがみて、指導をやっていくべきだということを強調し、また要請をしておきたいと思っております。 この四十九年度の保証価格というものを十九万五千円に決めた、これはいつお決めになったんです。またどういう形によって決まるんですか。たとえばお話のように、肉牛については、二十八の府県に安定基金協会ができている。それには国が半分の金を出しているという場合に、いつこの価格をお決めになって、どのような各県に対する指導をしていらっしゃるのか。余りにもおかしいじゃないか。どうも、食肉行政、特にこの牛肉行政というのはひどいですな、これ。
○政府委員(澤邊守君) 四十九年度予算から和牛子牛の場合は十万二千円から平均十九万五千円に引き上げたわけでございますが、これを実際に各県ごとに配分をいたしまして、各県ごとに若干体重とかあるいは肉牛の質等によりまして、差がもちろんございますので、それらを決めましたのが、たしか、正確にいま覚えておりませんけれども、昨年の七、八月ごろだったかと思いますが、もちろん年度当初にさかのぼって、その基準価格によって補てんをするということでございますので、実際の補てん金の交付はおくれてまいりましたが、各県の基金とも四月にさかのぼって、ただいまの基準価格と実際の標準的な取引価格との差の八〇%まで補てんをするということが行われることになっております。
○鶴園哲夫君 五十年度はどのようにお決めになるお考えですか。さきおとといですが、二十四日の日に農林省が、三月の二十四日ですね。四十九年度の子牛の生産費を発表していらっしゃいますですね。ですからすでにこれはまあ四十九年度のものになるのでしょうが、五十年度の価格安定、子牛の価格安定保証の保証価格というのはどのようにお決めになるお考えですか。
○政府委員(澤邊守君) 四十九年度の、いまの御質問にお答えする前に一言付け加えさせていただきたいと思いますのは、四十九年度の支払い推定額は、和牛子牛の場合は、約二十億円、それから乳牛の雄子牛につきましては約六億円が予定をされておるわけでございます。これが四月までさかのぼって補てんが行われるというのでございます。なお、五十年度の価格におきましては、一応予算上前年を据え置いております。昨年かなり大幅に引き上げましたので、今年度は据え置いておりますので、今後実勢を見た上で最終的に決めてまいりたいと思っております。
○鶴園哲夫君 どうも、ちょっと一年ずつずれでおるんですね、やはりこのことは肉牛についての情報のつかみ方、統計のつかみ方というのが、非常におくれているんだという感じがしてなりませんですね。その前も二年据え置いた形のものをとっておられるのですが、四十五年と四十六年は据え置きの形になっていますね、二年。それであと四十七年と四十八年も全く据え置きの形ですよ。もう一遍言いますよ。四十五年と四十六年は全く据え置き。八万——八万という保証価格。さらに四十七年と四十八年も全く同じ十万二千円——十万二千円という二年据え置き。まあ、ことしも従来のとおり二年据え置きと。こういう安易な姿勢じゃ困るですね。これは要するに、私は、肉牛についての情報——統計情報部というのがあるのですから、いまや情報部となっておるのですから、もう少し肉牛についての統計情報というものを正確につかんで、それに立ってお考えいただかないというと、もう安易に二年ずつ据え置いていけばいいでは。いままでそうなんです。四十五年と四十六年と二年据え置き、四十七年と四十八年も二年据え置き、今度もまた四十九年も五十年も二年据え置きでございます、という話じゃね、もう少し、いま私が申し上げたような形の上に立って指導をしてもらわないと。御承知のように、これはまあ畜産局の局長でも、審議官でも御承知のとおり、子牛のところは、完全には古い形の流通機構に乗っておるんですから。それから肉の卸のところと、それから小売のところと、ここだけは古い形の流通機構に乗っておる。直ちにここのところは左右されちゃうんですね。あたら農民がおるところはなかなか反映しないのですから、市況の反映というのは非常に遅い。ここのところはぴしっと敏捷に反映してくるわけです、子牛のところは。ここのところをはっきりしてくれなければ、農家としては困るわけですよ。それを安易に二年据え置きだ、ことしもまた二年据え置きだ。こういう安易な行政のやり方というのは、食肉行政、特にこの肉牛についての行政というのは、非常におくれているという点を私は追加して指摘をしておきたいと思うんです。ですから、もう少しこの点については正確にやってもらわないと、直ちにここのところに反映するんですよ、困っちゃうんですよ、これ。それで私は、肉牛のこの問題は、畜産局はこういうのは法制化したらどうかというふうに思うんです。これはあと、いろいろ畜産には法制化すべきものがある、その場、その場の間に合わせの予算措置でやっていらっしゃるけれども。これだけの事業になってきて、これを強化していく、きちっとしていくには、やっぱり法制化する必要がある。予算措置じゃだめだというふうに思います点を一つ。 それから次に、この肉牛の振興法の問題の中身に入りまして、私はこの際、先ほど来から繰り返して言っておりますように、これは、肉牛について非常に発展させていこうという気持ちが十分あらわれております。これは従来の食品、国内資源を尊重するという立場から、あるいはえさの非常な高騰という今後の見通しその他を含めてみた場合に、いままで衰退に衰退をきわめてきたこの肉牛について、今後、十年間の間に飛躍的に伸ばしていこうというふうに、はっきり意欲が出ておるわけですけれども、それを進めていく上には、これはやはり肉牛の振興法というものを考えていく必要があるというふうに思います。まあ、ことしは、畜安法の中にこの牛肉を指定品目の中に入れるということで手いっぱいだったと思うんです。ですけれども、すみやかに和牛振興法というものをつくるべきじゃないかと私は思っておりますが、これは今後酪農と似たような形でやはり振興地域というものをきめてみたり、あるいは濃密な指導をしなけりゃならぬでしょうし、あるいは取引の近代化という問題、合理化という問題も考えなきゃなりませんでしょうし、最もおくれておりますから。特にこの牛肉はおくれておりますから、ですから牛肉の取引の近代化というのを考えにゃならぬでしょうし、あるいはその加工施設の整備も考えなきゃならぬでしょうし、まあいずれのことを考えましても、酪農がいままでとってきた形のようなものを肉牛の場合にもやはりきちっと都道府県、市町村との関連の中で、前進さしていく必要がある。それなくしては、これから八十何%、十年の間に肉牛をふやす、年率四・八%ですか。というようなふうにふやすということはできないと思うんですね。ですから、従来のこの肉牛の政策の非常に不備であった点を急速に改めていくというには、価格安定の中に牛肉を入れるだけではなくて、肉牛の振興法というものをつくって措置していく必要があるという点を強調したいわけなんです、また提案をしたいわけなんです。提案となるとおかしいですね、ここで。ですから、そう考えておるが、局長なり大臣はどんなふうに考えていらっしゃるのかという点を伺います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も、かねてから持論として、この肉牛対策というものをもう少し強化しなければならないと、こういうふうに考えておるわけでありますが、一昨日からの鶴園さんの御意見等も拝聴をいたしまして、そういう私の考えも間違ってないし、これはうんと力を入れなきゃならぬという気持ちをさらに強めたわけでございまして、まあ今日までの肉牛対策につきましては、やはり行政の面におきましても、あるいはまた施策の面におきましても、予算の面におきましても、酪農と対比いたしてみますと相当格差があることは事実でありますし、鶴園さんが御指摘になりますように、畜産局が酪農局だとは思いませんけれども、しかし相当酪農に傾斜した形の行政の姿勢であったということもこれは、まあ否めないことじゃないかと、私は率直にそういうふうに思うわけでございます。したがって、われわれが志向するところの、六十年度における三百万頭の肉牛生産をやろうということになれば、いまのような行政のあり方、あるいはまた、この施策、予算といったことでは、これはもうどうにもならないと率直に私は思うわけでございまして、確かに今日まで、肉牛生産につきましては、飼料基盤の整備だとか、肉用牛の導入、生産団地の育成等、いろいろと生産振興対策もとってまいりましたし、肉牛の飼養頭数にしても、四十二年の百五十五万頭を底にして、まあ増勢には転じておるわけでございますが、しかし、最近における肉用牛の生産事情の変化や、あるいは需要、価格、国際市場の動向から見ると、従来のような生産振興対策では、長期的に安定をさして発展をさせるということはむずかしいわけでございまして、これはよほど、われわれ行政にある者の責任にある者が、力を注いでいかなきゃならぬし、そのために、私は農政審議会の、ひとつ御答申を得た段階におきまして、食糧の総合的な長期政策というものをこの際何とか確立したいと思っておりますが、その中の一つの大きな一環として、肉牛生産奨励対策につきましては、先ほどから申し上げましたような行政の面、予算の面、施策の面において思い切った転換といいますか、思い切ったことをやっていくという姿勢を、この際ぜひ打ち出したいと、実は本当に決意をいたしております。 そこで、まあ肉牛振興法を制定したらいいじゃないか、その基礎、裏づけとして振興法を制定したらいいじゃないかという御意見も、私はごもっともでもあると思うわけでありますが、ただ、法律をつくったからといって、今後の長期的な総合対策を行う場合において、それだけで事足りるわけじゃないんで、やはり先ほどから申し上げましたような、行政の姿勢も変えていかなきゃなりませんし、全体的にやっぱり思い切った施策というものを打ち出していかなきゃならぬわけですから、これは私は、ひとつ十分研究をさしていただきたい。法律につきましても、確かにこれは御指摘の点もわかるわけでございますから、研究をさしていただいて、そして食糧総合政策を打ち出す段階において、われわれのこの考え方というものをはっきり打ち出して御批判も得たいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○鶴園哲夫君 ぜひ、この問題については、ひとつ研究をしていただいて、そして——やはりお役所というのは法律をつくらないと本気にならないですよ。法律があって、そして一生懸命になるわけで、なかなかその場その場合わせの緊急対策みたいな形だけではとてもいかないですね。ですから私は大臣のいまの決意を伺っておって、その決意からいきますれば、当然、大臣の考え方としては、やはり肉牛の振興法というようなものを制定して、本気になるという姿勢を示しませんと、農民そのものもこれはどうも気合いが入らないですね、気持ちが入らないですね。ですからぜひ、答申が四月かには出るんでしょうが、肉牛の振興法というものをつくって、そしてお役所もひとつ新規まき直しで、肉牛の問題について取り組んでもらいたい。そして、わが国における食肉の質的な内容も高めてもらいたい。私は、三十五年ごろまでは肉と言ったら牛なんです、これ、和牛の肉だったんですよ。いまあんた、水っぽいブロイラーばっかり食わしてるんです、これ。しかも、牛肉も、じゃんじゃか、じゃんじゃか廃牛ですわ、これ。もう四〇%ぐらいになってくるんじゃないですか、乳廃牛が。質の悪いのを食わして。これは畜産局一体何してるんだと、日本の食肉の特色は牛肉にあったんですからね。これはぜひ、大臣の決意のほどを承りましたのでそういう方向に——肉牛の振興法の方向に持っていかれるに違いないと私は思っております。 次に、えさの問題についてです。これは私、簡単に言いまして、肉牛振興法の場合には、当然えさ工場の問題等についても配置を考えていかなきゃいけない。いま大型の大家畜の振興をすると言ったら地域は決まってくる。それぞれ、これはどうしても飼料工場等の問題についても、その振興法の中で考えにゃいかぬと思うんですが、いま私どもが考えてみまして、この間も申し上げたんですけれども、この飼料工場というのが、二十年前の形態をそのまま持っているんですね。これは当然港と関連したんだと思うんです。港に持ってきますから、輸入ですから。港の関係があって港のところに工場ができている。しかし、この二十年、十五年の間に港も根本的に変わってきました。御承知のとおりです。港も非常に変わってきたです。各地に非常に大きな港ができている。それから、大家畜というものは、もうどんどん、どんどん変貌してきました。にかかわらず、肉牛で言いますと、えさ工場というのは名古屋、大阪に集中している、北九州に集中している。二十年前はわかる、十五年前はわかりますが、ですが、もういまや大阪周辺とか、その近辺とか、名古屋の近辺なんというのは、牛はほとんどいなくなっちゃっているんですよ。そして和牛で言えば、あるいは肉牛で言えば、鹿児島と宮崎に四十万頭おる。日本の牛の二割以上というものが、二割三分か四分ぐらい、二割五分近いものが、いまや鹿児島と宮崎におるという状態になっちゃっている。にかかわらず、えさ工場の大部分は門司に集中している、大阪にある。そこから、えさを買ってこなきゃならぬということになりますと、一割から一割五分高いんですよ、現地でつくるよりも。鹿児島は鹿児島で、宮崎は宮崎でりっぱな港ができている。そういう問題についても考えなきゃならぬと思うんですが、これはいずれえさの問題がまた別に出ますので、そこでいろいろ伺いたいと思うんです。 えさの法案が出ますから伺いたいと思いますが、ただここで、えさの安定のために二つの政策がとられている。一つは、食管特別会計の中にえさ勘定というのがあって、その中でえさの価格安定に努力をしていらっしゃる。さらに、御安内のように、三つの基金があってそこでまた安定を図っていらっしゃる。その上に、五十年から新基金というものができて、そしてこれがこれから四年の間に八百億の金をもってえさの安定を図ろうとしていらっしゃる。で、食管特別会計の中に、えさの安定のために四十九年度一般会計から約五百億投じているでしょう、五百億。五百九十八億ですね。食管特別会計の中に、えさ価格安定のために約六百億の金を投じていらっしゃる。さらに片一方においては、いま親基金というものをつくって、これから四年の間に約八百億の金、政府はその半分、そして民間の方から半分という形で処理していらっしゃるわけですが、これは一体どういうふうに持っていかれる予定なのか。この四年間のやつは緊急暫定措置なのか、それとも今後ともこの二つで行かれるのか。私は、これも法制化する必要があると。これから八百億という金を使って価格の安定を図ろうと思うなら、これはやはり予算措置でやるべき措置の問題じゃない、法制化すべきだというふうに思いますが。食管特別会計じゃだめだと、これでいくんだというんならこれ一本でやってもらいたい。どうなさるおつもりなのか。大変ですよ、えさのために使っている金というのは。これじゃ、まるでアメリカの農産物を大変な援助をしているようなもんですよね。そうじゃなくて、私は、もっと自分の国でえさをつくるんだという積極的なやっぱり施策を、金の面にあってもすべきじゃないかというふうに思いますけど、どういうふうに持っていかれる予定なのか。
○政府委員(澤邊守君) いろいろな点についての御指摘があったわけでございますが、現在、流通飼料といいますか、濃厚飼料につきましては、大麦と小麦からできますふすまにつきましては、これは食管物資であるという点もございまして、あるいはまた、大家畜である酪農なりあるいは肉牛に主として使用されるという点も考慮いたしまして、政府操作の対象として、五十年度の予算におきましては七百二十八億の財政負担を実は予定をいたしておるわけでございます。 大麦とふすまは、そういうことでやっているわけでございますが、その他の濃厚飼料、主として配合飼料が大部分でございますけれども、これにつきましては、トウモロコシあるいはコウリャンという原料をほとんど一〇〇%近く海外に依存しておりまして、それの使用量が、えさの中でこの飼料需給安定法を制定いたしました当時と比べますと飛躍的に高まっております。これにつきましては、すでに自由化しておりまして、商社等の自由な輸入活動によりまして機動的な買い付けが行なわれ、従来は世界的な穀物市況が非常に安定しており、世界的に過剰ぎみであったということもございまして、非常に低廉に輸入をされ、これが畜産振興の一つの支えになったというように思うわけでございますが、これにつきましては、いま申しましたような事情でございますので、政府で特段の援助とか助成ということはやっておらなかったわけでございます。ところが、四十七年の後半から御承知のように世界的に穀物市況が逼迫いたしまして、価格がたび重なる引き上げを見たわけでございます。そういうことに対しまして緊急の対策といたしまして、民間の配合飼料価格安定基金に対します補てん財源の助成とか、あるいは農家に対します経営負担の軽減のための低利融資等を何回もやったわけでございますが、どうも先を見ますと、長期的に見て高値不安定という様相に変わらざるを得ないのではないかというふうに考えられますので、今後とも原料価格はかなり動くということを考えまして、この二月に、俗に親基金と言っておりますが、現在の民間三基金の上に立つ配合飼料価格安定特別基金というものを設けまして、異常変動の部分については異常補てん財源を三基金に交付するということを予算措置でやることにしておるわけでございますが、五十年度予算につきまして二十億を追加することによりまして、四十九年度の補正予算と合わせましてとりあえず八十億の国の助成を行いまして、四年間で八百億の資金を造成して、ただいま申しましたような異常補てんをやるという考えに立っておるわけでございます。 そこで、先ほど言いました政府操作飼料の七百二十八億と、この配合飼料価格安定特別基金に対します国の助成の予算、これの何といいますか、バランスといいますか、均衡という点からいたしましていかがなものであろうかというような御議論があるわけでございます。端的に申し上げまして、政府操作飼料につきまして食管の輸入飼料勘定に対します七百二十八億の財政負担をしている点が、それ自身は仮にいいといたしましても、他の飼料政策、配合飼料の価格安定に対します措置、あるいはその他の粗飼料の生産振興対策等とのバランスから考えまして、疑問が持たれておるわけでございます。そういう意見が最近出ておるわけでございまして、先般、畜産振興審議会の飼料部会を三月の十七日に開きました場合も、この点についてかなりの議論が行われまして、その結果、答申の中にそのような趣旨の、今後飼料勘定の運営の仕方につきまして、他の飼料対策全般との関連で検討すべき点があるというような趣旨の御答申をいただいたわけでございますので、われわれといたしましても、今後の課題だというふうに考えております。 配合飼料を中心といたします政府操作飼料以外の比率が非常にふえておる、それに対します価格安定対策、これは今度始めたわけでございますけれども、なお不十分である。いわんや他の自給飼料であります牧草その他粗飼料の生産振興に対しましても公共事業、非公共事業あわせていろいろやっておりますけれども、これをもう少しというか、さらに一層強化するためによりウエートをかけるべきではないかと。そういたしますと一現在の輸入飼料勘定に対します七百二十八億の財政負担という点も見直してみる必要があるのではないか、こういうような問題でございます。われわれといたしましては、今後研究すべき重要な課題だと思っております。まあ一部には、もちろん配合飼料の原料あるいは製品につきまして食管におきまして直接取り扱うべきだ、こういう御意見もごく一部にはあるわけでございますけれども、これは私どもといたしましては、生産財でございますし、現在やっております大麦なりふすまは、これは食管物資であることとの関連で、ただいま先生のおっしゃいましたように、アメリカに対して助成しているというような、そういう見方も成り立つような財政負担をしておるわけでございますけれども、これは食管物資以外にまで、トウモロコシなりコウリャンにまで広げてやるということにつきましては、機動的な買い付け、需給操作という点で現在、民間活動に依存して敏速にやられておるわけでございますので、それを国が直接大量に扱うということになりますと、果たして、うまくできるかという問題点、さらにこれをもし政府が直接管理するということになりますと、膨大な量でございますので、財政負担はもとよりのこと、組織なり国の定員というような問題にも直ちに響くわけでございますので、それらを考えますと、私どもといたしましては、現在の配合飼料を中心といたします食管物資以外の飼料穀物につきましては今回スタートした自主的な民間の三基金に対します国の異常事態に対します助成というものを、この制度を適正に運用しまして、必要な場合には、助成を強化していくということによって対処していくのが筋ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○鶴園哲夫君 この食管の中にあります価格安定のえさ勘定、これは役に立たぬと。食管物資である小麦と大麦であって、あと急速に飛躍的に伸びてきたトウモロコシ、コウリャンを中心とした配合飼料等を考えるというと、食管特別会計で扱っているものは役立たぬということのように受け取れるわけです。それが役立たぬということは、配合飼料が飛躍的に増大した反対としての、小麦なり大麦では処理つかぬということだろうと思うんですね。だったら、この食管特別会計というのはよしたらいいじゃないか。このために、これは四十九年は約六百億ですが、その前の四十八年は八十四億と、まあ莫大に増大してきている。さらにまあ五十年はいま局長のおっしゃったように、七百二十八億ということですね、大変な金になっておる。これ一体食管の中に入っている価格安定に七百億も六百億も金を投じているんだが、それが、えさの価格安定にどの程度の効果を持っているのか、非常に疑問に思うですよ。だから、こっちの方に、民間の三基金の上に親基金をつくって、そうしてそれを四年の間に八百億というでかいものにしていこうというお話だが、それじゃ——この食管特別会計の中には濃厚飼料の中の一二、三%しか持っていないわけです。これは、先ほど牛肉が二〇%だというお話でしたですが、ここじゃ一二、三%しか持っていないでしょう。しかも小麦と大麦だ。これはもう配合飼料に比べればまるでそれはもうすみっこのちっちゃなものだというような形のものでは、これは食管の中にある安定というものはあまり意味ないじゃないか。これは十五年前の話じゃないですかね。十年前ならこれは食管のこの中で大麦と小麦を握っておれば安定したということが言えるかもしれぬが、いまになって見て、こんな八百億なり六百億なりという金を使って効果ないじゃないか、一二、三%握っておったのじゃ。それを是正されようとするなら、それはコウリャンとトウモロコシというものをこの中に入れるということ、この食管特別会計の中に入れるということ。それは法律によってできるわけですよ、大臣が指定しさえすればいいわけですから。かつて、またいままでもずっと入れているでしょう、数は少ないですけれども、ずっとコウリャンだってトウモロコシだって六万トンぐらいずつずっと入っていますよ。私のところに、四十六年からの数字がありますが、ずっとコウリャン、トウモロコシ合わせて大体六万トンというものが入っています。これをもっとふやして、そしてまあ、牛肉の安定のためには二割程度は握らなければいかぬとおっしゃったが、全体の濃厚飼料の中の二割程度握るという程度になさるのか、どうもはっきりしないですね。私の感じでは、えさに対する基本的な考え方がきまっていない。いままでの惰性に流されている。単に商社の流れの上に乗っかっているにすぎないという感じがしてしようがないですね。そしていま局長のおっしゃった、これだけの大きな金使って、これ大変な金ですよ、これだけの金を使って畜産に投じたら大変です。えさを七百億使ったら、畜産局の予算は一体幾らあるんですか。七百億の、食管会計に一般会計からえさのために持ってくる、あとほかの基金ですね、親基金、それからその下にある民間の基金なんか合わせたら、えさのための費用なんていうのは、これはべらぼうなものです、これ。ちょっと常識じゃ、とんでもない話ですね。ですから、日本の本来のこれから考えていかなきゃならない、日本の、自分の国のえさをつくるということについては、全然問題になっていない。 局長、これはこれからの重大問題だとおっしゃるけれども、そのとおりだと思うんだけれども、えさ対策は根本的に検討しなければだめですね。ぼくは根本が好きなんだ、何でも。特に畜産はむちゃくちゃですな。どうなんですか。局長、お宅の食管会計は従前のままでいいんですか。役立たなくなっているんじゃないですか、これ。
○政府委員(澤邊守君) 食管会計の中の飼料勘定における需給操作が役立たなくなっているとまでは私は申しませんけれども、それなりにかなり国際価格から比べて財政負担をして安売りをしているわけでございますので、それを購入している農家自身は非常に役立っているという意味では、機能を果たしているわけでございますけれども、国の飼料政策全般の中で、先生御指摘されましたように、大量なシェアを現在占めておりますトウモロコシ、コウリャンを主原料といたします配合飼料なりあるいはさらに広げていきますれば、自給飼料に対します各種の政策という中で、政策的なバランスから見ていかがか、とこういう議論が出されているわけで、われわれもその点今後、真剣に検討すべき問題だというように思っております。 最近、価格が非常に高騰いたしましたにかかわらず、売り価格は非常に据え置きなり、あるいはほんのわずか上げる程度にとどめておりますので、他の配合飼料価格と比べまして、非常に割り安になってきておる。割り安でございますので、配分を受けている方は非常に喜んでおられますけれども、従来使わなかった方も価格関係が非常に有利であるだけに、政府操作飼料を新たに欲しいという方がおられるということで、配分にも非常に実は苦労しておるという面もございます。やはり、配合飼料価格と政府操作飼料価格の、利用する農家が買う価格が、市場価値と比べて余り極端に人為的に差ができるということは好ましくないというふうにも思いますし、先ほど言いましたえさ対策あるいは畜産政策全体の中での、財政支出の配分との均衡という点からいたしましても、繰り返し申し上げて恐縮ですが、非常に問題がございますので、その点は今後早急に研究をいたしまして、検討いたしまして、是正すべき点は是正すべきだというふうに思っております。まあトウモロコシ等につきまして、食管の輸入飼料勘定で直接扱うべきではないかという御議論もございますけれども、トウモロコシについては、過去に若干扱ったことはございますけれども、そもそもの考えは、食管物資である小麦なり大麦とは違いまして、港湾ストとか、その他異常な事態に備えて需給調整用に政府が持っておるということで買った例もあるわけでございますが、これは大量になりますと、相当持たなければ、これまた意味がなくなりますし、これは政府が持ちますと、品質管理上かなり大麦等は小麦に比べまして問題がございまして、かつて買いましてから売るまでに品質が低下をいたしまして、非常に苦労した経験もございます。そういう点もありますし、むしろ昨年から——四十九年度から他の備蓄対策とあわせて考えておりますように、民間に協力をしながら備蓄をしていくということによって需給調整用は確保していくというやり方で、流動保管といいますか、しょっちゅう更新しながら保管を、一定時点を見ればいつも同じ程度の所要の保管量があるというようなやり方をするためには、政府が持つよりは民間の方がやりやすいという点もございますので、そのような方向で考えておるわけでございます。 いずれにいたしましても、この輸入勘定につきましては、いろいろ問題がございますので、先生御指摘ございましたような総合的な財政の配分の問題一あるいは価格体系の問題、あるいは需給調整の問題という中で早急に検討をしてみたいというふうに考えております。
○鶴園哲夫君 時間が参りまして、いま局長のおっしゃいましたように、牛に限って言えば、大麦で大変お世話になっているわけだ、食管特別会計に。えさ勘定で。四十九年、去年で言いますと、トン当たり五万七千円で外国から買ってきて、それを実際約三万円で肉牛農家に対しては払い下げてあるわけで、しかも、大麦が牛には大変効果あるわけですからね。最後の二カ月か、三カ月は大麦をいっぱい食わせるわけで、大変お世話になっているわけだ、この食管特別会計に。これは、だからやっぱり必要ですよね。だけれども、余り数が少ないものですから、おっしゃる配合飼料の面については、まことに不備なんですね。コウリャン、トウモロコシですね、それから特に大麦については大変お世話になってるわけですよ。百十万トン、百十五万トンあれば大変いいわけですわ。——まあ、もう少しと思いましたてすけれども、そこのところひとつ私の言い方に少し不足の点がありましたからつけ加えまして……。 えさの問題については、いずれ、えさの法案が出ますので、また改めてその際にお尋ねをすることにいたしまして、ここで終わりたいと思います。どうも。
○相沢武彦君 最初に、きのう農林省が畜産振興審議会食肉部会に示しました政府試算価格の問題についてお聞きしたいと思います。 農林省は、基準価格キロ当たり五百四十六円、上位安定価格六百六十七円、まあ現行より七・七%アップということになりますが、この試算はどういう算定方式で割り出したんですか。これは、生産者農家あるいは団体の要求された価格に比べて非常に低いわけであります。これではとうていやっていけない、こういうふんまんの声が盛り上がっているわけでありますが、その点農林省としては、冷たい仕打ちでこたえたのではないか。このように批判せざるを得ないのですが、その点いかがでございますか。
○政府委員(澤邊守君) 昨日の畜産振興審議会の食肉部会におきまして、かねて三月十五日に農林大臣から諮問いたしております豚肉の安定価格の審議が行われたわけでございますが、その際に、例年のように政府の試算——直接の諮問ではございませんけれども、試算という形で従来と同じように安定基準価格につきまして二通りの資料を提出をいたしました。その第一の方は、いわゆる需給実勢方式ということで、これまで決定しておりました算定方式によってはじいたものでございまして、結論的に申し上げますと、安定上位価格は六百六十七円三銭、安定基準価格は五百四十五円七十五銭という算定が一つでございます。それからもう一つは、算式の2ということでお示しをしましたのは、これも例年の方式でございますが、いわば生産費方式でございます。これによりますと、安定基準価格が四百九十六円六十四銭、安定上位価格が六百七円ということで、第一の需給実勢方式よりは生産費方式の方が低い価格が出るわけでございます。これは例年もこういうような傾向が出るわけでございます。 そこで、毎年決定しておりますのは、第一の算式によります需給実勢方式というのでやっておるわけでございますが、この方式、考え方は、過去五カ年間の肉豚の農家販売価格、肉豚——枝肉ではなしに肉豚の農家販売価格の平均をとりまして、月別の平均をとりまして、異常に高いものは頭打ちにした上で、修正をした上で月別平均をとりまして、それに基準期間、五カ年間に対しますごく最近までの生産費の値上がり率、生産費が上がっておりますので、それを指数化いたしまして、Iと言っておりますが、Iという指数を使いまして修正をいたします。五カ年間の月別平均価格を修正をいたしまして、生産費の値上がりをそこに織り込むということをやりました上で、五十年度の豚肉の需給の見通しを、これは推算でございますが、やりまして、供給不足のときには一以上の指数をさらに掛ける、供給過剰の場合には一以下の数字を使うということで——これまではおおむね一を使っておりまして、特別の場合に一以上、一・〇一とか一・〇二とか使っております。そういう指数を掛けまして、それを枝肉に換算をする。一定のこれまた係数を使いまして、農家の肉豚、庭先の肉豚価格から枝肉価格に換算をいたしまして、そこで枝肉のいわば中心価格といいますか、この価格に年間平均を落ちつけたいという目標価格が決まるわけでございますが、実際には毎日の価格に、市場の需給によりまして市場価格は変動いたしますので、その変動の幅をなるべく押さえるということで、その中心価格を上下に一〇%ずつ開いて、下の方を基準価格、上の方を上位価格と、こういうやり方をしているわけでございますが、それを同じようにやりまして、先ほど申し上げましたような、五百四十六円、六百六十七円という安定価格を決めたわけでございます。 従来と違います点を申し上げますと、Iの生産費の値上がりを見ます場合に、配合飼料の価格、それから政府操作飼料の価格につきましては、政府操作飼料はまあ予算で四月から一四%上げることにいたしております。配合飼料価格につきましては、ごく最近全農がトン当たり八千円引き下げると言っております。これは豚のえさはもう少し高い、値下げ幅は大きいわけでございますが、そういうものが決まりましたので、それを確定値といたしまして、四月以降の、四月以降値下がりする分を生産指数の一というものを算出する場合に織り込んでおります。それが従来とは、去年とは違ったやり方でございます。去年は二月、三月の値上がりしたところを四月以降も引き続きその価格で推移するということになっておりましたので、二、三月、四−六の価格をそのまま織り込みましたが、特に値上がりするということではなかったので、そのままの価格を織り込んでおります。そこが変わったということでございます。 それから、需給の見通しといたしましては、最近、肉豚の出荷が前年に比べて、ことしに入りましてから減っておりますし——四月から九月まての前半を見ますと、子豚の生産頭数なり、雌豚の頭数等からは、ある程度推定ができるわけでございますが、これは農林省すでに公表いたしておりますけれども、四月から九月まで、各月別に見まして、大体九七%前後ということで、前年よりは出荷頭数が減るという見込みでございます。さらに、十月から三月までも、これは推定するわけでございますが、これもいろいろな推定方法を用いてやりますと、やはり、前年より——四十九年の後半よりは若干減るというような見込みでございますので、今年はアルファという、需給調整係数と言っておりますが、足らない場合には、それを一以上に使い、余るときには、一以下で使うという係数でございますが、これを一・〇二という、最近では異例に高い数値を用いております。去年は一・〇〇で諮問をいたしまして、試算を出して審議をいただきまして、最終的には一・〇一という数値を用いて決定をしたわけでございますが、今度は、いまのような需給事情の見込みから、一・〇二というのを使っておるということでございます。 なお、生産指数は昨年は決定ベースで一・三〇一であったのを、一・三二三と、これも去年よりは高い数値を用いております。それからVで最後に上下に開きます場合の一〇%というのは、理論値からは一五%ぐらいの数値が出ますけれども、これはなるべく狭くするというのが、生産者のためにも、消費者のためにも喜ばれますので、従来どおり理論値とは別に一〇%という数値を上下に用いまして開いております。 以上の結果、先ほどのような数値になっておるわけでございます。で、結果的に申し上げますと、前年に比べて七・七%の引き上げになっております。
○相沢武彦君 畜産局長、済みませんが、もうちょっとゆっくりしゃべってください。ば、ば、ばっとやられると、どうもよくわからないところが出てきますので。 いろいろ計算の中身について御説明になったわけですけれども、大臣、二十五日のこの農林水産委員会のときに、日本経済新聞が出しておりました記事に、畜産物支持価格の上げ率ですね、一けたに押える、大体五%前後ぐらいじゃないかという記事についてですね、全然それは見当はずれですと、そんなことは考えておりませんと、それは、新聞社の方で勝手に推測して書いた無責任な記事であります、というようなことを答弁されております。きのう出された政府の試算は七・七%、新聞の予想に書いてあるのは五%と書いてありますけれども、二・七%しか違わないですよね。あの時点ではあれですよ、農林省としてはもっと大幅な試算を出すつもりだったのだが、その後急に変わって七・七%という結果になったのですか。それとも、あの時点では、そういう方針に決まっていたけれども、都合上この委員会で虚偽の発言をされたんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まだ、あの時点では、農林省の試算が決まってないということで、無責任ということじゃなくて、推定をして記事としたのではなかろうかと。まあ農林省として責任を持ってお答えをすれば、あの新聞記事は、推論に過ぎないと。こういうふうなことを言ったわけでありまして、まだ、あの時点においては、農林省のはっきりした試算が出ておらなかったものですから、ああいう表現にいたしたわけでございます。
○相沢武彦君 まことに不愉快な思いをいたしております。今回の算定の仕方にしても、上位価格が一〇%高では、良質生産を目ざして、それによる価格アップをしたいという生産者にとっては非常に不利だという点がありますし、また、今回の算定の仕方には湯はぎ方法によるもの、これもまあ格差をつけようということですけれども、七%の格差じゃ皮はぎとの格差が従来より広がっちゃって、湯はぎの多い地帯では、特に関西方面になりますけれども、非常に問題だということも踏まえて、そういう点はどういうふうに考えられますか。それから続けてお話しますが、配合飼料の値下げ分を勘案したとおっしゃるわけですけれども、これは昨年から何回も値上げで、そのために、畜産農家は非常に痛手をこうむっているわけですね。しかも、四月一日出荷分から配合飼料の値下げが行われるというわけですけれども、これは計算の対象に入れるのはどうかと。これまでの飼料の値上げによって痛手を受けた生産者の人たちに対して、少しでもそれをやわらげるために、今回の豚肉試算価格の中身としては、配合飼料の値下げ分を計算しない方が、それが生産者農家にとつての一つの励みになるし、また生産を向上させる一つのかぎにもなるということで、かなり論議、意見が強かった、こういうことなんですが、結局そういうものも含めて、今回七・七%という要求から非常に下回った価格で算定されたということは、結局春闘対策として、企業や、労使に賃上げの自粛を求めている政府の立場として、その姿勢を農産物支持価格の引上率についても同調して示そうと、こういうことは、非常に政治的配慮が優先したのではないか、こういうことが言われております。私もそのとおりだと思うのです。 確かに物価上昇率はいまのところ抑えておりますけれども、それでもやはり一般の勤労者の生活は決して楽でない。ここで賃上げが余り行われなければ、やはり生活の負担は重たい。しかし、そうだからといって、自殺者が出たり、あるいはいまの仕事では食っていけないと言って、転職する人がいるかと言ったら、それはいないと思うんです。ところが、畜産農家の場合は、いままでぎりぎりのところでやっている、しかも生産者農家の数は激減している。今回のこの豚肉の試算価格を示された時点で、あきらめておやめになる方も出てしまうのではないか。あるいは今日までずいぶん新聞にも出ましたけれども、指導者的な人が責任を感じて自殺をしたというようなこともありまして、やはり一般勤労者の場合と、この畜産生産者の人たちの立場とは、やはり違った立場で、これは考えてあげなければならない。同じように、春闘の賃上げの自粛を求める中に含めて、試算価格で抑えてしまうというのは、非常に農林省としては、これは筋違いな考え方ではないか、このように実は糾弾したいと思います。その点いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) あとでまた局長も説明をすると思いますが、豚肉の価格につきましては、御存じのように需給の実勢価格によってこれまで決めてきておるわけでありまして、今回の諮問に対する農林省の試算につきましても、需給実勢価格に最近の生産費の値上がり分を修正をして、算定方式によってはじき出したものを試算として諮問をいたしておるわけでございまして、これまでと変わっておるわけではございませんし、私どもは、これと春闘相場というふうなものを政治的に配慮して出しておるということでは決してないわけでありまして、私たちは、この試算によって、十分豚肉の再生産は確保されるというふうに考えておるわけでございます。ただ、飼料の今後の値下がり分について、これを試算の中に入れておるということについては問題があるのじゃないか、という御意見があるわけでございますが、これは、確かに畜産審議会等におきましても議論になったというふうに聞いておりますし、これは一つの論点ではあろうと思います。が、今後の豚肉の需給、さらに生産者の再生産ということを考えたときに、やはりこれは今後、飼料の需給情勢というものは非常に緩和をして、非常に安くなっておるわけでありまして、これは相当長期的には、私は飼料は、飼料穀物というのは長期的には私は国際的には不足するというふうに見ておりますが、ですから、一時的なもんであるとは思うわけでございますけれども、まあことしは、飼料価格も相当低位で推移するであろうということですから、そういう点は入れておることは事実で、これは一つの論点ではあろうと思うわけですが、しかし、算定方式につきましては、いままでの方式に従って、まあ科学的な方法、数字をはじき出したこの集積として試算したわけでございますから、私はこれでもって再生産は十分確保されると、こういうふうに考えておるわけでございます。
○相沢武彦君 この配合飼料は、これからも値下げの傾向をたどって、四月一日出荷分の値下げ、さらに今後値下げされればいいですよ。ところが、一時の傾向であって、途中でまた値上げになったときに次にどうするんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあこれはすでに全農からトン当たり平均八千円の値下げをもう確定をしておりますから、ですから、いままでの価格を決める場合においても、確定された要素というのは一応入れるということになっておるもんですから。長期的に見れば確かに私も不足すると。高位不安定ということにはなると思うわけですが、少なくとも八千円という全農が引き下げを打ち出しておる、確定はいたしておるわけでございますから、これはそういう意味では価格の算定の基礎の中に取り入れても、これまでもそういうふうにいたしているわけですから、これはいいんじゃないかと思うわけでございますが、しかし、将来的に見ると、この問題はやはり私たちとしても十分慎重に考えなきゃならぬ問題であることは私は事実であろうと思うわけです。
○相沢武彦君 要するに、今回の八千二百円の値下げは確定していると思うんですよ。しかし、今後これで、三カ月あるいは半年たった時点において、また経済の変動等で飼料の値上げを再度はからなきゃならないという情勢になったときに、これは困るんじゃないですか。いま大臣おっしゃったように、長期的には不安定な要素は残ると。長期的とは一体何年先なのか、私は、今度年中にもそういう不安定な要素というものは考えられるという立場から話をしてるんですよ。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かに現在八千円の値下げをしたことは事実でありますが、十月以降、アメリカやカナダの穀物の生産情勢というものはどういうふうになっているかということに対しますと、私としても、これがそのままの緩和した状態で進むのか、あるいは非常に逼迫したものにまた転移していくのか、それについてはここではっきり申し上げる自信はもちろんないわけでございます。したがって、これは附帯決議もついておりまして、第一番目で「物価、飼料価格その他の経済事情に著しい変動が生じた場合には、すみやかに本審議会を開催し、安定価格を再検討すること。」というふうに附帯決議もついておるわけでございまして、私としても、今後十月以降でも飼料価格というものがまた暴騰に転じたというようなときは、これはもうそうした、それまでの間はもう安くなっているわけですから、その状態においてはそれを考慮して、これは価格の改定についても、積極的に審議会も開き再改定するということは私は当然だと、私はそういうふうに思うわけです。ただ、いまは確定している要素ですから、これを入れたということです。
○相沢武彦君 いまの時点で、畜産農家が安心して経営ができる、ペイする。こういう状態のときに、配合飼料の値下がりがあった、それならば今年度の試算については当然それは考慮に入れなきゃならないと思う。いま現状でも、大変な状態なんですよ。これまでの値上がり、何回も続きましたから。ここで八千二百円等に下がったとしても、また試算の中にそれが加味されて下げられたんじゃ、いよいよやっていけない。こういう現状認識について、非常にやはり農林省は甘いんじゃないか。これは農林大臣、いまはしなくもおっしゃいましたけれども、私たちも長期的には自信が持てないとおっしゃるんで、まあ万が一のときと思って附帯決議つけているんでしょうけれども。それだったら、生産者農家の人たちが安心して意欲を持って取り組めるように初めからそれを入れてやるべきだと思うんです。まあその点はもう時間なくなりますから、もう打ち切りますけれども。 で、この畜産物価格安定法の配正に当たりまして考えるんですが、やはり畜産物価格安定といいますと、一つには生産者農家の人たちが非常にこれは関心を持ち、関係する。一方には、やはり消費者もこれに非常に関心を持たざるを得ないと思うんですがね。この生産者農家も安心して経営ができる、そういうものが発動できる法律内容である。また、消費者にも安定した価格、できるだけ安い価格で手に入れられるというのが望ましいわけです。昨年の暮れの新聞報道でしたけれども、米国の農務省が発表した世界主要国の食糧価格規格。これによりますと、まあ結論として、日本では肉が食べられないと。世界一の高値だという折り紙つけられて、日本における食生活の苦しさを立証してしまったわけでありますが、一方、国内ではどうかというと、牛肉、特に牛肉ですけれども、産地では価格の暴落で農家は泣かされてしまう。自殺者まで出てしまう。それでいて一方消費地では、高値が続いて、生産地では暴落したのにかかわらず一向に値下りをしない。一体牛肉を初め食肉行政というのは日本で一体どうなっているんだと、こういう率直な国民の感情があるわけですけどね。一体、こういった事態に日本が落ち入った原因はどこにあるのか、農林大臣、どのようにお考えでございますか。
○政府委員(澤邊守君) 畜産物、特に食肉、中でも牛肉の流通機構につきましては、かねがね種々御批判もございますし、非常におくれておる。不合理のままで価格形成が行われ、中間マージンが非常に大きいというようなことにつきまして、種々御指摘を受けるところでございます。食肉の枝肉になるまでの段階に、だんだん整理はされてきておるといいますものの、流通段階がずいぶん多いわけでございまして、その間に家畜商が何段階も介在するというようなことで、そのたびごとに値が上がるというような事例もあるわけでございますが、枝肉になりましてからも、卸、小売に至ります段階で中間経費が多過ぎるとか、あるいは作業の合理化等も余り進んでおらない、店舗が小さいというような点で改善すべき点が多々あるわけでございますが、ある意味では牛肉はそれだけむずかしさがあるという点も否定はできないわけでございます。 御承知のように、牛肉の場合は、素牛もそうですが、枝肉も品質差が非常にばらつきが多い、なかなか専門家じゃなければ判定しにくいというような技術的なむずかしさがございますし、これはまあ豚肉も同じでございますけれども、肉は、御承知のように、屠場におきまして屠殺、解体をいたしましてから、骨を抜いたり、あるいは整型をしたり、筋をとったり、小売屋の店頭に行くまでに、ほかの食品とは違いまして、いろいろ手を加えております。まあその間に、歩どまりもずいぶん下がってくるわけでございますので、いろんな一種の加工過程が入って、その間に相当手間がかかっておるという点もございますので、ストレートに卸売価格と小売価格を比較して非常に幅が大きいということを、他のたとえば野菜とかその他のものと同じに比較するわけにはまいらないと思いますけれども、そういう複雑さがあるだけに、その間不明朗といいますか、はっきりわからない、消費者にとっては。というような点が見られるわけでございます。 農林省といたしましては、これまでも、生産段階から屠場なり市場に至るまでの生体の取引の合理化をするために、家畜市場というようなものを大型化したり、施設を整備したりしておりますし、さらに中央市場を施設を整備いたしまして、あるいは中央市場になっておらないものは中央市場に、大都市を中心としてしていくということによりまして、自由な競争のもとに公開して公正な取引が行われるというように指導、援助をしておるわけでございます。 食肉の場合は、確かに他の中央市場、生鮮食料品の野菜なり魚と比べてもなおおくれておる点もございますし、上場の比率、取引の比率ですね、全国流通量の中で。これもまだまだ低いということでございますが、中央市場とあわせまして地方市場の整備もいたしておりますので、卸売段階の価格形成はだんだんよくなってきておると思います。 それからまた、規格取引ということも取引の公正確保のためには必要でございますので、牛肉につきましても、あるいは豚肉につきましても十数年前から開始をしておるわけでございます。「上」、「中」、「並」とかというような規格を中立的な機関がやるということにいたしておるわけでございますが、これもだんだん格づけの受検率がふえてまいっておりますので、おいおいよくなっていることは事実でございます。さらに、卸売段階から小売段階に至りますまで、これが実は非常にむずかしいわけでございまして、われわれもなかなか知恵がなくて苦労しているところでございますが、卸価格に連動して小売価格が動かないというような御不満が消費者の方方を中心にして非常にあるわけでございますが、これは事実でございまして 卸価格はこれは毎日動くものでございますが、それに連動して小売価格が敏感に動かないと。いわば下がるときには下方硬直性と申しまして、卸価格が下がっても小売価格が一向に下がらないという実情は見られます。しかし、これは反面私どもとしては、確かに敏感に反映することは必要だと思いますけれども、小売価格はある意味では安定ということが必要であって、しょっちゅう動くのは必ずしも好ましくないという別の議論も実はございます。これは確かに下方硬直性もございますが、データを見る限りは、上方硬直性という——そういう言葉あるかどうか知りませんか、そういう面もなくはないわけです。したがいまして、去年、卸売価格が、牛肉の場合に四十八年の終わりからかなり下がりまして三割以上下がりまして、その間小売価格はさっぱり下がらないじゃないかということでいろいろおしかりも受け、御批判もあったわけでございますが、その後、八月以降卸売価格はかなり上がっております。乳牛の雄の価格で言いますと、あのころが七百円台であったのが現在千百円ぐらいになっておりますが、小売価格はほとんど上がっておりません。そういう意味では、小売価格が必ずしも敏感に連動するばかりがよくはない。やはり安定ということも必要ではないか、消費者の立場からすると。そのかわり下がるときも敏感に下がらないということも、そういうマイナス点はありますけれども、上がるときもそれほど上がらないという面は確かにあるようでございますが、しかし、いずれにしても、中間マージンが非常に多いということは事実でございますので、その点の是正をしていかなければいけない。そのためには、購入量が少ないということも、悪循環になりますけれども、なかなか購入が合理化されないために、販売の方も合理化されないという面もございますけれども、小売の規格を定めたり、あるいは適正マージンで売るような店舗を奨励したり、あるいは零細な小売業者の共同配送、共同保管、あるいは場合によっては共同計算、共同の整型作業とかというようなことをやるようなことも、融資なりあるいは助成——これはモテル的なものでございますが、いろいろやっておりますので、非常にむずかしい点はございますけれども、われわれとしては、今後最大の努力をすべき分野だと思っております。 昨日の答申の際にも、特に流通問題につきましては、消費者あるいは学識経験者から強い要望がございまして、強力に推進することというふうな御決議もいただいておりますので、われわれといたしましても、その線に沿いまして、できる限りの努力はしていきたいと思っています。
○相沢武彦君 流通問題については、後からまた論議をしたいと思うんですが、やはり食肉行政についてもっとしっかりした対策を講じなければ、結局こういう土壇場まで追い詰められた日本の現状になってしまうと思うんです。そこで、農政審議会需給部会の「農産物の需要と生産の長期見通し案」によりますと、昭和六十年における肉用種は三百三十万トン、牛肉の需要を六十二万トンとして、国内自給率八一%。こういうふうに策定をしているわけでございますが、この見通しについて一昨日も鶴園委員からいろいろ御指摘があったわけですけれども、これは本当に実現可能な数字なんでしょうかね。希望的な数字にすぎないんですか。もし実現可能な、いわゆる現実的達成の数字であるとするならば、その実現方法についてどういうふうにやっていかれるんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 先ほどもお答えをいたしたわけでございますが、この三百三十万トンを六十年度に達成をするということは、まことに私としても容易ならざる目標であると、こういうふうに思うわけでございます。今日までのこの肉用牛の生産に対する行政施策、予算を、このまま続けていけばとうていこれはもう不可能であると私は思うわけでございますから、これについては、今度農政審議会の御答申を得た後に、総合食糧政策を打ち出すわけでございますが、その中にあって、特にこの肉用牛の生産につきましては、抜本的な総合対策というものをその中において織り込んでいかなければ、そうしてこれを確実に実施していかなければ非常にむずかしいと思うわけでございます。が、しかし、私は、今日の食糧自給を高めていかなきゃならぬという、もうわが国農政の基本的な要請もあるわけでございますし、これは何としても、実現をすると。そのためには総合政策の一環としての生産対策、ことしの予算につきましても、粗飼料に対する増産対策、この芽は出しておるわけでございますが、思い切ったそうした飼料の生産基盤の拡充のための対策を確立するとか、さらにまた未利用地の利用であるとか、あるいはまた、林地の活用であるとか、さらに裏作を高度に利用していくとか、そういうふうなあらゆる面における施策を強化するとともに、今度、ここで御審議いただいております牛肉の指定食肉を指定することによりまするいわゆる価格安定制度というものがここに打ち出されれば、そうした価格政策における生産対策の強化というものと相まって、行政面でさらにひとつ強力な体制というものを行政面においても確立していくということになれば、私はまあ必ずしももちろん不可能ではないし、何としても牛肉につきましては、これはやはり世界的にどうしても不足という状態が続いていくわけでありましょうから、八割程度はわが国において自給できるように持っていかなきゃならぬし、これは何としてでも達成をしたいという決意でおるわけでございます。
○相沢武彦君 抜本的対策の中身が問題なわけでありますけれども、これからいずれ審議会等で具体的に出てきたものについて私たちも討議させていただきたいと思いますが、これ、二点お伺いしておきたいんです。 一つは、この価格の問題ですね。六十年までずっと需給実勢方式にのっとってやっていくつもりなのか、それとも生産費所得方式に切りかえて六十年度にこれだけの頭数をそろえようというのか、非常に生産と価格の問題はもう絡み合いますので、重要な問題です。この点の見通しをいまの時点で大臣としてはどうお考えになるか。 それから二つ目には、いわゆる生産者の人たちに聞いてみますと、その専門知識や、それから経営能力なしにむやみに手を広げて大規模化すると、結局は行き詰まってしまうといういま反省期にきていると思うんです。そういった点で、この十頭以上の大規模経営というのを、その六十年時点の生産農家の大体何割ぐらいに、しようと思うのか、十頭以下の規模の農家にすると、どういう比率で達成をしようとするか、その点の長期の見通しも立てられて、この昭和六十年度三百三十万トン、牛肉の需要六十二万トンという計算を出したのか。それともただ希望的観測数字で出されたのか、その辺いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この今後の六十年目標を達成するために、やっぱり価格政策が非常に重大であるということは御指摘のとおりでありますし、また、私もここで新しく生まれる価格制度をいかに運用していくかということが、またこれが達成の非常に大きな要因になってくると思っておるわけであります。したがって、この価格制度の中にあって、どういう方式で価格を決めていくかということにつきましては非常に慎重な態度で臨んでおるわけでありまして、この点については、畜産振興審議会の御意見も十分聞かしていただきたいと思うわけでございますし、今回は、何としても生産費の調査等がまだまだ不十分でございますので、今回の発足する価格制度の中における価格決定を非常に固定的なものと私は考えておらないわけです。もっと生産費の調査等が進んだ段階において、これは改定もしていかなきゃならぬと思うわけでございます。まあいまのところは、基本的といいますか、基本的な考え方は、やはり需給実勢方式といいますか、そういう方向で考えておるわけではございますが、しかし、これを固定をして現在考えておるわけではないわけでありまして、牛肉につきましては、しばしば申し上げましたように、一たん生産が縮小するとなかなか伸びないという肉牛生産の生産条件もあるわけですから、こういうことも踏まえ、また世界的に牛肉が不足するという事態等も十分踏まえて、これは慎重に価格算定方式は決めていきたい。そして今回のものを固定的には考えておらないというふうな考えでございます。 なお、飼養頭数の一家経営当たりの規模をどうするかといった問題につきましても、やはりその農家に、これからの生産を増強していく農家の対応の仕方というものもあるわけでございますから、そういうものも十分踏まえてこれは政策誘導の中で、取り組んでいかなきゃならぬと考えるわけでございますが、この点について現在農林省の事務当局として考えておる構想を畜産局長から説明をいたさせたいと思います。
○政府委員(澤邊守君) 六十年度の生産目標を想定いたします場合の経営の規模を、どの程度考えておるかというお尋ねでございますが、これは、はっきりした数字を固めておるというところまではいっておりませんけれども、おおむねのめどは想定をしながら三百三十万頭を設定をいたしておるわけでございます。その場合の考え方といたしましては、やはり肉牛経営の場合には、御案内のように繁殖経営と肥育経営とに分かれております。これは今後といたしましては一貫経営というものも育てていくことか専業的な——専業的といいますか、専業に比較的近い肉用牛部門にかなりウエートを置いた経営においては必要だというふうに考えております。また、子牛の価格が非常に不安定だということが肥育農家にとっても、子牛生産農家にとっても問題であるということが先ほど来出ておるような状況でございますので、そういう意味では一貫経営だとその不安定部分が除去されますので、経営上望ましいというプラス面がかなりありますので、そういうことも考えておりますけれども、基本的にはやはり繁殖経営と肥育経営は分かれて営まれるという場合が将来も多いだろうというふうに考えております。その場合繁殖経営は現在一、二頭飼い、せいぜい二、三頭というような非常に零細経営が一般でございます。中には土地条件に非常に恵まれたところ、山林を開発したりあるいは山林の下草をいろいろな権利調整をいたしまして利用できるとか、あるいは自分の所有地が大きいとかいうところでは相当な規模の経営もございますけれども、それはそういう事例もあるということでございまして、これを一般化して将来の目標とするにはわが国の土地、用地の取得条件から見ますと、なかなか無理があるんじゃないかというふうに考えますと、やはり繁殖経営の場合はいまの一、二頭飼いとか二、三頭飼いとかいうことではいかにも小さ過ぎる。そういうものも残ってもいいと思いますけれども、やはり相当畜産部門にウエートを置いてやるということになりますと、まあ平均すればやっぱり五、六頭のところをねらっていくべきではないか、これは全国平均の場合でございます。その中でやはり五頭から十頭あるいは十五頭ぐらいまでのところが経営の中心になってくる。それ以下の一、二頭飼いももちろん温存していく必要もございますけれども、さらにまた事例としてはもっと大きなものも出ますけれども、平均的に見るとその辺ではなかろうかというふうに考えております。まあ理想を言えば、もっと大きくなりますけれども、土地条件なり経営技術というような点を考えますと、六十年目標では五頭若干超えた程度のところを平均規模としては想定していっていいのではないか。その中で比較的大きなものと一、二頭飼いというものは分化してくると思いますけれども、平均するとその辺をねらっていいのではないか。 さらに肥育経営につきましては、これは粗飼料に対する依存率が低い特色を持っておりますので、これは最近かなり大規模な経営が出ております。しかし、これは立地条件のいかんによりましては畜産公害問題を引き起こしまして、非常にトラブルを起こしているという例もございますので、これも諸外国のようなフイードロット経営のような大きなものをやるということはなかなか無理だろうというように考えますと、私どもといたしましてはまあ六十年目標で全国平均でまあ二十頭ぐらい、まあ主体になりますのが十頭から五十頭ぐらいの層が中心になるということを目標に置くのが現実的ではないかというふうに想定をいたしております。
○相沢武彦君 牛肉価格の算定の方式でもう一度大臣にお尋ねしますけれども、生産費所得方式がいまの時点でとられない理由としては生産費調査が不備だということ、それから、牛肉の自由市場ということを前提にしているということで、なじみにくいということで、政府はいまのところ踏み切れないということなんですが、先ほど大臣の御答弁で、別に需給実勢方式に固定しているわけじゃないのだ、こういうお話でした。そうしますと、この生産費の基礎調査、基礎資料というものを一体何年度までにきちんとされて、きちんとされた時点から切りかえるという含みがあるんですか、その点について。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この法案を通していただいた段階において、法律が公布されて直ちに畜産審議会を開いていただいて四月中には何としてもきめたい、こういうふうに実は思っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、牛肉の価格決定の方式につきましては、これはやはり自由な取引が前提となるわけでございますから、そういう点では、価格決定方式としては、生産費所得方式を採用するということは私はなじまない。こういうふうに思うわけでございまして、基本的には需給実勢方式といいますか、そういう方向へ行かざるを得ないのではないかというふうに思うわけでございますが、しかし何としても、この牛肉につきましては、これから生産を拡大をしていかなきゃならぬわけでありますし、一たん縮小すると拡大再生産というのは非常に不可能になってくるような情勢、事情もあるわけでございますし、新しい制度でございますから、これによって、この肉用牛に対する政策が後退するなんていうことがあったら大変なことになりますから、これは、非常に慎重に対処していきたい。 そこで、第一回目は生産費の調査も十分でないことは、いままでの御審議の中で明らかになっておるわけでありますし、政府としても生産費の調査は十分やっていないことも事実でございますので、第一回目につきましては、これはもうきめなければなりませんけれども、これを固定的なものとして考えるべきじゃないというふうに思うわけでございますが、大体いま政府で考えておりまするのは、五十二年度ぐらいまでには、五十二年度の価格決定の際には、生産費調査は、十分これまでにはできると。こういうふうに判断をいたしておるわけでございますので、五十二年度までは、生産費調査の資料等が不十分な中で価格を決めていかざるを得ない。こういうふうなことになっていくわけでございます。
○委員長(佐藤隆君) ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(佐藤隆君) 速記起こしてください。
○相沢武彦君 畜産振興の基盤は、結局、飼料問題の解決なくしては行われないわけでありますが、いま私が問題にしております昭和六十年度を目途とした三百三十万トンの育成、そのために、わが国の農地の開発可能な面積は百五十万ヘクタールということなんですが、四十八年から十年がかりで、七十万ヘクタールを開発することになっているわけでございますが、農用地開発公団の計画との関係で、粗飼料の資源の造成、これをどのように進められていくのか、もうそろそろこの点について政府の施策を煮詰めてきているんじゃないかと思いますが、明らかにしてください。
○政府委員(澤邊守君) 昭和四十七年を基準にいたしまして、六十年の長期見通しを、検討を、農政審議会中心でやっているわけでございますが、その中におきまして、お尋ねの粗飼料につきましては、四十七年か、これはTDNという——可消化養分総量という基準に換算をして、各種の飼料がございますので、それを同一の養分の単位に換算をして実は出しておるわけでございますが、四十七年度は、四百七十三万七千トンが四十七年度の基準年次の数字でございますが、それを六十年度には九百二十六万九千トンまでにふやしてまいりたい、約二倍弱でございますが。それによりまして、飼料全体の中での粗飼料の——牧草だとか、飼料作物とかいった粗飼料の給与率は、基準年次が二三・四%でございますのが、約一二%に引き上げられるということになっておるわけでございます。そのために、それによりまして、個々の畜種別の飼料の給与率、これは大家畜でございます乳牛と肉牛が草食動物でございますから、草なり、飼料作物のいわゆる青物を食べるわけでございますが、これは、本来、体質的に草食動物でございますから、濃厚飼料だけやりますと非常に健康を害する、能率が低下するということでございますが、四十七年度で見ますと、肉用牛の場合で見ますと、おおむね、繁殖の場合は七五%ぐらいの粗飼料の給与率、全体のえさの中での粗飼料の給与率が七五%ぐらいになっておりますのを、約九〇%までに高めたい。いまの全体の粗飼料の生産目標の中で、個々に見ますと、繁殖牛につきましては七五%の粗飼料の給与率であるのを九〇%ぐらいにしたい。一〇%は濃厚飼料、配合飼料その他の濃厚飼料であると、こういうことを目標にしておるわけでございます。それから肥育の場合は、これはかなり濃厚飼料を使いませんと、肉質がよくなりませんので、これは平均して現在二〇%ぐらいと見られますのを、和牛の場合は、四〇%ぐらいまで高めたい、粗飼料の給与率を四〇%ぐらいまで高めたい。それから乳用種の場合には、三五%ぐらいまでに高めたい。これはいずれも現在二〇%前後でございますのを高めたい。 そういうようなことを目標にいたしまして、先ほど言いましたような粗飼料の全体の生産の増加を図ってまいるというようなことを考えておるわけでございますが、それに必要な土地でございますけれども、これは耕地で作付いたしますのが、四十七年には、基準年次が七十七万ヘクタールぐらいでございますのを、百四十七万ヘクタールぐらい作付面積をふやしたい、土地を造成することにより、あるいは既耕地を利用することによって、牧草その他の飼料作物の作付をそれくらいにふやしていきたい。それから牧草とか飼料作物とかというのは、良質粗飼料と言っておりますが、比較的栄養分のいいものでございまして、野草だとか、わらだとか、そういった、あるいは農場の残菜、そういったものも利用できますので、それらにつきましても、できるだけ利用をしていくということをあわせて図っていくことによりまして、先ほど申し上げましたような粗飼料全体の生産量を高めていくというふうに考えておるわけでございます。
○相沢武彦君 今回、牛肉の指定食肉の対象として、和牛と乳雄の「中」を予定されているわけでありますが、乳廃牛が牛肉生産の三割を占めているわけでありますし、今回の指定食肉の対象に当然最初から入れるべきであると、こういう要求の声が強いわけでありますが、農林大臣も、乳廃牛に対しては、前向きに取り組みたいということでこられたんですけれども、残念ながら、今回にも、これはなかなか入れそうもないような様子なんですけれども、この点どうなっていますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 乳廃牛につきましては、確かに、お話しのようにやはり牛肉の中に占めるシェアといいますか、ウエートも大きいわけでございますが、この乳廃牛は、いわば酪農経営の副産物といったようなことにもあるわけでございまして、そういう中で、いわば乳価の中に乳廃牛も、その再生産について乳廃牛も取り入れられておるというふうな面もあるわけでございますから、制度として、これを取り入れるということは必要はないというふうに判断もされるわけでございますが、しかし、これはやっぱりこれからの牛肉資源としての重要性や、また、酪農経営との関連性等も十分考えまして、本制度を運用をする段階において、この乳廃牛の価格の価格安定が図れないというふうに判断をされるような事態が生じたときには、これはもう乳廃牛を指定食肉の対象とすることにつきましては、私としても積極的といいますか、前向きに取り組んでいきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○相沢武彦君 牛肉生産の三〇%といいますと、もう相当、牛肉の流通上大きな役割りを占めているわけですね。いま大臣おっしゃったように、予想と違った事態、すなわちこの乳廃牛の価格の安定が図られないというようなときには考えてあげるんだということですけれども、その時点では、すでにもう買いたたかれた後というのは、農家としては、ひどい被害を受けちゃっているわけですよ、打撃を受けているわけです。ですから、それから今度発動したのでは、その痛手をいやせないままに、いわゆる農家をやめてしまう、経営をやめてしまう農家さえ出てしまうわけですね。ですから、やはりこれは畜産局長、牛肉全体の価格の安定が必要なんだし、乳廃牛は当然法律の中に含まれているんだと。予想と違った事態になってくれば、政令に追加したいということまでおっしゃっているわけですからね。どうなんですか、初めからもう入れておいて、そういう後顧の憂いのないようにしておいたほうが、いわゆる畜産振興全体の問題としてはベターじゃないですかね。そういう事態が起こってから政令に追加して発動したんでは、もうその時点でやめる農家が出てしまうと思うのです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、御議論のほどは私もよくわかるわけなんです。しかし、乳廃牛については、これは省令でもってすぐ追加指定もできるわけですし、乳廃牛の価格の安定が図れないというような事態が少しでも起こるということになれば、私は、もう省令に追加することも、すぐできるわけですから、これはもうすぐ積極的にこれを指定したいという気持ちは十分以上に持っておるわけでございます。
○相沢武彦君 その点は、くれぐれもスローモー行政にならないように、敏速にやっていただきたいということを特に強調しておきます。 時間ですから、あとは原田委員のほうに譲りまして、これで終わります。
○委員長(佐藤隆君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩いたします。 午後零時三十一分休憩 —————・————— 午後一時五十七分開会
○委員長(佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を行います。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○小笠原貞子君 今回の改正案の基本的な内容を見てみますと、牛肉を畜安法の指定食肉にする、そして安定価格を設定して、これに基づいて畜産振興事業団が売り買いなどの操作を行って牛肉の卸売価格の安定を図るという、そういう趣旨のものですけれども、従来、農林省や政府はこういう国内の価格安定制度を整備すると、それと引きかえにいつでも貿易自由化など輸入拡大政策というものが伴ってとられてきたということを考えなければならないと思います。畜産農家の方たちにしてもこの点非常に心配しているわけです。アメリカ、オーストラリアなど、牛肉の輸入や、そして拡大せよという圧力が非常にいま高まっているという中で、心配するのも当然なことだと思うんです。 そこで農林大臣に、牛肉の輸入の自由化の問題についても基本的にどういうふうに考えていらっしゃるかお伺いしたいと思うんですけれども、きょうは何しろ二時間の予定のところを一時間ということでございましたので、以下御答弁は簡潔にお願いしたいと思うんです。 そういう基本的な問題とともに、具体的にこの問題を考えてみますと、三月十八日の朝日新聞によりますと、通産省の方で十七日に、沖繩県内で消費されることを条件にして二千四百トンの輸入許可をしたということが伝えられているわけです。この問題についても、これが特別枠で、沖繩だけで消費されるという保証が一体どこにあるんだろうか。そういうことを考えると、先ほど言ったみたいに、特別枠というようなことで、なし崩し的に輸入再開を図るというものではないか、と新聞などにも書かれていますし、いままでのやり方を見ると、やっぱりこういうことを心配されるのも当然のことだと思うわけなんです。結局、いままで、国内の価格制度の整備ということで、先ほど言ったように、同時に輸入拡大政策というものがついて回ってきている。こういうことになると、これはまた大変な問題になりますので、そのこともあわせてまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 牛肉につきましては、一般枠については、現在、御承知のように、外国からの輸入をストップしておるわけでございます。まあ牛肉は、長期的に見れば世界的にも不足しておるわけでありますし、わが国もこれから増産を図っていかなきゃならぬわけでありますが、その中にあって、不足をするという状況にもなってくると思うわけでございますが、今日の牛肉の需給の関係、あるいはまた畜産農家の状態から見まして、これを直ちに輸入を再開させるという考えは持っておらないわけでございます。ただ、沖繩の特別枠につきましては、これは昭和四十七年の本土復帰に伴う特別措置として、沖繩県における牛肉価格の安定を目的として四十七年度下期分から特別手当を行ってきたものでありまして、一般枠凍結中の四十九年度においても、上期分として、昨年五月に三千二百五十トンの割り当てを実施したのに引き続いて、去る二月十七日に、沖繩県の要請もありまして、下期分二千四百トンの輸入公表を行ったところでございますが、このように、本沖繩特別枠は沖繩県の特殊事情に基づきまして、沖繩県内で消費されることを目的として認められているものでありまして、したがって、沖繩特別枠の公表は一般枠の公表につながるわけでは決してないわけでございまして、沖繩の特別枠の輸入が本土に流れるということはないわけでございます。
○小笠原貞子君 まあ、そうおっしゃると思いますけれども、これを突破口にして、また輸入を開いていくというようなことについて大変心配をしているわけなんです。その辺についての御見解を……。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはいま御説明申し上げましたように、一般枠と沖繩の特別枠というものは判然と区別をいたしているわけでございまして、沖繩にはやはり占領が長く続きましたその間のいきさつ等もありまして、これを特別枠として認めたわけでありますから、厳然と区別をいたしておるわけでございます。沖繩をやったからといって、一般枠を直ちに輸入するというものでは決してございません。
○小笠原貞子君 そういうことで、特別枠ということで一般枠の輸入枠にまで拡大する、言われているような突破口にされるということがないように、十分にお考えいただきたいということを確認して次に進みたいと思います。 次は、輸入枠の決定がどうされるかという問題についてお伺いしたいわけなんですけれども、まず、輸入割り当て枠の決定の問題。四十八年下期分の枠として九万トンが決められまして、この量は、調べてみますと四十六年一年分の実に二・五倍に当たります。四十七年度で比べますと約一・三倍に当たる。四十八年上期分七万トンと合わせますと、実に十六万トンという非常な大きな枠で決められているわけです。九万トンという枠は、一体どのような基準のもとに御判断になって決められたのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(澤邊守君) 四十八年度の下期の輸入割り当ては九万トンと予定しておりましたのは御指摘のとおりでございます。この時点におきましては、牛肉の価格が非常に高騰を然けておりまして、四十八年の一月から十月ごろまでにかけまして、前年を五割以上価格が、卸売り価格でございますが、上がってきたわけでございます。これは、四十七年の後半からそのような傾向があらわれまして、四十八年の十月、まあ十一月ごろまでおおむね毎月前年を五〇%も上回るような、多いときには六九%を上回るというような高価格で推移をしてまいりまして、小売価格につきましても、それほどではございませんけれども、前年を二十数%ずつ毎月上回るということで、消費者のサイドから牛肉の輸入をもっと円滑にして、価格の安定を図るべきであるという御要請が非常に強くて、当時、聞くところによりますと、国会におきましても、物特を初め各委員会でもそのような御意見が非常に多かったということで、農林省といたしましては、そのような御要請にもこたえるということで、割り当て量を前年度に比べますと大幅にふやしたわけでございます。もちろんそのような御意見とあわせまして、当時におきます今後の需給見通しというようなこともやりました上で九万トンの枠の設定をしたわけでございます。その後、御承知のように、オイルショックを契機にいたしまして需要が急速に停滞するというようなこともございまして、九万トンにつきまして全部実施をしたわけでございませんで、輸入の停止措置を講じたことは御承知のとおりでございますが、当時の需給事情、価格事情からいたしまして、価格の安定を図る、需給の調整を図るということのために、その程度の枠の設定が必要であるということで通産省と政府部内におきまして協議をいたしまして正式に決めたものでございます。
○小笠原貞子君 高騰したとか、それから需給を見通して九万トンという枠を決められたということですけれども、結果的に見れば、ここで四万トン凍結しなければならないというような状態になっているわけなんで、やっぱり具体的に長期的に見通しとする意味ではこの見通しは誤っていた。たまたま石油ショックというような問題があったけれども、やっぱりこの見通しというのは非常に大幅な誤りが出たというふうに私は見なければいけないと思うんですけれども、どうですか。
○政府委員(澤邊守君) 結果的には、私どもが、オイルショックによります需要の急速な停滞ということを見通さなかったという意味では誤りだったというように思います。そういうこともございましたので、二月一日に四万トンの調整その他の措置を講じて、当初予定したものを全部輸入しないというような方針に切りかえたわけでございます。
○小笠原貞子君 この見通しの誤りが、いまオイルショックということで片づけられましたけれども、私はやっぱり、そんな簡単なもので片づけられては困る。これは後でまたお伺いしていきますけれども、やっぱりこの枠の決め方という問題を考えるときに——一つずつ伺っていきますけれども、その枠を決められた時点で、なぜこんな判断しか出なかったのか、ということを考えますその中で、まず一つは、その決められた時点で牛肉の在庫量というものがどれだけあったかということをお伺いしたいと思います。
○政府委員(澤邊守君) ちょっと手持ちの資料で調べますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。
○小笠原貞子君 そちらからお答えいただこうと思ったんですけれども、こっちで調べてありますから、それじゃ私の方からその数字を申し上げたいと思いますけれども、四十八年の四月には一万五千百トンですね。これは畜産振興事業団指定冷蔵庫の四十八工場の在庫というように——ございましたですか。まあ、ついてですから、そちらのと比べながら見ていただきたいと思います。五月が一万八千百三十五トン、六月が約二万二千、七月が二万四千五百くらい、八月が約二万九千。九月になりまして三万一千百五十五になっていますね。そして十月が三万三千、十一月が三万六千八百八十二トンと非常に大きな数字にどんどんふえてきているということがこの客観的な数字で示されていると思うわけなんです。こういうふうに在庫量が増大していたということが言えるその中で、それじゃ消費の方、需給関係を見る場合には消費の場合、どういうふうな傾向になっているかということを一方見ていかなければならないと思うんです。消費の停滞傾向というようなのも異常なインフレのもとではっきりしていたのではないか。先ほどおっしゃったように、石油ショックというふうにおっしゃいますけれども、四十八年下半期分の枠決定後に消費停滞が急に起こったというようなことではなくて、たとえばこれは総理府の方を私は調べたんですけれども、家計調査年報というのを見せていただきますと、人口五万人以上の都市における牛肉の購入量というものが出ているわけです。それを見ますと、四十八年の一月から見ますと、前年比で一体どういうふうになっているか。——家計調査年報というのが総理府で出されていますね。そうすると、消費というものがずっとどんな傾向になっているかというのがはっきりすると思うんですけれども……。
○政府委員(澤邊守君) 四十八年の一月は、購入量におきまして、前年に比べて九六%と、私どもの手元では……。ただ、支出金額におきましては一一〇%ということになっております。
○小笠原貞子君 四十八年一月からずっと見ますと、前年比九六%とか八七%とかというふうにずっと下がってきているわけなんですね。だから、四十八年に入って明らかに前年を下回る傾向ということがここで見られると思うんです。そして十月の時点て見ますと約一割近く——一〇%近く消費量というのが減退してきている。そういうことを見ますと、在庫量がこれだけあって、消費傾向というのがずっと下がってきているという事態の中で、九万トンの枠というものが決定されたということは、何としても納得できない異常な枠の広さではないかと。やっぱり全体を、具体的に客観的に見られると、石油ショックだというようなことで簡単に逃げられないような傾向というのが出ていると思うんですけれども、その辺どういうふうにごらんになっていらっしゃるでしょうか。
○政府委員(澤邊守君) いまの、家計消費支出からの点での御質問でございますが、確かに御指摘ございましたように、牛肉の消費量は四十八年一月九六%、二月九二%とか、九三、八八、八七と、こういうふうに減ってきておりますけれども、需要の強さといいますのは、量でだけ見ては正確には見られないと。やっぱり金額で幾ら買う購買力があるか、牛肉に対して幾ら支出したかという点で見るべきではないかというふうにわれわれは考えるわけでございまして、その意味では、支出金額で見ますと、一一一%から始まりましてずっと伸びまして、六月ごろには一二七%、七月に一二六%、一三〇%、一二六、一二七ということで二割以上上がっておるということは、牛肉をそれだけ食べたいという意欲といいますか、家計の要求があるということだと思います。ただ、輸入量が少ないために量が少ないからおのずから口に入る量は少ない。そのかわり価格が上がったということでございますので、量だけでごらんいただくと、あるいはそういうふうにお考えになるかとも思いますけれども、支出金額で見ますと二割あるいは三割以上上がっておるということは、相当供給不足になってきたということでございますので、価格の安定のために輸入をやるということは必要だという判断を当時したわけでございます。 なお、在庫量につきまして当初、四月が一万五千トンで、それ以降九月が三万一千トンとだんだんふえてまいりましたが、これは例年のことでございますけれども、輸入の割り当てを、どうしても、上期やりますのがおくれまして、その点いつも消費者の方には御批判受けるわけでございますが、入るのが、どうしてもずれるということのために、年度後半に入ってくるのが多い。特に下期の割り当てをしてから上期の分が本格的に入り出すというような場合が、これまで結果として多かったものですから、上期は比較的在庫が少ない、下期になりますと本格的な輸入物が国内に入り出すということで在庫物がふえてくるということが通例でございます。 そういう意味でございますし、さらに数量自体も三万五千、三万六千、もちろんこれは輸入肉だけの話でございますし、また事業団の指定倉庫、これは大半だと思いますけれども、カバー率が非常に高いと思いますけれども、それだけの調査でございますから、直ちには言えない面もございますけれども、量といたしましてはこの年が三百四、五十万トン、五十万トンに近い消費量でございますので、その中での三万五千トンというと、一ヵ月ちょっとということは、これが非常に過剰在庫であるというふうに判断はできないのではないかというふうに思います。
○小笠原貞子君 確かに、量は減ってきているけれども、金額がふえているというふうに、いろいろと数字のあちこちから見られる、ということになるけれども、具体的には、結果的には四万トン凍結しなければならなかったということについて、その見通しは、どんなにがんばられても、これは間違っていたと——これは「うん」と言っていらっしゃるから、おっしゃらなければならないことだろうと思うわけです。それで、今後の枠の決め方についても、再びこういうような見通しの誤りがないように、そして生産者の農民の方々も安心できるような、そういう方針で具体的にやっていただきたいと思うわけなんです。 枠を決められてから、実際に輸入されてくるまでの大体三ヵ月くらいとか、というふうに伺いましたけれども、一定の時期、期間というものがございますですね。ですから、そのときに市況だけと、市況だけできめられるんじゃなくて、国内の生産見通しに基づいて、そして国内生産の圧迫にならないように決めるということが大事だと思うのですね。そういう正確な見通しを立てる上では、その枠は、政府が独自でお決めになっていらっしゃるけれども、やっぱりそこに、農民の代表が参加している審議会にお諮りいただいて、そして生産者の立場からの見通しというようなものもお聞きになるということが正確な枠を見通せるというふうに私は考えられるし、そういうふうに思っていただけると思うのですけれども。いままでのような独自の政府の判断というのではなくて、審議会にお諮りになる、御意見を伺うというようなことについてはお考えになっていらっしゃるでしょうか。
○政府委員(澤邊守君) 輸入の適正量の決定、適正な時期に到着するように輸入をするということが価格の安定のために非常に重要であるということは御意見のとおりでございます。今度、牛肉の価格安定制度ができますれば、どの辺に落ち着けたらいいかという価格の目標水準が明確になります。これは私どもは、安定帯の価格をきめますと、その中心価格に収斂するようにできるだけ輸入を調整していくということが大事なことだと思います。そのために従来以上に目標がはっきりしますので的確な調整がやりやすくなる面はございます。しかし何といいましても御指摘のように需給見通し、価格見通しを的確にやるということが輸入量の決定なり輸入時期の決定について一番大事なことであることは申すまでもないことでございますので、われわれといたしましては、従来以上に輸入の見通し、その前提となります国内の生産あるいは消費の見通し、価格の見通しというものをできるだけ精度を高めてやるべきだというように考えておりまして、その点はわれわれといたしましてもこれまでのいろんな調査をさらに充実をいたしまして、そのときどきに修正も加えながら見通しを的確に出していきたい。その場合、御指摘になりましたような在庫の問題も、いままで、われわれは率直に申しまして、在庫の量を的確に把握する点で不十分な点がございました。その辺も精度を高めて、しかも終始把握をするというような体制を整備してやっていきたいと思います。 そこで、それにいたしましても、お尋ねの審議会の意見を聞いてという点でございますが、私どもとしては、これは行政の責任で機動的にきめるべき問題だと思いますので、いま直ちに審議会を開催をして、その都度開催をしてお諮りをして御意見を聞いて、というところまでは考えておりませんが、統計情報部の調査その他県を通ずる出荷予測とかいうようなものをできるだけ頻繁にとることによりまして、科学的根拠といいますか、そういう数字に基づいた的確な見通しをやって、行政責任において数量をきめていきたいというふうに考えております。
○小笠原貞子君 行政責任においていままでもやってこられたと思うわけなんですね。それでこういう問題が起きたから、だからそこでもう一つ行政責任で、もっと一生懸命調査してやっていただくことはもちろんなんだけれども、やっぱりそこで審議会の御意見を聞くということも、これは非常に大事なことではないか。決して聞いたからマイナスになるというようなものじゃないと思うんですね。共産党としましても、この修正案の中で、四十条の二の第四項の中で聞くというようなことも提案をしてございますけれども、大臣いかがでございましょうか。行政責任でやると、絶対間違いないという確信はないと思うのですね。御努力なさりながらも、やっぱり審議会の意見も聞くというふうに御検討いただけるかどうか、大臣のお立場からいかがでございますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ、その年度の価格をきめるときは、これは、審議会を開いて慎重に御審議をいただいて、審議会の答申に基づいて政府が決めなければならないわけでありますが、しかし、その後の牛肉の輸入等に対する調整については、これは御決定をいただいた価格、特に中心価格に収斂をするという方向で行政が責任をとればいいわけでございますし、また、これをやる場合には、非常に機動的でなければならぬと思いますので、そのたびごとに審議会を開いてそして御相談申し上げるということは、私は、なじまないんじゃないだろうか、やはり行政責任において的確に決めていくという方がいいんじゃないだろうか。私はそういうふうに考えておりますので、審議会を開いて輸入の調整等についてお諮りをするというふうな考えは持っておらないわけでございます。
○小笠原貞子君 行政の責任でとおっしゃるけれども、それじゃ、生産者農民が泣きの涙で本当に死ななければならないというような立場に立ったときに、行政の責任をどうやってとってもらえるのか。そんな立場に立った農民に行政の責任でいままで救いの手を伸べられたということがないわけですよね。だから、そんなふうに行政の責任でなんて余りいばっておっしゃらないで、また、なじみませんとおっしゃるけれども、やはりなじむかなじまないか御検討いただきたい、そう思うわけなんですね。その点もひとつ今後の問題としてなじめるものか、どうしたらなじむものか、御検討いただいて、その枠が正確に正しく御判断いただけるようにしていただきたい、そう思います。 それで、次に移りますと、枠の出し方につきまして四十九年の八月十二日、畜産局から畜産振興審議会に「牛肉の価格安定対策について」という文書が出されておりますね。その中で終わりのほうに「牛肉の輸入方法の改善について」「事業団分の取扱い」の中に「(一)逐次枠」「(二)恒常枠」というふうに分けて設定するというふうに出ておりましたのですけれども、それについてどういうふうに御検討されておりますでしょうか。
○政府委員(澤邊守君) 今後、輸入を需給の実態に合わせまして的確に行なうためには、その割り当ての方法等についても従来のやり方を検討すべきではないかということで、御指摘のように昨年の八月、畜産振興審議会の懇談会を開きました際に、一つの当時の案といたしまして、恒常枠と逐次枠といいますか、基本枠と調整枠とでもいいますか、そういうような設定の仕方も検討すべきではないかということで、検討項目として提出したことはございます。 これは、考え方といたしましては、現在は、上期と下期に二回に分けて一遍にぽんと割り当てをするわけです。先ほど申し上げましたように、需給の見通し、価格の見通しは、われわれとしては、できるだけ精度を高めてやりたいと思いますけれども、なかなかこれは一〇〇%当たるというわけにはまいらないと思います。経済変動によります消費の変化もございますし、それから肉の場合、酪農がやや調子が悪くなると乳牛の屠殺がふえるというようなことによって、肉の生産量がふえるということもございますし、価格が悪いために子牛の屠殺がふえる、去年の乳牛のスモンの場合等にございましたように、そういうこともございます。また、どうしても、価格が不安定のときには買い急ぎ、あるいは売り惜しみといいますか、そういうことはやはり商行為としてはつきものでございますので、なかなかそう的確に一〇〇%見通すということは神わざでないとできないわけでございますので、そういうことでありますれば、一遍に上期、下期を一回にして配分せずに、上期のうちでも仮に三〇%なり五〇%、ここまでは大丈夫だというものは最初に出してしまって、あとは徐々に事業団が発注をするというような形で調整的にそのときの市況を短期に見通しながらやっていくというような方法をやる必要があるのではないかということで、基本枠と調整枠といいますか、恒常枠と逐次枠といいますか、そういうような考えでやることが価格の安定を図るためには必要ではないかということで現在も検討をいたしております。輸入をすることが必要になるまでにはそういうことを結論を得なければいけないと思います。ただ、これは対外的な影響がちょっとございまして、輸入の長期契約をやるということも主要輸出国との間で今後検討すべきことだと思いますが、そういう恒常枠のようなものを出しますと、対外的に約束するような印象にとられる恐れもある。その辺をどうするか。仮にそういう約束的にとられるならば、こちらとしては逆に向こうから代償をとりたいということもありますので、ひそかに検討しておると、こういうことでございます。
○小笠原貞子君 どうぞ御検討いただきたいと思います。 それじゃ、枠の凍結についての問題に移らしていただきたいと思います。十一月に枠が決められた、そのときはもうすでに値下がり傾向になって、十二月になりますとその値下がりがはっきりしてきております。それが凍結が一月の三十一日に決定されるということで、私見ていて、ちょっと手の打ちようがおそかったのではないかなと。で、一月末に判断を下されたという、その時期ですね。いま言いましたように、卸売価格は十一月をピークに十二月には反落しております。十二月には九百五十円代にまで落ち込んでいるわけですから、この時点で正確な見通しでぱっと手を打っていただければ、これほどまでに低落が続いて苦労するというようなことがなかったのじゃないかと思うのですけれども。その時期がちょっとおくれた、これが問題だと。私が言いたいところは、これをどういうふうに見ていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(澤邊守君) 四万トンの凍結、同時に、——同時にといいますか、その前に、すでに事業団の輸入した一万トンの放出の停止ということは一月末以前に実はやったわけでございますが、新たに割り当てするもののうちで、四万トンは、実際の輸入を見合わせるということにいたしましたのは、一月末あるいは二月の初めでございましたが、これの時期について、もう少し早くやるべきではなかったかという点は、結果的にはあるいはそういうような見方ができるかと思いますけれども、当時といたしましては、実は早過ぎるのではないかというような御意見も、実は業界等からは、実需者の側からは、かなり強くありましたけれども、私どもといたしましては、できるだけ早くやったほうがいいということでやった経緯はございますが、結果的に見ますれば、確かにもう少し早くやっておけばベターであったということは申せるかと思います。
○小笠原貞子君 農林省としては、中央卸売市場の毎日の競り値についてつかんでいらっしゃる。特に東京市場については即時つかめるというような体制をとっていらっしゃるわけですね。その「東京都中央卸売市場食肉市場ニュース」というものをずっと見せていただいておりましたら、四十八年の十一月分なんですけれども、ここに、「乳牛は輸入牛肉の影響が大であり振わなかった。」というふうに、はっきり十一月段階で書かれているわけなんです。で、十二月段階で、このニュースの十二月分を見ますと、またここでも、「特に乳牛は、輸入肉の影響で落ち込みの激しい相場となった。」こういうふうにはっきり出てきているわけです。これが出てくるよりも、おたくの方は、毎日、情報をとっていらっしゃるわけですから、だから、いまおっしゃったみたいに、やっぱりこれは少し手の打ち方がおそかったというふうに言わざるを得ないのじゃないか、まあそういうふうに思うわけです。それで九万トンのうちの四万トンの凍結ということになったわけですけれども、その凍結をされた一月末時点で在庫量はどれくらいだと見ていらっしゃいますか。
○政府委員(澤邊守君) 四十九年の一月末は四万一千三百六十五トンでございます。これは先ほどお示しになりました事業団の指定倉庫の輸入肉の在庫量でございます。
○小笠原貞子君 それだけの在庫量がありながら、凍結量というのがいろいろ聞いてみると、三分の一の枠での凍結だというような御説明をいただいたわけですけれども、何でもうちょっと凍結ということがきちっとできなかったのだろうか、量的にも。その辺のところはどうなんでしょうか。
○政府委員(澤邊守君) あるいはいまの御質問、誤解しているかとも思いますけれども、四万一千トンがございましたが、先ほど言いましたように、下期の量としては特別に非常に過剰だという判断は当時はしなかったわけでございます。それから事業団が一万トン、下期を二回に分けましたので、下期の第一次分と申しますか、といいますより上期の分が入ってきたものの中と言った方がいいかと思いますが、一万トンにつきましては放出をやめまして、事業団自身が在庫で抱えたわけでございますが、それは一月の初めごろにきめたわけでございます。新たな割り当てに伴う輸入の停止は四万トンについては二月の初めでございます。そういうことでございますが、四万トン自体につきましても、あるいはもっと大量に凍結すべきだとか、あるいは全然新規の割り当てはすべきでなかったというような御意見も、現段階で振り返ってみますと、あるいはあり得るかと思いますが、当時といたしましては、四十九年の八月ころまでの需給見通しを一応立てまして、これは私どもだけがやるわけではなしに、関係の専門家の業界だとか、生産者を含めまして、いろいろお聞きした上で、この程度でよかろう、まあ四月ごろからはかなり価格が回復するんじゃないかというのが、当時の一般の、と言いますとあるいは語弊があるかもしれませんけれども、主要な方に聞くと……。大体そんなころだから、したがって、初めから割り当てをやるという必要はないんで、しばらくとどめておけば、価格は四月ないし五月ごろかちかなり回復するのではないか、という見通しが一般にございましたので、しかもその数量につきましても、そう全量ストップする必要はないだろうというような判断をいたしましたので、四万トンにとどめたわけであります。結果からしますと、確かに消費の落ち込み、その前提となる景気の落ち込みがはるかに、われわれの予想したよりも大きかったし、長かったということによりまして、結果論から申し上げますと、もう少し大量にストップをし、あるいは初めから割り当てをやめてしまった方がよかったのではないかということは申せるかと思います。
○小笠原貞子君 確かに凍結はされたけれども、下期二回に分けられて第一回の十一月段階で発券済みの、発券はしたけれども、未消化分の三分の二については凍結したというふうに伺っておりましたんですけれども、簡単に言えば、なぜもっと早くやってもらえなかったかと。そしてまた、もっとちゃんと徹底的に凍結して値下がりを抑えるというような処置をとってもらえなかったかというようなことが私が言いたいところなんです。これは無理もないことだと、いまになって考えればそうおっしゃると思うんですけれども、時期がおくれた上に、その凍結の仕方も非常に中途半端な点があったというようなことから、結果的に見ると、輸入物と競合いたしまして、その後の卸売り価格を見てみますと、乳用雄牛の場合に、四十九年の二月一キログラム当たりが八百十七円、前年比八六%ですね。四十九年二月。それが今度三月、四月、ちょっと持ち直したふうに見えたのが五月、六月、七月とまいりますと、五月が七百七十六円、七百七十二円、七百七十七円というように前年に比べて七八%、八月には七七%というような大変な落ち込みになって、一年じゅう低迷し続けたというようなことに結果的にはなってしまったわけなんですね。 私、こうやって質問に立ってますと、数字だけで簡単に言いますけれども、その間、生産者農民というようなものを、いつも頭に思い浮かべるわけなんです。そちらでも、事情としては御承知だろうと思いますけれども、本当に自殺者も出る、そしてまた、農民だけではなくて、それをどんどん奨励した農協の営農指導の方も、なくなったというような、新しい悲劇がつくられてきておりますし、北海道の十勝でいろいろ調べさしていただきましたら、乳用雄の肥育を大々的にやっているという農家では億という単位を超えての負債をしょっているというわけなんですね。だから、こうやって数字でやりとりしておりますと、いや、それは見通しが誤って、もっといい道がありましたというように、そちらもお答えになるし、私も数字で言いますけれども、やっぱりここで大事なのは、そのために一体、生産者農民が、どんなひどい立場に置かれたかということを本当に考えながら、いろいろな責任を感じながら、本当に真剣にやってもらいたいと、そのこと切に私はお願いをしたいわけなんですよ。そういう方たちのことを思いながら、こうやって立ってますと、本当に割り当ての枠なんて簡単そうに見えるけれども、この割り当ての枠を正確にするかどうかというのが、こういう人の命にまでつながってきちゃったし、また、これてちょっとまずかった——凍結するというその凍結の仕方についても、こういう悲劇にもつながってきたというように考えられてしまうわけなんでね。その辺のところを大臣として、枠の決定だとか、凍結の問題というようなもので責任を持つ政府の農林大臣として、どういうふうな方針でこれからやっていこうというふうに、いままでのことも反省してらっしゃるかどうか、その辺、大臣の口からちょっとお伺いしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 畜産物の価格が非常に低迷をいたしまして、畜産農家が大変お困りになったということは事実でございまして、この原因としての、やはり最大の原因は、石油ショックによりまして需要が著しく停滞をしたということが最大の原因であろうとは思うわけでございますが、その間にあって、いま御指摘がございましたようないろいろの問題も、これは見通しの上にあったことも、これは事実であろうと思うわけでございます。政府としても、そうした畜産農家の苦境を何とかして救わなきゃならないということで、牛肉の一般枠につきましても、輸入のストップをいたしましたし、その他負債の整理のための金融であるとか、その他の助成措置等もいろいろと講じてまいってきたわけでございます。また、そういう反省の上に立って、これはやはり価格安定制度というものを牛肉についてもつくらなきゃならぬということからいま御審議をいただいておるような、この畜安法の改正というところに踏み切っておるわけでございます。今後はそうしたいろいろの時点を踏まえて、何としても牛肉につきましては積極的に生産を振興して、六十年までにはいまの肉牛を三百万頭以上に生産をしようという目標を立てて、そのための生産対策もこれから強化していくわけでございますが、まあこの価格安定制度を運用していく場合においては、十分これはいままでのことも顧みて間違いのないようにしていかなきゃならぬ。そのためにも畜産振興事業団というものの機能をフルに発揮させる、その輸入についての牛肉については、平常時においても大半を事情団によって取り扱わせて価格の安定を図っていく。さらに、特に必要のあるときには、これは一元的に扱わして、そして間違いなきように期する。こういう考えで、今後ともやっていきたいと、こういうふうに思っておるわけであります。
○小笠原貞子君 それじゃ次に、事業団の売り渡しに関しての問題を伺いたいと思いますけれども、こうやって農民が非常に苦しんでいるというような中で、農林省としては調整保管ということを実施されたわけですけれども、大体、調整保管、四十九年の春からなさいましたけれども、頭数にすると、何頭分に当たるくらいの頭数を保管されたでしょうか。それと同時に、事業団が四十九年の二月以降売り渡したというその売り渡し量、これを頭数でわかりやすく言いますとどれくらい分に当たるか。
○政府委員(澤邊守君) 頭数で申し上げますと、三月の末から実は始めたわけでございますが、第一次調整保管事業が六千頭でございます。これは事業団がやったといいますより、事業団が助成をいたしまして、全農その他の生産者団体に行わせたと、こういうことでございます。六月上旬にさらに一万頭をきめまして実施をいたしまして、それからさらに十月から第三次でさらに二万頭の枠を追加したわけでございますが、しかし、それは全部消化しておりませんので、現在六千頭、一万頭含めまして二万一千頭を保管をいたしました。一月八日現在でございます。その後は特にやっておりませんので、その数字でございます。
○小笠原貞子君 売り渡し……。いま一緒に聞いちゃったんですけれども、事業団が四十九年二月から、その時代ですけれども、売り渡した実績は頭数に直したらどれくらい。
○政府委員(澤邊守君) 事業団でございますか。
○小笠原貞子君 はい、はい。
○政府委員(澤邊守君) 輸入肉を含めてのことでございますか。
○小笠原貞子君 はい、はい、そうです。
○政府委員(澤邊守君) 事業団の売り渡し実績は一万八千トンでございます。四十九年の四月から五十年の一月まで事業団の売り渡し実績一万八千トン。輸入肉でございますので、何頭ということじゃなしに、トンで申し上げますと一万八千百トンでございます。
○小笠原貞子君 ちょっと数字が違いますね。おたくの方から、食肉鶏卵課の方から数字をいただきまして、そして計算してみたんですけれども、四十九年二月が九千四百九トン、三月が六千三百六十六、四月が四千百三十三、五月が三千八百十七、こういうふうにずうっと数字が出ておりまして、十二月までで合計三万四千三百七十五トンと、おたくの方から、食肉鶏卵課からいただいた数字で。
○政府委員(澤邊守君) 年でいくわけですか、一月から。
○小笠原貞子君 四十九年の二月から、四十九年中で計算いたしますと、それで調べますと三万四千三百七十五トンと。それで、こっちで教えていただいたように、枝肉にすると何ぼ何ぼというふうに計算いたしますと、約十四万頭分というふうに私計算できたんですけれども、それでいいでしょうか。
○政府委員(澤邊守君) 先ほど私が申し上げましたのは、四月からのことを申し上げましたので一万八千トンでございましたが、二月からいたしますと、それに一万五千トンぐらい加わりますので、ただいまの御計算で大体頭数換算は結構だと思います。
○小笠原貞子君 そうしますと、いまここで伺った中で、調整保管をされたのが二万一千五百頭分というふうに出て、そうすると、調整保管したよりもたくさんのものを、事業団から十四万頭分のものがどんどん出されていってしまったというふうに見られるんじゃないかと思うんですね。そのときの新聞を見ますとね、こういうのが出てるんですよ。調整保管しながら輸入肉をどんどん売り渡している、だから低迷の背後にちぐはぐな行政というふうに言われているけれども、まさに保管しながら、こっちで出していっちゃうというようなことでは、ちぐはぐ農政と言われてもしようがないんじゃないかと。 〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕 なぜ、事業団分だけでも売り渡しをストップしなかったかというのが、私ちょっと疑問なんですけれども、その辺のところはどうなんですか。
○政府委員(澤邊守君) 当時の見通しといたしましては、四万トン程度停止をすれば、春先から、あるいはおそくとも五、六月ころからは価格が回復するのではないかというような見通しが一般でございましたので、四万トンの凍結にとどめて、後のものは輸入してもよろしいということにして割り当てをしたわけでございます。そうしますと、実際に事業団発注しますけれども、実需者が、ハム、ソーセージの加工業者だとか、あるいは一般の小売屋さんが、それぞれ輸入肉を使う予定で、この程度いつごろほしいということでやると、それの希望を受けて事業団が、入札なり随意契約で商社を通じて輸入をするわけでございます。これは全部そういう契約ができておりますので——入ってきた場合、それを使いたいという希望がございますので、すでにそういう契約に基づいて、輸入したものについては、そういうことを行い、しかも国内に対して希望があれば売り渡しをしていくということをしたわけでございます。したがいまして、それらの輸入肉の入る数量も考慮しながら、国内の調整保管の目標数量を決めていったいきさつになっております。もちろん当時の見通しといたしましては、早目に回復するというような見通しが甘かったということは結果的には言えるわけでございますが、当時の考え方としては、そのような考えでやったわけです。ただ、実際に入荷をいたします場合、輸入物が入ってまいります場合、なるべく到着時期をおくらすようにということで、四月以降、当初の契約の到着時期よりは少しでも相手と交渉しまして延ばしてくれということにいたしまして、年末ごろまでなるべく引っぱるように、引っぱれないものもございましたけれども、月間の輸入量が余り多くならないようにということには努力をしたつもりでございます。
○小笠原貞子君 いろいろ延期して引き延ばすようにというような御努力はなさったと思うわけですけれども……。そこでお伺いしたいんですけれども、現行の畜安法でも、四十二条の二の2の中でも「牛肉の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、肉用牛の生産及び牛肉の消費の安定を図ることを旨として農林大臣が指示する方針に従って、しなければならない。」こういうふうに出ているわけなんですね。その農林大臣が指示する方針というような中に、いまみたいにちょっと船積みをおくらせるというようなことで、延期というような措置ではなくって、ちょっと中止させるという、停止というような問題についてどういうふうに考えていらっしゃるだろうか。当然そういう緊急な事態、暴落というような異常な事態になったら、ここで停止についても農林大臣の指示という方針の中にも含まれるんじゃないかというふうに考えられるんですけれども、その辺いかがでしょうか。
○政府委員(澤邊守君) 現行の四十二条の2に基づきまして「生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、肉用牛の生産及び牛肉の消費の安定を図ることを旨として農林大臣が指示する方針に従って、しなければならない。」、これの規定によって放出をやめるべきではなかったか、こういう御指摘でございますが、先ほど申しましたように、実際に事業団が輸入いたします場合は、輸入したものを売り渡し先を全く決めずに事業団の判断で、こういう肉をいつごろ、どれだけ輸入するか、してほしいという発注書を商社に出す場合もございますけれども、通常の場合は、やはり品質、部位ごとにそれぞれやっぱり実需者の希望がございますので、それに応じたものを輸入しないと、事業団が輸入しても全く売れない、売り先がないということがございますので、大体、希望を取った上で、いつごろに、どれだけ、どういう部位の、どういう品質のものがほしいかということを取った上で事業団が商社に対して発注書を出す、そうしますと商社が輸入割当を受ける、こういう場合が多いわけでございます。そのような実需者からの積み上げの希望をもとにして輸入をしておりますので、そのとおりに売り渡さないと実需者側が契約違反といいますか、予定どおり加工ができないとか、あるいは販売ができないということで問題になりますので、そういう契約に基づいて輸入しているものにつきましては約束を履行する必要がある。ただ、その時期につきましては、少しでも延期をしてもらうとか、あるいは引き延しをするというようなことは努力しましたけれども、全部やめてしまうということになりますと、営業の計画が狂ってくるというような問題もございまして、そういう契約に基づくものについては放出をせざるを得なかったという事情でございます。
○小笠原貞子君 それじゃ、具体的に畜安法改正の問題等の関係でお伺いするわけですけれども、法律上、輸入牛肉の売り渡しは、安定上位価格を超えた場合は義務的売り渡しとなるわけですけれども、それ以外でも売り渡しを行うことができるとなっておりますですね。つまり、この普通時の売り渡しについて、売り渡す対象となるのは保管する牛肉というふうになるわけですね。売り渡す対象、保管する牛肉ということになりますと、輸入牛肉だけでなくて、事業団が買入れた国内産の牛肉も含まれるということになるわけなんですね。そうすると、この普通時で売り渡すというようなところを、保管する牛肉というので輸入物も、国内物で買い上げた物も一緒に売り渡すなんというんじゃなくて、ここで区別して、普通時の売り渡しというときには、輸入牛肉に限定するということがないと、これはちょっとぐあいが悪いんじゃないかと思うんですけれども、その点いかがですか。
○政府委員(澤邊守君) お尋ねの件は、四十一条の一項によります売り渡しと二項による売り渡しの場合、原案では両方とも輸入肉も国内肉も基準価格が下がって、事業団が国内肉を買い上げたものについても、両者とも一項によっても二項によっても売り渡しができるという点、特に二項によって国内肉の保管肉を売り渡すのは問題ではないか、こういう御質問かと思いますが、これは第一項の方は義務売り渡しと言っておりますけれども、要するに、安定上位価格を超える場合には事業団は売られなければならないという趣旨で書いてあるわけでございます。「売り渡すものとする」という表現でございますけれども、売り渡さなければならぬ、消費の安定を図るために上がったときは必ず売れ、こういう趣旨でございます。二項の方は、安定上位価格までいかなくても、これは「売り渡すことができる。」の方でございますが、その趣旨は、牛肉のわが国の需給事情の現状におきましては、輸入肉が相当量のシェアを占める。二、三割、多いときは四割もあったわけでございますが、そういう需給関係にある。したがって、輸入肉が常時何がしかずつ国内に流れてくるということがないと通常の場合は、牛肉価格の安定が図られないということでございますので、しかも先ほど大臣からお答えございましたように、通常時においても事業団は九割といいますか、大部分、大半を扱うというこれまでのやり方を続けたいと思っておりますので、事業団が輸入肉の大半を扱っておって、その事業団が上位価格までいかなければ売らないということ、売ることができないということになりますと、価格は上位価格、高いところにいかなければ売り渡せないということになりますと、中心価格をもって収斂させるのが価格安定の目標だということを申しましたけれども、そういうことが達成できなくなりますので、それ以下の場合であっても売ることができる、ただ、その場合生産者に不当な影響を与えるとか、あるいは消費者に悪影響がある、消費の安定に悪影響があるというような売り方はしない。 具体的に申し上げますれば、中心価格より非常に下がっておって、国内価格が基準価格近くまで下がっておるというような場合には、事業団は輸入肉も売らない、あるいは売り方を少なくする。で、安定上位価格に近づいて中心価格を上回って近づくような場合には、大量に売り渡すということによって中心価格に収斂するように売り渡しをやっていくというのが望ましいわけでございます。その場合に、輸入肉だけではなしに、国内肉でも輸入肉でも要するに、供給量をふやす場合には同じでございますから、どちらを出そうが、原則としては価格安定効果は同じであるはずでございますので、輸入肉だけはやってよろしい、国内肉については基準価格で買ったものしか売ってはいけません、という差別をする理由がないということと、そういうことをいたしますと、輸入肉は売ってもよろしいけれども、国内肉は売ってはいけないということになりますと、上位価格に接近することがないと、いつまでたっても売れないということになりますと、保管経費が相当かかりますし、金利の負担もありますし、その間の品質低下ということもございまして、財政負担にもなる。どうせ出すものは、輸入肉であろうと、国内肉であろうと、量の決め方によって価格安定を図るわけでございますから、大差はないわけでございますので、輸入肉と同じように国内肉についても安定上位価格に至らない場合であっても売り渡しすることができるというふうな、同じ扱いにしているわけであります。
○小笠原貞子君 なかなか、説明ではうまくいきそうだけれども、大変危険なところですね、この問題は。だから、ちょっとやっぱり私は不安ですね。これは区別するということが大事なんじゃないかなと、そう思います。きょうは時間がありませんからここのところでおきますけれども、しばらく推移を見ますと、やっぱり共産党の言ったとおりだということになりかねないと思います。ちょっとこれは後の問題で残したいと思います。 具体的にまたお伺いしたいと思いますけれども、安定基準価格を下回るか、またはそのおそれがある場合、国内産牛肉について買い入れが行われているわけだから、当然売り渡しは停止されるというふうに考えられるんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
○政府委員(澤邊守君) 先ほど申し上げましたように、安定基準価格を下回るときはもちろん、場合によっては非常にそれに接近するような場合、先の見通しということもございますけれども、停止するのは当然だと思います。
○小笠原貞子君 そういうふうにやっていただく そういうふうに指導されるということですけれども、昨年の価格暴落の際を見ましても、結局その措置が何だか中途半端になってしまった。売り渡しをしないと、停止すると言っても、法文上の規定では何にもないから、農民はちょっと心配だ。またいやそんな心配しなくてもいいと言われたり、またチルドは保管がきかないとか、加工メーカーはすでに生産計画を立てているからと、先ほど御説明ありましたけれども、というようなことで、基準価格を下回っていても事業団から輸入牛肉が売り渡されるという心配があるわけですね。そこに歯どめがないということで、やっぱり心配が残るんですよ。四十九年の八月十二日に「牛肉の価格安定対策について」というのが畜産局から出されておりまして、この点で「乳雄「中」の価格が安定基準価格を下回り、又は下回るおそれがあるときは、事業団は法律上輸入牛肉の売渡しを停止する」となっているわけです。「法律上」とはっきり言っているわけですから、なぜそれを法律の上で明記できないのかということで、共産党としてはこの点を修正案の中にはっきり出しているわけなんですけれども、その点はどういうふうに考えていらっしゃるか。また、その点で農林大臣のお考えも伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(澤邊守君) 確かに四十九年の八月半ばだったかと思いますけれども、その当時の案では、そういう案も検討したことがあるわけでございますが、ただ、これは生産者の側のいろいろ御意見を聞きましたら、基準価格を下回ったときは売っちゃいけないということになりますと、裏返しますと、少しでも上回ったら売ってもいいじゃないかという逆の心配はありはしないかというような御疑問もありまして、それじゃ、かえって不安があるというのでやめることにしたいきさつはございます。したがいまして、今度安定価格というのがはっきりきまりますれば、目標がございますから、これ以上、下がっちゃいけないという目標が、従来ははっきりしたものがなかったわけですが、今度できるわけですから、それに接近した場合には、もう売る数量は減らしていくとか、あるいは途中でやめてしまうとか、もちろんその基準価格を下回るような場合には完全に売るのはやめて保管をする。そのためにはもう御意見のございましたように、チルドビーフ——冷蔵肉は保管ききませんので、そういう点を考えますと、輸入の牛肉についてのチルドビーフ、フローズンビーフの区分も少し考えなければいかぬのじゃないか。チルドビーフでやってしまうと、それは国内へ持ってきてから凍結保管するということもございますけれども、そうなりますとかなり凍結料がかかりますし、品質の低下も激しいもんですから、そうなると、やはりフローズンビーフをかなり、もとに返すように割合をふやしていくということも、検討しなければいけないのじゃないかということで、いずれにいたしましても、先ほど言いました四十二条のこの二項の農林大臣の定める指示する方針では、その辺の原則をはっきり決めまして、基準価格を割るような場合には、絶対に売り渡さないというような指示をしたいと思っております。
○小笠原貞子君 大臣、大丈夫ですか、そこのところ。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま局長が申し述べましたように、これは解釈上当然、事業団はその売り渡しを停止することになる、そういうふうに考えております。
○小笠原貞子君 じゃ、そういうふうにしっかりと歯どめをかけていただくというふうに確認させていただいて、次に移らせていただきたいと思います。 もう一項目あるんですが、これはあとに回しまして、もう最後の時間になりましたから、今度は別の問題に入りますけれども、明日酪農部会が開かれ、政府の乳価が諮問されるということになっているわけで、今日の酪農危機と言われる——本当にこれも何回も言うようですけれども、口では言えないような深刻な事態ということを考えますと、この打開の道いろいろ考えていただかなきゃならないけれども、やっぱりいまできるという大きな問題は、大幅に乳価を上げていただくということの道しかないと思うわけなんです。昨年来えさ代が値上げされて乳雄小牛の値段も暴落する中で、私は本当に、これで、この時点で乳価改定しなかったら、本当にどうなるんだということで、何回も、年内の乳価改定ということを、この委員会でも取り上げて伺ったわけなんですけれども、結局それがされませんでした。先ほど、農林大臣から相沢委員にお答えの中で、ことしは、えさ代下がったけれども、また上がったりしたというようなときには、当然そういう改定という項目もあるんだから、それでやればいいというふうにお答えになっていましたけれども、去年からの景気を見ると、あれだけ大騒ぎされたのに、年内の改定ということが実際にやれなかったということなんですね。だから、もう本当に、いま農民は真剣に乳価の問題を考えて——きょうも、たくさん来ていらっしゃるようなわけなんですけれども、北海道に行きまして、そして農民の方々、特に私は、主婦の立場で、奥さんたちと話し合ってみても、その生活をしょった中で、もう大変御苦労していらっしゃる。組勘はもう赤字、赤字で真っ赤になっちゃうというようなことですね。どうしても、去年に比べて生産量がそんなに落ち込んでいないから、まだ改定する時期じゃないというふうによく言われたわけですけれども、そんなに落ち込んでいない、少しはよくなってきたという、そのほんの少しのことだけれども、なぜ、それがいま保たれているかと言ったら、これも毎度、毎度言うけれども、借金をしょいながら、命を犠牲に何人もされながら、農民かぎりぎりの中でがんばって、これを保っているんだということです。そういうことを考えると、もうここんとこで、本当に農民にこたえて、日本の酪農を守るという姿勢を、政府がしっかり出していただかないと、農民の方たちもやっていけない。それは、農民の問題じゃなくて、国民全体の問題でもあり、日本国民全体の食糧事情を考えたときに、大きな問題だと思うわけなんです。こういうことから考えてこの乳価の問題について大臣、どういうふうにいま考えていらっしゃるか。ちょっとお考えを聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) やはり、今後、酪農を振興し、酪農農家の経営を安定させるということは、わが国の農政における一つの大きな課題でもあろうと思うわけでございまして、そういう場合において、やはり価格の決定というものは一つの大きな要素をなすことは当然でございます。したがって、この価格の決定が、酪農農家の再生産が確保されるという形において、適切に決められるということもまた当然でございまして、現在、政府としても、酪農振興審議会に諮問をいたしまして、御答申をいただく段階になっておりまして、大体、あすじゅうには御答申がいただけると思いますが、この御答申に基づいて、政府としての責任において、適切に再生産が確保される形で決定をしていきたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。が、私は、やはり酪農振興は、価格決定——価格というのか一つの大きな要素をなすことは当然でございますが、同時にまた、飼料基盤の整備や、あるいは農家における負債がずいぶんあるわけでございますから、そうした負債等に対する今後の、政府としての積極的な措置も、金融対策上もやっていかなきゃなりませんし、そうしたえさ対策ももちろん当然でございますが、そうした総合政策を機能的に、弾力的に施策を講ずることによって私は、酪農の振興は図り得ると、こういうふうに考えておるわけでございます。で、まず、価格の問題については、これはあしたの答申を待って、政府としての責任において直ちに決めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
○小笠原貞子君 政府の全国的な生産費の調査でも、四十八年の七月から四十九年六月までで三五%もアップしている、というようなものを数字で拝見したわけなんです。そうしますと、もう去年のあのひどい赤字分を取り戻して、そして、ことし、せめて赤字経営にならないような乳価というと、何としてもやっぱり農民の要求していらっしゃる大幅乳価というようなことにならなければならないと思うんです。えさ代があれだけ上がったときには、それがすぐに年内改定というところに持ってこられないで、今度全農が八千円から下げたというようなときには、ぱっとこう反映してくるということでは、あまりにも片手落ちではないか。しかも、その値下がり分というのが、今後の見通しとしてどうなのかと言えば、先ほど自信がないとおっしゃったような見通ししかないということになれば、もう本当にこれは大変なことになるわけなんですね。だから——何か御意見あったらおっしゃっていただいてけっこうなんですけれども、今後ずうっと、えさが下がるという見通しはないわけでしょう。これから、どういうふうな国際情勢や何かで変動があってその値が下がったという場合、それが大きな一つの要因になって、乳価を抑えられるなんということになりますと、もうこれはやっていけないという、本当にこれはしつこいようですけれども、これ、本当に考えていただかなければならない問題だと思いますので、そういうような事情も本当にここで一層お考えいただいて、農民の方たち、そして日本全体の者が安心できるような、そういう乳価というようなものも考えていただきたいということを最後にお願いして、終わらしていただきたいと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 全農が決めました飼料代の値下げにつきましては、これ、豚につきましては、やはり流通飼料が中心でございますから、一つの確定要素としてこれを反映さしておるわけでございますが、乳価につきましては、何としても粗飼料が中心でございますので、その占める割合というのは非常に少ないわけでございますが、しかし、生産費の調査につきまして、あるいは生産費の算定等につきましては、乳価につきましては、御案内のように生産費所得補償方式とまではいきませんけれども、それに近い形で生産費を決めておるわけでございまして、これは現在、農林省としても試算をいたしまして、審議会の方に提出をいたしておるわけでございまして、私は、審議会から、適当な、酪農の経営が安定をするといいますか、再生産が確保されるような、そうした前提に立った答申が得られるものと、こういうふうに期待をいたしておるわけでございます。
○栗原俊夫君 同僚議員から、おおむねきわめられておる段階でありますが、幾つかの点について質疑を行いたいと存じます。 まず、十五、六年も前に、畜産三倍、果樹二倍という日本農政の大転換をして、畜産に非常に力を入れたはずの政府が、いまころになって関係農民の血の叫びの中で初めて、肉牛が主要農産物として認められようとしているわけです。いままで認めていなかったんです。そういう誤った認識の農政の中で、私は、ここで攻める農政をやろうという安倍農林大臣を迎えて、大変心強く思うんです。 そこでお聞きする。一体、畜産物というものは、日本の食糧政策の中でどういう位置づけがされておるのかと、こういうことであります。御承知のとおり、金さえあれば、主食はいつでも、どこからでも買えると、こういう形の中で、日本の農政は大変な荒廃の道へと追い込まれてきました。しかし、一昨年、石油が戦略物資に使われ、大変な問題が起こると同時に、食糧が戦略物資に使われるという懸念が起こってきた。荒廃した日本農業は、カロリー計算で四十数%しか自給ができない、六割は他国の食糧に依存しておる。万が一どうなるか。四割は生き残るだろうと一般には思っておるけれども、私はそうは思わない。四割だけがぬくぬくと食糧を食うて、残りの六割が黙って飢え死にはしていけませんよ、これは。年間四割までは五、六ヵ月は食っていっても、後は一人残らず死ぬと。これは仮説でありますけれども、そういうことになるのが食糧だと思うんですね。 そこで、いま日本の農政は食糧自給を目指し、攻める農政に移る。そして、それが最大の政治課題である、何物にも優先した政治課題である。こういう位置づけをなさっておられると思うんです。そこでそういう食糧問題の中で、畜産物——動物たん白の供給源としてその大部分を占める畜産物、肉というものは、買って食える者が食えばいい食糧なのか、あるいは日本人として命と健康を守るために不可欠な食糧と認識するのか、これが今後の重大な問題だと思うので、ひとつぜひ農林大臣の大胆な所見の発表を願いたい、このように、思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 畜産物の需要につきましては、近年における国民経済の非常な成長、あるいは国民所得の向上に伴いまして、国民の食生活もずいぶん高度化、多様化をいたしまして、その結果、畜産物は毎年毎年需要が非常に増大をいたしておりまして、現在、国民生活の中において、畜産物は水産物と並んで動物性たん白資源の供給源として非常に大きなウエートを占めておる、こういうふうに考えておるわけでございます。特に最近、水産物につきまして、経済水域二百海里というふうな問題も世界的に起こってまいりまして、わが国の動物性たんぱく質の中において、水産物の確保というものが、非常に厳しい情勢になっておるだけに、畜産物の占める地位というものは非常に大きな役割りを今後とも担っていくものであるというふうに私は、基本的に考えておるわけでございますが、石油危機というものを契機にいたしまして、需要がだいぶ減退をしているといいますか、停滞をしてきております。また、国民生活の中におきましても、食生活が相当向上いたしまして、西欧的な段階まで達しておるというふうなことから、現在、生産の増強には消極的な意見というものも一部にあることは事実でございますが、先ほど申し上げましたような状態で、私は、やはり水産物との関連におきましても、今後畜産物の占める役割りは大きいし、今後長期的に見れば、畜産物の消費というものもやはり拡大をしていくと、こういうふうに考えておるわけでございます。そういうふうなことを考えますと、やはり畜産というものに対するこれからの施策というものは、わが国の農政の中において、相当大胆にこれを取り上げていく必要があるのじゃないだろうか、こういうふうな意識を持っておるわけであります。 酪農と比較をしてみても、肉牛生産等も、これは畜産物の中におきましても、いま栗原先生から御指摘のございましたように、過去の段階を私は顧みて、少しやはりおくれておるのじゃないかと、こういうふうなことも率直に思っておりまして、この酪農あるいは肉牛生産を含めて、今後のわが国における食生活の方向、需要の動向等というものも踏まえまするときに、やはりますます役割りは増大をしてくると。ですから、たとえば審議会におきましても、まさに米価審議会と並んで、畜産審議会は農政においても、まことに重要な役割りをなす審議会でもあろうかとこういうふうに考えておるわけでございます。まあ、私は、ひとつそういうふうな基本的な認識のもとに、農政審議会の御答申を得て、われわれが今後打ち立てなければならない長期的な視点に立った総合的な食糧政策の中にあって、畜産物の生産対策、あるいは価格対策といったものについては、大きな一つの柱としてこれを取り上げ、そうして推進をするという決意を持っておるわけでございます。
○栗原俊夫君 かつて、貧乏人は麥を食えと言って大問題を起こした政治的な経過があります。いま、畜産問題についていろいろと所見を述べていただきました。私は、小さな畜産問題ではなくて、日本国民の食糧問題として、動物たん白源の肉類をどう見るか、その供給源である畜産をどう見るか、こういう段階的に物を考えてもらいたいのです。で、私は、やはり単に米麥ばかりでなくて、もはや命と健康を守るために、動物たん白源としての畜産、食糧としての肉類、これは米、麥にやはり準ずる重要な地位を占める食料品である、このように思います。そう考えれば、金があるから食える、食いたいのだけれども金がないから食えない、こういう状況であってはならぬ。少なくとも、特殊の人は別として、やはり何といっても肉類はまずいものじゃありません、率直に言って。だれでも食べたい。したがって、食べたい人に食べられる、経済的に弱いと言われる立場の人でも食べられる適正な価格で、これに応じ得る数量を段取りしなければならぬ。これがやはり食糧問題として肉をとらえ、そうして畜産問題としてとらえる立場ではないか、このように思うわけです。まさか安倍農林大臣が、かっての、貧乏人は麥を食えといったような立場で、銭のあるやつは肉を食え、銭のないやつはがまんしろと、こうは言うまいと思うのです。だれでも食べられるような食糧政策としての畜産を考える。こういう方向を強く表明していただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も、御意見につきましては全くそのとおりだというふうに考えておりまして、やはり今後の食糧自給を高めていくという中にあって、畜産物というものは大きな柱でなければなりませんし、また、現在、国民の食生活、一般的な食生活の中に占める畜産物の比率というものも、年々高まって今日来ておるわけでございますから、これをさらに維持し、そうして向上させるということが、これがわれわれの責任であろうし、そのための需要に応ずる供給を確保していくということも、これからの私たちの大きな役割りをなすことは、これはもちろん当然のことでございますので、全く同じような考え方のもとに、私も今後とも農政に取り組んで参りたい、こういうふうに考えております。
○栗原俊夫君 大変いい方向を答えていただきました。そういう方向になりますと、ここにやはり問題が出てまいります。それは価格の問題と数量の問題です、当然出てくるのが。まず数量の問題についてお尋ねしますけれども、できるだけ自給をやっていく、これは当然でありますけれども、足らない部分は、これは輸入に待つよりほかありません。ただ、とかくありがちなのは、国内で自給するよりも海外に安いのがある、国内でつくるよりも安いやつを買ったほうが合理的ではないか、こういうことに陥りやすい、私は、これではならぬと思うんですよ。海外から買うことに危険を感じたのが、食品の戦略物資化の問題でありますから、でき得れば、でき得る限り、自給で一〇〇%完成する、こういうことが一番好ましいと思うのですけれども、なかなかこれは理想であって、すぐはそうはいかぬ。しかし、基本的にはやはり自給を主眼とする、海外に安い物があっても、まず自給を主眼としてがんばる、こういう方向で行き得る基本的な姿勢がとれるかどうか、これが一つであります。 いま一つは、国内的にやはり一般の食料品として国民全般に食べてもらう、こういう立場をとるときに、ここに生産費と消費者価格の問題が当然起こってきます。まあ米では、御承知のとおり、生産者米価と消費者米価、二重価格であります。先ほど小笠原さんがいろいろ議論をしておりました。これにもなかなか問題がある。従来、単にこの問題だけでなくて、どういう問題があるかと言えば、消費者サイドでものを考える。さっきも、上限以外に適当に肉を売ると、こういうことを言っている。消費者のためだと、こう言っておる。それでは、下位価格以上で生産者のために農林大臣の指令に従って買い上げるということをなぜ待機させないんだ、こういう問題もあります。えさが高くなる、しかし、そうえさが高くなったからといってすぐこれを値段は変えられない。たまたま四月一日から全農で八千円下げるというから、いまの基準価格、これに、これを取り入れるんだが、途中で動いた場合にどうだと。こういうような問題等々についても、やはり本当に自給をするというたてまえで生産者が再生産ができるという価格というものをぴたりと据える。しかし、一方には消費者もおる。買い上げた肉に諸経費を加えていって、そして売ってもそれでは消費者には高過ぎるという場面もありましょう。したがって、消費者には消費者価格という立場で消費者価格を設定する。それは先ほど前提としておいた米麦にも匹敵するような、たん白源としての食糧、肉の価格としてそうした立場をとるべきではないか、まあこのように思うわけです。したがって、たとえば海外から安い肉を買い入れてきても、消費者価格に乗せて生産者を守る。高い価格で、仮に数量が足らぬからといって入れる場合も出てくるかと思うんですよ、これは。将来の問題として。数量が足らぬから海外から高い肉を入れてでも消費者に間に合わせなきゃならぬという場面も出るでしょう。しかし、その場面でも、高いからといって高く売るんでなくて、やはり消費者価格、こうしたもので、主食の一つとしての肉を国民に食べてもらう。国民の命と健康を守るための主食、栄養という立場に立てば、当然そういう方向が考えられてしかるべきだと。もっと端的に言えば、食管制度の中に米麦部門と並列して、この動物たん白源に関する部門も取り入れられて法制化されてしかるべきだ。まあこう思うんですが、これらに関する大臣の所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ、やはり農林大臣の責任は国民食糧の確保ということにあるわけでございまして、先ほどからおっしゃるように、いまの国民の一般的なやはり食生活を維持していくためのすべての施策に対して全力を尽くしていかなきゃならぬわけでございますが、そうした国民食糧を確保する立場に立てば、今日の世界の食糧情勢から見て、まず第一には、国内において自給できるものは可能な限り自給をしていくということじゃないだろうかと。まあそういうふうな基本的な立場で六十年目標を立てておるわけでございまして、たとえば、牛肉等につきましても、現在七割か、あるいはそれを切っているぐらいの自給率を八〇%以上にもっていく、まあ豚肉あるいは鶏卵、鶏肉等については、現在でも九〇%以上の自給率があるわけですが、これを一〇〇%近いところの自給率にもっていくというふうなところにわれわれとしても、これから施策をしていかなきゃならぬわけでございますが、同時に、やはり牛肉等につきましては、長期的に見れば、どうしてもやはり国内生産だけでは資源的な制約があるわけですから、いろいろな努力をしても、どうしても賄い得ないものについては、これはもう外国から安定的に輸入をしていかなきゃならぬ。これは国民食糧確保という意味からいけばまあ当然のことであろうと思うわけでございますが、その際において、やはり農家の生産者が何としても再生産が確保される形の価格というものが保障されなきゃならぬわけでございます。現在、農作物のうちの七割前後は大体何らかの形の価格安定制度の中に組み込まれておるわけでございますが、しかし、その価格制度も、まあ米を初めといたしまして、いろいろとその価格制度のあり方が違うわけでございます。生産者所得補償方式であるとか、あるいはパリティ方式であるとか、あるいは豚肉のような実勢均衡方式であるとか、そういうふうな形でそれぞれ価格方式というものはきまっておるわけでございますが、それはそれなりに沿革もあり、また農作物それぞれの特性から見た価格制度ということになっておると思うわけでございますが、こうした価格制度全体につきましても、やはり私も総合的な食糧政策を打ち出す段階に当たりまして、一応ひとつ見直すといいますか、そういうこともひとつこの価格制度そのもので結構であるかどうかと、さらにその中において改善をしていかなきゃならない問題がどこにあるのかということも十分ひとつ勉強もしてみたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう意味から、やはり私どもは、この食糧の自給を高める、そして国民食糧を確保するということで、生産対策に対して、これはもうあらゆる面で努力をしていくことは今後とも当然でございますが、同時に、価格政策等につきましても、やはり農民の皆さんの期待にこたえ、農民の皆さんが生産意欲を持って今後とも生産に従事していただけるような形に改善をしていくべきところは改善をしていかなきゃならない、まあそういうふうに私は考えておるわけでございます。
○栗原俊夫君 ちょっと答弁が漏れておるところもありますが、重ねて答弁の中で答えてもらいます。 確かに農産物は七割以上も価格支持制度があることはよく承知しております。しかし、私は、常に農民にも言っているんだけれども、突っかい棒はあるけれど、これは寸足らずの突っかい棒だよと、こう言うんだな。これに本当に御厄介になるときには、もうやっていけない段階なんだ。で、もらった表を見ても、もうこの十年間に飼養戸数というものは大激減をしておるわけですよね。しかし畜産物の生産数量はふえておる。一体これは、生産数量がふえているからいいじゃないかと、おそらくこう答弁されるだろうと思うけど、これはなかなかそんなもんじゃないんですよ。まあ畜産三倍という中でもって、畜産へ農民が走りました。ところが、少羽数の畜産じゃだめなんだから、多頭羽飼育をやれということを行政から指導されたわけです。銭がない、銭がなければ貸してやろう、銭まで貸して多頭羽飼育に追い込んできたわけだ。そして、のっぴきならなくなるほど借金をしょわされておるのが、いま残っておる畜産家ですよ。他の畜産家は引き合わないから皆よしていったんです。引き合うならよすはずがない。数が減っていったというのは、引き合わないということなんですよ、これ。安定支持制度があるというけど、引き合わない安定支持制度の内容なんです。だから、よしていったんです。だから、飼養戸数は減っていったわけなんです。残った人たちは、多頭羽飼育をやれと、銭は貸すと、そうかそうかと。政府が言うんだから、金は貸してくれる。これで一生懸命やればりっぱになれると信じ込んでやった。ところが、ほかの人たちは引き合わないからよしていく。まあ多頭羽でやれば、少数家畜よりもそれは幾らか有利であることは間違いないけれども、決してそうではないということは、昨年来の畜産農民の血の叫びを聞けばよくわかる。 要するに、よせない人たちがいま畜産農家として残っておる。一体これはだれの責任なんだ。畜産三倍と言って農民をおだて上げ、銭がなければ、銭を貸すといって銭まで貸し込み、生き物を飼わておいて、そして、えさの責任はだれが負ったんだ、ちっとも負ってない。生き物を飼わしておいて、えさ資本がここまでお出でという仕掛けをして、ほうってあるのがいまの畜産行政の実態じゃないか。畜産三倍と言って畜産をやらせ、多頭羽飼育をやらせたならば、生き物を飼わせた以上、その食い物は、行政の責任で、やっていける適正価格で必要量を手当てしてやるのが行政じゃないんですか。それが欠けておる。それが今日の畜産危機の最大の原因ですよ。どうします。ひとつお答えを願いたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 畜産につきましては、確かにいま御指摘のような、いろいろの問題点もあると私は思うわけでございまして、飼養農家数が年々減少した、しかし、飼養頭数においては一応、維持はいたしたわけでございますが、しかし、われわれが当初から考えておるような畜産の発展というものにはつながっていかなかったと。これはいろいろの原因があると思います。たとえば高度成長経済の中にあってなかなか、農家として成り立ち得ないというふうな面、これは価格の面もあると思いますし、その他規模の面もあると思うわけでございます。その間に政府自体としても、飼料基盤の整備であるとか、あるいは金融対策等も行ってきたわけでございますが、十分と言えるかどうかにつきましては問題もあるわけでございます。特に、石油ショックを契機といたしまして、えさの値段が四倍近くにもなったということが、これまた畜産物の需要の減退と相まって、農家に対しては非常な大きな打撃を与えてきたことは明らかでございます。こういうふうな点に対しまして、それぞれ対策も講じてはおるわけでございますが、私は、やはりこうした状態を今後とも続けていくということであれば、これはわれわれが指向するところの六十年目標、肉用牛についても三百三十万トン生産をしていく、 〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕 あるいは乳用牛につきましても思い切った生産をしていくというふうな、そうした六十年目標をこのままの形ではとうてい達成できないわけでございますから、そういうことを考えるにつけても、この際やはり畜産の政策につきましては、これはもう行政の問題、予算の問題、施策の問題も含めてやはり思い切った対策をここに樹立をしていかなきゃならぬ。総合的な食糧政策の中にあって、畜産物生産を大きな眼目として抜本的な施策というものを講ずる必要があるのではないかというふうに私も認識をいたしておるわけでございます。 今日、いままでの状況というものの判断の上に立って、牛肉につきまして畜安法の改正をお願をして、指定食肉に導入をしていただくということも、これからわれわれがなす、やらなければならない畜産政策の一環として考えてまいったことを今回やっと実現をしていただくわけでございますが、今後とも、そうしたような基本的な認識の上に立って、価格政策の充実を初めとして、生産対策あるいは金融対策というものをさらにさらにひとつ強化して、そうして六十年目標、食糧の自給力を高めていくというこの六十年目標を何としてでも実現をしていかなきゃならない。そういうことをやるにつけても、農家の皆さん方のやはり生産意欲を出していただかなきゃならぬわけですから、これらについては総合政策を打ち立てるとともに、そうした農家の方々の生産意欲を向上して いただくためのいろんな手段というものも今後ひとつ具体的に講じていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○栗原俊夫君 六十年目標で三百三十万頭、確かに非常に結構な目標でありますが、引き合わなきゃこれは畜産家だってやりませんよ。で、価格決定に当たっていろいろなことを、事情を勘案しながら再生産を確保する、こううたっておるわけですね。再生産を確保するには、やはり生産費所得補償方式、これが最低限じゃないですか。農民は利潤まで求めてはおらぬのです。かかった経費に皆さん並みの労賃をいただきたいと、これが生産費所得補償方式ですよ。これが何で明文でうたわれないんでしょうか。そして、確かに食管の問題でも生産費所得補償方式と言うていますけれども、なかなかそれは農民の思うとおりにはいっておりませんけれども、はっきりうたってもなおかつ、思うようにならぬ。うたってなければ、さらにゆるフンだろう、こういう心配があります。生産費所得補償方式を明文でうたわなくても、少なくとも価格決定に当たってはこのことを貫きます、こういう一つ確言がいただきたいし、いま一つ私の心配は、生産費所得補償方式でなくてもいい人たちがいま畜産の中へ突入してきておるということです。商社の進出ですね、これは。農民、畜産家は畜産それ自体で計算をしているわけなんです。ところが、それでも赤字が出ても、結構だという立場の人たちが、いま畜産の中へ突入をしてきておる、商社の進出です。資本の進出です。これは大問題である。 農林大臣として、今後畜産は、農民に農業の一環として畜産を推し進めさせようとするのか。畜産物が生産できればだれがやってもいいのか。もちろん憲法では営業の自由というものは保障されておりますから、それはだれがやってもいいことは間違いありません。しかし、農林省としては、従来のように、農民の手によって日本の畜産物というものを確保していく、そういう基本方針で推し進めるのか、だれがやっても畜産で畜産物ができればいいという方向なのか、このあたりをひとつ明確に示していただきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農産物の七割までが何らかの価格安定制度に組み込まれておるわけでございますが、いまの御質問は、やはり再生産を確保していくためには、すべてこの生産費所得方式にすべきではないかという御意見でございますが、私は、農産物それぞれやはり特性というものがあると思いますし、また流通の事情というものも違うわけでございます。牛肉の場合におきましても、豚肉の場合におきましても、自由な市場というものを通じて価格が決めていかれる。こういうふうな流通の情勢もあるわけでございまして、そうしたことから、やはりすべておしなべてこの生産費所得方式にする、米のような全量買い上げ制と言いますか、そういうものに持っていくということについては問題が私はあるんじゃないか、なじまない点もあるんじゃないか。やはりそれぞれの農産物の特性に応じた価格の決定が行われ、そして、その価格の決定の行われるに当たって、再生産が確保されるというふうな前提が貫かれれば、私は、それぞれの価格制度というのは、それなりの大きな意味というものがあると、私はそういうふうに考えておるわけでありまして、すべてを生産費所得方式にするということにつきましては、私自身としては、この農産物全体、農産物それぞれの特性から見て、なじまない、生産あるいは流通の事情から見てこれは必ずしもそれが正しいことではない、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。 ただ、再生産が確保されるようにこれはいろいろの価格制度の中においても十分われわれはやっていかなきゃ、価格の決定において配慮しなきゃならぬことは、これはもうもちろん当然のことであるわけでございます。同時にまた、現在の畜産物の生産の中におきまして、ずいぶん大商社等が介入をしておるということもこれはもう事実であるわけでございますが、やはり本来農作物については、これは農民主体で生産が行われるのが本来のものでなければならない。こういうふうに考えておるわけでございまして、まあそういう点についてはいろいろと摩擦等も起こっておる現状等も聞いておるわけでございますが、私たちは、農民本位に立った農政の中にあって、そうしたものを調整をして、そして農業の振興、農家経営の安定というものを図っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○栗原俊夫君 生産費所得補償方式が再生産を確保する少なくとも農民サイドの道である。農民の中で、生産費所得補償方式でなじまぬ部分は一ところもありません。もしありとするならば、いまのあり方で、べらぼうな大もうけをしている部分が生産費所得補償方式ではなじまぬ部分なんです。そういうところへ、メスが入れられなくて、何で攻める農政と言えますか。特に流通の段階ですよ、流通の段階。奇々怪々なる流通段階。これはそんな過去のややこしい経過にとらわれることなしに、いまこそ、食糧問題とし、畜産問題として新しい流通過程を構築したらどうですか。そして、それによって既得権を失う人たちには、しかるべく補償をしたらどうですか。それが正しい行く道だと思いますね。いままでこうだったんだから仕方がねえと、そういうことでは、いつまでたっても、この畜産の政策というものは、明るい筋道の通った形になってこないと思うんです。それは労働と流通をはっきりと理想像を描いて、そしてそれに着々と迫っていく、こういう方向をとるべきだと、このように思います。もし生産費及び所得補償方式になじまない部分がありとすれば、具体的にはどういうところがなじまないのか、具体的に明らかにしてもらいたい。農民はすべて、生産費所得補償方式でわれわれは一生懸命再生産をやるからと、こういうことを要望しているんですよ。どこがなじまないんですか。なじまない部分を明らかにしてください。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ牛肉等につきましては、現在のやはり流通の実態というのが自由な取引というものを前提にして行われておるわけでございまして、まあ今度価格制度を導入するに当たって、事業団が介入をするということによって、価格の安定を図り、再生産を図っていくということになるわけでございますから、私は、この生産費所得補償方式をとらなくても、この牛肉につきまして言えば、現在のいまからお願いをする価格安定帯によるところの、そうして事業団が介入するところの価格決定の方式で、農家の再生産というものは十分確保され、安定的な経営というものが確立されることは保証できる、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
○栗原俊夫君 まあ生産費所得補償方式で計算をすると、農林省あたりで試算するものよりはるかに高いところが出てきます、これは。それにさらに上積みをして消費者価格は形成されていきますからね、その間がいろいろと問題になるところなんですよ。いま一般にはどうかと言えば、消費者は、こんな高いべらぼうな値があるか、こういうことを言うだろうし、生産者は、こんな安いべらぼうな値があるか、こういうことを言っているわけなんです。そうして中間にうごめく連中が、言うなら、ぬれ手にアワのつかみ取りというような立場をとっている。こういうものをはっきり清算しなければなりませんよ。私ははっきり言うけれども、事業団というものの権限をもっと拡大して、事業団が国内、輸入、一切の肉を支配して売る。単に一元的に輸入するだけでなくて、肉一切をやったらどうか。それが日本の本当の食糧政策の上に座っていく事業団のあり方ではないか、こう思いますよ。そうして自由経済だとおっしゃっているけれども、下を切られ、上を切られている自由経済なんていうものはないんだ、これは。自由というものは上も下も自由でなければ、本当の自由でありません。したがって、事業団が本当に再生産ができる所得補償方式によって買い上げ、そうして消費者が生活を損なわれないような消費者価格、すぐそこまでいけるかどうかは別として、それが基本的に正しい。そうしてできれば、生産費所得補償方式で買い入れた、それにかかった諸経費を加えて消費者価格を形成しても、消費者が別に支障がないといういわゆる純ざやの物価系列ができるのが一番好ましいけれども、ときには逆ざやになることもあり得る。それでも国民の命、健康を守るためには、これは当然ではないかという立場に、食糧政策の面から進んでいくのが正しいんではないか、このように考えるわけです。これらについていかがでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今度、牛肉のこの畜安法改正でお願いをいたしまして、価格安定制度が発足をするわけでございますが、この基準価格といいますか、中心価格といいますか、そういうものを決定する際においては、われわれとしても慎重にこれは配慮いたしまして、農家の再生産が十分確保されるような方向できめていきたいと思います。やはりこの中心価格をウエーしていく上における事業団の役割りというものはまさに御指摘のとおり、非常に重要に今後なってくるわけでございまして、私はしたがって、この事業団の運営に当たりましては、平常時におきましても現在九割ぐらいまでやっておりますが、こうした牛肉の取り扱いについては、その九割ぐらいをやっぱり平素操作をできる、さらに必要な場合においては、特に必要がある場合においては、これを一元的にやっぱり取り扱わせるということが、今後の価格安定を進めていく上においては非常に重要なポイントであることは言うを待たない。まさに御指摘のとおりだと思うわけでございます。そういう観点から事業団のあり方あるいは運営ということにつきましては、私どもも十分なるひとつ配慮を加えて間違いの起こらないようにやっていきたい、こういうふうに思うわけでございます。
○栗原俊夫君 時間も大分迫ってきました。ただいま一元化の問題について触れておられましたが、輸入を一元化しろ、私自身は国内の肉も一元化しろ、こういう主張者なんですが、輸入を一元化すると、これは抵抗が出てきます。特に、肉の輸入をやっておるあらゆる商社から猛烈な抵抗が出てくることは目に見えていますよ。すでに、ここ数日の間にも一元化の問題について抵抗が起こっているんですから。現に生糸の問題で、生糸は長い関係で商社が実績を持ってました。それが蚕糸事業団が一元輸入をする、こういう形の中で一元輸入は事業団がするが、具体的な扱いは商社がする。商社は実はコミッションだけでなくて、輸入することの甘みというものをそれによって奪われるということで抵抗するわけなんですけれども。しかし、やはり国民を守るという上ではこういうものはやっぱり切っていかにゃなるまい。このように思うので、ひとつ特に大臣も一元についてはきわめて積極的であるので、これは本当に信頼して、大きに期待してますから、ひとつこれはよろしくお願いいたしたい、このように思います。 次に、牛肉の問題に関連して例の乳廃牛の問題がいろいろと衆議院でも論議されているようであります。しかし、これは単に特に明文化しなくても、執行の中で、大臣の考えで、しかるべくやっていけるというようなこともお聞きしており、特にいろいろ議論があります乳雄の「中」をしっかりと守れば乳廃牛もこれによって連鎖的に守れるという積極的な見方と、そうではなくて乳廃牛が安ければ、勢いせっかく指示された部分も足を引かれるんではないか、というこれはきわめて悲観的な見方なんてすが——とにかく守っていこうという限りにおいて、私たちは、守ってくれるということで期待をしてまいりたいと、これはこの点そうした期待を特に述べておきます。 いま一つは、肉の中で大きなシェアを占めてきたブロイラーの問題です。肉類の中で三六%ほどのシェアを鶏肉が持ったと言われておりますが、その中の約八〇%をブロイラーが占めておる。これは冒頭に申し上げました肉類を主要な動物たん白源とするときに、これだけ大きなシェアを持った鶏肉というものを主要農産物、畜産物として指定肉になぜ入れられないのか。このことについては、幾分経過的には話は聞いてきておるんでありますけれども、私の納得のいくようなひとつ説明をしていただきたいと思うんです。
○政府委員(澤邊守君) ブロイラーは、現在、食肉の供給総量の中で約三〇%近くという非常に大きなウェートを占めておりますし、最近非常に急速に伸びたものであります。最近は消費がやや鈍化の傾向が出ております。これは御承知のように、肉としての品質は一般のものに、牛肉等に比べますとやっぱり少し落ちると。大衆性はあるわけでございますが、そういう好みの問題もございますが、急速に伸びただけに、ややこう需給がアンバランスになりかけてきておるという点で、今後慎重に価格安定対策をやらなければいけないという点は御指摘のとおりでございます。ただ、これをいま直ちに指定食肉に加えまして、事業団の需給操作によりまして価格安定をするということは——今回、牛肉でお願いしておりますような、同じ制度をなぜやらないかという点につきましては、いろいろ検討はいたしておりますが、一つは残念ながら、いまブロイラーの取引は中央市場において行われておらないという面がございます。私ども、指定食肉にいたしまして、事業団の買い入れ、売り渡しをやるといいます場合、価格が基準価格を下がったか、上がったかとか、上位価格を上がったか、下がったかということは、やはり代表的な中央市場におきまして幾らの価格が形成されたから基準価格を割ったんだと、こういう判断をするわけでございますが、そういう意味におきましては、現在のブロイラーの卸売市場は、中央市場とか地方市場とか法的なものに残念ながらなっておりませんので、いわゆる問屋において必ずしも公開ではない取引が行われているということでございますので、もちろんそれは価格は公表されておりますけれども。しかし、本当に需給の実勢を反映した価格が自由な競争で公開の場で公正に行われているかどうかという点については、他の中央市場なり地方市場におけるような段階までには至っておらないという点で、価格の形成の実態が的確に把握できないというのが現状でございます。 それからもう一点は、やや似た点でございますが、牛肉、豚肉につきましては、まあ指定食肉の対象となるべきものを「中」にするか「上」にするか、いろいろございますけれども、あるいは種類についても問題ございますけれども、一たん決めましたならば、その種類のものでその規格のものを対象にするということになりますが、ブロイラーの場合は規格取引がまだ十分に普及しておりませんので、問屋によりまして規格がまちまちであるというような点、これは今後の取引の合理化の一つの課題でございますが、そういう機運はだんだんできておりますけれども、規格取引が十分確立し、普及をしておらないという現状でございますので、いま直ちに事業団の買い入れ、売り渡しという対象にするということにつきましては、やや技術的に難点があるという点が一つあるわけでございます。 またもう一つ、あるいはそれはより根本的な問題かと思いますけれども、先生御案内のようにインテグレーションが非常にブロイラーの場合は進んでおるわけです。人によりますと八、九割までいっていると言う人もありますが、インテグレーションというものの概念をどうするかによって、私どもは、厳格に言えば五十数%ぐらいじゃないかと思っておりますけれども、もっと緩やかに解釈すれば非常に大半が入っちゃっているということになりますが、これはえさメーカーなり商社なりあるいは処理業者等が原料資材を提供いたしまして、身がわりとして製品、ブロイラーの生体を計画的に集荷するということでやっておるわけです。その間に金融措置あるいは価格安定措置も自主的にできておるわけでございますが、こういう資本の進出によりまして、一番インテグレーションが浸透しておる分野でございますが、これはいろいろ問題がございますけれども、いま価格安定との関係で申し上げますと、価格安定制度のやり方いかんによっては、すぐ増産され過ぎて困るというような危険性をはらんでおるわけであります。そうしますと、これをやるためには、何か生産の調整措置といいますか、あるいは計画化の措置というものが伴わないと、裸でやりますとちょっと過剰生産で困るんじゃないか、簡単にふえますので。そういう問題も抱えておるわけでございます。 しかし、いずれにしましても、当初冒頭に申しましたように、需給関係からしますと、やや不安になりつつある段階でございまして、生産者もそういうことに対する要望もだんだん出てまいっております。まあ、いまはインテグレーターが価格交渉のようなことをやっておりますので、生産者はある程度救済されている面もプラスとしてはありますけれども、これは需給関係が長期的に緩んで参りますと、これは民間のインテグレーターが自主的にやるという力は耐えられなくなるだろうと思います。そうなりますと、非常に生産者にストレートに及ぶということもございますので、とりあえずいまは非常なシェア争いをそれぞれのインテグレーターがやっておりますから、これらのまず協調体制をつくりまして、計画生産を——生産調整といいますか、そういうことを進める間で協調体制がとれ、先ほど言いましたような技術的な問題もだんだん解決するようになりますれば、あるいは将来価格安定制度の対象に加えていくということが必要であり、かつ可能な時期が来るのではないかと思っておりますが、研究をいたしておるところでございます。
○栗原俊夫君 ブロイラーの問題については、ただいま局長からお話がありましたとおり、必ずしも農民の生産だけでなくて、大変である。もちろん生産費所得補償方式の価格支持を求めるためには、無計画生産にやって、価格だけ支持しろということ、これは無理なんですよ、これはね。やはり生産については計画性がなければ——値が引き合うから幾らつくってもいいなんていうようなことをやれば、たちまちそれはもう支持制度というものはつぶれることはあたりまえなんで、計画生産、価格支持制度と、こういうことにならなきゃならぬので、特にブロイラーのようにちょいとすれば、すぐとんでもない数ができ得る条件下にあるものについては、当然計画を立て、そうして計画に従うかわりに価格の支持はしてくれ、こういう形にならなきゃならぬと思うのです。そういう要求も末端の関係農民の中にございます。ぜひその点はひとつ積極的に指導する中で、指定肉に、はいれればはいれるように、たとえはいれなくても、価格支持についてひとつ——突然どうも数万羽のブロイラーをやっておる業者が倒れざるを得ないというようなことのないようにひとつ十分御配慮を願いたい、このように思います。 時間がなくなりましたので、えさについて関連したいと思うんですが、これは日を改めて飼料問題のときにお願いすることにして、最後に一つ畜産経営特別資金というので。特にえさ高に関連して四十八年からかなり農家に貸し付けた部面があるらしいふうなんですが、六カ月で半分返し、二カ年の間に全額返せというようなことを要求されて、まさにせっかくお世話になってありがたかったと思った畜産家が、いまやこれで地獄に追い込まれようとしておる。このことについてひとつぜひ特別な配慮をし、たな上げあるいは利子補給、少なくともこういうふうにして、あのえさ高の異常事態をようやく乗り切った畜産家が、続いて再生産に従事していけるような配慮をぜひとっていただきたい。これはもう本当に第一線の生々しい血の出る叫びを私自身がここで再現しているわけですから、ぜひ、聞いておる関係畜産家が喜びの声を挙げるような答弁をひとつぜひお願いいたします。
○政府委員(澤邊守君) ただいまお尋ねございましたのは、配合飼料価格の値上がりに伴いましてこれまで数次にわたりまして特別資金ということで抵利融資をいたしました。これは四分資金で、末端金利四分まで利子補給いたしまして、償還期間は二カ年ということでその償還期限がすでに来ておるというケースがだんだんふえてまいるわけでございます。その点について現在の市況その他を見まして償還が非常に苦しいということで何とか救済方法はないかと、こういう御趣旨かと思いますが、これは畜種別あるいは経営別に若干差があると思いますが、私どもといたしましては、昨年の半ばまでが最低でございまして、その後徐々に経営内容は、非常によくなったということまではもちろん申しませんけれども、価格から見ましても、あるいは今度の配合飼料価格の値下がりということから見ましても、やや底を脱したというふうには思いますけれども、個々の経営におきましては確かに非常にお困りの方もおありだと思いますので、これは金融機関を指導いたしまして、ケース・バイ・ケースに必要な場合には、貸付条件の緩和をするというようなことを十分検討して、そのような指導をしていきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これからの畜産を振興していく場合におきまして、先ほどからお話がございましたように、価格政策を充実していくということも大変大事なことでございますが、さらにいまお話しのような農家のああした負債をどういうふうにしてこれを処理していくか、これはもう農家にとりましても大変なことだと私は思うわけでございます。これはやはり価格政策、生産対策とともに金融政策といったものも私は、やはりこれからの自給力を高めていく、農家にぜひ意欲を持っていただくという面においては、余り、何といいますか、荷物ばかり大きくなったんじゃ生産欲も出てこないわけですから、いま局長も申し上げましたように、何とかこれは金融面につきましてもやはり総合政策を樹立する中にあって、私はひとつこれを十分再検討してみて、農家の負担が何とか軽減をするような形で、これ農林省だけでやれるわけでないわけでございますが、財政当局とも十分相談をして、そしてこれは負債整理といいますか、農家の負担軽減といいますか、そういう方向では積極的にひとつ努力をしてみたい、こういうふうに思います。
○栗原俊夫君 時間が参りました。まだまだいろいろとお聞きしたいこともあるわけですが、とにかく食糧問題が最大の政治課題であり、その中の大きな部分を背負う畜産部分に対して再生産ができる、しかも再生産をする過程において抱えた赤字負債もこのようにして返済できるんだという青写真、プログラム等も添えた温かい指導、御配慮を期待して、私の質問を終わります。
○原田立君 同僚議員からいろいろと質問が出ました。私も筋を立てて御質問申し上げますので、ダブる点があるだろうと思いますが、きちっと御答弁願いたいと思うのであります。 畜産物の価格安定は何といったって飼料問題であろうと思うのであります。今回、牛肉の価格安定制度の創設は高く評価に値するが、肉用牛経営を取り巻く諸情勢に大きな問題があることもまた見逃がせない事実であります。それで大臣、いつも私言っていることは、何も畜産ばかりでなしに、農業でもいわゆる食える農業、食べられる農業、この建設をしていくのが建林省の役目だと思うのです。で、今回の畜安法案を審議するに当たって、食べられる畜産農家の建設と、こういうところに非常に大きなウェートを置かなければならないと思うんだが、その点についてどう考えるか、これが一つ。特にわが国の飼料穀物はその大部分を海外に依存していることも周知のとおりでありますが、四十七年末からの海外食糧需給の逼迫に伴い、穀物価格の高騰の影響をもろに受け、二倍もの高騰を示してしまったのが現状であります。そのために畜産農家の打撃は大きく、先ほどの話にあるように、自殺者さえも出すような悲惨な事態を生むような状況になってまいりました。飼料の自給対策についてわが国畜産農家の存続の有無がかかっていると言っても過言ではないと思うのであります。長期的対策として、わが国は全国土の六八%を山林で占めている地理的条件を十分生かした林間放牧や、山地酪農の推進あるいは水田裏作の飼料用麦類の生産奨励、さらには牧草開発など総合な自給率の向上対策を講ずる必要があると思うのであります。以上のようなことを前提に置いて、各項目別に御質問したいと思います。 まず一番最初に、牛肉の指定食肉追加についてでありますけれども、豚肉が加えられて牛肉が指定食肉にならなかった、今回改めて指定食肉になったわけでありますが、この食糧としての存在というのは非常にウェートが大きかったはずであります。それがどうしてこんなに遅く、豚肉なんかよりも遅く指定になったのか、その理由を御説明願いたい。
○政府委員(澤邊守君) 豚肉が十数年前に指定食肉に指定されまして、事業団の売買操作の対象とすることによって安定を図ってまいりましたのに比較して、牛肉は今回までおくれているのはなぜかという点でございますが、私ども考えまして二点ばかりあるんじゃないかと思います。一つは、豚肉は御承知のように牛肉に比べますれば短期間に増減をするわけでございます。したがいまして、よく言われますように、ビッグ・サイクルといいまして、値がいいということになりますと一斉に増殖が始まりまして、出荷がふえると価格が下がる。反面、価格が悪くなりますと、とたんにばったりやめるというようなことになりますと今度は価格が高騰するという、周期的な変動を大幅で繰り返しておったわけでございます。これは周期が四年なのか五年なのか、若干周期のパターンが崩れてきておりますけれども、そういうようなことはいまでも言えるわけでございます。したがいまして、極端な価格の変動を防止する必要は牛肉の場合よりは一層あったわけでございます。それが一つの理由でございます。 もう一つは、牛肉につきましては、国内生産が供給量の中で占めるシェアは豚肉の場合に比べてはるかに低いわけでございます。言葉をかえて言えば、牛肉の場合は相当量を輸入に依存しなければ国内の自給がバランスしないということでございますので、現在、輸入割り当て制度のもとにおいて事業団がかなりの部分を輸入肉を取り扱うというようなことで輸入を調整しておるわけでございますが、その調整を通じまして、国内価格をかなり安定させることができるはずでございます。まあ理論的に言えばそういうことになるわけでございます。相当量どうせ輸入しなければいけないものでありますので、その輸入量をうまく調整すれば、輸入の時期なり数量をうまく調整すれば、国内価格はかなり、間接的ではありますけれども安定することができるということになるわけでございます。豚肉の場合は、ほとんどが国内生産でありますので、先ほど言いましたような生産の振れがかなり大きいわけでございますので、価格もしたがって大きく振れると。輸入によって調整するということは、これはなかなか効果が少ないということでございますので、豚肉の方が牛肉よりは価格安定の必要性がより強かったということでございます。 牛肉はそういうことでございますので、輸入量の時期的、数量的な調整によって価格も安定できるということで、いきなり直ちに事業団の国内肉の買い入れ、売り渡しをやらなくても、かなりの分ができるという考え、また事実ある程度は行われてまいりまして、通常におきましては行われてまいりまして、価格も強含みながら比較的安定した推移をこれまで示してきたわけでございます。そういう意味で現在まで牛肉の指定がおくれておったわけでございますが、一昨年以降の経済変動による影響もございますけれども、牛肉価格の極端な高騰、あるいは低落という事態を見ますと、いまのような輸入肉の調整を通じて間接的に国内牛肉価格の安定を図るということにもどうも限界がある——今後一層振興も図らなければいけない、そのためには経営を安定させなければいけないにかかわらず、いままでのようなやり方だけではどうも限界があるということがはっきりいたしましたので、この際、豚肉と同様な指定食肉制度に追加をするということにいたしたわけでございます。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま畜産局長が申し述べましたように、やはり牛肉につきましては、石油ショックに至るまでの間につきましては、やはり価格等においても強含みであったと、また豚肉ほど上げ下げが激しくないというふうなこともあって、今日までおくれてきたわけでございますが、石油ショックを機として、肉牛生産の農家が非常に大きな打撃を受けると、このままの割り当て制度による事業団の操作だけでは、肉牛農家の再生産を図っていくことはむずかしい。こういうふうな判断の上に立って、この際、安定制度をつくることにいたしましてお願いをいたしておるわけでございます。
○原田立君 大臣、そうじゃなくて、先ほども冒頭に言ったように、食える農業をつくり、それをしなきゃいけないと。畜産農業についても本当に食べられるような、いまのような借金の火の車のような畜産農業ではなしに、少なくとも少しぐらいは蓄えができるような、そういう畜産農業にしなきゃいけないと、こうぼくは主張したわけです。それに対して御所見はいかにということをお聞きしているわけです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まさに御指摘のように、やはりこれからの食糧の自給力を高めていく上におきましても、農家の再生産が確保される、そうして農家の皆さん方の生活が保障といいますか、確保される、食べられる農業といまお話がございましたが、まさに食べられる農業を確立していく、魅力のある農業と私も言っておりますが、その農業を確立をしていくということは、まさにこれからの急務であろうと思うわけでありまして、そのためには、やはり生産の対策を強化をいたしまして、いわゆる生産性を高めていくということが大きな目標でなきゃなりませんし、また同時に、価格制度によるところの再生産確保の道もはっきり打ち立てていくというふうなことが必要であろうと思うわけでございますが、そうした中にあって、飼料、特に畜産物については、この飼料の生産基盤を確立していくということは非常に重要であるわけでございまして、草地の開発の推進とか、あるいは既耕地における飼料作物の作付促進さらに野草資源の活用等につきまして、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。五十年度の予算におきましても、未利用、低利用の土地資源に恵まれた地域を対象にして、濃密生産団地の形成を行うための農用地開発公団事業を確立するなど、草地開発事業の推進に努めておるわけでございますし、また、既耕地における飼料作物生産の増強については、従来の飼料作物生産振興対策に加えて、新たに緊急粗飼料増産総合対策、まあ三十二億でございますが、この粗飼料の緊急増産対策を今度の五十年度予算に確保いたした次第でありますし、また、水田の裏の飼料作物生産、これも必要でございまして、そのための集団育成事業等も実施するように措置したわけでございます。さらに、この飼料対策として、先ほどちょっとお話がございましたが、林地の利用ということは非常に大事なことじゃないか、今後、飼料を確保する上において非常に大きな私はウェートを今後とも持っていくんじゃないか。いわゆる林間放牧といいますか、そうした面をやっぱり積極的に進めていく。現在、国有林なんかにおきましても、実験的な試みを行っておるわけでございますが、わりあいに成功しておると聞いておりますが、こうした林地利用等もこれはひとつ積極的に今後進めていきたい、こういうふうに思っております。
○原田立君 農林省令で定める規格に適した牛肉の指定食肉の内容についてでありますが、申すまでもなく、牛肉の場合はその品質に大きなばらつきがある、指定食肉に和牛、乳用雄牛、乳廃牛等すべてを対象に検討すべきが当然であろうと思うんであります。この点、衆議院の審議でも問題になったところでありますが、畜産農家の安定経営、健全なる経営を助け、生産意欲を持たせる上からも、農林省の抜本的対策、そういうものが必要であろうと思うんであります。ただいまも少々お話がございましたけれども、その御決意をお伺いしたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いまのお話はこの指定食肉に加える牛肉の問題だと思いますが、これにつきましては、いま検討をいたしておるわけでございますし、審議会の意見も聞きたいと思っておりますが、現在のところ、農林省としては乳牛雄の「中」、あるいは和牛去勢「中」を指定食肉にしたいと、これはしかし全体のシェアから見ますと二割、これでは価格維持の効果がないではないかという御意見もあるわけでございます。私たちは、これによって他の食肉につきましては、間接的な価格維持の効果があり得る、あるというふうに判断をいたしておるわけでございますが、しかし、さらにこれでは不十分だと、たとえば乳廃牛を加えるべきだと。乳廃牛という言葉は余りいい言葉じゃないわけですが、乳廃牛を加えるべきだという有力な御意見があることも承知いたしておるわけでございます。ただ、乳廃牛につきましては、これは酪農生産の副産物というふうな形で乳価の中に組み込まれておるというふうなことでもあるわけでございますので、本制度の中に組み込むということにつきましては問題は残るわけではございます。しかし、私はやはり乳廃牛は三割のシェアを占めるということでもございますし、これにつきましては、先ほど相沢委員の御質問にも答えたわけでございますが、今後、乳廃牛の価格の維持が非常にむずかしいというふうな段階になってくれば、これはもう省令に加えることによってできるわけでございますから、私は、そういう事態が起こり得る可能性があるときは、これは直ちに省令で乳廃牛は加えたいと、こういうふうな前向きといいますか、積極的な考え方を持っておるわけでございます。
○原田立君 先ほど大臣も申しましたし、私も申し上げたんでありますが、わが国における山林の占める割合は全国土の六八%である。このうち、山林原野等で畜産に利用できる余地は大きいと言われております。昨年成立した農用地開発公団は、これら未開発地の土地開発を目的としておりますが、開発可能面積及び開発計画、これらについて御説明を願います。
○政府委員(杉田栄司君) 先ほど大臣からもちょっとお話がございましたように、低利用、未利用の地域が広大に存在する地域におきまして、これを畜産を機軸とした近代的な農業経営規模をつくるということで農用地開発公団事業を進めることになっております。この事業の見通しにつきましては、おおむね十万ヘクタールというふうに想定をいたしております。昭和五十年度におきましては、前年度に着工しました根室外三地区の事業の推進と、新たに八地区の事業に着手いたします外五地区の全体実積を含めまして合計十七地区について事業を実施する予定になっております。
○原田立君 その計画は、農用地開発公団としては順当なといいますか、計画ですから、きちんと立てるんでしょうけれども、自分の意にかなった現在のその未開発地の開発を、こうしていくんだという基本方針にのっとって、それで十分と言える数字ですか。
○政府委員(杉田栄司君) 農用地開発公団は発足してまだ間もないわけでございまして、そういう点で公団自体がそのすべての地区につきまして、十分に精査が行き届いておるわけでもございません。したがって、計画が完全にフィックスしたものだというふうには考えられないわけでございます。ことに、土地の取得、権利の移動等につきましてはまだまだ問題も残っておりますし、さらに調査を進めておることもございまして、この数字につきましては完全な確定したものだというふうには思っておりません。しかし、公団の施行能力あるいは技術力からいきまして、今後十年間に十万町歩を十分にこなし得る、かつ、さらに余裕もあり得るというふうに考えておりまして、公団にできるだけこの十万町歩にとらわれないでさらに進めてまいるように指導していきたいというふうに思っております。
○原田立君 積極的な答弁でありますが、ぜひそのようにしてもらいたいと思います。 農政審議会需給部会の「食糧問題の展望と食糧政策の方向について」の案の中でも、山林原野の畜産利用、自給飼料基盤の拡大、これを指摘しているわけでありますが、政府の飼料自給拡大基盤の整備等についての具体的な施策——いまも農用地開発公団についてのことであらあらお話があったわけでありますが、御説明を願いたい。
○政府委員(澤邊守君) 六十年の長期見通しにおきましては、飼料の全体の需給の見通しをTDNという可消化養分に換算をいたして計算をいたしておりますが、飼料全体の自給規模が四十七年の、基準年次である四十七年の二千二十五万三千トンから二千九百八十七万八千トンというのを総体としての目標にしておりますが、その中で、ただいま御質問ございました自給飼料といいますか、粗飼料、牧草だとか飼料作物その他ございますけれども、そういうものの生産目標は九百二十六万九千トン。これは四十七年度は四百七十三万七千トンでございましたので、二倍まではいきませんけれどもそれに近い拡大を図る。そういたしまして、粗飼料の給与率といいますか、全国ベースでの粗飼料の給与率が現在は二三・四%、残りが配合飼料その他の濃厚飼料でございますが、四十七年度が二三・四%、これを六十年におきましては三一%まで高めるということを目標といたしておるわけでございます。それによりまして、個々の畜種別に見ますと、乳用牛につきましては現在粗飼料の給与率が五七%程度のものを七五にするとか、繁殖牛につきまして七五を九〇ぐらいにするということで、粗飼料の給与率を大動物については高めていくということを考えておるわけでございます。 ただいまのような目標を達成するために、牧草その他の飼料作物の作付面積は四十七年の七十七万ヘクタールを百四十七万ヘクタールまで六十年までの間にふやしてまいりたい。これが牧草だとかあるいは飼料作物、青刈り飼料とかいったようなものでございまして、いわゆる良質粗飼料というものでございますが、そのほか稲わらだとか、それから野草とか、これは山林の下草を含めまして野草その他低質粗飼料、栄養価はやや低い低質粗飼料を利用いたしますのを促進をいたしまして、先ほど言いましたように全体としての自給規模を高めるように、その中での粗飼料の給与率を高めるように努力をすることを目標といたしております。
○原田立君 言うことは言っても実現できなかったら何にもなりませんので。先ほど牧草の七十七万ヘクタールを百四十七万ヘクタールにするんだという、これは本当にできるのかな、というふうにちょっと懸念を持ちながらいまお伺いしておったわけでございます。 次の問題に移りますが、同じ飼料の問題ですが、自給率の向上が今日の農政における重要な課題となっておりますが、牛肉経営の安定からも、価格の安定ばかりでなく、これとタイアップした飼料の生産基盤の強化充実がぜひとも必要とされております。 大家畜生産は、政治的にも粗飼料の給飼が基本であり、粗飼料生産の強化が重要であると思うんであります。そのために、国有林野活用法やあるいは入会林野近代化法による有効利用の道が開かれたにもかかわらず、現実にはさっぱりその進展を見ないように聞いております。それは現実にどういうふうになっておるのか。特に、国有林の場合は、林野庁との調整問題であるとか、河川敷の場合は建設省との関係等々、公有林、民有林の一層の有効利用もあわせ強力に推進する必要があると思うんでありますが、この法律については入会林野近代化法案は四十一年に決まっておりますし、国有林野活用法案は四十六年にすでにもう決まっておりますし、その後運用してどういう成果があらわれているのかお答え願いたい。
○政府委員(松形祐堯君) 二点ございますけれども、第一点の入会林野の整備でございますが、入会林野というのが大体全国に約二百万ヘクタールの広大な面積を占めておるわけでございます。したがいまして、御指摘のございましたように、四十一年に法律を制定いたしまして、四十二年からそのうち約百四十五万ヘクタール、約二百万ヘクタールのうち百四十五万ヘクタールにつきましてその近代化を図ろうということで十カ年計画四十二年から五十一年までの十カ年計画でスタートいたしておりまして、その百四十五万ヘクタールの約半分が私どもの予算措置をもちまして測量とかいろんなことをやるわけでございまして、約半分を計画いたしておりまして、残りの半分がいろんな指導で行こう、予算措置を伴ったのは半分でございますが、現在四十九年三月三十一日までに近代化に着手いたしましたのが約四十七万ヘクタールでございます。この計画が五十一年度まででございますので、私ども予算措置をいたしました分についてはやや順調に参っておるのでございますが、残りの半分の方がなかなか思うように行かないという実態がございます。すでに四十七万ヘクタールのうち認可に、完全に仕事を終わりましたものが約二十万ヘクタールございます。 なお、国有林の活用でございますが、先ほど大臣からもお答えございましたように、国有林野の中で、実は林間放牧という形態で、前々から私ども地元との旧来の慣習等もございまして、放牧共用林野というのがございます。これに国有林野が約三万二千六百ヘクタールを共用いたしておりまして、そのほかに時期的に期間を決めまして使用契約をしておりますが、それが約六千ヘクタールございます。したがって、放牧というような、林間放牧という形で地元に利用していただいておるのが三万八千五百ヘクタール程度でございます。 なお、国有林野の活用関係でどうなっているかという御質問でございますが、国有林野活用で草地等の飼料畑を含んでおりますけれども、これを農業用地といたしまして約三万七百ヘクタール程度ございますが、そのうち草地等で利用いたしておりますのが七五%の約二万三千ヘクタールでございます。そのほかに、草地造成をいたしまして、国有林の中で。現在地元に貸付いたしておりますものが約一万四千ヘクタールございます。そういう利用状況になっているわけでございます。
○原田立君 現状の説明があったわけでありますが、入会林野近代化法案の方については、予算措置したものでは五十年で四十七万ヘクタールできた、本当は百四十五万ヘクタールやらなきゃいけないのが四十七万であるという御説明であったわけですが、これは大変おくれているんじゃないでしょうか。おくれているという点を指摘をしておきたい。それに対して、もっと促進するというお考えがあるのかどうか、その点はいかがですか。 それから国有林野活用法案の方についても、最初の方、ちょっと数字をメモしそこなったんですが、やっぱりややおくれている。そういう感を免がれないんでありますけれども、これをもっと促進する意思があるのか、ないのか、お考え、計画はどうなのか。
○政府委員(松形祐堯君) 第一点の入会林野の関係でございますが、御指摘のとおりに、約半分は私どもの指導によってということで、半分が予算措置をもってという御説明申し上げたわけでございますが、この指導でまいる分野につきまして入会林野というのは、大変権利関係がむつかしゅうございます。いまなお遺産相続という面が、非常にたくさんの方々が相続の権利をお持ちのような体系になっておりまして、あるいは行方不明者がおられるとか、あるいはブラジルまで追っかけて行かなくちゃならないとか、いろんなことがございまして、大変むつかしい分野がございますけれども、私どもは、こういうものが近代化されるということは当然必要なことでございますので、今後も努力してまいりたいと思います。 なお、活用法関係でございますけれども、活用法案ができました当時、あるいはそれ以前でもございますが、次官通達等をもって実行してまいりましたのでございます。ところが次第に奥地に入ってまいりまして、適地が少なくなっているというような関係がございまして、——少し低調だということでございますが、先ほど来お答えがございましたように、私ども、その地元、地元の土地利用ということと、その個人の所得あるいは生活向上というようなこととつながる意味におきまして、この活用法の積極的活用を図るということを私ども考えておるところでございまして、地元の意向、あるいはそれぞれの営農形態の方々、それ自体の御意向等十分尊重しながら活用を図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
○原田立君 農政審議会需給部会の「農産物の需要と生産の長期見通し」によりますと、先ほどもお話がありましたが、昭和六十年の肉用牛飼養頭数を三百三十万頭とし、牛肉の国内自給率を八一%とする。こうなっていますけれども、畜産局長、まあ大臣ですね、本当にできるのですか、これは。畜産局長はもう少し答弁簡単に答えて下さいよ、あなたのは長いから。この見通しの根拠はどこからきているのか、十分実現可能なものであるのか、あるいは単なる努力目標としての見通しであるのか。これ本気になって答えてもらいたいと思います。また、目標達成にはどのような諸施策を考えているのか、飼料自給の目標、検討対策をあわせて明確なる答弁をお聞かせ願いたい。
○政府委員(澤邊守君) 率直に申しまして、相当な努力を重ねなければできない、ある意味での目標でございます。私どもといたしましては、国際的に不足というような基調が見通されますので、国内生産も大いにやらなければいけないということで考えておりますことは、肉専用種につきましては適地において多頭経営の集団的な育成による飼養頭数の増加を一層助長するとかあるいは山林、原野、ただいまお話にございましたような国有林も含めて山林原野低利用資源を積極的に活用する、さらに既耕地におきます飼料作物の増産あるいは特に裏作の不作地に対します飼料作物の導入ということを進めてまいりたいというふうに思っております。さらに家畜導入事業をいろいろやっておりますので、これを積極的に拡充をしてまいりたい、また繁殖から肥育まで一貫経営ということも今後考えていく必要がある。これは全面的にそのようになるわけにはなかなかいかないと思いますが、それによって経営が安定するという面がございます。そういうことも進めていきたい。 それから、ただいま御審議いただいております牛肉の価格の安定制度、それから小牛の価格安定制度、これは現在予算措置でやっておりますが、これもさらに一層拡充するということによりまして、価格面での不安をなからしめるというようなことをやりまして繁殖経営、肥育経営ともに推進をしてまいりたいと思っております。
○原田立君 いまの答えでは本当に三百三十万頭、国内自給率を八一%とするということにおいてはちょっと具体的な答弁にはならないじゃないかというような心配をするのですが、林野庁長官もおいでですが、先ほどの計画の入会権の方のこととかあるいは国有林野の活用とか、これもっと本気になって努力しないと、三百三十万頭、国内八一%の自給率なんてできないんじゃないですか。その点畜産局長どうですか。
○政府委員(澤邊守君) 三百三十万頭の内訳といたしまして、肉専用種、まあ和牛が中心になりますが、これが二百十万頭、それから肉用種を百二十万頭程度予定をいたしております。これは四十七年度に比べますと、肉専用種は百四十五万頭から二百十万頭、これの伸び率は比較的緩やかでございますが、乳用種、乳雄というやつですが、これの利用率を満度まで高めるということによりまして、四十七年度はラウンドで三十万頭を百二十万頭に持っていく、まあ四倍にするわけでございますが、これは酪農が順調に伸びますれば、乳雄というのは必ず二頭に一頭は出てくるものでございますので、これを肉利用に満度まで利用していく、利用率を満度まで高めていくということをやりますれば、それからまた、先ほど申しましたような、先生の御指摘もありましたようなことを重点的にやりますことによって、この目標にできるだけ到達するように努力したいと思っております。
○原田立君 林野庁長官、国有林野活用ということを林野庁は余り望んでないんだ、好まないんだ、というような風説を聞くんですけれども、そんなことはないでしょうな。
○政府委員(松形祐堯君) お答え申し上げます。 そのようなことがあるわけでございませんで、活用法案の趣旨というものがあるわけでございますから、それを十分体して活用を図ってまいりたいと思うわけでございます。実は私ども、昭和四十一年からでございますけれども、全国に十ヵ所、植林と畜産の、放牧という形態の畜産でございますけれども、肉用牛でございますが、これを組み合わせて林業とそういう畜産とが、同時に成立するための実験場を持っておるわけでございます。全国十ヵ所ございます。北海道から南は奄美大島までつくっておりまして、畜産局と一緒になりまして、造林いたしました場合に、三年生から十年生ぐらいまでに放牧いたしますと、下草を刈るという行為が牛によって行われるというようなことで、非常に経済性もいいとかいうようなことを考えておりまして、この実験も畜産局と一緒にやっておるわけでございまして、われわれも、その実験をさらに継続いたしますけれども、経済性等を考え、あるいは地元の先ほど申し上げました要望とか、そういうこと等を組み合わせまして私どもは活用は図ってまいる、こういう考えでおるわけでございます。
○原田立君 乳廃牛の国内産枝肉量は三〇%強を占めているという先ほど大臣からもお話がありました。三六・七%にもなっているわけでありますが、このうち乳雄「中」規格に該当し得るのは全体の半分以下であります。市場価格の安定を図る上からも乳廃牛等を指定食肉に入れるよう検討をすべきであると思うんであります。先ほどは乳廃牛も、場合によっては、入れるという強い見解がございましたから、これは多とするわけでありますが、そのほかに、九州関係で、アンガスとか、ヘレフォードとかそういう乳肉兼用種があるわけでありますが、これが今後ますますふえる傾向にあるわけであります。これらの牛肉に対する制度適用についての見解、これはいかがですか。
○政府委員(澤邊守君) 乳廃牛につきましては、先ほど大臣からお答したとおりでございますが、乳雄の「中」を対象に考えておりますが、「中」のシェアは確かに四十九年度はやや低くなっておりますが、これは価格が非常に下がったということで異常な年だと思いますので、長い目でこれまでの数年間を見ますれば、やはり「中」規格が一番乳雄の中ではシェアが大きいということでございますので、これをとりあえず対象にしてまいったらいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。 それからただいま最後にお尋ねございました外国種は現在一万頭ばかり日本におります。これは、肉資源として国内の子牛だけでは、国内の品種だけでは生産拡充するのに不十分でございますし、さらに今後は放牧適性のある、飼料効率の高い外国種を入れていくことが今後の生産振興を図る上に望ましい地域が多いものですから、草資源の多いところを中心にしてやっているわけでございますが、これにつきましては実は入ってからまだ間がないということもございまして、市場におきますこれの評価がまだ定まっておらないとかいう面もございますし、全体の中でのシェアは微々たるものであるという点がございますし、それから過去の価格動向あるいは生産費に関する基礎資料もほかのもの以上に整備がされておらないという難点はございますけれども、国が奨励していることでもございますので、なるべく早い機会に入れていくというふうにしたいと思います。しかし初年度から入れるかどうかは、これは審議会で十分御検討いただいた上で、必要ならば入れていくということにいたしたいと思っております。
○原田立君 必要なら入れていく、まあ要請があれば入れていく方向であると、こういうふうなことでいいんですね。まあいまは確かにわずかでありますから、シェアも低いだろうと思うんです。だけど、今後またどんどんふえていくだろうと思うからそれで聞いているわけなんですが、もちろんもっとシェアがふえれば当然入れていくと、こう考えることにいたします。 牛肉は、和牛と乳牛の二系統から成り、その品質に大きな差があるゆえ、その品質から価格にも大きな差を及ぼしておるのは事実であります。また、この価格差とあわせて、価格形成を複雑化している要因に流通経路の問題があるわけでありますが、牛肉の流通経路がきわめて複雑であるばかりではなく、各市場間の価格差も大きく、需給事情を適正に反映した価格形成とは言えない。今回、法改正に伴い牛肉が食肉指定されることを機にこの流通経路の近代化、合理化に対して抜本的なメスを入れる必要があると思うが、近代化、合理化に対する具体策についていまどういうようなことを考えているのか。また、近いうちにどういう手を打ちたいと思っているのか、その点を伺いたい。
○政府委員(澤邊守君) 牛肉の流通の近代化といいますか合理化に対しましては、非常にむずかしい問題が多々あるわけでございますが、できることから最近かなり重点を置いて取り上げておるわけでございますが、そのポイントになりますのは、一つは、中央卸売市場の施設を整備しまして、そこで取引される頭数をできるだけふやしていく。しかもそこで自由な競争のもとにおきまして公正な価格が公開の場においてつくられるということが必要でございますので、そういう指導をいたしております。それから、規格取引ができるだけ普及をして、しかも厳正に行われるということのために格付機関になっております日本食肉協議会というものを改組いたしまして、分離いたしまして、日本食肉格付協会というものをことしの初めに発足を見たわけでございます。それらによりまして、取引の公正確保のためには規格取引かぜひ必要になりますので、そのようなこともやっております。 それからもう一つは、消費地の屠場まで生体で運んで、生きたままで運びまして屠殺するというのは、いろいろその間に死んだり、やせたり、あるいは経費がかかるということがございますので、産地におきまして屠殺、解体処理をしまして、枝肉ないしは部分肉という形で消費地の中央市場に持ってくるということが流通の近代化のために必要でございますので、産地におきます屠場の整備、できますれば通称食肉センターと言っておりますように、近代的な屠殺、解体施設、それから冷蔵庫も付設いたしまして、そこで近代的な明るい取引が行われるというような場をつくっていくということで、食肉センターの設置ということを進めておるわけでございますが、これのできるだけ大型のものをまとめてつくっていくということで、これまでも進めておりますが、五十年度からは総合食肉流通体系の整備という事業の中で、これを一層進めることにいたしております。で、できますれば枝肉の流通から部分肉の流通、それぞれ部分にカットいたしましたものの流通というのがさらに進んだ形態でございますので、そういう部分肉処理施設も産地の食肉センターにつくるというようなこともやりたいと思っております。 それからもう一つ問題になりますのは小売の段階でございます。まあ卸段階までは中央・地方の市場の整備等によりましてよくなりつつありますけれども、小売までの段階の流通が非常に細くて複雑であるという点がいろいろ問題がございますので、小売業の共同化あるいは共同配送施設なり、共同の保管施設なりあるいは共同計算施設というようなものに対しましてモデル的に助成をいたしまして、共同化によりまして能率を上げるようにするというようなこと、あるいは小売の規格、店頭におきます牛肉の小売規格を定めるということも懸案になって現在検討をいたしております。それらの対策によりまして、標準的なマージンで流通経路をできるだけ短くして販売をする、しかも規格の決まったものを明示して売るというような方向で今後指導してまいりたいと思っております。
○原田立君 安定価格の決定は政令で定める主要な消費地域の中央卸売市場——東京、大阪の二市場の売買価格について定めることになっておりますが、最近における卸売価格の乱高下が激しく、そのためにその影響が全国的に広がり、価格差に対する支障があらわれていることも事実であります。豚肉の例ではございますけれども、最近の新聞紙上で問題となった、肩ロース肉切り過ぎが原因で出荷の減少等から価格の乱高下を生じ、中央食肉市場の役割りに支障を来たしたというようなことが新聞紙上で報道されたことがございます。これらは市場内の機械化等の整備のおくれ、それが原因であったと言われております。これは先ほどのお話の中に、施設の整備をするということで解消されていくわけだろうと思うんでありますが、あわせて流通機構の複雑化が原因であろうとも思うのであります。 私も芝浦屠場に、中央芝浦屠場ですか、中央食肉市場ですね。行ってきましたけれども、やっぱりひどいですね、おくれていますね。熊本の食肉センターの方が地方だけれどもまだきれい。皮はぎ機がまだついてないんだというんだからお話にならないと思うんですよ。これは、農林省の方で厳重に指示、注意したというような話が新聞に出ておったんだけれども、場長はそんな指示など聞いてませんよ、と言っていましたよ。それはまあ別として。施設の整備というのはがっちりやらなきゃいけないと思うんですよ。機械の設備、また市場施設の改善、近代化を行うに当たり、市場施設の改善とあわせて屠場施設の改善も必要であると思うんであります。この点に対する政府の見解を、ごく簡単で結構でありますから。ただいまの答弁であらあら入っておりますけれども、ひとつ簡単に御説明願いたい。
○政府委員(森整治君) 最近新聞で問題になった問題も、確かに先生御指摘のように、御承知と思いますが民間に——豚の問題なんですか、約八六%民間に依存している、そこに一つ大きな問題がございます。これはかねがね問題にされておったわけでございますが、いろいろ国会の御指摘もあり、いろいろの点からわれわれも東京都を通じて改善を強力に指導しておりまして、一応作業といたしましてはただいまは正常に戻っております。今後いろいろそういう問題を解決していく。それは確かに先生御指摘の屠場の施設問題がございます。端的に申しまして、屠場の問題になりますと、実は所管を云々するわけではございませんけれども、厚生省の屠場法というものに基づいて行われる。この問題につきまして、市場行政から見ますと、非常に隔靴掻痒の感が、われわれ申しては大変いけないかもしれませんけれども、実はございます。そこで、今後、厚生省ともよく話し合いまして、そこの問題の合理化に努めてまいりたい、そこが一つ大きな課題であるというふうに認識をいたしておるわけでございます。
○原田立君 場長も言っておりました。何か、機械を四台か五台入れるから、もうこんな問題はなくなるでしょう、と言ってましたから、それは結構だ、と言っておきましたが、芝浦ばかりでなしに、ほかに中央卸売市場が九ヵ所あるわけです。まさか芝浦みたいなようなことがほかの八ヵ所であるわけなかろうと思うが、その点はどうですか。
○政府委員(森整治君) 大体、屠殺の実際に作業を行うやり方が変わっておりまして、東京とは若干違った形で行われておるのが通例でございます。したがいまして、そういう点につきましては一応問題はないというふうにわれわれは聞いておりますが、また別の問題はいろいろあると思います、自家屠殺の問題ですとか。そういう問題は別にいたしまして、屠場、屠殺作業そのものについての問題が特にあるという実例はございません。 いずれにいたしましても、やはり屠場と市場というのは一体で動かなければならない、こういう認識でわれわれも十分よく、厚生省と相談をしながらそういう問題の解消に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○原田立君 小売対策についてお伺いしたいのでありますが、最近における卸売価格の異常な低落にもかかわらず、小売価格が高値を維持しております。これは牛肉の消費減退が一つの大きな要因と考えられるわけでありますが、消費者は当然のこと、肉牛生産者からも強い批判の声が出ているばかりでなく、輸入の減少、凍結等、国際問題に発展をしていることはすでに御存じのとおりであります。牛肉の需要の減退に対するその原因、要因について、まあ節約ムードが高まったんだろうとかなんとかいうようなことがいろいろと言われておりますが、この小売対策についての具体策について政府はどのように考えているのか。
○政府委員(澤邊守君) 先ほども関連して申し上げましたけれども、特に牛肉の場合、小売価格は従来から卸価格の上昇時には、その上昇率は卸価格ほどではなくて、おくれて上がる、逆に下がるときにはあまり下がらないと。まあ下方硬直性とかいうことをよく言われるわけでございますが、短期的には確かにそういう傾向が見られます。その意味では、きわめて機敏に連動するというような価格形成ではなかのが通例でございます。 たとえて申し上げますれば、昨年の牛肉価格の動向を見ますと、四十九年になりましてから、卸価格がかなり下がりましたけれども、小売価格はあまり下がらないということで、小売がもうけ過ぎているんじゃないかというような御批判もかなりあったわけでございますが、夏以降卸価格はかなり下がりまして、キログラム当たりでございますが、七百円台から現在は約千百円台になっておりますが、その間の小売価格は卸価格ほどは上がっておりません。そういう意味では、小売価格はかなり安定をしておるといいますか、なるべく動かさないようにしているというような面が、商売をやる上からも見られるわけでございまして、これはまあ卸価格のように毎日かなり動くものをそのまま小売価格に毎日反映させるのは適当であるとまでは言えないと思いますが、長い目で見れば、やはり連動することか必要であろうと思います。 それから、そういうことは別にいたしまして、小売価格までの流通経費が非常に高いということは、これはもう否定できませんので、先ほど言いましたような小売の共同化によりましてコストをできるだけ下げるとか、あるいはもう一つ問題になります小売の品質を明示すると。乳牛なのか、和牛なのかわからないとか、あるいは「中」だとか「並」だとか「極上」だとか言いましても、店によって全部違うということでは比較しにくいわけでございます。それから、店によって「中」であっても、きのうときょうで中身が違うということがよくありますので、そういうものを適正に表示をして販売を適正マージンで売るというような標準店を育成していくということで、若干の予算を五十年度に新規に計上してお願いをしておるわけでございます。 ただ、いろいろ小売問題については、国民的な関心も非常に高まっておりますし、是正すべき点、近代化すべき点が多々ありますので、昨年の九月以降、小売価格問題研究会というのを私どもの方で持っておりまして、各業界、生産者、学識経験者、消費者、多数形入ってもらって現在検討いたしております。これの研究、検討結果も近く出ると思いますので、その結果を十分参酌しまして今後の施策に資したいというふうに思っております。
○原田立君 輸入一元化の問題はもういろいろと議論されておりますので、大体その方向に向かっているという答弁も聞きましたからこれは割愛いたします。 それで、現在、大手商社による海外大規模開発が進められていると聞いておるのでありますが、このことは、政府で奨励しているのか、またその開発規模はどうなのか、今後の海外での開発輸入のあり方についてどう考えているのか、この点お伺いします。
○政府委員(澤邊守君) 現在、牛肉の海外におきます開発協力は、豪州を中心といたしまして十件ばかり行われております。一部マダガスカルとかあるいはメキシコにおいても計画が現在進んでおります。一番最初から進みましたのは豪州でございまして、これは、牛肉が、わが国の輸入量がどんどんふえます場合に、従来は冷凍肉ということで、加工用に低質肉が入っておりましたが、日本人向けの、要するに脂肪の交雑の進んだ霜降り形の肉が日本には好まれるということで、そういうものを日本向けに肥育を行うということでフィードロットというやり方で、要するに草ではなしに穀物を食わせるのですが、豪州は一般には牧草によって肥育をしておりますけれども、これを、穀物を食わせて品質をよくして日本人向けの冷蔵肉にして輸出をするというのに対しまして、合弁その他で日本の商社あるいは畜肉業者等が参加をいたしましてやっておるのがございます。これは、かなり進んでまいりましたが、ちょうど輸入をストップいたしましたので、日本向きに出なくて、消費は、豪州の国内ではないということで、実は問題になっておるわけでございますけれども、そういう形で進んでおります。これに対します政府の指導援助といたしましては、豪州はかなり先進国でございますので、特段に資金的な援助はいまのところはやっておりませんけれども、マダガスカルとか、メキシコ等についてはいわゆる中進国でございますので、これに対します経済技術協力の一環といたしまして海外協力事業団を通じまして援助をするように現在種々計画を審査しておる段階でございます。
○原田立君 生産費補償方式の問題もお聞きしようと思いましたが、ごれも先ほど前向きの御答弁がありましたからよしとして、次に、肉用牛価格安定事業あるいは乳用雄肥育素牛価格安定事業、これが各県で協会を設けて行われておるわけでありますが、今回の法改正で、これらの制度は一体どうなるのか、またこの制度の実績、効果、保証、基準価格等について政府の見解をお伺いしたい。
○政府委員(澤邊守君) 和牛につきましても乳牛の子牛につきましても、これまで子牛の価格安定基金制度というものをつくりまして、国からも、あるいは畜産振興事業団からも援助をいたしておりますが、この制度は、牛肉の価格安定制度ができましても、牛肉の価格と子牛の価格はもちろん非常に関係がございますけれども、牛肉価格安定をしさえすれば子牛価格は自動的に安定をするという面ばかりでもございませんので、車の両輪としてあわせてこれも強化をしてまいりたいというふうに思います。 問題になります価格水準につきましては、四十九年度からかなり引き上げましたけれども、なお、今後とも実勢に合わせまして、あるいは生産費等も考慮いたしまして適正に決めていきたいというように考えます。牛肉の価格安定制度ができますと、子牛の価格安定制度にも有利な影響を及ぼすと思いますけれども、やはりこれは、これとして必要でございますので強化をしてまいりたいと思っております。
○原田立君 最後にしたいと思いますが、改正案では上位価格を超えて騰貴し、または騰貴するおそれがあると認められる場合に保管並びに輸入牛肉を事業団は売り渡すことができるが、その他に肉用牛の生産及び牛肉の消費の安定を図ることを旨として農林大臣の指示する方針に従って売り渡すことができると、こういうふうにあるわけでありますが「生産及び牛肉の消費の安定を図る旨」とはいかなる場合を指していうのか、これが一つ。また、「農林大臣の指示する方針に従って」と、こういうふうにあるが、この二つ。この点は一体どういうことなのか具体的に御説明を願いたい。
○政府委員(澤邊守君) 私どもは、価格安定制度が発足しますれば、安定上位価格と安定基準価格、いわゆる安定価格帯の中心価格に市場価格が収斂をすることを目標として、理想といたしまして価格の安定を図ってまいることが必要であるというふうに考えております。そうしますと、ここのお尋ねの「家畜の生産及び牛肉の消費の安定を図ることを旨として」といいますのは、たとえば中心価格より非常に高いところに市場価格が上がりまして上位価格に近づくというふうなときには事業団の持っております輸入肉なり国内肉の売り渡しをふやしていく、それによって中心価格まで収敵するようにすると、逆に中心価格から下の基準価格に接近するようにだんだん下がってまいります際には、事業団の売り渡し数量を減らしていく、場合によっては停止をする、基準価格から下がるようなときには当然一切売らないということをやることによりまして、目標といたしております年間平均価格で、中心価格前後に価格が実現をするというような操作をしてまいりたいと思います。そのようなことを農林大臣があらかじめルールを指示をしておきまして、それに基づいて事業団が運用すると。それでそのときどきにも必要な指示をしてまいりたいというふうに考えております。
○塚田大願君 大分時間も経過しましたから能率よくやります。 まず大臣にお伺いしたいのですが、国民の食糧の自給という問題は、これはもう農政の基本的な命題だということは、この間から何回も答弁もされました。このことはきょうは、ですから、あまり立ち入って質問いたしませんが、ただ、二、三確認しておきたいことがあるんです。 まずお聞きしたいのは、ついこの間の各紙の報道によりますと、これは十八日、十九日ごろの新聞でありますが、アメリカ情報局、つまりCIAですね、悪名高きCIA。これが報告書を提出しておった、ローマの食糧会議の直前に。その報告書を新聞に報道されました、ついこの間ニューヨーク・タイムスがこの要旨を発表したということで発表いたしましたが、これは、ですから、新聞は要旨しか出ておりませんが、この点で農林省は、このCIAの報告書なるものを御承知になっていたかどうか、それをまずお聞きしたいと思うのです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) CIAが食糧問題についてどういう見解を持っておるか、どういうことを発表したのか、まだ私は承知しておりません。
○塚田大願君 日本の農林大臣が、この間から食糧自給の問題でさんざんやってて、なおかつ、こんな重要な報告書が出ておった。しかもこれがアメリカのいわば食糧戦略の基本になっておったというふうに、新聞は報道しているのですよ。そういう問題について関心をお持ちでないというのは、まことに私は、少し怠慢ではないかと思います。 では、そこで私もニューヨーク・タイムスの原文読んでおりませんが、日本の新聞が報道したところによりますと、要するに、これは現在の世界的な気候の変化、このままでいくならば、近い将来、世界は深刻な食糧危機に逢着するであろう。その場合には、アメリカの食糧は十分に作柄は確保できるので、アメリカにとっては、これは強大な、このような一連の状況から米国は第二次大戦直後をさらにしのぐ経済的、政治的優位性を持つであろう、こういうふうに言っておるわけですね。ですから、新聞はこれはアメリカの食糧戦略、いわゆるアメリカの戦略資源としての食糧政策を発表したものであると。これに基づいてローマ会議でもアメリカのハンフリー代表はこういうふうに言ったのですね。「アメリカは穀物備蓄を戦略資源としてみなければならない。国防戦線で爆弾や銃にたよるのはばかげたことだ」、こう言ったというのですね。つまり、アメリカとすれば、今日の世界の食糧危機の中でのアメリカの優位性を一〇〇%活用していこう、こういうことを言っておるわけですよ。ですから私は、これは非常に重大な問題だと。われわれ日本にとりましては非常に危険な問題だ、こういうふうに考えるのですね。特に一説によりますと、アメリカはスパイ衛星で各国の作柄を研究しながらその情報を集めてそういう食糧戦略を立てておる、こうまでいわれておるのですね。私は、それは決して架空な想像ではないと思うのです。大体CIAが食糧問題を分析するということ自体が危険なことですけれども、しかし現実問題としては、アメリカは、明らかにそういう政策をとっているというふうに考えられる。その証拠は、たとえば七三年、一昨年大豆の輸出全面停止がありました。それから七四年にはソ連に対する穀物の輸出契約の破棄がありました。つい最近までトウモロコシなど輸出規制を続けておるわけですね。最近やっと破棄をしました。トウモロコシなど最近ですよ。そういう食糧戦略というものをアメリカはがっちり進めておる、こういう問題だと思うのです。 ですから私がお聞きしたいのは、この間も私、大臣に質問しました。とにかく食糧自給をやるからには本気で農政を立て直さなければならぬ、アメリカの食糧のかさに入っているということは全く危険千万なことで、現時点でアメリカが日本に輸出規制はいたしませんと、こう言ったところで、こんなことはあてになることではないのだという立場から食糧自給の問題を提起しました。それに対して大臣は、もちろん自給は基本的な命題だ、いまの農政の根本問題だ。こういうことを繰り返しておられたのですが、こういう証拠が次から次へと出てきますと、やはりもう一度私は、ここで日本の食糧の安全保障ですね、食糧自給に対する決意とそれからその対策についてお聞きしたいと思っているわけです。まず、その点で大臣にはその決意のほどを改めてお聞きしたいのですが、どうでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) アメリカは食糧の供給につきましては、まさに非常な、世界的に優位な立場に立っておる大輸出国でありますし、 〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕 日本としてもアメリカから大量な農作物を買い入れておることはこれはもう事実でございますし、今後とも日本において食糧を確保していくという立場に立って、たとえば畜産の振興を行うに当たってもその飼料穀物のやはり相当な部分は今後ともアメリカに依存せざるを得ないということは厳粛なる事実でありますし、今後の見通しとしてもそのようであろうと思うわけですから、私はやはりこうした段階にあっては、今後とも今日の日米友好関係というものを維持し、さらに安定をさして、アメリカからの食糧の安定的な輸入を図っていくということは基本的には必要であろう、こういうふうに思うわけでございます。 しかし、そういうふうな世界的な事情というものは、やはり全体的に食糧が不足をする、最近は、飼料が少し安くなったという状況にはあるわけでございますが、しかし長期的に見ればやはり不足するという基調はゆらいでおらない。これは世界の人口の増加、あるいはまた世界における消費生活の水準の向上といったような面から見ましても、これは、長期的には食糧といいますか農作物は不足をする基調にある。ですから一面におきましては、日本で自給のできない農作物については、今後ともアメリカを初めとする輸出国の協力を得なければならぬと思いますが、しかし、わが国の国内において可能な限りの自給力を高めていくということは、まさにこれはわが民族の安全保障といった面からも、最も大事なことであろうと、こういうふうに思うわけでございます。そうしたような基本的な認識に立ってこれからの食糧政策というものを確立をしていかなければならないわけでございまして、現在農政審議会へ答申を求めておりますが、四月になって答申を得て、私はその答申に基づいて総合的な食糧政策というものを長期的な視点に立って確立をしていきたいと思うわけでございます。可能な限りの自給力を高めていく、そういうことをやる場合においてやはりわが国における水とか、あるいは土地の確保をする、あるいは高度の利用をはかっていく、これはまだまだわが国の国内においても百五十万ヘクタールぐらい造成可能な土地もあるわけでございますし、また、裏作等につきましてもさらに高度な活用ということは十分考えられるわけでございますので、さらにまた林地の利用というようなことも大いにやっていかなければならぬわけでございますから、そうしたあらゆる面についての生産基盤の拡充を図っていくということは当然であると思いますし、 〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕 同時にまた、生産に従事をする農業者の皆さんに、幾ら資源を開発をしても、その中にあってやはり働く意欲といいますか、生産意欲というものを持っていただかなければならぬわけでございますから、こうした農業者の皆さん方の生産意欲向上のための政策、金融政策あるいはまた税制対策あるいはまた集団的生産組織といったような新しい生産組織体制というものをつくっていく。さらにまた農村の環境も整備して、住みやすい環境に持っていくといったようなことで、農業者の皆さん方に生産意欲を持っていただかなきゃなりませんし、また農作物につきましても、再生産が維持できるという価格でなければ、これまた幾ら土地、水等の資源の確保をして高度活用を図ろうといっても、肝心の価格が再生産が確保できないといったような価格であってはどうにもなりませんから、やはり価格の政策を充実をしていくというようなことは当然であろうと思うわけでございます。そうした万般の生産対策あるいはまた価格政策さらにまた中核農家の生産意欲を刺激するためのいろいろな措置というものを総合的に進めていく。そういうための総合政策というものを何としても打ち出していきたい、こういうふうな決意を持ってこれからの農政に臨みたいと思うわけでございます。
○委員長(佐藤隆君) この際委員の異動について御報告いたします。 本日、青井政美君が委員を辞任され、その補欠として岩男頴一君が選任されました。
○塚田大願君 大臣、大変懇切に答弁をいただいたんだが、ただ残念ながら、どうも輸入の問題については輸入に頼るかのごとく、頼らざるかのごとく、どうもやっぱり歯切れが悪いですね。私どもが言っているのは、全然輸入するな、なんというようなことを言ってんじゃないんですよ。そんな非常識なことを言ってんじゃない。基本を自給に置くのか、それとも輸入に置くのかという、その問題なんですよ。そういうことから言いますと、どうも大臣、また飼料——えさなんかはアメリカに依存せにゃいかぬというようなことを言っておる。だから私は、この間の委員会でやはりこの飼料の問題を中心にして、どう自給していくかという問題を、あの長期見通しや試案等の対比の中でいろいろ質問をしたんですが、やはりそういう点で私はもうちょっと政府としては態度を鮮明にしていただきたい。必要なものはそれは輸入せにゃいけません、日本でできないものは。しかし、たとえば、草地だって、いまもおっしゃったように、百五十万ヘクタールもまだ土地があるんだ、それをどうやって本当に造成して自給を図っていくのかということが、もっと積極的な、具体的な政策がありませんと、総合的対策、万般の対策なんて言ったって、そんなのは絵に書いたもちみたいなものでいただけないんですよ。ですから、そういう意味で私改めてこの問題を質問をしたんです。 ところが、この四十九年八月十二日、昨年の八月ですね、畜産局が出されました資料、「牛肉の価格安定対策について」という資料がございますね。畜産振興懇談会に提出になった資料です。これを見ますと、こう書いてあるんですね、国内牛肉の問題ですよ。「本来、牛肉については、内外ともに需給はひっ迫するものと見込まれていることに加えて、我が国の場合、今後国内生産の増大を図ったとしても、国内生産のみによっては必ずしも増大する需要に対応しえないことから、牛肉の価格の安定を図るためには、基本的には輸入量の調整によって対処することが必要であ」る、こういうふうに言っておられるんですね。最初からやっぱり肉をアメリカ、外国から輸入すると、こういう外国のものをあてにするという発想、態度、これがここに私は出ているんじゃないかと思うんですがね。一体、だとすれば、いまの大臣のおっしゃった自給とどうこれが一致するのか、その辺の説明をお聞きしたいと思うんです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ、これは六十年目標でも牛肉につきましては八一%の自給を確保したいということで、これから生産対策、価格対策等を初めとして、施策を進めていくわけでございますが、しかし一〇〇%完全に自給しようとしてもこれは今日のわが国の資源的な制約から、非常に困難であるわけでございます。たとえば牛肉生産に必要な粗飼料にいたしましても、われわれは粗飼料の緊急増産対策等、これから始めるわけでございますが、まあ今日の倍ぐらいの粗飼料の確保は飼料基盤を整備することによってできるわけですが、しかし、一〇〇%という自給をやるだけの資源というものは残念ながら確保できないということになれば、二割程度はどうしても外国に依存せざるを得ないわけでございまして、そういう観点からその文章で見ますと、やはり国民食糧を確保する、今日のわが国の生活水準を維持していくためには、やはり牛肉につきましても、生産だけでは足らないですから、外国から輸入して、そして確保していかなきゃならぬのが、これは農林大臣としての責任でございますから、そういうことを含めてやはり外国の輸入によって調整というものを図っていくということが書かれてあるということであろうと思うわけでありまして、やはりわれわれの目標は、あくまでも自給力を高めていくということが農政の課題としては最大の課題であることは、これはもう間違いないわけでございます。
○塚田大願君 大臣の話を聞いているとなるほどと思うようなところはあるんだけれども、この文章は客観的に出たもので、いま言いましたように、基本的には輸入量に頼るんだと、「基本的に」と書いてあるのですよ。私はこれを言うんです。大臣の言われたような意味ならきわめて常識的なことでわかりますけれども、これを言うんです。しかしね、いまこの文章あげつらって私はどうこう言おうと思ってないんです、時間の関係もありますから。 それで、話を進めますがね、もう一つお聞きしたい。これがどうしてもお聞きしておきたいと思うのは、ついこの間、これも新聞に発表されましたが、農林省は国会が明けた段階で「国会明けを待って政府当局者や業界代表で構成する交渉団を、」この飼料穀物の輸入のための交渉団ですが、この交渉団をアメリカに派遣する予定である。こういうふうにこの新聞書いて、発表しておられますけれども、これは一体どういう交渉団なんですか。その内容をお聞きしたいと思うのです。簡潔でいいです。
○政府委員(澤邊守君) 新聞に報道されましたのは、アメリカ等と長期契約を結ぶために日本から政府と業界の代表が渡米すると。予算が成立すれば早々に行くというような趣旨であったかと思いますが、これは具体的にそういう計画があるわけではございません。ただ、現在御審議をいただいております予算案におきましても、飼料穀物の長期安定的な取引を行い、日本の必要量を確保するためには長期契約というのが一つの方法であるというふうに考えまして、そうなりますと、トウモロコシ、コウリャンということになりますと、主としてアメリカが最大の輸出国でございますので、アメリカを一応想定いたしまして民間ベースによる長期契約をやる。それに対しまして政府が何らかの援助といいますか、保証をするというような形で他の国もやっておりますので、アメリカからの輸入を、そのときどきの需給事情の変動、作柄の変動等にかかわらず確実に必要のものが輸入できるような方法を検討してみてはどうかということで、そういうことに必要な検討費、これは調査検討する経費、必要な場合には向こうへ出かけていろいろ調査する経費を、たしか百五十万円ばかり予算にも計上して御審議をお願いしておるところでございます。それに関連する記事が、推測されてそういうような、あたかも具体的な計画があるがごとき記事になったかと思いますけれども、私どもといたしましては、まだそういうような具体的な案は持っておりません。ただ、輸入商社あるいは飼料メーカー、全農等含めまして、民間ベースによる長期契約、三年ないしあるいは五年の長期契約の可否につきまして、日本側サイドとしてはどう考えたらいいかということの研究は始めております。まだ具体的に、相手がまだ応じたわけでもございませんし、まだどういう方法でやるかを、日本側の方針をきめたわけでもございません。そういう研究成果を待って必要な場合には派遣するということもあり得ると思いますが、現在まだ具体化しておりません。
○塚田大願君 これはまだ最終決定ではないと言われておりますけれども、しかし、これを見ると、対象がトウモロコシ、マイロの二品目を対象とする、契約期間は三カ年とする、政府保証方式でいくというふうに、かなり具体的なものが出ておる。しかし、政府はまだきまってないんだとおっしゃれば、それでけっこうですけれども。ただ、ここで私不思議に思うのは、ここまできめているんだったら、価格なんかについてもどの程度の価格でこの契約をされるのかですね、その辺を聞きたかったんですけれども、これどうですか。その価格の問題なんかはまだほとんど検討してないか。簡単でいいですから、時間がありませんから。
○政府委員(澤邊守君) 価格を長期契約の内容に織り込むかどうかにつきましては、価格の将来の予測が非常に困難でございますので、輸出国、輸入国ともなかなか約束できないであろうということで、とりあえず数量だけ考えるのが現実的ではないかというふうに考えております。
○塚田大願君 いずれにしても、こういう方向でもしおやりになるんだとしたら、私は、やはりアメリカのいわゆるキッシンジャー構想、食糧備蓄構想、これに手を貸すことになるんじゃないか。その危険性はありはしないか。今度三カ年の契約でやるんだと、長期の契約、政府保証方式だと。ですから、私が最初から申しましたように、アメリカの食糧のかさにのめり込むような政策をとったんだったら、食糧の自給なんというものはとうていできるものじゃない。この矛盾を政府としてははっきり解明していただかなければいかぬのじゃないか、こう思いますが、どうですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、世界的な食糧の不足の基調が今後長期的な視点に立てば、続くというふうな状況の中にあっては、やはりわが国民食糧を確保するという農林省の責任として、今後とも最大の輸出国であるアメリカから安定輸入のための長期契約を結んでいくということは、これはもう当然のことではないかと思うし、また、それをやらなければいけないというふうに積極的な意思を持っておるわけであります。最近もオーストラリアとの間に民間で砂糖契約、長期契約を結びまして、これは価格も決めたわけでございますが、これが世界の砂糖の価格を冷やして、そうしてわが国の砂糖についても確保するし、大きな要素をなしたわけでございまして、これは非常な成功だったと思うわけですが、そうした砂糖についてオーストラリアとやったやり方であるとか、あるいはポーランド方式とも言われておりますが、そういうふうなやり方で、アメリカとの間に、これは長期契約をアメリカのみでならず、長期契約、中期契約というものによって確保するということは、私は今後は必要じゃないかと。非常に高位不安定な食糧情勢、農作物の情勢が続くわけですから、やはり日本としてどうしても輸入に頼らなければならぬ穀物については、やっぱり長期的な約束をして、食糧だけは、農作物だけは確保するということが必要じゃないだろうかと、こういうふうに思っておるわけでありまして、これでもってアメリカの何か食糧の戦略的なそういうやり方に対して手を貸すとか、そういうことじゃなくて、日本自体のあり方として、これはどうしても進めていかなければならぬ方法だろうと思うわけですが、しかし飼料穀物については政府がやるわけじゃなくて、民間がやるわけでありまして、これに対して政府として協力をすると、こういうことでございます。
○塚田大願君 この論議は実に重大な問題で、政府の姿勢にかかわる問題でありますから、本当はここでもっと詰めなきゃいかぬと思うんですが、こればっかりもやっておられませんし、これはいずれかの機会でもやりますけれども、私が先ほどから申し述べましたこの疑惑、問題点、これは何もわれわれ共産党だからこんなことを言っているんじゃないんです。一般の新聞がみんな書いているんですよ、一般の新聞でも。たとえばCIAの記事の中でも、アメリカの食糧のかさに極度に依存することは危険だ、日本の食糧の安全保障を真剣に考えるときが来ているんだ、というふうな解説すらしておるんです。ですから、これは国民的な疑惑であり、問題提起だと思うんです。何か政府に言わせると、簡単に、アメリカとの友好、親善を確保するために輸入するんだとか、あるいは日本でできないから仕方がないじゃないか、というふうな単純な結論を出すべきではないと私は思うんです。もっと真剣に、私は、日本の食糧自給というものについて真剣に考えていく、それがいま必要な時期なんじゃないか、こういうふうに考えて質問をしているわけですが、これは、いまの問題はいまの問題として一応この程度にとめておきましょう。 さらに具体的な問題として一、二お聞きしたいのは、一つは、価格の問題です、さっき大臣もおっしゃった。私、この間の委員会でも自給問題を論ずる中で、私は、日本の農業の発展には二本の課題がある、柱があるんじゃないかと。一つは土地の問題、基盤整備の問題、もう一つは価格の問題、こういうふうに言いました。そしてこの間は土地の問題、基盤整備の問題だけにしぼって質問をいたしましたが、きょうは価格の問題をもう少し詰めてみたいと思うんです。 そこでお聞きしたいのですが、先ほど出しました畜産局の「牛肉の価格安定対策について」という、この資料の中には、牛肉の価格安定の対策としては三つの方式がある、こう言っておられるのですね。一つは「指定食肉方式」、一つは「基金方式」、そうして三番目は「不足払方式」、三つ挙げておられるのです。ところが今回は指定食肉方式というものをおとりになった、この畜安法の改正の中で。これが三つ、この対策があると言われて、その中でこの指定食肉方式をおとりになりましたその根拠といいますか、理由をちょっと簡単に説明していただきたい。
○政府委員(澤邊守君) ただいま御指摘ございましたように、八月段階で畜産振興審議会の懇談会を開きました場合、考え得る牛肉の価格安定制度といたしまして三つあるということで、それぞれの特質のようなものを挙げて御説明をしたわけでございます。その際に三つございましたが、事業団の買い入れ制度は、現在お願いしている内容でございます。不足払い制度ともう一つ基金制度——基金制度と言いますのは、これは民間で自主的に積み立てて補てんをするということでございますので、国が行います不足払い制度の一種の変形、それに対して、積み立てに対して援助するといたしましても、民間でやると、法律、制度はつくらなくてやれるということでございますから、まあ一種の変形のようなものでございますので、大きく言えば不足払い制度と事業団による買い入れ、売り渡し制度ということになるわけでございますが、そのどちらをとるかという場合、私どもで一番検討いたして念頭に置きましたことは、不足払い制度というのは確かに一つの価格安定といいますか、所得を安定させるための制度であることは間違いないわけでございますが、ただわれわれとしては、一番心配いたしました点は、不足払い制度をとりますと、自由化を海外から迫られるおそれがあるという点を一番心配したわけでございます。これは不足払い制度は、要するに一定の基準価格を決めまして、それ以下に下がった場合、市場の価格が下がることは放置しておくわけでございまして、下がるときには下がりっぱなしと。ただ、基準価格以下に下がった部分を財政で負担をするということになりまして、ある意味では価格が下がりますから、消費者にはいいというような御意見も実は出るわけでございますが、そういう制度でございますと、要するに財政が負担をする覚悟をすれば、幾ら自由化してもかまわないということになりまして、貿易の自由化制度とこの不足払い制度というのは両立し得るわけです。理論的にと申しますか、制度として両立し得るわけでございます。したがいまして、現に諸外国、主要な輸出国、豪州であれ、ニュージーランドであれ、あるいはアメリカであれ、日本に対しまして自由化をして、不足払いを大いにやったらどうですか、不足払いをやることは、わが方は何も結構である、そのためには場合によったら課徴金を取ってもいいじゃないか、関税を上げてもいいじゃないかとすら言いながら自由化を迫ってきておるのが、これまでのいきさつでございます。ところが、事業団の買い入れ制度をとりますと、これは自由化ということとはまず両立しないわけでございます。価格を決めまして、事業団が一定価格以下に下がった場合に買い入れるという場合、安い輸入肉がどんどん無制限に入るということになりますと、事業団は買うばかりであって、いつまでたっても売る機会がないということになりまして、これは制度として、買い入れ制度というものは維持できなくなって破綻を来たします。そういう意味におきまして、いろいろ利害得失はございますけれども、自由化を防止するということ。これは生産者側が一番心配をされているところでございますので、自由化の契機になるような制度はつくってもらっては困るということでございますので、この制度を、不足払い制度を取り上げずに事業団の買い入れ制度をとることに決めたいきさつがございます。なお、そのほか、技術的な理由といたしましては、不足払いをやりますためには、流通機構がかなり整備されておりませんとなかなかやりにくいわけでございますので、先ほど御意見もございましたような、家畜商等がいろいろな段階に介在しておりますと、家畜商に不足払いをしても生産者に幾ら補てん金が、不足払いの交付金がいくのか、これは保証がございません。そういう点で問題があるということ。さらに、一元集荷、一元販売というような組織ができておりませんと、これはなかなか現実に、交付するといいましても、手間がかかって、制度として運営ができないというような技術的な理由もございます。まあしかし、主としては、自由化との関連を心配をいたしまして、その点また懇談会におきましても、生産者側の方の御発言としても、自由化につながる不足払い制度は反対であると、こういうような御意見も明確に出されまして、現在提出しております事業団の需給操作によります安定制度を決めたわけでございます。
○塚田大願君 局長のお話を聞いていても、なぜ不足払い方式をとったら自由化になるのかということがどうもはっきりしません。むしろ何かこじつけではないかとすら思えるような理論に聞こえるんですけれども、しかし、もし局長が心配になるような、そういう自由化ということが出るぐらいならば、むしろこの牛肉の価格安定対策としては完璧なものだということを逆にお認めになるということになるんじゃないかと私は考えるんですね。ところが、いまもここに挙げましたように、牛肉の価格安定対策の基本は、基本的には輸入量の調整なんだというふうなことを言っておられる。やっぱり、そういうふうに考えますと、この、輸入万能主義といいますか、輸入依存主義といいますか、そういうものだと言われても仕方がないような結果になっているんではないかと思うんです。しかも、さっきも申しましたように、国際的には牛肉の需要というものが逼迫するということは今日の常識でありますし、同時に、私もう一つ申し上げたいのは、たとえば牛肉の肉質や鮮度のことを考えますと、外国産は安くって国内産は高いんだという、何というんですか、そういう一つの考え方、これもそう単純にもう言えなくなってきているんではないかというふうに考えるんですね。ですから、本気で牛肉の生産振興をお考えになるのならば、結論的に申し上げますと、この安定基準価格を生産費を償う水準に決めるということ、これがやっぱり一番大事だろうと思うんですね。それから、飼料なんか上がって生産費が一定の割合で変動していくという場合には、農林大臣がその年度の途中でも改定を義務づけるというふうな方法ですね、要るに、これはわが党が修正案として提出しております、あとで趣旨説明いたしますけれども。そういう方法で本当におやりになって初めてこの畜産価格の安定というものが確保できるんではないかと、こういうふうに思います。この点もひとつ、まあ大臣の答弁、所信、所見をお聞きして、これをもっと進めたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ法律をもし国会において御成立していただくということになりまして、価格制度が発足する段階になり、いよいよ価格を決定するということになりますれば、われわれといたしましても、畜産審議会の意見も十分聞かなきゃなりませんが、やはり初めてのことでございますから、よほどこれは慎重に対処していかなきゃならぬと思うわけでございます。特に牛肉の場合は生産が縮小したらなかなか拡大が困難であるということもございますし、また六十年目標で牛肉——肉牛について三百三十万トンも生産しようというふうな一つの大きな目標を掲げておるわけでございますから、むしろこの価格の決定は再生産を確保するというよりは、拡大再生産を確保していくというふうな形、考え方のもとにまあ価格を、安定帯を決めていくということでなければならない。そういうふうに考えておるわけでございまして、まず、生産費等の調査が不十分でありまして、この価格をどういう算定方式にするのか、まだ最終的には決めてはおらぬわけでございますが、まあこれは今年度については確定的なものではないわけでございますが、年々これは充実をしていかなきゃならぬ、こういうふうに思ってもおるわけでございます。この新制度のもとにおけるいずれにしても価格の決定に当たりましては、十分これはひとつ再生産確保というものを配慮して決めていきたいというふうな考え方でおるわけでございます。
○塚田大願君 いま大臣がいみじくもおっしゃったように、やはり安定価格の決定というのが一つのポイントだろうと思うんですね、この価格問題では。ところが、いままでのいろいろ御答弁なんかを聞いたりなんかしてますと、大体実勢価格を基本にして、生産費を加味して決めるというふうな、いわば豚肉なんかの場合にはそういう御答弁でありましたが、やはりそんな方法でおとりになるのかどうかですね。だとすると、たとえば事業団の買い入れ発動を余りしない、そして生産費を償うかどうかなんというのはまあ二の次というふうな結果にともすればいままでなってるわけです。おまけに、いまおっしゃったように牛肉の生産費の調査はきわめて不備だということになりますと、いよいよもって、この実勢価格が大きな価格決定のファクターというふうなことになりますと、豚肉の場合の今度の問題のように、関税の減免なんというようなものをばあっとやっていく、事業団が買い入れるなんていうことは余りしない。豚肉の場合でしたら数年間事業団買い入れしなかったでしょう、そして関税の減免だけぽかっと出てくる、こういう結果になりかねないんじゃないか。その点を私どもは大変不安に思うんですが、その辺はどういうふうに作業が進めておられるのか。それからまた、見通しとしてはそういった豚肉のような、そういった前例を踏まない、前轍を踏まないというふうな方向でお考えになるのかどうか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 安定価格帯を決めるという価格制度の形からすればまあ豚肉と似ておるわけでございますし、まあ最終的に決めておるわけではございませんで、審議会の意見も聞きたいし、まあ国会の御審議も参考にするわけでございますが、私の現在考えておるまあ基本的な方向としては、やはり実勢価格といいますか、豚肉方式というものがまあ基本にならざるを得ないのではないだろうかというふうに思っておるわけでございますが、先ほどから申し上げましたように、牛肉につきましてはなかなか、これはもう縮小したら拡大が非常に困難であるという実情も十分踏まえなきゃなりませんし、また、やはりこの牛肉の生産を今後六十年目標に沿って思い切って拡大をしていかなきゃならぬという時代的な要請もあるわけでございますから、そういうものを踏まえ、さらに生産費の調査が不足ではございますが、一応の生産費というものの資料もあるわけでございますから、そういうもの等も十分参考にいたしまして、ともかくも再生産が確保されるという形で何としても決めていかなきゃならぬ。その場合において、先ほど畜産振興事業団の役割りというものが、その後の運営におきましては、非常に大きな要素になってくるわけでありますが、私たちは中心価格につきましては、少なくとも再生産が確保される中心価格でなきゃならぬわけでございますから、それをやはり維持できるような畜産事業団の牛肉の取り扱いについての運営を、これはもう厳正に図っていかなきゃならぬ。それにはやはり畜産事業団の取り扱う牛肉については、大半の牛肉を畜産事業団に取り扱わせなきゃなりませんし、場合によっては、畜産事業団が一元化をしてこれを取り扱うということは、私は当然なことであろうと思うわけでありまして、その措置もぜひとも講じておく必要がある、こういうふうに考えるわけでございます。
○塚田大願君 もう時間も迫りまして私六時までという約束にになっております。 最後にもう一つだけお聞きしたいんですが、安定価格帯の幅ですね、これは局長が衆議院での答弁なんかされたのを聞いて見ますと、大体豚肉の一〇%よりもっと大きくというふうにおっしゃっているようでありますが、もしそうだとすると、実勢価格にプラス、生産費を加味したこの中心価格、これの九〇%でなければ買い支えないということになるわけですけれども——現在でさえ、この安定帯というやつは動かない制度になっているわけです。それをさらにより動かないようなものにするということにならないのかどうか。まして幅が一三%なんというような話が出ておりますけれども、私は、これはとんでもないことではないかというふうに考えますが、それはどういうふうにお考えですか、幅。
○政府委員(澤邊守君) 安定価格帯の幅、すなわち上位価格と基準価格の幅でございますが、これをどの程度に定めるかということ、これは重要な問題でございますので、審議会で御専門の方々の意見も十分伺った上で最終的に決めるべきものというふうに考えておりますが、したがって、私どもあらかじめ案を固めておることではございません。ただ、過去五カ年間の月平均価格の変動係数というものをとってみますと、牛肉は豚肉と比較いたしまして、変動率が最近は大きいというデータが出てくるわけでございますが、もう少し数字申し上げてみますと、豚肉はこれは毎年過去五年をとりますと、数字が動くわけでございますが、きのう審議会に提出いたしました試算によりますと、一五%ぐらいの変動係数というのが出るわけでございますが、しかし、従来は一〇%でやっておりますので、豚肉については一〇%でことしも試算を出して御参考に供したわけでございます。が、この一五・四に対しまして、牛肉の場合は乳牛の雄の「中」で見ますと二〇・六%、同じ過去の五年間で。それから和牛の去勢の「中」につきましては二三・三%という数字がこの五カ年間だけをとってみますと出てくるわけでございます。それから見ますと、豚肉よりも少し幅が大きく出ておるというふうに認められるわけでございますが、豚肉の場合も実はこの制度が発足いたしました当初は一六・三%でスタートしたわけでございますが、だんだん縮めてまいりまして、一〇%までいってその後、過去の係数は大きく出ましても、もう広げないようにするというような運用をやっております。牛肉の場合新しいスタートでございますので、単なる係数だけでもまいりませんので、政策的な判断も加味すべきだと思いますので、その辺十分御意見もお聞かせいただいた上で決めていきたい。たまたま衆議院で私がお答えいたしましたのは、そういう過去のデータをそのままとりますと、そういうことになりますと。ちなみに農業団体が現在要求されております変動係数は一三%ぐらいというのも出されておる例もございます。その辺のお考えも十分さらにお聞かせいただいた上で最終的に決めたいと思います。
○塚田大願君 いま局長がおっしゃいましたように、価格変動幅が大きい、牛肉の場合。ということは、要するに、それだけ国内生産が不安定であるということを意味もしているわけですね。ですから、いま中心価格を決めてそれから一〇%以上、まあ十三%になるかどうか、それを下回らなければ買い上げないということになりますとね、この制度が私は生きてこないと思うんですよ。農民が救われないと思うんです、この制度では。そういう意味でやっぱり安定帯の幅をもっと狭くして、そして消費者には安い価格、生産者には再生産を償うとか、こういう方式をぜひとっていただかなければいけない。また、これがこの制度本来の使命であり、役割りではないか、せっかくおつくりになるのですから。そういう意味で私は、農林省としては考えていただきたい。せっかくの制度がフル回転をして、本当に国内の牛肉生産の保護育成ができますように、ひとつわれわれが提案をしております修正案を十分に研究していただきまして、そして実りある制度にしていただきたい、このことを私最後に申し上げまして、私の質問終わります。
○委員長(佐藤隆君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認めます。 神沢君及び塚田君から、それぞれ委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。 この際、修正案を議題とし、順次趣旨説明を願います。神沢君。
○神沢浄君 私はこの際、ただいま議題となっております畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び第二院クラブの五派共同に係る修正案を提案をいたします。 修正案の案文はすでにお手元に配付してございますので、朗読を省略し、本日の会議録の末尾に掲載していただくようにしていただきたいと存じます。 さて、修正の内容は、現在削除されております第七条を起こして、「政府は、牛肉の輸入については、この法律の規定による牛肉の価格の安定を図るため、畜産振興事業団がその目的に従って一元的な運営機能を有効に発揮することができるよう措置するものとする。」こととしたことであります。周知のように、昭和四十七年暮れから世界の食糧需給は急速に逼迫し、わが国の配合飼料価格は現在まで約二倍を超えるというような異常な高騰を示したのであります。また、国内におけるインフレの進行によって諸資材の著しい騰貴を見たのであります。この間、畜産物の価格は逆に低迷を続け、生産物安の飼料、資材高という、まさに畜産の危機が大きく問題となってまいったのであります。牛肉はわが国の食糧資源のうちきわめて重要な地位を占め、草資源のなお多くの開発可能性を有するわが国においてはその将来を有望視されているものであります。しかしながら、今回の畜産危機においては卸売価格が暴落して最も打撃を受けたものの一つであります。 このような情勢のもとで、今回の改正案は決して私どもが満足すべき内容とは考えませんが、一歩前進という面では一定の評価ができるとは考えます。今後その充実を望むものであります。 しかしながら、今回の牛肉の卸売り価格の暴落の原因を見るときに、いろいろな要因が考えられますが、なかんずく牛肉の輸入量の余りにも急速な拡大が重要な原因の一つと考えられます。牛肉は長期的に見て世界的に不足が予想されるのでありますが、その輸入は、国内の牛肉生産に悪影響を及ぼさないよう十分なる政策的配慮のもとに行わなければなりません。そのためには、畜産振興事業団による牛肉の輸入の一元化が今回の改正を生かすためにはぜひとも必要と考えるものであります。すなわち、十分にコントロールされた輸入によって初めて牛肉価格の安定を図り得るとともに、わが国の肉牛生産の振興に寄与できるものと考え本修正案を提案する次第であります。
○委員長(佐藤隆君) 塚田君。
○塚田大願君 私は、日本共産党を代表して、畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨説明を行います。修正案の朗読は省略させていただきます。 一昨年来の飼料を初めとする畜産関係諸資材の価格高騰と、肉牛の生産価格の下落によって、肉牛生産農家の経営は深刻な危機に直面してまいりました。昨年秋以降、生産者価格が幾分持ち直したとはいえ、事態は依然として解決されてはおりません。 さらにまた、肉牛の生産者価格が子牛代や飼料費にすら満たないという状況のもとで、子牛の屠殺数が異常に増加し、乳用種の雄子牛の肥育仕向け率が昭和四十八年の九〇%台から、昨四十九年秋にはわずか三〇%にまで下落しており、このままでいけば今後国内の牛肉生産が一層急激に縮小の道をたどることは明らかであります。 このような事態を招いた原因は、政府が大企業優先、農業軽視の経済政策をとり、国内における牛肉生産をなおざりにし、飼料原料を含めてもっぱら輸入依存政策をとってきたところにあります。すなわち、政府はこれまで生産農民が一貫して強く要求してきたにもかかわらず、今日まで牛肉を本法の指定食肉にも取り入れないままに放置しておき、しかも価格上昇時にだけは、需給調整を盾にとって牛肉の輸入を増大させてきたのであります。 畜産危機が叫ばれ、肉牛生産農家の経営安定と国内生産の拡大による牛肉の安定供給が強く求められているいま、わが党は、遅きに失したとはいえ政府が本改正案を提出したことを評価するにやぶさかではありません。しかしながら、わが党は本改正案について次のような問題点を指摘せざるを得ません。その第一は、安定価格の決定については何ら変更が加えられず、昭和四十四年秋以降、畜産振興事業団の売買操作が行われていない豚肉の例に明らかなように、実効ある価格対策をとる方向にはなっていないこと、第二には、一昨年秋以来の肉牛価格の暴落の発端となった牛肉輸入について何ら規制措置をとろうとしていないこと、第三は、牛肉の消費者価格が市場価格と著しく乖離して高騰し、消費者物価全般の上昇と相まって一般家庭の牛肉消費が減退を続けている事態を解決するための措置を講じていないこと、最後に、これは省令事項とされておりますが、指定食肉の規格が和牛去勢、乳用雄牛の中規格に限定されており、牛肉価格全体の安定につながらないことなどであります。 日本共産党は、以上の不十分さをなくし、本改正等による牛肉価格安定対策が、真に肉牛生産農家の経営を安定させ、わが国の肉牛生産の発展に寄与し得るものとするため、要旨次のような修正案を提案するものであります。 その第一は、安定価格のうちの安定基準価格を生産費を償う水準に定めることとし、また、飼料価格の高騰等によって生産費が一定の割合を超えて変動した場合には、農林大臣に対し、安定基準価格の年度途中改定を義務づけることといたしました。 第二に、食肉の輸入を事業団の一元管理とし、食肉輸入の無制限な増大を抑えるために、定められる輸入計画に基づいて行われることといたしました。 第三に、食肉の売り渡しについて、食肉需要を喚起し、消費者の家計安定に資するために、事業団が食肉小売業者等に特別売り渡しを行うことができるようにしたほか、輸入食肉の売り渡しについては、指定食肉の価格が安定基準価格を下回りまたは下回るおそれがある場合には、これをしてはならないことといたしました。 なお、これらの修正は、牛肉のみならず、豚肉にもかかわるものであります。さらに指定食肉たる牛肉の規格として、肉用種、乳用種を問わず、中規格及び並規格を考えていることをつけ加えておきます。 また、本案施行に要する経費は、平年度で約三十一億円の見込みであります。 委員各位の御賛同をお願いして、提案の趣旨説明を終わります。
○委員長(佐藤隆君) ただいまの塚田君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。安倍農林大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) このことについては、政府としては賛成しがたいと考えております。
○委員長(佐藤隆君) 別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより、畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、塚田君提出の修正案を問題に供します。塚田君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(佐藤隆君) 少数と認めます。よって、塚田君提出の修正案は否決されました。 次に、神沢君提出の修正案を問題に供します。神沢君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(佐藤隆君) 全会一致と認めます。よって、神沢君提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(佐藤隆君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。 以上の結果、本案は、全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。(拍手) ただいま可決されました畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、各派共同による附帯決議案がまとまっておりますので、便宜私から提案いたします。 畜産物の価格安定等に関する法律の一部を 改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、今後におけるわが国の食料資源に占める畜産の重要性にかんがみ、積極的に飼料基盤を開発整備し、家畜の改良増殖その他生産振興対策を推進してその自給力を高めるとともに、本法施行にあたっては、食肉処理保管施設等の整備拡充、卸小売の近代化等牛肉流通の合理化を強力に実施し、牛肉の消費の安定にも十分留意しつつ左記事項について万全の措置を講ずべきである。 記 一、牛肉の生産流通の実情にかんがみ、乳廃牛等の肉を指定食肉たる牛肉の規格に含めるよう努めること。 二、牛肉の安定価格の決定にあたっては、肉用牛の再生産を確保しうるよう生産費及び所得に十分配慮すること。 また、生産費調査等牛肉価格安定制度の適正を運用に必要な統計資料を速かに整備充実すること。 三、牛肉の輸入については、的確な需給見通しにたつて必要最大限度にとどめ、あわせて改正後の法第七条の規定に基づき必要な措置を講ずること。 四、畜産振興事業団の指定食肉の売買操作にあたつては、生産者の手取価格の平準化及び流通費用の節減にも資することができるようその適切な運用を期すること。 五、畜産振興事業団が輸入牛肉等を放出するにあたつては、その数量及び価格が国内市況に悪影響を及ぼすことのないよう配慮して定めること。 六、牛肉価格の格付体制の整備充実に努めるとともに、解体成型方法の合理化、取引形態の近代化等を図ること。 七、本法の円滑な運用を図るため、現行の肉用牛価格安定事業及び乳用肥育素牛価格安定事業等の整備拡充を図ること。 八、畜産経営を圧迫する諸条件の速かな改善に努めること。とくに、肉牛経営に伴う負債の整理に関し、必要な措置を検討すること。 九、食肉としての比重が大きい鶏肉について、生産者の地位の安定を図るため、その生産流通の特殊性に即しつつ価格安定措置その他生産流通対策の拡充整備を検討すること。 右決議する。 以上であります。 それでは、本附帯決議案の採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(佐藤隆君) 総員挙手と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、安倍農林大臣から発言を求められております。この際これを許します。安倍農林大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいまの御決議につき、その御趣旨を尊重いたしまして善処いたしたいと考えております。
○委員長(佐藤隆君) なお、審査報告書の作成はこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(佐藤隆君) 農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。安倍農林大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 農業振興地域の整備に関する法律は、農業の振興を図るべき地域を明らかにし、土地の農業上の有効利用と農業の近代化のための施策を総合的計画的に推進することを目的として昭和四十四年に制定され、本法に基づく農業振興地域の指定及び農業振興地域整備計画の作成は、昭和四十九年度には全国に行き渡ることになっております。 最近における農業振興地域の土地利用の状況を見ますと、農業以外の部門の土地需要が全国的に強まっていることから、農業の用に供する土地の開発保全と農業経営規模の拡大は困難な事態となっております。 このような事態に対処して、需要に応じた農産物の安定的な供給と生産性の高い農業経営の育成という農政の基本目標を達成するためには、土地利用の調整に留意しながら、土地の農業上の利用の確保とその効率的な利用の促進を図るとともに、農業経営の規模の拡大を図ることがきわめて重要であります。 政府といたしましては、このような観点から、農業振興地域における土地の計画的効率的な利用を一層促進するのに必要な措置を講ずるため、この法律案を提出いたした次第であります。 次にこの法律案の主要な内容について御説明申し上げます。 第一は、農用地利用計画の対象となる土地に、従来の農用地等のほかに農業用施設の用地を加えることでありまして、これにより総合的かつ計画的な土地利用を図ろうとするものであります。 第二は、市町村は、農業振興地域整備計画の作成または変更に際して土地の交換分合を行うことができることとしたことであります。 市町村が農業振興地域整備計画の作成または変更をする場合に、当該農業振興地域内の農用地等の一部が農業以外の用途に供されることが見通されるときは、土地利用の調整に留意して、農用地等として利用すべき土地の農業上の利用の確保を図るため、当該農業振興地域内の土地を対象として交換分合を行うことができることとするものであります。 第三は、農用地区域内における農用地利用増進事業の制度の新設であります。この事業は、市町村が農用地区域内の一定の区域内にある農用地について、所有者等の意向に基づき、その効率的な利用と農業経営の規模の拡大を図るため、計画的に利用権を設定するものであります。この場合、市町村は都道府県知事の認可を受けて、農用地利用増進規程を定めるとともに、農用地の所有者等の全員の同意を得て利用権の設定を内容とする農用地利用増進計画を定めることといたしております。 第四は、農用地区域内にある農用地についての特定利用権の設定に関する制度の新設であります。 市町村または農業協同組合は、農用地区域内にある農用地で耕作等がなされていないため農用地としての利用が困難となると認められるものについて、これを住民または組合員の共同利用に供するため、耕作等を目的とする賃借権である特定利用権を取得する必要があるときは、都道府県知事の承認を受けて、その設定について農用地の所有者等に協議を求めることができることとしております。また、この協議が調わないとき等は、市町村または農業協同組合は都道府県知事に裁定の申請をすることができることとし、都道府県知事がその農用地を共同利用に供することが農業振興地域整備計画の達成のため必要かつ適当であると認めて裁定をしたときは、特定利用権の設定に関する協議が調ったものとみなすこととしております。 第五は、農用地区域内における開発行為の制限に関する制度の新設であります。 農用地区域内において土地の形質の変更または建築物その他の工作物の新築等の開発行為を行おうとする場合には、国または地方公共団体が行う行為等一定の行為を除き、都道府県知事の許可を要することとしております。この場合、都道府県知事は、その土地が農用地等として利用することが困難となるため農業振興地域整備計画の達成に支障を及ぼすおそれがある等の場合はこれを許可してはならないものとしております。 以上のほか、農用地利用増進事業または特定利用権の設定について、これによる権利の設定及び賃貸借について農地法の特例を設けることとしております。 なお、この法律案につきましては、衆議院において、農用地利用増進事業等につき市町村または都道府県知事と農業委員会または都道府県農業会議との意見調整を図るための手続規定を追加するとともに、農業振興地域のうち農用地区域以外の区域内における開発行為についての勧告等の制度を新設することを内容とする修正がなされております。 以上がこの法律案の提案の理由及びその主要な内容であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(佐藤隆君) 次に、補足説明を聴取いたします。大山構造改善局長。
○政府委員(大山一生君) 農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。 第一の農用地利用計画の内容の充実につきましては、最近における畜産、施設園芸等の発展に伴い畜舎、温室その他の農業用施設と農用地とを適切に配置して農業振興地域における総合的かつ計画的な土地利用を図ることが必要と認められますので、農用地利用計画の対象となる土地に耕作または養畜の業務に必要な農業用施設の用地を加えることとしたものであります。 第二の農業振興地域整備計画の作成または変更に際して行う土地の交換分合につきましては、農業振興地域整備計画の作成または変更により土地の利用区分を定めるのに際し、農業振興地域において農用地等が農用地等以外の用途に供されることが見通される場合に、土地所有者等の意向に即して土地の交換を計画的に行い、農用地の農業上の利用を確保するための措置として設けるものであります。 このような場合に、市町村は、農用地区域内にある土地を含む農業振興地域内の一定の土地に関し、都道府県知事の認可を受けて交換分合計画を定め、交換分合を行うことができることとし、この交換分合計画は、農業振興地域内において農用地等として利用すべき土地の農業上の利用を確保するとともに、農用地の集団化その他農業構造の改善に資するように定めなければならないこととしております。この交換分合については、土地改良法の規定を準用するほか、農用地以外の土地について関係権利者の同意を得たときは、その農用地以外の土地を含めて交換分合計画を定めることができることとし、また、土地の所有者の申し出または同意があったときは、交換分合計画において取得すべき土地を定めず、清算金の支払いをすることができることとしております。 第三の農用地区域内における農用地利用増進事業の制度の新設につきましては、近年、地価の上昇傾向や耕作権保護の影響によって売買または賃貸借による農業経営の拡大が余り進んでいない状況から見ますと、農用地所有者等の意向に基づいて計画的に利用権を設定する方式により農用地の効率的な利用と農業経営の規模の拡大を図ることが必要となってきております。そこで、市町村は、農用地の保有及び利用の状況、農業経営者の意向等から見て必要があると認めるときは、農用地区域内の一定の区域内の農用地について、農用地利用増進事業の実施区域、基本方針、利用権の設定を受ける農業者の要件、利用権の存続期間、借賃の算定基準等を内容とする農用地利用増進規程を定め、都道府県知事の認可を受けて農用地利用増進事業を行うことができることとしたのであります。この認可を受けた市町村は、利用権の設定を受ける農業者及び利用権を設定する農用地の関係権利者のすべての同意を得て、利用権の設定を内容とする農用地利用増進計画を定めるものとし、これを公告したときは、その計画の定めるところにより利用権が設定されることとしております。 第四の農用地区域内における特定利用権の設定に関する制度の新設でありますが、農用地区域は、農用地として利用すべき土地の区域として定められたものであることから、区域内の農用地については農用地としての効率的な利用を確保するための措置を講ずることが必要でありますので、現に耕作等の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作等の目的に供されないと見込まれることにより農用地としての利用が困難になると認められる農用地がある場合において、市町村または農業協同組合がこれを地域農業者の共同利用のため活用することを必要とするときには、耕作等を目的とする賃借権としての特定利用権の設定を認めるものであります。 この場合、市町村または農業協同組合は、都道府県知事の承認を受けて特定利用権の設定についてその農用地の所有者等に協議を求めることができることとしておりますが、都道府県知事の承認は、その農用地が耕作等の目的に供されておらず、かつ、これを共同利用に供することが、農業経営の改善のため必要かつ適当である等の一定の要件に適合するものである場合に限り行うこととしております。 市町村または農業協同組合は、特定利用権の設定に関する協議が調わない等の場合には、都道府県知事の裁定を申請することができることとしておりまして、この申請を受けた都道府県知事は、その農用地を共同利用に供することが農業振興地域整備計画の達成のため必要かつ適当であると認めるときは、特定利用権を設定すべき旨の裁定をするものとしております。この場合、特定利用権の存続期間は、五年を限度とするものとしております。 都道府県知事の裁定の公告があったときは、裁定の定めるところにより当事者間に協議が調ったものとみなされますが、特定利用権を有する者が正当な理由がなく引き続き一年以上その農用地をその目的に供しなかった場合には、特定利用権に係る賃貸借を解除することができることとしているほか、特定利用権の譲渡等の禁止の規定等を設けております。 第五の農用地区域内における開発行為の制限に関する制度の新設につきましては、現在、農用地区域内にある農地及び採草放牧地は農地法による転用規制の適用を受けておりますが、山林、原野などその他の土地については、農用地等として開発し、または利用するものとして農用地区域に含めた場合であっても開発行為が制限されていないため、その農業上の利用の確保が困難となっております。このような状況に対処し、農用地区域内にある土地の農業上の利用を確保するため、農用地区域内において土地の形質の変更等の開発行為を行おうとする場合には、国または地方公共団体が行う行為等一定の行為を除き、都道府県知事の許可を要することとしております。この場合、都道府県知事は、その土地を農用地等として利用することが困難となるため農業振興地域整備計画の達成に支障を及ぼすおそれがある場合または周辺の農用地等において、土砂の流出等の災害が発生し、もしくは農業用用排水施設の機能に著しい支障を及ぼすおそれがある場合には、これを許可してはならないものとしております。 また、都道府県知事の許可を受けないで開発行為をした者等に対し、都道府県知事は、その行為の中止または復旧をすべきことを命ずることができることとしております。 最後は、農地法上の特例でありまして、交換分合、農用地利用増進事業または特定利用権の設定に関する制度による農地または採草放牧地についての権利の設定または移転については、農地法第三条の許可を受けることを要しないこととし、また、農用地利用増進事業または特定利用権の設定に関する制度により設定された賃借権に係る賃貸借については、農地法第十九条の法定更新の規定は適用しないこととしております。 以上をもちまして農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○委員長(佐藤隆君) 本案に対し衆議院において修正がなされておりますので、この際、修正部分について、修正案提出者、衆議院議員芳賀貢君から説明を聴取いたします。芳賀貢君。
○衆議院議員(芳賀貢君) 農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正の趣旨を御説明申し上げます。 修正は五点であります。 その第一点は、市町村は、農用地利用増進計画を定めようとするときは、農業委員会の決定を経なければならないものとしたことであります。 その第二点は、都道府県知事は、農用地利用増進規程を認可しようとするときは、都道府県農業会議の意見を聞かなければならないものとしたことであります。 その第三点は、都道府県知事は、特定利用権を設定すべき旨の裁定をしようとするときは、都道府県農業会議の意見を聞かなければならないものとしたことであります。 その第四点は、都道府県知事は、開発行為の許可をしようとするときは、都道府県農業会議の意見を聞かなければならないものとしたことであります。 その第五点は、都道府県知事は、農業振興地域のうち農用地区域以外の区域内において、農用地区域内における耕作もしくは養畜の業務または農業用用排水施設の機能に著しい支障を及ぼす等の開発行為を行う者がある場合には、その者に対し必要な措置を講ずべき旨を勧告することができるものとし、その勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その旨及びその内容を公表することができるものとしたことであります。 以上でありますが、若干その趣旨を申し上げますと、修正の第一点から第三点については、市町村等が行う農用地利用増進事業の実施等について、農地法の適用を除外していることに対し、農業委員会等を関与させることにより、農地管理の一体化を図ろうとするものであります。修正の第四点は、農用地区域内の開発行為の許可につき土地の農業上の利用の確保及び農地行政の円滑な運用の面から都道府県農業会議を関与させようとするものであります。 修正の第五点は、農用地区域以外の農業振興地域において開発行為がなされる場合農用地区域内の農業経営等に著しい支障を及ぼす事態が生ずることのないよう、勧告及び公表の制度を設けたものであります。 衆議院農林水産委員会におきましては、三月十八日、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案により多数をもって修正すべきものと議決し、二十五日の本会議において修正されました。 何とぞ御賛同を賜りますよう御願い申し上げます。
○委員長(佐藤隆君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十分散会