内閣委員会 第9号
- 発言数
- 167 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/05/29
会議録
○委員長(加藤武徳君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告をいたします。 本日、岡田広君が委員を辞任され、その補欠として亀井久興君が選任されました。 —————————————
○委員長(加藤武徳君) まず、中小企業省設置法案を議題といたします。 発議者から趣旨説明を聴取いたします。参議院議員峯山昭範君。
○峯山昭範君 ただいま議題となりました中小企業省設置法案の提案理由の説明を行います。 わが国の中小企業は、企業の数で見ると、全体の九九%以上を占めるとともに、生産、販売額においても約半数に及んでおり、わが国の産業経済を支える大きな力となっております。また、それに携わる関係者の数は、経営者及び従業員を含めて三千万人に達し、わが国の労働力人口の過半数に及んでおります。 しかるに、こうした中小企業を担当する行政官庁としては、通商産業省の外局として、中小企業庁が置かれているのみであり、また中小企業政策のために投じられている子算は国家予算全体の一%に満たない実情であります。 今後、わが国の中小企業は、国際経済の変動、インフレの進行、景気後退あるいは公害問題など、内外をめぐる環境は一段と厳しさを増し、より一層の施策の拡充が望まれているのであります。 自来中小企業の関係者の間では、中小企業庁を中小企業省に昇格させ、専任の大臣を置くことにより、中小企業施策の総合的な強化を図るべきであるという声が強く出されていたところであります。 これに対し、政府は今回、中小企業庁の中に小規模企業部を新設するなど若干の機構の拡充を行っていますが、これだけでは決して十分とは言えません。 中小企業の利益を守るためには現行の通商産業省とは別に独自の中小企業のための行政機構をつくる必要があります。 そこで、公明党はこのような観点から、中小企業行政の総合的強化を図るため、中小企業省設置法案を提案することといたしました。 本法案の主な内容について御説明申し上げます。 まず、現在の中小企業庁を廃止して、中小企業省を設置し、中小企業省の長は中小企業大臣とすることとし、中小企業省は、中小企業の振興及びその従事者の経済的、社会的地位の向上を図るため、中小企業の育成及び発展に関する行政を総合的に推進することを主な任務としております。 次に、その権限及び所掌事務としては、中小企業振興のための基本政策等の決定及び推進、中小企業関係法令の施行、中小企業に関する技術開発の奨励、経営の指導、製品の品質向上、輸出の振興及び国内市場の開拓のための助成、金融のあっせん、中小企業の事業分野の保護並びに中小企業関係団体の監督等を挙げております。 これらの事務を処理するために、内部部局として、大臣官房のほか、企画局、指導局、金融局及び小規模企業局を設置することとしております。 まず、企業局においては、中小企業振興の基本政策の策定及び推進、協同組合等、中小企業の組織化対策、中小企業の近代化の促進、国際経済の変動に伴う中小企業対策、下請中小企業の振興並びに中小企業退職金共済制度など、中小企業の従事者の福祉対策などのほか、公明党の別途提案による中小企業者の事業分野に参入する大企業者の事業活動の調整に関する法律に基づき、特定の中小企業の事業分野については大企業との利害を調整することにより、中小企業の保護を図るという調整事務等を行うこととしております。 指導局においては、中小企業の経営診断指導、技術開発、製品の品質向上に関する指導、助成、輸出振興、国内市場の開拓等に関する事務を行うこととし、金融局においては、中小企業に対する資金のあっせん、中小企業の信用補完業務、政府系中小企業金融機関の監督等を行うこととしております。 小規模企業局においては、小売業の近代化など商業の振興及び小規模事業対策のほか、公明党の別途提案による小規模事業者生業安定資金融通特別制度により、一定の小規模事業者に対し、無利子、無担保、無保証で利用できる画期的な融資制度を新設し、その関係事務を担当するようにしております。 さらに、各地域の実情に即した、きめ細かい施策の実施及び国と都道府県等の中小企業政策の連絡調整のため、地方支分部局として全国に八つの中小企業局を配備することとし、このほか、中小企業省の付属機関として、中小企業安定審議会、中央中小企業調停審議会、中小企業近代化審議会及び中央中小企業分野調整審査会を置くこととしております。 以上が本法案の主な内容であります。 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(加藤武徳君) 以上で説明は終わりました。 本案の審査は後日に譲りたいと思います。 —————————————
○委員長(加藤武徳君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から説明を聴取いたします。植木総務長官。
○国務大臣(植木光教君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 この法律案による措置の第一点は、恩給年額の増額であります。 これは、実施時期を昨年よりさらに一カ月繰り上げまして昭和五十年八月から、昭和四十九年度における国家公務員の給与改善率により二九・三%増額するとともに、昭和五十一年一月から、恩給と公務員給与との水準差の補てんを完結するため、さらに六・八%を上乗せすることとし、この両者を合わせ、恩給年額を三八・一%増額しようとするものであります。 その第二点は、普通恩給等の最低保障の改善であります。 これは、今回の恩給年額の増額措置に伴いまして、長期在職の老齢者の普通恩給の最低保障額を三十二万一千六百円から四十二万円に引き上げる等、普通恩給及び普通扶助料の最低保障額を大幅に引き上げようとするものであります。 その第三点は、扶養加給額の引き上げであります。 これは、傷病恩給及び公務関係扶助料に係る扶養加給額を、現職公務員の扶養手当相当額に引き上げようとするものであります。 その第四点は、八十歳以上の高齢者の恩給の算出率の特例であります。 八十歳以上の高齢者の普通恩給または扶助料の年額を計算する場合には、普通恩給の最短年限を超える実在職年の年数が十年に達するまでの一年について、基礎俸給の三百分の一に相当する額を普通恩給年額に加えることによって、その処遇の改善を図ろうとするものであります。 その第五点は、六十五歳未満の傷病者の併給普通恩給に対する最低保障の適用であります。 六十五歳未満の傷病者の併給普通恩給で、これまで最低保障の適用を受けていなかった者についても、六十五歳以上の者と同様に最低保障を適用することにより、傷病者の優遇を図ろうとするものであります。 その第六点は、旧軍人に対する一時恩給の支給範囲の拡大であります。 引き続く実在職年が三年以上七年未満の旧軍人またはその遺族に対する一時恩給または一時扶助料は、下士官以上として六月以上在職することが支給要件とされておりますが、この支給要件を廃止し、その対象を兵にまで拡大することとし、引き続く実在職年が三年以上ありながら、従来一時恩給等を支給されなかった旧軍人またはその遺族に対し一時恩給または一時扶助料を支給しようとするものであります。 その第七点は、旧軍人等の加算年の年額計算への算入要件の緩和であります。 現在、七十歳以上の老齢者、七十歳未満の傷病者または妻子に給する普通恩給または扶助料の年額を計算する場合には、旧軍人等の加算年を年額計算の基礎在職年に算入いたしておりますが、今回は、七十歳以上という年齢要件を五歳引き下げ、六十五歳以上七十歳未満の老齢者の普通恩給または扶助料についてもこの措置を及ぼすことにより、戦地等で勤務された方々に対する処遇の範囲を広げようとするものであります。 その第八点は、特別加給の増額であります。 増加恩給受給者の中でも特に重症である第二項症以上の受給者に対しては現在、年額七万二千円の特別加給が支給されておりますが、重症者という特殊事情を考慮いたしまして、その額を十二万円に引き上げようとするものであります。 以上のほか、準公務員期間の通算要件の緩和、低額の仮定俸給年額の引き上げ等所要の改善を行うことにしております。 なお、以上の措置は、さきに述べましたように六・八%の増額を昭和五十一年一月から実施するほかは、すべて昭和五十年八月から実施することとしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(加藤武徳君) 以上で説明は終わりました。 本案の審査は後日に譲りたいと思います。 —————————————
○委員長(加藤武徳君) 次に、許可、認可等の整理に関する法律案を議題といたします。 まず、政府から説明を聴取いたします。松澤行政管理庁長官。
○国務大臣(松澤雄藏君) ただいま議題となりました許可、認可等の整理に関する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。 政府は、行政の簡素化及び合理化を促進するため、許可、認可の整理を図ってまいりましたが、さらに、その推進を図るため、昨年十一月六日に提出された行政監理委員会の許認可等に関する改善方策についての答申事項のうち法律の改正を要するもので今年度分として成案を得たものなどを取りまとめ、この法律案を提出することにいたしました。 法律案の内容について御説明申し上げますと、第一に、認可等による規制を継続する必要が認められないものにつきましてはこれを廃止し、第二に、規制の方法または手続を簡素化することが適当と認められるものにつきましては規制を緩和し、第三に、下部機関等において処理することが能率的であり、かつ実情に即応すると認められるものにつきましては処分権限を委譲し、第四に、規定の明確化を図る必要が認められるものにつきましては規定を整備することとしております。 以上により廃止するものが六事項、規制を緩和するものが十二事項、権限を委譲するものが四事項、規定を整備するものが一事項、計二十三事項について、六省庁、十二法律にわたり所要の改正を行うことといたしました。 以上が、この法律案の提案理由及び概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げします。
○委員長(加藤武徳君) 引き続いて、本案の衆議院における修正部分について説明を聴取いたします。衆議院内閣委員会委員長代理理事越智伊平君。
○衆議院議員(越智伊平君) ただいま議題となりました許可、認可等の整理に関する法律案に対する衆議院の修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 政府原案では、外国人登録法の一部を改正することとしておりましたが、その改正部分には外国人登録法の基本に触れる疑いのあるものがあり、これを許認可等の一括整理法で処置することにはなお検討を要すると考えまして、同法の改正に関する部分を削除した次第であります。 以上が、修正の趣旨であります。
○委員長(加藤武徳君) 以上で説明は終わりました。 本案の審査は後日に譲りたいと思います。 —————————————
○委員長(加藤武徳君) 次に、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。 前回に引き続き、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○秦豊君 先日、日本を訪問されましたエリザベス女王御夫妻、あれほどのハードな日程を終始にこやかに、いつも微笑を絶やさないでこなし切って無事に帰国をされたわけです。見る人さまざまな立場、価値観によって異なった反応が出てくるのは当然といたしましても、少なくとも私自身の印象は、このエリザベス女王の振る舞いのすべてが、日本訪問のすべてが私たちに多くの印象というか、あるいは鮮やかさというか、こういうものを残してお帰りになったと思うんです。目の当たりに見る身についた優雅な身のこなしであるとか、あるいはみがき抜かれた美しさであるとか、あるいはおのずから備わったであろうその威厳をさらにリファインされたようなあの洗練さといいますか、そういうすべてが、やはり初めて見る女王に対する非常に深い親愛の気持ちをかき立てたことは否定ができないと思うんです。 しかし、やはり、ただ美しい女王、気品のある女王というんじゃなくて、やはり私、いまもなお生々しく覚えていますのは、女王としての努力である。努力を感じた。力さえ感じた。そうして、それを延長すれば、やはりこの王室のあり方、イギリスの王室というものが、なぜあれほどまでに圧倒的な国民の敬愛と信頼の対象たり得ているのか。資料によれば、イギリス国民の九二%がいまのあの王室のあり方に大きな信頼と敬愛を寄せています。このことは、当然日本皇室に対する世論の動向等、後ほどずっと掘り下げていきたいと思うんですけれども、そうして、もう御存じのように、あれほど階級対立の激しいイギリスの階層社会の中にあって、なぜあの王室がイギリス国民融合のポイントとして有効に機能をしているのであろうか。たとえば、私どもとはかなり世界観の近いイギリス労働党のウィルソン党首にしてからが、こう言っていますね、わが国の制度的な資産の中で王室こそは最善のものであると、社会主義者として生涯を律しようとしているミスター・ウィルソンが、このような素直な、また、きわめて高い評価を与えていることも隠れもない事実です。しかも、あれほどのゼネストという大きな社会的な緊張関係にあって交通機関の不便なときに、あんなハンディを乗り越えて、実に十一万四千人という東京都民が、あるいは近くに住む市民たちが、あのハイライトとも言えたテレビ中継つきの国立劇場へのパレード、あの中に、なぜあれほど自然で、しかも温かい素直な反応をほとばしらせたのか。このあたりに私たちとして大いに考えるべき問題がありはしないか。同時にこのことは、イギリス王室と日本の皇室のありよう、もちろん歴史の伝統や、あるいは課題や、あるいは価値観や、さまざまなものをいきなり捨象して、それを置いておいて比べるという単純な発想には立ちません。おのずから歴史の必然が絡んでいると思います。しかし、多くの皆さんは、それにしても日本の皇室はという思いを果たしてお持ちにならなかったであろうか。で、私自身が、きょう宮内庁長官の宇佐美さんに、まあ短い時間ではあるけれども、大体百二十分ばかり、主としてお尋ねをしたいというポイントは、まさに今度の、いわゆる女王外交と一言で言われているあのエリザベス女王が残されたさまざまの問題と引き比べて、ひいては、あなたが所管をしていらっしゃる宮内庁のあり方、日本皇室のあり方、過去、現在、未来につながるその問題を、ずっと集中的に伺っていきたいと思うんです。 で、私自身の基本的な視点を御参考のために述べておいた方が後ほど宇佐美長官から御答弁をいただく際によかろうと思うので、もう少し私のいわゆる概論を補足しておきたいと思うんです。極端に言いますと、私自身がいま印象をまとめている一番大きな関心は、王室と国民の距離、隔りの問題です。近さの問題です。遠さの問題でもあります。言いかえれば、皇室と国民のつながりの問題です。で、私がこういうことを宇佐美長官に、特に植樹祭で旅行をされているあなたの日程に合わしてなぜきょうまで質問を留保したかというと、宇佐美長官のお立場が非常に特殊であるからです。あなたは、三年間次長として在任された後、二十八年の十二月十六日にたしか宮内庁長官に就任をされていますね。そうすると、長官に就任されてからだけでも二十三年間たっています。次長としての三年を加えれば当然二十六年、四半世紀を超えています。日本のあまたの行政諸官庁の中で、宇佐美長官ほど長い在任期間のいわゆる責任者長官はほかに例を見ないわけです。したがって、宮内庁行政を論じ、質問をする場合には、あなた自身の皇室観、あるいは皇室と国民観、これを抜きにして語ることは、これはむしろ意味がないと思います。つまり、あなたはこの二十六年という間ないし二十五年という間、文字どおりミスター宮内庁として、生き字引きのような、あるいはすべてがあなたの決裁とフィルターを通して実行されるというありようにおいて、あなたの責任もしたがって大きいと思うからです。 それから、もう一つの大きな前提は、やはり私ども、ともすれば、これはマスコミにも一部見られる現象ですけれども、私もマスコミ人として多くの年月を生きてまいりましたが、その私にしてからが、やはり皇室についての率直な論議というものをきわめて自己規制的に、いわばタブー化するおそれがおのれ自身の中にもあり得たと思います。あり得さしめてはいけないんだけれども、知らず知らずのうちにそこに陥っているということを、私自身の反省として持っています。たとえば私が、前の仕事であったニュースキャスターとして振る舞っている間にも、もっと踏み込んで率直に論評すべきではないかとおのれが思っても、ちょっとマイルドにする、手前でとどめるというふうなことが、やはり私自身否定ができません。そして、いまのイギリス王室が、王制支持者九二%という圧倒的な支持に裏づけられているのに引き比べて、日本の場合には、これは総理府の植木長官のところで、あなたのまだ御就任前のデータですけれども、これを見ますと非常に歴然たる差異が目立ちます。つまり、日本の場合には、総理府広報室編さんの「世論調査」、七四年七月によりますと、現在の国民世論の動向が非常に率直に出ています。反映されています。天皇は国民の精神的な支えとなっているというふうに、きわめて肯定的に答えられた方が四二%であるのに対しまして、儀礼的な役割りをしか果たしていないという、まあこれは否定というか、中立というか、ややさめた評価をしている人が四一%、何の役割りも果たしていませんと、きわめて端的に答えられた方が七%であります。で、このことは、国民的の精神的な支えであるという肯定的な評価よりも、ややさめた目か、あるいは否定的な反応を示している国民の皆さんの比率の方が、つまり四十二対四十八で多いということになるわけです。このような世論の動向は、特に二十代の若者の中に、あえて言えば皇室否定、さらに無視、いまの天皇はともかく、次の世代——皇太子のときにはというふうな非常に生の反応を示していることが、この総理府の調査を初め、朝日新聞のことし一月元旦の特集記事、世代間の断絶という特集であらわれています。たとえば、皇室関係のニュースやあるいは論調に興味を持つと答えた方が、これが五〇%でありますけれども、持たないという層が四三%である。これをまあフィフティー・フィフティーと割り切ることはラフに過ぎるとしましても、少なくともほとんど半数に近い人は、皇室の記事、ニュース、動き、動向、ありように、関心ありません、こう答えているのですね。このことは、やはり非常に重大な問題と結びつくと思います。しかも、関心を持つと言った世代の大半が六十歳以上という年代層に限られておるということも一つの問題点でありますし、逆に、関心を持たないと答えた年代層が二十代にほとんど集中しているという事実も、天皇から皇太子へのつながりを考え、今後の皇室のありようを考える上では、またきわめて大きな問題を投げていると思います。 そこで、イギリス国民の圧倒的な王制支持がどこから根差しているのかということを、私なりにまとめてみましたけれども、やはりいまイギリスの王室というのは、かつての神権絶対主義というものから、敬愛すべき象徴としてふんだんにマスコミに乗るような、いわばテレビ君主制とも言うべき第三の開花期に入っている、こういうことをイギリスの社会心理学者たちは指摘しています。つまり、明らかに一〇〇%、いや一〇〇%以上人間である、生々しい人間であるという、しかもそれがマスメディアに乗って正当にイギリス国民に受け入られているという、そこも第三期に入っていると言います。毎朝ロンドンで発行されているタイムス紙は、宮廷欄というのを必ずレギュラーに掲載しています。そこには、王族が自由に意見を述べるコラムも掲載されれば、あるいはきょうフィリップさんはどうする、女王はどうする、だれがどう訪問して何を言ったということが事細かに述べられていて、それは読者の関心度の最もシャープな、非常によく読まれている欄だとされています。そうして一方では、イギリス国民というのは、いまの王制というもの、王室というものについて、たとえばこう言っていますね。多くの世論が、王制が存続し得るのは働く王室であるからである、役に立つ王室であるからである、女王の押す決裁は盲判ではなくて一つ一つ吟味をしているからである、絶えず時代の変化に適応しようとしているからである、だから許容できるというわけです。たとえばイギリスの議会は、もう皆さんも御存じのように、イギリス議会の王室経済論議というのは名物になっておりますけれども、実に率直にずばずばと、王室費が高い、安い、削れ、こういう論議を堂々とやっています。そして、そのイギリスにおいてさえ、イギリス王室は、では浪費をしていると思いますかという調査に対しまして、三九%しか浪費しているということを認めていません。逆に、りっぱにお金を使ってくれている、イギリス国民の敬愛の対象だ、りっぱにお金を使っているという層が五一%にも達しているということは、やはり私のいま申し上げたような時代変化に適応しようとする絶えざるイギリス王室の努力というものがそれを支えていると思います。イギリス王室というのを何も私は絶対視して、皇室のありようが全然だめで、イギリス王室がすばらしい、そんなちゃちなことを申し上げるつもりは毛頭ありません。ただ、イギリス王室というものが、大きな働きに比べれば実に小さな権力をしか持っていない、首相任免権くらいをしか現実には行使をしていないけれども、それにしてはよく働いてくれている、こういう温かい評価をしております。もちろん働く王室と日本の皇室のありようを単純に短絡して比較をするつもりは、先ほども申し上げましたように全くありません。ありませんが、やはり日本の皇室、あるいは皇室を支えている宮内庁のありようは、国民にもっと溶け込み、もっと敬愛されるためにどうすればよいかという最も基本的な視点が、残念ながら私の価値観によれば、私の眼によれば、宇佐美さん長年の努力にもかかわらず、あるいはその努力のゆえに、私はそういう基本的な視点が決定的に欠け落ちているのではないかと思います。 以上のことを私は概論として長官にお聞き取りをいただいたわけでありますし、これからいろいろと具体的な質問で、こういう機会なかなかないと思いますし、私と私のスタッフが調べたところでは、少なくとも国会の場で、宇佐美宮内庁長官が全体像として、皇室のありよう、あるいは宮内庁行政の方向、理念、哲学、こういうものをお述べになったことはほとんどないやに理解しております。この理解が間違っていればきょうの私との応酬の中で正していただきたいと思います。 そこで、まず長官に伺いたいのですけれども、私の意見はもう意見としてで結構ですが、あなたはエリザベス女王の日本訪問というものをどんなふうにお受けとめになったのか、学ぶべき点が仮にあるとすればどんなポイントにしぼられているのか、その辺をまず伺っておきたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) ただいま大変広い範囲にわたって資料に基づいて御意見の御開陳があり、御質問がございました。私も三年半ばかり前に初めて両陛下のお供をいたしましてヨーロッパ諸国を回ってまいりました。最近は、特に昨年十一月には、共和国として世界でも一番力強い国でありますアメリカのフォード大統領が国賓としてお見えになり、この四月の初めには共産圏のルーマニアの大統領が御来日になりました。またすぐ、これこそ王室としては、国会、議会の発祥とも言われるようなイギリスの王室の女王がお見えになりました。われわれの仕事は、宮内庁としましては皇室に関する部分の分担でありまして、全体としては外務省、政府の方でいろいろ御検討になったわけでございますが、いろいろな点から考えてみまして、そういう国賓を扱うという点から申しますと、大体どこの国でも行いますことは同じでございます。飛行場等における歓迎の大きな行事、あるいは歓迎の晩さん会、あるいは外交団の接見、ほとんど大きな点は決まっております。しかしながら、それをあらわすところにやはりその国々の伝統とか、あるいは習慣とか、物の考え方というものがいろいろに出ているものだと思います。で、私どもはそういう点を通じて、いままで外国を余り知らなかったということをつくづく思うことがございました。ただその中で、今回の御指摘になりましたイギリスの女王の御来日が非常にりっぱに行われ、非常に喜んでお帰りになりましたことは、私どもといたしましても心から喜びお祝いをいたしたいと思います。国民のこれを迎える態度も非常にみごとであったと私は思います。イギリスの放送担当の人が本国向けに宇宙中継を送る際に、非常に興奮して日本をほめ上げていたという話を聞いたこともございます。ただ、やはり陛下がいらしたときは戦争の影響というものが出ておりました。そういうことで、若干の、事件と言うと大げさでございますけれども、事柄が起こっております。感情があらわれておりました。そういうことを、やはりあちらとしては心配をされたんじゃないかということを言う人もございます。しかし、日本ではそういうことについて何ら触れる人もなく、心からお迎えしたということで、イギリス側もお帰りになった後の報道も非常な喜びをあらわしていると思います。で、私どももその状況を見まして感ずるところがいろいろございます。ただやはり、さっきも仰せになりましたとおりに、その国々の伝統、国民の気質、いろんな点からあらわれてくるわけでございまして、たとえばイギリス人の粘り強い、あらゆるものに耐えていくし、また一たんこうと思うと非常に長くそれを守るというような気質、こういう点とわが国との関係で考えてみますと、われわれは第二次大戦という不幸な戦争を経験いたしました。それを契機に非常に国民の物の考え方ということも影響が出てまいりました。で、物資もない、あるいは精神的にも打撃を受けて、そういうさなかからやはり昔ながらの日本の皇室のあり方というものを、それに加えてそういうことがいろいろと論ぜられまして、国民の間にもいろんな思想を持つ人たちがあらわれてきております。われわれは、こういう問題はもちろん無視しているわけでございません。あくまでも陛下は新しい憲法に基づきまして、日本国の象徴、日本国民の結合の中心として、国民のためにその地位をはっきりさせられる。憲法の示すところのとおりに、憲法に決められました国事行為以外は国政に関与なさらない。そういう権能はないということになっております。そういう点を考えてみましても、たとえば女王が見えましたときの晩さん会の御演説を比べてみても、はっきり感じが出てくるわけであります。イギリスでは、仰せのとおりに国会において女王は政府の所見をお述べになるわけで、政治的な面についてもはっきりとお読みになるわけでございますが、わが国ではそういうことができません。そういう点で、ああいうときにも非常にそのお言葉に苦労するわけでございます。ですから、国のあらゆる問題をしょって日本の国のために努力なさるということに非常な限界が出てきているわけであります。そういうようなことがございますから、そういういわゆる歴史、過去の歴史なりいまの新しい憲法という問題を考えてまいりまして、努力なさいますにも非常な限界が出てくる。そういう論議は国会においてもたくさん出るわけでございます。ですから、率直に国民とともにというようなことは、議論の内容において相当変わってくるというところを私は今回あのお言葉を両方伺っておりましてつくづく感じたわけであります。 そういうようなことで、たとえばこの国の貿易の発展のためにはあらゆる勉強をなさって女王は見えております。経済団体との午さん会においても、いろいろな世間話が出るという予想もしていた方もあったそうでございますが、万事すべてそういう経済問題でイギリスのためにというような、一種のセールスレディーと、女王みずからそうだとおっしゃっておったそうでございます。そういうような立場は、陛下が一種の大きな政治問題のような経済問題に触れてなさるということもできない。他の皇族さんも、憲法には何もございませんが、しかし皇位継承権をお持ちになられる方々、やはり同じようなことであろうと思います。そういうようなことでございますから、ただ、昔から国民のために何でもやろうと、ことに気の毒な人の福祉のためには努めるというのが日本の皇室の伝統であったと思います。そういうことに力をお入れになっておるわけでございます。その他に文化とか学術、芸術方面にもなさっておりますけれども、とにかくそういうような点で、やはりその国々の国民的気質あるいは伝統というものによって動いてまいりますので、こちらが、ただほかの国がいいからそのままやれるというものでもないと私は思います。 おっしゃるとおり、私も少し長過ぎると自分で思っておりますけれども、なかなか、それからそれへといろいろなことが出まして、もう途中で仕事をほうり出すというわけにもまいらない性格のところもございます。まあこういう点、ここで申し上げることもできませんが、私といたしましても、小泉信三博士なんかが御生存のときもよく来られて、十年後の皇室をどうするかとか言って意見を聞きに来られまして、私は逆に先生の御意見を聞きたかったわけでありますが、そういうようなことは常に頭にございますが、理論的に、あるいはいま申しましたような全国民の生活あるいは思想に影響するような問題に触れて行うということは、なかなかむずかしい現状であると私は思います。ですから、それ以外のことでそういう御態度を示していただくというほかにないと私は考えておるわけでございます。 で、今回フォード大統領、それからイギリスの女王のとき、晩さん会の光景、あれはどの国の元首が見えましても、ああいうふうに約五分ぐらいの長いお言葉を述べていらっしゃいまして、それを写真に撮り、放送のできるようになっておりましたけれども、それは中継でございませんし——それからお言葉の声が入っております。今度あれをいたしまして、非常に反響が大きかったと思います。初めてよくわかったというようなことがございましたし、アメリカからもエンペラー・ヒロヒトという国民からの手紙が大分参りました。非常に喜んだ手紙と早くわが国においでくださいというような手紙が参るようになっております。 まあそういうことで、日本の国民の皆様からも、そういうようなことがございまして、おっしゃるとおりにできることはなるべくオープンにこれからはいたしたいという感想を強く持っているわけでございます。 まあいま感じましたことを、お答えになるかどうかわかりませんけれども、以上申し上げさせていただきました。
○秦豊君 私も、私の概論以外のところは簡潔に表現をして質問のポイントに凝集しますから、いまのように非常に御懇篤な御答弁、非常に歓迎さるべきでありますが、何分にも二時間というごく短いあわただしい時間帯ですから、以後は具体的にポイント、ポイントをお答えいただければなおすばらしいと思います。 私、もう一つ、イギリスの今度のエリザベス女王のパレードのことにちょっとこだわりたいんですけれども、たとえばイギリス側の方から、人がたくさんいらっしゃるときにはスピードを落としてくださいというお申し出が女王のそばからあったわけですね。女王御自身とも言われております。その場合のイギリスの感覚というのは、どこの国にでも異常な人間はいるものです、しかしそれはコンマ以下の危険でしかありません、微々たる確率を恐れて大多数の善良な市民への礼と交流を失してはならないというのがイギリス側の感覚だとされています。あのときに、十一万人のどよめきの中からたくさん聞かれましたのは、なぜ、これほど自然に盛り上がったあのパレードに、天皇、皇后両陛下は無理としても、皇太子御夫妻が同乗されないんだろうか、わずかに、非常に現代的なある青年、皇族の一員が一番後尾についてはいましたけれども、やはり宇佐美さんの感覚は、前例にないから。これは非常に簡単なんですね。安全ですし手がたいです。石橋をたたいても渡らない流儀ですからそれはいいと思うんです、安全だと思いますが、あのときなんかは、むしろ皇太子御夫妻が同乗をして、そうして手を振られるというぐらいの、これは演出とかいう問題ではなくて、ありようとしてなぜなかったのか、その辺非常に不思議に思ったのですが、頭からそういうことはプランニングにはなかったのですか。
○説明員(宇佐美毅君) 私どもも、これは外務省でいろいろイギリス側とお話しになったことだと思いますが、途中で伺っておりますと、なるべくオープンカーで歩きたい、したがって、それを通じて日本の国民に広く接したいというお気持ちであったと伺っております。したがって、自動車のスピードも、速いのは困るという結論になることは伺っております。ただ、これはわかりませんが、仄聞しますと、警備上の問題とかいろいろなことで、あそこの帝国ホテルから国立劇場までということになったそうでございます。ただ、私どもにその際、どなたか日本の皇族が同乗されてはどうかというようなのは、あれが済みました後、新聞等で拝見しただけで、われわれの耳に入ったのはそのときが初めてでございます。私どもはそれを聞きまして感じますことは、あれは、余りほかの人じゃなくて、お二方が光ってお歩きいただくべきものだとわれわれは考えております。よけいなと申したらおかしゅうございますが、たくさんついて歩いているというよりも、お二人だけが立ってこたえていられるということがより光るというふうに私は考えます。
○秦豊君 宇佐美長官とこれは基本的に考え方が違うと思いますけれども、私の考え方は、いまの日本の皇室というのは非常に過渡期の皇室だと思うんです。あえて言えば中途半端です。流動的でもあります。安定していない。つまり、アジア的な絶対君主制からいわばヨーロッパ的な開かれた王室というか、皇室というか、皇室へのつまり過渡期ではないか。かつては、天皇、皇室を取り巻いたのは、例の枢密院であるとか貴族院であるとか、重臣層、これはいわゆる皇室の藩屏としてこんな分厚いかきねをつくって、そうして、時としては天皇、皇室を最大限に利用しながらよからぬことにふけった、誤った路線に民族を引きずったという歴史がありますね。ところが、それは神権天皇時代です。いままさに人間天皇時代です。この踏まえようが宮内庁に基本的にぼくは足りないと思うんです。私はそう思うんです。だから、かつては皇室の藩屏がかきねであった。いまは宮内庁、あなたが統括してらっしゃる宮内庁そのものが国民と皇室を隔てるかきねになっているという認識が私には抜けないんです。いま私の質問に対して長官は、いやこれからはオープンにできるところはします、こうおっしゃった。じゃ具体的に皇室と国民を近づけるためにどんなことをいま考えていらっしゃるのか、この際いかがですか、ちょっと開陳をしていただきたいと思うんです。具体的なポイント。
○説明員(宇佐美毅君) 具体的問題と仰せになりましてもすぐはあれでございますけれども、今度お供いたしましても、両陛下が地方へおいでになりましていろんな施設をごらんになりましても、もう両陛下のお考えのとおりに動いていただきまして、われわれはこうしていただきたいという振りつけなどは一切いたしておりません。受けている方では、私は非常にみんな喜んでいるんではないかと感じて帰っておるわけでございます。 ただ、実際問題といたしまして、たとえばお正月二日の日に一般参賀の人は二重橋から入りまして宮殿の前を通過いたしますが、その際に、一日に九回から十回ぐらいお出ましになっているわけでございます。それはいまガラスの部屋をつくってその中にお立ちを願っている。これは私どもはやりたくてやっているんじゃございません。過去において、直接その場をねらったパチンコをやりますとか、発煙筒をたくとかいろんな事件が起こっております。そういうような情勢で、これも警察当局のいろんな問題、ことに最近の爆破問題、いろんな点から考えまして、そういうことをまだ取り切れずにおります。これは報道の場合にもガラスがあってうまく写らないという問題はもう十分承知しておりますし、ただ、われわれはそういうことが過去に幾つか例があり、これが裁判になったときも、あくまでもまたやるというようなことを言われますと、なかなかそう簡単にはいかない。われわれも、お出ましになったときに警視庁は一生懸命やってくれますけれども万全ということはないだろうと思っております。しかし、みんながそうやってくれればまずいくだろうと、ですから、そういう国民のためにすべてをなさろうというときに、あの長い道中がすべて万全であるとはなかなか言い切れない問題であります。それはイギリスでも同じことだろうと思います。しかし、そうじゃなくて、具体的のいろんな事例が起こってきますと、われわれも用心しなければならない。それから、人にお会いになりましても、中には自分の宣伝演説を始める人があったりいろいろございまして、ただ接すると申しましても、そういう国民のお迎えの仕方、こういうことと皇室のいろいろ御工夫というものが合っていきませんと、なかなか一方的だけではいかないことも出てまいります。 そういうわけでございまして、私どもはそういう点で、なるべくかきねが取れて、本当に率直にお話し合いができる、これは両陛下の常におっしゃっていることで、望んでいらっしゃるところでございますから、われわれはこれも実現していきたいと思いますが、いままでのような、最近の情勢、まあ警備当局の見解等を聞きますと、必ずしも安心ばかりはできない点がございます。特に本年あたり、いわゆる過激グループというのが、天皇あるいは皇太子を第一の目標にしていると全部が同じ声をことし初めて上げております。そういうことも、われわれはイギリスでは余りないことじゃないかと思っております。そういう点で、そういうものがある程度動いている事実から見ますと、そう簡単なことは言えないというのがわが国の遺憾ながら情勢じゃないかと思います。
○秦豊君 これはいま非常にホットな世論調査があるわけじゃありません。しかし、少なくとも、いまの宮内庁を非常に他の行政諸官庁と比べて開放的だ、明るい、すばらしいと言う人はほとんどいないと思います、失礼かもしれませんが。それはやはり宮内庁というところが、用語から機構から、もう慣習慣習、書類は毛筆書き、荘重な雰囲気、これはやむを得ない面もあります。ところが、そういう面が多過ぎます。少なくとも、いままだ短い時間しかあなたと向かい合っていませんけれども、やはりあなたも警察畑でいらっしゃる、歴代総務課長はすぐれてそうである。警察の方がもう宮内庁と非常に近い、人脈上ですね。警備感覚はシャープだけれども国民とのリレーションというか、あるいは正当な意味のPRというか、あるいは受け入れというか、そういう感覚は失礼だが大変お古いと思います。 で、具体的に伺いたいと思うんですけれども、いまマスコミと皇室ということをわれわれ考えたいと思うんです。日本の場合、開かれた皇室にするためにはやはりいい意味でマスメディアと接触をすることがいま必要じゃないかと思うんです。それについて具体的に伺いたいんですけれども、いま天皇はもちろん会見がありません。元首は会見せずということをたしか宇佐美長官、何かの機会に非公式に漏らされたはずです。それにかわるべきものとは——かわれないと思いますが、毎月三回、一の日に宮内庁記者会と長官とのまあ一種の、カンファレンスではないが雑談といいますか、小さな非公式なミーティングがあるはずですね。これはまあ雑談ですからその範囲でしかないと思う。ところが、たとえば那須の御用邸での記者会見と称せられる記者会見類似のものは、御会釈だと言っていますね、御会釈。会見じゃないんだと。まあ夏、那須の御用邸に行かれる、そのときに記者団が行く。たまたま、偶然、路傍であるいは庭の一隅ですれ違った、すれ違った人に会釈をするのは当然だというふうな舞台装置をして、何か御会釈ということになっているそうですね。そして、宮内庁の記者クラブからは事前に会見の粗筋を提出してもらって、総務課長でしょう、恐らく。それから侍従長、それから次長、宇佐美長官という階段を登り詰めてあなたが決裁をするということになっているのではないかと思います。ただ問題は、ああいうときこそ、写真も宮内庁お貸し下げ、五メーター以上離れたまえではなくて、もっと親しみのある天皇というものをやはりマスメディアに乗っけるためにあなたの一工夫があっていいと思うんです。御会釈じゃなくて会見でなぜいけないのか。だから、会釈なんだから、会見じゃないんだから、立って行っていますね、いま、立って。もちろん足腰を鍛えるにはいいけれども、立って行っている。メモも許されない。近ごろやっとテープの使用が許されたと仄聞しておりますが、写真は嘱託と称するカメラマンの方が撮ったものを、かつての御真影的発想だとぼくは思うんですが、それを下し与える。いまどきこれは、ぼくは非常にアナクロニズムじゃないかと思うんです、失礼だけれども。やはり私はもっとオープンに、もっとさりげなくなさる必要があると思う。たとえば、このことを宮内庁長官、この点よく聞いていただきたいんですけれども、昭和四十六年に天皇が中国地方を巡幸された。その際に、松江の宿舎で偶然、本当に突然陛下と一言二言お話し合いになる機会があったそうですよ。そのときに天皇自身が、もっときさくに振る舞いたいという意味のことを述べられたやに仄聞をしております。天皇自身には、相撲だって大好きな天皇なんだから、一回だけはるかかなたからこんなにして見るのじゃなくて、砂っかぶりでということだって、相撲ファンは喜びますよ、天皇はもっとお喜びになります。一事が万事で、とにかく宮内庁のマスコミ感覚というのは、いま言った御会釈、お貸し下げ写真が象徴しています。かと思うと、一部の女性週刊誌となると比較的自由に出入りをしたり、それもどういうポイントにしぼるかというと話題性ですね、美智子さんの洋服がどうの、華子さんがどうの、いわゆる話題性を対象にします。正当に皇室のあり方を考えさせられるような、あるいはあるべき皇室の姿を模索し新しい皇室像を追求するという路線と見解に沿ってあなたがマスメディアに接するのじゃなくて、女性週刊誌ならば人畜無害、政治的にもう全然危なくない、だから女性週刊誌にはどんどんファッション的なところだけを開放する。これは、私大変ゆがんでいるのではないかと思うのです。今度のエリザベス女王は、たしかプレスレセプションというタイトルで取材のジャーナリストと一々握手をして話をしましたね。ああいうことなどは全く考えられないのか。那須の御用邸式の御会釈をいつまでもお続けになるおつもりなのか、あるいは女性週刊誌には開いたが一般マスメディアはもうシャットアウトというふうな路線をお続けになるのか、この辺はどうですか。
○説明員(宇佐美毅君) 新聞、雑誌との関係でございますが、私が一日(ついたち)に毎回会っておりますのも事実でありますし、次長は毎火曜日に会っておるわけであります。雑談と仰せになりましたが、そうしょっちゅう政治的なことがあるわけでもなし、細かい日常のことばかりでありますから、雑談めいてくることもありますし、あるいは、ただ私どもはそういうときに、今度はこういうことをやる、これはこういう趣旨だということをよく説明する場合もございます。ただしかし、こういう例を申し上げると、しょっちゅうあるわけでもありませんけれども、よく説明したのが翌日変に曲げて出ているので、本人をつかまえて聞きましたら、ああ書かなきゃおもしろくないと言ったのがおるのです。そういうことで、相当努力してもそういう反応しか返ってこないこともございます。 それから、皇族の方々というのは、ヨーロッパでも普通記者会見ということはないというふうに聞いております。ただ、外国へ出られますと、さっき申しましたような、いわゆるレセプション形式ということを一遍はなされているというところがだんだんふえつつあるようであります。陛下の場合でも、松江の例をお引きになりましたが、途中で一度記者クラブの者がお目にかかりたいということで、いすも出ましたし、お茶も出た方がいいという希望がありまして、お茶も出しましたが、見ておりましたら、緊張してお茶を飲む人、一人もおりません。大変陛下は一生懸命話していらっしゃいました。そういうわけで、新聞側の見解もございましょうが、私どもの見解も聞いていただきたい点もございます。ですから、立ち話にしろ非常にみんな緊張されてしまいまして、これも有名な笑い話としてクラブの歴史に残りますけれども、愛知県のホテルでお会いになったときも、代表がまずごあいさつ申し上げるときに、いきなりお天皇陛下様と、こういう呼びかけをしております。そういうような状態で非常に緊張されてしまう点もございます。陛下は、近ごろは相当進んでお話しになりまして、後で記者諸君がああいうふうにおっしゃってくださると非常にありがたいというようなことを言ったこともございます。 それから、大分古い話でございますが、那須ではお庭の大きなあずま屋のようなところでお茶やたばこも出まして、三十分という約束でございましたが、ちょうど皇太子様がヨーロッパをお歩きになってお帰りになった後で、随行した記者諸君にその模様を話してもらいました。それからいろいろ両陛下に御質問をしたんでございますが、はるかに三十分も過ぎておりましたが、私はずっとほうって黙って見ていたんでございますが、五十分ぐらいたって大体終わったようで、それで解散をしたわけですが、私は済みましてから一言、これだけ時間があったのにどうして皇后陛下に伺わなかったと言ったら、みんなしまったといったようなこともあるぐらいでございます。ですから、そんなにかた苦しく考えているわけでございませんが、一般の政治家と違いますし、現在問題になっている社会問題であるとか政治問題を伺うのは困るという意味で、どういうことを伺うのかと。まあ陛下もただ題目だけをもらうだけで、どういう言葉遣いで、どれを詳しくというのは一切ございません。それだけはごらんに入れておくわけでありますが、しばしば突如として政治問題を聞いたり社会問題に触れる人もあらわれるわけで、これは非常に困る、約束の違うことも起こります。しかしながら、それでその後やめたわけじゃございません。なるべくわれわれとの約束は守ってくれるように頼んでおるわけでございます。そういうことで、これはヨーロッパへおいでになるときも国内の記者諸君にもお会いになりましたし、外国から来た記者にもずいぶん直接お会いになっておるわけであります。お帰りになりましても、東京におります各国の支局長を集めて宮殿でお話をお聞きになったりしておるわけでありまして、決してむやみに仰えているところはないつもりでおります。政治家と違いますから話題も限られますので、なかなかやりにくい点はあると思います。ですから日常の細かい、お酒はどうなさいますかとか、そういう話ばかりになってくるのは通常じゃないかと思います。あるいはお好きな御研究の話を伺うというのが常で、その他にわたることは比較的ないわけでございます。もう少しイギリスの女王のような楽な話題がとれるならもう少しおもしろくなるのじゃないかと思いますけれども、そこがむずかしいところがあろうと思います。
○秦豊君 やっぱり、伺っておりますと、私は何も責めたり追及したりという、そういう調子ではないはずなんで、安心してお答えになっていただいていいと思うんですがね。私が言いますのは、宇佐美さんのいまの取り仕切りというか感覚は、人間天皇をもっと素直に浸透してもらうための最低の努力さえ欠け落ちているというような視点を持っているわけですよ。お話ししていても、やっぱりそれが取れませんね。一部のマスコミがちょっとあおって書いたとか、筆を滑らしたとか、それから、お天皇陛下とかいうことを例に引かれましたけれども、そういうことはむしろほほ笑ましいケースであって、筆をゆがめるのは別ですけれども、そういうマスコミはありませんよ、いま。むしろ女性週刊誌なんかに門戸を開かれる方が、何かとこれからトラブルの種が起こったりしかねないと私は思っているのであって、そういう意味では、たとえばことしの夏ぐらいから那須では御会釈じゃなくてミーティングしましょうと、涼しい木陰に小さなトウのいすか何か出して、冷たい物を飲みながら人間天皇がもっとマスメディアに自然に伝播されるような、そういう工夫をしてみませんか、この夏あたりから。あなたのお考えを伺っていると、いやヨーロッパはヨーロッパ、エリザベスさんはエリザベスさん、日本は日本でいいんです、なるほど堅固な自主性と言えるかもしれませんが、ほとんど、外部から吸収しようというふうな努力と感覚が私には察知できないんです、大変残念なことですが、何か、あなたのお話聞いていると、今後とも御会釈とお貸し下げ写真と、それは未来永却——宇佐美さんが、失礼だがいつ御退任されて、あるいは天皇訪米後に辞任されるかどうか知りませんけれども、宇佐美さんがどなたにおなりでも、それは牢固として引き継がれる。一言で言えばカビ臭い零囲気であり、時代主義であり、何にも国民との距離は埋まらない。努力はしています、無理はしていません、こうおっしゃるかもしれぬが、客観的に見れば歴史は動いている、時代は変化している、変わらないのは宮内庁だけだ、ひいては皇室だけだ、これでは国民の共感をつなぎとめることはできないと思います。そういう意味で、何かこの方向でこう改善するんだというのが全くうかがえないんだけれども、それでよろしいんですか。
○説明員(宇佐美毅君) 先ほども、またただいまの御質問中に週刊誌だけに門戸を開いているとおっしゃいますが、その事実は全くございません。これはもうすべて報道に対しましては、いわゆる日刊的な新聞、それから放送、こういうものに本当に公平に出しておりまして、ときに大きなことがありますと週刊誌も参加を求めてまいりますか、そのときは代表の人か——全部というわけにはまいりませんから、その場所によって人数を制限する場合もございますけれども、特別に週刊誌だけに出すなんていうことは全くございません。いろんな、外へ出られましたときにずいぶん、外国までついて写真を撮っているようであります。しかも、そういったまじめな御勉強のところは余り使いませんで、いわゆる世間でいうマイホーム的なところばかり使うという傾向があって、それを見るたくさんの読者から見ますと、そういう印象を持ち出すというのはわれわれとしては非常に困った問題の一つだと思っております。もっとわれわれも、仰せのとおりに私どももすべて間違いない、正しい、もう少しできないかということを何も考えてないわけではございません。要するに、また、その皇族様の中にもそれぞれの特色をお持ちになっておりますから、そういう方に非常に合うようなやり方も考えなきゃなりません。それから、一つの抵抗と申しますが、マスコミの申し出ましたことがすべて正しいとも私は思わないことが大分ございます。われわれは遠慮なく意見を申したいと。それで、ただおっしゃるような点は、われわれとしても反省していく点があろうと思います。今後それはもう一々細かいことについて気を配ってまいりたい、かように考えます。
○秦豊君 非常に慎重に言葉を探していらっしゃいますけれどもね。いわゆる警備感覚より正当な市民感覚というか、これがこれからの皇室に必要だと思うんですよ、宮内庁という官庁は非常に特殊な零囲気になっていますよね。宮内庁のことを、非常に精通しているジャーナリストなんか、あるいは学者の話なんか聞いてみますと、宮内庁に働いている職員の方は、いわゆる公のサーバント、公僕ではなくて、すめらぎ、皇室のしもべだと、皇僕、発音は同じでもありようが違うとまで言う人がいて、それはもう宇佐美長官なんか猛然と反論をされるかもしれませんが、ありようはそのように見られているわけです。私もややそれに近い考えを持っています。 そうすると、やっぱりあれですか、私の申し上げたのは週刊誌への比率と、一般のいわゆるテレビ、電波メディアを含めた日刊ジャーナリズム、それとの比率の問題を申し上げたんで、何も週刊誌だけというふうなニュアンスで申し上げたつもりはありません。そうすると、やっぱりいまのような方向を踏襲されて、具体的には改めるポイントというか、ないわけですね。そういうことなんですか。
○説明員(宇佐美毅君) まあ改めるポイントというのは、具体的なことにならないと困るわけでありますが、われわれは、新宮殿をつくる場合におきましても、昔には想像できなかったような、一番大事な儀式の部屋に、写真も入り、記者も拝見できるような設備をしているわけであります。で、国民のためになさる公的な問題は、そういうことを通じて出していただきたい、宮殿をつくるときからそういう設備ができて、それをある程度利用しているわけであります。そういうわけで、今度のイギリス女王の見えましたときにも、宇宙中継で生中継、もうあれは映す方の仕掛けというのも大変な仕掛けで、NHKもずいぶん苦労されたと思うのであります。まあ部屋からいうと、余りそういった機械類などぎらぎら入っているというのはどうかと思いますけれども、これはもう、全世界に知らせ、あるいは全国民に見ていただくということで、われわれはそれをやるように協力をしてまいったわけであります。ですから、そういう点も今後われわれとしても考えるところがあろうと思います。そういうことはもっと十分に検討しながら進んでいきたいと思います。
○秦豊君 まあ余り具体的な点をお詰めになってないようですが、とにかく私たちは、たとえばデンマーク的な皇室に一挙になれなんて全然期待しません、そんな無理なことは。あそこの王は、御存じのように自転車がお好きでね、それでもう町に買い物にも行かれる。すれ違った市民が、ああキングだ、ハローというような感じの王室、また王であるようですね。そこまではとても日本の皇室は未来永劫だめだと思っています、私自身。しかし、少なくとも、いまの宇佐美さんの体質や感覚からすると、もっと開かれた皇室にしてもらいたいという多くの声は、しょせんははね返されるんじゃないかというふうな懸念がどうしてもぬぐえない。たとえば、正月なんかお貸し下げ写真じゃなくて、代表取材をしてもらって、テレビのキーステーションに、たとえば団らんの様子を取材してもらって放映をするというふうなささやかな試みであるとか、ことしの夏からは、御会釈ではなくてあたりまえな会見を那須なら那須でやってみるとか、年に一回は、天皇、皇后両陛下、たとえばそれぞれのお一人、お一人の誕生日などにはもって隔てのない会見をするとか、せめてそれぐらいのことはできませんか。
○説明員(宇佐美毅君) まあ、すでに皇太子さまはお誕生日ごとになさっております。妃殿下もなさっておるはずでございます。ただ、両陛下の場合にはそういうことは一々いたしておりません。ただ、写真を出し、あるいは最近の御動静を新聞社の方に話をいたすというような程度でございます。これは毎年のことでございまして、お正月のお写真とおっしゃいますが、皆さんお忙しいので、あの一枚撮るんでも、その日取りに大変苦労しているわけでございまして、そういうふうな楽な報道の態勢ができるかどうか、今後十分に研究しなきゃならないとは思いますけれども、いまのところはそういうことで進んできたわけであります。今後はよく検討をしてまいりたいと思います。
○秦豊君 私自身の考え方の基本には、皇室というものがこれ以上大きな権限の対象になったり、利用される存在になってはいけないと、あくまで象徴天皇の路線は儼乎として守るべきであるという大きな前提に立っている。だから、やたらに皇室の記事がはんらんされることを奨励するとか、期待する、そういう見解は毛頭持っていません。控え目であればあるほどいいと思っている一人なんだけれども、それにしても余りにも閉鎖的過ぎるという立場から質問をしているんですが、これ以上マスコミと皇室の関係やっても仕方がありませんから、少し具体的に前に進めたいと思います。 宇佐美長官は、第六十八国会、同じこの参議院の当委員会におきまして、うちの山崎議員に対して、宮内庁の運営について質問を受け、そうして答弁をしている中で、宮内庁の運営についてはもっと明確な基準をつくって大綱を考えたいという意味のことを答弁されておりますね。六十八国会から現在七十五国会、かなりな時間が経過しているわけですが、宮内庁長官として、宮内庁の運営大綱というものをその後どうまとめられたのか、まとまっていないならば、どこまで、どういう点について作業が煮詰まっているのか、それはどういうものか、この際お示し願いたいと思うんです。
○説明員(宇佐美毅君) 私が宮内庁に入りましたとき、前長官からも話がございました。それは新しい憲法によって昔の諸規定が全部無効となったわけであります。そういうわけでございますから、適当のときに、そういった全体を運営する上での諸規定をやらなきゃいけないんじゃないというお話がございました。ただ私はその当時から考えておるわけでありますが、明治の末期ごろできました皇室関係の諸規定というのは、実にたくさんできておりまして、それが一挙になくなったわけでありますけれども、同時に、戦後の日本の国情というものは刻々に変わりつつあったわけであります。一つのそういった宮内庁の、皇室のような決まった諸行事が行われる場合におきまして、その規定をつくるということは、そういう激しい時代につくるとかえって困ることも出てまいります。で、私どもはそういう意味で、いろいろその間、皇太子殿下の御成年式とか、あるいは立太子礼とか、いろいろございましたし、皇太后さまの御葬儀もございましたし、いろいろな点があったのでございますが、その際に、昔の例も引きながら、新しい日本の時代にはどうあるべきかということを検討いたしまして、具体的にいろいろ取捨選択をして方針を決め、閣議にも基本的なことをかけてそれで進めてまいったわけであります。ある程度、やはり一種の不文法的なことでいろいろな激しい変遷の経験を経た上でないと、いきなり取りかかってしまうと動きがとれないことも起こるということでございます。しかし、だんだん世間も落ちついてまいりますと、そればかりではもちろんいけない点がございます。皇室典範にございます即位の礼とか、大喪の礼ということも、特に大喪の礼のごときはまだあれでございますが、いつ起こるかわからないような問題もございます。そういう問題は、この御答弁のときからその担当者に命じましていろんな資料を集めまして、一定の、何と申しますか、筋道を検討してまいっておるわけであります。ただ、結局、御即位の礼と申しますと、そういう礼はどこで行われるか、あるいは昔のように京都であるのか、東京であるのか、その礼の中にもいろんな行事がございます。そういうものの取捨でございますとか、いろいろなむずかしい基本的な点がございます。そういう点はどうしても宮内庁だけでなくて政府として検討願わなければいけない。そういう点を目下まとめつつございます。そういう基本的なことができましたらば、それに基づいて諸規則、これもいろんな資料を集めておりますので、そういうことに遺憾のないようにしてまいりたい。そういうつもりで、怠けているわけではございませんので、そういう大きな皇室典範にありますような問題は、どうしてもはっきりしておきたいというふうに考えております。これは政府の方におかれましても、いろいろ基本的な問題があって御検討になっております。元号の問題とか、いろいろあるそうでございますので、これらとあわせまして、私どもも万一のことがありましても遺漏のないように、特にその担当者を決めまして進めているわけでございます。 そのほか、必要な問題、たとえば皇室経済法はすでにできておりますけれども、いろいろな経験から直すべきじゃないかというところもあろうかと思います。そういう点も常に経済担当の方で検討いたしておりますし、あるいはそれに伴う内部で取り扱う規則なんかは、ときどき改正をいたしましたり、いろんな体制づくりは次第に進めておるわけであります。それから、たとえば日本の例、外国でもございますが、不幸がありますと服喪するという問題がございます。これが昔のままでいいのかどうかというような点もございます。昔は非常に長い間服喪する、そのために公の仕事も控えなきゃならぬこともずいぶん厳しくございました。そういう点を諸外国の例も調べたりして大体の成案がようやくできつつあるところでございます。 そういうような宮内庁全体の運営について一、二の例を申し上げましたけれども、それは日常の仕事のほかに進めておるところでございます。
○秦豊君 じゃ、理解としては、この秋ぐらいまでには一応の素案をまとめ上げたいというふうなタイミングですか。
○説明員(宇佐美毅君) 草案はあるいはできるかと思いますけれども、最終的に表に出してくる——ちょうど秋は陛下のアメリカ御訪問もございまして、いま準備も非常に迫ってきております。はっきり秋までということはお約束できませんが、なるべく早くまとめていきたいと考えております。
○秦豊君 これは植木長官の御所管でしょうか、ちょっと宮内庁長官にお休みいただきまして、一つだけ全然別なことを伺いたい。皇室のあり方には関連しますけれども。 先般の稻葉問題の思わざる余波としまして、あるいは教訓というか収穫というか、三木内閣の責任において七六年からは憲法記念日の行事を何らかの形で誠意を持って当たるという明言が記録に残っておりますね。そうしますと、国民統合の象徴としての地位を憲法第一条によって裏づけられている天皇と憲法記念日とのことが当然浮かび上がってくるわけです。いろんな行事でまことに多忙過ぎるぐらい多忙な天皇であるとは思うが、やはり、天皇誕生日とか、新年にお立ち台に立たれる天皇よりは、まさに憲法記念日のその日にお立ち台に立つとか、あるいは式典に列席をされる天皇の方が、ありようとしてはぼくは最も根源的な天皇のありようにかかわると思うんですよ。このことは、そうすると明年から憲法記念日には国民統合の象徴たる天皇は記念式典には参加する、あるいは式典が終わったらお立ち台ならお立ち台に立つというようなことを、総務長官としては要請というか、勧奨をされる心境にはなっているんですか、方針になっているんですか、その点どうですか。
○国務大臣(植木光教君) 御承知のように、昭和二十三年から二十七年まで行われました憲法記念日の記念式典には、天皇が御臨席になりまして、特別にお言葉はございませんでしたけれども御臨席になったのでございます。明年、憲法記念式典行事をどうするかということにつきましては、ただいま検討を始めつつあるところでございます。この行事を内閣としてのみ行うのがいいか、それとも立法府や司法府とともに行うのがいいかというような点などについても検討をしているのでございまして、いずれにしても、具体的な方式については、いまその検討に入ったところでございますので、いまの御質問の陛下御臨席の問題につきましては、ただいまのところお答えをする段階ではございませんので、ひとつ御了承を願いたい次第でございます。
○秦豊君 そういう段階であることは理解できますが、やはりこれは植木総務長官が責任を持って、つまり、憲法第一条に忠実なあり方を、まさに憲法第一条を生き生きとさせるようなあり方を、ということは、天皇が統合の象徴なんですから、当然天皇御出席というところまでいかないと式典は完了しないと思いますから、その方向でやはり練り上げていただきたい。これは要望です。 質問を続けたいと思うんですけれども、宮内庁の運営、あり方に関係し、天皇のあり方に関係しますが、ポイントは公的行為のありようですね。いま公的行為の中に、たしか拝謁とか謁見とか会食その他いろいろあるわけですけれども、公務員のほかに、民間人とか民間団体が含まれることもありますか。
○説明員(宇佐美毅君) 陛下のお立場でございますと、あらゆる国民にお会い願うという考え方が基本であるのはもちろんだと私どもは思います。しかし、これも限度がございまして、そうどなたが見えてもいつでもお目にかかるというわけにもちろんまいりません。現在のところ、拝謁、謁見と申しておりますところは、各省におきまして表彰をされた人たちにお会いになるのが一番多いと思います。もちろん、民間団体でそういう仕事をして、たとえば新聞社が優良健康児の表彰を毎年やっておりますが、そういう人にはずっとお会いになっておりますし、そういう若干のことはありますけれども、大体、そういった表彰を受けられた人たちが皇居に来て親しく陛下に、あるいは両陛下にお目にかかるということが多いわけであります。そのほか公式の拝謁というのはもちろんございまして、あるいは総理大臣とか、閣僚でございますとか、そういう方が個人的にお会いに出てこられることももちろんございます。あるいは地方におります各役所の出先の人たちの会議がございまして、裁判所とか警察とか、あるいは検事局とか、そういう人たちの拝謁ということもございます。そのほか皇居の勤労奉仕に来る人が毎日のように参りますが、この人たちにもお会いになる、そして労苦に対してお礼をおっしゃるとかいうようなこともしょっちゅう行われております。
○秦豊君 公的行為というものには、当然天皇個人の御意思が働き得るわけですね、そういうことでしょう。
○説明員(宇佐美毅君) 仰せのとおりであります。もちろん陛下の御健康なり御都合なりを伺わなきゃなりませんことであります。しかし、事柄によりましては、公的行為というのは最終的には宮内庁あるいは政府、内閣の責任ということになってまいりますが、そういうわけで、やはりその場合でも陛下の御意思というものが全然入らないということはまずあり得ないと思っております。
○秦豊君 おたくの方から、宮内庁の方から資料をいただきまして、見てみると、もう大変要らざることもずいぶん挿入されているんですね。それで、肝心なこと、たとえば憲法記念日などに天皇がどう振る舞われるかというふうなことに集中すべきだという前提があるものだからさっきあのような要望をしたんですが、たとえば、昭和四十年度から自衛隊幹部が、これは拝謁という言葉が妥当すると思うが、拝謁をしていますね。これを始めた感覚と理由なんというのは、ぜひともこの際洗い直しておきたいんだが、やはりこんなことは要らざることなんですよ。代々木原頭の白馬白雪号にまたがって観兵式というふうな、そういう大仰なものではないけれども、やはり四十年度から自衛隊幹部がことさらに拝謁の対象になったというふうなことを、宮内庁長官はどういう判断と理由で始めたんですか。
○説明員(宇佐美毅君) 先ほど申し上げましたとおりに、各官庁においてそういう会議があります際に拝謁を願い出る。自衛隊といえども一つの官庁として防衛庁から願い出が出ましたので、その会議に列した数十名の人に拝謁を許した。私どもはどこも差別をいたしておりません。それだけの話でございます。
○秦豊君 だから、並みの諸官庁の一つから申し出があったんだから一般的な判断基準の中でさばくと言うんだけれども、少なくとも、学者からある学問領域について進講を聞く、あるいは講書始とか歌会始、これはむしろみやびな伝統として素直に受け入れられると思うんだけれども、やはり今後あってほしくない一つは、並みの諸官庁の一つだからあたりまえに扱ったとは言うんだけれども、やはりこういうことを放置しておくと、たとえば自衛隊の制服組の代表が、謹んで聖旨に沿い奉らんことを期すなんていう、これまさにオーバーな、はみ出した発言と結びつきかねないわけであって、今後はやはりこういう問題については、一般的ではなくてきわめて特殊、個別的にわきまえて、こういう機会というのは余りふやさないようにしていただきたいというのが私の考えだからあえて伺ったんです。
○委員長(加藤武徳君) 答弁求めますか。
○秦豊君 はい、重ねて。
○説明員(宇佐美毅君) 重ねてのお話でございますが、われわれとしてはどの官庁も差別いたしたくない、天皇陛下のお立場からは差別はできないだろうと思います。そういうことから、特にそれで弊害があるとは思いません。その奉答の言葉云々というのは過去においても国会で仰せになりましたが、その言葉の使い方の適当でないことがあるならば将来直してもらわなけりゃならないと思いますけれども、拝謁そのものは、私は自衛隊を差別する根拠はないというふうに思います。
○秦豊君 さっき申し上げました宮内庁職員は、失礼かもしれないが、公のしもべではなくてすめらぎのしもべであるという言葉があるというふうなことを私引用したのだけれども、それに関連しまして、これはぜひとも長官から伺っておきたいんだが、天皇の名代として、これは回数はそう多くはありませんが、宗教法人たる伊勢神宮に侍従が派遣されることがありますね。昔のニュース用語では差遣という言葉があり得たと思いますが、これは憲法の条項を、たとえば二十条という基準を見るまでもなく、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」という条項がありますね、二十条には。そうすると、明白に伊勢神宮は宗教法人、そこに参拝をするということは宗教的行為、宮内庁の職員はまさに国家公務員、そうでしょう。そういう侍従が伊勢神宮に名代として遣わされるということは、憲法二十条のこの条項を明らかに無視していることになりはしませんか。また、そのようないわゆる公私混同というのは、まさに私の引用した公のしもべとすめらぎのしもべ——公僕、皇僕という論の裏づけをなす一因じゃありませんか、これについてはどうお考えになりますか。
○説明員(宇佐美毅君) 宮内庁の公務員は、要するに皇室の国家事務を扱うという宮内庁法の規定でございます。したがって、そういった問題についてそういう御発言が起こるのであろうと思いますけれども、天皇陛下の私的行為をそれではだれがお世話するかということは、宮内庁法制定のときからそういう話が出まして、これはやはり宮内庁の職員が私的な行為もお手伝いするというふうになってまいっておるわけでございます。ことに侍従というのは、側近の御用をするということは相当ある意味では私的な御用も入っているわけでございまして、そういう点から陛下の御命令で伊勢に行っていわゆる祭粢をおさめるというようなことがあってもこれはやむを得ないことであろうと私どもは思います。それがお祭りでございますと公務員でない掌典がいたしておりますけれども、そういう一つのお供えの品を持っていくということにつきましては、従来からも、それはしょっちゅうあるわけでございませんが、事あるごとに侍従がお使いとして行くわけです。これはまあ私的なことには違いございませんけれども、全部私的なことを外しましたらちょっといまの陛下の御日常は成り立たないようなことになりはしないかと考えております。
○秦豊君 だから、宇佐美さんの感覚の中では何事の不思議なしというふうなことなんですが、これは小さいようで意外に大事なんですよ。確かに御日常が不自由でないように配慮することは、これはもう国民の一人として当然だと思います。皇室経済法の論議も、あなた方の提案の趣旨はそこにあると思う、ぼくたちは反対だけれども。だから、やっぱりこの点は明確にしないと、侍従が個人的な用を足す、この範囲をとめどなくしますと、これは大変あいまいなことになるのです。 侍従が伊勢神宮に行くときの資格というのは、公務出張ですか、個人的出張ですか、どういうことなんですか。
○説明員(宇佐美毅君) これは陛下のお使いで、内廷の方からの出張ということで参ります。
○秦豊君 そうすると、個人的な旅になりませんよ。公務員が宗教法人の伊勢神宮にという問題にかかわりますよ、それは。それは解釈が逸脱していますよ。そうお思いになりませんか。
○説明員(宇佐美毅君) 私どもは、陛下が伊勢神宮に御参拝のときもお供をしていくわけであります。しかし、現実にお宮の中奥深くは——私どもは外でお待ちしておりますけれども、しかし、お手伝いしなければならない侍従長や若干の侍従というのは、常に奥に入らないと御用が達しないということで、私は、これは私的な行為を宮内庁のそういったおそばの人たちがいたすこと、これは認めていただかないと、それでは一体だれがやり得るかということになってくるわけでございます。これは宮内庁法をつくるときからの解釈として、私はいままで認められておることだと考えております。
○秦豊君 ポイントを取り違えていらっしゃいます。私が聞いたのは、憲法二十条と国家公務員、つまり宗教的行為、活動を禁じている二十条と公務員のありようをお伺いしたんです。宮内庁法との関連とか、天皇の御用をだれが果たすんだというポイントではありません。そういう点を改めて伺っておきたいんです。
○説明員(宇佐美毅君) 重ねてのお尋ねでございますけれども、神宮に陛下のお供え物を届けてまいりますということが主目的でございますが、こういう場合に、これが宗教活動と言わなければならないかということも、私どもは少し考えさしていただきたいというふうに思います。
○秦豊君 これは後ほど、千鳥ケ淵とか伊勢の問題をどうせ触れるときにまとめたいと思いますが、一言だけ補足をしておきますけれども、大体宗教学者の間の定説は、神社神道においては、参観という言葉に置きかえようとどうしようと、見学という行為を含めて、出発から帰着までの全行程が宗教教化活動の対象たり得ると、したがって、厳密な意味では観光とか参観はあり得ないというのが定説なんですよ。ですから、明らかに宮内庁の侍従がやっていることは憲法二十条を堂々と無視しているということになるんですよ。あなた方の感覚は、そんなことはあたりまえだというんで長年もうずっと行ってきた。これからも未来永劫行うんじゃないか。こういうことにシビアでないとだめなんですよ。そういう意味で申し上げているんです。この点については特に留意をされたいと思います。 そこで、天皇の訪米問題を伺っておきたいんですけれども、質問の具体的なポイントをしぼる前に、こういうことがあるんですね。たしかフォード大統領が来日されたときにあるテレビ局の中継があったんですが、中継担当のアナウンサーが、フォード大統領と天皇が握手をされる場面のどきに、つい思わずだろうと思いますが、善意の錯覚だと思いますが、ここに日米両国二人の元首が初めて握手を交わされたのでありますと、そういう言葉は、明らかにこれは法的な間違いですね。つまり、天皇を元首と置きかえたという、ふっとそういう錯覚にとらわれる、その錯覚の一つをアナウンサーがつい漏らしたというケースだと思うんですが、天皇訪米に関連しまして、きょうは法制局お見えになっていらっしゃいますね。 ですから、法制局にこれは伺いたいんですが、従来天皇のそういう地位についての政府見解を拾ってみると、たとえば四十五年三月十二日には、政府委員の真田氏が、現行憲法において、部分的ではあるが外交関係においてのお仕事を天皇はなすっているので、そうした点をとらえてはなお天皇は元首と言ってもよい、要は定義の問題であるという、きわめて問題になる解釈を述べているんです。それから、高辻さんが在任中の四十六年の三月十日の国会論議では、天皇外遊についての外国の受け入れ方については、天皇が象徴であることからして、まさにその象徴たる地位にあられる天皇としてそういう扱いをお受けになると思うと、これは真田政府委員とは少しポイントの違った答弁をしているんです。今度の天皇訪米に当たっては、天皇は元首というふうな間違った扱いをされるわけではないんでしょうね、その辺の解釈を改めて伺っておきたいんです。
○政府委員(角田礼次郎君) まず、天皇が元首かどうかという問題からお答えしたいと思いますが、先ほど御引用になりました真田政府委員の答弁にもございましたように、天皇が元首であるかどうかということは、結局元首の定義いかんに帰する問題だと思います。伝統的な元首概念としましては、元首は内治、外交のすべてを通じて国を代表し、あるいは、少なくとも行政権を掌握している存在であるというような定義によりますと、現憲法下における天皇は元首ではないということは明らかだと思います。しかし、今日では実質的な国家統治の大権というようなものを持たなくても、国家におけるいわゆる尊貴の地位と申しますか、ヘッドの地位にある者を元首と見る見解も有力になってきておりますし、現に世界の各国の例でもそういう例があるようであります。この定義によるならば、天皇は国の象徴であり、さらに、ごく一部ではありますが、外交関係において国を代表する面を有しておられます。そこで、そういう定義をいたしますれば、現憲法下においても元首であるという言い方も可能であるというふうに政府としては考えております。これが第一に天皇は元首であるかどうかという問題であります。 次に、今回の御訪米に際して、相手国であるアメリカが元首として天皇を迎えるかどうかという問題につきましては、実は私がお答えする問題では本来ありませんけれども、ただ、従来の国会における外務大臣等の答弁では、いわゆる統治権を総攬している元首というような意味では接遇されないだろうと、これは日本の憲法というもの、あるいは天皇の特殊性というものについてアメリカもよく承知しておるからそういうことはあり得ない、ただし、天皇は日本国の象徴であり、そういう地位を持っておられますから、その地位に最もふさわしい最高の待遇をお受けになるであろうというような答弁がされておりますので、それを念のために申し上げておきます。
○秦豊君 外務省にこれは伺っておきたいんですが、いまの法制局側の答弁をなぞるという意味になるかもしれませんが、そうしますと、三木総理がこの夏に恐らく訪米をされましょう。追って十月が天皇訪米と、こういうタイミングになりますね。そうしますと、受け入れ側のアメリカでは、外交慣例として、たとえば三木総理を迎える場合の歓迎のありようと、天皇を迎える場合のありようは、いわゆる、さっきの法制局の方の答弁を引用するまでもなく尊貴、ステータスにふさわしい扱いをするであろうということは、常識的にはうなずけるわけですが、具体的にはどういうふうな違いがあるんでしょうかね。
○説明員(深田宏君) 陛下御訪米の際のアメリカ側の接遇がどうであろうかという点につきましては、まさしく先生御指摘のように、法制局の方からお答えいただいたとおりであると私どもも理解しております。アメリカ側にも、外国の賓客の接遇につきましては、いろいろな内々の接遇要領と申しますか、ガイドラインと申しますか、というような言葉が使われておろうかと存じますが、そういうものができておるかと思いますけれども、私どもとしまして、現在の時点で、総理大臣が予定どおりおいでになられた場合にどういう具体的な接遇が得られるか、あるいは陛下御訪米の際にどういう員体的な接遇が得られるかということを、この時点で予測することは技術的にはできない立場にありますことを御了解いただきたいと思います。抽象的になりますけれども、やはり先ほど来の私どもの御説明を申し上げておりますように、総理大臣につきましては総理大臣のお立場、地位にふさわしい接遇、陛下につきましては陛下のお立場、地位にふさわしい接遇をするということを私どもとしても期待し確信しておるのであります。
○秦豊君 今度は宇佐美長官に伺っておきたいんですけれども、宇佐美長官は四十七年の四月の内閣委員会で、天皇訪欧の総括というか、これをどう踏まえておるかという趣旨の質問に対しまして、国会でいままで十分に申し上げることがなかったと思うが、これについては今後十分に考えたいというふうに答弁をしていらっしゃるんです。いままでのヨーロッパでも、天皇のいわゆる戦争責任というポイントからあらわにあげつらったマスコミがかなりあったし、特にイギリスにおいてはややナーバスな局面があったことはもう御体験でしょう。今度は、もうほかならぬアメリカを訪問されるわけであって、それこそノー・モア・パールハーバーという国に行くわけであって、もう天皇の政治的責任という問題、戦争責任という問題を——アメリカのマスコミというのは、もう御存じのように日本のマスコミよりある意味でかなりフランクです。元首であろうと天皇であろうと王であろうと、まさにエチケットを乗り越えるところがあります。そこで、たとえばもうすでにニューヨークの州議会などでは現実に出ているんですね、そういうリアクションが。どういうことかといいますと、天皇の七十四歳の誕生日に際して祝賀決議を出そうじゃないかということを民主党のハルパリンという議員が提案をした。これはアメリカの上院、下院ではないにしても、ニューヨークの議会ですね。そうしますと猛烈な反対が巻き起こった、とうとう物にならなかったと。いまはまあ五月段階ですから、アメリカの論調もまだまだわかりません。うかがえませんが、恐らく十月というタイミングが迫ってくれば、アメリカにはさまざまな意味の天皇訪米を迎えるに当たっての論調が噴き出すと思います。そのポイントの一つは、やはり天皇と太平洋戦争責任論という非常に古典的でいやな命題だが、これが噴き出すに違いないと思います。そういうことを含めてさきの欧州訪問旅行というものをどういうふうに宇佐美長官はこなされ、今度の訪米にはどのように生かされようとしているのか、参考のために伺っておきたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) かつてのヨーロッパ御訪問のときにも、国によりまして、いろいろいま仰せになりました戦争に基づくいろいろな動きがあるんではないかということが、あらかじめ報道がございました。われわれとしましてもそういう点は耳にいたしておったわけであります。オランダにつきましても、あそこは非公式訪問でございましたが、そういう観点もあって、あらかじめ向こうの政府に、もしよろしければ伺うということでずいぶん念を押しているわけでありますが、向こうでも閣議を開かれてお迎えするということでお出ましになったわけであります。ですから、ある程度のものはまああるというふうに思っておりましたが、それぞれ、予想もしなかったことでございますがデンマークのお着きになった駅頭でも一つございましたし、まあちょっと一日ぐらいお寄りになったところではないのもございましたけれども、ある程度やはり戦争の余憤、名残というものが出ておったと思います。そのために、イギリスでも在郷軍人なんかの日本に対する一つの見解なんかも出てまいったというようなところはあったのでございます。で、われわれはそういうところから、各国々というものがなかなかいろいろな意味においてむずかしい点があります。当時戦争の相手でなかったところでもそういうことが出てくるわけであります。 で、今回アメリカにおいでになりますにつきまして、目下外務省とも協議をし、外務省では慎重に現地と、あるいはアメリカ側と打ち合わせをしていただいておるわけでありますが、その案をつくるに当たりましても、要するにアメリカ人、あれだけの大ぜいの国民であり、いろんな人種があり、一つの戦争というものをいたしてきたためにどういう影響が出るだろうかということは、行く前から非常にわれわれとしても頭にあるところであります。で、外務省でもそういう意味において、アメリカ人あるいは内外のいろんな人の見解あるいは報道に注意しながら、その対策なりあるいは日程をつくる上においても慎重な検討をしておりますところであります。ですから、ある意味では、共和国でありますアメリカには、天皇とかエンペラーということはなかなかわかりにくい。あるいは日本の憲法における天皇の御位置というものもなかなかむずかしい。ただ単純にさっき仰せがありましたが元首と考える人も大ぜいいるんじゃないかというふうに思います。そういうところを間違いなくアメリカの人にもわかってもらいたいということを私どもは考えるわけであります。外務省でもいろいろ御苦心を払っていただいているところであります。まだ具体的な日程の確定まで至りませんけれども、この中においてもアメリカ人の求めるところにこたえるように、アメリカの国民とオープンに接せられるということを重点にして、いろいろな御日程の案を考えているところであります。ただ、御承知のとおりに、両陛下も次第にお年を召すわけでありますし、非常に、何と申しますか、過密な御旅行になるとお疲れも出やしないか、そういう点を私どもは心配をするわけであります。そういう点で、アメリカ側もよくわかっていただいていると思いますが、ワシントンにおきまする大統領との関係が済みました後は、なるべくアメリカ国民とオープンに接せられるという点を重点にして考えてまいりたいと、かように考える次第であります。
○秦豊君 質問の動機は、たとえば訪英されたときにエリザベス女王の歓迎のごあいさつの中で、日英関係にはかつて不幸な時期がありましたと表明されたのに対して、天皇のごあいさつの中に、それを含んだ、それにこたえるお言葉がなかったことがやはり問題になりましたね。問題というよりは、刺激を起こしたわけですね。今度はアメリカを訪問されるわけですから、戦後のいわゆる一般的な意味における援助に対しての感謝の言葉は、当然宮内庁、外務省が苦心をしてそういう言葉を選び出すと思うが、同時に、日米間の不幸な時期、ある激しく戦った時期についての、あるいは天皇の戦争責任論をいまだに執拗に追及している日本研究学者などがひしめいているワシントンやニューヨークでのあいさつというのは、相当やはり十全な配慮をしておかないと、思わざるトラブルやリアクションを引き起こすと思うんです。それがあるからあえてそのことを質問をしたわけです。当然、そのことはいま宮内庁、外務省が作業の中で一番慎重に考えられているポイントじゃないですか、そうでしょう。
○説明員(宇佐美毅君) ただいま仰せになりましたとおりに、先ほども申し上げましたけれども、おいでになる前に、そういう点につきましてできるだけ理解を求めるという方向で、外務省でもいろいろ手を打っていただいているところであります。ぜひ、そういう理解のもとにおいでになりませんと、おっしゃるようなことが起こる。なかなか、広いアメリカでございますからあれでございますけれども、しかし、逆に先ほど申したように非常にお待ちしているという手紙も出てくるようなわけで、なかなか複雑な関係もあろうかと思います。そういう点は十分注意をして御旅行願うようにしたいと思います。
○秦豊君 まだ時間が訪米までにありますからね、もっとこういうことは質問する機会があろうと思いますから、そういうところにゆだねたいと思いますが、全然ポイントの違ったこれは確認をしておきたいんですがね。 天皇の公的な御旅行のときには剣璽ということが問題になりますね。その剣璽動座というのは、四十九年の十一月七日、八日、伊勢に参拝されたときに復活をして、神社神道グループ、神道学会その他の方々を大いに喜ばしたわけですけれども、まさか今度の天皇訪米に当たっては、剣、曲玉など、剣聖などという天皇の地位を象徴するような、そういうものはお持ちになるんですか。
○説明員(宇佐美毅君) これはすでに御承知と存じますが、戦前は一晩お泊まりになるような御旅行のときには剣璽が御動座になっているわけであります。これは昔からそういう例でございます。しかし、戦後陛下が各府県を御巡幸になりまして、これは一方(ひとかた)でお参りになりまして、朝八時から六時までという非常に過密な、しかも一回三十日近い、一月に近い御旅行をお続けになったときに、そういうお品の御動座というのが実際問題として非常にむずかしくなりまして、千葉県以来それがなくなっております。ただし、そのことは全部なくなったのではなく、宮中の中の神嘗祭でありますとか、あるいは神宮の御遷宮のときに御遙拝のときとか、そういうときには昔のとおりに御動座があるわけであります。今度新しく御遷宮がございまして、伊勢だけでお帰りになりまして、宿屋等にもお泊まりにならずにお帰りになる、東京でも神嘉殿の庭におりて御遙拝になるようなときにお供がありましたり、そういう御遷宮のようなときには将来またあろうかと思いますが、その他普通の御旅行のときには、とても、宿屋から宿屋に移っていかれる場合にはこの御動座は無理でございます。ことに外国なんかは無理だと思いますのでそういういうことは現在考えておりません。
○秦豊君 皇太子の沖繩訪問御旅行の問題海洋博との関係をぜひとも伺っておきたいんですが、もう長官も御存じのように、また外務省側も把握されておりますように、沖繩では特に太平洋戦争末期のあの悲惨さが直接の起因になって、やはり戦争体験というのはいわゆるわれわれの感覚より痛切であるという面があると思います。その沖繩に海洋博名誉総裁として皇太子が赴かれるということについて、すでに六万の加盟メンバーを持っている沖繩原水協、これは私どもの社会党や社大党、あるいは沖繩青年協議会、沖繩県教職員組合、県労協等の加盟している沖繩原水協が、皇太子の来沖、いわゆる沖繩訪問に反対だという決議をすでに打ち出して、七月十八日の訪問予定日には糾弾県民大会まで考えているという非常にシリアスな状況が予見されるわけです。そういうことを踏まえて皇太子の沖繩訪問問題を伺いたいんだけれども、海洋博の名誉総裁に、たしか四月十一日だったですかね、なられているんだが、なぜこれは天皇じゃいけないんですか。
○説明員(宇佐美毅君) この沖繩海洋博は、御承知のとおりに万国博の中の一つの形式でございます。大阪でございましたのより小規模のもののように伺っておるわけであります。大阪のときにも皇太子殿下が名誉総裁になっておられます。ほかの国でもそういう例もございまして、沖繩県知事あるいは沖繩県の海洋博協会、いろいろ、そういういろんな情勢を検討いたしまして、政府と御相談の上で、ぜひお願いするという政府からのお願いもございまして、皇太子殿下がお引き受けになったわけでございます。その後のそういう若干の動きがありますことも聞いておりますが、それは今後の推移でございますけれども、お引き受けになった以上はちゃんと義務を果たすおつもりでいらっしゃると思います。私どもは沖繩が戦争なんかで特殊な情勢にあったこともよくわかっております。どうかこの日本の一つの県として、沖繩が将来に向かっていかれる場合には、そういう議論ももちろんあろうと思いますけれども、こういう問題を契機に、漸次そういう考えについて御研究をしていっていただきたいと私どもは思います。沖繩の知事あたりもそういう見解を述べておられるようであります。以上のようなことで、現在のところ、お引き受けになって予定どおり実行ができればと考えておるわけであります。
○秦豊君 沖繩県民の皆さんの反対の理由を、ぜひともこれは聞きとめておいていただきたいと思うのですが、長官ね、この沖繩県民の大多数の世論調査によると、たとえば沖繩タイムスとか琉球新報等の報道によると、沖繩県民に大きな犠牲を強いるのが海洋博というお祭りだと、これは巨大なすりかえだという認識がどうしても根強いわけですね。そこに、四十七年の植樹祭のときにも、復帰後の、それから四十八年の国体にも天皇は沖繩に見えなかった、天皇の旅行というのは公的行為の一環じゃないのかと。公的行為というのは天皇の自然人としての行為の一部であるから天皇の意思が働くことは避けられない、先ほどの答弁のとおりですね。ならば、四十七年にも四十八年にも、また今度も、あれほどの惨禍に見舞われた沖繩にあえて天皇がいらっしゃらないという判断を、天皇の判断の働く公的行為の一環たる沖繩訪問を天皇があえて避けられたということ、わざわざ皇太子を名誉総裁として送り込むということについては、これは天皇が沖繩に対して特殊な見解をお持ちなのかという一つの疑いが根強いためなんですよ。これは、そんなばかなことはと一笑に付せない根強さがあると思うのですね。ですから、私はあえて、なぜ天皇はいらっしゃらなかったのかと、沖繩県民に向かって、ということを伺ったのです。しかし、いまさら名誉総裁の差しかえももちろん不可能な領域でしょうから、その不可能なことは不可能としても、やはり天皇が、何か沖繩を避けていらっしゃるという広くわだかまっている沖繩の世論に対してはどういうふうにお答えになりますか。
○説明員(宇佐美毅君) 沖繩が復帰いたします際に、いまお話しになりました植樹祭とか国民体育大会ということが行われるということを、宮内庁に申し出られたところは一つもございません。ただ、私どもはそういうことを仄聞いたしまして、名前は省きますが政府の方に、それを予定していらっしゃるのかと伺ったことさえありますが、それはないという御返事でありました。私はその当時新聞記者諸君にも話したことがありますが、天皇陛下は戦後非常な被害を受けた全国民のためにというので全国をくまなくお歩きになりました。恐らく足をお踏み入れになっていない郡はないんじゃないかと思うくらいであります。したがって、私はそういう植樹祭とか国民体育大会というふうなことはなくたって、陛下はおいでになれるならおいでになると私は思うということを申したこともございます。しかし、知事さんが私のところに見えるというときにも、お待ちしていてもいつもだめになってしまっておったようであります。これはどういう事情かよくわかりませんが、そういうわけで、避けていらっしゃることは私はないと思います。ただ、常に、その県の全責任者であります知事がどうぞということになってきませんと、なかなかお動きになれません。いろいろな準備をしてもらうわけであります。今度は、海洋博に外国の元首の方でも見えまして、東京にもお寄りになりますと、陛下がおいでになれないということは非常に私は残念だろうと思います。そのくらいに考えておりますが、それを前においでにならなかったという理由で、もしそういう意見が出ているとすれば非常な誤解であることを沖繩の人たちも理解していただきたい、かように思います。
○秦豊君 私は皇室については一定の距離を当然持っております。クールにながめている一人ですけれども、沖繩の反皇室感情というのは非常に錯綜しているのですね、やはり。太平洋戦争の惨禍と米軍支配という二重、三重のくびきなんですね。だから、ぼくたちより粘液質だと思うのです。これは当然だと思うんです。だからこそという言い方が許されると思うんだが、やはりぼくは復帰後の沖繩に天皇が足を踏み入れられるということは、もちろん革新屋良知事の心情もあると思いますけれども、もし知事がそういうことを要望すれば——あくまで現地側が主体だと、知事か動かなければ宮内庁としても動きようがない、これはわかります。わかりますが、やはり沖繩をいつも何か特殊に扱っている、いつも差別をしているというふうな偏見——これを偏見とあなた方はおっしゃるかもしれないが、県民感情が牢固としてあるわけですから、これはやっぱり、皇太子の海洋博反対がますます燃え盛ろうとしているが、やはりある時期には天皇の沖繩訪問を一つ完了点として考えられたらどうかと思いますね、私は。その点いかがですか。
○説明員(宇佐美毅君) 沖繩を何か差別観でごらんになるということはこれは絶対にございません。たとえば、かつて貞明皇后様の御遺金をもとにできました藤楓協会、らいの団体でございますが、沖繩に二カ所ございます。非常にらい患者が多いということで、陛下も特に藤楓協会を通じてある程度の資金を送っておられますし、知事も園遊会に来られて二度ぐらい陛下とお話し合いをしております。皇太子様のところにも毎年のように沖繩の子供が豆記者としてお目にかかって記事を書いて沖繩に送っておる。こちらは避けているところは一つもございません。ただ、お話しのような感情があることも、新憲法のできますときにはすぐアメリカの占領下に入ってしまいましたし、いろいろなむずかしい問題があることはわれわれも十分知っております。ですから、ある程度の時間をかけないとおさまってこないという感じもいたしますけれども、できますれば屋良知事と同様に、この海洋博を契機にそういう空気が次第におさまってくるということを私どもも心から希望しておるわけであります。
○秦豊君 質問のポイントを変えます。項目を変えます。 内廷費とか皇室財産の問題、まだ時間の猶予があるようですからその質問に移りたいと思います。これは確認の意味であらかじめ伺っておきますが、天皇の私有財産については、不動産は全くない、有価証券が若干あって、以下預金、動産となっている、これが在来の答弁ですが、これに相違はないわけですか。
○説明員(宇佐美毅君) そのとおりであります。
○秦豊君 そうしますと、たとえば三種の神器など皇位とともに継承さるべき由緒あるものというふうなものは、財産権の所在はどうなっているのですか。
○説明員(宇佐美毅君) 三種の神器を初め、皇位とともに伝わるものが、あとどういうものがあるかということは、実はまだはっきりどこまでということにはなっておりません。ただ、若干のそういった貴重なお品がございまして、これはいまいろいろ具体的に検討中でございます。ただ、新憲法のときに、いまお話しになりましたとおりに皇室財産というものの調査が命ぜられまして、大体、当時三十七億という評価でございました。そのうち三十三億余がいわゆる財産税の対象となり、残る四億がいま申されました千五百万円の有価証券とお身回りのいろいろなお品類、これらを残しまして全部あと不動産初め物品が国有財産というふうに憲法の規定によってなったわけでございます。そういうわけでございますので、その後別段不動産ができたということもございませんし、あとは内廷費の運用によって今日まで続いているわけでございます。
○秦豊君 じゃ、三種の神器などの財産権は結論が出ていないという理解でよろしいのですか。
○説明員(宇佐美毅君) これは陛下の私有財産ということになろうと思います。
○秦豊君 これも確認をしておきたいのですが、かつて国会論議の中でこれは検討中ということでとどまっておりますが、たとえば賢所とか皇霊殿とか神殿とか、俗に宮中三殿といわれておりますが、この宮中三殿の所有権というのは、これはどちらに属するのですか。
○説明員(宇佐美毅君) これはその当時も御質問があり、なかなか結論が出ない、まことに申しわけないわけでございますが、私有財産であるのか国有財産であるのか、まだ明瞭でないわけであります。法制局にも御検討を願い、国有財産としては大蔵省の所管にもなりまして、御連絡をして検討しているところでございますが、まだ確実な、全部の一致した意見というものは出ていないわけであります。管理しておりますわれわれとしましては、いろいろ修理を要するような問題もありますけれども、そういう基本的なことが決まらないということで実は困っているところもございます。これは早く関係各省ともはっきりさせたいと思っておる次第でございます。
○秦豊君 それはこういうことではないのですか、宮中三殿が天皇の私的財産であると仮にした場合には——なかなかあなた踏み切れないと思うのですけれども、そうなった場合には、内廷費の管轄内になりますね。そうすると、将来、改造、ここを建て直すという場合には内廷費がかなり膨大にふくらむというおそれがある、これはなかなか簡単に踏み切れないという配慮が一つあるのではないのか。しかし国有財産の場合は——そのようにあなたが長官在任中に踏み切ったりしますと、これは大問題ですよ。宗教と政治の分離にまずかかわってきますよ。だからそういうふうな踏み切り方はできない。あくまで皇室の私有財産という結論しか出せないのじゃありませんか、どうですか。
○説明員(宇佐美毅君) 法制局から御研究の結果をまず申し上げます。
○政府委員(角田礼次郎君) 先ほど宮内庁長官から御答弁申し上げましたように、今日の段階で、関係当局の間で公的に意見が一致はいたしておりません。しかし、一応私どもの研究の結果と申しますか、現段階における考え方を申し上げれば、宮中三殿は天皇家の私有財産と観念すべきものであろうというふうに考えております。これは制憲議会におきます金森国務大臣の答弁等を見ましても、宗教的な性格を有するものを公の財産の方へ入れるということは必ずしも適当でないというような意味の答弁もございます。それからその後実際の取り扱いの上から見ましても、国有財産として皇室用財産であれば当然管理のやり方が違ってくるはずでございますが、そういうことを昭和二十二年以来やってないわけでございますから、そういう意味においても現在の段階では天皇家の私有財産であるというふうに考えるべきではないかというふうに私どもは考えております。ただ、その場合に修理等の問題につきましては、これは私どもは必ずしも内廷費でやらなければいけないというふうには考えておりません。と申しますのは、由緒あるものとして天皇に伝わるものでございますから、そういう点に着目すれば、一応宗教的な面で私有財産というふうな観念と、それから同時に公的な面を持っておりますから、そういう公的な面に着目して、内廷費でなくて宮廷費で修理修復をやるというようなことも論理的には可能ではないかというふうに考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、この点につきましては、まだはっきりした結論は出ておりません。大体そういう状況でございます。
○秦豊君 具体的な点を伺いたいのですが、宮内庁長官、皇室の私有財産ですね、これはたしか私の理解では、皇室経済主管という方がおられて、これがアドバイザーということになっておりますね、一種の機能としてそうでしょう、職責としては。内廷費の中から天皇は株式を買ってそれを運用したりしているというふうに言われておりますが、そういう場合に、取得をした株式というのは、名義人というのは、これら皇室経済主管が名義人なのですか、それとも全然別な人も含まれるのですか、どうなんですか。
○説明員(宇佐美毅君) 毎年の内廷費で株式を買うということは余りないわけでございますけれども、若干不時の用に充てるためにございますものが株式であるのもございます。そういうものの名義は内廷主管という者がその代理人として名前を出しているわけでございます。
○秦豊君 これは国会の論議の場では、これは要求すべきだと思うんですが、私はこの名義の貸与者、つまり名義人ですね、その皇室経済主管の名前、それから持ち株をやっぱりはうきりさせる必要があると思うんですよ。いままでの私有財産、たとえば新憲法移行下に、評価三十七億ということをあなた言われたんだけれども、アメリカの天皇問題研究家などによりますと、いまの皇室の有価証券は百四十億から百八十億円相当の株式を保有しているというふうな見方もあるぐらいであって、この額がはっきりするということは、あるいはこの名義人をはっきりするということは、当然やはり大事なことだと思うんですよ。この御用意はありますか。
○説明員(宇佐美毅君) 内廷会計に属しますそういったいわゆる基金、不時の用に充てるものが幾らある、これはもう公金でございませんので発表する気持ちはございません。
○秦豊君 それじゃ、内廷費というのは純然たる天皇の私的行為に消費される、費消されるものとなってますね、間違いないですね。それは従来のあなた方の答弁なんだ。それならば、宮内庁の公務員が、役人が、これを主管したり運用したりするのはおかしいじゃありませんか。さっきのあなた、天皇の身辺の用というふうに答弁をまた繰り返すかもしれないが、これは大変おかしいことですよ。職員の逸脱じゃありませんか。
○説明員(宇佐美毅君) 先刻も申し上げましたとおりに、宮内庁の職員が陛下の私的な方もお助けするという意味において、その内廷費の経理等もいろいろ政府と同じような予算を立てて、陛下の、お許しを得て、そして運用をしているわけであります。これはまあ毎日毎日のことでございまして、それだけのために人を雇うというようなことはとうていできませず、それから、これは仰せのとおり内廷費で、内廷におられる方の御日常に充てる経費でありますから、御生活費とかその他でございます。これは東宮御所が離れておりますが、東宮御所の分も一緒になっているわけであります。そういうようなわけで、宮内庁側でお助けをしておりませんければ、なかなかこれはうまく運営がつかないと私どもは考えております。
○秦豊君 あなた方が、われわれの当委員会に皇室経済法の一部改正をいつも出されるときには、皇室経済会議の一応の公式がありましてね、昭和四十六年がたしか基準になっていると思うんですよ。ところが、四十六年という基準をなぜ選び取ったのか、ということは、はなはだあいまいなわけで、それから先をずっと突き詰めると、つまり内廷費の算定基礎というのが大変あいまいなんですよ。内廷費は純然たる天皇の個人費消、そういう対象、だから明らかにできません、いまの持ち株だってそうでしょう。何もかもベールがばっとかぶさっちゃうんですよ。ですから、われわれが論議を進めようと思いましても、四十六年というのは一応の基準でしかあり得ません。内廷費算定基礎は果たしていかにと問い詰めても、あなたの方に純理的な解明ができないと思うんですよ、長官。非常に不明確なんです。だからね、これは皇室経済法施行法改正反対のわれわれが一番大きな理由にしているんだけれども、つまり基準の基準があいまいなんですよね。そういう論議を繰り返しているんです。一定のところからは、申し上げられません、これは純然たる個人費消です、いいえと、こうなる。だから内廷費算定基礎というのは、やはり国会の場でもっと明らかにクールにお出しになる必要がありゃしませんか、どうですか。
○説明員(宇佐美毅君) 新憲法下におきまして初めて内廷費ができまして、八百万円と出ているわけです。この基礎が、要するにその憲法改正前の御日常に要する経費というものの大体基準をもとにしてつくられたと言われておるわけであります。その後それをどう扱ったかと申しますと、大体そのときの物価の騰貴の趨勢あるいは職員給与の問題、改定というようなことを毎年のように検討いたしまして、これが非常に苦しくなりますとお願いをいたしたわけであります。結局、それで当初のころは、千五百万円という許されましたのも大分使い込んでしまった時代もあるわけであります。そういうところからずいぶん御節約も願わなきゃならぬ情勢もございましたが、その後若干、それは内廷からお出になった方もあり、また内廷でお生まれになった方もございます。常陸宮様が内廷からお出になったときは、ちょうど増額すべき情勢にございましたけれども、外にお出になったということから特に内廷費を増額をお願いしないで皇族費だけ出したこともございます。そういうようなわけで、その後は実にそのときの物価趨勢あるいは給与状態というもので修正をしてきたのでありますが、四十六年というものが基準でなくてもっと古くからの基準があるわけでございます。四十六年というのは、恐らくもう当時の国会のいろんな御論議で、そう間を置いてやらなくても毎年出してはどうかとか、あるいは一年置きにはどうかとか、いろいろ御議論が出ました。で、結局皇室経済会議の懇談会を開きまして御協議を願ったわけでありますが、結局、予備金というのを一割程度一応見てございます。それがいっぱいになりましたらば要求しようというような改定をしたいということでこの協議が決まったわけであります。そういう基準に基づいて自後いたしております。大体、内廷費というものはいわゆる定額主義でありまして、物価さえ余り変わらなければそう変わらない性格のものだとわれわれは考えております。近ごろのような異常な物価騰貴が続き給与ベースが上がってまいりますと、だんだん追っつかなくなったということでございます。もちろんそのために御節約を願うとか、あるいはやむを得ないときは不時の用に準備いたしましたものから支出をしたりして、いわゆる赤字というものを持っていっても整理するときがございませんので、そういう措置をして今日に至っているわけであります。結局私的な御生活のことでございまして、これを公表するということはなかなかむずかしい問題でございます。まあ個人の場合でもむずかしい問題があります。しかし、どういう種類のものにお使いになっているかということは、ここ二、三年申し上げまして、その金額でも、その経費は大体何%に当たるかということはすでにお知らせしてございます。われわれができる範囲において御理解を願いたいということで、そういう努力をいたしているわけでございます。よろしくお願いいたします。
○秦豊君 まことに恐縮です。皆さんのお昼休みに食い込んでおりますので、当然ここで百二十分ということになりつつありますので質問をやっぱりやめなきゃならぬと思います。その点はやっぱりフェアにしなきゃいかぬと思うのですが、質問事項がかなり残されておりますが、一応秦質問の終了を待って休憩ということをうちの片岡理事から申されておりますのですが、お取り計らい願いたいのは、もしお許しいただけますならば、午前中の質問ここでやめますから、もしお許しいただけますならば、再開後若干十五分なら十五分いただいて補足をさしていただくわけにはいかぬだろうか、そしてこの際はここでやめるというお取り計らいはいかがでしょうか。
○委員長(加藤武徳君) 午前の審査はこの程度にして休憩いたします。 午後一時休憩 —————・————— 午後二時六分開会
○委員長(加藤武徳君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○秦豊君 御協力をいただきまして、十五分間だけちょっと猶予をいただきたいと思います。きわめて限定されていますので、やや羅列的に並べて、答弁を次々にお願いできればと思います。 最初に、宮内庁長官と法制局側の見解をあわせて伺っておきたいんですが、先ほどの侍従の伊勢神宮派遣の問題は、依然としてやはり私には納得がいきかねます。内廷費の使い方等については、たとえば、確かに宮内庁長官は、掌典などの費用は純然たる天皇の私的消費に充てられる内廷費から支出をしている、そういうところの配慮は一応あるにもかかわらず、やはり侍従を伊勢に送る場合などについては明らかに感覚が鈍磨されているのではないか、やはり憲法感覚が非常にすり減っているというふうに言わざるを得ません。やはり侍従は国家公務員であり、天皇の名代ということも個人的な資格ということが許されないと思います。伊勢神宮は明らかに宗教法人であるというありようとあわせて、これは明らかに憲法二十条に抵触をする慣習であると思います。これを慣習として見逃すことは余りにも重大であると思いますから、重ねて宮内庁長官、さらに法制局側のコンファームをお願いしておきたいと思います。
○政府委員(角田礼次郎君) 法律的な立場からの御答弁を最初に申し上げたいと思いますが、伊勢神宮に天皇が御参拝になる、これは私どもとしましては、従来から天皇の私人としての行為である、私的な行為であるというふうに理解しております。それは御指摘のように、憲法二十条との関連においてそのような理解をしているわけであります。 ところで、天皇が宗教的な、そういう私的行為に限りませんが、一般的に私的行為をいろいろおやりになる場合にこれをだれがお世話をするかという問題があるわけでございます。それにつきましては、先ほど宮内庁長官からもお話がございましたように、昭和二十二年に憲法が施行され、当時は宮内庁法だったか宮内府法だったかちょっと忘れましたか——宮内府法だったと思いますか、そういうような問題がいろいろ論議されましたときに問題になったのであります。一つの考え方としましては、あくまで私的な天皇の使用人と申しますか、そういう人々だけで一切そういうお世話をするという考え方もあったわけでございますが、いろいろな議論の末、現在宮内庁法の第一条に、皇室関係の国家事務ということを宮内庁が処理するということになっておりますが、この規定が設けられまして、当時この規定を根拠といたしまして、天皇の私的な面についてのお世話も、内廷と申しますか、天皇の私的使用人という立場にある人とあわせて宮内庁の職員がお世話をすると、こういうことにいたしたわけであります。 ところで、天皇の私的な行為についてのお世話と申しましても、私的な行為についてはいろいろあるわけでございます。先ほど来御指摘のいわゆる宗教的なものとそうでないものとがあると思います。そこで、現在の分け方としましては、やはり宗教的なものというものについては、これは憲法との関係を顧慮いたしまして、先ほど宮内庁長官からもちょっとお話がありましたが、祭祀と申しますか祭事と申しますか、直接そういうことをやっておる職員は、これはやはり国家公務員である宮内庁の職員では不適当であるということで内廷の職員が当たると、こういうことにいたしておるわけでございます。 それから、むろん私的な立場で伊勢神宮へお参りになるわけでございますが、やはりそういう場面におきましても、その中心をなす、その祭事に直接関係のある部分は内廷の職員がやるべきだと思いますが、そこまでおつきとして一緒についていくとか、あるいは警衛であるとか、そのほかいろいろな内閣との連絡とか、いろいろ天皇が象徴としてのお立場あるいは憲法に認められておる国事行為をなさるためのいろいろな連絡とかいうものが当然必要になってくるわけでございます。こういうものは、確かに伊勢神宮へ行かれるというその経過を一つでながめますと宗教的な行為のように、思われますけれども、そういう意味の事務は、これはやはり皇室関係の国家事務というようなことで、国家公務員である宮内庁の職員がお世話をしてもいいんじゃなかろうか、こういう考え方をとって侍従がお供をすると、こういうことになっているわけでございます。
○秦豊君 それはあなた私の質問のポイントを取り違えていらっしゃる。天皇が自然人としてなさる伊勢参拝、これを私言っているんじゃないんです。国家公務員たる侍従が名代として宗教法人伊勢神宮に行くということは、これは個人というふうなことは許されない。やはりこれは憲法二十条の解釈に明らかに抵触をするのではないかという、そういう質問ですよ。重ねて。
○政府委員(角田礼次郎君) ちょっと私御質問取り違えていた面もあると思いますが、事実関係、余りはっきりしませんでしたので申しわけありませんでしたが、侍従がかわりに行くということは確かに、何かあるようでございますが、これは考え方をちょっと申し上げたいと思いますが、宗教的行為というものについての、あるいは宗教的活動というものについての考え方、いろいろ考え方があると思います。 一つの考え方は、教義の普及宣伝であるとかあるいは信者の教化育成とか、そういうようないわゆる積極的な宗教的活動、そういうものだけが宗教的活動であって、そして、ただ神社へお参りをするというようなものは宗教的活動ではないという考え方が一つあるわけなんでございます。しかし、こういう考え方は政府は実はとっておりません。 その次に、神社へお参りをするという場合でもいろいろな方式があるわけでございます。ただおじぎをするというようなこともありましょうし、いわゆる神道の儀式によって正式に参拝をするというような、いろいろなやり方があると思いますが、そのやり方によって、ある場合には宗教的行為あるいは宗教的活動となるだろうと、しかし、非常に単純なおじぎをするだけではそういうものにならないというような考え方もあると思います。 それから最後に、およそそういうものは区別がつかないと、全部が全部宗教的活動になるんだと、およそ神社に参拝するのは全部宗教的活動であるというような考え方もあると思います。 政府の考え方は、いま申し上げたように第一の説はとっておりません。必ずしもとっていないと思います。しかし、第二の説のうち、ある区分をつけて、ある種のものは宗教的行為に当たらないものとして許されるんじゃないかというふうに考えておるわけであります。そこで、侍従が天皇のかわりに行かれるという場合も、私実態よく知りませんけれども、普通の、われわれがただ神社でお参りをするというのが直ちに常識的に宗教的行為とは言われない、そういう範囲内のプレーンなものであれば、先ほど申し上げたように憲法違反とあえて言うにも足りないんじゃないかというふうに私は考えます、ただ、実態、私はわかりませんから、どの程度まで侍従がおやりになっているのか、ちょっとそこのところは断定はいたしかねます。
○秦豊君 これはあなたが考えていらっしゃるよりも将来にやはり広がり得る問題だと、やはり憲法二十条の発生起源が、あのかんながらの道、国家絶対神道と絶対君主制たる天皇制とコンバインされて、あの非常に苦い体験からの教訓を踏まえて憲法二十条というものが厳として打ち出されたわけですね。したがって、やはり敗戦の教訓をどう吸い上げるかということにかかわっているわけです。しかるに最近の傾向は、一部にすでに一万人アンケート等、靖国法案——表敬法と言っておるようですが、かなり能動的な動きが加わりつつあり、エリザベス女王の来日の際にも、例の伊勢へ参ることが、見学、参観というふうに言葉を装ったけれども大きな世論を引き起こした、そういうことと全部かかわるわけですね。ですから、宮内庁の宇佐美さんがなすっていることの中には、先ほど、失礼かもしれないが公のサーバントではなくてすめらぎのしもべであるというふうな見方があるんですよと申し上げたわけですけれども、その一端にあるわけです。それにかかわるわけですね。やはり、侍従は天皇の身辺のことをやるのだ、天皇が行けないときに天皇の祖先を祭っている伊勢に代理派遣をすることは何ら抵触をしない、宗教的行為じゃないと、その解釈自体に無理があると思うんです。しかし、十数分しかありませんので、こういう種類の憲法論議をあなたとやっていると果てしがありませんが、私はあなた方の答弁にはどうも納得ができない。依然としてやはりこの問題は追い続けたいと思います。あなたの答弁では納得しません。しかし、やむを得ず進めます。内廷費に予備費という項目があるんですけれども、予備費の使途は一体何なんでしょう。それからもう一つは、内廷費のうちで不時の用に備えて預金をしたり有価証券を買ったりしているということは先ほど確認をされているわけですが、これは予備費の項目からのものなのか、それともいわゆる物件費の項目からのものなんですか、二つをちょっと伺っておきたい。
○説明員(宇佐美毅君) いま内廷費の予備的な経費があると申しますことは、予算の残とか、そういうものをそういうところに集めているだけのことでございまして、予備費というものは予算そのものに入っておりまして、一年の予算を立てまして、結局不時の問題とか、たとえば給与でも必ずしも公務員のベースが上がりましたときに同時にやっておりませんで、一年ぐらいおくれます。そういうようなときの穴を埋めなきゃなりませんし、そういうような点で一割という予算があります。それでも足りなければ積み立てしたうちから持ってくるわけです。ですから、たとえば常陸宮様が独立なさいますのに御財産というものは何もないわけであります。そういうときに幾らか積み立てたものをお持ちをいただくとか、そういうことをしないと御家計が立たないという問題もあるわけで、そういうような不時の問題のためにありまして、それは一割の中の操作ではございません。そういうものを全部操作して、幾らかでも経費がもし余ればそれを積んでおくということでありますから、全体としてはそんな大きなものは毎年積まれるわけではございません。
○秦豊君 ちょっと答弁漏れですね。予備費の項目から支出をしているのか、物件費の項目かというところが抜け落ちてますね。内廷費のうち不時の用に備える、あのところですね。
○説明員(宇佐美毅君) 落としましたが、それはもう人件費というのは決まっておりますし、給与ベースが上がりますとやはり公務員と同じように上げて、余り差のないように努めているわけであります。ですから、物価が上がりますとか、不時のものが必要になると、主として物件費の方が多いことだと思います、全体から見ますと。
○秦豊君 内廷費につきましては、つまり内廷費会計については内廷会計委員会というのがつくられて、宮内庁職員がこれを検査しているというふうに理解をしておりますが、この会計委員会の監査結果というか、あるいは検査結果については、当然皇室経済会議に報告がなされているわけでしょうね。
○説明員(宇佐美毅君) いま御質問のとおりに、内廷会計の予算を立てますときに、関係の部局長を主として委員といたしまして、そこの中で審議をいたします。それで決まりまして、決算を立てますときには、その会計が正当に行われているかどうかはその委員でないその他の部局長という人が主として厳重な検査、恐らく国の検査と同じように厳重にいたしております。監査委員というものができまして、それが監査してその決算委員会に報告されます。それによって正当か否かを決めて、それはみんな陛下にも申し上げているわけであります。
○秦豊君 これは政府の所管がかなりあいまいになっている部門の問題ですが、千鳥ヶ淵墓苑の問題をこの際伺っておきたいと思います。 先般のエリザベス女王の訪日の際に、伊勢については参観であるという解釈がなされて、現実にエリザベス女王はみごとに振る舞われたわけですね。たとえば黙祷もしないし、拝礼に類する行為をとられなかった、優雅に立っておられたという、まことにきわどいけれどもみごとに振る舞われたわけなんですけれども、それは、わずかにエリザベス女王のそういう賢明なある意味の洗練によって回避はされたけれども、依然としてこれは大きな問題を含んでおります。折から衆議院側を中心にしてやはり表敬法についての動きがそろそろ顕在化しようという時期に、やっぱり伊勢の問題についてはもっと掘り下げるべきかと思いますが、そのいとまを与えられていませんので、いきなりこの千鳥ヶ淵の戦没者墓苑について伺っておきたいんです。 これはエリザベス女王の訪日日程の中にも、たしか一時千鳥ヶ淵に行かれてはという案があって、間もなく消えた、中止になったというふうに理解をしております。ところが、私の知る限りでは、昭和二十八年の十二月十一日に閣議決定を見ておりますのは、この千鳥ヶ淵の戦没者墓苑というものを日本における無名戦士の墓、つまり無名戦没者の墓に関する件として、行く行くはもっと整備して、いわゆる各国にあるような無名戦士の墓的なものにしようということが閣議決定されたわけですね。以後幾多の変遷があったし、政府の解釈もかなり微妙になってきたんですが、少なくともいま植木さんがかかわっていらっしゃる三木政権においては、今年の三月五日の参議院予算委員会で、自民党議員に対する答弁の中で三木総理が、われわれが外国を訪問した際に無名戦士の墓に花輪をささげるのは国際的な慣習でもある。しかし、日本の場合には外国の賓客が見えてもそういう国際的慣習というのがなかなか容易ではない。しかし、かといって一足飛びに靖国神社がそれにふさわしいかどうかは慎重であらねばならぬ、という意味の答弁をされているわけです。日本のいま世論をほとんど二分するような形で、やがてまた靖国の後を襲う表敬法が必ず登場してくると思うんだけれども、三木さんの答弁はやや一歩距離を置いている。しかし、国民のある部分は靖国神社をこそ無名戦士の墓にかわるものとして表敬の対象にしたいという意向がなお強いと思います。そこで、政府の解釈は恐らくまだ確実に変わっているとは言えないが微妙に変わっている、変わりつつある、揺らいでいると私は思うんだが、私の主張としては、やはり二十八年の閣議決定を尊重、維持し、保ち、これを厳守して、千鳥ヶ淵墓苑を、無名戦士の墓として守り、育て、そうして今後外国元首が日本を訪問されたような場合には、いたずらに伊勢、靖国というふうな政治、政争の渦に巻き込まないで、むしろ原点をしっかり踏まえて、千鳥ヶ淵墓苑をこそそのような対象にすべきではないかと思うんですけれども、それについての政府側の意見を伺って質問を終わりたいと思います。
○説明員(新谷鐵郎君) 千鳥ヶ淵墓苑の性格でございますけれども、先ほど先生からお話ございました昭和二十八年の閣議決定によりますと、太平洋戦争による海外戦没者の遺骨の収集を政府がずっと続けておるんだけれども、その収集をいたしました御遺骨の中で御遺族の方に引き渡すことができないものをお納めするために国は無名戦没者の墓を建立するということが書いてございまして、御遺族の方がわからないものをお納めするためにつくるということがその当時の方針であったわけでございまして、したがいまして、よく外国の無名戦士の墓とどう違うかというようなことが議論になるわけでございますけれども、私ども承知しております限りでは、英国のウェストミンスター寺院の中にあります無名戦士の墓とか、あるいは米国のアーリントン墓地の中にございます墓は、初めから全戦没者を象徴するものといたしまして一ないし数体の御遺体をお納めしまして、あくまで全戦没者の象徴としてお祭りしているという性格のものでございますので、少なくとも最初つくりましたときのいきさつにおいては、やはり外国とは趣旨を異にしたものであったということが言えるかと思います。ただ、こういういきさつでできましたお墓を、国民感情としてこれからどういうふうに考えていくかという問題につきましては、あくまでそういう国民感情の推移の問題として考えていくべき問題であろうというふうに思っております。
○太田淳夫君 私は、ただいま議題になっております皇室経済法の一部改正案につきまして、二、三御質問さしていただきます。 内廷費及び皇族費の定額改定の理由につきまして、あるいは積算の基礎につきましては、すでにお聞きいたしておりますので省略さしていただきますけれども、ちょうど昨年もこの皇室経済法の一部を改正する審議がありました。そのときに長官は、今回の内廷費及び皇族費のアップで、ことし、つまり四十九年度いっぱいはどうにかやっていけると、こういう一応の見込みは持っておりますが今後の推移いかんによります、このように答弁されておりますが、四十九年度中の収支計算、あるいは五十年の一月から三月までの財政はどのような状態でございましょうか、一応お聞きしたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) 昨年度からことしにかけての決算状況という御質問でございます。もちろん内廷費におきましては、日常の定額だけでは足りないときもときにはございまして、若干の積み立てから回すというようなことでございまして、本当の赤字ということかどうかわかりませんが、とにかく定額でございますので、その範囲内において経理をする、赤字を将来に残さないという努力をいたしてまいりました。昨年からことしへかけても物価が決してとまったわけでもございませんで、相当物価が上がっておりますし、給与ベースもまた上がっておりますので、どうしても一〇%の予備費を流用しただけでは非常に窮屈になるというようなことから本年度の増額をお願いしているわけでございます。
○太田淳夫君 次に、皇族費のことについてお伺いいたしますが、皇族費は皇族の方々の品位保持のために、こういう言葉でございますが、この品位保持というその言葉の内容というものにつきましては、長官はかつて、むずかしい問題であると、このようにお答えになっていらっしゃるようでございますが、その内容について御説明をしていただけませんでしょうか。
○説明員(宇佐美毅君) いまの仰せのとおりでございまして、法律におきましても皇族の品位保持のための経費というのが皇族費ということになっております。で、品位保持というのはどういう意味か、生活費ももちろん入るでございましょうが、その以外に皇族としての御生活やあるいは御交際の面に余り見劣りがあってはいけないというような基本的な必要というものを指していると思いますけれども、これは言葉といたしまして、なかなか、それではどういう限度かということは、非常に、この前も申し上げましたけれどもむずかしい問題であります。皇族様御自身からも、品位保持とぜいたくとはどういう区別があるのかという御質問を受けてお答えに困るわけであります。ですから、内廷費のように日常経費全部を差し上げるということでなくて、要するに皇族の場合におきましてはある程度の収入がおありになる、あってもいいということになるだろう。ところが、ただいまの各宮家という方が、古くから続いた宮家でございますといろいろな御財産もあろうと思いますけれども、みんな新しい方でございまして、そういう新しい宮家というのは、なかなか私どもの推察をいたしましたところではそう多くのものはない。そういうことで、どんどん物価も上がり、使用人の給与も上がるということになると相当お苦しいということで、品位保持というのは、大体一つの宮家を維持するということを基調にするようなことになりつつあると思うのであります。でございますから、ただ品位保持というのを具体的におわかりやすく申し上げるというのは非常にむずかしい問題で一まあ以上申し上げたようなことで御了承をいただきたいと思う次第でございます。
○太田淳夫君 わかりました。まあいろいろと宮家の実態、それぞれございますので、御交際の範囲とか、あるいは規模とかいろいろあると思います。しかし、今回改定額が適切であるかどうかということが審議の一つのあれになっておりますが、いままで過去の収支状態につきましては、先回も同僚の戸塚委員から質問がありましてそれぞれの各費目別にいろいろとお話がありましたけれども、具体的な数字というものは挙げられておらなかったようです。またその数字云々につきましては、これは個人の生活ということでございますけれども、一応過去の三年間ぐらいのいろんな費目別の比率というものはお伺いするわけにいかないでしょうか。
○説明員(宇佐美毅君) 各宮家ごとにどういう比率にどうなっているかという御質問でございますが、やっぱり秩父宮家はお一人でございますし、常陸宮、高松宮家は殿下と妃殿下、それから三笠宮殿下は四人のお子様がおいでになるわけで、非常に態様が違います。それを法律は一定の親王の定額を基準といたしまして、そして妃殿下はその半額、あるいはお子さまはその十分の一、成年に達すれば十分の三というような基準を非常に機械的に決めておりますので、この範囲内における御融通というものでいろいろ御苦心をなさっているんじゃないかと思います。最近は伺っておりませんが、昔は大分御窮屈で、いろいろな品を御処分になったといううわさも聞いたことがございます。最近は余り伺いませんけれども、しかしこの宮家のあれについてはずいぶん御苦心が多いのではないかというふうに考える次第でございます。
○太田淳夫君 次に聞きたいことは、皇族の殿邸の建設計画がいま進められておるようでありますけれども、その進捗状態を御説明願いたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) この皇族殿邸の問題は大分前から、池田内閣のときから皇室経済会議でも問題になりまして、余りおひどいんではないかという発言がありましたりしていろいろ検討されましたが、なかなか結論を得ていなかったのでございますが、まず最初に三笠宮殿下、それから秩父宮殿下、それから高松宮殿下と、三宮家につきましては国会の御審議を経ましてすでに完成をいたしているところでございます。次いで常陸宮殿下でございますが、ただいまの建物は、元東伏見宮妃殿下のお住まいでございましたが、その後東宮殿下が——自主太子殿下が一時御使用になったことがあり、その後常陸宮様がお入りになったわけでありますが、これは戦争中に焼夷弾を受けたりして、屋根が抜けて雨が入ったりいたしまして、ドアなんかがきちっと幾ら直してもまたあかなくなるとか、あるいは古い木からキノコが生えるような状態を見ているわけであります。で、何としてもこれも新しく修築しなければ長くもたないということでございまして、これは一昨年調査費と、本年度から明年度にかけて——本年度の予算に計上いたしまして御審議をいただき、いまこれを請負に出そうとしているところでございます。で、明年度までにこれが完成する予定でございます。それで各宮様の方は一段これで終了するはずでございます。
○太田淳夫君 このような新しい殿邸がつくられるような場合、当然今後生活される宮家の方々の御意見というものもそこに反映されると思います、計画の中に。私のお聞きしたいことは、天皇を初めとして、そういう皇室の方々からいろんな生活の問題あるいは住まいの問題で、いろいろ御希望が出されると思いますけれども、その問題はどのように処理をされているのかひとつお聞きしたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) ただいま三宮家、いま常陸宮家とも四宮家でございますが、この建設に当たりましては、大体大蔵省と——国有財産の皇室用財産として使うわけで、一種のまあ官邸、公邸的なものでございます。宮様の御私有になるものではございません。したがって、その建設に当たりましても、大体まあ特に基準ということを公式に決めたわけでもございませんが、その御生活ぶりから見て、職員もある程度おりますし、そういう点も考慮して検討いたしましてスタートしたわけであります。で、三笠宮殿下のを基準にいたしまして、その後大体同じような規模において考えてまいったわけでございます。もちろん建てますときはそれぞれの若干の御希望が出ております。こういう形式のものが欲しいとか、こういう建物がいいとかいう御希望が出ますと、必ずしもそのとおりになるわけでもないかと思いますけれども、大体御希望を入れた感じの建物にいたしますとか、二階でない方がいいという方もございましたし、そういう御希望は大体入れられる程度におきましては入れて建設をいたしたわけでございまして、大体できまして皆様御満足をしていただいていると思っております。
○太田淳夫君 次に、宮家の職員のことにつきましてちょっとお伺いいたしますが、宮家のお仕事の中で公の仕事をされている方々、これは国家公務員の方々が配置されていると思います。前に長官の御答弁の中に、国会の審議で、ちょうど昨年でございましたか、こういう国家公務員の方々には昔の恩給とかあるいは年金制度、共済制度というものがありますが、内廷に属する人たち及び皇族費に属する人たちについてはこういった制度がないということでございます。長官の御答弁では、そういう宮家の内廷に属する人あるいは皇族費に属する人たちに対しましてもいろいろといま配慮をされている、保険会社の年金制度などを用いたり何かしまして、いろいろとその差を縮めるように努力しておられると、このように御答弁されておったと思います。また昨年の審議のときには、法制化というのは非常にむずかしい、しかし何とか道を立ててやりたい、しかしそのために毎年多額のものが出ていくとなると財政的な基礎的な準備が必要だと、このように御答弁されております。 そこで、私お聞きしたいことは、その後どのような検討がされてきたのか、あるいは今回のこの改定にその長官の努力をされるという趣旨が盛り込まれてみえるのかどうかお聞きしたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) ごく最近のことは、必要があれば担当の秘書課長からお答えいたしますが、従来は、内廷費に属する職員あるいは各宮家の皇族費に属する職員、これは一般的に一般公務員よりいろんな点で不利でございました。しかし、それは同じような仕事をしておりますのに非常に不公平でございます。人事の異動等もたまにはございますが、そういうときにも非常に困るということが起こりますので、いろいろ努力いたしまして、ただいまは仰せのとおり年金以外につきましては公務員と全く同等に扱って、公務員がベースアップがあればそのときに上げるというような扱いをいたしておるわけであります。ただ、どうもやはりいまの年金の問題が、私的使用人でございますので非常に法制的にもめんどうでございます。いま仰せになりましたとおりに、保険会社の年金加入という問題を、公務員よりもちろん不利な点ございます。しかし、御希望があれば、これは使用主の分担もございますので、内廷費から出していただく、あるいは宮家から出していただくというような措置もしながら、御希望の者だけに扱っているわけであります。その後いろいろもっといい方法はないか検討はいたしているはずでございますが、まだはっきり私自体報告を受けておりません。何かございましたら秘書課長の方から御答弁いたします。
○説明員(藤巻清太郎君) お答えいたします。 ただいまの件につきましては、内廷職員、それから皇族の私的な使用人につきまして、現在いずれもいわゆる政府管掌の健康保険、それから厚生年金に加入しております。そういう状況でございます。
○太田淳夫君 それではまた問題が変わりますけれども、午前中からずっと同僚の秦議員から、いろいろと皇室のあり方につきまして長官との間にお話がありました。大体それに尽くされているわけでございますけれども、エリザベス女王御夫妻の来日によりまして、また改めて皇室と国民との接触のあり方につきましていろんな論議が出ていると思います。私、聞きますところによりますと、昨年の九月に、那須の御用邸で御静養中の天皇と宮内庁の記者団の方がお会いされたときに、終戦直後の全国各地への旅行はじかに国民の間に入っていかれたが、現在は、というような御質問に対しまして、そういうことに対しまして天皇から、そういうことが簡単にできることを理想としていますが、それはできるかどうかいまの状況ではわかりませんというお答えがあったと、こう言われておりますけれども、この天皇のお考えというのは、やはりもっと皇室と国民どの接触というものをお気軽にされたいと、こういうお気持ちがそこに込められていると私たちは理解したいと思います。政府もあるいは宮内庁も、国民と天皇との間に一体的な心の通い合うことが望ましい天皇のあり方、このようにかつて答弁もされております。戦後三十年たちまして日本も著しく状況が変わりました。天皇が各地を回られたときと状況もすっかり変わっております。そこで、もし天皇や皇太子が、先ほど長官のお話しのとおり、御自分の御意思でそういった御視察を希望されるなら、その後の日本の発展の姿を親しく見聞されるような機会というものをもっとたくさん設けられた方がよろしいんじゃないかと、このように思うわけです。先日もこの国会に、衆議院の食堂にエリザベス女王夫妻がお見えになりましたけれども、非常にきさくな態度で接触されてみえました。日本の天皇も非常に努力をされておみえになります。宮内庁の皆さん方も努力をされておりますけれども、もう一度、さらにこれを機会にもう一歩、国民と皇室との接触を深められるような機会を設けられたらどうか、このように思いますが、いかがでございましょう。
○説明員(宇佐美毅君) 先ほども御指摘もございますし、また同じような御趣旨の御質問でございます。私どもが異議があろうはずはございません。できるだけそういうふうにいたしたいと思います。陛下も常に、警察の苦心もわかるけれども、できるだけそういう壁を取ってほしいというお気持ちがありまして、いろいろな実情を警察庁長官のところへ私出まして伺いに行ったこともございます。そういうわけでございますが、なかなかそうは、警備の問題からいうといろいろ問題があるということでございます。ただ、園遊会なんかでは自由にお話しをいただいておるわけでございまして、そういうことさえなければもっと進むことができると思います。何も私どもがそういうことを反対だと言っているつもりは全然ございません。どうぞ御承知を願いたいと思います。
○太田淳夫君 国民と皇室の接触の場の一つに桂離宮がありますが、この桂離宮の建物はいま修理をされているというふうに聞きますけれども、状況はどうでございますか。
○説明員(宇佐美毅君) 桂離宮につきましては、最近、建物の状況を調査いたしますと、いろいろ、床が曲がってまいりましたり、あるいは建物自体が少しゆがんできているというような状態、あるいは虫の被害等も相当見えておりまして、このままほうっておくと大事な国宝的な建物がだめになるという感じで、若干そういうことがあらわれましたときから、屋内には人を通さないで庭から見ていただくようにしておりましたわけでありますが、もう放置ができないんじゃないかと。しかし、重要な建物でございますのでどういうふうにしたらいいかということで、考古学でございますとか、建築の方の文化財の関係の方だとか、いろいろな約二十名ばかりの専門家にお集まりを願いまして、過日第一回の御相談をいたしました。その前に、宮内庁で調べました状況をお話ししまして、どういう方式でこれを修理していったらいいかという論議をいたしましたが、結局、解体をして修理をしていかなきゃいけない、文化財でございますから古いものはなるべく残すような修理方法をとりたいということでございます。それで、なお現場において一度みんな視察をした上でもう一遍検討したいということで、たしか去る十九日に京都で桂離宮を見まして、その上でいろいろ御意見を伺ったわけであります。結局、第一回と同様で、もうやるべきときであるということでございます。それで、これからいろいろ、どういうふうな方法で何年ぐらいかかるかという計算に入っていくわけでございますが、やはり一遍に全部というのはなかなかむずかしいわけで、大きく二回ぐらいに分けてやりましても五年前後はかかるのじゃないか。そのほかに、これは本屋だけでございますが、その他お茶屋でございますとか、いろんな他の設備がございます。これなんかもほうっておいていいんだろうかというのが専門家から話が出まして、これも引き続きどういう状況か調べたいということでございます。できますならば、来年度に間に合うように調査をいたしたいということで、現場で専門家とともに検討いたしておるところでございまして、明年度予算に間に合いますればぜひ明年度提案いたしまして、国会の御審議をいただきたい、かように考えておるわけでございます。
○太田淳夫君 その間の参観はどのようになりましょうか、修理期間中は。全部参観は中止でしょうか。
○説明員(宇佐美毅君) そういうわけで、建物は全部覆いをいたしますので、恐らく修理の部分は見えなくなると思いますが、庭園の方だけでよろしければ、庭園と庭園にございますあずま屋等は参観ができる予定でおります。
○太田淳夫君 次に問題が変わりますが、よく町で宮内庁御用達という文字を見かけるわけですが、これはお酒、菓子、人形等、そういった商品に使われるケースが多いようですけれども、これはどういうようないきさつでこのような宮内庁御用達という文字が使用されているのか、何かその文字を使用するにつきましての特典あるいは内規みたいなものがあるのでしょうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) いわゆる御用達制度というのは、明治二十四年、宮内省御用達称標出願人取扱順序というものがございまして、これが最初でございます。その後昭和十年にその改正を見ておりましたが、昭和二十四年になりまして、最後にいたしまして、いままで認可したものの期間があと五年で切れる、それ以後はやらないということで、それ以来宮内庁としてはそういう制度を公式に認めておりません。ただ、引き続きその称号を使っているものが認可されたうちでも若干残っております。あるいは食品でありますとか、陶磁器とか衣類とか建築材料とか、いろいろなものについて宮内庁に納めるという意味で使っているものはございます。これが不当な使い方をいたしておりますれば、これは当然われわれとしても注意を与える必要がございます。かつて、あるお菓子をつくるときに紅を使いますが、その紅を婦人の口紅の広告にテレビで使ったことがございまして、これは非常に注意を与えたことがございます。そういうことはございますが、ずいぶん古くからの出入りで特に過ちがない、あるいは不当にそれを利用することがなければ、当方としてはそれがはっきりしない以上はいまのところ黙認のような形でございます。ただ、これが不当表示防止法が適用されれば、これは公取の方の問題になろうかと思います。いまのところは若干残っておりますが、いまのような特に少し行き過ぎたものは注意を与えております。その他の古くから誠心誠意納めておるところは、宮内省御用という名を使ってもやむを得ないということになっております。
○太田淳夫君 やむを得ないことでございますが、そうしますと、別にいま、しょうがない、害がないというわけでございますね。ただ、お話を聞きましたら口紅の一件があったということぐらいがトラブルといえばトラブルでございますか。
○説明員(宇佐美毅君) 私どもが気がついた例の一つを申し上げたわけでございますが、そう悪用したというのはいまのところ耳にいたしておりません。もしあれば厳重にそれを注意をいたしたいと思います。いまはまあ御紋章を使ってもどうしようもないような時代になっております。そういうことで、要するにさっきの法律上の処置として非常な不当な表示であるならば、そういう手だてはあるであろうとは思います。
○太田淳夫君 それでは、問題は変わりますが、きょうは総務長官がお見えになっておりますので最後にお聞きしたいと思いますが、三月十八日ですか、衆議院の内閣委員会で、総務長官から天皇御在位五十年を記念しての記念行事のことがお話しになってみえました。御在位五十年は来年になる、来年の天皇誕生日に記念行事を催すことで関係各省庁と協議をしている、こういうお考えがそのとき述べられてみえましたけれども、大体この計画はいつごろまでに具体化する予定でございましょうか。いま関係各省庁とのいろんな話し合いは進められておりますか。
○国務大臣(植木光教君) 衆議院の内閣委員会におきまして、天皇御在位五十年の記念の行事をやってはどうかという御質問がございました。そのほかに五十年度の予算の編成に当たりまして、与党内から昭和五十年を記念する行事をしてはどうかというような意向等もございました。ただ、昭和五十年というのは数の上の五十年でございまして満五十年ではございませんので、昭和五十年を記念する行事というのは、本年度の予算においては、あるいは行事の面におきましても政府としてはやらないことにしたのでございますが、御在位五十年がちょうど明年に当たります。たとえばオランダの女王陛下が御在位数十年を記念して国家的な行事を行われたという例もございますので、そういう面も含めまして、御質問に対しまして御在位五十年の行事を何らかの形で行い得るものであるならば行いたいので検討をしてみたい、こういうお答えをしたわけでございます。まだ私、いろいろな問題を抱えておりまして、各省庁と協議をする段階まで至っておりません。ただ、問題として提起せられましたので、いずれにいたしましても行事をやるかやらないかというところから始めながら、検討をさしていただきたいと存じます。
○太田淳夫君 そうしますと、この関係各省庁と協議をしているというのは、まだまだそこまで進んでいないということですね、そうですか。
○国務大臣(植木光教君) 関係各省庁と協議をいたしたいというふうに答えたのでございます。
○太田淳夫君 終わります。
○河田賢治君 皇室経済法の問題について、衆議院並びに参議院のいろんな議事録を読みましてやりとりを調べてみたのですが、どうも宮内庁の方が、内廷費の積算の基準ですね、物価が上がったとか、あるいはその他が上がったから何ぼ上げるということはあるのですけれども、その積算の基礎というものが、きょうも話がありましたけれども、実際その点余り明確に出てないわけですね。確かに二十二年に八百万円というものが出て、金森さんもいろいろ質素を旨とした生活だと言って、その予算を説明されております。それからまた、それに使われたいろんな費用の分類ですね、食事がどうだとか旅行がどうだとかいうような区分も、最近あなた方の方で区分されておるような形で、区分されたものは見ておりますけれども、この理論的な根拠になるようなものは余り宮内庁の方では積極的に出されていないわけですね。これはなかなかそれだけをとって標準というもの、象徴としての天皇の品位を保つとか、生活を保っていくという問題はかなりむずかしい問題だと思いますけれども、しかし、たとえば国家公務員の給与について、あの人事院勧告を見ますと、これは主として生活給与の問題ですから、まず食費の問題住居費とか、いろんな問題をずっと詳しく調べているわけですね。御承知のとおりカロリーまで、十八歳の単身で二千何ぼですか、カロリーが要る、その小売価格は幾らだといってずいぶん詳しい参考資料を出しているわけですね。これは国家公務員です。これで総理大臣が大体国家公務員の十二、三倍とかいうふうに、大体これまでの経験からはきているわけですね。宮内庁の方は、確かに天皇家のいわゆるプライベートな問題ですから、私経済に入らぬということは、それはなんですけれども、しかし予算が出る限りはその予算に対するやはり一応の納得のいく説明が私は要るんじゃないかと思うのです。この点はどうも、これまでのいろんな議事録を見ましてもはっきりおっしゃってないわけですね。これは理論的にもできてないならできてないとかなんとかないと、本当の内廷費の問題について納得のいくような審議はできぬような気がする、基礎が決まってないんですから。この点をちょっと長官からひとつ話してもらいたいと思うのです。
○説明員(宇佐美毅君) 申し上げるまでもなく、その内廷におられます天皇初め皇族の方々の御日常の生活、日常要する経費ということでございますから、一つの、何といいますか、生活費ということでございましょう。それで、その一食分のカロリー計算からそれがどのくらいかというような計算は実はいままでも出ておりません。しかし、そう、皇族様も人間でいらっしゃいますから、人の何倍も召し上がるわけではございませんし、むしろ小食の方でいらっしゃいます。そういうことでございまして、われわれも、前、八百万円の計算のとき、昔でも同じことであったと思いますが、そういうときの御生活費というものを基準にして八百万円が決まって、そのときは相当基準を御説明しているようでございます。それが基準になりまして、後物価の値上がりを見てきたわけです。先ほども申し上げましたとうり、それでもお苦しいときがあって千五百万円の基金に大分手をつけて、私の前の長官が非常に恐縮して、それをもとへ返そうというのでいろいろ御節約も願ったようであります。そういうようなことがございますので、決して普通の個人の生活と基準において余り違わないと思います。御親戚の間のいろいろな御贈答でも、われわれの経験から言うと、普通の家と余り違わない程度の物の御交換にすぎませんし、あらゆる意味で御質素であります。ただ、内廷費の中の特別なことは、やはり神祇、宮中三殿の維持に要する経費でございますとか、それから若干ございますいろいろな大事なお品の修理でございますとか、そういう特殊なものがございますけれども、その他はそう変わったものはございません。それで物件費につきましても、かつてから大体金額の総額はこのぐらいということをパーセンテージですでにお示ししてあるところでございます。そういうわけで、カロリー計算まではいたしておりませんけれども、大体常識的な線で考えておりまして、たとえば非常に物価が上がりまして、おかしな話でございますが、下さるお菓子も小さくしなきゃならぬというようなこともやっておるわけでございまして、そういう点でひとつ御了承をいただきたい、かように存じます。
○河田賢治君 この内廷費というのは定額になっておるわけですね。それから皇族費もそうでございますね。これは物価が上がったり人件費が上がれば上がるというふうにして、四十三年に定額を一〇%上がれば上げていこうという懇談会ですか、この懇談会というのは、これはどういう性質になるんですか。別にこれは法律上、こうして法律を直すとかなんとかいうことの権限があるとかないとかじゃないでしょう。どういうんです、これは。
○説明員(宇佐美毅君) 皇室経済会議というのは法律で決められたものでございます。そこのメンバーの方が、正式の会議でなくて集まって忌憚ない議論を交わそうということで、池田総理の御発案で第一回が行われましたわけであります。その後は行われておりませんけれども、それに至りましたのも、先ほど申し上げましたように、国会の方ではそう定額だからといって遠慮しないで毎年出せとか、あるいは二年に一遍出してはどうかという御議論が大分ございましたので、どうしたら基準的になるだろうかということを検討いたしまして、一〇%の予備費というものが本当にそれで足りなくなったらお願いしよう。ですから、いま二年に一遍ぐらいになりましたし、去年出してまたことしお願いしているわけで、いままでになく頻繁でございますけれども、これはどうしても物価の上がることと、それから給与ベースが大幅に上がってくるというところから出ております。本来定額でございますから、そうしょっちゅうお願いすべきものでないと私どもは思っております。そういう趣旨で、ときには、内廷費の方は何とかやれるから出さなかったり、皇族費の方は金額も小さくてお困りの模様だから出そうとしたりいたしたこともございます。そういうふうに一種の定額基準というものでございますから余り動かさないようにという配慮でいたしておりますが、このように変わってくれば、ちょっとそれでは非常に予算を組むのに窮屈でありますのでお願いしているわけでございます。
○河田賢治君 日常生活において、大体ここ数年、天皇の内廷費というものが一応質素にはされながら、過不足は大体ないというふうにお考えなんですか、どうです。
○説明員(宇佐美毅君) 不足になりますと、また定額を直さなきゃなりません。ですから、そういうときの用意に幾分ためているものを融通して赤字は出さないという形にしておりまして、それが急激に上がりますとこのたびのように去年上げてまたお願いしなきゃならぬということで、これが落ちついてまいりますと、横ばいでまいりますならばしばらく上げなくてもいいということになろうかと思います。
○河田賢治君 私はこの皇室経済法のできるときにいませんでしたから、この間の事情わかりませんけれども、たとえばこの第六条に、皇族の方、これらの方々が、たとえば子供さんができるとか、人数がふえる、家族構成が要するに変われば、だんだん、一人について妃殿下は二分の一とか、あるいは独立生計していない場合は十分の三を出すとか、こういうふうにずっと個人個人の単位で出ているわけですね。これは定額の場合はこういうことをしないで、何かこう非常に窮屈になると思うんですね。同じ定額で、家族がふえる、それからだんだん大学へも行ったり、あるいは子供さんがまたお孫さんができるとかいう場合は大変だと思うんですよ。ところが、この内廷費の方はこういうことになっていないですね。いわゆる天皇家一家の、直接の天皇の直系の一家だけの費用として出ているわけですね。この辺はどういうわけなんでしょう、これは古いときのこと私わかりませんから。皇族は皆別々に計算ができるように単位ができているんですね、一人づつの。ところが皇室の方は、内廷費の方はなってないんですね。これから十年先になれば、いまの皇太孫ですか、この方がまた妃殿下をもらうと。孫さんができる、ひ孫ですね。そうすると家族がどんどんふえるでしょう。小さいからといってほうり出すわけにはいきませんわね。そうすると、これから十年先になったら相当なやっぱり家族構成になると思うんですよ。それから、いまの皇太子の息子さんたちも、大学へ行くとか、やがてお嫁さんをもらわれる、またひ孫ができるとか、相当ふえると思うんですね。こういう場合の単位がありませんから、一軒の家として定額を渡しているんですよ。皇族家の親王の方は、みんなこれは単位で出すようになっている、計算が。この辺はどういうことになっておりますか。私、この立法当時にいませんからちょっとお聞きしておきたいのです。
○説明員(宇佐美毅君) いまのお尋ねにつきまして、皇族費の方はなるほどいろいろ多様になって、おりまして、現在親王定額というのが決まっております。それで妃殿下は二分の一、それから未成年の方は十分の一、定額の十分の一。成年に達せられると十分の三という計算でございます。これがどういうカロリー計算でどうなっているかというと、基礎のことは私もよくわかりませんが、そういう皇室経済会議、皇室経済法制定のときから一つの基準となっております。一つの御家庭にお子さんがふえていろいろになってまいりますと、これはすべて親王でなくて王の時代が来るわけです。王は法律によってまた十分の七とだんだん少し安くなります。そういうようなことがございますが、これが果たして家族構成にうまく当てはまるかどうか、まあどういうことになるか、なかなかむずかしいところが実際あろうと思います。ですから、皇室経済法についても検討を要すると申し上げたようなことは、そういうことも含むわけでございまして、各皇族様も、たとえば秩父宮様の、いまのお子様のお子様は王になられます。そういう場合に秩父宮様の親王様は三人おられますが、跡をお取りになると申しますか、秩父宮家をずっとお継ぎに——皆さん中におられますか、あるいは独立して別の宮家をおつくりになるか、そういうことにも影響がいろいろ出てくるだろうと私は思います。(「間違いじゃないか」と呼ぶ者あり)間違いでございます。秩父宮様でございません。三笠宮様について申し上げております。そういうふうで、なかなか将来どういうふうに、まあいわゆる世間で言う分家のような形をおとりになるのか、あるいは三笠宮様に残っておられるのか、そういう点についてのひとつ問題も考えていかなきゃならない。それに適応するような品位保持の経費というものも、将来何か訂正を要する時代が来やしないかという感じを持って見ておるところでございます。 で、内廷費の方は、法律にも書いてございますとおりに天皇及び内廷におられる皇族と、いま全部で七方ございます。いままでは天皇陛下の内親王でいられる方が御結婚して出て行かれました方もございますし、新たに皇太子様のところへお生れになった方もございまして、その都度都度、そういう増額の場合にそういう点を考えております。さっき申し上げました常陸宮様の独立の場合は内廷費を上げなかったこともございました、経費を落としまして。それから貞明皇后が御生存のときの措置もあるわけでございます。貞明皇后の皇太后宮職が廃止になりました。そうすると相当経費が要らないということで、物価が上がりましてもそのままであったときもあったかと記憶いたしております。そういうふうに扱っております。
○河田賢治君 まあとにかく、こういう法体系の中に、一方は個人をかなり単位に見て物を支給するという考えと、片っ方は一つの大家族主義で、子供さんがありひ孫ができても、まだ小さいんだから独立することはできないし、そういう場合になりますと、定額だとここで非常な矛盾を感ぜられるわけでしょう。まあ内廷費もそれは一〇%上がれば上がると、この間のあれでなりますけれども、子供さん一人ふえたからってすぐ上げるわけにいかぬでしょうし、だからこういう点でこの法の中に私は一つ矛盾を感じたわけですが、こういう問題をもっと精密にやられるというお考えなんですが、さらに進みます。 先ほども話が出ましたが、天皇家に仕える、いわば天皇にとっては家事使用人ですね、二十五人おられるそうですが、この人々は先ほども話がありました。しかし、これは国家公務員並みに準じて人件費を上げておられるわけですね。しかし、まあ国家公務員といってもこれは天皇のいわば家事使用人ということになりますから、給与は出ましても退職金や、それから恩給制度なんかが、さっきも話がありました。これはやはり何らかの形で、国家公務員に準ずるなら、やっぱり個人的なそういう使っておる労働者との間の雇用関係がある限りは契約を結ばなければならぬと思うわけなんですね。で、国家公務員に準ずるなら、やっぱり恩給制度もこさえなければならぬ。できるだけ、いろんな点では民間なんかの産業を研究しておやりになっていることになりますけれども、少なくとも予算で要求されるときは国家公務員並みということを言っておられるわけですね。しかし、実際のまだそういう制度がきちんとできてない。やがて週休二日制なんかもなるでしょうしね、そういうものを見計らって、やはりこういう問題もはっきり、いやしくも天皇、象徴なんですから、そこで使われておる人も満足し、あるいはまあ不満であってもとにかく一応日本の最高のいわゆる労働水準というものを保っていかなければならぬじゃないかと思うんですね。そういうことは、やはり宮内庁としても率先して、これは国家が直接やりませんからいろんな費用の国家分担というものがありませんけれども、しかしそういうものをやはり勘案して働く人に対してはやらなければならぬじゃないかと思うわけです。で、まあ非常に、いま国家公務員の定員削減なんかもありますから、定員の削減するところはしていくと、それでもっと現に働いている人を優遇をするとか、いろいろそこら辺のお考えはこれからあるでしょう、検討されると思いますけれども、そういうものを早くおつくりになって、少なくとも家事使用人というのは天皇さんだけじゃない、親王さんのところもありますし、それからまた一般のところもずいぶんあるわけですから、こういうものの模範になるようなものをちょっとおつくりになる必要があるんじゃないかと、こういうふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
○説明員(宇佐美毅君) いま御質問のとおり、私どもも同じ職場で同じように働いているわけでございます。したがって、国家公務員に劣らないようにしてもらいたいという感じがいたしまして、この人件費のベースアップのときには、やはり内廷費も上げていただいて出すようにしたい。ただし、この恩給的な、保険的な問題になりますと、これはもう非常に数が少ない人を相手のことでありまして、いずかばかりの掛金だけでどういうふうにいくだろうか、なかなかずかしい問題がございます。退職金の方は、これはもう陛下の方にお願いいたしまして、公務員と同じ程度のものは下さるようにお願いしているわけでございます。ただ、保険、恩給的なものにつきましては、そういった掛金とかいうような問題も、やらないと公平でもございませんし、それだけは人数が少ないので非常に、やりにくい問題でございます。それで、さっきのような措置をして、幾らかでも埋めるような努力をしておるわけでございます。
○河田賢治君 まあその人数が少なくても、個人個人では契約ということでやればやれるわけですよね、別に大きなあれをつくらぬでもですよ。やっぱり労働者として働いている人にとっては、労働権やそれからそれに対するきちんとしたあれを、社会保障のものを、やっぱりちゃんとつくるということが私は必要だと思うわけです。このことを申し上げて次のところへ入りたいと思うんです。 そこで、この施行法の第二条、つまり天皇が一定の価額のものを下賜する場合、それから譲り受ける場合、この規定がございますね、九百九十万円、後者の方が三百三十万円と。これは最近ずいぶん物価が上がっておりまして、いまおっしゃいましたようにお菓子も小さくなったと、同じ下賜するんでもだんだん下賜品がかっこうの悪いものになってきたとおっしゃっているんですが、これの改正はやらなかったわけですか、なぜでしょうか、ちょっとこの点を伺いたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) ごもっともな質問でございますが、過去においても二度ばかり増額をお願いいたしたことがございます。ただ、たくさん下さるということ、あるいはたくさんいわゆる国民からもらわれるということを余り奨励しないと、憲法第八条というのは、もう一々国会の議決を経なきゃならぬというたてまえにあるものでございますが、ただ余り細かいものは煩瑣でございますから、そういう特別な規定を盛ってその範囲は自由でよろしいということになっておるだけでございます。ですから、これを非常に大きくしていくということは、憲法の趣旨でもないんではないかというふうに考えます。ですから、余り物価の関係が変わってくれば適当なときにまたお願いする時期があるかもしれませんが、いまのところ特にそうしないと非常に困るという状況でもないように思いますので、まだお願いしてない状況でございますが、またいずれそういう機会があるかもしれません。
○河田賢治君 その点は私も賛成なんですよ。 これと関連しまして次の問題に入りますが、最近天皇の誕生日にいろんな社会事業団体なんかへ下賜金を渡されておりますね。大体慣例になっておるようでございますが、それからまた、いろいろ赤十字の大会とか、皇后が出て御下賜されるとか、それからまた、学士院とかその他いろんな学術的なものにも出されておるやに承っております。私新聞で、田舎の新聞ですけれども見たんですが、天皇の誕生日に当たって、保育所が一カ所と、それから児童の福祉施設ですね、これに御下賜金があったという記事があったわけですよ。ちょっと私も重箱のすみをようじでつつくような聞き方もしませんし、大まかに聞いたわけなんですけれども、かなりやはり天皇の下賜される問題については、どういう順序でやったとか、いろんなことを聞きましても、どうもおっかなびっくりで、とにかく恐れ多いことだというふうに役所の連中も感じているわけですね。私も余りは聞きませんでしたけれども、議事録を見ましても、社会事業団体の優良な事業団体に渡すんだということを瓜生さんであったかどなたか宮内庁の方がこの国会でおっしゃっておりますね。さてその優良な団体というのはどういうことになるのか、その点をまずお聞きしたいわけです。
○説明員(宇佐美毅君) 従来は天皇誕生日あるいは暮れにもそういうことがございまして、ただ昔からのあれで下さる金額も非常に少ないこともございましたので、近ごろは全部統一して天皇誕生日だけということにいたしております。この際、やはりそれは厚生省あるいはいろんな保護事業、更生保護、法務省関係の施設でございますとか、そういうものについて、その省において、非常によくやっておる人、団体というものを選んでいただいて、これはもう全国にわたりますので、とうてい宮内庁が毎年調べて歩くわけにまいりません。そういうものの調べをいただいてそれに下さっているわけであります。まあいま申し上げたようなことで、いまの時代から言うとその金額も十分でもちろんないかもしれませんけれども、そういう福祉事業方面に陛下は非常に御関心がおありでございますし、昔からそういう面に力を入れていらっしゃいますので、まあそういう気持ちをあらわすような意味でいまだに続いているわけであります。いろんな点は、そういった厚生省その他の役所の方も大変なお仕事になると思います。ですから、どうしたら一番いいかということもときどき伺って相談をしつつあるわけであります。いま現状はそういうことになっておりますので、その他赤十字、これは特に皇后陛下が名誉総裁をしていらっしゃいますので、赤十字関係の病院に入っている者に、お見舞いにほんのわずかなものを賜るとかいうようなことも行われておりますけれども、そういうわけで、これもだんだん、非常に小さな品でございますが値段も上がってまいります、苦労をしているところでございますが、しかし毎年行われておりますので、何とか絶やさずにいきたいという努力をしているわけでございます。
○河田賢治君 厚生省の方来ておられますね。——伺いますか、社会児童福祉施設、この国会提要で見ると、全国的に公営とか私営とか、こういうものがあるわけなんです。しかし、優良団体と宮内庁で認められて、それをあんた方の方で引き受けて選定されるんだと思うんですけれども、優良団体というのはどこを標準に優良にされるのか、私はこれちょっと疑問が大分出てくるわけですよ。御承知のとおり公営保育所にしましても、これは全部地方自治体が厚生省からの補助金も受けて建設もする、あるいはまた措置費を受けてやっている。しかし、御承知のとおり最近は超過負担で公営やっているところもかなり赤字が出てもう弱っているでしょう。そういう、経営が同じようにやられていてどれが優良かということはなかなか区別がつきにくいんじゃないか。それから私立になりますとね、公営でも、公立公営と、それから公立私営ですな、委託して、それでどんどんある程度児童の養育料ですか、園児から、親から金を出してもらってそれで経営するのもあります。それから全然私立ですね、私営、私営私立でやっているところもございます。東京あたりではずいぶんひどいのがあって、子供を殺したりしているようなところもありましたがね、無認可だったと思いますが、そういうふうに千差万別なんですね。そういう中で、こういう天皇から下賜される金額、たとえわずかであってもこれを配分するときに優良な団体というのはどういう標準になりましょうか。あなたの方から見てどこを基準に優良とされるのか、ひとつその辺をちょっと伺っておきたいのです。
○説明員(北村和男君) いまのお尋ねでございますが、天皇誕生日に際しましての御下賜金のしきたりは、昭和二十三年以来ずっと継続しているわけでございまして、私どもの方といたしましては、宮内庁の当局から本年度はこのくらいの数ということをお示しいただきますと、早速都道府県、それから指定都市の方に連絡をいたしまして一定の推薦を求めることにいたしております。その推薦をいたします際に、私どもといたしましては、その自治体においてどれが適当であるかということにつきましては詳細に存じませんので、一応社会福祉事業法に言いますところの社会福祉施設を経営していること、それからその設置主体も原則として社会福祉法人、場合によりましては都道府県で認可されておられます公益法人ももちろん含めますけれども、そういうことであること、数がたくさんでございますので、私どもの方といたしましては、できて三年以上施設経営をしておられるところで、かつ過去五年間にわたって御下賜金をいただいたことのない施設というような条件をつけまして、各県から推薦をいただいておるわけでございます。
○河田賢治君 私も、これ個別的に当たったわけじゃないんですけれどね、ある市役所で聞きますと、実は昨年もほかのところへ——同じ同一市内ですよ、来たと言っておりましたよ。やはり一つの地方都市ですからね、六万か七万ぐらいの。たくさんあるわけです、ほかにも。ずいぶん古い町づくりの町もありますし、新興都市もありますし、いろいろあるんですけれども、優良な事業団体に天皇家の方から下賜されるという場合に、いまおっしゃったように三年以上とか五年以上とか、いろいろなそういう条件をつけられておりますけれども、どこへ行ったってかなり保育所というのは火の車が多いわけですね。それを、余り優良でない、これは優良だなんて折り紙がつけられるかどうかという問題が出てくるわけですね。私立だと公立と違ってやっぱりたくさん子供さんの親は保育料を出さなきゃならぬわけでしょう。もう一万以上出しているところはざらにあるんですわな。だからそういう中から、仮に私立には行かぬにしましても、とにかくここは優良だ優良でないとか言って渡しましても、どうも基準がぴったり私たちにはしないし、それからもらう方にしましても、もらわぬところがこれは大分問題なんですよ。たとえ二万でも三万でも、やっぱり少しでも、小さな経営になりますればおもちゃも買ったりいろんなことをしたいと思うでしょう、設備も直したり。そういう場合に、なかなか対象は多いですから、これはみんなに満足させるわけにはいかぬと。そうしますと、一方に出せばかなりほかに渡らなければ不公平になるわけですね。みんなが欲があるわけじゃないんですよ、みんな困っているから。だからこの点で、団体が一つならここへ金下げるというときには公平さはあるわけですよね、けんかはないわけですよ。しかし、たくさん困ったところに、そこにぽつんと三年なり五年のいろんな期限をつけて、これは優良だ優良でないという基準をつくりましても、どこでも少しでも金は欲しいとか設備を少しよくしたいとか、子供さんを喜ばしたいとかいうことはたくさんあるわけなんですから、そこへ出しましても、かなりこういう選定そのものが結局大きな社会的不公正を生むと私たちも考えるわけなんです。確かに赤い羽根運動やいろいろ個人の寄付を仰いでやることもこのごろはありますけれども、しかし本来、これは総務長官にお聞きしますけれども、閣僚としてこういう社会事業を行うこと、特に保育所をつくったりあるいは児童の療養施設をつくったりすることは、これは政府の私は責任ではないかと、昔は金持ちとか、いわゆる救貧、貧乏を救うとか、あるいは非常に貧しい者をどうするとかいうような、大金持ちから金を仰いでそれで事業をやることもある時代があったわけですよ。しかし、いまは政治としてやはりできる限り国民の多数の望む、そうした不幸な児童の施設をつくったり、あるいはまた保育所をつくったり、あるいはさらに進んで幼稚園もつくったり、そういうことは政府のいわば本来の政治的な責任があるんじゃないかと、こういうことを考えるのですが、どうでしょう。
○国務大臣(植木光教君) お説のとおり社会福祉施設をつくりましたり、あるいは保育所をつくる等々の施策は、第一義的には国が責任を持って遂行すべきものであると自覚をいたしております。同時にまた、民間の諸団体でありますとか、あるいは篤志家でありますとか、こういう方々の御協力を得るということも一つのへ重要な課題であると思うのでございまして、官民協力をいたしまして、ただいま御指摘のような施設の充実並びに整備のために努力をすべきであると考えております。
○河田賢治君 恐らく厚生省にしましても、宮内庁からこれほどの下賜金があるだろうから、子算は組んでもこれぐらいくるから、それで多少でも助かるわいというようなお考えは私はないと思うのだけれども、それはどうでしょう。
○説明員(北村和男君) この御下賜金の御趣旨が御趣旨でございますから、また先ほどお答えもございましたように、金額的に足しになるとかならぬとかいうことじゃなしに、まさにお気持ちでございます。したがいまして、私どもはそういうありがたいおぼしめしでございますので、その範囲内で各県でできるだけ適当な施設を、先ほど申し上げました条件に合うようなところで、ひとつ自治体の方で十分御検討の上推薦していただくことにいたしております。内容につきましては、金額も金額でございますから、施設収容者全体で利用できるような、たとえば子供の施設でありますと遊具とか——遊び道具等でございますか、大人の施設でありますと、ロビーに置きますテレビとかラジオとか、そういうみんなで利用できるようなものを選んでいるような実情でございます。
○河田賢治君 いま、大臣や、それから厚生省の方が述べられましたように、それはお気持ちには違いないんですね。けれども、それがどうせあなた、国民から税金いただいて、天皇がですね、そうでしょう。一般会計からことしは一億六千七百万ですか、いま要求されております。このうちの幾分かがそれに入るわけですわな。それが下がってくるんですよ。だから、基本的にはこういう問題の考え方が、たくさんこれは陛下がどんどん下賜されると、これは九百九十万円に決まっておりますけれども、さっき宮内庁長官が言われたように、できるだけこういうものは減らしたいとおっしゃっているのは私は賛成なんですよ。予算でうんと組めばまた下へたくさんおろすことができるんですよ。しかし、政治はそんなものであってはならぬはずなんですね。天皇あるいは天皇一族の何か仁恵によって、いわゆる恩恵によっていろいろな制度が生きてくるというようなことでは本当のこれは政治ではないので、だから私はその点を言うので、いま長官も、一応政治の責任はこちらにもあるとおっしゃったんですが、そういう点から宮内庁の方も安心していただいて、これはやっぱりどんどん減らして、もっと緊急なものはたくさんあると思うんですよ。自然災害もありますし、そのほか新しい文化的な方面もいろいろ今日ありますし、もっともっと国の政治が、不幸な病人やあるいは生活のできない人あるいは子供がたくさんあって難渋な人、こういうものが、いろいろいま設備をつくりつつあるわけなんで、まだまだ日本の社会が今日その方向にやっと一歩を踏み出したぐらいにすぎないんですね、諸外国から比べましても。だからこれからなんですね。ですから、そういう点からしてもやはり私たちはできるだけ国の政治が責任を持ってやるということが必要だと思うわけです。そういう点で、私はこの問題を、宮内庁が優良な社会事業団体とおっしゃいますけれども、この優良自体を見分ける標準自身が非常にこれまた困難なので、多くの施設その他はかなりそういうものに対して不満を持つと思うんですよ。また実際に持っております。だから、こういう点も十分配慮されて、下賜される場合でも、なかなかそう一般には渡らぬと、渡らぬときにたくさん寄って、そうしてわずかばかりを出して、これは天皇の仁愛によるものだとかいうような広告をせぬでも、まじめな政治をやり、まじめな仕事が政治の上に反映していけば、みんな別にそう問題はないわけなんです。そういう点を私は強く主張しまして、厚生省の方もう結構です。それからこの問題は宮内庁もそういうことをさっきおっしゃいましたから、できるだけこういう問題についても配慮をお願いしたいということです。 さらに、天皇が今度十月ですか、アメリカに訪問されますね。この方は内廷費でなくて宮廷費から出ると思うんですが、まだどこを回られるかということもこれから細かく、恐らく向こうとも打ち合わされるので確実なものはできていないと思いますけれども、大まかに今度の訪米されるについて大体どのくらいの予算を組んでおられるのか、ひとつ、できましたらその点一つだけちょっと伺っておきたいと思うんです。
○説明員(宇佐美毅君) 天皇御訪米につきましては、先ほど申し上げましたとおり、まだ御日程も詳細にでき上がっておりません。ただ、いろいろなアメリカでも希望がございますので、すでに発表になりましたように、ワシントンから都市としてはニューヨーク、それからシカゴ、サンフランシスコ、それからロサンゼルスと、あと海洋研究所、その付近で二カ所ばかりというのを発表になっておるだけで、その各都市あるいはワシントンにおける諸行事というものもまだはっきりいたしません。それから、大きな経費というのはやっぱり飛行機の経費だろうと思います。これもなかなか、いまいろいろヨーロッパのときと違いまして、ヨーロッパのときは国から国へ移動される場合に飛行機を使っておるわけでございますが、今度は一国内を飛んで歩くわけで、したがって、そこにはアメリカ側の警備であるとか、接伴員とか、大使館の人とか、いろいろ乗り込んできまして一体どうなることか、ちょっといま心配しているところでございます。そういうような関係がございますから、まだ予算の見当というのはつきかねております。たしかヨーロッパにおいでになりますときも、要するに特別機の飛行機代というのは非常に大きゅうございまして、その他の経費というのはさほどでもないわけでございます。そういう点が決まってきませんとちょっと見当がつきません。宮内庁には国際親善費という経費がございますが、これはことしの年度に入ってルーマニアの大統領とか、イギリスの女王が見えましたし、いろんな点から大分使い込んでおりますので、恐らく予備金をいただかなきゃできないんだろうと思っております。もう少したちませんとその金額の全貌はわかりません。
○河田賢治君 そうすると、ことしの予算の中には大まかに何億なら何億というようなものが組んでないんですか。組んでおってもそれが少なくなるだろうから予備で今度は支出してもらおうと、こんなお考えなんですか。大体見当はついていたんじゃないんでしょうか。
○説明員(宇佐美毅君) いつ陛下がおいでになりますということはそう早くから決まっていたわけでなく、アメリカの大統領が十一月に見えまして、また盛んにお勧めがあって政府としても適当な時期にということであったわけでございます。それからいろいろ時期等の検討がございましたし、予算提出後においてもまだ見当がつかなかったわけでございます。そういうわけで、いまだにはっきりここでどのくらいというおおむねの経費もまだ出ないわけでございますので、まことに申しわけございませんけれども、十月に実現するわけでございますが、そのために必要な経費というのはどうしても予備金をお願いしなきゃならない。宮内庁が持っておりますそういった国際親善費というのは、毎年一億二千万円いただいておるわけです。ですから、とてもそれだけではすでに各国の国賓を迎えておりますし、とても足りないと思います。
○河田賢治君 大体天皇がことし行かれるということはわかっているわけですから、やっぱり、やってしまってからさあ予備費だというよりも、大体先のわかることなんですから、少なくとも随員がどのくらいでアメリカ回ればどのくらいというような大まかな見当はつくんじゃないかと思うんですが、それが組んでないというのは私は予算の提出についてちょっとふまじめじゃないかと思うんです。何でも予備費予備費で、済んでしまってから事後承諾を得るようなやり方は、これは改めるべきじゃないかと思うんです。
○説明員(宇佐美毅君) アメリカにおいでになりますということの大綱の閣議決定が決まりましたのがことしの二月二十八日で、すでに予算もでき上がっているときでございます。前もってわかりそうなものだと仰せになりますけれども、なかなかこういう問題は慎重にいたさなければできませんので、そう大ざっぱに考えるわけにいきません。ヨーロッパのときは大体十八日間でございまして、これが一億九千二百万ぐらいでございました。したがって、今度は十四日ぐらいでございますが、大分アメリカの物価も違うようでございますし、ちょっと見当つきませんが、大分航空機賃も上がっておりますし、まあ二億はどうしてもかかる、もう少しよけいかかるんじゃないかと私は思っておりますが、まだやってみなければわかりません。
○河田賢治君 それでまず大まかにわかりました。 もう一つ問題は、これは地元の問題なんです。つまり、修学院離宮の横山というところは、地図で見ますと伊豆半島みたいに南の方が細くなって、そこの道路は大体半分ばかりが市の道路なんですけれども非常に狭いんですね、昔の村の道路ですから。そこに舗装はしてあります。そこから少し北側になるところは里道だそうです、最近京都市で聞きますと。だから、まだ籍がどこにもないという無籍な道路だそうなんですが、いずれにしましても、その道を、私は二車線にしてくれとは申しませんよ、私らの家の前は新しく住宅が建ったところはみな二車線で車の往復はできるわけですが、そこはところどころ広いところがあったりしても、狭い一車線しかない。そこで自動車が会えばお互いにらみ合って心臓の弱い方が負けて引き下がるわけですよ。そういうところがなんですが、ところが離宮の山が、ところどころ山のすそが道の方へかなり出ているわけです。出ていまして、約二メートルばかりありますから、そうすると先が見えないわけですよ。最近人口がずっと北の方にふえまして西沮沢といいますか、そこで人家がいっぱい建っちゃったんですね。それでかなり自動車の通行も多い。この間も、離宮の山の木が一本人家の上に倒れたことがあるんですよ。後、宮内庁の方も来られて、そこで要求を出して木を少し切ってもらったり、枝を払ってもらったことがあるんですが、そこをある程度根本的に、少し道路に下がっているところを削りませんと見通しが悪いわけですね、そんなところが二、三カ所ある。それから南の方は非常に道路が狭いんですけれども、自動車が来ますと山際の方を車が通るものですから、そこを買い物に行った奥さん方が子供を連れたりして避けるところがないというところもあるわけなんですね。最近この山は、御承知のとおり修学院離宮から見ますとこれは遠景ですから、借景と言うんですかね、上の山だけが必要な部分になって、すその方は人家が建っていますが、別に離宮の景観を壊すわけじゃない。離宮から見る景観のためにそういう土地が離宮の山として残されているわけです。それからずっと先へ行きますと松ヶ崎とか、あるいは金閣寺の奥の山とか、あるいはまた愛宕山とか、京都のずっと西側の山まで離宮から眺望ができて、そういうところの一番とっかかりの山になっているわけです。ところが、ここは木が折れたりなんかしまして眺望が悪い。それに非常にこのごろ住宅に住む人がところどころ土を持っていくわけですよ、腐植土ですから。ちょうど木の葉が落ちて熟しているでしょう、そうすると植木なんかにはちょうどいい土なんですね。ところどころ土を持っていって穴が掘れているようなところもあるわけですよ。それから子供さんがその山へこのごろ登るわけです七近くに小さな一般の遊び場があるんですけれども、そこはなかなか使わずに、少しやっぱりテレビなんかの影響で冒険したくて、ちょっとこの三メートルばかりの山へ登ってここから滑り落ちるわけですね。だからそこを自動車が通ったら、とまるわけにいかぬでしょう、山の急なところを滑り降りるんですから。ですから、その辺のことでまず私たちが地元の要求としましては、出た山のところを、見晴らしが多少でもできるようにまず山を削ってもらいたいということと、それからもう一つは有刺鉄線ですね、とげのある、戦争のときに使いますあの鉄条網、あれがずっと山に張られているんですよ。昔は、私があそこへ移ったころは、まあ十何年になりますが、そのころはそんな鉄条網なかったんです。これはもう普通のなわを一本ずっと回して、そうして山へ入ってはならぬぞという印になっていたんです。ときどきマツタケが出るとか、キノコがちょっちょっと出るらしいんですよ。そこでもう百姓さんがずっとなわ一本張っていただけなんですよ。それが最近はそこにずっとくいを打って、そして鉄条網の線がずっと張ってあるんですよ。その間に子供が山を登って、さあっとすべり降りるわけですね。第一、私の考えではこのような鉄条網——有刺鉄線ですね、これは私たち見ても、あそこは何といいますか、風致地区と申しますか、一つの京都市が保存する地区として指定しているところなんです。そこへ有刺鉄線ですね、宮内庁の建物の山の中にそういうとげのある鉄線が張られているというのは、何としても私は見ても気持ち悪いんですよ。何も鉄線でなくても普通の鉄の棒か、そうでなくても竹の棒でもいいと思うのですがね。そういうものをやっぱり道のふちに——子供が、少し間がありますからここを登るわけですから、これをできるだけ外して道のそばにさくをしてもらいたいと、こういう要求が出ているわけですよ。これはなかなか、宮内庁の方から言っていただかぬと、京都市から言いますと、何しろ宮内庁というところは恐れ多いことなんで、なかなかとっかからぬわけです。また、用地自身が宮内庁の所有地になっておりますから。これまででもやはり大きな住宅地のできたところはかなり山を削りまして、かっこうの悪いみかげ石でずっと積んであるところがあるんですよ。ここはやはり宮内庁の山を削ったんですがな、大きな団地ができたときに。しかし、こっちの方はそれがないんですね。だから子供さんが遊んでいるのを見てはらはらするわけですわ。そういう要望が実はこの前ありまして、去年宮内庁の方も離宮の方と一諸になって山なんかを見て回ったんですが、とにかく子供の命って大切ですから。いま普通のところでも、どぶへ落っこちたら、公共団体がさくがしてなかったらそこはもう負担せんならぬでしょう。そうすると、離宮の山なんですからな、登るところは。そうすると離宮が問題になるんですね。だからその辺は、あそこの見通しをよくしてもらうことと、道路を二車線にするのは私もきらいなんです。あんまり車が通りますとね、このごろできるだけ車は避けた方がいいんで、多少一車線でにらみ合ってもいいから、細いところもたまにはあってもよろしい。ただ子供が登らぬようにさくをもう少し感じのいいさくをしてもらって、それから南の方、一番南端は子供さん、あるいは子供連れの細君たちが身を避けられるようなちょっとガードレールか何かを、これは市の方がやると思うのですけれども、とにかくそういうイニシアを離宮の所有者である宮内庁がちょっと京都市と話をしてもらって、そうしてこういう点をひとつやっていただきたい。子供は何といってもじゃんじゃんこれから天気がいいと遊びますからね。できるだけ早くこのことをお願いしたいという、こういう問題があるわけです。ひとつ宮内庁のどなたか、長官でなくても結構ですが。
○説明員(宇佐美毅君) 特に関西地方におきましては、陵墓でございますとか、こういった問題で、道路等の関係でいろいろそういうことが起こっております。われわれの方針といたしましては、こちらに支障のない限りお譲りして一般交通がスムーズにいくようにできるだけの努力はいたしているつもりでございます。 ただいま御指摘の修学院離宮の関係は、私は実は現場を拝見しておりませんのでよく存じませんけれども、昭和四十四年にも当該道路の一部につきまして、市の要請によってこちらの道路を広げたこともございます。ですから、これにつきましては、道路管理者であります市から要請がありますれば、われわれは、できることは公共のためにいたしたいと存じます。御質問のあったことは京都事務所の方にも伝えまして、できることはいたすつもりでございます。ただ、山は余り削りますと、あの山は何か地質の関係もございまして崩れる心配もあるんじゃないかという論もございまして、ちょっとこの問聞いたこともございます。 それから鉄さくのことでございますが、短いところなら相当りっぱなものもできますけれども、非常に大きなところを囲うということになりますと、相当経費も要することでございまして、すぐできるかどうかわかりませんが、もし必要あれば予算をいただかなければできないかと思っております。よく京都事務所から市の方と連絡をとっていくようにいたします。御趣旨はよくわかりました。
○河田賢治君 終わります。 —————————————
○委員長(加藤武徳君) この際、委員の異動について御報告をいたします。 本日、源田実君及び八木一郎君が委員を辞任され、その補欠として井上吉夫君及び岡本悟君が選任されました。 —————————————
○委員長(加藤武徳君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は終局したものと認めます。
○国務大臣(植木光教君) お許しをいただきまして、二点について補足をさしていただきます。 第一点は、秦委員の御質問の中に、天皇について総理府が世論調査を行ったという結果に基づいての御質問がございましたが、これはNHKが調査をしたものでございまして、これを総理府広報室が出しております「世論調査」という月刊誌に発表したものでございますので、補足をさしていただきたいと存じます。 それから、太田委員の質問に対しまして、天皇御在位五十年について、衆議院におきまして各省庁と協議をしたいと申したと、こう申しましたが、当時協議をしておりましたので、しているという答弁をいたしました。その後はまだいたしておりませんで、今後行事を行うかどうかということについて協議をさしていただきたいと存じますので、この点は訂正をさしていただきます。 以上でございます。
○委員長(加藤武徳君) 世耕君から委員長の手元に修正案が提出されております。 修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。 この際、本修正案を議題といたします。 世耕君から修正案の趣旨説明を願います。世耕君。
○世耕政隆君 ただいま議題となりました修正案につきまして、まず、案文を朗読いたします。 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案に対する修正案 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。 附則を次のように改める。 附 則 この法律は、公布の日から施行し、改正後の第七条及び第八条の規定は、昭和五十年四月一日から適用する。 以上であります。 次に、本修正案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。 原案の施行期日である本年四月一日がすでに経過しておりますので、これを公布の日に改めるとともに、改正後の法律の規定は四月一日にさかのぼって実施しようとするものであります。 以上でございます。 何とぞ、御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(加藤武徳君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もないようでありますから、これより原案及び修正案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようてありますから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより皇室経済法施行法の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、世耕君提出の修正案を問題に供します。世耕君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(加藤武徳君) 多数と認めます。よって、世耕君提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(加藤武徳君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定をいたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 本日はこれで散会いたします。 午後四時三分散会 —————・—————