地方行政委員会 第12号
- 発言数
- 284 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/06/17
会議録
○委員長(原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、赤桐操君が委員を辞任され、その補欠として竹田四郎君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 地方交付税法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) 地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○加瀬完君 先般の質問の末尾で、政府側に何点かの御回答をお願いをしてあるはずです。その一つは、租税特別措置法あるいは地方税の非課税措置、これを整理する必要があるのではないか、この見解をお願いをしております。特に、この問題は私個人だけの問題ではございませんで、租税特別措置等の再検討をという要望が知事会から出てもおりますので、知事会の見解をも踏まえて御答弁をいただきます。
○国務大臣(福田一君) 加瀬さんにお答えを申し上げます。 ただいまの御質問は、お説のとおり、衆参両院の予算委員会その他の場におきましても一つの重要な課題として要請をされておる問題でございますので、ただいま政府としては、やはりこの問題は十分検討すべきものであるという意味合いにおいて協議をと言いますか、対策を検討しておる段階と御承知願いたいわけでございます。
○加瀬完君 その点は了解をいたします。 そこで、全国知事会は、租税特別措置は社会経済情勢に照らし見直しを行うべきである、こういう主張をしておりますが、知事会の、社会経済情勢に照らしてこの租税特別措置法その他地方税の非課税措置は十分見直しをしなければならないという点は、御了承願えますか。
○国務大臣(福田一君) 知事会での要望もございますが、かねがね申し上げておりますとおり、これらの措置は、いわゆる高度成長時代に決定をし、施行されておった内容でございまして、いまや安定成長を迎え、という今日の段階でございますので、いずれも今後、ひとつ安定成長ということを踏まえてこの問題の解決に当たらなければならないものと考えておるわけでございます。
○加瀬完君 これは財政局長に伺いますが、地方税への影響は遮断すべきだと、こういう知事会の主張はお認めになりますね。
○政府委員(松浦功君) この点につきましては、かねがね自治省として主張をしておるものでございます。私どももそうありたいと考えております。
○加瀬完君 さらに、私もこの前指摘をしましたが、知事会は、交際費課税の強化、利子及び配当所得の課税の特例、社会保険診療報酬の所得計算の特例、各種の準備金、その他地方税の非課税措置等による事業税における社会保険診療報酬の所得計算の特例、こういうものを整理縮小すべきだという主張をしておりますが、これらは自治省としても、あるいは政府としても、整理縮小をする対象として一応考えるというように了解してよろしゅうございますか。
○政府委員(松浦功君) 国税の問題については、私どもは、大蔵省にそういうふうにしていただきたいという気持ちで当たりたいと思いますが、どうこうするという権限はございませんので、その点はお許しをいただきたいと思います。ただ、仄聞するところによりますと、大蔵省でもこの問題、もうすでに検討を始めておられるように聞いております。知事会のような方向に問題が進むことを自治省としては望んでおります。 地方税の問題につきましては当省において検討をいたすということで、加瀬先生の御主張どおりというふうに考えております。
○加瀬完君 もちろん租税特別措置法は大蔵省の関係になりますけれども、高度成長政策というものは安定成長に改められたという大臣の御説明もありましたが、それならば、これは閣議の方向としても、高度経済成長政策のカンフル的な役割りをしておったこの租税の特免諸措置というものは、これは十分知事会等の要望に沿って検討をされるように、大臣として御努力はいただけるというように了解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(福田一君) 正式に閣議の議題になったことはございませんが、その方向で検討をいたしたいと思っております。
○加瀬完君 さらに、給与費は単価のみの問題では解決しないので、員数の問題も当然問題にすべきじゃないかという点を私は指摘をしたわけでございます。知事会も、警官給与は国が出せと、こういう要望を込めた報告をしておりますね。その中に、四十七年警察費は、地方が出した分が六千九百八十一億、国が六百十億、警察官、教職員の人件費は全体の七八・五%、大きな財政の圧迫の原因をなしているのに、その中でも警察官はほとんどが地方負担ということになっておって、この重圧に耐えかねる。警察官給与の財源というものはもっと国が考えるべきだと、こういう要望をしておりますが、これは自治省として、あるいは大臣は国家公安委員長でもありますから、この警察官の地方負担の給与費というものについてどうお考えですか。
○政府委員(松浦功君) 一つの私どもとしては御意見であろうというふうに受け取っております。ただ、非常に大きな金額でございますから、過去のような連帯支弁金制度というような形に取り入れるといたしますと、交付税率を引き下げるという問題が当然起こってくると思います。したがって、地方財政全般のきわめて重要な問題でございますから、有力なお説として私どもは今後検討さしていただきたい、こういう気持ちでおります。
○加瀬完君 これは、財政局長ですから内容はよくおわかりだと思う。法律的にもはなはだ不明確なんですね。地方公務員であるべき警察官の増員計画というのは国がするわけです。国の計画に従って地方は増員された分までの給与費を賄うわけですよ。しかも、地方公務員を指揮する者は国家公務員です。国家公務員の警察官が、ほとんどすべての警察行政ということに対して地方公務員である一般の警察官を指揮する。法律的にはなはだ不明確なんですね。国家公務員が地方公務員を指揮する権限というのはないわけですよ。指導監督という域を超えて、直接指揮命令を下す権限というのは警察官だけだ。この給与は全部地方が、大多数の警察官の給与というのは地方が持っている。 あなたはいま交付税のことを言われたけれども、交付税というのは自主財源ですよ。自主財源である交付税というのは、国家事務のほとんどをする警察官の給与を負担しなきゃならないというひもは、どこにもついてないわけだ。警察官給与が交付税の算定になるから、警察官給与を、国から教員のように国庫負担みたいな形にすれば交付税が減ると言うけれども、減るかふえるかは、警察官給与だけに限らず、いろいろの、あり余っておる財政ならとにかく、いま不足を告げられている地方の窮状というものを全部さらけ出してみて交付税が減るかふえるか検討されるべきもので、警察官だけでどうこうさるべきものではありませんよ。交付税というのはそういう性格のものじゃないてしょう。 そういう議論はさておいて、いずれにしても、警察官給与が地方の給与費の非常な負担になっているということは事実だ。交付税ではない、別途教員のような国庫負担法による財源というものを考えてもらわなきゃ困るというのが、実際警察官に給与を支払っている自治体の、都道府県の知事の要望なんですね。これ、現状では矛盾だと思いませんか。自治体警察という形はとっておりますが、自治体警察じゃないですよ、いま。どこに自治体警察の内容がありますか。にもかかわらず、給与費だけ自治体警察だ。自治体が持っている。こういう矛盾が非常にあります。警察官の身分の上だって不安定だ。もう少し私は検討を要する問題だと思いますがね。いかがですか。
○政府委員(松浦功君) 一つの有力な考え方であろうと思いますので、将来に向かって検討させていただきます。
○委員長(原文兵衛君) もうちょっと大きい声で。
○政府委員(松浦功君) 有力な考え方の一つであろうと思いますので、将来に向かって検討させていただきたいと思います。
○加瀬完君 加瀬個人の有力な意見だと解されては困る。自治体がそう要望しているんですからね。この要望に沿って、もっと私は、本当の意味の自治体警察というものの姿というのはどうあるべきかという法制的な検討も必要でしょう。現状ならば、この給与費の財源はどこが出すべきだということも検討してもらわなければならない問題であると思いますので、御検討をお願いをします。 次に、主として財政計画の内容で伺っているわけでございますが、と言いますのは、財政計画というのははっきり枠決めができませんでは、交付税が多いか少ないか、適当か不適当かという議論は成り立たないわけでありますので、財政計画の内容をもう少し検討します。その中で、地方公共料金について自治省は次官通達を出しているわけです。ところが、さらに六月七日には自治省と経企庁が通達で確認書を取り交わしたと報じられておるわけです。これは事実ですか。
○政府委員(松浦功君) 事実でございます。
○加瀬完君 その内容は、一つは料金、使用料、手数料は安易な値上げを許すものではない、二つは料金改定は国の経済、物価政策との整合性を保ちつつ適時適切に行うべきで、今後もこの線に沿って指導をする、こういうことだと伝えられておりますが、これでよろしゅうございますか。
○政府委員(松浦功君) ちょっと途中が抜けておりますが、「受益者負担の原則に立って決定すべきものであるが、その改訂については、まず経営の合理化によってできる限り経費増を吸収するよう努力すべきであり、安易な値上げを許すべきものでないことは当然である」。二番目の方はお説のとおりでございます。
○加瀬完君 そこで、いま御指摘がございましたような受益者負担の原則で決定するという方式は、変わってないと考えてよろしゅうございますね。
○政府委員(松浦功君) そのとおりでございます。
○加瀬完君 受益者というのは、厳密に解釈してどういうことですか。もう少し質問を進めますとね、受益者負担ということなら、受益率に応じて負担率が決められる、こういう原則が当然成り立つと思うんですが、そう解釈してよろしゅうございますか。
○政府委員(松浦功君) たとえばバスの問題でございますと、乗る人は利益を受ける、使わない人は無関係、したがって、乗った人がかかった経費に見合うような料金を支払う、こういう考え方でございます。
○加瀬完君 後の方は。受益率と負担率は比例をしてよろしいか。
○政府委員(松浦功君) 受益率と負担率というものは原則として比例をすべきものである。ただ、公営企業その他の考え方に、一般会計との負担区分がございます。そういったものによって繰り入れか行われるということになると、負担率の方が若干下がってくる。そういう現象はあろうかと思うんですが、一般論としては、比例するというふうに考えていいと思います。
○加瀬完君 前半の御説明のように、公営企業ということであれば一般財源からの繰り出しということも考えられるということになると、ただ受益率だけで負担率を比例させるということにいきかねるところに公営企業の一つの性格がある。その点を後で私はもう少し伺います。 現状は、そうすると、負担率と受益率は比例関係を原則にするが、必ずしも千編一律にそうばかりは言い切れないと解してよろしいですね。
○政府委員(松浦功君) 原則としてはこれは相対すべきものだというふうに考えております。例外がないとは私どもも考えておりません。
○加瀬完君 例外はあるんでしょう。
○政府委員(松浦功君) あり得ると思っております。
○加瀬完君 そこで、公共事業という言葉が高度経済成長のカンフル的な役割りを果たしてきたわけでありますが、その公共事業と公営企業では、いまの受益者負担の原則は違いますか、違いませんか。
○政府委員(山本成美君) 受益率の問題から負担区分の問題、さらには料金なり受益者負担の程度の問題に関連をしてのお尋ねでございます。 公共事業というお言葉をお使いになりましたけれども、厳密な意味で公共事業と申しますのは、すでに御案内のとおり、河川でございますとか、道路でございますとかのような、一定の国と地方の間の負担を決めたもので、建設、改良を行う事業、非常に公共的な性格の強いものと、こういうふうなものが公共事業ということになろうかと思うのでございますが、先生がいまお尋ねの点は、公共的性格が非常に強いじゃないかという意味での公共事業というお言葉を使われたのじゃないかと思います。バスにいたしましても、上水道にいたしましても、すべてこれは公共的の強い性格を持っておることは御案内のとおりてございますが、これにつきましても、先ほど局長から申し上げましたように、一定の一般会計からの負担区分というものがございますので、これによって一般会計から入れた額を差し引いた後のコストは、すべて受益者なり利用者が負担をするというのが現行の制度のたてまえでございまして、これは若干細かい点について歴史的に修正をされてきたこともございますけれども、いま申し上げたような考え方は一慣しておるものでございます。
○加瀬完君 私は公営企業と公共事業というものの概念を聞いておるのじゃない。公共事業というのが、おっしゃるように現存している。公営企業というものもある。いずれも受益者負担の原則というのが時によっては適用されておる。それならば、この公共事業と公営企業では受益者負担の原則は同じなのか違うのか、こういう点を聞いておるんです。
○政府委員(山本成美君) 公共事業と公営企業とどういう点で違うのかということでございますが……。
○加瀬完君 違うか違わないか、それだけ言ってくれればいい。
○政府委員(山本成美君) 違います。
○加瀬完君 公共事業というのは公共の福祉がねらいだと考えてよろしゅうございますね。公共事業とは、社会公共の利益を図るための事業、国または地方団体の予算で行う公共的な事業と考えてよろしゅうございますね。公共企業体とは、国、公共団体の出費により公共性の著しい事業経営をする企業、公法人である、こう考えてよろしゅうございますね。
○政府委員(山本成美君) 公共企業体と、私どもが所管をしております地方公営企業とは、必ずしも同一かどうかということにつきましては問題がございますけれども、地方公営企業法の第三条におきまして、「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない」、こういうふうに書いてございますので、趣旨はよく似たようなものと理解しております。
○加瀬完君 したがって、公共事業であろうが公営企業であろうが、目的は、趣旨は公共の福祉を増進するということには変わりがありませんね。 そうすると、いわゆる地方企業も含めて公共企業体事業と公共事業の違いは、形式別して、事業の種類、財源方法、管理責任、これだけのもので、事業本来の公共的性格なり公共的な責任体制なり公共の目的というものには、さしたる違いはないと考えてよろしいですね。
○政府委員(山本成美君) 目的においては違ったところはございません。
○加瀬完君 もちろん、この公営企業は私企業ではないということは厳然としておりますね。
○政府委員(山本成美君) 違います。
○加瀬完君 事業自体も公共的事業でありますので、国や公共団体が財政負担を一切してはならないというように解釈はできませんね。一歩進めるならば、私企業でない公営企業であるならば、独立採算制のみですべてを律するというわけにはいかないと解していいじゃないですか。
○政府委員(山本成美君) ただいま御質問のありました点が指摘されるがゆえにこそ、現在、負担区分というものが決まっておると理解しております。
○加瀬完君 これはお認めいただいたと思いますので、そこで、先ほど大臣も御答弁なさいましたけれども、三木内閣は特に福祉への転換という点を強調しておられたわけであります。そうすると、いままでの政治には福祉というのは余り重点的には取り扱われておらなかったけれども、これからの政治は福祉や国民生活に重点が置かれるのだと解してよろしゅうございますね。これは大臣、お答えいただきます。
○国務大臣(福田一君) そのように考えております。
○加瀬完君 この点は三木内閣の重要な方向であると確認してよろしゅうございますね。
○国務大臣(福田一君) 重要な方向でありますが、それか実現する――できるか否かは、やはり財政問題にかかわることと考えております。
○加瀬完君 それは異なことを承りますね。方針が決まったら、実現するべくやるのが内閣でしょう。実現するか否かは財政の問題というふうなことではなくて、実現すべく財政もそのような構想を立てなければならないでしょう。しかし、大臣のお答えはまことに正直で、看板は上げているけれども看板どおりさっぱりいってないですよ。私が、いってないと申し上げたいことは、それならばこの三木内閣の重要な方向が地方財政計画にきちんと出ていますか。出ていないではないかと私は疑義を持ちますので伺うのです。 これは財政局長に聞きます。三木内閣の方針、福祉優先なら福祉優先というものが、いままでの財政計画とは変わって、このように性格的に出ておりますという財政計画になっておりますか。
○政府委員(松浦功君) 三木内閣になりましてからの財政計画、ごらんいただきますとおわかりをいただけますように、生活関連、福祉、こういったものの公共事業を伸ばし、そして道路、港湾、そういったたぐいのものの伸び率を抑え、単独事業についても全く同様の傾向で財政計画を組んでおるということで、福祉優先と申しますか、生活関連優先と申しますか、そういう姿勢は相当明確に表現されているというふうに考えております。
○加瀬完君 いままでは、公共事業にしても公共投資にしても、産業構造の高度化の役割りを果たさせてきたわけです。大臣が御説明のように今度は違うというならば、いままでのような長期経済計画による産業の新設拡充の必要のための工業用地とか工業用水とか道路、港湾、鉄道その他の行政投資というものが、国民の福祉のため、国民生活のためというふうに改められなければ、明確に変わったということにならないでしょう。伸び縮みの段階でしょう。いままで無制限にふくらましていたものを幾らか縮める、いままで抑えてきたものを幾らかふくらますというだけで、根本的に考え方の違い、福祉優先政策が基底でございますよという、そういう性格が今度の財政計画で出ていますか。色をちょっと変えただけでしょう。根本から福祉政策優先ですというものが出ていますか、財政計画に。
○政府委員(松浦功君) お言葉を返すようで申し訳ございませんが、財政計画というのは数字に示されておるものでございますので、補助事業でございますと全体の八%程度しか公共事業は伸びていないのに、公園二二、上水道二八、下水二八、簡易水道三〇、一般廃棄物三一、義務教育三五、厚生福祉施設三三、そういったような伸びを示しておりまして、これだけの経費を合計いたしましても三〇・七%伸びておるわけでございます。ですから逆に申しますと、道路とか港湾とか、先生が御指摘をいただいた部分はほとんど伸びを示していない。この傾向を続けていけば、完全に財政計画の中身というものは福祉型あるいは生活関連型という形に体質が変換されるものというふうに考えるわけでございます。
○加瀬完君 それはそうじゃないでしょう。これは大蔵省にもお答えをいただきたいと思いますが、国の経済政策が財政窮乏のために変わざるを得なくなって、産業投資というものが主として公共投資、公共事業を中心に抑えざるを得なかった。インフレやなんかの問題の処理のために抑えざるを得なかった。だから、それが幾らか縮んだ。福祉関係は、地域からたくさんの要望がありますけれども、その一部分を幾らかふくらました。しかし、抑えられていることには一つも変わりがない、傾向としては。そうじゃないですか。福祉政策に切りかえたから公共事業や公共投資を抑えた、福祉政策はそれぞれ住民の要望するような問題を全部処理するように予算が盛られたということにはならないでしょう。大体政府の政策だって、経済界の景気を少し刺激しなければならないということになれば、すぐまた体裁をつけて、住宅問題を解決するということで住宅の建造計画というのを立てる。しかし、ねらいは、住宅の建造計画というものが必要なら初めから予算に盛ればいいので、経済刺激の材料に体裁のいいものを使ったにすぎないでしょう。後で具体的に、本当に地域の福祉の要望されているようなふうに予算が盛られているか、あるいは財政計画がつくられているかということは指摘をしますよ。 これは大蔵省、どうですか、性格が変わったと、こう断言できますか、国の予算編成。あるいはあなた方が見て地方財政計画。四十八年度と四十九年、五十年と見ると、まるっきり性格が変わっていますと断言できますか。
○説明員(名本公洲君) 先ほど来、財政局長がお答えになりましたように、私どもの方といたしましても、国の予算につきまして見ましても、四十九年度、五十年度におきまして社会福祉、社会保障関係経費の伸びは著しいものがございまして、性格的に福祉優先という予算に変わってきておるというふうに認識いたしております。なお、地方財政計画につきましても、自治省でおつくりになりますときにいろいろ御相談を受けますけれども、同じような方向でつくられているというふうに考えております。
○加瀬完君 そんなことは、ここでの御答弁としては速記録には載りましょうけれども、地方団体が、大蔵省の言うとおり、全く大蔵省のおっしゃるとおりだという納得は得られませんよ。 具体的に伺います。全国知事会が、使用料についてという中で、工業用水道料金の水道事業の料金について、原価主義を基礎にして適正な価格にしなければ困るということを言っているのです。これは間違いですか。この主張は間違いですか。財政局長に伺いましょう。
○政府委員(松浦功君) 間違いではないと思います。
○加瀬完君 これは少し古い資料で恐縮ですが、工業用水の水源別使用状況を見ると、昭和三十七年、四十四年、五十年――五十年はその当時、見通しです。そうすると、工業用水道の比率は六・一、一一・七、一五・九と大きく伸びています。しかもコスト、料金は、四大工業地帯と、新産、工業特別地区と、その他と分けますと、コストは四大工業地帯が平均六円七十二銭について料金は五円五十七銭、四円六十七銭について四円九銭、五円五十銭について四円三銭、このように、六円七十二銭のコストに対して料金は五円五十七銭、コスト五円五十銭に対して料金は四円三銭、こういうやり方をしておる。ひどい県になりますと、十六円の原価を四円五十銭で提供している。 これは工業用水道事業法の十七条の三項ですか、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。」こういうことによってまけざるを得ないようにしているのですね。これは御承知のように、補助算定は、建設事業費から妥当な投資額を引いて、その四分の一または五分の一という計算ですね。ですから、妥当投資額というものを少なくすれば補助金は幾らでも大きくなる、こういう計算で、工業用水については原価を割る料金体系をやっているでしょう。しかし水道料金は、いわゆる飲料水、上水道料金というものは、各都道府県でまことに困っている。地方団体はいずれも水道料金の格差是正という要求を掲げている。こういうものを野放しにしておいて、工業優先政策ではございません、福祉優先政策でございますと言えますか。これは間違いですか、私の出した数字は間違いですか。これは二、三年前の調査ですから、五十年はあるいは変わっているかもしれません。あるいは知事会議が原価主義を基礎にした適正料金にすべきだというのは、原価より安い料金なんです。こんなことを、給与費を切らなければならないような状態の地方団体が、一体何で企業にだけ原価を割るような料金で提供しなければならないのか。この法律、改まっていますか。
○説明員(柴田益男君) ただいまの先生のおっしゃいました数字につきましては、後で改めて私どもの方で確認させていただきたいと存じますけれども、私ども現在工業用水料金につきましては、まさに先ほどおっしゃいました法律の言葉どおりに運用しておりまして、つまり、能率的な経営下において当然妥当と考えられる料金はそのとおりに実現しなさいということで指導しております。たとえば、最新では四十八年しか経営状況の決算は出ておりませんけれども、その四十八年度で見ますと、欠損は三十一事業体、利益が出ておりますのは四十二事業体でございまして、ほぼマクロ的に、そう余り常に低料金で自治体から持ち出しているという形にはなっていないのではないかというふうに存じます。その後も、四十九年度におきましては六十四件、五十年度におきましてすでに五十九件、全事業の四割弱ずつ毎年改定申請がなされておりまして、これは計算の仕方によりますが、現在、工業用用水料金の平均は十円強になっておるかと存じます。これはいろいろな、一円何十銭という山口県あたりの非常に古い工業用水道から、三十七円といった埼玉県の新しい工業用水道等いろいろございますが、平均で申しますとほぼその程度になっておるかと、いまわれわれは判断しております。 それから、そういういまの経営状況でございますが、これは四十八年度が最新でございますが、四十八年度におきまして、これもまたコストの計算いろいろございますけれども、一応トン当たりコストが八円二十九銭ぐらいではあるまいかというふうに考えております。それに対して料金は七円五十七銭ぐらいになっておるだろうと思います。で、高い県、つまり県として一般会計から補助が出ておりますのが、全国で四十八年で二十五億でございます。ところが、この二十五億は、主として東京都が十六億でございまして、東京都を除きますと、全国の県で約九億ぐらい一般会計からの繰り入れがされております。しかし、片やこの事業体からのプラスが出ておる県もございますので、そのプラスの総計がやはり九億くらいございます。したがって、東京都を除きますと、そういう一般的な経費におきましては、ほぼとんとんでマクロとしては運用されているのではないかというふうに判断しております。なお、東京都も今回、従来の四円五十銭から五円のものを、これは地下水転換等の用途によって若干違えておりますが、十円、十五円及び三十円に値上げする案を現在、議会の方に提案準備中と承っております。
○加瀬完君 静岡県は結局、三〇%の値上げ案というものを検討しているわけだ。いまの計算は、工業用水道の一切の施設、減価償却までは計算してないんです。昭和四十八年千葉県では、市原地区に大工業地帯ができるというので工業用水をつくりました。十六円ですよ、原価は。四円五十銭で提供しているわけだ。高度経済成長時代にはそういう法律が社会的情勢の上から認められるという議論も成り立つかもしれぬ。いま、コストを割って工業用水だけ提供しなきゃならない理由がどこにありますか。しかし、この法律も慣行も改まっておりませんよ。だから知事会が、原価を割るようなものはけしからぬじゃないかというふうに出すわけだ。 そこで聞きますが、工業用水の受益範囲というものは特殊に限定されますよね。上水道とは違います。しかし、公共性からすればはるかに低い工業用水は、受益率にかかわらず負担率は非常に低い。こういう矛盾は認めるでしょう。これ、認めませんか。しかし、こういうものはさっぱり直されておらない。もっと一般的に言うなら、うんと金をもうけている金持ちの仕事に使う工業用水はまけてやる。一カ月の水道料金も払えないような一般の上水道料金はうんと増額をする。これが受益率と負担率の比例の原則だということが言えますか。財政局長、どうですか。
○政府委員(山本成美君) 工業用水と上水道の比較におきまして種々御質問がございますけれども、結局お尋ねの点は、受益率はどうかというお話のように承ります。 ところで、水資源をどういうふうに使うかということになりますと、結果、産業活動を中心にした基盤整備というふうなものを頭に置いてやる仕事と、それから民生の安定と申しますか、社会福祉的な面からやります上水道と、両方に水資源というものが使われるということになろうかと思います。ただ、これにつきましては、すでに国民の八割以上を給水対象としております上水道があと二割程度の国民に水をさらに供給するという問題と、それから産業基盤を強化いたしまして、産業活動の活発化の中から国民が何を得るかというふうな問題と、これはいろいろ重点があると存じます。ただ現在、御指摘のように、上水道におきましても工業用水道におきましても、いずれも一般会計からの繰り入れをやっておる事実はございます。これは違ったところはございません。 ただ、個々に見ますというと、御指摘の中で特に強調なさいました工業用水の実態から申しますと、これは建設を始めましてから実際給水をいたしますまでに相当な期間と経費がかかっておるものでございますが、当初建設を始めます場合に補助をつけて、補助条件の中で大体この程度の工業用水道料金にするんだと言っておった時期と、最終的に工場が張りついて給水を受けます受益者の範囲というものが非常に小さくなる場合が、そごが生ずる場合がございます。そういうふうな場合の赤字というものをどういうふうにするかという問題もございまして、単に給水原価と供給単価というものの違いだけの問題でもございません。いずれにいたしましても、私どもとしてはコストに対して料金をいただくのが公営企業として当然のことでございますので、そういう意味合いをもちまして、工業用水については、最近の水資源の取り扱いの問題を頭に置きますと一特にこれは原価に見合った料金をちょうだいすべきではないかということで指導をいたしておる次第でございます。
○加瀬完君 言っていることが体をなしていませんよ。あなた方はさっき、原則としては受益率と負担率は比例をするものだというのは認めたわけだ。そして今日の三木内閣の政治姿勢は福祉優先だということもお認めになった。さらに説明を加えるならば、いままでの高度経済成長とは今度は違うんだということも大臣は御説明になった。それならば、高度経済成長のときにいろいろたくらまれたものでも、福祉優先という時代になったら見直さなければならない問題がある。その一つの例として私は水道を挙げたわけだ。工業用水と上水道を挙げたわけです。 一般上水道は、おっしゃるように社会福祉という上からぐんぐん拡大をされてきた。ところが、これには独立採算制という原則がどこまでもついて回って、工業用水道のように特別の計算の方法なり補助の方法なりというものは比較的少ないわけだ。ところが、公共性は非常に少ない私企業で、しかも利益を非常に上げている私企業に対して、それだけしか受益率がないところに対しては国が助成をする。これはいまの社会福祉の時代だと言われるときには、それはおかしいじゃないか。そういう考え方を許容しているところに、福祉優先政策に切りかえたといっても、一つも切りかえてないということになるということを指摘をしておるわけです。 一般財源の持ち出し分だって、どっちにたくさん持ち出していますか。いま東京近辺というものは、工業用水のために飲料用水、上水道が枯渇をしているという状態でしょう、工業用水を優先的に取っちゃったから。東京、神奈川、埼玉、千葉というこの近辺は、人口の急増に対しても上水道の配給計画が立たないという状態だ。福祉優先と言うなら、水を飲ませないわけにいかぬでしょう。その水を計画すれば、非常に高いものになる。高いものになるけれども、これはやっぱり独立採算制というものをどこまでも強要しているわけです。確かに、公営企業の独立採算的な性格というものを除外して企業というのが成り立たないことは認めるけれども、産業優先政策の落とし子がまだ残っているのを、これをこのままにしておいて福祉優先政策だと言ったって、金のかけ方が違っているのだから。福祉優先と言いながらも金はかけない。もう産業優先ではありませんよと言いながら、そっちの方に相変わらず金をかけている。こういうばかげたことはもうここらできちんと修正しなさいと言うのですよ。 数字が違っているとか違ってないとかということは、去年とことしの数字では違っているかもしれません。しかし傾向としては、私の言っている傾向は間違いですか、これ。端的に聞きます、財政局長、傾向として私の言っていることは間違いですか。それから、これは当然福祉優先重点に整理をさるべきものだという私は要望をしたいのでありますが、これはお聞き入れになりませんか。
○政府委員(山本成美君) くどくなりますけれども、先ほど申し上げましたように、上水道につきましても工業水道につきましても、現在一般会計からお金を入れなきゃならぬという状態であることは御承知のとおりであります。そこで、双方いずれも現在補助制度がございまして、制度の中には若干違いもございますけれども、私どもとしては補助制度の中身をさらにどういうふうに見直して、強化していくべきものをどうやって強化するかというふうなことについて、関係省と私ども相談をしておるところでございます。 ただ、一点つけ加えさせていただきたいのでございますが、一般に上水道の平均的な水道料金というものが工業用水より高いという点を恐らく御指摘になっておるのだろうと思いますが、これは先ほど通産省からもお話がございましたけれども、独立採算制と原価主義というもので計算をいたしますと、平均的にはやはり上水道の方が高くなっておるということでございまして、これは公営企業としてのたてまえからやむを得ないものではないか、かようなことも考えておる次第でございます。 いずれにいたしましても、補助制度の強化については十分配慮してまいりたいと思っております。
○加瀬完君 質問をよく受け取ってくださいよ。私は補助制度がどうこう言っているわけじゃない。福祉政策重点と言うならば、産業資本強化のような政策というのはここで見直さるべきではないか、その一例が工業用水道だと。産業強化の場合は工業用水道に対するいろいろの補助法というものも必要であったかもしれぬけれども、釈迦に説法だけれども、それによって企業というのは収益をたくさん上げているじゃないか。受益率も独占しているのじゃないか。しかるに、それに対する水の料金は原価を割って供給している。一方、上水道料金というのはますます高くなる傾向があるのじゃないか。しかし、これには工業用水のような手当てというのは法律的に十分施されているということにならない。双方を同様にということでは困るんだ。福祉優先と言うなら、福祉優先の政策というものをもっとはっきり出すならば、いままでのように工業用水だけを厚遇をするというやり方は改められなければならないではないか、こういう指摘をしているわけですよ。 工業用水と上水道を比べて、上水道が高いのはあたりまえの話だ。原価を割って供給しなければならない理由がどこにある。供給する方は貧乏しているわけだ、自治体は。貧乏人が金持ちにただで物をくれる理由はどこにもないだろう。それで、社会福祉優先と言うならば、社会福祉優先という形で、こういう地方財源までも食いつぶしている工業用水みたいなものには、知事会議が要求するように、少なくも工業用水でも独立採算ができるような方式にもっと変えていくのが当然ではないか。そういう方向の検討というのがいまは必要ではないかということを申し上げているのですよ。あなたのおっしゃるように、双方同様に扱われては困るのです。同様に扱っては困ると思うがどうかということを伺っている。
○政府委員(山本成美君) 水資源が最近のように大変な問題になっております時期でもございますし、ただいま加瀬委員がおっしゃられたような方向で、私どもも特に上水道の補助金について強化を図りたいということで、関係省と相談をしておるところでございます。
○加瀬完君 それでは大臣でも財政局長でも結構ですが、知事会の、工業用水道事業の料金については原価主義を基礎にした適正な料金とすべきであるという要望は、十分取り入れて検討をすると了解してよろしいですね。
○国務大臣(福田一君) あなたのおっしゃる御趣旨はよくわかります。一応法律というものがございまして、それに基づいて処理をされておりますから、これを是正しようとする場合には、やはり法律の修正の問題も考えていかなければなりません。それからもう一つは、たとえばその法律でできる自由裁量の範囲があったといたしましても、これは行政全般に通ずる問題ですが、行政の継続性といいますか、急に一遍にすぐに改めることが適当であるかどうかというようなこともございますから、それらの点を勘案いたさなければならないとは思いますが、しかし、福祉政策に今後変えていくということであれば、御趣旨のように今後法案の内容その他も含めて見直しをしていくべきものである、かように考えております。
○加瀬完君 そのようにお願いをいたします。いろいろもっと申し上げたいことがありますが、先を急ぎますので。 次に、国民健康保険の保険料も受益者負担の原則というものでやっていくのですか。
○政府委員(松浦功君) これの法律的な問題については必ずしもつまびらかではございませんが、少なくとも国民健康保険というのは一つの制度がございまして、国全般の政策といたしまして、国が一定の負担をするということを前提に置いて、残った部分は医療を受けるという形で受益を受ける方に、保険料または保険税というような形で負担をしていただくというのが原則であろうと考えます。
○加瀬完君 老人医療費の全医療に占める割合を都道府県別で見ると、高いものと低いもので違いはありますけれども、高いのは三五・九%、低いものでも一〇・四%、平均が二〇%を超えていますね。さらに被保険者の全平均に対して老人の受診率を見ると、福岡は二・〇九、北海道は二・〇八、宮城は二・〇七と、これは四十八年度分でありますけれども、非常に老人の受診率が高いですね。いま国の財政でと言いますけれども、この老人の受診料に対して国が全部見ていると言い切れますか。
○政府委員(松浦功君) 私どもこの問題について、先生のようにいろいろと資料も持ち合わせておりませんので、十分なお答えができかねるかと思いますが、先生のおっしゃられる傾向というものは、これは率直に認めなければならない傾向であろうかと思います。したがって厚生省においても、老人医療の国保に及ぼす影響というものをある程度遮断をしないと非常に制度上問題があるのじゃないかということで、御検討もなさっておられるようでございます。私どもも実はそのように考えるわけでございまして、老人医療あるいは高額負担医療、こういったものについての特別の措置をとらないと、国保の運営というものがだんだんゆがんでいくのではないかということを恐れておるところでございます。
○加瀬完君 これが、ことしの財政計画でも、あるいは自治省、厚生省、大蔵省等の関係の協議においても、一番の社会医療の象徴的なものが老人医療ですよね。これは非常に喜んでいるし、効果も上げている。ところが、老人医療は地方として負担する能力の限界を超えるということになると、この財源問題、どうしたって考えなきゃならないことになる。社会福祉優先と言うなら、少なくともこういう問題は、今年度の財政計画で大きく取り上げられなければならないはずでございますが、これは十分もう財源負担の地方における心配はございませんというように、解決されておりますか。
○政府委員(松浦功君) 自治省といたしましては、厚生省及び大蔵省に対しまして、特別調整交付金をいまの五%から一〇%に上げるべきであるということを毎回お願いをいたしております。昨年度は臨時財政調整交付金五百五十億と、特別の補助金九十五億、合わせて六百五十億という形で予算が決められております。私どもがお願いをしておった金額にはやや足りないというふうな感じを持っております。
○加瀬完君 言葉じりをとらえるわけではありませんが、福祉行政重点と言うなら、現状はそういう財政構造にはなっておらないわけでありますから、さっき大臣がおっしゃるように、手のひらを返すように急にいままでの制度をことしは変えるというわけにいかないにしても、少なくも福祉行政重点の財政構造に対応させていくように幾らかでも変えていかなきゃならないと思う。大蔵省も自治省も、ことしの地方財政計画はそういうようになっていますと言うけれど、一体いまのような老人医療の財政の裏づけのような問題でも、財政構造が変わっていないじゃないですか。財政構造を変えなくて福祉行政と幾ら言ったって、太鼓がなくてばちだけあるみたいなものだ。幾らばちを振り回したって音は出ませんよ。と私は思いますがね、違いますか。
○政府委員(松浦功君) 自治省といたしましては、五%の特別調整交付金を一〇%に上げてほしいということを厚生省、大蔵省に申し上げておる、こういう実情でございます。ことしの措置も、そういうことを御勘案の上六百五十億円、いままでより相当額ふやした、そういう結果になったものだと思っております。今後なおこれを当省も御主張のようにふやしていただくように今後も努力をしてまいります。
○加瀬完君 そこで、知事会は社会福祉譲与税をつくったらどうだろうという提案をしておりますけれども、この福祉譲与税については自治省、大蔵省、どうお考えですか。検討をしてみるという御意思がございますか。
○政府委員(松浦功君) 当省の税務局において、知事会の御提言でございますのでいろいろ検討はしておるところでございますが、なかなかむずかしい問題がいろいろあるようでございます。
○説明員(名本公洲君) 知事会の御提言でございますけれども、大蔵省、私どもの方としていろいろ検討をいたしてみますと、この問題には非常に大きな問題が含まれておるというふうに思います。社会福祉のための譲与税でございますが、社会福祉というものをどういう範囲でとらえるか、老人医療だけでとらえるというような、そういう狭いもののようにこの御提言は受け取れませんし、どこまでが社会福祉であるというような問題もございます。さらに社会福祉、いろんな部面がございますけれども、各県、市町村におきまして、おのおの実施されます社会福祉行政が、日本全国を通じましてほぼ均一に――ある県では非常に高い社会福祉施設、そういうものができておる、ある県ではそんなにできていない、これからであるというようなときに、同じようなかっこうでその譲与税というものが配られていく。いい県はますますよくなる、悪い県は相変わらずおくれておるというようなことでも困りますし、そういうようないろんな面がございます。こういう一つの目的税というものを考えます場合には、非常に種々の問題がございますので、そういう点を慎重に検討してまいらなければならないというふうに考えております。
○加瀬完君 大蔵省に伺いますが、大蔵省としては、いまの三木内閣の福祉優先政策に切りかえるという原則はお認めになりますか。
○説明員(名本公洲君) 福祉重点の財政、予算というふうにすでに変わってきておるわけでございますけれども、今後さらにこれを伸ばしていくということにつきましては、先生の御主張のとおり、やるべきであるというふうに考えております。
○加瀬完君 私は、三木内閣の福祉優先政策というものを前提として認めるか認めないかということを聞いているんですよ、大蔵省として。認めないと言うわけにはいかぬでしょうな、内閣の方針だから。しかし、事実は認めていませんね。 〔委員長退席、理事安田隆明君着席〕 あなたがさっき御答弁になったように、福祉と言ったって、ある県では非常に福祉がずんずん進む、ある県では、ある地方ではそれだけ進まないという、でこぼこができるということを懸念している。でこぼこという、その基準は何ですか。高いとか低いとか大蔵省が言うなら、その基準はどこですか。ぴったりこれだと、国民としての社会保障、社会福祉の基準はこれだと、こういうものがありますか、政府に、大蔵省に。どうですか。
○説明員(名本公洲君) 社会福祉がどの水準であるべきかという問題は、これは非常にむずかしい問題でございまして、国の施策として、国の財政でどのように措置していくか、あるいは地方のおのおのの財源で、地方自治体の財源でどのように措置していくか、これはそれを一義的にこうあるべきものであると、言うならば、何といいますか、絶対的な水準というようなものを決めてまいるということは、これは非常にむずかしいことでございます。そのときそのときの社会情勢によってそれは動いてまいりますし、それをまたいかに実現していくかということも、そのときそのときの財政経済事情によって動いてまいります。したがいまして、毎年毎年あるべき姿というものを考えながら、国も予算におきまして種々の措置をいたしておりますし、地方においても地方財政計画、そういうようなもので措置をされているところでございます。 したがいまして、絶対的水準としてのシビルミニマムとかナショナルミニマムというふうなものを考えてまいること、これは学問的には可能かもわかりませんけれども、現実問題として実行できるものというものは、毎年毎年、あるいは場合によりましては五ヵ年計画というようなものもございますが、五ヵ年先には経済情勢、財政事情を考えるとこの程度までやるべきである、そういうふうなものとしては出てまいるかもわかりませんけれども、絶対的水準としてシビルミニマム、ナショナルミニマム、福祉施設はかくかくあるべきであるという、そういうふうな水準というものは、これはつくり得ないのではないか。現に私どもの方としても、御指摘のとおり持っておりませんが、そういうふうなものはつくり得ないものではないかというふうに考えておるところでございます。 〔理事安田隆明君退席、委員長着席〕
○加瀬完君 つくり得ないものなら、多いの少ないのという見解は出てこないわけですよ。大蔵省なり政府なりでつくり得ないものだとしても、どこかでつくらなければ基準も出ない。それなら、それは地方でつくらざるを得ないでしょう。地方でつくったものに、多いの少ないのと言う権限はあなた方にないわけだよ、多いか少ないか基準がないんだから。物差しがなくて、手ではかるよりまだ始末が悪い。それで財源だけ多いとか少ないとか、金額だけで、感情で判断している、いまの福祉行政に対する財源というのは。それは多過ぎるから削れ、少ないのは黙っていろ、出してくれなきゃ結構だ、これで福祉行政重点と言えますか。福祉優先政策と言えますか。これは内閣の責任だってはなはだ、羊頭を掲げて狗肉を売ると言うけれども、狗肉にもならない、何もないんだから。看板だけ出してあるけれども何もない。 だから、福祉優先政策というものを出すならば、ナショナルミニマムとして第一義にわれわれが考えるものはこうだ、あるいはこれとこれを焦点にして内閣はやります、あるいは大蔵省もそれについてこういう財源配分の基準をつくりますということがなければおかしいんですよ。何もやってない。しかし産業重点政策は事細かくやっているでしょう。あなたがやったと言わないよ。やっているんだ、政府としては。これは矛盾と感じませんか。 地方の団体の長は、議会は、それぞれの地域から言われる住民の要請というものを予算に乗せて、行政に乗せていろいろやると、これはあなたの言うように、落ちこぼれができるわけですよ。そして、それはまた財政の裏づけというものがなければできない。となれば、どの程度のものに対しては財政の裏づけをいたします、財政の検討をいたしますと、最低限度の基準というものをつくらなければおかしいですよ、これは。それができないというのはないよ。地方の福祉行政のやり過ぎで財政危機を招いたなんというたわ言は、もうよしてもらいたい。地方には自治権があるわけです。地方財政の生殺与奪の権を国が握っているようなやり方というのは当然改められるべきである。 しかし、現状においては、少なくも国と地方が一緒になって福祉基準というものくらいはつくろうとする作業が、努力がなければおかしいですよ。既存の制度の見直しをしなければどうにもならないということは、これは大蔵省、認めますね。工業用水の問題でも、老人医療の問題でも、その他いろいろありますよ。後でまた出しますけれどもね。これは既存の問題をもう一回洗い直し、再検討する必要があるということはお認めになるでしょう。いままでのやり方で万全だとお考えになりますか。
○説明員(名本公洲君) 先ほど自治大臣もお答えになりましたように、白から黒へ一挙に転換するというようなことは、実際問題として事実上不可能なわけでございます。したがいまして、予算の問題といたしましても、たとえば社会保障関係費を取り上げましても、四十九年度から五十年度にかけまして、たとえば補正で見てみますと、従来でございますと、公共事業関係費と社会保障関係費の割合というものは、常に社会保障関係費の方が下であったわけでございますが、これが四十九年度補正以後、公共事業関係費の占めますウエートよりも社会保障関係費の占めるウエートが高くなってきておるというようなことにあらわれておりますように、私どもといたしましては、財政構造を社会福祉型というものに転換してきておるということでございます。 ただ全般的に、いわゆる高度成長型の財政政策というものがとられました時代から変わりまして、安定成長期にかかっておる、こういう時期でございますので、また言い方を変えますと、いわゆる財政硬直化と言われる時期でございます。そういう時期に当たりまして、財政をいかに持っていくかということにつきましては、政府及び大蔵省といたしましても十分これは検討してまいらなければならないということでございますので、財政制度審議会等に諮っていろいろ勉強をお願いしておるわけでございます。また、地方の方におきましても、いろいろ地方制度調査会等で御議論をいただいておるところでございまして、そういう御議論を承って、今後の財政運営をいかにすべきかということを検討してまいるつもりでいるところでございます。
○加瀬完君 うなずけませんね。あなた方、財政制度審議会ですか、あるいは自治省関係の地方制度調査会ですか、そんなもの、どんな答申出したって一回だって聞いたことありますか。やれないときの隠れみのにそんなものを使われちゃ、大きに迷惑ですよ。どういう答申が出ようが出まいが、福祉優先政策と言うなら福祉優先政策の財政構造というものを考えるべきですよ、これは。何もないでしょう。だから、私はいま既存の制度を見直さなければならないでしょう、いかがですかと聞いているんだ。それだけ答えればいいよ。
○説明員(名本公洲君) 先生おっしゃいますように、既存の制度、そういうものを全部ひっくるめまして再検討、見直しを図るべき時期であるというふうに考えております。
○加瀬完君 それで前のことはいいですよ、それだけおっしゃってくれればいい。 そこで、それならばどうしたって福祉優先政策に見合う財政構造というものをねらっていかなければならないということも、お認めにならざるを得ないでしょう、これは。
○説明員(名本公洲君) 先生おっしゃいますように、現在の三木内閣におきましてそういう方針でございます。その転換期の財政においてそれをどういうふうにかみ合わしていくかという観点から、既存の制度その他についても十分見直しをしながら検討してまいる。ただし、その場合におきまして、先ほど先生おっしゃいましたけれども、各種審議会、そういうふうなものの御意見も十分私どもとしては拝聴しながら検討を進めていくということでございますので、その点はひとつ御了承願います。
○加瀬完君 それは結構ですよ。大いに委員会の意見のいいところを取り上げてもらいたい、聞きおく程度では全く無意味ですから。 いまあなたの御説明を総合して考えますと、とにかく、いまの状態では見直さなければならないたくさんの問題がある。そこで福祉行政重点というように財政構造も変えていくということ、ことしの地方財政計画は完全には福祉財政構造型にはなっていないということは、これはお認めになりますね。なっていれば何も変える必要はないんだ。ことしのようにやりますと言わないところを見ると、ことしはまずかったということでしょうな、これは。
○説明員(名本公洲君) 地方財政計画につきましては自治省の方からお答えすべきことでございますけれども、先ほど国の一般会計について申し上げましたようなことが、同じように地方財政計画についても申し上げられるところでございまして、四十九年度補正以降、五十年度当初予算におきましても、もちろん福祉優先型の予算になっておるというふうに私どもは考えておるところでございます。これをさらに進めていかなければならないという点については、私どもの方としても十分考えておるところでございます。
○加瀬完君 金額がふえておったって、構成比はふえてないでしょう。それで、あなたのおっしゃるようになっているかどうか、ひとつ私はここに資料がありますから、ちょっと申し上げてみます。 地方税と交付税と四十五、四十六、四十七を各年度比べてみますと、地方税は構成比で三二・七、三一・七、三〇・三と落ちているんですよ。交付税は一八・四、一七・九、一七・四と落ちているんですよ。そして逆に国庫支出金は一一・七、一一・八、一三・〇とふえているんですよ。都道府県の支出金も五・四、五・三、六・〇とふえているんですよ。地方債は九・五、一一・九、一二・三とふえているんですよ。この前も指摘しましたが、地方税なり交付税なりという地方の基幹になる収入というものについては年々落ちている。ふやしました、ふやしましたと言うけれども、歳出をどんなにふくらますようなかっこうをつけたところで、歳入見積りがだんだんだんだん減ってきているんだから、決算額になれば財政計画とは違った結果が出てくるわけです。福祉優先の政策と言うならば、地方税なり交付税なりがだんだん減ってきているというなら交付税の率を変えるとか地方税に新財源を与えるとか、別途の方法をとらなければこれは財政構造が変わったということにならないんだ。 構成比というものを出すことをこのごろ自治省は避けている。前には構成比はきちんと出た。だからその割合がわかった。このごろは財政計画で構成比を出さない。どういう意図か知りませんけれども。そのままはじけばすぐわかる。はじいてみればいまのようになる。財政構造はだんだんだんだん低くなっているんだから、ことしはこれが変わってくるというのならいいけれども、一つも変わってないでしょう。それで地方財政計画、ことしはよくなりましたなんて言ったって、数字でこれだけ金が入るということを出してくれなかったなら、そんな前書きの文句だけでは結構でございますと言うわけにいきませんよ。 それで、ひとつ具体的にもう少し聞きますよ。今度は自治省に聞きますよ。あなた方は依命通達を何回も出して、高等学校の用地、建築について地元から寄付をとっちゃいけないということを言っている。ところが、ある県のある市の用地費の負担を見ると、学校用地費の四〇%は県が負担、残りの六〇%は地元負担、学校建築費は、初年度において県は建築費の四分の三を負担、残りの四分の一は地元負担、しかし四分の一の地元負担については、県は地元に対し三カ年間で返済をするということになっておる。ただし、その利息分は地元負担。高校建築にかかる関連事業、通学路とか上下水道、排水施設、これは全部地元負担。 そこでね、これは千葉県船橋市です。はっきり言った方がいいでしょう。千葉県船橋市の一つの高等学校をつくった地元の負担金は十五億、こういうことをやらしておる。こういうことをやらせて高等学校をつくらざるを得ないようにさせておいても、財政構造間違いなしということになりますか。これは大蔵省に聞いてもらいたい。こういうことをしなければ高等学校つくれないですよ。人口急増で高等学校をつくらざるを得ない。県立高校をつくればこれだけの負担をする。しかし、その県ばかりをとがめるわけにいかない、県は財源はないですから。これは社会福祉ということにならないでしょうけれども、社会福祉とか文教施設、最低限の生活条件を保障する財源というものを、十年一日のごとく、法を犯して寄付を強要しているわけです。次官通達が何回も出ているでしょう。こういう財政運営というものを自治省は黙認しているんですか。事実関係、これ間違いですか。これは私は文教関係の資料でありますから、間違いなら訂正をしますけれども、これは午後にこの事実をよく聞いてお答えをいただきます。 一応質問を保留します。 ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) この際、浅沼警察庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。浅沼警察庁長官。
○政府委員(浅沼清太郎君) 昨日、右翼による三木総理大臣暴行事件が発生をいたしましたので、御報告を申し上げます。 昨六月十六日、都内千代田区北の丸公園、日本武道館で執行されました佐藤榮作元総理大臣の国民葬儀に葬儀委員長として出席中の三木総理大臣に対し、大日本愛国党員による公務執行妨害並びに銃砲刀剣類所持等取締法違反事件が発生をいたしました。 警備警護の万全を期しておりましたにかかわらず、かかる不祥事件の発生を見ましたことは、責任者としてまことに申しわけなく存ずる次第でございます。今後再びこの種の事件が発生をいたしませぬように、十分に検討を加え対策を講じてまいりたい、このように考える次第でございます。 以下、その概要を御報告を申し上げます。 被疑者は大日本愛国党員筆保泰禎、昭和十五年生まれ、三十四歳でございます。経歴は、筆保は岡山県の津山市に生まれまして、津山工業高等学校を卒業後、昭和三十四年三月二十五日に航空自衛隊に入隊、三十七年三月二十四日に空士長で除隊をいたしまして、直ちに大日本愛国党に入党、自後、本部党員として活動をいたしております。現在、書記長兼青年隊長の職にあり、赤尾総裁に次ぐ愛国党内の実力者で、現在までに暴力行為等処罰に関する法律違反、公務執行妨害罪、道路交通法違反等で八十一回の検挙歴を有しております。 逮捕罪名は、公務執行妨害罪、これは三木総理が国民葬儀委員長として公務を執行しておられるのに対し、暴行により妨害をしたということであります。及び銃砲刀剣類所持等取締法違反、これは登山ナイフを携帯帯しておった容疑であります。 事案の概要でございますが、六月十六日午後一時五十三分ごろ、三木総理大臣が御遺骨を出迎えますために日本武道館正面玄関の歩道近くに立っておられましたところ、筆保が報道陣の後ろから、核防条約批准阻止を目的といたしまして、核防条約批准反対と叫びながら飛び出し、総理の背後から正面に回りまして、右手をもって総理の顔面を殴打し、その場で警察官に取り押さえられたのであります。筆保は、総理あての勧告書のほかに、刃渡り十四・五センチの登山ナイフを所持しておりましたので、先ほど申し上げたように、公務執行妨害罪及び銃砲刀剣類所持等取締法違反で現行犯逮捕をいたしたのであります。 次に、当日の警護警戒の状況でございますが、警視庁におきましては、本国民葬に伴う警衛、警護警備の万全を期しますために、日本武道館横に第一方面警備本部を設置し、警察官千四百二十一名を武道館の外周、会場内及び沿道等に配置し、警戒に当たりました。事件発生のとき、武道館の西口玄関前には二十三名が警戒に当たっておりましたが、被疑者が弔問者と同じ黒服、黒ネクタイを着用しておりましたことなどから、その飛び出しに気がつかず犯行が行われたのであります。 最後に対策でございますが、このような警備警戒体制の中で発生をいたしました今回の事案につきましては、警護警戒の体制に徹底した検討を加えますとともに、警戒心を旺盛にするほか、右翼虞犯者に対する視察の一層の徹底を図りますなど、この種事案の未然防止の万全を期するよう直ちに全国の警察に指示をいたした次第でございます。
○委員長(原文兵衛君) ただいまの報告に対し、質疑のある方は順次御発言願います。
○加瀬完君 当日の警備体制と、常時の右翼の取り締まりの体制はどうなっていますか。
○政府委員(三井脩君) 当日は、第一方面警備本部を設置いたしまして、約千四百名の警察官で会場内、建物内、建物の周辺並びに佐藤邸からの沿道の警戒に当たったわけでございます。事件が発生いたしました一時五十三分時点、つまり総理が武道館の正門前に立って御遺骨を出迎える、この時点におきましては、警察官は二十三名がここに配置になっておりました。 以上でございます。
○加瀬完君 ニュースで見る限りでは、三木さんの周辺には警護の者はだれもいなかったというように推測をされますが、この点はどうですか。
○政府委員(三井脩君) 当時、御遺骨を出迎えるという一種の儀式でございますので、総理を真ん中にいたしまして、その両側に片一方の方では儀仗隊、音楽隊、片一方の方は、受付がちょっと引っ込んでありまして、報道陣という、両側に列ができておって、その真ん中で正面玄関に近い位置に総理が立っておったわけであります。その総理の右に総理府の参事官が遺骨出迎えの場合の要領等を説明されておったようでありまして、ちょうどこの二人だけであります。警護員は当時総理の直近には約四名おりましたが、一番近い人が五メートル、いずれも総理から見ますと外側、つまり遺骨が入ってくる方向に近い方におりました。そういう意味で申しますと、この犯人の方は総理の左後ろ、報道陣と受付のこのあたりから飛び出したということでありますので、警戒の視野、警戒の向いている方向といたしましては、いわば盲点になっておったといいますか、虚をつかれたという感じがするわけでございます。
○和田静夫君 いまのをニュースで見ていますと、まさに三木さんの後ろというのは無防備でしたよね。楽々と御本人に接近をすることができる。これはだれであっても接近ができる状態ではなかったかということを、昨晩の九時のNHKのニュースを見ながら考えました。常識的に考えてみて、たとえば私が警護をされるという場合に、前からの者、横からの者、後ろからの者という警護の姿勢というものがあってしかるべきだと思うのですね。これはもう明確に警察が、たとえば国民大衆の陳情行動等については大変過激な、行き過ぎと思われるような締まりをこの国会周辺でもやるのに、あの場合には、まさにあなた方の責任が非常に薄い状態であったということが言えると思うんですね。その責任というのを一体どういう形でおとりになるのか。 なぜ私はそういう責任の問題を取り上げるかと言えば、報道によれば、筆保がきのう三木さんにああいう行動に出るということをあなた方はどうも察知をされていた。そして、そのための捜査をも行われている状態であった。しかし、それはあなた方の手抜かりによって全うすることができなかった。また、愛国党本部の中に本人はいるものというような形でもって、愛国党本部の周辺に対する警戒の体制というのは大変厳しかった、こういうふうに報ぜられているんですよ。この辺の関係は一体どうなんですか。
○政府委員(三井脩君) 愛国党が、かねて核防条約の問題について厳しい批判をしておる、また、しばしば街頭宣伝等でそういう意図が見えている、かつ行動にも移っておるという状況でありましたので、この国民葬儀当日は、いわば警視庁の警護を行っておる人たち、私たちは警護対象と言っておりますが、警護対象になる要人が全部一堂に会される、のみならず外国からも関係の要人が見えるということでありましたので、それぞれの団体がいろいろの意味で、右翼と言いましても差がありますが、行動しております中で、愛国党が、格別そういう意味で関心を持っておる、警戒すべき対象であるというように考えました。したがいまして、大塚署管内に愛国党本部があり、かつこの愛国党本部の中に愛国党員の大部分が住んでおるわけであります。したがいまして、当日は午前八時に視察員、取り締まり員がここに張り込みをいたしました。午前十時半ごろ、彼らがマイクロバスによって出ていきました。数人がマイクロバスに乗って出ました。したがいまして、これに対しましてわが視察員も、行き先等彼らの行動を視野に入れるという意味でこれを追尾し、警戒をしておったわけであります。 ただ、出かけていった数名の中に筆保の顔が見えない、特に注目すべき筆保の顔が見えないというので、これは筆保がまだ党本部の中にいるのではないかという観点からいろいろと視察をいたしましたが、どうもこれは出ておるようだと。で、事実、逮捕後本人の自供によりますと、警察官が八時に配置に着く以前の午前六時ごろ、党本部を出発をしたということでありましたので、彼はもうすでに出ておったわけでありますが、十時半ごろ以後の状況で、どうも筆保は出てしまっておる。つまりわれわれの視野から外れておるということで、これは核防の問題について、常々の言動からいいまして、最高責任者である総理に対して何らかの行動に出るおそれありという判断のもとに、全警戒員に筆保が所在不明である旨を伝え、かつ、これを警戒せよという指示を無線等で流しておったわけであります。 筆保は調べによって、逮捕後の状況で自供しておりますが、本人は早朝に出て、地下鉄を数回行き来するという、地下鉄の中で時間つぶしをする。さらに、大丸の便所で紙袋に入れて持ってきた略礼装、これに着がえて、タクシーに乗って竹橋経由で会場に来たということであります。竹橋のところでは制服警察官にタクシーがとめられて、職務質問を受けたわけでありますけれども、彼は葬儀関係者だ、葬儀に参列すると、こういうことでありましたので、筆保の顔をすべての警察官が知っておるわけでもありませんので、そこはまあ無事にパスをした。それで、武道館に着いたのは午後一時ごろだということでありますが、受付並びに報道陣の背後、この辺で時間つぶしをして総理が見えるのを待っておった。こういうことでありますので、ただいま申しました、筆保の顔を全部の警察官が知っておらないにいたしましても、この武道館の前での、総理がただ一人になってぶたれる、もちろん警護員がおりますけれども、ここでの警戒というのは、われわれとしてはもっと注意をし、鋭敏な感覚を働かして、ここの状況はどうなっているかということに留意をしなければならなかったと、こう思うわけであります。 いま反省検討をいたしますと、あそこで御遺骨を迎えるというのも一つの重要な行事といいますか、儀式でありますが、やや儀式の空気にのまれて、遺骨が入ってくるその方に気をとられた。音楽隊が音楽を演奏する、儀仗隊が儀仗するという儀式的な面に気を奪われ過ぎたのではないかという反省が一つあり得ると思います。それからもう一つは、警護対象であります要人多数が武道館の建物の中に集まられる。したがって、失尾をし見失った、あるいは捕捉できなかったこの筆保が、武道館の建物の中に入ることは絶対阻止しなければいかぬというところに気が行き過ぎて、建物の中に一たん入られた総理が、そこから出てきて遺骨を出迎えられる、この場合の警戒について少し配慮が欠けておったのではないかと、こういうふうに思うわけでありますが、この点につきましては関係警護員、警戒員、各別各自につきまして十分に調査をして明らかにして、今後のこの措置に生かしてまいりたいと考えておるわけでございます。
○加瀬完君 盲点を突かれたとか、視野から外れたとか、儀式に気をとられたというようなことは、私は何にも弁解にはならないと思うんですよ。当然盲点は出てくる、警備上は。いずれの者がああいう犯罪行為を犯すかわからないということであれば、視野を広げて十分これは見ていかなければならない問題だし、しかも警察官の警備は、儀式に参加したわけじゃないですから、警備のために行ったわけですから、儀式に気をとられるというようなことは言いわけにならない。しかも、いま聞いてみますと、ある程度情報は得ておった。情報を得ておって、あいつがというように人も確認されておって、しかもそれに潜入されるということは、どういう警備をしたかという疑いを持たざるを得ない。 右翼の活動というものを少し大目に見過ぎてはいませんか。情報についても、比較しては悪いけれども、左翼の情報というものであったとしても、あんなにのんびり犯罪が行われるようなことが許されるでしょうか。もっと緊張するでしょうが、警察官は。右翼でも左翼でもそれは考え方は結構ですけれども、ああいう犯罪行為、暴力行為をしようということなんだから、左右を問わずこれは同じ厳戒体制で臨むべきだと思いますがね。この点どうも何か右翼に対してはそれほどの厳しさがないみたいな感じを受けるんです。これは皆さんの骨を折っていることを簡単に感想みたいなことを述べて恐縮ですが、そういう疑いを持たざるを得ない。この犯人は、犯罪行為をするという予見があっていて、しかも目の前で無防備の中でああいうことをされるということになったのは一体どういうことでしょうか。しかも八十一回も検挙されているんでしょう。それなら面通しだってできているわけだ。それが、どういう理由があろうと、タクシーに乗ってすらすらと入る。警戒しているということにならないでしょう、これは千四百人もいて。まあ大難が小難であの程度で済んだからいいようなものの、あれが、持っていた刃物で殺傷しようとすれば十分できる条件ですわね。どうも私は、一線の方には気の毒だけれども、右翼に対する取り締まりの最高方針というのが緩いように感ずるんですよ。そういうことはありませんか。
○小山一平君 関連。 いまの御質問にあわせてお答え願いたいんですが、愛国党が最近非常に活発な活動をしていますから、いろいろその内容について調査して把握をされていると思いますが、現在この党員と言われる者は一体何名ぐらいいるのか。そして日常ここらを飛んで歩いている、活動している、仕事もせずにかせぎもせずに毎日活動をしている人員は、一体幾人ぐらいなのか。相当の資金が必要だと思いますが、その資金ルートはどんな経路によって一体どんなふうに賄われているのか。その調査によって把握されている範囲で、ついでにお答え願いたいと思います。
○政府委員(三井脩君) 愛国党は約三百名の構成員と見ております。現実に愛国党本部に主として居住をし、かつ日常的に行動しておるのは十数名というように見ておりますが、資金等につきましては、なかなかこの出所、資金源その他がわかりかねるところでございます。いままで、二十六年に結成されましたが、お話がありましたように、しばしばいろいろの違法行為を犯しておるという意味におきまして、私たちが特に右翼諸団体の中で注目をし、関心を払っておる団体でございます。 また、右翼一般の問題につきましては、われわれの態度は、左右を問わず、もっぱら法の観点に立ちまして秩序維持ということでございますので、その団体あるいは個人が法を犯す、犯罪を犯すおそれ、こういうような点に着目いたしまして、これには十分な注意を払っておるつもりでありますが、今回の点につきまして、現実にこういう結果が出たということについて十分の反省と検討を加えて、再発防止に努力をしてまいりたいと考えるわけであります。 ただ、一言申し添えますと、警護員が要人その他の方々を警護するわけでありますけれども、この際の警護すべき対象といいますのは、もっぱら違法な攻撃がその警護される要人に加えられる、これを防止するということでありますので、相手が左右どちらであるとかということではなく――そういうものも含みます。含みますけれども、たとえば精神障害者というものも攻撃を加えてくるということがありますので、もっぱらあらゆる攻撃に対してボデーガードといいますか、これを排除する、こういうことでありますので、今回の問題につきまして、一面右翼の視察において、総理があそこに出向いて立たれたあの現場において、右翼を視察する担当員がもっと活発に動いてこれを早く発見できなかったか。発見すれば、これを隔離するとかあるいは説得してやるとか、あるいは職務質問をすれば短刀を持っていることが発見できて、銃砲刀剣類の違反ということでも現行犯逮捕ということができたわけでありますが、そういう意味におきまして、筆保を発見できなかった点に一番大きな問題がある。もう一つは、筆保が発見できてもできなくても、身辺の警護員としては、その現場においてどういう危害があるかもしれないという、常にそういう観点から万全の警戒の体制にあって周囲に目を配っておる、前方ばかり見ないで背面の方も十分に気を配る、こういう両面の問題があると思います。この両面につきまして十分に検討を加え、指示をしてまいりたい。とりあえず昨日、そういうような点について一層注意をせよと、こういうことで、この事案の内容とともに、注意すべき諸点について第一線に指示をしたところであります。
○加瀬完君 私はあの場合、警護の担当が三木さんの周辺にいなかったとかどうとかいうようなことは大して問題じゃないと思う。はっきり犯罪を犯すおそれのある者が予見されておるのに、それに対してどういうように防止の対策を幹部が立てたか、これが問題だと思うんですよ。右翼に甘いんじゃないかと言いましたけれども、国会の周辺で毎日毎日やっているのをごらんなさい。労働組合の旗ざおを立てるとか立てないとかいうことで、あなた方は物すごい圧力でこれを制圧しているでしょう。ところが、がんがんがんがん、ばり雑言をでかい声で叫びながら車を飛ばしたって何にも制限しないでしょう。一般の、あなた方に制約をされている人たちが見れば、警察は右翼に甘いという感想を持たざるを得ませんよ。 そういう日常の取り締まり方針で、今度のように、いま承れば、あいつはやるんじゃないかということを予見されているのに対して、八十一回も検挙をして顔がわかっておるのにかかわらず、これを中へ入れないような十二分な対策の方針というものが出されていない、ここが問題だと思うんですよ、私は。人間ですから過失というものはある。そこで警察官の取り締まりの者がおっても間に合わないとか、駆け出す暇がなかったとかというようなことはあり得ることだ。あり得ることだけれども、幹部としては、三木さんを襲うかもしれないと予見されながら、それに対して十分なマークと取り締まりができなかったという、この責任の方が大きいと思う。この点はどういうことになっておりますか。
○和田静夫君 ちょっと関連で、時間がありませんからまとめて……。 いまの点が非常に重要だと思うのです。同時に、今度の警護の問題が起こったその時点までのことが問題になっておりますけれども、現場で一体何が起こったんだという形のものに対しての連絡が、現場の責任者との間で十分にとれなかったという報道がありますね。したがって起こった後、事後においても、警察の今度の態勢というものは非常に責任を感じなければならない態勢にあったのではないだろうかということを一つ考えます。 もう一つは、この党は破防法の適用団体ですか。その辺をひとつ答えていただきたいことと、自衛隊を除隊をした後こういう形で右翼団体に加入をしておるところの人数というのは、今日どういう形になっているのか。 さらに、国家公安委員長が席を外してしまって困っているのですが、福田国家公安委員長は責任を明らかにするという談話を出されました。これは、御本人の責任の所在も含んでのことかと私たちは考えますから、本人に聞かなければ実はわからぬのでありますけれども、先ほどの責任の所在ということについて御答弁がないんですが、そこをも含めてひとつ答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(三井脩君) まず、右翼関係の団体あるいは構成員の平素の行動に対する警察の取り締まりという問題でありますが、私たちといたしましては、右翼であるから甘いということではなく、これは公平に、かつ、もっぱら起こり得る可能性といいますか、起こるおそれのある犯罪行為という観点に立ちまして、これの未然防止に努めておるところでございます。 事件発生後、この事後の措置が適切でなかったというようなお話がありましたけれども、私たちは発生後の措置はきわめて適切であったと考えております。ただ、もし問題点があるといたしますと、総理が襲われたときの状況が第一報から詳しくわからなかった、第二報が入るまでに若干時間がかかった、こういうところはもとよりまだまだ改善すべきところはありますけれども、現場において犯人を逮捕し、総理が暴行を受けたということはわかっておりましたので、この点についてもっと一報から二報までの時間を縮めるというような努力、改善ということは、今後常にやらなければならないことであろうかと思うわけでございます。 また、自衛隊出身の右翼の関係者がどれくらいあるかというような点については、その点は把握いたしておりません。それぞれの個別の事案あるいは個別の人物につきまして、その経歴がどうであったかということは可能な限り把握いたしておりますけれども、総体として自衛隊出身者と右翼との関係、こういうような点については把握をいたしておりませんので、わかりかねるところでございます。 また、この責任の問題につきましては、ただいま申しましたような事案でありますので、現場で措置をした指揮官から各警察官に至るまで、各人の役割りと働き、これを明確にいたしまして、どこのところに問題があったかということを明らかにして、それから措置を考える、こういうことになろうかと思います。
○和田静夫君 破防法は。
○政府委員(三井脩君) 破防法の点、申し落としましたが、御存じのように、破防法は行政処分と罰則があるわけでございまして、私たちは破防法の関係では、罰則については他のあらゆる罰と同じようにこれに関与するわけでございますけれども、行政処分であります団体規制はもっぱら公安調査庁の固有の権限でございますので、その点についてはわれわれは触れない、こういうことでございます。ただいま、破防法によって団体規制を受けておる団体は全くございません。したがって、よく言われますように、破防法容疑団体として公安調査庁が指定しておる団体に該当するのかどうかと、こういうことがあるわけでありますが、破防法上容疑団体の指定ということはありませんで、もっぱら公安調査庁が内部事務処理の都合上やっておる措置ということでございますので、私たちも大体のことは聞いておりますけれども、正確なところ、権威あるところは申し上げかねるような状態でございます。
○上林繁次郎君 いままでにいろいろの問題点が出たんですが、再びこういうような事件が起きてはならないということは、これはもう私が言うまでもありませんが、そこで二、三聞いてみたいのですが、きのうの特殊な状況の中、その特殊な状況について先ほどお話がありました。たとえば右側に音楽隊がいたとか、左側にはどうであったとか、あるいは音楽に気がとられたのではないかというようなことで、いろいろな状況が報告されたわけですけれども、そこで、そういった状況というものは事前にわかっていなかったのかどうか。たとえばその前日なら前日に下見をやる、そして状況を想定した上で、こういう状況であるから当日はこういう注意が必要であろうというような指導訓練、こういったものが行われてきたのかどうか、この点いかがですか。
○政府委員(三井脩君) 前日はみんな必ず実査をし、どこに位置をするかということを決めるわけでございますが、したがって、二十三名おった中の、多くの人がやっておったと思いますけれども、総理の直近についておる身辺警護員、これは総理とともに行動しておりますので、その時点での実査にはあるいは行かなかったのではないかというような気がいたしますけれども、問題はそこにあるのではなくて、総理が行かれるときには、先着警護員というのが、この場合七名であったと思いますけれども、これが先に行って、総理が着かれるまでに不審点はないかということをよく見、きれいにしておくという任務を持っておりますから、これは当然前日に、警戒訓練といいますか、実査をし、その辺の心構えはできておったと、こう思うわけでございます。したがいましてもう一つ、筆保が所在がつかめないということと総理があらわれるその時点、総理がそこにお立ちになる時点とを密着させて、関連づけて、もう少し警戒を万遍なく、三百六十度に警戒の関心を払うという点について問題はなかったかという点が、いま考えるとはなはだ残念な点でございます。
○上林繁次郎君 警護員に十分な心構えがあっただろうというお話ですが、私が聞いているのは、そういう警護の人たちに対して、あらゆる状況を加味した上でこうなければいけないというような指導訓練がなされたのかどうかということをお尋ねしているんです、昨日のことについて。
○政府委員(三井脩君) その点ちょっと正確に私はつかんでおりませんが、警護員には警護員心得というのがございまして、また総理の身辺警護についておる人たちは、いわばベテランでございます。そういう心得を他の人たちに教えるような立場にある人でございますので、その辺は十分心得ておると考えています。
○上林繁次郎君 そこで問題なのは、十分心得ているから大丈夫なんだというとらえ方は甘いということです。だから問題が起きたということですからね。その点が私は問題だろうと思うんです。それは認めますね。その辺が私は問題じゃないかと思うんです。もう大丈夫なんだ、ベテランなんだからというその安心感、そのすきをねらわれた。言うならば油断である、こう申し上げていいんじゃないかと思いますけれども、その点はどういうふうにお認めになりますか。
○政府委員(三井脩君) 確かにそういう点の抜かりがあったのではないかと思いますが、それがどういう理由でそういう状況が出てきたのか、その辺の事情というものも勘案をして、これから改善をし心がけるべき点、また、先ほど申しました責任と申しますか、そういうような点も十分に詰めてまいりたいと考えております。
○上林繁次郎君 そこで、これは具体的な問題になりますけれども、たとえば、先ほど御報告がありましたけれども、後ろから核拡防反対ということで犯人が叫びながら来たと、こういうわけですね。その距離はどのくらいあったのか。そうやって叫びながら、言うならば予告をしながら走ってきたということでしょう。歩いてきたということはないでしょう、走ってきた。その距離はどのくらいあったのか。そう叫びながら来たんですから、それを阻止することができなかったのかどうか。もしそれができないとすると、これはいわゆる警備の技術的な問題として大きな問題がある、こういうことになると思いますけれども、その辺のところはどういう状況だったんですかね。
○政府委員(三井脩君) まだ現場検証の結果としての資料を、報告をもらっておりませんので、多少数字に違いがあろうかと思いますが、本人が飛び出しました位置からは約七メートルぐらいではなかろうか、あるいは八メートルかもしれませんけれども、そんな感じでございます。それから、総理に一番近い警護員は約五メートルの位置におりました。本人が叫びながら来たということでありますけれども、本人の逮捕後の供述等によりましても、総理を襲うということで本人も興奮して声か出なかった、警察官に手をかけられてやっと声が出たと、こういうようなことでありますから、本人の声によって警護員が振り向くとか注意を引かれるという状態ではなかったというように見られるわけでございます。
○上林繁次郎君 最後に一点。 これはお答えしていただけるかどうかわかりませんけれども、こういう事件が発生するたびに、いままでにもこの種の事件があったわけですけれども、再びこういうような問題を起こさないように注意しなければいかぬ、努力もしなければいかぬ、こういった発言があるわけです。その都度そういう発言はあるけれども、また相も変わらずこういう問題が起きてくる、こういうことですね。 そこで、先ほどもお話があったように、警護する者は非常なベテランである、そういう認識の仕方、だから大丈夫だと言う。そういったことを考えますと、これはやっぱり警備警護という問題が一つの形式化されておる、こんな感じがいたします。そういったところにこういう問題が、その都度問題が起きたときは決意はするけれども、しかし時間がたつに従って何となく形式化されてしまう、そういう中で問題が起きておる、私はこういった感じがしてならないわけです。この点を、この問題を契機に次にどう生かしていくかという問題、これは重要な課題だろうと思うんですけれども、そういう形式的にならぬように、やはり平素の訓練というものは必要ではないかと、こういうふうに思いますが、その点どういうふうに考えますか。
○政府委員(三井脩君) この種警護警戒で一番大事な点は、いま御指摘のようにマンネリズムにならないということでございます。これにつきましては、本人自身が日々そういうふうに心がける。また、自分の気持ちでは警戒しておるつもりが、生理的にといいますか、潜在意識の方で、どうも頭で考えるほど体や神経が働かないという注意力の限界といいますか、それがダウンカーブをたどる、こういうような時期もあろうかと思いますが、こういうような点につきまして、本人がみずから体調や心理状態を整えるという努力が必要であります。もう一つはその上司、同僚、幹部が、本人のそういう容体にマッチをいたしまして適切に注意を喚起をする、また、やり方についてアドバイスをするということが大事だと思います。 こういう点については、現場においては常に心を砕いておるところでございまして、警護員というのはそういう意味でいわば日々神経をすり減らすほどの心構えでやっておりますので、いままでありました多くの警護の機会にも無事にやってきておるわけでありまして、今度の警護にいたしますと、いわば万に一つの事案である、こういうことであろうかと思いますけれども、警護の性質上、万に一つでありましてもこれが起こるということに大きな問題がありまして、その他のことは全部いきましても、万に一つですべてが水のあわと、こういうことになるわけでありますから、その任務の厳しさを十分本人も理解をする、また上司、周囲もよく理解をする、そうして適切な指導をする、こういうことで、労苦を労苦としながら、また任務の厳しさにマッチするだけの心の準備また訓練というものを続けてまいりたいと考えるわけであります。
○神谷信之助君 これは長官にお答えいただきたいと思います。それは私、先ほどからも話が出ていますが、右翼に対しての甘さがあるんじゃないかという問題ですね。右翼だけじゃなしに、いわゆる暴力学生集団、こういった連中に対する警察当局なり政府自身の方針上にそういう甘さ、あるいはわれわれが常に指摘をしている泳がせ政策との関連でひとつ聞きたいと思いますから、長官の方からひとつお答えをいただきたいと思います。 今日まで右翼に対して、まあ伝統的な甘さがあったというように見られても仕方がない。今度の場合も四カ所でチェックをしているわけですが、これは明らかに参列者と見られない人以外はスムーズに通ってもらったと言って村上警備部長が弁解をされています。それからボデーガード四人が付き添っているんですね。そして警官が、二十三人私服がおった。ボデーガードが四人ついていれば、それぞれが前方、後方、左、右と分担をして大体注意をしなきゃならぬわけでしょう。四人とも遺骨が来るんだということで前方に行ってしまって、無防備の状態になってしまった。普通ボデーガードの警護の原則から言っても、どうにも納得ができない。しかも、素人がやるわけじゃなしに、しょっちゅう訓練をされている方がやっているんでしょう。この辺にも一つおかしな点があったと思うんです。 それから、この犯行を行った筆保という男は、先ほども報告がありましたように、自衛隊を空士長で退職をしたのが一九六二年ですね、三月。そしてその後五月には、愛国党に入って創価学会の本部に押しかけて暴力行為で検挙をされた。これが始まりで八十一回検挙歴を持つ。現に愛国党の書記長で、青年行動隊長でもある。非常に、先ほど話がありましたように、警察庁の方も予見をし、警戒をしておった男です。それが朝六時ごろに出ているのに、八時ごろから張り込みに入っているんですから、もうおらぬところをマークに入っているんですから、これほど間抜けた話はない。これは何かあんまりでき過ぎた話過ぎるのじゃないか、こういうように思うんです。 ですから、こうした点から見て、警察側が右翼に対して伝統的な甘さがある、こう見られても仕方がないような状況です。今日までも、御承知のように右翼によって岸総理の刺傷事件、それから淺沼社会党委員長の刺殺事件、河上丈太郎社会党委員長の刺傷事件、ライシャワー駐日米大使の刺傷事件、これらも、いずれもこれは防止されずにそのままやられました。未然に防止できたのは池田首相の福島遊説のときだけだと言われております。また、共産党の宮本委員長に対する熊本空港での暗殺未遂事件や、大阪の扇町プールでの日本刀所持潜入事件、これはことしの四月。これは警察はようつかまえない、見逃していて、そして直前にこれを阻止することができた、こういう状況ですね。 こう考えてきますと、非常に右翼に対する甘さがある。きのうもそうでしょう。きのうもこの上で委員会をやっていましたら、もう委員会の中に聞こえるように愛国党の連中が宣伝カーで回っています。そこで三木首相に自刃を求めるというようなことを言っています。もしあれを民主勢力の側が、これはやりもしませんけれども、やったりしたら、恐らくすでにもう威力業務妨害か脅迫か何かでやられているでしょう。右翼の方は毎日のように自民党の本部に出かけてやっているし、国会の周辺をがらがら走り回っている。そういうことはほったらかしだ。先般の公職選挙法の改悪反対の請願デモでも、これは衆議院の方で指摘をされて、警察庁の方も過剰警備についてはお認めになったようですけれども、そういう整然とした請願のデモでも、旗ざおを立てるなとか、あるいはそれの地域の代表ですが、その地域を示すような標識さえ規制をする。片一方では野放しです。私はここのところに今日の警察当局の問題があるのじゃないかと思うんですが、この点、長官いかがですか、お答えいただきたい。
○政府委員(浅沼清太郎君) 昨日の事件は、先ほど来いろいろお話がございますように、やはり被疑者は非常に虞犯性の高い人物であるということ等が把握され、しかもこれを視線から失っておるということで十分な警戒を指示しておったということ、しかし、それが最終段階でチェックできなかったということで、この事前の視察の問題と警護の問題、また全体の警備体制の問題、それらの連携の問題、そこらに大きな反省点があろうかと思うのであります。ただ、国民葬ということでありますので、式場、会場の中は厳重なチェックをいたしておりましたが、建物の外におきましては、もちろん後で一般の国民の方の会葬もあるということで、必ずしも十分なチェックができなかったというあたりにも問題があるように思うのであります。また、先ほど局長からも申し上げたように、ボデーガードの技術的な問題あるいは警戒のやり方の問題等につきましても十分検討したいと思っております。 ただ、私どもとしては、警護にいたしましても、左右とか、あるいは仮に精神異常者が乱暴をするという事件も過去にありますし、そのいずれを問わず、とにかくテロとか違法行為に対しては厳重にこれを取り締まる、また事前にこれを防止するということに全力を挙げておるのでありまして、その点は厳正な態度で臨んでおる次第でございます。
○神谷信之助君 もう一つはっきりしませんね。こういう事件が起こる背景には警察の右翼に対する、あるいは暴力学生に対するそういう甘さ、これが問題ではないかと言っているんですよ。この点についてはどうなんですか。――いや、長官だ。
○政府委員(三井脩君) 右翼あるいは極左暴力集団の学生その他につきましても、私たちは治安維持ということでありますから、法律を基準にしてその行動を見るということでありまして、いずれに甘く、いずれに厳しいということではなくて、彼らが行うおそれのある行動、こういうものに対して十分に注意をしておるということでありまして、警察法の示すとおり厳正公平にやっておるというふうに信じておるわけでございます。ただ、具体的な行動内容によりまして、それぞれその対象によって彼らのやる行動のパターンというのは違ってまいります。それに応じて、ただいま申しました適正な法律の運用というものは何であるのかということによって、おのずからこれは行動に応じて適用できる法があり、できない法があるというその差でありまして、警察側において方針として、あるいは態度として、甘い辛いというようなことはないという方針で臨んでおるわけでございます。
○神谷信之助君 その筆保というのが、核防条約に反対の文書と、それから短刀をテープでくくりつけて、そして持っていったわけでしょう。自刃を勧める目的なんですね、自害しなさいと。ところが、顔見たら憎さが余って先に手が出たというように言っているらしいですけれども、この自刃せよというのはもう毎日のようにやっているんですよ、宣伝カーで、自民党の本部の前で。これは野放しですよ。それはだれがしゃべっているかというのはもうつかんでおられたんですか。筆保自身も言っていたんじゃないかと思いますけれども、こういった点はどうだったんですか。
○政府委員(三井脩君) 愛国党員がそう言っていろいろ街頭宣伝活動をやっているということは承知いたしております。ただ、その言論活動だけで直ちにこれがたとえば脅迫罪になるとか、そういうような刑法違反に直ちになるというわけにはまいりませんので、そこがわれわれとしてなかなかやりにくいところだと。これはもっぱら法律の問題ということになるわけでございます。
○神谷信之助君 それは納得できないです。整然と請願デモをしている場合には、旗ざおをおろせとかどうとか言って規制をして、そうしてトラブルを起こす、そういう過剰警備をやるというようなことはやりながらですよ、やっている。しかも愛国党というのは、何でしょう、一九六〇年の浅沼委員長の暗殺事件、それから翌年の嶋中事件の犯人、これはどちらも愛国党の党員ですよ。だから、そういう個人テロをやるきわめて危険な右翼団体であることがもうはっきりしているんですよ。 そっちの方はほうっておいて、これは長官、ひとつ長官にお聞きしたいと思いますが、六月三日、この当委員会で警察問題の審議をやったんですが、そのときは長官は本部長会議で出席ができないということでした。ところが、その本部長会議で長官のあいさつをなさっているんですが、そこでわが党について触れておられる。「日本共産党は、一方では四月の統一地方選挙の結果と、変動期に突入した国際情勢を踏まえて、七〇年代の後半に「民主連合政府」を樹立するとの党の長期路線を進め、他方では質量の両面にわたる党建設と各方面への浸透拡大、国際連帯活動の強化等を狙った党活動を推進して「民主連合政府」構想の条件つくりに努めるものとみられるのであります。同党はこうした条件づくりの重要な一環として、警察を弱体化するための諸活動を多方面から強めてきているのであります。各位におかれては、その実態を十分には握し、的確な対応措置を講ずるとともに、隙のない真に強じんな体制を確立し、同党の動きに対して、引き続き関心を払われたいのであります」、こうおっしゃっているんですが、これは事実ですか。
○政府委員(浅沼清太郎君) そのとおりでございます。
○神谷信之助君 この「警察を弱体化するための諸活動を多方面から強めてきているのであります。」とおっしゃっていますが、これはどういうことですか。――本部長だ、本部長だ。本部長がしゃべっているのだから、本部長、答えなさいよ。
○政府委員(浅沼清太郎君) 警備局長に……。
○政府委員(三井脩君) このただいま御質問の、弱体化するための諸活動を多方面から強めてきておる、こういう点でございますが、共産党の中央機関紙であります赤旗の昭和四十八年十二月二十六日の紙上で、こういうふうに言われておるわけでありますが、これは赤旗読者の質問という形で、こういうことであります。共産党は自衛隊や警察官への宣伝活動を特別に重視すると言っていますが、それはどういうことですか、こういう赤旗読者が質問をし、赤旗紙上で回答をしておるわけですけれども、それによりますと、共産党は一九六八年七月の参議院議員選挙のとき、「自衛隊員のみなさんへ」、「警察官のみなさんへ」と、二つのアピールをつくり、自衛隊員や警察官に直接広く呼びかけた、民主連合政府樹立が現実的課題となっている現在、こうした宣伝活動を系統的に強めることが重要であると、こういうふうに共産党としての方針を読者の質問に答えるという形で明らかにしております。 そうしてまた、昨年の六月と十二月、さらに本年に入ってからは一月と四月に、警察職員向けの赤旗号外あるいは赤旗特集を全国各地で警察職員に配布しておるわけでありますけれども、この中で、昭和四十三年七月に警察官に配られたアピール、ビラではこういうふうに言われておるわけであります。その内容でありますが、日本共産党は、破防法、公安条例を初め、すべての弾圧法令の廃止を要求するとともに、警備公安警察を廃止する方針を持っている、こういう点が明らかに書かれておるわけであります。警察官がこのような共産党の立場に立つことを――共産党の立場に警察官が立つことを要求する、さらにまた警察官が、共産党の綱領で言われております真の独立、民主、平和、生活向上の日本をつくる道に警察官が立つことを希望すると、こういうふうに呼びかけられておるわけであります。このことは、共産党の党綱領に示されておる革命の道ということでありまして、警察官がこういう立場に立ちなさいということをPRされておる、こういうことであります。 また、昨年六月の赤旗号外でも、警察はトロツキスト暴力集団を泳がせているとか、あるいは警察運営が警備公安警察を優先させて政治警察的にゆがんでいる、こういうような真実と大変違ったことが書かれておるわけであります。 こういうような共産党の諸活動というものを見ますと、マルクス・レーニン主義の基礎であります階級、警察は階級抑圧の暴力機構である、こういう観点から警察の弱体化を意図したものであるというようにわれわれとしては考えざるを得ないと思う次第であります。われわれ警察は、警察法の命ずるところに従いまして、不偏不党、厳正公平に公共の安全と秩序の維持に当たることを責務としておるわけでありますが、このような観点から、それに弱体化されないようなふうにわれわれとしては努めてまいる、こういう趣旨でございます。
○神谷信之助君 そうすると何ですか、警察官は共産党の政策は支持してはならないということですか、いまの話ですと。警察官が共産党の政策を支持するということになったら、それは警察が弱体化する、そういうおそれがあるからこういうことを言っているのだ、そういう意味ですか。
○政府委員(三井脩君) きわめて一言で言えば、そういうことになろうかと思います。
○神谷信之助君 そうすると、警察官は政党を支持する自由はないのですか。
○政府委員(三井脩君) 政党支持の自由はもとよりあるわけでありますが、私たちは政党支持の自由云々という問題ではなくて、警察の責務として、中立の立場に立つ、政治的中立、不偏不党、これを厳正に実施するという責務を負っておりますので、それとはまた別の立場において、警察の責務が中立でないあるいは不偏不党でないと、こういう疑われるような立場に立つべきではない、こういうことでございます。
○神谷信之助君 おかしいじゃないですか。警察官が自民党を支持しようと、共産党を支持しようと、国民の一人ですから、憲法に保障された政党支持の自由はあるわけです。そうでしょう。ところが、共産党を支持することだけはけしからぬ、いかぬ、それは警察を弱体化することになるんだ、こう言って排除するというのは、それは警察法二条による不偏不党の義務から言っても違反をしておる行為じゃないですか。私ども共産党が言っているのは、そういうように今日の警察というのが共産党やあるいは民主運動を敵視をして、そうして政治反動やあるいは軍国主義復活に反対する闘争、これを抑える。先ほども話をしていますけれども、右翼には非常に甘いという、もう現実にそういう姿も出ておるわけでしょう。そうですから、警察による弾圧とかスパイ活動、これを禁止をして、警備公安警察を廃止するというのはそういう意味ですよ。そして警察行政の基本を、本来の防犯と捜査、それから交通安全、災害救助、公害の監視、こういった面をうんと強化をして、そうして一切の不法な犯罪とか暴力活動、これから国民の自由と人権を保護する、こういうところに警察の活動の基本を置かなきゃいかぬというのが、まさに共産党の考えですよ。これがどうして警察を弱体化することになるのか。長官いかがですか。長官はどうなんですか。長官は知らないんですか、そういうことは。
○政府委員(三井脩君) その前にちょっと申し上げますが、警察法では、犯罪の検挙、被疑者の逮捕、交通秩序の維持、その他公共の安全の確保と、こういう趣旨の規定があるわけでありまして、その警察法によって与えられた警察の任務を、いわば全部を警察としてはこれを達成しなければならぬわけであります。これをきわめて限られた人数で、またこれを能率的に、そして効率的にかつ適正に処理をするために、おのずからその対象の仕事、仕事の量に応じて警察の分野というものはでき上がっておるわけでありますけれども、その中で警備公安警察というのは、直接に、ただいま申しましたが、公共の安全の維持ということにかかわる仕事であろうかと思うわけでありますけれども、この辺は廃止をする、こういうことになりますと、警察としては警察法二条の任務をこれをおろそかにする、こういうことになりかねないわけであります。そういう意味におきまして、私たちといたしましては、そういう立場からの主張、これについては耳をかすわけにまいらない。またそれに耳をかしておりますと、警察の任務を十分に果たせないおそれができてくる。任務を果たせないということは、警察がそれだけ弱体化する、こういうことであろうかというように考えておるわけでございます。
○神谷信之助君 警察についての最高幹部の考え方というのはそういうことですから、私そこに日本の警察の一番大きい問題がある、こういうように思うんです。そして長官の訓示の中には、「その実態を十分には握し、的確な対応措置を講ずる」ということをおっしゃっていますけれども、いまの警備局長の話ですと、赤旗なんかを読むような、あるいは号外を読むようなことはもう禁止をするというようなことも、この対応措置に入るのかもわからない。これは衆議院の方ではそういうことはいたしませんというようにおっしゃっていますけれども、実際にはわからないと思うんですね、いまのところ。私はこれは憲法のもとで保障されている警察官の基本的人権に対するきわめて重大な侵害である。民主主義のないところに真に国民に愛される警察というのは成り立たない。すでに、世界各国を見ましても、もう何でしょう、警察官に団結権を認めてないというのは、アルゼンチンとギリシャ、アラブ連合、それに日本ぐらいのものでしょう。他の先進諸国は皆団結権あるいは団体交渉権を認めているわけです。アメリカでもそれは認めていますよ。まさに日本の警察はそういうようなきわめて封建的な、民主主義の守られていない状況の中で警察活動が進められている。ここに、わが党やあるいは民主団体の運動に対しては敵視をしながら、そうして暴力学生や、こういう右翼の跳梁に対しては手をこまねいているという状態が起こっているのですよ。この点一つ指摘をしておきます。 特に、最後にこの点長官からはっきりさしてもらいたいと思いますが、三日の日に大津署の例の宿直手当の水増し請求事件、年間五、六百万円を宿直手当を水増し請求して、そして署長や次長の交際費、それらに使われているというやつが新聞に報道されました。滋賀県では大変な大問題になっておる。これについては、先般の委員会で報告を求めたら、県警本部長の報告をそのままうのみにして報告されました。これでは県民の疑惑も国民の疑惑も晴らすことはできない。ですから長官、ひとつこれは警察庁が責任を持って、事実はどうかというやつを警察庁の手で調べてもらいたい。そして当委員会に報告をしてもらいたいと思うのが一点です。 それからもう一つは、先般の三日の委員会で、警察署の中に正規の会計のほかに別途会計が存在をする。これはいろいろお話をしますと出てまいりました。たとえば武道始めのときに出てきた祝い金なんかは、これはプールをして、そして警官の、職員の厚生費に使っているんだという話です。そのほか、いろいろ聞いてみますと、この種の別途会計というやつが警察署の中に存在をする。これは大津署もそうですから、こういうことが起こっているのですね。だから、正規の会計に乗らない金を別途会計に持っているということが、どれだけ警察の財政に対する疑惑を招いているか。これでは私は清潔な警察行政と言えない。この点はしっかりひとつ改善をして、そういうもの一切、不明朗なものを持たせない。たとえば交通安全協力会とか、あのときは大垣署の問題を言いましたが、大垣署のパチンコの景品を買い入れする組織、これとの間の非常に大きな疑惑もあるわけです。こういった疑惑を持たれるのは、そういう別途会計をやって、そうしていろんなことをやられている、この辺に問題があるんですが、こういった点もひとつ明確にするのかどうか。この二つの点、最後に長官から答弁を聞きたいと思います。
○政府委員(浅沼清太郎君) まず滋賀県の問題でございますが、滋賀の大津署の宿直手当の関係は、責任者である県の本部長が詳細に調査をいたしておりまして、その内容を十分に把握をいたしておりまするので、警察庁として特に今後改めて調査をする考えはございません。
○神谷信之助君 それでは県民は疑惑が解けませんよ、やっぱり警察庁がちゃんとその疑惑を解いてやらないと。
○政府委員(浅沼清太郎君) また予算経理の問題でございますが、私はやはり警察は信用が一番大事である。その点につきましては、特に金銭の問題は一番これは信用にかかわる問題でありまするので、非常に重要だと考えております。ただ、御指摘のような点があるのかどうか、特別会計というような問題があるのかどうかというようなことは詳細に承知をいたしておりませんが、そのような経理の明朗、経理の公正、こういう点につきましては今後とも十分に注意をいたしてまいりたい、このように考えます。
○神谷信之助君 いまの点は特別に指示文書を出しますか。大津署はあったんですよ。はっきりしているんだ、大津署は。宿直手当は別の会計ですよ。ちゃんと正規の会計に乗ってないんだから別途会計ですよ、プールして。これははっきりしていますよ。
○政府委員(浅沼清太郎君) 大津署の調査の結果等を踏まえまして、なお十分に検討いたしまして、必要があれば指示をいたしたいと、このように考えております。
○委員長(原文兵衛君) 午前中の質疑はこの程度とし 午後二時二十分まで休憩いたします。 午後一時二十分休憩 ―――――・――――― 午後二時二十八分開会
○委員長(原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、井上吉夫君が委員を辞任され、その補欠として遠藤要君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) 休憩前に引き続き、地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○加瀬完君 大臣は後でお見えになりますか。
○政府委員(松浦功君) 衆議院の地行の方へ大臣出ておられますので、三時半ごろこちらへというふうにお話をしてあるように伺っております。
○加瀬完君 それでは、大臣がお見えにならないようでありますから、大臣にお答えをいただく点が残りましたら、委員長の方で適宜後で発言、御回答の取り扱いをお願いをいたします。 四十九年五月九日、本委員会での交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議について重要な問題が提示されておりますから、改めてこれに対する、政府のどう扱ったかという経過について、あるいはその姿勢についてお話をいただきたいと先般お願いをしておきましたが、この点どうなってますか。
○政府委員(松浦功君) 四十九年五月九日地方交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議、これは五項目ございます。それに対する措置またはそれに対する考え方等、御指示に従いましてお答えを申し上げます。 まず、第一の、「国の都合により地方交付税の法定額を減額するような措置は、今後これをさけること」。御承知のようにこの措置は行っておりません。 二番目の、「基準財政需要額の算定方法等については、社会情勢の変化に伴う住民需要の動向に対処し、必要経費を十分算入することとし、人員配置・単価その他の数値の改善に努めること」。この点につきましては、昭和五十年度において、人員配置の改善として標準団体における職員数の増加を図り、単価についても、給与単価あるいは補助単価等を四十九年に比べてそれぞれ大幅に引き上げるとともに、地方公共団体の改善意見を参考にしながら、それぞれ所要の措置を講じたところでございます。 三番目の、「地方交付税率の引上げ等を含む一般財源の強化充実をはかるとともに地方道路目的財源の拡充に努めること」。三番目の問題でございますが、国、地方を通ずる財政状況を勘案しながら地方交付税の所要額を確保をいたすことにいたしております。交付税率の引き上げは行わないでも財政計画が組めましたので、引き上げはいたしておりません。道路目的財源につきましては、五十年度で適切な措置がとれませんでしたが、今後自治省としてはこの附帯決議の趣旨を体してなお努力をしたい。しかしながら、逆に税源の増強という意味では、事業税の創設等も行いましてそれぞれ財源の強化を図りました。 それから、「生活関連公共施設の計画的整備をはかるため国の補助負担制度の強化をはかり、あわせて超過負担の解消について格段の努力をすること」。これにつきましては、生活関連施設整備関係負担金については、児童公園の補助採択率の引き上げ、上水道の水源整備の着工率の引き上げ、廃棄物処理施設の単価の引き上げ等充実を図ることにいたしております。超過負担につきましては、四十九年度で施設の超過負担の解消を図りました。四十九年度に実施をいたしました調査に基づいて、五十年度においては運営費系統について改善を図り、残余の部分については五十一年度でこれを解消するということを考えております。また、五十年度においてはそれぞれ警察施設費あるいは保健所運営費、そういったものについて実態調査を行いました上で、さらに改善をこの部分についても図りたい、このように考えておりますし、また今後とも、社会情勢の変化等を勘案いたしまして超過負担を生じないように関係省庁に要請すると同時に、さらにあわせて厳密な意味での超過負担とは考えておりません対象差あるいは数量差、こういったものについても五十一年度以降で一歩でも前進するように各省庁にお願いをしてまいるというつもりでおります。 五番目は、「地方債について引き続き政府資金の構成比率を高め、起債条件の改善をはかること」、こういう御決議でございます。これにつきましては、五十年度の地方債計画において、政府資金及び公営企業資金の額が全体に占める割合は前年度より〇・八%ふえまして六九・九%になっております。また、地方債の貸し付け条件については、公営企業債のうちガス事業に係るものの償還年限を二十年から二十五年に、都市高速鉄道の償還期限を二十五年から二十八年に、駐車場の整備事業を十五年から二十年に延長する、こういう措置を講じております。この五番目の項目については、今後も引き続き附帯決議の御趣旨にできるだけ沿うように――沿うと申しますか、合うようにという意味で、政府資金の構成比率あるいは起債条件の改善ということに努めてまいりたいと考えております。
○加瀬完君 超過負担の解消は大きな問題でありますが、他の委員からも当然質問が出ると思いますので、私は差し控えます。 そこで他の点について若干触れますと、基準財政需要額の算定方法は今回検討されたのか。
○政府委員(松浦功君) ただいま御説明を申し上げましたように、基準財政需要額の算定方法については、標準団体における職員数の増加を図るとか、単価の改定をするとかいうことでそれぞれの措置を講じております。
○加瀬完君 基準財政需要額の算定は、単に単位費用の単価を変えるというだけで解決できる問題じゃないと思う。たくさんの、ここの附帯決議の、「基準財政需要額の算定方法等については、社会情勢の変化に伴う住民需要の動向に対処し」云々とありますのは、一、二の単位費用をいじったら事済むという問題ではないと思う。 そこで伺いたいのは、いままで基準財政需要額をはじき出す基礎に、人口十万とか人口百七十万という人口基準というものを置いたわけでありますが、その人口基準団体というのを主にして乗せたり引いたりしたわけでありますが、これに不合理をお認めにはなりませんか。
○政府委員(松浦功君) 私どもとしては、いまのやり方というもので不十分なところがあれば改善していけば足りるというふうに考えております。
○加瀬完君 たとえば四十七年度ですね、一応基準団体と目せられる岡山県、熊本県を例にとりますとね、これは千八百十六億、千七百八十八億が当初予算であります。それは、伸び率は財政計画を下回って一二・九%、七・三%と低いわけです。それでも単位費用算出の経費総額の一・七倍になっている。それぞれの団体が最低限これだけは要るとはじき出したものが自治省の基準には合ってないわけです。自治省の基準のとおりに岡山県なり熊本県なりを運営するにはどうすればいいのか。具体的に私どもはおたくの方の基準ではできませんよと、こう言われたときに、こうすりゃできるという自治省には指摘すべき個所がありますか。
○政府委員(松浦功君) 都道府県の自発的な意思によって自治省の意見を求めるという形がございますれば、私どもとしても見解を述べることにはやぶさかではございませんが、自治体がどのような予算をお組みになるかについて、私どもは結果だけの報告をいただいているだけであって、中身を細かに分析をして、ああすべきだ、こうすべきだという態度はとっておりませんので、御了解をいただきたいと思います。
○加瀬完君 そういう権限もなけりゃそういう必要もないんですけれども、私が問題にするのは、人口百七十万程度の都道府県団体ではこのくらいの総額で基準的な運営ができると自治省がはじき出したものと、その該当される団体の予算額とは非常な開きがあるわけです。それはあなた方の方に無理があるのか、あるいはその標準団体にむだがあるのか。いずれにしても合ってないわけです。そういう点を考えますと、基準財政需要額のはじき方が、あなたの方に無理があるのじゃないか。地方団体ではこういう見解を持っている。無理がないというならここで御指摘をいただきます。熊本なり岡山なりのこの予算、この予算、この項目、この項目がむだだという御指摘をいただきます。
○政府委員(松浦功君) 加瀬先生も御承知の上でおっしゃられているのだとは思いますが、基準財政需要額というものは一般財源計算でございます。しかも、都道府県の場合は税収入の二割は算入をしていないわけでございます。しかも、特定財源は一切この中に関係しておりません。したがって、規模が食い違うのがあたりまえであって、基準財政需要額と予算規模が合ったらそれこそおかしなことになるわけでございます。そういう意味で、一・七倍ということになることはあり得ると思うんで、特に特定財源等が多いという場合にはその比率はどんどん広がっていくかと思います。私どもとしては、先ほど来申し上げておりますように、基準財政需要額というのは、地方財政計画をもとにいたして算定をいたします結果、限られた限界というものがあるわけで、それをどのように適正な形で割り振るかという努力をしておるところでございます。したがって、各府県がどのような予算をお組みになるかということは、私どもは、先生おっしゃられるように、とかくのことを申し上げる権限も持ち合わせておりません。したがって、どこが悪い、どこが悪くないという指摘は私どもにはできかねます。
○加瀬完君 ですから、おととしと去年の財政計画と決算額にだけ狂いがあったというなら問題は別ですよ。毎年毎年決算額とは全く無関係な財政計画というのが繰り返されているわけだ。それならその財政計画というのは一つの目安にならぬでしょう。もっと言うならば、あなた方の考えるアウトラインの財政計画というものは地方自治体の予算額とは全く無関係だと。こんなものを財政計画として出したって全く無意味じゃありませんか。だから、財政計画なり、特に交付税等の算定の基礎になる基準財政需要額の算定というようなものについては、具体的な地方自治体に合うような算定の方法というものを考える時期に来ている。人口百七十万とか十万と、人口三千から三百万まである市町村の十万を押さえて、それを基準にどんなふうに組み合わせをしたって的確なもの出てくるはずないでしょう。これは、私はいま初めて問題にするわけだけれども、たびたび毎年交付税あるいは財政計画では指摘をされているところだ。しかし、相変わらずこれ変わらないでしょう。端的に言うならば、人口三千から三百万まで市町村があるのに十万という人口を押さえて、標準団体か何か知らぬけれども、十万という人口を押さえていろいろ基準を決めていくということに矛盾と無理をお感じになりませんか。
○政府委員(松浦功君) 人口二、三千のところから人口三百万までの市町村、これを人口十万のところを標準にと、それじゃ技術的にどうしたって無理がいくじゃないかというお話でございますが、人口十万の標準団体のある特定の費目をとりました場合にこれだけのものがかかるだろうということは、私どもは地方公共団体の実態を伺いながら算定をしてつくっております。それに対しまして、二十万の場合も三百万の場合も、全部それぞれの人口段階の行政費というものをちゃんと想定をして、実態調査に基づいた上で計算をいたしております。それを補正係数で掛けておりますから、私どもとしては矛盾を感じておらないわけでございます。
○加瀬完君 この問題は後で触れますが、補正係数というのが、自治省がおっしゃるように適切に補正をされておりませんよ。大体基準団体をとるにしても、人口十万というのをとって二つの問題があるわけでしょう。現在の自治省の考え方による決め方は、人口十万の団体にも適切でない面が一つある。したがって、第二は人口十万の標準団体の要望をも満たしておらないような算定の基準というものをつくって、それを三百万に広げたり三千人に落としたりすれば、それは誤差というのがたくさん生じちゃって、実情とははなはだ離れざるを得ないものになる。だから、仮に十万という標準団体をつくったとしても、それを一つで押さえていくべきなのか、幾つか分けた方がこれは具体的に合理性が出てくるかというのは、検討されて当然しかるべき対象ですよ。それが一つも行われておらないところに、私は先ほどのような交付税の算定あるいはそのもとの基準財政需要額の問題が提起された理由があると思うんです。 質問をさらに重ねますと、いまの交付税というのは、基準財政需要額と基準財政収入額というもののバランスをとるような形のみで決定されておらないでしょう。交付税の税額が出て、それに基準財政需要額を合わせたり単位費用を合わせたりして逆計算をしているんじゃありませんか。そうではありませんか。確実に基準財政需要額というものを積み上げて、そして基準財政収入額を積み上げて、その不足分が交付税で各団体に渡るという形じゃないでしょう。たてまえだけのことだ、それは。実際は交付税額が出て、その交付税額に合うように単位費用でも基準財政需要額でも積み上げているんじゃありませんか。これはごまかしですよ。
○政府委員(松浦功君) お言葉を返すようで申しわけありませんが、何回も御説明を申し上げておりますように、地方公共団体の財政のバランスというのは、地方財政計画でとっているわけでございます。したがって、財政計画というものがもとになってそれが交付税というものに投影をされるという形になるわけでございますので、結果的には、先生がおっしゃられるように交付税の額というものに基準財政需要が縛られてくる、あるいは税収入の見込みに縛られてくるという結果になることは私どもは当然であろうかと考えております。
○加瀬完君 交付税法はそうなってないでしょう。基準財政需要額というものを計算して、基準財政収入額を計算して、その不足分を交付税で補うというたてまえとっているんでしょう。交付税法、そうですよ。それが税法の趣旨のとおりには行われておらないということが私は大きな問題だと思う。現状は、交付税は補助金的な性格しかないじゃないですか。固有財源という形で地方が地方税と同様に自由に使えるという性格を持ってないでしょう。補助金的な性格が非常に濃厚だということはお認めになりませんか。
○政府委員(松浦功君) 残念ながら意見を異にいたします。
○加瀬完君 いや、意見じゃないですよ。意見をお互いに異にするのは結構ですよ。固有財源という性格を失っているでしょう。基準財政需要額というものは、それぞれの地方で自主的に考えて計算して需要額が決まるというのが筋ですよ。しかしながら、それは地方のエゴが働いてはなりませんから、一応の基準というものを設けて基準財政需要額というのを計算すると、これは許されていいことでしょう。しかし、そういう計算によって積み上げられた関係で交付税が決まってないでしょう。交付税額が決まって、その交付税額を逆算して単位費用なり基準財政需要額決めているんでしょうが。法律にそうありますか、交付税法に。交付税額を決めて、交付税額に合わせて基準財政需要額は決めなきゃならない、単位費用は決めなきゃならないということがどこかに書いてありますか。交付税課長、ひとつ専門家だ、伺いましょう。私が言ったようなところがどこか法律に書いてあればお示しをいただきたい。
○説明員(石原信雄君) 交付税法の規定によりまして、交付税法第六条で、交付税の総額は、「所得税、法人税及び酒税の収入額のそれぞれ百分の三十二をもつて交付税とする。」というふうに決められております。で、この点が交付税の前身である地方財政平衡交付金と根本的に違うところでありまして、地元財政平衡交付金は、御案内のように、各団体について計算いたしました基準財政需要額から基準財政収入額を差し引いた、その財源不足額の合算額をもって地方財政平衡交付金のうちの普通交付金の総額とするというふうに規定されておりましたから、先生御指摘のように、まさに各団体の積み上げが平衡交付金総額になるという意味で積み上げ方式であったわけですが現在の地方交付税は、初めに交付税の額が百分の三十二ということで決定される仕組みになっております。 もっとも、この点につきましては、交付税法の第六条の三の第二項におきまして、国税三税の三十二として決まったその交付税の九四%の額の普通交付税というものと、それから個々の団体ごとに積み上げ計算した財源不足額との間に大きな乖離が毎年引き続き生ずる場合には、地方行財政制度の改正あるいは交付税率の改定ということが問題になる仕組みになっておりますけれども、基本的には国税三税の三二%を交付税とすると、その交付税を妥当な形で配分するというのが現在の交付税法のたてまえであります。
○加瀬完君 それは違いますよ、あんた説明が逆だ。基準財政需要額と基準財政収入額とのバランスがとれないときには、三二%は当然変更されるというたてまえに立っておるわけなんですよ。それが合理的だと思うからいま三二%という交付税率が出ているわけです。平衡交付金から交付税交付金に改まるときに自治省は何と説明した。たてまえは平衡交付金と同じ論拠ですと、基準財政収入額というものを自治体単位に計算をして、自治体単位に基準財政収入額を計算して、そのバランスをとるために、国税三税の何%ということで確実に埋め合わせるようにいたしました、したがって、財源的にはこの二八%なり、三二%なりというものは当然移動をするものでありますから、平衡交付金より確実なものであります、しかしたてまえは平衡交付金と同じ計算でやりますと説明したんじゃないですか。それがそのとおり交付税法にもある。三二%というのが決まって、これが動かすべからざるもので、三二%を補助金的に基準を設けて配付をするということじゃないはずだ。交付税法の三条の二項には、「国は、交付税の交付に当っては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない」と書いてあるでしょう。地方自治の本旨というのは、住民自治、住民福祉でしょう。住民福祉のために住民自治で決まって、これだけの財政需要が要ると決まったところで、三二%だけでもって押してくればこの三条二項というのは無効ですよ、無意味ですよ。だから、私がさっき交付税は補助金的性格が多くなりましたねと言ったら、そういうことは絶対ないと、こう言った。見解の相違だと。見解の相違なら、交付税がいま指摘しましたように補助金的なものでないと言うなら、自主財源だと言うならば、三二%にこだわってそれを逆算をするというやり方は成り立たないわけですよ。そうじゃありませんか。交付税が三二%という税率をもとにして存在しているわけじゃないですよ、交付税法は。三二%は変化さるべきものなんだ、これは。この間議論したように、「も」という字があるとかないとか言ったけれども、基準財政需要額と基準財政収入額が三二%では見合わないような状態になれば、三二%は変更され得るものなんだ。こういう基本的な前提を外して逆算を強いるようなことをしておっては、これは交付税法の違反ですよ。しかし、これは議論になりますから避けます。 そこで、そういってもあなた方は補正でできると、こう言う。じゃ、具体的に補正でできるかどうか伺いますよ。先ほど標準県である岡山と熊本の四十九年度予算について触れましたけれども、岡山は千八百十六億、熊本が千七百八十八億、ただし、自治省がはじいた標準団体の歳入は千五十七億。千八百億かかるというのに千五十七億とはじいているわけですから、千八百億かかるという計算はむだだということになりますね。千五十七億でできるということになりますわね。こう論及をしてまいりますと、どういう予算をつくってどういう運営をしてどういう財源を求めるかということは地方自治体の独自の権限だから、これはただ一つのサンプルだと、こう言う。標準団体というものを決めて計算するのに、はじき出した数字が、その標準団体の運営と全く関係のないような数字を出しておいて、これが一体財政計画になりますか、あるいは予算規模の標準になりますか。そこが私はおかしいと言うんですよ。おかしいことに基づいて計算された交付税ですから、それもおかしいと言わざるを得ない。そういうことではないですか。おかしくないですか、これは。検討しなくても、局長の言うように十分これで地方はやりくりがつくはずだということになりますか。
○政府委員(松浦功君) 私どもはそのように考えております。一千八百億の予算をお組みになって、一千五十七億が基準財政需要額だと、こういう御指摘だと思いますが、一千五十七億の基準財政需要には税収入の二割は入っておりません。この上に当然おんぶできるわけです。そのほかに、財政計画の中に占めております一般会計分の地方債というものも財源になりますし、一千八百億の中には特定収入を財源とした予算も入っているわけです。したがって、これがバランスがとれないという形に私どもなるとは考えておらないわけでございます。
○加瀬完君 そこが私はおかしいと思うのです。財政計画なら当然入る財政収入というものを財政計画に上せるべきでしょう。それではバランスがとれないので、結局借り入れだとか、手数料、使用料の値上げだとか、地方税収入、交付税収入、国庫支出金収入というもののほかでバランスをとっていくというのがいまの地方団体のあり方でしょう。これが不健全だと言うのですよ。極端に言えば借金財政、それからタコが自分の足を食うように、住民からの負担の増強だけによって賄いをつけていかなければならないということになるでしょう。こういう財政計画は私は妥当を欠くと言いたいのですよ。そこで、さらにそうなりますと、どうしたって条件をつけ使途を制限されることにならざるを得ないです、基準が低いですから。その基準にかかわりなく膨大なふくらまし方ができませんから。交付税を要求したって来ない。あなたのところの基準財政需要額と基準財政収入額では非常に差がありますけれども、交付税は三二%から逆算するとこれだけしか行きませんよということになれば、その財政上のことをするなら何か別の方法を講じなきゃならない、一つの制約を受けます。交付税法に決められている、地方自治体の本旨に即してしぼりをかけてはいけないということになっているけれども、しぼりを毎年毎年かけられざるを得ない、こういうことになるでしょう。需要額を過小にして収入額を過大にして交付税額のバランスを合わせているというのが現状ですよ。人口増で、人口補正で修正をされているとおっしゃいますがね、国調時点で十万人のものがその後二〇%増加した場合に、それでは算入人口何人になりますか。
○説明員(石原信雄君) 現在人口急増補正につきましては二つの方式がありまして、人口につきましては原則として測定単位には国勢調査人口を用いておりますから、国勢調査の行われた時点から次の国勢調査の行われる時点までの間におきましては、当然その間の人口移動が反映しない問題があります。そこで現在は、住民登録人口、住民基本台帳人口によりまして、その測定単位の数字としての国勢調査人口を補正する方法をとっております。数値代置、測定単位の数値をそのまま置きかえる考え方に基づく数値代置の補正につきましては、全国平均の増加率を上回る分について数値の置きかえを行うという考え方をとっておりますから、仮に二割の人口増がある団体につきまして、その時点での全国平均の人口増加率が仮に五%程度であったとすれば、それを超える一五%の部分が人口測定単位数値を割り増しする形で補正が適用されます。したがって、実質的に測定単位の数値は一五%増しという計算になろうかと思います。 それからもう一つは投資割り増しと称して、人口が増加することによって新たに必要となる割り増し投資分を計算する方式も用いております。これはすべての経費でなしに、特にその必要度の高い経費に用いておりますから、数値代置のような形で単純に増加分が反映する仕掛けになっておりませんけれども、その経費の性質においてそれぞれ必要な割り増し補正は行われておるわけであります。
○加瀬完君 全国平均だとかいろいろの条件だというのは、その市町村には無関係なことですよ。具体的に言いますよ。いま人口十万のところは、二〇%人口増加すれば十二万人になるわけですね。ところが、いまのような補正を使いますから、十一万六千二百人。十一万六千二百人で計算をするわけですね。三千八百人分の控除された分はどこの財源で負担するんです、これ。その市は十二万人の人口があるわけですから、十二万人の住民に対する行政負担をしなければならないわけですね。ところが、あなた方の査定は三千八百人を引いた十一万六千二百人しか対象にしないでしょう。ですから、どう計算したって、仮に十一万六千二百人の財源手当てをしたといったって、三千八百人マイナス分の手当てしかしてないわけだ。そうすると、マイナスされた三千八百人の行政経費はだれが負担するんですか。地元が、市町村が負担しなければならないでしょう。これでも合理的だと言えますか。いま人口急増地域なんかというのは、国勢調査から国勢調査の時点で人口が急激に変化する。変化をしても、いま言ったように、全国平均の幾らを割り引きするとこうやって、結局二〇%ふえても一六・二%としてしか計算しないというような基準になっている。これで地方がやっていけるわけないでしょう。 もう一つ聞きますよ。ある町の三月末の人口が四万二千四十九人、八月末には四万三千八百七十九人、五カ月間に千八百三十人の増であります。この年度途中の行政経費についてはどう見ておりますか。
○説明員(石原信雄君) 初めに、人口急増補正の計算方式で全国平均の増加率を控除する方式を用いている点について、不合理ではないかという御指摘がございましたが、現在単位費用を積算する場合に、全国平均程度の人口増加分はいわば単位費用の中に織り込むという考え方に立っておりますので、補正係数で割り増しする場合には、全国平均を超える分を割り増しするという方法をとっておるわけであります。こういうやり方につきましては、毎年度毎年度、国勢調査時点から年度が開くほどその割り増し比率が多くなる、人口急増団体については多くなるという形で、実態に合わせるように計算をしておるわけでございます。 それから、交付税の大前提としまして、交付税法の規定によりまして、交付税は毎年の四月一日現在により計算するたてまえをとっております。したがいまして、年度途中における人口増加要素というのは、普通交付税の計算では反映しないということになっております。
○加瀬完君 だから、不合理だと言うんですよ。年度間に人口急増が相当激しくある市町村については、年度間の補正をしないということは、それだけ交付税では算定されない基準財政需要額ということになるでしょう。このように、私が言うのは、交付税の算定なり基準財政需要額の計算にはいろいろのまだ解決しなければならない問題点がある。自治省はそれを先刻御承知のはずなのに、いまやっていることが一番いいと言うから、一番いいならこの問題どうするんだと。あなたは先ほどその全国平均の増加率として三・八%、これは初めから計算してあると言うけれども、三・八%ぶりがこれですよという金額がないわけだ。もろもろの計算が含まれて総額幾らというのが交付税です。交付税額三・八%入っているんだか、一〇%引かれているのかわかりゃしない、そんなもの。しかし、市町村の現実は三千八百人の行政費はどこも計算してくれないんです。まだ地方団体からとればこういう矛盾がある。 そこで私が言うのは、問題を前に返して、百七十万の十万というような標準の取り方に問題があるのじゃないか。これはもっとより近接するような人口の基準というものをつくるべきじゃないか、こう思うんですよ。調整といったって、たとえばごみ、屎尿処理、学校、保育所、こういう運営費の調整というようなものも十分でないという地方の声があるでしょう。投資補正にしても、いろいろ投資割り増しが確実に目的を達しているということにはならないでしょう。こういう矛盾点がありますから、もう少し検討をしなければならないのではないかという点を指摘しているわけですよ。細かいことはいい。検討を進めるのか、これで金科玉条、一つの誤りもないというのか。誤りがないというならまた指摘しますよ。
○政府委員(松浦功君) 三千有余の団体に公平に配るというたてまえでございますから、技術的にはいろいろ困難もございます。しかしながら、われわれとしては公平を期そうと思えば制度自身がどんどんどんどん複雑になる。片一方では制度を簡素化しろという声も十分強く伺っております。そういった点も考えながら、現行の制度を前提にいたしまして、地方公共団体の御意見の中のとるべきものについてはこれをとるという方向で改善をすることにはやぶさかではございません。
○加瀬完君 それでは、地方では、基準財政需要額における基準単価が低い、基準単価を正確に押さえてもらいたいと、こういう要望があります。第二には、都市立地条件が反映されておらない。こういう要望がありますが、この点はどうですか。
○政府委員(松浦功君) 単価については私どもは反映されていると思います。しかも、石原君からも説明がございましたように、国の予算で本年度のは三二%と決まっておるわけでございますから、単位費用をふくらます、基準財政需要をふくらますということになりますれば、今度は交付税の配分のときの調整率がうんとかかるというかっこうになるわけでございますので、このままでひとつ御了解をいただきたい。 立地条件の問題については、地方団体からいろいろ御意見がございます。なるほどと思う点については、私どもとしてはできるだけ取り上げるという方向で努力いたします。
○加瀬完君 この基準単価が寸毫も誤りなく正確にはじかれていると、こう御認識ですね。
○政府委員(松浦功君) 先生御承知で言っておられると思うんでございますが、交付税の額というのは限定されております。私どもは財源の問題は地方財政計画というもので国会に御提案申し上げて御審議をいただいておるわけでございます。それを投影する形でやりますので、単位費用はおのずから一定の制約を受けるということは前にも申し上げたとおりでございます。したがって、現在の制度のもとで単位費用としてはこれでいいと考えざるを得ないわけでございます。
○加瀬完君 それは御説明の限りではわかりますよ。三二%という交付税率を曲げられないものというふうに押さえて、その交付税率三二%によってはじき出された交付税額というものをおろしてくれば、語るに落ちるで、いまおっしゃったように基準単価というものを決めて、その基準単価を動かすならば交付税率を変えてこなければならないのだからどうにもならないということになる。私がさっきから指摘しているのは、手続としてはそういう方法がとられておりますけれども、交付税というものはそうではなくて、客観的に見て基準単価というものが正しいものがはじき出されて、その基準単価に基づいて正確な計算による基準財政需要額が出て、これまた正確な計算による基準財政収入額が出て、そのバランスの関係で三二%というものは固まってもくればふえてもくれば下がってもくるという筋合いのものが交付税ではないか。三二%がもとで基準単価が決まるというばかなことはないでしょう。それは訂正してください。基準単価を正確なものが出ていますと言うならそれはそれでいいですよ、三二%で基準単価が決まると。基準単価というのは、何も税率に関係なく、社会情勢の変化によって単価というのは変わってくる。それを押さえなきゃならぬでしょう。インフレで百倍に物が上がろうが、交付税が三二%の基準単価はその幾ら幾らと、こういうことでは交付税法の趣旨に反するでしょう。いまの基準単価が正しくないとか正しいとかいう議論じゃないですよ。交付税の割り戻しによって基準単価が決まるということはおかしい。そうでない、基準単価というのはあるのだ、正しい基準単価による計算が三二%という交付税になっておる。だからその割り戻しも正しい基準単価と合致するのだということなら説明はわかる。三二%がもとで、その割り戻ししたものが基準単価だと、これはちょっとおかしいじゃないですか。
○政府委員(松浦功君) お言葉を返すようで申しわけございませんが、私どもは地方交付税法の趣旨に基づいて単価を決めております。現在の状況ではこれでよいと考えておるわけでございます。
○加瀬完君 それは違いますよ。どこで交付税法そう読めるのですか。ひとつ説明聞きましょう、ゆっくりと。わかるように説明してください。交付税法のどこを読めば、割り戻しで基準単価を決めていいということが書いてあるのですか。決めるべきものだということが書いてあるのですか。くどいようですけれど、いまの基準単価というものと三二%の割り戻しというのが合っているということなら、あなた方の御説明それはわかりますよ。三二%なり二八%がもとでその割り戻しをしてきたもので基準単価というものが決まるのだというなら、交付税おかしいですよ。どこで、じゃそれ自主財源になりますか。地方の自主財源になりますか。あるいは交付税の目的、何のために基準財政需要額と基準財政収入額というバランスを考えて交付税を決めなきゃならないという交付税法の趣旨が生かされてきますか、それで。
○政府委員(松浦功君) 地方交付税法の第二条の七号に、「単位費用」という規定がございまして、ここに、「標準的条件を備えた地方団体が合理的、且つ、妥当な水準において地方行政を行う場合又は標準的な施設を維持する場合に要する経費を基準とし、」云々と書いてあります。この規定にのっとって単位費用を定め、さらに補正係数を適用していく、結果的に財政計画で計上しておる、地方交付税法の六条で言う三二%の額、これに計算上は引っ張られる、そういう趣旨のことを申し上げておるわけでございまして、三二%から逆算をしているということを申し上げているわけじゃございません。
○加瀬完君 いままでの説明はそうでない。いままでの説明は三二%から逆算をするという説明でしたよ。ほかの方に聞いても結構です。それはわかるのですよ。あくまでも、単位費用なり基準単価というものは、これはいまの法律の趣旨のようにして決められるべきものですよ。その基準単価というものを積み上げたものと収入額との計算から交付税額というものが決まって、その税率が三二%であって、現状ではその三二%を逆に計算してきてもこの基準単価に合うというならわかりますよ。だけど、基準財政需要額と収入額のバランスが非常に崩れた場合は交付税の率というものは変わってくるという前提があるわけですから、それをあなた一つも触れないでしょう。三二%が百年も二百年も続くみたいな話だ、歯にきぬ着せず申し上げれば。後の説明はわかります。そういうものでしょう。そうすると、基準単価が地方では低いと言う。あなた方は合っていると言う。合っているか合わないかというのを材料を集めて検討をする要はありませんか。この前も触れましたけれども、たとえば消防では消防司令というものがある。これは管理職ですね。しかし、消防司令という管理職の財政的な裏づけといったら何にもない。保育所の措置費についても、地方では保育所の措置費が不十分だと言っている。こういうように、問題点まだたくさんありますよ。私は約束の時間が短くなりましたから、一応これは検討してもらうことにしましょう。 じゃ、今度は少し具体的に聞きますよ。 昭和四十九年の五月の二十日の「地方行政」という雑誌で、あなた方の前の次官であった現在の宮澤広島県知事が、政府に最も考えてもらいたいと思うことということで、超過負担の解消、それから土地取得に対する財源の問題というものを取り上げています。特に学校用地の取得を土地取得の内容として、何とかこれは解決してくれなければ困ると言っている。これはあなた方のかつて仲間であった者が言っているのだから、私が言うよりはもう少し信用して聞いていただいていいんですよ。そこにいるときはいろいろなことを言うけれども、知事になると私と同じようなことを言うんだよ、これ。そこにやっぱり地方自治体の実際には問題があるわけだ。その結果が、一つの例が先ほど指摘をいたしました千葉県船橋市の例ですよ。これ間違っていましたよ。何回も何回もあなた方の方は通牒を出しているんですよ。通牒が一つも守られていない。そして地方は、同じ地方団体でありながら、県の財政の貧困を全部市町村が肩がわりをする。県が当然行うべき法律上の財政負担を、法律では禁じられている支出をして現状の行政条件も満たしていかなきゃならない。これは問題は、高等学校跡地取得に対する対策というのが何もないからですよ。今度の臨時土地対策費というものでこれらは全部解決されることになりますか。
○政府委員(松浦功君) まことにその辺がわからないのでございますが、なぜ県が土地の負担を船橋市に求めておるか。私どもは、高等学校の用地について起債の申請があればいつでも許可をいたすという態度で臨んでおります。恐らく私は県が考えておられるのは、その償還が後で重荷になってくるからということで市へ転嫁しているんじゃなかろうか、こう思うわけでございます。したがって、この問題は、先生の御指摘のような事実が私どもで聞きましてもあるようでございます。県の方は 自発的に市町村が寄付をするから受けているのだ、こう言っておられますが、どうもそのようには私どもは考えられません。したがって、県のやり方が間違っていると私ども思います。ですから、私ども間違っているという指摘はいたします。法律違反の疑いがあるということは申します。しかし、それから先は自治体の問題でございますから、法を守るか守らぬか、これはもう自治体が法を守らぬなどということがあっていいはずはないわけでございます。その辺のところは十分御了承いただきたいと思います。私の方から県の方には、これはいけないということは言うつもりでございます。
○加瀬完君 地方の給与なんかは、これは給与の原則で話し合いで決めてもいいし、人事委員会の勧告によって上がっているところもあるわけだ。そういうのはラスパイレス式計算で言うとおまえら高いからどうこうなんて文句言っておいて、法律で禁じられていることもそれも徹底できないと、こんな片手落ちなことはないでしょう。善意によってやるとか好意によってやるとかできるものじゃないでしょう。昭和三十八年七月三日の自治乙財一〇という依命通達がありますね。それによると、都道府県立高等学校施設の建設事業を市町村に負担させてはならないという規定がはっきりしていますね。建設事業とは、建物、敷地、演習農場等の建設並びに取得を含む一切のものと、こう言っている。原則としてということは、やってはならないということですよ。原則としてはやってはならないことだけれども、事情によってはやっていいという法律解釈は成り立ちませんね。原則としてというのは、これは絶対やってはだめだということ。しかるに、いまのように十五億も出している。もう一回読みますよ。学校建設の初年度について、建設費の四分の三を県は負担し、残りの四分の一は地元負担。しかし、この四分の一の負担については、県は地元に対し三カ年間で返済をする。ただし、その利息分は地元負担。高校建設にかかる関連事業は一切地元負担。用地費の四〇%を県が負担、六〇%は地元負担。これははっきりこういうふうにやらせているわけです。 これは船橋市だけを出しましたけれども、どこでも皆こうですよ、千葉県は。これは各県皆やっておったでしょう。で、どうやら各県では幾らか少なくなったけれども、人口急増地域では、背に腹はかえられないというのでこういうやり方をしている。もし調査をして違法でありましたらと言ったって、違法でしょう、これ。この内容はあなた方も認めているんでしょう。いけぬが、やっていることも事実だ。こういう問題が一つも解決されないで、それで交付税法の算定がどうこう言ったってだめですよ。 これは、大蔵省に長くおつき合いをさせましたけれど、これほど交付税法というものは地方財政計画には矛盾が一ぱいだ。だから、これは自治省だけの問題ではない。政府として大蔵省も一緒になって、地方財政計画というものが地方の実態にどんなに合わないか、そして地方の財源というものを確実に高めるために交付税法というのがあるんだが、交付税法の法律のとおりに行われているかどうか。私の有利な解釈のとおりやれなんと言っているんじゃないですよ。交付税法のとおり行われておらないことを黙認をするわけにいかぬでしょう、これは政府機関として。そういう点でこれは十分御検討をいただきます。 時間がありますから、他の方の、御都合もありますから、これで私はきょうの質問はやめますけれども、これは単に交付税法だけの問題じゃありませんから、何回でももっと詰めてお答えをいただきたいと思います。遺憾ながら自治省のお答えも全然私には満足はできません。満足するわけにまいりません。県立高等学校の土地取得の問題だけでも、県立高校ならば県が県の責任で土地取得ができて、それを市町村に法律に違反してかぶせるようなことのないようにしてもらいたい。 これは船橋の分は船橋に県からちゃんと返させますね、十五億という金は。そういうふうに指導しますね。いかがですか。
○政府委員(松浦功君) 私どもといたしましては、具体的な措置を地方公共団体に指示するという立場にはございません。したがって、県の方にこういうやり方はいけないということは申しますが、後は県と市町村の間の問題として解決をしていただきたいと思います。
○加瀬完君 二つ問題があるんだよね。いけないと言うだけで、見つからないようにうまくやれということにしないと、これは自治省が財源負担をしなければならない。しかし、その財源負担をすべき具体的な方法は何にもない、地方債くらいなものだ。そこの問題の解決がつかないから県に対して強いことが言えないということが一つある。 それから、一体自治省の権威なり指導、監督の責任ということはどういうことになるんですか。何回も何回も依命通達を出しておって、その依命通達が一つも守られておらない。守られておらないけれども、これは地方団体の責任でありまして、やるやらないということを取り締まるわけにまいりませんという、そんな法律はないでしょう。地財法に決められているんでしょう、市町村に高等学校の建設費を負担さしてならないということを。その取り締まりもできないなんというようなことでは一体どういうことになりますか。ちょうど私の持ち時間が来ましたから、これはまた後でやりますよ。どうも。
○神谷信之助君 まず最初に、インフレ不況のもとでの歳入欠陥が起こっていますが、そういう状況の中での交付税をめぐる問題について質問をしたいと思います。 最近政府は、歳入欠陥を生じている四十九年度の税収見込み、これを基礎にして、五十年度予算が成立をしてまだわずか二カ月ほどしかたっていない今日、すでに五十年度の歳入欠陥が一兆円になるだろうとか、二兆円になるだろうとか、そういう不確定な推測の数字を盛んに流している。他方、そういう中で自治体に対しては、五十年度において四十九年度の交付税の渡し過ぎ分を返還を求める、こういう趣旨の発言の報道もされるという状況です。 そこで大蔵省に最初にお伺いしますが、あれは新聞社の方で勝手に推計をしているという問題でもなかろう、いずれにしても大蔵省からそういう発言を聞いて報道しているわけですから、そういう五十年度の歳入欠陥が一兆円あるいは二兆円になるというそういう推算の根拠を、まず最初に具体的に説明をしていただきたいと思うんです。
○説明員(福田幸弘君) 四十九年度につきましては、数字としまして、これは大蔵委員会ですでに御説明いたしておりますが、税収不足額七千六百八十六億円ということに実績的に見込まれるわけでございます。これは実績的な数字でございますので、これについては、問題はいかに埋めたかという問題になるわけでございますが、五十年度はどうなりますかということになりますと、これは非常に不確定要素が非常に多いということでございます。あくまで税収予算は見積もりでございまして、歳出の方は予算によって確定いたしますけれども、最初の予算の段階からすでに歳入というのは見積もりでございます。経済の変動その他によってその数字が動くという仕組みを持っているわけでございますが、それをいかなる段階でまたいかなる要因を参酌しながらその数字をいじるかという問題は非常に重要だと思います。 それでこの七千六百八十六億円というのを税収予算額だけの伸びでいきますと、その根っこのところが、五十年度の歳入予算を見積もりましたのは四十九年度の補正予算額といいますか、実績に近い税収見積もりを前提にいたしておりますので、そこで食い違いが生じますと、五十年度で歳入予算を見ましたときのベースが変わりますので、これはどうしてもへこまざるを得ないという論理にはなるわけです。これがどのくらいになるかと言いますと、その予算額の比較だけで言いますと、約九千億円の五十年度における見込みの減になるわけです。 ただ、これだけでは、五十年度の数字がそれで確定するかということにはならないわけでございまして、いまのような四十九年度の数字の変動による税収不足の数字がいまのように延ばしましたら約九千億ございますけれども、五十年度、まだこれは滑り出したばかりでございます。今後経済がどのようになるか、いまいろんな不況対策もあわせてやっておるわけでございますが、税収はあくまで経済の見込みの上に立っておりますので、経済がどのように、いまのような冷え込みが続くかというのは、これは何人もなかなか確定しがたい数字ではございます。われわれはこれを追っかけていくわけでございますけれども、また政策としましていろんな景気浮揚策がとられます。これがまたどういうふうに影響するかというふうなことの結果が今後の判断の材料になるわけでございます。 一兆円から二兆円の歳入欠陥という数字は、大蔵省としましては正式にお話を外部にしたことはございません。ただ、計算をすればいまのような九千億というのが出ますので、世上一兆円とか、また歳出の増なんかも考えましてそういう数字が流れておるかと思いますが、これはわれわれとして責任を持ってそういう数字を言う段階ではございませんし、そういうことは申しておりません。ただ、歳入と申しますか財政の責任を持っておりますので、経済の今後の見通しによってどうなるかという不安と申しますか、いろんな懸念の点を一般的に申し上げているという点はございます。 歳入に関しては以上のとおりでございます。
○神谷信之助君 四十九年度の歳入欠陥七千六百八十六億ですか、たとえばこの数字をそのまま五十年度に延ばしてみれば約九千億ぐらいの五十年度の歳入欠陥ができるということですね。これはそういうことですか。
○説明員(福田幸弘君) おっしゃるとおりでございます。いまの七千六百八十六億円を税収予算額の伸びを用いて機械的に計算をするとそういうことであるということで、これがそのまま実績に近いということはまだ申し上げられません。
○神谷信之助君 政府は、御承知のように、すでに不況打開を図るために第一次、第二次の不況対策をやっている。いま第三次の不況対策を始め出しているわけです。大平大蔵大臣が衆議院の地方行政委員会で答弁をしておりますが、それを見ますと、自然減収になりかねないおそれがあるけれども、しかし、後ろ向きなことは全然考えていないという点で、この点で非常に何ですか、強気といいますか、そういう答弁もしておるわけです。今日、いまお話にもありましたが、景気の見通しがまだ非常に不確定で、そして今後の政府の不況対策いかんでは五十年度の収入、税収というのは大きく変わる可能性もある、まだ滑り出したところですから、いまおっしゃったように。ですから、そういう時期に早々と歳入欠陥の大キャンペーンを張っているというところは、何か私は意図があるように思えるわけですよね。いまの御説明ですと、自分たちの方から二兆円とかどうとか言った覚えはないとおっしゃっているわけですが、しかし、私どもは、政府がこういう過大な歳入欠陥を宣伝をすることによって、いろんなねらいを持って今日いわゆる財政硬直化乗り切り策を考えているんじゃないか、そのための不況の、減収の、歳入欠陥のキャンペーンではないか、こう思うのです。 どういうねらいかと言えば、その一つは、地方財政に対する締めつけ、特に人件費の削減、人員の削減あるいは機構合理化、下請の推進という方向がある。 それからもう一つは、間接税を中心にした大衆税の政策、特に付加価値税の導入、この条件づくりを進めるという、そういう問題。 それから第三番目は、年度内の公債の増発あるいは赤字国債の発行、これをにらんだ布石づくりを行っているんじゃないか。 それから第四番目には、公共料金の引き上げとかあるいは高福祉、高負担、この政策の推進、すなわち、受益者負担を強化をする、こういう政策意図を実現をするための一つの布石、その手段ではないかと、こういうように思うのですが、今日、自治省の事務次官通達とか、国債発行をにおわすような発言が政府筋からなされますし、財界からも要求されておる。それから税調を初めとして、付加価値税検討論議がもう始まっている。こういう点を考えてみますと、きわめて一貫性があって、このキャンペーンはそういうキャンペーンとして理解をせざるを得ないというように思うのです。 こういう状況の中で自治省はこの問題について、繰り返し、歳入欠陥が仮に生じた場合でも地方財政計画に穴があかないように、計画に見込んだ四兆四千億円の交付税総額は何らかの形で確保するというように答弁をされてこられたわけですが、もともと、この地方財政計画と毎年の決算とは大きな乖離があるというのはこの委員会でもしばしば指摘をされているわけで、地方財政計画そのものが実際の行政水準を下回る不十分なものだということも指摘をされているわけです。ですから、この計画さえも保証されないということになれば、これは自治体にとっては大変な問題である、この点は明らかだと思うのです。 問題は、この五十年度の交付税総額四兆四千億円が確保し得ない場合にどのような財源でこれを穴埋めしようとするのかという点であります。いままでの答弁では、一つは交付税の増額あるいは特例交付金、あるいは第二番目が地方債の発行あるいは特別事業債の発行、あるいは政府なり財投資金からの借り入れ、こういった方向が考えられるわけですが、この点について自治省並びに大蔵省の方から、四十九年度が歳入欠陥を多く食っておりますが、四十九年度の処理、それからもし五十年度で交付税の減収が起こるという状態になった場合の処置、これをどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(松浦功君) 四十九年度は現実の問題としてほぼ数字が固まったようでございますが、五百五十四億円地方交付税の配り過ぎという事態になっております。これは法律に規定がございますので、五十年または五十一年度に精算しなければなりません。ただ私どもといたしましては、相手のあることでございまするけれども、地方財政の運営に支障がないように四十九年度分の精算は行ってまいりたいと考えております。 五十年の交付税について現実に穴があいた場合、国で補正予算等を講じて国税三税が減ってくれば当然三二%分は減ってくるわけでございます。それに対する措置はというお尋ねでございますが、いまの段階でどの程度のものになるかもわからないのに、余り明確なことを申し上げるわけにはまいりませんが、私どもの気持ちとしては、四兆四千億の交付税というものは交付税という形で、どういう形をとるかは別にして確保をいたしたいという方針で大蔵省に折衝をいたしたい、こう思っております。
○説明員(名本公洲君) まず初めにちょっとお断りいたしたいんでございますけれども、五十年度の歳入欠陥について大蔵省が大々的にキャンペーンをやっておるというふうな御発言がございましたですけれども、私どもの方としましては、四月十五日に大蔵大臣が閣議及び国会におきまして、四十九年度の歳入欠陥について発言をいたし、五十年度もこのままでいけば自然減収も起こりかねないということをお話しになったわけでございますけれども、その後、新聞に事あるたびに私どもの方から積極的にキャンペーンをするというようなものではございませんで、そういうかっこうで新聞に書かれておるというようなものではございませんで、新聞がこれはもう毎日のごとく私どものところへやってまいりますけれども、いろいろ聞きながら書いておるというのが実態でございますので、この点につきまして、大蔵省として大々的にキャンペーンをやって、先生おっしゃいました四つほどの布石をいま敷いておるんだということはございませんので、そこのところはひとつ御了承を願いたいと思います。 それから次の四十九年度及び五十年度の問題でございますが、四十九年度の問題につきましては、先ほど財政局長がお答えになりましたようなことでございます。私どもの方として、これ新聞にも、四十九年度の交付税については五十年度で精算するんだと大蔵省は決めたというような書き方がしてあった例がございますけれども、もしそれを言ったとするならば私でございますが、私はそんなことを新聞にしゃべったことは全く記憶がございませんので、これは新聞の方でお書きになった記事でございます。 四十九年度いかにするか、これは財政局長お答えになりましたような制度になっておりますので、これをどのようにしていくかというのは今後の問題として検討してまいるということでございますし、五十年度自然減収が出た結果、交付税に穴があくといったような場合にどのようにいたすかということでございますけれども、これは交付税に穴があくかあかないか、これはまだ、ただいま主税局の方からお答えがありましたように、何とも申し上げられない段階でございます。具体的に数字が煮詰まってくる、歳入面だけでなくて、追加財政需要の方もございますので、そういう面を、両面を考えあわせまして、自治省とも御相談申し上げながら今後の問題として検討を進めていかなけりゃならない問題であるというふうに考えております。
○神谷信之助君 きわめて政治的なキャンペーンというのは、一事務官がどうのこうのする問題ではないんで、ですからこれは政府があらゆる機会に答弁をしたり、宣伝をしたり、あるいは財界の動いている状況や、そういう中からわれわれが政治的に判断をするわけですね。ですから、政府の方もそうでしょう。財政硬直化問題についてどうするかということで、財政制度審議会に諮問をしているわけですね。だから、そういう歳入欠陥で大変なことになってくるぞと言っている。それで、片方の自治省の方も、地方制度調査会に、これは総理が諮問をしておりますがね。これも同じような問題です。ですから、そういう全体のいまの歳入欠陥、不況とインフレが起こっている状況の中で生じた歳入欠陥を、同時に、予算が通った直後、いまのお話ですと四月十五日に、もう四十九年度の問題を大蔵大臣は提起をしている、閣議に。五十年度の見通しも言い出してきたわけですから、ですから、そういう点で非常にわれわれはそういう意図を感ぜざるを得ないと言っているわけなんです。 そこで、今回のように、不況による大幅な歳入欠陥に陥ったとき、いままでどういうことをやってきたかということで考えてみますと、国債発行政策に踏み切った昭和四十年、四十一年の例の不況のときには、政府は当時地方財源対策として、地方交付税率の二九・五%から今日の三二%への引き上げ、これで五百八十六億ですね。それから臨時地方特例交付金の交付、これで四百十四億円、それから特別事業債元利償還費を交付税算入するという、この地方債で千二百億の発行。それから固定資産税の増徴で二百六十九億、そういう財源措置を講じたわけです。つまりこのときは、地方財源の不足分を一般財源、交付税あるいは地方税の増額で措置をしております。国の財政も苦しいのは、今回も、当時四十年不況のときも同様であります。ですから、今回は国の財政も苦しいからということは理由にならないと思う。 しかも、そういう措置があったんですが、その年の四十一年三月の地方制度調査会答申では、当時の自治省は、大蔵省の四十一年のいま言ったような地方財源措置にも満足をしないで、特別事業債はやめて一般財源で措置せよと。だから、国債発行下の財源措置として、国債発行額の一定割合を地方に配分せよ、税源のさらに地方移譲をやれ、道路目的財源の地方移譲、こういった項目を強く国に対して自治省及び地方制度調査会が要求をしているわけです。ところが、今回の不況、歳入欠陥による地方財源対策として、自治省はこの一般財源による財政措置を要求するということを明確にすることができないのかどうか。できないとすれば、四十年、四十一年当時はやれた、今日の段階ではそれがなぜできないのか、この点自治省にまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(松浦功君) また先行き地方財源か落ち込むかどうかわからない段階での御質問で、非常にお答えいたしにくい問題でございますが、四十一年、四十二年当時、いずれも不況で困っていたという状況は今回と変わりないかと思いますが、四十一年、四十二年は一時的なものであって、将来また伸びが強くなるということが考えられておったのに対して、今回はもう安定成長という形に移行いたします限りにおいては、いままでのような高度成長は望めないと、そこに実態の相違があるのではないかと思います。したがって、私どもとしては地方財源に仮に――いまの段階でどうなるかわかりませんが、穴があいた場合には、国の財政ということもある程度考えなければならない要因であろうかと思いますが、たてまえとしては、できる限り一般財源でという主張をいたすべきであろうかと思います。もっと明確に申し上げますなら、交付税の穴は交付税でもらうと、借りるなりあるいは臨特なり、いろいろ方法があると思いますが、それはどれにするかは別にして、そういう方向で考えていかざるを得ないと思いますが、税収の落ち込み等の問題について果たして一般財源という主張ができるかどうか、その辺のところは、十分私どもとしてもそういう事態になります段階で検討させていただきたいと思いますし、また大蔵省に、検討の結果に基づいて御要求すべきものは御要求をするということを重ねたいと思います。 一般論として申し上げておきたいと思いますることは、地方財源の落ち込みについては、地方財政計画というのは、政府として歳出を示しそれに見合う歳入を示したわけでございますから、穴があいた部分については、地方団体が現実の財政運営に困らないように何らかの措置をとると、このことだけははっきり自治省として責任のある問題だと、こう考えておりますので、その辺のところでひとつ現在の段階は御容赦をいただきたいと思います。
○神谷信之助君 いまの点、大蔵省の方の見解はどうですか。
○説明員(名本公洲君) いま財政局長がお答えになったわけでございますが、私どもの方といたしましては、地方財政それから国の財政、これは公経済の二つの大きな柱であって、そのいずれがびっこになってもうまく国全体の経済というものは進んでいかないんだというような、非常に抽象的でございますが、そういう考え方に基づきまして、国、地方の財政が円滑に執行できるように考えてまいると、ちょうど高度経済成長から安定成長への転換期に当たりますものでございますから、いろいろな面でそこにきしみが出てきておるわけでございます。そのきしみを国、地方が相携えながらうまく乗り切っていくというような基本的な考え方で対処してまいるというつもりでおるわけでございます。
○神谷信之助君 国も苦しいし自治体も苦しいから、両方きしみ合いながらと言うんですがね。私はそうは思わないんですよ。これからずっと具体的に展開をしますが、私は国の財政はうんとまだゆとりがある、自治体の財政はきわめて重大な段階に来ていると、こういう認識に立っているんです。これはこれからひとつずっとその根拠を明らかにしていきたいと思うんですが、そのために、政府の交付税措置をめぐっての今日までの大蔵当局と自治省当局とのやりとり、これを若干歴史的に振り返って検討してみたいというように思うんです。 そうしてみますと、結論から言いますと、昭和四十二年ごろを境にして明らかに私は一つの転換が見られる。特にここ数年来の特徴は、現行交付税率には手をつけないという大蔵、自治の了解事項がきわめて露骨に私は貫徹されていると思うのです。先ほど加瀬委員が三二%の交付税率をめぐって押し問答しましたが、やっぱりこの点が貫徹しているんじゃないかというように思うのです。この交付税措置をめぐって、大蔵――国といいますか、それと地方自治体、それを代表して自治省とが、攻防というか折衝を行う、その転機になったのが、一つは大蔵省が四十二年の九月に例の財政硬直化についてのメモを発表して、その中で初めて財政硬直化論を展開をする、そして地方交付税を、食管の赤字、それから国鉄、社会保障、これと並列に置いて、地方交付税が財政硬直化の一つの大きな要因だと、こういう提起をして、大蔵当局が地方財政圧迫あるいは圧縮へ向けての圧力、これが始まった時期が四十二年九月の例のメモだと思うのです。その後も、その四十二年十二月の財政審議会の中間報告ですが、「地方財政の現状と問題点」、これなんかで次々に地方交付税は財政硬直化の要因だという論理を展開をして、そして四十年当時の二九・五%に交付税率を引き下げよという要求を行うという状況になったと思うのです。 そこで質問をしたいと思うのですが、地方交付税を財政硬直化の要因としてとらえる考え方、これは地方交付税が地方自治体固有の自主財源であるという交付税の性格、これを根本的に否定をする立場、交付税を国は与えるんだという立場に立っているというように思うのです。大蔵省は現在もまだ地方交付税は財政硬直化の要因の一つであるというふうに考えているのかどうか、あるいはまた、地方の自治体の固有の自主財源として見ているのかどうか、あるいは国が与える金、交付する金というように考えているのかどうか、この点大蔵省の見解をお聞きをしたいと思うのです。
○説明員(名本公洲君) 先生御指摘のように、交付税に関します自治省と私どもの間の理論的と申しますか、論争があったことは事実でございまして、それについて私どもの方と自治省との間で現在なお意見の完全な一致を見ているというものではないことは事実でございます。したがいまして、固有財源かどうかというような問題につきましては、福田現副総理が大蔵大臣でいらっしゃいましたときに、固有の財源であるということを御答弁を申し上げたことがございますが、本質的には、法律によりまして率が定められて地方に当然交付されるというお金であるという意味におきましては、そういう意味において地方の財源であるということにおいては私どもも同様に思っておるところでございますが、交付税の機能といたしましては、財政を調整をするためのお金であるというふうに観念しておるところでございます。 それから財政の硬直化に交付税の問題を入れるかどうか、硬直化要因として交付税を考えるかどうかというところでございますが、かつて亡くなりました村上孝太郎さんが、次官でいらっしゃいましたときにそういうことをお述べになっていたことも事実でございます。 そこで、財政の硬直化ということをどのように考えるかでございますけれども、要するに予算の中で弾力的にどのようにでも政策目的のために使用できるお金が少ないという意味をもって硬直化というふうに理解いたしますと、先ほど申し上げましたように、法律によりまして一定割合を必ず地方にお渡しするというお金でございますので、それが政策的にどのようにでも動かし得るお金ではないという意味におきまして、弾力性、政策的に使えるお金の割合が少なくなるという意味におきましては、交付税もまさにそういうものの中に入ってくることは事実でございます。しかし、国鉄とか食管とか、そういうようなものは、これは法律で決まるわけではないわけでございますので、そこには政策的なものもございますでしょうから、そういうようなものとは性格的に違ったものとして考えざるを得ないというふうには考えております。言うならば、硬直化要因すべて即悪であるという考え方に立ちますと話は変になってまいりますけれども、たとえば社会福祉系統の予算、年金とかそういうものは、当然そういう意味では硬直化の要因になるわけでございまして、それを悪であるというふうに決めつけるわけにはまいらないお金であろうかと思います。そういう意味におきまして、弾力性のある、余裕のある、政策的に使えるお金でないという意味におきましては、硬直化の要因であるということはこれは当然言えることではないか、かように思うわけでございますか それが悪であるとかなんとか、そういうことではなくて、そこのところは私どもとしてはニュートラルに考えておるということでございます。
○神谷信之助君 国と自治体の事務はお互い分担をしてやっているわけでしょう。その事務分担してやる上に必要な財源をどのように保障するか。この財源の、いわゆる地方税とそれからその他の問題もある。同時に、国が国税としてやった分から三二%、これはわれわれは四〇%に上げよと言っているわけですが、これは地方自治体がやる仕事に必要な財源として、これは国のお金じゃなくなっているのだよ。あなた方の方は、それは国のお金なんだけれどもそこから分けてやるのだという認識でしょう。そうじゃないので、地方に適当な税源があればその税源を渡せばいいのだけれども、それがなかなかむずかしいから、国税三税のうちの何%かはこれは地方の財源として保障する、徴収事務は国がやるけれどもかわって徴収してあげているだけで、これは自治体の財源ですというのが交付税制度じゃないのですか。いまの話を聞いていますと、三二%国税からやってやるのだ、補助金みたいにやってやるのだ、だからその分は本当は国の金なんだけれども国が自由に使えないのだ、だから硬直化と言えば言えるのです、そういう言い方ですが、おかしいじゃないですか。どうですか。
○説明員(名本公洲君) そこのところがまさに年来自治省と私どもの方で、言うならば議論が詰まらない、詰まってきていないところでございまして、何かきわめて哲学的な論争になっておるところでございますが、そういう点を別にいたしましても、要するに三二%というお金はどちらにしましても地方に差し上げるお金でございます。したがいまして、それが本来的には国で自由にできるお金ではないという意味におきまして、国の財政支出の硬直的な部分である。硬直化と申しますと、その部分が原因になるというように聞こえますけれども、国の財政の中で硬直的な部分の中の一つを構成しておるものであるということは、これは法律のたてまえから当然そうなっておるわけでございまして、それが悪ということではなくて、ニュートラルな意味で、そういう硬直的な部分を構成しておるということは事実であるというふうに考えております。
○政府委員(松浦功君) 私どもは全く大蔵省と考え方を異にいたしておりますので、ここで一言申し上げておかなければいけないと思いますが、法律で三二%は地方公共団体の当然の取り分という形になっておるものでございますから、国の予算に計上するかしないかは国の勝手でございます。だから私どもは、直接特別会計に入れてくれと言っているわけでございます。ここは明確に意見が対立をしております。私どもは私どもなりの主張はあくまで続けるつもりでございますので、御判断をいただいて、御協力をいただけるものでございますなら御協力をいただきたいと思います。
○神谷信之助君 哲学的に考えぬでもいいんです。きわめて現実的なんです、話は。そうでしょう。国民が日本という社会をつくっていて、国と地方で行政事務を分担をしている。税金を出すのも国民です。その税金が国税、地方税と分かれるので、そういう仕組みはいろいろな歴史的経過があって分かれているだけですね。それではしかし、現在の地方税だけでは自治体の財源は賄えない、だから適当な税源はないかと探したあげく、国税三税のいまは三二%――一番初めは二二%で始まっていますね。こうやって決めて、それは自治体の分ですよと、簡単な話なんだ。それは、いまも話がありましたけれども、一般会計予算に入れてそして出しているから、国がやっているのだという形式になるのだ。だったら、税金が入ってきたらすっとこう分ければいい、自治体の会計に入れればいい、それだけのことですよ。だからこの辺は、大臣おられぬので、次官、この問題はひとつはっきりさせないと、いま自治体挙げてこの交付税率は四〇%に上げよと言っているんですよ。そのことをやるについてもなかなか明確にならない。何か国に頭を下げて、もらわなければならないようなものなんだ。しかし、地方制度調査会は何遍も言っているのですよ、国と自治体の事務を再配分してちゃんとしなさいと。ところが、どんどんどんどん機関委任事務をふやしていって、財源措置や交付税措置やその他はしない。こんな状況がずっと続いていて交付税の率を上げるかどうか――交付税というのは国の方が分けてやっているのだというような考え方がある限り、なかなかここのところが突き破っていけぬ、こう思うのですが、この辺ひとつ次官の見解を明らかにしてもらいたい。
○政府委員(左藤恵君) ただいま地方財政の問題につきまして、地方制度調査会でもいろいろ財政の危機をどういうふうに突破していくかということについての御検討をいただいております。自治省といたしましても、その結果に基づいてそうした問題について取り組みますと同時に、いまお話のございました、地方自治というものが、自治体の主体性と申しますか、そういう形で仕事ができるような形というものを確立する意味においても今後とも努力をしていきたい、このように考えます。
○神谷信之助君 いま財政局長からは、例の直入方式について、自治省としてはこの見解を断固として主張している、こういうお話ですが、大蔵当局は、交付税は国が地方に交付する金だというふうにいまなお考え、そして同時に、御承知のように、いま国の財政硬直化打開論というものが政治課題として再び掲げられている。そういうところから地方財政に対する圧力も加わる可能性や危険性というものが生まれているわけですから、この直入方式に改めさせるという必要性は、私はこれは単に形式の問題だけではなしに、きわめて重要な問題だと思うのです。ある意味では交付税論争の原点にかかわる基本問題でもありますから、この点ひとつ次官、もう一度、改めて直入方式を強く求めていく考えを明らかにしてもらいたいと思います。局長からは聞きましたから。
○政府委員(左藤恵君) ご指摘の点について、直入方式で進めるという考え方は御指摘のとおり進めていきたいと、このように考えております。
○神谷信之助君 福田副総理が大蔵大臣のときは自主財源だということを言われたわけですが、またひっくり返っているかどうか知りませんが、ひとつはっきりさしてもらいたいと思います。 もともと、四十二年当時にこういう財政硬直化論が出てきたあの情勢というのは一体どうだったかという点を考えてみますと、振り返ってみますと、ちょうど昭和四十二年という年は、国際的には資本自由化がずっと広がってきましたし、そして国際通貨危機の、制度の動揺もありました。国内の経済では、この自由化に対応するところの産業構造の高度化政策、そして高蓄積、それから地域開発、公共投資の拡大、こういうのが進められなきゃならぬという状況であったわけです。そうして政府の方は、三次防で五年間二兆三千億を必要とすると、あるいは五年間で六兆六千億の第五次道路五ヵ年計画、あるいは五年間で一兆八千億の海外援助費、こういった高成長産業基盤への財政重点的な投資、こういう中で財政危機要因を踏まえて、そしてその解決の方法として、一般行政費、民生費の削減、それから地方財政の削減、こういうのが求められた時期であります。この時期は、この交付税率引き下げ論という大蔵省の攻撃に対して、自治省は当時地方自治体と一体になって強い抵抗を行ったわけですが、今日起こっている財政硬直化の論議の再燃、私はそういう意味では、自治体の要求を踏まえて、その自治体が交付税率を少なくとも四〇%に上げてもらいたい、そのほか超過負担の解消その他たくさんの問題を抱えていますが、こういった問題を含めて、ひとつ自治省としては、この問題の解決を、これからいよいよ五十一年度予算概算要求も始まりますが、そういう方向へ向けてさらに努力をされる、進んでいかれる、そういうお気持ちをお持ちになっているのかどうか、再度お伺いしたいと思います。
○政府委員(松浦功君) 五十一年度の概算要求の問題は、まだ全然検討いたしておりません。ことしの交付税の配分もまだできないわけでございまして、できておりませんが、いずれにいたしましても、地方財政の運営にそごがないようにわれわれとしては配慮をしていくという抽象的なお答えを申し上げる以外にないと思います。
○神谷信之助君 ところで、歳入欠陥をめぐっていま国債発行の問題が盛んに流布され出してきています。この国債発行政策のもとでの交付税のあり方をめぐって、四十一年の地方制度調査会の答申を初め、毎年のように論議が繰り返されてきております。それで当時、地方自治体あるいは調査会などの要求は、国債発行に伴う地方の財源不足に対する財源措置、これは一般財源で行えという要求をしております。すなわち、四十一年十二月の地方制度調査会の答申では、国税及び国債発行額の合算額の一定割合を交付税配分するのが適当だという答申にあわせて、さらに先ほども言いましたが、特別事業債のような措置はとるべきではない、一般財源で措置すべきだ、こういう主張をしておりました。当時自治省も同様の立場に立っておられたのですが、その後、毎年のこの国債発行の政策のもとでいつの間にかこの立場が消え去って、国債の発行に対して地方債を増発するという、これがまあ当然の措置として最近はずっと行われているという状況になっているんですがね。こういう状況になっているんですが、自治省が四十二年当時の立場に返って、国債の発行に対しては地方債で処理するんじゃなしに一般財源で賄えという、そういう立場に立つ気持ちはないのか。なぜ最近は国債発行に対して地方債を乱発する、増発をするという態度になったのか、この点についての理由を聞かせてもらいたい。
○政府委員(松浦功君) 自治省といたしましても、国債の発行額に交付税をリンクさせる、あるいは一般財源をリンクさせるという方途について真剣に検討をした時期がございました。そしてまた そういう方向でやるべきだということも表へ出たようでございますが、それが誤りであるということに気がつきまして、その後はこの主張はいたしておりません。と申しますことは、国債発行の額というのは、国の財政のいかんによって多寡が左右されるわけでございます。それに基づいて一般財源なり交付税なりが動いてしまったのではかなわない、そういう考え方が一つございます。もう一つは、具体的には、国債の一定割合を一般財源でもらうと、国債の償還についても地方が一部その責任を同じ割合で持ったらいいじゃないかという議論が必ず出てまいります。これらのことをあわせて検討いたしますと、そういう主張で大蔵省とやり合うことはいかがだろうかというのがここ数年来の自治省の考え方でございます。 で、いまの自治省の考え方は、地方財政計画における歳出、必要歳出というものを、私どもが検討して、そして特定財源を引きました残りを交付税と地方税でバランスがとれるということであれば、それで地方財政は運営できるんだ、こういう基本的な立場に立っておるわけでございます。したがって、物価の値上がりあるいは事業の進捗状況等が一般財源の伸びと数年来見合ってまいりました段階においては、交付税率の引き上げが全く必要でなかった、こういう形になっておることは御承知のとおりでございます。むしろ、国債の問題を一方的に出すということになりますと、非常に議論を混乱させるのではないかと、また、自治体にとって必ずしも有利な結論が出てこないということから、私どもとしてはそういう主張を強くいたしておらないわけでございます。また、先生が御指摘になられましたように、国債を国が発行する場合には、地方団体は地方債を発行したらいいじゃないか、こういう考え方は私どもは持っておりません。地方債というのは、借金でございまして、将来返さなければならないものでございますから、なるべく一般会計における地方債は伸ばさない、そして財政計画上交付税または地方税でバランスがとれるようにする、このことが一番地方財政の健全化に資するゆえんだと、こう考えております。したがって、ここ二年ぐらい、地方債の伸びというのは極力抑えて、交付税額を確保する、地方税収入を確保するという方針をとっておるところでございます。 ただ、ここで一言、御承知とは思いますが、地方債と申しましても、いわゆる公営企業、準公営企業、こういったものは、住民の生活に関連する事業が非常に多いわけでございます。水道でございますとか、地下鉄でございますとか、こういうものはできるだけ額を伸ばして、それら住民福祉が確保される方向に増発をしていく。当然これは料金で償還できるわけでございますから、将来の危険はないと、そういう考え方でございますことも、念のためにつけ加えさせておいていただきます。
○神谷信之助君 ところが、きのう、きょうあたりの新聞報道によりますと、御承知の第三次の不況対策が発表されまして、それに対して通産大臣の河本さんは非常に不満を述べておられるようですね、報道によりますと。また、財界も一斉に不満を述べて、この程度ではだめだ、赤字国債を出してでも思い切った景気対策をやるべきだというようなことをぶち上げております。で、大蔵省当局も、当面は国債発行に対して表面上慎重な発言をなさっておるんですが、しかし一面では、赤字公債の発行も含めて、この国債の増発を公式にはまだいまのところ否定はしておられないという状況なんです。 ちょうど大臣、お見えになりましたが、こういう第三次不況対策、まあこれはこれから進むわけですから、まだ先のことはわからぬというようにおっしゃるかもわかりませんが、早速財界を中心にいろんな反応が出ているし、河本通産大臣は不満を述べています。したがって、今後、赤字国債を含めまして、年度内に国債増発論が起こってくる可能性があるわけですが、自治大臣は閣僚の一員として、この国債発行問題についてどういうように対応されるおつもりか、あるいはまた国債の増発、特に赤字国債の発行が地方財政に及ぼすであろう影響についてどのようにお考えか、この点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(福田一君) 実は私も一昨日の経済閣僚会議ですか、あれに出席をいたしました。まあ員外出席であったんですけれども、どうも非常に心配だったものですから出席をいたしまして話を聞いておったわけであります。まあ私は、いまさしあたり政府がとった措置はやむを得ない、まあまあ物価の問題を考えたときには、やむを得ないと考えておりますが、これは少し余談になるのですが、私がいま非常に心配しておりますことは、いままでは、日本の経済が高度成長いたしましたのは、ちょうどアメリカという国が世界景気を左右する一つの力を非常に持っておった時代でございます。田中内閣の時代まで私はそうであったと思っておるのでありますが、今日になりますというと、アメリカの経済というものがどれだけの世界経済に与える影響力があるか、かなりその点では力が弱まってきておるという点が一点心配、考えなければならない面である。いま一つは、一番健全な発展をしておるという西ドイツ、シュミット内閣の財政計画というものがいま非常に困難な状況下に陥っておるのでございまして、自由主義国家群の中においてその支柱をなしておったアメリカと西ドイツが今日のような状況になったということを見ますというと、私はこれは非常に悲観的な物の見方かもしれませんが、世界じゅうが不景気になるというか、総不景気になるというような事態が来ないとは言えない。この問題が、今後、この財政経済の問題を考えるときにわれわれが根本的に考えてみる一番大きな問題じゃないかというふうに私は考えまして、実はまあ一昨日もその意見をちょっと私は述べたのであります。 いまあなたの御質問の問題でございますが、これはまあ将来のことでありますから、そういうような事態はなるべく起きないように、世界経済がそのような総不況になるというふうなことではこれはもう大変なことでありますから、どうこれを処理していくかということは一つの大きな課題ではあるが、まあまあそれが何とか解決ができるという段階において、それでは日本の経済をどう考えていったらいいか。その場合に、この不景気が深刻になりあるいは失業者が非常にふえてきたという場合に、失業者にショックを与えるという意味から言っては、やはり相当強力な景気刺激策をとらざるを得ないんじゃないか。そうなれば、いまのような消費によるところの景気刺激策というものが、石油危機以来非常に国民が――日本人のこれは私ある意味で一番いいところだと思うんですが、将来どうなるだろうかということをすぐ考える。昔これは貧乏だったせいです。非常に昔貧乏で苦労したものですから、これは大変なことになりゃせぬかというような、そういう苦労性がありますから、非常に消費動向についても敏感でございます。そういうことが今日の景気を伸ばすについて非常にマイナス面に作用しておるということも事実でございます。 そういうような時代でありますからして、まあ国の財政を四%伸ばすか、三%伸ばせるのか、二%になるのかどうか知りませんが、これはまあ二カ月、三カ月ということが非常に大きな変化を及ぼすと見なければなりません。たとえばいまOPECでやっておりますところの石油の値上げというのはどのように落ちつくんであろうか、またフォードが言っておるところの、これに対するアメリカの反対がどの程度の効力を上げるのであろうかというようなことも、これはもうすぐに八%とか一〇%の石油の値上げがあったときに日本の経済に与える影響、これはもういまから十分考えておかなければなりませんが、そういうこと等も考えますと、いま軽々に日本の経済をどう処理するかという結論を出し得る人は私は恐らくないんじゃないかと思っておるのでございまして、そんなことで政治ができるかとおっしゃれば、どうもまことに申しわけないことになるのでありますが、しかし、事実は事実でございます。 したがって、その事情に対処してその処理をしていくということでございますので、せっかくのいまの御質問でございますが、そのときに赤字公債を出すべきか出さざるべきかということは、以上のようないろいろの諸点を勘案した上で決めなければなりません。幸いにして世界の景気もある程度立ち直り、また日本の景気も伸びてくるということであれば、私は赤字公債などは極力出さないようにいたさなければいけないと思っております。何といっても物価、インフレというものが日本の経済に与える悪影響というものは、これは絶対に避けたいというのが三木内閣の方針でございまして、私もまあそうえらそうなことは言えませんが、閣僚の一人でございますので、何とかそういうことのないようにひとつ賢明な道を歩ましていただきたい、かように考えています。あるいは御質問に十分お答えできなかったかもしれませんが、私といたしましては、赤字公債を出すか出さぬかということについてはそのような考え方を持ちながら真剣に今後も研究をしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
○政府委員(松浦功君) 赤字公債を発行した場合に地方財政にどういう影響があるかというお尋ねでございます。赤字公債の発行自体は、地方財政に私は影響は何にもないと思っております。ただ、赤字公債を発行するような状況になりますと、これは税収が減ってきた、そうなれば交付税に穴があく、あるいは法人税が落ちるというようなことになれば地方の税収に穴があく、こういう可能性が出てくる問題でございますので、赤字公債を発行するような事情のもとにおける税収の減というものは地方財政に大きな影響を及ぼす、こういうことには相なろうかと思います。これに対しましては、先ほどお答え申し上げましたように、地方財政の運営に支障がないようにわれわれとしては全力を挙げたいと考えております。 ただ、国債を増発をいたしまして公共事業費を新たに積み増しをするというような事態が起こりますと話は別になってまいります。当然、積み増しの公共事業の国費分は国の予算に計上される。裏負担分については、いままでの財政計画のルールどおり、起債と一般財源、これで埋める、こういう措置をとらざるを得ないと思います。現在の段階では、そういう形になるかならないかかいもく見当がつきませんので、それ以上のことは申し上げかねますが、直接赤字公債を出したから地方が赤字地方債を出すというような考え方は私どもはそれにつなげて持ってはおりません。その点はひとつ御了解をいただきたいと思います。
○神谷信之助君 いま大臣の方から、国際経済の問題や日本経済の見通しなんかについてお話がありました。この問題については私は私の意見を持っていますが、これはここで論争しても仕方がないと思います。しかし、いずれにしても、国際経済や日本経済の見通しがなかなか立たない中で三木丸が出航しているわけですから、私はこれは大変なことだと、国民にとってはきわめて不安な状態だと思うんです。 それはそれとしまして、いま財政局長から話がありましたが、建設国債が景気刺激策としてもし発行される、そうしますと、これで公共事業を促進をするということになってきますと、自治体の方は裏負担について一般財源や起債、地方債を充当しなきゃならぬ、そうなってきます。これがいままでやられてきたやり方ですね。ところが、地方団体の一般財源の方は、それ自身国債発行によっては直接すぐ増加をしないわけですから、そうしますと、いままでの地方財政計画の中の一般財源をやりくりしなきゃいかぬ。結局残るのは地方債がふえるということと、それから福祉へ回すべき一般財源を削減をすることによって裏財源を負担をしていく、捻出することを強制されるというのが、今日の四十年代の国債発行政策の中で大体定着をさせられてきたパターンでありますね。ですから、私はここでもしこの五十年度に建設国債を発行するというように政府が踏み切った場合、地方債増額で単純に対処するんじゃなしに、国の景気政策あるいは産業政策上の都合で国債発行することの是非は別にして、それに伴って必要な地方財源を、一般財源で何ら措置せずに、一般財源と地方債で賄えということを強要するというやり方、考え方というのは、これは自治体の自主的な財政運営を困難にすることになる。もう一つは地方財政の地方債依存度、公債比率を過去十年間年々高めて、まあ一生懸命抑えてこられたけれども、やっぱり高まってきています。こういうことが大きな原因になって今日の赤字の一つの要因であることも事実だと思います。したがって、国債発行に伴う地方所要財源措置について一般財源で行うべきだということで、大蔵省当局に対しては断固として自治省は要求するという立場に立てないのかどうか、この点をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
○政府委員(松浦功君) 現在の地方債計画の中でも、御承知のように公共事業は歳出に立っておるわけでございます。歳入には国庫補助金が立っております。残りは何を充てているかということになりますと、地方債計画の一般公共事業債というものを充てた残りは、交付税または税で賄う仕組みになっておるわけであります。その方針を私は公共事業が増加する場合には踏襲すべきだと思っておりますので、全額地方債という形で過去に処理をした例もございますので、相手方の大蔵省がどういう態度にお出になるか、私どももいまから予断は許しませんが、私どもとしては、いま申し上げたようなルールに従って一定割合の地方債ということはやむを得ないと思います。残りの部分は一般財源ということで大蔵省に折衝をするということが私どもの当然の態度ではなかろうかと、現在の段階でそう考えます。
○神谷信之助君 しかし、国債の発行に伴って公共事業をやるというのは新しい事業ですからね。だから地方財政計画外でしょう。外になるわけでしょう。
○政府委員(松浦功君) ふやすんです。
○神谷信之助君 ふやすんでしょう。だから、その部分の一般財源がふえなきゃ困るじゃないですか。その点はどうなんですか。
○政府委員(松浦功君) たとえば現在の地方財政計画二十一兆五千億でございますが、一兆、国で公共事業を追加するということになると、国庫補助が六千億ぐらいおよその見当として出るかと思います。そうすると、二千億、大体二割見当、二割弱の見当になろうかと思いますが、地方債計画を千五百億なり二千億なりふやす、残りの二千億なり二千五百億を一般財源でくれと、こういう要求をするのがいまの財政計画の線に沿ったやり方だというふうに考えております。全部一般財源でよこせということは私どもは言うつもりはございません。
○神谷信之助君 ただその場合、五十年度の地方財政計画と地方債計画が決まっているわけですから、それにプラスされて地方債なり――まあ国から来る特定財源はいいですわね。だから、地方債がそれにプラスされるわけですわね。この地方債、それプラスした全体の率が実際の地方財政にどのような影響を与えていくのか、公債比率がどうなっていくのか、こういったことを考えると、同じパターンでは、ここにいまもうすでに決まっているこの負担の割合、一般財源の負担の割合ではいかぬ。この点では、さらに今日の地方自治体の財政能力その他を考えれば、まあ全部持てというわけにいかぬにしても、この一般財源の率というのは高めなきゃいかぬだろう、当然。そういう立場に立っては十分自治体の現状をとらえて要求をすると、そういうように理解をしてよろしいですか。
○政府委員(松浦功君) 仮定の話で、まことに相手方もあることでお答えにくいんですが、自治省といたしましては地方債を一部入れるということは当然だと思っております。残余の部分については一般財源で措置をするという方向で折衝をいたしたいと現在の段階では考えております。
○神谷信之助君 それでは、それでその点はひとつ自治体財政の状況を考えて大蔵省と折衝はちゃんとやってもらいたいと思うんです。 そこでもう一つ問題は、国の政策減税に伴う地方減収の補てん措置をめぐる問題です。現行の地方交付税制に切りかえられて、今日まで数回にわたって、国か所得税等の政策減税を行った場合にはそれに伴う交付税の減収あるいは地方税はね返りの減収、これを補てんする措置を交付税上の措置として臨時特例交付金などでとらえてやってこられたんですが、四十年代でいいですが、年度ごとの額とその措置、報告をしてもらいたいと思うんです。
○説明員(石原信雄君) 地方税の減税を一般財源で直接補てんした例と、国税の減税及び地方税の減税について直接補てんした例といたしましては、昭和四十一年度の交付税率の引き上げにつきまして、国債発行、国債導入に関連して引き上げが行われたんですが、そのときの引き上げの理由として、自治省としては、これは当時の所得税、法人税の政策減税による交付税の減収を補てんする趣旨であるというふうに理解しております。この点については、国庫当局ではそのような理解はしていない、その当時の財政状況全般を考慮して交付税率を上げたという説明がなされております。この点、ですから政府としての統一した考え方になっておりませんけれども、四十一年度の交付税率引き上げの当時、自治省としてはそのような理解をいたしております。それから同じく四十一年の補正の――補正と言いましょうか、国会審議の段階で、固定資産税、都市計画税あるいは電気ガス税について地方税法の国会修正がありまして、その減収分については、五十一億円でありますけれども、臨時交付金という一般財源で補てんがなされております。それから同じく四十一年の臨時交付金でありますが、その臨時交付金のうち、第一種特例交付金二百四十億円につきましては、これは住民税の減税と関連いたしまして、翌年度からたばこ消費税の引き上げを含みとして一般財源で臨時交付金が交付されたと、このような例があります。その後は、国税三税の減税による減収対策として直接一般財源による補てんというような形での財政対策はなかったように記憶しております。
○神谷信之助君 最近はしたがって、たとえば二兆円減税など四十八年ぐらいでしたかありましたが、そういった場合、そういう政策減税に伴う地方財源補てん措置はやられてなかったわけですね。
○説明員(石原信雄君) なお、昭和四十六年度の補正の際に、所得税の年内減税、千六百五十億円の年内減税が行われました。その際はその所得税の減税に伴う減収分の五百二十八億円だけ臨時交付金で補てんが行われております。
○神谷信之助君 ですから、最近この減税措置に対する減収補てんというのはやられていないんですが、その理由は一体どこにあるんですか。
○政府委員(松浦功君) 私どもは、先ほど来御説明申し上げておりますように、地方財政計画の歳出において必要なものを見ております。したがって、これに見合う歳入が確保されれば足りる、こういう考え方でございますので、常に交付税額の必要額を確保するということを、地方財政計画の策定を通じて念願といたしております。財政計画が組める限りにおいては、国税の政策減税があっても、それについての三二%を補てんをするというような考え方をとらなかったと、こういうことでございます。現実の問題として、四十九年度の財政計画では、土地開発基金の積み立てというようなものも財政計画に持っておりますし、五十年度においては臨時土地対策費、あるいは従来まで八%しか見ておりませんでしたベア含みの経費を九%に上げるというような比較的ゆとりのある財政計画の歳出を立てながら、なおかつ減税分に対する補てんをとらないでも十分財政計画が組めたと、こういう事情でございます。 そういう意味で、個々の減税というものに対して対処をするということではなくて、地方財政全般をながめて歳入が足りるか足りないかという議論で、この問題を片づけていくという方向をとっておるからでございます。
○神谷信之助君 ところが実際には、何でしょう、歳入と歳出がそれで足っているかどうかという観点からやっておりながら、四十年から四十九年の十年間で、いわゆる交付税をもらわない団体、不交付団体ですね、これはずっと大きくふえてきているわけでしょう。実際の自治体の財政状況としては、交付団体から不交付団体になるという団体がどんどんとふえているわけでしょう。四十年が百八十五団体の不交付団体、いわゆる交付税をもらわない団体、富裕団体ですね、四十九年末では五十四団体、わずか一・六%になっておりますね。だから全体として地方財政計画上ではそのまま合っているかどうか知らないけれども、個々の自治体の中ではそうやって不交付団体に転落をするという状況がずっと年々四十年代はふえてきている。これが事実じゃないですか。
○政府委員(松浦功君) 先生おっしゃっておられるのはちょっと逆じゃないかと思うので、不交付団体がふえているのじゃなくて、不交付団体は減っている……
○神谷信之助君 減っている。
○政府委員(松浦功君) 減っているということだと思いますが、そのとおりだと思います。
○神谷信之助君 そこでこうやってずっと個別に見てまいりましたが、今日のような不況、国の方も財政難だということになってまいりますと、国の財政も苦しい、したがって地方も同一基調でということが言われてくるし、高成長で財政が膨張する時期には、地方の財政は豊かになったと、だから交付税率を引き下げよという攻撃もあった。そしてこのいずれにおいても、地方財源圧縮の攻撃が一貫して四十年来ずっと私は続けられてきたんじゃないかと思うのです。そういう中で現在の現行交付税率三二%の凍結について自治省、大蔵省で了解がされているということで、事実上交付税をめぐる攻防戦が終止符を打たれたわけですが、この自治、大蔵の了解事項なるものは今日もなお生きているわけですか。どういう状況なんですか。どちらからでもいいです。
○政府委員(松浦功君) 別に自治、大蔵の間のそう明確なものがあるわけではございませんが、ともかく毎年、目に角立てて両省で根拠もなしに感情論で闘いを展開するということはよくないという気持ちで、もっと納得づくに、地方財政計画を両方で冷静にながめて足りるか足りないかという議論でいこうじゃないかと、こういう歩調でここ数年来折衝してきたということは事実だったろうと私も思います。私も財政局長になりまして、そういう気持ちで折衝してまいりました。 しかし、これは財政計画の歳入と歳出がバランスが合うときのことでございます。これは合わなくなれば、私ども目を三角にして、交付税率の問題は当然言わなきゃならない時期が来ないという保証は私はないと思っております。しかし、現実にそれがいつであるか、あるいは来るのか来ないのかということになると、これはもう全く日本の経済の先行きと関連をいたしますので、何とも申し上げかねますが、絶対に三二%というものをお互いに攻防しないんだというような最終的な取り決め、そういう確たるものがあるとは私ども思っておりません。
○神谷信之助君 四十二年ごろから、三二%を下げろ、前の二九・五%ですか、それに戻せというような強い攻撃が大蔵省からもくると。それで自治省の方も防戦をせなきゃならぬと。それを何回か繰り返す中で、そんなことをやめようじゃないかと、言うなれば紳士協定的なものが生まれてきておるわけでしょう。それで一応休戦状況みたいになっておるわけです。だからそういう意味では、やみくもに国の財政硬直化の一つの要因だということで交付税の税率を下げろという攻撃を食いとめて、そして自治省の側から言えば地方財政の実態に基づいてやろうということなんですね、いまの局長の話。ということで、今日まで交付税率を下げるということを歯どめをするということになったことは、私は一定の役割りはあったろう、こう思うんです。しかし、これから今後の低成長経済のもとで地方財政の危機が今後とも予想される。さらにまた福祉重点の政策への転換、これが進められる、これは三木総理自身がおっしゃっておるんだから。そうしますと、この福祉を担う自治体の財源をどのように保障するか。その財源を移譲する問題が必要になってくるわけですね、国の財源から地方に対して。こういうことを考えてきますと、私はこの三二%で一種の休戦協定の状況というのは、これからの問題では逆に足かせになってきている。いまの財政局長の話ですと、そのバランスが崩れれば当然それは要求するのだというお話ですが、その点はひとつ確認をしておいていいわけですか。
○政府委員(松浦功君) どうも仮定の議論なんでまことに困るんでございますが、五十年度に関する限りは、私どもは交付税に穴があく、あるいは税に穴があくという場合に、先ほどお答え申し上げましたような措置をとる必要があるかと思いますが、交付税率に関する限り私どもはいじらないで大文夫だと思っております。 五十一年以降の問題については、本当に地方税収入がどうにもならないような状況になるということから、私どもが考えておる地方財政の規模を保てないというような事態になりますれば、私どもとしては新しく税源を起こすか、国の税金を移譲してもらうか、あるいは交付税率を引き上げてもらうか、それ以外にしか方法がないわけでございますから、いずれかの方法をとるということを大蔵省にお願いをせざるを得ないと思っております。 ただ、先ほど来先生からもお話がございましたように、ともかく自治省が三二%の壁を破られないようにがんばってきたことは一定の評価をするという趣旨の御発言がございましたが、大蔵省も一生懸命やられたけれども、私の方ががんばり切った。今度はこちらが上げるということになると、今度は大蔵省が徹底的にがんばると思うのです。その辺の御事情もひとつお考えをいただかないと、自治省だけで政府の中が回っているわけではございませんので、私どもは私どもなりに、大臣の御指示に従って大蔵省に要求すべきことは要求いたします。しかし、これはやはり国の財政にも都合のあることだと思います。また、そこまでいく事態の前に、それぞれ地方の歳出がどれだけ必要であるか、それに見合う財源がどうであるか、予算の場の前に、じっくり大蔵省と地方財政の実態をお互いに認識を一にするというような行動をとることによって、何らかの対策を立てていくということでなければならないのではないかというふうに考えております。
○神谷信之助君 そこで今度は大蔵省にお伺いしますが、先ほど加瀬議員からも話がありましたが、三木総理が福祉重点の政策をやっていくということで、それが五十年度の国の予算なり地方財政計画にどのように明確になってきたか。この点は、私は率直に言って、そんなに明確になっていないと思うんですよね。今後これがさらに一層――三木さん自身も、急に一年目からそんなことができるわけじゃない、徐々にとおっしゃっているんですが、しかし、福祉政策の充実はいま国民の切実な要求になってきています。とりわけ不況がインフレのもとで深刻な状況になってきているわけですから、そういう中で福祉政策を重視をするということになってくると、それを担うのは自治体です、実際に。したがって、自治体の歳出財源が必要になってくる。そういう点は十分お考えになって、交付税率の引き上げ、その他一般財源の充実、新しい税源を含めて、当然のことですが、それは十分前向きに積極的にお考えになるという、そういうたてまえに立っているんですか、どうですか。
○説明員(名本公洲君) 先生御指摘のように、国の財政と同時に、地方の財政の方におきましても、福祉重点という方向に財政の方向が変わってくる。五十年度にも変えてきましたし、今後もさらに変えていくという方向で考えておるわけでございますが、それをどういうレベルで持っていくかということは、まさに国、地方の財源のふところぐあいの問題になるわけでございます。福祉をさらに向上していくという要望は、これはきわめて強いものがありますけれども、それを一挙に解決するというわけにまいるわけではございません。国、地方、それの財源、それを負担いたします国民の税負担、そういうふうなものを、もろもろを勘案しながら、限られた財源の中で福祉の方へウエートを移していくということであろうと思います。それをやっていきまして、地方の財源がどのようになってくるかということを見定め、あるいは国の財源がどういうふうに使われていくか、財源不足というような問題がどのように出てくるかということを見ながら、今後検討してまいらなければならないことでございまして、財源の有無にかかわらず福祉優先ということだけでやっていくというわけにはまいらないわけでございます。その財源はすべて国民の負担にかかるわけでございますから、そういうところあたりも考えながら、どういうペースで福祉をさらに進めていくか、現在をさらに進めていかなければならないことは事実でございますが、それをどういうペースで進めていくかということを、これからの経済社会全般の動きなどを見ながらやっていくべきものであるというふうに考えておるところでございます。
○神谷信之助君 そうおっしゃるだろうと思っていたんですが、先ほども言いましたが、四十二年ごろに、自治体の財政は非常にゆとりがあるという大蔵省の見解が大分出ていますね。三二%に上げたやつを、また二九・五%に戻せというような議論があったわけですよ。そのときは、いわゆる財政のゆとりがあるのかないのかというのを収支の帳じりがどうかということだけで判断するのは間違いだというのが自治省側の主張だったですね。自治省の方の主張は、住民生活に密着をした道路とか下水道あるいは屎尿処理施設など著しい立ちおくれを示しているんだと、それから過密過疎対策、公害、交通安全対策などの行政需要も増大している、だから、単に帳じりが、収支が黒字だからということだけで自治体の財政がゆとりがあるということは言えない、そういう住民の要求にこたえて行政水準を引き上げるということを考えればこれはまだまだ大変な状況なんだと、こういう主張を大蔵省に対して当時やっているんですね、私、記録見ますと。私は、この限りではなかなかすばらしいことを自治省は言っていると思いますね。まさに私は、自治体の財政が赤字か黒字かというのは、数字上の帳じりの問題ではなしに、自治体が地方自治の本旨に基づいて住民の自治組織として住民自身の生活の環境をどのようによくしていくか、それにまたこたえていくかということから考えるならば、黒字であるといっても、なかなかそうはいかぬという問題があるわけです。ただ、まあ私は、自治省がもしこういう議論を本当に進めるならば、さらに進んで国民の側から言うならば、不必要な軍事費とか、あるいは港湾などの産業基盤のためのいろんな支出なんかは、そんなものは住民の側から言ったら要らぬものだと言ってがんばらにゃいかぬわけですが、その辺まではなかなかやっておられない。首尾一貫しないと思うんです。 そこで、いま大蔵省の方は国の財政の関係なんかもいろいろおっしゃるんですけれども、私はひとつ、いつも問題にしている例の大企業に対する特別減免措置ですね、こういった問題について、具体的にどのようにお考えか、また仕事はどのように進んでいるのか、お聞きしたいと思うんですが、一つは、たとえば昨年九月の決算で、大企業五十社で貸し倒れ引当金が一兆円以上になっている。それが実際には年間の貸し倒れは二十七億ぐらい。だから非常に大きな不当な貸し倒れ引当金を蓄積をしています。こういった問題は、日銀自身の調査によりましても、最近の日銀の調査で、「最近における企業収益の動向について」という分析を見ますと、大企業の不況抵抗力が非常に強くなっている、四十年代当初から言うと今日の段階では非常に強くなっている、それは内部留保をうんとふやしてきたことだということも言っています。それから会計士会なんかが発表している資料を見ますと、この三月期の決算が五月の二十九と三十日に株主総会がピークになっていますね。これは昨年の秋の商法の改正はそのころまではきていませんから、次の問題になりますが、とにかく会計士も疑問なような巨額な引当金が留保されて、そうして税金を逃れているという問題がある。そういう問題について、新聞報道なんかを見ますと、大蔵省の方でもこういった諸種の引当金についての手直しを検討しているというような話が出ておりますが、こういった点はいまどの程度メスを入れようとされるのか、あるいはどの程度に進捗しているのか、あるいは税調に対してどういう問題を提起しようとしているのか、こういった点について、ひとつお伺いしたいと思います。
○説明員(福田幸弘君) 御指摘の引当金等の問題でございますが、引当金及び準備金ということになりまして、内容的にはいろいろの項目がございます。引当金そのものにつきまして考えますと、退職給与引当金、貸し倒れ引当金等、その期の損金にチャージすべき債務であるという会計原則による処理をしておるものが引当金に多いわけでございます。あと準備金には、価格変動準備金等の特別措置によるものがあるわけです。この辺、引当金、準備金をやはりどんぶりに考えるべきではなくて、会計原則によって当然考えられる引当金と、租税政策上特別措置等によって措置されておる準備金の系統、これはやはり区別すべき問題かと思うのです。 で、大企業のところでいろいろ問題になります貸し倒れ引当金等というのは、これは現在調査をやっておりますが、貸し倒れの実績によって損金に落とせばいいという一つの実績主義の考えもございますけれども、これはやはり概算率によって積み立てるというのが、一つの便法でございますし、会計上もこれは認められておるわけでございます。金融機関等につきまして実績との差が相当あるという批判もございますので、それはやはり預金者に対するクッション、アローアンスでもございますので、実績そのものでもいいとも言い切れません。その辺、現在の率についての見直しを、実績をにらみながら、金融機関にとどまらず、ほかのところの実績も考えながら見直しをやっております。貸し倒れ引当金については、そういうことで現在作業を進めております。 準備金の方につきましては、価格変動準備金等につきまして、やはり政策の必要性が現在どこまであるかという観点から、その利用状況、効果等の検討を進めております。公害防止準備金等もやはりこの辺の検討の対象になろうかと思います。それから交際費課税につきましても、現在の仕組みでよろしいのか、その辺も検討項目にいたしております。こういうことで、各種の引当金、準備金、交際費等につきましての見直しをやっております。 そういうことでございまして、特別措置自体はいまのような引当金を含めて考えるべきではございませんので、会計的な、当然認められるべきものは除外して考えられるべきで、大企業の負担が軽くなっておるといういろんな調査の際には、この引当金についてはやはり別途区分して検討するのが正確であろうかと思います。そういうことで、いずれにしろ、特別措置の方における準備金等につきましては、いまの段階においてこれが適当であるかという問題は公平の観点から検討を進めておるということでございます。
○神谷信之助君 それ、五十一年度には間に合うんですか。そのつもりでやっておるわけですか。
○説明員(福田幸弘君) ただいま申し上げましたいろんな検討項目には、政令で措置することができるものと法律によるべきものとがあるわけでございます。たとえば貸し倒れ引当金等につきましては、できるだけこれは今年中にめどがつくようにということで作業を進めております。税制調査会等の手続がございますが、この辺は現在検討中でございます。準備金の中でも、価格変動準備金の対象資産あたりは、これは政令でやれるんでございますが、いずれにしろ、税金というのは政令でどこまで手をつけていいかという問題はやはり限度がございますので、来年度の法律改正におきまして――特に特別措置法は法律で多くか書かれております。租税特別措置法を中心にしますこの合理化、交際費等の合理化、これにつきましては、やはり租税法律主義のたてまえからいけば来年度の税制改正の対象として正式に御議論をいただくのがよろしいかと思います。
○神谷信之助君 それから、これは自治省の方にお聞きをしたいと思いますが、今度の衆議院の予算委員会でわが党の林議員が質問をして、福田副総理が、国税の減免措置に伴って地方税にはね返る部分についてはひとつ見直して遮断措置をするという回答をされていますが、これ、具体的に自治省の方で作業が進められておりますか。その進捗状況はどうですか。
○政府委員(石見隆三君) 地方税におきます非課税あるいは特別措置につきましては、私どもいま大蔵省の方から御答弁がございましたと同じような考え方に立っておるわけでございます。やはり個々の税の性格なり、あるいはそれが設けられました政策目的と、片方、税制の基本原則との調和という観点に立ちまして、適宜見直しを行いたい、行うべきだというふうに考えておりまして、非課税あるいは特例措置が既得権化する、あるいは慢性化することのないように努めてまいりたいというふうに考えております。
○神谷信之助君 それは答弁が出ている。具体的作業はどうですか。
○政府委員(石見隆三君) いま各税目について具体の作業を内部的には進めておるところでございます。と同時に、国税の特別措置が地方税に影響してまいっておる分につきましても、先ほど国税の方でお話がございましたような状況でございますので、それらの実態を十分私ども見ながら、国税の方と一緒になりまして地方税への影響分をどうするかということにつきまして検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○神谷信之助君 電気税の特別措置についてもやるということになっていますね。新聞なんかでは自治省としても二つほどの方法を検討されているように聞いていますが、どうですか。簡単でいいですから。
○政府委員(石見隆三君) 産業用電気に対しまする非課税措置につきましては、私どもできる限り整理合理化をいたしたいということで、これまでも検討してまいったところでございます。先生御案内のとおり、本年度の地方税法の改正におきまして、従来非課税とされておりました二十四品目を消除をするというようなこともやってまいったわけでございます。ただ、この点につきましては、ことしの制度改正に際しましての税制調査会でもずいぶん議論のあったところでございますが、何分にも産業用非課税をどうするかということにつきましては、電気税の性格をどう認識するかという問題にさかのぼらなければこの問題は処理ができないんではないかというふうな結論に相なっておるところでございまして、税制調査会におきましても、今後電気税の性格をもにらみながら抜本的な検討を引き続き行うべきだということで、次年度以降の問題に残されておるわけでございます。 私どもは、内部的には数案つくりまして、ことしも検討し、税制調査会にも一応の非公式の案として打ち出したわけでございますが、いま申しましたように、本年度は税の性格とも絡みまして最終的な結論を得るに至っておりません。私ども、五十一年度税制改正におきましては、改めてこの問題を内部的にも十分さらに煮詰めまして、税制調査会にもお話しし、何らかの結論を出していただきたいということで十分努力いたしたいというふうに思っておる次第でございます。
○神谷信之助君 大臣、予定があるようですから、最後にちょっと質問をしておきたいと思うんですがね。 まあ、いま国の財政も歳入欠陥だということでいろいろ言われてきて、そうして国の方の財政についても財政硬直化についての検討がなされる、それから自治体の方も財政危機で地方制度調査会に対してこの問題をめぐっての答申を求めている、こういうことなんですが、そういう中で、これはしばしば指摘していますように、今日までの高成長経済のもとで進められてきたいろいろな、まあ減免措置はいろいろありますが、その中でも特に高成長を支えるための大企業に対する特権的な減免税の措置、これはひとつ見直していこうということでやられているのですが、その中で、まあ電気税の問題もそうですね、地方税の遮断の問題もそうです。問題は、税調なり何なりにいきますと、特に企業の側、財界の側からの抵抗が物すごくあるわけですよ。ですからなかなか進まない。電気税の問題でも、自治省としては、一昨年でしたか、一昨年の税調には、三〇%くらいの――いまの五%条項を三〇%条項でしたか、ぐらいまで引き上げるというところまで真剣に考えたという話を私の質問に対してなさっておったわけですね、予算委員会で。だから、そういう努力をしたけれども、そういう大企業の方からの抵抗でなかなかスムーズにこれはいかない。ですから、本当にこの高度成長経済から脱却をして、そうして福祉重点の政治を進めていくという立場に立つならば、財界や大企業の少々の圧力があろうと、国民の生活を保障するための財源はちゃんと国民並みに――よけい私は税金取れとはいま言っていないんで、国民が出しているように、やっぱり特別の減免措置なんかはやめなさいと言っているんですから、こういった点をひとつ大臣の方でも強力に進めていただく必要があると思うのですが、この点ひとつ意見を聞かしてもらいたいと思います。
○国務大臣(福田一君) ただいまの問題でございますが、電気の関係の分についてもいま事務の方からいろいろお答えをいたしておると思うんでありますけれども、私は必ずしも財界からというだけの理由でこの問題に逡巡しておるわけではございません。しかし、順次これを非課税措置を廃していくという方向については、これは私賛成をいたしておるのでございます。したがって、来年度においてもこの問題をやはり取り上げて処置をいたしてまいりたい。一気にやるというわけにはいきませんが、そのような方向で検討をいたしたいと思っております。したがって、税制調査会その他にもこういう問題について十分な御理解を得るように努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。 そこで、この地方税における、あなたからは非課税や軽減等の措置についてどういうように処置していくのかという御質問でございますが、私は、一般の地方税については、特に地域内の負担の公平を図る必要から、できる限り整理、合理化を図るべきであって、特に国の租税特別措置が自動的に地方税に影響することは回避すべきである、こう考えております。また、個々の政策の目的と税制の基本的原則との調和という見地に立って、適宜に見直しを行っていかなければならない。既得権化や慢性化の排除に努めると同時に、社会経済情勢の進展に即応いたしまして、随時流動的に改廃を図っていくということが必要であると考えております。ただ、国税の租税特別措置の中には、地方税においても同様な軽減を行うことが適当なものがございます。また、国税の租税特別措置を地方税で回避することが課税技術上困難なものもありますので、このような事情も十分勘案しながら、可能な限り整理、合理化を図ってまいらなければならないと考えておる次第であります。
○神谷信之助君 それではどうも大臣……。 それじゃ続いて質問しますが、そこで今度は財政局長ですがね。三二%の枠内でおさまるかどうかという点で、交付税算定上の基準財政需要額の算定をどうするかというやつが、これが非常に問題だと私は思うんです。どうもつじつまを合わせて、先ほどの加瀬議員の論議じゃないんですが、三二%の範囲内でちゃんとつじつまが合うようにやられているんじゃないかという疑いが非常に強いんですが、この点はどうなんですか。
○政府委員(松浦功君) 具体的に申し上げますと、単位費用を、われわれは標準的な団体で標準的に妥当なものとしてつくっております。ただ、これは幾ら私どもが答弁をいたしましても、必ず先生方から逆に今度はおっしゃられるわけでして、やっぱり基準財政需要額というものと財政計画というものとの計数的な関連は密着しておるわけでございます。したがって、私どもは現在の財面計画というものは、地方団体の事情を聞きながら適切な積み上げをいたしておるというふうに考えておりますので、それをもとにすると言うと法律違反だというふうにおしかりを受けますが、別につくった単位費用が結果的にそれに結びついておると、そういうふうにお考えをいただいた場合には、これ以上のことを考えることは私どもは無理ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。 それでは現実に、加瀬議員からも御指摘がございましたように、決算と計画がずいぶんいつも開いているじゃないかというお尋ねでございますが、現実の問題としては、一番新しい年度として四十八年度の決算と計画の乖離の数字がおよそ概数として出ておりますので、それをもとにして御説明を申し上げたいと思いますが、歳出におきましては、計画と決算の乖離の一番大きなものは人件費の一兆円でございます。それからその他の経費、いわゆる一般行政経費でございますが、これが約九千億円、それから投資的経費で六千億円、こういう乖離に歳出ではなっております。それに対しまして、歳入の乖離の大きなものを申し上げますと、地方税の自然増収という形で出てまいりますものが七千億、それから地方債の枠外債が六千億、それに使用料、手数料の、いわゆる雑収入の一兆三千億、これが主なものでございます。 これがどういうふうに歳出と歳入と絡みついているかということを考えますと、地方債の六千億というのは、枠外債で土地購入費を認めたものでございます。これは投資的経費の乖離と見合っております。雑収入の一兆三千億というのは、これは大体一般行政費の九千億、これに相対するものでございまして、計画に計上されてない、過小計上しておる雑収入というものと、税の自然増収の七千億、これが人件費に見合っているという形に決算上はなっております。したがって、財政計画から見ました場合に、乖離が出ていくべくして出ている土地の問題、雑収入の問題、これは私どもは数字さえ直せばよろしいわけでございまして、余り問題はないと思っているわけです。問題はこの人件費にある。一兆円。そこでまあ人件費の問題をいろいろ地方団体としても御検討を願いたいと申し上げている。 現在の状況から言いますと、財政計画計上以上に取れました雑収入と、それから税の自然増の七千億とで人件費を賄っておる。ところが、税の自然増収の七千億円がこういう状況でだんだん取れなくなってきた。そこに地方財政の運営の苦しさというものが出てきていると思うわけでございます。この辺のところについては、地方公共団体におかれても、将来の地方財政ということを考え、住民サービスの低下を来さないというためにも基本的にお考えをいただくべき時期であり、問題ではなかろうかということから私どもは人件費の問題を取り上げておるわけでございます。 したがって、基準財政需要額等におきましても、恐らく人件費の見方などというものは、私どもの積算というのは国家公務員の水準でしかはじいておりません。したがって、国家公務員の水準を超えてはみ出た部分については、当然基準財政需要額では見られていないという姿が出てきておるわけです。そこいらの問題をある程度お考えいただけると、基準財政需要額、現在の姿というもので制度上の組み立てを考えた場合に、地方公共団体にもある程度御納得をいただけるものだというふうに私どもとしては理解をしておるところでございます。
○神谷信之助君 先ほどの加瀬議員とのやりとりの中でも出ておりましたし、それからこの間の四月の十八日の衆議院の地方行政委員会での局長の答弁にもあるのですね。「基準財政需要額というのは、地方財政計画の税収入と交付税でもう総枠が決まってしまうわけでございます。それの配分を、各省からの御要求を承りながらどういうふうに配分していくか、これが自治省の大きな役目」でございますということになって、こちらの方だけ話されるからね。そうすると、もう三二%決まってしまって、それに合わすようにいろいろな計数をはじいているのじゃないか、こういうことになるわけですよ。問題は、その地方財政計画のそれじゃ歳出の計画が今度は実際の実態に合ってるのかどうか。いろいろいま四十八年の決算と比較をしておっしゃったんですけれども、実際にはこの中身がどうなるかというのかなかなかむずかしいわけですね。 そこで、先ほども話が出ていましたが、少しお聞きしたいと思うのですが、単位費用、これをつないでいったらぴちっといくのだと、大体地方財政計画ともいまはつじつまが合うようになっているという話ですが、合理的かつ妥当な水準、標準的な施設、これに要する経費を基準にして決めると交付税法で決まっていますが、自治省は、これは毎年どのような形で見直しをやっておられるのですか。この点ひとつ説明してもらいたい。
○政府委員(松浦功君) たとえば職員の給与の問題に一つ例をとってみますと、ベースアップがあれば当然その分を見込む、あるいは国の委任事務――機関委任事務で結構てございますか、そういうものが、新しい法律ができるということになりますと、それの事務経費をそれぞれのところに織り込んでいく。あるいは人間が非常に足りない、交付税の単位費用積算の過程において人数が足りないという御意見があれば、実態を調べてそれを是正する。そういう角度で、地方団体の意見もお伺いをしながら、地方の財政の実態を調べ、それによって単位費用をつくっていく。ただ、先ほど来の私の衆議院の答弁、余り率直に申し過ぎておりまして、先生にはお気に召さないような答弁になっておるかもしれませんが、結果的には、私ども政府の職員としてそういうやり方をせざるを得ないということになろうかと思うので、お許しを願いたいと思いますが、むやみやたらに理想的な単位費用をつくってしまって、そうして計算したところが基準財政需要額がべらぼうに多くなっちゃって、基準財政収入は所定どおりに決めたところが、交付基準額が交付税の額を五割も三割も上回っちゃったと、こうなりますと、逆に割り落としをしなければならぬ……
○神谷信之助君 いや、税率引き上げだろう。
○政府委員(松浦功君) いえ、それはどちらでやるかは、これはこれからの問題でございます。そういうことになりましても困る問題でございます。 したがって、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、地方交付税の額がそれで足りるか足りないかということは、交付税の問題から論議をしていただくというのも確かに理屈がないとは私は申しませんけれど、総体論として、国、地方が日本の財政の車の両輪として動いていく以上、やはり地方財政計画というものを通じて大蔵省と自治省とが十分理解をし合って、納得し合って、そして所要の措置を講ずるという形をとっていくことが一番地方財政のために有利な解決方法が見出せる道だというふうに私は考えております。いたずらに率の問題だけで抽象的な議論をしていくということは、決して地方財政のためになるとは私は考えておりません。したがって、地方財政計画上、いまのような形の地方財政計画を五十年度いま御提案申し上げておるわけです。 そこで、交付税が四兆四千取れない、あるいは税金が八兆八千は入らない、こういうことになりました場合には、大臣からもお話がございましたように、地方財政計画の歳出というものは絶対必要だと思って政府が提案をしたものであるから、それに見合う歳出が欠ければそれを穴埋めすることは当然自治省の責任である、こういう結論に私どもはなると思っております。もちろん、皆様方からいろいろ地方財政計画の積算の仕方について御不満やあるいは御注意をいただく点があろうかと思いますが、それらは率直に伺いながら地方財政計画というものをより確固たるものにしていく。その場において、やっぱり一般財源というものはどういう形で確保すべきか、どれだけ必要なのかということを決定をしていくという方向を今後もとっていくべきであり、また、とっていきたいと考えておるところでございます。
○神谷信之助君 それじゃ、ずっとこれ、この委員会でも論議されてきましたので、この基準財政需要額の問題と、それから地方財政計画との関係あるいは決算との関係、これ、はっきりつかむために、ひとつ資料を出してもらいたいと思うんですが、都道府県の標準団体百七十万、市町村の十万の標準団体、これの実際の決算額、類似団体――これでいきますと、先ほどから論議があったように、その中には特定財源もありません、地方債もありませんと、こうお話しになりました。ですから、それらをとってもらって、そういう一般財源の充当額、その関係と、そして標準団体の基準財政需要額、この関係の乖離あるいは状況比較、これが何遍も論議されていますから、ひとつそういう論議を繰り返してもいかぬので、過去三年ないし五年間ぐらいで、その標準団体の決算額から特定財源あるいは地方債等を割り落とした額、それと自治省の標準団体の基準財政需要額、これが大体乖離をしていない、実態に合っているという資料を出してもらいたいと思うんです。それを待って、さらにまた質問する、次回にでもやらしていただきたいと、こう思うんです。
○政府委員(松浦功君) 標準団体の決算ということになりますと、どこか特定の団体をとらなきゃなりませんので、非常に特殊な内容が入ってくるということもあらかじめ御理解をいただいて、一般財源の比較は特殊なものを省けばよろしいわけでございますから、その省く過程でどういうものが落ちたかということをわかるようにして、四十七年、四十八年、二年度ぐらいにわたって資料をつくってみたいと思います。ただ、これは一日、二日でできるしろものではございません。全部地方団体のやつをとらなければなりませんので、しばらく時間の猶予をいただきたいということだけお願いをいたしておきます。
○神谷信之助君 次に、それじゃ道路問題、道路計画問題についてお尋ねをしたいと思うんです。 建設省見えていますね。――四十八年から五十二年度にかけての第七次道路五ヵ年計画、これが総投資規模十九兆五千億円で発足をして、今年三年目を迎えているわけですが、「国土建設の現況」によりますと、四十九年度の三月末の見込みでは、一般国道、改良率が八九・五%で舗装率は九三・一%になっていますね。主要地方道は改良率七六・九%、舗装率は八〇・七%、一般都道府県道は四七・三%と六五・四%になっている。ところが、市町村道は一七・五%、これが改良率で、舗装率は一八・一%という、依然として市町村道の整備が著しい立ちおくれを示しておるわけです。これは従来の道路整備計画の重点が、六〇年代高度成長政策の最大のかなめとして高速道路あるいは国道建設、こういう産業基盤整備を重点に展開をされてきた結果を私は示しているというふうに思うんですね。 そこで、この高度経済成長政策の転換、福祉重点の経済政策に対応した道路政策への転換が当然図られなければならないと私は思うんです。この第七次五ヵ年計画は、そういう点から言いますと、どのように変えられておるのか、あるいは盛り込まれているのか、計画の最終年次昭和五十二年度における市町村道の整備目標は一体どうなっているのか、この点をまずお伺いしたいと思うんです。
○政府委員(井上孝君) 御指摘のとおり、第七次五ヵ年計画は四十八年から五十二年ということになっておりまして、四十八年度に策定されたわけでございます。その五ヵ年計画の中身としましては、御指摘の、国民の足元道路といいますか、生活道路であります主として市町村道が、従来余り十分な手当てがなされていなかったわけです。第七次計画からは市町村道にある程度重点を置いていこうという中身になっております。 目標といたしましては、国道がこの五ヵ年間に七千五百二十キロメートル改良しようというものに対して、これは一例でございますけれども、市町村道では九千三百二十キロを改良しようというように、具体的な目標を示して毎年度の事業をこの五ヵ年計画にのっとって実施しておるわけでございます。 実はこの五ヵ年計画は、御承知のように、四十九年度、五十年度と総需要抑制政策のもとで特に道路事業が厳しく圧縮をされました。本年度第三年度目でございますが、進捗率がわずかに予算面で四二%ということでございまして、三年目の、健全なといいますか、順調な進捗でまいりますと、大体三年目で五二・三%の進捗であるのが過去の例でございますが、この第七次は三年目で四二%と、非常におくれております。御指摘の市町村道中心の政策に転換をいたしましたけれども、残念ながら、この五ヵ年計画を完全に達成するためには、これからあと二年残っておりますけれども、完全化するのはきわめて困難だという事態がございます。来年、再来年と二年ありますので、私どもも市町村道整備に十分重点的にやってまいりたいと思いますが、現状では大変完全達成は困難だということを申し上げておきます。ただ、五十年度予算、具体的に申しますと、全体で前年対比道路事業費は六%の減少という予算でございましたが、市町村道につきましては、そういった全体の中でも特に重点配分をいたしまして、一二%増という実際の予算編成をいたしております。 以上、お答えになりましたかどうかわかりませんが、お答えした次第であります。
○神谷信之助君 いまおっしゃったように、第七次の五ヵ年計画では、基本的整備方針として、「一般道路については、地方道の整備に重点を置くものとし、とくに市町村道の大幅な整備をはかる。」というようになっていますが、そこで、先ほどの進捗率四二%、予定は五二・三%というのは、国道から市町村道全部含めた率ですか。ですと、そのうち市町村道の進捗率と三年目の予定は何パーセントになっている予定でしたか。その点はいかがですか。
○政府委員(井上孝君) ただいま手元に市町村道だけの進捗率の資料がございません。まことに申しわけございません。ただ、全体で四二%でございますから、大体市町村道に若干重点を置いておりますが、五〇%にはなっておらないと思います。
○神谷信之助君 まあ、いずれにしても、市町村道、いわゆる暮らしの道路重点への質的な転換という点では、現状は非常にほど遠い状況だと思うんです。そこで、この市町村道の整備を進めていく上では、その財源の保障をどうするかというのがきわめて私は大事じゃないかと、こういうように思うんです。 そこで、第六次の五ヵ年計画ですね、四十五年から四十九年にかけて行った。この道路財源のうち、道路目的税を初めとする特定財源と一般財源の比率を見てみますと、国道の方は、特定財源八二・二%、一般財源一七・八%、地方道は五四・七%と四五・三%、市町村道になりますと、二四・四%になって、一般財源が七五・六%ということになっている。ですから、第六次五ヵ年計画では、国道の方は国費四兆九百九十二億円。このうち三兆三千七百億円を、揮発油税三兆二千九百二十億、石油ガス税七百六十億で賄う。市町村の方は、一兆五千八百十五億円のうち、自動車取得税が二千七百四十九億円、自動車重量税でこれが千百十七億円ですから、三千八百六十六億円で賄う、そういう状況になっているわけですね。道路財源がきわめて弱い。地方道路は、自動車重量税及び自動車取得税の税率は四十九年度で引き上げになりましたけれども、この比率はほとんど変わっていないですね。国及び都道府県道、これの大体特定財源の比率は七二・六%ですが、市町村、市道の方は三一・一%です。 ですから、市町村道の整備財源の大半がやっぱり市町村の一般財源に依存をしている状況では、市町村道の抜本的な整備促進というのは不可能じゃないかと思うのですが、このいまの第七次五ヵ年計画で、国道、都道府県道あるいは一般市町村道、この道路財源における特定財源比率はどのようになる見通しか、あるいはどのようにしようとお考えか、この点をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(井上孝君) 第七次五ヵ年計画に対する財源措置といたしまして、実は、御指摘のとおり、四十九年度に税制改正をいたしまして、自動車関係税率を引き上げたわけでございます。これは実は石油ショックの直後の国会で御審議を願った関係もございまして、二年間の暫定措置ということになっております。二年たった段階で、もう一遍日本の経済情勢を見直して、この税制改正をどうするかということを決めようという御趣旨で暫定措置になっております。実は、御質問の第七次五ヵ年計画の財源見通しというものが作成されておりません。ただ、この暫定措置で五十一年度からもとの税率に戻るという仮定をいたしますと、国費につきましては五三%が特定財源、地方費については三五%が特定財源というような試算がございます。したがいまして、この第七次五ヵ年計画の財源、特に地方に対する財源につきましては、今年度限りで切れます暫定措置を来年度からどうするかということで大きく変わってまいるというふうに考えております。
○神谷信之助君 ですから、道路政策をいままでの産業基盤のための道路重点の政策から暮らしの道路中心に転換をすると、こういう立場に立つならば、揮発油税を大幅に市町村の道路財源に移譲するということを検討するのは当然じゃないかと思うんですが、この点はいかがですか。
○政府委員(井上孝君) 具体的な市町村の道路財源につきましては、実は、いま申しました二年間の暫定措置の中での市町村にかかる自動車取得税、自動車重量譲与税等を強化いたしまして、道路財源に占めます市町村の特定財源比率というのは、四十八年度二六%でございましたが、四十九年度には四〇%に比率が上昇している。したがいまして、先ほど申しましたように、暫定措置でございます関係もありまして、いまのところ、先生のおっしゃるような揮発油税を市町村へ振り向けるというようなことは考えておりません。これは今後その他の地方交付税等との、市町村に対する国と地方の財源措置、財源配分というようなものに絡めて再検討すべきものだと思います。
○神谷信之助君 これはしかし、第六次の五ヵ年計画では、先ほど言ったように、国の場合ですと特定財源が八二・二%ですよ。地方道、府県道ですね、これで五四・七%ですね。だから、去年の措置で四〇%まで引き上げたと言っても、市町村道に対する道路財源の保障という点では非常にまだ少ない。思い切って七、八〇%ぐらいまで道路財源が保障されるようにならないと、市町村というのは財政力自身が弱いわけです。こういった点を考えると、私は揮発油税を市町村の道路財源として大幅に譲渡するというのが非常に大事な問題ではないかというように思うんです。これはひとつ検討してもらいたい。 第二の問題は、市町村道整備を遅らせているもう一つの問題として、市町村道に対する国庫補助制度のあり方の問題が私はあると思う。主要地方道、一般都道府県道、市町村道、それぞれに対する補助採択率を、最近五ヵ年間の数字で示してもらいたいと思う。主要地方道と一般都道府県道、それから市町村道ですね。
○政府委員(井上孝君) 補助採択率といいますのは、補助事業と、それぞれの単独事業の合計に対する補助事業の割合というふうに理解いたします。最近の数年の傾向は、特にふえたり減ったりという一定の傾向はございません。主要地方道につきましては、補助採択率といいますか、補助事業の割合が八二%から八五%程度、それから一般都道府県道につきましては六五%から七〇%程度、市町村道につきましては三二%から三五%というのが過去の実態でございます。
○神谷信之助君 ですが、これを見ますと市町村道がきわめて低いわけですね。この辺が一つ問題ではないかと。これを改善することが市町村道の整備を進めていく上でも――重視をすると言ったって、こういう点を一つ一つ埋めていかなければなかなか進まないわけです。 それから特に道路事業における直轄事業負担金の問題点について次は触れていきたいと思うんですが、直轄事業の負担金制度については、歴史的に見ましても、さまざまな議論が国と地方との間で行われてまいりました。ここ数年来の高度成長政策のもとで、国の公共事業と直轄事業の増大によって、再び地方自治体に大きな負担が強いられているということで、全国知事会も、四十七年以降毎年政府に直轄負担金の廃止、特に当面、維持管理費の負担廃止を強く要求しているわけです。これは御承知のとおりだと思います。ここで直轄負担金制度の問題点なんかを私はいまさら言う必要もないと思います。ですから、その点は省略をしますが、少なくとも維持管理費の負担廃止という点について知事会は強く要求していますが、当面、この問題について前向きの検討を建設省としてなさっておられるか、また、なさってなければ、なさるつもりはないのか、この点を聞きたいと思います。
○政府委員(井上孝君) 直轄負担金の廃止につきまして知事会の御要望があることは、私も書面をもって承知いたしております。ただ、この問題は国と地方の財源配分をどうするかという非常に大きな問題に関係いたしますので、道路局長としての私から御答弁申し上げる筋ではないと思うのです。ただ、道路事業のみの問題といたしましては、当然、事業執行の円滑化をはかるという観点から、いま御指摘の維持管理費、維持修繕費というものも含めまして、常に国と地方の事業実施の際の費用の負担区分というのは、先ほど来申し上げております財源問題とあわせて考えるべきものであると。従来も検討いたしておりましたが、今後とも円滑な事業の実施という観点から私どもは研究を続けていきたいというふうに考えております。
○神谷信之助君 この直轄事業というのは、大体、国土の保全あるいは全国的な視野に立った大規模な事業ですから、すなわち国家的政策に基づいてやられる事業です。したがって、その受益性からすれば、単に当該地方公共団体に負担を求めるというのは私は筋違いだと思う。ですから、本来は国家的事業の性格からして、全額国の財政負担でやるのが本来のたてまえだと私は思うんですよね。特にその中でも維持管理費にかかる部分については、国と地方団体における費用負担のあり方からすれば、私はもう速やかに廃止をするのがこれは理の当然ではないかと思います。したがって、この点はひとつ、この点を踏まえて早急に検討してもらいたい。 それから、先ほど二点、市町村道が非常に立ちおくれている原因の問題について、問題の提起をいたしましたが、これらを含めまして、ひとつ建設省の方で早急に検討してもらって、積極的に暮らしの道路をさらに確保していく、それから国の仕事をやりながら自治体にそういう負担を背負わせる、この筋違いの問題については早く解消すると、こういう方向で努力してもらいたいと思いますが、この点よろしいですか。
○政府委員(井上孝君) たとえば直轄負担金につきましても、道路の場合には国道の改築、維持管理について、直轄で、国道のうち特に指定区間、大臣が指定いたしました区間の改築、維持管理について地方から負担金を取っておるわけでありますが、これはやはり国道とはいえ、改築いたしますとその地先である地元が受益をいたしますし、その他財源の配分等に関係をいたしますので直轄負担金を賦課しておるわけでございまして、そのほかにも、幹線ではございますが、国道の維持管理というものに対しては国が国庫補助をするという制度等がございまして、道路全体の仕組みといいますか、国と地方との負担の区分というものに大きく関係をいたしますので、非常にむつかしい問題ではなかろうかと思います。今後とも事業執行を円滑化するという意味から、この点も検討を続けてまいりたいと思います。
○神谷信之助君 それじゃ、日銀の方、待っていただいておるんで申しわけございませんでしたが、日銀の国庫納付金の増額による地方税減収問題、これについてひとつお伺いしたいと思うんです。 日銀の方で四十九年の下半期の国庫納付金をふやしたということで、地方税に大きな影響を与えるという問題が起こって、いま自治体の方では大きな問題になっておるんですが、まずこの点について日銀の方から、なぜそういう問題が起こったのか、そういう点について報告をしていただきたいと思います。
○説明員(清水汪君) ただいまの問題でございますが、すでに新聞等にも報じられておりますように、四十九年度下期の決算を見ますと、納付金がかなりふえ、その反面で地方税が減っていると、これは上期に比べてのことでございますが、そういう結果になっております。ただ、ここで一つ申し上げなければいけないと思いますのは、まあ日本銀行の決算が結果としてこういうふうになっておりますけれども、これは諸法規あるいは従来慣行的に形成されてきておりますルールに従いまして日本銀行として決算を行ったわけでございまして、その結果として納付金あるいは税というものが決まったわけでございます。したがいまして、この間には特に伝えられておりますような、たとえば国の側におきます歳入との関連において何か無理をしたのではなかろうかというようなことが言われておるわけでございますが、さようなことはなかったということは申し上げられると思います。それで、大蔵省といたしましては、日本銀行の決算につきましては法律に基づきまして承認の手続をいたしておるわけでございますが、内容等につきましても、そういうルールに従ったものでございますので、別段の問題はないということで、先般承認をいたしたわけでございます。
○神谷信之助君 国庫納付金などをどの程度計上するかというのは、これは日銀の自由な権限になっているわけですか。
○説明員(清水汪君) 国庫納付金はむしろ結果でございまして、日本銀行が当該営業年度で活動いたしました結果営業の利益が出てくるわけでございますが、その利益をどう処分するかという場合には、私ども従来から決めておりますルールといたしまして、内部留保を取るということがございます。内部留保というのは、日銀券の平均発行残高というものを目安にいたしまして、おおむねその一〇%の内部留保を日本銀行としては持っていることが望ましいと、さように考えておりましてそのルールのもとに日本銀行として決算を組むわけでございます。内部留保がそのように決まりますと、あとは納付金と税になると、こういうことでございます。
○神谷信之助君 そういうことで、大体日銀の内部留保の増減額を見ますと、四十六年の下期に、例のドルショックで、為替差損でこの留保額をつぶしてマイナス三千五百十八億になった。それから後、留保額をずっとふやしてこられておるわけです。ですから、四十六年の下期から四十八年の上期は、事業税、道府県税、市町村民税の納付額、これは租税特別措置で繰越決算扱いで税収はゼロになっています。四十九年の上期で八百六十六億まで上がったのが、下期で八十億に一挙に減りました。これは四十九年の上期の留保額、これが二千二百八十六億だったのが下期は五百三億というように減らしたということでそうなったと、こうなっていますね。このために今度は、自治体の方はこれは知らんかったと言えばそうかもわからぬけれども、特に大企業の少ない自治体では大変大きな影響をもたらしたわけです。秋田とか島根なんかは非常に大きいんですが、秋田県の場合ですと、日銀から入る法人二税を今年度十六億円見込んでいた。同県の法人二税の全額が約九十八億ですから、日銀の十六億というのは大きな予想をしておった。ところが、入ってきたのはわずか一億六千九百万と、こうなっています。この辺はどうなんですか。自治省の方では、そういう見込みというか、見通しというのはわからなかったのでしょうか。
○政府委員(松浦功君) 私どもの方では、日銀の利益がどれだけあるかということについては、かいもく見当はつかないわけなんでございます。この問題についても、なるほどただいま銀行局の方で御説明ございましたように、法律にのっとった手続がとられておりまして、私ども故意に国の歳入欠陥を埋めるためにどうこうというようなことではないと考えておりまするが、結果的には地方公共団体が当てにしておる金額が多すぎたんだと言われればそれまでだと思いますけれども、非常に大きく当てにしておったものが、がたっと落ち込んだ。そのためにえらい騒ぎになっているという地方団体が数多くあるわけでございます。 基本的に私ども考えまするに、補正予算で二千四百数十億円の納付金を計上いたしております。その部分を超えてなお千五百億納付金がよけい入っているわけでございます。この千五百億円程度の納付金の状況がわかれば、早く私どもに御連絡いただければ、地方団体に上期のようなことにはならないよということを連絡できたと思うのでございまして、私どもも若干そういった点をもっと深く突っ込んでいって大蔵省から情報をいただいて、そうして地方へ知らせてやるべきであったと言えば、私どもはその点については手抜かりであったと申し上げざるを得ないと思いますが、今後は、こういう激変というようなことが地方団体に結果的に起こるということはまずいことでございますので、十分大蔵省と連絡をとりながら、日銀の問題については注意深く今後見守っていかざるを得ないんじゃなかろうか、こういう気持ちでおります。
○神谷信之助君 四十九年の上期が四十九年度は入ってますからね。ですから、それを土台にして五十年度の税収見込みを立てる、立てたところが、四十九年度の下期が、五十年の五月ですか、入ってくれば、ころっと減ったと、こうなるんですから、これはたまったものじゃないですね。そこで、何でそうなるのだと言って私の方で日銀の方に聞いてみたら、日銀の方はこう言うんですよ。いや、東京都の方は、どうなるんですかというて聞きに来られましたので言いましたが、自治省さんの方は何にもそういうことを聞きに来られなかったので、あれは自治省さんの怠慢ですという言い方なんです。私の方は、水臭いことを言うな、そんな状況にあるならちゃんと言うてやらないと自治体の方はたまったものじゃないと言ったんですが、いまも局長がおっしゃったように、両方、大蔵省と自治省とで、あるいは日銀との関係で、こういう事態についてはそれはちゃんと事前に、どちらがどうということじゃなくて、相互に連絡し合ってやらないと、これは自治体の側から言ったらそれがあたりまえのように思いますから、とらぬタヌキの皮算用と言われてみたって、もうそういう予算を組んでいるんですから、これは大変なことになると思うんですが、この処置についてはどういうようになさいますか。歳入欠陥が幾つかの自治体では大きく出てきておるわけですが。
○政府委員(松浦功君) いまの日銀のお話でございますが、それは少し言い過ぎだと思うのでございます。それならば私どもも申し上げますけれども、地方団体が日銀の収益状況はどうだというのを、わざわざ本店まで出て来ないで、支店長に大体尋ねるんです。その場合に、名前も、どこであったかも申しませんが、数県において、上期の七、八割は大丈夫でしょうということを言っておられる人がいるんです、現実に。何というだらしのない取り締まり方だと、私の方は逆に文句を言いたいわけです。これは大蔵省とも論争になったんです。私どもは、一つ一つの税金について、会社の経営を見ながら税収入を見積もって、この会社はこうなるぞ、あの会社はこうなるぞということは、自治省のわずか五百人の職員の中で、税務局には六、七十人の人間しかいないわけでございます。そんなことはできないことは当然でございます。ただ、日銀の納付金制度というものが非常に税金に大きな影響があるということでございますから、まさか補正予算でお挙げになったより千五百億ものよけいの利益が上がるとは実は私ども考えていなかったので、そこに注意が怠られた、この点は私ども率直にいけないと思います。しかし、一番よく日銀の収益状況を御存じなのは大蔵省でございます。しかも、大蔵省がそういう状況だから、地方公共団体が当てにしているやつは注意してほしいぞということを私どもに、地方税に影響し、交付税に影響するということはわかっているわけでございますから、御注意をいただくべきところじゃなかったか。あるいは虫のいい言い方かもしれません。私どもにはそういう気持ちがどうしてもしてならないわけでございます。自治省が日銀に行っても、銀行局が行ったほど内部のことは正直なことを言ってくれないと思います。そういう意味では、今後、おしかりを受けても私どもは甘んじて受けますけれども、大蔵省にも御協力を願って、二度とこういうことにならないように注意をしてまいりたいということは、ここではっきりお約束を申し上げたいと思います。 なお、この問題に関連をいたしまして、もし予算計上額を超えた千五百億が、納付金として納まらないで仮に課税できたとしたらどうなったかということを計算いたしてみますと、相当の金額になる。したがって、これも当然交付税の五十年度の減という要素に絡まってくるわけでございます。それからさらに税金の問題も同じくそういう形になると思います。先般加瀬議員の御質問あるいはさっきの神谷先生の御質問にお答え申し上げましたように、その補てん策については、日銀の問題という単個の問題と考えずに、全体の地方税なり交付税なりの減収という中に含めて――当然含まれる欠陥だと、先ほど申し上げたような趣旨で対処をすると、こういうふうに考えております。
○委員長(原文兵衛君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(原文兵衛君) 速記を起こして。 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後六時一分散会 ―――――・―――――