大蔵委員会 第16号
- 発言数
- 284 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1975/05/29
会議録
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。 政府から趣旨説明を徳取いたします。大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 昭和五十年度の予算は、前年度に引き続き抑制的な基調のもとに編成したところでありますが、その中にありましても、福祉年金の改善を初め、国民福祉の向上と国民生活の安定のための施策を積極的に推進することといたしております。また、税制の面におきましても、所得税につきまして各種人的控除の引き上げを図りますほか、相続税等についても減税を実施することといたしております。これらの施策及び減税を実施するためには、租税収入、税外収入を通じてその財源の多様化に配意しつつこれを確保することが必要であります。 ところで、現行の酒税の税率及びたばこの定価は、昭和四十三年の改正を経て今日に至っておるものでありますが、その税率等の大部分がいわゆる従量税でありまして、所得水準の上昇、物価水準の変動にかかわらず定額に据え置かれているために、税負担が相当程度低下しておりますので、その調整を行う必要があります。 以上の状況に顧み、ここに酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。 以下、その両法律案につきまして、順次その大要を申し上げます。 初めに、酒税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。 第一に、酒税の従量税率の引き上げを図ることといたしております。 すなわち、清酒特級、ビール、ウイスキー類特級及び一級、果実酒類の一部、スピリッツ類、リキュール類並びに雑酒について二二%程度、清酒一級について一五%程度その税率を引き上げることといたしております。具体的に申し上げれば、通常の容器一本当たりで、清酒特級は百十五円程度、清酒一級は四十七円程度、ビールは十五円程度、ウイスキー特級は百五十円程度、ウイスキー一級は六十九円程度の増税であります。 なお、従来と同様、税率の引き上げが実施される際、酒類の販売業者が対象酒類を一定数量以上所持する場合には、手持ち品課税を行うことといたしております。 第二に、酒税の諸制度につきまして所要の整備を行うことといたしております。 すなわち、酒税の納期限の延長制度につきまして、特別の事情により現行の法定納期限後一ヵ月以内の延長ではなお納付が困難と認められる場合には、延長の期間を法定納期限後二ヵ月以内までとする特例を設けますほか、戻し入れ控除制度の適用範囲を拡大し、未納税移出制度の簡素化を図る等、酒税の諸制度につきまして所要の整備を行うことといたしております。 次に、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。 この法律案は、製造たばこの種類別、等級別に法定されている最高価格を、紙巻きたばこにつきましては十本当たり十円ないし二十円、刻みたばこにつきましては十グラム当たり十円、パイプたばこにつきましては十グラム当たり二十円ないし四十円、葉巻たばこにつきましては一本当たり三十五円ないし百二十円、それぞれ引き上げる等所要の改正を行うこととするものであります。 なお、製造たばこの各銘柄別の小売定価につきましては、その最高価格の範囲内で、日本専売公社が大蔵大臣の認可を受けて定めることとなっております。 以上、酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し上げました。 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。 なお、両法律案は、衆議院におきまして施行日について修正が行われておりますので、御報告いたします。 その概要は次のとおりであります。 まず、酒税法改正案につきましては、その施行日が「公布の日の翌日」と修正されたほか、手持ち品課税につき納期の修正が加えられております。 次に、製造たばこ定価法改正案につきましては、その施行日が「公布の日」と修正されております。
○委員長(桧垣徳太郎君) 引き続き、当面の財政事情について質疑を行います。 この際、日本銀行総裁森永貞一郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより順次御発言を願います。
○大塚喬君 当面の財政問題について、主として大蔵大臣に質問をいたしたいと存じます。 初めに、世間一般に、あれは人がいいとか、あるいは人が悪いとかということがよく言われますが、大臣は、大臣自身お考えになって、人がいい方だとお思いになりますか、人が悪い方だとお考えになりますか。いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する評価は、大塚さんにお任せいたしたいと思いますけれども、公私の仕事に携わる私の考えといたしまして、誠実にかつ愚直に事に当たりたいと考えております。
○大塚喬君 とっぴな質問を申し上げたわけでありますが、と申し上げましたことは、いま問題になっております税収不足の問題を考えてみますと、五十年度の予算が成立いたしましたのは、この四月の二日参議院で通過をして成立をいたしたわけであります。それからわずか十日余り過ぎた四月の十五日に、大蔵大臣は閣議で、八千億円の税収不足、財政危機宣言を発表されたわけであります。その当時、わずか十日間の期間でありますので、私は、その参議院における予算審議の際に、このような財源不足の状態というのは大蔵大臣として御存じなかったはずはない。それを、一言もそういうことはおっしゃられずに四月の二日に予算を成立させた。こういうことについてどうも腑に落ちない、納得できない、こういう考えがあったものですから、初めに、とっぴな質問でございますけれども大臣の考えをお尋ねいたしたわけでございます。 それで、いわゆる財政一般の問題について質問をいたすわけでありますが、その前段として、私は、地方財政の危機問題について初めに論議をいたしたいと存じます。 この国会で、五十年度予算審議の間を通じて論議の焦点になりましたことは、地方財政の危機問題であります。自民党の中曽根幹事長を初め、福田自治大臣を筆頭にして、多分四月の統一選挙を目指して発言をされた、意識をされた発言であったと思うわけでありますが、地方財政の危機は、人件費を地方が高くし過ぎたこと、それから歳入の長期見通しのないまま福祉行政を先取り行政と称して重視し過ぎたこと、さらに三番目には、超過負担による地方財政の持ち出しが多かった、こういうような論議があったわけでありますが、その際に、さも革新地方自治団体が人件費を高くしたんだと、福祉行政を先取りして勝手にやったからそのような地方財政が危機に陥ったんだと、あたかも地方自治体が放漫財政をやったからその責任を地方財政が負うのは当然だと、こういうような趣旨の発言がございました。で、予算委員会には大蔵大臣も当時御出席をいただいておってそれらの論議については詳細御存じのことと存じます。 改めてここでお伺いをいたしますが、一体地方財政の危機というのは、先ほど自民党の中曽根幹事長や福田自治相がおっしゃったような、そういうことだけでこのような危機がもたらされたものか、ひとつ大蔵大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 長い間成長経済がいろんな内外の恵まれた条件に守られて進行してまいりまして、年々歳々多くの財源を成長経済の中からくみ取ることができて、いわば成長財政とも言うべきものが長期にわたりまして可能でありました。これは中央・地方を通じてそうであったと思うんであります。今日言われる危機は、いま大塚さんは地方財政の危機ということで私にお尋ねをいただいたわけでございますけれども、私は、財政はひとり地方だけではなくて、中央も危機であると思っております。それから、このよってくる原因は中央も地方も違っておるわけじゃないので、やはり成長財政になれたわれわれが歳出面におきましてはそういう呼吸で歳出をもくろんでまいったわけでございますけれども、これに見合うところの歳入が必ずしも思うように入らなくなってきた、こういう客観的な状況の変化ということが最大の危機の原因であろうと思います。もとより財政技術的にいろいろ解明を進めてまいりますならば、御指摘のように人件費が地方自治体によりましては相当高い、相対的に高いと見るべき水準になっておったではないかというような点、あるいは善悪の判断は別にいたしまして、やはり福祉行政というものを競って精力的に進めたというような点、そういった点も確かにこういう今日の状況を招いた原因であったと思います。しかし、それは保守とか革新とかいうその首長の政治的な色彩の関連において申し上げるのは私はいささか失当であろうと思います。保守首長のもとにおきましてもそういうところもあるわけでございまするし、したがって、政府といたしましては、そういった点について、革新陣営の首長さんだからこうであったというようなことは申し上げたことは私はないと思っておるわけでございます。さらに人口が非常に大量に大移動いたしましたことに伴う問題でございますとか、超過負担の問題、これはやはりいま大塚先生おっしゃるように、今日の危機に関連いたしまして問われなければならないいろんな問題を含んでおるという意識を私は持っております。
○大塚喬君 いま大蔵大臣がおっしゃったようなことならば、確かに中央の財政も八千億円の赤字が出た、その前の段階で地方財政も赤字が出た、共通の問題である、こういう立場に立っての意見ならば、私もそのことについては了とするものでありますが、予算委員会を通じて地方財政の論議が行われた場合に、主としてなされた意見というのは、地方が人件費が高いんだ、福祉行政を先取りしてやり過ぎたんだ、こういうような論議があの予算委員会の審議の際に終始行われたわけであります。中央・地方を通じていま問題になっております財政危機の問題は、率直に言って一つは、不況に伴う歳入の減少、これが一つであり、第二番目には、インフレによって避けることのできない歳出の膨張、この二つがダブルパンチとなって中央・地方ともにこうむった、こういうことになるだろうと思うわけであります。先ごろの地方統一選挙を余りにも意識した発言については、私どうしても納得できなかったもんですから、初めに大蔵大臣の所見をお尋ねいたしたわけであります。 次に、いわゆる八千億円の税収減の問題について質問をいたすわけでありますが、四月十五日に大平大蔵大臣は閣議で、四十九年度税収に約八千億円の穴があく、こういう報告をされた報道を聞いたわけであります。その内訳としては、法人税と源泉所得税がそれぞれ一千二百億円、それから土地の譲渡税など申告分が三千九百億円、その他一千七百億円となっており、その歳入不足を補うために納付金など税外収入二千四百億円、それから二番目として、歳出に計上されておりますいわゆる不用額、実際に使われなかったものを一千六百億円、以下それでも埋め切れない場合には四千億円、これを、これまで五十年度分の歳入として四月の税収に入れておったものを四十九年度分として使う、こういうような要旨であったろうと記憶をいたしておるわけであります。 それで、その具体的な質問に入ります前に一、二数字的なことで、これは、主計局長はおいでになりますか。——ちょっと数字的なことで一、二質問をして、それから本論に入りたいと思います。その穴埋めをしたという税外収入の二千四百億円、これの内訳明細をひとつお聞かせをいただきたい。 それから、国税収納金整理資金に関する政令第三条の改正の問題でございますが、これは当然三月三十一日まで私どもが審議をいたしておりました五十年度予算、あの審議の際には、五十年度予算の税収分として当然私どもも理解をし、大臣もそういうお考えでこの審議の際にそういう態度で説明をされておったものか、そうでないものかどうか、ひとつはっきりさせていただきたいと思うわけであります。
○政府委員(辻敬一君) ただいまの税外収入の問題でございますが、ただいま御指摘がございましたように、前回は約二千四百億円の増加と見込んでおったわけでございます。しかし、その後計数が集まってまいりまして、実はまだ確定的な数字を申し上げる段階にはないのでございますが、現在のところ補正後予算額に対しまして約二千六百二十億円増加すると見込まれております。増加見込み額の主な内訳を申し上げますと、日本銀行納付金が約千五百四十七億円、日本専売公社納付金が約二百六十七億円、日本中央競馬会納付金の増が約三百六十二億円、その他雑収入等の増加が約四百四十四億円、合わせまして二千六百二十億円というのが現在のところの見込みでございます。
○国務大臣(大平正芳君) 第二の御質問の、国税の四月に収納いたしたもので納税義務が三月に発生したものにつきまして、四十九年分の収入とすべき政令改正をいたしたことは御指摘のとおりでございまして、それは当初から予定しておったことかということのお尋ねかと思いますけれども、当初はそういうことは予定していないことでございまして、歳入、税の減収が異常な額に達してまいりました場合にやむを得ず政府としてとりました措置でございます。
○大塚喬君 いまのいわゆる第三条の改正の問題についてでありますが、四十九年度中に納税義務が生じたものは、その実際の納税時期が新年度にずれ込んでも前年度分の税収とする、こういう内容でございますね。といたしますと、私も検討をいたしましたが、違法だということにはどうもならないという私も受けとめをいたしました。しかし、いまの大臣の答弁からいたしますと、余りにも便宜主義的なやり方ではないか。一番初めに、四月の二日に予算が成立したんだと、五月の十五日だと、そういうことを大臣が平気でおっしゃるわけでありますが、少なくとも例年は、四十九年度以前まではこれらの収入というのは、いわゆる新年度の収入でなくて、旧年度の方の収入に入れてきた分であろうと思うわけであります。このようなことで、何か国会の審議がうまく引っかかった。一生懸命審議をしておった分が、途中で中身がこっそり抜け出して、前の方に前借りをされてしまった、こういう感じをいたすわけであります。この便宜主張——新聞では、大蔵官僚の皆さん方は手品を使ったと、こういうような報道がなされておったのを読んだわけでありますが、少し余りにも便宜主義的ではないかという感がぬぐい切れません。大臣としての見解を重ねてひとつお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) その点、御批判はごもっともだと思います。あの当時、相当巨額の自然減収ともいうべき事態に逢着いたしたわけでございまして、これで四十九年度の決算を締めくくっていく場合に、帳簿を締めくくる場合におきまして、どうすべきかということは、財政当局として大問題でありました。国会に対しまして増税をお願いするという方法も考えられまするし、また赤字公債を発行するために御承認をいただくという道も開かれておりますことは御案内のとおりでありますが、政府といたしましては、今日のような経済の状況におきまして増税を考える、あるいは赤字公債を大量に出すというようなことが適切かどうかということを判断いたしました結果、それはどうも適切でなかろう。だとすると、行政府に残された手だてはないものかといろいろ検討いたしましたところ、いま御指摘がありましたような手段に訴えることにいたしたわけでございます。 いままでも、たとえば源泉所得税で申しますと、公務員に関する部分は三月に調定がありまして、三月末に入って三月分の源泉所得税は四十九年度の収入になっておるわけでございますが、同じ三月分のものにいたしましても、民間の源泉所得税は、翌月の十日に納めていただくことになっていますので、それは五十年度の収入にほうっておいたらなることになるわけでございます。 で、いままでそういう発生主義によるか、あるいは実際に納入した時期によって決めるか、必ずしも画一的にちゃんと制度ができておったわけではないように思うわけでございまして、この際、発生主義で割り切ってきちんとやることも一つの政府の財政制度を運営する場合のやり方ではあるまいかと考えまして、三月中に納税義務が発生したものはその年度の収入にするというように統一しようということにし、あわせて、その結果四十九年度の歳入の不足も処理ができるということになりはしないかということで考えたのが、いま御指摘のやり方でございます。 便宜主義だという御批判は私は甘んじて受けます。しかし、他の方法によるよりは、こういう方法による方が、私は適切であったのではないかと、私としては考えております。
○大塚喬君 率直に大臣が御都合主義、便宜主義ということをお認めになるならば、その問題は重ねて追及をやめるわけでありますが、この四十九年度の八千億円の減収、歳入欠陥というのは、日本の財政史上全く初めてと言ってもいい例だと思います。ただ、前例として四十年度不況の際に、三十九年度歳入不足分二百七億円、これを穴埋めをしたという、そういう例が一つあるようでありますけれども、これとは全く比べものにならない巨額なものであり、相違がございます。私は、この四十九年度租税収入の見積もりについてもう少し突っ込んで意見を闘わしたいと考えるわけでありますが、この八千億円の税収不足、これは四十九年度税収見積もりにそもそも誤りがあったと。その四十九年度税収見積もりの誤りというのは、その前提となる四十八年度税の問題から触れなければ、この論議はやはり軌道に乗らないと思います。四十八年度は、いわゆる景気好調の、財政事情が大変よかった上に乗って、当初四十八年度の租税収入は十兆七千二百六十六億円の予算が組まれたわけであります。決算には十二兆九千七百五十八億円、差し引き二兆二千四百九十二億円租税収入が伸びて、そのうち一兆五千八十億円が補正予算の財源として使われて、あと七千億円が先ごろ私どもがここで論議をいたしました決算剰余金ということで使われたわけであります。 四十九年度の税収をかいつまんで振り返ってみますと、俗に二兆円減税と言われるものが初めに実施をされて、その中で四十八年度に比べて四十九年度は二兆四千五百二十四億円の増収を見込んで四十九年度の当初予算が成立をいたしたわけであります。 で、財政当局の税収の見積もりでありますが、このやり方というのは、四十八年度の異常とも言うべき税収の伸び、このパターンが四十九年度も引き続き持続されるものだと、こういう考え、基本的なそういう考えで、四十九年度の当初予算の歳入が見込まれたと、私はどうしてもそういう感じを強くいたすわけであります。ところが四十九年度、四十八年度というのは、明らかに経済動向が変わってきておりました。ともかく四十八年度の末からあのような異常事態が起きて、大きな変化があったことは事実でありますし、それを見誤った財政当局の判断、私はこれがやっぱり基本になって、この八千億円の税収不足がなされたものと考えるわけであります。この四十九年度歳入見込みについて大蔵大臣としては現在どのようにお考えになり、どのように反省をされておりますか、ひとつここのところをはっきりとお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 四十九年度の税収につきまして八千億に近い不足を生じましたことは、まさに御指摘のとおり私どもの税収の基本になりますところの経済諸指標の見通しを見誤ったということが原因でございます。ただ、それにつきまして、いま御指摘のように、四十九年度の補正予算を見積もりました際に、単に四十八年度におきますところの税収あるいはその基本となりますところの経済諸状況だけを勘案してこの誤りを犯したということではございませんで、むしろ私どもはいま反省をいたしまして、昭和四十九年度の税につきましての補正予算をいろいろ検討いたしておりましたのは、ちょうど昨年の十月の末から十一月にかけてでございます。その段階におきまして、むしろ四十九年度に入りましてからの税収の足取り、それに影響いたしましたところの経済のいろいろな状況を検討いたしました。それがさらにあと半年近くどのような状況をたどるかということを見通したつもりでございましたけれども、それがいろいろの点で見誤っておったということでございます。四十八年度も、御指摘のように、多額の補正を税収についても計上したわけでございますけれども、それをさらに上回りまして、いまお話のように、約八千億円足らずの決算剰余が税で出たわけでございます。その原因は、一つには、法人の景況が見積もりを上回りまして非常によかったために、法人税が補正額以上に入りましたことと、土地の譲渡取得が補正で見ました以上に伸びまして、それによって補正で計上いたしました税収をさらに約八千億円近く上回ったというところでございます。 昭和四十九年度におきまして約八千億円の税収の減収を招来しましたのは、まさにそれと逆の要因の見誤りでございまして、補正時におきますところの昭和四十九年度の経済のその後におきます事情の見誤りでございます。むしろそれまでは、いまから申し上げて弁解がましくなりますけれども、非常に高い経済の諸指標でございまして、それからそれに伴いますところの税収も非常に好調でございました。たとえば源泉所得税の大宗を占めますところの給与の状況を見ましても、前年対比で大体九月くらいまでは三〇%を超えておるような事情でございましたし、法人税におきましても六カ月決算法人、一年決算法人を通じまして四十九年度の上半期までの税収から判断いたしますところの経済の水準というのは非常に高い状態を示しておりました。私どももちろん補正を検討いたします際に、そういった高いレベルがいつまでも続くということは想定をいたしませんで、補正のときにはかなり落としたつもりでございましたけれども、それが結果としますれば、なお落とし足らずに、その後におきまして、われわれの予想以上に経済の状況が悪化いたしまして、それが税収にもろにあらわれたということをいま反省しておるわけでございます。
○大塚喬君 いまの主税局長の答弁は、少し私はおかしいところがあると思うのです。じゃ、率直にお尋ねいたしますが、所得税源泉分と申告分合わせまして、四十九年六月対前年同月比は幾らになっておりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 税収で申し上げまして、四十九年度の所得税でございますけれども、源泉では四月、五月、六月は対前年度一二四・六%、一二二・〇%、一一〇・一%と非常に伸びております。それから申告所得税は四月、五月、六月は対前年比七四・二%、一七七・八%、一五〇.八%、合計いたしまして所得税では四月、五月、六月は一二三・八%、一四一・四%、一一四・二%と、こういうような事情でございます。
○大塚喬君 いまの局長の答弁、六月までは確かにそういう順調な二〇%台以上の対前年同月比の伸びがあったと思います。じゃ、先ほど局長の答弁あった中で、どうも私が腑に落ちないというのは、一体十月は対前年同月比幾らになっております。十月、十一月、十二月、三ヵ月間、その合計したもので結構ですから、はっきり答えてください。
○政府委員(中橋敬次郎君) 源泉所得税と申告所得税を合計したところで申しますと、十月は税収で対前年度一〇二・七%、十一月は一〇一・一%でございます。もっともこれは税収を単純に比較いたしましたから、あの例の二兆円減税が効いてきておりますので、かなり税収としては、対前年度としては落ちてきておるということは言えます。
○大塚喬君 いまの数字で明らかなように、六月まではともかく二〇%台で伸びてきた。六月以降十月からは、その伸びがきわめて鈍化をして半分以下になっておる、こういう数字があるわけであります。こういう状況は、財政当局が一番よく御存じのはずだったと思います。私がこの八千億円という税収不足の一番の問題点として追及いたしたいことは、昨年十二月の補正予算、もうともかく十月から税収ががた落ちにこうずうっと落ちてきて、下がってきておった、もう一番財政当局が知っておった。にもかかわらず、二兆九百八十七億円の補正予算が組まれ、その財源内訳を見ますと、所得税で七千八百三十億円、法人税で八千二百七十億円、合計して一兆六千百億円の補正予算財源が計上されておるわけであります。このときにもうすでに財政当局としては十月以降租税収入ががた落ちだったと、こういう実情の中から考えていただければ、そもそもこの八千億円の歳入欠陥というのは、この私どもが参議院に籍を置いて初めて審議をいたしました補正予算のところに問題があった、きわめて財政当局の甘い見積もりがこのような原因を引き起こしたと、私はこう指摘せざるを得ないものでございますが、大臣、四十九年十二月の補正予算に無理があったんだと、こういうことをお認めになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 結果から判断いたしますと仰せのとおりであろうと思います。ただ、税収の月々の足取りを私ども克明に見ておるわけでございますが、大塚先生も御案内のように、ことしの二月末までの現状は、去年に比較いたしまして成績がことしの方がよろしい。四十八年度に比べて四十九年度の方が順調に納税が行われておるわけでございます。ただ、去年の十二月決算法人の決算が悪かったのではないかという懸念、それから三月十五日の確定申告はどうも思うようにいけないんじゃないかという懸念はあったんです。あったんですけれども、私どものところへ上がってくる計数は、二月の末までの税収は去年よりいい収納状況が記録されてくるわけなんでございます。したがって、先ほどもあなたが言われたように、四月の二日現在、この予算が成立したときに、私どもとしては権威ある数字としては二月末の税収を持っておったわけでございます。しかし、そういう、これは確定申告は悪いんじゃないかと、法人も悪いんじゃないかという懸念はありましたけれども、それがどれだけ悪いかというようなことが確信がなかなか持てない。国会に御報告をするようなまだ自信はない。しかし、それが四月十五日——四月半ばになりまして、これはどうもいろんな計数が出てまいりまして、八千億内外になるんじゃなかろうかというおぼろげながらの見当がついてきたのでございますので、四月二日にわれわれは十分知っておって予算は通しておいていただいて、それから後開き直ったということでは決してないんです。私どもの仕事の段取りがそのように、私どものところへ集まってくる計数が、そういう計数をずうっとトレースしながら処置いたしておるわけでございますので、去年の十月、十一月どころか二月の末までの計数は決して悪くない計数が出ておるわけでございまして、三月の確定申告を契機にいたしましてがくんときたわけでございますので、これは、それを見通さなかったということに対するおしかりはあろうかと思いますけれども、あなたがおっしゃるように、去年の秋口から、秋になってからすでにもう危険な兆候は出ておったじゃないかと、それをキャッチできなかったんじゃないかということでは私はないと申し上げておるわけでございます。
○大塚喬君 先ほど主税局長から答弁いただいた数字と、私が調査した数字は若干違いがあるんですが、いまの所得税の納税状況についてもう一度ひとつ前年同月比十月以降の分をひとつ聞かしてください。
○政府委員(中橋敬次郎君) 所得税だけについて申し上げますと、十月は対前年度比収入だけで一〇二・七%、十一月は一〇一・一%、十二月は一〇〇・七%、一月は一〇五・六%、二月は九五・三%、三月は五七・〇%ということになっております。
○大塚喬君 そういう数字だとすると、よけいこの四十九年十二月の補正予算にこのような膨大な税収入を財源として使うこと自体にもう無理があったんじゃないですか、十月、十一月、十二月にそういう数字で。対前年同月比がその程度の伸びで、どうしてこのような補正財源が出てくるのですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) いまお尋ねでございましたのでお答えしましたのは、所得税だけの対前年度比でございます。それで、むしろ所得税、法人税すべてを含めましたところの一般会計の税収で申し上げますと、先ほど大臣がお話しいたしましたように、たとえば四十八年度におきますところのあの八千億円近い増収を出しました決算に対しましての毎月の税の進捗率と、それから四十九年度におきますところの補正予算に対する進捗率とを比較をいたしまして申し上げますと、たとえば九月におきましては、その率が四十九年度の方が七・八よかったわけであります。あるいは十月はこれが八・五よかったのであります。十一月も三・一よかったというような事情でございました。もちろん、いま大塚委員が御指摘のように、そのときからすでに今日のような税収の事情が胚胎しておったんであるから、それを見通さなかったのはどうも適当でないんではないかというおしかり、私はあえて甘受いたしますけれども、そのときまでの事情から申せば、たとえば先ほど給与所得について申し上げましたように、四月から九月までの実績で申しまして、対前年度定期給与、臨時給与を含めましての税収としまして、三〇・八%よかったわけであります。あるいは十月は二六・七%よかったわけであります。十一月も二二・五%よかったわけであります。毎月の税収を先ほど申しましたけれども、それにはたとえば十月、十一月には、四十八年は公務員の差額支給があったとか、あるいは減税が影響しておるとかということで、単純にその月その月の税額の対比だけでは実は正確なる情勢はあらわせないと思いますけれども、私が申しました給与所得の源泉所得税の税収の足取りはそんなものでございましたし、それから法人税につきましても、たとえば六カ月決算法人で申しますと、四月から九月までの税収で申しまして、対前期比、この上期を通算をいたしまして五・九%よかったわけであります。それから一年決算法人に至りますれば、これは上期だけを通算しますと、あの高かった四十八年の時期に比べましてさらに五四・〇%よかったわけであります。そういう事態を踏まえながらも、私どもはたとえば法人税の収入につきまして補正計上いたしましたときにはこれはかなり落ちるだろう、そんなに五四%という高い水準はなかなか続かないだろうというようなことで落としたつもりでございましたけれども、それは結果とすればなお落とし足りなかったということはございます。あるいは給与所得の源泉所得税について申し上げますれば、後の非常に大きなウエートは、臨時給与の十二月に支給されるボーナスでございます。ボーナスも当時だんだん妥結されるというような予測は出ておりまして、四〇%を超えるような報道もあったわけでございます。私どもはそういうものも考えながらも、なお給与につきましては、定期、臨時合計いたしまして前年度に比べて三〇%の伸びにとまるというふうに補正を組んだわけでございます。結果から申しますと、いま御指摘のような源泉所得税では実は千二百億円程度当時減収が生ずるという判断を四月にいたしましたけれども、それはまさにボーナスが私どもが見込みましたものをより下回りまして、支給状況が悪かったというようなことが主因になりまして生じたというふうにいま反省をいたしております。 それから、法人税につきましても、先ほど申しましたようにかなり申告は上半期の情勢に比べて鈍化するであろうというふうに見込みましたけれども、さらにそれを下回りまして、たとえば十二月決算期の一年法人のものは前年同期を割るというような事態を招来したことが原因であるというふうにいま反省をいたしております。
○大塚喬君 私が例として出した問題は、所得税の問題を出したわけですが、これは具体的な数字で言えば、四十九年十二月の補正予算で七千八百三十億円補正財源として所得税分を組んだと、結果としてことしの四月十五日になったら一千二百億円穴があいたと、こういうことで、所得税のいま論議をしておって、法人税やなんかの論議は問題にしておらないわけです。現実にそういう数字が出ておるのですから、これに対してどうなんだと、こう質問をしているわけです。しかし、一応四十九年度分は、まあ問題はたくさんあるにしても、もう済んだということですから本論に入ります。 五十年度の税収見通しの問題についてひとつ質問をいたすわけであります。で、五十年度の予算について今後考えられる補正要因、給与改定とか食管会計の赤字補てんの問題とか、災害の問題その他等ですね、現在考えられる主なるそれらの要因について五十年度の税収見込みは一体どの程度穴があくと大臣お考えでございましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) まあ年度が始まりまして時間的経過がございませんので、ことしの新たな歳出の追加需要はどのぐらいになるかという見当を国会で申し上げるほど私まだ自信を持っておりません。ただアイテムから申しますと、仰せのように夏には米価の問題がございます。それと相前後いたしまして公務員の給与改定の問題が考えられるわけでございますし、六月の下旬には麦価の改定等がわれわれの課題になってまいるわけでございます。私は、四月十五日にも各省に申し上げたのでございますけれども、ことしは四十九年度がそういう始末でありましたので、五十年度の歳入、自然増収を考えるというようなことは無理であることはだれが考えても思い浮かぶことでございまするし、自然減収になりかねない年でもあろうかと思うので、この四月二日に御承認をいただいた予算で約束をいたしました歳出、これは極力財源を用意いたしましてこれを充足していくように努めますけれども、新たな財政需要というようなものについては、これはもう自然減収が起こりかねない事態でございますので、十分考えていただかなけりゃならぬのだというような意味のことを政府部内にもお願いをいたしておりまするし、また世間一般に対しても御理解を得ておきたいというわけで、機会あるごとにそういうPRをいたしておるわけでございます。一口に申しまして、そういう新たな追加的財政需要については極力慎重な態度で対処せざるを得ない状況にあるというように御承知を願いたいと存じます。
○大塚喬君 いま大臣の答弁は、その既定のいわゆる当初予算分の財源については確保すると、新たな補正要因についてはその見通しが立たないと、こういう趣旨でございますね。 四十九年度のこの補正予算の内容を検討いたしますと、総額で二兆九百八十七億円、そのうち公務員の給与改定が七千二百十一億円、それから食管会計の赤字補てんが三千七十六億円。ことしもそれと同じ要因がやっぱり補正要因として出てくることは明らかであります。といたしますと、本年度のいわゆる歳入欠陥と申しますか財源不足は、昨年度の二兆九百八十七億円と比べて、大臣としては、ほぼこれに近い数字なのか、あるいはこれより増額する可能性があるのか、この辺のところはいかがでございましょう。これと一緒に、今後予測される財政事情の中で、五十年度の財源不足は大体どの程度になるのか。新聞などでは二兆円と、こういうような発表も報道ではなされておるようでありますが、財政を担当される大蔵大臣として五十年度の財源不足、歳入欠陥というのはおおよそどの程度ぐらいになるものとお考えでございますか。ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) ただいまお答え申し上げましたように、それをいま見当をつけるほど材料を持っていないわけでございます。たとえば米価にいたしましても、米価改定という問題に際会することは考えられる。そういう時期が来ることは確かでございますけれども、生産者米価と消費者米価をどのように位づけしますか、私どもとしては、いまもうすでに末端においてさえ逆ざやが出ておるわけでございますから、新たな財政需要を来さないようにお願いするばかりか、いま七千億近く米で食管の赤字を一般会計が背負っておるわけでございますから、これを少し減らしてもらいたいという希望をぼくらは持っておるわけでございますから、ですから、この米価について、今後どのくらいふえるつもりかというようなことを、いま私とてもそんなことでなくて、どのくらい減らしてもらおうかと思っていま考えておるわけでございます。だから少なくとも米価につきましては、消費者米価も生産者米価も慎重に御審議いただいて、ひとつ財政の問題についても、こういう状況であることについて十分の御理解を各方面からいただいて、財政負担にならないように、できれば軽減に寄与するようにお願いしたいと思っております。 人事院の方でございますが、これは御案内のような制度になっておりまして、官民の間のバランスを人事院の方で御調査に相なりまして、そしてある条件を満たしておれば人事院の方で御勧告になるということでございます。それは人事院がどのように取り上げ、どういう調査になりますか、それは私わかりません、いま。ただ言えますことは人事院、財政がこういう事情にあるということでございますけれども、人事院が御勧告になるというようなことになりますと、事は重大でございまして、これは従来政府の慣行として尊重していっているわけでございますから、人事院の勧告がございましても、もうそういうことは構うことはできませんというほど私むちゃなことは言えないと思っております。ただ、いまの制度のもとで人事院がどういう判断をされて、どういう措置をとられてまいりますか、これは政府として見守ってまいるよりほかに道はないのではないかと考えております。しかし、その他の問題につきまして、いろいろせんさくすればたくさんの問題があるわけでございますので、先般来本委員会でもお聞き取りいただいておりますように、財制制度審議会等を中心にいたしまして、いろんな問題の洗い直しをお願いいたしておりますので、それが全部まとまった御答申をちょうだいいたしませんでも、御審議の過程におきまして、財政として早速取り上げて考えなければならぬような問題は、次の予算編成まで、あるいは補正には十分取り上げて活用してまいるようにしなけりゃならぬと考えておるわけでございます。いまどれだけの追加財政需要が五十年度において考えられるかという大きな課題でございますけれども、いままだ的確に、そういう事情でお答え申し上げる用意はまだございません。
○大塚喬君 いまの答弁に関連して、一つは、いま一般会計からの食管特別会計に持ち出しをしておると、これを減らしたい、こういうことですね。 それからもう一つは、その問題にうらはらになると思うわけでありますが、ということは、消費者米価を大幅に値上げをする、そして財政欠陥を穴埋めすると、こう大臣のお考えだというふうに受けとめたわけでありますが、そのとおりでございますか。 それから第二に、公務員の給与改定については、人事院勧告で出されたものは実施の額、それから時期、それは尊重すると、従来の例もあるから、尊重をしてそれを実施をするんだと、こういうふうにお聞きしたわけでありますが、そのとおりでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 第一の問題につきましては、すでに米価の問題につきましては、巨額の財政負担を政府は、一般会計はいたしております。でき得べくんば、これが財政の立場から申しますと、軽減されるようになることを願望いたしておるわけでございます。少なくともことし米価問題が取り上げられるときには、生産者米価の問題も、消費者米価の問題もフェアに御論議いただきまして、いま大塚委員が言われたような問題、財政問題の立場からも、物価政策の立場からも、あるいは国民生活の立場からも、これはいろいろな角度から検討せないかぬ問題であろうと思うわけでございまして、私は、財政当局としては、少なくともいまのような状態、できれば財政負担の軽減を願っておるということ。そして生産者米価、消費者米価というものは十分フェアな立場で御論議いただいて、妥当な結論を出していただきたいものだと念願しておるという趣旨を申し上げたわけでございまして、物価問題も、国民福祉の問題も構っておれないんだというような乱暴なことを、私申し上げたつもりではないのであります。 それからもう一つ、公務員の方の問題は、いまの制度から申しまして人事院の判断と、人事院の措置というものは、政府として尊重するのは当然だと考えております。
○大塚喬君 食管の生産者米価、これを余り上げない。それから消費者米価は上げたいと、こういうことは、これはきわめて重大な問題でありますが、この論議は後に譲ることにいたしまして、時間も迫られておりますので、いよいよ本論に入ります。 五十年度の税収見込みでございますが、五十年度の予算総額二十一兆円余、そのうちで租税・印紙収入見込み額が十七兆三千四百億円、その伸び率は二六%を見込んでおりますが、そのうちで所得税の三八・八%、それから法人税の二四・一%、それから酒税の一六・五%という伸びで五十年度歳入予算が組まれておるわけでありますが、この見通しについてひとついまのような現状、この予算編成時から数カ月経過をいたしておるわけでありますが、この中での見通しをひとつ初めにお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 五十年度の税収の中で、いま御指摘の、たとえば源泉所得税につきましては、当時の政府の経済見通しの中で見ておりました一人当たり給与の伸び一七%というのをもとにいたしまして積算をいたしております。したがいまして、五十年度におきますところの給与に対する源泉所得税は、もっぱら雇用の増もさることでございますけれども、一人当たりの給与の伸びがどの程度になるかということに非常にかかっておるわけでございます。もちろん給与総額でございますから、ベースアップもあれば時間外給与もございますし、ボーナスの支給もこの中に入るわけでございます。ただ、一七%というものが一体どの程度に今年度なるのかというところは、源泉所得税の収入がどうなるかということに非常に大きく影響をするわけでございます。 それから、法人税につきましては、やはり政府で立てました経済見通しの中の生産、物価の状況と、それから経済の事情から言いまして、収入が伸びますのに対して利益がどの程度伸びるかという点も勘案しまして、五十年度の法人税では総合しまして申告税額が対前年五%伸びるということを基本に計上いたしております。したがいまして、この見当しが生産、物価で違ってまいりますれば、それが影響をしてくるわけでございます。 それから、酒税につきましては、これは御審議をお願いいたしております増税が非常に大きな要素になって計上いたしておりますので、これはぜひ成立をさしていただきたいと、そういうふうに考えております。
○大塚喬君 主税局長の答弁はどうも余り誠意がある答弁と私は受けとめかねます。 いまの答弁で、経済情勢がこれから先どう変わるかということが条件になるというようなお話もありましたけれども、現に春闘で現在時点において昨年はほぼ一〇〇%妥結をして、その賃金の引き上げ額も一応出ております。現在はまだ六〇%程度ということでありますけれども、実際問題としてその給与総額一七%の伸び、この問題については相当これを決定する要因というのが幾つかもう明らかになってきておるわけであります。そのいわゆる給与、ベースアップと申しますか、賃上げ率が、ことしの春闘では一五%以下というのが大体、まあ大変少ない額だと思うわけでありますが、明らかになりつつあります。それから残業カットという問題はもう主税局長、去年から御承知のはずでしょう。それから一時帰休の問題、それから政府のきわめて不正確だといわれております失業統計においても百七万とも言われておる。百万を超す、こういう数字が出ておる。給与総額において一七%というのは一体確実に見込める数字ですか。 それから、その予算を調べてみますというと、納税人員も昨年度から比べて一%の増を予定しておる、こういう話も聞くわけでありますが、こういう経済の情勢の中で給与人員が増加するというようなことが考えられますか。そうなりますというと、私が先ほどお尋ねいたしました所得税が、三八・八%伸びを期待して五十年度の予算を組んだと、こういうことになると、この前提というのがきわめておかしくなってきておる。いまの局長の答弁のように、給料が上がれば、まあそのことだけで答えをなされておるようでありますが、そういうことではきわめて局長の答弁としては、私は誠意あるまじめな答弁としては受け取りかねる。この問題について重ねてひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 給与の源泉所得税につきまして、おっしゃいますように給与総額がどの程度になるかというのが大問題でございます。ただ私どもはやはりこれをつくりましたときには、政府の経済見通しに準拠いたしておりまするので、こういう数字をとったわけでございまするが、いまお話のように、確かにベースアップがこの一七%に満たないであろうということは、これまでの状況から言えるわけでございます。これは一体ボーナス、それからいまお話のような時間外給与も含めまして一体どの程度になるのかというのは、今後私どもも十分見通さなければならないところでございますけれども、いまここでどれくらいになるかという予測はなかなかむずかしいのでございますが、非常にラフな見積もりでございますけれども、仮にこの給与総額が予算に計上いたしておりました伸びを下回ること一%ごとに、税収といたしますれば約五、六百億円減になるわけでございます。これが一体どの程度になるかというのは、なお今後の推移を見ながら私どもも検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
○大塚喬君 いま五、六百億円が減収になるというようなお話がございましたが、私は実際はその程度でおさまることは大変むずかしいのではないかと考えております。で完全に——所得税の例を出したわけでありますが、その他の法人税あるいは酒税の場合には、論議を避けますけれども、現実に五月実施という問題が、六月以降あるいは七月か八月か、いつになるかわかりませんが、ともかく延びることは確実。こういうことからすれば、五十年度税収見積もりは過大見積もりであるということだけは、これよりも少なくしか実際には入ってこないということは、いまいろいろの場合を想定いたしましても予測されるわけであります。これらの問題というのは、インフレによる水増し、水ぶくれの歳入実績四十八年度、この四十八年度の影が、四十九年度、五十年度、いずれも大きな濃い影を残してきておって、財政当局としては、まあ言っては失礼な話ですが、惰性的にこれらの予算を計上したのではないかと、私は極言すればそういう感じさえ受けるわけであります。五十年度税収、結論的にお聞かせいただきたいと思いますが、過大見積もりではございませんか、いかがでしょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) 五十年度の税収を見積もりましたあの段階で、私どもはいろいろなデータから言いまして適正に見積もったつもりでございました。ところが、その後におきましてのその基本となっておる四十九年度の税収が今日のような事態になりましたので、今日の段階におきましては、確かに五十年度の税収というものがなかなかむずかしくなっておるというふうに言えると思います。過大見積もりをしたかということにつきましては、私どもはやはりあのときには、非常に不十分でございましたし、不正確でもございましたけれども、適正に見積もったつもりでございました。
○大塚喬君 いまのことをお尋ねしているのです。あの当時のことはどうであっても、いまは過大見積もりだったということが次第にはっきりしてきたわけでしょう。だから、そのことを私はどうだと、こうお聞きしているのです。 五十年度の予算執行について、大蔵大臣にお尋ねいたしますが、ともかく補正要因ということを考えると、どう考えても昨年度の実績から比べて二兆円以下の補正要因が出るし、大臣は当初予算の分は財源は責任を持って確保すると、こうおっしゃったけれども、補正予算については自信がないというような、そういう答弁であります。見通しが立たないと、こういうことでありましたが、大蔵大臣、このような事態で、何か奇想天外の、打ち出の小づちのような、そういう妙手がございますか、いかがでございましょう。
○国務大臣(大平正芳君) 奇手妙案は別にありません。いま私が考えておりますことは、せっかく成立さしていただきました予算は忠実に実行いたしたいと考えております。何となれば、これは経済がいま御案内のように大変疲労いたしておると申しますか、停滞いたしておるわけでございます。したがって、予算がもくろみどおり執行されるということは、経済を支える一つの大きな軸でございますので、これは私は狂わしたくないわけでございます。したがって、公共事業費につきましても、去年とは違いまして、御案内のように、契約規制をはずしまして、執行の促進を図っておるような状況でございます。しからば、特に二つの問題があるわけでございまして、一つは、あなたが言われた今後の追加財政需要はどれだけあるのか、それにどう対処するのかという問題でございますが、それは先ほどお答え申し上げましたとおり、まだいまの段階ではっきりこれこれの追加財政需要がこの程度見込まれるというようなことを申し上げるほど材料はないと、しかし、極力追加財政需要は抑え込んでいきたいという考えでおることをこの段階で申し添えさしていただきます。 それから第二の問題は、そのようにこの予算は忠実に執行する、歳出権を国会で認められたものは、各省庁が安んじてそれを行使してよろしいと、財政当局も踏み切っている以上は、どうしてもそれに見合った財源を用意せにゃならぬわけでございます。ところが財源はいま主税局長との間にいろいろやりとりがございましたように、ことしの税収見積もりが、いまの段階で、当時は適正と思って見積もりましたけれども、いまの段階になりますと、これだけの税収が確実に確保できるかどうか、きわめてあやしいものであるという大塚さんの御判断でございまするし、私どもも自然減収というようなことが起こり得ないという保証はないと考えておるわけでございます。しかしこの問題は、これから今年度を通じまして、政府、民間を通じまして、日本の経済をどういう水準において運営してまいるか、これは内外にいろいろな条件がございまして、いまさだかに将来の展望を見きわめることはできませんけれども、極力われわれは日本の経済の活力ある運営をこの段階においても努力してまいらにゃいかぬと思うのでありまして、その中で所定の歳入をできるだけ確保するように努力をいたしたいと思うのであります。 しかし、それでもできない場合はどうするかということでございますが、そういった段階におきましては、その段階におきまして、わが国の財政でベストな方法をその段階において考えにゃいかぬわけでございますが、これはいろいろの歳出の要因も出尽くしてまいりますし、経済の推移もだんだん明らかになってまいりまして、ことしの秋になりまして、国会でまた御相談を申し上げにゃならぬような時期が来るのではないかと考えますけれども、いまは鋭意予算の忠実な執行という点に全力投球してまいりたいと考えております。
○大塚喬君 いままでの論議で明らかになったことは、いまの、既定の予算については鋭意この執行に努める。それから追加財政需要については極力抑える一こういう趣旨のことは大臣の答弁の中から受け取ったわけであります。現実に私はいま大臣がお考えになっておるよりも深刻に私自身はこの歳入不足の問題を受けとめておるわけであります。といたしますと、この当面の対策、五十年度の対策、五十一年度以降の分についてはあとで論議をすることといたしまして、五十年度分の対策、これについて、次のことをひとつお伺いをいたします。 五十年度予算にすでに計上した予算、これを削減をする、そういうお考えはあるのかどうか、これが一つ。 二つ、先ほど食管のあれで答弁いただいた中で、いわゆる消費者米価、公共料金引き上げという問題、私どもも重要に考えておるところでありますが、これを実施をして切り抜けるのか、あるいは先ごろ、今年度国債を二兆円にして、昨年度から一千六百億円減額したと、大変宣伝をされた国債の増発に踏み切るのか、この問題について、打ち出の小づちがないとすれば、こういう問題しか、一応当面、あるいは新税の増設と、こういうような問題もあろうかと思いますが、考えられるところはそういうところでございます。大臣としては、既定予算を削減する、こういう問題に踏み切るお考えなのか、何かともかく歳入欠陥が出ることは間違いない、こういう実情でございますので、この点について大臣としてはどういう方面に重点を置いて今後の対策をとられるお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 予算の執行に当たりましては、端的に申しますと、政府部内で、この段階で実行予算を組んで歳出を締めていくというようなことはいたさないつもりです。ただ、こういう時節でございまして、これは毎年お願いしておることでございますけれども、各省庁に対しまして、不要不急の経費の節減をお願いすることは、当然求めにゃいかぬと思いますけれども、予算の骨格につきまして、ことしは歳入不足が見込まれるから、行政部内で、国会からは歳出権を与えられているけれども、政府部内でこれこれの範囲内に実行予算を編成して、支出はその範囲内でとどめるというような措置を講ずるというようなことは考えていないということが一つでございます。 それから、第二の問題でございますが、税収は、大塚さんはこれは大変深刻な事態と御認識を持っておられて、歳入不足というような事態が歴然としてしまいりますならば、あるいは増税あるいは公債の発行、そういった点についてどうする、考えておかなきゃいけないんじゃないかという御指摘でございます。私は、先ほど申しましたように、いまの段階、年度始まったばかりでございまするし、極力総合的な経済政策の運営と相まちまして、この予算を忠実に実行し、その過程におきまして経済の活力のある運営を期待いたしまして、予算できめました予定どおりの収入を何とか確保さしていただきたいと考えております。しかし、万一これがだめなようなことになってくるという場合にどうするかという問題でございますが、いまその場合のことは考えていないのでありまして、そういう場面が出てまいりましたならば、十分内外の状況を踏まえた上で慎重に対策を練って国会にお諮りせにゃいかぬと思いますけれども、それはいま私ども、それよりも適正な予算の実行ということを進めて、経済の立ち直りを心から希求するというのがいま私の考えでございます。
○藤田進君 関連。 どうも予算、四月二日成立した後二カ月足らずで、いまさら歳入欠陥とかこれが言いにくいので、以上のような答弁になったような気がしてなりません。私どもの調査で見ますと、まず歳出については各省に大蔵省が経費の節減の指令を出しております。ことに補助金のあるものは当初六カ月を四カ月にするとか、各省ともいま迷っているじゃありませんか。そういう措置は一切講じていないと言われるのと現実とが非常に違うように私は思います。 それからいずれこれは年度末を待つまでもなく、いま十月ごろと言われますが、一般の源泉徴収所得についてはベース改定の相場、ほぼ決まってきた。これは一七と言われますが、それを大きく下回っております。さらにその他の減収はこれは酒、たばこのみならず予想されております。だから事務当局としては、特に徴税関係等にもかなり徴税強化を指令して、私、税務署もいろいろ全国歩いてみても、大きいのは別として、零細なものについてはかなりやかましくなっている。このことはやはり絶えず主税局は、少なくとも事務当局においては刻々の情勢を見通して、どういう歳入に影響があるか、これは当然やらなきゃ怠慢ですよ。そこを避けていま通ろうとするところに問題があると思う。早くやはりそういう点を、見込みですからそれは。それは一億も違わないようにという厳密な要求は国民だってするはずはないけれども、大筋において、現時点で五十年度の歳入は、予算よりもどういう異同があるというぐらいなことは、これは一般の玄人筋の方が先回りしていろいろ心配しているじゃありませんか。ですからこの際、主税局長も、いまの時点において試算をするとこういうことになるという点を明らかにすべきです。そういうことを避けて通っておいて、ただ酒税については早く上げろなんて、上がりゃしませんよ、そういうことでは。本当に国家財政に、歳入面で困るというなら、それもここで開陳して、そうして議会の協力を求めるという姿勢がなきゃだめです。それから各省に対していろいろ手を打っておいでになる。大蔵大臣知らないのならば、事務当局としてこれははっきりしてもらいたい。それぞれの証拠を持っているんですから、われわれ。それを、大臣はここで予定の歳出はそのまま実行するし、何ら各省に既定経費の節減とかいう具体的な指示はいたしませんと言われても、もうしてしまっているんです。ですから、一般は困っているんです、補助なんかは。幾ら補助がもらえるのか、去年六カ月がことし四カ月になるんじゃないかとか。具体的にいま申請時にありますからね。各省ともそういうことで大蔵省から来ているしという説明がついておりますよ、一々申し上げませんが。もっと率直にものを言ってもらいたいです。そして、みんなで歳入欠陥あるいは歳出についてどうするか、これを考えるべきもうこれはときなんですよ、成立後二カ月であってもですよ。正直にひとつ答えてもらいたい。いずれ予算委員会も開くことにもなるし、いつまでもいまのような答弁でのらりくらりとずらかっていこうたって、そうはいきませんよ。
○国務大臣(大平正芳君) 私が申し上げておりますのは、歳入が窮屈であると、自然減収が予想されないわけではないという事態でございまするので、歳出につきまして政府部内で実行予算を組んで、各省庁にこの範囲内で支出をセーブしていただきたいというようなことはお願いするつもりはないと申し上げたわけでございます。ただし、不要不急と申しますか、冗費の節減ということは、毎年毎年財政当局は常に各省庁に求めておるわけでございます。そういう努力はことしも精力的に行っておるわけでございますが、予算の骨格について実行予算を組んでいくというような考えはないということを申し上げたわけでございます。それは、いまのように景気が、経済が停滞いたしておることでございますので、これを支える軸の一つになるのは何としても予算じゃないか、予算はやっぱりちゃんとこれは実行してまいるという政府の決意と、それから政府に対する信用、これがやはりいま経済を支えていく大きな柱になるんじゃないかと考えておりますので、そういう態度に終始していきたいといまは考えておるわけでございます。 それから第二に、五十年度の税収の見通しをもっと明確にすべきじゃないかということでございます、私ども、毎年度税収がどういう足取りで国庫に収納されてまいるかということについて、できるだけ正確なデータ、情報を手にしたいと努力をいたしておるわけでございまして、最大限の努力はいたしておるつもりでございます。しかし、いまの段階で五十年度の税収の見積もりがえを行って国会に御報告するというつもりはございません。何となれば、まだ事態はまず会計年度が始まったばかりであるということ、それから経済界はいま御案内のような事態でございまして、これから一年間どういう推移を内外においてたどるかというようなこと、それから政府がこれからどういう経済政策をやるかやらないか、そういったことこれがまたどういうふうに影響していくか藤田さんも御案内のとおりでございますので、いまの段階で税収はこの程度になるであろうというようなことを安易に算出することは、私は不見識だと思うのでありまして、国会に出しまする計数は権威を持ったものにしなければならぬわけでございますので、これはもう少し明らかになって、国会の論議にたえられるだけのものになった段階でさしていただきたいとお願いする次第でございます。
○藤田進君 一つは、各省にどういう内容の指示をしているのか、これを明らかにしてもらいたい。 それから、主税局長のところの税収等を含む歳入についての試算があるはずです。試算でいいです。これやってないはずはないんでね。これは事務当局でいいです、大蔵大臣としては言いにくいとすれば。答えてもらいたい。
○政府委員(辻敬一君) 本年度の歳出の実行の基本的な考え方につきましては、ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございます。各省庁の行政経費につきましては従来もやっておりますし、極力節減に努める必要があるというふうに考えておりますが、まだ具体的な方針を決める段階に立ち至っておりません。ただいま各省とも相談いたしながら検討している段階でございます。
○政府委員(中橋敬次郎君) 私どものところもまだ実は五十年度の税収についての試算をやっておりません。ただ、先ほど申しましたように、たとえば五十年度の税収見積もりの基本に立てました一人当たりの給与の伸びが一七%というのを下ること一%につきまして源泉所得税では五、六百億円減収になるとかいうようなことはわかるわけでございますけれども、これが果たして幾ばくになるかというようなこと、あるいは先ほど申しました法人税の利益が昨年に比べましてどういうふうになるかということは、実はもう五月でございますから、三月決算、四月決算、五月決算という、この年度の上半期に申告をしてまいりますものはやがてそれぞれ申告をしてまいりますからわかるわけですか、この後半の九月決算を中心にいたしますところの法人の利益の状況というのも実はいかになるかということが非常に大きな要素でございます。こういうものはだんだん時が経過するにつれまして、私どもの方もいろいろ会社に参りまして事情を聴取するというようなことをやってまいりますけれども、何しろまだ五月でございますので、そういう段階に至っておりません。そういうことでございまするので税収の試算というのはまだできていないわけでございます。
○藤田進君 そうすると、いま各省庁と協議中だというんだが、歳出について。これは補助金にもわたりますか。いま補助金も宙ぶらりんになっているものがあります。いつ決まります。それから、補助金にまで及ぶのかどうか。
○政府委員(辻敬一君) ただいま考えておりますのは、いわゆる各省庁の行政経費でございまして、庁費、旅費のたぐいでございます。補助金の中にも一部そういうものが含まれているわけでございますので、そういうものは従来から対象にいたしておるわけでございます。 いわゆる節約の率をどうするかにつきましては、ただいま申し上げましたように目下検討中でございますが、四十九年度におきましては当初予算におきまして原則八%、さらに補正予算におきまして五%というような節約をいたしたわけでございますので、そういうところの従来の実績等も考えながら目下検討している段階でございます。
○大塚喬君 いろいろまあ答弁を承ったわけでありますが、まことにその場逃れの誠意のない答弁をお聞きして不満であります。率直に申し上げて、歳入不足が拡大をする五十年度以降、前回の租税三法の審議の際にも繰り返し主張をいたしたわけでありますが、打ち出の小づちがないとする大臣の答弁、この段階で、やっぱりいままでの高度成長を支えるためにつくられてきた金持ちや資本を優遇する不公正是正の問題を再度やっぱり見直しをする必要にいや応なしに迫られてきておるのではないか、こういう点が一点。それからインフレ利得者に対する重課の問題これは主税局長等しばしばこれに反論する答弁をいままで続けられてきたわけですけれども、これについても再検討を要する時期に来たのではないかと、私の主張したい点はその点であります。今後重ねてこれらの問題についての論議を継続していきたいと考えるわけでありますが、時間が参りましたので本日の質問は以上で打ち切りたいと思います。
○近藤忠孝君 今回の歳入欠陥問題は事実上の財政危機宣言だというぐあいに認められております。それほど重大な問題でありますが、そこでまずお伺いしたいのは、新聞報道によりますと、四月十五日に閣議で報告をいたしました。そこで三木総理も厳しい事態に対処するため各閣僚に協力を要請した、こういう報道がされております。閣議として大平大蔵大臣の報告を了承したのかどうか。そして同時に、特に五十年度の見通しにつきましては、これは予算の基礎になっておる経済成長率の変更にもかかわってまいる大変重大な問題でありますが、これについて福田経済企画庁長官も了承したものかどうか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 四十九年度の税の減収が明らかになってまいりました段階におきまして、その実態を閣議に御報告を申し上げました。したがって、五十年度は自然増収を安易に期待することができないばかりか、自然減収のおそれが濃厚であるような事情でございますので、財政需要というものに対しては極力抑制していかないかぬので、各大臣の御協力をお願いいたしたわけでございます。ただ、せっかく成立をさせていただきました予算につきましては、忠実にこれを実行してまいることがただいま政府の責任であろうと思うので、これについては大蔵省も全力を挙げて当たりたいと思うが、新たな財政需要につきましては極力慎重にいかなければならぬので御協力を願いたいという趣旨のことを発言いたしまして、総理、副総理初め各閣僚の全幅の理解を得られたものと私は承知しております。
○近藤忠孝君 今回のこういう欠陥が生ずる予定であるということにつきましては、もういままでも指摘がありましたけれども、やはり見通しの甘さがあったんだというぐあいに言われております。 そこで、具体的にお伺いしますが、先ほどは源泉所得についての対前年度増加見込みについて質問がありました。そこでさらにほかの点、たとえば申告所得につきますと、営業については一七%、農業は一〇%、その他の事業一七%、その他一八%、計で一八%という、こういう見込みが出ておりますし、さらに法人税で見ますと総合で一〇五%、こういう見込みです。これがどういう基礎に基づいて立てたのか、この点についてまず御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 申告所得税の対象になりますところの営業、農業、その他の事業等につきましては、給与の伸びがどの程度になるか、あるいは消費の伸びがどの程度になるかというようなことを基礎にいたしまして、ただいまお示しのような率をそれぞれの業種について伸びを見ておるわけでございます。それから法人につきましては、やはり政府の経済見通しによりますところの生産、物価の伸びを基準にいたしまして、それを法人税は若干申告の時期がいわば経済の進行よりもおくれるわけでございまするから、それを調整をいたしまして、六カ月決算法人について前期に対してどのようになるかというのを上期、下期について勘案をし、また一年決算法人は前年に対してどのような伸びを示すかというようなことを見ながら、約五%の伸びということを基礎にいたしておるわけでございます。
○近藤忠孝君 中身についての答弁はないのでわかりませんが、いま言われたことが過大な見積もりだったと、こういうぐあいに指摘されているわけです。そこで過大であったかどうかの一つの判断をいたしますと、たとえば源泉所得税につきましては、数年前との関係で、この一八%という数字がどうなのか、申告所得も同様です。お手元に四十五年以降毎年のパーセント、対前年比のパーセントはありますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) ちょっと手元に正確な数字を持っていませんから、また後ほどお答えさしていただきますが、大体政府の経済見通しによりますところの一人当たりの給与の伸び、あるいは雇用の伸びの相乗でもって給与総額がどの程度伸びるかということを基本に毎年度の源泉所得税のうち、給与に対するものを計算予測するわけでございまするが、そういう数字は大体過去におきましてもそういうことで当初見込みましても、大体毎年度の自然増収が出てまいりましたのはここ数年来でございますけれども、私の記憶では、やはりそれが当初の政府経済見通しの伸びを上回りまして、実績としては伸びがよかったために、それによるところの源泉所得税の伸びもよかったというような事情であったと思います。
○近藤忠孝君 私の方で調査したところ、たとえば四十五年は源泉所得税につきまして対前年度増加見込み一六%とされています。四十七年は一五%、四十八年は一七%、四十九年は一八%、そして五十年はやはり一八%、この数年間見まして最高の額をこの昭和五十年見ているわけです。それから申告所得につきましても、これは計で見てみますと、四十五年に対前年増加見込み一二%であったものが四十七年は一三%、四十八年は一一%、四十九年一二%、そして五十年はこれははるかに上回って一八%、こう見てみますと、果たして大蔵省が現在の経済情勢を本当に正しく見たのかどうか。特にこの予算編成の時期に、当時予想されたたくさんの具体的事実があったにもかかわらず、これを正しく反映して見込みを立てたかどうか、この点大変疑わしくなってくるんです。こういう数字があるんですが、これでも過大と言えないかどうか、この点御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) たとえばいまお示しの給与の伸びにつきましての伸び率は、恐らく当初の予算についての伸び率をおっしゃったと思いますけれども、それはまさに私どももとっておりました数字でございますが、それは先ほどお話し申し上げましたように、政府の経済見通しに準拠したものでございます。それで、そういうものを実績としては実は上回っておるという記憶を申し上げましたけれども、たとえば昭和四十四年から申しまして、当初の政府の経済見通し、それに準拠しました当初の税収の基礎になりました伸び率は、総額で申しまして、四十四年度から申しまして、一四%、一六%、一七%、一五%、一七%でございます。それに対しまして実績がどうであったかということを申しますと、四十四年は一四に対しまして一八%、四十五年は十六に対しまして一九%、四十六年は一七に対しまして一六%、四十七年は一五に対して一七%、四十八年は一七に対して二四%ということでございまして、先ほど私が記憶で申しましたように、実績としましては、当初の経済見通し、あるいはそれに基づきます税収の基本の伸びを上回っておるわけでございます。四十九年度につきましては当初一八%というふうに見込んでおりましたのが、実績見込みとしまして二九%になっております。したがいまして、五十年度において一七と雇用の位置を相乗いたしましたところの一八の伸びというのは、当時は経済見通しそのままを準拠いたしておりましたから、それからしかも過去におきましてそれを上回ってずっと伸びておりましたから、やはりこの程度は税収として期待をできるというふうに思ったわけでございます。しかし、それが当初の見込みを下回って一八を下るということに春闘の状況等から予測されるわけでございますけれども、そういうのはまさに最近におきましては異例なことでございまして、当初予算を策定いたしました段階では決して過大であるというふうなつもりで見たものでもございません。 それから、申告所得税の営業その他についてでございますけれども、これでもたとえば営業について申し上げますと、年度内の課税額の対前年度比で四十四年は一三〇%、四十五年は一一五%、四十六年、ドルショックの年ですけれども九七・八%に下がりましたが、四十七年には一二五%、四十八年には一五二%でございましたから、四十九年に私どもが見込みました数字としましては、営業一二五%、農業一二〇%というふうな数字でございますし、先ほどお示しになりましたのは五十年の当初予算でございますけれども、それもその他の実績指数から見ましてそんなに過大に見込んだつもりではございませんでした。
○近藤忠孝君 いまの答弁でも、当初の見込みに対して実績がいずれも多いわけですね。これはまさに経済がずっと高度成長で伸びていく時期です。しかし、実績の方が高かったにもかかわらず、やはりその翌年の見込みはさらに低目に抑えてあります。いずれの場合もそうです。それは源泉所得の場合もそうですし、申告所得の場合もそうです。ところが、昭和五十年度はもうすでに昨年の段階から大変経済の状況が変わってきたということはわかっているはずです。これは補正予算を組む前の、たとえば昨年八月二十三日ごろの新聞記事によりましても、昭和五十年度は大変な状況であると、そうして経済成長がなくなったので、税の自然増収は見込まれない、そういったことがはっきりとこの段階で指摘されておりますし、この新聞記事、これは読売新聞ですが、この記事によれば、主計局の幹部もそのことを指摘している、まさに昨年の補正予算の前の段階で経済の情勢がずっと変わって落ち込んでいくということは予測できたはずです。となりますと、それまでの数年間の見込みと、実績のいまの数字だけ出されたのでは、この今日の経済情勢を全く見通してないで、いままでと同じような高度成長を考えておったんじゃないかとさえ考えられるわけです。そうでなきゃ説明つかないような数字が現実にいま示されたわけですけれども、その点いかがでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) その点に関しまして、たとえば先ほど申しましたように給与所得の伸びで四十九年の実績見込み二九%の伸び、これは現実にはやはり税収としてはそういう反映をいたしておりますけれども、そういうような事態がほぼわかりかけておりました段階でも、翌年の五十年度分の源泉所得税の給与分としましての伸びは一八%に計上しておるわけでございますから、やはり低目に抑えておったということでございます。それがさらに私どもの予測を大幅に下回って、給与の伸びがたとえばベースアップで非常に下回っておるということは、これはまさに私どもの予測違いでございますけれども、低目に抑えたということについては五十年度についてもそういう抑制的な基調を持っておったと言っても私は誤りではなかったと思います。 それから、申告所得税につきましても、やはり同じように先ほど申しましたような過去におきます伸びをそのまま横にしたものでもございませんで、やはり低目に見たものでございますから、当時としますれば私どもはやはり抑制的な基調というのを持って五十年度の税収というものを見積もったつもりでございます。それはまことに残念でございますけれども、四十九年度において非常に見積もりを下回ったということで、さらに五十年度についての非常な心配が出てきたということでございます。
○近藤忠孝君 その関係で見てみますと、補正予算のその段階でやはり一つ問題があったろうと思うんです。補正予算の段階で自然増収があった、そして五十年度予算は、その補正予算も含めた数字を基礎にして、先ほど言った出てきた数字を掛けて、そして税収見込みを立てていますね、となりますと、あの昨年の段階で出てきた自然増収、それをそのまま計算の基礎にぶち込んで計算しているという、そこに大きな誤りがあったんではないかという、この点いかがですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 五十年度の当初予算を策定いたします場合に、四十九年度の実績見込みをどの程度に見るかということをまず確かめまして、それを基礎に五十年度の算定をすることはおっしゃるとおりでございます。しかし、その伸びを見たことに誤りがあったということは、確かにいまからいえばまさにそれを見込んだところに誤りがあったわけでございますけれども、例年の当初予算の税収の見込みを立てます場合には、やはり一番新しいデータで、一番新しい実績をもとにいたしまして見込むのがこれは普通でございます。ただそこは私どもの見通しの違いによりまして基礎にいたしましたところが大きく違ったということでございます。
○近藤忠孝君 どうも納得できないんですが、たとえば農業で見てみますと、これは五十年度は一〇%見込んでます。ところが前年が七%、四十七年、四十八年は五%、さらに四十五年は三%です。三分の一以下、こういう状況、こういうような数字をどうして見込んだんだろう。特に営業なども一七%、他の年に比べましてこれはもう飛躍的に上がってます。ですから、いま源泉所得で説明されたことはこういう場合に決して当てはまらないんだと思います。特に申告所得で見てみますと、四十九年が一二%であったにもかかわらず一八%です、大変な伸びなんです。この辺がどうもいまの説明では納得できない。 そこで、やはりこれについては何か別の意図があったんじゃないか。むしろつじつまを合わせるために——というのは、歳出がとんとんふえてきます、そして国債の発行も反対があるのでままならない、まあ少なくとも数字では率は減らしたという形をつけたという人がある。となると、後は税収ですけれども、税収もこれは形をつけなければいけないので、こういう数字が出てきたんじゃないかと、こうとさえ考えられるのですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 別な意図はございませんでした。私といたしましては、この税の見積もりをやられておる諸君は、鋭意この問題を毎年毎年手がけてこられておるわけでございまして、私としては全幅の信頼を彼らに置いておるわけでございまして、私が特に諸君が算出してきた数字に政治的配慮を加えてこうしてくれという注文をしない限りは、彼らといたしましては正直に算出いたしました数字を持ってくるわけでございまして、私はそれに全幅の信頼を置いて予算を組むことにいたしたわけでございます。私は、その数字に対して信頼を置いてやったわけでございまして、特にそれに細工を加えたことはないわけでございます。過去におきましてもいろいろ見積もり上、上に六%とか七%とか、時には一〇%もの狂いが生じたことはございますが、今度マイナスに大きく出たのはことし初めてでございまして、人間のやることでございますから、私は大変この見積もりの誤算を来たしたことは残念でございますけれども、精いっぱいやった結果出たことでございますから、この経験を生かして、今後こういう変動期にある経済と税収との関係というものにどういうように橋をかけていくかということは、彼らとしても非常な勉強になったと思うのでございまして、一層この貴重な経験を生かして今後の財政に活用いたしたいものと思っております。
○近藤忠孝君 意図的じゃないかというのは、私が言うだけではなくて、新聞、雑誌等でも指摘されております。たとえば、財政当局が早くもこのような情報を流し始めたねらいは、一つには、公共料金改定の必要を強調することにあり、また一つには、地方自治体の国に対する財源再配分要求を封ずることにあると、こういった指摘もされておりますし、また先ほどの質問でもまだ試算もされていない、五十年度予算の結果について。そしてまだよくわからない状況であるにもかかわらず、このように大々的に発表され大きくアピールされるということは、そういったねらいがあったんじゃないかとさえこれは誤解されるし、またそうとることにも一つの理由があるんじゃないかというぐあいに考えるわけです。この点については今後も予算委員会等で追及していきたいと思いますが、時間の関係で次の質問に入りたいと思います。 そこで、先ほど来不要不急の支出は抑えるという答弁をされておりますので、それについてお尋ねしたいと思いますが、実際具体的にどんなことを考えておるのか、まずお答えいただきたいと思います。
○政府委員(辻敬一君) 先ほどお答え申し上げたところでございますが、いわゆる各省庁の行政経費につきましては従来からもやっておりますことでもございますし、この際極力節減に努めるようにいたしたいと考えておるわけでございます。ただ、ただいまの段階では、具体的にその節約の率をどの程度にいたすかということはまだ決めていないわけでございまして、各省庁とも相談をいたしながらただいま検討している段階でございます。
○近藤忠孝君 行政経費を抑えますと、実際の行政の執行に大きな差し支えが出てくる場合もあろうし、困難も出てくると思うのですが、余り差し支えのないものがあると思うのです。 そこで具体的に申し上げますけれども、たとえば経済関係等の援助、これは約百五十八億円計上されておりますけれども、この中のたとえばインドシナ地域の復興と援助、これは九十八億円、これは直ちにやめてしまっても差し支えないのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。要するに、これはベトナムのあのかいらい政権に対する援助をずっと行ってきましたね。その予算です。もうあのかいらい政権つぶれてしまったんですし、これやめても差し支えないと思うんですが、これは大臣としてどうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 政府としてインドシナに対する援助はインドシナ全域に対してやるという方針を決めまして、その中でベトナムに対しまして、南に対しても北に対しましてもそれぞれコミットメントをいたしたことを私は記憶いたしております。そしてそれはそのラインに沿いまして関係国政府と折衝いたしまして、逐次実行に移っておると思うんであります。しかし、あのような事態の変化がございまして、したがって、これに対しまして、当然政府は、これまでのやってまいりましたことに対しての措置は、これに対応した措置をとらなけりゃいかぬことは当然のことでございます。関係省庁におかれましていろいろそれは対処いたしておると思いますけれども、個々の費目につきまして、いま私はお答えを申し上げるだけの用意をしておりませんので、ここで申し上げられますことは、仰せになられますように、新時代に処して当然これに対応した措置を予算上もとることは当然だと思っております。
○近藤忠孝君 それと同じような例で不要不急と申しますと、防衛費もずいぶん不要不急なものがあると思うのです。特に、防衛費は今回対前年度増加額として二千三百四十三億円と、大変率から言いましても高い率、二一・四%も伸びておるのです。これなども現在の段階ではずいぶん不要なものがあると思うのです。こういう面についてもいま言われたように十分に考慮していく趣旨かどうか、この点御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 防衛費につきましては、御承知のように第四次防というものを国防会議で決めまして、そのラインに沿いまして年々歳々の防衛予算か編成されておるわけでございます。しかし予算の総需要抑制政策がとられるようになりまして、財政面におきましても需要抑制のたてまえから抑制ぎみに編成せにゃならぬという意味で、相当御不自由をお願いいたしておるわけで、四次防の進捗率は思うに任せず、大変窮屈な状況になっておるわけでございます。したがって、いま政府としてさらにこれを切り込んで御不自由をお願いするという考えは持っておりません。
○近藤忠孝君 先ほど来経費節減と申しておりますけれども、多くがその節減によって国民生活に影響を及ぼす面もあろうかと思うのです。そうではなくて、先ほど私が幾つか指摘したような、国民生活に直接響かぬ部分というのがずいぶんあると思うのです。この面について積極的に考えていくべきだと思いますし、防衛費などはまさにその一つだと思うのです。いま四次防云々とおっしゃいましたけれども、いまそういう時期よりは、むしろ本当に国民生活を守っていくためにこの困難な財政状況をどうしていくのか、これこそ一番大事だと思うのですけれども、これについての基本的なお考えをお聞きして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) いま申し上げましたように、政府としては各省庁にわたる予算——防衛予算であれ、教育予算であれ、福祉予算であれ、経済予算であれ、それぞれ資源の配分につきまして適正を期するように、予算という形の中で最善を尽くしたつもりでございます。したがって、今日のでき上がりました予算はいろんな評価があろうかと思いますけれども、私ども政府が出し得る現実的な答案といたしましては、ベストなものと考えておるわけでございます。しかし、先ほど藤田さんの御質問にもお答え申し上げましたように、しかしながら、それでも行政費につきましては、毎年毎年難きところなお節減の余地がないものかという御相談をお願いいたしまして、去年も当初予算で八%、補正予算で五%の節減を各省庁の御理解を得て、原則として御理解を得まして実行いたしたわけでございまして、ことしもまあそういうことはやっていかなければならぬと思っておりますけれども、予算の骨格につきまして、近藤委員のおっしゃるように、もう一度評価をし直してやるというような考えはないわけでございまして、予算、来年度以降の財政全体のもくろみを立てる場合におきまして、一層資源の配分を適正にするように、国民福祉の立場から考えてまいることは当然と思っております。
○委員長(桧垣徳太郎君) 午後一時十分まで休憩いたします。 午後零時二十七分休憩 —————・————— 午後一時十六分開会
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 午前に引き続き、質疑を行います。順次御発言を願います。
○鈴木一弘君 最初に、ほかの委員の方と同様でありますけれども、歳入欠陥の問題でお伺いをしたいんですが、四十九年度の税収不足、これが先ほどからの御答弁でも約八千億円、こういうことです。ところが、五月二十七日の新聞によりますというと、この税収不足を補う対策としてとった、四月の税収を前年度分にする、こういうような措置、先ほどからも答弁がございましたが、そういうことによって逆に五百億円もの剰余金ができる、こういうように報道されているわけです。そういう点で、八千億の税収不足と言ったと思うと、今度は五百億円の残が残るという、そういうことで、私たち国民はみんなキツネにつままれたというのが本当じゃないかと思うんです。そういう歳入不足、先ほどもその点については大臣からいろいろ反省の色があったんでございますけれども、その点についてまずもう一度説明をお願いをしたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 四月の当時、私どもはまだ確定した数字をもちろん持っておりませんので、できるだけの資料を集めまして、四十九年度の税収があの当時の制度のもとにおきまして、どの程度不足するかという見込みを立てました。そのときに、約八千億円足りなくなるという見通しを立てたわけでございます。で、それに対応いたしまして、税外収入とか歳出の不用額でもって約四千億円あるという見通しで、これがその半分を補てんするという見通しでございました。それから、先ほど大臣からお話がございましたように、税収の年度区分を改正するという措置をとることによりまして、その制度を改正しなければ五十年度の歳入になるはずでございました税収が、四十九年度の歳入になる分としまして約四千億円ございますという見通しを立てたわけでございます。そうしますと、税収の八千億円の減収が、その二つの補てんによりましていわば歳入の剰余金というものがゼロになるという見通しでございました。 ところが、その後におきます四月においての税収を集計をいたしましたところ、まず第一には、制度改正をいたしません場合におきまして八千億円減収になるというふうに思っておりました数字が、一部推計を加えましてでございますけれども、七千六百八十六億円不足するという数字になると見込んでおります。それから制度改正によりまして四十九年度に新たに所属するというふうに、四月に入ってまいりました税収の中で見込まれるもの四千億円と考えておりましたものを、分別計算をいたしてみますと、これが四千三百三十億円になる見込みでございます。もっともこの七千六百八十六億円なり四千三百三十億円と申しますのは、四月に入ってまいりました税収の中で、本来であれば五十年度の歳入になるものが一体どれくらいであるかということにつきまして、確たるデータがございませんから、いろいろ従来の実績なり税務署の仕事の内容からいたしまして、推計を加えて先ほど申しましたような数字を今日持っておるわけでございます。若干の異同はあるかもしれませんけれども、大体こういった数字になるかと思います。したがいまして、税が足りないと言っておったところで、約三百億円ぐらいそれが少なくなったわけでございます。 それから、制度改正によりまして、四十九年度に新たに取り込むと考えておりました税収が約三百億円ぐらいふえたわけでございます。そういうところで少し違ってまいりましたのと、後ほど主計局から御説明があるかと思いますけれども、歳出の不用額なり税外収入なりについても若干の違いが出てまいりまして、先ほど申しましたように決算上の新規に発生します剰余金は、当時はぴっちりゼロぐらいではなかろうかというふうに思っておりましたものが、千四十億円くらいというような数字になっておる次第でございます。
○鈴木一弘君 そういう何かちょっと私どもが聞いていると完全にキツネにつままれた感じを持っているわけですけれども、先ほどからずっとこの四十九年度の歳入の不足の問題については、原因についてはいろいろパターンの、いわゆる税収パターンが先細りになるということ、それ、いままでのように先太りになると思ってやっていた、こういう点にあるんではないかということでの質疑等もありましたから省略をさしていただきますが、ひとつここでぜひ伺いたいのは、四十九年度の歳入欠陥はまずまずこれで穴埋めができた。しかし問題は、五十年度になるわけです。この五十年度の税収についても歳入不足は避けられない、こう思わざるを得ないようですけれども、先ほどから何度伺っても答弁がないようでありますが、五十年度の税収不足は一体どのぐらいと思っているのか、これをもう一度伺いたい。
○政府委員(中橋敬次郎君) 五十年度につきましては、私どもも四十九年度の実績にかんがみまして非常に心配をいたしておることは事実でございます。ただそれは先ほど来いろいろ御説明をいたしておりますように、四十九年度の実績がようやくまとまったところでございまして、五十年度は発足したばかりでございます。給与の伸び一つにしましても、春闘の状況から推計をいたしまして、五十年度の当初予算に見込みました一人当たりの給与の伸び一七%が達成できないかもしれない。あるいはその程度はどのくらいかもわからないという段階でございますので、もうしばらく時日を待たなければならないと思っておりますし、特にやはりこういう景気のときでございますから、法人税の帰趨というのが税収の見通しに大きく影響をいたしてまいります。やがて三月決算の事情がわかるわけでございまするが、三月、四月、五月ぐらいの決算の状況を踏まえまして、その次の六カ月決算法人が一体その秋にどのような利益が出てまいるかということをその段階で十分把握をいたさなければならないと思っておりますが、やはりそういった段階までは、何と申しましても非常に不安定な見通ししかできませんものですから、やはりそういう時期まで検討を留保さしていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
○鈴木一弘君 これは、私は、はなはだ不満です。これは四月二十三日の読売ですか、もちろんほかの新聞にも出ておりましたけれども、「財源三兆円も不足」という今年度の財政見通しということで大きな見出しで出てます。「赤字国債は必至」である、こう出ております。それには、「大蔵省筋が二十二日明らかにしたところによると、今年度の国家財政は三兆円という空前の財源不足が生じる見通しである。」こう出ておりまして、「予想を上回る景気の落ち込みで、法人、所得税を中心とした税収見積もりに約二兆円の不足が見込まれる」後はベースアップ等の補正要因で一兆円と、こういうことがすでに出ている。これはもう新聞がインチキを書くわけないだろうと思います。「同省の集計による」とということまできちっと出ている、記事を見ると。そういう一つ一つから見ると、すでにある程度の計算をなさっているからこういう記事が出ているんじゃないですか。それを税収不足はどの程度かと言ったら、秋まで来なければ、九月期決算を見なければ法人の問題はわからないし、ベースアップも一七%と見ているけれども、それになるかどうかということはわからない、こんな話ですけれども、すでにここにあるこの三兆円も不足する、税収で二兆円の不足が見込まれるという、大蔵省筋が発表したということはこれどういうことなんですか、事実なんですか、どっちなんですか、これは。
○政府委員(中橋敬次郎君) もちろん私もその記事は読みましたけれども、そこに言っております数字が一体どういうふうな積算で出ておりますのか、全く私どものところとは関係なく書かれたものでございますので、了解に苦しんでおる次第でございます。
○鈴木一弘君 たとえば、先ほどの所得税の問題がありまして、それなんかもこういうように出ています。「所得税収も大幅な減収は必至である。同省は」とこうありまして、賃金上昇率を一七・一%見込んでいるが、春闘の鉄鋼回答が一五%を割った、そのほかでも一〇%を割るところもあるため、平均一二−一三に落ちつくだろう、そうすると三千億円程度減りそうであるという、こういうことが出ている、こういう一つ一つの積算までこう出ていますよ。同省の云々と書いてあるところは、わざとこういうのを大蔵大臣わざわざ発表さして、財源はことしは不足しそうだ、不足しそうだということを表に出して、そうしていわゆる賃上げについても、春闘についてもストップをかけよう、あるいはそのほかのやらなければならない問題についても、わざわざことしは必要以上に赤字になりそうだ、赤字になりそうだとこういうふうにおっしゃっているのじゃないんでしょうかね、これは。そういう意味でこんなことが出てきている、こういうことですか。
○国務大臣(大平正芳君) 全然そういう記事に責任を持つわけにはまいりません。大蔵省筋でそういうことを発表しておるという狂った人間がおるとは思いません。私ども、もしそんなことが大蔵省ができるなら、四十九年度の歳入欠陥なんか生ずるはずがございません。われわれそんな能力がないのですから。われわれは四十九年度の補正予算の段階におきまして、四十九年度の後半の税収の見積もりさえ間違った大蔵省でございます。五十年度の歳入につきまして、この五十年度の会計年度が始まったばかりの段階で、三兆円歳入が不足するであろうなんというようなことを予言できる能力があるはずがないのであります。 それから第二に、私いつも国会に御審議をお願いする場合に、身につまされる思いをするわけでございますけれども、国会に対して私どもは責任をとらなければならぬ政府でございますので、国会に申し上げる場合の数字というのは、非常に神経質なまでに注意して申し上げるわけでございます。すなわち、ベストを尽くしまして、もう政府としてぎりぎりこれ以上権威ある数字は出せない——それさえ間違うわけでございますけれども、しかし、そういう数字でなければ、そういう数字を手にしなければ国会に出せないと私は考えておるわけでございます。したがって、鈴木委員におかれては、大蔵省の方ではこそこそ新聞社の方々に何かある意図を持って財政的情報を流して、ある種の目的を達成するために何か工作をしておるんじゃないかという疑惑を持たれておるようでございますけれども、とんでもございませんで、私ども数字を出すという場合、正確な責任ある数字はまず国会に出さなければならぬと考えておりまするし、それはきわめて神経質なまでに注意深いことを考えておるわけでございまして、それより前に新聞に発表してある種の工作をするなんという心の余裕は毛頭ないのでございます。そんな大それたことをわが財政当局はやりません。やったこともございませんし、今後も私はそういうことは絶対にないということを御理解をいただきたいと思うのであります。 先ほど主税局長もお答えを申し上げましたように、年度が始まったばかりでございます。今後、経済、景気がどのような推移をたどってまいりますか、この景気自体は内外のもう無限の原因が働いてまいるわけでございまするし、またこれから、先ほどお答えも申し上げましたように、政府が何をやるか、何をやらないかということにも関係してまいるわけでございまして、これからわれわれがある程度創造、参加していく性質のものでもあるわけでございまして、したがって、税収の見積もりをいまの段階で立てるということは時期尚早であると思っておるわけでございます。先ほども申しましたように、われわれが精いっぱいのことをいたしまして、これで国会に申し上げてもいいという段階がまいりますならば、どこに申し上げるより前に国会に御報告する責任が私はあると考えております。
○鈴木一弘君 まあ三月期決算でかなり減益になっているということは、これははっきりしております。これが九月云々ということになってくるわけですけれども、そういう点から見ても、こういう状況でいまのままでいけば何%ぐらいいわゆる減益で、それが法人税にこれだけぐらいはね返ってくるだろう、あるいは給与ベースの問題もこの辺の回答であったから、したがってこれが、まあ秋闘というものがあれば別でありますけれども、この程度になるんではないかということで、それだと所得税としての減収はこのぐらいになるだろうと、こういうような試算も全くされていないということでございますか。試算もないんですか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどもお答え申し上げましたように、給与の支払いが一%ふえますとどれだけ税収がふえるか、あるいは法人の経常収益が一%ふえますとどれだけの税収増になるかとかいう試算は、先ほど申しましたように、あるいは五百億とかあるいは六百億とかという過去の経験値を持っております。しかし、それが三%狂いがあるのか、五%狂いがあるのか、それが上に狂うのか下に狂うのか、そのあたりがこれからの経済の状況の推移に依存するわけでございまして、いまそれは見当がつかないということを申し上げておるわけでございます。
○鈴木一弘君 その一%云々というのは積算の基礎ですから、それはわかります。たとえば所得税が一%で五百億、六百億という、そういう数字はよくわかるんです。ですから、今度はいまの状況のままでいったらこうなるんではないかという試算もなさっていないわけでございますかというわけなんです。いまのは、それが三%になるのか二%になるのか、あるいは一七と思ったら一九になるのかわからないからと、こういうお話ですね。だから、どのくらい減収になるのか、どれくらいふえるのか、わからない。だけれども、いままでのパターンから見て、このくらいだったらばこの程度に賃金の上昇率は落ちつくのではないかとか、そういう点からの計算もなさっていらっしゃらないわけでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) まずそれより前に、スタートした段階が、つまり五十年度の税収の見積もりを立てるベースが、補正予算でわれわれが見積もりましたベースにどれだけプラスになるかというような姿で今度の見積もりができておると思うのでございます。したがって、このベースが今度はすでに狂ったわけですね、先ほど申し上げましたように。四十九年度のべースが七千六百八十六億狂ったわけですから、そのへこんだところから今度は本当はスタートしなければいけなかったはずのを、そこからスタートしているわけでございますから、この格差というものはそこまでベースメントが落ちたわけでございますから、そこから去年のままの計算を——いや、去年のままと言うか、この五十年度の見積もりそのままの見積もりのやり方をそのまま上に乗せるわけですね。そうしたらどれだけくらいになるかというようなことは、それは一応やっているのです。まず第一に、そういうことはやっております。 それから今度は、第二の問題は、あなたが言われたように、今度は、給料は一七%増だと一応雇用の増も含めて考えておったが、今度は春闘の状況を見るともっと下回ってくるんじゃないだろうかと、もっともこれにはいろいろベースペイばかりでなく、いろいろなボーナスやらその他の臨時給与もみんな入るわけでございますし、これからの景気がどういうふうに動いていくか、雇用がどのように増減してまいりますかのことでございますからわかりませんけれども、そういう中で、いま春闘だけこういう相場が出てきたという以上は、一つの試算はどのあたりに置いて、ここらあたりに置いて見るとどれくらいの税収になるかとかいうふうな試算はやっておるのかどうかというのが第二のお尋ねではないかと思うのでございます。 そこで、私は、第一の方の検討は寄り寄りいたしておるということは承知いたしておりますが、第二の方の問題は、私はまだ数字を見ておりませんので、やっておりますかどうか、主税局長の方からお答えいたします。
○政府委員(中橋敬次郎君) いまのお話、第二の点でございますけれども、たとえば春闘が、これまで最終わかっておりませんけれども、一三とか一四とかいうことになりまして、例年と同じように、給与全体がそういうような伸びで終わるということであれば、先ほど申し上げておりますように、一七マイナスの一三とか一四、したがいまして三とか四とかいうものに五、六百億円掛ければその給与の源泉所得税の減収額というものが出るわけでございます。そのときに、仮にベースアップが定昇込みで春の段階で一三%か一四%に決まったということになりましても、ボーナスが果たして例年どおりそういうところで終わりますかどうか、これまたそういう淡い期待を持ってはいかぬのかもしれませんけれども、大体、去年の春闘と全体の総給与の伸びが、ほぼ同じような状態であったということを、そのままことし適用していいのかどうかということは、やはりもうしばらく、たとえば盆のボーナスなり、その後におきますところのいろいろな企業の収益見通しに非常に関係するものでございますから、そういうところを私は暫定して、仮に春闘が一三なり一四で終わったときに、直ちに給与の伸びが全体が一三なり一四でとまるというふうに断定をするのは、もう少し時日をかしていただきたいというふうに思っております。ただそこで、もう一三とか一四とか一五とかということが決まりますれば、先ほど申しましたように、それに伴います減収額というのはほぼ見当がつくというふうに考えております。
○鈴木一弘君 第一の場合のは、あれは、結局七千六百八十六億へ下がったところから、いままでと同じ方法で計算するわけですね、その方はどのぐらいに見られておりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) これは全くまだラフな計算でございますけれども、約九千億円というふうに見込んでおります。ただ、これも非常に、土台がそういうふうに下がったときに、果たして四十九年度の補正で見込みました土台からの伸びをそのまま適用していいのかどうかという問題がございますけれども、仮に、先ほど大臣がお話しのように、同じ伸びを、落ち込んだベースをもとに考えてみますれば、そのくらいの数字になるということを計算いたしております。
○鈴木一弘君 その九千億マイナスの中身はわかりますか、大体。どれがどのぐらい、何億円というのはわかりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 大体、所得税でその半分ぐらいでございます。
○鈴木一弘君 あと残りは法人、法人はどのぐらいですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 法人と、いわゆる会社臨時特別税というようなものも含めまして約一千億円ぐらい、その他は四十九年度にいろいろ減収を生じました税金でございます。
○鈴木一弘君 そうすると、五十年度の見込みはそのままの、いまの、最初の計算ですね、いまの計算の九千億、約一兆円という、そういう面だけ見ても税収不足は一兆円、ですから、もしそれに際して、先ほど言った第二の方、それも入ってくるともう少しふえるということになりますけれども、そうすると、それに今度は補正があると、たとえば公務員ベースもありますし、米価もある、インフレに伴う年金スライドの問題がある、こういうことが入ってくると、ことしはどうしてもあと一兆円なり何ぼなりは必ずいままでの例から言っても加わってくるでしょう。そうすると、財源としては二兆円とか三兆円という不足が出てくる、これは補正要因で一体どのぐらい不足になるかということの、正確なものはこれは出ないことはわかりますけれども、常識的にものを見れば、そういうふうに言わざるを得ないと思うんですが、この点は大臣いかがでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 常識的に言えば仰せのとおりと思います。
○鈴木一弘君 あと一分ぐらいしか時間がないものですから、非常に残念なんでありますけれども、こういう点から見ると、財政上としては、常識的に見てもすごい税収不足を来すし、また、非常な財源の不足ということになるわけですけれども、これの後、処理の仕方でありますけれども、これは私はどう見ても五十年度の歳入不足を補うには、先ほどから節約ということを言われていますが、これは限度がありましょう、結局は公債の増発ということになるんじゃないか、五十年度の国債がすでに二兆円が当初予算に計上されている、公債対象の経費が三兆五百二十四億円というのがはっきりと出ております。その差は一兆円ちょっとです。そうすると、一兆円だけ国債を出したんでは、二兆円足らないとか、三兆円足らないとなると、建設国債では賄えなくなる、どうしてもこれは財政法変えても赤字公債というものを出さなきゃならなくなるのじゃないかというふうに思わざるを得ないんですけれども、これが一つと、いまの建設公債と言っても、結局は、その費用は財源が足らないから出すわけですから、赤字には間違いないわけですから、赤字公債の中の建設国債としかとれないわけです。そういう点の検討あるいは大臣のお考え、そういうものについてお伺いして終わりたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどからも御答弁申し上げておるとおり、ことしの経済の運営について、政府としてもベストを尽くしまして、日本の経済をもっと活力のあるものにできたらしなけりゃならぬ、物価の安定を図りながら、生産もふえ、雇用もふえていくような状況、輸出もふえるというような状況に漸次持っていかなければいかぬ、その過程で、できるだけ正常な歳入を確保していくということをまず考えるべきだと思います。 それから第二といたしまして、それで足らない場合どうするかということでございますが、まあそんなことは考えぬで、精いっぱいいまベストを尽くすのがわれわれの任務じゃないかと思うんで、うまくいかなかったらこうするつもりだなんという、へっぴり腰では、やっぱり私は責任者として申しわけないと思えるのであります。ただ、この段階で言えますことは、これは財政の常識でございましょうが、赤字公債でいくのか、あるいは増税を考えるのか、経費の節約を考えるのか、それから一部公債に依存するのか、それともいろいろなそれのミクスチュアというような、組み合わせによるのか、いろいろのことが考えられると思いますが、いま、私の気持ちといたしましては、いま、こんなに経済がむずかしいときに、衰弱しておるときに、一般的な増税なんか私はやるべきじゃないと考えております。それで精いっぱい増収を図るといたしましても、先ほど大塚先生からも示唆がございましたけれども、こういう中で比較的余裕のある階層はどういう方面だろうか、そういう方面に選択的に御負担を願うような方法を、選択的な増収の方法をきめ細く考えるというようなことが、いま私どもがとるべき方策じゃなかろうか、あるいは一般的にもう壮大な税制改革を考えるなんということも、いま、経済がこんなむずかしいときに、少し、若干的はずれじゃないかと私ども考えておるわけでございます。付加価値税の導入なんという、ことばは非常に簡単でございますけれども、容易ならぬ大問題なんでございます。私どもそんなことを、そういう観念論議をやるべきじゃないと思っておるわけでございます。七みちに選択的な増収の余地がどの部面にどういうようにあるかという点を探究してみたいと、それがまず考えることじゃないか、それで極力公債への依存は慎むべきじゃないかと考えておるんでございまして、万一、公債にお願いせなならぬといたしましても、建設公債の原則、あるいは市中消化の原則というようなことは踏みはずさないようにやらなけりゃいかぬのじゃないか、そういったことについて、十分の理解を国民に求めながら財政の運営をやりまして、ひどいことにならぬようにやっていかないかぬのじゃないかと思いますので、とりわけ国会の御理解と御協力を切にお願いする次第でございます。
○栗林卓司君 なかなか直截なお答えのしにくい問題ではあるかと思いますけれども、やはり一番眼目の問題が、五十年度の歳入をどう見るかということだと思いますので、続けてお尋ねをしたいと思うんです。 いまの大蔵大臣の御答弁を伺っておりますと、感触としてわかる気もしますので一応念のために伺うんですが、先ほどの御答弁ですと、昭和五十年度については自然増収を考えるのは無理である、自然減収になりかねない年である、こうおっしゃいました。大変慎重なお言葉なんですが、ただ、これこのまま聞きますと、どちらにいくのかよくわからないという戸惑いが、聞いている側にどうしても出てまいります。片方では、財政をあずかる責任者としてベストを尽くさなければいけないというお気持ちはわかりますけれども、ここに来て自然減収に向くのか、自然増収に向くのか、額の正確な見積もりというのはこれはなかなかむずかしいと思います。たとえば昭和四十八年でも補正をしてなおかつ七千億剰余が出たわけですし、四十九年度は補正をしてなおかつ八千億前後の不足が出るわけですから、相当の荒っぽさで見積もりの違いが出てくるということがありますから、確実にどのぐらいということを詰めていってもなかなかお答えはいただけないと思います。そうは言いながら、従来はずっと高度成長で来たわけですけれども、この曲がり角で五十年度を展望したときに、歳入不足の方に向かっていると考えざるを得ないのか、あるいはそれもまた今後の努力しだいでわからない、その辺の感触というのはどうでございましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) それは申すまでもなく自然減収というようなものになる公算がきわめて濃いと、このままいけば、そういう懸念は持っております。
○栗林卓司君 そこで、自然減収の場合と自然増収の場合では対策が全く違う。そういう意味で、おっしゃるように自然減収に向かうとはっきりは言えないまでも、可能性が非常に強い。これは先ほどお示しのように、四十九年度のベースから見ても約九千億円いわば全体のステージが不がってしまっているじゃないかということと、個々の経済指標のものを含めますと、自然減収あるいは歳入不足というものを見てこれにどう取り組んでいくのかということを、より差し迫った課題として指し示していかなければいけない。これはことしの秋なんでございましょうか。もう五月になるわけですから、先ほどおっしゃったように、もう衰弱をしている今日の経済状態を見ますと、じゃどういう対策を打つのかというのは、よほど早目に、でき得べくんばいまこの議論をしている時期に合わせながら、政府としてそれもまた方向づけ、いろいろな方法があると思いますが、それをどう組み合わせながらどこに重点を置いているのかということもお示しになる必要もあるのではないか。それもこれも含めて相当先の見通しが立たなければ言えないということではないのだろうと思いますが、そういったものをお示しになる時期の点ではいかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 大変恐縮ですけれども、栗林先生のおっしゃる「そういったもの」というのは何を言われておられますか、もう一度ひとつお教え願いたいと思います。
○栗林卓司君 一つ並べて考えてみますと、たとえば公共投資という政策がございますし、それからもう一つは減税もありましょうし、金利政策もありましょうし、公債政策もある、片方では増税があり歳出の削減がある、その他いろいろな政策があろうかと思いますが、こういったものをどうミックスしながら、先ほどおっしゃった五十年度の歳入にもかかわりがある経済運営の活力がある形でどうしていくのかということになりますと、すでに五月も終わりなわけですから、ある程度のフレームというものがお示しいただけないといけないのじゃないかという質問でございます。
○国務大臣(大平正芳君) わかりました。それはこういうことに考えております。つまり、国会にお願いしなけりゃできないことと、行政府限りでできることとございます、大きく分けて。国会にお願いしなけりゃできないというようなことは、この国会で新しく、あるいは増税案でございますとか、あるいはその他国会から権限をもらわなければ政府として処置できないこと、そういうようなことを今国会でお願いするとかいうつもりはございません。これはもう少しデータがそろいまして、それで今後経済の推移を見まして、財政執行の状況を見まして、税収の状況もつぶさに見まして、これは秋深くなっての話じゃないかと私は考えております。ただし第二の、政府——広い意味の行政権に属する範囲内におきましては、これはもう今日ただいまやらなけりゃならぬことはやらにゃいかぬわけでございまして、やってならぬことはやっちゃいけないけれども、やらなけりゃならぬことはやらなけりゃならぬ。これは行政府がその分別でやっていかなければならぬ、行政府には大きく言って日本銀行も含まれておるわけでございまして、つまり金融、財政、経済全体といたしまして適時適切な施策は怠りなくとってまいるということでございまして、それについていま政府はどういうことを考えているかということにつきましてはまた御質疑に応じてお答えしなけりゃならぬと思っております。
○栗林卓司君 では少し具体的にお伺いしたいと思いますけれども、この給与所得の対前年度伸び率一七%が先ほど来出ておりました。これもどうなるかよくわからないし、あるいは法人税の伸び率が対前年度比五%、これまたどうなるかわからないというものを、先ほど大蔵大臣がおっしゃった正常な税収の確保にはベストを尽くしますということとの見合いで、これに対して政府は行政の枠内でできることはたくさんあるわけですから、どのように取り組んでおいでになるのか。たとえばこの一七%についてもこれは何も賃上げだけではございません。時間外労働もございます。あるいはまた一時金もございますと言いますが、一般的に私たちが理解しておりますのは、日本は終身雇用ですから、いまの衰弱した経済の中では失業率はそう表立って出ないものの、労働生産性は大きく落ち込んでいるわけですから、それが正常の操業状態回復しながら、時間外労働にまで反映するというのは、よほどの経済政策がなければいき得ないのだろうと思います。片方で一時金ということになりますと、これは毎月の賃金水準以上に収益に対して鋭敏に反応するわけですから、今日の状況の中で時間外労働なり、一時金が上回ることによって、当初一七%と見たけれども、まあまあこれはとっつこっつのところになるであろうと想像することは非常に困難じゃないか。片方では税収の確保には努めますとおっしゃるわけですが、この辺のところをどうつなげていかれるのか。したがって、さしあたって先ほど衰弱した今日の産業の実態とおっしゃったわけですけれども、それに対して秋口までということではなくて、いまこれにどういう方向の政策を打ちますか。したがって、当初の政府経済見通しに対して近づけていきながら、正常な税収を確保する自信がございますというぐあいに、具体的に中身を積み上げながらお示しいただくわけにはいかないでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) これは大変大きな問題なんで、私がお答えする資格があるか、副総理もおいでになりますから後ほどお尋ねいただきたいと思いますが、私はこう考えております。ただいままでのところ、政府として物価を鎮静させるということをいわば第一義的な要請として経済の運営に当たってきた。したがって、経済の成長、雇用の増大というようなことを積極的にもくろむ以前に、まず石油危機以来の不正常な状態を早く取り戻して、正常に返して、物価の安定を図るということをやってきたと思うのであります。したがって、財政も経済も非常に抑制的な基調で運営してきた、それが財政に反映いたしまして、去年からことしにかけまして、歳入はまあ異常な減収を記録することになったと思うのであります。これはそれなりにそういうプロセスは私は国民は理解していただけると思うのです。問題は、これからこのように落ち込んだ経済、そして落ち込んだ歳入でありまするので、財政を円滑に執行して経済に活力をもたらすためには、こんなことではいけないんじゃないかということで、どういう積極的な施策をこれからやるか、それからそれを通じて増収をどのように確保していくかということがこれからの課題であろうと思うのであります。それで、従来より、物価安定を基調といたしておりますけれども、しかし同時に、われわれといたしましては、やはり経済政策の分野についても思いをいたしてまいりまして、抑制的な基調の中でもいろいろな施策は施してきたわけでございます。これからどの程度積極政策をやるかということは、政府部内でいろいろ協議して決めなければなりませんけれども、今朝来私が皆さんにお答え申し上げていることは、財政面では、そのうち、今度成立いたしました予算は執行いたします。この実行予算で歳出にひとつ制約を加えるようなことはいたしません、これは実行させていただきます、これは経済を支える大きな軸だから、これはちゃんと運営してまいりますよということ。したがって、公共事業につきましても、契約規制なんというようなことはことしはやめておるわけでございます。それからこの成立いたしました予算を、どういう時期にそれでは集中して執行するかというようなことは、これからまた政府部内でいろいろ相談せにゃいかぬことだと思うのであります。しかしいま、この成立した予算のほかに、新たに財政措置を国会にお願いしてどうするかということは、先ほどお答え申し上げましたように、そこまで考えていない、いまの与えられたフレームの中で、どのように適時適切な施策をやってまいるかということは、これから政府部内でいろいろ、これまでも心がけてきたけれども、これからより一層きめ細かく、しかも、相当注意深く進めていかなきゃならぬ課題であろうと思っておりまして、そういう過程を通じて歳入の確保もできるだけ確保していきたいということをけさから申し上げておるわけでございます。
○野末陳平君 歳入欠陥の問題については、大分議論が出ておるようですから、私はたまたま福田さんもお見えになりましたので、質問は大蔵大臣なんですが、デノミのことでちょっとお伺いしておきたいと思います。 雑誌などで大分うわさに上っておるような、あるいは話題になっているようですが、大蔵大臣としてはデノミについてはどういうお考えでしょうか、検討をそろそろ始めるべき時期に来ているというようなことをお考えでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) いまデノミというようなことを私考えておりませんし、そういう勉強もいまいたしておりません。
○野末陳平君 しかし、やはりいずれはしなければならない政治的テーマだと思うんです。ですから、主要閣僚として、全然頭にそれがないというのもちょっと意外なんですが、まあそれはそれとしまして、どうなんでしょうか、いずれはしなければならないという認識すらまだ全然お持ちになってない、全く白紙の状態だという意味なんでしょうか、いまのお答えは。
○国務大臣(大平正芳君) まあそういうことが円滑に行われるような時が来ることを望みますけれども、いまそういうことのため、デノミの問題でひとつ検討を始めてみるという、そういう段取りまでまだ考えておりません。
○野末陳平君 いまのお答えの、円滑にそういうデノミが行われるような時が来るのをというのがちょっとありましたが、それはどういう時なんでしょうか。つまりどんな条件がそろえば、あるいはどういう状況になったらば、デノミというのは本格的に検討すべきだというお考えなのか。たとえばお隣の福田副総理などは、預金金利と物価上昇率の関係で一応のめどをつけているようなこともちらっと言いました。これはどこまでが正しいお答えかわかりませんけれども。いずれにしても、デノミが円滑に行われる時というのは、どういう時なんでしょうか。もう少し具体的にお考えをお聞きしたい。
○国務大臣(大平正芳君) これは通貨の呼称の変更でございまして、そういうことをやっても実体経済にほとんど影響がないという状況があればいいわけじゃないでしょうか。そういう状態が日本にも現出することは大変望ましいことだと私は思っています。
○野末陳平君 そうしますと、たとえばいまはまだ物価の安定も完全に安定して満足できる状態ではないとか、あるいはいまデノミをやれば経済に相当な悪い影響があるというようなことだと思うんですね、大臣のお答えは。ですからまだ検討していないと。しかしそれでは、たとえば物価の上昇、インフレの進みぐあいは、どの程度になったらいいんでしょうか。たとえば物価の上昇、消費者物価の上昇率がこのぐらいになれば、これはもう経済に影響ないからデノミを考える時期だとか、そういう具体的なところまでもう少し何かお考えをお聞きしたいんですが。
○国務大臣(大平正芳君) 大変恐縮ですけれども、まだそういう勉強していないんです、ぼくは。どこまで行けば必要な条件が充足できたと見るべきかというところまでは、まだ詰めた勉強をしていないので、観念的な感想というところでひとつ勘弁していただきたいと思います。
○野末陳平君 まあ具体的にお答えをいただけるとは思っていないんですが、そうしますと、インフレがこのままこの調子で進んでいくとしまして、もちろん政府は一〇%以内の一けたに抑えたいというような意向らしいんですけれども、インフレがこのまま進んでいくとしまして、当然今度はまたデノミとは別の問題として、高額紙幣の問題も出てくると思うのです。これもまたうわさだとは思いますけれども、たとえばもう一万円は高額でなくなりつつあるというようなことから、五万円のお札はどうだとか。現に大蔵省にお聞きしましたら、一万円札の発券状況が大体八〇%以上になりつつあるようなデータもありましたけれども、この五万円札を発行するという、これは一応うわさですが、大臣としてはこれについてはどういうふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(大平正芳君) そういうことはまだ全然考えておりません。
○野末陳平君 そこなんですが、もちろんお考えになっていなくても、いずれは考えるべき時期が来ると思うのですね、このままのインフレでいけば。しかし、この経済の実情あるいはお金に対する国民の姿勢、態度からいうと、一万円は少なくも高額紙幣ではない。しかし、これが五万円とか十万円の札が出ると、今度はインフレ心理に拍車をかけるような悪い影響も出るんじゃないかということも考えられる。しかし反面、一万円が安っぽくなって、お金の価値が権威がなくなっているこのときに、五万円が出ることによって、またお金の価値を見直すことも心理的にあるかもしれない、いろいろ考えられると思うのです。ですから私は、五万円札の発行は全然考えてないと言うだけじゃなくて、もう少し、やはり発行する時期とか、あるいは発行する用意とかそういうものじゃないんですが、五万円札の発行というものが、インフレ、あるいは国民の心理的なものに対してどういう、何といいますか、影響があるか、この程度はもうそろそろ考えておられるのがあたりまえだと思っていたわけなんです。ですから、それをお考えになってないとすれば、重ねてお聞きしますが、まだ全くそれはうわさとか、無責任な話題であって、大蔵省の中ではそこまでいってないということなんですね。
○国務大臣(大平正芳君) 国民的な需要にこたえて行政というのはやっていかなけりゃいかぬわけでございますから、役所の都合ばかり考えて行政をやっていいとは私は思いません。ただその問題は、しかしながら、まだ大蔵省に対して国民の側から強い要請がなされておるようには私まだ聞いておりませんし、また私のところへ、部内から検討しておるという気配も私自身感じておりませんし、また私の方からいま急いでそれじゃこれ検討していろよと言うほど非常に切迫した問題とは、私考えて実はいないわけであります。しかし、きょうあなたからそういう問題取り上げられたこと、そうしてそういうことの必要、そういうことに関心を持たれておられる方も相当おられるということのようでございますことは、きょうのあなたの御質疑を通じて承知できたことは感謝したいと思います。
○野末陳平君 もちろん私も五万円札を発行しろとかいうことじゃありませんし、また国民的要請があると、こう思っているわけじゃないんです。ただ、一万円というのが最高の単位であるというのがどうも経済の実情に合わなくなっていることは確かです。たとえばアメリカなんかではもう千ドル、五百ドル、百ドル、あるわけですね。単純に置きかえてみれば、千ドルというのは三十万円近いお札になりますしね。そんなことも考えて、いずれは、一万円札も八〇%を超えるぐらいに発行されていることですから、いずれはこれが本格的に検討されるべきときが、まあ近い将来来るのではないかと、そういうことでいまの大臣のお考えを聞いたわけなんです。 そこで、それは全くないということはよくわかりました。で、今度は、それでしたらば、まあ先ほどデノミについてもこれは全くまだ検討していないと、それから、インフレが進んで、今度かわりに高額紙幣という問題が出てきたらどうかということをお聞きしましたら、それもまだ検討してないということになりますと、もう一つそこで私疑問になるのは、いずれにしても新しいお札は出てくるんじゃないかということを考えると、高額紙幣として出るか、あるいはまあ別の形で出るのか、この新しいお札が出てきた場合に、肖像はどうなるのかということなんです。非常に三面記事的な話で恐縮なんですが、それは原則がないように思うんですよ。何か発行が決まって、そのときに行き当たりばったりでばあっとこう考えるような、そういう無原則な決め方を戦後してきたんじゃないかというふうに考えていますので、これについても、当面いっぱい大蔵省には問題があるのはわかっていますが、こういう問題はある程度余裕をもって決めておいて別に悪影響あることじゃないんですから、その辺を考えるのはいいんじゃないかと、そういうふうに思うんですよ。次にお札が出るとしたら、どういう人物、あるいはどういう絵柄が検討の対象になっているんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 理財局の方から……。
○政府委員(吉瀬維哉君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、まあ現在、特にこれ以上の高額の紙幣の発行は私ども考えてないわけでございます。いまの御質問の、しかし発行するとした場合に備えて、どういうような一つの政治姿勢をもってある肖像なりそういうものを選ぶかというようなことでございますが、私どもまあいまのところ、ある原理を持って対象を選ぶということまで考えておりません。いろいろな諸外国の例を見ますと、アメリカは大体大統領の肖像、あるいは財務長官の肖像も入っている、一つだけ入っていると思います。そのほかには、イギリスでは女王の肖像とか、ドイツは原則がなくていろいろ分布しているようでございます。フランスは大体文化人の肖像ということで、各国ともいろいろバラエティーに富んでおるわけでございます。まあ御質問のようなこともございますので、私どもは、高額紙幣を発行するしないにかかわらず、そういう、どういうものを選ぶかというようなことにつきましても、いろいろまた今後考えていきたいというふうに考えております。
○野末陳平君 大臣ね、要するに、今後考えていきたいということなんですが、結局は、発行きまったときに、恐らくそのときに、まあぱっと考えると思うんですよ。だから、そういうようなことを、たとえばお札の肖像一つとってみても、これはそれほど重大な問題じゃないと言われればそれまでですけれどもね。そういうのがどうも大蔵省のやり方じゃないかという気もしてしようがないんですね。大胆さがないというか、いつも目先、目先でもって何か追われて決めているというのが、この歳入欠陥でも何でも、まあこれはお金の問題、税収のことですから、これは同列には論じられませんけれどもね。やはりこれは目先にこだわる余りですね、中期的な展望というか、そういうものを持たずにやっているような、全般に。そういう気がしてしようがない。税制の改革もそうなんですね。わりとその年、その年でやっている感じがありまして、五年とか十年の幅を見ての根本的な改革の方針とか、そういうのがないようです。で、この肖像にしても、要するに大ざっぱな枠すらもきめていないというのが、ちょっと大胆さが足りないというか、余りにもどろなわ式な考え方で、やはりある程度、原則とまでは言わないけれども、ある程度のめどをつけるというのも必要じゃないかと、じゃあこの次、何かお札出るとき、一体だれになりますか。と、相談して何か適当な人が出てくるということを繰り返すのはまずいと思うんですよ。ですから、たとえば今で言えば、聖徳太子なら聖徳太子でもいいんですがね。この次出た高額紙幣は聖徳太子でいこうとか、その程度のことはやっぱりやってて別に何でもないと思うんですが。 そこで、まあ私の話は非常にそちらから見れば三面記事のような話かもしれませんけれども、デノミのことといい、この五万円札などの肖像とか、重大性に関してはもう本当に開きがありますけれども、全部ひっくるめて、余りにも目先の、悪く言えば行き当たりばったりみたいなところがあるような気がして、それが不安なんです。そういう点で、景気の問題とか税収はそんなに先のことまでわからないのがあたりまえなんですが、いまでもやれる範囲だったらば、そういうことはもう検討の課題にしておいて、いっそういう事態が来てもいいような準備をしておくのも大事じゃないかと、そういうふうに考えているわけです。そういう意味で、まあ五万円札とか、肖像とかいうことも、一番わかりやすい一例としてお聞きしたんですが、どちらもまだ全然用意がないということなんで、だから、そういうのが大蔵省のあらゆる面に見られるんじゃないかというふうに考えるわけです。ですから、肖像をきめてくださいとも言うわけじゃありませんけれども、どうなんでしょうか、余りにも目先、目先にこだわると、また、そういうむずかしい時代であることもわかりますが、時代の影響を敏感に受けるものと、それほど受けないものがあるわけですね。受けないものについてはどんどん決めていくというか、内部だけは少なくも検討して、ある程度の方針を打ち立てておくということが大事なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) いままあ野末さんの御質疑から二つのことが示唆されておると思います。 一つは、やっぱり大蔵省、もっと受け身ばかりでなく、積極性をもって、短期ばかりじゃなく長期にわたって展望をもって仕事をやらにゃいかぬじゃないかという御注意でございます。これは、われわれが拳々服膺しなけりゃならぬことと思います。 それから第二点は、財政政策とか経済政策とか申しますけれども、そこにやっぱりみずみずしい、まあ文化政策というようなものがないといけないんじゃないか、政治にならないんじゃないかということで、私も最近しみじみと感じておるんです。経済時代というのがだんだん終わりを告げてまいりまして、これからわれわれが本当の生きがいを求める時代というのは、経済や財政というような乾いた世界ばかりでなくて、やっぱりあなたが言われるような文化の世界に何かあるんじゃないかと、そういうようなものをやっぱり追及せにゃならぬと、経済政策や財政政策がやっぱりそういうものと無縁でないので、経済政策、財政政策の遂行を通じて、またその中にそういう文化価値をやっぱり探索してまいるという努力が必要であろうと思うのでありまして、そういう点について私は貴重な示唆を与えられたものと理解するわけでございます。 デノミの問題、高額紙幣の問題についてポジティブなお答えができなかったことは、残念に思いますけれども、あなたの御質疑を通じてそういった示唆を与えられたことに対しましては、心から感謝します。
○大塚喬君 副総理、日銀総裁も出席いただいたもんですから、それらの関係について主として質問をいたしたいと思いますが、初めに委員長に要望がございます。先ほどから各党の質問を通じて、これに対する大蔵省当局の答弁がありました。率直に感じますことは、どうも論議が進展しない、まじめに国会審議に参加願っておるとはどうも思えない。それからそうでないとするならば、明らかに怠慢であるという印象を強く受けるわけです。今後の答弁について、これに対するこの審議に参加する大蔵省当局の態度をぜひひとつ理事会で検討を願って、今後このような話が前進しない、ちゃらんぽらんの論議を繰り返すということは、まことにもう残念のきわみです。ひとつこれらの問題について理事会で検討いただいて、改めてひとつ答弁のあり方について善処をいただきたいとお願いをいたしたいと思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) 大塚君のただいまの御発言に関しましては、後刻理事会において十分協議を遂げることにいたします。政府側の答弁は誠心誠意真実を尽くして御答弁願うことは当然のことでございますので、ただいまの御要望は政府側に対する要望でもあると御理解をいただきたいと存じます。
○大塚喬君 初めに福田副総理、経済企画庁長官に質問をいたしたいと思います。経済の見通しでございますが、先ほどから私ども五十年度の歳入欠陥、税収不足の問題について論議を重ねてきました。それらの論議の中でやっぱりどうしてもひっかかる問題は、昭和五十年度の政府経済の見通しの問題にやっぱりどうしてもひっかかってくるという感じがするわけであります。 当初政府の経済見通しでは、国民総生産が名目一五・九%、実質四・三%と、こういう発表で、これを指標にして五十年度の予算が編成されたものと理解をいたしておるわけでございますが、現在の情勢では、この公表された経済見通しというのがずれてきておる。しかも、これが下回っておると、下回ってくるのではないかと、こういう感じをするわけでございます。この経済見通しについて福田副総理から、現在どのように情勢を把握をされておりますか、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) まあことし五十年度は年度が始まったばかりでございまして、この全体がどういう結末になりますか、いままことに見通しは困難でございますが、率直に申し上げますと、景気の回復からいうと、景気回復の時期が多少ずれてきておるような感じがします。しかし、それとてもこれからの景気回復がどういうふうに推移するか、それによって十二カ月、つまり前年度の成長率がどうなるかということを判断しなけりゃならぬわけでございますが、いまのところは年度当初で的確に申し上げることは非常に困難でございますが、大方四・三%実質成長という、この線を動いておると、こういうふうに見ております。
○大塚喬君 三月初めに発表されました昨年の十月から十二月までの実質GNP、国民総生産の伸びがマイナスであったと、こういうことが発表されたわけであります。この四・三%ということを決定する際に、聞くところによれば、副総理は実質三%というような、そういう考えをかたくお持ちになっておって、福田副総理のその考えを事務当局が説得作戦を重ねて四・三%になったと、福田副総理が押し切られたんだと、こういうような話も伝え聞くわけであります。実際いまのところ四・三という、いろいろの経済指標から見てこの達成というのはきわめて困難な情勢にあると、こういうふうに考えるわけでございますが、いまの事態においても福田副総理は四・三%か、あるいは当初考えておられたという三%台と、こういうものか、どちらの方に一体日本の経済は進むものか、重ねてひとつ副総理の意見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 経過から言いますと、私は大体四%前後と、こういうふうに見ておったんですが、それが結論的には四・三と、こういうことになったわけです。 そこで、そのときと今日情勢が変わっておるかというと、基本的に私は変わっておらぬと、こういうふうに見ておるわけです。つまり、経済を動かす主要要因を申し上げますと、国際収支は四十九年度におきましては非常に堅調に動いておるわけです。つまり、一昨昨年度、四十八年度におきましては、百三十億ドルを超える赤字であったものが基礎収支において四十三億ドルの赤字、だんだん減ってきた。この五十年度を展望いたしましてもそうこれが、この状態が悪化する、改善されればこそ、悪化するような要素はない、こういうふうに見ておりますが、その方から日本の経済が悪い影響を受ける、こういうふうに見ておりません。 それから、物価の情勢を見てみますと、とにかく四十九年度は三月時点において一四%、おおよそ一四%という消費者物価の上昇である、こういうことでございまして、これはもう四十八年度二八%も消費者物価が上がった、それに比べまして大変落ちつきを示しておる、こういうことでございまして、五十年度を展望いたしましても、私どもはとにかく一けた台にしたいと、こういう願いを込めておるわけでございまするけれども、これは何としても達成する、こういう決意を持って臨んでおるわけであります。そういう状態でございますので、その状態はつまり四・三%成長、これを決める際の基本的な見方であったわけです。これにはいささかの狂いもない、大体大筋におきまして当時見通しましたそのレールの上を日本経済は歩んでおる、こういう見方をいたしておるわけであります。
○大塚喬君 いま四・三%は大台において狂いはないと、こういう答弁でありましたけれども、政府が当初見込んでおった景気の回復時期のずれ、六月から九月には景気が回復するだろうと、こういうのは、現状はそうではないのではないですか。 それから、昭和三十年から政府の経済見通しの発表があったわけでありますけれども、昭和四十四年まではずっと高過ぎる見通し、昭和四十五年以降になるというとずっといつでもその見通しよりも実績が下回っておったという、外れた歴史の繰り返しがいままで続いてきたと思うわけであります。で、先ごろのいわゆる経済企画庁の発表によれば、景気は冷え切っておると、こういうような発表もあって、果たして四・三%という経済成長の見通しが当初のようなもので進んでおるのかどうか、地方のそれぞれ金融関係の方と懇談をいたしました際に話を聞いても、やっぱり政府が公にしておるものよりは、景気の回復というのは下回っておる、こういうことを聞かされるところであります。 そういうことから、いま副総理に答弁いただいたことは、私どもが先ほどから論議をいたしておりましたのは、五十年度の税収不足、これはその四・三%という経済見通しの過大見積もりと申しますか、甘さというものから五十年度の歳入欠陥、税収不足が生じてくる、こういう論議を重ねてきたところでございますが、もし副総理のような考え方で、順調に進んでおるんだ、こういうことになれば、五十年度の税収も最終的にはそう穴が出ないで済むのではないか。しかし現実には、各党の皆さん方の論議をお聞きいたしましても、税収不足は避けられない。大蔵省当局は一生懸命何とかかんとかその場逃れの答弁をしておったようでありますが、そういう感じを強くするのでございます。この点について、いま申し上げたような観点から、副総理が本来考えておったと伝えられます三%台に私どもも大体落ちつくのではないかという感じがするわけでありますが、重ねてこの問題について見解をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 成長率を四・三だとか四・四だとか、そういう〇・幾つというところまで見通すということ、そうしてそのとおりに経済を動かさなければならぬということは、これはもう不可能に近いことだろうと、こういうふうに思うんです。いろいろ経済見通しの要素というものがあります。国民総生産をどう見るか、それをさらに中身をどうするか、そういう積み上げ作業で、そのしりが四・三というようなそういう端数がつく状態になりますが、四・三にならなければこれは間違いだというふうに言われると非常に当惑をする次第でございます……
○大塚喬君 いやいや、そんなには考えていません。そうは考えていませんが……。
○国務大臣(福田赳夫君) しかし、大体私が申し上げておりますのは、四%がらみの成長軌道を動いておると、こういうことなんです。 昨年、特に下半期におきまして景気が非常に停滞した。鉱工業生産にいたしましてもどんどんどんどん毎月落ちていく、そういう状態でありましたが、そういう状態が続きますれば、これは自律反転といいますか、経済の循環現象というものが起きてくる。私はそういう情勢をつぶさに見ておったんですが、一月からとにかく在庫量が減り出しておる。一月、二月、三月、四月とずうっと在庫が減ったんです。在庫が減ってくれば当然それを補充するための生産活動が起こる。それがいつ起こるかということを見ておったんですが、三月には上昇過程に転ずる。四月はどうかと見ておったんですが、四月もまた生産は拡大する。したがって、これとうらはらをなすところの出荷、出荷も三月、四月とかなりふえてきておるわけであります。そういうことを見ておりますと、総体として私はもう景気は底に来たという判断をしておるわけであります。これをほっておいたら一体どうなるかということでありますが、景気は底には来たものの、ほっておいたんじゃなかなかこれが立ち上がりというような状態にならないおそれがある。つまり、景気を動かす要素は一つは消費需要である。消費需要は一体どういう状態かといいますれば、私どもの調査するところによりますると、物価は確かに鎮静化してきた、しかしいかにも高い、その高値に対する拒絶反応というものが非常に強く出ておる、こういうふうに見るわけであります。ですから、それが急に回復する、こういうふうには思われません。いずれは回復するにいたしましても、いま直ちにというわけにはいかぬ。それじゃ、その景気循環過程で重要な役割りをなしてきた産業設備、これは一体どうなるか。設備投資につきましては、あるいはボトルネック産業、そういうようなものにつきましては、設備投資、これは行わなければならぬ。公害投資、そういうことも考えられます。 しかし、一般的に、設備投資が、景気が回復過程に入ってきた、金融もついたという状態で盛り上がってくるかというと、私はさような状態ではない、こういうふうに見るわけであります。したがって自律反転の力というものが非常に微弱である。そこでこれは、場合によりましては、あるいは景気対策といいますか、そのなべ底からはい上がるためのきっかけをつくってやる必要があるかどうかということを判断しなければならぬ、そういう時期に来ておる、こういうふうに見ておるわけであります。いま、五月中の経済の動きを総合的に検討してみたいと思っております。そして、新しい景気浮揚のための施策を必要とするかどうかということを六月中旬ぐらいの時点で結論を出してみたい、こういう考えであります。
○大塚喬君 いま副総理の答弁をお聞きして、個人消費の問題が出ましたが、個人消費の問題は、御承知のように、ことしの春闘賃上げが一五%以下に抑えられた、それから残業カット、一時帰休、それから失業者が百万を超えておる、こういう状態の中で、一体個人消費の伸びというものが期待できるものかどうか。といたしますと、設備投資も実質ペースで、先ごろ十三日に発表になりました企画庁の報告を見てみますというと、値上がり分を差し引いた場合に特に中小企業の設備投資というものは大きく下回る、こういうこともあったようであります。それから個人消費の盛り上がりがなければ景気の回復力、これが弱い、こういう趣旨のお答えがあったわけでありますが、そうだとすると、やっぱりどうしても私は、この見通しは強気の見通しということにはならないで、底入れがあったということだけれども回復力は依然として弱いし、今後の経済の見通しというものが容易でない、こういう感じがするわけですが、この点いかがでございましょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど申し上げましたように、日本経済は景気の立場から底に来た、そしてとにかくその底から起き上がろうという流れは動いておる。つまり、もう在庫投資、在庫もずいぶんこう減ってきておるわけですね。それから出荷もふえてきておる。また生産もふえてきておる。そういう状態ですが、しかし、大局的に見まして景気がこれで本当に立ち上がるという構えが定着し得るかということになりますと、先ほどから申し上げているとおり、景気を持ち上がりまで持っていくところのその力、個人消費また設備投資、そういうものは非常に微弱なんです。そこで私は、もしこれは自律反転に任せるわけにいかないと、こういう判断をするならば、これは何らか政府サイドの対策を講じなければならぬかなと、こういうふうに考えておるわけです。その講ずる必要があるかどうか、また講ずるとすれば、いかなる対策をするか、それにつきましては、これを六月中旬の時点において決めたい、こういうことを申し上げておるわけです。
○大塚喬君 具体的にいま六月中旬になって自律反転の問題について政府サイドとして考えてみると、こうおっしゃる内容は、いわゆる第三次不況対策と、こういう内容でございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) おっしゃるとおりでございまして、第三次景気対策と、こういう性格のものに、それを採用するとすればそういうものになる、こういうことでございます。
○大塚喬君 そうしますと、第三次不況対策というものの時期は、大臣の答弁から推測いたしますと、大体時期としては六月中旬と、しかも、自律回復力というか、これについては大変大臣としても微弱なものであると、こういう趣旨の答弁があったわけでありますが、そうなりますと、第三次不況対策というものを六月中旬に考え、実施を図りたいと、こういう理解でよろしゅうございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 経済の動き、その中には景気という問題もありますが、物価という問題もあります。それから財政の推移、そういう問題もありますが、そういうものを総合的に見まして、そして第三次景気対策をとる必要があるかどうか。とるならば、どういう対策をとるかということを六月中旬の段階で決めたい、こういうことでございます。
○大塚喬君 いまのお話に関連をして、日銀総裁にお尋ねをいたしたいと思います。五月十四日の経済新聞の発表によりますと、日銀では、景気は底入れを完了して緩やかな回復過程にあると、こういう趣旨の報道があったわけでありますが、具体的にそのように把握をされました日銀としての内容、要素はどういうことからこのような発表をなされたものか、具体的にお伺いいたしたいと思います。
○参考人(森永貞一郎君) マクロ的に申しますと、先ほど副総理がお答えになりましたように、生産は二カ月連続して増加いたしております。出荷は三カ月連続して増加いたしております。反面、製品在庫の方は四カ月連続して減少いたしておるのでございまして、それらの点から大体底入れを終わったと言えるのではないかと考えるわけでございます。そのようなマクロ的指標の変化をもたらした裏にどういうことがあるかということでございますが、一つには、住宅建設がやや持ち直したようでございまして、住宅の着工件数は二月から増加に転じております。また個人消費でございますが、四月はちょっと前月対比下がりました。一月から通観しますと、少し増勢を維持しておりましたのが、四月にちょっと下がりましたのでございますが、それが全体的な消費の低迷を意味するものか、まあ言ってみれば一高一低というようなことかもしれませんが、その中にたとえば自動車であるとか、カラーテレビなどの売れ行きが回復しておりまして減産を緩和するというようなことも見受けられるような状態でございまして、マクロ的に考えましても、またミクロ的にいろいろ、これは聞き込み調査等が多いのでございますが、もうこれ以上悪くなるという底入れは経たのではないか、この点につきましては大体各方面のコンセンサスが得られておるのではないかと存じます。 しかし、反面暗い要素といたしましては、企業の投資意欲が引き続き鎮静をいたしておるのでございまして、それに加うるに輸出の状況が、このところ一ころほどの勢いでは伸びていないというようなことがございます。また、個人消費低迷はもうこれ以上低迷はしないとは思いますが、しかし、にわかに盛り上がってくるというようなことも必ずしも期待できないかもしれません。そういう点が暗い要素としてあるわけでございますが、かれこれ彼此勘案いたしまして、大体底をはっているという状態がいまの状態ではないか。その底からいつはい上がるかということなのでございますが、かっての金融引き締め緩和期、公定歩合の引き下げ期に見られましたような早いテンポでの景気回復、V字型の景気回復はなかなか望めないのではないか。もしそのために人為的な施策を講じますと、またそこで物価鎮静化の傾向が、逆に騰貴の傾向に転ずるというような必配もございますし、またわが国が置かれておりまする資源その他の制約された環境のもとにおきましても、もうかってございましたようなV字型の回復は望めないのではないか。 また、今日日本経済は世界経済ときわめて密接に結びついておるわけでございまして、世界経済と日本がひとり異なった動きをすることも許されないわけでございまして、世界経済の動向をながめるにいたしましても、なかなかV宇型に景気が回復するということは望めないのではないか。しかしながら、底をはっておる状態からきわめて緩慢ながら緩やかな回復過程には早晩転じていくことを私どもは期待しておるわけでございまして、そういう意味で経済情勢の推移を冷静慎重に見きわめておるというのが現状でございます。
○大塚喬君 いま日銀総裁、福田副総理からの答弁をいただいて、それぞれ景気の底入れと、こういうことで微弱ながらやや好転の兆しを見せておると、こういうふうに理解をいたしたところでございますが、副総理いかがでしょう。これは先ごろの第一公定歩合の引き下げ、さらに第二次不況対策、こういういろいろの施策をとられたわけですが、これらといま答弁されたような経過との関連について、どういうふうに副総理としては把握されておりましょうか、どういう効果があったのか。
○国務大臣(福田赳夫君) 第一次、第二次と不況というか景気対策をとったわけです。第一次の景気対策、これは大体中小企業の金融でありますとか、あるいは受注機会の拡大でありますとか、そういうことを中心とした施策であります。 第二次の施策は公共事業の執行の促進、こういう繰り上げというか執行の促進、こういうことを中心とした施策でありますが、先ほど日銀総裁からもお話がありましたように、その影響は徐々に出てきておるんです。とにかく住宅建設なんというのはやや活気を帯びてくるというようなことになるとか、あるいは建設会社の受注、そういうものが少し上がってくるとか、まあいろいろそういう変化、それから中小企業の金融、これはかなり落ちつきを見せておるという、まあこれは顕著なる効果も出てきておる。そういう状態でありますが、そういう状態を受けまして第三次の景気対策をとる必要があるかどうか、これは今月中の経済の動きを見詰め、また経済のみならず財政の動き、また物価の動き、そういうことを総合的に検討いたしまして、六月中ごろとる必要があるという結論になりますか、とるとすればこういう施策をとるということを決めたい、こういう考えでございます。
○大塚喬君 公定歩合の再引き下げの問題で質問をいたしたいと思うわけですが、最近、西ドイツ、アメリカで引き続いて公定歩合の引き下げがなされております。こうなってきますと内外の金利差という問題もこれは当然考慮されなければならない問題だろうと思うわけです。先ほどからの福田副総理の景気対策という問題きわめて慎重な答弁で来月中旬にいろいろな指標を検討した上で実施するかどうか決めると、まあこういうことなんですが、一応実施される方向に考えが固まっておるように聞くわけでございます。ところでその日銀と政府との関係でございますが、そのような第三次不況対策というのがとられることがいまの現状で当然の成り行きというか、そういう対策が急がれておるように新聞報道等でも承知をいたしておるわけでございますが、公定歩合引き下げの問題、この問題も当然大きな政治的な観点からすれば実施されなければならない、そういう段階に進んでおる、こう考えるわけでありますが、第二次公定歩合の引き下げの問題、これについて、その実施の時期、まあもし公定歩合の引き下げを先ほど副総理からお話しありました第三次不況対策の後でやるということになれば、日銀の自主性というようなものがきわめて私どもとしても疑問に感ずるわけであります。この問題について実施の時期はいつするのか、それらの問題、具体的な日にちをここでどうこうするということは大変微妙な問題があろうと思うわけですが、政府の第三次不況対策が発表される前の段階で当然これらの問題が考慮されなければならないと。先ほどから新聞等で見ますと、経団連を初め各種の経済団体が、操業率の低下による企業の収益力の悪化と金利負担の重圧を理由にして早期に第二次公定歩合の引き下げということを要望しておる、こういう報道も聞いておるところでございます。こういうことで、日銀総裁から第二次公定歩合の引き下げの問題について明快な答弁をいただきたいと思います。
○参考人(森永貞一郎君) 御承知のごとく四月十五日に公定歩合を〇・五%引き下げたわけでございます。私どもは、その意義を石油ショック後の異常な物価騰貴、それに対処してとられた極度にきつい金融引き締めに一応の区切りをつけたという趣旨で実行したわけでございます。すなわち、年初来不況感が深刻化する一方、物価の情勢も落ちついてまいったのでございますが、その物価の情勢は本当に安定が定着化したかどうかということにつきましてはまだ疑問があったわけでございますけれども、企業者の経営態度も、あるいは個人の消費態度も非常に慎重になっておることでございまするし、また慎重な態度で経済処理に当たらなければならぬということは、労使双方に十分理解されつつあるやの情勢にもなりましたので、一応この狂乱物価に処してとりました異例な強度の金融措置につきましては区切りをつけるという意味で行ったわけでございます。その場合、従来でございますと、この金融の量的緩和も同時に実施するのが例でございましたが、今後の場合はまだ本当に卸売物価、消費者物価、両方とも鎮静化が定着したのかどうか、もう少し慎重に見きわめる必要があるということで、量的な規制はそのまま残しておるのでございますが、それと同時に引き下げの幅も〇・五%という小幅にとどめたわけでございまして、目下一カ月、二カ月近くその後経過したわけでございますが、その間に経済情勢がいかに推移しつつあるか、特に物価の動向につきましてもう安心できるような状態が来つつあるのかどうかといったような点をいろんな観点から実は慎重に検討しておるというのが現状でございまして、お尋ねではございますが、いま直ちに公定歩合をいつどうするということにつきましては、現段階におきましては何とも申し上げかねるということを御了承いただきたいと存ずる次第でございます。
○大塚喬君 質問終わります。
○辻一彦君 私、先に歳入欠陥の問題を少し聞きたかったんですが、時間がちょっと流れておりますから、後の関連でお伺いすることにして、いま論議がありました問題から直接伺いたいと思います。 この五十年度の歳入欠陥をめぐる問題がずいぶん論議されましたが、これはやはり今後の経済の動向にかかるという論議もずいぶんなされました。そこで、この経済運営の衝に当たる大蔵省、経済企画庁、日銀、この三者の間にやっぱり幾らかというか、あるいはかなりな意見の相違が私あるように思うんですが、その点をいま大塚委員の論議の上に立って二、三点伺ってみたいと思います。 福田副総理、まあ経企庁長官は個人消費がかなり異常な形で盛り上がってくるような、大体、盛り上がらなければこの経済の回復力というものがむずかしいと、こういう見解をかなり持っておられるというふうに見ましたし、日銀総裁の方は、個人消費の先行きはかなり明るいと、こういうふうに見ておられたと思います。そこで、春闘の賃上げを見ても、政府は予算当時一七%という一つの目標を見ておったと、それが一五%以下になったと、だから税収でも一%違えば六百億ぐらいの減少が起こるだろうと、こういうふうな論議が午前中もされておった。税収が減収になるということは、個人消費が当然ふえていくという先行きがかなり暗いんでないか、むずかしくなるんではないか。たとえば西ドイツでも、最近の情報等を見ると、やはり個人消費がなかなか思うように伸びていかないという、こういうデータが出ております。この点で個人消費等を経済のいわゆる自律反転のてこと考えられる日銀総裁はどういう見通しを持っておられるか、この点ひとつお伺いしたい。
○参考人(森永貞一郎君) ことしになりましてから百貨店の売り上げ高に見られる個人消費の伸びは比較的根強いものがあったのでございましたが、四月には対前月比若干の減少になりました。ただし対前年度ではやはり一割を超える増加ということになっておるわけでございまして、これが五月以後どういう動きを示すか、私ども大変注意して見守っておるところでございますが、四月の減少の原因がどこにあったかということを考えますと、法人筋の相当関係の集中しておる店舗の売り上げが特に鈍っておるようでございまして、個人消費については少なくとも下がったというようなことではないような感じがするわけでございます。もちろん、これは百貨店の売り上げを一々法人、個人別に仕分けして検討したわけではございません、私の感じでございます。そういうことでございまするし、また量産店等における最近の家電製品等の売れ行き、あるいは自動車の登録台数の増加とか、いろんなことをあわせて考えますと、そう急激に盛り上がるということは期待できないと思いますが、少なくとも落ち込むということはない。低迷から少しずつでも立ち直っていくのではないか。それには一つは、実質所得の問題があるわけでございます。昨年の暮れごろまでは消費者物価の高騰に伴いまして実質所得が対前年同月ずっと引き続き減少しておったのでございますが、ことしになりましてから消費者物価も落ちつきましたので実質所得は久しぶりにこの一月ごろから対前年同月で一割前後の増勢に転じておるわけでございまして、そういう消費者物価の安定化の傾向ということも考慮に入れますと、いままでは生活防衛ということから消費を大変自粛しておりました消費者にも、堅実な面での消費の動きはこれからぼつぼつ出てくるのではないかというような感じもいたしてながめておる次第でございます。
○辻一彦君 私は、いまは数字が落ちているというよりも、先行きが明るいと見られれば、賃金が抑えられて税収額も減収が出るし、所得も少なければ、それほど先行き明るいという見通しが少しむずかしいんじゃないかと、こういうことを申し上げたわけです。表現はいろいろございますけれども、先ほど伺った範囲でも経企庁と日銀の景気の見通しについての私はあるずれといいますか、違いがあるように思うんですが、この上に立って大蔵省は経済、財政の危機の中でいろんな政策を具体的に進められるわけですが、どちらの見通しに立ってこれからのいわゆる財政、経済運営政策を進めるお考えなんですか。これは大蔵大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(大平正芳君) 政府は一つですから、いろいろ意見の調整をしながら一致したペースで進めていくわけでございますから、政策が二手に分かれるとか、あるいは意見の違いによって政策が立ち往生するとか、そんなことはないと私は確信しております。
○辻一彦君 これはあってはならないことでありますが、その点について副総理にこれから二、三点伺いたいと思います。 長官は、いままで成長を抑えても物価を抑えなきゃいかない、こういう大体お考えで進められておった。だから、景気の浮揚についてはやや消極的であった、こういうふうに理解をしておりましたが、最近におけるいろんな各所における発言をずっと見てみますと、その点かなり福田副総理の場合に積極的な発言が多くなっていると私は思います。そこで、日本経済の動きについてそういう認識をされている根拠というものはここしばらく変わってきていると思うんですが、そういう根拠は何かということをちょっと要約してお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 景気か物価かと、こういう突き詰めた議論ですね。そういうことになれば、どうしても物価を優先させる、こういうことをずっと申し上げてきており、またその考え方は私は変わりません。ただ、物価か景気かという追い詰められたところへ来さしちゃいかぬし、また来させないで済みそうだ、こういう見解を持っておるんです。景気につきましては先ほどから大塚さんに対しましてお答え申し上げておりますが、とにかくもう経済は微弱ではありまするけれども、立ち直りの方向へ来ておる。ここでひとつ浮揚のための対策を講ずる必要があるかどうかということを判断するというところまで景気、側面から見た経済の動きは来ておるわけです。さて物価のほうはどうだ、こう言いますと、私は、これからとにかく一けた台の物価を五十年度中に実現をする、これはなかなか容易なことじゃないと思うのです。これは国会でも各方面から御指摘があります。しかし私は、これは不可能であるとは考えておらないのです。これは去年度におきましてはとにかく一四%消費者物価の上昇、その背景を考えてみますと、昨年は何といっても賃金がとにかく三二・九%上がった。また海外から輸入される物資、これが肩を並べて高騰を続けるというような背景があった。そこへ持ってきて、とにかく一昨年の暮れには公定歩合は二%一挙に引き上げられると、こういうことになり、その金利の影響というものが四十八年度、四十九年度には響いてきておる、こういう問題があった。ことしは非常に局面はむずかしいけれども、そういういま指摘いたしました点については、かなり違った現象が起きてきておるわけです。賃金はどうだといえば、とにかく一四%だとか、一三%だとか、そういう見通しが述べられるような状態になってきておるわけです。これは非常に私は大きな変化だと、こういうふうに思います。それから海外からの物資はどうかと言えば、大体頭打ちというような状態になりました。ことに農作物のごときは、この半年間に半値にもなる、こういうような状態であります。そういう下落した商品が夏ごろから逐次わが国に入着をすると、こういう情勢であります。まあ内外の金利差が非常に開いてきておる、そういうようなことを考えますと、わが国の金利水準を下げるという可能性を持つ、こういうことにもなってくる。そういう明るい要素も相当あるのです。ですから、そこで一つ心配になりますのは、これは企業側が収支経理が非常に苦しい、そのはけ口を商品の価格のつけかえに求める、こういう動きでございます。これが私は非常に重大な問題だと、こういうふうに考えますが、これを自制してもらうというためのいま努力をいたしておりまするけれども、これが成功するということになりますると、物価問題、これは一けた台ということを言っておりまするけれども、私はこれは実現し得る、こういうふうに考えておるわけであります。そういうことを考えますと、景気か物価かというような追い詰められたところに至らない景気も、また物価も着実にこれを安定せしめる、こういうふうに考えるわけであります。
○辻一彦君 経済の、先ほどの御答弁のように、自律反転力といいますか、そういうものは明るい面もあるけれども、やはり弱いところがある。それを先ほどの御答弁でも第三次不況対策等の一つのてこ入れも考えていくということでありましたですね。 そこで、第三次の不況対策というものが六月にお考えになって、五月の下旬になれば、大体その構想というものが私はいろんな経済指標を整理をしてまとまっておると思うんです。そこで、六月における第三次不況対策の、中旬に打ち出される対策の目玉というものは、一番大事なところは幾つかの柱があると思うんですが、どう考えておられますか。
○国務大臣(福田赳夫君) まだ五月が終わったわけじゃないんです。五月いっぱいの経済の動きをつぶさに点検いたしまして、そしてまあ対策をとる必要がある。そこからまだ決めていかなければいけない。あるとすれば、どの程度の対策が必要だと、こういうんであります。率直に申し上げますが、まだその結論に向かっての検討は始めておらぬ。まあ六月になってからということに相なろうかと、かように考えます。
○辻一彦君 じゃ、その六月に打ち出される第三次対策をまとめられる指標というものは何々を大体考えておられますか。
○国務大臣(福田赳夫君) そういう対策をとるかどうかを含めまして検討するんです。したがいまして、とるべき対策の幅、方法、そういうものにつきまして、まあ関係各省はみんなそれぞれいま考えております。おりまするけれども、寄り合ってその相談をいたすというところまできておりませんので、ここでこういうことが必要だと、こういうことをとるんだということまで申し上げられないんでございますが、これはひとつ御理解のほどをお願いします。
○辻一彦君 じゃ、その不況対策の中に先ほど出ておりました公定歩合の引き下げという問題は大きな柱としてお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 公定歩合問題は、これは日本銀行のもう専決事項でございまして、政府がこれに介入するということはいまだかつていたしませんし、今度とてもいたしませんが、まあ日本銀行は恐らく経済の現段階がどういう段階にあるか、こういうことにつきましては、大蔵省初め関係各省と緊密な連絡をとるわけです。そういうことを踏まえまして、日本銀行として独自の対策をとる、そういうふうに私は考えております。
○辻一彦君 もちろん私は、公定歩合の引き下げ、あるいは場合によれば引き上げといったような、いままでですね、そういう問題が日銀の問題であったということは承知しております。しかし、いろんな発言の場において、副総理、その第三次の不況対策あるいはこれからの問題として、公定歩合の引き下げはやるべきでないかというような、こういうお考えがいろんな場に見受けられるんですが、この辺についてはどうお考えになっておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、先ほども申し上げたんですが、わが国の経済運営全体として見て、これから幾つかの武器を持っておる、その武器の一つはこれは金利の問題だという考え方を持っておるんです。金利はいままで相当高い水準で推移してきておるが、これから先引き下げる可能性を持っておる、こういうふうに考えておるわけであります。その引き下げを現実にどういうふうな時期にどういう幅で実行するか、これは日本銀行の問題ですが、環境としてはだんだん熟しつつあるのじゃないかという感想は持っております。
○辻一彦君 じゃ、日銀総裁にお伺いします。副総理は感想としてはだんだん下がっていくと、こういう感想をお持ちだということであります。私がいろいろ読む記事では、感想じゃない、かなり明確な御発言も聞いておりますが、それは別として、総裁にお伺いしたい。 この五月の上旬に、一体公定歩合を引き下げる問題について、幾つかの五月末における主要な経済指標というものが挙げられて、これこれを検討すれば大体いろいろ考えていかなければならぬ。たとえば四月の工業生産、五月の消費者物価、三月の経済成長——成長率ですね、それから五月時点における日銀の短期経済観測等々、これに海外金利の関係も私は絡むと思いますが、こういう指標を五月末に整理をして、大体金利を引き下げるかどうかについて結論を出したいと、こういうように前に私は伺っておりました。そこで、この一、二、三、四、五点についていまどういうところまでこれらの指標を理解をされて認識をされておるか、これをお伺いいたしたい。
○参考人(森永貞一郎君) 日本銀行といたしましては常時経済諸般の情勢を注視いたしておりまして、そのときどきに最も適時、適切な措置を講じなければならぬということでございまして、その意味で、五月末時点におけるいろいろな経済指標の分析にも目下資料の収集その他全力を挙げておるところでございます。 それで、ただいま仰せられましたもろもろの要素、いずれも無視できない重要なファクターでございますが、日本銀行としてやはり一番気になりますのは、物価の動向いかんということと、それから先ほどもお尋ねがございましてお答えいたしましたが、個人消費の動向いかん、さしあたってはどうもその二つの問題が大変大事ではないか。それに加うるに、一般的な企業マインドの動向、あるいは消費者のマインドがどう推移しつつあるか、これは必ずしも指標ではございません、アンケートその他いろんなことで探っておるわけでございますが、そういうことを総合いたしまして、そのときどきにおいて施策を過たないようにというつもりで考えておる次第でございます。
○辻一彦君 非常に抽象的で、その表現はわかりますが、もっと具体的にお伺いしたい。 この物価の動向と、それじゃ個人消費の動向、こういうものを、五月、もうきょうは二十九日ですから、大体末になっておりますね、この時点でどういうように認識をされておるのか、これは公定歩合を引き下げるような方向の認識をされておるのか、いや、まあ当分はその必要はないという、こういう動向を見て認識をされておるのか、これをひとつ、物価の動向と個人消費の動向が一番柱であるならば、これをどう見ておられるか、これをお伺いしたい。
○参考人(森永貞一郎君) 卸売物価に関してだけはこの五月上旬まで統計が出ておりまして、五月上旬は前句比マイナス〇・一%の下落、ただし四月にプラス〇・一%のいわゆるげたがございましたので、中旬、下旬の状況と相まって五月全体としてどういうことになりますか、実はまだわからないわけでございます。で、中旬が間もなくわかりますので、その辺で一体卸売物価はどうなっておるかということの見当をつけたいと思います。 消費者物価につきましては、たしか東京都の分は月末に出るわけですが、もう二、三日うちに出るだろうと思います。まだしかし、それを見ないうちには何とも言えませんのでございまして、消費の動向につきましても、百貨店の売上高等につきましてはやはり月を越さなければわからない。もちろんその間聞き込みその他によりましていろいろ調査をするわけでございますが、目下まだつかんでおりません。いずれにいたしましても、五月が終わりましたところ、六月の初めごろの諸般の情勢を総合的に判断をして、いかなる態度をもって臨むべきかということを決めるということになろうかと存じております。
○辻一彦君 そのデータといいますか、資料が整備をされるのは六月の初めの時期になるということですね——されると。なるほど、そのときそれは数字になって紙に書いて上がってくるかもわからない。しかしそれまでに、日銀の調査能力、機能をもってすれば、いろいろな調査をされて、六月のあたりにわかることは、ある程度はやっぱし総裁はつかんでおられると私は思うんですが、ほぼもうとりあえず幾つかの柱について——紙に書いた数字が印刷されて持ってくるのは何日か後にしても、およそのことは頭の中に私はあると思うんですが、そのおよそのことも頭にないんですか、いま。
○参考人(森永貞一郎君) 目下まだ事務当局が一生懸命資料を集めておる、あるいは分析をしておる最中でございまして、私のところにはまだ何らの結果もまいっておりません。先ほど申し上げましたように、文字どおり来週以後になりまして資料がそろったところで情勢の検討をするというふうに御承知いただきたいと思います。
○辻一彦君 まあそれぐらいかたく答弁されなければ日銀総裁つとまらぬと思いますから、なかなか聞けぬとは思いますがね、まあしかし、二、三日後にわかる数字はもう大体頭の中に私は詰まっておるんじゃないかと思いますが、時期として六月のいつごろということですか。初めということは、いつごろをお考えになっていますか。
○参考人(森永貞一郎君) 情勢分析のための資料が整いますのは大体来週中だと思っております。
○辻一彦君 来週中に資料が整えば、大体判定はいつされるんですか、判断は。
○参考人(森永貞一郎君) 内容いかんにもよることでございますが、何にもしないということも含めて、できるだけ早く判断を下したいと思っております。
○辻一彦君 来週に一応数字がそろって、いろいろなことを含めてそのときに判断をされると、こう私は理解をします。 そこで、それ以上はなかなかこういう場で言える問題ではないと思いますから、頭の中には大分入っているというように考えておりますが、次の点をもう一つ伺っておきます。 これは、その前後にまた総裁、公の場でいろいろな意見を伺えますね。来週大体数字が整った時期になれば、私はもうちょっとお伺いしたいと思うんですが。
○参考人(森永貞一郎君) 時間の許す限り御出席いたしたいと思います。
○辻一彦君 その御発言、確認をいたします。 そこで、西ドイツの公定歩合なんかの動きを見ますと、四・五%ですね、今度、五%から下げて。それからアメリカも五回も下げている。だから、まあ心理効果をねらって少しずつ下げていく小刻みの方法、それからかなり政策的な効果をねらったやり方。私はその政策効果はいろいろあると思うんですが、これはいろいろな資料をそろえた上の問題であって、数字をどうこうということは言えないと思うんですが、下げ方上げ方としてはある程度幅を大きくしたほうがいいか、小幅がいいか、そこらは大体どうお考えになっておりますか。
○参考人(森永貞一郎君) せっかくの御質問でございますが、それらの点も含めまして今後の検討にまつ次第でございますので、現在のところは何ともお答えができませんことを何とぞ御了承をいただきたいと思います。
○辻一彦君 私は、第三次の不況対策の大きなやっぱり中身というものは、一つは公定歩合をどう下げていくかということが一つの問題点であると思います。 それからもう一つ、副総理にお伺いしますが、住宅金融ですね、これはまあ個人の最大の支出の要因でありますし、これが拡大されれば個人消費というものがそういう意味において伸びていくわけですが、まあこの間御存じのようにごく一日でほとんどが締め切られたという実態があって、たくさんの希望者がそのまま待っておると、こういう状況がありますが、この住宅金融を拡大をして、そして個人消費を盛り上げていくという、こういう観点というものは第三次不況対策の中身としてお考えになっていらっしゃいますか、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 第三次景気対策をとると、こういう必要があるということになれば、私はこれはまだ打ち合わせたり議論をしたわけでございませんけれども、住宅金融というようなことは非常にまあ適切な対策になると思うんです。これは、住宅というのは波及が非常にまんべんなく及ぶというような関係もありますし、いまお話しのように国民も待望しておると、こういうことでもありまするし、そういう景気対策をとる必要ありとすれば、まず真っ先に考えられることはまあ住宅だと。それも一般の金融ということも考えられるし、政府金融つまり財政投融資と、こういうことも考えられる、そんな感じがします。
○辻一彦君 これは非常に住宅金融ということが大事な問題であると、また不況対策の私は中身になっていくんじゃないかという、発言からも感じがいたしますが、そこで、これを拡大する場合に金利を上げるという大蔵省の意向は聞いておりますが、五・五%という金利で、これでまあ非常に金利がわりと安いのでこの個人住宅の金融というものも希望が非常に多い。銀行の方を見れば、個人預金の銀行の中に占める割合は四〇%で、五%程度しか住宅ローンが活用されていないということは、金利が要するに高いからである。そうすれば、この五・五%というのは非常に家を建てたいという大衆にとって私は大事な希望であると思いますが、これはぜひ据え置いて、そしてこの金融を拡大していくという、こういう方向でいかなくてはならないと、こう思いますが、これについて大蔵大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) まあ住宅金融公庫の住宅金融というのは、ほかに融資を仰ぐ道がない者にこういう道が本来は開かれたことと思うのでありまして、われわれの願いといたしましては、広く深く住宅金融の道に疎通——住宅金融が行き渡ってまいることを期待するわけでございます。しかし、御指摘のように、この住宅金融公庫の金利が五・五%に決められて、住宅金融公庫に対して一般会計で利子補給制度が確立したわけでございます。で、これは確かに大きな政策的な前進であったと思うんでありますが、これあるがゆえにまた非常にいま仰せのように申し込みが殺到するという事態を招来していると思うんです。そこで、いろいろ考えておるんでございますが、この、ネコもしゃくしも、もう申し込みがあるものに対してそういう低金利で対応しなけりゃならぬものなのか、優先的に貸付対象を——しぼられた貸付対象に対して、優先的な貸付対象に対してこの特利を適用するようにするか、私は、本来ならば後者の考え方によるべきだと考えておるんでありまして、建設省にも御検討を依頼いたしてあるんですが、建設省はやはり住宅政策の所管省ですから、なかなかそれはおいそれと、大蔵省の言う方向でひとつ考えましょうという色よい返事はまだもらっておりません、これは正直に言って。しかし私は、将来の方向といたしましては、優先的な貸付対象というものは相当しぼって、限られた財源はできるだけ多くの方に配分されるような環境をだんだんつくっていかなきゃいかぬのじゃないかと考えておるわけでございます。したがって、結論としていまの五・五%という特利は、優先的な貸付対象に限るようにしたい。で、優先的な貸付対象をどの程度にしぼってまいりますかということは、つまるところ結局来年度の予算折衝の問題になるのではないかと考えております。
○辻一彦君 さっきネコもしゃくしもという、しかし、その住宅を非常に希望している人は、私はそういう表現じゃなしに、ずいぶん真剣に、金はなかなかないし、家だけ何とか持ちたいと、こういう気持ちでおりますので、やっぱりちょっとその御表現は、私はいかがかと思います。 そこで、対象をしぼる、それは結局来年の予算折衝にかかると、こういうお話ですが、しかし、その予算折衝の元締めは大蔵省なんでしょう。大蔵大臣でしょう。だから、一体こういう庶民の家を拡大するために五・五%の住宅金融の金利ですね、こういうものを据え置いて、さらに拡大していこうとする考えがあるのかどうか。人ごとのように予算折衝にかかるんじゃなしに、大蔵大臣としてこれを拡大していくとお考えなんですか、どうなんですか。すべきであるとお考えなんですか。
○国務大臣(大平正芳君) 五百億に余る利子補給を一般会計からこれずいぶん将来長きにわたってやるわけですね。それが年々歳々拡大していくわけでございますから、容易ならぬ財政負担でございますが、そういう財政負担に耐えるような体格を持った財政にしたいと私は念願します。しかし、現実に特定年度、たとえば五十一年度にどれだけのそれでは利子補給が可能であるか、この特利でどれだけの対象をカバーできるか、そういった点について、いま私にこれだけはやりたいものだという固まった考えはございませんで、建設当局といま鋭意前広に勉強して、大体大事なことでございますので、住宅政策の実質的な推進に役立つように工夫してみたいと思います。
○辻一彦君 それに関連してもう一つ、住宅ローンの金利が大変高くて、先ほど申し上げましたが、銀行預金の四割は個人が預金をしている。しかし、住宅ローンは大体総貸し出しの中に五%を割っていると。金利が高いから、この住宅ローンの金利を引き下げさす指導する考えは政府にないんですか。
○政府委員(高橋英明君) 現在民間で行っております住宅ローンの金利は、一番長いもの、十年以上の段階が九・四八でございます。五年以下が大体八・八というようなところで、まあ、九・四八というのが長くて高い金利でございますが、実はこの金利もある意味では金融機関としてはサービスしておる金利であると。と申しますのは、長期貸し出しのプライムレート現在九・九でございまして、一般の産業が受けるプライムが九・九なのに、これは九・四八であるということで、銀行としてはかなりサービスしているつもりの金利でございます。まあそれは借りる方からすれば高いという感じは私は否めませんけれども、否む問題じゃございませんけれども、まあ高い。これは先般実は上がった金利でございます。従来住宅ローンの金利につきまして、公定歩合の引き下げ、あるいは預金金利の引き下げが行われた場合には引き下げを考えてもよろしいというような金融制度調査会の四十八年度の答申をいただいておるわけでございますし、そういうときでなければ絶対に下げないというようなかたくなな気持ちは持っておりませんけれども、まあできるだけお客にサービスするようにという指導はいたすつもりでございますけれども、現在の九・四八を直ちに私が何がしか下げろというようなことをいま申すつもりはございません。
○辻一彦君 去年の秋ですか、長期金利、預金金利が上がったときには、それに追随してすぐ上げておりますね。それで、もし公定歩合が下がったら下げる指導しますか。どうなんですか。
○政府委員(高橋英明君) 公定歩合と申しますのは、直ちに長期金利の指標となるものではございませんが、長期金利が下がってくるというような情勢が一般に出る、あるいはまたもっと採算の問題でございますけれども、銀行の預金金利現在八分というのがございますんで、そういう高いものとのさやというのは実は現在銀行は非常に狭まってきております。したがいまして、公定歩合が仮に今度下がったというだけで発動していくつもりはございません。やはり預金金利といったようなものとの関連においても考えなきゃならぬ面が大きいと思っております。
○辻一彦君 時間がありませんで余り触れませんが、大蔵大臣、これはもうかるときにはすぐ上げちゃって、そして全般が下がるときにはがんばっておるというんじゃ私はいかないと思うんですが、やっぱり長期金利は下げるという方向にあるときには、当然住宅ローンを下げさすべきであると思いますが、それについての指導されるお考えはないか。重ねてお伺いします。
○国務大臣(大平正芳君) 金融機関として最大限サービスをお願いせにゃならぬと思う気持ちは私は辻さんに劣らない気持ちでおります。具体的にはいま高橋君がお答え申し上げましたように、金融機関としてはそれなりに相当勉強した協力をいままでしてくれておると思いますが、なお困難なところとは思いますけれども、一層御奮発を願うように努力してみたいと思います。
○辻一彦君 私、最後に歳入欠陥問題についてもう一度触れたいんですが、その前に一点これちょっと確認しておきたいんですが、三月六日の予算委員会で中小企業の不況対策に触れて、その中で中小企業に対する政府三公庫のいわゆる資金融資の猶予について、返済猶予について伺いました。そのときに大蔵大臣からも十分配慮をしていきたいという答弁があって三月の十日に大蔵省の銀行局長とそれから中小企業庁長官の名で、窓先で、現場で柔軟に弾力的に対処するようにという通達が出されたですね。ところが最近聞きますと、さらに大蔵省は近くもう少しはっきりした通達を出す、こういうふうに聞いておりますが、その中にある当分の間というのは何をどういう時間を、時期を指しているか。この点をひとつ伺いたい。
○政府委員(高橋英明君) 三月十日に返済猶予といったようなものについて積極的に業者の立場を考えてやるようにという通達を出したことは事実でございます。近く出すというようなことは実は私は考えておりませんで、たびたびそういう通達を出し、三月十日に出しまして、窓口の状態等を伺っておりますると、わりあいといいますか、非常に親切に業者と相談されて、現実にも猶予になった件数も急激にふえておりますし、金額もふえておるということで、実は返済猶予につきまして何かトラブルがあるとか、あるいは私どもの通達に反するようなことをやっておるということは実は聞いておりませんので、改めて文書を出すつもりはございませんし、今後も企業経営の実情に即して温かい気持ちで接してくださいという気持ちには変わらないわけでございます。したがって、何か当分の間とかで打ち切るとかいうような、そういうような感じは全然持っておりません。
○辻一彦君 三月十日に出された通牒は十分その効果を上げておる、あれでもって十分不満も起こらずケースに応じて十分な猶予の対策がとられている、こう判断されていると確認していいんですか。
○政府委員(高橋英明君) 現在まで三月の末までの数字しかないわけでございまして、四月の状況わかりませんけれども、三月までの数字で見ますと、大変その件数もふえておりますし、金額もふえておって、十分に窓口で応待しているんじゃないかというふうに私は判断しているわけでございます。
○辻一彦君 その御判断が十分現場に徹底してできれば私はいいと思うんですが、そうしてひとつ徹底していただきたい。 そこで、最後になりますが、午前中からこのきょうの最大の問題でありました歳入欠陥の問題がずっと議論をされてまいりました。四十九年度は七千六百二十億ですか、約八千億に近い、そして五十年度も先ほどの常識的ないろんな数字であるがというようなお話でありましたが、九千億、約一兆円近い歳入欠陥が出る、こういうことが大体税収上出てくるということが答弁で出ておりました。私は、大蔵大臣が参議院の予算委員会、それから衆議院の大蔵委員会で当面の財政事情についての発言をされていろいろ訴えられておる、五十年度の財政運営の困難さを訴えておられますが、この中で感じられることは、この税収の欠陥というものが政府の経済運営の誤りと見通しの過ちによって生じたものである、それにもかかわらずあくまでこれは仕方がないんだ、不可抗力的なものだと、こうして国民の理解と協力を訴えられておる、私はそれも大事でありますが、こういう重大な政策上の欠陥について私は政治的な責任というものが生じてくると思うんでありますが、これについて政府としてどう考えておられるか、所管の大蔵大臣からお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) それは私の責任でございます。私一人の責任でございます。
○辻一彦君 まあ一人の責任でありますと言って、それで済むわけではないんですが、稻葉問題にしてもあれだけの論議がなされておるんですが、自分の責任でありますということで、それで済まされる問題ではないんですが、じゃ、そういう責任は自分にあると、こうお考えになるならば、この責任を果たすといいますか、責任をとるということはどういうあり方をとられるお考えか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) だから、こういう事態に対してまずこれを収拾しなければなりませんし、四十九年度の収拾をし、それから当然仰せのように五十年度に影を落とす問題性を持っておりますので、当面の財政運営につきまして最大限の緊張をもって当たるのが私の責任と心得ております。
○辻一彦君 時間の点から限られておりますが、データはいろんな形で試算をされているようでありますが、大蔵省の能力をもってすれば、この間まで四十九年度計算しておったから、もうとても五十年度のことはまだまだと、そういうものではない、シミュレーション等によっていろんな幾つかの条件を置いてその上に立ってのデータをすでに用意をされて試算をされておるんじゃないかと思いますが、そういう用意をされた、試算をされた試算内容をこの委員会に出していただきたい、具体的にいままで景気の問題だとか浮揚の問題、片方において具体的ないろんなお話がありましたが、歳入欠陥の問題になりますと、秋まで待たなければ御相談ができない、こういうことでは困ると思うのですが、少なくも私たちがもっと理解をできる、納得できる、そういう試算のデータを委員会に提出していただきたいと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) たびたびお答え申し上げておりますように、五十年度の会計年度は始まって一ヵ月余り経過いたしたわけでございます。でございますので、これから経済がどのように推移していきますか、内外の諸条件がどのように変化してまいりますか、これを一応見通しまして歳入の状況がどうなるかというようなことにつきまして、ぎりぎり国会に御提出申し上げる材料をつくるといたしますれば、その必要が出来してまいる時期においてのことになるだろうと思うのであります。しかし、辻さんがおっしゃるこういう前提で計算すればどうなるという一つの試算として御下命があれば、それは計算をいたします。しかし、それはあくまでも試算にすぎないわけでございまして、いま政府は五十年度の歳入についてこれをベースにして施策をするという数字をいまいかなる姿においても私は提出するのはまだ尚早じゃないかという感じを持っております。
○辻一彦君 これで終わりますが、こちらが何%になったらどうなんだという、そんな計算をしてくれと言うんじゃないんですね。やはり政府としていろいろいまの税収や、あるいは所得であるとか、あるいは賃金であるとか、こういうことをずっと考えれば幾つかの前提が置けるはずだから、それをもとにしていろいろお考えになっている、そういうデータ、試算を出していただきたい。時間がありませんから、これは私は理事会でひとつこの資料の問題については御検討いただきたいと思って、終わります。
○鈴木一弘君 初めに、景気の問題等についてまずお伺いをしていきたいと思います。 前の公定歩合の引き下げがありまして、外から見ていると、経企庁長官は非常に慎重で、腰が重かった。日本銀行も同様である。しかし私は、あのときの公定歩合の引き下げのタイミングはおくれてきたと思うんです。それはともかくとして、いま第二次の公定歩合の引き下げの問題が先ほどからずいぶん詰まった議論がされております。そこで、経企庁長官にしても大分積極論のようでありますが、四月十六日の一次引き下げから約一カ月半、その間にどういう変化が起きてこういうような考えが出てきたのか、それが一つ。 それから日銀総裁にお伺いしたいのは、第一次のときと同様慎重で、引き下げには消極的だと言うけれども、先ほどは物価動向云々ということでどうも来週云々というようなこともございましたが、その背景は、なぜそういうふうになってきたか、その背景についてお伺いしたい。
○参考人(森永貞一郎君) 今月の指標は先ほども申し上げましたとおり、まだごく一部しかわかっていないのでございますが、直接端的にあらわれております影響といたしましては、当然のことながら、金融機関の平均貸出金利の下げ足がいままでになく早いという感じはいたしておるのでございます。その他の経済指標等に対する影響いかんはまだ的確に把握いたしておりませんので、御了承いただきたいと思います。 なお、一次のときには大変慎重であったが、それがなぜ六月の指標を検討をして、その結果いかんによってはというお尋ねでございますが、これは何も六月に限りません、毎月毎月経済諸般の情勢に慎重に注目しておるわけでございまして、まあ極端に申し上げますと、では毎日毎日の経済界に起こってくるいろいろな現象の把握に努めておりまして、情勢の変化に応じて適時適切な対策を講じていかなければならぬと思っておるわけでございます。 今度は第一次引き下げ後の影響がどう出てくるかというような意味で格別に注目をして分析の結果を待っておるということでございまして、心構えとしては、やはり時々の経済情勢の推移に対して適時適切に措置していくということが私どもの任務であるというふうに心得ておる次第でございます。
○鈴木一弘君 企業の金利の負担を引き下げたい、こういうこと、金利負担を軽くしたいということから公定歩合を引き下げたい、こういう考え方は、財界の主張ならこれは私どもは十分納得しますけれども、だけれども、少なくも政策当局ですね、その当局が公定歩合の引き下げの柱とするわけにはいかないだろう。金利負担ということだけで考えれば、四月の時点でもあったことですし、日本の企業は万年いわゆる借金過多といいますか、そういう性格を持っている、そういう体質でありますから、いつでも安い方がいいわけでしょう。だから、そういうことが大きな理由になったりするとどうしても納得ができない。私は、さっき背景をと言ったのは、そういうことが一番大きな背景となっているということでは、これは納得できない。もし、いまの御答弁のように適時適切にということで、しかも、金利負担のことだけでものを言えば、常時下げてなければならないということになるわけです。そういうことになるわけでございます。そういう方向をとるということなんですか。その辺の考えをもう一度……。
○参考人(森永貞一郎君) 私どもの調査の結果によりますと、これはもちろん全体の企業ではございません、主要企業でございますが、その企業の総コストの中に占める金利負担の割合は五%に足りないのでございまして、労務費の一三%あるいは原材料費の五五%に比べますとシェアは比較的低いということだと思います。 おっしゃいますように、最近財界その他で金利負担からする公定歩合の引き下げ論があるわけでございますけれども、私ども金利負担がコストの軽減に響く影響は実はそんなに大きくないということをまず申し上げたいわけでございまして、ただ、昨今企業の収益が大変減少いたしておりますので、それと金融費用と二つそれだけを並べまして、いかにも金利負担が重い、限界的にそういうふうに感じられることはわかるのですけれども、私は、金利にはコストとしての面のほかに、全体の資金需給を調整するというもっと大事な役割りがあるわけでございまして、なるほどコストの面から申しますと、たとえシェアは低いにしても幾らか下げますればそれがコストの低減につながるわけではございますが、他方において、需給関係にそれがどういう影響を及ぼすかというもっと大きな問題があるわけでございまして、私ども需給関係から申しますと、しばらくの間はいまのような緩和した需給状態を維持する必要があるというふうに考えておるわけでございます。そのような配慮から第一次引き下げに際しましては、量的な規制を維持することにいたしましたし、下げ幅も比較的小幅にいたしましたわけでございまして、需給関係その他から考えて、物価の情勢に安定化が定着する方向が見出せるかどうかということが、やはり公定歩合引き下げの場合の一番大きな判断の要素にならなければならぬのではないか、そういうふうに考えております。
○鈴木一弘君 それで、いまの答弁からしますと、先ほどから景気動向とか物価動向とか、それから需要の動向、そういうことでいろいろございました。そういう景気の動向から見て、確かに公定歩合の引き下げも必要かもしれない。しかし、金融の面から緩和の対策あるいは財政面からの資金流出、こういうことだけを考えてみると、何というのですか、資金や金と仕事のアンバランスということになりやしないか。つまり景気の回復が先ほどの論議では、まだまだ、底は出たけれども、非常に回復の力は弱いという、そういうことでございます。そうすると、最終需要である消費の回復がまだまだだということだと思うんです。その辺のところをにらんで、公定歩合の引き下げということをなさるとすれば、というような、いまの論議の裏からどうもそういうふうに聞こえるわけですけれどもね。そういう消費の回復がいまひとつすっきりしない、そういうときに私どもが見ていて、金のことだけ動いてしまうというと、また商品にはね返るというようなことはないかどうか、いかがなものですか。そういう点はどうお考えになりますか。
○参考人(森永貞一郎君) 個人消費の動向につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、四月に一時的な停滞がございましたけれども、基調としてそんなに落ち込むという情勢ではない。消費者物価も落ちついたことでございますので、堅実な消費の盛り上がり、そう極端なものではございますまいが、堅実な動きに期待をしておるわけでございますが、その動向いかんということが、言うまでもなく私どもの物価動向と並ぶ重要な関心事であることは当然でございまして、特に今月になりまして銀行券の増発率がやや鈍っておるというようなこともございまして、それが果たしてどういうことに結びついておるのか、その辺のところは鋭意検討をしなければならぬ問題と考えておる次第であります。
○鈴木一弘君 ここで福田副総理に伺いたいんですけれども、先ほどからずっと出ている個人消費の喚起の問題等がございます。アメリカのフォード大統領が不況克服に重点を移して、所得税の一二%還元というのをやりました。あのときに当然わが国もそういう大胆な発想もあったんじゃないかと思うんですけれども、いまの行き方を見てみると、企業の方については取ろうではないかとか、あるいは最終需要を起こすべき個人消費支出を促す所得税減税などはいまのような財政難ではできない、こういうことになって、何だかやせている豚から肉をとるみたいな感じがするわけです。やはり個人消費を伸ばすには所得税の減税を思い切ってこの辺でやって、そしてまた、取るべき税をきちっと取るようにしていくという——法人税関係ですが、そういうやり方の方がいいんではないかという感じがしてならないわけです。先ほどからの個人消費の問題から見ますと、そういうような考え方というのは全然お持ちじゃございませんか。何かその辺についてのお考えがありますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 最終需要が起こってくるかどうか、これが景気動向を左右するわけですが、最終需要は個人消費もあります。また設備投資もある。また国家財政ということもありますし、輸出という問題もあるわけなんです。その中で、私が先ほどから申し上げておりますのは、個人消費は着実に伸びてはおるんです。伸びておるが、これが景気の牽引力となるというような顕著な力を発揮するということはどうも当面期待できない。つまりいま物価はかなり水準が高くなっております。それに対する拒絶反応といいますか、そういう傾向が高く出ておりますので、これに期待することはできない。 こういうことを申し上げたわけなんですが、しからばこれは人為的に何か手を講じて、たとえば減税をするというようなことで購買力を国民に与えて、そうして消費を刺激するという政策をとるか、これは一応時によっては考えられる問題だと思うんです。しかし、いま国民の消費が落ちついてきておる。この動向は非常に私は大事だと思うんです。これが再び、何というか、つくりましょう、使いましょう、使い捨てがいいんですというようなことになっちゃうんじゃ、また元も子もなくなっちゃう。ですから、私は客観的な動きとして見ましても、まあ消費が非常に強い勢いで伸びているということは想像はできませんが、同時に、これを強い力を持つ景気の牽引力というところまで引き上げるという考え方は、私はこれは妥当じゃない、そういうふうに考えます。したがってそのための減税——いまお話がありましたが、そういうようなことは、他面国家財政の立場から見ましても、なかなかこれは困難であり、また考え方としても妥当ではない。こういうふうに考えておりますが、景気政策といたしますと、国民の消費あるいは設備投資、そういうもののほかでこれは政府がなし得ること、これを考えるべきだ、こういうことを申し上げておきます。
○鈴木一弘君 福田副総理は、貯蓄奨励というのを非常にいままでも強調されてきておりますけれども、実際、昭和五十年度ですかの政府の経済見通し、これではいまのお話になった個人消費支出の構成比が五四・四%という——これは不況のためにそういうように相対的に高くなったということかもわかりませんけれども、そういう高さに引き上げるためには、やはりいまの話のような個人消費を高めるための最終需要を起こすための減税とか、そういったようなことは余りやりたくない、こういうお話なんですけれども、そうすると、個人消費支出の構成比五四・四というこの高さ、これは達成できるんでしょうか、この経済見通しは。
○政府委員(宮崎勇君) お答えいたします。 個人消費の割合がどのようになるかということは、ほかの需要項目との関連がございますので、一概には申し上げられませんが、現在のところ景気が底入れしております。ほかの需要項目も漸次夏ごろ以降は回復してくると思われますので、消費者物価の安定とともに、個人消費の割合も見通しの線に向かって回復してくるものと考えられます。
○鈴木一弘君 福田副総理は、第二次公定歩合の引き下げについて景気対策のきっかけとしても重要であると、こういうふうに伝えられて、五月二十七日の新聞に出ておりました。そこで、福田さんの考え方は、先ほど日銀総裁が言われた公定歩合の引き下げと、量的規制、いわゆる金融引き締め政策、それとは切り離した政策運用じゃなくて、この両方を伴った、金融引き締め緩和と公定歩合引き下げ、窓口規制の緩和といいますか、両方伴ったものという、こういうふうに私どもは受け取ってみたんですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) いま当面しているわが国経済の大きな問題は物価政策です。その物価政策の先々をながめて見まして、その前途に横たわる大きな障害、これは何かというと、企業の製品の価格のつけかえのムード、期待、そこにあると思うのです。そういうようなことを考えますと、総需要管理政策、この基調はどうしても堅持しなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。そういうことから言いますと、それは金融政策、財政政策はもとより機動的、弾力的に運営しなければなりませんけれども、基調といたしまして金融を量的にここで緩和する、これは妥当ではない、こういうふうに考えております。
○鈴木一弘君 いまの話は、私はどうも何だか、公定歩合の引き下げだけで景気回復ができる、これはちょっと不可能じゃないかという感じがしてしょうがないのですけれども、議論になりますからその辺でやめます。 次は、国際収支について福田副総理に伺いたいのですが、副総理は、日本経済の手綱さばきの指標は、物価と国際収支の動向が非常に大切である、こういうふうに強調されてきておりますけれども、最近の国際収支についての御判断、これはどういうようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 国際収支は、一昨年度におきましては、基礎収支におきまして百三十億ドルの大赤字を露呈したわけであります。そこで総需要抑制政策、そのねらうところは、物価の問題にもありますが、同時に国際収支対策でもあったわけです。その実効が上がりまして、四十九年度におきましては四十三億ドルの赤字というところまで改善をされたわけです。私は、当初これはまあ三年ぐらいかかる、百三十億ドルを、四十九年度においてはその半分程度の赤字、それから五十年度、次の年度におきましては、またその半分ぐらいというふうに考えておったのですが、四十九年度は意外に半分以上の改善ができたわけです。 そういう情勢におきまして五十年度の国際収支はどうなるか。これは経済見通しにおきましては、三十九億ドルの赤字を見込んでおるということでありますが、いま国際環境を見ますと、輸出ですね、これはなかなか四十九年度のような伸びは困難である。四十九年度は国際物価がぐっと上がりましたものですから、そこで、全額としての輸出額がうんとふえたわけでございますが、ことしは国際物価が落ちついた、そういうような関係で、金額的に見た輸出増加、そう多くを期待できませんけれども、同時に、いま輸入の方も停滞している。それのよし悪し、こういう問題もありまするが、とにかく停滞をしておる。その輸出輸入の推移を見ますと、三十九億ドルの赤字と、こういうふうに見たその国際収支は、大体そういう線でことしは動いていくのじゃないか。つまり、三カ年計画というその第三年目の国際収支、これは大体その見当どおりの動きをするのじゃないか、そういうふうに見ております。
○鈴木一弘君 いまの御答弁からもわかったのでありますけれども、日銀の統計等を見ても、石油ショック以来続いていた経常収支の赤字が昨年の七月からほぼとまったという感じです。総合収支のほうも黒になってきております。そういう点いろいろ見てみますと、それに対して一方で、いまのような大体三十何億ドルかの赤字になるだろうというお話がありましたけれども、他方外貨準備高の方を見ると、これはことしの四月で百四十三億ドルですか、ということで、非常にふえてきております。四十八年十月の百四十億ドル、それが一時は百十九億ドルまで減ったのが現在はそのところまで回復をしてきている、こういう点から見ますと、先ほど間違いましたけれども、総合収支が赤字が続いているうちに外貨準備だけは着実にふえている。外貨準備の増減が国際収支の動向と一緒にならない、こういう傾向はこれからもずっと続くのかどうか。しかも、相当長期間にいままでわたってきています。そういう点で、これはよっぽど気をつけないと、大きな問題を裏にはらんでいるような気がしてしようがないんですけれども、どのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、外貨準備はふえて、しかも、基礎収支は赤字であるという事態は健全でないじゃないかという、仰せのとおりでございます。これは、わが国の為銀が、外国におきまして、短期の負債を相当無理をして取り入れておることでございまして、このことは、いつまでもこういう状態で推移できるとは考えていないわけでございます。漸次、この短期の借り入れは中長期の方に借りかえるなり、あるいはより有利な短期の借り入れにだんだん借りかえていきまして、安定した貸借関係に持っていかなければならぬことは仰せのとおりでございまして、外貨の運用との関連におきまして、より十分そういった点、気をつけて運用に当たりたいと思っております。
○鈴木一弘君 先ほどの副総理の御答弁の中に、非常に国際収支については改善が著しいと、しかしその中で、輸入がとまったり云々ということがあるというお話がございましたけれども、改善は改善として、それなりによかったと思いますが、一方で国内の不況政策のために輸入の大幅な落ち込みがある。こうなると、対外的な関係ではまずいんじゃないか、いわゆる近隣窮乏化政策というような、そういうような批判や非難があるというような話も、これは聞きたくないことでありますけれども、耳にいたします。そういう点、どういうふうに把握され、どういうように開いていこうとされるか、伺いたいと思います。 〔委員長退席、理事山崎五郎君着席〕
○国務大臣(福田赳夫君) 石油ショック以来、ただいま御指摘のような問題が非常に強く出てきておるわけですが、これはわが国ばかりじゃないのです。先進諸国と後発国との関係でそういう影響が出ている。なぜ出てくるかと言いますと、わが国の国際収支はまあ改善されたと、こういうことが言えるわけですが、わが国の輸入の三分の一ぐらいはこれは原油なんです。そのことは、この石油輸出国、この石油輸出国との貿易が非常に大きい、石油の輸入額がわが国の総輸入額の実に三分の一に達する、こういうことなんです。その結果、産油国、石油輸出国とのバランスから言いますと、どのくらいになりますか、四十九年度で言うと、百三、四十億ドルのわが国がマイナスになるんじゃないかと、こういうふうに思います。それにもかかわらず、四十九年度全体とすると、四十三億ドルの赤字にとどまるというそのカバーを、今度は石油を輸出しない、石油を産出しない国の商品の間にこれを求める、つまり、石油非産出国、非輸出国、これに対するバランスは逆に百三、四十億ドル程度の黒字になる、こういうことです。ですから、石油を産出しない国から見ると、大変な対日輸入超過にいまなる。そういうようなことで、いろいろ感想がわいてくるということがあると思うのですが、でありまするから、それはそれとしても、できる限り後発国といいますか、石油を生産しない発展途上の国々、こういう国々との総体としてのバランスにつきましては、よほど気をつけていく必要があろう、こういうふうに考えておるわけでございます。いま輸出もそうふるってはおりませんけれども、それにも増して輸入が落ち込んでおるわけでありますから、これはいまわが国の経済が全体として落ち込みの過程、つまりなべ底をはっておる状態でありまするから、輸入も減るという現象でございまするが、これから先を展望しますと、景気も逐次回復をする、その回復に従いまして輸入もふえてくるということで、だんだんと緩和されていく方向ですが、しかしそれにしても、先ほど申し上げました石油産出国それから石油非産出国、これとわが国との関係というものの調整、これはよほど配慮していかなければならぬ、こういうふうに考え、いろいろ検討を進めておる、かように御理解を願いたいと思います。
○鈴木一弘君 話はよくわかりますけれども、いまこれからがいわゆる安定成長ということに移る、安定成長に移るからということできました。しかしいままでは低成長でございましたから、物が売れない、それでは海外からの輸入はいたしません、資源は買いませんということでは、これは輸出をあてにしていた外国から見れば、非常に迷惑だということになる。しかし、これは副総理の言われる、また三本内閣のとっている安定成長であろうとも、これからずっとそれが続いていくにしても、資源のないわが国としては、輸入をして資源を入れなければならないことははっきりわかっている。そうすると、先ほども商品市況の話がありました。農産物についてはこうであるというような話がありましたけれども、たとえばその中には貯蔵可能なものがある、木材であるとかあるいは鉄鉱石、銅鉱石というようなもの、こういうものは、いまのようなときにむしろ買い入れをして、ストックと言うとおかしいですけれども、貯蔵することが必要じゃないか。これをいまの民間のマーケットのメカニズムだけに任せておいたんではいけないんじゃないか、やはりその辺は何らかの形で、政府の金が働くといいますか、そういうようなことをして、安全弁を日本の国にも置き、対外的にも信用を置けるようにしておくということが非常に大事じゃないかと思うのですけれども、そういうお考えいかがでございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) たとえばオーストラリアから肉をずっと買っておる、それがわが国において肉が売れないというような事情が起こると、それが一切取引がとまっちゃうというようなことで、日豪間の感情というものが非常にまあ先鋭化したというようなこともある、あるいは一時住宅建築ブームというので、インドネシアその他の東南アジア諸国の木材、これをずいぶん買いつけた。ところが、住宅建設が冷えてきた、そこで輸入がストップしちゃう、こういうことになる。これは非常に相手国から見ると、痛手になるんだろうと、こういうふうに思います。そういうようなことを考えて、これは政府が出動すればいいか、あるいは商社にそういうような配慮をしてもらったらいいか、とにかく余り極端なでこぼこが近隣諸国に出るような政策運営をわが国としてするということは、私はこれは考えものだというような感じがするのです。いろいろこれからもどういう工夫ができるものか検討してみたいと、かように考えております。
○渡辺武君 私は、まず歳入欠陥問題について最初に伺いたいと思います。 午前中、近藤委員が、五十年度の歳入見積もり過大であったんじゃないかということを伺いましたが、これに対する御答弁は、いや過大であったとは思わないというような御答弁でございました。私は、これについてはきわめてこの答弁は不満でございます。また、歳入欠陥も予想されるんだというふうに公式に述べておりながら、五十年度の税収の見積もりについてまだわかってないんだというような御答弁があったわけでございますが、これまたまことに私は不満でございます。したがいまして、この問題は、なお日を改めて詳しく究明したいというふうに考えておりますので、きょうはそのための予備的な質問、もうすでに御答弁のあったものも幾つかございますが、重ねて伺っておきたいというふうに思います。 まず最初に、このいわゆる財政危機宣言なるものが出された日が、四月の十五日です。私の記憶ですと、五十年度予算が成立しましたのが四月の二日だったと思います。二週間足らずの間にこういう宣言が出されると、しかも、閣議で報告されて総理大臣まで了承の上でこういうものが出されてくる。しかも、読んでみますと、社会保険料の負担のあり方を見直すとか、あるいはまた、公共料金については安易な財政依存を厳に排除して利用者負担の原則に立てとか、さらにまた、公務員給与改善問題とか、米価問題等、こういう追加の財政需要については厳に慎重な態度で臨めだとか、あるいは地方財政についても、国と同一基調のもとに経費の節減等に努めろとか、予算委員会などの論議の中で政府が強調しておりました福祉優先の経済だとか、あるいはまた物価安定を最重点施策にするんだとかいうような言明と全くさま変わりなことがこの中でもって強調されているわけであります。これはもう全く驚くべきことだと私は思うんです。一体、予算委員会で予算案の審議が行われておる間に、このくらいのことの予想はつかなかったのか、何で答弁の中でこういう点について触れなかったのか、まずその点を伺いたいと思う。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどもお答え申し上げましたように、国会に対しまして歳入欠陥を申し上げるにつきましては、具体的な計数、ほぼ確実と思われる、われわれが責任を持てる計数を踏まえた上でいたさなけりゃならぬのがわれわれ行政府の任務と心得ておるわけでございまして、単なる感想で申し上げるわけにはまいらなかったわけでございます。したがって、具体的な計数がほぼ見当がつきました段階におきまして、閣議と同日国会に対しましても、大蔵委員会を通じて御報告申し上げましたような次第でございます。政府といたしまして、全然こういった問題について作為的な考えをもってやったものではございません。 それから第二といたしまして、この当面の財政事情についての私の発言でございますが、これについていろいろこれからの財政運営について国民各層の御理解と御協力を求めておる筋がございます。財政はもとより大蔵省のものではございません。国民のものでございます。したがって、国民各位に対しまして、その福祉の充実に寄与する財政である以上は、その財政を健全なものにしていく責任が私どもにあるわけでございまして、私どもといたしまして、国民に御理解を求めて、協力を求めて、財政運営に当たろうとすることは、国民本位に問題を考えておることでございますので、かように御理解をいただきたいと思います。
○渡辺武君 そうしますと、予算が成立してから二週間ばかりの間に、具体的な計数についての見通しがついたと、こういうことになりますな。どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほども申し上げておりましたように、去年の暮れに決算期が参りました法人の決算は芳しくないのではないかというような懸念は確かに私どもにありました。三月の確定申告は意外に伸びないのではないかという観測も全国の税務官署あたりの感触としてあったことは事実でございます。しかし、先ほども申しましたように、二月末の各税目の徴収状況というものは前年を上回っておる計数を、実績を示しておるわけでございます。で、そのことは国会にも御報告を申し上げたわけでございます。すなわち、どうも心配な事態が惻々と進行しつつあるのではないかという心配はありました。ありましたけれども、それを具体的に国会に御報告申し上げるにはまだ確たる計数を捕捉していなかった段階でございまして、四月の中旬に至りまして、 〔理事山崎五郎君退席、委員長着席〕 ようやくわれわれが、ほぼ、大きな間違いはないけれどもこの程度の減収を結果するのではないかという見当がついてまいりましたので、ああいう措置に出た次第でございます。
○渡辺武君 それではその確たる計数なるものをですね、これを資料として提出していただきたいと思うんです。こういう見通しを立てるに至った確たる計数ですね。これを提出していただきたい。その点は、委員長、ひとつお計らいいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) いま確たる計数と申し上げたのは、一月とか二月とか、毎月の各税目の収納状況でございます。 そこで、それは結構でございますけれども、いつごろ減収の実態が計数的にほぼ明らかになってきたかと申しますと、四月の半ばごろようやく明らかになったということを御報告申し上げておるので、その前に明らかになっておったのを伏せておったということでは決してありません。
○渡辺武君 だから、その四月半ばに明らかになって、こういうこの財政危機宣言を出さざるを得なくなったその根拠となる確たる計数、いま確たる計数が明らかになったとおっしゃった、それを提出していただけますか。
○国務大臣(大平正芳君) それは、すでにもう申し上げてありますとおり、約八千億、で、この税目別の検討もすでに国会で御報告申し上げておるとおりでございます。
○渡辺武君 それじゃわからないんですよ。何が何して何とやらという言葉がありますがね。これこれこういう資料で、これこれこういうことだから、五十年度自然増収は見込まれないと、自然減収も十分にあり得るんだという見通しを立てたんだということがはっきりしなければ、私どもにとっては納得できないと思います。重ねて、この財政危機宣言を出すに至ったその根拠資料ですね、これを御提出いただきたい。どうですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) それは、先ほど大臣からお話し申し上げましたように、当時の八千億というものが各税目別にございます。それは税目別にお出しをし、また、それをどういうふうに見積もったかという資料をお出ししても結構でございます。またそれから、それを単純に四十九年度のいわゆる基礎が、それだけ落ちたということによりまして、その影響が五十年度にあるであろうという予測もまたし得るわけでございまするから、そういうことでもってあの大臣の発言の中で自然増収はなかなかむずかしいし、場合によれば自然減収も避けがたいということにしたのでございまするから、確たる五十年度にどれだけの減収になるという数字を持って申し上げたわけではございません。それからなおつけ加えさしていただきますと、四月の一日か二日、一日と記憶いたしておりますけれども、予算委員会におきます締めくくり総括の質問で、社会党の宮之原委員から四十九年度の税収についての御質問がございました。そのときに大蔵大臣からかなり四十九年度については心配をしておるという状況のお話がございましたけれども、それは先ほど来大臣がいろいろ申し上げましたとおりのような実態を踏まえながら、しかしまだ三月におきますところの確定申告の数字を持っておりませんでしたので、こういう抽象的なことで申し上げた次第でございます。
○渡辺武君 私は四十九年度の歳入欠陥について伺っているんじゃないんです。それについては八千億円という資料ですね、これで十分説明できるでしょうね。しかし、その点についてもなお究明しなければならぬ点が多々あります。ありますけれども、四十九年度についてはまずそれでいいと仮にいたしまして、一体五十年度の見通しをこれほど強調しているわけですから、どういう根拠でもって立てられたのか、その点を知りたいんです。重ねて聞きますけれども、つまり経済見通し、実質成長率を四・三%とか、あるいはまた年度中の消費者物価の上昇率が九・九%だとか等々のその経済見通しに疑問を抱かざるを得ないようなそういう状況が生まれたのかどうか、あるいはまた経済見通しを、そういう経済見通しを基礎とした税収の見通し、見積もりそのものに誤りがあったことを発見したのか、どうですか、そういう点は。
○政府委員(中橋敬次郎君) その点は先ほど鈴木委員の御質問についてお答えしましたとおりでございまして、経済の見通しの伸びがそのままといたしましても、四十九年度におきますところの税収の不足を招来いたしました経済諸指標が土台としましたところから下がったわけでございまするから、それを単純に土台として計算をしましても、やはり四十九年度ぐらいの程度の減収が起こるかもしれないという計算は容易にできるわけでございます。したがいまして、そういうようなまず基本的な認識を持ちましてああいうような自然減収も招来するかもしれないというような危機の宣言となったわけでございます。
○渡辺武君 税収の方はどうですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 税収につきましては今朝来いろいろお答えいたしておりますように、まだまだいろいろ今後の経済情勢というものを把握いたさなければ、五十年度に巨額の税収になるか、十七兆三千四百億円という税収がどのようになるかということは、まだその段階においてもちろん言えないわけでございます。
○渡辺武君 それはちょっと納得できませんね。はっきりあなた方が言ったのは、四十九年度の歳入欠陥八千億と、これだけでしょう。それでどこからどういう理屈をたどって五十年度の歳入欠陥というような見通しまで立てるのか、まるっきりわからぬですよ、それは。その点についてわかるような資料を提出していただきたいと思う。つまり大蔵大臣の先ほどのお話ですと、予算が成立した以後の四月の半ばごろまでの間に確たる計数が明らかになったと、こう言っている。その確たる計数に基づいて五十年度のこういう予想を立てたわけでしょう。われわれに納得できるようなその確たる計数を出していただきたい、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 私が申し上げておるのは、この八千億という歳入の減少、税の減収、四十九年度の、これが予算の成立の当時私どもが把握できていなかったわけでございます。先ほど申しましたように、三月十五日のあの確定申告の状況がわれわれの手元に集約されて出ていなかったわけでございます。それが明らかになってまいりましたのはようやく四月の半ばになってからのことでございます。確たる計数というのは、この四十九年度の税の減収というものの計数がほぼ八千億内外のものになるのではないかというものが税目別に見当がついてまいりましたので、そして当面の財政事情についての発言を行い、これについてどういう措置を講ずるかということについて閣議の判断を仰いで政令の改正に踏み切ったわけでございます。
○渡辺武君 全くそれはあやふやな根拠でこんなものを出されたというふうにしか私は受け取れませんですね。しかも、国会で公式に答弁されたことと全くさま変わりの物価の安定を重点施策にする、福祉優先の経済だということを言っておるのとうらはらのことが事実大蔵省中心にしていまどんどん推し進められているんじゃないかというふうに思われる、大変なことですよ、これは。まあとにかく私はこの五十年度の税収の見積もり、見通しですね、これについての資料と、それからその他こうした五十年度の歳入欠陥という予想を立てるに至った、大蔵大臣のお言葉で言えば確たる計数、四十九年度の八千億円の税収欠陥はわかりましたから、それ以外のものですね、これについてひとつ資料提出を要求いたします。時間もありませんので次に移りますが、これはあとで理事会で検討してください。 この歳入欠陥問題が生まれまして大きな課題として特別に関心を持たれ始めておりますのは、既定経費の節減という、先ほど近藤委員も取り上げました問題と同時に今後のやはり財源ですね、これをどこに求めていくかという問題だろうと思うんです。この点についてまず大蔵大臣に伺いたいのは、従来租税特別措置あるいはまた法人税本法に繰り入れられております、まあ私どもの言葉で言えば大企業などに対する特権的な税の減免制度、こういう高度成長を促進するのに政策的に使われた税の仕組みが依然として残されている、これをやはり洗い直して、そうして新たに持てるところから正当に税金を払ってもらうという措置こそが、こうした困難な状況のもとで財源を求めていくに最もふさわしい道じゃないかというふうに思います。その点どうお考えになっておられるか伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) こういう歳入の制約という状況下でなくても、いまあなたの御指摘のように、租税特別措置というような制度につきましては洗い直しを鋭意やってまいりまして、その政策的な任務が終了いたしたものはこれを改廃してまいるということはやってまいることが税の公平を期する上から当然と心得ております。したがって、政府としても、五十年度の税制改正におきまして土地譲渡所得につきまして、あるいは利子・配当所得につきましてそのような措置を講じましたことは御案内のとおりであります。しかし、このように歳入の制約が厳しくなってまいりますと、渡辺さんも御指摘になるように、こういったところにもっとメスを入れて、厳しくメスを入れる余地があるのではないかという御指摘でございます。仰せのとおりでございまして、私どもといたしましても、できるだけそういったところには精細に解明の検討を加えまして、じみちに歳入の増加を図る道を鋭意考えていかなければならぬと考えております。しかし、これはわれわれ政府当局でいろいろ検討も進めなければならぬ問題でもございまするし、同時に、税制調査会等でまた御相談しなけりゃならぬ問題でもございますので、いまどの税目をどうするかというふうなことをこの段階で御答弁申し上げることはできませんけれども、そういう方向で鋭意検討を進めてまいるという決意であることは申し述べておきたいと思います。
○渡辺武君 一般的な方向はわかりましたが、具体的にどういう税目で考えておられるのか、一、二点伺いたいと思うんです。 一つは企業の特別償却。これは大蔵省の法人企業の実態、四十八年分で私計算してみますというと、この特別償却の特例を受けている資本金階級別で見てみますと、資本金十億円以上の大企業四六・三%、そうして特に資本金百億円以上の大企業が三〇・二%、こういう恩典を受けているわけです。恐らくこの特別償却の制度は、これは高度成長を促進するための加速減価償却、これが最も大企業に有利に作用している。恐らく大企業の法人税の負担割合が、中小企業よりも低かったという実態がありまして、逆累進だということが盛んに言われましたが、その一つの大きな原因になっているんじゃないかと思うんですね。この特別償却制度、これについてどういうふうにこの是正をお考えになっていらっしゃるか、具体的にお答えいただきたい。
○政府委員(中橋敬次郎君) 特別償却制度は、いまお話のように加速的な償却でございまするから、後ほど税の面では取り返しがきくという点におきまして、私どもは税制としていろんな面に使える政策的な配慮だろうと思っています。またその対象は、お話のように確かに昭和三十年代から四十年代の初めにかけましては、大企業向けのものがかなりございましたけれども、その後は相当中小企業向けのものに性格を転換してまいりました。あるいは環境整備、公害防止という点についても配慮をしてきたつもりでございます。しかし、いずれにしましても、そういう償却制度というのを今後どうするかということになりますと、これはむしろいまのお話のように、昭和四十八年度という非常に景気がいいときに企業が利用するわけでございまするから、景気が悪いときには余りこの特別償却制度というものの恩典は活用されないのでございます。先ほどもアメリカのお話が出ましたけれども、アメリカも投資税額控除を拡張することによって、むしろ企業の投資をふやそうというような配慮をいたしておるようでございますけれども、ひっきょうやはり不景気のときには投資がなかなか行われがたいという点を配慮しての措置だろうと思っております。そういう観点から申し上げれば、直ちにこの特別償却制度に全面的にメスを入れて、これを縮小、廃止するという方向をとるのは、経済政策的にいかがかと思いますけれども、やはり一つの問題点であるということで、私ども今後勉強してまいりたいと思っております。
○渡辺武君 もう一つ、金融・保険業の貸倒引当金、これはもう私が改めて申し上げるまでもなく大きな問題になっております。特に都市銀行のもうけ過ぎとの関連で問題になっているわけですが、これも昭和四十八年分で私ども調べてみますと、この貸倒引当金の総額の中で九五・一%が資本金十億円以上の大金融業に集中しているという状況で、全くこれは大企業優遇の税制だというふうに見て差し支えないと思うんですね。これはいまたしか千分の十というのが限度額だと思いますが、この限度額の引き下げですね。恐らくこれは政令事項に属していると思いますので、法律の制定を待たずして機動的にできるんじゃないかというふうに思います。実態はもうほとんど貸し倒れなんていうものが起こっていない。しかも、金貸せるときには金融機関はちゃんと担保取っておりますから、だから、莫大な引当金を許しておくということ自体が非常に実態から離れていると思うんですね。この点どうお考えですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 貸倒引当金につきましてもしばしば御質問にお答えしたとおりでございまして、引当金そのものの存在はやはり評価性引当金としましてわれわれの税制の中に取り入れるべきものと思っておりますけれども、その率につきましては、やはり常日ごろから実態を勘案しなければならないということでございます。現にいま御指摘のような金融・保険業につきましての率も四十七年、四十九年とたて続けに下げてまいりまして、その前に比べますと三分の二の率、千分の十ということになっておりますが、それでもなお実際に比べれば高いということも私どもは承知はいたしております。国庫の状況で余裕がございますれば、そういった部面で内部留保を高めるということもまた可能ではございますけれども、国庫の状態もだんだん厳しくなってくるというときには、やはり応分の負担をしていただかなければならないというふうに考えております。そういう観点から私どもは一遍全面的に貸倒引当金の引き当てを認めております税法上の率と実際の償却、貸し倒れ償却がどういうふうなことになっているのかということにつきまして現在調査中でございます。いずれそういうものも勘案の上でしかるべき措置をとりたいというふうに考えております。
○渡辺武君 時間もあんまりありませんので、税制についてはあと三点ばかりまとめて伺って、答弁はひとつ簡潔にお願いしたいと思うんですが、一つは、退職給与引当金、これも実際の退職給与引当金の取り崩し額と比べてみますと、過大に積み立てられている。全然要らないというふうに私ども申しませんけれども、特に大企業において過大に積み立てられているということはもう議論の余地がないと思いますが、この点についても是正を考えておられるのか。 念のため申しますと、三井物産なんかは実際の引当額の三十七倍も退職給与引当金を積み立てている。あるいは三菱重工業は十九・七倍もこの退職給与引当金を積み立てているという状況なんです。ひとつ実情に照らしてこの是正も考えていただきたい。 それからもう一つ。地方自治体やそれからその他に対して厳しい浪費の節減ということを言っているたてまえから言えば、こういう時期こそ企業の浪費、これについて是正措置を考えなきゃいかぬと思うんですね。それについていろいろありますが、一つだけ申しますと、交際費の損金不算入の措置ですね。中小企業はこれはまあ万やむを得ず交際費を出さなきゃならぬという場合が非常にありますので、中小企業は別として、大企業の場合、この交際費の損金不算入の措置を、これを是正すべきだと思う。その点どう思われるか。 もう一点。私どもはあの物価狂乱、売り惜しみ、買い占めなどの激しかった当時、臨時的に大法人などからこの物価狂乱の中でつり上げてきた資産に特別な税をかけて、そして社会的不公正是正の意味も含めて税源とすべきだという政策を発表しておりますが、こういう不況な時期に収益を課税標準にするということになりますと、どうしても減収になるんですね。しかし、ここ数年のこの物価狂乱、売り惜しみ、買い占め等々でつり上げた土地とか、あるいはまた有価証券とか、これの増価分に対して適切に課税をするということも、こうした不況あるいはまた低成長下の財源措置として考慮すべきじゃないかというふうに思っております。で、この点たとえば西ドイツなどには法人、個人両方にかかる財産税というのがありますし、スウェーデンでは個人の純資産に課す財産税というのがありますし、オランダでも同様でありますし、またイギリスでは政府発表のグリーンペーパーの中で財産税の創設を提起するというような動きも国際的にあらわれております。学者によりますとこうした低成長下ではこれが一つの有力な財源になるんじゃないかというような説を唱える人がありますが、それこれ勘案してどういうふうにお考えなのか伺いたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 退職給与引当金につきましては、これもしばしばお答えいたしておりますように私どもは債務性引当金としてやはり税制上配慮しなければならないものだと思っております。従業員が退職をしましたときに払わなければならない退職金は、たとえば事業年度間勤めましたならば、やはりそれ相応のものは企業として負担を負うわけでございまするから、その日の収益の計算にチャージすべきものだというふうに思っています。どれほどチャージをすべきかということでございますけれども、むしろ税法では今日は前事業年度末と今年度末における増加額を引き当てされますけれども、累積額としましてはその二分の一という制限を加えております。この点についてはむしろ会計側からは全額を積み立てさせるべきではないかということでございますけれども、私どもは通常積み立てました後で退職するまでに相当の年限がございますから、その間におきますところの収益というものも勘案しなければならないということで、二分の一の累積限度額を設けておりまするから、これはいま御指摘のように……
○渡辺武君 恐縮です。簡潔に。
○政府委員(中橋敬次郎君) 過大でないと思っています。 それから企業浪費の点につきましてはこれは税金の方でなかなか実現を図るよりは、むしろそれぞれの独特の規制をやってもらいたいのですけれども、交際費の課税の問題についてはいろいろなお検討すべき問題がございます。ただ、その際に果たして中小企業は別だということで考えるべきかどうかは、私は基本的に問題だと思っております。 それから資産課税につきましては、たとえば財産税を取ることはいかがかということでございまして、これも前々からの当委員会においてもいろいろ御議論がございまして、検討課題ということでお答えをいたしております。ただ、それにつきましては非常に執行上の問題がございます。そういう点もあわせながら今後検討してまいりたいと思っております。
○渡辺武君 一問だけ。経済企画庁長官と日本銀行総裁がおいでになっていらっしゃいますので、ほんの一問、二問だけまとめて伺いますのでお願いしたいと思います。 いま政府が一次、二次の景気対策を打ち出しております。間もなく第三次の景気対策も出されるだろうというふうに言われております。日本銀行も第一次の公定歩合引き下げをこの間やりまして、恐らく第二次も時期はわかりませんが、いずれはあるだろうというふうに予想されているわけですが、国民が一番懸念している点は、この景気回復政策が、これが物価上昇に何の歯どめもない形でやられているということだと思うのです。一体今後のこの景気回復がやがては来るだろうと思いますが、物価の歯どめをどのようにおつけになるのか、これまず伺いたいと思います。 経済企画庁長官とそれから日本銀行総裁には、特にこの点について日本銀行の通貨金融政策の上でどんなふうに物価の上昇についての歯どめを考えておられるか、この前の予算委員会で私、公定歩合を引き下げるという点はいい悪いは別としまして、いままでのわが国の経験から言いますと、景気の回復過程で日本銀行の政策がむしろ積極的に信用創造政策をやってきた、このために過剰流動性等々の問題が起こって、これがインフレーションの大きな原因になっているという点をよくひとつ反省していただきたいということを申し上げました。今後その点から考えまして一つだけ具体的に伺いますが、窓口規制等々はちょっと別にしまして、やはりこの預金準備率、これは余りに低いのです、日本の場合は。この点をさらに引き上げながら、しかも金利を引き下げるというような措置を考えておられるのか、それとも準備率については考えていらっしゃらないのか、この点をまず第一点として伺いたいと思います。 それから特に経済企画庁長官に伺いたいのは、いまのこの財政欠陥、歳入欠陥ですね、これとの関連で公共料金の相次ぐ引き上げが今後予想されるわけです。酒、たばこ、郵便料金、これはすでに国会で法律審議しておりますけれども、その後にいろいろ新聞などで議論になっておりますのは、消費者米価それから麦、それからこの間公共企業の閣僚会議でしたか、それの国鉄小委員会で、国鉄運賃の二倍以上の引き上げ、そうしてまた運賃は、この決定は法律事項ではなくして政令事項にした方がいいというような答申も出ているようでありますし、さらには医療保険料の引き上げだとか、あるいはもうすでに、一応自治省は地方自治体に対して地方公共料金のいわば一斉引き上げというようなことを、これを地方債の認可の条件として要求するというような通達も出しているわけであります。大変な問題だと思いますが、こうした各省の動きに対して物価担当の大臣としてどういうふうな措置をおとりになるのか、これを伺いたいと思うのです。
○国務大臣(福田赳夫君) 第一は景気対策をとるであろう、その場合に物価に対する歯どめがないじゃないか、こういうお話でございますが、歯どめはちゃんと整備しての話です。つまり先ほどから申し上げているとおり、物価か景気かと言えば、とにかく物価安定最優先で考えたい、その枠内におきまして、景気政策もまた考える、こういうことでございます。それで物価政策の枠組みが、第一はこれは総需要の管理政策です。これをちゃんと踏まえてやりませんと、いま企業では商品値上げの動きがある、こういうものが現実化するという恐れがある。そこで総需要管理政策はこれを堅持するというたてまえをとります。 それから第二には主要の物資につきまして、これはその需給並びに価格の動向、これを注意深く観察いたしまして適時適切な行政指導をする、こういうたてまえでございます。それによって消費者物価につきましては年度中の上昇率を九・九%、これを実現をする、その範囲内において景気対策は考える、こういうふうにいたしたいと思います。 それからそういう間におきまして、第二の御質問は、財源欠陥が生じた今日、公共料金政策との調整をどうするか、こういう問題でありまするが、郵便料金やたばこや、あるいは酒につきましては、すでに予算編成の時から予定をしておるのです。九・九%に織り込み済みということを御了承願います。 それから国鉄のお話がありましたが、本年度中に国鉄の料金を引き上げるという計画は持っておりませんです。これは五十一年度以降の問題であるこういうふうに御了承願いたいのであります。 それから米麦につきましては、お話のように財政との絡みが非常にあります。財政それから物価、そういう経済諸方面をにらみまして、どういうふうにこの生産者米価が決まった際の消費者米価、また生産者麦価の決まった場合の消費者麦価、これをどうするか、これは慎重の上にも慎重を期して決めていきたい、かように考える次第であります。
○参考人(森永貞一郎君) 現在コストプッシュが緩和した需給状態のもとに、価格に転嫁されることを牽制しておるわけでございますが、私どもといたしましては、引き続きその状態を維持する必要があると考えておる次第でございまして、将来いつの日か公定歩合を引き下げます場合にも、お話のごとくそれによって物価上昇が再燃するというような危険がございます限り、それは引き下げそのものも控えるべきではないかというように考えておる次第でございます。 なお準備率につきましては、お話のように、日本の場合まだ低目でございまして、ただいま申し上げましたような量的な規制という観点もございますので、当分これを引き下げることは考えておりません。
○渡辺武君 では、引き上げることはどうですか。
○参考人(森永貞一郎君) 引き上げることにつきましても、いまのところ考えておりません。現状を維持することを意図しているわけでございます。
○栗林卓司君 時間が限られておりますので、幾つかの点をお伺いするにとどめたいと思います。 昭和五十年度経済見通しについて、先ほど福田副総理の方から、五十年度に入って日が浅いわけだけれども、基本的には当初政府の見通しのレールに従って走っているし、またそうするような対策の用意もあるという趣旨の御発言がありました。伺いますと、余り心配はないのかなという気がいたしますし、では歳入という面でどうかと思いますと、大蔵当局の方では、とにかく秋までたってみないとわからない、歳入不足が大きく出る心配もあるという御趣旨の御説明なんです。これをつなぎ合わせてわれわれどう考えていったらいいんだろうかという観点からひとつお伺いするわけですけれども、所得の対前年の伸び一七%について先日伺いました。で、本会議での副総理のお答えは、これは賃金水準だけではないんです、時間外手当もあれば一時金もありますし、その他もろもろなんですと。これはそのとおりです。そうおっしゃりながら、これは政府見通しの参考として出したことなんですと、軽い調子でおっしゃいました。言葉じりをとらえるようですが、重要な点ですからお伺いするわけです。ところが、大蔵当局としますと、この数字に準拠して見積もりをいたしました——相当重い意味を持ってこの一七%という数字を使っているわけです。 そこで、一七%はもともと参考で出したんだ、それを、準拠するという形で使った方がいけないのか、当然それはそういう使い方をするんだから、より重要な、参考を超えた政府の見積もりの基本的な中身の一つだと考えなければいけないのか、この点はどっちなんでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 雇用者所得のお話だと思うんですが、あれは雇用者所得です。今度決められようとしておる賃金ベースとは別なものなんです。賃金ベースはしかし一三、四%のところへ落ちつこうとしておるところを見ますと、雇用者所得の見通しの参考資料として書いてあるものよりはやや下回るんじゃないかという感触がします。しかし、国民経済全体の動きとして見るときに、雇用者所得だけで経済が動くわけじゃありません。ほかのいろんな要素がありますので、まあ四・三%、また物価上昇率九・九%と、こういう基本になる見通しにつきましては、私はまあ大体その線で動いていくだろう、こういうふうに見ておるわけであります。恐らく大蔵当局は、その経済見通しのよって来るいろんな諸資料、そういうものを横ににらみながら税収の見積もりということをいたしておるのであろうと思いますが、まあ経済の動きがとにかく五十年度としてはスタートしたばかりでありますので、どういうふうになるものか、これが非常に財政上の誤差が出るんだというところをきめつけていくんだと、こういう段階ではなかろうかと私は考えております。
○栗林卓司君 確認いたすようですが、四・三%の実質成長率、これはマクロで見て非常に重要な基本なんです。しかし、雇用者所得の対前年度一七%の伸びというのは、さほどの基本的な重要性を持っているとは経企庁は思っておりませんし、大蔵当局は大蔵当局としての御判断でお使いになるなり、別な数字を御選択するなりということでございましょうと、こういうことですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 私どもは、税収を見積もりますときにはもちろんいろいろな指標をもとにいたすわけでございます。その中の有力な指標として、政府の経済見通しの中の諸指標をとることにいたしておりまして、源泉所得税の算定に当たりまして、一人当たりの雇用所得の増というものをお借りをしたということでございます。
○栗林卓司君 それでは大蔵の方の責任が大分重くなるわけですが、それはそれとしまして、その経済見通しを立てる場合に、四・三%の実質成長率というマクロから見ていくということはよくわかります。ところが、税収ということを考えますと、これは直接税に非常に多くを依存しているわけですから、所得税にしても法人税にしても、マクロから議論していてもなかなか税収見積もりというものは立たない。むしろ、どちらかというと、個々の所得、個々の収益というミクロの集積ではないのか。これが結果として税収見積もりになってくるということになるわけですが、この集成作業について、経企庁とすると参考資料を出すだけなんでございましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 経済見通しでもここに「参考資料」と、こう書いてあるとおり、これは参考資料なんであります。しかし、これを重要な資料といたしまして大蔵省が税収の見積もりをするということはそのとおりだろうと、かように考えております。
○栗林卓司君 あえて申し上げるようですけれども、マクロで考えるにしても、その歳入歳出がどんなかっこうになっているかということは、経企庁としても重要な関心があると思います。 そこで、基本的に当初政府見通しどおりだとおっしゃる中には、歳入歳出、いわば政府財政かどうなっているかということが当然入ると思うんです。そこで、所得税なり法人税なり、これがどんなぐあいになっていくかということは、経企庁としてお考えになる場合でも相当のウエートを置いて見ていかなければいけないんですから、雇用所得の伸び一七%にしても、あるいは法人税の伸びが五%とはじくに至った基礎資料にしても、もし、それが若干これは見積もり違いがあるということになれば、経企庁としては、これは至急見積もり直し作業をしなければいけないのではないか、した上で私たちにお示しいただかなければ困るのではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) とにかく、基本をなすものは、これは四・三%成長、それから物価上昇率、消費者物価におきまして九・九、これは非常に経済見通しの基本になるわけでありますが、個々のこれらを算定した要因につきましては、これはたくさんの要素があるわけですが、その要素の一つ一つにこれは異同が生じてくる。これはいつの場合もあることでありますし、五十年度の過程におきましても、これが全然ないというわけにはいかない。要は、経済見通しの骨格がどうなるか、こういうことだろうと思うんです。そういうことから見ますると、いまの段階におきまして経済見通しを変えるという必要は認めておらぬ、そういうことでございます。
○栗林卓司君 時間がありませんからこれ以上深くお尋ねいたしませんが、見方を変えて、では、骨格の点で一、二お伺いするわけですけれども、今年度末消費者物価上昇率が一けたである、これはその政治的表現としては大変よくわかります。ただ、本当に一けたにしていくんだということになったら、一体、それは何%なのか。そこまでお示しいただかなければ困ると思います。七%も一けたなら八%も一けたなんですから、一体、目標は何%なのか、何%から何%の幅なのか、お伺いしたいというのが第一点です。 それから、関連してお伺いするのですが、価格のひずみ是正ということで、大体民間は一回りしたから、これからは公共料金を重点にした価格是正をすることになるでしょうというお答えでございました。そこで、この一けたの目標が何%であるかはお伺いをするとしまして、それを満たす範囲内で公共料金を逐次上げていくという政策判断を意識的におとりになるということでございましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 政策目標としまして五十年度の物価——消費者物価水準を一けたにおさめたい。一けたというのは、相当これは苦しい、相当の努力を要するんです。そこで、どういう比率であるかというと九・九、こういう数字となっておるわけです。来年の三月時点になりまして年度中の上昇率は九・九だ、こう言っております。ぜひとも九・九以内に抑えたい、こういうことでございます。そこでその九・九を達成する上において非常に私は懸念しておりますのは、いま不況な状態でございまするものですから、企業におきましてその収益を改善するために値上げをしたいという期待があるわけです。これを顕在化さしてはならぬ、こういう問題があるわけでございます。これに対しましては極力努力いたしまして経済界の協力を得たい、また協力を得られる、こういうふうに考えておるわけであります。 もう一つは公共料金の問題です。これは民間企業におきましては、石油ショック以来かなりの石油値上げに伴うところの価格調整をいたしたわけであります。ところが公共事業になりましては、その多くがまだそれが済んでいない、そういうことがまた財政を非常に圧迫する、これは逐次是正していかなきゃならない、そういうふうに考えておるわけでございますが、しかし、物価の問題を考えると、そういう考え方をフルに発動させるわけにもいかぬ、そこで国鉄だとか、あるいは電信電話だとか、あるいは塩でありますとか、そういう大事な公共料金につきましてはこれは抑える、しかし、財政上たばこの販売価格の改定、それから酒の増税、それから郵便料金の引き上げ、この三つにつきましては、これを予算の編成当時から予定をしておる。それからあと公共料金で大きな問題は米価、麦価の問題です。これはその時点における物価の情勢、それから財政の状況、そういう問題を広く検討いたしまして結論を出したい。要は四・三%成長、それから物価の安定、九・九%消費者物価の上昇、それを実現を目指し、その範囲内における限界におきまして公共料金の改定をする、こういう考えでございます。
○栗林卓司君 そこで二点お尋ねしたいんですけれども、九・九%の物価上昇目標の中を二つに分けますと、一つは、とにかくその幅の中で公共料金の改定を進めたい。したがって、ごく単純に素朴な質問するわけですけれども、もし公共料金の改定をしなければ九・九は相当下がるんではないかという問題に対してどのような見積もりをお持ちでございますか。 それから、先ほど来これは日銀総裁も言われました、物価対策と個人消費がいま最大の関心事なんだと、この個人消費という面で公共料金九・九の枠の中ではまればということは、片方では、全くそれと直接つながらないかっこうで個人消費の問題があるわけですけれども、これにどういう影響を与えると見なければいけないんだろうか。これは先ほどの、もししなかったら九・九は何%になると見積もっておいでですかということとあわせて副総理にお尋ねをいたします。 また関連して、物価対策と個人消費にいま最大頭の中いっぱいだと日銀総裁も言われたわけですから、その観点で個人消費と公共料金是正ということはどこまでが許容できるのか、いわばどの程度の関心を持って見ていくべきであろうか、また日銀当局には当局としてのお立場がございますから、物価目標は仮に年度末三月と置きますと何%とはじいておいでになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) これも参考のために事務的に計算しておるんですが、たばこはいまの政府案で上げますと〇・六%の消費者物価への影響です。それから酒は〇・一、それから郵便料金、これは〇・二であります。そういうことでございますが、上がる要素ばかりじゃないんですこれは、下がる要素もまたあるわけなんです。たとえば海外の物価、これは昨年はずっと上げ続けましたが、それが頭打ちという状態であり、農作物等につきましては、これはもう半値以下のものが多いわけであります。そういういい影響もある。また、日銀総裁ここにおられますが、金利水準を下げてくれると、こういう考え方をとってくださるなら、それもまたいい影響になるとか、いろいろそういういい問題もあるんです。そういう問題をひっくるめまして、とにかく年度内に九・九%という目標を達成したい、こういうことを申し上げておるわけでありまして、そういういい面は、できる限りこれがほかにいい影響を来すように、悪い面、先ほども申し上げました企業の値上げのムードというようなものにつきましては、これを極力それが実現をしないと、こういうふうにして政策目標を実現したい、こういうふうに考えております。
○参考人(森永貞一郎君) 先ほど個人消費の動向に注目していると申し上げましたのは、主として景気情勢との関連においてでございましたが、消費者物価との関連におきましては、私ども政府でお立てになっておられまする景気見通し九・九はぜひとも実現できるようにということをひたすらこいねがっておる次第でございます。その観点からいたしまして、酒、たばこ、郵便料等すでに御決定になっておられるものにつきましては、これは財源上も必要なことでございますし、これでやむを得ないと思いますが、自余の公共料金等につきましては、事情の許す限り上げ幅を少なくしていただくように、そしてぜひとも九・九%の一けた以内という消費者物価の騰貴率を守るような環境をつくっていただきますようにということをひたすら希望しておる次第でございます。
○栗林卓司君 時間でございますが、先ほど個人消費に公共料金政策が及ぼす影響も副総理にお尋ねしましたので、重ねてお伺いいたしますけれども、減税したらどうかという同僚議員の質問に対して、目下落ちついておりますからその必要はございませんとお答えでございましたが、落ちついているという状況をひとつ頭に置きながら、個人消費に公共料金の是正というのがどう響くと見ておいでになりますか、そこだけお伺いして質問終わります。
○国務大臣(福田赳夫君) ちょっとよくわからなかったのですが……。
○栗林卓司君 個人消費の動向に、公共料金を上げていく、これがどう響くと見ておいでになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは私は消費を抑制するという働き、これもあると思うのです。まあそれがどの程度出てくるかということにつきましては、これはちょっと予測できませんけれども、郵便料金が上がった、そこで用向きの軽いというような際に、郵便を出さぬというようなそういう動きもあるいは出てくるんじゃないかと、いずれにしても消費を刺激するような動きにはなってこない、かように考えております。
○野末陳平君 先ほどの私の質問は、大蔵大臣のお答えだけでしたので、もう少しちょっと理解したいところがありますので、経企庁長官と日銀総裁にもお聞きしたいと思います。 最初日銀総裁ですけれども、これはもう早く結論を出していただきたいんですが、高額紙幣の発行を全く考えていないというのが大蔵省の大臣のお答えだったと思います。そこで、今度日銀というのは現場ですから、いろんな現場の事情を踏まえて、いまや一万円札も八〇%近く発行されるようになっているし、それやこれやで、たとえば五万円札の発行の必要を認めるかどうかという点について簡単にまずお答えいただきたいと思います。
○参考人(森永貞一郎君) 日本銀行の事務だけじゃなくて、金融機関その他各企業等の事務にも影響あるわけでございますが、私は現在のところ高額券を出さなければならないほどの事務上の障害は起こっていない。私自身いまのような時期におきましては、高額券を出すべきでないというふうに確信いたしております。
○野末陳平君 日銀も大蔵省も、高額券発行の意思は全くないし、その必要を認めていないということで理解しました。 それで次に、先ほどの大蔵大臣ですが、デノミはまだ勉強していない、考えていないというお答えでした。それは要するに当分デノミはやらないということに受け取ってもよろしいでしょうか、念のため。
○国務大臣(大平正芳君) そう受け取っていただいて差し支えありません。
○野末陳平君 そこで今度は、経企庁長官ですけれども、大蔵大臣に比べればはるかに経企庁長官はデノミに積極的と言っては語弊があるかもしれませんが、頭の中にはかなりデノミのことが入っているんではないかということをわれわれが感じるような発言をちらちらとあちこちで聞いたり読んだりするんですが、福田長官としてはデノミの問題については、どういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 経済が安定し、デノミの意味がよく国民に理解されるという段階を前提として、いつの日かデノミということはやるべきだ、やった方がいいと、こういうふうには考えますが、まあとにかく物価が非常に浮動しておる、そういう際でもあり、またデノミに対する国民の理解も行き届いておらぬ。この段階としてデノミということは考え得られざることである、こういうふうに考えます。
○野末陳平君 この段階においては考えられないんですが、いずれはしなければならぬということだと思います。私もそう思っているんですが、ただ、いま長官のお答えの中で二つばかり問題になるところがあると思ったんですが、一つは、国民がまだデノミの意味をよくわかっていないということなんです。事実わかっていないんですが、わからせるようにもうちょっと本格的にこの問題に取り組んでほしいと思うんですね。ちらちら閣僚の、中曽根さんも言ったことあるんですね。それから福田さんも何かおっしゃる。非常にちらちら何かはっきりしないようなことばかり言うから、かえって人騒がせになるといいますか、デノミが誤解される面もあるんじゃないかと、そう思いますので、こういう発言はもっと慎重になるのか、あるいはかなり統一した意見を出してほしいというふうに考えていますので、あえてたまたまお二人がお並びになったので、もう少しお聞きしたいと思っているんです。 で、国民がデノミの意味がわからないということは、やはりこれは政府側があるいは閣僚の皆さんが、わりとはっきりしない表現をするんで、なお誤解されるんじゃないかと、そう思いますが、福田長官にお聞きします。経済が安定した時期ということでした。先ほど大蔵大臣はデノミが円滑に行われるような時期というような表現をなさいまして、どちらもまだその時期ではないのはわかります。しかし、福田さんは、もうちょっとそれを具体的におっしゃれるんじゃないかと思うんです。経済が安定というのは、一体どういう状態を言うのか。たとえば、九・九%ということを、かなりむずかしいけれども、政策目標になさっておりますが、これがどの程度ならデノミをやれるような経済の安定時期と、こういうふうに考えていいのか、福田さんの御意見を。
○国務大臣(福田赳夫君) 経済全体が静かになる、特に物価の安定ということが定着をする、そういう時期前にデノミということは考えられない、こういうふうに思います。物価安定が定着するということは、これは何%になったからとか、こういうんでなしに、もう消費者物価、卸売物価ともそう変動はないな、もうインフレということはそう心配する必要はないなと、そういう時期、そういうふうに御理解願いたいと思います。
○野末陳平君 そうしますと、福田さんの個人的なお考えで結構なんですが、政策目標として、そういうもう物価変動がないなという状態に持っていくのは、どの程度先を見込んでいらっしゃるんですか、その辺ももう少し。
○国務大臣(福田赳夫君) デノミはそういう前提、そういう経済や物価が安定すると、それも一つの前提、それからまた国民の理解、つまり正しくデノミというものの意味をとらえると、そういうこと、これがありますので、物価が安定したから直ちにデノミだと、こういうふうに受け取られるとこれは困るんです。そういう前提を経てお答えしますが、私は、物価については、大体三年ぐらいは安定水準になるにはかかるんじゃないか、第一年度は消費者物価一四%、それから五十年度中には一けた、九・九、そういう目標を持っておるわけです。それから五十一年度、この年度におきましては定期預金の金利以下、こういう目標を持っておるわけです。それでこれがそれだけで満足するわけじゃないんで、もっともっとこれは安定さしていかなきゃならぬが、その三ヵ年ぐらいで粗ごなしはできる、こういうふうな見通しを持っております。
○野末陳平君 そうしますと、いつだったか忘れたんですが、福田長官が、定期預金金利より物価上昇率が下回るような時期ならば、デノミを考えてもいいようなそういうことがありましたね。それはないんですか。——ああそうですか、じゃ私の誤解だと思いますが、じゃいまの物価の安定という意味でデノミを切り離して考えまして、物価の安定という意味では、五十一年には目標としては定期預金金利を下回るぐらいにしたいということですね。
○国務大臣(福田赳夫君) そうです。
○野末陳平君 はい、わかりました。で、その時期ぐらいから、つまり、もう物価は安定したと、変動していないんだというふうに考えれば、それはもちろんずっと先のことですが、そのあたりからデノミに対する国民の正しい理解を求めるような動きを始めたら遅いんじゃないかと思うんですがね。やるやらないとか、そういうのは別ですよ、実施の問題は。しかし、一番大事なのは、やはり経済の安定した時期を選ぶことも大事ですが、やはり国民がいまだに誤解が多いわけですね。ですから、その意味でデノミのPRと言っちゃ変ですが、これはやはり当局としては当然早くからやっていていいんではないか。それによって別に人心に動揺を来たしたり、経済に悪影響がくるとも思えないんですが、その辺はやはりまずいことでしょうかね、やるのは、PR。
○国務大臣(福田赳夫君) いまデノミはこういうものですというPRをしたら、それは近いうちにデノミをやるかな、こういうふうになってくるわけです。これは非常にはかり知れざるような誤解があるんです。デノミというのは通貨の呼称を変えるだけのものでありまして、これは実質的価値を変えるわけじゃないんですから、デバリュエーションとそれは全く違った性格のものですから、さあデノミになって今度百円が一円になるそうだ、一坪百万円のあんたの土地が今度一万円になっちゃうんだと、早くあんた売りなさいなんというような人が出てくるんですよ。そういうちょっと想像できないようないろんな現象が起こるんです。それはデノミをやる決意をしたなんということは、軽々にこれはわかったら大変なことになるというふうに思うんです。いまPRをするとすれば、当面デノミを政府は考えておりませんと、そういうPRをいたしたいと思っております。
○野末陳平君 それならそれで筋が通っていいんですよ。デノミは当分やらぬ、大蔵大臣もおっしゃっている、福田さんもそんなやる意思はないんだと、いいんですが、ところが現実には、はかり知れない影響があるようなそのデノミに関して、ちらちらとあちこちで言う閣僚だっていないわけじゃないんで、私は誤解だったかもしれませんが、福田さんがそういうことをおっしゃったような記事を読んだわけですよ。そうすると私が読んでいるんですから、じゃ改めてお伺いすれば、どうということないように思いますが、しかし、やっぱり一般にははかり知れない影響を恐れながら、片一方ではちらちら出しているわけで、そういうのが非常に困るんですよ。ですから、ここで誤解が解けたということにしておきますが、やはりそれほど重要なこともわかります。それから影響も大きいのもわかりますから、やはりデノミに対してもうちょっと政府はきちっとした態度で一貫してほしいんですよ。何かのときに記者会見で、たとえば、だれか主要閣僚の人がぱっと言ってみたり、そうすると新聞にまた大きく出たり、そういうことがぼくはちょっと好ましくないと思ったのでこういう機会にはっきりすべきか、あるいはPRだけはすべきであるのか、その点をまずお聞きしたわけなのです。デノミをやらないということははっきりここでわかりましたし、またその時期ではないと。ただし、福田さんはいずれはやらなきゃならぬと、大平さんはまだそこまでいってないということで、ついでに日銀総裁に一言。
○参考人(森永貞一郎君) 現在の経済下等の情勢を考えますと、デノミということを口にすらすべきではないと私は考えております。
○野末陳平君 口にする大臣がいるからああいうことをお聞きしたのですからね。 そこで、それでしたら福田長官にお伺いしますが、デノミはやらないとして、この資産の再評価ということをいつぞやまたこれも出たと思うのですが、その話が。あれはどういうお考えになりましたか、たしか福田さんだと思ったんですが。もしそうでなければ改めてこの資産再評価というその問題についてどういうお考えかをお聞かせ願います。
○国務大臣(福田赳夫君) 一昨年から昨年の初頭にかけてのインフレですね、これはインフレを通じましてかなり、特に土地でございますが、土地を持っている人、持たない人の間にこれは不均衡を醸し出しておる、こういうふうに思うのです。そういうことにつきましてこれはどういう手段がいいのか、これはとにかくその醸し出された不均衡の是正ということを考えなけりゃならぬ時期が来ると思うのです。いまはまだ物価が変動していますから、そういう当面の問題じゃありませんけれども、将来の問題としてそういう是正措置ということを考えるその時期というものが来るだろう、こういうふうに思いますが、その具体的な方法をどういうふうにするか、これはなだらかに時間をかけてやるという方法もありましょう、一挙にやるという方法もありましょうが、とにかくそういう問題をわれわれは抱えておる、こういう意識でございます。
○野末陳平君 大蔵大臣にもじゃ同じ問題でお伺いしますが、今度は大蔵省の立場として、やはりお金の問題も財源の問題も絡んでくると思うのですが、いま福田長官のお答えになったような似たお考えなのでしょうか、その資産再評価という問題で大蔵大臣のお答えもいただいて終わりにしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 税制の問題として考えた場合、これは本院におきましてもお答え申し上げておりますとおり、いまの税制が持っておる所得の再配分機能というものに私ども信頼を置いておるわけでございまして、これをいま変えなけりゃならぬとは考えていないわけでございます。新たな財政、財源の需要が起こりまして、現在の税制では賄い切れないというような事態はいま考えていないわけでございまして、現在の税制の中でいろいろ工夫いたしまして必要な財源を確保することにまず全力を上げるべきじゃないかといま考えております。したがって、資産課税というようなこと、財産課税ということは、いま私は考えておりません。
○委員長(桧垣徳太郎君) 委員長としてごあいさつを申し上げます。日本銀行総裁には、本日は御多忙中、本委員会に御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。 本日はこの程度にとどめ散会いたします。 午後五時三十六分散会 —————・—————